1 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレです。
どんなネタでも構いません。大河と竜児の二人のラブラブっぷりを勝手に想像して勝手に語って下さい。
自作のオリジナルストーリーを語るもよし、妄想シチュエーションで悶えるもよし、何でもOKです。
次スレは
>>970が立ててください。 もしくは容量が480KBに近づいたら。
/ _ ヽ、
/二 - ニ=- ヽ`
′ 、 ',
', /`l / , \_/ |
∧ 〈 ∨ ∨ ヽ冫l∨
', /`| u ヽ
', / /
/  ̄\ 、 -= / __
/ ̄\ `ヽ、≧ー _ /. : : .`ヽ、
/__ `ヽ、_ / 、〈 、 /.:冫 ̄`'⌒ヽ `ヽ、 / 〉ヘ
/ ==',∧  ̄ ∧ 、\〉∨| /.: : :′. : : : : : : : . 「∨ / / ヘ
',∧ | > /│ /: :∧! : : : :∧ : : : : | ヽ ' ∠
',∧ |、 \ 〉 、_ (: :/ ,ニ、: : :ィ ,ニ=、 : : 〉 ,.イ´
',∧ |′ ∨ ///> 、 Y: '仆〉\| '仆リヽ:|\_|: :|
/ / | └<//////> 、 八!`´、'_,、 `´イ. :|////7: !
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,' | / 个:<〉. :〉》《/.: ://///: : : : : : . \
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,' |′ \:ノ. : |: :/W/.:〈//////: : : : : : : : : :ノ
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【とらドラ!】大河×竜児【ベタベタ妄想】Vol5
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【とらドラ!】大河×竜児【ニヤニヤ妄想】(2スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1234443246/ 【とらドラ!】大河×竜児【ラブラブ妄想】(1スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1231122796/ 【とらドラ!】大河×竜児【デレデレ妄想】(3スレ目)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1236695653/ 【とらドラ!】大河×竜児【イチャイチャ妄想】Vol4
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1237819701/
2 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/21(火) 21:34:39 ID:c9ZLWldU
乙
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/21(火) 21:50:32 ID:c9ZLWldU
>>1乙!
そういや前に20レスくらいのSS書きためてるって言ってた人いたよね?
wktkしてよう。
>>7 スキヤキ妄想ということで
竜児と大河の愛の巣にお呼ばれしたみのりんorあーみんがドアの前で
「あ、……んふ、りゅうじぃ、あついよぉ」
「もっと自分でちゃんと開けよ大河、うまく入らないだろ」
「だ、だってぇ……これ以上開かないんだもん」
「仕方ないな……、ほら、もっと上向けて」
「ん……きゃんっ、もっとゆっくりぃ……」
「分かったから、ほら……」
というやりとりを聞いてアレな妄想を思い浮かべてしまい
「ぬわーにしとんじゃいおまえらー!」
と慌てて突入したらスキヤキの味見の為に竜児が大河にあーんしている場面に出くわした
という話くらいしか思いつけなかった
>>9 ちなみに、スピン・オフ「トルネード」は、似たり寄ったりのシチュがゆゆこの
筆で炸裂しまくっている。
>>12 そうか。俺もそれきっと持ってるけど
乙の一言くらい言ってあげろよ(´・ω・`)
お、新スレだw
>>1お疲れw
んじゃ祝い代わりに一つ投下w
↓
「竜児」
「ん?」
夕食後、寝転んで本を読んでいた大河に呼ばれ、台所から向き直る。
「なんだ大河?」
「これ・・・どう思う?」
エプロンで手を拭きながら大河の傍までくる。
「なにがだ?」
「これ」
見やすいようにと、本を掲げた大河に合わせるように少し腰を屈める。
そうして読み取れたのは・・・。
「あなたの思う・・・理想の恋人?」
「うん」
・・・またこいつ、変なもの見つけてくるな・・・。
<理想のあなた>
「これって一般的にはどうなのかな・・・?」
寝そべったまままた本に目を落としつつ、大河は小さく呟く。
おそらくその下に書いてあった、街で聞いた意見100とかを読んでいるのだろう。
今ここで答えてもどうせ耳には入らない。
とりあえずお茶でも煎れてこよう。
※
>>14 「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
・・・そこまで真剣に読むなよ!!
心の中でいれた突っ込みは、何故か大河に届いたらしい。
パタンと本を閉じると、起き上がって俺の前に座り直した。
なにやら顔が暗いところを見るに、あまり自分にとって良いことが書かれていなかったのだろう。
無言で、そっとお茶を大河の目の前に滑らす。
「・・・ありがと・・・」
案の定声も暗い。ビンゴか。
こういうときはこちらから話を振るのは危険だ。
どこに地雷が埋まってるか分かったもんじゃないし、何よりこいつの地雷は数が多い。
その上威力も半端無い。
ここはひたすら、あちらから交渉の場を設けるまで篭城といこう。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・あのさ竜児・・・?」
よしきた。これを逃がさず話を膨らませる努力をする。
「なんだ?」
「・・・」
「話し掛けてきたんだ。言いたい事あるんだろ?」
「・・・うん」
「なら言っちゃえよ」
「うん・・・」
こういう風に話の方向性を持っていけば、大河は観念したようにいろいろ話し始める。
伊達に長いこと、こいつの傍にいるわけじゃない。
「・・・竜児もさ・・・理想の恋人って・・・在るよね?」
あーやっぱりそんなとこか。
想像通りの答えに、思わず肩をこかした。
絶対こいつにポーカーやババ抜きは出来ない。確信した。
「まあ・・・あるっちゃあるかな?」
そう答えてからちらりと見た視線の先。
ビクンと大河の身体が大きく震えた。
面白いほどに予想通りの反応だな。
「ど、どんなのか・・・聞いていい?」
「あ?ああ・・・」
そして行動もだ。
「まあ・・・背はそれなりに高くてスリム。顔は小さくて笑顔が可愛い。控えめなおしとやかさで、男を包んでくれる優しさを持ってる・・・とかか?」
「・・・」
あえてこんな事を言ってみる。
案の定、ますます顔を暗くして俯く大河。
なんてわかりやすいんだお前は。
>>15 こいつの将来が心配だ・・・などと溜め息を吐きつつ俺は立ち上がった。
「でもまあ・・・」
言いながら俺は大河の隣に座る。
そのまま大河の顔に手を伸ばして、俯いてる大河の顔を上げさせた。
そしてそのまま、
『ちゅ』
触れるだけのフレンチキス。
一瞬間を置いて、一気に真っ赤になった大河の顔に満足。
逃がさないように肩を抱いて、耳元で囁いてやる。
「本当の俺の理想は、ワガママで凶暴で、怒ると手がつけられなくて、でも寂しがり屋で。ヤキモチ焼きでツンケンしているようで、その実すごく甘えたな奴・・・なんだよな」
「!!」
驚いた顔が面白くて、そのまま大河の耳にキス。
「ひゃんっ!」
くすぐったかったのか、大河の身体がブルッと震えた。
「・・・んで?」
「え・・・?」
「答えの感想は?」
嬲るようにニヤニヤ笑いながら聞いてやると、いきなり立ち上がって頭を小突かれた。
頭を押さえて、大袈裟に痛がってみせてやる。
「なにすんだよ?」
「ちちち調子に乗ってんじゃないわよ、この駄犬!!ああああんたなんか、別になんなんなんなんとも思ってないんだから!!」
「・・・」
可愛い奴。
言葉と態度が全然合ってないことに気づいてもいねえ。
全く・・・真っ赤になって、プルプル震えて、目に涙まで溜めてなに言ってんだか。ったくよ・・・。
「はいはい」
「は、はいはいってなによ!?わ、わかってんの!?」
ムキになって言い寄ってくる大河を少し下がらせる。
さすがにこの距離じゃ近すぎる。
「わかったわかった。んじゃケーキ食うか?」
「な、なんでこのタイミングでケーキなのよ!?まだ話し終わって・・・!!」
ちゅ。
絶妙のタイミングで唇を重ねる。
ざまあみろ。もう一度フレンチキスをしてやった。
「わかったから、まずはケーキ食え。お前の為に焼いたんだから。それから話し聞いてやるよ」
唇を押さえ、ヘナヘナと崩れ落ちる大河を見て満足する。
たまにはお前が照れまくれ。
鼻歌でも歌いたいような凱旋気分で、台所へ向かう俺の背中。
そこに切りつけられた凶暴な切っ先。
俺の命を根こそぎ奪うような。
そんな大逆転の一撃。
「・・・私の理想はね・・・あんたよ、竜児」
ね、もう一回・・・して?
・・・ああ全く。
本当にこいつには敵わない。
END
17 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 01:34:45 ID:PwWgj6FM
(*´Д`)ポワワ
こういうの書ける人ホントにうらやましい
>>16 乙
アレだ、いいカップルだよ。まったく
結局竜児は大河の尻に敷かれてるってわけだwww
それも含め竜虎はかわいいのう
GJすぎます><
大河「だから竜児・・・・しよ?////」
ギシギシアンアン
>>16 GJ!なんだが…フレンチキスってディープキスじゃなかったか…?
「竜児……あんた、何やってんのよ?」
「んー? これかぁ? これはなぁ、今日は大河の誕生日だから…って
どわぁっ!! た、大河……っ!」
大河は驚愕していた。地味で狭い、いつもの2LDKのふすまを開けると、
幼稚園の飾り付けライクなもので彩られいて、その中心でパタパタと
準備に明け暮れる彼氏の姿を見たからだ。
「お、おま…っ! 時間になるまで来るなって言っただろ!」
「…………ん!」
返事をせず、顎でさした方向に目をやると…
「…ああああぁぁぁっ!」
「カーテン全開なのよ。ウチから丸見え。どっか抜けてんのよねぇアンタって」
「う、うっせぇな!早く完成させようとして気が回らなかったんだよっ」
バツが悪そうに目を伏せて、竜児は自らを恥じる。そんな様子を愛おしく
思った大河は、肩をすくめて優しく微笑んだ。
「……私のために一生懸命な竜児が好きだよ。大好き」
「!…… まっすぐ見つめて言うなんて…反則だ…ぞ」
「照れてる竜児も、かーわいい♪」
「そっ、そーいうお前こそ……かわいい…」
お互いの顔はいつの間にやら熟れたトマトの如く。
視線が絡み、ゆっくりと間が詰められていく。
ギシギシアンアン
>>16 イイヨイイヨー
なんかわっちを彷彿とさせるな
やり込めたと思ったら最後に大逆転されるところなんか
>>22 竜児に大河のドジが移ったかwww
GJです
25 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 12:28:24 ID:qO0mutIw
26 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 12:28:36 ID:qO0mutIw
こうして新スレは、未曾有のギシアン攻勢で幕を開けたのだった。
>>21 日本ではフレンチキスをライトキスだと誤解があるが・・・(Wikipedia項目検索)
↑
思い切り当てはまったよ俺・・・orz
スマン吊ってくる。
とらドラDVD4買った奴いる?
特典の小説が気になるんだけど・・・・
・全部で何ページか
・内容は小説終了後か
誰かこの質問に答えてください。
30 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/22(水) 20:55:05 ID:NKAxDyEL
竜「ところで俺の弁当を見てくれ、こいつをどう思う?」
大「すごく…茶色いです…」
海老って、馬鹿よねー
そういえば、アニメでは竜児は「俺はおうし座だっ!」って言ってたな。
バレンタインの時点で「あと2ヶ月で18〜」とか言ってたから、4月生まれでFA?
ということは、そろそろ誕生日か?
いや、もしかしたらもう過ぎてるかな。
竜虎の誕生日というと、竜児の誕生日に
「ぷ、プレゼントよ!受け取りなさい!」と、自分にリボンをかける大河
…しか妄想出来ない俺を誰か殴ってくれ
大河の誕生日 チソチソにリボンをかけただけの全裸で目の前に現れる竜児
「ど どうよ・・?」
>>29 >竜児の変態性癖が暴走するお話。まさか授業中の教室であんなことをするなんて…。
どこぞのブログにあった
くつしたクンカっ
目覚めて30秒。
鳴った気配の無い目覚ましを探して、枕元を手探り。
手応えが無いので、仕方なしに目を開けたその視界、最初に飛び込むのは、いつもと同じ豪奢な金髪。
『ある春の日曜日』
「・・・なあ大河・・・?」
しばらくの沈黙。
たっぷり10秒は間を置いてから、面倒臭そうな声が耳に届く。
「んー・・・なぁにぃ?」
寝起きで朦朧としているんだろう。
俺の胸から少し顔を上げて、寝惚け眼で俺を見る大河。
その額におはようのキスをすると、途端に『ふにゃ』っと大河の顔が緩んだ。
「おはよ・・・どしたの?」
「ああ、今何時だ・・・?」
おはようと返してから問い掛けると、その顔がみるみる嫌そうに歪んだ。
本当にこいつは面白い。朝から百面相だ。
「しんない。・・・自分でみなよ・・・」
どうでもいいとばかりに、またもぞもぞと寝にかかる。
確かに自分で見りゃ良いんだけど・・・溜め息混じりに小さく呟く。
なぜなら、寝る前、確かに枕元にあった時計は、いまやなぜか大河の身体の下に行ってしまっていた。
全くどういう寝相だそりゃ?
何とかして手を伸ばすが、如何せん大河の身体が邪魔で届かない。
「・・・見えねえ・・・」
呟いて、ちらりと大河を見るが、
「・・・・すー・・・」
「既に夢の中・・・か」
溜め息を吐いて天井・・・というか、ベッドの天蓋を仰ぐ。
「・・・明るいんだよな・・・」
部屋に差し込む光は、下手をすれば昼前の様相を呈している。
「でもまあ、いいか・・・」
小さく縮こまって傍らに眠る小さな虎。
もう小さな頭を、優しく両手で抱え直す。
「んー・・・?・・・あったかい・・・」
もぞもぞっと胸のあたりで動く髪が、時折頬に当たってくすぐったい。
思わず微笑みが洩れる。
ホントに猫みたいだこいつは。
「・・・朝飯、少し遅れるけどいいか?」
耳元に小さく語りかける。
「うん・・・。も少しこのまま・・・」
言いかけてまたスーっと寝息を立て始めた、大河の頭を優しく撫でる。
「ん。たまにはこんな、ゆっくりした日曜日も良いか・・・」
小さく呟いて、俺もまた夢の中の住人へとその身を移し変えた。
END
38 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 10:16:20 ID:8ZzYNFoe
(*´Д`)ポワワ
ラブラブ注意報!ラブラブ注意報!
40 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 12:44:12 ID:3Erqyo/x
41 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 12:48:22 ID:3Erqyo/x
草gが全裸で逮捕
次は北村だな
>>41 「『全裸で何が悪い!』だってさ」
「いや、外で全裸は普通にまずいだろ」
「全裸になっていいところと悪いところがあるわよね」
「まあ、そうだよな」
「例えば………、私と2人っきりの時とか///」
「………………」
(ry
43 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 14:14:16 ID:8ZzYNFoe
イイヨーイイヨー
44 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 14:21:05 ID:8ZzYNFoe
>>44 なにその俺の常駐スレw
ちょっと気が強くて寂しがりやの嫁のおかげで毎日がエブリデイだぜ
46 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 15:20:09 ID:8ZzYNFoe
>>45 このリアル竜児め!
貴様の嫁への気持ちを元に竜児と大河を幸せにしたったれ
バカにもわかるように毎日がエブリデイの意味を教えてくれw
48 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 15:51:25 ID:8ZzYNFoe
すなわち24時間ずっと嫁(彼女)を愛してるというこの世でたったひとつのなんか見つけた人の毎日のこと
>>45 には及ばないが、竜虎のおかげで、嫁をもっと大事にしたい!と思わぬ効果が
あった俺は、実はアラフォー世代の、めぞん一刻好き。
51 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 18:18:46 ID:wNlau1QV
でも付き合いで風俗に行かざるを得ない場合はどうすんだ?
黙ってればばれないぜ方式なのか?
52 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 18:48:27 ID:8ZzYNFoe
なんで竜児はおうし座なのかなと思ったら間島淳司がそうなのね
いずれにしてもあの性格はおうし座っぽいけど
風俗なんか行ったら哀れ乳がさらに哀れに
54 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 19:55:18 ID:o+bhbNRN
付き合いもなにも、産まれてから一度も風俗にいったことないぞ?
すんげー不思議がられるが。
嫁にもそれを堂々と自慢しておる。
付き合いで行く ってのがワカラン。「行かん!!」と言って帰ってくればいいだけじゃねえの?
おれはいつもそうしてるぞ
で、最後にこういうと、みんな苦笑いしながら おれを誘うのを諦めるぞ
「女は、嫁で間に合ってっからw」
56 :
45:2009/04/23(木) 20:31:43 ID:RPosptkh
>>51 うーん、金で女と遊ぶというのがあり得ないかな。
接待でどうしてもという場合、入るだけ入ってダベって時間潰すと思うw
で、お客を送ったあとケーキの一つ二つ買って帰って一緒に食べる。
「でも遅くに食ったら太るよな?明日にするか?」
「今日だけはいいの!」とか言いながら。
「エンジェル大河はみんなのハッピーなスレのために、一肌も二肌も脱いで、
挙句の果てにまっ…んっがっ、ちょっと、竜児、何すんのよ!」
「なぁ、大河。今は、そのネタ、やめよう。な」
エンジェル大河は脱ぎまくって公園であぐらかいてるのですね?わかりません><
59 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 20:41:12 ID:o+bhbNRN
>>55-56 お前ら偉いよなー
消防団なんか毎年温泉旅行に行くと必ずデリヘルか何か呼んで乱交すんだぜ?
しかも既婚者が、だぞ
ポンプ操法とかいうどうでもいい大会がある年に順番が回ってきたら地域の寄付金で行くからな
俺は独身だがそういうのすごく嫌で一度も行っていない
何が嫌って彼女無し毒男ならともかく子供もいる既婚者がそれやるってのが嫌だ
ああなんか愚痴ってごめんよ
こんな現実があるから大河×竜児が好きなんだ
>>51 最近はそういう接待も少ないと思うが、業種・職種によってはあるか・・・
上司なら断るが、そういうことに誘う客だと断るの難しいかもな
>>56 で、
>>45が言ってるように、しゃべって、お疲れさんで終わりかな?
嫁にはシチュエーションにもよるが、いちいち報告はしないと思う。
万一、後から勘ぐられるような事態になっても、なにもなければ、自信持って
説明できるし、それを信じてくれると思う。
ところで、スレちな気がするので、
>>44の板に行った方がいいのか?
ちなみに竜虎見るまでは、結構揺れる時あったぞ!
ということで、大切なことを改めて気づかせてくれた竜虎とゆゆぽは神!
61 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 21:03:02 ID:o+bhbNRN
>>60 のろけも何かの参考になるけど当該スレに投稿するともっと資料的価値が高まります
>>61 ノロケ話を気づかれないように竜虎に置き換えて紛れ込ませておきますw
3次元のラブラブ話聞かされてもぶっちゃけキモイんすけど・・・
64 :
60:2009/04/23(木) 21:58:07 ID:RgjJV/eS
ドラマCDの「お腹いっぱい…なの?」が可愛すぎて悶える
その後の竜児とのやり取りも萌える
早く結婚しろ、と思うが本当にしちゃったなぁ…
66 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 22:24:33 ID:o+bhbNRN
∧||∧
( ⌒ ヽ おいおい公式で結婚したのかよ
∪ ノ おめでとう
∪∪
67 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 22:25:01 ID:o+bhbNRN
69 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 23:06:11 ID:o+bhbNRN
70 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/23(木) 23:06:14 ID:o+bhbNRN
>>62 是非
>>66 マジでか。
おめでとう。しかし、せっかく書いたSSが全部キモイ妄想話になってしまった。
あ、最初からか。
72 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 00:34:26 ID:6SnB4lcx
?
話が見えないんだが、ドラマCDで竜虎が結婚したの?
74 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 01:00:58 ID:6SnB4lcx
そういう風に
>>65で書かれているがまだ聴いてないので本当かどうかは俺は知らない
してねえよ
しかしドラマCDvol.2は至宝
>>73 >>65のセリフはドラマCDVOL.2のクライマックス。
>>75の言うように至宝。VOL.1も良い。
3は微妙。
なお、結婚シーンなどもちろんない。
近い未来するってだけでまだ結婚してねーよw
土曜の午後、櫛枝実乃梨はラーメン屋でバイトをしていた。
昼時の混雑がひと段落して、店先の掃除をしていると、可愛い子補足用みのりんレーダーが作動した。
前方50mに、目つきの悪い青年と手をつなぎながら歩いてくる少女を発見したのだ。
「みのりーん!また来たよ!」
「おうおう!二人はいつもラブラブだねえ〜。ご注文は何にしますか、お二人さん」
「お、俺、しょうゆラーメンで」
「私、みそラーメン! 大盛りね!」
「おう! 盛るぜ〜、超盛るぜ〜!」
さて私は、二人のラブラブな食事ぶりを観察させてもらうことにしようか――
そんなことを考えながら実乃梨は二人を席に案内した。
二人が座ったカウンター席にラーメンを持ってゆく実乃梨。竜児の前にラーメンのどんぶりを置き、
その2倍はあろうかという巨大などんぶりを大河の前に置いた。大河は「うわあ」と声をあげて、
うれしそうに箸で大量の麺をつかむ。だめー、大河!そんなに一度に食べたら――
「ぎゃー!あじゅい!あじゅい!」
そう言おうとした矢先、案の定あまりの熱さに大河が悶絶しだした。
「あーあ、何やってんだよ、お前」
すかさず高須君が大河に水を差しだす。そして、大河が暴れたせいで大河の服にかかってしまった
ラーメンの汁の飛沫をウェットティッシュで拭いてあげる。
「ちゃんと、ふーふーして食べなさい! そして服に汁をこぼすな」
ああ、なんて仲の良い父娘なんだろう――実乃梨の顔はもうニヤニヤしっぱなしであった。
しばらくすると大河は竜児のどんぶりをじっと見つめ始めた。
「なんだよ。俺のを食べたいのか?」
「うん」
「ったく、少しだけだぞ」
そう言って竜児はどんぶりを大河に差し出す。大河はにっこり笑って竜児のどんぶりに箸を突っ込む。
そこから取り出されたのは、どう見ても「少しだけ」とは言えない大量の麺…。
さらに大河は、竜児が食べている横からレンゲを突っ込みスープを横取りする。
竜児のラーメンは、もはや二人の共有物となっていた。
竜児がチャーシューをつかんだ箸を口に運ぼうとすると、
「ちょっと待ったあ!」
動物的な反射神経で大河が竜児の手首を押さえそれを制止した。
「ああもう、わかったよ。ほら、口あけろ」
竜児はそう言って、自分のチャーシューを大河の口に入れてあげた。
「へへへ、ありがと。代わりにコレあげるね」
そう言って竜児のどんぶりに入れられたのは、大河のみそラーメンに入っていた大量の野菜。
「こらー! ちゃんと野菜も食べなさい!」
竜児のラーメン半分と、自分の大盛りラーメンを汁一滴まで全て食べつくした大河は、
いつにもなく満足げな表情だった。
「まったく、いつまでも子供なんだから」
そう言いながら、竜児は大河の口の周りに付いたねぎをティッシュを使って拭き取っていた。
そんな二人を鼻血を流しながら見つめる少女がいた。
「く、櫛枝!?」
「みのりん!どうしたの?」
「大河、たきゃすきゅん、萌えるぜ〜、超萌えるぜ〜! 君達はなんて可愛いんだ〜」
それ以来、実乃梨は学校でも、二人の昼食を見つめながらニヤニヤしているのであった。
>>78-79 ポワワ(*´д`*)
ハァーン!
もの食べる大河はかわいいのお、かわいいのおw
ぐっじょ!
大河が竜児を恋人として正式に家族に紹介したのは、10月の最初の日曜日だった。
食事の後に、がちがちに緊張しながら
「お嬢さんを、ください」
と、いきなり切り出した高校生に向かって、大河の新しい父親は「事情は大体聞いて
いると」した上で、大まじめに答えてくれた。
「高須君。今は、だめだ。大河ちゃん…大河とは、半年しか一緒に暮らしていないが、
それでも私の娘だ。娘を収入の無い未成年に嫁がせるわけには行かない」
取り付く島も無かった。多少とも無神経な男なら、もう少し食い下がったかもしれない。
だが、竜児のハンデは大きすぎた。手塩にかけて育てた一人娘の泰子の人生を、どこの
馬の骨とも知れない男にめちゃめちゃにされた精児の顔が頭に浮かんでどうしようも
なかった。
何か言わなければと言葉を捜す竜児に、追い討ちをかけるように大河の父親は
「まさかとは思うけど、『だったら高卒で就職します』なんてことは、君は考えて
いないよね。そんな場当たり的なことを言うような男には余計やれない。まぁ、
杞憂か。このご時世にいまさら就職活動をしても遅いし」
と、釘をさすのも忘れなかった。
正直、いざとなれば就職と考えていた。
そうしてとどめの一撃は、
「大河から、高須君はとても学校の成績がいいと聞いているよ。こうして話をする
ことができて本当に良かった。君が成績がいいだけの子じゃないことも、よくわかる。
お母さんは、立派に育ててくれたね。大学を卒業したときにどれだけ立派になって
いるか楽しみだよ」
の一言。
大学を卒業して、出直して来い、と。
とりあえず入籍などではなく、ちゃんと嫁に迎えに来い、と。
竜の子の名にかけて一生守ると心に誓った大河の横で、竜児はうつむいて、歯を
食いしばり、ようやく涙をこらえることしかできなかった。またか。この一年で、
いったい何度自分の無力を味わったろう。
大河の父親は、終始、竜児に対して物分りのいい大人の態度で接してくれた。また
遊びにおいで、と言ってくれた。それがいっそうみじめさを煽った。簡単には行かないと
思ってはいたが、これほど完膚なきまでに負けるとも思っていなかった。なんと甘い
考えだったのだろう。たった一つ救いがあったとすれば、「絶対に」だめだとは
言われなかったことくらいだ。今はだめだ、と言われた。
玄関先まで送ってくれた、同じくらい気落ちしているはずの大河を慰めようと思って、
無理に微笑みながら、ようやく搾り出せたのが
「すまねぇ」
の一言だけだった。
いろいろ言いたいことがある、と言っていた大河の母親は、結局最後までほとんど
話しをしなかった。
◇ ◇ ◇ ◇
家に帰って、泰子が帰宅するまで一人で泣いた。
寝る前に大河から携帯にメールが入った。
「元気出して」
それを見て、また泣いた。
◇ ◇ ◇ ◇
月曜日の朝、いつもどおり、大河が竜児のアパートの前で待っていた。
「おう」
「おはよう」
いつもどおりの挨拶を交わした後、ぽつぽつと言葉を交わすのがやっとだった。
「昨日は、すまねぇ」
「竜児のせいじゃないよ」
俺がもっとしっかりしていれば、とは思うが、それを口にすると大河はきっと怒る。
いや、怒らせてみようか。いっそ以前のように「この駄犬が!」と罵倒してもらえれば、
スコンと突き抜けることができるかもしれない。が、一歩間違うと大河が泣き出しそうだ。
めったなことは言えない。今の竜児では、泣き出した大河を受け止めることすら
できないかもしれない。
いけねぇいけねぇ、と竜児は晴れ渡った空を見上げる。しっかりしないでどうする。
転んだら、また立ち上がって歩くだけだ。先は長い。
ポケットから手を出す。どちらからとも無く握りあった手のぬくもりを感じながら、
黙って登校した。
少しだけ、立ち上がるのに時間がほしい。
◇ ◇ ◇ ◇
下校時間、最近待ち合わせに使っている学校の裏の児童公園で、いつものように
大河は待っていた。
朝と同じように、ほとんど話をしないまま、手を握り合って歩く。寄り道でもして、
河川敷で二人でぼんやり過ごしたかった。しかし、産休開け以降、大河は母親が
車で保育園から連れて帰ってくる弟の面倒を見ている。母親はそのまま仕事に
Uターン。だから寄り道はできない。
ほとんど話をせずに、竜児のアパートの前についたとき、とうとう大河が泣き始めた。
「竜児…ごめん」
胸に顔をうずめ、声を立てずに無く大河に、かろうじて
「お前が謝ることじゃない」
声をかけることができた。
胸の痛みが、お前はどうにかこうにか、泣いている恋人を抱きしめることができるだけの
男だと竜児を責め立てた。
それでも大河が泣いている間、抱きしめてやれることは小さな幸せだった。1年前は
横にいてやることしか出来なかった。2年前は、大河は誰にも知られることなく、
ひとりで泣いていた。何もできない自分だが、お前を抱きしめてやることはできる。
それが竜児が大河に今教えて上げられるたった一つのことだった。
二人はゆっくりと立ち直り、金曜日には、ほぼまともに会話ができるようになっていた。
大河は、週末のデートは無しにして、竜児の家に遊びに来たいと言った。
「昼飯に食いたいものあるか?何でも作ってやるぞ」
「チャーハン作って。たくさん」
暑さもすっかり去ってひんやりし始めた10月の日暮れ時、大河はまだちょっとだけ
元気の無い笑顔でそういった。
◇ ◇ ◇ ◇
10月2回目の日曜日、大河は泰子の出勤の直前に現れた。
「やっちゃん、おはよう」
「大河ちゃん、おはよう。今日もかわいい!」
いつもどおりの挨拶を交わした後、
「今日はどこにお出かけするの?」
「んーん。今日は出かけない。二人でおうちに居る」
「そうなんだ。じゃぁ、ゆっくりしてってね」
と、言い残して泰子は出かけていった。
相変わらず、年頃の一人息子と他所様の嫁入り前の娘さんを二人っきりにする事に、
こっちがあきれるほど鷹揚だ。社会的には無責任の域に達しているが、泰子のことだから
「いっそ間違いでも起こして、さっさと竜児が責任をとればいい」位のことは考えて
いそうで恐ろしい。そうなったら、泰子は二人の面倒を自分で見ると言い出すだろう。
それじゃだめだ。自分達の目指す未来はそんな形じゃない。
大河は勉強道具を持ってきていた。
「竜児、宿題教えて」
「いいぞ、俺がお前に教えることが、まだあるかどうかは知らないけどな」
「何それ。カンフー映画か何か?」
「いや、そんなんじゃないけど」
「何かの冗談かとおもっちゃった」
「何だよ、俺がいつも冗談言ってるみたいじゃねぇか」
「あんたがまじめなこと言ってくれたこと、有ったかしら」
テーブルの上に広げたノートから顔を上げて大河が笑う。
そうだ、自分達にほしいのはこういう笑顔だ。と、竜児は思う。
遊園地やテレビで無理に笑うのではなく、二人でいて、自然に笑う。そう言う時間が、
今はできるだけほしい。先週与えられた無力感は今も竜児を苛む。が、落ち込んで
ばかりいられない。これからどうするか、真剣に考えるために、今はこうして大河と
二人で笑って、早く立ち直ろう。
「竜児、この問題だけど、解き方これであってる?」
大河が半分まで進めた答案を見せる。
「見せてみろ…ああ、それでいいはずだぞ」
「じゃ、続けてみるね」
「あ、違うかも。わりぃ、違う方法だわ」
「何それ、ひどい。私の時間を返して!」
「返してって、30秒くらいじゃねぇか」
「かわいそうな私の30秒。どうしてくれるのよ」
宿題を教えてほしい、と言う割には、自分で解けそうな問題を大河はいろいろと
竜児に聞いてきた。解き方をたずねると言うより、自分が考えている方法を竜児が
どう思っているかたずねるように。二人で問題を解くのを楽しんでいるようにも思える。
せっかくの切り札「兄貴ノート」も、今日は出番が無い。
宿題はたちまち片付き、余勢をかって受験勉強に突入。大河が持ってきた文系向けの
数学の問題集を二人でどんどんやっつけていく。
二人で問題を解くことが楽しかった。
一人で数学の問題を解くより、二人で考えを出し合って解くほうが楽しかった。
一人で解ける問題でも、お互いがその問題をどう思っているか話し合うことが
楽しかった。大河はきっとそれを教えたくて宿題を持ってきたのだ。などと考えるのは、
いくらなんでもうがちすぎだろう。それでも、竜児はこうして二人で数学の問題を
解くことの楽しさが、人生のほかの問題にもつながればいいのに、と思ってしまう。
「さて、今日はおしまい。ご協力ありがとうございまーす」
大きく伸びをしながら大河が言う。
「竜児は何かわからないとこないの?英語なら私でも教えて上げられるかも」
「わからないとこ?ああ、あるぞ。仮定法ってなんだよあれ。わけわからねぇ」
「何よ、今ごろそんなこと言ってるわけ?教えてあげるから参考書持ってきなさいよ」
大河がぷっと膨れる。
「って、お前。いきなりなんでそんな怖い顔するんだよ」
「あんただって数学教えているときは鬼みたいな顔してるわよ」
「これは骨格がそうなってるんだ」
「だったらせめて優しい心で教えてよ。私あんたの横で震えながら聞いていたわよ」
「うそつけ!」
笑いながら勉強机から参考書を持ってくる。引ったくるように奪って大河が文法のページを開く。
「いい?ちゃんと聞いててよね。文法なんて簡単なんだから」
「はいはい」
文法と例文の暗記が竜児にできないはずは無いと力説する大河の横で、竜児は
いつのまにか大河の小さな手を追っかけている。きれいな爪がついたほっそりした
指が、参考書の上を踊るのに、しばし心を奪われる。バレンタインデーの頃は、
この手が自分の手をすり抜けて消えていくのではないかと恐れていた。その恐れが
愛だと気付くまで、ほんの少し時間がかかった。
「ちょっと、竜児!聞いてんの?」
いきなり後頭部をガンと殴られた。
「いってーな。何すんだよ」
「そっちこそ何してんのよ。さっきからニヤニヤしながら私の手ばっかり見ちゃってさ。
まさか私の手でエロイ妄想繰り広げてたんじゃないでしょうね。ひょっとして手フェチ?
やだ怖い」
「怖い顔するなって言ったのはおまえだろ!それに俺は手フェチじゃない!」
「どうかしら。竜児はタオルとか風呂敷とか普通の高校生が目もくれないものに
お熱だから、エロイ趣味だってどれだけ変態なのかわかったものじゃないわ。この
手フェチ犬!私の手を視線で犯すのはやめてよね」
そういって恨めしげな顔を作って、自分の両手のひらを竜児から遠ざける。機嫌が
良くなってきた竜児が冗談を飛ばす。
「心配するな、俺は手フェチじゃない。あえて言えばお前フェチだ」
「へ?」
恨めしげな顔が一瞬で赤らむ。
「何よ」
と、顔をそらしながら、続けて
「変なこと言わないでよ。あーあ。せっかく英語教えてあげようと思ったのに竜児が
エロイからぜんぜん進まないわ。ねぇ、私おなかすいちゃった、竜児チャーハン!」
と、出し抜けにチャーハン攻撃を開始する。時計を見ると11時半。ちょうどいい時間だ。
「はいはいわかりました。じゃ、飯の用意するから片付けて待っててくれ」
苦笑しながらそう言うと、英語の参考書を取り上げて机に戻す。
チャーハンぐらい気楽な料理は無い。たまねぎと卵と、ベーコン、それに気分と
冷蔵庫の中身と相談して適当な野菜をぶち込むだけ。出汁はいつも冷蔵庫に作り
置きがある。緊急事態が起きても直ちに腹を膨らまることができる料理、それが
チャーハンだ。
だが今日は少し事情が違う。いとしの大河様たっての願いとあらば、男竜児、
腕によりをかけてやらいでか。特別に美味いチャーハンを作ってやるつもりだ。
「大河、今日は海老チャーハンだぞ。ぷりぷりの海老に腰を抜かすな」
誰に向けるとも無くニヤリと悪辣な笑いを浮かべた竜児に、いつのまにか横に立って
いた大河が声をかける。
「いらない」
「なに?!」
思わず斬るような視線で大河をにらみつける。俺の飯が食えないのか、と、思って
いるのだ。さっきは食べたいと言ったくせに。
「海老はいらない。ごめん、この前言っておけばよかった。私チャーハンが食べたい。
竜児が私に初めて作ってくれたチャーハンが食べたい」
黒いサマーセータにデニムのパンツ。昼なお暗い安アパートのキッチンに
似つかわしくないほど愛らしい大河が、心持首をかしげてちょっとだけ弱々しい
微笑みを浮かべて竜児を見上げている。
ほんの少し、二人は見詰め合う。
「ごめん、いまさらMOTTAINAIよね。わかった。海老チャーハンでいい。
じゃない。私海老チャーハン食べたい」
「待て」
と、今度は竜児が制する。
「今日の俺は50%やさしさ増量中だ、作ってやろうじゃねぇか、あのチャーハンを。
ありゃあ確か、カブを入れてたな。有るぞ、冷蔵庫に」
「え、でも」
「いいんだよ。お前からわがままをとったら何が残るんだ。聞いてやるよ、そのわがまま」
竜児が楽しそうに笑いながら、手早く調理道具を並べる。
「海老がMOTTAINAI」
「そっちかよ!海老の心配はするな。結構いい海老だから食わせてやれないのは
残念だが、俺と泰子で明日の朝おいしくいただくぜ」
「なによ、それ。海老食べさせてくれないの?どうしよう、海老チャーハン食べたく
なっちゃった。って、だいたい私わがままなんか言ったこと無いじゃない」
あはははは!と竜児がキッチンの蛍光灯に向かって爆笑する。
「今年聞いた一番面白い冗談だ。残念だったな。来年の4月1日までとっておけば、
町じゅうを笑いの渦に巻き込めたぜ」
「ひどいこと言っちゃって。ねぇ、竜児。私、海老チャーハンも食べたい」
パーカーの裾をつかんで引っ張る大河に、竜児がぷっと噴き出して
「どんだけわがままなんだよ。いいだろう。それは俺への挑戦と見たぜ。
カブチャーハンと海老チャーハン、どっちも作ってやる。首を洗って待ってな」
まな板を洗いながら楽しそうに言う。気分が乗ってきた。
「やった!じゃ、私ここで見てるね」
嬉しそうに見上げる大河の視線を感じつつ、
「おう、調理の手さばきまで見たいとは。舌だけじゃなく目まで肥えた客だぜ」
竜児が笑う。
水を切ったまな板に、第一の犠牲者、たまねぎを置く。
「その前にだ」
竜児は手をぬぐってエプロンをはずす。
「油だの水だの飛ぶからな、ほら、バンザイしてみろ」
「ばんざーい」
サマーセーターの上からエプロンを着せてやる、おとなしくしている大河の髪を
エプロンの後ろのひもから取り出す。
「竜児はエプロンいいの?」
「大丈夫だ。油なんざ怖くねぇ。俺は今、かつて無い挑戦に燃えているぜ」
と、心底嬉しそうに包丁を手にする。
「ふーん、竜児は料理萌えだもんね」
「いま、なんか違う意味で言わなかったか」
二人とも、笑いながら軽口を叩き合う。大河の目の前でたまねぎ、にんじん、カブ、
ベーコン、あさつきが瞬く間にみじん切りにされていく。
「お前に作ってやった奴はあまりものだけで作ったな」
「そうだっけ、すごくおいしかったよ」
大河がにこにこする。
「お前、腹すかせてたもんなぁ」
竜児が微笑む。
野菜を刻んでいる最中に暖め始めたフライパンが、ベストのタイミングで白い煙を
上げる。放り込んだたまねぎとベーコンがいい音を立てる。火が通っていい具合に
なったところで、いったん容器に保存。
今度は少し多めに油を入れて、薄く煙が出るのを待つ。溶いた卵を油に流す。
じゅっ!と音を上げて膨らみ始める卵をさっと油と絡め、固まる前に冷えたご飯を
半分投入。
固まっていたご飯は竜児のお玉さばきの前にたちまち屈服し、おとなしく卵と絡まって
金色に染まっていく。荒事は苦手なくせに家事に使う筋肉ばかり妙にたくましい竜児が、
こればっかりは大河も苦笑するほど凶悪な笑みを浮かべて鍋を振り、ご飯を返す。
料理をする竜児の姿は堂に入っている。
「料理してる竜児は、何度見ても惚れ惚れするわ」
皮肉無しに、大河が感心する。
「惚れ直したか」
と、竜児がニヤリ。
「うん」
と、大河は嬉しそう。
流れるような手つきでチャーハンを作る竜児を見ながら、すこし小さな声で
大河がつぶやく。
「私、竜児のチャーハン覚えたいな。できるかな」
「できるさ」
「でも、私ドジだし」
「俺が教えてやる」
具が放り込まれ、オイスターソースをはじめとする調味料と混ぜられていい香りを放つ。
「私、覚えが悪いよ」
「何度でも教えてやる。料理は繰り返しだ。繰り返せば、誰でも作れるようになる」
「竜児みたいに手早く作れない」
最後に香りつけのしょうゆとごま油を垂らしてひと混ぜ。
「ゆっくり作ればいい」
いい香りが立ちのぼってきたところで、ガチャンと火を消しながら
「俺、大河の作ったチャーハン食いたいよ」
大河のほうを見ずに、竜児が言う。
出来上がったチャーハンを器によそう。
「じゃぁ、私頑張る」
大河が頬を赤らめる。
優しい笑顔でちょっとだけ大河をみて、竜児が
「よっしゃ、一丁あがり。先に食っててくれ。海老チャーハン作るからよ」
チャーハンと中華スープをテーブルに運ぶ。
「いっしょに食べる。私待ってるから」
「馬鹿言うな。作り立てが一番美味いんだぞ。まだわからねぇのか」
鬼のような形相で大河を睨み付けるのだが、
「竜児と食べるのが一番おいしいのよ。知らないでしょ」
「知らねぇよ」
と、苦笑い。
「つーか、俺の苦労を無駄にするな。ほら、暖かいうちに食え」
「やだ!いっしょに食べる。冷えないうちに海老チャーハンも作って!」
「こいつは…」
竜児は首を振って笑うしかない。
仕方が無い。本日は優しさ増量中だ。鍋に火を入れて油を引きなおす。食卓の
チャーハンに目もくれずに竜児の姿をにこにこしながら見ている大河の前で、
二つ目のチャーハンが瞬く間に作られていく。
◇ ◇ ◇ ◇
「「いただきます」」
ほんのちょっと冷えてしまった「大河スペシャル」、通称「残り物チャーハン」は、
少し位冷えても、例によって何処に出しても恥ずかしくない出来上がり。あたりまえだ。
なにしろ夜中の2時に殴りこんできた校内最高ランク危険生物を手なずけた実績に
裏打ちされている。
「これこれ、この味よ」
大河が嬉しそうに目を細める。
「おう、我ながら美味いぜ。もう少ししょうゆの香りを強くしたほうがよかったかな」
手を伸ばして竜児がしょうゆさしをとる。
「どうかしら。好みの範囲じゃない?私はこれくらいが好き」
もりもりと食べながら大河が言う。瞬く間に半分平らげたところで、はっと何かに
気付いた顔をする。
「ねえ竜児、海老チャーハンちょうだい」
「何だよお前。せっかく作ったのに残すなよ。おかわりは全部食ってからだ」
「違うわよ。頼まれたって残さないわよ。ここにね、半分海老チャーハン入れて
もらったら、最初のと食べ比べできるじゃない」
「まったくお前はよう」
と、溜息をつきながら、竜児は大河の食べッぷりに上々の笑顔。まだ暖かい
海老チャーハンをよそってやる。
「ほれ、食え」
スプーンいっぱいにすくった海老チャーハンを食べた大河が目を丸くして、首を振る。
「おいしい。幸せ〜!」
身をよじって涙を浮かべんばかりの大河に、竜児も微笑む。
>>90 朝から神の大量投下、嬉しすぎ!
>>「いいんだよ。お前からわがままをとったら何が残るんだ。聞いてやるよ、そのわがまま」
竜児萌え
92 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 08:29:55 ID:7AHixjMM
最後にいい埋め立てがきてたな
93 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 08:39:11 ID:7AHixjMM
>>81-90 これは良いアフターストーリー
こういうプロの犯行としか思えない作品を読むと自分の作品の拙さがよくわかる
でも大河と竜児のラブラブ具合を見たいっていう欲求が上回るんだよな
「ちょっと俺にも食わせろ。味見じゃ食った気がしねぇ」
まだ「大河スペシャル」を食べている途中の竜児が大河の皿から海老チャーハンをすくう。
「あーっ!何すんのよ、私の海老チャーハン!」
泣きそうな顔をする大河を
「泣くな泣くな、あとでおかわり増やしてやる」
「ほんとね、ほんとね。約束破ったら殺すわよ」
「ああ、増やす増やす。食事中に物騒な事言うんじゃありません」
と、なだめながら一口。
「おう、美味ぇ」
「でしょう?!」
さっきの泣きそうな顔は何処へやら、大河が笑う。
「不思議よね、海老が入っただけなのに」
「にんじんも入ってるけどな。調味料の配分を少し変えてやるんだよ。そうすると
香りや味がぐっと変わる。似たような料理を出すときにはこれで退屈しないですむ」
「へぇ。料理って食べるのも楽しいけど、作るのも楽しそうね」
「おお、面白いぞ」
二人で食べたほうがおいしい、と大河は言った。その通りだと竜児は思う。
二人で作ったら、もっと楽しいかもしれない。
二人で暮らせば、もっと楽しいに違いない。
でも、そのゴールはまだ見えない。
◇ ◇ ◇ ◇
職場のトイレで読み始めて、見事に朝礼逃したぜ
今日はこれまで。連投制限が厳しい。
>>91 >竜児萌え
ありがとう。野球ではボロカスに書いたので見せ場を作りたかった。
>>93 サンキュ。
でも誉めすぎだ。たはは。
>>96 朝からネ申が降臨してるようで何より
仕事明け前の列車遅れで溜まったストレスが吹っ飛んだw
98 :
●:2009/04/24(金) 11:03:53 ID:mWrLZp6f
>>96 YOU●買っちゃいなよ
33ドル払う以上の価値あるぜよ
>>96 お疲れ様です
和んだけど切なくなった
冒頭の親との挨拶読んで思った
アニメじゃ高校卒業しちゃったが大学に進むんだろうか?
数字に強くてmottainai精神の持ち主の竜児にはぜひ大学行って、
女子大生じゃなかった学生会計士にでもなってがっつり稼いで
大河実家を納得させて欲しいもんだ。
101 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 14:48:13 ID:mWrLZp6f
>>99 アニメ版だと一応東京都内に住んでる設定だから大学行くとしたら実家から通うだろうな
そいで大河もちゃっかり同じ大学に合格してて四月から一緒に通うわけよ
そうなると竜児のアパートに同居することになってめでたしめでたしという説
>>100 大学行かせてもらうかわりに、祖父の事務所でアルバイトをする竜児。
卒業後は、そのままその事務所を継いで税理士に。
そしていつの間にか、事務所に居座っている大河。
103 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 15:29:30 ID:mWrLZp6f
>>102 それもありだよな
竜児は理系志望だけど大河と一緒に出来る仕事考えたら税理士が一番安定してるよ
良いな税理士。そうすりゃ事務所仕事だしずっと一緒にいられる。
大河は秘書とか。
ふんぞり返りながらお茶を入れ、竜児にお茶入れの指南される。
それでもその容姿からイメージキャラクターとして人気に。
あれ?これなんか設定に使えそうじゃね?
大河「どーぞ」
ガタン
竜児「そうじゃねぇ、もっとゆっくりおけよ」
大河「うるさいわねぇ」
クライアント「あ、いただきます(ずずーっ)」
大河「…(ジー)」
クライアント「?」
竜児「あ、いやいやすいません。こいつ今日からここで秘書兼助手をはじめたんですよ」
クラインアント「そうなんですか。あ、お茶おいしいですよ」
大河「…///」
竜児「よかったな、大河。それじゃあ、はじめましょうか?」
クライアント「はい、それでは…」
みたいな?
そもそも税理の仕事にクライアントがいるかどうかわからんのだけどねww
つたない文章でゴメソ
>>102 会計士の方が税理士より一段上の仕事が出来るし、
稼げるし、竜児ならなれるとふんだんだがどうかな?
無論、やっちゃん実家を継いだ上で業務をランクアップする訳だ。
大河は英語が出来るんだし、外資と取引のあるクライアント相手に
重宝すると思われる。
なんだ、将来はセレブも夢じゃないじゃないか(笑)
ベンツ乗った竜児なんてそれどこのヤクザだがwww
財力に余裕が出来たら、趣味と実益を兼ねてお掃除会社を立ち上げたりして。
打倒、ダスキンメリーメイドさん!なんてwww
>>104 常識で考えろ。
大河にお茶いれさせたら、書類の上にこぼしちまうだろうが。
税理士の事務所で働くなんて無理無理無理。
ラブコメにしかならん。
あれ?
「大河!!またお茶こぼして!!お前その書類A社の奴じゃねぇか」
「え?あ、ホントだ……ってわ!?」
「ばっ!?何でこっちに倒れて……」
どっかーん!!
「いたたた……竜児大丈夫?」
「お、おぅ……ってかなんか柔らかい物が当たって……」
「ちょっ!?何処触ってんのよ変態!!」
「これはお前から……!!」
「もうこのエロ犬!!発情鬼畜!!」
「なっ!?お前な!!だいたいお前がそんな丈の短いスカートなんか履くから!!」
「……似合わない?」
「いや……似合って、いる……けど……ああもうくそ!!さっきの書類作り直すぞ!!」
「はいはい」
「晩飯は遅くなるからな!!」
「え〜!?」
こうして今日も事務所は活気づくと。
>>108わかってるねぇ。
110 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 18:05:35 ID:pxuZzQGz
だれか携帯でも見れるまとめサイトあったら教えてくれ!!
ほう
今テレビで草食男子vs.肉食女子やってるが
竜児と大河かと思ったw
113 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 18:40:47 ID:GHSDZlwy
114 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 18:42:01 ID:GHSDZlwy
>>110 ファイルシーク通せば見れるのでそちらでお願いします
やり方がわからないならどの携帯用メニューからこのスレにアクセスしてるか教えれなさい
115 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 18:51:46 ID:GHSDZlwy
とらドラってラブコメなんだけどなんか他のアニメとは違うなあと思ったらパンチラが無いからだと気付いた
重力に抗う鉄壁スカートだからな
docomoならw2ch入れれば内蔵の簡易ブラウザで十分読めるけど<まとめ
あうや禿電は悪いが知らんw
118 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 19:40:56 ID:pxuZzQGz
〉〉114
i.2ch.netからいつも入ってるんだけどファイルシークってどうやってやるの?
尋ねてるとこすまんが投下。今回は毛色を変えた。
目を覚ます。今日も春の日差しに照らされて……ん?
「……あれ?……ふぁ」
欠伸が出る。おかしいな、何か数時間しか眠っていないような錯覚さえ覚える眠たさだ。
まぁいい。早く起きてあいつのためにもご飯を作んねーと。
布団からでて軽く着替え、顔を洗ってエプロン装着。
長年慣れ親しんだ生活スタイルはそうそう変わらない。
着替えも、洗顔も、エプロンもいつものこと。今朝は何にしようかなと頭で構成を考えるのもいつものこと。
だが、ガチャリと冷蔵庫を開け初めていつもと別のことが起きる。
「あれ?」
冷蔵庫の中身だけがまるで違う。
「おっかしいな、何か記憶とまるで違うぞ?あいつか泰子が勝手に使ったか?まさかな」
ただの記憶違いか何かだろうとその場で自己完結し、すぐさま思考を切り替える。
「ふんふんふん、と。よし、今朝は炊き込みご飯だ。ついでにそれを弁当にして……」
俺の朝は3年生になっても2年生の時と変わらない。これからあいつは来るだろうし、泰子も直に起きる……だろう。
あいつと会ってからの1年は激動の嵐だったがそれなりに楽しく、あいつを多少なりとも理解できるようになった。
自然と鋭い眼光を光らせ、口元が吊り上る。
別に機嫌が悪いわけじゃねぇ、思い出す度にニヤけちまうだけだ。
結婚、と口に出すとまだ時期尚早だと言われるかも知れないが、今はあいつと一緒にいられるだけで嬉しい。
『プルルルルル、プルルルルル』
そうニヤけていると、携帯が鳴る。こんな朝早くに一体誰だ?あいつか?
考えながらも、味噌汁の火を消し、炊き込みご飯が炊けるまで後10分なのを確認すると携帯を手にとって電話に出る。
「はい高s『早く来なさい!!アンタ誓うって言ったでしょ!!』……は?」
どうやら、電話の相手はあいつのようだが、いたくご立腹のようだ。どうしたんだ一体?
「お前何怒ってんだ?」
『はぁ?アンタが早くこっちくれば怒鳴らなくてもすむのよ!!』
「わかったわかった、あと10分で炊き込みご飯が炊けるからそしたらそっち行く」
『あ、ちょっ!?』
ポチッと電話を切る。
あいつにしては珍しい怒り方だった。まるで出会った頃のような言い方だし。
「まぁいいか」
考える暇があったら手を動かさないと。遅れるとうるさいからな、あいつ。
***
ピンポーン……ピンポーン………………。
出てきやがらねぇ。全くあいつなにやって……お?
ドアが開いてる。毎日あれほど閉めろと言ってるのに、完全オートロックの完璧防護システムを何だと……うっ!?
「何だ?この臭い!?」
む〜んと広がる酸っぱいような腐ったような謎の……いや、覚えてる。これは、この臭いは……!!
急ぎ足で室内へと上がる。そこには、かつて見た修羅地獄があると予想して。
「っ!!」
案の定、あちこちにゴミは散乱し、あれだけ綺麗に、舐めても問題ないくらいに日々磨き上げたキッチンが、シンクが……!!
「た、た、た、大河ぁーーーーっ!!!」
叫ぶ、走る、怒る。一体一日でどうやってここまで汚せるというのだ。いっそ汚し方を教えてくれと言いたい。
もう慣れ親しんだ天蓋付のベッドのある部屋。そこですやすやと眠っている眠り姫。
「……ったく」
怒る気も失せる。こう可愛く眠られていては何も言えないではないか。決して、決して!!かれかれかかか彼氏の贔屓目では無い、断じて無い。
そのままゴミを拾い部屋を後にして時計を確認。
「あと10分ってとこか」
ニヤリと笑う。どうせ今は誰も見ていないのだから怖がられるという笑みをいくらしたところで問題ない。
腕をまくり、汚れてしまった「フローリングちゃん」とシンクも酷そうな「キッチンちゃん」にギラリとした視線を向け、怪しい吐息とともに内閣掃除大臣が動き出す。
***
「ん……」
その頃、ようやくと、竜児曰く贔屓目ではなくとも可愛い眠り姫が目を覚ます。腕に枕を抱え、眼を擦りながらリビングへペタペタと歩き出した。
***
きゅっきゅっと皿を拭く。
「9分20秒ってとこか……まぁまぁだな」
ピカピカになったフローリング、舐めても問題ないくらいのキッチン。
ぬめりとカビと腐った生ゴミで地獄絵図となっていたこのキッチンの有様など、想像がつかないくらいにピカピカだ。
以前よりも素早くこの状況に戻ってこれたことに顔が綻ぶ……という名の残虐な笑みが浮かぶ。
決して、残虐な心持ちなどしていないのだが。だが、それはそれとして、
「しかし、おかしいな……」
少し訝しむ。それは……。
「シンクに溜まってた水が腐ってたぞ……そんなことがあるわけねぇんだが……」
常日頃、シンクの中まで綺麗にする自分としては、見落としなどあろうはずもない。
しかし、いくら何でも水が一日やそこらで腐る筈がない。
逆に言えばそれだけここに何度も来ているということになるのだが、だからこそ不可解。
―――パタン。
音がする。振り向くとそこには枕を抱えた、
「おはよぉ竜児ぃ……」
長い髪が寝癖で跳ね(かわいい)小さくもスラリとした体躯で(かわいい)素足のまま(かわいい)目を何度も擦りながら歩く(かわいい)
「おぅ、おはよう大河」
がいた。
「あれ?今朝は炊き込みご飯?何か初めて逢った日の次の日の朝みたい」
先程の電話の剣幕はどこへやら。
俺の眠り姫(俺のって言っちまった!?)はかつてのようにやや大きめの椅子に座って、
「いただきます」
きちんと両手を合わせておじぎする。
「おぅ、あんまり時間無いから早く食っちまえよ」
背を向け頭をポリポリ。
「うん」
という返事だけを聞いてもう十分なキッチンをさらに磨き上げる……もとい磨くふりをする。
寝起きの大河は犯罪的に可愛い。寝ぼけてぼんやりとしているところなど、一歩間違えれば抱きしめかねない程の破壊力を持っている。
それ故直視するには危険すぎるのだ。
しかし、口には出さない。出せば『また』惚れた弱みををさらけ出すことになる。
「ん、何よ?」
大河はご飯粒を頬につけながら、箸を口に入れこちらを向く。
鋭敏な感覚をお持ちの彼女は、そんなちらり程度の竜児の視線にも反応してしまうのだ。
「あ、いや……」
言葉を濁す。まさか見とれてました等とは言えない。ここは何か誤魔化し……そうだ!!
「お前、何で今朝あんなに怒ってたんだ?」
「今朝って……何のこと?」
「はぁ?お前が怒って俺を呼びつけたんだろうが。覚えて無いのか?」
大河はクエスチョンマークを頭に乗せて首を傾げる。
ぐふっ!!9999ダメージ!!りゅうじは死んでしまった!!おおりゅうじよ、死んでしまうとは情けない。
「私アンタ呼んだ覚えないけど……竜児?」
どうしたの?とばかりに大河はトトトという擬音が聞こえてきそうな小走りで駆け寄ってくる。
「いや、何でもない……そうだ、お前の携帯見てみろ」
必死に異界から舞い戻り、距離が近すぎる大河から何気なく距離を取るための方便を使う。
だって、そうでもしないと心臓のアイドリングが一生分使い切ってしまいそうなんだもん。
「ん……あれ?ほんとだ。アンタにかけた履歴がある」
おかしいな、とばかりに首を傾げ、次いで叫ぶ。
「やっば!?もうこんな時間?急いで準備しないと!!」
大河は急いでテーブルに座り、ばくばくとご飯を食べ、「ごちそうさまっ」と律儀に挨拶してから部屋へと駆ける。
大河がいなくなってようやく落ち着く。
いや、大河がいても落ち着けるのだが、それはほら、心の準備とかがいるというか、寝起きのアイツは特別っていうか。
そんな言い訳を自分にしながら玄関先で大河が来るのを待つ。
「お待たせ!!」
元気な声ですぐに大河は現れる。これも1年前なら考えられなかった進歩だ。
「おう、いくか」
今日も、一日が始まる。
***
春の日差しが暖かい。
さっぱりとした陽光を浴びて、いつもの通学路を二人で歩く。
大河はニコニコ、竜児はギラギラ。
いや、決して竜児に不満があるわけではない。
むしろご機嫌なのだ。
しかし、生来からの目つきがどうしても上手く本心を表現できないでいる。
「ね、竜児」
「おぅ?」
「ふふっ」
この瞬間の大河は反則だ、レッドカード一発退場と言ってもいい。
笑いながらそっと手を握ってくる。
ここ最近、毎朝の恒例行事。
大河はどうやら笑みを見せれば俺は断れないと思っているらしい。
(まぁそうなんだけどさ)
思ってから心の中で敗北を悟る。
これも惚れた弱みの一つか、と思いながら周囲に目を配る。
いくらなんでも人に見られるのは恥ずかしい。
「あっみのりーん!!」
恥ずかし……後の祭りか。せめて手を離してから声をかけろよ。
「おっは……よー?」
なんで疑問系なんだ。
「なんで疑問系なの?みのりん」
あ、大河も同じ事考えてたのか。なんかちょっと嬉しい。
「えっ?嘘?何?ごめん私知らなかった!!大河と高須君がツーショット登校決めちゃうような仲だったなんてぇ!!」
は?何を言っているのだ櫛枝。
「今時ツーショットなんて誰も言わないよ」
いや、突っ込むところそこじゃねぇ!!俺も思ってはいたけど。
「そっか。じゃああれだ、今時は……動転して今時の言い方がわからない〜っ!!あっわかったアベックだ!!」
「だからそこじゃねぇ。ってか何言ってんだ櫛枝?」
「え?何って?」
「いやだから……」
「あっ?遅刻しちゃう!!急ごう大河、高須君!!」
「え?あ、おぅ」
櫛枝は走り出す。
「何かみのりん変だったね」
「そうだな……」
この時は、まるで気にしていなかった、というより気付いていなかった。
自分達の状況に。
***
122 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 19:55:36 ID:GHSDZlwy
>>118 まず一番下にある[設]というリンクがある
そこを押して飛んだページに「ime.nu」って項目があるからそこにチェック入れる
そしたらそのページの下の方に[設]ってボタンあるからそこを押すと
設定しました
ってページになるからそのページ内のリンクから次のページに飛んだら
そのページをブックマークしとけ
そうすればURL踏んだときに直接目的のページに飛ぶのではなくime.nuってページを挟むはず
そこでいろいろ携帯用に変換するサイトへのリンクがいっぱい出るから
その中から「ファイルシーク」ってところ選んでクリックすればいい
これは私家版クラシックメニュー(テストサーバ)でもだいたい同じなはず
わかんなかったらファイルシークブックマークしとけ
http://fileseek.net/proxy.cgi?guid=ON
123 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 19:56:13 ID:GHSDZlwy
あと〉〉だと絶対アンカーにならんから半角の「>」か「>」使ってちょ
124 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 19:57:36 ID:GHSDZlwy
タイムスリップネタきたこれ
>>121続き
最初に違和感を覚えたのは下駄箱だった。
履き替えてから気付いたのだが、俺は去年と同じ下駄箱を使ってしまっていた。
だが、そこには確かに高須の文字。
次におかしいと思ったのは教室。
これも座ってから気付いた、というより周りがいつものメンバーだから逆に気がつくのに時間がかかったのだが、今自分が居る教室は2年C組だ。
2年C組?そりゃ去年だろ、と突っ込みたくなるが、周りは知った顔のみ。
おかしいな、と訝しみつつ大河を見ると、大河も「あれ?」というような顔をしていた。
極めつけは担任だった。
「みんなおはよ〜!!さぁ時間は待っちゃくれないわ!!そう待っちゃくれないのよ!!夏までに、三十になるまでに勝負を決めないといけないのっ!!」
とか言ってるし。確か先生は去年の夏休みに三十路に突入したと思っていたんだが。
そうして何気なく壁を見て……!????
