1 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。大河と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは
>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
/ _ ヽ、
/二 - ニ=- ヽ`
′ 、 ',
', /`l / , \_/ |
∧ 〈 ∨ ∨ ヽ冫l∨
', /`| u ヽ
', / /
/  ̄\ 、 -= / __
/ ̄\ `ヽ、≧ー _ /. : : .`ヽ、
/__ `ヽ、_ / 、〈 、 /.:冫 ̄`'⌒ヽ `ヽ、 / 〉ヘ
/ ==',∧  ̄ ∧ 、\〉∨| /.: : :′. : : : : : : : . 「∨ / / ヘ
',∧ | > /│ /: :∧! : : : :∧ : : : : | ヽ ' ∠
',∧ |、 \ 〉 、_ (: :/ ,ニ、: : :ィ ,ニ=、 : : 〉 ,.イ´
',∧ |′ ∨ ///> 、 Y: '仆〉\| '仆リヽ:|\_|: :|
/ / | └<//////> 、 八!`´、'_,、 `´イ. :|////7: !
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,' | /. : : : :|:///∧ : ∨///: : : : : : : : : . \
まとめサイト
ttp://tigerxdragon.web.fc2.com/ 前スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ドキドキ妄想】Vol7
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1241386432/ 過去スレ
【とらドラ!】大河×竜児【ラブラブ妄想】(1スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1231122796/ 【とらドラ!】大河×竜児【ニヤニヤ妄想】(2スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1234443246/ 【とらドラ!】大河×竜児【デレデレ妄想】(3スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1236695653/ 【とらドラ!】大河×竜児【イチャイチャ妄想】Vol4
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1237819701/ 【とらドラ!】大河×竜児【ベタベタ妄想】Vol5
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1238865504/ 【とらドラ!】大河×竜児【スキスキ妄想】Vol6
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1240317270/
2 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/15(金) 17:04:40 ID:2c/srHgB
3 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/15(金) 17:04:58 ID:2c/srHgB
4 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/15(金) 17:08:54 ID:2c/srHgB
豆知識
「縋って」は「すがって」と読みます
範囲選択→右クリック→再変換でやってみると漢字の読みがわかります
ギシギシアンアン ギシギシアンアン
大河「ねぇ、竜児」
竜児「おう。どうした大河」
大河「
>>1乙じゃない?」
竜児「そうだな。
>>1乙だな」
ギシギシアンアン
>>1乙です。
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/15(金) 23:02:16 ID:bzc2HBtm
いい感じに埋まったぜ
われわれはパラレルワールドを俯瞰している気分だぜ
ID:T9xEPQl6 なんかおらわくらくしてきたぞ
余談だけどID:ってつけるとJane系他専ブラでポップアップ出来るんだぞ
前スレラスト続き
「お、おい、いいって」
「うるさいわね、昨日の掃除のお礼……きゃっ!?」
フライパンが爆発する。一体どうやったらそんなことが出来るのだ。
逢坂は今朝ウチに来るなり、「朝食は私が作るわ」と言い出した。
なんでも昨日のお礼だとかなんとか。
そんなのいいのにと思いつつ、女の子の手料理というのにも興味があって楽しみにしていたのだが……。
「うひゃあ!?」
結果はこの通り。まぁ誰でも上手く作れるわけじゃないというのはわかっている。
わかっているが、目玉焼きすら焼けない奴がいる、とまでは認識していなかった。
『あいつ』は結構料理が上手いんだけど、まぁ女子にもいろいろいるしな。と思っておこう。
「……もう一回」
危険だ。あらゆる意味で危険だ。
このまま任せてたらとんでもない事になりそうで恐い。
「いや、遅刻しちまうから俺がやるよ」
高須家の食材と家の保護の為にも、そうしよう。
***
今日は家庭科の授業でクッキー作りがある。
今朝は失敗した。中々上手くはいかないもんだ。
お礼、なんて私らしくもないことだが、何故か返してやりたくなったのだから仕方が無い。
だが、あれではとうていお礼などとは言えない。
だから、今日はこれにかけるのだ。
クッキーの調理実習。
かねてからのこれなら、まぁそれなりに普通のものができるはず。
だと言うのに……。
「いいか、まずは無塩バターを……」
そう言って竜児はバターをボウルに入れる。
「何でアンタが私にクッキー作り教えてんの?」
「迷惑か?同じ班だし、俺はもう下準備は終わったからな」
「………………」
迷惑っていうか、手伝われたらあんまり意味ないんだけど……まぁいいか。
「まぁいいわ。まずはバター……竜児、コレ堅い。少しレンジとかで溶かしてからの方がいいんじゃないの?」
「バカモノ!無塩バターは溶かしたらダメだ。仕上がりが悪くなる」
竜児は慣れた手つきで無塩バターをヘラでほぐしていく。
「塩を混ぜたらクリーム状になるまで……」
私は必死にボウルの中身をかき混ぜている。
「砂糖は二回に分けて……バカ!入れすぎだ!!」
スプーンに盛った砂糖を恐る恐る入れてみる。
「卵は卵黄だけを……言ってるそばから白身入れるな!!」
割った卵をそのまま入れようとして怒られた。
「次は薄力粉を混ぜて馴染むように全体をコネるんだ」
一生懸命にボウルの中身をコネる。
粉が舞い上がり鼻がムズムズする。
ぐしっと手の甲で鼻を拭き、もう一度作業に取り掛かる。
「出来たら……これぐらいの大きさにしたものを天板に乗せる」
今回は授業時間の為か、冷やして型抜きする、という工程は省かれていた。
そのため竜児は、普通のクッキーより小さめに手に取った生地を見せる。
「小さくない?」
私は気になった事を聞いた。
「割と膨らむんだよ」
そう言って、竜児はオーブンにクッキーを入れた。
これで後は待つだけだ。
「後は焼けるまで……逢坂」
「……ん?って何よ!?」
鼻にハンカチをあてられる。
「バカ。薄力粉が鼻についてる」
三角巾をしてもその恐さから全く似合わない竜児は、やや腰を屈め私の鼻を拭く。
何故か、どんどんと熱く、頬が熱を帯びていくのを感じた。
>>1乙です。
さっそく続き投下させて頂きました。
すいません。前スレ最後続きもので埋めてしまいました。
これまでの流れからいくと単発の方が良かったかとちょっと後悔。
>>7 ありがとう。へぇそうなのか。
でも俺携帯から投下してるからなぁ。
前スレ最後に誘導してくれてありがとう。
決して無視したわけじゃないんだ。
投下中で気づかなかった。
どちらにしろ500kに引っかかるかもと思ってたし。
とりあえず今日はここまでにします。
10 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/15(金) 23:14:07 ID:bzc2HBtm
>>9 携帯でこの量はすごすぎる
それに書いたの無駄にならなくてよかったなと思う
竜児の世話焼きっぷりに2828が止まらないね
>>1乙
なぜかスレタイが【とらドラ!】北村×竜児【アッアッ妄想】に見えた…
俺死んだほうがいいのかな……
世の中には「ちんちんかもかも」という言葉があってだな
>>10 前にも書いたんだが、俺パソコンは持ってるんよ。
けどネット繋ぐと高くて(泣)
だから軒並みパソコンで打った文を携帯に送って投下してる。
まどろっこしいが案外安上がり。
ネットは仕事がデスクワークだから知りたい事があれば暇みてそん時に調べてる。
あとは携帯から。
驚かせてすまんね。
>>9 はふぅ・・・(満足)Σはっ!?
投下乙ですw
あのね、気に障ったとか、あるわけないじゃないですか?wただのツンデレですw
今後もwktkしてますし、俺も投下しますw
またスレを盛り上げていきましょ♪
>>1乙
>>11 同志よ、俺とともに生きよう……。
というわけで、スレタイ見て思い付いた小話ひとつ。
【卑猥でありんす、卑猥でありんす!】
大河「男の子ってさぁ」
竜児「おうっ?」
大河「女の子に卑猥な言葉言わせて興奮すんの?」
竜児「いや、男子全員が全員、そういうわけではないと思うが。というか何でこんな話が出てくる?」
大河「考えたらさ、やっちゃんがお仕事いった後って、年頃の男と女がふたりっきりでいるわけ。そうするとあんたもムラムラっと
くるものがあるんじゃないかと思うわけよ」
竜児「インコちゃんもいるじゃねぇか。大体、そんなことで盛ったりしねぇよ」
大河「どうだか。あんたってとことんエロそうじゃん」
竜児「……心外だな。自分で言うのもどうかと思うが、俺はそこらへんの興味はほとんど無い」
大河「別に隠すことじゃないでしょうに」
竜児「正直、掃除の事を考える方が興奮する」
大河「……妙に納得してしまった。しかし、それはそれで男としてどうかと思うわね……」
竜児「無くて困るもんじゃないんだから、別に良いだろ」
大河「しょうがない、私があんたを更生してあげるわ」
竜児「どうやって?」
大河「女の私が卑猥な言葉を言って、あんたを興奮させる!」
竜児「……それはそれで女としてどうかと思うぞ……」
大河「いくわよ……、これを聞いて悶々と眠れる夜を過ごすと良いわ……」
竜児「……どんだけ凄いの言うつもりなんだよ」
大河「…………お、お、お、おしべとめしべ!!」
大河「ど、ど、ど、どうよ!? こ、こんなこと女の子に言わせたんだ、こ、興奮するだろ!?」
竜児「……お前は本当に可愛い奴だ、そのまま汚れなき心を忘れないでくれ」
16 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/15(金) 23:53:18 ID:X/AAOtld
>>13 いろいろとネット事情があるものなんだなあ
ご苦労様
17 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/15(金) 23:55:12 ID:X/AAOtld
なんてーんだ・・・そうだピュアだ・・・(赤面orz)
【アンアン妄想】に見えてやけにストレートなスレタイになったなと飛んで来ました
【出会ったばかりの頃】
夕食時。いつものように竜児が食事を持ってくるのを待つ大河。
「竜児〜、メシまだ〜?」
「そんなに早く食べたいなら少しは手伝え!」
「うるさい!犬の分際で生意気な!」
この発言に少しイラッときた竜児。仕返しにちょっと意地悪をしてやる。
「ったく、こんな調子だったら北村にも嫌われるぞ」
「ハッ!」
「つまり、お前も少しは思いやりってもんを…
そうしないと、いつまでたっても北村とお前は…」
「グスッ」
「って、おい! 何泣いてんだよ!」
「何よ!何よ何よ!全部私が悪いって言うの?
あんたは私と北村君との仲を取り持ってくれるって約束したでしょ?それなのに…」
「分かった、分かったから、もう泣くな! 俺が悪かった!」
結局夕食後の大河は、自分のお皿を流しに持っていき、そのまま竜児の家を後にした。
【そして冬】
同じく夕食時。
「竜児、ご飯まだ?」
「ほら、あとはテーブルに運ぶだけだ
…って、今日はいっしょに運んでくれるのか?ありがとな」
「ふん、ありがたく思いなさい、駄犬」
大河なりのこの気遣いに応えようとして、竜児は大河が喜びそうな事を言った。
「そう言えば最近お前、北村と普通に話せるようになったな」
「へ?」
「今日の昼休みなんかお前たち、すごく楽しそうに話してたじゃないか。
そう言えば、前に北村もお前のことをすごくいい女友達だって言っていたぞ。
ほんとに良かったな。お前達が仲良くしているのを見ると俺もうれしいぞ」
「グスッ」
「え?大河? な、なぜ泣く! 俺何も…」
「うるさい!何よ何よ!私の気も知らないで!私は…私は…」
その後、口をきかなくなった大河は、自分の皿を片づけることもなく、
ただ横になって不貞寝してしまった。
竜児が大河の泣いた理由を知るのはもう少し先の話である。
21 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 00:59:22 ID:4n2XgR+I
>>13 EモバイルもフレッツADSLも出来ない環境なのか
22 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 01:35:00 ID:nxZDvtVt
初めまして。
今までROM専だったけどちょびっとストーリーが浮かんだので初投稿したいと思います。
なにしろ初めて作って初めて2チャンに書き込む初心者ですが。よろしくどうぞ。m(_ _)m
「ん…ぅん」
朝8時前。
いつもより遅くに目を覚ました。
今日は冬休みをあと3日ほど残す日だ。肌寒いが天気良好。雲一つない快晴。
「…あぁそう言えば泰子は旅行中でいないんだっけ」
そう呟きながら体を伸ばした彼は『あっ兄貴お目覚めですか?どうぞ目覚めの一服を』っと煙草を差し出す弟分を持ってそうな目つきがヤバい奴。
高須竜児である。
竜児はクリスマスイブに一年の時からずっと想い続けた同クラスの櫛枝実乃梨に振られ,その後インフルエンザで入院…っという散々な冬休みであったが体調はもう完治。
しかし心の傷はまだ癒えていない。
「…はぁ〜」
ため息を付きながら洗面台に向かう奴は目つきのヤバい奴……ヤバい奴なのだが…。
「えっ…?はっ!?あれっ!?」
洗面台に着いてここで異変に気付く。
目の前には洗面台。そう確かに洗面台なのだが,いつもなら着いた瞬間自分の凶悪な面を写す鏡がない。
いや。あるにはあるのだが,それは随分と上を見上げた所にある。
「……」
「…………」
「…………………」
時が数秒たった所で
「はぁぁぁぁ〜〜!?」竜児は狂ったように叫ぶ。
もう一度だけ言おう。
竜児は目つきがヤバい奴。
だがしかしそこで悶絶してるのは身長はおよそ60センチ程度。年齢にして5歳くらいの少年がいた。
「ありえねぇ。ありえねぇ!ありえねぇぇ!!」竜児は混乱した。
落ち着く
逃げる
逃げる
現実逃避←
現実逃避を選択したが逃避の仕方を忘れるくらい混乱中。
仕方なく落ち着くを選択。
かれこれ30分たって落ち着きを取り戻して考えた。
考えて考えて考えぬいた結果。
「はっ!!…まさか昨日の…!?」
慌てて台所へ行き缶専用のゴミ袋から一つの空き缶を手に取る。
手には【肌がピチピチ若返りジュース(ピーチ味)】と,なんとも言えないセンスの名前と嫌に禍々しく光る派手なピンクが目に入る。
それは昨日の買い物の帰り………
*****
「よし。今日泰子は旅行の為にいつもより早く出るって言ってたし大河と2人分ならこんなもんだろ」
と,満足気に買い物を済ませ商店街を歩いてたら「兄ちゃん兄ちゃん」っと声をかけられ振り向く。
そこには帽子を深く被り白髪,白髭のちんまりとした感じのお爺さんがチョイチョイと手招きをしていた。
ちょっと不審に思いながらも「なんですか?」っと答える。
「いやぁこれねぇ。まだ発売前の試供品ジュースなんだけど」っと笑顔で話すお爺さん。
「これお母さんとかに飲ませてあげたら喜ぶと思うよ」
で,貰ったのが肌がピチピチ…のジュースだった。
どうせ名前だけで中は普通の桃味なんだけどね。っとお爺さんはケタケタと笑う。
そんなこと配ってる本人が言っちゃダメだろ,と思いつつもタダなので有り難く貰う事にした。
帰り際に「たまに本物が混ざってるかもだけど」っと呟いてるのを聞き流す事にしてその場を後にして帰路についた。
帰る途中に大河からメールが来ており【今日みのりんと食べるからご飯いらない】とだけ書いてあった。分かったと返事をして「今日は一人飯か」と呟く。
一人分なので簡単なもので料理をすませ食べる。片付ける。洗う。暇。
ちなみにインコちゃんにもちゃんと飯をあげてある程度相手したらさっさと寝てしまった。気持ち悪い顔で…。
「一人ってこんなに暇で寂しいものなんだな」
大河がいないだけでこうも違うとは…とちょっと大河恋しくなってる自分に気付く。
「…風呂入って今日はさっさと寝るか」
そう言ってそそくさと風呂場に向かう。
20分くらいで上がって喉が渇いたので冷蔵庫をチェック…
「しまったぁお茶冷やすの忘れてたわぁ」
熱いお茶ならあるが今は冷たい物が飲みたいのだ。「あっ!」あるもの発見!あのジュースだ。
「まぁ泰子も大河もいねえし」と手に取りゴキュッっと。そして就寝。
*****
…で翌朝起きるとこれだ。
「ありえねぇ。マジで勘弁してくれよ」
午前10時過ぎ竜児は出かけた。商店街に向かう為だ。特に何を買う訳でもない。あの爺さんを見つける為だ。
ちなみに服は竜児自身で作った。
朝起きた時,体が小さくなってたせいで寝るとき着ていたパーカー一枚あとスッポンポン状態だったのだ。
勿論5歳児が着れるような服はなくダボダボのパーカー一枚でミシンを出し,いらなくなった服をあさりハサミを入れる。パシンっと音がなるたび「あぁMOTTAINAI」と繰り返す。
体は小さくなっても器用さは変わってなかった。
商店街に着き辺りを見回しながら歩いたがいない。やく一時間近く捜したが結局見つけず終い。
帰り道。高須家が見えた所で足が止まった。
高須家に入ろうとしているであろう人物がこちらに気付きその人物も動きを止めた。
お互い目を合わせたまま時が止まっている。
(ヤバイヤバイヤバイ)竜児は焦っていた。
だって目の前にいる奴は見た目は高級なフランス人形。大きな目。筋の通った鼻。潤ったピンクの口。きっとこうゆうのを美人と言う。
だがさすがは人形。小柄で華奢で可愛らしい部分も持っている。
しかし奴は凶暴で我が儘,気に入らない奴はぶっ潰す。手乗りタイガーこと逢坂大河だ。
ヤバいと思ったのはその性格が怖いからじゃない。俺の姿形がヤバいんだ。
「なに見てんのよ」
先手を取ったのは虎。
「おおう」
不意を憑かれた竜が反応する。
「あんたさっきから視線が痛いのよ」
「いや…あの」
うわっ!こっちくんな!
「んっ?」
しかめ面で竜児の前まで来てしゃがみ込んで俺の目線と合わせた。
「あんた…あいつにソックリね。名前は?」
「竜児です…」
「竜児!?」
あっヤバっ!!思わず素直に答えてしまった。
つまらないかもですが今日はここまでで。
【とらドラ!】大河×竜児【ドキドキ妄想】Vol7を一通り保管しました。
>>1乙!!
挿絵つきSSとか、意図したとおりに表示されているとよいのですが。
誰かバレンタインの後引っ越しが取り止めになって
そのまま暮らし、大河妊娠するっつうif読みたいんだが書いてくれないかなぁ
学校の連中に冷やかされながらも出産という感動スペクタクルを…
今までは読みたいやつは自分で書いてたけどこれは無理そうなんだ…
>>33 すげえ。ちゃんと白桜に名前変えててくれた・・・ありがとうまとめ人さん!!
そして、赤文字続くもありがとう・・・(^_^;
>>33 乙。
ここの管理人さんは本当に仕事が速いですな。
>>32 超面白いよ!
こういうの新鮮で続きがかなり気になるw
続き待ってます!
39 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 08:47:52 ID:nxZDvtVt
>>32 入れ替わりものかと思ったら若返りネタだったとは!
こりゃ盲点だったね
>>33 まとめ様乙です。
僕のつたない絵まで載せていただいて感謝しています。
前スレは綺麗なインターネッツの人が多かったようですね。
ところで、サーバーの容量は大丈夫でしょうか?
もし、かさばったり、今後に不安があったら、これからは縮小して投稿します。
それでは、今後ともがんばってください。
>>32 週刊ストーリーランドという単語を思い出したw
>>32 これからが本題でしょ
大河とふたりきりのシーンに入って行くんでしょうから
ちゃんと投下しなさいよね
てか今後の展開、充分に期待ですよ
待ってます
43 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 09:05:48 ID:nxZDvtVt
>>32 いいところ突いて来たなー
23話くらいでやっちゃんに泣き付いてる
ミニ竜児は可愛いからねw
これから楽しみにしてます!
>>35 学生出産というある意味愚の骨頂ともいえる行為を
竜児が犯す想像ができない
前スレの埋めネタとして考えたんだけど、投下できなかったからこっちに(苦笑)一応頑張ったんだよ?w
↓
或る晩。
竜児はなにやら、夢にうなされていた。
甘い香りと、くすぐったさ。それに伴う・・・気持ち良さ?
「ってなんだこれ!?」
「ふぁ、おふぃふぁ(あ、起きた)」
「っ大河!?」
・・・目の前の光景が信じられず、竜児は数瞬凍りついた。
ガバッとめくった布団の中、大河が竜児の股間に顔を埋めていた。
『犯されて』
「な、なにやってんだ、お前・・・?」
混乱した頭はそのままに、とりあえず竜児は聞いてみた。
その体勢のまま上目遣いで大河は竜児を見る。
「みふぇのふぉうりふふぁふぇふぇんふぉふぉ(見ての通り咥えてんのよ)」
「うあ!咥えたまま喋るな!つか、なに言ってるかわからねーからまず離せ!!」
「ふるっふぁいふぁふぇー・・・ん(うるっさいわねー・・・ん)」
「うあっ!!」
ズルルッと、吸いながら口を離す大河。
腰にくる感触に思わず竜児が身悶える。
「お、お前・・・も少し丁寧に・・・」
「なんなのよ一体?」
竜児の抗議をきれいにスルー。
やはりそこは手乗りタイガー。
「そ、それはこっちの台詞だ!!」
なんとか体裁を保ちたい竜児だったが、下半身露出のままでは格好がつかない。
とりあえず、先程剥がした布団を引き寄せた。
「おおおお前何やってんだ!?」
「だから咥えてたんだって」
あっけらかんと言われ、竜児の拍子が抜ける。
「な・・・なんでそんな・・・?」
とりあえず口にした言葉。
それに答える、さも当然といった口調。
「ああ。それは私が竜児を犯したいからよ」
「・・・は?」
いわれた言葉が理解できずに、竜児の顔がポカンと呆ける。
>>46 その目の前で、大河が祈りを捧げる聖女のように両手を重ねた。
「ほら、いつも私って竜児に任せっ切りじゃない?いっつも気持ちよくしてもらってるじゃない?それって不公平だと思うのね?」
「な、なんで?」
混乱した頭はいまだ定まらず、とりあえずの相槌しか打てない。
「だってほら、竜児は私のために色々してるけど、私何もしてあげてないじゃない?それってフェアじゃないわよね?」
そこまで言われてはっきりする頭。
その原因は・・・嫌な予感。
「い、いやだってそれは俺が男だから、リードしないと・・・」
「それにね?」
「え?」
遮られた言葉。
その竜児の目の前で、大河はそれはもう本物の聖女のように微笑んだ。
「竜児、感じてる私の顔じっくり見てるよね?私恥ずかしいって言ってるのに、いつも、じっくりたっぷりねっぷり眺めてるじゃない?」
「そ、それは・・・」
「不公平だと・・・思わない?」
ニッコリ。
問い掛ける言葉はあくまでソフト。
しかしその裏に隠された感情に、竜児の背筋が凍る。
「い、いや待て・・・だ、だからって俺を感じさせたって、そ、そんなにいいもんじゃ・・・」
「それはね?」
一呼吸置いて大河は微笑みをより深くした。
悪魔の笑みで。
「私が決めることだから」
「ま、待てーーーーーーっ!!!」
絶叫する竜児の目の前、悪魔の笑みを貼り付けたまま、大河が一歩一歩近づいてくる。
「ま、待て大河・・・も、も一度考え直せ。そ、そんなことしても・・・」
「残念ね竜児?お喋りの時間はもう終わりなの」
竜児の眼前に立つ大河。
そして。
ふわりと竜児に抱きついた時、耳元で囁く愛の睦言。
『覚悟決めてね?』
「い、いやだああああああああああああ!!」
竜児の絶叫は、夜の闇に紛れて・・・消えた。
※
亜美「あっれー?高須君、今日なーんか元気なくない?」
実乃梨「うんそだね。なんか元気ないっていうか、生気ないっていうか・・・あ。おーい大河ー!」
大河「なーにみのりん?」
実乃梨「高須君さ、一体どったの?元気バリ無いんだけど?」
大河「ああ。なんか、男としてのプライド根こそぎ奪われたとかなんとか言ってた」
実乃梨「はえ?なんだそれ?」
大河「さあ?(ニッコリ)」
亜美「・・・ん?タイガー?あんた今日やけに肌の色艶良くない?」
大河「そっかな?・・・ああ。昨日沢山栄養取ったからかもね」
実乃梨「そうなの?」
大河「うん」
亜美「・・・なんか亜美ちゃん、わかりたくないことわかっちゃたかも・・・」
実乃梨「ん?なんだよあーみん?一人でわかってないで教えろよ」
亜美「・・・実乃梨ちゃんは、まだ知らなくて良いことよ。たぶん。・・・でしょタイガー?」
大河「さあね?(ニッコリ)」
実乃梨「?」
ごちそうさま竜児。
ギシアン・・・orz
48 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 11:21:13 ID:GDaWkmKP
>>33 お疲れさん
画像はちゃんといい感じに表示されてるお
49 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 11:22:56 ID:GDaWkmKP
>>47 あああああああ
貴方という人は全国の健全な男子の夢と希望をいともたやすくwww
恥ずかしさに耐えつつ快楽に溺れる竜児希望(`・ω・´)b
ギシアンを思い切り壮大に書こうと筆をとったのに、いつの間にかこんな話に…。何処で方向を見失ったやら
文才無いのであまり思わない感じないかもしれませんが、雰囲気的には欝やらエロやら混じるので、アウトォォォォオ!!!!!な場合はすぐにそう言って下さい
【ジグソー】
唇を重ねられる。竜児が慌てて引き剥がそうとするが、大河はその小さな身体か
らは想像もつかない力で竜児に抱き着いていて離れない。
「……ぶはっ」
長いキスから開放された竜児は、まず第一に酸素を求めて口をぱくつかせた。第
二にとろ〜んとした表情の大河を睨みつけた。ただでさえ目付きが悪い竜児の睨
みは、相手を怖がらせるには充分な効果を発揮するのだが、今の大河は見つめら
れたという事が嬉しいらしく表情をさらにとろ〜んとさせた。
一言二言説教を垂れようとしていた竜児は、その変化に気付き、出かかった文句
が自分の中で融解されるのを感じた。そんな事をしても無駄だと…これは夢だと
気付いたからだ。
大河は北村が好きだ。だから、自分とキスすることもこんな表情(かお)を向けて
くれる事も無い。これは全て幻で…自身の望みだと。
こんなものを夢で見る自分が情けなくなり、つーっと涙が頬を伝う。こんなに情
けないのに、夢の中でなら抱いても良いんじゃないか? と少なからず思っている
自分への苛立ちも涙に変わってポタポタ落ちる。
「こんなの…駄目だ…だめなんだよ……」
それでも、欲求に少しづつ傾いている自分がいる。この夢が覚めるなら今覚めて
くれと願った。踏み出してしまったら戻れないと確信じみたものがあったからだ
。
「りゅうじ…」
何処までも儚く、切なく、甘い声で大河が名前を呼ぶ。竜児が顔を上げると、目
と鼻の先に大河の顔があり、竜児の顔の赤みが野火のように素早く広がっていく
。
真っ赤になった竜児の頬に大河の小さな手が触れ、そしてゆっくりと顔が近づい
ていく。
「――ッ!」
大河がキスしようとするのを寸前で正気に戻った竜児が止める。
「大河…駄目だ。堕ちちまう」
抵抗する竜児だが、その力は弱い。ぐっと大河に押され、簡単に床に倒れてしま
う。
自分の中の想いが濁流となって身体の中を流れ、抑制しようとする心をその流れ
に次々と飲み込んで行く。もう自分を抑える事も夢が覚める事も無いと悟った竜
児は、現実の大河に向けて
「ごめんな…大河……ごめんな」
そう謝って、夢の中の大河のキスを受け入れた。
52 :
ジグソー:2009/05/16(土) 13:24:39 ID:iE8Db5D2
「んっ…んん…」
「ん……」
クチュクチュと二人の口の間から音が漏れる。
舌を絡めお互いの唾液を交換し、貪るようにしてお互いの唇に吸い付く。
(…甘い)
キスを受け入れた時、竜児はそう感じた。夢の中の大河の唾液はウォカのように
あっという間に酔郷的にさせ、媚薬のように脳を蕩かした。
「―!!」
長いキスの最中、いつの間にか竜児の顔から離れていた手が、硬くなった竜児の
ソレに触れる。
軽く触れただけ。それも服の上からの軽いタッチだったが、全身に流れる快感に
竜児の身体がビクンと揺れる。
「たい――
一端離れ、喋りかけた竜児の口を大河の唇が塞ぎ、竜児の口内に再び舌を侵入さ
せてなめ回す。その間にも、大河はその小さな手を竜児のジーンズの中へと滑ら
せ、そして直接竜児のモノを包んだ。
「んんっ!」
手の温もりと優しく包む感触。そしてなにより好きな人に触れられているという
興奮が、竜児の感度を何倍にも跳ね上げ、竜児の身体が先ほどよりも大きく揺れ
る。
服の下で竜児のモノを掴んだ大河の手がゆっくりと上下する。
一回ごとに大きくなる快感の波と蕩けるようなキスを浴びる中、竜児の手は自然
と大河の秘部へ下りてゆき、グチュグチュに濡れているそこをそっと撫でた。
「ぁっ」
大河の唇が竜児の口から離れ、嬌声を漏らす。小さな身体はビクンと痙攣を起こ
し、息使いがさらに官能的になる。
その様子に竜児の胸の中の熱源がドクンと脈打ち、芯から竜児を焦がしていく。
「大河…だめだ。もう我慢できねぇ……」
ジーンズのチャクを下げ、そこから出したモノを大河の入口に当てる。
(…熱い!)
そこは、竜児の熱源から発せられる熱量を遥かに凌駕する熱さで、絶頂に達した
わけでもないのに、お互いがビクンと痙攣する。
「りゅうじぃぃぃ!」
大河が甘い声を上げながら竜児に抱き着く。竜児も強く抱きしめて、可能な限り
お互いの熱を感じた。竜児は大河の中へゆっくりと…本当にゆっくりと体重をか
けてゆく。
「ん、ぁあっ!好きぃ!ぁっ…りゅうじぃ…りゅうじぃい!」
好きという言葉に竜児の胸の中で、流された筈の罪悪感が流れに逆らって浮かん
でくる。
(大河が好きなのは北村だ…。こんなことしたって、自分も大河も苦しめるだけ
。これは不毛だ。不毛で邪悪な行いだ……)
ずずっと自ら腰を徐々に密着させようとする大河の動きを止める。
「駄目だ…駄目なんだぁぁあ!」
大河が霧散する。目の前に現れたのは何時もと変わらない自分の部屋の天井だっ
た。
「ハァ…俺は…なんつぅ夢を……」
情けなさがまた沸き上がり、じわりと涙腺が緩む。慌ててそれを拭くと、頬に既
に涙の痕があるのが判った。
「寝ながら泣いてたのか…」
泣くなら、例え夢の中であったとしてもヤるなよと軽く毒づく。
それから、少し気になって隣に住む大河の様子を見る為にと窓を開けようと立ち
上がったその瞬間。
「うわっ!」
強烈な快感が下半身を貫き、腰から砕けて倒れる。ズボンの中を確認すると、今
にもはち切れそうな自分の息子の姿が。勿論、朝立ちだけでここまでなる筈が無
い。
大きくため息をつき、学校行くまでに収まるかとか、大河と普通に接する事がで
きるかどうかをもう一度布団に入って考えた。
>>52 とりあえずここまで。続きは、アウトじゃなければまた後日
54 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 13:46:53 ID:nxZDvtVt
>>53 竜児がレイプされちゃう!
それはそうとウォカとチャクになてるのは斬新だと思った
内容は結構いいですよ
アゥトォォォォォォォォォx!!!!
だけど
セェェェェェフゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!
56 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 13:49:28 ID:nxZDvtVt
あ、あと
エロスはほどほどにな♥
竜児と大河の性交妊娠出産ネタ考えてる俺が言うセリフでもないけどねー
・・・ふぅ。
そこで相談だ。ぜひ
>>53殿にはエロパロ板に援軍を賜りたいw
竜虎ネタ無いんだよぅ(´・ω・`)
58 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 13:59:24 ID:nxZDvtVt
エロパロと同時進行でいいんじゃないかな
エロパロスレは
>>2から飛んでみて
このスレほんとに凄いわ……
もう原作もアニメも完結してる作品なのに、
今でも原作並の熱い作品が毎日投下されてるなんて…
俺「やべーよやべーよ今日すっげ〜夢見ちったよぉ〜」
能登「どうした?またいつもの変態夢か?」
俺「いつものってひどいな能登っちは〜。
一日中ずぅーっとタイガーに膝枕する夢だよ〜。
なんかしわあせオーラムンムンって感じ?
あっでも俺あみたん派だし?まな板イガっ…」ペシッ
高須「人の嫁を悪く言うな…」
俺「高っちゃんひっどぉ〜い!
ちょっと前まで俺たち2―Cモテない連合の仲間だったのに…」
高須「俺はアホのお前の事を心配して言ってるっていうのに
この恩知らずが…おう大河」
大河「今日のお弁当なあに?お肉入ってるでしょうね?」
竜児「おう、量はあまりないけど一応入ってるぞ」
大河「まあいいわ、あんたの分から横取りすれば済む事だし」
竜児「俺はお前をそんな子に育てた覚えは無いぞ」
大河「こんな事でお説教?あらやだわこのおばさん犬」
竜児「あらやだとか言う奴にそんなこと言われる筋合いはない!」
キャッキャウフフ
能登「…高須の奴…タイガーのことをサラッと嫁呼ばわりしちゃう辺りに
風格を感じると言うか、殺意を感じると言うか…」
俺「くうぅ〜、こんな現実見せつけられちゃあ折角の俺の夢も霞んじゃうよ…」
能登「なんだお前亜美ちゃん派じゃ無かったのか?」
俺「これはそれ、それはこれですよ能登くん、膝枕なんておいちーシュツエートならタイガーのまないt」グシャ
竜児「はぁ…言わんこっちゃ無い…」
すまん、全然アツアツ妄想じゃなかったw
でも大河に膝枕する夢見たのは事実…幸せでした
>>54 それ斬新な書法ちゃう!ただの脱字や!
>>55-58 エロは最初だけの予定です…予定のつもり……そうなるかも……そうでありたい・・・
>>61 羨ましいぜ!!
自身初のギシアンをと思ったのに、なぜかというか、やっぱりというか、大河攻めに・・・。
やっぱりギシアン難しい・・・orz
>>50 あ、その方が書けそうw
悶える竜児を皆が見たいかが問題だけどw
64 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 17:04:07 ID:nxZDvtVt
>>59 PSP発売されたのとAT-Xで最終回のラスト放送の翌週から再放送始まったから
ミルフィーユ豚カツが喰いたくなってきた…
66 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/16(土) 17:42:05 ID:AxO95cXD
竜児「んーと今日の晩御飯は…」
大河「あたし!」
ギシギシアンアン
今youtubeで大河が竜児の家を追いかけるシーン見てたんだが
大河の家のドアどんだけ開き悪いんだww
誰かこれでニヤニヤ書いて
あー竜児の家を追いかけるってなんなんだ…
竜児を追いかけるシーンの間違いだ
走って逃げる家www
>>66 出先でコーヒーフイタwwww
俺の社会的生命を返せ
/|
|/__
ヽ| l l│<ハーイ
┿┷┿
タタタッ _ノ ) ノ
ノ ///
_// | (_
.. レ´ ー`
さよなら
>>70 のしゃかいてきいせいめい。いままでおうえんどうもありがとう。
>>70 つか、出先でここ読んでるあなたにワロタw
───┐
□□□│
□□□│
□□□│
□□□│竜児〜
□□□│
□□□│
□□□│
□□□│
□□□│
._. │
| | | │
_ノ ) ノ ズシーン
ノ /// ズシーン
_// | (_
.. レ´ ー` ≡ 只
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>21 そういうわけじゃないんだけどね。まぁいろいろあるので。
>>8の続き今夜は投下できそうにない。
楽しみにしてくれてる人いたらスマソ。
>>80 楽しみにしている。気長に待つから、無理しないで書くのを楽しんでくれ。
ところで皆さん「賢者の贈り物」って話知ってる?
あれを竜虎風にアレンジするとすごく良いと思うんだが、誰か書いてくれないか。
>>83 それ、いいシチュだね・・・・
でも大河の髪は切らないで・・・ (>_<)
いや、書きもしないで言うなと。
>>83 じゃあダメアレンジで
魔法使い「代償を払うことで、ひとつだけ願いを聞いてやろう」
竜児「大河を、人並みのおっぱいにしてやってくれ!代償は俺の目つきの悪さの改善の可能性だ!」
魔法使い「代償を払うことで、ひとつだけ願いを聞いてやろう」
大河「竜児が目つきで誤解されないようにしてあげて。代償は、私の胸の成長の可能性よっ!」
魔法使い「うん、じゃあ今までどおりでいいね」
86 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 00:16:05 ID:3/4bV+yv
>>77 本当に何やってんだよwwww吹いたwwww
87 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 00:17:00 ID:3/4bV+yv
88 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 00:19:02 ID:3/4bV+yv
>>85 ありがとう。相手のことを思いやっている感じが垣間見えてなかなかいい。
>>85 2人の贈り物は無駄になってしまったのでしょうか?
いいえ、違います。
2人は相手を想う心という素晴らしい贈り物を・・・
大河「…アンタ、私が胸の成長あきらめて、アンタの悪い目つきを治してあげようとしたのに、なんてことすんのよ!
おかげで代償がムダになっちゃったじゃない! このアホ犬!」
竜児「俺の目つきなんざ今更どうだっていいんだ! おまえこそ…あんなに気にしてたから、せめて人並みの胸が
あればと思って、せっかく…」
大河「う〜」
竜児「む〜」
魔法使い「まあまあ、2人とも落ち着いて」
大河「だいたい元はといえば」
竜児「おまえが悪いんだろうが!」
魔法使い「(.;.;)Д`メ)」
家事を教えるとそれを砂が水を吸うように覚える大河。今では、家事の半分以上
をするようになっている。
「なんか仕事取られた感じだな」
「ふん!別に良いじゃない。アンタにはちゃんとした仕事もあるんだから」
「でも、流石に気が―-
「うるさい!家事に費やす時間が減ったんだから…減ったんだから……わ、私に
もっとかまってよ!」
「…!!大河…」
「竜児…」
ギシギシアンアン
後悔はしてる
新スレ建ったと思ったらもう100間近、物書きさんも絵描きさんもGJですw
>>31 「…ぷっ」
「…ぷっ?」
「ぷぁっあひゃひゃひゃひゃぁ〜」
「おおう!?」
突然笑い出した大河にビックリして声をあげた。
「竜児って…竜児って…ぷっクククク…あーダメ!」あーひゃっひゃっっと笑い転げる大河を呆然と見やる。
「ひーひー。目つきとか雰囲気とかでさえ似てるのに名前まで同じだなんて…プクク,遺憾だわ」
「………」
「何?あんた。あいつの生まれ変わり?」プッ
いや死んでねぇからと声に出さず突っ込む。
そこで竜児は思った。
こいつ…もしかして俺だって気付いてない?
「はぁはぁ。あんた歳いくつ?」
突然の質問。
「えっ!?17さi」
「はっ!?」
「じゃなくて…5,6歳?」
「あっ!?」
あっ…眉間にシワが…
「あっ!5歳!5歳です!」
「あらそう。で,何してんの?」
えーっと,あーっと「ブラブラ?」
「一人で?」
何でこいつはこんなに突っ込んでくるんだよ!!
「はい…まぁ暇なんで」
「ご飯食べた?」
そう言えばもうすぐ昼飯時。あっ朝も食ってねぇや。
「食べてないです」
あまりの質問の速さに流されてしまい色々バカ正直に答えてしまう自分を殴った。…頭の中で
そしてこいつは
「まだならここで食べていきなさいよ。あんたソックリで名前は一緒。目つきの悪さは3倍の…まぁ悔しいケド美味しい料理作る奴がいるからさ」
などと嬉しい事を……じゃなくて,とんでもない事を言いやがった。
ttp://imepita.jp/20090517/075970
いやいやいや待て待て待て!俺が俺だからそこに俺はいねぇ!
〜あーややこしやー!!
竜児は焦った。
畜生!俺は[焦る]と[混乱する]しか身に付いていないのか!?
などと思ってる内に
「あれぇ〜?竜児いないの〜?おーい。だーけーんー!」
いつの間にか家の中にいた。
これはいかん!
「すみません…ちょっとトイレ…」
「えっ!?あーそこ右ね」
分かってるっつーの!ここは俺ンチだぞ。
「あっどーも」バタン
****
そこから大変だった。
ポケットから携帯を出し【悪い!今日泰子の店の人から連絡きて旅行先で泰子が倒れたらしく俺も大阪に向かってるんだ。だから冬休み中に帰ってこれるかも分からねー。】と大河にメール。
泰子すまん。
そしてこの苦しい言い訳を文句いいながら,心配しながらも信じてくれた大河…すまん。
ガチャと音をたてトイレから出る。
ついでに,はぁ〜っとため息も。
ここにきて罪悪感まみれなのだ。
初めから真実を全て大河に説明してたらもっと楽だったのだろうが,ここまできたらもう後には引けない。嘘を貫き通すしかないのだ。
「残念ね。あんたとあいつ見比べて楽しもうかと思ったらいないんだってさ」
「そうですか…」
そりゃそうだ。
「あっそう言えば私の名前教えてなかったわね」
「あぁ。たい…っ」
「えっ?!」
「いやなんでもないです。教えて下さい」
あっぶねぇ〜!普通に呼ぶとこだったよ。
「私の名前は大河よ。逢坂大河」
「…大河」
うん知ってるよ。
「そう。だから大河お姉様と呼びなさい!」
「……」
「ほら早く言いなさいよ」
どしたの?っと急かすが〜
いやいやいや無理だ!てか嫌だ!第一なんで様付けなんだ!?
そう思いながら必死に顔をプルプル横振り。
「なによ。嫌なの?ったく往生際が悪いとこまでソックリねあんたって……もしかして本物の竜児だったりして」
「ひっ!!」
ヤバっっバレたか!?
「な〜んてね」ってニッコリ笑顔
「おうっ!?」
今のは卑怯だ。不意打ちの笑顔。結構…てかかなり可愛くて不覚にもドキッとしてしまった。
何をときめいてんだ!相手はあの大河だぞ!
「まぁ兎に角、お姉様は可哀想だから大河お姉ちゃんとでも呼びなさい。分かったわね竜児」
どっちも呼びたくないのだがお姉様だけはマジ無理。俺のプライドが許さない。仕方ないここは素直に
「はい。大河お…お姉ちゃん…」あー言ってしまったぁ〜恥ずかしくて死んでしまう
それでも,よく言えたっと誉めて頭を撫でられたのはなんとも心地よかった。
……なぜこんなことに……
時刻は午後8時。
外はもう真っ暗だ。
俺は今大河の家にいる。上半身裸で…。
****
あれからお互いの腹から強烈な音がなり飯を食う事に。
大河の案で久々マック。大河は「らんらんるー」っと連呼しながら行き道を歩いてた。
…しかし大河の注文には驚いた。
「ビックマックのセット一つとチーズバーガー一つ。えーっと後ナゲットとサラダ,バニラシェイクも飲み物はアイスティーで!でっあんたは?」
マジですか?大河さん。化け物ですか?
俺は子供アピールをするため可愛くハッピーセットで。只今名探偵コ○ンが付いてくるらしい…。
食べてる途中「あんた家は大丈夫なの?親とか」と聞いてきた。
すげぇ〜俺まだ半分くらいしか食べてないのにこいつは3分の2以上も食ってるよ。と思いつつ,そこで俺は気付いた。
帰る場所がないと。
いや,あるにはあるが今大河の中では高須家の者はいないと思ってる。
そこでどうだ,俺が帰って電気などでも付けたら怪しく思うだろう。例え電気を付けないで生活しても,相手はあの猛獣手乗りタイガーだぞ。野生の何かで絶対気付くはずだ。
「どうしたのよ?」
あ〜急かすなぁ〜。あ〜…「い…家なき子です」
「えっ!?」
だぁー!!!俺はバカだ!大バカだ!!!もっとちゃんとした言い訳くらい見つかるだろ!?家なき子って…今時家なき子って…同情するなら金おくれってか!?このやろう!
「ふーん…だったら私ンチに泊まりなさいよ」
「…えっ!?」
そんなこんなで大河ンチ。
マックもそうだが,実はあのあと上下の服と下着まで買ってもらった。
見た目も値段も手頃な物を。そしてファミレスで夕食までも。
全て大河持ちだ。
男として情けないが財布も何も持ってきていなかったからな。
元に戻ったらうんと奮発してやろうと思う。
しかし!しかしだ!
この状況はなんだ!?
「いやいや。たっ大河お姉ちゃん大丈夫だから」
「なに言ってんの!!あんた家なき子ってくらいなんだからあんまお風呂とか入ってないでしょ」
「いや,そうじゃなくて!僕1人でも入れるから!!」
「なーに5歳児のガキが照れてんのよ。一緒に入って体洗ってあげるって言ってあげてるでしょ。「でもっでもっ」さっ下も脱ぎ脱ぎしましょーね♪」
いぃ〜やぁーーーーーー!!!
竜児の声が夜の街に響く。
101 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 02:58:42 ID:3/4bV+yv
お湯に浸かると大きな竜児に戻るんですね(ry
2ch初投稿とは思えないクオリティの高さに嫉妬w
続きが楽しみだ
お湯に浸かって温まると膨張して大きくなるんだぜ
前スレ
>>684-686の続きです
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
キーンコーンカーンコーン
実乃梨「さーてっ お昼ごはん♪お昼ごはん♪ 大河ー、高須くん!一緒に食べよ!」
竜児「おう!」
大河「うん」
実乃梨「お、今日も高須君の作ったお弁当、とっても美味しそう。大河がうらやましいぜ〜」
竜児「そ、そうか?大した事ないと思うぞ。櫛枝のだって美味しそうじゃないか」
実乃梨「えへへ……照れちゃうなあ」
大河「フン」
北村「お、みんな食べてるな。俺も一緒にいいか?」
竜児「ああ、食おうぜ」
大河「き、きたむらくん…」
実乃梨「おう!食べよう食べよう」
竜児(大河……昨日からずいぶん元気がなかったけど、北村の顔を見て少しは調子が戻るかな)
北村「相変わらず高須と逢坂の弁当は凄いな。俺も食べてみたいぞ」
大河「わ、わ、わ、私のでよかったら、ど、ど、ど、どうぞ」
実乃梨「おう〜大河ったら、照れちゃって〜」
女生徒D「ね、高須君」
竜児「あ…ど、どした?」
実乃梨「!!」
大河「!!」
女生徒D「朝言った話の事なんだけどさ、高須君に会わせたい子がね、今日の放課後に会いたいんだって。だから高須君さ、放課後つきあって」
竜児「え、でもなぁ、えーと、悪いんだけどさ、今日は帰りに大河と一緒にスーパーに行っておかず買わなきゃいけないんだ。時間限定の特売があるんだよ」
女生徒D「じゃあ逢坂さんに買い物してもらえばいいじゃない。可愛い女の子が勇気出して待ってるのに、会わずに帰るわけ?」
竜児「い、いや、でもさ」
女生徒D「逢坂さんとは付き合ってるわけじゃないんでしょ? ね、逢坂さん! 昨日言ってたもんね。高須君とは何でもないって」
北村「逢坂…?」
大河「き、きたむらくん………そ、そうよ。こんな駄犬の彼女なんてありえないでしょ!」
実乃梨「大河…!」
女生徒D「ほらね!じゃ高須君、必ず付き合ってよね。帰らないでよ」
竜児「あ、ああ。やれやれ……困ったな」
大河「………」
* * * * *
ゆり先生「それじゃ今日の授業はこれで終わりね。みんなしっかり復習しておいてねー」
ガヤガヤ……
竜児「ああ…とうとう授業が終わっちまった……」
女生徒D「高須君!」
竜児「お、おう」
女生徒D「それじゃ、一緒についてきて。紹介するから」
竜児「わ、わかった。大河、先に帰っててくれ」
大河「…うん」
女生徒D「屋上だから。ほら行って!走る!」
竜児「わかったわかった、押すなってば。行くよ。じゃあな大河」
タッタッタッタッ………
女生徒D「――――あと逢坂さん」
大河「? 何?」
女生徒D「もし高須君が告白OKしたらさ、逢坂さん、もう高須君のそばにいるの止めてね。一緒に帰ったりとか、一緒にご飯食べたりとか、もうしないでもらいたいの。そういうのはこれからは、全部あの子が代わりにするからさ」
大河「へ?」
女生徒D「だってそうでしょ? 変じゃない。彼女がいる男子とベタベタしてたらさ。だから今日限りで終わりにしてね」
大河「そ、そうだけど―――」
女生徒D「そうでしょ?じゃあよろしくね。私も、もう行くから。また明日ね逢坂さん」
大河「ね、ねえ待って、待ってってば」
女生徒D「バイバイ〜!また明日ね!」
大河「そんな……」
* * * * *
実乃梨「ねえ大河」
大河「あ……みのりん。どうしたの?」
実乃梨「なんでさ……なんであんな事言ったの?」
大河「あんなって―――」
実乃梨「わかってるよね、大河。私が何聞いてるのか。大河は、高須君の事、本当に必要ないの?」
大河「そ、それは―――」
実乃梨「あれって本気なのか? 本当に高須君の事は何とも思ってないんだ?」
大河「あた、あたしは―――」
実乃梨「どうなんだよ!」
大河「み、みのりん、どうしたの?そんなに大声出して」
実乃梨「大河、私、大河が高須君の事がいらないって言うんなら、その言葉を、大河を信じるよ」
大河「みのりん……?」
実乃梨「最後にもう一度聞く。大河は高須君を―――好きなの?」
大河「え、それは―――す、好きなわけ―――ないに決まってる。だってただの犬だもん」
実乃梨「…………そっか。わかった、大河。怒鳴ってごめんよ。私、その大河の言葉を信じる」
大河「みのりん―――」
実乃梨「私の、親友だから」
* * * * *
実乃梨「あ、あれは……高須君」
大河「………」
竜児「よお、待っててくれたのか。何だか悪いな。櫛枝まで」
女生徒D「(じろっ)あれ、逢坂さん、まだ残ってたんだ」
大河「………」
実乃梨「それで、どんな女の子だったんだい?おじさん興味あるな〜教えてよ」
竜児「あ、ああ。それが―――」
女生徒D「うん!それが二人ともすごくいい雰囲気だったの。だからおためしに付き合ってみたらって事になったのよ!本当、紹介してよかった〜〜」
大河「え」
実乃梨「!? 高須君、それホント!?」
竜児「いや、気がついたら何だかそういう事になっちまって」
女生徒D「ホントホント! 高須君も告白された時は凄く嬉しそうにしてたしね、よかったねー」
竜児「え、そうか?そんな事ないと思うぞ」
女生徒D「晴れてカップル成立ね。おめでとー」
竜児「カップルなのか? 一度二人で遊びに行ってみようって事になっただけじゃ……」
女生徒D「二人でデートなんだからカップルでしょ! 今さらグダグダ言わない! 男でしょ?」
竜児「あ、ああ」
実乃梨「それって…」
女生徒D「そういうわけだからー、高須君、校門であの子が待ってるからさ。一緒に帰ってあげてね」
竜児「お、おう。わりぃ大河、待っててくれたのに」
大河「うん――」
女生徒D「逢坂さん。さっきの話、お願いね。さ、高須君はもう行った行った!女の子を待たせる気!?」
竜児「わかったわかった。だから押すなって」
大河「………」
実乃梨「………」
* * * * *
竜児「ただいまー」
大河「遅かったわね」
竜児「悪い、女の子の家がここから少し離れててよ。送っていったら時間かかっちまった」
大河「あーそー。ご苦労様」
竜児「すぐ飯の準備すっからよ」
大河「早くしろ」
竜児「さーて、今日はチャーハンにすっかな」
大河「ねえ竜児」
竜児「ん?」
大河「―――ううん。なんでもない」
107 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 07:46:26 ID:o9XSTmDg
みんなお疲れ様です。
最近良作品が多く出回ってるね。
竜虎娘ネタ書いてたけどニヤニヤに持っていけないから
ボツにして新しく書き始めます
長編、短編書いてるみなさま頑張って下さい!
あ、sage忘れすいません。
大河の家のドアの開き具合に突っ込み入れた者だけど
AAとかイラストついててクソワロタw
はいはいスレチスレチ
109 :
◆fDszcniTtk :2009/05/17(日) 08:59:19 ID:TWxpaIi5
>>92 ありがとうございます!困惑して動けないまま、いたたまれない言葉の
数々を浴びてる表情ですね。にやにやしてしまいました!
110 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 09:04:44 ID:AHe9hru2
111 :
【ジグソー】:2009/05/17(日) 10:24:48 ID:62PBC0Of
>>51-52の続き。第二話的なアレです
夢の中でだけなら。夢の中だけでなら何をしても自由で、しかも自分の思い通り
になる。自分の理想郷がそこには広がっているのだ。それに手を伸ばして何が悪
いのか。
逢坂 大河はここ数週間で、虚しくなる寝起きをちょとでも良くしようと、そう自
分に言い聞かせる事が日常と化していた。
だが、今日は自分に言い聞かせる事もせず、自分の心音と身体の疼きに意識を奪
われていた。
「りゅうじ……」
恋い焦がれている相手の名前を空に呟き、手を下の方へと伸ばす。
「んっ…」
普段は例え愛する竜児が夢の中に現れてもこんなに虚しくなる事も、こんなに身
体が疼く事も無い。
逢坂 大河がいつからか見る夢の竜児は、そっと大河を抱きしめ、「好き」と言っ
てくれる。大河は、夢の中の竜児の温もりに包まれ、そしていつの間にか深い眠
りに入って夢が消え、朝目覚める。それだけだったのだ。そんな夢をずっと見続
けて来たのだ。
だが、昨日は違った。昨日の竜児は大河に深くて甘美なキスを何回も行い、そし
て「好き」ではなく「愛してる」と囁き、最後まで行おうとしたのだ。結局は、
大河が竜児のモノが入口に当たっただけでイッてしまって目が覚めた。なので、
挿入まではいかなかったのだ。
「んっ…ぁ…あっ…」
クチュクチュと自分の性器を弄りながら、大河は愛しい人の顔と「愛してる」の
響きを浮かべる。
「ぁあ!んっ…ぁ…あんっ」
それだけでドクンと脈が上がり、一気に感度が上がる。それに合わせて、涙が大
河の綺麗な頬を伝う。
それは罪悪感から。彼女が好いている高須 竜児という男の視線は彼女の親友であ
る櫛枝 実乃梨に向けらている。そして、実乃梨もまた、竜児が好きである事を感
じていた。証拠は無いが、長年付き添って来たのだ。そのぐらいの事は肌で感じ
ていた。
折角二人が両想いなのに、自分が夢や妄想の中限定だが竜児を奪っている。それ
が大河の罪悪感。
「あっ…あんっ…んっ…んぁあ…」
それを抱きながらも、一度動いてしまった指は、もはやこの疼きが収まらなけれ
ば止まらない。泣きながらの自慰は段々と激しさを増していく。
「ん、ぁあっ!好きぃ!ぁっ…りゅうじぃ…りゅうじぃい!」
そして絶頂を迎える。激しく潮を吹き、噴き上がる快感に身体を反らしてビクビ
クと痙攣する。
「うっ…うぅ…り゛ゅうじぃ」
そして、彼女の心に快感の余韻に浸る間もなく、絶望と言った方がしっくりくる
ほどの空漠感が溢れてくる。溢れる涙に竜児への想いも含んで流して、と祈る大
河だが、それこそ虚しき願いであった。
「駄目だ…駄目なんだぁぁあ!」
112 :
【ジグソー】:2009/05/17(日) 10:25:29 ID:62PBC0Of
「ふぇっ!?」
泣く大河の耳に窓を通してだが竜児の声が届き、二つの意味でドキンとする。
どちらの意味も状況を知っている者から見れば大層判りやすい。まだ色恋疎い小
学生でも、一つは判るであろう見やすさだ。
(き、ききききき聞かれた!?)
大河の中で引きかけていた動機が再び脈打つ。もし、聞かれていたなら、これは
一大事だ。夢の内容だけでも竜児に会いづらいのに、そうならば恥ずかしさで会
えなくなる。優しい竜児の事だから聞いてなかった事にしてくれそうだが、それ
だけで、この沸騰しそうな羞恥心は消えはしないだろう。
大河の悪い癖で、見られて恥ずかしくなるような場合に陥った際に隠れようとす
るというのが在る。今もあたふたと狼狽しつつ、隠れ家を真っ先に目に着いたベ
ッドの下に決め、潜り込もうとするのだが、ここで大きな障害が生まれる。
「は、はわっ!」
立ち上がろうとしても下半身に力が全く入らず、コテンとこけてしまうのである
。つまり、快感を受けすぎたため、腰が砕けてしまっているのである。
このマイナスの状況があらゆる負のパターンを少女に浮かばせる。その無修正の
妄想は、少女を自衛へと導く。
「りゅ、りゅりゅりゅうじー!」
「お、おおう。ど、どうした大河」
開けられない窓を突き抜けて竜児に届くように、精一杯の声量で彼を呼ぶ。それ
は、望み通り届いたようで、竜児もかなりの声で返してくる。
「きき、き、き、き今日は、起こしに来なくてい、いいから!あああ後、ご、ご
はんもいらない!」
一息に吐き出し、ぜぇぜぇと酸素を貪欲に吸いつつ竜児の返答を待つ。
「や、俺もき、今日はちょって訳ありで無理なんだよ。まぁ、お前も都合悪いな
らちょうど重なって良かったつーか、うん」
「なによ…それ……」
大河の胸に苦い悲しみが広がる。確かに断りを入れたのは自分からだったが、そ
れを向こうから言われるのはまるで捨てられたような感覚になる。
また、涙が溢れて来て、ぼふっと布団に顔を埋める。
(泣くな泣くな泣くなぁぁあ!)
そして、乱暴に顔を擦り付ける。摩擦で、元々繊細な大河の肌は直ぐにヒリヒリ
と痛みだしたが、今はこの悲しみを少しでも和らげるものが欲しくてさらにそれ
を欲した。
(苦しい…苦しいよ、竜児)
会いたくて狂いそうだが、会えば狂ってしまう。そんな、最大級の葛藤の狭間に
彼女は立たされている。欲求に引っ張られているのを友情という垣根が傾くのを
阻止している。
重りに圧迫される胸を彼女はぎゅっと抱きしめた。
>>112とりあえずここまで
アウトォォォオ!!!な匂いがぷんぷんするぜ
ここからはエロを入れないつもりだけど、それでもエロパロに行ったほうがいいんだろうかどうだろうか
>>113 俺も超セーフだと思うよ。続き期待してます〜
>>107 2828じゃなくても問題ないんじゃないかな?
つーか、超鬱以外なら何でも読みたいと思ってしまう。
ほのぼのでもエロエロでも何でもどうぞって感じw
どこまで書いていいかは悩むよなぁ。
この文章がどうのではなく、一般論として直接描写を避けると
2828分とかドキドキ分が増すってのがある。いわゆるチラリズム。
で、
>>112 だが、
竜児から逃げるために竜児の名前を叫ぶ大河ナイス。
これだけでご飯一膳いける。
>>107 ギシアン部隊長の俺に任せてくれ。
どんな話でもベッドに持ち込んでみせるぜ
118 :
名無し募集中。。。:2009/05/17(日) 11:47:35 ID:7N6N/Kpq
119 :
名無し募集中。。。:2009/05/17(日) 11:48:55 ID:7N6N/Kpq
大河的には2929な展開を望むに違いない
具体的にはミルフィーユとんかつ
>>113 余裕でセーフ!!
続きお願いしますよ先生!!
