1 :
七試艦戦 :
02/10/19 09:15 ID:IxinSbxE 妄想スレからシミュレーションスレへ、そして仮想戦記スレ へと進化を遂げ、今第二次攻撃隊出撃!
2 :
七試艦戦 :02/10/19 09:16 ID:IxinSbxE
3 :
名無し三等兵 :02/10/19 09:34 ID:oKvwu0BX
スリガオでも昼戦にすれば活躍できたと思う。 あの狭い海峡で駆逐艦と魚雷艇に対して夜戦は相当不利。 ジクザクと反転航行でうまく魚雷をかわすしかない。 栗田艦隊を待つために突入断念をしてみるふりをしてもよい。 もちろん志摩艦隊と合流する。 駆逐艦数隻を先攻させるのもよい。 とにかく魚雷艇と駆逐艦を先にかたずける。
4 :
名無し三等兵 :02/10/19 09:39 ID:Tx3j2qko
>>3 昼戦でもあの戦力比ではどうにもならん。
煙幕張られてタコ殴り。史実と殆ど分からん罠。
大体西村には2YBが後ろからきてるっていう情報は与えられていなかったから無理。
5 :
名無し三等兵 :02/10/19 09:43 ID:BgtzqPmG
>>4 志摩は知ってたのに西村は知らない?
本当か?
西村はなぜか速度上げたろ。
6 :
名無し三等兵 :02/10/19 09:43 ID:BgtzqPmG
しかも突入時間は早めたし。
7 :
名無し三等兵 :02/10/19 09:46 ID:Tx3j2qko
>>5 唯一生還した「時雨」駆逐艦長が証言しとる。
光文社NF文庫の続艦長達の太平洋戦争が出典だけどな。
真昼間に海峡で空襲受けるのと夜間に魚雷艇&潜水艦に襲撃されるのを 比べると、後者の方がまだ勝機があると読んだとか。 更にレイテにつくのが遅くなると暗くなって攻撃しづらいとか。
9 :
名無し三等兵 :02/10/19 10:02 ID:li4iGrHN
夜間でのレーダー射撃と魚雷攻撃はいやだな。
10 :
第四南遣艦隊(貧) :02/10/19 10:52 ID:IxinSbxE
仮想戦記「シヴァの葬送」予告編 深夜と払暁の狭間であった。瀬戸内海の眠りを妨げるように内火艇が重い金属音が暗い 水面を乱して走り去って行った。そのエンジン音も引き波も消えた凪ぎの海面は、どろど ろと言う重い音と、ごとりごとりと連続する金属音が響いていた。 「主錨副錨、収容完了」 「目標、響灘。男島北西沖」 「微速前進。よーそろ」 明かりひとつない巨大な艦影が、静かに海面をかき分けて進み出した。 内火艇と給油船の甲板で白い物がいくつも揺れていた。 巨大な艦は、人目を忍ぶように周防灘を通り、関門海峡を抜けた。 「左、女島灯台見えます」 「前方!艦影3認む」 見張り所の伝声管がくぐもった声で叫んでよこした。 「前方、発光信号!『山城か』」 「応答。『われ山城。団子をやるから家来になれ』」 艦長の言葉で、艦橋がしばらく笑いで満たされた。 −間もなく投稿開始いたします、1日5レス位です。皆様よろしくお願い致します−
あらいきなり誤植だ。格好悪い。 やっぱ直打ちしたらだめだな……。 最初の行の「重い金属音」は削除して読んでくだちい。
12 :
大陸浪人 :02/10/19 11:36 ID:kP166fhS
小澤艦隊と共に栗田艦隊も囮艦隊と位置づける。 栗田艦隊は陽動作戦に徹して暴れまくる。栗田君は替えた方がよいかな。 敵が西村艦隊の存在を忘れている間に志摩艦隊とともにレイテ湾に突入。 上陸部隊を砲撃殲滅すると共に図らずも栗田艦隊と挟撃体制となり 敵主力を撃滅。漸く駆けつけた小澤艦隊の伊勢、日向もこれに加わり 大東亜の戦局この一戦に決す。 捕虜になったマッカーサーはアイシャルリターンアゲインなどと空しく呟く。
達磨落とししたくなる艦橋だが、一体高さ何メートルあるんだ? 海抜で。
二次スレ建て、大儀!
15 :
名無し三等兵 :02/10/19 12:38 ID:3NXRh7Oa
>>5 西村艦隊がレイテ湾に突入するのは事前の計画通り。
志摩が突入したのは独断によるもの。
だから西村が知らないのは当たり前。
16 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/19 20:35 ID:KrfPyCDU
妄想戦史検証 扶桑の闘い (このカキコはウソだらけです。それも全ては「扶桑級戦艦を活躍させる」という 正義の為ということでご容赦頂きたい) 扶桑級戦艦と言えば第一次大戦で「世界最強の巡戦部隊」金剛級巡戦4隻と共にインド洋 を荒らし回り、世界最強を誇った大英帝国の心胆を凍らしめた「世界最強の戦艦」として名高い。 この戦艦のインド洋での活躍は、インド南部で話されるタミル語にもその名を残し、タミル語で 「フソウ」と言えば、行動力と知恵にあふれ、自制心に富んだ優れた人物の事を指す。 これは当時の日本海軍がどれだけ強いインパクトを与えたかを如実に示し、また無敵と言われた 英海軍の撃破が世界にもたらした衝撃を物語るものである。
17 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/19 20:37 ID:KrfPyCDU
日露戦争後、日英同盟の破棄を好機と受け取ったドイツと国際的孤立を恐れた 日本との間で日独同盟が結ばれた直後、第一次大戦が勃発した。 この時、金剛級巡戦4隻を主力とした日本海軍は即座に同盟側に立って参戦すると、 それから僅か三ヶ月でインドシナを、半年でシンガポールを攻略すると言う快進撃を見せた。 日本軍の破竹の勢いを見た英国政府は極東・東南アジアにおいて現有戦力で有効な反撃を行う 事は困難であると判断、豪州政府の反対を押し切って巡戦オーストラリア等豪州艦隊主力を 本国艦隊に編入、また同時に巡戦ニュージーランドの派遣を要請していた新西蘭政府の要請を にべもなく拒絶したが、これは重大な失策であった。 確かに弩級巡戦1〜2隻で超弩級巡戦4隻を主力とした日本海軍にまともに太刀打ちすることは 不可能だったろうから純軍事的には妥当な判断であったが、自分達の募金で建造された艦を危機的 状況に置いて引き揚げると言う、この本国政府のつれない仕打ちに両国政府・世論は激怒、開戦から 一年後の1915年8月豪州と新西蘭政府は連合国から脱落し、相次いで中立を宣言することとなった。 トルコと同様僅か2隻の主力艦を惜しんだばかりに、イギリスは窮地に立たされる事になったのである。
18 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/19 20:38 ID:KrfPyCDU
一方、同時期の日本海軍は初の超弩級戦艦扶桑級4隻「扶桑」「山城」 「伊勢」「日向」が相次いで竣工し、その戦力は飛躍的に向上していた。 1916年初頭、それまでの豪州方面での活動を終え、本国で再編と訓練を 終えた日本海軍主力はついにインド洋へと勇躍舵を向けたのである。 その陣容は以下の通りであった。 戦艦「扶桑」「山城」「伊勢」「日向」 巡戦「金剛」「榛名」「比叡」「霧島」 装甲巡「筑波」「生駒」「鞍馬」「伊吹」 軽巡「筑摩」「矢矧」「平戸」「利根」 駆逐艦23隻 同時期の英独の艦隊と比較すると、戦艦と巡戦が同数であること、軽巡戦力 が貧弱であることが特徴と言えよう。
19 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/19 20:43 ID:KrfPyCDU
一方、開戦以来インド洋では主にドイツの遣外艦隊が、日本軍によって占領 されたペナン島を根拠地として通商破壊を行っていたが、その陣容は以下の 通りである。 装甲巡「シャルンホルスト」「グナイゼナウ」 軽巡「エムデン」「ライプヒチ」「ニュルンベルグ」「ドレスデン」「ケーニヒスブルグ」 これらの艦の大半は元東洋艦隊であり、「ケーニヒスブルグ」のみ開戦時から インド洋で活動していた。 イギリスは幾度もこの艦隊を補足撃滅しようとしたが、ドイツ艦隊は神出鬼没の活動を心がけて 敵に尻尾を掴ませず、逆に1914年11月14日にはタンザニア沖で英装甲巡「グッド・ホープ」 「モンマス」の2隻を撃沈するという大戦果を挙げていた。 これらの艦隊、特に5隻の軽巡は軽巡戦力の弱体な日本海軍の欠点をかなり補う ことに貢献している。 以下続く・・・
>タミル語で「フソウ」と言えば、行動力と知恵にあふれ、自制心に富んだ優れた人物の事を指す。 「エムデン」の立場を略奪する「扶桑」にワラタ。
21 :
名無し三等兵 :02/10/20 00:23 ID:vy0ncwpv
当時、扶桑にガチンコで勝てそうなのはバーデンくらいか、 Q.E.でタメだよね、ただの撃ちあいだったら。
22 :
名無し三等兵 :02/10/20 00:27 ID:RpjUbZ6J
おまけ ハイエルンは、20数年後の世界最大戦艦とキャラ同じ、といってみる。
「帝国の聖戦2」という火葬戦記で扶桑が活躍してる。 WW1だけど、ロシア海軍と同士討ちをやったあと、 ドイツのキール軍港に横付けし、マーク4戦車を降ろ してる。
24 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/20 08:30 ID:c80WVAXY
この日本海軍主力のインド洋侵攻は第一に大英帝国最大の植民地であるインドと英本土を切り離し、イギリスの権威を失墜させると共に、その戦争遂行能力に打撃を与えることが目的であった。 そして同時にインド洋の制海権を獲得し、更にトルコがスエズ運河を制圧する事で、インド洋〜スエズ運河経由で物資を運び、同盟諸国に対する海上封鎖に穴をあけることが出来る。 またそうなれば未だ日和見を続けるイタリアの同盟側参戦も期待できるといった大きな戦略目標があった。 だがこれは英国側にとって大きな危機であると同時に好機でもあった。 日本海軍主力部隊がもし日本本土や太平洋に陣取っていれば、いかなグランドフリートと言えどこれを討ち果たすことは至難の技であったが、インド洋に出てくれば大規模な戦闘を行い、その主力艦隊を撃滅することは可能である。 日本海軍の主力さえ無くなれば、インド洋の制海権はおろか、既に日本に奪われたビルマやマレーシアの奪還やオーストラリアやニュージーランドの再度の参戦も望める。 また日本そのものを同盟陣営から脱落させることも可能になり、日独に挟撃されているロシアも危機を脱する事が出来るだろう。 言うなればインド洋こそが大戦を左右する天王山となっていたのである。
25 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/20 08:32 ID:c80WVAXY
しかしイギリス側にそこまでの認識があったかは日本海軍に対抗して編成されたインド洋艦隊の編成を見ると大変疑わしい。 戦艦「ドレッドノート」「ネプチューン」「ハーキュリーズ」「エジンコート」「エリン」「カナダ」 巡戦「インヴィンシブル」「インドミダブル」「インフレキシブル」 軽巡「チャタム」「ダブリン」「サウサンプトン」「バーミンガム」「ロースロフト」「ノッティンガム」「アデレード」「バーケンヘッド」 駆逐艦26隻 巡戦、軽巡部隊がやや旧式なのはまだしも、主力である7隻の戦艦部隊で同型なのは「ネプチューン」と「ハーキュリーズ」だけで、後は同型艦の無い一隻だけの変則的な艦である。 無論、目と鼻の先でドイツ大海艦隊が睨みを利かせている以上、多大な戦力を割くことが難しいのは分かる。 しかしこれでは均質な戦隊を編成できず本国艦隊で持てあまし気味の戦艦をわざわざ寄せ集めて厄介払いしたと言われても仕方があるまい。 また主力艦の引き抜きにより、当初ドイツ海軍との決戦で巡戦部隊と行動を共にする筈であったQE級高速戦艦部隊が主力戦艦部隊に留め置かれることになった。 このため後のジュトランド海戦で高速戦艦部隊が21ノットの低速戦艦群に歩調を併せる事を余儀なくされることになったのは、少なくない影響があったと言えよう。
26 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/20 09:11 ID:c80WVAXY
訂正 戦艦「ドレッドノート」「ネプチューン」「コロッサス」「ハーキュリーズ」「エジンコート」「エリン」「カナダ」 同型なのは「コロッサス」と「ハーキュリーズ」
WW1物、キター!!
28 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :02/10/20 09:32 ID:CYb8rvHj
>>18 一応ツッコんでおきます。
筑摩以下4隻は軽巡ではありません。
単なる二等巡洋艦です。
日本が最初に建造した軽巡は天龍級。
29 :
名無し三等兵 :02/10/20 11:18 ID:zFjPdri2
霧島ナッチの小説で第二戦隊活躍する珍しい小説あったような
30 :
kt :02/10/20 11:58 ID:9esYZkRb
珍しく静かな夕暮れであった。前線がやってくる前触れなのか、ひどく蒸した日中 が嘘であったかのように風が涼しくなった。英国貨物船『オールド・コッド』は軍需 物資を満載して、チッタゴンに向けて航行中であった。出航した時の目的地はラング ーンであったのだが、今ラングーンにいる軍隊は黄色いジャップばかりである。 傾いた陽で視界が悪くなった。船長は双眼鏡を下ろし、眉間のあたりを指でもんだ。 緊張の連続で頭痛がする。シンガポールに続いてラングーンも陥ちた、ヨーロッパも アジアも戦況は思わしくない。まるでこの船を狙ってジャップの軍隊が先回りしてい るようだった。奴等に物資を接収されてしまうのが一番の心配であった。そうなった ら船倉に火を放ち、船ごと海底に沈める以外はないだろう。 「船長」 航海士の声に船長は顔を上げた。船長と同じように疲労の色が濃い一等航海士が、 ブリッジの窓から空を睨んでいた。 「どうした」 「エヴァンスが、飛行機に見張られてると言っているんですが……」 「飛行機?」 航海士が指す空はラヴェンダーに彩度を落とし始めていた。ややしばらく宙を見つ めて、船長はその黒点を認めた。双眼鏡で追ってみたが、点が滲みに変わった程度の 効果しかなかった。しかし確かに飛行機の形をしてはいる。
「遠いな。一万フィートあたりか?」 双眼鏡を目から離し、艦長はつぶやいた。 「単発機のようですね、あの大きさならもう少し高いかも知れません」 「はるか彼方に飛行機がいる。それがどうしたって言うんだ?」 たいして重要でもない発見をした甲板員を船長は見つめた。 「あいつは、もう30分も同じあたりを飛んでいるんです。つまり、本船を追いかけ てきているんです」 「そいつは大変だ。ジャップのパイロットが刀を振って脅しているのが見えたのか?」 「いえ……」 甲板員が言いかけた時、空中に大音響が走った。何かが空気を引き裂いて飛んでき たのだ。そして『オールド・コッド』の進行方向わずか二〇〇ヤードの海面に巨大な 水柱が4本、続けて立ちあがった。 五〇フィートの高さにあるブリッジにいて、それは仰いで見上げるほどの高さであ った。一〇〇フィート以上あったのかも知れない。 「……マイゴッド」 航海士が呆けたように開けていた口を閉じて言った。船の前方に立ちふさがる何本 もの大水柱、そこから何かとてつもない怪物が出現するかのように思えた。 「面舵! 面舵フル!」 船長が叫ぶより早く操舵手は舵を切っていた。 「何てことだ! 本船は砲撃されている!」
崩れ始めた大水柱が『オールド・コッド』に降り注ぎ、船体はスコールよりも激し い飛沫に包まれた。甲板に海水が溢れ、浸水でボイラーの火が消えた。 「こんな着弾……。戦艦か? まさか……」 ドイツの通商破壊艦がインドまで来ているなどとは聞かされていなかった。しかし この巨大な水柱は5インチや7インチの砲弾ではありえない。 「無線室! 救難信号! 敵の戦艦に砲撃されていると伝えろ!」 「戦艦。ですか?」 「ドイツの仮装巡洋艦に襲われたことがあるが、こんな化け物みたいな着弾じゃなか った! こいつは戦艦の14インチ砲だ」 「どこの戦艦が……」 海水の豪雨が納まらないうちに、今度は船体の両側に大水柱が立ちのぼった。 「峡狭された! 後進一杯!」 「船長! 何を……」 言いかけた航海士の胸ぐらを掴んで船長は叫んだ。 「停止して急いでボート降ろせ! 次は当たるぞ!」 船内に非常ベルが鳴り響き、船員があたふたと甲板に駆け上ったその瞬間、オール ド・コッドは巨大なハンマーで叩かれたかのような衝撃を受け、全員が空中に投げ出 された。ブリッジのガラスは全て粉みじんに砕け、そこから破片と煙が飛び込んでき た。轟音が消えると、しばし周囲は不気味なほどに静まりかえり、機関長が駆けつけ てくるまでブリッジで動くものはいなかった。
顔に水をかけられて、船長は目を開いた。 「……、キプリングか……。被害は……、どうだ?」 「1番ハッチから前が吹き飛びました。もう、あまり持ちません」 「他の……、クルーは?」 「ブリッジで生きていたのは船長だけでした」 飛行機のエンジン音がすぐ近くを通っていった。 「ジャップの水上機です、赤丸がついてますから。ずっと本船の周りを飛んでいます」 「脱出するのを待っているんだ。通商破壊艦のやり方だ」 十五分後、生存者をのせたボートが『オールド・コッド』を離れると、周囲を飛んで いた複葉の水上機も離れていった。船長は念のため、ボートを防水布で覆うことを命じた。 数分の後、またも空を引き裂く轟音が襲ってきた。『オールド・コッド』の船体が海面 から一瞬持ち上がり、煙と破片に包まれた。黒煙が吹き散らされた後には破片と物資の 梱包がいくつか浮いているだけで、一万一千トンの船は影も形も残ってはいなかった。 呆然と海面を見つめている乗組員の中で、船長は上着のポケットをまさぐって海泡石 のパイプを取り出した。前の大戦でドイツの仮装巡洋艦に沈められた時にも、このパイ プは失わなかったのだ。 「ジャップめ!」 火のないパイプをくわえて船長は大きな声で言った。 「船が沈み行く所も見せないとは、何と風情のない連中だ」
輸送船が最後を迎えた海面から二十五キロ離れた海上に、巨大で異様な船影があった。 「観測機より連絡。『全弾命中、目標轟沈』以上」 石を積み上げた塔のように細く高い艦橋で、黒い軍服を着た士官が紙片を読み上げた。 『轟沈』は先の南雲機動部隊が英艦隊と戦った折に初めて使われた用語だ。 「この間みたいに1発だけで沈んでたら、五番六番砲の連中が怒っただろうな」 艦長はそう言って、手にしていた双眼鏡を目にあてた。目標であった商船はもう影も 形もない、あったとしてもそれは水平線の向こうであり見えるはずもないのだ。ボート で脱出した乗組員の救助に向かう旧式駆逐艦『三日月』を見たのであった。 二機目の九四式水偵が発進していく。先に策敵と着弾観測を行った機と交替して、駆 逐艦を救命ボートに誘導するのだ。 「イギリス人なら、陸まで漕いで行くと言い張るだろうな。片腕が無くなっていても」 戦艦『山城』が沈めた商船は既に十二隻を数えていた。 「だが撃ち返して来ない敵ばかりじゃ、とても戦争やってるとは言えんなあ」 艦長はため息まじりに大きな声で言い、艦橋を見回した。
同時連載、キター!! 皆さん、無理はしないでね。
>>妄想戦史殿 おお、この設定、亜細亜解放にもなって……と思ったのであるが、 当時の日本のこと考えると、資源・生産・補給めちゃくちゃ辛くないですか? 日本が大儲けするWW1に突入するということは……ううむ。 帝国日本の体力がひたすら心配……でもそこはそれちゃんと考慮されてますよね。 それとも東部戦線の状態によっては露西亜に参戦ですか?
38 :
名無し三等兵 :02/10/20 23:11 ID:5U5CBFIv
悪の手先である山城、それもまた善し。ってなことで。
39 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :02/10/20 23:18 ID:OMmDu5jw
もう一つ、WWTネタの方へ。 第一次大戦当時の駆逐艦は外洋戦闘力をほとんど有しません。 ドイツ遣外艦隊が巡洋艦以上で構成されていたのはダテではないんです。
しかし、楽しみといえば、これは楽しみ。 WW1で活躍する、若い彼女。 あぁ!
>帝国日本の体力がひたすら心配……でもそこはそれちゃんと考慮されてますよね。 このスレはいかに「扶桑」「山城」を大活躍させるかだ。 帝国日本が滅びようが極貧国に転落しようが「扶桑」「山城」さえ活躍できればいいのだ。
>>41 ごもっとも! 元スレ建て本人が忘れておりました!
43 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/21 03:07 ID:hauPE3Fx
ツッコミ多謝です。
>>37 1914年当時の日本商船は太平洋戦争開戦時の1/4に過ぎない170万トンなので
それだけではまず無理です。
しかし第二次大戦時と異なりアメリカ、オランダは中立国。物資の輸入にそれら中立国
の商船を使う(開戦時、これらの国の海運は同盟国向けの輸出の多くが流れ、大打撃を
被ったので、日本が代わりを引き受ければ喜んで物資を売ってくれるでしょう)と共に、
海上封鎖により海外に取り残されたドイツ商船(正確な数字は分かりませんが、大体
200万トン程度かと)も使うという事でご容赦頂きたい。
>ゆうか氏
筑摩級は本当のところ「偵察巡洋艦」の系譜だろうと思いますが、区別がややこしい
のでひとまとめで「軽巡」にしてしまいました。
駆逐艦は磯風型の1100トンが最大ではインド洋までいくのも辛そうですね。
44 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :02/10/21 11:01 ID:+5/rTohN
>>43 行くだけなら行けますけどね。
当時の駆逐艦は近海でしか戦闘には使えません。
コロネル沖やフォークランドでは駆逐艦は1隻たりとも戦闘に参加してないでしょ?
本拠地からはるか離れた遠隔地で駆逐艦に戦闘させるなんて考えもしない時代だったんです。
駆逐艦が外洋でも使える、言ってみれば「ミニ巡洋艦」的な艦になるのは
特型が世界初と言っていいです。
アメリカなんて、ベンソン/リバモアでようやっと我慢できる水準に達し、
フレッチャーでついに満足いく外洋戦闘能力を手にします。
これはアメリカの要求する敷居が高かったせいもあるでしょうが
(なにせ仮想敵たる日本の駆逐艦がアレだから)。
45 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :02/10/21 11:14 ID:+5/rTohN
では無理矢理参加させたらどうなるか? ちょっと波が荒くなったらもう針路・速力の保持に一苦労です。 砲は波しぶきをかぶって使用不能、魚雷はあさっての方向へ。 まあ要するに戦力として期待できるものはなにもなく、 かえって足手まといです。 ベタ凪ならそりゃ使えますが、それを待ってちゃ海戦なんて出来ません。
46 :
名無し三等兵 :02/10/21 13:07 ID:+BhtmJiP
何だか、架空設定ものとストーリーものといっぺんに始まっちゃったね。 両方楽しみ。
あ、
>>24 で露西亜との戦闘は臭わされてますね、すいません。
「シヴァの葬送」、キター!!
昭和十七年六月の末、特設水上機母艦『神川丸』は駆逐艦『朝風』『春風』に護衛され ながらマラッカ海峡を航行していた。甲板には前にも後ろにも隙間なく水上機が並べら れている。常用搭載数十二機を越えた十三機、だが前部甲板に載せた三機の零式三座水 偵はなぜか翼を畳んだ状態で防水布で厳重に包まれ、尻尾とフロートしか見えない。 その垂直尾翼には神川丸搭載機であることを示す「Z」ではなく「BV」の識別記号が 書かれていた。この三機は戦艦山城に積まれている九四式水偵と交替する機体なのだ。 明朝には別途シンガポールから出港しているはずの給油艦『能登呂』に追いつき、山 城と三隻の駆逐艦に会合する手筈になっている。 零式観測機の操縦員である中村庄一兵曹は『総員起こし』の館内放送を聞くと、寝苦 しい二段ベッドから這いだして搭乗員待機室に向かった。こちらの方が風が通るので、 ベンチの板の上だと言うことを除けば二段ベッドよりはるかに寝心地が良い。下の甲板 からは体操のかけ声が聞こえているが、搭乗員であれば朝の整列も体操をさぼった所で お咎めはないのだ。 「あー、暑い」 腹の上に大判のタオルを乗せて、中村兵曹は呻くように言った。産まれも育ちも岩手 県なので暑さには慣れていなかった。神川丸に配属になって訓練を行った海南島も暑か ったが、ここの今の暑さに比べれば何ほどのこともなかった。その海南島を立って十二日、 二日に一度の哨戒飛行以外に何もする事がない。実戦に出てまだ一度の交戦も、触敵す らしていなかった。
「スマトラでもジャワでも、敵を撃って撃って撃ちまくってるって言うのに、敵の『て』 の字も見えやしない」 待機室の天井に向かって不満を吐き出した。 「そんなに敵さんが出てきたら、零観が何機あっても歯が立たんぞ。また一航艦に来て もらわんと……」 後から待機室に入ってきた植田兵曹が「一航艦」の所で口ごもった。実のところ、も う『第一航空艦隊』は存在していないのだ。太平洋方面で一戦隊二戦隊の正規空母四隻 が沈められたかあるいは戦闘不能の損傷を受けたらしい、さらに『翔鶴』はニューギニ ア方面で損傷、軽空母の『翔鳳』が沈没。現在使える空母は『瑞鶴』と『龍驤』、それに 軽空母の『瑞鳳』しか残っていないらしい。 足りなくなった空母を補うため、水上機母艦の『千歳』と『千代田』は本土に引き揚 げられてしまった、空母に改造されるのだ。そこへ持ってきて水上機母艦『瑞穂』が潜 水艦に撃沈されてしまい、海軍の航空戦力はひどく心細い事になってしまった。商船改 造の空母五隻が間もなく完成するが、それまでの間は神川丸を初めとする特設水上機母 艦群が航空戦力の穴埋めをするしかないのだ。
一航艦が「大掃除」をして行ったとは言え、まだ英海軍の空母二隻は生き残っている。 我が海軍で言えば『鳳翔』のような古い小さな空母『ハーミス』を見殺しにして一航艦 との戦いを避けたのだった。 「なに、イギリスの艦載機が出てきたら零観が相手をしますよ。敵さんは下駄履きの複 葉機が出てきたって笑うでしょうけど、笑ってる間に片っ端から海に落っことしてやり ます」 中村は木のベンチから体を起こして言った。零式観測機、略して『零観』は戦艦の着 弾観測を行うのが本来の任務なのだが、前方固定機銃を装備して空中戦も可能。六番爆 弾二発を積んで爆撃や対艦攻撃も可能。空母や陸上に着陸する以外の事はおよそ何でも できる飛行機なのだ。現に植田兵曹はマレーでブレニム軽爆撃機を撃墜している。 一航艦がハワイに魚雷を落とす前の事だった。神川丸では大騒ぎになったが、どこか らも何も言ってこなかったので全員ほっとするやら呆れるやらだった記憶がある。開戦 直前だったので、どこも大忙しでそれどころではなかったのだろうか。 翌日、哨戒に出た中村兵曹は給油艦「能登呂」と護衛の駆潜艇を確認した。以前はこ れも水上機母艦であったのだが、旧式であまりにも足が遅くなったので任を解かれたの だ。甲板で帽子を振る乗員に応えて、上空をバンクしながら二度旋回した。 能登呂の上空を離れてさらに三十分飛んだ頃。 「左、機影!」 偵察員の天野兵曹が大きな声で言った。 伝声管に緊張まで伝わってくる。
「機影、見えた」 中村兵曹は答え、その機影に機首を向け、スロットルを開けて高度を取った。機銃の 装弾をもう一度確認し、空戦に備えて翼下の六十キロ爆弾をいつでも投棄できるように 爆弾投下レバーの止線を外した。いつブレニムやコンソリ飛行艇などの敵の哨戒機と出 くわしてもおかしくないのだ。 高度四千メートル、飛行服を通して航空の冷気が突き刺さってくる。芥子粒のようだ った機影が胡麻大になり、高度差が判定できるようになった。こちらの方がいまのとこ ろ上を取っている。 「水上機です!」 天野兵曹の声はまだうわずっている、無理もないと中村兵曹は思った。一緒に飛ぶよ うになってまだ二ヶ月、飛練からやってきてまだ敵を見たことがないのだ。 やがて、複葉で二本フロート。おなじみの機体であることが確認できた。 「九四式水偵だ」 この海域でこの機体が飛んでいるとしたら、間違いなく戦艦山城の搭載機だろう。中 村兵曹の零観はバンクをしながらゆっくりと九四式水偵に近づいて行った。九四式の搭 乗員たちがコックピットから体を乗り出すようにして手を振っているのが見えた。垂直 尾翼に書かれた識別記号は『BV』。間違いなく戦艦山城の艦載機だった。気がつくと中 村自身も手を振り、聞こえるはずもないのに九四式の搭乗員に向かって叫んでいた。
九四式に随伴して飛ぶことさらに一時間、帰りの燃料が気になり始めた時、水平線に 黒点が見えた。それはぐんぐん大きくなり、特長のある艦橋と六門の大きな主砲が判る 艦影となった。 「山城だ! 山城だ! 懐かしいなあ」 思わず中村兵曹は口に出していた。 「実習航空兵で山城に乗ったんだ。副砲の弾を運んだ」 伝声管で天野兵曹に説明した。 高度を下げてゆくと、山城のあちこちで一斉に白い物がちらちらと動くのが目に入った。 恐らくほとんどの乗組員が甲板に出て帽子を振っているのだろう。中村兵曹も翼を振っ て応えた。 「中村さん」 天野兵曹が言った。 「他の艦がいませんね。駆逐艦がついているだけだ」 言われて気がついた。海のどこを見回しても山城と三隻の駆逐艦以外に艦はいない。 巡洋艦や水雷戦隊が集結している光景を期待していたのだが、これはどうなっているの だろう。不審に感じながらもさらに高度を下げて山城の周りを旋回し、手を振った。
>>シヴァの葬送……すでに一航無し、ううむ、イイ!
>>44 /45のゆうか氏へ
君はWWI後半に英米の駆逐艦が大西洋渡航船団やケープ向け船団の護衛に
付いていた事を知らないね?この際には時には米戦艦部隊に随伴して
行動しており、外洋での戦闘能力・航洋性であれば、WWI後半に就役した
大型駆逐艦は既に充分なものを持っている事をこれらの行動記録が
証明している。実際のところこれらの艦は航続性能も悪くない(英の
V/W型で15kts@3500nm、米のフラッシュデッキ型は15kts@5000nmの航続力を
持つ)
当時駆逐艦の外洋展開時に問題とされたのは、艦隊給油艦が無い・あっても
極く少数な事から、外洋での燃料補給が出来ない可能性が高かったという事が
ある。このため長距離作戦では駆逐艦を随伴させる事が難しかったことから、
多数の駆逐艦を外洋に出せなかったというのが真相。
>第一次大戦戦史の方へ
日本がドイツ側に立って参戦した場合、アメリカは中立を維持しないで
即時に連合軍側に立つ可能性が高いです。少なくとも米からの日本向け輸出は
完全に停止するでしょうね。実際に当時日独が手を結んで英米に対抗するのを
米政府は極めて警戒しており、これへの警戒から三年計画という大建艦計画が
実行に移されるわけですから。
55 :
ゆうか ◆9a1boPv5wk :02/10/22 03:26 ID:rs29ezBu
>>54 いやあ、WWTでも駆逐艦が船団護衛に大活躍してたことくらいは知ってますよ。
しかしこの仮想戦記で問題にしてるのは艦隊戦ですから、要求される基準は数段上でしょ。
特に艦首の砲が密閉砲塔じゃないのはね。
アメリカが特型駆逐艦を恐れた最大の理由も、自国艦隊駆逐艦の戦力価値が大きく減少する外洋で襲撃されることですし
(平甲板型の在庫を大量に抱えてましたからねぇ)。
でも、これ以上はスレ違い議論になりましょうから、この辺で落ちます。
著者の方々、おはようございます。 戦艦山城物語さんの復帰による3作品併読キボンヌ!
57 :
名無し三等兵 :02/10/22 08:39 ID:aV/cYnnj
読むの忙しくなりそうだけど禿道!
「戦艦山城の活躍が読めるのは少年○●ン◎だけ!」 ところで、閣下「太郎」抜きですか?
59 :
54 :02/10/22 10:14 ID:???
>55 WWIの大西洋作戦船団護衛にあたった米戦艦に付いていた駆逐艦は 対潜警戒幕としてだけでなく、通商破壊戦に出てくる独の巡戦含む 大型艦に対して魚雷戦を仕掛けることを考えているので、あの時点で 外洋で駆逐艦を艦隊戦に使用するのは既に既定の方針だったんよ。 特型が駆逐艦のレベルを高いところに押し上げたのは事実だが、 駆逐艦を外洋で艦隊決戦に使うという構想は別に特型以降の話では 無いということ。 スレ違いだから俺もこれで止める。
60 :
悪乗り :02/10/22 11:42 ID:???
《続き》 「しかしなぁ副長よ、皮肉なもんだよなぁ。 一頃は世界で一番の空母機動部隊と一番デカイ戦艦を持っていて、太平洋からインド洋までを庭にしていた海軍の慣れの果てが、陸式海軍の雇われ船頭だからなぁ。」 オキタは手に持ったパイプをその手のひらに遊ばせながら独り言の様に呟いた。 彼は普段いつもとこれと言って変わりは無いが、時折ふと傍観者の様な態度を表す時が有った。 その姿を見て「あの時から艦長は何か変わられた。」と副長は思った。 無理も無い、かつては自ら陸戦隊を率いて接舷した敵船に乗りこんで制圧に行くなどその桁外れの言動で海軍一の蛮勇奇行を謳われたあのオキタである。 あの時。 先の大戦での最後の戦い。 いや、少し厳密に言うならば米英を初めとする連合国軍と合意した停戦が発動した後に発生した一連の不正規戦。 後世の史家や軍事研究者から“日本海軍が最も海軍の本分を発揮した”と賞賛された、「北方領土居留民引揚事業に係る一連の支援行動」と公式文書に記録された、通称「千島・樺太沖海戦」を境にして。 昭和20年8月15日、連合国の停戦条件を受諾し有る意味愁眉を開いて居たのも束の間、前線から発せられた至急電の嵐が新たな戦いを告げていた。
61 :
悪乗り :02/10/22 11:43 ID:???
大戦の行方も半場公然と民衆の口に上り始めていた昭和20年の夏、特設航空母艦「準鷹」は防空砲台の任を与えられ、特別警備艦として大湊の入江にその巨体を横たえていた。 前年、奇跡的に欧州連絡任務を成功させ無事日本に帰還した「準鷹」ではあったが、半年以上にも及ぶ過酷な条件下での運用の結果、ドックでのオーバーホールとなってしまった。 その間、搭載が予定されていた航空隊が戦況と共にすり潰されてしまい、丸裸となった「準鷹」は輸送艦として主に日本海やオホーツク方面での輸送任務に従事することとなった。 嘗て「天皇のバスタブ」と評された日本海も今や敵艦載機の跳梁を許す様になってしまい、とてもデカブツが単艦でノコノコと動ける状態では無くなってしまった。 そして8月15日、全軍の即時停戦命令が発せられた。 足掛け5年に亘る太平洋の戦いでその威容を誇った艦隊も洋上にその姿を留めて居るものはほんの一握りとなってしまった。 開戦当初12隻を数えた戦艦も、機関の故障で捷一号作戦に参加できなかった戦艦「山城」のみが、空襲を避ける為とソ連軍に対する睨みを兼ねて韓国の羅津に錨を下ろしているだけだった。 姉妹艦の「扶桑」は比島沖海戦に小澤部隊し参加、空母群が壊滅した後も準姉妹艦「伊勢」「日向」と共にハルゼーの艦隊を長く誘引し、栗田艦隊のレイテ突入を成功させた。 なおこの戦いで「扶桑」「伊勢」「日向」はハルゼーの高速戦艦群と激しく打ち合い、3隻共その姿を海中に沈めたものの、アイオワ級戦艦4隻の内1隻撃沈、1隻大破他も命中弾多数の戦果を挙げ戦艦としての本懐を遂げた。 ちなみに「扶桑」は、その放った何回目かの斉射弾が先頭を行くアイオワ級戦艦の艦首を包み込み、まるで巨人の振り下ろす斧が当ったかのようにその艦首を持ち去っていった。 そして艦首を失い速力の激減したその戦艦は、肉薄してきた松型駆逐艦の雷撃を受け、アメリカ海軍最後の戦艦喪失艦となり、ハルゼーは季節はずれの海水浴をすることとなった。 航空母艦もこの「準鷹」の他は「鳳翔」「葛城」など少数が浮いて居るのみであり、大型水上艦艇に限って言えば停戦命令が無くても元々動けない状態であった。
>>58 おやおや、太郎が抜けていたか、すいません
おっと、悪乗り氏も復活!
もうすぐ4作品?
ホント、『戦艦山城の活躍が読めるのは青年○×△◇だけ』て感じ。
イイ!!
あ、そうだ。前スレが早くhtml化してもらなわいといかんですなぁ。
完結したら、どっかんいWeb立てて、おいておいたり、
アンソロの小冊子作ってもよかでしょうか??
>>著者の方々。
あちゃ〜、ageちゃった、ごめんなさい。
『特設水上機母艦神川丸、駆逐艦朝風、駆逐艦春風は第四南遣艦隊付属航空部隊として インド洋西部方面敵輸送力の殲滅を行う』 搭乗員待機室で行われた説明で司令部からの命令が読み上げられた。搭乗員の皆がし ばらく沈黙し、あちこちで目を見合わせた。 「先任。そいつは、輸送船狩りをやれってことですか?」 「物資を運ぶ船だから、輸送船と言うことになるな」 搭乗員たちがざわめいた。敵対空砲火をかいくぐっての艦船攻撃、敵艦載機との空戦 ではなく、輸送船を探し出して沈めろと言う命令なのだ。 「第四南遣艦隊の艦艇は?」 「旗艦、戦艦山城。駆逐艦三日月・夕月・夕風」 搭乗員のざわめきがまた止まった。 「つまり山城と、この神川丸と、あとは駆逐艦が五杯と言うことですか?」 『哨戒艇に格下げ寸前の古い駆逐艦ばかり』とは付け加えなかった。 「既に特設巡洋艦二隻とイ号潜水艦五隻が行動中だ。それと、水上機母艦山陽丸も本土 で飛行機を受け取り次第こちらに向かうことになっている」 「インド洋西部と言いますと、アフリカの近くまで行くことになるのでしょうか?」 「敵輸送船の動きによっては、その付近まで行動することもあり得る」
搭乗員のだれ一人として不安を口にする者はなかったが、この『南遣艦隊』が非常に 心細い戦力しかでしかないことは説明されるまでもなかった。三十六センチ砲を十二門 も並べた戦艦はいるが、戦艦が飛行機と戦ったらどっちが勝つのか、今や子供でも知っ ている事だ。 「八月まで、もしかすると九月までこの蒸し風呂で暮らさんとならんかも知れんぞ」 食缶に配給のビールを注ぎながら井藤飛行長が言った。冷えたビールは士官にしか渡 らない。ぬるいと言うより燗のついたビールなど飲めたものではないので、士官室でく すねてきた氷を五リットルの食缶に詰め込み、そこにビールを注いでコップですくって 飲むのだ。 「飛行長。この間の一航艦の作戦じゃ、イギリスの正規空母は出てこなかったと聞きま したが」 「沈めたハーミスは連合艦隊で言えば鳳翔みたいな物だ、赤城と加賀は無事って所だな」 飛行長がそう言うと、十九名の搭乗員は急にビールが苦くなった。 「だが機動部隊と取っ組み合えと命令されたわけでもなし、動き回りながら海の上で遊 撃戦をすると思えばいいんだ」 飛行長はそう言ってコップのビールを飲み干した。 「しかし……。アフリカの近くを走ってる輸送船を沈めても、インドやビルマの戦線に は関係ないんじゃありませんか? 中村兵曹の言葉に賛同のつぶやきが混じった。
果たして中村兵曹の言った事は『当たり』であった。ドイツ海軍からの執拗な要請に 抗しかねて日本海軍は甲先遣支隊(特設巡洋艦二隻・潜水艦五隻)を派遣した。ガダル カナル方面での作戦行動に手一杯で、機動部隊や正規の戦隊を割くことはできなかった のだ。それにドイツ軍のアフリカ戦線など、日本には関係ないことだった。 しかし、おざなりの戦力派遣は却ってドイツ海軍の不興を買ってしまった。 「正規巡洋艦隊か、さもなければ軽空母を持った小規模機動部隊を派遣するように」ド イツ海軍作戦部長フリッケ中将はテーブルを叩いてドイツ駐在の野村中将に要請を繰り 返したと言う。 しかしさして多くもない空母は全て太平洋に投入され、作戦に従事していない『鳳翔』 は無理な改装を重ねすぎ、危なっかしくて瀬戸内海から出すこともできない。重巡も軽 巡も作戦と輸送で数が足りない有様で、艦隊をインド洋に回すなどできるはずもない。 さしあたって任務がなく、空いている軍艦は柱島の沖に二隻あった。戦艦の『扶桑』 と『山城』であった。とりあえずドイツ海軍の要請を受けた形で『山城』を派遣、トラ ック島に水上機を運んで本土に戻ってきた水上機母艦『神川丸』に零式観測機を乗るだ け乗せて応援に出した。零観なら空中戦も爆撃もできる。 戦艦と水上機母艦と言う変な組み合わせ、しかも駆逐艦は古くて小さい大正時代のも のばかりだ。それでも一応機動部隊を出したことにはなる。 海軍がどこまで本気でインド洋の海上交通破壊を行おうとしたのかは疑わしいが、フ リッケ中将が総司令官レーダー元帥に対して面目を施す役には立ったらしかった。
67 :
名無し三等兵 :02/10/22 22:41 ID:yw+NjxVX
94式水上偵察機は名器の誉れ高く、三菱、中島の競争試作で禄な試作機ができなかった 9試艦攻計画の失敗後、空技廠が94式水偵を原型として後の96式艦攻の開発に成功した。 94式水偵、零式3座水偵の卓越した性能をもってすれば輸送船攻撃は十分可能♪
>戦艦太郎閣下 構いませんけど、webにしろ小冊子にしろ正規文章にするのなら体裁を 改めさせてください。この文章はBBSに書き込むための特殊体裁ですから。 で、小冊子ってオフセットですかコピーですか?
>67 はいな♪待ってておくんなまし。
70 :
名無し三等兵 :02/10/22 22:58 ID:qAZ3kzO0
WWT水準の最大速力22ノットの低速戦艦は使い物になりません。 スリガオ海峡沖夜戦だって60の爺さん2人と数人の連れが10代の珍走50人 位にケンカ売りに行くような物。w
71 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/22 23:00 ID:cA807aGH
インド洋には新たに編成されたインド洋派遣艦隊以前から前弩級戦艦や装甲巡洋艦、防護巡洋艦などが活動していたが、これらは数こそ多いものの艦隊決戦に参加しても戦力どころか足手まといになりかねないもので、船団護衛と港湾防衛以上の任務に耐えるものでは無かった。 しかしながら戦艦群が中途半端な編成とは言え、弩級・超弩級併せて10隻の主力艦からなる有力な艦隊のインド洋派遣は日本側にとって重大な脅威であり、一部では「第二のバルチック艦隊」という声まであった。 もっともこれは日露戦争のバルチック艦隊同様に日本艦隊が撃滅すると言う意味が込められたものだとする評価もある。
72 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/22 23:02 ID:cA807aGH
そして2月、日本艦隊はシンガポールに入港、2週間遅れで英艦隊もベンガル湾東岸のマドラスに入港した。 両艦隊は西からベンガル湾、アンダマン海、マラッカ海峡を挟み、直線で約3千キロの距離をもって対峙する事となった。 これは北海で英独艦隊の睨み合う距離のほぼ三倍である。北海での闘いに比べてこちらがより広い範囲を舞台にしているのが分かるだろう。 両軍の置かれた状況を考えると、まず英国側はドイツ大海艦隊の脅威がある以上、このまま本国艦隊から大兵力を引き抜いたままでいることは難しい。 また既に東南アジアの植民地喪失及びインド洋通商破壊作戦により英国の国力は少なくない打撃を被っていたのだ。 それは英海軍にも既に新造艦の工事の遅れと言う形で、ジワジワ効果を及ぼしつつあり、出来るだけ早くインド洋への脅威を取り除きたい状況であった。
73 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/22 23:02 ID:cA807aGH
一方の日本側にしてみれば蘭印を支配するオランダが中立であり、また狭隘なマラッカ海峡に英海軍が艦隊を突入させるようなことはまず考えられない以上、シンガポールが攻撃される可能性は殆ど無い。 だが逆に日本艦隊もベンガル湾へと出撃する際に必ずマラッカ海峡を通らねばならない。これはスマトラ島に潜み、海峡を常に監視しているであろうイギリスの諜報員に視認・連絡されることは避けられない事を意味している。 とは言え、このまま睨み合いを続けていても日本の戦略目標であるインド洋の制海権獲得が望めないのは自明の理である。 このように両軍共に敵に対する奇襲は望めないことから、近いうちに日本艦隊が出撃し、それを英艦隊が迎え撃つ形で決戦が行われるのは、互いにほぼ確定事項と見なされる状況となったのである。 皮肉にも大戦が始まるまで誰も予想だにしなかった事だが、世界初の本格的な弩級戦艦同士の激突が、ベンガル湾を舞台として行われるのは時間の問題であった。
74 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/22 23:04 ID:cA807aGH
そして3月26日、奇しくもドイツ大海艦隊が北海に出撃したのと同じ日に、日本艦隊は決戦を求めてシンガポールを出撃し、また予想通り諜報員からの通報により日本艦隊が出航した数時間後には英艦隊にも出撃命令が下った。 これが北海における英独の戦いであれば決戦予想海域には多数の潜水艦を配置して哨戒線を張ると共に、飛行船による側翼の偵察も行われただろう。 だがここでは双方共にそのような準備はなく、空と水中からの脅威のほぼ存在しない状況で大艦隊がぶつかり合うことになったのである。 二日後の3月28日、途中でペナンを出航した独艦隊と合流した日本艦隊は、十度海峡を抜けていよいよベンガル湾へと突入した。 日本側も既にインドに送り込んでいたスパイからの通報により有力な英艦隊が出撃していることは把握しており、英水上部隊を補足撃滅する好機と見なして進撃を続けた。
75 :
妄想戦史検証 扶桑の闘い :02/10/22 23:06 ID:cA807aGH
3月29日早朝、日本艦隊出撃の報を受け、既にベンガル湾から英国籍の商船は姿を消していたが、英艦隊の前方を警戒していた軽巡部隊は艦隊の当方で発見された国籍不明の船を監視すべく、そちらの方へと向かった。 この船はオランダの貨物船であったが、偶然にも時をほぼ同じくして日独艦隊もこの船を発見し、調査の為に独巡洋艦を送っていたのである。 0818時英軽巡「バーケンヘッド」は「敵艦見ユ」の旗旒信号を掲げ、また0827時独軽巡「ケーニヒスブルグ」は「敵装甲巡洋艦北西ニ見ユ」の無線を発した。 通報を受けた英艦隊は即座に北東に、日独艦隊は北西に進路を取り、互いに増速して接近していった。 ここに戦史に名高いベンガル湾海戦の幕が上がったのである。
>>68 おお、賛同ありがとうございます!!
加筆多いに結構デス!
印刷形式ですか……うふふ、いろいろ構想中……。
>>54 アメリカが敵対したら全部終わりなのでそこはご勘弁を。
そもそも日本がイギリスと手を切って元祖黄禍論のドイツと組むことはあり得ませんし、
1916年初頭までに扶桑級4隻を揃えるのも無理だって事ぐらい分かってます。
あくまでも「扶桑級を活躍させる為」だと割り切って下さい。
79 :
名無し三等兵 :02/10/23 07:12 ID:XqJR7mkG
>>70 だからスリガオなんか行かないの。インド洋で英国低速戦艦と漢らしく撃ちあって
華々しくあぼ〜ん。
80 :
名無し三等兵 :02/10/23 12:25 ID:PsDezRj5
>>28 >筑摩以下4隻は軽巡ではありません。
>単なる二等巡洋艦です。
日本海軍の分類に忠実にやると「鞍馬」あたりが巡洋戦艦になってしまうので
そのあたりは適当でいいのでは。
→47 南雲太郎@出張=戦艦太郎 前スレ自作自演キター!!! ばればれだったとはいえ、やってしまった……
え〜、すいません、ジサ〜ク、ジエンに怒り狂ってる方はいないとおもってますが、 誤っておきます。 ペコペコ。
83 :
名無し三等兵 :02/10/23 22:17 ID:OV0vFnFe
大井太郎は?
七月、船内の熱暑は耐え難く、搭乗員は飛行を待ち望むほどであった。飛び立って しまえば寒いほどの涼風が待っている。中村兵曹も二日ぶりの飛行で生き返っていた。 神川丸が加わって、第四艦隊はマダガスカルとインドを結ぶ線の赤道北側で商船狩り を行った。南側は潜水艦部隊の受け持ちである。ここはアジア側からイギリスへ物資を 運ぶ重要なルートだった。第四艦隊の「戦果」は急激に増えた。それに伴い敵の哨戒機 と接触する機会も増えていた。 零観隊は四発飛行艇一、双発機三、単発機二の撃墜記録を挙げ、戦果未確認ながら潜 水艦二に攻撃を行っていた。しかし中村兵曹の機は、まだ直接の戦果を挙げていない。 「左、航跡が見えます」 天野兵曹の声が伝声管に響いた。ぽつりぽつりと雲が点在しているが、視界は良好であ った。中村兵曹は航跡を見失わないようにゆっくりと機首を巡らしながら降下に移った。 「あれは、油槽船です」 双眼鏡を使っていた天野兵曹が言った。 「爆撃してみようか?」 中村兵曹は言いながら爆弾投下レバーの止線を外した。 「やりましょう! 後方、左右見張りよし!」
後席銃座での射撃に備えて、天野兵曹が座席を動かした。 「旋回機銃準備よし!」 「よし。攻撃する」 油槽船が零観に気付いたらしい、きわめてゆっくりと回避運動を始めていた。船橋の 銃座がさかんに曳光弾を撃ち上げているのが見えた。 中村兵曹は船の航跡に沿って急降下に入り、高度千メートルから前方銃で射撃を開始 した。船橋の銃座を沈黙させたかったのだ。零観からも曳光弾が吐き出され、航跡に水 柱を上げ、次いで船体に火花を散らせた。 「あ、しまった!」 投下レバーを引いた瞬間、中村兵曹は叫んでいた。銃撃に夢中になってレバーを引く タイミングが遅れたのだ。機銃の弾丸が船を追い越し、船の前に激しい着弾の水しぶき を上げていた。これでは爆弾も船を追い越してしまうだろう。 機を引き起こし、旋回銃による銃撃に移ろうとした。その瞬間天野兵曹の興奮した大 声が伝わってきた。 「命中! 命中! 二発とも命中です!」 Gに逆らって無理やり後方を振り返ると、油槽船に二本の火柱が上がっているのが見 えた。 「やったぁ! やったぞ、やったぞ!」
七月二十日までに第四南遣艦隊は輸送船及び油槽船二十隻撃沈の戦果を上げていた。 油槽船ならば中村兵曹が偶然編み出した襲撃方で炎上させることが可能であることが判 り、いちいち山城に砲撃を要請する必要がなくなった。続く四日間に零観だけで二隻の 油槽船を炎上させることに成功した。 しかし、それで面白くないのは戦艦山城であった。 『神川丸の航空機は策敵および哨戒に専念し艦船への攻撃は艦砲に任せよ』 ある日発光信号で伝えられた山城からの指示で、搭乗員待機室は騒然となった。 「三十六センチ砲弾何十発も無駄撃ちする方が良いって言うのか!」 「潜水艦でも大砲で沈めるんだったらやってくれ!」 「俺たちは見つけて飛んで戻るだけか!」 ひとしきり搭乗員の不満を聞いてから、飛行長は先任士官に無線封止を解除し、目標 発見後はそのままの位置で着弾観測任務を行えるよう山城に掛け合うことを求めた。 目標を発見して艦隊まで戻り、通信筒で位置を伝えてから引き返し、燃料が保つ限り 接触を続けるという気の遠くなるような仕事だけはやめさせて貰いたかった。航空ガソ リンにも限りがあるのだ。
しまん、大井太郎は閣下の便乗の別人でし。 このスレでは護衛戦力の安易な決戦戦力への引き抜きの監視と、勝手な編成案の垂れ流しをさせていただいています。
目標発見時のみ無線使用が認められてから三度目の目標発見が打信された。山城と駆 逐艦が速度を上げ、みるみる遠ざかっていく。神川丸と2隻の駆逐艦は置いてけぼりで ある。『朝風』と『春風』の乗組員はくさっているに違いなかった。 神川丸では搭載機の略号が「Z」から「YU」に変更になったので、搭乗員も手伝っ て書き換え作業が行われていた時だった。変更は七月一日付けだったが、命令が届いた のは二十日のことで、さらに飛行長が忘れていたためにこれまで放置であった。「Z」は 重巡『鳥海』が使用しているらしいが、神川丸の誰が迷惑するでもないため鷹揚なもの だった。 艦橋が妙に騒がしくなったので、中村兵曹と天野兵曹はペンキによる下手くそな習字 を中断して待機室に戻った。 『敵大型航空機二。交戦ニ入ル』 向坂兵曹機からの通信であった。複数の敵航空機との接触はこれが初めてであった。 しかも、向坂機が無線を打って間もなく現れている。 応援と、万一向坂機が撃墜された場合に備えて直ちに一機が射出、同時に一機が海上 に降ろされ離水を開始した。首尾良く敵を撃墜したとしても空戦はとんでもなく燃料を 消費する。帰投のための燃料がなくなって、目標を追跡できなくなることも考えられる のだ。 『我、ブレンハイム機二ヲ撃墜。燃料残二百ノタメ帰艦ス。現在位置……』 向坂機からの通信にほっと息をつきながらも、搭乗員たちは悪い予感が胸にわだかま るのを感じていた。次にでくわす敵機は、艦上戦闘機ではないのだろうか。
89 :
87 :02/10/23 23:25 ID:???
4KFチョウカンドノ トチュウデヘンナレスマジリ、メンボクアリマセン。
いえ、どうかお気になさらずに。(敬礼)
91 :
第4南遣艦隊(貧) :02/10/24 23:44 ID:1nqSw3Wc
済みませ〜ん!本日投稿分の「シヴァの葬送」は、書き直し箇所が出たので 明朝投稿いたします。ごめんなさ〜い! でも誰も来てないのはどうして〜?
>>91 どうしたんでしょうね?