首を傾げる。目をこする。頬をつねる。あれ?痛くない。コレ夢か?んなこと言ってる場合じゃない!!
壁にかかっているカレンダー。俺の記憶と「月日」は合っていても「年」が違う。
なんのドッキリだ。カレンダーは一年前のものじゃないか。
***
「竜児、何か変じゃない?」
最初に声をかけてきたのは大河。しかし俺も今は現状を理解するのに一杯一杯だった。
先程の授業は2年の時にすでに履修済みのもの。
一体コレはどういうことだ。
「大河、お前壁にあるカレンダー見たか?」
「カレンダー?はぁ?何あれ去年のじゃない」
そうだ、去年のだ。間違いなく去年のだ。
「なぁ、ここって2年の教室だよな?」
「そうよ」
「俺たち3年だよな?」
「そうよ」
「じゃあ何で2年の勉強してるんだ?オマケに鞄に入ってる教科書も全部2年の時のだし」
「そんなの知らないわよ。わからないから聞いてるんじゃない」
「……ドッキリとか?」
「学校の授業潰してまでやるドッキリになんの意味があるのよ」
「だよなぁ……」
わからない。全くもってわからない。次は体育だ。ああ、苦い思い出が蘇る。
***
「今日はペアでパス練習するぞぉ!!」
ムキムキと黒い筋肉を動かす体育顧問、黒間先生は記憶と寸分違わぬ動きで周りに説明をする。
おいおいまじか。なんだよこれ?これじゃあまるっきりあの時と同じじゃねぇか。
周りはざわざわ言いながらペアを探し出している。
「まるおー、組もうよー」
覚えてる。この時は確かに北村と木原がペアを組んでいたんだ。
それで俺は……。
「ん……」
無愛想な顔を向けながらボールをこっちに向けてくる大河。
そうだ、こいつと組んだんだ。
「べ、別にアンタと組もうとか思ってたわけじゃないんだけど……ほら、もうペアが埋まっちゃってるし」
今だ無愛想……もとい照れ隠しを止めない大河はボールだけをこちらに向けている。
周りを見渡せば、ナルホド、確かにほぼペアは埋まっている。あ、春田がペアがいないと黒間に泣きついているし。
「何か、思い出すよなぁ」
ぽつりと呟きながらボールを受け取る。
「今度は私の顔面にぶつけないでよね」
ギロリと本気の視線。お前はそんな目をしてても俺ほど恐れられないからいいよなぁ。
「よし、じゃあ行くぞ!!」
「ヘイ、ヘイパース!!」
体を揺らして俺からのパスを待つ大……。
「あ」
アホみたいな声を出す。
「ふみゅっ!?」
意味不明な声とともに倒れたのは……大河。
「すまん!大丈夫か!?」
駆けてきたのは北村。
木原が取り損なったボールに大河はものの見事にぶつかったのだ。
「はぁ……結局こうなるのか」
謝る北村を宥めて大河を保健室へと連れて行く。
***
あれ?ここは……?
ゆっくりと瞼を開く。
周りは白一色のカーテン。
「気が付いたか?」
良く知っている声がする。
これは……竜児の声。
「うん」
起きあがり声のした方に振り向くと、そこにはやっぱり竜児。
「私……あれ?」
確かバスケットボールをしていた筈が……。
「お前は別んとこから飛んできたボールにぶつかって失神してたんだよ」
「そっか。つくづくバスケットボールに運がないわね、私」
「そうだな。あ、北村がすまんと謝ってたぞ」
「そう」
よいしょ、とベッドから降りる。
「おい、もう大丈夫なのか?」
「うん、午後からは調理実習でクッキー、でしょ?」
根拠なんか無いけど、今のところ前と同じ事が続いているからきっとそうだと思った。
「おぅ、そうみたいだ」
なら、がんばらないと。去年のクッキーは失敗だった。なにあれ?しょっぱすぎって感じ。なのに竜児は「美味い!」って言ってくれた。
今年は本当に美味しいのを食べさせてみせるんだから。
***
前回の失敗は塩と砂糖を間違えたことだ。
だから今度はそこに注意しよう。
我ながら形は上手くいったのだ。
もしかしたら自分は手先だけは器用なのかも、と少し自信がつくくらいに。
さて、まず無塩バターを……ってコレ堅くない?ちょっと溶かしても良いよね?(注:よくありません!!)
うーんとうーんと、塩を混ぜてクリーム状に?え?塩?嘘だぁ、前回それで失敗したんだから砂糖だよね(注:そこは塩で良いんです!!)
えーと?次は二回に分けて砂糖を混ぜながら……さっき一回混ぜたじゃん。あともう一回ってこと?(注:だから違います!!)
次は卵か……えいっ!!あ、上手く割れた。これはさい先良さそうね(注:あぁ、白身は、白身は入れないで……!!)
次は薄力粉を混ぜてっと……うわっ!?けほっけほっ……出し過ぎた(注:MOTTAINAI!!)
よし、こねてこねて……くのっこのっおりゃっそりゃっ!!(注:いや、良いんだけど力入れすぎというかもっと優しくだな……)
次は……なになに?今日は冷やす工程は省くから適当な形に切り取って型にはめる……と。よーしこれくらいかな?ん?小さいか。いつも食べてるのはこれくらいの大きさだもんね(注:膨らむんだよ!!)
あとは天板に乗せてオーブンに入れて、と。
「はぁ……」
近くで溜息が聞こえる。あ……、
「なに?竜児?」
「いや、何でも……」
いつから見ていたんだろう?竜児がこっちを見てる。何か随分と疲れてるようだけど、どうしたんだろ?
さて、そろそろ時間だ。オーブンからクッキーを出して、と。
あれ?何かおっきくない?まぁいいか。
これを持って行って冷や……きゃっ!?
足が取られる。このままだと転……ばなかった。
両手が天板ごと支えられている。
「あ……」
「全く、お前って奴は……」
やっぱり竜児に助けられちゃった。
***
竜児と二人、階段を上る。
向かうは屋上。
私の手にはクッキーの袋。
今度こそ上手くいったと思う。
今度は北村君じゃなくて、竜児のために作った。
こうやって、最初から竜児を見ていられたら、去年はもっと幸せだった気がする。
こうやって、一つ一つやり直せたら、私はもっと上手く、早く竜児と一緒になれた気がする。
もう遅いけど。いや、遅くないかな?
何故だかわからないけどこうも1年前と同じ事が起こるんだもん。
もしかしたらこれからいろいろやり直せるかもしれない。
プール、ばかちーの別荘、文化祭、生徒会選挙、クリスマス、修学旅行、バレンタイン……。
思い返せば失敗ばかり。
だから、これからやり直せれば……。
「ねぇ竜児、私……きゃっ!?」
あれ?おかしいな?竜児が斜めに見える。
ふわっとおかしい浮遊感。いや絶対これおかしい。
これには覚えがある。
何ていうことだ。こんなことまで再現されなくていいのに。
すぐに来るであろう衝撃に目を閉じ、感じたのは優しい温もりと必要以上に大きなガンという音。
はっと目を開けばそこには竜児。
私を抱きしめるようにして壁に背を打ち付けている。
唯一違うのは、私は後ろからじゃなく前から落ちたという一点のみ。だからって何も状況は好転していない。
「竜児?やだ、嘘っ!?大丈夫!?」
「……あい、さか?」
「!?」
今竜児は何て私を呼んだ?あい、さか?哀逆?逢坂?
これはきっと夢だ。そうに違いない。竜児が今更私をそう呼ぶ筈が無い。
それとも、やり直し、なんて考えた私への罰なのだろうか。
突然足下が崩れ落ちたかのように、目の前が闇に覆われ日常が壊れていく。
***
「痛っ!?」
ベッドから転げ落ちる。
突然足下が崩れ落ちたかのようにって、本当に落ちてたみたい。
頭を抑えながら立ち上がる。
辺り一面に散在するゴミ。
ぷ〜んと臭うあいつが嫌いな匂い。
「夢……」
随分と長い夢を見ていた。
何か、1年以上眠ってたような錯覚。
事実、夢の中では1年以上経ってたし。
「はぁ……着替えよ」
そう呟きながら、枕を抱えリビングへ。
「………………」
一瞬、何を期待したのだろうか。
そんなわけはないと思いつつも、リビングへの戸を開ける時にワクワクした。
その結果は、いつものゴミが散らばるリビングを目にしたわけだけど。
だいたい、あいつがここにいるわけが無い。
北村君と仲が良くて、隣のボロアパートに住むアイツ。
私が「実際」に知っているのはそれだけ。
本当にアイツが夢に出てきた通りきれい好きかどうかさえ知らない。
時折隣のボロアパートから聞こえてくる声が、何となくそれは正しいという気がするけど。
でも、実際どうなのかなんて知らない。話したこと無いし。
なんでそんな奴の夢なんか見たんだろう。
「っくしゅん!!」
くしゃみが出る。
「あ〜鼻が……ちょっと竜児、ティッシュ……何言ってんだ私は」
殆ど知らない人、ましてや夢でしか話してない奴に何で私はティッシュを貰わなければならないのだ。
くだらないこと考えて無いで学校に行こう。っくしゅん!!あ〜鼻が……。
***
っくしゅん!!あ〜くしゃみが止まらないわ。っくしゅん!!あ〜辛い。
サボれば良かったかも。でも今日はクラス発表だし、二年最初の登校日だし。
さっさと教室に行こ……ドンッ!!
誰かとぶつかった。こっちは最高に機嫌が悪いってのに。
「あ……たい、が……?……あっ!?いや違う今の無し!!」
誰だ、私を呼び捨てにする男は。そんな慣れ慣れしい男がいたとは……え?
「りゅう、じ……?」
「は……?あれ?殴られない?いや、あれは夢で……いやこれも夢か?ん?今竜児って呼ばれたか?」
ポカンとする目の前の凶悪面の男、もとい竜児。
そういや、私は夢では出会い頭にこいつを殴ったんだっけ。ん?夢?え、こいつも?まさかね。
「ちょっと、邪魔なんだけど」
「あ?ああすまん」
竜児がよける。そうだ、これが普通……あ、竜児が何か落とした。
「ちょっと竜児、『高須棒』落としてるわよ」
「え?ああすまん大河……って、は?」
「え?あれ?」
つい夢の中のように話しちゃったけど、通じた?そんなまさか。
でも、もしかしたら……。
「……この駄犬」
「だから駄犬って言うな。俺は……」
―――俺は犬じゃない、竜だ。だから―――
あの時の言葉が音として蘇る。
これから、夢とは違った新たな物語(とらドラ)が幕を開ける―――
完。
え?始まるんじゃないのかって?
続きはこれを見た人の頭の中に無限に広がっていくのです。
というわけで今回は若干短めで纏めました。
陸、空、とらドラ、無限大!
130 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 20:37:21 ID:mWrLZp6f
良い!
プッチ神父のしわざですね
わかります
総本山更新きたぞー!!!
って告知だけしようと思ったら、また神かよ・・・!!
壮大すぎて噴いたwww
NHK-FMで22:45から放送しそうな勢いだぞwww
>>132 NHKなら”おいしい珈琲〜”のようにシリーズ化を…
134 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 22:22:03 ID:aanyxCga
朝〜夕の間に10レスくらい連投ってだめかな?
荒らし行為で書き込めなくなったらどうしようかね…
135 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 22:35:29 ID:6ulc+AQZ
136 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/24(金) 22:35:56 ID:6ulc+AQZ
>>134 そんなんで荒らし扱いする通報厨いるの?
>>129 しかし、無限に広がりすぎて頭がパンクしそうになった・・・。
これだから理系頭はw
ついでに脳内でタモリがこっち向かって歩いてくるんだが
>>133 おいコー知ってるのか?
あなたとは良い友達になれそうだ
>>136 もともと小説向きの板じゃない事も忘れないほうがいい
「竜児、私眠くなっちゃった」
大河が言い出したのは、洗い物の終わった竜児とお茶を飲んでいるときだ。
チャーハン1合半と、デザートに買っておいた杏仁豆腐まで平らげたのだ。そりゃ、
眠くもなりはするだろう。
「なんだ、ご飯のすぐ後に寝ると牛になるぞ」
「そうよね、牛になるのは困るんだけど」
と、大河は本当に眠そうに言葉を継ぐ
「ちょっと寝不足で」
「勉強でもがんばってんのか」
立ち上がって泰子の座布団を大河の脇に置いてやる。勉強じゃないくらい、わかっている。
「勉強じゃないんだけど…ホントにわからない?」
パフっと、即席枕に倒れこみながら、大河。
「いや、見当はつく」
束ねた髪を胸にあお向けに寝る大河を、あぐらを書いた竜児が見守る。竜児を見つめる
大河の瞳を、重そうなまぶたがゆっくりと隠していく。
よく見た光景といえばよく見た光景。去年、高須家に入り浸っていた頃は、ひとんちの
飯をたらふく食った後に傍若無人に寝ていたものだ。あの涎をたらした幸せそうな寝顔を
見るのも久しぶりか。
「ねぇ、竜児」
「おう」
ほとんど閉じていたまぶたを開いて大河が話し掛ける。
「わがまま聞いてくれるって言ったよね」
「こんどはなんだ」
竜児が微笑をもらし、
「竜児のベッドに連れてって」
凍りついた。
「お前…」
頭に血が上った竜児は、真っ赤な顔で大河を見下ろしている。突然の成り行きに
心臓が早鐘を打つ。
「変な意味で言ってるんじゃない…おかしなこと言ってるってのは、わかってる…」
竜児の狼狽など何処吹く風で、大河は本当に眠そうにしている。瞳の重さと戦っている
様子がわかる。
「ここよりよく眠れそうに思うんだ…傷ついた乙女心を可愛そうだと思うならさ…お願い」
大河にそう言われて抗える竜児でもない。大きく溜息をついて頭をかきながら、
「わかったよ、ほら、立て」
と、降参。
そんな竜児を他所に大河はかわいらしい手を両方とも開いて竜児の方に伸ばす
「なんだよ」
「だっこ」
目だけ眠そうなまま、可笑しそうに笑う。
「わがまま聞いてくれるって言った」
そんなことまで聞くとは言ってない気がするのだが、竜児はもう一度大きく溜息。
「はいはい、わかりましたよ」
首を差し出してやると、大河の腕が絡みついてくる。至近距離に近づいた大河の顔や髪から
甘い香りが立ち上り、竜児を苛む。次はどうするんだろう、と考えて右手を大河の体の下に
差し入れようと思うが、隙間が無い。少し考える。首をもち上げると、ぶら下がるように
大河が起き上がってきて、手を入れる隙間ができた。
「膝、曲げろ」
ちいさな衣擦れの音をたてて、大河がおとなしく膝を曲げる。デニムのパンツの膝に左手を
差し込む。大河の体を両手に感じながら、そのまま持ち上げる。
「あぁ」
夢見るような笑顔の大河が、小さな声を漏らす。
ゆっくりと立ち上がる。薄暗い2DKの安アパート。小柄な大河を腕に、いわゆる、
お姫様だっこ。
「竜児。私、幸せ。夢みたい」
頬を赤らめて、とろけるような笑顔で。
「こんなことで幸せになれるのか。いつでもしてやるよ」
「ほんと?うれしい」
大河を腕に抱えるのは、2度目だったか。最初は深夜の襲撃事件で大河が空腹に
倒れたとき。いや、もう1回あった。あのときは原因不明の腹痛に苦しむ大河に、
竜児も生きた心地がしなかった。今は違う。自分でも驚くほど優しい幸せを感じる。
「眠気、飛んだんじゃないのか」
「ちょっと飛んだかも」
と、悪戯っぽく舌を出す。
「でもお願い。連れてって」
「おう」
腕の中の大河は、紛れも無く童話の中のお姫様に見えるのだが、悲しいかなここは
2DK。ベッドまですぐそこだ。それでも、竜児が歩き始めると大河は腕の中で小さな
声を上げ、くすくす笑いながら竜児を幸せそうに見ている。自然、竜児の顔もほころぶ。
「下ろすぞ」
竜児のベッドに大河を寝かすのは、これで2度目。最初は襲撃の夜だった。倒れた
大河を寝かしたのがこのベッドだった。
上掛けの上だが、いいだろう。大河を横たえる。
「ふふふ、私、はしたないかも」
胸の前に回した髪を鋤きながら、顔を真っ赤にして大河が笑う。襲撃当夜とはえらい違いだ。
「自覚はあるらしいな」
苦笑しながら立ち上がる竜児の右手を、さっと大河がつかむ。小さな声で、
「竜児、横にいて」
哀願口調とも、少し違う。
「おう」
ベッドサイドに座ろうかと思ったが、それはやめてベッドの横にあぐらをかく。
この方が大河の顔がよく見える。
見つめあう。
顔を赤くしたり笑ったりと、だいぶ眠気は飛んだようだが、それでも横たわった大河は、
こんな状況なのに妙に安心しきった顔をして、竜児のほうを見つめている。ひとり、
生理現象と戦っているのが恥ずかしくなる。
「また眠くなる前に、これだけ言っとかなきゃ。私ね、一人で寝るの結構いやなんだ。
怖い夢見たりするの」
そうだったのか。小さな声でゆっくりと話す大河を見つめる。怖い夢の内容は、
だいたい想像がつく。
「でもね、あんたとやっちゃんが住むこの家で寝るときには、一度も怖いなんて思わなかった」
「なぜ、もっと早く言わなかったんだ」
大河の手を握る手に、ほんの少し力をこめる。
「だって、わかりやす過ぎるもん」
くすっと、大河が笑う。また、眠たそうな顔になってくる。
「あんたのマフラーを巻いて寝たこともある。すごくよく眠れた」
「道理で返してくれねぇわけだ」
苦笑い。
「このベッドは竜児の匂いがする。思った通り。あのマフラーといっしょだ。きっとよく眠れる」
言いながら、大河はまぶたの重さに負けそうになる。半分閉じたところで、
目を見開くが、また、閉じていく。
閉じかけて、開いて。3回繰り返した。
「もう寝ろ」
あきれた竜児が笑いながら、ささやく。
「嫌」
目をしばたかせながら、大河が言う。
「こっちのほうがよく眠れるって、お前が言うから連れてきたんだぞ」
こっけいな話だ。
「寝たら、竜児のこと見てられないじゃない」
「バカな奴」
笑うしかない。
「寝ろ」
「やーだ」
小さな、甘えた声。
「もうひとつ、わがまま聞いてくれたら寝る…」
別にお前が寝なくても困らないんだけどな、と苦笑しつつ、竜児は
「なんだ」
と、聞かずにいられない。生まれついての逢坂大河専用世話焼き体質。
「竜児もいっしょに寝て…」
「お、お前!」
突然、全身の血が沸騰する。
狼狽する竜児をよそに、大河はもう目を閉じて安らかな表情。
「ち」
寝てやがる、と独りごちたところで「んー」とむずかって大河が手を引っ張る。
「早く…」
自分の心臓の音が聞こえる。
「仕方ねぇな、ほら、詰めろ」
顔から火が出そうだ。恥ずかしいんじゃなくて。
「やだ、抱っこしてずらして」
目を閉じた大河がくすくす笑う。
「ああ、ああ、わかったよ。ほら、膝曲げろ」
こんどは手も伸ばして来ない。くたッと横たわっている大河の体の下に手を入れて動かす。
力を抜いている大河の体は途端に重くなった。
「竜児、早く…」
ほとんど開いていられないのか、半目のまま、大河が自分の横にできたスペースを、
ぽんぽんと左手で叩く。
「お前、後で後悔するなよ」
時代劇に出てくるやくざのセリフを吐いて、目を血走らせた竜児がベッドに身を入れる。
大河は目を閉じてくすくす笑いながら
「お巡りさーん…」
隣に横たわった竜児の手を握って
「…私幸せでーす…」
そのまま眠ってしまった。
竜児はその後40分ほど煩悶を続けた。
インコちゃんも文字通り顔負けの不気味な表情で自分の体の不純さを呪い、涅槃までの
距離を呪い、自分のまじめさを呪い、男と女をつくりたもうた神を呪い、天井を呪い、
ベッドを呪い、大河をほんのちょっとだけ呪い、最後に己の健全な体との戦いに
疲れきった後、ようやく眠ることができた。
◇ ◇ ◇ ◇
一時間半ほど寝て、大河は目を覚ました。
おき抜けで頭がはっきりしないとはいえ、重い睡魔を深い眠りで拭い去ったような
爽快感がある。よかった、怖い夢を見なかった。
時間が経つにつれ、幾分、頭がはっきりしてくる。自宅の部屋じゃない。ここ何処だっけ、
と考える。そうそう、あの天井。竜児のうちに遊びに来たのよね。それでチャーハン
作ってもらって…。
その後の顛末がどっとに頭の中に流れ込んでくる。いきなり眠気が吹き飛んで目を見開いた。
左手に握ってる、この妙に安心するものは…思い出して反射的に右手で口を押える。
声が漏れるところだった。というか、もれた。「ひぃっ」っと。
竜児と、一緒に、ベッドに、寝ている。
何、何、何、と軽いパニックに陥る。
全身の血が沸騰する。
顔から火が出そうになる。
身をよじりそうになるのを必死で耐える。
竜児の手を握りしめそうになるのをこらえる。
何じゃないわよ。
何じゃないわよ!
私じゃない。
私がねだったんじゃない。
真っ昼間から竜児に抱っこお願いしたわよ!
横に寝てってお願いしたわよ!
寝てる間に何かされていたらどうしよう。されてもいいけど、よかないけど、
するのなら目が覚めているときにしてほしい。ベッドの上、竜児の横に横たわって
おろおろと天井を見ながら、はたと、自分の左手が竜児の右手を握っていることの
意味に気付く。安堵の溜息をひとつ。
少なくとも、とても大事なことはされていないはず。
おそらく何かがあったとして、それはキスどまり。キスはキスで、されてもいいけど、
よかないけど、するのなら目が覚めているときにしてほしいけど、とりあえず、
事情が事情だけに寝ているときにされても仕方が無い。愛情表現のひとつとして、
許容範囲。
トクトクトクトクトクトクトクトクトク、と血液を迷惑なくらい送り出している心臓も、
ようやく心拍数のピークを過ぎたらしく、だんだん落ち着いてくる。深呼吸を何度も
繰り返す。竜児を起こさないように、竜児を起こさないように。
たっぷり5分かけて、自分を落ち着かせた。まだ顔は火照っているけど、何とか
パニックは押さえ込んだ。
あーびっくりした。
そういえば、バレンタインデーの次の日の晩、泰子の実家でもこんな感じだった。
寝る前に大河から竜児に積極的にキスをした。自分でも驚くほど大胆だった。あとで
布団の中で思い出して身もだえしたものだ。
意外に自分は大胆になれるらしい。
というか、
「私、受身だとだめだ」
自分と竜児のこれまでを振り返って思う。泰子の実家では自分に主導権があった。
思い返せばそれ以来、主導権は全部竜児に握られっぱなし。それ自体に不満は無い。
だって、抱きしめられ、唇を奪われるたびに、愛されているという実感がある。ただ、
やっぱり受身になると自分はダメなんだなぁと思う。人間としてダメなんじゃなくて、
なんというか、生き物としてダメ。体に力が入らない、ずいぶん慣れたとはいえ、
毎度毎度、竜児の腕の中でこんにゃくのような物体に成り果てる自分を思い出す。
たぶん、この竜児の腕が悪いのだ。きっと自分をふにゃふにゃにする魔法のような
何かが仕込まれているに違いない。抱き寄せられるだけでも結構クルものがあるが、
両手でぎゅっとやられた日には到底太刀打ちできない。脳みそがプリンのようにプルプルに
なってしまう。
それはともかく。
ギギギギギ、と油の切れた機械のように首を回して竜児を見る。
なんてこと。大河の横で竜児はすやすやと、それはそれは幸せそうに眠っている。
自分がたっぷり睡眠をとったことは棚に上げて、大河はちょっとだけ不機嫌になる。
なによ、どうして私を横にそんなにすやすや眠れるのよ。傷つくじゃない。
しかしまぁ、それはそれ。惚れた弱みは大河にもある。普段見る機会の無い竜児の
寝顔についつい見入ってしまう。
左手を離し、静かに身を起こして竜児のほうに体を向ける。凶悪な目も閉じれば
かわいいもの。お気に入りの口の形や、今まで気付かなかった小さなほくろまで、
じっくりと間近で見ることができる。寝顔を見るのは初めてではない。泰子の
実家で見たけど、あれは狸寝入りだった。本当に見たのは、確か1度だけ。昨年末に
竜児が倒れた際、病院で付き添ったことがある。あのときの竜児は実乃梨に振られて
夢の中まで苦しんでいた。
今は違う。この安らかな寝顔は、ひょっとして自分が傍にいるからだろうか。違う
かもしれないが、そう考えると大河は嬉しくなる。さっきの不機嫌は撤回。笑みが
漏れる。
そっと体を起こす。いたずらをしたい、という気持ちを抑えられない。竜児の上に
覆い被さる。髪が竜児の胸に落ちる。くすくす笑いが漏れそうになる。ダメダメ、
我慢しなくちゃと、顔面に笑いをあふれさせながら、声をこらえる。
ゆっくりと顔を竜児の胸に近づける。首を左にひねる。右側の頬に竜児の体温を感じる。
心臓がドキドキしてきた。頬にパーカーの繊維を感じる。頬がパーカーに触れる。
ゆっくりと、ゆっくりと頭を下ろす。パーカーが押され、竜児の胸と大河の顔の間で
つぶれる。もう、竜児の体がそこにあるのをはっきり頬で感じる。肋骨がそこにある。
竜児の体がそこにある。まだ起きない?少しずつ頭の重さを預けていく。まだ起きない。
嘘みたい!
大河は声を殺して笑っている。ばかばかしくて可笑しいのか、幸せで気が狂いそうなのか、
自分でもよくわからない。わかるのは、ベッドの中で眠る竜児の胸に今や完全に自分の
頭を預けていること。竜児の心臓が血液を送り出す生々しい音がはっきり聞こえること。
自分の心臓が狂ったように脈を刻むこと。
ゆっくりとゆっくりと、自分の体重を預けていく。もう、自分の胸は竜児の体に密着している。
ゆっくりと、ゆっくりと、胸を完全にあずけ、腕の力を抜く。
起きなかった!
嘘みたい!嘘じゃないよね。真っ昼間、二人きりの部屋でベッドの上、眠る竜児の胸に
体を預けている自分がいる。近くの公園から子どもの声がする。車の通る音がする。
体が熱くほてり、知らないうちに深呼吸をしてしまう。
あまりにもいたずらがうまくいきすぎて、笑いがこみ上げてくる。前から一度やって
みたかった。映画のワンシーン。でも、ヒロインは手乗りタイガーで恋人はヤンキー高須。
だめだ、我慢できない。
横隔膜がひくひくと揺れ、押し殺す笑いに体を揺すってしまう。
◇ ◇ ◇ ◇
寝ようと思ってたのに!寝ようと思ってたのに…!
ちょwww続き読まなきゃ寝られないwww風呂入って来るwww
こんな時間に神がいる!
2828しっぱなしだぜ
ホント文才あるよね
自分との戦いに辛くも勝利した竜児は、大河と並んだまま深い眠りに落ちた。夢のない
眠りから彼を引き戻したのは、胸の上で床屋のマッサージ器のように揺れる謎の物体。
「ん、あれ?」
大河?…と言おうとした瞬間に、胸の上の物体が笑い出した。
「ぷぷぷあははははは!だめ、もうだめ。ごめん、竜児、あ、だめだめ起き上がっちゃ
だめっ!ははははは、あっはっはっはっ!」
胸の上の物体は、いつの間にか竜児の上に覆い被さっていた大河で、状況が状況であるにも
関わらず、色っぽさのカケラもなく、止まらない笑いに身もだえして苦しんでいる。
「あはははは、竜児、おはよう…って、ぷははは!」
脚をばたばたさせながら、握り拳で竜児の肩のあたりをポカスカ叩く。そういう、
いかにも漫画的なばかばかしい姿をしばらく披露した後、漸く落ち着いたようだった。
「はーーーーーーーーーぁ、やっと落ち着いたわ。あはっ、ちょっと待って、はぁ」
状況が飲み込めないままあきれている竜児の上で、再びひくひくと体を揺すりながら、
大河が身もだえしている。大河が本当に話が出来るようになるまで、それから1分くらい
かかった。
「はぁ、お待たせ。で、何?」
「何?じゃねぇっ!」
あまりの不条理な一言に、竜児がぶち切れてみせる。
「なんだよお前、藪から棒に。起き抜けに俺の上に被さってると思ったらいきなり
爆笑かよ。どんだけ寝相悪いんだよ、どんだけ笑いに満ち溢れてんだよ」
「寝相が悪いって何よ。起きたら横に竜児が寝てて、乙女に対してあまり失礼な
態度だから驚かしてやろうと思ったのよ」
「その乙女に添い寝してくれって頼まれたんだけどな」
ぷっと大河が吹き出す。
「はー、もうだめ。ごめん竜児。今の嘘。ほんと、添い寝してくれてありがとう。
すごくよく眠れたよ」
「おう…そうか。嫌な夢とか、見なかったか」
「うん。もう全然。寝ちゃったら起きるまで夢無し。久しぶりにぐっすり寝たわ」
「そうか、そりゃよかった。で、こりゃ何のまねだ」
ぽんと、大河の背中を叩く。大河は頬を赤らめて幸せそうな笑みを浮かべるが、
竜児から見えない。
「映画であるじゃない。恋人の胸に顔を埋めてベッドで眠るってやつ。やって
みたかったんだ」
「そうかよ、じゃ、それと爆笑と何の関係があるのか説明してもらうか」
大河はうふふ、と笑って
「怒んないでよ。起こさないようにそっと頭を乗っけてたらさ、なんだかいたずら
してるみたいな気分になっちゃって」
と、楽しそうに話す。大河は楽しそうではあるが、竜児は憮然としたまま。
「そうですかい。で、俺はこのやり場のない気持ちをどこに持って行けばいいんだ」
くくくっと大河が笑う。笑いながら、思った。竜児の鼓動、どんどん早くなっていく。
大河の生々しい体温にあおられて、竜児の体がどんどん熱くなっていくのが、
大河にもわかる。
「ねぇ竜児。もう少しだけ、こうさせていて。いいでしょ?」
「仕方ねぇ、好きにしろ」
照れ隠しなのだろう、ぶっきらぼうな口調で竜司が言う。
もう、竜児の鼓動は早鐘を打つようだ。胸に顔を埋めながら、大河も頬を熱くする。
今、こうして自分が体を預けている竜児が紛れもなく男であり、大河が女であることを
否が応でも感じる。竜児が、自分の体を求めているのがわかる。狂おしい幸福感が、
大河を包みこむ。
全身を悦びに火照らせながら、こうやっていつも心臓の音を聞いていれば、竜児の
考えている事が全部わかるかもしれない、と大河は思う。もうしそうならば、どんなに
素敵なことだろう。
そっと大河の小さな背中に回された腕に、慌てて身をかたくする。
「ちょ、待って待って!」
「なんだよ」
思いの外激しい拒絶に竜児が不機嫌そうに言う。
今、抱きしめられたら、また大河はふにゃふにゃになってしまうだろう。それはだめ。
今日は、まだだめ。大事な話をしないといけない。だから、ちょっとの間だけ、
抱きしめないでいてほしいと願う。
「ちょっとだけ、ね、竜児。ちょっとだけ、私を抱きしめるのは待って」
「はいはい、わかりましたよ」
今日はわがままデーだと観念したように竜児が手を頭の後ろに組む。
しばらく、二人で黙っていた。竜児はベッドの中で大河にしがみつかれて血液を
沸騰させながら、何も出来ずに天井をにらんでいる。大河は、竜児の心音を聞きながら、
ぽけっと竜児の肩の向こうに見える枕を見ている。
枕は竜児が大河にあてがってくれたもので、大河が寝ていない今は頭の辺りが
ぽふっとへっこんでいるだけ。
◇ ◇ ◇ ◇
「ねぇ、竜児」
大河が声をかけたのは5分ほどだってから。
「おう」
「結婚したら、きっと毎日がこんな感じなんだろうね」
すこし考えて竜児が答える。
「そうだろうな。きっともっと楽しいぜ」
「だったら、私幸せすぎて死ぬかもしれない。今でも怖いくらい幸せなのに」
「だめだ」
「だって」
「だってもヘチマもねぇ。お前は俺より長生きしろ」
「…」
「お前の居ない世界なんて考えられねぇ。一日でいい。俺より長く生きろ」
「ちょちょちょちょっと待ってよ。何よ、それ。私置いて先に死ぬつもり?」
「別に早死にするつもりはねぇ。ただ、俺より先に死ぬなって話だ」
「ずるいずるい。ずるいよ。決めた、私の方が先に死ぬ。竜児が死ぬの見るのなんてやだ」
「って、お前」
「だめだめだめ、私より長生きして。お願い。寂しくて死んじゃう」
客観的に見てこれほど馬鹿馬鹿しい会話は無いな、と竜児は思う。しかし、こういう
話が出来る幸せというやつは、確かに感じる。先週あんなことがあったとはいえ、
紛れもなく、いま自分は幸せだ。
ただ、今の幸せと、もう一歩の幸せがかみ合わない。
「じゃぁ死ぬときは一緒だ」
「そうだね。なんだか心中みたいだけど」
「心中じゃねぇ。俺もお前も幸せに長生きをして、で、死ぬときは一緒だ」
「わかった。じゃ、一緒だね。でも、私が先に目を閉じるね」
「お前なぁ…」
話をしながら、竜児の心音が落ち着いて来るのを、大河は聞いている。
◇ ◇ ◇ ◇
「竜児」
「おう」
しばらく二人とも黙った後に、大河が話し始めた。
「今日はありがとう」
「チャーハンか」
「違うよ。チャーハンもだけど。今日はありがとう。だいぶ、立ち直れた」
「俺もだ」
「ほんと?私、竜児の助けになってる?」
「ああ、なってる」
竜児は頭の後ろで手を組み、天井を見つめたまま、胸の上の大河に話を続ける。
「俺たちは、たぶん、ずっとこうだ。俺がお前を支える。お前が俺を支える」
大河は少し黙っていた。
「そっか、私、竜児の支えになってるのか」
「お前は…もう、俺の半身だ。お前が泣けば、俺の心が泣く。お前が居なく
なれば、俺はたぶん、立っていられない」
なんの誇張も無い、と竜児は天井を見ながら思う。お前は、俺の半身なんだと。
「私も同じだよ」
大河がささやく。
◇ ◇ ◇ ◇
>>154 朝から神光臨。
バカップルすぎワロタw
お疲れ様でした!
>>129 乙
階段から落ちるところで奥華子のガーネットが脳内再生されたのは俺だけでいい
いい話だな…
GJ!
竜虎スレは俺の幸せの一部だな
さあて、まちにまった休日だ
DVD買ってこなきゃな
158 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 09:08:57 ID:TO1LKJkP
(*´Д`)ポワワ
亭主関白を思い出したのは俺だけじゃないようでよかった。
嗚呼週末の朝から幸せすぎる…
>>160 おまい、オサーンだな?
漏れもだけどwww
おいおい なんでこんなに俺がいるんだ
しかし、朝起きるとSSのプレゼントが届いてる っつう伝統が守られててイイネ
───逢坂大河に一生を捧ぐ───
バタバタと騒がしく駆回る足音がする。
「竜夜、あんまり騒がしくしたらご飯抜きだからね」
大河は我が子に向ける視線とは思えない目つきで睨む。
ありふれた日常。これは誰もが望む世界。
大河に眼力だけで凄まれるのは日常茶飯事。しかし相変わらず足の震えは止まらない。
「母さんはいつもそう言うけど、一度も食べさせなかった事ないよな」
そう言うのは長男の竜夜。目つきは竜児譲りで、今年入学した高校では目を見られぬよう、前かがみに歩く。
大河はカッターシャツにアイロンをかける手を止め、
「う……まっ、空腹の辛さは痛いほどわかるもんね」
「それが母さんのいいとこなんだよなー、…で」
「はいはい、わかってるわよったく…なんでそんなに父さんの事を知りたがるのかしら」
「そりゃあ、見たこともないし、人柄だけも聞いてみたくてさ」
大河はかけ終わったアイロンを片付け、ソファに腰を下ろす。
「それハンガーに掛けときなさいよね」
「りょーかい!………じゃあ、話して貰おうかな、父さんの事」
竜夜はそう言うと大河の横に同じように腰を下ろす。
「…………」
「…………」
「じゃあ、ハッキリ言うね。父さんはもうこの世にはいない」
「……やっぱりねぇ。大体想像はついてたよ」
「…っ! な、なんで…?」
恐る恐る聞くと、
「だって、父さんの話をするといつも黙り込んで夜空見上げるんだもんな。嫌でも分かるよ」
そう、大河は竜児に話してもらった星の話が大好きで、それ以来星観察が趣味になっていた。
「…………。じゃ、聞きたい事言って。それに答えてくから」
「……。別に。適当に喋ってよ(チッチッ)」
別室で息を殺して合図を待っていた双子の妹が駆け寄り、大河の膝にちょこんと座る。
「やっぱりここが一番落ち着くなぁ。私にも話してくれるよね?」
これは誰にも譲らない、譲れない竜河(ルカ)の特等席である。
二人の出会った時の事。友人らと行った別荘。起こった全ての事を包み隠さず話した。
高校卒業後、二人は夏から都内某所のマンションに住む事になった。
当時竜児は車の免許を取りたいと言っていたが、大河は一人になるのが嫌で拒否し続けた。
大河の母親と父親は、一年の間に就職先を決め、収入がしっかり貰えるくらいにまでなったら
嫁として渡すと言った。本当に辛かったが、大河の手助けのおかげで就職する事ができた。
大河の母親の再婚相手である大河の父親はどこぞのお偉いさんで、時期副社長候補にあがっているほどの
技能とメンタル面を持ち合わせた超人であった。
財力にも全く不安はなく、大河と竜児のためにマンションの頭金などをサポートして貰っていた。
もちろん竜児は断ったが、まだそんなに経済力もないため、将来返済するという理由で
ほんの少しのお金を預かっている。大河は「もっと貰えば良かったのに」などと愚痴を零していたが、
竜児も男だ。何から何まで世話になっては示しが付かないという理由で、ほんの少しだけ融資
して貰う事になった。大河の父親は以前大河が一人暮らしをしていたマンションの最上階を勧めたが、
これには竜児も大河も反対。竜児には反対する権利などないはずだが。
理由は「駅から少し遠い。それに二人では広すぎる」との事。
結局駅から徒歩15分の家賃20万のマンションに住む事になる。
竜児はもっと安い所がいいと言ったが、これには大河の父親は一切折れず、
「娘にこれ以下の場所には住まわせたくはない」と言っていた。
血が繋がっているわけでもないし、もっとおんボロアパートにも住んでいたのに。
だが口には出さず、素直に受け入れる事になった。
引越しが住んだ所で、大河の母親と父親は埼玉県へ移住した。なぜだかはわからず仕舞いである。
茶色のお洒落なタイル張りを施した品もあり、存在感も漂わせるマンションの前に二人はいた。
大河「ここが新しいお家なんだね!なんだかウキウキしてきちゃった」
竜児「おう。…なんだかまだ夢みたいだ……大河と二人で暮らせる日が来たなんて…」
大河はにっこり笑うと、結婚指輪を見てデレデレする。そして6階にある自宅を目指した。
新築のマンションで設備は完璧。玄関に設置してあるタッチ式のモニターで部屋番号を押す。
自分で入居時に決めたパスワードを入力するとエントランスの大型ドアが開く仕組みになっている。
来客は目的の部屋の番号を押し呼び出しボタンを押せば各部屋に配備されているモニターに表示される。
カラーで輪郭もはっきりと出るため、相手の確認もしやすい。
許可と書かれているスイッチを押すと確認画面が出て、そこで初めてエントランスの大型ドアが開くのである。
エントランス入り口で4ケタ数字のパスワードを入力。番号は迷う事無く、
『0214』竜児にとって初めての告白、二人にとって初めてのキス。あの日の事は忘れない。
結婚した日にしよう、と大河は言ったがジャンケンで竜児の希望通り『0214』となった。
部屋に着き、おぼつかない手つきで靴を揃え、中に入る。
家具や食器は既に業者が設置し、地震対策もバッチリ。あとは暮らしやすいよう自分達で
机を動かしたりソファを動かしたりして自分達の好きなようにすればいい。
「おおぅ…大河の前の家とあんまり変わらないんじゃねえのか……?」
「ううん。あそこよりは広くはないよ。見た目は似てるけど」
「そうなのか…。一つ二つ三つ…四つ…おう、なんだか部屋があまりそうだな。MOTTAINAI!」
「子供ができたら時期に足らない〜〜!なんて事になるよ」
「こ、子供………///」
「竜児……///」
照れてる竜児可愛いね。そっちこそ。未だにバカップルっぷりを発揮して、二人は自然と唇を重ねる。
今日も明日も仕事は休み。とくに予定のない二人は、広い部屋でもべっとりくっついている。
外は朝からムンムンとして、クーラーが苦手な大河は窓を開けて
腕も足も露出して大の字でくつろいでいる。
ペーローペーピーピピー♪ 大河の携帯が鳴っている。
しかし大河はガン無視で、ずっと汗を掻きながら竜児とくっついている。
竜児「大河、携帯鳴ってるぞ、出なくていいのか?電話だろ?」
大河は二人の邪魔をされて不機嫌になったが、携帯のフリップを開くと目を輝かせた。
ピッ。
「YO!なぁに朝っぱらからイチャイチャくっついてんのさ!?暑いんだからもっと離れて離れて!!」
「えっ!?な、なんでわかったのみのりん?」
そう、電話の向こうでは夏を喜び生を喜ぶ直進娘であるみのりんこと櫛枝実乃梨。
「おぉー!やっぱり朝から晩、夜の営みまであちちなんだなこんにゃろー!」
「ちょっ/// なんでわかったの?なんで?」
取り乱した大河は、電話の向こうで冷かし攻撃をぶっぱなしている櫛枝に問いかける。
「ん?見てないに決まってんじゃんよー、でも大体合ってたろう?」
「うっ…悔しいけど当たりよ…」
当たってるって認めんのかいっという竜児と櫛枝の同時突っ込みを華麗にスルー。
「で、いきなり電話して何か用事でもあるの?みのりん」
「おーうおう!あるよあるよ大有りだぁ!!実はきょ「今日そっち遊びに行くんでよろしくな!」
いきなり相手の声が変わる。その能天気な声は聞き間違えるはずもないだろう、失恋大明神こと北村であった。
「ひぇっ?きょきょ今日?でも竜児が……食事の用意とか…」
竜児は最初っから最後まで話を聞いていて、返事をする。
「おう、いいぞ。何人来るんだ?」
「実は引っ越すのはずっと前から知ってたんだ。だから落ち着いた日を計って、」
「いつものメンバー+αを加え、そっちに泊まりで行こうと計画を練ってたんだよ、たきゃすきゅん!」
「おおう、知らなかったのは俺達だけか。じゃあ夕方くらいに来てくれよ。」
ちょちょちょなんで勝手に決めちゃうの?という大河の言葉には耳も貸さず、
「にゃはは!じゃあ夕方6時に潜入するぜぇ〜!」
「おう、場所は…わかるな。飯用意しておく!」
「やった!時限式超激辛カレー用意して置いてね!」
激辛→熱い→暑い→脱いでも不自然じゃないと踏んだ北村が、
「うおお、最近真面目にしてたから時限式超激辛カレーが食える!裸族になるチャーンス!!」
「防音加工もされてるから今日は許可してやる感謝しろ…じゃんくて、てか何で引越した事知ってるんだ?」
「うはは!その辺は気にしないでくれたまえ、毎日出かける時のキッスまでお見通しさ!」
「んなー!ななななんで知ってる「んだー!?」「のよー!?」」
「ふふふ、駅に向かう途中に新しくできたマンションがあって眺めていたら、
エントランスから二人が人目も気にせず熱いキスシーンを目撃したという事は
知らない事にしておいてくれよな!?アデュー!」
プツッ………。
するとすぐメールが来た。「二人とも顔真っ赤!!」
当たりである。まさか見られていたとは。
ぽつりと一言。
そういや、今度引っ越すって言ったの忘れてた………。
二人は4時に買い物を済ませると、重い荷物を半分子にして手作りエコバッグに詰め、
仲良く二人で持つ。こうすれば平等で手も繋ぎやすい。
「竜児、ちょっと買いすぎたんじゃないの?どうすんのよこれ」
そう、二人の片手にはパンパンに膨らんだエコバッグがある。
「別に全部食おうとは思ってないぞ?予備とか明日の朝のとか」
「まぁどうせあんたの事だからMOTTAINAI精神丸出しで策はあるんだろうけど」
「おう、もちろんだとも。さあ部屋に着いたぞ、仕事始めるか」
そう言うと自分らの決めた役割を果たす事に専念する。
「とりあえず飯の仕度するからお前は部屋の掃除をしておいてくれ。念入りにだぞ」
「はいはい、全く人をなんだと思ってるのかしら」
「つべこべ言うなよな。俺がいない時は嫌でもしないといけないんだから」
「わかってるわよ………折角二人きりで居られると思ったのに……」
「ん?何か言ったか?」
なんでもない、と簡素に返事をする。
掃除も料理も完了。居場所もジュースもお酒も全て揃っている。
顔真っ赤メールが来た後、メンバーが書かれていたので、無駄な物も買わず作らず完璧である。
ピンポーン♪
……おっ、早速きたみたいだぜ、と言うと二人でエントランスから招き入れる。
黒いデニムを着こなし、簡単なTシャツの上からペンダントをぶら下げているのは笑顔が眩しい櫛枝実乃梨。
「やぁやぁお二人さん!時間ぴったりにご到着だぜ☆」
昔とあまり変わらない服装をしている失恋大明神事北村。
「相変わらず仲がいいな。それにしても立派なマンションだ。俺の家の3倍くらいか?」
ふわふわフリルの付いた白いワンピースを着こなす大河がみのりんに
いつものように抱きつき、頬を擦り合わせている。
北村がそんな二人をみると興奮したのか、ベルトをカチャカチャと鳴らしはじめる。
「ちょっとまて、こんな所で裸族に変貌を遂げようというわけじゃあるまいな?」
その通りだウォン老子!と叫ぶと流石にパンツは脱ぐ気はおきないらしいが、
当然といった顔で下半身は下着のみ、上半身裸で竜児に抱きつく。
気絶寸前の竜児はさておき、モデル並み…というかモデルで服の着こなしは
左は迷彩色の戦闘服、右は民族衣装となんでも着こなすが今日は適当に済ませたであろう簡易なシャツに
ジーパンを着ただけの簡単な姿で現れたのは既に不機嫌極まる顔で愚痴を零す亜美。
「…きもっ。てか早く中に入れてくんない?暑いし無理やり連れてこられたんだから」
その言葉を別に意味で解釈したのだろう、ユニクロ万歳な能登とアホの坂田…ではなく春田が妙に興奮していた。
春田の服装など誰も気には止めないだろうが、仕事を始めたのでうざいロンゲはばっさり切っていた。
「うわぁ。女子同士のいちゃつきはなんかいやらしくて夢に満ちてるけど」
「男のいちゃつきはなんかこう……とりあえずきもい。てか死ね」
竜児はそうだな、いや死なん。と返事をし、北村を跳ね除け、部屋に案内する。
木原は北村のために2時間も服選びに拘ったが、結局気に入るのがなく
なけなしの3万をはたいて買ったワンピース&リボン付きの白く鍔の長いキャップは能登以外誰も気にしなかった。
「なんか私惨めな感じ…」
多分大河の香水に反応したのだろう、アホの春田が口を開く。
「うひゃ〜!広いなぁー!クンクン、おぉこれはいやらしい匂い!!」
自己嫌悪もいいとこの北村。こいつはなぜか自分の家より大きい家は自分の家と比べる癖があるのだろう、
「おぉ、前の逢坂の家と変わらないんじゃないか?」
「そうだよねー!てかうちも綺麗だからいつかその……。」
家に誘おうとするが、「そうなのか」とだけ返事され、帰りたくなる木原。
「うおおー!これが噂の愛のさんくちゅあり!これが4LDK!!」
「4LDKじゃないよみのりん。それにさんくちゅありって古いよ」
「ふぅ〜ん、なかなかの部屋じゃん。あ、こんな所にクッションが二つ…。意味深だわ、ケッ!」
何が気に入らなかったのか、亜美が唾でも吐き出しそうな勢いで舌を打つ。
玄関をなぜか眺めていた能登がひょっこり(かわいくない)顔を出す。
「おぉ、広いな!寝室だけで俺の家のリビングくらいありそうだ!」
部屋の真ん中に置かれたテーブルに全員座れせると、テーブル綺麗だとか椅子がおされだとか
寝室にベッドが一つしかないとかいろんな話が部屋を行きかう。
次々と料理が運ばれ、最後は当然飲み会のようになる。
途中から酒だ酒持って来いと言われ、戸棚から酒瓶3本を持ってくる。
「うぃ〜。なんでえなんでえ!部屋が余ってるじゃねえか!これはもしや
子供部屋とかふざけた事抜かすんじゃねぇだろうなぁおう!?」
「櫛枝とりあえず落ち着いて……。も、物置だよな、大河!?」
大河は既に酒に酔ってテーブルに頬をのせたまんま眠りこけている。
「…おう、可愛いな。そういえば、みんなは今何してるんだ?まだ聞いてなかったけど」
「私はモデルやめて、グラビアも飽きたから芸能界で楽しく仕事しているわ…ヒック」
「おれっちは念願の体育大だぜー!筋肉の塊部屋で汗を流うぃっ」
バレンタインデー前日に彼女を見せびらかしてきた彼女を自慢するべく、
「俺は彼女と関係を持ったままふつ〜のサラリーマンだぜー」
「お前がリーマン…。世も末だな。俺は雑誌の小さな記事を担当したり、
地方を回って聞き込みとかしてる。ちょっと夢とは違ったが楽しくやってる」
「私は大学に通いながら将来設計してる。でもその気になればお嫁に……ごにょごにょ」
「へぇ、木原嫁に行くのか!おめでとう!「え、違っ…」俺は国立大学に通ってる。
でもこの前、会長が俺をアメリカのロケット開発部門に招き入れてくれたから来月あっちに行こうと思う」
「おう、みんなちゃんとやってるんだな。春田はプーになるかとヒヤヒヤしたぞ」
えー高っちゃんひどいなぁー! 笑い声が部屋中を行き交う。
結局2時まで飲んで騒いで酒が足りなくなり、ジャンケンで勝敗を決め、最後まで勝ち残った3人で
酒屋に行く事にした。竜児は一番に負けて、嬉しいのやら悲しいのやら変な気分で勝負を見届けた。
最後まで勝ち残ったのは大河、亜美、木原の3人である。
「女子だけでは危ないから」と言い、大河の涙目攻撃に敗れたのを隠しつつ竜児を加えた
4人で行こうとするが、酔っ払った汗臭い男共は許可せず、竜児VS北村の男同士の野球拳。
北村にはシャツを一枚脱がせただけで竜児は靴下もジーパンもシャツすっかり剥ぎ取られ、
残りは眠る龍を隠す大事な物布切れ一枚になったが、状況が一変し、竜児の勝利となる。
勝敗は決まったのにパンツを脱ぎ去り亜美に抱きつこうとしたため、昔では考えられなかったが
大河の手刀が首に飛び、一発で北村を撃沈。今は仲良しのふざけあえる友人となっていた。
竜児を加えた面々で全員大声でおまわりさんに注意されつつ覚束ない足取りで酒屋に向かう。
酔っ払いリーマンよろしく酒屋のおっさんをたたき起こし、
酒瓶4本を買い込む。酔っ払った竜児は深夜料金で安くしろなどと言い、怯えたおっさんは
いつもの半額+一升おまけするから帰ってといい店を閉じた。
帰ると目を覚ました北村に加え、能登に春田が自分の龍にネクタイを結び、真剣な目つきで玄関に向かってきた所を
トイレから出てきた救世主よろしく櫛枝が傘を抱え、龍を一閃。3人は20分間生死の境目を彷徨った。
カチャカチャ。パタン。あれぇ?どこだろ…
物音と頭痛と人の声で竜児が目を覚ます。
「おう…夜中の5時か。随分遊んだみたいだ…頭が割れそうだ…」
誰か起きているのか、廊下の電気が点けっ放しになっているのに気づく。
頭を掻き、服装を正して廊下へ向かう。
「! 誰かいるのかい?不届きものめ!」
「あぁ、櫛枝か。寝れないのか?」
そう言いながら、洗面所のドアを開こうとするが、
「あぁー、悪いけど開けないでくれるかい?汗掻いて気持ち悪くてさ、シャワー浴びてたんだ」
「おおう、バスタオルとパジャマ用意してある。場所わかるか?」
裸か?とは聞けるはずもなかった。
「う〜ん、なんか収納スペースとか色んな物があってわかんなかったところなのだよ明智くん」
「おう…って事は下着すが……」
言っちまった。
「こんな所で誘惑かい?大河という者がありながら私は悲しいぞおよよ…」
「わわ悪い。そう意味じゃないんだ。すまなんだ…」
「まーそう事平気で言うやつじゃないって信じとるよ……おっとパジャマ見つけたりぃ!」
30秒の後、櫛枝は洗面所から出てきた。
「おっと、トイレはどこだい?尿意と便意のダブルコンボだ…しかし!伊達に体育大に行ってない!」
筋肉マンでも便意には勝てん、そこだぞ。と教えると覚束ない足取りでトイレへ駆け込む。
自分と大河で共有しているベッドは亜美と木原、それに加え櫛枝が占領していた。
北村と春田、能登は2時辺りにそのベッドに潜り、持参したビデオカメラで撮影し、
上映会を開こうと提案したがどこかで聞き耳を立てていたやつにチクられ、
玄関で布団なしという拷問に耐えている。竜児は参加せず、友情を裏切ったという理由で
春田に押さえつけられ、能登に罵られ、北村に股間アッパー&電気アンマ&間接キスという拷問に耐えた。
30分ほど意識は帰らなかったが、様子がおかしいと思った亜美が、
ねーえ、何で高須君こんな虚ろな状態なの?(ニッコリ)
笑顔に浮かれ、春田がそれを喋り、大河にチクり北村者とも水風呂に入れされられ、玄関が寝室になった。
流石に夜は寒いのだろうか、それとも暑いのだろうか?
3人は北村を中心に抱き合って寝ている。暑い〜だの寒い〜だの寝言を言いながら。
部屋に戻ると、ソファで大河が少し悲しそうな表情を浮かべ、毛布に包まっている。
隣に座り、毛布を自分にもかけ、大河に覆いかぶさるような形で眠る。
すると「うにゃにゃ〜、どけいっ!」と寝言を言うと竜児を押しのけ、足元に転がった。
「おう!?…いてて…ひどいやつだよほんと」
物音で目を覚ましたのか、大河が起き上がる。酔っ払っているようだ。
「りゅ〜じぃ〜?何してるの?そんな所に寝て……」
「っお前なぁ、自分で落としておいてその言い方はねぇんじゃねえか?」
「私そんな事しないもん。ねーキスして?」
するすると蛇のように落ちてきて、竜児の太ももに頬を乗せて言うのだった。
唐突すぎる言葉に戸惑う。いつもなら素直にするが、大河は酒を飲むと6時間もの間の記憶がなくなり、
所構わず竜児に愛を求めるというのは把握済み。そこに漬け込むのは酷という物だろう。
「ダメだダメだ、さっさと寝ろよ。ワイセツタイガーは手に…ん?」
手に負えない、と言おうとしたが、妙な視線を感じる。感じるだけではなく、
テーブルの影、大河からは見えないソファの死角などからこちらを観察している。
おいお前ら…と言おうとしたがその怪しい影は口に人差し指を持っていくと、「シーッ」とするのである。
春田は少し短めに切ったのであろうその髪を揺らし、唇と突き出す真似をする。
つまり、やれと?ここで、やれと?皆の前で、やれと?
そんな顔をすると全員がコクコク、と頷く。
大河はずっと唇を求めるように、竜児を上目遣いで見上げている。
むむむ、無理だ。3メートル付近には能登、櫛枝に首を掴まれている北村大先生を横目でみている木原に加え亜美。
音の鳴らないように改造した携帯をさっき自慢していた春田がその携帯を待機させていた。
外は少し明るいので携帯のランプをつけてもわからないと判断したのだろう、青いランプが光っている。
全員顔に「やっちまえ」と書いてあった。
無理無理無理無理よ無理なの無理なのよ!と顔をぶんぶん振り回すと、
大河がそこで周りを見渡す。しかしそこにはコンマ0.5秒という神業で引っ込み、
誰もいない場所に数本の酒瓶が転がっている。そして再び竜児に向き直る。
「ねぇ……私の事嫌いなの?妙に拒んだり濡れ衣着せたり…。そうならはっきり言ってよ」
今にも泣きそうな顔で竜児の顔を覗き込む。声も聞くからに今にも泣きそうである。
「ちっ違うんだ…えっとそのぉ…」
テーブルを見ると竜児も背筋が凍りつきそうな眼光でこちらを睨む複数の影。
「なによ…もう私には飽きたっていうの?嫌な所があったら言って。直すから。私、竜児がいないと……」
恥ずかしそうだが、今にも泣きそうな「生きていく自信がない……」そう言うのである。
ワイセツタイガーになると、いつもより大胆になる悪い…いや、良い癖だ。
ええぇどうにでもなれ!と意気込み、唇を大河のソレに押し付ける。舌が竜児の中に進入してくる。
口の動きで舌が入っているとわかったのだろう、誰かの呻き声が聞こえてくる。
「大河…大人になったね…」だの
「うわぁあちちだよ地獄の釜も3度までだよ」だの
「もう見てらんない…」だの。好き勝手いいやがって。
離そうとするも大河の華奢な腕が首に回りこみ、抜け出せなくなる。
3分もの長い間唇を重ねる。既に竜児は失神寸前。取り戻した命だ、大切にせねば。と喝を入れる。
それで満足したのか、来たような動きでソファに上がり、寝息を立て始める。
フランス人形のように美しく、きめ細かい頬を笑顔で緩ませた寝顔で、のび太顔負けの早業でスヤスヤ眠りに落ちる。
優しく毛布をかけてやる。風邪引いたら可愛そうだから。
ホッと一安心。2秒の後、テーブルに青く光る狂眼を向ける。その瞬間全員が目を閉じ、
胸の前で手を組み合わせている。不自然にガタガタ震え、神へのお願い事をする。亜美だけが平然を装っていた。
女は遊び道具、男は自分のために尽くせとか考えているわけではないと理解して貰うのに1週間要した。
そんな楽しいワクワク☆ちょっと古いよ愛の巣探検記は無事?幕を閉じ、明日は大学やら仕事やらに行くので、
昼まで全員で酒を飲み、お開きになった。
そしてかれこれ2年が経った。その間に色々な出来事があった。
まずは大河と竜児の間に双子が生まれた。
長男は竜児の名から因んで「竜夜」長女は二人の名から因んで「竜河」。珍しいがこれでルカと読む。
魅惑の妖精川島亜美、熱愛発覚!!相手は元タレントの○○××!!