121 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 12:05:31 ID:PdChfaPE
長編書ける力はないけど何も書けないのは悔しいからせめて短編とギシアンは頑張ろうと思い気づけば7スレ目だ
「ねーりゅうじっ」
「ん??」
「ばきゅーんっ!」
そう言って大河は指で拳銃のまねをしてこっちに向かって撃ってきた。しかもウインク付き。
率直に言おう。たまらん。おかげでこっちの拳銃が起きちまった。
「雑誌で読んだんだけど男の人っってこういう……ちょっと竜児?」
「……大河……」
「えっなっちょっりゅうっっ……!!」
今の俺は大河にとってさぞかし恐ろしいに違いない。もともと極悪面の俺がさらに顔をしかめて向かって来るんだからな。
でもな。大河。引き金を引いたのはお前だ。
「ちょっ……恐いよりゅうじ……」
「好きだ」
「!!……ずるい」
俺は大河の肩に手を沿え……そっとギシギシアンアンした。
またsage忘れた…。誰か俺をたたいてミルフィーユとんかつにしてくれ
123 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 12:18:17 ID:7N6N/Kpq
そっとギシギシアンアン出来るのは竜児さんしかいねえ
そこに痺れる憧れるゥ
>>121 >引き金を引いたのはお前だ。
なにサラリと恥ずかしいことをwww
126 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 14:03:25 ID:o9XSTmDg
「えっなっちょっ」が
「えっちしよっ」に見えた俺は末期
竜児「俺はお前を食べたい」
ギシギシアンアン
130 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 14:47:10 ID:8Mb0vgvY
>>129 絶賛好評連載中のアレですねw
私も頭を過りました
132 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 15:12:51 ID:TWxpaIi5
>>127 「大河、それ例の『クリスピークリーミー』だぞ」
お茶とプリン。
「た、高須君!」
「は?」
振り向きざまに見開かれた三白眼。放たれるは爛々とした青白い眼光。眼元をなぞるクマは影をつくり凶悪な眼つきをより際立たせる。
口を半開きにし、その瞳孔はまっすぐと大河を見つめる。
ついにこの名を呼び寄ったか小娘め、この名を呼んだが最後地獄王の勅使がこの地に真の姿となって召喚され、人間どもの醜い感情を片端から喰らい、
貴様の目の前には赤黒い血の湖が広がることになろう――などとはまさか思ってもいない。ただ少し驚いてしまっただけだ。
冷静な思考を取り戻すまで1秒。あまりにもそっけなく返事してしまった。
付き合い始めて三ヶ月がそろそろ立とうかという4月の終わり。
高須竜児の彼女(と呼ぶにはまだ少し恥ずかしさが残る)、この世で最も放っておけない大切な人(なぜかこっちの方がすんなり出そうだ)、
逢坂大河の突然の、どこか違和感のある呼びかけに。少し、驚いてしまっただけだ。
目の前の大河と言えば、竜児と目の会わせたくないのか前髪を深くたらして俯き気味に、指定席の座布団の上にちょこんと乗っかっている。
わざわざ正座するほどのことなのか。とりあえずは竜児の返事を待っているのだろう、時折紅潮した頬をバツの悪そうに持ち上げ、そしてまたすぐに視線を落とす。
「ど、どうした大河。・・・高須くん、て」
「あのね、」
「・・・おう?」
返事をしながら、竜児の頭をよぎるのは去年の初夏。予想される展開はいくつかある。中でも有力は―
竜児にとっては些細に思えることを、一人悶々と悩み続けた結果143.6cmの小さな体に抱えきれなくなり、バツの悪そうに竜児に助けを求める。
―これだ。
もちろんそんなサイズまでに膨れた悩み事は、大河にとっては人生の一大事だ。それは同時に竜児の人生の一大事へと昇華される。
昔から、それこそ出会ったときから、大河の一大事は竜児の一大事となる。
「私たち、け、結婚するじゃない?」
「・・・おう」
いきなりどんだけ恥ずかしいことぬかし始めやがる、なんて言えたものではない。今の台詞が大河にとっても相当恥ずかしかったのは簡単に見てとれる。
短い返事をしながら、顔にみるみる血潮が登っていくのを竜児は感じていた。あのバレンタインの言葉は、大川の地獄のような冷たさと暗さの中から叫ぶように絞り出した言葉は、
まっすぐに届いていたのだ。あの夜大橋の欄干につかまりながら、舞い散る白雪と淡い電灯に照らされて、しかし竜児よりも厳しい冷たさと暗さを感じていた大河に。
「・・・そしたら、ま、な、名前が変わるじゃない?私」
「・・・おう?」
話はどうやら予想していたよりも現実的な方向にかじ取りされつつあるようだ。名前、苗字?
頭に浮かべた疑問符を、はたして竜児は振り払うことができない。
「それって、ちょっと・・・。あ、あの、『高須』って苗字がイヤというわけじゃないんだけど・・・」
「・・・?つまり、どういうことだ?・・・すまん、全く話が見えん」
結婚は、嫌ではない、だろう。この様子からして。
特にあの言葉に対する返事をもらったわけはない。というかあの言葉はむしろ宣言のような意味合いの方が今は強くなっているかもしれないが、
まぁ特に否定されてもいないし、なにより祖父母には「大河は俺の嫁」宣言してしまっている。つまりは、大河の気まずい悩みはおそらくそこにあるのではないだろう。
でも、苗字が変わるのは嫌・・・、ということか?
確かに、あまり語呂はよくないかもしれない。高須大河。頭の中で大河の新しい名前を呟いてみて、そのとたん違和感を覚える。
だが結婚を躊躇するほどのものではないだろう。慣れてしまえば逆に逢坂大河の方が変に――
「逢坂大河っていう名前がね、」
頭の中の自分の声と、自分の耳が捉えた振動が重なった。妙な偶然に心臓がどくん、と打ちつけられた気がする。
「別にすごく好きってわけじゃないの。・・・もともと。」
逢坂大河。人の名前に平凡か奇異か、格好いいか格好悪いか、という感覚を持ち込んでよものならば、たぶんこの名前は珍しくて、なんだかかっこいい、の部類だろう。
しかしこの名前が、大河を少なからず苦しめたこともあっただろうと竜児は思う。
苗字はだってあの、あのクソ親父から受け継いだものだし(おそらくは身長といい加減でドジなところも受け継いだものだろう)、大河という名前は、
『手乗りタイガー』という大橋高校の全校生徒を聞いただけで震え上がらせる忌まわしい通り名の元ネタなのだろう。
すごく好きってわけじゃない、と言った大河の気持ちはよくわかる。そしてさらに「嫌いなの」と言わなかった大河の気持ちも。
俺だって自分の名前がすごく好きってわけじゃ――
「でもね、高須、大河、に・・・なっちゃうと、その・・・」
口を開きかけたところで、まだ大河の話が続きそうだと気づく。こういうときは一通り喋らせるべきだろう、とりあえずは聞き役に徹することにして、相槌を打つ。
しかし聞き役に徹しようと欹てた耳には、すぐに代打が送られることになりそうだ。
口を開く変わりに、大河はもぞもぞとポケットから携帯を取り出し、俯いたままフリップを開いて竜児につきつける。
「これ・・・なの。ねぇどうしよう竜児」
何事か、と覗き込んだ画面に踊るのは、
「・・・大凶・・・」
思わず呟いた言葉を、しかし繋げることはしなかった。なるほどな、と心の中で一言出して、どうしたものかと大河の顔を一瞥。
俯く大河のうなじから、もう一度携帯の画面に目を落とす。
総格(34)――大凶。
厭世家の数で社会との調和を嫌います。しかし人と違った視点には目を見張るものがあります。
この人の人生において起こる不幸は、自分が望んで引き起こすものだと理解してください。
元々破滅願望があり、自分の不幸に酔う事で存在価値を確かめるふしがあります。
晩年においても同じように破滅と隣り合わせに生きる覚悟が必要です。
つまりはまぁ、姓名判断だ。
ネットでできる無料姓名判断を見つけた大河が、お気軽に、思いつきで、興味本位で、間がさして、高須大河と打ち込んだのだ。
甘い未来に期待をはせる乙女心だったのだろう。妙な興奮を覚えながら出てきた見つめた画面が大河に突きつけたのは、最悪の診断結果。
―――高須っていう苗字と、大河っていう名前、相性悪いですよ。もんのすごく。
寝る前に一人で携帯をいじくっていた大河がこの宣告を受けたときの顔はどのようだっただろう。
きっとただでさえ色味の薄い真っ白の肌からは限界まで色素が抜けおち、そのあとはものすごい勢いで青ざめたことだろう。
もしかしたら泣いたかもしれない。だっていまこうして目の前に正座している大河は、今にも泣きだしそうな顔をしているのだから。
「ま、まあ、気にすることねえんじゃねえか。このくらいのこと。どうせ占いだろ――」
沈黙が事態をあまりも深刻にしてしまう前に、とりあえず何か言わなくては。
そう思いとっさに出したフォローが、あまりにも軽率だったかも知れない一言が、目の前に広がる地雷原を駆け抜ける様を、竜児は見た。
竜児の口を離れたその瞬間から、大河地雷原を、何の配慮も何の注意もなくまさに猪のように突撃猛進した一言は、どうやら大河の心に最後の一撃を、
渾身のタックルをお見舞いしたようだった。
「うぅ・・・」
顔を小さな手で覆う。
ああ、踏んだのが爆発型の地雷なら。せめて元気に激昂した姿でも見せてくれれば。
竜児の願いをよそに、踏んでしまったのはどうやらマイナス思考に目の前の虎の子をたたき落とすタイプの爆弾だったようだ。
「だって・・・大凶・・・大不幸・・・破滅・・・不安定・・・非現実・・・大凶・・・」
占いでは絶対に聞きたくないようなおどろおどろしい言葉が大河の口をついて飛び出してくる。
俯いた大河の顔は確認できないが、時折嗚咽まで漏らしながら大凶だの破滅だの人生の終わりだのいっそ死んだ方がいいだの、ものすごい勢いで沈み込んでいる。
これはもしや、かなり気にしているようだ。生半可な言葉では立ち直らないかもしれない。
「いや、大河、・・・ほらその、他のとこもしっかり見たのか?」
そうだ、いくら相性がよろしくないといえども、まさか終始こんな調子でもないだろう。そうだそうだ。
淡い期待を胸に、どうか良い結果であってくれとすがる思いも合わせて、画面を上にスクロールしていく。
「・・・おぅ」
思わず声がでた。
天格(22)――大凶
二面性があり迷いやすい人です。願望や目標を一点に集中させる努力を。
地格(12)――大凶
プライドが高い半面、自分を否下します。平凡を嫌いますが、自分に与えられたものを最大限に磨く努力を。
健康運
小さな事を自分で大きくしてしまう人です。健康を望む力が少ないのもこの人の問題かも。
恋愛運
男女共に相手に心の奥を見てほしいと願いながらそれを拒否しがち。ありのままの自分を出せる人を探して。
人格(15)――大吉
人望厚く、行動力もあり、大事業を達成でき、愛情にも恵まれた大吉数。
金運
あります。自分でコントロールする力もあるので、お金に困るという事は滅多と無い人かも。
仕事運
楽しんでできる仕事につくこと。自分の人格を認めてもらえる仕事ならより吉。運はいいです。
結婚運
楽しさだけを考えて相手を選ぶと、少し後悔するかも。貴方の暴走をしっかりひきとめてくれる人を選んで。
外格(19)――小吉
とても淋しがりで不安定、意志の弱さはありますが感受性、直感力を生かせば乗り越えられます。
対人関係・社交性
淋しがりやなので人の輪の中にいる事を好みます。心の奥をのぞかれるのを苦手とします。
社会運
不安定ですが感性を生かせる職種にいればそれなりの運を望めます。
環境運
夜型の人が多く、非現実的な環境が向いています。音楽はストレス解消に役立つでしょう。
「こ・・・これは・・・。なんていうか・・・」
気づけば大河は顔をあげていた。逸らした瞳にはこれでもかと涙を溜めこみ、自嘲の色を存分に漂わせながら一言。
――笑えるでしょ、と。
笑えねえ。はっきり言うが、これは笑えない。
大外れならよかったのに、と心の底から思っていた。全部の診断結果が大外れなら、なんだどうせ最後も外れてるさ、気にするなよ。
ほらプリンでも食べようぜ、あ、そういえばドラマの時間じゃねえか、テレビテレビ――。なんて言って多少強引にでもこの場を収められたかも知れない。
しかし――、しかしこの診断結果はどうだ。本当に読んでるそばから頭から血の気が引いて、総格の文字までスクロールしてくる頃には、こっちが倒れそうだった。
当たっているかも、なんてレベルじゃない。当たりまくっていた。的中していた。
二面性がある、悩みやすい、プライドが高い、健康意識が低い、心を見られるのが怖い、そのくせさびしがり屋で、お金には困らない、夜型で、不安定――。
もうやめてくれ、と叫びだしそうだった。姓名判断がここまで見事な切れ味で本人の精神をえぐり取るものだとは、知らなかった。
まさに、まさに本当に絵にかいたように、心のレントゲンで透かして見たように、高須家に入り浸り、竜児と一日の多くの時間をゆるりと消化していく、
『高須大河』のその姿が浮き彫りにされていた。
「これはまた、・・・すげえな」
ははは、と空笑いしてみせるが、それもすっかりどんよりと重くなった高須家に力なく霧散していく。
「恐ろしいほどに、当たってるのよ」
ようやく少し落ち着いたのか、それとも涙も乾ききってしまったのか、わりとはっきりとした声で、しかし自嘲の色は褪せないまま、大河は静かに呟いた。
「いや・・・、で、でもよ、ほら、感受性が高いとか仕事で成功できるとか、いいことも書いてあるじゃねえか!」
そこじゃないだろう、俺。言った傍からまたも後悔が押し寄せる。自分の口べたを呪いたくなる。
言うなら、そこじゃないだろう。
「・・・」
大河は荒んだ顔のまま竜児の苦しいフォローを完全にスルー。静かにその手から携帯を奪い返し、なにやらいじくりはじめる。
メールだろうか。ぼんやりと大河の揺れる前髪を眺めながら、重たくなった頭で今後の展開を予測してみる。
Toみのりん、ばかちー、北村君。私と竜児はもうだめみたい、画数的に考えて。
それはまずい、自分の考えに自分でショックを受けている竜児に、再び大河の携帯がつきだされる。
「さっきも言ったけどね、別に高須大河が嫌で、逢坂大河がいいってわけじゃ、ないのよ」
「・・・?・・・おう!」
おもむろに画面を見て、またしても声を上げてしまった
性:逢坂
名:大河
天格(21)――吉凶
大物、豪傑で人望あり、人の上に立つ統領運を持っているが、女性には強すぎる吉凶運
地格 (12)――大凶
プライドが高い半面、自分を否下します。平凡を嫌いますが、自分に与えられたものを最大限に磨く努力を。
健康運
小さな事を自分で大きくしてしまう人です。健康を望む力が少ないのもこの人の問題かも。
恋愛運
男女共に相手に心の奥を見てほしいと願いながらそれを拒否しがち。ありのままの自分を出せる人を探して。
人格(10)――大凶
内面的なエネルギーは旺盛で野心家ですが、タイミングがつかめずチャンスを逃します。結果の無気力や暴走には注意。
金運
収入に関係なく使うので、金運と言うよりもこの人自身の問題です。ただし、詐欺やうまい話しには要注意。
結婚運
安定を求める人とは会いません。別居離婚、通い婚など、変った形態でもやっていける人を選んだ方が吉。
外格(23)――吉凶
知謀、行動力ある発展運で名誉財産を築ける数。女性には強すぎるエネルギーを与える数です。キャリアウーマンには吉。
対人関係・社交性
とても華やかな世界と縁があり、自分を上手にアピールするので愛されます。プライドの高さだけは注意。
社会運
パワーを認められ引き立てられていく暗示ですが、味方を無視して走りがちな点には注意。
環境運
明るくにぎやか、華やかで高級感のある場所は貴方にパワーを与えてくれますが、同時にプレッシャーももたらします。上手に活用して吉。
総格(33)――吉凶
強い忍耐力と才能に恵まれ、名誉と繁栄を勝ち取れる強運数。女性には強すぎます。仕事だけに生きがち。結婚を望む人は心穏やかな人を選んで。
一生の全体運
非常に強運で戦国武将のような強さがあります。女性は男勝りで男性を軽視しがちになります。男性は女性が支配下にあると思いがちです。”力”を渇望しますが、本来の貴方の望む物ではありません。
晩年の運勢
晩年もとてもハリのある日々になると思いますが、本来の貴方とは”多くの幸福を自分の手で作る事”にあります。小さな世界に閉じこもらず、広い世界を目指して。
「だ、大凶と、吉凶しかねえぞ・・・」
吉凶とはつまり、良すぎてヤバいよ、ということだ。
「女性には強過ぎる画数」という文字のトリプルルッツをこの目で拝むことに相成ろうとは、竜児も思ってはいなかった。
つまりこれは、手乗りタイガーの運勢なのだろう。
大物、豪傑、野心家で、でも不器用で、暴走気味で、でもプライドは高めで、戦国武将で、力が欲しくて――。
その強過ぎるエネルギーで周りを圧倒し、人を寄せ付けず、一匹だけで生きていく。
そんなさびしげな虎の姿を、竜児は真っ先に思い浮かべていた。もしも実乃梨がいなかったら、この大凶と吉凶だけの姓名判断の色は、もっと強く出ていたかもしれない。
「もともとね、こういうので、いい結果なことないのよ」
だから実はそんなに落ち込んでるわけじゃないんだけどね、そんな気にしないし。と唇を突き出して、大河は虎のストラップでいじり始めていた。
「ねえなんか喉かわいちゃった。お茶、飲みたい」
言われるがままに、竜児は台所に向かう。廊下に出たところで、思わずため息がでてしまった。
変なところばっかり、川嶋に似てきやがったな。
大河が、占いであまりいい結果がでないタイプなことを、竜児は知っていた。
毎朝の占いも、大河は全く見ようとしていなかった。始まるときにはごにゃごにゃと理由をつけて、席を立つこともあった。
竜児は朝の情報番組の人気占いコーナーが天気予報の前に入っていたので、流れでよく見ていたのだが、大河がたまたまいる時に限って、
大河の星座は「ごめんなさ〜い、」とむやみに謝られていた。
そのたびに「こんなので一喜一憂するんて、ほんと頭の軽いやつらばっかり」などと悪態をついてはいたが、その実、大河も一喜一憂していたのだ。
だいたい、占いの結果なんて竜児のほうこそ気にしてはいない。
もしも自分の星座が1位で、自分の血液型が絶好調の日でも、テレビの女子アナにごめんなさいされて、A型は今日はよくない日、なんて言われても、
結局は廊下を歩けば道が開け、人にぶつかれば金を差し出され、トイレに入れば全員出て行き、提出物忘れを先生に伝えれば
「あ、ああああ明日、いや来週、ら、らいげ、あああ、来年でいいよ!!」などと言われてしまうのだ。
なんて生きやすい人生。いや、なんて申し訳ない人生。
つまるところ、この顔つきはどうにもならない。運勢が良くても悪くても、守護星座やらなんやら月の位置がどうたらこうたら、そんなものは関係ないのだ。
毎朝この顔で目が覚めるのだし、この目つきで一日を過ごし、終えるんだ。そこに占いなんて関係ない、そんなことを知っているから、竜児は占なんて見た傍から流してしまえばよかった。
ただ大河はちがう。
もはや逆らえないほどの大きな流れに抗うように生きて、抗いきれなくて、不器用で、うまくいかなくて、ドジで、結局どこかで占いを気にしていた。
こんなにうまくいかなくても、いやうまくいかないなら、せめて運が少しでもよくなれば、そんな考えでもあったのかもしれない。
事実、大河のブックマークに占いサイトが三つも四つも登録されていて、こっそり毎朝チェックしていることを竜児は知っていた。
そういう部分は、いっちょまえに女の子なのだ。木刀振り回すくせに、手乗りタイガーのくせに。
だがまさか、逆らえないほどの大きな流れの源流が、運命のように生まれたときからそこにあって、ずっとずっと反抗していた障害物の出所が、大河の名前そのものだとは思わなかったが。
いや、そう考えたら占いに執着してることになるんだろうか。
そんなわけで占いに大いに影響を受けていた大河は、高須大河になっても苦しいくらい報われないことを宣告されてしまって、それで落ち込んで、悩んで、
どうしようもなくなって半べそで竜児に話したのだ。
それで、せっかく話せたというのに、いざ竜児にすべて話して、心配してもらうと、なんだか申し訳なくなって、恥ずかしくなって、バカらしくなって、
まるでだだをこねるほど欲しかったおもちゃを意外にも買ってもらえそうになって、すんでのところで遠慮し出す子供みたいに、大河は突然ごまかし始めたのだった。
なんか悩んでるみたいに話しちゃったけど、大したことないよー、そんな風に。
亜美ちゃんわかんな〜い、そんな風に。亜美ちゃん別に気にしないし、関係ないんですけど、そんな風に。
吐きだしたため息の行方が分からなくなったところで、急須に丁寧にお湯を注ぎ、ついでに冷蔵庫に手を伸ばす。
おそらく気にしないふりをして、終わったことにして、そうやってごまかして、そのあとまた一人で悩むんだろう。
だって川嶋はそうだったから。たぶん実乃梨もそうだったから。そうやって悶々と溜めこんでいくのだろう。全部吐き出せばいいのに。
それが、高校2年生で学んだことだった。女子ってやつは、いやたぶん男子だってそうなんだろうが、そうやってちらちらと不安を見せてみては、やっぱやーめた、
なんでもないよ、そうやってごまかす。
大河もそういうやり方を覚えたみたいだった。
かといって、面倒くさくなったわけではない。
昔の大河は、それよりももっとひどかった。悩みを垣間見せる余裕もなくて、自分の中に全部溜めこんで、でも大河の体は小さくて、そして爆発させていた。
それこそ出会ったころの大河は、北村への思いというでかすぎる悩みを溜めこんで、本当にこれで高須家というはけ口がなかったらどうなっていたことやら、考えたくもない。
でも今の大河は、竜児にこうやって悩みを打ち明けてくれる。不器用ですぐごまかそうとするけど、それでも大きな進歩だ。
それならば、竜児のすることは一つだろう。爆発しちまわないように、全部吸い出してやればいい。だってたぶん、だから逢坂大河と高須大河の診断結果は違ったのだ。
人格は大凶から、大吉に変わったのだ。
暴走気味で不安定な10画から、愛情に恵まれた大吉数に、15格に増えたのだ。その増えた五画分、それがきっと竜児の役目なのだろう。
冷蔵庫を開いたのは、なんでだっただろうか。
ストックの大河用プリンの、最後の二個を拝借して、お盆に乗せた。
大河にはきっと、愛情が足りないんだ。クリスマスの大河の部屋、修学旅行の吹雪の中、バレンタインのあの川の中、何度も確認したことを、もう一度、再確認。
いろんな成分が、まだまだ足りない。だから安心できない。いつでもあの真っ暗な世界に落とされるんじゃないかって、いつも怯えてしまう。
それならば、幾らでも愛情をくれてやろう。堕ちてしまいそうならば、何度でも引き上げてやろう。
覚悟を決めて、居間に戻る。
お茶が飲みたかったのは本当だ。
泣くだけ泣いたら水分を取りたくなった。だからお茶がほしいと言ったのは、自分が招いてしまった気まずい空気をとりあえずどうにかしたくて、というわけだけではない。
台所に立って、なにやらマニアックなくらい丁寧にお茶の準備を進める竜児の背中を見てみる。面倒くさい奴だと思われただろうか。
もともと自分の画数が最悪なことは知っていた。
自分の名前の由来なんて詳しく聞きたくもないが、まぁたぶん画数がいいとか悪いとか、あのクソジジイは対して考えなかったのだろう。そんなことくらいわかる。
でも、正直言って、かなりショックだったのもまた事実だ。
自分が逢坂大河でいるかぎり、大した幸せがないことは理解していた。望めば壊れる。そんな人生なんだと半分あきらめていた。
でも、竜児は違った。望んでも壊れなかった。望んだら、望んだように傍にいてくれた。
希望、といったら大げさなのだろうか。
望んでも壊れないものがあるとわかって、高須大河になれるとわかって、少しこの世界も悪くないと思え始めていた。
それで、もしかしたら、この最悪な画数も、良い方向に変化しているのではないかと思ってしまった。偶然見つけた姓名判断のサイトを、開いてしまったのが運のつきだったか。
「ほらよ、お茶」
竜児が湯呑を二つ、卓袱台に置く。いつもどおり薄めに煎れてあるお茶をすすったところで、お盆の上のプリンを見つけた。
「・・・、まあなんていうか」
腹減ったろ、食うか。プリンとスプーンを一緒に差し出され、受け取る。普通のよりちょっと高い、カスタードの奴。私の大好物。
竜児は少しバツの悪そうに、でもまっすぐに、こちらを見つめている。相変わらず目つきがわるい。
「さっきの見て思ったんだけどよ、やっぱり、おれは、高須大河に、なってほしい。」
つるり、と指が抜けた。蓋を剥がせない。全身の筋肉が弛緩してどうにもならなくなったあと、ぶうわあぁっと毛穴が開くのがわかった。
やばい、泣く。髪がなんか変な感じ、頭がぼーっとする。顔が熱い。普段の百倍くらい顔に血が集まってる感じがする。視界が霞む。
きっとひどい顔をしてるだろう。昨日もちょっと泣いて、さっきも竜児の前で泣いて、また泣くつもりか、自分に言い聞かせて、歯を食いしばる。
ああ、でもだめだ。うえ、むけない。
「お茶とプリンなんて、あいしょう・・・最悪だよ」
俯いた大河の表情は不明。ただ泣きかけているのは、小さな体の震えを見ればわかる。
人生で二度プロポーズすることになるとは、思ってもみなかった。そして二回目がこんなにも早く来るとは。
まぁ、二度したんなら、三度も四度も同じだろう。何度でも言ってやるさ。わかるまで。
「最悪でも、破滅でも、大凶でも、知るか。俺は大河と居たい」
「不幸だよ」
「なわけねえだろう」
ああ、また泣かせちまった。お詫びのつもりで、大河のプリンの蓋を剥がす。
「ほれ、食え」
「・・・」
プリンに口をつけ始めたのを確認して、のどが渇いているのに気づく。滅茶苦茶緊張していた。たぶん俺も顔が真っ赤になってるな、これは。
茶をすすって、息をつく。言いたいことはまだ残っている。
「さっきの、高須大河の、姓名判断見せてみろ」
大河の差し出した携帯画面を、しばらくスクロールして、目当ての行を見つける。
ほら大河、みてみろよ、やっぱりこれでいいんだよ。
一人で納得して、大河にも見せてやる。返された携帯の画面をおびえるような眼でみる大河が、急に、なぜだか――
「読んだか?」
「・・・」
人格(15)――大吉
人望厚く、行動力もあり、大事業を達成でき、愛情にも恵まれた大吉数。
金運
あります。自分でコントロールする力もあるので、お金に困るという事は滅多と無い人かも。
仕事運
楽しんでできる仕事につくこと。自分の人格を認めてもらえる仕事ならより吉。運はいいです。
結婚運
楽しさだけを考えて相手を選ぶと、少し後悔するかも。貴方の暴走をしっかりひきとめてくれる人を選んで。
「ドジで、すぐに暴走するお前を、引き留める奴、誰だよ」
「うっ・・・」
「お前のその性格、人格、全部全て認められる男、誰だよ」
「りゅう・・・」
――この愛おしさを、なぜこんな荒っぽい言葉に乗せてしまうのだろうか。
もしかしたら人の心と口っていうのは、つながってないのかもしれない。
「もし見つからなそうなら、俺にやらせてくれよ」
142 :
◆hDb8Trq50U :2009/05/17(日) 15:28:20 ID:4p/FdPUD
「...竜児」
やっと顔をあげた大河は、やっぱり泣いていた。髪はぐしゃぐしゃで、まぶたは腫れて、きつく噛んでいただろう唇は、それでもきれいな薔薇の色だった。
「もしお前が本当に大凶女で、破滅で、相性最悪で、不幸でも、おれが全部ぶっ飛ばして、お前を幸せにしてやる」
返事はない。向かい合って座る距離感が、なんだか恐ろしいほど遠くに感じて、立ち上がる。
絶対一つに混ざりあえない個体同士なのに、なぜ人は距離をゼロにしたがるのだろう。限りなく大河と近づきたくて、隣に座る。
すこし驚いたように見上げる濡れた瞳は、間違いなく竜児の瞳を映していた。不意に触れた髪の毛の柔らかさに、背筋がぞくりと反応した。
「竜児...」
「大切なんだ。世界で一番、お前のことが」
「りゅうじ」
「お前を不幸になんか、させねえから」
「りゅ...う」
「なぁ」
重ねた唇の柔らかさに、思考がほどけて、心が混ざり合った気がした。
プリンの味が、穏やかに広がったような。
「ありがとう、竜児」
最悪だと思っていたお茶とプリンの相性は、意外とよかったのかもしれない。
律儀な、でも優しさの薫る苦みは、プリンのとろける甘味を、より際立たせるのかもしれない。
世界で一番おいしいプリンを二つ食べて、またちょっと泣いた。
泣いて、つかれて、優しい薫りの竜児の腕の中で、甘くまどろんだ。
愛情の形はそこにあった。
そして私は、夢を見た。
おわり
143 :
◆hDb8Trq50U :2009/05/17(日) 15:34:14 ID:4p/FdPUD
お茶とプリン、おしまいです
ただ大河の姓名判断の結果を書きたくてやった。反省はしている。意外と長くなってしまいました。まさかの連投規制。板汚し失礼しました。
姓名判断ver4.01というサイトで逢坂大河と入れると…
144 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 15:40:57 ID:8Mb0vgvY
>>133-142 イイハナシダナー
姓名判断ネタは盲点だったぜ!
ふしぎ!IDが変わってる!
145 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 15:42:35 ID:8Mb0vgvY
>>143 ついでに高須大河と高須竜児も入れてみた
何このシンクロ率
>>143 超GJです。
最初に大河が竜児に携帯の結果を見せるところでふきました。見事な斜め上具合です。
その後の畳み掛けるような不幸な結果がまたすばらしい。不幸すぎて笑えます。人間は
悲しいから笑うんだって話を思い出しました。
しょーもないことをぐじぐじ悩んで結局竜児に泣きつく大河と、どんびきしたあとに苦笑い
しながら受け入れてやる竜児。
とらドラ!ですよねぇ。
乙!
でもあれ?大河の名前って、30マソ位かけて、親が占い師(?)の先生に頼んで付けたとかって設定じゃなかったっけ?
148 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 16:42:41 ID:8Mb0vgvY
それはそれ
これはこれ
なるほど。理解w
確か。MOTTAINAI!と活字で見た覚えがあるから、原作のどこか。
今から初投稿をします。
7レス使いますが、内容スッカスカなので疲れないと思いますwww
153 :
1/7:2009/05/17(日) 19:18:18 ID:LJm/mIv4
それは高須竜児と逢坂大河が結婚して18年が経った、ある冬の出来事。
《竜のごとく》
「おかあさーん!洗濯!終わったよー!」
朝食の後片付けをしていた大河は、威勢のいい張りのある声を耳にした。
その声の主は、
「早く早くー!」
と、自分の母を呼びつけた。
大河はその忙しない声に苦笑いしつつつも、とりあえず返事をしなければ永遠に叫んでそうな娘に一言。
「分かったわよ、こっち終わったらすぐ行くから」
そう言って、残りの3人分の茶碗をゆすぎ始めた。
********************
154 :
2/7:2009/05/17(日) 19:19:00 ID:LJm/mIv4
3日間降り続いた雨が嘘のような澄みきった青い空。
だが、朝の天気予報によれば午後からまた天気が悪くなるらしい。それまでには、溜まりにたまった洗濯物を
片付けてしまわなくてはと、最近になってようやく目覚めた主婦根性を遺憾なく発揮した。
―――最近になってようやく目覚めた主婦根性
これが意味するものそれは…
「お父さん、元気にしてるかな」
そう、今高須家に竜児はいない。仕事の関係で遠くアメリカに出張しているのだ。このことが決まったのは
去年の春のこと。一緒に大河も付いて行くと言ったのだが、子供2人を残してはいけないと、さらに、
じゃ家族全員で、とも言ったが、ルカは高2だし、ましてや泰児は来年受験生だぞ?なのに連れて行くのはいくらなんでも
かわいそうだろと、竜児に説得されてしまった。泰子に預ければと大河は思ったのだが、それは泰子に多大な
負担を与えかねないし、そんな無責任なことはしたくない。よって、大河はしぶしぶ折れた。
ちなみに長女ルカは外見は大河似で、しかし背は大河よりほんの少し大きく、若干大河は嫉妬している。
家事万能なところは竜児に似たのか、はたまた大河のようになって欲しくないと願った竜児が教えたのか定かではない。
一方、長男である泰児は、来年高校受験を控えた中学2年生。背は平均より若干低いが、運動神経抜群で誰かさんの影響からか、
今ソフトボール部に所属している。今日も久しぶりの天気により、休日なのに朝から急いで学校へ出発した。
「そうねぇ、元気にしてるんじゃないかしら」
洗い物を終え、洗濯物をかごに移しているルカの傍へ歩み寄った大河は物思いに耽りながら呟いたルカに
適当に返事をした。それを感じ取ってかルカは不機嫌に頬を膨らませながら叫んだ。
「なによそれ!心配じゃないの?お母さんは!」
「うるさい。そんなことよりちゃっちゃと干すの!午後には雨が降るんだから」
「……う〜〜〜〜」
大河の反応に納得のいかないルカは人間離れした唸り声をあげるも、この家のボスである母大河の命令には従わなければ命が危ない。
不貞腐れながらも、テキパキと洗濯物を干す。竜児がいなくなってからは、洗濯はルカと泰児の仕事だ。しかし今日は泰児がいない上にこの量だ。
さすがに、大河が手伝わなければ可哀そうだし時間がかかるので、2人で片付け始めた。
数分後、ようやく干し終えて大河はふと空を見上げた。太陽がやけに眩しい。久しぶりに見たからだろうか。
竜児もこの太陽を見ているだろうか。
……竜児は元気にしているだろうか。
********************
155 :
3/7:2009/05/17(日) 19:19:40 ID:LJm/mIv4
ルカにはあんな態度をとってしまったけど、本当は、本当は…
「お母さん?どうしたの?太陽なんか睨んじゃって」
「……は?」
なんてことはない。太陽が眩しくて、しかし竜児を連想しちゃったため太陽から目が離せずにいた。
したがって、眉間にしわを寄せたものすごい形相で太陽を見つめていたのだ。
「い、いや、あっそうだ。肉眼で黒点が見えるかなって思ったのよ!」
悟られてはいけない。
竜児のことが死ぬほど心配だなんて。
心配で、心配で、夜も寝られない日があるなんて。
たまに、声を漏らさぬよう必死になって、涙する夜もあるなんて。
子供たちにそんなことを知られたら、私のことを心配する。不安がる。自分たちのせいで、
お母さんはアメリカに、お父さんの傍にいられないんだ、なんて思われる。そんなことはあってはならない。
だから、悟られては、いけない。
絶対に。
********************
ちょいと休憩
すんません
157 :
4/7:2009/05/17(日) 19:23:16 ID:LJm/mIv4
「さってと、洗濯終わったし昼寝でもしよっかな〜。天気いいし」
かごを持ち庭をあとにしようとするルカに大河は気づく。
「待った、暇ならちょっと掃除手伝え」
「え〜〜〜。やだよ、めんどくさい」
「いいじゃないの。あんた掃除好きでしょ?」
「そうだけど……分かったよ、やりますよ〜」
それから1時間強、家の隅々まで掃除をした。天気がいいとはいったものの、さすがに真冬なので手が真っ赤になってしまったが、
やはり掃除はいい。無心になれる。
今なら竜児の言っていたことが分かる気がする。
掃除が終わった後、居間で大河とルカはテレビを見つつ茶をすすっていた。煎餅にみかんといったものが欲しいところだが、
生憎切らしている。しかし、何かしら口に入れたいのは虎の習性か、炬燵から抜け出し本棚の隣にある茶箪笥に向かった。中を見てみると、
現在の世界の経済状況を表わしているかのごとく、マシュマロしか入っていない。まあしかし、何も口にしないよりかはいくらかマシかな、なんて思いながら
炬燵に入り、一緒に茶箪笥から出した青い皿の上にマシュマロをあけた。マシュマロをつまみながらテレビを見ていると、
「これくもみたいだね」
と、ルカが言った。大河は今見てるスパイ●ーマンだと思ったのか、怪訝な顔をして言い放った。
「はあ?何言ってんの?あんまり変なこと言いだすと殴るわよ」
「ち、違うよ。テレビじゃなくってこれのこと!」
ルカが指で示しているのは、青い皿に乗せられたマシュマロ。
それのどこがスパイダーなんだと大河は瞬間思ったが、よくよく見ればなるほど、青い皿が青い空として考えると白いマシュマロが雲として見えないこともない。
「まあ、そうねぇ。雲に見えるわね」
「でしょ!」
「にしてもあんた、高校生にもなってマシュマロが雲って…ぷっくくくく」
だぁはっはっははは、と大河は爆発した。いや、爆笑した。
ルカは真っ赤になって、
「いいじゃん別にーーそう見えたんだもん」
と言い、炬燵に潜ってしまった。
雲ねぇと、大河は一人呟きつつ大河はなぜか昔のことを思い出していた。
そういえばあの日は曇ってたっけ。
――――あの日
それは、竜児と大河が晴れて結婚した日。
結婚式はいつにしようかなんて考える必要はなかった。なぜなら、2人とも、いや、親友たちも意見が同じだったからだ。
2月14日、バレンタインデー、竜児と大河の思いが通じあった日。
あの頃はこんなにつらい日が来るなんてこれっぽっちも思っていなかった。
竜児が傍にいない、竜児の声が聞こえない日が来るなんてこれっぽっちも思っていなかった。
今だから思う。あの時空港であんなことを言ってしまったことを、後悔してると。
********************
158 :
5/7:2009/05/17(日) 19:24:06 ID:LJm/mIv4
空港で大河が竜児に言ったことは、侮蔑でもちょっとした悪口でもなんでもなかった。
====================
「ねぇ、竜児。あんたが向こうに行ったらまず何する?」
「そりゃ勿論お前に電話するよ」
「ふふ、そうよね。でもね、電話、しないで欲しいの」
「はぁ、なんでだよ?」
「あとメールも」
「だから何でだよ?」
「だってあんたの声聞いたりすると私我慢できなくなっちゃうと思うのよ。あんたの声聞いてないと生きていけなくなっちゃうと思うの。
だから、ね?お願い」
「……メールもダメなのかよ」
「メールは…うんダメ。あんたとなにかしら接触があると…」
「…分かった」
====================
あの時は、大丈夫だって、今までどうりに生活できるって思ったのに。
マシュマロを見つめながら大河は願った。
竜児、あんたの声が聞きたいよ。
********************
159 :
6/7:2009/05/17(日) 19:24:48 ID:LJm/mIv4
「ただいまぁー!腹減ったー!飯ぃ!」
大河は、はっとした。どうやら昼寝していたみたいだ。なぜなら、泰児が帰って…
「えっ!泰児!?帰ったの!?」
「そうだよ。今帰ってきたとこ。なんでもいいから飯!腹減って死にそうだ…」
「やっばー!寝過ぎたわ。ごめんねー、今から作るから」
「……」
「お母さーん、泰児の死亡が確認されました。12時43分です」
「生きる!」
「…つまんねんだよ、ばーか」
やかましい喧騒の中、バイクの音がした。どうやらうちの前で止まりまたすぐに出発した様子からすると郵便屋さんのようだ。どうせルカか泰児宛ての
塾か家庭教師かのダイレクトメールだろうと思いながらもついつい出てしまう。
ポストを開けてみたら、やはりそうだった。が。
一通。
見知らぬ手紙が。
それは、エアーメールだった。
間違いじゃないかと思い、宛名を見ると、
To Ms.Taiga Takasu
と、書かれていた。
ドキドキしながら、震える手で、差出人の名前を見てみた。
From Ryuji Takasu
竜児…、竜児だ!竜児からだ!
それはまぎれもなく、大河の夫、高須竜児からだった。
内容は、興奮してなのか、あまり頭に入ってこない。働け脳味噌!と思いつつ目を通して行くとあるところで、脳が正常化した。
『…そういや、今日は19回目の結婚記念日だよな。そんな大事な日にお前の傍にいれなくてほんとにすまない。
だけど、来年は20回目だ。それに俺はあと半年くらいで帰れるから…』
「竜児…あんたミスを2つもしてるわね」
********************
160 :
7/7:2009/05/17(日) 19:27:11 ID:LJm/mIv4
竜児が犯したミス。
一つは大河様の言うことを守らなかったこと。例の電話にメールはしないでー、てやつだ。
「まあこれは冒頭で謝ってるし、いいとして、問題は…」
今日は2月13日
「結婚記念日は明日じゃー!!!!!」
竜児は明日に届くと思ったのだろう、しかし、なんの手違いか今日届いてしまったのだ。
これには手乗りタイガーの異名を持つ大河様は許すはずもなく、
「まったく!竜児はまったく!」
もちろん許すはずもなく、
「よくもこんな間違いを…」
許すはずも…、
「まったく……ふ」
許す…、
「ふふっ、ふふふっ」
許…、
「あっはははは!何コレ!傑作じゃない?あははっははは!!」
大河は笑った。嬉しかった。心の底から嬉しかった。
「あーあ、ったく、馬鹿竜児め。帰ってきたらただじゃ済まさないんだから」
そう悪態をつく大河の顔にはここ数ヶ月間見えなかった笑顔があった。
「あっそうだ、お昼ご飯作らなきゃ」
そう言いながら、家に入ろうとする大河の視界に洗濯物の山が入った。今日は午後から天気が悪くなるからそろそろこまないと
量的にやばいな、などとかんがえていると、
「母ちゃん!飯ぃーーーー!!!」
という泰児の怒鳴り声が聞こえてきた。
「これから洗濯物こんじゃうからルカ作ってくれるーー!?あり合わせでいいからー!」
ええーー!という声を確認したので、大河は庭へ向かった。まだ、太陽は照っている。が、風が少し吹いてきた。早くしないととやばいなと思い、急いでこんでいた時だった。
竜児からもらった結婚指輪が太陽の光に反射して目に入っため、思わず空を見上げた。
そして、それは迷わず大河の大きな両目に飛び込んできた。
澄みきった青い空。その中で白い雲が一筋、踊っているようだった。
そう、それはまるで、
竜のごとく。
おわり
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、ルカは
竜児×大河
↓
竜河
↓
ルカ
こんな具合です。
泰児は読んで字のごとくです。
最後まで読んで下さった皆様、途中まで読んで下さった皆様
ご愛読ありがとうございました。
お疲れ様です。
17年経ってスパイダーマンやってる事や「生きる!」の
ネタを使ってるのはなぜだww
大河の心情がよく書けてて凄く面白かったです。
娘に対する言葉がひどい事に今気付いた
>>161 ありがとう!!
竜児×大河結婚後+子供の話は一番の大好物です。
これからもよろしくお願いします。
>>161 よかったですよ〜!
できたら、帰ってきたところとかも書いてくれるといいなぁ。
とか思った俺は、わがままなやつだな。とか思った。
アラフォー大河もかわええwww
それはそうと、日本宛のエアメールはJAPANだけ書いておけば日本語で届くぞw
>>161 その名前は、このスレ内では公式設定かもなw
皆、その名前を使うし
167 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 20:30:45 ID:4eJHzRxy
168 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 20:52:07 ID:8Mb0vgvY
面白かったお!
169 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 20:52:23 ID:8Mb0vgvY
170 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 20:53:14 ID:8Mb0vgvY
>>167 竜虎娘ネタはちょっと力尽きたから新しいの書こうと思う。
実際に俺が罹った病気の事と体験を交えた物を書いてる。
それができて、力が残ってたら竜虎娘ネタを…頑張る。
期待しないでNE☆
>>144 ありがとうございます
自分自身昨日偶然見つけて、そんで興奮して一気に書いたので話がうすっぺらに。
結局ちゅーに逃げました。
ID変わったのはさるされちゃったので携帯で投下したからです
このシンクロ率はすごいですね、まじで。ゆゆぽ見ただろ・・・
>>146 おお、初GJもらった・・・、ありがとうごじあす。
不幸不幸不幸、ちょっと幸せ、とか、コメディコメディコメディ、ハイパーシリアスタイム、の落差がぼくも結構好きです
とらドラっぽさ感じていただけたらぼくもうれしいっす
>>147 ありがとうございます
ていうかマジですか。ちょっと本編読み直してきます。
設定ズレとは不覚。
>>161 おもしろかったです、GJ!
年食ってもどこか尖ってて若さがあるママ大河すげーいいっす。
173 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 22:00:57 ID:8Mb0vgvY
>>172 そんなに薄くも無いよ
ID変わったのはそういうことか
ここはPCと携帯の識別記号が無いからなー
『二人で』
「……なあ、大河……
」
「んー?」
「……まじでこれで行くのか……」
「そうよ、これで行くのよ」
「……はあ、みっともねえ。学校の奴らに何言われることか……」
「言いたい奴らには言わせておけばいいのよ。それより学校遅れちゃうってば。ほら進めぃ!」
そう言って、GOサイン。細くて小さい指はぼろい扉を力強く指差した。
目指すは学校だ!……じゃない。朝から近所迷惑!ついつい言ってしまいそうになる小言は尽きた試しはない。が、今はそんなことではなく、
「おい……!ったく、あんまり揺らすなって、落っこちるぞ!」
竜児の背中には、私は高級!と自己主張しかねんぐらいのアンゴラのコート。
それを身に纏いし神聖なるリュックサック……ではない。
そもそもそんな用途不明のリュックサックは多分存在しないし、何より暴れないだろう。叫ばないだろう。
ふわふわと軽く弾ませ、腰にまで届くウエーブのかかった淡い茶の髪。
フランス人形のように整っている白く透き通った美貌。
高校生とは思えない、華奢すぎる体は現在自称145センチ。
そんな誇り高き虎……いや人間の逢坂大河はその頃、竜児の背中にすっぽりと収まっていた。
「ほら、さっさと行く!」
ボスッボスッ、と尻の真ん中(つまり割れ目辺り)を的確に膝で連撃。
何とも言えない刺激が竜児を襲うが、気持ちいい……というマゾっ気の方では断じてない。ただ痛いだけ。
「はあ……」
扉を開けると、凍てつく風が露出した顔面の感覚を狂わせる。鉄の階段に張り付く霜は昨日より一層と多く、まさに冬。二重に巻かれたマフラーがなければ、今頃ダイレクトに四季の中の一つ、冬を感じていただろう。
「……は、はっくしょい!……ああー」
「くっ、首に大量の液体が……!口をふさげ!口を!」
「遺憾な事故ね……」
「お、お前……そればっかじゃねえか……」
気をつけていたつもりだった。
転んだり、零したり、ぶつかったり、エトセトラ。
いくつかの事故は事前に防ぐことができていたのだ。それは彼氏兼保護者?である自分が、いつも目を光らせていた賜物だと思う。
しかし少しでも目を放せば、奴は牙をむくのだ。
奴は見逃さない。あらゆる状況で影さえも隠し、機会を窺っているのだ。
奴?
大河の背後に光臨して居られるドジ神に決まっておろうが。
***
昨日――
六限目は古典だった。
延々と繰り返される古文を延々と要約し、延々と書きとめるのがこの授業の特徴。
生徒にとっては億劫以外の何者でもないこの時間が正念場であり、一日の目指すべきゴールでもあるのだ。
だからといって、最後の授業だ!頑張るぞ☆な生徒は多くはなく、隠れてメールを打っている奴、睡魔に勝てなかった奴。
辺りを見渡せばそんな奴らがちらほらと。
「ふぁ〜あ」
かく言う竜児も、後者の奴ら仲間入り一歩手前。
前日の大河との夜更かしゲームで若干の睡眠不足。欠伸はこの授業が始まって五回目だ。
睡眠不足と言う理由を差し引いても、竜児の吊り上がった両目は今日も絶好調に三白眼。原因はただの遺伝だし、今に始まったことではない。そんなことより眠いのだ。
……寝てしまおうか。そんな甘い誘惑に降伏寸前で、キーンコーンカーンコーンと聞き飽きたチャイム音が、緩みきった教室に鳴り響く。
「ひゃっほ〜!やっと終わった〜!ほんっとだるかったな〜!」
春田よ……これで食っている先生を目の前にしてそれはどうだろう、と心の中で思うが己も予備軍だ。あまり言えた身分でもないのか。
独身のホームルーム終え、生徒達はそれぞれの準備に取り掛かる。部活に行く者、おしゃべりしている者、さっさと帰る者と様々だ。
竜児は帰宅の準備が整ったところで、大河の席に顔を向けるが、
「……大河……」
さすが天下の手乗りタイガーと言ったところか。生徒達がざわめく教室の渦の中、大河はどっぷりと気持ち良さそうに眠っていた。
古典の教科書が未だに机に放置されていることから、おそらくずっと寝ているのだろう。
「やばいよね、あれ……垂れちゃうよね」「うん……そろそろ垂れるね」女子生徒達の囁き声を偶然キャッチ。垂れる?竜児は首を傾げ、大河に歩み寄り、
「……おうっ!?」
考えるより、先に手が動くのは日頃の鍛練の成果だろうか。もしそうなら、なんて悲しい反射神経を習得してしまったのだろうか自分は。
溜まりに溜まった涎を間一髪、ハンカチで救助。あと一秒でも遅れていれば、下の教科書は間違いなく残念なことになっていただろう。
「さすが高須君……」見ていた女子達から微妙な拍手をもらい、見ていたなら拭いてやれ!……声には出さずに突っ込んでおく。
「……う、ん、ん?……りゅーじ?古典、終わったっけ?」
「……授業どころかホームルームも終わったよ。ていうかいつから寝てんだよ。授業始まって五分そこらでお前が落ちていたのを確認したぞ俺は」
「あー、えっと、まず先生が入ってきたでしょ……」
目を瞑り、記憶をたどる素振りをしてみるが、どうやら大河の脳の今日の古典は先生登場が一番新しい事項らしい。
「……まあそれは置いといて」
「……置くな。むしろ持ってろ」
「置くの!そして別の話題に切り替える!……ゴホン、ところで竜児、今からデパートで私の服選びに――」
「おうっ……!?」
途切れたのは大河の声が枯れたというわけでもなく、耳の器官が突然停止した、というわけではなかった。
「たかっちゃ〜〜ん。今からどっか遊びに行かな〜い?」
頭にのし掛かってきたアホこと春田、改め春田ことアホにより遮られたのだ。
「重い……おふっ!?」
二回目の驚きで出てしまった声は、春田の上に更に乗っかかってきた能登のせい。重量はさっきの二倍近くで、膝なんかは生徒達が便所に行き来する、きっっったねえぇぇ!!床ぁぁ!(バイ竜児)にとっくに犯されてしまっている。
無言の敗者体勢。日本の敗戦に、むせび泣いた……わけねえ。単に重力には逆らえないのだ。
「な〜あ〜高須〜行くだろ〜」
能登(今日は特にかわいくない)……せめてお前はのけ、のくんだ……
当然二人分の体重を支えきれる程、己の体はデカくもキレてもなくて、無条件で体全体が床に……
「……だあぁああっ!!」
着いてたまるか……
四肢を動かす得体の知れない力の源は潔癖症、つまり己の性だ。
床に着く寸前に離脱。体をくねらせよじらせて無事脱出。
代わりに犠牲になった兵隊は言わずもがな。「うわぁ!?」とか「ぎゃあ!?」とか……知るか、お前らが悪い。
膝の埃を適当に払い、床のアホ二人を見下ろしてみる。
「何で逃げるんだよぅ。もう俺さ〜今日の古典で頭がまいっちゃって……ぱぁ!ってしたいんだってぇ。遊びに行きたいんだってぇ。床にへばり着きたかったわけじゃねえんだってぇ……」
「知らん……お前らこそ俺をこんなわけわかんねえ雑菌共が蠢く板にひれ伏させようとしたじゃねえか」
「大袈裟な……うっ、高須がそんなん言うから、なんかズボンの埃が気になり始めてきたじゃん……」
「そうだろうそうだろう。あと誘ってもらって悪いけど、今から――」
左を見る。薔薇色の唇を尖らせて、口パクで『う、う』じゃないな。『ふ、く』だろうな、きっと。
「そう、服。ちょっと大河の服を新調しに行くから、今日はパスな。また今度」
「じゃあしょうがないね。また今度誘うわ。しっかし、まあ……」
能登は大河、竜児を交互に見て、また大河、竜児。そして外国人のように手を横に曲げ、細い目を更に閉じて、酸素を吸って、ふーう……
「……高須とタイガーって本当に仲良いよね、前より……まあ付き合ってるんだから当然なんだろうけど。とにかく高須、俺はお前がほんとにほんとにほんとに……」
うらやましい……いや、ぶっちゃけ憎い……
俯いている能登の呪いのような、掠れた声が聞こえたのはおそらく春田だけ。
「そうだよそうだよ、いーこと言った、能登っち!たかっちゃん……どうせ毎日タイガーとイチャイチャしてんでしょ。毎日ちゅーとかお泊まりとかさ〜、そこんところどなの?あ〜俺はさ〜そこんところは大丈夫だからね、一応言っとくけど」
ぴたっ……
気付いたのは、竜児だけ……なのかもしれない。
修学旅行。就寝前の生徒達が枕投げで盛り上がり、わーきゃーしている安い宿の部屋。その襖をガラッ、と開ける教師。しかし生徒達は教師を欺くように寝床で狸寝入り。
その時の状態、空気。漫画で例えれば『し〜ん』という描写が一番合っているだろう。
何が言いたいかといえば、今まさに、教室がその状態であること。
「……タイガーと高須君のラブラブ私生活、超気になるんですけど!」「しっ……麻耶、聞こえるわ」「案外〜高須君がタイガーにべったりかもねぇ」
木原、香椎、川嶋……とっくに聞こえているぞ。さっきから目線が合いまくってるしな……
「さあ〜今日も生徒会かぁ〜忙しいな〜」
北村……鞄の荷物の出し入れを繰り返し、行っているのは一体何が目的なんだ……
「おっと!櫛枝、不覚にもなんか急に多分絶対教室に忘れ物をした気がするぜぃ!」
櫛枝……多分と絶対を一回で使ったら、訳わかんねえよ……
竜児は、己の持つ禍々しい両眼を教室に行き来させる。
何も、目から出る赤いビームで生徒達を殲滅に!証拠が残らないように塵にしてやるわ!がははは!ではない。
この異様な空気の発端が、春田の言動から始まったということをいち早く察知しただけだ。
ありったけの視線を周りにくれてやるが、神速で交わされる。……櫛枝、口笛はべた過ぎでは。
はぐらかそう……そうだ、別に変に答える必要なんかないのだ。「何言ってんだよ〜春田。別に何もねえよ〜アホだろ〜」これだ。あとは、大河にも適当に受け流してもらって、鞄を手に取る。大河を連れ、帰る。完璧だ!
「な、なに言ってんだよ春田。そんなのねえよ。なあ!大河!」
ここで大河が「そうよ」とたった三文字返してくれればゲームセット!俺達の勝ちだ。何の恥もかくことなく、その場が綺麗に収まる……はずだ。
「ああああんたー!?なっなにいって……!」
ゲームセッ……
「毎日、キッキス……してんじゃない……それとも、竜児……もうしたくなくなったんじゃ……んん゛ー!?」
「「「「「「…………!?」」」」」」
「お……お前……」
竜児は、考えるという作業を一旦中断する。
178 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 22:28:51 ID:8Mb0vgvY
ちょっと面白くなってきたw
>>176の直後にライオンだーと入れたくなったが必死に我慢した
脳を構築する大工の親方が、汗を拭いながら「飯にするかあ!」と昼休みの伝令。つまり飯時、休憩だ。一切の万象を拒絶、シャットダウン。
考えない。考えたくない。関わりたくない。しかし、どうしようもなく自分は当事者であるので、現実逃避は二秒で終了。
弁当の箸を置いて、ヘルメットを被り、作業を続行。
角材ではなく、覚醒しきれない脳に無理矢理に釘を打ちつける。妄想は終わりだ。働け、俺の脳細胞共。
そうだ……自分は何に期待していたんだろう。元からこいつは、手乗りタイガー。周りの草食動物が何をしていようが気にしちゃいない。そもそも、この虎に周りの空気を読むような器用な技量はないのだ。断言できる。
きゃーーーーー☆
ぎゃーーーーー!
高須ーーーーー!
だから、大河の口を咄嗟に塞いだのも不可抗力。
女子の甲高い悲鳴も幻聴。あるいはゴキブリでも見つけたんだろう。
能登が目を充血させながらこちらを睨んでいるようにみえるのも多分、花粉症。今年は時期が早いらしい。
教室の喧騒は未だ止まず。
普段ならリーダーシップ魂を存分に披露してくれる親友の北村も「めでたいなあ!」眼鏡を曇らせ興奮気味。今にも裸になりそうだ、と思ってしまう自分は今まで北村の何を見てきたのだろうか。
とにかく。とにかくだ。まずは、
大河、逃げよう――
えっ?何で――
何でもだ――
181 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 22:31:43 ID:8Mb0vgvY
松本人志が結婚したことよりも続きが気になるぜ
鞄を手に取り、廊下へ飛び出した。
そういえば明日の授業の課題……机の中だ……いやいや、この場を離れることが最優先だ。
しかし後に続くはずの大河は荷物をまとめているのか、なかなか出て来ない。
すっかり火照ってしまった額には、嫌な汗がじわり。唇がぱりぱりだったり、喉ががらがらだったりするのは乾燥した教室に長時間居たから……という理由だけに片付けられない。
大河の『周りを気にしない』発言の被害を受けた……が大半の理由、というより元凶なのだ。
教室から少し離れた所で、大河が出てくるのを歩を刻みながら待つ。
一分位経ったが、まだ出て来ない。下駄箱で待っていようと、教室に向けていた目を翻し、
「ひいっ……高須!」
いつかの幸薄そうな一年の男子生徒が、まともにそれを浴びる 。
遅い、何やってんだ?程度の目つきをしていただけで、そんな涙目になられても……正直こっちが涙目になりそうだ。
「……すいません!高須先輩でした!」
こいつから見て、確かに自分は高須先輩だが、『でした』?……ああ、呼び捨てにしたことを謝っているわけか。
気にしてない。それより何か用か?と、あまり興味もないくせに質問のおまけつきで返してやる。
「……あっ、あの!ずい分前になりますけど、『手乗りタイガー』の件では、ご忠告ありがとうございました。会長……北村先輩にちょっと用があって……今日は生徒会がないんで直接来たんです」
おい北村……生徒会ねえじゃねえか……は置いといて。
「やっぱりあの時の黒……じゃねえ、生徒会で北村の後輩の。大河のやつなんか制裁したとか言ってたが、大丈夫か?傷とか残ってたり……」
「……貢ぎ物と顔面方位磁石を少々……油性です……」
「……おうっ……それはある意味むごいな……」
「それはもう、むごかったです……それじゃあこれで」
北村の後輩の……確か富家幸太。話を聞く限り、富家は北村に用があるらしく、教室に向かってその場を去っていった。
183 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 22:45:37 ID:8Mb0vgvY
2828が止まりません!
とらドラリピート始まるまで読むぜ〜超読むぜ〜
>>8だけど
>>81ありがとう。最高の絵だ。
>>182 2828。続きキボンヌ。
>>8続き
***
私って奴はどうしてこうも間が悪いんだろう。
気付けば放課後。
チャンスはいくらでもあったはずではないか。
そもそも完成した時に「味見してよね」とでも言って食べてもらえば良かったのだ。
いまさらそんなことを言っても詮無いことではあるが。
ケチのつき始めは調理実習の終わり際、竜児の腕を知った周りの奴らがクッキー作りの手伝いをお願いしてきてからだ。
竜児は顔は恐いが心根は真面目で誠実だ。
まだ知り合って数日だが、はっきりとそう断言できる。
だから快く願いを受け入れるのも容易に想像がついた。
そして、調理実習の間はもう竜児が私の隣にいないであろうことも。
全く、普段は恐がって話しかけすらしないというのに、こんな時だけ現金な奴らだ、とその時は思ったのだ。
しかし、それがきっかけで竜児は思ったよりもクラスのみんなと打ち解けたらしい。
もともと難があったのは目つきだけ。
考えてみれば当然だろう。
それから今日は一日中竜児の周りには誰かがいた。
私ではない誰かが。
別に私はそのことに腹など立ててはいない。
所詮私とこいつの関係などその程度のものだ。
そう、だから私は怒ってなどはいないのだ。
「竜児」
「おぅ……どうした?機嫌悪いな」
「うるさい。ちょっと屋上まで付き合いなさい」
自然と、左手に隠し持っている袋に力が入りすぎる。
私は怒ってなど、ましてや気になどしていないはずなのに。
***
逢坂に呼ばれて屋上までの階段を上る。
一体どうしたのだろう。
随分と機嫌が悪そうに見える。
「なぁ逢坂、何で屋上なんだ?」
「うるさいわね、黙ってさっさとついてきなさいよ」
逢坂は足を速め……って速い!!
