リレー小説!!北朝鮮vs日韓米連合軍【第三章】

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無し三等兵
 1 名前: 名無し三等兵 投稿日: 2001/07/19(木) 20:12

-------------------------------------------------------
1 名前:名無し三等兵 投稿日:2001/06/23(土) 17:32
2001.6.25...
韓国より電信…北緯38度線にて北朝鮮軍に侵攻されり!!
日本に援軍を要請す……ザー…
-------------------------------------------------------
前々スレ
http://yasai.2ch.net/army/kako/993/993285159.html
前スレ
http://yasai.2ch.net/army/kako/995/995541123.html

名作を放置したままにするには勿体無いので、復活!


246式中学生:02/01/21 00:26
うぉ!復活か!!
皆様、期待してます
3少佐:02/01/21 00:26
砧にネタやるほど甘くはねえよ。
4名無し三等兵:02/01/21 01:16
稚内に第76任務部隊が上陸した所からスタート

第76任務部隊の編成

揚陸艦部隊
 強襲揚陸艦「エセックス」(旗艦)「ボノム・リチャード」「ベローウッド」
 ドック型揚陸艦「クリーブランド」「デンヴァー」「ジュノー」
        「ジャーマンタウン」「フォート・マクヘンリー」
 輸送艦「おおすみ」「おじか」「さつま」
 無人機運用艦 訓練支援艦「くろべ」
 予備指揮艦 試験艦「あすか」

 揚陸部隊 第1海兵師団(米海兵隊)、独立混成第101連隊(陸上自衛隊第34普通化連隊基幹)

護衛部隊/火力支援部隊
 ミサイル巡洋艦「ヴァリー・フォージ」
 ミサイル駆逐艦「ポール・ハミルトン」「オカーン」
 駆逐艦「カッシング」「フレッチャー」
 ミサイル護衛艦「きりしま」「はたかぜ」
 護衛艦「むらさめ」「はるさめ」「はつゆき」「さわゆき」「ゆうばり」「ゆうべつ」

掃海部隊
 掃海母艦「ぶんご」
 ミサイル・フリゲイト「ヴァンデグリフト」「ゲアリー」
 掃海艦「ガーディアン」「パトリオット」「やえやま」「つしま」「はちじょう」

特殊部隊・水中障害破壊隊揚陸部隊
 哨戒艇「ハリケーン」「スコール」

空母戦闘群
 空母「コンステレーション」
 ミサイル巡洋艦「カウペンス」「プリンストン」
 ミサイル駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」
 駆逐艦「キンケイド」「ジョン・ヤング」

その他、潜水艦部隊・補給部隊あり。
5名無し三等兵:02/01/21 01:19
おしりプリリン♪
6前スレ作家:02/01/21 02:05
明日辺りから書けるように頑張らねば・・・
7名無し三等兵:02/01/21 02:11
司令部より命令です。竹島を奪還せよと
8名無し三等兵:02/01/21 02:23
♪せ〜わ焼き〜 だっかん!
9名無し:02/01/21 03:47
              ∧=∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             ∩(゚Д゚ )_ < 糞スレを壊滅させにきたぞ!一斉攻撃!
 ―――l∠ ̄〆/ ̄ ̄ ̄ ̄\\ \____________
  ̄ ̄ ̄|` ̄|| ./_2ch@army.\λ __
       ̄ ̄\_____   >} ‐=</ )、
       / ̄ ̄  ====  ̄ ̄\^  ○/)|
     _/_/⌒N /   /0 __\/  )|
   ∠__ /]  ̄    ̄ ̄  ∠___/  )λ
   |==== |――――――――|==== | )λ
   \===\ _______\===\/


10名無し三等兵:02/01/21 04:49
まずは現在の状況を知っておかないとな…。
九州はどうなっている?
11名無し三等兵:02/01/21 05:01
こちら熊本!
キングボンビーに襲撃されています!
12名無し三等兵:02/01/21 13:16
こちら大分!
コンフェデレーションズカップが放送されません!
13名無し三等兵:02/01/21 17:40
こちら長崎!
ハウステンボスは今年で10周年です!
14名無し三等兵:02/01/21 17:46
こちら愛知!
他のところではとんかつに味噌つけないって本当ですか?
15ジミー:02/01/21 17:49
ほ、ホントにやるの・・・?
16名無し三等兵:02/01/21 17:52
こちら山梨!
信玄餅って、武田信玄食べてたの?
17名無し三等兵:02/01/21 19:01
大変です!
南朝鮮が謀反を起こし、北へ寝返りました!!
18名無し三等兵:02/01/21 21:20
>>17
すでに寝返ってるYO
19じゃがいも:02/01/22 00:26
名スレの復活ですな。
これからの書き込みを期待します。
文才がないので、私はROM専門ですが・・・。
20名無し三等兵:02/01/22 00:30
このスレの立ち方で神聖モーナ帝国第三章思い出した。
21名無し海兵隊員:02/01/22 00:31
( ・∀・)
俺も前スレ好きだったよ!
展開のあらすじまとめきぼーん!
22まとめ1:02/01/22 00:44
2001.6.25...北緯38度線にて北朝鮮軍に侵攻 オサン空軍基地で特殊部隊と交戦
多数航空機に損害、基地施設の半分が占拠される。
敵特殊工作員を載せた複葉輸送機(An-2)を攻撃中のF16が山に激突。
横田基地に武装した不審者多数が侵入。機動隊員多数が死傷、守備の米軍と交戦
能登半島沖で第3護衛隊群が北朝鮮軍と思われる潜水艦と交戦
「はるな」魚雷2本を受け沈没 「みょうこう」も攻撃を受ける
日本の領空に接近した北朝鮮軍機を撃墜した自衛隊パイロットが
地上の司令部の承認を経ずに撃墜し逮捕。問題となる。
その日のニュースステーションで叩かれる。
対馬にゲリラが侵入。戦闘観戦のため全国の軍事オタク集結、地元観光協会は地域振興に勤しむ。
テポドン日本へ向け発射。海上に着弾。しかし、人工衛星だとの意見も。
その後のデポドンには、毒ガスと思われる弾頭でマスコミなどに死者多数
第1空挺団を東京ディズニーランドに派遣、USJも警備対象に。
中国が北朝鮮への全面的軍事支援表明
中国、機械化人海戦術兵器「先行者」投入、師団規模の部隊が北朝鮮国境に展開
「中国政府は武力併合を目的とする台湾への武力侵攻を開始した。」 (ロイター)
「与党は、憲法第9条改正を強行議決する方針。」(共同通信)
国会議事堂が爆破 自衛隊兵力の転用のため青函トンネル、関門トンネルを接収
「イギリス軍が出動」(ロイター)フランス海軍、空母機動部隊を派遣決定!!
長崎に約30000の中国軍が上陸
朝鮮人民軍最高指令部発表
「今から、日本を占領する。腐りきった、朝鮮の植民地支配の頃の復習をする。
我々の先祖が、名前や土地を奪われたように我々も奴ら鬼畜どもに同じ苦しみを、
あじあわす。これは、侵略ではない歴史が語る聖戦である。」
自衛隊がクーデター??との情報
自衛隊が北朝鮮兵3000を捕虜の後全員皆殺
(これは、ジュネーブ条約違反ですね・・・・でも北朝鮮は加盟してないからいいか!)
対馬17:30 対馬警備隊交戦
朝鮮総連日本への対抗措置として加盟パチンコ店ならびに加盟焼肉店を一斉休業発表
北朝鮮のサイバーテロ発生
戦後に自衛隊のカウンターサイバーテロ部隊が暗躍していたことが判明。
対馬19:45 警備詰め所襲撃される。
対馬20:25 警備詰め所で負傷者発生、展示の六一式戦車出動
ブッシュ大統領日米安全保障条約に基づき南北朝鮮への宣戦布告を決定
国連本部では事態の打開に向け徹夜で安保理が開催
アメリカの「対南北朝鮮国連軍編成動議」は中国の拒否権発動により棄却。
対南北朝鮮への一切の物資・資産移動の禁止動議が中国の棄権で成立。
NATOは、欧州の地域安全保障組織の観点から事態を静観
フランスに続き英国も空母機動集団と緊急即応部隊をシンガポールへ派遣発表!!
ロシアでは、クーデターを起こした強硬派の国防大臣が逮捕
プーチン大統領は一時的に拘束状態にあったことを表明
「ロシアは国際社会との協調を第一に考える」との声明を発表
23まとめ2:02/01/22 00:45
02:34日本政府は臨時閣議を招集
内閣総理大臣小泉純一郎によって陸・海・空自衛隊に自衛隊法基づき防衛出動命令が出される。
北朝鮮の兵士が民家に押し入り、女性を暴行するという事件発生
対馬陥落。日本、韓国連合軍は福岡市へ撤退
北朝鮮軍、中国軍に長崎、佐賀、熊本が占領される。日韓軍は大宰府まで撤退し抵抗
日本海で米艦隊と協同作戦中の護衛艦「ゆうぎり」が
米海軍F/A18戦闘機をCIWSで誤射、撃墜
雲仙普賢岳噴火。島原市で略奪中の朝鮮兵を超巨大火砕流が殲滅
台湾沖で超巨大台風が発生、九州に向けて進行中
北朝鮮軍・中国軍、大宰府占領。日韓兵の35%死傷。敗残兵は下関まで退避
森前総理「神の力でチョンを倒すのであるぞ!!」 とまたもや問題発言
携帯電話、ラジオ、テレビなどに電波障害発生
株式市場・北朝鮮侵攻で全面安、円も対ドル、対ユーロで大幅安い。防衛関連銘柄はストップ高
国会議事堂前では、デモ隊と機動隊とのにらみ会い
靖国神社にて参拝を行なっていた右翼団体が国会議事堂に向けて出発
政府は国民一人一人に防毒マスクを支給することを決定!
しかし、数が不足し各国に輸入を呼びかけることに。スーパーからは雨合羽、
ゴム手 袋、ゴム長靴などが姿を消す。全国の全ての病院で硫酸アトロピンを備蓄
学校ではマスクの装着訓練を実施
社民党、共産党は戦争関連法の審議を全てボイコット!
民主党は右派と左派で折り合いがつかず分裂へ。 連立政権が強行採決。
アナーキストグループが爆弾を仕掛けたと予告。爆発物処理班が国会議事堂へ急行。
(一度国会は爆破されてるんですが・・・どうしましょう??)
爆弾が爆発、小泉首相が巻き込まれるが腕を骨折したものの無事
警視庁前と国会議事堂周辺で反戦運動家数万人のデモ
陸上自衛隊第32普通科連隊が治安出動、発砲
「昨日、皇居周辺部で反戦運動家の小規模なデモがあり、機動隊ならびに
 自衛隊の治安出動で少数の負傷者が出たが、事態は短時間で沈静化した。」 (朝日新聞)
福岡で暴力団事務所に侵入した北朝鮮の兵士と見られる5人組の男が暴力団員と銃撃戦、
3人が死亡(産経新聞) 福岡の銃撃戦で暴力団員3人が銃刀法違反で逮捕(朝日新聞)
アメリカ、「日本から手を引く」と発表との情報あり(デマか!!)
網走北東部で哨戒中の対潜哨戒機P−3Cがロシア空軍から攻撃を受け墜落

おまけ・・・・・
東スポ
(1面見出し)猪木、平和特使としてピョンヤン入り。金正日あいてにいきなり張り手をかまし射殺!
(2面見出し)・・・の可能性もありえる??!!
引田テンコウ、平和特使としてピョンヤン入り。
そのまま幽閉。その後引田天功はマジックで脱出

              一部省略、加筆あります
24まとめ3:02/01/22 00:46
築城基地の8空団は敵の進出に際していち早く撤収に成功、岩国基地で部隊を再編。
8空団はF1装備の6飛行隊で北九州に対する近接航空支援。
北空および中空は全力を挙げてロシア軍迎撃作戦。
北海道天塩町西部第二師団第二偵察隊偵察中航空機による攻撃を受ける。数時間で稚内と天塩、浜頓別地域はロシア軍に占領される。
衝撃写真入手!九州戦で朝鮮兵をリンチ処刑(2001年7月X日号 FOCUS)
北九州市・第40普通科連隊小倉駐屯地で反戦運動家が基地に侵入。大規模な騒動へ。
麻原彰晃(松本智津夫)が東京拘置所より脱走。住民とオウム真理教(アレフ)の騒動発生
「ロシア極東軍の日本侵略問題に対し、ドイツを中心とする対露強行派とそれに反対する東欧各国の間で亀裂が発生。
NATOは分裂の危機。」(ロイター)
イギリスと韓国が戦争との情報
ドイツ、フランス空軍、モスクワ奇襲爆撃。プーチン大統領死亡。(デマの模様)
イギリスは戦闘不参加を表明。スペインポルトガル等はノーコメント。
午後8時、渋谷及び国内24ヶ所で北朝鮮工作員のものと思われる大規模な爆弾テロ発生。
死者456名、重軽傷者1541名、行方不明者76名
翌日の東京証券取引所は取引開始から国内企業の売りが相次ぎ、日経平均が7000円台TOPIXは800ポイント台に。
正午に東証は取引を停止。国外脱出が一気に増加。日本政府は、夜間外出禁止令を閣議決定。
第40普通科連隊第1,2中隊と重迫撃砲中隊一部の補給部隊を引き連れて出動。
北九州・筑豊ナンバーの車両群、反対車線の逆送をあちこちで行い衝突事故多発。
日本は民間の力も使用した総力戦に突入の様相。
ダライラマ氏が各国のメディアに対し中国の蛮行許してはならないと声明を発表、それに呼応しチベットで大規模暴動発生。
インドが中国に対し宣戦布告、ネパールを攻略しチベットに向け進撃。
米第七艦隊が佐世保市街地に空爆を開始。米海兵隊が佐世保逆上陸を開始。
ロシアプーチン大統領、「今回の軍事行動は極東軍の反乱行為」と宣言、 全土に非常事態宣言発令。
外務大臣を欧州経由で米国へ派遣すると表明。
ロス級原潜「ツーソン」(名前変更)、日本海航行中のロシア大型輸送船「ユリウス・フチク」撃沈
日本国内で夜間外出禁止命令。
NATOソラナ事務総長、「フランス・英国艦隊はマラッカ海峡を通過」
日本国内で「プーチン大統領死亡」「欧州で衝突」等のデマ。CICが調査へ。
成田空港に米国の緊急即応軍到着、空中給油機を使用しF−15C、200機以上と支援スタッフ展開完了(米国防総省発表)
中国江沢民主席と統一朝鮮金正日主席が北京で緊急会談。
「日本軍国主義と米国帝国主義に対する大いなる聖戦」と位置付けることで同意。
アラブ諸国、アフリカ諸国などにもこの聖戦に参加することを呼びかける。
イラク、フセイン大統領この呼びかけに賛同。サウジアラビアやイラン国境に戦力の移動を開始。(第二次湾岸戦争勃発か!)
都内連続爆破事件に関連し、社会民主党の衆議院議員辻元清美容疑者(41)の逮捕。
内縁の夫も容疑者隠避ならびに公務執行妨害の現行犯で逮捕。
議員事務所、自宅から乱数表や書類、無線機、パソコンなどを押収。社会民主党は、事件への関連性を否定。
横田基地から、在日米軍の家族などが輸送機で脱出し始める。
北朝鮮・中国軍が、豊後水道から愛媛県上陸を試みるが、住民の抵抗に合う。
25まとめ4:02/01/22 00:46
6月29日現在の米海軍の現有勢力及び主要艦艇の動向
人員:482.344人(現役)、63.389人(即応予備役)、224.432人(シビリアン)
現役艦艇:408隻 可動航空機:4.305機 航海中の艦艇:89隻(全現役艦艇の22パーセント)
作戦行動中の艦艇:205隻(同50パーセント) 航海中の潜水艦:18隻(全潜水艦の26パーセント)
作戦行動中の潜水艦:20隻(同28パーセント)
空母の状況:キティーホークCV−63:横須賀(損傷修理中)、コンステレーションCV−64:日本海(北鮮・ロシア攻撃中)、
ジョンF・ケネディCV−67:ポーツマス(作戦準備中)、エンタープライズCVN−65:北大西洋(ロシア艦隊掃討中)、
ニミッツCVN−68:黒海(対露作戦支援中)、ドワイトD・アイゼンハワーCVN−69:ナポリ(作戦準備中)、
カール・ヴィンソンCVN−70:インド洋(アラビア海へ航行中)、セエオドア・ルーズヴェルトCVN−71:中部大西洋(欧州方面へ航行中)、
エイブラハム・リンカーンCVN−72:真珠湾(作戦準備中)、ジョージ・ワシントンCVN−73:紅海(イラク攻撃中)、
ジョンC・ステニスCVN−74:東シナ海(中国攻撃中)、ハリーS・トルーマンCVN−75:サンディエゴ(作戦準備中)
(世界の艦船より)
読売新聞緊急全国世論調査で、戦争への積極的介入を望むという結果に。
ブッシュ大統領 「もし戦争が長期化するならば核の使用もやむを得ない」と発言。
「壮烈!我が英雄的自衛隊、北鮮軍数千余名を撃退す! 」
「あな憎し!卑劣漢中共停戦呼び掛けを一蹴、戦線拡大へ! 」
「日本國よ、友愛的合衆國と共にあれ、侵略軍を撃滅せよ!!」 (朝日新聞7月15日付け朝刊より)
台湾が中国から独立の動き。中国は在日中国軍を台湾に派遣。
322号線沿いの反乱左翼分子を特殊工作隊の二班が全て掃討。
「今朝未明、金門および馬祖両島は大陸側より熾烈なる砲撃を受けつつあり。
同島を守備している沿岸砲台からの報告によれば、砲撃は1958年の砲撃戦を上回る規模とのこと。
また大陸側の攻撃は砲撃だけではなく、ロケット弾や戦術ミサイルなども使用されている模様。
台湾本島には大陸側の航空機が飛来しているが、これまでの日本に対する航空戦で兵力を消耗しているせいか、
規模はそれほどでもなく、空軍部隊の迎撃により大半が撃墜されている模様。
むしろ国防当局が懸念するのは、大陸側からの弾道ミサイル攻撃で、ペトリオットミサイルによる迎撃も困難を来たしている模様。
海軍部隊は揚陸艦により、金門・馬祖増援の陸軍部隊を輸送しつつあり。大陸側艦艇による妨害が行なわれているが、
我が水上部隊の勇戦奮闘により、 多数の大陸側艦艇を撃破した模様。なお、米国を仲介役とした日本との協同作戦の打診については、
国防当局は 「そのような事実はない」と明確に否定した。しかし、沖縄の那覇で事務レベル、制服レベルの協議が行なわれているという
報道もあり、日本との協同作戦の可能性は高まっているという識者の見解もある。」(台北通信)
旭川などの道北部は、ロシア軍がほぼ占領。
旭川を経て名寄から音威子府にかけて陸自は、防御戦闘で時間稼ぎのため北上するがロシア軍に歯がたたず。
憲法9条改正
「満18歳以上、35歳以下の男子は、長男を除き徴兵の義務を負う。」
「特殊事態の場合には、満15歳以上、65歳未満の男子全てが徴兵の義務を負う」
国会において、野党の非核3原則に対する質問に対し、
「座して死を待つことも憲法の意思に反する。必要と有れば友好国から核を購入する事は可能。」との見解を示す。
北海道の戦場を取材中のニュースを見て78歳の老人と少年が敵陣に突入。その2人の行動により国民義勇兵が各地で編成。
小学生が各地で「鉄血勤皇隊」を組織、爆薬を抱え待ち伏せし肉攻。
シンガポール発日本航空710便、SA−14携帯用地対空ミサイルにて滑走路の手前400Mの地点に墜落。
浜松基地でもE767を狙った同様の攻撃が行なわれようとしたが、自衛隊の検問によって未然に発覚し銃撃戦が発生。
自衛隊員、警察官計7名の犠牲者と工作員2名を射殺
北朝鮮工作員による民間人を狙った無差別テロ多発。
中国江沢民主席 「日本軍国主義がいよいよその化けの皮を剥ぐ時がきた、中国・朝鮮はひるまず日本・
米国に対する聖戦を完遂するものである」と発表。
ニュースステーションの流石電波芸者転向へ。ニュース23においては、筑紫キャスターは番組降板。
極東ロシア軍は完全に中央の統制を無視。クレムリンは、北海道攻撃中の極東ロシア軍へ核攻撃を検討。
26まとめ5:02/01/22 00:47
ここまでの状況
日本側・・・米国・NATO・チベット
中国側・・・中国・韓国・北朝鮮・極東ロシア軍・イラク(?)
横須賀の潜水艦隊が九州へ進行(海上幕僚部より)
ロシア海軍バルチック21th艦隊が確認。航空自衛隊が交戦。
ワシントンとモスクワのホットラインにてロシア反乱軍に対し米は核攻撃を認可。
「九州各地において自衛隊の大規模な反攻作戦が開始された模様」
「中国・北朝鮮連合軍、関門海峡より上陸を計画か」
「義勇軍結成か!?」 「北海道の行方・旭川に迫るロシア軍!」 (読売新聞夕刊より)
ワシントンと東京電話会談。ロシア反乱軍に対する核攻撃を認可か!
韓国・中国軍、再び四国上陸作戦実行か。
モスクワと東京電話会談。日本ロシア反乱軍に対する核攻撃を認可
防衛庁に中国軍ゲリラと思われる武装集団が大型 トラック2台で突入。銃撃戦によりゲリラは全員死亡、
自衛隊員は5名が重傷、8名が軽傷。
イタリアが日本側に参加したいと発表。しかし日本、ドイツ側が猛反発。
警察の努力により、関係の住民は小倉や門司の施設とうに収容。
陸自、遠賀川以西を絶対確保すべく部隊展開。中島橋、遠賀橋を封鎖、芦屋橋と遠賀川橋の確保に成功。
門司港に第8師団から1個中隊が到着。大分からも第4戦車大隊も到達予定。
「ロシア極東地区がロシアからの独立準備」(タス通信)
クレムリン、反乱軍に対する核攻撃決定。
愛知県新川町の豊和工業では、第10師団第35普通科連隊と愛知県警機動隊による厳重な警備の中、火器類増産が急ピッチで進められる。
イギリスMI6本部、反乱軍への核攻撃情報入手。
のぞみ28号東京行き米原駅を通過直後、男女7人のグループに乗っ取られる。政府は特殊急襲部隊SATの投入を決定。
9号車が犯人の自爆で大破、犯人グループは全員射殺、新幹線の乗客4分の3死傷。
ロシア・ウラジオストック。極東反乱政府、クレムリンの核攻撃情報入手。対応策検討へ。
海自の第一・第二潜水隊群が豊後水道にて中国軍上陸部隊を多数確認。
第2護衛隊群玄界灘にて中国海軍と海戦。SSMにて敵艦数隻を撃破。
NHK帯広放送局など数カ所が襲撃を受け、アイヌ民族解放戦線に占拠される。
第2護衛隊群玄界灘にて砲撃戦。「くらま」中国軍駆逐艦の砲撃により被弾、小破。
「極東ロシア軍関係筋は自らがロシア軍による核攻撃を受ける可能性を示唆し、
その上でもし核攻撃が行なわれた場合は必要な報復処置を行なうと強調した」(ロイター通信)
警察庁の報告による国内のテロ被害状況
テロ事件は大小あわせて300件以上
死者・行方不明者 渋谷の爆破事件542人。成田の日航機撃墜事件330人。米原の新幹線ジャック事件1064人。
その他の事件を含め2500人以上。原発及び皇室へのテロの可能性も。
27まとめ6:02/01/22 00:47
第32普通科連隊新宿にて不良外人狩りを実施。五千以上もの不良外国人が移送される。
公安が中国、韓国、東南アジア系の多数の地下銀行を摘発。
護身術、ゲリラ遭遇時の対処法、AKの見分け方、銃の分解整備の方法等を解説した雑誌が毎号200万部を売る。
北部九州は占領、北九州市近郊はまだ日本が守っている。国道3号沿いに東進してきた北朝鮮軍と陸上自衛隊は
遠賀郡岡垣町〜玄海町あたりで激戦中。木屋瀬・楠橋地区は地域住民が自然発生的に蜂起、九州道と新幹線閉鎖。同地区は中立状態。
ロシア空軍の航空戦力は枯渇しつつあり。千歳第2航空団は制空任務。三沢第3航空団陸自を支援のため八雲へ。名寄手前ぐらいに第7師団展開。
千歳救難隊のブラックホーク、F−2のパイロット救出へ。
北朝鮮軍の北部九州進攻および、それに先立つ対馬占領の直前に築城、新田原、芦屋の各基地は、テロにより、レーダーサイト、通信網等
は完全に破壊。佐世保の米軍基地は細菌テロで壊滅。 北部九州は占領されていたという開戦初期の事実発覚。
北部方面隊は各師団の特科を集成し北部方面隊直属とする。MLRS、FH70、迫撃砲、74式、90式の主砲などによる同時交差射撃開始。
種子島宇宙センターから何かの計画が実行へ。
政府は外国人収容施設をマスコミに公開。その内容が同日のニュースステーションで報道される。
戦時下での食料対策6省連絡会議が開かれる。
三菱重工・名古屋航空宇宙システム研究所襲撃される。
シーレーンの混乱による石油、穀物などの戦略物資の統制、金融パニック、政府通達による東京株式市場、各種取引所の閉鎖。
国の政策により電通は、戦時広報統合局を設立。あらゆるメディアを国民の戦意高揚手段へ。
米国ワシントン、ニューヨークなどで核テロが発生。
米海兵隊4000人対馬に上陸するものの苦戦。
米軍の先遣隊が到着予定。占領地逆上陸か日本勢力圏に上陸し合流するか検討中。
対馬攻略。南九州の航空隊が支援。
ロス、シカゴ、ヒューストンなど大都市で核テロのデマ。市街地で脱出しようとする市民で混乱発生。全米に戒厳令発令か!!
ラジオの音楽番組、テレビのお笑い番組、情報バラエティ、ニュース番組など全ての放送が戦意昂揚を目的とする番組編成へ。
ドラマやアニメーション、テレビゲームなども戦意昂揚の手段へ。
28まとめ7:02/01/22 01:14
三菱重工・名古屋航空宇宙システム研究所が襲撃される
神田駿河台で学生運動家がアジ演説を行うも群集の怒りを買い
惨殺される
沖縄沖で行動中の第四護衛隊群が中国空海軍の攻撃をうけ
損害を与えるも自らも被害が出たため撤退
北九州市で人民解放軍が陸自捕虜を公開処刑。日本人女性教師が
「自衛隊は日本の帝国主義者が平和憲法に違反して造り上げた暴力集団です」
と発言する利敵行為を行う
東京三宅島でダイオキシン灰大量生産
陸自。北九州での捕虜殺害をマスコミに発表。全世界にも発信される
北九州で利敵行為を行った女教師を特殊部隊が確保。東京に連行
女教師の特別番組を見た両親自殺
自民党N元幹事長。既に逮捕された社民党T議員の証言によりクーデター
計画が暴露。逮捕されない代わりに完全に政治生命を終える
学○院大学で皇室対象のテロ発生。警備隊長死す。事件直後。テロリスト
のアジトが襲撃され炎上
種子島宇宙センター厳重な警備体制続く

・・・後誰かまとめて・・・
29名無し三等兵:02/01/22 21:18
期待あげ
30名無し三等兵:02/01/23 01:25
>228@第2章
先頭を疾走するデミオ−いうまでもなく、占領地からロシア叛乱軍が徴発したものだ−が、
いきなり進路を排水路目掛けて急角度に変更したことで、地獄からの逃亡をはかる隊列に
混乱が生じた。
デミオのすぐ後ろを走っていた軍用自動車が、衝突を避けようとステアリングを左に大きくきり、
その後ろに続く数台の車輌も、あるものは進路を無理やり変え、あるものは床も踏みぬけよと
力いっぱいブレーキをきかせる。
だが、最小限度の混乱でその場を切り抜けようとした彼らの労苦は、実にあっけなく裏切られる
こととなった。
デミオの後ろにいた軍用自動車は、速度を大幅に落としながらも進路を変えるだけですんだが、
そのまた後ろにいたトラックが急ブレーキをかけ、テイルを滑らせてしまったことで、後続の車輌が
次から次へとトラックの横腹にまことに不本意な突撃をかけていく。

瞬く間に鋼鉄製のミンチボールが重なっていく様を実に楽しげに眺めながら、はちまきはシマダに
叫んだ。
「よし、お付きは全員片付いた!あれを追うぞ!」
シマダは物も言わず、ハスラーをグイと傾け、軍用自動車にその鼻面をむけた。
                             ( ̄ ̄<      / ̄>
      ___        ヽ  〃      / ̄7   |    /  /
      _|_  -┼-   ヽ        ノ  / \ ト、    /
        |_   ノ    _/  工     /    |   M o n a j e c t X
      ─────────────────────────────
                 挑 戦 者 た ち  /|_/ /\ Challengers
                              |  /    \   丶
                              \/       \__ノ
「蘇れ九州の護り(第一回)」

    エ〜〜ックス!!

   それは、2001年も半ばを過ぎて勃発した日本朝鮮戦争の話である。

   九州における有事の際、新田原基地は太平洋側にあり常に後背地となるはずだった・・・
   そして、防衛の空の要として期待されていた・・・
   
   突然のテロ(奇襲)だった・・・
   滑走路が・・・
   管制施設が・・・
   ハンガーが燃えていた・・・

   闇に沈んだ青い茶畑の真中で、そこだけが燃えていた・・・

   明くる朝、情報が交錯するなか、TVではCNNが北九州のもようを写していた・・・
   国内なのに民間放送は機能していなかった・・・
   そして必要とされる今、基地は機能していなかった・・・
   誰からともなく声が上がった・・・
   復旧するのだ、この戦争に間に合ううちに・・・挑戦の始まりである。

「 − 航空自衛隊 新田原基地 − 」

 風の中のすばる♪
 砂の中の銀河♪
 みんな何処へ行った 見送られることもなく♪
基地の特に滑走路と補助車両の破壊は徹底していた・・・
損害を集計している最中に、破片から新たな事実が判明した・・・
滑走路は基地設営当時に埋設された爆薬によって破壊されていた・・・
見積もりは酷いものだった・・・

 関係者A
 「当時の状況は無残、の一言に尽きますね。重機も殆どやられていましたし、当時埋設された爆薬が
  あれだけとは限りませんので、民間を入れることもできませんでした」
 関係者B
 「いつ足元が吹き飛ぶか判らないのに、モッコ、ツルハシで急げ急げではやってられるか、とね思ってましたよ」
 関係者C
 「開戦直後は毎日のように押されてましたから、直しても奴らに接収されるかもと思うと気がめいりました」
 関係者D
 「近くの人がね、ボランティアで参加したいって言ってくれるんです、あれは嬉しかったですね
  事情を説明してお断りするのは、心苦しかったもんです」
  
安全を確保した上で復旧するには数年が必要だと見られた・・・

 関係者E
 「正直、もう駄目だと思いましたね。打つ手無し、戦争には間に合わないと」
その時、一人の民間人が立ちあがった・・・
地元の土木作業会社オーナーだった・・・

 「そうじゃ、宮崎空港があると!」

彼は宮崎空港建設に立会っていた・・・
危険な埋設物が無いことにも自信があった・・・

彼は持てるコネを全て使った・・・
そして政府、県、地元、基地の関係者たちを会議室に集めることに成功した・・・
会議は数時間に及んだ・・・

 オーナー
 「会議は30分後もすっと、皆乗り気で私の手を離れたとよ」

プロジェクトが走り始めた・・・
車両はメーカーから川崎に一度集積され、高速フェリーにより宮崎港へ運ばれた・・・
輸送機により空港へ直接輸送された・・・ 
特に重量のあるものは、直接空港前の海岸に揚陸された・・・

地元主導のプロジェクトも進行してた・・・
佐土原バイパスの中央分離帯が取り払われ、アスファルトで舗装された・・・
また九州電力の手により沿道の送電線が取り外された・・・
基地では少ない工具を用いて必死の作業が続いていた・・・

2日後、バイパス上を民間トレーラーに引かれる自衛隊機の姿があった・・・

そして・・・
(送迎デッキから日の丸を打ち振る県民達 そして不死鳥をペイントしたF-15が滑走を開始)

「そして・・・翼は、蘇った・・・」

(蒼空に向かい飛び立つ不死鳥 駐車場ではあふれた人々がクラクションを鳴らし旗を振る)

  ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない♪
  ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない♪

(フェードイン)
 青い空光ゆたかに 陽に映えてにおう山脈♪
 黒潮岸にあたたかく 南の風のさわやかに♪
 夢をよぶ 幸をよぶ 嗚呼 わが郷土宮崎県♪
(フェードアウト)
3530:02/01/23 02:15
>30
シマダの操るハスラーは、あぜ道と呼称したほうがよほど適切な未舗装路から、
目標がひたすら遁走する街道の中央に踊り出た。
途端に、はちまきの体が後ろに引っ張られるかのようなGが全身にかかる。
ハスラーの250ccエンジンが、不整地というくびきから解き離れた喜びを甲高い
排気音に変え、矢のように疾走した。
小豆大でしかなかった目標の影がコマ落としのように拡大し、みるみるうちにソフトボール
大にまで膨張する。
目標が、いきなり不規則にジグザグ走行をはじめ、サイドウィンドウやおそらく自ら打ち破った
と思われるリアウィンドウから銃火が煌いた。
「シマダ、まっすぐだ!」
AKを構えなおし、はちまきが再び叫ぶ。
「正気か!?」
シマダは叫び返した。
かまわず、はちまきが畳み込む。
「あんなぐちゃぐちゃなコース取りで、まともに狙いがつけられるかってんだよ!」
はちまきの言うとおり、弾着は一番彼らに近いところでたっぷり10メートルは離れていた。
「でも、後ろの奴等がこっちに狙いをつけたら!」
シマダが反駁したときだった。

爆発音がはるか後方から轟き、一拍おいて空気の塊が2人を追い抜いてゆく。
シマダは、バランスを崩しかけたハスラーをきわどいところで立て直した。
はちまきが後ろを少しの間振り返り、同時にシマダがバックミラーをちらりと見やる。

後ろのミンチボールが、ドミノ倒しのようなテンポで爆発していくところだった。
3630:02/01/23 02:33
>35
「ボウイだ!」
燃え盛るミンチボール、その傍らに急停車するパジェロを目ざとく発見したはちまきが叫んだ。
ミンチボールから投げ出された叛乱軍兵士が、せめてもの抵抗をと銃器を構えるより早く、
パジェロから降り立ったボウイがRPDを腰だめで乱射する。
RPDの火線から明らかに外れているはずの兵士が見えない何かで殴り飛ばされたように
吹き飛んでいるのは、めがねの狙撃によるものだろう。
「いいぞ、突っ込め!」
覚悟を決めたシマダは、スロットルを全開にした。
ソフトボール大の目標が、今や畳半畳くらいにまで迫っている。
常人離れしたはちまきの視力は、運転席に陣取る兵士の動きをチェックしていた。
兵士の右肩が上がり、両腕がせわしなく動き始めた瞬間を捕らえ、小さくつぶやく。

「へたくそめ、手本を見せてやる」

運転席の兵士、その本来の位置よりわずかに左に狙いをずらしたはちまきは、AKの
トリガーを静かに引き絞った。

狙いはあやまてることなく、運転席の兵士に3発が着弾した。
たった3発ではあったが、その全てが兵士の頭部に命中したのでは、数の多寡を問う意味がない。
兵士は即死し、コントロールを失った軍用自動車は、荒れ果てた農地目掛けてまっすぐにダイヴを
敢行した。
37おまえら、最高です:02/01/23 02:33
とにかくage
3831:02/01/23 02:47
モナジェクト〜は続きません
気に入った方は勝手に御当地シリーズ化してください
39海の人:02/01/23 12:43
 あ゛〜続きだ〜、半分諦めてたから、これわうれしい。
 245改め30さん、楽しみにしてますっ:-)
4046式中学生:02/01/23 18:30
>モナジェクトXさん >>31->>34
新事実発覚!
開戦前に新田原がテロ攻撃を受けていたんですね
あの基地には空自荷とって貴重な対地・艦攻撃可能なF4EJの301飛行隊と
とっておきの予備戦力となる飛行教育航空隊&教導隊のF-15Jがあるはず
それが使えなかったとなると北九州戦の空自はものすごく辛かったでしょうね

>30さん
ついに2章から続投してくれる方が現われた。
頑張ってください!
41名無し三等兵:02/01/23 22:33
age
42名無し三等兵:02/01/23 23:24
竹中経済財政担当大臣

月例経済報告にて鉱工業生産、前年同月比65%の伸びと発表。
戦時により兵器関連、軍事資材関連の需要が急増したものと思われる。
43名無し三等兵:02/01/24 00:26
>>40
最初のスレで言及されてる

463 名前: 名無し三等兵 投稿日: 2001/07/03(火) 23:12
>>462

まだ、明らかにされていなかった開戦初期の秘話。
北朝鮮軍の北部九州進攻および、それに先立つ対馬占領の直前に
築城、新田原、芦屋の各基地は、テロにより、レーダーサイト、通信網等
を完全に破壊された模様。さらに、佐世保の米軍基地は細菌テロで壊滅。
だから北部九州は占領された(ってことでいいっすか?)

