フィギュア17 つばさスレ(テレ東) その11

このエントリーをはてなブックマークに追加
>>645-650の続き
つばさ   「あ゛ーーーーーーーーーーーーーっ!!あ゛ーーーーーーあ゛ーーーーーーーーー!!」
英夫    「つばさ!どうしたって言うんだ!?・・・・・・・・・・!これは・・・・・・・・・」
       半狂乱のつばさを抱きしめながら英夫は散らばって開かれたノートを見つけた。
英夫    「・・・・・・まさか・・・ヒカルが・・・?」
つばさ   「はぁっはぁっはぁっ・・・・・・・・・・・・・・おとおさん・・・ヒカルちゃんは・・・・・・ヒカルちゃんは・・・・」
英夫    「落ちつけ、つばさ・・・」
       英夫は優しくつばさの頭を撫でてやった。どうしたものか迷った英夫は助言を得ようとDDたちに
       電話した。
  
       30分後駈けつけてきたDDとオルディナはノートに目を通した。
DD    「ヒカルが・・・・・・・こんな物を・・・」
オルディナ「あの子・・・・・・・」
      つばさはまだ泣きべそをかいていた。
つばさ   「ヒカルちゃん・・・・・ひっく・・・ずっと・・・・ひとりぼっちで悩んで・・・・ひっく・・・わたし・・・
       ちっとも・・・・・・・・気付いてあげられなくて・・・・・・」
オルディナ「気付かなかったって事ないでしょう?あなたたち前に森の中で話し合ったって・・・・・・」
つばさ   「だけど・・・・・・・・・・こんなノートに・・・・・・・・・・・・・・・・・」
DD     「これがいつ頃書かれた物なのかは判らないが・・・・・こんなものを遺せばつばさがどう思うか
       わかっているはずだろうに・・・・・・・・」
オルディナ「なに言ってんの!これこそがあの子がつばさと変わりない10歳の女の子だっていう
       証しじゃない!」
DD     「証し・・・?」
オルディナ「あの子はずっと悩み苦しんでいた・・・激しい戦いの連続で自分の寿命が激しく消耗して
       いくこと・・・最期の戦いまで持つかどうかもわからないこと・・・もし戦いを生き延びても私たちと
       母星に帰らないといけないこと・・・そしてわたたしの提案・・・リベルスの機能と引き換えによる
       延命・・・限られた時間の中で究極の選択を強いられ、それでも・・・・・・それでもあの子は戦う
       道を選んだ・・・・・」
DD     「なら・・・・・」
オルディナ「だけど・・・・・・・・・・・それでもどうしても拭い切れない死の恐怖・・・つばさとの別れ・・・こんな
       ノートに書き殴って・・・捨てなかったのも鍵をかけても比較的見つかりやすい場所に残したのも
       つばさに見て欲しかった・・・知って欲しかったっていう人間の心のどうしようもない矛盾をヒカルは
       捨てきれなかったのね・・・・」
英夫    「人間の・・・・・心の矛盾・・・・・・」
DD     「・・・・・・・・・」
オルディナ「つばさ・・・・人の心ってはいといいえのふたつだけで割りきれるものじゃないの・・・ましてや
       ヒカルは人間じゃない・・・・人の心とリベルスの心・・・・・・そのふたつがせめぎあってそれこそ
       心が壊れてしまうほど苦しみぬいたと思う・・・・だからわたしはヒカルの意思を尊重してヒカルの
       延命を行わなかったの・・・・・」
つばさ   「だけど・・・・・・・・・だけど!!!!!」
オルディナ「そう・・・・恨むんだったら、責めるんだったらわたしを責めなさい。少なくてもあなたは十分に
       頑張った。あなたはあなたのやれる限りの事をしたのよ。ヒカルだってわかってる。だから・・・」
つばさ    「わたしがもっと頑張ってたらヒカルちゃん・・・あんなに傷つかなくてもすんだのに・・・・」
オルディナ 「違うわ!つばさ!!あなたは悪くない!!あなたは・・・・・・・・」
        つばさの両肩に置かれたオルディナの手に力がこもった。
つばさ    「う・・・・・・・」
        ちいさくうめいたつばさにハッとなってオルディナは手を離した。
DD      「オルディナ・・・・お前だって十分よくやった・・・・・元々はオレがもっとしっかりしていれば・・・」
英夫     「もういいだろう・・・・・お互い自分を責めあったってどうにもならない・・・・・・・・・・・つばさ・・・
        今オルディナさんが言ったとおり、生きていればどうにもならない事あるんだ・・・昔お前の
        お母さんが死んだことでお前はそれが自分の責任だって思い込んでいた事・・・あれだって
        お前の責任なんかじゃない。あれがお母さんの選択だったんだ。」
つばさ    「お母さんも・・・・・・・・ヒカルちゃんも・・・・・わたしをおいていっちゃった・・・・・・・」
英夫     「どうしようもなかったんだ・・・・・・・どうしようも・・・・・・・・・・・・」
        英夫はまたつばさを強く抱きしめた。
つぱさ    「おとうさん・・・・わたし・・・・ここで寝ていい?部屋に戻って寝るの・・・・・こわい・・・・・・」
英夫     「ああ・・・じゃおとうさんと一緒に寝るか?」
つばさ    「・・・・・うん・・・」