春田は電車で痴漢疑惑をかけられた被害者として特番の番組に出演した。
モザイクと音声変更は気に入らなかったみたいだ。馬鹿キャラとして受けて小さな地方番組にも出演した。
能登は地方を回って記事を書くうちに小さな記事が大反響を呼ぶ。
波に乗って記事を書きまくったが波に乗れたのは一度だけで今は平凡に暮らしている。
木原は医療に向いていると感じ、ワクワク☆ちょっと古いよ愛の巣探検記から1ヶ月ほどで退学。
数ヶ月だけ猛勉強をし、たまたま東京女子医科大学に合格。
ちょっとした閃きから風邪薬を開発。これは以外と効き目があり、報酬として
研究室が設けられ、ひょんな事から新タミフル開発に専念。
新型インフルエンザに対するニュータミフル、今までとは根本的に元素も違う対インフルエンザワクチンを開発。
齢19にしてノーベル医学賞を受賞。世界中を歓喜に舞い上がらせた。
北村は数学でなんちゃら賞を受賞。竜児は自慢するに値する友人をたくさん得た。
しかし幸せもそこまで。2012年夏、この日を境目に竜児と大河は運命の分岐点に立たされる。
その日は雨。ジメジメしていても竜児と大河の周りはずっと新婚さんですよオーラを纏っている。
流石に人目を気にするようになったのか、お出かけのキスはエレベータの中でしている。
たまに止まっているのにも気づかず、高校生が乗ってきて
「うわぁ」とだけ言って乗ろうとはせず、「あ、忘れ物」と言って自宅に戻っていく事がしばしば。
いつもは駅まで大河は見送ってくれるが、今日雨だからという理由でエントランスでお別れ。
大河はマンションに住む独身の男にモテモテであるが、いつもニコニコしているわけではなく、
他の男に声を掛けられるとキッと睨みを利かせ、誰も寄せ付けない。
今日も仕事。夕方6時までのお別れである。土日が休みで有給もたっぷりで
早く仕事が終わり、収入もそこそこという無茶な職探しではあったが、
高校の頃の成績を見せたらすんなり内定が決まり、隣町の事業に勤めている。
大河はそんな竜児の姿が見えなくなるまで手を振ってにっこり笑っていてくれる。
仕事中であろうが寂しくなったら一日中メールを送り続けたり、休憩時間を見計らって電話をしたりする。
ある日のメールでのやりとり。
「竜児元気?何時に帰れそう?」
「元気だぞ。そっちは?今日はいつも通り6時に駅につくと思う」
「竜児がいなくて寂しいけど、竜夜と竜河がいるから大丈夫。
帰りにあのファミレス行こう?」
「おう、分かった。戸締りとガスの元栓だけは閉めるんだぞ。
じゃあまた後で」
「えーもう終わり?もっと話そう?」
「いや、もうすぐ休憩終わりだからさ。減給になんかなったらヤだろ?」
「それもそだね。無理言ってごめんなさい。お仕事頑張ってね」
「ありがとう。愛する妻と子のため頑張るよ」
大河が携帯のフリップを閉じる。愛する妻と子のためだって。あの顔で何言ってるんだか。
そう我が子に言い、しかしその顔は依然ニヤニヤしていた。
午後5時30分。雨はすっかり止み、夕日がとても綺麗だった。出かける前の再確認をはじめた。
元栓よし!戸締りよし!夜の準備よし…///でへへ……
そう一人でごちると、玄関に用意してある高価そうな二人用ベビーカーに竜夜と竜河を乗せる。
ティッシュもミルクも全てしまい、下の階へ足を運ぶ。
目的の部屋を目指し、ドアノブも開けていないのにそこからは見慣れた顔がのぞく。
「あ、きたきたー!早く竜夜くんと竜河ちゃんちょーだい♪」
そこには簡単なTシャツと白が目立つ長い脚を自慢げにミニデニムで露出度を高めた亜美の姿が。
「なぁにばかちー。あげるんじゃなくて預けるの。夕方も相変わらずの発情っぷりだこと
あれ、今日みのりんいないの?」
亜美の家は駅から離れていて自転車でも30分かかり、それだけの理由で
竜児達と同じマンションに越してきたのである。ちなみに櫛枝と同居している。
本人曰く「5時に仕事が終わるのはいいんだけど、毎日自転車こぐのはかったりぃ」とのこと。
「はいはいなんとでも言いなさいよ。今日も預かってあげるんだから感謝してよねー♪
みのりちゃんは今日はサークル付き合いでUSJに行ってるよ」
亜美と櫛枝はもしかしたら竜児を超えるかもしれない程竜夜と竜河に溺愛していて、毎日竜児を迎えに行き、
デートついでに買い物を済ませる間、亜美と櫛枝が2人を預かっているのであった。
「へぇ、USJかぁ…私も4人で行きたいなぁ、でも人が多いし…。子供が欲しい?さぞ性悪な赤ん坊が生まれる
んでしょうねぇ。発情っぷりを活かして2人でも3人でも腰振って産めばいいんじゃないの?」
こめかみをピクピクさせて亜美は2人を指であやしつつ、「あらら可愛いねー♪」などと言ってから、
「っさいなぁ〜。だって竜夜ちゃんは細い目は特別愛らしいし、ルカちゃんに至っては言葉で言い尽くせない程の
美貌を持ち合わせてるんだもん。高須君譲りなのとタイガー譲りなの人目でわかっちゃう。
絶対いつか私を超えるわ、自信ある。だからちゃんと良識ある良い子に育てなさいよね
竜夜ちゃんは将来高須君に似るのかと思うとちょっと可愛そうだけど…」
「ふん、分かってるわよ。私に似ても竜児に似てもやっちゃんに似ても可愛いし絶対不幸にはさせないわ。
どうでもいいんだけど、毎日の様に2人に高い物買うのやめてくれない?
この子達の靴も小さなポーチもベビーカーだってあんたの選んだ物。遺憾だわ…」
「いいじゃない減るもんじゃないし。私もこんな子供欲しいなぁ……
そうだ、高須君に手伝って貰えば良いんだわ!そうよ変なタレントとするのはヤだし、
私のこの天使のような美貌に「遺憾だわ」ぶふぅ…」
「あ、いけないばかちーなんかと話してる暇なんかなかったんだ。じゃぁばかちー、
ちゃんと2人を見ててよね。絶対寂しい思いなんかさせたらダメなんだから。竜夜に竜河、じゃあね!
魔性の女に惑わされちゃだめよ?すぐ戻るからね♪」
「ちょっと私はー!?…行っちゃったか…じゃー2人ともお部屋行きまちょうね〜♪」
大河は駅に着くと、一生懸命ホームから出てくる竜児を探す。
竜児をみつけると顔を宝石のように光らせ、気づいて貰えるようにぴょんぴょん跳ねて手を振る。
「おーいおーい、こっちこっちぃ!」
竜児は少し疲れ気味な顔を輝かせ、仕事帰りの人の目も気にせず大河を抱擁する。
「おおう、大河は夏バテって言葉を知らないようだな。今日もいつものファミレスでいいのか?」
「うん、スドバもいいけどやっぱりいつもの方がいいわね。最近はみのりんもバイトしてるらしいよ?」
「そうなのか…。大学で時間が有り余ってるからってラーメン屋に蕎麦屋にスドバ。清掃員に今度はファミレスか…」
「うん、大学に馴染むまでバイトは一時やめてたらしいけど、ばかちーが「家で一緒に住もう」って言ってから
すぐに再開したみたい。昇給に昇給が加わって月に10万はざらみたい」
「おぉ凄いな。今は夏休みだろ?だったらもしかしたら20万は硬いかもな」
「5万はばかちーに渡してるんだって。「いい、いい要らないって!」って拒否したけど
無理やり財布に突っ込まれたらしいよ。」
櫛枝らしいな、などといいつつ無事ファミレスに着いた。
「あれ…定休日かな…」
「おう…しょうがない、駅ビル行くか?逆戻りになるけど」
「えーやだ!スドバがいい!」
「スドバはここからもっと歩くだろうが。早く帰らないと2人が心配しちまう」
「うー…わかったわ。じゃ、いこっか」
「あぁ、明日はお前の好きな所連れてってやるからな」
ワーイ!とおおはしゃぎする大河を見て、まだまだ子供なんだな。と一人ごちる。
駅ビルでベラベラくっちゃべり、散々いちゃついた後、買い物に行こうとした時である。
「あそこのパフェはやっぱり美味しいわー。今度竜児もパフェ作ってよ」
「じゃあレシピ調べておくから、今度作ってやるよ」
「おぉ〜!チョコねチョコ!イチゴも忘れないでね!」
そのバリエーションはどうかと…と言おうとした時である。
大河は竜児の手作りパフェに胸を躍らせ、クルクル踊っている。前から猛スピードで迫る車にも気づかず。
───大河──危ないッ!!───
踊って目を回したのだろう、動きを止めた。
「避けろ馬鹿!!!」
「……え?」
馬鹿!と言うと同時に持っていた鞄をほうり捨て、大河を両手で包み込み、反対側の路上に転がる。
キキキィ…と耳を劈くような音を鳴らした。
「お前は馬鹿か!!?下手したら小学生並みだぞ!!」
「な、何が起きたの…?な、なんだっていうのよ……?」
振り向くと、急ブレーキを掛けてスピンをしたのだろう、タイヤはアホみたいにハゲていた。
すると中から極道面をした男が二人出てきた。
一人は紺のスーツで長い髪の毛が目立ち、鼻に大きな傷がある。
二人目はどこの五十台くらいの組長ですかと聞きたくなるような顔でド派手なスーツをだらしなく着こなし、
胸にはペンダント。腕には金色に光った腕時計をつけている。
───逃げろ───
「おうごらあ!!何してくるんじゃ!!」
───早く───
そう言うと竜児との間合いを一気に詰め、胸倉を掴みあげる。大河が離してと言うもその言葉は虚しかった。
──遅かった──
大声で怒鳴られ、一瞬怯む。その隙を突いて肩を押され、簡単に弾き飛ばされる。
「す、すすすいません…タイヤは弁償しますから、どうか…」
許して下さいと言おうとしたが…左頬をぶん殴られる。続けて3発。
「ちょっ……やりすぎじゃないの!?弁償するって言ってんだから…きゃあっ!!」
いきなり腰に手を回された。多分あの中年野郎だろう。
振り解こうもするが虚しく、腕を掴まれ耳元で何かを呟く。
「へへ…可愛いじゃねえか。肉奴隷にしてやろうか?」
「は…な…し、てええぇぇええ!!!」
そう言っても話して分かってもらえる相手じゃないのに、言ってしまった。相手を興奮させるだけなのに。
「胸はちいと小さいが、手術でなんともなろうよ…がは!」
「てめぇ…大河にそんな事してみろ、生かしちゃおかねぇ」
6発も殴られて既にグロッキー状態。力尽きていたが最後の力を振り絞り、
大河に慣れなれしく触っているやつの股間につま先蹴りを入れたのである。
すると当然のようにロンゲ野郎はキレて、腹に渾身の一撃を入れる。
「りゅーじぃ…う゛ぅ…ごめ゛んね…ごめ゛ん……ね……」
まぶたが重い。目を開けるのが精一杯である。
目を開けると、見知らぬ天井が広がっていた。口には酸素マスク。頭には包帯が巻かれていて、違和感を覚える。
「……た…いが……か……?ここは……」
布団の上に蹲って泣いていた大河が驚いて顔を上げる。
「!!竜児、目が覚めた!?良かった……ごめん…ね…」
大河の方を見ると、涙で顔をぐしゃぐしゃにしていた。
「おう…頭がひどく痛い…大河は…大丈夫か?」
「私のこと…なんか、どうだってい゛い゛のよ…ごめ゛んね…」
「おう…。すまん、俺の不注意で…」
そういいながら酸素マスクは必要ないだろうと踏み、外して枕の傍に置く。
そこまで言うと、横開きでスライド式の静かなドアがスゥ…と開く。
果たしてそこには若干涙目な見知れた顔があった。
竜児の姿に気がつくと、顔を笑顔にして飛び掛ってきたのは櫛枝実乃梨であった。
「あーっ!!高須君目が覚めたんだ!!良かった〜〜!!」
ベッドの上に飛び乗り、唇がぶつかりそうな距離でそう言うのである。
「目を覚ましたんだね、良かった…みのりちゃん、高須君は怪我してんだよ?とりあえず降りなよ」
優しく櫛枝を促すのは川嶋亜美。
「おぉ高須、元気そうで…じゃないか…でもまぁ良かったな、帰ってきて正解だったよ」
「お前ら…櫛枝、USJに行ったんじゃないのか?川嶋、仕事はどうした?北村………」
「ん?どうした?高須」
「お前……何で……」
「…?」
「お前、狩野先輩と一緒にロケット開発してたんじゃねえのか?どうしてここに…?」
「あぁ、その事か。いやなんだ、帰ってきたのはついさっきだ。ようやく休みがとれてな」
「さっき……?」
「逢坂…じゃない。高須…は変だな。逢坂でいいか、逢坂は高須に話したのか?」
大河は黙ってゆっくり顔を振る。
「…そうか。実はだな、お前は4日ほど眠り続けていたんだ。俺も知ったのはさっきだがな」
「わざわざすまん…にしても、そんなに寝てたのか…すまん大河。一人にさせちまって…
傍らにいるって…言ったのに…口ばっかりだ、俺って。情けない…いてて」
「!無理に起きようとしないで。私こそごめん…。私のせいで、竜児がこんなめに…うう…」
再び泣き始める大河を優しく抱きしめた。
部屋が沈黙に包まれる。聞こえるのは大河の泣き声だけ。
10分ほど泣き続け、そこで櫛枝が口を開く。
「…大河。そろそろ離してくれてもいいんじゃないかい?」
「なんだ大河、言ってなかったのか?」
「竜児の事考えてたら…私のせいだって考えてたら…言えるほど頭が回らなかったの」
そうか、じゃあ皆に説明してやってくれ。そう言うと、大河は頷いて話し始める。
「っ…!」
ようやく開放された大河は、涙で濡らした頬を拭いもせず、
「りゅうじ…?ねぇりゅうじ…。起きて…逃げるのよっ…」
そう言うが竜児は完全に力尽きて、もう起き上がることもできない。
「……大河。俺はいい…お前だけでも逃げろ…早く、逃げろ…」
「なにいってんの!?あんたは!?あんたはどうすんのよ!?あたしのせいで……
あたしなんかのせいで、竜児が傷つくのは…嫌なの、よ……」
するとサイレンの音を消して近づいていたパトカーが姿を現す。
焦ったヤクザらは痛む股間を押さえつつ、惨めな格好でずるむけた車を走らせる。
しかし警察が撃った弾丸がタイヤ1本を貫き、前方からエンジンを貫く。
「確保ーーー!!」
その合図で6人ほどの警察がヤクザを囲み、御用となったのである。
話を聞き終えた櫛枝が口を開く。
「だぁっはっはっは!そんなやつらに殴られるなんて高須くんなってないね!」
「おい…櫛枝、お前何を……」
「おう…そうだな。本当に情けない」
はっとした顔で櫛枝を思わず睨む。
「ちょっとみのりん!!なんでそんな事が言え───」
なんでそんな事が言えるの!?本来はそう言うはずだった。
しかし言えなかった。綺麗に光る目は完全に色を失い、涙が流れていた。
「──本当に間抜けだよ。高須君はさ。どうしてすぐに逃げようとしなかったの?
こうなるって大体分かったはずだよ?誰も咎めなかったはずだよ?
なのになんで?なんで?警察が来てなかったら2人とも今頃─バカだよ。本当に…バカ…」
やっとの思いでそこまで言う。後半は声が裏返っていた。
「……本当にすまねぇ」
「……竜児は、私を守ろうと、殴られても殴られても私をかばってくれた…。それで十分じゃないのよ」
「……そうだよね。ごめんね、辛気臭い話しちゃって。2人の事何も分かってないのに…」
──ううん、みのりんは悪くないよ──
その後、元2-Cの面々や上司の方がお見舞いにきてくれた。友人の話によると独身は去年駆け落ち結婚したらしい。
3ヶ月で離婚したらしいが…。
入院している間、大河は一度家に帰っただけで病室で寝泊りをした。看護婦さんに文句を言われたが、
妻なので当然でしょう?という殺気溢れた一言で何も言ってこなくなった。
3日ほど安静にし、退院したあとはすぐに出勤した。
休みすぎるとクビになるかもしれない。それだけは御免蒙る。
退院してから1週間ほど経った時だろうか。
お茶を淹れ、椅子に腰を下ろす。リモコンでTVのスイッチを入れる。
ニュースをやっていた。いつもながら気が滅入るような事ばかり報道している。
「さて、お次のニュースです。本日正午、○○組の男二人が脱獄しました。
2人は2週間前に都内で20台の夫婦に対しての殺人未遂、強姦未遂の疑いで現行犯逮捕されました。
○○刑務所から─────。」
「…うそ…でしょ…」
不意に携帯がバイブレーションで震える。ビクりと跳ねて、携帯のフリップを開ける。
果たしてそこには見慣れた文字。
──高須竜児──
怖かった。出たくなかった。見たくなかった…。
迷っても仕方ないので、電話に出る事にした。
「りゅうじ…?」
しかし相手は聞きなれない低い声であった。
「…奥様でしょうか……○○病院まで、来ていただけるでしょうか」
大河は言われた通りの場所にタクシーで移動した。
「なんの用だろうね」
──うるさい──
「無理して貧血でも起こしたのかな」
──違う──
「もう、私がいないとやっぱりダメね」
──ヤメロ──
「ったく、やっと一息ついたのに」
──分かってる。自分が一番──
「はぁ〜あ、めんどくさ」
──分かってるのに──
止め処なく涙が溢れた。「違う、きっと違う」
──認めない。絶対──
病院に行くと、入り口では警察がネクタイを緩めた格好で大河を案内する。
案内された場所は霊安室と書かれた部屋。
違う。ここじゃない。通り過ぎるだけだろう。そう、考えた。そう、信じたかった。
そうだ、行け。このまま通り過ぎろ。早く、早く…なんで、ここで止まるの……
ドアが不意に開く。白衣に身を包んだ男が出てきた。
「この度は、真に残念ながら──」
その後の言葉はよく覚えていない。
「どうぞ、中へ」
中には真っ白なベッドがあった。白いシーツが膨らんでいる。これはなんだろう?
ふくらみの前まで案内すると、医者が数秒手を合わせた。
上の方にかぶせられた布を取り払う。
「え」
ここまで来て、やっと理解した。本当は電話の相手から居場所を伝えられた時だろうが…。
大河の心が冷たい冷気で満たされ、あっという間に凍りつく。
「うそ、でしょ…」
その後、絶叫した。貯水タンクが破裂したように涙が出た。顔が林檎のように赤くなった。
「ねえ!!嘘でしょ!?あれ、ばかちーか誰かの悪戯でしょ!!!?何とかいいなさいよ!!!」
医者の肩を揺らすが、何も答えてはくれない。入り口に気配を感じた。
そこには、亜美の腕に縋り、肩を震わす櫛枝の姿があった。
「なんとか言えええええええええええええええええ!!!!!」
その時の取り乱し方は凄まじかったらしい。机をなぎ倒し、看護婦をぶん殴った。
後日葬儀があり、竜児を焼き、骨と化した。
毎日、朝から晩まで泣いた。泣いて泣いて泣きまくった。
食事は櫛枝と亜美が毎日世話をしてくれた。
しかし「味が違う」だの「まずい」だの言い、食べるのを拒否した。
そんな反応しかしなかったのに、毎日欠かさずきてくれた。
竜夜と竜河は2人に預かって貰っていた。多分大河だけでは支えになれないから。
朝も夜も何も食べる事はできなかったが、しかし二人が作ってくれたハチミツ入りミルクだけは飲む事ができた。
竜児の作るものとほんの少し似ていたから。それでもまずかった。
2人が帰ると同時に暴れた。ランプをいつかの木刀でなぎ倒し、壁を何十回も何百回も叩いた。
叩き終わると腕が腫れていた。痛みも感じれなかったのかもしれない。
とりあえず暴れたかった。暴れて暴れて、何も考えたくなかった。
そうすれば頭の中がスカっとしたから。それだけ。
初めの2ヶ月は暴れた。とりあえず暴れたかった。
3ヶ月目になると町を歩いた。何度も車に轢かれそうになった。しかし轢いてはくれなかった。
いっそのこと轢いて死んでしまえば、竜児の元にいけるのに…。
4ヶ月目に入ると夜に木刀で町を歩くカップルを襲うようになった。振り上げて威嚇するだけで危害は加えないが。
それが噂になり、観覧板が部屋に回ってくる。
「最近この近くで夜襲が出没しています。夜には出歩かない事を推薦します。」
犯人は大河であったが、誰も気づいてくれなかった。捕まえて、死刑にでもしてくれればよかったのに。
ガリガリにやせ細り、鬱状態に陥る。
今日も朝から櫛枝と亜美がやってきた。
出かける前に合鍵で部屋に入り、食事を作り、掃除も済ませて行く。
「大河……」
「……さい」
「…大河?今何か言った?」
「…るさい…」
「…ごめん、よく聞こえなかった。あーみん、大河今何て「うるさい。ってさ」」
「うるさいうるさい……その名前で、気安く、私を──呼ぶなああ!!!!!!」
「ちょっとタイガー…落ち着きなよ」
「…大河。大河大河大河。そう、あなたは大河。私の親友」
「うるさい…、何も分かってないくせに分かったような口ぶりで喋る。それが嫌なのムカつくの!!!」
「…あんたがそんなに弱くて脆い『生き物』だったなんて思わなかった。幻滅した」
そう言うと、櫛枝は大河を哀れむような目で見下す。
「…じゃあ、これはここに置いておくね」
亜美がそう言うと涙を流す櫛枝の肩を抱いて部屋を後にした。
また、いつものように暴れようとした。しかし、テーブルに何かが置かれているのに気づく。
「……なに、これ……」
そこにあったのは、一枚のCD。手にとってみる。そこでやっと横に添えられた手紙に気づく。
これは多分亜美の書いたものだろう。開けると書いてあったのはこうだ。
「タイガー、これは高須君が死ぬ前に録音したものよ。腹に弾丸2発も食らって、
それなのに音声を録音したいって言ったの。バカみたいよね。きっかり5ヶ月経ったら、
大河に渡してやってくれって。今日が5ヵ月目なの。だから、渡しておくね」
以前竜児のアパートにあったコンポでそれを聞く。懐かしい竜児の声。
「おう……聞こえてるか、大河。この話を聞く時は、俺が死んでから託道理5ヶ月経っていると思う。
なぜ5ヶ月かっていうと、俺が死んで、お前は悲しむと思う。立ち直るまで、その位は必要だと思ったからだ。
お前の事だから、どうせ何から何まで他人任せなんだろうな。だがな、大河。
いつまでも落ち込んでいちゃだめだぞ。お前は這いつくばってでも生きて、竜夜と竜河を育ててやってくれ。
いつでもいいから、お前が笑って過ごせる。再婚したっていい。幸せになってくれれば、それでいい。
何がなんでも幸せになれ。俺の事なんて忘れて、命ある限り笑え。それが、俺の最後の願いだ。
じゃあな──竜夜と竜河にも、よろしく伝えてやってくれ。一緒に笑えなくて、すまん──」
これを聞き終えた大河は涙は出なかった。
恥ずかしかったのである。もう少しで、竜児の願いを踏みにじる所だった。
竜児はたくさん『何か』をくれた。
『幸せ』をくれ、『夢』をくれ、『自分の望むもの全て』を与えてくれた。
そして最後には『生きる希望』までくれた。
その日はやり方もしらないくせにパソコンでCDを複製しようとした。
結果、夜までには5枚ほど複製する事ができた。これで、何度聞いて擦り切れようとも、大丈夫だと。
そして朝までたっぷり眠り、朝早くに亜美達の部屋に行った。カギは閉まっていなかった。
無用心だな…と一瞬思うが、すぐに納得した。「分かってたのね」と、一人ごちる。
リビングのドアを蹴り破る。
「うおりゃあああ!!!2人を返せえええ!!!」
来るのは大体予想がついていたのであろう、2人はソファに座っていた。
「おっ、タイガー早速来たね。はいはい、赤ちゃんはこっちですよ」
「あ…大河。その…昨日はごめ「でりゃああ!」…え?何してるの?」
「見てわからない!?土下寝よ土下寝!!」
「ちょっ……元気になったみたいね。昨日はあんな事言って反省してる」
「当たり前よ。…昨日は私もごめん。許して」
「ううん……大河、あんたは強い。ボブサップも真っ青さ!わっはっはっは!」
土下寝をしていた大河は、そこで勢いよく起き上がり、我が子に向き直る。
「竜夜に竜河……。私の命。あなた達だけは、絶対に幸せにするからね。今まで、ごめん」
3時間ほどだろうか。竜夜と竜河に自分の全てを教えたのは…。
そしてその後は、涙を抑えながら俯いていた。すると横に腰掛けた竜夜が優しく大河を
自分の膝の上に寝かせる。するとさらに涙は溢れてきた。
2人は一言も口を開かず、優しく頭を撫でていてくれた。
30分ほどだろうか。涙は止まり、起き上がる。そこで竜夜が口を開いた。
「ここで…住んでたんだよな?父さんの部屋は、ないの?」
「…………」
そこで口を開くのは竜河。
「お母さん、黙っててもわからないよ。そのCD、私達にも聞かせて?」
大河はゆっくり頷くと、自室に向かった。3分くらいで戻ってきた。
手にはCDラジカセ。竜夜を竜河にとっては年代物だろう。
「うおお昔のでけえな〜。でも存在感あっていいかも」
CDラジカセを舐めるように見たあと、大河が手にしていたCDを開く。
「これはここでいいんだよな……んで蓋を閉めて、と…後は…これか」
流れてきたのは、以前聞いた声とは全く変わっていない竜児の声。
全てを聞き終えたが、涙は出なかった。毎日聞いていたからである。
「へぇ、なあ竜河、俺の声と似てるか?」
「きゃははー!そっくり同じ声だよ!面白い〜!」
ガックリ肩を落とし、CDを止めようとする大河の手を制止する。
「ちょっと待った。まだ何か続きがあるかも」
そこで話は終わりだと思っていた。しかし…。
「…………………………あー、言い忘れてた事があった。」
ここで大河の目が大きく見開かれた。
「俺の部屋に大きなダンボールがあったろ?まぁ気が向いたらみてくれ。大河。愛してるぞ。天国に行ってもな」
本当に全てを聞き終わった。ハッとして、リビングの一角を見る。
そこにはかつての竜児の部屋があった場所だが、みると胸が痛むので扉の前に大きな戸棚が置いてある。
「……竜河。私の部屋から車のキー持ってきて」
竜河は頷き、小走りで大河の部屋に行き、鞄の中から車のキーをとる。
小さなカギが付いており、それは戸棚を固定するためにフローリングと繋がれている金具を外すための物である。
「はい。持ってきたよ、お母さん」
「ありがとう。じゃあ戸棚の左側の下に金具が付いてるでしょ。それ外してくれる?
竜河は頷くと、カギを外した。大河が「よいしょ」と踏ん張ると、戸棚の下についていたタイヤが回り、扉が
出現する。そこにはかつての竜児の部屋があった。
竜夜と竜河を迎えに行った後、大掛かりな工事を業者に頼み、竜児の部屋を封印したきり
開けていないので、当然ドアノブも埃まみれである。
濡れた雑巾でキュキュッと拭きあげる。15年まではありえない手さばきであった。
ギィ…という擬音とともに扉が開かれる。
中は埃だらけで動くたんびに埃が舞い散る。昔と変わらない匂いに涙が流れそうになるが、グッと堪えた。
「へぇ…うちにこんな仕掛けがあるとは思わなかったわ」
「おぉ、なんか昔の映画みたいだ!壁に掛けてある動物の剥製模型の首を曲げると本棚がガーって開いてさ。
中には金銀財宝が隠されてて…。これが、父さんの匂いか。ちょっと掃除が必要だな」
うん…そうだね。と適当な返事をし、向かうのは当然机脇の収納スペース。
中にはダンボールがあった。これは…確か…あぁ、そうだ櫛枝に対する妄想グッズだ。
中を開けると昔と変わらない物がそっくりそのまま置いてあった。
車の中で聞くMD。櫛枝に対するラブレター。妄想ノート。そして櫛枝に渡すつもりであった髪留め。
パラパラ…とページを開くが、以前となんら変わりはない。と思えた。
しかし、途中で異変に気づく。櫛枝という名前は一つもなく、全て「大河」に変わっていた。
───逢坂大河に一生を捧ぐ───
これで終わり。思いついたら書いて思いついたら書いての繰り返しだから、
文面が子供っぽかったりすると思います。
自分も楽しく書かせて頂いたので、コメントがどうだろうと満足です。
反応次第で短いのも書こうかな。また機会があれば是非。
おまいは朝からなんちゅうものを・・・(´;ω;`)
夢オチ逆パターンを見た気がするけど、大河のほうが描写難しいよな。GJ!
モニタが歪んでよく見えないんだが
188 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 11:50:10 ID:TO1LKJkP
よくやった
あー、脱獄した後の成り行き書くの忘れてたorz
ルカは俺の嫁
近所の公園で子供たちが遊ぶ声が聞こえる。夏の間、暑くて仕方のなかったこの部屋も、
9月が過ぎ、10月に入ってからはすごしやすい日が続いている。日当たりは悪いが、
入ってくる風は心地よい。
「大河、話がある」
「何?」
真剣な声の竜児に、大河が少しおびえたように答える。
「先週、断られたけど、俺はお前の親ともう一度話をしたい。俺がお前をどれほど
愛しているか、きちんと説明する。入籍だけでもさせてくれと頼む。その上でだめだと
言われたら、どうするか、俺たちはちゃんと考えなきゃならない。先延ばしはできねぇ。
今考えるんだ」
少し間をおいたあと、大河が深い深いため息を一つつく。そして、久しぶりに聞く低い声で、
「竜児、あんたやっぱ駄目だわ」
と、いきなり心臓をひと突き。
「なにっ、お前」
起き上がろうとする竜児に「だめ!」と大きな声を上げて制止する。
「竜児、ちゃんと聞いて。私はね、先週あんたがうちの親に正式な結婚話を断られた
ことで深い深いショックを受けているの。傷心なの。だけど、いつまでも子どもじゃ
ないんだから、立ち直らなきゃいけない。だから、一所懸命けなげに頑張っているの。
痛む心に耐えて。なのにあんたは何?今から計画を練り直せ?どんだけ事務的なのよ。
それもよりによって、せっかくのロマンチックな時間なのに」
唖然としている竜児をほったらかしにして、大河は続ける。
「あんたの無神経さにはほとほと驚かされるわ。ねぇ、竜児聞いてる?私はっきり
わかったわ。あんたについて行ける女の子なんて居ない。あんたみたいな朴念仁の
炊事洗濯料理オタク犬なんかについて行ける女の子なんていないの。たとえ恋人が
できても、すぐに愛想尽かされるに決まってる。だから、あんたが私という天使に
巡り会ったのは60億分の1の幸運なの。わかる?」
「人類の人口の話をしたいのなら、女の数はその半数だ」
ようやく立ち直った竜児が憮然と突っ込む。しかし、大河は無視。
「お黙り!ステイ!ちゃんと聞いて。だから、あんたはこの先私を離しちゃだめ。
あんたみたいな駄目犬に関わってくれる心の広い女は私だけなんだから。私の手を
離しちゃだめ。わかった?」
いきなりの方向転換に竜児はほんの少しご機嫌斜めだが、この程度の気まぐれにいち
いち目くじらを立てているようじゃ、大河とは付き合えない。
「わかってる」
「ほんとにわかってる?絶対離しちゃ駄目よ」
「離さない」
「ほんとにほんとに離しちゃ駄目よ」
「決して離さない」
「何があっても離さないで」
「何があっても離さない。そう決めた」
「絶対、絶対…」
「なにをそんなに怖がってる」
低い声を作って竜児がさえぎる。
大河が息を呑み、小さな手のひらで竜児のパーカーを握り締める。竜児から大河の顔は
見えないが、何が起きているかは何となく想像は付く。
大河の泣き虫が始まりそうだ。
少し、間があった。
「竜児」
「おう」
「あんたは知ってるよね、私は『手乗りタイガー』なんて呼ばれてるくせに、本当は
どうでもいことにまでびくびくしながら生きてる」
「ああ、知ってる」
だから竜児は、大河の手を離しちゃいけない、と思うようになった。
「でも、私が今、本当に恐れているのは1つだけ」
竜児は天井を見つめたまま。大河は竜児の胸に顔を押しつけたまま。
「私は、あんたが私に愛想を尽かす日が来るのが怖い」
「そんな日は来ねぇ」
即答する竜児を
「お願い、聞いて」
大河がさえぎる。
「あんたは…ドジで、何も出来なくて、わがまま放題の私に手をさしのべてくれた。
変われとも何とも言わず、ただ黙って手をさしのべてくれた」
竜児は、黙って天井を見ている。
「何て私は幸せなんだろう、って思うよ。けどね。このまま結婚したら、
私たちどうなるんだろう」
「…二人で、幸せになる」
「あんたは私のためにきっと一所懸命働いてくれる。私のために朝から晩まで働いて、
おいしい料理を作って、きちんと掃除と洗濯をして。でも、私はあんたのために
何をするんだろう」
「横に居てくれればいいんだ」
「私は何も出来ない。あんたの『お前は支えになってくれている』という言葉を信じて、
にこにこしているだけしかできない。あんたに料理を作ってあげることも出来ない。
きっと掃除も洗濯も駄目。頑張ったところで、あんたをいらいらさせるだけ」
「そんなこと」
「お願い、竜児。聞いて」
大河は竜児に最後までしゃべらせない。
「私はそんなのは嫌。そんなことをしていたら、いくらあんたが頑張っても、
いつかは私に愛想を尽かす。そうでなければ、あんたは倒れちゃう。そんなのは嫌。
私はそんなのは嫌」
「…どうしたいんだ」
涙が、大河の目からポロリと溢れて落ちる。竜児から見えないところで大河は泣きはじめた。
それでも、何が起きているかは竜児にはわかっている。だって、声を聞けばわかる。
「竜児。私に時間をちょうだい。お料理も、お洗濯も、お掃除も、ちゃんとあんたのために
出来るようになるから。時間をちょうだい。私グズだから時間が必要なの。お願いだから…」
大河が言葉を切る。
「結婚を…待って」
嫌な鳥肌のようなものが、竜児の体を走った。大河の口からは聞きたくなかった。
考えるだけで心が打ち沈むような一言。
でも。
それはお前の本心なのか。と、竜児は天井に問いかける。
俺がどうしなければならないか、本当は俺の中ではもう答えが出ている。あとはお前の
気持ちを聞くだけだった。今、口にしたそれは、お前の本心なのか。
その、涙にかすれた声で言った一言は、お前の本心なのか。
「竜児…ごめん。待ってほしいの…時間をちょうだい」
天井をいくらにらみつけても、天井は何も答えてくれなかった。ただ、大河が泣きながら
時間をくれと繰り返すだけだった。
それはお前の本心なのか。
また、いつものように自分の中だけで苦しんでいるんじゃないのか。だって、
俺の胸はこんなに痛い。いつもの泣き虫なら、こんなに痛いはずが無い。
「お前は花嫁修業をしたいのか」
ようやく泣き止んだ大河が、うん、と胸の上で頷く。
「その間、俺はどうしていたらいい」
「…大学へ…行って」
「嫌だと言ったら」
「お願い、時間が必要なの」
涙をこらえながら、ただ、そう言う。
そっと背中に回した腕を、大河が慌てて拒む。まだだめだと。いったいどういう事だ。
「まだ、ちゃんと返事を聞いてない。竜児は、ずっと待ってくれるって思ってた」
「待つつもりだった。お前が帰って来るまで俺はいつまでも待つつもりだった。でも、
お前は帰って来ちまった。お前の声を聞いちまったから、お前の顔を見ちまったから、
俺はもう」
と、出てきた言葉を。
本当は飲み込みたかったが、とめられなかった。
「こらえきれるかどうか、わからねぇ」
かすれる声で、そう言った。
胸の痛みに苦しみながら、ぼんやりと、竜児はバレンタインデーの頃を思い出していた。
大河は竜児に何も知らせず、声を上げずに泣いていた。こいつはそんな女だ。
一番つらいことは竜児には教えない。一番つらいことは、いつも自分で抱えて
一人で苦しんでいる。
泣き虫のくせに。
弱虫のくせに。
「時間を…頂戴…」
大河が涙声で哀願する。
「竜児お願い…私を待っていて」
カーテンが風に揺れる。
「嫌だ」
竜児の強い声に大河が泣くのをやめる。顔を起こして目を丸くする。開いた口を振わせる。
「…どうして?」
「お前は、本心を言ってない」
悪い癖だ。
一人で抱え込んで苦しみやがって。
「大河、お前の本当の気持ちを聞かせろ。お前が本当の気持ちを言うまで、絶対
言うことなんて聞いてやんねぇ。お前が一人で苦しいのを抱え込めばいいなんて
思っているうちは、絶対話しなんて聞いてやんねぇ」
声を出すことができず、ただ、唇を震わせている大河に、竜児がもう一度言う。
「大河、本心を聞かせろ。俺には言っていいんだ、本心を。わがままを言え」
紅潮した頬に、涙があふれ落ちる。もう、ずっと前から涙でぐしゃぐしゃの顔では、
涙の雫なんてきれいなものは落ちていかない。ただ、ただ、次から次へと涙が
流れ落ちていく。
「私は…私は…本当に竜児の役に立ちたい…嘘じゃない」
竜児は天井をにらみつけている。本当の気持ちを聞かせろと天井をにらみつけている。
「私は何も出来ないから…本当にお料理が出来るようになりたい…本当だよ…」
大河が苦しげに喉をならす。
「でも…ぐずだから…お料理を覚えるのに時間が必要なの」
パーカーをぐっと握って目をつぶる。涙がぽたぽたと竜児の胸に落ちる。
「だから…だから」
あうあう、と大河が口を動かす。喉に詰まったものの痛みに身をよじる。そして苦しげに、
なくなってしまった空気を探すようにあえいで、
「だけど…もう待てないの!」
とうとう本当のことを言った。
「竜児に!いますぐ連れて逃げてほしい!」
おいおいと泣き始めた。
「けど、そんなのは駄目だって分かってる。そんなことじゃ幸せになれないって、
ちゃんと分かってる」
精一杯の努力で自分の心の中に作り上げた虚構が粉々に砕ける痛みに、大河が身をよじる。
さっきから竜児の胸の奥をいたぶっていた何かが、新しいおもちゃでも見つけたかのように
心臓をぎりぎりと締め上げる。
「なのに、もう待てないの!今すぐ竜児と一緒になりたいの!でも、それじゃだめなの!
分かってる…どうしたらいいか分からないの」
ごめんなさい、ごめんなさいと泣き続ける大河の声を、竜児はじっと聞いていた。
とうとう本当のことを言ってくれた。隠し持っていた、焼けた鉄の塊のような苦しみを、
竜児に見せてくれた。
でも、その鉄の塊を受け取った竜児も、ただ自分の手のひらが焼け爛れていくのを
見ていることしか出来ない。
「どうしたらいいか分からないの…」
泣き続ける大河に言葉をかける。
「大河、俺も同じ気持ちだ」
手を頭の後ろに組んで、天井を見つめながら。胸にしがみついて泣き続ける大河に、
つぶやく。
「お前と、今すぐにでも一緒になりてぇ。それじゃ駄目だと分かってる。お前の
親父さんが言ったように、大学に行くのが正しいことなんだとわかってる。人が
言うからじゃない。自分で考えてそう思う」
けど、だめなんだよ。と、竜児は思う。
「お前が愛しくて、愛しくて、俺の心も体もちぎれそうだ」
大河がいっそう強い力でしがみつく。
お前は俺の半身だ。お前が泣けば、俺の心も泣く。
大河の本心を聞けた。だけど、聞くことが出来ただけで、その痛みを和らげてやることは、
出来なかった。今連れて逃げれば、大河の気持ちを満たすことは出来る。でも、それは
正しい方法ではないと、竜児にも大河にも分かっている。そして、大河をかばいながら、
正しい方法の痛みに立ち向かう力が自分にあるかどうか、竜児にはもう、わからない。
ぼろアパートのベッドの上で重なり合ったまま、二人は前に進むことも、
後ろに戻ることもできなくなってしまった。
バレンタインデーの夜、泰子が逃げたこの部屋で一人泣き叫んだ。自分の無力さに
泣き叫んだ。大河にそばにいてほしいとその名を呼んだ。
今、大河は望みどおりそばにいる。でも、自分の無力さは何一つ変わっていない。
大河を幸せにしてやると、誓った。大河を取り巻くすべての人と一緒に幸せにしてやると願った。
そのために、すべての苦痛を自分が引き受けると誓った。
でも、許してくれ、大河。それは出来そうもない。
俺にはやっぱり、お前の支えが必要だ。俺の痛みを、半分でいいから支えてくれ。
そうすれば、俺はもう一度歩ける。お前の痛みを半分だけ、引き受けてやれる。
二人震えながら身を寄せ合って、道はあっちだと、指し示してやれる。
それなら、できる。
それしか、できない。
窓からそっと流れ込んでくる10月の空気が、ベッドに横たわる竜児と、泣きじゃくる
大河を包んでいる。ひんやりとするその空気を肺いっぱいに吸い込むと、竜児は一言
「大河っ!」
と、何よりも大事な女の名前を大声で呼ぶ。
突然大声で名前を呼ばれて、大河がはっと顔を上げる。嗚咽に体をひくつかせているが、
びっくりして泣き止んでいる。顔はぐしょぐしょ、幼稚園児だってこんなには、
と思うほど涙にぬれている。でも、竜児は見ていない。手を頭の後ろで組んだまま、
天井をにらみつけている。
「大河、よく聞け」
しっかりと、大河の頭にしみこむよう、はっきりと大きな声で竜児が話す。
「俺は、大学に進む!勉強して、誰にも文句をつけられない仕事に就く!」
大河は息を呑んで竜児の声を聞いている。
「そして、必ずお前と結婚する!だから、それまで待っていてくれ!」
凍りついたように竜児を見ていた大河が、発せられた言葉の意味に体を震わせる。
そして、ちいさな、ちいさな、かろうじて聞こえる声で、ようやく
「うん」
と。
しかし、竜児はそんな返事では許さない。
「聞こえねぇ!」
大河にはっきり返事をしろと言う。
震える唇を精一杯開いて、搾り出すように大河が返事をする
「うん、待ってる」
それでも竜児は許さない。
「だめだっ!聞こえねぇ!」
大河の目から、ぽろぽろと涙がこぼれて、ぐじゃぐしゃになった頬を流れていく。
もう、どれだけ涙が流れたのか、わからないほど泣いた。
「私、竜児を待ってるっ!竜児が迎えに来るまで待ってるっ!」
返事は泣き声に変わり、泣き声は悲鳴にも近い苦しみの声に変わる。
絹を裂くような声で、竜児、竜児、と大河は叫ぶ。胸にしがみついて苦しそうに泣く大河を、
漸く竜児の腕がつつみこむ。なぜ大河がその腕を拒んでいたのかは竜児には分からない。
でも、泣きじゃくる大河はもう、抗わなかった。強い力で抱きしめられて、竜児の
名前以外の言葉を発することも出来ず、ただ、ただ、大声で泣きじゃくった。その声が、
何度も何度も竜児の胸を引き裂いた。痛みで竜児を打ちのめした。
「すまねぇ、大河。申し訳ねぇ。俺はお前の痛みを半分しか引き受けてやれなかった」
竜児の目から、涙がこぼれる。
◇ ◇ ◇ ◇
大河。
俺たちは、たぶん負けたんだと思う。
俺たちは、大人から逃げようとして、だけどその方法では幸せになれないと気づいた。
だから、大人たちにちゃんと認めさせて、正式に結婚しようと思った。けれど、それも
結局許してもらえなかった。大人たちが許してくれないと、俺たちは結婚できない。
俺たちは子供だ。
俺は、それを思い知ったよ。どれだけ甘い考えだったか思い知った。すまねぇ。大河。
このゲームのルールを決めているのは大人たちだ。だから、俺たちはそのルールに
従わなきゃならない。そしてそのルールには、今すぐ結婚して幸せになるという
終わり方が無いことに、俺はやっと気づいた。
俺たちは、負けたんだ。
俺たちガキは、待つってことができない。だから、今すぐ結婚したいと俺もお前も
強く思った。だけど、大人たちは待つことが出来る。だから、俺たちに待てと言う。
俺たちはこのゲームに負けた。だけど、俺はもう一つ気づいた。このゲームは
負けて終わりのゲームじゃなかった。大人たちは待ってくれている。もう誰も俺たちに
別れろなんて言わない。俺たちが、もう一度このゲームに大人として参加する日を
待ってくれている。
大河。お前と今、一緒になれなくて悲しいよ。お前のことを考えるだけで、俺は胸が
張り裂けそうに痛む。大学を出て、就職して、お前と結婚するまで、たぶん5年かかる。
その時間を考えるだけで、俺は気が狂いそうになる。
自分だけで、お前を守りきれると本気で思っていた。だけど、本当の俺は、一人では
立っているのもやっとだった。本当にすまねぇ。
だから大河、俺を支えてくれ。俺がお前を支えるから。俺たちの腕は細いけど、
きっとふたりで支えあっていれば、なんとかなる。
俺とお前は、たぶん、ずっとそんな風にやっていくことになる。そう思うよ。
◇ ◇ ◇ ◇
月曜日の朝、マンションから出てきた大河は目を丸くした。
「竜児…」
おう、と声をかけなかったのは照れ隠しか。竜児は片手を上げて、大河に微笑んだ。
「すまねぇ。来ちまった。お前は笑うかも知れねぇけど、心配で」
そう話す竜児に、大河はやわらかく微笑みかえす。
「ううん。ありがとう」
二人並んで歩き始め、どちらからともなく、手を握り合う。
昨日より、少し冷える。しばらく黙って歩いた後、竜児が語りかける。
「今年はちゃんと冬の準備しとけよ。去年みたいにマフラー取られるのは嫌だからな」
「え、貸してくれないの?」
「去年は特別だ。同じドジ2回繰り返してどうすんだよ。ちゃんと準備しとけ」
「ちぇっ」
誰かに聞かれるのを恐れているわけでもない。でも、二人は少し冷えて来た空気の中、
いつもの元気な声ではなく、ほんの少し押さえた声で話す。そうしておけば、二人が
静かに育てると決めた何かを壊さなくて済むみたいに。
◇ ◇ ◇ ◇
だからなんで今日はモニタが歪んでんだ
>>190 私鉄某駅の改札に涙目のメガネ駅員がいたら俺だと思ってくれw
とにかく乙
松岡修造思い出したのは俺だけでいい
>>199 会話と心象だけでこれだけの文が書けるのがうっ、うらやましくなんかないんだからっ・・・!!グスン
205 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 15:29:37 ID:Hi3HBnjQ
206 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 15:34:45 ID:Hi3HBnjQ
大河と竜児がここまで「見える」人が本当にうらやましいよ
>>199 素晴らしすぎる。GJ
本編、アニメを見てから2人はこうあってほしいと思うことを
見事にかいてくださる。
続きを楽しみにしています。
モニターが霞んでよく見えない…GJ!
ドラマCD、なんで2巻を3巻にしなかったんだ
3巻が尻すぼみ過ぎる
209 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 18:58:26 ID:odqNhxAN
211 :
210:2009/04/25(土) 19:18:43 ID:ajiL5zoE
なら絶叫は貰っておく
213 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 19:58:50 ID:odqNhxAN
亜美ちゃんもらおうと思ったけどやっぱいらない
215 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 20:00:43 ID:odqNhxAN
>>214 じゃあ奥さんとセクロス実況の刑
あれ?
あみは俺のだからごめんな> all
217 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 20:22:54 ID:odqNhxAN
脇役四人組のスレ落ちちゃったのれす…
需要あるなら立てる
218 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 20:27:46 ID:odqNhxAN
西洋占星術やってる身からすると
架空のキャラとはいえセオリーに当てはまってるのを見るのは面白いな
竜児のあの偏執的几帳面さは1990年生まれの牡牛座にはぴったり当てはまる
てか竜児だけなんだな生まれ星座が設定されてるの
あと水星が逆行とかアニメスタッフに西洋占星術かじってるやつがいるな
1979年生まれの水瓶座も頼むw
ちなみに掃除も料理も大好き
>>218 アニメで竜児がいった「おうし座」って、真島のいい間違いじゃないの?
バレンタインの日に「あと2ヶ月で18になる」って言ってるし、「おひつじ座」じゃないと
大河の「ジンギスカンっておいしいよね」にかみ合わない。
水星の逆行は原作通りのネタ。
>>216 裏口じゃないようだな。
221 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:03:41 ID:iwwg9s+T
北村「裸になって何が悪い!ったく!ちょっと公園いって叫んでくる」
竜児「やめろー!それだけはやめてくれ!!」
俺の文章力じゃムリだ。誰か続きタノム。
>>221 竜児「大河、おまえも止めてくれ」
大河「…北村くんのより、竜児のワカメの方がもさもさしてる」
竜児「ちょっ、お前どこ見てんだよ///」
223 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:15:45 ID:odqNhxAN
そんなに強烈な配置は無いな…と思ったけど
1月28日前後(新月の日)に生まれた人は意志が強く行動力があるけど
(水瓶座太陽・月・火星の合に獅子座の木星との180°)
結果をすぐに求めたがるので結果が出ないと怒りっぽくなり
他人にもそれを求めるので(なんでお前はこれ出来ないの?みたいな感じ)
孤立してしまいがちなところがあるというところかねえ
とらドラにはこういうキャラいないのが残念
すみれ兄貴が多少近いかもしれん
224 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:16:39 ID:odqNhxAN
>>223 思いっきりスレチだけど
1990双子座と水瓶座もお願い><
なんかメルヘンだな
227 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:27:28 ID:gI53Eq1B
>>222 大河「私のも、みていいから…///」
竜児「おう!?い、いいんだな…?」
228 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:34:16 ID:odqNhxAN
デート中に占いの館を見つけた二人
竜児「おっ、星占いか。ちょっと寄っていいか?」
大河「なぁにアンタ、占いなんか信じてるの」
竜児「結構気にするタイプなんだよ俺」
大河「まったく男のくせに…まあいいわ、つき合ってあげる」
店員「相性ですか?こちらにお二人の生年月日お書きください」
竜児「だってさ(カキカキ)ほら大河」
大河「めんどいなあ…(カキカキ)はい書いたわよ」
店員「前のお客様が終わるまでお待ちください。その間にお茶をどうぞ」
大河「(ムシャパクゴクリ)このスコーン美味しいわね」
竜児「どれどれ…(ムシャムシャ)今度作ってみるか」
大河「わぁい」
占い師「お待たせしました次の方ドゾー」
竜児「すみません、俺と…彼女の相性とか見ていただきたいんですが」
占い師「はい(と言ってプリントアウトした紙を取り出す)…あーこれはすごいね」
竜児「ど、どうなんですか?」
占い師「結論から言うとすごくぶつかりあうし、どっちも頑固だけど…」
竜児「は、はぁ」
占い師「その代わり、困難を乗り越えると絆が深まるタイプ」
大河「!!」
占い師「あと、二人とも恋愛に関しては真面目だし浮気はしない」
竜児「はい」
占い師「もし結婚するんだとしたら離婚は絶対しないですね」
竜児「実は俺たち婚約してるんです」
占い師「おーそれはよかったですね。ただ」
竜児「ただ?」
占い師「彼女の尻に敷かれやすいところあるからたまには旦那を立てること」
竜児「だってさ、大河w」
大河「…何よ、うるさいわねぇ」
占い師「とにかく、珍しいくらい強烈に惹かれあう関係ですね。運命の赤い糸というかワイヤーロープ」
大河「/////」
その後もこれからどうなるかとかいろいろ教えてもらったけど
大河はずっと顔真っ赤にしっぱなしでしたとさ
占い師「あんなに強烈に結びついてる二人は久しぶりに見たね〜」
229 :
225:2009/04/25(土) 21:34:18 ID:yGTP4bLD
>>227 大河「んっ///」
竜児「おぅ!?………へ?」
大河「な、何よ?」
竜児「……脇、なのか?」
大河「ほかに何があるってのよ」
231 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:48:35 ID:odqNhxAN
何このスレの水瓶座率の高さ
さすがマニアの星座だな
実は俺もそうなんだけど
>>229 1991年はそんなに強烈な配置無いんだよね
強いて言えば1991年2月5日〜15日生まれの人は
どうしようもないくらい自信過剰になりやすい(太陽・冥王星90度)があるくらい
いろいろデータ見て何座生まれかというよりも天体同士の取る角度で
欲求の方向性が見えて個性がわかるんだけども
一ヶ月単位だと細かくは見れない
出生時刻がわかればベストだしそうでなければ生まれた日付がわかればいいんだけど
そこまでやるのはこのスレでやるネタじゃあ無いねぇ
それに強烈な配置が無いということは逆を言えば無難なんですよ
232 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:51:35 ID:iwwg9s+T
>>230 大・竜「ウフフフフ…あ、北村のこと忘れてた…」
233 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:53:04 ID:odqNhxAN
大河の腋って元からトゥルトゥルな気がする
>>230 「まてまて、ワカメって言い出したのは櫛枝だぞ。川島の別荘でな」
「だから何よ」
「あのとき櫛枝がワカメって言ったのは、俺がギリギリで隠した北村の股間だ」
「だだだだだからそれがなななんだっていうのよ」
「お前、さっき何処見てた。正直に言え」
「うるさーい!このエロ犬!」
「エロって認めたな。よし、お前の見せてみろ」
竜児が犯罪モノの笑みを口元に浮かべ、目にギラリとした狂気を走らせる。
裸にひん剥いて恥ずかしいところまで見てやろうと思っているのだ。
これが恐怖に震える女子高生になされるのなら5年はぶち込まれるところだが、
大河は羞恥と喜びに頬を染めているので特に問題は無いだろう。
問題は二人が夫婦漫才を繰り広げている間に、北村が全裸のまま
公園に行ってしまったことである。
236 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 21:59:21 ID:odqNhxAN
>北村が全裸のまま公園に行ってしまったことである。
おいwwwwwwwwwww
北村「うおおお〜〜!」
バッ!
竜児「くそ!これ以上脱がせるわけには…!」
大河「りゅーじぃ〜?何してるの?」
竜児「ハッ…来るな大河!」
大河「?」
北村「いくぞーーー!」
ババッ!
竜児「ヤバい!でやがった!」
大河「何が…入るわよ?」
竜児「やめろ〜!!」
ガラガラ
ヒュン!
大河「え?」
北村「ハッハッハッハ〜!今いくぞ!つ〇し〜っ!!」
バタン
竜児「おい大河!大河!しっかりしろ!」
大河「………竜児…また会ったわ……」
竜児「…え?」
大河「やっぱりいたんだわ………ワカメの……お…化……け…」
竜児「……誰か助けて下さい〜〜〜!!」
北村「裸で何g」
亜美「死ね!3度死ね!!」
櫛枝「おヌード(ry」
何か違うな
スパイスが足りない
>>223 当たってる。
口より先に手が動く、やってみないと気がすまない、
人がもたもたしてると俺に貸せ!になる
怒りはしないけど、人の仕事とりあげるのである意味ウザイw
239 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 22:10:21 ID:odqNhxAN
竜児は原作ではうお座と言っている不思議!
正確には2巻164ページ。
原作とアニメじゃ別物だしいいか。
アニメじゃ大河に弟もいないしな
241 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 22:12:00 ID:odqNhxAN
242 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 22:15:27 ID:odqNhxAN
>>240 架空の人物だからしょうがないね
アスペクトだけで見るならどの生まれ星座になるかわかんないし
あとアニメだとまだ生まれてないけど実母が妊娠中
24話のBパート
>>239 わざわざありがとうw
水瓶は友達なんだが結構当たってるw
しかしいろんなスレがあるんだな。
後さっきからスレチな連レスすみませんでした。
>>240 あ、本当だ。じゃぁ、原作でも雪のバレンタインデー時点で16歳じゃん。
245 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 22:23:38 ID:odqNhxAN
(´-`).。oO(牡牛座にしても魚座にしても受動星座生まれなんだね竜児…)
246 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 22:27:43 ID:iwwg9s+T
>>237 その頃北村は、「おっ!いたいた!お〜い、つ○し〜!一緒に遊ばないか〜!!」
248 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 22:45:56 ID:odqNhxAN
そういえばテレ東でのオンエア終わって一ヶ月経ったんだな
1週間2週間ならまだ余熱が残ってるけど一月経つと寂しいな
俺の県は地上波でやってなかったからAT-Xで見てたけど
しかも1月から見始めたから後半のシリアスメインな大河×竜児しか知らなかったし
原作も10巻とスピンオフ2を入手したばかりだし
まさかここまでハマるとは思わなかった
で今に至るとw
>>199 マジで泣けた 共感できて
まだ続くんだよね?