どんどんとスピードを上げ、あの小さな体であっという間に階段を上りきり、
「あっ」
変な声と共に最後の足を踏み外した。
影が揺れる。
体がふわりと浮いたままこちらへと戻ってくる。
「逢坂!!」
駆け出していた。
叫んでいた。
気付けば、取る行動は一つだけだった。
***
「あっ」
足を踏み外した。
上りきった安心から弛緩したのだろうか。
恐らく、左手に持ったままの袋に意識を傾けるあまり、足への注意が散漫になったのだ。
ぐらりと視線が天井へと映る。
同時に生暖かい風と浮遊感。
ああ、だめだこれ。
絶対ヤバイ。
時々あるが、転ぶ時にふっと体を纏う空気が変わることがある。
そんな時は、転ぶまでの時間が少し長く感じたりとかするものだ。
これは科学的に第六感として証明されているもので、一種の走馬灯のようなものだ。
ドン!!
衝撃の音。
次いで来る痛み……がこない。
「……え?」
振り返ると、私は竜児に抱きすくめられるようにして階段の踊り場に居た。
背中から落ちた私を竜児は体で受け止め、自らの背中を壁に差し出したのだ。
「竜児!!」
慌てて、振り返る。
今日ほど自分が嫌になる日も無い。
「だい、じょうぶだ……それより」
そっと指を指す。
指の先にあるのは窓。
階段を上りきった先の窓。
その窓は開いている。
「なん、か飛んでったぞ……いててて……」
私を庇って背中を強く打ちつけたのだろう。
背中を押さえながら竜児が痛そうに立ち上がる。
「なんかって……あっ!?」
つい、大声を上げる。
先程までしっかり掴んでいた袋が無い。
目的の品が無い。
クッキーが……無い。
「どうした?」
「……ごめん、竜児。教室に戻ってて」
「なんかやっぱり飛んでったのか?なら俺も探しに……イタタタ……」
「いいよ、それとごめん。私を庇って……」
「……気にすんな。あんまり痛いようだったら保健室寄って行くから」
「……うん」
私は竜児が教室へ戻るのを見届けてから外へと駆け出した。
***
クッキーの袋はわりかし早く見つかった。
「………………」
でも、これじゃあね。
一言で言ってぺしゃんこ。
中を一応確認したけど、ほとんど粉々で原型を保っている物は皆無。
かろうじて固形になっているのが数枚、というところ。
「……なにやってんだろ、私」
袋をの中の残った少ない固形のままのクッキーを口に入れてみる。
「折角上手く作れ……うっ!?」
しょっぱい。とてつもなくしょっぱい。
途端に思い出す。
『逢坂、砂糖と塩は間違えやすい。気をつけろよ』
やっちゃったみたいだ。
「……はぁ」
私はとぼとぼと教室へ歩き出す。
***
「いたたた……こりゃコブになってるかな」
背中をさすりつつ傷を確かめる。
先程は逢坂が背中を打ち付けぬよう上手く護ったつもりだったが、どうも自分にはそういうのが似合っていないらしい。
打ち付けた背中は痛く、コブまである。
それでも、自分の手をじっと見つめて安堵。
先程抱きかかえた小さいあいつ。
いい香りがして、柔らかかった。
そんなアイツは無傷らしい。
本当に良かった。
女の子、いや逢坂には特に怪我などして欲しくない。
ガラッ。
そんなことを思っていると教室の戸が開く。
もう生徒は自分以外いない、夕日が差し込んでいる二年C組の教室。
そこにあいつ、逢坂大河は戻って来た。
「よぉ、どうだった?見つけたか?」
できるだけ気楽に聞いてみるが、見るからに憔悴しているのがわかる。
逢坂は、小さく縦に頷くが、
「無事だったか?」
これには首を左右に振った。
ダメだった、ということらしい。
まぁこの憔悴振りからある程度予想は出来ていたけど。
「もしかして、私ってドジなのかな……」
唐突に切り出される。
というか、今まで自覚が無かったのだろうか。
俺があいつと知り合ったのは数日前だが、それから今日までに一体何度あいつのドジ見てきたと思うのだ。
「せっかく作ったのに……」
ポン、と机に薄汚れた袋が乗せられた。
成る程、落とした、もとい飛んでったのはこれか。
これは調理実習のクッキーじゃないか。
「これ、誰かに渡す物だったのか?」
「え?……うん、まぁ」
「そうか。一個貰っていいか?」
言うが速いか、俺は泥で汚れた袋の中身……殆どザラザラな中から固形を保っている部分を取り口へと運ぶ。
が、これは失敗だったと言わざるを得ない。
しょっぱい。この上なくしょっぱい。
恐らく砂糖と塩を間違えたのだ。
大河はポカンとこっちを見ている。
ええいこうなったら!!一気に口へガーッと!!
「え?ちょっりゅう「美味い!!」……へ?」
「ちゃんと出来てるじゃねぇか、また次の機会にがんばろうぜ」
だから元気出せ、そう意思を込めて笑う。
逢坂は、しばらく俺の顔をぼーっと見つめていた。
***
高須竜児。
なんて奴なんだろう。
私のクッキーを全部食べちゃった。
あれ、絶対しょっぱかったはずなのに。
「美味い!!」って……嘘までついて。
りゅうじ。
りゅうじ。
りゅうじ。
竜児。
竜児。
竜児。
ああ、なんていい笑顔で言ってくれるのだろう。
『ちゃんと出来てるじゃねぇか、また次の機会にがんばろうぜ』
この言葉を聞いてから、胸の動悸が治まらない。
***
私達はあれからすぐに帰宅した。
どうやら竜児も、もう痛みはたいしたことは無いようで、すぐに普通に歩けた。
「ただいま」
「お邪魔します」
竜児のかける言葉に続いて、高須家へお邪魔の挨拶と共に私は家に入る。
「さて、今日は簡単に済ます予定だから座って待っててくれ」
「うん、あ、そうだ。ちょっと竜児の部屋見せてもらって良い?」
「?かまわねぇけど、面白いもんなんてないぞ?」
「わかってる」
そう、わかっている。
竜児の性格だ。
MOTTAINAI!!とか言って、嗜好品など殆どそろえていないのだろう。
でも今日は何故か竜児の事が気になった。
普段からの彼はどんなで、どんなとこにいて、どんなことをしているのか。
それを知りたくなったのだ。
許可を得てそっと竜児の部屋へと入る。
やはり清潔にされている。
机の上に出しっぱなしのものなど無いし、埃一つ落ちている気がしない。
私は椅子に座って頬を竜児の机にのせてみた。
「……竜児の臭いだ」
鼻に入るここ数日で覚えた不可思議な臭い。
それが体全体を満たしていく。
体の中から熱くなっていく。
どうしたんだろうこの気持ち。
なんだろうこの高鳴り。
ふわふわと浮いているようでいて、根強い力強さを感じる竜児の腕。
今日助けてもらった時に感じたイメージ。
思い出すだけで、申し訳ない気持ちと、ドキドキする気持ちが入り混じる。
「はぁ〜……ん?」
溜息を吐いて、気付く。
気持ちの整理をしようした溜息だったが、既に意識は次の目標物へと向いている。
机の横にある本棚、その下に入っている大きなダンボール。
中にはMDやらなんやら小物が入っている。
「これ……ノート?」
日記か何かだろうか。
私は好奇心にかられ、さっとページを開いて……途端に、凍りつく。
「何、これ……」
先程までの、どこか浮かれ気分が全て吹き飛ぶ。
そのノートに書かれている文は、
――――櫛枝実乃梨嬢に捧ぐ。
寝る前にこのスレ覗くのが日課
みんな、がんばって
そしてありがとう
とりあえず今日はここまで。
それと前言い忘れましたがまとめの人ほんといつも乙!
182続き
その背中を端から見れば睨んでいるようにしか見えないが見守ってやる。大丈夫だろうか……と。
大河は富家もとい、『黒猫男』を相当警戒していたが大丈夫だろうか。富家の心配もあるが、大河の方にもだ。
不吉の前兆と言われる黒猫が目の前を横切るという云われから、大河は奴にコードネームをつけたのだ。
奴が現れる度に、何かと不幸……というより事故が起きることから名付けられた、大河限定の呼び名。
それが『黒猫男』
ちなみにその時に起こる事故という事故、すべてが大河限定だったりする。まあこれは竜児の目測だが。
「……まさかな……」
夏、大河は奴に呪い殺されかけたっけ……結局は大河のただの食い過ぎが原因だったわけだが。
それでもやっぱりあの二人が鉢合わせになったら、何かしらのイベントを神様は用意するのだろう。
たとえば今まさに、教室に入ろうとしている富家に大河がタイミング良くぶつかって……とか。
教室は未だに生徒達の奇声で満ちているが、そんな中、「待ちなさいよーりゅーじー」と共にもの凄い速さで走る足音が、聞こえた……気がした。
ない。ないない。さすがにそれは、ない。
でもそれはやっぱり聞き間違いではなくて、地を駆ける虎の行く手にはやっぱり黒猫男が居て、大河は案の定、急に現れた富家に突進していて、
「ふっせえぇぇぇ〜〜〜〜!!」
多分、伏せろの特殊変化。
竜児が大河語を読解しているのをよそに大河は……
「うわっ!?手乗り……逢坂先輩!?」
富家はよほどトラウマだったのか、大砲の球のような圧力で走ってくる大河を目の前にした途端、手をクロスさせ、身を守り、言われたとおりにその場にしゃがみむ。
そして――
富家の上を、大河は……飛ぶ。
すぐ近くで眺めていた竜児もまた、渾身のダッシュで廊下を走り出していた。
何となくわかっていたのだ、結末が。女の勘だとか、長年の勘だとか、色々な形で人は第六感と言う代物を持っているらしいが竜児のそれは違う。
黒猫男もあると思うが、そもそも大河は運動神経はずば抜けているくせして、
「いっ……たい……!!」
ドジなのだ。完璧に、完全に、純粋に。これは変えることの出来ない事実。
竜児が気付いてからすぐ。大河は飛んだ後の着地を見事に決める……はずだった。
本人的には、走り幅跳びを思い浮かべながらの十点満点の着地だったのか。予定を大きく狂わせた大河の着地は右足首をぐねらせながらの、それはそれは酷い着地に。
「りゅうじ……私、死ぬかも……しれ、ない……」
それでバタッと倒れれば、真剣に傍に駆け寄ろうと考えるが、「……いっっっ!つっうぅぅぅ―――!」足を抑え、悶える虎が一匹。
廊下には、手乗りタイガーの呻き声が今も遠く、遠く、鳴り響いていて。
一つ言えることは、腹を空かして唸っているわけではないのだ。
***
足がもつれて歩けない大河を背負って保健室に連れて行った頃、竜児は愕然とした。
「開いてねえよなあ、そりゃ……」
「りゅうじ……死ぬの?私……」
「そんなんで死なれてたまるか」
放課後だからか、先生は保健室には見当たらなく鍵も掛かっている。
どうしたものかと思ったところで、さっきの惨状を見ていた北村が職員室から先生を連れてきてくれた。
保健の先生は大河の足を見るやいなや、「あーあーちょっとはれてるねー」と低いトーンでさっそく診断を始める。
診断と言っても所詮は保健の先生だ。接骨院のように本格的に検査したり、レントゲンを撮ったりはない。骨が折れているか、折れてはいないか……ぐらいの事しかわからないだろう。
正直、こんな胡散臭い白衣を着たおっさんの先生に大河を診てもらうのは気が引けたが、悲しいことに自分にはそういう知識が全くなく、任せるしかなかったのだ。
結局大河の右足首の骨は折れてはなく、先生はよっぽど面倒くさいのか「まあ大丈夫じゃないかな?」と半ば投げやりに診断放棄。湿布を張り、「今日は遅いから早く帰りなさい」の二連コンボで事を済ませたのだ。
そんな疑問文で返された診断に、納得がいかなかった竜児は近くの接骨院に大河を連れて行くことにした。
悔しいことに、ちゃんとした設備のある接骨院でも大河の足は「大丈夫です。腫れは徐々に引いてきて、二、三日すれば治るでしょう」だった。
湿布の上から丁寧に包帯で捲かれた大河の右足はすっかりふっくらしてしまい、ニーソを履くことも不可能らしい。
「松葉杖はどうしますか?」
という先生の問いに大河は「大丈夫です」と軽く答えてみせた。
その時、竜児は思ったのだ。
――あれ?おかしくはないか。
大河は歩くのもままならない状態だったはずなのに、松葉杖はいらない……それは……つまり……
おい大河……どうゆう――何だ。何故俺を見る大河……何故そんなににっこりと笑うんだ?お前にそんな天使みてえな顔似合わ……なくはねえけど、なんか……
「……こええよ……」
193 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/17(日) 23:23:39 ID:ryt9JG6U
***
「おうっ、ちょっとずれてきた……いくぞ。せえのっ」
――せ!で大河を持ちやすいポジションに移動させる。
「重い?」
「少なくとも、お前より軽い高校生を俺は知らないから安心しろ」
「だよね」
「ただ、恥ずかしいんだよ。予想以上に……」
竜児の言うように、今の二人の格好はかっこいい!とは日本とブラジルの距離ぐらい、かけ離れているのかもしれない。
竜児は大河の太股を持たなくてはならないので、必然的に二人分の鞄は大河が竜児の首にまとわりつきながら持っていて。
歩くたび竜児の首のすぐ下で、ぶらんぶらんと揺れる鞄は、正面から見ると……
「……あのリーマン、今笑いやがったな……」
ぶっ、と吹き出したサラリーマンのおじさんを竜児は見逃しはしない。
目線が合うと、この世の終わりのような顔をしてその場を去ったのは、偶然見逃したが。
「私が小さいから、あんたの首から腕が生えてるみたいに見えてるんじゃない?しかも鞄を持った……」
ぷっ、と堪えられなくなって、吹き出された二酸化炭素を竜児は見逃しはしない。
というか、この距離なのだ。今なら大河の唾を飲み込む音でも聞こえるだろう。
足は痛いから歩けない。
松葉杖は大袈裟過ぎるから使いたくない。
そんな無理難題の解決策が、今のこの状態。
まあ、納得はしてやった。
何となく罪悪感はあったのだ。
大河のドジにいつも反応できていたこの自分が、あんな簡単なミスを犯してしまったのだから。
自分でも責任感は人よりはある方だと自負している竜児だったが、逆にそれが仇になったのだ。
そんな優しい竜児君につけ込んだ手乗りタイガーは『あんたがもうちょっと早く来たらねえ。ってことで、明日は頼んだわ』だと。
「昨日のこともあるし、こんな状態で学校行きたくねえんだよな……そうだ!学校着いたら、降りろ。歩くの支えてやるから。な?」
「い、や、だ!歩いたら痛いって言ってんでしょ。それとも何、あんたは私が地べたを這いずりまわる様でも眺めたいっての?」
「いつ、そこまで言ったんだよ俺は……あーもういい!わかったよ。やってやるよ。今日一日、ずっと傍に居てやるよ。また無謀な跳躍されたらかなわねえし」
「あれは、あんたがさっさと行っちゃうから……いや、この醜態はあの黒猫男が……」
大河は黒猫男を竜児の首に見立て、強く締め付け、竜児は「うぐっ……!」と、死神もびっくり。逆に魂を持っていかれるぐらいの鬼般若顔を、爽やかな朝の通学路に展開させてみせる。
じわっと出た本気の涙を拭うことも出来ず、圧迫された首やら喉からは本気の咳き込みが体を上下させる。本当に本気なのだ。大河は加減を知らない。いや語弊だ、する気がない。
言葉を紡ぐのが、ようやく可能になったところで、
「……あいつは全く悪くねえ。富家の方からしてみれば、お前が勝手に走って、飛んで、グキッ……だし」
「…………」
的を得た発言をすると黙る。それが大河の特性。竜児はそんなことはとっくに知っているので、今日一日の富家の安全が保障されたことに少し安心する。
欅道を行き交う人の視線は気になるが、打開策などないのだ。あるものなら、それに身を委ねて何処へだって行ってしまいたい。
そんな都合のいい列車は存在してなくて、そもそも切符すら持ち合わせてないのもわかってる。いつものように歩いているのも、それが理由なわけだ。
肌を切り裂くような風がちょうど、陰気な面したヤンキー面に直撃する。
もともと巻いていたマフラーを大河に口にまでしっかり巻いてもらい、はあ〜。 吐息でマフラー内部を暖める。
向こうの方で幼稚園児から「あのおねえちゃんおんぶしてもらってる〜」と指差され、ついでにひっそりと笑う。「あれ見て!誘拐じゃないの!」おばさんグループの罪のないひそひそ話が偶然聞き取れ、ひっそりと落胆する。
学校に着くまでも人の目と言うやつは容赦なく集団の通り魔の如し、竜児を斬っていく。
「……俺が何をした……」
「えっ、今なんか言った?」
「別に……」
どうか神様――私の非難さを見て下さい。大河の足を今すぐ治して、私に自由を――
雲一つない冬空を見上げ、見えない何かに祈ってみるが、馬鹿馬鹿しくてすぐに止めた。
それにきっと、大河の背後のゴッドには竜児の祈る何かには到底適わないと思うのだ。
歩幅をさっきより少しだけ大きくして、学校に向かう。
とらドラおわた
2828分補給して読むぜ
諸事情により今日はここまでです。
続きは明日か明後日になるかも。
駄文のくせにすいません。
>>187 なんか切ない展開になりそうで、つらい。
俺は幸せだ、毎日寝る前にこんなに2828できるんだぜ?
作者のみなさま、いつも感謝感謝の心で読ませてもらってます!
200 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 00:24:15 ID:+R6aD0KV
的は得るものじゃなくて射るもの
非難さじゃなくて悲惨さ
>>189 いい感じだぜ
ありえたかもしれない展開がすばらしい
>>196 なるほど
だから大河はおんぶされてたわけね
面白いですよ
>>196 あんたは2828する文章を書く才能があるな
続き期待してるよ
ジグソーとはちょっと違うのを投下するけど、これは別にジグソー書くのを放棄しただとかネタが浮かばなくなっただとかではないよ。ホントだよ!!
なんというか、自分の中のコメディー&2828分補充みたいな
こっちも無駄に続きそう…
「文化の違いを感じるな…」
「え、ええそうね…」
回りを見渡せば、茹だる暑さに耐え兼ねて上半身をさらけ出す人。公衆の場で平
然といちゃつくカップル。それを見ても怯みもしない人々。
「日本で恥ずかい事も此処なら恥ずかしくないかもね」
そう言って竜児にキスをする大河。
「お、おう。そう…かもな」
かく言う二人は真っ赤である。その様子は、流石のこの地でも目立ってしまって
いる。
アメリカ大陸。全50州。人口約3億人を有する世界の軍事、経済、文化の中心
に二人は来ていた。
親友である北村に呼ばれたのは一ヶ月前。大河が何となく買ったロト6で100
万が当たり、旅費のめどがついたのが2週間前。異国の大地を踏んだのは3時間
前となっている。
「北村くんもここなら目立たないね」
「おう。そうだな」
親友のちょっと妙な癖を思い出す。それは、アメリカ軍の規定でギリギリアウト
なレベルの露出癖だ。
日本では、それこそあの社交性と明るさが無ければ、ほの暗い部屋でベテランポリ
スメンとにこやかな世間話を繰り広げる未来に繋がりそうな癖である。
「おーい!高須ー、逢坂ー!」
懐かしい声に振り返る二人。視線の先では北村が手を大きく振っている。勿論上
半身に服は着ていない。
「あいつも随分オープンだな」
「そうね」
何も変わらぬ親友の存在に温もりを感じて、二人の顔が思わず綻ぶ。だが、直ぐ
にその顔に亀裂が……というのは実際には有り得ない話なのだが、もし漫画なら
ば間違いなくそうなっていただろうと感じる程、二人の表情は固まった。石の如
く。銅像の如く。
「久しぶりだなぁ、二人とも」
何故なら、二人に駆け寄ってくる北村の出で立ちは高田○次よろしくの象さんパ
ンツいっちょだったからだ。流石のアメリカでもこれは変態の域なんだろう。北
村の笑顔の背後には同じく笑顔の警察官が見える。
二人の脳内に北村祐作と他人を装う為の62の嘘が展開する。
「どうした、二人とも。感動の再開に言葉が出ないか?」
二人の顔には『頼む、話し掛けるな』と書いてあるのだが、北村は気付かない。
「ア、アンタナンカシラナイワ」
「オ、オレモシラネェ」
「はっはっは!記憶喪失ドッキリか?似合わないから止めろよ」
止めるのはお前だと目で訴える。だが、やはり気付かない。わざとなのかもしれ
ない。
「だぁぁぁもう!後ろ見ろ!そして状きょ……」
「後ろ?」
ついに豪を煮やした竜児が、鈍感な友に状況を教えようとするが、時既に遅し。
「Don't move!I arrest you!!(動くな!逮捕する!)」
警官が手帳を見せ付けて、三人を睨んでいた。
ああw皆書いてるんだw
カウンター1話ifもあるしw俺はまた、新しい話を書いても良いんじゃないか?そう思ったら
何話並列に書いてもいいけど、発表は順にすべきだと思う。
>>194 もうちょっとだけ文に気を使ってはどうだろう。
黒猫男を竜児の首に見立て→竜児の首を黒猫男に見立て
いや語弊だ→いや
的を得た→的を射た
批難さ→悲惨さ(?)
竜児の祈る何かには→竜児の祈る何かは
ほんの少し丁寧に推敲するだけでものすごく良くなるよ。
ストーリーにはぐいぐい引き込む強さがあるんだから。
ケータイだからアンカ付けんのめんどいけど、取り敢えずみんないつもGJ!
未だにとらドラ熱は下がらんなぁ……もう6周目も終わるわ
皆すげーやw
パンデミックで学校休みだわ………
209 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 09:42:04 ID:VKqVJWHp
作者の方々に謝意!
210 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 10:14:33 ID:VKqVJWHp
アニメ最終回で大河が転校先のセーラー服で来てた理由
(1)自分とこの卒業式が終わってすぐに来た
(2)卒業式は別の日程だったが竜児にセーラー服姿を見せたくてわざわざ着てきた
(3)同じ日に卒業式だったがすっぽかしてきた→そして後から母親に怒られた
(2)だと綺麗に収まるけど(3)が一番ありそう
ありすぎておじさん鼻血出ちゃうよゴフッ
>>210 (4)スタッフがセーラー服を描きたかったから
(5)同人誌が描きやすいから
>>133 素晴らしいです! 自信喪失するほどの面白さ。無駄がない。
落ち込む大河もらしいですが竜児のフォローも超GJでした!
>>184 みなさん続きが気になる終わり方ばかりなさる。
>>194 GJ! 表現がすごくいいですね。参考にしたい。「死神もびっくり」とかw
>>210 「だって、竜児はいつも学生服だし…やっちゃんはおしゃれして
来るだろうし…私だけカジュアルじゃ変じゃない……
なによっ!わ、笑わなくてもいいじゃないっ!」
「うわっ、ばかっ、よせっ!おぅっ痛ててて…やめろって!
まったくお前はよう…笑ってねぇだろうが」
「だって」
「何ふくれてんだ。似合うぜ、その制服」
「ほんと?」
「ああ、似合う」
「ほんとにそう思う?」
「本当だとも。可愛いよ、すごく」
「そう………えへっ」
竜児が部屋に戻ると、大河はさっき被せたTシャツもそのままに、寸分違わぬ体育座りの
ままこちらを振り返った。何か文句でもありそうな目つきだった。ところが、いつもなら
良識ある一般市民である竜児をあたかも処刑台上の極悪人のごとく罵ったであろう薔薇の唇は、
心なしか不満げに尖っているだけで、強烈な痛罵を覚悟していた竜児は肩透かしを食ってしまった。
ttp://sakuratan.ddo.jp/uploader/source/date110663.jpg 「お前まだそんなカッコで……風邪引いたらどうすんだ」
「……ナメクジは?」
「かわいそうに、完全に潰れていた」
「……そ」
大河は言葉少なに顔を背けた。
「風呂、途中だったんだろ。早く行ってこいよ」
咄嗟のこととはいえ、どうしてまた自分のTシャツを着せてしまったのだろうか。
竜児が着替えを取りに行くなり、自分で行かせるなりやり方があっただろうに。
これでは帰るに帰れないし、何となく半裸で女子の部屋に居るのもいたたまれないものがある。
その上竜児の着ていたTシャツは、大河をより一層しどけない格好にさせてしまったようだ。
濡れた身体にサイズの大きいTシャツ一枚の大河は、かえって全裸よりも目のやり場に困った。
竜児はさきほど土台を揺るがされた自分の主張を無意識に裏づけすることになったのだった。
大河は再び振り返った。
「あんたこそ何てカッコなのよ……露出狂」
「否定はできねえがお前に言われる筋合いはない」
「…………」
「…………」
数秒の睨み合いのあと、竜児の方が負けて視線を逸らす。目を合わせると余計に
気恥ずかしさが募る。何といっても、お互い半裸なのだ。その上、全裸を見たり見られたり
してしまったりしたあとでは、上手い言葉も見つからないのが道理だ。半裸に女子の部屋に、
と先ほどは思ったが、してみるとそれだけではなかったのだ。
半裸で、異性と、二人っきり。それが真の状況だった。
どうしてくれよう。差し当たって大河が風呂に行けばいいのだが。
「いいから、風呂行けよ」
「……ん」
ひどく緩慢に立ち上がった大河は、「見んな」の三文字を視線に込めて竜児を威圧しながら、
その背後、つまりドアまでやってきた。竜児はドアを出てすぐのところに立っていたので、
手を伸ばせば届くくらいの距離だ。
>>215 春田「あり〜?あそこのロッカーなんかギシギシいってない?」
「見た?」
「おうっ!」
いきなり、直球。
「どれくらい?」
「いや、いやっ、今のは返事じゃなくてただの感嘆語であって、いや、見たけど」
「見たのは知ってんのよ。あと、振り向くんじゃないわよ」
なぜか背後では衣擦れの音。
「何を、どのくらい、どう見て」
「た、大河お前脱いで……」
「……どう、思ったのよ」
身動きできない竜児のうなじが空気の動きを感じた。途端に視界が真っ白に変わり、
顔の周りだけ湿度が上がる。竜児のTシャツだった。さっきまで自分が着ていたものだが、
その帯びた生暖かさはきっと大河の体温が移ったものだろう。
そして残り香も。もう竜児自身のものではない。竜児は立ちくらみのような感覚に襲われた。
これは、実に、まずい。しかも背後には全裸の虎――前門のTシャツ後門の虎である。
「答えなさいよ」
「どうって言われてもな……」
何と答えたものやら。どう答えたら上手く切り抜けられる? そもそも大河は何を期待して
こんな質問をするのだろう。見られたのは既に明白なのだから、竜児の経験からかんがみて、
答えのいかんに係わらずあとは殴るか罵るかしかないと思うのだが、何だって手間のかかる
確認を取りたがるのか――
「……哀れすぎて言葉もないってわけ」
「ちげーよ! ほ、ほら! すぐそういうこと言うし!
どうせ何言ったって怒るんだろ!」
口を開くまでの沈黙がじれったい。後ろ向きだから表情は分からないし、一張羅を脱ぎ捨てて
しまわれては振り向くこともできない。
もしかしたら、大河は顔を見られたくなくてわざとこんな状況を作ったのだろうか。
何のために?
「怒んないわよ。別に……答えなかったらぶつけどね。強くね」
実際その口調からは怒気らしきものは感じられず、迸るような虎の殺気も影を潜めているよう
だったが――竜児はなかば諦め気味に覚悟を決めて、どうせ死ぬなら正直に死のう、と思った。
「……びっくりした」
「……は?」
大河の声が少し跳ねる。そこにあるのは失望か。「何言ってんのグズ犬。質問の意味が理解
できないの脳が腐ってるんじゃないのゾンビ犬」に始めるめくるめく罵倒の絨毯爆撃が展開
される様がありありと脳裏に浮かび、竜児は慌てて続けた。
「つまりだな……ええい! 見えたよ! 何もかも見えた! それで……綺麗だった。
お前が言うみたいに貧相なんかじゃなかった。全然。だから……びっくりした」
どうだ、これで満足だろ。竜児は両目をぎゅっと閉じて衝撃に備えた。
しかし一向に、打撃も悪罵も襲ってはこない。
大河は、その言葉に心底満足している自分を信じられない思いで認めた。振り返って竜児の
背中を見ると、今まで感じたことのない熱い感情が、困惑を胸の中から閉め出し、頬に血を上らせた。
竜児は今投げかけたTシャツを被せられるがまま、立ち尽くして拳を強く握っていた。
竜児にしてみれば一世一代の大告白に等しいに違いない。恥ずかしさを押さえ込むように
全身に力を篭めているのだろう。
まさか、と思いつつ大河の心は羽根でも得たかのように飛び跳ねている。嬉しすぎて何やら
恥ずかしいくらいだった。身体の芯が熱をもって大河を浮き立たせる。ともすれば口元は
だらしなく緩みだしそうで、歯を食いしばる。
北村くんに褒められても、こんな風にはならなかったのに――大河は無心で竜児の背中を見つめた。
「あー、見たっつっても、そんなじっくり見たわけじゃないからな!
マジで一瞬! 一瞬だからな!」
大河の沈黙をどうとらえたものか、竜児は言いわけをするみたいに語を継いだ。裸を見たのを
怒っているとでも思ったのだろうか。大河は、これも信じがたいことだが、剥き出しの
コンプレックスを竜児にさらけ出してしまったことへの恥ずかしさしか感じていなかった。
怒りも悔しさもなかった。不本意ですらない。つまりは、竜児に裸を見られたこと自体は構わない、
そう思っているのでなければ説明のつかない感情を抱えているのだった。
そしてその理解できない感情から逃げ出すように八つ当たり気味に投げかけた質問は、
思いがけないストレートな褒め言葉になって返ってきた。
本当のことだろうか。でも竜児は嘘はつかないだろう。だとしたらやっぱり、嬉しいのだ。
続きです。短いですが今日はこの辺で。
労働してまいります。
>>217 春田、お前俺のせっかくの純愛投稿を…
>>220 乙です。このシリーズ大好きです。覗きに来てよかった。
222 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 12:27:40 ID:sXHhmJLC
223 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 12:32:07 ID:sXHhmJLC
>>216,218-219
Tシャツの中に髪の毛入ってる状況の芸の細かさに脱毛だぜ
大河の尻ハァハァ
>>220 イッテラ
ドキ♥ドキな展開だな
どうでもいいが、そんだけシャツ伸ばしたらえらいことになりそうだなw
225 :
【ジグソー】:2009/05/18(月) 14:13:03 ID:phM5NXRJ
>>111-112の続き。三話っぽいやつです
2度寝を最後にしたのは何時だったろうか。
愁眠から覚めた竜児は、その厳つい顔を思い切りしかめながらそんな事を考えて
いた。
今日は学校には一切連絡せずにサボった。いや、今から行けばまだ遅刻だけで済
む時間なのだが、竜児の気持ちとしては例え親友に必死の説得をされたとしても
行かないつもりであった。
ヤンキー高須の名に恥じぬ行いだな、とそんな自嘲的な事も浮かぶ。
興奮状態は全身を蝕む倦怠感と引き替えに既に収まっている。体の状態だけなら
、学校に行ってもなんら差し支えの無い状態だ。
問題は心にある。
倦怠感もそうだが、あんな夢を見た手前、普通に皆と接することが出来るかどう
かだ。勿論、大河に対しては出来るかどうかではなく確実に意識した対応をして
しまうだろう。
そう確信したのは、愁眠前。大河が自分の名前を呼んだ時である。あの時、普段
と何も変わらない大河の声にまだ興奮状態であった肉棒が、大きく反応したのだ
。
その後の大河の発言には安堵と悲愴を感じた。来たら大層危ない状況だったのは
事実で、それを防げたのは喜ばしい事だ。だが、向こうから特に理由も言わずに
ばっさり切られたのには、心が刔られたようになった。
それから、皆との友情や大河とこれからどうすらかなどを悶々と悩み続け、寝て
起きたら元通りという結論に達し、2度寝したのである。
眠気は完全に消え去ったのだが、いまいち起き上がる気力も生まれず、ただ虚空
を見つめて色んな事を考えている。先程の2度寝したのはいつかという自問も、
そんな虚しい中で生まれた。
しかし、世の中に絶望して精神を何処ぞに落としてしまった訳でもないのに、そ
んな状態が維持される筈は無かった。段々と煩悩が思考の中に混じってくる。そ
の煩悩がまた華やかなもので、うっとおしいと思う中に自分の脳ながら見事と言
わざるを得ないものまで混じっていた。
(ネコ耳は反則だな…)
その中でも特に出来のよかったものに感嘆の思いを浮かべる。
数秒後。なにかが間違ってる事に気付いた竜児は、煩悩を振り飛ばすように荒だ
たしく寝返りをうつ。なんでもいいから、集中出来るような物はないかと必死に
考える。だが、とある物の存在に気付いて、そんなものは無いんだと認識させら
れた。
その存在とは、畳みについているシミや壁に生えた黴といった所謂汚れである。
普段の自分なら掃除をしたくてウズウズする筈だが、今は汚れてるな、ぐらいに
しか思えない。客観的に見れば普段の掃除愛者ぶりが異常であって、今の竜児は
いたって平凡な高校生の姿なのだが、竜児主観では掃除に時めかない自分など異
常である。
226 :
【ジグソー】:2009/05/18(月) 14:14:06 ID:phM5NXRJ
薄暗い部屋をさらに暗くするような思いため息が吐き出される。竜児の表情はど
こか投げやりになり、目を暝って完全な妄想の世界に入る。
無心にはなれない。なにかをしようという気力も湧かない。なににも時めかない
。出来るのは記憶を漁る事。だが、それにも時折大河の姿が浮かぶ。それを否定
する自分と望む自分に挟まれて胸が締め付けられる。それが辛く、それはいつか
必ずバランスを崩す。ならば、もういっそのこと今堕ちてしまえと思ったのであ
る。
瞼の裏に思い起こすのは無論大河である。記憶から引っ張って来た大河や妄想の
大河。その全てが輝かしく、近づいたらイカロスの二の舞になってしまいそうだ
った。
竜児の心は血を流し、痛みに悲鳴を上げるが、それを掻き消す程の喜びが溢れ、
痛みを麻痺させる心地よい温かさが雨となって降り注ぐ。堕ちた後悔等微塵も感
じはしない。寧ろ今まで堕ちることを必死に阻んで来た自分に後悔した。
これで良かったと竜児は微笑む。瞼の裏では大河も一緒に笑ってくれている。心
の中で偽りの喜びが形成されてゆく。
「大河!」
愛する人の名前を命一杯叫ぶ。偽りの大河は赤らんだ顔で振り向いて、笑いなが
ら答える。
「おはよう、北村くん」
その一言で竜児の心の深層に封じられていた罪悪感が、それこそ竜のような咆哮
をあげる。喜びが吹き飛び、雨は性質を変え、傷は生き物のように脈打ちながら
血を噴き出し、これこそが有るべき姿だと言っているような笑い声が響く。響く
響く響く。
「あぁぁぁあぁあ゛あ゛あ゛あ゛!」
思わず布団から跳ね起きる。心臓が早鐘を打ち、冷たくて無機質な汗が流れる。
「俺は俺は俺はぁぁあ!」
一発、二発と竜児の拳が壁へ向かう。間接は軋み、皮が裂け、血の跡が点々と畳
みにも壁にも自分にもつく。痛くない筈が無かった。それでも、竜児は溢れる感
情のままにひたすらに殴り続けた。
漸くそれが止まった時には、竜児の手は骨が露出していた。あまりの鈍痛と疼痛
に思わず胃酸を吐く。
そして気付く。
「なんだ…俺…立てるじゃねぇか……」
口から垂れる胃酸の残りをグイと拭き、微笑む。動けるなら、出来る事はいくら
でもある。
先程まで四肢をもがれたバッタのようになっていた男は、無尽蔵な役割を自分に
課してふらふらと歩きだした。
>>226 とりあえず此処まで。途中で違う話投下しちゃう莫迦やったけど、これからはジグソーに絞ろうと思います
段々書き方が抽象的になってきて、意味を把握しづらい箇所が出てきてしまう……自分の悪い癖です
これからは必要に応じて補足が入るかもしれません
228 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 15:07:52 ID:VKqVJWHp
>>227 竜児のモヤモヤイライラが伝わってきたぜ
それにいざとなればみんな校正してくれるし伸び伸びと書けばいい
194続き
***
「竜児ー、ジュース飲みたいから自販機までー!」
四限を終え、チャイムが鳴ってからものの五秒。
「ちょっとー!聞いてるー!?」
声の主はわかっているし、無視しているわけでもない。
竜児は授業に使った教材を手慣れた手付きで引き出しに収納していく。シャープペンシルと消しゴムをペンケースにしまい、腕を伸ばす。こきっ、と骨が鳴る。
『竜児ー、トイレ行きたいからおぶってって』
これはわかった。自然現象、自然の摂理。それを断るほど自分は鬼じゃない。……顔は?知らん。
『竜児ー、さっきの授業でわかんないとこ聞きにいきたいから職員室までおぶってって』
うん、勉強熱心だ。理解の出来ないところは先生に聞く。これぞ生徒のあるべき姿じゃないか。
『竜児ー、教室エアコン効きすぎてあっついのよ。風に当たりたいから――』……以下略。
……確かにエアコンは効きすぎだ。こんな乾燥した空気から、風邪を引く奴が現れ、感染。たくさんの生徒が犠牲になり学級閉鎖へ。いや、高校に学級閉鎖はないのか。何にせよ、昼休みぐらいには窓を開けて換気をしなくては。
文句はない。傍にいると言ったのは自分だし。今日一日、休み時間はまともに確保されていないが、いつも一緒に喋る能登と春田も、高須なんかふんだっ……(揃いも揃ってかわいくない)だし。北村は登校してから、ずっと意味不明の満面の笑み……だし。
そして、気づけば午前の授業は終了。状況は変わりなし。
今日一日、ムサ苦しい男児の友情は育まれていない。
竜児の休み時間は全て、大河の私用で消えてしまっている現状なのだ。
「ちょっとー!無視すんなオルァ!りゅ〜う〜じ〜!ヘーイ!カモン!」
エセ外国人Tiggerが己の名を叫んでいる中、竜児は両手で頭を抑えていた。
それはおかしいだろう。ここが関西なら『何でやねん』とつっこんでやりたいのだ、チョップも付けて。
重い腰を上げ、のしのしと大河の席に歩み寄る。人差し指を一本、逆の手で一本かざして、
「おう大河。問題だ。俺がお前をおぶって、自販機まで連れて行くのと、俺がお前の飲みたいジュースを買ってくるのとでは、どっちが俺は幸せになれる?」
「……そりゃあ、やっぱり、私を連れて行く方でしょ。竜児をパシらせるなんてできないわ……」
そう答えて大河は、大きな目を細め、眉を傾け、「いじめの始まりよ〜」私は善人よ!モード。白々しい演技は普段とのギャップのせいで、呆れるをゆうに通り越し、苦笑いにならざるを得ない。
「何あんた……その似合わねー、みたいな顔は」
「……おう、ずばりそうだよ。俺は表情豊かだから、すぐにわかっただろう」
「あんた……本気で言ってるの……うわ〜」
アンビリーバボー、大河の顔は、ありえない〜あんたの顔は基本が恐だし〜。
言ってはないが多分その辺り。ここまでわかるのだから、大河の方が余程表情豊かだと竜児は思う。もちろん悪い意味でだ。
***
「よう……ていうかもう飯、食ったのか?」
竜児の問いには答えず、代わりにそいつは持っていた飲みかけのミルクティーの缶を手でプラプラしてみせる。
「また、そんだけかよ」
「十分よ」
宝石のように輝く大きく潤んだ瞳。色白という言葉だけには留まらない、真珠のような滑らかな美貌。神のいたずらとも思われる、奇跡の八頭身のボディ
そんな腹黒天使、川嶋亜美は今日もどのアングルから眺めても、やっぱりモデルなのだった。
「……ていうかあんた達のそれって、ネタじゃなかったんだぁ」
「なんで嘘ついてまでして、こんな包帯ぐるぐるしなきゃなんないのよ!なんなら見る?……腫れ上がった私の右足を!足元が狂ってあんたの顔踏んじゃうかもしんないけどそれでもいいなら」
「あんた……そんな口聞いてもいいのぉ?言っとくけど、今のあんたは隙だらけ」
亜美は自販機と自販機の間から立ち上がり、竜児……正確には大河に近付いて行き、後ろに回り、
「喰らえ!」
「うひっ……!!」
大河の背中を軽く、しかし深く、じわじわと親指でプッシュ。まさにつぼ、に誘い込まれた大河は「ひっ……!ひひ、ひひひ!」こんな鳴き声の動物が居た気がする。
「そこまで……亜美ちゃんにはこんな秘められた力が……」
あまりに優美で繊細な顔付きに、誰もが大人っぽいという印象を与えさせる亜美だが、
「ガキかよ……」
「はあ〜?それってひどくな〜い?あたしのなんて可愛いもんよ。いつものタイガーなんて、もっとえげつないこと平気でやってのけるじゃん」
「なにおぅ!?」
「糞生意気なタイガーをやっちゃうのも、今がチャンスだしね〜」
「あ、あんたぁ!足が治ったら覚えてなさいよぉ!全身のありとあらゆるツボをついて、笑い死にさせてやるわ!」
「ザコキャラの捨てぜりふじゃ〜ん!み〜じめ〜」
「クルァ!今やってやんよ!りゅうじぃ!右足空中ニーキックよ!さあ、とべぇ!」
こいやぁ!亜美も早速手を前にかざし、身構える。
「俺かよ……」
大河の『殺れ!』を素直に受け入れる程、ノリは良くない。というより、昼休みに女子生徒に飛び膝蹴りを炸裂させる男子生徒って、一体……
ゲシッゲシッ、と大河の割れ目キックを喰らい続けるが、スルー。当然痛いがクールにスルーだ。
いつもお世話になっている自販機に、いつものように小銭を入れ、オレンジジュースをピッ、缶コーヒーをピッ、取り出してその場の戦線離脱を図る。しかし、
「……てかさぁ〜わざわざおぶることなんてないんじゃないのぉ?」
亜美の甘ったるい、しかし毒気付いた言葉が竜児の逃避を見事に憚る。瞬間、腹黒天使の召還を目のあたりにした。
「だってぇ、普通こういう怪我したらまずは松葉杖じゃん?」
「……それは、だって、大袈裟過ぎるし……心配掛けちゃうし……しょうがないのよ!」
「ドジのあんたがいっまさら全身包帯ぐるぐる巻きのミイラ人間で登場したところで誰も驚かないわよ」
「くっ……!」
大河は口を歪め、亜美を睨み付ける。竜児は反論の出来ない大河に少し同情した。
「ぶっちゃけあんたの魂胆なんてお見通し。どうせ足を都合にして、高須君とずっと一緒に居たいだけなんでしょお?」
「……」
竜児は恐る恐る首を回転させ、大河の顔を窺おうとするが……戻される。大河によって。その細い腕から解き放たれるとはとてもは信じられない力で、竜児の首はあるべき場所へと返される。
「あんたさ、最近高須君に甘え過ぎ、前より。付き合ってるからあんまり言わないようにって思ってたけど」
亜美は時折見せる、ぶりっこ面でも、小悪魔面でもない、真剣な顔付きで、
「彼氏は彼女のサポートを、彼女は彼氏のサポートを。そういうのが交際している男女の在り方じゃん。でもあんたはどーよ。高須君に縋るばかりで何もしてないじゃない。
まあ高須君はそういうの大好きそうだから心配ないと思う。思うけど、あんまり度が過ぎると――」
「川嶋……」
亜美の言葉に重ねるようにして、竜児は割り入る。亜美は一瞬、ばつの悪そうな顔をして「はいはい」さすがは女優の娘か。わかったわかったもう言わない、とでも言いたげな顔を作ってみせる。
「……行くわよ」
コキッコキッ、と首を鳴らして「お、おう」締まらない返事をして竜児は再び歩き出す。
廊下に一人残された亜美もまた、再び特等席に体を入れて、「言い過ぎたか……」少し、自暴自棄。反省。
でもなんとなく、むかついた。だから言ってやった。
大河があまりにも幸せそうだったから、つい。いつもの、いや少しはましになったが、むっつり顔がデフォのくせして、竜児の背中に乗っている時は腹が立つぐらい、
「にこにこしちゃってさ」
手乗りタイガーの普段は見れない貴重な顔を思い出し、吹き出すように、笑う。演技でも外面仮面でもない素の声で。
「まあ大怪我しなくて良かったけどさ」
亜美は柄にもなく、「どっこいしょ」オヤジのように立ち上がり、自身の教室に向かう。
まあ問いただしてやるのも、今日ぐらいは見逃してやろうと思う。
さっきの大河の、図星を突かれて紅潮していく顔があまりにも面白かったから、特別に。
***
今日は肉の特売日だ。
家には大家さんから貰ったキャベツもあるし、千切りにして黒豚トンカツの横にいつものように添えようと思う。
確か、大根もあった。里芋と一緒に煮付けにしてもいいが、それは明日の弁当に取っておこう。大根は味噌汁に入れて、豆腐を入れよう。
あとは卵も今日は安いし、えのき。少し残ってあった。バターと醤油で味付けして、卵と絡めて、えのきのバター炒め。今日はこんなもんだろう。
頭の中で料理の構成をする出来すぎた主婦、高須竜児は今日の学業をしっかりと終え、帰路を一人で歩いていく。実際のところは二人だが。
「一旦家帰ってから狩野屋行くけど、お前どうする、一緒に来るか?」
ゆっくりと首を横に傾け、背中の大河に聞いてみる。
「いい。……だって、恥ずかしい……でしょ。待ってるから。家に居るからまた呼びにきて」
「恥ずかしいって何がだよ」
「今の状況、見られるといろいろ……視線とか……」
「まあ……今更だけど」
「それにね、なんか今日、私……あんたにべったりじゃん。それがなんか嫌なのよ」
押し黙る。理解不能。意味がわからない。散々付き合わせておいて……嫌?なんで?そ、そうか、体臭か……臭いのか。
竜児はさっそく制服の襟を嗅ごうとするが、
「……臭くない」
大河からの奇跡のナイスフォロー。そりゃそうだ。衛生面に絶対的自信のある自分が一人の女の子を体臭で参らせるなんて失態、このきれい好き高須竜児、あってはならないことである。
「じゃあ……何が嫌なんだよ」
「…………」
「……黙ってたらわかんねえぞ」
竜児は歩くスピードを若干遅めて、やがて停止。また大河が尻の方にずれてきたのだ。合図なしで軽く体を上下させ、大河を持ちやすいポジションへ。この作業も今日で何回したことか。
「なんか今日、甘え過ぎてる、私……今更だけど……」
「……お前もそんなこと考えるようになったか。目覚ましい進歩だな。……さっきの川嶋の言葉気にしてんのか?」
「まあね」
なんか――口を開こうとして、少し詰まる。それは横から吹いてきた辻風のせい。寒気で冷えてしまった髪が、大河の白い顔にべったりと張り付く。それを乱暴に掻き分けて、
「――なんか、やっぱりだめだね、こんなんじゃ。悔しいけど、ばかちーの言ってたことって本当のことだし」
辺りはこんな時間だというのにすっかり夕暮れ。橙の夕日は、竜児を、大河を、そこら中のありとあらゆる自然物を緋色に染めていく。それでもこの色が続くのも、もって一時間もなくて。
買い物から帰る頃には、この夕日はゆっくりと姿を消してやがて夜。昼のように肌を覆ってくれる優しい光はなく、きっと朝のように凍てつく冷気に晒されてしまうのは間違いないだろう。
「なあ大河」
「何?」
「……変なこと言うけどよ。俺は別に、お前を背中に乗せること……そんな嫌じゃないぞ」
「……朝、恥ずかしいって言ってた……」
「まあそれもあるけど……あるけどな。……でも、」
橙に染められた大河の小さな顔から目を逸らし、竜児は続ける。
「こうしてたら、お前の存在を確かめられるっていうか……改めて大河って軽いんだなとか、こんな息づかいなんだなとか、変態っぽいけど……なんか気付いたこととかいっぱいあって……」
「エロ犬が!」と罵り、殴り、蹴りのフルコースでもご馳走してくれるだろう……と竜児は考えていた。それでいつもの大河に戻るだろう、と。そう思っての発言だったが、言った言葉もふざけてはなく、嘘ではなくて、本当に思っていたことだった。だから、
「それ、わかるかも……」
大河の反応は意外だった。
「私も。気付いたこと、たくさんある。……竜児の背中って意外に大きいなとか、竜児の髪ってこんな匂いなんだとか……へへっ、これじゃ私達どっちも変態だ」
大河は変態宣言をかまして、「ふへへっ」散りばめられたビーズのような目を細めて、長い睫毛を何度も上下させる。もともとの染まった橙か、それとも紅潮していく朱色か、大河の頬は塗り替えられていく。
竜児は顔の皮膚から段々と、体のあちこちへ熱が帯びていくのを感じ取っていた。
「変態でもなんでも、俺はやっぱり心地良いよ、お前が背中に居ると」
「……本当……?」
「おう、本当だ!だから気にすんな。甘えるとか縋ってるとかじゃなくて、……頼ってこい。俺はお前のパートナー。俺には俺の、お前にはお前の出来ることがあるんだから」
「……私の出来ること?」
「おう!」
「……それって何?」
「……それは自分で考るもんだろ……」
大河は「はあ!?何よそれ!」反応からして少し元気を取り戻したようで、竜児も安堵する。
こんな取りとめのない会話で、自分の心が満たされているのを大河は知らないのか。
何もしなくていい。傍に居てくれるだけでいい。
そんな歪んだ愛情ではもちろんないけれど、こんなことを考える自分に対して、大河はどうなのだろう。想ってくれているだろうか、満たされているだろうか。
背中に感じる小さな熱が竜児をそっと、柔らかく暖めた。
暗くなる前にさっさと買い物を済ませよう。空に浮かぶ橙は思った以上に消えかかっていて、竜児は急いで帰宅する。
とりあえずここまでです。
235 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/18(月) 19:23:04 ID:p78HpUX5
エアコンある高校なんてあたしゃ認めないよ!
なんつったりしてな
>>234 (^ω^)乙 これは乙じゃなくてなんたらかんたらお
竜児大変すぎるなあと思ったけど本人が案外そうでもなくてコケたw
萌え死にそうだ
誰か衛生兵を呼んでくれw
>>234 いいね。
個人的な好みだが、いちゃいちゃよりも
こういった仲睦まじいやりとりが好きだな。
原作っぽくってヨイ
クーラー?なにそれ?
お疲れ様です、何気にこのシリーズ楽しみにしてます
何気っていうかガチっていうか…
とにかく続き楽しみにしてます。
明日テストだけど勉強しないでいくわ
>>233 地の文が巧いね。描写のこまやかなところが素晴らしい。
> 散りばめられたビーズのような目を細めて、長い睫毛を何度も上下させる。
とか、ぐっとくる。それから亜美の描き方も好きだ。自分で書いていても思うんだが、
竜児と大河が付き合い始めてからを描くときには、亜美のほうが絡め易いんだよ。
繊細な所とがらっぱちな所が同居していて、竜児と大河のストーリーをきれいに
彩ってくれる感じ。
書いていると愛着が湧いていて、ゆゆこがとらドラPに亜美のことを強くお願いした
理由がわかる。
話が逸れたけど、文章に原作のような雰囲気を感じられて好きだ。応援してるよ。
>>187続き
***
あれから何日経ったろう。
面白くもないニュースをじっと見つめる。
でも何も頭に入ってこない。
ゴールデンウイークだとか、桜が綺麗だったとか、そんな話題が入っては抜けていく。
「……さか」
そもそも、なんで私はこんなにショックを受けているのだろう。
いや、ショックなんか受けてない。
「……いさか」
だって竜児が誰を好きだって関係ないじゃないか。
だから……。
「逢坂!!」
「わひゃう!?」
驚く。
目の前には「てめぇ殺すぞ」とばかりの三白眼。
でも彼のこれは間違ってもそんな意図など無い。
「な、何よ竜児。急に目の前に来ないでよ!!」
「急にじゃねぇ、さっきから何度呼んだと思ってんだ」
「……一回?」
「もうかれこれ十回は呼んでるぞ。どうしたんだ一体?この前からなんか少し変だぞお前」
「別に……それよりご飯は?」
「おぅ、その件なんだが……逢坂、今日はパンでもいいか?」
「?何でよ?」
珍しい。
純和風好みの竜児は、パンよりも米を好む。
その竜児がパン。
「いや、実は炊飯器が壊れちゃったみたいでな」
「ふぅん、あ、そうだ!!なら今日は外食でいいじゃない」
「なっ!?外食なんてMOTTA「行くわよ」いな……って聞けよ!!」
「うっさい、黙れバカ犬。さっさと行くわよ」
そうだ、そうしよう。私はショックなんか受けてない。
だからこいつなんてなんとも思ってないという証明をしなくちゃ。
***
「外食なんて……飯は無いけどパンならあったのに」
俺は目の前の虎に文句をぶつける。
まったく、必要にせまられてもいなのにファミレスなど……。
「今のうちに吼えなさい駄犬」
逢坂は興味津々にメニューを覗く。
「なんだよそれ……」
俺が呆れそうになった時、テーブルにパフェが置かれた。それも二個。
「あ〜らよっ、出前二丁〜♪」
どういうことだ?
「あの、まだ何も頼んでないんですけ……櫛枝?」
そこには、あの櫛枝実乃梨がウエイトレス姿でいた。
「おうよ!!私は櫛枝であり、櫛枝以外の何者でもないぜ!!」
櫛枝はコブシをこちらに向け豪語する。
「そうそう、そのパフェはアイス大増量の大河スペシャルだぜぇ、他の客から隠して食べなぁ」
確かにアイス多めな気がする。
「いつもありがとう、みのりん♪」
「いつも?いつもこの量食ってんのか……?」
「ん?高須君甘いの苦手?だったらポテトフライにする?盛るぜぇ?超盛るぜぇ?」
「いや、俺は……」
「みのりんコンビニとカラオケボックスでもバイトしてるんだよね」
「おうよ、先週からしゃぶしゃぶ屋も追加!!」
「そんなにバイト、出来るのか」
俺には、元気に笑うそんな櫛枝実乃梨が眩しく……妬ましかった。
ほらほらどうよ竜児。
あんたの愛しのみのり……竜児?
竜児の様子がおかしい。
段々と顔が暗くなっていく。
あ、みのりんが他のテーブルに行っちゃった。
何よ、気を利かせて連れてきてやったのに。
アンタ、みのりんの事が好きなんじゃないの?
チクリ。胸が針に刺されたような錯覚。
何だろう、今の。
まぁいい、それより今は竜児だ。
「ねぇ竜児、アンタなんか雰囲気悪くない?」
「……この顔は生まれつきだ」
「そういうことじゃないわよ、バカ!!みのりんに対して、なんか冷たくなかった?」
「……そうか?……そうかもしれないな。わりぃ、後で謝っとくよ」
「?どうかした?」
「いや、櫛枝が悪いわけじゃねぇんだ。ただ羨ましくてさ」
「??何が?」
意味がよくわからない。
何が羨ましいのだろう。
っていうかコイツ、みのりんに会ったのに随分淡白ね。
本当にみのりんが好きなの?
あんまりそうは見えないんだけど。
サラリ。何か、針が取れたような錯覚が胸を軽くする。
「まぁいいや。雑誌でも読も……!?!?!?!?!?」
「?どうした、逢坂?」
「りゅりゅりゅりゅ……」
「俺はりゅりゅではなく竜児だ。何だよ、オバケでも見たか?」
「違うわよバカ!!あれ、あれ見て竜児!!」
「ん?おお、綺麗な人だな」
ああっもう!!こいつ本当そういうの知らないんだから!!
私は即座に据え置きの雑誌取って来る。
たしかこの前この辺に……あった!!
「竜児、これよこれ!!」
「ん?……川嶋亜美?モデルか?へぇ〜俺達と同じ年じゃねぇか……あれ?」
竜児は一度顔を上げ、また雑誌を見、また上げた。
そこには足は長く、髪も長く、オマケに睫毛も長い完璧な美人、今雑誌に写っているその人がいた。
「おい、そっくりさん、とかじゃあねぇよな?」
「私もビックリ。多分本物よ、アレ」
「おぅ、いるとこにはいるもんだな。何かありがたいもんを見た気分に……北村?」
「どうしたの?」
「いや、ほらウチのクラスの北村が一緒に……」
そう言う竜児の視線の先、川嶋亜美と思われる女の近くには確かにウチのクラスの学級委員、北村君がいた。
「ん?おお高須に逢坂じゃないか、奇遇だな」
私達に気付いた北村君がこちらに近づいてくる。
「どうしたの、祐作?」
その後に川嶋亜美もついてきた。
「おお、紹介しよう。彼女は川嶋亜美、昔ウチの近所に住んでたんだ。いわゆる幼馴染ってやつだな。それでこっちが高須竜児と逢坂大河だ」
「「ど、どうも」」
まったく同じ言葉で頭を下げる。
なんで同じセリフなのよ、と竜児に視線を向けると、竜児もまったく同じような視線を返してきていた。
「どうだ?せっかくだし四人で話さないか?」
しかし、そんな小競り合いに全く気付かない北村君は、この場に座ろうとしているらしい。
「おぅ、構わないぞ」
竜児の承諾で、二人は私達と相席になった。
ここの職人たちのクオリティが高いとよく言われるが、なにげ批評の方もレレが上がってて、投下に一瞬躊躇するw続き蓄まってんのにw
>>241続き
***
「よし、頼んだものは全部揃ったな?」
北村が場を仕切る。
こいつは学級委員だけじゃなく生徒会にも所属していて、この手の事には慣れている、というより長けている。
「でも、まさか私の写真が載ってる本があるなんて……もっとちゃんとした服着てくれば良かったなぁ」
先程から川嶋亜美はしつこいぐらいに失敗失敗♪と呟いている。
まぁ別に気にするほどでないと思うんだが。
しかし、一言で言って綺麗な人だ。
ルックスは抜群の八頭身。
足の長さなんて北村より長いんじゃなかろうか。
「ほんと、いつもはもっとちゃんとしてるんだよ?私はしっかりしてるんだから!!」
急に手を掴んでくる。
「あー、うん」
ここは一応頷いておく。
「あっ!?今私を天然とか思ったでしょう?ちがうんだからぁ」
いや、思ってないよ。
「でもでも、普段はもっとしっかりしててね。もう、なんでこんな時に出会っちゃうかなぁ?もっといい顔の時に会いたかったよう」
なんか随分違和感ある話しぶりだな。
北村、ここは空気を変えてくれ、と願うように視線を送ると、
「はっはっはっ!!亜美も相変わらずだな。さて、すまんがちょっとトイレに行って来る」
ってトイレいくんかい!!
「あ、俺も」
なら、ついていくしかないじゃないか!!
***
祐作はトイレ、か。
あの男子も私といるから緊張してトイレってとこかな。
ふん、亜美ちゃんの美貌って罪作り♪
に、してもだっるーい。せっかくのオフだってのに。
あ、亜美ちゃんのアイスティーなくなっちゃった。
「ねぇちょっと、亜美ちゃんのアイスティーなくなったちゃったから持って来て」
目の前の女に頼んでみる。
「………………」
「無視?アンタさっきから態度悪くな〜い?」
ふん、気を張っちゃって。
さっきあの男子の手を取ったときとか結構睨んできてたしね。
まぁ気持ちはわかるけど〜。でもでも亜美ちゃん綺麗だし?かわいいし?天然だし?