また、九州東岸(大分、宮崎)は交通網の整備が遅れていたのが幸いして、
西岸(熊本、鹿児島)のように北朝鮮軍に占領されていない。いずれ、
築城と新田原の基地機能が回復したら、航空戦もきっと行われると
信じて待ちましょう。
44名無し三等兵:02/01/24 04:56
>>34
>「そして・・・翼は、蘇った・・・」
>
>(蒼空に向かい飛び立つ不死鳥 駐車場ではあふれた人々がクラクションを鳴らし旗を振る)


「大空に羽ばたかんとする、F-15のアフターバーナーは
不死鳥の尾のごとく、人々の目に、心に焼き付いていた ・・・。」

っつーのはどうです?文才無くてスマソ
45名無し三等兵:02/01/24 10:00
>>44
プロXのYS−11参照
4646式中学生:02/01/24 16:00
>>43
本当だ。鬱・・・
4746式中学生:02/01/24 16:08
ところで沖縄ってどうなっているんですか?
中国軍が攻略に乗り出しそうな物ですが、海自が那覇港使ってたし
245改め30さん、頑張ってるな〜。
自分も書いてみようかな〜。
でもヘタレだし・・・。
稚内戦はストーリーは決まってるんだけど、
いざ文章にするとなると・・・。
陸自の普通科の知識がもう少しあれば・・・。
49前々スレ333:02/01/24 21:39
祝復活!稚拙ながらわたくしも頑張らせていただきます
50前々スレ333:02/01/24 22:29
日韓W杯開催返上へ

国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長は24日今年6月に開催予定
だったワールドカップの開催権の返上を日韓両国の組織委員会に勧告
した。代替開催国は未定だが前回開催国のフランスと90年の開催国の
イタリアが候補に上がっている。
51前々スレ333:02/01/24 22:42
日韓合同チーム結成へ― 中国の出場権剥奪

国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長は28日今年6月にイタリアで
代替開催されるワールドカップに関連して今回の戦争の当事国の扱い
について言及し、国連から武力制裁対象になっている中国について出場
を認めないことを決定したと述べた
また選手の死傷多数で代表編成が困難となった韓国の扱いについては
同様に選手の死傷が相次いでいる日本代表との合同チームでの参加を
認める方針を示した
52前々スレ333:02/01/24 23:10
二カ国復活出場へ― トーナメント開催

国際サッカー連盟(FIFA)関係筋は中国、韓国の二カ国分空いた
ワールドカップの出場枠について予選トーナメントの参加国の中から
数カ国選びトーナメントを行うことを検討中であることを明かした
参加国及び開催地は未定だが2月中旬開催を目指している
また組み合わせに公正さを期すためトーナメント終了後、再度組み合
わせ抽選を行うことも検討中であることも明かした
5330:02/01/25 01:29
>48ジミーさん、>49前々スレ333さん
どうも、245改め30です。
このたびは、めでたく復活ということで、前スレで書き残した分をまとめました。
今後も、本筋にはあまり関係ないサイドストーリーの妄想を週に2度程度
レスさせていただければ、と思っております。
(前々スレ331さんのネタをいくらか拝借するかたちになりますね)

また、途中で思いついたネタを振ってみたり、他の方のネタをふくらまし、
ということもさせていただこうと思ってます。なにとぞ生暖かい目で見守ってください。

お二人(そして、前々スレや前スレの執筆者各位)の復活を、心よりお待ち申し上げます。

では、また週末に。
54名無し三等兵:02/01/25 20:22
age
55名無し三等兵:02/01/25 21:52
腕に覚えのある者はきてみよ
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi/army/1011658833/l50
56名無し三等兵:02/01/26 00:13
その頃不審な小型船が沖縄東方の海域に。そうアレを引き上げていたのだ。それが今度は日本に向かって火を噴くとはこのと誰れも知る余地がなかった。
57前々スレ333:02/01/26 01:02
>52訂正
国際サッカー連盟(FIFA)関係筋は中国、韓国の二カ国分空いた
ワールドカップの出場枠について各地区予選の参加国の中から
数カ国選びトーナメントを行うことを検討中であることを明かした
参加国及び開催地は未定だが2月中旬開催を目指している
また組み合わせに公正さを期すため出場国の決定後、再度本選の
組み合わせ抽選を行うことも検討中であることも明かした
58名無し三等兵:02/01/26 02:09
>>56
そう誰も知る余地がなかった
なぜならアレが何であろうと、小型船でサルベージは狂気の沙汰だったからだ
引き揚げは失敗した

59名無し三等兵:02/01/26 17:36
前スレからずっと読ませて頂いています。
本当に小説をお書きの皆様は文才があり、素晴らしい作品がまた読めるのかと思うと嬉しい限りです。
自分も今度暇があればサイドストーリーで、銃後の社会について書いてみたいと思います。
とりあえずはしりだけ。
自分は今高校生なのですが、実際の今の高校生がどのように戦争と向き合うか、を想像してみました。
ご指摘などありましたらどうぞおっしゃって下さい。
スレ汚しになるようでしたら引き上げます。

主人公
西澤:高校生。祖父が軍人で、戦前的な教育を強く受ける。

 2001年、7月、東京の町中で。
 都民はいたって平凡な毎日を送っていた。
今までの生活と変わったところと言えば、ニュースの中継で同じ言葉を喋る人間が、獣のような悲鳴をあげで倒れていく映像が流れたり、葬式が増えたことくらいだった。
 都内の学校は今まで通りの授業が続けられていた。
 「──では今日の授業はこれまで。家に早く帰って、お父さんお母さんの手伝いをするように。
 明日は朝8時半に体育館に集まるように。自衛隊の方から、大事なお話があるそうだ」
教室の後ろの方で、男子生徒たちがむくれた顔で、愚痴を言う。
 「また自衛隊の勧誘かよ、俺たち戦争なんて行く気ないっつの」
 「なぁ、別に九州くらい中国にあげてもいいじゃねぇか、俺たちの生活が変わるわけでもねぇし。
 明日の朝って出欠調査するのかな?しないなら朝サボろうぜ」
 「おぉ、久しぶりにゆっくり寝れるな、ハハハ」
教師は男子生徒の雑談に気が付き、
 「コラァ!お前ら何を喋っているんだ!
 今、この一瞬一瞬にも、自衛隊の方々が国民を守って戦っているんだぞ!?
 失礼だとは思わないのか!」
と声を荒げる。
しかしそんな教師の剣幕も、生徒には全く滑稽な物にしか思えなかった。
男子生徒の1人がニヤついた笑いを浮かべ、教師に言い返す。
 「先生この前まで自衛隊は違憲だ、すぐにでも無くすべきだって言ってたじゃないですかァ。
 ──そんなに自衛隊が好きなら先生行って下さいよ、俺ら自分のしたいことするんで。
 第一俺ら守ってもらいたいって自衛隊に頼んでねぇし」
同意を求めるように周りを見ると、横に座っていた男子生徒が頷いた。
 「第一戦争戦争って、全然俺らの生活変わらないじゃないですか、自分の身は自分で守りますよ」
そう言って男子生徒は拳を握り、素振りをする。
そのしぐさが滑稽だったのか、周りの女子数人がくすくす笑い、調子に乗ったその男子生徒は銃を持つようなジェスチャーをし、
 「自衛隊だー!武器を捨てろ!」
と、前に流行った何かの映画の真似をする。
教師はもう語るのもいやになり、「じゃあ明日8時半に体育館だぞ、出欠とるからな」と言い、教室から出ていく。
教室のそこかしこからブーイングが出、めいめいに帰りの準備を始める。
 そんな中、帰りの用意をしていた西澤のところへ、同じクラスの男子の尾藤が来た。
 「なぁ、ちょっと後で話があるんだ、今日一緒に帰ろうぜ」
 尾藤とはそこまで仲が良いわけでもない。西澤はちょっと迷ったが、尾藤の顔が真剣なので反射的に頷いた。
 「いいよ、ちょっと用事があるから先に下駄箱行ってて」
 西澤はそう言うなり立ち上がり、携帯電話でどこかに電話をかけながら、外へ出て行った。
6030:02/01/27 15:34
>>36
30分ほど前から振り出した雨は、勢いを増しつつビルの窓ガラスをたたきつづけていた。
窓ガラス越しに写る人気の失せた街並みは、その雨にじっと耐えているように、ボウイには
思えた。
道北のその街は、主要な幹線道路から外れているために、エリアマップには小さな点でしか
記されないほど重要性の低いところではあったが、それゆえにこれまで奇跡的に戦禍を免れ
ていた。
だが、ロシア叛乱軍の侵攻に伴う混乱で、この街に住まう人はみな逃げ散ってしまい、
今では、建物だけ無事な街全体が納骨堂のように痛々しい沈黙を強いられていた。
そして、はるか離れた曇り空から、ジェット機のものと思しき轟音が時たまガラスをわずかに
震わせている。

連中、こんな悪天候でも復讐を止めるつもりはないんだな。

ボウイは、銜えていたハイライトを空き缶の中に落とし込みながら、ふとそう思った。
窓ガラスから視線を外し、なんと言うこともなく部屋の中を見渡す。
そこは、日本全国どこにでもある中小企業、その応接室だった。
おそらくは、脱出するときに何を持って出るかで一悶着あったのだろう、中は書類だの
事務用機器だの、商売道具と思しき何かの部品類だのといったガラクタが実に満遍なく
ばらまかれている。
全体的に安っぽいつくりの部屋の中で、それだけは高価な応接用のソファが、やけに
場違いだった。

いや、それをいうなら、そのソファに後ろ手に縛られて座らされているロシア叛乱軍の将校が、
もっとも場違いな存在だったに違いない。
そして、ボウイたち4人も。

ボウイは、わずかに首を振ると、将校の向かいに腰掛けていたはちまきに問い掛けた。

「何かしゃべりそうか?」
6130:02/01/27 17:46
>60
ボウイの声に振り返ったはちまきは、眉をしかめて肩をすくめた。
「だめっ。まったくうんともすんともいわねーな・・・・・・」
はちまきの言うとおり、その将校はまっすぐ前を見詰めたまま、彫像のように身じろぎもしなかった。
6時間ほど前にひっくり返った軍用自動車から引きずり出し、応急手当を施した後にこの小さな街に
連れ込んだのだが、意識を取り戻した直後に姓名と階級、そして認識番号を滑らかな英語で申告
したあとは、何一つ話そうとはしなかった。
顔といわず手足といわず、全身のいたるところにに巻かれた包帯にはうっすらと血が滲み、
パラシュート・コードがぎりぎり腕を縛めているにもかかわらず、いくらか表情を苦しげにゆがめて
いるほかは、まるで何事もないかのようにソファに端然と腰をおろしている。
正直、この忍耐力にはボウイも感心するほかなかった。

あきらかに軍人とはみえない武装した連中に取り囲まれて、よくぞここまで自制できるもんだ。
普通なら、自分達の所業に怒り狂ったパルチザン(と、この将校は思っていることだろう)に
捕らえられて、救援の見込みもない状況に放り込まれたら、もうちょっと動揺してもいいと思うんだが・・・
さすがは、"叛乱”の2文字がついても軍隊。なかなかの人材がそろってるぜ。

「どうしたもんかな?」
ボウイの思いを察したというわけでもないだろうが、はちまきがゆっくりと立ち上がりながら
誰にともなく尋ねた。
応接室の隅で、ガラクタを片付けて作ったスペースに腰を下ろしてドラグノフの手入れをしていた
めがねが、あっさりと答える。
「喋らなきゃ仕方ないんじゃないの?ゴーモンにかけりゃなんとかなるでしょ」
入り口付近で壁にもたれていたシマダが、めがねの言葉に軽く頷いて身をおこした。
「話したくないやつに喋ってもらうんなら、俺ぁちょっとしたもんだが・・・・・?」
その手には、いつのまにかナイフが握られていた。
6230:02/01/27 20:02
>>61
「そいつはしまってくれ」
右手をあげ、はちまきはシマダに言った。
「拷問はちょっと趣味じゃない」
「しかし・・・・・いつまでもだんまりのままってわけにもいかねぇんじゃ?」
出したときと同様、いつのまにかナイフをどこかにしまったシマダが、幾分首を傾げて
はちまきに問う。
「まぁな。だが、戦争は趣味でできても、無抵抗のものをいたぶるのは別だ。他の方法を
考えるさ」
「まったくな。こいつがガガーモフなら、話は早かったんだが・・・・・」
シマダが嘆息したとき、叛乱軍将校がはじめて表情を動かした。
「ガガーモフ?ユーリ・ガガーモフのことか!?」
将校はロシア語で思わず口走り、それからあわてて英語で言い直した。
暫時空気が静止し、4人の視線が一時に彼へと集中する。
沈黙を破ったボウイが、ゆっくりと問いかけた。
「そう、ガガーモフだ。あんた、何か知ってるのか?」
「あいつは・・・・・そう、あいつは・・・・・」
将校の表情は、今やはっきりと苦衷に歪んでいた。
それは、あきらかに身体の負傷によるものではなかった。
首をぐるりとめぐらせ、言葉を続ける。
「その前に聞きたい。おまえ達は何者だ?」
「ゲリラか何かに見えるかい?」
はちまきが、将校の目を見ながら反問した。
「パルチザンではないのか?」
「違うね。おれは流れ者さ」
「僕は過激派」
「ガンマン」
「・・・・けちな極道だ」
4人が、めいめい"自己紹介"をすると、将校の表情が目に見えて変化した。
それはおそらく当惑とでも言うべきものだった。
6330:02/01/27 20:36
>>62
「おまえ達は、趣味で戦争をしている、そういったな?」
将校は、当惑の表情を隠そうともせずボウイに問い掛けた。
「ああ。政治に興味はないし、イデオロギーは遠い世界の御伽噺だ。
怪しげな神様を拝む習慣は自分がもっと馬鹿になったときだと決めている」
「そうか・・・・・・」
「俺達は、あんたを鉤に引っ掛けて逆さ釣りにしたいとも思わないし、なんとか裁判
にかけてさらし者にするつもりもない。ましてや痛みの限界に挑戦する人体実験
などごめんこうむるね」
「・・・・・・」
「だが、ちょっとした浮世の義理ってやつで、ユーリ・ガガーモフの居場所を知りたいだけさ。
もし何か知ってるなら、教えてくれると助かる」
ボウイは、ハイライトに火をつけながら穏やかに言った。
だが、将校はその言葉に俯いてしまった。
「ガガーモフは・・・・あいつさえいなければ、私達はこんなところにこなくてもよかった・・・・・。
ロシア共和国の一士官として、現状に不満を抱きながらも、日々の平和をかみ締めていられた・・・・・
だから・・・・私個人としては、君達に知っていることをあらいざらいぶちまけたい。
だが、それを喋ってしまっては、私は義務と忠誠をみずからどぶに投げ捨てることになる・・・・・」

いまどき、なんて珍しい奴だ。

はちまきが内心でいいようのない何かを感じたときだった。
シマダが、いきなり険しい表情を浮かべて窓際に張り付いた。
そのまま、はちまきを手招きで呼び寄せる。
はちまきは、足音を殺してシマダの隣に並んだ。
「お客さんだ。どうやら、ここに気づいたのは俺達だけじゃないらしいぜ」
シマダは窓の外を指差す。

あちこちにがたのきた大型軍用トラックが、よろばうようにして大通りに侵入してくるところだった。
64名無し三等兵:02/01/28 10:22
>>59
イイ!がんがん書いてくれ!!新星登場!
6559:02/01/29 01:32
 学校から最寄駅までの道沿いにある、普段は見向きもされない小さな公園。
西澤は尾藤と一緒にその公園に入り、木陰にある小さなベンチにこしかけた。
帰り道では来週に予定されている、長野での修学旅行の話に花が咲き、普段あまり話さない2人だったが、すぐに打ち解けてしまった。
気付くと周りでは小学生が鬼ごっこをしている。どうやらこんな小さな公園でも、小学生にとってはかけがえのない存在なのだろう。
 「で、何かあったのか?いきなり俺に話しかけてくるなんて珍しいじゃないか」
西澤は途中のコンビニで買ったジュースを一口飲み、尾藤に話題をふった。尾藤は急に真剣な顔つきになった。
 「俺と親父と姉貴さ、震災があった時、神戸に住んでたんだ。ってか俺の実家、関西でさ」
 「あぁ、そうらしいね……」
尾藤のやつ、いきなり何を話し出すんだろう。西澤はそう思ったが、やはり尾藤の真剣な顔つきに圧倒され、ともかく話を最後まで聞くことにした。
 「あの時、うちの親父の、かなり仲良かったオジさんがいてさ、その人が家の下敷きになっちゃったんだ。
 そのオジさんの家は、親父の住んでたところから歩いてすぐの所にあってさ、俺らはすぐ出てって助けようとしたんだけど、周りの人はみんな避難場所に逃げたか、死んだかでさ」
 「そっか……」
西澤は未だに尾藤の言おうとしていることがわからず、半ば当惑した顔つきで彼を凝視し続けた。
 「俺ら3人でオジさん、あぁ、名前なんだったけな、石井だっけ?そうそう、石井さんだ…を助けようとして、崩れた柱や壁の残骸を取り除いて、ようやくそのオジさんの声が聞こえるところまでいって。
 瓦礫の中からそのオジさんの声がしたらしくて、親父もう凄い喜んで、頑張れ、もうすぐ俺が助けてやるからな、って何回も叫んだんだ。
 ……ほら、うち、俺が生まれた直後に母親亡くしてるからさ、親父、何かあったらいつもそのオジさんに相談してたんよ。
 それで、いつもそのオジさんには迷惑かけてるから、いつか絶対恩返ししてやる、って、よく言ってたんだ」
尾藤は話を続ける。
 「で、やっと石井さんの声が聞こえてきたところの瓦礫を親父さ、もう手掴みでさ、血がだらだら出で、それでも石井さんを助ける、って瓦礫を無我夢中で取り除いて。
 ……石井さんの身体は、柱が倒れ掛かって、膝から下がもう潰れてぐちゃぐちゃになっちゃってた。石井さんはちょっとバツの悪そうな顔して、おう、俺のことはもういい、早く逃げろ、余震もある、俺はもう今まで充分生きた、って言って、笑ってさ。
 俺たち頑張ったんだよ、3人で、色々試してさ、柱どけようとしたんだ。でも、俺まだ中学生だったし、親父もそんな力仕事してなかったから……全然柱、動かなかったんだ。
 親父もうわんわん泣いてさ、いつも人前で男が泣くな!って俺に説教してた親父がだよ?俺ももう、やるせなくて、自分がウザくて、わんわん泣いてたんだ。
 そしたら、遠くの方から男の人が3人来て、俺たちが泣いてる横で、2人が柱をひょい、っと持ち上げて、1人が石井さんを助け出したんだ。
 今度は俺たちもう嬉しくてわんわん泣いちゃってさ、今から考えるとアホらしいけど、とにかくまた泣いたんだ」
感動的な話だ、西澤は素直に感動した。西澤の目もうるんできていた。尾藤も当時を思い出してか、興奮した様子で目を滲ませながら、話をしている。
 ――でも、なんで俺に今そんな感動的な話をするんだろう。
西澤は反面、こんな話をいきなりしてくる尾藤をちょっと薄気味悪く感じた。尾藤は話を続ける。
 「それで、姉貴がその人たちに、どなたですか?一段落したら必ず挨拶に行きます、て言ったんだ。女はこういう時に頼もしいね、俺と親父はまだ泣き止まなくて、言葉が出なかったんだよ。ははっ。
 で、その人たちは、元陸上自衛隊の人たちだったんだ。
 久しぶりに同じ部隊所属だったメンバーで集まって朝まで飲んでたら、地震が来て、3人で救助活動をしてたんだって。
 その人たちは名前も言わずに、石井さんを俺に背負わせて、どこか他の場所の救助に行っちゃったよ。
 ……親父は震災の後、俺は自衛隊に貸しを作っちまったなぁ、自衛隊なんて税金の無駄遣いの最たるものだと思ってたのに、なんて愚痴こぼしてた」
西澤は「自衛隊は税金の無駄遣い」という言葉に反射的に反駁をしようとしたが、尾藤の頬を流れる涙が、それを抑えた。
6659:02/01/29 01:34
 「それで、この戦争だよ。
 俺は震災の後、東京の親戚の家に引っ越したんだ。神戸は今から元の生活ができるようになるまで、時間がかかるからってさ。
 ……一昨日、石井さんから電話があってさ。
 親父と姉貴、北九州に行っちゃったんだってさ。
 勝手な家族だよな、長男の俺に何も言わないで……」
西澤は、今やっと尾藤が言いたかったことを理解した、瞬時に、痛いほどに。
 「石井さんは親父に、絶対息子にはこのことを言うな、って言ってたらしいんだけど、石井さん、やっぱ伝えておいた方が良いよな、って、俺に教えてくれたんだ。
 親父は、今こそ自衛隊に貸しを返す時だ!って、6月中に荷物をまとめて、北九州に向かって家を出たんだって。姉貴も付いて行っちゃってさ……」
 「あっ、姉貴って……えっ、それは……」
 「……あぁ……」
 毎日のようにテレビから流れる、北朝鮮軍の残虐な行為。
勝手に家に押し入って、金目の物を奪い取り、日本人の男を見つけては、銃剣で刺したり、銃で撃ったり。
そして女には、強姦。
 「俺が神戸に残ってりゃ、親父はともかく姉貴は家に置いてったさ。
 なぁ、何が悪かったんだろうな?俺なんか悪いことしたかな、姉貴ってそんな悪いヤツだったか!?なぁ、なんでだよ!なんで……」
尾藤は下を向いたまま、身体からそれ以上泣いたら水分がなくなると思えるほど、泣き続けた。
西澤はこんなにも人が泣く、と言うことを知らなかった。
そしてこんなにもたくさんの涙を流させる、戦争というものの恐ろしさを、始めて、知った。
ひとしきり泣き、数分の間の後、尾藤は顔を上げ、ベンチから立ち、少し歩いて、振り向きざま、少し笑いながら、呟くように言った。
 「俺、自衛隊入るよ。
 西澤、こんな話聞いてくれてありがとうな、すっきりしたよ。
 ――修学旅行は一緒に行きたいナァ」

 涙が、止まらない。
6759:02/01/29 01:46
 後日談。

 数日後、西澤が学校から帰ってテレビをつけると、特別番組で「愛国的若者、続々と自衛隊に志願!」という見出しで陸自の志願兵が訓練をしているライブが流れていた。
そこには、まるで形相の変わった尾藤の姿があった。
 復讐鬼。
そんな言葉が最も似合いそうな彼は、殆ど訓練をする時間もなく、九州戦線へ送られていく。
 西澤はテレビを消し、そっと尾藤の無事を祈った。

 終

59です、最初から長編は無理だろうと思い、簡単な短編にさせて頂きました。
実際に震災当時神戸に居た親戚や、大東亜戦争の銃後を生きた祖母の話を思い出しながら書かせていただきました。
何か安易なヒューマニズム的な小説ができあがってしまいましたが、まぁ軽く読んで頂ければ幸いです。
また機会があったら新しく書きたいと思います。
6830:02/01/29 01:50
>>59さん
いい話です・・・・。リアルタイムで読ませていただきました。
また、余裕のあるときでかまいませんので、話をアップしていただけますか?

69名無し三等兵:02/01/29 11:19
59さんイイ!将来2ちゃんねるのこのスレで大活躍の予感が!
70名無し三等兵:02/01/29 12:05
(・∀・)イイ!
7159:02/01/29 15:38
 7月上旬に予定されていた長野への修学旅行を巡って、教師の間では意見が真っ二つに分かれていた。
先日起こった新幹線の爆破事件を受けて、「修学旅行は取り止めにし、学校で何かしらの特別授業をやればいい」とする主に若年世代の意見と、
「今こそ生徒たちは日本で何が起こっているのか、日本はどうなってしまうのか、を知るべきだ。」とする、もうすぐ定年を迎える60代の教師の意見。
 結局60代の教師の意見が押し勝ち、修学旅行は規定通り行う、そして行き先は長野から一転、関西と決まった。
行き先が変わったのは、最近町中でささやかれている「東京への核攻撃」だとか「特殊工作員が実は既に万単位で東京に流れ込んでいる」などという噂が決め手だったらしい。
60代の教師たちは日本が負ける、などとは毛頭思っていないらしく、それならむしろ色々な基地や拠点がある東京から離れた方がいい、と思っていた。
新幹線などの交通機関に対するテロの懸念もあったが、政府の「今後日本中の交通機関には厳重な警備を行う」という声明を信じることにしたらしい。
 教師たちの会議の翌日、行き先が京都に決まったことが生徒に伝えられた。
生徒たちは喜んだ、何せ生徒の間には他の学校はみんな奈良・京都に修学旅行に行っていたのに、自分たちは長野なんてパッとしないところに行きたくない、という思いが普段からあったのだ。
 「7月の7日から3泊4日で、京都の主に寺社を巡る。
 最終日には舞鶴の海上自衛隊の基地を見学するつもりだ、詳しいことはパンフレットにある、きちんと読んでおくように」
教師の話は既に生徒の耳には入っておらず、生徒たちの関心は修学旅行先に飛んでいた。
 「舞鶴の自衛隊基地だってよ!格好良いな!」
 「あれだろ?最新の護衛艦がいるんだろ?なんだっけ、イージスとかいう」
 「あー、それどっかで聞いたことある!なんか超凄いんでしょ?船とか戦闘機とか、全部もうぶっ壊しちゃうらしいよ!」
 「まじかよ!じゃあ日本絶対勝てるじゃん!俺舞鶴行ったらなんか自衛隊のモンぱくっちゃお、絶対後で高値で売れるぜー!」
 「自衛隊ってすげぇよな!俺なら絶対逃げるぜ、そんな鉄砲とか敵が撃ってきたら」
 「そうそう、ってか自衛隊員って神経ないんじゃない?テレビとかで見ても全然表情ないしさー」
 「あれじゃん?なんかクスリとかうってんじゃないのー?」
 「えー、ずるいよ、私たちには使わせてくれないのにさ」
 「なんだよ、お前使う気か?やめとけやめとけ、もっと太るぞ」
教室の中央ではクラス中の殆どの生徒が集まり、下校時刻になるまで戦争の話で盛り上がっていた。
 「そーいや、最近西澤見ないよね、どうしたんだろ」
 「あぁ、あいつ実家が長野にあるらしいからな、帰郷したんじゃん?ほら、最近結構多いじゃん、東京は危ないってさ」
 「そっか、うち、地元っても東京だからなー、逃げるところ無いよ」
 「ま、大丈夫っしょ、東京が襲われるようなことになったら、日本も終わりさ」
やっと傾き出した夕陽が、生徒たちを赤々と照らしていた。

応援して下さった皆様、そしてご一読して下さったみなさま、ありがとうございます。
次は少し長めの修学旅行編を書きたいと思っております。
お付き合いして下さったら光栄です。
7259:02/01/29 15:44
追伸

>生徒たちは喜んだ、何せ生徒の間には他の学校はみんな奈良・京都に修学旅行に行っていたのに、自分たちは長野なんてパッとしないところに行きたくない、という思いが普段からあったのだ。

長野に住んでいる方々、申し訳ありません。
実際自分の故郷も長野なので、名前を出してしまいました。
しかしながら、東京の人はやはり「ダサい」と思っているようで。
ここが全国から人が集まっていることをもっと先に考えていればよかったです。
本当に申し訳ありません。
7346式中学生:02/01/29 15:49
>>59
読んでいる途中に思わず目が潤んでしまいました
僕も何も分からない中学生ながらこの世界では徴兵の義務を負っているはずですし、
世界には実際に戦っている同い年の方が居る事を思うと戦争の悲惨さがひしひしと伝わってきます
74名無し三等兵:02/01/29 16:07
>>72
そういうスレなんだから(゚ε゚)キニシナイ!!
うちの近所は、暴行、略奪、強制収容所だし
友軍の到着を心待ちにしています
7546式中学生:02/01/29 20:56
俺が見舞いにきた所属部隊の小隊長だった准尉から堤士長の戦死を聞いたのは、奇しくも自衛隊に残る事を決心し上官にその旨を伝えた日だった。
堤士長は俺が所属していた部隊の分隊長であり、精強なる対馬警備隊の中でもその高い判断能力を中隊長から買われていていた。
また俺や同僚が何か悩んでいる時には必ず声をかけ親身になって相談にのってくれ、兄弟の居ない俺にとってはやや歳の離れた兄貴のような存在だった。

「もう対馬が落ちるので自衛隊員全員の撤退をしている時だ。
俺達の小隊は最後まで対馬に残る事になってなぁ。
やっと迎えのヘリがきたと思ったら、それを待ち構えていたように敵が攻勢を仕掛けてきた。
そしたら堤士長の機関銃手が負傷して、俺がその隊員をヘリまで引きずって行こうとした時、堤はあろう事か機関銃に取り付き敵に向けて撃ちだした。
俺も大声で撤収を伝えたが堤は行ってくれといういうふうに顎を振るだけで・・・。
そうしている内に敵の迫が堤のいた炸裂し、敵の攻勢は続いたのでそのまま離陸した。
ほんの数分の事で遺体も確認できなかった。お前が堤士長を慕っていた事は知っている。
どうしようもなかったんだ。すまん。」

 准尉から堤士長が戦死した状況を聞いても、まったくと言っていいほど実感はわかなかい。
今にも病室のドアから堤士長が顔をだすような気がしてならなかったのだ。
帰る間際に准尉は一本も銃剣を取り出して言った。

「そうそう、これをお前に渡して置こうと思う。
堤士長が使っていた銃剣だ。
対馬から撤退したら別の部隊に配備される事が決まっていたために交換しておいた。
まさかたった一つの形見になるとは思いもしなかったがな」
 
当然、俺が受け取れるわけも無く堤士長の遺族に渡して欲しいと断った。

「俺も遺族に渡そうとしたが、お前に渡してくれと。
堤士長が帰省した時に家族に話していたそうだ。
「俺に弟ができた」とな」
 
その後、准尉は北海道の新たな戦場に赴くため病室をでていった。
その夜、俺は泣いた。堤士長の形見となってしまった銃剣を眺めながら。
俺が入院している病院は一般の病院で同じ部屋には自衛隊とはまるで関係ない人が数名入院していたが、俺が戦場帰りという事を知っていたのでそっとしておいてくれた。
その人達のやさしさに甘える様に夜が明けるまで泣き続けた。
7646式中学生:02/01/29 20:57
「三曹、吉田三曹!!」
俺を呼ぶ声に急に現実に引き戻された。
「あぁ、尾藤二士か。どうした?」
「そろそろ第二分隊との警備交代時間であります」
「わかった。すぐに用意する」
 今、俺は首都圏の警備任務に就いている。
人員不足を解消するため三曹に昇進し一個分隊9名を率いている。
一個分隊と言っても開戦時に常備自衛官だったのは俺だけで、予備自衛官だった陸士長・一等陸士が各一名ずつ。
他は志願や徴兵され約一ヶ月ほどに短縮された教育課程を終えたばかりの二十代そこそこの若者や高校生、なかには15歳の中学生までいるとても実戦には絶えられそうもないメンバーだった。
しかし、俺はこの9名を率いていかなくてはならない。
そう、堤士長のように・・・・・
 吉田三曹は自分の決心を確かめ堤士長の銃剣を鞘に収めた。
7746式中学生:02/01/29 21:00
>>一等自営業さん >>59さん
無断で登場人物を使わせていただきました。
もし問題があれば撤回いたしますので、言ってください
78名無し三等兵:02/01/30 22:17
なんとなくあげ。
79名無し三等兵:02/01/31 18:56
 国道5号線を札幌方面に進出してきたBRDM-2を撃退してから、1時間が経過しようとしていた。
 混乱した戦況の中でようやく張碓大橋付近に布陣した、小椋三尉の指揮する第十八普通科連隊第一中隊先遣隊の隊員たちは、塹壕を掘る間もなくロシア軍と遭遇した。直ちに応戦したが、対戦車兵器が84mm無反動砲しかない彼らにとって、BRDM-2はなかなかの強敵だった。
 日ごろの訓練の成果か奇跡的に初弾が命中し、敵1両を撃破したものの、機銃を乱射するBRDM-2に対して効果的な反撃もできず、逃げるにまかせてしまった。真駒内からここまで乗車してきた73式トラックは、BRDM-2の14.5mmを食らって走行不能の状態になっていた。
 この戦闘で隊員12名のうち2名が負傷した。幸いかすり傷程度の軽傷だったので戦力の低下は免れたが、この程度の戦力では有効な打撃を与えることはおろか、遅滞行動すら満足に行えない。
 また、火力にも問題があった。走行車両に打撃を与えられる兵器といえば、トラックに積んできた対戦車地雷は数個しかなく、84mm無反動砲の残弾にいたっては3発しか残されていない。
 ともかく、隊員たちは塹壕を掘り対戦車地雷を埋設することにした。本隊との連絡が途絶え、後方陣地が構築されているかどうかはわからず不安ではあるが、与えられた任務を粛々とこなすことが彼らに与えられた任務だった。
 黙々と陣地を構築する隊員たちであるが、布陣する場所としてここを選んだのには理由がある。張碓大橋付近で国道5号線は大きく湾曲する。その突端に敵が顔を出した瞬間に攻撃をかければ十分な奇襲効果が望めた。
 本来なら、張碓トンネルでも橋でも爆破して時間を稼げばいいのだが、生憎ここには施設科隊員もいなければ満足な量の爆薬も無い。
 唯一の救いは、張碓大橋が敵か味方いずれかによる空爆で損傷していることである。となれば、敵は国道5号線を通らざるを得ない。
8079:02/01/31 18:57
 小椋三尉が大林二曹と部下の配置について検討していると、地雷敷設をしていた工藤一士が叫びながら戻ってきた。
「て、敵戦車発見!」
「総員、対戦車戦闘準備!」
 小椋三尉が冷静に指令する。
「敵の車種は何で、何両いるんだ?」
 大林二曹が、敵戦車を見て平静でいられない工藤一士に問う。
「T-80と思われる戦車が4両以上はいます。後続もいる模様です」
 小椋三尉は、工藤一士の手にあるものが気になった。
「その地雷は?」
「敷設が間に合いませんでした」
「最期にはそいつが必要になるかもしれん。準備しておけ」
「はっ!」
 工藤一士が地雷を抱えたまま近くの塹壕に飛び込む。
「さて、ひと仕事といきますか」
 84mm無反動砲を肩に乗せた大林二曹が小椋三尉に微笑みかける。
「発射のタイミングは君に任せる」
「訓練だと思ってやりますよ。まかせてください」
「なるべく部下は死なせたくないな…」
 深刻な表情でそう呟く小椋三尉に、大林二曹が気楽にこたえる。
「1両でも行動不能にしたら、さっさと逃げましょう」
「そうだな」
「折戸!弾持って一緒に来い!」
 傍らを走り抜けようとした折戸士長を、大林二曹がつかまえる。そして、一番前に掘られた塹壕に入っていった。
 それを見届けた小椋三尉も、部隊の指揮を取りやすい中央の塹壕に入る。路肩にあわてて掘った塹壕だけに、深さも強度も頼りない。
8179:02/01/31 18:58
 それぞれが塹壕の底でじっと息を殺して待つ間にも、ロシア軍の戦車隊が接近してきていた。エンジンの音と金属の擦れる嫌な音が少しずつ近づいてくる。
 音がひときわ大きくなったと思った瞬間、崖の影からT-80が顔を出した。戦車長らしき人物が砲塔から少しだけ顔を出し、前方をうかがっている。
 T-80が側面を見せている今がチャンスだった。
 大林二曹はろくに掩蔽されていない塹壕から、無反動砲と顔だけを露出させながら、照準器におさまったT-80を眺めていた。
「くたばれ、露助」
 小さくつぶやくと引金を引く。
 無反動砲から発射された弾頭はまっすぐT-80へと伸びてゆき、その側面で爆発がおきた。至近距離から側面への射撃である。十分な効果が見込めた。
「やったぞ!」
 塹壕から飛び上がって喜ぶ折戸士長を、大林二曹が塹壕の中へ引き倒す。
「早く次弾を装填しろ。奴はまだ動いてる」
 無反動砲による攻撃を受けて一時的に速度が落ちたT-80だったが、
止まるかと思った次の瞬間には、もうもうと黒煙をあげながら旋回しだした。
「駄目だ、もう正面を向きやがった。出るぞ!」
 無反動砲への装填を終えた大林二曹らであったが、目標のT-80はすでに
こちらに正面を向け終わった後であった。
 あわてて塹壕から飛び出た大林二曹たちに向けて、T-80の同軸機銃が火を吹く。
同時に主砲も火を吹いたが、砲の下降角度の問題もあってあらぬ方向へと飛んでいった。
この間に、大林二曹と折戸士長は小椋三尉のいる塹壕に飛び込むことができた。
 小銃で撃ったところで何の効果も得られないが、隊員たちは大林二曹らの援護のために無我夢中で発砲していた。T-80は猛然と速度をあげ、隊員たちの隠れる塹壕へ突っ込んできた。踏み潰そうという魂胆である。
 すでにT-80は敷設した地雷原を超えているはずだが、まったく爆発しない。
「なぜ爆発しないんだ!」
「地雷の間隔が広すぎたのさ。地雷の数は少ないのに、道幅は広いからな!」
 崖の影から2両目のT-80が顔を出した。このままここで反撃を続けても、戦いは絶望的になる一方だった。小椋三尉の横では、大林二曹が無反動砲をT-80に向けている。
「大林!部下を連れて後退しろ!」
 小椋三尉の命令に、大林二曹が反抗する。
「後退するなら、指揮官であるあなたから後退してください!」
「いいから下がれ!」
 小椋三尉の命令をなおも無視して無反動砲の照準を合わせようとした大林二曹の目に、塹壕から飛び出して、突進するT-80の前に地雷を置こうとする工藤一士の姿が見えた。
8279:02/01/31 18:59
 工藤一士はT-80が接近してくるのを見て取ると、足元に置いてあった地雷のことを思い出した。自分が敷設した地雷は、敵戦車に損害をあたえられなかった。無反動砲の反撃も途絶えた状況で、自分ができることはそれしかなかった。
 工藤一士はまっすぐに向かってくるT-80の進路を見極めると、そこに地雷を投げ置いた。そしてそのまま塹壕の中に伏せる。
 爆音が轟いた。
 猛烈な砂煙に包まれたT-80が、まるで生命を失ったかのように急激に動作を止める。それまで隊員たちを執拗に狙っていた砲は垂れ下がり、切れた履帯が転輪の上を滑り出て行く。T-80はそのまま工藤一士が隠れた塹壕の上で停止した。
「工藤!」
 一部始終を見届けた大林二曹が叫ぶ。地雷は確かにT-80の進路に置かれたが、それは工藤一士が隠れた塹壕にあまりにも近かった。爆発の衝撃で塹壕は掘り返され、埋められてしまったようだ。
「…後退するぞ」
 小椋三尉がうめくようにつぶやく。
「後退だ!全員背後の山に逃げ込め!張碓川沿いに後退するんだ!」
 小椋三尉の命令を受けて、隊員たちが塹壕から飛び出す。
 しかし、大林二曹は目の前で起こった工藤一士の死という事態にすぐに対応できず、撃破されたT-80を呆然と眺めていた。
「大林!後退するぞ。工藤が命を捨てて作ってくれたチャンスだ。俺が援護するからとにかく逃げろ!」
 折戸士長に支えられ、大林二曹が立ち上がる。足取りは重いが、なんとか駆け出した。小椋三尉や後退した他の隊員の援護射撃を受けながら、背後に広がる森林へと逃げ込む。
 小椋三尉は敵の追撃を心配したが、後続のT-80は思わぬ強力な抵抗にあって前進をためらっているようだった。

 結局、後退時にも犠牲者を出し、小椋三尉指揮下の隊は死者2名重傷者1名という損害を被った。戦果はBRDM-2とT-80を1両ずつ。そして、僅かばかりの貴重な時間であった。
8379:02/01/31 19:02
 初めて参加してみました。

 時間軸が逆行しているうえに、改行も入っていない
見にくい文章でスレを汚して申し訳ありません。

 サイドストーリーということで許してください。

 では、逝ってきます。
8459:02/01/31 19:23
リアルタイムで読ませて頂きました。
自分軍ヲタとしてはあまりにも浅学なので、このように軍事とキチンとからめて文章を書ける能力を羨ましく思います。
またお暇だったら投稿してみてください。
あげたいところですけど今上はコピペ厨房が荒れまわってるので。(汗
8559:02/01/31 19:32
>46式中学生さん
いえいえ、ドンマイですよ〜。
8646式中学生:02/01/31 23:04
>>79 さん
これまた前線の緊張感の伝わってくる文章ありがとうございます。
北海道の地理にもお詳しそうですからお時間があればどんどん投稿してください

>>85  59さん
そう言って頂けるとありがたいです
僕も今の自分達の年代が戦争にどのように向き会っていくか?という事が
常々疑問に思っているので中高生を登場させた文章を書いていくと思います
87名無し三等兵:02/02/01 03:40
らいたー招致&今までのらいたー復活希望あげ。
88名無し三等兵:02/02/01 05:30
リアリティをだす為に話の頭に年月日、舞台となる地名を記してみるのは
いかがでしょうか?
例「200X年6月18日 岡山県岡山市」

今日は朝からやたらと自衛隊のヘリの集団が西へ向かうのを見かける。
しかも今度はC−130の編隊飛行。軍オタの友人は大はしゃぎしながら
買ったばかりのデジカメで撮影しまくっている。(駄文失礼)

こんな感じですがどうでしょうか?