で、感動した後に裸族な流れワロタwww
このスレやばいぜ 好きすぎて
>>249 ありがとう。
原作読んで、「竜児と大河は、このままじゃ済まないだろう」と思った勢いで
書いているんだが、書きながら賢者モードに入ることがある。SS書いてる
俺ってキモイ(w
なんで、こうやって共感してくれたとかいうコメントは本当に嬉しい。
もうちょっと続くよ。亀仙人的な意味で。
10月3回目の日曜日、竜児と大河は気分転換のために発奮して足を伸ばすことにした。
足を伸ばすとは、30分ほど先の乗り換え駅まで行くことであり、発奮とは片道
480円ほどの電車賃を払うことである。無駄づかいなどもってのほか。竜児が
ああいう性格ということもあって、普段二人はあまり派手なところには行かない。
しかし、もともと高級品に囲まれて育ったうえ、ファッションにもこだわりのある大河だ、
ショッピングが嫌いなはずはない。
だから、二人でウィンドウ・ショッピングでもしようかと言うことになった。
大河の好きなデザインを扱っているアパレル・ショップをぶらぶらし、竜児の好きな
デザインを扱っているキッチン洋品店を(万引と間違われないよう)ぶらぶら歩く。
何もしない、何も決めない贅沢な時間を過ごしながら、二人で手をつないで歩く。
どこがと問われると答えに窮するだろうが、二人に親しい人物、たとえば櫛枝実乃梨に
聞けば、以前とは何かが変わったと言うだろう。
何か変わったか、と二人に聞けば、竜児と大河は顔を見合わせて困ったように笑うだろう。
結婚を先延ばしにすると泣きながら決めたことで、二人は余分な時間を手に入れた。
毎晩のように二人を苦しめる激しい胸の痛みは別として、あせる必要がなくなった
のかもしれない。川島亜美なら、それをモラトリアムと言うかもしれない。
「ねぇ、竜児。この後買いたいものがあるんだ。寄ってっていいよね」
「いいぞ。何買うんだ?」
「マフラー買って竜児にプレゼントしてあげるの!」
と、大河はうれしそう。しかし、
「はぁ?うれしいけど、泰子から買ってもらったあれ、まだ使えるぞ」
少々複雑な面持ちで竜児が言う。何しろ去年まで竜児は胸を張ってマザコンを
自称するほど母親を大事にしていたのだ。今年の頭にあった一件で、幾分親離れが
出来ているとはいえ、親にもらったものなら体だろうがマフラーだろうが粗末にはしない。
しかし大河は若干斜め上で
「そ、MOTTAINAIからあのマフラーは私に貸して?やっちゃんにはちゃんと
私から話をしておくから」
などと言う。
「お前」
目を押さえながら、「いつも、このくらい分かりやすい奴だったらいいのに」と
竜児は苦笑する。
「はいはいわかりました。ちゃんと泰子に説明しろよ。こういう言い方は嫌だけど、
あれは泰子の給料からすると相当高かったんだぞ」
しつこいくらい釘を刺してくる竜児に大河は、
「わかってる。ちゃんと説明する。私だって今はそんなにお小遣い無いんだから。
もし、駄目って言われたら、新しく買うマフラーは私が使う。で、竜児に貸すから
ちゃんと匂いつけして返してよね」
と、「お父さん臭い」などと娘に言われてへこんでいる全国の父親が聞いたら
泣き出すようなことを言う。
「お前の考えることはどんどんめちゃめちゃになっていくな」
竜児のぼやきなど聞こえぬ風に、大河は紳士用品売り場でマフラーの品定めを
うれしそうに始めた。あれにしようか、これにしようかと目を輝かせてマフラーを
選ぶ大河を、つい今し方のぼやきも忘れて竜児は目を細めて見ている。自分のために
マフラーを選んでいる恋人を見ているのだ。あれこれさっ引いても、幸せな気分に
浸ろうというものだ。
が、やはり喧噪の中に生きる運命か。日曜日とはいえ、それなりに落ち着いた雰囲気の
紳士用品売り場で、大河が
「きゃーっ!」
と、押し殺した悲鳴を上げたのは5分ばっかり物色を続けた後のこと。
竜児、これ見て、といわんばかりに目を見開き、その場でじたばたと足踏みをしている。
小さな可愛い手に握られているのは、どこかで見た男物のカシミアのマフラー。
「おう、よく似てるな」
「違うわよ、同じよ、同じ!」
いったい違うのか、同じなのか。妙に興奮した様子で大河が竜児に笑う。
その取り乱した喜びように、竜児は首をひねる。泰子の生霊でも乗り移ったか。
それは困る。ただでさえドジなのに、この上頭のねじまでばら撒かれたのでは手に
おえない。いくら竜児でも二人分の頭のねじの面倒は見切れない。
「私これ買う!」
と、はしゃぐ大河を、竜児がなだめる。
「落ち着けって。これ、俺にプレゼントしてくれるんだろ、同じものにしてどうすんだよ」
「いいじゃない、おそろいよ!私これにする!」
へらへらと笑いながらマフラーを抱きしめる大河に、竜児が説得を続ける。
「ばか言え、お前貸したり借りたりするつもりなんだろ。考えてもみろ、絶対どっちか
わからなくなるぞ。俺は泰子から貰ったマフラーも、お前がくれるマフラーも大事に
したいんだ。ごっちゃにするなんて、嫌だからな」
しかしながら、大河様は名案を思いついて竜児の説得を一蹴。
「じゃぁ、竜児、名前刺繍して!」
「はぁ?」
マフラーに名前を刺繍?カシミアが泣くぞ。
そんな竜児のマフラーへの暖かい心遣いはどこ吹く風、
「なんて刺繍してもらおうかな。Taiga? Ryuji? はっ!T to R? どうしよう、決まらない!」
マフラーを抱きかかえたまま、新しいアイデアが浮かぶたびに大河は、くねっ、
くねっと体をよじる。
こんなところで知り合いに出くわしでもしたらどうなるだろう、と竜児は考える。
たとえば、あのかわいそうな富家あたりは、腰を抜かして驚くかもしれない。
亜美が見たらマシンガンのように侮蔑の言葉をあびせかけるだろう。案外、
春田あたりは大河のひとりバカップル・オーラに同調して、へらへらくねくねと
一緒に踊ってくれそうだ。
◇ ◇ ◇ ◇
買い物は終わったが、お昼を食べるには少し早い時間だった。
ぶらぶらと二人で街を歩きながら、のんびりと休日を楽しむ。
大河はマフラーの入っている紙のバッグを大事そうに体の前で抱えている。
「そんな風に持つと…」と言おうとして、竜児はやめた。大河の笑顔を見ていると、
あまりにも自分が野暮に思えた。カシミアだし、少々きつく抱きしめても大丈夫だろう。
というか、今後予想される、大河の「殴った手の方が痛い」的な意味で愛情あふれる
少々手荒い巻き方を思うと、抱きしめたくらいでぺちゃんこになるようじゃ、困る。
まだ色づくには早いな、と竜児が銀杏の木を見上げている横で、大河が
「あっ」
と、小さな声を上げた。
頭の向いている方向を見やると、有名な大ホテルに大きな垂れ幕がかかっている。
「秋のブライダル・フェア」。
うっと竜児は息を飲む。大河が傷ついたのではないだろうか。というか、竜児も軽く
傷ついている。が、大河に関しては少し過剰に考えすぎていたらしい。
振り向いた大河は微笑みを浮かべて、
「ねえ竜児、行ってみない?」
と、問いかける。私ウェディング・ドレス見てみたい。
「おう、行って見るか」
大河さえOKならさほど異論はない。二人でホテルに向かう坂道を登って行く。
「俺はこんな大きなホテルを見るのは初めてだ」
「あら、電車から見えるわよ」
「そういう意味じゃねぇ」
などと話をするうちに、坂の上のホテルに到着した。
おお、これが回転扉か、などと感心しつつ押してはいる竜児に続いて、
大河がとことこついてくる。
◇ ◇ ◇ ◇
内部は、想像以上に場違いだった。
床はピカピカに磨かれたきれいな石で、天井は高く、曲線を駆使した優雅なつくり。
そしてもちろん、何百ものガラスからなるシャンデリアが頭上につるされており、
カウンターや行きかう人々、ソファや重そうなテーブル、時計や絵画をはじめとする
調度品を押さえたオレンジ色で照らす。
「俺たちスニーカーだぜ」
と、苦笑する竜児の背中をおどけたように大河が後ろからよいしょ、よいしょと押していく。
「大丈夫、お泊りじゃないんだから」
泊まりも悪くねぇ。いつかは大河をクリスマスにこんなホテルに連れて来てやって…。
と考える竜児は、発情した赤鬼のようだが、大河は後ろにいるので幸い罵声を
浴びせられずに済んだ。
ブライダル・フェア会場はこちら、という看板に導かれて別棟まで歩いてきた二人は、
終点で自分たちが大きな勘違いをしていたらしいことに気づいた。
フェアは予約制だった。
ロビーの隅っこで、しばしぼけっと突っ立って二人が観察したところによると、
どうやらこれは婚約して、会場を探している恋人達にウェディング・ドレスを見せたり、
披露宴で出される食事を食べさせることで、ホテルでの挙式へと導くためのお試し
イベントのようだった。
「有料の撒き餌ってわけね」
と、みもふたもない言葉で得心する大河に竜児が苦笑する。「私、
ウェディング・ドレス見たい」と、言った大河は可愛かったのに。
ちょっとがっかり気味の竜児をよそに、早くも立ち直った大河はせっかくだから
展示されているドレスだけでも見たいと言い出した。ロビーの数箇所に、
ショーケースがあり、マネキン人形が着物や十二単やウェディング・ドレスを
着飾って立っている。
ぶらぶらと二人で一つずつ見ていく。
十二単の前を歩きながら、私はちょっと違うかな、などと大河はつぶやいている。
「ねぇ、竜児はさ。2−Cの子だったら誰にこれ着せてみたい?」
いきなり素っ頓狂なことを聞かれて竜児が軽く切れる。
「何を言い出すんだよお前は!」
「大きな声ださないでよ。いいじゃない。私には似合いそうにないし」
動揺する竜児を他所に、大河のほうはあっさりしたもの。共通のクラスメイトの誰に
結婚式の衣装を着せたいか、などという恐ろしいことを平気で婚約者に問う。これが
男同士なら別に何の抵抗もない。相手が女でも、たとえば木原摩耶あたりとなら、
いくらでも馬鹿話として盛り上がることができるかもしれない。
しかし、目下アツアツ交際中の婚約者と、「あの娘なら、この婚礼衣装が似合う」などと
討論できるだろうか。いや、出来ない。
そう、考えるのだが、大河には倒置法が効かない。考えているだけだから普通の
文法でも効かないが。
「ねぇねぇ誰がいい?」
「うーん。十二単なら香椎かな。お姫様っぽいよな」
押し切られた竜児が、女子に聞かれたら即座にセクハラ妄想野郎の烙印を
押されかねないことを、とうとう口にする。
「なるほど、奈々子か。悪くないわね。そういえば、あの子あんたに料理教えて
ほしいって言ったわよ」
「残念ながら、あのキッチンには女は入れねぇ」
にやり。
竜児が凶悪な笑顔を浮かべる。香椎なら高値で香港に売れるだろう、などと思っている
わけではない。2DKの安アパートにあるささやかな自分の城を思い出しているだけである。
「なによ、私は女のうちに入っていないの?」
と、ふくれてみせる大河だったが、残念。
「知ってるか?嫁さんとお袋と娘は女のうちに入らないらしいぞ」
ニヤニヤ顔の竜司に言われて、3秒後、みるみるうちに赤くなる。この勝負、竜児の勝ち。
「そんなこと言っても駄目なんだから」
と、何が駄目なのかさっぱりわからないが、竜児は
「はいはい」
と、上機嫌。
しかし、
「で、これは誰?」
と、大河が前に立った着物を前に、竜児はハタと困ってしまった。
着物は日本の伝統衣装だが、じゃぁ竜児がそんなものを着ている人たちと会うかというと、
もちろんそんなことはない。2DKのぼろアパートと学校と、去年まで通い詰めた大河の
部屋を除けば、スーパーマーケット以外の世間をほとんど知らない竜児にとって、
着物というのは雑誌で見る写真にすぎない。そうすると、なんというか、クラスメイトの
年齢層と合わないのだ。おばさん?の着るものじゃないのか?十二単のほうが
現実離れしている分、想像しやすい。
「うーん」
かなり困ってしまった。
こういうどうでもいいことに真剣になってしまうのが、パラノイア体質の悲しいところである。
「竜児、そんなに悩むこと無いじゃない。ぱっと答えなさいよ」
と、大河の方も、振るネタを誤ったかと後悔気味。しかし竜児の方は旧2−Cの面々の
顔を右から左に真剣に思い浮かべている。
「あんまり元気な衣装じゃねーよな。櫛枝とか木原じゃねーんだよ。もっとこう、
地味な。うーん地味…」
いまいちぴんと来ない顔ばかり浮かんで首をかしげるばかり。大河の方が焦れて
「竜児、もう、いいわよ」
と、あきらめたところで竜児の頭のなかに光が差した。
「あ、あれだ」
「へ、誰?」
二人顔を見合わせる。旧2−Cで着物が似合いそうな、地味でちょっとおばさんくさそうな
人と言えば…
「独身(31)」
ぷっ、と大河が竜児の顔を見ながら、噴いた。続いて口を押さえるが、
「ぷぷぷっはははは、何それ、ははっ、ちょちょちょ、たはっ…あ、だめ!」
そのままその場に座り込んでしまった。よほど笑いのつぼにヒットしたのだろう。
竜児の方は自分が言ったくせに、
「お前、それ、いくら何でもウケすぎだろう。可哀想だぜ」
と、素知らぬ顔。
大河の方は、座り込んだまま「お腹痛い」「助けて」と、いいつつ、笑い溢れる
幸福な世界をさまよっている。たっぷり1分、声を殺して笑った後、
「はぁー、死ぬかと思った。ちょっと竜児、どういうつもり?私が死んだら殺すわよ!」
ようやく立ち直った。竜児の方は、
「知るか」
の一言。
続いて最後のウェディング・ドレス。これは鉄板。
「やっぱり大河が一押しだぜ」
と、竜児はニヤケて見せる。
が、大河のほうは旧2−C婚礼衣装GPで頭がいっぱいになっているのか、珍しく
赤面スイッチが作動しない。
「私はおいとくとして、次席は誰?」
と、何のひねりもなく竜児に聞く。さっきは赤面していたくせに。
熱い心をスルーされた竜児としては、幾分のがっかりを否めない。が、それでも
ウェディング・ドレスと言えば
「川島だろう」
と、思う。川島亜美。プロモデル。母親は美人売れっ子女優。8等身美人。
受け継いだ遺伝子もその発現型も反則という超サラブレッドをさしおいて、
ウェディング・ドレスが似合うクラスメイトを選ぶわけにはいかない。
きっと神様もこの判断には不服がないだろう。
「そうだよねぇ。ばかちーだよね」
と、大河もこの判断には不服のない様子。
そんなこんなで、花も恥じらう旧クラスメイト(と、お疲れ気味の元担任)を肴に
結婚式場の隅で地味に盛り上がる二人は、声をかけられるまで後ろに人が
近づいたことに気づかなかった。
「あの、お客様。お式のご予定はいかがですか?」
二人同時に振り返る。
「「へ?」」
◇ ◇ ◇ ◇
文が読み易い
260 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 07:37:44 ID:qf5591za
確かに読みやすいよな。
面白かった、続き期待してます。
独神はまだエブリデイ独身なのか・・・
262 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 07:55:06 ID:qf5591za
アニメでも小説でも番外でも妄想でもゲームでも独身って哀れだよな
独神に敬礼!!
264 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 08:53:13 ID:Yq6SMT6M
>>255 木原って原作だと「摩耶」なのか?
アニメだと「麻耶」だけど
独神…31哀スクリーム!
269 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 11:29:01 ID:noeqt1C6
全てMS-IMEが悪いということで…
あんまり細かいことはいいかも
小説板じゃないしさw
竜虎2828できればそれでw
271 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 11:55:31 ID:noeqt1C6
だな
俺も誤字脱字北村脱衣気にしないことにするよ
喜多村は気にしろ。
あるぇ?「きたむら」を変換したらキタエリ様のほうになっちゃったよ?
ああ、今回もGJでした!
「うっ…竜児、なかなか入らないよ…」
「…もう諦めたらどうだ?何回やっても入りそうにないぞ」
「やだ!一つだけだから……できそうなんだもん、あ、イく!」
「おっ…あァ…ダメか…」
「うぅ…なんかヌルヌルしてるんじゃないの!?」
「んなわけあるか!また今度にしよう。な?」
「だから諦めないっつってんでしょ!?赤ちゃん欲しいもん!」
「…しょうがないな。あんまり騒ぐなよ?ラストチャンスだ」
「分かったわよもう……それっ」
「おおぅ!これは来たかもしれん!」
「あぁ…イく!イったぁぁ!」
「おお凄いなお前!苦労が報われた!」
「やった!熊の赤ちゃんゲットォ!」
「…あのさ、大河に高須君…間際らしいよ?輪投げごときにさ」
正直すまんかった
>>259-272 みんなありがとう。そしてすまん orz
誤字脱字は指摘してくれると未投下分に反映できるので、教えてほしい。
でもみんなの優しい気持ちはほんとに嬉しいぜ!
罪滅ぼしにひとつ自白しておく。
>>192 いくら大河でも「炊事洗濯料理オタク犬」って、変だ。
>>192 だった…
おまけに
>>276 あせって、タイトルつけてる…
いろいろお詫びに小話を一本。
--------
「おーい大河、明日も早いんだから寝るぞ」
「うん、いま行くー」
ベッドルームに猫の足跡をあしらったネグリジェ姿ではいってきた大河は、竜児が
上掛けをめくった場所に、ちょこんと正座した。
「なんだよ、早く寝ろよ。風邪引くぞ」
ライトを消そうとした竜児が声をかける
「あのね、竜児。話があるの」
大河はほんの少しまじめな顔。なんだ?と聞く竜児に。
「あのね、
>>240 とか
>>244 の言う通りだと、私って竜児より年上じゃない?」
「まぁ、ゆゆこの勘違いだと思うけど、厳密に言えば早生まれだからそうなるな」
「でもさ、普段は竜児が何もかも世話してくれてるよね」
「なんだよ。俺達夫婦なんだから別に恩に感じなくてもいいぞ」
「そういうわけじゃないんだけどさ、やっぱりさ、年上女房としてはさ、ときどき
年上らしくしてあげたりとかしたくなっちゃうのよね。その、威厳っていうか、
母性愛っていうか」
正座のままうつむいて、大河は両手の人差し指をつんつん合わせてる。
「何が言いたいんだ?」
顔を真っ赤にした大河が、かろうじて聞き取れる声で一言。
「…今日、私が上でもいい?」
「…お、おう」
高須家の夜の会話は、基本的に馬鹿馬鹿しくて聞いてられない。
--------
いやちがう、
>>191 だ。
もうだめ。死んでくる。
>>279 なんだ…この湧き上がる熱は…。
疲れてるようだし、少しお休みをとられては?
死ぬのだけは勘弁して頂きたいwせめて完結するまry
282 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 14:10:19 ID:26wtnki9
虎「ん・・・ふぅ・・・」
竜「うっ・・・ふぅ・・」
虎「ううう・・・あああッ!・・・」
竜「くふっ!・・・あふっ!・・・」
虎「ぐうぅっ・・・」
竜「ふんんんっ!・・・・」
虎「ぐううううぁっ!・・・」
竜「ぬぶぶぶぶぶぁっ!・・・」
虎「うぎぎぎぎぎっ!・・・」
竜「りぶぶぶぶぶぶっ!・・・」
実乃梨「なーにやっとんぢゃあああっ!」
竜「おうっ!な…なにっていわれても、ジムでトレーニングしてるだけなんだけど…;;」
実「あ・・・そうなんだ・・・」
亜美「(みのりん、何期待してたんだろ…)」
なんか、スマン。
まったくこのスレは朝から俺を鬱にさせたりおっきさせたり!
>>281 >疲れてるようだし、少しお休みをとられては?
すまねぇ、ありがとう。てか
>死ぬのだけは勘弁して頂きたいwせめて完結するまry
お前の気持ちはよーくわかった(w
むしゃくしゃするので明日の朝予定していた爆撃を今やってやる!
振り向いた二人の前にいたのは、身なりからして結婚式場で働いている女性。
営業スマイルの上に一瞬おびえが走ったのを竜児は見逃さなかったが、自分が
傷つくだけなので見なかったことにした。
「いやぁ、俺たち…僕たち高校生なんです」
と、やり過ごす。
「あら、じゃぁ、お二人は恋人同士なんですね」
と、にっこり笑うお姉さん。話がこれで終われば日曜日イベントもこれで終わりだが、
竜児の連れは大河である。はいっと、挙げなくてもいい手を挙げ、目を線のように細めて
「私たち、婚約中なのです!」
と、のたまわった。お姉さんの方は美女と野獣の意外な進み具合に
「えっ」
と、目を丸くするが、にこやかな笑みを途切れさせず、
「では、ご結婚のご予定はいつ頃で?」
瞬時に本来の営業ルートに戻ってきたのはさすがプロである。やっぱり大人は違う、と
竜児も違うところで感心する。
しかし、大河もひと味違う。
「ゴールインは5年後の予定です!」
と、にこやかに返答。
こういう場面で5年後ってどうよ、と竜児は思うのだが、それでも先週が先週だった
ので、大河が暗くならずにさらっと5年後の未来を描いて見せたのは、すなおにうれしい。
しかし、しかし、しかしだ。
あれだけ痛い目にあっても、竜児は大人の世界を見くびっていた。まさか大河の
5年返しを上回る技があるとは思いもしなかった。技の名前は「ぼけたふり」。
「そうですか!それは、おめでとうございます。もし、式場を決めていらっしゃらないのなら、
本日のブライダル・フェアを覗いていらっしゃいませんか」
これがどのくらい二人にショックを与えたかというと、
「「は?」」
と、二人が返事をするまでたっぷり3秒かかった程である。
5年先の式場なんか決めているわけが無い。それ以前に、二人ともスニーカーである。
◇ ◇ ◇ ◇
「つまり、撒き餌があまったから餌付けに使っておこうってわけね」
と、いうのが二人に声をかけたお姉さんの話の、大河による要約。世界のほとんどの
事をご飯か、ご飯でないかで片付けているだけのことはある。
「ドタキャンは対処できないからな。料金がどうなるかは知らないが、飯の仕込みは
前の晩からだろう。いまさら材料返して来いってったって厨房も困るぜ。かといって、
作った料理を捨てるのもMOTTAINAI。どうせ捨てるなら、いくらかでも可能性の
ある連中にタダで食わせたほうがいいからな」
と、いうのが竜児による要約。高校生らしさのかけらもない。むしろ、うざい。
とはいえ、声をかけてきたお姉さんもお姉さんだ。いくら金銭的にペイするといっても、
向こう5年間式は挙げませんと言っている高校生カップルをブライダル・フェア会場に
もぐりこませていいものか。
女の子の方はまだいい。一見小学生サイズとはいえ、その先入観さえぬぐってしまえば、
容貌にはケチの付けようがない。かすかに青みを帯びたミルク色の頬は夢見るような
曲線を描き、思わず甘い誘惑に手を伸ばして触れたくなる。つぶらな瞳が見ているのは
現の世界か夢の世界か。伏せた目を覆う長いまつげが憂いがちな空気をはらみ、
この世のものでは無いのではないかという疑念すら見るものに抱かせる。閉じた唇は
バラの花のように薄く、はかなげ。そして腰まである髪がけぶるようにゆったりと
その体をつつみ、いっそう現実感を淡くする。
美少女なのである。
着ているものと言えば、濃い茶のサマーセーターにデニムのパンツとシンプルに
まとめているが、細い体の線とあいまって、中性的なきわどさを放っている。
むしろ目を引くと言っていい。
問題は男の子の方である。際立つのが、思わず「その目は何だ」と注意したくなる
目つきの悪さだが、人によってはむしろ目をそらしたくなるかもしれない。
着ているものもTシャツの上に薄手のジャケットを羽織っただけの無難きわまりない
ファッション。同じデニムのパンツで横の彼女とこれほどまで差が出るかというほど、
絵に描いたような「普通」さ。むろん高校生が街を歩く分には、これで何の問題も無い。
が、これから連れて行くのがブライダル・フェアの会場だけに、よくぞまぁ、
連れ込む気になったなと却って感心してしまう。
そういうわけで、「ただ飯食わせてもらえるみたいだし、いいか」位の気持ちで
ついてきた、このいろいろな意味での凸凹コンビは、試食会兼ファンッション・ショー
会場に連れてこられて激しく後悔することになる。力の限りフォーマルだったのである。
会場にはおよそ30か40くらいの、テーブル・クロスもまぶしい丸テーブルがあり、
抑えた色合いの品のいい皿や、照明にまばゆく輝くクリスタルのグラス、きらきらと
光るナイフやフォークがナプキンと共にきちんと並べられてある。テーブルの中央には
アレンジ・フラワー。当然生花。天井には、「は、エコ?それっておいしいの?」と
言わんばかりの巨大シャンデリアがつり下げられており、数百の電球が会場に過剰な
灯りを与える。前方にはまばゆく照明されたステージがあり、おそらく
ウェディングドレスのファッション・ショーが行われるのだろう。
そしてなんと言っても二人を威圧するのは、それぞれの丸テーブルに座る3組の
カップル達である。
おそらくは平均年齢20代後半。男はスーツが圧倒的だが、女の方はスーツから
ちょっとおしゃれなドレスまで色とりどりの戦闘服でおめかししている。そこは
圧倒的に大人の世界だった。「私たち、もうすぐ結婚しま〜す」というオーラで
あふれかえっていた。
恋ヶ窪ゆりを連れて来たら、独!と膝をつくだろう。
◇ ◇ ◇ ◇
「ねぇ竜児。私たち、ちょっと浮いてない?」
しばし言葉を失った後にようやく大河が発したのがこの台詞だった。
ちなみに「しばし」というのは、会場に連れてこられ、やや前方で中央よりわずかに
右よりという学校の席だったらちょっと嫌だなぁというテーブルに案内され、大河の
ために椅子を引いてくれた係のお姉さんが首をかすかにかしげるのを見て竜児が顔を
小さく振りながら「お願いですから子供用の椅子だけは勘弁してください」と
テレパシーを送り、やべ、ナイフとフォークって内側からだっけ外側からだっけと焦り、
突如、同じテーブルどころかあちこちのテーブルから注目を浴びていることに
気がつくまでの時間のことである。
ちょっとどころか、浮きまくっていた。
フォーマルな大人の集いのなかに、デニムとスニーカーで殴り込みをかけているのである。
目立つのが美形の大河ならともかく、このフォーメーションだと目つきの悪い竜児が
赤色灯つきの標識のように目立ってしまっている。
「もう、あきらめろ。俺は腹をくくった」
そういって、竜児が嘆息する。
結婚式で出される飯をただで食える。その言葉に釣られて大河が首を縦に振ったのが
運の尽き。大橋高校No.1虎使いの異名をとる竜児といえども、こと食欲に関する限り、
大河の突進を抑える自信はない。オヤツだけはなんとか言うことを聞くものの、
食事そのものは手に負えない。で、渋々ついてきたらこれだ。まぁ、いい。大河の
せいにするのはやめよう、と、気を取り直して回りを見回す。
試食会はちょうど始まるところで、ホテルの人がグラスに乾杯のシャンパンを
注いでまわっている。
「では、皆さん。恐れ入りますがご起立お願いします」
と、司会がにこやかに言う。
立つのかよ、と独りごちながら、竜司の目は隣の椅子を注視。大河がよいしょ、と
椅子から降りたところで後ろに引いてやる。
「かんぱーい!」
いまいちのりの悪い唱和に続いて会場中から恋人達が上質のグラスをかちんと
鳴らす音が響く。竜児と大河も乾杯。
「竜児、シャンパン飲んでいいでしょ?」
「お前飲んだことあるのか?」
「うん、ちょっとだけなら」
「じゃ、軽く一口くらいにしとけ。俺もそうするから」
「うん」
竜児も飲んだことはある。
それも結構ある。泰子の元同僚達はのりがいいというか、飲むと理性のたがを自分で
外しにかかる傾向があるため、「竜児君も飲みなよ〜」と初めて目にする液体を
無理矢理押しつけられたこと多数。シャンパンごとき、安いのから高いのまで、
北村あたりには想像できないくらい飲んでいる。とはいえ、竜児も一回一口程度である。
今回、大河同伴で未体験ゾーンに突入する気はないので、半口ぐらいにしておく。
拍手と共に着席。椅子から降りる場合に比べて若干微妙な大河を横からさりげなくアシスト。
乾杯とともにすっかり和んだ会場では、引き続き、パンと飲み物が手早くサーブ
されていく。ビールとワインが注がれたときには眉をひそめて相席のカップル達を
びびらせた竜児だが、別のテーブルで水やジュースが注がれているのを見て一安心。
周りを見回してパンに手を伸ばす。落ち着いてしまえば、気負っていた自分が
馬鹿馬鹿しくも感じる。普段、雑誌の中でしか見ることの出来ないきれいな食器を
使うのを楽しめばいい。
お、このバターナイフ、おしゃれだな。などと考えていると、
「ねぇ、竜児。ワイン飲んでいい?」
大河様は目の前の淡い色の飲み物に興味津々のご様子。
高校三年にもなれば、いかにくそまじめな竜児でもアルコールを絶対飲むなとまでは
言わない。ただ、大河の場合はもともと小柄な上に麻酔アレルギーというやや特殊な
病気を抱えている。飲酒と麻酔アレルギーの間に関係があるかどうか竜児は知らないが、
知らないだけに慎重にしたい。シャンパンを飲めるのだから大丈夫だとは思うが。
「お前アレルギー持ってたろう。酒、大丈夫なのか?」
「わからない」
と、大河。
「じゃ、グビッとやるのは止めとけ。舌の上で味わうくらい。な」
そのくらいなら、何かあっても対処のしようがあるだろう。大河の方は駄目だと
言われると思っていたのか、竜児が出した条件にも
「うん、そうする」
と、素直に頷いて、ワイングラスを手に取る。
グラスを顔の前にやって神妙に香りをかぐ姿は、意外に絵になる。ツラのいい奴は
うらやましいなぁ、と竜児が思っている間に、大河は一口含む。
「どうだ?」
「んー」
大河はしばらく考えて。
「大人の味」
と、やや情けなさそうな笑顔。
試しに竜児も半口含んでみる。確かにシャンパンほど甘くない。あまやかな香りと、
ほのかな酸味。大人の味とはよく言ったものだ。
「味が淡いから白身の魚とか貝に合いそうだ」
と、感想を言うと、大人のコメントに驚いたのか
「竜児お酒飲んだことあるの?」
大河が目を丸くする。
たわいない会話だが、こういうのが楽しいということは竜児にもよくわかる。
2DKで手料理を食べて寝そべってテレビを見るのもいいが、雰囲気のある
レストランでは自然と会話もいつもとは違うものになるだろう。世の男女が
夢中になるはずだ、と竜児は一人納得。
スープに手をつけ始めた頃に、お待ちかねのファッションショーが始まった。
シャンデリアの灯りが幾分落とされ、スポットライトに照らされた舞台に、
ウェディング・ドレスを着た女性が一人ずつ登場する。竜児はステージでポーズを
とるだけだと思っていたのだが、意外にも彼女たちはステージから竜司達のテーブルの
横を通って会場後方のドアへとゆっくり歩いて行く。
女性向けファッションには疎い竜児と違い、大河はさすがに女の子。ショーが始まると
スープを飲む手を止めて、目をきらきらさせながらドレスに見入っている。マネキンの
ときとは大違いだ。
大河はどんなドレスを着るのだろうか、と竜児はぼんやり考える。
サイズがサイズなので、選び放題とはいかないだろう。おそらくは標準的な、
無難なものか。大河がそれをどう思うかはわからないが、竜児としては
突拍子のないものより、そういうオーソドックスなものの方が好きだ。
俺はそういった好みは保守的なくせに、女の子の好みは特別だったなぁ。と、
ぼんやり苦笑していると、大河から声をかけられた。
「竜児、あれ、あれ見て!」
言われてステージを見る。
ちょうどスポットライトの下でポーズをとっているのは、これまでウェディングドレスを
着ていた女性達より、ひとまわり若いモデルだ。こんなところでモデルをやっている
くらいだから、どの女性もきれいだが、いま会場の左右に微笑みを振りまいている少女の
美しさは格別だった。ふっくらしたドレスに包まれても、その体の線の美しさは
隠しようもない。うらやましい位の小顔は8頭身。バンビが歩くように軽やかに
ステージから歩み出る。本来静かに歩くほうが似合う衣装だろうに、まるで彼女に
合わせるかのように衣装も軽やかに舞う。年の頃なら竜児たちとおなじか。
くりくりと愛らしい目はまるでチワワのようで…
「川嶋じゃねぇか」
思わずちょっとだけ大きな声でつぶやいた竜児に同じテーブルのお兄さん、お姉さんの
視線が集まる。見返すと全員が顔を背ける。軽い屈辱を味わっている横で、大河が
「やっぱりばかちーだよね」
と竜児を見上げる。
雑誌モデルだとばかり思っていたが、こんな仕事もしていたのか、と食い入るように
見入っている二人の視線を感じたのだろう、ちょうどテーブルの手前でこちらに気づいた。
一瞬表れた驚きの表情をさっと隠したのはさすがにプロ。小さく手を振る竜児と大河に
ちらりと視線を送り、ブーケを持ったままにこやかに通り過ぎていった。
「ばかちーは本当にきれいなんだね」
と、さすがの手乗りタイガーもやや放心状態。喧嘩友達の真の実力に触れて、
毒気を抜かれたようだ。
その後、気を取り直した二人はスープ、サラダ等に続いて出されたメインディッシュに
取りかかるものの、正直味は微妙。大河の表情もさえない。好物の肉とは言え、
あまりにも無難な味、おまけに冷えている。表情も曇ろうというものだ。
もっとも、いくらいい肉といえども、大河の好みを知り尽くした竜児の料理と
比べるのは、少し酷かもしれない。竜児にしてみれば自分の株が上がるだろうという
手応えを感じたので、これはこれでアリである。
試食会兼ファッションショーは、その後1時間ほど続いたが、ふたりとも特に大きな
ドジを踏むことなく、つつがなく乗り切った。会場を出たところで係の人に礼を言い、
一応お世話になったので言われるがまま氏名と連絡先を用紙に書く。
「大河、アルコール大丈夫だったか?気分悪くないか?」
と、健康チェックをするものの、至って調子のいい様子。
笑顔にかげりもないので竜児も安心して会場を後にする。今日は思わぬハプニングも
あったし、そろそろ電車で帰るか、などと話ながらホテルのロビーを歩いているときに、
呼び止められた。
「高須君、タイガー!」
振り返ると、私服に着替えた川嶋亜美が手を振りながら小走りで寄ってくる。
「ばかちー」
「おう」
二人に駆け寄ると、驚きを隠せない様子で
「びっくりしちゃった。あんた達すぐ式を挙げるの?入籍だけなのかと思ってたんだけど」
と、二人の顔を見比べる。
「いや、それが」
と、大河と二人で苦笑しながら事の顛末を説明する。
「なーんだ、びっくりさせないでよもう」
「びっくりしたのは俺たちだ。雑誌だけじゃなくてこういう仕事もやってるんだな」
「まぁね。雑誌モデルだけでこの先も食っていけるほど人気があるわけじゃないのよ。
まだまだ亜美ちゃんの美しさが世に知れ渡ってないの。みんな人生無駄にしてるよね。
がんばってみんなに亜美ちゃんの魅力を教えてあげなきゃ」
亜美は機嫌がいいのか軽口も絶好調。
「そうだよね、ばかちー本当にきれいだったよ」
と、大河も珍しく亜美ちゃん様の美しさを褒め称える。
「でさ、あんた達何で帰るわけ?」
「電車」
「そうじゃなくて、どうして帰るのよ」
「どうしてって、飯も食ったからな。俺たちはもともと予約したわけじゃないし、
金も払ってないし」
「あんたたち、ここのフェアの予約金知らないの?」
「知らないけど」
竜児と大河は顔を見合わせる。
「1000円よ」
ぷっと大河が吹き出した。
客寄せが目的なので赤字承知でやっているらしい。参加カップルが式を挙げれば
100万円単位の金がはいるので、それでいいのだ。大河が言ったとおり撒き餌
だったわけだ。
「だから遠慮しないでさ、試着していけばいいのに」
と言う亜美に、珍しく大河はしりごみする。
「いいよばかちー。私お嫁さんに行くのしばらく先だし」
何気ない一言だったかもしれないが、竜児の胸はずきりと痛む。顔に血が上って、
さっと引いていくのを感じる。
結局妙に残念がっていた亜美も折れ、じゃぁ、荷物をとってくるから一緒に帰ろうよと、
二人を置いてフェア会場に戻っていった。
◇ ◇ ◇ ◇
>>291 いつも楽しいお話ありがとうございます。
つうか死なれると超困る。もっと読みたい!もっとニヤニヤしたい!!
誤字脱字についてですが、修正したい部分を指摘してもらえれば
こちらでまとめる際に修正しておきます。
現在まとめサイトに置いてある分についてですが、
まことに勝手ながら誤字をこちらで修正してます。
※ばかちーの苗字が「川島」になっていたので「川嶋」に変更、等
あと、この機会に質問なのですが、
「天気がいいからピクニックに行こう」で草野球で大河と激闘を繰り広げたピッチャーの名前は
作者的に「川島」と「川嶋」のどちらで良いのでしょうか?
大河のライバルだしばかちーと同じ苗字で…いや元高校球児と言うし、ヤクルトの川島投手にあやかって…
いやいや物語的に同じ名前のほうが…でも口頭では漢字までは伝わらないから別に同じじゃなくても…
修正する必要がありましたらご指摘ください。
また、他の方も誤字脱字改行等、修正したいものがありましたら遠慮なくどうぞ。
既にまとめてある分でも修正パッチをあてますわー
つうか早く30日にならないかなーとらドラポータブルたのしみだなぁー
>>291 私なんかの下らないネタに付き合わないでくださいw
それのおかげで早く見れたわけですが…。
会話だけじゃなくて想像するだけで周りの風景が見えてきたのは自分だけ?
続き楽しみにしています。
早くポータブルプレイしたいお。全√行ったるでー。限定版じゃないけど。
遺憾な状況だわ…
逢坂大河は思案する。体重計を見ながらとく思案する。
下の画面を何度見てもそこに映し出されるのは自己新記録となる体重表示。
過去最高にやばかった去年の秋よりもさらにやばい状況に大河は立たされていた。
肥えた、のである。
■■■
別に竜児との間に子供ができたから、とかそんな素敵な状況でもなんでもなく
まあ将来的にそれもありよねそうすれば私の胸もふくらむかしらそうなったらいいわね……もとい、ただ食べ過ぎてしまったのだ。
だって竜児のごはん美味しいし!用意してくれるオヤツも美味しいし!そんでもってごはん美味しいし!
とても大事なことなので2回言ったが、本当は10回でも20回でも言いたいくらいなのだ。
竜児の前では照れくさくて言えないけど。
「はふぅ…」
食事制限かしら…でも毎晩タケノコだけとかシイタケだけとかレンコンだけとか嫌…
でも竜児なら…竜児ならきっと美味しくしてくれる…いやいやそれじゃ意味無いじゃん…
そんなこんなで悩む虎乙女の前に救世主が!
「おう大河。後でこれやらねえか?」
「…何これ?『いっしょにとれーにんぐ』…?」
「能登から貸してもらったんだけどな。なんでも、こいつを見ながら筋トレすると良いらしいぞ」
「んー…ビリー隊長みたいなやつ?」
「おう、それそれ、そういうみたいなやつだってさ。最近運動不足だし、
これから受験も控えて風邪なんか引いてる場合じゃねえし、どうせ運動するなら二人でどうかと思ってさ」
「へぇー…(グッドタイミングじゃない馬鹿犬!)そういうことなら付き合ってあげてもいいわ。
早速今からやりましょう!ホラホラさっさと準備する!」
「いつにも増して乗り気だな… まあいいや、んじゃテーブルどかすからDVDの準備をしておいてくれ」
■■■
「よーし、下に響かないようにマットを敷いた。汗拭き用のタオルと着替えも用意した。
水分補給のための飲み物も用意した。大河のほうは準備いいか?」
「おっけーよ! それじゃ再生スタート!!」
『わたし、ひなこ! これから毎日ず〜〜〜〜っと筋トレつきあってね(はぁと)』
『いっち…にぃ…さん…し…!』
『ふぅ…ふぅ…』
「……」
「…………」
「…ねえ、竜児」
「……は、はい…」
「…私に喧嘩売ってるでしょ? 買うわよ倍プッシュで…モルグどころか地下帝国に送ってあげようか?」
「……焼き土下寝だけは勘弁してくれ……」
「………最後に言いたいことは?」
「…そ、そういえば大河、最近体つきがふっくらしてないか? 胸もなんか大きくなった気がす」
「1ミリたりとも成長しとらんわああああぁぁっっ!!!こちとらそっちは毎日計ってるんじゃあああああっ!!!」
「ええええ…「そっちは」…?」
ドガドガベシベシゴキャゴキャザクザクゴスゴスメメタァゴシカァンギシギシアンアン
後に大河の乱と称された今回の事件は、隣街まで虎の咆哮が響き渡り、
手乗りタイガーの伝説にまた新しい一ページが追加されたとかされなかったとか。
あ、大河の体重は標準に戻ったそうです。
つうかあのDVDトレーニングにならないよね!よね!そうだよねえええ!!!
296 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 16:37:47 ID:3t3/7lPs
297 :
これぞ王道:2009/04/26(日) 17:35:04 ID:26wtnki9
大河「ふー。」
竜児「さてと。」
大河「竜児、」
竜児「おう。」
ギシギシアンアン
大河「竜児は私のだぁー!!」
竜児「そんな・・・馬乗りされると・・・」
大河「なにこのエロ犬!遺憾だわ」
ギシギシアンアン
「竜児ぃ〜、ばかちーが何か本くれた。家で二人で読めって。」
「へぇ、川嶋がお前にプレゼントなんて珍しいな。」
「そうよね。明日雨降ったりして。」
「じゃあ、紅茶でも入れるから、お茶しながら読んでみるか。」
ガサゴソガサゴソ
『魔法使いをやめる48の手ほどき』
※参考:
ttp://www.senakablog.com/archives/2009/04/48_1.html 「ん?成年向けって、えらく妖艶な表紙だな」
ペラペラペラリンコ
「な、な、な、なんじゃこりゃー!」(かぁっー)
「!!!」(ぼーん)
後はおまいらに任せたwww
ギシアンがくると必ずしばらく続くのは、一体どうしてなんだww
301 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 18:00:23 ID:DAczz0Eb
「竜児、バナナ食べたい」
「炬燵にあるだろ」
「あんたのに決まってるじゃない」
ギシギシアンアン
302 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 18:36:05 ID:DAczz0Eb
まとめ管理人さん、もし私の「逢坂に一生を捧ぐ」を
まとめに乗せる場合、修正してほしいのですが。
タイトルと最後の台詞の逢坂を高須にして欲しいのです。
まだ他に変えて欲しいとこもあるかもしれないので、後日まとめて言います。
図々しくてすいませんorz
303 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 18:50:57 ID:26wtnki9
大河「ミートボールもたべt…」
ギシギシアンアン
大河「カルピスものみt…」
ギシギシアンアン
大河「ウィンナーも食べt・・・」
ギシギシアンアン
306 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 19:19:03 ID:26wtnki9
大河「おいなりさんもたべt…」
ギシギシアンアン
竜児「俺は、その、ワカメをだな・・・」
ギシギシアンアン
竜児「ついでに、その小さなアワビもだな…」
ギシギシアンアン
あと4日で高須棒ストラップだな!
高須棒スクラップに見えた
311 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 20:01:34 ID:eR8P7flu
くだらなさすぎる流れに爆笑が止まりません
疲れてんのかな
313 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 20:24:22 ID:eR8P7flu
>>273 ×間際らしい(まぎわらしい)
○紛らわしい(まぎらわしい)
◎マギー審司(三浦審)
314 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 20:28:27 ID:gscJNqRd
竜「ふん!ほいっ!」
大「何やってんの?」
竜「ん?ああ、PS3のソフトのスト○ートファイター4だよ」
大「ふーん、面白そうね。私もやらせて。」
竜「よし、一緒にやるか!」
竜「オラッ、ドリャッ」
大「ふん!とうっ!いっけぇ!タイガーニークラッシュ!」
竜「うわっ!やられた!…」
大「フフン、竜児ったらゲームの中でも犬みたいな弱いキャラ使ってやんの♪」
竜「そういうお前はサガッt…」
大「よし!はやくもう一回!」
竜「仕方ねぇな…」
大・竜「いけ!どりゃっ!アチョー!」
大「ちょっと竜児、なんでアンタ女キャラ使ってんのよ気色悪い」
竜「気色悪いとはなんだ!女キャラは動きが速いから使い易いんだよ」
大「ふーん・・・」
竜「うわっ!死ぬ死ぬ!やばい!」
大「いけぇーー!オリャー!」
竜「うわわわわわ!、ヤバイヤバイ!ホ、ホイミホイミ!ホホホホイミはどこだ!死ぬ死ぬ!」
大「わわわ私だって死にそうよ!ちぬちぬ!はわわわわわ!」
ゲーム「K・O・!」
大「ひゃあ!!」
竜「ふぃ〜っ助かった」
大「むかつくぅ〜〜〜!もう一回!」
竜「はいはい…」
つづく スマン。
315 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 20:30:09 ID:eR8P7flu
316 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 20:31:07 ID:eR8P7flu
317 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 20:33:05 ID:eR8P7flu
>恋ヶ窪ゆりを連れて来たら、独!と膝をつくだろう。
こらwwwww(いいぞもっとやれwwww)
>>292 まとめサイト管理、いつもありがとうございます。誤字脱字まで
修正していただき、感謝の言葉もありません。
お言葉に甘えまして、過去作品の落穂拾いです。お手すきのときにお願いします。
s/誤/正/ です。
「クリーム・ソーダ」
http://tigerxdragon.web.fc2.com/SS/289.html s/ターガー/タイガー/
s/心にのままに/心のままに/
「天気がいいからピクニックに行こう」
http://tigerxdragon.web.fc2.com/SS/296b.html s/静代さんと監督さん/静代と監督さん/
http://tigerxdragon.web.fc2.com/SS/296c.html s/川島/かわしま/
作中のたけし君と同じくひらがなでお願いします。ちょっと微妙ですね。
http://tigerxdragon.web.fc2.com/SS/296d.html s/昨日の大河の/大河の/
「蹴っ飛ばしてやろうか」
なし
「Sundays, October」
s/川島/川嶋/
s/摩耶/麻耶/
s/炊事洗濯料理オタク犬/炊事洗濯掃除オタク犬/
最後に、感謝の心をこめて。
/: : : : : : : __ : : : : : : : : : : \
/ : : : : ,: ':":´: : `:ヽ : : : : : : : : ヽ
/ : : : : /: : : : : : : : : : `: :, :‐: 、 : : :ヽ
/: : : :/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :ヽ
,': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: :ハ
| /: : : : : : : : ,' : : : : : : :/ : ヾ: : : : : : :ヽ :|
,| | : : : : : : : : | : : : : : : ,'`` ´ヘ: : : : : : : :',:|
|: |: : : : : : イ : |: : : : : : :| |: : : : : : : :|:|
|: |: : : : : :/| :メ : : : : : :| / |: : l : : : : |:|
|: :| : : : : |ト<、ヾ : : : :k,´ _, ャヤ|: : : : ソ |
|: :ヘ : : : | |i:::んリ\: |ヾ ´fi:::んリi,': : : ン: : |
,|: : : ヽ : ヽ弋:シ ` ゞzシソ: : /: : : |
,': : : : i:ヽ_:\ , ∠ ;イ:| : : : : | 超、超、超
>>292 乙なんですけどー
/: : : : :| : : ヾ´ ,rヽ イ: i | : : : : |
/: : :_; 斗:':::´::|.Y | | ー -‐ , イ ,|`:ヽ!、: : : :|
//::::::::::::::::::::::||´| | |ヽ _, </ /:::::::::::::`::‐:!...、
ハ::::::::::::::::::::::::::::::| | | | |二,、ィ´ /::::::::::::::::::/:::::::::〉
/:ヘ::::ヽ:::::::::::::::::::::| |. ! |rv入 /:::::::::::::::/:::::::::::::/
|: :ハ::::::\:::::::::::::::::| |/ヽヘ /::::::::::::/:::::::::::::::::/
>>316 ありがとう。
専ブラは使ってるよ。Live2ch
>>317 ゆりちゃん先生はいじられキャラだなぁ。いい先生だしかわいいと思うんだけど。
俺もいじってるけど。
320 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 20:52:25 ID:gscJNqRd
>>314つづき
大・竜「オラ!死ね!ふん!」
大「ひひゃあ!」
竜「また勝ったな♪」
大「くっそーっ!・・・・・・・・・グス」
竜「(えっ!そこで泣く?!ど…どうしよう…)」
大「ひっぐ・・・手加減してよぅ・・・」
竜「あ〜悪りぃ悪りぃ初心者だったの忘れてたよ」
大「グス・・・もう一回!」
竜「お、おう(またかよ…まぁかわいいしいいか)」
大・竜「オリャ!エイ!やっ!」
大「あ、」
竜「ん、どした?」
大「い、今竜児が使ってるキャラが攻撃したとき・・・」
竜「??」
大「パ・・・パンツがまる見えだった・・・」
竜「し、しょうがねぇだろ!そういう仕様なんだよ!」
大「へ、へへ変態!!」
竜「へ、変態とはなんだよ!!」
大「で、・・・でも・・・・・私のパンツなら・・・・・ モジモジ」
竜「お、おう/////」
ギシギシアンアン
おわり
くだらないのを長々とホントスマン。あとストファイしらない人いたらスマン。
ちょっと下の公園でツヨシ君と遊んでくる。
今日ほどギシアンの良さが分かる日もないなw
>>292 お言葉に甘えて私も。
───逢坂大河に一生を捧ぐ───
のある所を修正して頂きたいです。もし載せて貰える場合を考えて。
まずタイトルと、最後の部位。
───高須大河に捧ぐ───
に変更して頂きたいです。
そして新たな文を追加。
「なんとか言えええええええええええええええええ!!!!!」
その時の取り乱し方は凄まじかったらしい。机をなぎ倒し、看護婦をぶん殴った。
その後すぐに警察2人に取り押さえられた。落ち着いた後、警察に言って事情徴収を受けた。
その後は脱獄する手口を聞いた。話を纏めるとこういう事らしい。
2人はなんらかの手を使い外部へ情報を漏らす。待機していたヤクザの仲間が情報を元に作戦を練る。
思いついた作戦は隣県から4トントラックを手に入れ、囚人に与えられる自由時間を狙って
監獄の大きな壁に突っ込ませ、その瞬間炎上。しかしこれはダミーで、そこに注目が止まっている間に、
裏門からロープで括った梯子を侍らせ、脱獄。
そして脱獄して近くに止めてある車に乗り込み、昼休みの時間を狙い竜児を殺害したとの事。
この作戦は一見バカっぽいが、警備が甘くなっている部位を狙って計画を実行したらしい。
外部から内部へどうやって情報が伝わったのかは今も調べているらしい。
脱獄した2人はパトカーに追い回され、突然車を野原に止め、おとなしくなったと思いきや、
拳銃を片手に訳の分からない暴言を吐きつつ白バイ隊員を射殺。その瞬間四方八方から撃たれ蜂の巣になったらしい。
談話から数日後に葬儀があり、竜児を焼き、骨と化した。
コピペで新たに文をプラスして頂けたらな、と思います。ちょっと鬱になりそうだったり現実離れしてたりしますが。
>>313 あぁマギー審司だった…なわけねーw
紛らわしいってちょっと間際らしいな!
>>294 へのオマージュ作品。
--------
「なななななんてことかしら」
高須大河は体重計を見ながら呆然としていた。時は秋。天高く、馬肥ゆる秋。
驚くべきことに、体重計の針は夏から未だ1kgたりとも増えていない。
◇ ◇ ◇ ◇
事の発端は、夫である竜児と知り合った年のことだ。今から思えば懐かしいどたばたの
日々であったが、大河にとっては物心ついて初めて、安心というものに包まれた年でも
あった。
竜児は暴虐極まりない大河に対して常に優しく、こまやかな態度で接してくれた。竜児の
母の泰子も大河を無償の愛情と巨乳で包んでくれた。二人の間で、大河の心は安らぎを
得た。そして竜児はお料理上手でおまけにたくさん食べると喜ぶと言う奥さん体質の
持ち主だった。
食欲の秋×安心×料理上手×食べると喜ばれる。「HUNTER×HUNTER」を見ればわかる
ように、「×」一個で大変なことになるのだ。なのに、「×」が3つもあった。
その年の秋、大河は太った。プチ太り。大騒ぎの末、教室を阿鼻叫喚の地獄絵に叩き込んで、
その年のダイエットは終了した。
以来、秋は肥満の季節である。母親の下で暮らしたときですら、秋は太った。なぜなら
自宅で食べなくても竜児にねだってご飯を作ってもらったから。竜児は「これ以上は
だめだ、お前また太るぞ」といいつつ、大河がねだると必ずご飯を食べさせてくれた。
そして、たくさん食べると喜んでくれた。
大河は思った。嫌よ嫌よも好きのうち。
プチ肥満は秋の恒例行事になった。竜児として結婚して、もはや逃れることのできない
業となった。太るたびに、竜児が何らかの血を流すことで大河の体重がもとに戻った。
ところが今年は太らなかった。思い当たる節は、ある。
今年、待望の長男が生まれた。高須の曽祖父である精児に命名を頼んだ。「親ばかと
笑われそうだが」と、つけてくれたのは「泰児」。泰子から一文字とった。いい名前だと
思う。
その泰司が離乳食の時期になって、ひと騒動あった。みんながおかゆを口移しで食べ
させようとするのだ。大河も口移しで食べさせたかった。何しろ、自分のお腹をいためた子だ。
だけど、調べてみると口移しは虫歯がうつるというではないか。涙をのんで、耐えがたきを
耐え、忍びがたくさん忍び、口移しは我慢した。口移しをしたがる泰子も我慢させ、園子も
我慢させた。精児は「おおおお俺はくく口移しなんか」と、きょどっていたが、したい
とは言わなかったので問題じゃなかった。
問題は竜児である。この、理屈っぽい男が最後まで口移しすると言って聞かなかったのだ。
びんたを5発うちこみ、後ろ回しげりを3発食らわしたら、ようやく「ごめんなさい」と
謝った。
朝、目が覚めたら「将に口移しで食べさせんとす」状態だったので、飛び膝蹴りを食らわ
せた。
その晩、正座させて説教してやったのだが、竜児は泣きながら「だって俺の子だぞ、
かわいいんだよ」と言いやがった。そう言われるとつらい。
竜児はいつも大河のわがままを聞いてくれる。それは感謝している。本当に感謝している。
だから、本当は竜児のわがままを聞いてあげたいのだ。でも、そんなことをすると泰児が
虫歯になる。
わがままを聞いてあげたい。でも、虫歯はだめ。
正座をしてうつむいている竜児を見ると、胸が痛んだ。かわいそうな竜児。大好きな
竜児。わがままを聞いてあげたい、でも聞いて上げられない。この、世間的には心底
どうでもいい極限状況が、大河の脳みそに過負荷をかけてしまった。
「じゃじゃじゃじゃじゃぁ、わわわわ私に口移しして」
だって、私ならいまさら虫歯の心配は無いじゃない、と思ったのだ。だって、竜児とは
何度もキスしている。いまさら口移しくらい大丈夫。理論的にはそうだが、顔は真っ赤で
ある。断ればいいのに竜児も竜児
「お、おう」
と、顔を赤くして快諾。かくして、
「じゃぁ、大河、いくぞ」
「う、うん」
お箸でご飯を頬張った竜児がもぐもぐと咀嚼して、真剣な顔で大河に近づく。
「あーん」
目を閉じた大河に口付け。そして、むりゅっと、半消化されたご飯が入ってくる。
んんんー、もぐもぐくちゅくちゅ…ごくん。
「大河…大丈夫か」
嚥下したとき、大河は顔を火照らせて呆然としてしまった。キスとは別次元。子供
までいっしょに作った竜児との間に、更なるステップが待ち受けていようとは思わ
なかった。脳髄はとろけ、視線は定まらず、視界は桜色に染まっていた。
し・あ・わ・せ。
体液の交換など、これに比べれば笑止。それを突き抜けた、倒錯の世界。
食べるお花畑。
「…甘い…もう一口…」
325 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 22:11:13 ID:eR8P7flu
でんぷんに唾液を加えると糖に分解される。そんな理科のお勉強を、口移しでやって
しまった。大河の妙な気分が伝染したのか、いつの間にか竜児も黙り込む。ただ、
黙々とご飯を噛み、たっぷりと唾液で和えて、熱い抱擁とともに舌で押し込んでくる。
唾液を絡め、舌を絡め、はむ、ふむ、んん、くちゅ、もぐ、あうん、ごくん、と
愛のご飯が続いた。竜児の腕の中で朦朧としながら、大河は思った。育児書は正しかったと。
口移しはだめだと。こんなこと、子供に教えてはいけないと。そして恐るべきことが
起きた。
「竜児、私もうだめ。お腹いっぱい」
たった一膳であった。
一ヶ月前の出来事である。食事で朦朧となっても、母である大河は子供の世話をしな
ければならない。ママとは大変な仕事である。朝から晩までてんてこ舞いだ。そして、
唯一家族との心安らぐ団欒のときである、夕ご飯の席では…
はむ、ふむ、んん、くちゅ、もぐ、あうん、ごくん…
毎晩のように竜児の膝に据わらされ、腕の中で朦朧とした。こんなことではいけないと
思った。これではだめな大人になってしまう。でも、抵抗できないのだ。ご飯が、
トマトが、お味噌汁が、豆腐が、豚カツが、コロッケが、筑前煮が、チャーハンが、
杏仁豆腐が、竜児の口の中で魅惑の味に変化してしまう。
ぼんやりと白くにごる意識の中で、昔聞いた言葉を思い出していた。
奇跡のケミストリー。
そんなものではない。抱きしめられるだけでふにゃふにゃになる竜児の腕の中で、口移し
で食べさせられる、口内麻薬。抵抗不可能の背徳の先にあるのは、とても子供にみせられ
ない未来だ。
だから、もうこんなことはやめようと思ったのだ。竜児に相談して、止めよう。とても
子供には見せられない。お父さんとお母さんは、こどもに胸を張ることのできる人間で
なければ。
しかし。嗚呼。体重。増えてないよ。
泰児が3歳くらいまでは、いいかな。ねぇ、竜児。
(おわり)
327 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 22:13:25 ID:eR8P7flu
いけね、またやった。
>>326 s/膝に据わらされ/膝に座らせられ/
>>326 GJ!
ギシアンネタ→甘甘はいいねぇ。
まさにバニラソルトだな。
331 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 22:27:25 ID:eR8P7flu
332 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 22:28:41 ID:eR8P7flu
>竜児の母の泰子も大河を無償の愛情と巨乳で包んでくれた
(;゚∀゚)=3ムハー
333 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 22:37:10 ID:eR8P7flu
なんというばかなお話www
でもすごい好きです
それはそれとして虫歯問題は大切な事だと思います
あぁ竜児と大河
いついつまでもおまえらばかじゃんって言われるくらい
仲良しでお幸せに!
335 :
Face:2009/04/26(日) 23:38:31 ID:gscJNqRd
竜「とうっ!うりゃ!せいっ!」
大「今度は何やってんのよ?」
竜「ん、見てわかんねーのか?エロゲーだよ」
大「へ、へ変態!」
竜「へ、変態とは何だよ!」
大「だって・・・・うう・・・・あぅ・・・・・」
竜「ん?」
大「そ・・・そんなのより私と・・・・・」
竜「お、おう/////////」
大「私とピクニックにいこうよ」
竜「おっ!よし、今弁当作るからまってろよ」
大「わーい♪」
完
336 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 23:45:36 ID:DAczz0Eb
>>318 修正了解しました。
今ちょっと、いっしょにとれーにんぐをやりすぎて右腕が筋肉痛なのと
とらドラポータブルにwktk中なので気長に待っていただけると幸いです。
>>322 こちらも修正了解です。
追加分は
>>180-181の部分に書き加えます。
今ちょっと、い(以下略)いです。
>>273,313
>「…あのさ、大河に高須君…マギー審司よ?輪投げごときにさ」
こうですねわかりました!まとめておきます!
荷物を取ってくる、と言って消えた亜美を、二人はロビーのソファに座って待っていた。
行きかう人々を見ながら、荷物を持ってくるだけにしては嫌に待たせるな、と
思い始めた頃に現れたのは、亜美ではなかった。付け加えるならば、女でもなく、
かつ若くもなかった。
スーツをびしっと着こなして、オールバックをばしっと決めたおじさんである。
「高須様と逢坂様でいらっしゃいますか?」
なれない様付けに、思わず二人とも背筋を伸ばして立ち上がる。
「私、こういう者です」
生まれて初めて受け取った名刺によると、結婚式場のイベント責任者だった。
その人の話を要約すると、亜美から大河を紹介された、ぜひモデルのアルバイトを
してほしい、ということになる。つまり、亜美は二人をまんまとはめたわけだ。
だが、竜児が瞬間的に感じたのは「やられた」と、いうことではなかった。
そんな馬鹿な話があるか。
そう思った。いくら人気とはいえ、たかが18歳の小娘モデルの口利きで、
会ったこともない素人のところに式場のイベント責任者がわざわざ来るものか。
そのくらいの道理はただの高校生の竜児にだって分かる。大人が生きている経済の厳しさは
泰子の苦労を見ていれば少しはわかる。それがわざわざ責任者が来たというのなら、
考えられる理由は一つ。亜美が一肌も二肌も脱いだのだ。
分厚い仮面の下に亜美が隠し持っている複雑な心をうかがい知ることは難しい。
だが、今年の頭にその一部を垣間見ることができた。そのとき竜児が心打たれたのは、
亜美の情の厚さと、迷いのない決断力だった。自分のこととなると、ぐじぐじするくせに、
亜美はこれと決めた相手のこととなると、何の迷いも無く救いの手を差し伸べる。
今日、大河にアルバイトを紹介した本当の理由は竜児には分からない。だが、
夏の別荘以来、竜児にはよく理解できない理由で大河の肩を持つと決めた亜美のことだ、
おそらくは、大河にドレスを着せてやりたかったのだろう。そのために、亜美は何を
したのだろうか。ただ働きの約束?それは1回や2回なのか?事務所に無断で
そんなことして大丈夫なのか?亜美はいつもこうだ。
「竜児、どうしよう」
促されて座ったソファから大河が見上げる。
竜児は唇を噛む。正直、亜美の気持ちに対する感謝と、自分が大河に着せてやることの
出来ないウェディング・ドレスを亜美が着せる、ということに対する複雑な感情を
扱いあぐねている。
「川嶋の気持ちだろう。無碍にするな。まずはバイトの条件を見せてもらって、
気に入らなければそれからお断りしても遅くないだろう」
笑みを浮かべて二人を見比べていた責任者氏が、まったくそのとおりと、うなずく。
竜児に促されて、じゃぁ、とうなずいた大河に、急いで作ったらしい契約書を見せる。
どうやら、春のブライダル・フェア用に大河のウェディング・ドレス姿を撮影し、
それをパンフレットに載せるようだ。ざっと見た感じ、掲載されるのは表紙ではなく、
パンフレットが配られるのはこの地域近辺、名前は公表しないし、ネット上での配布は無し。
それからホテルの結婚式場施設で使うパネルでも写真を使用すると書いてあった。
謝礼は、写真数枚と、竜児がびっくりするような金額。
どうしよう、と再び見上げる大河に竜児は
「期間限定だし、配布場所も広くない。名前も伏せてあるからあまり心配する必要は
無いんじゃないか?プロに写真を撮ってもらうチャンスなんて、そんなに無いぞ」
と、言ってやる。
それに、まだ気持ちの整理がついていないとはいえ、竜児も亜美の好意は無にしたくない。
「そうね」
と、静かに言った後も大河はしばらく契約書を見つめていた。そして、ふと、何か
思いついたような表情をすると、背筋を伸ばして責任者氏をまっすぐ見上げ、
「わかりました。よろしくお願いします」
と、頭を下げた。
めでたく契約成立。いっそう大きな笑顔になった責任者氏は、紙の下の部分を指差す。
「ありがとうございます。じゃ、ここにサインしてください」
渡されたボールペンを受け取って「逢坂大河」と、書くのを見ながら、ふと竜児は思った。
大河はいつまで逢坂を名乗るのだろう。
◇ ◇ ◇ ◇
大河が着替える間に、竜児は試着会場に通された。すでに試着の終わった女性が、
ドレス姿を婚約者に披露している。どうやら男には試着はないらしく、まだ婚約者が
現れない男性は、着てきた服のまま椅子に座って落ち着かない様子で待っている。
ドレス姿の女性もさまざまだ。緊張してがちがちの人もいれば、まるでデパートの
試着のようにドレスの具合をあれこれ楽しげに自分でチェックしている人もいる。
大人たちのそんな姿を他所に、竜児はぼんやりと考えていた。大河はいつまで
逢坂を名乗るのだろう。大河の母親は、大河に逢坂陸郎の匂いが残っていることを
嫌っている。あまりに繊細な話題なので竜児も聞いていないが、おそらくは大河の
姓を変えてしまうつもりだろう。実のところ、もう、変わっているのかもしれないと
思っていた。しかし、先ほどの契約書には「逢坂」と書いていた。
引き離されるのでなければ、大河の姓がどうであっても竜児は気にしない。ただ、
大河がそれで傷つかないか、それだけが心の端に引っかかっている。
自分の目の前のきれいに磨かれた床を見ながら、亜美が自分より先に大河に
ウェディング・ドレスを着せたことや、大河の名字のことを、ぼんやりと
考えていた。
だから、名前を呼ばれるまで気がつかなかった。
口移しやばいよ、やばすぎるよ!