いっやーん♪あ、そうだ!!
「ふふん、アンタの彼氏に持って来てもーらおっと♪」
バックから手鏡を取り出して眺める。ウン、バッチリ♪
さてさて、どんな反応すんのこのチビは……って、ゲッ!?
「そ、そんな、かれ、かれかれかれしとかかかちがちちが、うし」
なんかよくわかんない事言いながらほっぺをくねくねさせてやがる。
なんだコイツ。
コイツも亜美ちゃんほどじゃないとは言え可愛いのがムカツク。
ちょっとからかっちゃおう。
「ねぇねぇアンタ縮尺おかしくな〜い?そんなんで彼を満足させられんのぉ?」
ピクリと反応する。もう一押し?
「なんかあの彼、亜美ちゃんの言う事なら何でも聞きそうなテンションだし?奪っちゃっていい?全然いらねーけど!!」
ぷくくく。あんな顔が恐い男なんていら『パァン!!』……!?!?!?
響いた音の後にくるのはじん、とした頬への痛み。
何よ?信じらんない信じらんない信じらんない!!
コイツ、私を叩きやがった。
「蚊がいたのよ、蚊が。あ、これ蝿だ」
アイツがそう言うのと同時、
「おいおい、喧嘩か?」
あの顔の恐い男子が戻って来た。
「うっわーん、高須くぅ〜ん」
「おわっ!?」
川嶋亜美が泣きながら俺にすがり付いてくる。
まぁ気持ちはわからんでもない。
逢坂は遠慮なしっぽかったからなぁ。
俺は全てを見ていた。
北村に言われ、物陰から二人の状況を見つめていたのだ。
まぁ、違和感を感じたとおり、実際の性格は腹黒だったわけだ。
いや、腹黒ってのとは少しニュアンスが違うか。
仕事のせいもあるんだろうけど、他人には自分を良く見せようとしすぎるんだ、きっと。
「ほら、亜美」
北村が川嶋亜美を宥めてくれている。
「すまんな二人とも。今日のところは失礼するよ」
そう言いながら北村は川島亜美を連れて出た。
「ふぅ、なんか凄かったな」
「……べ、別に私……」
逢坂が何か震えてるな。
「わ、わざと叩いたわけじゃ……」
「おぅ、わかってる。蝿、だろ?」
「………………」
「まぁ気にすんなよ。あ、俺にやる時はもっとソフトに……ってか言葉で頼むな」
「……うん」
逢坂は顔を伏せながらも頷いた。
***
私達は一緒に家へと帰る。
竜児はわかってくれた。
そう、悪いのは私じゃなくてあの女なのよ!!
……まぁ、私が悪くない、といえば嘘になるけど。
でもでも、竜児はどうやら全部見ていたらしい。
これであの腹黒女に竜児が騙される事はなさそう。
ああ、良かった。
良かった?
なんで?
なんで私はこんなに安心してるの?
わからない。
でも、竜児がわかってる、って言ってくれた時、凄く安心した。
なんというか、私が誤解されていなくて良かったと、心から思った。
こいつなんて、私にとっては何の関係も無い奴のはずなのに。
まぁいいや。
考えてもどうせわからない。
ここは私が大人になって、あの腹黒を忘れる事で終わらせよう。
どうせもう、二度と会うことも無いでしょうし。
***
しかし翌日、
「はじめまして、仲良くしてくださいね」
挨拶でウインクまでする女が転校してきた。
髪は長く、目をぱっちりさせて、豊満な胸を強調しながら笑顔。
スタイル抜群八頭身を地で行く現役高校生モデル、川島亜美。
それが転校してきた女、彼女の名前だった。
とりあえず今夜はここまで。
1日空く、と言った時に楽しみにしてると言ってくれた人ありがとう。
一話If良いねと言ってくれた人ありがとう。
切なくなりそうと言ってた人、美味しい物は最後まで取っておくとまた格別なんだぜ。
確かに見る人も眼力が上がっているが、ようは竜虎で2828できればいいと思う。
まとめの人へ。
いつもご苦労様です。
今回のを纏める時が来たら、
>>241 >>244 の頭に***をつけて一行開けて欲しいです。
区切りのマークなので(付け忘れ)
もし良ければ宜しくお願い致します。
>>245 あなたの作品大好きです!!
例のインフルで一週間学校休みなので、
あなたの作品だけが活きる糧です……。
>>233 「できること」は必ずしも目に見える行為とは限らないのですよ。
とはいえ大河のできることは竜児に甘えることだという気もしますが。
竜児はそれだけできっと幸せですよ。
結論から言うと萌えた。
今日読んだどの作品も素晴らしかった。作者様ありがとう!
>>242 自分も触発されて途中まで書いてみましたが・・・
妄想してるのを文章に起こすのがこれほど難しいとは。
まだまだ精進しないと全然ダメですね。
でも書いてる時は竜虎の事で頭がいっぱいで幸せだったかもw
いくらでも書きたいのにネタがでない
なんてつまらない脳みそ。
このスレ質もそうだけど勢いがはんぱじゃない。
なんでみんなそんな2828成分持ってるんだ。みなさんGJです
やれ「不良」とか「妊娠」とか「いじめ」とか「禁断の恋」とか、
そんなハードな事件がなくても面白い学園青春ドラマができるんだ!
とわからせてくれたことは本当に収穫でした。
(竜児は目つきは「不良」ですが、実際の不良は誰も登場せず)
ゲタ箱を開けると、封筒が入っていた。
閉める。
目をこする。
開ける。
やっぱり入っている。
手に取ってみる。とりあえず幻の類では無いようだ。
どこにでも売っているようなピンク色のキャラクターものに、可愛らしい字で『高須先輩へ』と。差出人の名前は無し。
どうやら場所を間違えたというわけでもないらしい。
「竜児、どうした……の……」
怪訝な顔で近づいて来た大河の動きが、俺の手元を見て止まる。
と思いきや神速で封筒を奪い取り、一瞬のためらいも無く開封。
「……会ってお話したいことがあります……今日の放課後……」
読みながら大河の指先に力がこもっていく。
「……体育館裏に……来て下さい……」
び、と紙の裂ける鈍い音。
「ちょ、待て待て大河!」
完全に破り捨てられる前に、どうにかこうにか手紙をサルベージ。
「なによ竜児、あんたまさか行くつもりじゃないでしょうね?」
「いや、放っとくわけにもいかねえだろ」
「婚約者を置いて他の女の所に行くわけ!?」
「人聞きの悪い言い方をするな。
大体行ってみなきゃどんな用件かもわからねーだろうが」
「こ・ん・な・ベタベタな方法使うヤツの用事が告白じゃなきゃ何だっていうのよ!」
その日、3年のとある教室には朝から異様な緊張感が漂っていた。
「なんだよ高須、夫婦喧嘩か?」
などと軽口を叩き、虎の不機嫌オーラと眼力に失神寸前に追い込まれた被害者が約一名。
数日中に『手乗りタイガー、いまだ健在』の噂が広がるのは間違い無いだろう。
『たかすくん、何があったのさ?たいがとケンカでもした?』
2時間目に回って来た櫛枝からの手紙に
『大したことじゃねえ。気にしないでくれ』
と返してから溜息を一つ。
すぐ前の席の大河は、背中から見てもわかるぐらいに不機嫌で。
……今日の夕食のメニューはとんかつに変更しようか。
「それじゃちょっと行ってくる。すぐ戻るつもりだけど、遅くなるようだったら先にうちに行っててくれ」
大河はそっぽを向いたまま返事も無く。
俺は溜息をつきながら教室を出る。
そもそも大河が心配する必要など無いのだ。
自他共に認めるこの悪人ヅラを恐れこそすれ、惚れる人間なんてものがそうそう居るとも思えない。
……今日はデザートにプリンもつけようか。たまにはちょっとぐらい贅沢してもバチはあたるまい。
ともかく、大方誰かのイタズラか、さもなければ何かの罰ゲームといったところだろう。
(――さもなきゃ何かの罰ゲームってとこじゃねえの?)
(……でも、竜児は優しいし、面倒見もいいし、そういう所がってことも……)
(うわ、こんな状況でもノロケかよ。そーゆーのってマジでウザいんですけど)
(お二人さん、あんまり騒ぐと高須君に見つかっちまうぜー?)
前髪をいじりながら歩く竜児から少し離れて、こそこそと後をつける人影が三つ。
逢坂大河、櫛枝実乃梨、そしてなぜか川嶋亜美。
端から見るとかなり異様な光景なのだが、当人達にあまり自覚は無いらしい。
(でーんでっででっでー♪でーんでっででっでー♪)
(お、ミッションインポッシブル?)
(うんにゃ、スパイ大作戦)
……実は実乃梨と亜美は面白半分だったりするようで。
案の定というかなんというか、体育館裏で待っていたのは線が細い感じの男子だった。
妙におどおどしているのは俺の目付きを見たせいか。
(ほら見ろ、告白なんかありえねえって)
心の中で大河にツッコミを入れつつ、声をかける。
「えっと、この手紙は君が?」
「は、はい、僕、一年の阿部といいます」
「で、話ってのは?」
「あ、あの……高須先輩、好きです!」
(……今あの子何て言った? 亜美ちゃんちょーっと聞こえなかったんだけど)
(あ、あはは、私もなんか空耳聞こえちゃったかなー)
(…………)
たっぷり30秒ほどの空白。
「……え、えっと……すまない、良く聞こえなかったんだが……」
「高須先輩、好きです!つきあってください!」
ずい、と近寄ってくる阿部君に、思わず一歩後ずさる。
(……マジかよ……)
(うっわー、ホンモノのびーえる?初めて見た……)
(…………り)
「わ、悪いが俺にはもう恋人が……」
「確かに高須先輩と北村先輩はお似合いだとは思いますけど、僕だって……」
「何でそうなる!? 俺の恋人ってのは「竜児は、私のだぁぁぁぁぁ―――――っっっ!」
突然の絶叫に振り向くと、
「ちょっ!実乃梨ちゃん、大河止めるよ!」
「お、おうよ!」
「大河!? 何で櫛枝と川嶋まで!?」
ものすごい形相で突っ込んでくる大河。
「竜児、そこどけぇぇぇぇぇ!」
「待て、待て大河! 阿部君、とりあえず逃げろ!」
「嫌です!好きな人を置いて僕だけ逃げるなんて!」
「ああもうなんでそう逆撫でするようなことを!」
「このガキ、ふっざっけんなぁぁぁぁ!」
「タイガー、ストップストップ!」
「そうだよ大河、とりあえず落ち着いて!」
* しばらくお待ち下さい *
「ああ……無駄に疲れた」
暴れる大河をどうにか取り押さえ、泣きじゃくる阿部君を説得するのに約30分。ついでに軽い打撲が数ヶ所。
帰り道、別れ際の櫛枝と川嶋の微妙な笑みはしばらく忘れられないだろう。
「鼻の下伸ばしたりするからバチが当たったのよ」
「伸ばしてねえ。つか原因の半分ぐらいはお前じゃねえか」
横の大河を軽く睨むが、そしらぬ顔でそっぽを向かれる。
「……まあ、正直に言うとちょっと嬉しかったんだけどな」
俺のセリフに大河の目が驚愕に見開かれる。
「竜児、あんた、まさか……」
「違う違う、大河がヤキモチ焼いてくれたことが、だよ」
大河の頬にさっと朱が散る。
「な、何言ってるのよ竜児!まさかあんたってばドM?変態!?」
「お前なあ……ヤキモチってのはそれだけ大河が俺を好きだってことだろ?
それが嬉しかったんだよ、俺は」
上手く言葉が出ないのか、真っ赤な顔で口をぱくぱくとさせる大河。
よし、久しぶりに勝った。
とか思ったのも束の間、何かに気づいた大河がにんまりと笑う。
「竜児、顔真っ赤」
……きょ、今日はこのぐらいにしといてやる。
一週間後。
ゲタ箱を開けると、封筒が入っていた。
手に取れば、見覚えのある薄い桃色の和紙に淡いブルーのインクペンで『竜児へ』と。
ちらりと横を見ると、『ふひゅー』とか吹けもしない口笛を吹くフリをしながら視線を逸らす大河。
……さては、昨日先に帰れとか言ったのはこいつのためか。
開いて中を見れば、そこには一言
『とんかつ食べたい』
「ぶっ!」
思わず吹き出し、それにむっとした大河の頭に手を乗せてわしわしと撫でる。
「ちょうど昨日、泰子が店のオーナーさんから東京Xって珍しい豚肉のお裾分けを貰ったんだ。
覚悟しろよ、今までで一番美味いとんかつ作ってやるから」
たちまち表情を輝かせる大河を見ながら俺は、そのうち大河にラブレターを送ってやろうかとか、そしたら大河はどんな反応をするだろうかとか考えていた。
>>251 > やれ「不良」とか「妊娠」とか「いじめ」とか「禁断の恋」とか、
> そんなハードな事件がなくても面白い学園青春ドラマができるんだ!
この書き込みの次のSSで大河がおお暴れしていることに朝から爆笑。
嫉妬大河ええのうw
また読みたいです
とんかつ食べたいwww
カワユスなぁw
>>252-255 アッー
このどんでん返しは思い付かなかったぜ!
しかも阿部くんだしやらないか
最後の赤面させると見せかけて自分が赤面しちゃう竜児ナイス
>>256 不良でもいじめでもないからセフセ…フ?
どう見ても禁断の恋です
小説版アフターのシチュエーションだと思いねえ
三年生になって別クラスになった大河と竜児
相変わらず大河に振り回される竜児だけどまんざらでもないが
口では大変だとかやれやれだとか手がかかるぜとかこぼしている
それを半ば呆れつつ聞き流すクラスメートたち
しかし病気知らずの大河が滅多にひかない風邪で休んだときは
一日中落ち着かない様子でやきもきやきもき
そんな高須くんを見て2828したり慰めたりするクラスメートたち
264 :
名無し募集中。。。:2009/05/19(火) 16:14:48 ID:4aYnuvVD
いやああああwwwww
233続き
***
予定通りの料理の品々を並べ、三人は「「「いただきます!」」」礼儀正しく合掌。
同時に大河の箸は豚カツへ、白米へ、キャベツへ、味噌汁へ。ぶっ……!一度むせてえのきへ、豚カツへ、白米へ。とてつもないスピードでそれらは、二十二世紀の猫型ロボットも仰天、大河の異次元胃袋へ収納されていく。
一体誰がお前の豚カツを食ってやろう、奪ってやろうという。
「こら!ゆっくり食え!喉に詰まらせて救急車でも呼んでみろ!近所迷惑だろ!」
ゴクン、と聞こえるぐらい、今は亡き食物達を飲み込んで、
「あんたは誰の心配してんのよ……」
「お前だよ」
「近所迷惑がどうとかって……」
「言葉のあや、ってやつだ」
味噌汁をズズッ、と一口飲み、完璧だ……。心中で自画自賛。今日も高須竜児の聖なる晩餐に狂いはない。
幼い顔と比例して、頭が少しだけアレな母親の泰子も豚カツを頬ばって「サクッ!ジュワ〜」と自ら実況中だ。サクサクした衣に潜む、黒豚の脂に絶賛ご満悦らしい。
「竜ちゃん、今日もおいしい〜☆」
泰子の笑顔が高須邸の隅々まで行き届き、それに呼応して部屋の温度が上昇したかと思われた。
ややあって泰子は視線を変えて長座をしている大河の方へ。昨日もだったが、足を怪我している為、いつもの正座スタイルは困難らしい。
「大河ちゃん、足大丈夫ぅ?痛くなぁい?」
「うん、えと、まだちょっと痛いくらい……かな」
大河は包帯の巻かれた右足をさすってみせる。圧迫された包帯からでは、おそらく本人も痛いかどうか今ひとつわからないのだろう。
「今日は学校どうしたのぉ?えぇ〜とぉ、何だっけ、まつぅ、はつえ?」
「松葉杖?」
それそれぇ!と泰子は小さい脳にわずかに残されている曖昧なピースを当てはめることに成功し、また笑顔。
「今日はね、ずっと竜児が付きっきりでおんぶしてくれてたんだ」
「ほぇ〜そうだったんだぁ。竜ちゃんえらい!これで大河ちゃんも当分は安心だねぇ。竜ちゃんなら存分に使っていいからね〜!」
「……俺の所有権はお前にあるのかよ……。まあ怪我も二、三日で治るみたいだし、その間は仕方ない」
「竜ちゃんならそう言うと思ったよ〜。それにぃ、竜ちゃんもそんなまんざらでもないんでしょお?」
いつしか泰子の視線は竜児の方へ。不意を突かれて、具のなくなった味噌汁を「ぶっ!」さっきの大河のように吹き出しかける。
「……何がだよ……」
「大河ちゃんをおんぶすることだよぉ〜」
みゃは☆と泰子は意味ありげに頬を緩ませ、箸を置いて「ごちそうさま〜」いつの間に平らげたのか、泰子の豚カツやら味噌汁やら白米やらはとっくに姿を消していた。
「おう……って、今日はやけに早いな」
「実はけっこーもう時間やばいの。ごめんねぇ。ゆっくり食べたかったんだけど」
泰子は宝物の唯一のシャネルのバッグを片手に「行ってくるね〜」早々に玄関に向かう。
「おう」「外暗いから気をつけてね」と返すと、泰子は玄関で靴を履いたところで、両手の親指と人差し指を使って四角を作ってみせた。それをそのまま竜児達に向けて、
「いいよ〜。二人とも〜。絵になってるよ〜」
急いでいるんじゃなかったのか……。箸を動かせながらそれを遠い目で眺めていると、泰子は自前の四角から三十代とは思えないしっとり滑らか肌をちらつかせ、こちらを覗き込んでくる。
「だんだん夫婦っぽくなってぇ、なんかやっちゃん嬉しい!じゃあ行ってくるね〜」
ぎちょん、と鈍い音を立ててドアが閉まる。沈黙が続いて鉄の階段からカンカン、と一定のテンポの音が聞こえ、鮮明に耳に残る。
何だろう?ああ、泰子のヒールの音か。
「「……」」
こんな季節だというのに掌が急に汗ばんだ。
向かいに座る大河のお得意の顔面信号を確認する。もちろん表示は赤……を超えそうなぐらい真っ赤だ。
「「はは……」」
何が可笑しいのだ。笑っているのは大河だけではない、自分もだ。一体この笑っていない笑い声はどこからやってくるのか。全く他人ごと、自分の声のはずなのに。
「……テレビ見るか」
「……そうね……」
そうだよテレビだ、テレビだよ。
家族団らんの会話を弾ませてくれる人類の進化の遺産。そう、それがテレビ。
この気まずい、そしてもどかしい高須家の空気、雰囲気、流れを変えてくれ。変えろ。いや、変えて下さいお願いします!
藁に縋る想いで手にしたのはリモコン。本体にそれを向け、電源のスイッチを、押す。
テッテレ〜。
聞いたこともない謎のオープニングテーマが流れ、ちょうど7時に始まったその番組のタイトルを、有名司会者がよく通った澄んだ声で紹介する。
『必ず役に立つ!花嫁前の女性は必見!主婦の基本家事テクニック100!』
大河の箸の動きが少しだけ遅くなったのに気付くのは、二回目のCMを跨いですぐのことだった。
これだから、食事中のテレビはあまり好きではないのだ。
チャンネルを変えるタイミングを見事に見失い、100のテクニックは二時間にわたる長時間放映で幕を閉じた。
***
大河の暮らす超高級マンション、リビングにあるソファに竜児は体を沈ませていた。
『見てもらいたいものがある』
あの沈黙ディナーを終え、早速洗い物に手をつけていた竜児に、大河はそう言った。
大河をおぶって高須家を出て気付けばリビングに、という空間移動を行ったわけではない。
大河の家は高須家の真横の文鎮マンション。徒歩数十秒で辿りついてしまう距離なのだ。
大河は「ここでステイね」竜児をリビングに置き去りにし、まだ痛む足ではない方の足を使って、器用にケンケンで自室に向かっていった。
「見てもらいたいもの……」
無意識にマイ布巾を取り出して、ガラスのローテーブルを拭きながら竜児は考えていた。
そういえば前にもこんなことがあったっけ。確か去年の夏、大河の哀れ……控えめな乳が発覚した季節。
自分はやっぱり今のようにただ待っていることだけが出来ず、埃という埃を抹殺していたのだ。習慣とは恐ろしい。
とにかく『見てもらいたいもの』がまた大河の水着姿な訳はないだろう。まだプール開きとは無縁の一月末だし。それに大河自身が水着姿を嫌うわけだし。
じゃあ何だ。まさか大河のフリフリふわふわ洋服修復依頼か……?また何かやらかして破ったのか。
しかしどんなに複雑に分裂していようが関係ない。さあ、俺のMOTTAINAI魂よ今こそ覚醒の時!
血走る両眼を見開き、欲望に任せて誰もが見落とすであろうありとあらゆる埃ポイントを攻略していいく。
鬼姑の指チェックなんて目ではない。鬼姑以上に、掃除に関して竜児は鬼なのだから。ちなみに外見云々の話全く関係ない!
そんな当初の目的を忘却しかけた竜児のすぐ横。寝室のドアがゆっくりと開き大河はぬっ、と現れる。
「……竜児……」
「……おうっ!?」」
「……どうよ……」
不意をつかれた竜児は、なんかデジャヴ。呑気に記憶の片鱗に問いかける。
「…お、おう……おっ、おおう……!」
大河はちょん、とリビングの敷地に一歩踏み出して、一歩、また一歩。壁を頼りに片足歩行で迫り寄る。
やがて竜児に辿り着き、体を支えてもらいようやくソファに体を着地させる。
竜児は下を向いてだんまりの大河の目の前、手を文字通りわなわなさせながら立ちすくんでいた。
大河の頭のてっぺんから足のつま先までを舐めるように見ながら。
何も今からこいつを売り飛ばしてやる!我が眼は服が透けて見えるのだ、スリーサイズを言い当ててやる!とか思っているのではない。
白。いやこれは白ではない、純白だ。パールのように輝く生地の正体はおそらくシルクで、大河の華奢で透き通った肌を際立たせる役目を担っている。
もちろん大河の大好きなフリフリもしっかり飾られていて、胸の真ん中には赤のリボン。純白で染められているそれに赤がひょっこりと、ほどけないデザインの蝶々結びがまた良いアクセントだ。
髪は纏めてポニーテール。猫っ毛ロングヘアーは今はすっかり大人しくなっていて今の大河のよう。
悪戯にも真っ白なうなじを直視してしまい、心臓は驚いて悲鳴をあげる。
乾いた、薄い唇を舐める。生唾を飲んだ。
「な、何よ……」
そんな、こいつは危険だ!と、一発で感じ取ってしまう仕草をばっちりキメてしまった変質者に、大河は気味悪そうに目を逸らした。
逸らさせれたって、でも、やっぱり、くすぐるものはある。
「大河」
「……なに……」
「あの、その……なんて言うか、か……かわいい……」
「……は?……え、かっ、川合……?」
「いや誰だよ……」
「えっ、誰だろう……」
現れたのはエプロン姿の大河だ。
『お前がエプロン?……ないない。まず着る機会なんてないだろうな』
そんなずっと昔の、他愛のない会話を思い出す。
前言撤回……認める。エプロン……良いじゃねえか。
竜児の中の美的センスを惜しみなく取り入れた妄想の歯車は、狂ったようにフル回転で回る、廻る。
カビ一つ見当たらないピカピカのシンクの前、包丁でリズミカルに野菜を刻んでいく若奥様(大河だ!)が居て、
「ただいま」自分の存在に気づくと、ニコッと愛くるしい笑顔で出迎えてくれて。
スーツをハンガーにしっかりと、しわが付かないように掛けてくれて(ここ重要!)『おかえり、あなた。ご飯にする?お風呂にする?それとも――わ、た、し?』
我ながらなんて捻りのない妄想だ。自分執筆の小説なんて出版しようものなら、即破産の道を歩むことになるだろう。
だか所詮は妄想、誰にも迷惑はかけないのだから、当然クレームも受け付けてやるものか。
「どうしたんだよ、それ」
平静を取り戻すために時間つぶし、もっともな問いを大河にぶつけてみる。
「買ったの。いいなーと思って、一週間位前に」
「へえ……」
「でもね、着るのは今日が初めて。だって私にエプロンだもん。やっぱり料理も出来ないのに持ってたってしょうがないよね……とか思ってなかなか着れなかったの」
大河は胸の赤いリボンを指でいじりながら続ける。
「……また砂糖じゃなくて塩ぶち込んだり、卵を炭に化けさせたりね」
大河の料理と言えるかギリギリ最終ラインの品々を回想する。確かに、すごかった。あの作品達はある意味、センスを感じさせてくれた猛者共ばかりであったっけ。
「……で、それを着て俺の前に現れた経緯は見ての通りなのか?」
「うん」
「本気なのか?」
「うん」
竜児はソファーに腰を降ろし、大河の傍らに座る。一応聞くけど……と前置きして、爛々と輝く瞳を見る。視線は変わらない。本気らしい。
「それは、川島に甘え過ぎって言われたから……それとも、俺がお前に、自分の出来ることをしろって言ったから……なのか?」
さっきから質問ばかりだ。大河のやる気を削いでどうする、と自分に言い聞かす反面、それも駄目だ聞くべきだ、と呟く自分もいた。
少し迷って呟いた自分の方を取った。言ってから、その選択は間違っていないと思った。でも、
「何でそう思うの?」
大河の濡れたように光る大きな眼球に赤色が灯る。
「確かにそれもある、あるんだけど別に今日のことは関係ないの!もっと前から思ってたことだし……」
「話が矛盾してるじゃねえか。やっぱり今日のことで負い目感じて、それで……」
「違うったら!私はもっと前から、……竜児と付き合う前から思ってたことが別にあるの!」
「じゃあその別っていうのは何だ!?」
ああ――!と、かきむしった大河の髪は目の前で乱暴に、しかしふわふわと優雅に舞う。竜児は毛がソファーに落ちる――!と、自分の髪をかきむしる勢いで絶叫するが言葉には出さない。なぜなら話は終わっていない。
「私は!あんたに私の手料理を食べてほしいの!」
毛が二本、ソファーに落下したのを確認して、
「そんで……笑ってほしいのよ!」
「え……ええっ!?」
亡き父?から引き継いでしまった迷惑極まりない顔面に何度か触れ、竜児は困惑する。
今までしてきた自分の笑顔はやっぱり他人から見ると、笑顔ではなかったのか……。
わかっていた気もするが改めて言われるときつい。しかも大河に、こんなに、こんなに身近に居る奴に。恋人なのに。
これほど心をえぐり出し、根こそぎ奪い去る言葉があるだろうか。ああ、そういやこいつは大河だったっけ……ならあるか。
「俺、結構頻繁に笑うぞ……」
絞り出した返事は情けない事実否定。泣きそうになる。
「そ、う、い、う、意味じゃ、ない!」
えっ、そうなの……良かった……と心底から喜びつつも、竜児は大河の妙に、遠回しな文脈にそろそろ若干の苛つきを覚えていた。
「なんだよ!?じゃあどういう意味だよ!?誤解させないよう一気に答えてみせろ!」
大河はちょっと黙って、言いにくそうに口を何度もパクパクさせて、ようやく観念したかと思えば、
「あんたの料理で私が笑顔になるように、あんたにも私の料理で笑ってほしいのそれ以外にどんな意味があるのよ察しろ馬鹿竜児!」
一気に答えた簡潔な解答は、結構恥ずかしいものだった。
「お、おおう……」
頭に引っかかっていた糸はするりと解かれていき、湧き上がる胸からの衝動に耐えつつも、勢いの増した心臓からの鼓動に耐えつつも、
クリアになった頭で思い出したことがいくつかあった。
「いつもあんたの料理はおいしくて、そのたんびに、私は笑顔になってた。……だから、私も……」
横暴で乱暴で、がさつで、適当で。
「……頑張ってみたいの!エプロンを買ったのも、今日のことも、ただのきっかけなわけで……」
そのくせして、繊細で、寂しがり屋で。
「……ようするに!私も乙女なの!……か、彼氏とかに、そ、その……手料理、そこそこ……並みに……平均的に、振る舞いたいの!」
プライドが高くて、意地っ張りで。そして、
「竜児……?……うわっ!?」
真っ直ぐで、もの凄く愛おしい。
柔らかくて華奢な体を傍で感じたい。気づいた時には、すでに大河は腕の中にいた。
「……頑張れ。俺がご指導してやる」
「……賛成して、くれるの?」
「当たり前だ。上手い手料理食いたいしな」
「……期待しないでね……いや、やっぱりしといて。そうしたら中途半端にならないし」
「……おう、わかった。期待してるよ」
「ありがと……」
忘れることの出来ない大河の料理を全部、脳から蹴り飛ばしてやった。
これからスタート台に立つ大河を、頑張れと叫びながら、隣で見守ってやるのだ。
あきらめの悪い大河ならきっと、最後までやり遂げるだろう。
中途半端になんて絶対ならない。今までの大河を知っている自分だからこそ、自信があるのだ。こいつはそんな女じゃないと。
その時、大河の髪を結んでいたゴムが解かれて、ソファーの下に落ちた。
貴著面な竜児はそれを拾ってテーブルに置き、「ムードぶち壊し……」と大河は呟いた。
竜児は立ち上がり、汚名返上と言わんばかりに、大河を膝に乗せ再び抱きしめる。
二人分の体重でソファーはさっきよりも深く沈んでいった。
竜児は今、好きな奴いる?と聞かれれば、大声で即答出来る気分だった。俺は!大河が!好き!とかなんとか。
しょうもない茶番だ、と言う奴らをみんなぶん殴ってでも伝えたい、溢れんばかりに噴き出すこの感情を。
くさいだろうか、セリフ的に。知るか、こっちはもうずいぶん前からはずいポエムとか書いてんだよ!そういう階段はもうとっくに昇ってんだよ!口出しすんな!
竜児は自問自答の渦に巻き込まれながらも、掴んだその体は絶対に離さない。
あとちょっと続きます。
今日中に終わらせる予定です。
かまわん
続けろ
>>273 お疲れ様です。
やばい他の神々とは違った良さがある!
なにより登場人物の表現力が凄い…
続き期待してます
277 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/19(火) 19:38:58 ID:85VZ8BgG
>>244続き
***
「かっわいー」「マジ綺麗」「天使だ天使が舞い降りた」
口々に皆褒め言葉を続ける。
フフフ、そうよ愚民共。
もっともっと亜美ちゃんを褒め称えなさい。
あんた達なんて私を褒める以外に役に立つ事なんて無いんだから。
見られてラッキーな幸福を噛み締めなさい。
さぁこの奇跡の美しさに悶え褒め死ぬがいいわ!!
おーほっほっほっ!!
そんなことを思いながら笑顔を貼り付け教室中の生徒と仲良くなる。
この外面さえ見せてればみんな私を可愛いと言うんだから簡単なものだ。
「……あれ?」
でも一人、いや二人だけ全く私に見向きもしない男がいる。
一人は祐作。
まぁ祐作は私の事知ってるし、昔からの付き合いでそんな目で見るってのが無いとわかってるけど。
もう一人は、
「確か……高須竜児」
視線の先にはくそ忌々しい逢坂大河。
その傍らに高須竜児。
ふぅん、昨日はあんな事言っておいてやっぱデキてるんじゃないの?あの二人。
そうだ!!いいこと思いついた!!あいつから高須竜児を引き離してやろっと♪
「ねぇ高須くぅん♪」
「おぅ?……どうした川嶋?」
「ねぇお願いがあるんだけど♪」
「お願い?」
食らいついてきた!!
「うんとねぇ、がっこ「うっさい黙れ、そして腐れ」……逢坂さん?」
このチビ、やっぱり割り込んできたか。
「あれれ〜逢坂さんそんなこと言っちゃダメだよぉ」
「気持ち悪い声だすなバカチワワ」
なっ!?バカチワワですって!?
「おい逢坂、言いすぎだぞ」
「ねぇ、そうだよねぇ高須君♪それでねぇ今日の放課後なんだけどぉ」
こなったら意地でも引き離して……。
「あっと悪い、川嶋。俺この後用事があるんだ。また明日な。ほら、行くぞ逢坂」
「ん」
軽い返事だけしてた高須竜児の後に続くあの女。
っていうか私見向きもされなかった?
冗談じゃねぇっつうの!!
だって亜美ちゃんだよ?
高校生モデルだよ?
美の女神だよ?
マジ何処に目をつけてんの?ってカンジ。
高須竜児、明日覚えてなさいよ。
***
学校を出てすぐ、逢坂の足取りが軽いことに気付いた。
「?何だ逢坂、随分機嫌がいいな」
「そう?気のせいじゃない?」
「そうか?」
しかしそれにしてはルンルンと足が軽そうじゃねぇか。
「まぁ、アレよ。あの女が余りにも滑稽だったから」
「はぁ?」
よく意味がわからないんだが。
「まぁアンタはわからないでしょうね。でもそれでいいのよ」
ウンウンと一人頷く逢坂。
サッパリ意味がわからない。
「まぁいいや、さて今日の特売はっと」
俺は歩きながらチラシを広げる。
と、下の方に小さく『水着あります』の表示を見つけた。
そう言えば明日からプールがある。
「そういや逢坂、明日からプールだそうだが、お前水着の準備は終わったか?」
何気なく聞いたその言葉で、逢坂は途端に顔面を蒼白にし立ち止まる。
「どうした?まだなのか?だったら早めに準備しとけよ」
「……ない」
「は?」
「……出ない」
「何だって?」
「プールなんて出ない!!」
怒ったように喚く逢坂。
一体どうしたというのだ。
「水着だってもう腐らせたし!!」
「何!?」
それは聞き捨てならない。
「バカ、お前それなら尚更用意しなけりゃダメじゃねぇか」
「いらないったらいらない!!」
「何だだこねてんだ。ほら買いに行くぞ」
「………………っく!!離せ!!」
甘いな。
俺はこいつが無言になったと同時、腕を素早く掴んでいた。
こいつが無言になるときは逃げる前兆だと既に理解している。
「ほら、我が侭言わずに行くぞ」
「やーだー!!!!!!」
やれやれ、骨が折れそうだ。
***
「どうだ、逢坂?」
着替え室のカーテンの前で待ちぼうけること三十分。
シャッとカーテンが開く。
「……わかんない。どうしよう竜児」
わかんないって……お前にわからないものを俺にどうしろと?
しかし、逢坂は真面目な顔だ。
若干目に赤みが差し、「ほんとどうしよう、もうやだ」と呟きながら今にも逃げ出さんばかりの勢いだ。
「どうしたんだ?気に入るのが無いとか?」
「……サイズよ」
「サイズ?」
「ああもう鈍いわね!!合うサイズが無いのよ!!」
逢坂は、顔を真っ赤にして両手でコブシを作り、腕を真っ直ぐ下に伸ばして精一杯自分を大きく見せようとしながら怒る。
「……子供用のとかは……」
「死んでもイヤッ!!」
だよなぁ。
背が小さいってのも考え物なんだな。
「お?じゃあこれあたりはどうだ?」
やむなく、俺は逢坂が集めた水着の中から最も小さく、かつシンプルなデザインのものを選ぶ。
「値段も手頃だし、素材も厚くてしっかりしてて乾燥機にもかけられる。着てみたのか?」
大河は涙目を伏せ、しかし頬は赤いまま
「それは……着た、けど……それはまぁまぁマシだったけど……」
「じゃあこれでいいじゃねぇか、な?」
「………………………………うん」
返事までやたら長かったな。
***
帰宅してすぐに夕飯の支度。
振り返ると逢坂はまだ塞ぎこんでいた。
ったくもう、何だってんだ一体。
「おい逢坂、何か食いたいもんあるか?作ってやれるもんなら作ってやるぞ」
「……うるさい」
ダメだこりゃ。機嫌直るまでそっとしておくか。
ガラッ。
「うわぁん遅刻しちゃうよぉ」
泰子が急に障子を開いて駆け出す。もうそんな時間か。
「あ、ほら、これだけでも飲んでけ」
俺は今丁度作っていた豆乳を入れたカップを手渡す。
この豆乳にはイソフラボンと呼ばれる胸を大きくするための成分が入ってるらしい。
いつしか泰子は「しぼんじゃ嫌だから予防しなきゃ♪」と飲み始めたのだ。
「……なにそれ?」
大河が興味なさそうに見ている。
「これはねぇ、竜ちゃん特性の豆乳だよぉ。イソノボンボン「イソフラボンな」とかいうのが胸をおっきくするんだって♪」
ボーっと見ていた逢坂は立ち上がり、手じかにある箸で泰子のFカップはあろうかという胸をつつく。
「ああん♪大河ちゃんのエッチスケッチワンタッチ♪」
泰子は笑いながら仕事へ出かけ……って人んちの母親にセクハラすんなよ!!
「イソノボンボン……」
泰子が元気よく出て行った扉を見ながら逢坂は呟く。
「何か変だぞお前……」
しかし逢坂は俺の事など気にせず、たまたま落ちていた一つの大豆をその細く白い綺麗な指で掴みパクリと食べる。
「お、おい!?おま「マズイ!!もう一粒!!」……はぁ?」
意味がわからない。
「なんだってお前そんなこと……」
「だって私もイソノボンボン「イソフラボンだ」取りたいもん!!」
はぁ?全くなんだってそんな……まてよ?水着のことといい、まさか……。
「まさかお前……」
「!?イヤ……言わないで、言わないでぇっ……!!」
「貧乳……なのか……?」
その日、高須家では近隣住民が驚くほどの女の悲鳴が鳴った。
***
「ったく、そんな気にする事かよ、乳の大きさ程度のこと……」
逢坂の家に上がりこんで数分。
俺はテーブルを舐めても大丈夫なほどに磨き上げていた。
だが、俺は掃除の為にここに来たのではない。
逢坂の水着姿を見に来たのだ。
「……お待たせ」
「おぅ」
やたらと低い声。そんなに気にするものなのか?
俺は恐る恐る振り返り…………フリーズした。
「どうよ……?」
言葉が……出ない。
「平らでしょ?貧乳でしょ?はは……なんかヘコむんだ……」
逢坂が何か言っているが耳に入ってこない。再起動に至らない。
紺を基調とした色のワンピース型。
肩にかける紐は細く、足はほぼ全てが晒されている。
白く、華奢で、綺麗な体。
晒された足はどうしてこんなに長いのだろう。
白く輝くそのさまはまるで雪国の女王のように美しい。
さらに腰は括れがしっかりとしていてスリムさを際立たせ、肩から伸びる腕がまた綺麗。
前から思っていたが、何故こいつの指はあんなに細くて綺麗なのだろう。
例えば川嶋あたりなら薄いマニキュアを塗っているのだろう。
しかし逢坂は素で綺麗なのだ。
自然体で細く白く美しく。
背が小さい?だからなんだと言うのだ。
胸が無い?それの何処に問題がある。
乱暴者?こいつを知ろうとしないやつの戯言だそれは。
「……竜児?」
「お、……おぅ」
「何よ?哀れすぎて声も出ないっての?」
「いや、……素直に驚いてただけだ。お前、やっぱり綺麗だな」
「なっ!?何言ってんのよ!?」
逢坂は自分の体を隠すようにして両腕で自分を抱く。
と、同時に掌から一枚の写真が落ちた。
「何だコレ?」
「あ、それは……」
その写真は大河の水着姿だった。
しかもサインペンで『哀れ乳』と書かれたもの。
「……私、乳の小ささで哀れまれたのよ。もちろん出所の写真部には真っ赤な血の雨を降らせたけど」
「……っざけやがって」
「……竜児?」
「……っざけやがって!!よし、逢坂、俺が何とかしてやる!!」
俺は頭にきていた。
逢坂にこんな事をした奴が居る事に。
逢坂のことを哀れだと書いた奴が居る事に。
なにより、逢坂に、ここまでのコンプレックスを感じさせたことに。
何故そんなに怒りを感じるのか、俺にはまだわからなかったけど、とにかく腹立たしかった。
***
私は夜明けまで竜児と一緒にいた。
初めてコイツと一緒に朝を迎えたかもしれない。
竜児は昨晩からずっとソーイングセットをいじり続けて、さっきようやく完成した。
「どうよ?」
そう言われて着た水着姿の自分が写る鏡は、今までで一番自分に自信が持てる姿だった。
胸が、あるのだ。偽乳とはいえ胸が目に見えてあるのだ!!
「お、お嫁に行く時は、必ず持っていくわ……」
私の体のパートナーが出来た瞬間だった。
今夜はここまで。
>>247 ありがとう。一週間って大変だな。
少しでも楽しんでもらえるよう頑張るよ。
272続き
近づきたくて、近づきたくて、触れ合った零距離ではまだ足りなくて。それでも身体は確かにそこにあるから、これ以上はどうしても近づけない。
動物の本能に従って、身体を大河に重なるように強く強く抱き寄せるけど、やっぱり愛おしいから、苦しくないよう傷つけないよう、回した腕はガラスの人形を扱うように。
目一杯に嗅いだ匂いは甘い、そしてどこか優しい。背中で感じた香りとは違う、全くの別物。和らいだ安心感を与えてくれるのに、そこに磁石があるみたいに強く引き寄せられる。
「大河」
強力な磁力に体も心も一旦は持っていかれてしまう。しばらくして名残惜しさを感じながらも一度体を引き離す。
紅潮した頬に軽く手を触れてみせ、熱を帯びた体温を掌で感じ取る。だって、大河の顔を見たかった。
「……竜児」
「なんだよ」
「そんな……見ないで、よ……」
「……なんで」
「は、恥ずかしいのと、目のやり場に困るのと……い、いろいろ……」
大河は竜児の方から視線を逸らして、適当な場所に目を泳がした。
身の内をじたばたと駆け巡る。それはただの欲求なのか、確かめる術はないのだけれど、くすぐったくてもどかしい。たまらなくて狂おしい。
大河の目の先に先回り。ばちん、と目があって大河は石化したかのように動けなくなる。ちょっぴり意地悪かもしれないけれど、何度も閃かす瞳を強引に覗き込む。
大きく潤んだ瞳は、まるで広大な大海のよう。限界まで引きつけて引きつけて、その先、何が待っているかはわからない。恐怖さえ感じさせるけど、どうしても辿り着きたいとも思ってしまう。
大波が襲いかかり、遙か彼方の外国にでも流されるのか。たまったもんじゃない。でも、体は、心は、魂は、素直にそれを知りたがっていて、竜児は無謀にもその荒波に立ち向かう。
本当は緩やかだった波は、やがて静まり、
そして、その先を竜児は知る。いや知っていた。大河も知っていた。ずっと昔から決まっていたかのように、至極当然なことのように。
互いの目線を放さないようにしっかりと。絡みつくように括りつけて距離を縮めていく。
気付けば、額と額はくっついていて、もう駄目、これ以上は近づけない。それがわかると今度は鼻と鼻を引っ付ける。これも、もう駄目。
吐息と吐息がぶつかって、もう駄目?ううん、まだ行けそう。ならもう少しだけ。
時間の流れがそこだけゆっくりになって、唇と唇が触れる。日を増す毎にそれは熱くて、ゆっくりで、深くて、溺れかけて、沈みそうになる。でも実際は天にでも昇るかのような至福、幸福、歓喜。いろんな言葉があるけれど『幸せ』きっとその類。
求め合って、何を今更、わかっているくせに。大河だ、竜児だ、確かめるように潜り込んでは安堵する。目指した場所は、ちゃんとそこに在ったから。
頭は雪が覆い隠すように真っ白になって、体は湧き上がるマグマのように真っ赤になって。この二つが混じり合う時、もう無理だ。耐えられない、この体は。
思考が追いつかない。冷静になろうと試みるけど、やっぱり無理。大河を欲して貪って、これじゃどっちが虎だかわからない。
「りゅうじぃ……」
大河の儚くて、か細い声が聞きとれる。脳髄が溶けそうになるのを何とか持ちこたえて、「……大河、大河。……俺の、大河」必死にそれに答える。
「……束縛する男って嫌われるよ」
「うっ……悪い、なんか、つい……」
「でも安心なさい。私は例外、特例。そんでもってプレミアなのよ。だから大事にしなさいよね」
「……おう」
家の中でも十分に寒い夜。暖房を起動させれば良いだけのことだけど、やめておいた。何となく、気分ではなかったのだ。
冷えてしまった体が、今はちょうど良い。
震えてしまうぐらい寒い夜でも、今日はほんのり温かい。温かいし、暖かい。
かくして竜は遙かな天を駆け上り、虎は無限の大地を駆け出した。幾多の分岐点を通過して、最後に行き着く所には、望んだ未来が竜虎を出迎えた。
その後も見えなくなるぐらい、果てしなく続くのだけど、きっと大丈夫。つまずいたら、手を取り合って歩けばいい。
泣いてしまっても大丈夫、最後には馬鹿みたいに笑いあえるのだ、きっと。
***
目が覚めると、竜児が横に居た。
普段の三白眼はすっかり封印されていて、年相応の優しい寝顔に大河は見とれてしまう。
普段の顔も好きだけど、やっぱり不思議だった。いつもは竜児が自分を起こしに来てくれて、目覚めの悪い自分を宥めてくれて。だから、
「寝てるんだ」
竜児の寝顔なんてそうは見れない。まさしくプレミア、限定品。よし、写メで撮ってやろうと携帯を取り出してピロピロリン♪へんてこな音と同時に、画面に写し出されたのは竜児、当たり前である。
当然保存して、反応のない竜児の頬を軽くつついてみる。……やはり動かない。それがなぜか可笑しくて、「ぷっ……くくく」思わず腹の底から声を漏らしてしまう。
時計の針の短い方は現在五の付近。外はまだ朝日も出てなくて真っ暗だ。今日も学校があるわけだけど関係ない。
さっそく目蓋のシャッターがゆっくりと閉じていく。しかし気合いでこじ開けてみせた。
「……いつもありがとね、竜児」
頬に軽いキスをする。自分からやったくせに、何だろう……すごくどきどきして胸が熱い。してやったり!みたいな感じでやったのに、なんだこの敗北感は。これじゃあ竜児を出し抜けない。
いつの間にか頭の中は、どうしたら竜児を驚かせるか談議に発展していて、「そうだ!」張り切って立ち上がる。
右足首の腫れは結構ましになっていて、少し歩いてみたけど全然大丈夫だった。
どうやら己の体は頑丈だけでなく回復力も半端ないらしい。
今日は自分の足で登校か……と、気が沈む。でもすぐに、まあいっか。竜児のおんぶも惜しいけど、今はこれだ。
大河はテーブルに丁寧に畳まれたエプロンを手にし、さっそく台所に向かう。
竜児が起きるのは多分あと三十分くらい。
エプロンを着て、仁王立ちの自分を見たらどんな反応をするだろう。
ちょっと驚いてから、すぐに一緒にキッチンに立ってくれて。その後、料理の手ほどきをしてくれて、ちゃんと出来たら誉めてくれて。竜児のことだから、きっとそんな感じだ。
様々な期待が募る一方、そうだ!忘れてた。昨日は酔ったみたいに気分が舞い上がって、結局言えてなかった。昨日はいつもよりふらふらで、言う暇さえも与えてくれなかったのだ。
大河は台所からUターン。天蓋ベッドのある自室に向かい、扉をゆっくり開け、そこで静かな寝息を立てた少年に近付いていく。物音を立てないようにそっと。
触れるか触れないか、ぎりぎりのところまで口元を寄らせて、
「……竜児、好き。本当に、大好き……」
わざと聞こえないぐらいに呟いた、大河の温かな息が竜児の耳をくすぐった。
カーテン越しに、光を乗せた太陽が顔を出し始めたことに気付く。
――きっと、今日も良い日になる。
終わりです。
携帯でコツコツ書いていたんですが、文章力の乏しさを改めて痛感しました。
感想をくれた皆さん、どれもすごく嬉しかったです!
>>287 >文章力の乏しさを改めて痛感しました。
そうかなぁ。
情景が目に浮かんできたけど
とにかくGJ!!
289 :
【ジグソー】:2009/05/20(水) 00:23:53 ID:EK6XVojs
>>225-226の続きです。四話みたいな
ワンコール
ベッドの上の人形はぴくりともしない。
ツーコール
人形が微かに揺れる。
スリーコール
「うるさぁぁぁい!」
華奢な手の何処にそんなバネが仕込まれているのかと疑いたくなる程の勢いで、
人形の腕が鳴り止まぬ携帯を捉える。
ベッドの上から弾き出され、ハイスピードで壁にぶつかりバッテリーカバーが外
れる。反動で僅かに上昇した携帯は、その後自由落下に従って床に激突。その際
の衝撃でバッテリーと本体が遊離し、活動を休止した。
「眠れないじゃない!」
そういう彼女は2度寝を決めてから、まだ一秒足りとも眠っていない。
理由は至極簡単な事で、眠ってしまえば、またあの虚夢を見てしまいそうで怖か
ったのだ。欲望に溺れるのはとても簡単な事で、ついその泉に足を浸してしまう
。そこまでは良い。問題は、回数を重ねれば人は必ず冒険的になるということ。
足が膝までに変わり、膝が腰までに、腰が胸までに、そしてやがて全身を泉に浸
してしまう。そうすれば、もう這い上がっては来れないのだ。
電話の無残な最後をじっくりと見た大河は、虚夢でもいいから縋りたいという欲
求に負け、再びベッドへと潜ってしまう。その中で、再び理性と欲の応酬を繰り
広げる…と思われたが、大河はある事に気付いて跳ね起きた。
「た、立てる……」
彼女が長らく麻薬のような夢の誘いに抗った時間は、決して無駄には無らなかっ
た。
動けるならば話しが早いと、いい加減な欲求を生じさせる魔の部屋から素早く抜
け出す。休止中の携帯が気になったが、振り返ればまた絡めとられそうだったの
で、ここは潔く見捨てる道を選んだ。
寝室から抜け出すと何故か開放された気分になり、思わず笑みが浮かぶ。たった
一つの夢如きで、ここまで縛られるのだから人は面白い。
眠りが苦しい人間は、重度の精神病である。その病の大半を占めるのは鬱病や精
神的外傷であるらしい。恋患いはどちらにも入らないが、重度の精神病なのだろ
うかと考える。そして、それは無いと大河は結論を出す。では、自分の気持ちは
何なのか。重度の病気なのは間違いないが、しっくり来る言葉が見つからない。
「うっ…」
大河が顔を歪ませ、腹を抱えてうずくまる。これは決して腹痛を起こしているわ
けでは無い。純粋に空腹なのだ。
大河は、自分でもこういう所は豪胆であると感じる。あれだけ泣いたのだから、
少しは食欲を失うのが妥当だろうに自分はそれが無い。なにかと飯を抜きたがる
最近の若者と比べるなら、大河はたいそう健康的であるから、この豪胆は喜ばし
くもある。だが、大河的にはすこし情けない。
食欲が性欲と結び付いていなくて本当に良かったと大河は思う。今、生物として
最大の充足を得られる原始的な欲求の二つが封じられている。夢は欲求が強けれ
ば強いほど、その明晰さを増していく。満たされずにただひたすらに増え行く性
欲を満たそうとする夢は、さらに増やしてしまうくせに明晰過ぎるのだ。
残りの食欲を満たす上で何が必要かと問えば、勿論食事だ。こんな当たり前で簡
単な事が大河の前に壁としてそびえ立つ。
高級マンションの広々とした一室を一人暮らしに使っており、そこは隅々まで掃
除が行き届いている。そんな部屋に住んでいるというのに、冷蔵庫にはジュース
と菓子類しか入っていないのだ。
食事はお隣りで用意される生活を送っていたのだから仕方がない。ついでに言う
と、逢坂家の家事もお隣りの目付きが悪い長男がやってくれていたので、大河自
身に家事の心得はあまり無い。
パジャマを脱ぎ散らかし、クローゼットから比較的動きやすそうな服を選んで着
替える。
久々にコンビニ弁当を食うのかと思うと、思わず憂いの溜息が漏れた。
290 :
【ジグソー】:2009/05/20(水) 00:24:34 ID:EK6XVojs
「あむっ」
口を大きく開けてコンビニで買ってきたおにぎりにかじりつく。小さな手に包ま
れたおにぎりは、二、三口目でだいたいは消えた。
「味がしない…」
一人で食べる食事は無味。それでも腹は膨れるのだから、取り敢えずは食べ続け
た。
最後のおにぎりを口に頬張り、お茶で嚥下する。満腹ではないが、7分目程には
満たされて空腹感はもう感じない。だが、やはり足りない。味のある飯が恋しか
った。
明日になればまた食べれる。今日だけの我慢だと自分に言い聞かせて、湧き上が
る孤独感を振り払う。
そんな大河の目の前にコツンと木の実が落ちる。上を見上げて、実を落としてき
た木を眺望する。齢三百を越えているであろうその木は、それでもまだ葉を生い
茂らせ実をならし、鳥や虫や人をも受け入れている。
ここは大河の家では無い。とある神社の境内だ。実は、大河が家を出た本筋の理
由はこちらにある。
ゴミを境内に残さぬよう、散らかしたままだったおにぎりの包装をかき集めてビ
ニール袋に入れ、さらにそれをポケットの中の財布と入れ換える。そして財布か
ら百円を取り出して賽銭箱へと投げ入れた。
(竜児、早くみのりんとくっついてよ。でないと私が狂っちゃう……)
祈る相手は神では無い。今此処にはいない竜児だ。
黄泉の船に乗るには金がいる。死者にまで金をせびるとは、神とはなんと亡者で
残酷な考えをお持ちなのか。そんな相手が数百円で願いを叶えてくれるとは思え
ない。だが、気持ちの伝聞をするだけなら百円でもしてくれそうだと思うのだ。
「たい…が…?」
心臓が跳ねる。太陽が真上に輝く時間帯。此処に在るはずの無い声だ。
振り向くと、自分の耳が正常だと判った。ちゃんと存在していた。高須 竜児はこ
うして視認出来る位置にいる。
脳の何処かでカチリと鍵が外れる音がした。
「竜児…」
無意識に手が伸びる。だが、その手が竜児に触れる事は無かった。気付いたら、
竜児は大河の手を避けて駆けて行ってしまったのだ。
「待って!待ってよ!」
慌てて追いかけようとするが、肝心の足がおかしい。地面を踏み締めている感覚
も進んでいる感覚もしないのだ。
「行かないでよ竜児。この手を掴んでよ…」
泣きながら先程のお願いの内容を思い出し、自分のした事と言っている事はなん
て矛盾だろうと笑いが零れる。
涙を噛み締めながら、それでも笑おうとする小さな虎は、誰かが支えてやらねば
今にも崩れてしまいそうだった。
>>290 とりあえずここまで。後、スレの皆さんには大変申し訳ないのですが、次回は卑猥な描写が入ってしまいそうです
>>282 >>287 両人ともすばらしい文章をお書きで、尊敬の念と、自分でも醜いと思うのですが嫉妬心が湧いてしまいます
>>291 乙でした。次回も楽しみにしてます。
卑猥だってどんと来いだぜー!
というか、謝る必要なんかないと思うのは俺だけか?
今、来た
これから日課の今日の投下分を読む。
毎晩寝る前の俺の楽しみなんだ。
作家さん達、いつもありがとう。
明日も元気でいられる。
>>287 いやいや、どこぞの作家さんかと思いましたよ
ほっこりしたいい気分で眠れそうです。GJでした
>>292 インターネットには2ちゃんねるという恐ろしい掲示板があってな
ちょっとでもルールとか形式とかから外れると口うるさく突っ掛かってくる人たちがいるとか
そういうのの予防だったり牽制だったりするためにあらかじめ断っておくのが良いとか
おお、こわいこわい
>>287 よかったです。エプロンタイガーはすばらしい。
>>287 すんごい、良かった
次回作期待してます。
>>298 あくまで携帯でっつー話だwだから俺も見れないorz
1話ifの人、エプロンの人、ジグソウの人お疲れ様です。
なんか皆面白すぎて自分が投下していいのか躊躇しちまう…
とらドラってそこらの臭いドラマより面白いよね
前親に小説みつかってキモオタって言われた
内容見てから話せや基地外め
>>301 見てから判断しろ、には同意だが、そうカッカしては駄目だぞ。はっはっは。とりあえず服を脱いで落ち着くんだ。
>>300 直接アクセスだと見れないのは当然
みせぶらを通しても無理だったがファイルシーク通してなら見れたよ
携帯で2ちゃんねるやるときは設定変更してからが良いよ
>>302 さすが北村さん
そこにしびれるあこがれるゥ
『あぶない家族?川を渡る』
「やっぱ父親ってイメージなら裕作じゃない?」
「おいおい、俺は娘を殺したりしないぞ」
「じゃあ北村先生だから、女子の前で脱ぐとか」
「それはありそうよね〜」「それだと私、ちょっと嬉しいかも……」
「それじゃ母親はばかちーだ。んで男子を誘惑するの」
「おお、むしろ誘惑されたい」「ん〜、おれカノジョ居るから微妙?」
「む……ならあんたは犬ね。高須君が居ないと大暴れ」
「おう、何の話だ?」
「おお高須。いや、ちょっとしたクイズなんだが、登場人物を俺達に置き換えてみていてな」
『ある一団が、舟で川を渡ろうとしています。
メンバーは北村裕作、川嶋亜美、能登久光、春田浩次、木原麻耶、香椎奈々子、高須竜児、逢坂大河の8人であり、
舟は1艘しかありませんが、1度に2人まで乗ることができます。
また、舟をこげるのは北村、亜美、竜児の3人だけです。
ただしこの一団、実はとてもアブナイ人達なんです。
まず北村は、亜美がいないと女子2人の前で脱いでしまいます。
また亜美は、北村がいないと男子2人を誘惑してしまいます。
そして大河は、竜児がいないと他のメンバーを襲ってしまいます。
では、何の問題もなく川を渡り切るにはどうすればよいでしょうか?』
「……俺と大河は男子・女子のカテゴリには入らないのか?」
「元ネタは父親・母親・息子2人・娘2人・メイド・犬だからね〜。てか、あたしなんか出番無しだよ」
「え〜っと……これ、解けねえだろ」
「え〜、高っちゃんなら簡単に解けそうだと思ったんだけど〜」
「いや、元ネタだと最初にメイドと犬が渡って、メイドだけが戻るだろ?
俺は大河を一人ぼっちにして放っとくなんてできねえから」
「竜児……(ぽっ)」
「「「うわ、やってらんねー」」」
《最短手数は17手》
微笑ましい
>>305 1手目で破綻、ワロタ。
昼休みとかに、おしゃべりしている雰囲気がイイね!