89前々スレ333:02/02/01 12:28
>88
日付は結構難しいと思いますよ
時系列がめちゃくちゃになってしまうと思うのです

サイドストーリー的なものならいいかな?とは思いますが・・・
筆者の皆さんにお任せしますが
9059:02/02/01 15:01
自分も時間との整合性に結構気を使いました。
今回のストーリーだと事実が断片的にしかまだ明らかになっていない感じなので、
実際に場所と日付を揃えるのは少し難しいかと・・・。
ただ、小説を書く際にそのように時系列と場所を細かくやる方法もあるので、
それは書かれる方の一存で良いと思います。
1人が全部書いてあるわけじゃないので、個人個人で思惑が違うことも結構あるかもしれませんし。
9179:02/02/01 17:54
>>84 59さん
>>86 46式中学生さん

 感想ありがとう。
 お二人の作品もイイ感じですよ。

 札幌に10年間住んでました。
 張碓近辺の描写は、札幌から小樽まで車で移動してるときに、
「ここってアンブッシュ地帯?」
 とか思ったことから採用しました。

 前スレでそろそろ総反撃に出るって書いてあったので、自分
小樽に向けて反撃するシナリオを書きたいんですけど、
前スレや前々スレから書いてる皆さん、よろしいですかね?
9230:02/02/01 23:43
>>88さん
ご提案は検討させていただきたいと思います。
ですが、時系列を明らかにすると私の話はあっというまに(中略)
なので、できれば細かい点はごまかして続けさせていただきたいな、
と思ってもおります。
なんとも後ろ向きな話で恐縮ですが。

>>91さん
私のほうは、かまいません。
といいますか、私の方はどこからどうみても本筋ではないので・・・・・・。
93海の人:02/02/01 23:54
 まぁ時系列に関しては、いつか1,2,3,nスレを取りまとめる気の毒な人に
困ってもらうということで:-p
 楽しみにしてますです:-)>執筆各位
9488:02/02/01 23:58
ご返答頂いたことを諸兄方に感謝します.
皆さん方の言うとおりです。自分の頭の悪さを恥じるばかりであります。
地雷を背負って逝って来ます・・・
9530:02/02/02 00:08
>>63
外装品の多くが失われ、ボディや幌のいたるところににかきざきや焦げ跡、そして弾痕
のめだつロシア製の大型軍用トラックは、さながら酔漢の千鳥足を思わせる頼りなさで
大通りをよろめき進んでいた。
うち捨てられた雑居ビルの窓べりから様子をうかがうはちまきの目前を、外面も中身も
もはや廃車寸前の様相を呈しているようにしか見えないトラックが、あちこちに進路を
捻じ曲げながら通過してゆく。
奇妙な高低をつけているエンジン音や車体のあちこちから湧き出る悲鳴じみた金属音から、
このトラックがまもなく車輌としての役割を終えるであろうことは容易に想像がついた。
「どんな感じ?」
いつのまにかはちまきの近くにきていためがねがささやいた。
「トラックはご臨終寸前だな。中にはおそらく10人も乗っていない」
トラックがまともな状態であれば、車体の沈み具合でもっと正確な予測ができたのだが、
タイアのいくつかがどこかに消え去り、サスペンションもガタガタのありさまでは、
あまりあてずっぽうと違わないレベルの推測しかできなかった。
「ロシア兵かな?」
めがねが手入れを終えたドラグノフをかかえながらさらにささやく。
「たぶんな。おそらく、半日前に見た部隊の生き残りだろう」

はちまきが手元のAKを引き寄せながら答えたとき、ついに大通りのトラックからエンジン音が
消え、それからわずかに間を置いて足を止めた。
荷台の幌がばたばたはためき、中から明らかに日本人とは見えない軍服姿の男達が
飛び出してきた。
9659:02/02/02 03:13
 7月7日、晴れ。

 「えー、今、日本は未曾有の危機にさらされています。
 北海道は極東ロシア軍の猛攻を受け、北九州は中国朝鮮軍に占領されてしまいました。
 今まで日本は、軍事から目を背けるように生きてきました。しかし、今回の戦争で日本は目を覚ましました。
 この明経高校からも、先日自衛隊に志願した生徒が1人います。また、今も自衛隊に行こうと考えている人は多いと思います。
 行き過ぎた愛国心が、太平洋戦争の過ちに手を貸したのは間違いありません。
 しかし、愛国心のない国民がいる国こそ、また、悲しい国なのです。今、みなさんは……」
 八重洲口の広場で、今回の修学旅行の引率の代表、竹口が熱弁を振るう。彼は今回望んで引率の代表となった。年齢は72歳、非常勤講師なので、
本来は引率にはなれないのだが、本人のたっての願いということで、教師たちも彼を代表にした。
しかしその影では、既に修学旅行気分の興奮した生徒が愚痴をこぼしていた。
 「早く終わらせろよ、もう立ってんのダルいってば。俺らは今から青春を味わいに行くのよ?戦争なんて関係ないっつの」
小池は横に立っている森下に話しかけた。彼らは何か行事があるごとに目立とうとする2人コンビ。いつも2人で行動し、何かあるごとに大騒ぎをする。
 私立明経高校の3年H組は、東京駅での教師の訓示の後、東海道新幹線に乗り込んだ。
今回の修学旅行の引率の教師は、修学旅行を半ば強行的に行った60代の竹口が中心となり、あとは新米の20代、30代の教師が大半を占めていた。
彼らもまた、今回の引率を志願した教師たちだった。
 「おぉっ、俺初めて新幹線乗るんだ、なんか緊張〜」
 座席に座り、新幹線が動き出した頃、小池と森下は既に退屈し始め、新幹線の中を歩き回り出した。
 「あっ、竹口先生、俺ら新幹線の中を偵察してきます!」
竹口が止める前に、彼らは隣の車両へ向かう扉を開き、そして消えて行った。
 「あー、若者はこういう時困るねぇ、勝手に行動されちゃまとまりがつかんじゃないか。
 ――まぁ元気なことは良いコトかね。小池!森下!他のお客さんの迷惑になるなよ!」
竹口はそう注意するなり、目を閉じて仮眠を始めた。
9759:02/02/02 03:13
 初日は誰が思っていたよりも順調に進んだ。
急に行き先を変更したこともあり、1日目は教師が観光先の調査のために走り回り、生徒たちには退屈な1日だったようだ。
夕方過ぎに宿泊先のホテルに着いたが、結局食事をとってからは「自習」という名目の自由時間で夜を過ごすことになった。
しかし学生の特権と言ったところか、生徒たちはめいめいに自分で暇を潰す方法を見つけ、あまり変な問題は起こすわけでもなかった。
 3年H組、引率教師の部屋。既に時刻は午前2時をまわっている。
 「いやー今年はなかなか順調に進んでおりますなぁ。去年なんて1日目から生徒が勝手に行動しだして大変でしたよ」
引率の28歳の教師、溝井が安堵の声をあげた。
 「そうですなぁ……、いやいや、まだわかりませんよ。何せ我々だってこの旅先で何が起こるかわからんのですから。それにご父兄の方々から生徒たちを預かった責任もある。あと3日頑張りましょう」
別の教師が相槌をうつ。
 窓側の席で1人茶をすする竹口。
 「若い人は、自分の行き先が決まってることを窮屈に思うんですよ。我々もそういう時期があったじゃありませんか。今の若い世代は特別だ、みたいな言い方をされますがね、私はそうは思いません。
 ただ、ちょっと前より口が達者になっただけです、ただ、それだけなんです。
 ――じゃあ私はそろそろ先に休ませてもらうよ、年よりには旅はこたえるからなあ」
竹口はそう言うなり自分の布団をしき、すぐに寝入ってしまった。
彼が寝たことを確認した教師たちは、彼の布団に目を落とした。
 「竹口さんもお気の毒ですね。先の大戦では父親を亡くし、そして今度はお孫さんを亡くした。我々には言わないつもりなんでしょうね。
 学校の中でも教師たちには全く相手にもされない。でもどうして、生徒たちには人気があるようですね。全く羨ましい」
 25歳の、今年赴任してきたばかりの中村が呟く。
 「今の若者には竹口さんみたいな芯の強い人が尊敬されるんでしょう、まだまだ私たちは修行が足りないようですね。ははっ」
溝井は続ける。
 「――しかし私は竹口さんの考えを立派だと思いますよ。歴史の動く瞬間を、生徒たちにも見せたい。過去の歴史を振り返り、何がいけなかったのか、何が良かったのか。
 ここ京都はそれを学ぶ為にはぴったりだ。日本2000年の歴史がここに埋まっている。そして前線にも近い。
 沈んだ歴史、動いている歴史、それを生徒たちに見て欲しい。
 教頭たちなんて、もう毎日家にこもって震えてるらしいじゃないですか、情けない」
 「同感ですね、じゃなきゃこんな重大な責任を負って京都まで来たりしませんよ。
 教頭も内心ホッとしてるんじゃないですか?普段なら教頭が修学旅行の代表になるのに。教頭は1cmでも前線から離れたいと思ってるに違いありませんよ。
 全く情けない、うちの親父と一緒じゃないですか」
中村は顔を真っ赤にしてあらぬ方向を凝視している。きっと今回引率を引き受けたことを親に反対されたのだろう。
 「まぁ教頭は今頃家で防空ずきんを被って寝てるんでしょう。ははっ
 じゃあ我々もそろそろ寝ますか」
教師たちの間で和気あいあいとした雰囲気の中、修学旅行1日目は終わっていった。

 ここには確実に、戦争を真正面に捉える教育が芽生えていた。
日本の今までのあり方に真っ向からぶつかるという、戦後50年を越えて、やっと実った歴史教育の芽だった。
しかし、まだその生えたての芽には、まだ多くの試練が待ち受けている。
9859:02/02/02 03:18
>91さん
どうぞどうぞ。
むしろ自分も完全にサイドストーリーなんで。
自分にはまだ本編を書けるほどの力が。(汗)
楽しみに待ってます。

>海の人さん
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ海の人さんに声かけられたあ。(涙)
海の人さんに期待されちゃった、頑張らなければ。
(ちょっと興奮してます、気にしないで下さい。)

>88さん
いやぁ逝かないで。(涙)
9930:02/02/02 19:51
>>95
トラックから飛び降りた男達は、野戦服こそさすがに全員同じ物ではあったが、手にしている銃器が
見事なまでにばらばらだった。
AK74を装備しているものは1人もいず、AK47やAKM、鹵獲したものと思しき64式や89式、ひどいもの
になるといったいどこから見つけてきたのかと思わず問いたくなるような代物−SKSカービンを後生
大事にかかえているありさまだった。
トラックから降り立ったあとも、たとえば素早く散開して警戒にあたるといったような訓練の行き届いた
兆候はかけらも見出せず、あるものは悪態をつきながらトラックを蹴飛ばし、あるものは一目散に
どこかの商店の軒先で雨宿りを決め込むなど、てんでばらばらだった。

「敗残兵だな」
はちまきたちとは反対側の窓べりから男達の様子をじっと観察していたシマダが唇をゆがめる。
その視線の先にあるトラックの幌がまたはためき、彼らの頭目と思しき男がおりたった。
山賊とほとんど変わらない身なりの他のものたちとはちがって、その男は野戦服をきちんと着こなし、
ブーツもぴかぴかに磨き上げられていた。
その男が周囲を見回し、一声怒鳴ると、まったくまとまりを欠いた敗残兵の群れがばらばらと男の回り
に集まってくる。
男は、トラックが止まった場所から数十メートル離れた位置にあるビジネスホテルを指差し、さっきより
幾分低いトーンで何かを告げた。
男達の間から歓声ともうめき声ともつかぬ何かが沸き、めいめいがホテルめがけて走り出してゆく。
おそらく、ホテルでしばらく過ごすのだろう。

「あいつはちょっとやっかいだな・・・・・」
はちまきがつぶやいた。
「だね」
めがねが同意した。そしてはちまきに視線を戻す。
「どうする?ここが見つかるとは思えないけど」
確かに、部隊としての錬度が皆無に等しい敗残兵の群れでは、いかに頭目がそれなりであっても、
このオフィスビルに隠れている5人を見つけられるとは思えない。
このまま放っておいても実害はなさそうだった。
「そうだな・・・・・・」
とりあえずは様子を見よう。やりあってもいいんだが、ガガーモフの手荷物をかっぱらうことが先だし、
あいつらがホテルから出てこなさそうであればさっさとずらかるまでだ。
はちまきはそう言い掛けた。
だが、後に続けようとした言葉が不意に凍りつき、はちまきの表情が固まる。
「どうした?」
ボウイが尋ねた。
はちまきは、黙ってトラックを指差した。
ボウイは、不用意に姿を晒さないよう注意しながらトラックのほうを観察する。
トラックの荷台から、数名の日本人(と思しき女性)が乱暴にけり落とされるところだった。
10030:02/02/02 20:21
>>99
ロープで無造作に縛られた女性達は、衣服をほとんど身につけていなかった。
身動きがままならないため、あるものは頭から、あるものは体全体を叩き付けられるように
アスファルトの上に投げ出されていく。
トラックが、ちょうど大きな水溜りの上で停車を余儀なくされたことから、女性達がアスファルトに
落ちていくたびに、泥の混じった水しぶきが何かの冗談のようにはねていた。
トラックから最後に飛び降りた数名の男が、口々に笑い声や罵声を上げつつ女性達を引っ立て、
ホテルの方向に進めとばかり蹴飛ばして回る。
空ろな表情の女性達は、よろよろと縦列をつくって、ホテルめざしとぼとぼと歩き出した。

「敗残兵のわりにゃ、えらく贅沢してやがるな」
あえて無表情を決めこんだボウイが吐き捨てるようにつぶやいた。
「ガガーモフの前に、ちょっと片付けなきゃいけねえ用事ができちまったな・・・・・」
言い捨てると同時に、はちまきが身を翻す。
「こいつはどうする?」
シマダが将校のほうに顎をしゃくった。
「ほっとけ、すぐ済むよ」
はちまきは応接室の隅に行き、まとめて置かれた自分の装備を一式手早く身に付けた。
最後に、菊一文字をガンベルトに差し込む。
そのまま、物も言わずドアをあけて応接室を出て行った。
「女がらみだと、途端にはりきっちゃうんだもんなぁ・・・・・」
めがねが、やれやれといいたげな口調でドラグノフをスリングで背負い、はちまきのあとに続いて
部屋を出て行く。
シマダとボウイも、めがねに遅れまいと入り口に向かった。
最後にノブを握ったボウイが、顔だけをソファの将校にむけて短く告げた。
「外にいるのは、多分あんたの味方じゃない。命が惜しければ、ここを動くなよ」
101名無し三等兵:02/02/03 01:06
age
第34普通科連隊を基幹とした増強連隊戦闘団である通称「独立混成第101連隊」隷下の
第2中隊第3小隊長、岩見沢2尉は動揺するLCVP(車輛人員揚陸艇)の中で手すりを握り、
懸命に姿勢を保持していた。
8月とは言え、すでに稚内湾は晩秋の思わせるどんよりとした雲に覆われ、潮風も冷たかった。
平底船であるLCVPは激しく動揺している。甲板は岩見沢達を突き上げるように上昇したかと
思うと、次の瞬間には消滅したかのように下降する。高い外板には波が打ちつけ、曇天しか
見えない上部からはときおり波しぶきが霧雨のように降ってくる。
開放されているのは上部だけ。あとはすべて高い外板に覆われて外界が見えない。岩見沢と彼の
約40人の部下は鉄の箱の中でシャッフルされながら、ひたすら船酔いに耐えていた。
「オエッ・・・!」一人の若い1士が小銃を掴んだままついに嘔吐する。小隊でいちばん体力の
無い第1班の山下だ。彼が引き金になったのか、数人が次々に吐き始めた。
「大丈夫か?モヤシ」岩見沢は山下の背中をさすった。モヤシとは訓練でいつもアゴを出す山下に
名づけられたアダ名だった。とはいえ最近は彼も努力したのでアゴを出す事は無かったが、
アダ名はそのままだった。「大丈夫です」とモヤシは鉄帽のひさしを上げながら答えた。
ドウランを塗った顔は泣きそうだった。
「吐きたければ吐いていいぞ。気にするな」岩見沢はぶっきらぼうだが優しく言った。
(無理もない・・・)岩見沢は思う。焼津を出港以来、彼らが乗った海自の輸送艦「おじか」は
イヤになるほど動揺した。陸自の隊員達は一様に船酔いに悩まされ、疲労していた。
それが休む間も無く、今度はさらに動揺するLCVPに載せられて敵前上陸をしなくては
ならないのだ。モヤシ達より10歳ばかり年上の岩見沢も吐きたいのは同じだった。
横では小隊付陸曹の伊敷1曹が目を閉じて立っている。さすがは岩見沢よりも15年多く
自衛隊の飯を食っているベテランだ。落ち着き払っていた。船酔いはしているのだろうが、
そんな雰囲気は微塵も見せなかった。いつもながら心強い。
外界が曇天しか見えず、鉄の箱の中でシャッフルされるのは辛かった。
(まるでプライベートライアンだな・・・)岩見沢は思った。すると自分はミラー大尉か?
これから海岸で敵に虫けらのように殺されるのだろうか?現実感は無かったが、それは間近に
迫っている。恐ろしかった。下腹部が締め付けられるような嫌悪感に襲われる。
全員実戦経験は無かった。これが始めての実戦なのだ。訓練ではない。
(俺は小隊長として恥ずかしくない仕事ができるだろうか?)岩見沢は目を閉じて思った。
その事ばかりが気になる。
結婚2年目の妻と、生後4ヶ月の娘の事があまり気にならないのが意外であり、不思議だった。
自分でも違和感を感じる感情だった。
上陸は目前に迫っていた。
103ジミー:02/02/03 04:04
>>102
輸送艦「おじか」と「さつま」、そして第2中隊の隊員を目一杯載せた4隻のLCVPと
4隻のLCM(機動揚陸艇)は稚内、ナイポポチの海岸を目指していた。
岩見沢はラッタルを上って外界を見た。海岸は近かった。事前の砲爆撃によって幾筋かの
黒煙が上がっている。そこへ、曇天を染み渡るような轟音が響く。姿は見えないが戦闘機の
ようだった。海岸沿いの国道の向こうに広がる雑木林に「パッパッパッ!」と爆焔が幾つも
噴き上がる。遅れて「ドドド・・・ンッ!」と爆発音が殷々と響く。米艦載機による爆撃だった。
これまでロービジ迷彩が曇天に溶け込んで見えなかった2機のF/A−18がフレアを射出しながら
離脱していくのが見えた。「バリバリバリッ!」という轟音が辺りを支配する。
「間も無く着岸です!」LCVPの艇長が叫ぶ。
「安全装置を外せ!」「上陸したら固まるなよ!」「武器を濡らさないようにしろ!」
「伏せた時は銃口に砂を詰まらせるな!」岩見沢の指揮下の3個の小銃班の班長達が部下に
大声で指示する。隊員達は動揺にふらつきならが、装備を再点検している。
「諸君!訓練どおり行動すれば危険は無い!各員は上級者の指示に従がうこと!各班長は
人員を常に掌握すること!」岩見沢は自らの恐怖心を払拭するかのように大声で叫ぶ。
(もう少しマシな事が言えないのか・・・)と思いながら。
「よぉーし、お前ら!景気づけだ!第3小隊、エイエイオーッ!」伊敷1曹が拳を振り上げて
叫ぶ。すると班長達が部下達を率先するように「エイエイオーッ!」と叫ぶ。全員これに従がう。
意気消沈していた若い隊員達は絶叫する事で、恐怖を押さえ込む。
そのうち「ザッザッ」とLCVPの艇底が海の底に当たり始めた。
「目標!国道沿いの斜面、躍進距離50メーター!突撃ー!」岩見沢は叫ぶ。
「ランプ開けます!」艇長が叫ぶ。艇首ランプが海面を叩きつけるように開く。海岸が
目前に広がる。
「前へっ!」岩見沢は銃を握り締め腹の底から叫ぶ。「ワーッ!」約40名の隊員は
叫びながら一斉に海岸へ飛び出す。砂に足を取られて転倒する者、恐怖で足腰がフラついて
同僚に襟首を掴まれながら走る者。全員が懸命に走った。
「止まるな!斜面まで走れ!」岩見沢は叫びながら、部隊を掌握しつつ走る。
ロシア軍は撃って来なかった。爆撃が海岸付近の敵を一掃したのだろうか?
「プライベートライアン」並みに撃たれる事を想像していた岩見沢にとって意外だった。
第3小隊は国道沿い斜面の約200メートルの範囲に全員無事到達した。
104ジミー:02/02/03 04:57
>>103
岩見沢は中央に展開した第2班の傍らに伏せた。敵がいつ撃ってくるか分からない。
全員が国道に頭を出さないように伏せていた。上陸第1波である第2中隊の第3小隊は
いちばん東側の声間岬の付け根付近に展開した。
海岸の西側を見ると他の艇も次々に着岸している。第1、第2、第4小隊や中隊本部の
車輛人員がどんどん展開している。少し遅れて2隻の輸送艦によって迫撃砲小隊や
対戦車小隊、戦車小隊なども上陸するだろう。第1波が成功すれば「おおすみ」に
載っている第2中隊や連隊本部も上陸を開始する。そして2個中隊をもって稚内港の
天北埠頭を占領し、民間チャーターのフェリーに乗せられた残りの2個中隊や特科大隊などを
揚陸するのだ。海自が保有する輸送艦だけでは2個中隊を上陸させるのが限界だった。
「1発も撃って来ませんね・・・この辺には敵はいないんでしょうか?」岩見沢の
傍らで伊敷1曹が言う。岩見沢は慎重に頭を出して双眼鏡で雑木林を見る。
「敵の陣地らしいものは見えないね・・・油断はできないけど」そう言いながら
伊敷に双眼鏡を渡す。「イヤな予感がします・・・」伊敷は双眼鏡を覗きながら呟く。
「通信手!」岩見沢は背中に85式携帯無線機を背負った士長を呼ぶ。そして中隊長を
呼び出す。
「こちら第3小隊長、ネコを確保、警戒中」岩見沢はハンドマイクに向かって言う。
上陸海岸は5つに区分され、ネコ、イヌ、ウシ、キジ、サルの暗号名で呼称されていた。
ネコは第3小隊の制圧地域だった。
『こちら中隊長了解、中隊本部をサルに設置した。第3小隊はただちにネコのヒトヒトゴに
進出、空港と市街地の連絡を遮断せよ』中隊長の三木沢3佐が命じる。岩見沢は了解すると
無線を切った。ヒトヒトゴとは声間岬と声間公園の間を通る国道238号線にある大きな
T字路を意味する。現在地から距離約500メートル。岩見沢は班ごとに前進させることにした。
「第3班道路東側へ100メートル前進、第1班、第2班は掩護」ヘッドセットタイプの
小隊指揮用無線で岩見沢は命じた。
「第3班前へ!」ミニミ軽機関銃を構えた機関銃手を先頭に立て、班長の大野1曹指揮する
第3班12人は道路へ飛び出す。84ミリ無反動砲の砲手と予備砲弾を携えた副砲手が最後尾だ。
他の2班は火器を構えて、いつでも掩護できる体勢をとる。
道路の向こうに第3班が消えると、次は第2班が前進した。岩見沢も第2班と共に進んだ。
小隊はこれを繰り返しながら、慎重に前進していった。
105ジミー:02/02/03 05:07
>執筆者各位
みなさんの活躍に、自分も傍観者でいられなくなりました。
中途半端で終わらせないために、前スレで自分が始めた稚内戦の
続きを書かせていただきます。
拙文ではありますが、よろしくお願いします。

なお陸自に関しては市販書程度の知識しかないので、間違いも多いと
思いますが、なにとぞネタという事でお許しください。
また他の方の作品と一部整合性がとれない部分もあるかと思いますが、
これもお許しください。
10630:02/02/03 09:56
>105=ジミーさん

お待ちしておりました。
本筋執筆者祝復活ということで、これからもよろしくお願いします。
まぁ、先はもう少し長そうですので、マターリマターリ続けることにしましょう。
107ジミー:02/02/03 17:36
>>104
第3小隊は「声間土木現業所」と信号機に書かれたT字路に到達した。
4〜5キロ先の空港方面では爆発が次々と起きていた。ロシア軍守備隊主力を攻撃する
米第1海兵師団の第1陣は派手な戦いをしていた。こじんまりと上陸した陸自とは質量
ともに違う。
第3小隊の先頭は第2班だった。T字の入り口まで到達している。続いて第1班が前進
しようとした。そのときだった。
『50メートル先の建物内に動きあり。誰かいます!』第2班長の高橋1曹が報告してきた。
「敵か?」最後尾の第3班の傍らにいた岩見沢は聞いた。
『分かりません。平服のようなものを着た複数の人物が一瞬見えました』
「確認できるか?」
『やってみます』そう言うと高橋は無線を切った。
(平服?民間人だろうか?)岩見沢は思った。ロシア軍上陸に際して稚内は行政の
不手際から、住民の避難命令がほとんど間に合わなかった。したがって現在でも
市民の半数以上がロシア軍の軍政下に困難な生活を強いられていた。だとすれば第2班が
見たのも住民である可能性が高い。しかし同時にロシア軍も付近に存在する可能性も
否定できない。敵と交戦しながら、できるだけ住民を保護するのは難しい注文だった。
(慎重を期さなくては・・・)不審者発見を無線で中隊に報告しながら、岩見沢は思った。
108ジミー:02/02/03 17:41
>>106 30さん
これからもよろしくお願いします。
109ジミー:02/02/03 18:22
>>107
「誰かいるか〜!」
高橋1曹は建物に身を隠しながら叫んだ。慎重に顔を出してさっき不審者がいた2階建ての
事務所風の建物を見た。何も見えない。振り返ると国道の向こうで待機している第1班と
第3班が見える。(敵だったらどうする・・・)高橋は下腹部に嫌悪感を覚えながら思った。
気温は高くはなかったが、暑苦しかった。襟首を少し開いて外気を入れる。鉄帽のひさしを
上げて額の汗を拭う。銃把を握りすぎて赤くなった右手を開いて、もう一度握り直す。
「誰かいるか!いたら返事してくれ!」高橋は再び叫ぶ。
「班長、無駄ですよ。敵だ。撃っちまいましょうよ」ミニミ軽機関銃を抱えた三木3曹が言った。
「うるさい。黙ってろ」高橋は三木の顔を見ずに言う。三木の言う通りだった。自分たちは
人質を取って篭城する凶悪犯と対峙する機動隊ではないのだ。いちいち不審者に誰何しなければ
何も出来ないのでは戦争にならない。いっそのこと無反動砲を撃ち込んで、一気に制圧
してしまいたい。しかし政治的決定がそれを許さなかった。
「自衛隊さんか〜?!」やや間抜けな声が聞こえてきた。「そうです!」高橋は大声で答える。
「助けに来たんか〜?!」中年風の男の声だった。「そうです!」また高橋は答える。
「地元の方ですか?!何人くらいいますか?!」高橋は訊く。
「声間地区の住民です。ここには20人います」
「他にはいますか?!」
「ロシア軍に命令されて、あちこちに分散して収容されています!」
「そこにロシア軍はいるんですか?!」
「それは言えません!言うと殺されます!」
「分かりました!ちょっと待ってください」そう言うと高橋は無線でやりとりを
岩見沢に報告した。
『これからそちらに向かう。待機せよ』岩見沢は言った。道路を挟んで向こう側に
第1班が前進してくる。続いて第3班と岩見沢が前進しようとした。
そのときだった―。
「パパパンッ!」「パパパンッ!」乾いた機関銃の連射音がT字路を支配した。
11059:02/02/03 19:07
>ジミーさん
遅くなりました、始めまして、このスレから新しくサイドストーリーを書かせて頂いてる者です。
またジミー(前スレ398)さんの小説が読めてとても嬉しいです。
これからも頑張って下さい、自分もでき得る限り頑張って書き続けたいと思います。
111ジミー:02/02/03 19:57
>>110 59さん
前スレ執筆者の方々と共に、59さんのような新規参加者の皆さんの
お陰で自分も復活する気になりました。ありがとうございます。
お互いに頑張りましょう。よろしくお願いします。
112名無し三等兵:02/02/03 20:35
宣伝age
113名無し三等兵:02/02/03 21:13
また活動が活発化してきて(・∀・)イイ!
114ジミー:02/02/03 22:23
>>109
都内某所 某議員のマンション
早朝から暑かった。寝室はクーラーの冷気で満たされ、窓のカーテンは閉じられていた。
その議員はバスローブだけを羽織って携帯電話で話していた。
「そうか!自衛隊が上陸したか!よしよし、それでいい。
 ん?!あの金の事か?あー、それは君が処理しなさい。隠し口座もな。
 うん、うん、そうだ。そうしろ。ロシアのクーデター派が鎮圧されるのも時間の問題だ。
 そうなれば北海道に上陸したロシア軍もすぐに降伏するか、米軍に全滅させられるだろう。
 私が連中から金をもらっていた事はバレないようにな。頼むよ。
 うん、うん、外務省は大丈夫だ。圧力をかけてロシア軍の稚内港使用特例を出させた事は
 バレはしないよ。あのお陰でロシア軍が上陸するキッカケを作ったんだからな。
 バレたら私は『A級戦犯』だよ。ワハハハ!
 うん、うん、あの件はあの更迭されたオバンと一緒に闇に葬られるさ。ワハハハ!
 心配なのはクーデター派の中から情報が漏れる事さ。いっその事、米軍に核ミサイルでも
 撃ち込んでもらってキレイに吹っ飛ばしてもらいたいね。ワハハハ!
 うん、まあそっちの方はなんとかなるよ。
 それより自衛隊はあの決定を守っているか?うん?そうか、まだ分からんか。上陸した
 ばかりだものな。まあいい、また聞くよ。
 ん〜と何だったかな?部隊行動基準とか言ったな?あの要件を盛り込む事を中谷君に
 強く働きかけたのは私だからな。自衛隊にはその通りに動いてもらわんと困るよ。
 『道民保護に最後まで尽力した英雄』として『週間○×』に記事を載せてもらうんだ。
 そうすれば次の選挙もバッチグーだよ。あの辺は支持基盤だからね。頼むよ。うんうん。
 じゃあな。うまくやってくれよ。大丈夫だ。君の骨は私が拾ってやるよ。ワハハハ!」
議員は電話を切った。するとベッドで眠っていた若い女が目を覚ました。
「う〜ん、先生、朝からウルサイわよ〜」女は重そうな乳房を隠そうともせず、仏頂面で
言った。
「お〜、ゴメン、ゴメン。あのバッグ買ってやるからカンベン、カンベン!」
「え〜!買ってくれるの?」女は途端に表情を変えて、頭の悪そうな営業用の笑顔になった。
「あ〜、もちろんだ!ワハハ!」議員は女の乳房をまさぐりながら大声で笑った。
115 :02/02/03 22:35
>114
間違いなくエンロンに盗聴されてると思う・・・
ム○ヲちゃんも長いことないな・・・(合掌)
116 :02/02/03 22:36
>114
エンロン→エシュロン ・・・鬱田
117名無し三等兵:02/02/03 22:47
>114
ワラッタ
118海の人:02/02/03 22:54
 ジミーさん、相変わらず時事ネタ得意だし(笑)
119名無し三等兵:02/02/03 23:13
>>114
「決まりですな」官房長官が今日の天候でも話すような口調で言った。
「あぁ、あの先生を売国奴として吊るす訳にいかん以上最適任だな」
答えた首相の口調にもなんら感情の動きは認められない。
ただ分りきった事をいまさら口に出してみただけ、といった風だった。
「後は元知事ですが、この写真どう使ったものか.....」
官房長官の視線の先には金髪の美女に囲まれた野党第一党の有力議員
の写真が有った。写真の彼が親しげな様子で酒を酌み交わしている白人の男こそ
日本はじめ各国のメディアに反乱軍の首魁と名指しされるガガーモフその人だった。
120ジミー:02/02/04 02:41
>>ALL
>>114の先生はまだ捕まえないで下さいね。
まだ出番がありますから。
それでは仕事に逝ってきます(泣
121名無し三等兵:02/02/04 17:07
>ジミー
おけおけ、待ってます
お仕事頑張って下さいね〜
122ジミー:02/02/04 17:43
>>109
機関銃の連射音が響いたのは、第1班が第2班の反対側の建物の前進したときだった。
「バシッ!バシッ!」「カン!カンッ!」と弾着音を立てて多数の弾丸がアスファルトや
壁に命中した。第1班の班長である梁田1曹の「伏せろ!」という声よりも早く隊員達は
建物の陰に飛び込んだ。
「全員無事か?!」梁田1曹は素早く班員の無事を確認した。すると「モヤシ」こと
山下1士が「村上士長!」と叫びながら物陰から出ようとしていた。路上には村上士長が
仰向けで倒れていた。
「危ないぞ!出るな!」梁田は山下の背嚢のベルトを掴んで力任せに引き戻した。
「しかし班長!村上士長が!」山下は泣きそうな顔で叫ぶ。村上士長は喉の当たりを
撃たれたらしく首から胸にかけて血まみれになっていた。目を閉じて苦悶の表情を浮かべ、
口をパクパクと開いていた。気管をやられたらしく「シュー、シュー」という音を立てる
だけで声にならない。
彼はホストクラブを辞めて自衛隊に入隊した経歴の持ち主で、その長身と美形はWAC達の
人気の的だった。その色男が今、重傷を負っていた。
「村上士長、大丈夫ですか!しっかりしてください!」山下は叫び続ける。
村上は、訓練でいつも落伍していた山下の面倒をよく見ていた。山下には村上に紹介された
恋人がいた。彼女をつくれない山下を見かねた村上が妹の友達を紹介したのだ。彼のサポートの
お陰で戦争が終わったら山下はその恋人と結婚する予定だった。だから山下は大恩人である
村上が負傷したのを黙って見てはいられなかった。
「村上さん!今助けます!痛いですか?我慢してください!班長、衛生隊を早く!」取り乱した
山下はまた路上に飛び出そうとする。梁田は再び山下を引き戻す。
「やめろ、モヤシ!お前まで殺されちまうぞ!」梁田は山下の襟首を掴んで叫ぶ。
もう一度見ると村上はすでに息絶えていた。
「うう・・・うう・・・・村上さん・・・・」山下は肩を落として泣きじゃくっていた。
もう飛び出さないと判断した梁田は手を離した。
(くそう・・・とうとう犠牲者を出してしまった・・・)曹学出身で他の班長達よりも
ずっと若い梁田は、小銃を握り直しながら唇を噛んだ。
123ジミー:02/02/04 18:29
>>122
銃声に弾かれたように、岩見沢は第3班とともに信号中央に放置された大型バスの陰に
伏せた。
「第1班、第2班、状況知らせ」岩見沢は小隊無線で訊いた。
『第2班、全員異常なし。待機中!』住民と話した高橋1曹が連絡してくる。
『第1班、1名戦死。村上士長です』梁田1曹が報告してくる。
(クソッ!住民は敵の罠だったか・・・)岩見沢は心の中で舌打ちする。
「敵の所在は分かるか?」岩見沢はさらに訊く。
『わかりません。銃声しか聞こえませんでした。ちょっと見てます』梁田が答える。
岩見沢からも建物の陰から、声間岬方向へ通じる道路に顔を出そうとする梁田の姿が見えた。
するとすかさず銃撃が加えられた。弾かれたように梁田は陰に伏せる。
『敵からはこちらが丸見えみたいです!顔も出せません!』梁田が訴える。
「第2班、そこからは敵が見えるか?」
『見えません。住民がいる建物とは別の所から撃っているようです』高橋が建物から
岬方向を見ながら報告してくる。高橋が顔を出しても撃ってこないという事は、敵から
見えるのは梁田の第1班だけらしい。岩見沢は無線で中隊を呼び出した。
「こちら第3小隊長、ヒトヒトゴ付近で敵と遭遇。敵の勢力不明、銃撃により1名戦死、
 装甲車輛または戦車による支援を要請します」
『こちら中隊長、戦車は他の小隊が敵装甲車と遭遇したため、そちらに派遣した。独力で
 敵を排除せよ』中隊長の返事はそっけないものだった。
(ちくしょう・・・やるしかないか・・・・・)岩見沢は覚悟を決めた。
「伊敷さん、3班と一緒に西側から回り込んで住民を保護してくれ。俺は2班と共に
 東側から回り込む。1班は掩護だ」岩見沢は身振り手振りで説明した。
「わかりました」伊敷は落ち着いて頷いた。
「並木、2班のところまで走るぞ。ついて来い」岩見沢は振り返って通信手の並木士長に
言う。並木は怯えきった顔で「小隊長・・・危険ですよ・・・撃たれます・・・・」と
かすれた声で言った。
「いいから、ついて来い!」岩見沢は嫌がる並木の襟首を掴んでバスの陰から飛び出した。
「パパパッ!」「パパパッ!」銃声が再び轟いた。
今度は別の方向からだった。
12479:02/02/04 18:44
79です。
 みなさんのお言葉に甘えて、小樽戦を担当させていただきます。
すでに作戦の概略はほぼ整えました。
 細部はまだ完成しておりませんが、少しずつマターリ掲載して
いきたいと考えております。

ジミーさん
 稚内戦、楽しみにしております。ム○ヲ先生の出番も。
30さん
 考えてみると、小樽奪還ということは、札幌にいると
思われるガガーモフ参謀長の去就にも影響があるような
気がします。
 …大丈夫ですかね?
59さん
 これから血みどろの修学旅行になってしまうのでしょうか?