俺の竜児がえれくちおんだよ!!
セルフギシギシアンアン
「竜児」
そう呼ばれて顔を上げた瞬間を、きっと竜児は一生忘れない。
目の前にウェディング・ドレス姿の大河が立っていた。
その姿で来ると分かっていたことだったが、それでも言葉が出なくなった。
よくぞこのサイズがあったと思うほどぴったりの純白のウェディングドレスは、
過剰な装飾も無く、シンプルに大河の美しさを引き立てている。ストラップで
吊っただけの肩の辺りは、大河の体の華奢なくせに意外なほど女性的な曲線を優美に
示してみせる。薄い胸板は貧相さなどかけらも感じさせず、それどころか、見る者が
たじろぐほどの清純さを演出する。普段隠されている細い腰をコルセットが鮮やかに
強調する。
ふんわりと優雅に広がったスカートは、きっと大河の好みにぴったりだろう。
真珠色の肌の肩から伸びるほっそりとした腕は、ひじから先がやはり純白の手袋に包まれ、
ただ、ただ、すばらしい。
そしていつもは大河の体を包む、わずかに灰色めいた淡色の長く美しい髪が、
今は白いヴェールに包まれて、いっそう幻想感を強めている。
竜児はあまりのことに声が出なかった。心臓は、大河を見た瞬間から跳ね回っている。
立ち上がろうとしてひざが震えていることに気がつく。しっかりしろ。自分に言い
聞かせてようやく立ち上がる。
立ち上がってなお、竜児は呆然としている。目の前の大河は気恥ずかしさに目を
上げることも出来ないのか、唇に困ったような淡い笑みを浮かべて心細げに床の
あたりに目を泳がせている。その姿を言葉もなく見るうちに、竜児の心に風が
吹いてきた。
風は、大河から吹いてきた。
その心地よい風は、どんどん強くなる。やがて嵐のように激しくなって、竜児の心の中に
居座っていた大河の名字への心配を吹き飛ばした。亜美のウェディング・ドレスへの
わだかまりを吹き飛ばした。5年という時間の痛みを吹き飛ばし、受験の心配を吹き飛ばし、
家賃の心配を吹き飛ばし、今日の献立の心配を吹き飛ばし、一切合財の心配と、
もやもやした気持ちと、不安を全部吹き飛ばしてしまった。
そしてすべてが吹き飛ばされて真っ白になった心の中に、大河がいた。
気恥ずかしげにうつむくウェディング・ドレス姿の大河をみて、改めて竜児は思う。
俺はこの女を心底愛していると。
「高須様」
そう声をかけられて、はっとわれに返る。呆然と立ち尽くしたまま、じっと大河に
見入っていたのだ。大河は見られるのが恥ずかしいのか、それともまだウェディング・
ドレス姿が気恥ずかしいのか、さっきからまったくこちらを見ることも出来ない。
まるで顔を上げることのできない魔法にでもかかったように、落ち着かない様子で
そのあたりの椅子ばかり見ている。たまりかねて声をかけてくれた式場のお姉さんが
「ほら、逢坂様が待ってますよ」
竜児を促す。
待っている。そうだ、声をかけなければ。竜児の声を待っている大河にかけて
やらなければ。大河がいかにすばらしいか、自分がいかに大河を愛しているか、
大河がどれだけ自分の支えになっているか教えてやりたい。今、目の当たりにした
幻視を大河に教えてやりたい。
しかし、竜児は言葉をつむげなかった。心の中のあふれるような気持ちを言葉に
出来なかった。なんと言えばいいかすら思いつかなかった。かさかさに渇いた口の中を
ようやく湿らせて搾り出すように口にした言葉は、自分でもがっかりする程平凡だった。
「大河…きれいだ」
でも、その平凡な一言は大河にかけられていた魔法を解いた。
唇から困惑が消え、瞳から戸惑いが消える。桜色に染まっていた頬は薔薇のように
赤みを増し、伏せていたまなざしが、幸せそうな柔らかい微笑みと共に、ようやく
竜児に向けられる。
「…ありがとう…」
そして、少し見つめ合って
「竜児…私待ってるから」
「おう…必ず迎えに行くぜ」
言葉を交わした。
ようやく二言、三言と言葉を交わした若い二人を見ていたお姉さんは、もういいだろうと、
大河を促す。これからスタジオで写真撮影があるのだとか。
侍従に付き添われてパーティー会場から去るお姫様のように、大河は竜児の前から
消えていった。大河が居なくなっても、竜児はその場から動くことが出来なかった。
◇ ◇ ◇ ◇
貧乏人の子せがれが拾ったのは、王様の一家に捨てられたお人形だった。そのお人形は
王様達が去ってしまった大きな家に、独りぽつんと残されていた。
わがままで、乱暴で、だけど泣き虫なお人形は、いつの間にかその子せがれと
惹かれあうようになる。
やがて帰って来た王様達に、二人は結婚させてくださいと願い出た。
でも、その願いは聞いてもらえない。貧乏人の子せがれにお人形をあげるわけには
いかない。せめて、大人にならないといけない。
子せがれが大人になるまで、もう少しだけ、時間がいる。
ポタブール買おうかやめるか迷うな
新品買うとなると中古2〜3本分の金掛かるし
今からでも遅くないからとらドラオンリーにサークル出展して欲しいくらいだw
>大河はいつまで逢坂を名乗るのだろう。
俺も原作終了後からこのことが気になってた。
やっぱ逢坂姓を捨てちゃうんだろうか
348 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 02:22:35 ID:sXQmJMhS
ある深夜
あ〜眠れないわ。
おっ、偶然だな。俺もなんだ。
なんでだろ?
うーんなんかやけに今日は冷え込むな。そのせいかもな。
窓は閉まってるわよ?
あ、ほんとだ。
ううう、寒いよぅ〜。
うーーっどうにかなんねーかなぁこの寒さ。
り・・・竜児?
ん?
そ・・・そっちの布団いっていい?
ばっ!・・・そ・・そんなの・・・!
もぞもぞっ
うっ!うわっ!
ひひひ、あったか〜〜い。
ん、ほんとだ。あったかいな。
ねぇ竜児、もうちょっとだけこうしてて。
お、おう。
この後の展開は見てる人の想像でお願いします。
ラブラブでもよし、イチャイチャでもギシアンでもよし。
もし続きを書いてくれる人がいたらうれしいです。
それではおやすみなさい。 @ 「」がなくてスマソ。
>>326 ああ、これは酷いw
ヘタなギシアンより破壊力が…w
とりあえず子供はとんだエロ大明神になりそうね
GJ
全俺がフルボッキしている
この気持ち、どうすれば良い・・・
とりあえず夜中で人いないだろうし投下させてもらう。
まさか今の今まで眠たくていつも投下できていなかったとは言えまい。
そして今も眠い。さるか眠気ダウンで途中になるやも。
ちゅんちゅん、と、雀が奏でることで演出される早朝。
ぼんやり薄暗いと言うよりも、やんわり薄明るいと表現するのが似合う早朝。
しっかり寝て、しっかり起きて、窓を遮るカーテンなどをスライドさせて息を目一杯吸い込めば、清々しい気分にさせてくれる早朝。
そんな早朝、とある高級マンションの一室内。
ただっ広い部屋に鎮座する豪華な装飾のついたベッド。正に漫画やアニメなどの娯楽作品で良くある『お嬢様の部屋』。
しかし、その『お嬢様』と呼ばれる存在とは程遠い光景であるはずの無残に散らばる衣服類。
そんな夢と現実が交差する中、『早起き』とは少々無縁なはずの影が、むくりと体を起こす。
しっかり寝ていたのか甚だ怪しく、しっかり起きてもおらず、目を何度も手で擦る。
何時もならば、ぱたりともう一度体を倒し、欲望に忠実にもう一度夢の中へと旅立つところなのだが、それ以上の欲求を胸に秘め、よろよろとベッドから降りながら
睡魔を洗い出すように、何度も何度も目を擦る。
覚束ない足取りで幾度もあらぬ方向へと体を預け「ふみゃ」やら「うにゅ」など小動物に似つかわしい奇声を上げながら、もぞもぞと真白なワンピースを着込み、
ふらふらふらふら、と体を揺らしながら顔も洗わず、歯も磨かず、向かう先は玄関。
出掛ける先はコンビニなどではない。出掛ける目的は散歩などではない。
ただ1つの行動を元に、ゆらゆら揺れて、ごしごし目を擦り、それは外の世界へ旅立った。
【好きなことして何が悪い!? 貴様、歯を喰いしばれぇぇー!!】(タイトル)
そんな珍妙な出来事が起きた現場から徒歩3分。飛び移り5秒。
先ほどの部屋とは一切縁が無いであろう歩くだけでぎしぎしと軋み出しそうな少し草臥れたアパート。
「高須」と書かれた表札を掲げるそのアパートの一室内にて、ほんの少し寝相を崩しながらも、静かに寝息を立てながら目付きの悪い青年は眠りこけている。
規則正しく、一定のリズムで聞こえる呼吸音。
お手本など存在しないことではあるが、比喩するならば『これぞ由緒正しき寝方』、であろうか。
女だろうが男だろうが、寝顔が可愛い、だとか、眠る姿が愛くるしい、などの陳腐な理由ではなく、それは起こすことさえ躊躇うほど見事な寝方である。
無意識で起こす行動にこそ人の本質がでる、という格言があるのかないのかは定かではないが、それを言われれば、うむ、納得、と首を縦に傾けてしまうことであろう。
しかして、その素晴らしき寝相は呆気なく終わりを迎えた。
物はいつか必ず壊れることが自然の理であるように、寝るなら起きることが当然の道理である。
その『起きる』という原因が何にせよ、それは必ずやってくるものだ。
「――の―――は――――――――――」
ゆっくりと、そして確実に意識を現実へと引き戻される感覚に青年――高須 竜児は、その根源とも言える不快感に眉を顰める。
なんだ……、おもい……?おもい……って、なんだっけか……?ああ――重い――だ……。
覚醒しきれていない脳を必死に活動させ、自分がいかなる状態へと陥っているのか、たっぷりと時間を掛けて分析。
何が、重い……?棚……倒れた……か……?何で……?…………地震、とか?
あと、この呪文……は……何だ……?
「―児の『ゆ』―――竜―――――――」
徐々に自分の置かれた状況が垣間見えてくる、と言っても眼を開くことはせず結局は可能性の話であり、憶測からなるその内容も結局言うならば『妄想』でしかない。
だが、『寝起き』であることを考慮すれば、夢と現実の境界線で漂ってしまうのも致し方ないだろう。
ま、まさか、あれ……か……?怨霊悪霊、霊的オカルト、って……やつ……なのか?
……オイオイオイ、冗談じゃねぇ……、恨まれる覚えなんて一切無いぞ……。
いや、待てよ……、知らず知らずの内に事故で亡くなった人に供えられた花なんかを蹴飛ばしていた、とか……。
……していない、と強く否定できないのが情けない……。いつぞや誰かさんと一緒だったとは言え散々電柱に、完全なる八つ当たりをかまし、
あまつさえ直立不動であるべき物をピサの斜塔宜しく傾けてしまっては、「NO!」と言える日本人は雲の彼方の存在だな……。
……となれば……俺のやるべきことは……ひとつ……。
「竜―――――はぁ、―児の―――――」
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、と、聞こえてくる奇妙な呪文を発する主に対しての念仏を、胸から足にかけて圧し掛かるような重みに恐怖しながらも、
必死に、成仏してくれー、という想いを込めて心で訴えかける。
しかして、世の中そう上手くいくわけもなく、圧し掛かる重みも奇妙な呪文も一向に止む気配などない。
勘弁してくれ……、と心の中で更なる懇願を呈しても世界は変わりなどせず、竜児の恐怖心は極限まで達する。
こうなった場合の人間というものは面白いもので、ここに来て諸悪の根源を確認しようと目を向けてしまう。
見なければ良い、見なければそれ以上怖い思いをしなくて済む、と頭では理解していても、眼に映る映像から情報を得る生き物にとって、その行為は避けられるはずもない。
そこから更なる恐怖が始まるとしてもだ。
かくして竜児は、恐る恐る瞼を開く。そこに、映画よろしくブラウン管から飛び出してきた髪がボサボサの女がいる、という確信があったとしても。
「竜児の『じ』はぁ、竜児の『じ』〜♪」
「…………何、やってるんだ……?」
「おっ、竜児! 竜児ぃ!」
「……答えろ……」
「起きたら? ん? どうするの? ん?」
「………………おはよ……」
「ん、おはよ!」
が、眼を開けたところでそんな非現実的な事があるわけでもなく、結局は『大河が仰向けに眠っていた竜児の胸に寝転び、
両肘つきながら謎の唄を奏でていた』という現実味溢れるものだった。
いや、これでも十分非現実的であるのは確かなのだが。
一気に消失する恐怖感、しかし今度はそれを押し退けてやって来たるは疑問。
いや、疑問と言うよりは突っ込む箇所、か。
まず、何をしている?ということ。これが筆頭株主だからこそ開口一番問うたわけだが、何時も通りスルー。華麗にスルー。
「……あの唄は、なんだ?」
次に突っ込むとするならば奇妙な唄。
なぜ題材が自分なのかすら疑問が浮かぶところだが、それ以上に普通なら「林檎の『り』〜」とか言って、別の単語を用いるべきはずである。
にも関わらず、「竜児の『り』は竜児の『り』〜」などと至極当然のことを繰り返す意味が判らない。いや、知りたくもないところではあるのだが。
「あ、今の? 大河様作詞作曲、命名するなら『竜児の唄』ってとこね」
なんて言いながら、頼んでもいないのにまたしても唄い出す大河。
おまけに、オスカー賞も取れそうなぐらい名曲でしょ〜?なんてにこにこしながら聞いてくる始末。
何度も連呼される自分の名前にちょっとした羞恥心を植え付けられる。
そんな心をくしゃくしゃに丸めて、問うた意味はそういうことじゃない、と言い掛けたが、聞きたかった理由を言わせたところで
需要と供給が成り立たないのは目に見えているので竜児はそれ以上詮索しない。オスカー賞という、とんでもない天然かボケか判らない事柄も当然詮索しない。
なら、次の突っ込みである。
「……重い、どけ」
「ノン!」
どこの外人だよ、と言わんばかりに発音良く外来語を発し、首を軽く振って拒否を示す大河。
どれもこれも結局は自分の求めている道へと進まず、脇道逸れて闇に歩き続けることになっているのが、相変わらず過ぎて溜め息が出る。
いや、この場合、何時も歩かされている、という表現が一番適しているだろう。
だがそれで引くわけにもいかない。唄うのは良い、こういう行動を取ったのなら既に過ぎてしまったことだし咎めはしない。
けれども純粋に重いのだ。人が一番安らぎを得れる睡眠という状況を打破し、人が一番リラックス出来る寝転び状態に圧し掛かられているのだから。
「……頼むから、どいてくれ」
「ノン! ノンノンノンノンノン!」
拒否の言葉を何度も続け様に言い放ち、ぐりぐりぐりぐり、と胸板に頭を擦り付けてくる。
何の儀式だってんだ、これは……。
「お前なぁ、ほんっとに何がしたいんだ?」
「え? なに? 竜児、もうボケた? 呆けた? 痴呆した?」
見事なまでに全ての言葉に疑問符をつけて、質問を質問で返す大河。
大体この状況の意図を聞いただけでとんでもない扱い用である。
心持ち首を上げていた体勢から、一気に力を抜いて頭を枕の上に沈める。簡潔して言うならば脱力しているだけ。
「頼むから、俺にも判るように物事の壱から教えてくれ……」
言葉の節々に生命を吹き込んでの懇願。
竜児にしてみれば、これが今自分に精一杯のこと、と自負している。
ほとほと情けない話ではあるが、無理に大河を突き放す行動でも取って限りなく広がる野原のような範囲の逆鱗に触れるわけにもいかないのだ。
しかも、そんな精一杯の出来る事を行っても逆鱗に触れる場合があるのだから尚更性質が悪い。
だが今回はその逆鱗に触れることはなかったようで、大河は今竜児の胸に耳を当て、心臓の鼓動が聞こえる度に「とくん、とくん」と想い耽るように声を漏らしていた。
取り敢えず、大河が怒らない、という事態に安堵するものの、結局自分の問いはスルー。三回転ほどの鮮やかなスルー。
「……あのなぁ」
「あん?」
唐突に、ぶわわっ、とどす黒いオーラが一気に大河の周りに溢れ出し、虎の形となって威嚇する。
まるで、至福の一時を邪魔するとはどういうつもりかね?と言わんばかりに。
ただ、その一時を邪魔しているのは、その至福を提供している竜児なのだから、不機嫌という感情をぶつけるのは矛盾している。
しかし大河はそんな矛盾を気にも留めず、目を吊り上げ「何よ?」と重低音の声で竜児に凄む。その際、後ろの虎も「ガウゥ!」と吠えた。
うっ、とその気迫に押され気味になるが、もはや大河とは家族と言っても過言ではないほど共に時間を過ごしている竜児である。
炊事・洗濯・家事、という事柄でさえ順応していった竜児にとってみれば、大河のその行動も何時しか慣れ、それ相応の対応を取ることに成功していた。
その結果、どうするかと言うと、虎と並び立つのは竜である。
即ち大河がどす黒いオーラと共に虎を召喚したように、竜児もほんのり黒いオーラと共に竜を召喚する、『目には目を歯には歯を』作戦だ。
「こうなっている状況も、そうやって凄まれている意味も判らんから何度も教えてくれって頼んでるんだろ?」
しかして似合わないことはするべきではないのだろう。
竜児がこれでもかと精一杯凄んでみても、馳せ参じる者は竜ではなくタツノオトシゴ、通称『タツノコ』。
「ガオゥ!」と吠える虎に対して上下にプカプカ浮かぶタツノコ。
そんなオーラを垣間見た大河は、これでこそ竜児だ、と妙な感心と感動を覚えると同時に、このオーラを出すこと、それ即ち自分に対して半旗を翻しているという事実に
苛立ちを覚える。
だが、普段ならここで振り下ろされる拳、所謂『暴力』が執行されるわけだが、今日の大河は、不機嫌であることを示すオーラを醸し出すだけで、その力を行使してこない。
それだけでも奇妙なことではあるのだが、プラスして『言葉の暴力』さえ緩和されていた。
「ったく、ホントあんたってどうしようもないわねぇ。昨日の事を、もう忘れたって言うの?」
何時もならばここに『馬鹿』だの『駄犬』だの『どこぞに葬り去る』だの、心を抉り付けるには十分なほど鋭利な単語をすらすらと述べているのだが、
今はただ『どうしようもない』の一言だけ。
既に暴言を放っているのではないかと疑問に思うこともあるだろうが、それは大河流竜児専用のスキンシップなのだ。
その証拠に平常心を携えた状態での暴言であり、今のように不機嫌を露わにした状態でこそやんわりと濁した言葉しか投げ掛けてこない。
「……昨日? あれか、春田が超能力かなんかの番組をマネて『女子のスカート、風で捲り上がれぇ〜』とか念じて暴風起こして『平成の諸葛亮孔明』という新たな
伝説を作ったことか?」
「黙れ、沈黙しろ。というか真剣に答えろ」
範囲の広い逆鱗に触れない、という無理難題さえ達成すれば、の話だが。
★
大河の言う『昨日の事』というのは夕食後の事。
振り返ってみても、別段何時もと変わり映えしない一日だった、竜児はそう思う。
「げふぅ、ごっそさん」
米2合、大皿に盛り付けたサラダの3分の2、里芋と大根の煮物3杯、メインディッシュのエビフライ8尾を平らげ、大河は食事終了の合図を告げながら、そのまま横に倒れる。
こんだけ喰ってながら縦にはともかく、どうして横に広がっていかないのか、と世界各地で発見されたオーパーツを眺めるよりも不思議そうに見つめながら
竜児は食器類を流しへと運ぶ。
「お前なぁ、食器を運ばないにしてもだ、せめて喰って直ぐ横になる癖止めろ」
キッチンと食卓を何度も往復し、食器類を片しながら、ちょっとした小言を述べてみる。
どうせ返って来る言葉なんて大体予想はつくのだが、それでも竜児は毎日毎日飽きもせず、この小言を必ず漏らす。
それにはちゃんとした理由があるのだが、何よりもこういうことは大河自身の為になる、そういう親心に近い感情があるからこそ出てくるのだ。
「あんたが三回廻って『ワン!』とでも鳴けばね」
予想通りの言葉。幾度となく交わされた遣り取り。
竜児と大河だけのちょっとしたスキンシップ。
それが一日の最後を締めくくるふたりの他愛もない会話が始まる合図。
この合図が出た場合、決まって話題を振るのは大河である。
その内容は基本的に、その日学校で起きた事を「そういえば」なんて前置きをして話すのが通例。
竜児はどう思っているのかは定かではないが、大河にとって、この会話はとても大切な意味がある。
この後、大河が起こすことは『寝る』だけだ、あの大きく広いおもちゃ箱の中で、たったひとり。
理解しろ、なんて言うつもりはないし、理解できるとも思えない。自分でもそれが心の中でどの感情に位置するのか判っていないのだから。
それでも『寂しい』と思うことは多々ある、それが心の中の感情に位置する場所と違うという確信があったにしても。
特に、人の温もりや優しさをべったりと塗り付けられたおもちゃ箱をひとりで弄るようになってしまえば尚更。
だから重要なのだ、この会話は。
ふらふらとおもちゃ箱の中で丸まっても、「あいつはそう思ったんだ」と、人それぞれの考えに何となく小さく悩んだり、「っくく、なにあの顔」と、
思い出し笑いをしてみたり、「あー、もう! 久々にあいつに言い包められた!」と、ちょっと怒ってみたり、竜児との会話を思い出しながら色々な感情が溢れてくるから、
『寂しい』ということを忘れられるから、ひとりじゃないって思えるから。
だから重要なのだ。
今日はどんなお喋りをしよう?
話題には事欠かない日常。そんな幸せの選りすぐり。
だが、今日に至っては、その行為が意味を成すことはなかった。
「……前々から思ってたんだが――」
竜児自身から話題を提供してきたのだから。
珍しい、と心の中でぼそっと呟き、大河は少し心躍らせながら竜児の次の言葉を待つ。
「――俺のこと、結構嫌いだろ?」
予想もつかない突然の話題。
その言葉が聞こえるや否や、大河は上半身を、ガバッ、と勢い良く起こし、目を見開き、驚愕の表情で竜児を見やる。
そんな大河の表情とは裏腹に竜児は何時も通りの険しい目付きで大河を睨む。
実際のところ、もう少し細かく言うのならば、別に睨んでいるわけでもない、ただ単に目付きが悪いだけ。
人を外見で判断するのは良くない、という格言がぴったりであろう。
そうしてお互いが良くも悪くも見つめ合いながら時間だけで過ぎていき、そんな状況に陥っていることに竜児はその表情に困惑した表情を徐々に浮かべ出す。
ただただ呆けるだけで、言葉を口から出すことさえ忘れていた大河だったが、その竜児の表情を見て、ああ、そういうことか、とその言葉の意味を悟る。
「……はぁ? 何それ?」
大河が言葉にする。
幾分長い間があったものの、予想していた言葉が大河から得られ竜児は安堵の吐息を漏らす。
竜児がさきほどの質問をしたのは、深い理由は無い。何時も大河が話題を振るように、自分がたまには話題を振ろう、と考えただけである。
大河もその表情から、竜児が真剣にその話題を切り出したわけではないと悟ったから、平然と何時もの口調を取り戻せたわけだ。
まぁ、竜児がこの話題を切り出した真意までは読み取れなかったようだが。
「だってそうだろ? こうやってお前に食事を出し、お前ん家の掃除をし、お前の服も洗濯してやってる。
なのにお前の口から感謝の念を伝えられたことは一度も無い。その結論から導き出される答えがそうなっても仕方ないだろ?」
「どういう脳みそしてんのよ、あんた」
大きく溜め息をついて呆れてみる。
なるほど、今日はこういう話題でくるわけか、と。
真意のほどはまだ読み取れたわけではないが、成程面白そうだ。
それに、なんとなくだが、うまくいけば、素直に言えることもあるかもしれない。
「つまり あんたは私に『ありがとう』という一言を引き出したいわけ?」
「いや、違う。正直それ事態は自分でも楽しんでやってるし、お前から感謝されたいからやってるわけじゃない。
お前が喜んでくれるなら、それに越したことはないしな」
そう、などと単調な一言だけ述べてまた畳に倒れる大河。
ほんのり桜色に染まる頬を見られたくないがため。
「しかしだ、どれだけ自分勝手な行動だとしても、やはり感謝の念がひとつもないとなれば不安になるものだ。
お前、俺のことが嫌いなら嫌いってはっきり言ってくれて良いんだぞ?」
「遺憾だわ……、そんなふうに思われてたとは。はっきり言わせてもらえば、感謝することがあっても、恨みごとを言う覚えはない!」
苦笑交えに、その言い回しは俺がするべき立場なんじゃ?なんて思ってみるが声には出さない。
そんなことをしても結局、こちら側がねじ伏せられるのは、既に体験済みなのだから。
だが実のところ、ここまでの流れは竜児にとって予想通りの流れなのだ。
正直、「当然、嫌いだ」なんて一言が出てきたりしないか内心不安ではあったが、それなりに信頼されているだろうという気持ちもあった。
それを確信しているわけではないが、少なからず悪い印象を与えていないはず。
そういう思いがあってこそ、最初の切り出し方が出来たわけで。
だが、その気持ちを確認するのが最大の目的ではない。それを成す為に作戦は最終段階へと進む。
「なるほど、嫌われてはいないわけだ」
「不本意ながら、そうなるわね」
すぅ、と息を吸い込みと次の言葉を発しようとする竜児。本人が意図しているのか、それともここまで順調に作戦が進んでいることに安堵してか、
それとも大河の気持ちが嬉しかったのか、そのいずれかに該当するのかは定かではないが、口の端が上がっていた。
「なら、お前俺に『甘えてる』ってわけか?」
「は〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」
またしても勢い良く上半身を起こし、驚愕の表情で竜児を見やる大河。
ニヤニヤと嫌らしい表情をした竜児が言葉を続ける。
「お前の面倒を見て、お前はそれを良しとし、おまけにお前は俺を嫌っていない。だったら、結論は『甘えてる』ってことだよな?」
その表情、その言葉。
大河はここで竜児の真意を遂に悟る。
コイツ……、私を言い包めて、普段の罵声の逆襲をする気だ!
数えるほどしかないが、竜児の言葉に反論できず言い包められた経験はある。
その時の悔しさは言葉に現わせないほどで、先ほど述べたように『寂しさ』を忘れさせるほどの破壊力だ。
今回珍しく竜児から話を降ったのもその為。
おまけにシュミレーションしたかのような自然な口調、大河が不利な私生活部分を取り出すことから、言い包められる自身は相当あるようだ。
当然大河にとってこれほど分が悪い状況も無い。
だが、まだ、たったひとつだけ。
そう、たったひとつだけ、反論できるスペースがあるのだ。
「冗談はその目付きだけにしろ! 何時私が甘えたんだ!?」
「その理由はさっき語ったぞ」
「自分自身が『甘えた』と思っていなければ、それは『甘えた』ことにならない!」
「そうか? 第三者の目から見れば十分そういうことになると思うが?」
「どこのどいつよ、その第三者って」
「いや、勿論まだ統計はとっていないが、櫛枝や川島辺りに話せば、『甘えてる』との意見を頂戴することになるだろうな」
ニヤニヤ、とまるで「どうだ? 悔しいか? 残念ながら今回は俺の勝ちだな」と言わんばかりの表情。
そんな表情を見せつけられれば、いつもならば振り上げた拳を振り下ろすだけの大河だったが、今回は何も言わず、静かに立ち上がり「帰る」と一言ぼそりと呟く。
さすがにちょっとやり過ぎたか?と思うところはあるが、まぁ、明日になれば何時も通りになっているだろう、と対して気にもせず竜児は「おう」と答える。
玄関でとんとん、とつま先を地面に叩き、靴の位置を調整する大河。
その後ろ姿を見つめながら、怒りのオーラを感じない部分には安心したが、なぜか悔しいというオーラも感じない。
それに少々疑問に感じ竜児は首を傾げる。
「さっき言った通り―――」
「おう?」
後ろを振り向かず、玄関の扉を見据えたまま大河が話す。
突然のことに、ついいつもの口癖が出てしまう。
「―――私は甘えてるつもりはない」
「それならそれで良い、俺が勝手にそう思って喜んでるだけだから」
「だから、あんたに教えて上げる」
「何を?」
「…………大河様の本気を、よ」
最後に、おやすみ、と一言だけ残し、大河は高須家を後にした。
残された竜児は『大河の本気』という部分の意味も判らず、その真意を図ろうとしたが結局理解出来ず
「……言い負かされた悔しさからの一言……か?」
そう思うことにし、食器類を洗い出し始めた。
★
「で、この昨夜の出来事と今の繋がりは?」
時間で言えばまだ12時間も経っていない出来事を思い出してみても、頭に豆電球が灯ることもなく、そのまま継続して疑問をぶつける。
「だから、私は最後に何て言った?」
「……おやすみ」
その台詞を言う終わるや否や、竜児の顔の横すれすれを拳で力一杯殴る。
ぷすぷす、と焦げた音、そして立ち上がる煙。
どういう拳の鍛え方してるんだよ、と思いながら、大河の質問の答えを慎重に選び出す。
「……あー、『本気』ってやつか?」
「うん、それ」
先ほどの態度とは打って変って、子供のような素直さで答える。
この変わり身の早さに、こいつ頭でも強く打ったんじゃないのか、という失礼な考えが出てしまう。
「……つまり、その『本気』というのは……」
実際大河からはそれ相当のヒントらしきものを与えられてはりうのだろうが、それでも竜児は答えがまだ判らない。
言葉を濁しながら、何とか答えを大河の口から導き出そうと必死である。
しかし、今の竜児の台詞を大河は、理解したものと勘違いし、意図せずとも流石の竜児でも理解できる驚くべきことを口にする。
「そう、逢坂 大河は『本気』で高須 竜児に『甘える』ことにしたの!」
「はあああああーー!!!???」
恨みごとなど悲しみの連鎖を生みだすだけで、何の解決にもならない。
ドラマかアニメか、なんなのかは忘れたが、そんな台詞を聞いたことがある気がする。
逆襲もそれと同じなのだろう。
もし、今、過去に戻れるとしたならば、夕食後の自分を殴ってでも止めただろう。
そして、彼はまだ当然気付いていない。
更に何時間が経った未来の自分が過去に戻れるとしたならば、今度は夕食後の自分を殺してでも止めようとすることを。
限界
ごめんなさい、ねr
創作意欲の枯れ切ったヘタレ作家の俺が再燃した
書くぜぇ、超書くぜぇ……!
「りゅーじ、りゅーじっ」
逢坂大河、ご乱心。
「ま、待て待てっ、お前───」
竜児と呼ばれた少年が、慌てて椅子から立ち上がり、距離を取る。
ギロリと細められた双眸は、別に彼女を敵だと認識している訳ではない。元来そういう顔なだけであるが、今は割愛する。
睡魔の攻撃が一段と厳しくなる古文の授業から開放され、10分間の休み時間を満喫していたクラスメイト達が何事かとそちらに視線を向けると、竜児の前には小さな女の子が今にも彼に飛び付かんばかりに立っている。
彼女の名前は、逢坂大河。手乗りタイガーの通り名で親しまれる、校内でも屈指の暴君である。
「黙れ、そして腐れ」
この言葉が表す通り、この女は凶暴だった。
それは周りも分かっているし、保護者と言える立場の竜児も体に染み入る程理解している。痛感している。
それが何だ。今、この娘っ子はなんと言ったべ。
「竜児の嘘つき! 3時間目が終わったら抱っこしてくれるって約束したじゃないっ」
───ズガシャァッ
「お? どうした、亜美。いきなり椅子から転げ落ちるなんて……ああ、さてはお笑いに転向するのか?」
「しないわよっ!」
あーみん、叫んだ。
「お、俺っち、とんでもねぇもん見ちまっただ……」
みのりん、鼻から赤い液体がたらり。
「なになにー? また痴話喧嘩? いいねー、俺も混ぜてーん」
春田、スタイリッシュに大河の前へ。
「うっさい、腐れ!」
大河、そんな春田の肋骨に頭突き。
「おいおい、やめとけって……」
そんな一瞬で騒然と化した教室の中、竜児は大河をなだめつつ、クリティカルヒットを貰って瀕死状態の春田を気遣った。
外見はともかく、このクラスの中で最も平和的精神に溢れているのはやはり彼なのかもしれない。
「ってそんなことより、竜児ぃ、抱っこっ」
小さな子供がおねだりをするような目で、竜児を見上げる大河。
その目と来たら、自分を信頼し切っているようで、それでいてどこか不安気に揺れるチワワのような瞳だった。
「いや、だからな。ここ教室だろ? いくらなんでも周りの目ってもんが……」
実はこの2人、痴話喧嘩を起こすのは今回が初めてではない。
故に竜児の言う周囲の目など、最早気にするに値しないのだがこの男、変な所で真面目だったりする。
「そんなの関係ないもん…竜児、約束してくれたのに…」
そのまま俯いてぐずり始めてしまう。竜児の前限定で、彼女はこうなる。
「あ、あーもうっ、分かったよ。ほらっ!」
「ふにゅ」
突き刺さる周囲の視線。それを持ち前の眼力で───無意識に───弾き散らし、がばちょと腰元に大河を抱き締めた。
一瞬びくっとした大河も、「えへぇー」とだらしなく緩んだ顔を隠すことなく、その細い腕でがちっと竜児の腰を固定する。
牙の抜けた虎は、そのまま竜をよじよじと登り始めるのだった。
「にへー、りゅーじ、りゅーじー」
「おい待てやめろ待て待て待てって」
胸元まで到達した大河、早速「ちゅー」をねだる。
だが竜児は、接近する大河の可愛らしい顔を、首を横へ捻りつつ回避。
すると当然、自分の愛情をするっと避けられてしまった手乗りタイガーは途端にご機嫌斜め。
「ここじゃダメだ、みんな見てる」
「そんなの関係ないわよっ」
ぶー垂れた様は正に(`3´)状態。
竜児隊員はこれ以上の機嫌値低下は危険と判断し、なだめに掛かる。
「ほ、ほらっ! 違うところで! ここじゃ迷惑だから! なっ!?」
と見せかけて、たかっちゃんは盛る気…否、やる気のようです。
「……うん」
手乗りタイガーならぬ甘えんぼ大河。
ちょっと頬染めてこくんと頷く様に竜児は今すぐいちゃーっとしてやりたい気になったものの、今は退避するのが先決だと判断する。
愛しの大河をがっしと抱きかかえ、移動を開始する。
扉をギンっとひと睨みすれば、そこまでの道がサッと開けた。
「逢引じゃぁーっ!!」
竜児は深過ぎる大河の愛を一身に受け、叫び、走り出す。
「なんか、高須君って、大河と付き合い始めてから………」
どたばたと走り去るバカップルを見送って、クラスメイトの女子が。
「…………壊れた?」
ぽつん、と呟き。
「ってか次の授業、確かゆりちゃん先生じゃない…?」
さらに他の女子がそれを継ぎ。
「ふむ。そうなるとまた妙な独身オーラが増すな…仕方ない、ここは失恋大明神であるところの僕が一肌脱ごう!」
「やめろっつの、露出狂!」
あーみん、再び叫ぶ。
そこでチャイムが鳴って、さらにその後。
バカップルの居なくなった教室で、三十路まっしぐらな女教師が、額に青筋を浮かべつつ、出席を取るのであった。
…………………
「きゃっ、こら、りゅーじっ、そこだめぇ」
「ほれほれ、ここがいいのか。うん? ここか!」
…………………
「きぃーっ! 四六時中いちゃいちゃしてくれちゃって! あんた達なんか結婚しちゃえばいいのよ! そんでもって私は一生独りよ!独り身よ! ばーか、ばーか!」
「落ち着いてよ、ゆりちゃん…」
大橋高校2年C組。
本日も、平和な一日であったとさ。
(おしまい)
そして何気に2chでは初投下
駄文でごめんよ
10月最後の日曜日、竜児と大河は久しぶりにピクニックに出かけた。
仕事のある泰子は残念ながら誘えなかったが、大好きな河川敷のピクニックコースは
手をつないで歩く二人の未来を祝福するかのように晴れ渡っていた。
途中、野球に誘われることも、おぼれる美人女子大生を救出中のロン毛男に会うことも、
死んだはずなのに生き返ってきた黒猫男に出会うこともなく、折り返し地点の
大きな木に無事到着。
木陰で二人で食べたのは竜児手作りのサンドイッチ。チキン、牛、とんかつ、卵、と
少々動物性タンパク質の多すぎるサンドイッチは、一つ一つ絶妙にスパイスが
変えてあり、大河は大満足。
お腹いっぱいになって眠くなった大河に竜児は腕を枕として貸してくれ、二人木陰で
お昼寝タイム。大河はぐっすり眠れたが、竜児がどの程度眠れたかはよくわからない。
寄り道したスドバについつい長居してしまい、帰る頃には暗くなってしまった。
マンションの前まで送ってくれた竜児は大河にお別れのキスをしてくれた。
100点満点で言うと、99点。
食事中ふらりと現れたちっちゃなキジトラに、大河が卵を与えたのが
竜児としてはちょっとご不満だったらしい。
◇ ◇ ◇ ◇
「ただいま!」
食事ぎりぎりの時間にピクニックから帰ってきた大河に、母親が声をかける。
「早く手を洗ってきなさい。あ、そうそう、郵便来てたわよ」
えっ!と声をあげて大河が笑顔になる。あわてて自分の部屋に駆け込んだ。
「走っちゃ駄目でしょ」
という母親の小言も気にならない。それは机の上にあった。ホテルのロゴ入りの
大判の封筒が。
手で封を破こうとして、あわてて止める。ドジな大河は中身ごと破きかねない。
「はさみはさみ」
はやる心を抑えて、慎重に封筒の一番頭だけをはさみで切り取る。
中身はホテルのレターに書かれた目録と折りたたんだ厚紙。厚紙にはセロテープで
メモリ・カードが貼り付けてある。レターにはアルバイト代は別途書留で送ることが
書かれていた。大河の笑顔が一段と明るくなる。これでしばらく、クリスマス・
プレゼント代の心配はしなくていい。
さて、と折りたたまれた厚紙を開く。手が震えているのが自分でもわかる。
「…信じられない…」
厚紙の中には数枚の大判に焼かれた写真が挟んである。一番上にあるのは自分自身の…
逢坂大河の…ウェディング・ドレス姿だ。
「信じられない、信じられない、信じられない!」
口をふさぎ、押し殺した声で同じ事を何度も言う。その場でどたどたと足踏みする。
「大河!うるさくしちゃだめでしょ!もうご飯よ」
「わかってる!」
うるさいなぁ、と愚痴りながら、大河は満面の笑み。スタジオでプロが撮った完璧な
ウェディング写真がそこにあった。その姿を竜児に見てもらったのだ、と改めて思い出す。
「信じられない」
ウェディング・ドレスを着せられた時に自分の姿を鏡で見せられた。それでも
何だか現実のこととは思えなかった。その姿を、確かに、竜児はきれいだと
言ってくれたのだ。先週起きたばかりのハプニングだ。こうして写真を見ても、
嘘のようだ。
ほかの写真を見る。アップの写真、うつむいている写真、斜めから撮った写真。
どれも、間違いなく自分のウェディング写真だ。その姿を、竜児がきれいだと
言ってくれた。何度思い出しても信じられない。あれは夢のような出来事だった。
「大河!ご飯!」
「わかってる!」
来週は泰子を引っ張り出して今年最後のピクニックに遠出する計画だ。その
ピクニックで、泰子にこの写真を見せてあげよう。こんなお嫁さんが来ますよ、と
自分の手で見せてあげよう。竜児の作ったお弁当を囲んで、三人で写真を
見るのだ。思い浮かべるその様子は、とてもとても幸せにみえる。
そしてもちろん、ばかちーにも見せてあげないといけない。もう一度ちゃんと
お礼をいって、みんなに内緒で見せてあげよう。
「大河!」
「いーまーいーくー!」
ふーんっだ!
あとでパパとママにも写真を見せてあげるから楽しみにしていてね。ちょっとだけしか
見せてあげないけど。結婚を許してくれないのはパパとママなんだから、これは全部は
見せてあげない。ちゃんと見たいなら5年後まで待ってよね。
◇ ◇ ◇ ◇
年が明けて1月。
ホテルに現れたのは、どこからどう見ても怪しいカップルだった。。
女は真冬だというのに妙に露出の多い格好。ミニのスカートに谷間をばっちり強調した
Fカップ。顔の作りは子どもっぽいくせに、時折色っぽい表情をする。というか、
近づいてみると肌にはややお疲れ様な感じもちらほら。
男のほうは、女の恋人にしては若すぎるように見える。腕を絡め取られて顔を赤らめて
いるところは純情そうだが、そのくせ目つきだけは切れそうなほど鋭くて恐ろしげ。
「おい泰子、あんまりベタベタするな」
「もう竜ちゃんたら恥ずかしがってぇ。かわいい!」
「あほか。どこに実の母親に絡みつかれて堂々と街を歩けるガキが居るんだよ。はなせ」
「やだやだ、大河ちゃんに竜ちゃんとられてぇ、やっちゃん寂しいんだもの」
周囲からうろんな目で見られながら、竜児はロビーを見回す。その視線にあわせて
左から右へと顔を背ける人がウェーブを作る。軽く落ち込みながらも、目的のものを
見つけると、泰子を連れてフロントの脇へと進み、スタンドから「春のブライダル・フェア」と
書かれたパンフレットを手に取ってぱらぱらとめくった。
「あった」
「やっちゃんにも見せて!」
その写真は、ウェディング・ドレス紹介ページの後ろから2ページ目にあった。
1/4ページほどに縮小した写真には、かわいらしい少女の全身像が写っている。
「なんだぁ。大河ちゃんの写真ちっちゃーい」
「いいじゃねぇか。こんなのは大きいと変な奴の目にとまるから、このくらいでいいんだよ」
刺すような目つきの竜児を見上げ、泰子が妙に興奮した顔をする。
「えへへへへ。そうよねぇ。じゃ、持って行こうか」
「って、お前。どんだけ持って行く気だよ」
20冊ほど掴んだ泰子を竜児が制止する。
「だってぇ、みんなに配りたいの」
「だから、見せるなって言ってるだろう。ほら、じいちゃんのとこの分と」
そうやって2冊泰子の手に持たせ、残りを戻す。竜児の手には、見る用、予備用、
永久保存用の3冊が握られている。
目的を果たした怪しい二人連れは、回れ右をするとホテルのロビーから立ち去った。
◇ ◇ ◇ ◇
受験勉強も最後の追い込み。夜遅くまで勉強をする竜児の机には、2枚の写真が
飾ってある。
1枚は、5月の頃、二人でスドバに行った際にこっそり櫛枝実乃梨が撮影した写真。
写真の中の大河は、フレームの外に居るの竜児を優しげな目で見つめている。
もう1枚は10月にプロの写真家が撮影したウェディング・ドレス姿の肩から上の
アップ。大河が選んでくれたその1枚は、スタジオではなく竜児に衣装を見せた
ときのもの。きれいだと言われ、ようやく見上げることが出来た竜児へ向けるその顔には、
幸せそうな笑みが浮かんでいる。写真の中のヴェールで髪を飾った大河は、
5年後に竜児が花嫁として迎えてくれる日を心待ちにしている。
そこそこの掃除しかしていない泰子だが、この2枚の写真立てだけは高須棒で
毎日丁寧に埃を取っている。
◇ ◇ ◇ ◇
2月の半ば。
街が甘い香りに包まれて浮き足立っているちょうどその日の、とある乗り換え駅に
ある大きなホテル。ふらりと現れたその女は、フロントを素通りして風に乗るように
軽やかに大理石の床の上を歩いて行った。長い廊下の行き止まりにある別棟はウェディング
会場だが、仏滅の今日は閑散としている。
その会場ロビーの脇には白い階段があって、2階の相談コーナーに続いている。
コツコツとヒールの音を立てて階段を上ると、値の張りそうなコートを着た彼女は
あたりを見回した。
招待客が集まる1階は豪奢な作りだが、挙式の打ち合わせや採寸が主な業務の2階は
比較的事務的な雰囲気になっている。たとえば1階にはマネキンに着せた華やかな
花嫁衣装がガラスケースに展示されているが、2階には花嫁衣装をまとった
モデルの写真がパネルにして飾ってあるだけだ。
彼女は、その等身大の写真パネルを端から順に見ながら歩いて行く。どのモデルも
自信に満ちた目でカメラを見据え、営業で鍛えた花びらのような笑顔を振りまいている。
よく見れば彼女自身も驚くほどの小顔で、色つきめがねで覆っても写真のモデルたちに
負けない美貌は隠しようが無い。コートで覆っていても、その身のこなしから
しなやかなで美しい体つきが想像できる。
興味のない風で歩いていた彼女は、一番端のパネルの前で脚を止めて、写真に向き合った。
ヒール込み170cm越えのモデル達に並んで、その一枚だけはどう考えても
なんとか150cm。しかも、あからさまに素人。にもかかわらず、独特の光を放っている。
肩の辺りを露出したシンプルなドレスは、モデルの少女の華奢な体の魅力を
余すところ無く引き出して他のパネルにはない透き通った清純な香りを放っている。
ミルク色の柔らかそうな頬はかすかな桜色にそまり、バラの花びらのような
薄い唇に浮かんだ、はにかむようなかすかな笑みが見る者をとらえて放さない。
やや伏し目がちな瞳は愁いをたたえた薄い色で、しかしよく見ればはっきりとした
喜びに満ちている。その瞳を長いまつげが無遠慮な視線から護る。わずかに灰色がかった
長い髪はヴェールで飾られ、全体に流れる美しいフランス人形のような雰囲気を
強調している。
パネルをしばし見つめた女は腰をかがめ、顔を少し伏せ、色つきの眼鏡をずらして、
きらきらと光る大きな瞳で写真の少女の顔を観察する。幸せそうな笑顔の向こうに
何か見逃したものはないか。
しかし、注意深く見ても、心配しなければならないような陰はそこにはなかった。
あるのはただ、何年か後に自分を迎えに来てくれる男を待つ、少女の幸せに満ちた微笑みだけ。
女は写真の少女の表情に満足そうな顔をすると、色つき眼鏡を元に戻す。
背中を伸ばして深呼吸し、ぱっと明るい笑顔に切り替えて歌うようにつぶやいた。
「高須君には教えてあーげない」
そして軽やかにターンすると、ヒールの音を響かせながら、
甘い香りのただよう街へと消えていった。
(Sundays, October. おしまい)
ついに完結かあ…
相変わらずGJ!
さて、朝飯と弁当をつくるか
朝からなんか気分がいい
>>270 長編もついに完結…かぁ。
終わる頃に気づいたけど鳥肌立ちまくりだった。
やっぱり何度も言われてるけど情景表現がうまい…
また読める事を楽しみにしてます!
>>337 迅速な対応ありがとうございます。
結局マギー審司なのがワロタw
もう感謝の言葉もありませんよ…。
>>364 読みやすくていい文だし、シチュも好みだ
頑張ってくれたまへ
374 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 08:39:22 ID:GJUufBA6
>>335 改行の間にすっきりしたわけですね
わかります
375 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 08:39:41 ID:GJUufBA6
376 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 08:43:58 ID:GJUufBA6
377 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 09:39:39 ID:9zRRovh2
>>359,364,370
お疲れ
面白かったぜい
校正は俺っちに任せろ
378 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 12:53:42 ID:87M2gaUk
いつの間にか規制されてやがる…
長編完結乙です
読んでてジーンときました
ホント文章うまい
なんていうかもったいなくて読めねぇ……
ギシアンネタしか書けない自分が惨めだす
381 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 14:07:32 ID:9zRRovh2
ギシアンも良ネタだお
もともとはそういうネタありきなスレだったしな
383 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 14:53:46 ID:9zRRovh2
お年頃の妄想はほぼセックスに関することだからな
ところで大河の好きな体位ってなんでしょうね
Sっ気強い女は騎乗位が好きでMっ気強い女は後背位が好きだとか
でもS女が精神的に気弱になると後背位になるとかなんとか
パイズリより薄い胸を背中に擦りつけられるほうが好きな俺竜児
>>383 ポリネシアンセックスだろJK
あんな、甘甘な二人には激しいセックルは似合わない。
前スレあたりにもあったが、お互いの肌を合わせて何時間もそのままの状態ってのが
デフォだとおもうんだぜ
387 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 16:48:25 ID:e/WYsFvA
>>386 それは俺も思った
でも回数を重ねるうちに激しく動くようになるんだよ
大河が
最初は割れ物を扱うような手つきだけど、
最後は結局重いもの持って運ぶ時みたいなのになるよきっと
大河は甘えSかな
普段は構って欲しくて蹴ったりするけど、えちぃ事してる時は素直に甘えるんじゃないか
>>361 ヤベーwww
萌えるが大変迷惑なヤツらだwww
転げ落ちるあーみんワロス
391 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 17:38:23 ID:e/WYsFvA
>>388 〃ハヽ〃ハヽヽ
(*´(vV*从 <はい駅弁
( 二つ とノ
)⊂,,_ノ
(_)__)
392 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 17:40:40 ID:e/WYsFvA
貧乳は感度がいいという俗説はともかく
対面座位で大河の乳首を竜児が吸うとマンコが締まるのはお約束だな
二人の子供が彼氏か彼女を連れて来たら…
娘「パパ。この人が私の彼氏よ」
彼氏「ヒイィィ!親分さん娘さんとの交際をお許しくださいぃ!!」
竜児「いや君…そんなに怯えなくても…」
息子「この人が俺の彼女だ」
彼女「あら、もしかして妹さん?初めまして」
大河「表にでろ貴様」
>>393 歳食っても変わってねぇんだろな2人共w
396 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 20:27:21 ID:e/WYsFvA
とらドラを観る前に言っておくッ!
おれは今やつのアニメをほんのちょっぴりだが鑑賞した
い…いや…鑑賞したというよりはまったく理解を超えていたのだが……
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『少しくらいならあるだろうと思っていた
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 胸は本当に平らなひんぬーだった』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも何をされたのかわからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ 偽乳だとか豊胸手術だとか
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
398 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 20:39:42 ID:nG2l5trg
最近ながいSSばかりなのでたまには息抜きに軽いのをどうぞ。
ある春の天気のいい日のこと、竜児と大河は散歩をしていた。
「う〜ん、いい天気ね〜」
「久しぶりの洗濯びよりだな。」
「あ!タンポポ!かわいぃ〜」
「お、タンポポだな。」
「あ!くじらぐも!でっか〜い!」
「お、くじら雲だな。」
「あ!向こうに山が見える!」
「お、山だな。」
「あ!おっきな気球だ!乗ってみた〜い」
「お、気球だな。」
「あ!フェラーリ!かっくい〜!」
「お、フェラ・・・おっと!こんなトコに小石がおちてら。危うく転ぶとこだった。」
「い・・・今なんていった?・・・」
「ん?フェラ・・・はっ!!!」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
ギシギシアンアン
399 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 20:51:54 ID:e/WYsFvA
>>398 ノノノハヽ 〆⌒ヽ
ヽ(VvV川/ <ちょwwww
\(. \ ノ ズコー
、ハ,,、
CHAIN
竜児「思ったよりも人がいないな。少ないわけでもないが」
大河「良かったじゃない、スムーズに動けるし」
竜児「だな。にしても正月も仕事なんて、泰子忙しそうだな…やっぱ大人って大変だよな」
大河「不安?」
竜児「ん?」
大河「竜児自信も大人…社会人の一員になるってことによ」
竜児「不安…かもな。でも就職先が決まってホッとしてる気持ちと、そこで精一杯頑張る、って気持ちの方がでかいな」
大河「そう…………でも頑張りすぎないでね?無理しないでね?何もかもを1人で抱えないでね?…りゅ、竜児を受け止めて支えるくらいは…私にもできるから!///」
竜児「…おう、ありがとな。お前こそ、1人で全てを背負おうとするなよ?おまえは俺の大切な存在なんだからな」
大河「…よ、よくも恥ずかしがらずにそう…ゴニョゴニョ///」
さっきのおまえの台詞も…とは言わないでおいた。単純に嬉しかったから…
♪
大河「むふふ〜」
竜児「リンゴ飴で随分幸せになれるんだな」
大河「だ〜って美味しいんだもん♪」
いつみても大河のこの笑顔にはやられる。やっぱり普通の女の子なんだよな。それを見つけた人は何人いるだろう…
竜児「よし、ついたな。え〜と…お賽銭は…っと」
大河「MOTTAINAI精神のあんたでもお賽銭はやるんだ?」
竜児「そりゃそうだ。流石に罰当たりなことはできん」
大河「…といいつつ手に持ってるのは1円玉に見えるんだけど」
竜児「おまえこそ1円玉じゃねえか」
大河「2円よ」
俺たちはケチなわけじゃない。お金を大切にする似た者同士なだけだ…と周りからは見られたい。
♪
竜児「で?何をお願いしたんだ?」
大河「知りたい?」
竜児「おう」
大河「…みんな幸せになりますように、って…」
竜児「お、俺と同じだな」
大河「欲張りなお願いだったかな?」
竜児「そんなことはないだろう」
大河「だって合わせて3円よ?」
竜児「そういう意味でかよ」
大河「あ…この場所」
竜児「ん?どうかしたか?」
大河「去年、ここで北村くんに会ったんだ…」
竜児「それが?……ああ、そうか…」
大河「去年の初詣でお願いしちゃったことはすぐに叶ったんだよ…ふふ、北村くんの力もあったかもね」
竜児「…そうだな」
みんなに支えられて、幸せの第一歩を踏み出した。きっと大河と俺だけじゃ、どうにもならなかっただろう。俺たちはまだ小さい。
♪
404 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 21:00:32 ID:e/WYsFvA
竜児「じゃあ帰るか」
大河「まって!たこ焼き買う!」
竜児「…よく食うな」
去年もこんなに出店があったっけか?…あ、去年は初詣できなかったんだよなあ…
大河「はふはふ…おいひい〜!」
竜児「さっそく青海苔ついてるぞ(フキフキ」
大河「竜児も食べたい?」
竜児「くれんのか?」
大河「1個だけよ」
竜児「わかってるって」
大河「はい、あ〜ん」
竜児「はぐはぐ…そこそこイケるな」
大河「もうあげないわよ」
竜児「わかってるってば」
つまようじの間接キス。これくらいはなれてきた気がする。
大河「ねえ竜児」
竜児「おう、なんだ?」
大河「みんな幸せ…本当にそうなればいいね」
竜児「…俺たちがそうするんだよ。感謝の意も込めてな…」
大河「私たちで?…できるかな…?」
竜児「誰かを支えることくらいできるはずだ。俺たちも支えられて幸せになったんだからな…」
大河「…そうだね、そうしよう!私たちで!」
この日、俺と大河はまた一段と近づいた気がする。これからもこうやって強く結ばれていくのだろう。そう思ったらまた一つ幸せになった。
何を書きたかったのかよくわからんが、なにか書きたかった。やっぱ俺は短編しか書けないな…
406 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 21:01:48 ID:e/WYsFvA
407 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 21:06:57 ID:e/WYsFvA
短編も長編と同じくらい面白いので良いのです
ここに書き込んでくれてる人は、それなりに勇気をだして書き込んでくれてるわけだし
和んで欲しいと思って書き込んでくれてるはずだから、それに対して
「つまらん」とかいうやつはいないよ。
これからも、短編長編関わらず投下してくれるとうれしいですね。
評価くださった方々ありがとう。また何か思いついたら書いてみようと思います。短編でw
>>404 3枚目保存した
短編は短編の良さがある
って書こうとしたら
もう書かれてたw
一行も書けないROMるしかできないオレよりよほど大した人ですよ!
しかし10月の…は、もう公式スピンオフでいいんじゃね!?
このエピだけでも一冊の本になりそう
やっちゃんや大河ママンのリアクションや
あーみんってか、ばかちーへのお礼のくだりとかちゃんと読みたい
やっちゃん入れてのピクニックとかも(前フリまでしてたのに…)
>>404 大河を悪く言うやつは俺が許さんって俺きめええええええええ
もうすぐ駄文投下予定
412 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 22:01:11 ID:nG2l5trg
>>408さんいいこといってくれてありがとう。
俺はギシアンネタしか書いてない(かけない)人です。
前のゲームネタとかギシアンとみせかけてそうでないやつとか書いたの全部俺です。
>>408を読んでたらホッとしました!!
>>410 ありがとう。文字数数えたら「クリーム・ソーダ」「天気が…」「蹴っ飛ばしてやろうか」
「Sundays, October」で計10万3千文字あった。薄い単行本くらいにはなるね。
我ながら短期間でよく書いたよ。
書きたいけど削ったエピソードも多いよ。月曜日に泰子がお掃除していたら竜児の
ベッドから大河の甘い匂いがしてきて、夜に赤飯買ってきたら竜児に静かに怒られたとか。
ゆゆこが匂わすだけではっきり書かない技法を使うので、俺もほったらかしにしている
エピとかある。とらドラ!は書いていて面白かった。
あとはまぁ、短編だけど
>>324 は、もっとエロく書けばよかったと後悔している。原作者の
スピン・オフにエロさで負けてるもんなぁ。
口移しは貴方の犯行かwwwww
うーん、ポータブル発売までもう少しだが、まだ購入するかどうか
悩んでいる。
ふたりの新しいエピソードを見れるなら安いものなのだが……。
うむむ。
竜児ってインドの奥地に行っても無事で帰って来そうだな。インド寺院のタイガー的に考えて
417 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 23:15:31 ID:87M2gaUk
自分で書いても鬱になるだけosz
エロさもないし、表現の仕方がガキくさい。
古文勉強してこよ
いっしょにとれーにんぐて実在したのかw
>>396 うぉう!?もう全く話題に上ってないから忘れられたと思っていた我が作品への挿し絵。
ありがとうございます。
実は今2つくらい新たに話を考えてます。
一つは大幅な路線変更してます。30日より前には投下したいなぁ。
ポータブルはTORAシステムが一番心配だな
頭ふらふらさせ過ぎて不自然なんてことになったら目も当てられないだろうし・・・
CMに出てる分だけでもキモイというか怖い感じなのが不安だな。無表情すぎるというか
おれも麻生小遣いでとらP買おうかと思って。
本体といっしょに。
424 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/27(月) 23:39:18 ID:87M2gaUk
>>420 自分もそれ心配してる。
公式みたけど目の動きがリアルすぎてry
あとマップ移動画面もry
ゼロ魔の二の舞にはなって欲しくない…。
スレチすません
425 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 00:18:11 ID:vRQNJXx4
>>413 なんか連続した語彙に「・」で区切り入れるのが個性的で面白いね
426 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 00:20:26 ID:vRQNJXx4
>>419 刺激になるならそれでいい
俺はAT-Xで始まったリピート放送4回全部見て刺激受けてるぜ
本放送は1月から見始めたからな
427 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 00:37:49 ID:vRQNJXx4
PSPは本体持って無いしDVDは金が無いから泣く泣くスルーだが
キャラソンアルバムは買うぜ!
