あの作品のキャラがルイズに召喚されました part278
1 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?
そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part277
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1276620182/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
第四話上がりましたんで、投下します。
予約等無ければ50分ごろから開始しますね。
オスマンは、考え込んでいた。
原因は、言うまでもなくあの男。パルパレオスである。
昨夜の時点で既に使い魔の契約は済ませたらしい。
定期的に魔法でパルパレオスの様子を遠隔監視しているのだが、彼の左手にルーンが刻まれていることは確認済みだ。
スケッチは取っておいた。現在、コルベールに命じて調査させている所である。
(まさか…な)
実のところ思い当たるフシはあるのだが、思い違いだろうとは思っていた。
調査させたのはあくまで念のためである。
さて、今日はどうやって仕事をサボろうか…などと考えている所へ飛び込んでくる女性。
「学院長!」
「何じゃ、朝っぱらから血相変えて…美人が台無しじゃぞミス・ロングビル」
緑色の長髪に眼鏡をかけた理知的な印象の美女である。
彼女はオールド・オスマンの秘書であった。
「実は、生徒が決闘騒ぎを起こしていまして…庭に集まっているのです。
教師の皆さんが、事態の沈静化のために眠りの鐘の使用許可を求めています」
「阿呆、高々子供の喧嘩に秘宝を持ちだせるかっ!
そもそも貴族同士の決闘はご法度じゃろうが。決闘しようなどと抜かしよるのは誰じゃ?」
「二回生ギーシュ・ド・グラモン、相手はミス・ヴァリエールの使い魔、ミスタ・パルパレオスです」
「ほぅ…」
あの男が決闘…面白い。
かなり場慣れしており、ある程度の分別も持ち合わせた男だとオスマンは評価している。
よもやグラモン家のボンボンを殺したりはするまい。
近頃の若い貴族は誇りばかり高く実力が伴っていない。
たまに実技の授業などを見たりするが、一部を除いてさっぱりなのだ。
素質のある者もたまにいるが、光るものすら感じない者も多いのだ。
ギーシュは多少の素質を感じるが、慢心からか向上心がどうも薄い。
パルパレオスに対する学院関係者の評価は「ちょっと変わった平民」である。
それ以下であることはあっても、それ以上ではなかった。
生徒とはいえ貴族を平民が打ち倒したとあれば、少しはいい薬になるかも知れない。
オスマンはパルパレオスの勝利を疑っていなかった。
「いかがいたしますか?」
秘書の声に意識を呼び戻される。
「放っておけぃ。あの男なら殺しも殺されもせん」
それに…あの男が持つ異質な魔力の正体が分かるかも知れん。
あわよくば、あのルーンの正体も…。
一筋の紫煙を吐きつつ、そんなことを考える。
(さて…じっくり観察させてもらおうかの)
+++++
「我が名はギーシュ・ド・グラモン!二つ名は"青銅"だ!」
「…クロスナイト、サスァ・パルパレオスだ」
面倒臭い口上やら挑発やらを聞き流し、ようやく決闘前の名乗りにまで漕ぎ付けた。
はっきり言って児戯のようなもの。決闘など、戦闘ごっこに過ぎない。
本当に相手を倒そうと思うなら、口上を述べたり名乗ったりなど無駄な行為だ。
隙を突いて不意打ちするのが常道。戦闘とはそういうものだ。
これまで数々の修羅場をくぐってきたパルパレオスである。
「戦いの場で"卑怯"は褒め言葉である」ということは重々理解している。
誇りを持って戦うなら、それは戦い方ではなく動機と戦果によって表現すべきなのだ。
どう戦ったかでなく何のために戦ったか、勝ってどうしたのかが大切なのだ。
戦いの方法とは、戦果を得るための手段に過ぎない。
そこに拘れば隙ができ、敵に足元を掬われてしまうのだ。
とはいえ、ここは魔法学院であって戦場ではない。
殺す気はないし、向こうもそこまでする気はないようだ。
最も、その気があっても殺されることはあり得ないが。
であれば、面倒だが決闘の形式に付き合ってやるくらいはしてもいい。
相手の土俵にあえて踏み込み、そして勝つ。
これが相手の命を刈り取る戦いなら愚策だが、相手の心を折り取る戦いならば有効だ。
「僕はメイジだ。よって魔法を使って戦うが…よもや駄目とは言わないだろうね?」
「無論だ。君に杖と魔法があるように、私にも剣と鎧があるのだからな」
「いい覚悟だ。では…参る!出でよ、ワルキューレ!!」
ギーシュが杖を一振りすると、地面が盛り上がって一体の人の形を成した。
見ればその人形は土ではなく金属のような鈍い煌きを放っていた。
鎧兜を身につけ剣を持った女戦士の姿をしている。
戦乙女か…大層な名だが、さて実力はどんなものか。
「これが僕の魔法…青銅製のゴーレムの精製だ。
さぁ行けワルキューレ!あの男を倒すのだ!」
命の存在を感じない無機的な動きで、戦乙女が突っ込んでくる。
軽く地を蹴り、振りぬかれた剣を避ける。
その動作を元に、彼は敵の間合いを測った。
次々と浴びせられる連撃を軽々かわしながら、パルパレオスは思考する。
(腕の長さ、武器の長さ、そして先ほどの動きから敵の踏み込みの鋭さ…)
これらを全て足した距離に、姿勢制御などによる誤差をプラスする。
大体、これが直接攻撃の間合いとなる。
おおよその間合いは数度の攻撃で把握できた。
さて、いい加減反撃に移るか。
右手を左腰にやり、愛剣の柄を握る。
何故かは分からないが、妙に左手が熱い。
それに何やら力が湧き上がってくるような感覚がある。
何だこれは。何が何だかよく分からない。
だが、力が湧いてくるなら利用するまでのこと。
そう断じて、戦乙女が突っ込んでくるのに合わせ此方も地を蹴った。
「ハッ!!」
すれ違い様に敵の剣を交わしつつ、その胴を薙いだ。
金属を断ち切る甲高い音が響く。
ガランガランと耳障りな音を立て、戦乙女は地に倒れ伏した。
「…何だ、これで終わりか?」
ただの斬撃、特別なことは何もしていない。
敵の剣をかわし、こちらの剣を当てる。当たり前のことを当たり前にやっただけだ。
レギオンやウォーバスターなどグランベロス帝国軍下級兵士でも、もう少し手応えがあるのだが。
これが鉄壁の防御を誇るヘビーアーマーなどであれば、下手をすれば剣の方が刃こぼれしていたかもしれない。
だが、何の力も通っていないただの青銅である。
愛剣シャルンホルストはかなりの業物だが、それでなくてもあれは脆すぎた。
(もっと歯ごたえがあるかと思ったが…)
クロスナイトである彼が、まだ剣を一本しか抜いていないのだ。
軽い失望を覚えてギーシュを見やる。
「ほう…中々やるじゃないか。では僕も本気を出そう。
出でよ、ワルキューレ!」
再度杖を振るギーシュ。
また同じことをする気かと思ったが、今度は違った。
戦乙女が今度は六体出現した。
一体一体なら倒すのは造作もないが、数の力は決して侮れない。
(六体も同時に操れるとは…私が相手でなければ、いい勝負ができていただろう。
しかし、さっきの力は一体…?)
疑問は決して顔には出さない。
ただ不敵な笑みを浮かべ、彼はもう一本の剣に手をかけた。
++++++
「あんの馬鹿…!何やってんのよ!」
時間は少し遡る。
食事中、妙に騒がしかったのだ。
また誰か喧嘩でもしたのだろうか。
その程度にしか考えていなかったのだ。
あの一言を聞くまでは。
「おい、昨日召喚された平民とギーシュが決闘してるらしいぞ!見に行こうぜ」
パルパレオスだ。間違いない。
その生徒をとっ捕まえて話を聞き出し、自分も急いで広場へ向かった。
(貴族相手に決闘ですって?勝てるわけないじゃないバカっ!!)
決闘に至る経緯も聞いた。確かにあれはギーシュが悪い。
自分がその場に居れば、パルパレオスと同じくそのメイドをかばっただろう。
だが、そんなことで決闘吹っかけられて受けるか、普通。
ましてパルパレオスは平民である。貴族に勝てるわけがないのだ。いくら剣を持っていようと。
(止めないと…!!)
そんなことを考えつつ広場へと駆け込んだルイズは、思わず息を飲んだ。
決闘の経過は分からない。
ただ一つ分かるのは、剣を構えてパルパレオスへ突進する戦乙女が一体、ということだけ。
剣の刃に鈍く反射する光が、妙に目についた。
「よ…!」
避けて、と叫ぼうとした。
したのだが、耳をつんざく甲高い音に息を飲む。
後に残るは剣をぶら下げたパルパレオス。そして真っ二つになった戦乙女。
(何よ、今の…?)
パルパレオスが何をしたのか、全く見えなかった。
何が起こったのか、さっぱり分からなかった。
分からなかったが、ただ一つ分かるのは…
(パルパレオスって、こんなに強かったの…?)
声を出すことも忘れ、六体の戦乙女と対峙している使い魔をただ見つめた。
+++++
「大したものだ。まさか六体も同時に操るとはな…」
不敵な笑みを浮かべてそう言うパルパレオス。
しかし、その顔には負けるかもしれないという懸念は欠片も浮かんでいなかった。
その様子が、ギーシュを更にいらつかせる。
「だが、雑魚が増えた所で雑魚は雑魚だ」
その言葉に、とうとうギーシュもブチ切れた。
「その減らず口を二度と叩けなくしてやる!!!行け、ワルキューレェェェッ!!!」
吼えるその声に応えるように、六体のワルキューレは一斉にパルパレオスへ飛び掛っていく。
「…二倍いればこれを挟み、三倍いれば退路を断ち、四倍いればこれを囲む。
もっと効率的に兵を運用することを考えるべきだな」
包囲からの多面攻撃を仕掛けられない限り、クロスナイトに対しては多勢の意味がないのだ。
「見せてやろう…クロスナイトの必殺剣を」
その名の如く、剣を体の前に交差させる。
高揚感に応えるように、サラマンダーの魔力が流れ込んでくる。
魔力は刃を通して大気へと拡散し、パルパレオスの意思に呼応する。
空気中の分子を揺さぶり、熱を起こす。
「フレイムヒット!!」
横へと振りぬいた剣に煽られるように、虚空に炎が生まれた。
六体の戦乙女の中心に火山の噴火の如く吹き上げる灼熱の業火。
弾けて轟音と破壊を撒き散らすそれは、六つの火球へと収束し、戦乙女たちを直撃した。
「…何だ、これは…?」
燃えるわけがない青銅製の戦乙女が、音を立てて燃えていく。
炎を吹き出しながら消えていく戦乙女を呆然と眺めつつ、ギーシュは言葉を失った。
燃えた後には、灰すら残っていない。
「さて、いい加減終わらせるとするか」
冷たい目でそう言い放つパルパレオス。
ギーシュは、この時初めて知った。
「殺気」という言葉の意味を。
震えが止まらない。
(この男は本当に僕を殺す気でいる…!)
恐怖がプライドを軽々と凌駕し、彼は本能に従った。
彼の杖である薔薇を捨てたのだ。
「ま、参った…!僕の負けだ!」
「…そうか。ではこれで終わりだな」
力を見せ付けた上で恫喝。
戦争でも戦闘でも、有効な手段である。
実戦経験の無い者に殺気を感じ取ることは難しいのだが、力を見せ付けておけば同じことだ。
殺気を消して剣を収めつつ、そんなことを考えた。
無形の圧力が消えてへたり込むギーシュを一瞥する。
「あの二人の少女とシエスタに、しっかり謝っておくように」
震えながら何度も頷くギーシュに満足そうに頷き返し、彼はその場を後にした。
++++++
支援て挟めばいいのかい?
第四話、投下終了しました。
戦闘の描写がどうも上手くいかないwww
生温い目で読んでやってくれると嬉しいです。また次回。
ゼロの双騎士氏、投下乙です。
パルパレオスは俺の純情を踏みにじった片割れなんで憎みはしなくても絶対に許さないはずだったが、
懐ゲーからのクロスキャラとなると、どうしてこうも無条件に応援したくなってしまうのかw
正直、パルパレオスを応援する日が来るとは思いもしなかったぜw
どっちかっていうとヨヨだけどな、純情踏みにじったってーと
まぁ、若者の恋なんてしょせんそんなもん
別れが永ければそうもなるさ、と受け入れた俺は小学生らしくなかっただろうか・・・あの頃
バハムートが言ったとおり、ビュウはヨヨの中で大切な人だった、それだけで十分だった
そうじゃないですか・・・
俺の脳内じゃビュウはメロディアとくっついてるし
センダック?忘れましたよそんなモーロック!!
それはそうと、ルイズはマスタードラゴンの恩恵受けたら系統魔法も使えるのかねぇ
むしろ系統より種類多いけれど
16 :
ビュウ:2010/06/27(日) 20:24:48 ID:efcV3CJQ
フレデリカたんの聖水なら俺は飲める。
乙
それよりもサラマンダーまで寝取られたビュウに……
まあでもビュウもバハムートに浮気してたか……
エフエックスから進化したらサラマンダーが無敵になったのがバグだと思ってたのは内緒
フェニックス経由じゃないと仕様だと気づけないよなこれ
ビュウがヨヨに振られた一番の理由は変態選択肢がごく自然にある辺りだと思う
エロ本を買ったり排泄物を食らったり
マスタードラゴンは見た目があれだから、全竜手前で止めてるな
乙でした。
進路クリアなら23:30ごろから第26話の投下を行いたいと思います。
本当のこの数日のラッシュ凄いな。
いや、嬉しい悲鳴ですけどね。
それではいきます。
「……これは……想像以上ですな……」
そう言ってガリア南薔薇騎士は口元を押さえる。ここはアルビオン王国――
いや、王党派なき今は『レコン・キスタ』によって神聖アルビオン共和国と
なった国の北部、ニューカッスル。王党派最期の地として知られることになる
この地は、やがて昔語りとなる王党派による貴族派将兵への苛烈な反撃から
まだ三日目を迎えたばかりであり、城郭の外には、屍肉をついばむ鳥や
獣すら近寄らぬ、誰とも分からぬ、物言わぬ黒こげの骸が一面に広がっていた。
口元を押さえる南薔薇騎士の横で、従軍看護婦の装束に身を包んだ
貴婦人が次々と運ばれてくる骸に祈りを捧げている。彼女の名は
モリエール夫人。このガリア南薔薇騎士団の騎士団長である。
モリエール夫人は祈りを中断して立ち上がると、側にいる騎士に問う。
「王党派は見たこともない新しい油を詰めた砲弾を用いたようですね。
ご覧なさい。人がここまで炭化するなど、我がガリアの装備であり得る
ことですか?」
ガリア南薔薇騎士団は、かのニューカッスル攻防戦が集結した直後に、
『レコン・キスタ』に救護隊派遣を打診している。形式上は王党派にも
打診したことになっているが、このとき、すでにガリア王国首脳部は
アルビオン王国国王ジェームズ一世と、皇太子ウェールズの死亡の報を
得ていた。そしてこの派遣そのものも、形の上では首都ロンディニウムからも
見えたというニューカッスルの空を焦がす炎を駐在武官が報告したことからに
なっていた。
モリエール夫人の問いかけに、騎士は首を振る。彼らはそれがふがくによる
広域焼夷弾爆撃の結果だとは知らなかった。
「……ありませぬな。このような臭いを放ち、人を完全に消し炭に変えて
しまう砲弾など。火竜のブレスでも、人を焼けば内蔵が生焼けとなって
流れ出します。そして、アルビオン王立空軍技術廠が開発した戦列艦
『イーグル』号の装備については、我がガリアも完全に掴んでいたわけでは
ありませぬ。
これまでの情報で、王党派は砲撃音すら聞こえぬ遠方より一方的に
砲撃を加え、また砲撃を支援するかのように艦隊に襲いかかった、
見たこともない鋼の翼を持つ翼人の姿も見られたとか」
「『鋼の乙女』――」
「は?今、なんとおっしゃいましたか?」
モリエール夫人のつぶやきに、南薔薇騎士は思わず聞き返した。
「鋼の翼持つ翼人には心当たりがあります。なるほど、味方にすれば
一騎当千。敵に回せば……これ以上の脅威はありません」
モリエール夫人は、ガリア王国の王都リュティスで、『無能王』
ジョゼフ一世の側に立つ、王が『余のミューズ』と呼ぶシェフィールドとも
呼ばれた女と一緒にいたライトニング姉妹を見たことがあった。
魔法の力を借りず空を飛び、先住魔法にも似た攻撃を繰り出す双子に、
彼女は狂気と嫌悪感しか感じなかったが。なるほど、双子と同じような
『鋼の乙女』がこの戦場を舞ったのであれば、この戦場の惨状も納得できた。
そこに、周囲の偵察に出ていた一人の南薔薇騎士が現れ、モリエール夫人に
耳打ちする。彼に案内されるまま焼け落ちた森の集落に足を踏み入れた
彼女は、そのあまりに悲劇的な様相に言葉を失った。
そこは、ニューカッスル攻防戦が始まるまでは、ガラス職人たちが
暮らす小さな集落だったらしい。だが、今そこに往時の姿を残す家や
工房は一つもなくすべて焼け落ち、広場であった場所には、多くの墓標が
打ち立てられていた。
立ち並ぶ墓標の一つ。その前に、一人の少女がたたずんでいた。
身につけた衣服は煤に汚れ、その視線はどこか空を掴むよう。
モリエール夫人は少女の前にゆっくりと歩み寄ると、身を屈め少女の
視線に自分の目を合わせた。
「……何が、あったのですか……?」
モリエール夫人は、この状況から少女の身に耐えきれないことが
起こったのではないかと思った。少女は視線を宙に漂わせたまま、
ぽつりぽつりと語り始める。
「……森が燃え始めて、お父さんが、お母さんを呼びに行くように言ったの。
そのとき、空が真っ暗になって……気がつくと、私の上にお父さんが倒れてた。
家が燃えてて……お隣のおじさんやおばさんが広場で燃えてた。
その後兵隊さんがやってきて、燃えた家からお母さんを捜してくれたけど……
お母さん、見つからなかった……」
少女の目からは涙はもはや涸れ果てていた。モリエール夫人は、少女を
包み込むように優しく見つめる。やがて、少女はゆっくりと言葉を継いだ。
「……兵隊さんたちがお父さんやお母さん、それにお隣のおじさんと
おばさん……死んじゃったみんなのお墓を作ってくれたの。
一番偉い人が私をお父さんみたいに抱きしめて、『すまない』って何度も
言ったわ。兵隊さんはみんな泣いてた。きっと怪我をしていたからよね」
「あなたの……おうちは?」
モリエール夫人の言葉に、少女は言われなければそうと分からない
完全に焼け落ちた家と、その隣にある半分焼け落ち天井が崩れた工房を
指さした。工房に落ちた焼夷弾が不発弾で、しかし天井を突き抜けた
それが娘の危機を察知した哀れな父親に命中してその命を奪ったことは、
その場の誰も知る由もなかった。
「兵隊さんが、工房からこれを捜し出してくれたわ。他のものは壊れていたって。
家から見つかった溶けたお母さんの手鏡は、お母さんのお墓に入れてもらった。
それしか見つからなかったって」
少女はそう言って、熱で歪み、衝撃で耳がかけたガラスのウサギの置物を見せた。
モリエール夫人は、その置物ごと、少女を強く抱きしめる。
その頬には、涙が伝っていた。
「……始祖ブリミルよ……。わたくしは……この子に、どのような言葉を
かけてあげられるのでしょう?何故、この子はこのような試練を受けなければ
ならないのでしょう?」
夫人に抱きしめられて、少女の目から枯れていた泉がよみがえったかのように、
堰を切ったように涙があふれ出す。その後ろで、最初にモリエール夫人に
報告した南薔薇騎士が、少女が『兵隊さんの一番偉い人』から最初に
会った人に見せるよう言いつけられていた手紙を手にしていた。
その手紙には、こう書かれていた――
この未曾有の悲劇の只中で、巻き添えになったアルビオンの無辜の民の墓標を作ること
しかできぬこと、しかと詫びる。
だが、生き残った我らが伝えねば、この惨状を誰が司令部に伝えるのか……願わくば、
始祖の大いなる加護ありて生き残った少女に、さらなる始祖の加護あらんことを。
この手紙を読む者にしかと頼む。始祖の加護ありて生き残ったこの少女の、その庇護を
切に願う――ジョン・ホーキンス
後にこの戦闘の悲劇を伝える貴重な資料としてアルビオン王立博物館に
保存されることになる、この攻防戦に参加した貴族派陸兵五万の、たった
五十人と伝えられる生き残りを指揮した殿軍指揮官の手紙――読み終えた
モリエール夫人は、静かに目を閉じた。
「……サー・ホーキンスも、さぞつらかったでしょう。あの煉獄のような
戦場から撤退できた残存兵力を率いて、わずかな糧食もここに残して……。
わたくしがここに来たことも、始祖のお導き。卿の心残りは、わたくしが
引き継ぎましょう」
こうして。一人の身寄りをなくした少女が、アルビオンからガリアへと
渡った。彼女の運命がこれからどうなっていくのかを知る者は、このとき
誰もいなかった。
その頃――ふがくたちはラ・ヴァリエール領に到着していた。
だが、まだ領地に入ったばかりであり、屋敷への到着は夜になるという。
さすが公爵家ともなればその領地も広大だった。
ふがくは一行が小休止をすることになったとある旅籠からそのまま
空に舞い上がろうとしたが、シエスタに止められた。そして当のシエスタは
というと、ルイズたちが乗った馬車が止まったと同時に、その馬車の扉を
開ける。さすがにきちんと召使いとしての教育を受けているだけのことは
ある、とふがくが思ったのもつかの間。旅籠から飛び出してきた村人の
集団を何とか避ける。
村人たちは馬車から降りてきたルイズたちの前で帽子を取ると、
「エレオノールさま!ルイズさま!」と口々のその名を呼んで歓迎の
意を示した。どうやら村人総出で歓迎に出てきたらしい。とある村人は
ふがくの姿に気づくと、頭を下げた。
「エレオノールさまかルイズさまの御家来さまで?」
ふがくの姿はさすがに珍しいらしい。だが、自分たちの予想が当たっていた
場合に粗相があってはならないとの思いが先にあるのか、その視線も
遠慮がちだった。だが、ふがくが「まぁそんなところね」と言うが早いか。
やれ「背中の剣をお持ちしますだ」だの、「長旅でお疲れでしょう」だの、
ふがくの世話まで焼こうとするのに閉口する羽目になったのだった。
その狂瀾を前に、エレオノールが口を開く。
「ここで少し休むわ。父さまに、わたしたちが到着したと知らせてちょうだい」
その声で一人の少年が馬に跨り、速駆けですっ飛んでいく。その様子に
ふがくは小さく溜息をついた。
「場所さえ教えてもらえば私が飛んだのに。気分転換になってたかも」
「ダメですよ。ふがくさん。これでいいんです。とはいえ、ここからは
私の出番もありませんから」
そう言うシエスタの視線の先には、旅籠に案内されるルイズたちの姿がある。
少し遅れてふがくたちが後をついていくのを見てルイズが何かを言おうと
したが、エレオノールに睨まれて小さくなっていた。
(初対面からそうじゃないかと思ってたけど、あのお姉さんにはルイズも
全く頭が上がらないようね……)
それがふがくの率直な感想だった。旅籠の中に案内されてからも、
エレオノールもルイズも村人から最大級の歓迎を受け、褒めそやされている。
その様子をそれなりに丁重に扱われながら遠巻きに見るふがくは、
ふっと旅籠の外から近づいてくる誰かに意識を向け、デルフリンガーの
柄に手をかけた。
しかし、それは全くの杞憂というものだった。
旅籠のドアが突然ばたーん!という大きな音を立てて開き、桃色の風が
飛び込んでくる。
それはまだ若い女性だった。彼女は腰がくびれたドレスを優雅に着込み、
羽根のついたつばの広い帽子をかぶっていた。その帽子の隙間から、
ルイズと同じピンクブロンドが揺れる。
帽子の下から覗くのは、綺麗というより可愛いと形容するしかない顔。
年の頃はエレオノールよりやや下くらいか。瞳の色はルイズと同じ鳶色。
しかし、そのスタイルはエレオノールやルイズとは大きく異なっていた。
彼女はエレオノールに気づき、目を丸くする。
「まあ!見慣れない馬車を見つけて立ち寄ってみれば嬉しいお客だわ!
エレオノール姉さま!帰ってらしたの?」
「カトレア」
エレオノールがつぶやく。それと同時にルイズが顔を上げる。その顔は
喜びに輝き、カトレアと呼ばれた女性の顔も、ルイズを認めてぱあっと
輝いた。
「ちいねえさま!」
「ルイズ!いやだわ!わたしの小さいルイズじゃないの!あなたも帰って
きていたのね!」
ルイズは立ち上がると、そのままカトレアの豊かな胸に飛び込んだ。
「お久しぶりですわ!ちいねえさま!」
ルイズとカトレアは人目をはばからず再会の喜びを分かち合う。
どうやら、彼女はルイズのすぐ上の姉のようだ。ふがくが改めてカトレアを
見ると、確かに髪の色といい瞳の色といい見れば見るほどルイズにそっくり。
ただその顔立ちは穏やかで、姉や妹と違い包み込むような雰囲気を漂わせている。
カトレアは警戒を解かぬまま自分に視線を向けているふがくに気づいた。
カトレアが近づいてくるのを見て、ふがくはデルフリンガーの柄から手を放す。
「まあ、まあ、まあ、まあまあ」
完全に警戒を解かぬふがくの顔を、カトレアはじっと見つめる。
その視線に込められているのは紛れもない好奇心。カトレアはそのまま
ふがくの顔をぺたぺたと触り始める。
「あなた、人間なの?てっきりガーゴイルかと思ったのだけど、触った
感じがまるで普通の女の子なんですもの」
カトレアの手が頬に触れたまま、ふがくは言う。
「私は大日本帝国の鋼の乙女、ふがくと申します。あなたの妹君、
ルイズ様に召喚された使い魔です。この国で一番近いものを挙げると
すれば、今あなたがおっしゃったガーゴイルに相当するでしょう」
「まあ」
場所と相手だけにふがくが言葉を選ぶと、カトレアはふがくの頬から
手を放し、柔らかな微笑みを浮かべる。その笑みは、ふがくにある鋼の
乙女の姿を思い出させた。と、そこでふがくはそういえばエレオノールには
名乗ってなかったことも思い出したが、向こうがこっちを知っているよう
だったので気にしないことにした。
「ごめんなさいね。わたし、すぐに間違えるのよ。気に障ったかしら?」
「いえ」
ふがくは頭を振る。その様子を、シエスタは真横で心配そうに見つめていた。
ルイズにエレオノール、そしてふがくとシエスタは、全員カトレアが
乗ってきた大きなワゴンタイプの馬車で残りの行程を移動することに
なった。学院から借り受けた馬車は、ここから王都へ戻るエレオノールの
馬車とともに魔法学院まで戻ることになる。エレオノールは召使いや
下僕と同じ馬車に乗るなんて、と顔を曇らせたが、カトレアに押し切られた
格好だ。
そして……馬車の客はふがくたちだけではなかった。
馬車の中を形容するならば、動物園という言葉以外になかった。
前の方の席では虎が寝そべってあくびをしている。ルイズの隣には熊が
座っている。そればかりかいろんな種類の犬や猫があちこちで思い思いに
過ごしており、極めつけに大きな蛇が天井にぶら下がっているのを見て
しまったシエスタはそのまま意識を手放していた。気絶してしまった
シエスタを介抱しながら、ふがくは思わずつぶやいた。
「それにしても……すごい馬車ね」
「ちいねえさまは、動物が大好きなのよ」
ルイズがそう言うのを聞いて、ふがくは好きって言っても限度がある
でしょうが……と小さく溜息をつく。その横で、ルイズとカトレアは
カトレアが拾ったというツグミの話に花を咲かせ始める。その様子を
見て、エレオノールが溜息をついているのが見えた。
ラ・ヴァリエールの美人三姉妹が勢揃いってところね――どうやら
ルイズと二番目の姉は相当仲が良いようだ。気絶したシエスタも、
いつしか自分の膝の上で寝息を立てている。馬車の左には、緩やかに
起伏する丘。右にはどこまでも続くような田園。まだ初夏の風が吹くにも
早い季節だが、冬の麦が刈り取られ秋の麦を植える準備が整いつつある
風景は壮観だった。
「……ま、たまには陸送もいいかな」
緩やかに揺れる馬車の中で、ふがくはしばらく感じていなかった安らぎに
肩の力を抜いた。
以上です。
今回は短いですが、前半後半のコントラストをつけるためにこんな感じに。
モリエール夫人の格好のイメージはクリミア戦争時のナイチンゲールです。
ホーキンス卿は原作に名前が登場してなかったので、イギリスで同じような
絶望的な撤退を経験した提督の名前をもらいました。
それでは。また近いうちにお目にかかれるよう頑張ります。
乙。
……ガラスのうさぎ、か……
ゼロの双騎士第五話を投下したいと思います。
今回は少し短めになるかも…?
ともあれ、ご期待くださいませ。
予約等無ければ数分後に開始させていただきます。
(何じゃ…あの攻撃は…)
オスマンの目は見開かれていた。
決闘の一部始終を観察し、彼の剣の腕に感嘆を禁じえなかったオスマンだが、最後のあの技は驚愕に値した。
比較的柔らかい青銅とはいえ、溶かすのではなく文字通り「焼き尽くした」のだ。
どれほどの力を込めればあれほどの火力を生み出せるのか。
その秘密が彼の異質な魔力にあるであろうことは何となく察しがついた。
(アレはわしでも防ぐ自信が無いの…)
フレイムヒット、とかいう名の技だったか。
詠唱している様子はなかった。杖も持ってはいなかった。
レイピア型の杖も存在するが、あくまで敵と切り結びながら魔法で攻撃するためのもの。
パルパレオスの帯びていた剣は、敵をその刃で切り捨てることを目的とした武器だ。
故に、あれは少なくとも系統魔法ではないだろう。
であれば、先住魔法かとも思ったが、それにしても様子が違った。
ともあれ彼のあの力、学院関係者には「東方のメイジの魔法」とでも説明するしかあるまい。
オスマンだから見抜けたが、そう言って違和感を感じ取る者は多くないはずだ。
コルベールが持ってきたルーンの調査結果に関しても、彼とよく話して口裏を合わせておかねばならない。
(達人級の剣に強大な火力、しかもガンダールヴのルーンまで…とんでもないことになったのう)
+++++
「パルパレオス!待ちなさいよ!!」
最近聞き慣れてきた声に振り向くと、主人が走ってきた。
「どうしたルイズ?そんなに息を切らして」
「どうしたじゃないわよ!あんたメイジだったの!?何で隠してたのよ!」
隠していたわけではなく言う必要が無かった。
メイジではなく自分はあくまでクロスナイト、双剣を扱う騎士である。
…というような事を話したが、まぁ納得してもらえるとは思っていない。
案の定、嘘だそんなわけがないなどと騒ぎ立てる。
見れば、周りの生徒達も自分を驚愕の目で見ているようだ。
まぁそんなものは気にしないから構わないが、平民だの何だのとちょっかいを掛けられることは減るだろう。
主人の小言を聞き流しつつ、そんなコトを考えていた。
「ちょっと聞いてるのパルパレオス!!…あれ、コルベール先生?」
禿頭に眼鏡がトレードマークの中年男性教師が、こちらへ走ってくる。
コルベールと言うのか。ふむ、コッパゲールと覚えよう。
そんな酷いことを考えつつ、彼のその様子からただ事ではないと察した。
「コルベール殿。どうなさった?」
「ミス・ヴァリエール、ミスタ・パルパレオス。学院長がお呼びです。至急学院長室へ」
…さては覗いていたな、あの老人。
どうやら私はまだ信用されていないようだ。
こちらも信じてはいないのだからお互い様ではあるが…さて、何の話だろうな。
+++++
「ふむ…あれは魔法ではなくクロスナイト独自の技であると?」
「そういうことだ。現象だけ見れば魔法にも近いが、魔法とは違う」
オレルスにおいて、戦竜と共に戦う戦士は、皆多かれ少なかれ竜の魔力を借りて特殊能力を行使する。
魔法に似たものも多いのだが、魔法と技の一番の違いは「どこまで竜に依存するか」という点にある。
ナイト、クロスナイト、ランサー、ヘビーアーマー、などの戦士。ウィザード、プリーストなどの魔法使い。
オレルスにおける戦士の分類(ジョブ)は多岐に渡るが、ここで挙げた中では魔法使い以外は竜の魔力無しには技を行使できない。
魔法使いは己一人の魔力で攻撃魔法を操る。そこに竜の魔力を上乗せすることで魔法を大幅に強化し、実用レベルまで高める。
竜の魔力が無くても魔法は使えるが、基本的に攻撃魔法も回復魔法も威力は大きく減じられる。
一方戦士達は、基本的に竜の魔力なしに技を使うことができない。
戦闘中に竜が死ねば、後は己の得物一本で切り抜けるしかなくなってしまう。
流れ込んでくる竜の魔力を己の意思と魔力で操り、超常現象を引き起こすのだ。
そして使える技は竜の魔力の質に大きく左右される。威力も同じである。
己の意思の差、己の魔力の差はジョブによって決まるから、使える技もジョブによって決まる。
激しい攻めを身上とするナイトは、竜の魔力を己の魔力で「研ぎ、磨き上げて」切り裂く。
堅固な守りを身上とするヘビーアーマーは、竜の魔力を己の魔力で「押し固めて」叩きつける。
そして統率・協調を身上とするクロスナイトは、竜の魔力と己の魔力を「織り合わせて」絡め取るのだ。
戦士の技はあくまで竜の魔力。己の意思と魔力は形を定める型枠のようなものなのだ。
「ふむ…竜の魔力を使って威力を増しておるのか…だからあれほどの威力を出せたのじゃな」
無論、竜の魔力が無くては使えないなどという不利な話はしていない。
過ぎた力を削ぎ落とすためにサラマンダーを殺そう、などと考えられては甚だ困るのだ。
最も、恐らく殺せないだろうが。
かつて、フェニックスであったサラマンダーに不死の力が宿っていたことは知っている。
「恐らく」と言ったのは、マスタードラゴンに進化した今のサラマンダーも同じ力を宿しているかどうか分からなかったからだ。
まさかサラマンダーに斬りかかるわけにもいかないから、現状それを確認する手段はない。
まぁ仮に宿していなかったとしても、伝説級の力を持つ竜を殺すなどそうそうできることではない。
だから、その点は余り心配していなかった。
一方、オスマンはある程度疑問が氷解していくのを感じていた。
パルパレオスが持っていた異質な魔力が、竜の魔力であったことが分かったからだ。
質・量ともに人間レベルでないのも当然である。
また、竜の魔力を利用して魔法を行使するのであれば、その魔法の質は竜の魔力の質に依存する。
瞬間移動魔法があるのに空を飛ぶ魔法が無いのも、恐らく竜の魔力に向いていない魔法であったからだろう。
というか、竜とそれだけ深く関わりながら生きているなら竜に乗って飛べば済む話で、魔法で飛ぶ必要が無かったというのもあろう。
ともあれ、パルパレオスの話はかなり有用であった。
他者の魔力を借りて己の魔力と重ねて魔法の効果を顕著にする。これはハルケギニアには無い発想なのだ。
コルベールも興味深そうな目をしている。
(これは、拾い物かもしれんの)
今後の話の展開に期待を膨らませつつ、オスマンは言葉を継ぐ。
「魔法ではないのは分かったが、こちらの人間からすればアレは魔法にしか見えん。しかも恐ろしく強力な、な。
メイジではないお主があの力を衆目の前で使ってみせた以上、お主はメイジということにせねば収まりがつかん。
今後、お主は『東方から来たメイジ』であると名乗って欲しいのじゃ。
恐らくそれでごまかせるであろう」
「…承知した」
少し調子に乗りすぎていたかも知れん。
パルパレオスは少し反省していた。
無用に力をひけらかすような真似をすれば好印象を持たれないであろうことは分かっていたのだが。
ともあれ、これはオールドオスマンに感謝すべきかもしれない。
そんなことを考えつつ、パルパレオスとルイズは学院長室を退出した。
+++++
(竜の魔力を借りた魔法…そんなことができるものなの…?)
ルイズはパルパレオスと共に廊下を歩きつつ、先ほどの使い魔の話を反芻していた。
もし自分も竜の魔力を借りることができたら。
自分の魔力に竜の魔力を上乗せすることができたら。
(ゼロの名を返上できるかも知れない…!)
折を見てパルパレオスと話をしておかなければ。
ルイズは、ない胸が期待に膨らんでいくのを感じつつ、授業のために教室へ向かった。
+++++
今回の投下はここまでです。
やっぱりちょっと短いかなww
戦闘描写に比べて技や魔法の理論を書くのは割りといい感じにできたかなぁなんて思います。
理屈やネタ考え出すのは大変だけど、ビシッと決まるとカッコいいので好きですww
戦闘描写はもっと上手くやらないとなぁ、フーケ戦とか…。
まとめサイト漁りながら勉強しつつ、次回も頑張りますのでご期待ください。
おつおつ。
ご期待ください。 とか自分語りとかwwと草を生やしたりするのはやめたほうが良いですよ、マジで。
SSとは関係無い所で作者が叩かれるのは見たくないんで出来るだけ自重してくださいな。
けど、あんまり作者さんのコメントまで縛るのも考えもの? いろいろ語りたがる人は他にも大勢いますし、
嫌われるにせよ、大抵は毒吐きでやられるわけだから、そこは好き好きというか自己責任でもいいかなとも思います
語りたい気持ちはよくわかるが、出る杭は打たれるもの
それだけで色眼鏡で見られるようになったりするから、サクっと投下して何も語らずが理想
痛くてもいい、叩かれようがどんな見方されようが構わないってんなら、別にいいとは思うよ
確かに、新人の人は10話くらい書くまでは、あとがきは礼儀正しく最低限にしておくのが無難だな。
まあ、ヒャッハーと言わない礼儀正しい聖帝の人は逆に気持ち悪いから人それぞれなんだが。
とりあえずFSSとゼロ魔のSSが見たいとです
クロスナイト乙
ペースが速くて毎日楽しみに待てるのが増えて嬉しいっす
新人にありがちな早すぎて燃え尽きる典型だな
もっと間を置いてじっくり煮詰めた方がいい気がする
作者が語りたいことを語るスレでも作ればいんじゃね? 匿名でも名乗ってもいい
荒れそうなのは予感できるが
SS作家がいろいろ語ってみるスレってのがあるけど、ゼロ魔専用を作るのか?
>>45 避難所にでも作ればいいじゃないかと
けど一度でも成りすましや叩きが横行すれば廃れる可能性大
やっぱなくていいや
更新が超ハイペースな人って何故かフーケ倒したらどっかいっちゃうよね
そこらへんまで書いて満足しちゃうからじゃないの?