それでは。
12579:02/02/04 18:48
2001年08月16日 2300時:倶知安町後志支庁舎前

 倶知安町の後志支庁舎前の道路沿いに、陸上自衛隊の隊員たちが終結していた。
第十一師団隷下の各種兵科部隊からかき集めた混成戦闘団である。中心は倶知安に
駐屯する第二十八普通科連隊だが、真駒内の戦車大隊から引っ張ってきた74式戦車
4両をはじめ、装甲偵察車や攻撃ヘリまで参加している。
 自衛隊と米軍を中心とした多国籍軍は、17日0000時を期して総反撃に移る。
米軍の参戦を受けて制空権制海権ともに奪取しつつあるなか、待ちに待った反撃の
機会が与えられた隊員たちの士気は上がる一方だった。
 彼らに与えられた任務は、国道5号線を北上し、敵の補給港と化した小樽を
奪還することである。
 ロシア叛乱軍が小樽からの攻勢正面を東方に定めたおかげで、小樽南方に
配置された敵の兵力は、側面防御のための部隊が仁木町の大江―然別近辺に布陣して
いる程度だと確認されている。
 第十一師団の主力は恵庭から北広島を経由して札幌へと反撃するが、その主力攻勢
そのものを囮にして、敵の根拠地と化した小樽を奪還しようという意欲的なものだ。
 もちろん、国道5号線からの反攻は、札幌方面への主力攻勢に対する陽動作戦と
取られるようにするつもりであった。国道5号線を北上する部隊の圧力が低ければ、
敵は札幌方面が反攻の主力であると思うに違いない。
 だが、この混成戦闘団の指揮を任された八鍬一佐は、本作戦とは別の作戦をたてて
いた。この作戦案はすでに第十一師団長に打診していて、師団長の了承を得ている。
 この作戦には施設科の全面的な協力が不可欠だったため、第十一師団隷下にある
施設科隊員の約半数がこの方面にあてがわれた。攻勢正面の部隊からは不満も出たが、
その分特科の支援を厚くすることで決着がついている。
 すべての準備は完了した。あとは今までの恨みをこめて、思う存分に暴れまわるだけ
であった。
12679:02/02/04 18:49
 後志支庁舎内に設けられた戦闘指揮所は騒然としていた。
 無線機やら電話やらパソコンやらのコードが床を縦横に走り、地図を広げた
テーブルを前にして、混成戦闘団の幹部クラスが作戦計画の詳細を検討している。
 彼らも開戦から積み重ねられた疲労が限界まで蓄積されているのに、このように
活気付いているのは、これまでの防御一辺倒だった状況からはじめて攻勢に転じる
という事実に、軍人として純粋に興奮しているのだ。
 そんな彼らの中で、比較的冷静に事態を見守っているのが、混成戦闘団の指揮をとる
八鍬一佐である。彼の隷下にある部隊は、1個連隊規模でしかない。この方面は
地形的に多くの戦力を展開できないのである。
 また、先行偵察隊の報告によれば、然別から倶知安側の広範囲にわたって、
ロシア叛乱軍はヘリコプターによる地雷散布をおこなったようだ。あまりこの方面に
兵力を割いていないロシア叛乱軍からすれば、この方面からの反撃を阻止するためには
必要な措置である。
 国道5号線を突破するには、かなりの出血を強いられるだろう。それを思うと、
総反撃という言葉に浮かれているわけにもいかない。
 地雷撤去にあたる施設科の隊員は、攻勢正面には必要最低限しか配置していない。
普通科隊員にも協力してもらい、一刻も早く地雷原を突破しなければならない。
とにかく、この作戦は時間との勝負なのだ。
12779:02/02/04 18:50
 小樽から倶知安にかけての大地図を前に、八鍬一佐が第二大隊指揮官の前野三佐に
対して、作戦の最終確認を行っていた。
「前野三佐、この然別南方の地形だが…」
「隘形ですな。孫子に『隘き形には、我れ先ずこれに居れば、必ずこれを盈たして
以って敵を待つ。若し敵先ずこれに居り、盈つれば而ち従うこと勿かれ、
盈たざれば而ちこれに従え』とあります。これはその典型的な例ですな」
 八鍬一佐の説明もそこそこに、地図上で地形を確認した前野三佐が答える。
「孫子の地形篇だな、前野三佐」
 説明を中断させられた八鍬一佐が、怒りとも取れる微妙な表情を浮かべる。
「この地点で敵と睨み合ってから、もう何日も経過してます。当然、敵は重厚な
防御陣地を築いているでしょう。となれば、
『若し敵先ずこれに居り、盈つれば而ち従うこと勿かれ』
に反することになります。苦戦は必死でしょうな」
 前野三佐の指摘は的確だった。周囲を山や崖などの高地に囲まれた狭い地形では、
先に到達して重厚な陣地を築いたほうが断然有利になる。しかも、後方に戦闘を
交代できる部隊がいるとなると、そう簡単には攻め落とせない。
「その通りだ。だが、我々は前進しなければならん」
「支援は十分に受けられますか?」
 前野三佐は上官である八鍬一佐に対しても、容赦無く質問を浴びせる。それが彼の
長所でもあり、また短所でもあった。
「特科による砲撃や空自の航空支援だけじゃない。米軍の支援も受けることが可能だ」
「それは心強いですな」
 笑顔を見せる前野三佐に対して、八鍬一佐は真剣な表情を保ったままだ。
「はじめに、航空機と特科による大規模な準備攻撃をおこなう。また、君の大隊の後には
前線に展開中の第一大隊が続く。しっかりやってくれ」
「はっ!」
 敬礼する前野三佐に、八鍬一佐が答礼する。前野三佐はそのまま退室した。
12879:02/02/04 18:51
 前野三佐にひと通り説明をした八鍬一佐は、机の向かい側にいる増井一尉に
目が止まった。
「増井君。ちょっと」
 手まねきをして側に呼ぶ。増井一尉は書類をかかえたまま、素早く八鍬一佐の
もとへと飛んできた。
「例の方面は順調か?」
 増井一尉だけに聞こえるように、小さな声で質問する。別に他の隊員に聞かれて
困るような内容ではないのだが、部下たちに自分が動揺していると思われることは
避けねばならない。指揮官はつとめて冷静でなければならない。
「現在、別働隊は無線封鎖中であります。これまでに危急を告げる連絡はありません
から、順調に進んでいると思われます」
「島津二尉と川村三尉らはどうか?」
「彼らも無線封鎖中であります。同じく順調に進んでいると思いますが、
確認いたしましょうか?」
 自分のたてた作戦だけに、八鍬一佐は別方面とやらが気になるらしい。
「いや、不用意に無線連絡をして彼らを困らせたくはない。何か連絡があれば
すぐ知らせてくれ」
「はっ」
 書類をかかえたまま、来たときと同じく足早に去っていく増井一尉の後姿を
見ながら、八鍬一佐はもうひとつの作戦の成功を祈っていた。
12979:02/02/04 18:54
ジミーさま
 話に割り込んでしまって申し訳ありません。


 小樽戦の続きはまた後日ということで…。
130ジミー:02/02/04 19:18
>>129 79さん
割り込むだなんてとんでもない。
お互い頑張りましょう。よろしくお願いします。
131ジミー:02/02/04 20:16
>>123
走る岩見沢の周囲に銃弾が次々に着弾した。自分が撃たれているのが分かった。
第2班のところまで10メートル程度だったが、岩見沢にとっては100メートルにも
200メートルにも感じられた。鉄帽に「バシッ!」という衝撃を感じた次の瞬間、
岩見沢は第2班長の高橋1曹の傍らに飛び込んだ。
伊敷1曹と第3班もバスの陰から飛び出して西側に走って行く。銃撃が加えられたが、
誰も撃たれずに敵の死角に入って行った。
「小隊長、住民のいる建物の上の階にも敵がいます!なぜ今まで撃ってこなかったんだ?!」
高橋が言う。「そうか・・・」岩見沢はうわの空で返事をした。鉄帽を手で触ると、
弾痕の凹みがあった。敵の弾を鉄帽はギリギリで弾いたのだった。岩見沢は新たな
恐怖感に襲われた。「死」というものを我が身に感じた事によって、今まであまり
気にしなかった妻や娘の事が頭に浮かんだ。「死にたくない・・・」という感情が
リアルに彼の心を支配した。
「小隊長!小隊長!」高橋が岩見沢を呼んだ。「大丈夫ですか?」高橋の言葉に
岩見沢は我に返った。
敵の銃座は少なくとも2ヶ所だった。その内の1ヶ所の真下には住民がいる。
無反動砲を撃ち込むわけにはいかなかった。
「第3班、住民のそばに敵の銃座を発見した。救出待て。待機せよ」岩見沢は命じた。
第3班は前進を中止した。(どうする・・・)岩見沢は考えた。八方ふさがりだった。
中隊からの支援は期待できない。残された手段は味方の犠牲を覚悟して強攻策に
出るしかなかった。
「合図をしたら第1班は最初に発見した銃座を、第2班は住民の上の銃座を射撃しろ。
 第3班は住民のいる建物に突入しろ」岩見沢は無線で各班に命じた。そして大声で叫んだ。
「住民の皆さん!伏せてください!」すると住民たちは「もう伏せてるよ〜」と消え入りそうな
声で答えた。
「よし、第1班、第2班、各個射撃!撃ち方始め!撃て!」岩見沢は叫びながら、真っ先に
飛び出して射撃を開始した。次の瞬間、第1班も第2班も叫びながら飛び出して撃ち始めた。
約20挺の小銃と2挺のミニミ軽機関銃が一斉に2ヶ所の銃座に無数の銃弾を浴びせた。
コンクリート片やガラス片が嵐のように飛び散る。しかし敵も応射していくる。数人が
撃たれ、崩れるように倒れる。しかし構っていられなかった。
「第3班、突入!」撃ち続けながら岩見沢は命じた。
132前々スレ333:02/02/04 20:25
前スレ142から

種子島沖200m 深夜

「ここまでたどり着けたのは奇跡ってものだな。」
「まったくです。」

人民解放軍情報部の特殊部隊は
いくつかの僥倖によりここまでたどり着くことに成功していた。
北朝鮮製の小型潜水艦で出発した彼らは途中何度も哨戒網に
引っ掛かりそうになりながらも悪天候や偶発的に発生した戦闘の
ために命を永らえていた。無論、厳重だった種子島方面の警備も
稚内反攻上陸作戦の為に戦力が多少引き抜かれて薄くなっていたこと
もあるのだが

しかし好運だったのは一隻だけ。他に合流する予定だった4隻は
哨戒網に引っ掛かりあえなく撃沈されてしまった

「・・・合流予定時間から1時間すぎました。どうやら無事にたどり着いた
のは我々だけの模様です。」
「かえって少人数のほうが相手も油断する。よし上陸準備。」

男達は黒いゴムボートを膨らませ装備品を搭載すると海に飛び込み
ボートを押して目指す種子島に向かっていく。


133前々スレ333:02/02/04 21:24
種子島 中種子町

種子島は南北の長さ58km,最大幅12km,最狭部の幅6km,最高点282m
の南北に細長い島だ。北から西之表市、中種子町、南種子町と三市町が
島にはある。種子島空港は島の中央部にそして種子島宇宙センターは
島の最南端近くにある。

男達が上陸したのは中種子町と南種子町の境近くの太平洋側の海岸であった。
このあたりはこの島に少ない崖が海岸までせり出している海岸だった。
暗闇の中男達は小さな洞窟と岩陰にボートと自らを隠しようやく一息ついた。

地図で自分達の位置を確認して今後の作戦を検討する。
「本来の予定では、他の部隊と合同で宇宙センターを襲撃し、
司令室とミサイルを破壊。さらに技術者を殺害することであった。」
「しかし、僚艦が全滅し現状我々6人でできることは限定されてくる。
であるから同盟国を救い、さらには我が国に禍根が及ばないようにする
ためミサイルの破壊を目的とする。」
「目標からここまでは直線距離で約10`です。我々の装備ではもっと
肉薄しないと攻撃は不可能です。」
「地上を行くか、海岸沿いに向かうか思案のしどころだ」
「地上にはジャングルがあって身を隠すのには格好のように見えますが
おそらく奴らは対人レーダーやセンサーを配備していると思われます」
「海岸沿いは途中3箇所砂浜がありその間は無防備になります。」
「道には検問所が絶対あるだろうし・・・」

なかなか結論が出ることはなかった
134ジミー:02/02/04 22:02
>>131
第3班は銃撃を浴びながら住民が監禁されている建物に近づいていた。すでに1名が
倒れ、2名が負傷していた。班長の大野1曹はワゴン車の陰に隠れ、負傷した二人に言った。
「お前たちはここで待ってろ。ここが片づいたら衛生隊を呼ぶからな。我慢してくれ」
「すんません、班長」二人は傷を押さえながら苦しそうに言った。
班は大野が指揮する3人と、伊敷1曹が指揮する4人に分かれていた。全員突入に備え、
背嚢や雑嚢をその場に降ろした。
「大野!俺たちから突っ込む。掩護してくれ」軽トラックの陰に隠れていた伊敷が叫ぶ。
「了解!」大野は銃の弾倉を交換しながら答える。「ブーヤン、頼むぜ!」大野は傍らに
いる機関銃手に言った。中隊一の大男である通称「ブーヤン」こと小山3曹は「はい班長!」
と低い声で答える。
「よし、撃て!」大野達はワゴン車から飛び出して銃座を撃つ。すかさず伊敷達が低い姿勢で
走って行く。設計事務所風の建物の玄関から飛び込む。2階から聞こえる敵の銃声を聞きながら、
伊敷達は部屋をひとつづつ調べていく。部屋数は少なかった。伊敷は銃を構えながら、最後の
部屋のドアを蹴破る。
部屋の中には十数人の中高年の男女が後ろ手に縛られ、床に寝かされていた。
「あ〜、撃たんでくれ〜」すっかり頭が禿げ上がった中年の男が怯えた声で言う。
「安心してください。もうしばらくの辛抱です。上の奴らを片づけたら、すぐに戻ります」
伊敷はそう言うと、部下を連れて階段を目指した。
135名無し三等兵:02/02/04 23:40
 2日目は、他の高校が例年行う修学旅行と同じようなコースを進んだ。
奈良東大寺や春日大社、法隆寺。
今回は事前学習など全く無しだったので、ある範囲を指定して生徒に自由活動をさせ、
そのレポートを旅行から帰ってきてから書かせるという形に落ち着いた。
生徒たちにはその形はかなり好評だった。
今、日本は戦争中だということをさっぱり忘れたかのように、一日中遊びに遊んだ。
教師たちも市内を歩き回り、生徒たちと親交を大いに深めた。
 ――ただ、教師の持ち物には、普段絶対に持たないものがあったが、それに気付く者はいなかった。
 この日、中村はずっと生徒たちと行動を共にした。
生徒たちは自由行動と言っても、あまり団体から離れて行動をする人はいなかった。やはり頭のどこかで日本は戦争中だ、という意識があるのだろう。
 「センセー、なんか奢ってくださいよ〜」
 「えぇっ?俺そんな給料貰ってないからお金ないよー」
中村は既に生徒たちと馴染む、馴染むどころか一体化していた。生徒たちも中村は若いせいか馴染み易いらしく、よく喋りかけている。
 「センセ、あれ勝って、シカ煎餅!」
言うなり女生徒たちが中村の腕を掴んで走り出した。
 「ぉいっ、ちょっと待って待って」
 ゴツン。
 「痛っ」
生徒の1人が掴んだ中村の胸の部分に、何か硬いものがあった。
生徒はそこを少し強く掴んだらしく、突き指をしてしまったようだ。
 ――しまった。
中村はそう思うなり言い訳を考えることに全集中力を使った。
 「センセッ、それ何が入ってるんですか?」
 「いやっ、手帳だよ手帳。ほら今回のスケジュールとか」
中村は自分の口に感謝した、今セリフをかまなかったのは奇跡としか言いようがない。
 「フーン、そういや先生だったねー中村ー。なんで先生なんかなったのー!?」
生徒たちは笑いながら違う話題に話を変えた。
 中村はホッとした。
自分ですら自分の左胸に入ってるモノの存在を、昨日まで実際に見たことすら無かった。
修学旅行が始まる前の竹口先生とのミーティングで渡されたのは、自衛隊の使っている拳銃だった。
 「これはP220と言ってなあ、自衛官が使ってる拳銃じゃ。9発、今弾が入っとる。
 お前今回の引率の中で一番若いから、これ持って生徒たち守れぇ。 こればっかりは俺にはできん仕事じゃ」
竹口はそう言うなり拳銃と、よく刑事モノのドラマで刑事たちが銃をしまっているホルダーを貰った。
呆然として声を出せない中村、竹口はそれを見て、更に言葉を続けた。
 「人間、話すだけで全てが解決できたら、最高じゃ。だがな、世の中、悲しいかなそれがわからないヤツがいるんよ。
 それを守るには、やっぱり毅然として相手に抵抗しなければいかん時もある。
 いいか、責任とは、こういうことなんじゃ。よろしく頼むぞ」
竹口は真っ直ぐ中村を見据えると、ふっ、と笑い、そして、会議室から出て行った。
 中村は、まるで始めてお使いをする子供のように、竹口の言葉を頭の中で繰り返した。
 ――生徒たち守れぇ……責任とは、こういうことなんじゃ――
 「……センセッ!?何ボーっとしてるんだよ、早く行こうぜ!鹿だよ鹿!鹿!俺はじめて見た!」
生徒の声が中村を現実に引き戻した。
 ――そうだ、俺が、こいつらを守らなきゃいけないんだ。
中村に、今自分が何をするべきか、今確固たる信念が生まれた。

 「臨時ニュースをお伝えします。
 昨夜未明、丹波高地付近に中国軍の空挺部隊が降下したことを防衛庁が明らかにしました。
 中国軍の部隊の規模は1個〜2個中隊程度、経装備の部隊が主力のようです。防衛庁はすぐに第3師団に掃討を命じ、第3師団の1個大隊が掃討作戦を行う模様です。
 中国軍の目的は不明ですが、後方撹乱もしくは何らかの特殊作戦に従事するものと思われます。
 丹波高地付近にお住まいの方は絶対に夜、外出歩かないで下さい。不審な物や人を見つけた場合、確認をしようとせず、すぐに逃げ、自衛隊に素早く連絡して下さい。
 繰り返します、昨夜未明、丹波高地付近に中国軍の空挺部隊が降下したもようです──」
13659:02/02/04 23:52
>135は59の拙作です。(汗
しかし丹波高地に中国軍が降下って設定がなんか滅茶苦茶になってきてしまった。(更汗
しかし舞鶴港にも近いから特殊潜航艇から上陸という設定も難しいだろうけど。(滝汗
うーん。
13759:02/02/05 00:51
>前々スレ333さん
また333さんの小説が読めて嬉しいです。
これからも頑張りましょう!
13830:02/02/05 01:15
>>124さん
ガガーモフ氏については、私の脳内設定では既に札幌から
トンズラしてますので全然問題ありません。
ただ、小樽あたりでガガーモフ氏を捕虜にしたりとか
うっかり死なせたりとかは何卒ご勘弁を・・・・・。
139ジミー:02/02/05 18:35
>59さん
新しい切り口でイイ!頑張ってください。

>前々スレ333さん
復活ご苦労様です。期待しとります。

>ALL
このスレだけのローカルルールで、執筆参加者の方は原則コテハン使用に
してはどうでしょうか?
そうでしないとちょっと読みにくくて・・・。

140名無し三等兵:02/02/05 23:41
age
14159=ふー。:02/02/05 23:45
 2日目の夕食は、ホテルの大広間での懐石料理だった。
生徒たちには普段全くと言って良いほど馴染みのない料理。
しかし、普段見慣れない物を見ると拒否反応を示す生徒でも、今は見るもの全てが新鮮に感じられるのか、嬉々として料理をつっついていた。
 「先生この料理なんてゆーの!?」
生徒たちが同じ食卓を囲んでいる中村に話し掛ける。普段いつも元気な中村も、この高校生の無尽蔵な元気の良さの前に、既に疲れきっていた。
それに加えてホテルに帰って来てから竹口から告げられた、丹波高地付近への中国軍の降下のニュースが、更に彼の精神をも疲れさせていた。
 「いや、知らないよー」
 「えー、中村、先生なのに知識なーい」
 「んな教師だからってなんでも知ってるってわけじゃないんだから、俺数学の教師なんだからさ……」
ガタッ、トントン。
 「はい、じゃあ夜の予定を話しまーす」
ふと前を見ると、大広間の前に座っている溝井がマイクを持っている。
 「おいっ、溝井先生の話に注目〜!」
中村は生徒の意識を溝井に集中させ、やっと束の間の休息を得ることができた。
 ――はぁ、こんな2日目から疲れてて、あと2日間生徒守り通せるかな。
中村はただ溜め息をつくばかりだった。

 「お疲れ様でした〜」
 カシャン。ビールの缶が2つ重なる。
 食事が終わった後、中村と溝井は就寝前に1回大広間に集まる前に休息をとることができた。
 「竹口先生は元気ですね〜、昼間あんなに歩き回った後、京都の歴史についての講義。
 どっからあんな元気が出てくるんだろ」
中村と溝井はビールをあおりながら1日の疲れを癒した。
溝井も中村とは別の生徒たちと1日中行動を共にし、既に体力の限界を迎えていた。
 「今回の修学旅行で、一番はしゃいでるのは竹口先生かもしれませんなあ」
溝井はそう応えるとテレビの電源を付けた。
 「……ということですが、今回の中国の空挺部隊が丹波に降下したことについて、今後どうなると思いますか、解説の江畑さん」
 「そうですね、まず今回のこの降下について、相手の目標が不明瞭なのが気になる所です……」
テレビから流れる情報に、中村と溝井は改めて自分たちの居る場所の危険性について認識しあった。
 「ここは京都市内だから大丈夫ですよねぇ。確かに山間部にはかなり近い所にありますけど……」
中村は不安げに溝井の顔を覗き込む。
 「うーん、自衛隊も出動したことだし、安心だと思いますけど……」
 「しかしこんな本州の真ん中まで敵が来るって、日本大丈夫なんですか」
中村は依然不安が拭えないようだ。
 「北海道の方では反撃に出てるようですけどね、元々あまり情報も流れないし。
 自衛隊の力を信じるほか無いでしょう」
溝井も何かにすがりつきたいような気持ちだった。
 「まぁしかし、これで明後日の舞鶴訪問は無理でしょうなあ、明日伊丹の第3師団の総監部にも行けるかどうか……」
 「そうですな、まぁこればっかりは仕方ないでしょう、生徒たちの安全が最優先だ」
 ガラッ。
勢いよく部屋の引き戸が開けられた。
 「あっ、溝井先生ここに居たんだ〜!ねぇ遊ぼうよ!」
生徒たちが教師の部屋に雪崩れ込んできた。
 「えっ、ちょっと待てよ、先生もう疲れてるんだって……」
と言って、溝井は助けを求めるように中村を振り返るが、中村はにやにや笑ってるのみで何も言わない。
溝井が普段生徒たちに馴染めない、と中村に愚痴をこぼしていたのを覚えていたからだ。
 「いいじゃないですか、溝井さん、ここは俺が見てますよ」
 「そ、そうか?
 じゃあ今から1時間だけだぞ、俺も仕事があるんだ」
溝井がそう言うと、生徒たちは喜んで溝井を引っ張って行った。
 「先生仕事あるとか嘘ついちゃって」
廊下の方から生徒たちの声が聞こえる。
 「そっ、そんなことない……俺だって……」
溝井の声はだんだん小さくなって行った。
 ――ま、こういう修学旅行も、それはそれでアリだな。
中村はそう呟くなり、座椅子の背もたれに身体を預け、まぶたを閉じた。
142名無し三等兵:02/02/05 23:45
読みやすく改稿&纏め修正してHPにageれば?
14359=ふー。:02/02/05 23:48
>ジミーさん
応援ありがとうございます、ジミーさんの小説も躍動感があって、
読んでいるとのめりこむ程面白いです。
ジミーさんも頑張って下さい。
一応コテハン付けました、これからも頑張りましょう。
144名無し三等兵:02/02/06 04:30
age
145ジミー:02/02/06 17:39
>>134
伊敷達は2階への階段を駆け上がった。踊り場には机やソファでバリケードが組まれていた。
銃を片手に伊敷がそれを除去しようとした瞬間、バリケードの向こうから黒いカタマリが
投げつけられた。
「手榴弾!伏せろ!」伊敷は部下達に覆い被さるように伏せた。次の瞬間、彼らの全身に
凄まじい衝撃波が襲い掛かり、鼓膜を押し潰すような爆発音が轟いた。
むせ返るような埃の渦と火薬臭の中ですぐに目覚めたのは、一人の士長だった。彼は
フラフラになりながら自分に覆い被さる重苦しい物体を押しのけた。その物体は腹部が
裂け、内蔵があふれ出した伊敷1曹の屍だった。彼は伊敷の死体に視線をクギ付けに
したまま、他の仲間に覚醒を促した。恐怖のあまり声すら出なかった。
「大丈夫か!?」大野達が上がってきた。彼は「しっかりしろ!」と言いながらフラフラに
なっている隊員を起こした。(ちくしょう・・・)大野は心の中で毒づいた。2階にも
住民がいる可能性があった。その可能性がある限り、こちらも手榴弾で応じる事は
許されなかった。ましてや無反動砲を撃ち込む事などもっての他だった。それが今回の
部隊行動基準だった。しかしそれを守って任務を完遂するためには、自衛官の生命を
いくつ死の祭壇に差し出しても足らなかった。
(・・・責任は俺がとる!)大野は伊敷の遺体を見た瞬間、咄嗟に決断した。
「手榴弾投擲!」大野は部下と共に2個の手榴弾を2階に投げ込んだ。凄まじい爆発音。
伏せた大野達の上に吹き飛ばされた瓦礫が降り注ぐ。バリケードは崩壊し、通路が開けた。
「突入!」大野の命令一下、3班の隊員達は2階の大部屋に突入した。
部屋の中には瓦礫に埋もれた数人の人間が倒れていた。死んではいなかった。一人が
拳銃を握って起き上がろうとする。それはなんと女だった。
「撃っていいんですか!?」部下が上ずった声で大野に訊いた。生身の敵を始めて目前に
して、隊員達は一瞬躊躇した。普段、厳格な安全管理の下、定められた標的しか撃った
事の無い自衛隊員達にとって、生身の人間を撃ち殺すのは想像を絶する事だった。
「撃てーっ!」大野は自身の躊躇いを払拭するように叫び、引き金を引いた。部下達も
弾かれたように撃ち始める。屋内での凄まじい連射音。起き上がろうとした女も、そして
倒れたままの敵も、何回も絶命できるだけの弾量を浴びせられた。肉や骨や血が嵐の
ように飛び散った。「撃ち方やめ!撃ち方やめ!」大野は部下を制する。
ロシア人達は全員女だった。肉体を銃弾によってズタズタに破壊されながらも、その
美貌だけは無傷だった。初めて殺した敵が女だった事実は、大野達の心を重く塞いだ。
その時、部屋の外で物音がした。別の部屋の敵が建物から逃げ出したのだった。
14679=竜一:02/02/06 18:13
ジミーさん
 スレ限定コテハンの件、了解しました。
前々スレ333さん
 種子島の今後の動静を楽しみにしております。
30さん
 了解しました。
 ガガーモフに関しては、小樽方面の部隊が
 「連絡取ろうとしたらいなかったYO!アイツ逃げやがったYO!」
 というネタを考えてましたので、そうさせていただきます。

 別の仮想戦記ネタを考えるのに忙しくて、筆が鈍ってますが、
なま暖かい目でみてやってください。

 じゃ、早速…。
14779=竜一:02/02/06 18:14
2001年08月16日 2355時:稲穂峠付近

 前野三佐の指揮する第二大隊は、平元三佐指揮の第一大隊が布陣する稲穂峠に
進出していた。ここから大江にかけて盆地が広がるが、大江から然別に進むに
しがたって、平野部分は狭くなっていく。ロシア叛乱軍はその地形を活かした
布陣をしていた。
「お疲れ様です、平元三佐」
 前野三佐は、先任である平元三佐に対して礼節を欠いたことがなかった。
「おう、前野三佐。ようやく来てくれたか!」
 平元三佐が笑顔で迎える。
「配置は終了しました。いつでも前進できます」
「ショータイムには間に合ったね。これから盛大な花火大会が始まるよ」
 稲穂トンネルを抜けたところで、ふたりは北を見つめる。
 あと少しで、航空自衛隊と米軍による航空攻撃がはじまる。その後には特科の
準備砲撃が開始され、ロシア叛乱軍の陣地を十分破壊した後に、前野三佐の指揮する
第二大隊と戦車小隊が前進する。
 上空を飛ぶジェット機の爆音が聞こえてきた。それが意味するものを正確に
理解しているだけに、これから始まる総反撃に対する期待と不安が一気に増す。
 時計の針がすべて12時で重なる。
 17日0000時。ついにこの時が来た。
 前方の平野部に、閃光がいくつも輝く。いくつか連なって輝くその閃光が消えるか
どうかのうちに、閃光がはなった爆音が連続で聞こえてくる。これは空爆によるもの
だろう。
 ふたりの頭上を、今度は光の筋が飛び去っていく。その光が地面に激突すると、
丸い光の花がひらく。これは特科の砲撃だ。
 ついに総反撃がはじまったのだ。
「では、平元三佐。自分はこれで失礼します」
「前野三佐、貴官と貴官の部下たちの武運長久を祈る。自分も部下もすぐ後から
続くから、気楽にやってくれ」
「胆に命じます!」
 それだけ言うと、前野三佐は走り去った。
14879=竜一:02/02/06 18:15
 混成戦闘団唯一の戦車小隊を指揮する近藤二尉は、目の前に広がる光景に
目を奪われていた。本来、混成戦闘団には一個戦車中隊が配属されるはずだったのだが、
施設科の配分を多くしたために、その分機甲科が減らされた。
 航空機による空爆と、特科による砲撃。それらによって生じる爆発の下では、
今多くの生命が失われている。いつ自分が死者の群の中に放りこまれるのか。
それは、数分後のことかもしれないし、この戦争が終わっても生きているかもしれない。
 車長のハッチをあけながら、ぼーっと前方を眺める彼に、前野三佐が近づいてきた。
第一次攻撃を担当する第二大隊の指揮官で、今は戦車小隊も指揮下に置いている。
「準備完了であります。いつでも出発できます」
「慌てんでもいい。今のは空自だが、この後は米軍がまだまだ空爆してくれるようだ
からな。今のうちに気を楽にしておけ」
「はっ」
 近藤二尉は緊張感とは無縁であった。だが、小隊の隊員のなかには極度に緊張して
いる者もいる。この言葉は自分ではなくて隊員たちに聞かせたかった。
「地雷原だが、92式地雷原処理車が始末してくれる。あとは思う存分に暴れてくれ。
ただし、無理はするな。しっかり頼むぞ」
「はっ!」
 前野三佐が立ち去るのを確認した後で、近藤二尉は自分の部下たちの上体を把握する
ことにした。
―「猟犬21より猟犬各員、状況報告せよ」―
―「猟犬22、準備ヨシ」―
―「猟犬23、準備ヨシ」―
―「猟犬24、準備ヨシ!」―
 小隊は問題なく稼動している。これも徹夜で整備してくれた整備班のおかげだ。
―「もうすぐ地雷原処理車が道を開いてくれる。それを合図に前進だ。地雷原は俺を
先頭にして縦隊で抜けるが、地雷原突破後は横に展開しろ。各員死なない程度に戦え」―
―「了解!」―
 あとは、その時を待つだけだ。
149ジミー:02/02/06 18:15
>>145
逃走を図った5人のロシア人も、やはり全員が女だった。彼女達は非常階段を駆け下り、
岬方向へ走った。そして第3班の突入を掩護するために射撃をしていた岩見沢率いる
第2班の射界を通過した。女たちは全員が5.56ミリ弾を全身に浴び、突っ伏すように
倒れ、絶命した。
撃ち殺した敵が女である事は、岩見沢達には分からなかった。軍服を着て、鉄帽を被った
彼女たちをこの距離で女と判別することは不可能だった。
岩見沢の関心はもう一つの銃座に集中していた。周囲に遮蔽物が無く、容易に接近できない。
部下を不必要に危険にさらす不当な部隊行動基準を守っていられなかった。
彼は84ミリ無反動砲の使用を決断した。
「第3班、そこから銃座が見えるか?」岩見沢は住民の監禁されていた建物を制圧した
大野に訊いた。「見えます」大野は即座に答えた。
「これから俺は第2班を率いて突入位置まで前進する。第1班、第3班は合図をしたら、
 カールグスタフを撃ち込んでくれ」岩見沢は命じた。
第2班は前進を開始した。
15079=竜一:02/02/06 18:16
 92式地雷原処理車から発射されたロケットが地面に着地する。しばしの間を置いて、
地雷原処理車の前方に炎の道ができる。ロケットにつながった数珠つなぎの火薬に
よって、地雷原を吹き飛ばしてしまうのだ。
―「小隊、前進」―
 近藤二尉の合図で、地雷原に開拓されたばかりの道を74式戦車が進んでいく。
その後には、第二大隊が続く。戦車がつけた履帯の跡を歩いていれば、地雷を踏む
ことはないだろう。
 砲塔上に設けられたペリスコープから前方を確認する。特科による砲撃や空爆が
続いているために、敵の反撃は皆無に等しかった。
 地雷原に開拓された道が途切れたあたりで、近藤二尉は小隊を扇形に展開させた。
後続の普通科隊員たちも、横に広く展開する。
 突撃を前に、特科の支援砲撃が弱まる。味方への誤射を恐れての行動だ。
―「『小隊、突撃!」―
 74式戦車のエンジンが猛然とうなる。履帯が泥を跳ね上げ、車体が一気に加速する。
 それを合図にしたかのように、前方のいたるところで発砲炎があがる。さんざん
空爆と砲撃を浴びせたにもかかわらず、思ったよりも反撃がきびしい。だが、
それらはいずれも小火器のようで、戦車にはまったく通用しない。
 しかし、その攻撃は後方に随伴していた普通科隊員たちに損害をあたえていた。
あわててその場に伏せて反撃を試みるが、巧妙に隠された防御陣地のために、どこに
火力を集中してよいか判断しかねていた。
「停止!戦友たちが苦戦しているぞ。どこでもいいから、
目立つ発砲炎に対して砲撃しろ」
 歩兵への近接支援を目的としていたため、砲に装填されている砲弾は榴弾である。
砲手の小柳士長は、猟犬21が停止すると同時に、連続して射撃をおこなっていた銃座に
対して発砲した。
 先ほどまでは盛んに発砲していた敵の銃座が、着弾した後は沈黙を守っていること
から、この砲撃は命中と判断された。
15179=竜一:02/02/06 18:17
「前進!」
 戦場でろくに掩蔽されていないのにもかかわらず、一箇所にとどまり続けることは
死を意味する。巨大な発砲炎をあげて自分の居場所をさらけ出した今、対戦車兵器が
自分たちを狙っているのは間違いない。
 突然、あたりが明るくなった。上空に照明弾が舞っている。ロシア叛乱軍が
打ち上げたのだ。
 敵の射撃がしだいに正確になってくる。戦車小隊の背後にいる普通科隊員たちは、
戦車の陰に隠れたりしてその身を守っていた。
 ひときわ大きな発砲炎が、近藤二尉の視界に入った。
 発射された砲弾が、近藤二尉が乗る猟犬21に命中した。左の履帯と転輪が吹き飛ぶ。
左の履帯を吹き飛ばされた猟犬21は、右の履帯の回転によって、左方向にずるずると
まわっていく。
「戦車だぞ!エンジン停止!」
「左のキャタピラをやられました、動けません!脱出を…」
 操縦手の悲鳴を無視しながら、近藤二尉が冷静に命令する。
「小柳!戦闘照準だ。頭だけ出してる敵を1発でしとめろ!」
「今は榴弾が装填されてます!」
「次は徹甲弾にしろ。いいから撃て!」
 ろくに照準しないまま放った砲弾は、砲塔だけを出しているT-80のはるか頭上を
越えていった。装填手が徹甲弾を素早く装填する。
 乗員には反撃を指示しつつ、小隊も指揮しなければならない。
『猟犬各員、突撃。敵との距離をつめろ。俺にかまうな』
 両翼に展開していた74式戦車が増速し、敵陣地に突入していく。
「撃て!」
 主砲発射による衝撃が、猟犬21を揺さぶる。まっすぐT-80に飛んでいった砲弾は、
今度は見事に命中した。だが、距離があるせいだろう。砲弾はあらぬ方向へと跳弾した。
 実際、この距離ではT-80の正面装甲を貫くのは難しい。だが、自分が狙われている
という恐怖感が、他の戦車に照準を合わせることを躊躇させるならば、味方にとって
十分な援護になる。
 どうやら他の敵戦車は空爆などによって破壊されたか損傷しているらしく、
反撃してくる戦車はそれ1台のみである。ならば、安心してそれだけを始末すればいい。
15279=竜一:02/02/06 18:18
 近藤の乗る猟犬21の右前方を走っていた猟犬23が、砲塔基部に命中弾を受けて
炎上する。残念だが、脱出者はいない。
―「敵の強力な抵抗を受けている。火力支援求む」―
 本部に無線連絡をとる。実際、彼の小隊と随伴する普通科中隊は、たった1台の
T-80と的確に構築された防御陣地からの反撃のために、その場にくぎ付けにされていた。
第二大隊の後続も、地雷原あたりで行動を阻害されている。
 その間にも、近藤の戦車小隊は反撃を続けていた。
 幾度か命中弾を至近弾を与えた後、それまで狙いをつけていたT-80が突然、
爆発炎上した。猟犬22の放った砲弾がT-80に命中したのだ。
「やったぞ!」
 これで一息つけると思った近藤だったが、然別方面から国道5号線を南下してくる
ロシア叛乱軍の戦車を見て愕然とした。形式はT-72。もちろん改良型だと思われるが、
少なくとも倍以上の戦車が確認できる。
―「いかん、これでは勝負にならん。後退しろ!」―
 猟犬22と猟犬24が後進しはじめる。急速に接近してくるT-72は、当たれば幸いと
ばかりに砲撃してくる。走行しながらの砲撃はそう簡単には命中しないが、狙われて
いるという事実が恐怖心を呼び起こす。しかも、猟犬21は動けない。
―「猟犬21、脱出してください。援護します」―
 猟犬24からの無線連絡に、近藤はここまでだと悟った。
「脱出しろ」
 近藤もキューポラのハッチを開け、無線のヘッドセットを外して脱出しようとする。
 その近藤の耳に、ノイズ交じりの声が聞こえてきた。
―「こちら騎兵隊。援護する」―
 ハッチから身を乗り出した近藤の上を、ヘリが飛び越えていく。陸上自衛隊の
攻撃ヘリAH-1Sだ。
 AH-1Sが、上空から次々にロシア叛乱軍の戦車を撃破していく。陸戦の王者である
戦車も、上空から狙われてはろくな抵抗もできない。
 国道5号線上で炎上し、黒煙をあげる敵戦車を車内からながめながら、近藤は
つぶやいた。
「おいしいところだけ持っていきやがって…」
 この戦闘で、近藤の戦車小隊の残存は2両となった。
153ジミー:02/02/06 18:25
>79=竜一さん
イイ!頑張って!
154ジミー:02/02/06 22:51
>>149
味方がついに上陸を開始した。そして銃声が聞こえた。
高山2曹(前スレ193参照)は部下であり仲間の平木3曹と北地士長を率いて、
隠れ家を抜け出した。前から確認していた土木現業所の事務所に据え付けられた
銃座が国道方向へ向けて射撃していた。味方がすぐそこまで来ているらしい。
銃座に釘付けになっているらしかった。高山は警戒しながら事務所へ進んだ。
敵の数は少ないらしい。事務所には容易に入る事ができた。慎重に階段を登る。
2階の南側の窓で、二人のロシア兵が機関銃を撃っていた。高山達には気付かなかった。
他にロシア兵はいなかった。高山は平木と北地に手信号で指示した。
3人の持つ64式小銃がロシア兵の背中に向けられた。そして彼らは引き金を引いた。
機関銃は沈黙した。ロシア兵は無残な死体と化した。
「おーい!もう大丈夫だぞ!」高山は大声で叫び、バルコニーに出ようとした。すると
そこへ凄まじい集中射撃が加えられた。
「撃つなー!味方だ!味方だぞ!」高山はさらに大声で叫んだ。平木も北地も叫んだ。
高山達は事務所の外へ出た。向こうから警戒しながら何人もの自衛隊員が出てきた。
「味方か?!どこの部隊だ?!」小隊長らしい隊員が訊いてきた。
「301沿岸監視隊と第2師団偵察隊の生き残り3名です!味方が来るのを待ってました!」
高山は答えた。
「生き残りがいたのか・・・。我々は34普連第2中隊第3小隊の岩見沢2尉だ」
その小隊長は答えた。だが次の瞬間、高山は岩見沢達の姿に怪訝そうな眼差しを浴びせた。
「あんたら・・・ホントに自衛隊か・・・?」高山は警戒心を呼び戻し、64式小銃を
構えた。そして岩見沢達に銃口を向けた。
15546式中学生:02/02/06 22:56
おぉ、皆さん素晴らしい文章ありがとうございます

>ジミーさん
>竜一さん
ついに北海道戦線での自衛隊の反撃が開始されましたね。
苦戦がよそうされますが御武運を!