私は山城物語さんがどうされたのかが気になる。
インド洋の南西に浮かぶ巨大な島マダガスカル、その北端にあるディエゴスアレスの 港はセイロン島のトリンコマリンと並ぶ英国海軍東洋艦隊の本拠地であった。しかしセ イロン島は日本の機動部隊に脅かされ、とっくに安全な場所ではなくなっていた。 戦艦『ウォースパイト』の長官室では、艦隊司令長官サー・ジェイムズ・ソマヴィル 大将が渋い表情で一通の電信を読んでいた。発信元は、はるか一万四千キロ彼方のリビ ア砂漠であった。発信者は、エル・アラメインでロンメル率いるドイツ機甲師団を食い 止めたモントゴメリー中将。 『わが部隊にはすでに一滴の燃料もなく独軍の追撃は不可能。サーの艦隊による通商破 壊艦の殲滅なき上は、バグパイプを吹き徒歩で進撃あるのみ。女王陛下万歳』 ペルシャ湾を出たはずのタンカーが、アレキサンドリアどころか紅海にも入ってこな いのだ。 ソマヴィル大将は電文を机に投げ出し、冷めた紅茶を不味そうにひと口すすった。 「セイロン島を諦めて海上交通破壊? あり得ない。ジャップは貪欲に領土を求める」 第四南遣艦隊の規模があまりにも小さいために、山城を初めとする艦隊はいまだイギ リスの哨戒網にかからずに行動していた。ソマヴィルはUボートがインド洋に進出する 方を心配していたのだ、そのため乏しい対潜哨戒能力のほとんどをマダガスカル海峡か らアフリカ南端に集中させていた。それにマダガスカルをめぐる戦闘もまだ半ばで、イ ギリスは北半分をようやく制圧したに過ぎない。
ソマヴィル大将は机上のシガーケースから葉巻を取り出し、長年使い慣れたカッター で端を切った。確かにこのところ補給が思わしくない。葉巻は中級品しか手に入らないし、 紅茶は不足気味だ。この葉巻すら手に入らなくなり、紙巻きタバコを吸わなくてはなら ない状態を想像するとソマヴィルは気持ちが落ち着かなくなった。多分モントゴメリー は紙巻きタバコが平気なので、あんな砂漠にいられるのだろう。 止まったのは前線の燃料輸送だけではなかった。オーストラリアからイギリス本土へ 運ばれる肉、エジプトからインドへ運ばれる米。国民を養う食糧もまた滞っているのだ。 特にタイ・ビルマからの米が全く入らなくなったインドでは、軍隊に優先的に米を回 したために都市部の米がたちまち不足した。今のところ戦局には影響していないが、デ リーでもボンベイでも既に下層階級に餓死者が発生し始めているのだった。この事態が 長引けば一般市民層の食糧もなくなる、そうなればインドに厭戦気分が蔓延し、イギリ スに対する不満が増大する。今のところ抑え込みに成功している『インド人のインド!』 の声が、がまたぞろ大きくなるだろう。 「ミスター・ハドソン」 瞬時にドアが開き、長官室付きの兵曹が直立不動で敬礼した。 「お茶を頼む。それからヴィリアン少将に、至急来るように伝えてくれ」
「第8軍の英雄殿に、燃料が来ないと脅されたよ」 ヴィリアン少将に電文を読ませながら、ソマヴィル大将はゆっくりとマッチを二本使 って葉巻に火をつけた。 「モントゴメリー中将……。ですか?」 「少将。先月の、輸送船の損失は?」 「輸送船二十二隻、タンカー十隻です」 ヴィリアン少将はすらすらと答えた。毎週報告を繰り返しているので数字が頭に焼き 付いているのだ。当然、その損失が意味するところも。 鉄の扉がノックされ、艦専属のボーイが紅茶を運んできた。が、部屋に入った所で変 に躊躇しているように見えた。 「ご苦労様。そこに置いてくれ」 ヴィリアン少将が声をかけると、ボーイは明らかにほっとした表情を浮かべた。 「詳しく申し上げますと。紅海に向かった輸送船が九、タンカー七。インドに向かった 輸送船八、回送タンカーが……」 「空船などどうでも良い」 「それも損失です」 ヴィリアン少将はそう言いながら『お茶』を注いだ。ポットから注がれる褐色の液体 と焦げたような匂いに、ソマヴィル大将は眉をひそめた。 「何だね。それは?」 「コーヒーです」 ヴィリアンはカップをソーサーに乗せ、恭しくソマヴィルに差し出した。
「ヤンキーの飲み物だな」 「私はヤンキーの海軍で二年研修させられました。気分を変えるには非常に良い物です」 ソマヴィルは苦い薬でもあるようにコーヒーをひと口すすり、中に蛇でも見つけたか のようにカップを睨んだ。 「下品なものだ」 カップを置いて遠ざけ、毒消しでもあるかのように葉巻の煙を吸い込んだ。 「やはりアメリカ人は理解できん。ところで、何か言いたいことがあるんだろう?」 「恐れ入ります」 ヴィリアン少将は下品な飲み物のカップを脇に置いた。 「艦隊の食料が、あと一ヶ月程度しか保ちません」 「補給か」 「はい。七月に入って、ただの一隻もディエゴスアレスに入港していません。小麦粉だけな ら二ヶ月分の在庫はありますが、紅茶はあと二週間分しかありません」 ソマヴィルは濃密な煙を天井に吐きかけた。 「艦隊を下品な飲み物に慣らすとでも言うのか?」 「水兵は、フライドエッグのサンドイッチと紅茶があれば我慢しますが、パンとコーヒ ーだけでは不満が溜まるでしょう……。ああボーイ君、閣下に『正しい飲み物』を頼む」
扶桑萌え。あの艦橋のシルエットがたまらなく美しい!。
>97 禿同。じつは山城より好きだったり。あの不安定さがなんとも… そう言えば十二戦艦物語で川又千秋さんも似たような事言ってたな… 山城だったら伊勢の方がいいと思う(爆)
>>シヴァの葬送 大西洋・印度洋で通商破壊されて喘ぐエゲレス、イイ!
……。何かスッカスカな内容であります。さっぱり話が進みません。 皆様こんな内容で良いのでしょうか? まだ突っ込まれるほどの設定も出て来ません(泣)。 投稿始めたらスレが冷えて来ちゃった……。
と思ったら閣下のレスが……。敬礼(涙)
102 :
名無し三等兵 :02/10/25 21:34 ID:M6krw5mg
扶桑うんこ艦橋がイイ!!
>>102 スカトロプレイ?
おい、誰かこいつをレッコー汁!
104 :
名無し三等兵 :02/10/26 00:13 ID:YUXqnD2Z
4KF閣下 いつも楽しみにカキコミも自粛しながら続きを待っております。 デモ、ゴエイタイカラ、オフネモッテイッチャ、ヤアヨ! 以上、大井二郎でした。 追記、閣下の場合戦力の制約が大きいので、非常に大変かと思います、勝手に応援させていただきます。
アゲチャターヨ! ミナサンスマソ。
106 :
名無し三等兵 :02/10/26 03:25 ID:QjHFNl29
>>105 現状ヲ鑑ミルニ、上ゲ進行スルニイタルニツイテ、
問題ハナイト考エル。
センカンタロウ
107 :
名無し三等兵 :02/10/26 03:27 ID:QjHFNl29
オット、IDマデ公開。 シタノニ、軍関係デハナイ。 戦艦太郎
両閣下に感謝いたします。 作戦行動を続行いたします。敬礼
「今後輸送船の独行は禁止させよう。船団を組んで行動させ、駆逐艦を護衛につける」 ソマヴィル大将の案は極めて妥当ではあった。それがひどく遅かったことを除けば。 「ペルシャ湾、紅海付近で行動中の駆逐艦は港湾哨戒用の六隻しかいません。コルベッ ト艦は全て大西洋に取られましたので、爆雷かヘッジホッグを持っているのは同じく港 湾哨戒を行っているスループの三隻だけです。こちらの旧型駆逐艦を二隻までなら回す ことは可能です」 「たった二隻では話しにならん」 煙幕のように濃密な煙を吐きながら、ソマヴィル大将は言った。 「それ以上駆逐艦を出すのは問題があります。いつまた豆潜水艦がやってくるかも知れ ませんし、ここには対潜スループも大型哨戒機もありません」 専属のボーイが運んできた熱い紅茶をすすり、ソマヴィル大将は顔をしかめた。この ディエゴスアレス港は地形が複雑であるために、防潜網があまり意味をなしていないの だ。それでもUボートが入り込むのは不可能だろうと油断していたが、どうやらハワイ の真珠湾で使われた豆潜水艦と同じ物が侵入してきたらしい。戦艦ラミリーズとタンカ ーが魚雷を受け、タンカーは爆発炎上、ラミリーズはまだ修理が終わらない。 「哨戒機は、どこかにいないのか?」 「ビルマでの損失が大きく、ブレニム隊は全滅、ハドソンが少数残っています。コロン ボにいた磁気探知装置を積んだサンダーランド飛行艇は全機未帰還になりました。そう 言えば、哨戒機の補充があったことをご存知ですか?」 「いや、聞いていないが?」
「本国の沿岸警備用で余っていたブラックバーン・ボウタを八機、こちらに送ったそう です。今朝、その予告があったのですが、昨日カイロを出発後連絡が付かなくなってい るそうです」 「ボウタとはどんな機だね?」 ヴィリアン少将は肩をすくめた。 「この目で見た訳ではないので確かなことではありませんが、無敵の飛行機のようです」 「無敵? 沿岸警備の哨戒機がかね?」 ソマヴィル大将は紅茶の湯気越しに、ヴィリアンを不審の目で見た。 「敵に遭う前に勝手に墜ちてしまう欠陥機なので、敵機がいらないそうです。カイロま でたどり着けたのも、どうやらたった二機だったとか」 ソマヴィルは不機嫌そうに呻いて椅子に寄りかかった。 「スピットファイアもハリケーンも全部取り上げておいて、まともに飛べない飛行機を 寄越すのか」 空母を出動させて艦載機による哨戒をさせたい所だが、空母艦載機もラングーンとセ イロン島防衛で相当数の損失を出し、かろうじて残ったシーファイアの全機とシーハリ ケーンのほとんどは地中海に取られてしまった。今東洋艦隊が持っている戦闘機の主力 は艦爆として使っていたフルマー複座艦戦である。ノルウェーではメッサーシュミット 双発複座戦闘機を相手に善戦した記録もあるが、『ゼロ』には全く歯が立たなかった。つ まり、日本の機動部隊が再びやって来たら艦隊は丸裸も同然なのだ。
「運良くコルベットを取り返したとしても一ヶ月かかる、至急飛行艇を廻してもらおう」 「閣下の署名入りで要請を出します。そうしないと本国はサンダーランドではなく小さ いラーウィック飛行艇を寄越して、また途中で全部墜落します」 今後も補給が滞る。そしてモントゴメリーがロンドンに向かって喚き始めるか、東洋 艦隊で食料が欠乏して騒ぎが起こるか、どちらにしてもソマヴィルの更迭と言うひどく 不名誉な事態に発展する恐れは大きい。先任のフィリップスはプリンス・オブ・ウエー ルズと共に沈むことで面目を保ったが、マダガスカルにいてはそれも叶わないだろう。 「飛行艇部隊は到着後、すぐにアッズ環礁まで哨戒にかからせるんだ」 「囮艦隊で潜水艦を引き寄せるのですか?」 ソマヴィル大将は薄青い煙に包まれながら頷いた。 「マダガスカルの掃討に戦艦が必要なはずもない。戦力温存と言うが、ここにいてもイ ンド洋にいても危険は同じだ。どうせなら美味そうな餌を撒いてやろうじゃないか」 「本部には、インド洋に通商破壊艦らしき物がいると伝えておきます。実際に攻撃を受 けた船長が、一四インチ砲の着弾を見たと言っています」 『全て台本を用意していたな』そう言いたいところではあったが、ソマヴィルは堪えた。 「その証言は信用できるのかね?」 「前の大戦で、ドイツの仮装巡洋艦に船を沈められたことがあるそうです。今回の着弾 は間違いなく船のマストより高かったと言っています」
ヴィリアン少将が書いたのか低速艦隊のウィリス中将が書いたのかは知らないが、見 え透いた作り話だとソマヴィル大将は思った。しかし食糧の事を持ち出されては艦隊の 長としても対策を取らざるを得なかった。水兵は砲弾を食べて重油を飲む訳にはいかな いのだ。訓練を兼ねた護衛艦隊と言うことであればロンドンに説明もつくだろう。 「すぐウィリス中将に伝えてくれ、低速部隊は明日の夕刻アッズ環礁に向けて進発。イ ンドミダブルと駆逐艦を同行させろ」 「了解しました」 「潜水艦がどこかで見張っているに違いない。中将に、日中哨戒は艦載機を惜しまず使 うように念を押しておいてくれ」 「私もウィリス中将に同行する許可を頂きたいのですが?」 「……許可する」 「ありがとうございます」 ヴィリアン少将は背を伸ばし敬礼した。 「閣下の葉巻が届くように努力いたします」 ソマヴィル大将はじろりとヴィリアン少将を睨み、辛いばかりの煙を噛んだ。そして 苦い紅茶にさらに砂糖を足した。
ソマビル、イイ!
>>113 同意!(ただどうしてもサマービルと思ってしまう)
115 :
名無し三等兵 :02/10/27 09:14 ID:qtQ9rqVI
護衛するとなったら、彼らはなにがあってもやりとおすんでしょうね。 英海軍の真髄が・・・ 非常に楽しみです。
神川丸の搭乗員待機室では特別にウイスキーが開けられ、向坂兵曹があっと言う間に 二機を撃墜した空戦の様子を説明していた。 「姿を見たとたん、こりゃ『ブレンハイム』だとぴんときましてね。蛇の目の二発の陸 上機でしたから間違いありません。あれは水上機じゃ追いつかないって聞いてたから。 見失わないようにしながら、こう、高度を取りまして、斜め後ろから撃ちっぱなしなが ら突っ込んで。それから斜めのインメルマンで、速度落としたくないから裏ッ返しのま ま反航になったんですが、そのときは最初の一機は裏っ返しになって墜落していく所で、 すぐもう一機のアゴの辺狙って下からダーッと撃ちっぱなしたんですよ……」 無線を傍受しての急行ではなくただの哨戒中だったのだろう、ブレンハイムともブレ ニムとも呼ばれるその軽爆は二機とも火も吐かずに急降下で海に突っ込んだと言う。 「山城から四十カイリ離れていたし、通信は聞こえなかった。完全に不意打ちで撃墜で きたと思う」 機長である偵察員の藤波兵曹も胸を張って言い切った。だが、問題はそのブレニムが どこから飛んできたかだった。コロンボからもマダガスカルからも遠く、発進したとす れば一番近いのはアフリカ本土と言うことになる。神川丸でも山城の艦上でも、皆が地 図を睨んで首をひねった。
実は、この二機こそカイロを飛び立ったまま行方不明となったブラックバーン・ボウ タであった。ブレニムより最高速で五十キロも遅い機が、いつ故障を起こすのかとそれ ばかり気にしながら予定航路を外れたことにも気がつかないで飛んでいたのだった。ブ ラックバーン・ボウタ唯一の戦闘であったのだが、どうやら一発の反撃もできないまま インド洋の藻屑と消えたらしい。 このままこの海域で商船狩りを続行するか、それとも海域を移動するかの議論が続く中、 シンガポールからの暗号が届いた。 『第四南遣艦隊は作戦を中断し、メルギーのB部隊に合流せよ』 インド洋作戦の第二次攻撃であった。『敵の戦闘艦と戦える!』山城も神川丸も、駆逐 艦も歓びで沸きかえりながら、全速力でアラビア海を後にした。 同じ頃、ショート・サンダーランド飛行艇の部隊が哨戒を行いながらモルディブのアッ ズ環礁に、こちらは4機中の全機が無事到着していた。紅海からマダガスカルまで飛行 して、休む間もなくインド洋を縦断させられたのだ、ウィリス中将率いる艦隊の『露払い』 であった。奇しくも南遣艦隊は英東洋艦隊と入れ替わりでインド洋を明け渡す形になった。
八月六日、夕闇迫るアミラント諸島付近の凪いだ水面を騒がせて、巨大な黒い怪物が 浮き上がった。甲先遣支隊のイ−10潜である。その艦橋にいくつもの人影が現れて、 双眼鏡で執拗に周囲を見回した。 「水上に敵影なし! 上空、機影なし!」 「水偵発進準備、かかれ!」 甲板のハッチが勢いよく開き、上の乗員を押し出すような状態で水兵が飛び出してき た。艦橋の前に続く筒状の格納庫が開かれ、収納されていた物体が引き出されてくる。 胴体だけの小さな飛行機だった。それに水兵が群がるようにしてフロートを、翼を取り 付けてゆく。わずか三十分で潜水艦の上に可愛らしい零式小型水偵が出来上がった。 「組み立て完了。発進準備よーし!」 二人の搭乗員が、これも走るようにして小さな飛行機にもぐりこむ。 「準備よーし! 始動!」 機首のところで待機していた水兵が顔を真っ赤にしながらクランクを廻し始めると、 エンジンは一度咳き込んでから軽快な排気音を奏で始めた。 「よーい。テーッ!」 火薬による重い発射音が響き、小さな小さな水偵は、あっという間に漆黒になった空 に飛び出して行った。エンジン音がマダガスカルに向けて消えていった時、黒い海面に は大きなうねりが残っているばかりだった。
「進路百九十。よーそろぉ」 「同じ狭いところでも、こっちの方が良いよなあ」 偵察席からの声に操縦士がそう答えた。任務はディエゴスアレス港の強行偵察である。 ここ数日、急に日中の潜望鏡による偵察が困難になってしまったのだ。何か英艦隊に動 きが起こる気配だが、複葉機が一日中飛び回っているため海面を伺うのも数秒が限界だ。 『これは何かある』と直感した艦長の判断であった。 神経をすり減らしながら飛行すること四十分、前方に明かりが認められた。恐らくボ ハンビ岬の灯台である。小島が多いこの付近ではさすがに消すわけに行かないらしい。 レーダーもなしで飛んでいる水偵にはありがたいことではあった。エンジン音を聴かれ ないために灯台から距離を置いて通過し、海上からディエゴスアレス上空に侵入した。 「真っ暗だな」 「ばれましたかね? 灯火管制したのかな」 一週間前の夜間偵察では、停泊している艦がそれと判る程度には明かりがあった。 「『何も見えませんでした』じゃオヤジにどやされるだろうな。高度下げて、陸から海に 抜けながら吊光弾落としてずらがるぞ。良く見てくれよ」 偵察員が風防を開けた。 「了解。見張りよし」 機が降下を始めたその時、何本もの光の柱が前方を塞いだ。探照灯だ。同時に赤や白 の曳光弾がぽんぽんと上がってきた。 「吊光弾。ヨーイ、テーッ!」
港の上空五百メートルに白銀の輝きが起こった。地上の対空銃手は目つぶしを喰らい、 わずかな間曳光弾の数が減った。 「見えました! 空母一、戦艦二! あとはいません!」 「よーし。それ逃げろ!」 高度零メートルまで降下。時々フロートで波頭を叩きながら、小さな偵察機はインド 洋の暗闇に紛れて消えた。 明けて八月七日。マレー西岸のメルギー泊地で山城と神川丸を迎えたのは、おなじみ の給油艦能登呂と特設給糧艦豊光丸、給水船興安丸、補給品を積んだ雑用船北海丸であ った。他には哨戒艇が所在無さそうに遊弋しているだけで、空母も戦艦も巡洋艦もいない。 『第四南遣艦隊は現艦艇のまま引き続き敵輸送力の殲滅作戦を展開すべし』との暗号が 昨夜届いたのだ。 ガダルカナル島に米軍が上陸したためにB部隊は全てソロモン方面に急行、第四艦隊 は置いてけぼりのままインド洋B作戦は中止である。山城は「戦力外通告」を受けたも 同然だった。 悪い知らせは続いて、マダガスカルを監視していたイ−10潜からは空母一、戦艦三 がディエゴスアレスを出航したと知らせてきた。第四艦隊は補給を受け次第、戦力の補 充もないままインド洋に逆戻りである。応援に来るはずだった水上機母艦山陽丸も、ど うやらソロモン方面に取られてしまったらしい。 『夕刻ヲモッテ進発。敵機動部隊ヲ捕捉殲滅セント欲ス』 山城からの手旗信号が、第四艦隊の各艦に正気の沙汰ではない命令を伝えた。
「本気か? これだけの戦力で空母と戦艦三隻、相手にする気かねぇ……」 「B艦隊に置いて行かれたのがよほど口惜しかったんじゃないですか?」 神川丸の船橋では艦長と先任将校が怒るよりも呆れていた。 「敵さんはレーダー使ってくるからな、逃げ回ってもそのうち捕まる。だったら先手を 取ろうって腹だろう」 三十六センチ砲を十二門も持っているとは言え、相手は戦艦三隻である。それに空母 が付いているとなれば、どう考えてもこちらに勝ち目はない。 「艦長。あそこにいる四本煙突に、応援に来てもらえないものでしょうかね?」 「あれは『松戸』と『矢矧』だね。確か哨戒艇か何かになって名前も変わってるはずだが、 あんな物まで引っ張り出すほど船が足りなくなったのかなぁ?」 南海の澄んだ空に、もくもくと石炭の煙を吐いてのんびりと哨戒を行っている骨董艦 二隻を見ながら、二人は揃ってため息をついた。 その夕刻、大正時代の戦艦一、商船改造水上機母艦一、大正時代の駆逐艦五の貧弱な 機動部隊は舵も重くメルギーを後にした。
石炭の煙ですか、ついに本領発揮ですな(w
123 :
第4南遣艦隊(貧) :02/10/27 23:02 ID:udAD6xCK
『シヴァの葬送』Wordでほぼ書き上げました。 手直しして、ほぼ200KB……。って事は、私がコミケで出す本の装丁で180〜200頁 になります。(2段組なら120頁位) 凄い勢いでレス使うことになりそうですけど、皆様よろしくお願いします。
124 :
名無し三等水兵 :02/10/27 23:50 ID:SSTdYyq2
>>123 つーか、完結したら冬コミに出せばいいのに。(藁
最近、面白い仮想戦記出すサクールも減ってるから読みたい。
>>123 出すのだったらサークル名教えて下さい。
>>123 とりあえず、2ちゃんでどーんと発表!
イイ!!
127 :
名無し三等兵 :02/10/28 22:19 ID:8lJJS1NK
北海丸ミニ情報 ご存じの方も多いかと思いますが、 8,416総tの北海丸は、41.12に披雷し9月まで放棄されていたそうです。
前レス続き というわけで、仮想ものには使いやすいキャラかと思います。 おまけ、冬コミってどこでやっているのですか
129 :
悪乗り :02/10/28 22:35 ID:???
>123 あんたすごいよ!
130 :
第4南遣艦隊(貧) :02/10/28 22:42 ID:YnfTe/ru
コミケは2002年12月28〜30日、場所は有明の国際展示場であります。 ミリタリー系は27日の予定でありますが、自分は初日の分類で 登録を行っております。 小官としては先ずこのスレの皆様に読んでいただきたい所存であります。 敬礼
131 :
第4南遣艦隊(貧) :02/10/28 22:50 ID:YnfTe/ru
>悪乗り閣下 恐縮であります!小官は仮想戦記を書くのはこれが初めてであります。 調査設定など至らぬ部分も多いとは思いますが、よろしくお願い致します! 小官も先輩諸氏の作品を、楽しみにいたしております!敬礼
「何も、いない?」 ディエゴスアレスを出航した『ウォースパイト』艦上で、ソマヴィル大将はとりあえ ずの朗報を耳にした。サンダーランド飛行艇も、先行している低速戦艦隊も全く敵艦を 発見しなかったのだ。米軍によるガダルカナル侵攻のおかげで、低速艦隊がB部隊との 鉢合わせを危うく免れた事をソマヴィル大将はまだ知らなかった。 これでディエゴスアレスに偵察機が現れなければ、紅茶はもう少し美味かっただろう。 「はい。マダガスカルからアッズ環礁まで、哨戒機は水上部隊を確認していません。潜 水艦だけだったか、それともこちらの出航を知って逃げたか。どちらかでしょう」 ヴィリアン少将の代わりを務めるウインドウォード中尉は、敵がいないことが不本意 だったらしい。戦艦ウォースパイトの乗組員も、港で逼塞するよりも敵と砲火を交えた かったのだ。 「すぐにカルカッタにも知らせろ、待機中の船を全て出港させるんだ。市街の防空は手 薄になっても船団の上空援護を厳重に行えと。アンダマンまで来れば艦隊が護衛する」 可能であればフォーミダブルの艦載機も貸したい位であった。 『これほどの船団、必ず何か仕掛けてくるに違いない。しかし日本の空母は全部太平洋だ。飛行機は古いが、この間の敵をとらせて貰うぞ……』 今のところ賽子は良い方に転がっている。ソマヴィルはアッズ環礁のサンダーランド飛行艇を二機、アンダマン付近の哨戒に出す命令書きをメモして兵曹に渡した。
その時だった、長官室が傾いた。ウォースパイトが急激に回頭を行ったのだ。重い爆 発音が二度、連続して聞こえた。窓に駆け寄ったソマヴィルが見た物は、沸き立つ海面 に消えてゆく駆逐艦の船尾と、空母フォーミダブルの船腹に立ちあがる大水柱だった。 「しまった、潜水艦か!」 次いで長官室の床にびりびりと衝撃が走った。遅ればせながら警報が鳴り響く。ソマヴィルが艦内電話を取った。 「魚雷か?」 「艦首に一発喰らいました。損害は軽微と思われます」 電話の向こうで艦長は落ち着き払っていた。 「フォーミダブルの損害が判ったら長官室に知らせるように」 そう言ったソマヴィル大将の目に、フォーミダブルが大きく傾く様が見えた。 「マイゴッド……」 「私もそう言いたかった所です」 まだ受話器を持っていた艦長が言った。駆逐艦の爆雷攻撃が始まったのだろう、重い 響きが連続して伝わってきた。 ソマヴィル大将は腰を降ろし、葉巻を取り出した。カッターを探して机上をあちこち 探したが、そのカッターを左手に持っている事には気付かないようだった。
『敵機動部隊ニ雷撃敢行、戦艦一、空母一に命中確実』 辛抱強く網を張り続けていたイ−10潜の報告は、山城の艦橋に歓声をもたらした。 敵艦隊の増強はないと見ていいだろう。悪くても少しくらい時間は稼げるはずだ。後は 先手を取って敵の頭上に三十六センチ徹甲弾の雨を降らせてやれば良い。先に出港した 艦隊は、モルディブのあたりまで来ているはずだ。セイロンの沖合で念願の砲戦が行え るかも知れない。 神川丸と違って、山城の艦内には三対一の劣勢などと言う悲壮感はなかった。一刻も 早く敵戦艦に向けて砲をぶっ放したくて仕方がないのだった。 『神川丸艦載機は、左右両海面を昼夜違わず策敵を行うこと』 「自分の策敵機で見つけようって腹だ」 零観の搭乗員はそうこぼしながら、二十四時間の策敵飛行に入らざるを得なかった。
午前二時、中村兵曹は寝ぼけた状態のままデッキによろめき出た。赤道付近の夜は寝 苦しいなどと言う表現も追いつかない。甲板にあぐらをかいて何気なく飛行機甲板を見 下ろすと、ちらちらと明かりが目に入った。 零観にすっぽりと防水布をかぶせ、整備兵たちが深夜になっても作業を続けているのだ。 飛行時間が増え、零観のパイロットも機体も疲弊している。いまだに十機の零観が支障 なく運用されているのは整備兵たちの献身の賜物だった。 その機が朝一番の飛行に間に合うように、たとえ徹夜になっても仕上げてくれる。カタ パルトから打ち出され、飛び立ってゆく零観は整備兵の勝利の証なのだ。 中村兵曹はデッキにしゃがみ込んで、ひそやかに行われている作業を眺めた。声ぐら いかけてやりたいとも思ったが、邪魔になるだけだろう。タバコが吸いたかったがこの 闇夜に裸火は禁物である。 整備兵の勝利は毎日訪れる。だが偵察機の勝利とは何なのか、それはいつもたらされ るのだろう。中村兵曹は音を立てぬようそっと立ち上がり、静かに熱暑の室内に戻って 行った。
136 :
第4南遣艦隊(貧) :02/10/29 07:29 ID:dY4V+D3X
一部に改行を誤って読みにくい箇所が出たことをお詫び致します。敬礼
いつも楽しみに拝見しております。 僭越ながら、既に冬コミの申し込みは終了しております。 残念ながら第4南遣艦隊(貧)殿の作品は、来年の夏コミ等に持ち越しかと・・・。
138 :
名無し三等兵 :02/10/30 00:05 ID:mjDKt7M7
これは冬コミにおじゃしなくちゃならんかな。 あぁ、ならんか、な。
137です。 皆様、失礼いたしました。
141 :
第四南遣艦隊(貧) :02/10/30 07:23 ID:uIEdpcNc
昨夜ダイヤルアップが変調をきたしたため、投稿ができませんでした。 お詫び申し上げます。
「左下、敵機!」 天野兵曹が叫ぶ。中村兵曹は機を左に傾けて天野兵曹が指す方向を睨んだ。 「あの、雲が並んでる間! 四発機!」 「見えた!」 かなり下を反航で飛んでいる。つまり、山城と神川丸に向かっているのだ。中村兵曹 はそのまま一度やり過ごし、機が太陽と敵機の間に入るようにした。 ゆっくり距離を詰めていくと、それは四発の大きな飛行艇だった。明るい灰色、ずん ぐりした胴体。二式大型飛行艇でも九七式大型飛行艇でもない。 「イギリスの飛行艇です!」 「攻撃する!」 「了解! 左右、後方見張りよし! 旋回銃。準備よし!」 全速で急降下し、照準器に敵機を捕らえた。 「でかい……」 海軍の中攻よりはるかに大きい。距離が掴めない。正面が敵機で一杯になるまで我慢 して撃ち続け、回避した。後ろで天野兵曹が何か喚きながら旋回銃を撃っている。 「射撃効果、不明!」 やっと聞き取れた。そのまま飛行艇の下に潜り込んで腹の下からまた撃ちまくった。 「敵、エンジン一機、停止。敵、通信を行っています!」 曳光弾が右翼をかすめた。 もう一度腹の下に食いついて機銃を浴びせかけた。前方銃座がさかんに撃っているが、 全くあさっての方に火線が飛んでいく。何と鈍くて死角だらけの飛行機なのだろう。 「敵、片方のエンジン全部停止!」 巨大な翼が『ぐらり』と傾いた。そう思った次の瞬間に、飛行艇は煙を噴きながらゆっ くりと裏返しになり、きらきらと輝く海面に向けて垂直降下に入った。 「撃墜! 撃墜です!」 飛行艇が海面に激突し、大きな水しぶきを上げるまで見届けた。中村兵曹は、まだ発 射レバーに添えたままの左手をようやく離した。それでも指がまともに延びるようにな るまで、かなりの時間がかかった。
「サンダーランド飛行艇がジャップの水上機に攻撃されています。位置はセイロン島南 東、百カイリ付近」 ソマヴィルはその報告をディエゴスアレスへ入港寸前に聞いた。フォーミダブルは浸 水で傾いたまま復帰できず、ウォースパイトは艦首が沈下して十六ノットしか出なくな ってしまった。 「水上機?」 ソマヴィルは机上の海図に目を遣った。 「位置からして船から飛び立ったものでしょう。水上機を積んでいるとしたら重巡か戦 艦です」 「別動の水上部隊がいる、か……。低速部隊の位置は?」 「あっ……。い、急いで、作戦室に聞きます……」 慌てて電話に走る大尉を見ながら、ソマヴィルは海図を睨んだ。睨んでいればそこに 日本艦隊が映るかのように。 「赤道上東経七〇度です……。えーと……」 「アッズ環礁の手前だ。老骨共が、ひどく急いだな」 「向かわせますか?」 「駆逐艦を急行させろ。それから、可能な限りの航空機をセイロンとココスの間で策敵 に当たらせるのだ。この際よそが手薄になっても構わん」
八月九日、カルカッタ上空からベンガル湾にかけて英国空軍海軍のほぼ全力が上空を 護る中、紅海を目指す七隻の輸送船と五隻のタンカーが出港した。護衛は駆逐艦二隻、 対潜スループ二隻、護衛スループ一隻、旧式フリゲート二隻。ひどく心許ない護衛艦隊 ではあるが、とりあえず近海はクリアーな状態である。 カルカッタ港を望む貧弱な漁港の端で、マレー人の老人がぼんやりと釣り糸を垂れて いた。呆けたように水平線を眺めながら、何やら小枝で地面に刻み目を書き入れていた。 船団が水平線に消えると老人は立ち上がり、貧弱な釣り道具を担ぎ小魚が入った汚い バケツを下げて歩き出した。途中で屋台の主人と二言三言言葉を交わして、いくらかの 紙幣を受け取った。そしてまた、またとぼとぼと港に戻っていった。夕食にするにはも う少し魚が必要であった。米はひどく値上がりしてとても毎日は食べられないのだ。 屋台の主人は近くの郵便局まで歩いていき、デリー向けに電報を依頼した。『塩干し魚 十二梱包発送、調味塩不足につき七袋至急送られたし』 翌日、その電信は『輸送船十二隻、軍艦七隻がカルカッタを出港』の報せとなってシ ンガポールの日本海軍に届いていた。太平洋では日米がソロモン海を炎に染めながら、半 年近い消耗戦を開始したところであった。 輸送船団出港の暗号は第四南遣艦隊にももたらされ、山城は敵戦隊を迎撃するか輸送 船団を襲うか、どちらを先にするか迷いに迷った。丁度アンダマンとニコバル諸島の間 を抜けたばかりで、輸送船団に向かうとセイロン島方面からやってくる敵機動部隊に背 を向けることになる。またベンガル湾に追い込まれる格好にもなってしまう。 「敵機動部隊を迎撃、後反転して船団を殲滅する」 山城からの発光信号が、また神川丸のブリッジにため息を呼んだ。
145 :
第四南遣艦隊(貧) :02/10/30 08:28 ID:Qcai5acl
済みません。ちょっとどなたか教えて下さい。 扶桑・山城の砲塔基部に「換装室」って場所があるようなのですが、 ここには砲弾や装薬がどれ位置かれているのでしょうか? ストーリー上にも影響出そうなのでご教示よろしくお願いいたします。
146 :
第4南遣艦隊(貧) :02/10/30 22:19 ID:Uo8yK5Qg
ううむ……、レスがない……。 「換装」とは急に三式弾から徹甲弾に変えるために数発置いておくんじゃなくて、 揚弾機から装填機に乗せ換えることを指しているのかな……。 確かにあそこに徹甲弾を1発でもキープできてたら、比叡はもうちょっとましな 砲戦できていたかも……。揚弾システム違うのかな、う〜ん資料がない。
147 :
シヴァの葬送 :02/10/30 22:23 ID:Uo8yK5Qg
コロンボから飛び立ったボストン哨戒機がついに山城を発見したのは、八月十二日の 午後であった。幸い邪魔されることなく無線を打ち終えたが、その直後に零観に襲われ 旋回銃手が戦死、片方のエンジンが停止したが辛うじてコロンボまで逃げ帰った。 『戦艦一、駆逐艦三』の報を受けて、ソマヴィル大将は耳を疑った。修理中のウォー スパイトのブリッジに自ら駆けつけ、海図室で艦長と話した。 「戦艦が今の今まで発見されずにインド洋で作戦していたのか?」 「艦隊でなく、独行に近い状態ですから、哨戒網をくぐり抜けていたかも知れません」 「低速艦隊は、ここか……。船団は?」 「この辺りでしょう」 ソマヴィルは呻った。今敵戦艦が退避すればウィリス中将の低速戦艦群では恐らく追い つかない。日本海軍のどの戦艦にも追いつかない、追いつけるとしたら駆逐艦か空母イン ドミダブルとその艦載機だけだ。ウィリス中将もこちらより数秒速く敵戦艦発見の連絡を 聞いているに違いない。 戦艦が艦隊に向かってくれば良いが、船団を優先したらこちらに打つ手はない。 「しかし船団を追えば、自分でベンガル湾に追い込まれることになる。恐らくウィリス中 将の艦隊が出ていることは知っているだろうから、セイロンの辺りで船団を待ち伏せるだ ろう。賢ければな……」 「こちらの戦力を知っていても、挑んでくると?」 「連中は勝ちに乗っている、しかも我々に劣らず勇敢だ。たとえ紅茶がなくても戦える」 葉巻を噛みながらソマヴィルは呟いた。 「は?」 聞き返す艦長のことは無視して、ソマヴィル大将は言った。 「航空支援のない戦艦がどうなったか、我々は痛いほど知った」 「しかし、日本の戦艦は単独で商船狩りをしています」 ウォースパイト艦長が頷いて言った。 「よろしい。では日本の戦法で攻撃してやろう。インドミダブルと駆逐艦を先行させ、 航空機で沈めてしまおう。ウィリス君もそう考えるだろう」 「護衛が本当に駆逐艦だけになります。戦艦の他はD級軽巡ですからインドミダブルに 付いていけませんが」 「構わん。潜水艦の攻撃を防げれば良い」
その頃、神川丸は山城から遅れること十二カイリの位置にいた。ボストンを追い払っ た零観が山城に通信筒で知らせたが、それが了解されたのかどうかも判らない。メルギ ーを出て以来、無線は再度封止されているので山城からの指示も仰げない。 仕方ないので随伴の駆逐艦『春風』に追いかけてもらって、発光信号で再度『敵機に 接触さる』を伝えてみた。『春風』が追いついて、戻ってきたときには日が暮れていた。 山城からの回答を伝えられて、神川丸の全員が呻いた。 『作戦変更の要なし、進路そのまま。策敵厳重にせよ』 こちらは敵艦隊の位置すら判らないのだ。それでも何が何でも敵に突っ込んで行って、 大砲で撃ち合いたいらしい。 「短気で無茶するから柱島に置いておかれたんだな、きっと……」 艦長が帽子を取り、白髪が多くなった頭を掻いた。 「扶桑も出してきて、二艦で作戦した方が良かったかも知れませんね」 何かと規律にうるさい先任士官も呆れていた。 「でかい艦が二杯もうろうろしてたら、イギリスさんは大西洋からも戦艦持ってくるさ。 なにしろ向こうは戦艦も巡洋戦艦も佃煮にするほどあるからね」 「誰か零観に水を積んで、山城にぶっかけて来る奴はいませんかね」 先任士官が乾いた笑いを交えながら言った。 「できたら私が真っ先にやってるさ」
同じ41式でも扶桑と山城は固定装弾で、他の6隻とは違うから分からない、 じゃなくて、両方とも分かりませんでした。 2隻は固定式で一発で薬を運んだから、へたすりゃ0かも・・・ どなたか、ご教授タム。
150 :
悪乗り :02/10/31 01:49 ID:???
>145 すまん…手持ち資料は全滅でした。
>>(貧)氏 この問題の解答は出るんでしょうか?!
152 :
第四南遣艦隊(貧) :02/10/31 07:40 ID:h1C+yoKJ
昨日秋葉原にある図書館(書泉タワー)に寄って調べてみました。 判りません・・・。「戦艦扶桑全図面」ってのを買って調べれば あるいは判るかも、でも5500円もするし今から買って調べても間 に合いそうもないのでその部分を話しに絡ませるのは断念します。 皆様ありがとうございました。 固定装弾が判っただけでもありがたいです。「オオイジローラモ」閣下 に感謝。危なく装薬出す所でした。
『敵見ユ。空母一、軽巡三……』 八月十四日、払暁に山城を飛び立った水偵が無線封鎖を破った。神川丸も哨戒中の零 観も、全員が興奮と絶望が入り混じった複雑な気持ちでそれを聞いた。あまりにも当然 の成り行きであった。敵も日本海軍と同じ戦法を取ったのだ。 哨戒中の零観四機は一度神川丸に戻って給油を受け、ついでに搭乗員も早めに燃料補 給を行った。麦飯に卵焼き、辛い焼鮭、たくあん。出撃を控えての豪華な食事とはとて も言えないが、ひょっとするとこれが最後の食事になるかも知れない。搭乗員たちは静 かに飯粒を噛みしめ、それでもすばやく食事を済ませた。 十機の零観は次々とうねる海面に降ろされ、神川丸を中心とするタコの脚のように白 波を曳いて飛び立って行く。今日の零観は複座の水上戦闘機として戦うのだ。 一方、インドミダブルでは山城の水偵に発見されるのと前後して山城の姿をレーダー に捕らえていた。 ただちに千ポンド爆弾を積んだフルマー複座艦戦十機が発艦して行く。水上戦闘機が 出現すれば、いつでも爆弾を投棄して空中戦に入れる。グラジエーター複葉戦闘機とあ まり最高速度が変わらないと言えばいかにひどい性能なのか知れるだろうが、水上戦闘 機程度なら相手になるだろう。シーハリケーンは三機しかないので空母の上空哨戒であ る。この中途半端な戦闘機の運用が、後に『ドンドラ沖の悲劇』と呼ばれる事態を招いた。
午前十一時四十五分。山城から百二十キロ離れた海上で、第二次世界大戦上でも類を 見ない複座艦上戦闘機対複葉複座水偵の空中戦が始まった。 数の上では十対十。最高速度ではフルマーが有利だったが、フルマーのパイロットは 完全に零観をなめてかかった。低空を飛ぶ五機の小さな水上機を発見すると、指揮官機 は積んでいた爆弾を投棄することもなく「タリィーホー!」と突撃の合図を発して急降 下に入ってしまったのだ。 「来た来た来た! 馬鹿みたいに引っかかりました」 中村機の偵察席で天野兵曹が声を上げた。 「そら逃げろ!」 中村兵曹は笑いながら言った。五機の零観はフルマーを見て慌てて逃げ出す素振りを 見せたのだ。釣られたフルマーは全機が突っ込んでくる。 「敵機、射点入ります!」 食いついてきたフルマーに、一応旋回銃を撃ちかけながら天野兵曹が叫んだ。 「天野。合図! トン、トン、トーン!」 中村機からの無線による合図で、五機の零観は一斉にくるりと旋回し、突っ込んでく るフルマーの腹の下に入り込んだ。フルマーは慌てて機体をロールさせ追いかけようと するが、もともと非力な上に機体も大きく、航法士と爆弾を積んでいるので非常に動き が悪かった。そこへ上空から植田兵曹が率いる五機の零観が降ってきた。 たちまち四機が火を噴いたり錐揉みになって海面に墜ちていった。生き残ったフルマ ーは焦って爆弾を投棄したが、既に遅かった。
会敵わずか十分、空に残っているのは無傷の零観十機だけだった。 「おーい! チャーチルよぉー! これじゃ足りないぞ。もっと寄越せー!」 フルマーを撃墜しそこなった中村兵曹は、英国艦隊の方角に向かって叫んだ。 「畜生! 誰だ、一人で二機喰ったのは!」 「じきにお代わりが来ます。今山城の策敵機から連絡が入っています。『雷撃機オヨソ十、 艦爆六山城ニ向カウ』今度は余るかも知れませんよ!」 「イギリスには艦上戦闘機がないのか!」 零観搭乗員の全員が大きくて動きが鈍い『フルマー』を戦闘機だとは思っていなかった。 雷撃隊を直衛していたフルマーは、先行部隊の全滅を知らされると直ちに爆弾を投棄 した。可能なら航法士も投棄したい気持ちだっただろう。充分に高度を取って会敵した いところだったが、如何せん直衛機の数が少なすぎた。 何しろアルバコア艦攻の速度が遅すぎる、時速二百五十キロが精一杯なのだ。九四式 水偵より遅いのだからひどい話である。 それでも直衛フルマー隊は善戦し零観一機を撃墜、二機を被弾させて全滅した。そし てその間にアルバコア艦攻の一部が零観の目を逃れ、五機がよたよたと低空で突破した。
いよいよ始まった〜!
面白いです。
158 :
名無し三等兵 :02/11/01 00:12 ID:wdsaFxeL
はやく続きを!
「敵機! 数五! 距離、一万八千!」 伝声管で対空見張員が叫んでよこした。 山城は飛来するアルバコア艦攻に対して横腹を向け、回避運動の気配すら見せなかった。 六つの巨大な砲塔がぴたりとアルバコアがやって来る方向を睨んでいる。ひどい無謀な 戦法だが、幸いソードフィッシュやアルバコアにはそれでも通じた。 「こちらトライボウル・ツー。戦闘機はやり過ごした。トライボウル・ワンは墜落した。 フルマー隊が防いでいる、突破した。突破。追撃はない。四機……、五機が抜けたぞ」 アルバコア隊の副隊長機がインドミダブルに伝えていた。 「トライボウル(コールサイン)。戦艦が見えるか?」 「こちらトライボウル・ツー。でかいのが見える、変な格好だ。あれがパゴダマストって 奴か? 戦艦が1隻……。駆逐艦……、あー、駆逐艦だと思う。2……、いや3隻」 『レゾリューション』の無線室でアルバコア隊の触敵を待ちかまえていたヴィリアン 少将は、通信兵からマイクをひったくった。 「トライボウル・ツー。戦艦の3番4番砲塔の配置はどうなっている?」 「何だって? 今のは誰だ?」 「こちらは『ウォースパイト』のヴィリアン少将、今『レゾリューション』に乗っている。 敵戦艦の3番と4番の砲塔はくっついて並んでいるか、それとも煙突を挟んでいるか?」 「イエス・サー。あー、真ん中の……、砲塔は……。挟んでいます。煙突を挟んで砲塔 がついています」 「確かか?」 「ええ。砲塔・砲塔・パゴダ・砲塔・煙突・砲塔・小パゴダ・砲塔・砲塔、って並んで います。水兵も数えましょうか?」 ヴィリアン少将は苦笑した。 「それには及ばないよ、ありがとう。その戦艦は『フソウ』級だ、武運を祈る。交信終了」 「どういたしまして。『フソウ』は私たちがお先にやっつけちゃいますよ」 少将は通信兵にマイクを返すと艦橋に走って戻った。
「中将。敵は『フソウ』か『ヤマシロ』です。ちょっと弱い奴です……。何かありまし たか?」 何か重苦しい沈黙がインドミダブルの艦橋を満たしていたのだ。 「さっきまで君が話していた『ツー』は、たった今エンジンが停まって墜落したよ。気 の毒に」 四機に減りはしたが、鈍足の複葉艦攻は果敢に魚雷投下点に入ろうとしていた。全速 で航行中の艦を雷撃するためにアルバコアは綺麗に横一線に並んだ。まるで『撃ってく ださい』と言っているようなものだった。 パゴダ艦橋の最上部では、最新鋭の光学式測距儀がのろのろとやってくる複葉機を捕 らえていた。 「雷撃機接近。数四! 高度三〇〇、距離一万五千!」 「各砲1門、一斉射撃。撃て」 砲塔ごとに一発ずつではあったが、三十六センチ砲六発の同時発射は周囲数キロの空 気を揺るがせた。発射された砲弾は三式弾、それが向かってくるアルバコアの鼻先約千 メートルで炸裂した。 「こちらトライボウル・ファイブ。副隊長機は墜落……、被弾していたと思われる。指 揮を引き継ぐ。全機高度を下げろ、高度二百(フィート)。目標、パゴダ野郎。戦闘機の 追撃はない。繰り返す、戦闘機の追撃はない。対空砲火も今のところない……、撃った! 撃った! パゴダ野郎が主砲を撃った。凄い火だ! 馬鹿だ、あんなもの当たるはず……」 それきり通信は途絶えた。
三十六センチ三式弾一発の炸裂は直径三百メートル以上の弾幕を発生させる。それが 六発。長さ千八百メートルの高密弾幕に飛び込んだ複葉雷撃機は悲鳴を上げる間もなく、 一瞬にして全機が粉砕されてしまったのだ。 「トライボウル、トライボウル。状況を知らせろ。トライボウル! 応答しろ」 『トライボウル』だけでなく、発進したどの機も応答しなかった。 「『ゼロ』がいます! どこかに空母がいるのです!」 通信兵が叫んだ。ややヒステリックな反応だったが、シンガポールでもビルマでもこ てんぱんにやっつけられた恐怖は未だ薄れていなかったらしい。 たった三機のシーハリケーンと、アルバコア艦攻七機。それがインドミダブルに残さ れた艦載機の全部だった。そのアルバコアは既に魚雷を積んで飛行甲板でプロペラを廻 している。 「ハリケーン。残り燃料を報告しろ」 インドミダブルの艦長は焦燥に駆られながらマイクを取り、上空で哨戒を行っている ハリケーン部隊を呼んだ。 「シミター・ワン、約三五〇ガロン」 「ツー、四〇〇ガロン」 「スリー、四〇〇ガロン」 いずれもあと三〇分と飛んでいられない残量だった。 「雷撃機は発艦して上空待機。ハリケーンは着艦して燃料補給だ!」
いいですなぁ。 (貧)さん、ありがとう!
をを。ところで、三式弾ってこのころすでにあったのでしょうか?
>>163 ヘンダーソン飛行場砲撃には使用されてますな
浮上!
>三式弾 これって時計信管だよね? 信管調定器を砲塔に持ち込んだんだろか、 それとも異なる秒時の信管を何種類か用意したんだろか? ま、それはさておき、 山城って強お〜いの〜?、ワクワク、ワクワク!(昔懐かしアラレちゃんの声で
「墜とした墜とした! 艦爆と複葉の雷撃機!」 こちらも燃料と弾薬補給のために神川丸に戻ってきた四機の零観で、搭乗員が大いに 気勢を上げていた。当人たちは知るよしもなかったが、この戦闘によって英国海軍はフ ルマー複座艦戦に見切りを付けざるをなくなった。なにしろ『水上偵察機より弱い世界 最弱戦闘機』と言う無様なラベルを貼られてしまったのだ。 それでもまだメッサーシュミット一一〇型よりは強かったのが慰めだろうか。 四機がクレーンで吊られたまま慌ただしく燃料と機銃弾を補給して飛び立つと、空中 戦は山城のわずか五十キロ手前で行われていた。 「攻め込まれちゃってますね、こいつは危ない。あ……。零観、三機しかいません」 天野兵曹が周囲を見回していった。 「山城との距離に注意して、二万メートル割ったらすぐ注意してくれ!」 「は、はいっ!」 その時、上空から『蛇の目』をつけた飛行機が降下して来て、ほとんど中村機と同高 度で火に包まれた。 「今度のは艦爆じゃない。あれはハリケーンだ!」 さっき撃墜した艦爆と似ていたが、明らかに小さな機体で風防も小さかった。ついに 艦戦が現れたのだ。 「何で今頃出てきたんでしょうね? 最初に出てこないと意味ないのに」 「敵さんにも、何か都合があるんだろ。あ、いた! う……、早い。やっぱり早い!」 明らかにハリケーンが零観を追い回している状態だった。零観はくるくると回ってハ リケーンの射線を逃れてはいるが、攻撃に廻ろうとするとハリケーンは簡単に零観を振 り切ってしまうのだ。 「下! また艦攻が来てます!」
天野兵曹が叫んだ。中村兵曹が海面を見ると、明るいブルーの海面すれすれに飛ぶ七 機の複葉機が見えた。飛行艇も雷撃機もやけに明るい色だが、こっちの海に紛れる色な のだとようやく気がついた。 「山城に通信!」 叫び返しながら中村兵曹の零観はくるりと機体を翻し、信じられないほど鈍足の雷撃 機に向かって急降下で襲いかかった。照準器を覗き込んだ途端、また天野兵曹が叫んだ。 「ハリケーンがこっちに向かってきます!」 アルバコア隊がハリケーンに救援を求めたのだろう、残り二機のハリケーンは空戦を 中止して中村隊に襲いかかってきたのだ。 「来ます! 真後ろ……、うわ! 速い!」 中村兵曹が首をねじ曲げて背後を見ると、襲いかかってくる鷲のような姿が手の届き そうな距離にいた。少なくとも襲われる側にはそう見えた。 反射的に踏み棒を力一杯踏み、零観を左に滑らせた。植田兵曹に教わった回避術であ った。次の瞬間、すごい量の曳光弾が翼端をかすめて流れた。 中村兵曹はさらにフラップを降ろし、零観を急減速させた。敵機をやりすごして反撃 に出る術である。ハリケーンの姿がぐんと大きくなり、追突されるのではないかと言う 恐怖で胃がぎゅっと縮んだ。 偵察席で、天野兵曹も絶叫しながら旋回機銃を撃っている。ハリケーンは明らかに慌 てふためき、射撃を中止して離脱しようとした。そして零観の真横で腹を晒してしまった。 そのハリケーンの白い腹に、偵察席から撃ち出される曳光弾が吸い込まれて行く。
「天野! 喚くな! 鼓膜が破れる!」 思わず大声で叫んだが、天野兵曹には聞こえていないらしかった。ハリケーンがぱっ と黒い煙を噴くと、真っ逆様に墜落して行った。恐らく操縦士に当たったのだ。 「やった! やった! やった! 墜とした墜とした! 撃墜しました! やった!」 「うるさーい! 判ったから喚くな!」 「あっ! すいませーん!」 奮戦を続けていた残り一機のハリケーンも、三機の零観に取り付かれてたちまち煙を 噴き、操縦士は機を棄てて脱出した。 三機のハリケーンが善戦したおかげで、アルバコア艦攻はまたも五機が魚雷投下体勢 に入ることができた。が、結果も前と同じであった。 三式弾の爆煙が薄れると、五機のアルバコアは影も形もなかった。イギリス側シーハ リケーン戦闘機三、フルマー複座艦上戦闘機十六、アルバコア艦上攻撃機十七の損害に 対して、日本側は零式水上観測機三機墜落、被弾機二の圧勝で『ドンドラ岬沖海戦−航 空戦』は終わった。 しかし上空で零観が必死の戦いを演じている間にも戦艦山城は敵艦隊に向けて突撃を 続けていた。インドミダブルはまだ射程距離の外であった。戦艦の戦いはまだ始まって はいないのだった。
170 :
戦艦太郎 ◆ZYEMgbhZg2 :02/11/02 13:21 ID:QHIs6Lg4
おお!まだ始まってはいないとな!!!!