もっと早い人はギーシュ戦書いて途絶したりするし…
クロス元が最近の作品だったりすると途絶率もぐーんと高くなるね(ディケイドがいい例)
お久しぶりです、随分と長い期間空けていましたが第七話を投稿したいと思います
よろしければ55分より開始します
フーケ以降はオリジナル要素が求められるようになるからな
っと、投下きてたか。事前支援
第七話A 王都トリスタニア 〜キュルケとデート〜
翌日、虚無の曜日…日本で言えば日曜日にあたるこの日
今、クラースは馬に乗っていた…その馬を走らせ、道を進んでいく
その隣には、同じように馬を走らせるキュルケの姿がある
「フフ、素敵だわ…こうやって憧れの殿方と一緒に馬を走らせて…。」
キュルケが今の状況に満足し、笑みを浮かべている
彼らは朝早くから馬を走らせ、ある場所を目指していた
「キュルケ、道はこっちで合っているのか?」
「ええ。馬で三時間…その先が王都オリスタニアですわ。」
彼等が向かっているのは、トリステインの首都である王都トリスタニア
そこに行って、クラースはキュルケの頼み事を果たさなければならないのだ
「しかし、まさか…この歳でデートに付き合わされるとは思わなかったな。」
その頼み事…昨日キュルケから言われたお願い事とは、彼女に今日一日付き合う事だった
当然、ルイズは反対したのだが、それが駄目ならガーネットの指輪は手に入らない
新たな召喚術を取るか、意地を取るか…悩みに悩んだ結果、ルイズは今回のデートを了承した
『せ、先生の魔法の為なんだからね。あいつの色香に惑わされたら許さないんだから。』と言って
「あら、恋に歳なんて関係ありませんわ。恋の炎はそう簡単には消えず、激しく燃え上がる物ですの。」
「そうは言われても、私は既婚者なんだがな。」
しかし、そんなクラースの言葉に耳を貸さず、彼女は一人デートのプランを口ずさむ
ああしたい、こうしたいと…それを聞くだけで、ため息が出そうだ
「やれやれ…こんなおっさんの何処が良いのかね?」
「それは、クラース先生は他の殿方にはない物を沢山持っているからですわ。」
「クラース先生って…まあ良い、例えばどのような物なんだ?」
「そうですわね…その格好と刺青なんか斬新ですし、本を武器に戦う事とか…。」
キュルケがクラースの良い所をあげていく…が、その内容にクラースは喜ぶ気にはなれない
そんな時、丘を越えた先に大きな城と町並みが見えてきた…それこそが王都トリスタニアだった
町の門の側の駅に馬を預け、二人は入り口前へと向かう
「さぁ、まずは何処に行こうかしら?新しい服とか欲しいし、化粧道具とかも悪くないわね。」
「そうだな…まずは金を調達させてくれ。此処の通貨は持っていないので自分の金を作りたい。」
別世界から呼び出されたので、当然と言えば当然である
この辺りでガルド通貨が使えない事は、既に本を読んで学んでいる
「あら、そんなの私が払うから構いませんのに。」
「君に借りを作ると色々後が大変そうだからな…一応、換金出来そうなものは持っている。」
持ってきた道具袋を広げ、中の換金出来そうな物を探してみる
冬虫夏草、浮世絵、伽羅香、毛皮……その他色々
これ等を売れば、それなりの金は入るだろう
「まあ、そんなに…先生って、色々持っていますのね。」
「まあな…万が一にと常に持っている。」
召喚術の研究中に強力な魔物が現れたり、召喚元に逆召喚されたりした事が以前何度かあった
その事を踏まえ、クラースは常に道具袋と複数のアイテムを持つ事を心がけている
「此処に来てから、色々と役に立っているわけだから…備えあれば憂いなしとは良く言ったものだ。」
そう言っている間に、換金するアイテムを分け終える
では、行こうか…と、クラースとキュルケは王都の中へと入っていった
「ありがとうございました。」
換金できそうな店で換金を済ませ、二人は店を後にした
クラースの手には、金貨が入った袋が握られている
「取りあえず、200エキューか…これは多い方なのか?」
「貴族にとってははした金ですわ。平民ならそれなりの生活が出来るでしょうけど。」
まあ、高い買い物はしないつもりなのでこれくらいで良いだろう
換金できる物はまだあるので、足りないならまた換金すれば良い
「さて、金は出来たわけだが…どうするんだ?」
「そうですわね…まずは服を見に行きましょう、すぐそこに店がありますから。」
換金した店の反対側に、確かに店があった
看板には服のマークに『フォドラ』とこの辺の文字が描かれている
「この店ってつい最近出来たのだけど、とっても評判が良いの。」
「そうなのか…まぁ、長くならないようにしてくれよ。」
女の買い物で一番長くなるものの一つが服である事を、クラースは良く知っている
多分無理だとは思いつつも、2人は店の中へと入っていった
「いらっしゃいませ、ようこそフォドラへ。」
2人を出迎えたのは、女性の主だった
その仕草や服装からは貴族を思わせ、キュルケ以上の妖艶さを漂わせている
「私、この店の主人のエメロードと申します…お見知りおきを。」
礼儀正しく挨拶し、エメロードと名乗った主人は2人を見つめる
そして、クラースに気付いた途端、ずずいと近づく
「ああ、貴方…よくぞ私の店にいらしてくださいました。」
「な、何だ…急に。」
いきなり近づいて惚れましたという顔をされ、クラースは思わず後ずさる
だが、彼女はすぐに近づき、その豊満な胸を彼の胸板に押し付けてきた
「貴方のような方が何故このような所に…ハッ、まさか私に会いに来てくださったのですね?」
「いや…私はただ連れの買い物に付き合って来ただけだが…。」
横目でキュルケを見ると、物凄く不機嫌そうな顔をしていた
当然である、初対面なのに自分の相手を横取りしようとしているのだから
「そうですか…でも、私の直感が告げるのです。私は今日貴方と会うべくこの地へやってきたのだと。」
「ん…貴方はこの国の人間ではないのか?」
はい、と答えるとエメロードは一旦クラースから離れた
そして、まるで芝居をするかのような仕草と共に身の上話を始める
「私、以前はある所で働いていました…その任を終えた後、何の因果かこの辺境の地へとやってきたのです。」
トリステインを辺境と言うとは、余程遠い所からやってきたのだろうか
体全体を使って悲しみを表現しつつ、更に話を続ける
「右も左も解らない…そんな不幸な私に、神は可愛らしい双子を授けて下さいましたわ。」
「双子?」
「はい、どんな服でも仕立ててくれる素晴らしい子ども達ですわ。さぁ、いらっしゃい。」
エメロードが奥に向かって声を掛けると、奥から人の気配がした
やがて、二人分の足音が此方に向かってきて……
「「不思議、不思議〜〜〜」」
声をハモらせながら、奥より二人の少年少女が姿を現した
歳は13くらい、銀髪の双子は客である二人は三人に挨拶する
「いらっしゃいませ。ようこそ、フォドラへ。」
「パーティー用から普段着まで、自由自在に俺達が仕立ててみせま…。」
「ディオ、メル!?」
双子の自己紹介の途中に、クラースの驚きの声が割り込む
しかし、その声に顔を上げた双子もまたクラースを見て驚く
「クラースさん!?」
「クラースさんだ…どうして此処に!?」
「それはこっちが聞きたいくらいだ…まさか、君達まで此処に来ているとは。」
不思議な双子…服を着る事で『なりきる』事が出来るなりきり師達
ジーニアス達に続き、彼等ともこの世界で再会する事になるとは思いもしなかった
その隣で、事情を知らないキュルケとエメロードは疑問を浮かべていた
「TALES氏の投下を支援するものがあるか?」
\ここにいるぞ!/
「へぇ、クラースさんはこの世界の魔法使いに呼ばれて……。」
しばらくして落ち着いた後、クラースはディオと今までの経緯について話し合っていた
キュルケはドレスを仕立てる為、メルとエメロードと一緒に奥へ入っている
「ああ、そういう訳だ。君達はどうやってこの世界に?」
「俺達もどうして此処に来たのか解らないんです。ただ、戦闘の途中に突然強い光に飲み込まれて…。」
気付いた時には、此処ハルケギニアのトリステイン王国にいたのだという
「今はエメロードさんに店長やって貰って、帰る当てが見つかるまで仕立て屋をしています。」
「成る程…しかし、この調子だと他にもいそうだな、異世界からの来訪者が。」
探せば、クレス達や異世界の英雄達も全員いるんじゃないだろうか
本当に何かが…この世界で起ころうとしている
「この街には他にも何人かいるみたいです。店長のエメロードさんだって異世界の人みたいだし。」
「何、そうなのか…大丈夫なのか、彼女は?」
彼女は一見淑女のようにも見えるが、何処か怪しい部分も見え隠れしている
何より、あんな性格だから幼い二人に悪影響ではないだろうか
「最初は戸惑いましたけど…今はそれなりに上手くやってますよ。」
「そうか…まあ、君達が大丈夫ならそうなんだろう…多分。」
一抹の不安を覚えつつも、それはそれで一応納得する事にした
話が終わると、ディオは椅子の背もたれに大きくもたれかかった
「はぁ〜…早く終わらせなきゃいけないんだけどなぁ、試練。」
「試練…そうか、君達はまだ精霊の試練の途中なのか。」
この双子は、『精霊の試練』と呼ばれるモノを受けている
その内容は、クラースが契約した精霊達と戦い、認めてもらうといものだ
彼等は己の運命を切り開く為に、様々な時間を巡って試練を受けなければならない
「でも、何で試練を受けなきゃいけないんだろ…ノルンは肝心な事は教えてくれないし。」
「全ての試練を受ければ答えは解るさ…だから、頑張るんだ。」
クラースの励ましに、はいと素直に返事を返すディオ
そんな彼を見て、不意にクラースは小さく呟く
「君達はどうしても試練を乗り越えなければいかんのだ…君達自身の為にも。」
その声はディオには聞こえていない…その言葉の意味は彼等自身が見つけねばならないのだ
そんな時、寸法を終えたキュルケがメルとエメロードと一緒に戻ってくる
「ドレスは3日ほどで出来上がります。後、クラースさんの知り合いだからサービスしておきますね。」
「ありがとう、出来上がりを楽しみにしているわ。」
彼女が仕立てを頼んだのは、今度行われるフリッグの舞踏会用のドレスだった
その後、キュルケは店内に飾られている服を色々と見て回る
それらを何着か買うと、2人は店を後にした
「ありがとうございました、またお越しください。」
エメロードとメル・ディオに見送られ、2人は通りを歩き出す
先頭をキュルケが行く中、フォドラでの感想を述べる
「店の主は気に食わなかったけど、あの双子は可愛かったわ…特にあの男の子、将来有望ね。」
絶対、美男子になるわ…と、彼女の女の感がそう言っている
それを聞いて、クラースはあの二人の行く末について考える
「将来…か。彼等に未来があるといいのだがな…。」
「何か言いまして?」
「いや…何でもない。」
そう答えると、クラースはそれ以上あの双子の事について何も言わなかった
代わりに、ディオが言っていた事について考える
「(それにしても、この街に異邦人が何人もいるとは…彼等と接触してみたいが…。)」
今はキュルケがいるので、其方を優先しよう
本格的な接触は今度時間がある時に、此方の準備を整えてからにした方が良い
「(二兎追うものは一兎も得ず…慎重にいかないとな。)」
そう結論付けると、クラースはキュルケとのデートを続行するのだった
『王都の感想』
クラース「王都トリスタニアか…この国の中心だけあって、活気があるな。」
キュルケ「まあ、小国にしてはそれなりに賑わっていますわね。」
キュルケ「クラース先生の故郷はのどかな村だそうですから、此処の空気は馴染みませんかしら?」
クラース「何処からそれを…まあ、私だって32年も生きてるからな。」
クラース「此処と同じくらい活気のある街にだって行った事はある。」
クラース「それに…私の故郷も後100年すれば此処ぐらいにはなるしな。」
キュルケ「100年?」
クラース「いや、こっちの話だ…では、行こう。」
『謎多き女性エメロード』
キュルケ「それにしても、あの仕立て屋の店主…気に入りませんでしたわ。」
キュルケ「私が目を付けている先生に堂々と色目を使うなんて…。」
クラース「私はいい迷惑だったがな…二人の事も心配だ。」
キュルケ「でも…もしかしたら、あの店主が噂の女なのかしら?」
クラース「噂?」
キュルケ「最近、トリスタニアに魔性の女が現れたって噂がありますの。」
キュルケ「平民、貴族問わずに、次々と男を虜にしているとか…。」
クラース「成る程…彼女に当てはまりそうな噂だな。」
キュルケ「あの女に私が劣るはずありませんわ…もっと女を磨かないと。」
クラース「おーい…そんな所で変に対抗意識を持たなくてもいいぞ。」
『集う異邦人達』
クラース「光に包まれて、か…ジーニアス達と同じ現象だな。」
クラース「皆が同じように光に包まれ、この世界へとたどり着いた。」
クラース「何故そんな事が起こったのか…。」
クラース「只の自然現象とは思えない…何者かの意思が働いているのか?」
クラース「………流石にこれだけの情報では今の所解らないし、見当もつかないな。」
クラース「だが、一つ言える事は…この世界で何かが起きようとしているという事だ。」
クラース「一体何が起きるのだろうな…この世界で。」
『魔法学者の務め』
キュルケ「そう言えばクラース先生って、此処に来るまではどのような事をされていたんですか?」
クラース「そうだな…研究をしたり、村の子ども達に勉強を教えていたな。」
クラース「主に研究ばかりで、ミラルドが殆ど教えていたが…。」
キュルケ「研究?」
クラース「ああ、召喚術…私の使う魔法の研究をな。」
クラース「私の故郷では失われた秘術だったのを、研究に研究を重ねて復活させたんだ。」
キュルケ「まあ…先生の魔法はそんな凄いものだったんですのね。」
クラース「とは言え、その研究の中で間違って才人を呼び出してしまったのだがな。」
クラース「彼には悪い事をしたと思う…だから、必ず帰る方法を見つけないとな。」
『クラースとタバサ』
キュルケ「ねぇ、クラース先生…先生とタバサってどんな関係ですの?」
キュルケ「先生とタバサがよく一緒にいるのを見かけますけど…ひょっとして…。」
クラース「私と彼女は、君が考えているような関係を結んでいない。」
クラース「彼女とは唯の協力関係を結んだだけだ。」
キュルケ「協力関係?」
クラース「そう、彼女の手助けをすると同時に、彼女も私の手助けをする…それだけだ。」
キュルケ「ふーん……まあ、今の所はそれで納得しておきますわ。」
「さあ、次は何処に行きましょうか?」
フォドラからある程度離れた後、キュルケが次の行き先を尋ねる
自分が決めて良いのなら、とクラースは次の目的地を決める
「そうだな…だったら、本を買いに行こうか。」
此処はトリステインの中心…なら、珍しい本も手に入るだろう
「本…ですか?まぁ、貴方がそう言うのなら…。」
特に本には興味のないキュルケはあまり乗り気ではなかった
しかし、クラースの心を掴む為には駄目だというわけにはいかない
「決まりだな…じゃあ、武器屋に行くとするか。」
「えっ、武器屋?」
だが、武器屋に行くというクラースの言葉には耳を疑った
何故本を買いに行くのに、武器屋へ…
「ん、魔術書を買うなら武器屋じゃないのか?」
「武器屋に本なんか売っている筈がありませんわ。本は本屋で買うものじゃ…。」
当然じゃないのかとの問いに、当然の事で答える
しかし、それでもクラースは納得しない様子だった
「ん〜…まぁ、少し見に行かせてくれないか?自分の目で確かめたい。」
どうしてもというクラースにそれで納得するのなら…と、二人は武器屋を探して歩き始めた
………………
「すいやせんが、ウチは本なんか扱っていやせんぜ。」
「何、そうなのか!?」
武器屋の店主のその言葉に、クラースは驚く
ようやく見つけた武器屋に入り、魔術書を頼んでの事だった
「だから言いましたのに…。」
「いや、私のいた所では普通に魔術書は武器屋で売っていたぞ。」
可笑しいな…と、クラースは魔術書がないか探してみる
だが、あるのは剣や槍などで、本は影も形もない
「そういや…前にも楽器を売ってくれだの、ストローを売ってくれだの、変な客がいたな。」
「楽器に…ストロー?本当、変な客ね。」
「まったくでさ、武器屋を何だと思ってんのかねぇ。」
キュルケと店主の会話…その中に心当たりがあった
ストローは知らないが、かつての仲間に楽器を武器として扱った人物が二人ほどいる
「店主、その客について聞きたいのだが…。」
「何だ、また馬鹿な客が来たのか?」
気になって尋ねたその時、店内に声が響いた
それはクラースでもキュルケでも、店主のものでもない
何処から聞こえたのかと辺りを見回す中、店主だけが声の主に視線を向ける
「しかしこの前のまな板娘といい、自称吟遊詩人といい、変な客ばっかりきやがるな、このボロ店は。」
「おい、デル公。何気にうちの店の悪口まで言うんじゃねぇ!!」
店主が怒る先を見ると、幾つかの武器が入った樽があった
その樽の中にある一本の剣が、声を発していたようだ
「剣が喋った…まさか、ソーディアンか?」
「ソーディアン?違いまさぁ、こいつは意思を持つ剣・インテリジェンスソードでさぁ。」
確かによく見てみると、自分が知っているものとは違うものだった
だが興味を持ったクラースは、その樽に入った剣を手に取る
「物言う剣か…此処の魔法はこんな物を作る事も出来るのか。」
「おいてめぇ、俺はこんな物なんかじゃねぇ。デルフリンガー様だって…。」
そこまで言った時、デルフリンガーと名乗った剣は急に黙り込んだ
しばらくして、驚いた口調で再び喋りだす
「おでれーた、アンタそんなイカレタ格好してて『使い手』かよ!?」
使い手…物言う剣、デルフリンガーはクラースの事をそう呼んだ
「イカレタ格好ではない、これは召喚術を……使い手?」
お決まりの文句を言おうとしたが、その言葉に口を止める
使い手とは、不思議な事を言うものだ…この剣は
その意味について尋ねると、剣はカタカタと音を立てながら話を続ける
「なんでぇ、おめぇ自分の事を良く解ってねぇのか?」
解らないから聞いているのだが…ふと、クラースは自分の左手に目をやった
左手の甲に刻まれたガンダールヴのルーンが、淡い輝きを放っている
「ガンダールヴのルーン…まさか、これと関係しているのか?」
「ん、そいつは………なんだっけ、思いだせねぇや。」
一瞬だけ期待が膨らんだのだが、すぐに拍子抜けの台詞が返ってくる
「おいおい…解ってないのはお前さんの方じゃないのか?」
「仕方ねぇだろ、六千年も生きてんだから物忘れの一つや二つするってもんだぜ。」
呆れるクラース…だが、ガンダールヴとは何かしらの関係がありそうだと思った
それに口は悪いが物言う剣という事もあり、これを買うには十分な理由となった
「店主、悪いがこの剣を売ってくれないか?」
「ええっ、そんな錆びた剣を!?」
これに驚いたのはキュルケだった…驚くのも無理はない
知性を持った剣とはいえ、刀身は錆びている…使い物になりそうにないからだ
ましてやクラースは術師なのだから、剣なんか使う必要はない
「少しばかりこいつが気に入ったからな…で、いくらだ。」
「うーん…まぁ、折角の厄介払いって事で、100エキューで結構ですぜ。」
店主もこの剣の扱いに困っていたらしく、簡単に売ってくれた
しかし、100となると現在の所持金の半分…少しばかり高い買い物だ
「うーむ、出来ればもう少し…仕方ない、あれを使うか。」
クラースは道具袋に手を入れ、ある物を手に取った
それを使用すると、再度店主に尋ねる
「店主…悪いが、その剣をもう少し安く売ってくれないだろうか?」
その時、店主の目には先程とはクラースが違って見えた
どう見えるかと言うと、素敵に見えるのだ…思わず、値引きしたくなるほどに
「へぇ、それはその…えぇ〜、50で如何でしょうか?」
「うーん、もう一声……30で駄目かな?」
爽やかなスマイルでクラースが値段を下げるよう頼むと、ブルブルと店主は震えた
「わ、解りやした、30でお売りいたしやすです、はい。」
交渉成立、クラースはカウンターに金貨を30枚置いた
鞘を貰ってそれに剣を収めると、2人は店を後にした
「どうしたのかしら?先生が急に素敵になって、そしたら剣が急に安く…。」
「ああ、種明かしをすればこういう事だ。」
クラースは道具袋から壷を取り出し、それをキュルケに見せる
「それは?」
「これはミラクルチャームと言って、品物を半額にする効果があるんだ。」
使用者の素敵度を上げてくれる薬…上手く効果が作用して、半額以上になったが
「しかし、酔狂な奴だなあんたも…メイジの癖して、俺みたいな錆びた剣を買うなんてよ。」
ミラクルチャームを戻すと、手元からデルフリンガーが喋るのが聞こえてきた
クラースは鞘からその刀身を抜くと、全体を見ながら話を続ける
「先程言ったように君に興味を持ったからな…それにその刀身、君自身の力による物だろ?」
「へぇ…お前さん鋭いじゃねぇか。よく見せ掛けだって解ったな。」
クラースの言うとおり、その刀身が錆びているように見えるのはデルフリンガーの力によるものだ
何処からどうみても本物の錆と変わらず、普通はそんな違いには気付かない
「観察力は良い方だからな…で、それを元に戻さないのか?」
「ん〜、そいつは……わりぃ、その方法も忘れた。しばらくしたら思い出すだろ。」
カチカチと、?の金具を笑っているかのように鳴らす
「全く、しょうがない剣だな…早く思い出してくれよ。」
鞘に刀身を収め、デルフリンガーは道具袋の中へと片付けられる
予想外の収入を得たが、本来の目的は果たせなかった…なので
「まぁ、取りあえずは…今度はちゃんと本屋にいくとするか。」
今度は本屋へ向かって、2人は足を進める事となった
「ほぅ…中々良い本が揃っているな。」
クラースはこの王都でも多くの蔵書量を誇る本屋で、買うべき本を探していた
一冊一冊を手に取り、ページを幾分か捲っては次の本へと手を伸ばす…
その後ろでは、キュルケが置いてある椅子に座ってその様子を眺めていた
「先生、あとどれくらい掛かりますの?」
「ああ、もう少し…もう少しだけ待ってくれ。」
キュルケの問いかけにそう答えてページを捲るクラース…これで三度目だ
もう一時間以上もこうしているので、キュルケも退屈になってきた
「本を読む先生の姿は様になるけど…流石にそればかりじゃ飽きてしまうわ。」
何か、面白いものはないのかしら…と、本屋の中を見回してみる
そんな時、急に空腹感を感じた…そろそろ昼食の時間だ
「そろそろお腹が空いてきたわね…先生、何処かで食事でも…。」
「もうちょっと待ってくれないか…どっちを買うべきか迷っているんだ。」
クラースは2冊の分厚い本を見比べている…かと思ったら、別の本へと視線を伸ばし始めた
この調子ではまだまだ時間が掛かりそうで、ゆっくりと食事とはいかなそうだ
「でしたら、私パンを買ってきますわ…この近くに美味しいパン屋がありますから。」
「そうか…なら、私の分も買ってきてくれ。金は後で払うから。」
解りましたわ、と了承してキュルケはパンを買いに書店を後にする
彼女が去った後、道具袋からデルフリンガーの声が聞こえてきた
「おい、相棒…お前女の扱いが下手だな、あれだと嬢ちゃんに愛想つかされるぜ。」
「別に構わないさ…私へのアプローチも、彼女にとっては一時の娯楽だろうからな。」
とはいえ、彼女のリクエストも答えないと指輪を貸してくれないかもしれない
もう少し彼女の話を聞いた方が良いかな…等と考えていると、ある物が目に入った
それは、太くて真っ白い、クラースには馴染みのある物…
「ダイコン?何故こんな物が此処に…。」
此処は本屋であって、八百屋ではない…気になったクラースはそれに近づこうとした
その手がダイコンに触れようとした時、突然ダイコンから煙が上がった
「うわっ…な、何だ!?」
「ハーーーーッハッハッハッハ!!!!!」
クラースの疑問に対し、妙にテンションの高い笑い声が聞こえてくる
煙が晴れると、そこにいたのはダイコンではなく、一人の男だった
マントを羽織り、巨大なフォークを持ち、『W』のマークがついたコック帽を被っている
「な、何だ、君は!?」
「料理の才を持つ者よ、私は君達を待っていた!!」
クラースの問いかけに答えず、不審な男は勝手に話を進め始めた
「私の名はワンダーシェフ、料理の才ある者にレシピを伝授する、不思議料理人だ。」
「ワンダーシェフ?不思議料理人?」
聞いた事のない言葉に、デルフは訳が解らなかった。
だが、クラースはその名に聞き覚えがあった
「ワンダーシェフ…聞いた事があるぞ。様々なモノに擬態し、それを見破った人間にレシピを教える風変わりな料理人がいると。」
「へぇ…相棒も変な奴だと思ったが、他にもこんな変な奴がいるんだな。」
「ん…おおっ、君は。」
ワンダーシェフはクラースを見るや否や、ずずいと彼に近寄ってくる
「君、ひょっとしてグルメマスターの称号を持っているんじゃないのか?」
「ま、まあな…覚えられる料理は覚えるだけ覚えたが…。」
思わず後ずさるクラース…しかし、ワンダーシェフはしばらくクラースを見た後、顔を横に振る
「甘い、君は甘すぎる…まだまだ料理の道は長く、険しいもの…それ位のレシピでグルメマスターを名乗るのは早すぎる。」
「そ、そうなのか…。」
「故に…そんな甘い君には、甘いフルーツたっぷりのフルーツサンドの作り方を教えよう。」
ワンダーシェフは懐からフルーツサンドのレシピを取り出し、クラースに渡す
受け取ったレシピを見てみると、確かにまだ覚えた事はない料理の事が書かれていた
「また会う事があれば、再びレシピを伝授しよう…それまで、さらば!!!」
マントを翻すワンダーシェフ…その直後に彼は煙に飲まれ、消えてしまった
「消えちまったな…一体何だったんだ、ありゃあ。」
「まあ、貰った物はまともな物だったが…それよりも、早く買い物をすませよう。」
そう言って、再びクラースは本を探す作業へと戻った
一方その頃、キュルケは件のパン屋へと足を運んでいた
まだ話でしか聞いた事がないので、少しワクワクしながら店の扉を開ける
「いらっしゃいませ。」
店の中に入ると、可愛らしい金髪の少女がキュルケを出迎えた
最初は元気な声と笑顔だったが、彼女の風貌を見て顔を曇らせる
「あの…もしかして貴族の方、ですか?」
「そうだけど…別に硬くならなくて良いわよ、パンを買いに来ただけだから。」
楽にして、と言ってキュルケは店内に入り、カウンターに並べられているパンに目を配った
「へぇ、見た事ないものが多いわねぇ…。」
その言葉通り、店に並んでいる殆どのパンがこの辺りでは見た事ないものだった
値段の方を見ると、そういったパンは普通のパンより高かった
「うーん…ちょっとパンにしては高いわね、もう少し安く出来ない?」
「すいません、材料の事とか考えたらこれが妥当な値段なので。」
「文句があるなら、買わなくて結構だ。」
値段の事を話していると、店の奥から一人の少年が姿を現した
銀髪に独特のタトゥーを顔につけており、表情は見るからに不機嫌そうである
あら、良い男じゃない…とキュルケが反応する中、少女は困った顔になる
「お兄ちゃん、またお客様に喧嘩売るつもり?」
「別にそんなつもりはないさ…迷うくらいなら、買わない方が良いだろ?」
「あら、貴方達兄妹なの?」
その言葉には、似てないというニュアンスが込められている
実際、二人には兄妹にしては似ている所が全然ない
「本当の…ってわけじゃないんです。私が兄のように慕っていて…。」
「俺とシャーリィが本当の兄妹じゃないからって、あんたが困る事じゃないだろ。」
貴族相手に噛み付くような物言いに、キュルケは内心驚いた
そんな彼をお兄ちゃん、と少女が口調を強めて宥めようとする
「また問題を起こしたら、今度こそ大変な事になるよ。クロエだって…。」
「わ、解ってるさ、解ってるけど…じゃあ、俺は奥でパンでも作ってるよ。」
そう言い残し、少年は奥のパン工房へ姿を消した
彼が奥に入ると、少女はキュルケに深々と頭を下げる
「ごめんなさい、最近態度が悪いお客さんが多かったから…お兄ちゃん、不機嫌になっちゃって。」
「態度の悪い客?そう言えば、さっき問題がどうとか…」
「はい、その殆どが貴族の方で…パンを買い占めようとしたり、お兄ちゃんを無理やり専属の職人にしようとしたり、私を…。」
「ああ、解ったわ…それ以上言わなくても良いから。」
随分と貴族から酷い事をされたらしい…だから、自分が此処に来た時も顔を曇らせていたのだ
「全く、トリステインの貴族って品がないわね…貴族の恥さらしだわ。」
自分もそうだと思われた事に少し憤慨したが、キュルケはジッと並んでいる商品を見つめる
そして、自身の財布から硬貨を数十枚取り出して少女に渡す
「これとこれとこれ、あとこれお願いね…お金はそれで足りるでしょ?」
「あっ…はい、大丈夫です…ありがとうございます。」
シャーリィはお金を受け取ると、急いで彼女が選んだ商品を袋につめた
そして御釣りと一緒に、パンの入った袋を渡す
「はい、どうぞ。」
「ありがとう…あら、他のパンも幾つか入ってるけど?」
「それは、さっきお兄ちゃんが失礼な事を言ったからそのお詫びに…。」
「良いわよ、そんなの…嫌いなんでしょ、貴族が?」
キュルケの言葉に対し、シャーリィは首を横に振る
「それだけじゃないです…お客さんが今まで会ったどの貴族の人より良い人だと思ったから。」
ちゃんと買い物をしてくれた貴族は彼女が初めてだったので、シャーリィはそう思った
その事を伝えた彼女の顔は、最初に見せたのと同じ笑顔であった
それを見て、自然とキュルケも笑みを浮かべる
「フフ、そう言われるのも悪い気はしないわね。また今度も、この店のパンを買わせて貰うわ。」
「はい、今後とも『ウェルテス』をよろしくお願いします。」
シャーリィに見送られ、キュルケはウェルテスを後にする
そして、今もクラースがいるであろう本屋へと戻るのだった
支援……って、ひょっとしてさるさん?
………………
「美味しい!!」
ウェルテスで買ったパンを食べ、キュルケの歓喜の声が上がる
あれから、クラースはようやく本を買い揃え、この噴水広場で食事を取る事となった
空いているベンチに座り、2人は先程ウェルテスで買ったパンを食べる
どれも絶品で、そこらのパンとは比べられない味だ
「これ、あの子のお兄さんが作ったのよね…口は悪いけど、腕は確かだわ。」
「確かに、中々美味いな。」
クラースは相槌を打ちながら片手でパンを食べつつ、買ってきた本を読んでいた
「先生ったら、こんな時まで本なんか読んで…行儀が悪いですわよ。」
「ああ、悪い悪い…しかし、こいつは中々に面白い記述があってね。」
読んでみるか、とクラースはキュルケに自分が読んでいた本を差し出す
彼女はそれを受け取ると、ペラペラとページを捲っていく…
が、数秒後には本を閉じてしまった
「はぁ、専門過ぎて全然解りませんわ。恋愛ものなら読めるのだけど。」
「だらしないな…恋愛を楽しむのも良いが、もう少し勉強したらどうだ?」
得た知識は役に立つぞ、そう言って再びクラースは本を読み始めた
そうかしら、と思っていると目の前を小さい何かが通り過ぎていった
「うきゅ、うきゅきゅきゅ!!!」
鳴き声をあげるそれは、エメラルドグリーンの体毛をした奇妙な生き物だった
体格は一mほどで、愛らしい程丸っこいその生き物は必死に走っている
「待って〜〜、待つのね〜〜〜〜!!!」
その生き物を追って、今度は青髪のメイドがキュルケの視界を横切る
一匹と一人のメイドはそのまま向こうへとその姿を消した
「何だったのかしら、今の?」
見た事のない生き物に、それを追うメイド…その間もクラースは本を読み続けていた
多分、どこかの貴族のペットが逃げ出して、メイドがそれを追っているのだろう
そういう事で納得すると、キュルケは今クラースをどう攻略するか考える
「……ねぇ、クラース先生。」
まずは密着するまで寄り添い、クラースの腕に胸を押し付けながら抱きつく
「本ばかり読んでないでもっと楽しみましょうよ…色々とね。」
そして、耳元近くで甘い声で呟く…彼女お決まりの堕とし方法だ
全く、この子は…と呆れるが、ふと前から気になっていた事を口にする
「そう言えば、君とタバサは友人らしいが…二人は一体どういう経緯で友人になったんだ?」
寡黙で学院では殆ど目立たないタバサと、その美貌と色香で周囲の男性を惑わせるキュルケ
性格も容姿も、全く繋がらない二人が友人である事がクラースには解らない
「あら、クラース先生が私に興味を抱いてくれるなんて嬉しいですわ。」
「別にそういう訳じゃないんだがな…話したくないなら、別に構わないが。」
「いいえ、折角ですもの…あれは……。」
キュルケは立ち上がると、クラースの正面へと移動する
そして、笑顔で自分達の出会いを話そうとした時、突然彼女の身体がぐらついた
何事かとクラースが確認すると、彼女の隣に金髪の少年の姿があった
「ご、ごめんなさい…急いでたから。」
少年はおどおどしながらキュルケに謝る…どうやらこの少年が彼女とぶつかったらしい
服装は所々に継ぎ接ぎがなされており、貧しい平民を思わせる
「もう、危なっかしいわねぇ…今度からは気をつけなさい。」
「は、はい…すいませんでした。」
再度謝ると、即座に少年はその場を立ち去っていった
さぁ、仕切りなおして…と話をしようとした時、声が聞こえてきた
「だ、誰か…あの小僧を捕まえてくれ〜〜〜。」
振り返ると、一人の男がふらふらと走っているのが見えた
やがて体力の限界がきたらしく、その場に座り込んでしまう
「どうした、何があった?」
「ぬ、盗まれたんです…俺の金を…あの小僧に…。」
あの小僧とは、先程キュルケとぶつかった少年らしい…息も絶え絶えに男は答える
「あら、ご愁傷様ね…でも、私達には関係のない事よ。」
別に人助けをするつもりがないので、キュルケは男の願いをあっさりと切り捨てた
その言葉に、男はすがる思いで助けを求める
「そ、そんな…あの金は、王都で店を始めるのに必要な物なんです。だから、貴族様の魔法で…」
「盗人を捕まえたいなら、衛士に頼むのね…私達は私達で忙しいんだし。」
彼女の言葉に男は酷く落胆するが、クラースは一つ気になる事があった
「確かにご愁傷様だが……キュルケ、何か盗られてはいないのか?」
「そんな筈ありませんわ。私はあんな子に盗まれる程甘くは…。」
「いや、さっきあの子とぶつかったからな…万が一という事もある。」
その言葉に、キュルケは念の為に盗られた物がないか服の中を探ってみた
ごそごそと確認してみて、ある物が無くなっている事に気付く
「あ、あら…炎のガーネットがありませんわ。」
「何、よりにもよってそれをか!?」
周囲を見渡してみるが、何処にも指輪は落ちていない
やはり、ぶつかったあの時に盗まれてしまったのだろう
「これは、何が何でもあの子を捕まえないといけなくなったな。」
「あっ、あの…よろしければ、私めの金も取り返してください。」
お礼はしますから…と、頭を下げて男は頼み込んできた
兎に角、二人は指輪を取り戻すべく、少年が走り去った方向へ向かった
………………
「はぁ、はぁ、はぁ…何とか逃げ切れた。」
大通りの物陰に隠れ、少年は一休みをしていた
手には男から盗んだ財布と、ガーネットの指輪がある
「でも、どうしよう…さっき貴族の人とぶつかった時に、思わず拾っちゃった。」
本当は、この指輪を盗むつもりは無かった
あの時、無我夢中だったから…誤って、キュルケから零れ落ちたこの指輪を取ってしまった
今更返しにもいけないし、どうすれば…
「でも…これだけあれば、きっと……。」
男から盗んだ財布には、金貨がぎっしりと入っている
盗みは悪いけど、今自分にはお金が必要なのだ…それも大金が
一先ずの休憩を終え、とりあえず少年はすぐにでも家に帰ろうとした
「そこの少年、待ちたまえ!!」
だが、丁度その時少年を追ってクラースとキュルケがやってきた
貴族が追ってきた…それに恐怖した少年は、急いでその場から逃げ出す
「逃げるか…キュルケ、魔法でどうにかならないか?」
「無理ですわ、距離がありますし…何より、人が多すぎますわ。」
流石のキュルケでも、今回ばかりはどうにもならないらしい
「そうか…私もこんな街中で召喚術は使いたくはない…なら、手段はたった一つだな。」
そう言うと、クラースは少年を見る…この道を真っ直ぐ、人混みにまぎれて逃げている
それを確認した直後、クラースは軽く準備運動を行う
「クラース先生、まさか…走って追いかけるんですの?」
「それしかないからな…私があの子を捕まえてくるから、君はさっきの広場で待っていてくれ。」
「あっ、先生!?」
そう言い残し、クラースは少年を追って走り出した
何か言おうと手を伸ばすキュルケだが、もうクラースは遠くまで走っていってしまった
人々が行き交いして賑わう大通り…その中を少年は駆け抜けていった
巧みに障害物と通行人を避け、スピードを落す事なく逃げ続けている
そんな少年の後を追って、クラースも全速力で走っていた
「あの少年、早いな…一向に距離が縮まらん。」
「そんな奴を追いかけるだけの足を持ってる相棒も、中々ガッツがあるじゃねーか。」
「しかし、長引けば逃げられるな…正直かなりキツイ。」
だんだんと疲労感が蓄積されてくる…以前よりスタミナが無くなっているのを感じた
歳はとりたくないな…等と考えつつも、全速力で追いかけ続ける
「えいっ!!」
そんな時、少年は道端に置かれている木箱を蹴り倒した
中に入っていた果物が地面に散らばり、クラースにとって障害物となる
「よっと。」
だが、クラースはそれらを飛び越える事で難なくやりすごした
それを見ると、少年は左脇へと移動し、急にその姿を消した…裏道へと入ったようだ
「裏道に入ったか…これは好都合だ。」
少年は複雑に入り組む裏道を使って逃げ切ろうと考えているのだろう
だが、人が少ない裏道なら召喚術を使う事が出来る
裏道に入ると、早速シルフを呼び出す為にクラースは走りながら詠唱を行う
「………出でよ、シルフ!!」
詠唱を完成させると、クラースの周りに3姉妹が空中を飛行しながら姿を現す
「シルフ、悪いがあの少年を捕まえてくれ。」
『解りました。』
早速の指示に頷くと、シルフ達は先行して少年を追いかけた
少年がどんなに速く走る事が出来ても、人間の足では風には及ばなかった
距離はあっという間に縮まり、彼の目の前にセフィーが立ちふさがる
「うわっ、何だ!?」
『止まりなさい、これ以上逃げても無駄です。』
セフィーが勧告するが、それでも少年は逃げようと横道に入ろうとする
だが、その足元へユーティスが矢を射掛けた
『これ以上逃げるんじゃないよ、マスターに手間かけさせといて…。』
『すいません、諦めてください。』
三姉妹は完全に少年を包囲する…少年はその場に腰を落すしか出来なかった
「な、何、これ……妖精!?」
「はぁ、はぁ、はぁ…ふぅ、ようやく追いついたな。」
「すげぇな、相棒…あんな凄いのを使えるなんて、てーしたもんだ。」
「ひっ!?」
息を少し切らせながら、ようやくクラースが少年に追いつく
少年は恐怖に顔を歪めながら、クラースに向かって土下座した
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、許してください、もう二度としませんから。」
そして、必死になってクラースに謝る
無理も無い、貴族相手にスリなんかして生きていられる筈がないのだから
クラースはシルフ達を下がらせると、土下座する少年の下へ歩み寄る
「だったら、最初からするんじゃない…さあ、盗んだものを返すんだ。」
「は、はい。」
少年は懐に隠していた財布と指輪を取り出し、クラースに渡した
「ん、確かに…他には何も盗ってはいないだろうな?」
「はい、それだけです……じゃあ、僕はこれで…。」
これで終わったとばかりに、少年はその場から立ち去ろうとする
だが、クラースは少年の肩を掴んで逃がさなかった
「こら待て…罪を犯した以上、それで終わりというわけにはいかんぞ。」
「そ、そんな……。」
「今更後悔しても自業自得だ…さあ、来るんだ。」
「ううっ、母さん…姉さん……。」
厳しいが、彼が犯した罪を見過ごすわけにはいかない
クラースは涙を流す少年の手を引っ張って、広場へと戻るのだった
魏延……じゃなくて支援!
投稿終了、今回はトリスタニアの一日を5つに分けて投稿します
次回は才人の視点からのストーリーとなります
今度出るなりきりダンジョンXとの整合性はあまり考えてません、殆ど旧作設定で行くつもりです
では、また次回をよろしくお願いします
投下乙
トリスタニアが人外魔境になってるw
罪は裁かれなければならない
相手が涙を流し情に訴えたとしても
数千人が路頭に迷い自殺に追い込まれたとしても
たとえやむを得ぬ事情の最後の手段であったとしても
情に屈する者は罪に関わってはいけない
公正を守る番人は人であってはならない
〜ダンザイバーのテーマ〜
イ・プラセェルでの激闘を終え、束の間の平穏をパートナーのユリィ、ルリィと共にすごす
ダンザイバーこと神鏡衝
そんな彼の前に、新たなる異世界への扉が開かれる
次回、新番組「完全懲悪ダンザイバー・ZERO」
〜新たなる呼び声、ヒーローは再び異世界の戦場へ〜
虚無の魔法使い・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 登場
に、ダンザイ……バーストッ!
暇だったからやった、嘘予告にもならん小ネタ以下でのスレ汚し、失礼
テイルズの人GJ!
しかしワンダーシェフで盛大にフイタwww
双騎士の人、乙
バハラグは友達から借りてやったことあるけど、子供心にすごく複雑なゲームだった。
あと、やっぱりマスタードラゴンは、それまで苦労して育ててきた努力がなんというかなあ…
>>69 さて、ここでプレゼントのお知らせです。あの人気声優、関智一さんのサイン入り色紙を抽選で5名にプレゼント。
希望の方は官製はがきに住所、氏名、年齢、電話番号、SSの感想を明記の上、
今表示されている宛先まで送ってください。当選者の発表は発想をもって代えさせていただきます。
当日消印有効です。
そういえばダンザイバーは零着だったな。
関智一が演じたキャラが召喚されたSSを書いてください↓
→
アリアンロッド・サガのアル・イーズデイル
どちらかというと、ティナ・アヴェルシアお母様とカリンお母様の方が面白そうか
テイルズの人更新お疲れ様で〜す♪
トリスタニアが凄い事に(汗)
なりきりダンジョンXは楽しみですね。
そいえば、小説版のキャラクターって出ます?
古代松(琥珀)の精霊アレフとか、すずが主役の『テイルズオブファンタジア魔剣忍法帖』とか。
ティナ様召喚とか恐れおおいにも程がある。
【氷漬けで春日恭二と並べられて】
クラースの人乙です。
やっぱなりダンXネタはなしの方向か…まあロディとかエトスとか、
色々と根本から変わりそうな要素が多いかえあ仕方がないですね。
テイルズの人、乙でございます。
ゼブラーマンこと、市川新市を召喚。
映画版か、山田玲司の漫画版かで
展開が全く違ってきそう。
・・・そういえば、映画版のゼブラーマンは
他の世界でも超能力が使えるのだろうか?
ウルトラ・スーパー・デラックスマンZEROの続きはまだですか?
>>73 そういえばひさぶしりに来てみたら「爆熱の使い魔」が無くなってるのですが
どっか他所に行かれたんでしょうか
あとるるるの人も
昔有った騒動でここから撤収
今忙しいから余裕が出来たら自分でどっかでやると言ってた気がする
セーラームーンからはルナくらいしか呼ばれてないよね。
シエスタやモンモンのセーラー服でさえあれなんだから、セーラーチームの誰か一人でもあのきめポーズをやられたら
ギーシュなんかは鼻血ぶっこいて気絶するのがすぐ目に浮かぶ。
誰か一人を呼んだとして、残りのセーラーチームは現地採用するとしたらマーズはキュルケでマーキュリーはタバサでガチ、
ちびうさはエルザで、うさぎの代わりは金髪ツインテールつながりでベアトリス、残りのメンバーはアニエスがウラヌスで、えーっと・・・
>>80 作者は今理想郷で暴れてるから当分来ない。
できれば永久に来ないほうがいい。
>>83 じゃあキューティーハニーでも呼んだ日にはギーシュやマリコルヌは失血死するな
前から疑問だったんだが、興奮しすぎて鼻血を出すって実際に有り得るのか?
>>87 マンガのようにぶーっと吹き出すのは置いておいて、興奮して血流が多くなると、鼻の毛細血管が切れることはある。
疲れてる時に血圧が高まると出たりするけど。
空砦2巻のラストを受けて、大惨事発生装置こと、ファラウスとアルゲルのダブル召喚というのはどうだろうか?
平和なハルキゲニアを見て二人は何を思うか……
真っ先に考えられるのは、ハルキゲニア征服計画かなあw
ハルキゲニアじゃなくてハルケギニアね。
世界征服なら、やっぱり学級王ヤマザキを召喚かな。
美少女ばっかりの魔法学院に召喚されてウハウハのヤマザキ、しかし時空をも超えてやってくる苦院エリカ。
よし1/nのゆらぎからカミッツ召喚しよう。
しかしデルフは嫌われる。
93 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/06/30(水) 16:42:38 ID:CHyKj+mr
だからFSSからアマテラス召喚してくれよ
sageもできんやつにはなんも言う資格はなし。
でんじゃらすじーさんから最強さん召喚、ある意味すべてが台無し。
スルースキルが足りていないぞ
だからFSSからアマテラスの召喚してくれよ
で、誰が天の岩戸の前で踊るんだ?
ルイズの体じゃ満足してくれないぞw
なぁに、出てこんなら、出てきたくなるようにすればいいだけのこと
炙り出しとか……
って魚屋勇者のネタが浮かんできた
ファイブスターストーリーズからアマテラスの帝を召喚してくれよ
ファイターズヒストリーに見えたw
あの濃い連中が来たらギャグにしかならんなぁ…
ごっついエクスプロージョンじゃあ!
魚屋は割と定期的に話題になるなあ。
>>101 あいつだとガンダのルーンがあろうが、M-72の使い方が分からない気がするんだよなw
まあ分かっても使わないだろうけど(武器を使うのはひきょうもんや!とか言ってるし)
全力でごっついタイガーバズーカ撃ったらフーケのゴーレムの胴体に
それなりの大きさの穴ぐらいは開きそうだから素手でもなんとかなるだろwww
>>102 コミックスさえ手に入れば短編でもやってみたいんだがなぁ……
>>81 るるるの人は自分のhpに書いたものを移しているよ。
ググってみよう
>>80 ウルトラ・スーパー・デラックスマンZEROの作者です。
ご要望とあらば、書きます。
でもまとめサイトの管理人が意地悪するから、そちらには掲載されないんです。
拒否に1票
いらないよ
書かなくていいよ
つーか書くな
108 :
小塚誠英:2010/06/30(水) 21:56:52 ID:X+tYv3GH
自演に1票
書きたいのなら 『なろう』でやれ。
出入り禁止の書き手が ここで書くメリットは 何も無い。
一括削除されたが、避難所でも同様にレスし、貴方も同意した。
繰り返す。『なろう』でやれ。
>>105 二回消されたんでしたっけ。三回?
度が過ぎた拒絶とも見えなくもないかもしれません。
とは言っても、お可哀想なことですが
顔を見せる度にスレが荒れかけるのも事実ですし
ねぃ…
出来る限り書き手の自由は尊重したいと私も常々思っているのですが。
すこし期間を置いて、改めて匿名で書くのが良いのでは?
なんで俺が折れなきゃいかんのだ! とお思いになるかもしれませんが…
スルーしようぜ
>>110 避難所の時に思いっきり挑発して荒らした人間がそんな自重できるわけないじゃん
読者に奴隷野郎って言うのが大好きな荒らしだよ
何
故
そ
こ
で
改
行
す
る
拒否されない=受け入れられてる=投稿おk と判断されても困るだろ?
22:50から無重力巫女の人の代理を予約しておk?
ベッドに身体を沈め、瞼を閉じて夢の世界に入り込んだルイズを待っていたのは、女性の声であった。
――――まだ何も解決はしていないわ。むしろこれからってところね
ルイズはその声に聞き覚えがあった。八雲紫の声だ。
霊夢と魔理沙のいる幻想郷を創った大妖怪で、同時にこれからのルイズの生活を大きく変えるであろう存在。
彼女の声には妙なエコーが掛かっており、瞬時にこの言葉が二日前のもの――つまりは過去の事なのだと理解した。
二日前、幻想郷に霊夢と共に連れてこられ、一日の時を置いてから紫が何人か集めて小さな会合を開いた。
それは今後の霊夢が何をするべつきかを的確に指示し、同時にルイズはその内容に驚愕したのである。
その時の事をふと思い出しそうになったが、その前に再び紫の声が夢の世界を漂うルイズの頭の中に入り込んできた。
――――――確かに貴女がゲートを開いた。でも結界を侵食したのは貴女よりも遥かに上の存在よ
…貴女はキッカケだったのよ。貴女だけの力では貴女のいる世界と幻想郷をすぐに繋げることなんて至難の業よ。
事実、わたしだっても見つけるのには相当苦労したしね
紫がそう言った後、今度は幼くも何処か危険な雰囲気を孕んでいる声が聞こえてきた。
―――つまり、「貴女を煮ようが焼こうが異変は解決しない」という事よ。むしろもっと悪化するかもね
その声にまたもや聞き覚えがあったルイズの身体を寒気が走り、無意識に自分の身体を軽く抱きしめた、
レミリア・スカーレット――――幻想郷で紅魔館という巨大な館の主をしているという吸血鬼。
最初に出会ったときは吸血鬼だということに驚きはしたが自己紹介の後、こんなことを言ってきた。
「安心しなさい。苛立ちはしているけれども、今の私は貴女にそれ程の殺意は抱いていないわ」
そんな事を言われる前に杖を向けてお付きのメイドに腕を捻り上げられたうえ、ナイフを向けられた後にこの言葉である。
絶対嘘でしょ。と思いつつも彼女の身体から溢れ出る威圧感にそのときのルイズはただただ頷くことしか出来なかった。
今度は、やけに落ち着いた感じの声が聞こえてきた。
―――要は、逆に貴女を私たち側に引き入れて霊夢の案内役を兼ねた仲間になって欲しいということよ
この声の主は八意永琳と名乗る薬師であったとルイズは覚えていた。
次に、紫の声が再び頭の中に響いてきた。
――――流石月の頭脳といったところかしら?こちらの考えは大体予想していたようね
苦笑しながらもそう言った紫に、永琳は肩をすくめながらもこたえる。
―――――ついさっき思いついた事を口にしたまでの事よ。頭のお堅い吸血鬼とはワケが違うわ
小馬鹿にするかのような永琳の言葉に、すぐさまレミリアが殺気の篭もった目つきで永琳の顔を睨み付けた。
――…おまえ。この私を怒らせたいの?
段々と恐ろしくなっていくその場の雰囲気を止めたのは、一人の亜人と人間の少女であった。
―――お嬢様。それくらいで怒っていては軽く見られてしまいますよ
ミニスカートのメイド服を着た銀髪の少女は、落ち着いた口調でレミリアを宥めた。
レミリアはメイドの言葉にすぐさまハッとした顔になると、軽く咳払いをした。
――いけないけない…あれだけ熱くなるなとパチェに言われてたわね…助かったわ咲夜
咲夜と呼ばれたメイドの少女はレミリアに頭を下げた。
――し、師匠…何もこんなところで挑発しなくても良いじゃないですか…?
一方、兎の耳を頭に生やした鈴仙は少し怯えた声で永琳にそう言った。
自分の弟子の言葉に永琳は笑顔を浮かべ、されど何も言わずに肩をすくめた。
そんな時、一色触発寸前だったというのに何言わずにその様子を眺めていた霊夢が、ふと口を開いた。
――――つまり、私はこのルーンをつけたままあの世界にまた戻れっていうわけね
少し嫌悪感が混じった言葉を口から出しつつ、霊夢は左手の甲についた使い魔のルーンを紫に見せる。
それは、ハルケギニアでは神として崇められている始祖ブリミルの使い魔、ガンダールヴのルーンであった。
紫は霊夢の言葉に頷くと、ルイズの方へ顔を向けて喋り始めた。
―えぇそうよ。…キッカケとはいえ、幻想郷とハルケギニアを繋いだ力を持った彼女の力は凄まじい。
恐らくは今後、そんな彼女を狙って色んな連中がやって来る。
そしてその中に、もしかしたら今回の異変の黒幕が関わってくるのは間違いないわ。
そんな彼女の傍にいれば自ずと黒幕の方からにじり寄ってくるわよ
今度はレミリアの声がルイズの頭の中に響いてくる。
――貴女の運命は今正に急展開と言って良いほどの動きを見せている。
博麗の巫女を使い魔にする程の力を持っているのに、自分を卑下する事は無いわ。
それに…
そこまで言って一息ついた後、レミリアは次のような言葉を口にする。
それは、幻想郷の住人達を前にして多少なりとも狼狽えていたルイズに自信を付けさせる程の威力を有していた。
――霊夢の左手には貴方達の種族が『伝説』と呼んで崇める存在が使役した使い魔のルーンが刻まれているんでしょう?
という事は、貴女にはそいつと同等の力をもっているという事じゃないかしら。貴女がそれを自覚していないだけで
パチンッ!
◆
「ん…んぅう…」
耳の中から入ってきた強烈な音に、ルイズは夢の世界から無理矢理締め出されてしまう。
それは乾燥した小さな薪が火に炙られて弾ける音で、すぐに暖炉から発せられているのだとわかった。
妙に重たい瞼を無理矢理こじ開け、柔らかい手の甲で両目を擦りつつもルイズは上半身をゆっくりと起こそうとした。
しかし、ルイズの体は脳から伝わってくる命令に反して一向に起きあがろうとしない。
どうしたことかと思ったが、すぐにその原因が隣で寝ている魔理沙の腕が原因だと判明した。
長袖、長ズボンの青い寝間着を着ている彼女の頭を、ルイズは思わずどつきそうになる。
そうなる前に、軽く力を入れれば腕をどけれると知り、すぐさまそれを実行した。
ルイズの体に乗っかっていた魔理沙の腕はあっさりとどけられ、ルイズは上半身を起こす事が出来た。
上半身を起こしたルイズは枕元を探り、懐中時計を手に取った。
霊夢を召喚する前に街で買った物で、色々な細工が施されている。
まだ半分寝ぼけているルイズはとろんとした目で時計をトントンと軽く指で小突く。
すると懐中時計の中に仕込まれていたマジックアイテムが作動し、時計の針が光る。
暗いところでも時間がわかる時計で、裏にはメイドイン ガリアという文字が刻み込まれていた。
「午前4時50分。大分早起きしちゃったわね…」
時刻を確認し、大分早くに起きてしまったことにルイズは苦虫を踏んでしまったかのような気分になった。
きっと授業の最中に居眠りしてしまうだろうし、二度寝出来るほどの時間もない。
そんなルイズとは対照的に、彼女の隣で魔理沙はぐっすりと寝ており、更にはブツブツと寝言も呟いている。
「うふふふ…に勝ったぜ…うふ、うふ、うふふふふふふふ…」
まだ知り合って日が浅いが、少なくともうふふ…など彼女には似合わない笑い方であろう。
一体どんな夢を見てるんだと思ってたルイズは、ふとベッドから少し離れた所に置かれた大きなソファーへと視線を移した。
滅多に来ない来客用にと置いている大きなソファーで、毛布にくるまった霊夢が寝ていた。
※
一昨日の晩、シエスタが持ってきてくれた夕食を食べてからしばらくし、そろそろ就寝の時間帯となった頃。
入浴を済ませたルイズはネグリジェ姿に、後の二人は幻想郷から持ってきたそれぞれの寝間着(魔理沙はパジャマで霊夢は寝巻き)に着替えて寝ようとした。
そんな時、ふと霊夢がルイズと一緒に寝ていたベッドを見つめながら、こんなことを呟いた。
「流石に三人も入ると左右で寝る奴が危ないし、何より缶詰になるんじゃない?」
霊夢の言葉に、ルイズも同意するかのように頷いた。
ベッドはそれなりに大きく、やろうと思えば三人とも同じベッドで横になる事が出来る。
だがそれはあくまでギュウギュウ詰めになってまでも寝る必要など三人には無い。
さてどうしようかとルイズ達が思ったとき、ふと霊夢が部屋の一角に置いていたソファーへと近寄った。
柔らかい素材で出来たソファーは触り心地も良く、ベッドの代わりとして使っても問題は無い。
※
そんなわけで霊夢がこのソファーで寝るようになってから早二日が経っている。
魔理沙はというとルイズの隣で寝ることとなったが本人は一切文句を言わなかった。
むしろ「こんな大きなベッドで寝られるなんて夢のようだぜ」と喜んでいた。
ルイズは最初だけそのことに難色を示したものの、異性ではなく同性ならば大丈夫だとすぐに納得した。
何よりそれを断ると魔理沙の寝る場所が無くなってしまうので、実際には納得しなければならないという表現が正しい。
まぁ距離を置いて寝てくれるので、ルイズも彼女の隣で寝ることに関してはある種の安心を感じていた。昨日までは…
「流石に体の上に腕とか足とか乗せられたら安眠も出来ないわねぇ…っと」
ルイズはそんなことを呟きながらベッドから出ると、暖炉の傍に置かれたイスに腰掛けた。
もうすぐ夏が到来するがトリステインの早朝は気温が寒く、暖炉の火が未だに欠かせないのである。
勿論昨日の夜からずっと火をともしているわけではなく、寝る前にちょっとした火種を暖炉の中に入れていたのだ。
それは石から出来た使い捨てのマジックアイテムで強い衝撃を与えた後、長い間空気に触れさせると自然発火を起こすのである。
つい最近になって街で流行始めた物で、トリステインの人々から重宝されているのだ。
大きさによって火力も違い、この魔法学院で支給されている物はかなり小さめの物だ。
小さい物だと発火するのに時間が掛かり、ついてもすぐに消えてしまうがその上に枯れ草や薪を置いていれば長持ちしてくれる。
「ホント…これって便利よねぇ…ふわぁ〜」
ルイズは日々進化しつつあるマジックアイテムの恩恵に欠伸をしながら感謝しつつも、薪を一本手に取り暖炉に放り入れた。
暖炉の名かで何かが弾ける音を上げつつ燃え上がる炎を見つめていたルイズは、ふと先程の夢の内容を思い返す。
(何で今になって数日前の事を夢なんかで見たのかしら…)
もしかしたら昨日のアレが原因なのかも知れないと思ったルイズ、ふと昨日の事を思い出し始めた。
◆
それは、ルイズと霊夢がミスタ・コルベールに呼ばれて学院長室へと赴いた時のこと。
霊夢はもちろんの事、何故か魔理沙も好奇心を体中から発しながらわざわざ二人についてきたのだ。
最初の方はルイズがついてこなくて良いと言ったが、魔理沙は首を横に振った。
「私だってしばらくは霊夢と一緒にここでやっかいになるんだし。ここの先生の顔ぐらい見ても良いだろう?」
楽しそうにそんなことをいう白黒にじゃあ好きにしなさいと霊夢が言ったところ、「あぁ、好きにするぜ」と魔理沙は言った。
長い階段を上り終えて学院長室へとやってきたルイズたちを待っていたのは、ミスタ・コルベールと学院長であるオールド・オスマンであった。
というよりそれ以外の誰がいるのかとルイズは思いつつ部屋に入り、霊夢と魔理沙もそれに続いた。
霊夢はともかく、魔理沙の姿を見た二人は目を丸くし、ミスタ・コルベールがルイズに質問を投げかけてきた。
「ん?ミス・ヴァリエール、金髪の少女は誰なのですか?初めて見る顔ですが…」
ルイズがその質問に対して返事をする前に、魔理沙が頭に被っていたトンガリ帽子を取って二人に挨拶をした。
「私は霧雨 魔理沙。見ての通り普通の魔法使いだぜ」
年相応の少女の元気そうな声で形作られた言葉を耳にし、オールド・オスマンがある疑問を感じた。
sien
その疑問はコルベールも感じており、ルイズもまた初めて魔理沙と出会ったときに感じたものと全く同じである。
「普通の魔法使い…とな?」
今まで見たことのない不思議なモノを見た後のような呟きに、魔理沙は思い出したかのように言った。
「あっ、そういえばこの世界ではメイジって言うんだっ…―――ムググッ!」
このバカ!と叫びつつ、ルイズは咄嗟に魔理沙の口を右手で無理矢理押さえつけた。
突然のことにコルベールはキョトンとしたものの、オールド・オスマンはそれを見てホッホッホッ…と笑い始めた。
「えぇよ、えぇよ、ミス・ヴァリエール。儂はもうある程度の事は理解しておる」
優しそうな微笑みを浮かべながらそう言ったオスマンに、霊夢が目を細めた。
「アンタ…もしかすると気づいてるのかしら?―――私と魔理沙が何処から来たのか」
霊夢の口から出た言葉にルイズは思わず魔理沙の口を覆っていた手を離し、まさかそんなことが、と思った。
しかしそんなルイズとは逆に、霊夢は笑い続けているオスマンに鋭い視線を向けている。
そんな霊夢の視線の中にある質問に応えるかのように、オスマンは笑うのを一旦止め、言った。
「つい先日ぐらいにあったミスタ・コルベールと君の会話の事もあるが、儂はそれ以前に疑っておったよ?」
オスマンはそう言うと杖を手に持ち、軽く呪文を詠唱すると戸棚に向けて杖を振る。
杖を振った後、戸棚がひとりでに開き中から古めかしい一冊の分厚い本が飛んできた。
「おぉ、やっぱり杖を使う魔法使いは中々様になってるなあ…。―――ん?それって、まさか…幻想郷録起じゃないか」
魔理沙はこの世界に来て何度目かになるハルケギニアの魔法に目を輝かせていたが、その視線が本の方へと移る。
年季が入り、色褪せてしまってはいるがその本のタイトルに見覚えがあった。
こんな所で目にしようとは思っていなかった魔理沙は、無意識的にその本のタイトルを口に出してしまう。
「…!あ、あなたにもこの文字が読めるのですか!?」
それを聞いたコルベールは驚愕を露わにし、一方のオスマンは予想的中と言わんばかりに顔に笑みを浮かべた。
「やはりお主も、彼女と同じくこことは違う場所の生まれの者のようじゃのう」
そこまで言われて観念したのか、霊夢はやれやれと言わんばかりに首を横に振る。
ルイズはというと、二人のことを何処まで話したら良いのか悩んでいた。
これに関して紫に「信用出来ない、又は口の軽い人間には絶対に話さないように」と言われている。
ルイズはこの二人を教師として信頼しているし、何よりちゃんと他言無用の誓いは守ってくれそうだ。
そこまで考えたルイズはまず最初に霊夢の方へ視線を向けた。
すぐに此方を見ていることに気が付いた霊夢はルイズの方へと顔を向け、コクリと頷いた。
どうやら彼女の方も、学院長にこれ以上の隠し事は不可能だと判断したようだ。
霊夢からのOKサインも貰い、ルイズは大きな溜め息をついた後に口を開く。
「…わかりました。とりあえず話せることだけは話しましょう。
ただ、他言無用で御願いします。この二人の事をよく知っている者からの忠告ですので」
出来る限り事が重要なのだと思わせるためにルイズは少し強めの口調で言った。
オスマンとコルベールはお互いの顔を見合わせた後、頷いた。
「良いじゃろう。…そもそも人間を使い魔にする時点で何かしらあるとは思ってはいたが。どうやら事はそれ程軽くは無さそうじゃな」
先程の笑顔とは打って変わって真剣な表情でそう言ったオスマンに対し、コルベールもまた真剣な表情を浮かべて頷く。
「えぇ、何せ伝説と謳われる始祖の使い魔の゛ルーン゛が蘇ったのですからね…。確かに事は重要ですな」
☆
まずはルイズの話から始めることとなった。
彼女は、二人の教師に霊夢と魔理沙が幻想郷という、この世界とは別の世界から来たということを。
一度はその世界から迎えが来て霊夢と共にその世界へ赴いたのだが、事情があってすぐに戻ってきたということも話した。
幻想郷にほぼ丸一日いて゛すぐ゛という表現はおかしいのが、それは致し方ない。
実は自分と霊夢がいない間、紫の式(使い魔と似て非なる存在らしい)達がルイズと霊夢の姿に化けて代わりを務めていたのだという。
その事についてはあまり言わないで欲しいと紫に言われていたので、ルイズは全て話すといいながら少しだけ事実を歪めることになった。
「そして戻ってきた日の夜遅くに、魔理沙が幻想郷からやって来たのです」
ルイズが丁寧に説明した後、魔理沙は右手をヒラヒラと振った。
「まさか異世界に来れるとは思ってなかったが、まぁとりあえずよろしく。…ってところだ」
笑顔でそう言った魔理沙を見て、来なければ良かったのにと霊夢が心の中で呟いていた。
そして二人がこの世界でするべき事をしたら元の世界に戻るという事を話して、ルイズの話は終わった。
最後まで真剣に聞いていたコルベールは未だに信じられないという感じであった。
「しかし…ガンダールヴのルーンといい、私は世紀の珍事に出逢うのは何故なんでしょうか?」
「それはお主がまだまだ未熟だからじゃ。もう少し年を取れば寛容にもなれる」
しかし、そんな彼とは対照的にオスマンは落ち着いた表情でコルベールに言った。
そんなオスマンの態度が気になって仕方なかったのか、ふとルイズはこんな事を聞いてみた。
「失礼なことをお聞きしますが…、オールド・オスマン。貴方は驚かれないのですか?」
その言葉に、オスマンは笑いながらこう言った。
「儂はこれでも随分と長生きしてきたからのぅ。思ったよりも世界が広いということぐらいとっくに知っておる」
オスマンのその言葉に、学院長は数百年近く生きているという噂があったことをルイズは思い出した。
(もしかしたら…あのユカリみたいな存在なのかも…)
溢れんばかりの笑顔でヒゲをしごいているオスマンを見て、ルイズはそんな事を思った。
ルイズの話が終わった後、今度はオスマンとコルベールの話す時間となった。
「さてと…次はワシ等の番じゃな。…此所はミスタ・コルベールに話して貰おう」
「わかりました。オールド・オスマン」
学院長に御指名されたコルベールは頷き、その時の事を丁寧に話し始める。
◇
それは霊夢がルイズと共に幻想郷へ戻った日の事。
コルベールは研究室として使用している掘っ立て小屋で、ある研究をしていた。
それは今彼が発明した装置の欠点を隅の隅まで調べつくし、それを直すというものである。
気分も良いためか順調に進み、ここいらで少し休もうかなーと思っていた時、思わぬ客が来訪した。
コンコン、コンコン!
