AC Character Battle Royal 8th
「そうかもしれん。しかし…私は負けるのが嫌いでね」
「でしょうね」
ルガールの体からはすでに立ち上るものは何もなかった。
「だから…今回もまたドローだ」
いつの間にか手にしていたスイッチをカチリ、と押した。
「やばっ…!」
ニーギが首輪を押さえる。
事態に気づいて蒼月と紅丸も自分の首輪に触れた。
しかし、それは爆発することはなかった。
「フフフ…勝てると思っていたからな、首輪のスイッチなど持ってきておらんよ…」
不相応な力を使った反動だろうか、息も絶え絶えにルガールが笑う。
「じゃあ、なんの!?」
「この会場を押さえられると私以外にも困る人が多いんでね全ての後始末のためさ……」
咄嗟にニーギは空を見る。
ルガールの手にあるそれが自分が先ほどまで持っていたスイッチにあまりによく似ている事に気づいたからだ。
「一緒じゃない!」
「違うさ……こちらのスイッチは持たされたものだ。まあ、彼らなりの保険なのだろ…う…」
「…ほんっとにコイツはぁ!!」
「あと2分だ。この街が消え…」
「せめて首輪解除しなさいバカ!!!」
ニーギの言葉を無視するように、ルガールは
死んだ。
「あーもう!」
「どういうことだ?」
今度は天を睨みつけるニーギに紅丸が尋ねる。
アランに肩を貸してゆっくり近づいてきたその姿をニーギは見もしなかった。
「さっき私が撃った衛星砲と同じものが、街全部を焼くわ…」
「はぁ!?」
「証拠隠滅ということですか…」
蒼月の言葉に無言を肯定として返す。
「どうする…?」
「止めるしかないでしょ…」
「止めるって…あっ」
紅丸は思い至る。先ほどの合体技、おそらくあれならば。
「紅丸、蒼月さんとうまく同調してね…」
残った力、相性、単純な成功率…全てを思ってそう言った。
それはとても困難な事だと分かりきった上での言葉だと紅丸も気づいた。
役割のないアランがルガールの持っていたリモコンのタイマーをじっと見つめる。
「残り1分25秒!」
「1分からカウントね」
ニーギの声に頷いて、25秒の沈黙が訪れる。
瞑想するようにニーギは目を瞑り、蒼月もまた、考え込むように頭を指でトントンと叩いていた。
紅丸の手には補助のためにと封雷剣が握られている。
時間から考えて、おそらくまだ脱出組は街から出てはいないだろう。
アヤと言う女性の言った「手配は済んでいます」が本当ならば足止めを食っている可能性も高い。
だから、失敗は出来なかった。
「残り1分!!」
アランの声が響くと、全員の目が見開かれた。
「偉大なる青にして青の王
青にして群青の我は 絢爛たる青に冀う
この脚は道に転がる小石を蹴飛ばす脚
この脚は道を阻む大岩を割り砕く脚
この脚は道なき荒野を突き進む脚
この脚はいつかあの人へ辿り着く脚
この脚よ その日まで止まる事なかれ
完成せよ 明日へ往く脚」
「シェルミー…力を返すよ。まだやり残しはあるけど、それは俺のけじめ、俺自身の力でやらせてくれ。
大丈夫、別に失敗したって結果はそう変わらないはずさ。気楽なもんだろ?すぐに行くから、少しだけ…さよなら…暗黒雷光拳!!」
「……おかしいですね。葉月、火月、かすみ…貴方達の顔が浮かぶなんて。私は別に死ぬわけではない。
ただ、少し長く眠るだけですよ…そう、少しだけね…」
蒼月の出した巨大な水球を核として紅丸の雷がそれを包みこむ。
ニーギの右足には青白い光がまばゆいほどに集まり、それぞれが空を見上げた。
「10秒!」
「いっくぞぉぉぉぉぉ!」
脚を目一杯引いて真上に向けて振り上げ、目の前の弾を、天高く打ち上げる。
それは、遥か上空まで一瞬で飛び上がり、そして弾けて広がる。
サウスタウンの空全てを包みこむように広がったそれは、何者からも世界を守れるように頼もしく、そして美しく光っていた。
そして衝撃。
ニーギたちの打ち上げた合体技によるバリアがもう一台のゼロキャノンからの砲撃とぶつかり合うのが大気の震えから感じられた。
死を招くその熱線はバリアに当たったところから弾け、光の粒子となってバリアを通り抜けて降り注ぐ。
それはまるで、戦いぬいたものを祝福する天からの花びらのように見えた。
「残る?」
砲撃を止め切った後、紅丸が意外な事を言い出した。
もちろんいずれ脱出はするが、今少しこの街に留まって弔ってやりたい奴らがいると言って。
不信感たっぷりに聞き返したニーギだったが、そう言われて止める言葉は持ち合わせておらず渋々折れた。
「任せるからね?」
そう言うニーギに紅丸は「まかせといてくれ」と、本来の微笑みで返した。
エレベーターが破壊された屋上からどうやって降りようかという議論に関しては、蒼月がとっとと外壁を駆け下りると言い出したのを
ニーギが呆れ顔で却下した。…が、蒼月は耳を貸そうともせずにすでに跳んだ後だった。
「私はあの元気はないわ…」
と言って瓦礫を吹き飛ばし、非常階段への道を見つけ出したニーギに対してアランは笑うしかなかった。
外壁を垂直に駆け下りながら蒼月は思う。
今にもこの体は水邪に乗っ取られるかもしれない。そういう契約を自分はした。
彼は水邪に乗っ取られた自分がどうなるかは嫌というほど知っているし、迷惑をかけるというよりは
それを見られるのが純粋に嫌であの場から逃げ出していた。
ふと、首輪に触れる。しまったと思った。もしまだ禁止区域というのが解除されていなければ爆発するのではと冷や汗をかく。
しかし寸前まで自分の考えていたことを思い出し、それはそれでいいか、と笑った。
「さ、はやいとこ降りて脱出組の人達に追いつきましょ」
「悪い、この高層ビルを駆け下りるなんて体力はもう…」
非常口から階段をよろよろと降りだしてすぐにアランは弱音を吐いた。
「でも、ゆっくりしてたらルガールにスイッチ渡した連中が多分くるからなぁ…」
ニーギは顎に人差し指を当てて考えるポーズをとった後、ひょいとアランをおぶった。
「ちょ…!?」
「特別だからね!私は先輩のものだから、今日だけ特別!」
15分後のこと。
ニーギは腹から血を流して敵と対峙していた。
紅丸は両腕をへし折られて這いつくばっていた。
葵は肩を斬りつけられ、晶に支えられていた。
エッジは撃たれた足を引きずって奴と出会った。
その劇が悲劇なのか喜劇なのか、本当に幕が降りるまで分かりはしない
ひとつだけ確かな事、それは
まだこの劇は終幕を迎えないという残酷な事実だけだ
【ニーギ・ゴージャスブルー(全身の広範囲にわたってダメージ+中程度の火傷、大消耗) 所持品:なし(アランが所持) 目的:脱出】
【アラン・アルジェント 所持品:携帯電話、折り畳みナイフ、首輪、出刃包丁、日本刀「紅鶯毒」雑貨、ゴーグル、コンドーム、首輪、
剛のバッグ…スペースハリアーバズーカ(エネルギー残量少)、マカロフ、携帯電話 目的:自分の決心に従う】
【現在位置:ギースタワー非常階段】
【風間蒼月(頚動脈に傷) 所持品:忍者刀青龍 目的:脱出】
【現在位置:ギースタワー壁面】
【二階堂紅丸(左耳欠損) 所持品:果物ナイフ数本、ボウガン(残り矢3本)、リボルバー式拳銃(ラスト1発) 目的:けじめをつける】
【現在位置:ギースタワー屋上】
投下終了…なんだけどみんなここ発見できてるんだろうか…
とりあえずまずはスレ立てていただいた方にお礼を。マジ助かりました。というか俺容量くらい見とけって話です。
ほんとお恥ずかしい、重ね重ねありがとうございます。
さて、一応誘導が為ったという前提ではあるんですが、容量オーバーしたスレってどのくらいで見れなくなるんでしょう。
必要なら向こうに落とした分も再度こっちに落とすべきかなあと思ってるんですが…
分かる人いたらおせーて。
話としては、どうやら前スレ投下前にも言いましたが縮まる可能性がでてきました。
最低であと2話。多分、おそらく3話じゃないのかな?ってくらいに思ったより進んでしまってます。
どっちみちGW完結を目指して、あとは書くのみです。
新スレばんざい!
とりあえずパロロワwikiの現行スレだけでも更新してくるか…
乙すぎます!見つけられてよかった。
15分後のところでニーギ、紅丸、晶、葵、山田さん家の栄二くんの悲惨な状況しか書かれてないのは単に他が怪我してないからなのか、他のキャラがもうしん(ry
容量オーバーはdat落ち制限時間あったっけ…。
GJ!!
ついに新スレ、そしてルガやん死亡と来ましたか
ゴールも見えてきたということでこっちも緊張とドキドキが止まらないと言うか、続きが気になって眠れそうもないです
前スレは通常通り24時間だか48時間だかで落ちるかと
>15分後のところでニーギ、紅丸、晶、葵、山田さん家の栄二くんの悲惨な状況しか書かれてないのは単に他が怪我してないからなのか、他のキャラがもうしん(ry
本当だw
言われて見れば忍者ズとアランがいねえ
tu-ka前スレがそろそろ容量オーバーだってのに
誰も気がつかなかったのかねえ。
大体毎週日曜に新作来るんだし前もって次スレに移行していれば…
本当すいませんorz
容量ね、どうも見落としがちなところだよね、俺も気づけなくてごめん。
そしてスレ立てるだけ立てて支援も何もしなくてこっちもごめん。
というわけで、投下乙
まさかここでルガールがもう撃沈してしまうとは思わなかった。
じゃあ残りはエピローグ?と思ったらもうひと波乱あるのか…。
状態がぼかされてる中で有力そうな波乱というと、水邪の暴走、とか…?
とにかく続き、楽しみにしてます!
ルガール……倒したのにまだいんのかああああっ!
もう1波乱……予想が着かないス。
投下乙でした!
19 :
ゲームセンター名無し:2008/04/18(金) 23:36:08 ID:dp8Hcs1PO
ほしゅ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 先生!また
>>1です!
\__ _______________
∨┌─────── / /|
| ギコネコ __ | ̄ ̄| ̄ ̄| ̄ ̄| |
| 終了事務所. / \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | ∧∧ | < ふざけやがって!終了だ!ゴルァ!
(゚Д゚,,)| \________________
∧∧ .※ ⊂ ⊂|. |〓_ |,[][][]|,[][][]| ..| |
(,, ) / U ̄ ̄ ̄ ̄ 〓/| |,[][][]|,[][][]|,[][][]|/
/ つ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〜( ) | | /ノ~ゝヾ
(’ヮ’ン ∩∩
( ) (´Д`)  ̄ ̄ 〜 ゴラァ
∪∪ U U ̄ ̄UU 【完】
どうもです。
ええと、明日の投下についてですが、前にも言った通りちょっと用事…
っていうかイベントに行ってくるんでナシで。
おそらく来週27日と、確か29が休日だったと思うのでそこで投下しようと思ってます。
確定はしていませんが、29日が最終回。
そんでそのときにGWの予定決めて、どこかでエピローグ投下。
翌日にラジオ、と言う感じにしようかと思ってます。
さすがにどうやってもストーリーの変更は出来ないと思っていますので、もうラスト予想とかしちゃっていいんじゃねーの!?
乙です!
ついに最終日が明らかにw
長かったアケロワもあと二週間足らずで終わりなのか……
なんだか緊張してきた
24 :
ゲームセンター名無し:2008/04/26(土) 21:15:48 ID:rBAUbiA0O
あげあげ
何かすっかりリレー形式やsage進行といったテンプレは
あってなきが如しになったな。
まあとにかく新作ドゾー
↓
あと1時間くらいかな。
多分凄く長いと思うんだけど、あんまり自分でよくわかんない。
もうチョイお待ちを。
wktkしながら待ってる
それはちょうどルガールが絶命した頃のこと。
三人と一人、つぎはぎの逃避行は一時的に停滞していた。
「見張りと首輪がなきゃいけるんじゃないのか?」
「そーだよ、兵士は全滅…かどうかはわかんないけどほぼもういないだろうし」
晶とナガセが主張するのは陸路での脱出。
サウスタウンと陸地をつなぐ4区と1区の境を北上した部分、そこへ向かうべきだとした。
理由の最も大きな部分を占めるのは時間の問題だった。
もう一方のかすみが主張するのは2区の最西部、2日目の深夜に彼女自身が上陸した場所からの脱出である。
これと比べるとサウスタウンをまるごと横断せずにすむ分間違いなく陸路の方が早いことは確かである。
しかし、かすみは陸路の不安要素を無視できかなった。
確実性ということならば彼女自身が一度脱出しかけたあのルートはほぼ間違いなく思えたのだ。
なによりも「侵入できた」という事実が「逆もまた然り」を確信させていた。
だから陸路の先がどうなっているかを主催側であったナガセも見ていないとなると、賭けをすることは危険だと考えた。
簡単な可能性として、もしそこに果てしなく高い門(しかもロック付き)があったら?