【とらドラ!】大河×竜児【スキスキ妄想】Vol6の400くらいまで保管しました。
なんか落とせなかったので、まとめサイトオフライン版を一時撤去しました。
とらドラ・ポータブル!2009年4月30日発売!やるぜぇ、超やるぜぇ〜
とらドラP!で引きこもる予定なので、今のうちに…
指摘された部分について修正したつもりですが、まだ直っていない部分がありましたら
お手数ですが再度ご指摘ください。
アニメ版設定の駄文掌編投下します。
薇エロ?
『竜児、浮気してないわよね。』
なんとなく恒例となりつつある大河とのメールのやりとり。
いつもならば、なんてことのない日常のあれこれを報告する程度なのだが……
『してねえ。
するわけがねえ。』
即座に返信。
「いきなり何考えてんだ……?」
怪訝に思っているうちに再び着信。
『今日、クラスの子達と話してるうちに彼氏とかの話題になったんだけど、
男の子って、色々と……溜まるんでしょ?
だから、ある程度定期的に、その、抜かなくちゃいけないとか、なんとか。』
「……なんて事話してやがる。恐るべきは女子校なのか?」
『竜児だって男だもんね。そのへんはわかってるつもり。
待たせてるのは私だし……
だけど私としてはやっぱり、竜児が他の女の事考えながらそういうことするのはイヤなの。
だから、ね。
特別に
ホント特別によ!
あと誰かに口外したら殺す。』
文章の下にはなにやら添付ファイル。開いてみれば……
「!」
全体の八割ほどを肌色が占める画像だった。
顔は顎の先程度しか写っていないが、肩にかけられているのは間違いなく見た事のある柄のパジャマ。
何よりあまり類を見ないであろうなだらかな起伏。
その中央には淡い桜色の……
「これは、つまり、た、大河の……む、む……」
三度着信。
『今のメール間違えてみのりんにも送っちゃったどうしよう』
翌朝。
「おっはよう高須君!
太陽は黄色くないかい?腰は大丈夫?程々にしておかないと股間の大金時殿が擦り切れちまうぜ〜」
「たのむ櫛枝、大河の為にもあのメールの事は忘れてくれ」
431 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 02:34:20 ID:vRQNJXx4
432 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 02:35:15 ID:vRQNJXx4
北村「お…? 高須が逢坂に噛み付かれているぞ。一体どうしたんだ?」
>>430 (大河が)アホじゃないか!?
アホじゃないか!?
読み終わって2度叫んでしまいましたw
一連の行動、大河ならやりかねないwww
竜児やさしさに同情したw
みのりぬフリーダムwww
438 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 09:01:30 ID:Urc98EQC
大変!みのりん貧血になちゃうよ!
太陽が黄色かったのはみのりんの方かw
440 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 10:17:14 ID:Urc98EQC
まあみのりむは修学旅行やら何やらで大河の乳首見ているわけだが
>>430 アホな俺にみのりーぬが何を言わんとしているのか教えてくれwww
442 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 11:38:37 ID:Urc98EQC
>>441 実乃梨「え〜みのりん純情少女だからわかんなーい♥」
亜美「なーに純情ぶってんのこの子は」
奈々子「要するにコキ過ぎ注意ってことでしょ」
麻耶「ちょ、奈々子ぶっちゃけすぎ!」
443 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 12:33:13 ID:j1nA0i0o
定番だが、股間は高須棒にしてほしかった(笑)<みのりぬ
まぁ、いくら草食の竜児でもお年頃だし一回ぐらいはヌクよねw
賢者タイムの自己嫌悪が半端無くて独白聞けたら面白そうだ
445 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 12:36:57 ID:j1nA0i0o
大河ニーしちゃって自己嫌悪になったことを北村あたりに相談とかしそうだな
そして微妙にずれた回答が返ってくると
446 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 12:39:07 ID:j1nA0i0o
>>428 「声優ネタ」書いたもんだけど
_,,.. -- 、__,,..,,__
,. -<. `ヽァo、`ヽ.
, '7´ ) ';`ー゚) '、
ノ ! ; ! i'´ .i
;.' '; _!_ ,! ! /_!_ ,i ,i
,' ';ゝL./ |__」/!_」__ ソ ,.イ |
i ,' ! ''(◯), 、(◯)` ! / ,'
!_ハ_! ,ハ rェェェ、 !コ i うわぁ何このバカップル
ソーr' !" |,r-r-| ""'r'´二.ヽ ',
;' ノノ>.、.,_`ニニ´_,. イ/´ _iノヽ i
i ン´ ,,.ィ`i7こ__ノ こ二、ヽ,ハノ
', ! ァ'レ' レ' i:::::iヽ._/ レ'
、_)、ノヽ/ / |:::::! (二`ヽノヽ_
↑このAAは省略してもらって結構ですお
竜児が大河を肩車しながら登校する電波を受信した
449 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 17:49:41 ID:+F9wDNja
深夜の1時23分
大河は高須家の寝室でねていて、夜中にトイレに行きたくなり、起きた。
大「おしっこもれるもれる」
大河は寝室の扉を静かにあけた。
大「ん?」
竜「ムフフフ…」
大「(こんな時間になにやってんのかしら?…)」
竜児はなにやらテレビを見ていた。
竜「ムフフフフフフ…」
竜児は性的犯罪を犯したような顔でテレビを見ながらニヤニヤしていた。
大「(何見てんのかしら…?)」
大河は竜児に気づかれないように遠くから静かに目をこらしてテレビの画面をみた。
大「?!!!」
なんと竜児は部屋の電気もつけずに深夜アニメを見ていたのだ。
竜「ムフ、ララちゃんカワユスなぁ〜、ムフフ」
竜児は前のめりになってテレビの画面を見ていて小声でなにかブツブツ呟いていたのだ。
大「(あ…あれが本当に竜児なの?…)」
竜児は手に何か持っていた。
大「(フィ…フィギュア?…)」
竜児は両手で大事そうにテレビに映っている女の子のフィギュアを持っていて、
親指でフィギュアの頭の部分をすりすりしていた。
竜「ララ、かわいいよララ、ムフフ」
大河はこの光景に呆然と立ち尽くした。
つづく
というより続けた方がいいですか?
>>449 ここで終わるとスレ違いになるし、面白そうだから続けてくれ
452 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 18:21:06 ID:+F9wDNja
>>449です。
了解しました。続けます。
でも忙しいのであとで書きます。あと、大した話ではないので気楽に読んで下さい。
次くらいでシメる予定です。
453 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 18:36:53 ID:JUa90+9k
>>449 そこは初恋限定。だろ…なんちゃってw
ぜひ続けてくんろ
元ネタは二週前のToLOVEるかな?
454 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 18:37:04 ID:JUa90+9k
455 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 22:11:24 ID:+F9wDNja
>>449つづき
大「(まさか竜児がこんな趣味だったなんて…いつもの竜児じゃないみたい…)」
気づくと大河の足は少し震えていた。
竜「ンフフフフ♪」
竜児は鬼がほくそ笑んだかの様な顔をさらにひんまげて、ムフムフと笑った。
竜「ムフフ、ヤミちゃ〜ん…おっ、もうCMか。ションベンションベン…」
テレビでCMが流れ始め、竜児は股間を押さえながら立ち上がった。
竜「う〜おしっこもれるもれる」
大「やばいっ!!バレるバレる!!」
竜児はフィギュアをその場に置き、ゆっくりまわれ右をしてトイレのある方に体を向けた。
その方向は大河のいる方向でもあった。
大「(や…やばい!隠れなきゃ!)」
しかし大河の体は緊張のあまり動かない!
竜「ウンフフンフ〜ンf…あ……………」
見つかってしまった。
大「あ……その………」
竜「よ……よう………」
沈黙がしばらく続く。
竜「い…いつから見てたんだ?」
大「い…いいいいいいいい今来たばかりだけど?」
いま来たって言うのは全くのウソぴょんでオープニングの時からずっと見てました〜
なんて口が裂けても空間が歪んでも言えない。
大「(ど…どどどどうしよう…)」
つづく
456 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 22:20:24 ID:IBecrE5i
>>455 お疲れさま。続きが気になるわぁ
23分に発見してオープニングからみてたって事は、
とらぶるって中途半端な時間から放送してるんだな
457 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 22:29:22 ID:8c2LD6C3
スレちだろ
キャラ個別って書いてある
通報しときますね
キャラソンアルバムゲット。
発売前だからくわしいことは言わないが
歌詞が竜司・大河、両方とも2828すること間違いなし
459 :
458:2009/04/28(火) 22:48:10 ID:T6X5uvWp
竜児の名前間違った…
×竜司
○竜児
460 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 22:54:48 ID:+F9wDNja
>>455です。
>>456さん、23分つーのはとらドラの開始時間からとりました。地方によって違うけど…
あと続き書いた方がいいですかね?
461 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 23:02:37 ID:+F9wDNja
462 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/28(火) 23:19:37 ID:sA7SLUTK
竜児はアニヲタだった!ぐらい許せよ通報厨w
464 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 00:41:09 ID:KWcc/jvQ
グラグラグラ
大河「ひゃー!!」
竜児「地震だ。大河こっち来い」
大河「……(ぎゅっ)」
竜児「大丈夫だから(脅える大河…かわいいな)…おっ収まったな」
大河「べ、別に地震が怖いわけじゃないのよ。ただ揺れると痛いのよ!!」
竜児「…え?」
大河「だーかーら!胸が揺れて痛いの!わかれバカ犬!」
竜児「……(こういうときなんて言えばいいんだよマジで)」
大河「黙ってないで何か言いなさいよ!」
竜児「えーと…安心しろ。どれだけ地震が来たとしても俺がこの両手でお前の胸をしっかり支えてやるよ」
大河「なななななーにこっ恥ずかしいこと言ってんのよー!!(ベシッ)」
竜児「やれやれ…(素直に地震怖いって言えばいいのに…)」
大河「でも…嬉しいよ、竜児っ♥」
竜児「//////」
465 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 00:41:34 ID:KWcc/jvQ
揺れない震源地をどう揺らせと言うのだ!
とつっこみたくてもつっこめない
それが高須クオリティ
「気遣いの高須」は伊達じゃない!
467 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 00:47:58 ID:KWcc/jvQ
自分で書いておいてなんだが
>大河「……(ぎゅっ)」
竜児の首を絞めているように思えなくもない
468 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 01:06:45 ID:wxeHyyVC
>>455つづき
大「い…いいいいいいい今来たばかりだけど?」
竜「そ…そうか…俺は今ニ…ニュースを見てたんだ。さ…さぁて寝るかな…」
テレビ「「リト〜!!春菜ちゅわ〜ん!!ウフフフ、アハハハ」」
竜「!!!!!!!!!!」
CMが終わり、アニメの後半が始まってしまった。
竜「あ……こ、こここここここここここここれはだな………」
竜児は後ずさりした。だがその拍子に床に置いたフィギュアをけっとばしてしまった。
フィギュアはコロコロと大河の足元に転がっていった。
大「・・・・・・・・・・」
竜「・・・・・・あ・・・」
竜「…ハハハ、なんか泣けてきたよ。もうどうにでもなれよ。…ハハハハ…」
大「あ………あの………」
竜「フハハハハハ!もうどうにでもなれや!ワハハハハ!」
竜児は裸足のままおもいっきり家を飛び出した。
大「りゅ、竜児!待って!」
大河も裸足のまま竜児を追いかけた。
向かった先は公園だった。
大「ハァハァ…竜児!」
竜児はなんと裸で暴れていた!
大「竜児?!!ア、アンタ何してるの?!」
次が最後。ものすごくいまキレが悪いトコだから次書き終わるまでノーコメントでお願いします。
469 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 01:32:26 ID:wxeHyyVC
>>468つづき
竜「イヤアアアァアアァア!!」
竜児はまるで酔っているかの様に暴れ狂った。
大「ちょ…竜児…ん?!」
よくみたらSMAPの草ナギも一緒に踊っていた。
竜・草「バーカバーカ!タイガーー!シンゴーー!!!」
大「ちょっ・・・落ち着いて!前転をやめて!二人とも!」
竜「タイガァーーー!!ゴロゴロ」
大「ちょっ…!誰か助けて!!!ポリスメーーーン!!!・・・・・」
大「りゅーーじぃーーーーっ!・・・・」
大河はなぜか高須家の布団の中にいた。
竜「おうっ!!な、なんだよ朝っぱらから」
大「へ?・・・」
そう、大河は夢を見ていたのだ。
大「ひぐ・・・ぐすっ・・・」
竜「な・・・なんだよいきなり?」
隣で寝ていた竜児が飛び起きた。
大「バ・・・バカ・・・」
竜「バカッてn・・・」
大「バカバカバカバカ!」
大河は泣きながら竜児の厚い胸板をドンドンと叩いた。
竜「いたたたた、な、なにすんだy・・・・・」
大「うわぁ〜〜〜ん!!」
しまいには顔を涙でグシャグシャにして竜児の胸に抱きついた。
そんな大河の様子をみていた竜児はかわいいなっと思ったのだがそれはまた別のお話w おわり
470 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 01:39:24 ID:wxeHyyVC
>>469補足
ベタなオチですいません。読んでくれた人、ホントにありがとうございました。
そんじゃ、おやすみなさい。
ここにもつよぽんネタがwwwwwwww
>>470 いやいや普通に面白かったよw
夢オチに心底安心した。
俺も大河だったら泣くわ
ある日、夕飯の食材の買い物帰り。
大河「りゅうじー」
竜児「ん?なんだ?」
大河「手繋ごう?」
竜児「なんだ突然。こっちは両手に荷物で手が埋まってるんだよ」
大河「そんなの片手で持てば手空くじゃん」
竜児「簡単に言うな。三人分の食材の重みはダテじゃねーんだ」
大河「なんだ使えない駄犬ねー。せっかくご主事様が手をつないでやろうって言ってるのに」
竜児「使えなくて悪かったな」
大河「はいはいそーだったわね。あんたが使えないのは前からだったしね」
竜児「お前な・・・」
大河「だったら、一個くらい持ってあげてもいいよ・・・?」
竜児「えっ・・・。大河が持ってくれるのか?結構重いからいいよ」
大河「持ってやるって言ってんだからさっさと寄越しなさいよ」
グイッと荷物を分捕る大河。
大河「へへへ、これで片手空いたでしょ?」
竜児「すまんな持ってもらって」
大河「ハイッ」
笑顔満面に手を差し出す大河。
竜児「しょーがねーな・・・」
手を差し出し握る竜児。
大河「それじゃヤだ」
竜児「なんだ今度は。ちゃんと手を握ってるだろ?」
大河「そうじゃなくて、こうがいい」
指をからめて手を握り直す大河。
大河「へへへ、これで良しっ」
竜児「ったく、しょーがねーなー」
ぷらんぷらんと握り合った手を振りあう二人。
大河の笑顔につられ、竜児も自然と笑顔になる。
竜児「こんなのも・・・悪くないな」
大河「ん?なんか言った?」
竜児「いや、別に。そんなことよりとっとと帰ろうぜ。夕食の準備が遅れちまう」
大河「うん!!」
・・・という、ごくありふれた日常の一コマでした。
>>470 乙
つよぽんの力は偉大だなw
>>473 何でもないようなことが(ry
by 高橋ジョージ
という訳で漏れも投下
雨の土曜日、高須家
09:40
泰子が弁財天国の買出しに出かけてすぐ、大河がやってきた。
「ふぅ〜、すごい雨ね。少ししか歩いてないのにずぶ濡れだわ。4月だってのに寒いし。」
「おう、とりあえずバスタオルで拭いてからあがれよ。」
「あーい」
そうやって、バスタオルを大河に向かって投げる。傘をさしてきたとは思えないほど濡れていて、どこか色気すら感じる。
もし至近距離にいたら、そんな大河の匂いにドキッときたに違いない。
当然、その後「発情してんじゃないわよこのエロ犬!」と言う罵りとともにアッパーカットを食らっていただろうが。
09:47
「はちみつ金柑飲むかー?」
「飲むー。温かいやつね。」
「温かくしても冷めるまで飲まないだろーが。」
「細かいことに突っ込まないの、寿命縮むわよ。」
そういって、大河はバスタオルで頭を拭きながらぺたぺたと歩く。
「♪ピッチ・・・ピッチチャッ・・・プチャップランラン・・・ラン・・・?」
リビングには下手くそで陽気な歌声っぽいのが響く。
「・・・このブサ鳥の歌、何とかならないの?」
「せっかく覚えた芸だぞ、それこそ突っ込むなよ。ほれ、はちみつ金柑。」
「・・・まったくもって遺憾だわ・・・。」
つづけ
11:24
『続いてお天気です。雨はどうなってますか〜?』
『は〜い、こちら赤坂サカスはご覧のとおり強い雨が降っています。この後も関東地方の雨はこのまま降り続ける見込みです』
「午後も雨だってさ。」
「外出する気にもならないな。」
「ね〜。」
はちみつ金柑も2杯目を飲み干すころ。
「竜児、そろそろおなかすかない?」
「そうだな。何食べたい?」
「生醤油(うどん)」
「・・・は?」(←ちょっと聞き違え)
「生醤油うどん!さっきテレビでやってたから食べたいの。・・・って何赤くなってんの」
「いや、なんだ・・・、『い』じゃなくて『ゆ』か・・・。びっくりした」
「?・・・って、真っ昼間からそんなこと口走るんじゃないわボケ!///」
「ぶぐぉっ」(←鼻フック)
13:49
プルルルル プルルルルル
(トイレから)「大河ー、悪い、電話出てくれー」
「しょうがないわね。(ガチャ)はい、高須です。」
「おっと〜、やっぱりラブラブランデブー中だったかい大河くん♪」
「みのりん・・・ランデブーって・・・」
「いやいや、大河のケータイに掛けたんだけど出なかったから、高須君ちに掛けてみたんだ。見事にビンゴ(ニヤリ)」
「〜〜っ///」
「ところで、今日の晩ご飯みんなで食べようかと思ってたんだけど、君らはどうだい?」
「食べたい!それで、何食べるの?」
「まだ決めてないんだー。もし君らがOKならどこに行くか決めるのよ。」
「いいわよ。私問題ないし。」
「ん?高須君は?」
「トイレに引きこもってる。まあでもいいわよ。」
「オッケー!じゃあまた電話するね。」
「うん、あとでねー」
ガチャ
「お前…、何勝手にきめてんだよ…。」
「あれ、トイレ終わったの?って言うか電話聞いてたんでしょ?とりあえずそう言う事だからよろしく」
「さすが…、完全スルー…。っていうか櫛枝まで…。」
もちろん続く
17:30
「竜児」
「何だ」
「耳掃除」
「自分でやれよ」
「あんたがやって」
「何でだよ?」
「いいからやれっつの!ほら、早く正座する!」
「…ったく、しょうがない。ほれ」
17:34
「どうだ、こんな感じで。」
「うん、全然。………竜児の…、膝枕…。」
「いや、こういうのって、ふつう立場が逆じゃないのか」
「いいから黙って続ける!…………にゃはは…。」
「笑い方が気持ちわるいぞ」
「あんたの阿修羅顔に比べたらマシよ」
「ほっとけ」
(↓こっそり忍び込んで影から覗いてる二人)
「あー、やっぱりあの二人はいつ見ても甘々ですなぁ」
「よだれ垂らしてるわよ。チッ、亜美ちゃんなんかイライラしてきたんですけど〜。」
まだまだ続く
18:32
結局晩飯は竜児、大河、実乃梨、亜美、能登、春田、木原、香椎で弁財天国。
竜児の手料理という案もあったが、材料があまりにも少なかったため却下された。
しかも、息子の顔に免じて半額でOKとなれば選択肢はこれしかないだろう。
大河「ったく、恥ずかしいったらありゃしないわ」
竜児「お前がやれっつったんだろ」
実乃梨「でも、あんだけラブラブオーラ出してりゃきづかないって」
亜美「そそ、あんた達ぐらいなもんよ、堂々と入ってきたのにあれだもん。…って、能登君と麻耶、なんで赤くなってるの?」
木原「いや…///」
能登「俺、昨日してもらった…///」
香椎以外「………」
香椎「うふふ、こっちも順調ね」
春田「俺もやってもらった事あるけどさ〜、けっこ〜下手なんだよね〜。耳掃除するのに血が出るしさ〜」
泰子「は〜い、みんなお待たせー。メニューにはないやっちゃんスペシャルだぞぉ☆」
一同「おぉーっ」
そしてさらに盛り上がる弁財天国。
21:50
弁財天国を出て、各々が帰宅の途へつく。
いつの間にか雨は止んでいた。星が見えるところをみると、明日は良い感じに晴れそうだ。
「あー、満腹満腹」
「お前は食い過ぎだ。ったく、デザートまでたかりやがって」
「いーじゃない。やっちゃんだって喜んで出してくれたじゃん。しかもタダで。」
「…しかし、あれでよく経営が成り立つもんだよな。」
高須家近くの角で別れる。今日、二人一緒の時間はここまで。
「もうここまで来ちゃったか」
「そうねー。早く明日にならないかな。」
「そうだな。晴れそうだから、明日はどっか出掛けようか。」
「そうだね。明日は二人きり♪」
大河の弾んだ声のあと、わずかな沈黙が訪れる。
「ねえ竜児、ちょっと屈んで。」
「?おう。」
チュッ
「じゃねっ!おやすみ!!///」
「……///」
頬の火照りが冷めるまで、少し時間が掛かった。
これは明日仕返ししなきゃ駄目だな、このいたずらタイガーめ。
-end-
とおもったが後少しだけ
その頃、フロリダ州某所
北村「会長、俺ってエロかわいいですか?」
兄貴「会長言うな。あと服着ろ、殴るぞ。」
北村「すみません」
今度こそ終わり
先週の土曜日雨ひどかったよなーって話
ほかにいくらか作ってるから、出来次第投下予定
じゃあ寝るノシ
投下乙。
やっぱり俺のはデレデレ成分が足りないなあ。
精進します。
482 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 02:56:23 ID:Nw7uWsja
深夜にご苦労さん!面白かったぜ!
しかしまだ500レスも行っていないのに335KBとは……元気な奴らめw
>>480 ヤベェwww捕まるぞマジでwww
裸で何が悪い!
>>473 『いいなぁ…』
そんなふたりをうらやましげに眺めるオレ(中年独身)
>>475 こちらもまた短くもおもしろい
わずかなセリフで充分にキャラがたってますね
すごいなあ
よかったね能登にゃん♪
北村君いないなあと思ったら
兄貴のそばにいたのねw
何か最近マンネリ化してきた気がして新ジャンル開拓してみた。
トラPに間に合って良かった。
とらドラシミュレーションゲーム
貴方は高須竜児、もしくは逢坂大河となって選択肢を選んで下さい。
Aパート
とある休日の夕方。夕飯にはまだ早く、しかし、お昼からはある程度時間の経過した午後三時、またの名をおやつ時。
なんとはなし二人でテレビを見ながらぼーっとしていた時のこと。
「ねぇ竜児、お腹すいた」
急に、と言っても最早日常茶飯事ではあるが、お隣に在住の虎、もとい逢坂大河がお菓子を「たかり」始める。
「お前なぁ、開口一番でそれか?」
この目つきの悪いヤンキー、もとい家事万能男の高須竜児は、もう何度吐いたかわからない溜息と共に悪態をつく。
いい加減にしろよ、と暗に視線を向けるが、
「いいじゃん。何か食べさせてよ」
まったく効果はないようだ。ひこう系にじめん、ゴースト系にノーマルで攻撃するようなもの。
さて、食べさせて、と来たか。確か冷蔵庫にはまだ三個で一パックのプリンがあったはずだが……。
@しょうがねぇな。お前の言うとおり、食べさせてやるよ。
A−1へ
Aそうやって食ってばかりいると太るぞ。そうだ、夕飯の買い物にでも行こうぜ。
A−2へ
Bだめだだめだ。お前この前勝手に俺の饅頭食ったろ?そんな奴にやるお菓子はねぇ。
A−3へ
486 :
A−1:2009/04/29(水) 09:22:49 ID:jYnCyqY+
A−1
「ねぇ竜児ってば。どうせ何かあるんでしょ?食べたい食べたい食べたい!!」
「わかったわかった。そんなに何か食べさせて欲しいんだな?それなら……と」
竜児はやれやれとばかりに立ち上がり、
「しょうがねぇな。お前の言うとおり、食べさせてやるよ」
冷蔵庫を開きプリンに手をかけ、しかし予想に反してそれが一個しかないことに気付く。
「あれ?」
おかしいな。プリンはまだ封を切っていないはず。となると犯人は泰子かはたまた……。
「なぁ大河?」
「何よ?早くしなさいよ」
「それがなぁ、ここにあった筈のプリンが一つ残らず消えてるんだ」
「えっ!?」
「おっかしいなぁ」
「そんな筈無いわ!!『ちゃんと』一個残しといたのに!!」
「ほぅ!?『ちゃんと一個』残しといたわけだ」
「あっ!?」
しまった、と言わんばかりの顔。大河は己の失態に気付く。
コイツ、なんてわかりやすいんだ。
「お前、あれほど食い過ぎるなって言ったろう!?しかも人の家の冷蔵庫の物勝手に食いやがって」
「し、しょうがないじゃない!!遺憾な事故だったのよ!!」
「なにが『遺憾な事故』だ。結局食欲に負けただけだろ?」
「うっ……」
「さーて、この残り一つのプリンだが……」
「あ……!!」
大河が食べたそうにしてるなぁ……。
@しゃあねぇ、言った通り食わせてやるよ。
A−4へ
Aプリンはお預けだ。罰として一緒に買い物に行くぞ。
A−2へ
B勝手に人んちの冷蔵庫の物を食う奴はこうだ!!ぱくっ!!
A−3へ
487 :
A−2:2009/04/29(水) 09:24:41 ID:jYnCyqY+
A−2
外はまだ寒くもなく、かといって暑くもない歩くには丁度良い気温だった。
竜児はきっと、最初からこの時間を見計らって外にでようと思っていたのだろう。
変なところで気が利く竜児は結局良い奴なのだ。
いろいろ口うるさく言ったとしても、結局は全部私の為。
わかっているけど……ううん、わかっているから甘えちゃうのかな。
普段からこうして竜児と歩くことは多いけど、内容は全然色っぽくない。
当然だ、竜児には好きな人がいる。私にも好きな人がいた……いや、いる、かしらね。
過去形から現在形へ変わったのは、元々好きな人はいたけど、いつの間にか好きじゃなくなってたから。
いや、ちょっと違うか。本当はその人よりももっと好きになってしまった人がいるから、だね。
ほんのわずか数cmから数十cmの所に、その今好きな人の手がある。
けど触れない。触っちゃいけない。私はきっと、こいつにとってそういう対象じゃないから。
迷惑をかけるだけなら、そんなことはしない。
普段からの我が儘はいいのかって?あれは……私とこいつのスキンシップよ。いいのよこれは特別!!
と、歩いてる途中で風に乗ってある匂いが鼻腔をくすぐる。
「あっ」
つい声を上げてしまう。目の前にはタイヤキの屋台。
おいしそうだ。今日はおやつを食べてないから特に空腹を感じる。
しかし、今自分はエコの塊&MOTTAINAI精神溢れる竜児といるのだ。
ましてや夕飯前。
「ねぇ竜児」
「だめだ」
ほうらやっぱり。どうせ、夕飯前にMOTTAINAIとか、せっかくおやつを食べなかったのに意味が無いとか、無駄遣いは止めろとか言うんでしょ?
「いいか大河?もうしばらくしたら夕飯なんだ。夕飯前にタイヤキなんてMOTTAINAIだろ!?それにお前がおやつ食べない為に外に出たんだぞ?オマケに最近少額だからって無駄遣いが増えてるぞ」
ほうらやっぱり。アンタが言うことなんて全部わかってるんだから。
わかってるから、わかってるぶん辛いけど、嬉しい。アンタの事を理解できてると思ったら自然とニヤけちゃう。
でもそれはそれとして、タイヤキやっぱり食べたい。
@この駄犬、ご主人様が食べたいって言ってるのよ?
B−1へ
Aねぇ竜児、どうしてもダメ?
B−2へ
Bやだやだやだやだやだやだやだ!!食べたい食べたい食べたい!!
B−3へ
488 :
A−3:2009/04/29(水) 09:26:17 ID:jYnCyqY+
A−3
「竜児……アンタ……」
虎のオーラが大河から滲み出していく。
これは……ヤバイ!!
「いや、あのな大河……」
「そう、アンタはそういう態度で来るんだ……」
どんどんと大河がどす黒くなっていく。
「いや、俺はお前の為を思ってだな……」
「ふーん……私の為、ねぇ……」
目つきが、俺以上につり上がっていく。
「お、落ち着こう大河。話せばわかる」
なんとか、なんとか機嫌を回復させなければ!!
「そう言えば、昔亡くなった犬飼首相はそうやって「話せばわかる」と言ってどうなったんだっけ?ああ?この駄犬?」
犬飼首相と言えば五・一五事件だった筈。確か……。
「聞いてもらえず殺されちゃったはず……待て、大河……いや待ってくれ……すまん待って下さい!!」
「流石は犬ねぇ……勉強の方もまずます、だと思ってたけど……どこでしつけを間違えたかしらねぇ?」
「わかった!!今日の晩飯は肉だ、それも焼き肉!!それで……」
必死に下手に出て、アルテマウェポンを出すが、
「残念、今日は魚の気分なの♪」
指をポキリパキリ。
「じゃあさか……」
「逝ってらっしゃい、竜児♪」
「ま、ままままってく……」
あいさかたいがはふりかぶり、たかすりゅうじにめがけて……、
「うぉりやぁぁぁぁああああっ!!!!!」
「ぎゃーっ!?!?!?!?!?!?!?」
BAD END
ヒント:愛が足りないぜ!!
残念でした。
もう一度Aパートからやり直して下さい(
>>485)
489 :
A−4:2009/04/29(水) 09:27:16 ID:jYnCyqY+
A−4
「しゃあねぇ、言った通り食わせてやるよ」
俺は諦めた。いや、負けたとも言う。
真摯に物欲しそうな顔されたら、断れない。
「やった♪」
両手を上げて、その長い髪を揺らして小さな顔に笑みを乗せて喜ぶ。
まるで子供と言われような姿だが、俺はそうは思わない。
これが、ただ素直な大河なだけなんだ。
それにこうやって喜ぶ姿を見ると、正直どんなこともまぁいいかと思っちまう。
でも、負けっ放しってのはおもしろくねぇ。
「何?はやくプリンちょうだい!!」
はやく、はやく、とばかりに肩を上下に揺らし、ウキウキしながら両手をこちらに向ける。
ちょっとイタズラしてやろう。
「おぅ、ほら」
「は?何?」
は?ときたか。そりゃそうだろうけど。
大河の目の前には待望のプリン。
やや少なめに盛られたそれは、「食べて」と自己主張しているようにさえ見える。
そう、両手を突き出している大河の目の前に、スプーンに入ったプリンがあるのだ。
大河が両手を突き出したままということは、スプーンを持っているのはもちろん俺だ。
「もう一度聞くわよ?何?」
やや不機嫌そうな態度で大河が尋ねる。怒るなよこんなことで。
「いや、俺は言ったぜ?『食べさせてやる』ってな」
「はぁ?いやそれはでも、っていうかそういう意味?あぅあぅあぅ……」
先程までいつもの薄い桜色だった頬が、突如リンゴみたいに赤くなる。
葛藤しているのだろう。食べたい、けど恥ずかしい。
けど食べたい。顔を真っ赤にさせながら自分の中でいろいろせめぎ合ってるようだ。
「あ……うーでも……いやせっかくの……けどそれじゃ……でもでも……」
口を近づけては逃げ、近づけては逃げ。
なんか流石に可哀想になってきた。
「いや、ほらじょうだ……」
冗談だ、とスプーンを引っ込めようとしたまさにその時、意を決した大河がスプーンに食らいつこうと前のめりになっていた。
大河からスプーンが遠のく。大河は上半身だけで追いかける。
目はスプーンのプリンのみ。もう羞恥を捨てて、いや、むしろ喜んで受け入れるという気迫のようなものさえ纏って大きく開けた口は、結局スプーンに届かない。
トンっと優しい音。次いで揺らぐ視線。いや、揺らいでいるのは体。すとんと畳に倒れ、胸の上には大河。
「あ……」
「え……」
しばし見つめ合う。
トクン、トクンと時計よりも大きな音を胸の鼓動が奏でる。
時が止まったような錯覚さえ覚える。頬を染めた大河に馬なりに乗られ、見つめられている。
場が場なら、なんというか……ええい言えるかそんなこと!!
しかし、実際に時が止まる何て事はない。動揺し、見つめ合ったままだったためおろそかになっていた手に持つスプーン。
そこからたらりとプリンが畳に落ちそうになる。
それを見逃せる綺麗好き竜児ではない。そして、食い意地のはった大河ではない。
お互い変なところでシンクロし、大きく口を開け落ちるプリンを竜児は下から食べちゃおうと……むちゅ。
…………………………………………。
何だ今の音は。何でこんなに大河の顔が近いんだ。何で……俺と大河は……シンクロしてるんだ。
何でと聞くなら理由は簡単。大河は上から落ちそうなプリンを食べようとした、それだけのこと。
二人の位置関係からそれは至極当然のこと。それだけのこと。
ただそれだけのことが重なって……結果、二人は大口開けてぱくりと……むちゅっと、ついでにレロレロと繋がってしまった。
「その、竜児」
最初に声を発したのは大河。真っ赤になって、顔は吐息が感じられるほどまだ近い。
「……おぅ」
「その……もう一口食べてもいい?」
そう言って大河が食べたのは果たして……。
大河SWEET END
490 :
B−1:2009/04/29(水) 09:29:19 ID:jYnCyqY+
B−1
はんっ!とふんぞり返ってみる。
「……お前な」
あれ?竜児怒ってる?
竜児が呆れを通り越したような顔で見てる。
イヤ、そんな顔で見ないで。
「だいたいな」
イヤ、言わないで。
「どうしてもそうやっていたいんならよそんちの家の子になりなさい」
ふいっと竜児は背を向けて歩いて行ってしまう。
あ……そんな、ねぇ竜児、竜児ってば。
待って。待ってよ竜児。
冗談だってば……。
待って、よ……。
BAD END
ヒント:相手を大切に
残念でした。
もう一度Aパートからやり直して下さい(
>>485)
491 :
B−2:2009/04/29(水) 09:31:11 ID:jYnCyqY+
B−2
やっぱり食べたい。
ここは素直にお願いするしかない!!
「ねぇ竜児、どうしてもダメ?」
「う……」
あ、迷ってる迷ってる。
どうしよう、どうしたら食べても良くなるだろう。そうだ、コレしかない!!
「わかった竜児。半分でいいから」
最後の賭けだ。これでダメなら諦めるしかない。
「半分って残りの半分どうすんだよ?」
「それは竜児が食べるの。それで共犯。ねっ、お願い」
両手を合わせ拝み倒すようにねだる。
「共犯ってお前な……うーん、でもタイヤキ半分くらいならいいか」
「ホント?」
珍しい。竜児が買い食いを許してくれるなんて。
「おぅ。半分こだからな?それ以上はダメだぞ?」
「うん、買ってくる」
タイヤキ1個100円の表示を見て、お財布から100円をとりだして購入。100円ならまぁ安いんじゃない?
竜児にそんなこと言ったらきっと怒られるだろうけど。
紙袋に包んではい、とホッカホカのタイヤキを手渡され竜児の元に戻る。
竜児が見てる前でがさごそと紙袋からホクホクのタイヤキを取り出し、頭からぱくりと口に含む。
「あっ!?お前半分こって言ったろうが!!」
竜児はやりやがったな、とばかりにただでさえ鋭い目をつり上がらせた。
慌てるんじゃないわよ馬鹿犬。
「ふぁい」
そう言ってタイヤキを咥えたまま尻尾の方を竜児に向ける。
「は?」
「んーんーんーっ」
ついでに目も閉じてみたりなんかして。
「お前まさか……」
「ん」
ようやく伝わったようだ。これなら半分でもきっと我慢できる。
「いや、しかしこんなところで……」
「ん〜!?」
いいからさっさとしてよ!!もう口の中あんこ食べちゃいたいんだから!!
「わ、わかった。特別にそれはお前一人で食べていい」
竜児は照れたようにそっぽを向く。
やった♪作戦勝ち♪
とか思ってたら、
「いや、やっぱり食おう」
「ふぇ?」
あむ……むにゅむにゅ……ちゅう……!!!!!
目を見開く。あれ?だって竜児は……?あれ……?でも、いいの?
あ、口の半分タイヤキが持っていかれた……でもいいや……え?何?舌が入って……ん……あん……。
竜児大胆END
492 :
B−3:2009/04/29(水) 09:31:58 ID:jYnCyqY+
B−3
「やだやだやだやだやだやだやだ!!食べたい食べたい食べたい!!」
ちょっとだだをこねて見る。
竜児の気が変わるかも。
「おい、大河……」
竜児が呆れたように近づいてきて、
「あ〜らよっと出前二丁〜♪」
目の前にはタイヤキと……みのりん。
「へ?みのりん?」
「だめだぜ大河、高須君困らせちゃ。タイヤキ屋台バイト員として見過ごせないぜ」
「いや、櫛枝、ダメだって言うなら大河に餌付けの如くタイヤキを与えるのは……」
「だまれ小僧!!お前に大河が救えるか!?」
「は……?何を言って……」
「もうカマトトぶっちゃって。そこは『わからない……だが共に生きる事は出来る』とか言うところでしょ〜」
「よくわからんが確かに共に生きる事はできるな。っつうかこいつほっといたら何するかわかんねぇし一緒にいねぇと逆に心配だ」
「んーとそれって……」
「あ、いや深い意味は……」
「んーいや照れるな高須君」
「あ、あああ、アンタ何言って……」
「し、しょうがねぇだろ!?本当のことなんだから」
「ぎぁあ!?熱い、熱いぜ熱くて死ぬぜぇ!?」
「し、しょうがないとかそんなえっと……」
「逆だゴルゴ、ここから上に遡りながら頭文字だけを逆に読むんだ。それこそ裏の、いや真の平方根だZE!!」
股を広げ両手で大きな○を作って……あれは数字の8をイメージしているみたい。
「何言ってんだ櫛枝?」
「君たちのこれからの運命さ!!いざ果てしない未来へ!!」
「はぁ……」
「みのりん今日はいつにも増してぶっ飛んでるね」
なんか、みのりんの私と竜児を見る目が変。竜児の赤い顔もなんか私をちらちら見て変。
でも、何か竜児に見られるのは嬉しいからいいや。
「まぁいいや。じゃあな櫛枝」
「ほーいまた来てね〜」
屋台から離れて再び二人。
「なぁ大河、今日なんか食いたいもんあるか?何でも作ってやるよ」
「へ?どしたの急に」
「い、いや別にこれはだな……その、なんつうか、決してお前を意識したわけじゃない、わけじゃないんだが櫛枝のタイヤキより美味いものを食わせたくなったというか……」
「ぷっ……」
笑うなって怒る竜児。
そんな竜児を見るのが楽しくて、愛しい。
いつか、竜児がみのりんを諦めて私を見てくれたら、その時は言ってあげよう。
「あんたのご飯より美味いものなんてないわよ」って。
そんな未来が来るといいな。
TRUE END(真)
お疲れ様でした。大河と未来で幸せになれるようがんばってください。
>>485ー492
これは…新しい
とらドラ!のおかげで今Routesやってるんだが、選択肢のとこの緊張感がたまんないねw
>>484 d
最後2レス半はほぼやっつけ仕事だったんだが、そう言ってもらえるとうれしい
とらP発売されるこのタイミングで、長編はじめるのってKYだよね?
497 :
名無し募集中。。。:2009/04/29(水) 11:26:12 ID:f18RZBoS
K=かなり
Y=良いでしょう
>>447 >竜児が大河を肩車しながら登校する電波を受信した
「高須君ってけっこう力持ちだよね」
登校中、突然そんな事を言い出したのは櫛枝だった。
「特に鍛えてるわけじゃないんだけどな。まあ家事ってのは意外に力仕事も多いし」
「竜児の場合、掃除に必要以上に力入れたりもしてるし」
「……大河と知り合ってから買い物の重量が跳ね上がったせいもあるかもな」
「つまり私のおかげで体力がついたってわけね。感謝しなさい駄犬」
「はいはい夫婦漫才は置いといてー。高須君なら大河を肩車とか出来るんじゃないかなーとか思って」
「肩車……ねえ。おぶったり抱え上げたりしたことはあるから多分大丈夫だとは思うけど、実際にやってみないことには何とも」
「それじゃあやってみよう!」
「「へ?」」
俺と大河の疑問符がキレイにハモる。
「おい櫛枝……今、ここでか?」
「思い立ったが吉日!知るは一時の恥、知らぬは一生の恥だよ高須君!」
「いや意味わかんねえし。特に後半」
「ちょっとみのりん、私嫌だよ、肩車なんて」
「ほほう……さては大河さん、また太りましたな?」
「な!?」
「重くなったんで持ち上がるかどうか自信が無い、と、そういう解釈でよろしいですかな大河さん?」
「そ、そんなわけないじゃない!ほら竜児、さっさとやりなさいよ!」
俺に背を向け、脚を開いて立つ大河。
「高須君、ガンバだよ!」
こうなったら覚悟を決めてやるしかないか……
スカートを捲り上げないように注意して頭をくぐらせ、大河の太腿を肩口に固定する。
「いくぞ大河、しっかり掴まっとけよ……っと!」
バランスに気を付けながら一気に立ち上がる。
「お……おおおおお!すごい!高ーい!」
頭上から歓喜の声が降ってくる。
「みのりんすごいよ!私みのりんを見下ろしてるよ!」
「うんうん、よかったねー大河。喜んでもらえておねーさんは嬉しいよ。
で、高須君の方はどうよ?」
「完全に立ち上がっちまえば抱え上げるより楽だな。重量を骨格全体で支えてるからかもしれない。
それじゃ大河、降ろすぞ」
「駄目。このまま学校まで行くの」
「……おい大河」
どうやら普段と違う風景が相当気に入ったようで。
「文句言わずにきりきり歩く!遅刻しちゃうでしょ!
行け!ジャイアント竜児1号!」
「俺はロボかよ……」
大河にも櫛枝にも内緒のこと。
大河のフトモモの感触はちょっと役得だった。
なお、それからしばらくの間大橋高校では
『魔王タイガーが真のボディを手に入れた説』
『高須竜児は嫁の尻に敷かれてる説』
『手乗りタイガーヘッドマスター説』
などの噂が飛び交ったという。
》496
寧ろだからこそ投下するんじゃね?
ウン年後、娘を肩車する竜児に「……次はわたし」と
年甲斐もなく要求する大河の姿が目に浮かぶ。
503 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 12:23:00 ID:Nw7uWsja
誰かGWお泊りネタで何か一筆お願いできませんか神様
とらドラ!P発売記念。
もうすぐPが発売しますね、最後ではありませんが、長編を一つ。
『ストーカー』
竜児は土曜日、日曜日に加え祝日以外はずっと会社に行ったっきりである。この前私にある話しをした。
初めて作る牛コロッケを頬張りはふはふしつつ、んまいんまい!などと感想を述べている。
お互い幸せな表情を浮かべながら、下らない事を喋っていた。
「俺の先輩によぉ、女なんだけどかなり気前良くてさ。しかも俺にかなり好意持ってるっぽいんだよ。
好意持ってくれるのは正直嬉しいんだけど、正直迷惑なんだよな…。
大河、お前ならそういう奴いたらどうするよ?……大河?」
「! しっ知らないわよ!そんな話して私にどうしろっての?嫉妬でもして欲しいわけ?」
「は?お前何か怒ってる…のか?」
「うるさいなーもー!早く食え!冷める!」
「お、おう…それにしてもこのコロッケうまいな。スパイスか何か──」
先ほどの話を聞いてから、食事は喉を通らず返事も曖昧だった。
気になる…どんな人だろう?
気になる…綺麗な人かな?
気になる…いつか竜児も好意を抱くかも?
竜児は首を傾げてハテナ顔をしていた。その顔はとっても可愛らしい。本人に言ったら落ち込むだろうが。
食事を終えて、食器を運ぼうとするも食器を落とし、大皿を一つ割る。
食器を5枚ほど重ねた皿を流し台に落としてしまい小皿を2枚割る。
竜児が洗った物を水切り台に乗せるが、手が滑ってコップを一つ割る。
竜児が「もういいから、テレビでも見てろ」と言ってくれたのでソファに向かうが、
手にしたままであった大皿を指摘され、驚いて落としソレを割る。
過去から見てもダントツな損害記録であった。
気になって居た堪れないので、本格的に竜児を尾行する事にしたのである。
AM8:20
もうすぐ8月も終わるってのに、まだまだセミは鳴く事を止めず朝からミンミンやかましい。
私が作った愛妻弁当を大事そうに鞄に入れ、いってらっしゃいのキスをして駅に向かった。
その時は赤いチェックのパジャマでいたが、それを脱いで腰にも裾にもフリフリの真っ白なワンピースを着用。
小さな頭にはワンピースによく似合う白に近いグレーのつばの長い帽子。リボンは竜児がつけてくれた。
細い肩には淡い赤色のポーチ。ついでにサングラスも着ける。夏なので目立たないだろう。
もし見られたら長い栗色の特徴的な髪色をしていてはすぐにバレるので、束ねてワンピースに突っ込む。
これにより長い髪はいつもの半分以下になり、姿見鏡でみても不自然ではない。
これらは計画実行の数日前に通販で手に入れた代物であった。
向かいの部屋のおばちゃんが「おはよう。お出かけ?」と話しかけてきたが、
「ええ。急ぎますので」とだけ返事して非常階段を駆け下りてエントランスへ。
エントランスを飛び出すと、早速竜児を見つける。眠そうに欠伸なんぞしおって…。
なんとかここまでバレずに済んだが、途中で何度か振り返ってきた。あわてて電柱に隠れたのでセーフだろう。
駅が見えてくると竜児は定期を手にしてホームに入る。入るとすぐに電車がきたので急いで切符を購入。
竜児が乗った車両の反対の入り口へ駆け込む。中には中年のリーマンがわんさかいた。若者もチラホラ。
加齢臭漂う車両で地獄の15分ほど過ごし、出口から流されるように出る。毎日乗るのは到底できないだろう。
そこで気がついた。竜児が見当たらない。人が忙しく動く中、足を止めて辺りをキョロキョロ。
誰かが肩にぶつかった。それを睨むように見上げる。
「あ、すいません。こんな所で止まってたら危ないですよ」
何ようるさ……て…竜児じゃない…。
怪しく動く狂眼をきょろつかせ、こちらを見ている。しまった、バレた…。
と思えたが、口調では『バレていない』と思う。多分だが。
ストーキングするために買ったワンピースとサングラスだ。大丈夫、大丈夫…。
とりあえず進みましょう、と言うと優しくエスコート。こんな事もできるんだと関心する。
エスカレーターに乗ると、不意に話掛けてきた。
「えっと…どこかでお会いしませんでしたっけ…?そのキャップどこかで…」
「う、うるさいわね…じゃなくて、そうですか?これ駅ビルで買ったんですのよオホホ」
慣れない口調で喋り、自分のアカデミー賞レベルの演技に身をもじる。
「あ、はは…。中学生ですか?学校はいいんですか?」
ちゅ、中学生…。私これでも夫持ちの…と言いかけるが、気がついて口をつぐむ。
「えっとぉ…今日は嵐が来そうみたいな予感がしたんで遊びに来ちゃいましたー」
「は?嵐…?」
自分はアホか─。一瞬苦虫を噛み潰したような顔をするが、ばかちーよろしく笑顔を振りまく。
「あ、そうじゃなくて心の中が嵐みたいに吹き荒れてて学校どころじゃないみたいなー」
すると声を上げてせせら笑う。
「面白いですねそれ。(笑)恋人とかいるんですか?」
(笑)に少し傷つきつつ、予想外の質問に呆気にとられる。
「それセクハラ」
一言冷たい罵声の言葉を浴びせた。誰にでもこんな下らない話をするのかと少し落ち込む。
すいませんと素直に謝り、エスカレーターから降りる。少し面白くなってきたのに…。そうだ!(ピコーン)
大河の頭に豆電球が出現し、それが眩く輝く。
「この後少し、お話しませんか?ほら、あそこの喫茶店で」
「ええ、少しだけでいいのなら付き合いますよ」
ここで、いろいろ自分について尋問するつもりだ。しかし、すぐに後悔した。
いくらカバに犬の直感の一部を付け足したくらいの鈍感野郎でも、流石に気づくだろう。
今更後戻りもできない…覚悟を決め、絶対墓穴を掘るな、と肝に銘じる。
「では、あそこの喫茶店はどうでしょう?」
なるほど、竜児が指すのは駅にある小さな喫茶店。待ち合わせ場所や電車の待ち時間に利用する人が
多いのだろうか?やや込んでいるように思える。
「そうですね。では行きましょうか」
と、いつもの調子で竜児の腕に自分の腕を絡める。いきなり墓穴…。
「っとー!危ないこける所でした。あ、すいません腕なんか掴んじゃって」
すぐさまフォローし、腕を放す。竜児は苦笑いしているが、ホッと一安心。
店に入ると涼しい風が2人と覆う。中は黒と白の二点張りで、品があり落ち着いた雰囲気。
中は人が多いが別に特別込んでいる訳でもなく、所々空席がある。
「ひぃ!…い、いっりゃしゃいましぇ…あ…」
店員がビビるのは想定内だが思い切り噛むのは想定外。
2人とも思わず吹き出し、笑いに包まれる。
大学生らしきバイトの店員さんは頬を染めながら丁寧に言い直し、席へ案内する。
もちろんキャップもサングラスも外すつもりはない。一瞬でバレるだろうから。
席は窓に面したカウンター席。テーブルは清潔そのもので、竜児はテーブルを指でツイっと人拭き。
己の指をまじまじと眺め、うん、と一人頷いている。
そこへ店員が来た。メニューはお決まりですか?アイスカフェオレで。あ、私もそれとチーズケーキ。
竜児は肘をつき、通路を行きかう人達を眺めやっている。
暑いですね〜。そうですね〜。化粧とか大変ですよね〜。私はいつでもスッピンです。
下らない話をだらだらと話し、微妙な空気が2人を取り巻く。
「あの、さっきの話の続きなんですけど。なんであんな事私に聞いたんですか?」
青く光る狂眼をギラつかせ、「てめえ次その話すると分かってるな」
と言うと己の親指で己の首を掻っ捌くフリをする…わけでもない。単純に困惑しているのである。
「えっと…何か気に障りましたか?だったらすいません」
そういうのである。全く、眼からレーザーが出て向かいのガラスをすり抜け、通り行く人々の中から適当に選んだ
人間を一瞬で次元転移させてしまいそうな顔してるくせに…。
なんて弱弱しいんだろう。なんて女々しいんだろう。そこへアイスカフェオレとチーズケーキが運ばれてくる。
「あーそうじゃなくて、ただ単純に質問しているんです。何か気になった事でも?」
「実は私の身内にあなたによく似ている人がいるんですよ。容姿も声も服装も」
「もぐもぐ、へぇ…親戚かなにかですか?」
「あ〜いや…実は自分の嫁さんでして。20歳なのに身長が150あるかないかという奇跡に近い容姿の持ち主で」
そんな宇宙からやってきたサイヤ人の赤ちゃんみたいな言い方しなくても…。
「もきゅもきゅ、わぁ…小さいですね。お子さんはおられるんですか?」
横目で盗み見すると、どこか寂しそうな表情で『あの女は10万くらいか…』などと考えているわけではなく、
ガラスの向こうを通る3人家族を眺めやっている。ちなみに透視能力がある訳ではない。
「いやーまだなんですよね」
ちょっと恥ずかしそうに顔を下げ、その頬は若干ピンク色。
「ま、まぁそんなに急ぐ必要もないですし。ゆっくり行けばいいんじゃないですか?」
「そうですね、ありがとう。離すつもりはないし…て、俺何話してるんだろ…」
「あはは。そんなに小さいんじゃ、美人というより可愛い系みたいですね」
「童顔ですし、確かに可愛い系ですね。それにしても珍しい…」
チーズケーキを頬張っている大河の顔をまじまじと眺めている。
「珍しい…?何がですか?ごっくん」
「私目つき悪いでしょう?生まれつきなんですけど、ビビらないのはあなたを含め60人程度です」
「もぐもぐ、コンプレックスになってるんですね…確かにちょっと怖いですけど、
悪いことするような人には見えませんよ。てかいちいち数えてるんですか?」
すると顔をぱぁっと輝かせ、般若顔をこちらに向けてくる。その顔を見た後ろの席の子が気絶した事も知らずに。
「ほ、ほんとですか?そんな事言われるのは初めてです。嬉しいな〜」
まさに子供。ふんふふ〜ん♪などと鼻歌を歌い初める始末。
「ところで時間大丈夫なんですか?もう9時ですけど」
「おう…もうそんな時間ですか。つい話し込んでしまった」
そう言うと、前に置かれたペーパーをとり、大河が零したチーズケーキのカスをふき取る。
席を立ち、椅子を元に戻す。会社で30分までにチェックインしないと遅刻になるのは把握済み。
会計を済ませようとするが、既に用意してあったのだろうか、素早く札が出てくる。
「あ、なんかすいません…。ありがとうございます♪」
「いえいえ、大人なのに払わない方がおかしいと思いますよ」
つまり、自分が子供だと…。バレるよかマシかな、と一人ごちる。
「…では、私はこっちですので。また機会があればお話致しましょう」
「はい、ごちそうさまでした、とても楽しかったです。また、どこかで!」
そう言うと、手を振りつつ小走りで適当な店に身を隠す。ひょっこり顔を出すと、竜児が改札を通るのが分かる。
それを確認すると、またしても小走りで改札を抜け、竜児の後を追う。
15分ほど歩くと会社についた。会社の前で服装を整え、中に入って行くのを確認する。
ここまでは計画通り。近くのコンビニで午後の紅茶と女性向け雑誌を購入し、
近くの適当なデパートで新しく黒く今まで着けていた者と似ていたそれを購入。今まで着けていた物と交換し、紙袋に入れる。
近くのベンチで雑誌を読み時間を潰して1時間ほどたつと、外回りのため竜児が出てきた。
先輩と思われる女性とともに。思わず息を飲む。
見事な8頭身美人。スタイルも顔立ちもどこか気品がある。
紺のスーツに身を包み、腰のラインも伺える。
漆黒で長く艶がある髪を揺らし、竜児に楽しそうに話しかけているのが分かる。
じりじりと太陽が照らす。日焼け対策はばっちりだが、汗は自然と頬を伝って顎へ。平らな胸を完全無視し、
地面に落ちる。一瞬でそれは蒸発し、あたかもなかったような状態になる。
大河はこの計画を実行するまでいろいろな手ほどきをしてきた。
インターネットで『ストーキングの心得』とかいう危なっかしいサイトを回り、
会社の場所や切符の代金、何時の電車に乗るのかも全て調べ上げた。
時間を費やしすぎたとも思うが、これも竜児の事をよく知るため。別に疑っているわけではない。
しかし、この状況はどうだろう?ただの嫉妬と竜児をとられまいという貪欲さ。横暴さ。
その結果がこれ。自分の状況は実に情けないものであった。
『夫をもっとよく知るため』などと防御を使っているが、ただの言い訳であった。
ドラマやら警察24時やらでストーカー特集をやっているのをよく見かける。
見るたびに『バカみたい』と思っていた。しかし、今の自分はどうだろう?
テレビで取り上げられているものとは違えど、ストーキングはストーキングである。なんら変わりない。
所詮は『相手を信じれない、器の小さい人間』なのである。自分が一番分かっているつもりだ。
その時間帯は人通りが少なく、道路を挟んで7メートルの距離でも2人の会話が聞こえてくる。
どうやら取引先との作戦について話しているようだった。
30分程歩くと、小さな印刷会社に入って行くのを確認できた。
確か、新製品の和紙か何かを大量注文するかを迷っているらしく、今日思い切って取引に行くらしい。
電柱と丁度腰を掛けられる高さの段があり、そこで身を隠しつつまた時間を潰す。40分ほどで出てきた。
2人は見送りの人に頭をペコペコ下げ、少し歩いた所で2人で大きく伸びをした。
声は来る時よりハッキリ聞こえ、竜児の声にも明るさが宿っているのが分かる。
そして恋人かのように女のほうが竜児の腕に自分の腕を絡ませる。竜児は苦笑いの表情を浮かべている。
「いやぁ〜、先輩の話術で手っ取り早く片付きましたね〜!」
「そうね、これでノルマ達成したんじゃない?」
「だといいんですがねー。もう印も押しましたし、交渉成立ですね」
「たまに、業者に注文してからドタキャンしてくる所があるのよ。でも今回の印刷会社は、
うちの会社でも信頼度が高くて。ああするといい、こうするといいって言ってくれて、
案をくれるの。それを元に作るものは結構な繁盛で売れるの」
自信満々に『心配はいらない』と言うと、スッと腕を放す。
「おぉ、そうなんですか。それ聞いて安心しました」
「ちょっと疲れたわね。喫茶店でも入ろっか」
『な、ななななんてことかしら。あろう事か腕なんか組んじゃって…。しかも知らない女なんて…
みのりんやばかちーが悪ふざけするのは百歩譲ってよしとしても、あんな、あんな……』
小さな胸をズキンと痛める。しかし竜児の事だ、大丈夫だろう。と自分に信じさせるが、
竜児の顔をよく見ると鼻の下を伸ばしている。信じた自分がバカらしい。
帰ったら往復ビンタの後椅子に縛って鞭打ちの刑ね…と一人ごちる。昔なら死刑ものだったから優しいほうだろう。
店に入ると早速店員を恐怖のどん底に突き落とし、先輩は大爆笑。
腰が抜けても営業スマイルでよろよろと席へ案内。2人には広すぎるテーブルに案内されるのを確認。
大河は外から観察する予定だったが、動物的直感で「行け!」と脳から指令が出る。
自分でもよくわからないが、とりあえず店に入る。それと同時に竜児が席を立ち、トイレへ向かう。
自分の直感に惚れ惚れしつつ、店員を無視して近くのカウンター席に座る。
選んだのはカウンター席で、前かがみになると柱で竜児の視線から憚れ、背もたれにもたれると横顔が見える。
柱は竜児が見えなくなるくらいの細さで、女の方も伺える。
なにやら昼飯を食べるようだ。一度会社に戻らなくてもいいのだろうか?と疑問を抱きつつ、
自分もお腹を空かせていたので、オムライスとカレーに加えビーフシチューも追加。コーヒーのブラックも頼む。
食後にパフェを頼もうとするが、いいのがないのでやめた。
注文を終えると同時にあちらも注文を終えたようだ。
大きいサングラスで横目で見つつ、他人からの視線をシャットアウト。無論、向こうからは見えない。
「(ったく…知らない女と食事なんて遺憾だわ…先輩の誘いを断れないのはしょうがないわ。上司だもの。
でもでも、食事するなんて!私でもお昼のひと時なんてお休み以外できないのに…。
それなのにあの忌々しい女ときたら!きっと毎日毎日一緒に違いないわ…)」
一人ごちると、悲しみと悔しさと『裏切られた』と解釈し、不思議な心境で2人を盗み見する。
竜児は本当の笑顔なのだろうか?それとも愛想がいいように見えるための作り笑顔なのだろうか?