ふと誰かがドアからノックする音が聞こえ、コルベールはそちらの方へ顔を向ける。
この所にお客さまとは珍しいなと思いつつもドアを開けて、一体誰が来たのか確認した。
「この掘っ立て小屋に住んでるって聞いたけど…本当だったようね」
紅白の変わった服を着込んだ黒髪の少女を見て、すぐさま相手が霊夢だとわかった。
その後、アルビオンから良く無事に帰ってきてくれたと言った後、とりあえず用件は何なのかと聞いてみた。
コルベールにそんなことを聞かれ、霊夢は思い出したかのように、
「あぁ、そういえばコレ…アンタには何なのかわかるかしら?」
そう言って霊夢は自身の左手の甲をコルベールの眼前にまで持ってきた。
突然の事に最初は何が何だか、わからなかったが、すぐに彼女の手の甲に何かが刻まれていることがわかった。
それが何なのかすぐにわかり…
コルベールは手に持っていた薬品入りのフラスコを思わず取り落としそうになってしまった。
◇
「そう、私が最初に見たガンダールヴのルーンが…彼女の手の甲にしっかりと刻まれていたのです!」
「お、落ち着いてくださいミスタ・コルベール…」
役者の様に両手を振り上げて叫ぶコルベールを落ち着けるかのようにルイズか宥めようとする。
しかし彼がハイテンションになるのも無理は無いであろう。何せガンダールヴである。
伝説と呼ばれ、本当に実在するのかどうかも胡散臭いと一部では言われているのだ。
「なんというか…お前って案外大変な事になってるんだな…」
「出来れば今すぐアンタにこのルーンを移植してやりたいわ」
半ば躁状態とも言えるコルベールを見つめつつ、魔理沙は同情するかのように霊夢に話し掛けた。
一方の霊夢はというと手の甲についたルーンを指でなぞりつつ、苦々しげに言った。
流石のオスマンも、段々ハイになっていく教師を見て、やれやれと言いたげな顔をしている。
「う〜ん…まぁ落ち着きたまえミスタ・コルベール…少し聞きたい事があるのじゃが?」
「はい、何でしょうかオールド・オスマン!」
コルベールの過剰な反応にオスマンは苦笑しつつも、とりあえず聞いてみることにした。
「その、何だね?ガンダールヴの能力というのは…見ることが出来たのかのぅ」
オスマンの言葉を聞き、コルベールと魔理沙にそれなりの変化があった。
コルベールは笑顔のまま表情が固まり、魔理沙は゛能力゛という言葉に反応した。
「ん?…霊夢のルーンには何かスゴイ能力とかついてるのか」
興味津々な魔理沙を見てオスマンはコホンと咳払いした後、ガンダールヴの能力を軽く説明した。
「う〜ん、つまり何だ?ただでさえ強い霊夢が武器を持ったら更に強くなるということか」
「大体そういう事じゃのう。してミスタ・コルベール…武器は持たせてみたのかね?」
意外と理解力の早い魔理沙に驚きつつも、オスマンは話をするよう促す。
しかし、先程から表情が固まっているコルベールはなんとか口だけを動かして渋々と話し始めた。
「えー、あの…その…色々とミス・レイムから話を聞いた後、
学院長から貰ったあのインテリジェンスソードを持たせてみたのですが…」
◇
「……お、あったあった」
鞘に収まった古めかしい太刀をチェストの中から取りだしたコルベールは、思わず声を上げた。
その声に霊夢もコルベールの側へと近寄り、彼の持っている物へと視線を移す。
霊夢が自分の傍へやってきたのを確認したコルベールは、まずゆっくりと鞘から太刀を引き抜いた。
錆が浮き出てとてもじゃないが質屋でも買い取ってくれなさそうなボロボロの刀身を見て、霊夢は目を丸くした。
以前何処かで…そう、確かここの学院長とか言う老人と初めて顔を合わせたときに…
「…?あれ、その鞘に入った太刀って…もしかして」
霊夢が何かを思い出したかのようにそう言った瞬間。
ひとりでに太刀の根本部分がカチカチと音を立てて動き出し―――
『お!なんでぇなんでぇ!今更外に出してくれたって礼は言わねぇぜ!』
―――耳に障る声でしゃべり出した。
その声を聞いた霊夢はすぐさま、この太刀の名前を思い出した。
「デルフリンガー…だっけ?アンタまだ捨てられてなかったの?」
錆びてる癖に口から出る言葉が生意気な喋る武器に、霊夢は呆れた風に言った。
それを見逃すデルフではなく、すぐさま霊夢に噛みついてきた。
『あぁ!テメェはあんときの生意気な小娘じゃねぇか!!どの面下げて俺の前に現れやがった!?』
以前喋っている途中に無理矢理鞘に収められた事もあってか、
人間ならばすぐさま殴りかかってきそうな雰囲気を刀身から発しながらデルフは怒鳴る。
「別にアンタに会う為に、こんな場所に来たわけじゃないんだけど?」
しかしそれをものともせず霊夢は冷たく言い返したところで、コルベールが仲介に入った。
「まぁまぁ二人とも、落ち着いてください…」
「私は落ち着いてるわよ。むしろ怒ってるのはそっちの剣じゃないの」
『何だとこの野郎!!』
霊夢の何気ない言葉に、デルフはまたもや怒った。
彼女の言葉に一々突っかかるデルフに、コルベールは溜め息をつく。
これがインテリジェンスソードであって良かったと内心思っていると、霊夢が話し掛けてきた。
「ねぇコルベール…一体こんな剣なんか取り出して何だっていうの?」
「あぁ、まだその事を話していませんでしたね…」
霊夢の言葉にコルベールはそう言うと、突然デルフリンガーを霊夢の方へ差し出した。
突然の事に霊夢は何が何だかわからず、首を傾げるとコルベールが言った。
「以前学院長が言ってましたでしょう。ガンダールヴはそのルーンの力で、ありとあらゆる兵器と武器を扱えるという事を」
コルベールの説明を聞き、あぁそう言えばそんなことを言ってたわね。と霊夢は呟く。
そして自分の前に差し出されたやかましい武器を一瞥した後、コルベールの方へ視線を向ける。
「…まさかこの剣で試してみようってワケ?」
霊夢は嫌悪感丸出しの表情を浮かべて聞いてみるが、コルベールはウンウンと頷く。
一瞬どうしようかと迷った挙げ句、仕方なく霊夢はデルフリンガーを手にすることにした。
別に貰うワケじゃないし、ほんのちょっと手に取るだけなら構うまいと思ったのだ。
「まぁ…ちょっとだけよ―――…っと」
不満そうな声でそう言いつつ、コルベールからデルフリンガーを受け取る。
しっかりとした重さが手に伝わり、思わず取り落としそうになったが霊夢はなんとか堪えた。
「あの…どうですか?何か変化はありましたか…」
デルフリンガーを手に持った霊夢に、コルベールはそんな事を聞いてみた。
もし伝説通りならば、すぐさま武器の正しい使い方が分かり、一瞬のうちに超一流の使い手になるという。
しかし、霊夢の口から出た言葉はコルベールが全く予想していないものであった。
「…いや、別にこれといった事はないけど…」
気怠げな表情を浮かべてそう答えた霊夢に、コルベールは首を傾げた。
(おかしいな…一体どういうことだ?)
全く予知していなかった自体にコルベールが頭を悩ませている、デルフがまたもや怒鳴り始めた。
『おいテメェ!その手で俺に触るなっ………て―――――…ん?』
最初こそ大声で怒鳴ったデルフリンガーではあるが、すぐにしぼんでいく風船のように声が小さくなっていった。
一体どうしたのかと霊夢は思ったが、耳を澄ますと何やらブツブツと独り言を言っていることに気がついた。
『一体コイツは…左手から…いや、まさか…でも…ということぁ…』
「何よコイツ?…もうそろそろ寿命かしら」
ほぼ本気で霊夢がそんな事を言った瞬間、再びデルフが大声で怒鳴った。
『…おでれーたぁ!!まさかこんな小娘が…ガンダールヴだったとぁなぁ!!』
◇
「…で。そのインテリジェンスソードが急に彼女に懐いたというワケか…?」
話を聞き終えたオスマンは、盛大な溜め息をついた後コルベールに聞いてみた。
コルベールの方も申し訳ないと言いたげな表情を浮かべて頭を下げた後、口を開く。
「は、はい…結局ガンダールヴの能力は見れず、一応はデルフリンガーを彼女に渡しました」
オスマンはそれを聞いてふむぅ…と唸った後、ルイズ達の方へと視線を向けた。
「そうか。ならば…もうしばらくは様子見せんとわからんかのぅ?」
オスマンはそう言うと大きな咳払いをした後、真剣な面持ちで喋り始める。
「とりあえずこれで話は終わりじゃが…良いか皆の者よ?今日の話は他言無用で頼むぞ。
迂闊にも誰かに話せばたちどころに広がるからのぅ。そこらへんには気をつけるのじゃ
―――無論。ミス・ヴァリエールの後ろにいる二人もな」
オスマンとの約束に、オスマンを除く四人はコックリと頷いた。
「わかっておりますオールド・オスマン。他言無用ですね」
コルベールは真剣な面持ちでそう答え、
「はい。このことは誰にも伝えません」
ルイズもまた揺らがない程の真剣な瞳をその目に宿らせてそう答え、
「…わかったわ。まぁ下手に話して群がられるのもイヤだし」
霊夢はそんな二人とは対照的な気怠そうに言い、
「そうか、ここで人気者になりたいのならペラペラと喋ればいいのか!」
――ただ一人、魔理沙だけは冗談を大量に含めてそう答えた。
無論、空気を読めなかった発言をした魔理沙は、他の四人から厳しい眼差しの応酬を喰らい、
「冗談だよ…そうカッカするなって?」と慌ててそう言った。
その後、オスマンは軽く咳払いをすると魔理沙に話し掛けた。
「あと、ミス・マリサ。お主はこれからどうするかね?」
「…どういうことなんだ?」
突然そんな事を聞かれて意味がわからない。と言いたげな表情を浮かべている魔理沙、オスマンは説明を始めた。
「此所は少し排外的なところでな、多くの者たちが他者を嫌う。貴族でないのなら尚更じゃ」
「好かれるのは別に良いが…確かに、嫌われるのはちょっとイヤだな」
冗談交じりに喋る魔理沙に対して真剣な表情を崩さずオスマンはハッキリと言った。
「そこでじゃ、今日の昼食までににお主がここにいるべき理由を儂がなんとか作ってやろう」
その言葉を聞き、まず最初に驚いたのがルイズであった。
一体どうして、顔を合わせて数分の相手に対してここまでするのか。それが判らなかったのである。
そんなルイズの言いたいことがわかったのか、オスマンは笑いながら口を開く。
「ミス・ヴァリエール。お主は儂がそこまでする理由が何処にあるのかと言いたいのじゃな?」
そんな事を言われるとは思ってもいなかった彼女はその言葉に驚き、目を丸くしてしまう。
「えっ…?は、はい…一応」
「そうじゃろうな。今の若い者はそんな事を考えんじゃろう…」
ルイズの答えに、オスマンは何度も頷いてそう言うと、イスから腰を上げて背後にある窓の方へと振りむいた。
窓の外では青い空を下地に白い雲が流れ、小鳥たちが群れを成して空を飛んでいる。
そんな光景を話の途中に見て目を細めつつも、オスマンは口を開いて喋り始めた。
「しかし、だからといって他人を信じる事をやめ続けていれば。いずれ人の心は惨めになって行く。
もはや今の時代でも嘘や策謀が大陸中に渦巻いておる。数百年すれば人は嘘しかつかなくなるじゃろうな…」
空を見つめているオスマンの言葉は何処か重々しく、部屋の中の雰囲気は段々と重くなっていく。
確かに今のハルケギニアは昔と比べれば詐欺商法等が増えたと言われる。
ずっと前に偽物の宝の地図に騙されていた霊夢もまた、その言葉に納得していた。
オスマンは部屋の雰囲気がどん底にまで落ちる前に、再び喋りだす。
「だからの儂は決めたのじゃ…自分が信用できる人間だと信じた者は、とりあえず信じきってみよう。とな?」
見事言いきったオスマンの表情には、深い深い慈悲の色が滲み出ていた。
ルイズとコルベールは、この歳で学院長を勤める程の者だと。尊敬した。
その後、ルイズが霊夢と魔理沙を連れて学院長室を出ようとした時――
「ミス・ヴァリエールよ…部屋を出る前に一つだけ聞いて良いか?」
ドアノブに手を掛けようとしたルイズは、オスマンの方へと振り向いた。
そしてオスマンは、ルイズの返事を待たずして質問を投げかけてきた。
「今のお主は、既に普通の存在ではないと自覚しておるかな?」
その質問にルイズは一瞬だけ考える素振りを見せた後、こう答えた。
「自覚していますわ。これだけ不思議な現象に見舞われているんですもの」
ルイズの答えを聞き、オスマンは満足そうに笑った。
「さすがは…伝説の使い魔を持つ主人だわい。肝が据わっておる」
◆
「伝説の使い魔…ねぇ」
学院長の言っていたその言葉を、ルイズは暖炉の炎を見つめながら復唱した。
確かに、自分はとある異世界にとっての中枢である巫女を始祖の使い魔といわれているガンダールヴとして召喚した。
そしてその巫女のいた世界の住人から、自分には何か潜在的な力を有しているとまで言われたのである。
生まれてこのかたこれ程褒められた事が無かったルイズが鼻を伸ばすには充分な理由であった。
最も、自分の体にあるはずのその゛潜在的な力゛は未だに自分の体の中で眠り続けているのだろう。
「確かに私は普通じゃないわ…魔法だっておかしいし。何よりこんなものまで託されるんだから」
自分に言い聞かせるかのように呟き、テーブルに置いていた古ぼけた本へと視線を移す。
それは以前、ルイズが尊敬するアンリエッタ姫殿下から受け取った『始祖の祈祷書』だ。
トリステイン王室では、伝統として王族の結婚式の際には貴族より選ばれし巫女が用意される。
そして巫女は、この始祖の祈祷書を手に式の詔を詠みあげる習わしがあるのだ。
本来なら学生の身分でこのような重役に就ける事自体、奇跡と言っても良い。
最初にこれを手渡されたとき、ルイズは目を輝かせ、自信に満ちあふれた表情で了承した。
そんなこんなで、自分の尊敬する姫殿下の結婚式で詠みあげる詔を考えることになったのだが…
不幸か否かルイズには詔、もとい詩を書く才能が無かった。
例えば、四大系統魔法の一つである゛火゛に関しての詩を書かせればこんな風になる。
「炎は熱いので、気をつけること」
まるで火を扱うマジックアイテムに付属している取り扱い説明書の如き注意書き。
そして゛風゛に関する詩は「風が吹いたら、樽屋が儲かる」。ことわざである。
このように、その発想は無かったと他人に言わせる詩をルイズは書くことが出来るのだ。
単に詩の神様に微笑まれることがなかったのか、それとも一種の才能なのか。
どちらにしろ、今のルイズは気むずかしい詔を考えられる程目は覚めていなかった。
ただ、今日の朝食は一体何が出るのかと考える事は出来たが。
はい、これで今回の投稿は終わりです。
今回の話はまだあるのはあるのですが、
あまりにも長くなったので前編後編に分けることにしました。
次に投稿する後編は微修正を加えた後に、週末に投稿する予定です。
ではノシ
※
以上で代理投下終了
代理乙
作者さんと代理さん乙です
次も楽しみにしてます
乙
「うふふ」は……駄目だ、それは駄目だww
「レ研」から桜賀ススム召喚
・・・疲れてるのかな。もう寝よう
ゼロの双騎士第六話ができましたんで、投下します。
教室へ一歩踏み込んだ瞬間、教室の空気がガラリと変わったのが感じ取れた。
自分への視線が集まっている。
あるいは奇異、あるいは恐怖、あるいは不審。
人間の使い魔という時点で既に前代未聞なのだ。
更にギーシュ相手にあれだけの実力を示した後と来れば、当然の反応だろう。
とりあえず気にしないことにして、席へと向かう。
「私はどこにいればいい?」
「使い魔の席は無いんだけど…人が立ってるのもアレだしね…座ってなさい」
幸い、席には余裕があったのでルイズの隣に腰を下ろす。
こちらが平然としているので興味が移ったのか、生徒達は友人たちとのお喋りを再開していた。
周りを見ると、使い魔と思しき生き物が多くいる。
ネズミ、蛙、鳥、犬、猫などなど。
竜、サラマンダーなど大型の使い魔は流石に教室にはいなかったが。
…私もこいつらと同じ立場なのだ、と思うと少し複雑になる。
「さぁ皆さん、お静かに。講義を始めますよ」
教師と思しきローブ姿の女性が入ってきた。
「皆さん、春の使い魔召喚は無事成功したようですね。
私は、毎年生徒達の使い魔を見るのを楽しみにしているのですよ」
慈愛に満ちた目で教室内を見回す。
教師に向いた人格者のようだ。
ふと、私の方へ目を向けたところで視線が止まる。
「随分と変わった使い魔を召喚したようですねぇ、ミス・ヴァリエール」
別段悪意のある口調ではなかったのだが、そこで生徒が茶々を入れる。
「ゼロのルイズ!召喚に失敗したからって剣士だかメイジだか分からん妙なヤツを連れてくるなよ!」
「私はちゃんと召喚したわよ!」
「嘘つけよゼロのルイズ!魔法を失敗してばかりのお前だ、サモン・サーヴァントだって出来ないに決まってる!」
教室内に大きな笑い声が起こった。
「ミセス・シュヴルーズ!かぜっぴきのマリコルヌが私を侮辱しました!」
「事実を言って何が悪い!それに僕はかぜっぴきじゃない、"風上"のマリコルヌだ!」
「アンタの鼻声は風邪引いてるようにしか聞こえないのよっ!!」
全く、ルイズももう少し悪口を受け流すことを覚えるべきだな。
しかし他人を笑いものにしている人間を見るのはやはり不愉快だ。
相手の成長を促すためにあえてキツい言動を取るとかいうならまだしも、この言葉にそんな意思は毛頭感じられない。
「…ククッ、浅い男だな」
「何だと!?平民が貴族に向かって何と言った!」
ほら、また乗ってきた。
ギーシュという小僧もそうだったが、貴族のボンボンはこうも沸点が低いのか。
あぁ、そういえばルイズもプライドばかり高い子供だな…などと考えつつ、言葉を継いだ。
「貴族?それが何だと言うのかね。
君が貴族であることに関して、君はどれほど寄与したと言うのだ?
君の貴族の称号は君自身の力で?ぎ取ったものか?違うだろう。
敬意を払われるべきは貴族の称号を手に入れた君の先祖であって、君自身ではない。
大体、地位や家柄を尊んでいる時点で君の考えはズレている。
尊ぶべきは地位や家柄に相応しい人間であるよう努力することだろう。
翻って君の行いはどうだね?
他者を貶めて笑いものにしている。それも、年端も行かぬ少女を相手に、だ。
君はそれが貴族とやらの正しい在り方だと思うのか?
貴族の称号を手に入れた君の先祖に対して恥ずかしくない行いだと、胸を張って言えるかね?
…君もだぞルイズ。他人を侮辱しても自分が貶められるだけだ」
『うっ…』
二人揃って口を噤んだ。
全くの正論、まともな良心と倫理観を持っていれば言い返せるわけがない。
子供相手にここまで言うのは少々大人気ない気もしたが…これは言わねばならぬことだと思った。
子供の規範になることは大人の義務だ。
ふと、かつて向けられた憧憬の視線がフラッシュバックした。
あれはキャンベル征服を成し遂げた時の事だったろうか。
町長の屋敷に本営を置いて宿泊した際、身の回りの世話をしてくれた少年に、こんなことを言われたのだ。
『パルパレオス将軍!僕もいつか将軍のような強い男になりたいんです!』
男なら誰しも幼心に感じるであろう強さへの憧れ。
それを色濃く映し出した憧憬の視線は、私には余りに眩しすぎた。
憧れを向けられるには、私は血に塗れすぎていたからだ。
強さとは、剣の腕や魔法の才能のことを言うのではない。
決して折れぬ心、他者を思いやることのできる心の力を言うのだ。
―お前ならきっとできる。強い男になれ―
彼がいつかそれに気づいてくれることを願いながら。
自分のようにはならないで欲しいと願いながら。
私は、少年の憧憬に応えた。
あれから数年、あの子はどんな風に成長しただろう…。
「…感服しました。ミス・ヴァリエール、貴方の使い魔は見事な見識をお持ちですね。
貴族ではないようですが、貴族よりも貴族らしい考えを持っている。
ミス・ヴァリエール、ミスタ・マリコルヌ以外も、彼の言葉をよく肝に銘じておきなさい。
学ぶことは多いはずですから」
「しかしミセス・シュヴルーズ!ルイズのゼロは事実ですが僕が言われたことhガボッ」
唐突に途絶えた言葉。
見れば、マリコルヌの口が赤土で塞がれている。
「…貴方はそのまま講義を受けなさい、ミスタ・マリコルヌ」
マリコルヌに杖を向けたシュヴルーズが冷たい声で言い放った。
…彼女は怒らせない方が良さそうだ。
パルパレオスは背筋が寒くなるのを感じながら心に刻んだ。
「さて、講義を始めますよ」
+++++
「改めて、私は"赤土"のシュヴルーズ。本日から一年、このクラスの土系統の講義を担当します。
ミス・ツェルプストー、四大系統はご存知ですね?」
「もちろんですわ。四大系統とは『火』『水』『土』『風』のことですわね」
「その通り。この四つのうち、土系統ほど人々の生活に密着したものはありません。
例えば金属の精錬。これは土魔法によって行われているものがほとんどです。
あるいは石材の加工。これも土魔法を使うことで、かかる労力と時間は大幅に削減できます。
農業にも土魔法は使われています。これで土壌改善を行うことで、収量にも野菜や果実の質にも雲泥の差が生まれるのです」
(何と…)
パルパレオスは素直に感心していた。
彼は、異郷へやってくることになってから、この土地の文化や歴史を学ぶ機会はこれまでほとんど無かったのだ。
まさか、魔法がこのような使われ方をしているとは。これは、オレルスでは有り得ないものだった。
オレルスにも魔法は存在したが、ハルケギニアの系統魔法ほど生活に密着したものではなかったのだ。
魔法医療は発達していたが、他は大抵が軍事転用が前提の魔法だった。
最も、魔法医療も多くは軍事に使われていたのだが。
オレルスの魔法は、系統魔法のように金属の精錬や資材の加工などはできない。土壌改善など言わずもがなである。
この世界では恐らく、工業や農業といった主要産業の代わりに魔法が発達したのだろう。
確かに工学よりも遥かに容易に済みそうだ。
最も、魔法で物を作るとなると、製品の精度は術者の技量や感性に依存することになる。
同じものを大量に作り出したりするのは難しいだろうから、そこから機械工学へ発展させることは難しいかもしれない。
オレルスには、格段に発展しているとは言えないまでも、機械工学は存在していたのだ。
特に帝国では軍事転用のために研究・開発が盛んに行われていた。
魔法使いは数が限られているし、戦争に出れば死者も出る。
先天的な才能に左右される上、戦力になるまで訓練するにも時間がかかるため、補充が利きづらいのだ。
そのため、カタパルトやランチャーなどの機械兵器が生産された。
運用次第で魔法以上の威力を発揮できるその火力を見込まれて制式採用されていたのだ。
さほど発展していないためサイズも重量も大きく、動かすのに相当な労力と時間が要るのが難点だったが。
そのため、移動式は少なく陣地・要害に設置する形式の砲戦力(迎撃砲台)が多かったのだが、それは余談である。
ともあれ、こういう特徴を持って発展してきた以上、メイジが社会的絶対優位を確立したのは当然のことかも知れない。
それが正しいかどうかは別にして、だ。
「…このように、土系統は万物の組成を司り、様々な形で人々に恩恵をもたらしているのです
さて、講義はこの辺にして実技に移るとしましょうか。
今日は土系統の基礎、『錬金』の魔法を練習します。まずはお手本を見せましょう」
そういって懐から取り出した小石に向けて杖を振りながら魔法を唱える。
見れば、ただの石ころだったはずが黄色く光っている。
「まさか…ゴ、ゴールドですか!?ミセス・シュヴルーズ!」
キュルケが目を丸くして驚いている。
金にしては少々色合いが薄く見えるが。
「いいえ、ただの真鍮ですよ。金はスクウェアクラスのメイジにしか錬金できません。
私はトライアングルですからね」
少し恥じ入ったように言うが、大したものだとパルパレオスは思った。
錬金の魔法はさほど長い詠唱ではない…というか、ほとんど一言だ。
たったあれだけで、ただの石ころを真鍮へと変化させてしまった。
ハルケギニアの系統魔法がいかに便利か、その一端を肌で感じた。
しかし、スクウェアとかトライアングルとか言うのは何だ…?
いや、図形というのは知っているが、それでは意味が通らない。
そうルイズに聞いてみた。
「メイジが高度な魔法を使う場合、複数の系統を同時に操って掛け合わせる必要があってね。
いくつの系統を同時に使う必要があるかが魔法の等級や難易度を示すわ。
例えば火の攻撃魔法を使う時ね。
『着火』の前に『油の錬金』という工程を加えればより強力な炎を作れるでしょう?
『油の錬金』を二度行って、より純度の高い油をより大量に作れば、もっと強力にできるわね。
前者は火と土の二系統だからラインクラス、後者は火、土、土でトライアングルクラスの魔法になるわ。
いくつの系統を同時に使えるかがメイジの等級を表すの。
系統を一つしか使えないならドット、同時に二つ使えるならライン。
三つでトライアングル、四つでスクウェアと呼ばれるの」
理路整然としていて、しかも分かりやすい。
ふむ、ルイズは少なくとも座学は優秀なようだ。
「ミス・ヴァリエール、講義中の私語はおやめなさい。
そんなに暇なら、貴方にやってもらいましょうか」
「え…私がですか!?」
「そう、貴方ですよ。この石を好きな金属に錬金してみなさい」
…説明を頼んだせいでルイズが当てられてしまったか。
ちょっと可哀想なことをした。
当のルイズは、何やらためらっているようだ。
「どうしたルイズ?私も君の魔法を見てみたいのだが」
そこへ、キュルケが困ったように口を開く。
「あの…ミセス・シュヴルーズはこのクラスを受け持つのは初めてでしたよね?
危険ですから止めた方がいいと思いますけど…」
キュルケの言葉に何故かクラス中が頷く。
危険とはどういうことだ?
便利な魔法ではあるだろう、しかし危険とは程遠い魔法に見える。
「錬金の何が危険だと言うのです?
さぁミス・ヴァリエール、失敗を恐れずやってみなさい」
「…やります」
ルイズの顔には強固な意志が見てとれた。
いや、意志というより意地のようにも見える。
キュルケに止められて逆にやる気になったのか?
しかし、キュルケは何をしているんだ?机の下に潜りこんだりして…。
諦めたような表情が浮かんでいる。
見れば、他の生徒も同じようなことをしていた。
そんな様子に気づかぬシュヴルーズは、教壇の前まで来たルイズを促す。
「さぁ、錬金する金属を強く思い浮かべて魔法を唱えるのです」
「はい…錬金!」
その瞬間。
轟音が鼓膜を揺さぶった。
濃い黒煙が教室を包む。
「な、何が起きた…!?ゲホ…ゲホッ!」
煙を吸い込んで咽てしまう。
なんだこの煙は…?異常に濃い…!
ただの煙ではない。
使われていない部屋で壁や床を思い切り叩いた時に舞った埃を吸い込んだような感覚。
…まさか、あの石が完全に粉砕されたのか?
それほどまでに凝縮されたエネルギー…。
一つ、心当たりがあった。
オレルスにおいて既に忘れ去られた闇の力。
万物を押し潰し、破壊し、灰燼へ帰すエネルギー。
『暗属性』と呼ばれる技・魔法の結果に、それは酷似していたのだ。
フェニックスが司る『聖属性』と対を成すとされる暗属性を、パルパレオスはかつて見たことがあった。
神竜王アレキサンダーが放った「天空の裁き」と呼ばれる雷である。
雷の形を取っていたが、その力は雷と呼ぶには余りに禍々しく、破壊力は比べ物にならなかった。
直撃を避けるためとっさに避雷針代わりにしたバスタードソードは、黒い塵と化して跡形も無く破壊された。
折れたのとも壊れたのとも違う。文字通り「黒い塵になった」のだ。
さっきの小石と全く同じである。
…そうだ、ルイズは!?
「ルイズ!無事か!?」
教壇へ目をやると、煤けた姿のルイズが平然と立っている。
「…ちょっと失敗しちゃったわね」
こともなげに言うところを見ると、怪我はしていないようだ。
あれだけの爆発が一番近くで起こったのに、この教室で一番元気そうにしている。
シュヴルーズは吹っ飛ばされて気絶しているし、他の生徒も多くが目を回している。
爆発に驚いた使い魔たちも騒ぎ出していたが、そちらは殺気をぶつけてとりあえず黙らせておいた。
「ケホ…ケホッ、全く、だから言ったのに…あぁもう、服も髪も煤だらけじゃない!」
何とか机の下から這い出してきたキュルケに医療担当者を呼ぶよう頼んでから、私はルイズと共に他の者を起こしにかかる。
―パルパレオスが初めて見た『虚無』の魔法であった―
+++++
今回は以上です。ではまた次回。
一部文字化けがありますね。
>>134のパルパレオスのセリフ(貴族?それが何だと〜)の3行目。
文中に不自然に?が入ってますが、「もぎとって」の漢字が化けたようです。申し訳ない。
乙です
一応「もぐ」は& #25445;で入力できるみたいですがこの板ではBBS_UNICODEがchangeなのでここでは使えないみたいですね……
ゼロの双騎士さん乙でした?
ただ、何か話の前後がおかしくないですか?
原作準拠ならシュブルーズの授業→ギーシュとの決闘という流れだったと思うのですが、
その辺はオリジナル展開としてイベントの順番を前後させたのでしょうかね。
でも、そうだとすると決闘の後でマリコルヌが「平民の剣士」と揶揄するのはおかしい気がする……。
こまけえこたぁどうでもいいんだよ
対外的に東方の魔法使いということにしたから
魔法が使えると認知されても貴族とは認識されないということでっしょ
イベントの順番が前後したりはたいした問題じゃあるめぇ
決闘イベントどころか発端の香水イベント事態をスルーしたメッティーもいたし
そしてクロスナイト乙
>>146 メッティーがメッツァーに見えてしまった…
「我が虚無を受けてみよ!」みたいな
>>148 ヒロインのキャッチアンドリリース繰り返さないとな
>>144 剣士かメイジかわからん→妙な平民
マルコの台詞から察するに、生徒の感想は大体こんなもんだろ
貴族との決闘で勝ったといっても所詮ドットクラス相手だからな
原作の設定や時系列そのままよりは、多少オリジナルが入ってる方が俺は好きだ
ヤマト復活篇のヤプール人もどきの名前がメッツラーだったのを思い出した。
ハルケギニアを占領しようとするSUS軍、しかしタルブには宇宙空母ブルーノアが眠っていた。
ブルーノアの艦載機って、目立たないけどバルキリー並に強いんだよな…
バルキリーはVF1の時点でガンポッドの初速がありえないことになっているからなぁ。
ハルケギニアのフネだと、大きさに関係なく一撃で消滅するだろう。
適当にデモンストレーションすれば、誰も喧嘩を吹っ掛けられなくなるな。
宇宙空母といいながら、宇宙に出たのは・・・・・・
最近他作品のSSスレとか見てるんだけどさ
何かここが妙に居心地良いんだよね
それで考えたんだけど、最初にある程度の流れが確定してるのが良いのかも知れん
召喚→ギーシュ→デルフ→フーケ→アルビオンみたいな
>>154 それいえばダンガードAはラスト1コマ
まあ松本先生が巨大ロボ嫌いだからしゃあないんだが、でも後のガンダムを含むロボットブームを作ったのも
ヤマトがあってこそなんだから皮肉なもんだ
>>156 戦闘場面が飛行形態で一回のみのあれですね
飛行時の衝撃波だけで敵部隊が全滅してたがw
よく内政系SSで主人公が書類の決裁にうもれてうがー!なるシーンがあるけど
あれほんまなん?トップにあんなに書類仕事まわってくる組織ってどうなのよ
>>158 ゼロの使い魔のSSを語るスレのほうでお願いします。
>>158 組織というのは、トップに大量に書類が回ってくるもんだぞ?
下の方は実務メインだし、書類もある程度省略できるけど、
上に行くほど仕事全体に対する書類仕事の割合が増えるし、細かい部分を省力することができないから。
略式で書類を処理するというのは、要するにその書類をもとに上が正式な書類を作るということだからな。
一番上になると、全部正式な形で処理しないといけなくなる。
トップ同士の会談とか目立つ仕事かもしれないけど、アレは単に大まかな方向性を決めるだけの簡単なもので、
詳しいこととか細かいことは部下同士が話し合って決めて、書類にまとめて上に送るんだ。
トップはその書類を見てそれを採決することになる。
どちらがメインかというと、当然書類ということになる。
なるほど、あまりにもよく見かけるのでテンプレかと思ってた
スレチ済まん
一応、仕事に合わせて組織を整理して効率化すれば、トップに回ってくる書類が減るのは確かですけどね
改革を行って新しい仕事を作ると、始めはどうしても非効率的な組織運営になるし
組織全体の仕事量が増えて、トップの仕事量が激増する
スパロボKよりミストさん召喚とかアホな事を考えてしまった…
よし、ガンダムからジョニーライデンさんを召喚しようリレー形式とかで。
たぶん各作者さんごとにすっごいキャラが変わる。
>>163 (ハルケギニアの貴族は魔法が使えるからって平民を見下して暴力で支配する・・・
アトリームだったらこうはならなかった、きっとみんな分かり合えたんだ)
「もう嫌だ!俺はルイズのためになんて戦えない!使い魔なんてやめてやる!!」
・・・きっと最後まで分かり合えない
ルイズとクリスタルハートだとどうなんだろ
初期ルイズの国への忠誠からの自己犠牲は力になるだろうか・・・
クリスタルハートの性質と虚無もどっちかっていえば相反する感情を求めるから・・・
>>165 最終的に必要なのは人を愛する心だからルイズとサイトを乗せればそこそこいけるさ。
>>165 じゃあクシュリナハート(ル・コボル)召喚にすればいいじゃん
皆ミストさん大好きだなwwww
暴徒鎮圧からギーシュ鎮圧まで出来るミストさん
ただし性能はちょっと弱い
ミストは思ってることを身内以外にぶちまければ普通のキャラなんだがなー
奴にとって身内は甘やかすだけの癌だから、身内から離すと成長するかもしれん
>>169 2,3ヶ月身内から離されただけじゃ無理か。
あれ? でもアトリーム壊滅から1年後であれだからあれでも成長したのかもしれない。
うん。単純にノビシロがないんだな。
というか致命的に戦争耐性がないのがひどい
耐性がないのに戦争に巻き込まれて身内にそのストレスを吐き出しても、
相手も同類だから変にこじらせるだけだという
レコン・キスタ戦とかタルブ会戦とかずーっと愚痴愚痴言ってそう
召喚、契約の時点で関係停止しそう
アイアムアヒーローから主人公の英雄…
しばらく逃げっぱなしだな
>>174 ギーシュ「これが貴族の(ry
ターンッ
ゼノブレイドから巨神と機神を
紅の豚を召喚、NTVが
YAIBAのくろがね やいばを。
いよっおみっちゃん からおみっちゃん
百人切りくらいなら楽勝です
>>177 ポルコは亜人? オークになるのか?
危険な亜人でも使い魔効果で大丈夫なんだろうか
ロックマンゼロシリーズから、ドクターバイルを召喚。
スラムダンクから仙水を召喚
幽遊白書と混ざってね?w
紅の豚を見終える度にゼロ魔クロスの小ネタをまた読みたくなる。そう思わないか?
ウルトラマンネクサスのナイトレイダーの皆さん召還
いきなり銃を突きつける凪と制止する孤門
タルブ村の村人を囮にビーストを誘き出すイラストレーター
闇に取り込まれるワルド、まで想像した
仮面ライダーは需要ないのかな
>>187 あるよ、めっちゃあるよ
V3とか好きだったよ
ワンピとか鰤とかハンタとか今のジャンプ作品から誰か召喚されんかね
めだかでもベルゼでもトリコでもいい
190 :
80:2010/07/02(金) 23:43:50 ID:4adIlDRS
>>105 レスありがとうございます。
これから話が盛り上がるところできれていたのでぜひ続きが読みたいです。
191 :
80:2010/07/02(金) 23:45:29 ID:4adIlDRS
>>105 ああ管理人が屑なんですね。非常に残念です。
ゴミ管理人に不幸なことが起きるよう祈ります。
リリエンタール召喚なんてどうだろう。
え、もう終わってる? マジで?
>>189 フーケ「ワルドは犠牲になったのだ……」
ハレルヤ! 魔法が消える日 訣別
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読み終わった後の清涼感がたまんないッス
当方に迎撃の用意あり、覚悟完了。
よくわかんないけどとりあえずこれはっときますね
> ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
わざわざID変更ねらっての豪快な自演www
これはもう…はっなにをするやめry
>>187 見たい。
異質主人公のたっくんが召還されたのは短いながらも好きでした。
主役よりサブキャラの方が話が広がりそうな感じはする。
草加雅人こそルイズの使い魔に相応しいってことか!?
>>189 夜明けの炎刃王がアップを始めたようです
ゼロ魔自体もそうだけど、今現在話が進行している連載中等の作品からは召喚難しくないか?
作中で明確に死亡して途中退場したキャラなら何とかなるかもしれんが、
後で新設定とかでてきたりして話の整合性を保つの大変だと思うんだが。
そんな時は魔法の言葉「書いてた時はそうだったんです」
大昔にジャンプの読みきりであったレア・ジーンフォーとか言うヤツ…
普通に亜人ですね
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相変わらず進歩の無い34歳児だぜ
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ゼロ繋がりでゼロノスベルトだけ召喚して
変身する度周囲の人々に忘れ去られていって孤独に戦うルイズとか
アリアンロッド・サガのピアニィ姫を召喚したいけど、原作が他所に召喚されてるような状況じゃ全然ないから難しい…
完結してない作品のキャラを、完結後の設定でもってくるといろいろ捏造になるだろうし
撤退したD&D3.5リプのリョーマ召喚の人がやってた、「元の世界とハルケは時間の流れが違うから気にしなくていいよ」
は力技だけど、そのへんをクリアする妙手だったな
未だに西部劇からの召喚って見た事ないな。
レッドデッドリデンプションかピースメーカー
どっちが良い?
いつもまとめを経由してここへ来るが
TALES OF ZERO-07a
を見て
ナンバリングからついついスパロボ屈指のトンデモ地球人を召喚とか考えてしまった
倒すべき竜を求め、強き者を滅ぼし続ける男
1.召喚・契約を行った主のルイズを殺す
2.学院の実力派、タバサ、コルベール、ロングビル、ギトー、オスマンを殺す
3.レコン=キスタに取り入って組織を内部から侵食、クロムウェルを殺す
4.ジョゼフに始まり虚無の担い手と使い魔を滅ぼす
5.エルフも滅ぼす
まぁルイズ殺したらルーン効果も無くなるだろうし、アスカロン07-aもアゾエーブも無ければただの医者なんですけどね
ルイズに利用価値を見出して生かして利用、虚無の伝承を知って聖地を目指すと
地球の南極にあったのと同じような遺跡が!
でもいいかな・・・
デュープリズムからロッド・ザ・ブレードスターを召喚とか最近ゲームやって思いついた
デュープリズムは結構色んなキャラいけそうな気がするな
まぁ、ミントとは絶対喧嘩なるだろうけど
今のジャンプ連載陣のキャラで召還して従ってくれそうなのが少ないと思う
戦闘力なしだと原作テンプレ通りになるし、戦闘力ありだと下手な扱いしたら反発して去る
つまり友好的な人外が召還されるとちょうどいいんだが少ない
>>180 ルイズ「私の使い魔になりなさいよ!」
ポルコ「そういうことは現地人同士でやんな。使い魔になるよりは豚のほうがマシさ」
こんな感じで不成立になりそうな気がするw
215 :
◆/bDifSdMIEMV :2010/07/03(土) 11:50:08 ID:NPJYdxUe
ここは、ハルケ(略)今日は、使い魔召喚の(略)このルイズという少女は(略)
「宇宙の(略) ・・爆発・・ (略)
煙が晴れるとそこには、ハルケギニアの様式から外れた一本の剣が刺さっていた
「剣?・・・」
「流石ゼロのルイズまさか剣を召喚するなんてな」
「まったくだ・・・
ああぁぁあああーーー」
剣の上に半透明の人間が浮いていた
どう見ても幽霊の類だ
「ふむここはいったい・・まあいい
とりあえず死ね」
「剣と化せ我がコード」
全員死亡
おしまい
よくわかる現代魔法の世界から
ギバルテスの封印された剣を召喚
ゲート通過の際コードが刺激されたという脳内設定
完全にネタ
今度しっかりしたのも書きたい
ジャンプがダメならマガジンとかサンデーは?
>>213 ツナくらいかねえ。これも他の奴が極寺を召喚していたらすったもんだになるし。
個人的にはタバサに霧コンビを召喚させたい。
リクオは夜になったら絶対に言うこと聞かないだろうし。
フナムシは?
>>216 マガジンからならネギま!のネギ先生を召喚とかかな
個人的にはむろみさんからリヴァイアさんを……
と言うか現在進行形をクロスすると不具合が起こり易いから書き手は避けるんだよ
進行形なのの処理はゼロ魔側の処理で手一杯みたいな
小ネタにあった餓狼伝説から秦の秘伝書を召喚ってネタを見て、ギースちっくになったジョセフってのも面白いかなと思った。
大悪党とかガリア(しかも漢字)とか書かれた旗を用意して、城の屋上に特設ステージを作るジョセフさんみたいな
>>221 何故かバーンナックルで突っ込むタバサ、残影拳で突っ込むきゅいきゅい、
それだけならまだしもパンツいっちょで尻出しオラオラなルイズまで脳裏に浮かんできたw
>>219 ねぎマの話題はたまに見るが同じくマガジンで連載中の魔法バトル物であるFTの話題は殆ど見た事ない
>>213 初期めだかちゃん召喚でトリステイン魔法学院生徒会を執行させればいいと思うよ
>>225 ジョースターですよ。ご存じないのですか!?
>208
コンチェルトの方から呼ぶとか。
ファンブックのリプレイが一種のパラレルだし、気にするほどでもないかと。
ヒーロー戦記のゲシュペンストを召喚
主人公かと思ったらラスボスだったという展開
>>205 デル30分しか稼働出来ない上に移動で殆ど稼働時間削られてマトモに動けないじゃないですかー
…移動はミスロングビルに頼んでひたすらネイルダーツで投擲するしかないな
>>216 むろみさんとか解体新書の闇医師二人とかはじあくのジローとか動かし易そう
個人的には元マガジングレート、現イーノで次回完結な雷星伝ジュピターとか
時々でいいからチャンピオンのこと思い出してください
ゴッドハンドな輝先生とか課長令嬢のちづるとか…呼んでもどうしようもないか
>>231 チャンピオンか・・・・・・・・・
登場人物全員オムツ着用、ベビープレイやらお漏らし満載の少年誌を超えたマニアロリエロの世界に!!
ただしギーシュはもちろん、コッパゲもオスマンもジョゼフも全員その筋になる
・・・・・・大人しく大戦鬼か宅配マンでも呼びましょう
くりんでも喚ぶか。
物語的にはパパのが面白い?
>>231 チャンピオンねぇ…マリオネット師から九頭竜でも呼ぶ?
人形遣いで一流のスリだが子供には優しいぞ。
どこに行っていたんだ、チャンピオン。
チャンピオンならアクメツが居るじゃない!
無敵看板娘は短編向きかな
ラブひなから素子呼ぶとか
夜桜カルテットから誰か呼ぶとか
西部劇なら続・殺戮のジャンゴとか
???「俺様が、チャンピオンよぉ!」
こいつ大概の武器の扱いマスターしてたりするんだよな
チャンピオンからネタを探すと 何故か妙に古いモノばかり…
『バギ』じゃ、キャラは豊富でも 小ネタぐらいしか使い道無いし。
>>237 太田さんを召喚してタバサを戦隊色に染め上げてみるとか…
じゃあ他人の人生で遊ぶことにかけては定評のある、メフィストフェレスの杏馬でも
>>240 虚無ピンク
微熱レッド
雪風ホワイト
青銅ブラウン
香水ブルー
まで想像した
「…なんで私がホワイト?」
「水属性なのに青以外って変でしょ」
>>239 末堂さんが出てこないのはそういうことだったのか・・・
炎の転校生・滝沢昇を召喚したらと考えたが、
召喚も「転校の一つ」と考えて、
ゼロ魔世界が炎の転校生世界になりそうw
「ま、まさか、貴様が」
「『転校生』だと!」
なんかこういう驚き方がテンプレっぽいけど、元ネタってなんだろう
菊池秀行の魔界学園とかじゃね
げぇっ、ルイズ!
菊地秀行といえば死なずの醍醐とか見てみたいな
例えば教師系のキャラが召喚されたとして、それで彼が魔法学院で教鞭を執る姿なんて想像できない。
「へー、学校の先生やってたの。でもしょせん平民の学校のだよねpgr」と言われそう。
しかし学院のメイドやテファの村の子供たちとか、そういう平民相手になら想像できる。
(と思ったけどハルケ人にも教えられそう、役立ちそうな科目ってそうない気がする)
つまり何が言いたいかというと職業系などのキャラって動かしづらいね。
>>250 今は途絶してるけど、サモンナイト3のアティ先生は異国のメイジとして教鞭執ってたよ。
杖とマントがあってで最初に貴族と思われたってのもあるかもしれないけど、
その気になればどうとでもできる。
この人の作品を見て、このスレに興味を持ったから、望み薄だけど帰ってきてほしい…
サイトも一緒に(ちょっと違うが)召喚されてたから、二人にとって良い先生になれるかなとか期待してる。
政治哲学で教鞭をとってるリベラルな教授が召喚され周りに推されてアカデミーで講義を持ったけど
政府と宗教庁から危険思想と看做されて原住民に嬲り殺し遭い九死に一生を得て
ルイズママンと共に体制に復讐するSSなら読んだ
教師って聞いてぬ〜べ〜があるかと思ったら無かった
あと今日3見に行って青島総受けを再確認してきたので
「ゼロの使い魔 THE MOVIE2 〜ラ・ロシェールを封鎖せよ!〜」
ギトー先生みたいな独善的教諭だったのか
政府機関の理不尽さがグロテスクにデフォルメされてるのか
>>212 平民呼ばわりされて地団駄踏んでるミントを受信した
ルイズママンもその教授を嬲り殺す側だと思うが
>>254 考えや言動がフランスで有名な政治家まんまなんで噴いたw
敵役もポール・ウォルフォウィッツまんまの高官がでてくるし
魔法も作中ではほとんどでてこん
政治的駆け引きに終始してた
>>257 中盤でなぜか寝取られてた
ルイズパパン涙目w
侑斗とデネブが召喚されるにしても
デネブのほうが株上がりまくると思うんだ
>>250 真剣勝負な某召喚教師なら、生徒や教師を含めて根性からたたき直してくれそう。
ただし、ある程度時間が経ったら鬼神として召喚されて、元の世界に還りそうだけど……。
教師なら藤沢(偽名)を呼んでくれwむしろ保険医でもいいw
ジーザス呼んでも弾丸の補充ができないからw
機械とかサイボーグ呼んでも整備や弾薬補充が出来ないのがネックだよなあ
何とかならんもんか
先生…
読子さん召喚してもタバサに一方的に絡んでは無視されそう。
後ルイズの案内なしに図書室いたりルーンの効果なしにいつの間にか読み書きできたり
気がついたら図書室で寝泊りしてそう
教師ならGTOの鬼塚しかいない。
タバサを綾波と間違えて抱き着いたり
後一歩でキュルケ相手に童貞を卒業する所で邪魔され
愛人どもをボコって騒ぎを大きくする
>>255 デュアル・ハーロゥでワルキューレを吹き飛ばしつつ、ギージュに向かって飛び蹴りをぶちかますミント様を受信した。
>>263 リープタイプなら完全自動メンテナンスだよ!だよ!
