10世紀中頃以降のフランク王国領域での軍事力の再建は、ヨーロッパ周辺の様々な
ファクターを融合しつつ進行していった
最も影響を受けたのは要塞だった
ヴァイキングの脅威が要塞の発展を促す最大の要因だったが、その他にもイスラム教徒
の攻城戦術、マジャール人の土塁壁の影響が流れ込んだ
スラヴからは、要塞相互を機動路で結んで戦力の転用を容易にするネットワーク構築の
概念が流入した
更に、弩が攻城戦における有力な道具として注目されはじめた
10世紀後半には、ビザンティン帝国から、槍を抱え込んで突撃する重装甲騎兵
「クリバノフォロス」の戦術と装備が導入された
ビザンティン帝国皇帝ニケフォロス2世が考案したこの新型の騎兵は、強引な衝撃力を
もって歩兵の隊列を正面から蹂躙できる可能性を秘めており、緩慢にではあるが改良と
発展を経て、13世紀にはついに戦史でも類を見ない特殊な突撃兵器、装甲槍騎兵として
完成する
この新しい騎兵は、ビザンティン帝国では経済的理由により11世紀末には消滅し、
13世紀に逆にヨーロッパからビザンティンに輸入されることになる
一方で、ドイツの都市群では、増大する騎兵の脅威に対抗して両手で扱われる長柄の
歩兵槍(パイク)が生み出される
この安上がりの兵器は技術的には見るべきところはなく、登場した時点で
既に技術的発展の余地のないまでに完成していたが、その運用が完全に確立するには
14世紀を待たねばならなかった
こうして、中世から近世にかけてヨーロッパの軍事力を構成する兵科と兵器は、
火器を除けば10世紀には殆ど出揃った
これらの兵科は、技術的にはいまだ発展途上であり、その運用も未熟ではあったが、
それらの戦術的な意義は既に確立していた
後はただ、戦術のセオリーに従って完成させていく作業だけが残っていた
ローマ帝政末期からフランク王国に至る血みどろの「暗黒時代」に確立した
ヨーロッパの戦術教義が、果たしてヨーロッパの防衛を成し遂げ、更に周辺領域に
ヨーロッパの支配を拡げることができるか否かはまだ証明されてはいなかった
11世紀末、イスラムに殴り込んだ十字軍はその最初の試金石となるのだが、
これはまた別の話
そんだけ
お終い
おおっつ!? ついに終わられてしまった! 今までご苦労様です! 押忍!
お疲れさまでした、何れまた「別の話」についてお聞かせ下さい。
連載終了・・・「そんだけ」さん、御疲れ様ですた。
ほんとに読み応えありました、おつかれさまでした:-)
そんだけ氏、お疲れ様〜!
全部保存しますた。
私もヨーロッパの剣、戦争論と全部保存しております(w
「そんだけ」氏の論文って、中世のエッチング風の挿し絵をつけて
ウェブサイトに収めたら見栄えがするでしょうねぇ。
誰かエッチング風のかっこいい挿し絵描ける人はいないのかなぁ。
話の順番としたら「陣形と戦術」⇒「ヨーロッパの剣は」⇒「戦争論」
であってるかな?
そんだけ氏の著作をサイト作って、それに絵がうまい人や一部さらに詳しい人は
「参照」や挿絵を入れればいいと思う。こんなsagりっぱなしのスレで作品を腐ら
せてしまうのは忍びないです。
それと
次にそんだけ氏が公開されるならば、私はぜひ「戦理」等を説いて欲しいです。
本屋ではなかなか手に入れられない「戦術の根幹」だと思いますし。
そこから近代以降の戦術変遷を語って頂きたいです。
つーか本書けば?
次の講義に期待。でも何処で始まるのか解らない……
保全しといた方がいい?
連載の終了は4月末の段階で知ってはいたのですが、完全に読了してから
挨拶をカキコしようと思っていた為、遅れてしまいました
特上の講義ありがとう御座いました、そしてお疲れ様でしたm(__)m
個人的に学生時代に学術用語で衝撃を受けたモノが二つあります
一つ目が法律用語の「みなす」、そして二つ目が「定説」です
定説が単なるその時期その地域の尤もポピュラーな説であるに過ぎないことを
初めて知った時はかなりの衝撃でした(それまでは漠然と真実に一番近い説
だと盲信していましたので)
今回の連載を読んで何と無くその時のことを思い出してしまいました
(いや、私事ですが.....)
本当に堪能させていただきました
次回の講義を心からお待ち申し上げます
取り敢えず私は保存してあるので、落ちても大丈夫♪
245 :
名無し三等兵:02/05/23 21:01
ところで「そんだけ氏」の論文に極めて似た本を見つけたのですが
長篠の合戦の世界史とか火器の誕生とヨーロッパの戦争とか?