いづれにしろ、大河には見せない笑顔だったのである。
大河は竜児のいろいろな『笑顔』を見て来たつもりではあったが、
自分に見せるものとは一味違う、『大人』な雰囲気を醸し出すものであった。
大河へコーヒーが運ばれるのと同時に竜児達の席へもコーヒーが出される。
竜児は受け皿に載せてあった小さなミルクをカップへ零している。
そんな些細なシーンでも、誰が見ても『恋人』に見えてしまう。大河の目にも当然そう映る。
大河と竜児が同じ席でいても、『仲の良い友達』か『兄弟』にしか見えない。
それは自分の容姿が幼すぎるせいだろうか。自分では少しでも他人から『恋人』と見てもらいたいために
服装を選ぶ時間は掛けているつもりだし、もちろんそれ相応の物を持ち合わせているつもりだ。
あーんでもしないと分からない?できるはずもないシーンを想像し、頬を染める。
そこではた、と気づく。なんだあの目は──?
それは、竜児の向かいに座る大人びた忌々しい八頭身美人。
小さなスプーンでコーヒーにミルクを溶かす様子に甘い視線を送り続けている。
そこで口を開く声は、大河の元へもはっきりと聞こえてくる。
最初は世間話に豚インフルエンザがなんとかかんとかとくっちゃべっていたが突然、
「高須君ってさ、もてるでしょ」
こんな下らない事を言う奴は大概人間性に欠けている。竜児も大河も同じタイミングでコーヒーを吹き出す。
ギラりと光る三白眼を相手へ向ける。
竜児は頭の上にハテナマークを発生させ、その瞬間大爆発。辺りは地獄絵図に─。なるわけでもなかったようだ。
「は?いきなりなんすか?」
「あなたって眼は出所してきたヤクザの親玉みたいな目してるけど…ホラ、目を閉じてみて」
言われるがままに目を閉じる。
「ほぉ〜らやっばり!目を除けば普通にイケメンなんだよね。趣味悪そうだけど」
大河のせいで貧乳フェチに成りかけているのでなんとも言えない。
目を閉じていたが、不機嫌になり、無愛想な面でスプーンをペロっとひとなめ。
「あ、もしかして怒った?…でもさ、奥さんが羨ましいよ。ほんとに」
大河は一瞬肩を震わせる。ここにいますよー。と言いたい衝動を押される。
「はは…。でも最近冷たいような気がするんですよね…。3日前も突然喋らなくなったし…」
いや、それは竜児があんな事を言うから…。もしかして自分の愛が相手に届いていない?
その時初めて作ったコロッケだって、インターネットで検索して、やり方を印刷して、
出かけている合間に何度も何度も練習し、思索して完成させた一品なのに…。
そんな事も知らずにあんな事を抜かしやがる。鞭打ちだけでは済まなさそうだ。
「でもさ、あなた入社面接の時と比べて本当に明るくなったよ。
出勤するたびに笑顔が増えていって、最初は怖がっていたみんなも笑顔になれてるんだよ。
気づいてないと思うけど、皆あなたに少しながら感謝してる。気が利くし、なにより──」
大事な部分だけ聞き逃す自分に腹が立つ。オムライスが運ばれてきて気を取られたのである。
その後30分ほど聞き耳を立てたが、これと言って気になる話題はなかった。
会社へ戻る時はこれからランチタイムになる人が多く、お魚天国よろしく人で賑わっていた。
どこ行くよ?うわー部活だりーここのランチ美味しいよなんて他愛もない会話で満ち溢れている。
当然、2人の声は周りの騒音でかき消され、聞こえない。
ドンッ。何かが肩にぶつかった。そこにはきつい香水が鬱陶しい、長い青色の髪も鬱陶しい若者がいた。
気にせず2人の尾行を続けようとするが、一瞬見た顔にかなりの見覚えがあり、もの凄い勢いで振り返る。
「てて…あれ、もしかしてタイガー!?なんでこんな所にいんのー!?」
ぶつかった勢いでサングラスがずれ、顔が見えてしまったのだろう。ささっとグラサンの位置を元に戻し、
「ひ、人違いですよ。すいません、急ぎますので…ひゃー!」
湿った手で腕を掴まれ、思わず呻き声を漏らす。
自分の腕を掴んでいる相手は誰もが認めるアホの春田。名前が既にバカっぽい。
「あ、やっぱりタイガーじゃん!今日はどったの?高っちゃんに黙ってデート?」
「う、うるさい!目潰し目潰し!」
ひゅひゅひゅひゅと両腕をチョキにした状態で何度も攻撃を繰り出すが虚しく、
第12の目潰し技『瞬発瞬殺秘奥連発目潰し』と糸もたやすくかわす。
「ちょっちょ!なぁにすんのよタイガー!なんでいきなり目潰しなわけ!?」
「うるさいうるさい!その毛毟り取ってそこらの足りないおっさんに与えるぞ!」
通行人の哀れ髪の毛の一人がムッとした顔でこちらを睨む。
隙あり!
「あ、すいませぎゃああああああああ」
誤ろうとした春田の目を人差し指と中指が襲う。
人通りが多いこの場所で、両目を押さえてムスカよろしく「目がぁ、目がぁ〜!あぁぁ〜!」と叫んでいる。
地団太を踏み、転がり、目を真っ赤に充血させ、通行人をビビらせている。この顔面凶器が。
ようやく落ち着いたのだろう、春田はいつものふざけた喋り方で話しかけてくる。
「も〜!折角タイガーも誘おうと思ったのにー!」
そう言うのである。何が?と聞き返すと、
「知らないの?これから元2-Cの懐かしのメンバーで遊びに行くんだよ!タイガーも来る?」
「…ん。(どうせ竜児は夕方まで帰らないし、ちょっとくらいいいかな)行こう…かな」
「よぉ〜し、じゃ行こっか!高っちゃんか仕事があるみたいだし…」
「なんで日曜にしなかったわけ?バカなの?」
「…バカって…。これでも俺就職したんだぜ〜?日曜は皆都合つかなくてさ。だから今日にしたんだよ」
「へぇ。で、どこに行くの?」
「カラオケ」
普通すぎる、と感想を述べ、カラオケBOXへ。
会った場所からそう遠く離れていないそこへ行くと、入り口の階段前に見慣れたメンバーがいた。
真ん中に北村。その左に櫛枝、そのまた左に亜美。北村の右には能登がいた。
「よう逢坂…じゃなくて、高須…う〜ん、どう言えばいいんだ…」
「おー大河!メールじゃ結構話すけど会うのは久しぶりだねー!」
「北村君にみのりん、久しぶりだね。いつも通り『逢坂』でいいよ」
「おぉそうか、それは助かった。高須は今日はこれないんだってな。残念だ」
竜児といて笑顔を自然に作れるようになった大河は、誰に対しても笑顔を振りまけるようになっていた。
それでも、顔見知りのみに限るが。
「仕事だもん、仕方ないよ。みんな、本当に久しぶりだね(にっこり)」
すると能登、北村、亜美が大河に背を向ける。
「(祐作!どうなってんのよタイガー!あの子昔はもっとツンツンだったよね!?)」
「(亜美…。逢坂は俺達の知らない所で成長してるんだ。真実を受け入れようじゃないか)」
「(ほ、惚れた…。でも、タイガーは高須のだし…。うぅ、俺一人ぼっちだ、うぅ…(かわいくない))」
振り向いた北村は皆を店内へ促す。櫛枝はにっこりスマイルで鼻血を吹き出して放心状態になっていた。
急な階段を上ると、中からはクーラーの冷気が全員を包み込む。
途端に全員が声をあげる。化粧が台無し…だとか太陽まじ死ねだとか理不尽な事ばかり言っている。
ちなみに、愚痴を零すのは大河も例外ではない。
部屋を決め、マイクやら本やら入ったカゴを渡される。
北村がそれを持ち、部屋へ向かう。
「お、ここだここだ」
「うわぁ、随分狭いね。亜美ちゃんこんな所にいたら暑くて脱いじゃうかも」
ここで顔を歪ませていた能登と春田の顔がパーッと輝く。
「「おぉ!プール以降見れなかった亜美ちゃんの肌!胸!うなじ!無修正だ…」」
「はぁ?何言ってるわけ?亜美ちゃんは、全国の汚らしいファンが悲しくて死ぬかもしれないから、
こんな所では断じて脱ぎません。残念でした☆」
すっかり腹黒さを隠さなくなった亜美がそう言う。知り合いの前だけであるが。
中は本当に狭かった。4畳くらいの部屋に、ソファやらテーブルやらテレビが置いてあるので、
本当にすし詰め状態である。北村が真っ先に壁に掛けられた受話器を手に取り、
全員から聞いた品を次々と注文している。注文を終えた北村は、
「ふむ、確かに6人では狭いな。まぁ動けない事もないだろう」
汗を流すの大好きっ子な櫛枝は、一人気分上々である。
「よっしゃー!一番乗りは私だぁー!」
すると本も見ずに、物凄いスピードでリモコンのスイッチを連打する。
「お、おい櫛枝。お前番号見なくてわかるのか?」
「当ったり前さボーイ!さぁ、いでよ残酷な天使のテー……あれ」
テレビに表示されたのは、見慣れないハングル文字。下に──愛故に──などと臭い文字が表示されている。
「え、えっと…キャンセルボタンはと…」
「櫛枝!元ソフトボール部のキャプテンがそんな事でいいのか!?根性を見せてみろ!」
「うぇー?…ちくちょー!やったるでー!」
始まったメロディは、不規則なテンポで、どこぞの訳の分からない民族の音楽みたいだった。
ハングルなど歌えるはずもなく、他のメンバーから笑いの声が飛ぶ。
すると櫛枝は燃えてきたのだろうか、目に炎を宿し、腰を振りながら
「亜w背drftgyふじこlp;@:」
訳がわからない意味不明な奇声を上げ、全員顔が蒼白になる。櫛枝も真っ赤になっている。汗が吹きだしてきた所で、
「お、落ち着け櫛枝!」「みのりんもうやめて!」「みのりちゃんもういいから!」「櫛枝ぁぁ!!」「キャー!(かわいくない)」
その訳の分からないBGMとともに奇声を上げること10分間。長すぎだろ、と誰もがつぶやく。
歌が終わるとマイクを落とし、いやな音が響き、全員が一瞬で耳を塞ぐ。すると近くで座っていた大河の上に倒れる。
櫛枝はすっかり血の気が引いて、青を通り越し白くなっていた。
「うっうっ…みんなぁ…」
呻き声をあげるその顔は、『負』のオーラで漂っている。
「落ち着け!みんなここにいるぞ!」「みのりんしっかりぃ!」
「うぅ…おら…もうダメかもしんね……」
この時全員が櫛枝の死を悟った。
「えーとドリンクをお持ち致しま…きゃーー!」
扉を開けたアルバイトの経験豊富な大学生が驚くのは無理もないだろう、
一人の赤髪の女の子が中央のテーブルに横たわり、よだれをダラダラと流している。インコちゃんも真っ青だ。
その周りでは全員が胸の前で手を合わせ、お経を唱えていた。
すると不意に横たえられた女の子が目をクワッと開けられ、アルバイトの子に迫る。
「カシスオレンジカモッカモッ!」「はぃぃ!」
カシスを手に取ると、アルコールが少し入ったソレを構わず一気飲み。
机にばぁんっと叩きつける。
「ぷはー、生き返ったぜ!大河、次ダブルス!」
「え?私歌下手だから無理だよみのりん」
「やかましー!巨人の星のテーマじゃー!」
ピピピピピ、とまたしても音速連打をする。不安げにその様子を見詰める。
入力し終わると、マイクが二つあるうちの一つを大河に手渡す。
デレデレデレデレデレレレレ…
「UFO♪」『なんで!?』
その時の全員の突っ込みによりシンクロ率は210%を超えた。
なんやかんやあって、結局18時20分。食事もカラオケで済ませてある。待ち時間に入れたメールの返事が返ってきた。
『竜児、今日何時に帰れそう?』
『今日はいつもより早く帰れそうだ。多分7時には家に帰れると思う』
「にゃああ!!」と叫び、歌っていた者も睡魔に襲われていた者も一斉に振り返る。
「どうした逢坂?猫のまねか?」
「あ、いやそうじゃなくて…。本当はここに来る前は、少し時間を潰そうなんて事しか考えてなかったの。
でも竜児がもう帰るしいから、私ももう帰るね。楽しかったよ」
床に置いてあったキャップとサングラスを着けて、席を立とうとするが
「ふむ…では我々も行っていいか?どうせ暇だろうし、皆もいいよな?」
全員がコクコクと頷く。
「あ、いやその…なんというか…」
「どしたのタイガー。愛しの旦那様にこの美貌に満ち溢れた亜美ちゃんの姿を見せたくないっての?」
いつも通りの怪しい笑みを振りまく。
「てかタイガーさー、何で今日こそこそ歩いてたわけ?いつもならもっと堂々と歩くじゃん」
「ん?そういえば高須君の会社ってこの近くだよね?」
「みのりん…なんで知ってるの?」
「フフ、2人の事を調べる事なんて赤子の首を捻るも同然よ…」
「なに言ってるのみのりちゃん、たまたま見かけただけでしょ?」
「あーみんなんでそういう事言うかなー。で、知られたくない事でもあったの?大河」
「うー…い、言いたくない…」
「じゃ、この部屋から出すわけにはいかないね!抜け駆けなんてずるいよ。祐作!」
よしきた、と言うと北村は立ち上がり、素早くドアをブロックする。
「ほーれほれタイガー。すっかり檻に閉じ込められてしまったね。早く離したほうがいいよ?
じゃないと、昼間から遊んで夕食も作らないって愛しの旦那様に嫌われちゃうよ」
確かに…。嫌われるのは御免なので離すしかないだろう。
話を終えると全員がこちらをまじまじと眺めやっていた。すると能登が口を開く。
「へぇ、タイガーって高須に会った時いきなりぶん殴ったんだろ?凄い変わりようだな」
「だよなー。話すようになってもつんつんだったし。高っちゃんどんな魔法使ったんだろ」
「タイガーちょっとは成長したんだね。ずっと見た目と同じガキかと思ってたのに」
「大河って私にしか心開いてないと思ってたけど、今じゃ一途な乙女じゃん」
「みんな好き勝手言ってくれちゃって…。それに一途な乙女って古いよみのりん」「古いだってー!?」
「よし、その浮気疑惑を晴らすべく、全員で高須家へ突入しようじゃないか」
最初から来る気なんじゃん、という突っ込みはあえてなしの方向で。
「えぇ?なんでそうなるの?後を追って、途中でバッタリなんて考えてたんだけど…」
予想外の展開に戸惑いつつ、それだけ言う。
「しかし、今のご時世何が起こるか分かったもんじゃないぞ」
「大げさだよ…もしか「いいからいいから!ほら、もう時間ないんでしょ?さーれっつごー!」……」
喋ってる途中で声を割って入ってきたのは坂田よろしくアホの春田であった。
ハッとして携帯のフリップを開くと、時間は既に30分を回っていた。
結局付いてくる事になったが、亜美と春田、かわいくない能登は用事のため電車で帰る事になった。
店を出ると全員が全員とも「うっ」と熱に対する呻き声をあげる。
もう夜が近づいていても、外はまだムンムンと暑苦しい。
カラオケ店の前で別れ、別々の行動にとる。大勢で行くとバレやすいと踏んだ北村の案をあっさり受け入れた。
大河、北村、櫛枝の3人で会社の前の道路を挟んだ反対側の電柱の影でで雑談する事10分。会社の自動ドアが開いた。
ここが刑務所だったら絶対脱獄囚だ、と勘違いされる事間違いなしの男が出てくる。竜児であった。
そこで軽く伸びをすると、その瞬間車が大爆発する事もなく軽い階段を下りる。
外は帰路につく人が多く、人に満ち溢れていた。
しかし、途端に竜児の周りを歩く人々は竜児と一定感覚を空けようとする。
肩を落としながら駅へと続く道を歩く。3人はその後を声を潜め、話しながらつける。
「(おぉ大河!どうやらこのままサンクチュアリに帰るみたいだよ!)」
「(そうだねみのりん。サンクチュアリって古いよ)」「(にゃにぃ!?」)
「(よせよせ。しかし全員見事に一定感覚を空けているな。バリアーがあるみたいだ)」
「(そのおかげで分かりやすいけど、可愛そう…うっ)」
何かが大河の肩にぶつかり、驚いて呻き声をあげる。
漆黒の髪を揺らし、スタイルのいい女性が横を走り去って行く。
「(あれは…まさか)」
通り過ぎた女の横顔には見覚えがある。さっきまで尾行していた竜児の先輩だ。
竜児のもとへ駆け寄ると、肩に馴れ馴れしく手を置く。
「はぁはぁ…、やっと追いついた。でも案外すぐ見つけられたわ」
「どうかしたんですか先輩?何か用でも「いいからちょっとこっち来て」…え?」
竜児の腕を引っつかむと、近くのビルのわき道へ入って行く。
ビルとビルの間なので、足元も暗くどこを歩いているのかも分からない。
ほんの少し歩くと、開けた場所に出る。そこはビルの駐車場の裏側で、誰もいない。
車が数台止められていて、遠くに正規の入り口が見える。
近くの車の横に竜児を立たせる。後ろは壁で、ひんやりと冷たい。その前に先輩が至近距離で迫る。
「どうしたんですか先輩?こんな所に連れてきて」
「話を聞いて。あなた、今本当に奥さんを愛してる?」
何を言うのかと思えばそんな事か、と少し間を取った場所で柱に身を隠す大河ご一行が呟く。
怪しく光る狂目を光らせ、先輩を見る。別に視線で殺そうとしているわけではない。
「…は?あの、俺もう帰らないと電車の時刻が「お願い話を聞いて」……」
綺麗に整えてある髪を掻き分け、竜児を見つめる。その目はばかちーそっくりで、これから何を言うのかも予測できる。
「あなたはね、絶対今の奥さんでは君には合わないと思う。あなたにはもっと似合う女性がいる」
「…何を…んむ!」
一瞬何が起きたかわからなかった。大河にも、北村にも、櫛枝にも。そして、竜児にも。
一気に間合いを詰めた先輩は、3秒ほどだが竜児の唇に自分のソレを押し当てたのである。
「…いきなりこんな事して悪かったわ。でも、後悔はしてない。あなたは、絶対今の奥さんにいつか愛想を尽かす」
竜児はいきなりの出来事に頭を整理できないまま、立ち尽くしている。
一体なぜこんな事を?解らない。なぜ今自分がこんな目に?輪からない。
全ては『解らない』『理解できない』。頭がようやく働くようになってきたのか、
顔を真っ赤に染め、先輩を睨むように見ている。
「…なんのつもりですか?俺が、妻に、大河に愛想を尽かすって?思い違いも大概にして欲しいです」
「あなたは分かってない。あなたはもっと大人な年上の方が似合う。例えば「ふざけるな!」」
怒声を浴びせる。いつもならこんな大声は出さないし、出す必要もない。だが、今は別。
顔を怒りに震えさせ、口調も荒々しい。
「なんだってんだ…合うとか合わないとかそんなのどうでもいい。私は先輩の事尊敬していました。
それはただ上司に向ける心意です。それ以上でも、それ以下にもなりません。
しかし、先輩がそんなバカらしい事を言う人だったのは心底呆れます」
すると先輩は目に少し涙と溜め、バカ。とだけ言い、その場を去った。
大河の頭の中は真っ白になっていた。北村と櫛枝が声をかけてきたが、何も頭に入らない。
「うそ」とだけ呟き、それ以上何も言えなかった。
「……な」
竜児がこちらに気付いた。慌てて櫛枝と北村は姿を隠すが、大河は立ち尽くしたままの状態。
「…君は確か…」
すると、大河はサングラスを外した。
「大河…なんでお前…」
「竜児…」
無言で竜児に近寄る。一言「帰ろう」とだけ言い、手を繋いで帰っていった。
その後は、竜児が何度大河にあの時の事を説明しようとしても聞いてはくれず、いつも通りの生活に戻った。
いつも通りと言っても、大河は竜児にあーんと要求したり、以前より甘え、愛するようになった。
余談だが、先輩はその後退職した。その後の事はまた別のお話。
「…櫛枝。俺達はどうしたらいい」
「…帰ろう」
終わり。
とらPプレイし終わったらまた書きにくるかも。
読んでくれた人ありがとう。
「未来で会おう!」
「…過去でね」
「その通り!」
テーレーテー
みんな素敵なのを書き込むよねぇ。
>>485 ゲームブックを思い出したぜ!
じゃ、私も投下。
竜児 「じゃ、今日の家庭科は、オレンジタルトを作ってもらうぞ」
「はーーーーい。」
竜児 「分からなかったり、困ったりしたら先生に聞くように。」
「せんせーい、生地作りがうまくいきませーん。」
竜児 「おぅ。バターはこれだけ入れて手早く混ぜる。こんな風にな。」
「せんせーい、包丁使ったことないんですけど。」
竜児 「オレンジはスライスするんだ。......よし切れた。こんなもんだな。」
「せんせーい、焼き時間はー?」
竜児 「俺が調整するから。火加減はこんなもんで良し。あとは焼けるまで待て。」
「......先生がやったら意味ないじゃん......」
「ねぇ......」
『スッキリ爽快!とらドラ!』
>>521 2年C組! タイガー先生!!
大河 「じゃ、ここのトコの英訳を、そこのアンタ、読みなさい。」
「は、はい!ええと......」
大河 「指されたら立って読みなさいよ!立って!」
「は!はい!あー......」
大河 「......先生を見下すとは、アンタいい度胸してるわね?」
「......え?それはただ、身長の問d―――」
大河 「だぁーーーれが豆じゃぁあああ!?」
「......どうすりゃいいんだよ......」
『スッキリ爽快!とらドラ!』
>>522 亜美 「今日の美術は人物画を描いてもらうわよ。」
「せんせーい、誰を描けばいいんですか?」
亜美 「だれでもいいわよー?だ・れ・で・も・ね?......」
「えっと、......あの、じゃ、先生を......」
亜美 「先生じゃなくてもいいのよー?ま、あなたの気持ちはわかるけどねーー!」
「おれも、......先生にします......」
亜美 「無理しなくていいのよぉ!もっとも、他に人材いないみたいだけどーーー!?」
「......内申点には逆らえないよ......」
『スッキリ爽快!とらドラ!』
>>523 北村 「ここのトコを、......ん?」
「うあ!やばっ!」
北村 「手紙を回すなよ?」
「先生!勘弁してください!」
北村 「......。”彼のこと、どう思っているの?”。恋愛相談か?」
「あーーー!」
北村 「ほほー、お前はあいつが好きなのか?何なら先生が相談に乗るぞ?」
「いえ!結構です!結構ですからっ!」
北村 「先生は神と呼ばれてたからな!生徒のためなら一肌”脱ごう!”遠慮はいらん!」
「キャー!先生がまた脱いだーーー!」
「......私の将来、大丈夫かな......」
『スッキリ爽快!とらドラ!』
>>524 春田 「じゃ、ここのとこの......(また手紙を回してるのか?)」
「(あ、やばっ!春田先生に取られた!)」
「(ばか!何やってるのよ!)」
春田 「(カリカリカリカリ......)」
「(......あれ?戻ってきたよ?)」
「(なんか書いてたよね?......)」
「(えっとーーー......)」
「 ”授業を真面目に聞くように!>arl” 」
「......受験大丈夫かなぁTT......」
『スッキリ爽快!とらドラ!』
>>525 「今日はお弁当なんだ?」
「うん、ちょっとダイエットしなきゃね。」
実乃梨「ほほう、ダイエットとな?」
「あ、櫛枝先生。」
実乃梨「ダイエット中でも食べなきゃダメだぞ?」
「先生のお弁当......すごいですね......」
実乃梨「おうよ!こいつは大河先生スペシャル!こいつはバケツプリン!こいつは激辛カレーだ!」
実乃梨「おら!ポテトフライをやろう!」
「......あれであの体型だなんて......」
「......世の中不公平だ......」
『スッキリ爽快!とらドラ!』
能登 「......はぁーーー。......」
「先生?」
能登 「......ふぅーーー。......」
「先生!」
能登 「なぁ、お前たちは好きな人っているのか?」
「「「は?」」」
「......(先生って、木原先生が好きなんだっけ?)」
「(確かね)」
能登 「あ、いやいやいやいやいや、ただあくまで一般論であってだ!その、なん
だ、
先生がどうこうって訳ではないぞ!ましてや”麻耶先生”が好きだなんて!
その!あーなんだ!いや、その、ええと!―――」
「......先生、授業しようよ......」
『スッキリ爽快!とらドラ!』
>>527 麻耶 「じゃ、きょうはここまで。」
「先生、いまの授業で質問があるんですけど。」
麻耶 「んー?なに?」
「先生は結局、能登先生が好きなんですか?」
麻耶 「ばっ!?なんて事聞くの!?」
「でも能登先生は、木原先生のこと好きだって、さっき言ってましたよ。」
麻耶 「あぅあぅあぅ......ひぃーさぁーみぃーつぅーー!!//////」
「......先生も大変なんだね......」
「......そうか?」
『スッキリ爽快!とらドラ!』
恋ヶ窪「そういうわけで、明日からGW休みです―――」
恋ヶ窪 「が!!」
恋ヶ窪「とらドラ!Pの発売による私の婚活のため、お休みを無期限延長とします!
......校長先生も後が無いの。わかってくれるわよね?」
「「「もういやっ!」」」
『スッキリ爽快!とらドラ!』
530 :
あとがき:2009/04/29(水) 13:49:44 ID:sGtHBsZe
やっぱり落語ネタの方が良かったかな?
ちなみにホントは「ファンタ!」です。
>>530 ファンタCMなつかしいw
それぞれのキャラのネタを活かしてて面白かったw
GJです
>>530 CDのおまけトラックとかについてきそうw
最近のネタならこんなのかな。
『♪悪そうな奴だよ高須くん』
「おい、その上着よこせ」
「は、はいっ!」(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル
「ほら、袖のボタンが取れかけてたぞ」
『♪ホントはいい奴の、竜児だよ』
>>530 乙
久々にファンタ買ってしまったwww
535 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 16:40:20 ID:SQ4X0tnK
マンションの前で竜児と別れた時には、もう暗くなっていた。
エントランスのオートロックを開ける。また建てられてそれほど経っていない
マンションは、無機質なにおいがする。ひんやりしたエレベータから部屋に降りる。
私専用の階。私専用の家。
鍵を開ける。
「ただいま」
誰もいない。
あたりまえ。ずっと前から誰もいない。この部屋に越してきてからずっと、誰もいない。
部屋に入る。コートを脱いでその辺に投げようとして、思いとどまる。いけない、
いけない。自分ひとりでちゃんとするんだった。クローゼットを開けてコートとマフラーを
かける。
ひとりで生きていくと決めた。もう、竜児には頼らないと決めた。そう宣言した。だから、
もう竜児は来ない。散らかしても竜児は片付けてくれない。散らかしてしまえば、竜児が
きれいにしてくれた部屋から、竜児の面影が消えていく。そんなことには耐えられないと
思った。ひとりで生きていくと決めても、ちょっとだけでもいいから、竜児の名残に
包まれていたいと思った。なのに、いくら努力しても部屋はだんだんおかしくなっていく。
まるでそれが定めのように、竜児の痕跡が消えていった。あまりのことに困り果てて、
業者を呼んできれいにしてもらった。竜児がしてくれていたようにきれいになったけど、
終わった後で自分の馬鹿さ加減に気がついた。竜児の面影は、却って薄まって
しまった。
冷え冷えとした部屋のエアコンを入れ、ガラステーブルの前のチェアに座る。よく、
テーブルを挟んで竜児と話をしたことを思い出す。話をしながら、いっつもテーブルの
汚れをぬぐっていた。変な奴。
「竜児…」
名前をつぶやく。
こたえてくれる竜児は居ない。だって、来るなと行ったのは私。竜児の部屋に行かないと
行ったのも私。これ以上私が竜児の近くにいれば、半分壊れてしまった竜児とみのりんの
間は、もう手を施しようがないほど壊れてしまう。
「竜児ぃ…」
銀行口座の残高はずいぶん減ってしまった。
あのくそオヤジが入金を止めてずいぶん経つ。今では私が使うより早く、あのオヤジが
引き出していく。きっとそれで私がどうなるかなんて、関心はないのだろう。あったとして、
一度会ったっきりの竜児が面倒を見てくれるくらいにしか思っていないのだろう。笑える。
その竜児に面倒を見ないでくれといったのは私だ。もう、竜児は私の面倒を見てくれない。
面倒を見てほしくても、もう、駄目。
ママは終業式まで待たないといっている。早くあのオヤジの匂いを私から消したいらしい。
この部屋から連れだし、あの学校を辞めさせ、友達から引き離し、以前の私のなにもかもを
きれいにぬぐい去ってしまいたいのだろう。クローゼットの中のお気に入りのワンピースの
事を思った。あれも置いていけと言われるのだろうか。
竜児との思い出の詰まったものを、いったいどのくらい持って行けるだろう。
携帯のフリップを開く。さっき撮ったばかりの写真を呼び出す。白いユニフォーム姿で、
引きつった顔の竜児。馬鹿みたい。何でこんな顔するんだろう。接客業なんだからもう少し
にこやかな顔すればいいのに。
「…りゅう…」
名前を口にするだけで、涙が出てきた。馬鹿みたい。もう少しいい顔してくれればいいのに。
最後の写真かもしれないのに。
きりきりと胸が痛む。胸が痛いというのが、文学表現ではなくて本当の体の痛みだと
教えてくれたのは北村君だった。北村君の事を思って私が泣いていたとき、竜児が現れた。
そばにいてくれると言ってくれた。竜児が横にいるだけで、胸の痛みは消えていった。
朝から晩まで、息をするのもつらい毎日だったのに、竜児が横に居てくれるだけで楽に
なった。
今は、竜児のことを思うと胸が痛む。そして竜児は横にいない。もうすぐ、私は竜児の
前から消える。
テーブルの上に置いた袋をとって、チョコレートを取り出す。せめて溶かして型に
入れ直せ、と竜児は言った。わたしがチョコレートをあげたら、嬉しいと言ってくれた。
だから、頑張らなきゃ。どうやって型に入れればいいのかわからないけど、竜児はネットで
調べればわかると言った。竜児がそう言うなら、間違いない。だって、これまでずっと
竜児の言うとおりにしてきて、それで間違いなかった。だから、今日も竜児の言うことを
聞いて、一所懸命チョコレートを作ろう。
竜児はこのチョコレートを受け取って、どんな顔をするだろうか。笑うだろうか。
赤くなるだろうか。それとも、いつものようにうつむいて、髪をいじってごにょごにょ
礼を言うんだろうか。どんな顔でもいい。その顔をしっかり目に刻もう。
竜司にあげる、最初で最後のチョコレートだから。
538 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 17:13:41 ID:SQ4X0tnK
| ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ( ( | |\ あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
| ) (.___,,,... -ァァフ| ) ) | | .| 『おれはメロンブックスの入り口に立っていたと
|_|i i| }! }} //| (__| .\| 思ったらいつのまにかとらドラ同人本を三冊持ってレジの前にいた』
/― |l、{ j} /,,ィ//|-\≒ な… 何を言っているのか わからねーと思うが
/ i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ \ おれも何をしていたのかわからなかった…
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 衝動買いだとかタイトル見て購入余裕でしただとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
|______________| もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
539 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 17:18:13 ID:SQ4X0tnK
休みがなくて荒れた心に
染み渡るスレだ
541 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 19:15:04 ID:wxeHyyVC
トラえもん
竜「トラえもーん!またジャイアン(実乃梨)にいじめられたよー!」
虎「しかたないなぁー・・・」
タッタラ〜ン!!(虎、四次元ポケットから秘密道具をと
りだす。)
虎「この秘密道具でジャイアン(実乃梨)をこらしめてくると・・・」
「あっ間違ってコンドームだしちゃっ・・・」
竜「・・・え?・・・・・」
ギシギシアンアン
まさかの技師案かよw
いやぁ今日は読み応えあるなあ
書き手のみなさん乙です
本日の作品はマジで多彩だった
みんな乙!
>>485だが、ゲーム感覚でのこれを呼んでくれた人ありがとう。
しかし、もしかしたら誰しもが真のルートに辿り着いていないのではないかと心配になった。
ENDは
BAD×2
大河SWEET
竜児大胆
TRUE
そして真
の六種類ある。
「ねぇ竜児」
「何だ?」
「六種類って……TRUE(真)ってTRUEと真でわかれてるの?私五種類だと思ってたんだけど」
「さ、さぁな……」
「?何きょどってんのよ?」
「知らん。俺は何も知らん!!」
「そんなに言わなくたって……みのりんも平方根とかわけわかんないこと言うし」
「!!」
「?何驚いてんのよ?平方根って言えば√よね……ん?ルート?」
「いや、大河それはな……」
「確かあの時みのりんは……」
『逆だゴルゴ、ここから上に遡りながら頭文字だけを逆に読むんだ。それこそ裏の、いや真の平方根だZE!!』
「って言ってた。ここからって事は逆だゴルゴ……頭文字は『ぎ』?でも上に遡るってどういうこと?」
「そりゃあ、普通スレでは上から下に改行されていくし……」
「は?何の話?」
「い、いやなんでもない」
「まぁいいや。とりあえず会話を遡ってみよう。確か私はみのりんの前に……」
『し、しょうがないとかそんなえっと……』
「って言ったはずだから……『し』?『ぎ・し』?意味わかんない。次は……」
『ぎぁあ!?熱い、熱いぜ熱くて死ぬぜぇ!?』
「だからこれも『ぎ』?『ぎ・し・ぎ』?」
「も、もういいだろ大河?止めようぜ考えるの」
「何よ?どうしたっていうのよ竜児。アンタまさか意味がわかってるの?」
「そそそそんなことないぞ」
「きょどりすぎよ。何よ教えなさいよ。」
「いや、でも……」
「いいからさっさとしなさいよ!!みのりんのあの変な8みたいなポーズも意味があるの?」
「あれはただ遡る頭文字の文字数を表して……何でもない」
「!?やっぱり何か知ってるんだ!!言え、言うのよっ!!」
「く、苦しい……ギブギブ!!」
「じゃあ言いなさい、教えなさい、実演なさい!!」
「言う言う、教える教える、実演する、だから離せって……実演?」
「何よ?何かやるんでしょ?」
「い、いやそうだが……まじで?」
「まじよ」
「どうしても?」
「どうしてもよ」
「じゃ、じゃあ今夜な」
「はぁ?何で今じゃないのよ」
「う、うるさい言えるかそんなこと!!今夜ったら今夜だ!!」
「わかったわよ、今夜ね」
大河は、その晩それを見て体験したが、一回では満足できな……もとい理解できなかったのか、それから毎晩のように、
「ねぇ竜児、今夜も教えて♪」
と言う様になったとかならなかったとか。
ということでお察しのいい皆さんならもうおわかりのこと。答えは……(気づいてたらスマソ)
547 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 22:42:38 ID:aSv6EFQs
>>485 このランズベルク伯アルフレッド感嘆の極み
548 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 22:44:48 ID:Nw7uWsja
>>546 SUGEEEEEEEEEE
これが神の実力か……!!
549 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 22:50:53 ID:wxeHyyVC
そろそろとらドラP発売の季節なのでとらドラPネタを投下。
大「竜児?なにやってんの?」
竜「ゲームだよ。最近買ったんだ。」
大「ソフトは・・・とらドラP?何それ?」
竜「このソフトはバンダイナムコが制作のPSP専用のソフトなんだ。
とらドラPは恋愛シュミレーションゲームだからデ…デート感覚が味わえるんだ!
スゲーッ!」
大「恋愛シュミレーションだかなんだか知らないけど、デートなら私と行けばいい話じゃない。」
竜「あ・・・そっか」
ギシギシアンアン
おわり
セリフの一部はとらドラのCMから取りました。
なんかこのネタ書きたくなった。スマン。
550 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/29(水) 23:34:31 ID:SQ4X0tnK
大河が幼児退行してしまった
大河「りゅーじっ、頭なでてー」
竜児「お、おう…」
なでりなでり。
大河「えへへぇ…」
竜児「(いかん、堪えろ…俺!)」
大河「ふにゅー♪」
大河、竜児に擦り付いて甘える。
竜児「お…お……」
大河「んー? どしたの、りゅーじ」
竜児「襲って何が悪い!」
大河「やっ、きゃーきゃー♪」
………先に逝ってるぜお前ら
あの2人の間には、子供6人ぐれえデキそうだよな・・
もっと出来るだろ。
全員に等しく愛を与えてそうだ。
境遇がアレだけに。
「絶対に家族の絆は絶やすな」
が家訓になってそうだ
>>551 お前だけ先に逝くとは何事だw漏れも追うぜぇ〜超追うぜぇ〜
555 :
SNOW:2009/04/30(木) 00:59:30 ID:HiyDm7YO
『寧ろ』とかなんとか言ってくれた人居たからいくw
長編GOw
↓
「ねーねー!今日はお昼外で食べよ?」
「は?」
思わず問い返した携帯電話。7月頭の梅雨の中晴れの日。
いつもなら、暑いから外なんて行きたくないと駄々をこねる大河が、珍しく自分から外に行きたいなんて言い出したからなにかと思ったら、なるほど。
「オニューなんだな?」
「えへへわかった?」
玄関まで迎えに出た俺の目の前、白いワンピースに鍔広の同色の帽子を抱えて大河がニッコリと笑った。
※
「竜児おっそいわよ!」
先を行く手乗りタイガーが怒鳴っている。
まあ、本気で怒っているわけではないので、微笑みで返す。
「こーら、あんまり急ぐな。こけるぞお前」
「そんなわけないでしょ!この私がこけるなんて・・・おわっ!?」
言ってる傍からこれだ。自分のドジさをそろそろ自覚して欲しいものだ。
でもさすがにそこは手乗りタイガー。
見事なバランス感覚で、無様にこけるのを回避。
ちょっとテレマークってるのがどうかと思うが・・・。
「ほらみろ」
「う、うるさいわね!転ばなかったんだからOKよ!むしろ私の勝利だわ!」
隣まで追いついた俺を見上げて、言い募る。
顔が真っ赤になってるのが可愛いが、言ったら暴れそうなので頭を撫でる。
「そうだな。でも、折角可愛い服着てるんだから、もう少し気をつけろよ?」
「わ、わかってるわよ・・・」
俯くように目を逸らして、自分の服の裾を引っ張る大河。
真っ赤になった顔を隠してるつもりだろうが、耳まで真っ赤なので意味無いぞ?
しかし、
「・・・可愛いんだこれ・・・えへへ」
その呟きで俺も真っ赤になった。
聞こえないように言えよお前。照れるじゃねーか。
「あー・・・それにしてもいい天気だな」
誤魔化すように空を見上げる。
でも本当にいい天気だ。吸い込まれそうな青空が目に沁みるくらいに。
「うんほんとだね」
大河も同意して空を見上げる。
その顔をちらりと盗み見。
キラキラと輝いてる、その大きな目に思わず微笑む。
「さ、どっかいい場所探して弁当食おうぜ」
「うん!私もうお腹ペッコペコ!」
掲げたバスケットに、同様のキラキラ眼(まなこ)を向ける大河。
・・・さっきの俺の気持ちを返せ。
※
556 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 01:00:33 ID:mh32i4Df
質問。
エンゲージリングの完結編ってまとめにないんだけど、
あの続きってないの?
もしかしてあれで終わり?
557 :
SNOW:2009/04/30(木) 01:01:03 ID:HiyDm7YO
「あれ?」
先を行く大河がふと足を止めた。
「どうした?」
少し足早に追いつくと、大河が傍の階段を指差した。
「ここ・・・神社?」
「ん?」
言われて見上げると、確かに階段の中腹に大きな鳥居が見える。
よく見るとその周りには木が生い茂っていて、その場所をぐるりと囲むようになっていた。
確か鎮守の杜・・・とか言ったか?なるほど神社だ。
「へえ。こんなトコに神社あったんだな。全然気付かなかった」
たまにしか通らない道ということもあるけど、こんな近所に神社があったなんて。
「初詣とかここでいいのかもな」
「ねえ竜児」
「ん?」
声を掛けられて目を向けると、またキラキラの瞳。
「・・・お前・・・」
「うん!登ってみようよ!」
やっぱりか・・・。
言うが早いか、大河はもう階段に足を掛けていた。
お前待て。階段よく見ろ。
異様なほどに長い階段を見上げ、うんざりと溜め息をついた。
「りゅーじー!!」
話し掛ける暇(いとま)もなく、既に20段ほど駆け上がった場所から、声を掛けてくる大河。
・・・ったく、仕方ねえな。
「あー今いく・・・」
覚悟を決めて階段に足を掛けてから、そっと今は見えない社に目を向けた。
そして祈る。
お願いしますここの神様。
できるなら、明日の筋肉痛は、なるべく軽いものにしてください。
※
558 :
SNOW:2009/04/30(木) 01:03:26 ID:HiyDm7YO
>>557 「や・・・やっと到着か・・・」
大きく息を吐きながら、そのまま階段の最上段に腰をおろす。
予想通り・・・いや、予想以上に長い階段だった・・・。
上ってきた階段を見下ろし、改めて大きく息をつく。
帰りには、またこの距離を歩かなきゃいけないかと思うとうんざりだ。
「だっらしないわねえ。この程度で息切らしてるなんて、あんた生活習慣病なんじゃないの?」
メタボよメタボ。
とんでもなくひどい言われ様に、思わず眼光鋭く睨んでみる。
普通の奴ならこれで(自分の意志に関わらず)怯むものだが、さすがに大河には通用しない。
うーわ、図星さされて睨んでるよ。とかなんとか言いながら、さっさと境内へと歩を進めていった。
チクショウ。
せめて俺の息が整うまで待っててやれよ。
※
559 :
SNOW:2009/04/30(木) 01:06:35 ID:HiyDm7YO
>>558 「うっわー・・・」
思わず大河が声を洩らしたのにも頷ける。
それは階段同様、予想外な景観だった。
白玉の石が敷き詰められた境内。
思いの外手狭な印象だが、御神木らしき大樹には注連縄(しめなわ)も結ばれているし、参道わきには手水舎もある。
何より社が、殊の外立派なのに驚いた。
拝殿と本殿の歴史を感じさせる外観。
なのに、くたびれた様子など微塵も感じさせない。
今でもこの場所に、神気が満ちているように力強く感じさせる威容。
こんな高い場所にあり、尚且つあの階段の所為で、参拝客などそれ程ではないと予想できる。
現に今、自分達以外に人影は無い。
なのにこれほど神々しいというのは、ある意味すごいと単純に感動できた。
思わず呟いていた。
「・・・懐かしいな・・・」
「・・・うん」
そして呟いた言葉に二人で驚いた。
560 :
SNOW:2009/04/30(木) 01:08:55 ID:HiyDm7YO
>>559 「竜児今なんて?」
「い、いや思わず出たんだけど・・・お前こそなんで?」
「わ、私もなんかポロッと・・・」
懐かしい?今の今まで知らなかったトコだぞ?
そもそも大河も懐かしいってなんだ?
「お、お前来たこと在るのか?」
「な、無い・・・と思う。もしかしたら小さい頃にきてたのかもしれないけど・・・」
モゴモゴと口の中で呟くように言った大河の言葉にハッとする。
なるほどそうか。
「ああ。それなら俺も泰子に連れられてきたことがあったのかもしれないな。ああそっかそっか、なるほど」
多分そうだ。こんなに近所にあるんだし、泰子に散歩がてらつれて来てもらったのかもしれない。
なんとなく納得して、そのまま境内を見回した。
「竜児、折角だからお参りしていこ」
「おう」
大河の提案に否やは無い。
まず手水で手を濯ぎ、その後に口を濯ぐ。
大河は杓子に口をつけるのを躊躇っていたが、俺が使っていたのを渡したら、嬉々として嗽をした。
恥ずかしい奴め。しかも嗽をするな。
「お賽銭いくらにしようかな・・・」
「御縁がありますようにで、五円でいいんじゃないか?」
「・・・安い願いね、あんたは」
あからさまに蔑んで見られて、内心深く傷ついた。
古来より伝わるありがたい習慣だというのに。
「よし。奮発して千円入れちゃお」
「せ、千円だと!?」
しかし大河の言葉を耳にした瞬間、そんな痛みなど吹っ飛んでしまった。
初詣でもなく、ただふらりと立ち寄っただけの神社にお参りするのに千円!?
MOTTAINAI!
思うより先に体が勝手に動いて、大河の手を掴んだ。
561 :
SNOW:2009/04/30(木) 01:11:03 ID:HiyDm7YO
>>560 「ちょ、なにすんのよ!?」
「そんなMOTTAINAIことさせるか!!」
「いいじゃない私のお金だもん!どう使おうと私の勝手でしょ!?」
「バカいえ!金は天下の回りものって言って、お前のお金であり、みんなのお金なんだ!!だからそれは有意義なことに使わなくちゃいけないんだ!」
「だから、今は私のお金でしょ!?次の誰かが有意義に使ってくれるわよ!いいから離しなさいよ!」
「わからない奴だな!使うなら有意義に使う義務があるって・・・」
「たまには神に奉納するのも、有意義な使い方じゃと思うぞ?」
え?
突然耳に入った声に驚いて振り向く。
いつの間にきたのだろう?
視線の先、一人の老人が立っていた。
「え・・・あ、あの?」
「久方ぶりに人の声が聞こえると思ったら、これはまた可愛らしいお客人じゃな」
お客人?
思わず騒いでいたのを忘れて、大河と暫しみつめ合う。
それって俺らのことだよな・・・って、あっ!
「竜児。あの人の服」
「あ、ああ」
どうやら大河も気付いたようだ。
そう、目の前の老人の服装は、袴姿の純和風。
おまけに頭には冠まで被っていて・・・その所謂・・・。
「神主さんだ・・・」
「いかにも」
大河の言葉にその老人は、ニッコリと微笑んで自己紹介をした。
「この神社・・・高砂竜神神社の宮司をしておる、白鳳と申す」
よくおいでなさったな。
言外に言われ、慌てて頭を下げた。
続きはGW以降にw元ネタ分かった人はお口チャックwww
たいぎゅううううううううううううううううううううううううう
>>556 おめ、人が『SNOW』で書いてる時になにを言うかwww
まさかとか言いますか?wあーなんだ・・・嬉しくてにやけるなw
『ありがとよ』
書いていいなら書かせてもらうさwあーやべ、泣きそうだwww
564 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 02:08:57 ID:tJ4hEZlg
>>562 もちつけ!それはあと1ヶ月で20歳と120ヶ月になるお嬢さんじゃない!
>>563 書いて書いて
しかし神社ネタいいね
俺もプロットはあるけど弾幕方面になるのは確定している
>>563 嫌な事件だったね…
さておいて、俺も続きが見たいひとりではある。
俺の大明神パワーが費える前に早く!
そんなわけで、お待ちしておりますので。
>>546ワロスw
最近ギシアンが多いなw
さあもうちょっとでとらPに会える
GWだから実家でゆっくりニヤニヤさせてもらうw
wkwktktk
569 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 10:01:39 ID:mh32i4Df
早く学校終わらないかな…
同じくGW中はとらドラP満喫させて貰うぜ
帰りに買うけど購入予定の店にあるか心配だ…
570 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 10:07:30 ID:TyBvKSbU
ゲーム屋での予約は発売の二か月前が基本だぜ
発注締切がそんくらいだからな
(゚∀゚)ゲト!
572 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 10:54:38 ID:mh32i4Df
田舎だからゲーム屋がないっていうw
食品売り場近くのタバコ屋付近にDSのソフトとかがあるんだけど、そこに賭ける!
多分ないだろうけどw
なかったら電車で隣街までいてくる\(^o^)/
573 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 10:59:10 ID:mh32i4Df
そういやセブンイレブンかローソンに
売ってるかどうか誰か知らない?
地域によるだろうけど参考にしたい
574 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 11:29:04 ID:TyBvKSbU
お前らにはAmazon.co.jpで買うという選択肢は無いのか
でもクレカ作れない10代だと手出ししづらいものがあるのは理解出来よう
コンビニ受け取りもあるけども
アマゾンなら代引きもできるんじゃないか
手数料はちょっと要るけど
エロゲーばりに大河がデレるその後が見たかった
そして初めてのセックス出産
Amazonならセブンイレブンでインターネット支払いってのあるよ。
Amazonで買うとき支払い方法をそれにしたら支払い番号が書いてるURL送られてくるからそれメモして(俺は携帯だけど)セブンイレブンに行き、
インターネット支払いって言って番号言えば終わり。
その場でお金払って完了。
学生でもOKのはずだ。
ついでに言うと1500円以上のものは送料無料。
579 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 11:39:54 ID:TyBvKSbU
なんにせよPSP持ってる人たちよ
お幸せにというところである
580 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 11:56:52 ID:mh32i4Df
みんなありがとう。
俺としてはコンビニで予約とか事前注文とかなしに、
「とらドラPくださーい」
てな感じのが好ましいんだけど無謀かな
Amazonだと1日かかるから待てない\(^o^)/
581 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 12:30:01 ID:Aw1bZLdG
店頭品切れだと早くても土日だよ
問屋に在庫無ければ翌週になる
とにかく不景気で問屋もメーカーも在庫抱えてくれないんだ
582 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 12:43:08 ID:Aw1bZLdG
竜児「おい大河、とらドラキャラソンアルバム届いたぞ」
大河「よこしなさい竜児。私にはそれを先に聴く権利があるわ!」
竜児「買ったの俺なんだけど…まあいいや、ほれ」
大河「すぐ録音して返すから待ってなさい」
二時間後
竜児「すぐ返すっつったのに何やってんだあいつは…おい、大河何やって…」
大河「えへへ…りゅうじぃ…」
竜児「なんだあの満面の笑みは…おい大河!」
大河「ひゃー!?////ちょ…ちょっとアンタびっくりするじゃない!」
竜児「悪ぃ、ところでCD返してくれ。俺も早く聴きたい」
大河「あ、ああCDね、はい」
竜児「まったく…何聴いてるんだ?」
大河「あっ…それは////」
──例え若さだと言われようと関係ない シンプルに男として力が欲しい ah
竜児「…お、俺のキャラソンじゃねーか!しかもリピート状態!」
大河「ごめん竜児…あんたの歌声聴いてたら夢中になっちゃったの…で、でもアンタのせいなんだからね!」
竜児「な、なんでだよ!?」
大河「だって…歌声がすごく綺麗なんだもん…素敵すぎるじゃない!」
竜児「////////」
大河「そ、それにあんた一曲しか歌ってないんだもん!」
竜児「たいがぁ…ありがとうな。お前が望むならいくらでも歌ってやるよ」
大河「ホント!わぁーい竜児だいすきー♥♥♥(ぎゅっ)」
583 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 12:43:11 ID:Aw1bZLdG
おまけ
竜児「今度カラオケ行こうな」
大河「えー今ここで歌ってよ」
竜児「おいおいアカペラかよ」
大河「いいから!早く歌いなさい!『Emerald Sword』ね!」
竜児「結局これやりたかっただけじゃねーかよ筆者!?」
フォーザーキーンフォーザーラーンフォーザーマーンテン
竜児「大河…」
大河「竜児…」
ギシギシアンアン
櫛枝「あーみん…」
川嶋「みのりちゃん…」
クチュクチュアンアン
北村「能登ーッ!」
能登「え?ちょっ!?」
ギシギシフンフン
585 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 12:56:52 ID:Aw1bZLdG
::::::::::::::::::::::::::::.
::::::.\:★ノノハ いやぁっ!
::::::.ミゝ从*´∇`)つ
::::::⊂__つノ
のにゅのにゅマン巡回中!
>>546 著しく遅レスだが、「真」エンド、ちゃんと初見で理解できたぜ!!
面白かった。
またよろしく!
>>586 おお!?気付いていましたか。
ありがとうございますW
とらP落ち着き始めたころにでもまた作ろうと思うからそん時はよろしく。
貴方のような人がいると作りがいがあるぜ。
とらP
独ネ申エンド…
是非!大河エンドをォォォ
「竜児、なんかこのスレ最近活気がないんだけど」
「とらドラPが発売したからな。ちなみに俺も今プレイ中だ」
「はぁ?ご主人様一人差し置いてプレイするとはいい度胸してんじゃない」
「いいだろ、俺の金なんだしどうしようと勝手だろうが」
「いいから寄越しなさい!ほらっ!」
「わー!やめろやめろ!後でプレイさせてやるから!な!?」
「分かったわよもう…とみせかけて!」
「なー!何しやがんだやめろ!あっ!」
「ふん、最初から素直に差し出せばこんな事…ってあら?」
「あーあーあー…」
「これ…どういう事…?なんでみのりんルートに行ってるわけ?」
「これはその、なんだ…櫛枝ルートのほうがプレイのしがいがあると思ってだな…」
「ひどい…なによなによ…やっぱりあんたまだみのりんの事が…ぐすっ」
「違う違う!あれだ!俺にとっての大河は現実だけで十分であって…」
「なによそれ!私を2人も世話できないってわけ!?もう面倒見切れないって事!?」
「話を聞け…大河。お前は俺にとって一人で十分なんだ。人に作られた大河なんて大河じゃない」
「…そうだよね…ごめんね、竜児。」ちゅっ
「…大河…///」
ギシアンなんかじゃ、決してねえ
591 :
名無し募集中。。。:2009/04/30(木) 20:55:33 ID:TyBvKSbU
メタ展開ってもしもキャラクターたちがユーザーの立場になったらっていう面白さがあるから好き
592 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/30(木) 21:45:09 ID:r3cuGqFN
投下
そこはまだ夢の中なのかと思った。
「おはよう竜児、目ぇ覚めた?」
4月終わりの朝7時半。目覚めた竜児の視界には、とてもじゃないが信じがたい光景が広がっていた。
「…嘘だろ?」
「何よ?」
そう、あの大河が、高須家の台所に立っている。しかも、しっかり自分のエプロンまで装着して。
学校は教員研修で休み。『両親が泊りがけで出かけていないから竜児のうちに行く』ということで、今朝から来る話は聞いていたのだが、まさかこんなことになっていようとは。
「……だめだ。寝よう。まだ俺は夢の中みたいだ。」
「ちょっ、バカ!起きなさい!」
「夢だ夢だ、これは夢だ。絶対に現実なんかじゃない。」
「逃げんなこのアホ犬!これが現実だっつーの!」
再び被った掛け布団をものの見事に引っ剥がされる。
それだけならよかった。掛け布団を剥がしたついでに、敷き布団に躓いた大河の左足が竜児の股間にクリーンヒット。
(あ…、俺死ぬかも…。)
「ごめん竜児!大丈夫?ねえ竜児!りゅ…」‐ここで竜児の意識はフェードアウトした。
股間がまだ若干痛い。結局起きざるを得なかった。これが間違いなく現実らしい。
台所では、大河が鼻歌を歌いながら朝食を作っている。踏み台がないとどうにもならないのは相変わらず。
しかし、今回は結構手際よくやってるようで、特に何かを焦がしたりとかはしていないようだ。
(…何かがおかしい)
そして、何気なく外を見た時、思わず玄米茶を吹いた。
ベランダに洗濯物。昨日はしっかりこの手で取り込んだし、今起きたばかりだから今朝はやっていないはずだ。
タオル、Tシャツ、ズボン、泰子の店のエプロン、さらに竜児の下着。そしてなぜか大河の服まで、普段どおりきっちり干されている。
「・・・・・・」
呆然と眺める竜児の背に「りゅーじー、朝ごはんできたよー」と声がかかる。
***
>>596 おかしい。絶対におかしい。料理の出来がぜんぜん違う。
ハムエッグにポテトサラダとレタスの盛り合わせ、わかめの味噌汁、納豆、そして白いご飯。
いつも竜児が出すものとあまり変わらない。味もごく普通だ。
目の前では、作った(であろう)張本人が「〜♪」と鼻歌を歌いながら機嫌よく食事中。
「・・・これ、お前が作ったんだよな?」
「・・・?目の前で作ってたのに聞くことでもないでしょ。」
「まあ・・・、そうだよな・・・。」
「・・・・・・?」
これも悪くない。むしろぜんぜんいい。しかし、竜児の中にはあまりにも大きな違和感が残るばかり。
その異変は食後も続いた。食器の片付けも部屋の掃除も、「私がやるから」の一点張り。
しかも、ここまでまったくドジを踏んでいない。点数評価で言えば100点満点もいいところだろう。
何度も聞こうと思ったが、何となく聞くに聞けない。
そうしているうちに、「ちょっと出かけて来るわ」と、竜児愛用のエコバッグを持って出て行ってしまった。
>>597 正午を過ぎても帰ってこず、冷蔵庫にも何も無かったので、コンビニまでスープ春雨とおにぎりを買いに行った。
その後もテレビや雑誌を見てすごしたが、2時間もすると飽きてきて、結局洗濯物を取り込んでしまった。
そして夕方、そろそろ得意先のスーパーかのう屋に買い出しに行くかと思っていた頃。
「ただいま〜!」
やつが帰ってきた。いつものようにがたついた扉を乱暴に開けて。
しかしやはり何かおかしい。
「あ〜重かった!腕がちぎれると思ったわ。そうそう、スーパーのレジがあの痴女だったわよ。あそこの家だったのね、あの会長の店って」
両手には・・・、かのう屋のビニール袋。“あの痴女”とは会長の妹のことだろう。
と言うか、ここからかのう屋までは、大通りを越え商店街を抜けた駅の先だから、結構な距離である。
「おまえ、あの距離歩いたのか?」
「そうよ。どうかしたの?」
「・・・いや」
といいつつ、己の額を大河の額に当てる。
「ひゃっ!!///」
「熱はないな。」
「な、な、なな何すんのよ!一日中歩き回ってたんだからそんなわけないでしょ///」
「・・・あのな、普段まっっったく家事にノータッチのお前が、急にいろいろやり出せば誰でも疑うっつーの。」
「うっ・・・」
不意に沈黙が降りる。先に口を開いたのは大河だった。
「・・・あのさ、竜児」
「何だよ」
「今日、何日だか知ってる?」
「4月30日」
「そう。今日で4月は終わり。竜児の誕生日も、とっくに過ぎちゃった」
「あ・・・。」
そうだ。毎日毎日家事で忙しく、すっかり忘れていた。
いつもなら泰子に何かしらプレゼントをもらうが、弁財天国を始めてからはプレゼントを買う暇もなく、『余裕が出来たら何か買ってあげるね☆』と言われていたから、今年はまったくもらっていない。
「何買うか思いつかなくて、当日過ぎちゃっても何も思いつかなくて・・・。結局思いついたのがこれ。竜児にゆっくりしてもらおうと思って・・・。ママに必死に頼んで色々教わっちゃった。」
「大河・・・。」
「でも、ちょっと失敗かな?」
「?」
「だって、あんだけあった洗濯物が全部片付いてる。」
「・・・ああ、あれ以上ほっといたら洗濯物が冷たくなっちまうしな。」
「落ち着かなかったでしょ。」
「まあな。ぜんぜんドジ踏まなかったから、いつ家事になっちまうか冷や冷やした。」
「・・・ばか」
「でも、うれしかったぞ。いつの間にかこんなに成長してるとはな。」
「・・・えへへ///」
「ここまでやったんだから、最後までがんばれ。ここでへまするとか無しだぞ。」
「うん!とびっきりおいしいから揚げ作るわよ!心して待ってなさい!」
「おう!」
かくして、晩飯には大河特製の鳥のから揚げが並べられたのである。
「おお!うまい!」
「でしょ!さいっこーに自信作!」
「だろうな。でも・・・。」
振り返ると、そこには負のオーラ漂う鳥かご。そしてそのオーラを発する鳥が1羽。
「けっ…けっ…けんっ…ケン○ッキー…」
大手フライドチキンチェーンの名前を発しながら、インコちゃんがこちらを恨めしそうに睨んでいる。
「・・・あとでインコちゃんには詫び入れなきゃな」
「…そうね。呪われるわ」
599 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 00:14:05 ID:9y8wEyD7
5月になりますた
竜児の誕生月終了って事で投下完了
とりあえず竜児おめ
嫁さん大事にしろよ
Pおもれえw
ニヤニヤしっぱなしの漏れきめえwwww
601 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 00:19:28 ID:9y8wEyD7
602 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 00:25:22 ID:P0BxIrPV
ID:+qR33M2c
何こいつ気もすぎスイーツ(笑)age
604 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 00:40:29 ID:P0BxIrPV
早速来たよキモにわかの煽りにも入らない屑煽り(笑)
スルー耐性もろくについてない塵は火病ってろよww
こういうミーハーアニメの信者はホント粕だな
今日ポータブルが届く…konozamaにならなくて良かった…
>>604 うん。分かったから消えて。跡形もなくwww
607 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 01:06:36 ID:nNtVL3cv
>>604 早速きたよって自分に反論がないかチェックしてるとこがすごい!