ヘルムの人ってどーなったんだっけ……。
あの人は、最低でも一週間は不眠不休で読書を続けられるからな。
むしろ、いつ寝ているんだという状況になるような。
そして、いちばん恐ろしいところは、始祖の祈祷書も読めそうなところだ。
この世に彼女がいる限り、全ての本は彼女の味方なのです。
>>263 逆に整備や補給のしっかり書かれてる作品のほうが少ないんだからいいんじゃね?
本か・・・
FFUよりウェポンマスター・フリオニール召喚
ただし武器は全部紛失!
手元にあったのはファイアの本のみ!!
そしてタルブには竜の羽衣っていうか普通に飛竜
シエスタはリチャードの曾孫
>>245 滝沢のライバルの伊吹を「武器使いの帝王」=ガンダールヴとして召喚するネタは考えたことがある。
伊吹、貧乳好きだし、ルイズに忠誠誓ってくれると思うよ?
滝沢はむしろ(スズメ、ザッシュ1号など)動物好きだからヴィンダールヴかも。
そうなると、ミョズとか第四が誰か気になるけど。
>>252 そう言えば、一応王族なんだよな。文明レベルものどっこいみたいだし。
ある意味、デキのいい姉妹を持った者どうし、案外イザベラとは仲良くやれるかも?
サイボーグだかの整備問題は前に話題になったときも言ったが、書き手が触れなければそれでいいんだよ。
忘れた頃に整備不良でどうたらこうたらって、危機的状況に追い込んでもいいしな。
>>271 ミョズは「話題性のない戦士」高野で。
滝沢「どんなマジックアイテムでも使える貴方には必殺技がないっ!」
じゃあ既にムゲフロで異世界行っても平気だった実績のあるKOS-MOSを
>>274 オベロン社の機械やらがある世界やらビクトルな人造人間やらがある世界で科学者スキルがある
人間がいれば門題ないっしょ
>>263 アーフィM4竜機神<ドラグーン>なら余裕だよ
ただ呼んでもルイズにガーディアン因子無いからマスター登録してくれないだろうし
普段触れあってるのは触れるホログラフィーだから契約自体出来るかどうか…
D騎士であるシャノン・カスール将軍召喚ならゼフィ付いて来るし一番楽だろうけど...
>>270 装備変更し忘れてアンデッドを攻撃して全滅
同時にセーブデータが消えていたのは苦い思い出
>>270 ウェポンマスターなんて呼ばれてたっけ?
>>276 全てを虚無にする「スクラップド・メイジ」ですね解ります
ナノマシンで出来てる連中は自己修復とか簡単そう
ジャンプでやってたカインとか
>>278 「武器装備してこうげき→Bキャンセルを1600回、各武器でやってればマスターになるぜー」
的意味でのウェポンマスターってことだろう
(ただしファミコン版のみ。移植版ではできないうえに自分を殴ってHPを上げるのもできなくなってる)
それやると命中、回避が育たなくなって
終盤地獄を見るんじゃなかったっか?
>>278 >>280 いや、ディシディアでのフリオニールがウェポンマスターと称されていることでなのですが・・・
ちなみにあの裏技、通称『ABキャンセル』は熟練度は上がるものの
あまり中途半端に強くなると回避力が上がらないので後半が逆に厳しくなってしまう諸刃の剣だったりする
みなさまこんにちは、ウルトラ5番目の使い魔、3話の投下準備できました。
他の方の予約などなければ、16:50より開始いたします。
第三話
タバサの冒険
群青の狩人姫 (前編)
変異昆虫 シルドロン 登場!
シルフィードは唖然としていた。
「ごちそうさま、おいしかったよ、ジル」
「あいかわらずシャルロットはよく食べるねえ。こりゃ、はりきって野豚を狩ったかいが
あったってものだ」
ファンガスの森の一軒家で、こぢんまりとしたテーブルを囲んで、タバサが皿に山盛りに
されていた料理の数々を残さず平らげたのは、いまさら珍しい光景ではない。しかし、
食べ終わってニコニコと笑っているタバサは前代未聞だった。
「やっぱりジルの料理はおいしい。この味はほかの誰にも出せない」
「ありがとさん。でも野豚の丸焼きと、保存食とムラサキヨモギやハシバミ草のサラダで
そんなに喜んでもらうと、ちょっと後ろめたいかな」
「おせじじゃない。わたしはジルの作ったものが一番好き」
いつもであったら、いただきますからごちそうさままで、一貫して無口無表情を貫き、
大食で食べ物の好みもはっきりしているが、何をどこで食べても眉一つ動かさないのに、
今はまるで別人みたいだ。
「ふふ、シャルロットはやっぱり優しいね。それに、ずいぶんとたくましくなったし、
おまけに友達まで連れて来るようになるとは、魔法学院ってとこも、けっこう
楽しいとこみたいだね」
「シルフィードは使い魔。でも、友達……今はいるよ」
「へーえ、そりゃ気になるなあ。聞かせなよ、ていうか聞かせたくて来たんだろ」
「うん、赤毛のこーんな大きな子なんだけど……」
タバサと、ジルと呼ばれていた女が、まるで家族のように会話をしている姿には、
夢でも見ているんじゃないかと、何度ほっぺたをつねってみたことか。
おまけに、それだけならただの仲のよい知り合いですませられるだろうが、
タバサはいつもであったら絶対考えられないようなことを、今シルフィードにさせていた。
「で、この韻竜のシルフィードが、そのキュルケって子とあんたを乗せて今はハルケギニア中を
飛び回ってるってわけなのね。あんたってば、すごいすごいとは思ってたけど、なんとまあ
しゃべれる竜を使い魔にできるとは、もうびっくりだよ。けど、体格はあんたと正反対だねえ、
特にこのでっかいお乳とかさ」
「ひゃっ! さ、さわらないでなのね!」
つんっと、自分の胸を突っついてきたジルの指先から、シルフィードは慌てて両手で
胸を隠して逃げ出した。
「あはは、大人びた見かけと違ってうぶだねえ。シャルロット、どうやりゃこれが
あんたの妹に見えるんだい?」
「一応、人前で人間に化けさせてるときは、わたしの妹にしてるんだけど、変かな?」
「あんたたちさ、鏡に並んで映ってみなよ。あんたって、昔っから頭は切れるくせに
どっか抜けてるんだから、変わらないねえ」
なんと、驚いたことにいつもは他人にはシルフィードが韻竜であることを決して明かさせずに、
しゃべることすら絶対させないタバサが、ジルの目の前では人間に化けさせて、うれしそうに
紹介しているではないか。
”いったい何がどうなっているのね?”
シルフィードは、さっきから何十回となく自身に問いかけた問題を、頭の中を整理して
もう一回最初から考え直してみた。
まず、自分はこのファンガスの森におねえさまのお知り合いがいるということでやってきた。
それで、このジルという若い人間の女が、そのお知り合いの人で、おねえさまとは
すっごく仲がいいらしい。
以上、一〇も数えないうちに回想は終わった。
いやいや、そんなことは最初からどうでもいいのだ。問題は、あの寡黙で、口の悪い
従姉妹姫からは人形とまで言われてるほど無愛想なタバサが、まるで幼い子供の
ように楽しそうに話している、このジルという女が何者かということだ。
「最近はもう、のんびり本を読んでる時間もないほど、いろんなことが起こるよ。
ジルは、何か変わったことはあった?」
「いいや、最近はもうこの森に出るのもせいぜい狼や熊程度だから平和なものさ。
変わったことといえば、こないだ道に迷った旅人を泊めたくらいかな」
シルフィードは、楽しそうにタバサからキュルケのことや学院でのこと、数々の
戦いや冒険の思い出話を聞いているジルを、じいっと見つめて観察してみた。
”とりあえず、悪い人ではないみたい。でも、こんな人里離れたぶっそうなところに
女の人が一人で住んでるなんて、どういうことなのかしら?”
部屋の壁には、斧や肉厚の短剣、槍や弓などがいつでも使える状態で掛けられて、
足元にはなめした熊の毛皮がじゅうたんの代わりに敷いてある。
それに、ジル自身も引き締まった全身にはぜい肉の欠片もなく、日焼けした
横顔にはいくつもの傷が刻まれていて、相当な戦いを潜り抜けてきたことが察せられた。
”軍人……いえ、猟師……”
そのどちらかで悩んだが、並べられている武器に人間相手に使うものがほとんど
なかったので、シルフィードはそう判断した。
けれど、女性の猟師は珍しくはないとはいえ、一人で、しかもこんな辺境の地で
暮らしているなんて、なにか事情でもあるのだろうか? そして、おそらくは自分を
召喚するよりずっと前から、いったいタバサとどんな関係があったのだろうかと、
シルフィードはもう少し二人の会話に耳を傾けた。
ウルトラ支援ぬ
「そうかい、あんたの母親の心を治す方法は、まだ見つからないか」
「うん、でも……きっと見つける」
「そうだな。しかし、もうあれから六年か、早いもんだ。あたしも、あとちょっとで
おばさんって呼ばれる歳だな」
「ごめん」
「あんたが謝ることじゃないさ。これは、あたしが決めた約束だからね。だけど、
こんな森の奥にいると、世間からは遠くなるが、ヤプールに、怪獣、超獣、
宇宙人、世界の危機なんて、とても信じられないよ……」
「ぜんぶ現実、今は世界中の人々が未知の脅威と戦ってる。ジルにも、わかるでしょう」
「ああ、あのときのことは忘れられないよ。あんたと初めて会った、あのときのことはね」
タバサとジルは、そこで会話をとぎると、遠い目をして天井を見上げた。
”六年前、約束、あのとき……いったい、この二人の過去に、なにがあったのね?
うーん! 考えれば考えるほどわからないのね!”
シルフィードは、二人の会話の中に出てきた単語を抜粋してみたが、断片的な
情報は、ますます未熟な彼女の脳を混乱させるだけだった。
ただし、六年前といえば、確かタバサが北花壇騎士に任命されて、危険な
任務に従事させられるようになったころのはず、ということはそのころのどれかの
任務で知り合ったのか? でも、自分の知る限りにおいて、タバサが任務内で
知り合った人と親密な関係をもったことなど一度もない。
ひょっとして、遠い親戚? いや、全然似ていないし、近しい匂いはまったくしない。
じゃあいったい何? この二人は何を隠しているの?
表情をぐるぐるとめまぐるしく変えたシルフィードは、頭が爆発しそうになるにいたって、
とうとう考えるのをやめて、一番簡単な方法をとることにした。
「おねえさま、この人といったいどういう関係なのね?」
「うん? シャルロット、あんたあたしのことをこの子に話してなかったのかい?」
「うん、あのときのことは、ジルと二人で話してあげたかった」
「ふーん。なるほど、信頼されてるね、シルフィードちゃん」
「ち、ちゃんはいらないのね!」
野性的な色っぽさを持つジルに笑いかけられて、シルフィードは種族が違うというのに
一瞬どきりと心臓が鳴ったように思えた。
「ふふ、可愛いねえ、食べちゃいたいくらいだよ」
「ひっ! シ、シルフィーはおいしくないのねー!」
妖しく視線を向けられて、シルフィードは脱兎のように壁際まで逃げ出して、それを
見たジルは腹を抱えて笑った。
「あっははははっ! 冗談に決まってるだろ。いくらあたしが猟師だからって、
シャルロットの使い魔を食べたりはしないさ。それにあたしは、ドラゴンってやつが
嫌いでね。おっと、あんたは別さ……さてと、それじゃあ少しばかり昔話を聞かせて
あげようか、シャルロット」
「うん、六年前のあのとき、わたしがまだ一二歳だったころ……あの、夢のような
不思議なときのことを……」
手作りの木の椅子に背を預けて、ジルとタバサはシルフィードと、それから自分たちに
語りかけるように、ゆっくりと、静かに物語りはじめた。
それは、今から時をさかのぼること六年前。
当時、ガリア王国には二人の王子がいた。
長男で、現ガリア王のジョゼフと、その弟で、当時十二歳だったシャルロットの父親で
あった第二王子のオルレアン公シャルルである。
この二人は、兄弟でありながら、まったく対照的な存在として世間に認知されていた。
ジョゼフは生来魔法の才がなく、成人した後でもドットの力すらなく暗愚と呼ばれ、
対してシャルルは頭抜けた才覚を発揮し、幼年にしてライン、トライアングルと
昇格を続けて、天才との賞賛をほしいままにしていた。
それは、魔法が使えることが貴族の証とされるハルケギニアでは人格やその他の
才覚をおいて、絶対的な評価の差となって現れ、誰もが時期国王はシャルルがふさわしい
と考えていた。
しかし、先王はジョゼフを時期国王にすると遺言を残して、この世を去った。
それからすぐのことである。シャルルが狩猟会のさなかに、何者かに毒矢で暗殺されたのは。
犯人は、捜すまでもなかった。シャルルが死んで一番得をするのは、いまだに圧倒的な
指示を集めるシャルルに対して、孤立無援に等しい無能王子ジョゼフ。
だが、残されたシャルロットの母は国が二分される内乱になるのを恐れ、はやる貴族たちを
抑えると、罠と知りつつジョゼフの誘いに応じてシャルロットと二人だけで王宮へ出かけて。
「わたくしだけでご満足ください。なにとぞ、娘だけはお救いくださいますよう」
それが、シャルロットと母の別れの言葉となった。
母は心を狂わす毒で正気を失い、娘を認識することさえできなくなった。
しかも、残されたシャルロットとても無事にすむはずはなく、目付け役にされたイザベラから、
残酷な命令が与えられた。
「ファンガスの森へ行って『キメラドラゴン』を退治してきな。言っておくが、逃げ出したら
母親の命は保障しない」
そうして、送り込まれたのがファンガスの森……当時、この森はキメラと呼ばれる
凶暴な合成獣たちの巣窟であり、ジョゼフが、イザベラが自らの手を汚さずに
シャルロットを抹殺しようと考えていたのは、幼い彼女にも簡単にわかった。
よだれを垂らし凶悪なうなり声をあげて向かってくる双頭の巨大狼、対抗するには
あまりにもシャルロットは非力だった。
”もうだめだ”
そのころのシャルロットの稚拙な魔法では傷もつけることはできず、恐怖に支配
されたシャルロットは絶望の中で死を覚悟した。
だがそのとき、絶体絶命のシャルロットを救ったのが、この森を狩場にしていた
猟師のジルだったのだ。
「どうして、この森をほっつき歩いてたんだい? あんただって、この『ファンガスの森』が、
どうなっているんだか知っているんだろう?」
連れて行かれた、彼女が隠れ家にしている洞窟の中で、シャルロットはうつむきながら
ジルの話を聞かされた。
数年前、この森にはとある貴族が魔法生物を研究していた塔があったという。
その貴族は、何を目的にして研究していたのかは不明だが、研究は失敗して貴族は
自ら生み出したキメラたちに殺されて塔は破壊され、解き放たれた異形の怪物たちは野生化し、
今やこの森を我が物顔で跳梁跋扈している。
「馬鹿な連中だよ。何がしたかったのかは知らないけど、人間が生き物を簡単に
作ったりできるわけないだろうに……それに、さっきの狼なんて序の口だよ。ここにはね、
もっとでかい、元がなんだったのかわからない化け物や、キメラドラゴンなんてのもいるんだ」
「キメラドラゴン……」
倒すべきと命じられた標的の名を聞いて、沈んでいたシャルロットの顔が少し上がった。
キメラドラゴン、それは火竜をベースにしていくつかの生物を融合させた、キメラたちの
中でも最大クラスの大物で、ジルも遠巻きに見るかしたことがあるだけだというが、
別のキメラさえ餌食にする、とても人間が敵う相手ではないそうだ。
「だから悪いことはいわない、帰りな。見たところ貴族みたいだけど、遊びでどうこうなる
相手じゃあない」
そんなことはわかっている。いいや、キメラどころかただのキツネ一匹にだって、
シャルロットは勝てる自信などは微塵もなかった。
それでも、母の命がかかっている以上、逃げ帰ることはできないシャルロットは
「武者修行」と、とっさに言い訳を口にしたが、ジルは大笑いすると彼女に奥から
取り出した一冊の古びた本を手渡した。
「この本……怪物たちの、図鑑?」
それは、ジルがこの森で見つけたという、かつてキメラたちを生み出していた
研究者のノートのようだった。
「う……っ」
ページをめくるたびに、スケッチされたおぞましい姿の怪物たちが目に飛び込んできて、
シャルロットは吐き気がこみ上げてくるのを感じた。さっき襲われた双頭の狼の他にも、
腕が六本ある熊、尻尾も頭になっている蛇、馬の足を持った虎、おとぎ話で出てくるような
怪物たちが紙面を埋めて、その一ページにキメラドラゴンはいた。
”こんなの、勝てるわけがない……”
どうすることもできない虚無感がシャルロットの胸を支配した。火竜はただでさえ
ハルケギニアで最強の幻獣とされているのに、それに無数の生物の利点を移植し、
強化改造したその姿は、もうごちゃまぜの『何か』としか言いようがない。しかも、
ジルの言うところによれば、キメラドラゴンは他の動物やキメラを捕食することによって、
遭遇するたびに大型化していっているという。
「な、だから言っただろ? それに、キメラドラゴンさえも、このイカレきった森じゃあ
王者じゃあない。あんたみたいな子供には十年早いんだよ。どうせ本当は家出
してきたってところだろ? 親父さんやおふくろさんが心配してるよ。森の外まで
送っていってあげるから、おとなしく帰りな」
「……いません、父も、母も……」
「なに?」
そこでようやくシャルロットは、自分の身に起こったことを説明した。
父が殺され、母も薬で心を奪われて一人きりになってしまったこと、キメラドラゴンを
倒せと一人きりで送り込まれてしまったことを。
ジルはシャルロットの血を吐くような独白をじっと聞いていたが、彼女が話し終わって
すすり泣きながら押し黙ると、胸くその悪さといっしょに大きく息を吐き出した。
「ったく、貴族ってのはえげつないことを平気でするね。血を分けた兄弟が、誰がお家の
跡取りになるかで殺し合いか。にしても、あんたがこの国のお姫様だったとは、
驚いたよ」
「……」
「まったく馬鹿馬鹿しい! 下々の下の下の身分のあたしにはわかんないけど
王様ってのは、そこまでしてなりたいもんなのかい?」
「……」
「ふん、そのあげくがこんな子供を化け物のエサになってこいって、人質まで
とって森に放り出すとは、どいつもこいつもイカれてる。あんたの親父も、無様な
死に方をしたもんだ」
「父を悪く言わないでください!」
それまで黙っていたシャルロットが、目を赤く腫らしながら叫ぶと、ジルは
怒鳴り返すでもなく、つまらなさそうに答えた。
「同じさ、あんたの親父がどんな善人だったかは知らないけど、そんな魑魅魍魎が
跋扈する汚い世界にいるってことを知りながら、あんたたちを守りきれなかった
負け犬ってことに変わりはない。本当にあんたたち家族を一番に思うのなら、
さっさと跡継ぎなんかから引いて、保身をはかってればよかったんだ」
言われてみれば、返す言葉は幼いシャルロットからは浮かんでこなかった。
確かに、ジョゼフはシャルルに比べて暗愚と言われてきたが、それは魔法の
才に限ってのことであって、知能・体力などの能力は勝る点も多々あり、
長子が家督を継ぐのが当然とされる習いの中で、無理に次男であるシャルルが
競争をする必要が、ガリアの未来のためにあったとはいいがたいだろう。
「な、あんたの親父もどっかでは王様になりたいって野心があったのさ。けど、
欲望ってのは強いほうが勝つんだ。中途半端な善人ほど始末に悪いものはない。
だがまあ……すんでしまったことはいい。あんた、これからどうするんだい?」
「……」
しばらくの沈黙の後に、シャルロットが出した答えは、ジルをさらに暗然とさせた。
「わたしを、殺してください」
シャルロットは、もう何も考えたくないほど生きることに絶望していた。どうせ、
母は助からない、そうすれば今度こそ天国で親子三人楽しく暮らすことができる。
心の底から疲れきったシャルロットの言葉に、ジルはこんな幼子にそこまでの
ことを言わせるとはと、多少の同情を覚えなくもなかったが、はっきりと首を
横に振った。
「やなこった。人殺しなんて冗談じゃない。死にたければ、勝手に出て行って、
あいつらに食われればいい」
「それはいや、あんな化け物に食べられるなんて……せめて、痛くない方法で……」
「はっ、なんて贅沢だい、死に方にまで注文をつけるなんて……」
ジルが一考だにせず笑い捨てると、シャルロットは小さな声で泣きはじめた。
それから、どれだけの時間が流れたのだろう。
洞窟の外をカモフラージュする草戸の隙間から漏れこんできた紅い日の光が
消え去って、焚き火の灯りだけが薄暗く洞窟の中を照らす中で、二人はじっと
焚き火のそばに座り込んでいた。
ジルは無言のままでシャルロットに毛布をほうり、干し肉をわけてやった。
それは、シャルロットにとって、はじめての粗末な食事であったが、疲れ果てて
からっぽになった胃袋は贅沢を言わずに飲み込んでいき、やがて食べ終わった
ころを見計らって、ジルはシャルロットに尋ねた。
「あんた、まだ死にたいかい?」
シャルロットはこくりとうなずいた。
「……わかったよ。そこまで言うなら殺してあげる。あたしは毒にも詳しいんだ。
眠ったまま楽に死ねる毒を調合してやる。ただし、ひとつ条件がある。あたしの
仕事を手伝ってほしいんだ」
翌朝から、シャルロットはジルについて狩りに出かけるようになった。
どうしても狩りたい獲物がいるから、それを狩るのを手伝ってくれれば薬を
調合してやるというのが、ジルが出した条件だった。
昨日まで着ていた貴族の服から、ジルの用意してくれた狩猟用の服を
着込んで、杖を構えてシャルロットは森の中を歩いていく。
「怖い……でも、がんばらなきゃ」
勇気を奮い起こして、シャルロットはキメラの潜んでいる洞穴に向かって
呪文を唱えながら忍び寄る。杖の先には小さな氷の鋭い塊ができていた。
『氷の矢』という、シャルロットが唯一使える攻撃魔法であった。
ただし、それは普通の動物はまだしも、キメラ相手に使うにはあまりにも
小さく非力だったので、目的はキメラを倒すことではない。
「いいかい、キメラの皮膚の分厚さと生命力はドラゴンにも匹敵する。なにせ
元々そういうふうに作られてるんだからね。だから、あんたはその魔法を
ぶち込んで、奴を怒らせておびき出してくるんだ。とどめは私がやる」
「つまり、囮ね。でも、そんな相手に、ジルはどうするの?」
「ふっ、安心しな。あたしは魔法は使えないが、それなりに知恵は働くからな」
そうして、シャルロットはなんとかキメラを穴から引きずり出した。
出てきたのは、昨日のノートにもあった、真っ赤な毛で全身を包み、角を生やした
巨大なヒヒだった。怒りに燃えたヒヒのキメラは、シャルロットを見つけると、
激昂して襲い掛かってきた。
”イル・フラ・デル・ソル・ウィンデ”
フライの魔法で、キメラの攻撃をかわしてシャルロットは待ち伏せ地点まで
キメラを誘導した。
「ジル、今!」
あとはあっけなかった。トラップにはまって身動きがとれなくなったキメラは、
ジルの特製の爆薬を仕込まれた矢を頭にぶち込まれて、頭部を粉々にされて
ひとたまりもなく絶命したのだった。
「その矢、すごい威力ですね。わたしの魔法なんか、足元にも及ばない」
「私が考えたのさ。キメラを相手にするには大砲でもほしいところだが、こちとら
ただの人間である以上、知恵をしぼらないとね」
はじめて共同でしとめた獲物を前にして、二人は顔を見合わせて笑いあった。
父が死んでから、シャルロットが見せる初めての笑みであった。
それから四日間、シャルロットは見事に囮役を勤め上げた。
二人の連携も回を追うごとに密になっていき、倒したキメラの数も両手の
指に余るほどになっていった。
また、シャルロットの魔法の実力も実戦を繰り返すうちに次第に磨かれていき、
フライの飛翔能力の速度と瞬発力、氷の矢もキメラに手傷を与えられるほどには
強力になっていった。
けれど、幸か不幸かその間に肝心のキメラドラゴンには一度も遭遇する機会はなかった。
「おかしいね。これだけ動き回ってれば、気配くらいは感じてもいいはずなんだけど……」
キメラドラゴンは、遠目からだが観察を続けた経験上、この森を獲物を求めて
ある一定の周期で徘徊しているというのだが、うなり声はおろか足跡や糞すら
発見することはできず、最初は単なる偶然かと思ったが、さらにそれから三日が
過ぎても遭遇がなかったので、ジルもさすがに不審がりはじめた。
「もしかして、森の外に逃げ出したんじゃ」
「いや、キメラも異形になってしまったとはいえ動物としての本能は残ってる。奴に
とってテリトリーであるこの森から、出て行くとは考えられない」
考えてみれば、火竜山脈の火竜だって、よほどエサに窮したときくらいしか住処
である山脈から離れていくことはない。それに対して、いくら自分とジルが大量の
キメラを倒したとはいえ、キメラドラゴンにとってファンガスの森にはまだ充分な
数の獲物がいるはずだ。
その後、二人は狩りの範囲を広げていったが、それでもキメラドラゴンと遭遇
することはなかった。
いつの間にか、狩りを始めてから二週間の時が流れていた。
「まいったね。ここまで来ても、足跡も見当たらないとは」
すでに三〇体ものキメラを共同でほふったジルとシャルロットは、隠れ家の
洞窟を遠く離れて、ファンガスの森の中で唯一開けた空間にいた。
ここは、最初のジルの話にも出てきたキメラを研究していた貴族の塔があった
場所だった。むろん、キメラが脱走した際に崩壊し、現在は跡形もなく瓦礫が
散らばるだけの廃墟となっている。
「ここで、キメラたちが生まれた……」
「ああそうさ、あんたに見せたノートを拾ったのもここだった。まあ見てのとおり、
今じゃあ何があったかすら見当もつかない、岩と鉄くずの山だがね」
涼しげな風が、シャルロットの何倍もある巨大な岩塊の山のあいだをすり抜けて、
ジルとシャルロットのほてった肌を優しくなでていった。
二人は、遠出の疲れから瓦礫の上に腰を下ろすと、用意してきた乾パンや
干し肉の遅い昼食をとった。
この時期になったら、シャルロットも粗食にもすっかり慣れ、積み重ねた戦歴と
比例するように、猟師の服も倒したキメラの返り血が、勲章のように全身を染めていた。
二人はしばらく無言で、それぞれの分の弁当を口にしていたが、半分ほど食べ終わった
ところで、シャルロットは尋ねた。
「あの、ジルさん」
「なんだい?」
「そろそろ、薬を……」
するとジルは呆れたようにため息をつくと、乱暴に干し肉を食いちぎって言った。
「まだ死にたいの? そろそろ諦めたと思ってたよ。あんたもけっこう強情だねえ」
シャルロットはぐっとこぶしを握り締めた。
「約束したじゃないですか」
「あんときは、ああでも言わなきゃ、あんた納得しなかったろ。それに、第一あんたは
あたしとの契約を果たしていない。それじゃあ是も非もない」
正論だった。約束を果たした後でなら、強行に出ることもできるが、そもそもジルと
した約束を果たしていない状態なら、ジルも約束を守る筋合いはない。いや、それ
以前に、幼いシャルロットは、ジルのターゲットそのものを聞いていないことに、今頃
気がついた。
「ジルの、倒したい相手って……どのキメラなの?」
すると、ジルは残っていた乾パンを水で一気に流し込むと、吐き捨てるように
その名を口にした。
「キメラドラゴン……」
「えっ?」
一瞬、聞き違いかと思った。けれど、ジルは憎憎しげな眼差しで、乾いた廃墟を
睨みつけると、足元に転がっていたなにかの破片を拾い上げて、遠くに投げ捨てた。
「いや、キメラドラゴンだけじゃない。この森のキメラすべてを殺しつくすまで、あたしは
この森を出るつもりはない」
今まで一度も見たことのない、触れれば切れるほどに鋭い目つきのジルがそこにいた。
そして、ジルのその峻烈ともいえるほどに殺意に満ちた決意の源泉が、憎悪にある
ことは、シャルロットにも肌で伝わってきた。
「ジル……」
「シャルロット、あんたの身の上に起きたことは同情する。けど、やっぱりあんたは
甘えてるんだと思う。心を狂わされたって、あんたのお母さんはまだ生きてるんだろ?
だったら戦いな、戦って、お母さんを奪い返してみなよ!」
「でも、わたしの力なんかじゃあ」
「そんなことはないさ。あんたには、あたしなんかよりずっと強い”矢”がある。今じゃあ
キメラさえ倒せるようになった。昨日使えるようになったの、なんていったっけ?」
「ウェンディ・アイシクル、水蒸気を氷結させて、氷の矢を無数に作り出す魔法」
「そう、そんなすごいのをあんたはたった二週間で使えるようになった。だから、
できるさ。こんなところで地をはいずってるあたしよりも、あんたはきっといつかもっと
高いところを飛べるようになる」
その、物悲しげで、どこかうらやましそうなジルの眼差しに、シャルロットは
自分と同じものを感じて、尋ねてみた。
「ジル、ジルはどうしてキメラを……?」
「……三年前、あたしが十六歳のころのことさ」
だが、ジルの告白は第一小節から先に進むことはなかった。そのとき、瓦礫を
通して彼女たちの足元から突き上げるような衝撃が襲ってきて、続いて森全体が
突風に吹かれたかのように揺らいだのだ。
「これは……まさか!」
ジルの表情が凍りついた。衝撃は、その一度だけで終わらずに、二度、三度と
およそ一秒ほどの間隔をおいて規則的に伝わってくる。
「なに? まるで、足音みたい」
「ちぃっ! よりにもよって、隠れるよ!」
血相を変えたジルは、シャルロットの手をつかむと、痛がる彼女を無視して強引に
手近な瓦礫の影に伏せさせた。
「なに? なんなの?」
「しっ、隠れてな。来るよ、この森のボスが」
「ボスって……キメラドラゴン!?」
「いや、違う! そんな生易しいものじゃない」
今のジルの顔には、ありありと恐怖の色が浮かんでいた。そう、絶対にかなわない
天敵と出会ったときの、獲物になるしかない動物と同じ目。
足音は、次第に大きくなりながら廃墟のほうへと近づいてきて、森の影から
その持ち主の姿が現れたとき、シャルロットはジルにしがみついてがたがたと震えていた。
「な、なにあれ……」
最初に見えた顔は、例えるならばカマキリの顔を鋭角にしたような、肉食昆虫の
ようなもので、鋭い牙と緑色に光る複眼がついていた。
しかし、昆虫ではありえないことに、そいつは直立して二足歩行をし、普通の昆虫に
ついている六本の足のうちの中央の二本がない代わりに、人間の腕のように
前に突き出た前足の先には鋭いハサミがついている。
いや……それだけならば、この森のキメラのほうがもっと異形と呼んでよく、そいつは
全身を鎧のように覆った外骨格と合わさって、洗練された姿と呼べなくもない。
異常なのは、そのサイズであった。
目測でも、その怪物の全長は少なく見積もっても六〇メイルは軽くある。ノートで見た
キメラドラゴンでも全長は一〇メイルに満たず、スクウェアクラスの土メイジが作る
最大級のゴーレムでも、二〇から四〇メイルが限度とされていることからしても、
文字通りケタが違いすぎる。
「ジル! なんなのあれ? あれもキメラなの?」
「わからない……けど、絶対に見つかるな。森のキメラも、あいつにだけは手を出さない」
巨大な昆虫の怪物は、森の木をへし折りつつ廃墟の中に足を踏み入れ、岩塊を
踏み潰しながら二人のすぐそばを通り過ぎていった。
「大きい……まるでお城が、動いてるみたい」
これまで見たキメラたちとは威圧感の格が違った。震えるシャルロットに背を向けて、
怪物は廃墟の一角を前足で掘り返すと、そこから出てきたパイプを破って、中から
湧き出してきた緑色の液体を飲み始めた。
「何かを飲んでる?」
「ああ、あいつはたまにここに来ては、あの液体を飲んでるんだ。多分、やつのエサなんだと
思うんだが……これを見てみな」
ジルは懐から、先日のものとは違う本を手渡した。
それには、キメラたちとはまったく違う怪物たちが無数に描かれた、一種の図鑑のような
もので、驚くほど精巧な絵が描かれていた。ざっと見ると、だいたい前編と後編に分かれており、
前編はまだら模様を体にあしらった二足歩行の竜とワイバーンから始まって、どす黒い
巻き貝から逆さまになった頭と巨大なハサミを生やした怪物で終わり、後編は全身が
岩でできたクモから始まり、背中に鋭いとげを無数に生やした見るからに凶暴そうな竜で終わっていた。
「それも、ここで拾ったものなんだけど、どうやら奴らはキメラとは別になにかの研究を
していたらしい。それの、後編の最初のあたりだよ」
「うん……あっ、これね」
言われたとおりにページをめくると、そこには例の恐ろしく精巧な絵とともに、この昆虫の
怪物が確かに載っていた。ただし、説明文はガリア語ではない見たことのない言語で
書かれていて読み解くことはできなかったので、シャルロットは短くスペルを唱えて、
もう一度そのページを眺めた。
魔法の光がシャルロットの目を覆い、彼女の目には不確かな記号にしか見えない
その文字を、ハルケギニアの意味にして脳へと伝達していく。
「変異昆虫……シルドロン。高純度液体エネルギーを好んで飲み、全身を強固な外骨格で覆い、
さらに両腕の装甲を盾の様に使って攻撃をかわす怪獣って書いてある」
「えっ! あんた、読めるのかい!?」
「いいえ、リードランゲージっていうコモンスペル。読めない文字を解読できるの」
「はあ、まったく魔法ってのはすごいものだね」
「ジル、どうしよう?」
「どうしようって、相手が悪すぎる。逃げるよ、こっそりとな」
普通のキメラだって、入念に作戦を練って、罠を用意して戦うというのに、十倍以上の
巨体の怪物に、無準備で戦えるわけはない。第一、キメラと違ってあれは戦うべき
相手ではない。
しかし、彼女たちは知らなかった。
この瓦礫の数十メートル下……地下ではまだ研究所の施設の一部が生き残っており、
度重なるシルドロンのエネルギーパイプからの吸収に、ついにエネルギー欠乏を
きたした機械群が、非常システムを作動させていたのだ。
”高純度エネルギーパイプ破損、研究所内エネルギー、レッドラインまで降下……
緊急避難エノメナシステム作動、補助動力ネオマキシマオーバードライブ作動開始、
これより本研究所は三〇〇秒後に半径三十キロメートル四方を亜空間転移して
撤退します。転移座標ザリーナポイント001、転移計算開始……エラー、エラー、
計算に失敗、転移座標算定不能……”
ハルケギニアにあるはずのない機械が、電子のうなりをあげて始動し、時空間に
膨大なエネルギーを注ぎ込んで歪めていく。それに、シャルロットとジルも、シルドロンも、
森に残ったキメラたちも気づいていない。
「音を立てるなよ。奴が食い物に夢中になってるうちに、森の中に隠れるんだ」
「うん……」
勝負にならない敵から逃げるのは恥ではない。自分の牙が届く範囲もわきまえず、
銃口の前に飛び出す狼は豚となんら変わりはない。二人は息を殺して一歩一歩
瓦礫の中を忍び足で進んでいく。
だが、そのときにはすでに手遅れで、この世界で作られた、この世界のものではない
技術の産物の装置は、製作者が万が一の場合には研究所ごと逃げられるようにと
プログラムして、結局役に立たなかった最後の命令を今になって果たそうと、
エラーを出し続ける座標計算を続けながらエネルギーチャージを続け、そして最後の
カウントの時が刻まれた。
”5、4、3、2、1、ワープします”
そのとき、ファンガスの森全体を光が包み込んで、一瞬で消えた。
「今、なにか光った?」
「ああ……気のせいか」
このとき二人にもう少し余裕があれば、空が曇り空から晴天に変わっているのに
気がついただろうが、すぐにジルとシャルロットは大変な危機に見舞われて、その余裕を
失うことになった。
「……っ! やばい、見つかった!」
パイプからたっぷりと高純度エネルギーを飲み干したシルドロンは、むくりと起き上がると
食後のひと運動と、手ごろなおもちゃとばかりに二人に向かって襲い掛かってきたのだ。
「走れ!」
瓦礫を飛び越え、森の道なき道を二人は必死で逃げた。けれども、怪獣は逃げ隠れ
する二人をまるで森の木をすかして見えているように、いくら隠れても見つけ出してきた。
「ジル、なんであいつはわたしたちが見えるの!」
「わからない! 匂いか音か。でも、やろうと思えばすぐにあたしたちを殺せるはずなのに、
あいつ、あたしたちで遊んでやがる」
実は、シルドロンの頭部には、第三の目のような発光器官が備わっていて、これが極めて
鋭敏なレーダーの役割を果たす。しかも、大量のエネルギーを吸収したためか、奴は
まるで疲れを見せない。
そして、日が地平線上に傾き、森を紅い光が照らす時間になるまで、二人は追ってくる
シルドロンから逃げ続けた。
「はあ、はぁ……ジル、もうわたし走れないよ」
「弱音を吐くんじゃない。畜生、虫けらなんかに踏み潰されるなんて、あべこべじゃねえか」
心身ともに疲労しきった荒い息の中で、ジルは倒れそうになっているシャルロットを
助け起こしながら毒づいた。
腹を満たした猫はネズミをすぐに殺さずに手の中で死ぬまでもてあそぶというが、
いざ自分がその立場に立つとうれしいものではない。それに、四、五時間に及ぶ
逃避行で、さしものジルの体力も尽きてきた。
「こうなったら、二手に分かれよう。あんたは魔法でさっさと飛んで逃げな!」
「そんな、ジルを置いていけないよ!」
「バカっ! そんなこと、危ない! 前」
ジルが叫んだときには遅かった。シャルロットは森の木々のあいだに密集していた
つたに正面から突っ込んで、完全に全身をからめとられてしまっていた。
「う、動けないよ」
「ああもうっ! 動くなよ、すぐに助けてやるからな」
舌打ちすると、ジルはブーツからナイフを取り出して、シャルロットをからめとっている
つたを切りさいていった。しかし、つたは硬い上に数が多く、ナイフが刃こぼれするばかりで
作業がいっこうにはかどらない。
「畜生、こいつが」
「ジル、怪物が来るよ、もういいよ。逃げて!」
「バカ! あたしよりずっと小さいくせに何気を使ってるんだい。絶対に助けてやる、
助けてやるからな」
鬼気迫るとさえ言えるジルの表情に、シャルロットは見ず知らずの自分のために
どうしてそこまでしてくれるのかと思った。
けれど、ジルがつたを切り裂くよりも早く、もう遊びにも飽きたのかシルドロンの
巨大な足が迫ってきた。
「きゃあっ!」
「くそっ!」
とっさにジルがシャルロットを守るように覆いかぶさった。けれど、そんなものでは
あの何万トンという巨大怪獣の重圧から守りきれるはずがない。シャルロットは
思わず死んだ父親に向けて祈った。
そのときだった! 突然シルドロンの額についている発光機関が光って、奴が
反射的に上げた左腕の装甲に光り輝く青い球体が飛んできたかと思うと、
装甲ではじき返されたそれは強烈な衝撃波を呼び、つたを引きちぎって二人を
地面に叩き付けた。
「きゃあっ!」
「うっ……」
激しく背中を打ちつけたジルはそのまま気を失い。シャルロットも、咳き込んで
薄れゆく意識の中で、わずかな気力を奮い起こして顔を上げて……見た。
連射されてきた無数の青い光球を、シルドロンは両腕の装甲を使ってガードし、
立ち向かってきた何者かと戦いに望んだ。
だが、勝負は一瞬だった。
鋭い刃のような光が二回閃いたかと思うと、シルドロンの自慢の強固な両腕が
肩口から切り裂かれて宙を舞っていた。
悲鳴をあげたシルドロン、そして青く輝く光の束がその腹に打ち込まれたとき、
シルドロンは爆発を起こして粉々に吹き飛び、その爆風にあおられてシャルロットは
最後に自分たちを見下ろしてくる何者かの視線を感じながら、完全に意識を失った。
「う……」
それからどれだけ時間が過ぎたのだろうか、意識を取り戻したとき、シャルロットは
すっかり闇のとばりに覆われた森の、どこかの場所に寝かされていた。
うっすらと目を開けて周りを見渡すと、目の前には焚き火がたかれており、
ジルは少し離れた場所に寝かされていて、シャルロットはほっとしてさらに周りを
観察すると、一人の人影が視界に入ってきた。
”誰……?”
まだよく動かない体の中で、瞳だけを動かしてシャルロットはその人影の動きを追った。
こちらに背を向けているので顔は見えなかったが、黒髪の長身の男性らしく、
ジルに負けないくらい引き締まった体格が目を引いた。
ただ、こんな危険な森にいるというのに、彼は武器どころかほとんど手ぶらの
状態で、服装も街中で身につけているような極めて軽装なものだった。
”王家の、回し者?”
シャルロットはそう考えたが、すぐにその答えを否定した。もしも、ジョゼフかイザベラの
息がかかった者であったら、自分を生かしておくはずがない。即座に始末して、キメラの
仕業としてしまえば全部片がつく。
けれど、味方だとしてもこの森には自分やジルのような人間以外は近づかないし、
オルレアン派の貴族は全て抑留されるかしたはずで、助けに来てくれるはずがない。
でも、答えはわからなかったがシャルロットは安心した。自分とジルの傷には、
彼が巻いてくれたのであろう包帯が白い肌を見せており、彼が悪意の人間では
ないということがわかっただけで充分だった。
あの怪物はどうなったんだろう? 自分たちはどこまで逃げてきてしまったのか?
ガリアは今どうなっているんだろう? 安心したとたん、様々な疑問が頭の中に
浮かんできたが、ほっとしたとたんにまた襲ってきた睡魔に次第にまぶたが
重くなっていく。
”いいや……目が覚めたら、聞いてみよう……”
まぶたを閉じ、シャルロットは彼の持っていた銀色の箱から聞こえてくる不可思議な
声を子守唄にして、また眠りの中へ落ちていった。
”AAB・アルバータ州総合ラジオ放送、臨時ニュースを申し上げます。先日、日本・東京に
出現しました地球外生体兵器は、コードネームを【コッヴ】と呼称することが発表されました。
それと並行し、世界各国政府は、現在地球へ迫りつつある脅威から地球を守るべく、
秘密裏に地球防衛連合G.U.A.R.D.を設立していたことを発表しました。
これについて、本国政府の対応は……”
星空と、たった一つの月の下で、過酷な運命を背負わされた少女の最初の冒険は、
幸せな小休止を迎えていた。
続く
今週は以上です。
>>286の方、支援ありがとうございました。
タバサの過去編、キメラドラゴン退治の話のウル魔版、お楽しみいただけたでしょうか。
といっても、肝心のキメラドラゴンの登場はこの回ではなかったのですが、尺の都合で
ご容赦ください。
この時期はどうも雷のおかげでなかなかパソコンを起動できないときが多いですが、
7月7日は北斗と南の誕生日ですし、なんとかがんばってみます。
では、次回もシャルロットとジルが主役で、タバサの冒険の続きです。
ウルトラ乙
怪獣を倒したのはガイア?
乙ー
以前ヒカリを見たときの反応からすると、きっとアイツだ
乙
怪獣はダイナで世界はガイアか?
じゃあ、あいつ?
乙です。
ゴルザ・メルバ・ガタノゾーアにダランビア・・・最後に記されたのはゾグでいいのかな?
そういえばウルトラマンのティガからガイアまでの三作って、クトゥルフ系モチーフの敵がいるんだよな。
まあ初代やQもそれっぽいのいるけど。
ティガなんかラスボスがもろ旧支配者の一角だし場所もルルイエだしな
しかし円谷は何時になったらゼラデスビームの映像を公開するんだ…
超ウルトラ8兄弟での期待を返せ(泣)
ウルトラの人乙でした。
それでは、22:30ごろより無重力巫女の人の代理投下を行います。
それが終わってからどなたの予約もなければ拙作の27話を投下させてもらいます。
308 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/04(日) 22:28:30 ID:WGrIQki8
>>303 ガイア世界が含まれてないだろうからネオガイガレードだと思う。
>>305 大怪獣バトルRRにグリッターティガが単独参戦することを祈ろう…
ルイズが目を覚ました頃、トリスタニアの各所にある衛士隊の詰め所の内一つでは、
一人の女性隊員が一枚の書類を握りしめてこの詰め所の隊長に詰め寄っていた。
「どうしてそうなったのですか!?」
女性とは思えないほどの力で自分の机を叩いたアニエスの顔には、悔しさが滲み出ていた。
普段の彼女ならば絶対他者に見せはしないその表情に周りにいた隊員達は目を丸くする。
怒りで震えている彼女の手の中には一枚の書類が握りしめられており、指の間からとある一文が垣間見えた。
『遺体、遺留品は一時王宮に保管し、以後許可があるまで事件の捜査をしないよう』
その一文は、彼女をここまで憤慨させるのにもってこいであった。
手紙全体の内容を、簡単に言えば『今後、この事件の捜査をするな』というものであった。
勿論それには、神聖アルビオン共和国との動向が気になる今の時期に騒ぐのは不味い。という理由がある。
しかしそのような返事をよこしてきた王宮に、アニエスは納得がいかなかった。
「ノロノロとした対応しか出来ない連中に横やりを入れられることなど、我慢できません!」
気迫迫る表情で詰め寄ってくるアニエスに、隊長は困った表情で何とか彼女を落ち着かせようとした。
「落ち着けアニエス。気持ちはわかるが王宮の命令なんだぞ。逆らえばクビになってしまうぞ!」
落ち着いた表情の隊長にそう言われても、アニエスは尚も悔しそうな顔をしている。
それは昨日の真夜中にまで時は遡る。
事件のあったホテルでの現場検証は衛士隊の方で済ませ、遺留品と内通者の遺体を詰め所に搬送した後の事であった。
遺体を臨時的に作られた死体置き場へと運び終えて皆が一段落していた時、彼らはやって来た。
「何だ何だ?我々が急いで駆けつけて来たというのに貴様ら平民は仕事をサボって休んでいたのか」
厚かましい言葉と共に詰め所へ入ってきたのは魔法衛士隊の内一つ、ヒポグリフ隊の隊長であった。
本来なら宮廷と王族の警護を司る彼らが来たという事は、恐らく王宮が派遣してきた応援であろう。
(応援にしては遅すぎるうえに何の事前連絡もないとは…)
心の中でアニエスが訝しんでいるのを余所に、衛士隊の隊長はヒポグリフ隊の隊長に敬礼をした。
「わざわざ王宮からのご足労。大変感謝致します!」
並の貴族ならばその動きだけで満足するであろう敬礼に対して、ヒポグリフ隊隊長の返事は余りにも冷たかった。
「フン、本来ならば敬礼ではなく頭を下げるべきだが…まぁ事が事ゆえ、許してやろう」
あからさまな言動に周りにいた衛士隊隊員達は怪訝な表情を浮かべたが、隊長は眉一つ動かなかった。
既にここで働き始めてから数十年年ばかり経つためか、この様な相手とのやり取りなど慣れてしまったのである。
短い話し合いの後、死体置き場の遺体と遺留品は、ヒポグリフ隊の者達によって王宮に運ばれる事となった。
本来ならばアカデミーに運ばれる筈なのだが、ひとまずはここより安全な場所で保管するというとのことらしい。
ヒポグリフ隊とのやり取りを離れたところから聞いていたミシェルは、隣にいたアニエスに怪訝な表情を浮かべて言った。
「下手に動かすより、ここに置いておけばいいんじゃないでしょうか?」
「そういうなミシェル。王宮の連中はああいう面倒事が名誉と金とワインの次に大好きなんだよ」
ミシェルの言葉に対して、アニエスは皮肉という名のスパイスをタップリ込めてそう言った。
その後、王宮から追って連絡があるとだけ言い、ヒポグリフ隊は去っていった。
遺体と遺留品を、何の印も刻まれていない黒塗りの馬車へとつぎ込んで…
それから暫くして、今から一時間前――――
詰め所の入り口でビスケットをほおばっていたアニエスがその連絡を受け取った。
伝書鳩が持ってきたそれは、今の憤慨している彼女を作りだしたのである。
「―――…クソッ、納得いかん」
結局隊長に言いくるめられて退室し、二階の廊下へと出たアニエスの第一声がそれであった。
むしゃくしゃして傍にあったイスを蹴り飛ばすと頭をくしゃくしゃと掻きむしり、近くにあった窓を開いた。
窓から入ってくる肌寒いトリステインの空気が熱くなっていた彼女の心を冷まし、冷静にしてくれる。
外の風に当たってある程度気持ちが落ち着いたのか、ここから見える外の景色は中々良い物だと気が付いた。
太陽がまだほんの少ししか顔を出していない所為か、トリスタニアの町並みはうっすらとしかわからない。
まるで街全体が幻であるかのように、その正体を見せてはくれないのである。
その時、ふとアニエスは思った。
この時間帯のトリスタニアは何処か…別世界に存在しているのでは無いのか、と。
ハルケギニアとは何処か別の世界、…゛異世界゛に移転してるのかもしれないのでは…
「そんなわけないか…ハハっ」
そんな風にして一人笑っている彼女の耳に、可愛いらしい鳴き声が入ってきた。
何処からか聞こえてくる小鳥のさえずりに気が付いたアニエスは、ぽつりと呟く。
「小鳥の囀りと共に…朝が訪れ、人は新しい一日を謳歌する――か」
以前立ち寄った本屋で見つけた小説の一文を、彼女は口にしていた。
小説自体は特に思い入れは無かったが、その一文だけは彼女の頭の中に刻み込まれている。
それが何故なのかは彼女にも判らないし、それを知らない他人はもっと知らない。
ただ、その一文は正に…この街の今の時間帯を示しているのかも知れないと、アニエスは思った。
しかし――そんな彼女の頭の中に記憶という名の映像がノイズ交じりに映し出された。
それは今のアニエスを作りだしたとも言える程、衝撃的な内容であった。
忘れもしない二十年前の記憶を思い出し、アニエスの顔がすぐさま険しくなっていく。
「だが…二十年前のあの日からずっと、私の心の中に朝が来てはいない」
――そう、死ぬ前にすべきことを全てするまでは…私にとって本当の朝は訪れないのだ
穏やかとも言える殺気を孕んだ瞳で呟いた…。
◆
それから時間が経ち、午前9時45分―――トリステイン魔法学院。
朝食も終わり、生徒達は自らの使い魔を連れて授業が行われる場所へと足を運んでいる時間である。
猫や犬といった普通の生物、又は幻獣の子供は主である生徒達の後をついていく。
ここだけではなく、ハルケギニアのあちこちにある魔法学校でよく見られる光景の内一つである。
誰もいない女子寮塔にあるルイズの部屋で、掃除をしている一人の少女がいる。
この学院では割と珍しい黒髪に奇抜なデザインの紅白服を着ている霊夢であった。
「ふぅ…とりあえず掃除はこれぐらいで言いわね」
テーブルを拭いた雑巾を水を張ったバケツの中に入れた霊夢は一人呟いた。
そして手元にあったタオルで手を拭くとイスに腰掛けると一息つき、部屋を見回す。
しばらくご無沙汰だった為か、掃除をする前は部屋の隅に埃がうっすらと積もっていたのだ。
まぁアルビオンへ行ったり幻想郷に戻って掃除する暇もなかったので仕方ないが。
そして掃除をしてみれば部屋の中は小綺麗になり、何処かさっぱりとしていた雰囲気も取り戻した。
たった一点を除いて…。
「さてと、あれは本人にやらせた方が良いわね…」
霊夢は怠そうな目でそう言いながら、部屋の一角に放置された本の山へと視線を向けた。
ベッドに寄り添うかのように放置された数十冊の本は全てこの世界の文字ではなく、所謂英字である。
英語だけではなく、霊夢でも読める日本語や難しいヨーロッパ系の文字の本もあった。
実はこの本の山、全て魔理沙が幻想郷から持ってきたものなのだ。
魔理沙か愛読用にと持ってきたもので、きっとアリスやパチュリーから借りてきた本も入っているだろう。
まだ彼女の家と比べればマジではあるが、数十冊の本の山というのは掃除の時には邪魔な存在だ。
少なくとも霊夢はそう思っているし、出来るのであれば窓から全部放り捨てたいという気持ちもあった。
しかし、それを実行する程魔理沙とは犬猿の仲でもないし何より全部捨てるとなると骨が折れる。
どうしようかと思って考えた結果、出された結論は…本人に任せるということに至った。
「しかし、まさかあんな作り話でうまくいくとは思ってなかったわ…」
掃除道具を片づけた霊夢は再びイスに腰掛けると、ふと昨日の事を思い出し始めた。
☆
霊夢の言う゛あんな作り話゛とは、昨日の昼食の際に学院長であるオスマンの話であった。
昼食の前に行われた話し合いの最後に、オスマンは魔理沙に対してここに長居できるようなんとかしてみると言っていた。
それが一体何なのか、魔理沙ですらわからぬまま時間が経ち、昼食の時間となった。
そして生徒達がいざ食べ始めんとした時、その前にオスマンの話があった。
「諸君、昼餐の前に少し紹介しておきたい人物がおる」
学院長の口から放たれたその言葉に、食堂の中がざわざわと少しだけやかましくなった。
喧騒に包まれる前にオスマンが声を大きくして「静かに」とだけ言うと、すぐさま誰も騒がなくなってしまう。
オスマンはそれを見て満足そうに頷くと、話を再開する。
「見とる者は昨日から見ておると思うが、この学院に白黒の服を着た金髪の少女がいるのを皆は知ってるかね?」
そう言いながらもあるオスマンはある一点を指さし、多くの生徒達が指さした方へと視線を向ける。
オスマンの指さした場所は食堂の出入り口付近に設けられた休憩場。
つまるところ、今食事を食べている霊夢と魔理沙に多くの視線が注がれる形となった。
「おい霊夢、なんであいつ等はあの爺さんが指さしたぐらいで私たちをジロジロ見るんだ?」
魔理沙は先程淹れてもらった紅茶を飲みつつ、隣にいる紅白巫女にそんな事を聞いてみた。
霊夢はこちらに向けられている視線に動じず、隣にいる白黒魔法使いにこう言った。
「きっと自分で考える力があまり無いんじゃないのかしら」
「お前、時々でも良いから自分の言葉に責任感を持ってみたらどうだ?」
ルイズに聞かれていたら間違いなく部屋から追い出されるであろう言葉を、霊夢は難なく言い放った。
その後、オスマンが魔理沙の名前を紹介した後、こんな事を説明し始めた。
なんとオスマンは、魔理沙がずっと以前にミス・ヴァリエールをとある窮地から救った旅人なのだと紹介した。
それを初めてルイズは目を見開き、魔理沙は飲んでいた紅茶を吹き出しそうになった。
他の生徒や教師達もそれを聞いて驚き、魔理沙に注がれる視線が段々と強くなっていく。
霊夢だけは作り話でくるとは…と内心で呟きつつも、オスマンの話を黙って聞いていた。
そしてつい先日、ルイズは彼女と街で再会を果たし、恩を返したい。…と言ったらしい。
そこで魔理沙をしばらくこの国に長居したいのだが、不幸にも宿に泊まる程の金が無い。…と言ったらしい。
ルイズはそれを聞き、「じゃあ魔法学院にある私の部屋にご招待致しますわ」と言ったらしい。
「じゃから、これからしばらくはミス・マリサはこの学院に滞在することになる。
末女とはいえ、彼女はヴァリエール家の客人じゃ。決して揉め事など起こさんように。以上」
オスマンの話が終わり、ようやく昼食が始まった。
一足先に食べていた魔理沙は、嬉しそうな表情を浮かべてこんな事を言った。
「嬉しいぜ。この世界だと私が良心的な人物に見えるんだな」
「私はアンタが善人になるこの世界に危機感を持つよ」
そんな魔理沙に対してさりげなく霊夢は言った。
☆
昨日の事を思い出し終えた霊夢は腰を上げ、部屋を見回した。
「さてと、これからどうしようかしらね…時間もあるしお茶でも飲もうかしら」
部屋の中にあるポットの方へと目をやり、とりあえずはお茶の準備を始めることにした。
そして茶葉などが入っている棚を開けると、少し大きめの瓶を手に取った。
この前アルビオンに行った際、ルイズを助けたお礼にとやけに良心的なお姫様から貰った茶葉である。
「市内では出回らない物だって聞いたけど、本当なのかしらね…」
まるで自分のことのように自慢していたアンリエッタの顔を思い出し、霊夢は呟く。
先日ルイズや魔理沙と共に街を訪れたときにこれとよく似た形の瓶を見ていた今の霊夢には彼女の言葉が今一度信用できなくなっていた。
幻想郷の人里でもそういう商法があると聞いた事があるが、この世界と比べれば可愛い方であろう。
「幻想郷には縄跳びの在りかを示した地図なんて売ってないしね」
ふとずいぶん前の事を思い出し、苦虫を踏んだかのような表情を浮かべたその瞬間―――
―――ギャァアッ…!
