bemani長編・漫才・二次創作総合スレッド-12th-
目を閉じて、深く息を吸う。
静まり返った部屋の中で、耳の奥に響く僕の鼓動。
胸を乱す焦燥感なんてお構い無しに、
ゆっくりと生命の為のリズムを生み出している。
血が巡る水気を帯びた音が微かに混じる。
切迫した感情とは逆に、酷く落ち着いている身体。
脳裏に切れ切れに流れる、思い出の曲。
これは…SWEET LAB。
それから…321STARS。
あ…SOFT LANDING ON THE BODY。
ええと…Turning the motor over。
うん…RETROFUTURE。……RETROFUTURE?
「…そうか、僕は………」
その瞬間、反射的にシンセを引っ張り出していた。
少し蒸し暑い夕方過ぎ。
分厚い雲が夕焼けを見せてくれない時間。
僕は一枚のディスクを手に、UDX開発室を訪れた。
「こんにちはー」
「あ、SIMONさん!」
近づいてきたTAKAくんに、ひらひらと手にしたそれを振ってから差し出す。
「曲出来たよ。ジャンルはTRIBAL LOUNGE、ね」
「トライバル…?」
怪訝そうな顔に大きく頷くと、彼は何度か首を傾げつつも、
曲をかける為にと機材へと向かう。
「…何かひっかかるような、覚えがあるんだよな、TRIBAL…」
その呟きに、思わず目を細めた。狙い通り。
「トライバル…うー」
何だか凄く悩んでいるようだけれど、とりあえず見守る事にした。
酷いかな?
用意が出来た頃には、他にも作業中だったメンバーが集まってきて、
即席発表会みたいな雰囲気になっていた。
「じゃ、早速…」
カチ、と再生キーを押す小さな音すらはっきり聞こえる程の沈黙。
ドラム音の後に流れる弾けるような音は、
やがて無数の声を引き連れて一つの流れになる。
上がっては妙に揺れて下がる旋律は懐古の響き。
捻れる音はあの頃の面影を残して、それでもメロディの一つとして収まる。
コミカルと郷愁の同居する世界。立ち止まらない人間の足音としての赤。
僕なりの答えが、この曲だった。
皆の顔が、曲が進むに連れて笑みに変わっていく。
そして最後の音が跳ねて消えた。
一瞬の沈黙。
最初に口を開いたのはTAKAくんだった。
「…いいんじゃないですか、これ」
「うん、最初はREDっぽくないかなとかちょっと思いましたけど」
「突き抜けた感じしますよね。清々しいってか」
「びよんびよんはしてますけど、何よりソフトランディングしてないですしね」
あははは、と皆が一斉に笑う。僕も一緒に笑っていた。
「さて、と。じゃあ僕は渡すものも渡したし、帰るよ」
まだ完全には落ち着いていないような皆を見回してから、
僕は満足げに微笑んで背を向けた。
「ちょ、ちょっとSIMONさん。曲のタイトル。タイトル」
TAKAくんが帰ろうとする僕を慌てて呼び止める。
しまった、忘れてた。
でも、もう決まっている。いや、最初から決まっていた。
「ああ、タイトルはね…」
僕は開発室を出てから、外がすっかり暗くなるまで散歩をしていた。
曇り空は憂鬱だと思うけれど、不思議と今日はそんな気がしなかった。
微妙な蒸し暑ささえもどこか心地良い。
僕はポケットの中のメモを取り出すと、一枚を破って紙飛行機を折る。
「僕はちゃんと、自分の道を歩けているのかな?」
答えはもう、出ていた。
だから僕は戻ったんだ。あの場所へ。
ふと気付くと、足元に丸い、白い円が出来ていた。
曇り空の真ん中にぽっかり空いた穴から、綺麗な満月が見えていた。
スポットライトみたいなそれは、僕も舞台の上に居るんだと、
そう教えてくれているみたいだった。
振り返った道には、僕の影が長く伸びていた。
それに重なる電柱や標識の影が、
reoくんや、TAKAくん、wac、それに、それに…。
何だか、皆のものに見えた。ただの棒みたいな影なのに。
いくつもの黒は好き勝手に伸びているけれど、
ある一箇所で収束するように重なっている。
「進んでしまった道は引き返せないけど、交わる事なら出来るんだよね」
自分を完璧だと思えていた、あの頃のように。
呟いて、空へと紙飛行機を思い切り投げた。
ふわりと浮かぶ姿の行方を見届けずに歩き出す。
僕は、あの星よりも高く飛べるんだ。
そう信じて。
END
〜おまけ〜
コツッ。
「いたっ!あ、なんだよー。根性のない紙飛行機だなあ。
…こんなのも作り主に似るのかな?」
僕は後頭部をさすりつつ、落ちた飛行機を取り上げてまた歩き出す。
夢は何度でも、拾い直せるから。
Go to the Next Floor ――
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以上です。長々とスミマセヌ。
REDの新曲の中で一番好きなのがこの曲だったりします。
マイナー嗜好でごめんなさい。
あちこちに過去の長編短編から引っ張り出したネタとかあります。
作者の皆様ごめんなさい。
遠回しなネタがいくつか散らばってますが
バラすのは無粋ってものですかそうですか。
このスレの皆様と復活のDJ SIMON氏をリスペクトしつつ消えます。
お付き合いありがとうございました。
Back to the Dance Floor乙。正直感動しました。
なごやか(・∀・)イイ!!