それにいくら兵士がいないといっても、自動化された防御システムの類があったら?
疑念がつきない以上は自分の乗った船という脱出手段まで確定している海路を譲るのは難しかった。
ナガセが走り出して数分、行き先に気づいたかすみが問いかけてからさらに数分。
四人は3区の北側で立ち止まっている。
動き出すきっかけを失い、なによりも貴重な時間を浪費する彼らに降り注いだのは光の花弁だった。
「え、何これ?」
「まさか、生き残りを殺すための何か!?」
「いえ、特に害はなさそうですが……」
焦る晶にその光を掌に乗せたかすみがおとなしく告げると、晶の声は逆に大きくなった。
「やっぱり早く脱出するべきだ!これはたまたま害がなかったかもしれないが、もし奴らがこの街の生き残りを殺そうとして
手段を選ばなければ俺達はとっくに死んでる。そうならない保証はない以上、一刻も早くこの街から外に……」
「そだね、やっぱ…あ、待って」
賛同の声を区切ってナガセがプロテクターの隙間から何かを取り出す。
「ん、どうした?」
「いや、薬の時間でさ、ちゃちゃっと飲んじゃうから待って」
そう言って取り出したパックから錠剤を押し出す。
なんとなく、気になってかすみが問う。
「なんの薬なの?」
「んー、栄養剤だって。開発部が飲めってうるさいし、飲まないとやっぱ調子がねー」
「……一つもらってもいい?」
「えー…ま、いっか」
ナガセが今押し出した錠剤を放ると、小さなそれを落とすことなく受け取ったかすみはまじまじとそれを見つめる。
「あり、なんか今日の色が違うな」
ナガセがもう一錠取り出し、口に放り込む。
かすみは見つめたそれを口に含み、前歯で砕いた欠片を軽く舐める。
「ナガセ待って!!」
ごくり。
「ん?」
振り向いたナガセの喉が大きく動き、その錠剤を飲み込んだのが分かった。
「吐きだして!すぐに!」
「はぁ?何言ってんの?かすみだいじょーぶ?」
けろりとした顔のナガセの横で晶が事態についていけず硬直している。
かすみより早く駆け出し、身を投げ出したのは葵だった。
「晶ちゃん!!!」
ざくり、と肉が斬れる音がした。
「あれ?お前なんで血塗れなの?大丈夫?」
無邪気な笑顔で問いかけるナガセの手には、血に濡れた忍者刀。
柄についたパンダのマスコットのかわいさと、その刃の鋭さのギャップに晶の思考が一瞬止まる。
しかしすぐに自分にもたれかかる葵の重みに我に返った。
「ナガセ!!!」
「かすみ?」
とびかかったかすみの刃を不思議そうな表情のまま弾いて、なおもナガセは自分の行為に気がつかない。
おそらくは、自分が今完全に虚をついたはずのかすみの一撃を凌いだことさえわかっていないだろう。
「ななななんだよかすみ!リベンジは脱出してからって言っただろ!?」
「そうも言っていられなくなりました、あなたは今正気ではない。命までは奪いません。しかし体の自由は失ってもらいます」
かすみは朱雀の切っ先をナガセに向ける。
「な、なんだよそれー!?」
抗議の声をあげるナガセは膨れた顔をしたまま完全に戦闘態勢である。
ナガセはとある組織に改造強化されたエージェントの実験体である。
伊賀の忍術をベースとし、その他複数の流派から技をトレースした独自のニンジャアサシンアーツ。
しかし秘伝のないその技の数々はほとんどが修行ではなく高すぎる身体能力と強化改造によって会得したものだ。
その能力を維持するために定期的な投薬を必要としていることをナガセ自身も知りはしなかった。
いつも調整を行う開発部から欠かさず飲むようにと渡された「栄養剤」を飲めば調子がいい、その程度の認識である。
しかし、その開発部が今回の任務に際してナガセに渡したのはその「栄養剤」ではない。
敵意の有無に関わらず、その身体能力を近づくもの全てに対して振るう「暴走剤」。
かすみが気づいたのは自分の流派にある秘薬の香りに似ていたからだ。
その薬は捕らえた者に飲ませて放ち、自分の城や里へ戻ってから死を巻き散らすよう時間差で発動する外道のものであった。
「何言ってんだよー!正気に決まってんだろー!おいお前!かすみを説得して……」
焦ったように晶を見るナガセ、荒い息で晶を見つめる葵、泣きそうな顔を葵からナガセに向ける晶。
そして一歩後ろからその全てを見つめるかすみ。
ナガセが意識でなくただその反射神経のみで動く以上、その目線や表情は全く参考にならない。
肉体の軋み、筋肉の収縮、重心の移動、そういったものに神経を配るほかない。
それは傷を負った葵とそれを支える晶が攻撃範囲にいる以上、何度もできることではない。
つまり勝負は一瞬。
晶と葵を守り、ナガセを無力化し、誰も死なせない。
そんな決意とその力の全て、一瞬の剣戟にすべてを込めかすみは炎となった。
一閃
朱雀が煌き、飛び散った火の粉が桜のはなびらがごとく舞散ると、一瞬の沈黙を経てかすみの後方でナガセが崩れ落ちた。
かすみが膝をついたのはそれを確認してからのことだった。
「さて……来るならそろそろか」
紅丸はルガールの死体を見下ろしていた。
その死体は頭蓋を砕かれ、血と脳を巻き散らして無惨に横たわる。
ニーギたちが屋上を離れてすぐ所持する拳銃に残る最後の一発を撃ち込み、念のため近くの瓦礫で何度も砕いたのはほかならぬ紅丸だった。
恨みがなかったと言えばウソだろう、しかし彼がそれを行った理由は怨恨ではない。
「やっぱ始まった、か」
ニーギたちに弔いのためと言った言葉は偽り。
「ウビュルジュアァアッァァァァグボァオォ!!」
「うわなんともグロい。やりすぎたかね」
脳を巻き散らし目玉を垂らし辛うじて残る口から漏れる叫び声とも鳴き声ともつかない音。
ゆっくりと立ち上がったのはかつてルガールだったものだ。
「さて、それじゃあ最期のけじめだ」
紅丸は知っていた。ルガールがその身にオロチの血を取り込んでいること。
そして見ていた。オロチの血が死体すら蘇らせて暴れる場面を。
もしや脳を砕けばと思い実行した己のスタイルにそぐわない残虐行為も無駄に終わった。
両手足をへし折られてなお襲いかかってきたレオナのことを思い出す。
あのときのように手足を斬り落とし、首を落とせばこの死体は動かなかったのだろうか?
おそらく否だと紅丸は思う。
この「ルガールだった体」はあまりにも人を外れすぎている。
そして取り込んだ力の残滓がオロチの血を騒がせずにいるはずはないと踏んで、残ったのだ。
完全に消滅させる以外にこのバケモノの暴走を止める方法などありはしないだろう。
それがいかに困難か知った上で一人で残ったのは我侭以外の何者でもない。
ただ、死んでいるのだからおそらく例の儀式には関係ないだろうと考え、世界とかそういうのは抜きで、
死んだ友のため今度はその感情のままに拳を叩きこんでやろうと思ったのだった。
その意味では弔いという言葉は完全に嘘だったとは言いきれないかもしれない。
死んだことすら意味のない目の前の巨体を見て一瞬、オロチの力全てを天に返したことを後悔したがすぐに振り払った。
「色男に二言はない、ってね」
「ジャバリュベジョグロボザヴァァアァ!!」
派手な発声とは裏腹に無造作に広げた腕が紅丸の体を襲う。
「ふっ!」
素早くバックステップ。
寸前まで自分のいた空間でルガールの両腕がぶつかっていた。
空気ごと押しつぶすような圧力は凄まじいがそれはもはや虐殺の交響曲と呼ばれたルガールの技などではない。
半分砕けかけた眼窩から見えもしない視線を自分の両腕に落とすルガールのかたちをした身体。
肉体の限界もなにもない、己でぶつけあった両腕はその衝撃に砕けていた。
紅丸はその隙にその折れた腕を殴りつける。
もちろん雷は纏っていたがそれは弱々しく、普段の紅丸にすら及ばぬほどのものだった。
「ゴュアャブラァアワァァ!」
ルガールと呼ばれた肉はその一撃に何一つリアクションすることなく、一声吠えるともう一度紅丸の体を挟み潰そうと腕を広げた。
もちろん折れた両腕で、である。その身にとってもはや痛みなど何の意味もない感覚なのだろう。
「くっ!」
懐に入っていた紅丸は回避間に合わずと見てガードをした。してしまった。
体の外に向けたその両腕は、ルガールだったモノのそれと同じく、折れてひしゃげた。
「ぐあぁぁぁぁ!」
気を失わないのが不思議なほどの激痛に紅丸は体を折る。
「ゲキュ」
ルガールのなれのはてが折れた腕を今度は天に向けて振り上げる。
前にいたので挟み潰す、下にいるので叩き潰す。全くもって単純な行動だった。
紅丸はその体を強引に転がす。
全ての行動が折れた腕に響き、激痛のせいでもう自分は死んでいるのではないかと錯覚すらする。
しかしその視界に元ルガールを見るとまだ成し遂げてないことを自覚し己を奮い立たせるのだった。
「クソッ、さすがに滅茶苦茶だ……」
今度は自分がいた場所が無くなっていた。
その腕が振り下ろされた場所は大きな穴が空き、下の階がその内装を覗かせていた。
叩きつけた当の腕はさらにぐしゃぐしゃにひしゃげ、意味もなく折り曲げて遊んだ末の針金のようだった。
「さてどうする……」
尻餅をついた状態で紅丸は考える。
おそらくは一足飛びで間合いを詰められてしまう距離だったがルガールの肉体はそれをしない。
目の前の大穴を迂回するのに神経を使って緩慢な動作を晒していた。
ただ暴力を行使するだけの身体には真っ直ぐ進み、力を振るう以外の行為は難しいようだ。
「とはいえ、間合いに入っても……いや、そうだな」
紅丸思いついた顔でゆっくり立ち上がる。
体を支える手が使い物にならないので本当にゆっくりと。
そして、その動きとはかけ離れた素早さで駆けた。
オロチの血に操られたその肉塊が無防備に向けた背に、一瞬で張り付く。
「これしかないよな……シェルミー、やっぱ最後にちょっとだけ力貸してくれ。いやー、男に抱きつくのは気持ちよくないもんだ」
背中に敵を感じたがその真後ろを攻撃できずに戸惑うルガールだった身体。
それにむけて小さく二三言葉を吐いてから大きく息を吸って紅丸は叫んだ。
「エレクトリッガー!!!!!」
普通の雷とは真逆の、地から天へと登る雷光が紅丸とルガールを包み、激しく瞬いた。
肉の焦げる匂いがあたりに広がる。
紅丸が意を決して目を開くと、ルガールの頭から垂れ流されたその内容物は煙を噴いてブスブスと音を立てていた。
「どう…だ?」
その言葉を吐いたとき、紅丸は宙にいた。
ルガールの体が振るった腕はもはや立つだけで精一杯だった紅丸の体を大きく吹き飛ばしていた。
ドサリと音がしてその身を屋上の床へと横たえる。
「まあ、ある程度はやった…かね」
視界の隅に煙を上げる人型の肉を捕らえるが、すぐに見えなくなった。
もう一歩も動く力はない。
紅丸は静かに死を待った。
『おいおい、ずいぶんと勝手だな』
幻聴だ、もう何も聞こえるはずはない。自分はもうすぐ死ぬのだ。
楓の声など聞こえるはずもない。
『そう言うなよ、紅丸はよくやってくれたぜ、なあ?』
幻覚に決まっている。京は死んだのだ。見えるはずがない。
『そうっすよ!紅丸さんは俺達の仇を立派にとったんです!』
もちろん、真吾の声だって幻だ。
『ふん……』
K’の悪態なんてしばらく見ていなかったな。
『でも、もうちょっとだけ、ね♪』
ああ、シェルミー。相変わらず男を惑わすいい声だ。
『お前、こっち来たら覚えとけ』
なんつったっけこのゴリラ顔……ああそうか、シェルミーの……
『殺せる相手を殺さないほど傲慢で強いんだろ?お前は』
頭に響く楓の声に、心で応える。
――違う。シェルミーが死んで気づいた事がある。
『お、言ってやれ紅丸!』
――俺達は、何かの命を奪って生きているんだ。
『食べ物とかのことっすか?』
――そう、人とは命を奪わずに生きられない。
『もったいつけんじゃねえ』
――でも、それって傲慢なことか?
