http://raikumakoto.com/archives/7383462.html 細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪」を観ました。
で、何人かの人の感想と、自分が受け入れられなかった理由もだいたい明確化して来たので、感想を書こうと思います。
まず、ネタバレします。ご注意ください。
次に、私はこの映画が駄目だった方です。
と、いった点を覚悟した上でお読みください。
まず、私は細田守監督の作品が好きです。一番は「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」 次に「時をかける少女」、
サマーウォーズは残念ながら合いませんでした。(DVD買ってません)
で、まず、とても期待が高かったのがあります。で、観た感想が、
「これで終わりなのか?」
でした。
こんな終わり方で良いのか?まずは盛り上がりもないし、問題の何も解決にもなってないし、何か幸せ的な物を手に入れたのかも解らなかった。
まずは「盛り上がりがない」 ですが、花たちの住んでる村に強力な暴風雨がきて、雨が山に入って終わりである。
雨がオオカミとして生きる道を選ぶのだが、それがどうした?と思ってしまった。
「こんな子供みたいな感想書くな!!」と言いたい方もいるであろうが、第一印象が本当にそれである。
細かいところを言います。
まず雨、暴風雨の来た山に一人で入っていく。お母さんの花が 心配して追っていくのは、絶対に解っているはずなのに、
「危ないから絶対に来るな!!」とも言わず、最低限の話もしないで山に入る。花が危険に合ったのも、全部雨が原因だろ?と、思ってしまい、
最後にオオカミとなった雨が「ウォォオーーー!!」と、遠吠えしても、お前が危険な目に遭わせて、
母親にお礼も言わず出て行って、何で遠吠えなんだよ?と、思った。正直な感想です。
他の人の感想だと、
「あの雨の態度は今時の、母親がうざったく感じてる年頃の子のリアルな行動です。 」
私はその感想になるほどと思った、確かに納得できた。
だが、私はそんな雨が大嫌いだ。それでもう、感情移入ができなくなったのだろう。ラストの遠吠えが「何だその遠吠えは?」になってしまった。
そして次に
「問題の何も解決になっていない」「何か幸せ的な物を手に入れたのか」
であるが、
おおかみこどもを赤ちゃんから育てているシーン。まだ都会に住んでいるときのシーン。児童保護委員(だったかな?)の人たちが、花のアパートに来る。
乳幼児の定期検診と予防接種にいっさい行っていないからだ。ここで私は引いた。子供達はそれで本当に大丈夫なのか?と思った。家の外にも出してあげない。
立派な児童虐待に見えた。
多分ここで自分が過敏に反応したのは、以前観た「誰も知らない」という映画が大っ嫌いだった事もあるだろう。
不特定多数の男と子供を作り、児童保護に見つかると兄弟離れ離れになるから、家からも外に出してもらえず、最後には女の子が一人死んでしまう。
「誰も知らない」は育児放棄をした母親だったが、やっている事は花も同じに見えてしまったのだ。予防接種を受けなかったせいで、死んでしまったらやはりかわいそうだ。
幼稚園にもいけない。小学校も、雪があれだけねだらないと、行かせようとしなかった。医療については花が必死に本で勉強していたが、
医療はそれでは私たち観ている側は不安なのだ。絶対に医者の立場の見解が欲しい。秘密を守ってくれる、お医者さんが一人いてくれて、
その人の口から「この子たちは予防接種とかは必要ない、丈夫な身体ですよ。」それだけでもいいから言ってほしかった。児童保護の人を出した以上、そこまでは欲しかった。
このあたり、細田監督は下手だと思う、これが宮崎駿監督や、鳥山明先生なら、周りを取り囲む世界をおおかみこどもがいてもおかしくない世界に作り上げる。
目の前でほうきに乗って空を飛んだキキを見ても、オソノさんが「ワァーオ!」と言って、それで終わりである。
悟空など、変身するウーロンや、触っただけで人たちを人参にかえるウサギを見ても、「お、変わった奴がいるなぁ」で、終わりである。
こういう世界を作るのも立派な才能なのです。できる人とできない人がいる事を私は知っています。
そしてストーリーの大きな幹として、視聴者が感情移入するはずな母子のカタルシス開放と
目標の達成についてまるっきり肩透かしなのはどういうことだ、と
>>572書かれているとおり。
>こんな終わり方で良いのか?まずは盛り上がりもないし、問題の何も解決にもなってないし、
>何か幸せ的な物を手に入れたのかも解らなかった。
母子の目標は平和で幸せな生活の手に入れる、と想像はできるがその明確な描写が足りないし、
結果として手に入れたという描写も足りず物語は終結してしまう。
これはエンターテンメントとしてとても大きな欠点ではないか?と畑は違えど同じ創作者としての
苦言を呈していることの、どこが的外れなのか?
具体的な目標の提示がないから子供の命に関わる事件が起こっても母親の行動基準に
感情移入できないし、子供を危険な目に合わせてしまうクライマックスが果たして目標を
達成するために必要なチャレンジなのかどうか曖昧で「?」となってしまう。
たとえば宮崎駿が秀逸なのは、「ルパン3世カリオストロの城」ではクラリス救出が目標だったのに
カリオストロ伯爵の退治、ルパンの過去の失敗のリベンジ、公国の新しい観光資源、不二子に
盗られはしたが偽札の原版入手とその他全てにおいてもまさに大団円というストーリーを
描写したところであって、比較すると「おおかみこどもの雨と雪」の世間的高評価にはまったく
同意できない
>>572の批判に、自分は同意できる。
ましてや、知人の意見を紹介して自分の受け取り方とは違う意見まで紹介しているのは
自分にはとても的確で懇切丁寧な批評だと受け取ったのだが。