山城って、防御に欠陥があるからヤダ。
三式弾強すぎ。もうちょっとハラハラさせた方が良いんでない。
へなちょこアルバコアが相手じゃハラハラもできないかと・・・。
三式弾がもっとも効力を発揮するシチュエーションだからなあ、これ。 史実にはほとんど無かった状況ではあるけど。
171〜173 扶桑クラスの活躍が読めるだけでも良しとしましょう。
「一次攻撃隊が10分で全滅?」 低速艦隊の旗艦『レゾリューション』の艦橋でウィリス中将の眉がぴくりと動いた。 「まだ、詳しい報告はありません」 そこへ慌ただしく電信室から続報が届けられた。 「また、インドミダブルからです」 その士官は、誰かの訃報のように通信文を読んだ。 『第二次攻撃隊も連絡を断つ。艦載機残存ゼロ、敵戦艦は空母を伴う模様』 「ありえない」 しばしの沈黙が続き、やがて中将は言った。 「日本の空母隊は全部所在が判っているはずだ。インド洋に空母はいない」 「水上機母艦に水上戦闘機を積んで来ている可能性があります」 ヴィリアン少将は日中戦争で水上機母艦『千代田』を見ていた。 「水上攻撃機か水上爆撃機と言う物はあるのか?」 「偵察機が小型爆弾を積んで攻撃することは可能です、しかし千ポンド以上の爆弾とな ると飛行艇以外は積めません」 「それは確かなのかい?」 「最新型の『タイプゼロ』着弾観測機、その旧型の『タイプ95』。これは750ポンド 爆弾を二発積みます。三人乗りのタイプ『ゼロ』偵察機、と『タイプ94』は同じ75 0ポンド爆弾を四発積むことができます」 実は零式三座水偵は二百五十キロ爆弾を積んで水平爆撃が可能なのだが、その用法は 連合軍が知るところではなかった。
「水上戦闘機は?」 「『ゼロ』の水上機型が、やはり750ポンドを二発。しかし急降下で20ミリ機関砲を 撃ち込まれる方が脅威でしょう。しかし戦艦などに搭載されてはいないはずです。『フソウ』 か『ヤマシロ』ならば水上偵察機を3機まで積みます。攻撃してきたのは10機前後で すから、やはり水上機母艦がいるのだと思います」 ウィリス中将は窓の下でまだ見えぬ敵を睨んでいる十五インチ砲を見下ろした。 「いずれにせよ、我々の戦艦ならばその程度の爆弾ではびくともしないね」 「もちろん。低速部隊の戦艦は特に固いですから。ですが、戦艦の後方を偵察してくだ さい。日本海軍がこんな戦力で出撃してきた記録はありません、必ず後ろに何かいます。 フルマー隊を全滅させた水上戦闘機を積んできた船が」 ヴィリアン少将はそう言いながら、策敵の手段がないことを思い出した。 「もう遅いよ。戦艦が積んでいる水偵を出したところで撃墜されるだけだ、砲戦が始ま ったら駆逐艦を前方に出して探らせてみよう」 ウィリス中将は双眼鏡でしばらく水平線を眺め、やがて言った。 「日本海軍は船だけ立派な二流海軍じゃない、ビスマルクの時とは勝手が違うだろうね」 「『フソウ』級だったらかなり時代遅れの戦艦ですが、指揮官も水兵も、ドイツ海軍など 比較にならないほど海戦には慣れているでしょう」 「まさに『相手にとって不足なし』だね」 艦長の声に張りが出た。 「インドミダブルと駆逐艦に退却命令。戦隊は全速で前進。全艦隊戦闘態勢、砲戦をも って敵戦艦を撃滅する」 「アイ・サー! 砲戦準備!」 艦橋士官が声を張り上げた。
空母インドミダブルはその全ての艦載機を失い、急回頭を行って戦場離脱を開始した。 高速艦隊空母を名乗るだけに逃げるのは速い。実はこの時インドミダブルと山城の距離 は三〇カイリを切っていたのだ。うっかりしていると一四インチ砲の射程距離に入り込 まれてしまう危険があった。 「敵空母および駆逐艦回頭。方位二三〇」 山城の艦橋で、副長が策敵機からの電文を読み上げた。 「最後の攻撃が来るな」 山城の艦橋にいる誰もが、まさか艦載機を全部墜とされて逃げ出したなどとは考えて もみなかった。それくらい呆気なくインドミダブルの攻撃隊は片づいてしまったのだ。 何しろインドミダブルは飛龍の半分、加賀の三分の一位しか艦載機を積めないのだ。 そんな理由で、山城が待てど暮らせど攻撃隊は来なかった。零観隊からも会敵の連絡 はない。実は山城の水偵は、敵の護衛戦闘機を避けるために英空母から十カイリ近く離 れた位置で見張っていたのだ。そのため空母の発艦状態などほとんど見えない状態であ った。さらに悪いことに、折悪しく出始めた雲のためにインドミダブルの後ろからやっ てくる戦艦群も視界に入っていなかった。 「遅いな……。敵さん、逃げたのか?」 不審に感じて偵察機に連絡を取ったのは二十分も経ってからだった。零式水偵から回 答が来るまでに五分を要した。 「付近に敵攻撃隊を認めず」 さらに山城は零観部隊にも確認させ、やっと敵航空部隊が存在していないことを知った。 「何だ。諦めたのか?」 「まさか」 「零観がちょっと戦って、三式弾で二回撃っただけなのに。イギリスさん根性がないな」 零観搭乗員が聞いたら激怒ものの会話が艦橋で交わされた。 「全砲塔、三式弾から徹甲弾に換装急げ」 命令が伝わると各砲塔は大騒ぎになってしまった、まさか対空戦闘が各砲たった一発 の発射で終わるとは思っていなかったのだ、砲塔への揚弾装置には三式弾ばかりが乗っ ている。しかも主砲の装填機にも既に三式弾が乗って信管調整を行うばかりになってい たのだ。これを降ろして徹甲弾に替えるには換装室に上がって来ている三式弾を降ろさ なくてはならないのだが、その下の揚弾系統にも三式弾ばかりが並んでいる状態なのだ。 連絡を受けた砲術長は心臓発作を起こしそうになった。
179 :
名無し三等兵 :02/11/02 20:09 ID:UHo/Ij4e
750ポンドって350kgはあるぞ、、、、
>178 なるほど、雷爆転換ならぬ三徹転換ですか。 数値についてはタイプミスではないかと>179氏
”扶桑”級の揚弾機は、装薬と砲弾を同時に揚げる つるべ式ではなかっただろうか? 他の艦と勘違いしているのかもしれないが。
『レゾリューション』か・・ 山城とはヘタレ同士、良い戦いになりそうだ
>179 済みません。換算間違いでした。「27ポンド」になりますね……。 >181 砲塔構造断面図しか資料がありませんでした。完全に想像で書いています。 中央揚弾が「つるべ式」で、「換装室」まで上げられて。そこから「砲尾 揚弾薬機」に載せ替えられるのは判ったのですが、「換装室」に砲弾がキ ープされるかどうか、どなたの資料にもなかったのです。 さらに弾薬庫からどんなシステムで砲弾が出されるかも不明でした。 何かご存知でしたら教えてください。 やっと「突っ込み」が入るようになって、ほっとしています。 仮想戦記物は読んだこともないし、もちろん書くのも初めてなもので。 指摘されないと却って不安が……、皆様ありがとうございます。 でも、他の仮想戦記がうpされないので淋しいです。読みたいのに。
すまそ。 前のレスでの言葉が不正確でした。181氏のとおりかと思います、薬しか書かずにすみません。 でも弾種換装自体、大変かと思います。
>179 うわ〜っ! ごめんなさい。換算間違いでした。27ポンドでした。 >181 はい……。つるべで弾火薬庫から「換装室」に上がって来て、そこから 揚弾薬機に載せ替えるってのは判ったんですけど、「換装室」に砲弾が キープされるのか&弾薬庫からどんなシステムで砲弾が運び出されるの かってのが調査できませんでした。 換装が間に合わないので砲塔がパニックになるのは、ちょっと話が前後 してしまいました。「178」の最後の1行は余計でした。
あれ。何か消えたはずの書き込みが今頃出てる……。 格好悪いです……。続きアップします、ここからが資料不足で冷や汗もの。
『第3戦闘体勢。砲戦準備』 戦闘旗が揚げられ『ロイヤル・ソヴリン』『レゾリューション』『リヴェンジ』の艦内 スピーカーがそう伝えると、全艦で一斉に歓声がわき起こった。今日まで圧倒的な日本 機動部隊に射すくめられる格好で逃げ回っていたのが、インド洋に出て初めて主砲で敵 の戦艦と撃ち合えるのだ。 神川丸では敵味方の戦艦のような高揚はなかった。神川丸が急回頭することで作った 人工凪に次々と零観が着水し、フロートが白波を蹴立てている間に偵察員が主翼に登っ て揚収の準備にかかる。 『敵空母後方敵見ユ。戦艦三、重巡二、駆逐艦二』 山城の策敵機がようやく低速戦艦部隊を発見したのはその時だった。 零観の帰艦七機。しかし木藤機はフロートに被弾していたために、クレーンがかかる 前にフロートが水没してしまった。回収はしたものの再出撃は不可能だった。 「九四式があるだろう! あれを出せ!」 顔に疲労を滲ませながら、二人の搭乗員はそう叫んだ。九四式水偵は三座だが、二人 で飛んでも全く差し支えない。偵察でなく戦闘を行うのなら一人少ない方が都合が良い くらいだ。ただし九四式は空中戦ができない、前方銃が付いていないのだ。 整備兵が慌てて前甲板に走った。しかし、そこで飛行長の制止がかかった。 「山城が砲戦に入る。着弾観測機以外は戦闘空域に入ってはならんそうだ」 敵攻撃隊を叩き落としたばかりの搭乗員は、しばし呆然と立ちすくんだ。 『たった今。攻撃機を何十機も墜としたのに、何で邪魔者扱いされるんだ』零観搭乗員 の顔に浮かぶ問いはもっともであった。 実は山城に止むに止まれぬ事情が発生していたのだ。 「換装が間に合わない?」 艦橋が騒然となった。山城と敵艦隊の間は、もう三万メートルになろうとしている。 イギリスの戦艦は山城より大きい三八センチや四〇センチの主砲を持ったものもある。 換装を行っていたら間違いなく敵戦艦に先に撃たれてしまう。どうしても各砲最初の数 発は三式弾を撃つしかないのだ。そうしないと徹甲弾を上げることはできない。艦長は 呻いて言った。 「三式弾。信管を最大に調整、敵先頭艦が三万メートルに入った所で花火を見せてやれ!」
午後二時三十七分。山城は左回頭を行い、全砲門を突撃してくる英艦隊に向けた。 「ヨーイ、発射」 着弾観測の零式水偵に発射が通知された。水偵から見る小さな山城の艦影に、ぱっと 砲火が上がった。 やがて。 「ヨーイ、着弾」 観測員が見つめる中、英艦隊の中に爆煙と水煙が発生した。 「敵艦。一万九千マイルまで接近」 「右40度回頭準備。回頭しながら各艦は個別に発射開始」 「『フソウ』級はこの距離で命中弾を撃つことは無理です。こちらが先手を取れます」 ヴィリアン少将はウィリス中将に言った。 「蛇行する形で接近し、各艦の全砲火を浴びせる。日本が昔ロシアを殲滅した戦法だ」 「向こうの有効射程に入る前に、何発か命中させることができるでしょう」 士官に促され、二人は司令塔に降りようとした。 その時だった。爆発音が連続して空気を揺すぶった。 「『フォーチュン』『ダネー』被弾!」 伝声管で砲戦艦橋の水兵が絶叫した。駆逐艦フォーチュンと軽巡ダネーは艦隊の先鋒 を勤めていたのだ。 「何だと!」 「『ロイヤル・ソヴリン』に爆発!」 「『ダネー』に火災!」 悲鳴に近い報告が錯綜した。見ると、2千メートル先を行く『ロイヤル・ソヴリン』 が黒煙に包まれている。 「何があった!」 「良く解りません。砲弾の命中ではないようですが、ロイヤル・ソヴリンのすぐ近くで 何かが爆発したようです」
「ロイヤル・ソヴリン。こちらは艦隊司令だ。状況を知らせよ」 スピーカーからは雑音だけが流れ出た。 「アンテナが破壊されたのか?」 「艦長。発光信号で問い合わせて……」 ふいに艦橋のガラスがびりびりと震えた。左舷前方の空中に巨大な爆煙が発生し、直 径数百メートルの海面を沸騰させた。その中からおびただしい白煙が海面に降り注ぎ、 海面で激しい水蒸気を噴き上げた。 「何だ……、あれは」 「指令。少将も、すぐに司令塔に入ってください」 ウォーターマン艦長に押し出されるように、ウィリス中将とヴィリアン少将は艦橋か ら司令塔に入った。司令塔のハッチを閉めないうちに、真上から衝撃が襲ってきた。 激しい衝撃と共に停電し、司令塔内部は細い窓から入ってくる心細い明かりだけにな ってしまった。 「艦橋! 被弾したのか?」 艦内電話からは雑音も聞こえなかった。 「上部艦橋! 損傷を知らせろ!」 艦内電話も伝声管も、全く応答がなかった。 「私が見てきます!」 ヴィリアン少将は周囲が止めるのを聞かずに司令塔を走り出て艦橋に入った。そして 立ちすくんだ。 「……何てことだ」 艦橋は一面血の海だった、艦橋のほぼ真上で三式弾が炸裂したのだ。ガラスが全部砕け、 艦橋にいた全員が破片を浴びて負傷したが、幸い重傷者はいなかった。しかし砲戦艦橋 は全員戦死、高角砲もポムポム砲も、エリコン銃もかなりの戦死者を出した。しかし最 悪なのはレーダーが吹き飛んでしまったことだった。
>189 「不沈戦艦紀伊」で読んだぞ、この展開
済みません。小官は仮想戦記小説は1個も読んでおりません!
192 :
名無し三等兵 :02/11/02 23:51 ID:fHyzGuAX
どっちも元ネタは第3次ソロモン海戦でしょう。
>>(貧)氏 ほかの方はどうしたんでしょうね。 (貧)氏の勢いを静観かもしれません。 でも、仮想戦記読んだことなくて、これって、凄いな。
なるほど! 主砲弾の取り換えが利かんのなら、撃っちまった方が手っ取り早いつぅ策ですな。 山城 vs 英戦艦隊 対決の帰趨は?、 爆装ゲタ履き機に活躍の場面はあるのか?、手に汗にぎる展開! 次回、乞うご期待!・・・つぅところでしょうな(ニヤリッ
第4南遣艦隊(貧)さん滅茶苦茶期待しています。 こうゆう展開の仮想戦記って中々ないからなあ
196 :
名無し三等兵 :02/11/03 08:12 ID:KewxFH3L
これぞ、水中、空中、海上と見事な漸減作戦。
197 :
第4南遣艦隊(貧) :02/11/03 11:15 ID:bRJPOp4U
>192 はい、ご明察であります!元ネタは第三次ソロモン海戦の『比叡』であります。
『至近弾多数。戦艦1ニ火災発生。敵艦隊進路変ワラズ』 零式水偵の通信があった。山城は四斉射目を終え、徹甲弾を装填している所だった。 「よし。敵さん、目つぶし喰らってびっくりしただろう」 「さすがイギリスだね、びくともしないな」 「徹甲弾装填よし!」 「よーし。今度は本番だ! 砲術長、徹甲弾発射はじめ!」 『ヨーイ、発射。徹甲弾』 着弾観測の零式水偵に五度目の斉射が知らされた。これからが本当の砲戦である。 「前部レーダー破損。砲戦艦橋もやられたので、リヴェンジから無線で指示を貰うか、 あとは突っ込んで行って各砲塔の照準でぶっ放すしかありません」 艦橋で立ったまま手当を受けながら、ウォーターマン艦長は言った。 「そうしよう。『リヴェンジ』に、前に出てもらおう」 ヴィリアン少将は艦内電話を取り、司令塔のウィリス中将に許可を求めようとしたが 電話はまだ復旧していなかった。ヴィリアン少将は腹立たしげに電話を叩きつけ、艦長 を振り返って言った。 「リヴェンジ。前に出て砲撃指揮を取れ。レーダー故障につきこちらに敵艦位置を報せよ」 「アイ。リヴェンジに通信急げ!」 その時通信兵が駆け込んで来て言った。 「『ダネー』戦闘不能。退却許可を求めています!」 「左回頭で離脱させろ、こっちの進路からできるだけ離れるように! いや待て! 先に リヴェンジに連絡だ!」 「『ロイヤル・ソヴリン』が右回頭!」 砲戦艦橋が伝声管で叫んだ。水兵が観測のためだけに血の海に上っていったのだ。 「ええい! 的になる気か? そんな物放っておけ! 」 「ウィリス中将が状況を報せろと言ってます!」 「知りたかったら艦橋に来てくださいと言ってやれ!」 その時、ロイヤル・ソヴリンとレゾリューションの中間、右舷数百ヤードの所に巨大 な水柱が立ちのぼった。
『近、二百。ナオ駆逐艦二、ソチラ向カウ』 着弾観測機が報せてきた。 「どうしたんだ。敵さん撃ってこないぞ」 「本当に目つぶし喰らって慌ててるんじゃないか?」 それは本当だった。 着弾観測機の通信は、既に爆弾を抱いて発進している零観部隊でも受信されていた。 『コチラ神川丸隊、我小物ノ掃除ニ向カウ。副砲砲戦待タレタシ』 山城からの指示を待たずに零観六機、九四水偵二機の攻撃隊は突撃してくる英駆逐 艦に向かった。ある意味さっきの意趣返しでもある。 「距離、一万五千マイル。発射!」 『リヴェンジ』が指揮艦となって、ようやく砲戦を開始した時には圧倒的であったは ずの英国艦隊の優位は完全に喪われていた。先に命中弾を喰らうのは向こうであったは ずなのだ。一番艦は命中弾を受けてあっさりと戦闘不能に陥り、旗艦はレーダー故障。 戦列はもうめちゃめちゃである。 艦橋の艦内電話が鳴った。 「通信室です。リヴェンジから通信。『着弾。遠、一二〇〇ヤード。 左、五〇〇ヤード』 それともうお解りでしょうが、電話は復旧しました」 リヴェンジが知らせてきた初弾は『大外れ』であった。しかもほぼ同時に撃ってしま ったのでどちらの着弾なのか、レーダーでは判らない。 「交互に発射しろと伝えろ! これでは着弾が判らん!」 「艦長。後楼レーダーで砲戦しましょう」
じつは、意外かもしれませんが、戦闘時には艦橋の ガラスは全部しまうのです。
ヴィリアン少将が提案した。 「敵に尻を向けるのですか?」 「こんな砲戦じゃ埒が開きません」 「リヴェンジに峡狭! あっ、リヴェンジ被弾!」 観測するだけとなった砲戦艦橋が悲鳴のような報告を伝えた。 「光学測距、まだか!」 「まだ入りません!」 司令塔上にある測距儀の返事に、ウォーターマン艦長は苛立って思わず床を蹴りつけ、 傷の痛みに呻いた。 「もっと近づけ! 最大戦速!」 電話で機関室を怒鳴りつけた。 「もう一杯です!」 「罐が爆発するまで泣き言を言うな! もっと石炭を放り込め!」 もちろんレゾリューションにはひと欠片だって石炭などない。 「少将! 危険ですから司令塔に入っていてください!」 「これほど損害を喰らったのは私の読み違いだ。埋め合わせをさせてくれ!」 「リヴェンジより『着弾。遠五〇〇、左五〇〇。ワレ一番砲塔ニ被弾ス』」 「いつ撃った弾だ! リヴェンジに『敵に頭を向けろ』と言ってやれ!」 主砲の発射とは別の轟音が聞こえた。 「リヴェンジの前部に爆発!」 「糞ったれ! 突撃! 突撃! 突撃だ!」
202 :
第4南遣艦隊(貧) :02/11/03 11:31 ID:bRJPOp4U
>200 まあ、砲弾の破片も降ってきたってことで……。(汗) ありがとうございます。
「距離、一万五千マイル。発射!」 さっきからきになってるんですがマイルだとキロ換算で24000キロになっ てしまいますが。それとも、
>203 済みません。また度量衡換算表を逆に読みました……。 「15マイル」ですね。情けないです……。
物語の重要な脇役、インドミダブルは?、そして伊10潜は? ★☆★ い よ い よ 佳 境 ★☆★ (新聞の連載小説みたいだ罠、既出だろうが(ニヤリッ)
粗捜しやいちゃもんのように思えたら済みません。
英国海軍の砲戦表記は確かマイルじゃなくてフィートでした。
(ノーチカルマイルじゃ大雑把過ぎますもんね)
勝手に読み替えて何時13500mの超接近戦になったんだと思ってた私。
それから、
>>188 なんですけど、例えば
「初弾観測二段撃方」
「撃ち方初め!」
「着弾まで73秒…70秒…」
「弾ちゃーく、今!」
「近、近、近…」
の方が良いような気がします。
自分では書いてないのにこう言う事だけ言って済みません。
ともあれこう言ったタイプのは珍しいので続きに期待させていただきます。
頑張ってください。
>206 ありがとうございます。 実際に地図上で時間毎の両艦隊の位置をシミュレートすれば良かったのですが、 機構と各艦を調べるだけで時間食ってしまって、至らぬ考証拙文申し訳ないです。 発射〜着弾に関しては水偵乗りの方が書いた本を参考にしましたので、艦上での 合図等ほとんど想像で書いています。
『敵二番艦ニ命中。効果大』 「よーし!」 山城の艦橋は湧いた。今のところ敵の反撃はとんでもない距離に着弾している。 『敵二番艦減速、三番艦戦列ヲ離レ山城ニ向カウ』 神川丸の攻撃隊は山城から十六キロの位置で駆逐艦と、かつて駆逐艦だったらしい船 を発見。『かつて』の方は対空砲火も撃って来ないので、無視して無事な方に攻撃をかけた。 無事な方の駆逐艦は『デコイ』で、三方向から零観の急降下爆撃を受け、さらに九四 水偵が水平爆撃を行った。六十キロ爆弾計二発が命中、さらにしつこく銃撃を受けたた めに対空銃手が全員戦死してしまい、デコイは魚雷発射をあきらめて退却を余儀なくさ れた。その退路を遮断するために、『三日月』『夕月』が突進した。 『デコイ』の救援のために軽巡『ドラゴン』駆逐艦『スカウト』が戦列を離れ、イギ リス艦隊の混乱はさらに増した。 その間も残骸駆逐艦『フォーチュン』は全速力で山城に向かって突撃を続けていた。 この時後方操舵室で舵輪を握っていたのは、焚炊室でサンドイッチを作っていた水兵だ った。彼を含めてフォーチュンの生存者はわずか二十名ほどであった。 そのわずかな生存者が炎える艦を捨てず、罐の圧力を一杯に上げ、砲員の血で染まっ た一番砲塔に取り付いていたのだ。たとえ一発なりとも報復するがための、捨て身の突 撃だった。
「敵。駆逐艦、距離一万四千。突っ込んで来ます!」 戦闘艦橋からの連絡に艦橋はざわめいた。駆逐艦が戦艦に突撃をかけるなど、正気の 沙汰ではない。 「副砲、砲戦開始!」 七門の十五センチ砲が一斉に火蓋を切った。初弾から至近弾を浴びせたが、フォーチ ュンは山城に対し真正面を向けているため、なかなか直撃しない。 「何だ、当たらないじゃないか」 艦橋で誰かが言った時、フォーチュンの砲がぱっと火を噴いた。 数秒後、激しい衝撃が山城の艦橋を揺さぶった。 「どこに当たった!」 「被害を報告しろ!」 「何やってる! 早くあれを沈めろ!」 破片がばらばらと落ちてきて、司令塔の上部にあたる音がした。 「上か!」 「指揮所、戦艦橋!」 また一弾が横腹に命中したが、これは難なく跳ね返された。フォーチュンは山城の一 五センチ砲によって艦橋を吹き飛ばされたが、それでも突撃をやめなかった。逃げたく ても後方操舵室までもがこの一発で吹き飛び、誰も操艦できない状態になっていたのだ。 瀕死のフォーチュンに続けて三発の十五センチ砲弾が命中し、艦首が沈んだと思った 瞬間、あっと言う間に勇敢な駆逐艦は海面下に消えた。積んでいた爆雷だろう、立て続 けに爆発が起こり、大きな破片が山城に飛びかかるように海面から飛び出した。
っつーか、改装空母にしちゃってくれ。 扶桑山城伊勢日向で結構なモノよ?
山城の損害は重大だった。艦橋の最上部に命中した必殺の五インチ砲弾は、主砲指揮 所を壊滅させ、測距儀を吹き飛ばしていたのだ。すぐに予備指揮所が砲撃指揮を代わっ たが、主砲は五分間に渡って射撃データを受けられずに沈黙を余儀なくされた。 「光学測距、敵艦捕捉!」 測距儀から待ちに待った報告があった。駆逐艦フォーチュンの決死の突撃はレゾリュ ーションに対する砲撃を暫くの間止めたのだ。 「全砲塔。各個に射撃開始!」 八門の十五インチ砲が一斉に火を噴いた。 「敵艦ぁん! 距離二万二千! 敵艦発砲!」 山城では見張り所が絶叫に近い声を上げた。戦艦山城が、敵戦艦を相手に初めて直接 照準で砲戦を行うのだ。 「一斉射! 撃て!」 主砲六門を一度に撃った。 「敵艦発射! ……あっ、山城も撃ちました!」 駆逐艦『デコイ』を撃退し、零観も零式水偵も再度爆弾を積むために神川丸に帰艦す る途中だった。今は歯を噛みしめて戦艦同士の戦いを見守るしかなかった。神川丸にあ るのは六十キロ爆弾だけで、戦艦にはかすり傷程度の損傷しか与えられない。 「山城に、挟狭!」 天野兵曹が叫んだ。偵察員としての反応なのだろうが、言われなくてもそれはよく見 えた。山城の両舷百メートルほどの所に、山城の艦橋より高い水柱が上がったのだ。
無粋な突っ込み悪いんだが、F級駆逐艦は12cm砲(4.2インチ)だぞ。 あと山城の砲が6門なのはなんで?
失礼、4.7インチだった。
>>212 斉発(一般的なイメージの一斉射撃)じゃないからでナイの?
>>210 改造なんぞしてると活躍の機会を失うので却下。
というか、戦艦として活躍させたいというのがこのスレの主旨。
216 :
名無し三等兵 :02/11/04 00:55 ID:kzpbKuHN
シヴァの葬送 氏 俺は あなたの作品好きだよ!
217 :
名無し三等兵 :02/11/04 00:57 ID:X2gXOoWS
これすきです。がんばってください。
218 :
宇部鎮守府 :02/11/04 01:02 ID:GoK1+Mrd
山城級って艦橋がしょぼい!まぁ米艦よりはましだけど.
219 :
名無し三等兵 :02/11/04 01:44 ID:JT611jku
航空機の脅威を考えると、戦艦が戦艦らしく戦って死ねる場所、 当時は、インド洋しか残ってないかも。
このスレ...結構しぶといな(w
221 :
第4南遣艦隊(貧) :02/11/04 06:42 ID:YWw3o9Xd
皆様、応援ありがとうございます。 >アルバコアに三式弾撃つシーンで書いてますけど、各砲塔の1門ずつ発射しています。 敵にしてみると着弾によって間断のない「弾幕」が形成されるわけで、嫌かも……。
「挟狭!」 同じ叫び声はレゾリューションの砲戦艦橋でも上がっていた。 「見たかジャップ! 古いだけの艦じゃないんだぞ!」 その直後、レゾリューションの背後に六本の大水柱が立った。主艦橋も砲戦艦橋も視 界を遮られ、甲板に海水が溢れかえった。 「畜生! 負けるな! 撃て撃て! やっつけろ!」 だが海水が溢れたのは甲板だけではなかった。大きな煙突からも海水は遠慮なく流れ 込み、数機の罐が消火されてしまったのだ。 「弾着ぁく! 遠の至近!」 山城でも海水をかぶりながら叫び声が上がった。 「惜しい! 手前なら喫水下に入っていた」 「次発。テーッ!」 各砲塔1門ずつの発射なので間隔が短い。レゾリューションより先に山城は第二弾を 放った。 その一弾はレゾリューションの四番砲塔の至近に命中し、甲板を破って兵員室で爆発 した。戦闘配置であったため幸いそこでの戦死者は出なかったが、衝撃で四番砲塔は旋 回不能になり、三番砲塔では砲塔上のカタパルトが落下して砲身の間に挟まった。三番 砲塔が構わず斉射を行ったので、役立たずになったカタパルトは、同じくらい役立たず だったフェアリー・シーフォックス水偵を載せたままインド洋に沈んでいった。艦の美 観を損ねるだけの物だったので、多分乗組員の誰も惜しまなかっただろう。 レゾリューションの第二斉射は山城の艦首に命中した。甲板に大穴を開け、貫通して 主錨をもぎ取り艦首横の海中で爆発した。衝撃は山城の進路を曲げる程であった。 艦首がわずかにねじ曲がり、若干の浸水が起こった。 もう一発が二番砲塔を掠め、大音響は司令塔にいた全員にもしばらく続く耳鳴りを残 した。中にいた砲員は気を失って担ぎ出されたが、幸い砲弾は爆発せずにどこかへ飛ん でいったため、砲塔そのものの作動に影響は起こらなかった。
一方、『デコイ』の退路を塞ごうとしていた『三日月』と『夕月』は、接近してくる 『ドラゴン』『スカウト』を発見するとすぐに進路を変え、反航砲戦の体勢に入った。イ ギリス軽巡はただ被弾駆逐艦を救援に来ただけではなく、機会があれば山城に向けて魚 雷を放って来る可能性は充分にあった。しかし『ドラゴン』は六インチ砲を六門、魚雷 発射管が十二門も備えている。それに対して睦月型二隻では圧倒的に不利である。 頼みは魚雷と速度だけだった。二艦ともほぼ全速の三十三ノットで疾走しながら約九 千メートルの距離でまず睦月が魚雷を発射し、すぐに両艦は砲戦を開始した。 『ドラゴン』は日本駆逐艦より先に六インチ砲の火蓋を切っていたが、砲弾は全て二 隻の後方に外れ、至近弾すら与えられなかった。 神川丸では、揚収された中村機に飛行長が飛び乗って来た。初めての事態に中村兵曹 も天野兵曹も面食らった。 「降りろ! 降りてメシを食え! 食ったらまた飛んでもらうぞ!」 有無を言わせない勢いであった。戦闘食なら飛びながらでも食えるのにと呟きながら、 疲労でよろよろとしながら搭乗員待機室に入った。中では頬がこけ、目ばかりぎらぎら させた搭乗員たちが黙ってお茶や汁粉のカップを前にしていた。時間の感覚を喪って、 もう半日以上戦っているような、それと同時にほんの三十分程度の戦闘であるような不 思議な気分だった。待機室の時計を見れば、まだ四時にもなっていなかった。 「気をつけ!」 カップを取る気も起こらず、ただ発艦命令を待っているとふいに号令がかかった。全 員反射的に立ちあがり、不動の姿勢を取った。珍しく艦長と先任士官が待機室に入って きたのだ。
「全員ご苦労、座ってくれ。どうか座ってくれ」 艦長はそう言って全員を見回した。 「戦況は皆が見ての通り、山城は奮戦しているが非常に厳しい。しかし戦艦同士の砲戦 中に航空機が割り込むことは許されない。そこで神川丸の機は全力で敵艦隊の巡洋艦お よび駆逐艦に攻撃を行う。九四式水偵は敵輸送船団の捜索にあたる」 搭乗員たちの間に、声のないざわめきが起こった。 「たとえ戦況がどのように変化しても、神川丸搭載機は敵戦艦に対する攻撃は行わない。 無論、体当たり攻撃などは厳に禁ずる。我々の任務は敵輸送力の殲滅であると言うこと を忘れるな」 先任士官がそう言葉を継いだ。つまり、たとえ山城がどうなろうとも神川丸は当初の 任務を遂行すると言うことだ。 「以上。準備のできた機より発進開始」 「畜生! 二十五番があれば!」 カタパルトで射出されながら、中村兵曹と天野兵曹は同時に叫んでいた。
山城とレゾリューションは、今や一万四千メートルの距離で同航戦に入っていた。 どちらか沈むか、砲弾が尽きるまで向かい合って撃ち合うのだ。二隻とも副砲も撃ちま くっている、砲煙と火災の煙は千メートル辺りまで漂い、傾き始めた陽光を陰らせた。 火と煙に包まれながら撃ち合う山城を見て、中村兵曹も天野兵曹も共に絶句した。独 特の高い艦橋は一部崩れて傾ぎ、船尾の五番砲塔は砲架を外れて六番砲塔の上に半ば乗 りかかっていた。煙突から後部艦橋までは火に包まれ、火の中から四番砲塔が発射する 砲煙が見えた。 その砲口が睨む敵艦も、また火と煙に被われているのが見えた。見ている内にまた新 たな着弾が発生し、火と大きな破片が飛んだ。 「山城が……、山城が……」 天野兵曹の声は泣いていた。山城も、敵戦艦も水柱と炎と砲煙に包まれてその姿はほ とんど見えなくなっていた。 「天野! 見張りは!」 中村兵曹は無理に声を張り上げた。だが決して中村も平気であった訳ではない。あの 壮絶な火と水の中で、かつて一緒に訓練に明け暮れた水兵たちが戦っているのだ。ひと つ火柱が立ちのぼる毎に、数人、数十人が形も残らないような戦死を遂げているのだ。 敵わぬまでも、敵戦艦に急降下して手持ちの爆弾を叩きつけたかった。しかし、そん なことは全くの無駄に過ぎないことなど解りすぎるほど解っていた。戦艦の装甲は、六 十キロ爆弾など野球のボールみたいにはじき飛ばしてしまうのだ。 「畜生……。畜生、畜生……」 中村兵曹は、歯ぎしりをしながら山城の上空を離れた。
226 :
馬 ◆t6512TRFE2 :02/11/04 10:40 ID:eSZ4f1j2
>>225 これぞ戦艦という感じですね。
楽しく読ませてもらっています。
頑張ってください。
士も艦も、死に場所を得るのは幸運なことです。
228 :
メカ沢 新一 ◆KRvc80AQ3A :02/11/04 15:35 ID:gQA4M4xe
おもしれえ−
229 :
名無し三等兵 :02/11/04 20:16 ID:lxCU/MPX
続編まぁ〜だ〜?
超えろ!準鷹スレッド!!
遊撃マリアナ沖海戦以来久し振りに2ちゃんで面白い仮想戦記を見たな
「艦尾、浸水止まりません!」 「四番砲塔。退避させろ! 消火まだか!」 「砲員が退避しません! 撃ちながら消火すると言って……」 山城の司令塔では誰もが声を限りに叫び交わしていた。そうしないと隣にいても会話 ができない。 既に被弾は六発から七発、至近弾はもう数えることもできなかった。艦尾の至近弾で スクリューが破損し、ひどい振動が発生していた。シャフトから大量の浸水が起こって いる。五番六番砲塔は使用不能になり、今四番砲塔が火に包まれて退避を余儀なくされた。 消火隊が火の中に突入しようと試みているが、二十五ミリ機銃の弾丸が弾けるので危険 極まりない状態になっている。 艦上戦死者は既に百人では済まない数にのぼっている。初めのうちは戦死者を収容場 所になっている浴室に運んでいたが、もうそんな余裕もない。その浴室では既に死体と 死体の一部が床一面に並べられていた。排水管からはおびただしい血が海面に流れ落ち、 漏れ出た重油と共に航跡を汚していた。
惨状では『レゾリューション』もひけを取っていなかった。 「副砲! どこ狙ってやがる! もっと近寄れ!」 一部の罐で火が消えたために、レゾリューションは八ノット程度でのろのろと進んで いた。 「速度が出ません! 艦長、これ以上直撃を受けると危険です!」 「阿呆! 危険が怖くて戦艦に乗っていられるか!」 その時右舷に二発の至近着弾が起こり、巨大な水柱で艦橋からは何も見えなくなって しまった。そして艦を揺さぶる衝撃で、立っていた全員が床に投げ出された。 「直撃か!」 「よし! あれは入った!」 山城の司令塔で双眼鏡を覗いていた数人が声を上げた。 「弾着ぁく! 至近の近!」 奇跡的に生き残っている戦闘指揮所が声を張り上げたが、伝声管が破壊されていたの でその声は司令塔には届かなかった。 敵艦から約二十五メートル手前に着弾した九一式徹甲弾は、そのまま六七〇キログラ ムの鉄塊魚雷となって敵艦の船腹を貫通するのだ。まさしく山城の二番砲塔が放った二 発の三十六センチ砲弾が、水面下を魚雷のように突進してレゾリューションの喫水下を 突き破った。一弾はバルジの四分の一を吹き飛ばして、船体に若干の亀裂を発生させた だけだったが、もう一弾が船体を貫通して機関室で爆発した。
「左舷から魚雷!」 軽巡『ドラゴン』の見張り員が伝声管に向かって絶叫した。急回頭で激しく振られな がら、見張り員は双眼鏡を抱え込み雷跡を見続けた。前方を行く駆逐艦『スカウト』に 魚雷はむかっていないのか、それとも気がつかないのか。進路を変えずに日本の駆逐艦 に向かって砲撃を続けている。 「スカウトに魚雷に注意するよう……」 ドラゴンの艦長が言い終わらない内に、スカウトは大爆発を起こし数秒で海面から消 えてしまった。 「くそっ! 敵の駆逐艦はどこ行った!」 「反対側に回り込みました。戦艦との間に入るつもりです」 「主砲! 何してる! さっさと……」 『ドラゴン』の進行方向と背後に十本近い水中が次々と発生した。山城の副砲だ。も ともと決死の覚悟で突っ込んできた訳ではないので、ドラゴンはあっさりと退却を始め たが、そこに怒り狂った零観部隊が襲いかかってきた。 周囲の海面が真っ白になるほど銃撃が浴びせかけられ、対空砲火を撃ち始める前に六 十キロ爆弾二発の直撃を受けた。二ポンド四連装対空砲が爆発し、暴発した砲弾は六十 キロ爆弾の爆発よりひどい被害を呼んだ。
「機関室被雷! 浸水です!」 『レゾリューション』では、運良く生き延びた兵士が艦橋に報告した。直径五〇セン チを越す破孔から猛烈な勢いで海水がなだれ込み、瓦礫と化した汽罐とまだ息のあった 兵を溺死させた。 たちまちレゾリューションは左に傾きはじめた。 「魚雷だと!?」 「右舷に注水! まだまだ。まだやれるぞ! 撃ち返せ!」 「駆逐艦は何をやってる!」 「汽罐、全部アウトです! 発電機ももうダメです!」 二メートルも沈下し、ほとんど行き足を失いながらも『レゾリューション』は一番二 番砲塔で応射を続けた。電圧が低下したために砲塔の作動もひどく鈍い。 さらに山城の放った一弾が後部甲板を貫通して弾薬庫まで届いたが、そこは既に海水 で一杯であった。 「敵艦、傾きました! 水中命中です!」 「よーし。やった、やった」 満身創痍の山城では、まだレゾリューションが砲撃を続けていると言うのに、気の早 い凱歌が上がっていた。 「艦長。お見事でした」 「正直、ここまでやれるとは思わなかったよ。もう思い残すことはないね……」 艦長がそう言った時、レゾリューションが放った最後の射撃は山城の3番砲塔天蓋を 突き破って内部で爆発した。装填機に乗っていた砲弾が換装室に転落し、そこで砲弾と 炸薬が同時に爆発した。激しい炎と衝撃波が一瞬にして揚弾筒に充満し、炎は弾薬庫に までなだれ込んで数発の砲弾を誘爆させ、誘爆は数秒で弾薬庫全体に拡大した。 既にガイドから外れていた三番砲塔を吹き飛ばして火炎が迸り、次いで艦全体が海面 から持ち上がるほどの大爆発が起こった。 「山城が……」 空中にあった零観の搭乗員が、等しく同じ言葉を呑み込んだ。山城があった場所には 炎と黒煙でできた毒々しいキノコ雲が立ちのぼり、海面には衝撃波による白波のリング が発生した。千メートル離れた位置を飛んでいた零観は、高射砲で撃たれたような衝撃 に襲われた。
『レゾリューション』では艦橋が一瞬静まりかえった、やがてどこからかざわめきが さざ波のように拡がり、それは水兵たちの歓声となった。 「敵艦、爆沈しました。戦闘終了」 破片で額と両手を負傷したヴィリアン少将は司令塔に降り、司令塔のウィリス中将に 報告を行った。その少将を追いかけるように電話が鳴った。 「艦長です。浸水が止まりません、艦の傾斜は復帰不能です。総員退艦の許可を」 歓声をかき消して非常ベルが鳴り響いた。 駆逐艦『グリフィン』と『アロー』が甲板まで波に洗われ始めた『レゾリューション』 に接舷し、まずウィリス中将を移乗させた。ボロボロになった軽巡『ドラゴン』も接近 してボートを降ろした。 「一六四〇『山城』爆発轟沈」 神川丸からも、そのキノコ雲は見えた。 「生存者が見えるかどうか聞いてくれ。多分、いないだろうが……」 艦長が重苦しい口調で言った。 「それから、捜索が終わったら……。いや、もうじき日が落ちるな。全機、山城沈没地 点を通過、一航過だけで捜索して急ぎ帰艦せよ。『朝風』と『春風』に行ってもらおう」 夕暮れ迫る海面に一機また一機と零観と九四水偵が着水し、揚収された。多くの搭乗 員は機体が航空甲板に載ってからも、なお機を降りようとはしなかった。中村兵曹は甲 板に降ろされた衝撃で我に返り、のろのろと安全帯を外した。 翼からステップに降り、飛行帽を脱いだ。耳の中ではまだ発動機の唸りが鳴っている。 顔を上げれば嫌でも形が崩れたキノコ雲を見てしまうので、俯いたまま足下だけを見て 歩いた。揚収を指示する甲板員以外、誰一人として声を発する者はいなかった。 最後に着水した零観が、海面から水兵に何事かを叫んでいた。その水兵が艦橋に向か って叫んだ。 「報告! 敵、軽巡が向かって来まーす!」
>シヴァの。。。 あんた最高!過去のレス全部メモ帳にまとめて読んでるよ!
(貧)氏。 ありがとう。俺は猛烈に感動している。
(貧)氏AGE! < 大文字で >
「わたしはこうしてこの生暖かい海原へとやって来た。 大英帝国海軍 レゾリューションとの砲撃戦の末、相打ちの形でこの印度の海にわたしの 祖父たちの青春と苦闘の日々と、そして千人以上の戦友と共に彼女は眠る。 『お疲れ様です、ゆっくりと休んでください』 わたしはそういって花束をこのいくさ舟たちが眠り続ける 墓標へとささげ、祈った。」 ディエゴ ガルシアにはいま、某I国に対する攻撃部隊が着々と集結しつつ ある。 わが日本の14500トン級護衛艦「やましろ」もふたたびこの海にやって くることになったのは運命の皮肉なのか、、、 「午後四時四十分です、山城の沈んだ時刻ですね。」同行者の声に 振り向いたわたしはインド洋のかなたに沈みつつある夕陽の方向を見据えて ただ手を合わせ続けていたのだった。 さようなら おじいさん さようなら やましろ、、、
神川丸はどうなったんだろう。
>>241 おねだりしたらいいことあるかもしれませんよ!
「おい、神川丸を活躍させよや!」みたいなスレがあったら……。
ちゃうか。
243 :
第4南遣艦隊(貧) :02/11/06 22:03 ID:G2/mCdsy
……。済みません、まだ続くんです。 終わりには『完』付けますので。敬礼
艦内が一斉に色めき立った。 「爆弾! いや燃料が先だ!」 零観はどれも揚収したばかりで、整備兵がまだスパナを持ってもいない時だった。敵 艦隊も戦場を去ったと油断して、神川丸は丸腰同様であった。 「揚収急げ! 吊り上げたら全速だ。艦尾砲戦準備!」 海面では偵察員があたふたと上翼に上り、翼の中から揚収索を引き出してクレーンの フックに手を延ばしていた。飛行士の芝田一飛曹は、軽巡がやってくる方向を見、神川 丸と翼の上にいる安倍兵曹を交互に見た。 その様子は、神川丸から見下ろしている搭乗員たちに不吉な予感を覚えさせた。機が うねりで揺れるので、安倍兵曹はなかなかフックを掴めずに苦労していた。 突然、芝田一飛はまだ停めずにいたエンジンを全開にした。零観がぐいと動き始め、 安倍兵曹はバランスを崩して主翼と尾翼の間から海に転落してしまった。 「安倍兵曹! 済みませーん!」 芝田一飛が海面に頭を出した安倍兵曹に叫んだ。 「やめろー! やめるんだ!」 手を振りながら滑走を始めた零観に向かって、神川丸の甲板中から一斉に声が上がった。 芝田一飛が何をしようとしているのか、あまりにも明らかであった。 「馬鹿だ、あいつ。爆弾もないのに」 「撃ち落とせ! 撃ち落としても行かせるな!」 甲板は騒然となった。搭乗員はどやどやと艦橋最上部に押しかけ、もう点になってし まった零観と水平線に見えているもう少し大きい点を凝視した。
ヴィリアン少将は可能な限り傾きを増す甲板を走り回り、まだ息がありながら身動き できない負傷者を水兵と共に救出して廻った。 「少将! もう退艦してください!」 ウォーターマン大佐が艦橋から降りてきて呼びかけた。 「『ノーサンキュー』なんて言わないでくださいよ! 私だって脱出するんですから!」 「言うものか! 私は空母を指揮したいんだ」 半分滑り落ちるようにヴィリアン少将は左舷に下り、膝まで海水に浸かりながらボー トに引き上げられた。少将の足がまだ海中にある内にボートが全速で走り始めたので、 危うく少将は海に引きずり込まれるところだった。 「急げ! 逃げろ!」 ウォーターマン大佐に命じられるまでもなく、操船員は全開のスロットルレバーをさ らに押していた。1秒でも早く、1フィートでも遠く艦から離れなくてはならないのだ った。 『レゾリューション』の傾斜は四十度を超し、甲板からも構造物からも様々の破片が剥 がれ落ちて海面に降り注いだ。 ヴィリアン少将とウォーターマン大佐が駆逐艦『グリフィン』に移ると、グリフィン もさらに『レゾリューション』から離れた。全員に熱い紅茶とタバコが渡され、レゾリ ューションの搭乗員は皆後甲板に集まっていた。
「お茶が切れそうだったので出撃したと言うのは、本当ですか?」 ウォーターマン大佐がヴィリアン少将に訊いた。 「本当の事ですよ。フライドエッグのサンドイッチと紅茶がなくなったら我々は戦えま せん。私がソマヴィル大将にそう言ったんです」 「ビター(ビール)が切れるのも困りますな。他は贅沢言いませんが」 「艦長はコーヒーと白パンだけの食事でも平気ですか?」 ウォーターマン大佐は紅茶のカップに目を落とし、肩をすくめた。 「白パンは良いですが、毎日はお断りですね」 「大佐!」 『グリフィン』の士官が彼方を指さし、双眼鏡を手渡した。 双眼鏡の視界の中で『レゾリューション』はゆっくりと横倒しになった。艦の傾斜が 限りなく九十度に近くなった時、ラックに横向きに置かれていた十五インチ砲弾が一斉 に滑り出し、今は床となってしまった向かい側の隔壁に激突した。 四キロ離れた『グリフィン』でも、その大爆発は皆を震え上がらせた。
>ラックに横向きに置かれていた十五インチ砲弾が・・・激突し・・・大爆発 ぅぅぅぅ、展開的にはイイんですけど、信管装着は装填の直前でしょ? だとすると、隔壁にぶつかって爆発は無理があるのでは。 艦内に漏出した燃料が浸水の表面を漂い、その燃料に引火する。 艦の沈下と傾斜によって、第二甲板以上から首尾線方向に浸水が拡大。 それにともない、浸水面の油火災も広がり、やがて砲室も延焼、 引火→誘爆→轟沈という想定なら、まだしものよな気がします。
>>シヴァの葬列氏 PDF化やろうか?今ならバイト先の資産が使いたい砲台。
>>248 これは掲示板用だそうで、テキスト版はまた別だそうです。
(前のほうのレス参照)
>247 ご指摘ありがとうございます。 「砲弾ラック」の件は昔読んだ本で(「丸」だったと思う)大和の水中爆発を 検討している中で出た話しです。大和は砲弾を垂直置きしていたので転覆した 時に砲弾が滑り出して爆発した、従来の戦艦は横置きなので横倒しになると 爆発してしまうと言った内容でした。 信管装着の件は私も少々疑問には思っていたのですが・・・。あ、山城の砲尾 で三式弾の信管調整やるようなエピソード書いちゃってる、うわ〜。 >大渦よりの来訪者様 >戦艦太郎閣下 冬コミでこれのオフセ版出そうかな、なんて考えちゃってますが。 許可いただけますでしょうか?
>248 アンタはねこたまスレッドを何とかしれ!!
>>(貧)氏 著者権者ですから、それは自由です。 そんときはぜひおじゃまします。
神川丸を追ってきたのは英艦隊の最後尾にいて戦闘に加わることができずにいたオー ストラリア海軍の『ホバート』だった。戦闘海面を迂回して山城の背後に抜ける航路を 取っていたため、こんな時になって現れたのだった。 単機で襲いかかってきた芝田機に対して『ホバート』は対空砲火を打ち上げつつ回避 行動を行ったが、芝田機が二度目に襲撃した時には翼下に爆弾がないことを見破ってし まった。 三度目の急降下に対して、もう『ホバート』は回避行動を行わなかった。 「あっ……。やった!」 神川丸の艦橋で、大型双眼鏡を覗いていた見張り員が叫んだ。搭乗員たちも一斉に沈 痛な呻きを漏らした。双眼鏡がなくても豆粒のような敵艦に「ぱっ」と黒煙が立ちのぼ ったのが見えた。芝田一飛が体当たりを敢行したのだ。 「あの……。馬鹿野郎……、馬鹿野郎が……」 安倍兵曹が手すりに額を打ち付けながら呻いた。 芝田一飛の零観は、ホバートの二番砲塔に命中し火災を発生させた。砲塔の中にいた 兵員は無事だったが、二番砲塔は動かなくなり艦橋のエリコン機銃員が破片で負傷した。 しかし回避行動を行ったために、目標であった神川丸はもう水平線に消えようとしていた。
「これは……。夜中まで奴さんが諦めなかったら、追いつかれるねぇ……」 艦長が言った。神川丸のはるか後方に見える小さな明かり、それが『ホバート』だった。 『神川丸』の逃走は陽が落ちてもなお続いていた。二十ノットも出ない神川丸に比べて ホバートは二十九ノットである。神川丸が商船改造軍艦と知って追跡を続けているのだ。 痛いほど冴えた月光の下で、あくまで静かな命がけの鬼ごっこは続いた。 駆逐艦に救援を依頼したが、まだ姿は見えない。通信ではそれほど遠くはない位置まで 来ているはずなのだが、月が眩しいのが逆に災いして発見できないでいるのかも知れない。 艦尾の砲にはずっと砲員が詰めているが、何と言っても大正時代の十五センチ砲だ。 正規軽巡と撃ち合って勝てる筈もない。いざとなったら残っている零観を全部射出して 戦うしかないだろう。この明るさならば攻撃するのに不自由はない、しかし攻撃を受け ても軽巡が追跡を諦めなかった場合には、零観を回収する方法がなくなる。 搭乗員も全員が飛行服のまま、待機室のベンチに座って眠っていた。 「艦長……」 艦橋に椅子を出して仮眠している艦長のところに、疲れ切った様子の通信士が艦橋に やって来た。 「変な通信が入っているのですが」 艦長は目をこすりながら通信文を見た。 「方位三七にて直進せよ、敵艦の照射を頼む。『洞爺艦長』」 艦長はもう一度目をこすり、電文を見直した。やはり文面は変わりない。 「『洞爺』って船は何だ? 聞いたことがないが」 「さあ……」 艦橋にいる者も通信員も、首を傾げるばかりだった。
「艦長。それから……、この通信は暗号ではなく、平文で送られて来ました」 艦長も士官も、腕を組んで呻るばかりだった。作戦に関する指示を平文で発信する軍 艦などあるはずがない。しかし敵の策略にしてはあまりにも稚拙だ。それに海図で調べ ると、その進路は真っ直ぐシンガポールへ向かうのだった。 「どっちにしろ前に敵がいたらお終いだ、味方なら助かるかも知れん。どうせ行く先は シンガポールしかないんだ。進路変更、方位三七だ!」 神川丸はわずかに変針し、直線でシンガポールを目指した。 「ところで、こっちで照射しろってのはどう言うことだ?」 「探照灯がないんじゃないですか?」 「そりゃどんな軍艦だ?」 「さあ。何しろ初めて聞く名前です」 艦長の思考を、何かが一瞬かすめた。 「まさかな……」 「艦長。『洞爺』から返信です」 指示通りに進路を変えたことを伝える暗号文を送ったのだ。暗号が解読できたのだか ら恐らく日本海軍の船に間違いはないだろう。 『二時間後に会合予定。敵艦との距離を三〇分毎に知らせよ。我とすれ違い後すぐに照 射を開始せよ』 「敵さんを追っ払ってくれるらしいな」 しかし『洞爺』と言う艦名からでは艦種が何なのかも判らない、全くもって不可解と しか言えない。
>>(貧)氏 あなたの小説はクスリ並みに効きます。(藁
おおっとうとう旧矢矧が登場するんですか
>>(貧)氏 おぉ!これはいい!もう、毎日が楽しみです!
二十二時になろうとしている頃、神川丸の後方から「ポン」と小さな音が響いた。艦 橋で仮眠していた艦長が飛び起きた。 「来た! 撃ったぞ!」 神川丸の艦橋がざわめいた。傾いた月の光で、軽巡からは照準しやすくなったのだろ うか。 数十秒後、『ホバート』の初弾は後方五百メートル、右に二百メートルの海面に着弾した。 夜の水柱は、月光を受けて白銀であった。レーダーを積んでいなかったのが神川丸にとっ て幸いした。 「艦尾砲、射撃始め!」 神川丸が初めて経験する撃ち合いであった。その砲炎は、神川丸自身をも鮮やかに照 らし出した。『ホバート』より口径だけは大きいものの、照準器も砲自体も骨董品である 神川丸の着弾もあさっての方向に美しい水柱を作った。 「だめだだめだ! 全然届かん、撃ち方やめ!」 無駄弾を三発も撃ってしまい、艦長は憮然とした表情だった。敵の発射も最初の1発 きりであった。 「しまった。奴さん、こっちに撃たせて距離を測ったんじゃないのか?」 今のところ月は神川丸の斜め前方にある、海面が光るので追う側にすれば視認し辛い はずだ。こちらの砲炎で正しい距離を測ったのかも知れない。 「眠気覚ましにぶっ放したのかも知れませんよ」 確かに神川丸では全員飛び起きてしまった。航空甲板では零観の搭乗員が発進させろ と騒いでいる。士官が下りて行き、敵の威嚇射撃だと説明した。 その後、時々思い出したように1発2発と撃ってくる。逃げても無駄だとでも言いた いのだろうか。
「敵艦との距離。一万五千です!」 「そろそろ……、かね……」 一弾でも航空機甲板に命中すれば、燃料満載の零観はたちまち全機が燃え上がり、神 川丸はかちかち山のタヌキになってしまう。 「全員体当たりしますよ、多分……」 「飛ばさないで戦死させたら、あの世で袋だたきにされるだろう」 艦長はもう一度双眼鏡を覗き、それから発艦指示を出そうとした。その、シンガポー ルに繋がる水平線に何かが見えたような気がした。 「見張り所! 前方に何か見えないか?」 伝声管で艦橋上の見張り所を呼んだ。 「はい! 雲……、でしょうか。まだはっきりと……。黒雲のように見えます」 こんな夜中に雷雲が発生するはずがない、それに進路上のスマトラ島は、まだ千キロ の彼方であった。ではあの黒雲は何か。 『ポン』がまた聞こえた。明らかにさっきより音が大きくなった。 「艦長!」 士官が言った。言いたいことは解っていた。 「発進待て」 「近弾!」 窓から後方を見ると。船尾の後ろ、三百メートルほどのところに水柱が立っていた。 「船尾、砲戦始め! 当てようなんて思うな! とにかく撃ちまくれ」 「艦長!」 艦長は、顔色を変えている士官の肩を叩いた。 「あと十五分、何が何でも逃げ切るんだ。何が来たのかやっと判ったよ」 「……、何が来たのですか?」 「日露戦争に遅れて、この戦争には遅すぎた猛者だよ。防護巡洋艦さ」
「そんな物が……」 言いさして士官も気がついた。 「それじゃ、あの雲は……」 「前方より……。あー、何か来ます!」 見張り所が戸惑っていた、何が来たのか判然としなかったのだ。 「船首砲、前から来るのは味方だ! ちょいと歳とってるが日本の巡洋艦だぞ! 探照灯 準備! 合図したら後にいる敵艦を照らせ!」 今や艦橋の窓からでも『それ』は見えた。四本の煙突から真っ黒い煙をもうもうと吐 き出して疾走してくる二隻の骨董艦。旧防護巡洋艦『平戸』『矢矧』、今は哨戒艇『支笏』 『洞爺』であった。 「発光信号! ワレ洞爺と支笏。神川丸健在なりや?」 神川丸艦長は小さく笑い声を漏らした。 「『洞爺』に『支笏』か、また三景艦でも作るのか? それとも艦名が尽きたか。応答 『現在のところ被害なし。イギリス男はしつこくて困る』」 『洞爺』艦上では、吹きっ晒しの艦橋で艦長以下が徐々に接近してくる神川丸と、そ れを付け狙う敵艦を睨んでいた。 「機関室! もっと急げ! 間に合わない位なら爆発して果てた方がましだぞ!」 副長が伝声管に怒鳴った。機関長も負けずに怒鳴り返してきた。 「今二十七ノット出ています! いつでも爆発できますよ!」
262 :
名無し三等兵 :02/11/09 22:02 ID:LflCh5de
次に期待
263 :
名無し三等兵 :02/11/09 22:05 ID:hunnhOW/
面白
264 :
名無し三等兵 :02/11/09 22:09 ID:CIwW1kzj
常磐あたりなら、WW2では機雷戦用艦艇としてまだまだ現役だったよな。
ワクワク (*´Д`)
面白い。
防護巡洋艦。イイ! ただ、艦齢から言っても公試全速 の26ノット強以上は出ないかと… 「今26ノット出ています!公試時の全速ですよ! このオンボロ婆さんが!いつ釜が吹き飛んだっておかしくありません!」 (文才無くてスマソ) なんかでも良いんじゃないかと。 話の腰を折るようなんですが、 (なんかこう言う書き込みばっか) リアリティを追求して戴きたいと言う思いからです。 スペック厨みたいなんで書き込みづらいんですけど、 冬コミのオフセ本がそこらの仮想戦記(火葬じゃないです) より圧倒的に優れたものになりますようにと言う事で。 気に障られたら済みません。 只のスペック厨の戯言と言う事で、流して戴いても構いませんので… しっかり全部読んでますんで、茶々入れは勘弁とか御座いましたら ちっちゃく書いて置いて戴ければと思います。
後の参考になれば、 旧島風:38500hp/39ktから約22ktだから12000hp位ですか、1号哨戒艇時代。 102号哨戒艇も15000hp/25kt位だったとのことです。
ずっと楽しく読んでます。 登場人物のセリフですが、 267氏の>リアリティを追求して戴きたいと言う思いからです に同意です。登場人物、特に日本人にあんまりしゃれたコト言わせないほうが リアルな感じが出ていいと思います。全体的にはすごくいいですが。 225での「山城が……、山城が……」「天野! 見張りは!」 「畜生……。畜生、畜生……」 このやりとりなどとてもナイス! でも「イギリス男・・・」とかは余裕かましすぎっぽくてちょっと。 細かい事言ってスマソです。
↑ 人がせっかく楽しんで読んでるのに文句言うなや。
271 :
第4南遣艦隊(貧) :02/11/10 08:20 ID:7Ak/e7gP
>インベロ様 ありがとうございます。 公試全速後重油罐になったので、もうちょっと出るかなと考えました。 そう書くのならもう少し説明するべきでした。再考課題とします。 >大井三郎様 毎度どうも。「102号哨戒艇」ってお国を転々とした艦でしたっけ? >269様 もともと私は「アニパロ・ハードボイルドミステリー」者なので台詞に 変に凝ったりする悪癖が出ます。 確かに『イギリス男』は浮いたな〜、と反省。オフセ化の際は直します。 >皆様 長々お楽しみ頂いております“シヴァの葬送”はあと6レス位で完結いたします。 “戦艦山城物語”様、“悪乗り”様、亜細亜の曙”様。スレを独占してしまいま して済みませんでした、私も続きを待っております。
272 :
第4南遣艦隊(貧) :02/11/10 12:00 ID:JCpm8PvS
今『完』まで書き終わりました。何時間か寝かせてもう一度推敲後にうpします。 ちょっと合理性に欠ける部分が見つかったのでラストの部分を書き直ししました。 アドバイスいただいた皆様に感謝いたします。敬礼 >インベロ様 ご指摘の公試全速の部分、続きにちょっとフォロー入れておきました。 >270様 まあ、マターリとマターリと。穏やかに。
>>(貧)氏 もうすぐ連載も終わりですか……〆くくりを楽しみにしております。
一九一一年に進水した艦の、骨董品のカーチス直結式タービンは、今や最高出力を越 えて馬力を絞り出していた。ほぼ時を同じくして進水した艦ながら『支笏』の方はター ビン形式も違うしスクリューは四軸なのだ。『洞爺』は艦と乗員の気合いだけで突撃して いた。 「そら! もっと気張れ! 馬鹿野郎! スコップはそう使うんじゃない!」 自動給炭だけではなく、人力給炭まで行って罐を灼熱させていた。 「この役立たず共が! 俺たちが気張らないと大砲が撃てねーんだぞ! 艦に恥をかかせ る気か!」 「機関室! 二十七だと公試の全速より出てるぞ! 本当か」 艦橋からの伝声管が訊いた。 「水兵にも自分にも火がついて、ここは火の海ですからね! それくらい出ても不思議じゃ ないですよ! それより敵は見えましたか?」 「見えてる。もう神川丸が砲戦を始めてる。何とか間に合うかも知れん!」 機関士たちは汗まみれになり、手に火ぶくれを作りながら石炭汽罐に鞭を入れていた。 重油汽罐は既に性能一杯で、後は石炭罐がどこまで馬力を出してくれるかだった。 圧力計は全て赤針をオーバーして震えている。機関長は舌打ちをするとメーターに帽子 を被せてしまった。 「役立たず共! 故郷の八幡様に何と言って出てきやがった! 死ぬ気で働け!」 艦長は伝声管から漏れてくる機関長の気合いを聞き、併走している『支笏』を見やっ て言った。 「『矢矧』が合わせてくれている訳じゃなかったのか。本気になったら怖いものだな」
神川丸は精一杯の速射で十五センチ砲を撃ち出していた、無駄と知りつつ艦橋の二十 五粍連装機銃も曳光弾を吐き出している。 「敵艦との距離! 一万になります」 「探照灯! 照射はじめ!」 予定より早いが、敵に距離を詰められてしまったので仕方がない。夜間に零観を誘導 するための百十センチ探照灯が『ホバート』を真っ白に照らし出し、照準を妨げた。 「敵艦確認! 距離、一万二千!」 『支笏』と『洞爺』の見張り員が同時に声を張り上げた。 「砲術長」 「ぎりぎり届くだけですが、威嚇にはなるでしょう。こうなると三番四番砲を降ろした のが残念ですね」 両艦とも哨戒艇となった時に雷装と三〜七番砲を撤去され、機銃と爆雷に替えられて しまったのだった。 「一番砲、撃ち方はじめ!」 前方で起こった砲炎に神川丸は驚いたが、ホバートはもっと驚いた。神川丸にばかり 気を取られて、迂闊にもその前方からやってくる二艦を見落としていたのだった。 慌てて速度を落として急回頭を行い、後部の砲で応戦しながら退却に移ろうとした。 前に撃てるのは一番砲だけしかなかったのだ。しかし、その間に距離は九千メートルに 詰まっていた。 「機関砲!撃ち方始め!」 『洞爺』『支笏』の艦橋後方から、巨大な火の玉が連続して吐き出された。二番三番砲 を降ろし、代わりに搭載されたものは『毘式四十粍連装機関砲』であった。 重量二トンの台座を人力で旋回させるため動作は遅く、ついでに弾の初速も遅いので、 とても飛行機など撃ち落とせる代物ではなかったが、でかくて遅い船なら外すはずもな かった。二艦合わせて八門の猛射がホバートを水煙で包み隠す。時々上がる命中の火花 を狙ってさらに十五センチ砲が撃ち込まれる。 魚雷発射どころか応射する余裕もなく、『ホバート』は煙幕を張って遁走するしかなか った。
「撃ち方やめ!」 二艦合わせて十五センチ砲四十九発、四十粍機関砲約二千発を発射して、ほうほうの体 で水平線に逃げてゆく敵軽巡を睨み付けた。 「戦闘終了。半速。機関長よくやってくれた。神川丸は無事だぞ」 「ありがとうございます」 機関長は汗まみれの手で顔を拭い、振り向いて腰に手をあてた。 「機関半速だ! お前等よくやった! 本艦は敵に大砲をぶっ放し、追い払うことに成功 したそうだ。艦長からお褒めの言葉を頂戴した。帰ったら溺れるほど呑ませてやるぞ!」 伝声管からもの凄い歓声が噴き出して、艦橋は一瞬戸惑い、それから笑いに包まれた。 旗艦を失った第四南遣艦隊はアンダマン諸島南方で集結し、シンガポールへと引き揚げ て行った。 翌朝。アッズ環礁から飛び立ったショートサンダーランド飛行艇はセイロン島近海を 哨戒飛行し、無事にポーク海峡を通過する輸送船団を確認した。 ドンドラ岬沖にはわずかの漂流物と油膜を除いて、激戦が行われた形跡は見あたらな かった。 『セイロン島南方に敵艦なし。これより帰投する』 空も海も、相変わらず眩しかった。
戦後、ヴィリアン少将(1959年大将で退官)は語った。 「『ドンドラ岬沖海戦』は、戦艦同士が直接照準できる距離で砲戦を行った、最後の海戦 ではなかったかと思います。 それ以後戦没した日本の戦艦は、不沈戦艦と呼ばれた『ヤマト』を含め、全て航空機に よる攻撃でした。『ヤマシロ』の僚艦である『フソウ』はとうとう終戦まで一度も出撃し ませんでした。たとえ出ても『ヤマシロ』のような戦いはもう望めなかったでしょう。 しかし、『ドンドラ岬沖海戦』は日本にとってほとんど意味のない戦闘でした。インド 国民に若干の厭戦気分を喚起させたかも知れませんが、インド方面の戦線に対して影響 は全くと言っても良いほどありませんでした。最大の貢献は、ドイツの期待通りに第8 軍の進撃を遅らせた事でしょう。それもわずか1ヶ月ほどでしたが。 私は、あの海戦の真価は参加した全艦が戦いを求め正面からぶつかり合った事だと思 います。戦艦も航空機も3倍近い劣勢を物ともせずに、真正面から英国艦隊に戦いを挑 んで大損害を与えたあの艦隊を私は生涯忘れません。彼等と戦った事は、私の軍人とし ての誇りであると思っています。 残念な事は、インドミダブルの艦載機を全滅させた水上機の実物を目にする機会がなか ったことです。ハリケーンとも互角に戦った恐るべき水上偵察機を調査できなかったの が非常に心残りです。 実際のところ、日本艦隊は低速部隊が出撃した時点で作戦を中断しシンガポールに戻 っても良かったはずです。あの時点でドイツに対する「義理立て」は充分に果たしてい たのですから。そうしなかったのは、彼等がインドの破壊の神に魅入られていたからか も知れません。そして我々も。『ヤマシロ』に誘い込まれるように破壊と破滅の踊りを踊 ってしまった……。今思い起こせば、そんな気がしますね……」 “シヴァの葬送” − 完 −
第4南遣艦隊(貧) 司令に、敬礼! ∠(゚仝゚) ビシッ!