コメントにも個性がでてるし。
こういう仲間と和気あいあいネタ、好きですー
さて。
覚えてる人のみスマソ。だいぶ間が空いた(苦笑)
では、『1話if・8』今から開幕ですw
↓
「失礼しまーす」
ガラガラと職員室の扉を閉めて、俺は溜め息をついた。
進路調査書のことで呼び出された放課後。
既に日は傾き、横顔にさす夕日が眩しくて目を細めた。
『1話if・8』
「・・・ったく、教師まで俺の見た目に怯えるってどーなんだ実際・・・」
さきほどの、恋ヶ窪先生の態度を思い出し、また一つ溜め息をついた。
どうやら俺の高校3年間は、今までと同じ、誤解と敬遠の期間に決まっているらしい。
「全くままならねーよなー・・・」
見た目で左右される社会なんてよ。
そこまで考えて頭に思い浮かぶのは、長い髪をした人形のような小柄な女。
逢坂大河。
「そういやあいつどこいったんだか・・・」
昼休み、一つの決意を秘めて教室に戻ってきた俺だったが、その気持ちをぶつける相手、逢坂は教室にいなかった。
どうせトイレにでも行ってるんだと思い、帰ってきたら話をと席についたのだが、逢坂は5限目が始まっても帰ってこなかった。
先生も、逢坂不在に些か困惑気味だったが、問題児視してることもあり、単なるサボりと決め付けたらしい。
その間俺は、教室の出入り口をちらちらと気にしていたが、5限終了の鐘がなってもその扉は開かれることは無かった。
それから、仕方なく探しに行こうとしたら担任に呼び出されて今に到る。
「ったく。本来問題児じゃないとしたって、繰り返したら周知の事実になっちまうじゃねーか・・・」
それでなくてもあいつは既に誤解されてるわけだし。
もう一度溜め息をついたとき教室についた。
仕方ない。
今日は帰って、明日に備えよう。
今ならスーパーのタイムセールにも間に合うかもしれない。
そう思い、手をかけた扉をカラカラとあける。
刹那。
『ドッッッゴオォオォォォン!!!』
「・・・」
瞬間目に飛び込んできた光景に絶句した。
あまりにもシュールすぎて。
>>308 まず聞こえてきた大音響。
あまり耳にすることの無い、おそらくは破壊音。
ビル爆破並の。
それ自体が既に日常外であるのに、目に飛び込んできた光景が、それに輪をかけて非日常だった。
なにしろ舞っていたのだ。
机と椅子が。
普段自分達が着席し、黒板にかかれた文字を写し取る、およそ地面にあるべき造形のそれらが、軽々と重力の理をすり抜け、楽しそうに宙を舞っていた。
十数個も。
思わずあっけに取られる。
しかし、その空白も束の間。
やはり重力の呪縛は抗いがたかった。
それら浮かんでいたものたちは、神に挑んだイカロスの如く失墜し、本来の法則に乗っ取り地面へと吸い寄せられ、叩き付けられた。
そして再び起こる大音響。
思わず目を瞑り、その音に首を竦める。
「・・・」
ガラン、カラン、とその名残を響かせながら、机達はようやく沈黙した。
惨憺たる現状を残して。
「・・・な、何なんだいったい・・・」
思わず呟いた視界の隅、カタカタと揺れるものが目に入った。
「・・・掃除用具入れ?・・・こいつも飛ぶのか?」
普段ならなんだこれ!?と後退りもしようものだが、さっきまでのことがあり、頭の中はえらく冷静だった。
・・・いや。
『こいつも飛ぶのか?』とか思っている時点で冷静じやねーか。
ガッタンガッタン!!
そんな事を考えていた俺の意識が、一気に現実に戻された。
一際大きく揺れ始める用具入れ。
今になって得体の知れない怖さが込み上げてきた。
「な・・・なんなんだよ・・・」
呟く俺の目の前で大きく揺れる用具入れ。
あれか?ポルターなんとかとか言う奴か?
俺は別に霊に恨まれる覚えなぞ・・・。
「あ」
その時、ガタガタと揺れていた用具入れが揺れの限界点を超えた。
ズルッと足を滑らした人のように、床に接地していた部分が大きく後ろに跳ね上がる。
そのまま一瞬空中で停止。
そして叩きつけられる。地面に。
勢いよくぶつかった用具入れは、そのままで止まることは無く、あたかも丸太転がしのように2回転、その身体を転がした。
丁度用具入れの扉が、俺の目の前にくる位置で動きを止める。
そして落ちる沈黙。
「・・・なんだこれ・・・お?」
動きを止めていたとばかり思った用具入れがカタカタと小刻みに震えていた。
どうやらまだ終わっていないらしい。
「・・・こんどはなにがくるんだよ・・・?」
いい加減うんざりしてきた俺の目の前、用具入れの扉が、ガタンと開いた。
「・・・は?」
それだけ言うのが精一杯だった。
開いた扉の中。
その中から出てきたのは・・・。
「あ・・・逢坂さん?」
きっちりと体育すわりをしながら、コロコロと横回転しながら、逢坂大河が転がり出てきた。
>>309 「・・・」
「・・・」
暫しみつめ合いながら落ちる沈黙。
正直頭がついていかない。
依然逢坂は体育座りで転がったままだし、この教室の惨状も未だ謎のままだ。
そこで一つ溜め息をつく。
ゆっくりと大きく。
そうだ。まずは落ち着こう。
俺はきょろきょろと周りを見渡す。
そして視界に入った俺の机。
どうやらさっきのイリュージョンには巻き込まれなかったらしく、いつもの位置に鎮座ましましていた。
僥倖だ。
ちらりと傍らの逢坂へと目をやってから、俺は机へと歩を向けた。
まずは日常を取り戻そう。
逢坂の件はその後だ。
そうして机の上にあるカバンへと手を伸ばした。
刹那。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
響き渡った絶叫に、驚いて身体ごと向き直る。
その視界の中、いつの間に立ち上がったのだろう、逢坂がなにやら震えていた。
>>310 「な・・・なんだ?」
「あああああああんた、ななななになになになになにやってんのよ・・・?」
しどろもどろな逢坂。
なにやってる?
なにもしてない。
「お、俺のカバンを取っただけだが?」
「!?あ、あんたの席は隣の・・・!!も、もしかして一列間違った!!?」
な、なんなんだ?
一人で喚いて一人で納得して・・・いったい・・・うわっ!?
「まっ・・・たーーーーーっ!!!」
静止なのか?
いうないなや、いきなり逢坂が襲い掛ってきた。
最後列からここまで一足飛びなんて、ドンだけでたらめな脚力・・・え?
ガサゴソガサ・・・
「お、お前何してんだ!?」
逢坂は、飛び掛かってきた勢いのまま俺を薙ぎ倒し、流麗な動きでマウントを奪うと、そのまま俺をフルボッコ・・・にする訳ではなく、俺の隣に降り立つやいなや、机脇に掛けてあった北村のカバンを、おもむろに漁り始めた。
慌ててその手を掴んでやめさせる。
「やめろって!人のカバン無断で探るなんて、どーゆーつもりだよ!?」
「うるっさいバカ!!離せバカ!!」
暴れる逢坂はすごい力だった。
気を抜けば一気に振り払われそうで、この小さな身体のどこにこれほど・・・と、俺は内心舌を巻いていた。
とはいえ、目の前で起こる犯罪行為を見逃すわけにもいかない。
懸命に手を握り締めたまま、逢坂を怒鳴り付ける。
「離せるか!どんな理由があるにせよ、これは見過ごせねぇ!!まずは理由を話してみて、それから・・・!!」
「その理由を今から見せるから離せ!つっ、てん、のーっ!!」
「!?」
最後の3文字に入れた逢坂の力尋常ではなく、振り払われた俺は、先の牽引ベクトルそのままに、後方へともんどり打って転がった。
机に強かに打ち付けた頭が痛え。
「・・・おまえなぁ!!」痛む頭を擦りつつ、なんとか半身を起こす。
身体も痛むから、明日は打撲に悩ませられるだろ・・・う?
「あ・・・あいさ、か?」
思わず身体の痛みを一瞬忘れた。
起き上がった俺の目の前、逢坂大河は、両手で握った一通の手紙を差し出していた。
無言で。
>>311 「・・・」
「・・・なんだ、これ?」
・・・果たし状か?
思わず呟いた俺に、即座に逢坂の手刀が落とされた。
「ババババカ言ってないで受け取りなさいよ!」
ズイッと差し出される紙片。
それを手に取ると、逢坂はいきなり踵を返して扉へと歩を向けた。
「お、おい。ま、待てよ!!」
俺の掛ける声をきれいに無視して、逢坂はそのまま扉を出て行った。
その際見えた真っ赤な耳は、はたして差し込む夕日の所為なのか?
「な・・・なんなんだよ・・・」
おそらく・・・俺も赤くなってる事を自覚しつつ、手元に残された手紙に目を向ける。
可愛らしいピンクの便箋。普通じゃ使わないであろう愛らしさ。これってたぶん・・・え?
そこで俺の動きが止まる。
有り得ないものを見つけて。
「・・・なんで北村の名前が消されてんだ?」
表面に注いだ視界。
そこには『北村祐作様』と書かれた名前の上に、きれいな2本線。
その下に・・・。
「・・・使いまわしか?」
乱雑な文字で『高須竜児へ』と書かれていた。
「あいつ・・・横着しすぎだろ・・・」
思わず渇いた笑いが洩れる。
とはいえ、これは・・・だ。
ドキドキと胸が高鳴るのを押さえられない。
二三度深呼吸をして気持ちを鎮める。
そうしていざ中身を・・・と決断したその時。
「・・・え?」
綺麗な桜の花びらを形どったシール。
それをきれいに剥がしてみつめた中身。
空っぽ。
一瞬呆ける。
その後我に返り、逆さに振れど何もでない。
何度か繰り返して空しくなってやめた。
そして一言呟いた。
「あいつって・・・もしかして、かなりの・・・ドジ?」
呟いた声に答えるものは無く、俺はただ一人そこに佇んでいた。
そのままどれくらい経っただろうか?
俺は一つ溜め息をつくと、自分のカバンを肩に担いだ。
そうして、もう一度大きく溜め息一つ。
「・・・帰ろう」
惨憺たる状況の教室を直してから。
そう思いながら、俺は倒れている机に手を掛けた。
なんですかこの手に汗握る展開は!GJだお!
前スレ引っ張り出してodaAq0EgoEのif読んでみたけど
そういや大河は早々に竜児のこと好きになっちゃってたっけな
続きはまだかああああああああ!!!
続きはWebで
あんたらsagiとかhugeとか何やってんすか
作品のせいで手が強ばるのはわかるがとりあえず
服を脱ぐんだ、話はそれからだ
昼休みに休憩室で2828してるのは私ですよ?
まさかの展開ktkr
>>314 仕方ねーじゃん。リクがそうだったんだから(苦笑)
>>317 ワロタ、けど嬉しいなw
その慌てぶりがw
>>319 そういえばそうだったよーなー
続き楽しみにしてますよ
すでに日は傾き、やわらかなオレンジ色が教室に降り注ぐある日の放課後。掃除当番の竜児は既に七ツ道具を携え、既に準備万端の様相。今日はこのために学校に来たと言わんばかりの風体であった。
いつもなら「早くしろこの掃除犬」と帰りを促してくる大河も今日は「見たいテレビがある」といってそそくさと帰ってしまった。少々寂しい気持ちもあるにはあるが、今の竜児にとっては好都合。今日は眼前の敵勢力を日が暮れるまで殲滅出来るのだ。
「さぁて、この高須竜児様を掃除当番に指名してくれたからにはこの教室……覚悟はしておろうのぅ?」
不気味な笑い、見開かれた凶眼を前にクラスメイト達はそそくさと教室を出ていく。それに紛れて同じく掃除当番だったはずの者も脱走し、間もなく教室は竜児一人となる。しかし一騎当千の豪傑たる彼にとってはこれもまた好都合であった。
「さぁて……まずはホウキで……」
竜児は獲物を手にせんがためゆっくりと掃除用具入れを開く。
「ンッフッフ……むっ!?」
「この瞬間を待っていたのよ」
「なっ……!た……たい……ぐぁ!!」
掃除用具容れの中には彼の望んだ獲物は無く、代わりに竜児の婚約者、大河の姿があった。大河の手によって竜児は掃除用具容れの中に引きずり込まれ、扉を閉めた大河は周りに悟られぬようそっとギシギシアンアンしたのである。
後悔はしていない。
『キャラ弁』
「竜児、さっきからチマチマと何してるの?」
「おう、実は最近キャラ弁ってやつに興味がわいてな」
「キャラ……キャラメル?」
「何でだよ。ご飯やおかずでキャラクターの形を作る弁当のことだ」
「へー、めんどくさそう」
「それでまあ、こいつはその試作品1号だ。黄金チャーハンをベースに海苔で模様をつけた、
名付けて手乗りタイガー弁当!」
「竜児……」
(しまった!怒らせたか?)
「わ、私を食べたいなら、そんなに回りくどいアピールしなくても……」
ギシギシアンアン
《誰か作ってみてくれないかなー》
♪ジャッ ジャッジャッジャッ ジャッジャッジャッ ジャッジャッジャー♪
「ねー竜児。この缶コーヒーの宣伝に使われてる曲って何て言うの?たまに聞くけどあんまり名前聞いたこと無いわよね」
「おう。その曲はなぁ……」ジー
「な、なによ……急にそんな見つめないでよ……」
「これが答えだよ」ジー
「……??」
「俺が見てるものなーんだ?」
「わたしの……目?」
「正解!それが答えだよ」
「……どゆこと??」
「Eye Of The Tigerっていうんだ。そういや曲の感じもお前にピッタリだな。獰猛で野性的で……」
「……!!そんなことないもん!」
「言ってみただけだよ。かわいいなぁ大河は」ナデナデ
「もぅ竜児ったら……。ね、りゅうじ??」
「おう?」
「その……ね?さっきからいっぱい竜児に見つめられて……その……」
「……俺を食べたくなった、とか?」
「違うもん!いやでも食べるっていえば食べるのかも……」
「そこで真剣に悩むなお前は……とりあえず残った飯全部食って、風呂から上がったら……な?」
「……うん」コクリ
なんて会話をする日が来るのだろうか
>>324 「ツー」
「カー」
ギシギシアンアン
326 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/20(水) 21:30:24 ID:MjMPMmFC
>>326 「あ…」
「うん!」
ギシギシアンアン
こういうことか?
自分の胸に聞けって事ですね、分かります。
「えっちしよ♪」
「おう」
が、段々言うのも面倒臭くなってきたので
「…竜児」
「…おう」
となり、結局最期はツーカーになったのだ。
相手の心が分かる、以心伝心。スバラシイ!
>>328 曲はあってるんだが何なんだこれはww
「りゅうじであいうえお作文します!」
「いきなりどうした大河……」
「り!料理が上手で〜」
「……」
「ゆ!夢みたいな〜」
「…………」
「う!嘘みたいな〜」
「………………」
「じ!自慢の彼氏!!どう??」
「もう我慢できねえ!大河!!」
「きゃっ♪」
ギシギシアンアン
ふぅ……寝るか。
>>281だけど今夜は諸事情で投下できない。(待ってる人はほとんどいないかもしれんが)
明日の晩にでもトドッと投下予定。
>>312とジグソーの続きを切に願います。
「じゃあお返しにたいがであいうえお作文だ!」
「変なこと言ったら殺すわよ」
「た!ただカワイイだけじゃなくて〜」
「む……」
「い!色気もある〜」
「イロケ…………」
「が!ガールフレンド!!どうだ!?」
「…………りゅーーーじいいいい」
「おーよしよしよしよし」
ギシギシアンアン
スマン2分で書いた。
333 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/21(木) 00:01:31 ID:MjMPMmFC
>>331 ゆっくり自分のペースで書いてくれな!待ってるぜ!
>>326 「?」
「!」
ギシギシアンアン
もはやとらドラ!じゃねぇ
それ以上省略できないところまで行ったなwww
>>331 あなたの作品も投下を心待ちにしてまっせー!
>>331 なにを言うやら(苦笑)
ここに心待ちにしてる野郎がいるから、よろしくお願いねw
しかしあれだ。まとめ人さんはGJだwこの方の作品タイトルを『1話if』にしなかったから。
被らないようの配慮、痛み入ります。
そろそろSNOWも書き蓄まってきたので、近々投下予定ですのでヨロです♪
>>321勝手に続き
閉じた掃除用具入れの中。
二人は向かい合って密着していた。
「お、おい…」
「何よ。」
「何よじゃねえ。なんでこんな場所に押し込められなきゃならないんだと聞きたい。」
「……のよ。」
「なに?」
「寂しかったの!あんたと二人っきりになりたかったの!そのくらいわかりなさいよこの鈍感!」
矢継ぎ早に愛の機銃掃射を受ける竜児。至近距離で口撃を受けて耳が痛い。
「大河…」
こいつという奴は…。
目の前に見えるのは、栗色の綺麗なロングヘアと真っ赤な顔だけ。
二人の顔の距離、わずか20cm。そういえば心なしか大河の顔が近い。
…そうか、こいつ裏返したバケツに乗ってるのか。
いつもよりちょっとだけ高い大河の顔。手を伸ばせば、楽にキスだってできそうな距離。
大河のにおいがする。大河の吐息が感じられる。
無意識に竜児は大河の背中に手を回していた。
少しだけ驚き、そして穏やかな表情に戻る大河。大河もまた、愛する人の体に手を伸ばす。
心臓の鼓動まで一つになれそうな近い近い距離。その体は互いに熱を帯び、
愛する人を感じたいという欲求に駆られる。
潤んだ大河の瞳が、もう、やることは一つでしょこのバカ。と語りかける。
二人が唇を重ねるまで、そう時間はかからなかった。
そして二人の顔が近づき…
「たい…がぁぁっ!」
突如、大河の体が竜児に押し付けられ、次の瞬間、小さな叫び声と共に掃除用具入れがゆっくりと倒れた。
いてえ…。
このバカ、足を踏み外したな…。
咄嗟に大河を力強く抱きしめたおかげか、幸い怪我はないようだ。
強烈に背中が痛い。人二人分を受け止めたのだから当然だろう。
「いってぇ…」
「竜児!大丈夫竜児!?」
泣きそうな顔で大河。
「あぁ…それよりお前怪我はないか。痛いところは」
「ない…竜児ごめんね。私が変なことしたせいだ。」
「気にすんな。別になんともねえ。それよりお前、俺の上にいつまで…
竜児の唇に大河が重なる。卑怯だ。こんな体勢で。逃げられないのわかってて。
ありがとう。ごめん。大好き。全てが込められたキス。長いキス。
「りゅうじぃ…」
こんな狭い空間で密着しながらいい匂いを振りまかれてキスされて、理性を保てる
高校生がいたらぜひお目にかかりたい。
竜児も強く強く、そのちょっぴりドジな婚約者を抱きしめ、唇にしゃぶりついた。
好きだ。大河が好きだ。その体温を唇で感じたい。体全体で感じていたい。
*
ちゅぽっという艶かしい音とともに、唇が離れる。
「なぁ大河…」
「なに?」
「扉は俺の背中だ」
「うん」
「俺たち、どうやって出たらいいんだろうな」
「もうしばらくこのままで…んっ、んむっ…」
独身(31)が教室にやってきて発狂するまで、それからおよそ1,800秒を要した。
きれいな話に持ってく才能がすげえ
>>104-106書いてた者ですけど、いくら考えても大河が泣きじゃくる展開しか思い浮かばないので一旦中止しときます。
>>340 続き楽しみにしていたので残念。
いつかお願いしますね
>>341 うおお すいません
がんばって続き書きます!
>>342 おお書いてくれるのかな?
だとしたら期待せざるを得ないw
アザラシの赤ちゃんが産まれたとかより
嬉しいニュースだわ
いつかやると思った
>>345 hugeでもsageたことになるの?
不安になってきた
>>342 そうしてくれw書いてくれないと、勝手に後引き継いじゃうぞ?w
349 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/21(木) 12:46:00 ID:6U2CKd/i
大河の母親って資産家の出だっけ。あんまり家事得意じゃなさそう。大河に指導できるほどなのか不明。
弟が生まれたっていうけど、昼間ベビーシッターまかせで、大河が学校から帰ってから面倒みてるっていう
けど。
原作の後にしてもアニメの後にしても、多分すぐにアパートでべったり再開はないんじゃないかと思う。
大河は弟の面倒見ることになってるはずだからね。それで竜児が結局大河の家に時々行って手伝ったり
指導することになりそう。でも大河はプライド高いからなぁ。結局竜児がほとんどすることになりそうだw
しかし、なんつっても竜児の懐は海の如く広いし、フォローは問題ないし、大河はドジなりに進歩はするだろう。
時間はかかるけど、それは楽しいものになると思う。
そんなこんなで竜児も向こうの家の人に受け入れられて理解も深まっていくだろう。
けど、多分結婚するのって数年先になるんじゃないかなぁと思ったり。竜児が就職するにしても進学するにしても。
って全然面白くもなんともないか⊂⌒~⊃。Д。)⊃
351 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/21(木) 12:49:47 ID:6U2CKd/i
>>348 これはひどい
竜児には頑張ってもらわんと
352 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/21(木) 12:50:42 ID:6U2CKd/i
>>350 俺の妄想では大河の義父が家事もやってることになっている
親子なので似た男を婿にするという話
>>348 大河は肉の区別は付くからセフセフ。料理も竜児に習うからセフセフ。
ブロッコリーとカリフラワーの区別は…問題ございませんですのよ
トラの世話をしたイヌが事故死というニュースをみて
真っ先にとらドラが頭をよぎった
イヌはモンスターという名前らしいけど
真っ先に竜児の顔が頭をよぎったw
こういう作品って主人公は嫌われがちだけど
竜児はすごい好かれてるよな
アニメの好印象グラフでも常に上位だし。
俺も大好きなわけですがw
最近手料理が楽しくてたまらんw
昨日は豚の角煮作ろうと思ってブロック肉買っておいたら
オカンに先を越された…orz
>>355 そんなものがあるんだ
竜児は少しヘタレだけどいい奴だよな・・・
>>354 世話をしていて、事故死したイヌは、オスだったんたよな。
トラのあかちゃんの世話は、娘イヌに引き継がれた、、、って、
なんかお話になりそうだな
>>353 こんなところに、さ○こが・・・
>>348 あれ、俺がいるwww
これ途中まで不幸のバッドエンド大全(竜虎編)
を見てるのかと錯覚したわ。掛け合いのところとかな。
>>340 自分も続き楽しみです。頑張って下さい〜
「りゅーじーご飯まだぁー?」
「ビーフシチューだからよく寝かせたほうがうまみが出るんだ。少し待てって」
「ビーフシチュー?やったー♪まったく早くしないさいよね」
最近竜ちゃんが構ってくれない。
原因はアイツ。毎日毎日うちに入り浸って、馴れ合い関係を作ってるチビ。
しかも最近、遂に付き合い始めたと言うではないか。
一応愛想よくはしているが、表面だけ。なめるなよ。
昔は良かったなぁ。学校から帰ってきたらすぐに構ってくれて、綺麗にしてくれた。
なのに、最近はあのチビのせいでろくに構ってくれやしない。
朝起きたと思えばすぐに起こしに向かい、飯を食ったらすぐお出かけ。
なんなの?なんで?しかも近々うちで同居するような話もあがってるようだし?
忌々しい子虎め。私から竜ちゃんを奪っておいて私をまるで邪魔者のような目で見てくる。
最初は竜ちゃんの事を犬呼ばわりしてたくせに、今となっては暇さえあればギシギシギシギシ。
大体あいつはツンデレとかいうレベルじゃ…あ、竜ちゃんが来た、ご飯かな。
「ほーらインコちゃん。ご飯ですよー」
「メ、メ、メシ、メシウマー!」
「おうっ…どこでそんな言葉を…」
>>360 インコちゃんwwwwwww
ぜひ後藤(弱)さんの語りでwwww
>>281続き
***
やってきましたプールの時間。
しかし逢坂、恐れるものは何もないぞ。
俺はそう思いながら日影に座っていた。
「あ〜?こんな所にいたぁ♪高須君みっけ♪」
「ん?川嶋?……ってうお!?」
振り向いて驚く。
川嶋が着ているのはビキニだった。
っていうかそれ、学校の授業でOKなのか?
色は一応黒のようだが……。
「ねぇ?どう?」
川嶋は少し胸をよせるようなポーズを取る。
腕は逢坂ほどではないにしろ、白く細い。
長い髪も三つ編み状にしてまとめており、普段なら見えないうなじが良く見える。
足も長く小さな水着で必要最小限な部分しか隠されていないその肢体は何かのお手本のように綺麗で、さすがはモデルといったところなのか、着こなし、スタイル共に抜群だった。
「おぅ、すげぇな。流石モデルだなぁ」
俺は思ったままのことを言うが、
「……なーんか違うのよねぇ」
川嶋は眉をひそめ、満足しない。
「ん?どうした?」
「ううん、なんでもないの。それより高須君、前から聞きたかったんだけど、逢坂さんと高須君って付き合ってるの?」
「おぅ……おおぅ!?なんでそうなる?あいつとはそんなんじゃあ……」
「え〜?この前逢坂さんも似たような事言ってたけど、どう見てもそう見えるよぉ」
「そうか?違うんだけどなぁ。まぁ一緒にいる時間が多いからそう見えちまうのかもな。ハタから見たら確かに変かもしれねぇ」
「かも、じゃなくて絶対変」
川嶋の語調がきつくなる。
「川嶋……?」
「付き合ってもいない女子とそこまで一緒にいて、かといって他の女子に手を出すわけでもない。変だよ、そんなの。高須君は本当に今のままでいいの?」
川嶋はやけに真剣だ。
「……どういう意味だ?」
「きっと……高須君は逢坂さんと一緒にいたらおかしくなる。今はまだいいよ?でもそのうちきっと上手くいかなくなる。だって好きでもないんでしょ?だったら……」
「何話してんのよバカチワワ、略してばかちー」
急に逢坂が会話に割り込んできた。
逢坂は頭を二つほど団子にして纏め、まるでミッキーマ●スのような出で立ちだ。
途端、周りから小さい歓声が上がる。
「おおー!!タイガーの胸、去年と比べて結構あるぞ」「やっぱ俺タイガー派だ……」「一年でよくぞそこまで……俺、感動!!」
しかし、負けじと別の歓声も。
「いやいや亜美ちゃんもすげぇぜ」「グラマラス!!」「天女だ……」
男子はどんどん盛り上がり、そのうち誰かがポロっと呟く。
「泳ぎはどっちが上手いんだ?」
その一言でトトカルチョが始まった。
本人達は競争するなんて一言もいっていないんだが。
しかし、そんな俺の心の声を感じたのか、
「逢坂さぁん?じゃあ勝負しましょうか?」
川嶋が切り出す。
「ハァ?アンタ寝てんの?何で私が」
「おやぁ?負けるのが恐いんだぁ?」
「んなわけないでしょ!!アンタなんか片手で一ひねりよ!!」
安い挑発を高い買い言葉で買うやつだなぁと思う。
「じゃあ決まりね。私たち選手がトトカルチョに参加するのもアレだし……そうだ!!私が勝ったら商品として夏休み中に高須君が私んちの別荘に来るってのはどう?」
「「はぁ?」」
何言ってるんだコイツ?
「何言ってんだばかちー?」
「あらぁ?だって二人は付き合ってないんでしょう?ならいいじゃない?」
そういう問題か?
「………………」
いや、お前も突っ込め。
っていうか、俺に拒否権はないのか?
***
「……何で逢坂さんビート板なんてもってるの?」
「私泳げないから」
「あらぁ?そうなのぉ?でも手加減は出来ないからごめんねぇ♪」
何でこんなことになったんだ。
川嶋が勝てば俺は何故かしらんが夏休みに別荘とやらに連れて行かれるらしい(強制)
逢坂が勝てば今までどおり……らしい。
一応聞いた俺の拒否権は、その場にいた男子によって切って捨てられた。
曰く、羨まし過ぎる状況で何贅沢言ってんだ、だそうだ。
「じゃあ僭越ながら私がジャッジを」
櫛枝が前に出て、合図を出す。
「よーい……どん!!」
途端に泳ぎだす両者。
勝っているのは……なんと逢坂の方。
あいつは泳げぬかわりにめちゃくちゃ足の力が強いみたいだ。
というかビート板使ってあそこまで泳げるのに本当に泳げないのか?
「あっ!?」
だがそれもすぐに止まる。
どうやら足をつったらしい。
苦しそうに水中でもがく。
ズキンと……胸が痛んだ。
気付けば、俺はプールに入っていた。
と、同時に川嶋が嫌な笑みを浮かべながら抜いていく。
「大丈夫か!?」
「くっ離せ!!まだ行ける!!」
「でもお前、足が……」
「うるさい!!アンタのためにやってやってんのよ!?感謝して送り出しなさい!!」
真っ直ぐな瞳で見つめられる。
そうか、そうだな。
俺のためにがんばってくれてるんだもんな。
「よし、わかった。ほら行けっ!!」
俺は逢坂の背中を押して、先へと進ませた。
がんばれ、と心の中で一言。
「おい、押すなよ」「うわぁ!?」
へ……?
ガゴン!!!
衝撃が頭に奔る。
どうやらヒートアップした奴等がプールにもつれて飛び込み、俺にぶつかったらしい。
意識が沈んでいく。
ヤバイ、体が動かない。
ああ、周りの奴等の喧噪が遠くなる。
っていうかあいつ等俺に気付いてないのか。
(……うじ)
ヤバ……も、ダメ……。
(……ゅうじ!)
あれ……?声……?
(……りゅうじ!!)
あい、さ……か……?
***
頭がぐわぁんぐわぁんする。
ぼやけてよくわからない。
瞼が重い。
まるで体全体が鉛になったように動かない。
ふと、お腹に重みを感じた。
「……して、気付いてくれないの」
何か言っている。
あぁ、暖かい。
「みんなバカばっかりだ、ばかちーのビキニなんかに気をとられて」
知ってる。
この声は、この暖かさは、この重みは。
うっすらと、少しだけ開くことができた瞼の奥にある眼球は、やっぱりあいつを捉える。
俺のお腹に乗って顔を伏せ、崩れてちりぢりになった髪にも構わず、誰も寄せ付けぬように威嚇しながら、
「竜児は私のだぁーーっ!!誰も触るんじゃなぁーーいっ!!」
泣き叫ぶ。
誰も寄るなと暴れ尚叫ぶ。
そんな様を網膜に焼き付けて目を閉じ、ああそうか、と安堵した。
あいつにとって俺はその他一般ではなく、他の奴に触れられたくないほどの存在。
あいつの中で俺の地位がそこまで上がっていることに、心が震えた。
泣きそうだった。
かつて、俺のような目つきの悪い奴にここまで思いをよせてくれた奴がいるだろうか。
俺と普通に話してくれた、いや対等に話してくれた奴がいるだろうか。
例えば櫛枝は確かに俺と普通に話してくれた。
でもそれはクラスメイト、あるいは知り合いと友達の狭間であって、なにがしかの関係ではない。
別にそれは構わない。
普通はそうなのだから。
だが、こいつはどうだ?
俺の傍で対等に、そう、対等に俺を見てくれて、俺の為に泣いてくれている。
初めて会った日に殴られて、たまたま会ったあいつの為にご飯を作ってやるようになって。
俺にとってそうであるように、逢坂にとっても、俺はお前の日常にかけがえのない奴になっていたんだな。
***
やってしまった。
どうしよう、何て顔して竜児に会えばいい?
自分でも何であんな事を言ったのかなんてよくわからない。
ただ、自分以外の人間が竜児に近づくのが許せなかった。
時折浮かぶ竜児の笑顔。
鼻についた汚れを拭き取ってくれて、しょっぱいクッキーを食べてくれて。
そんな事を思ってたらいつの間にか放課後になった。
私はあれから一度も保健室には行かなかった。
顔が合わせずらい。
「こんなとこにいたのか」
「えっ!?」
振り返るとそこには今日の重傷人、保健室にいるはずのあいつがいた。
「竜児……」
「おぅ」
「な、何しに来たのよ!!アンタが傍にいると、か、かか勘違いされるじゃない!!」
何言ってんだろ、アタシ。
「……まぁ、そうだろうな。イヤか?」
何言ってるんだろ、竜児。
「べべべべ、べつに、イヤっていうか、きき気になんかしないけど」
「そうか、ならいいじゃねぇか」
そう言って竜児は私の隣に並んだ。
***
「いいって……何が?」
逢坂が、顔を赤くしてこちらを視線だけで見上げ、伏せて、また見上げる。
まるで怯える虎のように。
「お前は大河、タイガーで虎だ」
「だから?」
今まで散々言われてきたことだろう。だから……。
「昔から虎と並び立つ者は竜と決まってる。俺は竜児だ、だから竜になる」
「な、何言って……」
「だから、俺は、お前の物としてじゃなく、お前と対等な者としてお前の隣にいられるんだ、あい……たっ、大河!!」
暖かい風が髪を、頬を、体を通り抜ける。
飛行機雲が二本空を彩る。
まるで今の二人のように並んで空にその存在を知らしめる。
「あ、アンタ今大河って……え?私名前で呼ばれた?」
ぶわぁっと大河の顔が赤くなる。
「おぅ」
「〜〜っ///」
「大河?」
「っ!!ずぅずぅしいにも程があるわこのバカ竜児っ!!」
ガンと一発回し蹴り。
「痛っ!!お前なぁ……まぁいいか。今日はいいや」
「なっなによ!?言いなさいよ!!」
じゃないと恥ずかしくて死にそうなんだから!!とでも言いたげだ。
だからこそ言わない。
俺からのささやかな反撃。
「いや、お前いつにも増してテンパってるっていうか、隙だらけだから……まぁ今日は何も言わないでおいてやるよ」
「〜〜っ!!」
「さて、帰って飯作ってやるよ、何がいい?」
俺は、やっと登り終えたのだ。
大河と対等になって出逢う為の坂を。
***
「大河だって……」
ぐふふふ……あっと、いけないいけない。
でもニヤけちゃう。ぐふふふ。
竜児の家でご飯を食べて帰宅し、布団に入って数分。
ごろごろと何度も寝返りながら体中から起きるくすぐったさに震える。
あいつは私のことを「大河」と呼んだ。
私を対等だと言った。
自然とニヤけてしまう。
ああ、どうしようこれ。
ってあれ?まてよ?前に何かで見たけど確か、女の呼び方を男が変える時、それはそいつが好きだっていう意味じゃなかったっけ?
ボワァッっと顔が火照る。
え?え?え?
つまり今日の竜児のアレは告白ってこと?
どどどどどどどどどどどどどどどうしよう?
いや、おおおおおおおおおおおおおおちつこう。
そそそそそそそそそそそそうよ、まずは考えるのよ逢坂大河。
万が一にもここをドジるわけにはいかないわ。
大体今日の竜児、わりと冷静だったじゃない。
そうよ、私に隙だらけなんて言って……ん?
隙だらけ。
すきだらけ。
好きだらけ。
好きなところだらけ。
…………なんてこと!?
どうして私気が付かなかったの!?
またやらかしちゃったわ。
今すぐ竜児に会いに行かなくちゃ!!
***
「これで良し」
日課の部屋掃除を終え、時計を見る。
「もう結構遅いな。風呂入って寝るか……おぅ?」
机の隣にある本棚。
その一番下の段にダンボールがある。
あるのはいいのだが……。
「埃が落ちている……許せん!!」
綺麗に、舐め取るように、拭き取ってやろう。
そう思って手を伸ばし、とあるノートに手が触れる。
「あ……これ」
懐かしい、というほど時が経つわけではないが、少し前、なんとはなしに書いてみた詩を集めたノート。
それも櫛枝への。
急に恥ずかしさが胸を襲う。
なんてものを書いたんだ俺は。
ペラペラとページをめくり、しかしこのノートにはまだまだ空きがある事に気付く。
MOTTAINAI精神を持つ竜児としてはこれは見過ごせない。
かといってこれを普段使う気にもなれない。
「久しぶりに何か書いてみるか……」
机に整頓されたペン刺しからシャープペンを一本を抜き取りノートに向かう。
何というか……照れる。
書こうにも、思いつかない。
そもそも、俺は何を書こうとしてるんだ?
『竜児は私のだぁーーっ』
ふと、今日の出来事が頭をよぎる。
俺はすでに櫛枝が好きなわけではない。
あれは、俺と話してくれる櫛枝への憧憬。
でも、大河が好きかと聞かれると……どうなんだろう?
確かにあいつは大事だしほっとけない。
でも好きかどうかは……。
そんなことを考えていたせいか、ノートにはいつの間にか文が形成されていた。
『ああ大河、大河よ大河、ああ大河』
「何だこれ……?」
俺は何を書くつもりだったのやらの気でありますか。
「……風呂入ろう」
そうしてすぐに風呂に入ることにした。
しかし、この時竜児は気付かない。
知る由も無い。
自分がかつてこのノートを書く時、今日ほどスムーズかつ思いのままに文を書いたことが無いことに。
そして、もう一つ。
バン!!
「竜児!!」
珍客?が来ることに。
***
とりあえずここまで。
ドドッてほどでもないがまぁ連投規制もあるし続き明日の晩で。
しかしようやく書きたい所にたどり着いた。
>>336 ありがとう。あなたのIfも楽しみにしている。
他にも楽しみにしてると言ってくれた人ありがとう。
最近反応薄いからあんまりウケてないかなーとか思ってた。
ホントいいスレだ。
>>360 泰子かと思いきや……おもっきしふいたw
>>369 なんでこんないい所で…!
続き楽しみにしてまっす。
>>369 うんうん。毎晩楽しみにしてますよー
書きたいところってのがこれまたwktk!
しかし憎いのは連投規制・・・何度それでお預けをくらったことかw
連投規制厳しい人がいたら、言ってくれれば代行するよ
俺にはそれくらいしかできない…
374 :
【ジグソー】:2009/05/22(金) 01:10:39 ID:TQ9prXFg
>>225-226の続き
恋は天使の面と悪魔の面を持っている。そして、その面は裏表の関係には無い。
所々で僅かなズレを含みながらも重なっている。
世間一般では、恋とは微笑ましいものとして大事にされている。それは、恋の真
理を美しい物として捕らえたいが為の欺瞞。金魚掬いで赤い金魚ばかり狙ってい
るのと同じ事。黒い金魚も認識しているのに脳内でその存在を消しているのだ。
目を凝らすなんて疲れる事はしなくていい。受け入れるなんて重い事でもない。
漠然と捕らえるとか難しく考えなくていい。
恋をした時に自分の素直な気持ちを何処かに血反吐と一緒に吐き出してみればい
い。赤の背景に輝くダイヤと煌めくナイフが散らばる筈だ。此処で自己欺瞞なん
かした奴は天使に堕ちればいい。
天使は温かいスープを差し出す。
悪魔は喉を焼くようなワインを差し出す。
人はどちらも有り難く受け取る。だが、飲み干すときまで同時には出来ない。ど
ちらを先に飲み干すかで。或いはどちらの欲求に堪えるかで人の恋は動く。
竜児は、先にスープを空にしてしまったようだ。
感情の酔いに流されるままにふらふらと大河の家に来てしまっていた。鍵が開い
てる保証なんて何処にも無かったのにだ。自分でも莫迦だと思う。だが、耐えら
れなかった。
神社で見つけた大河の様子がフラッシュバックする。竜児はその時ジョギングを
していた。別に運動の習慣があるわけでは無い。ただ、疲れ果てたら何も見ずに
眠れると考えたからだ。
あの時、竜児は伸ばされた手から逃げた。本音を曝すと、心まで掌握されそうで
怖かったのだ。あの可憐で百合のように白く滑らかな小さな手には、そんな広さ
があるように見えた。
だが、触れられずとも、心はがっちりと掌握されていた。
もっと近くで自分の名を呼んで欲しい。あの柔らかそうな唇に吸い付きたい。あ
の手で身体に触れて欲しい。あの身体を抱きしめたい。そしてなにより自分の証
を刻みたいという欲求がどろりとした液体となってとめどなく溢れ出し、それら
が氾濫するのを止める術がなかった。
気がつけば、竜児の手は寝室のドアにかかっていた。この先にいけば、自分がど
う暴走するかは予想がつく。その恐怖に初めて竜児の動きが止まる。
だが、所詮それは止まるだけだった。こんな小さな恐怖心では、今の竜児を引き
返させるまでには達しない。やがて、その恐怖も薄れ、手がゆっくりとドアのぶ
を回し始めた。
375 :
【ジグソー】:2009/05/22(金) 01:11:20 ID:TQ9prXFg
寝室へ足を踏み入れた竜児は一歩目でいきなり体勢を崩し、危うく膝を着きそう
になった。寝室は大河の匂いと存在が強すぎた。入る前から限界までいきり勃っ
ていたアソコが、それを感じた瞬間に一気に弾けてしまったのだ。
一度イキはしたが、今の竜児の欲はそれきりでは治まらない。寧ろ肥大したよう
であった。
未だに勃ったままのイチモツをズボンから出し、それを強く握りしめたまま大河
へと近づく。
ベッドですやすやと眠る大河は、この暗闇の中でも大河自身が発光してるかのよ
うにはっきりと認識出来た。甘い匂い、絹のような髪、描かれたかのように調っ
た眉、つぶらな瞳、愛らしい口、コットンのような肌、細い指……。大河の全て
のパーツと存在が此処に来てさらに竜児の興奮を上げる。
(…大河!)
イチモツを握る手に力を込め、力任せにしごく。気持ち良くなるための自慰では
なく、貪欲な欲望に駆り立てられた自慰。
もう片方の手はそっと大河の胸に添えられた。大河の熱と鼓動と柔らかさを感じ
る。
(ああ!大河!)
手の動きがさらにさらに激しさを増す。快感が荒れ狂う波となって脳にぶつかる
。
左手が無意識に大河の乳房と乳首をなでる。あくまで起こさぬように優しく。感
覚的には綿を潰さないように握る感じで優しくだ。
「んっ…んんっ…ぁっ」
大河が漏らすその声で二度目の絶頂を迎える。それでもまだ性欲は治まらず、ま
だドクドクと精液を吐き出すイチモツを尚しごく。今までよりも強く乱暴に全て
を搾り出そうと己の手が動く。
「んっ…りゅうじ……」
甘く切なく刻まれた自分の名に興奮が限界点の限界を越える。致死量の快感が身
体の末端の末端、爪の先にまで走る。
(大河ぁぁぁあ!)
三度目の絶頂で、大河のベッドへ倒れこむ。イチモツから溢れ射出る精液は、三
度目だというのに今まで一番濃く多い。
息を荒げながら思う。最高であったと。襲い来る快感も背徳感から得る興奮も放
出される精液の勢いも。そして、この心に大穴が開いてしまったかのような虚脱
感も。
「大河…大河…大河……」
鳴咽を漏らしながら何度も何度も名前を囁き、無理を利かした右手と胸の痛みに
慣れるまで長い時間動かなかった。
>>369 頑張って!期待してるよ
>>348 「…………」ワナワナ
「どうした?大河。顔色悪いぞ?」
「…………えて」
「ん?なんだって??」
「あたしに料理教えて竜児」
「おう?……いいけど……どうしたんだよ急に?」
「これは幸せ家族計画よ!餃子の入った味噌汁なんて食べたくないもん!」
「言ってる意味が……分からんのだが」
「良いから教えて!あたしと竜児の未来のためなのよ!」
「……お、おう」
こんな感じで誰か続き書けんだろうか。リレーでも良い。神が居られるならそれでも構わない。料理を教わってドジりながら頑張る大河が見たいんだ…。
>>375 とりあえずここまで
今回は自分でも説明としてどうかなぁと思いました。伝えたいことだけに纏めると、竜児君が大河の家に不法侵入してハァハァしたという事です
このスレのSSを読むだけで私の息子が立ち上がったんです(22歳 東京都)
>>378 邪魔してしまったかと思ったがギリギリセーフらしい。すまんかった。結構期待してるんで今後の展開を楽しみに待っています。
作品を読んでいると自分の10代もストレート過ぎる性欲を持て余して大きな後悔をしてしまったなぁ…と当時をフラッシュバックさせられます。この竜児みたいに不法侵入ハァハァすることは無かったが……余計な話スマン。
>>376 「えーっと、教えるといってもどこから……
とりあえず食材はわかるよな」
「それはまあ、竜児と一緒に買い物してるしね」
「そういえば調理実習でクッキーは作ったし、ごくたまに俺の簡単な手伝いならしてるし、
まるっきり料理が出来ないわけじゃないいんだよな。ドジなのと大雑把なのが問題なだけで」
「ドジで悪かったわね」
「そうなると、やっぱり必要なのは経験か。
これからうちで食事する時、どれか一品だけは大河が作ることにしよう。俺は口は出すけど手は出さないから」
とりあえずここまでー。
誰か続きおねがい。
383 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 09:25:58 ID:zXskrc5f
>>381 むしろバイバイさるさん回避になるから割り込みまくった方がいいんだけどね
384 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 09:26:49 ID:zXskrc5f
>>378 「最低だ…俺って」(碇シンジ)ですねわかります
385 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 12:35:26 ID:EXJDz3XM
おっとヤスの悪口は
まぁいいか
俺は3種どれでもいける
強いて選ぶなら作画がいいときのアニメ
ざっと読んでみたんだが、ここはエッチな話もいいのか?
アニメは正直生理的に無理だったなぁ、主に顔が
ヤスと絶叫は好きなんだが
390 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 15:12:09 ID:zXskrc5f
ラノベ原作はまずアニメから見た方が良いと言う説
高須家の朝の挨拶はキスから始まるという説
391 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 15:13:00 ID:zXskrc5f
392 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 15:14:28 ID:zXskrc5f
>>386 絶叫絵でも哀れ乳なんだね
おやどこからか木刀を振り回す音がピチューン
ある日
>>392の靴箱に
手紙が届きました・・・
_____
/ ヽ____//
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/ 夜道に気をつけろ / / /
/ 2−C 高須 / / /
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竜児がグレるのが読みたくなってきた…
何方かお願いできないものか。
アニメ→(コミック→)原作の俺に言わせてくれ
この順だとさして絵や話の微妙な違いに不満を感じるでもなく、
より細かな描写と脳内画像再生でイメージ浮かびやすくて二度おいしい
と思う
出会いは人それぞれなんで、どうしようもないことではあるけど。
あとスピンオフも読むとさらに楽しい
北村が完全にぶっ壊れるとこ見てみたいのは俺だけだろうか?
>>396 それはシリアスとしてかギャグとしてかで大分変わるからなぁ。
てか、原作北村でも一度壊れたじゃないか、金髪にして。
>>388 なるほど。確かにこの板にあってるな。
それ以上のはゆゆこ板いけってとこだな?
>>378 おっきっきした。
竜児のナマが素晴らしい。迸る10代!!
>>394 はい。
↓
ある朝、竜児は髪を金色に染めて現われた。
「・・・なに竜児、その頭・・・?」
「言うな大河。俺はもう真面目に生きるのをやめたんだ」
「はあ?」
「いつまでもヤンキーヤンキー周りの奴等は言いやがるし、もううんざりだ!だからもう、そいつ等が望むように本物のヤンキーになってやるんだ!」
「・・・はぁ」
「クックック・・・これからは遅刻もするし早退もしてやる。早弁だってしてやるぜ!」
「・・・(こいつの中の不良像って・・・)」
「だから大河も俺の傍にいたら・・っと、ちょっと待ってろ」
「?」
「・・・よし。いや空き缶が落ちてたんでな。片付けてきた」
「・・・うん」
「で、だ。お前も俺の傍にいたら一緒に・・・あ、ヤベ!」
「?」
「っとあぶねーあぶねー。コーラお前等。ここは車通りが多いからボール遊びしちゃダメだろ?ほら泣くな。怪我しなかったんだから良かったじゃねーか。な?
よーしよしいい子だ。じゃこれからは気をつけるんだぞ?おう!じゃあな!・・・っと。いやー今のは危険だった。飛び出すのが一歩遅れてたら事だったぜ」
「・・・うん」
「で、なんだっけ?あーそうそう。一緒にいたらお前も変な目で見られる・・・あ、お婆さん。手荷物重そうですね、信号渡るまで持
ちますよ?いえいえ、遠慮なさらず。そんな普通ですよ。お礼なんていりません。あ、大河ちょっと待ってろな?」
「・・・うん」
「え?あ、ええ、ま、まあ彼女・・・なんですけどね。え!?そ、そんないい彼氏とか照れるのでやめて下さい・・・。はい。じゃお気をつけて。はいありがとうございます」
「・・・」
「いやー・・・可愛らしい彼女ね、なんていわれちまった。いい人だなーあのお婆さん」
「・・・うん」
「うーん。朝から気分いいな。あーそれでな大河・・・」
「竜児」
「ん?」
「あ、明日さ、グスッ、か、髪・・・染め直しにグスッ・・・いこ?」
「な、なんだよ大河!?泣くほど俺が不良になったのが悲しかったのか?わ、悪かった!よ、よし明日行こうな!な!?」
「(不憫すぎて泣けてきたのよ・・・)」
竜児高校デビュー失敗w
401 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 19:52:13 ID:nPsV8RFJ
>>400 可哀想で泣く大河ってのは珍しい(w
昔見た「殺したい女」って映画を思い出したな。
大河のおっぱいマウスパッドが欲しい
ふつーのマウスパッドに大河絵貼り付ければいいんじゃね?
哀れだから。
405 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 21:08:18 ID:APZIziRF
>>400 おぉ、やっぱりリクエストってしてみるものなんだな。
ありがとう、最後大河に萌えたw
教室
「なんですって! 誰に向ってそんなこと言ってると思ってるのよ!」
「だって、そうじゃないか! 大河が悪いんだろ!」
「アタシのどこが悪いって言うのよ! もう一度言ってみなさいよ!」
「何度でも言ってやるよ! 大河が悪いんだ!」
「ムッキーー! もうアンタなんかと口も聞きたくないわ!」
パーーーーーーーーーーン。
朝の突然の出来事である。教室中が竜児と大河の方を向き、静まり返っている。
さすがの春田もあまりの言い合いに、ものを言うこともできず呆然と眺めているだけだ。
ドスドスドス。ガタ。ドスン。
ふくれっつら大河は、ドスドスと音を立てて自分の席に戻ると、腕を組んで椅子に
どっかりと腰を降ろした。そんな大河の所に櫛枝が様子を伺いながら寄って来る。
「た、大河? ねぇ、どうしたのよ?」
プ〜っと膨れたまま、親友であるはずの櫛枝をもキッっと睨みつけるつける。
「なんでもないわよ!」
「大河〜…」
何を話し掛けても聞こうともせず、とても冷静に話しができる状態では無い。ただ、
腕を組み、目をとがらせて、プ〜〜っと膨れているだけである。
一方平手をくらい、頬を押さえている竜児の方には、仲の良い春田と能登が駆け寄っていた。
「ちょっとちょっと高っちゃんどうしたっていうのよ?」
「あぁ、何でもない」
「何でもないこと無いだろ? 今回はちょっと様子が違ったじゃないか」
「いいんだ、大河なんか! 大河なんか!」
心配して事情を聞こうとするが取り合おうとしないので、どうしたものかと顔を見合わせる2人。
「それよりさ、春田。今日泊めてくれないか?」
「え? 別にいいけど…いいの?」
「何が?」
「タイガーの事だよぉ、あのままでいいわけ?」
「なんで大河の事なんかが出てくるんだよ。関係無いだろ!」
大河の名前が出たとたん、声が大きくなる。
「う〜ん…なら別にいいんだけどね」
ハァと溜息をつき、顔を見合わせうなだれる春田と能登。
休み時間
竜児はトイレに行く為に、教室を出ようとする。その時廊下から歩い
てきた大河と教室の入り口で鉢合わせになってしまう。
「た、大河、ちょっと…」
お互い譲ろうとせず、向き合ったままの状態になってしまったので、大河の後ろに
付いてきた櫛枝が、大河を引っ張る。しかし、大河も頑として動こうとせず、竜児を睨み付ける。
「どきなさいよ!」
「フン!」
竜児は、道を譲りはしたものの顔をそむけ、いかにも通してやるぞという態度で、
ぎりぎり大河だけが通れるだけの隙間を開ける。
「なによ! その態度は!」
ダン!!
大河は、体重を乗せて竜児の足を踏みつけ通り過ぎる。
「い、痛ってーーーーーー! なにするんだよ!」
教室中が、再び沈黙し、2人の様子をハラハラしながら眺めている。
「アンタなんかには、それがいい薬よ!」
「そんなことばかりしてるから、手乗りタイガーなんて言われるんだよ!」
「な、なんですってーーー!」
まさしく、一触即発の雰囲気で睨み合う2人を、あわてた北村と櫛枝が急いで
引き離し、連れ去っていった。
「おい高須、どうしたんだよ。おまえがここまで言うのも珍しいじゃないか」
「たまにはきつく言わないとあいつにはわからないんだよ」
「しかしなぁ…」
「いつもいつも、俺が謝ると思ったら大間違いなんだってことを教えてやる!」
「はぁ……」
どうしたものか、北村は悩むが対処のしようが無い。同時刻、櫛枝も大河の側で同じように悩んでいた。
昼休み
「竜児! お弁当よこしなさいよ!」
弁当は竜児のカバンの中にあるので、仕方なく取りに来る。2人が接触したので、教室に緊張が走る。
「うるせぇな。ほしいなら勝手に持って行けばいいだろ!」
「う、うるさいですって! 誰に向ってそんな口聞いてるのよ! そう、それなら
勝手に持って行くわよ!」
そう言うと、竜児のカバンを机の上に置きガバっと開ける。弁当を無造作に取り出し
て去って行こうとする。
「ちゃんと元の場所に戻せよ!」
「フン! うるさい!」
「自分でカバンを開けたんだろ! 机の上に置きっぱなしだと邪魔だろ!」
「アンタのカバンになんか、触りたくもないわ!」
なんとか、仲裁に入ろうとする北村、能登、櫛枝。しかし2人の間にピリピリと
緊張が走っていて、間に入るタイミングが無い。
「もういい! 今度からお前の弁当なんて作らないからな!」
「ええ、結構。アンタなんかに作ってほしくなんてないわよ!」
その後は、話をするどころか、顔を合わせようともしなかった。
春田と能登、そして櫛枝はどうしたものかと、昼休みに相談したが、原因がわから
ないので、対処のしようが無い。結局、今日春田の家に泊りに行く竜児からは、
春田が事情を聞き出し、大河からは櫛枝が事情を聞き出すということになった。
帰路
ムカムカムカ…。なんなんだよ、大河なんか! いつもいつも俺が謝ると思った
ら大間違いだからな! 大河から謝ってこないと、今回は絶対許さねぇ!
ムスッっとして下校して行く竜児の横に、春田と能登が付いて歩くが、なかなか声が掛けれない。
「高っちゃん、家の人には俺の家でおとまりってちゃんと言ってあるの?」
なんとか、話すことを考え付き、話し掛ける春田。
「おう、ちゃんと言ってあるよ」
「そっかぁ。でもいいの?晩御飯の用意しなくても」
「かまわない。 たまには大河が自分でやればいいんだ!」
「そ、そっか…」
いつに無い竜児の剣幕(あるにはあるが)に、引いてしまう春田。気まずい雰囲気の中、3人で下校し
ていたが、春田と能登の家を分ける分岐点まで到着する。
「じゃあ、俺はこっちだから。後はよろしくな、春田」
「わかってるよ〜。また明日ねー」
能登は心配しながらも、家路についた。
「(う〜ん…聞き出すとは言ったものの、一体どうやったら…)」
能登がいなくなってから、春田は足りてない脳みそをフル回転させる。同じ様に、同じ頃櫛枝も弱音を吐いていた。
「(はぁ、どうしたらいいんだろ…)」
そこへ、注文した2人のパフェが運ばれてきた。
「大河…それは、あまりにも大きいんじゃ…?」
運ばれてきた特大パフェを、ほっぺたにクリームをつけながらパクパク食べだす。
まさしくヤケ食いとしか見えない食べかたであった。なんでもおごるとは言った櫛枝
だが、自分の財布の中身を心配気に眺める。
「大丈夫よ。ちゃんと自分の分は自分で払うから心配しないで」
そんな様子を見た大河は、クリームをいっぱいつけた顔で櫛枝を安心させる。
「いいわよ、おごるって約束だし。それより、高須くんとの喧嘩の原因教えてくれない?」
「パクパク。なんでもないわよ。パクパク」
「そんなはずないでしょ、あれだけ大喧嘩してたんだから。」
「もぅ、アイツの顔を思い出したら、マズくなるわ…やめましょ、こんな話」
必死で事情を聞き出そうとするが、大河は全く取り合わず、目の前の特大パフェを
食べることに専念している。
「パクパク。あー、やっぱりここのパフェが最高ね! パクパク。竜児の弁当
なんかとは大違いだわ!」
「あまり比較する物じゃない…と思うけど」
普通サイズのパフェを食べるダイエット戦士の櫛枝は、わけのわからない比較をする大河に呆れて
ボソっと呟く。
「そりゃそーよねー、比較する方が失礼だわっ! パクパク」
「いつもあーんで食べさせて貰ってるくせに…」
みるみる無くなっていく特大パフェ。
「ねぇ、私にも言えない事情で喧嘩したの?」
「もぅ、その話はやめようって言ったでしょ? せっかくのパフェがまずくなるじゃない!」
「だけど・・・、このままじゃ、お互いつまらないでしょ」
「いいえ。パクパク。せいせいしてるわ。」
「本気で言ってるの?」
「とーーぜっん!!!」
「はぁ…」
ここまで言われては、何も聞けないのは当然である。
結局、パフェの料金は大河が支払ったので、櫛枝の懐の心配は無くなったが、喧嘩
の原因を聞き出すという目的は達成されなかった。櫛枝は春田に期待して、その場は分かれた。
春田宅
「汚いけどあんまり気にしないでねー」
「ありがとう。おじゃまします。」
「あーいどうぞー。じゃあお茶持ってくるから待っててね」
「おう」
お茶を用意した春田が、竜児と一緒に居間の座布団にドカっと腰を降ろす。
「ねぇ高っちゃん、そろそろ訳を教えてくれよぉ〜」
「大河が悪いんだよ」
「それはわかるけど…いつもあちちな二人が喧嘩するなんてありえないっしょ?」
「大河が悪いんだ…」
「う〜ん…もっと具材的にさ〜?」
「もういいよ! いつも黙ってるわけじゃないって事をわからしてやるんだ!」
「それじゃわかんないよぅ…」
「いいじゃないか。せっかく春田の所に泊りにきてるんだから、ゲームでもして遊ぼうぜ」
「うん…じゃあ準備するね」
2人は、夜遅くまで家庭用ゲーム機で、対戦ゲームをして遊んだ。何度と無く趣向を変え、
根掘り葉掘り聞いてみたが、結局聞き出すことができず、その日は終わった。
横で眠る春田を見つめる竜児。春田は既にいびきをかいて寝ている。
結構寝るの早いな…。今ごろ大河は何してるんだ…?ちょっと言い過ぎたか…?
でも、今更後には引けないよな。
春田の部屋の天井を見ながら寝付けない竜児であった。
竜児は、大河のことを考えながら少しずつゆっくりと眠りに落ちていった。
学校
翌日、大河が登校すると、既に竜児は既に席に座っていた。ジーっと見ていると、目が合う。
「大河! 行こ!」
櫛枝が大河の手を引っ張るが、その手を振りほどいてノシノシノシと近づいていく。
昨日のことがあるので、教室に緊張が走る。櫛枝も春田と能登も冷や汗をかいて
仲裁に入ろうと近寄っていく…が。
「なんだよ」
椅子に座っていた竜児が、近づいてきた大河をだるそうにを見上げる。
「はい! ミルクチョコで作り直してきてあげたわよ! アンタがビターチョコ嫌いだっ
て知らなかったのよ」
そう言いながら、真っ赤な包装紙で奇麗にラッピングされたチョコレートを差し出す。
「え?」
竜児は驚きつつも、そのチョコレートを受け取る。
「これで、文句無いわね!」
「あ、ありがとう…流石大河だ、うれしいぞ。別に文句なんか言うつもりじゃ無かったんだ。」
「あたしも、『ビターなのか?』って聞かれただけで、怒ってしまってごめんね。
愛をこめて一生懸命作ったから、ケチつけられた気がしたの。」
「そ、そんなわけじゃない。大河が俺の為に作ってくれるものなら、何でもおいしいに決
まってるじゃないか」
「今回も、愛を込めて一生懸命作ったから、甘いわよ」
「おう…大河の気持ちも解ってあげなくって、ごめんな。これ開けていいか?」
「じゃ、廊下に行きましょ」
「おう」
唖然と見つめるクラスメートの中、2人はぴったりと寄り添って、廊下に出ていった。
仲裁に入ろうとしていた3人は口をあけたまま立ち尽くしている。
クラスメートも、事の成り行きについて行けず固まっている。
『おぉ、これまた豪華なチョコレートだな』
『そりゃ、竜児の為に一生懸命作ったんだからね!』
『おう、ありがとう』
『アタシのこと好き?』
『もちろん世界で1番好きだぞ、大河』
『えー、じゃ、2番は誰なのよ!』
『言葉のあやだ。そんなのいるわけないじゃないか』
『本当に?』
『本当だ!』
『じゃ、証拠として、今週の日曜日デートに連れてってくれる?』
『いいぞ。大河と一緒ならどこでも行く。どこに行きたい?』
『アタシも竜児と一緒なら、どこでもいいわ』
姿は見えないが、イチャイチャと話をする声が、廊下から聞こえてくる。
『あ、そうだ。それより、昨日春田の所に泊まったから今日弁当無いんだった…』
『大丈夫よ! アタシが作ってきたから』
『おう!本当か、ありがとう』
『愛妻弁当よ。味わって食べてね』
『あぁ、大河だと思って食べるよ』
お互いに顔を見合わせる春田、能登、櫛枝。廊下から恥ずかしいセリフが、
これでもかというくらい次から次へ聞こえてくるので、3人とも顔が真っ赤だ。
「俺たち…何を心配して必死になってたんだ?」
「何の心配も無かったみたいね…。ハ、ハハハ」
「結局ふーふ喧嘩だったって事かぁ…」
友達思いの3人は、二度と2人のことは心配などするものかと内心誓うのであった。
fin.