>ふー。さん
修学旅行は一体どうなってしまうのでしょうか?
P220を手に入れたを中村先生の行動を見守りたいです
156ジミー:02/02/06 23:18
>>154
「何を言ってるんだ。味方だ」岩見沢は言った。しかし高山の視線は疑いに満ちていた。
平木と北地の目もそうだった。彼らから見た岩見沢達の姿は奇怪だった。身に付けている
装具はすべて陸自のものだったが、一点だけ違う点があった。それは持っている小銃だった。
岩見沢達が持っている小銃は陸自制式の64式小銃ではなく、すべて米軍のM16だった。
(敵の偽装部隊ではないか?)高山がそう思ったのも無理は無かった。
岩見沢は説明した。
開戦以来、陸自の64式小銃用の7.62ミリ弱装弾の備蓄は底を着き、陸自装備の基幹たる
小銃戦力は麻痺しつつあった。米軍からは7.62ミリ弾が供与されたが、弱装弾用に設計された
64式小銃には使用できなかった。したがって陸自は窮余の策として米軍供与のM16の採用を
決定し、本州師団から緊急に装備転換を開始した。
米軍との共同作戦に従事する岩見沢達の34普連は、最優先でM16への転換を行ない、
この作戦に参加したのだった。
「入隊以来64式だったからね。未だにコイツには慣れないよ。いい銃か、悪い銃かは
 別としてね・・・」岩見沢は疲れ切った表情で小さく笑った。笑うに笑えない話だった。
結局、二つの銃座を制圧して声間岬の戦闘は終わった。守備していたのは全てロシア軍の
従軍看護婦だった。本来は非戦闘員である彼女達は、日本軍の捕虜になったら強姦され、
殺されると教え込まれ、銃を握ったのだった。
第3小隊は3人を失い、6人が負傷した。上陸してからまだ1時間しか経過していなかった。
稚内戦は始まったばかりだった。
>>100
ソファの叛乱軍将校は、ドアが静かにしまるのを見上げながら
ニューヨーク・ヤンキースのベースボールキャップを目深にかぶった白人の
巨漢が残していった言葉を反芻していた。

外にいるのは・・・・・多分私の味方ではない・・・・・命が惜しければここを動くな?
考えてみれば奇妙な言葉だ。
彼ら−パルチザンではない、と自称していた4人の総意が、あの言葉に凝縮されて
いるとしても、私がここから逃げ出さないためのブラフとしては言い回しがおかしい。
普通は、『俺達はいつでもお前を殺せる。命が惜しければ逃げるなんて考えるなよ』
とでもいうだろう。
素直に取れば、外にいる兵士達が私に危害を加えるかもしれないから動くな、ということだ。
だが、最前の振る舞いを見る限り、外にいるのは我が極東シベリア共和国軍の兵士に違いない。
となれば・・・・・。

彼は、雑然とした応接室を見回した。
4人が身に付けていた装備は全て抜かりなく持ち出されて吐いたものの、部屋の中にはまだ事態を
打開できそうなガラクタが転がっている。
たとえば、5メートルほど左にひっくり返っているダンボールだ。
開いた口からは、おそらくこの企業が生産していた何かの部品が金属製の吐瀉物のように小さな塊を
なしている。
その金属製の部品は、繊維質のものであれば十分切断できそうな程度に角がとがっていた。

彼らの真意がどこにあるとしても、まずは外の友軍に接触しなければならないな。
その上で、事実を見極めよう。
彼らが嘘をついているのか、それとも、私の知らないうちに軍の規律が失われてしまったのかを。

将校は息を吸い込み、縛られた手に力をこめると、自らフロアに倒れこんだ。
158名無し三等兵:02/02/07 09:16
age
15959=ふー。:02/02/07 22:08
>141

 ……タタタッ…タタッ……
 「──ん?」
中村はふと慣れない音を聞いて起き上がった。
時計は既に5時を回っている。何時の間にか中村は布団の中で寝ていた。
横では竹口と溝井がぐっすりと眠っている。
 「しまったー、夜の集会出れなかったか……」
そう呟くと、中村はさっきの音が何か気になり耳に意識を集中した。
 「……、空耳かな?」
中村がいくら意識を耳に集中しても、聞こえてくるのは溝井のイビキだけであった。
 ぐっすり眠った後で、もう1度は寝れないだろうと思い、中村は廊下に出た。
外は夜中だというのに蒸し暑く、歩くだけで汗がにじみ出てきている。
突き当たりのベンチに座り、持ってきたタバコに火を付ける。
非常灯の明かりしかない廊下に、ポッと赤い光が加わる。
 ガタガタッ……パタパタパタ……
遠くで誰かが走る音がする。
 中村は慌てて懐に手を入れた、しかしあるべき銃は手元に無い。
 ――しまった!
自分が今何をするべきかという焦燥感、胸の奥から涌き出でくる恐怖。
 頭の中では夜のニュースの内容が駆け巡る。
 ――まさか、なんでここに中国軍が!?
中村は思うなり部屋に駆け戻った。
暗い部屋の中、自分の背広を探り出し、その懐からP220を引っ張り出す。
もう一度外に出る、しかし既に廊下には静寂が戻っていた。
 懸命に目を凝らすと、曲がり角の奥で何か動く影が見えた。
 「誰だ!」
そう叫ぶとその影はゆらめき、そして角に消えて行った。
 追うべきか、それとも、戻って竹口たちを起こしてくるか。
中村は寸分の間自問自答したが、恐怖と好奇心の争いでは好奇心に軍配が上がった。
銃を構えながら角に向かって走る。と、角の奥からまた走り出す音が聞こえる。
 向こうは逃げている。
その事実が中村に無謀な自信を与えた。
 「止まれ!止まらないと撃つぞ!」
昂ぶった中村の頭の中は、まるで自分が映画の主人公になったかのようになっていた。
 ガタン!
 角を曲がった先で、何か倒れる音がする。
中村が角を曲がった先に、2つの人影があった。
1つは床に倒れている影、1つはそれを助けようとする影。
 「誰だ!」
銃口を倒れた人影に向けて突き付ける中村、返って来る反応は2つの荒い息と見えない視線。
 暗い廊下の中で、しかし3つの視線は確実に交差していた。
 震える銃口、震える視線、震える身体。
永遠かと思われるその時間は、突然のライトに照らされることで終わりを迎えた。
 「お前らァ、何やっとるんじゃあ?」
大きな懐中電灯を持って3人を眺める竹口。そしてその光を見つめる3つの視線。
 突然、竹口は中村の銃口を手で押さえ、もぎ取ると同時に逆の手で中村に大ぶりのビンタをかました。
 「貴様ぁ!生徒に向かって銃を突き付けるとは、何やってるんだ!」
中村は呆然と、驚きながら、しかしゆっくりと自分の突き付けていた銃口の先を眺めた。
 その先には涙を流しながら地べたに這いつくばる小池と森下の姿があった。
 「あっ、おっ、お前、こっ小池……」
 「……先生……」
16059=ふー。:02/02/07 22:13
>159

 教師の部屋の窓際の小さなスペースの窓に、薄暗いライトに照らされた4人の影が映っている。
 「まず小池、森下、お前らなんでこんな朝早くというか、夜遅くに廊下をコソコソ歩いてんだ?」
まだ呆然としている中村に対して、小池と森下は比較的に落ち着いていた。
 「……えっと、あの、俺ら、女子の205号室に今まで居たんです……」
 「おっ、お前言うなよ馬鹿」
森下が竹口の威圧の前に口を滑らした。
慌てて小池が口止めをするが、もうそれは遅かった。
 「なんじゃと、お前、女子の部屋って、今までずっとか?」
うな垂れている中村を尻目に、竹口は身体を前に乗り出して小池と森下を凝視した。
 「はっ、はい、はい。
 いやっ、でも、もちろんヘンなことはしてませんよ!ただゲームして遊んでただけで……」
森下の言い訳に小池が続く。
 「そうですよ!俺ら途中で寝ちゃって…何時ごろだっけ?
 ――そう2時ごろだ、んで、今さっき起きて、やばい!って思って」
必死に小池と森下が言い訳をするが、それとは別の異変に竹口は気付いた。
 「……お前ら、ちょっと俺の鼻の前で息吐いてみろ」
 ――!!!
森下と小池は再び泣きそうな顔をして、竹口の顔を覗き込んだ。
それだけは勘弁して下さい、と懇願するように。
竹口はふーっ、っと深い溜め息をついた後、生徒たちを1人1人見、そして続けた。
 「呑んだのはお前らだけか?
 ……もういい、もうすぐ起床時間だ。怪しまれ無いように部屋帰って寝ろ。
 今日のことは全て絶対口外にするな。
 ──いいな」
森下と小池は部屋から逃げ出すように、というよりむしろ逃げ出した。
 「……さて、中村先生」
未だ横で呆然としている中村に、竹口はでき得る限りの優しい声で話しかけた。
 「……自分は、生徒に銃を向けました……。
 あと少し、先生が来るのが遅かったら、私は引き金を引いていたかもしれません。
 自分はもうすぐ生徒を殺しそうになったんです……」
中村は膝に肘を突き、頭を手で支えながらそう呟いた。
 「中村先生、その、正体不明の人物が出て来た時、銃を取った所まで素晴らしい判断です。
 もし、相手が本当に中国軍だったとしたら、
 あなたの銃はあなたと、あなたの生徒を守る心強い武器となったでしょう」
中村は静かに竹口の顔の方を向いた。
 「しかし、そこから先の先生の行動はあまりにも軽率過ぎます、
 銃というのは一般人にとっては絶対的な武器です、簡単に人を殺せる。
  それを先生はよく理解してもらわないと困りますよ。
 軍隊というのは、それを敢えて率先することを自負してるんじゃないですかな。
 人を守るためには自らが人殺しになる覚悟を持っている」
 「はい……」
 中村はそう応えると、再び下を向いて目を閉じた。
 「さぁ、もうすぐ1日が始まる。我々にはまだ明日がある、
 戦場で死んだ人にはどうやっても望めないものじゃ。
 それをありがたく受け止めようじゃありませんか。
 ――さてぇ、わしゃ便所に行ってくるぞー、年寄りになるとどうも近くて困る」
竹口は中村に微笑みながら、廊下に消えて行った。
 中村は、消えて行く竹口の背に、そっと、そして深々と一礼した。

 起きた時のあの聞き慣れない音は、既に記憶の中から完全に消えて無くなっていた。
161ジミー:02/02/07 22:53
>ふーさん 頑張れ〜!
しかし冷や冷やドキドキもんの修学旅行ですね。

あ〜、今日はくたびれて書けなかった。明日はちゃんと書きます。
相変わらず朝が早いので寝ます。
16259=ふー。:02/02/07 23:52
>ジミーさん

ありがとうございます、自分の修学旅行がこんなんだったら絶対パニックになるだろうな〜と思いながら書いてます。(笑)
どうぞゆっくりお休み下さいな、楽しみに待ってますよ。
163竜一:02/02/08 18:13
ども、竜一=79です。

ジミーさん
 …従軍看護婦(涙
ふー。さん
 竹口じいちゃん、カコイイ!
30さん
 久しぶりに「気分はもう戦争」が読みたくなったです。


 では、小樽戦の続きを。
164竜一:02/02/08 18:19
2001年08月17日 0055時:仁木町 大江―然別間

 ロシア叛乱軍が構築した防御陣地は、いよいよその効果を発揮しつつあった。
 火力が存分に効果を発揮できるように、火点の配置は地形と相互連携を
考慮に入れて掘られている。しかも、ただ掘り下げるだけではなく、敵正面は
木材などで補強して盛り土をしてある。逆に、後方は前方より一段低くなっていて、
敵が飛びこんだとしても、姿を隠しにくいようにしてある。
 また、要所要所には木材と土嚢によって強固な天蓋がつくられている。砲爆撃時に
逃げ込むためだ。特に、居住区として使われたと思われる塹壕にいたっては、地中深く
掘られている。部屋全体は、決して土が露出しないように木材で完全に被われていた。
「まるで西部戦線だな」
 ロシア叛乱軍の防御陣地の詳細を報告された前野三佐の言葉である。
 たしかに、あまりに強固に構築されたその防御陣地は、第一次世界大戦における
悲惨な塹壕戦を連想させるものがあった。
 敵の砲爆撃が始まれば、援体壕に逃げこむ。砲爆撃が弱まって、敵が突入する
気配をみせれば、連絡壕を通って火点に布陣する。そのため、徹底的な空爆も
特科による火力支援も、十分な効果を発揮できなかった。
「それにしても、ロシア軍というのは伝統的に防御陣地を構築するのが巧いな。
ツィタデレ作戦の再現だけは避けたいものだ」
 実は、前野三佐はこの居住区を前線指揮所にしようと考えた。ところが、居住区は
周辺陣地を征圧したと同時に大爆発をおこした。ロシア叛乱軍が敵に利用されるならと
爆破したらしい。
 これが隊員たちの間に恐怖を呼び起こした。いつ自分たちの足元が吹き飛ぶか
わからない。そんな恐怖から、塹壕を飛び出して、何もない原野に伏せる隊員もいた。
 前進しようとすれば、隠れた火点から集中砲火を浴びる。火力支援を頼めば、
安全な場所に逃げこまれる。すでに八方塞がりといった状況だ。
 唯一の救いは、74式戦車が近接火力支援をしてくれていることである。十分に
掩蔽した敵火点に対しての正確な砲撃が、確実に味方への損害を削いでくれる。
「結局、自力で何とかするしかないか」
 前野三佐の言葉には、それにともなう困難がにじみ出ていた。
165竜一:02/02/08 18:20
 一方、ロシア叛乱軍の方は、前野三佐が感じている苦労など可愛いものに思える
ような損害を受けていた。
 この方面に展開するロシア叛乱軍部隊を指揮しているのは、
ワレリー・コンドレチェンコ陸軍大佐である。大佐の階級を持ちながら、
彼が指揮しているのは一個自動車科狙撃兵大隊に各種兵科を合流させたものでしかない。
 彼に与えられた任務は、この方面から小樽に侵出しようとする敵を、この場所で
数時間食いとめることにあった。
 小樽には防衛兵力および予備兵力として連隊規模の部隊が駐屯している。
また、海軍歩兵の存在も大きい。つまり、彼の部隊はこれらの部隊が準備を整えて
反撃するまでの時間稼ぎにすぎない。そのような部隊に必要以上に多くの兵員を
配置することは考えられなかった。
 兵力が少ないだけに、兵士の損害は極力抑えなければならない。大祖国戦争を
勝ち抜いた祖父らのように、無尽蔵な人的資源を投入することはできないのだ。
そのために彼が特に気をつかった防御陣地は、住民を徴発して急遽構築させたもの
ではあるが、十分に満足のいくものであった。
 ところが、この方面については敵もあまり関心を払わなかったようで、一度遭遇戦で
砲火を交えた以外は、お互いにその場に居座ってにらみ合いを続けるばかりの、
奇妙な戦争が展開されていた。
 だが、彼は今、神から与えられた試練を乗り越えることを要求されている。
 反撃における頼みの綱であった戦車中隊は、敵の空爆によって徹底的に破壊された。
 敵の突撃を阻止する役割を担うはずであった砲兵は、その武器を失った。
 火力支援の要請は、航空支援は攻勢主力を担う札幌方面の部隊が優先される。
現有兵力で対処されたし。との返答しかもらえなかった。
 前進して直接指揮を取りたいが、それはあまりにも危険だった。この後方で、
少しでも彼らの役に立つ仕事をしなければならない。
 もはやここでの戦争は、兵士ひとりひとりが、いかに敵の前進を阻むことが
できるかにかかっている。
『騎士も司祭も城砦も無くなった。俺に残された駒は歩兵しかない』
 コンドレチェンコ大佐が、空を仰いでつぶやいた。
166竜一:02/02/08 18:21
 ロシア叛乱軍が構築に使った丸太やら土嚢やらを、後から前に移し変えた即席の
塹壕の中で、橋本三曹の班に所属する隊員が集結していた。
 今現在、特科による砲撃と米軍による空爆が続いている。先の前進では激しい
反撃を受けたことをふまえて、特に念入りに砲爆撃を続けているが、自分たちが
潜んでいるこの陣地の様子から考えると、あまり大きな効果は期待できないようだ。
 だが、この砲爆撃はロシア叛乱軍に大きなダメージを与えていた。
 特に、ダックイン戦法を取っていたロシア叛乱軍の戦車は空爆によってその
ほとんどが撃破されていた。また、後方に構築された砲兵陣地にも容赦なく爆弾が
降り注ぎ、兵員への犠牲はともかくとして、設置された砲や弾薬に対して大きな
損害を与えている。
 隊員たちは気づいていないが、彼らはロシア叛乱軍が遭遇しているような
激しい空爆や砲撃に晒されていない。もし、前進時に敵の爆撃や阻止砲撃を
受けていれば、第二大隊が被った損害はこのようなものでは済まなかっただろう。
「いいか、お前たち。これから前進する」
 橋本三曹の言葉を聞いた隊員たちの表情に緊張が走る。
 彼らは本格的な実戦を経験したことが無い。大規模な戦闘を前に、死の恐怖を
感じたり緊張したりするのは仕方のないことだ。
「着剣しろ」
 橋本三曹はそう言いながら、腰につけた銃剣を89式小銃に装着する。周囲の
隊員たちもそれにならう。
 緊張のあまり、なかなか小銃に着剣できない鈴木二士を、横にいた田中二士が
手伝う。小刻みに震えている鈴木二士に比べ、田中二士は落ち着いて見える。
「いいか、常に姿勢を低くしろ。短く走れ。身体を見せる時間が長くなれば
長くなるほど撃たれる可能性が高くなるぞ」
 全身を枝や草で蔽い、顔を迷彩色に塗り隠した男たちが、それぞれの心の中で
わきあがる死の恐怖と戦っている。
「突撃時は叫べよ。気迫で敵を圧倒するんだ」
 まるで旧軍時代の精神論のような命令だが、これも小隊長から伝えられた
伝達事項である。
 橋本三曹は腕時計で時間を確認した。もうすぐだ。
「戦車が突撃を支援してくれる。次の塹壕で会おう」
 そう言うと、塹壕から飛び出して身を屈めた。
167竜一:02/02/08 18:21
 砲撃の着弾点が、彼らが隠れた掩体壕から後方へとさがっていく。おそらく、
日本軍がまた前進しようというのだろう。
『総員、配置につけ!』
 ミハイロフ上級軍曹の指示で、セルゲイとイワンのふたりは掩体壕から飛び出した。
 セルゲイとイワンは同じ時期に徴兵された。出身の村こそ違ったが、同じ年齢で
同じ部屋、同じ部隊に配属ということもあって意気投合した、かけがえのない
戦友である。
 砲撃によって所々崩れた連絡壕を、姿勢を低くして駆けぬける。
 他の掩体壕が潰れているのが、セルゲイの視界に飛びこんだ。どうやら自分たちは
運がよかったらしい。願わくば、その運が今後も続くことを願いたい。
 自分の守備位置に定められた特火点に、連絡壕づたいにたどりつく。
 特火点は敵の砲爆撃で一部が破壊されていたが、使用不可能なまでに破壊されては
いなかった。この特火点は天井つきで、ある程度の砲爆撃からセルゲイとイワンを
守ってくれる。
『黄色い猿どもめ。絶対にここは通さんぞ!』
 横にいるイワンが叫びながら、AK74の右側面に設けられたレシーバーを引く。
 金属の済んだ音が心地よい。
 セルゲイはPKM機関銃が射撃可能な状態であることを確認し、銃眼からやがて
やってくる日本兵を射撃するべく、かまえた。
 味方が発射した照明弾の明かりが、視界を真昼へと変える。
――いた――
 地面を這いずり回る草の塊が、いる。言うまでもない、日本兵だ。
 日本兵のひとりが、大きな声で何かを叫ぶのが聞こえる。セルゲイは日本語が
わからなかったが、彼が何を命令したかはわかった。
 次の叫び声を合図に、日本兵が叫びながら突撃してきた。セルゲイはPKMで前方に
阻止弾幕をはる。しかし、日本兵もなかなか訓練されており、立ちあがってもすぐに
伏せてしまう。
 駆けだした日本兵のひとりに、イワンがAK74で銃撃をくわえた。数発の銃弾を
受けた日本兵が、その場に倒れこむ。
『さぁ、かかってこい!猿どもめ!』
 イワンの叫び声が、特火点をゆるがした。
168竜一:02/02/08 18:22
 匍匐によって、じりじりと前進する隊員を、照明弾の輝きが照らし出す。
「総員突撃準備!躍進距離、五十!」
 誰かが命令する声が聞こえる。橋本三曹か小隊長の竹下三尉だろう。
 田中二士の身体中に寒気が走る。武者震いと言うやつだろうか。
 小銃を握る手に、汗を感じた。
「総員突撃!」
「わぁ〜!」
 声の限り叫びながら、突進する。前方に黒々と見えるクレバス目掛けて、
50mを必死に駆け抜ける。
 左側の少し前を走っていた隊員が、敵の銃弾につかまる。あれは鈴木かもしれない。
 銃弾を浴びて倒れこむ隊員の前方に、敵の特火点が見えた。銃眼から突き出た
銃身が、今度は自分の方を向くのが見える。
 目の前に開いたくぼみに、咄嗟に伏せた。それが幸いしたのか、銃弾がうなりを
あげて頭上を越えていくのを感じる。
 伏せたくぼみから微かに見える銃眼へ向けて、89式小銃を射撃する。
 相手が多少怯んでいる隙に、また立ちあがり、必死に駆ける。
「手榴弾!」
 誰かの声が聞こえた。そうだ。この距離ならあの特火点に手榴弾を放りこめそうだ。
 転げるように倒れこむと、サスペンダーに無造作にぶら下げていた手榴弾をつかむ。
「手榴弾!」
 そう叫ぶと、安全ピンを抜いて放り投げる。
 自分でも驚くようなコントロールだった。特火点の銃眼に吸い込まれるように
入っていった。特火点の中で、何かが叫ぶ声が聞こえる。
 手榴弾が炸裂する。銃眼から赤い炎が一瞬だけ噴出した後、その特火点は完全に
沈黙した。
 立ちあがっては駆け、駆けては伏せるを繰り返し、ようやく目の前の塹壕へと
飛びこむ。素早く左右を確認するが、ロシア兵は見当たらない。
 左右どちらかに移動しようとしたが、判断しかねていると、自分の右側に何かが
飛びこんできた。慌てて小銃を向ける。
「おう、田中。生きとったか」
 橋本三曹だ。
「お前は左へ行け。俺は右へ行く」
 それだけ言い残すと、橋本三曹は田中二士を置いて駆け出した。
169竜一:02/02/08 18:23
 セルゲイは左腕から肩にかけて負傷した。
 特火点に手榴弾が放りこまれたとき、イワンはそれをつかんで投げ返そうとした。
 間に合わないと判断したセルゲイは、イワンに叫んだ。
『馬鹿!逃げろ!』
 セルゲイは、そのまま特火点から脱出しようとした。そのとき、爆風が彼を背後から
押し倒したのである。
 激痛に顔をしかめたが、セルゲイは傷む左腕を抑えながら、再度特火点の中へと
戻っていく。中にPKM機関銃を残したままだったからだ。
 特火点の中は燦燦たる状態だった。イワンは右腕を完全に失い、右半身は手榴弾の
破片によってぐずぐずに破壊されていた。これが、徴兵されて以来つねに一緒にいた
戦友の最後であった。
 一時的に主人を失ったPKM機関銃が、主人の帰りを喜んでいた。セルゲイは
PKM機関銃が使える状態にあるかどうかを調べる。
――使えそうだな――
 セルゲイが再び銃眼から日本兵を狙おうとPKM機関銃を手にしたとき、イワンが
倒れている方向の連絡壕から、ひとりの日本兵が入ってきた。
『な!』
 PKM機関銃を構えようとするが、右腕だけでは思うように動かせない。
 全身に擬装をほどこした日本兵が、叫びながら突っ込んでくる。日本兵は銃剣を
着けた小銃を突き出す。
 セルゲイの右胸に、何かが侵入してくる感触があった。そこから熱さが広がる。
『糞』
 腰につけた護身用のマカロフを取り出そうとするが、思うようにいかない。
 日本兵は、セルゲイの胸に刺さった銃剣を引き抜くと、叫びながらセルゲイを
突き刺す。突き刺す。突き刺す。
 自分がここで死ぬのだと悟ったセルゲイは、自分の最期の言葉を、聞いた。
『かあさん』
 それを聞かせたい人は、この場にはいなかった。
170竜一:02/02/08 18:24
 この突撃は成功した。少なからぬ犠牲者が出たものの、ロシア叛乱軍の
第二防御陣地に進出できたのである。
 小隊長の竹下三尉は無線で後方に第二防御陣地の確保を伝えている。再度始まった
砲爆撃にあわせて、交代要員がこの壕にも到達するだろう。
 橋本三曹は連絡壕を歩き回りながら、自分の班の損害を確認していた。生存を
確認した隊員はこれまでにわずか3名だった。
――そうえいば、このあたりで田中と別れたな――
 連絡壕から特火点に入ろうとした橋本三曹は、特火点の中に人の気配を感じた。
「田中か?」
 小銃をかまえ、油断することなく特火点へ入る。
 そこには、敵兵士を刺殺したまま、彫像のようにかたまっている田中二士がいた。
 田中二士は、自分が刺殺した、苦しげな表情を浮かべて絶命している
ロシア叛乱軍兵士の双眸に、視線を捕らえられたまま動けなくなっていた。
 それまでに漠然としていた死の恐怖が、この突撃と鈴木二士の死。そして、自分が
刺殺したロシア叛乱軍兵士の死体によって現実のものと感じられるようになった。
 なんともいえぬ死の恐怖が今、田中二士の心と身体を支配しているのだ。
「田中」
 田中二士は、橋本三曹が近づいてくることに気づいていない。
 橋本三曹は、田中二士の小銃に手を添えると、敵兵士に刺さって抜けなくなった
小銃を力任せに引き抜く。
「田中、よくやった。少し休め」
 取りつかれていた死の恐怖から解放され、全身の力が抜けて崩れ落ちた田中二士が、
声をあげて泣き出した。
171竜一:02/02/08 18:27
 えっと、今回は時間軸を微妙にずらしながら、
  日―露―日―露…
というように両者の視点から書いてみました。
 あまり敵の視点で書かれたものが無かったように
思えたので。

それでは。
172ジミー:02/02/08 19:04
>竜一さん 頑張ってますな。
現代戦とは言っても、最後はやはり歩兵ですねよ。やはり。
173ジミー:02/02/08 19:52
>>156
苦戦していたのは岩見沢の小隊だけではなかった。第1、第2、第4小隊からなる
中隊主力は橋頭堡を確保するために前進したが、巧妙に構築されたはななす地区と
富岡地区の敵防御拠点の激しい抵抗を受け、苦戦を強いられていた。
ロシア軍は機関銃や対戦車ロケット、迫撃砲や対戦車ミサイル、装甲車輛などを巧みに
組み合わせて第2中隊の前進を阻んだ。最初の1時間で貴重な偵察警戒車2両が撃破され、
さらに74式戦車4両からなる戦車小隊も2両が撃破されてしまった。
やむなく第2中隊は前進を中止し、現状を維持、第1中隊の上陸を待った。そして米軍に
対し航空支援が要請された。しかし・・・。
174ジミー:02/02/08 21:15
>>173
強襲揚陸艦「エセックス」揚陸作戦指揮室
34普連調整官
 「連隊はこことここへ航空支援を要請している」
米軍側調整官
 「OK。『ベローウッド』のハリアーが4機が上空でスタンバイしている。ただちに
  やらせましょう」
そこへ防衛庁から派遣された連絡係(警察畑のキャリア官僚)が割って入る。
官僚
 「ダメです!当該地域には民間人多数が残留しています。空爆を行なえば民間人の被害が
  予想される。空爆は絶対にいけません!」
34普連調整官
 「しかし第2中隊は少なからぬ損害を受けている。航空支援を行なわなければ今日中に
  連隊の全部隊を上陸させるという作戦目標は達成できず、稚内解放はおぼつかないどころか、
  上陸部隊潰滅を恐れさえある」
官僚
 「それとこれとは別の問題だ。部隊行動基準第5条第3項をお忘れですか?『当該行動地域に
  在留邦人の存在が認められた場合、または存在の可能性がある場合、作戦部隊は武器使用を
  最低限に留め、在留邦人保護に万全を期さなくてはならない。破壊力の大きな制圧武器の
  使用は慎重を期さなくてはないらない。』とあります。現在の状況もこれに該当します。
  空爆は絶対に認められません!」
34普連調整官
 「しかし第2中隊は独力では敵を排除できない。これは第1中隊が上陸しても同じ事だ。なんとしても
  支援が必要だ」
官僚
 「敵の防御拠点の存在は初めから予想されていた事です。そこは部隊の指揮運用で乗り切るのです。あなた方の戦術が問われているんですよ。ちょっと強力な敵に
  遭遇したからといってボカスカ空爆では、戦術の妙も何もないですな」
34普連調整官
 「今の言葉は聞き捨てならない。我々は制約だらけの中で懸命にやっている。現地の
  隊員達は死に物狂いだ。米軍が航空支援を行なってくれるのだから、それを利用させて
  もらわない手は無い。第1中隊と一緒に重迫中隊が上陸するまでは、米軍の航空支援しか
  頼るものは無いんだ。部隊行動基準には『武器使用は最小限に留めなくてはならないが、
  状況に応じて指揮官は、必要な武器を使用する事ができる』とある。今はまさにその
  状況であると思われるが?」
175ジミー:02/02/08 21:16
>>174
官僚
 「それはあくまで付則事項だ。在留邦人保護に優先するものではない。それに重迫も
  ダメですからね。住民に迫撃砲弾を撃ち込むなんてもっての他だ!」
米軍側調整官
 「我々は精密爆撃を行なう自信がある。せめて確認されている6ヶ所の防御陣地だけでも
  爆撃してはどうか?」
官僚
 「ダメです!敵兵と住民が渾然一体となっていたらどうするんですか?現に声間岬では
  敵は住民を盾にとっていた。いかなる理由をもってしても空爆は認められません!」
34普連調整官
 「これでは作戦にならない。我々は人質犯人を逮捕に来た機動隊じゃないんだ。これは
  戦争なんだ。悲しむべき現実だが住民の犠牲を覚悟のうえで攻撃しなくては、大多数の
  住民の解放すらおぼつかない。誰も死なないオペレーションは不可能だ」
官僚
 「それこそ聞き捨てならない。あなたたち制服組は部隊行動基準を超えた行動をしようと
  している。これはシビリアンコントロールの崩壊だ!今の発言は報告しますぞ!」
そう言い放つと官僚は肩を怒らせながら出て行った。
米軍側調整官
 「日本はまことに奇妙だな。君達のROEはROEの体をなしてないじゃないか。
  まるで現場でROEを作りながら戦っているように見えるが?」
34普連調整官
 「それが日本なんだよ。だからなす術も無く九州と北海道を蹂躙されたんだよ。
  ロシア軍が上がってくるのに住民を非難させる法律も無かったんだからね。
  いかに我が国が奇妙であるかは、俺がウエストポイントに留学した時に何度も
  話しただろう?」
米軍側調整官
 「そうか。ならこうしてはどうだろう?この作戦の主力は我が軍であり、君達も
  編成上は我々の指揮下だ。航空支援は我々の主体的判断で行なった事にすればいい。
  君達には悪いが、我々に文句を言えるほど君達の政府は強くないはずだ」
34普連調整官
 「そうだな・・・。わかった。そうしてもらえるとありがたい。是非頼む。こうしている
  間にも我が連隊の犠牲者は増え続けている」
米軍側調整官
 「OK。任せてくれ」

その直後、4機のハリアーが稚内に向かって飛んでいった。
176名無し三等兵:02/02/08 22:33
age
177名無し三等兵:02/02/08 22:49
おぉ、何時の間にか北海道で攻勢が始まってますね
これからの動きに期待
178名無し三等兵:02/02/08 22:50
戦場のラブストーリーもキボーン
179わりぃ気にしないでくれ:02/02/08 23:06
っーか今のアメリカならトマホークなどの先端技術で短期間で終わると思うんだけど。
180海の人:02/02/08 23:12
>174-175
 あう〜、なんか大まじめに泣きたくなったすよ、まさにありがちなシチュエーション。