『んもう、焦らさないで♪』
――だったら生き物は全部傲慢ってことになっちまう。
『よくわかんねえよ』
――つまりはよ……
「そんな風に生きてるくせに、諦めるなんてことするやつが一番傲慢だってことだよ!」
立ち上がれば、この幻は全て消えるだろうと思っていた。
倒れた手に触れていた封雷剣をなんとか持って立ち上がると、何一つ消えることはなく、見知った顔が紅丸を囲んで微笑んでいた。
『じゃあ、やりぬいて見せろよ』
「ああ、言われなくてもな!」
ルガールだったそれは、まだ立ち上がる紅丸を認識し、瞬時に間合いを詰めた。
今度は完全に直線を突進してくる。
だから、その手を突き出すだけでいい。
「ウジュラバアア!」
「食らいやがれ!!」
紅丸の全身の骨が砕け、ルガールだった肉体に封雷剣が突き刺さった。
さっきよりも何倍も大きい雷が天へと走った。
「見たかぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
稲光の只中で紅丸は叫ぶ。
絶叫に応えるように、楓の幻が拗ねたように空を見た。
「え?」
釣られて見たその空は真っ暗で、まるで夜のよう。
空に伸びる雷光は何かに通じる道のよう。
そしてその闇の中にぽっかりと空いた穴は地獄のようだった。
『地獄門だ』
詳しい説明もなく名前だけを楓の声が告げる。
「なるほど、俺らにはお似合いだ」
『違いない』
稲光は間もなく消えた。
天はいつの間にか青く晴れ渡り朝の眩しさを取り戻していた。
屋上には封雷剣も、ルガールの死体も、紅丸も、何一つ残っていなかった。
「WTG!?」
一瞬、窓の外が真っ暗になったのを見てニーギが声をあげた。
「余所見してていいのか?」
アランがエネルギーバズーカを放つと、その弾を辛うじて蹴り飛ばす。
体勢を立て直すこともできずにニーギはそのまま倒れ込んだ。
「ゴメンね、説教の最中だった」
「そうそう、ちゃんと叱りつけてくれなくちゃ」
腹から流れる血を押さえることを無駄と知りファイティングポーズをとるニーギにアランは笑う。
もう窓の外は明るくなっていたし、ニーギの意識もそちらには向いていなかった。
少し前のこと。
アランはニーギに背負われて階段を降りていた。
10階ほど下ったところだろうか、アランが声をかけた。
「なあ、アンタ」
「舌噛むよー」
軽い口調で言いながらまた1階降りる。
「んで何?」
「神様って信じるか?」
ニーギは足を止めることなく考える。また1階降りる。
「物理的に?精神的に?」
「まあ、さっきの俗物みたいのじゃなく、運命をどうこうするって感じの」
「あー、じゃあ信じないかな?」
「ふーん、なんで?」
「人智を超えた力を持つのを神と定義するならイヤって程見てきたから。
でも運命ってのは自分の道のことでしょ、それなら自分でなんとかできるもん」
彼女らしい受け答えだとアランは素直に思う。
「俺さ、孤児院っていうか、教会で育ったんだ」
ニーギは反応せずに足を進める。
心なしか背負われたアランは揺れが減った気がしていた。
話しやすいように気を使ってくれていたのかも知れない。
「だから、お決まりの神の御心〜だとか、天にまします、だとかもやってきたんだけどよ」
階数表示はどんどん小さくなっていく。
屋上での戦闘には当然気づいていたが、戻りはしなかった。
紅丸を止めるだけの理由をニーギもアランも持ち合わせていなかったし、止めても、もちろん加勢することも無駄だと分かっていた。
ポツポツと孤児院での思い出を語るアランに耳を傾けながらニーギはただひたすら階段を降りる。
途中でアランが片方の手を放したのも特には気にせず、照れくさくて頭でもかいているのだろうと思っていた。
そろそろ半分といったあたりでニーギはその足を止めた。
「理由なら、聞くけど?」
歯を食い縛り、背負ったままのアランに声をかける。
「アンタと同じさ。神なんていやしない。いるのは俺にはどうしようもない神様きどりの連中ばっかりだ」
ニーギの腹から、日本刀の刃が突き出ていた。
「なるほど、叱り飛ばしてほしいのね。まったくバカな男なんだから!」
「それで……私を殺してどうするっての?」
時は今へと還る。
ニーギはその武器全てをアランに預けたまま不意を突かれたため、肉体一つで戦う以外の選択肢を持ち合わせていなかった。
さらには限界近い体でアランを背負ってギースタワーを半分下った疲れ、なによりもルガールとの戦いによる消耗とアランに刺された傷。
これだけの条件を背負ってなお前を見据えていること自体が奇跡である。そしてニーギはそんな奇跡を起こす女であった。
「簡単さ、あのおっさんと同じ……俺の世界を作る」
「……あれの末路を見た上で言ってるのよね?」
「もちろん、ルガールよりよっぽど勝算はあるんだぜ?」
言いながらもバズーカを放つ。
ニーギは攻め込んでこない。避けるので精一杯だと表情が物語る。
「まず首輪はこの通り」
カチリ、とその首にはまった銀の輪を外して投げつける。
金属の音が響いてニーギの足元に自分達を縛る枷であったはずのそれが転がった。
「で、ルガールは間違いなく死んだ。上にいるのはルガールの残り香みたいなもんだろ?多分紅丸も死ぬだろうし。アンタはこの様」
ニーギは答えない。答えないことがその苦境を肯定していた。
「蒼月はどうかな……ただアイツは首輪が解除されてないからもう死んでるかもしれない。となれば……」
カチカチと音を立てるエネルギー切れのバズーカを捨て、右手に日本刀、左手にマカロフを構える。
「アンタと、逃げ出した連中を殺せば俺が最後の一人だ」
「そこまでして自分の世界がほしいの?」
「ああ、欲しいね」
ニーギは膝をついて体を起こす。
「さっき話した孤児院のため?」
「……ジーナとかソフィアとかっていう、いい女がいてさ……取り戻したいんだ」
しっかりと両足を伸ばしたニーギは黙って立つ。
「よくわかったよ。俺一人じゃプローブをどうこうなんてできない。世の中には普通の人間にはどうしようもないことがあるんだ。
神だなんておこがましいことは言わない…ただ、ただ俺はシスター達と思い出の場所を…」
アランが引き金を引く瞬間まで、ニーギは目を逸らさなかった。
「取り戻したいだけなんだよ!」
嗚呼、その言葉は神に許しを請う、まさに懺悔のようだった。
【二階堂紅丸:死亡】
【結城晶(首輪解除) 所持品:大学ノート(死亡者の名前とハガーメモの要点写しと手記、およびニーギたちとの会議メモ)と鉛筆、
首輪 目的:葵を守る、街から脱出する】
【梅小路葵(首輪解除、肩に大きな傷) 所持品:釣竿、ハガーのノート 目的:晶たちとともに生きて帰る、街から脱出する】
【かすみ(首輪なし、戦闘服着用)
所持品:拳銃(マガジン複数個:ほぼ弾切れの心配なし)、忍者刀朱雀、多目的ゴーグル 目的:街から脱出する】
【現在位置 3区北】
【ニーギ・ゴージャスブルー(全身の広範囲にダメージ+中程度の火傷、腹部を貫通する刺し傷、超消耗) 所持品:なし 目的:脱出】
【アラン・アルジェント 所持品:携帯電話2つ、折り畳みナイフ、出刃包丁、日本刀「紅鶯毒」、雑貨、ゴーグル、コンドーム、首輪、
マカロフ、目的:全てを取り戻す】
【現在位置:ギースタワー23F】
なんか支援の人いっぱいいねぇ!?
本日分の投下はここまででございます。
さて、ご覧の通りの展開となりましたが……
ご意見ご感想はレスでどうぞ。
ひとつだけ失敗。
前にナガセが登場した回、一人称を「アタシ」にしてましたがよく聞いたら「わたし」でした。しまった。
まあ、ロワ設定ってことで!もしくは脳内補完で!
さて、明後日、残ってる二人(山田と蒼月)の状況を書いていよいよラストです。
ただ、そのパートと一体化させるとなんかアレなので、短めになっても2話投下になるかなと。
その2話のうち、後に投下するほうがいよいよ最終回となります。
で、ご都合をお聞きしたいのですが、完結打ち上げラジオするならどの日がいいでせう。
GWになるとは思うけどできるだけ人がいる日にしようと思います。
エピローグはそのラジオ開始前に投下して話の種にしようかなとかも思ってますので
是非とも聞ける日を教えていただけると有難いです。
あとは、走りきるのみです。
乙であります!
まさかのアラン豹変…確かに怪しさは満点だったが…
しかしニーギ相手じゃ流石にどうなるんだ?相手は精霊脚持ちだし。
紅丸もお疲れさん…お前さんはよくやったよ
乙でした!
うわーあと二話でラストか……しかもいいところで純和風チーム(適当)とアランvsニーギが途切れてるとは…!
蒼月や山田も気になるけど、今日の人々も気になる。
そして紅丸、最後までよく頑張った……。あの世(かさぶた)でもみんなと仲良くやってほしいものだ。
GWのラジオは2日〜6日の間がいいなぁ。
乙でした!
主催者が倒れても、まだまだ終わらないものですな。
破滅的な予感がしますが、最終回wktk
長く過疎っていたアケロワもいよいよ完結か…
超乙!
紅丸は最期まで男前だった!
豹変したうんこは表へ出ろ!
他のキャラは大丈夫なのか?特に葵とニーギ!
ラスト近いのに結末が読めねえよ!
もしかして明後日一気に二作投下して完結ってこと?
頭がアホで面目ない
乙!
素晴らしい。アランはあのメンバーの中じゃ一般人だし、それゆえの裏切りと考えることもできるわな。
とはいえ相手は極楽台風。どうなることやら。
しかし、まもなく終結か。なんとなく寂しいものを感じるな。
ラジオは……GWの休みの日(3、4、5日)あたりが妥当じゃないかと。
乙!