いい意味で二次ぽさもあってびよーん
>948
ビーヨヨヨヨーン
つまり乙!久しぶりにSimon物を観た感じが。
それに、「RED」という単語を題材にした「長編」は初めてだったんですねぇ、そういえば。
ところで、そろそろ次スレの時期ですか?
何か、「RED」関係に限らず、「赤」の多いスレだった気がする今回…
乙、良かった。和んだ。
I really want to hurt youが懐かすぃ・・・
乙、和みまくり
最後にビヨーンの音が聞こえた気がします、空耳ですかそうですか
乙!俺もあの曲好きだー
和んだ長編は久しぶり。
乙!俺もあの曲好きだー
和んだ長編は久しぶり。
乙!俺もあの曲好きだー
和んだ長編は久しぶり。
テンプレ直す必要あり?
html化された過去ログはリンクを張りかえた方がいいのと、●なしの人のためにdat見れるサイト紹介しておいたほうがいいのかな。
>>958 今調べた限りでは過去ログで新たにhtml化されたのはなさそうなんで、
そこはそのまんまでいいんでない?
dat閲覧サイトのリンクはあるといいかも。
問題は誰が新スレ立てるかだが。
970ぐらいで。
>>948 乙です!とても感動しました。読んだあと何だかさわやかな気分になれました。
ところどころ笑える部分もあって(・∀・)イイ!
今テンプレ作ってるんだけど、デニムしすぎのページって関連サイトに入れて良いのかな?
>>963 デニムの中の人に聞いてからの方がいいと思われ。
…でも今はアレがアレだから忙しいのかもしれんが。
965 :
963:04/12/05 23:43:56 ID:???
>>964 そうだよねやっぱ。
んじゃ無しにして作成してくるノシ
半年も続いて、流行り廃りの激しいアケ板の中でも
ひっそりと長寿スレに入るのかもしれません。
6月に建った本スレもいよいよ幕を閉じるわけですが、
次スレではどんな作品が皆さんを魅了するのでしょうか。
楽しみですね(^^
↑建前
本音↓
夏コミのブースで叩いた大口、決して忘れておりません。
口約束とはいえごく一部の期待を裏切ったことは万死に
値する罪でありもう何も申し開きしようというつもりはありませんが
13番目の二次創作スレ、 何 か が 起 こ る (怒る) !!!!!
>>966 13番目と言われて「ぽきゃっきゃぽっきゃ ぽきゃっきゃぽっきゃ」を思い出した。
>>42-43くらいでも言ってたんですが、何かテンプレとか置いてたジオ鯖の設定とかが
全部dでしまったので新スレ立てられる際に貼ってやるよという奇特な次スレ
>>1さん、
まことに申し訳ありませんが
>>43のアドレスの方に変更してやって下さい。
>>963 皆さんにお任せしますです。
何かアレがアレなのは半分くらい終わったみたいですよ。
次スレはやっぱり
bemani長編・漫才・二次創作総合スレッド-No.13-
ですか?
>テンプレ作成者さん
テンプレ案が出来たら一旦ここに貼りましょう。
間違ったテンプレでそのまま立てると半年間直せないので。
>>963 入れないほうがいいと思う。直接は関係ないサイトだし。
N&S
N&Ns(エヌアンドエヌズ)
今外出してますので、夜に貼らせてもらいます。
しばしお待ち下さいませ。
音ゲー関係のネタや物語で楽しむスレです。
初めて来た人は、過去の作品集をざっと流し読みしてスレの雰囲気をつかんで下さい。
(※キャラ萌えやスタッフ萌えのスレではありません。そういう人はカエレ!)
※注意
・ネタはネタです。怒っちゃだめです。
・笑って許されないようなネタはやめましょう。
・ただのアンチ精神で叩きネタを書いたりしない。
・自信が無いなら書き込まない。
・素晴らしくもないのに「イイ!」と言ったり、面白くないのに「ワラタ」と言ったりしない。
・予告非推奨。書けてないのに予告をするのはやめましょう。書けてるのならさっさと書きこみましょう。
作品に対してはシビアな態度で接しましょう。
今から立てに行ってみる。
980 :
ゲームセンター名無し:04/12/06 22:03:10 ID:ffq8cMiF
この時期にスレを1から読み直すのが好きだ。
過去ログの話も、このスレで話せたらいいなとか思う。
でも感想で埋まるのはアレか…。
さて、読み直してこよ。
では自分も。
ジャンル問わずに気に入った作品をピックアップします。
>>287-291、
>>816、
>>928-948 この場を借りてお礼とお詫びを。
自分の作品を良いと言って下さった皆様に感謝。
で、お詫び(>>なっちタソ)
another1と2書いたのは自分です。ゴメンナサイゴメンナサイ。