 昔、新宿ロフトでだれぞが「俺は実は自衛隊の能力については心配していない
それはいざとなったら自衛隊の指揮はクリントンがとるからだ、小渕よりもクリン
トンの方がはるかに安心できる」とかいう話をしていて、力無く笑うしかなかった
のを思い出してしまいましたですよ。
181名無し三等兵:02/02/09 00:43
>>173
岩見沢なんて出てくるから一瞬空知の岩見沢でも戦闘してるのかと
思った。鬱氏。
18288:02/02/09 05:49
閑話休題みたいな形で新聞記事、若しくはニュース報道みたいな話をやってみようと
思うのですが、よろしいですか?
>>182
どうぞどうぞ。
閑話休題なんておっしゃらず、本筋にばしばし絡めるおつもりでやっちゃってください。
お待ちしてます。
>>157
「・・・・・っと、人数は13人ってところだな。女達は4人か・・・・・」
大通りを隔ててホテルの向かいにある雑居ビルの屋上からホテルの様子を観察していた
はちまきが、傍らのボウイにささやいた。
同じく、様子をうかがっていたボウイがゆっくりと頷く。
「1階ロビーには見張りが2人。後は全員3階の宴会場だな」
「ああ。のんきなもんだぜ。ここが戦場だってことすっかり忘れてやがる」
敗残兵の一人が、厨房の倉庫からビールケースを抱えて宴会場に現れてから、
すでに30分近くが経過していた。
女性達はその間、隅に集まって震えている。
酒に飽いた男達がまたも彼女らにのしかかるのは時間の問題だった。
はちまきは、しばらく黙ったままホテルを睨みつけていた。
「どうした?」
「・・・・・つぶすのは問題ないが、女を助けるのがちょっとやっかいだな」
ボウイは肩をすくめた。
「理想どおりってわけにはいかんさ。全員無傷で救えるとは考えないほうがいいかもな」
そのとき、はちまきの無線機に小さなノイズが走った。
『こちらめがね。いつでもいいよ』
見ると、ホテルに隣接するビルの屋上から、めがねがわずかに頭を挙げて小さく手を振るところだった。
その隣にはシマダが同じく姿勢を低くしている。
2人を確認したはちまきは、ボウイに向き直った。
「とりあえず、いつもの手で行こう。俺が玄関からコンニチハだ」
「了解」
はちまきが階段に向かいかけたとき、ボウイが小さく舌打ちした。
「あの将校、脱走しやがったぜ」
185ジミー:02/02/09 15:56
>>179
その日のモーニングショー
司会者
「さあいよいよ反攻が開始されたようです。ただ今の防衛庁と首相官邸からの報告に
 よりますと、札幌近郊で米軍の戦車軍団と自衛隊の残存部隊が総反撃を開始し、
 稚内に米海兵隊と自衛隊の一部が上陸したようです。反乱ロシア軍は日米連合軍に
 挟み撃ちにされたと言えるでしょうか?」
軍事評論家
 「はい。反乱ロシア軍は増援や補給も望めないわけですから、非常に厳しい状況に
  置かれたといえます。油断は禁物ですが、北海道の解放の可能性が現実味を帯びてきた
  といえますね」
司会者
 「それにしても今回の軍事作戦を見ていて不思議なのは、なぜ地上部隊まで参加させなくては
  いけないのか?という事です。7月下旬以来、米軍は軍事飛行機で大規模な空爆を行なって
  います。トマホークミサイルなどのハイテク兵器も大量に使用しています。これらの
  空爆で反乱ロシア軍はやっつけられないのですか?」
軍事評論家
 「やっつけられません。航空攻撃やミサイル攻撃など空からの攻撃によって敵にかなりの
  損害を与える事が出来ますが、だからと言って敵陣を占領できるわけではありません。
  ハイテク兵器を駆使した航空攻撃は味方に損害を最小限に抑えて、ほぼ一方的に敵を
  叩く事ができるため、米軍がかねてより紛争解決の常套手段としてきました。
  しかし湾岸戦争やユーゴなどの事例を見ても、最終的には陸上部隊の投入して、兵士が
  突撃して敵兵を駆逐しなくては、敵地を占領はできません。だからこそ今回もアメリカは
  『日本の為になぜアメリカの若者が死ななくてはならないのか』という世論を抑えて、
  陸軍や海兵隊を投入しているのです。SFに出てくるような夢の超兵器でも発明されない
  かぎり、この原則は将来も変わらないでしょう」
司会者
 「そうですか。やはり軍事作戦の最後は兵士で決まるのですね。さて次の話題です。
  ハワイでは海外渡航規正発動前に国外脱出をした有名芸能人でいっぱいです。あの人や
  この人の最新情報をお伝えします」
18688:02/02/10 03:14
2001年8月16日午後3時18分埼玉県のどこか
ラジオのニュース番組
「…により、現在も尚釧路市内各地においてロシア反乱軍と自衛隊の戦闘が続い
 ており、市民の避難も混乱の為に遅々として進まず、今だ多数の人々が取り残
 されている模様です。市内近隣は既に進入禁止になっており、取材もままなら
 ず、脱出出来た人々からの断片的な情報しか入ってこないのが現状であります
 ・・・。」

187ジミー:02/02/10 11:12
>>175
岩見沢の第3小隊は声間のT字路の周囲に班ごとにミニミ軽機関銃とカールグスタフ
無反動砲を中核とした防御陣地を設置し、空港方面から後退して来るロシア軍を待ち伏せた。
交差点には、さきほどやって来たBMDR1両が燃えていた。そのBMDRは無反動砲弾
2発をほぼ同時に被弾し、乗員が脱出する間も無く爆発した。
岩見沢は無線手を連れて各班を見て回った。隊員達は初めて戦闘を経験し、初めて仲間を
失い、そして初めて敵を殺し、呆然とする者、怯える者、昂ぶる者、さまざまな反応を
見せていた。
岩見沢は隊員達に交替で朝食を摂らせた。みな食欲は無かった。岩見沢自身もそうだった。
しかしカロリーは摂らなくてはならない。部下の手前、岩見沢はムリをして食事を胃袋に
押し込んだ。唯一、普段と変わらぬ食欲を見せたのは第3班の機関銃手「ブーヤン」だった。
小隊一の大食漢である彼は「いつ死ぬかわからねぇ。食える内に食わなきゃアホだぜ」と
言いながら戦闘糧食を食べた。岩見沢は「ブーヤンを見習え」と隊員達に言った。
負傷者と戦死者は中隊が派遣してきた高機動車に収容された。海岸には中隊本部が救護所を
設置しており、負傷者はそこで手当てを受ける。
そして住民は第1班に護衛されて中隊が派遣したトラックで移送された。人数は100人ほど
だった。T字路を守らなくてはならない岩見沢にとって一時的にせよ1個班を派出しなくては
ならないのは痛かった。しかしはまなすと富岡で強力な敵と遭遇している中隊主力には
余裕が無かった。トラックを派遣してくれただけでも感謝しなくてはならなかった。
住民は衰弱しており、高齢者も多かった。トラックが無ければ小隊だけでは移送できな
かったからだ。
188ジミー:02/02/10 11:52
>>187
「自分らはどうなるんでしょう」高山2曹が言った。ロシア軍上陸以来、ずっと隠密行動を
続けてきた高山ら3名の処遇が問題だった。岩見沢には人事権は無い。勝手な事は出来なかった。
「中隊に連絡はした。とにかく想定外の事でね。連隊でも判断はしかねるかもしれない」
岩見沢は曖昧に答えた。高山達の事は何度となく中隊に報告したが、返事は無かった。
敵と戦っている中隊に返事を期待すのは無理な相談とも言えた。
「自分らは死んだ事になってるんでしょうな。自分の事はともかく平木と北地の無事だけは
 家族に知らせてやりたい」高山は岩見沢達から支給された戦闘糧食を食べる平木と北地を
見ながら言った。
一ヶ月間ロクな食事を摂っていなかった彼らは、第3小隊員達とは対称的に猛烈な勢いで
食べていた。喉を詰まらせながら、何を食べても「うまい」を連発した。
「とにかく何らかの決定があるまでは我々と行動を共にしてもらいたい」岩見沢は言った。
心情的にはこれまで頑張ってきた彼らを還してやりたかったが、とにかく勝手な事は出来なかった。
「わかりました。そうするしかありませんね」年下の2尉に高山は答えた。
勝っているのか、負けているのか。岩見沢にとって、中隊が苦戦している事以外に戦況が
どうなっているのか分からなかった。中隊が展開する方面には爆焔が何度も上がり、砲声が
断続的に聞こえた。米海兵隊が上陸した空港方面でははるかに派手な爆焔が休む間も無く
噴き上がり、激戦を想像させた。
第2中隊にとってははまなす・富岡正面の戦闘に第3小隊も欲しいだろう。しかし声間の
国道確保は日本側上陸第1陣の初期達成目標として日米両軍の作戦会議で合意していた
事だった。中隊にとっては第1中隊と連隊本部が上陸するまで、残りの3個小隊で戦うしか
なかった。
ハリアーらしい米軍機が中隊上空に飛来したのが見えた。激しい爆焔が上がる。爆撃している
らしい。ロービジ迷彩が空に溶け込み、ハリアーの姿はすぐに見えなくなったが、フレアを
こでれもかと言うくらい射出しているのは視認できた。
189ジミー:02/02/10 12:46
>>188
昼前になり、中隊無線が第1中隊と連隊本部の上陸を伝えてきた。
『こちら中隊長。第1中隊第2小隊がそちらに向かった。第3小隊は現任務を交替し、
 中隊に復帰せよ』
「了解」岩見沢は答えた。いよいよ中隊主力と共に正面の戦闘に参加するのだ。小隊員を
もう少し休ませたかったが、そんな余裕はなかった。
参謀役であり、良き女房役だった伊敷1曹が戦死したため、岩見沢は第2班長の高橋1曹を
小隊陸曹に任命し、第2班長は班の中で先任の岩田2曹を充てた。そして高山ら3名は
犠牲者の多い第3班に臨時に編入した。彼に与えられた人事権ではここまでしか出来なかった。
やがて第1中隊第2小隊がやってきた。小隊長の大石2尉が岩見沢の居る陣地に入って来た。
「ごくろうさまです」岩見沢は言った。大石は防大時代の1年先輩だった。
「状況は?」大石は訊く。
「今のところは静かです。9時頃にBMDRがやって来て、ご覧の通り撃破しました」
岩見沢は未だ燃え続ける残骸を指差しながら言った。
「損害は3名戦死、6名病院行きです」
「そうか。ご苦労だったな。これで立場が逆だ。これからはお前が先輩だよ」
「そんなことないですよ」
「いや、俺はまだ実戦経験をしていない。実戦経験こそすべてさ。ここではな」
「ちゃんと指揮できたかどうか自信ありません。実戦経験なんて大それた事は言えませんよ」
「とにかくご苦労さん。後は任せてくれ」
「了解、よろしくお願いします」
岩見沢は大石に詳しい状況を説明して任務を交替した。そして小隊員を集合させた。
「演説じみたことは言いたくないが、みんな良くやってくれた。これから小隊は中隊主力と
 合流し、富岡地区の敵を掃討する。激戦が予想される。みんなこれまで通り頑張ってくれ」
岩見沢は第3小隊の隊員達に言った。そして付け加えた。
「それから、敵を見たらすぐに撃て。いちいち撃っていいかどうか訊く必要は無い。もちろん
 味方や住民でない事をよく確認してからだぞ。訓練で安全管理をうるさく言ってるから、
 諸君が慎重になるのも無理は無い。しかしこれは実戦だ。いちいち訊いていたら、自分が
 撃たれてしまう。各班長も班員が混乱しないよう的確に指示せよ。以上!」
岩見沢は最後の部分は自分にも当てはまる言葉だと思いながら、言った。
「よし、出発!前へ!」岩見沢の命令一下、第3小隊は新たな任務に向けて前進した。
上空を米空軍のC−17グローブマスターV輸送機4機編隊の巨大な機影が飛んでいった。
すでに空港の滑走路を確保した米海兵隊は後退したロシア軍を追って内陸部に進撃を
開始していた。砲撃等によって破壊された滑走路は工兵隊がただちに修復し、空軍の
輸送機が着陸を始めていた。大型揚陸艦8隻をもってしても海兵1個師団が必要とする
機材や物資をすべて運ぶ事は出来ない。空輸はただちに始めなくてはならなかった。
もちろんコンテナ船等による物資陸揚げも必要だ。そのためにも天北埠頭占領を任されている
自衛隊の責任は重大であった。
米軍は予定通り作戦を進めている。自衛隊も足踏みをしているヒマは無かった。
国道を進む岩見沢達の上空をC−17が射出した無数のフレアが舞っていた。
19059=ふー。:02/02/11 20:57
一身上の都合で、これから2週間ほど多忙なので、小説の続きが書けません。
また暇が出来たら書かせていただきます、それまで著者の皆様方、また応援して下さった方々、
しばらくの間、さようならです。
わがままで申し訳ありません。
191椿30郎:02/02/11 21:11
>>184
思いのほか、パラシュート・コードを切断するのに手間取ってしまった。
まず、倒れこんだ拍子に足をダンボールのほうに向ける格好になってしまったため、
体の向きをちょうど180度変えなければならなくなったのだが、両手足(しかも後ろ手)
を拘束されている状態では、これが実に手間取る作業になってしまったのだ。
芋虫のように胴体をくねらせ、あちこちに体をぶつけながらダンボールのところにたどり
つくまで10分弱。
それから、手探りで使えそうな部品を取り、コードにこすりつける時間が20分ちょっと。
パラシュート・コードの強靭さに比べ、あまりにも鈍い部品の角を懸命にこすりつけていく
うちに手首や指にうんざりするほどの傷が走る。
どうにか縛めを全て取り去ったときは、手先が血まみれになってしまった。

顔をいくらかしかめ、真っ赤になった両手に視線を落とした将校は、ほんの一瞬何かを
考え込む表情を浮かべ、部屋の中を見回した。
視線が部屋の中を半分ほど舐めまわしたところで、将校は求めるものを見つけ出す。
部屋の隅にうち捨てられていた作業服の山に大股で歩み寄った将校は、苦労しながら
細長く作業着をひきさき、両手に巻きつけた。

完全な処置とはいえないが、応急手当としてはまずまずだろう。

決して深すぎるとはいえないため息をついた将校は、足音を殺して部屋の出口に向かった。
192椿30郎:02/02/11 21:15
>>190
了解いたしました。
このスレは簡単に沈まないだろうと思われますので、
ふー。さんがおもどりになられるまでまだまだ大丈夫かと。
また、お暇なときにレスをお願いいたします。
ではでは。
193ジミー:02/02/11 21:59
>椿30郎さん
HN決定おめでとうございます。
将校の行動が気になります!

>ふーさん
ご苦労様です。
お暇になったら是非復活してください!
待ってらっしゃる方がいらっしゃるかわかりませんが(w
当方多忙のため更新が遅れております。
今しばらくお待ちください
195ジミー:02/02/13 22:48
みなさん忙しいみたいですね。
自分もちょっと仕事が忙しくなってきました。
ROM&一言カキコがやっとです。
もし読者の方がいらっしゃいましたら、保守をお願いします。
自分でやるのもアレなので・・・。
196名無し三等兵:02/02/13 23:19
応援あげ
197名無し三等兵:02/02/14 22:10
保守〜
198名無し三等兵:02/02/14 22:11
韓国の裏切り。
199名無し三等兵:02/02/14 22:17
>韓国の裏切り。
もうすでに北側に寝返っています(^^;
一部部隊が自由韓国軍として九州にて自衛隊と共同戦線を張っています
200椿30郎:02/02/15 00:28
>>191
オフィスビルのエントランス(というには殺風景に過ぎたが)から外を伺うと、大粒の雨が
地面を叩いていた。
時おり、強い風に煽られて雨脚がエントランスの中に降りこんでくる。
夏だというのに気温はひどく低く、どうかするとくしゃみをしそうだった。

この雨なら、少々音を立てても問題ないだろう。

大通りの左右に視線を走らせた将校は、あの4人がとりあえず見当たらないことに安堵し、
建物の影に隠れるようにして外に飛び出した。
それから、数メートル走っては身を低くし、頭をめぐらせて周囲の様子を伺いつつホテルの
近くまでたどり着いた彼は、すばやく手近のゴミ集積所に身を隠し、しばらくの間聴覚に
全神経を集中させて中の様子を探った。

ホテルの上、おそらく3階か4階のあたりからざわめきが聞こえてくる。
それは紛れもなくロシア語だった。
ただ、その内容は軍隊に必要な秩序と威厳からはかけ離れたものであることに、
彼は内心いぶかしんでいた。

・・・・・とりあえず、ヤポンスキーではなさそうだな。

彼は腐りかけた生ゴミの匂いを懸命に無視しつつ、思考を回転させた。
ほどなくして、結論を導き出す。

ホテルの中にいる奴についてはよくわからないが、おそらくジエイタイであることはなかろう。
まずは接触すべきだ。

そう判断した彼は、わざと大きな足音を立てて正面玄関に回りこみ、両手を挙げて中に向かい
叫んだ。
「撃つな、私はロシア人だ!」
201名無し三等兵:02/02/16 16:19
あげあげ
202名無し三等兵:02/02/16 16:26
パン!パン!パン!!
中に入ろうとした途端に3発の銃弾が立て続けに彼に撃ちこまれた。
一瞬信じられないといった顔を浮かべ、なおもよろめきつつ進む彼に対し
バララララララ!!
と、SMGの連射が浴びせられる。
男はダンスを踊っているように弾丸を浴び、一瞬にしてボロ雑巾のように
動かぬ死体となった。
男を撃った3人の男達のうちの一人が笑みを浮かべ死体の頭部に拳銃を発射する。

バン!!

203名無し三等兵:02/02/16 16:50
[速報]
自衛隊、陸海空統合部隊編成へ
戦略自衛隊として統合運用
法案は明後日にも可決される見通し

実際の編成は戦況次第か
204FAKER:02/02/16 17:40
―空自三沢基地
テロ攻撃で被害を受けた新田原基地から移動してきた飛行教導隊は各基地に分散配置
されていた。間借りしている飛行隊指揮所で2人のパイロットが発信準備をしている
列線を見つめている。
「なあトラ、なんかえらい遠くに来ちまったなあ」2人のうち口髭を生やした年長の男
橘3等空佐が傍らの男に話し掛ける。
「でも、今度はもう水泳は御免ですよ、デュークさん」若い男 藤元1等空尉が笑いながら答える。
彼らは開戦直後の日本海で撃墜され、脱出し救助されていた。
領空侵犯したロシア機に対し、がんじがらめのROEで何も出来なかったのだ。
「そりゃそうだな」笑いながら橘も答える。
しかし内心では同時に撃墜され脱出できずに戦死した仲間の事を思っていた。
(絶対に仇は獲ってやる)橘の顔が険しくなった。
「でも次ぎに水泳をするのは奴らですよ。」藤元が笑って付け加える。
橘は藤元に感謝した、藤元は僚機を失った自分に対してに対し気を使ってくれて
いたのだ。
「そうだな、今回は岐阜から持ってきたアレが使えるしな。好きにはさせないさ」
2人が話しているところに僚機の2人のパイロット、原田3佐と吉岡1尉が入ってきた。
「デュークさんそろそろですよ」原田が声をかける。
「よし、行くか!」橘が言う。
4人のパイロット達は列線へ向かって歩いて行った。出撃準備を終え彼らを待つ2機のF−15DJ
それぞれ青と黒のまだらに塗られたイーグルは鷲というよりも伝説の怪鳥を思わせた。







205FAKER:02/02/16 21:25
エンジンを始動した2機のF−15DJは機体の周囲で整備員達による最後のチェックを
受けていた。次々とアクセスパネルを閉じ、機体の各部を点検する。
全てのチェックを終え、整備員が機体の前に立つ。
橘は後席の藤元の「全てノーマルです」の声を聞き、整備員にサムアップを送る。
左を見ると原田もOKのサインを送ってくる。
整備員が前進の合図を送り、橘はゆっくりと機体を前進させた、ゆっくりと左へ曲がる。
橘が整備員に敬礼し、後席の藤元も親指を立て 後ろに原田のイーグルを従え滑走路端に
向かった。

三沢基地はこの季節なのに何故か肌寒く、空は厚い雲に覆われている。
滑走路端に着いた2機は武装の最終確認を終えタワーからの離陸許可を待っていた。
橘は厚い雲を見ながらこれまで起きた様々な事を考えていた。
九州の家族の事、他基地に分散配備されている仲間の事、そして撃墜され火の玉と化した
僚機のこと。橘達の任務は同じ基地から敵艦隊攻撃に向かう編隊の護衛だった。
が、不思議と怖さは感じなかった。教導隊としてのプライド、仲間の仇を必ず討つという
気持ちが勝っていたのかもしれなかった。
「ランサーフライト、クリヤード フォー テイクオフ」
管制官が告げる。
エンジンの音が高くなり2機のイーグルは滑走路を加速し空中に飛び上がった。
車輪を格納しそのまま機首を低く保ち加速、一気に速度を上げると雲の垂れ込めた
三沢の空へ消えて行った。




206名無し三等兵:02/02/16 23:42
ageましょう
207FAKER:02/02/17 00:38
航空戦の話が余り無いということから
新田原使用不能により北方へ転戦する教導隊パイロットの話を書こうかと思いました。
竜一さんのように日本、ロシア双方の登場人物でやってみたかったのですが、文才が
無いので日本側だけになってしまっています。
難しいですね、ジミ―さんなど凄い方には到底及ばないんですけど・・・・・。
208ふー。:02/02/17 03:18
FAKERさん御招待AGE。
自分は凝った戦闘シーンを書けるほどの軍事知識が今だ無いので、
本格的な戦闘シーンが綴り出されるのを楽しみにさせて頂きます。

ただ今常連さん方は多忙中らしいので、マターリ自分の話を続けていけば、
そのうち反響もあるのでは?と思うので頑張りましょう。
かくいう自分も受験シーズンに原因不明の高熱を出してしまい、五日間39℃の熱と戦っておりました。(汗)
あまり執筆するのも仕事するのも無理せぬよう、他の著者の方々も、充分お気をつけて下さい。
209ジミー:02/02/17 09:02
>FAKERさん
やった!航空戦モノの新人さん登場ですね。うれしいです。
ぜひ頑張って続けてください。楽しみにしてます。
新人さんの登場はやる気が出ます。自分もすぐ再開しますから
どうかヨロシクです!

>ふーさん
自分の周りにも風邪の人が多いです。お大事にしてください。
なぜか受験シーズンの前って風邪ひくこと多いんですよね。
自分にも経験あります。とは言っても12年前に受けた一般海曹候補学生試験以来、
受験なんてしてませんが・・・。

>ALL
もうすぐ年度末です。学成さんも社会人さんも忙しい時期と思われます。
健康管理だけは気をつけましょう!
210FAKER:02/02/17 14:16
>>ジミ―さん
再開楽しみにしています。実は私、一般海曹候補学生で入隊した現役なんです。
私は約10年前入隊なんで先輩だったんですね!
海でも航空関係なんで海物はあまり判らないし、海上航空に関してはどこまで書いて
良いものか判断できなかったので空自ものとなりました。
その辺の判断が出来たら対潜ヘリの話等も書いてみたいのですが。

>>ふ―。さん
風邪流行ってますよね、気をつけてください。
211ジミー:02/02/17 15:05
>>210
おー、そうですか!奇遇ですね!
自分は横須賀の15期です。配置は機関科で、ずっと艦艇部隊でした。(95年退職)
船の話なら書けるかな?って思って前々スレで艦艇モノから始めました。
FAKERさんは航空部隊の方ですか。一知半解の知識でP−3Cの話なんかも
書いたのでちょっと恥ずかしいです(汗
今は陸自モノなので、もっと恥ずかしいです。
とにかく期待してますから、是非続きをお願いします。
寒いですが職務のほうも頑張ってくださいね。応援してます!
212椿30郎:02/02/17 16:34
>>202
ホテルの玄関に立つ直前、10年前、チェチェンでの記憶がフラッシュバックのように脳裏を駆け巡った。
あのとき、グロズヌイで将校は反政府ゲリラの掃討任務にあたっており、市街地でビルの一部屋、街路の
一角を占領したり奪回されたり、というような大儀も名誉もない戦いを指揮していた。
数メートルを奪い合うような混戦のさなか、彼と指揮する部隊の潜むビルに、何者かが不用意に両手を
挙げて何かを大声で叫びながら迷い込んできたのだ。
それまでの戦いで、理性も自制も脳髄のどこかに置き忘れてきてしまった彼らは、その人物に向け、
迷わず必要最低限の銃弾を撃ちこみ、射殺した。
頭部が柘榴のようにはじけたその人物が、しばらく前に行方不明になっていた彼の部下であることに気が
ついたのは、止めを指した直後である。
その後、その部下が戦闘中に捕虜になり、命がけの思いでゲリラのアジトから脱走してきた挙句に将校の
たてこもっていたビルに帰還しようとしていたことが明らかになった。

・・・・・もし今私が撃たれたとしても、それはきっと、あのときの報いなのかもしれないな・・・・・

将校は、ホテルのロビーへと歩を進めながら、自嘲気味にそう思った。

だが、ロビーのカウンターにいた見張りは、10年前の将校ほど切羽詰ってはいなかった。
あるいは、それは組織論から言えば単なる怠慢なのかもしれない。
ロビーの見張り−一人はソファに足を投げ出し、もう一人はカウンターにもたれかかっていた−は、
ぎょっとしたように将校のほうを見やっただけだった。
それから、今始めて自分の仕事を思い出した、とでもいいたげに手にしていた小銃を将校に向ける。
カウンターにもたれかかっていたほうが、ようやく叫んだ。
「止まれ!」
213FAKER:02/02/17 16:40
北海道西方海域20000フィート

既に攻撃編隊も離陸を終え、橘達<ランサー・フライト>は所定の戦闘哨戒位置に就き
ゆっくりと旋回していた。
攻撃編隊は三沢から3SQのF-2Aが6機、それが北海道西方のロシアの水上戦闘グループに
対し対艦攻撃をかける。それをランサー・フライト及び千歳に分散配置されている
彼らと同じ教導隊の<オスカー・フライト>が護衛する事になっていた。
護衛編隊が少ないのは橘も気になったが、現状では他にも戦力を振り向けなければ
ならなかったのでどうしようもなかった。
(まあ、それだけ働きを期待されているからかな。)橘は思った。
通信はまだ入らない、彼らを管制するAWACSは更に西方に位置し高度27000フィート
で円軌道を描きながら哨戒していた。

橘は左に付く原田機<ランサー02>をチラッと見やった。
原田もこっちを見ているのが判った。お互いにバイザーを下ろしている為に表情までは
判らなかったが橘には原田が少し笑ったように見えた。
原田も教導隊のベテランパイロットであり、橘と同じくF−15一筋に来た男だった。
地上にいればニコニコして彼がパイロットだとはわからないくらいだったが、ひとたび空中に
舞い上がればそんな性格は一変し、自分に対しても後輩に対しても妥協は許さなかった。
そんな原田が日米共同訓練で米空軍のF−15を2対1で2機とも撃墜した話は
彼に付いてまわっていた。
原田が僚機につくこと、そして後席に乗る藤元、吉岡が一緒ならばこの困難な任務も果たせる
と橘も思い、にやりと笑って見せた。
そして視線を周囲警戒に戻す前に機の左翼ステーションに搭載されている2発のミサイルを
見て思った。
(ロシア人も見たことがないだろう、しかし試作品だからちゃんと飛んでくれるのか?)
そのミサイルは今までの西側AAMとはちょっと違った形状だった。形としてはむしろロシア製
AAMのようだったが。


通信が入った。
『エスパー01よりランサー01、エスパー01よりランサー01 レーダーコンタクト
 アンノウン2ターゲット、ヘディング320、レンジ180、エンジェル2.2 480』
『ランサーフライトはこれを攻撃せよ。』
エスパー01はAWACSのコールサイン、2機の敵機が320°距離180マイル 高度22000
480ノットで飛行中だった。
編隊に緊張が走る、橘は尋ねた。
「ランサー01ラジャー、ROEは?」
『ランサー01、ガンズフリー ガンズフリー』
AWACSが答える。ガンズフリーだ、良し。これで前のようにはいかない。
「ランサー02いいか?いくぞ」
『02』原田が短く答える。
「デュークさん左旋回、300°です」後席の藤元が言う。

原田はイーグルを左上昇旋回させる、2機は鋭く旋回すると会敵地点に向かって行った。






214椿30郎:02/02/17 16:55
>>212
将校はその制止を無視するほど愚かではなかった。
ホテルのエントランス、かつては自動ドアが存在していた位置でピタリと足をとめ、これ見よがしに
両手を大きく上げる。
そして、先ほどよりはいくらか控えめな声量で告げた。
「撃つな、私はニコライ・ヴァシレフスキー。極東シベリア共和国陸軍少佐だ」

見張りは、その内容に戸惑ったような表情を浮かべた。
ヤポンスキーであれば何を言おうが迷わずトリガーを引いていたところではあったものの、
目の前にいる人間はどうみても同じスラブ人である。
カウンターにもたれていたほうの見張りが、油断なく小銃を構えたまま尋ねた。
「少佐殿が、たった一人でなんでこんなところにいるんです?」
「私の指揮する部隊が、アメリカ人と日本人の爆撃を受けて散り散りになった。いったん退避して
部隊を立て直そうとしたら、ゲリラに襲われて捕虜になったんだ」
将校−ヴァシレフスキー少佐は、状況を手短に要約した。長々説明すれば、それだけで相手を激昂させかねない。
見張りは、あからさまな警戒心こそ表情から引っ込めたが、小銃は構えたままだった。
「そのまま、少しお待ちください」
カウンターに寄りかかっていた見張りが身を翻し、どこか大儀そうに階段を上がっていく。
おそらく、彼らの指揮官−"官"をつけていいかどうかは迷うところだが−に報告しに行くのだろう。
ヴァシレフスキー少佐は、両手を挙げた姿勢のまま、数分間待たされるはめになった。

挙げた両手が少しだるく感じられる頃になって、見張りが戻ってきた。
「こちらへどうぞ、少佐殿」
215FAKER:02/02/17 19:27
213で
>>原田はイーグルを左上昇旋回させる、2機は鋭く旋回すると会敵地点に向かって行った。

ではなく
>>橘は〜    です。
スミマセン。

>>ジミ―さん
海戦ものとP−3Cの話も読みました。凄く雰囲気が出てますよ!
また海物も書いて下さい。

216竜一:02/02/18 19:02
ご無沙汰してます。竜一です。

 公私ともに忙しく、書いてるヒマがありません。
 少しずつ書いてますんで、気長にお待ち下さい。

椿30郎さん
 ハンドルネーム、ステキすぎます。
FAKERさん
 空戦モノですね。自分はもっぱら地上ばかりなので、
今後のご活躍を期待しております。

それでは。
217名無し三等兵:02/02/18 21:51
応援あげ
218ジミー:02/02/19 16:27
>>189
岩見沢の第3小隊は富岡地区の住宅街の大通りを前進していた。
米軍機の爆撃で住宅街は廃墟と化していた。大通りには大型スーパーや学校などが並んでいたが、
すべて例外なく破壊されていた。住民も多数残っていたかもしれないが、米軍機の投下した爆弾は
残敵とともにすべてを吹き飛ばしていた。
阪神大震災の災害派遣を体験した曹以上の隊員達は神戸の廃墟を思い起こしていた。
まだあちこちが燃えており、ゴムやプラスチック、建材、そして人肉の焦げた臭いが
たちこめていた。臭くてたまらなかった。臭いに耐えかね、あらかじめ支給された防塵マスクを
被る隊員も多かった。
爆撃による破壊があまりにも凄まじいため、この辺りに敵が残っている可能性は皆無のようにも
思えた。だがその一方で、瓦礫の奥で敵の銃口が狙っている可能性の捨て切れなかった。
小隊は周囲を警戒しながら、徒歩前進していた。岩見沢は猛烈な異臭に、胃が逆流しそうになる
のをこらえながら、小隊を率いた。部下たちとは違い、マスクは着けなかった。いざと言う時に
声がくぐもって指示を明確に伝えられないからだ。
汗まみれになって頭が暑苦しかった。鉄帽を少しだけ持ち上げて、通気をしてやる。ちょっとだけ
心地よかった。握りっぱなしだった銃把を放し、手の甲の脂汗を拭う。
その時だった。「パパパパパンッ!」連射音が鳴り響いた。
前路警戒の3曹がまるでサンドバッグように、「ドサッ」という音を立てて倒れた。アスファルトに
鮮血が噴き出す。
まるで絵の具のようだった。
219FAKER:02/02/19 19:36
>>213
2機のF−15DJは450ノットまで加速しつつ会敵予想点へ向かった。
最初180マイルあった距離はみるまに縮まって行く。
お互いに500ノット近いスピードで相対しているのだ。会敵までは少しの時間でしかない。
橘はスロットルを最前部まで押し込む、F-100エンジンは高度28000フィートの大気を
吸い込み咆哮した。

AWACSからは次々と目標との距離、方位が告げられる。まだレーダーは作動させていない。
たぶん敵は攻撃編隊に向かおうとしていたのだろう、橘達とは距離を置こうとするが、こちらは
更に相手の頭を押さえる機動を行う。
『ランサー・フライト、敵編隊レーダー作動!』AWACSの迎撃管制官が叫ぶ。
その声と同時に橘はレーダーを作動させた。計器盤のディスプレイ上に白線が現れ、移動して行く。
既にレーダー警報装置が敵のレーダー波を探知し、自動的に敵レーダーに対するジャミングを
開始する。

「02、フォックス・ワンで行く、こちらは先導機を攻撃する。たぶん当たらないだろうが
 敵も同じだ。その後、再度フォクス・ツーで攻撃する。」
このままお互いにジャミングを行えばレーダー誘導ミサイルは使用できないと判断し、橘は先ず
牽制の為にミサイルを発射し、その後赤外線誘導ミサイルで攻撃する事を指示した。

『02、了解』原田が答える。

素早く兵装パネルに目を走らせる。マスターアームスイッチはON、全ての兵装が使用可能と表示して
いた。もう自分の呼吸も後席の藤元の呼吸も、そして鼓動も聞こえない。
考えているのは、目の前の敵を撃つことだけだった。
橘はレーダーで戦闘の敵機を捕らえ、ロックさせた。HUDには目標を表す四角いシンボルが現れ
ロックした事を示す。同時に発射可能を示すキューが点滅した事を確認すると、操縦桿のトリガーを
絞り落としてコールした。
「ランサー01 フォックス・ワン!」
同じく2番機の原田もコールするのが聞こえた。
胴体下のランチャーからAIM−120が離れる。一瞬落下するかに見えたミサイルはロケットモーター
に点火すると機体を追い越し、敵に向かって突っ込んで行った。




220ジミー:02/02/19 21:39
>>218
隊員達は瓦礫や路上に放置された自動車の残骸に身を隠した。近くに遮蔽物の無い者は路上に
伏せた。うつ伏せになった岩見沢はアスファルトに顎を乗せ、周囲を見回した。
「誰か敵を見たか?!」部下達に叫ぶ。銃声と着弾はほぼ同時だった。敵は近いはずだ。
「見えませんでした!」「見てません!」部下達は口々に叫ぶ。
(くそっ!敵からは丸見えなのに・・・)岩見沢は心の中で毒づく。
「モヤシが敵を見たそうです!」目の前の自販機の残骸に隠れた1班長の梁田1曹が振り向き叫ぶ。
「そうだな?!見たんだな?!」梁田はさらに前方の瓦礫に隠れている「モヤシ」こと山下1士に訊く。
「いや、見たというか、あそこの建物から発射焔のようなモノが見えたような・・・」
山下は青ざめた顔で報告する。彼の言う建物とは専門学校の校舎だった。半ば倒壊した建物は
あちこちが銃眼として利用できそうだった。岩見沢は匍匐で無線手が身を隠している自動車の
残骸に向かう。彼は無線で中隊本部を呼び出した。
「こちら第3小隊、第3交信地点付近で有力なる敵と遭遇、戦車の支援を要請する」
『戦車は出払っている。独力で敵を排除せよ』相変わらずの返事が返って来た。
(くそっ!)岩見沢は再び毒づく。現在味方には5両程度の戦車しかいない。止むを得ない事とは
分かっていても、毒づかずにはいられなかった。
「1班、前方の専門学校校舎に突入せよ。2班および3班、射撃支援」岩見沢は命じる。
「よし、行くぞ!前へ!」梁田の命令一下、1班の隊員達は前進する。山下もふらつきながら
走っていった。2班と3班の隊員達は物陰から飛び出して撃ち始める。猛烈な射撃は目標の
建物に集中する。凄まじい射撃音だった。建物の外壁に無数の弾丸が命中し、建材が飛び散る。
無反動砲も撃ち込む。窓から爆焔が噴き出し、外壁が崩れ落ちる。
第3小隊の射撃に制圧されながらも、敵は近づいてくる1班員達へ射撃を行なう。正確に狙えない
ようだ。1班員達は一人も斃されずに建物の入り口に到達する。
「撃ち方やめ!撃ち方やめ!」岩見沢は命じる。突入した1班員を誤射しないためだ。
1班員達は全員が建物の中へ消えていく。周囲は静寂に包まれる。岩見沢達は固唾を呑んで
様子を見た。
やがて建物の中から散発的な銃声が聞こえる。そして手榴弾と思われる爆発が2回起き、窓から
瓦礫が飛散する。その直後、建物の裏側から数人のロシア兵が飛び出す。逃走する気だ。
岩見沢達はロシア兵に猛烈な射撃を加える。一人を殺すには十分すぎる弾丸が浴びせられ、
ロシア兵達は全員が倒される。
建物のバルコニーから1班員達が姿を現わす。「当該建造物制圧。警戒中」梁田が無線で
報告してくる。岩見沢達は前進を再開した。
「モヤシ、お手柄だ。よく敵を見つけたな」建物から出てきた梁田が山下の肩を叩いた。
「そんな・・・自分は・・・何も・・・」山下は引きつった表情で笑う。
「よくやったモヤシ。小林の仇は打ったぞ」岩見沢も山下に言った。小林とは先ほど撃たれた
前路警戒の3曹の事だ。突入した1班は1人が腕に軽傷を負った以外は全員無事だった。
建物の制圧を完了した第3小隊は再び前進を開始した。
221名無し三等兵:02/02/21 00:27
あげ
222椿30郎:02/02/23 20:25
>>214
見張りは、あっさりヴァシレフスキーに背中を向け、相変わらず大儀そうな足取りで歩き出した。
ソファに腰をおろしていたもう一人の見張りは、ちらりと彼に視線を送っただけで、もはや
ヴァシレフスキーに興味を失ったかのように再び顔を正面に向ける。
その顔はいかにもつまらなさそうで、どうして俺がここにいるのかとだれかれかまわず問いたげ
だった。
ヴァシレフスキーは足を速めて、彼に声をかけたほうの見張りの後ろにつき、背中に尋ねかけた。
「君たちの指揮官の姓名は?」
見張りはふりかえろうともせずぶっきらぼうに答えた。
「わかりません。俺達はただ"少尉"とだけ呼んでます」
「"少尉"・・・・・・・」
「少佐殿もお気づきでしょうけど、我々はもう極東シベリア共和国軍人じゃありません。
ただの敗残兵です」
そこで言葉を切り、肩をそびやかした。
階段を上りながら、何か言葉を捜しているかのように沈黙する。
3階へ通じる階段の踊り場に差し掛かったところで、敗残兵の一人が降りてくるのが見えた。
その姿をみとめたとき、ヴァシレフスキーの表情がわずかに曇る。
彼は軍衣をじつにだらしなく着こなし、足取りもまったくおぼつかなかった。
敵国にいるというのに、顔は酒やけで真っ赤になっており、上機嫌で鼻歌など歌っている。
小銃だけはしっかりかかえていたから、おそらくは今階段を上がりつつあるヴァシレフスキーの
案内役と見張りを交替するために降りていこうとしているのだろう。
酔漢とすれ違い、彼の足音が遠ざかっていきつつあるところで、不意に見張りが切り出した。
「脱走してきた奴もいれば、戦場で略式軍法会議にかけられて死刑を言い渡された奴もいる。
そんな奴等が集まって、この戦争が終わるまで逃げ回ろうってだけですよ。
いまさら名前なんか興味ないですし、正直階級だってどうでもいい。だから・・・・・」
「だから?」
「少佐殿が、俺達をつかって何かしようと考えてるなら、それは無駄ってもんです」
階段を上りきり、宴会場に続く狭い廊下を歩きながら、切り捨てるような口調で見張りが言い切った。
ヴァシレフスキーは、何も言い返さずに彼の背中をじっと見詰めていた。