アランがまさかの裏切りを。
確かにこの状況ならそう考えてもあながちおかしくはないか。
ベニーは乙。
まさか高慢に決着がつくとは思わなかったぜ。
積み重ねが昇華されたことにグッときた。
エッジは外を見ていた。
爆発と銃撃戦で滅茶苦茶になった部屋の中で、ただ椅子に腰掛けて外を見ていた。
後ろには二つの死体。
一つはこの世界で誰よりも憎いと思っていた男、もう一つはこの世界で誰よりも優しいと思った男。
何度考えても自分の中でその二つの死体が同じ表情、笑顔であることの答えが出ずにいた。
この場に残った最大の目的がヴィレンへの復讐であった彼からは、本来最大であるべき脱出という目的は一緒になってかき消えてしまった。
「なんで、なんでだよ……」
決して気が触れたわけではない、しかしその言葉を繰り返し呟いた。
「なんでおっさんを殺したやつが笑ってんだ」
「なんであそこまで生き汚い野郎が笑って死んだんだ」
「なんでオレの身代わりになったネオさんが笑ってんだ」
「なんでネオさんも人を殺して笑ってんだ」
「なんでオレはイリヤ…ヴィレンを殺したかったんだ」
「なんで殺せなかったのにほっとしてるんだ」
「なんでオレは……こんなところに来ちまったんだ……」
エッジは外を見ていた。
光が降るのを見た。
外が夜のように暗くなるのを見た。
また明るく元に戻るのを見た。
光と闇の間を一瞬で駆け下りて行った青い影には気づかなかった。
蒼月は早々に地上へと辿り着いていた。
途中の階に人影を察知したがとりあえず無視して最後までビルの壁面を走り降りた。
屋上で再び始まった戦いの音にびくりとする。
もちろん予想外とはいえ、冷静を遺伝子レベルにまで刻んでいる彼にとってその程度のことは驚くほどのことではないはずだった。
「何故……ですかね」
その音はあまりに大きく聞こえた。
最初に思ったのはやはり水邪の影響だった。
人ならざる力が自分の感覚を増幅させ、普段よりも鋭敏に音を伝えたのだと考えた。
しかしそれはおかしい。
なぜなら彼は地上についてからあまりの静けさに違和感を覚えていたからだ。
風の音、ビル中で瓦礫の欠片がたてる音、階段を駆け下りるニーギたちの音さえも聞こえたのだから
やはり感覚は鋭くなっていたかもしれない。
それでも彼は「あまりに静かだ」と感じていた。
だからこそ、屋上での激突音に普段ならありえないほど動揺したのだ。
「ふむ…やはりなにかされたと考えるのが」
そう言いながらいつものポーズで額をトントンとやる。
エッジと違い脱出のことを忘れたわけではないが、己の身がいつ水邪に乗っ取られるかわからない現状で安易に先発組に合流するほど
彼は楽観的ではない。
この違和感が水邪復活の予兆であるならば何か対策を講じなければと考えていた。
トン
トン
ト……
一秒に1回、一分で六十回。正確に刻み続けるその指が止まる。
あまりに頭に響くその音に気づく。
同時に、あまりに聞こえない音に気づく。
「なるほど、こういう手できましたか……」
聞こえなかったのは本当に当たり前の音だ。
心臓が、動いていなかった。
「ぬぅ!?何事!?」
半裸の巨体を傾けて天を仰ぎ見るのは不破刃その漢である。
それまでの凄まじい力の衝突を感じ取っていた五感が察知したのは天から降る無数の光だった。
引き換えにおそらくは戦いの余波であっただろう衝撃や音は消えていた。
しばらく舞散る光の花を見つめ、彼はゆっくりとビルへと入った。
「む、カレー?」
不破は入ってすぐ、ロビーに漂うカレーの香りに面食らった。
殺し合いの場だと聞いていたこの街、その街での残党処理を命じられた自身にとってあまりにギャップの大きな香りだ。
折れた腕がズキリと痛むのを感じて思い出す。そう言えばあの連中からもかすかにカレーの匂いがしていた気がする。
つまりあいつらがここで飯を食った。それだけのことだと気づいて息を吐く。
「なるほど、こんな香りの強いものをこの修羅場で喰うような連中、某には荷が重いわけだ」
常人にはあまり納得しがたい結論をあっさりと受け入れてエレベーターに向かう。
「動かぬ……」
蒼月などと違い現代に生きる忍びである、エレベーターが動いているかどうかくらいはわかる。
ただ、彼は自分が乗ると決まって重量オーバーのブザーが鳴るのであまりそれを好きではなかった。
「ふん、丁度よい」
このビルが50階近いことを知ってか知らずかそんな言葉を吐いて階段を登りだす。
とりあえずは一番激しい戦闘をしていたに違いない屋上を目指すつもりだった。
しかしあまりにも早くその足は止まった。
「何ゆえ人の気配が?」
すっかり静まり返ってしまったビルの中で息遣いが聞こえた。
視線を巡らすとボロボロになったドアの残骸が散乱する廊下の、一つの部屋が目に留まった。
蒼月は首の後ろに手をやる。
首輪をはずした仲間達の様子は、水邪との対話に集中していたため見ていなかったが、
あの日守という男がかすみの首輪を外したときのことを思い出して、繋ぎ目と思しきところを見つける。
指を軽く捻るとパチンと音がしてあまりにもあっけなく首輪は外れた。
少しの安心感と共に、少しの落胆がある。
散々生を脅かしてきたその首輪が生きていることの証だったのだと思えた。
いったいどのタイミングだったのだろうか。
一番有力なのは屋上で水邪の力を全力で使ったときだろうが、今となっては確認も出来ず、そしてそのことにあまり意味はなかった。
大切なのは水邪が蒼月の心臓を止め、その魔の力によって血液を循環させ命を永らえているということだ。
ただ蒼月はこのこと、つまり自分がある意味死んだということに関してそれほど感じる所がなかった。
そもそもあの列車の中で自分の首を斬り、水邪の力を一部使ってその血を止め続けていたのだ。
水邪は「これで我を封印すればお前は死ぬ」という意味で行ったのだろうが、そんなことはとうの昔に自分でしていたというわけである。
だからすんなりと受け入れた。
「やれやれ、ついに私も人間でなくなってしまいましたか」
という言葉はおそらく自分に対する確認の意味だったろう。
そういえばこれは爆薬だったなと外した首輪を懐に入れ歩き出す。
蒼月が降り立ったのは裏口だったので、まずは見覚えのある場所にと思い正面を目指す。
ちょうど、大きな男がその正面入り口から建物の中へ入るのを見て反射的に身を隠す。
なにぶん大きくガサツそうではあったが、その男の身のこなしは忍びのものだった。
気配を絶つような細やかな神経は使っていなかったが、修行しなければ決して身につかない所作を蒼月が見間違えるはずはない。
とはいえ忍びとしては大雑把なその動作に自分の弟を思い出しすぐに振り払う。
視線を正面に戻したとき、すでに思考はその男が何者であるかに移っていた。
あのときロビーにいなかったのだから少なくとも仲間ではありえないと思い至って、自分達以外に生き残りがいることを思い出した。
自分が屋上で戦っている最中も階下での戦闘の気配には気づいていたが、それどころではなかった。
だから誰と誰が戦っていたのかはわからないし、結果がどうなったかなど知る由もなかった。
仮にあの男が階下で戦っていた「もう一人の生き残り」だとするならば、おそらく相手になっただろう仲間は死んだに違いない……。
「それでも、ネオなら脱出しろと諭すのでしょうね」
この街で出会えた相棒と呼べる男のことを思い出し、気配を殺してビルに入った。
せっかく殺した気配を打ち破るように音を立てて自動ドアが動くのが煩わしかった。
「何をしている」
それまでの彼ならば振り返って見事なツッコミを入れていたはずだが、エッジは振り向かなかった。
部屋の入り口に立っていたのは不破刃である。
「生き残りか?」
室内の様子を伺いながら入ってくるその男にエッジは関心を示そうとはしない。
不破は返事がないことに苛ついたが襲いかかるようなことはなかった。
ルガールに会って真意を問いただすという目的のために、必要な情報を生きている者の少ないこの街で得るには滅多なことはできない。
しかし、何度声をかけても、自分が近づいても反応を示さないエッジにいい加減業を煮やして肩をゆさぶった。
「うぬ!ルガールはどこだ!?」
「なんだ、アンタ?」
エッジは初めて気づいたかのように振り向いた。
「なんで、ここに?」
「ぬ?そ、某は不破刃!ルガールに会うためここに来た凄い漢だ」
「不破刃?なんで俺らの知らない人がいるんだ?」
「いや、某は貴様らのような生き残りを全て殺してだな……」
「なんでそんなことを?」
「任務だからに決まっておろう!」
「なんでだ?この街の人間は全部ルガールに殺されるんじゃないのか?」
「ぬ、貴様もそれを言うか……」
不破はエッジの瞳に見つめられて言葉に詰まった。
その目は敵意も害意もなく、そもそも何らかの意思を感じさせることがなかった。
感じ取れたのは唯一「疑問に思ったことを問いかけているだけ」という幼い子供のような態度である。
「なあ、なんでそんな仕事受けたんだ?」
「忍びとは……」
「忍びは下命には逆らえない。そういう生き物なのですよ」
「なにやつ!?」
エッジの肩に手を置いたままの不破の言葉を補足したのは、音もなく入り口に現れた蒼月だった。
「そう、か……ルガールは死んだと」
「間違いありません。儀式の話も本当です。本人から聞かなければ納得はできないでしょうが、それは無理なこと……」
蒼月は比較的傾いていないデスクに腰掛け、ある程度の距離を置いて不破に事情を説明した。
不破は時折ぬぅとか、うむとか唸っていたが、ルガールを殺したという男の言葉に聞き入っていた。
それは目の前の忍びが完成されすぎており、自分と違う次元の生き物に見えて動くことすらできなかったことも一因であっただろう。
「なあ、蒼月さん」
「なんですか、エッジ」
「なんでルガールは死んだんだ?」
「詳しいことはわかりませんが、まあ力の反動という言葉で説明がつくのでは?」
「じゃあなんでそんな力取り込んだんだ?」
「制御する自信があったのか、そうでもしなければ不安が消えなかったのか、今となってはわかりませんね」
「なんで、わからないんだ?」
遅れて部屋に来た蒼月はその時、ようやくエッジの異変に気づいた。
どんな言葉を返してもエッジはその言葉に納得しない。
それなりに説得力のある説明をすればその疑問は沈静化するようだったが、すぐさま別の問いかけをするのだ。
「不破と言いましたね。貴方が何か」
「いや、某もわけがわからん」
「なあ、そもそもなんでここに来たんだ?」
エッジはなおも問いかける。
無視すればいいのか、そう思いわざと返答を遅らせるとエッジはすぐに外を見て、蒼月や不破などいないかのように
ブツブツと自問を繰り返した。
「……ネオ、貴方ならどうする」
床に倒れる相棒の亡骸を見つめて、蒼月は呟いた。
「そうですか。では」
そう短く告げて蒼月は部屋を出た。
背には気を失ったエッジを背負っている。
結局答えの出ないまま、蒼月はエッジを連れて脱出すべく一時的に当て身で昏倒させたのだった。
「ああ、最後に一つ」
「なんですか?」
「その忍びの技、もしまた会うことがあったら教授願えないか」
「考えておきましょう」
満足そうに頷いて不破は階段を登り、心にもないことを言って蒼月は下る。
結局、依頼者が死んだならそれこそ確認しなければという理屈をつけて不破は屋上を目指すことにした。
それは蒼月の言葉を信じなかったとか、自分が納得できないとかいう理由ではなく、ただの言い訳である。
彼の真意は先ほどのエッジの問いかけの中にあった。
『なあ、なんでそんな仕事受けたんだ?』
「何故、だったかな」
呟くと脳裏に宿敵如月の姿が浮かんだ。
「そう……決着のためだ」
漢は冷たい階段を上っていった。
その先にはただの死体しかないと聞きながら、何故だろう、そこに求める宿敵がいる気がして。
もしかすると生涯の目標を失った事になんとなく気づいていたのかも知れない。
階数表示が15階を越えたあたりで、足が止まった。
蒼月は何十キロもある人間一人を背負っているとは思えないほどの速度で風のように駆けていた。
あの不破という男の話によれば、かすみたちは無事だという。
しかし別れてからの時間と不破が出会ったという位置から察するに、三人での行軍はなかなかにはかどっていないようである。
それならば追いつけるかも知れない。
しかし、追いついてどうするというのだろう。
自分の中の水邪がすっかり眠っていることに疑問はあった。
もし水邪が息を潜め、追いつくのを待っているのだとしたら?
かすみ達を殺し、とって返してニーギとアラン、それに先ほど会った不破を殺し、水邪の世界を作る気だったら?
そんな最悪のシナリオを頭に抱えながらも、足を止めはしなかった。
エッジの問いが蒼月の心にも響いていた。
『じゃあなんでそんな力取り込んだんだ?』
生きるためだと思った。
しかし、自分は今死んでいる。
だったら何故?
走り続ける彼もまた、ただ子供のように答えを求めていたのだろう。
【風間蒼月(頚動脈に傷、心臓停止) 所持品:忍者刀青龍 目的:脱出】
【山田栄二(エッジ)(左肩負傷、首輪解除、気絶中)所持品:なし(すべて放置) 目的:なし】
お早い時間にこんばんわ!
予告どおりやってまいりました!
とりあえず、最終章最終幕ということで章表記はこれで最後。
残るのは「最終話」のみです。
今晩中に投下できる予定ではいますが、終わりよければ…の言葉にあるようにあまり急いで書いたもので〆るのもどうかと思うので。
見直して納得できなければ一晩寝かせさせてください。
ちゃっちゃと風呂入ってきて作業に戻ります。
それでは、投下あるなしに関わらずまた今晩!
乙!超乙!
最終話どうなるんだ最終話!
水邪さんが大爆発しそうな気もするが…
気になる気持ちを抑えてこっちも風呂と飯とトイレをすませて支援に臨みます
乙です!
ああードキドキする。 最後の最後まで気が抜けない展開ですね。
どういう終わり方にせよ、完結は実にめでたい。
乙!