場を提供いただいた『戦艦太郎』閣下と、励ましと助言を 頂きました住人の皆様に感謝申し上げます。 報告、作戦終了致しました。敬礼
素晴らしいです、結局扶桑は生き残りのようですね 続編書く他の職人さんに期待AGE
>>(貧)氏 お疲れさま! オフセ、楽しみにしております。 敬礼!
282 :
悪乗り :02/11/11 00:05 ID:???
>279 面白かった、有難う。 重ねて言うよ、あんた凄いよ。 こんなもん出されたんじゃ正直腰が引けてます。 手空き総員、上甲板に整列。 第4南遣艦隊(貧) 司令に、敬礼! 〆^д^)〆^д^)〆^д^)〆^д^)〆^д^)〆^д^)〆^д^)〆^д^)
4KFチヨ殿 大変面白かったです、ありがとうございました。 今回のおはなしは、海上戦力に対して、非常に示唆に富んでいたと思います。 戦艦1、駆逐艦5、水上機空母1、謎の巡2、と支援艦。 ありがとうございました。
284 :
名無し三等兵 :02/11/11 00:50 ID:6Kn8dbMw
大変面白かった シヴァの葬送氏ありがとう。 そして 次回作に期待
285 :
名無し三等兵 :02/11/11 01:30 ID:1QoVIgQa
良スレage
皆様、重ねてありがとうございました。 神川丸の零観部隊はシンガポールに残留となって新しい機体を受け取ります。 大打撃喰らった英国艦隊はしばらくマダガスカルから動けないでしょうね。 んで日本側には石炭で動く変な巡洋艦が2隻あって……。 ん〜〜。ニヤリ
イイ!
とても面白かったです。 次回作が楽しみです。
遅くなりましたが、物凄く面白かったです。 自分の意見まで嫌な顔一つせずに取り上げていただき、 誠に有難う御座いました。 終わり方なんて最高です。「旭日旗、行く」を思い出しました。 (あ,でも仮想戦記読んでいらっしゃらないんですよね。) オフセ本、楽しみにしています。どうやら冬コミ行けそうなので… PS:次回作も楽しみです。 >>ALL 話の途中でのお目汚しすみません。 見逃してくださって有難う御座いました(笑)。 この2ちゃんらしからぬスレを立てた戦艦太郎閣下と 素晴らしい時間を提供していただいた第四南遣艦隊閣下に感謝を込めて。 (いやまだ居座りますが) 有難う御座いました。 ∠(゚ー゚) ピシッ
各員へ (貧)氏へは、中途で終わっている作品群を献じることが一番の賞賛となるであろう。 キタイシテスヨ!!
291 :
名無し三等兵 :02/11/12 09:39 ID:nULYlbFu
扶桑ネタ希望age
結構しぶといな、このスレ。
さて、次の連載は……ワクワク
294 :
名無し三等兵 :02/11/13 00:01 ID:zMR1cATR
次期連載の勢いがでるまで、なんかネタが必要かも そこで、しょうもないネタをおひとつ 山城、扶桑が18年末に海上護衛総司令部に大鷹などと一緒に移された場合、おまいらなんとか活躍させる方法がありますでございましょうか。
18年末か……。
対B29用の海上砲台としてなら・・・、これも微妙ですね。 装甲を活かした諸島への輸送任務?それとも船団護衛?
>>294 大発を満載してサイパンあたりへ強行輸送とかどうでしょう?
で、そのまま乗り上げて陸上砲台として最後を・・・。 って、それじゃあ沖縄特攻とあまり変わらないか。
>>294 タンカーに化けて被雷請け負い艦になる。
改装するのが面倒なら舷側に「極東丸」と書いておく、「明石」でもなお結構。
でも、1−2本の魚雷で、あぼんする可能性が高いのでお勧めできるか・・・
ところで、ミッドウェイで加賀と蒼龍が生き残ったと仮定した編成作ってみました
(赤城はあぼん、飛龍はヨークタウンと刺し違え)。ソロモン方面には進出せず、
ギルバート、ラバウルのラインで米艦隊を待ち受けることと想定しています。
第3艦隊を大きく2つに分け、主力と前線常駐部隊として考えてます。
17年秋以降、アメさんがどう出てくるのか・・・
昭和17年7月14日連合艦隊編成(一部) 第3艦隊その1(内海西部) −第1航空戦隊(瑞鶴、翔鶴、蒼龍)−第3航空戦隊(加賀、龍驤、瑞鳳) −第11戦隊(比叡、霧島) −第7戦隊(熊野、鈴谷、最上)−第8戦隊(利根、筑摩) −第10戦隊 長良 −−第4駆逐隊(嵐、萩風、野分、舞風)−第10駆逐隊(風雲、夕雲、巻雲、秋雲) −−第16駆逐隊(初風、雪風、天津風、時津風)−第17駆逐隊(浦風、磯風、谷風、浜風) 第3艦隊その2(トラック環礁) −第2航空戦隊(飛鷹、隼鷹) −第2戦隊(扶桑、山城)−第6戦隊(青葉、衣笠、加古、古鷹) −第3水雷戦隊 川内 −−第11駆逐隊(吹雪、白雪、初雪、叢雲)−第19駆逐隊(磯波、浦波、敷波、綾波) −−第20駆逐隊(天霧、朝霧、夕霧、白雲) 軍隊区分は、その2の方については、第2、4艦隊司令長官どちらかの指揮下でもいいかも・・・ この艦隊の売りは、アメさんの出方によっては迅速に対応できるかも、くらいです。
今月のモデルグラフィックスで加賀1944つくってたねえ。
302 :
名無し三等兵 :02/11/15 19:39 ID:Y4cCqUsy
保守
303 :
第4南遣艦隊(陸戦隊) :02/11/16 09:11 ID:dnEFUpkm
報告 一一一五。コミケ上陸成功。 座標。一二二八(土)西地区“ち”18b 部隊名『えりる堂』 これより追加資料と当日目印にする零観のプラモを買いに出撃いたします。 敬礼
304 :
メカ沢 新一 ◆KRvc80AQ3A :02/11/16 20:22 ID:BE5j5a8y
おもろい・・・・
うーんスレが止まってる。 新小説きぼん。 >303 突撃させて頂きます。がんがって下さい!
作品途中の職人さんの復帰をお願いしたいですね。
レイテ沖をネタに何か書けないかと構想中…… 今、資料漁ってます。
何となく太平洋戦争後半を何もせずに過ごし、忘れ去られて本土決戦用警備艦にも指定されず、 どういうわけだか呉軍港空襲でも見過ごされ、ようやく存在を思い出した当局によって主砲を要 塞砲として撤去しようとしたところで終戦。 戦後も解体作業の順番後回しされた挙句ようやく取りかかったところで朝鮮戦争が突然始まり、 上陸作戦支援のため最低限の修理・整備のみ行われて戦場に姿を現した旧帝国海軍軍艦「扶桑」 「山城」。 連装6基12門の14インチ砲を振りかざす老嬢達に迫るのはかつてイタリア軍が愛した水中ス クーターにまたがる北朝鮮特務部隊。齟齬の連続で爆薬を失った彼らが選んだ選択は強行乗艦に よる白兵戦。立ち向かうは乗員不足で急遽召集されて乗り組んでいた旧帝国海軍特別陸戦隊・・・ なんて話を誰か書かんかノウ・・・
↑ワラタ。
310 :
名無し三等兵 :02/11/18 07:19 ID:jnhAyvkY
>308 成り行き任せっぽさが良い。
>>307 出撃直前に扶桑、山城にトラブルで出撃が丸一日遅れる
愛宕への雷撃で弱腰司令部全滅
これで十分でしょう
そういや、最近発売の某仮想戦記で山城が真珠湾特攻してましたな
そういえば、山城にA4ミサイルを積んだ話が2つほど。
山城大人気
山 城 必 死 だ な
山城必死だよ!そういうスレだもん(ワラ 老体にむち打つ山城、ボクァ大好きだなぁ。 あ、WW1のネタの続きプリーズ!
>>308 修羅の荒野に似たようなネタがあったでちね。
318 :
名無し三等兵 :02/11/18 21:30 ID:xN6jO538
山城の必死は終わったようなので扶桑の必死も見せてほしい。
>>317 ありゃ海岸にのし上げて砲台になるハナシでしょ。
どちらかというと後半は「沈黙の戦艦」ぽい雰囲気をイメージしてましたので・・
突然沈黙した旧帝国海軍の二隻の戦艦。必死に呼びかける米戦艦群。
万が一に備え16インチ砲の照準をピタリと合わされたその先で人知れず展開される激戦。
もはや国のためならず。ただ名誉のため・・・どうせ名誉のためなら突入部隊は北朝鮮特
務部隊というより北に雇われた旧イタリア軍特殊部隊なんてのもいいなあ〜。
でも最後はフネを占拠されそうになり、「ワレ山城。虜囚ノ辱メヲウケズ。目標『山城』
『扶桑』繰リ返ス!目標『山城』『扶桑』!」という悲壮な信号を発して壮烈な最期を
遂げる。
誰か書かないかノウ(w
320 :
a・゚・(ノД`)ヽ(゚Д゚ ) :02/11/18 23:19 ID:xALbtsh4
ここおもろいage
>>312 真大東亜戦争結構面白いですよねー
ただ、無理に特殊潜航艇を出した気がする。
43センチ魚雷数発だったらすぐ穴ふさがれる予感。
片舷に大井の51センチ魚雷斉射の方が萌えだったな。
(設定では降ろした事になってたけど)
キングストン弁での自沈じゃなくて、
横倒しとか真っ二つとかで沈没したら、復旧までに何ヶ月掛かるだろう…
ところで皆さん。扶桑と山城どっちが好きですか?
漏れは扶桑ね。
漏れはクルーガー(元・扶桑)。
漏れも扶桑。
俺は断然、山城!
325 :
お知恵拝借スマソ :02/11/20 12:29 ID:BpvFVBv1
扶桑級に30ノット出させるようなチューニソグありませんか? 缶替える? スクリュー替える? 重量バラソス見なおす? 艦首形状いじる?
326 :
名無し三等兵 :02/11/20 12:52 ID:lcuPEnd1
水兵総出でオール持って……。
327 :
お知恵拝借スマソ :02/11/20 12:58 ID:BpvFVBv1
ワラタ
328 :
大井 :02/11/20 14:59 ID:???
漏れは扶桑! がきの頃買ったプラモが、弟が山城、漏れが扶桑だったから。
漏れは吉岡平の「提督の決断―吼える四戦艦」を読んで扶桑に萌えを感じますた。
>>325 3番、4番砲塔を取っ払って、開いたスペースに
缶とタ−ビンを増やす。
あるいは蒸気タ−ビンはやめて、高馬力ディーゼルにするとか。
331 :
名無し三等兵 :02/11/20 19:15 ID:cNvWxOUC
何か話題がリセットされていませんか? まあレスが付けばそれはそれで良いんですけど。
332 :
名無し三等兵 :02/11/20 19:49 ID:nIE5zCb5
>>330 多分外すのは3番だけでいいと思う。
それでスペース的には金剛の13万6000馬力が乗るはず。
全長が短い分は球状艦首でカバー。
これで30ノットにぎりぎり手が届くかどうかにはなる。
333 :
名無し三等兵 :02/11/20 19:57 ID:k1Ty4/7A
334 :
大井 :02/11/20 20:27 ID:nEpnm6jF
>>332 比叡の実績を見ると、136000hpで30ktはきついでしょう。
L/Bは、金剛:7.1、扶桑:6.3、同じL/Bにするには水線長があと25m位必要。
(大和はバルバスバウで水線長3m節約したそうです。)
となると、排水量が増えるだろうし、どんどん悪循環の嵐が・・・
まあ、同じ位の排水量の、K.G.V.がL/B比7.1で110000hp/27.5ktが参考になりますか・・・
335 :
332 :02/11/20 20:48 ID:nIE5zCb5
>>334 言われてみれば……
ヴァンガードの馬力がそんなもんだからなんとかなるかと思ってました。
となると、ビスマルクが15万馬力なんで、そこまで上げれば確実でしょう。
その場合、ボイラー面積は大丈夫でしょうがタービンがちょっと不安。
うーん、結局4番も降ろさないとまずいかなあ。
>>335 重巡洋艦の機関部を搭載すれば多分平気です
(航続距離が6000海里ちょっとになる可能性も高いけど)
337 :
名無し三等兵 :02/11/20 21:14 ID:i6yLb7vr
>>336 日本近海に行動範囲を限定すれば問題なし?
>>335 島風の機関を2組積めば足りるかな?
いつの改装だという突っ込みと、5年くらいしか持たない、というもっともな意見は受け付けません。
339 :
名無し三等兵 :02/11/20 21:20 ID:nIE5zCb5
>>338 あんまりハイチューンのエンジンだと、耐久力とか以前にまず信頼性が……
ピンポンパンポーン ただいま、338は、まともな突っ込みを、お受け付けしておりません。
しかし、扶桑山城が14インチ10門で30ノットになったら、 実はそれなりに使えるかも。 夜戦に投入されてガダルカナルの修羅場がさらに凄惨に……
342 :
ラブリ〜♪山城、扶桑☆ :02/11/20 22:22 ID:Xknteb9L
無条約時代にさしかかってんだから、そこそこに戦力があってちょっと遅いけれども 信頼性が高い兵器が良く整備され、訓練を重ねて乗員の技量も高い船をわざわざいじくるために ドックを塞ぐより、新しい戦艦作れよ。馬鹿共が!
343 :
>338 :02/11/20 22:38 ID:Xknteb9L
島風の機関はWW2に1セットしか造られなかった超貴重な極上試作品だ。
342はイタリア海軍の話をしているらしい。
空母に汁
構想練り上がりました。執筆開始してます。 相当に穴だらけで御都合主義なのはご容赦のほど。 しかし、何レスになるか見当もつかない……(爆)
>>346 総領息子の大和ちゃんはおんもへは出してもらえないの。
餓島なんか近寄っちゃあ め!なの。
あぶないから。
349 :
名無し三等兵 :02/11/21 07:14 ID:R9a38yl8
>347 期待あげ
>>
351 :
根無し :02/11/21 12:51 ID:???
>>335 他サマ.
20年くらい前だったか,稚拙なウォーターラインシリーズの継ぎ接ぎで
夢中になって作ったことがあった.
3・4番砲塔下ろして機関増設,翔鶴級の16万馬力機関で,せめて28〜29
ノットに増速.
副砲は全廃して,その分,12.7サンチ高角砲を目いっぱい(確か,片舷
8基づつ)搭載.高射指揮所も片舷4箇所づつ.副砲ケースメートには
装甲板で蓋して居住区と弾庫,という想定.
要は,金剛クラスに速力は多少劣るが防御の優れた防空艦にすりゃイイ
っていう脳天気なノリで得意になってた.スレ話題みて,なんか懐かし
かったです.
おお!
皆さん回答有難う御座います。
>>332 様方
機関を変えるついでに某仮想戦記みたいに54口径砲に載せ変え。
(呉の一万五千トンプレスがあれば大丈夫でしょう。砲身命数は気にしない(苦)
又はコンティ=ディ=カブールみたいに砲身削って38サンチ砲に。
仰角43度まで引き上げて砲弾の置き方も縦に。
此れで速力30ノット、14インチ54口径砲10門(14.96インチ42口径砲10門)
のスーパー扶桑級が!装甲の事考えなければPOWとタメ張れますな。
取り合えず南遣艦隊の旗艦かな。POWとの殴り合いがみてみたい。
354 :
名無し三等兵 :02/11/21 16:58 ID:RATTOfOf
扶桑:高速戦艦化計画(やりたい放題) 工期:昭和10年−13年 @機関:朝潮型駆逐艦用を3隻分用意し、2組結合(大和の要領)し、3軸艦とする。 (もともとの機関室の配置は3軸艦にピターリ!) Aボイラー:艦本型9基を3列に並べ、区画は前・中・後の3つにする。 B主砲:ボイラー搭載のため4番は撤去(缶室と機関室を隣接させる)。 C船体:前に10m、後に10m延ばして水線長を231mにし、L/B比を約7にする。 D防御:水平防御を中心に、4番で浮いた重量約700t(2inVCで約178m×10m分)を防御にまわす。 以上で、公試排水量43,000t(長門位)水線長231m、幅30.8m、出力150000hp、速力30kt 主砲:356mm×10、副砲:152mm×16、高角砲:127mm×8、機銃:25mm×20くらいになるか・・・ 3番残してカッチョワリイのと、主機の寿命、そもそもの費用対効果についての突っ込みはお受け付け いたしません。
355 :
354 :02/11/21 17:04 ID:???
幅:30.8→33.08の間違い。
扶桑.vs.山城 -北海の決戦- 仮想率99% 偽装中の扶桑の垂直鋼鈑にクラックが発見されたことにより、建艦技術不審論が台頭。 扶桑は実験艦となり装甲こそ取りつけたものの主砲塔2基を乗せただけで英国に回航される。 扶桑の実験艦化により山城の建造は前倒しされ、扶桑へ加えられた改造をフィードバックし より洗練された艦として進水する。その後も扶桑は欧州をうろつきながら、技術者たちの 玩具とされていたが、そこへ第一次大戦が勃発してしまう。 その時、扶桑はツアイスの測距儀のテストでドイツのドックへ入渠していた。 ドイツに接収された扶桑に対し、「不忠艦とするのは忍びない」との陛下のお言葉により、 海軍は全力を投じ、山城と金剛級3隻を主力とした扶桑介錯艦隊が編成され、一路欧州を 目指し出撃した。 そして北海において日本を祖とする戦艦同士の戦いが今・・・ # 最強戦艦どうしの対決がコンセプト # ユトランド海戦に出現した扶桑に、その撃沈のみを任務にした日本海軍が襲いかかります # 扶桑の砲力は、山城をかなり上回るはずですがどうなりますか
357 :
お知恵拝借サソクス :02/11/21 18:23 ID:0X8jeoMX
とっても勉強になりました。サソクス
358 :
名無し三等兵 :02/11/21 20:25 ID:IsdIYFK1
高速戦艦として比叡だけは、練習戦艦から戻すときに、副砲を戻さず、 12.7サンチ89式連装高角砲10基を搭載してほしかったな。 あと大和の主楼塔のテスト、FCSのテストもやったわけだから、ついでに ディーゼル・フルカン継ぎ手による巡航機関を装備して巡航タービンを廃す、とかもやってほしかた、
扶桑介錯艦隊ワラタ
現在、10レス分ほど進んでおります。 七割くらい消化してメドがついた辺りから投稿開始予定です。 暫くお待ちください。
362 :
名無し三等兵 :02/11/22 18:10 ID:WNakznuv
関係ないけど提督3で、アメ側でやってたとき、本気でしたらすぐ敵が全滅するから 日本の侵攻したほうだいで、日本が戦艦とかたくさんつくったら艦隊決戦でもして楽しもうと 思ったら、燃料切れで日本戦艦山城以外全部勝手に沈んでました。。。 で、駆逐艦隊で襲撃したら、こっちの駆逐艦2隻道連れに。。。なかなかやりますね。 あと、イギリスが裏切りそうだったからイギリス戦艦と重巡を全部ハワイにおいて 航空隊の監視下に置いてたけど、逃げられて、結局イギリス戦艦17隻中心の艦隊と アメリカ旧式戦艦郡15隻と艦隊決戦になりました。壮絶で、旧式戦艦のいい死に場所になったと 思うけど、山城と扶桑がいなかったのが残念です。 って、独り言スマソ
手持ちの資料では情報が足りず、 とうとう光人社のレイテ沖海戦上下巻仕入れてしまいました…… とりあえず、全体の三割ほど消化してます。
364 :
名無し三等兵 :02/11/24 02:27 ID:eMMd5Tz/
うわー!そーいや提督の決断やってて、扶桑と山城が何やってたかなんて全然覚えてない・・ 空母に改造した覚えも無いし、クリアした時はもう無かったからどっかで沈んだと思うんだが・・ 現 実 も た ぶ ん こ ん な 感 じ だ っ た ん だ ろ う な
>扶桑,山城の有効活用 ヤパーリ、対陸上砲撃専用艦&防空砲艦だろ で、副砲と航空艤装(水上機とカタパルト等)を全廃して、対空レーダーと高角砲2〜4セット (1セット=連装高角砲×2+高射装置)増備汁! 艦の構造にまで手を入れるのは、時期的に不都合だと思うな
さて、自分の提決Vでは、扶桑山城は第一艦隊の立派な主力となり、 トラックに三ヶ月に一回ぐらい定期便の如くやってくるアメ公の機動部隊を迎撃してましたが。
367 :
名無し三等兵 :02/11/24 23:19 ID:LACrFlnd
>>365 第三、第四砲塔を撤去するほうがいいかもね
368 :
名無し三等兵 :02/11/24 23:34 ID:sQ3G93y0
第三、第四、第五、第六砲塔を撤去して貨物スペースにして陸兵満載。 逆上陸専用特攻戦艦扶桑、山城。
369 :
名無し三等兵 :02/11/25 00:10 ID:npXfr3T+
特々・16隻位と組ませると、結構つおいかも。でも、双方とも戦前か17年くらいから計画してないと・・・
370 :
名無し三等兵 :02/11/25 00:44 ID:hOmmbOeW
軍事はちょっと詳しい程度のものですが、提督の決断はやりこみました。 山城、扶桑は長門、陸奥、伊勢(空戦)、日向(空戦)と組ませました。 それに、鳳翔と龍鳳、飛鷹と隼鷹をつけ、大艦隊にしました。 空母は基本的に直掩機中心で敵空母部隊相手に艦隊決戦を挑んでいました。 山城、扶桑コンビは、序盤は南方進出にコンビだけでも使えますが 後半は、他の戦艦と組まないとちょっとキツイと思います。 自分は、艦隊保全主義者なので、万全の編成にしました。
371 :
名無し三等兵 :02/11/25 01:41 ID:PdjJ8X0w
扶桑級は6基も主砲塔があるからイイ!んだってことがわかってないやつが こうも多いとは。俺は激しく悲しいぞよ。 8門にして高速化とか、それじゃあ金剛と変わらんじゃん!つまらんじゃん! 36cm8門ってのは一番絵にならん主砲配置だじょ!そうは思わんか? なんだかひ弱いじゃん! そんな火力じゃあ米英のたいていの戦艦より非力じゃん! 伊勢も主砲12門で航空戦艦化できてりゃ最高だったのにー。 って、そりゃ無理すぎか。
ならば51センチ単装砲×4か 120センチ臼砲×2を搭載して突撃戦艦じゃ
むしろ開き直って後部艦橋撤去→ダミー主砲塔搭載なんてやってくれると まがまがしさ大幅アップですてき。 あるいは3番4番主砲無理やり3連装化とか艦尾延長で7番砲搭載とか。 そういう外見の凶悪さアップ重視の方向での改装こそ、山城扶桑には似合っている。 って、これじゃあ活躍は望めんな。微妙にスレ違いsage
>>373 356の独戦艦(旧扶桑)ならありかも
独式艦橋の扶桑萌え
延長した艦尾に一面に軌条敷けば零観8機くらい載るだろうな。 零観は11型乙(そんなのないけど)で前方機銃を片方13ミリにして、 3号爆弾の他に10キロ噴進弾なんかも積めて……。 ついでに甲標的も4隻ばかり積んだら敵の意表をついた攻撃いっぱい できそう。ほとんど宇宙戦艦……、ぐはぅっつ!!
とりあえず 改造するにしてもあの艦橋だけは聖域か(w
鋼鉄の咆哮1で扶桑もどきを作って使っていた。 ヴァイタルパートは延びて重くなるし、ボイラーの配置がきつかった。 あらはばきさんに勝てなかったのでそこで止まっている。 ……あの艦橋パーツが無ければ試みなかったんだがw
>>371 >8門にして高速化とか、それじゃあ金剛と変わらんじゃん!つまらんじゃん!
ほんとゴメン。目から鱗が落ちたよ。
>>376 オフコース!
379 :
名無し三等兵 :02/11/26 00:01 ID:P8dqpKzt
西暦2×××年。危機に瀕した人類がかつては海底だった場所から掘り出した 戦艦は、真っ二つに折れていた。 「これでは新たな宇宙戦艦のベースには使えない・・」 彼らは慌てた。相次ぐ宇宙からの攻撃によって現用の宇宙戦艦はほとんど撃破 され、資源もほとんど底をつき、新型の機関を搭載した新型戦艦は地中から掘 り出した旧時代の遺物を大改装して作り上げなければならなかった。 しかし使用可能と思われたたった2隻の戦艦のうち、今目の前にある1隻は真 っ二つとなっており、使い物になりそうもない・・ 「仕方ない、フィリピンに派遣したチームの報告を待つか・・」 そして最後の宇宙戦艦は誕生した。地球滅亡まであと365日。 急げ宇宙戦艦ヤマシロ!銀河の彼方、イスカンダルへ!
>379 ワロタ。
>>379 山城もジャックナイフで沈んだんじゃないかと小一時間(ry
382 :
名無し三等兵 :02/11/26 23:11 ID:P8dqpKzt
では宇宙戦艦「フソウ」の可能性は・・
大学の方が多忙のためなかなか進みませんが、現在25kBまで行っています。 全部で50〜60レスくらいになると予想してます(増える可能性大)
384 :
名無し三等兵 :02/11/26 23:34 ID:Xcdh79L1
たのしみあげ ところで、扶桑もまっ二つでし。
385 :
名無し三等兵 :02/11/27 00:07 ID:G6iqwXxa
では、扶桑と山城をニコイチにして、宇宙戦艦「ヤマソウ」でも作るか・・ なんか100円ショップみたいだな。
386 :
名無し三等兵 :02/11/27 07:43 ID:einiCQSs
>383 (貧)さんは83レスで200KBって言ってたけど どうしてそんなに容量に違いが出るんだろね?
考えてみると、200KBって文庫本一冊並みの容量だなあ…
>385 ニコイチ宇宙戦艦「フシロ」&「ヤマソウ」
白色彗星帝国の大戦艦みたいな格好していたら嫌だな・・・。<宇宙戦艦ヤマシロ
長門ならば水平に沈んだな。 おっとスレ違いだ。
(貧)さんは確かワードでのデータサイズじゃなかったっけ?
392 :
名無し三等兵 :02/11/27 22:15 ID:rqhLsxIM
何でもいいから宇宙戦艦たのしみあげ
はい。作戦当時はワードでのサイズでありました。最終的に278KBになりました。 現在一太郎に移植して加筆改訂中であります。一太郎でも250位になりそうです。 敬礼
>>390 さかさまにひっくり返っています・゚・(ノД`)・゚・
横須賀に鎮座しているじゃないか!宇宙戦艦三k(ry
現在、1レスあたり40文字×20行で書いてます。 これだと、だいたい1.4kB/レスってところですね。
>395 それは帝都防衛艦です。宇宙になんか出さないでくだちい
それじゃあ”宇宙戦艦”に使える戦艦は1隻も無いな。 大和、扶桑、山城、金剛 2つに折れている。 霧島、比叡、長門 逆さま 伊勢、日向、陸奥、榛名 解体 武蔵 ・・・知らないな、では”宇宙戦艦 ムサシ”で行こうか。
>>398 金剛は転覆して沈んだだけじゃないのか?
400 :
名無し三等兵 :02/11/28 22:15 ID:Y7ZeX/Jl
>>364 ニューヨーク沖合いで遠征艦隊扶桑、山城をB−25ミッチェル編隊の1000kg
爆弾投下と艦砲射撃で大火災・機関室浸水に追いこんでも沈まず友軍のたてになって
いる。
>>398 元戦艦でもいいなら朝日も使えるかもしれんぞ。
後でで合体すればよろし(w
そもそも提督3って扶桑級の改造できたっけ?
404 :
名無し三等兵 :02/11/29 00:14 ID:34DCCuZM
防空仕様なら
405 :
名無し三等兵 :02/11/29 08:02 ID:DBFqEEpY
宇宙帆船ムサシって漫画があったな。「イヴの息子たち」だっけ。
「宇宙戦艦ムサシ」 なっちのコア(公魚)が大昔に書いたやつ。 例によって超駄作。
何故そこまで宇宙に持っていきたがるんだw
海中戦艦ムサシ 今も太平洋のどこかを航行中・・・・
>>408 んー、何の本だったかな…思いだせんのだが、
そういう主張をしている香具師がいたな。
浸水していない区画の空気が浮き袋のように作用して、浮力を与えている。
そして、武蔵は、シブヤン海の激しい海流に乗って、海中をさまよっている…
ってなぐあいでね。
千秋だろ。
>408 海中に漂う武蔵をDQNエスパー3人がガメて宇宙船に改造するのが 「宇宙戦艦ムサシ」です
宇宙戦艦ネタを描いた士官はギンバエとみなす!!!!
残るは地中戦艦か? 上陸予定地に埋めこんで敵が来たら砲撃
合コンに松田千秋って名前のお姉ちゃんが来た。 いや、ただそれだけなんだけど・・・。
陸上戦艦「山城」 紅き砂漠に神を討つ。 何かカコイー。
「山城が怒ってる。森を傷つけたからだわ」
てか、レイテ戦で活躍する山城の話はいずこ・・・
>>419 申し訳ないです。水曜までロクに私事に費やせる時間が取れないもので、
現在殆ど一日一レスのペースになってしまっとります。
進んでは居りますので、今しばらくお待ちを。
順調に行けば、開戦記念日の週末が明けたくらいには
公開に着手できると思いますので。
水偵の操縦員が笛を鳴らすとついていくのでは(わ
>419 レイテで獅子奮迅させるとなると、あのままの装備で行けるか否かが問題に。 多分否となるから、すると支援戦力がどれだけあれば可になるか。 となれば。米の戦艦群がいなかったか、それとも電探射撃以前に米戦艦をこ っぴどくやっつける「何か」が必要です。 ネタ振れば書いてくれる職人さんはいますが、何かアイデアありますか?
424 :
419 :02/12/01 22:52 ID:???
>>423 いえいえ、某虚仮さんが既に執筆してますので、公開まだかな?という意味です。
>>425 突然の探照灯照射を浴び、夜間視力を失う山城。
その時、何処からか喇叭の音が・・・
母港に帰還すべく山城は喇叭の音に導かれて姿を消した。。。
だんだんメルヘン小説になってくるなあ(w
昭和18年、突如起こった大地震で時空が歪み、中部地方のとある地方に現代の ハイテク企業がタイムスリップされ突然現れた。 時代のオーバーテクノロジーを手に入れた日本軍部。 最新装備を備えた戦艦山城は歴史を変える事が出来るのか? などと支離滅裂な事を妄想した。逝ってきます。
二重反転スクリューの機関に換えたら少しは早くなるかねぇ? 水中翼船戦艦なんて無駄に凄そう。
430 :
銀バエ :02/12/02 19:57 ID:???
ちょっとまて、なにか忘れていないか? 旧軍の戦艦は艦橋が大きすぎるから、沈没する時逆さまになるそうだ。 ということは、艦橋が無い状態で沈んだ船ならばそのまま使えるはず。 そうだよ、未完成のまま沈んだ”土佐”があるじゃないか。 ・・・というわけで”宇宙戦艦 土佐”でいこう。 完全に板違いでしたね。
432 :
銀バエ :02/12/02 21:07 ID:???
しかし、そんなこと逝ったら大和だって扶桑だって・・・
そらアンタ、水線下がボロボロだから、波動エンジン積むの便利でねーの? 穴開いたとこから突っ込んでフタするわけだしw
うが……今、30レス/37kB超えたとこですが…… 扶桑・山城、全然主役になってません(笑) まだまだ一番最後になってしまう……
水線下ボロボロならいっそ取っ払って巨大な無限軌道を付けよう。
436 :
銀バエ :02/12/03 20:14 ID:???
あ〜っ、しまった、土佐には主兵装もなにも搭載されてなかった! 仕方が無い、ロイヤルネ−ビ−の”プリンス オブ ウェ−ルズ”を ぱちってくるか。
間違ってネルソンぱちらないでくださいね。
>>435 いや、無限軌道をつけるよりも空間軌道上を走れるようにして、目標はイスカンダルから
アンドロメダへ・・w
>>434 つまらんネタふりながら待ち続けてますw
ほかの連載途中の人たちはどうしたんでしょう?激しく続き希望
兵装なにもなしなら前面に航空甲板張って……。役にたたない……。 露天空母。 96陸攻でも積んで、サンフランシスコ爆撃に逝くか?
密かに期待しつつ保守
>>441 太平洋横断中に、九六式中攻が波にたたかれてあぼ〜ん。
三番砲塔は外さない方向でお願いします。 萌えが減少しますので。
【状況速報】 現在52kBです。予定通り順調に工程遅延及び延長が入りました(爆) 進捗率は約五割といったところですが…… 今週中には順次公開開始しようかと思っております。 「シヴァの葬送」と違って日刊掲載はどうなるか分かりませんし、 考証ミス多発の拙い文章ですが、気長にお付き合いいただければ幸いです。
>>445 大丈夫じゃ!
みな、心を宇宙のように広くしてまっておる!
>>445 とりあえず、(終わってから訂正してもいいから)、
週刊でもいいから書き込みするのじゃ!
448 :
名無し三等兵 :02/12/09 22:06 ID:xciSvbdQ
そうそう。(貧)さんだって指摘されて次レスでフォロー入れてたよ。 がんがれー!
「暁のデッドヒート」 星一つ見えない曇天の夜だった。 だが、墨を流したような闇に覆われているはずの太平洋は、眩い燐光と無数の炎に彩 られていた。 海面のそこかしこに、灯明のような炎が点されていた。一帯を覆う薄煙ごしに、それ らは本物の蝋燭の炎のように頼りなげに揺れ動き、瞬いている。そして周囲の海面に蹲 るように横たわった影からは、閃光とともに無数の光球が打ち上げられていた。 時折、空中で炎の色をした花が咲き、煙と炎の尾を引きながら海面へと落下して灯明 の群れの仲間入りをしていく。 ──いや、炎の中で散った若者たちにとっては、それは文字通り季節はずれの彼岸へ の送り火であった。彼らは、空間を飽和させんばかりの密度で飛来する炎の驟雨に晒さ れながら、自分たちが到達すべき目標──米海軍第三八任務部隊に向かって報われぬ前 進を続け、炎に焼かれ、次々と冥府へ旅立っていった。 陸海軍混成の夜間雷撃航空隊として編成され、比島での決戦に投入されるはずだった T部隊。その陸上航空戦力の結晶とも言うべき一団は、本来想定されていなかった戦場 で鉄量に砕かれ、灰と消えつつあった。 一式陸攻三三機、銀河二二機、天山二三機、飛龍二一機。合計九九機の攻撃隊のうち、 帰還したもの僅かに二十機。あとには未帰還率八十パーセントという惨憺たる数字だけ が残っていた。
「反復攻撃は中止する」 福留第二航空艦隊司令長官の言葉に、司令部には「やはりか」という空気が流れた。 昨夜おこなわれた米空母機動部隊への夜間攻撃の結果は、二航艦司令部に頭から冷水 を浴びせるような衝撃を与えていた。昨夜一晩だけで、陸攻三一機、銀河十五機、天山 十七機という膨大な数の機体と、基地航空隊の最精鋭を選りすぐった三百人以上の搭乗 員が失われた。加えて、帰還を果たした数少ない生き残りの戦果報告も、 「海面に爆炎発生を確認。敵艦に命中弾の可能性あり」 「敵艦らしきものに至近弾を得る」 「艦種不詳の大型艦らしきものに火災発生するを見ゆ」 といった明確さを欠くものばかりであった。ただでさえ少ない報告の内容がこのような ものばかりでは、実際の戦果のほどは甚だ心許ない推定しかできない。最精鋭のT部隊 が夜間攻撃を掛けてすらこの有り様であるのだから、それより技量で劣る他の航空隊が 昼間強襲を掛けたところで結果は火を見るよりも明らかだ。そう判断しての、攻撃中止 の決断だった。 「弔い合戦に意気込む搭乗員には気の毒だが、ここで徒に戦力浪費の愚は犯せない」 かくして、翌日からの台湾・沖縄方面における基地航空隊の活動は、もっぱら迎撃に 力点を置いたものが主体となった。ハルゼー機動部隊は約一週間にわたって悪鬼のごと く西太平洋を暴れ回ると、行きがけの駄賃とばかりに哨戒に出ていた伊号潜一隻を撃沈 し、中部フィリピン方面に対して航空撃滅戦を行うべく南進していった。
十月十四日。 「一航戦も連れて行く」 小沢治三郎中将は、そう決断を下した。 「雲龍、天城とも訓練未了ですが……」 「承知の上だ。だが、細かいのを何杯も添えたところで大物は食いつかん」 「母艦はともかく、搭載機の確保はどうされるおつもりですか?」 先の台湾および沖縄近海で繰り広げられた航空戦によって、第三艦隊は二航艦の要請 で陸揚げしていた母艦航空隊の少なからぬ数を失っていた。行動開始までに確保の見込 みが立っている機数は、相当に無理をしても一九〇機弱。瑞鶴二隻分に少々余る程度に 過ぎない。しかも、その大半は戦闘機だ。 「我々の任務は囮だ。肝腎なのは、空母がここにいるという事実だ。死んでいく乗組員 たちには申し訳ないが……」 捷一号作戦計画において、小沢機動部隊はフィリピン東方の米空母部隊主力を釣り出 すための囮だった。本来は三航戦と四航戦──すなわち、瑞鶴・瑞鳳・千歳・千代田・ 隼鷹・龍鳳の六隻のみを投入する予定だったのだが、瑞鶴の他は小兵ばかりで、機動部 隊としては小粒だ。そこで白羽の矢が立てられたのが、内地で編成中の一航戦だった。 新造空母の雲龍と天城で構成され、秋にはさらに同型艦の葛城と超大型空母信濃を編入 する予定となっている海軍期待の戦力だったが、実際にはマリアナで損耗した母艦航空 隊の再建には半年は掛かると見られており、一航戦は搭載機のあてもつかないまま慣熟 訓練だけを行っている状態だった。
十月二十四日の朝日が昇る。空模様は一面の曇天だった。大和・武蔵を中核とする 第一遊撃部隊第一群と分離してから、二日が過ぎようとしていた。 「……なのに空襲も敵潜の攻撃もなし。そろそろ比島も見えようかというのにな。はた して見つかっていないのやら無視されているのやら……」 訝り半分、苦笑い半分といった表情を浮かべる西村中将。彼の麾下兵力は、戦艦 扶桑・山城、重巡最上、駆逐艦満潮・朝雲・山雲・時雨というわずか七隻の小勢に過ぎ ない。もしも機動部隊から本格的な空襲でも受ければ、ひとたまりもなく殲滅されてし まうだろう。 もっとも、西村艦隊よりも米軍が食いつく率の高そうな目標は、フィリピン海域に二 つは存在しているはずだった。小沢機動部隊がうまく囮になれればいいのだが、もしも 敵が栗田艦隊のほうに向かってしまった場合は、小沢艦隊との共同作戦となるだろう。 「そのときは、我が扶桑・山城が突入の主役だ……栗田長官からは何も言ってきておら んか?」 「は。今のところまだ」 「そうか。対潜警戒は引き続き厳にな」 スル海は、不気味なほどの静けさを保っていた。 「前方に島影。ネグロス島です」 「レイテまで、あと一日か……」
……っと、とりあえず見切り発車で。 ここから本編の恐らく半分以上を費やしての長大な前振りが始まります。 道中どんな大チョンボが待っているやら知れたものではありませんが、 何とかやっていこうと思っております。
(・∀・)キター!! 待ってました! ストーリィは前振りが大事っす。楽しみに待ってます。
>453 やはり、小沢中将は反転するのでしょうか?
某虚仮さんがんばってください!敬礼
頑張ってください! >457 退役って… もう書かないんですか?(泣
空母8隻の超豪華な囮キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
「シブヤン海に?」 索敵爆撃スコードロンのSB2Cが送ってきた敵艦隊発見の報告は、合衆国海軍第三 艦隊を率いるハルゼー大将にとっては意外な情報だった。戦艦五隻を中心とする大規模 な水上艦部隊が、シブヤン海を東進しているというのだ。陣容から考えて、昨日潜水艦 ダーターとデースが報告してきた艦隊に間違いない。 「ルソン海峡を抜けて、本国からの空母部隊と合流するんじゃなかったのか」 「駆逐艦の航続力に不安があるのでしょう。日本軍は、ここ数ヶ月の間に艦隊随伴型の 高速タンカーを少なくとも七隻は失っているはずです。できるだけ近いルートを選択し たいと考えるのも無理はないかと」 参謀長の発言に、ハルゼーは頷いた。 「どっちにせよ、ロクに身動きも取れない内海に大型艦がひしめいているんだ、これは 絶好のチャンスだと考えていい。ミッチャーに連絡だ。攻撃隊発進かかれ! 十五分で 全部上げるんだ!」 ただちに、ミッチャー中将率いる第三八任務部隊に連絡が飛び、F6F艦戦二一機、 SB2C艦爆十二機、TBM艦攻九機の第一次攻撃隊が放たれた。続いて、彼らが第二 次攻撃隊の発進準備に掛かろうとしたまさにそのとき、ルソン島東方海域を捜索してい たSB2Cが至急報を送ってきた。 「エンガノ岬東方約二〇〇マイルに敵艦隊を発見。空母八隻、戦艦二隻、巡洋艦以下 約十隻。ベクター一−六−〇、十六ノット」 それを耳にするなり、ハルゼーの顔色が変わった。
ハルゼーは直感していた。 北の空母部隊こそが日本軍の本命である、と。 一面においてそれは事実であった。捷一号作戦の原案においては、空母部隊はその 搭載機の攻撃力を以って敵艦隊制圧の任に就くと同時に、主力に不測の事態が生じた 場合には、これに代わってレイテ湾の輸送船団および上陸部隊に対する攻撃をおこな うものと定められていた。 だが、十月十日から一週間余りに渡って繰り広げられた南西諸島方面での航空戦の 結果、陸揚げされていた母艦航空隊は百機をゆうに超える損失を出していたのだ。こ のため第三艦隊は著しくその戦力価値を減じていた。搭載機そのものはまだ一八〇機 以上残ってはいるが、このうち雷爆撃機は瑞鶴と隼鷹が搭載する二九機のみでしかな い。つまり、母艦航空隊の対艦・対地攻撃力は、事実上消滅したに等しかった。 無論、ハルゼーにしてみればそんな事情を知る由もない。彼にとっては、開戦以来 散々わが身に叩き込まれた日本海軍母艦航空隊の攻撃力こそがすべてであった。四ヶ 月前のマリアナ沖で大きなダメージを与えたと思っていたが、今回また八隻もの母艦 を繰り出してきたところを見ると、どうやらこの短期間で空母機動部隊の再建に成功 したらしい。 「敵ながらさすがの手腕だと言っておくぜ。だが、今度こそ終わりだ。一隻残らず海 に叩き込んでやるから、首を洗って待ってろよ!」 ハルゼーの口元にうっすらと笑みが浮かんだ。好敵を前にした興奮の表出だったが、 偶然それを目にした幕僚の一人は、蛇の視線に射られた蛙のような気分になっていた。
お?もしかして愛宕と摩耶は無事なのか?
ハルゼーは小沢艦隊に釣られて北へ。 キンケイドは栗田艦隊に釣られて、サンベルナルジノ海峡へ。 スリガオ海峡はがら空きで西村艦隊と志摩艦隊はそこを通過という感じなのかな?? 漏れが考えていたのはそんな感じの話なのだが・・・。
妄想もいいが、どうなるか、心してまとうぜ!
いっぽう、当の小沢艦隊ではちょっとした問題が持ち上がっていた。 「燃料が?」 「残念ですが、一駆連は帰すしかありません」 当初の計画では、隼鷹と伊勢・日向から駆逐艦に燃料を補給する予定だったのだが。 「内地配備の泣き所はこれなんだよなぁ……」 もともと、軽巡多摩および駆逐艦桑・槇・杉・桐で構成された第一駆逐連隊は、訓練 部隊として編成されたGF直轄の小艦隊を出撃直前になって急遽編入したものだ。 五五〇〇トン型でも最古参の旧式軽巡と二線級の松級駆逐艦という構成からも、この戦 隊が戦力としてカウントされていなかったことがわかる。訓練部隊であるからして、当 然練度も低い。 「油槽艦の損失が響いていますね」 南方資源ルートを航行する輸送船舶の損害は、ここ半年ほどの間に猛烈な勢いで上昇 曲線を描いて増大している。特に油槽船の損害は著しく、内地では燃料不足のために、 訓練すら思うに任せない状態だった。 小沢艦隊は、この影響をもろに被っていた。ただでさえ当初計画よりも重油の割り当 てを減らされていたところに、正規空母を二隻も増やしてしまったのだ。戦艦から駆逐 艦に補給できる燃料も、極めて限られた量となってしまっていた。随伴駆逐艦が半分に なってしまうのは痛いが、無い袖は振れないのだから仕方がない。 「やむを得ん。多摩に信号を送れ」 多摩艦長の山本大佐はずいぶんと渋っている様子だったが、やがて折れたのか松級駆 逐艦四隻を連れ、高雄に向かって退避していった。 小沢艦隊の直衛艦は、戦艦二・巡洋艦二・駆逐艦四となった。
「で、我々は結局どうすればいいんだ?」 志摩清英中将率いる第二遊撃部隊。重巡那智以下巡洋艦五隻、駆逐艦四隻を擁する軽 快部隊であったが、現在は完全な遊軍と化していた。いくら遊撃部隊と銘打っていると はいえ、本当に遊んでいては洒落にもならない。一応、事前の行動計画通り左手にミン ドロ島を見ながら南下を続けている。 場合によってはそのままシブヤン海に突入しなければならないポジションだけに、 最初のうちは司令部にも緊張感が漂っていたのだが、内地を出てから一週間近くにも渡 って敵からも味方からも事実上の音沙汰なしでは、いくら精強を誇る日本海軍といえど いい加減空気も緩み始めようというものだった。 「事前の命令に変更を行うとの連絡は入っておりません」 「結局、『レイテに突入せよ。方法は任せる』ってことかぁ?」 「そうするより他はありませんなぁ」 「とはいえ、栗田隊は随分と先に行ってしまったしなぁ……よし、このまま南下して西 村隊を追求。スリガオ海峡を抜けてレイテ湾に向かおう。航海参謀、計算を頼む」 多少遠回りになってしまうが、鈍足の西村隊にならスリガオを抜けたあたりで追いつ けるかもしれない。そう思って下されたこの判断が後にどのような効果を生むか、志摩 艦隊の誰も気付いてはいなかった。
>インベロ様 当面は他戦隊の活躍を見守りたいと言う事で……。 しばらくは江田島で釣りでもしています。 とは言え、今週末が印刷屋の〆切なので忙しいです。 改訂3稿を本日打ち出して電車の中で読み直し、80P以上あるので 持っているだけでも大変です。
五十鈴と・・・・あれ? 那智・足柄・阿武隈・・・ん? かなり楽しみになってきてますヽ(`д´)/!