開きっぱなしの窓の外から、小さな悲鳴が聞こえてきたのである。
「?…今の悲鳴は何かしら」
運良くそれを耳にした霊夢は何かと思って窓の方へと近づき、とりあえずは下の様子を窺った。
窓の外から見下ろす広場はいつもと変わらず、むしろ人がいない所為か静かな雰囲気が漂っている。
何処にもおかしなところは見受けられないし、悲鳴の主すら居ない。
貴族や平民に関係なく、常人ならばこの後は首を傾げて窓を閉めてしまうところだったであろう。
しかし、霊夢は感じていた―――初めて味わうタイプの気配を。
(何かしら、凄くイヤな…というよりもえげつないくらいの不快感は?)
今まで嫌な気配を放出する存在と幾多に渡り合ってきた霊夢ですら、それは初めて感じるものであった。
空間に例えるなら、そこはジメジメとしているうえに蒸し暑く、ナメクジやヒルといった軟体生物が活発に動き回っている。
男性でも近づくのを躊躇ってしまうような場所に例えられる程の不快感に対して、霊夢は大きな溜め息をついた。
「はぁ…どうしてこう、これからって時に良く邪魔が入るのかしらね」
ウンザリしたかのように言った後、手に持っていた茶瓶をテーブルに置いた。
そして久方ぶりに持つことになった御幣を左手に持つと、窓から勢いよく外へと飛び出す。
普通ならば重力に従って地面に真っ逆さまの筈だが、霊夢はそれに縛られず大空へと飛び上がった。
ひとまず霊夢は上昇し、学院中を見回せる程の高度に到着すると気配の元を探り始める。
目を鋭く光らせて精神集中し、すぐ真下にある学院から出てくる様々な気配の中から先程の不快感のみを探し出す。
妖怪退治と異変解決の専門家とも言える博麗の巫女にとって、それは呼吸と同じほど簡単なことであった。
「…… あっちの方からだわ」
そしてすぐさま何かを感じ、学院のすぐ外れにある庭園の方へと急行した。
◆
そこは生徒達の散歩や風景画を描かせるために作られた比較的大きな庭園であった。
庭園の中央には池と噴水が設けられており池には小魚やカエル、サンショウウオといった水生生物が多数生息している。
時々庭の整備士が来るものの、この時間帯には人っ子一人此所を訪れない。
人前には決して出てこない野ウサギやリスたちは庭を駆け回り、噴水の水を飲む。
しかし、今日に限って彼らは姿を現さず、苦しそうな男の喘ぎ声が庭園の中に響いていた。
「はぁっ…!…はぁっ…!」
痩せた体を持つ男は自分の持っている力の全てを使って走っていた。
途中何度か転びそうになりながらも、焦点の合わない目で出入り口を必死に目指している。
しかし、完全に混乱した頭では庭園の中を無茶苦茶に駆けずり走る事しか出来なくなっていた。
いくら走っても出入り口にたどり着けず、男は噴水の近くでへたれ込むと、なりふり構わず大声を上げた。
「だ… 誰か…誰かたすけてくれぇ…!」
張り裂けんばかりの怒声で叫んでも、この時間帯には誰もその叫び声に気づきはしない。
自分の怒声のみが空しく庭園に響くだけだと知った男は、地面を思いっきり叩いた。
そして頭を抱えて嗚咽にも聞こえるような呻き声を上げてブツブツと独り言を呟き始めた。
「畜生…ちくしょう!何なんだよありゃあ…!?あんなのがいるなんて聞いてなかったぞ…?」
男はそんな事を言いながら、自分のすぐ傍で起きた猟奇的なアクシデントを思い出した。
※
この男はアルビオン大陸からやって来た…所謂旅行者と呼ばれる者だ。
だが旅行者というのは仮初めの姿であり、現アルビオン政府から密命を受けてこの国へやってきたのだ。
その任務は至って単純明快。首都トリスタニアにいる複数の貴族達からある書類を受け取ることである。
最初、男は旅行者らしく軽くトリスタニアの観光をしつつ、書類を回収していこうと計画していた。
しかしつい一昨日にその内の一人が死んだとう事を知り、回収を早めることにした。
そして記念すべき一人目と人のいないこの庭園で出会い、金貨のつまった袋と交換に書類を手早く頂く―――筈であった。
だが、意外と広い庭園の中を彷徨ってようやくそれらしい貴族の男と出会い、いざ書類を受け取ろうとした時…
聞こえてきたのだ。異形の顎から聞こえてくる、虫のような金切り声を…
※
ギ リ ギ リ ギ リ ギ ギ ギ ギ リリ リ…――――
「―――――…ッ!?」
疲れた表情でその時のことを思い出していた男は、突如耳に入ってきたその音に目を見開いた。
そうだ、これが聞こえてきたのだ…あの恐ろしい虫の姿をした異形の声が。
男はスクッと立ち上がると同時に腰元へと手を伸ばし、杖を手に取ろうとした。
(……!つ、杖を落とした…!?)
腰にさしている筈の杖はそこに無く、男は驚愕のあまり腰の方へと視線を向けてしまう。
「ギリ…ギリギリ…ギギ…!」
その時であった…!
隙が出来るのを待っていたかのように、ソイツは草むらから飛び出してきたのである。
思わず男はそちらの方へ顔を向けてしまい、ソイツの全身を見る羽目になってしまった。
ソイツの姿は正に゛クワガタムシと人間の合成生物(キメラ)゛と言っても過言では無いだろう。
体は人間よりもクワガタに寄りだが、両手両脚は人間のそれとよく似ている。
そして頭はクワガタそのものであり、危なっかしい大きな顎をしきりに動かしている。
だが普通のクワガタと違い、顎の表面から水っぽい灰色の液体が絶えず流れ出ていた。
「ひ…、ヒィィィィィィ!!」
男は化け物の顎と、その顎から滴り落ちる液体を見て、悲鳴を上げた。
あの顎も武器であろうが、液体の方が男に恐怖を与えている。
男は頭の中で、この化け物を倒そうとして返り討ちにあった貴族の姿を思い出した。
(あの液体…あの液体を浴びたらあの貴族のように…)
そんな男の心の内を探ったのか否か、クワガタのキメラはクワッ!と顎を開こうとしたその時…
「ハァッ!」
ふと上空から少女の声が聞こえてきたのである。
男が生まれてこの方聞いたことがない程、美しい声であった。
その声が聞こえた後、ヒュッと小さい紙が上空から飛んできてキメラの背中に貼り付いた。
キメラが自分の背中に何かが貼り付いたのに気づいた瞬間、突如背中で小さな爆発が起こった。
「ギッ!?ギギィ…!」
突然の攻撃にキメラは金切り声を上げて、体を激しく震わせた。
その瞬間を見逃さなかった男は、すぐさま踵を返すと全速力で何処へと走り去っていった。
目の前にいて、もうすぐ狩れる筈だった獲物が逃げるのに気づいたキメラはしかし、痛みにもがくことしか出来なかった。
甲虫特有の硬い背中は酷く焼け爛れており、その威力がどれ程のものか物語っている。
「全く、何かいると思ったら…まさかこんな化け物がいたとはね」
痛みに震えるキメラを上空から見下ろしている少女、霊夢は意外といった感じでそう呟いた。
「やっぱり、…こいつからあの気配を感じるわね」
再度確認するかのように呟き、霊夢は目を細めた。
今、彼女はあのキメラから感じているのだ。部屋の中では決して感じることが出来なかったその気配を。
――――それは、恐ろしい程に無機質的な゛殺気゛
人を殺すことに対して歓喜や怒り、憎しみ、悲しみ。
それらを一切感じさせない殺気は不気味を通り越し、不快感となって霊夢に伝わっているのだ。
「どっちにしろ倒すけど。なんだか気色悪い奴ねぇ―――…っと!」
霊夢は気味悪そうに呟きつつも、右手に持っているお札をキメラに向かって勢いよく投げつけた。
D&D風に言うならハルケギニアのメイジはソーサラー系だろうな
血統によって能力を得る・事前に呪文を準備しない以上ウィザードではあるまい
以上で、33話の後編の投稿は終わりです。
今回出てきたキメラはオリジナルですのでご注意を
次の投稿では規制が解除されていることを祈ります。ではノシ
上記の後書きを含めての代理投稿、どなたか御願い致します
---- ここまで ----
以上です。さるさん喰らったので遅れました。
行数が60を越えた投下については、勝手ながらマークの位置で分割しました。
それでは、30分程度時間を空けて、改めて投下前に宣言させてもらいます。
毎度! 宇田川です。
リクエストがありました、ウルトラ・スーパー・デラックスマンZEROの続きを投下致します。
話は召喚の儀式の日にさかのぼる。
「あんた、誰?」
仰向けに倒れているスーツにネクタイをした中年男……句楽兼人を見下ろした形で、桃色の髪をした少女が尋ねてくる。
「!? ……こ、ここはどこだ!?」
句楽は立ち上がり、周囲をキョロキョロと見回す。
いつものように通勤する途中で、突然目の前が真っ白になって……後は何も覚えていない。
気がついたらここにいた。
「……どこなんだ、ここは!? 道路は!? 駅は!?」
句楽はオロオロするばかりだ。
「ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」
「しかも中年のオッサンだぜ!」
「ゼロにふさわしい使い魔だな!」
周囲からは笑い声が起こる。
「平民? 何のこと? ……ねえ、君。ここはどこなんだい?」
少女に句楽は尋ねた。
「君ですって!? 平民のくせに、なによその態度!」
少女の口から出た怒りの言葉に、思わず句楽は後ずさる。
「まあいいわ、ここはトリステイン魔法学院よ」
「トリス……? なんだい、それは?」
「ミスタ・コルベール!! 召喚のやり直しをさせてください!! こんなの、使い魔じゃありません、何かの間違いです!」
再度聞く句楽を無視して、桃色の髪の少女……ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは髪が薄い男に訴えた。
「ミス・ヴァリエール、残念ですがそれはできません。あなたも知っている通り、春の召喚の儀式は神聖なものです。やり直しは認められません」
「で、でも……」
「確かに平民を召喚したというのは前代未聞ですが、規則は規則です。彼が死なない限りは、彼はミス・ヴァリエールの使い魔です」
取りつく島もない髪の薄い男……コルベールの言葉に、ルイズはがっくりと肩を落とした。
確かに、何度も召喚を失敗して、これがラストチャンスと通告されたのだ。もう一回やってもまず失敗するだろう。
自分が召喚してしまった男を改めて見直す。
年齢は、ミスタ・コルベールより少し若いぐらいだろうか。でもどこからどう見てもただの中年男、貴族には到底見えない。ましてや、メイジなど……。
それでも、ルイズは腹を括った。
「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、一生ないんだから」
「へ!?」
句楽が間の抜けた声を出す。
「ちょっと、屈みなさいよ」
「どうして?」
「いいから! あ、そうそう、その前に、あんた名前は?」
「く、句楽兼人……」
「クラク・ケント? 変な名前ね、まあいいわ。屈みなさい」
句楽は言われるままに屈んだ。
「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」
屈んだ句楽に、ルイズは口付けをする。
「わ、わわわっ、き、君、何をするんだ!! 朝っぱらから、こんな人が見ている前で……」
見知らぬ少女からの突然のキスに、句楽はパニックに陥った。
と、同時に、句楽の左手に激しい熱と激痛が発生する。
「うわあああ! あ、熱い! 痛い! があああっ!!」
熱と激痛はさらに、 全身へと広がった。
「痛い!! し、死ぬ、ぐはあああっ!!」
「我慢しなさい、使い魔のルーンを刻んでるだけよ」
何かおかしい。それを、コルベールは様子を見ながら感じ取っていた。
使い魔のルーンは身体の一部に刻まれるもの。それなのに、なぜ全身で苦しんでいるのか。
これは何かあるのでは……期待半分、胸騒ぎ半分で一部始終を見ていた。
「はあ、はあ、はあ……な、何だ……!? 死ぬかと思った……」
ようやく激痛から解放された句楽が息を切らす。
「これで召喚の儀式は……」
「ん!? な、何だこれは……!?」
儀式の終了を告げる声は、句楽の驚きの声に遮られた。
「何なのよ、うるさいわね」
ルイズが眉をひそめて近寄る。
「あ、あっちの……建物の……中が見えるんだ……食堂が……あれは……図書館で……あそこは……寮か!? あそこは……」
「な、何で知ってるの!?」
召喚された場所から見える、学院の建物の中に何があるかをズバズバと言い当てられ、ルイズを始め、コルベールも生徒一同も唖然としている。
「知ってるんじゃない、見えるんだ。建物の中が……わっ!!」
後ずさったはずみで、つまずいて後ろに倒れ、別の生徒が呼び出した使い魔にぶつかった。
大柄な熊だった。
次の瞬間、熊ははるか後方に弾き飛ばされていた。
「こ、今度は何だ!? あんなでかいのを……俺、本当に……どうなっちゃったんだ!?」
句楽は、先程とは違うパニックに陥った。
「あ、あんた一体……何者なのよ……」
ルイズが上ずった声で聞く。
「な、何者って、俺はただの人間……」
「嘘おっしゃい! 今の力は何なのよ!」
「し、知らない。俺も何が何だかわからないんだ」
その時、コルベールが話しかけてきた。
「ミスタ・クラクと言いましたな。ちょっと使い魔のルーンを……」
「な、なんだお前ら。俺をどうする気だ! 解剖する気か!? た、助けてくれー!」
句楽は夢中で逃げ出した。
また来たのか糞
wiki荒らして今度はこのスレを荒らすつもりか
通報すんぞ
「ちょ、ちょっと待って下さい、違うんです!」
「た、助けてー! 警察呼んでくれー! うわっ!!」
逃げ回る句楽はつまずいて転びそうになった。が、次の瞬間、句楽の身体は宙に浮いていた。
「……と、飛んでる 俺、飛んでる!?」
ルイズ、コルベール、そして生徒たちは驚きのあまり、しばらく声が出なかった。
さらに句楽は、周囲の人間を見下ろせる程度にまで上昇した。魔法の詠唱を行った様子はない。
「あ、あいつ……メイジだったの!?」
「ち、違う。あれは、フライでもレビテーションでもない」
ルイズの言葉を、コルベールが否定した。
コルベール自身も混乱していた。平民には違いない、メイジでもない。
でもあのさっき見せた壁の向こうを見通す透視能力、熊を弾き飛ばすほどの怪力、そして今の飛行能力。
一体あれは……。
でも、わかったことがある。
その謎の力に、本人はたった今目覚めた、ということらしい。
さっきのあわてぶりに、嘘は感じられなかった。
「ふふ、わははは……すごいぞ!! 俺、良くわからないけど、超人になったみたいだ!!」
句楽が、上空から歓喜の声を上げる。
今の言葉で、たった今能力に目覚めた、ということは決定的になった。
「よーし!!」
句楽はさらに高く飛んでいく。
一同は、しばらく我を忘れてポカンと口を開けているしかなかった。
「あはははは! あはははは!」
自由に空を飛びたい、それは誰もが夢見ること。それが今、はからずも叶ったのだ。
理由なんてどうでもいい。俺は飛べるんだ。
句楽はしばらく空中散歩を楽しんだ。
すみません、今回はこれだけです。
それでは、また!
死ねばいいのに
みんなで通報しようぜ
前にも通報したが俺一人じゃ足りん
間に合わなくなっても知らんぞーっ!
>>323 4行目
誤・「……と、飛んでる 俺、飛んでる!?」
正・「……と、飛んでる、俺、飛んでる!?」
なんかよくわかんないけどこれはっときますね
> ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
あと2chビューアにはあぼーんっていう便利な機能があるよ
あー、その…何だ…
話の出来云々は別にいい。読んでないし
出てくるとスレが荒れるから、出てこないで欲しいな
では、私と賭けをしませんか?
ウルトラ・スーパー・デラックスマンZEROやめろスレッドをpart1000まで続けたらやめましょう。
あー、とりあえず宇田川さん
投下する場合は、投下前に
「他に予定が無ければ●時から投下します」
のような予告を入れていただきたいですな
荒れる云々は私はよく知らないのでノーコメントですが
了解しました。次回投稿から気をつけます。
>>331 マナーが問題であれたんじゃなかったかな?
>>333 知らないのに知ったかぶりは止めようね。
これだけは言っておきます。
予告してから、「来るな、書くな」というのはなしにして頂きたいですね。
言われたとしても、そんなエセ正義の味方に従う義務は私にはありません。
書くのは絶対にやめません。
ウルトラ・スーパー・デラックスマンZEROやめろスレッドをpart1000まで続けない限り。
マナー違反と開き直り、ウィキ嵐に自演、他いろいろ
出禁の類です。本当にありがとうございました
いえいえ、礼には及びません。
それではまた次回、お会いしましょう。
後なんか訳のわからない自分ルールをスレに押しつけようとしてる火病持ち追加で
>>338 え?
> 出禁の類です。本当にありがとうございました
と
> 自分ルールをスレに押しつけようとしてる
って
だんな、自家撞着してますぜ
・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
ほんま頼む。
モンスターファームから召喚って有りそうで無いよね
うーむ、30分からと予告されてた方がいらっしゃいませんね…
やっぱり雰囲気的に投下しにくくなっちゃったですかね…
>>319-339 ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
えーと。それでは23:55ごろより27話の投下を行いたいと思います。
有りそうで無い召喚対象って凄く沢山あると思いますよ
いくらこのスレが盛り上がって数多の作品が投下されたとは言っても、
世界中に有る無限に等しい創作登場人物の数と比較すればまるで語るに足らんでしょうから
自分も召喚されてほしいキャラは山ほどあるんですけどねえ
一作品でも自分で書いてみようかしら
>>342 なんかIDがポーカーのフルハウスだなw
そういえば、ドラマ等から紹介された作品ってあったっけ?
それではいきます。
「……ねえ、ギーシュ。正直に話してくれない?」
ふがくたちがラ・ヴァリエール領に向かった翌日。トリステイン魔法
学院では一人の男子生徒が複数の女生徒に問い詰められていた。
「な、なんのことだい?モンモランシー」
「とぼけないで!この三日間、ルイズと二人でどこ行ってたの?」
「……そのルイズの様子も何か変だったわね。お姉さんに引っ張られて
帰っちゃったからちょっとしか見てないけど、妙に気を張っていたというか。
タバサはどう思う?」
ギーシュに詰め寄るモンモランシーの横で、キュルケは横で本に没頭
している親友に問いかける。その返事は素っ気ない。
「確かに変。たとえるなら、何かの罪に怯えているような感じがした」
タバサの言葉に、ギーシュは小さく肩をすくませ、遠くを見るような
目をする。
「罪……か。あれを罪だというのなら、軍人は全員罪人だよ」
「どういうこと?」
ギーシュのその言葉に、三人は顔を見合わせた。
アルビオンの首都ロンディニウムの南側に、かつて王権が君臨した
ハヴィランド宮殿がある。
そこの白ホールは、まさに『白の国』アルビオンの要にふさわしく
白一色に塗りつぶされた荘厳な場所。一六本の白大理石の円柱がホールの
周囲を取り囲み、白亜の天井を支えている。白い壁には傷一つなく、
光の加減で顔を映し出すほどに輝いて見えた。
そんなホールの中央には、巨大な白大理石の一枚岩から削り出した
『円卓』がしつらえられている。平らに磨き上げられた岩盤は、そこに
集う者の心を映すとすら言われていた。
おおよそ二年前までは、そこは大臣たちが王を取り囲み国の舵取りを
行った場所であった。しかし、今その『円卓』の座に座る者は、王政府から
国を取り上げた革命者たち。革命政府の貴族議会議長兼初代神聖皇帝
オリヴァー・クロムウェルは、上座に座り静かに目を閉じる。その背後には、
彼の秘書であるシェフィールドという女性が、影のように寄り添う。
ライトニング姉妹の姿がここにないのは幸いか。クロムウェルは、
戦の傷も生々しい将軍たちを前に、いささかも動じてはいなかった。
一人の男が挙手をする。ホーキンス将軍――白髪と白髭がまぶしい
歴戦の将軍は、その顔の半分を包帯で覆っている。ホーキンスはきつい目で、
ほんの二年前まではただの地方司教でしかなかった皇帝を見つめる。
クロムウェルに促され、彼は立ち上がった。
「閣下にお尋ねしたい」
「なんなりと質問したまえ」
「先程ご報告致しましたように、ニューカッスルの地で我が軍はかろうじて
勝利を収めましたが、艦隊と陸軍戦力再編の必要に迫られました。
艦隊がなければ軍を運ぶことすらできず、兵がいなければ国土を守る
以前の話となりますからな」
うむ、とクロムウェルは頷いた。そして、視線が同じく頭の包帯が
痛々しい肥えた将軍、ネルソン提督に向く。
「先の戦闘で、卿は陸兵五万を見捨てて艦隊を立て直し、見事王党派を
仕留めて見せた。そのとき、卿は、余に力を貸してくれている双子の
乙女たちとよく似た鋼の翼持つ乙女を見たと言うが、本当かね?」
ネルソンは処刑台に立つ罪人の気分を押し隠し、毅然と起立すると
クロムウェルに向かい合う。
「その通りです。閣下。そして、艦と多くの将兵を失った責任は、
すべてこの私にあります」
大破状態でロサイスに帰投した巨大戦列艦『レキシントン』は、現在
予定を前倒しして突貫で改装工事に入っていた。その艤装主任には予定
通り彼の副官であったボーウッドが任されている。そして、ネルソンは
提督の任を解かれ、巡洋艦の艦長となることが決まっていた。
「なるほど。だが、余も卿ほどの優秀な将官を処刑することは忍びない。
卿には、これからもこのアルビオンのためその力を振るって欲しい」
「……寛大なご配慮、誠に痛み入ります」
茶番だ。すべての責任は、総司令官であったサー・ジョンストンが
取るべきなのだ。だが、得てして政治家というものはこのような責任
回避に長ける。しかし、生粋のアルビオン軍人であるネルソン自身が、
あの戦いにおける死者たちに責任を感じていたことは、紛れもない事実
だった。
ネルソンが着席したのを見計らって、クロムウェルは言う。
「……さて、諸君。王党派を打倒した我々は、次なる段階に進まねばならぬ」
クロムウェルのその言葉に、背後に立つシェフィールドがかすかに
笑みを浮かべたことに気づく者はいなかった。この会議がもたらす結果
――それをハルケギニアの諸国が知るには、まだ少しの時間を必要とした。
夜も更け、双月が天空高く輝く頃……。
そこが最前線であることを雄弁に物語る高い城壁と深い堀に囲まれた
ラ・ヴァリエール城の大ホールは、沈黙に包まれていた。
深夜にもかかわらず、娘たちを待っていたかのように開かれた晩餐会。
シエスタは召使いとして参加を許されなかったが、ふがくはルイズの
使い魔ということと、異国の士官待遇であることから、特別に晩餐会への
参加が許されていた。
とはいえ、ふがくはルイズの隣、一番下座である。三十メイルほども
ある長いテーブルに座るのは、ふがくを加えて五人だけ。話によると、
ラ・ヴァリエール公爵は今日は戻らないらしい。それでもテーブルの
周りには使用人が二十人ほど並んでいる。壮観な眺めだった。
上座に控えた公爵夫人は、到着した娘たちを見回した。その視線が
ふがくに向けられたとき、そのエレオノールをもしのぐ苛烈な視線を、
ふがくは礼で受け流す。
この母にしてこの娘あり、ってとこかしら――ふがくは、公爵夫人の
年の頃を五十過ぎだと見る。だが、それは長姉であるエレオノールの
年齢から推測したものであり、実際には四十半ばに届かないように見えた。
目つきは鋭く炯々とした光を湛え、まだ色あせぬピンクブロンドは頭の
上でまとめられていた。なるほど、カトレアとルイズの髪の色は公爵夫人
ゆずりなのだ。そして、その人をずっと傅かせてきた者だけがまとうことが
できるオーラは、ふがくに警戒を超えた敵意を向けていた。
ルイズはそのオーラにすっかり圧迫されてしまい、久しぶりに会う
母親だというのに、かちんこちんに緊張している。この様子だと、家族で
心を許せるのはカトレアだけのようだ。
「母さま。ただいま戻りました」
エレオノールが代表して挨拶すると、ラ・ヴァリエール公爵夫人は
無言で頷く。そして、三姉妹とふがくがテーブルにつくと、給仕たちが
前菜を運んでくる。晩餐会の始まりだった。
(これ、本当に家族?誰も一言も発しないばかりか、みんな公爵夫人の
オーラに萎縮しちゃってるじゃない)
息が詰まりそうになるような、銀のフォークとナイフが食器と触れあう
音しかしない時間。結局、誰も言葉を発しないまま、沈黙の晩餐会は
終了した。
結局、ルイズのことは、明日ラ・ヴァリエール公爵が戻り次第という
ことになった。
一つ書けそうなネタが思い浮かんだけど
設定改変必要だわ時間取れるか解んないわでどうなる事やら…
ふがくは自分のために用意された部屋には入らなかった。どうやら
納屋に簡易ベッドを運び込んだらしく、壁には箒が立てかけられ、
ベッドには乾いたぞうきんがかかったまま。トリステイン王国の他国の
士官を遇する手法を見たふがくは、結局この国は魔法が使える貴族以外は
人間だと見ていないのだと再確認しただけ。後でこの有様を見たルイズが
母親に猛抗議することになるのだが、それもあとの祭りである。
そんなこともあり、ふがくはちょうど部屋に来ようとしていたシエスタを
誘って、ラ・ヴァリエール城の一番高い尖塔の上に腰掛けていた。尖塔の
上からラ・ヴァリエール領を見渡すと、真夜中だけあって明かりがついて
いるところは衛兵の詰め所くらいしかない。村も眠りについており、
夜の帳が降りた広大な領地の上に星が瞬く夜空が広がっている。
大日本帝国の鋼の乙女たちの駐屯地であった木更津基地から見た空とは
違う光景に、ふがくも、そしてシエスタも思わず目を奪われた。
「学院の仲間が言ってました。ラ・ヴァリエール家は、トリステインでも
五本の指に入る名家なんですって。こんなお城に住むのも、当然ですよね。
はぁ、爵位も、財産も、そして美貌も何でも揃ってて……。
ミス・ヴァリエールが羨ましいな」
溜息混じりにそう言うシエスタ。その様子に、ふがくは小さく溜息をつく。
「そんなものかしらね」
「そうです。だって、わたしが欲しくても手に入れられないものを、
たくさんお持ちなんですもの」
シエスタの顔は赤い。それは照れているのではなく、酒が入っているせいだ。
シエスタも付き添いのメイドとはいえお客様には違いなく、この城の
召使いは彼女をもてなすために酒を出したらしい。吐く息にも酒の臭いが
混じる中、ほろ酔い?のシエスタはがさごそとシャツの隙間からワインらしい
酒の瓶を取り出した。瓶の中で丸のまま漬け込まれたリンゴが酒に揺られて
いる。
「どっから持ってきたのよ」
「もらったのれす」
すでにろれつが怪しい。シエスタはコルクを抜くと直接ぐびっと酒を
あおった。その飲みっぷりは、普段のシエスタからは考えられないほど
豪快なもの。ぷはっとシエスタが瓶から口を離すと、その顔には至福の
笑みが浮かんでいた。
「おいふがく」
呼び捨てである。ふがくは無言で差し出された瓶を受け取ると、そのまま
口をつける。リンゴのフルーティな香りが高めのアルコール度数とともに
ふがくののどをゆっくりと潤した。
「いいお酒ね。シエスタ、これどっから持ってきたのかしら?」
「厨房のテーブルの上にあったのれす」
どうやらシエスタは、一本つけられたワインを飲み干して気分が良くなり、
そのままテーブルの上の酒を適当に失敬してきたらしい。そこでカルヴァドス、
しかも年代物のラ・ポム・プリゾニエールを選んでくるのは……何とも
酒癖の悪い。しかもこんなものを一気飲みしたにもかかわらず、急性
アルコール中毒になった気配もない。ふがくはシエスタの意外な一面を
見た気がした。
「……相棒。お客さんだぜ」
そんな惨状の中、不意にデルフが言う。デルフは機能低下したふがくの
電探を補うため、背中に背負われている。ふがくが接近してくる何かに
意識を向けると、そこにはルイズを抱えたまま『フライ』で飛び上がって
きた、カトレアの姿があった。
いきなりの酒の臭いの歓迎にルイズは面食らったが、カトレアはにこやかに
微笑んでいる。
「あらあら。小さいルイズがまだ高く飛べないって言うから一緒に来て
みたけれど……」
「あ、あんたたち……何やってんのよ……」
『虚無』のルイズが『風』の系統魔法である『フライ』を使えるわけが
ないのだが、方便として『風』の系統とエレオノールに言ってしまった以上、
そう言ってごまかすしかなかった。だが、それ以前にルイズは尖塔の上で
べろんべろんに酔っ払ったシエスタに絡まれながら平然と自分たちに
向かい合うふがくに、思わず溜息をつかずにはいられなかった。
「別に。学院と同じでラ・ヴァリエール家の素晴らしい待遇に涙が出そうに
なったから、夜風に当たりに来たのよ」
「学院と……同じ?」
カトレアが不思議そうな顔をする。その様子にルイズは苦虫を噛み潰した
ような顔をした。
「……部屋のことは悪かったわ。母さまにちゃんとあんたのことを話して
別の部屋を用意するようお願いしてきたから、ラ・ヴァリエール家が
他国の士官待遇をこんな風に扱うなんて思わないでちょうだい。
それより、ちいねえさまにパインのカンジュメを食べさせてあげたいの。
道具貸して」
ルイズとカトレアがふがくにあてがわれた部屋を訪れた理由はそれだった。
あの日テーブルの上からパイン缶をふんだくったルイズは、ふがくから
保存方法――冷暗所、なのでルイズはクローゼットの中に入れていた――を
聞いてまで、この日のために取っておいたのだ。ところが小皿と銀の
フォークの準備も万端、いざ開封しようとして……道具をふがくが持って
いることに気づき、それを借りようとしたのだが――あまりのぞんざいな
扱いに顔から火が出る思いだった。
「それはいいけど……ここで食べる気?」
言われてルイズは気がついた。ここは城でも一番高い尖塔の上。
体の弱い姉にはちょっと厳しい場所だ。加えて、酔っ払ったシエスタもいる。
ルイズたちはシエスタを彼女にあてがわれた部屋に寝かしつけた後、
カトレアの部屋に移動した。ルイズはふがくからサバイバルナイフを
受け取ると、格納されていた缶切りを引っ張り出してゆっくりと缶を
開けていく。その甘酸っぱい香りに、カトレアの部屋にいる動物たちも
鼻を鳴らす。
「さわやかな香りがするわね。これがあなたの国の香りかしら」
カトレアの問いかけに、ふがくは静かに答える。
「半分正解……ですね。これは我が国の南方領土で採れる果物ですから」
ふがくの口調に、カトレアはやや不機嫌な様子を垣間見せた。
「あらあら。そんな口調で話されると突き放されているような気がするわ。
あなたはルイズの使い魔だけど、わたしはもっとあなたのことを知りたいと
思うわ」
カトレアはそう言ってふがくに微笑みかける。そうしているうちに
ルイズが缶を切り開けて、中から黄色いリング状のパインのシロップ漬けを
小皿に取り分けた。
「ちいねえさま。食べてみて」
ルイズに促されるまま、カトレアは銀のフォークでパインを切り分け
口にする。その甘酸っぱい未体験の味に、カトレアは素直な感想を告げた。
「甘酸っぱくてさわやかで、とてもおいしいわ。わたしの知らない遠い国には、
こんな食べ物もあるのね」
行ってみたい……カトレアの口から誰にも聞き取れないような小さな
言葉が漏れる。それを聞き取ったのはふがくだけ。だがその言葉の意味を
察したのか、ルイズがぽつりと言う。
「……ちいねえさまはお体が弱いの。国中からお医者さまをお呼びして、
強力な『水』の魔法を何度も試したのだけど……全然効かないのよ」
「魔法でもどうにもならない病って、あるようね。なんでも、体の芯から
良くないみたい。多少水の流れをいじったところで、どうにもならないんですって」
ルイズとカトレアの言葉に、ふがくは何も言えなかった。
カトレアの病気は、原因が分からないらしい。体のどこかが悪くなり、
そこを薬や魔法で抑えると、今度は別の部分が悲鳴を上げるのだ。
その繰り返しで、彼女は優秀な素質を持っているのに学校に通うこともできず、
公爵家令嬢という地位も美しい容姿も持っているにもかかわらず嫁ぐことも
できなかった。だが、それでも、カトレアは微笑んだ。それがルイズには
姉が不憫で仕方ないとしか思えなくなっていた。
「原因が分からないんじゃ、確かに投薬してもそれが効いてるかなんて
分からないわね」
「そういえば、ふがく、あんたの国って、医学は進んでるの?」
ルイズの問いかけに、ふがくは一瞬どう答えてよいものか迷った。
そのため、返答も曖昧なものとなった。
「……それなりにはね。魔法みたいなことはできないことも多いけど。
第一、それ前にも聞いてこなかった?」
「そうだったかしら?」
「まぁ、それ以前に帰る方法が分からないんじゃ、どうしようもないわね」
肩を落とすルイズ。二人の様子を見て、カトレアがころころと笑う。
「二人とも仲が良いのね。ふがく、ルイズから聞いたのだけど、
あなた、空の上まで飛べるそうね?」
ふがくはルイズを見る。どうやら母親にふがくのことを説明するときに、
ふがくが高高度まで上がれることを話してしまったらしい。アルビオンまで
行ったことは話していないようだが……ふがくは観念したように言った。
「ええ。ご主人様を連れて昇ったこともあります」
カトレアはそれを聞いてやや寂しそうな顔をする。
「まだ硬い口調ね。それに、ルイズのことも普段からそう呼んでいるの?」
ふがくが首を振る。そうすると、カトレアはふがくにこう言った。
「なら、わたしにも普段のルイズと同じ話し方にしてほしいわ。
それからこれはお願いなのだけれど……」
カトレアが申し出たことに、ルイズは思わず目を丸くした。
双月が西に傾き始めた夜の練兵場に、ルイズたちはいた。カトレアは
防寒のために着替えており、デルフリンガーを背負ったふがくもすでに
プロペラを回し、軽く浮き上がった状態でそのスタイルの良い腰を背中から
抱きしめていた。翼端灯の光が三人を照らす。
「ふがく!ちいねえさまの具合が悪くなったらすぐ降りてきなさいよね!」
ルイズが心配そうに言う。カトレアは、ふがくにルイズが見たのと
同じ空を見たいと言ったのだ。さすがに具体的な高度の話は母親には
しなかったようだが、それは病気のために領地から出たことのない
カトレアの好奇心を強く刺激していたのだった。
「それじゃ、お願いするわね」
「分かりました。それじゃルイズ、ちょっと行ってくるわね」
その言葉を合図に、ふがくは助走もほとんどなしに空に舞い上がる。
その姿はすぐに夜の闇に溶け、見えるのは翼端灯の赤青白の光とエンジンの
排気炎だけになった。
「……まったく。どうしてこうなっちゃうのよ……」
練兵場で独りつぶやくルイズ。その様子を見ている影の存在に、
彼女たちの誰も気づいていなかった。
ふがくは上昇角度はややゆるめにし、カトレアの負担にならないように
気を遣いながら速度を上げる。ラ・ヴァリエール城がどんどん小さく
なっていくその様子に、カトレアは驚きの声を上げた。
「まあまあ。竜籠には乗ったことがあるけれど、それが馬車に思える
くらい速いわ」
「巡航高度での水平飛行なら、もっと速く飛べます。現在高度4000メイル。
カトレア様、体の具合はどうですか?」
「ルイズや二人だけの時は、ルイズにしているように呼び捨てでかまわないわ。
それに、まだ硬いわね。
でも、もうアルビオンより高く上がったのね。速すぎて実感できないわ」
体について何も言わないということは、とりあえずは大丈夫だと判断した
ふがくは、そのまま高度を上げる。夜のラ・ヴァリエール領は明かりも
ほとんどなく、ルイズから聞いたフォン・ツェルプストー領との国境線を
見れば、そちらの方がこの時間でも明かりが灯っている場所があり
活気づいているように見えた。
支援
「……こうして見ると、父さまが頑張っていても、トリステインと
ゲルマニアの差が見えてくるわね。あなたへの仕打ちがそうであるように、
伝統に固執しすぎて見えなくなっているのものがあるのね。
ねえ、このまま国境線を越えてみない?この高度とあなたの速度なら、
見つかる前に戻ってこられるわよ」
「冗談でも止めて……。それに、もうすぐ高度8000メイルに到達します。
少し揺れるから、気をつけて下さい」
その言葉にカトレアは目を丸くした。
「あの『風の門』?昔ガリアの竜騎士が挑んで墜ちたという吟遊詩人の
詩でしか聞いたことがないわ。楽しみね」
ふがくはなるべく揺らさないで突破できるよう、角度を調整して偏西風に
突入した。背中の排気タービン式過給器が力強い鼓動を響かせて風を
切り裂き、一気に駆け抜ける。高度13000メイルで風を抜け、ふがくは
そこで上昇角度を緩めた。
「すごい西風だったわね。本当に天空への城壁みたい。でも、すごい風の
音がしたけれど、ほとんど風そのものを感じなかったのは、あなたの力かしら」
「まぁ、そんなところです。もうじき高度15000メイルに到達します。これが、ルイズの見た空です」
ふがくは高度15000メイルで水平飛行に遷る。時間はまだ夜明けには
早いが、そこは雲一つない、黒いほどに青い空。空は彼方で大気によって
二つに分かたれ、眼下には夜明け前のラ・ヴァリエール領とフォン・
ツェルプストー領、いや、トリステイン王国と帝政ゲルマニアが、
その区別なくまるで精巧な箱庭のように見えていた。
そのあまりの美しさに、カトレアはしばしの間言葉を失った。そこに
あるのは風の音とふがくのエンジン音、そして二人の呼吸だけ。
「…………すごいわ。まるで始祖の御許に迷い込んだみたい。なんだか
暖かいのはどうしてかしら」
「それは私と一緒にいるから。今の状態だと大体十分の六気圧ってとこ
だけど、外気温は現在マイナス五六度、気圧も十分の一。私が手を放すと
あっという間に体中から血を吹き出して、呼吸もできなくなって凍り付くわ。
その前に気を失ってるでしょうけど」
「それは怖いわね」
脅しに近い言葉を聞いてもカトレアは動じず笑っている。ふがくの
背中で「俺、凍えそうなんだけど」という声が聞こえているが、二人は
無視した。
「ところで、私に聞きたいことがあるからこんなことを頼んだんでしょ?
カトレア……さん」
「うーん。もうちょっとね。
でも、それは半分だけ正解ね。ルイズが言っていたように、わたしは
生まれつき体が弱くて、今まで一度もラ・ヴァリエール領から出たことが
ないわ。父さまは結婚もできないわたしを不憫に思ってか、ラ・フォンティーヌ領を
わたしに分けてくださったけれど、それもいつまで保つか……。
だから、外に出てみたかったというのは、偽りのないわたしの本心よ」
カトレアのフルネームは、カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・
ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ。つまり、厳密にはラ・ヴァリエール家から
分家したラ・フォンティーヌ家の当主ということになる。体が弱いために
社交界に顔を出したこともなく、求婚者がいないカトレアに、
父ラ・ヴァリエール公爵が与えた精一杯の温情だった。
そのカトレアは、今、ふがくに抱かれてトリステイン王国と帝政ゲルマニアを
見下ろす高みにいる。彼女が思っていた『外』とは異なるが、この空を
見たことがある人間を数えた方が早い場所にやってこられたことに、
今まで感じたことのない充足感を覚えていた。
「だから、まずは、ありがとうと言わせてもらうわね。ルイズを守ってくれて。
あの子、とても怖い思いをしたようね。無理に気を張って、それを
悟らせないようにしていたわ。それに、ルイズが『風』の系統に目覚めたと
いうの、あれは嘘よね?」
ふがくはカトレアにどこまで話すか迷ったが……意を決してこう言った。
「超重爆撃機型鋼の乙女である私は、ルイズの命令で、この高度から
五万の敵を焼き払ったわ。それだけじゃない。私は誤爆して無関係な
集落まで焼いたし、ルイズが五万の敵を焼き払ってまで守りたかった
人たちを守りきれなかった……」
カトレアは何も言わず、ふがくの言葉に耳を傾ける。
「ルイズが魔法に目覚めたというのは、紛れもないことよ。でも、
どの系統に目覚めたのかは、その場に居合わせたある人に誰にも話さないよう
きつく命じられたから、言えない。それがアンリエッタ姫殿下であっても。
ルイズが嘘をついたのも、その言葉を守ってのこと。だから、そのことは
責めないで」
それだけでカトレアには十分だった。言えない系統――それはただ一つしか
ない。ラ・ヴァリエール家は、トリステイン王家の庶子をその祖とする。
つまり、その可能性は自分たちにはあったのだ。それでも、それがルイズで
あったこと、そして、これから彼女が背負っていくであろう運命に、
カトレアは憐憫の情を覚えずにはいられなかった。
「……今、あなたを抱きしめられないことがとても悲しいわ。
ありがとう、ふがく。あなたが小さいルイズの側にいることを、
わたしはとても嬉しく思う」
「カトレア……」
「ええ。そう呼んでくれてかまわないわ。
わたしが聞きたかったことはそれだけ。さあ、もう降りましょうか。
あまり長居していると、ルイズが心配するわ」
そうして――再びラ・ヴァリエール城に戻ったカトレアに、ふがくと
一緒に理由も分からぬままルイズは強く抱きしめられたのだった。
さる回避支援しつつ寝る
以上です。ルイズの実家編前半はカトレアのターンでした。
カルヴァドスは知らない人が多くて悲しいお酒です。
でもバーで飲むと結構いいお値段するんですよね。
次回はいよいよ公爵と生ける伝説が二人の前に立ちはだかります(何
それでは。
乙です ノ
乙です。
>>346 最近だと、相棒の右京さんが召喚されてる。
更新止まってるけど。
>>337 おお半ば諦めていたのですが続きの投下があるとは!
ありがとうございます。
萌え萌えの方、乙です。とってもよいお話でしたー。
>ウルトラ・スーパー・デラックスマンZERO
えーと、意見や感想などを少し…
句楽兼人は原作では「ある日突然超人になった」だったかと思いますが、
この作品ではそれを「ルイズの契約が引き金になって超人になった」ものとして扱っているわけですね?
彼は第一話で給料袋を受け取ってましたが、一体誰に「雇われて」いるのでしょう?
原作では会社員でしたから分かりますが、この登場の仕方だと今後「給料を受け取る」ような立場になる、とは考えにくいものがあります
それとも、今後の展開で明らかにする予定なのでしょうか
また、「定期健康診断」などというものがハルケギニアにあるというのも考えにくいです
単に原作をなぞったのでしょうが、その辺りは改変すべきではないでしょうか
無重力の方と萌え萌えの方乙です
次も待ってます
不審物は触らずスルーしなさい
実は、Hitman ZERO the Assassinの続きを今でも待っているんだ
HITMANシリーズも47も大好きだからなあ
続きがどうしても書かれなかったら自分で新しく立ち上げてもいいくらいだが、今さら難しいかなあ…
そういえば東方キャラが喚ばれる作品が幾つかあるけど、その中で弾幕ごっこを体験させられたハルケギニアの人って居たっけ?
ワルドが必死な形相でチョン避けし続ける図とかを見てみたい気もするんだが
炎蛇のコルベール先生が紫の弾幕に相対してる
……まとめ見ればすぐ判るような事聞くのって失礼だと思うんだがどう思う?
>>366
しょーもないことにいちいち絡む人よっかましじゃないかな。
鏡見ろって? サーセン
>262
遅レスだが、あいつは銃弾なぞなくとも、腕に嵌められた手錠だけで10人近い人間を殺傷できる。
奴の台詞にこんなのがある。 「おれは、銃の名手じゃない。殺しの名手だ」
ジーザスのクラスにサイトがいて、いっしょにハルケ召喚は考えた。
当初は、使用人を装って学院に潜伏するも、サイトとルイズが問題を起こしまくるので解決に奔走。
「おれは、どうしてここにいるんだ? 」
一目でフーケの正体を見抜き味方に「私をマチルダと呼ぶな」
アルビオン城をおとりにタッチダウン作戦でレコンキスタに大ダメージ。
クロムウエル「ジーザス(神よ)!!」 「俺の名だ地獄におちても忘れるな」
ジュリオと相対し「お前は俺に似すぎている俺の生徒だったあいつのようにな」
アルビオン戦から生き残るためのレクチャーを生徒達に教授「今日からお前達は、フェダーインだ」
ガリアは名もはばかれるでバタフライ召喚。タバサ、イザベラが殺人育成プログラムの対象に。
ジョゼット偶然呼んだミョズニルトン、イージスと共にガリアを脱出レジスタンスを結成。
サイト、アルビオン7万の戦いの後、ティファニアの呼んだ土方に剣を学ぶ。
最後は、ハルケを破滅に導くためロマリア地下に封印されていた核弾頭をバタフライが強奪。最後の戦いが始まる。
「なんてことだ。奴の本当の狙いは風石で隆起した大地に、核を搭載しシャイターンの門におとすことだったんだ」
エルフ達「あの、助けていただいてありがとうございます。お名前は? 」
『なに、通りすがりのサラリーマンですよ」
あ、石つながりでアダマスのレイカお嬢様もいけるかな?
>>365 トモダーチ!