エッジの「なんで?」の連続がなんだか怖いよ…大丈夫かエッジ…
蒼月もどうなるか分からんし、最後の最後まで読めんな。
うん、多分、いいと思う。
行くます。
ラルフは、その戦車の上に立って街を見ようとした。
「ようやくかよ……」
この3日収集を続けた情報を総合するに、まず間違いなく中は地獄だ。
2つめのゼロキャノンの発射を阻止できなかったことは悔やまれたが、
それが今現在も観測不能なサウスタウン内部に着弾することなく、
妨害のない遥か上空で消滅したと言う報告はラルフに希望を与えていた。
きっと、中で誰かが戦っている。そう信じてそこに立っていた。
しかし、ラルフの目に街は見えはしない。
果てしないと思えるほど高い壁がそこにそびえている。
サウスタウンを封じる地獄の蓋。
申し訳程度にある扉を思慮に入れれば「地獄の門」と呼ぶべきかもしれない。
もし半日早くここに来ていればあらゆる妨害があったし、実際斥候部隊は何人も何人も死んだ。
しかし、今そこにあるのは本当にただの門だった。
-大佐、突入までのカウント開始します-
「ああ、頼む」
ラルフは戦車の中から通信機を引っ張り出して口に当てる。
車内からははっきりとした声でオペレーターの声が響いた。
-10-
-9-
-8-
突然、轟音が響く。何かの崩れる音。しかしそれは「途中から」聞こえているような唐突さ。
それが街を包む結界に大きなほころびの出来た証拠だとは知る由もない。
-7-
-6-
-5-
轟音の主、街で一番大きく高い建物、ギースタワーが倒壊した。
-4-
-3-
カウントは止まらない。
何があろうと止める気はなかったし、止めるなとも言ってあった。
自分の後ろに控える部隊が息を飲むのが聞こえる。
-2-
-1-
「うおおおぉぉぉぉ!突入だぁぁぁぁぁ!」
ラルフの叫びが、門の向こうにいる者に届いていた。
「いい加減死んでくれ!」
アランは引き金を何度も何度も引きながらそう叫んだ。
バッグに入っていたマガジンも使い果たし、残りは何発もないだろう。
「…やなこった」
ニーギはすでに二桁近い銃弾を身体に浴びており、彼女の足元には血だまりが広がる。
踏ん張ればぬかるみ、ぬかるめばバランスを崩す。
それでも、ニーギは立ち続けた。
「あと何発あんの?」
「知るか!」
また一発撃つ。
ニーギは身体を少しずらすだけ。そして銃弾はその身体の末端を穿つ。
その繰り返しだった。今の弾は三発目の左足への被弾だ。
「いったぁ…」
すりむいたところでも見るようにニーギがその弾痕を眺める。
アランは焦る。
早くしなければかすみ達は逃げ延びてしまうだろう。
一刻も早くニーギを殺し、追いかけなければならない。
しかしそれは「ニーギを完全に殺す」ことが絶対条件である。
ニーギの力は間近でいやと言うほど見た。
もちろん、その消耗ぶりも見てはいたが自分が彼女の0.何%の力で死ぬのかわからない以上、それを0にしなければ決して安心はできなかった。
「ほら!どうしたアラン!」
ニーギは声を張る。
「くそっ!」
また一発。
今度は左腕に当たる。
「くうっ…」
アランは気づいていない。
ニーギはとっくに限界で、ひょっとすればその手の刀でもう一撃深く斬りつければ死ぬかもしれないこと。
それゆえに避けきれず、しかし急所だけは避けて挑発を続け警戒させ、距離を詰めさせていないこと。
最後に、右足にだけは一発も銃弾が当たっていないこと。
アランになんとなくわかっていたのは時間を稼がれているということだけ。
そしてそれによる焦燥感が彼の指を折り曲げ続けさせた。
「ねえアラン?」
「なんだよ!」
膝を折るまいと必死に足に力を込めていたニーギがふっと力を抜いてみせた。
くらっと揺れる身体を壁にもたれさせて、それまで以上に優しい口調で問いかける。
「考え直さない?」
「残念だけど、ノーだ」
「やり直すなら、手伝ってあげてもいい」
一瞬、アランの表情が緩む。
それは本当に一瞬。
険しく戻った顔を見て、ニーギは心底切なそうに言葉を吐いた。
「アンタの大切なものを取り戻す手伝いだって」
「……一番の手伝いは早く死んでくれることだ」
最後の一発が、ニーギの腹に食い込んだ。
「……はいはい……まったく素直じゃないんだから!」
「やはり人が!」
不破刃が23Fの階段からその通路に飛び込んで見たもの。
自分の気づいて驚く二人の人間。
カチカチと無駄な音を鳴らす銃を捨てる男。
もう一方の手に持った刀を振り上げて駆ける男。
ニヤリと笑って、青く光る右足を振り上げる女。
その足を床に叩きつける女。
そして、崩れる23Fの床。
落下する自分と、目の前の二人。
「塔が崩れる!?」
轟音に振り返った蒼月の目に入ったのは、その建物のちょうど中心から発せられた爆発のような閃光。
そしてその直後にぐらぐらと安定をなくし崩れ落ちるその場所より上の階層だった。
「急がなければ…」
何が起きているかを把握する術はない。
だがおそらくあれはニーギの技、それをいまだにあの建物で使う事態となれば緊急の事態。
脱出まで一刻の猶予もないことは確かだと考えた。
倒壊するギースタワーから視線を外して前を向くと、遥か遠くに大きな鉄ごしらえの門のようなものが見えた。
そして、それが破られるのも。
耳に飛び込んできたのは男の怒鳴り声だった。
「誰か!誰かいないか!」
ウィップやレオナと言わず、紅丸程度の知り合いであってもその声を聞けば助けだと安堵しただろう。
だが今現在その男を知るものはこの街にはいなかった。そんな人間は全て死んでいた。
過去からやってきた蒼月が彼を救出に来た軍人などと判別することは不可能。だから警戒した。
その男が顔を出している乗り物らしきものには大筒と思しきものが取り付けられ、それを先頭に彼の後ろには一回り大きなその乗り物が多数。
それと同じ服に身を包んだ大量の人間が控えていた。
「何かの軍?かすみたちの脱出計画と噛み合わなかった……?」
蒼月はここまでの距離と自分のスピード、そしてかすみが連れ立っている男女の速度を簡単に仮定して考え、
地図の上で陸地と繋がっているこの場を目指していればちょうど追いつけるくらいだと踏んでいた。
しかしその場にいたのが素性も知れぬ男と大部隊となれば、おそらくその算段は失敗であったろうと蒼月は考える。
別の場所から脱出を図ったのだろうか、たとえば海路であるとか。
「…探すべき…ですね」
呟いて背中のエッジを見る。
未だ意識は取り戻していないが、あれだけの人数がこの街に侵入してきたとなると彼を背負って動くのは不利。
が、侵入したという言葉が浮かんですぐに大きく溜息をついた。
「ああ、なんと情けない。死んで頭の廻りが悪くなったようですね」
気づいたのは、彼らの乱入によってルガールの目論んだ儀式は完全に崩壊したということ。
もし続いていたとしてもあれを全て殺さなければいけなくなった以上、実質的には崩壊ととって構わないだろう。
つまり、少なくとも今見えている彼らは儀式を完成させようと目論む直接的なルガールの手の者ではないという事実。
「つまり助けにきた者か、ルガールに証拠を消させようとした連中の手先のどちらか……」
その結論に至ってようやく蒼月は動いた。
エッジを建物の影に寄りかからせて、先頭に立つ男の前に姿を現す。
その男、ラルフは音もなく突然目の前に現れた男に反射的に銃を向けた。
「下衆めッ!」
声と共にラルフの手はこれまた突然出現した水球に打ちつけられて銃を取り落とす。
「我に武器を向けるとは何事ぞ!」
やめろ、止まれ。心の中で念じる。
「貴様ら人間のあまりの愚かさに呆れて関わるのをやめようと思った矢先にこれか……」
やれやれと大袈裟なポーズで落胆を示す水邪の行動を内側から見て、おや、と蒼月は思う。
相手の出方を見ようと姿を晒した瞬間に意識を水邪に持っていかれた蒼月は直後から必死の抵抗を試みていた。
儀式は崩壊しているはずだから、もし相手が敵ならば水邪が全滅させても何ひとつ問題はないのだが、味方だった場合は非常にまずかろう。
しかし当の水邪にはもともとその意思がなかったらしい。
「貴様らに問う」
水邪は空中に腰掛けてその場の全ての人間を指差した。
「命とはなんぞや?」
ラルフ以外の全ての兵士から銃を向けられて、平然と睨みつける水邪。
一歩前に出たラルフは一瞬の間をおいてはっきりとと答えた。
「命ってなぁ、大切なもんだ…なによりもな!」
その答えを聞いた水邪の表情が少し崩れたのを中にいる蒼月だけが感じた。
「下らぬ。本当に下らぬ。人の命などたかが数十年、儚きものぞ」
「でも、だからこそ大事なんだろうが!」
ラルフも水邪も、相手がなんであるかすらわからない状態で、意味があるかもわからない問答を繰り返す。
「ならば……この都で消えた何十何百という命は、全てが尊きものだったというのか」
「なっ……!?」
「あの男、ルガールといったか。神になりたがって死んだあの俗物の命ですらも…?」
「ルガールが!?」
きっ、と目を細めて水邪がラルフを睨む。
回答を促されているのだと感じ、ラルフは一層大きな声を出した。
「それでも、どんな悪人でも命は大事だ。そうじゃない命なんてねえ!」
「……本当に愚かよ……そうか…そんなに大切ならば救ってみよ」
ふっと威圧感が消えるのをラルフは感じた。
その長い青髪の男の後ろから、何か大きな塊が引きずるように近づいてくるのが見えた。
「終わりだ、全て」
アーデルハイドは辛うじて回線を繋いだその門の監視カメラからの映像を見てそう呟いた。
「どうやらそのようで」
その声に一室にひしめく兵士がいろめきたつ。
後ろに立つウォンに対しアーデルハイドは静かな声で問う。
「ウォン卿、貴方はどうなると思って父に協力したのですか?」
「さあ?」
「最初から、成功するとは思っていなかったのでしょう?」
「おやおや…旗幟鮮明、私は最初からずっとルガール殿を応援していましたよ?」
「黙れッ!」
その足が弧を描き、そこにいるウォンの身体を切り刻むはずだった。
しかし父譲りの虐殺の刃は空を切る。
「甘い」
「のはそっちだ!」
まだ宙にあるその体を捻り、拳を後方へと振るアーデルハイド。
「ちいッ!!」
いつの間に移動したのか、その後方でせせら笑っていたウォンの頬をかすめて拳は唸った。
「なるほど、英姿颯爽、お父様に似てきたではないですか」
「待て!」
貼りついた笑顔を僅かにゆがめてウォンが去ろうとする背を追おうとアーデルハイドが踏み出す。
しかし、そこにはいつからあったのか鋭利な刃が突き刺さっていた。
「くそっ!」
部屋ではいまだ兵士たちがざわめき続けている。
「くっ、聞こえなかったか?ルガールの子、アーデルハイドの名において全てのプログラムを終了する。処理にかかれ!」
「はっ」
一瞬で場が秩序に支配される。
綺麗に揃った返答が響き渡った。
もうウォンの姿は部屋の外の廊下にすらない。
アーデルハイドはモニターに視線を戻す。
「本当に、なんということを……父は……」
画面に映っているのは気を失った三人の女性を担いで必死に歩く青年の姿。
たしか参加者で、名を結城晶と言った。
背負われているのはその結城の知り合いだという梅小路葵、そして霧幻天神流忍術の抜け忍かすみ。
さらに父が依頼したか勝手に申し出たかは定かでないが、今回の協力組織の一つ「アデス」から
最終生存者処理のために送られたエージェント、ナガセ。
全て、生きていた。
「蒼月さん!」
「どうしたと言うのですかすみ、だらしのない」
「すいません、ちょっとしびれ薬が……」
「愚かなり…やはり一度躾けなおすか…」
「あれ?水邪様!?」
「ゴホン、そのことについてはまた、ここを出てから詳しく」
背負われたまま、かすみは少しだけ動く首をかしげる
「うぅぅぅ……」
「そちらの娘は?」
葵の横で唸るナガセは手足を葵の帯でグルグル巻きにされていた。
「ええと、私の、忍術の弟子ってことじゃだめですか?」
「はぁ…」
なんとも呆れた様子で額に手を当てる蒼月の目の前で、血にまみれた着物を身につけた葵と体力を使い果たした晶がどさりと倒れた。
「最終報告書はどうします」
「連中に詳細なデータなんてくれてやる必要なんかない、書くのはこれだけでいい」
アーデルハイドはモニターを見たまま指示をする。
どうせ、協力した組織には独自のルートから今回の様々なデータが行っているはずだ。
父を利用するため、父の死を前提として協力などとうそぶいた奴らに何かする義理などあるわけもなかった。
「本当にこれだけでいいんですか?」
「ああ」
兵士が別のキーボードを叩くと、別のモニターに文字が映った。
【第1回ACBR 正式参加者数:85名】
【死亡確認:78名】
「ともかく……早く……皆の手当てを……してくれ!」
息も切れ切れに晶が叫ぶと弾かれたようにラルフの後ろから救護兵が飛び出した。
【脱出者:5名】
「葵…がんばれ、しっかりしろ!」
「晶ちゃん……」
弱々しい声と荒い息で葵は最後まで自分と共にいてくれた幼馴染の名を呼ぶ。
【結城晶、梅小路葵】
「結局、こっちにこれたのは蒼月さんだけなんですか……」
「あ、忘れていましたね」
蒼月はわざとらしく気づいたフリをして走っていく。
【かすみ、風間蒼月】
「エッジ、起きなさい」
「あと5分……」
バシャン。
「わ、わわわ!?え?外?」
きょろきょろと辺りを見回す。当たり前だが状況が把握できていないようだった。
「え、なんで?」
【エッジ(山田栄二)】
「この拠点も破棄する。データ送信終わり次第撤収」
「アーデルハイド様!」
直立不動で兵の一人が進み出る。
「その、サウスタウンの調査はいかがしますか」
「放っておいても軍がやってくれる」
「それはそうなのですが…生死不明の者が何人か」
「それこそ、放っておいたほうがいい。報告書にもそのまま書いておいてくれ」
「はっ!」
敬礼をして兵が持ち場に戻る。
別のモニターには
この街の支配者が立て
この世界を終わらせようとしたものが死に
明日を諦めなかったものが壊した場所
―――ギースタワーの残骸が映し出されていた。
【生死不明:ニーギ・ゴージャスブルー、アラン・アルジェント】
「…よし、それでは正式にAbsolute Code Battle Royale 全プログラムの終了を宣言する」
アーデルハイドの声が響き、部屋を飛び出す兵士たちと入れ違いにローズが入ってくるのが見えた。
モニターにはもう、誰も映っていない。
しばらくすると全ての電気が消え、ブツンという音と共にそれも消え去った。
アーデルハイドはそれに向かってゆっくりと一礼し、ローズと共に部屋を出た。
AC Character Battle Royal
完
おーーーーわーーーーーーりーーーーーーーー!!!!!
終了ーーーーーーーー!!!!
おつかれさまでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
以上を持ちましてアケロワの本編、全て終了とさせていただきます!