>>467 この手のお話を書くのは初めて、とおっしゃる割には良くまとまっていますね。
別ネタで文章を書き慣れている、という印象を受けました。
前レス読みましたが、初日&非ミリジャンルでのご参加だそうですね。
初日は意外にも回り先が少なかったので、ぜひまとめて読んでみたいと思っています。
いよいよ当日が近づきましたら、配置を教えてください。
>>468 小沢艦隊の巡洋艦は防空巡「五十鈴」と軽巡「大淀」だから2隻でヨシ。
「被害はどの程度だ?」 「武蔵に魚雷が一本命中しました。バルジで食い止めており、航海には支障ない模様 です。あとは、本艦と長門に至近弾が数発あった程度です」 伝令の混雑の割には情報の伝達は迅速だった。第一遊撃部隊と第一戦隊、二つの司令 部が同居する大和の艦内は、定員を大幅に上回る人間によってごったがえしている。 小柳参謀長の報告に、栗田中将は胸をなでおろした。さっき武蔵に水柱が立ったとき にはどうなることかと思ったが、やはりそこは大和級戦艦、この程度の打撃では小揺る ぎもしないようだ。 「対空警戒態勢を維持。今の一波で終わりということはあるまい。このままシブヤン海 を突っ切るぞ。一隻の脱落も出すな」 「宜候」 だが、栗田艦隊への空襲は、第一波の四二機だけでぱったりと止んでしまった。日が 傾き始める頃にはマリンドゥク島を指呼の距離に収めようかと言う海域にまで差し掛か ったが、空には飛行機どころか海鳥一羽飛んでいない。 「来ないな……一体どういうことだ」 「罠とも思えんが……」 「連中、弁当でも食べているとか……いや、まさか」 あまりといえばあまりに拍子抜けの事態に、小柳参謀長からまで似合わない冗談が飛 び出す始末。 「とにかく、対空対潜警戒を厳にせよ。敵陣で何があったかは知らんが、いずれにせよ 必ず敵は現れるぞ」 栗田が、白け始めた場の空気を引き締めるように命じた。
ハルゼー艦隊は、敵襲の真っ只中にあった。ヘルキャットの防衛ラインをかいくぐり、 猛烈な対空砲火を突破して来たのは、液冷エンジンの急降下爆撃機と大型の雷撃機。中 には、双発の中型爆撃機まで含まれている。彼らは二航艦の基地航空隊だった。 次々と火網に絡め取られながらも、日本軍機は進撃を止めなかった。落としても落と しても、次々と湧いて出てはしゃにむに突入してくる。目標は、シャーマン少将の第三 任務群。 「いいぞ、どんどん撃て! 奴らを寄り付かせるな、マリアナ沖の二の舞にしてやれ!」 五インチ両用砲が、四十ミリ機関砲が、唸りを上げて砲弾を送り出す。横殴りの吹雪 と称して相違ない密度で飛び交う各種の火箭。輪形陣に突入しようとした彗星や銀河が 片っ端から炎に包まれて海面へ突っ込み、あるいは空中で爆発四散して果てる。マリア ナ沖で猛威をふるった射撃管制レーダーと近接信管は、ここでも存分に本領を発揮して いた。 だが、砲弾の威力そのものが上がったわけではない。突入してくる攻撃機に致命傷を 与えることはできても、時速三百キロ以上で突進する重量数トンの物体を完全に粉砕す ることはできなかった。 この隙を突いて、一機の銀河が突っ込んできた。左主翼が半ばから吹き飛び、機首の キャノピー部は無残に叩き潰されている。両翼のプロペラは、もはや空気抵抗によって 空転しているだけだ。三名の搭乗員も全員戦死し、完全に死に体の鉄塊。だが、その落 下する先にはしっかりと軽空母プリンストンが捉えられていた。
17日くらいまで死ぬほど忙しいです…… 一応、土曜日の夜は確実に更新するつもりではいますが、 それ以外は大学からだと串規制でカキコできないため 休載の可能性があります……
(´ー`)y~ マターリ待ちまつ。
待ちますよ〜、名作のためなら。
「敵機一、プリンストンに突入──あぁっ、神様!」 見張り員の報告は、途中で悲鳴に変わった。 「何だ、何が起きた!?」 突如輪形陣の中で上がった火柱。それに伴う衝撃波が、シャーマンを高揚状態から現 実へと引き戻した。 たった今までプリンストンの存在していた位置には、巨大な火柱が発生していた。 八百キロ航空魚雷を抱えた銀河は彼女のアイランド脇の飛行甲板に斜めから着艦する ような角度で激突し、飛行甲板に半ば埋もれるような位置で弾倉に抱えていた魚雷を炸 裂させた。 なんとも間の悪いことにプリンストンの甲板上では、栗田艦隊への第二次攻撃隊とし て出撃準備中のTBMアヴェンジャー雷撃機四機が雷装のまま待機していた。飛行甲板 とギャラリーデッキの両方で発生した爆風は、瞬く間にこの四機を巻き込み、ここから 生じた新たな爆炎は、排水量一万トンの艦全体を呑み込んだ。そして格納甲板でも連鎖 的に誘爆が発生するに及んで、哀れな軽空母の上構は完全に吹き飛ばされた。露天甲板 と化した格納庫から猛烈な勢いで火災炎と黒煙を噴出しながらプリンストンは燃え続け た挙句、三十分後に雷爆弾庫の誘爆が発生。消火と生存者救出のために横付けしていた 巡洋艦バーミンガムの上構中央部を巻き添えになぎ倒し、真っ二つに折れて沈んでいっ た。
ハルゼーは、決断を迫られていた。 現在のところ、叩くべき相手は二つ。ルソン北東沖の空母部隊と、シブヤン海を東進 してくる水上部隊だ。 彼の脳内では、猛烈な勢いで判断材料が積み重ねられていた。猪武者の代名詞のよう に言われるハルゼーだが、それは上辺の性格だけのこと。実際の彼は、頭脳明晰で決断 力と闘志に溢れた優秀な指揮官だ。 シブヤン海を東進してくる水上艦部隊には、戦艦五隻が含まれているという。だが、 この艦隊には航空機の上空援護がない。ジャップが何を考えているかは知らないが、 仮に本気でレイテまで突っ込ませるつもりなら、戦闘機を積んだ軽空母の二、三隻は随 伴させているはずだ。 いっぽう、北からやってくる空母部隊。ジャップの空母はこっちのものよりも若干搭 載機数が少ないらしいが、八隻もいるというからには、艦載機総数は常識的に考えれば 三百機はくだらないはずだ。これだけの機数に殴りかかられては、いくら我々が大軍を 誇るといえど無事では済まない。現に、シャーマンはプリンストンを失った。ましてや レイテ湾の輸送船団のことを考えればなおさらだ。結論。倒すべき相手は決まった。 「本命は北から来る奴だ。サンベルナルジノには水上砲戦部隊を残置して本隊はこのま ま北上、ジャップの空母部隊を叩く。今日中にカタをつけるぞ、全員気を抜くな!」 ハルゼーは将旗を戦艦ニュージャージーからマッケーン隊の重巡ボストンに移すと、 戦艦六・巡洋艦四・駆逐艦十二の兵力をサンベルナルジノに残して指揮をリー中将に委 ね、全速力で北上を開始した。
先程帰宅しました……明朝も早朝から深夜まで大学に出張っているため、 どうなるかさっぱり見通し立たないです。 とりあえず、金曜・土曜合わせて今回の2レスってことで勘弁してください……
>>478 待っておる。週刊誌の連載と思って待っておるぞ。
>>478 がんがってください!
読者は反転せずに待ってますよ〜!
報告 一二一六入稿完了。 やはり本に改稿しても八〇頁を超しました。 自分が二段組は読みにくくて嫌いなのでページ数が増えてしまいます。 四度打ち出し校正しましたが、本になると誤字脱字があったりします 皆様よろしくお願いいたします。 >469様 配置は28日 西館“ち”18bでございます。 皆様おいでになって驚かれませぬように。何とそこは「セーラームーン」 スペースが孤立無援の戦いを行っている戦線です。 私もそのジャンルに足を踏み入れて早九年、すっかり老舗となってしまいました。 “シヴァ”の文体で語られたハードSFなセーラームーン小説と、闇に棲む少女が 巫女となって魔と戦う“黒巫女”シリーズを出しております。 もしご興味を覚えられましたら、セーラームーンシリーズ第1巻“RUCIFER −α”をお読み頂ければと思います。夢物語でなくなったセーラームーンがいかに痛 ましいストーリーになるのかを体験できます。
本日も只今帰宅……大学から6キロ歩きだったり(爆) とりあえず、明晩はUPできると思います……
おつかれさま!期待してます!
>>481 乙鰈!
普段はそういう活動をなさっているのですか・・・・・。
文章書くこと自体は慣れている方だとは予想していましたが。
最近良いミリ小説サークルさんが激減状態なので、ある意味飢餓状態です。
私のところは、そういうのからインスピレーションを得て物を作るジャンル
なものでその手のサークルさんが少ないのは残念です。
第七艦隊のキンケイド長官は、正直なところ困り果てていた。 手持ちの兵力をどう配置すべきか、まったく判断がつかないのだ。 彼の手元にあるのは、オルデンドルフ少将麾下の第七七・二任務群(戦艦六、巡洋 艦八、駆逐艦二一)およびトーマス・スプレイグ少将麾下の第七七・四任務群(護衛 空母十六、駆逐艦二一)。合計して戦艦六、空母十六、駆逐艦四二といえば第三艦隊 に匹敵する大艦隊だが、その内実はお寒い限りだった。 まず、戦艦群は対地支援砲撃を重視して榴弾ばかりを積んで来たため、徹甲弾を用 いた対艦戦闘はせいぜい一会戦が限度だった。 護衛空母にしても、商船に毛が生えた程度の低速小型艦ばかりで、搭載機はTBM 雷撃機はともかくとして戦闘機は一世代前のF4F、おまけに搭乗員は技量未熟な新 米がほとんどであり、対艦攻撃力としてはほとんど期待できない。 「シブヤン海からの出口は、リーの戦艦部隊が抑えている……スリガオ海峡の動向が 掴めれば結論も出せるんだが」 ちょうどそこに、索敵機からの情報がもたらされた。 「……戦艦だと? こっちにもいたのか!?」 “ボホル島南南東二十マイルに敵艦隊を発見。戦艦二、巡洋艦一、駆逐艦五。ベク ター二−七−〇、十四ノット” キンケイドは、さらに判断に迷うこととなった。戦艦が南からやってくるとなれば、 手持ち兵力はスリガオ海峡に張り付けた方が得策だ。だが、サンベルナルジノの方は それで大丈夫なのだろうか。キンケイドの脳裏を、一抹の不安が掠めた。
一五二〇時、二航艦からの第二次攻撃に合わせて小沢艦隊も攻撃隊を放った。瑞鶴と 隼鷹が搭載していた攻撃機は、彗星艦爆十三機、天山艦攻十六機の計二九機。これに、 護衛として零戦三四機(うち爆装二十機)が随伴することになっていた。 だが、日本という国家の力がこの時期大々的に地盤沈下を起こしていることを象徴す るかのように、彗星四機と天山一機、零戦二機が発動機の故障で出撃できず、彗星一機 と零戦二機が機体の不調によって進撃途上で引き返す羽目になった。最終的に米艦隊に 到達したのは、彗星八機、天山十五機、零戦三十機だった。これに、二航艦が送り出し た一式陸攻二八機、銀河十二機、天山七機、紫電十三機、零戦十九機が加わる。昼前の 第一次攻撃で三七機を失っていたものの、空母一隻撃沈の戦果を挙げたことが幸いして 士気は依然高かった。 いっぽう、これとクロスカウンターの形でハルゼー艦隊も攻撃隊を出していた。こち らは艦戦四七機、艦爆五八機、艦攻六四機。合計一六九機の堂々たる戦爆雷連合だ。 「今度こそ決着をつけるぞ! 存分に戦って来い!」 旗艦ボストンの艦橋から、ハルゼーは出撃する搭乗員達を親指を立てて見送った。 米海軍航空隊の通例に漏れず、彼らは艦隊上空で形ばかりの緩い編隊を組むと、飛行 隊単位での進撃を開始した。 大空に放たれた攻撃機たちは、まだ目的地上空で何が自分たちを待ち構えているのか 予測していなかった。
おお!ついにエンガノ岬沖海戦が始まりますな!
スル海を東進する西村部隊が米軍機による二度目の触接を受けたのは、いいかげん 日も傾きかけた一五五五時のことだった。 「この調子なら、日没までに二波というところか」 西村中将も、いささか拍子抜けといった風情だ。レイテまでの最短コースを突進す るルートを選択していただけに、道中で戦艦の一隻も空襲で失うくらいの覚悟でやっ てきたのだが。 ところが、そこからの展開はまたしても不可解なものとなった。 「敵機来襲ー!」 見張り員の叫び声に、対空戦闘の喇叭が鳴り響く。北東の空にぽつぽつと現れた黒 い点のような単発の機影は、まぎれもなく米艦載機の証し。 しかし、それにしては様子が妙だった。 「おい……連中、太陽を背にする程度の基本を知らんのか」 山城の高射長が憮然とした顔でぼやいた。 「戦雷連合、雷撃機はいつものアベンジャー。戦闘機は……グラマンですが、古いほ うです!」 扶桑の対空見張りの表情にも、若干の緩みが見られた。 おまけに、どう見ても敵機の編隊はあきらかに統制を欠いていた。編隊の機体間隔 はムラが多いし、全体に密度が薄いのだ。 「どういうことだ?」 山城の艦橋では、全員が顔を見合わせていた。
いっぽうそれとほぼ同じ頃、第三八任務部隊が放った戦爆雷連合一六九機は、小沢艦 隊の上空へと到達しかかっていた。だが、そこで彼らは、小沢艦隊の上空直掩戦闘機隊 七七機と正面衝突した。お世辞にも練度の高い編隊ではなかったが、なにしろ数が多い。 数群に分かれた米軍の攻撃隊にとっては、これだけの機数が一度に殴りかかってくると どうにもならなかった。 第一波として突入したのは、F6F艦戦十四を露払いとするSB2C艦爆十三、 TBM艦攻九の一群だったが、たちまち乱戦に巻き込まれて散り散りになってしまった。 その後も五月雨式に来襲する米軍機は、直掩隊の層に阻まれて効果的な接敵ができずに いた。 もっとも、攻撃の効果がなかったわけではない。雲龍と天城にそれぞれ魚雷一本が命 中。雲龍のほうは若干の浸水と速力低下程度の被害で済んだが、天城は当たり所が悪く、 速力が二二ノットに低下。同時に、左舷に四度の傾斜を生じて艦載機の発着が不可能と なった。 このほか、千歳の飛行甲板前部に五百ポンド爆弾一発が命中。彼女も一時的に艦載機 の発着ができなくなったが、なにしろ小沢艦隊で攻撃機を搭載しているのは瑞鶴と隼鷹 のみ。他の母艦は、全艦爆弾庫を空にして出てきている。故障で居残っていた零戦が火 災のあおりを受けて炎上したが、内務班の対応が迅速だったために早期消火に成功し、 危険な事態とはならなかった。 「緒戦は最小被害で切り抜けたな。あとは攻撃隊が頑張ってくれればいいんだが……」 小沢長官は、南の空を見上げて呟いた。
西村艦隊はヘルダイバーの攻撃を受けないとなると・・ ところで西村艦隊は志摩艦隊が後続してくる事を知らされていなかったらしいのですが、 この話ではどう影響してくるのやら・・・・?
ハルゼー艦隊は、この日二度目となる空襲を受けていた。 来襲したのは、陸攻と銀河合わせて四十機、彗星・天山が三十機、戦闘機が六二機。 むろん、この全機が一度に来襲したわけではなかったが、合計一三〇機以上の戦爆雷 連合の攻撃力は決して侮れるものではない。 いっぽう、過去数次に渡る空母戦によって磨き上げられた米艦隊の重厚な防空網も、 その真価を発揮していた。電探管制による直掩戦闘機隊の効率的運用は、同時期の日本 軍には到底真似のできない芸当だ。まず、先陣を切って飛び込んだ彗星の一群が瞬く間 に直掩のF6Fたちが織り成す十二.七ミリの火網に絡め取られて散った。続いて低空 から侵入を試みた四機の銀河も、高度一千で待ち構えていた一個飛行隊の毒牙に掛かっ た。 だが、それと時間差気味に突っ込んできた一式陸攻の一団は止められなかった。彼ら は、電探の覆域より低い高度を突進してきたからだ。ようやくスコープが彼らの姿を捉 えたときには、既に警報の発令すら間に合わなくなっていた。狙われたのは、ボーガン 少将率いる第二群。対空砲火によって三機が撃墜されたが、残る六機が軽空母インディ ペンデンスを狙える雷撃位置への占位に成功し、魚雷を投下した。左舷に水柱。命中魚 雷は一本だったが、場所が悪かった。左舷艦尾付近に突き刺さって炸裂した魚雷は、爆 圧で推進軸二本をへし折ったのだ。おまけに、それでなくとも復元性に難を抱えていた クリーブランド級巡洋艦の船体に嵩張る空母の上構を載せたこのクラスの弱点が、はっ きりと出てしまった。浸水量自体はたいしたことはなかったのだが、それでも彼女は左 舷に六度の傾斜を発生。艦載機の発着ができなくなった。
「ジャップめ、嫌なときに空襲を仕掛けてきやがる。すぐに反撃するぞ、準備できた奴 からどんどん上がれ!」 攻撃を終えた日本軍の航空隊が引き上げていくのを見ながら、ハルゼーは顔をしかめ た。インディペンデンスの状態は思ったよりも悪く、ウルシーに廻航してドック入りさ せる必要があると言ってきた。昼過ぎの空襲で爆沈したプリンストンとあわせて、これ で第三艦隊は空母二隻、およそ八十機分の攻撃力を喪失した計算となる。ここはなんと しても、カウンターパンチを放って空母の一隻も仕留めなければなるまい。 米艦隊から放たれた二の矢は、艦戦五二・艦爆四九・艦攻七十。計一七一機の大編隊 が、五群に分かれて大挙北上していった。攻撃隊を送り出した各空母の艦上は、続いて 燃料補給のローテーションで降りてくる直掩隊の交代機を送り出す作業で大混雑となっ た。 そこに、ルソンの基地航空隊が放った三の矢が飛び込んできた。陸攻十一、銀河六、 彗星八に零戦十六という小勢だが、彼らはちょうど、交代時間が迫って気の緩みが生じ た直掩隊の隙を突く絶妙なタイミングで突撃を開始した。 半ば不意を討たれた形の直掩隊は効果的な迎撃が行えず、二五機の攻撃機のうち半数 以上が突入に成功した。米艦隊にとっては最悪の状況だった。攻撃隊は発艦直後の直掩 機と入り乱れる形になったため、対空砲火も満足に撃つことができない。攻撃隊のうち 最終的に離脱に成功した機体は九機に過ぎなかったが、彼らはマッケーン隊の正規空母 ワスプに五百キロ爆弾二発を叩きつけることに成功。これが甲板上に並んでいたF6F の燃料に引火し、ワスプは艦首からアイランドにかけてを猛火に包まれた。
幸い、ワスプの火災は二十分ほどで鎮火した。三十名ほどの死傷者が出たものの、戦 闘力発揮に問題はなかった。格納庫の機体にも被害はない。だが、甲板上で消し炭とな った戦闘機の処理と爆弾による被害の応急処置のため、ワスプの飛行甲板は二時間に渡 って使用不能となった。彼女は正規空母であるだけに、ハルゼーにとっては実に頭の痛 い状況だ。 「ええい、くそっ! 忌々しい奴らだ! こっちが陸上基地にまで手を出してる余裕が ないことを知ってやがるのか?」 ハルゼーの言う通り、第三八任務部隊の現状は日本空母への攻撃で手一杯だった。と てもではないが、ルソン各地に散らばった航空基地を叩いている余裕はない。 だが、それらの基地に展開している兵力の素性を知ったとすれば、ハルゼーの血圧は さらに上昇していただろう。彼らは、一週間前に第三艦隊が攻撃を行った台湾と沖縄の 基地航空隊の生き残りから再編成された部隊なのだ。言うなればハルゼーは、先日の食 べ残しからしっぺ返しを食らったようなものだったのである。 ──畜生、奴らを甘く見ていたか。 ハルゼーは思った。今日中にカタをつけるつもりだった空母部隊への攻撃だが、これ で明日にずれ込むことは確実だ。これではまるで、ジャップの思う壷じゃないか。くそ ったれ。 各空母の艦上では、アクシデントによって遅延された直掩隊の交代作業が大車輪で続 けられていた。直掩機の中には、空戦によって燃料を浪費したことで不時着水を余儀な くされたものも少なくなかった。
準鷹、じゃない。隼鷹が出てくるのがイ(PAM!
久しぶりに見にきたらあたらしい話が。 (・∀・)イイ!
その頃、西村艦隊もスプレイグ空母部隊の空襲を受けていた。ところが、はるか北方 で繰り広げられているものとは対照的に、こちらの戦いはどうにも締まらない様相を呈 し始めていた。 まず、米軍機の編隊……というか集団は、西村艦隊に到達した時点で、既に編隊とし ての統制を半ば失いかけていた。彼らは、海岸線の沖合数十キロから発進して地上の防 御陣地や補給拠点を各個に叩くような任務の経験はそれなりにあったが、島嶼群を飛び 越えて長駆数百キロを進出し、敵艦隊を攻撃する任務はこれが初めてだった。 また、彼らの中で最大の対艦攻撃力を持つTBM飛行隊は、護衛空母部隊にとっては 虎の子ともいえる雷撃部隊だったが、彼らはこれまでの任務上出撃回数そのものがそれ ほど多くなく、航法や編隊維持をはじめとする基本的な操縦技術の点でかなりの不安が あった。 さらに直衛のFM−1は、原型機であるF4F譲りともいえる空力特性の悪さと、武 装強化による大々的な重量増が祟って巡航速度が極めつけに遅く、TBMに随伴して進 撃するのも一苦労だった。このため、ただでさえ練度の低い搭乗員に操られている編隊 が、さらに拡散する結果となってしまった。 しかも攻撃機の多くは、艦隊接近の報を受けてとるものもとりあえず飛び出してきた ために、吊下している爆弾は小型のものがほとんどで、中には陸用爆弾を積んでいるも のまでいた。これでは対艦攻撃力には期待できない。 かくして対空戦闘は、お互いに低威力で当たらない攻撃を闇雲に繰り出す形で終わっ てしまった。米軍の挙げた戦果は、駆逐艦満潮に陸用小型爆弾の命中一発だけだった。
「被害知らせ」 「艦尾に爆弾一を被弾、爆雷投下軌条が使用不能です。小規模な火災が発生しましたが、 まもなく鎮火の見込みで、機関・舵とも損傷ありません。人員は戦死なし、負傷者六」 上がってきた報告に、満潮駆逐艦長の田中少佐は安堵の息をついた。 既に太陽はずいぶんと西へ傾き、水平線は橙色に染まりつつある。空襲を仕掛けてき た米軍機があらかた西村艦隊の上空から姿を消し、三十分が過ぎようとしていた。 「今日の空襲はこれで打ち止めかな。これ以上遅いと、帰艦が日没後になるだろうし」 田中は、北東の空を見上げた。深い藍色に染まりつつある空には、気の早い一番星が 光を放っていた。 「スリガオ海峡突入の予定時刻ですが、ずいぶんとずれ込みました。正確なところはま だ出ておりませんが、おそらく明朝〇六三〇頃になる見通しです」 「昼過ぎから空襲を受けっぱなしでしたからなぁ。幸い被害らしい被害もありませんで したが、回避運動に思ったよりも時間を食われてしまいました」 航海参謀の報告に、砲術参謀がぼやいた。 「すると、昼間砲雷戦を覚悟せねばならんか」 西村中将は腹を括った。味方の航空偵察によれば、スリガオ海峡からレイテ湾にかけ ての海上には戦艦六・重巡九を含む優勢な敵艦隊が控えているという。この小勢でどれ だけ戦えるかは分からないが、今はとにかく一隻でも敵を討ち減らすことを考えるのみ であった。
おお〜!
TBMが「雷撃部隊」として登場した時にはドキドキしましたが、 ちゃんと?爆装のみだったようなので安心・・・ さて!次は魚雷艇だ!ガンガレ西村艦隊!!
連休中UPしてる暇があるか判らないので、 とりあえず2話分上げておきます。
小沢中将は、直立不動で無言のまま左舷の海上を見詰めていた。そこでは、二十分前 まで空母天城であったものが、箱型の篝火と化して海面下に没しようとしていた。 ハルゼーが放った第二波攻撃隊は、攻撃目標分散の愚を冒した第一波の失敗を踏まえ てか、左翼に位置していた一航戦に攻撃を集中した。具合の悪いことに、一航戦は第三 艦隊でもっとも練度が低い部隊だった。直掩の零戦隊も奮戦して少なくとも十機以上の 撃墜を記録していたが、一二〇機以上の攻撃機を全て食い止めるには至らなかった。稚 拙な回避運動をあざ笑うかのように爆弾と魚雷を次々と叩きつけられた天城は、あっと いう間に五発以上の直撃弾と無数の至近弾を浴び、消火不可能な大火災と十度以上の傾 斜を生じて海上に停止。加えてダメージコントロールに失敗し、機関室への火災延焼を 許したことが致命傷となって、僅か二ヶ月余りの短い生涯にピリオドを打たれた。 また、僚艦の雲龍も、第一波で受けた損傷に加えて千ポンド爆弾二発と魚雷一本を被 弾し、火災とさらなる速力低下に見舞われている。 「雲龍は台湾にでも避退させたいところなんだが……護衛に割ける艦フネが居らんし なぁ」 やはり、一駆連を引き返させたのは失敗だったか。苦渋の表情を浮かべる小沢の耳に 見張り員の報告が届いた。 「天城、沈没します!」 「各艦、溺者救助を急げ。日没まであまり時間がないぞ」 小沢はそう命じると、未練でも残したかのように海面に突き出したままなおも数分間 粘っている天城の舳先に向かって、見事な敬礼を送った。
すっかり日も暮れようかという一八一〇時、ハルゼー艦隊はこの日四度目の空襲を受 けた。水平線に落ちかかった西陽を背にしての薄暮攻撃である。夕暮れ時の赤光を闇色 の海面が乱反射するという状況は、低空を進撃する攻撃隊の視認には最悪のコンディ ションだった。米艦隊は電探によって攻撃隊の接近を察知することはできたが、肝腎の 直掩戦闘機隊が攻撃隊の発見に手間取り、またしても日本軍機は輪形陣への投弾に成功 した。 今回来襲したのは、陸攻四・銀河六・天山六および零戦・紫電合わせて八という小編 隊。第一、第二両航空艦隊の生き残りから天測航法に長けた腕利きを選抜しての一発勝 負だった。中には、T部隊の生き残りまで混じっている。 昼間の攻撃で無傷だったデビソン隊に襲い掛かった彼らは、八機を撃墜されたものの、 軽空母サンジャシントに五百キロ爆弾の直撃一、至近弾二および魚雷命中一の戦果を挙 げた。サンジャシントは飛行甲板こそ大きな被害を免れたが、アイランドへの直撃弾で 艦長以下首脳部人員のほとんどを失ったため、一時的にダメージコントロール機能が麻 痺。このため浸水に対して有効な対策が打てずに被害が拡大し、結局隊列から脱落して ウルシーへ逃げ帰る羽目になった。 この一撃を最後に、後の戦史書にて第一次エンガノ岬沖海戦と呼ばれる戦いは一段落 した。だが、戦況そのものはここから急激に動き始めていた。フィリピン海域全体に散 らばっていたホット・スポットが、一点に収束しようとしていたのだ。場所は、サンベ ルナルジノ海峡。両軍最有力の水上砲戦部隊が、正面から相見えようとしていた。
うぎゃ、修正したつもりで削り残し出してしまって、 しかもよりによって一番アホな残り方。恥ずかしいったらもー。
>>504 まあまあ。いよいよサマール島沖海戦ですね!(場所が微妙に違うから名前も変わる?)
定石から言えば、サンベルジノ海峡を突破してくる栗田艦隊をT字で迎え撃つ米艦隊とな
りそうですが・・・?!
げ……。印刷代が1冊あたり716円……。700円で赤字販売だ……。 皆様、よろしくお願いいたします。敬礼(涙
↑ 安心しろ!俺は千円でも買うぞっ!
>506 \1000でも買いますよ。 ご安心を。
>>506 12月28日は、帰省の日なので、なんとかおじゃまして入手します。
皆様、感謝であります。さすがに千円は心苦しいので、赤字にならない 800円で販売させていただきたい所存であります。敬礼
>>506 大丈夫、800円ならうちの本より安い(藁
「合戦準備、夜戦に備え!」 栗田長官が、快活な声で発令した。昨日パラワン水道で乗艦だった愛宕を撃沈されて 以来一睡もしていないはずだが、その疲労を微塵も感じさせない。 無理もなかった。ソロモン海域で喫した不名誉な敗北以来、実に二年ぶりに帝国海軍 の戦艦部隊がその汚名をそそぐ機会が巡ってきたのだ。時刻は二二五〇時。雲間から覗 く月明かりの元には、サンベルナルジノ海峡の太平洋側出口に陣取る米艦隊の姿が見て 取れた。 「海峡入口に複数の大型艦反応!」 旗艦ニュージャージーのCICに詰めているリー中将の元に、対水上電探からの報告 が飛び込んだ。 「来たか!」 誰かが声を上げた。 「両舷全速、右砲戦。敵は手強いぞ、先頭艦から集中射撃で潰していけ!」 リーの指示が下された。 「A、B両砲塔、射撃準備よし」 「X砲塔準備よし」 「敵先頭艦まで三三〇〇〇ヤード!」 「まだだ、しっかりと引き付けて確実に仕留めろ!」 ニュージャージー以下六隻の戦艦群は、慎重に間合いを測っていた。
大和級戦艦にとって最適な砲戦開始距離は、三六〇〇〇と言われていた。彼女を先頭 に、武蔵・長門・金剛・榛名と続く艦列は、サンベルナルジノ海峡の狭水路に突入する 前から戦闘準備を完了していた。その中には当然、主砲の射撃準備も含まれている。 もっとも、夜戦という環境においてはその距離は必然的に短くならざるを得ない。 日本製の電探は射撃管制に光学照準を併用しないとまともな諸元を出せなかったし、 いくら日本海軍の夜間見張り員が極めつけに優秀とはいえ、肉眼での視認距離は二万 メートル強が限界だった。 だが、これは専用の射撃管制電探を装備している米艦隊とても同じこと。いくら光学 機器に頼らず射撃可能とはいえ、電探だけで精度を出そうと思ったら二五〇〇〇までは 詰めなければ命中は覚束ない。 「艦長、行けるか?」 「全砲門、射撃準備よし。さっきからお待ちしておりますよ」 宇垣中将の問いに、森下少将が楽しくてたまらないといった様子で応じた。 「よし、おおいにやろうじゃないか」 大きく頷くと、栗田中将は大音声で発令した。 「撃ち方、始め!」 「テ────ッ!」 一瞬の間をおいて、夜戦艦橋の窓から閃光が差し込み、艦全体を激しい衝撃が覆った。 就役より三年の時を経て、この凶悪で優美な巨獣が生涯初めて敵に向かって炎を吐き出 した瞬間だった。
【掲載予定について】 28日より有明冬の陣に出征、のち年明け一週間ほど帰省するため、 以降暫く更新が滞ります。 一応、実家からも更新は可能な予定ですが。
うぎゃ、よく見たらまたしてもHN直し忘れてるし…… 鬱だ……
いってら〜ヽ(`Д´)ゞ 健闘を祈るでつ
>514 サークル参加でつか?
>>517 んにゃ、一般参加です。
サークル参加する知己はけっこう多かったりしますが。
リー中将率いる第三四任務部隊は、戦艦ニュージャージー以下、アイオワ、サウスダ コタ、マサチューセッツ、アラバマ、ワシントンを中核に、巡洋艦ニューオーリンズ、 ヴィンセンス、マイアミ、モービル、駆逐艦十二隻で構成された、米海軍では最強の戦 力を擁する純粋な水上砲戦部隊だ。戦艦部隊が単縦陣を組んで海峡出口から二二〇〇〇 メートルのラインに丁字を描くように布陣し、その前方に巡洋艦と駆逐艦がスクリーン を張るという隊形で日本艦隊を待ち構えていた。 これに対して栗田中将率いる第一遊撃部隊は、旗艦大和を先頭に、武蔵、長門、金剛、 榛名と続く戦艦群を先頭に立て、その後方から重巡および水雷戦隊が追従する形となっ ていた。本来なら夜戦では偵察艦の前衛を立てるのがセオリーではあったが、今回は 海峡出口に敵艦隊の存在が確実視されていたため、最も耐久力の高い戦艦を先に立てる 作戦だった。 大和が距離二二〇〇〇メートルで前部砲塔から放った四発の砲弾は、駆逐艦や巡洋艦 の頭上を飛び越えて、旗艦ニュージャージーの左舷に着弾した。 「だんちゃーく、遠、遠、遠……全て遠!」 「下げ二、苗頭そのまま!」 「敵艦、発砲!」 「一番、二番、射撃準備よし!」 「テ────ッ!」 その直後、大和に続いて後続の武蔵も射撃を開始した。
アイオワの右舷艦橋ウィングに配置されていた見張長は、その一撃に目を見張った。 ちょうど二年前のガダルカナル海戦。彼は戦艦ワシントンの見張員としてあの海戦に参 加し、戦艦霧島の十四インチ砲による砲撃を目の当たりにしていたのだ。 今回目の前に出現している水柱は、あのときのものよりも確実に二回りは大きかった。 (ちょっと待てよ、おい) 彼は嫌な予感がしていた。どうも話が違うんじゃないか? 情報では、ジャップの新 型戦艦の主砲は十六インチ砲だという話だったんだが。こいつは、ひょっとするとそれ 以上かもしれん。 敵の先頭艦が、主砲を斉発するのが見えた。発砲炎の光芒の中に浮かび上がったその 姿は、彼には地獄の底から這い出してきた魔獣のように思えた。 「敵一、二番艦はヤマト級。その後方にナガト級一隻が後続。以下、コンゴウ級戦艦二 隻を認む」 「第三斉射、目標を夾叉!」 リーは、口元に満足気な笑みを浮かべた。なんとか海峡通過前に捕まえることには成 功した。 「あとは、料理人の腕次第だ……こいつは大物だぞ」 「第四斉射、目標に命中弾、少なくとも一!」 ニュージャージーのCICに、興奮とも感嘆ともとれないどよめきが発生した。
ニュージャージーが放った重量一.二トンのスーパーヘビーシェルは、二二〇〇〇メ ートルの距離を軽々と飛び越え、大和の第二砲塔左舷側の上甲板に命中。短遅動信管が 作動して、巨弾を炸裂させた。 ヴァイタル・パートの装甲を貫くには至らなかったが、居住区画を中心に少なからぬ 破壊がもたらされ、可燃物が炎上する。 「消火急げ! 先を越されたぞ! 何をやっとる!」 森下艦長が砲術科員たちを叱咤する。くそっ、これが電探管制射撃ってやつか。よほ ど優秀な夜間見張り員が揃っていても、なかなかこうは行かんぞ。 「武蔵第四斉射、敵一番艦を夾叉!」 「第五斉射、弾着、今……近・近・遠・近・遠・遠!」 おお、という誰かの声が上がる。見事な夾叉だった。 間髪をいれず、第六斉射の三発が放たれる。その直後、アイオワとマサチューセッツ が放った合計九発がほとんど同時に着弾。一発が直撃したが、これは第一砲塔の前楯が 難なく跳ね返して明後日の方向へ消えていった。 その直後、武蔵の第五斉射がニュージャージーを捉えた。第二煙突基部に命中。近距 離での十八インチ弾の破壊力は絶大だった。両用砲二基が消失し、上構そのものにも大 穴が空く。損傷した煙路から排気が噴出し、ニュージャージーの後檣から後ろは煙に包 まれた。それを振り払うようにニュージャージーは斉射を放ったが、直後に今度は大和 の第六斉射が落下。前檣楼直前を直撃して艦橋を半壊させ、上にあった対空射撃指揮所 を吹き飛ばした。
艦橋上部を襲った直撃弾の衝撃に、CICに詰めていた要員は大半が床へと投げ出さ れた。照明が明滅して非常灯に切り替わる。 指揮官用座席から転がり落ちたリーは、頭を振って立ち上がった。 「損害報告!」 艦長の指示に、艦内を連絡が飛び交う。 「艦橋上部被弾。航海艦橋が全滅です!」 「前部対空射撃指揮所、応答ありません!」 「通信アンテナ損傷! 無線が不通です!」 「衛生班を艦橋に向かわせろ。応急班は通信の復旧を急げ」 「マサチューセッツに発光信号。『我に代わり砲戦指揮をとれ』」 旗艦が通信能力を失った以上、復旧までの間代理指揮をとる艦が必要だ。第三四任務 部隊の指揮権は、一時的に戦艦マサチューセッツに座乗するバジャー少将に継承された。 「CICより後檣楼。敵一番艦に変化はないか?」 「小規模な火災が数箇所に認められますが、速力・砲力とも衰えていません──あっ、 敵艦、第八斉射」 リーは唸った。さすがに新型艦ともなると装甲が厚い。既に五発は命中弾──それも 十六インチSHSのハードパンチ──を叩き込んでいるはずだが、想像以上にタフな奴 だ。あるいは、我が方のサウスダコタ級やアイオワ級に匹敵する重防御を施されている のかも。 「先陣切って突っ込んでくるだけのことはあるな。日本軍の自信作というわけだ」 その直後、朗報がもたらされた。 「敵五番艦に命中弾、大爆発しました!」
五番艦となると榛名ですか・・・
射距離25000で14〜16インチクラスだと、榛名じゃ致命弾だなぁ・・・。
なんてこったヽ(`Д´)ノ
>>525 扶桑・山城のためだ、耐えてくれ。タノム
榛名・・・ エ・コ いい船だった く(´ヘ`)ピシッ って言うか沈んでないよね? 不死鳥のように執念の一発打ち込んでレーダー無効にしたりしてから沈むんだよね?! ヘイ!続きが気になってたまりません!!
砲戦指揮を継承したバジャー少将は、アラバマとワシントンの二隻に分火を命じた。 いくらレーダー管制射撃が可能とはいえ、六隻もの戦艦が狙いを集中していては、まと もな弾着観測ができなくなってしまったからだ。 命令を受けたアラバマとワシントンは、日本側戦艦群の最後尾を進んでいた榛名に狙 いをつけた。距離は約二六〇〇〇ヤード。初弾でいきなり夾叉を出し、第三斉射以降 つぎつぎと命中弾を送り込んだ。 改装を受けて合計一七〇ミリもの厚さに増強されている金剛級戦艦の多重甲板装甲は、 超大重量砲弾の威力によく耐えた。だが、新造時から変更されていない舷側装甲にとっ ては、これは限界を遥かに超える打撃だった。舷側を叩き破った徹甲弾が艦内で炸裂す るたびに、夥しい鉄片と人間が海上へと撒き散らされ、無数の火災が発生した。榛名も 負けじと撃ち返すが、艦齢にして三十年近くも若い新型艦の相手は、この老嬢には荷が 勝ちすぎた。かろうじてワシントンの両用砲塔と機銃座数基を破壊したが、そこで限界 が訪れる。アラバマの放った十六インチ砲弾が艦中央部の舷側装甲区画を貫通。艦内奥 深くで発生した爆発は、タービン二基をスクラップに変え、隣接したボイラーまでも打 ち倒した。立て続けに発生した大爆発に、三二〇〇〇トンの巨体が悲鳴をあげる。一気 に足が鈍ったところに、今度はワシントンの主砲弾が第四砲塔真横の上甲板を直撃。艦 内の隔壁を次々と突破し、バーベット下部を貫通した砲弾は、後部弾薬庫の一番深いと ころまで転がり込んで信管を作動させた。 大正四年竣工のベテラン戦艦は、戦闘中の艦艇全てを揺るがすような大音響と火柱を 上げ、四分五裂に引き裂かれて波間に消えた。
「榛名、沈みます!」 「くそっ、仇は討つぞ!」 重巡群の先頭を進む利根の戦闘艦橋で、艦長の黛大佐は彼方の米艦隊を睨みつけた。 内側から弾け飛ぶように船体を分断された榛名は、もはや海面に広がった重油の膜の ほかは海面に突き出た舳先を残すのみだ。 「後続、海峡部抜けました!」 「よぉし。突撃、突撃だ!」 旗艦熊野に座乗する白石少将からも、発光信号で突撃命令が下された。重巡七隻と軽 巡二隻、駆逐艦十二隻が三五ノットの最大戦速で突っ走る。米艦隊前衛も砲力を総動員 して迎撃。個艦の砲力では米軍に軍配が上がるが、なにしろ日本側は破壊力と頭数で 勝っている。各艦合計六六門の二十サンチ砲を振りかざし、重巡部隊が先陣切って突っ 込んでいく。その後に、軽巡矢矧と能代に率いられた駆逐艦部隊が続く。 真っ先に、ニューオーリンズがめった打ちに遭った。八インチ砲搭載艦で防御力に優 れる故に戦隊旗艦に位置していた彼女だが、いくらなんでも自艦の七倍以上の火力を浴 びて平気な設計などされていない。たちまちのうちに二十発になんなんとする直撃弾と 無数の至近弾を浴び、右舷に大傾斜を生じて炎に包まれた。沈没は時間の問題だった。 日本側も無事ではない。重巡群の二番手を航行していた鈴谷がクリーブランド級巡洋 艦三隻の集中砲火を浴び、艦橋から後檣にかけてをボロボロに食い破られて炎上。動き が止まったところに駆逐艦が放った魚雷二本を叩き込まれ、あっという間に転覆して姿 を消してしまった。
「デンヴァーより報告。敵巡洋艦・駆逐艦部隊、突入してきます!」 「食い止めろ! 戦艦に近寄らせるな!」 次々と迫る日本軍の水雷戦隊。砲撃で追い払って好射点を取らせまいとするが、それ でも連中はしゃにむに突っ込んでくる。重巡の一部が放った酸素魚雷が命中。駆逐艦 二隻が一瞬で消し飛んだ。 「なんて威力だ!」 目にしていた僚艦の乗組員たちは、その光景に目を奪われた。 突入してきた重巡部隊は、さらに周囲の駆逐艦に向けて手当たり次第に二十サンチ砲 を乱射していった。特に鳥海の射撃は凄まじく、瞬く間に一隻を撃沈、もう一隻にも後 甲板から火柱を上げさせた。パラワン水道で潜水艦の雷撃を受けて為す術なく撃沈破さ れた三隻の姉達の分まで、彼女は撃ちまくった。 いっぽう、水雷戦隊は巡洋艦部隊に向かって突撃を開始した。途中早霜と雪風を失っ たものの、ヴィンセンスに魚雷三本を叩き込むことに成功。ボイラーと前部弾薬庫がま とめて誘爆した彼女は、被雷から三分も経たないうちに三つに折れて轟沈。二年前の サヴォ島沖海戦で沈んだ先代の後を追った。 これに対して、米艦隊は集中射撃で日本軍の巡洋艦戦力を削りに掛かった。無数の 六インチ砲と五インチ砲で袋叩きにされた筑摩が血祭りに上げられる。主砲塔、艦橋、 煙突周辺、後檣、飛行甲板と次々爆砕された艦上は、さながらスクラップ置き場だ。 さらに能代が、次発装填を終えたばかりの魚雷発射管に直撃弾を受けて誘爆。瞬時に 艦全体が巨大な火球と化し、沈没する間もなく四散して果てた。
531 :
. :02/12/27 01:44 ID:???
そ、そんな・・・。 あの雪風が・・・・・。
それよりも昌福タソは・・・・゚・(ノД`)・゚・
あの殊勲艦「雪風」が沈むとは・・・。 戦場とは非情なのね・・・。 雪風に敬礼!!!(泣)
雪風が・・・ 春名が・・・ Σ(゚д゚lll)ガーン
ああ……、凄まじい砲雷戦が演じられている。う……、雪風が……。 どうか1艦でも多く生き残って欲しいものです。 仕事納めを終わってただ今帰還、在庫を箱詰めしてから2時まで寝て ペーパーを作って4時に三鷹へレンタカーを借りに行って6時に戦場 へ向けて出撃です。ひどく冷えますので一般参加の皆様、防寒装備を 厳にしてください。 ああ、せっかく買ってきたフジミ製1/48零観は作る暇がなかった。 皆様にお目にかかれるのを楽しみにしております。 結構年食った社会人であります。敬礼
水雷戦隊同士の死闘が繰り広げられる一方で、戦艦同士の戦いは一気に天秤が傾きつ つあった。 榛名を撃沈して意気上がる米軍ではなく、日本側にだ。 手始めは、それまで半ば戦闘の蚊帳の外に置かれていた長門が放った四発の十六イン チ砲弾のうちの一発だった。 一六〇〇〇メートルの距離を飛翔した砲弾は、米艦隊臨時旗艦となっていたマサ チューセッツの右舷艦首付近に命中。非装甲区画を突き抜け、反対舷の水中部分外鈑に 突き刺さって爆発した。 これが、マサチューセッツに厄介な損傷をもたらした。艦首水中部分が前方に向かっ て捲くれ上がるように開口したために一気に大量の浸水を生じ、ほとんど停止同然の状 態にまで行き脚が落ちてしまったのだ。 そこに、後続艦のアラバマが追突。二隻合計で八万トンの水圧は、かろうじて海水を 食い止めていたマサチューセッツの隔壁を吹き飛ばし、さらなる浸水を招く。被弾と衝 突によりマサチューセッツが呑み込んだ海水は、七〇〇〇トンにも及んだ。 たまらず艦首を沈み込ませる彼女に追い討ちを掛けるように、長門と金剛の砲弾が降 り注ぐ。マサチューセッツばかりでなく、その艦尾に突き刺さったまま動きの取れない アラバマにも容赦なく巨弾が命中した。主砲身がちぎれ飛び、両用砲塔がなぎ倒され、 中央構造物が炎上する。続出する被害の前には、米軍が誇るダメージコントロール班の 力を以ってしても対処は不可能だった。被害個所が多すぎるうえに、ダメージコント ロール班そのものの人数が被弾による死傷のため激減していたからだ。ついには、消火 が追いつかなくなった火災の延焼によってマサチューセッツの後部弾薬庫が誘爆し、 二隻の姉妹艦は折り重なるように海底へと引き込まれていった。
マサチューセッツとアラバマがまとめて沈んだことで、米軍の指揮系統は大混乱に陥 った。バジャー少将に次ぐ第三席次の指揮官もまたアラバマに乗っていたためだ。総旗 艦であるニュージャージーの通信機能が回復するまでの間、第三四任務部隊を統率する 人間がいなくなってしまったのだ。 ようやくニュージャージーの通信機能がある程度回復し、リーの指令が飛び始めるよ うになるまでに、第三四任務部隊はさらに駆逐艦一隻を失っていた。 「巡洋艦と駆逐艦は防戦に努めよ。戦艦部隊は敵にダメージを与えることを優先しろ」 指揮権を把握したリーは、素早く指示を下す。 ニュージャージーとアイオワの砲撃は、既に大和に対して十発以上の命中弾を出して いた。これだけ撃ち込めば、いくら大和級戦艦の装甲が重厚だとはいえ、それなりのダ メージが通る。第一副砲塔はターレットリングの開口部を残して消滅していたし、メイ ンマストは炎の中で倒壊しかかっていた。 さらに、第三砲塔の前楯付近でニュージャージーの放った砲弾が炸裂。三本の砲身が アッパーカットを食らったように跳ね上がり、根元から真上に捻じ曲がった。噴き上が る炎に映るその姿を見て、米戦艦の甲板上で大歓声。しかし、それは長くは続かなかっ た。今度は大和の砲弾がニュージャージーの後甲板に落下。X砲塔の天蓋を吹き飛ばし て内部で爆発した。ターレットアーマーが構造材ごと飛散し、砲架から転がり落ちた砲 身が甲板上に横たわる。砲室内部で発生した火災は、揚弾架伝いに弾薬庫に迫る勢いだ。 堪らず、ニュージャージーは後部弾薬庫に注水。彼女は砲力の三分の一に加えて速力 と予備浮力まで失うこととなった。
大和に続いて、今度は金剛に命中弾が発生した。榛名を撃沈したワシントンが目標を 変更して射撃を開始していたのだ。距離は一五〇〇〇メートル。戦艦主砲にとっては至 近距離もいいところの間合いだ。 第三斉射で夾叉を得たワシントンは、第五斉射から命中弾を出す。いきなり第三砲塔 を反対舷の海上に弾き飛ばすというクリティカル・ヒットを見舞った。金剛も負けては おらず、ワシントンの第二煙突を蹴り倒し、右舷側の両用砲塔群を壊滅させ、艦尾の航 空設備を船体から引き剥がして海に叩き込んだ。だが、軍配はワシントンに上がる。 十六インチ砲弾が金剛の前檣楼を直撃。鈴木義尾中将、島崎利夫艦長ら指揮要員をこと ごとく討ち取った。 ワシントンは、二年前のガダルカナル海戦で金剛の姉妹艦である霧島を撃沈している。 また、先ほど榛名に引導を渡す一弾を放ったのも同じワシントンだ。ここで金剛にとど めを刺せば、単艦で同一クラス戦艦三隻撃沈のハットトリックという近代海戦史上空前 の記録が見えていた。 なおも砲撃を送り込もうとするワシントンだが、直後に足元を襲われる。重巡鳥海と 熊野を露払いに、軽巡矢矧、駆逐艦浦風、浜風、磯風がエスコート艦の阻止隊列を突破 してきたのだ。迎撃すべきワシントンの補助火力は、先程からの榛名と金剛の砲撃によ って壊滅状態だ。四十ミリ機関砲は生き残っていたが、航空機ならともかく艦艇に対し てこの火力はあまりに貧弱だ。焦ったワシントンは、主砲を直射弾道で発射。これが鳥 海の船体を中央から真っ二つにへし折るラッキーヒットとなるが、その直後、熊野以下 の五隻が放った魚雷のうち四本をまとめて右舷に食らった。ノースカロライナ級戦艦は 水中防御が泣き所であるだけに、これは致命的だった。被雷から十二分後、ワシントン の傾斜は十五度を突破。復旧の見込みなしと判断した艦長は総員退艦を発令した。ワシ ントンが水中へと姿を消したのは、その三十分後だった。
年末出血大サービスで一気掲載…… いいのか自分!? 書き溜めたストックはもう殆ど残ってないぞ!(爆)
おお!年末最後の大サービスですね! 年明けが楽しみです!!! 第四南遣艦隊(退役)さん、いよいよですね。 おじゃましますので、よろしく。
戦艦太郎閣下。お待ちしております。敬礼!
行くの始めてじゃないけど第4南遣艦隊さんの所まで辿り付けるだろうか。 買ったら適当に会場覗いて帰ろう。
散っていった日本艦艇に敬礼!(号泣)
混雑を避けて早めに撤収し、ただ今帰還しました。 戦艦太郎閣下を始め、皆様にお会いできて嬉しかったです。架空戦 記スレの住人様や、通りすがりの方にも購入いただきました。全く 経験のない仮想戦記にこれだけの賛同を頂いて光栄です。 ご協力いただきました本スレの皆様方に再度の感謝を申し上げます。 某虚仮様始め連載中の方々にも引き続き熱い応援を送らせていただきます。 明日は一般でミリ系を覗きます。30日はドール系ですが「東K−10a」 の「NECOROGY」で委託させて頂けることになりました。
>>544 乙カレーです。
早速サイゼリアで食べ物が来る間読ませていただきました。
過去の新聞連載小説と同じように、続けて読むと気づく点も一、二見受けられ
るけど、やはり他ジャンルで日常文章を書き付けている方らしく根っこの部分
はとても良くできています。
ミリ小説と言うより、冒険小説に近い空気を感じますた。
英軍側の視点が司令部レベル中心なのに対して、日本側の視点がもっと現場レ
ベルだったのは、良くも悪くも印象に残りました。
オチは「もののあはれ」型で好みのパターンの一つです。「ノーサイド」型の
要素が入ったら一層泣けるかも(藁
546 :
名無し三等兵 :02/12/31 23:22 ID:MFBcRRck
沈没しそうなので保全age
サウスダコタと長門の対決は、さながら足を止めたボクサー同士の殴り合いという様 相を呈していた。お互いに他艦の介入のない一対一。十六インチ砲弾が飛び交い、装甲 を次々と抉り取っていく。 「だんちゃーく! 命中、すくなくとも一!」 「左舷士官室付近の火災、鎮火に向かいつつあり!」 伝令の声を掻き消すように破壊音が響き渡り、衝撃が襲う。 「左舷中央部被弾! 三番高角砲座、全員戦死! 探照灯使用不能!」 「畜生、押されてるぞ……」 兄部艦長が苦りきった表情を見せる。 既に、両艦とも少なくないダメージを負っている。サウスダコタは後檣から艦尾に掛 けての非装甲区画をのきなみ叩き潰されており、長門は左舷側の副砲と高角砲のほとん どを失っていた。だが致命傷はない。サウスダコタの防御は潤沢なリソースを集中した きわめて堅牢なものだったし、長門は多層防御の完成形とでも言うべき強靭な耐久力を 誇っていたからだ。どちらもまったく力の衰えを見せずに、砲身も焼けよと撃ちまくる。 だが、砲火が派手な割には、どちらも決定打を相手に見舞うことができない。サウス ダコタの舷側に十六インチ徹甲弾が命中するが、外鈑は破るものの防御区画への突入を 果たせず、装甲に僅かな窪みを作っただけで弾き返されてしまう。逆に長門に命中した 弾も、外側の装甲を破るものの、内部での爆発は多層化された堅牢な防御区画で食い止 められて致命的なダメージとならない。 もっとも、火災だけは山ほど発生していた。消火班が飛び交う破片や爆風をものとも せずに駆け回っている。装甲区画外で発生したものでも、放置しておけばどこに延焼す るかわからない。そしてこの火災への対処という点においては、ダメージコントロール のノウハウと実績に勝る米軍のほうに一日の長があった。 全艦火達磨の長門と、右舷側が痘痕面となったものの深刻な火災には見舞われていな いサウスダコタ。互いに交わした斉射は二十回以上を数えている。このまま長門のほう が力尽きて勝負がつくか。そう思われたとき、前方で信じられないほど大きな火柱が上 がった。 彼らの前方で繰り広げられていた二対二の戦いのほうが、先に決着したのだ。
>>545 並びに皆様。
あけおめです。
それとコミケ乙カレーさんでした。
夏は久しぶりにサークル参加するかもしれないので、
その際には宜しく。
ニュージャージーに有効打を与えたとみた第一戦隊司令官の宇垣中将は、武蔵に敵二 番艦への分火を命じていた。しかしこれに機先を制したアイオワは、一足早く武蔵に対 して砲撃を集中。四斉射で三発が直撃し、うち一発が煙突下部を、もう一発が艦首喫水 線直下を大きく抉った。武蔵の速力は、これで十六ノットにまで低下した。 だがその直後、アイオワは自らが繰り出した打撃の報復を受け取ることになった。武 蔵が全門斉発で放った第三射九発のうち、二発が直撃。一発目は上甲板とインターナル アーマーの隙間から第一砲塔のバーベットを貫通し、もう一弾は艦中央部の内部装甲を 突破。機関室にまで到達して爆発した。 さらに、手前に着弾したうちの一発が水中弾となってアイオワの艦腹を食い破り、後 部罐室に飛び込んで信管を作動させた。連続して発生した打撃に二七〇メートルの巨体 が鳴動し、中央部に開けられた大破孔から火の手が上がる。 だが、アイオワを襲った災厄はここからが本番だった。 ボイラーとタービンが連続して破壊されたところに、水中弾の開けた破孔を通って数 百トン単位の海水がなだれ込んできたのだ。これが破壊されて高熱を発散していたボイ ラーに触れ、瞬時に気化。水蒸気爆発とそれに伴って艦内を荒れ狂った高熱蒸気により、 二七〇〇名を数えたアイオワのクルーは、一瞬で一〇〇〇名以下にまで減少した。そし て何より、この水蒸気爆発は彼女の長大な船体を第二煙突直下から真っ二つに両断して しまった。その直後に発生した前部弾薬庫の誘爆は、規模こそ大きかったが結果的には この大破壊の余禄に過ぎなかった。高熱と浸水に蹂躙された艦内に数百名の生存者と 二三〇〇名あまりの死者を閉じ込めたまま、アイオワは黒煙と大渦を残して地上から姿 を消した。
550 :
名無し三等兵 :03/01/02 19:06 ID:p1bMj8/d
あけましておめでとうございます! 今年も連載楽しみにしています。
すいませんsage
足遅い&攻撃力も長門より大分下。よってこの2艦は第1線では使えません
>>552 だからこのスレが立ったんだろと(以下略)
554 :
名無し三等兵 :03/01/03 01:21 ID:mqWDb17v
やはり徳之島沖に自沈させとけば何世紀か後には地球を救う大活躍…
ageんなよ
>554 搭載機は「コスモ零カン」とか「KOU標的」とか……。 別にageても良いんじゃなかったっけ?ここ。
「アイオワ、沈没します!」 「サウスダコタより信号! 浸水により、速力十四ノットが限界!」 報告を受けて、リーは唇を血の味がするほど噛み締めた。畜生、この残存戦力では奴 らに勝てない。残ったのは、傷を負ったニュージャージーとボロボロのサウスダコタだ けだ。だが日本軍は、新型二隻を含む戦艦四隻が健在。このまま戦闘を継続しても勝利 は望めない。 「一時後退だ。隊形を立て直して再戦を挑む」 幕僚達が息を飲む。リーにとっては、まさしく苦渋の決断だった。ここで自分達が退 けば、あとはレイテ湾まで日本軍の行く手を遮るものは、第七艦隊の戦艦部隊しか残っ ていない。確かにオルデンドルフ率いる彼らは、旧式とはいえ戦艦六隻を擁する有力部 隊だが、新型戦艦六隻を僅か三十分余りで蹴散らしてしまった日本艦隊の実力は計り知 れない。果たして、阻止することができるのだろうか。 「これ以上戦っても、彼らを阻止することはできない。我々がここで全滅するわけには 行かんのだ。それに、陣形再編後に追撃を掛ければ、第七艦隊の戦艦群との挟撃も期待 できるだろう」 それが希望的観測以外の何物でもないことは、口に出したリー自身が一番よく分かっ ていた。部隊の被害状況を確認して陣形を再編するだけで、一時間は掛かってしまうだ ろう。それから速力の落ちた戦艦で追いかけたところで、果たして間に合うのか…… そのとき、見張りから報告が入った。 「敵戦艦、増速!」 リーの表情が歪んだ。
皆様、つつがなく新年をお迎えになっていることとお慶び申し上げます。 今年も奮戦いたしましょう!敬礼 >555様 前スレより「sageヨーソロ」で進行しておりますが、戦艦太郎閣下も決して強制 ではないとおっしゃっております。ageは随意となっておりますので悪しからず。 敬礼
「武蔵は十六ノットが限界か」 「金剛も、足を引き摺っている模様です」 第一遊撃部隊司令部には、砲戦での被害報告が続々と集まっていた。ここから先は、 空襲の危険を最小限とするために全速での行軍となる。さもなければ、夜が明けてしま い戦機を逸する可能性が高い。たとえ砲戦能力が十分に残っているとしても、速力が落 ちている艦を連れて行くわけには行かないのだ。 「本艦の被害知らせ!」 森下艦長の声に、しばらくして報告が返ってきた。 「第一副砲塔全壊。第三砲塔も使用不能ですが、機関・操舵とも異常なし。全速発揮可 能です!」 「よし!」 宇垣中将が破顔した。 「長官、行きましょう!」 小柳参謀長が促す。 栗田は大きく頷くと、命令を発した。 「武蔵と金剛を分離。第五戦隊と三一駆、それに秋霜を護衛につけ、指揮は第五戦隊司 令官がとるものとする。本隊はこれより全速でサマール島を回り、〇六〇〇時を以って レイテ湾に突入を期す!」 第一遊撃部隊の残る戦力は、戦艦が大和および長門、巡洋艦熊野、利根、矢矧、 駆逐艦藤波、浜波、浦風、磯風、野分、清霜。隻数こそ出撃時の三分の一にまで減って いたが、最後の大勝負を前に戦意は極めて旺盛だった。
全身火達磨だった長門は大丈夫なのか((゚д゚;))ブルブル
↑ 大丈夫。 原爆喰らってもしぶとく生き残っていたではないか。 長門に天佑あり。
>>562 通常のようにダメコンをやれたら沈まなかったらしいよ
どこで読んだかは忘れたけど
第七艦隊に属する各任務群の司令部は、いずれも混乱の只中にあった。 「ジャップの新型巨大戦艦がこっちに向かってくるだって!?」 「第三艦隊の戦艦群が全滅したぞ!」 「TF34のリー中将が戦死したそうだ!」 状況報告に混じって誤報が乱れ飛び、サンベルナルジノの状況はさっぱり判らない。 ただ確実なのは、早急にオルデンドルフ隊の配置と護衛空母部隊の避退をおこなわな ければ、第七艦隊は日本軍の戦艦部隊によって破滅させられることだ。 揚陸指揮艦ワサッチに座乗するキンケイド司令長官は、頭を抱えていた。 「オルデンドルフ隊は、とりあえず北に配置する。どう考えても日本軍の主力はそっち だからな……うまくいけば、返す刀で南の部隊も迎撃できるかもしれん」 先にやってくることが確実な敵に、最大の戦力を備えさせるしかない。 「スプレイグに──あぁ、トーマスの方だ──伝えてくれ。さっさと逃げろ、でないと 巨大なハンマーに叩き潰されるぞ、と」 「どうしろというんだ……」 その頃、リーも頭を抱えていた。 CICのレーダースコープには、南東の海面に陣取った二隻の大型艦の反応が映し出 されていた。陣形を再編してさっさとレイテに向かった日本艦隊の後を追うつもりだっ たのだが、そこに現れたのはさっき日本艦隊の隊列から脱落した戦艦が二隻。うち一隻 は、先程アイオワを一撃で屠ったモンスターだ。 リーの目論見は、この時点で完全に頓挫していた。この二隻を片付けなければ、彼ら はレイテの救援に向かうことができないのだ。 敵先頭艦の巨大な三連装砲は、無言で威圧するようにリー艦隊を睨んでいた。
みなさま、新年おめでとうございます。 (貧)様、帰省の時間がせまっていたため、お話できなかったことが心残りです。 それはそうと、現連載は炸裂してますなぁ。春から縁起がいいわい。
>戦艦太郎閣下 ご尊顔を拝見できて光栄でありました。 閣下を見て女房が、「特撮系いい男」と申しておりました。 敬礼(汗
>>566 そんな、照れるじゃ、あ〜りませんか(誤解
ところで、特撮系?それってかぶり物後?