HITMANの人が帰って来なくて寂しい限りだが、待つのも組織の嗜みとしておこう。
書くのならかなり話しを練り込んで被らないよう注意してくだされ。
>>369 サイトが日本での藤沢の教え子って場合
無印:カダスで鍛えた戦争のプロ
GS美神:横島の同級生
砂塵:「まだ」パンピー
だよな
どれが一番面白そうかな?
初期ルイズから現在のルイズまでずっと傍にいたサイトなら、その経歴に『美神除霊事務所所属』とかあっても違和感は無いかも。
……横島と一緒に召喚されたりするんだろうか。
テファに召喚されて清貧に身をやつし禁断症状が出る美神の姿が簡単に思い浮かびますが。
美神はタイムスリップした経験もあるし、異世界でもず太くやっていくだろうなあ。
日本円がない世界なら金なり宝石なりを集めるだろうし、異端扱いも色仕掛けや賄賂で切り抜けかねん。
さらに冥子やエミ、ピートにカオスと、美神メンバーは誰が来てもえらいことになるな。
シチュエーションとしてはエルザを説得するピートとかは見てみたい。
惜しむらくはおキヌちゃんの幽霊ネタがタバサに効かなくなったことか。
>>66 遅いですが、テイルズの人、乙です
各キャラの成長具合にもよるけど下手な戦力よりも拙い方々がいるなw
この場合、他の国にもいてバランス取るんだろうけど、下手するとアルビオン編やタルブ戦が両軍合わせて大惨事になりそうだ
あ、そういえばエメロードさんはどっちの仕様なんだろ?(科学者?目指せモテ期?)
>>373 逆に考えるんだ、何らかの方法でトラウマ与えて
本当に幽霊恐怖症にしちゃえばいいって考えるんだ。
童夢から超能力爺さん召喚
大惨事しか想像できん…
>>375 あのタバサにトラウマ与えるって、いったいどんだけの恐怖与えればいいんだよ
おぼろ気にしか知覚できない何かによって誰かがとり殺され、
ついでに自分も憑かれて死にかければおk。
>>377 母親が亡霊になった幻か悪夢を見せればいいんじゃね?
(フェニックス一輝が氷河に、鳳凰幻魔拳でミイラになった母親の死体を見せたようなの)
なあに、お化けが苦手でなくともお化けだらけの世界に放り込んじゃえばいい。
というわけで墓場のキタロウをルイズに召喚させよう。
父さん、人間っておもしろい奴らですね
タバサのトラウマってんなら、そもそも初任務のキメラドラゴンの時点でそうなっててもおかしくはないんだけどな。
どんだけ精神が頑強なんだよと言いたいが、でも才人にデレてコロッと思考停止しちゃうしなぁ。
あげくの果てには「え、ジョゼットが女王やってくれるの? ラッキー! それじゃわたしはサイトのメイドさんになーろうっと♪(意訳)」だし。
……何だか、この小娘に恋をさせちゃダメなような気がしてきた。
あの一家は各々色んな意味で壊れてるから深く考えない方がいい
>>384 一番マトモなのが何だかんだ言ってイザベラって時点で、うすうすそんな気はしてた。
能力(魔法や知識)の高さとヤンデレ度が比例してるような気がするw
魔法を使うのに精神力がいるとか・・・・・・
どっか歪んでる方が、強くなりやすいのかもな。
なぁに恋なんてどんな奴でもどんな状態でもするし、どんな奴でもおかしくなるもんだ
負の感情に頼りすぎるとアクマイト光線で即死しちゃうぞ
ここは一つシュバルツ兄さんにご教授いただいて明鏡止水に目覚めていただこうか
トラウマと聞いて古明池さとりが真っ先に浮かんだんだが…
召喚したらオマケで妹とペットが付いてきそうだけど。
負の感情が大きければメイジが強くなるならイザベラだってつよくなる!
んなわけない。
メイジの強さは親の遺伝で決まる気がしてきた。
ルイズでさえ虚無の才能があるし。
>>362 >句楽兼人は原作では「ある日突然超人になった」だったかと思いますが、
この作品ではそれを「ルイズの契約が引き金になって超人になった」ものとして扱っているわけですね?
そうです。その通りです。原作では理由不明で突然超人になったのが、
こちらではルイズ(の契約)が超人を作り出してしまった、というわけです。
>彼は第一話で給料袋を受け取ってましたが、一体誰に「雇われて」いるのでしょう?
学院です。シエスタが句楽の給料を学院の経理から受け取って持ってくるところで
わかっていただけると思います。
どういう形で雇われているかは、これからの展開で明かしていく予定です。
>また、「定期健康診断」などというものがハルケギニアにあるというのも考えにくいです
メイジとはいえど、人間ですから健康に気を使わないわけにもいきませんし、
かといって健診という習慣がハルケギニアにあるのかといえば、これまた微妙です。
>>391 その物言いだと虚無持ちが当たりなのかハズレなのかよく分からんな。
あー、でも初期ルイズや無能呼ばわりされてたジョゼフを見るに、大局的に見ればハズレなのか?
当たりハズレの判断基準によるよね。
当人にとって幸せかどうか、というなら
常識外れな体質なんて枷にしかならないだろうなぁ
亀レスだが、ジーザスの登場人物なら虎とアニエスの絡みが見たいなぁ。
色々と被るんだよな。あの二人。
>>383 確かにトラウマとは違うかもしれんが、
あの一件で性格がガラッと変わったんだから影響自体は大だったんでないかい?
心身へそれ以上の負担をかけぬため事態の認識を不可能にする(発狂する)のと同じように、
感情を鈍化させてトラウマを防ぐような精神の防衛機構が働いたとか…精神分析的な話になるが
>>395 ハルケギニアに虎っているのかなあとふと思った
ジーザス召喚は、決め台詞が使えないのが痛いよね
誰も死に際に「ジーザス…!」って言ってくれないだろうしw
「ハンチョウ〜神南署安積班〜」から安積剛志を召喚。
フーケを命がけで説得する・・・と考えてたけど、
ハルケギニアで部下もいない状態で実力を発揮できるだろうか。
どうも、平日にこんばんはです。
本当は記念日投下といきたかったのですが、
ザンギョーという名のモンスター退治せなアカン週になりそうですので、
前もって投下させていただこうということになりました。
21:45頃よりお邪魔いたします。
どうかよろしくお願いいたしたく存じます。
>>399 言われてみればそうだった、d
そういやフレイム登場時も「虎ほどの大きさの」ってあった気が
となると「私を虎と呼ぶな!」というのは再現できるのかw
では、投下開始です
----
宛ても無く、彷徨っていた。
手がかりも無く、探し続けた。
何を?と言われても困る。
とにかく、探し続けていた。
何かを。足りない何かを。
自分には欠けているモノがある。
それを探し続けていた。
はて、自分。
そう考えている自分とは何者なのだろうか。
どうやら、名前すら落したらしい。
これは困った。
まずは自分というものを見つけなくてはならないらしい。
まず、ここはどこだろう。
何やら大きな流れの中であることは間違いないらしい。
薄淡い緑色の光、あるところではそれが渦巻き、
あるところではそれが滝のように流れ落ちていく。
どうやら自分もこの流れの一部であるようだ。
特に何も考えなければ、そのままふよりと流れて行ってしまいそうになる。
だが今、自分は考えている。
それがゆえ、流れに乗りきれず、流されぬまま漂い彷徨う。
自分は何者か。
自分は何か果たすべきことがあったのではないか。
何か、苦しい。
見つけられそうなのに、見つからない。
苦しいならばいっそ、流された方が良いのではないか。
流れの外、河原とでも言うべきか、そこにある者を見つけ、
苦しみの思考が、一瞬止まった。
灰色の花畑に、虹色の蝶。
その中心に、男が一人座っている。
虚ろな瞳で、こちらを見つめていた。
こちら、というか、流れそのものをか。
「あの……すいません」
思い切って、声をかけてみることにした。
男がちょっと驚いた顔を見せた。
「あの、すいません!」
「――驚いたなぁ。まさかここで話しかけられる日が来るとはね」
良かった。どうやら言葉までは忘れてしまったわけではないらしい。
これで、最低でも一人ぼっちで迷子という事態は避けられた。
「あの、ここ……どこなんでしょう?」
「ここか……うーん。説明が難しいなぁ。
飛ぶ鳥の、向こうの空ってところかな?」
「……?」
男は、ゆるゆると頭を振った。
言い難いことを、言う直前のように、やれやれといった様子で。
FFサントラ準備支援
「――異界、とでも言うかな。
生者が必ず最期に訪れる場所なんだ、ここは」
「え……」
男は、真面目くさった顔をして、こう言った。
それが、真実の重みだと言う風に。
「つまり、君は死んだんだよ」
ゼロの黒魔道士
〜Interlude No.IX〜 生命の調べ
「そ、そんなっ!!死んだなんて……」
信じられるはずが無い。
そうだ、さっきまで生きて自分は……
生きて?生きて……何をしていたというのだろう?
「皆、そう思うらしいね。
なんで?や、どうして?って。
だが、ここはそういう場所さ」
男が、上の方を仰ぎ見た。
光が螺旋状に立ち昇り、幾層もの輪を成している。
広がりながら、柔らかになりながら、
それはどこまでも続いていた。
美しい、と同時に、どこか寒気のする光だった。
「――全部、魂、らしい」
「……」
なんとなく、そんな予感はした。
自分が死んだと言われて、そう思った。
ふと、自分の姿を見てみる。
なるほど。
気がつかなかったが、どうやら自分もあれらと同じ、ということらしい。
少しだけ色のついた煙のような存在。
それが、今の自分。
生前の姿も思い出せない、淡い異物。
死んだら、みんなこうなるというのか。
わずかばかりの質量も持たない、おぼろな光の欠片に。
……いや、待てよ。
「……あの、あなたはここで何を?」
それでは、この男は形を保っていられるのだ?
生前の姿を留めることは、可能ということか?
「僕は、ここでそれを見守るだけ……それが、償いなのかな……
生まれ変わることも許されない、見ることしかできぬ存在……」
「そんなの……」
察するに、永遠にも等しい時を、ここで過ごしてきたのだろう。
狂うことも許されず、ただ、死と生が繰り返すのを見るだけ……
それが償いというならば、どれだけの大罪を犯したというのだろうか。
「どうしようもないよ。
僕は、守ることができなかったからね。
……大切なものを……」
自分の思考を読まれたのか、苦しそうに笑いながら、男が答えた。
寂しい、寂しい笑顔だった。
「守る……?」
その一単語が、自分の心にひっかかる。
守る、何を?守る、誰かを?
記憶の片隅に、何かがつっかえる。
何だ、何だ、自分は、何だ?
≪おねえちゃん……≫
語りかけたのは、少年の声。
遠くから、深いところから、聞こえる、懐かしき友の声。
「っ!?」
そうだ、自分は……!
自分は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!!
なんということだ、貴族たる自分が名すら忘れてしまうなど!!
堰を切るように、急速に記憶が溢れだす。
馬鹿にされ続けた日々、優しい少年との出会い、いくつもの冒険。
……そして、自分が守らなければならない物、倒さなくてはならない物……
記憶と共に、自分の形が戻っていく。
桃色の髪も、色々な想いを抱いた小さな胸も、
貴族の誇りを背負うべき背中も、未来をつかむための手も、
前へ踏み出すための足も。
「おや、可愛らしいお嬢さんだったか」
「っ!!こうしてはいられないっ!戻らなきゃ!!」
踵を、返す。
この男性には自分を取り戻すきっかけをくれたことに感謝せねばなるまいが、
今は一刻を争う。
「戻って、どうすると?」
「守るのっ!みんなをっ!!」
自分が死んだ?それならそうで構わない。
自分は、守らなければならないのだ。
みんなを、友を、未来を。
「一人でかい?無理をするね……」
「無理なのは分かってるわ!」
自分が無力である。
それは重々承知している。
ずっとずっと、『ゼロ』と馬鹿にされ続けてきた。
ずっとずっと、一人ぼっちの馬鹿娘だった。
でも、今は。でも、今なら。
「ほう?」
おもしろそうに、男が笑う。
父親が、幼い娘を見るような眼差しで。
「でも……私にはみんながいる!!」
かつての彼女に、最も足りなかったもの。
それが、今の彼女にはある。
仲間が。頼るべき、背中が。
支え合える、友が。
「みんながいるから、『ゼロ』じゃないの!可能性も、何もかも!!」
自分は、相変わらず無力でも、それでも、ただ『ゼロ』というわけではない。
だから、少しでも、何か可能性があるならば、自分は帰らなければならない。
仲間のために、みんなのために……
それが、貴族としての、いや、彼女が彼女としてのあるべき姿なのだから。
「ハハハ!!言うね!!」
「笑ってる場合じゃないわ!帰り道知らない?
私、帰らなきゃ……奇跡でも何でも使っても!!」
男は、笑いすぎてこぼれたのだろうか、流した涙の粒をぬぐった。
久方ぶりに、笑い方を思い出した。そんな笑い方だった。
「奇跡、か――奇跡は、僕の得意技さ。
だが……僕一人では、どうしようもないな」
そして神妙な面持ちで、ゆっくりと腰を上げる。
思ったよりも背が高い。
それと……何か、妙な懐かしさのようなものを、この男から感じる。
この男は、何なのだろう……
「ふむ……」
渦の中心へ、男が歩み寄っていく。
銀色の花をかきわけて、男がその位置に立つ。
ざっ、と空気が湧き立った。
死んだ身なのに、肌が逆立つのを感じる。
「『宛てもなく彷徨っていた♪』」
男が唱えた物、それは、歌。
優しく、シンプルなメロディ。
「『手がかりもなく探しつづけた♪』」
空気に触れると、じんわりと伝わり拡がっていく。
まるで、小石を水面に落した時にできる、波紋のように。
「『あなたがくれた想い出を♪』」
支援
ルイズは、不思議と心が落ち着くのを感じていた。
懐かしい。母親の腕に抱かれたかのような暖かさだ。
それが故に、何をしているのだ?と、男に問うより先に、
「……『心を癒す詩にして♪』」
続けて、歌いだした。
それが、当然であるかのように。
歌詞もメロディも知らないのに、自然に。
だがルイズは、そうすることで自分もまた、
空気の一部となるのを感じていた。
----
「『約束もすることもなく
交わす言葉も決めたりもせず♪』……」
歌ってから、アンリエッタは自分の唇を押さえた。
はて、どうしたことだ。
自分が歌など紡ぐとは……
「どうされましたか、陛下?お疲れでは……」
確かに、疲れている。
トリステイン城はさながら野戦病院の様相であった。
民家よりもはるかに耐久性のある城内へと避難民を受け入れることを決めたのも、
陣頭に立って負傷した民を治癒することを決めたのも、アンリエッタ自身であった。
これが、彼女なりの戦い。
これが、彼女なりに考えた、己のできることであったからだ。
「ううん、なんでもありませんわ。
何か、美しい歌が聞こえたものですから……」
その最中、ふっと耳をなでたあの歌はなんだったのだろうか。
空気に満ちるような、あの歌は……
「あぁ、いけませんわ!治療を続けましょう!」
「はっ!!――おい、子供の怪我人はまだいるかー!?」
「こっちを!止血は終わったんですが傷がふさがって無いです!頼みます!」
「分かりました!」
まだ、為さねばならぬことは山ほどもある。
ルイズ、友よ。貴女も今どこかで為すべきことを為しているのでしょうか。
呟いた歌に、友のことを思い出し、アンリエッタはそっとそう思った。
----
「『抱きしめそして確かめた
日々は二度と帰らぬ♪』……」
かつての、日々はもう戻らない。
そう分かっている。分かっているというのに。
どうしてだろう、それが怖くなる。
「きゅい?お姉さま?」
「なんでも無い」
タバサとシルフィードは今、闇の中にいた。
向かうべき場所に赴くために、闇の中にいた。
静寂の闇、見たくない物を見る、闇。
「きゅい?涙?」
「……大丈夫」
タバサの頬が、静かに濡れている。
それに気付き、タバサは自らそっとぬぐった。
まさか、自分の鼻歌に泣かされるとは。
それも、急に頭にメロディが飛び込んできた妙に懐かしい歌に。
「行こう」
「きゅいっ!了解なのねっ!」
自分は、行かねばならない。
自分は、行くことができる。
自分は、行くだろう。
自分の、そして友の為に……
タバサは、闇の中、また一歩を踏み出した。
----
「『記憶の中の手を振るあなたは♪』」
すぅっと音が駆け抜ける。
マチルダはそういう印象を受けた。
どこからともなく飛び込んできた音が、
何故か懐かしい音が、
空気を優しくなぜて、風のように駆けていく。
「?……何だってんだろうね」
ポトリ、手綱を握る手に、水が一滴。
雨?いや、空は曇ってはいるが虹の雲だ。
雨など振る理由が……
「涙?歳はとりたく無いねぇ……変なところで泣きたくなりやがる」
なるほど、自分は思い出してしまったわけだ、とマチルダは納得した。
記憶の中の、父と母を。
想い出にしか残っていない、自分の両親を。
「クェ?」
自分がまたがる鳥馬が心配そうな声を上げる。
やれやれ、様ぁ無い。
タルブ平原の戦線はまだ終わったわけではないというのに、
指揮官がこんな面してどうするというのだ。
スパンッと自分の頬を張って気合いを。
何、伊達に女を続けちゃいないさ。まだまだ戦える。
「……あんたに心配されるほどじゃないさね。さぁ!もうひと踏ん張りだ!!」
杖を真上に掲げ、ヨルムンガント部隊に指示を出す。
想い出は大切。
だが、それを乗り越える強さを、マチルダは持っていた。
----
ここは、どこだろう……
私は、誰だろう……
何か、聞こえる……
これは……歌……?
「……『わたしの名を呼ぶことが出来るの♪』」
口に出した途端、歌が優しく包み込む。
なんと、懐かしく、暖かい……
「――ベラ様!イザベラ様!!」
どうやら、自分の名を呼ばれたらしい。
イザベラ?なんと高慢な名前だろうか……
「ん?……あぁ」
「(お目ざめですか)」
瞳を開けると、ボケナスな部下の顔と、
自分の持つ短刀の声がした。
「っ痛ぅ……」
頭が痛い。
そうか、自分は気絶していたのか。
少々、魔力を使いすぎたようだ。
「イザベラ様!ご無事で!!」
「あぁ、カステルモール……戦況は?」
四肢の一つ一つを順に動かす。
よし、体は問題ない。
魔力は……まぁ、元から無いようなもんだ。
命を拾っただけでも儲けものだろう。
「はっ!大通りは奪還!現在広場を中心に掃討中です!」
「ふん、じゃぁボサッとしてないで行くよっ!!」
魔力が無いなら、ここからは指示に徹することができるというもの。
単純な理屈だ。
イザベラは、起き上がった。
自分の足で立たずして、何が王か。
「はっ!!」
「(やれやれ、無理をなさるお方だ)」
無理?何を馬鹿な。
これは、彼女の理。
これが、女王の理。
イザベラは、理によりて、前を見据えた。
----
ルイズと、その男の体は、光に包まれていた。
「『あふれるその涙を♪』」
「『輝く勇気に変えて♪』」
声が、重なる。
メロディが、繋がる。
どこまでも、どこまでも。それはさながら、
「「『いのちはつづく♪』」」
そう、命の鎖のように、どこまでも、どこまでも。
ルイズは感じていた。始めて虚無の魔法を使った、そのときと同じ感覚を。
奇跡が起こる、そんな感覚を。
----
女の子の、声がした。
自分が命を奪った子の?
それとも、他の誰かの?
歌だ、歌が聞こえる……
「『夜を越え
疑うことのない
明日へとつづく♪』……?」
「――気付きよったか、コルベール君?」
薬草と、ポーションの匂い。
ここは……医務室か?
「……オールド・オスマン?ぐっ……」
起き上がろうとすると、胸の辺りに激痛が走った。
どうやら、骨も内蔵もボロボロらしい。
「無茶はするでないぞ。お互い生きておるのがラッキーじゃからの」
「す……すみません……ありがとうございます……」
ここは、言葉に甘えさせてもらうより他は無い。
コルベールは、ゆっくりとベッドの背にもたれていった。
よくもまぁ、生きていたものだ。
バケモノと化したメンヌヴィルと対峙して、よくも……
「感謝なら、そこの2人にすることじゃな。
彼女らの献身的な介護あってこそじゃよ」
「……はい」
その功労者は、二人とも、コルベールが眠っていたベッドに、
頭だけをそっと乗せて眠っていた。
まるで、天使のような寝顔だと、コルベールは小さく笑った。
彼女達には、感謝してもしきれない。
そしてもちろん、オールド・オスマンにも。
「ふむ……しかし、妙なもんじゃの。
お主達の寝言とわしの鼻歌が調和するとはの」
「……?」
「いや、何。気にするでない。もちっと寝ておれ。
美女二人に付き添われながら寝るなど、そうそう経験できまいて?」
「は、はぁ……」
痛む体をなんとかシーツの下に押し込めながら、
コルベールはゆっくり目を閉じる。
他の生徒たちは、無事だろうかと考えながら。
「……『飛ぶ鳥の向こうの空へ
いくつの記憶預けただろう♪』……」
誰かの、歌声が聞こえる。
これは……オスマンの?
それとも、他の誰かの……?
そんなことを考えながら、コルベールはゆっくりと眠りに落ちていった。
----
二百メイル近くある、白亜の塔。
エルフが築き上げた、まさしく智と調和の象徴である建物。
それが今、半ばまで崩れていた。
銀竜達の咆哮が、鳴り止まない。
「『儚い希望も夢も
届かぬ場所に忘れて♪』」
そんな中、声がする。
若い女の声だ。
薄いブルーの瞳で、濁った空と、その向こうの聖地を見ていた。
戦の最中の小休止、といったところで、彼女はふと歌を紡いでいた。
エルフの歌とも、おそらくハルケギニアの歌とも、また違うその歌を。
「――何だい、今のは?」
ガランッと瓦礫の崩れる音。
婚約者が無事な姿を見せたことで、ルクシャナはニッと良い笑顔を見せた。
「さぁ?でもいい曲よね。私達の先住魔法の呪文に近い?」
「それともまた違う気がするが……」
どうやら、魔法的な韻は含まれているようだが、
理論が確立されていない時代のものなのか、どこか原始的。
そんな響きが、この歌には含まれていた。
「さて、まだ油断はできないぞ!」
アリィーの言うとおりだと、ルクシャナは頷いた。
事態は落ちつきつつはある。
聖地の方向もここから見る分には問題無い。
街が立ち上がって動き出した時はどうしたものかと思ったものだが。
支援
しかし、頭コチコチの評議会様が蛮人の忠告に従うとは。
いざ事が起こって見れば、言うとおりにしておいて良かったと、
胸をなでおろさずにはいられない。
「えぇ、ガンガンやっちゃいましょ!」
それでもなお、逃げ遅れた者や防がねばならない被害は続いている。
ルクシャナはパンッと拳を握り締めて笑った。
「……なんで嬉しそうなんだよ……」
アリィーが、それを見て溜息をつく。理解できない、といった風に。
でも、嬉しいのだ。
婚約者とこうして共に闘えることが。
そして、まだ自分達が無事であることが。
ルクシャナは、そんなことを考えながら、先ほどの歌をまた口ずさんだ。
何か懐かしい、あの歌を……
----
「『めぐり逢うのは偶然と言えるの
別れる時が必ず来るのに♪』……」
何故か、視界がぼやけるのをウェールズは感じていた。
安全空域にまで到達し、ふと気が緩んだか。
はたまた、脳に流れ込んできたこの歌のせいか。
いずれかは分からないが、無性に泣きたくなった。
「艦長?」
「いや、支障無い!半刻だけ、舵を任せる!」
「はっ!」
部下の前で、情けない姿は見せられない。
舵を預け、甲板へ。
痛々しく欠けた船体が、失った部下達の血の痕が、
心に静かに突き刺さる。
繋がる命があるならば、次へと残せる想いがあるならば。
軍人の本務とは、命を繋ぐための戦いであり、
そのためには、命を張らねばならぬ。
矛盾してはいるが、ウェールズは覚悟していた。
だが、それでもなお、失った重みは消え去らない。
「……アンリエッタ……」
会いたい。愛する人に、会いたい。
ウェールズの両眼から、溢れるばかりの涙がこぼれ落ちた。
----
「『消えゆく運命でも
君が生きている限り♪』……」
その曲が、あまりにも美しかったから、
自分が死んだかと、その兵士は疑った。
天上の天使が奏でているものだと思ったのだ。
だが、瞳をうっすら明けてみれば、
瓦礫と化した城の中。
あぁ、戦闘中に倒れていたのかと気付く。
耳を澄ます。忌まわしい銀竜の咆哮は……どうやら聞こえない。
助かったか?様子を見ようと頭上の瓦礫をどけようとする。
重い。倒れている間にこいつがのしかかってこなくて良かった。
「くっ……!?ぺっ、砂埃かっ……」
アーハンブラの街は……
焼け野原。それが一番妥当な評価だろう。
しかし、敵の猛攻は押さえられたか、やけに静かだ。
耳が痛くなるほどに……と、目がある一点で止まった。
「っ!お前……っ!!」
「よう?どうした?しけた面しやがって」
分かれて戦っていたはずの、戦友が。
同じ部隊の生き残りが、どうしようもなく夢見がちな馬鹿が、
砂と血にゃまみれているが、生きてやがった!!
「無事だったか!?」
「『いのちはつづく♪』……ってな?」
「あれ?なんでお前もその曲を?」
「いや、なんか聞こえて……お前もか?」
奇妙な偶然に、思わず笑ってしまう。
どうやら、こいつと俺はとんだ腐れ縁で繋がっているようだ。
「何なんだろうな、この歌……」
「さぁて?俺達にゃ女神の加護でもついてるかな?」
やっぱり、夢見がちな大馬鹿だ。
そう思いつつ、名もなき兵士はただただ笑った。
この糞っ垂れの世界で、まだ生きていることに、
こいつと出会えたことに、感謝しながら。
----
「『永遠に
その力の限り……どこまでも♪』!!」
運河の水を、消火剤と水魔法の触媒へ。
アクイレイアでまた、風魔法による水柱が上がった。
歌、か……
カリーヌは、その歌に、何かを感じとった。
それは戦士としての実力からか、あるいは……
「かあさ……カリン殿!こちらは鎮圧いたしましたわっ!!」
「……そう」
エレオノールが息を切らせて走り寄る。
そうか、なるほど、と合点がいった。
どうやら、娘『達』は立派に働いているらしい。
「かあさま……?」
「ん?いえね……貴女達の母親でいれて、良かったと思いまして」
「……へ?突然何を?」
「いいえ――なんでも」
仮面の下の、顔がほころぶ。
どういう理屈かは分からないが、聞こえた歌は間違いなくあの娘のもの。
それが、世界を満たし、何かを守ろうとしている。
彼女が、貴族として、人として、それを為そうとしていることが……
親として、誇らしくなり、カリーヌは、そっと一礼をした。
遠く、東の方へ……
----
「『わたしが死のうとも
君が生きている限り♪』」
過去からの声が重なって、
全ての声が連なって、
新たなハーモニーの層を成す。
「「『いのちはつづく♪』」」
誰にも語られることの無かった物語を、
閉じられる前に、閉じられぬように、
一つ一つの音が紡いでいく。
「『永遠に
その力の限り♪』」
「「『どこまでもつづく♪』」」
「……今です!全ての力を――『エクスプロージョン』の応用ですっ!!」
「いいです……ともっ!!ブリミル様っ!!」
『ゼロ』という数字は、決して何も無いという数字では無い。
それは、全ての始まりの数字、
それは、全ての可能性を持つ数字。
それは、『0』と輪を成す調和の数字。
『ゼロ』と『ゼロ』が重なれば、その可能性はさらに広がっていく。
生命の調べのように、どこまでも、どこまでも。
それこそが、『∞』、すなわち――
「「『インフィニティ』!!!!」」
少女は、願った。守ることを。
それは光となって……世界を満たしていった。
輪となして、どこまでも、どこまでも……
----
本日は、以上です。
ところで、冒頭、記念日と申しました。
2000年、7月、7日。
20世紀最後の、
PS初代最後の、
一ケタ台最後の、
声無し最後の、ファイナルファンタジーが発売されたのが、この日です。
明後日で、丁度10年目。
思えば、長い時間だなと思う次第です。
その間に、色々な人と出会ったり、色々なことがあったわけですが、
あのころ思い描いた自分に、少しでも近づけたのでしょうか。
……と、どうでも良いことを思ってしまう今日という日でございます。
お目汚し、失礼いたしました。
もう少し、続きます。どうかよろしくお願いいたします。
また、支援、感謝いたします。
今じゃ、パワーを支援に!
いいですとも!
>>418 乙
えぇーい、人のネタに乗っかろうとした結果がこれだよ!!w
そうか、七夕だったっけなぁ・・・
>>389 シュバルツと聞いて某イケメン怪人が脳裏に浮かんだ
駄目だ瞬時に数人ボテ腹にされたりとか大地に手刀叩きこんでハルケギニアに潮を吹かせる(マグマ噴火)とか
色んな意味で阿鼻叫喚過ぎる姿が……
黒魔道士の方、乙でした!
泣けて燃える、最高の展開でした!
遅いレスだけど魔法の才能は血筋家柄関係ないと思う
カリーヌは身分低いのにスクエアクラスだったし
黒魔さん乙です。
ふ……この歌詞だと気づいたとき曲かけだしてもっぺん頭から読み直しましたよw
しかしこの歌何度聞いても泣ける……。
……ただ気になるのがラストの二人の息の合わせ方。これ失敗フラグじゃなかったっけ?
歌ったんだ、あの歌を
乙ー! 物凄く好きな展開だー
でも、ごめん「いいですとも!」は
もはやシリアスとして受け止められないw
失敗というか敵が無敵というか
>>いいですとも
失敗フラグでは有るけどその前のいろんな人の場面と台詞が流れる最強の勝利フラグが有るから大丈夫だろ
>>424 血統どころか貧民街のガキでも徹底して金と時間をかけて教育したらほとんどは魔法使えるはず
例え遺伝によるものでも6000年も貴種のみで交配なんて無理だし
てかノボル自身なんも考えてないからなあ
設定厨じゃないし
ルイズとちゅっちゅすることが9割でできてる作品だし
無理なものは無理
理屈が通って無くても無理
そういうもんです
風の聖痕の血の設定の亜種としとけば?
貴族くずれはともかく、平民にとけ込むとアウトになるとか
まあ、そこら辺はノボルが設定を決定しない限りは作者の自由でいいんじゃない?
スカロンの家に受け継がれていったのは魅惑の妖精のビスチェだけでなく実は秘密の御落胤の家系だったとかでも有りじゃん?
>>430 ジョーカー太陽星団のお話ですね、わかります。
>>430 メイジの力は劣性遺伝子として考えればいいんじゃない。
平民と交配を繰り返せば魔法を使える才能が無くなっていく。
むしろメイジと非メイジの子供すら魔法が使えない可能性が高いって感じで。
「貴族としての教育」という形で魔法を使えるようになる「トリガー」を起動させるのかも
あるいは個々に合うように作らなきゃいけない「杖」が値ェ張るとか
>>434 あそこは血が薄まりすぎて発現率も発現個体の能力もどんどん下がってるから
逆の例じゃまいか
>>436 後者がかなり大きいだろうね。
それに前者もある程度はあるかと。もぐりの平民メイジが本編に出てこないし。
鋼の人の新作が来ていると聞いてdできました
投下があるまでサガフロ2をやり続けたが、
血と汗と涙を流して待っていた甲斐があったよ
>>439 騎士とメイジ両方の能力を持った魔法衛士隊が最強……のはずなんだけどね
でも騎士は時速70キロで走れて反射神経も抜群らしいジャン
まあ大型獣くらいの能力だから戦い方によるか
バーサル騎士GP01とリューメイジ・マジドーラならいい勝負なのかもしれん
七夕か、ハルケにもしそんな風習があったら各作品のルイズはどんな願い事をするのかな。
「ビビとずっといっしょにいれますように」
「南斗爆殺拳のルイズからゼロのルイズに戻れますように」
「おっぱいが大きくなりますように」
>445
俗説ですが、妊娠すれば大きく
ご立派なルイズ 「どうか、宇宙の果ての地球の日本にいる少年が召喚されますように」
デュラララ!の静雄さんを召還したら
ツンデレ同士ルイズとは意外に打ち解けそうだし
魅惑の妖精亭にいても違和感が無い
>>443 ピンクいボディなのに男人格で可愛い女の子のお願いに弱いパフリシア王族所有のマジドーラ!マジドーラじゃないか!!
リューの能力は基本リュー使いの能力次第だからルイズに召喚されたら大変だな…
魔法体系違い過ぎてリューの範囲外だろうし…
凄い漢召喚
>>451 アルビでバッタリ出会ったら ワルドがごめんと涙ぐむ
454 :
◆/bDifSdMIEMV :2010/07/06(火) 19:10:37 ID:qdFo5eMO
創竜伝の竜堂ブラザーズ召喚・・・したらおもしろそう
終、余あたりだと王道っぽい展開になるだろうし
始だと歴史への好奇心から一気に物語の核心に迫りそう
続なら政治系になるだろうな
冥王カナン召喚
クイーン・クー召喚
カイン・グレイウッド召喚
>G,c
電撃かと一瞬思った
12人の妹とその兄を召喚
>>441 騎士(ヘッドライナー)とメイジ(ダイバー)の両方の力持った
ってやつは王侯貴族にごくたまに現れるらしいけど、
大抵頭がおかしいそうだ・・・・
でも騎士とメイジの血統主義って確かに似てるな
はじめの一人(ナッカンドラ・スバース、ブリミル)がいてそれとの血縁で貴族が生まれてる
ルイズが(人間サイズになった)ギガバトルナイザーを召喚
怪獣100体をチャージしてない状態でも超強力なメイジの杖ってことにならんかな
光線とか普通に出るし
55分より、前回の続きを投稿したいと思います
第七話B 王都トリスタニア 〜才人とトリスタニア〜
此処でクラース達から視点を移して…トリスタニアの街中を歩く一人の少女の姿があった
桃色かかったプラチナブロンドに、魔法学院の制服を着た少女が大通りを歩いている
「ほら、さっさと歩きなさい!!」
それは、ルイズだった…誰が見ても不機嫌そうな顔をして叫んでいる
その後ろには、物珍しそうに辺りを見回す才人の姿があった
「へぇ、此処が王都か…色々と賑やかだよな。」
目の前の光景から、以前アーチェにアルヴァニスタの都へ連れて行って貰った事を思い出す
あそこに負けない位活気がある街並みで、道端でも様々な物が売り買いされている
あれは何だろう、これは…等と見ていると、突然耳を引っ張られた
「イテテテテ!?」
「余所見しないの!!あんたは荷物係なんだから、そんな事してる暇はないの!!!」
解った、と思いっきり引っ張られながら耳元で叫ばれたので、耳の奥でルイズの声が反響する
ようやく離された耳を撫でながら、才人はルイズを睨んだ
「いてぇじゃねぇか…何だよ、クラースさんとキュルケの事、まだ怒ってるのかよ。」
「当然よ。クラース先生とあの女がで、ででで、デートなんて……。」
「仕方ないだろ、そうでもしないとあの指輪貸してくれねぇって言ってるんだし。」
もうこれで何度目だよ、とルイズの癇癪に才人はうんざりするしかなかった
クラースがキュルケと出掛けた後、才人もルイズに連れられてこのトリスタニアにやってきた
本人は買い物だと言っていたが、キュルケと出掛けたクラースの事が気になるのだろう
現にさっきからきょろきょろと、彼等がいないかその姿を探している
「それに、俺に八つ当たりするのも止めて欲しいんだけどな。」
此処に来るまで、何度苛立ちをぶつけられた事か…それにしても、彼女の苛立ちは尋常ではない
「(怒りっぽいからって、こりゃ異常すぎるだろ……まさか、こいつ。)」
口は災いの元だと言う事を学べないのか…才人は思った事を口にした
「もしかしてお前……クラースさんに惚れてるとか?」
返事は返ってこなかった…帰ってきたのはルイズの鉄拳だった
顔にめり込む勢いだったので倒れそうになったが、何とか踏ん張る
「そんなわけないでしょ!?あのツェルプストーの女と先生が一緒ってのが気に食わないだけよ!!」
「さ、さいですか……まぁ、クラースさんにはミラルドさんがいるし、変な事にはならないって。」
鼻を抑えながら才人がそう答える中、ふとルイズは気になった
よく二人の使い魔の会話に出てくる、ミラルドという女性に
「ねぇ、サイト…クラース先生の奥さんって、どんな人?」
「ミラルドさん?そうだな……簡単に言えば、美人で優しい人だな。」
「美人で…優しい?」
「ああ。クラースさんに召喚されてから色々世話になってさ……。」
才人は語った…ミラルドの事を
アセリアの事を色々教えてくれたり、おいしい料理を作ってくれたり
それに、不安になった時には優しく抱きしめてくれた事…そんな事を話した
「ふーん……何か聞いてても、良い人だって思うわ。」
「だろ?きっと俺とクラースさんが急にいなくなったから…心配してるだろうなぁ。」
才人は空を見上げ、ミラルドやアーチェ、ユークリッド村の人々の事を思い浮かべた
そして、地球にいる両親や友達の事も…
「サイト……。」
そんな才人の姿を見て、ルイズは二人を呼び出してしまった事を少し後悔した
そして今更だが気付かされた…彼等にも彼等の生活があったんだという事を
「(でも…仕方ないじゃない、あんた達がゲートを潜ってこっちに着ちゃったんだから。)」
召喚した使い魔を戻す魔法なんてない…ルイズにはどうにも出来ない問題だ
だんだんと胸の奥がもやもやしてきたので、それを払うべく声をあげた
「ほ、ほら、ぐずぐずしないで…さっさと買い物に行くわよ。」
「何だよ、人が感傷に浸ってるのに…つめたい奴だな。」
才人の言葉に、ルイズは反論しなかった…今だけはやめておこうと思ったからだ
ルイズが歩き出すと才人もその後に続き、二人は通りを歩いていくのだった
支援
「これとこれ…あとこれもお願いするわ。」
「ありがとうございます。」
トリスタニアのとある店で、ルイズは買い物を終わらせて店を後にする
そんなルイズの後を、彼女の買った物を両手で持つ才人が後を追う
「えっと、次は向こうにあるお店にいって……。」
「おいおい、まだ買うつもりかよ。」
才人が悲鳴に近い声で訴える…既に彼の手には十分すぎる程の荷物があった
なのに、彼女はまだ買うつもりでいるのだから当然の訴えだ
「当然よ、女の子には必要な物が沢山あるんだから…本当、荷物係がいて助かるわ。」
「…鬼だ、俺の目の前には鬼がいる。」
可愛らしい顔をしていはいるが、根は酷い鬼が…ぶつぶつと文句を呟く
そんな才人を面倒臭そうに見ると、仕方ないとばかりに口を開いた
「ほら、後で何か美味しいもの食べさせてあげるから…頑張りなさいよ。」
「えっ、マジで!?」
此処に来て楽しみと言えるのが食事くらいなので、才人の顔は一気に明るくなる
だから、ルイズの「単純…」という声も聞こえなかった
「解ったらさっさと行くわよ。」
「ああ。でも、此処って人の通りが激しいから……。」
才人の言うとおり、狭い通りを大勢の人が行き交いしているので歩きにくい
そんな才人の苦労を知ってか知らずか、ルイズはどんどん先へ行く
「おーい、ルイズー、待ってくれよ…うわっ!?」
「きゃっ!?」
ルイズに追いつこうとした時、才人は通行人の一人と真正面からぶつかってしまった
手に持っていた荷物がバラけ、才人は仰向けに倒れる
「(いてぇ、思いっきり倒れた……ん?)」
起き上がろうとしたが、顔に妙な弾力間がある事に気付いた
柔らかい、そして視界が暗い…そう思っていると声が聞こえてきた
「ごめんなさい…大丈夫?」
視界が明るくなったと同時に、目の前に女性の顔が見えた
相手は白のワンピースを着た綺麗な女性だった…それに胸もある
その胸が自分の顔を覆っていたと知り、才人は顔を赤らめた
「い、いや、こっちこそすんません。ぶつかっちゃって…。」
「ティアお姉ちゃん、大丈夫?」
隣から、彼女の連れらしい少女が心配そうに覗き込んでくる
「ニナ…私は大丈夫。でも、この人が…。」
「お、俺は大丈夫です。この通り、全然平気ですから…ハハハ。」
そう言うと、才人は起き上がってバラけてしまった荷物を拾い始めた
ティアと呼ばれた女性も手伝ってくれ、荷物はすぐに集まった
「ありがとうございます、拾うの手伝って貰って。」
「そんなに沢山の荷物を持って大変ね。おつかいでも頼まれてるの?」
「ええ、ちょっと買い物に付き合わされてね…大変ですよ、もう。」
笑いながらティアの返事に受け答えする才人…その視線は終始彼女の胸に向けられていた
そんな事に気付かない彼女は、才人に微笑を返してくれる
「じゃあ、私達はこれで…おつかい、頑張ってね。」
「はい、そちらも気をつけて。」
ティアは連れの少女と共にその場を後にし、やがて人混みの中へと消えた
二人が見えなくなるまで手を振った後、才人は自分の顔に手をやる
「(ティアさん、だっけ……凄くでかい胸してたよなぁ。)」
彼女の胸の感触が残る顔を撫でる才人…周囲の人がいぶかしむ位、にやけながら
あのメロンみたいな大きい胸の感触を知る事が出来たので、此処に来たのも悪くはなかった
「さて、と…ルイズ、次は何処に………ルイズ?」
辺りを見回してみると、見知らぬ通行人ばかりでルイズの姿は見えない
何度かルイズの名を呼んでみるが、返事は返ってこなかった
「ひょっとして……はぐれた?」
それに気付いた時…才人は途方にくれるしかなかった
「はぁ…どうすっかなぁ。」
ルイズを探し、荷物を両手で抱えながら才人はトリスタニアを歩き回った
知らない道をぐるぐる回った結果、今では路地裏にたどり着いてしまう始末だ
「こんな所にあいつが来るわけねぇよなぁ…戻るか。」
しかし、帰ろうにも入り組んだ路地裏からはそう簡単には出られなかった
「えーと、確かこっち…いや、あっちだったか?」
右に左に、前に後ろに…
あちこっち歩き回っても、中々大通りに出る事は出来ない
「やべぇ、マジでやべぇ…このままだとルイズに会うどころか帰れなくなるぞ。」
だんだんと彼の中に危機感が募っていく…そんな時だった
「や、止めてください。」
向こうの方から、嫌がる女性の声が聞こえてきた
それも、何処かで聞いた事のある声…気になった才人は先へ進んでみた
「止めてくださいって言われて止める奴なんていないだろ?」
「だからよ姉ちゃん、俺達と楽しい事しようぜ。」
すると、柄の悪い男達が数人、若い女性を取り囲んでいた
男達に取り囲まれ、困惑するその女性には見覚えがあった
良く見てみると…普段着を着ているが、間違いなくシエスタだった
「シエスタ!?」
「あっ……さ、才人さん。」
才人の声を聞いて、シエスタが此方に振り向いた
当然、彼女を取り囲んでいる男達も才人の方を振り向く
「んん、何だお前…こいつのツレか。」
「えーと…まあ、そんな感じ。そんな事よりシエスタを離してやれよ、嫌がってるじゃないか。」
才人の言葉に男達は顔を見合わせ、やがて大声で笑い出した
まあ、この手の人間が素直に話を聞くとは思っていなかったが
「馬鹿かお前、んなの聞くわけないだろうが……おい。」
リーダーらしき男の声に、仲間の一人が近づいてきた
懐からナイフを取り出したので、思わず才人は後ずさる
「えっ、ちょっと……いきなり刃物出すなんてありかよ。」
そうは言っても相手はやる気のようで、ナイフを此方に向かって突き出してきた
咄嗟にその一撃を避けるが、相手は続けてもう一撃繰り出してくる
「くっ…この!!」
「うわっ!?」
後でルイズに怒られる事を覚悟しつつ、荷物を暴漢に向かって投げつけた
顔にぶつかって一瞬怯んだ隙をついて、男の急所を蹴り上げる
「ぐふっ!?」
男の急所は共通…それをよく知っている才人の一撃を受け、相手はその場に蹲った
その手から零れ落ちたナイフを、反射的に手に取る
「野郎、抵抗する気か……お前等、やっちまえ!!!」
リーダーの言葉に、男達は一斉に得物であるナイフを取り出した
そして、これまた一斉に才人に向かって襲い掛かる
「何でこうなっちまうんだよ…くそ、やるしかないよな。」
ナイフを手に構える才人…その時、左手のガンダールヴのルーンが輝きだした
相手は五人…けれど、才人は怯まずに相手に向かっていった
「でりゃ!!」
まずは一人目…思いっきりナイフを振って相手の手から弾き飛ばす
顔面にパンチを叩き込んで、地面に沈めた
「たあっ!!」
二人目と三人目は攻撃をしゃがんで避け、足払いを掛けた
バランスを崩した二人は、重なり合って倒れる
「これで、どうだ!!」
残った二人も、すれ違いにナイフの柄を首筋に当てて沈黙させた
僅か数秒足らずで、才人は全員を倒してしまった
「俺って…実は凄くね?」
得意げになる才人…これも、ガンダールヴの恩恵故であった
このままいけるかもと思ったが、そんな彼の快進撃もそこまでだった
「おい、お前…それ以上動くんじゃねぇ。」
何故なら、相手がシエスタの首筋にナイフをかざしていたからだ
「シエスタ……くそ、定番過ぎる卑怯さだぞ。」
「まさか、ガキ一人に皆やられちまうとはな…おら、全員起きろ!!」
リーダーの一喝に、倒れた全員がふらつきながらも立ち上がった
相手はシエスタの首筋にナイフをつけたまま、ゆっくりと近づいてくる
「さあ、ナイフを捨てな…でねぇと、この姉ちゃんの首から血が噴出すぜ?」
「さ、才人さん……。」
相手は脅しではない事を証明する為、ナイフでシエスタの首の皮を一枚切った
切った箇所から赤い血が流れ、痛みと恐怖から彼女の顔が歪む
「解ったらさっさとナイフを捨てろ、今度は本当にやっちまうぞ。」
「お前……解ったよ。」
いくらガンダールヴの力で強化されたとはいえ、この位置から突っ込んでも間に合わない
相手の指示通り、才人は手に持っていたナイフを捨てた
「そうだ、それで良い…おい、お前等、たっぷりとお返ししてやれ。」
周囲の男達が手をボキボキ鳴らしながら、ゆっくりと近づいてくる
あれだけやったのだから、タダですむわけがない
やられる…恐怖のあまり、才人は目を瞑った
………
だが……数秒が過ぎ、十数秒が過ぎても相手が殴りかかってこない
「(あれ…全然来ないぞ、どうしたんだ?)」
「おい、もう固まってなくて良いぞ。」
疑問を浮かべる才人に、男達とは違う若い男性の声が聞こえてきた
恐る恐る目を開けると、自分を取り囲んでいた男達が再び地面に沈んでいた
「えっ、なんだ、一体何が……。」
「才人さん!!」
目の前の光景に戸惑っていると、シエスタが抱きついてきた
一体何があったんだ…と彼女に尋ねようとした時、再度声が聞こえた
「危なかったな、お二人さん?」
声の方を向くと、その先には髪の長い男性が立っていた…手には刀を吊るした紐が握られている
その足元には、何故かキセルを加えた犬までいた
犬は男達のリーダーを踏みつけている…奴も気絶しているらしい
「えっと…あなたが助けてくれたんですか?」
「話は後だ。此処はこいつ等の縄張りだからな…すぐに他の奴等が来るぞ。」
その言葉に、慌てて才人は散らばった荷物を回収する
そしてシエスタと共に、青年に連れられて路地裏を後にした
………………
「ここまでくれば、後は大丈夫だろ。」
追っ手が来ていないのを確認しながら、青年はそう答える
彼の案内により、才人とシエスタは無事大通りへと出る事が出来た
「あの…ありがとうございます、俺達を助けてくれて。」
「別に…仕事でたまたま通りかかっちまっただけだからな、礼なんていらねぇよ。」
才人の感謝の言葉に、青年はそう答える
その隣で「わん!!」と、犬も軽く吼えた
「何にせよ、裏通りにはああいう輩が多いからな…今度からは注意しろよ。」
いくぞ、ラピード…彼は連れの犬の名を呼び、その場から立ち去っていく
「本当に、ありがとうございました。」
とシエスタが言うと、彼は後ろ向きのまま手を振り、やがて見えなくなった
二人は彼の姿が見えなくなった後、落ち着ける場所を探してその場から歩き始めた
「私、今日非番だったんです。それで、王都に買い物に着たんですけど…。」
「その途中で、あいつ等に絡まれたってわけだ。」
昼前の噴水広場にて……
ベンチに腰を掛けて、才人とシエスタはそこで落ち着き、話をしていた
「裏通りに引き込まれた時は、私もう駄目かと思いました。でも、才人さんが来てくれたから…。」
「いや、結局俺もさっきの人に助けられたから…。」
助けに行ったつもりが助けられて……ちょっと間抜けだと思った
でも、二人とも無事だったのでよしとしよう
「あの犬さん、凄かったんですよ。暴漢達を反撃する間も与えずに一瞬で倒しちゃったんです。」
「へぇ、そうなんだ……って犬!?」
「はい、才人さんの周りの人を倒したのが犬さんで、私を捕まえていた人を倒したのがあの人です。」
あの犬が…確かに普通の犬とは少し違うようだったが、まさかそれ程とは
というより、犬に助けられてしまうなんて…
「そうか……俺って、犬より弱いんだな。」
「し、仕方ないですよ、私人質になってたんですから…それに、最初は凄かったじゃないですか。」
「そ、そう…かな?」
「はい。あの時の才人さん…とても格好良かったです。」
シエスタのフォローに、才人も少しは気が楽になった
しかし、持っている荷物を見て大事な事を思い出した
「あっ、それよりも…ルイズの事、どうすっかなー。」
「ミス・ヴァリエールがどうかしたんですか?」
「いや、今日はルイズと買い物に来たんだけど…あいつとはぐれたんだ。」
どうしよう…と、ルイズが何処にいるのかと才人は頭を悩ませる
下手に動き回ればまた迷うだろうし、一旦街の入り口まで戻ろうか…
「よぉ、お二人さん…何か悩んでんのか?」
そんな時、二人に元気よく声を掛けてくる男が現れた
服装は先程の男同様、この辺では見ない服装で、胸当てを着用している
「え、えっと…悩んでると言えば悩んでるんですけど…。」
「悩んでるんだったら、少し占いで見てもらったらどうだ?すぐそこでやってんだけど…。」
どうやら、男は客寄せの為に自分達を呼んでいるらしい
だが、こういう勧誘は怪しいものなので、すぐに返事は出せなかった
「ん、何だ…俺の事信用出来ないってか?」
「いや、そんな事は……。」
そうは言っても、歯切れの悪い言い方がそれを肯定している
「ん〜、まぁそうだよな……じゃあ、これが俺の証明って事で。」
男は少し考えた後、二人の目の前にスッと拳を突き出した
何をするんだろう…そう思って二人が見ていると、彼の拳から花が出てきた
「わぁ、綺麗な花ですね…それに見た事ないです。」
「これは東の方に咲くティートレーイの花って言うんだ、一つあんた達にあげるぜ。」
男から花を受け取り、シエスタと才人は再度彼の顔をのぞく
彼は満面の笑みを浮かべており、何だか信じられそうになった