元ネタわかる人いたら神
>>401 ありがとう、こんな手間掛けてくれて。
マジありがとう!でもごめん!
もうJaneを使って3週間目なんだ俺・・・・・・orz
>>368だが
>>373気を使わせてスマナイ。
しかし規制のおかげでキリが良かったりギリギリに推敲てきたりとかもあるので俺はとりあえずいいかな。
>>412GJ!
なんかどっかでみた記憶があるネタなんだよなー。どこだっけ?
さて次より
>>368の続き投下します。
とりあえず書いといた奴だけど。
さらにその続きは今から書くからうまく行けば今夜中にもう一回ぐらい投下できるかも。
「竜児!!」
バンと障子を開ける。
竜児はいない。
「竜児!!」
机の下を見る。
竜児はいない。
「竜児!!」
押し入れを見る。
竜児はいない。
「竜児!!」
ゴミ箱を見る。
竜児はいない。
「りゅうじーーーーーーっ!!!!!!」
叫ぶ。
竜児がいない。
そんな、一体何処へ……ん?
机の上に見覚えのあるノート。
自分の体温が急激に下がった。
「あれは……」
そう、あれは竜児がみのりんへの想いを綴ったノート。
私はまた、勘違いしたのだろうか。
竜児にしては珍しく出しっぱなしの上、ノートが開いたまま置いてある。
恐る恐るノートに近づいてみると……。
「ぷっくくく……」
体温が急上昇する。
「あーはっはっはっ!!!!」
笑い出す。
もう、今の私には某仮面ライダーだろうと敵わないだろう。
まさにNO FEAR NO PAIN。
最っ高にHIGHって奴だ。
『ああ大河、大河よ大河、ああ大河』
これはもう、竜児は私の事を想いすぎて言葉にならないという現れだろう。
ああ、可哀想な竜児。
私のことをそんなに想っていたなんて。
「うふふふふふ……」
背中が震える。
と、同時に自分の高性能な耳は水の音を捉えた。
「そ、こ、かぁーーっ!!」
動く足は俊足、いや瞬足。
頭はクリア、いやクリアすぎて真っ白。
バァン!!
何も考えず、お風呂場へと突入する。
***
「……は?」
これが俺の第一声。
何て言えば良いのだろう?
今の状況を例えるなら、そうだな……。
擬音はポカーン。
表情はあぼーん。
まさしく鳩が豆鉄砲を、いやバズーカを全身直撃したような、そうでないような。
どっちだよ、というツッコミは受け付けない。
いやそんな暇すら無い。
状況は極めて不利。
しかし、この状況になったのは断じて自分のせいではない。
正面には勢いよく入ってきた大河。
入ってきた?
何処に?
もちろん今の俺がいるところ。
俺の今いるところは何処かって?
あっはっはっはっ……風呂場。
風呂掃除か何かしてたんだろう?って?
入浴中のこの身はバリバリ全裸。
しかもタオルすら無い。
今まさに、見つめ合うという言葉が相応しい状況で、俺は動くことが出来ないでいた。
いや、動けよ俺の体。
っていうか隠せ、いや隠させて下さい!!
「竜児、待たせたわわわわわわわわわっわわわ!?!?!?!?!?!あああああああんたなななんなてかこかこかこ……」
大河は俺の姿にようやく気付いたようで、顔から湯気を出して固まる。
それと同時に俺もようやく硬直が解けた。
というより、今まで自分が驚きのあまり硬直していたことにすら気付いていなかった。
「お、お前が急に入ってくるから!!……ああ、もういい!!とりあえず向こう向け!!」
「う、うん」
大河がぎこちなく振り返る。
それでようやく俺も余裕をスズメの涙、アリの頭ほど取り戻した。
慌ててタオルを手に取り腰に巻く。
「全く、急に入ってきて何のようだよ?」
「え……と、それは……あれ?なんだっけ……?」
どうやらあまりの衝撃に記憶がぶっ飛んだらしい。
まぁ無理も無い。
こんな珍事件が起きれば。
っていうか、俺は悪くない。
「とにかく、早く風呂から出てくれ。上がったら話聞くから」
「あ、うん」
大河は頷いて出て行き……、
「思い出したぁーーーっ!!!」
ものの五秒で帰って来た。
「なっ!?お前正気か?」
「思い出したのよ、竜児!!」
「いや、だからそれは後で聞くって!!俺は風呂入ってんの!!」
「それが何よ!?」
「いや、何って?俺は裸だぞ?」
「それに何の問題が?」
「え?あれ?」
問題ないのか?いや……ある……よな?あると言ってくれ。
「今の私達には何の問題ないわ!!まずは裸の付き合いというのも悪くないし!!」
マテ。
今の不穏な言動はなんだ。
「待ってなさい竜児!!」
大河は風呂場を飛び出す。
待つこと数分、っていうか素直に待たずに上がれよ俺も。
「お待たせ!!」
とか思ってたら大河は戻って来た。
「……水着?」
「そうよ」
「そう、だよなぁ」
一瞬、ほんの一瞬だが一糸纏わぬ姿を期待したのはいけないことでしょうか、神様。
いや、問題はそこじゃない!!
「なっ何で!?」
「何でって……まさか裸の方が良かったの?まぁ竜児がそういうなら……」
見透かされた?じゃなくて!!
何故そういう話になる!!
「そんな話じゃない!!俺は男!!お前は女!!ここは風呂!!わかるだろ!?」
「何言ってんの竜児?わかってるわよ」
「そうか、わかってるか。ならいい」
「うん、じゃあはい、背中出して」
前言撤回。
全然良くありません。
っていうかこの人全くわかっていません。
「だから……」
俺は怒ったようにもう一度大河を諭そうとして……出来なかった。
真っ直ぐに、照れた笑みを浮かべて、タオルを両手に持って体全体で「はい、座って」ってアピール。
銃声が聞こえた気がした。
それは俺にしか聞く事の出来ない銃声。
間違いなくその銃弾は的に命中しているのがわかる。
俺の心臓が、そうだと言っている。
「……おぅ」
気付けば俺は座っていた。
裸を見られる恥ずかしさよりも、大河を見ているほうに照れを感じた。
だから背中を差し出すよりなかったのだ。
すぐに大河のタオルが背中に触れる。
背中を奔る小さな手が心地よい。
「んしょ、んしょ、気持ちいい?」
なんとも言いがたい快感が俺を襲う。
「あぁ……天国みたいだ」
「もぅ、大げさなんだから」
大河は照れたように顔を逸らしながら背中をこする力を強める。
どうしたんだろ俺……でも大河にこうしてもらえるなんて、まるで天国みたいだ……。
当初の同様など、かつて葬り去って来た汚れの如く忘れ、天国のような夢見心地に体を預け、
「はい、じゃあ次前ね」
急に目が覚めた。
同様×
動揺○
すいません。
続きは間違えぬよう書きます……。
ドタバタコメディ
オモスロイwww
期待待機
>>412 元ネタは分からんが二人の喧嘩は虎も喰わんということはよく伝わってきたww
>>418 早くしてくれないと寒くて豚インフルになってしまうんだが
おもしれえw
>>418 早くしてくれ!
急かすのは好きじゃないが今回は例外だっ!
423 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 22:25:18 ID:nPsV8RFJ
>>413 3週目じゃまだまだ全然分からないも同然よ
毎日遊んでるうちに覚えていくこともあるので気長に
余談だけどFirefoxのbbs2chreaderにはレス番クリック機能が無かった
Firefoxは微妙に痒いところに手が届かない部分が多すぎる
今回全開だなw
とりあえず、
↓
バァン!!
何も考えず、お風呂場へと突入する
「あ、うん」
大河は頷いて出ていき……、
「思い出したぁーーーっ!!!」
ものの五秒で帰ってきた。
「そうか、わかってるか、ならいい」
「うん、じゃあはい、背中出して」
前言撤回。
全然良くありません。
っていうかこの人全くわかっていません。
この三ヶ所で吹いたスコッチ返してくれ。
425 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 23:00:27 ID:nPsV8RFJ
426 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/22(金) 23:13:39 ID:nPsV8RFJ
書き手さん達、2828をありがとう。今日もよく眠れそうだ(=ω=
>>417続き
マエ?それとも舞え?
踊れって言うのか?
いや違う。
前だ。
なるほど、背中は終わったんだから前を洗うと。
実に合理的かつ自然の道理だ。
……んなわけあるか!!
「いや、大河、流石に前は……」
先程の夢うつつが一気に覚める。
気持ちは良かった。
何処までも飛んでいけそうなくらい快感を覚えた。
しかし、いくらなんでも同級生に前まで洗ってもらうのは……。
「何言ってんの?それとももう前洗った?」
「お、おぅ!!実はそうなんだ!!」
ナイス大河!!今日のお前は冴えている!!
「嘘ばっかり。はい、ちゃんと洗ったげる」
冴えすぎだ、大河。
大河は純真無垢にニッコリと笑って前に回りこみ、俺の肩から腹へとタオルを移動させる。
「う……」
なんというか、なんだろう?
気持ち良いのだが、くすぐったい。
「こ、こいうのもちゃんとおぼえないとね……」
大河が何かブツブツ言ってるがこの際関係ない。
頭の中はこのまま洗ってもらいたい欲求といい加減止めさせなければという理性がせめぎあっている。
大河に「もういいよ」と言おうとすれば、快感が押し寄せ、快感が続けば続くほど自己嫌悪が襲う。
だんだん大河の手は下降してい……「待て大河」
「ん?どどどどうししたたったたののののの?」
動揺しすぎだ。
っていうか、今俺の股のにかけてるタオルに手をかけようとしたな。
「その、何でお前が急にこんなことをしだしたのかわからないが、流石にそこは……」
「で、でも今から知っておけば役立つかも……」
役立つ?
何に役立つというのだ。
「そ、そう、これも経験なのよ!!アンタも嬉しいんでしょ?だから……ええーい!!」
「あっコラ!!」
俺の抑止もむなしく、タオルがひっぺがされる。
「…………か、かめ……」
きゅ〜パタン。
大河は顔を真っ赤にしてとある部分を凝視し、数秒沈黙、そしてゆっくりと倒れた。
「た、大河ーーっ!?」
返事は無い。
ただの気絶のようだ。
***
大河を風呂場から連れてきて数十分。
この高須竜児、生まれてこの方今日ほどの修羅場を迎えた事はない。
先程からの風呂場のことかって?
いや、あんなもの生ぬるい。
俺はたった今それを悟った。
人生ってやつは何処に落とし穴があるかわからない。
しかも試練ってやつは続くらしい。
さらなるレベルアップを遂げて。
場所は密室。
っていうか俺の部屋。
目の前には、布団に横になる大河。
そう、大河水着バージョン。
横にはちゃんと着替え用意済み。
俺に一体どうしろと?
だってしょうがないじゃないか。
あのままほっとくわけにもいかないし。
仕方なく風呂場から連れてきたのだ。
でも気絶したまま。
横にさせるのに可哀想だと俺の布団まで用意したところで気付く。
大河はびしょ濡れだ。
ここからが試練の本当の始まりだと気付いたのはその大河をどうするかと考えてからだった。
まず、拭かなければならない。
何を?
大河を。
誰が?
俺が。
殆ど裸(水着着用)で気絶している大河を。
これにはそうとう苦労した。
まず何度も頭を拭いてやり、風邪をひかないようした。
次いで足。
ここはまぁ楽だった……ということにして欲しい。
決して細く白い足に見とれ鼻の下が伸び……以下略。
これ以上は俺の人格が疑われかねない。
というか、大河に知られたら何を言われるかわからない。
そして回ってきた体。
無理。
現実逃避してみるが、それこそ無理。
しかも早く拭かないと風邪を引く可能性もある。
俺は意を決し、まずは胸から拭いた。
何で?
何でだろう。
多分、途中で起きた時、言い訳できないのがそこだからだ。
最初に終わらせてしまえばあとはなんとかなる、そう思っていた。
撫でるように体を拭いていく。
おぅ、なんだ大河、結構弾力あるじゃねぇか。
……なにやってんだ、俺は。
自己嫌悪しながら一心不乱、無心になって拭く事に専念する。
しかし、それから数分して気付いた。
「これ、俺が股の間も拭くのか?」
この世に神はおわしませぬのか。
俺がアソコに手を当て、タオル越しとはいえ、拭くのか?
それこそ無理!!
でも、拭かないと濡れたままになってしまう。
なんかここが濡れたままってエロい表現だなぁ。
とか言ってる場合じゃない!!
俺はそっとタオルを当て、
「あん……竜児……」
飛びずさった。
「ち、違うんだ大河!!これはその……」
しかし、大河は返事をしない。
どうやら寝言のようだ。
「脅かしやがって」
しかし、これでようやく全身拭き終わった。
やれやれ、と一息ついて気付く。
流石に水着のままでいさせるわけにはいかない。
しかし大河は絶賛気絶中。
幸か不幸か大河の服は脱衣所にあった。
で、今に至るわけだ。
神はトコトン俺が嫌いなのだろうか。
それとも好きでこんなことをさせていらっしゃるのだろか。
これはつまり、俺に着替えさせろと?
先程のお礼とばかりに、大河の水着を脱がし、文字通りすっぽんぽんのぽんにして、パンツからシャツから服から全てにおいて俺が着せろと?
んなことできるか!!と思いつつも、俺の右手は高須棒ではなく、大河の下半身を覆うための下着を装備……もとい手にしていた。
すまん。あれから急用ができて一時間ちょっと時間を取られここまでしか書けなかった。
また明日、いやもう今日か。
今日の晩にでも投下します。
スイマセン。まっててね。
>>430 いやぁーGJ!!
裸じゃないってのがまたえろい。
たのしみにまっております。
432 :
calnos:2009/05/23(土) 00:27:30 ID:IomEKGn3
433 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/23(土) 00:27:36 ID:zdhUoslg
>>430 今日はやけに寒いな…下半身がスースーしやがる…早く暖まりてぇもんだぜ…
434 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/23(土) 00:47:27 ID:JG1X3xDO
>>428-430 (;゚∀゚)=3
なんという寸止め!
あれ不思議だな竜児が二ノ宮くんに見えてきたぞ?
>>430 すでにifじゃないが、wktkし過ぎて眠れないヨw
ごめーん、割り込みさせてー
――――――――――――――――――――――――――――――
珍しく高須家に集合している男子四人+大河。
春田「ねぇねぇ、高っちゃんとタイガーってさ、いつもここんちにいんの〜?」
竜司「ん? まぁそうだが」
能登「高須のかーちゃん、夜いないんだろ? 二人きりで?」
春田「ほぇ〜、密室に若い男女が二人きり! なにやっても二人っきり!」
大河「ああん? な・に・が・言いたいっ?!」
春田「ひぃ〜」
北村「まったく、春田は想像力豊かだなぁ。……で、なにしてるんだ?」
大河「き、北村くんまで……」
竜司「二人きりじゃないって。インコちゃんいるし。な〜、インコちゃん」
インコ「ボケ?」
大河「竜司! そんなのほっといてこのセクハラ軍団に何か言ってやれ!」
北村「はっはっはっ、ホント、セクハラだな! すまん、すまん」インコ「イ、イ…イン…」
竜司「おっ? 今日こそ出るかっ?!」
インコ「(突然流暢に)イイっ、イイよぅ、あぁン! りゅーじ、りゅーじぃ!
私、私もう、もうダメ、ねぇ、イッていい? あン! ね、イッてもいい?!
あン! ほんとにイッちゃうぅ!ダメ、ダメッ、イッちゃ……ううぅぅ!!」
一同「・・・///」
春田「…おっ、俺、なんか今、ぼっ…」
大河「イヤぁぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!///」
春田「フガッ!」
――終
――――――――――――――――――――――――――――――
最後の春田はパクっちゃった。
インコちゃ・・・、いや、インコさん。あんた罪作りな鳥でっせ。
あえぎ声を覚えたオウムだかインコだかは何かで見たな
>>439 スピンオフ2(サツ魔イモ編)だな
天井から漏る雨水でイってるインコちゃん…w
空白の一年 〜同じ空の下〜
−東京・蒸し暑い6月半ばの月曜日、朝7時。
高須家ではすでに朝の家事のほとんどが終わるころだった。
まだ夜が明けきらぬうちに玄関で力尽きた酔っ払い(泰子)の世話に始まり、部屋の隅々まで掃除をし、洗濯物を干し、
イケメン(いろんな意味で)フラッシュ全開のインコちゃんの水とえさを補充した。
弁当も作り終え、後は朝食が出来れば終わりだ。
「そういえば、まだメール来ないな・・・。」
ケータイを開き、メールを確認する。思ったとおり、メールは来ちゃいない。
そのメールの相手はもちろん、逢坂大河である。
朝7時前にメールで大河を起こすというのが竜児の日課。
ごく稀に逆のパターンもあったが、そんなのはほぼ竜児が休みの日だ。
「そろそろ起きないとやばいだろうし、電話してみっか・・・。」
番号を選び、通話ボタンを押す。4コール目で聞こえる、寝ぼけた大河の声。
『えーと・・・、今・・・何時?』
ーーーーーー
あれから3ヶ月以上が経つ。泰子が両親と和解し、そして2人が永遠を誓ったあの日。
その翌日、大河は大きな決断をした。
-----自分も母親の元へ行き、和解する。
それは、竜児とともにある未来のため。そして、その周りの人たちと笑顔で過ごすため。
どれくらい時間がかかるかはわからない。それでも、そこにしかあるべき姿はない。
彼女が何も言わずに去った夜、マンションの部屋に残した手紙。それに記された可愛らしくも少しがさつな文字から、そんな決意がにじみ出ていた気がした。
『何でもっと早く起こしてくれないのよ!!!』
「いや、その前にメールに気づけよ」
『マナーモードのままにしてたんだからしょうがないでしょ!』
「うわ・・・開き直った・・・」
『るっさいなぁ・・・、あーあ、やっぱ電話のほうがいいかもね。声も聞けるし・・・、そのほうがうれしいかも///』
「・・・///」
ふと口にしたこっ恥ずかしい台詞に、二人して黙り込む。
部屋に流れる音は、インコちゃんの呻き声(もとい鳴き声)と、テレビの天気予報。
関東地方は快晴、今日もまた暑い一日になりそうだ。
−熊本・大通りに陽炎がゆれる12時過ぎ。市の中心部に近いとある女子高。
母の再婚相手はいま、母の故郷でもある熊本に住んでいる。母の家は先祖は江戸から明治にかけて、このあたりで有数の商家として栄えたらしい。
父の身勝手さに振り回された娘を、この屋敷の住人は暖かく迎え入れてくれた。
そして実家の手筈もあり、新年度からは、屋敷から市電で十数分の所にあるこの女子高に編入した。
大河「あ、メール来た」
春菜(クラスメート)「おっ、東京の彼氏ですかな〜?」
大河「・・・分かってて言ってるでしょ?」
涼子(クラスメート)「おー暑か暑か!このままじゃこの婆は死んでしまうたい」
ゆかり(隣のクラス、涼子の幼なじみ)「あ〜こっちに倒れこまんで!」
屋上には弁当を食べながらいちゃいちゃしている女子が数人。その輪の中心には大河。
自分でも驚くことに、友人が出来るまでそう時間はかからなかった。確かに、この1年でいろいろあったから、無意識のうちに自分もだんだんと変わっているのかもしれない。
(これも、竜児を好きになったからかな?)・・・なんて、ひそかに思っている。
「ん〜となになに、『またコンビニ弁当か?いい加減に自分で作れよ!こっちにいるときは俺に作らせてたのに』・・・」
「えー!?たいがっち愛妻弁当かよ!うらやましかー」
「男じゃから妻じゃなかとね。えーっと、・・・なんて言えばいいんだろ」
「・・・///」
紅潮した顔を空へ向けると、湿気を含んだ熱風が頬をかすめる。
ぼそっと「一行余計だっての、このバカ」と、遠い空の下にいるメールの主にぼやく。
ぶっきらぼうな口調とは反対に、大河はどこかうれしそうな顔をしていた。
-17時・再び東京。高須家の台所。
「あ、やべ、またやっちまった・・・。」
「ん〜?どうしたの竜ちゃ〜ん?」
今夜はオムライス。レタスとかトマトとかを持った野菜サラダ。そしてコンソメスープ。
料理の腕はいつもどおり、味付けも完璧だ。
ただ、今日もまた、3人分作ってしまった。
「大河ちゃんの分も作っちゃったの?」
「ああ。もう3ヶ月経つのにな・・・。癖になっちゃってるな。」
何となく写メを大河に送る。程なくして返事が来る。『すぐに航空便で送ってくれるなら食べてあげてもいいわよ』・・・。いや、無理だろ。
そうしてまた、『3つ目のオムライス』は、次の日の泰子の朝食となった。
-24時30分、東京の『彼』と熊本の『彼女』の間にはメールが飛び交っていた。
なかなか発展しない能登と木原の仲、竜児からの(惚気)メールを友人にからかわれたこと、櫛枝が打ち上げたホームランで女子ソフトが地区選で優勝したことなど。2人は何となく話が尽きるまでメールを続け、気づけば1時半なんてこともしばしばだ。
そして最後には必ず
「おやすみ、竜児☆」
と、大河の画像が添付されて送られてくる。それなりにいつもポーズは違うけど、どれも最高にかわいい。ちなみに、今日の大河はいつものふわふわな寝巻きで、どこぞの超時空要塞のにんじんアイドルよろしく『キラッ☆』というポーズだった。
ちなみに、以前竜児も自分の画像を送ったことがあるが、「寝る前にあんたの阿修羅顔なんか見たら恐ろしくて寝れんわ」と言われひどくへこんだので送っていない。
ーーーーーーーーー
区切りがいいのでここまで。
とりあえず何となく書いて他のがたまってきたので投稿してみた。
アニメの最終回、母親の所へ行ってから卒業式までの約1年間の話。
方言をしゃべる大河が見たいってのを見かけたから、wikiとかスケッチブック(4コマ)見ながら書いてみた。
ちなみに熊本なのは、大河の中の人の故郷だから(ちなみに出生地は大阪らしい)という適当な理由です(´・ω・`)
>>445 方言を話す大河が見たいと言った、俺参上。
ありがとう。
書き方うまいなぁ。
次も待ってまっせ。
熊本にもみのりんみたいなノリのやつがいるなw
婆w
>>374-375の続き
寝より覚めて思う。この胸に穿たれた大穴はなにかと。一体いつ開いたのかと。
一体誰が開けたのかと。
「おはよう、大河」
「あ、竜児……うん、おはよう」
居ると思わなかった存在が居るのだから、多少は驚いた。だが、それは相手が竜
児ではなくとも抱く感情なのだろう。
もう竜児を見ても狂いそうな程の求心は生まれなかった。
昨日、竜児は大河が伸ばした手を避けた。それが意識した行動にせよそうで無い
にしろ、竜児に存在を避けられたのは克明に理解した。一杯に貯めた箱を蹴り飛
ばされ、殆どの中身が零れ出してしまった。その中に想う気持ちも在ったのだろ
う。
日頃の片付け癖が無いのが吉に転じたのか凶に転じたのかは曖昧だ。大切な物な
らちゃんとした場所に保存しておけば良かったと泣く自分も、これで、駄目と言
われる物を欲する貪欲な自分と別れられると笑っている自分もいるからだ。
恋しさはまだ在る。だが、その恋しさもどこと無く乾いている上に味がしない。
「朝飯はもう出来てるからな」
「うん……」
日常では無い。自分もそうだが、竜児も布を一枚当てたような、友達と他人行儀
の間のような話し方をしている。
それで沈黙が入る事は無かったが、快晴の朝には似つかわしくないどんよりとし
た空気が部屋に溜まっていた。
「ねぇ、竜児」
「おう、なんだ?」
「ベッドのシーツが無いのはどうして?」
答えは判っている。最後に掃除した…いや、してくれたのは確か2週間前だ。流
石に汚れやら匂いやらが気になったのだろう。
「…洗ったんだよ。その…汚しちまったから…」
歯磨の手が止まる。なんだろうか、この違和感の中の違和感は。いつもと違いす
ぎるのは自分だけでは無い。ただ単に嫌われたから、竜児が素っ気ない態度をと
るのだとしていたが、明らかに違う。喋り方に含みがあるし、行動も良く見ると
右手をポケットに入れたままだ。
「竜児。右手は?」
「お前には関係ねぇ」
大河の眉間に皺が寄り、目尻が吊り上がる。隠したいにしても余りな突っぱね方
に火が揺らめく。
「無いかもしれないけど、気になるじゃない!」
脳が煮えたぎり、望んでないのに乱暴な言葉が口から飛び出す。
「うるせぇ!好奇心からなら聞くんじゃねぇ!」
びくりと大河の身体が震える。温和な竜児に怒鳴られた衝撃と深い悲しみが心に
刺さる。だが、それ如きで止まる程、大河は弱くは無かった。それは、この場合
に於いては明らかに仇となる要素だ。
「良いから見せなさいよ!」
大河が竜児の右腕を掴み、引っ張る。もとより、言うより拳が出やすい質である
。直ぐに最短ルートの実力行使を使ってしまうのだ。
「止めろっ!」
竜児の右足が動き、大河の腹を膝で捉える。蹴られた大河は、机や椅子を巻き込
みながら部屋の隅にまで転がる。
転がった先で大河は震えながら涙を流していた。蹴られた箇所が痛むからでは無
論ない。怒りという膜が剥がれ、先程刺さった悲しみが後悔と一緒に心に浸透し
てきたのだ。
ドジで済まされるミスではない。ちゃんと駄目だと判っていたのだ。ちゃんと気
付いていたのだ。竜児があんな突き放し方をするのには重い理由があると。竜児
が怒鳴るのは自分が無遠慮に触りすぎたからだと。
怒りは心理的煙草だ。百害有って一利無しだ。
「大河、大丈夫か!クソッ!俺はなんでこう莫迦なんだ!」
「違う!」
竜児が自身を罵るのが許せなかった。悪いのは自分で、自分だけで、竜児は正し
い行動をとっているんだと教えたい気持ちが湧く。だが、それを言えば不毛な言
争が続きそうで、そしてまた竜児を怒らせてしまうのが嫌で口には出さなかった
。
暫く目線を合わして、それから大河が或る事に気付く。
「りゅ…じ……その手…」
「あ……」
恐らく無意識に出してしまったのであろうその手は、膿と血をを吸って変色した
包帯で巻かれていた。怪我の程は漠然としか計れないが、それが異常な傷だとい
う事は判った。
「……ごめんなさい」
「お前のせいじゃねぇよ」
そう言われても心に溜まっているものは流れない。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ
いごめんなさいごめんなさい」
竜児に縋り付き恐竦の表情でただひたすらに謝る。声が掠れ、身体が震え、息が
上手く繋げなくなって噎せても言葉を放ち続けた。
「えっ!?」
手を振りほどかれ、縋り付く先を失った大河が床に倒れる。目線を上げると、竜
児が複雑な表情で大河を睨んでいた。
「……俺が居ると苦しませちまうみたいだな。済まねぇ」
奥歯が鳴る。否定しないでくれと思うが、先程のようにはっきりと違うと叫べな
い。竜児が居て苦しいのは事実なのだ。
「…学校は来いよ」
去っていく竜児の背中を見て、嫌われてしまったんだという実感が湧き、涙がさ
らに幾筋も頬を伝う。
竜児が居ても居なくても大河の胸は締め付けられる。
「あ、そうか…」
自分の涙の味に答えを見つける。
「わたし…失恋したんだ…。だからこんなに苦しくて乾いてるんだ……」
堰を切って流れ出した悲しみと痛みに久しぶりに声をあげて泣いた。
450 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/23(土) 10:45:00 ID:aMOAt7VD
ジグソー続ききたっー
>>449 一応ここまで。多分今日中にもう一回は投下できると思います。後、ジグソーと入れるの忘れてしまいました。不覚…
このスレは何時来ても温もりと2828に溢れていてとても素敵です。各々の書き手さんの御続きを心待ちにしています
>>451 お疲れ様です。
なんかひるどらな感じになってきたw
面白いよ、続き楽しみにしてます。
あと、ジグソーの作品の中でお寺?か神社で大河を
無視して走り去るって描写なかったっけ?
アンカー辿ったんだけどなくてさ、別の作品だっけ…?
454 :
まえがき:2009/05/23(土) 13:19:36 ID:zKunFfS+
爽やかに、にこやかに、竜児とみのりんは微笑みながら軽く拳を打ち合わせる。
「それじゃあ高須君、大河の事はまかせたよ!」
「おう、まかせとけ。俺はずっと大河の隣に居るからな!」
だが二人の胸は深く断ち割られ、心臓から真っ赤な血が流れ出している。
私はといえば、
やめてと叫びたくとも声は出ず、
見たくなくとも瞼は閉じず、
逃げたくとも脚は動かず。
みのりんが去っていく。竜児が近づいてくる。
爽やかな、にこやかな……貼りついたような笑みのままで。
気づけば私の胸も断ち割られ、痛みとともに血が流れ出している。
三人の血は足元に溜まり、流れ出して川となり、集まって湖となり、地の全てを覆う海となり、
水位は見る間に上がり、私はそれに飲みこまれ、
布団を跳ね飛ばすように身を起こす。
荒く息をつきながら胸元を押さえる。
目が覚めれば、夢の痛みは溶けるように消えていく。だけど胸の奥に残る鈍い痛み。
原因はわかっている。ほんの数メートルを隔てた所で眠っているであろう、
「竜児……」
思わず漏れた声を飲み込むように口を押さえる。
呼んではいけないから。頼ってはいけないから。
暫くは眠れないだろう。
ベッドから降りてふらふらと歩き、南側のベランダへと出る。少しでも竜児との距離を取りたくて。
銀色の月の光が静かに街を照らす。冷たい夜風が肌を撫でる。
「寒い……」
呟きと共に漏れた息が白く濁る。
自分で自分の体を掻き抱き、そのまま大きな窓に背を預けて座り込む。
冬の空気が体温を奪っていく。このまま胸の中で燻る熾火の熱も奪ってくれればいいのに。
なんとなく目を閉じれば、瞼の裏に浮かぶのは目つきの悪い男の――竜児の姿。
それをきっかけに止める間も無く、記憶の淵から数多の思い出が溢れ出す。
最初は、廊下で尻餅をついて呆けてる姿。なぜだろう、あの時は特に気にも留めてなかったはずなのに。
それから、必死で鞄を取られまいとする竜児。狭い部屋で逃げ回る竜児。
そんな酷い目にあわせたのに、私が倒れると心配そうに覗きこんで。チャーハンまで作ってくれて。
今思えば、自分はなんと理不尽だったのだろうか。
犬呼ばわりして、身の回りの世話をさせて、わがままも一方的な要求も罵倒も数知れず。
それなのに竜児はずっと傍に居てくれた。
楽しそうに掃除をしていた。ご飯が美味しいと言うと嬉しそうに笑った。
文句を言いながらもけっこうわがままを聞いてくれた。
自分の事をそっちのけで私の為に努力してくれた。
心配してくれた。泣いてくれた。怒ってくれた。
そして――そのせいで――竜児の想いは壊れかけてしまった。
竜児が好きなのはみのりんなのに。みのりんは私と竜児を一緒に居させようとして。竜児から離れようとして。
時が戻ったら、もっと竜児に優しくするのに。
時が戻ったら、もっと竜児の恋を手助けするのに。
時が戻ったら……竜児を好きになったりしないのに。
冷えて強張った体をのろのろと起こす。
寝汗でべたつくパジャマと下着を脱ぎ捨て、軽くシャワーを浴びる。
クローゼットから取り出したのはふわふわとしたワンピース。
あの日着ていたそれを身につけ、寝室の窓を開ける。
あの日と同じように隣家の窓際へと降り立つ。
あの日と同じように足音を忍ばせ、部屋の中に侵入する。
あの日と違うのは木刀を持っていないこと。竜児を起こさずにベッドの傍まで行けたこと。
静かに眠る竜児を見つめる。
無防備な寝顔にそっと近づくと、久しぶりに感じる竜児の匂い。
そのまま竜児の傍に体を横たえたくなる衝動を抑えこむのに数秒。
そして、一瞬だけ竜児の唇に自分の唇を重ねる。
これは、愛情のキスではない。そうであってはいけない。
だからこれは、ただのあいさつのキス。
ただのおやすみのキス。
ただの――さよならのキス。
これで全部、おしまい。
これから私は一人で生きていく。生きていってみせる。
「おやすみ、竜児」
呟いてドアを閉める。
階段を下りてふと空を見上げると、星が一つ、流れて消えた。
458 :
偶然大河の胸に竜児の手が触れてしまった:2009/05/23(土) 13:44:48 ID:t5VDG3xA
────┤高二の初夏├────
ぎゃーっ!ななななにさわってんのよこのエロ犬!(ぼごっ)
うわーんみのりん!駄犬にレイプされたぁ〜!
私もうお嫁に行けなーい!!
────┤高三の初夏├────
きゃーっ!ななななにさわってんのよこのエロ犬!
うわーんみのりん!竜児が!竜児が!
私もうお嫁に行きたーい!!
リトルグッバイと胸に触れたが重なって
とんでもないことになってるなw
GJ!
>>457 ジャイアントさらばに引っ掛けたのか。この時期の大河の心を思うと切ない。
とらドラ全十巻のうち、8巻だけはほとんど手を触れていない自分に気づいた。
「竜児」
「なんだよ?」
「この手紙…なんなわけ?」
「…おいぃ!?お前俺の部屋に勝手に入ったな!?」
「なんでそんなに焦るの?やましい事でもあるの?」
「あいや…別にやましいって程の事じゃないんだが…」
「じゃあ答えてよ。この青いお・て・が・み☆の内容をさ?」
「…なんで言わないといけない?」
「やっぱり言いたくないんだ。じゃあ私読むね」
「はあ!?やめろって、こら!」
「えー何何…」
『一年生の寺元と言います。覚えていますか?入学したてで、
友達の居なかった私に救いの手を差し伸べてくれましたよね。
知り合いでもない人に「ブス」だとか言われて、イジメられてて
そこへ貴方が偶然通りかかり、みんなを追い払ってくれましたよね。
あれがきっかけで、イジメの中心人物と向き合えるようになりました。
いまでは、別の人ですが友達がたくさんできて、とても楽しいです。
その時から貴方の事が忘れられません。今日、放課後に体育館裏で待ってます』
「あぁ…別にお前が気にする事じゃないのに…」
「なんで?なんでそんな風に言えるの?私がいるのに、こんなに愛してるのに
なんでほかの子に尻尾振るの?嫁に来いってあれ嘘だったの?ねぇ?」
「違う!その手紙は「うっさい!」ぶほぉ!」
「おま…いきなり股間を踏みつけるなんて卑怯だぞ…」
「うっさい。もう帰る」
「待てって!それは!その手紙は、俺が中学生の時貰ったやつだぞ!?」
「ひぇ?そうなの?」
「あぁ。初めて貰ったラブレターだから嬉しくて大事に取ってあったんだよ」
「…嬉しいですって?」
「あーはいはい嬉しかったですよ。でもな、付き合ったりしてねぇから!」
「ふぅん…でも一応会ったんだ?」
「おう…無視はしたくねぇからな。それで放課後に行ったんだよ。それがさ…」
「それが?」
「…会った瞬間涙目で逃げられた」
「ぷっ…あはは!何それ!なんでそんなやつに手紙出したわけ!?アハハハ!」
「話しによると泣いてたらしく、俺の顔が認識できなかったらしい。それで通りかかった先輩に名前を聞いたんだとよ」
「それで顔も知らないやつに恋して、自分で玉砕したってわけ?漫画のネタにもならないってアハハハ!」
「…で。なんでお前はそんなに気にしてたんだ?」
「うるさいわね…だって、その…っ…」
「聞こえねぇ」
「…!だからあんたがほかの女の子に興味持ったのかって心配になったの!悪い!?」
「おうっ…そうか、ごめんな。でもよ、お前のほうが俺より男にモテてさ…」
「…?何がいいたいの?私が誰にでも尻尾振るって?」
「違う!…その…そんだけ男に見られてるっていうのが…ちょっと悔しいというか…」
「大丈夫よ。告白してきたやつはもれなくアッパー&罵声を浴びせておいたから」
「だよな。実はというと北村にもちょっと妬いてる」
「でも今は」
「世界が隠したソレを」
「「見つけられたんだよな・ね!」」
462 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/23(土) 20:32:16 ID:gMF1CeGu
(*´Д`)ポワワ
いいなあこういう微笑ましい話も
【とらドラ!】北村×竜児【アッーアッー妄想】Vol1
名前: 名無しさん@お腹いっぱい。
E-mail:
内容:
ここは とらドラ! の主人公、北村祐作と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。北村と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは
>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
またの名を【オフオフ妄想】
464 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/23(土) 21:34:01 ID:h47sUrYk
>>457 ふおおおおおおおっ!クンカクンカーっ(`∀´)
…あれ?
どれ?
お願いだ・・・そろそろ続きを投下してくれ・・・。
そうだ。あの服を着せる件のやつだ・・・。俺のニヨニヨ成分が切れる前に頼む・・・頼む・・・。
えぇい、書き手さんを急かすな!
・・・気持ちは凄く分かるがな。
しかし、読み手は全裸でwktkして待機してようぜ。
>>467 すまない。しかし同様に投下しているものとして言うが、急かされるのは実は嬉しかったりするんだw
エンゲージリングの時なんか、泣きたくなったしなw
あれ?俺だけか?
作者毎にモチベが上がるか下がるかが
分かれるかもしれないから難しいところだよね。
だけど、続きが読みたくないのなんて無い!
ひとつたりとも無い。これだけはガチで言える。
>>429だが大変お待たせして申し訳ない。
みんなありがとう。
>>463見てスレの主旨が変わったかと一瞬目を疑った。
あ、ちなみに俺はモチベ上がるほうだから気にしないでくれ。(即座に投下できるかは別問題だが)
たくさんのGJ、早くコールを頂き光栄の至りだ。
もう一度言う。
みんなありがとう!
では次より
>>429続き
「……いや、待て待て待て!!」
自分の頭をぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん……うえ……振りすぎた。
しかしそれぐらい振って考え直す。
いきなりそれは無いだろう、ここは無難?に周りからだろうと思い直す。
と言っても周りなんて……あっ!!靴下があった!!
これなら、と俺は靴下を履かせ「おぅ、大河って足小さいな」……地獄の底から後悔した。
断言しておくが、俺はノーマルだ。
決して、決して!!アブナイ趣向などは無い。
しかし、水着に靴下を履く大河という、ミスマッチながらもありえなくは無いこのシチュエーション。
「うぐっ!!」
鼻を押さえる。
赤い熱を持った液体がドロリと流れ出し、次いで前傾姿勢になる。
情けないと言われようと、これは男の悲しい性だ。
慌てて鼻にティッシュを詰める。
そして再び大河を一瞥。
「エロすぎる……」
それが答え。
もう一度言うが、俺にそんな趣味は無い。
しかし、予想もしえない大河の水着+靴下というコンビネーションは俺に想像以上のダメージを与えた。
履いてないからダメージを受けると思い履かせた結果がコレ。
女体の神秘のなんと奥深い事よ。
いや、俺は変態か。
こんな事ではいけない。
俺は即座に水着に手をかけ、離す。
今、俺は男として、人間として何か大事なものを捨てようとしている気がする。
しかし、ここはもうさっさといつもの服装にして気を休めたい。
俺は意を決した。
まず、方足にパンツを入れておく。
次に水着の上からシャツを着せる。
おおぅ、このシャツわりと透けるな……イカンイカン!!
今度は肩に手をかけ、シャツの内側の肩にかかっている水着を腕を通して脱がせていく。
これで、大河は腰から下はまだ水着だが、上はシャツだ。
よし、とばかりに俺は最大の難関へと立ち向かう。
まずそのまま水着を足元まで持っていき、脱がす。
う……エロ過ぎる。
このシャツの下に隠れてる股は……ダメだ!!考えるな!!
そして足にかけておいたパンツをもう片方の足にもかけつつ一気にぐいっと。
「ああん……」
ビクビクビクゥ!!!
起きたかと驚くが、どうやら運よくまた眠っていたらしい。
後は頭からこの服をすっぽりかぶせればいいだけだ。
コレは楽、とばかりに服を着せていき、
「ふぅ」
ようやく終わる。
これで今日の試練は終了、かと思いきや、
「俺、何処で寝よう?」
まだ問題が残ってた。
しかし、神はやはり俺が好きなのか嫌いなのか。
寝返りを打つ大河の腕が俺の後頭部を直撃する。
「ぐぁっ!?」
そこは今日プールでも衝撃を受けた場所。
俺の意識は痛みで闇へと沈んだ。
それゆえ気付かなかった。
大河の着替えはまだあることに。
脱衣所に胸当て、一般的に言ってブラジャーと呼ばれるもの(大量のパッド着き)があることに。
***
「ん……うぅ……」
目を覚ます。
「ここは……竜児の部屋?」
気付くとそこは竜児の部屋。
「ん……竜児」
隣には、布団の外にいる竜児。
まさか竜児が私を寝かせてくれたのだろうか。
自分は布団に入らずに?
「……竜児」
胸からなんとも言えない嬉しさがこみ上げてくる。
こんなに人に思ってもらったのは始めてだ。
「よいしょ」
竜児を布団の中に入れてあげる。
と、そこで違和感に気付いた。
なんかスースーす……!?!?!?
……私、ブラしてないではないか。
そんな馬鹿な。
アレだけはいついかなる時も外さないようにしていたのに。
確か、昨日は……どうしたんだっけ?
そもそも私は何故竜児の部屋で寝てるの?
…………あ、思い出した。
そうだ。
そうだそうだ。
私は竜児の背中を流そうとお風呂に水着で入って……水着?
今の私は私服。
じゃあ水着の私は何処へ?
何かの思い違い?忘れてるだけ?
そう思って何度も頭で昨日の事を思い出してみるが、思い出せない。
私は確か、竜児のタオルを引っぺがして、アレを見て、気を失ったんだ。
じゃあ、竜児がここまで運んでくれたんだ。
……まさか着替えも?
いや、だって竜児よ?あ、でも風邪を引かないように、とか気を使ったのかも。
っていうことは竜児に全裸見られた?
ボフッっと顔が赤くなる。
どどっどどどどどどうしよう?
竜児のことだから変なことはしてないと思うけど……。
「ん……大河……風邪ひくな……よ……」
「あ……」
竜児の寝言。
それで不安が吹き飛んだ。
そうよね、竜児だもん。
何もしてないわよね。
一瞬でも疑った私が恥ずかしい。
……でも、逆に言えば手を出す気になれなかったとも言えるのかも。
私に女の体としての魅力が無いから?
……今日から少し、大胆になってみようかな。
***
「なぁ大河」
「なぁに?」
俺達は須藤コーヒースタンドバー、略してスドバに向かっていた。
そこで、川嶋の別荘とやらに行く時の計画を話し合うらしい。
つまり大河は負けたのだ。
俺のせいと言えなくもないが。
まぁそれはいい。
しょうがないがそれはいい。
それはいいのだが、
「お前、何か近くねぇか?」
「そお?」
そ知らぬ顔で俺の隣を歩く大河は、いつもより間違いなく近い。
普段なら人一人分くらいはある二人の間に、今は週間少年ジャ●プ一冊ほどの隙間も無い。
今までこんなことは無かったのに。
どうも今日の大河はおかしい。
いや、昨晩からか。
昨晩の風呂場での奇行に始まり、今朝の朝食騒動、そしてこれだ。
ちなみに朝食騒動は、ただ単に大河が炭化した卵焼きを作っただけに留まったのだが。
そしてこれ、というのはもちろん俺に近寄りすぎる大河のことだが、さらに、
「なぁ、何で右手と右足が一緒に動いてんだよ?何か緊張するようなことでもあるのか?」
大河は右手右足を一緒に動かして、よくある間違いな歩き方で歩いている。
「きき、緊張?わわ、私が?きききき気のせいじゃない?」
「じゃあ、その動きは何だよ?」
「これは体の運動よ!!」
「例えそうだとしても、それを今やる意味がわからねぇ!!」
そんなやり取りをしているうちにスドバに着い……ん?
「おい大河」
「な、何?」
「開いてる。ほら、こんなとこ他の奴らに見られたらどうすんだ?」
大河は着ている服のボタンが上から二個ほどしていなかった。
恐らく、着替えをするときからそうとうテンパっていて閉め忘れたのだろう。
なんでテンパってるのかは皆目検討もつかないが。
まぁ仕方が無いのでボタンをつけてやる。
「これで良し」
そうしてからようやく、俺達はスドバへと入った。
カランコロンとベルが鳴って、すぐにコーヒーの香りが鼻腔をくすぐる。
「あっ?おっそーい高須くーん……と逢坂さん?」
川嶋が意外そうに目を見開く。
「どうして逢坂さんもいるのぉ?」
「うっさいばかちー」
大河は俺を引っ張るようにして席へと座る。
「遅かったじゃないか。もう大枠は決めてしまったぞ」
次いで俺に声をかけたのは北村だった。
「北村?」
「おお、意外そうな顔してるね高須君」
「と櫛枝まで」
驚いた。
川嶋が呼んだのだろうか。
「あーあ、高須君と二人で行く予定だったのになぁっと」
川嶋はつまらなさそうに、かつ意地悪そうに大河に視線を向ける。
「流石に二人はマズイだろうってことで俺達も行く事になったんだ。というか、最初からそのつもりだったんだろ、亜美?」
「さぁね〜」
はぐらかすような笑い。
なんだ、川嶋ってそういう奴なのか。
結構いいとこあるじゃねぇか。
「まぁ逢坂さんは来たくないかもしれないけど〜」
……やっぱ川嶋への評価は保留にしておこう。
「うっさいわね、もちろん行くわよ」
大河が、川嶋の挑発に苦虫を噛み潰したような顔で応える。
「あれれ〜?随分素直ね〜?実は昨日高須君となにかあったとかぁ〜?」
川嶋のからかいは止まらない。
「べ、別に何もないぞ、な?大河?」
「あれれ〜?何で高須君が応えるのぉ?っていうか名前で呼ぶようになったんだぁ?」
「うぐっ」
しまった。
大河が何か変なことを言う前にと思ったが墓穴を掘った。
「別に何もないわ」
しかし、大河がフォローをだしてくれる。
おお大河、俺は今日までお前を誤解して……。
「昨日ちょっとチン事件があっただけよ」
「珍事件?」
「そっ、チン事件」
いなかったようだ。
というか大河、そこだけカタカナにするのは止めてくれ。
あらぬ誤解……でもないが厄介な状況になりかねない。
ここはさっさと話を変えよう。
「そ、そうだ。さっき大枠は決めたって言ってけど後は何が残ってんだ?」
「む、そうだな。まずは順を追って説明しよう」
北村の話によると、話はほとんど地形的なことと移動手段で、集合場所と買い物先、必要な物等はすでに決まったらしい。
後は現地についてからで、とりあえず今決めるのは部屋割りだそうだ。
「というわけなんだが、亜美、部屋は……」
「実は一部屋足りないのよね〜だから高須君と私は相部屋がいいかな〜なんて」
間延びした声でとんでもないことを言い出す川嶋。
「お、おい、いくらなんでもそれは」
「っざけんじゃないわよばかちー。竜児は私と相部屋よ」
「はぁ?」
無いだろ、と言おうとして、大河の発言にも目を丸くする。
「ええぇ〜?逢坂さんが泊まる予定の部屋はベッドが一つだけしかないけどそれでもいいのぉ〜?」
まるでからかうように川嶋は笑い、
「構わないわ、むしろ好都合よ」
失笑した。
「は?アンタ今なんて?」
俺も同じことを思った。
何言ってんだ大河。
「好都合と言ったのよ」
「ねぇ……ちょっといい?」
驚きの発言に川嶋が怪訝な顔をし、その場から大河を連れ出す。
***
「なによばかちー」
ばかちーが私を連れてテーブルを離れる。
まぁどちらかと言うと竜児と引き離したというべきか。
「アンタらマジで何かあったの?いや、高須君は普通だしアンタか」
「べ、べ、べ、別に……?」
目がつい泳いでしまう。
「ふーん。そぅなんだぁ」
「……何よ?」
「べっつにぃ。ただそんなに高須君のことが気になってるならもっとこういろいろやらないとダメだよって思っただけ」
「なっ!?ななななななな!?」
「あら図星ぃ?まぁお風呂にいきなり侵入して背中流すくらいの気概無いとダメだけど……あはははは!!」
ばかちーは「あー超ウケる!!無理だよねーそんなの!!」とお腹を抱えて笑い出し、
「あ、それ昨日やった」
「あははははは……は?」
笑うのを止める。
「やったって、何を?」
「あっ!?」
しまった。やってしまった。
「ねぇ、アンタまさか本当に何か……」
マズイ、ばかちーが何か変に勘ぐっている。
「まっいいや」
しかし、ばかちーにしてはやけにあっさりと矛を収めた。
「あ、そうそう。さっきの部屋が足りないっては嘘だから安心して。バッチリ部屋なら余ってるの。でも貴方的には足りないほうが良かったのかしらぁ?」
前言撤回。まだやる気だ、このイロモノ女。
「まぁ、一つ言っておくと、男ってのはすぐ他の女になびくから早めに自分を刻んでおいたほうがいいよぉ」
「は?」
何を言ってるのばかちー。
「まぁさっさと既成事実作成、ってわけじゃないけどそれぐらいの方がいいらしいよぉ」
「何のこと?」
「べっつにぃ?ただの参考話〜じゃあそろそろもどろっか」
ばかちーがいつになく親しみを込めて声をかけてくる。
何だって言うのよ、一体。
***
夜中、天蓋付きのベッドで寝返りをうつ。
昼間は、決めることを決めてさっさと解散した。
ばかちーが最後まで私をニヤニヤ見ていたのが気になる。
だいたい、既成事実って何よ?
わけがわからな……ってまさか。
唐突にとある言葉が思いつく。
おしべとめしべ。
まさか、これのこと?
ま、まさかね。
だいたい、もしそうだとしてしても竜児に限って……。
大丈夫、と思う頭とは裏腹に急に心は不安になる。
だから何度も自分に言い聞かせる。
大丈夫、大丈夫、と。
今日だって竜児は私を気遣って「開いてる。ほら、こんなとこ他の奴らに見られたらどうすんだ?」なんて言って私のボタンをしめて……あれ?
開いてる。ほら、こんなとこ他の奴らに見られたらどうすんだ?
あいてる。ほら、こんなとこ他の奴らに見られたくないだろ?
愛してる。ほら、お前のこんな姿他の奴らには見せたくないし。
な、な、な、んんてことぉーーーっ!?
わ、わ、わ、私としたことが!!
竜児の気遣いにまるで気付いていなかったなんて!!
というか、竜児は竜児以外に私を見られたくないってことだから、竜児は見たい、ということよね?
……そう思うと、少しばかちーの言ってたことも考えようかなって気になる。
名づけて、竜児寝取り作戦!!みたいなのとか。
……よし、考えよう。ちょっと、旅行が楽しみになってきた。
今回はここまで。
続きはまた待って下さいね。
例のスコッチの人、今回の続きでスコッチ三個分の弁償ということにしといてくれw
>>477 相変わらず最高に面白いです!
何より大河が原作の5割増しぐらい馬鹿なところがw
479 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 00:47:24 ID:QFzvHzQe
最高ですwww
別荘がwktk!
続きが気になるといえば、6スレ目辺りに投下された
本気で甘える大河の話の続きが気になるぜ…
>>477 あれだな。既に『とらドラif』だなw素晴らしすぎるw
ちなみに今回は、
これなら、と俺は靴下を履かせ「おぅ、大河って足小さいな」……地獄の底から後悔した。
↑
盛大に吹いたwww
>>481 ああ、歯を食いしばれ、かwアレも楽しみだなぁ・・・
483 :
【ジグソー】:2009/05/24(日) 02:06:05 ID:gv3nbRCo
>>448-449の続き
右足を睨みながらカッターナイフを出し入れする。憎かった。あの時大河を蹴っ
てしまったこの右足がどうしようもなく憎かった。
今朝は、あの晩犯した罪で自分は吹っ切れたと思っていたから大河の家に居た。
だが、何も吹っ切れてはいなかった。騙す事が怖くて、大河を心配させないため
に巧偽する事が出来なかった。
だが、今度こそ吹っ切れていた。女に暴力をふるう等、愚行も良いところだ。完
膚無きまでに嫌われてしまっただろう。
愛しさはまだ在る。だが、その愛しさも心の中で虚像と化している。掴めないの
に存在だけがちらついて、目障りな事この上ない。
二節目まで出したカッターナイフを右足に当てる。ひんやりとした感覚と肉を切
ろうとする意思が刃から伝わり、ぞくりと背中を震わした。この優しい刃は、大
河を傷つけた足に消えない罪の証を刻んでくれる。その証を大河が受けた痛みの
倍刻めば、自分を許せる気がした。
「―ッ!」
そして一太刀。最初に線が入り、次に血が滲み始める。痺れるような痛みを感じ
ながら、自分の心が晴れていくのを感じた竜児は、自己満足だと判っていながら
も次々と証を刻んだ。
だが、幾つ付けても全ては晴れなかった。
一端手を止めて、自分が刻んだ傷を確認する。傷はどれもかなり浅く、かさぶた
は出来るだろうが跡にはならないだろう。それで得心がいった。刻むには深さが
全く足りていなかったのだ。いくら痛みだけの免罪符なんて付けても、心の奥ま
では払い切れない。払いたければ、傷を奥に広げてしまえば良いとして、カッタ
ーナイフをさらにもう一節出して先程よりも速く力強く引いた。
ぱっくりと割れた傷からは血が流れ出す。成る程と竜児は思った。自傷による痛
みは、迷いやいらない気持ちを振り払ってくれる。流れる血は、己が生きて存在
する事を認識させてくれる。これならば、リストカットやアームカットをする人
がいてしまうのも仕方が無い。例え、それが間違っていても、解決には導かない
としてもだ。
カッターナイフを四節まで出す。これを引けば、傷は隠せない深さになる。これ
を付けたらなんともいい気分になれるだろうが、ここからは先を考えずに付けて
良い傷で無い事は判っていた。
押し当てたまま暫く考え、溜息とともにカッターナイフを置いた。こんな下らな
い自己満足で治療費をかけるような真似は出来なかった。
それから傷の消毒だけを済ませると、止血作業もせずに床に転がった。幾ら憎ん
でも、それを形にするのには自傷以外の別の方法が必要になった。それは償いと
呼ぶのだろうけど、何をどう償って良いのかは皆目検討もつかなかった。
「竜児!」
突然の声に床から身体を引き剥がす。玄関には鍵をかけていた筈で、彼女が入っ
てくる場所なんて無いはずだった。暫く睨み合ったまま、ゆっくりと記憶を漁っ
た。そして、一つの可能性が浮かぶ。それと同時に怒りが心を熱した。
「竜児…その傷…まさか自分で?」
「んな事はどうだって良い!」
大河の目線はカッターナイフと膝の傷を行ったり来たりしているから、真実はも
う掴んだのだろう。だが、それが露呈した焦りは感じない。今は大河の行動が許
せない気持ちが大きい。
「良くない!だってその右手も――
「大河!」
肩を乱暴に掴んで、少し恐怖の色が写る大河の眼を真っ直ぐ覗き込む。
「お前、窓から入って来たろ!なんつぅ危ない事すんだよ!」
その言葉に大河が申し訳なさそうにうなだれ、ぼそぼそと口を動かす。
「……だって、謝りたかったから…」
すとんと強張っていた力が抜ける。疑問符が頭の中を縦横に駆け巡り、早く答え
を出せと急かす。謝罪される道理が無い。謝罪すべきなのは寧ろこちらなのだ。
「竜…児が、だって、私いけないとこ突いて……き、嫌われ…嫌われて…」
「お前を嫌えるかよ!俺だってお前に嫌われたかと思って…あんな酷い事しちま
ったし…」
「わ、私が、竜児を嫌えるわけ…ないじゃんか……ばか」
ぽっと心の中で何かが光る。あぁ、まずいなと竜児は思う。大河の頬を伝わって
いる涙の一粒でさえ愛おしく、白磁のように白くなめらかで華麗な手の爪の先ま
で脳に焼き付けたくなるこの感情は、今朝漸く捨てる事が出来たモノだ。
散々人を傷つけて、擦り切れるまで使ってやっと折れたと思っていたら、また直
ぐに新しく出てくる。思えば、これはカッターナイフそのものだ。ただ、こちら
のカッターナイフは姿が捕らえられないから終わりが見えない。だが、これはあ
くまで一節一節丁寧に使えばの話で、一気に終わらせる事もちゃんと出来る。
命一杯刃を出して、壁にフルスイングをかませばそれで終わり。ありのまま、気
持ちも右手の事も足を傷つけた事もレースの事も全部吐き出す。当たって折れろ
だ。
それで折れた刃が自分に刺さっても、長々と今を引っ張るよりかは随分素敵に見
えるだろう。なにより、全てを吐き出して全てを終わらせる事が大河への償いに
成り得ると、そう思えた。
485 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 02:16:37 ID:eyga/YDH
ジグソー続ききてたー
すれ違いがもどかしいぜ
>>477 前スレから抽出して一気に読んでみたぜ
だんだんと接近してくのにやっぱりすれ違ってもどかしいのが良い
>>448 とりあえずここまで。そししてまたジグソー忘れた…
それと、ご報告に預かり調べるとアンカーミスがありました。むむぅ、これはジグソーが無事に完結した際にきちんとしたのを貼るべきかな?あっ、でもその前に次スレにいってしまいそうだ
日記になりますが、今日とらドラ!の原作とコミックを大人買いしようと本屋数件を回りましたら、見事に全滅でした。というか、竹宮さんの作品自体ありませんでした。なんだろうか。アレだろうか。自分の県では今まさに流行中なのだろうか?
素直にポチれば…とも思うが
つい本屋で探しちゃうよねw
>>486 乙でした。
不器用すぎる2人が切なくていいね!
状態に拘らなければオクとか、
全巻まとめ買い出来るネット書店なんかもある。
ジグソーの人おつ!
もはやギシアンでもなんでもないことになってるなw
GJ!!
俺滋賀住みで田舎だけどとらドラ系はゲーム意外あったよ
1巻と10巻なかったけどね…
あと、ゼロの使い魔は1時間で読めるけどとらドラは5時間強かかるのは俺だけ?
>>489 ゼロは読んだことないからわからないが、とらドラ!は文体に癖が強くて、
決して読みやすい文章じゃない。それでもぐいぐい引き込んでくるのがとらドラ!なんだが。
あ、
「櫛枝とはつきあったことがないからわからないが、大河は性格の癖が強くて、
決してつきあいやすい女子じゃない。それでもぐいぐい引きつけるのが大河なんだが」
これ、まんま大河じゃねーか。
てか大河いきなり「好き」じゃなくて「愛してる」かw
>>484 ここまで自制の効かない竜児を初めて見ましたwとても新鮮で驚きましたw
梅雨前線と聞いてこんな電波を受信した
「もうすぐ梅雨……カビ共との全面抗争の季節が来やがった……ククッ……楽しみだぜ」
「なに日曜の朝から凶悪ヅラ全開にしてんのよ気持ち悪い」
「なっ……!俺はただ」
「まー私も雨って嫌いじゃないわよ」
「ほー意外だな」
「幼稚園の帰りなんかによく歌ってたわね、ピチピチチャプチャプランランラン♪って」
「なぁ大河」
「なに?」
「俺は雨より……その……大河が好きだぞ」
「……もう」
ギシギシチュパチュパアンアンアン♪
その発想は無かった…
無いというか、突出してるんだな・・・。
効果音ワロス
誰か医者を呼べw
いや医者逃げてw
499 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 13:24:13 ID:eyga/YDH BE:29588843-2BP(8010)
現代医学の敗北
お薬出しておきますね
「タミフルが聞かないだと…だめだ、もう手の施しようが無い…」
つまり
>>493はこう言いたいのですね。
「医者はどこだ!!」
1話ifふたつと幼児化竜児はまだか…
そろそろ死ぬぞ…
インフルの仕業か…?