ご意見ご感想を待ちつつ告知関係を書いてきます。
お疲れ様です。
本当にお疲れ様です。
なんていうか涙が止まりません。
そういえばアケロワが始まったのは中2だったなあとか。
なんか色々思い出して本当に涙が止まんないです。
そしてこのアケロワの最終回をRTで読めた事が本当に嬉しく思います。
アケロワっていう企画があったことを嬉しく思います。
以下は感想を。
女性三人担いで走る晶すげえっ、火事場のバカ力というか。
フラグ神フラグ神言われてたエッジと蒼月とか
でも蒼月の心臓問題とかウォンとかエッジの「なんで?」とかニーギ達とか
微かに残るフラグがなんだか楽しみです。
ありゃ?コテがついてる。
申し訳ないです
超乙です!
女の子三人を背負った晶を凄いと思ったり、
山田は最後まで山田だなと思ったり、
葵がなんだかかわいかったり、
心臓止まっちゃった蒼月&水邪の今後が心配だったり、
かすみとナガセの関係に注目したり、
ニーギとうん●の真相が気になったり、
アーデルハイドも大変だったなと思ったり、
生存者のその後の生活が見たかったり、
エピローグもwktkしながら、最後の支援が出来たことに感謝!
最後まで読めたことに感謝!
さて、ええと、なんかすごい数の支援いただいて恐縮です。
最終チェックしながら一節落とす度にすげえんだし、ビビるし。
正直なところ、暴走を始めた当初は本当に俺が勝手にやってひっそりと終わっても文句は言うまいと思ってたんですが
なんかもう、本当にありがとうございます。
まさか最終日に新作絵が見れるとか思ってもみませんでした。
いろいろと書きはじめたらキリが無くなってしまうんでこの二つだけを言わせてください。
勝手やってスイマセンでした。
読んでくれてありがとうございました。
で、綺麗にシメられないのがオレなんですが、このたまりにたまった語りたいことは全部ラジオでやったろうと思ってますので
お時間に余裕があって聞いてやろうじゃねえの!?って人はよろしくお願いします。
時間は、5/2の金曜の夜にしようと思います。
もう連休に入ってる人はオレの敵ですからまあ考慮しないにしても、とりあえず連休初日の前ですからギリで旅行とかも
みんな行ってないんじゃないかなあと。翌日朝早い人とか超ゴメン。
で、開始時間は追ってスレに連絡しますが、その時一緒にエピローグを一編投下しようと思っております。
レスとかは知らんけど作品として俺が投下するのはこれが最後となります。
別にあんまりすごいもんでもないので期待せずにお待ちください。
それでは、エピローグとラジオでお会いしましょう。
皆さん本当にありがとうございました。
お疲れです。ほんとうにお疲れです。
いやあ……実に感慨深いです。
懐かしいなあ。始まったのは、あの頃か……懐かしい。
水邪と蒼月はどうなるんだろう……
ニーギとアランはいったい……
とにかく、うまい感想はいえないけれど、リアルタイムで読めてよかったです!
本当におつかれです。そして、本当にありがとう!
祝!アケロワ完!
完結、おめでとうございます!
古の交流所にて驚異の勢い、ネタ量を誇り
様々な後続ロワに沢山の影響をも与えたこのアケロワ。
それが完結したことに感慨深く思い、めでたきことと思いながらも、どこか淋しく思う自分もいたりします。
お疲れさまでした!
また一つ、歴史に刻まれる瞬間がここに!
本当にお疲れさまでした!
完結、おめでとうございます!
超GJ!!
終わった……終わっちまったよACBR。
78人もの人が死に、最後に残ったのはたったの5人。
傷だらけでみんなを脱出する晶は映画のラストシーンみたいで感動した。
ナガセとの決闘で最悪、全滅してるかと思っただけに本当によかったよ。
そして蒼月。まさかお前が生き残るとは思わなかった。
我侭水邪様がここにきて人に慈悲らしきものを向けるとは。
ラルフとのやりとりも単純ながらいい締めだったと思う。
エッジは生き残りの中では最も成長したキャラクターだな。
ケーブルやネオとの友情、ヴィレンとの戦い、そして死。
日常に戻ったら、こいつは何を思うんだろうか。
……ニーギとアランは悲しい結末になってしまったな。
もっと他によい道はあっただろうに。
まあ、しかし、そのやりきれなさもバトロワであろう。
最後になったけど、◆nucQuP5m3Y氏、本当にお疲れ様。
ここまで来るには本当にたくさんの人の頑張りがあったけど
あなた抜きでは正直、ここまで来れなかった。
地図にSSに奔走し、停滞していたこの小説を完結に導いたあなたはまさにMr.アケロワと言っていい。
俺は最初からいたわけじゃなく、途中参加したくちだが、それでもこの企画には何年も楽しませてもらった。
楽しい時間を本当にありがとう。
心からこの企画の完結を祝福するよ。
話の感想はエピローグとラジオの時に語らせて頂きます。
様々な思いを胸に散っていった個性豊かなキャラ。
登場時「こいつは即死候補か!」と勝手に思ってた(失礼)エッジの驚くべき男気と成長。
クールかつ知的に、そして濃いカリスマ性を放っていた蒼月(水邪)。
強運とセクシーさと優しさを併せ持つ超いい女なかすみ。
ほぼ拳一つという状況下ながらも熱くまっすぐなガッツで生き抜いた凄い漢の晶。
か弱い普通の女の子でありながら、健気さと明るさで皆を癒してくれた葵。
最後まで話を盛り上げてくれた、生死不明のジョーカーアラン。
ずっと活発でパワフルで元気いっぱいだった、女ヒーローのニーギ。
こいつらを参加メンバーとして投票にしてくれた方々。
こいつらに命を吹き込んでくれた方々。
そして最後まで頑張って下さったF氏。
感動をありがとう。
アケロワはー私のー青春ーそのもーのー…って感じです。
お疲れ様でした…そして完結おめでとう!
色々あったけど無事に完結してよかった。
俺は途中から読ませてもらってたクチなので最初の方の流れは分からないけど楽しかったです。
まさかバーチャ勢から2人も脱出するとは思ってなかったw
ニーギとアランはどうなってしまったのか。気になってしょうがない…。
しかし無事に脱出した5人にもおめでとうと言いたい。
エピローグとラジオも楽しみにしております。
最後に、FLASHの人もアケロワを書いてくれた人も含めて、本当にお疲れ様でした。
楽しい物語をありがとう。アケロワを読んでてよかった。
遅くなったけどお疲れ様でした!
丸一年止まってもう見れないと思っていた続きを実際に見ることができて感動です。
今はとにかく余韻をかみ締めて、ラジオ聴けたらいいなーと祈ることにします。
>>91 こちらも超GJ!ベニー熱いぜ
続きと、そして終わりだな。どうでもいい追記。
しかし生死不明の二人(と不破w)の安否が気になる…
そのまま想像にお任せなのか、エピローグで判明するのか…。
◆nucQuP5m3Y氏、お疲れ様です!
アケロワ完結……長く停滞していた頃には実現するなど思ってなかった。
リレーという形式で続ける事は出来なかったものの、
クライマックスを一手に引き受けてくれた◆nucQuP5m3Y様には深く感謝します。
ラジオとエピローグもwktkして待ってます。
生き残った者達や間に合わなかった者達の今後はいかに。
完結おめでとう。お疲れ様でした。
私がこのロワを知ったのは、過疎って久しいころのこと。
完結は無理だろうと悲観していたのだが、やってできないものじゃないのですね。
しかし、ここをもっと早く知っていれば、と思わざるを得ない。意外と知ってるキャラは多かったのだし。
とはいえ今は、エピローグとラジオを楽しみにして待つことにしましょう。
生死不明者とか心臓とか、気になることも多いので。
では最後にもう一度。
完結おめでとう!
完結おめでとうございます!!!
完結してよかった!最終回読めて感動です!
◆nucQuP5m3Y氏、ホントおつかれさまでした。
そして書き手のみなさま、数えきれない名場面・名言をありがとう!!!
あああ完結してもその後が気になる。
エピローグ楽しみにしてます!
最後までリレーでいけなかったのは心残りですが、FF1stと同じく完結が見れた感動の方が大きいです。
完結まで書ききったFの人お疲れ様です。
あの停滞していた位置からここまで書ききったのは感無量としか言いようがないです。
もう完結したのだから、埋もれていったアナザーなども気にせず投下してほしいなーと期待してみる。
気づいたら…乙、何も言わずに、乙
ういす、ちょっとぶりです。
さて、ラジオですが予告通り本日夜やろうと思います。
時間は22:30(久しぶりなんで22:00くらいからつないでテストします)より!
そんでもってエピローグは22:00前までに間に投下予定です。
ラジオはいつもどおりねとらじ
http://live.ladio.livedoor.com/?count=t にて。時間になったら(多分)名前がでますので
「アケロワ最終回打ち上げラジオ」とかそんな感じの奴をクリックしてください。
それとその名前の下に[関連サイト]と出るのが放送用のスレッドになりますので、書き込んで盛り上げてやってください。
多分聞けるはず。ほんっとしばらくやってなかったのでなにか仕様変更とかで
手間取るかもしれませんがそんでも開始までにはなんとかします、多分。
とりあえずいくつかネタは用意しておきますが、話してほしいこととかあったらご希望をどうぞ。
そんじゃまた夜に。
乙です!
時間になったら行きます!
さて今からネカフェに飛ぶか
そんでは、最終投下。エピローグ行きます。
シーン1
<日本 某所 病院玄関>
晶「そうか、わかった。いや、無茶はしないでくれ。そう安泰な身じゃないんだろ?ああ、わかった。
こっちは任せてくれ。絶対に潰す。ああ、そっちもな」
笑顔で携帯電話を切る晶。
背にした玄関から葵が出てくる。
葵「どちらはんからどすか?」
慌てて携帯電話をしまう晶。
晶「あ、ああ。ちょっとした友人だよ。それより、傷の具合はどうだって?」
葵、訝しげな目をむける。
葵「浮気どすか……」←出来るだけ低い声で
晶「ばっ、ばか!そんなわけないだろ!俺はそもそもモテないぞ!」
葵「でも、うちにはそのモテない晶ちゃんしかおらへんのに……」
着物の裾で目を押さえる
晶「す、すまない!そういう事じゃないんだ!本当に友達にちょっと仕事を頼んだだけで!」
ぺろりと舌を出す葵。
葵「ふふ、わかっとりますえ」
晶「う、勘弁してくれよ」
晶、ポリポリと頭をかく。
葵「傷は完治したそうどす。武術も問題ないと」
晶「そうか……よかった」
画面モノクロに、回想シーン。
シーン2
<3ヶ月前の同病院病室>
晶「死ぬな!葵死ぬな!」
葵、目を閉じたままベッドに仰向けに寝る。
身体には至るところに包帯が巻かれ、肩に巻かれたものからは血が滲む。
晶も多数の包帯を巻く。
医者「お静かに!直後の処置が適切でしたし、刃に塗ってあったしびれ薬も後遺症のあるものではありません。
念のためそのレシピまで頂いているのですから問題ありません!患者さんを休ませてあげてください!」←小さい声で強い語調
シュンとなる晶。
少しだけ目をあけて微笑み、すぐにまた眠りにつく葵。
シーン3
<病院からの帰り道>
画面カラーに復帰、回想終了。
並木道を並んで歩く二人
葵「でも、うち……もう武術はやめようかと思っとるんどす……」
晶「……そうか。俺は反対しない」
少しうつむいて晶の方をチラチラと見る葵。
葵「そしたら、うちは何をしたらええのですやろ……」
晶「え?」
葵「もちろん武術以外のお稽古もたくさんしとります。でも一番生活の中心だったのは武術どす…
それがのうなってしもうたら、うちは何を中心にして生活したら……」
晶、腕を組んで考え込む。
うつむき、表情は見えない。
晶「なあ、もしよかったらなんだけど……」
葵「なんどす?」
晶「その、うちの道場でだな、なんというか、武術でなくて、その門下生の世話とか、その、俺の飯とか洗濯……」
葵「…………」
晶「ええと、うちは無駄に広いから住む部屋はいくらでもあるし、俺もその方が目が届いて……別に他意はなくてだな!」
葵、顔をあげてイタズラっぽく微笑む。
葵「あははは!晶ちゃんひっかかりましたなぁ!うちが武術捨てるわけないですやろ?単純なんやからー」
きょとんとする晶。
はっとしてあらぬ方向を見る。
晶「そ、そうだよな!葵はやっぱり凛々しく戦ってるのが似合うよ!うん!」
葵「うふふ……」
葵の口元をアップに。
音声なしで「ありがとう」の口の動き。
口の横に涙が流れて暗転。
シーン4
<日本 某所 外道高校校舎裏>
朝、アキラ、岩、エッジが校舎裏で話をしている。
アキラ「本当に大丈夫なのか?」
岩「そうじゃ、そんなにタチの悪い風邪じゃったら」
エッジ「いやいや、なんでそんなに心配性なんだよお前らは」
アキラ「普通風邪で3ヶ月は休まないから言ってるんだ……」
岩「そうじゃ、うつされたらかなわん」
エッジ「ああそうですかい、久々に帰って来た俺にそれかコンチクショー!」
拗ねたように非常階段を駆け上がる。
口元アップ。笑っているエッジ。
階段下、メットを外すあきら。
あきら「あ、まだおかえりって言ってないのに……」
岩「しまったのう……病院生活が心細かったのかもしれんのに」
シーン5
<外道高校屋上>
フェンスによりかかってニヤニヤしているエッジ。
エッジ「変わってなかったな、あいつら……」
醍醐「帰ったか」
エッジ「総番!?ち、ちわっす!」
醍醐「おう」
エッジ「な、なんか俺にご用っすか?」
醍醐「エッジ、どこ行ってた」
エッジ「あ、ああ、えっと、すんげぇタチ悪い風邪ひいちまって、ずっと病院暮らしでして」←しどろもどろに
醍醐「ほう、じゃあこいつらは医者か何かだってのか」
醍醐、後ろ手にひきずっていた男二人を放り投げる。
エッジ「げっ!?軍の人!」
監視役A「すいません、影ながら保護しろと大佐から言われていたのですが、ぐふっ」←気絶
監視役B「まさか、ここまでの用心棒をすでにお持ちとは…がくっ」←気絶
醍醐「さ、説明してもらおうか」
エッジ「でも……もし総番や、アキラや岩も…!巻き込んじまったら……」
醍醐「そうだな、お前に何かした野郎にお礼参りはしないと」
エッジ「や、やめてください!絶対、やめてください!なんでそういうこと言うんすか!本当に!やめて!やめてくれ醍醐サン!