「じゃあ……ちょっとだけ、占って貰っても良いですか?」
「よし、来た。あいつの占いは五つ星だからな、期待しても良いぜ。」
話が決まり、男は占い師の所まで案内しようとする
が、その前に大事な事があったと、二人に振り返る
「自己紹介がまだだったな…俺はティトレイって言うんだ、よろしくな。」
男…ティトレイが自身の名を名乗り、才人は横目で先程貰った花を見る
これ、自分の名前をつけてんのか…面白い人だな
「わたしはシエスタです、よろしくお願いします。」
「あっ…お、俺は平賀才人…才人って言います、よろしく。」
挨拶が終わると、二人はティトレイに連れられてその場を後にする
その後、クラース達が此処へやって来るのだが、二人がそれを知る事はなかった
ティトレイに連れられて、二人は件の占い師の所へとやってきた
簡易的なテーブルに白いテーブルクロスが掛けられ、椅子には女性が座っている
黒髪の美女…彼女が占いをするらしいが、彼女はカードを見ていた
「おーい、ヒルダーーー、客連れて来たぜ。」
「ああ、ティトレイ…何処に行ってるのかと思えば。」
ティトレイに呼ばれた女性は顔をあげ、三人に振り向く
ヒルダと呼ばれたこの占い師は占いをしていたらしい、彼女のカードを覗き込んだ
「また俺達の今後を占ってたのか……で、どうだった?」
「そうね、この前と同じよ…今は時が来るのを待つしかないわ。」
「そうか…まあ、果報は寝て待てって言うしな。」
うんうんと頷くティトレイ…その間に、ヒルダはカードを整理する
それを終えると、今度はシエスタと才人へ視線を向ける
「それで…占って欲しいのはそこの二人?」
「ああ、ヒラガサイトにシエスタ…何か悩んでるみたいだったから連れてきた。」
ふーん、と占い師のヒルダはじっと二人の顔を見つめる
「確かに、色々と悩んでそうね……で、貴方達は何を占って欲しいの?」
「え、えっと……私の仕事の運勢とか占ってもらって良いですか?」
「俺はルイズ…はぐれた奴がいるんだけど、そいつが何処にいるとか占えます?」
「それだけ?」
二人がそれぞれ占って欲しい事を言うが、ヒルダは納得した様子ではない
その言葉の意味が解らない二人に、ヒルダは微笑する
「歳若い二人が一緒に占って欲しいと言えば、恋愛運だと思ったのだけど……。」
「ええっ、そんな…私とサイトさんは別にそんな関係じゃ…。」
少し顔を赤らめながら、シエスタは自分達の関係を否定する
彼女の態度を見れば、少しは脈有りだと思うのだが…
「そうですよ。俺なんか、シエスタには勿体ないくらいですから。」
鈍感な才人はそれに全く気がつかなかった…その時、シエスタは少し残念そうな顔をしていた
「まあ、そう言うならいいけど…で、どちらから占うの?」
「そうだな……シエスタ、先に占ってもらったら?」
「えっ、良いんですか?なら、私から……。」
才人の勧めでシエスタが最初という事になり、椅子に腰掛けた
ヒルダは持っているカードを使って占いを始める…絵柄は見た事のないものだった
途中色々と質問され、それに答えながら占いは行われていき……
「結果が出たわ…正直に言うと、このまま仕事を続ければ貴方にとって良くない事が起こるわね。」
結果は思わしくないものだった…それを聞いて、才人はヒルダに向かって怒鳴った
「そんな、どうして!?シエスタは何時もちゃんと仕事してるのに……。」
「そこまでは私にも解らないわ…心当たりは彼女自身が良く知ってるみたいだけど。」
その言葉に才人がシエスタを見ると、彼女は思いつめた表情をしていた
それに結果を聞いてもそれ程驚かない…何処か納得しているようでもある
「シエスタ…学院で何かあったのか?」
「それは…いえ、何でもありません。何も…ないんです。」
だが、彼女は何も言おうとしなかった…後の事を考えれば、言えなかった
これではあんまりだと思ったティトレイは、ヒルダに尋ねる
「なあ、ヒルダ…どうにか出来ないのか?」
「そうね、気休め程度だけど……宝石が貴方のラッキーアイテムかしらね。」
「宝石?」
「そう、それを身に着けていれば厄災から持ち主を守ってくれるわ。」
完全な保障は出来ないけどね、とヒルダは付け加える
「宝石か……そう言えば、確か…。」
才人はポケットに手を突っ込み、ごそごそとある物を探す
すぐにそれは見つかり、ポケットから取り出したそれをシエスタに渡した
シエスタが受け取って確認すると、瞳くらいの大きさの黒い宝石だった
sienn
「これは?」
「ブラックオニキス、前にクラースさんから貰った奴だけど…シエスタにあげるよ。」
「そ、そんな…頂けません、こんな高価な物…。」
慌ててシエスタはブラックオニキスを返そうとするが、才人はそれを拒んだ
「シエスタには会った時から世話になってるからさ…お礼の意味も込めてって事で。」
と言っても、貰い物なので有難みないかもしれないけど…
「でも……。」
「良いんじゃないかしら。貴方の事を大切に思う人からの物の方が、効果があるかもしれないわよ。」
「ほら、占い師のお姉さんもこう言ってるし…な。」
シエスタはヒルダ、ティトレイ、才人と見て最後にブラックオニキスを見た
黒の宝石を愛おしそうに指で撫でた後、ギュッと握り締める
「サイトさん……解りました、大事にしますね。」
ありがとうございます、とシエスタは笑顔で感謝する
これで、シエスタの事は上手くいったと思いたい
「さて、と…じゃあ次は俺の番だな。人を探しているんですけど……。」
「サイト〜〜〜〜〜〜!!!!」
占いを始めようとした矢先、聞き覚えのある声が聞こえてきた
才人が振り向くと、ルイズが此方に走ってくるのが見えた
「あれ、ミス・ヴァリエールじゃないですか?」
「サイトが探してる女の子か…良かったな、占う前に見つかって。」
ティトレイは喜んでいるが、才人は全然喜んでなかった
何故なら、向かってくる彼女の表情が、自分の無事を安堵しているようには見えなかったからだ
「この…馬鹿犬!!!」
その証拠に、才人に向かって飛び膝蹴りを喰らわせようとした
喰らっては大変と、その一撃を避ける
「避けんな。」
「避けるわ、んなの!!」
「あんたって奴は…勝手にいなくなったと思ったら、女の子と一緒にいるなんて…。」
「仕方ないだろ、お前がさっさと行っちまうんだから…それに…。」
「ああ〜〜〜!!!」
弁解の途中でルイズが大きな声を出したので、思わず才人は竦む
彼女が驚いたのは、才人が持っている袋が幾つか汚れていたからだった
「あんた、私の買った物をそんなにボロボロにして…。」
「そ、それは俺の命が危なかったから仕方なく…。」
「言い訳すんな!!」
「はぐぅ!?」
話も碌に聞かず、ルイズは才人の急所を蹴り上げる
不意を付かれてその一撃に才人は膝をつく
「馬鹿、この馬鹿!!」
「げふっ、ま、待てルイ…ぐほっ!?」
「み、ミス・ヴァリエール、落ち着いてください。」
足で散々踏まれまくる才人は弁明の余地なく、地面に沈んだ
シエスタは何とかルイズを落ち着かせようとするが、あたふたするばかりだ
「何だか騒がしい連中だな…ま、これで一件落着って事で良いのか?」
「良いんじゃない?」
隣で様子を見るティトレイとヒルダの言葉は、騒がしい三人には聞こえなかった
「全く…理由があったならちゃんと言いなさいよね。」
ヒルダとティトレイと別れ、才人達は道を歩いていた
あれから何とかルイズを宥める事に成功し、事情を話して納得させる事が出来た
だが、その頃には才人は体中をあちこち痛める辛い思いをする事となったが
「お前が素直に人の話を聞いた事があるのかよ。」
「過ぎた事を何度も言わないでよ、男らしくないわね。」
じゃあ、お前は女らしくねぇよ…と言おうと思ったが、止めておいた
口は災いの元というのを、そろそろ学習しなければならない
「それにしても…何であんたまで付いてくるの?」
ルイズのその言葉は、才人の隣を歩くシエスタに向けられたものだった
別に一緒に行こうとも言っていないのに、彼女は自分達に付いてきた
「だって、サイトさんは命の恩人ですから…お礼がしたいんです。」
「ふーん…まあ、良いんじゃないの。」
特に興味もなさそうに告げると、ルイズはそっぽを向く
しかし、横目でチラッと二人の様子を見ていた
「ああ、腹減ったな…そういや、今朝はあんまり食べれなかったし。」
「だったら、あそこで何か買います?美味しそうな果物が並んでますよ。」
「おっ、本当だな。」
黒髪の少年と少女…傍から見れば、お似合いのカップルとも言える
別に使い魔の少年が誰と付き合おうと構わない…キュルケ以外なら
構わない…筈なのだが
「(妙にイライラするのは何でなのよ。)」
あの二人を見ていると、そんな気分になってくる
別に彼等は自分にとって、何も悪い事はしていない筈…
「(……ああ、解ったわ。きっとこれは…。)」
その理由が解ったと思ったルイズは、二人に近づく
そして、シエスタが買ってくれた果物を頬張る才人の耳を引っ張った
「イテテテテ、何すんだよ!?」
「使い魔が主人を放っておいたら駄目でしょ、あんたは荷物持ちとして連れて来たんだから。」
そう、自分がイラついていたのはこいつが使い魔としての責務をしていないから…
実際、こうやって諌めた事でルイズの中で気分が落ち着いた
「解った!?」
「わ、解った…解ったって!?」
しぶしぶ了承する才人の声を聞き、解れば良いのよとルイズは耳を引っ張るのを止める
耳を押さえる才人をシエスタが心配するが、ルイズは気にせず先に行く
「(全く、あいつは本当に使い魔らしくないわね…今一度、ビシッと教育する必要があるわ。)」
今度はそれに必要な物を買いましょ…と碌に前を見ずに考えていた
だから、ルイズは前から来る人に気付かずにぶつかってしまった
「イタッ!?」
そのショックで地面に思いっきり尻餅をついてしまう
それに気付いた才人とシエスタが、後ろから駆け寄ってくる
「ルイズ、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないわよ、思いっきり地面にお尻をぶつけちゃったわ。」
イタタ…と地面にぶつけたお尻を擦りながら、ぶつかった相手を見上げた
「おっと、失礼した…大丈夫かな、貴族のお嬢さん。」
ぶつかった相手の男は丁寧にルイズに謝る
よく見ると、相手は三人組で、男二人に女一人の組み合わせである
それぞれ武器を持っている事から、相手は傭兵のようだ
「あんた達、傭兵?次からはちゃんと前見て歩きなさいよね。」
「お前…兄貴に向かって生意気でヤンス。」
余所見していたのはあんただろうに…と、太っちょの男は憤慨する
だが、そんな彼を男は制止させる。
「まあ、待てジョン…此処で貴族と問題を起こしたら面倒だ。」
「それは…そうでヤンスが。」
彼の言葉に、太っちょの男はそれ以上言う事なく黙った
「仲間が失礼した…我々は漆黒の翼という者、以後お見知りおきを。」
男は礼儀正しく、ルイズに向かってお辞儀した
「漆黒の翼?漆黒の翼って何なんですか?」
「おお、良くぞ聞いてくれたな少年!!」
聞いたこともない単語に、才人が疑問を相手に投げかける
すると、待っていましたと言わんばかりに叫んだ男は仲間二人に向かって振り向く
「ジョン、ミリー、例のヤツをやるぞ。」
「解ったでヤンス、兄貴。」
「ええ、こんな街中で……仕方ないわね。」
太っちょの男は即座に、女性のほうは少し困惑しつつも了承する
そして、彼等は独特のポーズと共に自己紹介を始めた
「私は音速の貴公子、グリッド!!」
リーダーらしく、格好良いポーズを決めるグリッド
剣を引き抜き、頭上高く掲げる
「おいらは大食らいのジョン、でヤンス!!」
力自慢である事を示すようにポーズを決めるジョン
その体格に似合った斧を、背中に担いでいる
「私は疾風のミリー!!」
自身の愛らしさと疾風を表現したポーズを決めるミリー
二本のナイフを、クルクルと手の内で玩ぶ
三者三様に、それぞれポーズを決めながら名乗りを上げ、最後の締めへと入る
「「「我等三人、人呼んで最強の傭兵集団…漆黒の翼!!!」」」
決まった…我等の勇姿は深く彼等の胸に刻まれたに違いない
そう思っているグリッドに対し、才人達の反応は…
「へー、そうなんだ…で、知ってるか、ルイズ、シエスタ?」
「全然知らないわ。」
「私も…聞いた事ありません。」
「馬鹿なぁ!?」
三者のコメントに崩れ落ちるグリッド、そんな彼をジョンが心配する
「兄貴、大丈夫でヤンスか?」
「大丈夫だ、ジョン…少しばかり、眩暈がしただけだ。」
弟分に支えられ、何とか立ち上がるグリッド
しかし、表情はまだショックの後が残っている
「グリッド、私達まだそれらしい活躍してないじゃない。知られてないのも当たり前よ。」
「まあ、それはそうなんだが…漆黒の翼と言えば、色々と有名だろ?」
「私達『は』、まだそんなに有名じゃないでしょうが。」
ベシっと、ミリーの突っ込みがグリッドに入る
彼は頬を人差し指で掻いた後、改めて三人に振り返った
「…まぁ、そういう訳で。今後活躍を予定している漆黒の翼をよろしく頼む。」
では…と、グリッドは一足早くその場を去っていく
他の二人も、グリッドの後を追いかけていった
「…何だったんだ、あれ。」
「さあ…でも、もうあいつ等と会う事なんてないでしょ。」
「それより、早く行きませんか?周囲の視線が…。」
シエスタの言うとおり、周囲の人々の怪しんでいる視線が集中してくる
そういう事で落ち着くと、三人は再び歩きだした
この時、彼等とは長く関わっていく事になるとは誰も思わなかった
『腹は減っては…』
才人「やっぱ王都ってだけあって広いよなー、広いから迷子になったけど。」
ルイズ「もう二度と迷子になんかならないでよね、アンタを探すの大変だったんだから。」
才人「それは悪かったって…で、これからどうするんだ?」
ルイズ「そうね…そろそろ昼頃だし、何処かで食事にでもしたいわ。」
才人「そいつは賛成だ、俺もう腹減ったし…さっきの約束、守ってくれよな。」
ルイズ「約束…ああ、あれね、一応守ってはあげるわよ。」
才人「一応って…まあ、早くどっかで飯食いたいなぁ。」
『ルーンの秘密』
シエスタ「それにしても、あの時の才人さん凄かったです。」
ルイズ「あの時って…ああ、暴漢に絡まれたっていう…。」
シエスタ「はい。あの時才人さんはナイフを巧みに使って相手を倒したんです。」
才人「でも、結局は俺も助けられたけどな…あの長髪の人と犬にさ。」
ルイズ「ふーん…ギーシュの時もそうだけど、あんたって本当は剣士なの?」
才人「いや、俺剣なんて使った事ないし…自分でもどうしてあんな風に動けたのか…。」
ルイズ「………もしかしたら、契約のせいかもしれないわね。」
才人「契約?」
ルイズ「使い魔を召喚して契約を交わすと、使い魔には特殊能力が宿る事があるのよ。」
ルイズ「例えば、猫の場合だと猫が喋れるようになるとか。」
才人「へぇ…じゃあ、俺が剣を使えるようになったのもルイズとの契約のお陰ってわけか。」
ルイズ「そう言う事…まぁ、あんたは先生のおまけだったからそれくらいあった方が良いかもね。」
才人「おまけっていうな…見てろよ、何時かお前をギャフンって言わせてみせるからな。」
ルイズ「はいはい、期待しないで待ってるわ。」
『伝説の傭兵』
才人「さっき会った漆黒の翼って人達…傭兵ってあんな面白い人達ばかりなのか?」
ルイズ「そんなわけないでしょ、傭兵なんて金にしか目のない奴等ばかりよ。」
ルイズ「おまけに、自分の身が危なくなったらさっさと逃げちゃうらしいし。」
才人「ふーん…傭兵って格好良い職業だと思ってたけどな。」
シエスタ「でも…確か何十年か前に客員剣士として招かれた傭兵がいるって話がありますよ。」
才人「客員剣士?」
ルイズ「それは私も母様から聞いた事があるわ…剣と魔法に卓越した、凄い人がいたって。」
ルイズ「でも、私は母様の話でも信じられないわ…傭兵が陛下直々に招かれたなんて。」
シエスタ「殆ど伝説のような物ですからね…当時を知る人しかその傭兵の存在を知りませんから。」
才人「伝説の傭兵ってわけか…だったら、俺もそんな傭兵みたいに伝説の一つでも残して…。」
ルイズ「調子に乗るんじゃないわよ、この馬鹿。」
才人「イタタタ、冗談、冗談だから…そんなに耳引っ張んなって!?」
『才人からのプレゼント』
シエスタ「♪」
ルイズ「どうしたのよ、あんた…宝石を見つめてにやにやと。」
シエスタ「あっ、ミス・ヴァリエール…これ、才人さんからプレゼントして貰ったものなんです。」
ルイズ「サイト…から?」
シエスタ「はい、本当はミスタ・レスターから頂いたそうなんですけど…。」
ルイズ「ふーん…良かったじゃない、プレゼントなんかもらえて。」
シエスタ「はい…今後の事で色々と不安だったんですけど、これのお陰で大丈夫そうです。」
シエスタ「私、頑張ります…この先、何があっても。」
ルイズ「………。」
才人「ルイズー、そんな所でボーっと突っ立ってるとまたはぐれるぞ。」
ルイズ「サイト……ふんっ!!」
才人「ぐえっ…い、いきなり何すんだよ!?」
ルイズ「………何となく。」
才人「何となくって…ちょ、おい、待てよ、コラ!!!」
「なぁ…そろそろ昼飯にしようぜ。」
漆黒の翼の面々と別れ、更に歩いた頃に才人がルイズに尋ねる
街に着てから色んな事があったので、お腹はすっかり減っていた
「そうね…確かにお腹も空いてきたから、何処かで昼食を取りたいわね。」
ルイズにもそれには賛成で、何処か良い店はないだろうかと探してみる
貴族に相応しい、品位ある店を……
「きゃっ!?」
その時、風が通り過ぎたような感覚をルイズは感じた
スカートが捲れそうになり、両手でそれを押さえつける
「何、今の…風が通り過ぎたかと思ったけど。」
「あの子が走っていったみたいですよ、ほら。」
シエスタの言葉に前を見るが、その先には通行人が数人見えるばかり
子どもの姿は影も形もなかった
「あの子って誰よ?そんな子いないじゃない。」
「いえ、今さっき男の子が走っていったんですけど…もう見えなくなっていますね。」
「男の子がねぇ…ルイズのスカートでも捲ったのか?」
才人が、男の子が去ったという先を見つめていると、後ろから騒がしい幾つもの足音が聞こえてきた
ルイズとシエスタが後ろを振り返ると、大勢の男達が此方に向かって走ってきていた
誰もが我先にと、一生懸命走っている
「な、何よあれ!?」
「きゃあ!?」
彼等の尋常ではない様子に、ルイズとシエスタは道の端へと飛びのいた
「えっ、どうし……ぎゃあああっ!?」
唯一逃げるタイミングを逃した才人は、走ってくる集団に飲み込まれてしまった
彼等が去った後、そこには背中に幾つもの足跡を残した才人がうつ伏せで倒れていた
「才人さん、大丈夫ですか!?」
「ううっ…大丈夫じゃあ、ないかも…。」
「ちょっと、大丈夫!?」
背中に幾つもの足跡を残す才人にシエスタだけではなく、ルイズも駆け寄ってくる
心配してくれてるのか…と思ったが、彼女は才人が持っていた荷物を拾い上げる
「ああ、良かった…こっちは無事みたいね。」
「おい、少しは俺の事も心配しろよ!!」
ルイズが心配したのは買った品物だけ、才人は眼中になかった
そんな時、一人のおじさんが後ろからよろよろと歩いてきた
「ふぅ、ふぅ、ふぅ…駄目だ、全然追いつけねぇ。こりゃこのレース負けだな。」
肩で息をする状態で独り言を呟くと、それがルイズの耳に入った
ルイズは壁にもたれかかって休もうとするおじさんへと近づく
「あんた、さっきの一団と関係ありそうね…あれは一体何なの?」
「き、貴族様…え、えっとですね、今レースをやっていましてね。一着でゴールしたら賞金が出るんですよ。」
相手が少女とはいえ貴族なので、おじさんはおどおどしながら答える
「ふーん、レースねぇ……行くわよ、才人。」
「ん、何処に?」
「決まってるでしょ、そのレースの開催者に文句言ってやるのよ。もう少しで私の買い物が台無しになる所だったってね」
「…俺の事は範疇にないんだな、やっぱ。」
解っていた事だが…この様子では昼食はもう少しお預けになりそうだ
おじさんにそのレースの開催場所を詳しく教えてもらい、ずんずんとルイズは歩いていく
諦めてその後に才人は続き、シエスタも一緒になってその場所へと向かった
今回はこれで終了、次回はクラースと才人が合流します
ワンダーシェフに続き、今回はテイルズではお馴染みの漆黒の翼が傭兵という設定で登場
今後、ちょくちょく軽めに登場する予定です
また、前回に続きテイルズキャラも何人か登場
どんな風に関わってくるかは今後の展開次第…では、また次回まで
GJです。
だんだんトリスタニアが人外魔境になっとるwww
新エピソードができましたので、もし他に書かれる方がいなければ、23:30分頃投下します。
予約はいってます
料理漫画系から召喚とかないかなあと思ったが、食材とかあるしな
そこで懐かしのOH!MYコンブだな
>>480 なんか、中世が舞台の料理もの無かったっけ?
それでは、ウルトラ・スーパー・デラックスマンZERO、続きです。
「それが、俺が力に目覚めた時だったな……」
句楽は思い出していた。
「あの時はもう、驚いて声も出なかったわ。そうでしたよね」
「全くだよ」
ルイズ、コルベールは顔を見合わせて言う。
「とにかく、俺は超人になった。力を手に入れて、使わない手はない。そして、俺の初陣の日がやってきた……」
「申し訳ありません!! どうかお許しを!!」
学院のメイドの一人、シエスタが必死に貴族の少年、ギーシュに謝っている。
「そうはいかないね。君のせいで二人のレディの名誉に傷がついた。どうしてくれるのかな?」
シエスタに因縁をつけているのが、傍目にもわかる。しかし誰も彼女を助けようという者はいない。
その時だ。
「やめないか、悪党!」
一喝する声が、食堂に響き渡った。
「だ、誰だ!?」
「私だ!」
目の前に、スーツに加えて、背中にマントを付けた男……句楽兼人が立っていた。
「君かね。今何と言った?」
「やめないか、悪党と言ったのだ!」
ギーシュは、何だお前か、という顔をした。
「……ああ、君か、あのルイズが召喚した平民の使い魔というのは」
「違う! 私は弱きを助け強きをくじく正義の味方、ウルトラ・スーパー・デラックスマンだ!!」
その名乗りに、その場にいた全員が唖然とする。
「ハァ!? 何を寝言を言ってるんだね、君は」
呆れ半分、侮辱半分でギーシュが言った。
「黙れ! 天誅を受けろ!!」
次の瞬間、ギーシュは句楽=ウルトラ・スーパー・デラックスマンの鉄拳に殴り飛ばされ、壁に叩き付けられていた。
周囲は騒然となる。
「お嬢さん、おケガはありませんか?」
「は、は、はい……」
シエスタはあまりのことに、気が動転しそうだった。
この人は一体、何者なのだろう? 私を助けてくれるのかしら?
「くっ……平民風情が……」
フラフラとギーシュが立ち上がった。
「どうだ、思い知ったか、正義の力を!」
「正義だと……!? くそっ、こうなったら、決闘だ!!」
「いいだろう、悪党!」
「悪党と呼ぶな! 僕は正義のため、国のために戦う、その名も高き貴族……」
「笑わせるな!! か弱い女性をいじめて、何が正義だ! 貴族か何か知らんが、お前は悪党だ!!」
周囲から、そうだそうだと声が上がる。
シエスタを助けようともしなかったくせに、卑劣な群衆だ。
「まあいい、この愚かな平民に、偉大なるメイジの力、思い知らせてやる」
そして、ヴェストリの広場と呼ばれる広場で、決闘が始まった。
「覚悟しろ、悪党!」
「だから悪党と呼ぶな!! 行くぞ!!」
ギーシュが薔薇の造花を振ると、花びらが一枚落ちた。
それはたちまち、甲冑を着た女性の姿をした青銅の像へと変わった。
「行け、ワルキューレ!」
……こ、こいつら、こんな技を使うのか!? こんなの反則だぞ! こいつら、一体……!?
さっきの勢いはどこへやら、ウルトラ・スーパー・デラックスマンは内心脅えていた。
……いや、俺には怪力と飛行力があるんだ!! 正義が負けるもんか!!
勇気を奮い起こし、襲って来るワルキューレに破れかぶれでパンチを繰り出した。
「えーい!!」
次の瞬間、ワルキューレは粉々に砕けて瓦礫の山と化していた。
「な、何だ!? ワルキューレをいとも簡単に……!?」
ギーシュは驚きを隠せなかった。いや、ウルトラ・スーパー・デラックスマン自身が驚いていた。
……お、俺……あの化け物を……たった一発でやっつけた!?
そして、彼の不完全だった自信は強固なものになった。
……俺、勝てる! 勝てるぞ!!
「ま、まだだ!! 行け!!」
ギーシュはあわてて次々とワルキューレを繰り出す。
しかし出すそばから、ことごとくウルトラ・スーパー・デラックスマンのパンチ一発で打ち砕かれた。
そして、最後に出した一体は軽々と持ち上げられた。
「さあて、どこへ投げようかな? お前の所へ投げようかなあ?」
冗談ではない、あんなものの下敷きになったら、即死だ。
「わ、わかった、参った。僕の負けだ」
ギーシュはあわてて降参宣言をした。
「フン、口ほどにもない奴め。こんなものは、お前には必要ない!!」
ウルトラ・スーパー・デラックスマンはワルキューレを力の限り上に向けて投げた。
たちまち、空に消えていった。
あまりの出来事に、周囲はただざわめくしかできないでいた。
「わわっ、何をする気だ!!」
「お前にも、空中散歩を楽しませてやる!!」
ギーシュはウルトラ・スーパー・デラックスマンに襟首を捕まれている。
「ま、待ってくれ! 降参したはずだ! そんな相手に……」
「問答無用!! シュワッ!!」
言うが早いが、句楽はギーシュをぶら下げたまま、飛び立った。
「ぎゃあああーっ!! た、助けてくれー!!」
フライやレビテーションなど、魔法では出せない高速度の飛行だった。
ギーシュは未知のスピードに、パニックに陥って悲鳴を上げるしかできない。
「ぎゃああああーっ!! ぎゃあああああああーっ!!」
『空中散歩』は、ギーシュが失神するまで続いた。
こうして、ウルトラ・スーパー・デラックスマンの初陣は圧勝に終わった。
「私の……出る幕がなかった……あいつ……本当に何者なの……」
ルイズは、うわごとのようにつぶやいた。
シエスタは、戻ってきたウルトラ・スーパー・デラックスマンに、
「ありがとうございました、ありがとうございました」
と、礼をひたすら、くどいくらいに言い続けた。
「ははは、いやいや、当然のことをしたまでです。私は正義の味方、ウルトラ・スーパー・デラックスマンですから!」
ウルトラ・スーパー・デラックスマンは笑って応えた。
>>484 「中世が舞台!そういうのもあるのか!」
「参ったなぁ……料理漫画がかぶってしまった……」
ぐらいしか思い浮かばなかったぜ!
短いですが、今回はここまでです。
次回は、フーケ戦……を考えています。
小ネタでは美味しんぼから召喚してるのがあった
一度でいいから見てみたい。
顎がしゃくれたルイズちゃん
カボチャチャーシューメン♪
>>489 「孤独の使い魔」か、「ゼロのグルメ」か。
ゴロー召喚も面白そうだな。
古武術やってるから、ガンダにも対応できるだろうし。
独り者だし、帰りたがる理由もあまりなさそうだ。
孤独のグルメの場合、召喚とか関係なしに普通にゼロ魔世界にいるのがいいな。
ふらりと現れてメシ食って、なにごとも無かったように去っていく
「まかない! そういうのもあるのか」
妖神グルメ・・・
>>497 主人公は格闘していないはず
格闘していたのは主人公の周りの良い身体したライバルたちじゃなかったか?
っ「秋山醤」
中華といったらこいつだろう。
マルトーの料理を酷評したあげく、マジックマッシュルームや芥子の実入りの飯をルイズに食わせて悶絶させそうだが。
きゅいきゅいを料理しそうな面子が揃うな。
宇田川さん、
投下する前に予告をしてくれと先日注意されたばかりでしょう
マナーが悪いですよ
料理と格闘とくればトリコがあるじゃないか
センチュリースープ飲んで爆笑する無能王とかありかと
格闘職人アウディも入れてくれ
おいしいお汁が「ピュピュ」って出て来る!!
な天才料理少年を召喚してみてはどうか
506 :
名無し:2010/07/07(水) 00:30:28 ID:KtdR/ua7
>>461
それ面白そうだな。
ガンダールヴの効果によってより凄まじい料理をできるようになった中華一番のメンツか
連中の料理法からいってガンダールヴ効果があれば更に料理は旨くなるだろ
>>502 俺もこの作者が嫌いな奴の一人だが
さすがに事前予告まで無かった事にするのはどうかと思うぞ
素で言ってんなら…レス読み返してみろとしか言えない
予告ってのは、
「何時何分から他に予定が無ければ投下します」
ってやるものであって、始める一分前にいうのは予告とはいいませんよ
……って、すみません、おっしゃる通りだ
素で見落としてしまっておりました
宇田川さんには、あらぬ侮辱をしたことをお詫びします
そして
>>508さん、ご指摘ありがとうございます
>>509 投下の1レス前までしか見れない奴に注意する資格はない
言われても気付かないとか尚更ありえん
出直してこい
ハルケを舞台に、伝説の厨具ならぬ、魔法の厨具を探す旅が始まるんだな。
うへあ、打ってる間にかorz
携帯なので気付かなくてすまそ
デルフが中華鍋になってしまうな
最後にデルフは他の魔法厨具と一緒に血をつけられて壊れてしまうのですか
>>507 むしろ歴史がおかしくなっててガンダールブは武器じゃなく厨具を持つと発動するんだよ
料理人…クッキング大名な伊達政宗を召喚とか…
どこの作品からかと問われると微妙に困るが。
>>516 それいいな
あらゆる厨具を自在に扱える、神の左腕・ガンダールブ
あらゆる食材を獲得できる、神の笛・ヴィンダールブ
あらゆる料理のレシピを知る、神の頭脳ミョズニトニルン
とか、他も上手く合わせられるしw
>>517 歴史の人物の戦国大名としてやそこから創作されたキャラ(BASARAのルー語モドキの独眼竜とか)はいるけど
クッキング大名としての逸話を元にしたキャラはいないだろうしね
『沈夫人の料理人』から李三を召喚
主人であるルイズの舌を満足させるべく、厨具を自在に操るガンダールブの力と伝説の万能鍋デルフリンガー、そして天性の才能を駆使する話とか
ルイズと李三は相性ぴったり──SとM的な意味で──だし、案外いけるかも
>>510 いえいえ、わかってくださればいいんです。
ここまで自演。
>>522 この料理人ネタが貴様の自演だったのか・・・
そーいやセガールっぽい料理人の話ならあったな。
お前らクッキングファイター好こそガンダールヴにふさわしいじゃないか。
……相手を斬りつけて料理を奪えるぜ?
>>524 あれ料理作るより殴った方が早いじゃないですかー!
やだー!
>>518 はばかられる奴は河豚調理免許とかそんな感じなんだな?
・・・・・・美食戦隊薔薇野郎・・・・・・
>>527 ポージングは本当にポーズをとるだけって方向性には感動したものです
ディナータァーイム
料理+戦闘と聞いて「強い料理って知ってるかい?」という懐かしフレーズが
『昔、始祖ブリミルがおっしゃいました
「クックベリーパイとハシバミ草のサラダはどちらが強いのかなあ」
どちらがおいしいではなくどちらが強い?
料理人達は頭を抱えてしまいました
そこへ、一人の青年が現れて言いました
「王様、どちらが強いかお見せしましょう」
そう言って青年が紙に名前を書き込んで料理に張り付けると
何ということでしょう!料理が変身して戦い始めたのです!』
みたいな伝説が残るハルケギニアか……
とりあえずテファが納豆カリー様の沼に捕われたり
タバサが凄いボンテージ衣装で悪落ちする展開必須
焼きたて!!ジャぱんから諏訪原 戒を召喚。
剣術使えて料理もできるぜ
……戦えて料理もできると、考えて思い浮かんだのが、一人
しかし、よく考えると決闘イベントでギーシュがラーメンにされてしまうから
あの超人(TV版)はダメだな
>531
焼きたて!!ジャぱんなら、河内恭介もかなりのものかと。
マルトーさんの頑張り次第でハルケギニアを大隆起の危機から救えるかもしれないのですから。
ラーメンにして食っちまう方が、とんでもないと思うんだがなあ。
「スレイヤーズ」に戦う料理人が出てきたよ
大地をコーンポタージュの海に変えたり敵を襲う生け作りの魚作ったり
>>530 >>タバサが凄いボンテージ衣装で悪落ちする展開
あのテの衣装はキュルケとかテファくらいでないと色々残念
>535
>あのテの衣装はキュルケとかテファくらいでないと色々残念
だがそれがいい。
>>530 ビストロレシピだっけ?ゲームだよね
ボンボンの漫画がえらくエロかったのが印象的だったが
あのころのボンボンはある意味フリーダムだったからなあ。
コックの話題に乗るけど、ボンボンだったら宇宙人も料理しちゃうサイボーグネコのミーくんとかどうだろう。
「料理は愛情!」
あいつら自分で自分をメンテできるからハルケでも合うじゃん。
539 :
ゼロの視線:2010/07/07(水) 13:17:36 ID:4stFza01
はいはい、予約がなければ25分頃から投下させて頂くですよ
540 :
ゼロの視線:2010/07/07(水) 13:26:07 ID:4stFza01
いっきまーす
第七話
ずずっ
弦之介はとても困っていた。
今日がるいずどのの休日というのは良い。
買い物に出て、でるふりんがなる剣を入手できたのは僥倖といえよう。
ある程度は知識も増えたものの、自分にこのはるけぎにあなる地の常識が乏しいのは分かる。
敵地というわけでもないが異国でその地の常識を知らないというのは致命的だし怪しまれるもとである。
しかし、他人に教えるのが最も難しいのが「常識」なのだ。
「知ってる」ことが前提なためついつい省略してしまうし「分かるのが当たり前」なので説明するのも難しい。
しかも今の主は忍耐とか寛容といったものの容量が著しく乏しい。
彼女の術をかわすのは容易いものではないし無意味に関係を悪化させる必要もなかろう。
まあそんなわけで他愛無い知識を尋問する相手としてはでるふりんが殿は格好の存在といえよう。
話がそれた
今自分が困ってるのは、眼前の風景である。
「ああ、ルイズお願いだから・・・・・・・・
「それにしても懐かしゅうございま・・・・・・
あんりえったなるこの娘は、このとりすてんという国の姫であり、るいずどのがかつて遊び相手を務めたらしい。
これはまずい
自分も甲賀卍谷の跡取りとして幾人かの武将を短期の主として忍び働きしたという経験がある。
父は母とともに卍谷精鋭16人をつれて大御所さまの警護を勤め、大御所さまの首を取ろうとした
忍び(たった二人だったとか)と戦い全滅した。
あとでその忍びが真田の信繁に仕える伊賀の霧隠と甲賀の猿飛と聞き、伊賀甲賀が力を合わせている事に
少なからぬ羨望を抱いたものだ。
まあその経験からすると、現状はるいずどのにとってはなはだ危険だ。
地位あるものが唐突に配下の家に訪れる、というのはまず三つしか理由はないとみてよかろう。
541 :
ゼロの視線:2010/07/07(水) 13:28:51 ID:4stFza01
一つが純粋に旧交を温める事
二つが意表を突く事で威圧し、主導権を握ること
かつて大御所様も関白殿にこれをやられ、後手後手に回らざるを得なくなったという。
そして三番目が・・・・・・・とりあえず主のためにも最初の理由であって欲しいものだ。
「ああ本当に懐かしいわ、ルイズ。 それにしても・・・・・・
「そういえばそのようなことも・・・・・・
「わたくし、この度ゲルマニア皇帝アルブレヒト三世の元への輿入れが決まったの」
「まああのような成り上がりの元へ・・・・・なんとおいたわしい」
そらきた
どうやら最悪の「理由」だったようだ
「始祖ブリミルへの誓いをしたためた恋文を・・・・・・
「そのようなものがもし他者の目に触れれば・・・・・・
突然あらわれた「主君」に対し配下の者は動転するが、その後友好的な態度を取り懐かしい思い出を語れば
自分の家(部屋)ということもあって気を張り詰めることはない。
しばらく昔話などをしてさらに気が緩んだところで「困っている」と語れば
「主君」ではない「旧友」の危機を救うは忠臣たる自分のみ、と思うだろう。
そしてこれは配下の者が自分から言い出したことでありもし配下の者が命を落とそうとも
「主君」にはなんの責もない。
少なくとも自分はそう思い込む事が出来、「なんと可愛そうなわが忠臣よ」と心を痛めるだけで己が身と己が財布は傷まない。
問題はあんりえったどのが意識してそれをしているかどうかだ。
意識しているのなら見事という他無いし、意識していないのなら彼女は人の上に立つ為に生まれてきた
天性の支配者であるといえよう。
気のせいかもしれないが
542 :
ゼロの視線:2010/07/07(水) 13:32:56 ID:4stFza01
「ふむ、では旅支度をせねばなるまい」
扉の前でおそらく聞き耳を立てているであろうギーシュにいつ声をかけようか、などと考えながら弦之介は立ち上がった。
「おめえも大変だァな、相棒」
ちなみにアンリエッタが「平民」である弦之介を最後まで無意識に無視し続けたのは余談である。
ぶるるるい
ルイズが用意した馬の鼻面を撫でながら朝霧の中弦之介は佇んでいた。
本来数刻は早く出るはずだったのだが、山のような彼女の荷物から不要なものを
放り出す作業だけで貴重なはずの時間が多く失われたのだ。
だがそれは問題ではない。
問題なのは自分を見つめるこの男の目。
ルイズの婚約者であるジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド(以前も思ったが国の人間の名はなんと無駄に長いのだろう)
この男は知らない。
だがこの目を自分は知っている。
伊賀は鍔隠れの薬師寺天膳。
幾度か出会ってはいるものの一度しか見たことがないあの男と同じ目をしている事が気になった。
まあ仕方があるまい、と苦笑する。
自分の瞳術を知り、なおかつ自分と目を合わせようとするなど甲賀者でなければ・・・・・・・・・
甲賀者でなければあの娘しかいないのだから。
朧・・・・・・おぬしはいま何をしている?
かような小娘に仕える自分を見て笑っているか?
じゃが、おぬしの居らぬこの地でわしは何かをせねば気が狂ってしまいそうなのじゃ
いつか・・・・・いつかわしはおぬしが居らぬことに慣れてしまうのだろうか
543 :
ゼロの視線:2010/07/07(水) 13:33:46 ID:4stFza01
はいここまでです
とりあえずワルド軍団との戦いはもう考えてあるのではよそこまでたどり着きたい
544 :
ゼロの視線:2010/07/07(水) 13:37:25 ID:4stFza01
>>542 ちっと訂正
(るいずどのの時も思ったがこの国の人間の名はなんと無駄に長いのだろう)
乙です
天性の支配者ときましたか…
到底似合わなそうですが…
続きも楽しみにしております
投下乙ー
まあ日本でも、織田上総介信長だとか官職名込みだとそれなりの長さになりますし、神代の時代になれば
天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命だとか早口言葉レベルの方がいらっしゃいますけどね。
待ったましたよ、乙でした。
しかし山風ワールドの霧隠&猿飛がそこまで強力だったとは。
それにしてもこのアンアン。美形の弦之介を無意識にスルーするあたり、
気のせいじゃなくて黒そうだなあ。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
このフルネームを覚えられたら、とりあえずゼロ魔初段というとこだな。
日本語でも、お経はまだいいが、祝詞になるとさっぱりわからなくなる。
549 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/07(水) 18:07:36 ID:ydOwf+Fv
>>486-488 続きが気になるように毎回上手に終わっているなって思いました。次々と問題が起きて楽しめます。
ウルトラ・スーパー・デラックスマンが何者なのか?わからなっかたです^^これから先楽しみな作品ですね。
他の長期連載が長ったらしい上につまんないので期待してます。
>>546 そういえば日本でも明治以前は字とか、忌み名とかあったんだよな。
名字と名前が2個ずつとか。
山田高田さんとかいるしな
>>550 前述の通り、次回はフーケ戦を予定しています。
哀れを誘うな
名前自体が長くなるのは、遺産の相続とかも絡んでいるからだろ
>>527 はしばみ草+ムラサキヨモギ=はしばみサラダ
クックベリー+小麦粉=クックベリーパイ
水の秘薬+香水=惚れ薬
>>526 ここはやはり食べ合わせじゃない?
他のと違って、害する内容だから、記す事さえはばかれたとか理由付けできるし
スイカの天ぷらか
プリンと醤油
…は違うな
中華一番のラスボスが、似たような料理だしてたよなw
それでもタバサなら何でも構わず食っちまうような気がしてくるぜ。
どこぞの腹ペコ騎士王みたくに大食い属性が加速してるよな。ここのタバサ
N速軍 1 予備軍 5 クオリティ軍 15 VIP軍 14 なんJ軍 3 無所属 3 死亡 9
おい戦力差逆転してるぞwwwチャンスかもwww
ぎゃあああ誤爆スマソ
うなぎと梅干は実は体にいい
豆知識な
なんという薔薇野郎
ギーシュ×サイトとか
ハルケにスターがあったらなぁ
何気にマリオとルイジーって召喚されてないんだよな
ルイージね
……召喚してもなあ。特に展開が思いつかないな
スーパーマリオくんならなんだかんだでボケながら熱い展開を繰り広げてくれるぞ
完全に別物だけど
フーケゴーレムを連続踏み付けで無限1up!
ピーチとかクッパとかを召喚する方が話は作りやすいかもわからんね
そういやカメックだか何だか召喚するのが小ネタにあったな
>>575 マリオはカネで命が買えるからな。
その理論を持ち込めば、恐ろしいことに!!
COD:MW召喚
モンスターメーカーからヴィシュナス姉さま召喚
同じピンクの髪でカトレア的な
王女のディアーネやエルフ系も面白そうではあるが
ヴァスケスとかの海兵隊の皆様方を召喚するSSがあった気がする
喪黒さん召喚
「ココロの隙間お埋めします…あなたがたの心は隙間だらけだ」
「ルイズさん、爆発ばかりでゼロと呼ばれるのがお厭なんですね…?」
「キュルケさん、微熱に悩まされておいでですね」
「タバサさん、御両親の仇を討ちたいとお考えなんですねえ」
「コルベールさん、罪悪感に苛まれてますね?」
「ギーシュさん、そんなに大勢の女の子と付き合いたいですか?」
「マリコルヌさん、女の子と付き合いたいんですねえ」
「いやあ、お客様が多くて助かりますよ。いい世界に召喚されたもんです…ホーッホッホ」
>>581 たぶん、掲示板に「ネトウヨ」って単語入れて書き込みすることで、レス数に応じて給料もらってた人なんだろう。
人員削減で切られたから、荒らしになって八つ当たりしてるんじゃない?
努力とか辛抱強さとかは無縁の人種だから、すぐにへたれて消えるんだろうけどね。
最後に盛大に完結おめでとうレスつけまくる様が目に浮かぶ。
>>550 ウルトラ・スーパー・デラックスマンの原作って、確かこんな話だった。
「善良で正義感が強い」ことだけがとりえの平凡なサラリーマンが、ある日突然強大な超常能力を身に付ける。
彼はその力で、社会にはびこる「悪」を、次々に滅ぼしていく。
だが、「強大すぎる力を手にしたこと」「その力をふるう快感を覚えてしまったこと」が、善良だったはずの男を変えてしまった。
力をふるうべき相手を失った時、男は徐々に暴走を初め、身勝手な暴君へと変貌していく。
それを危険視したある国が、力ずくで男を抹殺しようとするが、核爆弾ですら男には通用しない。
その暴走に、ついに歯止めが効かなくなるかと思われた寸前、男は皮肉極まる死を迎えることになる。
>>153 バルキリーと言えば後付け設定でエネルギー変換装甲ってのがあったね。
反応炉の余剰エネルギーを装甲に流しこんで強化するってヤツ。
他にも超電導装甲とか時空侵食性対消滅反応装甲とか、
この系統って錬金の魔法を科学技術で防御出来きそうだよね。
ところでルイズやジョゼフなどの虚無の担い手以外が異世界の人間を召喚する話ってどんなのがありますか?
イザベラが「鬼作」を召喚する話しならWikiにあるが……他にあったっけ?
つ イザベラ管理人
「サーヴァントarms」はキュルケが神宮隼人、タバサが巴武士を召喚しています
時間かけて探せばけっこありますよ
スレ違いですが「ゼロの奇妙な使い魔」にいけばアンリエッタが広瀬康一を召喚するなんてのもあります
>>587 このスレだけでも探せばいっぱいあると思う。思いつく分だけでもいくつかある。
前前スレあたりでちょっと話題に出てたけど、タバサだと、長門とかウィザーズブレインの。
最近のだとゼルダでタバサが才人を召喚してるのもある。忍空のもタバサ。
キュルケがエリーのアトリエのエリーを召喚ってのも見た。モンモンがクロノトリガーのカエル(人間?)を召喚もあった。
ギーシュの黒バラ女王とかも。撤退した分にもいくつかあったと思うけど、覚えてない。
>>553 またよくあるゼロ魔SSか、と思いつつ読んでみると見事に唯一無二の一作になるであろう予感がビンビン伝わってきています。恐ろしくなるほど素晴らしいです。
そういえば新刊(19巻)発売まであと半月……
舞台は砂漠に移る様だし、またSS作家が悲鳴を上げるような設定が出るのかな?
あまりに露骨すぎる開き直ったかのような自演ぶりはある意味素薔薇しいですね
どうせならIDも変えないほうがもっと堂々としてますけど
誰も真似したくもないだろうけど
それとも、同じIDでやりたくても時間置くと勝手に変わっちゃうのかな?
大学のパソコンとかだとそうなるところもあるよね
そもそも大学のパソコンからは書き込めないぞ。
少なくともウチんとこはそうなってる。
そうなの?
ウチの大学のパソコンからは書き込めるぞ
ただ、たしかに書けない時もある……
しばらく時間をおくと書けたりするけど、何が違うのか未だによくわからん
そうだな。
分かってても触りたくなる事だってあるさ。俺だってそういう経験はあるしね。
でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない。
とりあえず道端のウンコ木の棒でつつきたくなる様なカンジ?
>>600 ま た ミ ス ト さ ん か
じゃあ、ミスト繋がりで牧場物語ルーンファクトリー。学院を拠点にハルケギニアを冒険する。
嫁候補はルイズ、キュルケ、タバサ、シルフィード、シエスタ、マチルダ、
テファ、アニエス、ジェシカ、イザベラ、シェフィールドってとこか。
モンモンやアン、カトレアはシリーズ恒例の、結婚したいのに候補にないポジション。
阿Q正伝から阿Qを召喚
どんなにルイズに詰られようが、
ギーシュとの決闘に完敗しようが、
精神的勝利法を駆使して、結果を都合の良いように取り替え、
心の中で自分の勝利する日々を送る。
ある日、阿Qはシエスタに手をだそうとしてしまい、
学園内の平民からさえまったく相手にされなくなる。
困窮した彼は学園から逃亡するが、レコン・キスタが入城した事を耳にし、わけもわからぬまま“革命”に一味しようとするが果たせず、
逆に革命軍の略奪に加担したとして、無実のうちに見せしめの処刑に遭う話
×レコン・キスタが入城した事を耳にし
○レコン・キスタが侵攻してきた事を耳にし、
>>593 砂漠か、ならばゼノギアスから潜砂艦ユグドラシルとバルト一味を召喚。
ノリと勢いで暴れまわったあげくにバルトミサイルを東方号に向かって発射、
誤射されてひどいめにあったルイズたちにどやされて、ハルケギニアを
めぐる戦いに巻き込まれていく。
>>594 >>595 はっきり言って俺の目からは、「根拠も無しに自演と決めつける」側も、宇田川とどっこいどっこいに見えるぞ。
そもそも、他人を非難するなら、その根拠や理由を明確に示さなければならない。
「気に入らないから非難する」というのでは単なる感情論にすぎず、そんなものをいくら振りかざしたところで、
「本当の意味での説得力」は無いことくらい、解ると思うが。
>>602 イザベラ、マチルダ、アニエスとか俺得。けど、エレオノールが嫁候補にいないとか生殺し過ぎる。
こうして見るとゼロ魔も、多種多様なジャンルの趣味にお答えできるキャラが揃ってるなと改めて思う。
しかし、シルフィード……牧場物語の主人公はモンスターはおろか、神様とまで子作りできるんだから凄いよな。
空気嫁というやつか
ミスト繋がりでミサトさん
ハルケにビールってあるのかね
>>607 如何にもその通りではありますが、
私は「あまりに露骨すぎる開き直ったかのような自演ぶりはある意味素薔薇しいですね」、
と書いただけで、別に誰の事だなどと一言も言ってないしアンカーも張っておりませんぞ
エールはあるだろうけど、冷えたのはないだろうな。
タバサに頼んでキンキンに冷やしてもらうしかない
んー、まあメイジが居るんだし冷やせないこともないんじゃない?
現代のビールとは比較にならんほどの高級品で貴族の飲み物になるだろうけど
古代エジプトや中国でも、シャーベットにしたフルーツや凍らせた牛乳が珍味としてあったそうですし
宇田川の話は荒れるから作品ともどもスルーしろって
馬鹿が移るので触らないように
触ったやつはすでに感染者なのでそいつにも触らないように
>>585 そんなトンデモ装甲じゃなくても、チタン合金とか日本刀レベルの純粋な鉄とかにゃ、錬金効かないような気がするぞ。
>>614 現代でも国によっちゃ、ビールは常温で飲むものだったりするぞ。
本場ドイツのビールはホットビールだッ!
>>620 奈良乙
食文化系のネタはまだまだ鉱脈がありそうだよね
>>618 日本刀は純粋な鉄じゃなくて鉄と炭素の合金じゃないか?
日本刀は炭素鋼だね
刃は炭素が多く硬度を上げて
芯は炭素を少なくして弾性靭性を上げてる
っていうか純鉄だったらバネにならないか?