虎インフルエンザとは恐ろしい
>>494-502 まさかこんなにリアクションが来るとは……「りゅーじ!セックスしよ!」以来だ……。ありがとう。
虎インフルエンザと聞いたらこんどはこんな電波を受信した
「なぁ大河」
「なによ竜児」
「頭がボーッとするんだ……」
「ま、まさか今流行りのぶ豚インフルエンザじゃないでしょうね」
「いや……さっきから大河をジーっとみてたら……」
「……」
「かわいーなーって思ってるうちにこんなんなっちまったよ」フラフラ
「……」
「すきだーたいがー」ヘナヘナ
「……もう」
ギシギシアンアン
「大河、ちょっとおまじない的な事をやってみないか?」
「おまじない?また誰かに何か吹き込まれたの?」
「違うって。目を瞑って、大河ん家玄関から家に入って窓を全部空ける想像をしろ」
「はいはい…めんどくさ」
☆ルール☆
玄関から入って、家の中の窓を自分の目線で行動し、窓を全部あけよう。
廊下などの目線もちゃんと想像して、すっぽかさないこと。
〜〜〜〜〜みんなもやってみてね☆できるまで下をみちゃダメだよ☆〜〜〜〜〜〜
「…ん。終わったわよ。これで何かわかったりするわけ?」
「おう。想像してる途中、誰か人がいたか?」
「人?」
「例えば俺が掃除してたり料理してたりさ」
「んと…リビングで竜児が料理してた」
「うほ…他には?」
「後はね〜…竜児が私の部屋掃除してた」
「俺はどんだけいるんだ…他には?」
「みのりんが私のポーチ弄くってた」
「…お前ヤバいかもな。相当」
「なんでよ?何かわかったわけ?」
「お前憑かれてる」
「私別に疲れてなんかないよ」
「そういう意味じゃない。幽霊に取り憑かれてるんだよ、お前」
「……なんでそういう事言うの?」
「昨日テレビでやってたんだ。想像して、人が出てきたら憑かれてるって」
「ひっ…竜児はどうだったの…?」
「テレビで知って想像したら無理やりにでも登場させないに決まってるだろう」
「うっ…こわ、りゅうじぃ…」
「大丈夫だって、お前には俺が…って大河後ろー!」
「ぎゃああああ!!」
「うそだよ。普通女の子ならキャーじゃないのか…?(ったく可愛いなぁ)」
「うぐ…ひっぐ、ばか、ばかばか!女の子苛めるなんて最低よぉ…」
「いや、すまん。怖がる大河っていうのを見てみたくてつい…」
「今度したらほんと殺すから…」
「おう、大丈夫だって。お前には俺がついてる。…おや。そろそろ帰る時間じゃないか?」
「…乙女にこんな話しといて、あの牢獄に入れようとするの?」
「そういう言い方でいいのか?」
「うううう…いい!今日泊まるから!」
「ん?言い方が…?」
「…泊めて下さい」
「よしよし、よく言えたな。風呂は明日でいいよな、休みだし。寝るか!」
「そういう魂胆か!…まぁいいや。りゅーじぃー♪」
「おうおう!抱いててやっからゆっくり休めよ」
「うん。お休みなさい、愛しの旦那さま」
「おう。お休み、未来の俺の嫁!」
「ギギギ、ギシ、ギシシ、ア、アンンアンン」
「ひぃぃ!」「落ち着け、あれはインコちゃんの寝言だ」
このスレの500くらいまで保管しました。
トップページに携帯用のリンクを張ってみました。(ファイルシーク通しただけですが)
もし問題があるようでしたらご報告をお願いいたします。
>>43氏感謝!
>>40 サーバーの容量は1GBあるらしく、現在は10Mくらいしか使ってないので
まだまだ余裕があるので大丈夫デース。
まとめ人乙!!
自分の書いたやつが乗るのっていい気分だね、つまんなくてもw
竜児→りゅうじ→りゅうじぃ
俺は最後が1番好きだ。
まとめ人お疲れ様です!
携帯用もすごい助かります、ありがとう。
512 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 18:10:42 ID:5MjiEo4T
>>505 大河を前にするとヘロヘロになっちゃう竜児www
>>506 こっちの竜児はSだな
>>508 おつんつん
ところでふと思ったのだが、現状だと最初のスレから現行スレまでの作品インデックスが1ページに表示されてるわけだが
スレごとにページ作ってトップはそこのリンクを…って感じにしたらいいんじゃないかと思った
つまり
現状:トップページ→各作品へのリンク
改案:トップページ→各スレごとの作品一覧→作品へのリンク
みたいな
>>508 仕事はええ……さっき書いた奴がもう載っている……乙です
久しぶりに自分で書いたギシアンを最初から見返したんだが我ながら下らないにも程があるwwww
こんなんまで全部まとめに入れてくれて本当にありがとうよ!
514 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 18:29:31 ID:5MjiEo4T
ギシアンは一見くだらないのがいいだよ
1スレに1回ギシアンがなければ竜虎スレは成立しないと言っても過言ではない
もはや水魚の交わりとも言うべき関係なのだよ
ブツッ
「あらやだ〜」
「きゃっ」
「おう!?」
「マ…マ…マックラ!!」
「やだ〜停電かしら〜竜ちゃんロウソクどこにしまったか分かる〜?」
「ははははやく探してきなさいよごごごご飯がたたた食べられないじゃななないの」
「大河ちゃん怖いの〜?やっちゃんがよしよししてあげよっか〜?」
「だだだだいじょぶありがとやっちゃん……はやく探しなさいよバカ犬!!」
「お、おう。えーっと確か……」
「(あ、そういえばいつものやつがあったわね……)竜児、私も手伝うわ」
「なんだよ急に落ち着いて。まぁサンキュ。確かいつもんとこに……」
ガサガサゴソゴソギシギシアンアン
「あ!あった!」
「ふうそっちだったか……って大河それは……」
「ほらやっちゃん!もう大丈夫よ!」パッ
「わー大河ちゃんありがと〜!へ〜赤いキャンドルなんてなんだかロマンチックだね〜」
「この前竜児と一緒に買いに行ったの!ね?りゅうじ??」
「え、あ、お、おう……」
「どしたのりゅうじ?ローソクはローソクでしょ?」ニコニコ
「二人とも大人になってくんだねぇ〜」
「ア、アツイッ!モット!モットォ……」
517 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 19:08:50 ID:5MjiEo4T
おいw
こらw
どっちが受けだ?w
>>516 マックラケーナーとかいう歌が聞こえた気がする
竜児「・・・・・・」
大河「・・・・・・」
ギシギシギシギシ
大河「あんあん…」
竜児「お前…何やってんだ?」
大河「はっ!?べ、べつに自慰何てしてないんだから!」
竜児「はいはい…俺が加われば自慰なんてしなくて済むだろ?」
大河「…うん///」
ギシギシアンアン
【 大河とルカ(大河×竜児娘)の葛藤 】
大河
『ルカの奴、顔は私に似たのに身長は私より20cmも高くて、
む、胸もやっちゃんの遺伝子引き継いでボッインボイン!!!、
しかも家事万能っ!くっ・・・!竜児が発情したりしないか心配だわ!!』
ルカ
『か、母さんあんた一体何者なのよ?私もう18よ!
なのにあんた私よりおめめクリックリで肌もつやつやプルンプルンで・・・
ああんっ、もう、かわいいっ!まるで私の妹じゃんよ?!
でも、このまま私だけ老け込んでいくの・・・?ありえない!!
不老不死の遺伝子でも持ってるの?!』
524 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 20:56:25 ID:5MjiEo4T
525 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 20:56:49 ID:5MjiEo4T
>>523 大河
『こうなったら性欲エロ魔人竜児の性欲を徹底的に絞り取るしかないようね・・・
遺憾だけど・・・家庭円満のためなら私はいくらでも犠牲になってやるわっ(ドキドキ)』
「竜児っ!今夜もっ!!いいわねっ?」
「お、おぅ!(ハァ・・・大河最近なんか激しいな、一体どしたってんだ?)」
ここのところお疲れ気味の竜児であった。
続・・・かない。
527 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 22:08:54 ID:5MjiEo4T
40代で見た目が今とあまり変わらん奥さんとか最高すぐる
毎晩ギシアンでも全然構わないな
>>526 GJw
ルカは母の事をあんたって呼ぶのかw
そういえば高校生の母親って43歳越えが多いけど
竜虎はギシアン子作りで20には出産、18歳子持ちでまだ38歳とか若ええええ!!
いいなあこういう妄想。なんか死にたくなってきた。
でもスレが過疎るまで死なんぞ…
529 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/24(日) 22:23:45 ID:5MjiEo4T
>>502 竜児「悪質な冗談はやめて下さい。ぼくは死ぬかもしれないのですよ。
ほら、ぼくの顔はだんだん蒼褪めていくではないですか。
こうしている間に、大河がこけて膝を擦り剥いているんじゃないかと、
それでしくしく泣いているんじゃないかと、
舐めてやって傷口を消毒しないと化膿するんじゃないかと、
そう思うと居ても立ってもいられないのです。
これじゃ仕事にもいけません。
ねっ、おしえて下さい。イシャはどこだ!この大河が好きすぎる病気を治してくれるイシャはどこなんですか!」
のた打ち回る竜児の横を楽団の影達が横切る。
竜児「そうだ。大河の顔を見れば何か思いつくかもしれない。おお、そうじゃ」
と言い残して空白の標識の立ち並ぶ線路沿いを、竜児は一人とぼとぼと歩いていくのでした。
って、
>>502の『ねじ式』ネタに誰も反応しないから無理やりやってみたけど、
『ねじ式』と『とらドラ!』混ぜるなんて難易度高すぎだよ。
修行しなおしてくる。
もしチャクラが開いて帰ってきたら、ここには最低一人はガルシア・マルケスのファンが居るはずだから
(俺を含めると二人だが)マジックリアリズムな『とらドラ!』でも書くよ。
ってか、
>>502は『ねじ式』ネタでいいんだよね。もし違っていたら恥で死ねる。
ブラックジャックネタのつもりかもよ
532 :
502:2009/05/24(日) 23:27:14 ID:cp9Wogf1
>>503 サンキュwあんたが心待ちにしてくれたお陰で、迷ってた部分がスッキリ嵌まったwやはり期待されると頭のギアが上がるなw
てなわけで、『1話if・9』次レスからいきます♪
頑張ったわ私。
自室のベッドに潜り込みながら私は、まだドキドキと高鳴る胸にそっと手を当てた。
『1話if・9』
一瞬あまりの小ささにショックを受けるが、それも束の間。
暖かく拡がっていくような胸の裡に、思わず顔が綻ぶ。
高須竜児に気持ちを伝えた。
その勇気に、自分で自分を誉めてやりたい。
だって、今まで私は逃げてばかりいたから。
欲することをせず、敢えて自分から突き放した。
本当は欲しくて堪らないものに、自ら背を向けることで自分を正当化していた。
いずれ、それは結局逃げなんだってわかった。
否、わかっていた。
でもそれから目を逸らし続けてきた。
ずっとそうやって生きてきた。
親に捨てられた時からずっと・・・。
でも今日、私はその現実に真っ向からぶつかった。
ぶつかって傷つこうとも、欲しいと思えるものが出来た。
今まで手放すだけの人生だった私に、初めて欲しいと思わせたもの。
高須竜児。
>>534 その名前を思い浮かべるだけで、顔が火照りを覚える。
顔を思い出すだけで胸が高鳴る。
屋上で聞いたあいつの言葉を思い返すたび・・・泣きたいほどの幸せを感じる。
ああ・・・。
この想いを伝えるのに、どうしたら良いのか心底悩んだ。
とりあえず授業をサボるほどには。
まず、正面切って告白なんて到底出来ない。
絶対出来ない。
こう見えて私はすごい小心者なのだ。
ならどうしよう?
そんな時思い出したのが、渡すつもりの無かったラブレター。
以前北村君に書いて、でも渡すなんて到底出来なくて、いつもカバンの中に入れっぱなしになっていたそれ。
それを渡すこと。
そうすることで、私は一歩歩き出せるって思った。
今までのうじうじした自分じゃなくて、前向きに、欲しいものを欲しいって主張できる自分に、生まれ変われるって思った。
だから敢えてそのままの手紙を使い回した。
それが、北村君への気持ちを断ち切ることになると思ったし。
若干、おふざけ的に思われるかなって逃げの気持ちもあった。
最初っから、本気です!みたいな重いのってなんか怖いし。
でももし・・・使い回しなんてふざけやがって、とか思われたらどうしよう?
今更そんな事を思いだす。
>>535 手遅れな事を思っても仕方ないのに、不安はどんどん大きくなる。
開けて貰えるだろうか?
読んで貰えるだろうか?
そして返事を・・・返事を・・・返事?
「・・・え?」
そこまで思って、私は重大なことに気付いた。
気付いた事実に愕然とした。
過ちといっても過言ではない。
それ程に重要で重大な問題。
なんでこれに思い至らなかったのか?
改めて自分の能天気さに呆れ果てた。
そうよそうよそうよ。
なんで私・・・私・・・。
「こ、断られること考えてなかったのよ・・・?」
>>536 なんたる間抜け。
なんたる稚拙。
なんたるおっぺけぺー。
いや自分を詰ってる場合じゃない。
塞は既に投げられた。
否、投げ付けた。自分で。
どうしようどうしようどうしよう。
起き上がって、うろうろと部屋の中を歩き回る。
もし断られたりしたら、次からどんな顔して高須竜児に会えばいいんだろう?
いや、そもそも向ける顔なんてあるものか。
恥ずかしくて恥ずかしくて、二度と顔向けなんて出来はしない。
それよりももう、学校にすらいけないだろう。
多分そうなる。
私はそこまで小心者なのだ。
どうしようどうしようどうしよう。
問題は、そうだ。
もし振られた時に、いかにして対処するべきかなのだ。
振られても、私がまた高須竜児に堂々と会える状況。
その構築に目的は絞られる。
その為には・・・。
思案に暮れたその時、ちらりと視界に入ったそれ。
それを目にしたとき、私の中でまるでパズルのように、全てのパーツが組みあがっていった。
すべてが高須竜児に振られたらに向かうベクトル。
それらはついに繋がりあい、一枚の綺麗な絵画を完成させた。
「良し・・・完璧」
何度か頭の中でその計画を確認し、一分の洩れもない事を確信して呟く。
そうして顔を上げた。
決意を込めて。
そう。
勝負は・・・今夜だ。
もうすぐ400KBになりそうじゃまいか…
がんばるな皆w
ここでガルシア・マルケスの名を見ることになるとは。
大橋をマコンドにする気ですか。
>>476だが
>>537 続きを渇望してたぜ!!お互いIfがんばろう!!
>>478 大河は馬鹿じゃない、ちょっと思い込みと勘違いが激しいだけの子さ!
>>479 オフコース
まとめの人いつもお疲れさん!
あんたがいるからこのスレは成り立ってるんだぜ。
さて
>>476続き
***
『どうか俺と……結婚してください!!』
竜児が土下座をしながらお願いする。
『竜児……顔を上げて』
私はそんな竜児に近づき、頭を抱きしめる。
『大河……』
『竜児、そんなに私と結婚したかったの?』
抱きしめる力をより一層強くし、尋ねる。
『大河以外、考えられないんだ』
竜児は怯えるような手つきで、私を抱きしめ返していいものか戸惑っている。
『……私、子供はたくさん欲しいな』
『!!大河……』
竜児はようやく私を抱きしめ返す。
悪魔で優しく、割れ物を扱うように。
『ああ、たくさん作ろう。俺、がんばるよ』
『私も、がんばるね』
想像する。
子沢山の未来。
可愛い娘息子に囲まれて、でも竜児は常に私の隣にいて。
『竜児、みんな元気に育っていくわね』
なんて言いながら私が微笑むと、竜児は、
『そうだな』
と優しく返してくれる。
そんな何でも無いことが嬉しくて、ついお腹を触る。
『今度は三つ子だって……』
『ああ、二人で、育ててやろうな』
『ええ、きっちり愛してあげなきゃ』
私は自分の境遇からそんな事を子供が生まれる度に言って、
『確かに、子供も大事にしたいけど……俺はお前が一番大事なんだぞ』
その度竜児は耳元で愛を囁いてくれる。
『私もよ、竜児』
『大河……愛してる』
そうしてもう何度交わしたかわからない行為、二人の唇の距離がゼロになるその行為を……。
***
ぱちり。
目を覚ました。
二度三度と瞬きをする。
「俺、なんて夢みてんだ……」
軽い……いや相当重い自己嫌悪に陥る。
なんでこんな夢を見たのだろう。
昨日の夜見た映画のせいだろうか。
たしかあれは、世界一のエージェントと呼ばれる主人公が、ヒロインのためにがんばる話だ。
最初はお互い憎まれ口を叩き合うような間柄だった。
だけど、ヒロインが盗まれた家宝の剣を盗み返そうとしてるのを主人公は知ってしまう。
しかし、それには多大な危険が伴う。
それを不安に思った主人公はいつの間にかヒロインと同棲するまでになり、気付けば人目を憚らずイチャつくようにまでなる。
しかし、目的を忘れたわけじゃなく、二人でその家宝の剣を探し出し奪い返す、というようなお話だった。
まぁ最後は結局取り返せなかったんだよな。
俺は、そんな昨晩見た映画の内容を思い出し、「なんか、イチャつき方が似てた気がする」などとブツブツ言いながら朝食を用意し、次いでベランダにある洗濯機へと向かう。
洗剤を適量入れてスイッチオン。
ゴウンゴウンと音を鳴らしながら洗濯機は回りだす。
なんか、洗濯してても気がまぎれねぇ。
「はぁ……あんな夢見たら大河の顔見づらいよなぁ」
そんな、思ったことを口にした瞬間、ベランダから見えるお隣の部屋の窓、端的に言って大河の部屋の窓が開いた。
***
ぱちり。
目を覚ました。
二度三度と瞬きをする。
「私、お告げ……見ちゃった」
口から、思ったことがポロリと出てくる。
竜児と結婚した未来。
子沢山の未来。
竜児に愛される未来。
ボフッと顔が赤くなる。
夢とはいえ、あんなストレートに竜児が私に『愛してる』って言うなんて……。
「これは……神託に違いないわ」
そう、未来への神託。
それとも予知夢?
ほら、私は今、『にゅーたいぷ』とかいうのに覚醒したのよ。
私が一番竜児を愛せるんだぁ、とか。
………………思ってて恥ずかしくなってきた。
ゴウンゴウン……。
「あ、洗濯機の音」
竜児はどうやら洗濯しているらしい。
ばっとベッドから飛び降り、窓を開ける。
「おぅ、大河」
私に気付いた竜児がおはよう、と挨拶してくれる。
そんな竜児の顔を見て、伝えたくなった。
「私、夢を、未来へのお告げを見たわ……」
「はぁ?お前大丈夫か?」
竜児が心配そうに私を見つめる。
ああ、竜児が私を心配している。
愛を感じるわ。
「問題ないわ、これで一つ、未来への障害が減ったもの」
「そ、そうか。よくわからんが良かったな。ああ、朝飯できてるぞ。今日は早めに食って旅行の買い物に行くんだろ?」
「そうよ、すぐそっちに行くわ」
私は、朝一番の竜児との時間を名残惜しみながら窓を離れた。
早く隣の家に行かなければ。
***
大河は大丈夫だろうか。
窓を閉めた大河に一抹の不安を覚える。
「お告げって一体……」
内容が気になるところだが、まぁ夢かなんか見て勘違いしたんだろう。
その証拠に、俺を見て、顔を赤くし、ずっと両の掌で両頬をふにゃふにゃさせてたんだから。
あの大河は間違いなく正常な思考でなかった気がする。
今日は大河の行動に注意しよう。
調子が悪いのかもしれない。
もしかしたら寝ぼけてただけかもしれないけど。
あ、ちなみに何故そんなことを思ったかかというと、決して昨日の夢が原因で大河に変な感情を抱いたのではないぞ。
うん、無いはずだ。
無いと、思うんだけど……。
無い、よな?
まぁ、少し、いや結構、いやいや、かなり大河が可愛いと思ったのは内緒にしておこう。
***
>>532 なるほどあ〜るネタでしたか
櫛枝「不肖櫛枝、一発芸をやります! 高須君、ちょっとこっち来て」
大河「えっ!? みのりん、私の竜児になにを?」
櫛枝「だいじゃうぶ、まかせて! ちょっと借りるだけだよ。じゃ、彼氏借りるよ〜」
としがみ付く大河の腕の中から、哀れ竜児は奪い取られていく。
竜児(一体なにをされるんだ?)
櫛枝「それでは皆さん細工は流々、とくとごろうじろ〜!!」
大河「五郎二郎って誰?」
きょとんとしている大河以外は櫛枝と竜児を一体何事が起こるのやらと注視している。
すると櫛枝、両の手のひらで、すっと竜児の御面相を指し示すと
櫛枝「テレスドンの目!!」
しーん。空気が死んだ。
櫛枝「あっはっは。ちょっと最近の若いものには分かりにくいネタだったかな?」
竜児「最近の若いものって、櫛枝おまえ……」
そのときである。全裸待機にはさすがに規制がはいった北村が飛び出したのは!
北村「安心しろ櫛枝。そのネタは俺が回収する!」
その姿はビキニパンツ一丁の上に赤と銀のボディペインティングをおなじみの模様にほどこしたものだった。
櫛枝「おや、北村君。その筋骨隆々たるボディはCタイプだね。でも残念、テレスドン戦はBタイプなんだよなぁ、惜しい!」
北村「そうかそうか、よく分からんがそれは残念だ、アッハッハ」
川嶋(ついていけねえ……)
竜児(何気にひどいこといわれたんじゃね?)
大河(よくわかんない?)
546 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/25(月) 00:21:22 ID:cIO03eii
ちょっと早いが次スレタイトル案
【とらドラ!】大河×竜児【ワクワク妄想】Vol9
【とらドラ!】大河×竜児【アチアチ妄想】Vol9
↑前スレのボツ案
いいのあれば皆様もお願いします
シガロスとはしぶいな君
さぁ、ジグソーの時間だよ!!と思ったけど、そろそろ埋まるみたいなんで推敲するのも兼ねて続きは次スレにて
それと、まとめの人『えっちなのはいけないと思いますん』の称号有難う。大事にしていきます
>>545 良い作業用BGMですね。執筆もはかどります
549 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/25(月) 01:13:42 ID:cIO03eii
>>548 まだ100KBほど余裕あるから大丈夫です
次スレ案出したのはギリギリでスレタイ決まらなくて次スレが立たないことを防ぐため
あんまり俺の一存とセンスだけでスレタイ決めるのも問題だと思うので
スレの容量に余裕があるうちに皆様の意見を募ろうと思ったのでした
ちなみに100KBはだいたい作品書き込みだけなら25レス分くらいです
あれ、500KB手前くらいじゃなかったっけ?
ジグソー楽しみにしてまっせーw
【とらドラ!】大河×竜児【ゴロゴロ妄想】Vol9
とかどうだろう。
2828作品読むとゴロゴロ転がりたくなるし。
通りすがりの次スレ案
【とらドラ!】大河×竜児【フワフワ妄想】Vol9
なんてどうでしょう
ROMな俺ですが、皆さんいつも楽しい書き込みありがとうございます!
そんな君にもえた
554 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/25(月) 01:27:29 ID:cIO03eii
555 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/25(月) 01:31:15 ID:cIO03eii
>>551-552 どっちもいいNE!
何を採用するにせよまだまだ物語は続くので案はたくさんあるに超したことは無いです
ありがとうございます
今スレの【アツアツ妄想】から
→【アゲタテ妄想】→【トンカツ妄想】と脳裏を過ぎった
そんな俺は、【フワフワ妄想】に1票
もうストレートに
【とらドラ!】大河×竜児【ギシアン妄想】Vol9
でいいんj(ry
フワフワがいいねぇ。
なんか、かわいらしいじゃないの。
>>219の続きです。間が開いてしまいましたが。つかスレ伸びるの早い。
次スレはフワフワに一票。あとまとめの方、おつです。
初めて味わう感覚は決して不快なものではなくて、それどころか堪らなく甘美なも
のだった。どうして、竜児に褒められてこんなに嬉しいのだろう。これじゃ、まるで。
その先を考えることはできなかった。そこから先は決定的な一歩に違いない。それ
が何なのか、頭のどこかでは分かっている。けれどもそれは、きっと見てはいけない
月の裏側なのだ。太陽に照らされていない裏側がどうなっているのか、今それが見え
そうになって、大河は必死に目を背ける。
だって、そんなことは月も太陽も望んでいないはずだ。それなのにどこか別のとこ
ろでは、それを知りたくて堪らない自分がいて、大河を駆り立てる。
竜児はおそるおそる、振り返ろうとした。たぶん「いつもならどつかれるところな
のにどうしたんだろう」とかえって不安で、大河が一糸まとわぬ姿であることを忘れ
ているのだろう。
「くぉら! 普通に見ようとすんじゃない!」
犬の頭をぽんぽん撫でるくらいの気持ちで、背中に一発見舞ってやる。幾度となく
くれてやった本気の一撃に比べれば、それこそ撫でているようなもの。せいぜい竜児
の意外に広い背中がもみじ饅頭になるくらい。
「おう!? あ、悪い、黙ってるもんで不安になってきて……
裸だったなお前……そういや」
「油断も隙もありゃしないわねこの発情犬は……」
「それで?」
「は?」
「人に感想聞いといて『はいそうですか』もねえのかよ?」
そうだ。何も真剣に答えることはないのだ。今はただびっくりして、考え込んでし
まっただけ。真正直に心の中をさらけ出すことなんてない。いつもみたいに、ちょっ
とした気まぐれで駄犬をからかってやっただけだ。竜児だって、その方が納得するだ
ろう。
「あんたが日ごろ私をどんな目で見てるのかよく分かったわ。
これからは変な気起こされないようにちょっとは気をつけ……なくてもいいか。
あんたにそんな度胸ないもんね」
「お前自分から飛び出しておいてそれか……
あのなあ、度胸とかそういう問題じゃねえ。俺はお前が……」
言いさして、やめる。私が、なに? 竜児の背中はそれ以上何も答えてくれない。
何か失言したとでも言うように唇を噛んだ竜児の顔が目に浮かぶようだった。
「何よ、あんたこそ、言いかけで。最後まで言い……ぶしゅん!」
「うおっ冷て! お前人の背中に……だああっ! もう! 風呂! 行け!」
竜児はTシャツを振り払うと、大胆にも振り返った。その目は力いっぱい閉じられ
ており、竜児の顔は赤鬼みたいに真赤だった。ずいっと手を突き出して大河の頭を見
つけると、ターンテーブルよろしく後ろを向かせる。
「リモコンは探しとくから、さっさと行け!」
「分かったってば……あ、竜児」
「今度は何だよ!」
目を閉じた竜児にそっと近づいて、囁く。
「トイレ使うくらいなら、別にいいわよ?」
「……トイレ? ……んなっ!? バカ!」
下世話を咎めようにも目を開けられない竜児の手をかいくぐり、大河は浴室へ駆け
出した。これで取り敢えず、竜児ははなからからかわれたと思うはずだ。最初のは遺
憾な事故だったけど、相手は竜児だから別に恥ずかしくなんかない。だから照れる竜
児をからかってやっただけ。竜児が真面目に返すから調子が狂ってしまったのだ。
ただ、それだけだ。
大河は浴室に入ってすぐ、何となくそこがさっき入ったときより綺麗になっている
ように思った。竜児が掃除したのだから元々綺麗だったのには違いないのだが、おそ
らくナメクジを片づけたとき、ついでに掃除をやり直したのだろう。鏡には水滴の跡
すら残っていない。
そんなにピカピカにしなくていいのに。鏡はあんまり好きじゃないんだから。隠し
ようもない全身を映す風呂の鏡は特に。現実を見せつけられる気がするので、いつも
なるべく見ないようにしている。そうでなくても毎日見下ろしている自分の身体を、
何だって真正面から直視しなければならないのか。そんな思いだった。
しかし今、大河はシャワーを浴びる前に、自分の全身を映したそれと正面から向き
合った。幾らまじまじと見ても、どんなに角度を変えても、やはり起伏に乏しい貧相
な身体にしか見えず、分かっていたとはいえ落胆を隠せない。それでも竜児はこの身
体を、綺麗だと、全然貧相じゃないと言ってくれたのだ。またいつかみたいに嘘をつ
いて励ましてくれたのでは、とそんな思いが脳裏をかすめるが、お世辞だってやっぱ
り嬉しい。大河はやっと素直にそれを認めた。そんな、特別に意識しなくたって、誰
にだって褒められれば嬉しいに決まっている。身体の特徴なんて中々面と向かっては
言えないことを、偶然、事故で見てしまった竜児が正直なところを口にしたのに過ぎ
ないのだ。嬉しいけど、きっとそれだけなのだろう。
でも、
「でもやっぱり、嬉しい、かも」
またぞろ口元が緩みだすのを止められないのだった。
だったら、いいよね。ただ褒められて嬉しいだけなんだから、もっと期待したって
変なことではないはず。もっと見てほしいと思うのは、別に悪いことではない。
*
今度は竜児が直視できない。風呂上りの大河にグラスの牛乳を渡そうとして、竜児
は危うく床をワックスがけするところだった。もしくは牛乳臭い雑巾を作るところだ
った、とでも。
「……お前な……」
大河は牛乳をひったくると咽喉を鳴らして一気に飲み干し、ぶはーっと親父臭く息
をついた。その大河の着たパジャマのボタンは、掛け違えた上に上から二つはそもそ
も留まってすらいない。
赤面した竜児を、大河は嗜虐的な目で睨めつけた。
「は? 人と話すときはちゃんと目を見なさいよね。
それが当然の礼儀ってもんじゃない?
あ、でもあんたの目を直接見たらショックで二三日寝込んじゃうかも。
やっぱ見なくていいわ」
「俺はどこのゴルゴン三姉妹だ……」
「それでリモコンは?」
「おう」
今更ながら本来の目的に立ち返る。そういえばそれがメインだったのだ。
竜児は精一杯横目で大河を睨み、お前なあ、と繰り返す。
「普通にテーブルの上に置いてあったぞ。ちょっとは自分で探せよな。
そしたらこんな……あ……いや、そんなことよりお前ボタン掛け違えてるし、
その、はだけすぎだ。何とかしろ」
「あら。遺憾だわね」
「遺憾、じゃ、ねえ! お前そんなカッコでまた見えちまったらどうすんだよ!」
「さあ? どうする気?」
ttp://sakuratan.ddo.jp/uploader/source/date111224.jpg 猫科の動物は食べるつもりでもない獲物を手元で生かさず殺さず、でも最終的には
遊び殺してしまうという少々残酷に思える習性を持っている。やはり大河は猫科なの
だと竜児は無意味に納得した。しかしそんないつもどおりの傷口をおろし金でこそげ
るような竜児いびりの始まりを察して、竜児は、何だ、元気になったな。よかったよ
かった。と、一瞬安堵する。根っからのお人好しなのである。
「……どうもしねえよ」
「ふーん、じゃあ別にいいじゃん。何が問題なのよ?」
「何ってそりゃ……お前は見られても平気なのかよ?」
「だって何もしないんでしょ?」
「しないけど、ちょっとは、恥じらいってものをだなあ……」
必死に顔を背ける竜児に、大河はじりっと近づく。その踏み出した一歩に合わせて、
竜児は一歩退く。二歩、三歩と進んで下がって、アイランドキッチンに後退を阻まれ
る。何を考えているのか、大河はニイッと唇を吊り上げる。笑顔はただ喜びや好意を
表すためのものではない。いつか何かの漫画で読んだ「笑いという行為は本来攻撃的
なものであり……」云々と言う文言を、竜児は身をもって味わっていた。笑顔が怖い
なんて言われ慣れているが、なまじ美人な分大河の方が、何か別の意味を含んだ笑顔
はかえって怖いのだ。幽霊画が美人なのとたぶん同じ理由で。
大河は窮鼠・竜児にほとんど触れ合わんばかりに近づいた。近づいたら、もっと見
えるだろう。竜児が見てくれれば、その目を透かすように大河にもそれが見えるのだ。
本気にしたらいけない。だからこれは冗談だ。竜児が照れるのが面白くて、からかっ
ているに過ぎない。それ以上の意味なんてあってはいけないのだが、もう一度、その
隠れた裏側を見たくて仕方がないのだ。
「ボタン、直してよ」
また随分長くなってきましたが。続きます。おやすみ。
なんという生殺しw
早々に続きを要求したいでつ
>>562 こ、ここで切るなんて…。続き待ってます。
SSも絵も大河がとにかく可愛いし、何より動揺する竜児に2828しっぱなしだわw
>>503 幼児竜児を書いてた者だが有り難い。
携帯がぶっ壊れて一週間修理に出してた。
機械音痴な為持たされた古い携帯は使い方分からず電話とメールだけの携帯だった。
PCも持ってないし。すまない。
一週間ぶりに覗いたらもう次スレたつみたいだしこれから頑張って書いて次スレから投下できるようにしたいと思います。
>>537 乙!続きずっと楽しみにしてたんだZE…
インフルとか流行ってるから心配してた
>>542 乙!旅行編が楽しみだ。寝取るのが目的ってマジ半端ねぇっす
>>561 乙!あなたはいつもいやらしい絵を描くね。短髪大河とか携帯に入れてるんだけどw
待ちうけは流石に痛いからアレだな、うん。生殺し勘弁
>>565 あぁ、そうだったのか。携帯から投下って…うちの余ってるPCあげたいくらいだorz
続き楽しみにしてます。
次スレ案はムシャムシャ…いやなんでもない
皆反応が悪いからって投下中断するのはよくないと思うんだ。
一つの作品にファンが絶対いることを忘れないでほしい。
ROM勢とかもいるっぽいし…俺なんてまとめ読み返して毎朝夢精の嵐なんだぞ。
自慰とかやった後はすんげぇ虚しくなるからやらない事にした。
>>540 ありがとう!こちらは毎日ワクワクしながら読ませてもらってます♪やっぱりタイトル『とらドラif』にしたら如何ですか?
>>561 虎注ktkr!竜児幼児化の人も続き楽しみ♪
>>566 ありがとw
大丈夫。以前やめる宣言して、スレの皆にメタメタに励まされたのは、記憶に新しくて顔真っ赤になるから(苦笑)
そして、まとめ人さんお疲れ様m(__)m
またもやの『エロスは程々にな』添付・・・吹いたw
そんなにエロくないじゃーん!www
誤爆と気づいた時はもう遅かった…
空白の一年書いてるものだが、若干書き足すので、投下は次スレまで待ちます。
しかしネ申が多くて出る隙もない○| ̄|_
今更だが
>>541 ちょwwwRouteswww
皐月ルート絶賛プレイ中ですが何か?w
>>508 まとめ人さん、本当に乙です。
著しく今さらですが、どうしても一言いいたくて。。。
vol.7まとめの画像「大河の顎のライン」のタイトル、最高です。
そうですよね、こうでなくっちゃ!
fDszcniTtk氏、絵師さんは勿論、神ですが、編集のセンスがいいと、
更に楽しめます!
572 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/25(月) 15:44:35 ID:cIO03eii
まとめ人の方が手間暇かけてるのはよくわかる
作品ごとにファイル作ってタイトルデータもちゃんと入れるのは結構大変な作業だ
ターゲットタグ使ってるからタブブラウザ使ってると新規タブで開いてくれるし
読む方は非常に助かっているのでござる
すうぅ〜〜〜っ
「はぁ〜……」
「なに人のタオルの匂いなんか嗅いで恍惚としてるのよ。変態?」
「うるせえ。俺は干しあがったばっかりの洗濯物の匂いが好きなんだよ。
なのにこのマンションが建ってからというもの、うちの洗濯物は文字通り日の目を見られないんだ。
タオルの匂いぐらい別にいいじゃねえか」
「そんなにいい匂いなの?」
「おう、なんというか……お日様の匂いってやつだな」
「ふ〜ん、どれどれ……」
すうぅ〜
「な、いい匂いだろ?」
「う〜ん……確かに悪くないけど、私はやっぱり竜児の匂いの方が好きかな」
ギシギシアンアン
>>571 オレも今日昼休憩に見てワラタw
アレはアレで正解だwww
>>508 >>571 私も今更ですが 「大河の顎のライン」のタイトルには大喜びしました。
引用していただいてありがとう。
投稿されたときにも書きましたが、あの絵は本当に好きです。
(勝手に作った)ルカ独白シリーズ
『お母さんの豆乳』
お母さんは私が小さい時から、毎日手作り豆乳を飲ませてくれた。
作り方はお父さんに教わったらしく、なんでも、大豆に含まれるイソノボンボンという成分が
胸を大きくしてくれるらしい。
お母さんは若い頃、自分の胸が小さかったことにコンプレックスを持っていたらしく、
私には同じ思いをさせたくなかったらしい。
私は「お母さんは飲まないの?」って聞いたんだけど、
「竜児はそんなの気にしないから、今となってはどうでもいいことなのよ」と微笑んでいた。
ありがとね、お母さん。
私が小学校高学年になった頃、とうとうお母さんより胸が大きくなった。
もちろんお母さんは喜んでくれた。一緒にいたお父さんも「おうっ!ルカ!でかした!!」
って、とっても喜んでくれた。
そのとき「チッ!」って舌打ちが聞こえた気がしたんだけど・・・きっと気のせいだよね、フヒッ。
しかしスピンオフやらドラマCDやらでアフターチックな話はないものか……
『では全国のお父さん、お仕事頑張って下さいねー♪』ジャラーン
「………ははっ」
「………お父さん、だって。そんなのいないっつの」
「一応はいるぞ?一応は、な」
「あんなの親父でもなんでもないよ。あんたのはお日様のささない場所でお勤め中だっけ」
「それか、天国…もとい地獄だな」
「…ねぇ。会いたい、って思う?お父さんに」
「…会いたくないって言えば嘘になるな。一度その面に一発拳を見舞いたいもんだ」
「多分あんた腰抜けて動けないよ。まぁそうね、私が代わりにぶつって手もあるかな」
「おう…それは頼もしい限りだな。俺の目の元凶であるヤツをたたんでやってくれ」
「あんたってつくづく呆れ果てたやつね。そこは男らしく『大河に危ない目にあわせるわけにはいかねぇ!
俺がギャフンと言わせてみせるっ!』とかじゃないの?」
「もちろんそれもあるが。まぁいまさらノコノコ出てきても話すことなんでコレっぽちもねぇよ」
「…うそ。あんたはきっと話をしてみたいって思ってるはずよ。たまに父親の話してくるじゃん、一緒にいるんだからわかるわよ」
「心のどこかではそう思ってるかもな。多分街でぶつかったら財布渡して逃げるだろうが。んで当然ボコられる、と」
「ぶつかったのが私でよかったね。でも、私は少しあんたの親父に感謝してるわよ」
「…なぜだ?」
「あんたはみのりんの笑顔に憧れてた。そうでしょ?もちろん好意もあったと思う。だけどね、あんたの顔が
ノーマルだったら、みのりんへの気持ちも少なからず今とは違ってたと思う。
あんたのお父さんと会ってなかったら、やっちゃんはもっと普通の人と結婚してたかもしれないのよ。
そしたらもちろん、この街にはこなかった。来てたとしても、あんたはまだ小学生かそこらよ」
「確かに…。もしかしたら友人もたくさんできてたり、他の高校に通ってたかもしれねぇな。そう考えると感謝すべきか?」
「まっ、今はこうしてあんたとこうやっていられる。それはあんたの目つきも少なからず関係してると思うの」
「ものは考えようだな。三白眼は俺も好きじゃないが、こうなったのはしょうがねぇ。それでも一生懸命生んでくれた
泰子には感謝しねぇと。それに、この狂眼のおかげでお前ともこうして出会えたわけだ」
「そうね。でも私はあんたの目、嫌いじゃないわ、ううん、むしろ好き。ちょっと睨んでみて?」
「…こうか?」ギラギラギラッッ!!
「うひ!TAMARAN!」ゾクゾクッ
「…お前最近変な方向に進んでないか」
>>578 すげぇ、頭の中で完璧に釘宮・間島ボイスになった。話の運び方とかしゃべり癖とか
見事に再現してるなぁ。
>>576 フヒじゃねえwww
ああかわいいなあもう
>>542続き
突然だが、人生ってのはままならないものだ。
例えば、遺伝のせいか目つきが悪く恐がられたり、名前で勘違いされたり、子供を若いうちから作って苦労したり。
人それぞれ違うだろうが、誰しもそう思うことはあるはずだ。
それも、自分のせいじゃなかったり、自分ではどうにもできないことだったりと多種多様。
人はそんな自分の意思じゃどうにも出来ないわずらわしい事を幾度となく経験する。
しかし、もしそれから逃れる事ができるのなら、逃げてもいいのだろうか。
端的に言って、今すぐこの場からエスケープしてもいいだろうか。
そもそも、今日は旅行の買い物に来た筈なのだ。
それが何故、男の俺が、女性ランジェリーショップにいなければならないのだ。
それもこれも、この目の前でさっきから三角のソレを手にとってはやめ、手にとってはやめを繰り返してる同級生のせいだ。
いや、俺も悪かったのだ。
「ちょっと買いたいものがあるから付き合って」
この言葉に簡単に頷いたんだから。
しかし、だがしかしだ!!
この世界の何処に、一体何処に同級生の男を捕まえて、女の下着売り場に連れて行く輩がいるだろうか。
世間一般常識非常識を考えれば、ありえないと言って差し支えないのではなかろうか。
そういえば昨日見た映画の主人公も下着売り場に連れて行かれそうになって、結局行かなかったっけ。
ほら見ろ!!、映画ですらそんなシチュエーション起きないんだぞ!!
やっぱり俺は悪くない!!
だって、こんなのおかしいだろ!?
な、そう思うよな!?な!?
……俺、画面を見ている奴に何熱く語ってるんだ。
ん?画面ってなんだ?……まぁいいか。
とにかくだ、俺がここにまだ居続けるなんて不可能奇妙の得て不得手だ。
「なぁ、大河……」
「なに?」
大河は振り返り……ってうお!?
「ばっ!?お前俺にそそそそんなパンパンパパパパパッパ……」
「?ああ、これ?」
大河はかなりキワドイ、もはや紐と言って差し支えないそれをびよ〜んと、
「伸ばすな!!ってか見せるな!!」
俺は大声を出し、大河に背を向ける。
「ぷっくくくく……」
大河の笑い声が背を通して聞こえる。
この野郎、やっぱからかってやがったな。
「お前、そんなの買うのかよ?」
「う〜んどうだろうねぇ?竜児、私に着て欲しい?」
コイツ、まだ俺をからかう気だ。なら……。
「おぅ、いいんじゃないか?」
たまには反撃だ。
「うんわかった」
そうだろそうだろ……は?
ちょっと待て、いや待ってください、お願い待って!!レジ行かないで!!
俺は真っ直ぐレジに向かおうとした大河の肩を掴む。
「ま、待て大河!!バカ、本気か!?」
「だって竜児が気に入ったみたいだし」
「バカ!!冗談だ。間違ってもそんなの買うな、穿くな、見せるな!!」
「う〜、じゃどんなのなら……」
「その前に!!」
「ん?」
「何故俺がお前の下着を選ばなきゃならないんだ!?」
***
「もう、いい加減機嫌直しなさいよ」
大河と二人、駅ビルにあるこじゃれた店で昼食を摂る。
「……俺が一体どれだけ羞恥に身を焦がしたと……」
普段からキツイと言われる三白眼をこれでもか、と吊り上げ不満さをアピールする。
「きゃぁ!?」
俺の視線の先の別の客が俺の目を見て逃げた。
はぁ……心が折れそうだ。
「もう、ほらお昼は奢ってやるって言ってんでしょー?」
しかし、目の前の虎は些かもビビッてない。
これじゃ不機嫌になるだけ損だ。
「ったく、二度とあそこには付き合わないからな!!」
「わかってるわよ、ちょっとした遊び心よ」
「お前……」
呆れて物も言えなくなる。
何が遊び心だ。
そう思いながらメニューを見ていると、
「アレ?高須君とタイガーちゃん?」
声をかけられた。
***
竜児はずっと不機嫌そうだった。
でも、そんな竜児を見ているのも楽しい。
今日は竜児好みの下着を見つけるのが目的だった。
いざという時の、その……勝負下着を買おうと思って……。
しかし、竜児はやはり羞恥に耐えられなかったらしい。
まぁ、実は内緒で一着だけちょいとキワドイのを買ったからいいんだけど。
さて、折角の買い物(っていうかデート?)だし、ずっと竜児が不機嫌ってのもつまらない。
奢るからと宥めて機嫌を直してもらおう。
「アレ?高須君とタイガーちゃん?」
ちょうどそんな時、どこかで見たことのあるウエイトレスの女が話しかけてきた。
「香椎じゃねぇか、ここでバイトしてんのか?」
「うん、休みの日はね」
そうだ、同じクラスの香椎奈々子だ。
髪が長く、ホクロがあって牛みたいに乳のでかい女。
女は胸の大きさじゃないんだから!!
「良かったな、バイト」
「ええ」
?なにやら、二人だけでわかる会話をしている。
良かった?バイトが?何のハナシ?
「そういえば、高須君は……」
「俺はやっぱダメでさ、あ、そうだ、結構前に教えてもらったレシピ……」
何か、おいてけぼりなカンジ。
「あ、そうだ大河」
「え?な、何?」
ようやく竜児が私に話を振ってくる。
「香椎に料理を習ったらどうだ?香椎は結構料理上手いんだよ、ほら、お前がウチで目玉焼き作ったときに少し話さなかったっけ?女子で料理上手い奴がいるって」
「あ、……聞いた、かも」
ムカ。
「えぇ?私そうでもないよ?」「いや、お前は結構凄いと思うぞ」
ムカムカ。
「ふぅん、仲が良いんだ?」
私は、自分の胸のムカムカを隠しつつ、会話に入り込む。
「仲が良いっていうか、まぁ似たようなもんか」
「そうね、同じ境遇っていうか……タイガーちゃんも、よね」
「ああ、俺は父親がいないし……」
「私は、母親がいないの」
***
食事を終えて帰路へつく。
二人は、お互い片親ということで、知り合いになっていたらしい。
でも、随分と仲は深いように感じた。
「ねぇ、竜児」
「おぅ」
「あの子はアンタを恐がらなかったの?」
「いや、最初は恐がられた」
ほっとする。
勝手に心の中でガッツポーズ。
無意味に勝った、などと思い込む。
「でも、話してるうちに片親同士だからか意気投合して、今じゃ数少ない会話の出来る女友達だな」
ムカムカムカ。
意気投合?何か、腹立つ。
家について竜児は夕飯の支度をしだす。
私は普段と違い一度マンションに戻らず、テーブルの前で座って待っていた。
「あ、大河ちゃんおかえり〜」
やっちゃんが襖から出てくる。
仕事への準備は万端、あとは竜児のご飯を待つだけなのだろう。
「むふふふ、竜ちゃん今日は何作ってくれるのかな?」
「う〜ん、どうだろうね?今日駅ビルでバイトしてたクラスの子からレシピ聞いてたから、案外それかも」
「……バイト?」
「うん」
珍しく、少し真面目な顔でやっちゃんは私に尋ねる。
「竜ちゃん、何か言ってた?」
「えっと、俺はやっぱりダメ、とかなんとか」
「そっか」
ほっと胸を撫で下ろすようにやっちゃんは安心する。
そう言えば、バイトで思い出す。
みのりんがたくさんバイトをしてるのを聞いて、竜児は羨ましがってた。
「竜児、バイトしたいのかな?」
「!?竜ちゃんがそう言ったの?」
「この前、私の友達が一杯バイトしてるって言ったら、羨ましがって、あんまりいい顔してなかった」
「………………」
「バイトしたいならすればいいのにね、なんなら友達に頼んで紹介「ダメ!!」」
「お願い大河ちゃん、竜ちゃんにバイトなんて紹介しないで」
「え……?」
「竜ちゃんにはバイトしないで欲しいの。働くのはやっちゃんだけでいい。竜ちゃんにはお勉強がんばってもらって、楽しく学校通って、一杯遊んで、すっごく幸せになって欲しいの」
「やっちゃん……」
「だから竜ちゃんにはバイトは禁止って強く言ってるの。大河ちゃん、もし竜ちゃんがバイトしそうになったら止めてあげて欲しいの」
「……うん、でも竜児はきっとやっちゃんのためにも」
「わかってるの。それはわかってる。でも、やっちゃんそれで竜ちゃんの時間を奪われたくない、だから竜ちゃんには働かないで欲しい」
何か、わかった気がする。竜児が、やっちゃんを大事にする理由。
それと同時に、竜児はいつも悩んでるんだと、気付いた。
「今度旅行行くんだって?いーっぱい楽しんできてね」
「あ、うん」
そうだ、旅行。
ばかちーの別荘に行くんだ。
私は、そこで竜児に全てを捧げるという目標を胸の内に秘めてたけど、もう一つ目標ができた。
旅行中は竜児に目一杯楽しんでもらいたいという目標。
その中に、私とのことが入れば、いいな。
うん、そうしよう。
竜児を目一杯楽しませて、その後、私を竜児に……。
「大河ちゃん?」
黙った私を不思議に思ったのか、やっちゃんが顔を覗き込んでくる。
「!?な、ななななななんでもない!!竜児ご飯まだー?」
「おぅ、もうちょっとだー!!」
そう、旅行まで、もうちょっと。
とりあえずここまで。
>>567 とらどらIfは5スレ目あたりで俺が書いたクリスマスからのIf(竜児怪我する奴)のタイトルとしてまとめの人がつけてくれたからかぶっちゃうんだ。
俺は密かにまとめの人がつけてくれるタイトルを楽しみにもしてるからこのままでもいいかな。
だから、その手を離さないで、とかつけて貰ったとき感動したし。
俺、あれ書いてるときは暫定的に手錠としかタイトル決めてなかったもん。
さてみなさんにお聞きしたい。
最近書く時間があまり取れなかったりする。
そこで、毎日連載を続ける代わり2から3話での少数投下と数日空けてでも6話くらいの一括投下、どちらがいいっすかね?
『1話if』を書いてるものです。以前は机がなぜ舞ってるかを教えて頂きありがとうございました。
大変役に立ちました♪
んで、も一つ教えてもらっていいかな?
んと、竜児を襲撃した翌朝、なんで大河は電話したの?しかも10分以内に来いとか。
起こせって事ならもう起きてるでしょ?ご飯なら、竜児が食べるか?って聞いたから用意されたわけだし、掃除にしても竜児の自主的なものでしょ?
だから、大河がなんでこいって言ったのかがアニメじゃわからないんだよね。 だからその辺教えてくれる親切な人、宜しくお願いしますm(__)m
587 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/25(月) 22:34:33 ID:qjUMWYfQ
>>577 一応短編書く予定はあるみたいだけどね〜
アフターになるかどうかは
>>586 あなたの作品もとても楽しみにしてますよー
ってことで手元に1巻がある俺が答えよう!
「これから毎日、登校前にうちに来るのよ」
「なんでもするって言ったでしょ、いいからとにかく来るのよ」
としか書いてないから、大河の意図は明確にはされてないかな。
とすると推測通り、これから毎日朝起こせ。もしくは掃除とメシとかそこらへんかな?
後は1巻をぱらぱら斜め読みしてるところだから、何か発見があったら追記するわ。
ところでちょっと、
>>586さんに限らず自分も教えてもらいたい事があるんですが、
投下する時に1レスの最大行数とか、最大文字数ってなんぼくらいなんでしょ?
他の作品見てみると最大3500字くらいまでかなと思ってるんだけど・・・
あーごめん、すぐ後の登校時に
「遅刻したくないから迎えに来させた」ってあるね。
「残したら哀れだと思ったから朝飯食った」ともあるので、さっきのは忘れてくれ。
俺はこれから4度目の原作周回に行ってきます!
>>585 おれは時間が空いてでも、連投規制に引っかかる程度の長さを一括投下してくれる方がいい。
もちろん、話の区切りのいいところで切るのが一番。
あと、数日間以上にわたる投下は、やっぱトリップつけた方がいいんじゃない?読む方も
前の話たぐらなきゃいけないけど、それ以上にまとめサイト管理してくれる方が大変だと
思う。
>>585 乙です!
奈々子ktkr、ある意味、ライバルとしてなら、あーみんより強い?
> 毎日連載を続ける代わり2から3話での少数投下と
> 数日空けてでも6話くらいの一括投下
このスレ覗きに来るのが日課になっているので、毎日でなくても、
1日置きぐらいに進むと嬉しいかも。
でも、書きやすいペースで、が一番です。
>>588-589 あーそうなんだ?んじゃ二度寝する気満々だったんだ?wその上「不法侵入」呼ばわりとは、流石手乗りタイガーw
ありがとう助かったw
前半部分は創作だけど、後半はアニメの流れをちょいちょい入れていくので、それに合った台詞回し、シチュ等考えながら書いてるので、必然的に間隔が長くなるけど、見捨てずに待っていてくださいノシ
>>580 文豪キター!
「引用」って書かれていたので、分かりましたよ。
あの画、いいですよね。即頂戴しました。
あと、あなたの表現力で、大河の髪の美しさも読んでみたい・・・
って、ワガママでした。
>>585 GJ!!
俺個人の意見では毎日投下が望ましい…かな。
どっちにしてもゆっくり良作書いてくれればいいなと思います。
>>588 今携帯だけど、多分60行だった気がする。
Jane使ってると0/60とか表示されて、60/60以上書けないからね。
間違ってたらスマソ
>>591 なるほど。参考になりました、ありがとう!
>>594 どうも。えへへ。
表現力といわれると、ちょっとたじろぐね。大河の描写は、原作読んだ人だと
わかると思うけど、半分以上はゆゆこの描写のぱくりなので。
でも、がんばってみるよ。表現に注目してくれている人がいるのは、うれしい。
ありがとう。
>>585氏いつも乙!
毎度楽しくROMってます
あなたの作品【その手を離さないで/手錠】大好きです
ここも姉妹サイトも楽しくおもしろく
原作に対しすごく愛情を感じる作品がたくさん投稿され
毎日とても楽しく読んでいます
その中でも氏のあの作品は特にお気に入り
展開も振りもギャグも萌えもホント私好みなのですが
特にクライマックスでの大河切なさ大爆発のシーンが…もうね。。。
お気に入り!
まぁ今日まで何度あのシーンを読み返したことでしょう
会社で
ホントお気に入りですよ
きっと明日も読むでしょう
仕事中に
また楽しいとらドラ!愛に溢れる作品を待ってます
いつか書こうと思ってましたが、ついに書いちゃった
オレが職場で読むことができるのもまとめサイトの人のおかげ
いつもこまめに管理ありがとう
そしてお疲れ様
最近はスレも活気付いて大変だと思います
頭の下がる思いです
わたしゃなにもしないでROMるだけ。。。
例の顎の絵描いた人です。
まとめ神にタイトルのお礼言うタイミングを逃してしまっていたので便乗。
見た瞬間盛大に噴きました。ありがとうw
絵にレス下さったみなさんもthx!!
MOTTAINAすぎるお言葉の数々
_
二>┼○<マジありがとうございます)
 ̄
次はまた絵が出来た時にきます。
>>598 うお、まさか反応いただけるとわ!
カキコした瞬間、「失礼かな〜」と思っていたのに・・・
SSに順位はつけないけれど、「You are too beautiful」は間違いなく、
大好きな作品。
あれほど、「うんうん」とうなずきながら、読んだのはないかも・・・。
ゆゆこ描写だけじゃできないっすよー!
ところで、大河の髪はふうわりのノーマルが一番好きだけど、アニメ、ケーキ屋バイトの
ツインテもやばかった。別荘&文化祭のポニテ、プールのミッ○ーマウス、竜児は
どれが一番好きだろう?
竜児は当然、大河の髪をいじるよね。泰子で慣れてそうだし。
「泰子、オメ、髪ぼさぼさじゃねえか、ちょっと直してやるから、こっち来い!」
「ふぇーん、りゅうちゃん、ありがと」 とかやってただろうし・・・・
>>600 まさか、絵師の方までいらっしゃるとは!
柔らかなタッチがすごい好きです。まっすぐ見つめる大河の強い瞳にも
ドキドキしました。
てゆうか
「北村、土下寝なんかする必要ないんだぞ! みんな喜んでるんだから、
誇れよ!」
また、次回作、楽しみにしています!
603 :
●:2009/05/26(火) 00:36:18 ID:vpblOwsh
次に長編作品来たら480KB超えそうなので明日の昼間を目安に次スレ立ててきます
スレタイが何になるかはお楽しみに
├───読まなくてもいい豆知識───┤
「●」とは過去ログ倉庫に収納されて読めなくなった
2chスレッドのログを読み出すためのアカウントのこと
33ドル払ってメルアドを登録すると使えるようになり
名前欄に●を使えるようになる他、●板(
http://gimpo.2ch.net/maru/)に書き込めるようになります
公式での機能はあくまで過去ログを読み出せるだけですが
スレ立て制限や連投規制がすさまじくゆるくなったりします
Samba24規制も無視して書き込めるしバイバイさるさんすら回避可能です
調子に乗ってクソスレ立て過ぎると通報されてアカウント剥奪されるし
Samba24規制無視して連投するとバーボンハウスに飛ばされて二時間くらい2chにアクセス出来なくなります
何事もほどほどにってこったね
携帯メニューはべっかんこ(
http://ula.cc/)でのみ使えます
実はべっかんこ過去スレ閲覧だけならアカウント不要だったりする
ちなみになぜ金払わないと名前欄に●が使えなくなったかというと
2001年ごろに「(●´ー`●)なっちありがとう」という顔文字を使った荒らしが横行したのがきっかけ
長編は書ける気が微塵もしない。心底尊敬する。
だがそんな俺でも刺身のツマなら何とかなる気もする。ギシアンはそういう部分を埋めてくれる良い奴だ。
「大河ちゃんみてみて〜。竜ちゃんって昔はこんなんだったのよ〜?」
「どれどれ……わー……目つきだけは一人前ね」
「うるせぇ!つか風呂入ってる写真なんて人に見せんなよ泰子!」
「でもこの写真の竜ちゃんかわいいーよぉ?あ、でもこの時竜ちゃん水が怖くってなかなかお風呂に入ってくれなくてーいっつも泣いてたのよねー?」
「……覚えてねえよ、そんなもん」
「へー竜児にもかわいい頃あったんじゃん」
「どういう意味だ」
「あ、やっちゃんそろそろお仕事行かなきゃー」
「おう。気をつけてなー」
「いってらっしゃいやっちゃん!」
「……しっかしイキナリなんつー恥ずかしいもんを……」
「でも写真かわいかったよ?」
「……なんか照れるな……」
「おっきく育ったねー竜児」ナデナデ
「お前まで泰子みたいなマネすんな!」
「んー……じゃぁ……」ナデナデ
「!ちょ……どこ触って」
「りっぱりっぱー」ナデナデ
「…………大河!」
「きゃっ……竜児のエロ犬ー」
ギシギシアンアン
どうでもいいが今エロ犬エッサイムという言葉を急に受信して使いあぐねている。だれか知恵を貸してくれまいか。
「エロ犬Sサイズ?」
「誰がSサイズだ、誰が」
「そうよねえ……竜児はLサイズだし」
「おう」
「竜児のココなんてLLサイズだし」
「おぅ……いきなり掴むな」
ギシギシアンアン
まとめサイトが縦に長くなっているので、作品一覧をスレごとに分割してみました。
これで携帯の人や低回線の人にも少しは優しい…かなぁ…
>>512さんご意見サンクス!