なんでもする!他の高校一人でシメろとか、授業真面目にうけろとか、なんでも聞くから絶対にそれだけは!」
異常に狼狽するエッジ。
目には涙をためて醍醐の足にすがりつき懇願する。
醍醐「……悪かった。絶対にそんなことしねえとこの背中に誓う。だから、話だけでも聞かせてくれねぇか」
エッジ「…………は、はい……」
画面一瞬暗転。
シーン6
<外道高校屋上 夕方>
復帰後夕方に。
エッジ「だいたい、そんなとこっす……総番……教えてください。なんでケーブルのおっさんは……死んじまったんすか!」
醍醐「エッジ!!」←大声で
エッジ、跳ねるほど身体を硬直させる。
醍醐「ダチだからだろうが……ダチのために命はるのが本当のダチだろうが!」
醍醐の右の拳が難く握られ、そこからポタポタと血が落ちている。
エッジ「じゃあ、じゃあ俺はやっぱりおっさんの仇を討たなきゃいけなかったんだ!そうだ、ネオさんの
仇だってとらなきゃ。俺はあの人だって、蒼月さんも、みんなダチで……」
顔面蒼白でおろおろするエッジ。
倒れている兵士の腰から咄嗟に拳銃を取って喉に当てる。
醍醐「バカヤロウ!!!!!」←さらに大声で
一瞬でその手の中にエッジの持った拳銃を奪い取る。
そのまま拳銃を握りつぶす醍醐。
手を開くと血に染まってぐしゃぐしゃになった拳銃。
醍醐「死んだダチの気持ち台無しにしてぇのか!お前を死なせたくなくて命はったんだろそいつらは!!」
エッジ「でも…でも…俺…俺……!!!」
醍醐「お前の命は、もうお前だけのモンじゃねえ。その二人や、お前と出会って死んでった全部のヤロー
の命をお前は引き継いでんだ。シャバいこと言ってねえでしっかりしねえか……」
血のついていないほうの手でエッジのホウキ頭を潰すようにくしゃくしゃにする醍醐。
エッジ「醍醐サン……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
その場にしゃがみこんでボロボロ泣くエッジ。
醍醐「今は泣け…それと…」
屋上の扉を睨む醍醐。
醍醐「コソコソしてねえで出て来いや!」
間をおいて扉が空く。
岩が出てくる。
その影からゆっくりとあきらも。
二人とも泣いている。
あきら「エッジ……朝はごめんね、辛かったんだね…ごめん…ねぇ……」
岩「うぉーーーん、うぉぉぉーーーん」←号泣
エッジ「あきら……岩……」
あきら「うん、私だよ!エッジの友達のあきらだよ!」
岩「うぉぉぉぉぉーーーーん」←まだ号泣
エッジ、鼻をおおきくすする。
エッジ「ば、バカヤロー!泣いてんじゃねえよ!」
あきら「でも、私、こんなにエッジが辛いのに何もできなくて……」
何度も何度も涙を拭うあきら。
赤くなりながら頭をかくエッジ。
エッジ「そ、そんじゃさ、あきら!頼みが……あるんだけどよ…」
あきら「ぐすっ……何?」
エッジ「その、さ……」
あきら「うん……」
エッジ「俺さ……お前の作った甘ったるいチーズケーキが食いてぇ……」
きょとんとするあきら、ニヤリと笑う醍醐、後ろを向くエッジ、いまだ号泣の岩を遠景で。
夕焼けをバックにして暗転。
シーン6
<某国 クイズタウン ネオ&ジオ探偵事務所>
ジオが机に向かいキーボードをカタカタと叩いている。
最後のキーを強めに叩いて背伸び。
ジオ「ふーっ、とりあえず今日はこんなとこかな」
ふわりとカーテンが揺れ何かが部屋に入る。
ジオ「お、蒼月おかえりー」
蒼月「どうも。どうですか、軍からの資料まとめは」
ジオ「やっと1/10ってとこだよ……時間順に追ってるからまだ1日目の状況くらいしかわからない」
蒼月「そうですか」
ジオ「そっちは?」
蒼月「ええ、今日の依頼は全て終わりです。ラッキーさんの家のヘルバちゃんもこの通り」
帽子の男が喜んでネコを抱いている写真をジオに見せる蒼月。
ジオ「さすがニンジャだなあ……この3ヶ月で何度言ったかわかんないけどこれ」
蒼月「私も三ヶ月前はまさかネオのやっている『探偵』というのがこの時代の密偵とは思いませんでしたよ
てっきり芸人や役者、贔屓目に見て学者か何かだと…」
ジオ「似合わないだろ?」
蒼月「これ以上ないほどに」
顔をあわせてくっくっくと声を漏らして笑う二人。
ジオ「で、依頼じゃないほうは?」
蒼月「それについては……っと、客のようですね」
ジオ「ん?」
またも窓から何かが飛び込んでくる。
ナガセ「ようお前ら、元気?」
蒼月「はぁ」←やれやれのポーズ
ジオ「お前かよ!」
ナガセ「おま、お前ら抜け忍が顔出すってどれだけ大変かわかってんのか!?少しは驚いたり歓迎したり」
かすみ「抜け忍の自覚があるならもう少し神経使いなさいね」
かすみがナガセの後ろに立っている。
蒼月?「……腕を上げましたね……面白い!我が少し稽古をつけてやろう!光栄に…」
ぺちんと蒼月の頭を叩くかすみ。
かすみ「水邪さん!深夜なんですから静かにしてください!ご近所に迷惑です!」
水邪「む、おのれ小娘……」
ジオ「おかえりかすみちゃん。日本はどうだった?」
かすみ「お久しぶりですジオさん。晶さんたちには会ってきましたけど、例の話は確認できなかったですね」
かすみとジオの間に割って入ナガセ。
ナガセ「例の話?」
かすみ、蒼月とジオを交互に見る。
両方が渋々頷くのを見てから話す。
かすみ「日本で、ニーギさんに似た人の目撃情報があったんです。情報元はH&K探偵事務所っていう
なんだかここによく似た感じのところだったんですけど……結局ガセかどうかも分かりませんでした」
ナガセ「ふーん、ニーギ……って誰だっけ?」
蒼月「こちらも、プローブの幹部会にアラン・アルジェントが居るという噂について未確認、要追跡調査
と言ったところでしょうか。あの会社、なかなか手ごわいので時間はかかりそうですが」
ジオ「そっか、それでもそういう情報があるだけでも、な」
ナガセ「無視すんなー!お前らー!」
かすみ「はいはい、ナガセも静かにして。お土産あげるから」
ナガセ「へーん、そんなもんで……すごっ!スト2レインボーの基盤じゃん!」
基盤を掲げて小躍りするナガセ。
水邪「こやつも十分騒がしいではないか……それにしても、我の力をもっと使えば楽に調査できるものを……」
かすみ「それはそうなんですよねー。なんで蒼月さんは水邪さんに頼らないんですかね」
蒼月「水邪のものは魔の技、私のものは忍の技です。あまり魔にばかり頼っては本来の忍の技が鈍り……」
ジオ「でも現代の文明機器は大喜びで使いこなしてるじゃん」
かすみ、ニヤニヤして蒼月の方を見る。
蒼月「キャメラとコーヒーメーカーだけじゃないですか!」
かすみ「メール返してくれませんもんね」
蒼月「あれはやり方がわからないだけです!電話はできるじゃないですか!」
ジオ「そうだよかすみちゃん、蒼月はかすみちゃんがかわいくてしょうがないんだから。
返せるなら5秒で返す」
蒼月「……ジオ、貴方最近ネオに似てきましたね」
ジオ「蒼月だけじゃない、水邪様だってかすみちゃんが来たときくらいしか顔出さないんだよ?
『我はあの戦いで人間の愚かさを飽きるほど見た。そんなものを器としていたら魂が腐る』
とか言ってさー」
かすみ「水邪さんがそんなことを……」
ジオ「他にも『この者は我が見捨てればすぐに死ぬ身ぞ、しかしそれでは愚鈍なあの女が泣くだろう』とか
『かすみはいつ帰ってくる』とか『こぅひぃの水がいまいちだ』とか、えーっと」
水邪「……」←指をくいっと振る
水弾がジオの顔を直撃する。
弾けた水の多くがパソコンにかかる。
バチバチと音と煙を上げてモニタが消える。
ジオ「冷たっ!って……うわぁぁぁぁぁぁ!!!今日一日の苦労が!!!」
ナガセ「そんなもん私が復元してや……あ、ダメだこりゃ」
ジオ「水邪様ぁぁぁぁ!!」
かすみ「こら!水邪さん!」
蒼月?「……我、ごほん、私の中でしばらく寝るそうじゃ…です」
かすみ「水邪さん……?」←わざとらしく睨んで
蒼月?「こぅひぃを淹れてやろ…来ましょう。今日はキリマンジャロで……」
給湯室に逃げ込む水邪。
ジオ「うむむむむ…あのインチキ神様め…せっかくいい情報手に入ったってのに」
かすみ「いい情報、ですか?」
ジオ「ああ、実はブラウン博士っていうマイナーだけど大天才の時空学の権威がタイムマシンを所持してる
っていう噂があってさ。ひょっとしたら蒼月が過去の世界にもどれるかもしれない」
かすみ「本当ですか!」
ジオ「かすみちゃんが戻ってきたら一緒に確認に行ってもらおうと思ってたんだけど……」
ジオとかすみ、給湯室をじっと見つめる。
ジオ「明日にしようか」
かすみ「そうですね」
ソファでは話に入れないナガセが勝手にテレビをつけて見ている。
深夜のニュースでとある海岸に打ち上げられた日本人らしき半裸の記憶喪失男の話題が映って暗転。
ラストシーン
<最終話の破棄された主催拠点>
真っ暗な部屋の中、ほとんど見えないが辛うじて乱雑に機材が積んであるのが見える。
その中のモニタが一つ、パチパチと小さな雑音を発しながらやがて点灯。
中央に何文字かアルファベットが表示される、A、Cまでしか確認できない。
部屋の全景に変わりゆっくりと暗転。
【結城晶 目的:謎の協力者の情報を元にJ6の拠点を目指す】
【梅小路葵 目的:晶に心配をかけないくらい強くなり、いずれ…】
【エッジ(山田栄二) 目的:死んだダチのために、生きてるダチと精一杯生きる】
【かすみ 目的:タイムマシンの真偽確認。本当なら蒼月と一緒に?】
【風間蒼月(ときどき水邪) 目的:かすみの怒りが冷めるのを待つ。その後タイムマシンの調査】
Thank you for your reading !
ACBR is ALL END !
さて、今度こそおしまいです。
ちょっと特殊な書き方っていうか、台本をイメージして書いたんですが
これが俺の基本の書き方で、頭の中でこういうのをイメージしながらキャラに動いてもらい
それを文章にする感じ?でやってました
まあ、細かい事はこのあとのラジオで。
全ての書き手と読み手と興味を示してくださった方に感謝を。
それでは。
超絶乙!!
これで完結のはずだけど続き…、もといこいつらの未来が楽しみだ
さて今度こそネカフェに走る
乙です!
ついに終わった、これで完全終了ですか。 お疲れ様でした。
まだ先に物語が続きそうな終わり方、けっこう好きだなあ。
ラジオまでもうちょっとwktk
くそう、憎いなあ。
肝心なところは読者任せか。
最後なのに続きが読みたくなるとは、いやはや、俺も精進が足りん。
つーか、水邪様かわゆすww
すごい漢カワイソスwww
ともあれ、ニーギもアランも元気なようで何より。
乙でした!
お疲れッス!