種本って言ってたと思う。。
247 :
名無し三等兵:02/05/24 21:40
保守
革新
249 :
名無し三等兵:02/05/31 04:34
ageると言ったらageるんです。
250 :
名無し三等兵:02/06/05 23:36
保守あげ
>245
書名と出版社を教えてください
>252
どうもです。早速アマゾンにいってみましたが、高いですねえ(泣
お金に余裕が出来たら買います。
蛇足ですが歴史群像はなかなか面白いですよ。
255 :
名無し三等兵:02/06/13 19:19
うーんこの程度で高いと・・・・・
つーかこれくらいは普通では・・・・
そんな事では軍オタやってられないぞ
復活記念age
名スレage
う〜んだれもいない。
そういやまだ大砲が直接射撃していて暴露陣地だった時代、
放列線が歩兵隊の真ん前によくあったけど、
歩兵隊はどうやって放列線を通過したんだろうなぁ?
等と書いてageてみる。
気合いと根性で耐える!メル・ギブソンのパトリオットではね。
ヒュー・ハドソンの「レボリューション」も観てください
>259
炸裂弾が無かった時代は野戦砲に大して価値は無かった、散弾は近距離では威力が
有ったが射程は小銃にも劣り(砲身破裂の危険が高く、火薬量も減らされた)、それ
位なら安価で効果の高い小銃を大量に装備した方が良い。
つまり放列線は無視出来る範囲の障害でしかなかった、だからこそ暴露陣地でも構わ
なかった訳でもある。当時の大砲とはあくまで要塞攻略用。
良スレage
味方の放列線通過の時は密集隊形を解いたのかな?
あれって明らかに味方歩兵の進撃の邪魔だよね。
それに通過してる最中は、混乱してそうで味方砲兵は撃てなさそう。
ageとく
ナポレオン時代の砲兵隊は、実体弾を撃っていますね。
また、ツーロンでは艦船を砲撃して勲功をあげたそうですが。
266 :
名無し三等兵:02/07/27 09:17 ID:dQhsprEu
面白かった。近代戦もお願いします。
そんだけぇ〜カムバァック!
>>263 ナポレオニックの時代の話をするなら、砲兵は味方歩兵が進撃を
開始したら基本的に射撃中止。味方の頭越しには撃たない(撃てな
い)。
砲撃戦は戦闘開始時(再開時)の歩兵が邪魔にならない時にまと
めて行うのが一般的。
後半明らかにモチベーション低かったから多分復活しないと思われ。
>268
撃ってたよ。頭越しに。
八門遁甲の陣
>>268 たぶん
>>263が聞きたいのは友軍超過射撃が出来たか?
じゃなくって
開戦前には密集した歩兵陣の前に大砲が置かれている。
が歩兵は近接戦闘するために
大砲の置かれている位置より前進しなければならない
さて大砲が並べてある所を通過するとき
整然と隊伍を組んで前進する歩兵にとって大砲は大変邪魔にならないか
混乱をきたさないだろうかって事
じゃないだろうか
邪推だったらスマソ
>272
なるほど。
で、そうなると歩兵は、もしくは大砲は、どう動いたんだ?
274 :
松尾:02/08/26 22:53 ID:???
男塾名物「直進行軍」
弾が有ればそれをまたぎ、大砲が有ればそれをよじ登って全身しました。
275 :
名無し三等兵:02/08/27 10:20 ID:r9QiP0dC
攻撃準備射撃の間は、砲を防護する位置にいて、砲撃後に、大砲の前方に展開、前進したんと違う?
276 :
剣:02/08/27 19:33 ID:???
オス!自分は弾が有ればそれをどけて、大砲が有ればそれに装填「されて」
敵陣を強襲致します。尚前の書き込みに「全身しました」なる表現が有りますが
言うまでもなく「前進」の間違いで有ります、本人に成り代わり謹んでお詫び
いたします。
>>272-273 アメリカのビデオ「ゲティスヴァーグ」(国内絶版)に、南軍の最後の師団規模歩兵横隊の突撃があるけれど、見たことはあるかな?
リージョンフリーDVDプレイヤーを持っているなら個人輸入で、無いなら偶然中古屋でビデオを見つけることができたなら、見てみると良いと思う。
各砲の隙間を中隊ごとにすり抜けて、砲の前で横隊を再構成して、ゆっくりと歩いて前進していくから。
あと、なんて事の無い柵であっても、敵の歩兵横列からの一斉射撃の下では、とてつもない障害になるって事も凄く良くわかる(謎)
さらに身を隠して射撃する敵に対して歩兵横隊で突撃するのは、とってもデンジャラスっていうか、自殺行為も同然だって事もね。
確か、南北戦争くらいまでの砲兵の役割は、味方の歩兵横隊が敵に突撃する際に、敵の歩兵横列を崩すことじゃなかったかな?
歩兵横隊の一斉射撃は、それこそ距離20mとかになったら50%を超えるからね。
そりゃ、いくら精強な歩兵であっても、ど至近距離からの一斉射撃の衝撃にはそうそう耐えられるものじゃないわけでさ。
279 :
名無し三等兵:
単縦陣は海戦に於ける永遠のスタンダードです。
でも私はフォーメーション・フォックスロットが好きです。