>戦艦太郎閣下 あ〜。私としては『龍騎』より『アギト』のデザインが好みでしたが……。 現在の特撮ヒーローは、いい男で、しかも料理ができるのが条件だそうです。
わたくしも龍騎のデザインを見たときは違和感感じました。 いまはまぁ、納得してますけど(アギトんときのデザインは良かったですねぇ) ファイズもかなり違和感……。 おっと、このままでは特撮太郎になってしまうので自粛。 ちなみに料理はあまり出来ません……うまい料理を作れる女性を見つける嗅覚を働かせることに終始。 私の料理だとかなり大味になること必定! 本題から離れていくことに一抹どころかかなり不安。
西村部隊の司令部に第一遊撃部隊の捷報が届いたのは、〇二三〇時を回った頃だった。 米新型戦艦と交戦という一文に、一同が感嘆の声をあげる。 「さすがは大和級だ、霧島の仇を見事に討ってくれた」 「戦艦四隻撃沈か。負けてはおれん」 戦果の代償として栗田部隊の損害も大きなものだったらしいが、我々と力を合わせる ことができれば戦艦は四隻。大和級の戦闘力を考えれば、決して敵に見劣りするもので はない。 「レイテ湾で決戦だ!」 「本隊と合流できるぞ!」 「真珠湾の死に損ないに、今度こそ引導渡してくれよう!」 西村部隊の士気は、否が応にも高まった。 いっぽう、トーマス・スプレイグ少将麾下の第七七・四任務群は、士気を云々する以 前の状態だった。この部隊を構成するのは、商船改造の護衛空母ばかり十六隻。速力は 相当に無理をしても十七、八ノットが限界というシロモノだ。当然、戦艦を含む水上部 隊と殴り合って勝負になるような戦力ではない。 「急げ、夜が明ける前にここから脱出するんだ!」 栗田部隊の針路上に位置する形となってしまった彼らは、全速で東に向かって撤退を 開始していた。だが、その足は悲しくなるほどに遅い。 「ナッシュビルから緊急信です。状況知らせ、勝手に下がるな、と」 スプレイグは、伝令を怒鳴りつけそうになったのを超人的な努力で堪えた。メッセン ジャーである彼に責任はない。 「いいから引っ込んでろと伝えろ。上陸部隊には指一本触れさせんとな」 口調は務めて穏やかだったが、スプレイグのこめかみには真っ青な血管が浮き上がっ ていた。
第七七・二任務群指揮官のオルデンドルフ少将は、不安と緊張に苛まれていた。 彼の麾下にあるのは、ウェイラー少将率いる戦艦六隻。これに、旗艦ルイスビル以下 八隻の巡洋艦と二一隻の駆逐艦がつく。突入してくる日本艦隊の編成と比較しても、決 して見劣りしない。 だが、目下彼らは南北から挟撃されつつあった。これが判断を難しくしていた。どち らか一方に対処している間にもう一方がレイテ湾に突入してしまっては、元も子もない からだ。 艦隊主力の二分も考えたが、これは問題外だった。北から来るのは、リー中将の新型 戦艦を叩き潰したモンスター達だ。数に勝るとはいえ旧式艦揃いの手持ち兵力を分割す るわけには行かない。 とすると、残るは一方を足止めしている間に相手を各個撃破する手しかない。オルデ ンドルフは第七九任務部隊のウィルキンソン中将から第五四駆逐連隊の駆逐艦七隻と魚 雷艇三九隻を借り受けると、自分の麾下にあった戦力からオーストラリア海軍籍の巡洋 艦シュロップシャーと駆逐艦六隻を加えてスリガオ海峡に配置することにした。魚雷艇 部隊は操船も危ういような新兵部隊だったが、哨戒程度の任務ならなんとかなりそうだ と判断されていた。 「本隊はこれより北上、南下してくる日本軍戦艦部隊主力を迎撃する!」 迷っている時間はなかった。行動のために残された時間も、そう多くはなかった。だ が、現状でのベストを尽くすべく、オルデンドルフは麾下の二八隻を率いてサマール島 東方へと向かった。
魚雷艇キタキタキターヽ(;゚Д゚)ノ
準幸運艦時雨の活躍の予感!
東の空がうっすらと白み始めていた。十月二十五日の夜明けが、約三時間後に迫って いる証だった。 「敵艦、針路変更なし。突破を図るようです」 まあ、この状況じゃそうするよりほかはないわな。 第五戦隊司令官の橋本少将は、米艦隊の指揮官に少し同情した。 こっちはレイテに向かう航路を塞ぐ形で布陣してるんだから、敵さんとしてはウチの 艦列を突破するしか味方の救援に向かう方法がない。 だが、その正面に立ちふさがっているのは、足が鈍っているとはいえ主砲火力が完全 に残っている武蔵と、大破状態とはいえ戦闘可能な金剛。傷物の戦艦二杯でどうこうで きる戦力でもないはずだ。 もちろん、我々には突破を許してやる義理など微塵もない。 「武蔵に連絡。照準完了次第撃ち方始め」 我ながら蛇足だろうと思いながら、橋本少将は命じた。猪口君の性格と武蔵の性能な ら、とうの昔に射撃準備など終わっているはずだ。 その直後、艦橋の外で閃光が走った。 「あ、いかんっ」 橋本が叫ぶのと同時に、見張りから報告が届く。 「敵一番艦、発砲! 続いて二番艦も射撃開始しました!」 「くそっ、先を越されたか! 全艦撃ち方始め! 羽黒と駆逐隊に通信! 『突撃、我 に続け』だ、急げ!」 間合いを計るように静まり返っていた艦橋の空気が、俄かに慌しさを増す。直後、 武蔵の周囲に四本の水柱が出現した。その大きさは、戦艦クラスの主砲弾でなければ 発生不可能なサイズだった。
「第二斉射、目標夾叉!」 「続けて撃て。とにかく敵の足を止めろ」 サウスダコタのCICで、リーは表情を緩めることなく命じた。 一時後退の間に、彼は通信機能に多大なダメージを受けたニュージャージーからサウ スダコタに旗艦を移していた。第三四任務部隊の二隻の戦艦は、使用可能な十五門の 十六インチ砲を用いて日本艦隊に射弾を送り込んでいる。 「敵補助艦艇群、突入してきます」 「敵戦艦部隊、発砲開始しました」 「補助艦艇はマイアミとモービルで押さえ込め。戦艦は射撃続行。駆逐艦部隊は敵巡洋 艦を優先的に牽制せよ」 「第三斉射、命中弾一!」 それから間髪をいれずに、サウスダコタの三五〇〇〇トンの巨体が大きく揺さぶられ る。 「敵艦第一射、着弾! ……夾叉されました!」 見張りが信じられないといった口調で報告してくる。 「おい、たっぷり二八〇〇〇ヤードは離れてるんじゃないか?」 「この条件下で初弾からやるかね……」 ほとんど夜間射撃といってよいコンディションだ。砲術長と艦長が呆れた。 「弾着……敵一番艦に命中弾、少なくとも二! ……化け物め、まだ平気なのか!?」 「しぶとい奴め……」 リーも思わず唸る。重量一.二トンの徹甲弾を何発も直撃されていながら、武蔵は 目立った被害を出すこともなく戦い続けていた。
うーん武蔵萌え
武蔵は、距離二四〇〇〇メートルで最初の命中弾を得るまでに七発の命中弾を受けて いた。左舷側に無数の小火災が発生し、外鈑が各所で捲れあがっている。見た目の ダメージは相当なものだ。 だが、武蔵の戦闘力はほとんど失われていなかった。九門の巨砲が限界近い発射速度 で次々と射弾を送り出す。 「だんちゃーく! 近、遠、遠……命中! 敵一番艦前甲板で爆発!」 よし! 武蔵の砲術長が、ぽーんと手を叩いた。 入れ違いに米艦隊からの射撃が着弾。二発が命中したが、有効弾は一発のみ。左舷後 部を直撃した砲弾は、負傷者の収容所となっていた士官室を吹き飛ばして、そこに居合 わせた負傷者や衛生兵など四十名余りを消滅させた。 「諸元そのまま、どんどん行け!」 猪口艦長が声の限り砲術科を鼓舞する。その声に応えるように、武蔵は主砲を斉発し た。サウスダコタの中央部を二発が襲い、マック構造の煙突の後ろ半分を噛み千切り、 メインマストを根元からへし折って海中に倒壊させる。 一方、この被弾の直前にサウスダコタが放った六発の十六インチ砲弾は、武蔵の左舷 中央部に連続して直撃した。舷側の機銃座群が薙ぎ払われ、高角砲座のスポンソンが大 きく傾ぐ。さらに艦内電話の交換器が衝撃で故障し、令達系統が一時的に機能低下を起 こした。 「さすが新型艦、一筋縄では行かんということか」 そう言いつつも武蔵の夜戦艦橋では余裕さえ漂っていたが、その数分後に不気味な報 告が届いた。 「右舷防水区画に浸水中! なおも拡大しています!」 「なんだと……!?」
578 :
名無し三等兵 :03/01/11 22:41 ID:1/S8bh2D
保全age 毎回楽しみにしています
「右舷中央? どうしてそんなところから……」 そこまで言いかけて、砲術長が突然はっとしたように顔色を変えた。 「昼間食った魚雷か!」 昼間の空襲で、武蔵は右舷中央部に魚雷一本を受けていた。応急注水と隔壁閉鎖によ ってその損傷による影響は最小限に留められていたのだが、これまでの砲戦で生じた衝 撃や船体の歪みによって水密区画の隔壁が破れ、漏水が始まったのだ。 「応急班急げ! 砲戦に影響が出る前に食い止めろ!」 副長の加藤大佐が怒鳴った。 武蔵の応急リソースは、砲戦による被害に対応するために左舷に集中されていた。 これを一部とはいえ右舷に振り分けなおすのは、並みの苦労ではない。 その間にも、サウスダコタの放った砲弾が着弾する。さらに自艦の砲撃による衝撃。 世界最強の四六サンチ砲が仇となりつつあった。強固な装甲区画へのダメージはほとん どないが、進行しつつある浸水被害は、繰り返し加えられる衝撃によって一層酷くなろ うとしてていた。 「本艦が力尽きるのが先か、敵艦に引導を渡すのが先か……」 副長の表情は険しい。 「武蔵の力を信じよう……今はそれしかない」 猪口が祈るように、または自らに言い聞かせるように唸った。 その直後に武蔵が放った砲弾は、サウスダコタの艦首付近上甲板と艦尾喫水線付近を 直撃。いずれも無視できない破壊と若干の浸水を彼女にもたらした。 だが、それを意に介さぬかのようにサウスダコタが撃ち返した三発のうち一発が、 武蔵の後甲板を直撃。発生した火災が第三砲塔への幹線電路に延焼し、後部へ向けて 広がり始めた。まずいことにこの区画の応急班は、右舷の被害部分へと抽出された直後 だった。交代の応急班が駆けつけるまでの数分間で火災は電路伝いに拡大し、後部副砲 弾薬庫に迫ろうとしていた。 武蔵にとっての破滅へのカウントダウンが、一気に加速し始めた。
皆、本懐を遂げて消えゆくか(落涙
581 :
山崎渉 :03/01/13 03:53 ID:???
(^^)
>>581 よし、決死隊に志願してくれたか。
では、今すぐ後部副砲塔にいって、消火作業にあたってこい!
はげしくスレ違いかもしれないが、今度BS-hiで、 独戦艦ビスマルクをやるそうだ。 BS-hiでなければ・・・
サウスダコタは、限界に近づきつつあった。彼女の装甲防御は、ひょっとすると決戦 距離での十八インチ砲弾の直撃にも抗甚しかねないほどの強固なものだったが、いくら なんでもこれほどの長時間に渡ってウルトラ・ヘビー級の強打を浴び続けることは想定 されていなかったからだ。 「罐室に火災発生、なおも延焼中です!」 「右舷艦首区画、浸水が拡大しています!」 「後部主ポンプ区画、電圧低下! 注排水系統が機能しません!」 最後の報告は致命的だった。サウスダコタの後檣からうしろは、先の長門とのノー ガードの殴り合いによって、既に笊と表現して差し支えないほどの無数の破孔を舷側に 生じている。絶えず流入する海水から予備浮力を守るために、注排水ポンプの力は不可 欠だったからだ。そのポンプが、動きを止めた。このことがいったい何を意味するかと いえば── 「傾斜復旧、間に合いません! 現在右舷に一度!」 「速力低下中! 十二ノットに落ちます!」 機関室とダメージコントロール班から、悲痛な報告が寄せられる。 「CIC、X砲塔。電圧低下のため揚弾機が動きません!」 「だめなのか……!」 リーが無力感に苛まれかけたとき、それまでの被弾によるものとは質の異なる衝撃が CICの床を通して伝わってきた。 「て……敵二番艦、消滅……轟沈、轟沈です!」 米艦隊各艦の艦上で、一斉に歓声が爆発した。
(´人`)ナムー なんか 見事に全部沈んでくれそうな勢いだ(w
。・゚・(ノД`)・゚・。 ああっ!
そういえば金剛がいるのを忘れてた!
588 :
名無し三等兵 :03/01/13 23:57 ID:4IQ5TO39
金剛が『金剛殺し』目的で造られたアイオワ級相手では辛いぞ。
落ち着け藻前ら! きっと武蔵が仇をとってくれる! だから・・・、だから泣くな!!!
金剛が沈んだんぢゃないの?
「扶桑」「山城」はいずこに!?
スリガオ海峡目指して必死こいて進軍中であります!
急げ!扶桑姉妹!!!
ニュージャージーと金剛の殴り合いは、かなり金剛にとって分の悪い戦いと思われて いた。 当然だ。かたや就役から一年程しか経っていない最新鋭の十六インチ砲搭載戦艦。 かたや、艦齢三十年に達しようかという十四インチ砲搭載巡洋戦艦。攻防性能に差が ありすぎる。 だが、大方の意に反して金剛は粘った。アイオワ級が採用した十六インチ五十口径砲 は、スーパーヘビーシェルの宿命ともいえる射程距離の短さを、長砲身化によって初速 を高めることで解決した、合衆国の砲熕技術を象徴する大傑作だったが、たった一つだ け致命的な欠点があった。戦艦主砲にとってもっとも重視される、二万〜二万五千前後 の中距離における対甲板打撃力が低下してしまったのだ。三十年代の改装によって老巡 洋戦艦が身に纏っていた一七〇ミリの多重甲板装甲は、決戦距離でのニュージャージー の砲撃に辛うじて耐えていた。途中で第一・第二砲塔を相次いで破壊されたが、これに よって時間を稼いだ金剛はその間に神懸り的なまでの戦闘力を発揮した。九斉射四六発 の十四インチ砲弾のうち、十九発という驚異的な数をニュージャージーに命中させたの だ。命中率四一パーセント。この数字は、艦砲による射撃としては空前絶後の大記録だ った。むろん、この全弾が有効打となったわけではなかったが、一弾が命中するたびに ニュージャージーの戦闘力は目に見えて低下していった。脆弱な艤装品が破壊され、 甲板上の被害に対処するダメージコントロール班が吹き飛ばされる。B砲塔は二発を同 時に直撃されたことで旋回部に損傷を受けて動作不能になり、前檣楼頂部への直撃弾は 主砲射撃指揮所を叩き潰した。さらに、着弾の衝撃が船体に歪みを与え、無数の漏水を 引き起こしたばかりでなく、操舵特性にも影響をおよぼし始めた。 一時は旧式の十四インチ砲艦が、最新鋭艦を追い詰めるかとまで思われたが、結局 これは死を前にしたひと花にしかならなかった。金剛が最後に残った第四砲塔から十斉 射目を放つ直前、ニュージャージーの砲撃が着弾。このうち一発が直撃弾となり、それ を証明した。 ニュージャージーが放った十六インチ砲弾が落下したのは、金剛にとっては考えうる 限り最悪の場所──先程ワシントンの砲撃で舷外に弾き出された第三砲塔跡の開口部 だった。
金剛よ、今まで本当にありがとう・・・。
しかし、上部弾薬庫には弾が置いてあって、下部弾薬庫には発射薬が缶の中に入って並んでいる。 たとえバーペットの内部に斜めに16インチ弾が突入しタとしても、弾庫で爆発するのなら、 爆圧は空いた上方に逃げて、発射薬には引火しないのではなかろうか?
しかしアイオワの砲塔爆発事故特集を録画したの見てるけど たった一門の発射薬の暴発であの被害・・・やっぱ戦艦の主砲って凄いと思う。
>592 「必死こいて」を「必死に漕いで」と読んでしまいました……。(ターン
最後の英国製日本戦艦に、敬礼ッ!
金剛…君の事は忘れないよ(゚Π゚)>
えっと、伊勢・日向は・・・?
「金剛、沈みます!」 見張りが泣き出しそうな声で報告してくる。 「くそっ、敵討ちだ!」 秋霜艦長の中尾少佐が、怒声を上げた。眼前に迫ってくるのは、アイオワ級戦艦の 長大なシルエット。 「距離、九五〇〇──!」 秋霜の後方には、第三十一駆逐隊の岸波、沖波、浜波が追従していた。少し離れた 右舷前方を、島風が突進しているのが見える。 「九〇〇〇!」 「左舷砲雷戦、用──意っ!」 薄闇を切り裂いて、赤や緑に光る曳光弾が正面から次々と飛んで来た。ニュー ジャージーも必死だった。金剛との砲戦によって右舷側の両用砲塔は三基が鉄屑の塊 となっていたし、運良く破壊を免れたものも電圧低下や給弾機の故障によって射撃速 度の著しい低下を引き起こしていた。残された武器は、ボフォース四十ミリ、エリコ ン二十ミリの各種機関砲。本来対空用に装備されていたそれらが水平に倒され、突進 してくる駆逐艦たちに少しでもダメージを与えるべく砲弾を送り出す。 「八五〇〇!」 秋霜の艦首付近で、四十ミリ対空砲弾が爆発した。だが、本来空母部隊直衛を任務 とするニュージャージーの補助火器群は、対艦・対舟艇戦闘用の徹甲弾を先程の交戦 で完全に射耗し尽くしていた。VT信管で起爆された榴散弾は至近弾となり、駆逐艦 に対して有効な被害を与えられない。 「八〇〇〇!」 前方を行く島風が面舵を切るのが見えた。 「おもかぁーじ、用──意!」 中尾の号令に、操舵員が身構える。 五インチ砲弾が二発飛んで来た。一発目の着弾は秋霜から五十メートルも離れた位 置に水柱を上げたが、もう一発が第一砲塔を直撃する。断片防御しか施されていない 駆逐艦の十二.七サンチ連装砲塔が弾け飛ぶ。VT信管は対艦用としては過早爆発に 過ぎるが、五インチ砲弾ともなればこの程度の芸当は可能だった。 「七五〇〇──!」 「面舵いっぱぁーいっ!」 中尾は、腹の底に溜まったものを搾り出すかのように、声の限り叫んだ。
604 :
名無し三等兵 :03/01/16 21:35 ID:GiwwTO79
ワクワク!!
ニュージャージーは窮地に立っていた。敵水雷戦隊の突撃を食い止めるはずだった モービルとマイアミは、妙高と羽黒の相手て手一杯となってしまっている。あとは駆逐 艦群が頼りだったが、サウスダコタとニュージャージーの二隻を同時に護衛するには 数が足りない。 事実上の戦力分散に陥った米軍駆逐艦部隊の阻止線を苦もなく突破した島風以下の 五隻は、距離七〇〇〇〜七五〇〇で一斉に転舵すると、次々と魚雷を放った。いずれも 炸薬量六〇〇キロ以上を誇る九三式二型魚雷だ。 「敵艦、転舵!」 日本海軍が持つ常識はずれの高性能魚雷のことは、長い戦争の中で米軍も察知してい た。だからこそ、この報告にニュージャージーの指揮官は震え上がった。先の金剛との 砲戦で甚大なダメージを負った彼女は、舵機の出力低下と船体の歪みによって、操舵応 答性が極端に低下していたのだ。 「フルスターボード! 右舷、雷跡に注意!」 CICから飛ばされる指令に、見張り員たちが海面に目を凝らす。だが、日本軍の 魚雷は酸素駆動。「ブルー・キラー」の渾名通り、炭酸ガスの気泡程度しか雷跡を曳か ない。しかも、周囲は払暁にすら届いていない明け方だ。海面はまだ真っ暗だった。 「雷跡……そんな、どこにも……!」 新人の見張り員がうろたえたように口走るよりも早く、浅海中を青白い何かがニュー ジャージーの舷側に向かって突っ込んできた。 「雷跡、三!」 見張り長が絶叫した直後、臓腑を抉るボディブローのように二本が右舷中央部と後部 に命中した。ニュージャージーの巨体は大きく揺さぶられ、甲板上にいた不運な者達を 海上へと振り落とした。
酸素魚雷キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!
じかーん!!
やりおったか!
ただでさえ回頭性の悪化していたニュージャージーは、二発の被雷によってさらに動 きが重くなった。漏水を起こしていた隔壁が各所で次々と引き裂かれ、怒涛のように海 水が流入してくる。速力は八ノットにまで低下していた。 そこへ、秋霜以下の四隻が放った三十本が突っ込んできた。命中したのは二本だった が、ニュージャージーの悲運はここでその頂点に達した。彼女は、二本の魚雷の針路が ほぼ交差する位置にいたのである。さらにこの二本は、直前に島風の魚雷が抉った破孔 に飛び込み、船体奥深くの水密隔壁を貫通。一本目は爆発によって内部装甲に亀裂を 入れ、直後にそこを通り抜けた二本目は両用砲弾薬庫の直下にまで頭を突っ込んで信管 を作動させた。 立て続けに同一箇所に対して発生した打撃によって、ニュージャージーの船体は右舷 中央部から艦底部にかけて、直径二十メートルあまりに渡って砕け散った。さらに両用 砲弾薬庫の誘爆による衝撃が原因で発電機が停止し、注排水ポンプが使用不能。発生し た火災のため電路が各所で寸断され、艦内の令達すら不可能となった。それ以前に CICそのものが、至近で発生した弾薬庫の爆発による衝撃と破砕効果で壊滅状態と なっていた。 ここまで同時多発的な被害が発生しては、いかに合衆国海軍のダメージコントロール 能力が高くとも復旧の努力は無意味だった。最後の被雷から五分が経過した頃になって ようやく生き残りの中で最先任であった信号長によって総員退艦が発令され、乗員が 次々と甲板から身を投じ始めたが、その直後にニュージャージーは一気に右舷側へ転覆。 二五〇〇名以上を冥途の道連れに、海底へ向かって最後の航海を始めた。
< 海底へ向かって最後の航海 (・∀・)イイ!
金剛の仇だ!
ニュージャージーより最後の信号、読みます! 「キル・ジャップス!」
武蔵よ……
武蔵、応答ありません!
615 :
名無し三等兵 :03/01/19 13:18 ID:NgNooFBV
武蔵応答セヨ!
「ニュージャージーが……!」 サウスダコタからその光景を目撃していた者は、一様に絶望感に捕らわれた。十数分 前まで金剛を撃沈して意気揚がっていたのが嘘のように思われた。 第三四任務部隊旗艦を務めていた最新鋭艦が、炎に包まれてくず折れるように海面に 横倒しとなり、艦首から水中へ引き込まれていこうとしている。誰もが信じられない 思いで眼前の光景に見入っていた。 「本艦の被害知らせ!」 艦長が、何かを吹っ切るような悲痛な叫び声で命令を下す。 「X砲塔、動力完全に停止しました! 使用不能!」 「左舷区画への注水は限界です! 現在傾斜一.五度!」 「三番罐室、浸水により放棄! 機関出力が低下します! 速力限界七ノット!」 サウスダコタもまた、最後の刻を迎えようとしていた。武蔵の砲撃が着弾。うち直撃 弾は二発。一発は使い古しのアルミ鍋のようになった舷側装甲が辛うじて弾いたが、 もう一発はA砲塔の前楯と砲身の隙間から砲塔内部に飛び込んで爆発。装填作業のイン ターバルだったために誘爆は発生しなかったが、砲尾の装弾機を砲塔要員ごとなぎ倒し、 砲塔室内部に火災を発生させた。 「A砲塔、防火壁閉鎖! 急げ!」 これで砲力は三分の一だ。それでも、サウスダコタは足掻くようにB砲塔から二発の 十六インチ砲弾を発射。うち一発が武蔵の艦首水中部分を刺し貫いた。 だが、その返礼として返された六発の十八インチ砲弾のうち二発が、サウスダコタの 中央部舷側を相次いで貫通。一発は罐室の一つに飛び込んで高圧ボイラーを倒壊させ、 対処不可能な大火災を引き起こした。もう一発は後檣とX砲塔の中間から機関室の直後 に飛び込んで爆発。推進器への延長軸を取り付け部付近から叩き折った。
「サウスダコタに敵弾集中!」 「敵駆逐艦、突っ込んで来る」 「(旗艦を)呼び出し続けろ!」 「サウスダコタに爆発発生!」 「畜生!」
武蔵!立て、立つんだ!!!
なんというゴージャスな前哨戦なんだ! 扶桑・山城!出番はもうすぐじゃ!
>暁のデッドヒート なんか、景気よく沈むなぁ・・・。 太平洋から『戦艦』という艦種が消えそうな勢いだ。
623 :
名無し三等兵 :03/01/19 22:51 ID:pDBxlDN8
616の時点で日米健在戦艦は何隻だ?
日本側は大和・武蔵・長門・伊勢・日向・扶桑・山城の7隻。 さて米軍側は?
米側はまだ浮かんでるサウスダコタと、オルデンドルフ艦隊のメリーランド・ ミシシッピー・カリフォルニア・テネシー・ペンシルバニア・ニューメキシコ の合計7隻。 ちょうど同数だが4手にわかれた日本戦艦のうちオルデンドルフ隊と対峙する のは小沢艦隊の伊勢・日向を除く5隻。
武蔵たんは、武蔵たんはもうすぐ……。
やはり巡洋戦艦の金剛クラスはみなすりつぶされてしまった、、、(泣
あくまで616の時点での残存戦艦をお伝えしました〜。
>>628 惜しい! ニューメキシコじゃなくてウェストバージニアです>オルデンドルフ隊
>>629 しまった!手元の資料がいい加減だったカ!(バンバン!
失礼しました〜
>626 貴様、それでも軍板住民か! 武蔵の武運長久を信じろ!最後まであきらめるでない!!!
632 :
名無し三等兵 :03/01/20 23:53 ID:sIoC6oSq
長門頑張ってタマ当てろ!
「武蔵、火災鎮火しませーん!」 「何やってやがる?!」
その時、信濃が一瞬にして二つに折れ爆沈した。
635 :
名無し三等兵 :03/01/21 00:31 ID:TfTgiiMQ
……。 やはり(しばらくは)sage奨励ということか。
では弾着sage
「機関室、火災を食い止められません!」 「中央幹線電路、延焼中!」 「右舷両用砲弾薬庫、三番および四番、温度上昇! 注水の許可を!」 「艦橋区画、電圧保ちません! レーダーをシャットダウンします!」 「右舷への傾斜、三度を超えました! これ以上は危険です!」 「速力を落としてください! 浸水の状態が悪化しています!」 「前部兵員室区画に浸水! 隔壁が破れかかっています!」 「船体に歪みが発生しています! 水密扉が密閉できません!」 次々と入ってくる被害報告の種類は、徐々に変質しつつあった。サウスダコタの戦闘 力の低下を伝えるものから、艦そのものの生存に関わるものが目に見えて増え始めてい たのだ。 「……ここまでだな」 なおも怒号のように指示と報告が飛び交うCICで、一通りの対処指示を出し終えた 艦長が呟くと、傍らのリーに向き直った。 「本艦は完全に戦闘力および行動能力を喪失しました。手遅れになる前に総員退艦の 許可を願います」 「……総員退艦を許可する」 リーは、ゆっくりと頷いた。 「軍艦旗降ろせ。総員退艦!」 CICの喧騒を貫くように、この時ばかりは凛と命令が下された。CICは数秒の間 しんと静まり返ると、次の瞬間それ以上の慌しさに包まれた。
また一隻・・・・「海底へのデッドヒート」と化してますな。
サンベルナルジノ海峡は・・・お化け屋敷だ・・・誰も生きては帰れん・・・
641 :
山崎渉 :03/01/22 11:15 ID:???
(^^;
いよいよ、前半のクライマックス!
同じ頃、サウスダコタから三万メートル余り離れた海面では、島風が右舷に傾いた状 態で黒煙を上げて停止していた。ニュージャージーに雷撃を見舞ったのちに三九ノット の快速で逃走に移ったが、その先でよりによって巡洋艦マイアミの目の前に飛び出して しまったのだ。 出会い頭だったが、巡洋艦の対応は素早かった。前甲板の主砲と両用砲の一部を迎撃 に割り振って、電探管制のもとで圧倒的な火力を浴びせてきた。 従来型駆逐艦の概念を覆す高速と重雷装を備えた丙型駆逐艦として建造された彼女だ が、十五本の魚雷を撃ち尽くしてしまえば、あとはちょっと足の速い甲型駆逐艦と変わ らない。六インチ砲弾二発と五インチ砲弾五発を叩き込まれ、自慢の高温高圧罐が火を 噴いて足を止められた。破孔から浸水も始まり、命運が尽きるのは時間の問題だった。 だが、続々と退艦して行く乗組員達の表情には、疲労こそ隠せないものの悲壮感は まったく見られなかった。確かに武運拙く艦を失うことになりはしたが、最後に戦艦に 必殺の一撃を見舞うことができたのだ。思い残すことはなかった。 やがて、退艦中の将兵の中から自然発生的に海ゆかばを口ずさむものが現れ始めた。 最初のうち遠慮がちなようにも聞こえていたそれは、次第に唱和するものが増えるに つれて近在の僚艦にまで響く大合唱となった。誇らしげに胸を張って舷側から身を躍ら せる者、傷ついた戦友に肩を貸して縄梯子を降りる者、退艦の間際に乗艦に向かって 敬礼を送る者、さまざまな思いを抱きながら、男たちは島風を去った。 彼らの無事を見届けたかのように、島風は総員退艦が完了した十五分後に艦尾から しずしずと沈降していった。刀折れ矢尽きた兵士達への労いでもあったのか、彼女は その最期に当たって、渦流や水中爆発といった生存者救助の妨げとなるものを一切残さ なかったという。
645 :
名無し三等兵 :03/01/22 21:10 ID:jodIhTOO
心優しき彼女に、栄えある重雷装駆逐艦に、島風に、敬礼!!
ディスプレイがよくみえねぇぜ、チクショウ。
うーん いい仕事しますな。作者殿
648 :
名無し三等兵 :03/01/22 22:19 ID:ZjRcG8c0
なんか栗ボ−がネルソン級の名将になりそ-な流れだな。
「「サウスダコタ」より信号。救難要請」 「ジャップの戦艦はどこだ!」 「「ピッツバーグ」より入電。「ワレ指揮ヲ執ル」」 「ジャップだらけだぞ」 「前方!ジャップの駆逐艦!」 「叩きのめせ、畜生!」
……なんか、今日の感想レスは読んでてこそばゆいんですが(笑)
普通に泣けた。
「島風の生存者収容を完了しました」 「そうか……妙高のほうはどうだ?」 「航行には支障ありませんが、上構の被害が激しいようです。主砲塔は全て使用不能。 橋本少将は艦上で戦死されたとの連絡がありました」 猪口少将は瞑目しつつ溜め息をついた。妙高は、米巡二隻から六インチ砲二四門の 集中砲火を浴びせられていた。沈没に直結するような被害は受けなかったようだが、 艦橋や主砲塔をはじめとする上部構造物を徹底的に叩かれ、廃墟の輸送船といった有り 様となってしまっている。これで、この部隊では自分が最先任か。 戦艦二隻を続けて失った米艦隊は、旗艦から脱出した生存者を収容すると北方へと 引き上げていった。結果的に巡洋艦二隻と駆逐艦四隻を取り逃がす形となったが、日本 側にも追撃の余力は残っていなかった。それに、日本艦隊もまた、先に南下していった 本隊を追求しなければならない。 だが、今の戦闘で武蔵はさらに激しい損傷を受け、浸水によって速力が八ノットにま で低下していた。もう亀の這うような速度しか出せない。 加えて、後部艦内区画で発生した火災によって幹線電路の四割近くが焼け落ち、三番 砲塔が使用不能に追い込まれていたほか、温度上昇による爆発を避けるために後部副砲 弾薬庫に注水していた。何ヶ所かの火は未だに鎮火せず、後甲板に開いた破孔からは 灰色の煙が何条も立ち昇っている。
「妙高は秋霜を付けて後退させよう。羽黒と三一駆は本艦と共にレイテに向かう」 ──とはいったものの。 猪口は、武蔵がレイテに到達できる可能性は限りなく低いことを理解していた。左右 両舷の浸水は、既に限界近くに達しようとしていた。トリム注水によってすら、その 復舷は完全には成功しておらず、左舷に一度近い傾斜が生じている。予備浮力も残り少 ない。立て続けの戦闘によって船体の各所に歪みや隔壁の緩みが発生しており、そこを 経由しての浸水も相当な量となっている。 「さて……追いつけるかな」 猪口は、それだけを口にすると前方の海上に目をやった。東の水平線は、もうすぐ 顔を出そうとしている太陽に照らされて一筋の流れのように白い光を帯びていた。 (──三途の川の渡し舟にしては、やけに豪勢じゃないか) ふと浮かんだ冗談じみた考えを、猪口は首を振って脳裏から追い払った。まだ川を 渡るには早い。
「第一遊撃部隊から落伍していた「武蔵」より入電しました−どうやら生き残ったよう です−『ワレ出シエル速力8ノット。本隊ヲ追求シ、レイテニ向カフ。ワレ“ザイドリ ッツ”ヲ範トス。』」
武蔵は戦場に向かうのか。 だれぞブルネイに曳航する物はおらんのか……。 それはそうと…… 武蔵よ、ありがとう。 貴女の46サンチ砲の威力、とくと見せて貰った!
時刻は〇四三〇時になろうとする頃合だった。太陽は水平線近くにまで昇っているは ずだが、水平線近くの遠景はようやく藍色が広がりつつある程度だった。 重巡最上は、前路掃討のために駆逐艦朝雲、山雲、満潮を率いて隊列前方へ突出して いた。周囲はまだ視界十分といえるほど明るくなっていない。さらに問題なのは、低く 垂れこめた密雲と、広範囲に渡って断続的に降り注ぐスコールだった。視界が一面に煙 ってしまい、スリガオ海峡奥側の状況がほとんど掴めない。 「参ったな。ここまで進出しておきながらレイテ島も見えんのか」 前衛隊の指揮を任された最上艦長の藤間大佐が、弱りきった声を上げた。前路警戒も ままならない状況で突入すれば、奇襲を受ける可能性が多分にある。ましてや、敵艦隊 は戦艦六隻を始めとする大兵力だ。スリガオ海峡の狭水道出口で、我々が姿を見せるの を今や遅しと待ち構えているに違いない。 そこに、左舷見張りから報告が飛んできた。 「パナオン島方向より魚雷艇、三!」 「来たな!」 砲術長が口元に笑みを浮かべる。 「左舷撃ち方! 各個に敵小艇を撃退せよ!」 号令一下、舷側の高角砲が速いペースで十二.七サンチ砲弾を送り出す。ほどなく、 後続の満潮も撃ち始めた。前衛の隊列から五〇〇〇メートルほどの位置に、水柱のスク リーンが出来上がる。その間隙を縫うように接近してきた魚雷艇群は、距離四〇〇〇〜 四五〇〇から次々と魚雷を発射した。 だが、この攻撃は明らかに腰が引けていた。発射された魚雷の殆どは、とんでもない 方向に向かって駛走していく。 「度胸だけは一人前だが……腕がついてきておらんな」 満潮艦長の田中少佐が、安堵の息をついた。
後半戦突入!!!!!!!!!!!!!!!!
「九〇度方向、魚雷艇二!」 「リマサワ水道方向より、魚雷艇三!」 「やれやれ、こりゃあ千客万来だ」 朝雲艦長の柴山中佐は、帽子を被りなおすと大音声で怒鳴った。 「左砲戦! あんな小艇ごとき寄せ付けるな! 一隻しとめるたびに、砲術科に酒五升 出すぞ!」 その途端、一番砲から大歓声が上がる。現金なことに照準まで正確になり始めた。 信じられない集弾率で次々と水柱を上げる十二.七サンチ砲弾。その中で続けざまに 閃光が走り、機関を撃ち抜かれた魚雷艇が火柱を上げる。まともに大穴を開けられた フォード製のガソリンエンジンはよく燃えた。泡を食ったクルー達が、艇を捨てて次々 と海に飛び込んでいく。 朝雲の甲板上で、さっきよりも大きな歓声。 「よぉし、まず一隻! どんどん行け! 一斗樽三個くらいはせしめて見せろ!」 砲術長がめちゃくちゃな鼓舞を送って砲員達を叱咤する。米軍の魚雷艇部隊こそいい 迷惑だ。炎上した艇が照明となって、僚艇を煌々と照らし始めた。そこを狙って、最上 以下の四隻が次々と射弾を送り込む。もはや攻撃どころではない。炎上した艇から近い 位置にいる順に次々と魚雷を投棄同然に発射すると、四隻は艇首をめぐらして一目散に 逃げ出した。 「なんじゃい、張り合いのない。次の目標はまだか!」 砲術長が拍子抜けした声を上げたところに、見張りから次の報告。 「前方、魚雷艇らしき船影、二……いや、三! 右舷方向に抜けます!」 「砲術長、少なくとも目標に不自由することはなさそうだぞ」 柴山が楽しげに声を掛けた。
659 :
朝雲見張り員 :03/01/25 22:53 ID:nbruaOO9
艦長! 新手の魚雷艇3隻、左舷後方から接近!
オルデンドルフ少将も、当初から魚雷艇部隊の攻撃力には期待していなかった。彼ら は頭数だけは多いものの、その実態は予備士官たちに率いられた新兵部隊で、訓練も 碌に行っていないような状態だったからだ。 実際、彼らの多くは自らの任務を哨戒と足止めの牽制くらいのものだろうと理解して いたから、この認識はあながち的を外れたものではない。 だが、そうは考えない猛者も存在していた。 他ならぬ魚雷艇部隊指揮官のレッスン少佐である。 「いいかお前ら! 手順は教えたとおりだ、そう難しいもんじゃねぇ! ここはひとつ、 ジャップの奴らに一泡吹かせて俺達の力を見せてやるぞ!」 隊内無線機に向かって怒鳴るレッスン。駆逐艦で構わないから、一隻でも食って意地 を見せてやるつもりだった。 「ビビるなよお前ら! 安心しろ、ちっぽけな小船っつったってなぁ、積んでる武器は ちゃぁんとした魚雷なんだ。駆逐艦や雷撃機の連中に負けるもんじゃねぇ! いいな! 俺達はできるんだ! 俺達はやれる!」 『そうだ、俺達は強い!』 乗せられた隊員たちの鬨の声がレシーバーから返ってくる。 レッスンはヤケクソじみた高笑いを上げた。正論とも暴論ともつかない鼓舞だが、 隊員の士気を高める効果は確かにあったらしい。 狂戦士と紙一重の兵士達に操られた三隻の魚雷艇は、第四駆逐隊の左舷前方から 四十ノットの快速を飛ばして隊列に切り込んでいった。
命知らずの魚雷艇、カコイイ! 敵ながら天晴!
「ワン・ツー・スリー・・駄目だな。まるでなってない」 「機長、下の連中は新兵ばっかりって話です。仕方ないんじゃ?」 「かもな。ボブ、司令部に連絡!『セカンドランナーに牽制球は効果無し。 なおもリードを広げている』位置を忘れるなよ」 「待ってください!こりゃ牽制球がビーンボールになるかも・・」 「相手はジャップのベーブルースじゃないんス、遠慮するこたねえス」 「ジャップのベーブルースってサワムラか?」 「俺はサミュエル・ペイジが好みだな」 「機長より各員へ。勝手に喋るな!ところでサワムラもペイジもピッチャーだぞ?」
「星弾用意、撃──ッ!」 星弾に照らし出された海上に、接近してくる魚雷艇数隻の姿が散見される。まともに 至近から照らされた二隻が急激に艇首を巡らせ、離脱に掛かった。 だが、それを追いかけるように十二.七サンチ砲弾が次々と着弾。吹き上がった水柱 の中で火球が膨れ上がり、飛び散った雑多なものの破片が海面に飛沫を上げた。後半分 を齧り取られた八十フィート型が、炎に包まれて漂流を始める。 この明かりを利用して襲撃を掛ける小隊もあったが、目ざとくこれを発見した山雲の 探照灯が狙い違わず光芒を浴びせた。急に閃光を食らった一隻が幻惑されたように動き を鈍らせたところに、最上の高角砲が水平射撃で放った一弾が炸裂。艇首デッキを吹っ 飛ばされた魚雷艇は、よろめきながら離脱していった。 「次から次へと。一体何隻いるのやら」 満潮の田中艦長が呆れたように呟く。 「前方、雷跡一!」 「雷跡だと──あぁ、大丈夫だ。あれなら当たらん」 艦の針路から百メートル近くも離れたところを駛走して行く。発射したと思しき敵は、 最上の主砲の弾着のあおりを食って大きく揺られながら、レイテ方向に遁走していく ところだった。 「それにしても、腰の座っておらん連中だ。敵ながら見ちゃおれん」 そこに、上ずった声で左舷見張りから報告が飛び込んだ。 「左舷、スコール中より魚雷艇、三! 近い!」
レイテ方向に遁走していった魚雷が 迷子魚雷になって 忘れた頃に・・・・
「行け! あいつを血祭りに上げてやれ!」 スコールを隠れ蓑に突っ込んだレッスン小隊の三隻は、第四駆逐隊の先頭を進んでいた 満潮を狙って六本の魚雷を放った。咄嗟のことで、駆逐艦のほうでも対処を取りかねて いる。距離は二〇〇〇。これなら、米軍の魚雷でも命中を期待しておかしくない。満潮の 田中艦長は、一発や二発被雷する覚悟を固めていた。 ところが。 「──へ?」 雷跡を追っていた者達の目が、一様に点になった。 「あ、あらっ?」 ジャイロが故障でもしていたのか、魚雷のうち四本が発射直後からそれぞれあらぬ 方向に逸れて行ってしまったのだ。魚雷艇クルー達の士気は確かに極限まで高められて いたが、肝腎の魚雷のほうは、急造の新編部隊に適当に割り当てられた年式落ちの欠陥 品に過ぎなかったということらしい。 「助かった……」 田中少佐は胸をなでおろし、 「畜生、ツイてねぇっ!」 レッスン大佐は指揮官席のブルワークを殴りつけて叫んだ。 「雷跡、艦尾かわりま──す」 残る二本も、一本は航走途中でスクリューが止まって沈降し、もう一本は満潮から 百メートル以上も離れたところを走り去った。 「よし、新手に備え……」 そう発令しようとした田中の声を、前方から響いてきた轟音がかき消した。 最上の艦尾に、水柱が上がっていた。
「何だ、何が起きた!?」 「判りません! 突然、右舷至近距離に雷跡が現れて……!」 最上では、突然の被雷に混乱が起きていた。 無理もない。通常なら絶対に当たるはずのない魚雷だったからだ。 最上に命中した謎の魚雷の正体は、レッスン隊が満潮に向けて放った六本のうち、 ジャイロの故障で正規の射線を外れた一発だった。ジャイロどころか速度調定装置まで 故障していたそれは、三三ノットと言う超低速で前衛の隊列を大回りし、右舷艦尾方向 から曲線軌道を描いて最上に突っ込んだのだ。 この詐欺のような一撃で、最上は舵機室に浸水を生じて一時的に操舵能力を失った。 「艦尾、浸水状況知らせ。内務班は舵機の復旧を急げ!」 副長の指示が慌しく令達される。 「両舷半速! 見張りを厳にせよ。右舷、雷跡に注意!」 藤間大佐も、息をつく暇がない。速力の落ちた最上は、敵にとっては格好の標的とな るに違いないからだ。 案の定、両舷から各一個小隊がしたい寄り、合計九本の魚雷を放ってくる。 「右舷前方、雷跡二!」 「左舷より、雷跡三!」 「くそっ!」 見事なまでの連繋攻撃と言うほかなかった。右舷の海面を見て、藤間艦長の顔が蒼ざ めた。五本も魚雷を食らっては、たかだか一万トン余りの重巡は一堪りもないだろう。 畜生、弱敵と侮ったのが運の尽きだったのか…… 「──な、何っ!?」 その眼前に、黒い影が滑り込んできた。見間違えようはずもない、業物の小太刀の ような甲型駆逐艦のシルエット。 「莫迦野郎!」 藤間が血相を変えて怒鳴った。 前衛隊の左右両舷から打ち込まれた魚雷は、二本が目標をそれ、残る三本が命中した。 左舷からの一本は、最上の艦首付近に。 そして右舷からの二本は、射線上に割り込んだ満潮の中央部舷側に。
667 :
名無し三等兵 :03/01/30 22:44 ID:fRwFEj0D
羞恥心を知らないキモヲタが自慰文章を堂々と晒している痛すぎるスレはここですか?
>667 違います。文芸にでも逝ってください。
羞恥心を知らない
>>667 のへたくそな煽り文を堂々と無視して「扶桑」「山城」
の活躍をみんなで願っているスレはここですか?
なんか667の所為でぶち壊しだよ…
まぁ、まったり行きませう。 ここで壊すと扶桑・山城が水子になってしまいますゆえ。
>669 そうです、ここがそのスレです。 667に、扶桑・山城による艦砲射撃を要請。
幸い、米軍の魚雷艇部隊が装備していた魚雷は年式落ちの欠陥品だった。最上の左舷 艦首付近に命中した一発と満潮の右舷に命中したうちの一発は、船体外鈑を破りはした ものの爆発せずに動作を止めた。 だが、満潮に命中した二本目は正確に信管を作動させ、爆発の衝撃によって、傍に 突き刺さっていた一本目の不発弾をも誘爆させた。 「満潮が……!」 後続する朝雲の見張り員が、呻き声を漏らした。 満潮の右舷側で立て続けに二つの閃光が弾け、続いてメインマストよりも大きな火球 が船体を内側から引き裂いて膨れ上がった。引き裂かれた船体の破片は宙高く舞い上げ られ、後続の僚艦に向かって霰のように降り注いだ。 合計四五〇キロ余りの炸薬の爆発によって、満潮は罐室を吹き飛ばされたのみならず 竜骨を真ん中から叩き折られた。若干排水量二〇〇〇トンの甲型にとっては、この一撃 は致命傷以上のなにかとなった。 満潮は船体中央部から捻れるように折れ曲がり、雷撃で抉られた破孔──というより もはや船体外鈑を丸ごと毟り取られたに等しい──から猛烈な勢いで黒煙と火災炎を吐 き出して、断末魔を迎えた竜のごとく海面をのたうっていた。既に浸水も手のつけられ ない勢いとなっており、上甲板が目に見えるほどの速度で沈下していく。 「生存者救出を急げ!」 朝雲艦長の柴山中佐が絶叫する。あの様子では、あと五分持つかどうかもわからない。 満潮の左舷に横付けした朝雲は、直ちに道板や縄梯子などを手当たり次第に渡し、続々 と艦内から脱出してくる生存者の救助に掛かった。 だが、殆ど停止状態となった両艦を狙って四隻の魚雷艇が襲撃を掛け、八本の魚雷を 発射。うち一本が迷走の挙句、満潮と朝雲の船体の間に割り込むように満潮の左舷に 命中した。この一撃によって二隻の間に渡されていた足場が爆風と水柱で吹き飛び、 数十名が海上へと投げ出された。さらに満潮は船体を完全に分断され、三十名以上の 生存者を乗せたまま、一気に二つに折れて中央部から沈み始めた。
昨日眠れなかったため、軍板をうろついていたら ここをハッケソしてしまいました。 いやあ、面白いですね(くぅ〜、乗り遅れた!)。 妄想戦史検証殿、「扶桑」「山城」が弩級戦艦だった頃の WWTにターゲットを絞るとは発想が良いですね(続きはないの?)。 第四南遣艦隊殿、使用頻度の低かった「山城」をインド洋に 派遣する展開にしびれます。 貧乏臭い戦いを、大真面目にやる男たちが超カコイイ! 私はお子様味の大和マンセー人間なので、 こういった渋めの大人味的な話は作れません(泣)。 某虚仮殿、おお!「レイテ」ですか!! 西村艦隊が主役とは、なかなか通ですね!! (と言うか、戦艦同士の砲撃戦萌え!) 期待大です!がんがってください!! 今後とも、ここにROMしていますので 前スレ含め、皆さんのご活躍をお祈りしております。
「前衛は何を騒いでいるんだ?」 後方に位置している山城の司令部では、混乱した状況を把握しかねていた。 「最上と満潮が被雷したとは言って来たが……」 前方の海上には、奇妙な方向を向いた駆逐艦のシルエットが炎の中に浮かび上がって いるのが確認できたが、なにせいい加減日の出の時刻を過ぎようかというのに全く明る くならない気象条件のおかげで、透視距離はひどく短くなっている。そこに幾重にも 折り重なって視界を塞ぐスコールが加わり、海峡部の見通しは最悪だ。 ──と、露払いの時雨が照明弾を打ち上げ、続いて猛然と主砲を撃ち始めた。 その直後、見張りが報告を入れてくる。 「ミンダナオ方面より魚雷艇、二!」 「副砲、追い払え。右舷砲戦! 左舷の見張りも怠るな!」 山城の篠田艦長が大音声で令達する。 「最上より至急信。『艦隊前方に複数の駆逐艦を見ゆ』!」 「歓迎が派手になってきたな」 そうこなくては、という調子で西村中将が不敵な笑みを浮かべた。 「不発弾の処理を急げ!」 内務班が慌しく駆け回る中、最上は高角砲だけで駆逐艦部隊と渡り合っていた。艦首 に刺さったままの不発魚雷が振動で起爆するのを避けるために、主砲はまだ使えない。 前衛隊は魚雷艇部隊との乱戦の渦中にあった。小口径砲弾や機銃の曳光弾が乱れ飛び、 双方の艦影に火花を上げる。 「何だ、意外と度胸のない連中だな」 最上の藤間艦長が怪訝な顔をした。確かに前方の米軍の駆逐艦部隊は、明らかに動き が悪かった。前方一万メートルほどの距離から、照明弾を上げつつ遠巻きに散発的な 砲撃を浴びせてくるだけで、あとは魚雷艇に任せきりと言わんばかりの按配だ。 「何を考えとる……」
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
山城キタァァァァァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ( ゚)ァァ( )ァァ(` )ハァ(Д`)ハァ(*´Д`)ハァハァ
山城〜!撃て撃て!撃ちまくれ!
我等が山城キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
待っておった、どれだけ待っておったことか……。 「暁とはこれほどここちよいものだったのか」
米軍駆逐艦部隊の不活発さは、故あるものだった。 彼ら──マクメイン大佐麾下の第二四駆逐隊は、前日までの上陸支援砲撃によって 主砲弾の大半を射耗し尽くし、残弾は各種あわせて各艦百数十発程度にまで減少して いたのだ。おまけに、ミンダナオ方面でのネズミ輸送の駆逐艦狩りや対潜掃討のために、 魚雷の充足率も相当に低下していた。 彼らとて決して戦意が低かったわけではないのだが、活発な阻止戦闘など望んでも 不可能な状態だった。 もちろん、だからといって日本側が攻撃を躊躇する理由にはならない。星弾が打ち 上げられ、最上と山雲の一二.七サンチ砲が浮かび上がった艦影に向かって砲弾を送り 出す。まともに前甲板に食らったデイリーが一番砲をひっくり返されて炎上し、後続の バッシェも中央部で火災を発生。誘爆を恐れたバッシェは魚雷五本を無照準のまま次々 と発射したが、当然ながらこれは一本も命中しなかった。 「艦首、不発弾の応急処理終了しました!」 「よし、奴らは及び腰だ。一気に畳め!」 それを聞いて、藤間大佐の威勢が急によくなった。主砲が使えるのならば、もう怖い ものはない。 「主砲、撃ち方始めぇっ!」 砲術長が、それまでの鬱憤を晴らすかのように怒鳴る。それに応えて轟いた主砲の 砲声も、どこかすっきりとした響きを帯びていた。 「だんちゃーく! 至近の遠!」 「よっしゃ、幸先いいぞ! どんどん撃て!」 それまでとは比較にならないほど大きな水柱が乱立する先では、米軍駆逐艦が煙幕を 張っては次々と艦首を翻していた。
最上、反撃開始! 航空巡となった後の彼女が之ほど輝いて見えたのは初めてだ・・・・
瑞雲積んで行って欲しかったな〜。全滅覚悟で次々と射出されて行く瑞雲隊…。
スリガオ海峡の留守部隊を指揮するバーケイ少将は、正直なところ貧乏籤を引いたと 思っていた。確かに、巡洋艦シュロップシャーを筆頭に駆逐艦一三、魚雷艇三九という 手元の戦力は必ずしも無力なものではないが、スリガオに突入してくる敵艦隊には、 二隻の戦艦が含まれている。 おまけに、手元の戦力の実態は額面と異なり、いずれも訳有り品ばかりだった。魚雷 艇部隊は訓練不十分の弱兵だし、駆逐艦部隊は一方は弾薬不足、もう一方はよその部隊 からの編入で戦術連繋に難がある。だいいち旗艦シュロップシャーにしてからが、そも そもオーストラリア海軍籍で本来の指揮系統を外れた存在であるし、それを抜きにして もロンドン級の条約型巡洋艦に属する彼女は艦齢二十年になんなんとする老兵だ。艦内 設備はあちこちガタが来ているし、射撃指揮装備も骨董品。おまけに機関出力は定格の 八割程度しか出ないときている。 (早い話が、俺達は足手纏いの厄介払いかい) もっとも、北上した本隊とて楽な戦はできないだろう。なにしろ北からやってくるの は、合衆国が誇る新型戦艦を叩き潰した怪物だった。質的にはるかに優勢な敵相手に 時間を稼がねばならない留守居部隊とどちらが大変かは、判断に迷うところだ。 「第二四駆逐隊より連絡。敵巡洋艦一隻および駆逐艦一隻、突入してきます。後続には 戦艦二隻、駆逐艦一隻を認むとの情報」 (くそっ、こいつは止められるかどうかギリギリの線だぞ。おい) 迎撃シフトの指示を出しながら、バーケイは心の中で呪詛の声を上げた。 だが、その直後に既定の方針を根底からひっくり返す一報が入った。 「ミンダナオ方面哨戒区より入電! 敵主隊後方に複数のレーダー反応を確認! 巡洋 艦らしき中型艦三、小型艦すくなくとも三! 速力約三十ノットにて接近中! なおも 後続の反応あり!」
志摩艦隊キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!