いやあ、長かったなあ。
亡くなったキャラに黙祷!
そして皆に感謝!
お疲れさまでした。
アケロワに関わった皆が大好きです。
1000でスービエはとれなかったけどね
ラジオ楽しかったー乙ですー
ラジオ、エピローグともにお疲れ様でした〜
本当に記憶に残るロワになりました
ネカフェに来てラジオ聞けて良かった…
アケロワを通じてやればできるって教えてもらった気がするから今日からやる気出す
ありがとうアケロワ。さよならは言わないよアケロワ
ラジオ本当に楽しかったです。
お疲れ様でした、ゆっくりやすんでね!
仕事でラジオ聞けなかったので、こちらでご挨拶を
完結お疲れ様でした。僅かでも自分が関わった部分が確実に物語の歯車になるというのが
リレーの楽しさであり難しさだというのをここで知ることが出来ました。
思えば終電逃して会社の食堂でノートパソコン広げて書いた作品もあったっけ
263 :
ゲームセンター名無し:2008/05/07(水) 02:23:50 ID:CEfs9koC0
あけろわ2まだー?
まだアーケード全般に勢いが無いから厳しいだろうな。
格ゲーの新作ラッシュが来た時、どうなってるか
乙!
最初から見てたけど完結までに何年かかったんだろう…
最後の記憶喪失の半裸男には笑いましたw
267 :
ゲームセンター名無し:2008/05/12(月) 03:11:20 ID:sks3EcMAO
ここはあと落ちるのを待つだけなのか?
適当に感想書くとかで良いんじゃね。
やっぱりロックinギースステージは神だと思う
>>266 >>261のトリップの作品がないぞ。
大分後半で何を書いたか言いつつトリップつけて名乗ったような記憶があるが
トリップないせいで作品を見返せないからすっかり誰だったか忘れてる。
全くの記憶違いだったらそーりー。
×××××××でお腹を壊した
>>216を知らない人はいないだろw
もう何も無いのかな
さすがにないと思う
今後はまとめの更新くらいかね
なんか残り729レスで出来そうなことあるかなあ?
あとは最後の挨拶でもupしとくか……
来るべき第二回への議論とか
そんじゃ個人的にだが何でロワとかクロスオーバー的なスレに格ゲキャラが
余り出張る事が無いのか?みたいな議論とか暇潰しにしない?
色んなロワ見て参戦者が他所のロワと被る事が多々有る作品に対する
ジェラシーも多分に含まれてますが。
やぱり今の情勢、下火なのがいけないのかな・・・
あとキャラの強さが一定しない
一番はどうしてもクリアしないと把握できないからだろう
アニメやマンガは鑑賞すれば一通り把握できるがゲームはクリアしないと把握が難しい
さらにRPGなどと違って1回クリアして登場キャラ全部がわかるわけじゃない
使用キャラのことはわかってもそのキャラと絡むキャラをしりたきゃそれも、っていう
とどめに人気ゲームは対戦台でCPU戦ができず、過疎ゲーは撤去される
家庭用が出てないヤツは特に悲惨だねー
そもそも格ゲキャラが参加出来るようなロワって何だ?
サイボーグロワにマキシマ辺りが出て良いとは思ったけど
なるほどねえ・・・確かにハルヒだらき☆すたみたいな漫画・小説媒体の方が
シンプルに理解しやすいか 格ゲーは資料集無いと細かく分からんからなあ
一通り見たが何故いないのかはこんな感じかな?
アニロワ→アニメ化された格ゲーはかなり古いし大体OVA ゆえに不可能に近く
ニコロワ→ネタであり原作とはかけ離れている ゆえに余りキャラ説定も理解されてない
ラノベロワ→小説された格ゲーは多いが…やはりマイナーなのだろう。
&紙面での限られた描写の為ゲーム上での破天荒ぶりも制限される
漫画ロワ→ラノベとほぼ同じ
ギャルゲ→ほぼ論外 DOM?何ですかそれは
RPG系統→侍魂除いて完全なるジャンル違い
で、唯一そういうクロス的なので出れたのがいい加減風味なテラカオスロワくらい
だったような気がする。そしてやっぱりグダグダ。何か不憫だね
>>275 本当で何だろうなー。
ちょっとは羽目外してこういう場所でくらい他のアニメやゲームキャラと
グダグダやってみたいて願望有るだけにもったいない
アランが前編通していいキャラしてるなw
誤字
全編通してな
実際ジョーみたいな人力で風圧起こすだけの力があるキャラとか
銃弾とかも効かなさそうな気がするんだけどな
280 :
ゲームセンター名無し:2008/05/28(水) 23:05:37 ID:tvD2NU2qO
いやだよさよなら
アニメ漫画小説等のキャラと格ゲのキャラが横一線で選ばれるロワを考えないとな。
全ジャンルの作品を一緒くたにした悪役キャラだけのロワなら
ベガ、豪鬼、ギース、山崎とかイイ味出しそうだが。
>>275 格闘キャラだけでロワとか侍忍者キャラでロワとか
mugenロワなら可能だな
ハルヒを始めSOS団もいるしこなたもいるキノやちせまでいる
他にも例に困るほどだ
問題は、物が物だけに仕方ないが毛嫌いしてる人も多いって事だ
剣士ロワ、ガンマンロワ、軍人ロワ、ムエタイロワ、巨漢ロワ、格闘ヒロインロワとか
ゲームキャラの出番がありそうなロワはいくらでも思いつく。
ただ、それが盛り上がって最後まで続くかどうかは知らん。
何が足りないかといえば・・・ネタじゃないかと思うんだよな
ニコ動やつべに載せられる様な
リョウの覇王翔吼拳くらいしか無いのがきつい
そういやさり気にらき☆すたにガイル出てたな あんな感じで
はっちゃけれればいいんだけど
>>284の格闘ヒロインロワを妄想してみた
【ロワ名】バトル<ヒロイン>ロワイアル
【参加作品】戦う女性キャラが登場する作品
【参加者】戦闘技術を習得した乃至は戦闘能力を有した女性キャラ
【開催目的】最強のヒロインを決定する
【CAPCOM】
チュンリー、モリガン、春日野さくら、ジル・バレンタイン
【SNK】
不知火舞、キング、色、レオナ・ハイデルン
【NAMCO】
カイ、ニーナ・ウィリアムス、アイヴィー、KOS-MOS
【ONEPIECE】
ナミ、ニコ・ロビン、ミス・ダブルフィンガー、カリファ
【NARUTO】
春野サクラ、日向ヒナタ、テマリ、多由也
【ジョジョの奇妙な冒険】
リサリサ、エンヤ婆、山岸由花子、空条徐倫
【X−MEN】
ローグ、ストーム、ジュビリー、ミスティーク
【ローゼンメイデン】
真紅、水銀燈、翠星石、薔薇水晶
【エアマスター】
相川摩季、崎山香織、サンパギータ・カイ、皆口由紀
【バジリスク ─甲賀忍法帖─】
朧、陽炎、蛍火、お胡夷
【電脳コイル】
小此木優子、天沢勇子、原川玉子、メガばあ
【BLACKLAGOON】
レヴィ、バラライカ、ロベルタ、グレーテル
【HELLSING】
セラス・ヴィクトリア、インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング、
ゾーリン・ブリッツ、リップヴァーン・ウィンクル
【ふたりはプリキュア】
キュアブラック、キュアホワイト、ポイズニー、レギーネ
【キューティハニー】如月ハニー【甲殻機動隊】草薙素子
【BLOOD THE LAST VAMPIRE】小夜【カードキャプターさくら】木之本さくら
男居ないと寂しいなあ。
ただでさえ最近の戦闘系女子キャラは男以上に
スペック高くて男達は立つ瀬無い状況だけに 某なのはや長門さんとか
そろそろスレ違いにつきしたらばのテスト板か
意図的に誤爆スレと同じ板にあるパロロワ妄想スレに行かないか?
>>289・・・かな。やはり
>>290 いやむしろ有りまくる。許るさんとか俺より強い奴にあいに行く等多数。
ただ、シリアス系なのが多いというか
ネタには出来んだけで>名台詞
>>289 他にやる事もなさそうだし、後は格ゲキャラの絡むロワを妄想するスレにしても
構わないとは思うが・・・。
そういやAC版Fateが稼動してるんだよな、
ということはメルブラと合わせて月キャラ登場可能か
月厨乙なんて台詞には釣られないクマー
ゲームの描写見ると疲れ知らずな面々だけに
格ゲーキャラは体力面で制限つけられそうな悪寒
鉄ゲタはいて10マイル走るのがトレーニングの一部程度に見てる
サカザキさんとか
>>292 このスレであと出来る事があるとするなら…
・まだまだ書き足りない本編の感想
・書き手読み手含めて久々に戻ってきた古参住人のコメント。
・本編で書ききれなかったネタの補完。
・アケロワ紙媒体化企画
こんなところだと思うが、このスレと無関係な話題は乗っ取り行為と
見なされるので、極力別スレでやるべき。需要がなくなれば落とす方向で。
297 :
ゲームセンター名無し:2008/06/15(日) 17:22:17 ID:hmGvKWyxO
そろそろアケロワ2をやってもいいと思うんだ
久しぶりに見たら完結してて感動した
まだ完結してなかった場合は諦めて最低オチの無理矢理エンド物を書いて投下する所だった
DOA2、ボスで察して欲しいがそんなものがいらなくなって本当によかった
どう見ても需要の少ないロワの第二段なんて、自殺行為に等しいだろ…常考
板移動して格ゲーロワやろう
で、現状したらばとかで議論とかやってるの?
以前は格ゲーロワのスレもあったけど、そんなに盛り上がらなかったな。
素手と武器の差をどうするかで議論が難航してたような気がする。
STGキャラでやるとかは?
ゲーム中の機体を支給品にして。
機体を支給品にすると特殊な専用機とかは苦しいから、自機はそのままでも。
そのまま人間単体飛行のキャラには戦闘機等に対抗できる武装で。
東方キャラとか出したら、一見さんも寄ってくるベ。多分。
格ゲーキャラで・・・ロワとは言わん
何かこうクロス的なのできぬか?本気で?
>>303 面白そうだけど、カオスになりそうな気もするなw
昔のSTGの自機は無個性・無人格なのが多いから、
詳細なキャラ設定がある近年のゲームが多くなりそう。
>>304 格ゲーらしく、トーナメントとか。
>>305 何かもうちょい格ゲ連中の人間らしい生活部分も見たくて
豪鬼だろうがパイロンだろうがベガだろうが生き物なんだから
オロチは知らぬ
かさぶたとか学園ネタみたいなやつか?
もうちょい進化させたネタSSみたいな?
格ゲーキャラだって説定やSSは有るだろうから参考に作るくらいはできるだろうし
ただライトノベルみたいに堂々と出さず細々と出してるから
目立たない訳で
ありがちな舞台だと世界に巨大隕石が落ちて滅亡するとわかってる世界とかかな
お話開始時点で滅亡が判明してから半年後とかになってればその間の話も書けるだろうし
黒幕もしくは滅亡の原因になるものが判明してそこに向かう人とか、全く無視して
消える世界の中でけじめをつけようとする人とか、そういうのを描くのはどうよ
護るべき地球や支配すべき世界がなくなるとなればオロチやシャドルーなんかも滅亡阻止組で
扱えるんじゃないかとか妄想したら楽しそうだったんで
それに格ゲー特有の法則たるバトルも織り交ぜれば
面白そうではあるね
しかしリレー小説なら、やはり展開や登場人物が限定されてる方が纏まり易いと思うぞ。
リレーよりそれぞれの書き手が自由に書くのも有りな気もする
2時創作なんだしまずは適当に楽しめる感じのノリが望ましくもあり
313 :
ゲームセンター名無し:2008/07/11(金) 02:08:41 ID:vERTnrMMO
p4
314 :
ゲームセンター名無し:2008/07/20(日) 23:54:39 ID:OswbLclyO
ぺ
ちょっと余ったスレでやりたいことがあるので保守
何か知らんが楽しみにしてるぜ
何、元書き手?
318 :
ゲームセンター名無し:2008/08/14(木) 23:27:40 ID:/d945g4MO
wkwk
格ゲーキャラオンリーのクロスオーバー話って局所的には盛り上がってるよ。
ニコニコで。
ああいうのが楽しいのは、設定が固まってない最初のうちだけだ
じきに設定がなんとか古参新参がなんだとかで付け入る隙がなくなって、文句ばかりが目につくようになる
んである日「なんでこんなのに真剣になってたんだろ……」ってな
終りがあった方がいいんだよ
321 :
ゲームセンター名無し:2008/09/08(月) 23:52:26 ID:s11YZzAKO
さ
322 :
ゲームセンター名無し:2008/09/09(火) 00:03:48 ID:O11SybFeO
し
新しいロワも格ゲどころかゲーム枠は一切ないみたいだしむげロワに期待するしかないのかね
324 :
ゲームセンター名無し:2008/09/29(月) 03:03:46 ID:Phg7cq6jO
ゲームキャラロワイアルに京、庵、レオナ、リュウ、さくら、アルル
325 :
ゲームセンター名無し:
?