廊下の端、いくらか大きなドアの前に立った見張りは、顎でドアを示してヴァシレフスキーに行った。
「"少尉"はこの中です。彼は少佐殿にあいたがってますよ」
223名無し三等兵:02/02/23 21:17
保守
224名無し三等兵:02/02/23 21:59
最近、私の家の前を自衛隊や米軍の車両が走る・・・
その車両に向かい、六歳になる孫が無邪気に手を振る・・・
60年前もそうだった、目の前を通る日本軍の戦車に無邪気に私も手を振った
孫と同じように・・・・

225名無し三等兵:02/02/24 00:03
誰か第2次沖縄戦を書いてくれないかな?
中国軍対在沖海兵隊ってなかんじで。
226鈴木宗男:02/02/24 03:06
<国際>一度は米国と戦う覚悟=北朝鮮の労働党機関紙

1 :まさとφ ☆ ◆ASHorGAg @まさとφ ★ :02/02/24 00:29 ID:???
ラヂオプレスによると、
23日付の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の労働党機関紙「労働新聞」は論評で、
ブッシュ米大統領の「悪の枢軸」発言について「露骨な侵略戦争意識の表れ」と非難、
「一度は米国と戦わなければならないという覚悟をいつでも持っている」と主張した。

論評は大統領のほか、ライス大統領補佐官、ラムズフェルド国防長官らも「戦争の熱気をあおっている」と批判、
「戦えば必ず勝つというのが、わが軍隊と人民の意思だ」と警告した。  
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=FKP&PG=STORY&NGID=AITN&NWID=A3682310

上記なんだそうですが、日本はどうなってしまうのですか。
皆さんのご意見をキボンヌ
227名無し三等兵:02/02/24 03:11
 
228ふー。:02/02/24 04:38
保守ageしつつ。

お久しぶりです、受験の方も一段落したので、また暇を見つけて小説の続き書こうと思います。
皆さん相変わらずレベルの高い小説で、
皆さんの作品を読んだら自分の拙作が恥ずかしくなります。(汗
自分も頑張る次第です、皆さんも体調にお気をつけて。
>FAKERさん
始めまして、よろしくお願い致します。
229臨時ニュース:02/02/24 23:57
天安門広場に集まっていた、戦死者の補償を要求する遺族に軍が発砲。
各都市でも食糧事情・エネルギー事情改善を要求する市民と
民主化を要求する学生のデモ。

230名無し三等兵:02/02/25 13:32
>229
赤い旗の下で〜♪
231ちょっと横槍:02/02/26 11:11
>>229
日本の某テレビ局の解説者曰く、

天安門事件の再来ですね。ということは、貧富の差に耐えられなくなった四川省や
湖北、湖南省で暴動、さらに自治区では独立運動が一斉に活発化することは、充分に
予想できますね。
各国の煽動が成功しつつあるのでしょうか。また、これに伴い、中国政府は、戒厳令
を国内に発令し、外国人の移動制限、夜間の外出禁止令等が、人民日報や新華社通信
より伝達されております。
しかし、どこまで人民を抑えつけておられるかは、時間の問題でしょうね。
法輪功も活動を再開したとの情報もあります。いずれ辛亥革命クラスの暴動に発展する
のは、時間の問題でしょう。

ふーん。
232ジミー:02/02/27 21:19
>ALL
仕事はそれほど忙しくないのですが、
4月に行なう模型展示会の準備が忙しくなってきました。
今日も休みなのですが、模型をセッセと作っとります。
絶対に尻切れトンボにはしませんから、
もし読者の方がいらっしゃったら、保守をよろしくお願いします。
233FAKER:02/02/27 22:25
私も忙しいので書けてません
皆さん忙しいんですね。
読んでるです。
235名無し三等兵:02/02/28 11:42
保守age
236kuro:02/02/28 21:47
始めまして。
初投稿させて頂きます。
前スレ、前々スレからずっと読んできて、警察についてまだほとんど描かれて
ないと思い、この話を考えました。

ココは軍事スレなので、警察について描くのははスレ違いという事ならば、潔く
撤退します。

尚、文中では今までの展開の設定を借りているところもあります。
この点について何か問題があれば、ご指摘ください。
それ以外にも何か描写におかしいところがあれば、ご指摘ください。

下がってきているようなので、一応あげときます。

それではどうぞ。
237kuro:02/02/28 21:49
西武池袋線 急行列車車内

今日も暑い一日だ。
8月に入ってからというもの、連日30度近く、
それ以上の気温を記録していた。
そのせいか、車内の冷房の温度はかなり低めに設定されており、
ひんやりとした空気に包まれている。

車内では新聞を読みふけっている人が大勢いた。
一面には「日米連合軍北海道に再上陸開始」など
「丹波高地に中国空挺部隊降下」などの見出しが躍っている。
戦争がはじまってからというもの記事の内容は戦争に関するものが
ほとんどだ。
この最中、プロ野球もJリーグも当然のように中止された。
芸能人のゴシップ記事なども誰も興味を持たない。
要するに戦争に関することしか記事が無いのだ。

そんな中、警視庁公安部公安第2課の相馬警部は1両後ろの車両からとある
人物に気を配っていた。
その人物は相馬の尾行対象である。
対象はこの暑い中、帽子を深く被り、サングラスをしている。
変装のつもりだろうか。
相馬は一見、新聞を読んでいるように見えるが、視界の隅のほうでは
そんな対象を捕らえている。

尾行の際、対象と同じ車両に乗るのは危険だ。
隣の車両に乗り、対象を黙視できる位置にいなければいけない。
とはいえ、むやみに対象に視線を送るのも危険だ。
気付かれ、尾行が失敗に終わる可能性がある。
無論、相馬はそのことは重々肝に銘じている。

相馬は相棒の藤井警部補とともに対象を東京都清瀬市の
自宅から尾行していた。
藤井は対象の1両前に乗り込んでいる。
相馬と藤井で対象を前と後ろから挟むようにして監視を続けている。
対象は清瀬駅から、各駅停車に乗り込み、ひばりヶ丘駅で急行列車に
乗り換えた。
程なくして、列車は石神井公園駅に着いた。
席から立ち、降りる様子は無い。
急行列車は石神井公園駅を過ぎると、終点池袋駅まで止まることは無い。
このことから、対象は池袋に向かっていると断定できる。
列車は池袋駅に向かって走り出した。
238kuro:02/02/28 21:50
相馬英嗣警部。35歳。警視庁公安部公安第2課所属。
5年前、西新宿署の刑事課から転属される。
ノンキャリアで所轄署から本庁公安部に転属とは栄転もいいところで、
同僚からは羨望の眼差しを受けた。
しかしそれは、相馬の捜査能力の高さの賜物であることに他ならない。
相馬の捜査が事件解決の突破口となったことが今まで何回もあった。
西新宿署の署長はそんな相馬を見初め、本庁への推薦状を書いてくれた。

藤井貴文警部補。26歳。警視庁公安部公安第2課所属。
一年前、難関といわれる国家試験を突破した、いわゆるキャリア組の一人。
本庁の公安部に配属されてすぐ、相馬とコンビを組んだ。
相馬と行動をともにするうち、幾多の経験に裏打ちされた捜査能力、
その人柄に尊敬の念を抱くようになった。
現に相馬の能力を吸収するように、藤井もその力をめきめきとつけていった。

列車は池袋に到着した。
239kuro:02/02/28 21:57
出だしはこんな感じです。
これ以降もふたりの公安刑事を中心に描いていきたいと思います。
236でも申しましたように何か問題があれば、指摘してください。

なお237で文字数が多いため、省略されてしまった事をお詫びします。
以後注意したいと思います。
240FAKER:02/02/28 22:16
>>kuroさん
はじめまして。確かに戦時中でも公安警察は活動しますし、誰もやっていなかった
ジャンルなので楽しみにしています。
頑張ってください。
241名無し三等兵:02/02/28 22:19
>>239
楽しそう。
続きがんばってくれ!
242ふー。:02/03/01 00:08
>kuroさん
どうも始めまして、新しいジャンルの作品が増えてとても楽しみです。
頑張って下さいね。

もうすぐ卒業式なんでちょっと色々ゴタゴタしてなかなか作品が書けません、
申し訳ありません。
243kuro:02/03/01 09:08
>FAKERさん、241さん、ふーさん。
ありがとうございます。

非常につたない文章になるかと思いますが、がんばって最後まで書きたいと
思います。

それでは、続きです。

244kuro:02/03/01 09:10
池袋駅東口

対象は列車から降りた後、地下へは降りずにそのまま地上の改札口から
外へ出た。
相馬と藤井も距離をおいてその後に続いた。
今のところ尾行に気付かれている様子は無い。

それにしても人が多い。
戦時下なのに、だ。
買い物客、カップルなど池袋には戦争が起こる前と何ら変わらない風景が
そこにある。
「全く、こんな状況なのによく買い物なんかできますよね。」
尾行を続けながらも藤井が毒づいて見せた。
「仕方ない。今となっちゃ遊ぶところといったら、
池袋しかないんだからな・・・。」
相馬が返す。
現にそうである。
戦前、都内で買い物客で賑わう街と言ったら新宿、渋谷などがあげられる。
しかし、新宿では外人狩りが行われ、治安が悪化し、渋谷では駅前の
スターバックスコーヒーが爆弾テロにあい、多数の犠牲者が出た。
二つの街では陸上自衛隊の部隊が展開し、治安維持に当たっている。
民間人は何人とたりとも近づく事は出来ない。
JR、各私鉄、営団地下鉄には新宿、渋谷近辺の駅は通過するようにとの
お達しが出た。
道路も新宿、渋谷の直前で通行止めとなっている。
245kuro:02/03/01 09:11
「とはいえ、いつ池袋にも危害が及ぶか分からないのに、
全く日本人の平和ボケ気質には・・・。」
藤井はため息交じりで言った。
「まあ、遅かれ早かれ、この池袋も新宿、渋谷と同様の処置がとられるさ。」
相馬が返す。
「そうですけど・・・。」
藤井は納得行かない様子だった。

対象はサンシャイン通りへと向かっていた。
246ジミー:02/03/01 16:29
>kuroさん
新規参加者大歓迎です。
警察モノは未開拓なジャンルなので楽しみにしてます。
頑張ってください。
247名無し三等兵:02/03/01 19:31
偶然見つけたけどここ、無茶苦茶おもしれぇ!
職人さんがんばってくださーい!!
248kuro:02/03/02 23:59
>ジミーさん

ありがとうございます。
ジミーさんの豊富な軍事知識に裏打ちされたリアリティある文章に感銘を
受けてます。
これからもよろしくお願いします。

続きです。
249kuro:02/03/03 00:00
それより6時間前 警視庁公安部公安第2課オフィス

出勤してきた相馬はコーヒーを啜りながら、テレビのニュースに見入ってた。
前日夜から始まった、日米連合軍の北海道への再上陸作戦を大々的に報じていた。
戦況は連合軍が押し気味だという報道に相馬は少し胸をなでおろした。
相馬の警察学校の同期のなかで北海道に配属になったものもいる。
ロシア叛乱軍が北海道に上陸してからというもの、その彼とは連絡が取れない。
実家は東京にあるが、そこにも連絡がないと言う。
相馬の頭の中では絶望の文字がよぎったが、彼の家族は今も生存を信じている。

「おはようございます。」
藤井が出勤してきた。
「あ、北海道再上陸の事ですか。僕も今朝の朝刊で知りました。
どうやら、うまく行っているみたいですね。」
「ああ、そのようだ。・・・お前、北海道に知り合いはいるか?」
「・・・ええ、学生時代の友人が一人。」
「そいつとは?」
「・・・連絡が取れません。未だに。実家にも他の友人の所にも連絡がないようです。」
「そうか・・・実は俺もな・・・。」
相馬は彼の事を話した。
「そうだったんですか・・・。どうか、その方も無事でいてくれるといいですね。」
ほんとにそうだ。
無事であったら、どれだけいいか。彼も藤井の友人も。
250kuro:02/03/03 00:02
沈痛な面持ちでテレビを見つめる二人を呼ぶ人物がいた。
「相馬、藤井ちょっと来てくれ。」
二人を呼んだのは公安第2課長、朝日警視だった。
相馬と藤井の直属の上司に当たる。
朝日も藤井と同じ国家試験を突破したキャリア組の一人である。
「出雲部長がお呼びだ。」
251kuro:02/03/03 00:03
公安部公安第2課オフィス内 ミューティングルーム

相馬、藤井はミューティングルールに入った。
後に朝日が続く。
中には公安部部長出雲警視正がいた。
もちろん、出雲もキャリア組の一人だ。
将来の警視総監候補とも言われている。

「掛けたまえ。」
出雲がふたりに促す。
「なんでしょう?」
相馬がたずねる。
「早速だが、二人に尾行してもらいたい人物がいる。」
出雲はそう言うと朝日の方を見た。
朝日はうなずき、ファイルからある人物の写真を取り出した。
見覚えがある。
「例の件ですか?」
藤井が言うと「そうだ。」と出雲が即答した。
続けて、朝日は封筒から二人に一枚づつの書類を渡した。
写真の人物のプロフィールだ。
朝日が口を開いた。
「日本共産党の堀田代議士だ。」
「ええ、知ってます。」
相馬が答える。
相馬、藤井が所属する公安第2課は主に極左対策を行っている。
堀田代議士の日本共産党はまさしく彼らの課の担当である。
252kuro:02/03/03 00:04
「堀田代議士は兼ねてからの日米安保反対論者ですよね。
自衛隊も違憲だと唱えてましたし・・・。」
藤井が言った後、朝日が続く。
「そうだ、学生時代には安保共闘に積極的に参加し、東大安田講堂の事件にも
関与していた。
今回の戦争での有事立法改正や憲法改正に最後まで反対したし・・・。」
そこまで言うと、相馬が口を開いた。
「で、堀田代議士は何か尻尾を出したんですか?」
出雲が口を開いた。
「うむ。例外なく堀田代議士の自宅にも盗聴器を仕掛けた。
ウチの人間をNTT職員に変装させて、電話にな・・・。一週間前のことだ。
それから、連日盗聴を続けた。そして、昨日・・・。」
出雲は続けた。
「ハングル語を話す人物から電話があった。」
それを聞いた、相馬と藤井は驚きを隠せなかった。
253kuro:02/03/03 00:06
「何ですって・・・?」
「堀田代議士も見事なハングル語で返して見せたよ。
彼がハングル語を話せたとはな・・・。」
藤井はせかすように出雲に聞いた。
「それで、なんて言ってたんです?」
「一通りの挨拶の後、『明日、午後3時、池袋東急ハンズ前・・・。』
そうとだけ言って切れたよ。」
「・・・池袋か・・・。」
「そうだ、君たちは明日堀田代議士を尾行し、接触する人物を特定してくれ。
可能であれば、接触した人物の尾行も頼む。」
ここで相馬が口を挟む。
「ちょっと待ってください。対象が二人の尾行を私たち二人だけでやれと?
新宿も渋谷も近寄れない今、池袋には人が集中します。奇しくも今は夏休み。
明日の池袋は大混雑が予想されます。二人では心もとない。
対象を見失う可能性があります。」
「それはわかっている。しかし、現状を見たまえ。
ウチの人間のほとんどが他の対象の調査に追われている。」
現にオフィスには相馬と藤井と朝日と出雲の四人しかいない。
更に出雲は続ける。
「今、手が空いているのは君たちしかいないんだ。
私は君たちが優秀な部下であると認識している。
どうか、よろしく頼むよ。以上だ。」
そういって、出雲はミューティングルームを出て行った。
朝日は一礼をして見送った後、ブリーフケースからデジタルカメラと
小型のノートパソコンを取り出した。
「このデジタルカメラで対象と接触する人物を撮影してくれ。
撮影が終わったら、すぐに写真をこのパソコンで私のパソコンに送るんだ。
確かにふたりでは厳しい作業ではあると思うが、がんばって欲しい。」
そういって、朝日もミューティングルームから出て行った。
相馬と藤井は顔を見合わせた後、ため息をついた。
「仕方ない。やるか・・・。」
254 :02/03/03 22:43
保前
255名無し三等兵:02/03/04 11:23
ほぜーん
256ジミー:02/03/04 21:38
都内某所 某議員のマンション
外は猛暑だった。しかしカーテンの閉じられた室内はクーラーの冷気に満たされていた。
しかしその議員は冷房にも関わらず汗まみれだった。
とてつもない疲労感に襲われる。議員はそれを劣情でねじ伏せた。
胸の大きさだけが目立つ人工的な身体つきをした女が、ベッドに乱れた裸体を晒していた。
議員の執拗な欲望によって女は汗にまみれたまま、虚脱状態になっていた。
携帯電話のカンに触る着信音が鳴り響く。議員はうっとうしそうに表情を歪める。
萎えた分身をティッシュで拭きながら、電話に出る。
「あー、君かね。3時まで電話するなと言ったじゃないか。ああ、まあいい。
 今どこかって?そんな事はどうでもいいじゃないか。ああ。分かるだろ?何年俺の下で働いているんだ?
 それで何の用だ?
 あー、部隊行動基準の件か。うん、うん、防衛庁に訊いたかね?
 なに?!部隊行動基準を守ってない?!爆弾やら大砲やら撃ちまくってるのか?なにをやってるんだ!
 そうか・・・米軍か・・・。弱ったな・・・米軍が相手じゃどうしょうも無いな。わかった。
 なんとか別の方法を考えよう。うん、うん。そうだ。何にしても道民保護が優先だ。そう、そう。そうだ。
 自衛官なんか何人死んだってかまわん。ああ、そうだ。奴らはこの日の為に無駄メシを喰らってきたんだ。
 今こそ御国の為に御奉公せにゃならん。ああ、そうだ。わかった。防衛庁にはもういちど言っとくよ。
 ところで北方領土の件はどうなった?うん、うん、そうだ。そうか!今朝潜入したか?!
 それでうまく行ったんだろうな?何でも空挺団とかレンジャーとかの精鋭らしいからな。
 絶対に成功してももらわにゃ。うん、うん・・・。
 そうか!成功したか!『友好の家』も発電所もみんな吹っ飛ばしたか。そりゃいい!
 まあ施設自体はどうでもいいんだがな。看板さえ吹っ飛ばしてもらえばいいんだ。
 アソコには俺の名前が書かれているからな。ああ、この戦争でロシアにはたっぷりと貸しが出来た。
 代金はまず北方領土返還が手始めだ。そんな時に俺の名前の書いてある施設があったら、なにかとマズイ。
 それで自衛隊の特殊部隊はどうなった。うん、うん。そうか守備隊と交戦して全滅したか。
 そりゃ良かった。口封じの手間が省ける。いや〜、この戦争での勝ち組みは間違いなく俺だな!
 戦争が終わって北方領土が返還されたら、俺は北方領土開発公団を作る。もちろん○×君を
 初代理事長に据える予定だ。そうすれば根室は潤うぞ〜!いや、結構、結構。
 じゃ、よろしく頼むよ!ワハハハハ!」
議員は電話を切った。するとベッドでぐったりとしていた女が目を覚ました。
「う〜ん、先生、ウルサイわよ〜」女は股間をティッシュで拭いながら、仏頂面で言った。
「お〜、ゴメン、ゴメン。あのダイヤの指輪買ってやるからカンベン、カンベン!」
「え〜!買ってくれるの〜?ウレシ〜、先生ダイスキ!」女は営業用の表情で笑った。
「ところで、あのダイヤって、どこ産だっけ?」女は訊いた。
「あ〜、あれか。あれはコンゴ産だ」議員は女の乳房をまさぐりながら答えた。
257名無し三等兵:02/03/04 21:55
何か書いても良いですか?
258ジミー:02/03/04 22:07
>>257
前々スレ、前スレ、現スレをご参考にしてください。
お初の方大歓迎です。
259 :02/03/05 09:03
>256
ム●ヲちゃん・・・それしかすることないんかい!(w
260 :02/03/05 17:59
ム○ヲ氏は国土交通省、防衛庁辺りにもいろいろ圧力を
掛け捲っているみたいですな。

この際できるだけ醜い最期であることをきぼーんします<作家各位
261kuro:02/03/05 20:40
253からの続きです。

現在 東京都豊島区池袋 サンシャイン通り

「全く、部長も課長も無理言いますよ。こんな人ごみで対象を尾行し、接触する人物を撮影しろだなんて。
さらに接触した人物まで尾行しろって言うじゃないですか。
堀田代議士一人でも僕たちだけじゃあ、大変だってのに、それを・・・」
藤井の愚痴は止まらない。
「大体、部長はお前たちは優秀だとか言って・・・」
「・・・お前、さっきから愚痴しか言ってねえな。」
相馬にそういわれると藤井は閉口した。

対象=堀田代議士は一人、若者などでごった返しているサンシャイン通りを東急ハンズに向かって歩いている。
途中、何度か人ごみで見失いそうになるが、なんとかそれは免れていた。
「しかし、大丈夫なんですかねえ・・・?」
藤井が愚痴以外のことを言い始めた。
「何がだ・・・。」
「いや、だって堀田代議士は超有名人じゃないですか?世論の95%が有事立法改正
に賛成の中、政府が出す改正案に悉く反対して・・・で、国会でのその様子は
逐一中継されているし・・・。
それを見てる国民はみんな堀田代議士に並々ならぬ反感を抱いてると思うんですよ。
それなのに、護衛もつけずにたった一人でこの人ごみの中歩くなんて・・・。
いくら変装しているとはいえ、ばれたら誰かに襲われても
おかしくないじゃないですか・・・。普通、そう考えますよね。」
藤井の言うことにも一理ある。だが・・・
「そうまでしても、会わなきゃいけない相手なんだろうな。これから、会う奴は・・・。」

相馬は時計を見た。
午後2時45分を指していた。
262kuro:02/03/05 20:42
東京都豊島区 東急ハンズ前 

午後2時55分。
堀田代議士はサンシャインシティ入り口の隣にある東急ハンズの前に
一人立っていた。相変わらずの人ごみ。
この暑さのせいで街にいる人々の服装は皆、薄着だ。
その中で、サングラスと帽子で変装している堀田代議士は明らかに浮いていた。
相馬には変装が返ってあだになっているように思えた。

相馬と藤井は、東急ハンズの向かいにあるビルの3階の喫茶店にいた。
堀田代議士の様子が伺えるように窓際の席に陣取る。
窓に沿って二人用の小さな席が並んでいたが、相馬と藤井は一緒の席には座らずに、
隣同士の席に背中合わせになるように座った。
丁度、観葉植物があり、向こうからはこちらの様子は見えにくい。
だが、例によって、視線はあまり堀田代議士には投げない。
多少離れたところにいるとはいえ、凝視すると気付かれる恐れがある。

あらかじめ、相馬は見張り役、藤井は撮影役と決めておいた。
撮影役の藤井は朝日から借り受けたデジタルカメラとノートパソコンを
ブリーフケースから取り出した。
パソコンを立ち上げ、携帯電話を繋げる。
そして、USBケーブルでデジタルカメラも繋げる。
接触する人物を撮影したら、すぐにメールを送れるように
メーラーは立ち上げておき、宛先の欄には朝日のパソコンのメールアドレスを
入れておいた。
更に藤井は自分のひざの上にブリーフケースを置き、
その上にデジタルカメラを乗せた。
その状態から、デジタルカメラのウィンドウを見ながら、
堀田代議士の周辺にピントを合わせた。
それが終わると、レンズは隠れないようにスーツのジャケットをかぶせた。
あとはシャッターを押すだけだ。

現在、丁度午後3時。
堀田代議士に接触する人物はまだ現れない。
263名無し三等兵:02/03/08 09:13
応援上げ
264椿30郎:02/03/10 10:48
>>222
ドアを開け、中に入った瞬間、ヴァシレフスキーは内心抱いていた最悪の可能性が裏付けられた
ことを悟った。
部屋の中−宴会場として用いられていた大広間は、どう贔屓目に見ても軍隊に必要とされる
秩序と団結と規律からはひどくかけ離れた全てに支配されていた。
立食パーティならば、50人くらいが収容できそうなその大広間には、きつい体臭や煙草、そして
酒の匂いに満ち満ちており、テーブルといわず床といわず、かつては兵士であった人間が
あるものはだらしなく寝そべり、あるものはビールを壜ごとあおり、そしてあるものは座り込んだまま
何がおかしいのか天井を見上げたままげらげら笑いつづけている。
そして、何よりも驚くべきことに、闖入者であるはずのヴァシレフスキーに、誰も注意を払わなかった。
そこにいたものは、ヴァシレフスキーの方をちらと見やっただけで、彼が丸腰であることを確認すると、
何も言わずにまたそれぞれの行為に没頭していた。
なかば覚悟を決めていたとはいえ、さすがに現実を見せ付けられては、ヴァシレフスキーも黙り込む
ほかなかった。
何をどうすべきか、それもわからないまま部屋の中に進み出ようとしたとき、不意にはっきりとした声が
ヴァシレフスキーに投げつけられた。
「お久しぶりですな、少佐殿!」
265名無し三等兵:02/03/11 13:58
浮上
266竜一:02/03/11 17:32
2001年08月17日 0110時:札幌市 北海道庁 ロシア叛乱軍西部作戦区司令部

 ロシア叛乱軍西部作戦区は混乱の極みに達していた。
 日米両軍による反攻が始まったことが原因のひとつだったが、
他にもうひとつ重要な原因があった。
 西部作戦区の指揮を取っていたユーリ・ガガーモフ参謀長の失踪である。
 軍参謀の少佐が、敵の攻撃が始まったことを参謀長に報告するために、
宿舎に指定されたホテルの1室に駆けこんだが、そこには誰もいなかった。
 一瞬、自分が見ている光景の意味が理解できなかった少佐だったが、
ただちに参謀長の所在を確認した。
 だが、参謀長がどこにいるのか誰も知らなかった。
 最後に参謀長の姿を目撃した者は、ホテルの入り口で歩哨をしていた兵長だった。
 彼は参謀長に対して「こんな夜中に何処へ行くのですか」と尋ねた。
それに対して参謀長は「前線を抜き打ち視察する」と答えたという。
 参謀長を捧げ筒で見送った兵長だったが、参謀長の後に続く副官がやたら多くの
荷物を持っていることに疑問を感じた。だが、上官を制止するわけにもいかないので、
そのまま見送ったという。
 それが攻撃の始まるわずか20分前。23時40分頃だったというのだ。
267竜一:02/03/11 17:33
 ともかく、最高指揮官不在という状況に置かれた指令部付きの将校たちは、
司令官代理を早急に選出しなければならなかった。
 だが、作業は難航した。
 西部作戦区副司令の地位にあった少将は、千歳方面の状況を視察するために
移動していたところを、ゲリラに襲撃されて負傷した。
 怪我の状態が思ったよりも酷かったため、今は病院の集中治療室で治療を受けている。
とても職務を遂行できる状態にない。
 では次席参謀を繰り上げればよいという話になるが、これも難しい問題なのだ。
 実は、西部作戦区に配属された将官たちは非常に拮抗した実力の持ち主ばかりで、
誰が司令官代理になっても不平不満が爆発しそうなのだ。
 そんな組織でも問題なく戦えたのは、失踪したガガーモフ参謀長の指導力による
ところが大きい。彼は部下の誰かが突出することを意図的に避けていた。
そして、互いに対抗意識を持たせることによって、より能力を発揮できる様に
仕向けていた。
 つまり、トップが異様に力を持っているが、部下はドングリの背比べという
組織なのだ。
 組織をまとめる強力な指導者を失った今、西部作戦区は崩壊の危機に直面していた。
268竜一:02/03/11 17:34
 参謀長失踪という非常自体を受けて、今後の対応を検討していた参謀たちのもとに、
ひとりの通信兵が駆けこんでくる。
『マカショフ少将閣下よりガガーモフ参謀長閣下と話がしたいとの要請がありました』
 参謀たちの顔が青ざめる。
 参謀長失踪という情報を外に漏らすわけにはいかない。
『参謀長閣下はいま席を外しているからしばらく待って欲しいと言っておけ』
 扉の近くにいた少佐がそう命令する。
 敬礼して立ち去る通信兵の背中を見ながら、これでは時間稼ぎにもならないなと思う。
とにかく、対応策を考えるための時間が欲しかった。
『どうする?』
 次席参謀を務めている少将が不安げに尋ねる。
『どうするも何も、真実を言うしかないでしょう。次席参謀殿!』
 少佐の階級章を付けた男が、少将を一喝する。本来なら許されざる行為だが、
周囲の誰もそれを咎めなかった。参謀たちを率先して率いねばならない次席参謀は、
非常事態にもかかわらず思考停止の状態だ。そのため、このわずか数時間の間に、
次席参謀はそれまで築きあげてきた信頼を完全に打ち崩していた。
269竜一:02/03/11 17:35
『だが、参謀長が逃げ出したと知れたら、全軍の士気が崩壊しかねん』
『まだ参謀長が逃亡したと決まったわけではありません』
 ガガーモフ参謀長の信頼がもっとも厚かった別の少佐が、次席参謀の発言を
それとなく訂正する。周囲の参謀連中からしてみれば、参謀長の飼い犬が主人を
弁護するために吠えているとしか見えない。
 もっとも、今では飼い主に捨てられた犬という評価のほうが妥当だろう。
それでも主人を擁護するのは、捨てられたという自覚が無いのか、
それともよほど躾のよい犬だったということか。
『とにかく、どうするのだ!』
 次席参謀のヒステリー気味な叫びが、部屋の中に響き渡る。
 だが、誰もそれに答えようとしない。
 沈黙が部屋を支配する。
270竜一:02/03/11 17:36
『取り繕うしかあるまい』
 沈黙を破ったのは、これまで発言を一切控えていたウシャコフ中佐だ。
参謀たちの中でもかなりの変り種で、正面からではなく斜めからものを見るような
感性の持ち主だ。
 西部作戦区の参謀部は、ガガーモフ参謀長の指示を忠実にこなすことが
求められていた。自分で考え、決断する能力よりも、より主人に忠実であることが
良い参謀の条件となっていた。
 その点、ウシャコフ中佐は異端者だった。他の参謀がなかなか自分の意見を
言わないなかで、彼だけがガガーモフ参謀長の立案した作戦の欠点を指摘したこともある。
 ガガーモフ参謀長はそれが面白くなかったらしく、ウシャコフ中佐を嫌悪していた。
一方でウシャコフ中佐もガガーモフ参謀長を嫌っていたようであるから、
これはお互い様かもしれない。
『取り繕う?』
 次席参謀の嫌悪感をあらわにした視線を正面から受けながら、中佐が答える。
『参謀長閣下は前線視察に出たまま連絡途絶中。現在その安否を確認すべく
総力をあげて捜索中とでもしておけばいい。その間は我々が参謀長閣下の職務を
すべて代行するとすれば、自然な処置だろう?』
『…なるほど。中佐、いい案だ』
 次席参謀がしきりにうなずく。
 他の参謀たちも概ね同意しているようだ。
271竜一:02/03/11 17:37
『ところで、誰が少将閣下の電話に応対するのですか?』
 参謀長の飼い犬が、一同の淡い安心感を吹き飛ばすような発言をした。
『先程からお待たせしたままですが』
 参謀たちが、互いの顔を見渡す。
 できれば引き受けたくない仕事だった。参謀長不在の理由をはぐらかし、
追求をかわしつつ要求を聞かねばならない。
 そのため、率先して引き受けようとするものは誰もいない。
『それは発案者が一番だろう』
 残された参謀の中でもっとも階級が高く、もっとも高い職務をあてられているはずの
次席参謀がそう提案する。どうやら思考停止の他に、責任放棄も付け加わったらしい。
『そうですな、我々では問い詰められたときにボロがでるかもしれません』
『決定ですな』
 だが、周囲の参謀たちも、嫌な仕事を誰がやるか決まりかけているのを
止めるつもりはないようだ。
 結局、ウシャコフ中佐がマカショフ少将の応対をすることになった。
『では、頼むぞ。中佐!』
 次席参謀や他の参謀たちのにやにや笑いに見送られながら、中佐が電話に出るべく
部屋を後にする。
272竜一:02/03/11 17:39
 廊下を歩きながら、中佐は不快感に包まれていた。
 嫌な仕事を押し付けられたことにではなく、誰も自分の職務を遂行しようとしない
現実にである。
 参謀長の疑問符つきの前線視察のおかげで、強力なリーダーシップに率いられた組織が
そのリーダーを失うとどうなるかをまざまざと見せつけられた。
『まったく、糞どもが』
 中佐のその呟きは、誰に向けられたものだろうか。
273竜一:02/03/11 17:45
大変ご無沙汰してました。竜一でございます。

新しい執筆者も加わっていい感じになってきましたね。

自分も隅っこのほうで邪魔にならない程度に書いていきます。

それでは。
274名無し三等兵:02/03/13 11:31
おうえーんあげ
275名無し三等兵:02/03/14 22:24
ageです。
276kuro:02/03/15 18:13
262からの続きです。都内某所

都内のとあるマンションの一室。
一人の女が電話で話している。
女は連日の猛暑ですっかりすっかり食欲をなくしてしまい、最近少し痩せ気味になって来た。
しかし彼女はいいダイエットになった、と気にも止めていないようだった。
電話の相手は彼女の友人だろうか?
とりとめも無い話が一時間は続いている。

「・・・そう、そうなのよ。最近、物が食べられなくて。拒食症?そんなんじゃないわよ。ただの夏バテ。
え?・・・へ〜、そうなんだ・・・。仕事?そうねえ・・・まあ、普通かな・・・。
あの人の事?相変わらず、あいつにご執心でね・・・。あたしの方は見てもくれないわ・・・。
でも・・・私の方に振り向いてくれるのも、時間の問題よ。・・・あいつ・・・ちょっとできるからって・・・いい気になって・・・。
あのくらいしてやってほうがいいのよ。余所者がいい気になって・・・。あ、そういえば、今日・・・そろそろかしら・・・。
あ、ごめん・・・こっちの話・・・。うん、で、なんだっけ?あ、そうそう・・・」

女の電話はしばらく続きそうだ。


277kuro:02/03/15 18:23
再び 東京都豊島区 東急ハンズ前 午後3時15分。
藤井が背中合わせの相馬に尋ねる。

「まだ、現れませんか・・・?」
「まだだ・・・。」

撮影役の藤井は堀田代議士の方には一切視線を投げずに、パソコンの画面を見ている。
見張り役の相馬は新聞を読むフリをしながら、堀田代議士の様子を伺う。
露骨な視線は投げていない。

「朝鮮人は時間にルーズなんすかね・・・。」
「そんな話は聞いたこと無いな・・・。」
「ピントがずれないようにこの体制を維持するのも辛いですよ・・・。段々足がしびれて・・・。」
「まぁた、愚痴か・・・。」
「すいません・・・。それにしても・・・ウチ、堀田代議士をマークするの遅すぎたんじゃないですか?」
「・・・そうだな。」
「堀田代議士が危険人物であることは一目瞭然です。何で今までマークしなかったんだろう?」
「戦争が始まる以前からマークするべき人物だろうな・・・。」

相馬と藤井は上のやり方に不満を抱いていた。
堀田代議士は戦争中であろうとなかろうと、常にマークするべき人物ではないのか・・・?
やっとこうしてマークする事になったが、いくらなんでも遅すぎやしないだろうか?
相馬と藤井は常々そう思っていたが、今までその命令が下ることは無かった。
相馬は堀田代議士の調査を提案した事があったが、出雲に他にやってもらう事があると言われ、却下された。
それから、他の第二課の者が堀田代議士の調査をしたという話は聞いた事が無いのだが・・・。
二人がそれぞれの思いをめぐらせている時、遂にその時が訪れた。


278kuro:02/03/15 18:25
「藤井、来たぞ。対象に近づく男がいる。」

そういわれた瞬間、藤井にも緊張の糸が張り詰めた。
藤井はシャッターに指をかけた。

男は堀田代議士が歩いてきた方向とは逆の方向から来た。
国道254号線があり、アムラックスがある方向だ。
その男は段々堀田代議士との距離を縮めていく。
相馬が見た限りでは、男が朝鮮人なのかは外見だけでは判断しかねる。
日本人かも知れない。
8月18日午後3時17分。
男は堀田代議士と接触した。

「撮りますか?」
「まだだ。正面を向いていない。正面を向いてからだ。」

確かにこちらからは横顔しか伺えない。
これでは撮影しても人相がはっきりしないだろう。
二人で何か話をしている。
勿論、ここからは話の内容を窺い知る事は出来ない。
しばらくすると、二人の口元が動かなくなった。
話終えたようだ。
相馬がそう思った時、男が堀田代議士に何かを渡した。
小さなスーツケースだった。

「・・・何だ?」

当然、中身は分かるわけも無い。
その瞬間、男が正面を向いた。
279kuro:02/03/15 18:25
「今だ!!藤井!!」

藤井がシャッターかけていた指に力を入れた。
すぐさま、今撮ったばかりの写真を添付して朝日に送信した。

男と堀田代議士はすぐに別れた。
男は来た道を戻るようにして歩き始めた。
堀田代議士は男と逆の方、つまり堀田代議士も来た道を戻るようである。
夕方が近づいてきて、ますます人が増えたようだ。
相馬は舌打ちした。

「まずい。」

このままでは、二人とも人ごみに紛れてしまう。

「俺は接触した男のほうを尾ける。お前はそれを片付けたら、
堀田代議士の方を頼む。まだ間に合うぞ、急げ!!」

相馬はそういうとレジに1000円札を置いて、喫茶店を出て行った。
藤井も急いでデジタルカメラとノートパソコンをブリーフケースにしまい、喫茶店を出た。
280名無し三等兵:02/03/15 21:08
応援age
281椿30郎:02/03/16 16:36
>>264
ヴァシレフスキーは、反射的に声のした方向をみやった。
彼から見て左端、演壇の上にすえつけられたソファにどっかりと腰をおろした
男が、彼を見下ろしていた。
その顔を見た瞬間、ヴァシレフスキーの顔がわずかにひきつる。
「君は・・・・・・」
「おや、まるで死人にでもあったかのような顔色ですな、少佐殿?」
その男はサングラスをかけ、髪と髭もかなり伸びていた。
だが、ヴァシレフスキーには彼が誰であるかほんの一目でわかった。
もっともそのころは髭をきちんと剃り、髪型も五厘がりに近かったが。
「少尉、いや、アレクセイ。君は死んだはずではなかったのか?」