あんたやるねぇ。
はあ…
とらドラPのとあるルートで、いつもなら掻っ込んで食べる竜児のチャーハンを
一口ずつ噛み締めながらゆっくりと食べている大河をみて泣けてきた…
どんだけ心に刻みながら食べてるんだよ…
PSPしながらボロボロ涙流す俺気もすぎスイーツ(笑)
609 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 01:15:31 ID:9y8wEyD7
涙腺ゆるゆるだお
大河がビキニの上を着けるようなものだお
>>608 今日なんとか我慢して乗り切ったのに欲しくなった。
謝れ、俺に謝れ!
612 :
608:2009/05/01(金) 01:30:47 ID:6o+VmHTj
>>611 たったいま大河ハッピーエンドを見たんだぜ。
嗚呼もう幸せすぎてまたボロボロ泣いちまった…
幸せな大河の声をくぎゅボイスで聞ける日が来ることを願っていた…ッ!
願っていた……ッ!!!
>>611 ポータブルスレで大河エンド見たって書いたの見て来た後にこれだよ。
正直、竜虎好きすぎて、それ以外のルート見るつもりないから金の無駄かなぁ、とか
思ってたが、もう良い。買う。
つーか買うチャンス今日ぐらいだったのによぉ……、次日曜だよ、バーロー。
後、お前はやっぱり俺に謝れ。そして決心がついた、ありがとう。
それまで、この想いを文章にしてくる。
ハッハッハ、ポータブルスレにそれ書いたの俺だよゴメンネ!
マジですみませんでした…
そして皆で泣こうぜ!
これは予約しなかった俺への罰か
ちくそうちくそう、ルイズでうわぁぁああぁんしてやる・・・
このスレの能登への待遇の良さに今更気付いた
618 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 06:21:55 ID:gjtpUra9
こりゃとらPは買わざるを得ないのか・・?
車に置きっぱなしにしてて、車検の時盗まれたPSP本体と一緒に・・
orz
620 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 08:54:16 ID:rm9y474g
釘宮病に強力な耐性を持つ俺には平気な話だが友人がとらPを入手出来なかったのが残念だ
621 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 09:01:40 ID:rm9y474g
>>617 せっかく能登♥木原スレ立てたのに向こうじゃいらない子扱いだし
622 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 09:03:08 ID:rm9y474g
>>619 きっついわー
どこぞの元生徒会長の妹の彼氏のようだ
「あんたとみのりんのためなら、一肌でも二肌でもあげく真っ裸にでもなってやるわ」
「大河。お前の裸を見ていいのは俺だけだ」
「竜児……」
ギシギシアンアン
626 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 18:25:35 ID:RxH5lCon
胸以外はいい体してるしな。胸以外は。
628 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 19:09:15 ID:RxH5lCon
過去ログ見返してみたら俺ってその場の思いつきで書いてるなあ
たまたま見た番組とかニュースとかでささっと書き上げてるから萌え成分少ないや
マジでびっくりするくらい胸ないなぁ
貧乳はステータスだろ
普通にある大河は大河じゃない
貧乳だからこそ大河なんじゃないか
632 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 20:31:26 ID:RxH5lCon
633 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 20:33:34 ID:RxH5lCon
そんなに画像貼り付けてなにしたいの?
大河「ねぇ、竜児。さっきからID:RxH5lConが私の画像を貼りまくってんだけど怖いわ……」
竜児(むふふふふ///俺の、俺の大河がいっぱいあるぜ、むふふふふ///)
大河「ちょっと!あんた、聞いてんの!?それに顔がキモイんだけど。」
竜児「おう!?ちょ、大河!痛いから、痛いからほっぺたつまむの止めろ!いてっ!」
大河「ならなんとかしなさいよ。かわいい乙女が怖がってんだから。」
竜児「ふぅ……わかった。……あー、ID:RxH5lConよ。
あまりむやみにこいつの画像を貼るんじゃないぞ。」
大河(そうそう)
竜児「それになんだ。大河の尻があんまりだって?それはあり得ない。
こいつの尻は世界一美しい。ほかの部分も美しいがな。
しかし、これは断言できる」
大河「ちょ、ちょっと竜児!あんた何冗談言って……」
竜児「俺は本気だ。」
大河「……竜児…」
竜児「……大河…」
ギシギシアンアン
なんかどっかで見たことあるような文だな
うん、逝ってくる
636 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/01(金) 22:21:43 ID:gjtpUra9
竜児の言いたいことは痛いほどよくわかる
だから無駄に画像張るなよな
さて、明日ようやくとらドラPが届くわけだが…
楽しみで眠れないおw
マニュアル12pの絵がいい感じだわ
妄想膨らむ
そう、確かに大河は哀れ乳だ。でもね、仕方がなかったんだよ正太郎君
大河「あーあ、胸ってどうしたら大きくなるのかな…イソフラボンボンもなかなか効かないし」
竜児「…別に大きさなんて…(俺は今のままでも充分…)」
大河「でも、大は小を兼ねるのよ」
竜児「……まぁ、噂じゃ揉むのが刺激になっていいらしい…が」
大河「へ?…!!……じ、じゃあ、竜児…」
竜児「んお?」
大河「わ、私の胸、そ、育てるのに尽力しなさいよ…///」
竜児「ぶふッ!!!……お、おお…まかせとけ…///」
ギシギシアンアン
大河「どいつもこいつも哀れだ断崖絶壁だ焼け野原だとうるさいわね……!」
竜児「いや、そこまでは言ってないだろ」
大河「うるさい!うるさい!うるさい!こうなったら奴ら全員血まつりにあげなきゃ気がすまないわ!」
竜児「ちょ、ちょっと待て!落ち着けって!」
大河「離せ!グズ犬!って、あっ……!ど、どこ触って……!」
竜児「ち、違う!こ、これは不可抗力というかなんというか……」
大河「……」
竜児「……」
ギシギシアンアン
竜児「ウホッ! 良い貧乳・・・」
大河「ちょっ・・・、こら、だめぇっ・・・」
ギシギシヒニュヒニュ
こんなんばっかり想像してる俺も、来年成人します
竜虎肴にいい酒呑みなされ少年
643 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 07:27:38 ID:5gwi8ESx
「ちょっと竜児……あんた何見入ってるのよ?」
「おわッ!? た、大河! あ〜、いや、これはだな…」
いつものように狭いアパートに訪れた大河が目にしたもの。
鋭さに定評のある目を皿のようにし、肌色が大半を占める画面を
食い入るように見つめる彼氏の姿だった。
スピーカーからはいかがわしい嬌声が漏れ、凍り付いた空間に
無造作に響き続ける。
「所詮あんたも男な訳ね。…で、それは自分で借りたの?」
「い、いや、違うぞ! 春田が無理矢理押しつけてきたというか…」
「無理矢理なら観る必要ないじゃない。言い訳が下手よね」
じっとりと睨みつけられると、蛇に睨まれた両生類の如く押し黙ってしまう。
大河の怒りの矛先は鑑賞行為そのものではなく、映し出されている女優の
胸の大きさだった。
「…なんなのよこの胸の大きさ……っ!」
わなわなと震えるのも隠さず、画面と竜児を交互に見やると
ボリュームのある栗色の髪よ逆立てと言わんばかりに怒りのオーラを
噴出してゆく手乗りタイガー。
「違うぞ大河! これは春田の趣味であってだなっ!」
「問答無用ォッ! 哀れ乳の怒り、受け取れェェェェーッ!」
「ひゃー!!」
焼き餅という名の折檻が10分ほど続くと、互いに疲弊しきって部屋の中央で
大の字に倒れて醜態をさらす。息は上がり、高須棒でも取りきれなかった
細かな埃も上がり、修羅場の終焉を告げる。
「はぁ…はぁ… た、大河、ひとつ、だけ聞いてくれるか?」
「……な、なによ?」
「観ていたのは事実だ。だけどな……」
「……だけど、なによ。はっきり言いなさいよ!」
「俺、やっぱり……お前のサイズじゃないと、萌えない……」
―――ボッ!!
ホントに火が噴きだしたんじゃないかと見紛うばかりに真っ赤に染まる
大河の顔。その恥ずかしさを隠そうと体を起こし、竜児に覆い被さる
エンジェル大河様……
「あ、ああああ、アンタ、こんな時間から変なこと言わないでよ」
「本当のことだ。変なことじゃないさ」
「……〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
ゆっくりと重なっていく大河と竜児を離れた位置から見ている者が、
この後に始まるであろう恒例の音を口から発した。
「…ギ……ギギ…ギシギシアンアン! ギシギシアンアン!」
「インコちゃん! それは泰子の前では絶対言わないでくれ〜!」
萌えないってwww竜児www
646 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 08:57:10 ID:4gLbFqbQ
餌をまいた甲斐があった…
朝から何このギシアン祭りwww
「竜児、朝ご飯はウインナーがいい」
「おう」
「竜児、今日お祭りだからフランクフルト食べに行こう」
「おう」
「竜児、この前作ってくれた野菜とウインナーの炒め物が食べたい」
「おう」
「竜児、まだウインナー残ってない?」
「俺のでも食ってろ」
ギシギシアンアン
>>648 大河「でも・・・」
竜児「ん?」
大河「竜児のってポークビッツだよね」
竜児「・・・(氏のう・・・)」
一番上にエコではなくネコ
誤爆すまんorz
>>649 大河「でも・・・」
竜児「ん?」
大河「夜になると、フランクフルトだよね!!」
竜児「・・・!!」
ギシギシアンアン
653 :
名無し募集中。。。:2009/05/02(土) 13:29:03 ID:4gLbFqbQ
ナイスフォロー
竜児は良い嫁をもらったな
落として持ち上げるとは策士だな
>>651 まんざらスレ違いでもない。エコよりトラが上のスレ。
656 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 16:48:40 ID:1uGBNiZu
キーンコーンカーンコーン♪
恋ヶ窪「はい、じゃあこれで授業を終わります。」
「ありがとうございました!」
恋ヶ窪、教室のドアをあけ、廊下へ出る。その時!
恋ヶ窪「キャッ!」
実乃梨「うわっち!」
恋ヶ窪と実乃梨は激しく正面衝突してしまった。
実乃梨「あいたたた…ん?」
恋ヶ窪「ん?」
なんと恋ヶ窪は実乃梨に馬乗りになっている。衝突した時に両者ともこけてしまいこうなってしまった。
教室の空気が一瞬にして凍りついた。
摩耶「うげ………」
亜美「うっわ……」
そしてまた一瞬にして教室はライブハウスの様にうるさくなった。
「うわーっ変態だー!」
「独神が性欲にまけたーっ!」
「百合だーー!」
「百合ちゃん先生だーーっ!」
竜児「…うっぷ……」
大河「うわ…ゆり先生が百合先生だなんて全くの遺憾ね…」
実乃梨「大河!そんなまじまじとみないでよ!先生も早くどいて!」
竜児「こら!そんなに見るんじゃありません!お前もゆりと同類で百合なのか?!」
大河「バ…バカ言わないでよ!私は現に竜児のこと愛してるんだから百合なわけないじゃない!!」
竜児「…え?……」
大河「あ…」
ギシギシアンアン
とらドラ!ポータブルでは大河妊娠ENDあるらしいな
見てぇ・・
658 :
619:2009/05/02(土) 18:42:45 ID:2H9E1mR4
チクショウ!!!;;;
やっぱ買わなきゃなんねえのかよ!!!;;;;
おれのPSP返せ!!!;;;
>>658 俺も・・・
なんて言って甥っ子に貸してあるPSP取りもどそうか思案中・・・
>>659 甥っ子もPをやってて返してもらえないとか
とらドラ!Pのソフマップ特典テレカを入手した
やっぱり絶叫画はいいなあ
「そこな甥・・とらPをプレイ出来て光栄だったろう!?」
664 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 20:22:10 ID:qSqV6Faj
>>641 むしろ性欲あふれまくりな年代だから当然では
665 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 20:22:41 ID:qSqV6Faj
>>657 ノノハヽo∈
从*` ロ´)<ないない
ヾ=シ )
し--J
>>659「なぁ、前に貸したPSP返してくれないか?」
甥っ子「えー、やだよ一昨日新しいゲーム買ったばかりなんだから」
>>659「はぁ?俺が一緒に貸したゲームだけやればいいじゃないか」
甥っ子「だって友達に自慢されて悔しかったから…」
>>659「ふぅん…ところで何買ったんだって…とらドラだと?」
甥っ子「画面見るだけで分かるって事は知ってるんだね」
>>659「いや…面白いなーって思ってるだけでそこまで思い入れはないけど」
甥っ子「youtubeでアニメ見る程度でしょ?」
>>659「バカ言うなっ、原作小説、スピンオフに漫画にDVD、ドラマCDとキャラソンも持ってるぞ!」
甥っ子「うわぁ…」
>>659「ネットラジオも録音している!あー後限定版のとらドラ!Pも持ってるぞ。ホラ」
甥っ子「高須棒ストラップ…欲しいー!ちょうだい!」
>>659「バカ言うな転がすぞ!で、後はゲームをプレイするだけなんだ。だから返してくれないか」
甥っ子「ダメ、やっと大河たんの水着姿にお目にかかれた所なんだから」
>>659「なにぃぃぃ!!?俺より先に拝むなんて許せん!」
甥っ子「うわぁこのピンクの水着ええのうええのう」
>>659「ぬぐぐぐぐ…悔しい、けど感じちゃう(ビクンビクン)」
甥っ子「だからさー、プレイし終わったら返すって!」
>>659「いいや許さん、大体そんなけしからん物を子供に見せるわけには!」
甥っ子「とかなんとか言っちゃって、おじさんも見たいんしょ?しょ?」
>>659「はい」
甥っ子「認めちゃったよこの人…潔すぎ!」
>>659「大体そのゲームは色んなルートとENDがあってだな、全クリなんて最低でも1週間はかかるんだ!」
甥っ子「そうそう、ミニゲームもね。それと全ボイス聴くつもりだよ。おおっとみのりんぬううう」
>>659「くっ悔しいっ…でも」
甥っ子「でも?」
>>659「そんな目で見るな…感 じ ち ゃ う じ ゃ な い か」
甥っ子「ゾクゾクしてきた」
>>659「くそう、小僧GW中ずっとプレイする気かこのぉ!」
甥っ子「徹夜でやるつもりだよ。ちなみにその友達も哲也だけに徹夜だよ」
>>659「つまんねー事言ってるんじゃなぁい!大体イヤホン着けやがって何様だ!」
甥っ子「このくぎゅボイスをより高音質に聴くためだよ」
>>659「生意気なっ…」
甥っ子「ほらほら、あっちいったいった。おっとイベントはっせー♪」
>>659「ぐやじぃぃぃぃぃぃ!」
甥っ子「たいがぁぁぁぁぁぁ!!」
659と甥っ子のギシアンが来ると思ってた俺。
吊ってくる
>>662 同意
それ目当てでソフマップから買った
670 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/02(土) 22:42:00 ID:l80rPRhW
いつもながら才能の宝庫だぜ
672 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 01:03:52 ID:szmRtiUd
だれか前にあった酒酔いタイガーとか手錠ネタみたいなハプニング系のSS作ってくんないかな?
お願いします
もう少し具体的なプロットを書くんだ。
そうすれば神が肉付けしてくれる・・・・・・かも?
GWもどうせとらドラPやるくらいしか予定ないしちょっと本気出してみるか
誰かお題をおくれ
>>674 できれば大河のヤキモチ系を一つ……
とらドラPまだ買えてないからここだけが頼りだわ
とらP買おうと先日通販サイト巡ったが
何故俺の手にはルイズベストが握られているんだ?
・・・む、そうか!これを竜児にプレイさせれば良いんだな!
677 :
メレンゲ :2009/05/03(日) 06:37:14 ID:J8sqqiaF
「◯宮ハ◯◯ち◯ん◯憂◯」のパクリだけど、付き合う前の2人のやりとり
大河「暇だわ・・・
なんか面白い事ないの?」
竜児「ん〜ないな」
大河 ジロッーーー
竜児「出来の悪い息子を見るような目で見るな」
大河「遺憾だわ・・・」
竜児「そんな暇なら買い物でも行くか、母さん?」
ドゴッ
竜児「おうっ!?」
大河「か、かーさん言うな//
殴るわよッ!」
竜児「殴った後に言うなよ・・・」
大河「わ、わたしが母さんなら、あんたは父さんだーッ!」
竜児「はぁ?意味が分からないぞ、大河・・・」
678 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 07:35:10 ID:of3HgZp7
>>675 俺が書こうとしたことが真っ先に書かれててクソワロタw
1話で大河が竜児とぶつかった時になにかしらの理由で竜児に惚れて、
ラブレターを無事竜児のカバンに入れ、実は竜児も大河が好きで、付き合い始めるというのはどうだろう
家庭のことや心理も理解して行くという
もち生活は竜児任せで手伝おうにもドジするから…後は任せた
難しすぎw
俺は素直に想いを吐き出す大河が大好き
やきもちタイガーかぁ
やっぱここはセオリーに従って、ばかちーにけしかけてもらうか……?それともとらPにも出演してる狩野姉妹とか、はたまた泰子……?
681 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 10:36:47 ID:MmvGwDJz
やきもちなら正月の話にしようぜ
>>678 ↓
「なにあいつ・・・」
当たった額をこすりなが独り言る。
あいつ、私の事を知らないようだった。
こんなにも悪名・・・有名になってる私を。
「んー?大河どうした?」
「な、なんでもないよみのりん」
目の前で覗き込む親友に、曖昧な笑顔で返す。
そうこんなことはなんでもない。
私を知らなくても、どうせどっかのうるさく気の利いた奴等が吹き込んでくれる。
ありがた迷惑、どうでもいい。
「・・・嫌われるのには慣れてる・・・」
小さく呟いて目を伏せた。
あれ?私落ち込んでるの?
「・・・みのりん」
「ん?」
「さっき私がぶつかったあいつ・・・誰?」
「ああ。ヤンキー高須君?」
ヤンキー?
「あいつ不良なの?」
「いやーそうでもないらしいんだけどね」
みのりんはいろいろ話してくれた。
いろいろ感情も混じっていたけど、要約するとこんなところか。
見た目が怖いから。
親の職業が原因。
目つきが殺人鬼。
最後の一つで笑ってしまった。
>>682 「でもね、話を聞くとそんなことは無いんだってさ。大河は・・・同クラの北村君知ってたっけ?」
「え?」
その名前にドキリとする。
みのりん。それは私の好きな人なんだよ。
言葉には出せずにコクリと頷く。
「う、うん知ってる・・・」
「あの人、私と同じソフト部なんだけどね、高須君の親友なんだって」
そっちの言葉に驚いた。
なんで北村君があんな目つきの悪い奴と?
「その北村君がよく言ってたんだ。同クラの奴等は、外見のみで高須の中身をまるで見ようとしない。あんなにいい奴は他にいない。せめてお前達だけでもあいつを色眼鏡で見ないでやってくれって」
「・・・」
みのりんの言葉に少し俯いた。
私も他の連中と一緒か。
あいつをただの目つきの悪い奴としか認識してなかった。
北村君に申し訳ない。
「だからね、私は高須君と仲良くしてみたいなって」
「みのりんが?」
「うん、そうさ」
少し胸を張るみのりん。
その姿に、なんだか・・・胸が痛んだ。
なんで痛むの?わかんないよ。
だから・・・これだけ言った。
「わ・・・私も・・・一緒に・・・仲良くしよっかな・・・?」
ポショポショとした呟き。
でもそれを聞き逃さず、目の前のみのりんが破顔して手を握ってきた。
「おー!一緒に彼を真人間に戻そうぜ!!」
みのりんそれ違う・・・。
苦笑しながら呟いて、私は何故か熱い頬に手を当てた。
こんな感じでどーよ?w
「SNOW」と「エンゲージ〜」の続き書きながらだから、稚拙なのは許せw
685 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 12:41:03 ID:of3HgZp7
>>683 神きたあああ!
てかエンゲージリングとSNOWの掛け持ちってw
エンゲージリング完結させたら書いてくれるとありがたい…
べっ、べつにSNOWが気にいらないとかそういうんじゃないんだからねっ!!
結婚後初喧嘩はしょーもない理由だった。出張で休みの日がつぶれるのつぶれないの。
楽しみにしていたのいないの。仕事なんだから仕方がないとかなんとか。あんたは
そういってあちこち行けるからいいわよねとかなんとか。もともと小競り合いも
戯れあいのうち、の二人ではあったとはいえ、結婚後数年間本格的な喧嘩を
やらかさなかった点は褒めてあげてもいいかもしれない。
世間様としては、その手の話題は全国4000万家庭で繰り広げられているので
今更再生産されても痛くもかゆくも無いが、何しろ高須夫婦である。竜児は結構
痛い目に遭った。
後ろ回し蹴りを食らってとうとうぶち切れた
「そんだけ暴れ回ってストレス発散しているお前が文句言うなよ!こっちは仕事で
大変なんだぞ」
仕事が大変だ、で終わる夫婦げんかなどこの世にはない。終わるのは夫婦生活のほうだ。
そういうことをわからないのは、やはり若さ。もっとも、あと3年こんな事を言って
いるようなら若さではなく馬鹿さだが。
「なによ、自分ばっかり忙しいような顔して。私と仕事とどっちが大事なのよっ!」
こういうことは、大の大人に言っても馬鹿だとしか思われない。ちなみに就学前の
子どもに向かって「お父さんとお母さんどっちが好き?などと」言うと、心の傷に
なるとかならないとか。まぁつまり。ぶっちゃけ一生のうちにこんなことを言って
いい時期などない。
犬も食わない大声の応酬が続いたが、
「竜児なんか大っ嫌い!」
大河の一言でケリがついた。と、いうより竜児が大声を出すのをやめた。
しばし大河の顔をにらみつけて、一言
「そうかよ」
苦虫をかみつぶすような表情で顔を逸らす。
二人共黙ったままでちっとも味の分からない食事を終え、大河は後片付け。皿を2枚割るが
竜児は知らん顔。黙って二人でテレビを見た後、竜児はお風呂の用意。足の小指をタンスの
角にぶつけ、お風呂の水を入れすぎ、温度を高くしすぎるも、大河は知らん顔。
結局寝る時間になるまで二人とも話をしなかった。パジャマに着替えた竜児はいつも二人が
寝ているベッドをスルーして、押し入れから泰子が遊びに来たときのために用意している
布団を取り出す。黙ってひいて、黙って電気を消して、黙って潜り込んでしまった。
ベッドにちょこんと座っていた大河は、その後3分ほど黙って竜児のほうを見ていたが、
結局自分も電気を消して、ベッドに潜り込んだ。
遠くに電車の音が聞こえる。時折、アパートの前を車が通る。酔っぱらいらしき足音。
ぱたぱたと早いのは犬か。
眠っては目が覚め、目が覚めては眠りと、浅い眠りを繰り返しているうちに、ベッドの
方から苦しげな息遣いや、辛そうな寝言が小さく聞こえてきた。やがてそれがピタリと止む。
しばらくして、寝床から起き上がる音がした。
静かな足音。
ちいさな、ちいさな声で、起きていると気がついているのか、いないのか。起こしたいのか
起こしたくないのか。
「竜児ぃ…」
無視してやろうと思うものの、それはそれ、つきあいは長い。傲慢でわがままで怒りっぽくて
つっけんどんで、嫌な時にはとことん嫌な奴ではあるのだが、こんな声を出されて自分が
無視できたことなど一度もない事は、竜児自信が一番知っている。
「…おう」
背を向けたまま応える。目の前の時計は午前一時を指している。
大河はごにょごにょと
「怖い夢見たの…」
子どものような事を言う。
知ったことか!と、竜児は黙って目の前のふすまを睨むが、暗い部屋の中、腹の底の
あたりから「冷たい奴だな」と、自分をなじる声が聞こえる。
悪いのは大河なのだ。仕事だから仕方ないではないか。仕事のスケジュールをぺーぺーの
社員の私生活にあわせて変えられるはずがない。だから、わがままを言う大河が悪い。
謝るまで絶対に許さない、と竜児はふすまをにらみつけながら思う。腹の底では
「きんたまの小さい奴だな」と、相変わらずなじる声が聞こえる。
背中から
「…お願い」
しばらく黙って返事を待っていた大河の、つぶやくような哀願が聞こえる。
竜児が部屋の隅々まで行き渡る大きな大きなため息をつく。黙って起き上がる。
枕を抱いて竜児の側に立っている大河と目を合わさずにベッドに入る。大河の
体温の残っているベッドに潜り込む。定位置。暖まっている場所からすると、
大河は真ん中には寝ていなかったらしい。律儀に竜児のスペースを空けて
寝ていたとは。馬鹿な奴。真ん中で寝ればいいのに。喧嘩しているんだから。
その様子を見ていた大河がベッドに潜り込んでくる。そしていつものように、
竜児の横からひしとしがみついてくる。新婚初日から、大河はこうやって寝ている。
寝ている間に竜児がいなくなると困る、とでも言うように。あるいは長かった
辛い夜の埋め合わせをしているのかもしれない。
なんなんだおよお前は、と竜児は思う。喧嘩してんだぞ。口も聞かなかったろう。
さんざん悪口言ったよな。お前、蹴っ飛ばしたよな。
お前俺の事を
「ごめん、竜児。私嘘ついた」
大嫌いだって言ったよな。
憮然として天井を睨みつける竜児にしがみついたまま、小さな声で大河がつぶやく。
「大嫌いなんて嘘。私竜児の事が大好き」
涙でも滲んでいるのか、顔をゴシゴシ竜児の胸の辺りに押し付ける。
何をバカな、喧嘩の原因はそこじゃない。謝るべきところは他にある。と、思いつつも。
竜児も自分が一番頭にきているがそこだということは、よく分かっている。
「嫁さんに嫌いと言われたくらいで、どんだけ動揺しているんだよ」と、腹の中の、
もう一人の自分が今度は嘲り笑う。
うるせぇ。
「…私の事嫌いにならないで…」
涙声でしがみついてくる大河に、わざとうんざりした声を作って
「ならねぇよ。バカだなぁ。ほら、腕はなせ」
自分の本心を知られないようつっけんどんに扱う。嫌がる大河と揉み合って、
ようやく自由を取り戻した腕を大きくまわすと、セミのようにしがみついている
大河の頭を体ごと抱いてやる。
「俺がお前を嫌いになるわけないだろう」
小さな頭をほんの少し乱暴に揺すってやる。
「だって…」
大河は涙声を抑えながら
「言ったもん」
「何を」
「『大河なんか嫌いだ』って」
「言ってねぇよ」
勝手に作るんじゃねぇ、馬鹿女。
「さっき夢の中で言ってた」
「知らねぇよ。そいつは偽者だ」
まったくあきれた女だ。知ってはいたものの、夢の中まで本当にびくついてる。
そんなに嫌われたくなけりゃ蹴っ飛ばさなきゃいいのに。後悔なら夢の中でしないで
起きてるときにすればいいじゃないか。もう大人だぞ。今年でいったい幾つだよ。
「ほんと?」
「ほんとだ」
当たり前のことを聞く女だ
「嫌いになってない?」
「なってない」
「怒ってない?」
それはまぁ。
「少しは…怒ってる」
「…ごめん」
「もういいんだ」
「わがまま言って、ごめん」
「いいんだ。わがままは。全部は聞いてやれねけどな」
「…ありがとう…」
「おう」
結婚して初めての大喧嘩も、ようやく終了した。軽く深呼吸。
「もう寝ろ」
「うん」
ようやく、二人共落ち着く。
とは言うものの。
久しぶりの荒々しい感情をぶつけ合ったせいか、ほとんど寝ていないにも関わらず、
竜児はなかなか眠れない。腕の中の大河も同じらしく、一向に寝息を立てる様子はない。
おそらくは、竜児が起きていることも知っているだろう。
15分ほどもたって
「…竜児?」
大河が小さな声で問いかける。
「おう」
だが、それっきり大河は黙ったまま。頭をゆっくりと竜児のパジャマの胸に
こすりつけている。竜児も大河の頭を手のひらでゆっくり撫でてやる。そうやって
しばらくして
「…竜児…」
つぶやいて身じろぎしたのが合図だったかのように竜児は胸に大河を抱えたまま寝返る。
小さな声を立てた大河は、されるがまま。おとなしく竜児に唇を吸われながら、
腕を首に回す。何度も唇を吸われ、舌をからませあい、竜児の名前を呼ぶ。
吸った唇の柔らかさ。
手を当てた頬の肌のきめ細かさ。
絡めた唇の艶かしさ。
うなじを吸われて漏らす声の罪深さ。
全身を駆けめぐる情欲に突き動かされた竜児がネグリジェの裾に手を伸ばすころには、
大河も熱い体を持て余すほど竜児を欲している。
芽生えた不安はつまらないものだと納得するために、目では見えない竜児の心の高ぶりを
早く自分の体に叩きつけてほしい。そう願ってシーツを握りしめる。
◇ ◇ ◇ ◇
「おう、おはよう」
いつもより5分遅く起きて着た竜児が、まだ眠そうな顔で声をかける。
「おはよう、竜児」
頬を薔薇色に染めてそう微笑んだ大河は、逃げるようにキッチンへ。テーブルの上には
スクランブル・エッグ。竜児の卵はいつもよりひとつ多い。
念願の子供が生まれたのは、この日からちょうど十月十日後である。
(おしまい)
>>665 うそじゃねーぞ!今この目で確認した。三つ子だった。
PSP本体が無ぇとか言ってる香具師は四の五の言わず
買ってでもやればいい。損はしない!
>>659 またやっちまった。
s/絡めた唇/絡めた舌/
とらドラP? ゲームコンソールなんざもってねぇよ。はっ、PSP。けっ!
釘宮の声は聞きてぇけど。
694 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 15:51:12 ID:szmRtiUd
今日なぜか竜児の布団がイカ臭かった。
大「ぐえぇっ!くっせ〜」
竜「ん?どうした?」
これの続きを誰か書いて下さい。
695 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 16:14:12 ID:of3HgZp7
>>690 なんなのこの作品起っきしちゃうんだけど
GJ!!!
とらドラポータブルで大河にうんざりしてたけど惚れ直したw
アニメ、原作と大河は好きだけどポータブルのは好きになれないのは俺だけ?
696 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 16:18:56 ID:of3HgZp7
>>694 大「どうした?じゃないわよ!またい、いいいやらしい事してたんでしょ!?」
竜「はぁ?してねえよ!大体俺は会社行ってたんだぞ!?」
大「あ」
竜「まさか…お前…」
後は任せた
大河「竜児のここ、すごぉい…かっちかちじゃない…」
竜児「よ、よせよくすぐったい…くっ…」
大・竜「まあ、肩なんですがね?」
699 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 17:11:41 ID:szmRtiUd
>>696 竜「俺の布団でさきイカ食ったな!」
大「ぐっ…」
竜「全く、仕方のないやつだな」
大「ん?この布団のシミはなに?これからもものすごい激臭がするわ?」
竜「ギクッ!」
後は任せた
大橋高校の裏サイトの話出てたのってここだっけ?
とらPで能登の口から裏サイトが実在するって話が出たよw
竜児、大河、亜美あたりは確実に単独でスレ建ってるうえに、相当な伸びなんだろうな…
701 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 18:00:15 ID:oeX8Eutv
702 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 18:01:22 ID:oeX8Eutv
703 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 18:02:05 ID:oeX8Eutv
ちなみにヒトの妊娠期間は実際には九ヶ月くらい
>>700 二年生初日の高須スレを書いてみようと思ったんだが、
「ププッ」
「かっこ悪」
「だれがヤンキーだよ(w」
ばかりになって、つまんなさそうだ。
もうちょっと出てくると、「逢坂とつるんでるよな」ってな流れなんだろうけど。
>>695 楽しめたけど、随分キャラ外してるなとはかんじたな。
ま、公式の同人誌と受け止めようぜ
大河100%endよりもノーマルendが個人的にお気に入り
ここの投稿もレベル高いしね
とらドラP、結構楽しめるんだがクリスマス後の話なのに場合によっては北村と大河がくっつく展開になるのだけはいただけない
707 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 21:01:01 ID:oeX8Eutv
まあアナザーストーリーのひとつだと思えば…
>>707 まぁゲームのシナリオにはゆゆぽ関わってないみたいだし原作とアニメがあぁだからいいんだけどね
ただこの胸のもやもやは消えないぜ・・・・・
だが大河は妊娠する、それは確かさ
買っても大河シナリオしかやらなさそうなんだよな……
サブキャラなら能登と木原とかみたいんだが
>>708 まぁキャラゲーをプレイする以上、避けては通れない壁であると諦めるしかないでしょう
だから自分には、当分Pをプレイするつもりは無いですし・・・・・・
・・・・・・P本体を持っていないからとか、買う為の費用が勿体無いとか思っているわけではありませんよ? 断じて・・・・・・
付録のゲームはさておき、本編のスピンオフは
神懸かってたぜw
バッドエンドでも竜虎はくっついてるんだなー、ゆゆこワールドではw
713 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 21:46:36 ID:of3HgZp7
最初ポータブルの話を持ち出した俺が言うのもなんだけど
スレチだよね…
竜虎スキーにはちょっと評判は悪いかもな
クリスマスのクマサンタの時点で、お互い両想いなのを必死で自己弁護して誤魔化しあってる感じだと思うし
715 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 21:50:32 ID:of3HgZp7
>>712 竜虎エンド見れただけマシだよ
亜美犬エンドだよ能登と春田とイタリアンエンドだよ俺なんて
はいはいスレチスレチ
716 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 23:09:46 ID:oeX8Eutv
|ハヽヽ
|vV从<スレティだよ
(゚д゚)マッシルキーラー
兄迷吐通販で限定版頼んだんだが、現時点で発送メールすら
来てない俺涙目
>>706 それはマジかい
寝取られ系嫌いだから買う気激減したぜ
仕方ないから大河が小学生になってしまうシチュエーションでも想像しようかしら
720 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/03(日) 23:54:37 ID:szmRtiUd
とらドラPのスレへどうぞ
>>719 なんだと!?北村の奴、ふざけやがって!
と、会長が申していました。それでは失礼
pネタ
竜 「おい、なんでそんな不機嫌なんだ?」
虎 「これ見てよ」
と、フィギアの注意書きを指差し
虎 「『自立しません』って、何よ馬鹿にしてっ」
竜 「…ぷっ」
虎 「何が可笑しいのよっ、この犬っ」
そっと、大河の背中に手を当てて
竜 「支える物があればいいんだろ?」
…あかん、俺には照れてこういうの書けんわwww
続き、誰か頼むww
>>723 大河「竜児……」
竜児「大河……」
ギシギシアンアン
ナイス様式美w
↓このスレの基本は?
竜虎萌え
728 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 01:11:10 ID:Z15E2oNu
ハイハイあまり言わないw
大×竜なら、とらPでもよいじゃんw
さてそんな俺も、とらPから投下w
↓
「行くの?あっちに帰ったとしても、残された時間は・・・もう僅かしかないのよ?」
「それでも・・・あそこにはあいつがいるから」
それはかつて生きた、一人の少女と悪魔の物語。
「あなた名前は?」
「・・・高須竜児」
運命が導いた出会い。
「はっはっは!100年会わないうちに、すっかり腑抜けになったな!」
「北村!!」
「竜児!みのりんが!みのりんが!!」
「この女は貰っていく。大切な地上代行者なのでね!!」
運命が引き裂いた別れ。
「わかった。私はあんたと契約する」
「大河・・・誓うよ。必ずお前を守りつづける」
今二人は友のために立ち上がる。
「はあ?なんであんた等と一緒に行かなきゃなんないわけ?」
「いーじゃん、ばかちー。利害が一致してんだから!」
運命が絡み合う邂逅。
>>728 「・・・大河。私の大河はドコにいるの・・・?」
「目の前にいるのが私よ!みのりん!目を覚まして!!」
「大河・・・?」
そして訪れるタイムリミット。
「俺が・・・大河のことを殺したんだ・・・。寿命を・・・喰らって・・・」
「なんで!?なんでそんな・・・っ!・・・返してよ・・・大河を返してよーーーっ!!」
そして運命は二人を繋ぐ。
「なに泣いてんのよ・・・バカ竜児・・・」
「お前が・・・俺を置いていくからだろうが・・・」「ごめんね・・・もう、離さないから・・・」
「っ!・・・ああ!三年前から・・・俺の帰る場所は決まってる!」
そして運命は廻りだす。
「・・・なんで?なんで竜児!?どうして私を置いていくの!?」
「わりぃ、ここから先は、きっと片道切符だ。お前を連れていけねぇ」
「なんで・・・もぅ離れたくないのに・・・」
「違うよ大河」
「え?」
それはかつて生きた、一人の悪魔と少女の物語。
「俺は・・・お前の元に帰ってくるために、行くんだ・・・」
「竜児・・・」
「兄弟喧嘩にケリをつけてくる。・・・そうしたら・・・」
「うん・・・」
『いってらっしゃい、竜児・・・』
解き放たれた想いは空を越え、込めた想いは、終の大地に辿り着く。
すべては二人で在るために。
とらドラP隠しシナリオ
『とらドラ†クルセイド』
いまあなたは本物の愛に出会う――――。
関西民的には大河と竜児の結婚式場はセントジョーンズチャーチ
>>708 ゆゆぽは気が遠くなる量のシナリオに目通しただけだっけ
>>730 ワラたw
スポンサー的にも良かったのでは?w
まぁ、あれは番組ではなく、一括で払っている
スポンサーだが‥
竜児と大河のネタならとらPでも何でも食ってやるぜ
思い付いた小話を幾つか投下。
【賛成の反対】
大河「うーーん」
竜児「ん? 何悩んでるんだ?」
大河「んー? うーんとね。私は自分の体にコンプレックスを持ってるわけよ、この無い無い尽くしの体に」
竜児「ふむ」
大河「で、あんたはその目付きがコンプレックスとなってるのよね?」
竜児「だな、そのせいでどれだけ辛い目に合って来たことか」
大河「お互いそうでなければと願望に近い想いを持って、それをとても嫌悪してるわよね?」
竜児「好いていないのは確かだ」
大河「でもさ、お互いそのコンプレックスがあったわけだから、私は竜児と、竜児は私と出会えたわけよね?」
竜児「んー、そうなる……か?」
大河「それを踏まえて考えると、この体に感謝すべきなのかしら?」
竜児「なるほど、確かに考えさせられるな」
大河「卵が先か鶏が先か、と同類ね……」
竜児「ぜんっぜん違う」
【お子さんが発する信号には敏感に】
大河「竜児! りゅーじぃ!」
竜児「はいはい、聞こえてるよ」
大河「ほら、これ、これ!」
竜児「ん? おうっ、今日の漢字のテスト、お前百点だったのか」
大河「ふふ〜ん」
竜児「さすがだなー」
大河「ふふ〜ん」
竜児「…………」
大河「……ふふ〜ん」
竜児「……何で頭を突き出す?」
大河「…………ふふ〜ん」
竜児「あっ、んっ、え〜と……え、偉いぞ大河、良く頑張ったな」
なでなで
大河「えへへ」
【嫌よ嫌よ、も】
実乃梨「あーみんは子供って好き?」
亜美「あー、ダメダメ。全然嫌い。泣くわ、喚くわ、手が掛かりそうだわで百歩譲っても好きになれないわ」
実乃梨「え〜、可愛いのにぃ〜」
亜美「可愛いで許されるのは亜美ちゃんだけで十分」
実乃梨「ん〜、おいちゃん、そういう意見はちょいと悲……あっ、大河」
亜美「あらあら、愛しの高須君が風邪で欠席してて、随分寂しそうにしている逢坂さんじゃない」
大河「……うっさい、ばかちー」
亜美「あ〜らやだぁ〜、ほんとに弱ってやんのぉ! って、あんた膝怪我してるじゃない」
実乃梨「あっ、ほんと! って言うか制服も汚れてるし、もしかして大河、転んだ?」
大河「……転んでない」
亜美「そんな恰好で否定してもモロバレだっつーの。あ〜あ、ほんとアンタって高須君がいないと何もできないのねぇ〜、アホ臭ッ」
実乃梨「ちょっと、あーみん!」
大河「!!……っるっさい!」
亜美「なに、なに? 泣きそうなの? そうやって痛いところ突かれると直ぐ泣くのって、どうなの? 卑怯じゃね? これじゃあ高須君が愛想尽かすのも時間の問題かなぁ」
大河「うっ……ぐすっ」
実乃梨「あーみん! いい加減に―――」
亜美「ほら、膝見せて。ちょっと待ってね、確か飲料水があったから、これでハンカチを濡らして、っと。……染みない? 痛くない?
……ったく、あんた見てるとホンット、イライラすんのよねぇ〜、そうやって……、良し、綺麗になった。後は、絆創膏貼って、っと。完璧!
んっ、甘えてばっかりで自分からは何もしない癖……、ちょっと大河、鼻水出てる! ほらほら、女の子がそんなのだしたらダメだって!
ティッシュ! ティッシュ! ほら、ち〜んして。何遠慮してんの、いいからほら、ち〜〜ん! はい。はい、良くできました。
あ、いいのいいの、別に手に掛かったぐらい気にするもんじゃないし。
……え〜と、なんだっけ? ああ、そうそう。自分からは何もしない癖に周囲の人に色々求めてさぁ、そんなんで都合良く生き……、もう、何時までも
泣いてないで。可愛い顔が台無し! もうひとつハンカチあったはず……。ほら、拭いてあげるから動かない! んっ、おっけぇ。うん、可愛い可愛い。
で、続きね。そんなんで都合良く生きていけると思うんじゃないわよ!?(大河の頭を撫でながら)」
実乃梨「…………」
亜美「ん? どうかした、実乃梨ちゃん?」
実乃梨「……あーみんって子供好きだよね?」
亜美「えっ? 嫌いだって。聞いてなかった? 人の話」
【揉みしだく】
大河「ここにゴム毬があるとするわね」
竜児「おう」
大河「で、何となしに触っちゃうわけよ、ゴム毬を」
竜児「あー、なんとなく判る気がする」
大河「全体重を掛けて乗っかってみたり、手で押し潰そうとしたり」
竜児「うんうん」
大河「ぎゅむぎゅむと手で揉んでみたり」
竜児「確かに、やってしまいそうだ」
大河「で、そんなことばっかりしてると、ゴム毬のゴムが伸びてくるわけよ」
竜児「普通は空気が抜けてるんじゃないのか?」
大河「違う違う、あーいうのはゴムが伸びてるのよ」
竜児「そうだったのか……」
大河「で、そうなると面積的に大きくなったと言えるけど、それはもうたるたるなのよ」
竜児「たるたる? ゆるゆるじゃなくて?」
大河「黙って聞け。そうなってくると遊べないし、存在価値がなくなるわけよ」
竜児「まぁ、そうなるわな」
大河「だから揉んで大きくなるというのが本当でも、大した意味がないわけよ」
竜児「…………なんの話だ?」
大河「ゴム毬に決まってんでしょ」
【磯野】
大河「イソノボンボン」
竜児「ん? 飲みたいのか?」
大河「イソノボンボン」
竜児「学校まで無理して飲まなくても良いだろ」
大河「イソノボンボン」
竜児「……呪文みたいに何度も唱えるな、怖いぞ」
大河「イソノボンボン」
竜児「……お前、ホントどうかしたのか?」
大河「イソノボンボン」
竜児「…………」
大河「…………あ〜! ちゃんと言えない!!」
竜児「お前今までそれ噛んでたのかよ!?」
【磯野2】
竜児「イソフラボン」
大河「イソノボンボン」
竜児「……イソフラボン」
大河「……イソノボンボン」
竜児「………イソフラボン!」
大河「………イソノボンボン!」
竜児「お前わざとやってるだろ!?」
大河「んなことするか! だからこうやって何度も言える様に練習してるんだ!!」
竜児「あ〜、もう!! ゆっくり言え、ゆっくりな」
大河「……んっ、イソノボンボン」
竜児「……あれだ、一文字一文字区切って言っていこう」
大河「イ・ソ・ノ・ボ・ン・ボ・ン」
竜児「お前絶対わざとだろ!?」
大河「んなわけあるかっ!」
春田「高っちゃ〜ん、なにやってんのぉ〜?」
竜児「ああ、春田か。いやな、大河が――」
大河「イソフラボンがはっきり言えないから練習してんの。邪魔するなら潰す」
春田「ふ〜ん、良く判んないけど頑張ってねぇ〜」
大河「ったく、とんだ邪魔が入ったわ。で、竜児、他に何か良い方法ある?」
竜児「ちょっと待て」
【黄金体験】
亜美「今年のゴールデンウィークはさぁ、みんなで別荘にいかない?」
北村「俺は予定も無いし、構わないぞ」
実乃梨「あっしも今年はねぇでやんすよ〜」
春田「俺も良いのぉ〜? やったぁ〜!!」
能登「二泊三日、ってのが妥当か?」
大河(……前回はあんまり北村君と進展が無かったけど、今度こそ!! 早速竜児と作戦を練らないと!
そんでもって色々竜児と買い物に行かないと! それと、竜児と――)
竜児「あ〜、すまん。俺はパスだ」
大河「!!!!」
能登「なんだ、用事でもあるの?」
竜児「いや、丁度泰子も仕事仲間と旅行に出掛けるらしいし、一人旅なんかしてみようかな、と」
北村「へぇ、一人旅か。悪くないな」
竜児「と言っても金がねぇし、電車で行ける範囲だけどな」
亜美「なんか高須君らしいと言うか、高須君らしくないと言うか」
竜児「はいはい、微妙なお褒めをどうも。まぁ、正直行きたいってだけで、大河の飯とかもあったからそのつもりはなかったんだが、みんなが一緒なら安心できるし、
インコちゃんも連れていってもらえば、俺の不安要素が皆無だからな」
実乃梨「そっかぁ、高須君が来れないのは残念だなぁ」
竜児「まぁ、俺のことは気にせず、楽しんできてくれ」
大河「…………」
ゴールデンウィーク初日
ガタンゴトン、ガタンゴトン
竜児「………………これ、一人旅って言わないんだが」
大河「黙れ、五月蠅い、喋るな」
【はっきり言う、気に喰わんな】
大河「好き!」
インコチャン「す、すぅっぎ!」
大河「杉じゃないってぇーの!」
インコチャン「すぅ、すぅ、ず、ずづきぃ!」
大河「頭突きでもないっ!」
インコチャン「す、すぅ、ぎぃ」
大河「おっ! そうそう、良い感じ」
インコチャン「すぅ、きぃ、おすぎっ!」
大河「全然違う方向にいってるじゃない! ちゃんと最初から言え!!」
インコチャン「りゅーう、りゅーぢゃ、んん、わぁ」
大河「良しっ、いいぞいいぞ」
インコチャン「てぇ、てぇ、てぇえが、のぉ、こっと」
大河「うんうん!」
インコチャン「キライ」
竜児「ただいま〜……って、おう!? どうしたインコちゃん、羽がもげすぎだぞ!?」
大河「……脱皮でしょ」
【しゃーないわ】
亜美「へへへ、たっかす君♪」
竜児「のわっ! なんだよ、川嶋! 急に腕に抱きついてきて!」
亜美「え〜、別に良いじゃ〜ん」
竜児「大体あれだ、腕に、その、あれだ、感触が」
亜美「やっだ〜、高須君。えっちだなぁ〜、もうっ」
竜児「健全な男の子をからかうんじゃありません!」
亜美「あははっ、ごめんごめん。ちょっと馬鹿にするつもりだったけど、反応が初々しくて笑っちゃうわ」
竜児「おいっ、それ結局馬鹿にしてるってことだぞ……」
亜美「だからごめんってば。それじゃあ、亜美ちゃんはこれにて退散」
大河「…………」
竜児「ったく、人をからかうのも大概に……って大河……」
大河「……あによ?」
竜児「いや、お前もなんで腕を取るのかなぁ、っと」
大河「……別にぃ、良いじゃん腕ぐらい」
竜児「もしかして、お前……」
大河「…………」(竜児の腕を、ぎゅっ)
竜児「……アームロックの練習か?」
竜児「痛ぇっ! 極まってる、完全に極まってるから! タップしてるから、してるって!」
【どこかで聞いた】
大河「赤ちゃんにさぁ」
竜児「おう?」
大河「たかーいたかーい、ってするじゃん」
竜児「ああ、するな」
大河「あれって実は赤ちゃんは怖がってるんだって」
竜児「めちゃめちゃ笑ってるイメージがあるんだが」
大河「感情の概念が良く判っていないから笑ってるのよ」
竜児「へぇー、笑うことで恐怖心を表してるってことか」
大河「でも本当にそれが真実なのか誰も判らない。実際のところは赤ちゃんに聞くしかないのよ」
竜児「まぁ、確かにそうだが。まだ赤ちゃんは言葉を喋れないから無理だろうな」
大河「そうね、赤ちゃんはまだ喋れないもんね」
竜児「…………」
大河「…………」
竜児「……しないぞ?」
大河「……チッ」
【救ってくれる一言って絶対ある】
大河「……ただいま……、あの、竜児……いる?……いない……か。
あ〜あ、流石に言い過ぎたから折角ちょっとだけ謝ろうとしたのに、相変わらず空気読めない奴……。
…………………なんで私ってこうも素直じゃないんだろ……?
………あっ、違う、泣いてない! これは涙じゃなくて、その……ぐすっ。
もう、竜児も嫌いに、なったよね……。元々迷惑掛けっ放しだし……凄く怒ってたし……。
良いじゃん、良いじゃん! 竜児に嫌われるぐらいがなんだ!? それぐらいど〜ってこと……
……もうっ、何だ!? 何でこんなに涙が溢れてくるんだ!? ううっ」
インコチャン「き、きぅ、きら、う?」
大河「…………結局あんたが言ってたことが正しかったってわけよね」
インコチャン「りゅー、ぢゃん、わぁあ、き、きぃら、い?」
大河「……そっ、私を、ね……」
インコチャン「ネーヨ」
大河「!?」
インコチャン「嫌う、わけない。でも、ぢゃー、んと、謝れ。素直、なれない、なら、いま、謝れ。ちゅ、ちゅ、ちゅったえる」
大河「…………」
竜児「……ただいま……大河、いるのか?」
大河「すーっ、すーっ」
竜児「……寝てやがる。……ったく、怒るに怒れない状況だな」
インコチャン「デモ」
竜児「おうっ!? デモ? なんだ、インコちゃん、ストライキか!?」
インコチャン「でも、ぢゃ、んと、あやまる」
竜児「えっ?」
インコチャン「てぃ、てぃがー、ご、ご、ごめんくだしゃい、って、ちゃ、ちゃっとあやまた」
竜児「…………そっか」
インコチャン「すっ、すっん、すな、すなお、なっ、ないから、イ、イン、コぢゃ、っん、に」
竜児「……ちゃんとその人に対して謝罪するのが道理だが、まぁ、大河なりの精一杯なんだろうな……」
インコチャン「っだ、だ、だがら」
竜児「もう良いよ、インコちゃん。判ってるって、もう大河のことはゆ―――」
インコチャン「許した」
竜児「インコちゃんが決断下したのかよ!?」
トラP、まだ100%大河ED見れん、キッツイ……。
で、そろそろ次スレだから立てようと思ったが、スレタイが思い付かなくて困ってる。
どうしたもんか……。
天才がいる 素直にすげぇ
どれもおもしろい
次スレ「ドキドキ」なんてどうよ?
「ギシアン」とも考えたけど専用スレになりそうww
今から寝て起きたら埋まってそうなんで、その前にネタ一つ投下。
>>430 if
もしも大河がみのりんだけでなくみんなに誤送信していたら?
(参考:アニメ版最終回)
「ホント、なんなんだろう」
「ん〜、まな板?」
「おっぱいだよ」
「「え?」」
「櫛枝……」
「あ、ホントだ。このピンク色のって乳首?」
「そうか?気のせいじゃね?」
「ううん、きっとおっぱい」
「でもおっぱいって何でよ?」
「♪イヤンバカン、そこはお乳なの、アハン……とか?」
「木久翁かよ!座布団持っていけ!」
「オカズにしてって、言いたいんだと思う」
みんなが櫛枝を見る。
「どんなにまっ平らな胸でもさ、それは確かにおっぱいで、柔らかくて、特に高須君にとっては、きっとものすごくエロく見える。
自分勝手だなと思うよ、大河のこと。でも、それだけさ、高須君の事が好きなんだよ。高須君も妄想力を働かせることが出来れば、どんな遠い所にいたって、愛する大河の姿を思い浮かべられる」
「……うえぇ〜〜ん」
「え!?」
いつの間に来た、川嶋。そしていきなりの露骨な泣き真似は何だ。
「オヤジ臭すぎてつらいよぉ〜。実乃梨ちゃんてばエロエロだよぉ〜」
「な、なにおぅー!」
自覚があるのか櫛枝の顔が赤くなる。
「でも、なんかいいな、それ」
「うん」
「なんか夫婦って感じじゃね?」
「あたしも!だったら嬉しいかも!」
「そうね」
「裸っていえばさ、高須君ってけっこうイイ体つきしてるのよね〜」
言いながら川嶋が俺の方を見る。
「おお!」
「おい、川嶋……」
「この写メにさ、返信してやったら喜ぶんじゃない?あいつ」
「「「おぉー!」」」
742 :
●:2009/05/04(月) 06:32:17 ID:VimjIbK2
743 :
●:2009/05/04(月) 06:34:22 ID:VimjIbK2
744 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 06:54:34 ID:VimjIbK2
745 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 06:57:57 ID:VimjIbK2
746 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 06:58:56 ID:VimjIbK2
【とらドラ!がロボットアニメだったら】
竜児「よし大河、合体だ!」
大河「ががが、合体!?わ、私と竜児が…合体ぃ!?」
竜児「そうだ、合体だ!いくぞぉー大河!」
大河「ちちちち、ちょっと待って心の準備がまだ…」
竜児「あ、こらっ、なんで逃げるんだよ!」
↓
地球滅亡
Take2
竜児「よし大河、合体だ!」
大河「ががが、合体!?わわわ、わかったわ!」
竜児「そうだ、合体だ!いくぞぉー大河!」
大河「あっ、竜児、竜児!りゅーじぃぃぃいい!」
竜児「あ、こらっ、なんでここで脱・・・ちょっと待ておい!」
ギシギシアンアン
地球滅亡
「ねえ竜児?」
「なんだよ?」
「『愛してる』って言ってくれない?」
「は?」
<愛してるって言って欲しい>
以前聞いたことがある。
その人が受ける愛情は定量しかないと。
だからそれ以上を望むことは出来ないんだと。
それを聞いたとき、妙に私は納得した。
ああだからかって思った。
だって、私は極端に愛情を受けてなかったから。
親も親類も友人も。
唯一、私を愛してくれるのは親友のみのりんだけだったから。
だからこそ、この言に妙に共感を覚えた。
でも今は違う。
傍らには・・・好きな人がいる。
私を好きな人が。
私の好きな人が。
信じらんない事態。夢かもって思える。
どれだけ求めても、私を好きな人は手に入れられなかったんだもん。
でも・・・でもね?
そう思ったら途端に不安になったの。
もしこの手が・・・離れてったらって思っちゃったの。
そうして訪れたのは漆黒の闇。
私を取り囲む黒い牢獄。
そうして泣いている私。
いつまでもいつまでも・・・。
涙が溢れて止まらないその中、手を差し伸べてくれたのはあんた。
だからこそ聞きたい。
あんたの口から。
「・・・ったく、いきなりなに言ってんだよ・・・」
照れながらいじるのは前髪。
もう知ってるよ?
「・・・言わなきゃダメか?」
コクリと頷く私に、真っ赤な顔を向ける。
ああ、その顔大好き。
「一回しか言わねーぞ?」
うんと頷く。それだけで満ちる幸せ。
「・・・愛してる、大河」
そう言って俯いたあんたに、身体ごと飛び込む。
『あたしの方が愛してるよ』
そんな思いを込めて。
埋めネタに書き上げた即興w
750 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 10:46:43 ID:eLOshFxI
>>751 本当に妊娠endがあったのか・・・やりてぇ
食いすぎendじゃね?
>>749 大河視点はやっぱいいかんじだなー
GJ
757 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 13:39:47 ID:IxEws0bO
758 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 13:45:08 ID:IxEws0bO
ち、父親はインコちゃんか!?
760 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 15:27:21 ID:eLOshFxI
神はまだかー!
俺の股関が唸りをあげている…
こやつを解き放て、息子は人間だー!
761 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 16:16:12 ID:eLOshFxI
大河「竜児、帰りに駅ビル行きたいから付き合ってよ」
竜児「すまん、今日は能登と春田と北村とで映画見に行くから無理なんだ」
大河「えーじゃあ私も行きたいな。いいでしょ?」
竜児「あ、いや…今日は男水入らずで行くんだ、すまん」
大河「そんなのやだ!竜児は私のなんだから…」
竜児「もう予約してあるし取り消せねぇんだよ…」
大河「竜児私だけ仲間外れにして皆で笑ってるんだ…(ぐすっ)」
竜児「!なわけねぇだろ!櫛枝と行けよ、な?」
大河「みのりんじゃなくてりゅーじと行きたいのにぃ…」
竜児「じゃあ帰ったらハンバーグ作ってやるから、な?だから泣くなって…(涙フキフキ)」
大河「ほんと?7時までに帰ってくれるなら行ってもいいよ」
竜児「あぁ、約束する。ほら櫛枝の所行ってこい!」
大河「…わかった。だから、ね?」
竜児「おう、別れのキスな」
ちゅっ
大河「行ってらっしゃい」
竜児「おう。気を付けてな」
タタタ、と教室に続く廊下を走り、途中で振り替えって満面の笑みを見せる。
春田「相変わらずあちちだね高っちゃん」
能登「あの手乗りタイガーがよくもまぁここまで手懐けたもんだ(ウンウン)」
北村「しかしよく話さなかったな、偉いぞ高須!」
竜児「おう、まさか野郎4人で『おっぱいバレー』観に行くなんて言えねえよなぁ」
>>760 「新世界の〜」とか言ってたから、次スレにいるよ。多分w
>>761 原作では殆ど無かった男の友情がとらPにはたくさんあってなんか良かった
いや初endが北村だったとかそういう訳じゃなくて
765 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 17:51:23 ID:1uemE5ik
>>751 竜児のしわざだって
, へ /ハ\ おお、めでたいめでたい
__/__!:::__\ /.______ヘ\
,. '"´ /::::::::i:::::::::::::ト 、 l ',_7.._
, ' '´`ー-'----┘ `ヽ. ,. -‐‐'´ー──'::ヽ、:::`ヽ、
/ / ! ! , ', '.、 /:::::::::::::::i::::::::i:::::::::;::::::ヽ;:::::::',
∠.,,_ ,' / ハ /! ,!、 ; ',\ i:::/:::::、:::ハ:::::ハ:::::ハ:::::::::ハ:::::::::!
| ` i ,ィ´__,.! レ' レ、_!_、/ ! |-‐' レ:::/::ハゝ、レ' V/イレ/::!:::::::::|
'、 ! /,! rr=-, r=;ァハ ハ! ハレ;イrr=-, r=;ァ レ'i:::::::::|
i. ヽ. V ハ''  ̄  ̄ !ノ ,'.::iハ!  ̄  ̄ !:::::::::|
ハ, )ヘ`ヽゝ、 'ー=-' 人| /::i::/λ 'ー=-' /:ハ::ハ:|
,' ヽ. _V>ソ`; ー-r='i´/ / .!::::/ >、 _____, ,.イ/ー'、/!/
>>761 こういうの凄い好きw
時事ネタも盛り込んでておもしろかったっす
Pのネタバレ…
なんか萎えてきた
まあそんなの予想できたはずだし、見にきた俺も悪いな
>>761の者だが。
>>766 ありがとう。素直に嬉しいw
携帯からだったんで表現とか全然できてなくて
コメ無しでも当然だろうと思ってたけどコメあって嬉しいよ
>>768 あーその発想はなかったなぁ、なんでだろ
適当に説得して「大河のほうが綺麗だった」とか言って
上手く誤魔化しそうだw
映画自体見てないけどね
>>769 大河「今日行ったっていう映画ね、なになに・・・おっぱいバレー!?」
竜児「あっそれは・・・」
大河「あああああんた、ななななんてもん見にいってんのよ!!」
竜児「でもな俺はお前の胸以外に興味はないぞ?」
ギシギシアンアン