タイトル気に入っていただけて恐悦至極ナリ。
タイトル考えるのが結構楽しみになっているでガンスー
>>605 八巻、大河とみのりんユニク■へヒートテックを買いに行くの巻。
「たーいが! こんなのはどうじゃろな!?」
「みのりんそんなビビットなピンクを……」
「いいじゃんババシャツなんだし。お、そうだ。高須くんの分は買わなくていいの?」
「え……んんそうね、買ってってやろうかな。またインフルでもなったら哀れだし」
「男物のサイズなんてわかんないや……ねえみのりん、竜児Sかな?」
「んん? いやあ……どっちかっていうと……M?」
「サイズの話だよみのりん……」
>>607 まいどお疲れ様です。
なんか同じような雰囲気のものしか書けてなかったので、ちょっとかなり違うのを、と思ったらもう容量が…。
相変わらずの流れの速さ。みなさんさすがです。
次スレ待ちます。
電車の中でマスクしてると好きなだけニヤニヤできていいなw
612 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/26(火) 09:36:10 ID:VRaagpCS
>>607 どうもありがとう
これで最近の作品を読める率が上がったずら
613 :
601:2009/05/26(火) 11:22:55 ID:Gi3fVp7/
>>606 ビジュアル化キター! 有難うございます
てゆうか、虎注の人、仕事速すぎじゃないっすか?
髪いじりに夢中な竜児と、やってもらって当然!っていう大河の雰囲気が
凄く良く出てると思います。
画を見てて、こんな電波を受信した。
「そろそろ暑くなってきたから、髪まとめるか。結び目は2つ?、4つ?
この間の三つ編みも女子たちに受けが良かったな・・・ようし、」
「このジュース、ちょっとシロップ多いかしら・・・いつまでも子供じゃないし、
甘すぎるのは遺憾だわ。あ、竜児に言って、豆乳も入れてもらおっと、
胸の発育には必要よね。」
相手のことはあまり考えていない模様。
614 :
●:2009/05/26(火) 12:16:24 ID:gYYP8M/P
みんな自重するのでかえって次スレ立てるのが伸び伸びな件
まあゆっくりしていこうぜって感じで
今日はコンプリイトのフラゲ日だしネタには困らん
>>613 こういうのもポワワだな
>>606に敬意を込めて。ちょっとだけ長めかな。
ギシギシアンアン
「ふぅ……良かったわよ、竜児」
「……おう。俺もだ。大河。」
ある金曜日の晩、二人は儀式を終えたあと、いつもなら恥ずかしくて言えないようなことを囁き合う。ピロートークなんて知らねえよ、と思ったそこの君、近いうちに飲みに行こう。
「ねえ竜児」
――どうした大河?
「竜児は私のどこが一番好き?」
――なんだよ、そんなの全部に決まって……
「そういうのも嬉しいけど……ね、どこどこ??」
そこで竜児は言葉に詰まる。どこ……そんなもん全部だ!というのが竜児の本音だ。でも今日の大河はそういう答えを望んじゃいないらしい。さて、どうしたものか……
――そうだな……強いて言うなら……髪、かな?
「髪かぁ〜なんでなんで?」
――何て言うか……ふわふわしてて、綺麗で、長くて、良い匂いで……
「ちょっとタンマ!……いきなりマシンガンみたいに褒めないでよ……死んじゃう」
――ん?嫌だったか?
「……イジワル」
これも本音だ。以前にも竜児は大河の体の末端まで褒め尽くしたことがある。(まとめサイト参照。私の書いたものでは無いのだが大好きな作品だ。無断引用申し訳ない。)彼女が再び愛の機銃掃射を望むというならそれに応えよう、というものだ。
そこで竜児はあることに気付く。
――お前、髪ボサボサじゃねぇか
「あらホント。遺憾だわ。……こんなにしたのは誰かしらぁ?」
この顔。小悪魔とは良く言った者だと見る度に思う。
舐めるように見上げてくる瞳、うっすらとした唇は僅かに右端が吊り上がる。この美しい顔が織り成す攻撃的な、それでいて優しいなんとも言えないこの顔が竜児は好きなのだ。
――その顔も好きだぞ
「!!……今日の竜児には勝てる気がしない」
――何の勝負だよ。そうだ、髪、梳いてやるよ。そのままじゃ折角の御髪が傷んじまう
「みぐしって……アンタいつの時代の人?まぁそうね……お願いしていい?」
大河の顔は緩みきっている。竜児に褒められたことが嬉しくて、竜児に触ってもらえることが嬉しくて……きっと幸せの海に大河は浮かんでいるのだ。その幸せを俺が与えてやれているなら、なんて幸せだろう。本心からそう思う。
――もちろんだ。じゃあ服着てそこに座れ。あ、なんか飲むか?
「んー……はちみつきんかんが良い!」
――おいおい。歯磨きしただろー?
「良いのよ。また磨けば。ね、そういや今日みのりんがさぁ……」
明日は土曜日。少しくらい夜更かししても、良いのだ。
以上です。
いっつもギシアンまでしか書かないんだが、この絵を見てるとその後が書きたくなった。が……読みにくい上に表現がごちゃごちゃしてしまって申し訳ない。精進します。
>>613 ありがとう。でもたぶん一時間くらいかかります。
三つ編みタイガーがたまらん。絶叫絵も素敵でした。
>>616 ハチミツきんかんだって分かってくれてありがとう!
618 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/26(火) 12:51:49 ID:gYYP8M/P
『ツインテール』
「お、今日の大河はツインテールか。やっぱ可愛いねー、ぐっじょぶだぜ高須君!」
「……ねえねえ、高っちゃん」
「おう、春田、何だ?」
「ついんてーるってさ、尻尾が二本って意味だよね?」
「おう、まあ直訳するとそうなるな」
「猫ってさー、歳とると尻尾が二本になって猫又になるんだよね?」
「……何が言いたい?」
「タイガーだから、虎又?」
「命が惜しくないようねこのアホロン毛」
《ツインテールはエビの味がする》
なんか2828というよりもホンワカといった趣を醸し出しておる
いや、いいんだよ!それで!
あ、まとめの御方、誤字(誤変換)直してもらってありがとうございます。
>>619 多分最後の行はみのりんのツッコミだと思うw
622 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/26(火) 15:32:27 ID:VRaagpCS
小ネタもいいなあ
>>621 ついでに言うと古代怪獣の方である
>>615-616 事後とは思いつかなかった。ちょっとオトナというか、余裕な感じでにんまりですね。
二人のふわふわな幸せ感がでてますよー GJ!
> 美しくて攻撃的で優しい顔
まさに大河ですね。
>>619 ツインテール頂きました。
みのりんが「可愛いねー」と言いながら、左右にひっぱって、ぐらぐらしそうだ!
624 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/26(火) 15:53:49 ID:VRaagpCS
>>621-622 実乃梨「さしずめグドンはあーみん・・・いや、味を知っているのは……
むしろ……高須くんがグドンかーっ!! キャー///」
周り一同(わけわかんねぇ・・・)
626 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/26(火) 16:53:25 ID:ughGpsm1
竜児「大河なんか足一本で持ち上げられるぜー!」
大河「足??腕の間違いじゃないの?」
竜児「いや、足ってのはな…(ごにょごにょ)」
大河「!!!!!!???やややややや、やれるもんならやってみなさいよっ!!」
その後
竜児「へ、へへへへ、どうだ」
大河「も、持ち上げられてしまった…orz」
プリーズフリーズ聴きながら絵描いてたらフリーズした\(^o^)/
>>628 「どうやら手乗りタイガーも俺の第三の足には適わないようだな」
「くっ悔しい…!」
ギシギシアン
こうですか?わかりません
>>629 クソワロタwじゃなくて…残念orz
絵師ってPCで書いてるの?ショートヘアー大河はPCっぽいけど
顎のラインの人は手書きだよね。
>>630 PCで今やり直してる
ここにはまだ1回しかあげた事無い新参者です
一枚しか投下したことないけど、なんか描きたくなってきたw
この創作欲は中二病のとき以来だわ
うおお、どっちもいいないいな!
ホントここは最高だぜ!
>>586 :よう、Pentium
襲撃翌朝の大河の電話に、深い意味づけは出来ないんじゃないか?
大河は理屈も説明も通じないめちゃくちゃ女として登場してる。そうなった背景は、後からいくらか説明されるんだけど、背景が説明されたからってめちゃくちゃはめちゃくちゃだ。
竜児を信じられないというくせに、いきなり恋愛相談を始めてみたり、何でも言うとおりにするといわれて「犬のように忠実に…」などと言い出す。これ、言葉だけ切り出すと横暴極まりないが、いきなり竜児を全面信用してるぞ。
あとで大河がなんと言おうと、いきなり怒鳴り散らす理由なんか無い。
この時期の大河は孤独で不安定で、行動に合理性が無い。翌朝竜児に電話をしたことには、何の理由もないとおもう。あえてこじつければ、朝起きて、いきなり世界が許せなかったから、ってのが俺の解釈。
竜児、かわいそう過ぎる(w
---------
「なぁ、大河」
「何?」
「いまさら聞くのもなんだけどさ、お前、木刀持って俺を殺しに来た次の朝、今すぐ来いっていきなり電話してきたよな」
「そうだっけ」
「そうだっけじゃねぇよ、忘れたのか」
「うーん。覚えてない。嘘、今思い出した。電話したね♪」
「『したね♪』じゃねぇ!あのとき、何で電話したんだ?」
「へ?」
「だからさ、別に前の晩『毎朝迎えに来い』なんて言ってなかったじゃないか。あとでそう言ってたけど、お前いきなりそんな事させるほど、でたらめじゃなかっただろう」
「そうかな」
「確かにあの頃のお前はめちゃくちゃだったけどさ、『約束していない事』をしないからって怒鳴り散らすほどでたらめじゃなかったぞ」
「そ、そう、思う?」
「照れ笑いでごまかすな。なぁ、なんであんな電話よこしたんだ?」
「…ごめん…許せなかったの」
「俺をか?」
「ううん、世界を」
「はぁ?」
「朝起きて、ぼけっとしてたら『なんで私だけこんななのよ』って、世界が許せなくなって。それでむしゃくしゃしてあんたに…」
「おま…ほんとにそんな理由かよ!」
「りゅうじぃ…怒んないで…」
「まったく…お前にはほとほと参るぜ」
「でもね、でもね、私はそんなだったけど、竜児はお掃除してくれて、ご飯食べさせてくれて、お嫁さんにしてくれたの」
「今だいぶ飛ばしたけど、まぁ確かにあれが馴れ初めか」
「そうよ。ごめんね竜児。でも大好き。信じて」
「分かってる」
「竜児も私のこと好き?」
「おう、当たり前じゃないか」
「うん…でもね、毎日聞かないと不安になるの」
「寂しがりやめ」
「えへ…ねぇ竜児…もう一回…」
「…じゃぁ、でたらめ電話のお仕置きだ、覚悟しろよ」
「あ、竜児、優しくして!お願い!」
---------
すまん、書いていて馬鹿馬鹿しくなった。
637 :
LOVE♥NOTE:2009/05/26(火) 22:01:41 ID:Pmm2yofJ
「…何これ?」
放課後、逢坂大河の机の中から出てきた一冊のノート。
淡い桜色の表紙には「LOVE♥NOTE」と書かれている。
そのタイトルはハートマークに囲まれており、その下にはオリーブをくわえた鳩が描かれていた。
ノートというよりは日記帳か手帳のようである。
もちろん買った覚えも仕舞った覚えも無い。
「一体誰がこんなものを…」
そう思ってとりあえず革の表紙をめくってみると、
「使い方」と書かれた説明文が細かい字で書かれている
┌───────────────────────
│次のページに描いてある相合傘に、
│あなたと想い人の名前を書いてください。
│その瞬間から想い人はあなたに好意を寄せるでしょう
│
│お好みで、シチュエーションも設定出来ます。
│相合傘の下の空欄に書き込んでください。
│……
──なにこれ。
──子供騙し未満としか言いようが無い。
──今どきのおまじない雑誌だってこんな付録は付けないだろう。
──誰がこんなことやるってのよ…。
──でも、もし北村くんと恋人同士になれるなら…。
──あのときのようにもう一度北村くんから告白してきて、
──あのときの顔を見せてくれるなら、私は今度こそ素直に「はい」って言えるのかな…。
妄想がぐるぐると大河の頭の中を駆け巡る。
そのうち考え疲れたのでひとまずノートを閉じて鞄の中に仕舞い込んだ。
638 :
LOVE♥NOTE:2009/05/26(火) 22:01:50 ID:Pmm2yofJ
「おーい大河何やってんだー?夕飯買いに行くんだろー?」
「うううるさいうるさい!今行くからちょっと待ってなさいよ!!!」
思わずドキッとした。
別に後ろめたいことをしていたわけじゃないのに。
何かと世話を焼いてくれる(というか焼かせている)
目付きの悪い隣人が突然声をかけてきたものだから、つい怒鳴り返してしまった。
「なぁ俺が悪かったよ。だから機嫌直してくれ」
「……」
スーパーへ向かう道すがら、大河はずっと押し黙っていた。
別に怒っていたわけではない。
もしもノートに北村との恋愛成就シチュエーションを書くならどうするか
一生懸命に考えていたのである。
「そうだ、お前の好きなもの特別に一品追加でどうだ?」
「…………………………」
だめだ。
どうしてもうまいこと思いつかない。
自由に考えるということが却って枷となってしまい
何をどう書けばいいのかさっぱりわからない。
「なぁ大…」
「あーもうごちゃごちゃうるさい!考え事してんだから少し黙りなさいよね!!このバカ犬!」
爆発した。
いつものことではあるけども、なんと理不尽なことか。
ちょっと自己嫌悪に陥ってしまう大河だが顔にも口にも出さない。
「…すまん」
「…わかればいいのよ」
若干重い空気の中スーパーに到着。
二人とも押し黙ったまま店内を歩き食料をカゴに入れていく。
さりげなく大河の好物をカゴに入れて竜児はレジに向かう。
精算が終わりエコバッグに品物を詰めて店を出る。
「…竜児、今日は私が荷物持ってあげるからよこしなさい」
「おぅ…?いや重いから俺が…」
「いいからよこしなさい!たまには人の厚意を素直に受け取りなさいよ!!」
「ぬぅ…わかった。じゃあ頼む。転ばないように気をつけろよ」
そうしてエコバッグを受け取る大河。
確かに軽くはないけれど持てない重さでもない。
ただし足取りはやや重くなってしまう。
竜児が歩調をゆっくりと合わせていることにはまだ大河は気付いていなかった。
639 :
LOVE♥NOTE:2009/05/26(火) 22:02:04 ID:Pmm2yofJ
夜。
高須家での食事を済ませてお茶を飲みゴロゴロした後、大河は帰宅。
風呂上がりに冷蔵庫から冷やしたハチミツ金柑を取り出して一杯。
テーブルの上には例のノートが広げられている。
いろいろ考えてみた結果、とりあえず竜児で試してみることにした。
──大丈夫だよね、別に。
──後から消しゴムで消せば何も無かったことになるみたいだし。
まず「逢坂大河」と書き込んだ。
そこからがなかなかペンが進まない。
なんでだか分からないけど緊張している。
もしかしたら迷っているのかもしれない。
逢坂大河が好きなのは北村祐作。
高須竜児は忠実なただの犬。
たまたまお隣さんがお節介焼きで几帳面で家事炊事掃除洗濯整理整頓が得意だっただけ。
別にいてもいなくてもいい存在なはず。
なのに、なんで、こんなに大河は緊張してるのだろう。
気付けば時計の針はかなりの時間を刻んでいた。
決心するかのように大河は「高須竜児」と書き込んだ。
シチュエーションまで考える余裕は現在の彼女には無かった。
ノートを閉じて灯りを消すと倒れこむようにベッドへと転がり込んだ。
翌朝。
携帯の着メロで大河は目を覚ました。
竜児からのモーニングコール。
通話ボタンを押すと
「おーい、朝メシ出来たぞー」との声。
今行くからと返事をして洗面所に向かう
顔を洗って制服に着替えて教科書やらノートやら──例のノートも一緒に──
鞄に詰めて朝食の待つ高須家へと足を進めた。
竜児はいつもと何も変わらなかった。
目が合って顔を赤らめるとか、そういうのはまるで無かった。
毎朝とまったく同じく大河のためにご飯をよそい、味噌汁をよそい、
食べ易いように切ってくれたおかずを皿に載せて出してくれた。
もちろんランチボックスにはお弁当も詰めてある。
──何よ、全然効果無いじゃないの。
朝食を終えていつものように登校。
親友の櫛枝実乃梨と待ち合わせ場所で朝の挨拶。
拍子抜けするほど何も変わらない朝の登校風景。
その後もいつものように昼休みが来て、
いつものように竜児と昼食を取り、いつものように放課後になった。
竜児は何も変わらなかった。
大河…好きだ!なんてストレートに言うようなやつじゃないのはわかってる。
それでも何かしらこう…そういうそぶりを見せてもいいはず。
でも本当にいつも通りの高須竜児だった。
640 :
LOVE♥NOTE:2009/05/26(火) 22:02:11 ID:Pmm2yofJ
誰もいない教室にひとり、席に座って物思いにふける大河。
結局、誰かのいたずらだったのね。
そう思うとなんだかムカムカしてきた。
あんなノート、びりびりに破いて、ぐっちゃんぐっちゃんにして、丸めてゴミ箱にポーイだ。
鞄を開けて取り出そうとすると…あれ?
確かに今朝鞄の中に入れたはずなのに。
またドジして家に忘れてきちゃった?
ううん、そんなはずないよ。
中身を全部机の上にぶちまけて探してみるも、影も形も存在しなかった。
ちょうどそこへタイミング良く、いや悪くと言うべきか、
いてもいなくてもいいはずの、だけどいないと本当はとても困る目つきの悪いお隣さんが。
「おーい大河ー、待たせて悪かったな。いやーなかなか汚れが落ちなく…うぉ!?」
無言のうちにギロリと竜児をにらむ手乗りタイガーがそこにいた。
びっくりして後ずさりする駄犬を一瞥して大河はぷいっとそっぽを向いた。
やれやれといった面持ちで肩を落とす竜児。
「なあ…その…すまん!俺が悪かった」
「…別に…あんたのせいじゃない。いちいち謝らなくていいから」
「そ、そうか。すまん」
「また謝った…いいわよもう。帰るんでしょ?やっちゃんをご飯抜きで仕事に送り出すつもり?」
「おぅ、そうだった。じゃあ帰るか」
「今夜はしょうが焼きとチャーハン作ってよね。材料はまだあるんでしょ?」
「はいはい」
本当にあのノートはなんだったんだろうか?
よくわからないけど、今は食事が先決。
それに…高須竜児は櫛枝実乃梨が好きなんだもの。
何か釈然としないモヤモヤ感の正体に逢坂大河が気付くのはずっと後のお話。
そして、ノートの正体に気付いているのは、少なくともこの世界には存在しなかった。
あくまで『この世界』ではあるが。
641 :
LOVE♥NOTE:2009/05/26(火) 22:02:28 ID:Pmm2yofJ
┏━━━━━━┓
┃CAUTION!!┃
┗━━━━━━┛
ここから先には幻想成分が大量に含まれております。
「東方厨は美しく残酷にこのスレッドから往ね!」
という方には読み飛ばすことをおすすめいたします。
重ね重ね申し訳ございません。
642 :
LOVE♥NOTE:2009/05/26(火) 22:03:15 ID:Pmm2yofJ
薄暗い図書館の一角に紫色の髪の少女と紫色の服を着た金髪の少女が何やら会話をしている。
「で、結果はどうだったのかしら?」
「効果があったといえばあったし、無かったと言えば無かったわね」
「はぁ…イチから説明してもらえる?」
「簡単に言えば、もう既に登録されているのに再登録しようとした、というところかしらね」
「ふうん…つまり彼女は注意書きをちゃんと読まなかったということね」
「おそらくそういうことね」
「ちゃんと説明文書いたのだけれど…」
そう言って紫髪の少女は「LOVE♥NOTE」と書かれた革の表紙をめくる。
「『既に相手が好意を抱いてる場合、目に見える変化はありません』とね」
「あるいは、認めたく無くて見落としたのかもしれないわ」
「いずれにせよ、お疲れ様だと言っておきましょう」
「あら、ありがとう」
「どういたしまして。せっかく作ってみたけれど幻想郷ではいまいち使い道が無いからね」
「里の人間にでも使わせてみればよかったじゃない」
「残念ながら今の彼らには無用の長物よ」
「ふふふ、確かにね。それにしてもベタなタイトルをつけたものね」
「何を仰ってるんだか。言霊がどれだけの効力を持つか知らないわけじゃないでしょう」
「あなたほどの力の持ち主なら別に構わないんじゃない?」
「過大評価は結構よ。あの黒白魔法研究家と違って私は念には念を入れる方なのよ」
「おやおや、そういうあなたこそ、あの黒白のことを見くびってるんじゃない?」
「あいつは光と熱専門じゃない。その分野だけ突出してるのよ」
そんな会話をしているところへ、この図書館のある屋敷の主がやってきた。
「二人とも、何を話しているのかしら?」
「あらレミィ、おはよう」
「お邪魔してますわ、永遠に紅い幼き月」
「その呼び名はやめていただける?」
「あらあら気を悪くしたかしら?」
「あなたがいることが充分気を悪くする要因よ。ところでパチェ…」
「これよ、これ」
「ん?ああこのノートね。わざわざ外の世界に置いてきた成果はあったのかしら」
「正直はっきりしないのよ。レミィ、ちょっと見てもらえる?」
「どれどれ…へえ。これは面白いことになるかもね」
「?」
「この逢坂大河って子供、まだ本当の自分の気持ちに気付いてないわね」
「なるほど…そういうことね。睡眠時間を割いて外の世界に行った甲斐があったわ」
「私がこのノートを使って実験するにはあまりふさわしく無かったのかしらね」
「そうとも言い切れないわよ。行き着くところは一緒かもしれないけれどね」
「ふふふ、私にとっても面白いことになりそうね。それじゃまたお会いしましょう。ごきげんよう」
そう言って紫色の服は空中に指で線を引くと、
すっとその部分が裂けて目やら手やらが蠢く異空間が現れ、
その中に入っていずこかへと去っていった。
「レミィ、八雲紫の様子からするとこの逢坂大河って子、幻想郷に何か関わるのかしら」
「まだ確実では無いけれどね。あるいはもっと大きな流れの中で出会うのかもしれない」
「どっちにしてもまだまだ先の話になりそうね」
そう言うと、紫髪の少女は栞を挟んでいた本を開き読書にふけり始める。
もう一人の少女は食事の時間だということでドアを開けて図書館から出て行った。
──この世界の誰一人、見たことが無い、優しくて甘いもの。
──そう簡単には見つけられないように世界が隠したそれを得る逢坂大河と高須竜児。
──彼女らが幻想郷の住人と関わるのは、無限に広がる夢幻の世界でのお話。
643 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/26(火) 22:08:58 ID:Pmm2yofJ
>>636 肝心なのを忘れているぞ
つ【ギシギシアンアン】
>>601 スピン・オフの前髪ぱっつんも捨てがたいと思うんだけど、あれってダサイの?
>>606 この絵でなんか書こうと思っていたら、いきなり軽いブームになっていた(w
>>607 毘沙門天国行ったんですか!?
645 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/26(火) 22:13:07 ID:Pmm2yofJ
テスト
>>585だが
>>590の言われるとおりつけることにした。
最初と違い、今は長い奴はつけてもよさそうだし。
>>599 ありがとう。手錠は構成を最後まで考えていただけに書きやすかった。
さて旅行編だが、昨日聞いて答えてくれた人達を参考に考えた。
最近急いで書いたせいもあって表現が乏しいと感じ始めたし、一気に読みたい人の方が多そうに感じた。
まとめの人もそのほうが楽だろうし、しばらく書きためる事にしようと思う。
下手したら次スレからかも。
毎日がいいと言ってくれた人スマナイ。
ちょっと時間をかけて地の分増やした俺本来の書き方をしていこうと思う。
みんな感想と質問の返答本当にありがとう。
さっきも書いたけど続きはある程度纏まったら投下することにします。
意外と容量大丈夫っぽいので埋めネタ感覚で投下。たぶん3レス。
雨の日ネタです。梅雨のあの鬱々とした感じが大好きです。・・どうりで明るいかんじの2828が書けないわけだ。
雨の日、いとしと。
「ふああ……」
「んん……おあ……」
連なる雨音はしとしと。
「マネしないでよ」
6月初旬の日曜日。午後2時17分。人生でもう何度か分からない、欠伸の伝染を確認。
マネするなと怒られても、移っちまったものはしょうがないだろう。でもきっと、こいつはそんなこと言っても聞かないだろう。
「・・・おぅ」
投げやりに返事をして、体から根の生えかけていた畳を置き去りに。
こんな湿気じゃ、ただ寝ころんでいるのも嫌になる。生ぬるく肌に纏わりついては毛穴をふさぐ嫌らしい空気。
「・・・ねえ」
昨日はわりとがんばって勉強したし、こんなにやる気の起きない昼下がりもなかなかないだろう。
寝ていたわけではないのに夢見心地の右脳を覚醒させたくて、窓を開ける。
「はぁ……」
不意に鼻をつき、それからすっと肺に流れ込んだ雨のにおいは、実は嫌いではない。このまま無限に、いつまでも続きそうな雨音のセッションが心地よい。
付きまとう不快な空気は、たちまち入梅の雨音の中に溶け込んでいく。思わず息をつき、振り返る。
朝早くのぼやけた空に、名残惜しそうに寂寥たる白い顔を覗かせる月のような、たぶんこの雨に打たれてもその淡い輝きは失われないだろう大河の顔色。
真っ直ぐにつきつけられた奥深く炯炯と光る瞳。改めて見上げた無限に広がる灰色の雲と、どちらの引力が強いだろうか。
「なによ、さっきから溜息ばっか。どうしたっての」
「ああ……」
この虚無感にも似た脱力は、別に現実に失望したからだとかではもちろんないし、せっかくのデートが流れてしまったからでもない。
失望できる現実などそのへんにいくらでも転がってるし、いちいち現実はこうあるべきだと望むなど、そんな大層なことをしている暇も、もともとない。
デートが流れたのは、そりゃあ確かに残念だ。といっても息抜きにちょっと遠くの公園でも行って、二人で弁当でも食おうかと思っていただけだし、
大体がこの部屋でゴロゴロしているだけでも、大河といるという根本的な目的は達成されているわけだし。
「……おぅ!?」
――突然背中と腰の間の部分に右ストレートの衝撃が走って、思わずでかい声が出てしまった。
「さっきっから!どうしたのって!き・い・て・ん・の」
どうやらお姫様はご機嫌斜めのようだ。ジメジメと息苦しいこの空気のせいか、デートが流れたせいか。
現実への失望は…、まぁ、いつもしているか。
「ああ、いや、梅雨はやっぱすることがねえなあと思って」
「もう朝からずっと雨だもんね」
喜びは倍に、悲しみは半分に。
二人でいれば、などとよく言われるが、実際はそれだけではない。
幸せは倍どころじゃないくらいに膨らむし、梅雨の不快感や不機嫌は、おつりが必要なくらいに解消される。ちなみに食費は2,5倍だ。
「洗濯できねえし、湿気も容赦なくなくたまるし」
「肌はべとべとするし、髪の毛もぼわぼわになるし」
二人でグチグチと呟きながら、ベランダのサッシに腰掛ける。全開にした窓は、二人で座ってぴったりおさまる特等席。
ひんやりとした風が顔を撫でてくれる。やわらかな栗色の髪をゆるりと持て余すようになびかせる大河は、まさにフランス人形。
となりで同じ風を感じて気持ちよさそうに目を細める大河をみて、もうお釣りを払ってやっていい気分になる。
ウエーブヘアに勝るとも劣らぬ美しさの、しっとりと踊る漆黒の長まつげ。
この人形の瞳は、その眼睛(くろめ)は、きっと黒真珠でできている。跳ね踊る透明な雨粒が反射する僅かな光を、すべてそこに飲み込んでいくようで。
身勝手な心臓は、突然激しく脈を打つ。
「……お前、髪いつもぼわぼわじゃねーか。ぼわぼわっつーか、ぼさぼさ」
この鼓動が、しんしんと流れる梅雨の足音にうまく紛れてくれるか不安で、いらぬ言葉をつないでしまった。
「そんなことないわよ。ああでもほんと、やばいかも。ここのハチのとことか、毛先とか…」
大河の不機嫌も、雨とともに流れてくれたのだろうか。
おちょぼ口を作って少し拗ね顔、自分の髪の毛を顔の前につまみ出して、くりくりといじるその柔らかさに触れたくて――
「へぇー…」
「うゎひゃ!」
「おぅ!す、すまん」
思わず手が伸びていた。不意にぶつかった手に驚いた大河に、その倍の驚きを持って返してやる。
月の白光から、陽だまりのあかみへ。
なんであんたが驚くのよ、と眼で語る大河のその頬は、温かい血のぬくもりを感じさせる優しい薔薇の色に染まる。
梅雨の初めの灰色空。朝から振り続く雨に、天気予報の傘マーク。もしかしたらこの時期は、赤色の成分が足りなくなるのではないか。
嫌いではない雨を大河と見て、不快さもなくなったはずなのに少しだけ鬱々とした気分だったのは、赤色不足のせいだったのかもしれない。
「べつ、別に、いいけど……」
大河の表情は滴り落ちる前髪に隠れて不明。ただ伸ばした手で触れた、前髪のふわりとした感触ははっきりと。
「な、なんだよ……。つうか大河、ほんと髪柔らかいな、お前」
「普段はいいけど、この時期はあんたみたいな直毛が正直うらやましい……髪、ちょっと伸びたね」
そうか?とかなんとか返事をしたと思うのだが。一秒前のこともこの脳みそから吹き飛んで行ったらしい。
ゆっくりと、先ほどの鋭い右ストレートとは正反対に丁寧に、懇ろ自分の額に伸びる指先を、この眼はどんな鋭さで追っていることだろう。
今更この目つきが恥ずかしくなったのと、眼を隠せば感覚が研ぎ澄まされるかもしれないという安い期待から、ゆっくりと眼を閉じる。
「うん、伸びた伸びた。前髪とか、ほらこんな」
髪の毛に感覚器官はない。それでも大河の人差し指の中で踊る自分の前髪あたりから、優しく撫でられる心地よさが確かに感じられた。
「おぅ…大河、顔…」
前髪を安撫していた指が止まったのに気づいて、眼を開けた。そしたら、そこにあった。
その小さな身体は乗り寄せるように膝の上。穏やかに目を細める大河。
あまりに近づいていた大河は、その頭は、その髪は、その顔は、その鼻は、その目は、その口は、その全ては。
「……」
「……」
しなやかで、優しくて、艶やかで、つややかで、透き通っていて。ゆらゆらと、ふわふわと、爛々と、つやつやと。
雨音はもう聞こえない。でも雨が止んだわけではないだろう。
前はもう見えない。目の前の光がまぶしすぎたのだろう。
時間の感覚はもうない。もしかしたら時は止まっているだろう。
「……ん」
感じるのは唇の柔らかさだけ。そのふるえるたわやかさに、思考も吹き飛んだ。脳の皺がほどけて伸びていくような、淡い、しかし焼けつくように熱い感覚。
重ねた部分を確かめ合うように一度距離を置く。直後、満たされぬまま引きはがされた大河の花唇を猛烈に求めて、体が熱を持つ。
「……んふ」
「……っ」
捕まえたそれを、もう二度とはなしたくなくて。息をしていたかもわからぬまま、吸付くように。
大河の唇を全部含んでしまって、ゆっくりと撫でる。角度を変えて。全部がほしくて。次は大河が。むさぼるように、肉食獣の激情で。
受けた分を、そのまま返してやる。吐息を感じる。時折漏れだす大河の官能的な息遣いに、頭の毛細血管は破裂してしまうかもしれない。
「…は……んっ……ん」
朦朧とした意識は、ふわふわとした浮遊感に変わる。
意識よりも厭らしく動く自分の唇に、大河も反応する。大河も感じているだろうか、この熱さを。大河の唇も、同じように自分を求めているのがわかる。
「……んは、ね、もう一回…」
ねっとりと混ざり合った唾液を確かめるように、ゆっくりと唇を放す。眼の前の明澄と輝く、赤みを帯びた顔を改めて見る。
この感情は、大河の中にも流れているのだろうか。
とろん、と眠そうにも見える、朧げに揺れる光を孕み持つ大きな瞳を見て、ふと我に戻った。
「一応外だぞ、わかっ」
「ね…」
全て言いきらぬうちに、大河の小さな手に頬を撫でられた。
「お前も突然スイッチ入るのな……」
お前も、と言った言葉に少しだけ反省の意味を込めようとしたのを、きっと大河は気付かないだろう。
突然入ったスイッチは、どうもお互い簡単には切れそうにない。とりあえず反省は後回しだ。
「……誰のせい?」
膝乗りの大河に押されて、部屋に倒れるようになだれ込んだ。
乗りかかってきた大河の体はあまりにも軽い。
「ふへへ……」
悪戯に笑う顔を見て、いつまでも無限にわきあがってきそうなこの愛しさが、自分の中に留めておけなくなりつつあると悟る。
「…たいが」
どうしていいか分からないまま、その名前を呼んでみた。変わらない。
名前を呼んで出て行った分の倍、体の中心から熱いものが湧き出してくる。
やり場に困った腕を大河の首にまわしてみる。右手が、やわらかな髪を指が泳ぐように梳き分けていく。何よりも滑らかな手触り。
「りゅぅ…ん…」
呼ばれた声を、すべて聞かなかった。聞いたらきっと耳は溶け落ちる。
三度目。触れ合って足りず、吸付いて足りず。行き場を失った激情に任せて、舌を押し込む。歯の壁をこじ開ける。ぐにゃぐにゃとした、居心地の悪さ。
歯茎を摩撫するように、舐めまわす。大河とぶつかる。温かい、大河の温度を感じる。血の通った、大河を感じる。同時に、少し恐ろしくなる。
もぞりと動くそれが、妙にリアルを感じさせる。舌の先から全身へ電撃が走って、毛穴が全て開いたのがわかる。襲い来る寒気と熱狂。
どうすればいいかよくわからなくて、不器用に擦る。撫でた舌同士は絡み合うように。ザラザラと頭の中で音がする。唇で大河の息遣いを受け止める。
一番奥で、分かり合う。大河、大河。
「…たいが…」
「…りゅ…じ…」
融解してしまった唾液のように、いまお互いの感情は溶け合っているだろう。竜と虎は、求め合う。並ぶだけで足りず、一つになりたくて。
大河の中身がすべてとけて落ちて来そうな気がして、何一つ落としたくなくて、すべてを受け入れたいと願う。
「……」
重なる想いはいとしと。
「……あつい」
「汗、かいちまったな」
「…うぇ、べとべとする…」
この雨はまだ、やみそうにない。
「わたしシャワー、あびてこよ」
「……一緒に入るか?」
「…………ばか」
この熱はいつまでも、冷めることはない。
おわり。
ギシギシアンアン
バシャバシャアンアン
なんか…連れ合いのいない自分が惨めに思えた…
>エロスは程々にな
やあ、ようこそお仲間w
このスレにおけるギシアンは、エロスというよりも二人の愛の象徴みたいなものだから
658 :
657:2009/05/27(水) 00:33:12 ID:FQv6/SsJ
おねだりっていうのは
「ね、もう一回…」のくだりな
テスト
660 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 00:44:28 ID:/MJJptmK
>>657 保存出来ない(´・ω・`)ショボーン
まあ方法はあるけどね
しかしかわいいな
ところで別のあぷろだに転載してもよかですか
「あ」
思わず呟いた目の前。
開けたクローゼットの中に入っていたのは・・・。
『繋いだその手はそのままで』
「そういえばもうすぐ文化祭か」
夕焼けに染まる空を見上げながら、竜児はマイバッグを持った手を上に伸ばして大きく伸びをした。
「今年はどうするんだろな?北村も、狩野先輩に負けないことするって言ってたけどな」
「どうなのかしらね?」
相槌を打ちながら、大河は、はむっと手の中の大きなドーナツに喰いついた。
買い物帰りの商店街。
さっき竜児にせがんで買ってもらったものだ。
「うまいか?」
「相変わらず微妙」
以前に買ったときと全く変わらない味に、大河の眉が僅かに歪められる。
その様子に、思わず竜児の顔に苦笑が浮かぶ。
「ならあんなに買ってってせがむなよ。前ので懲りてんじゃないのか?」
「だからこそよ。だってあの味で、この一年つぶれずにいたわけよ?期待してもいいと思うわ」
言われて、なるほどと竜児も頷く。
「で、感想は以前と変わらず・・・か?」
「ええ。もうハッキリキッパリ以前と寸分違わずよ」
それはそれで、ある意味すごいなと思った竜児の鼻先に、にゅっとドーナツが差し出される。
「なんだよ?」
「あんたそういえば食べてないじゃない。食べて感想言いなさいよ」
「いらねーよ。そもそも夕飯前だってのに、お前がせがむから買ったんじゃねーか。責任もって全部食え」
「うー・・・」
ピシャリといわれて、大河が唸りながらまたドーナツに喰いつく。
その様子に、竜児の顔が僅かに綻ぶ。
以前の大河であれば、先のような言い方をされれば、暴れる、殴る、噛み付く。無理矢理竜児の口に突っ込んで、挙句の果てにドーナツを投げ捨てる。
自分の気に入らないことは気に入らない。
そんな風に振舞ったに違いない。
なのに今は、不承不承ながらも、おとなしく全部食べようとしている。
それはこの一年で、二人が培ってきたものの重さを現していた。
それに気付いて、竜児の顔が綻んだのだ。
「大河」
「なによ?」
「気が変わった。俺にも一口くれよ」
「ほんと?」
ぱあっと光が差したような笑顔。
ドンだけ不味いんだよ・・・言った傍から後悔する竜児。
「一口って言わずに、もっと食べていいよ」
「お前な・・・」
ほらほらあーん、と目の前に出されたドーナツに、ぱくっとかぶり付く竜児。
今後二度と、ここのドーナツは買うまいと心に決めた瞬間だった。
※
>>660 うわ、マジか、すまん
携帯がおかしいのか、前使ってたうpサイトが使えなくなってたんだ
また明日、ちゃんとPCでスキャンする予定だが
ダメなときはお願いします
>>661 「あ、竜児。今日さ、ご飯食べたら家まで送ってくれない?」
「ああわかった」
何の疑問も抱かず手拍子で返した竜児の意識は、今やジューッと油の跳ねる音をさせるフライヤーに注がれていた。
トンカツを揚げるのには時間との勝負だ。
1秒・・・いや半秒。引き上げるのが遅れただけで、その味は激変してしまう。
その瞬間を見極めるために、竜児はその全神経をこの一瞬に注いで・・・。
「ねえ聞いてんの!?」
「おわあ!!」
台無しにされた。
「お前いきなりおどかすな!!」
どん!と背中を突かれて振り返った目の前には、少しむくれた手乗りタイガー。
「竜児が話し聞いてないのがいけないんでしょ!!」
「お前今俺がなにを・・・って、ああっ!?」
慌ててフライヤーに向き直るが、既に時は過ぎ去っていた。
「あああ・・・揚げすぎた・・・」
菜箸で持ち上げたトンカツを見ながら、がっくりと竜児が肩を落とす。
「なによ?綺麗なキツネ色じゃない」
持ち上げられたトンカツを見て、大河がグーとお腹を鳴らした。
「お前わかってないな・・・」
そんな大河に、ギラリッと鋭く光る眼光を向ける竜児。
手前・・・俺の仕事の邪魔しくさってなんだその言い草は!?お前も、この灼熱の油でこんがりキツネ色にしてやろうか!?・・・などと思っているわけではなく、ただ単に真剣に説明しようとしただけだ。
「今日のはスーパー狩野屋でも最高級の、鹿児島産黒豚ローストンカツ用、お一人様2000円なんだぞ?
サツマイモのみで育てたこの肉は、寄生虫の心配が無く、豚肉の中でも生に近い状態で食べても問題無しという優れものだ。
故に、この肉でのトンカツの揚げ方は、中にほんのり赤みが残るくらいに揚げるのがベストなんだ。それをお前、揚げ過ぎたら元も子も・・・」
「ハイハイ。わかったからそれ運んでよ。話し聞いてたらお腹減っちゃった」
バッサリと一言で切られ、竜児は無言でそのトンカツを、広げていたキッチンペーパーの上に置いた。
その背中には、ほのかに哀愁が漂う。
※
>>663 「んで?さっきなんて言ったんだ?」
サクサクと包丁でトンカツに切れ目を入れながら、竜児が背中越しに問い掛ける。
あらかじめ切っておいた千切りキャベツを皿に盛ってから、切ったトンカツを包丁の腹に乗せて皿に移す。
少し重なるように置いた方が、キャベツがトンカツの油を吸っておいしくなる。
「ほらやっぱり聞いてなかった」
「仕方ねーだろ。集中してたんだから」
二人分をテーブルに、残る一つにはラップを。
トンカツだけ温め直すように、キャベツは別皿に盛って冷蔵庫へ。
その際、作り置いていたポテトサラダを取り出す。
大皿から少し取り分けた小皿にもラップ。冷蔵庫に戻す。
よし。これで泰子の分はOKだ。
軽く頷いて、竜児はポテトサラダと小皿を二枚持って席につく。
茶碗と味噌汁は大河が既に運んでいた。
ご丁寧にご飯も盛ってある。
「お、ありがとな大河」
「ふふん。これくらいならお安い御用よ」
少し胸を張る大河に、また竜児の顔が綻ぶ。
前は『これくらい』でも面倒臭がったのに。
「助かるよ」
「いいのよ。フォ、フ、フィアンセだもの」
言いながら真っ赤になる大河。
つられて真っ赤になる竜児。
なんともいえない空気が場を支配する。
「・・・照れるなら言うなよ・・・」
「い、遺憾だわ・・・」
しばらくお互い、俯いて向かい合う。
『あー、未だにあの二人にはキス以上はないね。間違いない』
先日聞いた櫛枝実乃梨の推測通り、まだまだ初心な二人なのだった。
※
>>664 「・・・で?なにがどうしたって?」
「ん?なにが?」
パクパクと忙しなく口を動かしながら、大河が頭にハテナマークを灯す。
こいつ忘れてやがる・・・。
先の硬直から5分。
ようやく食べ始めた夕食に、大河の脳はその全神経を注いでいた。
「いやだからさっき・・・ああ!お前そんなドバドバソースかけんな!!」
「なによ煩いわね。どう食べようと私の勝手でしょ!?」
「んなわけあるか!いいか?この黒豚という肉は、肉自体にほのかな甘味がある!それに加えて、俺が素材の風味を殺さないように下味をつけること万全だ!正直、ソースなど無用と言っても過言ではない!」
あまりの力説に、大河が思わず半眼になる。
「・・・あんたって、たまにミスター味っ子よね」
「それを言うならクッキングパパにしてくれ」
最近の流行だからな。
そう付け加えたフィアンセに、大河が少しだけ『こいつでよかったのか?』とか思ったとか何とか。
666 :
●:2009/05/27(水) 01:00:40 ID:/MJJptmK
いい感じに480KBなので「繋いだ手はそのままで」の投下が終わったあたりで次スレ立ててきます
667 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 01:01:52 ID:/MJJptmK
>茶碗と味噌汁は大河が既に運んでいた。
ここに感動した
>>665 「あーはいはい。んで?なによ?」
「ん?ああ。さっき言ってたろ?なんか俺が聞いてなかったとか」
「ああそうだ。帰りさ、家まで送ってくれない?」
「え?」
驚いて竜児が顔をあげる。
箸を止めてまで。
「い、いいのか?」
無言で大河がコクリと頷いた。
ここで竜児が驚いたのには訳がある。
実は大河はいつも、高須家からの帰りは一人で帰る。
いくら竜児が送ると言っても、頑として首を縦に振らなかった。
あまりの頑なさに、もしかしたら自分を大河の両親が良く思ってないのかとも考えた。
後に、それは違うとはっきり否定してくれて、両親とも歓談できたことで心配は晴れた。
じゃあなんだ?竜児の意識は必然とそこに行き着く。
でも大河は、何度理由を聞いてもしばらくは答えてくれなかった。
根気よく聞きつづけて、やっと最近教えて貰えた。
その理由というのが『喪失感』なのだそうだ。
「竜児がね、私に背を向けて歩き出すでしょ?そうするとね・・・胸の辺りがキュウッと締め付けられるの。それで走り出して抱きついて離したくなくなるの。でもそれは出来ないから・・・我慢するとね、胸がホントに痛くて・・・だから送られるのは嫌なの」
ともすれば熱烈な告白ともとれる台詞を、大河は本当に申し訳なさそうに言った。
そこまで思われてる自分に、竜児が感動したのは言うまでも無い。
そして反面。
自分も、大河を送り出す時に同じ気持ちだといいかけた。
しかしそれをすんでで飲み込んだ。
言ってはいけない。
言えば大河を困らせる。
喜んでくれるだろうことは想像に難くない。
しかしその反面、大河は自分を気遣って余計な傷を負うだろうと竜児は考えた。
自分だけ甘やかされて、竜児にだけ苦しみを与えてる。
そんな風に悩むだろうことも容易に想像できた。
だからこそそれは言えない。言ってはいけない。
そうして今に至るまで、竜児は自分の胸の裡を隠したままでいた。
そんな折に、大河からの一緒に帰って宣言である。
嬉しくないはずなど無く、思わず聞き返してしまったのだ。
>>668 「い、嫌だったんじゃないのか?」
その・・・俺と別れるのが。
言外に隠した言葉に気付いて、大河の頬にさっと朱がさす。
「い・・・今だって嫌よ。で、でも・・・」
そこまで言って俯いてしまう。
一瞬泣いてるのかと思った竜児だが、耳が真っ赤になってるのを見つけて、単に照れてるんだと判断した。
そうすると、また新たな疑問が浮かび上がる。
どうして、今ここで、大河は照れてるんだ?
そこではっと思い当たる。
大河の野性的とも言える勘の良さに。
「お、おい。もしかして俺に気を遣ってるんならいいからな?俺は男だし・・・辛いのにだって耐えていけるし・・・」
本当は身を引き裂かれそうなほどに辛いのだが、大河の為ならとそんな風に言ってやる。
だが当の大河は、
「・・・なにそれ?」
ポカーンと口をあけたまま、竜児を見返していた。
「え?だ、だからさ、俺がここでお前を見送る時、物凄く胸が締め付けられるってこ・・・」
そこまで言って竜児は気が付いた。
おい待てよ俺、と。
もしだぞ?もしこれが・・・勘違いだったら・・・どーすんだ?
「あ、た、大河?い、今の・・・」
「はひ・・・」
真っ赤じゃねーかー!!
頭を抱えて声高に叫ぶ竜児の心象風景。
その目の前で、逢坂大河は嬉しさと居たたまれなさの中で葛藤していた。
連投見つけて眠るタイミング逃した
671 :
●:2009/05/27(水) 01:07:47 ID:/MJJptmK
思ったより消費ペース早いな…新スレ立ててくる
とりまここまで。
このタイミングで新作投下とか、馬鹿か俺は・・・orz
673 :
●:2009/05/27(水) 01:13:05 ID:/MJJptmK
674 :
●:2009/05/27(水) 01:13:31 ID:/MJJptmK
作品投下・まとめ様に関係無いレスでは、酉外したほうが良いよ
抽出したけど自己主張が激しすぎる。
676 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 01:19:28 ID:/MJJptmK
専ブラ使ってるとトリップ記憶機能あるから付け外し自由だけど
携帯だと定型分やメモ帳に保存してあっても付け外しは結構大変だと思う
それはそれとして恒例の埋めギシアン
「おうおう、今年もノイチゴちゃん達がいい感じに色づいてるぜ」
「ハイキングにしてはやけに重装備だと思ったら……」
嬉々として辺りを見回す竜児と、その様子を見て呆れ顔の大河。
「このへんは人があまり来ないから穴場なんだ。ほら、収穫手伝ってくれよ。
採ったその場で食うのも美味いぜ」
「摘みたてフレッシュってやつね」
「あ、虫には気をつけろよ。あとヘビイチゴは食べられないから間違えないようにな」
「さて、収穫も済んだし弁当も食べたし、そろそろ帰るか」
「待ってよ竜児。私今日はけっこう働いたんだし、その見返りってものがあってもいいんじゃないの?」
「おう、帰ったら早速こいつで美味いおやつを作ってやるぜ」
「そうじゃなくて……ここ、あんまり人が来ないんでしょ?」
ガサガサアンアン
679 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 01:30:41 ID:/MJJptmK
まさかの青姦w
>>674 『1話if』『エンゲージリング』『SNOW』『趣味/嗜好』を書いてることを踏まえて、それを言ってくれるのか(泣)ヽ(T▽T)ノ
>>630 出先なので取り急ぎ。
ペンタブ+saiです。修行中です。
682 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 01:52:31 ID:/POrKkGd
>>680 思い浮かんでくるのをゆっくり投下してくれたらそれでよろし
683 :
657:2009/05/27(水) 01:59:26 ID:p8UAy1Si
684 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 02:24:12 ID:C4UrQ/FF
>>648 素晴らしく切ない雨の日だと思いました。
正直、この描写には圧倒された。
これからも頑張ってください!
>>672 あぁ、続きが気になる。
もんもんとしながら今日は寝ますw
>>615 > これも本音だ。以前にも竜児は大河の体の末端まで褒め尽くしたことがある。(まとめサイト参照。私の書いたものでは無いのだが大好きな作品だ。無断引用申し訳ない。)
OK,OK, 全然問題無い!
こういうオマージュは嬉しいよ
687 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 09:24:13 ID:/POrKkGd
「春田」
「どったのたかっちゃ〜ん」
「最初に言っとくけどオマージュは菓子じゃねえぞ」
「え?まんじゅうのオサレな言い方じゃないの〜?」
「全然違うぞ…まあ迂闊なこと言って大河に殴られなくて済んだから良かったよ…」
「そりゃないよたかっちゃ〜ん。俺だって彼女持ちだぜ〜」
「信じられないが本当だしな…実際目撃しちまったし」
「そうそう。お互い彼女は大事にしようぜ」
「むしろ俺は大事にされたい方なんだが…うぉ!?」
「ちょっと竜児!誰があんたを大事にしてないってのよ!」
「大事にしてるならいきなり背後からヤクザキックをかましたりしねえぞ」
「あーらこれは躾よ、し・つ・け」
「お前な…大体俺が大事にして欲しいのはお前の身体の方だぞ」
「ふぇ?」
「そうやって叩いたり蹴ったりして傷付くのはお前の身体の方なんだぞ」
「ぅぅ…」
「だから大事にしてくれ。でないと俺の心が参っちまう」
「ん…わかった。ごめんね竜児」
「よし、じゃあ買い物に行くか。何か食べたいものあるか?」
「うーんとね、私お饅頭食べたい!」
「オマージュじゃないぞ」
「分かってるわよ!これでも文系志望!」
「ははは、そうだったな」
キャッキャッウフフ
「さすがたかっちゃんだな〜。タイガーが見事に手なずけられてるよ〜」「おい春田。帰りTATSUYAに寄らないか」
「あっ能登っち〜。オマージュって何ー?」
「なんだ藪から棒に。オマージュとはな…」
fin.
亜美「……(ググれカス)」
「好きな人、好きな人、オマージュさま〜♪」
「はっはっは、櫛枝、それは『マージョ様』だぞ」
690 :
名無し募集中。。。:2009/05/27(水) 11:15:44 ID:/POrKkGd
「竜児のお手製まんじゅう食べたい!」
「俺は大河のおまん…」
ギシギシアンアン
後悔はしない
>>686 615だけどそういってもらえると嬉しいです。作品を傷つけぬよう頑張ります。
どうでもいいが気がつけばギシアンだけで20話ほど書いていたw
埋めネタ
ギシギシ
「ほっかいどーはー」
「でっかいどう!……ってなんだイキナリ?」
「……りゅうじのココもーでっかいどう!」
「…………大河!」
「おーよしよしよし」
アンアン
さて、もうすぐ昼休みだな。
大河「おま?私のどこに何をしたいですってぇ〜?」
竜児「…そ、そんなこと俺に言わせる気かよ」
大河「りゅーじっ?」
竜児「………おう」
大河「ふふ、かわいい。」
竜児「可愛すぎるお前に言われたくないぞ。」
大河「じゃぁ………しよ?」
竜児「…おう。で、お前は俺の何をどうしてほしいんだ?」
大河「わ…!わ、わわわわ!りゅ、りょりゅうあ、お、おま、ち、ちちちちち」
693 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 12:41:02 ID:SVCeFMZj
「…くそ」
まただ、また一人で教室につっぷして唸っている。
貧乏ゆすりに加え、たまに頭を乱暴に掻き毟り、机の脚を蹴る。不機嫌なのは火を見るより明らかだろう。
遠くからそんな竜児の様子を伺う大河。いつもなら「あんたが不機嫌だと皆ストレスで死んじゃう」等と
笑い話に持っていけるのだが、今日はいつもと違う。何も知らない者が見れば薬が切れてイライラしていると
勘違いするに違いない。大河もそうにしか見えないから仕方ない。
ほら、毎日おとなしく受験勉強をしてる後ろの席の子も、手がガタガタ震えてわけわからん字になってる。
自分がいる反対の入り口にも女子達が竜児をチラチラ見てはガタガタ震えてる。
2日程前は、竜児は天にも昇りそうなほどご機嫌だった。3年生なので担任は独神ではないが、
確か朝のHRを終えた頃から超がつくほどご機嫌なのは覚えている。
いつもなら大河から竜児の膝に座るのだが、近づくと待ってましたと言わんばかりの勢いで腰を引っ手繰り、
ぼすんと自分の両膝に乗せて頭を撫でてくれた。機嫌がいい理由を聞いても、別に〜♪と言うだけで
何も教えてはくれなかった。別に無理に聞く必要はないので聞かなかった。それからは朝も昼も晩も食事が豪華だったので、
自分もつられてご機嫌になるってもんだ。
* * *
昼休み。いつもなら竜児と一緒に昼食をとるのだが、昨日と同じで弁当を机におくと、どこかへ行ってしまう。
誰かを殺してしまいそうなので、つけてみた。以外とすぐ着いた場所は自動販売機前。
ばかちーはいないようで、コーヒーを買うとそれを一気飲み。熱さも感じないのだろうか。
飲み終えると、ゴミ箱へボッシュート。しかし外れたが、入れなおす気はないらしい。しばらく販売機に両手をつき、
不意に頭をガンガンと打ちつけ始めた。これは重症だ…。
「竜児?あんた最近変。何かあったんじゃないの?」
「…何もねぇよ、気にすんな」
いつも通りぶっきらぼうな口調だが、目を見れば不機嫌だってすぐわかる。
いつもなら前髪をいじるなりなんなりするはずなのに、今は狂目を隠そうともせず死線を辺りに振りまいている。
「教室戻ろうぜ」
それだけ言うと、自分を抜かして教室へ向かう。待って、と言っても当然待ってはくれない。オカシイ。
* * *
チュンチュン、と外で小鳥が歌声を束ねる。昨日は夜遅くまで考えたが、何も浮かばなかった。
いつも通りの食事を終え、竜児と手を繋いで登校する。
登校の途中で1年生の男子がバカ騒ぎしながら走ってすぐ傍を通る。
2人、3人と傍を駆け抜け最後の一人が竜児の肩にぶつかった。
振り向いて、すいませんと言う。いつもならそのまま見逃すのだが、今日もやはり一味違う。
ギラギラッと本気の目で睨み付けると、散れと言い放つ。1年生達は素早く財布を取り出し、一つにまとめて
竜児の近くに置いて全力疾走で駆けて行く。財布を置いていくのはいつも通り。それを拾って職員室にある落し物入れに
投下するのだが、拾い上げると青いポリバケツに突っ込んだ。
「ちょ、竜児…それはいくらなんでもあんまりじゃない?」
「あれはゴミだ。1年坊に人生の厳しさをその肉体に刻んでやらねばという優しい先輩の精一杯の気遣いだ」
多分、今なら山口組にでもどこへでも入れるだろう。高須組を作り上げる事も可能。マジもんの悪だ。
その後いくら問い詰めても一向に答えようとはせず、気づけは昼休み。弁当を机に置くと、また自動販売機へ向かった。
その後を追おうとするが、我らが櫛枝実乃梨に声を掛けられる。
「大河!高須君の不機嫌の理由がわかったぜぃ!」
ごめん続きはまた明日。
698 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 20:03:59 ID:dpKhT73x
699 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 20:05:42 ID:dpKhT73x
TATSUYAにやってきた虎と竜。
今日はシングルの発売日です。
「ちょっと竜児!何ジャケット見てにやけてるのよ!」
「あぁすまんすまん。つい見とれてしまってた」
「何見てたのよ!ちょっと貸しなさいよ!」
ぐいっと竜児の手から奪い取ったのは「コンプリイト」。
PSPゲームソフト「トラどら・ポータブル!」の主題歌である。
なんで発売から一ヶ月も経ってリリースなのかは正直よくわからない。
大月にはぜひ意見表明をして欲しいところだ。
「なんだ、コンプリイトじゃない。あーみのりんかわいー♥」
「確かに櫛枝もかわいいが…俺はお前を見てたんだよ、大河」
「えっ…」
思わず顔を赤らめるちび虎。
ジャケ写の私を見てたですって?
「なななななによ。じ、実物がいるんだから私を見なさいよ////」
「…おぅ。けど本当にかわいいんだよ、このジャケ」
薄い水色のジャケットを羽織り、私服では珍しいミニスカート
そして虎のポシェットを下げて笑顔で櫛枝実乃梨に抱きつく大河がそこにいた。
「でも本当にお前変わったよな」
「何が?」
「プレパレードのジャケ写は腕組んでしかめっ面だったけどさ」
そう言って竜児は「コンプリイト」を手に取り目の前の大河と見比べる。
「ほら、こんなにいい笑顔になったじゃないか」
そう言って大河の頭を撫でる。
「ややややめてよ!はは、恥ずかしいじゃない…!///」
顔を真っ赤にしてそう言う大河だったがジャケ写のように嬉しそうな笑顔だった。
「…あんたのおかげで笑顔になれたんだからねッ♥」
700 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/27(水) 20:06:02 ID:dpKhT73x
余談。
大河と竜児はそれぞれ一枚ずつ「コンプリイト」を購入。
仲良く手をつないで帰宅。
さっそくCD聞いてみることにした。
「これはまた妙な曲だな…」
「仕様よ。言葉遊びが好きなのね」
二曲目。
「…ぅおぉぉぉぉ!」
「ちょっ、竜児なに興奮してんのよ!!」
そりゃ無理もない。
歌い出しがくぎゅボ、もとい大河のキャワワな歌声なんだもの。
「正直俺は生まれてきて本当に良かったと思っている」
「何よ…ちゃんと歌詞にも注目しないさい!」
カップリングの「プリーズ フリーズ」は
好きな人の本心を知りたいけど聞けない女心を歌う曲だ。
つき合う前、どれだけこんな心境に大河はなったことだろうか。
「…つらい思いさせてすまなかったな」
「ううん、いいの。今はあんたが私のこと大好きってちゃんと知ってるもん♥////」
虎と竜のスーパーイチャイチャタイムの始まりである。
しかし彼らは甘い空気に浸ってしまったばっかりに大きなミスを犯してしまった。
この曲でリピートかけておけば本当に良かったと竜児は後に語る。
三曲目を聴いた感想。
「…春田」
「あのバカロン毛め…お仕置きが必要ね(怒)」
「まあまあまあまあ大河落ち着け。俺も歌ってるんだ」
「加工されすぎててどれがあんたの声かわかんないじゃない!」
「よし、じゃあこうしよう。『プレパレード』あるだろ?俺が全部歌うから、な」
「しょうがない、勘弁してあげるわ」
そんなこんなでPSP用ゲームソフト「とらドラ・ポータブル!」主題歌「コンプリイト」絶賛発売中です!!
701 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
// : : /:⌒丶: : : : :_:_: : : : : : : : : : :\
/ : : : : /: : : : : : : \':´: : : : `丶: : : : :\ : :'.
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: : : :/ : |: : : : :| : : : : : : : }: : : : : : : : : '; :│: :| コンクリイト?コンプリイトだよ
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