"少尉"−かつて彼の腹心だったアレクセイ・イワノフ曹長は、にやりと笑って答えた。
「私も、半分死んだとおもいましたがね。あの時は」
282椿30郎:02/03/16 16:51
>>281
アレクセイとヴァシレフスキーは、極東シベリア共和国がまだロシアの一部であった頃、
否、ソヴィエト社会主義共和国連邦であったころからの仲だった。
出会いは、ウラディヴォストークの郊外にある基地にフルンゼをそれなりの成績で卒業
したヴァシレフスキーが赴任し、彼が所属することになっていた大隊のとある参謀と
業務上のちょっとしたことで意見を対立させたときである。
そのとき、先任下士官としてヴァシレフスキーにつけられたアレクセイは、は未だ経験に
乏しかったヴァシレフスキーの判断、その根幹を穏やかに否定し、何をどうすべきか、
懇切丁寧に"助言"した。
立腹しながらもそのヴァシレフスキーはその助言に従い、結果として組織内で立場をなくす
ことを割けることができた。
その後、いかなる人事上の偶然に基づくものかは定かではないが、彼らは2人でこれまで
ともにすごしてきた。
アフガニスタン、リトアニア、モスクワ、チェチェン・・・歴史に名を残すこともなく、ただ命令に
のみ従って各地を転戦し、そして常にさしたる損害を出すこともなく2人は生き延びてきた。
そして、シベリアが独立したとき、郷里がウスリースクの近くにあるというだけの理由で叛乱
軍に参加したヴァシレフスキーを、キエフで生まれたアレクセイが追いかけてきたのである。
「少佐殿にくっついていけば、まぁ少なくとも後悔しませんからね」
と言って。
283名無し三等兵:02/03/18 00:15
保守sage
284名無し三等兵:02/03/19 07:38
朝っぱらからage
285平成の辻ーン:02/03/19 11:50
社民党の辻元清美政審会長が昨年十一月、インターネットに
掲載されたインタビューで、北朝鮮による日本人拉致問題に
関連、「北朝鮮には(戦後)補償を何もしていないのだから、
そのことをセットにせず『九人、十人返せ』ばかり言っても
フェアじゃない」と発言していたことが十六日、明らかになった。
 辻元氏のインタビューは「カフェグローブ・ドット・コム」に
昨年十一月中旬、掲載された。
 この中で、辻元氏は北朝鮮という国家が拉致という罪を
犯している問題点を指摘しないまま、「拉致問題というのは、
これまでにも世界のいろいろなところで起きている」と提起した
うえで、拉致問題解決よりも北朝鮮との国交正常化を優先
させるべきだと主張。
 さらに、「国交正常化の中では、戦後補償が出るでしょう。
日本は、かつて朝鮮半島を植民地にして言葉まで奪ったことに
対して、北朝鮮には補償も何もしていないのだから、あたり
前の話」と述べている。
 日本の戦後補償と、北朝鮮当局による拉致を同列に論じる
姿勢は、拉致被害者の家族らから反発を受けそうだ。
286 :02/03/21 03:41
ほぜん
287 :02/03/23 21:05
保の字
288名無し三等兵:02/03/24 03:06
保全age
289茶飲みましーん:02/03/26 18:50
age
290名無し二等兵:02/03/29 13:02
age
291椿30郎:02/03/31 01:55
>>282
それまで、軍の背骨−ヴェテランの下士官兵にとってひそかな羨望の的であった
ヴァシレフスキーとアレクセイの"功績"に初めて影がさしたのが、ホッカイドウ上陸
だった。
ホッカイドウに上陸した当初はこれといって問題もなく、いつものとおりにほどほどの
戦果をあげ、平均値からいえば微小ともいえる損害でその場その場を切り抜けては
いたものの、ある日を境にアメリカが牙をむき、そのもてる力を目一杯シベリア軍に叩き
つけてきたのだ。
ヴァシレフスキーの指揮する大隊が、突然勢いづいたジエイタイの鼻柱をへし折るべく
道南部に移動する途中、翼に控えめな国籍識別表示をステンシルしたジェット機が
雲霞のごとく襲い掛かり、彼の大隊を細切れにしてしまった。
ただ一撃で大隊は戦力の30%を失い、大隊本部が乗り込んでいた車輌も、その大半が
燃え殻と化してしまったが、ヴァシレフスキーにとってなによりも痛かったのがアレクセイ
の行方不明であった。
これ以降、まるで何かが抜け落ちてしまったかのようにヴァシレフスキーの部隊は苦戦を
続け、撤退の末にどうにか道北の友軍と合流したときは、1個中隊と言い張ることもどうか
とおもわれるほどにやせ細ってしまった。

そして、再起を図るために移動していたときに、何度目かになる空爆を受け、彼の大隊は
字義どおり地上から消滅する。
その後は・・・・・。
「アレクセイ、君がいなくなってから、私も不運続きだったよ」
ヴァシレフスキーは静かな声でいった。
「何度もアメリカ人にしてやられ、気がついたらパルチザンの捕虜になってしまった」
292椿30郎:02/03/31 02:18
>>291
「ほう」
答えたアレクセイの口調は、まったく抑揚を欠いていた。
「それはそれは。"幸運のニコライ"もさすがに本気のアメリカ相手には、
ということですかな?」
アレクセイは馬鹿にしたような声音で言い足すと、煙草に火をつけた。
「かも知れないな。いわば年貢の納め時というやつだよ」
ヴァシレフスキーはふてぶてしく煙を吐き出すアレクセイの顔をじっと見つめていた。
アレクセイの吸っている煙草がマールボロライト・メンソールであることに気づき、
彼のような男にはふさわしくない煙草だな、と場違いなことを頭の片隅で考える。
「何事にも終わりはある。私はいつまでも幸運を呼ぶ男ではなかったということさ。それは
わかっていた」
ヴァシレフスキーはそこでいったん言葉を区切った。
「わからないのは、どうして君がこんなところで匪賊の真似事をしてるかということなんだが」
293海の人:02/03/31 09:10
>291-292
 椿さん、相変わらず楽しみにしてまっせ〜(笑)
 そのうち誰かにイラストつけてもらってウェブでまとめましょうね:-)
294名無し三等兵:02/03/31 19:51
>293
できれば自営業氏キボンぬ!っていくらなんでも無理か…
295名無し三等兵:02/04/05 01:02
age
296名無し三等兵:02/04/07 21:58
保全age
297名無し三等兵:02/04/10 23:45
新作キボンヌage
298椿30郎:02/04/14 00:10
>>292
「意外ですか?」
アレクセイは表情を消して尋ねた。
ヴァシレフスキーは何も言わず、アレクセイが言葉を続けるのを待った。
そのまま、しばらくの間沈黙が落ちる。
2人の間に流れる空気の重さは、乱痴気騒ぎを続けていた連中にもわかったらしく、一人、また一人と
それぞれの手を止めて2人のほうに視線を向けた。
5分ほど過ぎたところで、いつのまにかひっそりと静まりかえった大広間を見渡しながら、アレクセイが
ゆっくりと口を開いた。
「あの爆撃の後、気がついたら私はたった一人街道脇に放り出されてました」
アレクセイの口調には苦い何かが混じっていた。

最初は、何が起こったのかさっぱりわかりませんでしたね。
その直前まで、私達は今回もまぁそれほど苦労することなく勝てるだろうと踏んでましたから。
でも、街道には私達の部隊が細切れになって散らばってるじゃありませんか。
ああ、これはきっとアメリカ人が本気をだしてきたってことなんだと理解するのに、
しばらく時間がかかりました。
しかし、いつまでも呆然とはしていられない。
とにかく、部隊が全滅-ああ、そのときはそう思い込んでしまってたんですよ-したことを上級司令部
に報告しなくちゃならない。そう思って、連絡をつけようと歩き回ることにしたんですな。
するとどうなったとおもいます?
いきなり憲兵にとっつかまって、その場で略式軍事裁判ですよ。
まったく、連中にとっちゃ事実なんてどうでもいいんですね。
もちろん、判決は銃殺ですよ。
後手錠で電柱に縛られて、後は号令を待つばかりってことになっちまいましてね。
で、こりゃもうだめだ、と絶望してたところに、彼らに助けられたんですよ。
299椿30郎:02/04/14 00:21
>>298
「だいぶはしょってしまいましたけど、こんな説明で十分ですかね」
アレクセイはそこで言葉を切った。
「十分だよ」
ヴァシレフスキーは肩をすくめた。
「君は、古参下士官として十分に義務を果たした。だが、祖国の、たぶん一部に過ぎないんだ
ろうけど、とにかく祖国はその努力を理解しないばかりか君を裏切り者呼ばわりした。
だから君は自分の欲するままに生きようとした。こういうことかな?」
「まぁそんなところです。ですが」
「何だ」
アレクセイは、そこで初めて悔しそうな表情を浮かべた。
「まさかあなたが生きているとはおもってもみなかった。それがわかってれば、たぶん・・・・・・」
「素直に汚名を甘受するか、義務を果たしつづけていたか、か」
「ええ」
アレクセイは、まっすぐにヴァシレフスキーを見つめた。
その表情はまったく平板なものではあったが、ヴァシレフスキーには彼が何をいいだそうとしているのか
おおむね予測はついていた。
「少佐殿。提案があります」
「匪賊の仲間入り、ならお断りだ」
ヴァシレフスキーはあっさりと言い放った。
アレクセイは傷ついたような顔つきになり、なおも言い募ろうとした。
それを遮り、ヴァシレフスキーはたたきつけるように言葉を続ける。
「おそらく、このまま戻っても私の未来は明るいものではないだろう。たぶん、よくて捕虜か悪ければ銃殺だ。
それはわかっている。だが、私は自分の欲望にのみ忠実に生きるなどということは考えたこともないし
これからもそのつもりだ」
ヴァシレフスキーは、怒りにも似た色を双眸に浮かべ、宴会場の隅にうずくまっている日本人女性を
指し示した。
「私の受けた教育では、非戦闘員をこのように扱うなどと言うことは許されない。
たとえ君がなしたことであってもだ」
300椿30郎:02/04/14 00:35
>>299
「何だと!」
敗残兵の一人が怒声をあげ、小銃をヴァシレフスキーに向けようとした。
「やめろ、まだ話の途中だ!」
アレクセイはその敗残兵を一喝し、ヴァシレフスキーに再び向き直った。
「少佐殿、私は、いや、私だけじゃなくてあのとき貴方を知っていた下士官兵はみんなあなたの
ことを高く評価してたんです。
威張り散らすことを権威の発露と誤解している馬鹿どもとちがい、責任と実行の2つを誰よりも
よく理解していたって。
貴方は自分の功績ではなく、いつも最小の損害でそれなりの戦果を上げることにのみ腐心していた。
だから、これまであなたに従ってきた兵はみんな貴方のことを慕ってるんです。
そんな貴方が言ってみれば不可抗力で銃殺にされるなんてのは、どうあっても我慢できない。
お願いです。今は屈辱かもしれませんが、生きていればそのうち」
「もういいんだ、アレクセイ」
ヴァシレフスキーは静かな声に戻っていた。
「たとえ君達の仲間入りをしたところで、私はそうながくも生きておれない。
士官として、いや、人間として大事な何かを捨ててしまった状態で生き延びたところで、たぶん
私は私を許せなくなるだろうからね」
「・・・・・・・・」
「私はこれから原隊に復帰するよう努力する。その後どうなるかは神のみぞ知るだが、
君達のことは報告しないつもりだ」
「少佐・・・・・・・・・」
「本当ならどうかとおもわれるんだが、それが君の示してくれた忠誠に答えられる最後の機会だろう。
だから、君達は君達の信じるようにやれ。ただし」
「なんです?」
「非戦闘員はもう2度と巻き込むな。それだけはやめろ」
周囲は、水を打ったように静まり返っていた。
やがて、アレクセイが大きく頷き、何か言おうと口を開きかけた。
「少佐殿、わかりまし」

そのとき、かすかな物音をヴァシレフスキーは耳にとらえた。
何か重いものが倒れる音。
水分の詰まった袋を地面に打ちつけるような鈍い音を。
301名無し三等兵:02/04/15 22:15
来た来た来たーっ!!!!!!続き来たー!!
302椿30郎:02/04/20 22:26
>>300
ガタン。

なにか家具をひっくり返すような音がついで発生し、それに被さるようにして
またあの鈍い音がした。
そして、それっきり階下からは何の物音もしなくなった。
彼らだ・・・・・!
ヴァシレフスキーは、自分の顔が瞬時硬直したのがわかった。
あのパルチザン4人だ。
オフィスビルを出て行くとき何事か喋っていたが、あれは逃げ出すための算段ではなかったのだ。
となれば、ここに来るのも時間の問題。
おそらく、一階ロビーの見張りは2人ともくたばってしまっただろう。

ヴァシレフスキーは、アレクセイに警告すべく口を開きかけた。
だが、先に言葉を発したのはアレクセイのほうだった。
「少佐殿、あんた裏切ったのか?」
その表情は、先ほどとは打って変わって酷薄なものになり、目は糸のように細められていた。
「違う、誤解だ!」
ヴァシレフスキーは叫び、腕を振り上げた。
「私を拘束したパルチザンが戻ってきたのだ。早く兵を配置に」
「そいつらにここを教えたのが少佐殿ってわけか。で、向こうの準備ができるまで時間稼ぎってか?」
「・・・・・・!」
ヴァシレフスキーは思わず周囲を見回した。
廻りの敗残兵は、状況の変化、その意味を把握できず、ただ2人のやり取りを呆然と見守っているだけだった。
おそらく、階下の物音に気づいたのは彼ら2人だけだったのだろう。
その鈍さにいらだったのか、アレクセイは大声で命じた。
「敵だ!どうやら少佐殿が手引きしたらしい」
303椿30郎:02/04/20 23:03
>>302
その言葉に、大広間の空気は一瞬にして張り詰めた。
アレクセイは、彼らをギロリと睨みつけつつ矢継ぎ早に命令を下す。
「ドミトリィ、5人連れてロビーにいけ!」
ドミトリィと呼ばれた敗残兵−ヴァシレフスキーをここまで案内した男だ−は素早く反応し、
手近にいた5人に何事か声をかけて大広間を出て行った。
「リュシコフ、少佐を拘束しろ。残りは警戒に当たれ!」
ヴァシレフスキーから一番近いところにいた大柄な敗残兵は、先ほどまでの怠慢が嘘のような
様子でヴァシレフスキーに銃口を向けた。
その表情は硬く引きつっており、何かあれば躊躇なく引き金を引けるだけの決意を余すところなく
ヴァシレフスキーに伝えていた。

だめだ、何を言っても聞く耳をもたないだろう。
ヴァシレフスキーは覚悟をきめた。
だが、このまま彼らの言いなりになるつもりもなかった。
せめて、あの日本人女性たちだけでもなんとか。

視線を上下させ、リュシコフや他の敗残兵との位置関係を把握する。
リュシコフとの距離はおおむね2メートル。
ヴァシレフスキーが部屋の中央に位置し、そこからみて左半分にいた敗残兵はみな
ドミトリィとともに出払った。
右半分に散らばる敗残兵数名は、いずれもヴァシレフスキーからかなりはなれており、
すぐに飛びかかれるところにはいない。
たとえて言うなら、ヴァシレフスキーとリュシコフを遠巻きにした格好で扇形に広がっている。
となれば、扇で言う要の位置にいるリュシコフを盾にとれば・・・・・!

ヴァシレフスキーは、大げさに肩を落とし、嘆いて見せた。
「まったく、アレクセイ。私が裏切るとでもおもっているのか?」
アレクセイは何もいわず、リュシコフに向かって顎をしゃくった。
リュシコフはその仕草に勢いづいたかのように、大股でアレクセイ目掛けて歩み寄る。
ヴァシレフスキーはリュシコフを無視するかのように、アレクセイに語りかけた。
「まあ聞け、アレクセイ」
「黙れ!」
そう叫んだのはリュシコフだった。
そのまま、ヴァシレフスキーを殴り倒そうと小銃を高く振りかざす。
304海の人:02/04/21 08:56
 ヴァシレフスキーの「レジスタンス」という認識が笑えました、ガンマン・流れ者
右翼、3バカトリオなのに(^_^;
 これは望むと望まざるとに関わらず、ヴァシレフスキーは3バカトリオ仲間いり
なんでしょうか(笑)
305FAKER:02/04/21 20:03
>>219

橘は顔を上げ自機を追い越して行くミサイルの航跡を見つめた。
銀色に見える航跡を引いたアムラームはすぐに見えなくなった。
HUDには命中までの時間が表示され、カウントして行く。
と後席の藤元が叫ぶ。
「敵機ミサイル発射!!2発!!向こうもレーダー誘導です!!」
その声と同じにレーダー警戒装置が別の警報を発する。
操縦桿を倒しながら橘は指示を出す。
「02、ブレーク・レフト!!」
2機のイーグルは翼からベーパーを引き旋回する。
「チャフ!チャフ放出!!」
旋回で声が押しつぶされている藤元がキャノピーレールに取りつけられている
スティックのチャフ放出ボタンを押しチャフを放出させた。
(ミサイルは?誘導しているか?)橘は6G旋回の荷重に耐えながらカウントを
確認した。
現在アムラームは順調に誘導されている。教導隊がアムラーム改修機を運用している
事と性能に感謝した。
カウントは順調にゼロを目指しカウントしている。

(当たれ、当たれ、当たれ・・・)
藤元は右手でチャフ放出ボタンを押し、左手でハンドレールを掴み肩越しに
後ろを振り返った。
旋回Gの為に視野が狭窄していき、締め付けた筈の酸素マスクがずり落ちようとする。
顎に力を入れ、それに耐えながら藤元は自分達に向かって放たれたミサイルの航跡を見た。
白い航跡は後方、チャフに幻惑されあさっての方向へ向かっていった。
藤元の顔に安堵の表情が浮かぶ。
「デュークさん!失中です!回避成功!!」
306バーナー保守員:02/04/24 21:38
保守
307名無し三等兵:02/04/24 23:29
戦え、日本!!!
308バーナー保守員:02/04/28 23:24
保守
309名無し三等兵:02/05/01 01:48
補給物資到着
310椿30郎:02/05/02 02:57
>>303
ぶん。

銃床が、うなりをあげてヴァシレフスキーに襲い掛かった。
ヴァシレフスキーはとっさに床をけり、リュシコフの懐めがけてダイヴし、まともにくらえば間違いなく
脳震盪、運が悪ければ死をもたらしかねないその一撃をぎりぎりの間合いでかわす。
「!」
直前まで意図的にリュシコフを無視する態度をとっていたせいで、まさか反撃に打って出るとは
おもわなかったのだろうか、リュシコフは体ごと飛び込んできたヴァシレフスキーをさばききれず、
まともに受け止める格好になってしまった。
「この・・・・・!」
リュシコフは、あわてて手にしていたシモノフ・カービンをもちかえ、捧げ筒のように銃を垂直にした。
そのまま、ヴァシレフスキーの頭部に銃床をたたきこもうと腕に力をこめる。
「くたばれ!」
そのとき、眼下にいたヴァシレフスキーの姿が、いきなりはじけ飛んだ。
ほぼ同時に、リュシコフの耳にこもったような銃声が飛び込んでくる。
リュシコフは、反射的に銃声の発生した方角を見た。
そこには、いつのまにかソファから立ち上がったアレクセイが、硝煙のたなびくマカロフを手に
傲然とたたずんでいた。
「往生際が悪いぜ、少佐」
アレクセイは、唇をへの字に歪め、冷たくはき捨てた。
そしてマカロフを小さく振り、リュシコフに命じる。
「早く拘束しろ。まだ息はあるはずだ」
リュシコフは、あわててヴァシレフスキーのほうを見た。
どうやらマカロフの弾頭は致命傷ではなく、ヴァシレフスキーの肩をえぐった程度らしい。
鮮血が滴り落ちる肩を押さえながら、上半身をわずかに起こして、ヴァシレフスキーはリュシコフを
いまだ衰えぬ眼光で睨み据えていた。

この調子じゃ、まだ油断はできねえな。
シモノフを構えなおしたリュシコフがそう思ったときだった。

何かに気づいたかのようにアレクセイが首を捻じ曲げ、驚愕の表情を浮かべた。
大声で警告とも怒号ともつかぬ叫びを発し、床に自ら倒れこむ。
次の瞬間、大通りに面した大広間の窓という窓が、一斉に砕け散った。
311椿30郎:02/05/02 03:23
えー、椿でございます。
ここ最近、仕事がどうにもこうにも末期的な様相を呈しておりまして、
字義どおり仕事の合間をぬってレスする以外何もできませんでした。
(オーデル川のほとりで、T-34のごとく次から次へと押し寄せる書類の山を迎え撃つ
国民突撃兵のごとき心境、と申し上げればおわかりいただけるでしょうか?)
幸い、GWに入る直前からはいくらか余裕も取れましたので、まずはご挨拶をば。

>竜一さん、FAKERさん、ふー。さん、kuroさん
どうもどうも。挨拶が今ごろになりまして大変恐縮です。
(この期に及んではじめまして、もないような気がしますが平にご容赦のほどを・・・)
ごらんのとおり、私のレスはまぁ言ってみればみなさんがレスして下さるまでの間、保守sageの
ようなものでして、とくに内容などは(自主規制)です。
ともあれ、スレそのものの完結までにはまだまだ時間がかかるようですので、あせらずマターリと
やっていきましょう・・・・。
>ジミーさん
展示会、とのことでしたが、その”戦果”はいかがでしたか?
こちらの続きも、首をながくしてお待ち申し上げております。
>海の人さん
いつもお気遣いありがとうございます。
これから、こちらの話も展開を早めていきたいなぁとおもっておりますが、果たして
どうなることか(笑)
>バーナー保守員さん
保守お疲れさまです。
私のレスも、まぁいってみれば長めの保守なので、協同して本スレの保守にあたりましょう・・・・。
312バーナー保守員:02/05/02 23:59
>>311
うぃ、むしゅう。
313バーナー保守員:02/05/04 13:03
保守
314椿30郎:02/05/05 22:02
>>310
大広間を出たドミトリィは、自らAK47を構え、壁に張り付いたまま音もなく前進を開始した。
後に続く格好になった5人は、2名が小銃を構えて援護し、3名がドミトリィから幾分距離を置いてそっと
彼を追随する。
息を殺して階段まで進んだドミトリィは、廊下に腹ばいになると、顔の半分だけをわずかに出して踊り場
を確かめた。

今のところ、階段の近辺に人の気配はしない。

ドミトリィは素早く身を起こし、視線を踊り場に貼り付けたまま左手をわずかに挙げ、数回振った。
後に続く足音を確認するのももどかしく、飛ぶように階段を駆け下り、踊り場の右端、鉄筋コンクリート製
の階段の手すりを遮蔽物にしながら一階の様子を探る。
5人は、10秒ほどでドミトリィの背後についた。
手近な2人を無言で指差したドミトリィは、一階の廊下、遮蔽物になりそうなガラクタを指差し、顎をしゃくる。
指名された2人は、露骨に嫌そうな顔をしながらも、それなりに素早い足取りで階段を駆け下り、一階廊下に
踊り出ると、遮蔽物に身を隠した。

ドミトリィが彼らの後に続こうと、階段を一歩踏み出したときである。
彼らがつい今しがたまでいた大広間から、いきなり轟音と怒声がとどろいた。
315椿30郎:02/05/05 23:39
>>314
「なに!」
ドミトリィは、一歩踏み出した姿勢のまま、暫時硬直してしまった。
歩兵として平均的な経験を積み上げてきた彼の理性は、そのような状態で安全を確保されていない
空間に身を晒すことがどれほど危険であるか絶叫していたが、余りにも唐突に発生したその音は、
ほんの一瞬だけ彼の動きをとめるには十分にすぎた。

それが彼にとって最大の、そして最期の失策となった。

ひゅっ。

空を切る鋭い音が、耳元に迫ってくる。
それが何か把握するコンマ数秒前に、その音をたてたものがドミトリィの首筋に突き刺さった。
「!」
首筋に異物感を感じ、ドミトリィは咄嗟にそこを押さえた。
指の隙間から、生暖かくぬめった液体が、存在しない蛇口を開放したかのような勢いであふれ出る。

・・・・・・・血、か・・・・・・?これは・・・・・・・・

ドミトリィの意識は、そこで途絶えた。
ゆっくりと前のめりに倒れ、全身をガクガク痙攣させながら階段を転がり落ちる。

ドミトリィ・カジンスキーの29年間、その短いとは言いかねる生涯は、硝煙をかぐこともなく、
一階フロアに転がり落ちた彼の屍、その傍らに乾いた音を立てて落下した小さなナイフによって
強制的に終了させられた。
316椿30郎:02/05/06 00:36
>>315
「ドミトリィ!」
一階ロビーの遮蔽物、そこにかくれていた一人が、慌てて身を乗り出した。
あるまじきことではあるが、けつまずいて転がり落ちたかと早合点してしまったのだ。
冷静に考えれば、後続が転がり落ちた程度で身を乗り出すことがどれほど危険か、
彼にもわかっていたはずではあった。
だが、彼は敗残兵として逃げ回る以前からドミトリィと肩を並べて闘っており、
ドミトリィには何度か命を助けられたこともあった。
半月ほど前、三度目に危ういところを助けられたとき、彼はドミトリィに誓っていた。
『この次おまえがヤバくなるようなことがあれば、必ずおまえを助ける。いつまでも借りを作りっぱなしにゃ
しておけないからな』
ドミトリィはわらって答えた。
『・・・・まずは自分が生き延びることを考えろ』
そのすぐ後、彼らはちょっとしたボタンのかけ違いから、かつての友軍にもジエイタイにも狙われる敗残兵
となってしまい、今や身を潜めて戦争の終わりを待つだけになってしまったものの、その誓いはいまだ彼の
中では生きつづけていた。
まってろ、ドミトリィ。今助けに。
彼がドミトリィの方を向いたとき、再びあの鋭い音が小さく鳴った。

とん。

ドミトリィの命を奪ったものと同じ大きさのナイフが、今度は彼の延髄を断ち切った。
彼は、自分に何が起こったのか理解する暇もなく、ドミトリィの後をおった。

ロビーをはさんだ反対側の遮蔽物に隠れていたもう一人は、彼が立ち上がりかけた姿勢から
ものも言わずくずおれたのをみて、一瞬にしてパニックに襲われた。
ドミトリィたちと違ってまともな実戦経験をもっていないもう一人は、無意味な絶叫をほとばしらせながら
ロビーに向けて小銃を乱射する。
曳光弾や跳弾の閃光が無秩序にロビーの中を彩るが、半分素人の悲しさ、一発も"敵"にあてることが
できなかった。

ひゅん。

その音は発砲音にかき消されて、まったくその敗残兵の耳には届かなかった。
だが、どことも知れぬ暗がりから放たれたナイフは、その敗残兵の喉笛を正確に射抜いた。

踊り場に残っていた3人は、ドミトリィたちが瞬く間に命を落とした現実を前に、いち早く事態を察した。
「だめだ、入り口は押さえられちまった!」
3人は、迷うことなく階段を駆け上がり、もときた道を全速力で逃げ帰っていった。

3人が走り去って言った直後、ロビーの暗がり、ソファの影から人影がゆらりと立ち上がった。
油断のない目つきで周りを見渡し、とりあえずの危険がないことを確認してから、右手を口元に当てる。
そして、小さな声で無線機に語りかけた。
「こちらはちまき、ロビーは押さえた。頼むぞ、シマダ」
317名無し三等兵:02/05/07 01:10
あげ
318名無し三等兵:02/05/08 13:31
age
319名無し三等兵:02/05/09 17:23
日本と比較する事は率直に言って困難です
作成者:サッカー行政改革
作成日:2002/05/06 00:40 (from:211.207.153.212)
日本は明らかな軍事大国です、たとえ愛国心が有るので認めるのはいやだと私たちが言おう

客観的な戦力や技術水準で見る時、確かに軍事大国です、その名の通りの技術集約型(ハイ
テク)
先進軍隊と言えるでしょう、わが国も将来的にはハイテク型に移行しようと準備中だが
なにしろ(日本は研究開発の)予算も多く投入されていてまた経済大国日本から拠出される
わが国と比べる事もできないような莫大な国防費予算を見ても
わが軍が日本と比べられるレベルではありません。
私たちはまだ在来式(旧式)軍隊ですよ、
そしてもし戦争が起こっても(日本に勝つためには)一般戦闘の10倍以上の被害を
甘受しなければならない上陸戦を(韓国軍が)行わなければならないし
その上陸作戦を支援する空軍力、海軍力、レーダー、ミサイル技術等全ての面で日本に劣りま
す。
上陸すらできずに海に沈む可能性も高いし、特殊部隊投入のゲリラ戦闘も難しい、というのも
日本は海に囲まれた島国であるためです。
更に補給と後方支援など様々な課題があり特殊戦を行うのも大変です
・・・とにかく日本は嫌いだが彼らの軍事力は切ないですが私たちなど問題ではありません。
320名無し三等兵:02/05/14 10:03
age
321名無し三等兵:02/05/15 00:23
保守
322名無し三等兵:02/05/16 15:00
保守
323名無し三等兵:02/05/18 22:56
>>319
これって何処からのコピペ?IPは勧告だけど。
324ふー。:02/05/20 22:28
大変ご無沙汰しております、ふーです。

2月に小説をここに載せてから、ちょっと色々ありまして、今浪人生活をしております。
ので、なかなか小説を書ける状態にありません。
報告が遅れまして、本当に申し訳ありませんでした。
できることなら、また機会があったら小説を載せていきたいと思っています。
では。
325海の人:02/05/20 23:49
>324
 まぁぼちぼちいきましょう:-)
326名無し三等兵:02/05/24 21:21
緊急浮上ーーーー!!!
327椿30郎:02/05/25 10:49
>>324
お久しぶりです。
色々大変そうですけど、まずはご自分のことを頑張ってください。
私も、ふー。さんと同じく浪人してました。もう10年くらい前ですが。
その経験から申し上げれば、まぁ何とかなるもんですよ。

というわけで、機会があれば掲載をお願いします。
ではでは。
328 ◆GDe69G3I :02/05/29 00:19
b
329名無し三等兵:02/06/01 23:24
高軌道へ上昇
330名無し三等兵:02/06/08 15:03
保守
331名無し三等兵:02/06/08 15:21
http://natto.2ch.net/test/read.cgi/off/1023516980




バーナー保守員関連のオフ会開催の話が持ち上がっています。ちなみに私は参加します。
332 :02/06/12 00:45
あげとくよ
保守sage

334名無し三等兵:02/06/15 12:18
緊急浮上!
335名無し三等兵:02/06/18 14:18
保守上げ
336名無し三等兵:02/06/21 18:20
337椿30郎:02/06/21 22:56
>>316
何度も足を取られ、ともすれば転びそうになりながらも、3人は狭くて急な階段を必死に駆け上がった。
もはや彼らの頭には大広間に戻ること、その1点しかなくなっており、本来の命令である一階ロビーの
確保はどこかに消し飛んでしまっていた。
「冗談じゃねぇや」
あえぎながら、先頭を走っていた一人が思わず口走っていた。
「畜生、冗談じゃねぇぞ。冗談じゃねぇぞ」
それは自分を取り巻くあらゆるものに対する呪詛だったのだろうか。
まったく断片的な言葉ではあったが、目の前で歴戦のヴェテランを含む仲間達を瞬時に失ったものにしてみれば
それ以外に言いようがなかったのだろう。
「もっと人手がいる。俺達だけでは」
呪詛に答えるように、彼に続いていた敗残兵が叫んだ。
だが、彼の意図は大広間のドアにたどり着いたところで打ち砕かれることとなった。
呪詛をはいていた敗残兵がドアノブに手をかける前にドアが音もなく開く。
そして、中から彼らの仲間がゆっくりとよろめくように出てきた。
中から出てきた仲間は、軍装の胸を赤黒い何かで彩っており、ドアにすがりつくようにして彼らを見上げ、
それから骨を抜かれたかのような唐突さで床にくず折れた。
仲間の背中には、拳ほどもある破孔が開いていた。
明らかに、胸から入った弾丸が背中に突き抜けたときにできた傷だった。

先ほど聞こえてきた轟音、それがもたらしたものはやはり大広間に残っていた者の死であったのだ。
338海の人●海の砒素:02/06/22 08:09
 きたっ:-)
339海の人●海の砒素:02/07/02 12:16 ID:???
 保守〜
340名無し三等兵:02/07/03 01:23 ID:K180jHwz
age
341名無し三等兵:02/07/04 23:37 ID:3UtD5JiA
あげ
342名無し三等兵:02/07/04 23:39 ID:WqJT0qs7
あげ
343名無し三等兵:02/07/04 23:43 ID:???
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ageだそうですよ
\__   _________
     ∨                 フフ・・・
    ∧_∧ モジモジ      〃ノノ^ヾ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ( *・∀・)           リ−` ル <  そうですね
   (つ<V>)  旦   旦.   ( V  ノ   \__________
   ( ̄__)__)  ̄| ̄ ̄ ̄| ̄  (_  ̄}0

(誰かネタかいてくれないかな)
                   (自分で書く気は無いのかこのガキは)
344名無し三等兵:02/07/17 23:28 ID:dOZcwrHm
あげ 

345名無し募集中:02/07/25 01:11 ID:???
 
346名無し三等兵:02/07/29 13:31 ID:txQes1J7
「いらっしゃい!」
経済危機により日本各地に乱立した闇市に
最近、軍関係の横流し品が目につく。。
自衛隊、米軍はもとより
ロシア、北朝鮮のモノまである。

アングラ経済は相当な規模になり
世界の軍オタの日本詣でがステイタスとなった今日だ。
347名無し三等兵:02/07/29 14:11 ID:VUc56c/m
その日ワシントンに10年以上潜伏していた北朝鮮工作員に
北朝鮮でロシア人技術者によって整備を行った
旧ソ連製スーツケース型核爆弾が届けられた。
命令はホワイトハウス破壊である。
348椿30郎:02/07/31 21:12 ID:???
>>337
状況の余りにも急な激変は、いまや3人の理性が許容できる範囲を超えようとしていた。
地上に通じる道は、ドミトリィをあっさり死に追いやった魔術師が塞ぎ、増援を求めようと
駆け込みかけた大広間は、おそらく仲間の屍で埋め尽くされている。
つまりは、逃げ場を失いかけたまま手も無く殺されようとしているのだ。
「ちきしょう、どうなってんだよ!」
最後尾にいた敗残兵が、涙で顔面をぐしゃぐしゃにしながら叫んだ。
敵には航空機も戦車も無いのに、こんなにも一方的に追い詰められて壊滅させられようとしている。
彼の吐いた叫びは余りにも陳腐ではあったが、それゆえに彼の思いを端的に表現していた。
「まだだ!」
先頭にいた敗残兵が、彼を押さえつけるような絶叫を上げ、通路の一角を示した。
そこにはそっけないスチール製のドアがあり、ドアの上には光を失った非常口の標識があった。

あそこから出るぞ!まだ敵の手が回っていないかもしれん!

誰も何も言わなかったが、考えることは同じだった。
3人が一塊になってドアに殺到し、先頭の敗残兵は銃を片手に持ちかえるのももどかしくドアを押し開ける。
さび付いたドアは、ほんのわずか抵抗するそぶりを見せたが、軋みをあげて力のままに勢いよく開いた。
349名無し三等兵:02/08/01 16:01 ID:???
太郎は森で、きたちょうんせんのへいたいさんと出会いました。
た「わぁ!きたちょうせんのへいたいさんだ。」
き「ていこくしゅぎしゃめ見つけたぞぉ!」
きたちょうせんのへいたいさんは太郎にてっぽうをうってきました。
バン!バン!バン!
た「うわぁ!にげろぉーー」
太郎は森のおくへにげました。でも、きたのへいたいさんはまだ追ってきます
き「にがさないぞぉ!まてぇーー!」
にげているあいだに太郎はいいアイデアを思いつきました。
た「よぉーし!トンチであいつをやっつけてやる!」

                         続く


350名無し三等兵:02/08/01 17:18 ID:2lELR6dh
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ageだそうですよ
\__   _________
     ∨                 フフ・・・
    ∧_∧ モジモジ      〃ノノ^ヾ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ( *・∀・)           リ−` ル <  そうですね
   (つ<V>)  旦   旦.   ( V  ノ   \__________
   ( ̄__)__)  ̄| ̄ ̄ ̄| ̄  (_  ̄}0

(誰かネタかいてくれないかな)
                   (自分で書く気は無いのかこのガキは・・)
351347:02/08/02 21:47 ID:???
「もうすぐか」
北朝鮮工作員は煙草を吸いながらホワイトハウスを眺めていた。
(成功しても捕まれば死刑になるだろう。まさか日本人のように玉砕する事になるとはな)
チッチッチッ
「5、4、3、2、1」
その直後ホワイトハウス正面でスーツケース型核爆弾は正確に作動し
直径300メートルの火球が発生しホワイトハウスは完全に破壊された。

352名無し三等兵:02/08/03 16:51 ID:6Er4M6TU
あげます
353名無し三等兵:02/08/14 03:15 ID:yV0o0tdi
age
354名無し三等兵:02/08/25 09:07 ID:???
保全sage
355名無し三等兵:02/08/27 23:34 ID:c8eUdJhl
新作キボンヌあげ
356名無し三等兵:02/09/02 12:40 ID:???
誰もいないからsage
357名無し募集中:02/09/11 03:30 ID:???
そろそろ書こうかな?
358大艦巨砲主義:02/09/16 06:56 ID:???
点呼取ります
359名無し三等兵:02/09/17 19:33 ID:???
続きまだ?
360名無し三等兵:02/09/17 22:55 ID:534nq95Y
大東亜の政(まつり)ゴトの情勢は複雑怪奇でこの小説も真実(現実)は
小説よりも奇なりで止まってしまうんだろううか(泣
361椿30郎 ◆WOattKqg :02/09/17 23:14 ID:???
すみません。。。。。。
あれこれとネタはあるんですが、なかなか文章にまとめるヒマがなくて。
でも、このスレが存続する限り、必ず私は続きを書きますので、
今しばらくのご容赦をば。。。。。。

362名無し三等兵:02/09/25 17:03 ID:IeMk1UMI
450まで逝ってた
保守
363海の人●海の砒素:02/09/25 17:04 ID:???
>361
 楽しみにしてまっせ〜スレある限り:-)
364名無し三等兵
えっと、前々スレの398の復活きぼんぬ