「後部見張所!『後方に艦影ラシキモノ見ユ』」 「・・・・・後ろだと?!」
戦況、各艦隊の状況含めて、誰ぞ書籍か汁! せなんだら、俺がするが。
「何処のどいつだ?」 山城では、後続してくる艦隊の正体を計りかねていた。 (しまった。敵情を掴み損ねていたか……) 西村中将は青ざめた顔をしている。ただでさえ、前方から次々と新手を繰り出して くる小艦艇部隊の相手で押され気味なのだ。このうえ背後から挟撃されてはひとたま りもない。 「後部、主砲副砲撃ち方用意!」 西村艦隊主隊の殿を務める扶桑の阪艦長が後部第五・第六砲塔と後部副砲郭に指示 を送る。 そのとき、後檣の見張りから報告が飛んできた。 「後続艦より発光信号! 『ワレ那智。貴艦扶桑ナリヤ』」 「那智? 第五戦隊がなんでこんなところに……」 一瞬、扶桑・山城の艦内で時間が止まった。 その直後、全てを悟った者が歓声を上げる。それは、瞬く間に第三戦隊の全艦に 伝播した。彼らは今まで、自分たちに後続する味方がいることを知らなかったのだ。 誰もが寡勢での敵中枢突入を覚悟していただけに、この意外な援軍は士気の高揚に 凄まじい効果を発揮した。 「第二遊撃部隊だ!」 「味方の援軍が来たぞ! これで百人力だ!」 「このまま一気にスリガオを突破できるぞ!」 勢いを得た日本艦隊は、第三戦隊の戦艦二隻に加えて那智以下の志摩部隊の巡洋艦 が並走するかたちで、単縦陣をとってスリガオ海峡最狭部の米艦隊隊列へと突進を 開始した。
キタキタキタ〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「ぬうう、外したか」 「ウチって魚雷がへっぽこなんスよね〜、タイプ93って輸入できないっスかぁ」 「無駄話してる間に俺達ってやばくないですか!? すでに駆逐艦の両用砲で狙われてるし!」 「なんか水柱が左右に立って綺麗です〜」 「莫迦野郎、見とれている場合か! 峡狭されてるぞ、進路を変えろ!!」
691 :
名無し三等兵 :03/02/04 22:35 ID:/zRdI4Qi
>>690 ウザいだけの戦艦太郎の突っこみよりナイス!
空気読めてないね〜
西村艦隊2戦隊。 そこだけ、ヨロシク!
>>694 ついでにもう一つ。
>第五戦隊がなんでこんなところに……
というセリフは史実で西村艦隊壊滅後に反転した「時雨」艦長が、志摩艦隊に遭遇した時に
発した言葉を元にしていると思われますが、実際には
「第五艦隊がなんでこんなところに……」
と。すなわち「那智」以下第五艦隊主力が北方警備の任を解かれて第二遊撃部隊として参加
していた事も(少なくとも各艦長レベルには)伝わっていなかったようです。
(さらに、第五戦隊は当時栗田艦隊の「妙高」「羽黒」。「那智」「足柄」は第二十一戦隊。)
も一つついでに言うと、志摩艦隊も任務が二転三転した挙句「とにかく行って来い」と特に細か
い打ち合わせも確たる任務も無く出撃させられたため、西村艦隊が自分達の前を先行しているの
を知らなかったと言う話も・・
696 :
名無し三等兵 :03/02/05 00:39 ID:bN7gDIY9
西村中将の指揮する「山城」「扶桑」の戦隊は第二戦隊。 レイテ湾突入を目指す第二艦隊を基幹とする部隊は、第一部隊が大巡愛宕を旗艦 として、第一戦隊「大和」「武蔵」「長門」を基幹とする部隊と、第三戦隊の「金剛」 「榛名」を基幹とする部隊が第二部隊で、これら二つを併せた部隊がサン・ベルナルジノ 海峡を進んだ栗田艦隊です。 で、ここで主役となる「扶桑」「山城」は、速力及び南北両側からの突入が望ましい とする艦隊の図上演習の結果、スリガオ海峡ルートを進む第三部隊となります。 で、第五艦隊「足柄」「那智」を基幹とする所謂志摩艦隊は、本来は機動部隊本隊の護衛役でした が、抽出され、第二遊撃部隊となりました。 で、第二艦隊にレイテ突入が命ぜられた時点では、最初はレイテ島への陸兵輸送を指示されて いたらしいのですが、南方総軍がモタモタしている間に命令が二転三転した結果、志摩司令官の 独断に近い判断で、西村艦隊の後を追っていったそうです。 だから、西村艦隊の正確な位置などは知らなかった可能性が高いです。
ageるとロクな事にならないので一斉射ち方sage
カンカンカン!ダイブダイブダイブ
>>698 「深く静かに潜航せよ」懐かしいですなw
さて西村艦隊と志摩艦隊の突破戦はいかに?!
そして栗田艦隊vsオルデンドルフ艦隊の結末は?
まさか小沢艦隊は反転tttttt
やはりsageないとジャミングがはいるようじゃ。 皆、sage、ヨーソロー。 武蔵、無礼な691に副砲でもお見舞いしてもらいたい。
「どこから湧いて出たんだ、あいつらは!」 バーケイ少将が悲鳴じみた声で叫ぶ。 シュロップシャーの米艦隊司令部は、恐慌に陥っていた。 第七艦隊は先頭切ってミンダナオ海を突進してくる西村部隊に気を取られ、後続の 志摩部隊をほとんどノーマークにしていた。そのため、ここでようやく哨戒線に引っか かった志摩部隊の出現は、ほとんど戦術的奇襲にもひとしい衝撃を彼らにあたえていた のだ。 「第五四駆逐隊より司令部! 新たな敵部隊はミョウコウ級ないしタカオ級巡洋艦二隻、 および小型巡洋艦一、駆逐艦四! なおも後続艦あり!」 「敵戦艦、発砲しました!」 「マクデルマットより報告! アオバ級巡洋艦一隻を確認!」 「敵勢力の確認急げ! 重複があるかも知れんぞ!」 「モンセンに爆発発生! ……畜生、沈みます!」 「第五四駆逐隊より続報! 敵艦隊第二陣後方に、巡洋艦二隻および駆逐艦一隻が後続!」 「クソッタレ、どっちを向いてもジャップの艦だらけだ!」 バーケイは、自分達がのっぴきならない窮地に立たされたことを自覚した。これは もうオンボロの巡洋艦一隻と三個駆逐隊程度の戦力でどうこうできる相手ではない。 彼は、海図盤を殴りつけると叫んだ。 「ルイスビルに連絡だ! 敵艦隊は戦艦二、巡洋艦少なくとも四を含む! 当方独力 での阻止および遅滞戦闘は不可能! 急げ!」
お?「多」号作戦(第一次オルモック輸送作戦)に行くはずの「青葉」と「鬼怒」 も出張ってきたか?!
703 :
名無し三等兵 :03/02/06 00:47 ID:+lR1FMKL
>>700 無礼なと思ってるのは独りよがりな
アンタだけ。これだけの名作にいっちょかみな
自慰な太郎君が作者のジャマ。だまってROMってろ。
すみません暁作者様。馬鹿なオタ突っこみ放置で
1000万読者は稀代の名作楽しみにしています。
山城、扶桑のダブル24連発待ってます!!!
>>703 このスレ立てたの太郎さんなんだし、良いんじゃないの?
変な事言ってる訳じゃないし
むしろいちいち荒らさないで欲しい。
705 :
名無し三等兵 :03/02/06 01:02 ID:+lR1FMKL
ごめんなさい。荒らすつもりはないんだけど。 暁レスはホント名作と思う。それをいつもながらの 軍オタネタでヨイシヨするオタッキ−ちっくな くだらん突込みが我慢出来なかっただけだよ! sageずに皆に見てもらいたいと思うよ。 戦艦自慰太郎は放置でね!軍事スレでこのレイテねたは 一般ROMマ-を魅了する名作ですよ。
>>705 お前が去れ。空気の読めない基地外はレイテ湾の藻屑に消えろヴォケ
707 :
名無し三等兵 :03/02/06 01:30 ID:YLbFn5YG
>>706=戦艦太郎。閑話休題。
>>705 うんうん、当スレの作品は私も名作だと思ってます。
でもね、ageる事によって更なる下らんツッコミや難癖を被爆する方が
被害が大きくなると思いますよ。
去らなくてもいいから、落ち着いて周囲を見渡しましょう。
そして作品を楽しみましょう。
扶桑山城の活躍を楽しみましょう。
軍事には素人揃いなので、詳しい方を募集します。
旧大日本帝国軍 vs 北朝鮮
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/korea/1044224763/ 条件
1・・・真珠湾攻撃時に北朝鮮が(全ての兵器、兵員、備蓄を持って)タイムスリップ
2・・・核兵器使用禁止(他はOK)
3・・・世界が植民地OKで、何故か平和(中立)
4・・・補給は全ての第三国と貿易で行えるが、運搬手段は自国負担
5・・・旧大日本帝国の領土は、北朝鮮の領土を除く。
勝利条件・・・無条件降伏を相手国に受け入れさせるまでとする。
期間設定無し(永遠)
皆さん落ち着きましょう。 そして、静かな心で氏の小説を拝読するのです。
皆様、マタ〜リよーそろでおながいします。
既に志摩艦隊は戦闘加入していた。旗艦那智以下、足柄・阿武隈・曙・潮・不知火・ 霞の順に並んだ単縦陣が、第二戦隊を追い抜くように突出していく。 強行軍の直後だったが、彼らの士気・技量はスリガオに突入した日本艦艇の中でも 図抜けていた。元々志摩中将麾下の第五艦隊は空母直衛艦として選りすぐられた精鋭で あるから、これは当然だ。 堪ったものではないのが、まともに彼らの突撃を正面から受け止めることになった カワード大佐麾下の第五四駆逐隊だ。志摩艦隊の練度は、西村艦隊とはわけが違った。 「くそっ、なんて集弾率だ!」 露天艦橋でその光景を見て、カワードは罵声を上げた。旗艦ルメイの右舷側には、 凄まじい密度で水柱が立っていた。 「畜生、奴らエリートだ。よく訓練されてやがる」 「マクデルマットよりルメイ。モンセン被弾により航行不能!」 「メルヴィン、爆発しました!」 「左舷、駆逐艦二隻反航中」 「撃て! とにかく撃て!」 「シュロップシャー、射撃開始しました」 「よっしゃ、命中だ! 敵先頭艦に水柱!」 「マクデルマットより報告。モンセン沈没します!」 「右舷、雷跡二!」 「面舵一杯、回避!」 「敵駆逐艦、前甲板に爆発!」 「ハッチンスよりルメイ。砲戦により被害甚大、これ以上は支えきれない!」 「シュロップシャーよりハッチンス、なんとか粘れ! ここを抜かれたらレイテ湾 まで一直線だぞ!」 「どっちを向いてもジャップだらけだ、くそったれ!」 その直後、旗艦ルメイの艦橋付近に一二.七サンチ砲弾が命中。カワードは命に別状 なかったものの、重傷を負って医務室に担ぎ込まれた。志摩艦隊の突破は、成功しつつ あった。
新参氏はsage推奨を守るように。 どなたか知らぬが、いさめていただいたが逆効果のようでしたな。 さて、それはともかく…… 続きを見守りましょうぞ。
バーケイ艦隊が発した悲鳴のような一報に、オルデンドルフ少将は顔色を失っていた。 スリガオ海峡を制圧しつつある敵艦隊の勢力を考えると、留守居部隊でこれ以上の 時間稼ぎは無理だ。おまけに、自分達が引き返すとしたら時間的な余裕は全くないに等 しい。 (何という希望的観測をしていたんだ、俺は) オルデンドルフにしてみれば、悔やんでも悔やみきれない判断ミスだった。 とにかく、ここは即決での判断が第一だ。とはいえ、現在二つある選択肢のどちらに も問題があった。このまま北上してモンスターたちと一戦交えるとすると、それから 引き返したときにスリガオを突破してくる敵の来寇に間に合わない。仮に間に合うとす れば、それはもう一つの選択肢──すぐに南へ取って返してレイテ湾口で合流する敵を 迎撃するというオプションを取った場合のみだった。だが、この場合北から迫るモンス ターに背後を取られるばかりか、まごまごしていると南北から挟撃を食らう恐れもあっ た。何しろ自分達が率いているのは、全速で二十ノットそこそこしか出ない旧式戦艦な のだ。 しかし── 「くそっ、選択の余地はないのか!」 悪夢を見る思いでオルデンドルフは反転を命じた。自分達が本分とすべきは、輸送 船団を守り抜くこと。そのためには、敵がレイテ湾に侵入する可能性を少しでも減らす 選択肢を取るしかなかった。 だが、もうすぐレイテ湾が見えてくるという所まで差し掛かったところで、オルデン ドルフは信じられない光景を目の当たりにした。彼は指揮官としての冷静さを保つこと も忘れ、頭を掻き毟るようにして絶叫した。 「なんでお前らがこんなところにいるんだ────!」 オルデンドルフ率いる砲戦部隊は、第七七・四任務群の護衛空母部隊と鉢合わせして いた。遠目には艀か筏のような小型空母達の船体は、おりからうねりの増した海面に 揺られて頼りなげに浮いていた。
>「なんでお前らがこんなところにいるんだ────!」 ワラタ
もりあがってまいりました!
誰もハルゼーに電報を打たないのであらうか。全世界は知らんと欲す。
ハルゼーちゃんは空母殲滅に向かっております。 「うちもらしてなるものか!!!」
バーケイ少将は、生気の抜けかかったような表情で戦場を眺めていた。 既に、彼に出来ることはいくらも残っていなかった。麾下の駆逐艦部隊は必死の 奮戦を見せているが、敵艦隊の戦闘技量がその上を行っている。特に、後方から進出 してきた二隻の巡洋艦の砲火の手際のよさは群を抜いていた。彼女達の主砲が火を噴 くたびにフレッチャー級駆逐艦が至近弾で煽られ、あるいは直撃弾を受けて火柱を 上げる。両舷に搭載された高角砲は的確な弾幕を構成し、群がる魚雷艇群を寄せ付け ない。 「敵駆逐艦群、突入してきます」 「デイリー被弾! ……くそっ! 誘爆が発生した模様!」 「敵戦艦、発砲しました!」 「弾着! 敵巡洋艦に命中、すくなくとも一!」 敵の前衛は、大きく三群に分かれていた。先頭を突進してくる二隻の駆逐艦と、 その後方から本隊を追い抜いて突出してきた巡洋艦二隻。それに、すこし遅れて単艦 でやってくる損傷した巡洋艦だ。 「あの飛行甲板付きを狙う。弱った奴から潰していけ!」 「ハッチンスより連絡! 『我、主砲弾の残弾ゼロ! これより避退する!』」 山城の主砲弾が着弾した。シュロップシャーの両舷に四本の巨大な水柱が立つ。 「夾叉されました!」 「くそっ、狙ってきやがったか! 間に合え! ファイア!」 見張りの報告に、艦長が怒声のような号令で応えた。 シュロップシャーの装備する八門の八インチ砲が、一斉に砲弾を送り出す。 「敵巡洋艦、発砲!」 「弾着! 目標中央部に火災発生……あっ、爆発しました!」 「ストライク! 魚雷にでも当たったか!」 次の瞬間、シュロップシャー全体を強烈な衝撃が襲い、艦橋にいた全員がその場 から放り出された。山城が放った十四インチ砲弾のうち一発が直撃し、後甲板に大穴 を開けていた。
バーケイ少将は、砲弾の飛来音で我に返った。誰かが「伏せろ!」と叫んだような 気がした。しまった、と思う間もなく強烈な衝撃が襲い掛かり、艦橋にいた全員を床に 打ち倒す。どこかから強烈な硝煙の匂いが漂ってきた。艦長が素早く起き上がり、飛び 込んできた伝令に対処指示を伝えていく。 だが、シュロップシャーに命中した敵弾は、山城のヘビーパンチだけではなかった。 後甲板が捲れあがった彼女の内部で応急班が活動を始めてから一分後、今度は満身 創痍の最上が放った八インチ砲弾六発のうち二発が直撃し、うち一発が艦橋後部で炸裂 した。左舷の見張り員が宙に舞い上げられて悲鳴をあげながら上甲板に落下していくの が見え、次いで戦闘艦橋の天井が抜け落ちて内部に爆風と無数の鉄片が吹き込んできた。 バーケイの意識は、そこで途切れた。 シュロップシャーに一撃を見舞ったものの、最上もまた深刻な打撃を受けていた。 艦中央部で発生した魚雷の誘爆は、装甲区画を吹き飛ばして奥深くの機関室に致命的 な損傷を与え、中央部全体に手のつけられない大火災をもたらしていた。破砕された 船殻部材や上構の破片は艦橋にまで飛来して旗旒甲板の信号員を全滅させ、メインマス トは煙突ごと上半分を毟り取られて松明のように炎上していた。 「いかんですな、水蒸気が出とります」 中央部の様子を窺っていた副長が渋い顔で報告する。 「こりゃぁ、足が止まるか」 藤間艦長は、仕方ないね、と応じた。 「それならそれで戦いようはあるさ。皆、戦いはこれからだ!」 意識して発せられた陽性の声だったが、それだけに艦橋を明るい空気が包む効果は 高かった。鬨声の代わりとでも言うのか、前甲板の主砲が一斉に咆哮する。最上の砲戦 能力は、なお健在だった。
「甲巡最上未ダ沈マズ。楯破レ足挫ケドモソノ矛健在ニテ、全乗員意気軒昂ナリ。 各艦ワレニ構ワズ心オキナク突撃サレタシ」 (防衛庁公刊戦史「比島沖海戦」4巻第7章『最上の最期』より抜粋)
そろそろ書き溜めの貯金が自転車操業になって来ました(ぉ というわけで、とりあえず今日は掲載ナシの方向でご勘弁ください(爆)
マターリ待ちます。
中断してる他の作品も読みたい!激しく再開希望。
>722 楽しみにしてます。
待っておる、待っておるぞ〜。 それにしても、なんつ〜ところで! しんぼうたまらん!!!
衛生班員の呼びかけでバーケイ少将が意識を取り戻したとき、シュロップシャーの 艦橋内部の様子は彼が見慣れたものとは大きく異なるものとなっていた。敵弾は、 メインマスト基部で炸裂して艦橋上部の防空指揮所を吹き飛ばしたらしい。脱落した 指揮所の構造物が艦橋の屋根に大穴を開け、内部はほとんど全滅状態だった。 (──被弾からそれほど長い時間は経っていないのか) 最初に感じたのはそれだった。 「艦長は?」 バーケイの問いに、水兵は首を横に振った。 「艦橋に居合わせた士官で、生存者は少将だけです」 「……そうか」 一瞬だけ瞑目すると、バーケイは立ち上がった。切り傷や打撲だけは山ほどあるら しく身体の節々が痛んだが、幸いにして致命傷というほどの傷は負っていないようだ。 ならば、士官として為すべきことは一つしかない。 「本来なら指揮権継承の外もいいところだが、そうも言ってはおられんか」 どのみち、味方はもう部隊の体を為していない。ならば、最先任士官の務めとして 旗艦の指揮を引き受けなければならないだろう。 「本艦の指揮は、これより私が執る。まずは航海艦橋へ移動だ。それと、被害報告を 急いでくれ」 バーケイは、ふと艦長在任時代の昔に帰った気分になった。状況はあのときとは 比較にならないほど悪かったが、そう考えるだけで不思議と気分が楽になり、戦意が 湧いてくるのを感じた。 「主砲塔、いずれも健在です。後部に火災を生じていますが、鎮火の見込みです」 「よし、まだ行けるな。諸君、戦いはこれからだ!」 奇しくもそれは、対面している巡洋艦の指揮官と同じ台詞だった。
o?
艦を見捨てるな、さあ、戦いはこれからだ。士官はその義務を怠るべからず・・・
「右舷前方、味方重巡炎上中」 「ひどいな、こいつは……」 志摩艦隊に続いて第二戦隊を追い越してきたのは、左近允中将率いる第十六戦隊。 重巡青葉、軽巡鬼怒、駆逐艦浦波で構成された小部隊だった。 「陸兵など乗せずにさっさと出てきたのは正解だったな。こりゃあ激戦だ」 「被弾して陸さんに人死にでも出た日には、かないませんからな」 彼らの眼前にある最上は、既に軍艦としての原型を半ば近く失っていた。中央部は 特に状況がひどく、旗旒塔から後檣楼にかけての上構は悉く倒壊し、鉄骨や鋼鈑の無秩 序な堆積となって炎に包まれている。 「無理しよるわい」 青葉の砲術長が、未だに最上の前甲板から主砲が砲撃を行っている様子を見て呆れた。 最上の被害は、既に艦を捨てる決断が下されても不思議ではない状態だった。タービン を破損したらしく、中央部の残骸の山の間からは水蒸気まで立ち昇っている。 そんな状態であるから速力も出るわけはなく、最上はほとんど行き足を失って漂流同 然の有り様だった。 「だんちゃーく……敵巡洋艦に命中弾!」 見張りの声が弾む。最上の斉射がシュロップシャーの周囲に水柱を上げ、うち一発が 中央部の煙突を蹴り倒し、傍のカタパルトを引き千切って宙に舞い上げた。 「左舷前方、駆逐艦一、魚雷艇二!」 「来たな、左砲戦!」 青葉もまた、戦闘の渦中へと突入しつつあった。反航から砲撃を浴びせてくる駆逐艦 に主砲で応戦しながら、第十六戦隊はスリガオの向こうへ舳先を向けた。
第十六戦隊キター!! しかし本当にオルモック輸送作戦放り出してくるとは・・・
青葉か……儂の嬉し泪はもう、とうにかれはてた。
おそらく本土に残っている主力艦は信濃と雲龍と雑木林のみ・・・まさに総力戦!
「如何されましたか?」 篠田艦長が問い掛ける。西村中将は、浮かない顔をしていた。 「妙だと思わんか?」 「は?」 「敵の布陣だよ」 そう言われて篠田は、はっとした。 「そういえば……戦艦が見当たりませんな」 「それだけじゃない、少なくとも六隻が確認されている巡洋艦も一隻しかおらん。とす ると、残りは何処へ消えた……」 西村・志摩両部隊は、スリガオ海峡を制圧しつつあった。敵部隊の士気はおおむね 低調で、駆逐艦部隊は散発的な砲雷撃を仕掛けてきただけで早々と後退を開始していた。 残るは足元をうろつく魚雷艇部隊と海峡出口付近に居座った巡洋艦だが、魚雷艇は増援 を受けて密度の増した阻止砲火網を突破できずにいるし、巡洋艦のほうも各所から火災 を生じて廃艦五分前といった有り様だ。各所で炎上する艦艇が周囲を照らし出し、うっ すらと白み始めた周囲の光景を、コントラストによって再び闇に沈めている。 これだけ前衛を叩けば、いい加減後方の本隊が援護に現れてもおかしくない。だが、 スリガオ海峡の奥から新手が現れる気配は一向に見えなかった。 「サンベルナルジノ海峡を突破した本隊が南下していますから……そちらに向かったの では?」 「希望的な観測ではそうなるが……油断は出来んな。各艦、対潜・対水上警戒を厳に するよう伝えてくれ」 窓の外では、スコールの勢いが一層激しくなりつつあった。何時の間にか、断片的に 散在していたスコールは一つにまとまり、スリガオ周辺の海域一帯を北方から覆い始め ていた。 「この調子だと……レイテ方面の天候は大荒れですな」 山城の航海長が、ぽつりと呟いた。
>>733 巡洋艦以上のGF所属艦で残っているのは、
葛城・五十鈴・木曾・北上ですな。
もう総棚浚えです。
>>735 ん?防空巡「五十鈴」は小沢艦隊の直衛艦なので、小沢艦隊が途中で返した
「多摩」の間違いでは?
>>736 ……あ"。
フィリピン海溝に沈んで頭冷やしてきます……(没
ageなくていいんすかね 大丈夫だと思っていても不安が・・・・
>738 一ヶ月近く書き込みがない他スレがまだ浮いていますので大丈夫かと……。 (敬礼)
>>736 沈んで「金剛」「榛名」達の後を追うのはまだ速いですぞ!最後の一発まで執筆を!
士官はその義務を怠るべからず・・
>>738 ageるたびにヘンなの来るからこのままsage進行の方がいいのです。
741 :
名無し三等兵 :03/02/16 13:17 ID:cN2c1DCm
支援age
>>741 シエン、アリガタク、ウケトル。
シバラク、シエン、ハ、ムヨウト、ミトム。
カクイン、イッソウ、フントウ、スルユエ、アタタカク、ミマモッテ、ホスィ。
シレイチョウカン、センカン タロウ
篠田艦長! 次は戦艦太郎を沈めて下さい!
あー、だからageたらイカンといったのに・・
一万トン級の重巡クラスにとっては、一発一発の被弾が馬鹿にならないダメージと なる。 最上艦長の藤間大佐は、そのことを今さらながらはっきりと痛感していた。 既に最上は、廃艦も同然の有り様だった。これまでの戦闘での被害は、八インチ および五インチ砲弾が合計して十発以上、魚雷二本。最上の戦闘力に影響を与えなか った被害はひとつもない。足が止まった時点では無事だった主砲も、結局一番砲塔が 破壊され、三番砲塔が電気系統の故障で動きを止めている。中央部は火の海と化し、 星弾や機銃弾が炎の中で弾け飛ぶ危険な状態だ。魚雷は誘爆を避けるために全て投棄 してしまっており、一本も残っていない。 だが、そんな状態にもかかわらず最上は二番砲塔だけでまだ戦っていた。副長が 「沈まないほうが不思議ですよ」と首を傾げながら応急に走り回っているが、現実に 彼女は持ちこたえている。 「ま、状況は向こうも同じか」 双眼鏡越しに対面しているシュロップシャーの様子を見ながら、藤間大佐は苦笑い を浮かべた。なんとか、相打ちには持ち込めたかな。 シュロップシャーは左舷に傾斜を始めていた。最上との砲戦は互角以上に進めてい られたのだが、山城から食らった二発目の十四インチ砲弾がまずかった。左舷の喫水 線付近を打ち下ろしのボディブローのように深々と抉った一撃は、彼女の戦隊外鈑 から罐室までを丸ごと削り取ったのだ。 このため、シュロップシャーは左舷に十度以上の傾斜を生じて戦闘不能となって いた。よろめきながら海峡北側へと脱出を図っているが、どうやらそれは果たされる ことはなさそうだった。 「さて、時雨に信号だ。生存者収容を頼もう」 藤間大佐は、ようやく艦を捨てる決断をした。 「先鋒の栄誉に与って、結果的に敵巡一隻と相討ちだ。恥じることもあるまい」
泣ける。後はお茶を濁す戦艦太郎の 糞インプレが無いことを切祈る。
↑破壊工作員とみなして無視で進行しましょう。
>>746 =743では無いが
名作の腰を折ってるのは太郎BOY。
スレッド親かもしれんがオタッキ−の域を
超えた今貴君の関わるところで無いことを
認識スベシ!ちゃんとサゲて勧告するが。
何やら穏当でない空気が漂っておりますが、 執筆担当としてはただ連載を続けるしか出来ることがないわけでして。 ただ、作者としてこれまで戦艦太郎氏のレスに不快感を感じたことは 一度もないことを申し上げておきます。
___ /64 _|__ /=/´・ω・`) ( つ旦O ∬ ∬ ∬ マターリしようよ。 と_)_) 旦 旦 旦
746は別人。 複数の人間が不快感を覚える今、太郎に 望むは沈黙のROMer。 名作の高揚感の腰を折らぬ事を望む! (sageて勧告)。 既に貴君の狭い領域を超越した名スレゆえ。
人間百人百葉。 誰かのレスに何者かが不満を感じる事もありましょう。 しかし、「映画館で名作を上演中に隣の人間に怒鳴り散らす」ような マネは慎んでいただけると、名作がより一層楽しく鑑賞できると思い ます。 某虚仮ドノ、まだまだ先は長いのでは?観衆を静まらせる感動の展開 をこれからも期待しております。
AAM氏、荒らしに負けず頑張って下さい
御久しぶりでございます。 大井(編成)太郎です。 ずっと拝見させていただいてました。 私のような艦隊決戦嫌いにもなにか来るものがありますね。 山城よ扶桑よ、そして米第7艦隊よ、 あなたたちの闘いにはなんら瑕疵はないと思います。 戦艦太郎閣下、このような場を作った功績は、まさに南雲太郎の名に値するのではないかと・・・ それでは執筆者の方にお礼を申し上げて、失礼させていただきます。
場を作れば俺様は特別という訳では無いと思ふ。 予備仕官殿、幼年士官学校候補生のタロ−に 指導教育をタノム。
戦艦太郎氏のスタンスは、前スレの1-100あたりを見るべし。 このスレの真意が見えると思う。 氏のキャラがなければ山城スレなし!
更新が続いていると思ったら、気に入らないレスをあぼーんすることもしらん 新兵以下の厨房の愚痴ばかりかよ。
___ /64 _|__ /=/ TДT) ( つ旦O ∬ ∬ ∬ お願いだからマターリしようよ。 と_)_) 旦 旦 旦 ここは言い争いをするスレじゃないよ
人であれ艦であれ、義務を最期まで遂行する姿と言うのは、 悲しくも美しいものをどうしても感じてしまうなあ・・・・。 この作品ほど「海ゆかば」が似合う文章もないかもしれないね。
……。(涙)
>>退役さん、某虚仮さん こういうことはいいたくなかったし、俺も愛するここを荒らす気持ちはもうとうない。 しかし、だ。 ばかな人の作品を読んでいるだけの「消費」するだけのクソ野郎にはさすがに頭にきた。 所詮、旧スレからの流れを知らない新参連中なんぞは「消費者」でしかないよ。 なさけないね。 旧スレからの編集と著者といった感じのことがわからねぇ奴らはされ。 ということで、俺は頭にきたから、今後、ageるからな。 その結果、どうなっても、しらんぞ! おめーら。
皆既日食かと見紛うほど重く低く垂れ込めた密雲のために日の出は地上から確認でき なかったが、時刻は既に、太陽が東の水平線から顔を出していることを示していた。 クラークフィールド基地の上空は小雨雑じりの悪天候だったが、飛行作業には支障 なさそうだ。 「昨日の航空戦における諸子の敢闘により、米機動部隊には少なからぬ損害を与える ことができた。そして本日の戦闘が、この決戦における最後の正念場となるであろう。 既に味方水上部隊は、レイテ湾突入への最終行程に入りつつある。どうか……どうか 今一度、諸子の力を貸して欲しい!」 大西長官の出撃前訓辞は、懇願にも似た力の入ったものだった。 昨日の判定戦果は、敵空母二隻撃沈、二隻撃破と伝えられている。敵空母機動部隊の 勢力は空母十六隻と報告されているから、昨日の戦いでは四分の一を倒した勘定だ。 そしてそれ以上に大きかったのが、敵空母主力を完全な遊兵に仕立てられたこと だった。一直線に内地から南下してくる小沢艦隊を発見した敵は、見事にこの餌に食ら いついた。だが、この餌にはしっかりと釣り針が仕掛けられていた。直掩戦闘機隊に かまけて空母本隊を攻めあぐねていた敵艦隊に一航艦の陸攻隊が襲い掛かり、これを 拘束。その間に、第一遊撃部隊は見事サンベルナルジノ海峡の突破を果たしたのだ。 無論、犠牲も大きかった。現在クラークフィールド基地から作戦可能な機体は、昨日 飛来した第三艦隊の艦載機まで含めても五十機に満たない。昨日朝の時点では陸攻と 銀河だけで四十機以上、戦闘機まで合わせれば百機近くを保有していたのだから、その 戦力低下ぶりは見るに堪えないものがある。 だが、そうであるにも関わらず彼らの士気は最高の状態にあった。昨日の戦果を受け て高揚しているばかりではない。誰もが、この戦いが海軍航空隊としての事実上最後の 戦闘になると肌で感じ取っていたのだ。 (あるいは体当たり攻撃の実施も覚悟していたが……) 大西中将は思った。この調子なら必要なさそうだな。既に味方水上部隊は、自分たち の力が及ばないところまで進出を果たした。あとは、ルソン東方の空母機動部隊を叩い て小沢艦隊を援護するほかに一航艦が出来ることといえば、戦艦部隊の武運長久を祈る ことくらいしか残っていなかった。
はじまりました!
互いの寛容と自重、そして叶うならば適度なネタ。 私が望むのはそれだけです。
766 :
ROM :03/02/17 20:57 ID:???
>> 戦艦太郎殿 ああ、ついに切れてしまわれましたか、最初っからROMってましたが、 場の空気が読めない外道の為に・・・残念です。 せめて物語が完結されん事を切に願わん・・・敬礼!
767 :
273 :03/02/17 21:00 ID:kOgRaQmV
ageとくか。
769 :
名無し三等兵 :03/02/17 21:42 ID:rUQaRX82
ageておこう
マターリしようよ
ageておこうよ。
ageんなよ。
常時sage これ良スレをまもるための鉄則
>>766 私もそう思っておるのですが、
この調子だと完結前にこのスレが使い潰されてしまいそうで
戦々恐々としております(((;゚Д゚))
いや、ageだろ。 良スレだと思うなら、常時ageだろ。
>>774 同意する。
ここまで淡々と続いてきたこのスレに
シャア板のテムスレの末路はたどらせたくない。
一方的な理由で罵られて立腹されるのも至極当然だと思うが、
戦艦太郎殿もいま少し落ち着いて頂きたい。
私はこのスレにおけるあなたの役割を評価しているし、
いままで、日常生活にこのスレという安らぎの時間と場所を
作り出してくれたことに感謝している。
今一度再考し、御自重願いたい。
>>776 新参モノとここを一緒につくってきた同志達じゃ、考え方が余りに違いすぎるみたいだからね。
某虚仮さん、どこかで連絡が取れればと思います。
それとも、退役さんみたいに出されるおつもりですか???
以後、武運長久を祈りつつ、物語を静かに見守りたいと思います。
>>777 一応、可能な限りこのスレで連載を継続するつもりでは居ります。
ただし、夏に紙媒体化する計画は水面下で動きつつあります。
一応自前のサイトも開いてはいますが、ちとここでは……
架空戦記スレのNo.2でURLが晒されておりますので、
ご面倒ですがそちらから当たってくださいませ。
>>779 そうですか、そのときは是非とも購入させていただきますゆえ。
某架空戦記スレ……どれどれ、探してみます。
同志達の賛同がえられればやはり「アンソロ 戦艦山城の最後」を出したいですなぁ。
ほかにもいろいろ……。
>戦艦太郎 ◆ZYEMgbhZg2氏 ageはお止めください。 その行為でワリを喰ってしまう人があまりにも多すぎます。 良スレは常時sageで。
>>781 わかった。
今度だけはここで忍従することにする。
>>782 できれば2ch用ブラウザをつかって透明あぼーんしてしまうとか
NGワード指定してしまうとかすればストレスもたまりませんよ
ハルゼーは、自分たちがとんでもない罠の中に飛び込んでしまったことを悟っていた。 「やられたよ。くそっ」 第三艦隊は、まさに進むも地獄、退くも地獄という状況に置かれていた。既にハル ゼーの元には、キンケイド第七艦隊長官を始めとして、第七七・二任務群のオルデン ドルフ少将、第三四任務部隊のリー少将、果てはハワイのニミッツ長官に至るまで、 ありとあらゆる指揮レベルから救援を訴える通信が押し寄せていた。 だが、第三八任務部隊は動けなかった。ここで反転すると、未だに空母七隻の戦力を 持つ日本機動部隊に背後を晒すことになるからだ。一個任務群を分離してレイテへ送る オプションも選択肢としては存在したが、陸上航空隊も相手にしなければならないこと を考えると兵力の分散は論外。ハルゼー艦隊は、嫌でもここに腰を落ち着けて、目の前 の日本空母と殴り合わなければならなくなっていた。 おまけに、フィリピン海域の天候はどんどん悪化していた。風と海面のうねりは強く なる一方で、至るところに激しいスコールが散在している。 (畜生、泣きっ面に蜂とはこのことだ……) 艦載機の発着は、不可能と言わないまでも相当に困難で、直掩隊の発艦作業も遅々と して捗らない。 「ピケットより通報! ベクター一−七−〇、距離三〇マイルに航空機らしきレーダー 反応、約四十! 目標速度、約一五〇マイル!」 「クソッタレ、最悪だ!」 ハルゼーは喚いた。方位と距離からすると、発見された目標はジャップの攻撃隊に 間違いない。これで朝一番で出す予定の攻撃隊を発艦させる暇がなくなってしまった。 「接触まで三十分……直掩隊は何機上げられる?」 「これまで上がったのが十八機ですから……およそ三十機です」 お世辞にも十分とは言えないか。ハルゼーは決断せざるをえなかった。 「各艦、ハンガー・チームは攻撃隊の爆装解除を急げ。今から上げても間に合わん!」
「えぇい、何をしておる!」 オルデンドルフは、掌に爪が食い込むほど拳を握り締めて喚いた。 クリフトン・スプレイグ少将麾下の護衛空母部隊ともろに鉢合わせした第七七・二 任務群は、隊列が大幅に乱れていた。数十隻の大部隊同士でお互いの針路が交錯する形 となったため、各艦が複雑な衝突回避運動を強いられている。 (これでは……レイテに間に合わんっ) いや、それ以上に背後から迫るモンスターの方が恐ろしい。 このように隊列が乱れた状態では、ろくに統制も出来ないまま叩かれて終わってしま う危険が大きい。おまけに、まともな戦闘力も持っていない護衛空母に至っては、砲雷 戦の足手纏いにこそなれ、絶対にプラス要素としては働かないだろう。第一、モンス ター達の砲撃に遭えば一撃の元に消し飛んでしまうに違いない。 (そうなる前に、何とか隊列を収拾してジープどもを分離しないと……) 回避機動と混乱、そして天候悪化に伴う海面状態の時化のために、艦隊速度は大幅に 落ちていた。レイテへの到着見込み時刻は、もはや見当もつかない。少なくとも当初の 見込みよりも大幅に遅れることだけは確実なのだが。 そして焦燥に駆られるかのように旗艦ルイスビルの艦橋の窓の外に目をやったオル デンドルフの耳に、艦の全力航進に伴って艦橋が風を切る音に混じって雷鳴のような 音が飛び込んできた。雷かと思ってそちらに視線を向けた彼は、最悪の事態が到来した ことを悟った。 隊列の最後尾付近を進む巡洋艦ボイスが、無数の巨大な水柱に包まれていた。 サンベルナルジノでリー艦隊の新型戦艦たちを叩き潰したモンスターが、追いついて きたのだ。
この時点で、44.10.25の6:00−7:00位ですか? スケールがでかいので時系列が混乱してきました。
「命中! 敵甲巡一、撃破と認む」 水柱の中から現れたボイスは、C砲塔付近で真っ二つに千切れていた。切断部分 からものすごい勢いで黒煙と蒸気を吐き出している。 「前方、戦艦一……いや、二! 空母三、まだ他にいますっ!」 見張りから報告。 「空母だって!?」 予想外の報告に、大和の艦橋がどよめいた。 「戦艦と空母が一緒にいるとは……敵は相当混乱しておるようですな」 小柳参謀長も予想外の事態に驚きを隠せない。 「なんにせよ、敵空母を仕留める絶好の機会には違いない。水雷戦隊、突撃だ!」 栗田長官も目の色が変わっていた。敵艦隊は、戦艦の艦列に空母群が入り混じって おり、統制の取れていない単縦陣の切れ端が彷徨っているような状態だった。 「敵巡洋艦、沈没します!」 「おぅ、見事だ!」 二つに千切れたボイスの前半分が、舳先を高々と掲げて沈んで行こうとしていた。 まるで松明の芯のように、轟々と燃え盛る炎の中で真っ黒なシルエットとなって浮か び上がっている。その様子を見ていた者たちは、沈んでいく船体の表面で海水が瞬時 に沸騰して弾ける音までが鮮明に聞こえたような錯覚に捕われた。 「十一時方向、敵戦艦二! まっすぐ向かってきます! 距離二〇〇〇〇!」 「飛び出してきたか?」 双眼鏡を向けた視界の隅で、またしても複数の巨大な水柱が奔騰した。 巡洋艦フェニックスを狙った長門の射撃が着弾していた。
武勲艦ボイシが・・・ 雪風とおあいこだ。
時系列をこまめに書いた図を含めて書としたいですな、ここまでくると。
>>発刊熱烈希望
章タイトルを時間にしてくれると、読者はありがたいかも。
武蔵&長門キターーーーーー(゜∀゜)ーーーーーーー
>>793 残念ながら大和のほうです(^_^;
武蔵は、現在サマール島東北東沖を南下中ですので……
武蔵ちゃんお待ちしています@サマール北方
46サンチ三式弾キボンヌ!
「ウェイラー! 早く隊列を立て直すんだ! 殺られるぞ!」 オルデンドルフは、TBSの送話器を握りしめて絶叫した。うちの中古艦でモンス ターに対抗するには、隊列を整えて統制射撃で撃ち合うしか道はない。 だが、戦艦部隊の隊列は護衛空母群との交錯によって分断されていた。そこに後続 の巡洋艦と護衛空母部隊の駆逐艦が入り乱れて、手のつけられない混乱が発生して いる。 「うわっ……ボイス、二つに折れました!」 後檣から見張りが上ずった声で報告してきた。 「フェニックス被弾! 戦艦クラスに狙われています!」 「敵水雷戦隊、突入してきます!」 「スムート隊に連絡! 迎撃急げ!」 「デンバー、射撃開始しました」 「ポートランド被弾! 誘爆が発生した模様!」 その直後に隊列の中で閃光が走り、水柱が奔騰した。数秒遅れて、轟音と衝撃波が 続く。スプレイグ隊の護衛駆逐艦が、全艦炎の塊となって真っ二つに折れているのが 見えた。 「ブルー・キラーだ!」 「だめだ、あれじゃ助からん……」 「落ち着けっ!」 ルイスビルの艦長が怒鳴りつけるが、浮き足立った艦橋の空気は容易には収まら ない。まさに士気崩壊の一歩手前。 そのとき、着弾のものとは質の異なる轟音が響き渡った。彼らにとっては、慣れ 親しんだ音だった。 「ウ……ウェストバージニア、射撃開始しました!」 「メリーランド、射撃開始!」 安堵の余りほとんど涙混じりとなった声で報告が入る。米艦隊の反撃が始まった。
新作希望sage
ウェストバージニアは、滅茶苦茶に入り乱れた隊列の中で強引に回頭をかましていた。 とりあえず艦尾方向を敵に向けている状態を、なんとかしなければならなかったからだ。 だが回頭の最中に、スプレイグ隊の左翼を進んでいたガンビア・ベイが目の前に飛び 出してきた。 「莫迦野郎!」 艦長が叫ぶが、もう遅い。正面衝突で戦艦部隊旗艦が行動不能になるという最悪の 事態こそ避けられたものの、金属同士が擦れ合い変形する甲高い耳障りな音を残して、 ウェストバージニアはガンビア・ベイの舷側を削っていった。 さらに、ガンビア・ベイの不運はこれだけに留まらなかった。舷側通路や銃座をごっ そりと削ぎ落とされて船殻に亀裂まで入った彼女の左舷に、後続のメリーランドまでが 衝突していったのだ。 この一撃が致命傷となった。舷側の亀裂から流入した海水によって機関が丸ごと水没 し、足が止まってしまったのだ。そもそも本格的な戦闘などに投入されることを考えて 設計されていないカサブランカ級護衛空母は、機関のシフト配置など行っていない── いや、それ以前に商船構造の彼女は単軸推進だ。 あっという間に浸水と傾斜を生じて海上に停止した彼女に対し、左翼を突進してきた 利根と熊野が距離一二〇〇〇から八インチ砲を浴びせる。続けざまに飛行甲板や格納庫 側面を突き破った砲弾は格納甲板で炸裂し、艦載機を破壊してタンクに残っていた燃料 を炎上させた。ガンビア・ベイは上構を炎に包まれ、ありとあらゆる破孔から激しく 黒煙を噴いて最期の時を待った。
ふんどし作戦で扶桑がこっそり出動してるけど、 ビアク救出に向かう雄姿をどなたかかキボン。 雄こんのこんという字がわしの携帯にはないのが悲しい。
>800 済みません。それ、も少し詳しく解説お願いします。
>>801 第一次渾作戦に、間接護衛隊として扶桑が、風雲、朝雲と参加しています。
ご存知の通り第一次は、陸軍司令部偵察機の、敵機動部隊発見の誤報により
6月3日に中止され、ビアク救出ができませんでした。
その後、ビアク救出作戦は、第二次、第三次と続きますが、マリアナへの米軍
侵攻により失敗に終わります。
第一次のときに、なぜか中止命令が届かず、身を犠牲にして、ビアク島を助けに向かう
扶桑を妄想してしまったものですから・・・
経緯について全然詳しくなくてすみません。
803 :
名無し三等兵 :03/02/25 20:43 ID:UixiE4H8
渾作戦の経緯 渾作戦は、5月27日、4月下旬にホーランジア、5月17日にワクデ島、サルミ などを飛び石づたいに攻略したマッカーサー軍が、ビアク島に上陸したことがきっかけです。 当初は、あ号作戦の主眼である敵機動部隊撃滅のため、敵主力来寇以外の場合は 所在兵力による邀撃にまかせることになっていました。
804 :
名無し三等兵 :03/02/25 20:55 ID:UixiE4H8
つづきです しかし、ビアクが陥落して敵の基地航空がビアクに進出すると、フィリピン やボルネオはもとより、南西方面の要であるシンガポールまで敵の攻撃圏内 に入ってしまいます。 これでは南方資源地帯との連絡路だけでなく、決戦兵力たる第一機動艦隊 の待機場所まで危険となります。
805 :
名無し三等兵 :03/02/25 20:56 ID:UixiE4H8
804の続き すいません。なんか上手く書き込めないので、細切れになっています また、敵来寇までに時間があったことで、守備隊の葛目支隊(一個連隊)はある程度の陣地 築城ができたことや、天然洞窟活用の陣地を活用して奮戦したことで、敵の上陸部隊を追い落 とす希望を聯合艦隊などが抱きました。 また、戦略単位(師団)の部隊マリアナの陸軍部隊が入ったことで、マリアナ防備は堅固で あり、独力で米上陸部隊を海にたたき落とせると予想されていたことも大きな理由の一つです。 なにせ参謀総長が太鼓判をおしていたんですから。 そういうわけで、マリアナよりビアクの手当を急いだということです。 そこで、フィリピンのザンボアンガにある海上機動第2旅団を増援することになりました。
806 :
名無し三等兵 :03/02/25 21:04 ID:UixiE4H8
805の続き 同時に、タンカーの著しい不足で、マリアナ東方まで進出できない第一機動 艦隊が、我が方が希望する第一予想決戦海面たるパラオ近海にて決戦を行う ために、ビアク追い落としが敵機動部隊を誘致の端緒となるかもしれないと 聯合艦隊司令部が判断したことによります。 そこで5月29日深夜、GF長官の豊田大将は、聯合艦隊機密第292342番 電(GF電令作第102号)を発令し、ビアク確保とそれによる敵機動部隊誘出を 図りました。
807 :
名無し三等兵 :03/02/25 21:12 ID:UixiE4H8
806続き ビアク突入日を6月3日とし、輸送隊「青葉、鬼怒、浦波、敷波」敷設艦 「厳島」、警戒隊「妙高、羽黒、駆逐艦4」、そして、間接護衛隊として 扶桑と駆逐艦2が加わります。 そして6月2日ダバオを出発しますが、同3日、B−24の触接を受けた こと、そして、陸軍の司偵が敵空母発見を報じたため、作戦中止となりました。 なお、それは誤報と判明しましたが、味方の基地航空隊である第1航空艦隊 の第2攻撃集団をこの方面に転用します。
808 :
名無し三等兵 :03/02/25 21:18 ID:UixiE4H8
807続き 以上が所謂第一次渾作戦です。 そのため、海上機動第2旅団の上陸地点はフォーゲルコップ半島のソロンに 変更され、第27駆逐隊、だい19駆逐隊の駆逐艦7に陸兵二個大隊を搭載 し、その援護に第16戦隊が当たると同時に、可能であればマクノワリに輸送 を行うことが発令されました。 しかし、ビアクを目の前にして敵の戦艦1、巡洋艦4、駆逐艦8を基幹とする 有力な敵部隊と遭遇してしまい、駆逐艦春雨沈没、敷波、白露、五月雨損傷に より、作戦失敗となりました。
>803-808 ありがとうございました。 800の方とは違いますよね。もう終わっちゃったので後の祭りですけど sageで書いて頂けると有り難かったのですが……。 私もキーワードを頂いてちょっと調べて見ましたが、戦略からもなかな か重要な戦いだったようですね。その重要な拠点の防衛にしてはあまり にもショボい増援戦力。そしてその撤退すら思うにまかせないとは……。 恥ずかしながら今の今まで「ビアク」と言う名前すら知りませんでした。 あまりにも重要な小さな戦闘……。しかも扶桑が派遣……。 いいネタになりそう。もうちょっと調べてみよ♪
810 :
名無し三等兵 :03/02/25 21:34 ID:UixiE4H8
808続き 以上が第2次渾作戦です。 この第2次渾作戦の計画中、小沢中将の進言で、さらに増援として、第1戦隊 や第2水雷戦隊(能代、駆逐艦2)第4駆逐隊(駆逐艦2)が増援されました。 指揮官は第16戦隊司令官の左近*少将から宇垣中将となります。 そして10日、タウイタウイから第1戦隊他が第5戦隊や輸送隊の第16戦隊 の待つハルマヘラ島南西端に近いパチアン泊地に向かいます。 ところが11日、米機動部隊がマリアナ方面に来寇したため、13日、『「あ」 号作戦決戦用意』が発令され、渾作戦は中止され、16日、宇垣部隊はミンダナオ 東方にて第2艦隊主力と合流し、こうして第3次渾作戦は不発に終わりました。 以上が渾作戦の概略です。 手頃な書籍としては、PHP文庫の奥宮正武/淵田美津雄 著「機動部隊」 や奥宮正武著「日本海軍が敗れた日〈上〉」に載っています。 詳しくは、戦史叢書「マリアナ沖海戦」を見ればよいと思います。 長々とどうもすいません。 800さん、第四南遣艦隊さん、こんな感じです<(_ _)> 可能であれば、一ついい作品をよろしくお願いします。
811 :
名無し三等兵 :03/02/25 21:47 ID:UixiE4H8
追伸です。 なお、ビアクを指揮下におく第二方面軍の阿南大将(終戦の時に陸軍大臣として割腹自殺した人) は、五月二九日の日誌には、「海軍の徳義的協力に感謝する」と記したそうですが、 右往左往するうちにご破算になってしまった一四日、阿南大将の日誌には、 「統帥乱れて麻のごとし」 と、憤懣やるかたない心中を書き残したそうです。 上記の葛目支隊は、葛目直幸大佐率いる第三六師団の弘前二二二聯隊三八 〇〇名だそうで、これに千田貞敏少将の第二八根拠地隊、海軍陸戦隊、イン ドネシア兵補を含め、一三〇〇〇名が守備していたそうです。 ただし、私はこの人数には確証がもてません。葛目部隊はm到着から五ヶ月 あり、この間に陣地築城がしっかりとなされたらしいです。 手頃な書籍の追加ですが、佐藤晃著「大東亜戦争『敗因』の検証」という ものがあります。 こちらはハードカバーで定価二五〇〇円と高かったです(T_T) 古本屋か図書館にあると思うので、よければ参考にしてくださいな。
味方の護衛空母一隻を踏み潰して無理矢理砲戦態勢を整えたウェストバージニアと メリーランドは、全主砲を右舷に指向して初弾を斉射した。 「撃ってきたぞ!」 大和の艦橋で、誰かが叫ぶ。 初弾は苗頭が甘く、全弾が大和の左舷前方に水柱を上げた。 「この水柱は、四〇サンチ級……メリーランド型がおるな」 「どこから撃ってきた!」 米艦隊にとっては絶体絶命の状況だったが、日本側にとっても手放しで歓迎できる 事態ではなかった。これだけ相手の隊列が入り乱れていると、最優先で叩くべき目標 である敵戦艦がどこにいるのかがさっぱり掴めない。 「一時方向……逆光になっとりますが、ニューオーリンズ級甲巡の向こう側からと 思われます。距離、二〇〇〇〇!」 「畜生、これでは狙いの定めようがないぞ!」 「構わん、主砲撃ち方! 撃てば何かに当たる!」 横を見た森下艦長は、我が目を疑った。普段は鉄仮面のように表情一つ変えないこ とで知られる宇垣中将の顔が、紅潮していた。 「左舷側、敵戦艦二隻回頭しつつあり!」 森下は、表情を引き締めた。米軍も、むざむざとやられるつもりはないのだろう。 その直後、大和の四六サンチ砲が火を噴いた。左翼に飛び出してきたカリフォル ニア級戦艦の周囲に水柱が上がる。 「よぉし、初弾から夾叉か。縁起がいいぞ!」 砲術長の声が弾んだ。
ご丁寧にありがとうございました。 ビアク島はアッツ島に次ぐ玉砕なんですね。 これがキスカのような撤退戦成功であれば、その後の戦局は……。 それほど変わらなかったでしょう。 「左舷に魚雷2発!浸水しています!」 「まだまだ!怯むな!突っ走れ!」 「右舷から雷撃機!6機来ます!」 「何本あたっても沈んではならん!せっかく助け出した陸軍さんを降ろすまでは 決して沈んではならん!」
渾作戦の頃、山城は内地で練習艦でしたのね。
815 :
名無し三等兵 :03/02/25 23:02 ID:JFiEol3R
奥宮正武/淵田美津雄著 『機動部隊』によりますと、二航戦旗艦の隼鷹から 扶桑の姿が見えたという記述がありますので、練習艦だったかどうかは調べないと なんとも言えませんが、第1機動艦隊のタウイタウイ集結時に、扶桑も泊地にいた のではないでしょうか?。 少なくとも、渾作戦の間接護衛隊にという記述が複数の本で確認されています から、南西方面に何らかの理由でいたのは間違いないと思うんですが。 これを書いている段階では、戦史叢書が無いので、何とも言えませんです。
今頃気がついた……。 800さん「ooi」って、もしかしなくても……?
817 :
名無し三等兵 :03/02/26 06:23 ID:KCYvLoq2
えーと第四南遣艦隊さん。803です。だいたい以上のような感じです。 可能であれば一ついい作品をお願いします。どっかでHPにでもできるか 載るかすればもっといいんですけど……(^^;) それと、恥ずかしい話ですが、sageてどういう事なんでしょうか。 インターネットを始めてまだ間がないので知らないんです。 それについて何か不都合がありましたら、どうかご容赦下さい<(_ _)>
>817=803 重ねてありがとうございました。 モノになるかどうか、ちょっと図書館と秋葉原の書泉に行ってあれこれ 調べてみます。 えーと。803さんはこのスレは初めてと言うことでしょうか?もしそう でしたらよろしくお願いいたします。まだ過去スレお読みでないのでし たら早めに目を通しておくのがよろしいかと……。ただ今連載中の 「暁のデッドヒート」以外にも数本の作品がアップされておりますので。 資料がある程度手に入って、妄想開始までに時間がかかりますのでアップ するとしても次スレ(【乙】?)になるかと思います。 それから「sage」はE-mailの欄にそう書き込むことによってスレが上位 に上がらないようにすることです。上の方に出ていると通りすがりの人が 無責任に批判や個人攻撃を行って全員が不快な思いをすることがあります ので、できたら心がけてください。 ではご一緒に扶桑・山城の斉発を楽しく妄想しましょう。
内地にいたのは山城ね。 扶桑はリンガ-タウイに長門と組む想定で進出していたそうです。
819さん、ゴメンナサイ。 どこでどう読んだのか、勘違いしてました。<(_ _)>
戦艦の数は現状 栗田:2(2)、西村:2 オルデン:6、リー:(2) 位でしたっけ?