        椎名家を後にし山小屋への帰路につく二人はずつとだまったままだった。オルディナもDDも
        ただ抑えようもない胸のしめつけに耐えるだけだった。
        次の日学校にきたつばさの顔はまた深く沈みこんでいた。相沢翔のときのように・・・
典子    「つばさちゃん・・・・・・また元気なくなっちゃったね・・・」
飛鳥    「やっぱり昨日無理してたんじゃ・・・・」
真司    「おれんちの母ちゃんが言ってたけどさ、人間って大切な人が死んだ時って実感沸かなくて
       葬式とか終わってちょっと経ってからはりつめたものがぷっつんと切れて悲しくなるんだってさ。」
健太    「・・・・・・・・・」

       結局その日の体育は見学し、給食もほとんど残した。
美奈    「つばさちゃん バナナもらうよ?」
つばさ   「・・・・・・」
飛鳥    「美奈!!」
美奈    「だって〜〜〜〜もったいないじゃん」
つばさ   「・・・・・・いいよ・・・・・・・・わたし・・・おなかいっぱいだから・・・・・・」
美奈    「・・・・・・・・だってさ。」
飛鳥    「ったく・・・・・・」
        そして放課後。当番で健太とつばさが掃除をしていた。
健太     「無理しなくても買えっていいんだぜ?」
つばさ    「・・・・・・・何日も休んでみんなに迷惑かけちゃったから・・・・・・・」
健太     「・・・・・・・・・・・なんかあったのか?昨日はまだ元気あったのに・・・・・」
つばさ    「・・・・・・・・・」
健太     「・・・・・・・・・無理すんなよ・・・・・・・・」
つばさ    「・・・・・・・・・うん・・・・・・」

        掃除を終えてつばさは帰りのバスの中にいた。ゆれる車内でつばさはたとえようのない孤独を
        感じていた。ヒカルと逢うまでは当たり前だったひとりでの登・下校も今では傍らにいたはずの
        少女がいないこ現実をつきつけられるだけのものだった。
        つばさはぼんやりしながら車窓をみつめていた。まだまだ雪が厚く降り積もり春を遠く感じさせる。
        つばさは本来下りるはずのバス停を無視してそのまま街まで乗っていった。

        バスを下りてつばさはあてどなく街を歩いた。そして何時の間にか依然ヒカルやDDと来たあの
        デパートに来ていた。
        最後にここに来たのは飛鳥の誕生プレゼントを買いに来た時だっただろうか。つばさはゆっくりと
        ヒカルの残り香を求めるように思い出の場所をさ迷った。