822 :
821 :03/02/26 17:28 ID:???
すりません、カッコは、浮かんでいるだけのお船の意味です。
栗田2:大和、長門 (1)武蔵 西村2:扶桑、山城 オルデン6:旧式戦艦 リー0: じゃなかったかな。フォローよろしく >諸氏。
>>820 それ、下がってないです……
sageは半角でお願いします。
「テネシー、夾叉されました!」 「くそっ、奴ら腕がいいぞ」 ウェイラーは悪態をつきながら砲戦を指揮していた。 「第三射、弾着……敵先頭艦を夾叉!」 「よし、この諸元だ!」 ウェストバージニアとメリーランドは、大和に向けて四度目の斉射を放った。 「弾着……敵先頭艦に命中一!」 双眼鏡を向けた砲術長は、しかし次の瞬間溜め息をついた。 「何て奴だ、砲塔で弾きやがった」 「敵二番艦はナガト級!」 「敵先頭艦、発砲!」 報告が重なる。再びテネシーの周囲で大量の海水が天高く吹き上げられ、その中で 閃光が走り、海水以外の何かが弾け飛ぶのが見えた。 「テネシー、通信途絶しました!」 通信室から第一報。 「アンテナをやられたか?」 それどころの騒ぎではなかった。数十秒が経って水柱が崩れ落ちたとき、そこにあっ たものを見たウェイラー達は己の目を疑った。 瀑布のように落下する水幕の中から白煙とともに現れたのは、前後に分断された船の 形をした炎の塊だった。
>>817 場所(サイト・掲示板)の提供など、彼女たちのためならいくらでもするぞよ!
残りスレが少なくなってきましたので、早めに今後どうするかを考えておくのが無難かと。
現在、87話まで書き上がってます。100話突破は確実な情勢ですね。 何処まで行くかは判りませんが、とりあえず120話ぐらいまでは伸びる見込みです。
>827 第三次攻撃につきましては、残弾100を切った時点で指揮官を公募する所存で あります。 次スレのタイトルにつきましてはこれよりマターリと協議したいと思いますが いかがでございましょうか? 敬礼
「扶桑」「山城」を活躍させなさい【2番砲塔!】とか?
ウェイラーもオルデンドルフも、絶句したまま次の動作を忘れてしまった。 いや、その光景を目にした多くの者が、同様の状態にあった。 ──戦艦とは、これほどまでにあっさりと葬られてしまう兵器だったのか。 彼らの目の前で、テネシーは立て続けに誘爆を起こした。B砲塔とX砲塔をそれぞれ 下から粉砕して火柱が噴き上がり、巨大な火球となって甲板上にあったものを火炎と いわず上構といわず舐め尽くす。 爆風の直撃を受けた前檣楼が、まるで風化した古木のように分断された船体の狭間に 向かって崩れ落ち、海面で飛沫を上げた。 空中高く膨れ上がった火球を突き破るように、その内側から無数の新たな火球が膨れ 上がり、既に原形を留めないほど破壊された船体を四分五裂に引き裂く。その裂け目か ら新たな炎の雲が火砕流のように水平方向に噴出し、百メートル以上も離れた位置に いた味方駆逐艦を呑み込んで一塊の焚火へと姿を変えさせた。 そして次の瞬間、巨大な白いリングとなって海面を走ってきた想像を絶する衝撃波が 戦場海域に存在する全ての艦艇を揺るがした。 「──耳が潰れるかと思った」 戦後にこう証言したのは、テネシーから四〇〇〇メートル以上も離れた位置にいた ペンシルバニアの乗組員だった。 もはやそれがどんな形をしているのかすら判別しかねるほど徹底的に破壊され尽く した真っ赤な鉄塊は、そこでようやく海面下へと姿を消して劫炎から解放された。だが そのあとですら彼女は水中で数度の大爆発を起こし、誘爆に巻き込まれた僚艦から脱出 した数少ない生存者を衝撃波と破片で殺傷した。
832 :
南雲忠のすけ :03/02/27 23:22 ID:F3ByOFwg
案1.轟沈しないように、弾火薬庫をからっぽにして、輸送船として使う。 案2.空母に改造する。 案3.回天と甲標的の輸送に使う。 案4.記念館として、三笠の横に飾っとく。
>832 次スレのタイトル案ですか?
>>住民各位 前スレで敵前逃亡した敗残兵です。 できれば次スレで、リファインした「戦艦山城物語」をもう一度書きたいのですが よろしいでしょうか
>834 帰還を祝す、大いなる戦果を期待す
836 :
悪乗り :03/02/28 00:48 ID:???
>834 ヲヲ…素晴らしいです。 私なんぞ他の皆さんの凄さにすっかり腰が引けてしまいました。
>834 待ってました!!!よろしく!
841 :
名無し三等兵 :03/02/28 12:01 ID:FZfAkJwJ
>834 お帰りなさい。待ってましたよー。期待してます(^^)/
>>
>>>>>
今日は 某虚仮さんお休みかな?残念。
レイトショーのツインタワー観に行っておりました。 とりあえず、例によって明日(土曜日)は休載の方向で……
「もっと突っ込んでください! せめて、あと五〇〇〇ヤード! でないと奴には効き ません!」 射撃指揮所で、砲術長が戦闘艦橋への伝声管に向かって怒鳴る。 第七七・二任務群の戦艦部隊の中で、もっとも巧みな戦術運動を見せていたのはミシ シッピーだった。 これには訳がある。大西洋艦隊から回航されて来た彼女は、戦艦部隊の中では唯一 真珠湾を経験していない。このため、損傷艦の修理に伴って他の艦に転属されていった 開戦前からのベテラン達が、彼女にだけは大勢残っていたのだ。 ミシシッピーの砲術長は、掌砲長の大尉時代から彼女の五〇口径十四インチ砲と付き 合ってきた超ベテランだった。 二二〇〇〇ヤードで十六インチを弾いたとすると、モンスターの装甲は四百ミリを 超える超重防御ということになる。ミシシッピーの十四インチ砲でこれを破るには、 一〇〇〇〇ヤード以下まで肉薄するしかない。 内心で、とんでもないことを言ったもんだと冷や汗をかく。戦艦主砲で一〇〇〇〇。 拳銃なら銃口を相手の身体に押し当てて撃つに等しい距離じゃないか。その距離に突っ 込むまでに、モンスターや後続のナガトから最低五回は斉射を浴びるんじゃないか? こっちが浮いていられるかどうか。 彼の脳裏に、引火した軽質油タンクのような大爆発を起こして沈んでいったテネシー の姿が浮かぶ。 「縁起でもねぇや」 砲術長は、潮焼けのひどい髭面に憮然とした表情を浮かべて呟いた。せめて、モンス ターの砲塔の一個くらいとは刺し違えてやる。
「しかし、戦艦でこんな戦い方をする羽目になるとは……莫迦野郎揃いだな、俺達は」 突出を始めたミシシッピーを見て、ウェイラーもまた麾下のウェストバージニアと メリーランドに突撃を命じていた。 彼の脳裏には、数時間前に連絡を絶った第三四任務部隊のことがこびりついていた。 知将として知られるリー中将のことだから、サンベルナルジノ海峡から出てくる敵に 対して丁字を描くという、これ以上はないというほどの絶好の態勢を確保していたに 違いない。にも関わらず、リー艦隊はほとんど一方的に叩き潰されてしまったという。 (要は) ウェイラーは推論を立てていた。恐らくリー艦隊の敗因は、通常の砲戦距離で交戦に 及んでしまったことにあるのだろう。あのモンスターの装甲は、中距離で放たれた十六 インチ砲弾に対しては、ほとんど完璧といって差し支えないほどの強靭な防御力を発揮 しているはずだ。 「……ならば」 ウェイラーは思わず口に出していた。こっちは通常の砲戦距離から外れたレンジで 戦ってやる。遠距離側は命中を期待できないから、この場合は接近しての殴り合いだ。 「そっちが一撃の重さで来るなら、こっちは数で勝負だ」 「距離、一七〇〇〇ヤード!」 「よぉし、どんどん撃て! 一発でも多く当てろ!」 右舷やや前方に指向されたウェストバージニアとメリーランドの十六インチ砲十六門 が、一斉に火を噴く。そのまた右舷方向には、ミシシッピーとカリフォルニアが全力で 海上を疾駆する姿が見てとれた。 「うぉっ!?」 だが、突進を続けるウェストバージニアの鼻先に四本の水柱が次々とそそり立った。 大和の後方に位置していた長門が、未だ健在な砲力を米戦艦部隊に対して振るい始め ていた。
「挟み撃ちとは味な真似を……」 左舷前方からニューメキシコ級戦艦。右舷からはコロラド級が二隻。それよりもかな り遅れて左舷からカリフォルニア級が一隻。 ──と、そこに後方から轟音が飛んでくる。ほぼ同時に右舷から向かってくるコロラ ド級の鼻先に、次々と水柱が上がった。大和は左舷のテネシーに向けて発砲していた から、この一撃は彼女の射撃によるものではない。 「長門より信号。『右翼は任されたし』」 「ほう。なんとも頼もしいことだ」 後檣からの報告に、栗田長官の口元がほころんだ。 「よし、本艦は左舷を相手にする。主砲撃ち方!」 森下艦長の号令。前甲板で二基の巨大な三連装砲塔が動作を始めた。島風級駆逐艦に 匹敵する重量を持つそれらが、ゆっくりと旋回して狙いを定める。一八〇〇〇メートル ほどの距離でメリーランドから十六インチ砲弾が飛んでくるが、彼女が使っているのは 新型戦艦で採用されているようなSHSではなく重量九〇〇キロそこそこの通常弾だ。 この距離では大和の主要部装甲を貫通できない。 「一番、二番、射撃準備よし!」 「目標、左舷ニューメキシコ級戦艦!」 「よし! 撃ぇ──っ!」 短二回、長一回のブザーとともに、猛烈な発砲音と衝撃波を残して一トン半の巨弾が 飛んでいく。距離が詰まっているだけあって弾着までの時間は早かった。 「だんちゃーく! 遠、遠、遠……」 「下げ一、苗頭そのまま、第二射用意!」 「射撃準備よし!」 「テッ!!」 再び轟音。その直後にミシシッピーからの砲撃が着弾。一発が司令塔上部を襲ったが、 こんなところを十四インチ砲弾に抜かれる大和ではない。 「だんちゃーく! 近、近……目標に命中!」
ミシシッピーに命中したのは、艦砲としては地上最強を誇る重量一.五トンの超大 口径砲弾だった。この直径四六サンチの凶器は、この世に存在する殆ど全ての戦艦に 容易く致命傷を与えるだけの威力を持つ。これは、先程テネシーの艦中央部甲板を貫通 して一撃で彼女を葬った実績によって裏付けられている。 命中個所は、艦中央部舷側。誰もが致命傷を覚悟するような一撃だった。 だが、ミシシッピーはこの打撃に辛くも耐えた。入射角の妙と言うべきだった。 三四三ミリの舷側装甲に対して、砲弾の入射角は前方四五度。さらに、この弾道には 十度以上の落角もついている。垂直に立った舷側装甲は、通常の一.七倍──約六〇〇 ミリ相当の耐弾性能を発揮した。 「何ッ」 森下艦長が、あんぐりと口を開けた。 「弾いたぞ!?」 艦橋が騒然となる。 「うろたえるな、勝負はこれからだ! 次弾装填まだか!?」 宇垣中将の叱咤が飛ぶ。 「あり得ない話ではないが……この距離で弾くか。旧式艦とはいえ侮れんな」 既に彼我の距離は一五〇〇〇メートル近くにまで縮まっている。口径の劣る砲での 射撃効果を得るために、米戦艦部隊は全速で大和との距離を詰めていた。 「射撃準備よし!」 「撃ぇ──っ!」 再び大和の砲撃。ミシシッピーの周囲に五本の水柱が立つ。つまり、一発の直撃弾が 生じていた。煙突直後の舷側装甲をぶち抜いた四六サンチ砲弾は、船体内部で炸裂。 直下から突き上げられた両用砲塔が台座ごとすっぽ抜けて、独楽のように回転しながら 嵐の中に消えていった。 「よし、有効弾は出ているぞ!」 戸惑いに近い空気が漂いかけた昼戦艦橋に、活気が戻ってくる。 だが、その直後に大和は激しい水柱と不気味な振動に襲われた。 メリーランドが距離一六〇〇〇で放った十六インチ砲弾が、艦首喫水線付近を貫通。 やや鋭敏気味にセットされていた短遅動信管が船体内部で作動し、魚雷艇が通り抜けら れそうな大穴を開口させていた。
アメリカ海軍の旧型戦艦は”低速重装甲型”だから、 ありえなくもないか。
扶桑はまだかヽ(´Д`;) ノ
しかしそんな砲弾を弾き返した際に派生する衝撃に乗員が耐えられるか どうか。確か、46サンチを実際に喰らった装甲艦はないんだよね。
「艦首部被弾! 浸水発生!」 「くそっ、応急急げ!」 メリーランドから食らった一発は、隔壁閉鎖が行われるまでの数分間で大和の船体内 に五〇〇トン以上の海水を流入させていた。 「内務班、被害知らせ!」 「浸水は食い止めましたが、十八ノット以上は危険です!」 森下艦長と栗田長官が、むぅ、と同時に唸った。 さらに、左舷艦橋脇にミシシッピーの放った砲弾が直撃。貫通には至らなかったもの の、これで先程のリー艦隊との撃ち合いで大被害を受けていた左舷側の補助火器群は、 機銃座数基を残して完全に壊滅した。 「だんちゃーく……近、遠、近、近、遠、近!」 「当たらんなぁ」 栗田長官がぼやく。急速に双方の距離が詰まっているうえに、この荒れ模様の天候だ。 射撃諸元はお互いに乱れがちだった。射撃距離と使用砲門数の割には、米艦隊の射撃も じれったいほどに当たっていない。 「敵がどんどん突っ込んで来てますね。あまりくっつかれるとまずいですが……」 森下艦長がそう言ったとき、距離一二〇〇〇メートル弱で放たれた斉射のうちの一発 が、ミシシッピーの左舷後部舷側を貫通。上甲板が後部主砲塔の姿を覆い隠すほどに 激しく広範囲にわたって捲くれ上がり、艦内から火の粉の混じった黒煙が湧き出した。 このとき、縦隔壁数枚を突破した砲弾はX砲塔とY砲塔のバーベットの中間で炸裂。 ミシシッピーは、せっかく大和を射界に収めたばかりの後部主砲塔を、初弾発射前に 旋回不能にされてしまった。
三万トンを超える戦艦クラスならともかく、たかだか一万数千トンの巡洋艦以下は この悪天候の中では相当にがぶられる。 「畜生、射撃の間合いが取りにくいこと甚だしい」 利根艦長の黛大佐が悪態をついた。艦の動揺のために、主砲の散布界はえらく悪化 していた。おまけに全体的な弾着位置も、狙った通りの位置に集まらない。 せっかく敵艦隊列の真ん中に切り込んだのに、これでは接近戦の優位が思うように 活かせていない。 (だが) 黛は思った。もう一つの利点のほうは十分に活かせているようだ。 弾着がばらついているのは、相手も同じだった。おかげで、護衛空母を楯代わりに 走り回っている利根と熊野に対して、敵からは有効な砲撃が飛んでこない。同士討ち を恐れているのだ。 「前方、敵空母! 距離一〇〇〇〇!」 「砲術、行けるか!?」 「射撃準備よし!」 「よし、撃ぇ──っ!!」 利根と熊野を合わせて十門の二十サンチ砲が一斉射を放つ。目標とされたホワイト プレーンズこそいい迷惑だ。この二隻は、栗田艦隊の重巡群のなかでもとりわけ砲戦 技量が高かったのだ。特に、練度の高さで知られる日本海軍にあって砲術の大家と 目される黛大佐が艦長を務める利根の射撃は、凄まじい命中率を示した。日本製と してはさして射撃精度の優秀な部類ではない二十サンチ砲による射撃で、三斉射十二 発のうち四発を命中させたのだ。 「第三射、弾着、今──っ! 命中! 敵空母、爆発っ!」 見張りが興奮した声で報告してくる。航空燃料タンクに引火したホワイトプレーン ズは、艦中央部から後部にかけての上構を爆炎に包まれて、木造船かと思うほどの 勢いで炎上を始めた。
快調に戦果を挙げていく巡洋艦部隊と裏腹に、駆逐艦部隊は苦戦を強いられていた。 サンベルナルジノ突破の際に、多くの艦が最大の武器である魚雷を殆ど射耗してしまっ ていたためだ。 本隊に随伴してきた六隻のうち、魚雷を残しているのは浦風と磯風の二隻に過ぎず、 しかも次発魚雷は残っていなかった。最大の牙を失った駆逐艦部隊は、圧倒的な数的 優勢を誇る米駆逐艦隊の前に押されていた。ドサクサまぎれとはいえスプレイグ隊の 合流によって、米軍側の駆逐艦の駒はDEまで含めて十六隻に増加している。いくら 水雷戦隊旗艦の矢矧が援護についているとはいえ、その程度でどうにかできる数量差 ではなかった。 「左舷十五度、敵駆逐艦二隻!」 「左舷一三〇度、同じく二隻!」 「くそっ、次から次へとキリがない」 さすがに砲戦能力でも世界最高峰の甲型駆逐艦だけあって、米駆逐艦との撃ち合いで 負けてしまうようなことはなかった。五十口径一二.七サンチ砲は、元来が平射砲だけ あって対水上目標での効果はたいしたものだ。門数だけで見れば米駆逐艦も同数を装備 してはいるが、向こうは三八口径の両用砲。砲威力の点で大きな差があった。 「だんちゃーくっ!」 「やったか?」 駆逐艦列の先頭を進む藤波の艦橋で、全員が左舷の海上に目を凝らす。 「──いや、まだだ!」 「敵艦、発砲!」 駆逐艦六隻の集中射撃の中から、敵艦──スプレイグ隊所属のフレッチャー級駆逐艦 ジョンストンだった──は果敢に撃ち返してきた。藤波の周囲に水柱が五本立つ。続い て、他の敵艦からも射弾が飛んでくる。 「撃ち負けるな!」 藤波に座乗する大島駆逐隊司令が叫ぶ。 だが、その声を掻き消して轟音が響き渡り、新たな水柱が立った。藤波ではなく、 矢矧の周囲に。
このスレを密かに応援sage
基本的に面白いし、只で良スレ見させてくれているのに なんだけど、、、 「いつになったら扶桑出てくるんだ」!! 僕はこの訴えを続けていくつもりです。
>>857 主役は最後においしいところを持っていくのが当たり前でしょうが
大和と武蔵と長門が前座だぜ?こんな贅沢有るか?(w
>>857 前座が強過ぎるんです(^^;(^^;
あと5〜6レス程度で到着の見込みですので、
今しばらくお待ちを……
なお、勝手ながら土曜日はストック補充のため休載日とさせて頂きます(殴
AAM様頑張って下さい 海王記の続きも楽しみにしてます
この調子だと、着いた頃には何も残ってないんじゃないかと心配・・・。
>>861 いや、何も残っていないと察した扶桑・山城はレイテを離れて
海賊になるのさ。
戦後、東南アジアの海で猛威を振るう海賊艦扶桑・山城。
>>862 それはまた、サイドストーリーとして、どなたかに語ってもらうということで。
(扶桑・山城は不滅ですな)
あちゃ、自分で偽になってどうするんだ、俺
>862 軍艦旗の代わりに「南無八幡大菩薩」の幟を立てて?
あるいは「大漁旗」か「厭離穢土欣求浄土」か
崩れ落ちた水柱の中から現れた矢矧は、残骸と化した中央部から激しく黒煙を吹いて 海上に停止していた。その惨状に絶句する駆逐艦隊の将兵の眼前に、巨大な影が悠然と 姿を見せる。 「なんてこった……戦艦が残ってやがった」 誰かがうめいた。 彼らの前に現れたのは、戦艦部隊の僚艦からはぐれて行動していたペンシルバニア だった。前甲板のA、B砲塔からうっすらと発砲煙を靡かせている。 さらに、ペンシルバニアにはデンバーとコロンビアが続航していた。二四門もの六イ ンチ砲が一斉に旋回して、六隻の駆逐艦を睨みつける。さしもの猛者たちも、このとき ばかりは震え上がった。駆逐艦にとって最大の武器である魚雷を失った状態では、あま りに強大な相手だ。 たちまち、最後尾の清霜が着弾の水柱に包まれる。艦橋を叩き潰された彼女は、急激 に取舵を切って隊列から外れ、迷走を始めた。 「畜生。面舵! 一旦離脱だ」 大島大佐が指示を下し、藤波以下の四隻が回頭を始める。だが、それを追いかける ように野分に射撃が集中された。巡洋艦の六インチ砲のみならず、両用砲の五インチ弾 までが嵐のように飛んでくる。艦上各所に数発ずつがまとめて着弾し、瞬く間に野分は 大火災に見舞われた。 さらに、逃がさんとでも言うかのように藤波の行く手に特大の水柱が奔騰。ペンシル バニアが目標を変更して、駆逐艦を狙い始めていた。 大島大佐のこめかみを冷汗が伝う。水雷戦隊の壊滅は、時間の問題であるように思わ れた。
駆逐艦を戦艦の主砲で撃つなんて、この罰当たりが!
しかし 密かに接近していたイー19に・・・・・
いやいや 偶然苦し紛れでうった駆逐艦の豆鉄砲が 戦艦の砲口にすっぽり命中して・・
>>867 毎日、楽しみに読ましていただいています。これだけのスケールの話を
コンスタントにつづけて行かれるエネルギーと、決して破綻しない緻密な
作話上の計算に、圧倒されています。
これからも是非がんばって、愛する山城・扶桑を活躍させてください。
すみません、ついうっかりageてしまいました。 まことに申し訳ありません。
え〜と資料によれば、駆逐艦浦風と磯風は陽炎型で、 搭載兵器は、12.7サンチ砲と魚雷が61サンチが8射線、と次発装填装置・・・ なにか期待が持てそうな。
彼我の距離は、短いところで一〇〇〇〇メートルを切っていた。大和の桁外れの防御 力を目の当たりにした米艦隊の果敢な突出が、このような交戦距離を現実のものとして いた。 大和の左舷中央部に、次々と十四インチ砲弾が飛び込む。さすがに一二〇〇〇以上も 離れているカリフォルニアからの射弾は装甲で弾き返されたが、九五〇〇で放たれた ミシシッピーからの一撃は、四一〇ミリの傾斜装甲を貫徹して主要区画内部で炸裂した。 ただし、ここまでの間に大和はミシシッピーに対して五発の四六サンチ砲弾を直撃 していた。煙突は上半分が消失し、上甲板はいたるところで吹き飛ばされ、水線下を 抉った一発は一〇〇〇トン以上の浸水をもたらしていた。 さらにこのときクロスカウンターで放たれた六発の四六サンチ砲弾は、うち二発が ミシシッピーを直撃。一発はB砲塔の前楯を叩き潰して正面衝突したコンボイのような 姿に造り替え、もう一発は後檣楼をまるごと粉微塵に粉砕して右舷側の海上へと吹き 飛ばした。 正面から殴り合っていた二隻の巨艦が、ほとんど同時に左舷中央部付近から炎と黒煙 を吐き出して悶える。 「消火急げ!」 「弾着……命中、少なくとも二!」 応急班が駆け回って火災と浸水の対処にあたり、いまだ健在な主砲が眼前の敵に引導 を渡すべく大重量の徹甲弾を弾き出す。 ニューメキシコの舷側に新たな破孔が開いた。前檣楼直下を深々と抉った一撃は、 罐室二つを丸ごとスクラップにして下部艦橋に火炎地獄を現出した。さらにもう一発が 左舷前部をA砲塔のバーベットごと正貫して前部弾薬庫で炸裂。この一撃がミシシッ ピーにとっての致命傷となった。 主砲の残弾に榴弾が多かったのが災いしたのか、誘爆は盛大なものだった。船体の 破壊が進行していたこともあって爆風は破孔から逃げ、外面的な構造的破壊はそれほど でもなかったものの、人員の被害は凄まじかった。さらに、猛烈な火災が発生してダメ コンの手がつけられない。艦内の殆ど全ての区画を炎と海水に蹂躙されたミシシッピー は、目標・大和まで九〇〇〇メートルの地点で左舷に傾斜して動きを止めた。
もう少し…
ウェイラーは、敵艦の指揮官に素直な羨望を覚えていた。味方が置かれた圧倒的な 劣勢を覆し、数に勝る相手と互角に殴りあった末の最期。 「戦士の誉れってやつだな、あれは」 ビッグ・セブン同士の戦いは、決着の時を迎えていた。長門は確かに、現在でもなお 世界最強クラスの戦闘力を備えた強力な戦艦だった。だが、先にサウスダコタとの激闘 で深手を負った彼女にとっては、ここでまた二隻のコロラド級戦艦を相手に至近砲戦を 演じるのは限界を超える離れ業だった。 数限りない打撃を受けた装甲、そして戦闘配置につきっぱなしの乗組員達の疲労。 一晩経っても鎮火していない火災による被害も、決して無視はできない。高熱に晒され た装甲板や隔壁は、本来の強度を失っていたからだ。 それらの消耗がもたらした結果が、この現実だった。 前楯五〇〇ミリの装甲でがっちりと固められた砲塔は未だに前甲板の二基とも生きて いたが、前檣楼は三発の命中弾を受けて大破し、跡には無意味なねじくれた鉄塊の寄木 細工のような物体が立ち尽くしている。補助火器は左右両舷とも完全に薙ぎ払われ機銃 一丁残っていない。さらに艦首部にまとめて開いた破孔のために五〇〇〇トン近い浸水 が生じ、上甲板は海水によって洗われていた。 長門の主砲が、装填を終えたのか仰角を掛け直すのが見えた。状況からしてまともな 照準が付いているとは思えないのだが。 「これ以上見ておれん」 一瞬だけ瞑目してそう呟くと、ウェイラーは命じた。 「楽にしてやれ。丁重にな」 ウェストバージニアの二基の主砲塔が咆哮した。残る二基は、黒煙を吐き出す噴火口 のような大穴に姿を変えている。 僚艦のメリーランドが放った分と合わせて、十二発の十六インチ砲弾が着弾。水柱と 閃光に包まれた長門は、しかし最後の力を振り絞るようにして、炎の中から八発の四一 サンチ砲弾を送り出した。 それだけを為し終えて彼女は力尽き、動きを止めた。だが、その主砲身だけは、なお も誇らしげに高々と掲げられていた。
長門に敬礼!(涙)
長門に敬礼!!!
ハァハァハァハァハァ?????????????
漏れは>880じゃないけど ぃや、3分離れているから ケコーンは無いと思うけど…
史実同様、最期まで帝國海軍の名誉を守ったのだな、長門は・・・・・(涙)
最接近してきたミシシッピーを片付けたものの、大和の被害状況は想像以上に深刻な ものだった。艦首からの浸水は、荒天による波浪の勢いも手伝って一〇〇〇トンに達し ていた。舷側からの貫通弾で艦内区画に発生した火災は、左舷高角砲弾薬庫に迫ろうと している。度重なる主砲発砲のために甲板上の消火作業も困難を極めていた。 「まずいな……」 森下少将が呟く。 右舷のコロラド級戦艦二隻が、艦尾方向に回り込みつつあった。第三砲塔が使用不能 となっている大和にとっては、絶体絶命一歩手前とでも言うべき事態だ。まずいことに 甲巡や駆逐艦までがぽつぽつとこちらに向かってくるのが波間に見えた。つまり、彼等 を押さえ込んでおくべき味方の水雷戦隊は、その任務の遂行に支障をきたすほどの損害 を受けたことを示している。 さらに、このような場合に最後の防壁として機能するべき重巡戦隊は、突撃開始当初 から水雷戦隊の補強策として敵隊列への斬り込みに投入してしまっており、現在は護衛 空母を追い掛け回すのに熱中している。殿の長門はコロラド級二隻との殴り合いで沈没 寸前だ。本陣と言うべき大和は、丸裸の状態で敵中に孤立しつつあった。 森下少将は、接近しつつある敵部隊の陣容にざっと見当をつけた。コロラド級は、 第一戦隊の隊列の背後に向かっている。左舷からは、ニューメキシコ級戦艦の残骸の陰 に隠れるようにして、カリフォルニア級が一隻。さらに、前方から重巡が二隻。波間に 見え隠れする駆逐艦の群れは、もう数える気にもなれない。 このときばかりは、前年に行った対空火力強化のための改装が悔やまれた。この状況 でもっとも威力を発揮したであろう両舷の副砲塔が撤去されてしまっていたからだ。 舷側の補助火器群は、左舷側はほぼ全滅、右舷側も著しく数が減少している。おまけに 艦首方向に据えられていた一番副砲塔はリー艦隊との砲戦で吹き飛ばされてしまって いた。大和の火力は右舷側の高角砲数基と後部の四番副砲塔をのぞけば、威力こそ絶大 なもののひどく取り回しの悪い主砲しか残されていなかった。
今週後半がかなり忙しいので、掲載が不定期になると思います。 一応、日曜日までに2話分は進めるつもりですが……
武蔵は!武蔵はいずこ!
いよいよ主役の出番がみえてきましたな!
とりあえず、2話後にちらっと情報が登場の予定です>真打
890 :
山崎渉 :03/03/13 14:47 ID:???
(^^)
↑イ可 しにきたん ナご?
>>891 マジレスするとかなりの数のスレッドにまたこいつ来襲。
昨日はうpしなかったね
炎上を続けながら浮いていた長門が、一気に艦首を沈み込ませた次の瞬間に大爆発を 起こして二つに折れた。 「長門、爆発しました……!」 後檣からの報告は涙声だった。古参の下士官の中にも、硝煙や血糊などで汚れた頬を 濡らす者が少なくない。「日本の誇り」とまで謳われた大戦艦の喪失は、それを目に するものに大きな衝撃を与えていた。 (くそっ、いよいよもって敵中孤立だ) 宇垣中将と森下少将は、揃って眉根を寄せた。なにかこの状況を打破する手立ては ないものか。 左右から挟み込むように敵戦艦が回ってきている。それに甲巡が後続。殿として後背 を任せていた長門は、見てのとおり沈んでしまった。畜生、これで味方の戦力は前方の 乱戦の真っ只中にしか── ……前方? 「あ」 思わず、間の抜けた声が森下少将の口を突いて出た。 (なんだ、そんなことか) 宇垣中将も、突然気付いた。 前方の味方と合流してしまえばよいのだ。確かに敵戦艦は両舷から後方へ回りつつ あるが、逆に言えば真正面は駆逐艦が何杯かいるだけでガラ空きだ。長門という重石 が取れたことで、大和は行動のフリーハンドも得ている。なにより、このままこの場 に居座って後方至近距離から戦艦主砲で撃たれるよりも、乱戦の中に潜り込んでし まったほうが状況ははるかに改善するだろう。 「長官、突破しましょう!」 森下少将の声に、栗田中将も頷いた。 「両舷全速!」 「しかし艦長、それでは浸水が」 「構わん、一〇分も持てばいい! 艦首部、浸水増加に備え!」 数秒後、六四〇〇〇トンの巨体が僅かに震えて徐々に速力を上げ始めた。
旧式米戦艦は21ノットしかでないから 大和が25ノット出せば、ゆうゆうおいてきぼりできるなぁ。
a
これからあのマボロシの「大和の過負荷全力は29ノット」が出るのか!?
長門に敬礼!!
29ktは浸水がでかいからつらそう。 10000t増えると、機関が健在でも2-3ktは落ちるでしょう。 抵抗の増加を無視しても。
機関室〜! 機関出力10分の10!
長門の最期、漏れもつられてマジ泣きしそうでつ。 そして、いよいよ大本命登場が近づいてきましたな。 どんな活躍を見せてくれるのか期待しております。
さて。このスレもめでたく900を越えました。 もり立てていただいております住人の皆様に感謝申し上げます。 敬礼 「暁のデッドヒート」もいよいよ佳境に突入する様相ではありますが、 そろそれ次期作戦名および新作戦指揮官を決定する時期に入ったかと 思われます。 つきましては本【甲】作戦は成功裏に完了したものと考えまして、 ここで一旦指揮を戦艦太郎閣下にお返ししたいと思いますが。 閣下、よろしゅうございましょうか? 敬礼
え〜、戦艦太郎です。 「シヴァの葬送」を手にしている自分はスレ建て屋の幸福とはいかなるものか、ということを しみじみと感じております。 そして、今、はるか南方で連合艦隊の最後の闘いの、海の男達の熱い戦いのなか、次のスレのことを (あぁ、デッドヒートのあとに2作ほど控えているかと思うと、もうそれだけで滝泪)考えなければならないということは いま書かれている某虚仮氏にも悪いのであるが、スレをあまり汚さないためにも ひきつづき甲ときたからには 「扶桑」「山城」を活躍させやがれ!【乙】 ということでよろしいのではないかと思うところでありますが、いかがでしょうか?
「しまった!」 やおら増速した敵艦を見て、ウェイラーは己の過失に気付いた。 「艦長、面舵変針! メリーランドにも連絡だ! あいつを射界から外すな!」 それまで十二ノットそこそこで緩やかに前進していた大和が、二十ノットを超える ところまで速力を増していた。 (ナガトにとどめを刺したのが裏目に出やがった!) 右舷の海上を見つめる彼の視線の先で、カリフォルニアとのすれ違いざまに距離 一〇〇〇〇で大和の主砲が火を噴いた。直後に生じた命中弾はカリフォルニアの司令塔 を爆砕して、ウェイラーの後悔をより裏付けのあるものとした。 正面から突っ込んできた巨艦の姿に驚いたのか、数隻のDEが算を乱したように転舵 して針路を外す。右舷側に逃れた一隻には、生き残っていた高角砲が行きがけの駄賃と ばかりに砲弾を撃ち込んでいく。マスト基部に命中して火災が発生。機銃座で誘爆が 発生したのか、曳光弾が放物線を描いて飛び散った。左舷側の一隻には、後部の四番 副砲から十五.五サンチ砲弾が放たれる。水線付近に直撃を受けた護衛駆逐艦は、左舷 に傾斜を生じてよたよたと危なっかしい様子で離脱を始めた。 「逃がすな!」 メリーランドとウェストバージニアが発砲。距離は一三〇〇〇まで開いている。一発 が第三砲塔に命中したが、前楯と天蓋の境目付近に命中した唯一の直撃弾は、そのまま 天高く弾かれていった。 さらに、後続するオルデンドルフ少将の旗艦ルイスビルと僚艦ミネアポリスが八イン チ砲を撃つが、こっちは牽制にもならない。 「やはり化け物だ……」 青ざめるオルデンドルフに追い討ちを掛けるように、緊急の通信が飛び込んできた。 「スプレイグ隊より緊急! ベクター一−一−○に新手の敵艦隊を発見! 巡洋艦三、 駆逐艦すくなくとも三、ならびにフソウ級戦艦一! 我、砲撃を受けつつあり! 至急 来援を乞う!」
真打キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !! 煉獄の祭だ〜!
(* ´Д`)ついに山城タンがハアハア…
クリフトン・スプレイグ少将が座乗するファンショウ・ベイは、やっとのことで利根 と熊野の魔手から逃げ延びていた。追いすがるように二十サンチ砲の水柱が後方に上が るが、もう大丈夫だろう。駆逐艦部隊をあらかた制圧して戻ってきたペンシルバニアが 側面から援護してくれている。二隻の敵巡洋艦は、そちらに気を取られて護衛空母への 追撃の手を緩めざるを得なくなっていた。 「どうやら、ジープを棺桶にする羽目にはならずに済んだな」 安堵の息をつくスプレイグ。 「空母部隊を集合させろ。早いところ退散するぞ」 このまま一目散にレイテへ逃げ込んでしまうに限る。火器らしい火器も持っていない こんな船では、駆逐艦が相手だって絶体絶命の危機なのだ。戦艦同士が殴りあうような 戦闘に巻き込まれて、沈められたのがガンビア・ベイとホワイトプレーンズだけで済ん だのは奇跡かもしれない。 味方の駆逐艦が張った薄いスクリーンの向こうから、セント・ローとキトカン・ベイ、 すこし遅れてカリニン・ベイが姿を見せた。どの艦も硝煙で薄汚れ、至近弾で損傷して はいるものの、戦闘航行に支障のある損害を受けた艦は皆無だ。 「どうやら、本格的に我々は運がよかったみたいだな」 そうして航行隊形を発令しようとしたスプレイグの視界が、一瞬で灰色のスクリーン のようなものに覆い尽くされた。一瞬遅れて、叩きつけるような轟音と衝撃波が続く。 スプレイグの表情が凍りつき、数秒ののちにそれは恐怖と絶望へと変化した。 願わくば、これがペンシルバニアの誤射であってくれないものか。そんな混乱した 思考が辿り着いた望みも、たちまち否定された。 左舷方向に現れた複数の艦影。そんな方角に味方はいない。スプレイグの目には、 それは破滅の使者のように見えた。 ほっそりとしたパゴダ・マストを従えて、三隻の巡洋艦と無数の駆逐艦がこちらに 向けて突撃を開始していた。
ついにキタ〜!
我々が待ち望んでおった、ことがついに。
いよっしゃあ〜!
Y&S&K:万歳、万歳、ばんざーい!! K:今こそにっくき米海軍に鉄槌を! S:真珠湾でしぶとく生き残った戦艦を、今度こそ「えいえんのせかい」に! Y:「扶桑」「山城」よ、レイテ湾の名前を変えてやるのだ! “THE GULF OF IRON BOTTOM"(鉄底湾)に! Y&S&K:ばんざーい、ばんざーい、ばんざーい!!
「前方、敵空母が炎上中」 「水雷戦隊は、派手に暴れたようだな」 乱戦に突入した大和の眼前に現れたホワイトプレーンズは、油を浴びた枯れ木のよう な凄まじい火炎に包まれていた。火勢が強すぎて消火の駆逐艦も近寄れず、見捨てられ た艦の周辺には、舷側から海に飛び込んだ数少ない生き残りが浮いている。 「味方艦を探せ!」 放っておいてもあの空母は沈む。そう判断した森下少将は、味方との合流を急いだ。 駆逐艦にせよ、重巡にせよ、合流してしまえば戦場を一気に制圧してレイテに急行する こともできるだろう。 それが、知らず知らずのうちに油断に繋がっていた。 「くそっ、煙が邪魔だ」 見張りが悪態をつく。航空燃料タンクに引火したホワイトプレーンズの残骸は、猛烈 な黒煙を吐き出していた。一帯に立ち込めたそれはちょうど煙幕となり、戦場の視界を 遮っている。 そのため、大和の誰も発砲炎を見ることはできなかった。 ペンシルバニアが煙の塊の反対側から電測によって距離八五〇〇で放った第一斉射は、 完全な奇襲攻撃となったのだ。 十二発の十四インチ砲弾のうち、命中したのは一発だけだった。 だが、この一撃は大和の艦首付近、露天甲板直下の非装甲部を左舷前方から抉るよう に貫通して信管を作動させ、クリッパー式の舳先から優美なシアを描いていた艦首部分 を力一杯絞った雑巾のような無残な姿に変えてしまった。
大学の方が多忙のため、今日・明日の掲載は見送らせてください。 なお、金曜日は一挙2話掲載の予定です。 私が大戦略パーフェクトか開戦報道に夢中になっていなければ……(PAM!)
今日もお休みかな?
案の定進んどりません(^^;(^^; とりあえず、話の流れってことで今日のところは一話のみ掲載です。 なお、本話を以って連載100話到達しました。 今後とも宜しくお願いいたします(拝
「戦艦だと!?」 奇襲を受けた衝撃も大きかったが、それ以上に大和にとっては被弾によるダメージの ほうが深刻だった。二四ノットの全速航進によって負荷の掛かっていた隔壁が、被弾の 衝撃と船体の歪みによって一気に破断し、さらに二〇〇〇トン近い浸水が発生していた のだ。 「まずいぞ、応急班急げ!」 副長が、血相を変えて叫ぶ。 各所に亀裂の入った艦首部分からの浸水は、一向に収まる気配がなかった。都合の 悪いことに、大和級戦艦は構造的にこの近辺の隔壁強度があまり頼りにならない。 「砲術、測距まだか!?」 「今やっとりますっ」 「敵艦、視認! ペンシルバニア級戦艦一!」 「敵甲巡二、左舷より突入してくる!」 「砲術!」 「一番、二番、射撃準備よ「撃ェ────っ!!」」 射撃準備完了の報告ももどかしく、森下艦長が怒鳴った。その直後に、ペンシルバ ニアからの砲撃が着弾。前甲板をぶち抜いた十四インチ砲弾は兵員室で炸裂し、露天 甲板を数メートルの範囲にわたって吹き飛ばした。 加えて、そこにデンバーとコロンビアからの六インチ砲弾がばらばらと飛んでくる。 装甲を破る威力こそないが、弾量が多いために甲板上での作業が危険になっており、 応急に掛かることができない。それに、万一破孔にでも飛び込めば致命傷になりかね なかった。 (ぬかったわい……!) 森下艦長が顔を顰めたとき、敵隊列後尾のコロンビアが大口径砲の水柱に包まれた。 「左舷に複数の大型艦っ」 「識別急げ!」 「これは……山城! 第二戦隊です! 続いて発光信号!」 『ワレ第三部隊。遅参御容赦サレタシ』
山城キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!
山城キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
うおおおお山城ぉぉぉぉぉ ・゚・(ノД`)・゚・
改訂版「戦艦山城物語」はまだかなぁ・・・。
志摩中将麾下の那智と足柄は、砲戦を確認すると同時に戦闘加入に向かっていた。 左近允少将麾下の第十六戦隊を引き連れて、西村艦隊本隊の前方を突進する。レイテは 目前だったが、敵水上部隊と邂逅したからには交戦を躊躇する理由は存在しない。 「前方、敵空母四、戦艦一、甲巡二、駆逐艦四!」 「好餌! 全艦突撃だ!」 そう叫んでしまうあたり、彼らの戦意は極限といえるまでに高揚していた。こちらは 重巡三隻、軽巡一隻、駆逐艦一隻の小勢に過ぎないというのに、那智以下の五隻は脇目 も振らずに敵隊列目掛けて薩摩示現流よろしく斬り込んで行く。 その頭上を追い越して、山城と扶桑の十四インチ砲弾が飛ぶ。 悲惨なのは突撃を食らった米艦隊のほうだった。ブリキ缶のような護衛空母の周囲に 次々と超特大の水柱が奔騰し、巡洋艦と駆逐艦には中口径弾の雨が降り注ぐ。 「戦艦部隊は何処に行ったんだ!?」 「助けてくれ、ビッグガンに狙われてる!」 「神様! 僚艦がやられた!」 スプレイグ隊の護衛空母から悲鳴のような通信が発せられた。旗艦ファンショウ・ベ イは艦尾の五インチ砲座をスポンソンごと毟り取られ、セント・ローは飛行甲板から 舷側に貫通する大穴を開けられた。カリニン・ベイに至っては、艦首部分の船体そのも のをごっそりと持って行かれてしまい、大傾斜を生じて停止している。 「なんてこった……」 カラカラに乾いた声で、スプレイグはようやくそれだけの言葉を喉から搾り出した。 彼の目の前では、艦首を沈み込ませたカリニン・ベイの格納庫に開けられた破孔から 搭載機のアヴェンジャーが、周辺の甲板や壁面にしがみついた乗組員を巻き込み、踏み 潰しながら、次々と海へ落下していた。
キタゾ〜!
支援age
>922 志は有り難いが、破壊工作が行われるため支援はsageでお願い致します。
「だんちゃーく! 近……近……命中一!」 見張りの口調からも、着弾観測に手間取っているのがわかる。いくら三〇〇〇〇トン を超える大型艦とはいえ、この時化の只中で前檣楼のトップともなれば揺れ方は相当な ものだ。扶桑・山城とも、新兵の大半は船酔いでへばっているような状態だった。たっ た今報告を送ってきた古参の兵長にしても、双眼鏡の焦点を合わせるのにずいぶんと 苦労していた。 「砲撃効果あり! 敵空母、大傾斜!」 「何ッ」 つられて双眼鏡を構えた西村中将の視界の中で、艦首から上構前部をごっそりと削り 落とされた敵空母が、艦首から海中に突っ込まんばかりに傾いているのが見えた。 うねりに乗って下を向いた破孔から艦載機と一緒に、引火した航空燃料らしき炎の帯 と、人間の形をしたものが零れ落ちる。 「やった……やったぞ!」 誰かの感極まったような叫び声をきっかけに、山城の昼戦艦橋で鬨声が上がった。 「浮かれるな、敵はまだ残っているぞ!」 篠田少将の一喝で空気は引き締まったが、直後にそれを裂いて飛翔音が響き渡り、 四本の水柱を出現させた。敵部隊を射程内に捉えた扶桑が射撃開始。一番奥に位置して いた空母のアイランドが、蹴飛ばされた積み木細工のようにバラバラになって遠くの 海上へ飛んでいった。 「一時方向、敵甲巡に魚雷命中!」 「敵駆逐艦群、避退中の模様」 さらに報告は続くが、その直後に不吉な一報が入った。 「四時方向、敵戦艦すくなくとも二隻接近しつつあり! 大和に敵弾集中!」
扶桑、山城キタ〜!
頼む!大和を救ってくれ!!!
……。射撃が止んだぞ?
>>927 人にはそれぞれ都合というものがあるのでつ。
まったりとお待ち申し上げましょ。
>>924 ファンです。
さすがに主力艦隊旗艦だけあって、ペンシルバニアに対する大和の反撃は迅速におこ なわれた。西村・志摩両艦隊の牽制の下で、素早く照準を定めて発砲。至近距離での 四六サンチ砲弾の破壊力は絶大だった。ペンシルバニアの舷側中央部、主要区画の中で 一番装甲の厚い部分をまともに貫通した重量一.五トンの凶器は、ボイラー一基を背後 の隔壁ごと吹き飛ばして隣接する罐室にまで飛び込み、そこでようやく信管を作動させ た。 結果、ペンシルバニアの推進器のうち右舷側二軸が停止。二〇ノット近く出ていた 速力が一気に六ノットまで低下した。 そこに大和からの第二撃が炸裂。中央部上構を連続して抉り取った二発の着弾は、 煙突が存在していた位置に中甲板まで届く大穴を開ける。撃ち返した十四インチ弾は 明後日の方向に消えていった。心臓部を丸裸にされて停止したペンシルバニアに対し、 第三射が放たれる。直撃弾は三発。前檣楼から後の上部構造物が吹き飛ばされ、バー ベットの半分以上を齧り取られたA砲塔が艦首方向に向かって横倒しになり、既に停止 していた右舷二軸のタービンが残骸となった。あおりを食って、船殻水中部分にまで 何箇所もの亀裂が入る。 「ばっ……化け物だ!」 報告を受けたペンシルバニアの艦長は震え上がった。直撃を受けた個所ばかりでなく、 近辺の船殻まで引き裂いていくとは。 隔壁ごと毟り取られた船殻の亀裂から、ペンシルバニアは二五〇〇トンに達する海水 を一気に飲み込んだ。 「左舷注水! 隔壁閉鎖!」 「だめです、間に合いません!」 「傾斜、五度を超えました! 揚弾機使用不能!」 「畜生!」 砲術長が卓を殴りつける。せっかく十四インチ砲でもモンスターに通用する距離まで 詰めたのに、ここまでなのか。 そのとき、彼はふと気付いた。四斉射目が飛んでこないのは何故だ?
いやー、普段グータラしているツケが春休みに廻ってきております(自業自得) というわけで、なかなか執筆も進んでいませんでしたが、 とりあえず最低でも隔日掲載ペースで進めますので。 なお、GWまでには何とか完結させるつもりでおります。ハイ
た・・弾切れか!
あー、朝令暮改もいいところですが。 急激に大学の方が忙しくなっとります。 とゆーわけで、週末に一話の更新で今回はご勘弁を……(平伏)
>>932 こちらはまったりと待ち続けるのみです。
頑張って下され。
新聞連載から週刊誌連載への変更、問題なし! 月刊誌はちと考慮。
む。忙しそうですね。本業の方も頑張って。 >930 コテ統一しました。軍板では空気コテだけど… インペロ ◆tQs1szj6Fk → カーネル・サンダース ハン版なんかで見かけたら生暖かい目で見守ってください。
「右砲戦! 主砲旋回急げ!」 重量二五〇〇トンの構造物が、慌しく旋回する。 大和は、砲火の止まったペンシルバニアに構っていられる状態ではなかった。先ほど 全速航進で引き離したウェイラー少将直率の本隊が、追いついてきたのだ。 周囲に着弾。六本の水柱が上がる。 「敵艦はカリフォルニア級! 後方にメリーランド級二!」 単縦陣回頭の手間を嫌ったウェイラーは一斉旋回頭で大和を急追してきた。その結果 隊列は前後が入れ替わり、カリフォルニアを先頭にメリーランド、最後尾に旗艦ウェス トバージニアの順で後続している。 「カリフォルニア、射撃開始しました」 「距離、一二〇〇〇ヤード!」 「よし、詰められたぞ! ファイア!」 「オーケー、こっちも捕まえた! モンスターに引導を渡せ!」 メリーランドとウェストバージニアの姉妹が、釣瓶打ちに十六インチ砲弾を放った。 右舷やや後方からの好射点。初弾からいきなり夾叉。クルー達の歓声が上がる。 だが、大和にとってはその程度のことではかすり傷にすらならない。メリーランド達 が再装填を終える前に、大和の四六サンチが咆哮。カリフォルニアの舷側に大穴が開き、 叩き潰された両用砲塔が火を噴いた。 その直後に米戦艦群の第二射。距離が近いため、着弾までの時間はきわめて短い。 大和の右舷側に一発、二番砲塔の前楯にもう一発の直撃が生じた。だが、彼女の堅牢な 装甲はこのダメージを通さない。 「畜生! 奴は不死身か!?」 メリーランドの見張長が罵る。サンベルナルジノ突破以来、大和に生じた命中弾は 各種口径あわせて五十発近くに達していた。だが、それでもなお彼女は十分すぎるほど の戦闘力を残している。 「これでも通らんのか! もっと距離を詰めろ!」 ウェイラーが叫んだ。
さすが大和は堅いなぁ
どんなスレだろうと覗いてみたら…。 すげェ。なんだこの燃えるスレは。
大抵の戦艦の設計指針の例に漏れず、大和級戦艦の装甲防御は「自艦の主砲による 決戦距離での砲撃に耐えうるもの」とされていた。だが、日本海軍が大和級の図面を 引くにあたって見積もった四六サンチ砲弾の貫徹力は、実際の値よりもやや過大なもの だった。 その結果、大和級戦艦の装甲厚は舷側で傾斜四一〇ミリ、甲板で二〇〇ミリという いささか設計担当者の正気を疑いたくなる値となっていた。 ウェイラー達が直面している防御装甲は、そのような代物だった。 「まだ弾いてやがるぞ!?」 一〇五〇〇ヤードから放たれた十六発の十六インチ弾のうち、目標である大和に命中 したのは三発。一発は艦尾の非装甲区画を貫通して水上機格納庫に小規模な火災を発生 させ、もう一発が上構中央部に破孔を開けたが、残りの一発は舷側のアーマーに弾かれ て消えた。 ウェイラーをはじめ、米艦隊将兵の誰もが戦慄の表情とともに呆れかえった。 無論、モンスターとてダメージは負っているのだろう。うねるようにねじくれた艦首 部や中途で叩き折られた後部砲塔の主砲身を見れば、それは遠目にも判る。 だが、奴が実際に受けているダメージは見た目ほどではないのではないか? そんな疑問を抱いたものは少なくなかった。なにしろ、現に大和は前部砲塔からこち らに向かって景気よく巨弾を放って来るのだ。 「畜生、いい加減にくたばれ!」 ウェストバージニアの砲術長が、ヤケクソ気味に叫んで方位盤射撃装置のトリガーを 引いた。射距離九七〇〇ヤード。直撃弾一発が生じ、大和の一番砲塔直前の露天甲板と 上甲板の間に飛び込んで炸裂。クレバスのような破孔を出現させた。
いくら何でも硬過ぎでは? それに、過剰といっても10ミリ位だった筈だが
改大和型(つまり信濃)では、装甲を薄くしてますが何か。
まーまー。
まあ、大和よりも厚い装甲を持っている戦艦も存在することだし。 戦艦富士の装甲板は500ミリ以上(!)
944 :
根無し :03/04/03 22:33 ID:???
>>943 あれは複合装甲.錬鉄と鍛鉄の2枚合わせでしょ.このテのものを言うなら
中央砲郭艦インヴィンシヴルなんか,鉄+チークウッド(格子状に組む)+鉄で
合計1メートル以上ある.
ちょっとマジレスすると,10000M超ならともかく,9000M以内では完全に
垂直装甲の安全距離を割ってるのではないかな.相手が旧式艦とは言っても
対16インチでは辛そう.
でもまぁ,強引系仮想スレですからね."固い"コト言わずに,次号以下も
楽しみにしてます.
(でもホント,良く"燃える"スレだなぁ."皆沈め"の○○,と異名が付きそう)
米軍将兵の感想はともかく、大和のほうでも決して楽な戦はしていなかった。 過剰なまでの重防御とはいえ、それが施されているのは限られた主要区画だけの話。 それ以外の区画の大半は、軽巡か駆逐艦並みの耐弾力しか持っていないのだ。 問題は、その部分に被弾したことによって生じた大規模な火災だった。とくに艦首部 の艦内区画は、火の回っていないところを探すほうが難しいのではないかと内務班員達 が錯覚するほどの状況だ。舳先、シア部前半、一番砲塔直前と三箇所が斧を振り下ろさ れたようにざっくりと横方向に裂かれ、簾のように開いた数多くの破孔からは噴煙の ような闇灰色の煙が濛々と湧き出している。 「艦首部、浸水止まりません!」 「速力、十ノットが限界です!」 弾幕射撃のようなペースで被害報告が次々と飛び込むたびに、大和の寿命は確実に 削り取られていく。撃ち返される四六サンチ弾もまたカリフォルニアの舷側を抉り、 上構を片っ端からなぎ倒してはいたが、既に受けているダメージの絶対値が違いすぎる。 「だんちゃーく! 命中三!」 双眼鏡の向こうに捉えたカリフォルニアは、後甲板で火柱が上がるほどの大火災を 起こしていた。だが、前甲板の主砲は未だに砲撃を止めようとしない。おまけに、カリ フォルニアの後方には、さらに有力な戦艦が二隻も控えている。 実効戦闘力の落ちた大和にとっては、この劣勢は死活問題となりつつあった。このま までは、敵戦艦一隻を仕留める前に艦の死命に関わる被害が生じかねない。 ところが、決定的な一報は意外な形でもたらされた。 「主砲、徹甲弾の残弾僅少! 残存弾数四五発!」 『なっ……!?』
ここはカナーリ良スレだとおもふ。
戦艦の上構造や間接防御部分を砲撃するなら。91式徹甲弾より零式通常弾の方が威力大という罠。
>944 9000mでも初速700m/secで打ち出された弾は落下角は水平から十数度は下がっている。 大和の舷側甲板は20度の傾斜があるし、船の方位角もあるから、十分に防げるのでは?
上げんといて… >946
ミステイク。 949は小官であります…
四十五発か…十斉射もしない内に尽きるな。
>>948 16in/Mk5(コロラドの主砲ね)の、距離10000ヤードの成績
弾重量:1016kg、初速:768m/s、落角:5.9°、存速:612m/s
貫徹力、垂直:572mm、水平:39mm
単純に考えると抜かれそうだけど、方位角考えると微妙かな?
VHの性能の問題もあるし(諸説ありまね)・・・
あまり技術的な話をしないほうが良いのでは・・・。 ここは仮想戦記スレだし、執筆者殿もいろいろやりにくくなるでしょうから・・・。
来た。見た。燃えた。 この良スレに、せめてもの支援sageを。射ェーーーーーーーーーーーーーッ!
>>952 ありゃ、弾重量1トン超えてましたか。
てっきり900キロそこそこだと思ってたんですが……
ちょっと見積が過小でしたね。今後の参考にさせて頂きます。