>>621 奈良と言うと奈良カッターと吉六会奥義奈良尽くし……
奈良はドMで小学生にマジ告白するロリで男もイケちゃうバイだからルイズに召喚されたら天国かも
塩田はテファに召喚されて鉄人モードか他二人に召喚されて口付けされそうになるたんびに凹って逃げるか
いっそ総理召喚してガリアをガチョピン王国に
日本刀「に使われるくらいの」純鉄ってことならそう間違いじゃないんだけどな
けいおん
>>625 日本の製鉄技術は鉄の質が低いからこそ発達したんだが。
その「非常に優れた製鉄技術」で作られた鉄のことを言ってるんだが
当然Fe100%だとかそういう意味でいったんじゃないぞ、だからあくまで「間違いじゃない」と言った
ついでに言えば、多々良で出来るのは鋼だとかって細かい突っ込みもノーサンキューな
そういえばギーシュのワルキューレの材質は青銅ですが、ハルケギニアでは青銅は『金属』と『合金』のどちらで考えているのでしょうね。
魔法万能主義のせいか、進んでいる技術とそうでないものの差が激しいイメージがあるんで、根本的なところで問題が発生していそうな気もしますし。
>>630 青銅という物質 として考えてるんじゃない?
虚無についての説明にさらに小さな粒というのがあるから、それが原子だと思う
それが秘匿されてたってことは、まだ木や水がそれぞれ固有の分子の集まりだと考えられてたんじゃない?
別に日本刀を作ってたころの日本の製鉄技術はすぐれてるとは言えないと思うが……
物理的手法一辺倒で化学的な製鉄技術は皆無だったし…
>>632 よくわからんが、技術持っててなんで優れてないことになるんだ?
いやまあ、優れてるの優れてないのは何と比較してか、ってのもあるからあれだけど
たとえば江戸時代の日本の製鉄技術……ということであれば同時代の西洋と比べて優れてるとはいえない、って意味でかな
日本刀は戦場で使う武器として優れているというよりは芸術品的な美しさというか…
すっげーどうでもいい話だな。
そもそも西洋と日本じゃ、文化や風習が違うのだから
優劣をつける事じたいが、貧相な発想だと思う……
そもそも折り返したり叩いたりして作られた日本の刀は単に素述べした剣よりかならずしも強度が高いわけでもない、
しかも折り返して鍛える技法は日本にしかなかったわけでもない、
というのが事実であって、実は極めてありふれた原始的な手法で作っている
日本刀の制作技術が驚異的に高く日本刀が優れた武器である、というのはいささか迷信的な部分がある
>>635 いやあの、文化の優劣がどうのじゃなくてね。
製鉄技術と錬金で分解できるかどうかに関係あるんじゃないかって話の流れだったから…。
ちゃんと流れを読んでるの?
>>636 お前のいいたい事はだいたい理解したからさ、
そういう専門的な話は、そういうスレか板でやってね
技術に優れた優れてないと言えるのはあんまないと思うな。
要はその社会制度にどれだけあっているかじゃね?
超古代に現在の量のような鉄を作れても意味ないし、逆にかつての最先端や非効率な技術が今後使われないとは限らないし
どんな技術も必要だから存在するんじゃないかな?(ただし趣味で作るような日本のHENTAI技術除く)
あと、驚異的に高かいわけではないとか、なんでも否定しかしないのはなんでなんだぜ?
ソースは2ch(笑)
日本刀は日本刀を作ることに対しては優れた技術だったけど、
資本財としての鉄を作る技術としては問題外だったからな。
目的に特化したといえば聞こえはいいが、近代的じゃないわな。
そろそろ設定議論でやれば? ……ゼロ魔ともクロスとも離れてきてる気もするが
日本刀に限らず歴史の中で多くの人に揉まれた知恵としての技術が
しばしば科学者たちを驚かすことがあるんだよ
漢方とか科学的に見直されてきてるしね
ラノベの設定は、それっぽく見せかけるくらいでいい
下手に語るとA君になる…か?
それに必要に駆られて技術は発達するモンだから
多くの戦乱が起こって、実際に使う機会の多かった時代のほうが
対人用刃物は発達するんじゃない
工業製品としての製鉄技術はお話にならないかもしれないけど
対人用刃物としての技術(形状、材質、製法)はもうすでに完成してたんじゃないかな
というか白兵戦における武器が銃に成り代わった時点で
もはや技術的に劇的な発展は出来ないから日本刀は対人用刃物の中では依然として
最高の技術を誇ってると思うよ
今は護身用のナイフぐらいしか発達しようがないだろうし
やっぱハルケギニアの人に刺身とか出したらドン引きされるのかな?
特にサモンナイト3で蛸食い普及のために、オウキーニが出した蛸の活け造りとか…
捌いた後も動いてる刺身とか、下手したら邪教の業と思われるかもしんないけどw
近代製鉄すら上回るたたら吹きが優れてない…… だと……?
少なくとも質の一点に絞れば現代同等かそれ以上の物を作り出せていた専門技術なんだが
とりあえず、日本刀の「素材」について話してたのに、いつの間にか日本刀そのものにシフトしてるのはなぜだい?
あ−うぜ
たたら製鉄は独自か?
世界の古代原始製鉄は直接法で出発し、インド、中国・江南地方、朝鮮半島では砂鉄製練も行われた。
又、我が国のたたら製鉄の始発原料には鉄鉱石も使われた(製鉄開始の項で触れる)。
日本のたたら製鉄に近似した砂鉄直接製練法(原始製鋼)は、アフリカのマンダラ地方で現在も行われており、東洋の鉄文化の拠点となり
有名なウーツ鋼を生んだインドの中央部では、たたら製鉄と同じ原始製鉄が最近まで行われていた事が確認されている。
我が国の製鉄起源は不明であるが、5〜6世紀頃と見られる。小アジアから1,700年以上、中国大陸から1,000年以上も遅れていた。
古墳から出土した鉄素材、鉄製品の分析から、製鉄技術は渡来と見做(みな)され、先住民の独自製鉄発祥説は否定されている。
東洋・西洋の原始直接製鉄法と比較して、我が国古代たたら製鉄が独自であるとの理由を見い出す事が困難である
強いて言えば、製鉄先進国が製鉄技術の化学的革新を実現したのに対し、我が国たたら製鉄は終始稚拙な原始直接製鉄法の域を脱
しなかったのが独自と言えるかもしれない。後世のヒ押し法もその範疇でしかなかった(「たたら吹き」を含めて改めて後述する)。
和鋼の清純さのみが強調されるが、生産効率、量産性も国家の根底を支える鉄生産の重要な要素であることを忘れてはならない。
>>644の参考サイトからの抜粋
おまえらが物知りなのは分かったから、
ハルケでたたら製鉄を広めて日本刀を作るSSでも書いてこい
つまりブラスミからルーク・エインズワース召喚ということか
まー切れ味抜群なのはいいけど、日本刀じゃ鎧を着た武者は斬れないから、
実際には刀で組みふせた後で脇差しで首を切ったりして倒してたっていうしねえ
防具を貫通できないって時点で、いくら切れ味や芸術性を誇ろうとも武器としては駄目駄目じゃない?
日本の武者の薄い鎧ごとき長弓や槍でなら貫通できるし
日本刀には、なにはなくともロマンがあるよ!
とかいいつつ
>>651に同意なんだけど!
VIPでスレ立ててやってこい
>>653 日本刀は、今の感覚でいうと拳銃ぐらいの位置づけの武器だから。
攻撃力と、携帯性と、とり回しのよさの最大公約数で優れていただけで、
戦場で使う武器としてもっと強力なのはいくらでもある。
鍛冶的にはルークなんだろうが、物語的にはセシリーでも面白くなりそう。そういえば、あれも没落貴族だった。
まあ日本刀燃えには斬鉄剣が活躍する石川五右衛門とのクロスSSが最高って事で
ダマスクス鋼なんかにはロマンを感じないこともない
だがんーむ、生かすSSとなるとイマイチ思いつかないな
型月系ではなんかギーシュが使ってたのがあったけどさ
SeeDの人、もうないのかな〜
>>653 日本の和弓は世界最強クラスの威力なんだけどな
武士の全員が弓矢の達人クラスなもんで使い勝手とか立ち回りの良さより威力と射程を伸ばす方向に進化し続けた
>653
悪いが日本の鎧は世界一ブ厚い鎧に入るんだが。
布で覆われた板で出来ているように見えるが、その実あの中身は全て鉄板でな。
大鎧の胴にいたっては5枚近い鉄板を打ち重ねて作られている。
最終的には鉄砲もはじき返した代物だ。トータル60s超えは伊達じゃない。
その下には、鎖帷子を着て装甲の薄い部分をガードし、接近された際を想定して甲冑組み手が生まれる。最早変態の領域。
ちなみに日本で騎馬が生まれたのは、馬の機動性を生かした戦法のためでなく。
戦場に重くなりすぎた兵士を輸送するために発案されたもの。だから馬は乗り捨てなのよね。
なお、元寇の際には元の兵士の火薬や毒はそこそこ効果があったけど、上陸されてからは元軍の半弓は鎧に通らず。
同じポニー種でも山育ちで大型の日本馬に圧倒され、やりや長巻で皮鎧もろともぶった切られていた。
>661
あれは恐ろしいことにただの竹の弓じゃなくて複合弓(コンポジットボウ)という、オーバテクノロジーの産物なんだよね。
鎌倉後期には船板をぶち抜く鉄球鏃が作られたから、鎮西八郎の伝説は割りとあっても不思議じゃないんだよな
刀の話で何故弓?
まあ武士全員が弓の達人というのは言い過ぎだと思うがね
そういう使い勝手を無視した構造だから大人数に普及できず西洋弓ほど名高い成果を上げられないのです
歴史的に見ても立ち回りの良さや使い勝手を無視した武器は駄目駄目です
>>662 ああ、失礼
想定してた鎧が違うようですな? 日本の鎧にもいろいろあるので
私は馬が無いとまともな移動ができないような鎧は想定してなかったです、ありゃどう考えても実用的じゃないので
あなたの言う通り変態的な領域ですしゼロ魔クロスでそんなの着るわけにもいかんし
元寇に関しては、向こうの兵士とは使ってた鎧が違うからですな
向こうは皮鎧で機動性重視だからそれに対応した武器で、まさか日本の武者がアホみたいに重い鎧着てるとは思わないからw
なんで、
まずは相手より上からの目線を確保してからじゃないと話せないのさ…
しかもキャッチボールしてると見せかけて、
お互いが自分のストック投げてるだけじゃねーか。
なんにせよ
>>655
世界的に見て日本の侍が実はかなり特殊なのは事実だけどさ
そろそろスレチだと思わんかね?
相手を論破したいならVIPでやればいいし、真面目に考察したいなら武板か日本史板辺りでスレ捜しなさい
どうせ鎧についてあれこれ言うならアニエスに着せたい鎧とかにしようぜ
コンポジットボウごときがオーバーテクノロジーというのはどうでしょう?
古くは古代エジプトに侵攻したヒクソス人が原始的な複合弓を使っていたとされております
匈奴やフン族、モンゴルの騎馬民族も銃が普及して以降も使っていたとされてますよ
アニエスは、鎧は着ないのを推奨します
いやメイジキラーでしょ?重たい鎧は邪魔なだけですよ
どうせなら魔法の効果がある鎧とか言って時代遅れなびきにあーまーを……
お久しぶりです。
ゼロの双騎士第七話、書きあがりました。
予約等無ければ数分後から投下しようと思いますが、よろしいでしょうか?
進路オールグリーンです
では開始します。
煤だらけになった壁や机をはたきでポンポンと叩く。
上から下へ汚れを落とすようにするのは掃除の基本だ。
剣も鎧も掃除には邪魔だから外して教室の隅に置いてあるが、騎士がはたき片手に掃除をしている様はあまり見栄えのするものではない。
…戦友達にこんな姿を見られたらどうからかわれることか。
特に三度のメシより噂話が好きだったプリーストとか。
『ねーねー聞いて聞いて!パルパレオスったら、10歳以上年下の女の子の召使にされて掃除やらされてるのよ、はたき片手に!』
…いかにもありそうな想像に、思わず苦笑してしまう。
彼女に秘密がバレたら、2時間後には仲間全てに知れ渡る。
3日後には国中に広まるだろう。それほど噂が好きなのだ。
この場に彼女がいないことに心底ほっとする。
「…可笑しいでしょうよ、貴族なのに魔法もまともに使えない私が可笑しいでしょうよ!」
吐き捨てるように怒りをぶつけるルイズの声に、意識を戻される。
煤だらけだった机を軽く払って腰掛けている。
掃除を手伝うでもなくさっきからうなだれていたようだった。
落ち込んでいる様子の上、酷く不機嫌そうでもあったからあえて声など掛けなかったのだが…
どうやら、思い出し笑いをルイズに対する嘲笑と勘違いされたらしい。
「…いや、君を笑ったのではないよ。
騎士である私がはたき片手に掃除をしている姿を戦友達に見られたらと想像したら…つい、な。
気を悪くしたのなら謝ろう」
「…そう。でも、情けないと思うのではないの?
魔法使うたびにこんな爆発だもの。
…今回のは特別酷かったわ…ここまで汚しちゃうなんて」
「普段はここまで大量に煤が出たりはしないのか?」
「いつもこんなだったらとっくに退学になってるわよ」
…ふむ。
後に残る濃く黒い大量の塵が、暗属性の特徴の一つである。
しかし、基本的に竜の力を借りずに暗属性の魔法や技を使えるものは少ない。
グランベロス帝国の女将軍ラディアなどは、その強大な魔力から単独で「ナイトメア99」という暗属性魔法を使うことができる。
ただ、彼女はほとんど規格外だ。
恐らく突然変異であろうその魔力から「幽谷の魔女」などという二つ名が存在する。
魔法研究が最も進んでいるゴドランドにおいて、同じく魔法使いとしてそれを捻じ伏せた幽谷の魔女。
その名に誇張があるとしても、決して虚名ではないのだ。
そんな彼女ではあるが、一方で良くない噂も存在した。
公にはされていなかったが、外法の研究に手を染めていたらしいのだ。
旧反乱軍とグランベロス帝国ゴドランド方面軍との間に起こったゴドランド解放戦役。
そこで、ブレイドガード、マジックガードなどと呼ばれる魔法使いらしき戦士が出現したことがある。
これが尋常な魔力ではなく、単独で暗属性魔法を行使して帝国側に与して戦ったことが確認されている。
だがグランベロス帝国軍にそのような魔法戦力は存在していなかった。
正式名称においても、コードネームや隠語だとしても、その名に該当する存在は確認されていない。
従えていた下級兵や剣を交えた反乱軍戦士の証言では、まるで人形のように感情を見せず、淡々と戦ったという。
遺体を調べた反乱軍医療部隊から「改造された魔法使いである」という報告があったことが後に確認された。
また、同戦役においてアンデッドの大量発生も確認された。しかも改造済みアンデッド、である。
結局戦闘中にラディアが反乱軍に討たれ、黒幕はうやむやになった。
が、十中八九彼女の仕業というのが関係者の共通認識であったのだ。
そのようなことをしでかす人間なら、自らの体に魔力増大のための改造を施していたとしても何の不思議もない。
恐らくこれが暗属性魔法を操れる魔力の秘密だ。
この情報は、オレルスではほとんど知られていない。
帝国の支配下でなお自治を保っていたゴドランド政府からすれば、同じ魔法使いのスキャンダルは隠しておきたかったのだろう。
反乱軍首脳もこれを機密扱いとして隠匿することに同意している。
余談が続いたが、つまりは「普通の魔法使いが暗属性魔法を単独行使することは不可能」なのだ。
なのに、ルイズは(不完全な威力であるにしても)暗属性魔法を使った。
考えられる可能性は二つ。
ルイズが改造魔法使いであるか、でなければあの魔法が単独行使ではなかったかだ。
当然ルイズに改造など施されているわけがないから、おそらく後者。
サラマンダーの魔力が流れ込んでしまったのだろう。
「前とは明らかに爆発の仕方と結果が違う」というのも、サラマンダーの出現でルイズの魔法が暗属性魔法へと変質しかかっているのが原因なのだろう。
パルパレオスはそう推測した。
であれば、火属性や水属性、回復属性などの魔法も使えるようになっているのだろうか。
ドラゴンは、原則として主や仲間と認めた者にしか魔力を貸さない。
だからこそ戦竜隊の隊員は皆ドラゴンを大事にする。普段の世話も欠かさない。
よくドラゴンを思いやり、それでいて主人としてしっかり立つ。そうでなければならないのだ。
サラマンダーは随分ルイズに懐いていたようだから、力を貸すことは充分考えられる。
マスタードラゴンだからサラマンダーも暗属性の魔力を持っている。矛盾は無い。
「…どうしたのよ、黙り込んじゃって」
ルイズの声に元気は無い。
ゼロだ何だと馬鹿にされながら、それに負けぬよう彼女は努力を重ねてきたのであろう。
主人の性格と負けん気の強さを思えば、その様子は容易に想像できる。
なのに、今日の魔法は普段より酷かった。
努力したのに改悪という結果になったことが、酷く堪えたらしい。
「悪くなったと思うか?」
「…え?」
「ルイズの魔法が今までより大きな爆発を起こした。これは、悪いことだと思うか?」
「当たり前じゃない!失敗魔法の爆発がもっと酷くなったんだから」
「あれは、失敗魔法ではない。暗属性魔法だ。オレルスでも扱える者は極めて限られる強力な魔法…」
「…説明なさい」
+++++
「…嘘でしょ…私がそんな強力な魔法を…!?」
オレルスの魔法について。
オレルスの魔法使いについて。
オレルスに存在する属性について。
オレルスの竜と魔法の関係について。
そして、暗属性の特徴について。
オスマンに話していたことよりも踏み込んだ内容で、ルイズに説明してやったのだが…。
ルイズの目が、輝いている。
これまで使えなかった魔法が使えるようになる。
その可能性を提示された喜び。
暗かった主人の顔に光が差したことは良いが、一方でパルパレオスは懸念を感じてもいた。
あの魔法の強力さと、同時に術者の幼さ。
ハルケギニアの系統魔法の内容と歴史。
ハルケギニアの現在の国際情勢。
それらを踏まえて、国家組織に身を置いていた自身の経験を加味する。
(…戦争に利用されるか、異端扱いされるか…そうでなければ研究材料だな)
いずれにせよ、碌なことにならない。
どうもこの件を公にするのは楽しい未来図に繋がらないらしい。
ルイズに炎の魔法や水の魔法を覚えてもらうのはいい。
主人の地位向上は望むところだし、それに自分が一枚噛むとなれば主人から軽視されがちな私の立場もよくなるだろう。
ただし、あの爆発を起こさないようコントロールできるようになる必要がある。
また、必要に応じて爆発(暗属性)とハルケギニアの系統魔法を使い分けられるようになる必要もある。
当然、爆発が暗属性であること、それをコントロールできること、竜の魔力を借りれば使えることなどは秘匿せねばならない。
説明と説得に少々手間がかかったが、ルイズは納得してくれた。
…後は、一部始終を見ていたであろうオスマンをどうするか、だ。
パルパレオスの頭は、激しく回転を続ける。
+++++
支援!
「…ん〜…っ、やっと終わったぁ〜…」
差し込む夕陽が眩しい廊下。
講義を終えて教室を出たルイズは、ぐーっと伸びをしてみせる。
「お疲れ、ルイズ」
あれから数日、特に大過なく日々を過ごしている。
変わったことと言えば、ルイズの活動が以前より精力的になったことだ。
系統魔法修得の可能性が見えたのがよほど励みになったのか、毎晩サラマンダーを交えて二人と一頭で魔法訓練をしている。
あの後オスマンに少し話をしておいたのだが、彼の考えはパルパレオスと一致した。
亀の甲より年の功とでも言おうか、暗属性魔法について聞いて彼もすぐにその可能性に思い至ったらしい。
結局パルパレオスは隠し通しても無駄だと考えたのだ。
ルイズとパルパレオスの話を聞いていたのであれば、暗属性についても知られていると見るべき。
であれば、全てを正直に話した上で協力を要請するしかない。
パルパレオスは、何度かオスマンと話す機会を得て、彼の洞察力や思考力を信用してもいいと思うようになっていた。
その考えに従い、賭けをして、そして勝った。
サラマンダーの魔力を借りた魔法訓練を行うことにも許可を貰った。
「さぁ、夕食食べたら訓練するわよ!」
まだ系統魔法成功には至っていないものの、その兆しは見えてきていた。
ゆっくりと、だが確実に進歩し始めた自分に、ルイズは自信を持ち始めている。
「あぁ、付き合うぞ」
…良い傾向だ。
明るい主の顔を微笑ましく眺めつつ、共に食堂へと向かった。
+++++
杖を構えて、イメージする。
炎。ゆらゆらと燃える炎を。
体から、腕、指、杖へと流れる魔力を。
放出されて、空気を固め、擦り合わせて熱を生む様を。
できるだけ明確に。
イメージを固めながら、詠唱する。
「…ウル・カーノ!」
やすりに布を擦りつけたような音と共に、杖の指し示す空間から一筋の煙が上がった。
「…以前よりも成功に近づいているのではないか?」
「そうね…小爆発はしなくなったし…。
煙が出たところを見ると、発熱させられてはいるのかしら…」
額に汗を浮かべながら杖を振る主人を、何度見たか。
パルパレオスはルイズの根性とひたむきさに、内心舌を巻いていた。
自分が来る前からこんな風に練習を繰り返していたのだろう。
訓練、それ自体は慣れているようだった。
最も訓練方法は少々ズレていたようだったが。
それまでのルイズは、単に力んで詠唱して杖を振るだけだったのだ。
パルパレオスは魔法については門外漢だが、クロスナイトとして超常現象を起こす必殺剣を扱うことはできる。
それを会得する過程で行っていたイメージ修行の重要さが系統魔法にも通じるかもしれないと思い、ルイズにもやらせてみたのだが…
これが大当たりだった。確実に進歩している。
ただ、まだ何かが足りないようだ。
魔法に関して素人の私ではこれ以上の指導ができない。
さてどうしたものか…と考えつつ、果敢にリトライするルイズを眺める。
「クアァァッ!」
「えぇ、ありがとサラマンダー!」
破顔して返すルイズ。微笑ましいやり取りである。
(…ん?)
人の気配がする。学院のほうから人影が近づいてくる。
シルエットからして…メイドかな。
「お疲れ様です、ミス・ヴァリエール、パルパレオスさん」
「おや、シエスタか。どうしたのだ?」
「熱心に訓練されているようなので、お疲れかと思って…。
お茶と軽食を持ってきました。いかがですか?」
「ありがとうシエスタ。ちょうど喉渇いてたのよ。そろそろ休憩にしましょうか」
「お疲れ、ほら」
杖を下ろしてこちらへ歩いてくるルイズにタオルを渡してやる。
「さ、どうぞ」
水筒からカップに移したお茶をシエスタから受け取ると、美味しそうに飲み干す。
「んっ…んくっ…ふぅ…生き返るぅ〜♪」
「ふふっ、よく冷やしておきましたからね。さ、パルパレオスさんもどうぞ」
「あぁ、ありがとう」
お茶を貰い、シエスタお手製のサンドイッチを頬張る。
ふわふわのパンに挟まれたシャキシャキのレタス。
軽い塩味のついたベーコン、風味豊かにとろけていくチーズ。
運動後の上、ちょうど小腹の空く時間帯である。
量も塩気も丁度良い。
シエスタの気配りが行き届いた差し入れに気遣いと真心を感じながら、皆で舌鼓を打った。
「ほら、サラマンダー」
半分に千切ったサンドイッチをサラマンダーの前へ置いてやると、美味しそうに頬張ってみせた。
もっとくれ、と言うように顔を寄せてくる。
「悪いなサラマンダー、もうないから我慢してくれ。また今度シエスタに作ってもらおうな」
甘えるようにクゥと一声鳴いてシエスタを見つめるサラマンダーに、つい笑ってしまう。
「ふふ…っ、可愛いですねこの子。サラマンダーって言うんですか…立派な竜ですね」
「でしょ?人懐っこいし賢いし…よしよし」
少女二人に撫でられてご満悦のサラマンダーである。
「子供の頃から人に育てられた竜だからな…ところで、見るならこっちへ来て見たらどうだ?」
「あら…バレちゃった?あんまり根詰めてるもんだからつい気になっちゃって、ね」
側の木陰から二人の少女が出てくる。
キュルケと青い髪の少女。こちらは初めて見る顔だ。
「ツェルプストー…覗き見とはいい趣味だわね…タバサまで」
「…連れてこられた」
「…相変わらずタバサを振り回してるのね、アンタ」
「放っといたらいつまでも本読んでるような子だもの、このくらいで丁度いいのよ」
呆れ顔で言うルイズに、気を悪くした風もなく笑うキュルケ。
案外、いい友達なのかも知れない。
「…ところでキュルケ、そちらの子は?確か教室に居たと思うが」
「あぁ、紹介が遅れたわね。この子は"雪風"のタバサ。風のトライアングル。
貴方の言うとおり、私やヴァリエールのクラスメイトよ」
「…(ぺこっ)」
「ルイズの使い魔、サスァ・パルパレオスだ。よろしくな」
言葉を発さず軽く頭を下げるタバサ。
気にした風もなく返してやると、これで用は済んだとばかりに本を開いて読み始める。
無関心なのかマイペースなのか…思わず苦笑してしまう。
支援
「ところでヴァリエール、火の魔法の訓練してたの?」
「えぇ、基本の『発火』の魔法からやってるけど…何よ?」
「そう…とりあえずやってみて?」
「…まぁ休憩は終わったし、別にいいけど…」
怪訝そうな顔をしながらもう一度杖を構えて詠唱するルイズ。
結果は先ほどとさほど変わらず。
「へぇ…爆発もせず、発熱もちゃんとできてるとはね…」
感心したように呟くキュルケ。僅かながら驚きの色も見てとれた。
タバサも、ちらりと本から視線を上げて、ルイズの試技を見ていたようだ。
「パルパレオスのアドバイス受けながらどうにかここまで出来たわ」
「えぇ、ちゃんと進歩してるじゃないの!
そうね…イメージは出来てるみたいだから、次は…」
とても自然にルイズの指導に当たるキュルケに、感謝の念を抱いた。
魔法の細かい指導は私ではできないからだ。
弁の立つキュルケだけに説明も指導も分かりやすい。
ルイズも反発せずひたむきにやっている。
…無事成功する日も近いな。
子や生徒を見る親や教師の心境とはこんなものだろうか。
そんなことを考えつつ、訓練の様子を見守っていた。
+++++
今回の投下は以上です。
支援してくださった方、ありがとうございました。
ようやくタバサが登場。シエスタやキュルケももうちょっと出番増やしてあげたいですね。
後は破壊の杖の代わりを何にするかが問題だ…ちょうどいいアイテムがバハラグにないのですよ…ここが悩みどころ。
ともあれ、また次回。
乙でしたー
破壊の杖か……
破壊の杖なんてなかったのさ。Farewell
土くれのフーケ
乙でした
>>681 ところで↓こいつを見てくれ。こいつをどう思う?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1271335036/670 >670 名前:名無しさん [sage] 投稿日:2010/07/03(土) 00:17:12 ID:S3iu5.9Q
>本スレで「ゼロの双騎士」の時系列が違っている点についてツッコミが入っていたが、
>それに対する信者(?)の擁護がどうにも的外れに思えて何か笑える。
>イベントの順序や内容を変えたり、イベントそのもののを省略してオリジナル展開に走っても、
>それは作者の裁量だから特に問題はないと思うんだが、そうやってオリ展開を入れたくせに
>それによる原作シナリオへの影響ってのをまったく考えないってのは流石におかしいと思った。
>
>件の作品で言うなら、原作サイトよりも明らかに鮮烈な勝ち方で決闘を制したパルパレオスに対して、
>臆病な性質のマリコルヌがパルパレオスやその主であるルイズを貶めるような物言いをするのは
>流石にちょっとおかしいんじゃないかな?
>原作における最初の授業で本来臆病なはずのマリコルヌがルイズをからかうことが出来たのは
>予てからのゼロのルイズへの侮りに加え、彼女が呼び出したのが只の平民であるということで二重の
>軽侮があったからであって、もしサイトとギーシュの決闘後だったら決して同じセリフを吐けなかったと思う。
>でも、「ゼロの双騎士」ではあえてイベントの前後関係を変えているにも関わらず、イベント相互の関係や
>人物の内面に対する影響といったものは全く考慮されておらず、イベントを前後させた意味さえなくて
>ただただ作者の思いつきに従ってイベントをパッチワーク的に前後させただけになっている。
>イベントの順番を前後させたことに大した意味づけもないのだったら、最初から大人しく原作シナリオに
>沿って無難に進めておけばいいものを、自分で難易度を上げておいて失笑物のオリ展開(笑)にする体たらく。
>あの作者はそうまでしてお手軽にオリジナル要素を入れて作家様(笑)を気取りたかったのかねぇ。
乙でした、毎回楽しみにしてます
>>663 言い過ぎというか日本の武士という練度の高い武装集団は射手、弓手という意味合いが強かった
那須与一の話から分かる通り武士というのは弓の腕が高ければ高いほど評価されるわけで当時の武士が最も熱心に訓練
をしていたのは弓術だと思われ
つまるところ平均的な弓の技量が極めて高かったため和弓という高度に専門化された武器が発達したということになる
成果も元寇で十二分にたたき出してるしなー
現代だってイージス艦を操艦するための乗組員はプロフェッショナルでしょ?
686 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2010/07/09(金) 05:34:42 ID:Bu3meaxM
毒を表に持ってくるやつって何なの?
馬鹿なの?
しまった馬鹿は俺だった
製鉄技術にまつわる荒れコレで思い出した……
サモンナイト クラフトソードのシリーズの誰かを呼ぶことができれば
デルフリンガーも……蘇るシナリオができるのかもな……
本編のウィゼル爺さんなら、サイトに手伝わせて蘇らせてくれるかもしれないよな
>>685 元寇に関して言うなら、退却する大地もなく疲れきって海を渡ってきた連中にたいして守備側の日本は勝って当たり前
元々少数集団だけで日本制圧などできるはずもないし威力偵察目的という説が濃厚
手の内を知らないのはお互い様だし、数も日本側のほうが圧倒的に多い
あまりにこちらが有利過ぎて負ければ大恥だったが勝っても自慢にはならない
ところで元寇がどうの与一がどうのといってるってことは想定されてる武士ってのは鎌倉時代ごろの武士なのかね
元寇では日本の馬が元の馬に比べてどうだった、
とか言ってる人がいるが、出典が何か知らんが凄く疑わしい話だなあ
たしかに元軍は自分達のホームグラウンドでは騎馬民族だが、
海を渡って攻め込むのに船に馬なんか載せられないだろ、無理に載せてもごく少数か
二回目の侵攻時には大嵐で全滅したほど揺れまくる船の厳しい航海で大量に馬なんか載せてたら耐えられないって普通
てつはうは大きな音で周囲の馬を驚かしてしまうので、自分達が馬に乗ってない時に敵の騎馬に対して使う
ハルケギニアでは竜だの魔法だのが飛び交うし銃音もガンガン響くから普通の馬はびびって役に立たない?
アンアンがユニコーンに乗ってるのはあったが、普通の騎馬兵っていたっけ? まあ使い魔の馬なら大丈夫だろうけど
>>684 時系列の前後に関してですか。
恥ずかしい話ですが、意図的なものじゃないんですよ。
単に原作序盤のイベントの順序を勘違いしてただけです。
オリ展開にしたんじゃなく間違った、というのが真相です。
「失笑物のオリ展開」とか「作家様気取り」とかいう指摘もありますね。
前者は(オリにしようとしたわけじゃないにせよ)仰る通り。
後者はそんなつもりはありません。好きで書いてるだけですし。
まぁこんなトコでしょうか。
いずれにせよ下手なのは自覚してますし、批判は甘んじて受けます。誹謗中傷ならスルーの魔法を使いますけど。
クラフトソードだとクリュウ&シュガレット召喚があるな
サモンナイトから普通に召喚獣呼んだら序盤からルイズが上機嫌なコースか
>サモンナイト
声優(くぎゅう)つながりで、霊界サプレスの天使?キユピー(もしくはその同類)をルイズに呼んでもらいたいな。
キユピー、可愛いし治癒能力あるし、ルイズめっちゃ喜びそう。ユニット能力は微妙だけど。
>>691 そうそう、自分に都合のいい指摘は受け入れて
自分がいやな気分になるツッコミは無視するスルー力
これが投稿者に二番目に大事な能力です
ちなみに一番大事なのは「何があろうが起ころうが投下する、という強い意志です」
そう・・・・・・投下して半月たってるのにまだだれもあげてくれないという事実から目を逸ら・・・・
スルーするという心の強さも・・・・・・大事ですよ・・・・・・大事なんです
>694
涙拭けよ
前スレに残っていました三重の異界の使い魔たちとゼロと魔獣のような悪魔を登録してきました。
なお、ゼロと魔獣のような悪魔の方に、申し訳ありませんがゼロと魔獣のような悪魔-02のページがどういうわけか白紙となっていまして、
03と飛び飛びになってしまいましたので、報告スレのほうでも書きましたが、02のデータをお持ちの方がおられましたら内容の修復をお願いします。
>>697 ああごめんなさい。この間未登録作品拾い上げたのですがまだ抜けてましたね。
『三重の異界の使い魔たち』は完全にチェックミス、『ゼロと魔獣のような悪魔』は
長編の項目になかったですね。
ところで、『ゼロと魔獣のような悪魔』の02はいつ投下されましたっけ?
ここ10スレッドほど浚ってみましたが『ゼロと魔獣』をキーワードにしても
検索できませんでした。
とにかく長編に『ゼロと魔獣のような悪魔』の項目は作っておきます。
そういや禁書の絹旗召喚の続きこないな
>あまり日を開けずに投下することになると思いますのでよろしくお願いします
って言ってたのにそろそろ1か月になるんだけど
>>698 どうも乙です。
これで前スレまでの投下作品はおおむね掲載されましたね。
バハラグで破壊の杖相当のアイテムかぁ・・・確かに思い浮かばんなぁ
もう別のスクウェアゲームから何か引っ張ってきてもよくね?
宝物庫に何故かプレゼンターとかプレゼンチャーが出てきて・・・とか
・・・今ユミール召喚とか小ネタを思いつきそうになった
いっそのこと本当にただ強力なだけの杖にしてしまうとか?>破壊の杖
使えないのはジョブ適性が合わないから、とか。
>>702 ルイズが使うと系統魔法が成功し、他の人が使うと爆発するってのはどう?
マグマの杖でいいじゃないか
破壊の杖? でっかい狼にでもしちゃえば。
破壊の杖……オーフェン無謀編に登場したワニの杖にしてしまうとか。
>>690 スレ違いっぽくなってきたが
蒙古襲来絵詞には、ばっちりと蒙古兵が馬に乗ってる姿が描かれてる
あと、朝鮮半島の済州島は馬の産地として有名だったが、あすこに牧場作ったのはモンゴルが最初のはず
つまり、近海航路ならば船舶による馬の運搬は当時から行われていたと考えるのが自然だとおも
>>705 そういやヨルムンガンドはいたな。ゴーレムだったけど。
あれってまさか大地の杖だからゴーレムなんだろうか・・・?
どっちかっていうとワニの杖は「破壊できない杖」だなw
破壊の杖…グッバイ・アーチとイブシギン・タイムリーというのはどうだろ?
原作でも破壊目的に使われてたぞw
破壊の杖…それはGを叩き潰した丸めた新聞紙。
そ、そんなものを振りかざしたって…あれ?潰れたGが新聞紙にへばりついてね?
G、か……
例えばMIBのゴキ野郎が召喚されたら、あれとキスするわけだよな……
虫とキスする美少女……フフ、下品ですが勃kk(ry
なぁに、あの世界のどこかにはジャイアントワームの使い魔くらいいるさ
Gのガイアメモリでも呼べばおk
モンモランシーがメルマック星のGを召喚
香水イベントを経て主のためにギーシュに決闘を挑む・・・
って考えたが逆だったな
アレは地球の殺虫剤で巨大化して香水で死んだんだった
716 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 14:39:07 ID:/IomVtsY
Gも巨大化すればかわいいもんだ
717 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/10(土) 14:40:11 ID:a+FcUfy1
メルマック星なんて久々に聞いたよ。
アルフ懐かしいな。
ハァーッハァーッハァーッハァッ・・・・ハァ?
虫・・・・・・伊賀鍔隠れ衆から蛍火でもつれてくるか?
あるいは巨大カマキリと妄想スパーリングするアレとか
むかし天然戦士Gという漫画がありまして、ルイズがアレを召喚したら……ご立派様の時のような、召喚を全力で拒否するルイズが見れるのですね。
>Gのガイアメモリ
ジーンを呼んでどうするんだよ。
虫・・・ねえ。
最近読んだ田中啓文の蝿の王思い出した。
巨大なG、すなわちゴジラシリーズからM宇宙ハンター星雲人を呼べということですね。
ガイガーン! 起動ー!
は、X星人か
ゴキブリのガイアメモリはC(COCKROACH/コックローチ)では?
ガイアメモリならぬハルケギニアメモリがばら撒かれて大変な事に……とか? いやコネクタを作る装置が無いな。とするとジョゼフかヴィットーリオに召喚されるのがセールスマンになりそうだな。
毒素が猛烈な勢いで回るだけで別にコネクタがなくても使えないこともないぞ
>>605 読んでみたけどだから何?
作者がどんなに糞だろうと作品の出来や質は別の話だろ
俺はおもしろいSSさえ読めたらいい
>>486-488 の続きが気になるただそれだけ
コックローチマン……って、このネタ知ってるヤツいるかなぁ。
聖帝様を読んで同じく北斗キャラのシン召喚とか浮かんだ
「俺はお前のような気が強くて美しい女が好きだ」
「エレオノール、俺を愛していると言ってみろ」
「お前は女王だ! 女王にしてみせる!」
なんでエレオノールかというとロリ趣味はなさそうなので
>>728 しかし男殺し(意味違う)のエレ姉の前ではシンですら三日と保たないのだった……
>>724 今度の劇場版に登場するT2ガイアメモリ(いわゆる後期ロットだと思いねえ)なら
コネクター処置無しでも使用できるぜ。しかも倒されてもブレイクされない優れもの。
藤子F氏の元ネタ読んだら、わざわざ「あれ」を読む必要はないでしょ。
「カエルの為に鐘は鳴る」の主役の王子様を召喚したら
金遣いの荒くて変身出来るだけのサイト、で終わりそうな気がする
カエルに変身してしまいルイズにボコられたり
王子だと自慢して冗談にとられてしまうのは想像に難くない
>>734 一つの頭文字に一つのガイアメモリなんて決まりはない
>>734 >>737 A アノマロカリス・アームズ・アクセル
B バード・ビースト
C サイクロン・クレイドール・コックローチ
H ヒート・ホッパー
I アイスエイジ・インヴィジブル
L ルナ・ライアー
M メタル・マグマ・マネー・マスカレイド
N ナスカ・ナイトメア
P パペティアー・プリズム
S スイーツ・スミロドン・スカル
T タブー・ティーレックス・テラー・トリガー・トライセラトップス・トライアル
V バイラス・バイオレンス
ツインシグナルみたいだな
>>737 T2ガイアメモリはアルファベッド一文字につき一個しかないって意味で言ったんだ。
んでCはCyclonがもう確定してるの。
ZのT2ガイアメモリはゾーンなんだよなぁ。
劇場版でゼロのガイアメモリが出るんじゃないかと密かに期待してたんだが、このまま出ないのかなぁ。
>>732 避難所はなぜか書き込みできない
むっちゃ腹立つ
続編、投下します。
予約がなければ0:30ごろから開始しますね。
断る
ってか少しは空気読め。
当方に迎撃の用意あり、覚悟完了。
ギーシュとの決闘の後、ウルトラ・スーパー・デラックスマン=句楽兼人は『遠見の鏡』でその一部始終を見ていた学院長、オールド・オスマンに呼び出された。
「ミスタ・クラク、君は一体何者なのかね!?」
「私は正義の味方、ウルトラ・スーパー・デラックスマン、それ以上以下でもありません」
未だかつて見たことのない、あの化け物じみた力。
コルベールの言う所では、召喚で呼び出され、契約の直後に、能力に目覚めたらしい。
「君は、元は普通の平民だったのだろう? それが急にあんな力を……わしにもわからん、こんなことは初めてじゃよ」
「私にも……正直言って良くわかりません」
なぜこうなったのか、句楽本人にもわからないのは間違いない。オスマンは、これ以上聞いても無駄だと諦めた。
「あ、ミスタ・クラク、君のルーンをまだ見せてもらっていなかった。見せてくれますか?」
同席していたコルベールが句楽に言う。
「ルーン? ああ、左手のこれのことですかね?」
句楽は左手の甲を見せた。
「!? こ、これは……!」
しばし、コルベールは言葉を失った。
伝説がどうのこうの、ガンダールヴがどうのこうの……あれこれ言われたが、句楽にとってはどうでも良かった。
それより、気になることがある。それを聞くのを忘れていた。
「じゃあ、こっちも聞きたいんですけどね」
「何じゃね?」
「ここが地球じゃないってのはもうわかりました。で、私、いつ元の世界に帰れるんですかね?」
「それが、そのう……」
コルベールが言いにくそうに口を挟んできた。
「帰れない!?」
「そうなのです。送り返す魔法はないのです」
「そ、そんな……これじゃ会社、無断欠勤でクビになっちまうぞ……なんとかならないんですか!?」
句楽の思考は、サラリーマンに戻っていた。
昼はサラリーマン、夜は正義の味方で大活躍……この予定が狂ってしまった。
「わ、わかりました、もしかしたら、まだ発見されていないだけかも知れませんし、こちらとしても何とかします」
コルベールは、あわてて取り繕いの返事をした。
あなたはミス・ヴァリエールの使い魔、一生彼女に仕える身なのですなどと言ってでもみたら。
もう帰れないと知って、自棄を起こして大暴れするかも知れない。
そうなったら、この学院は日暮れまでに消えてなくなるだろう。救援を呼ぶ前に。
「お願いしますよ、ね!? この不景気、クビになったら再就職なんてできないですよ」
先程のヒーローぶりが嘘のように、句楽は哀願する。
コルベールは「わかりました、わかりましたから」と懸命になだめるしかなかった。
「学院の使用人は、俺をヒーローと呼んでくれた。あの時のうれしさは今でも忘れられないな」
「次は、フーケを捕まえたのよね。まさか、ミス・ロングビルがフーケだったなんて……」
「気づかなかった私もうかつだったよ。でも、一番の責任はオールド・オスマンだ」
決闘騒ぎから数日。
句楽を召喚してから、まるで主人らしいことができていないルイズは、苦虫を噛み潰す思いだった。
洗濯をさせようとしたら、
「なんで、俺がやるの?」
「あんたは使い魔だからよ! さっさとやりなさい!」
「やだね。……おや? 鞭なんか取り出して、あの坊やみたいに、今度は君が俺と決闘するのかい?」
勝てないケンカをするのはバカのやること……と自分に言い訳をして、ルイズは振り上げた鞭をそっと下ろすしかなかった。
さらに、それから数日後。
オスマンの秘書、ロングビルとは世を忍ぶ仮の姿。
天下に名だたる大盗賊、人呼んで土くれのフーケは、宝物庫から『破壊の杖』をまんまと盗み出した。
騒ぎを聞きつけたルイズ、タバサ、キュルケが立ち向かったが、とても勝てる相手ではない。
苦戦していたその時、何かが空から飛んできた。
「あっ、あれはクラク!? いや、ウルトラ・スーパー・デラックスマン!!」
ルイズにはすぐわかった。
「そこまでだ、悪党! 正義の味方、ウルトラ・スーパー・デラックスマン参上!! ……みんなは下がってろ」
「何言ってんのよ! いくらあんたが強いからって……」
「……下がろう」
「そうよ、ここは彼に任せましょう!」
タバサとキュルケに諭され、渋々ながらルイズは後方に下がった。
フーケは待ってましたとばかりに、ニヤリと笑う。
「ほう、あんたか。来ると思ってたよ、噂のウルトラ・スーパー・デラックスマンとやら」
「そうだ、盗賊め、覚悟しろ!」
戦いが始まった。
そして、フーケは自分の甘さを見せつけられることとなる。
得意の錬金の術が全く効かない。足元の土を鉄に変えて足止めをしようとしたが、軽く足で鉄となった土を振り払われた。
「また変な術か。これが魔法という奴か。まあ、もう驚きはしないがね」
こちらの世界になじんできたか、ウルトラ・スーパー・デラックスマンは余裕しゃくしゃくだ。
「フン、こんなのは序の口さ」
フーケも負けてはいない。巨大な土ゴーレムを錬成した。
「こいつで踏んづければ、あんたなんか即死……なっ!?」
次の瞬間、ゴーレムの右足は、ウルトラ・スーパー・デラックスマンのパンチで消え去っていた。
バランスを失い、ゴーレムは右へ転倒を始める。
素早く飛び退いて、フーケが地面に着地したと同時に、ゴーレムは音を立てて転倒した。
「どうした。もうおしまいか」
「まだまだ!! こんなもんで、負けてたまるかー!!」
フーケはより大きい、新たなゴーレムを作るが、焼け石に水だった。
ウルトラ・スーパー・デラックスマンに軽く投げ飛ばされ、地面に叩き付けられて粉々になる。
フーケは、背中に冷たいものを感じ始めた。
「ば、化け物!?」
魔法が一切通用しない! 一体こいつは、何なんだ!?
「く、くそっ!!」
焦って次々とくり出したゴーレムは、ウルトラ・スーパー・デラックスマンの一撃でことごとく破壊された。
「無駄だ。そんな人形、いくら作っても俺には勝てん」
「くっ……悔しいが、退却だね! あばよ!」
「逃がすか!!」
フーケは闇にまぎれて逃げようとするが、ウルトラ・スーパー・デラックスマンの透視能力の前には無駄であった。
「はあ、はあ、はあ……ここまで来れば……」
「大丈夫だと思ったかい?」
あえなく捕まり、引っ立てられたフーケが、オスマンの前に突き出される。
ロングビルこそがフーケだったと判明し、学院内は大騒ぎとなった。
オスマンは教師陣に「何をしていたんですか」と問い詰められたが、
「……まあ、終わり良ければ全て良しじゃ。何はともあれめでたいこと。さてと、今夜はフリッグの舞踏会じゃが」
ごまかそうとしたのもつかの間だった。
「ちょっと待った!」
ウルトラ・スーパー・デラックスマンが制する。
「まさかあんたが、フーケのボスじゃないだろうな! 怪しいぞ!」
その一言で、周囲の教師の冷たい視線が、オスマンに突き刺さる。
確かに、オスマンほどの人物が、ロングビルはフーケだと知らなかった、全く気がつかなかったのは不自然だ。
「……オールド・オスマン、ひとまず舞踏会は延期ですな。これは舞踏会どころの話ではありませんよ」
コルベールが静かに言う。怒気が、わずかにこもっている。
「ち、違う!! わしは違うんじゃ!! フーケのボスじゃない!! 信じてくれ!!」
ウルトラ・スーパー・デラックスマンを始め、教師陣に睨まれ、オスマンは必死に否定した。
「そうだよ、あたしゃ、このスケベジジイに誘われて、秘書になっただけのことさ。こんな甲斐性なしのボス、誰が従うかい」
オスマンがフーケだと知らなかったのは本当だった。
疑いは晴れたが、この不始末の責任は半年間給料全額カットという形で取ることになった。
「舞踏会、延期になっちゃったわね」
キュルケがつぶやいた。
「残念だけど、仕方ないかしら。それにしてもクラク、フーケをあっけなく捕まえるなんて。ほんと見かけによらず、とんでもない使い魔だわ」
ルイズはため息をつく。
「……強すぎる……怖い……」
タバサが珍しく、怖いという言葉を口にした。
「どうしたのよ、タバサ。らしくもないこと言っちゃって」
キュルケはからかうが、タバサの目には怯えが見えた。
城の衛士に連行されたフーケは、間もなく死刑が確定した。
処刑間際に「あいつは化け物だよ。今に、恐ろしいことになるよ。知ったこっちゃないけどさ」と捨て台詞を吐いた。
今回はここまでです。
次回から、歯車が狂い出します。
>>742 …それって書き込み規制くらってるんじゃないですか?
>>752 ●乙である。
●主はSSを示された。
なにも予定がなければ1:15ごろに主は
ゲーム帝国ハルケギニア出張版第2回を示されるであろう。
>>753 IDがジーグデラックスかと思ったら微妙に違ったw
>>750 誤:魔法が一切通用しない! 一体こいつは、何なんだ!?
正:魔法が一切通用しない! しかもゴーレムを軽くあしらう!? 一体こいつは、何なんだ!?
>>742 馬鹿をマンセーするような阿呆はいらないってこと。
んごっ!
●これより『ゲーム帝国 ハルケギニア出張版 第2回』の投下を始める。
>>751 オマチさんよりじじいをぬっころして欲しかった
落とし物を拾ってやったらなぜか決闘を申しこまれた。世も末である。
ヤツには罰として比類無きパニッシャーを派遣しておいたので悔い改めるであろう。
交流せよ
●人見知りなヤングメンよ。他者を怖れる若人よ。
交流せよ。袖触れ合うもなにかの縁である。
隣人と話し友と語らうのだ。
だから隣人と話すのかったりいでは無いと申すのだこのすっとこどっこい!
●・・・・・・・。
(ガリア 風雪)
●言ってる側からコレである。いい度胸、いわばナイス度胸である。
貴様は罰として母親に薬物投与したあと幽閉の刑。
●きゅいーっ!
(ガリア きゅいーっ!)
貴様は交流以前の問題である。デバックせよ。
●恋は突然だし、すぐにあたしの体を炎のように燃やしてしまうんだもの。
(ゲルマニア 微熱)
●危ういヤツめ。やたら滅多に焼身するでない。消火せよ。
●すいません。あのとき逃げてしまって・・・
(トリステイン メイド)
●許さぬ。貴様の故郷を侵略の刑。
作者だったのか
作者が荒らしにかまっちゃだめだろ・・・
同じように読者を奴隷呼ばわりしてるんじゃないかと思われるぞ
●達人は誇らない!
(トリステイン コック長)
●左様。達人は自分のことを自慢げに話したりせぬ。
われらが偉大なる総統などは誇らぬことを周囲に自慢して廻るほどの達人であり一同げんなり。
●なによ! あんな女のどこがいいのよッ!
(トリステイン ルイ中略ル)
●「おっぱいぱいぱいぱい(残響音含む)
ぷるんぷるんぷるんぷるん(またアレ含む)」
見よ!総統は今日も正直であらせられる。
●馬二頭。食べちゃだめ。
(ガリア 風雪)
●食い過ぎである。一頭にせよ。
●え〜〜〜。そんなのにするの? もっと緯麗でしゃべらないのにしなさいよ。
(トリステイン ルイ中略ル)
●何を言うかこのたわけめ、喋る武器こそ男のロマン!語る武器こそアニキの得物!
貴様にはガバスのかわりに返事のない兵士と物言わぬ老人を送るので後生大事にせよ。
●なにせ、彼はガンダー・・・
(トリステイン 蛇炎)
●ゴダイゴの名曲ガンダーラであるか?それともガンダムであろうか?はっきりせよ。
●彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな。
(トリステイン 学院長)
●ああ、聖職たる教師よ。生徒を導く学院長よ。セクハラは犯罪行為である。
貴様には総統より有難いお叱りがあるので心して聞くがよい!
「いいじゃない減るモンじゃなしなしなし(残響音含む)」
総統も同じ穴のムジナであり全然駄目であって残念無念。。
●ノートパソコンを買って貰った。これから出会い系サイトに繋ごうと思う。
(東京都 平賀才人)
●喝っ!このたわけがっ!神聖なる電気計算機をそのような卑猥な目的に使うでない!
帝国臣民ならばまずはゲーム!罰として貴様のノートパソコンを謎の原因で故障の刑。
【悪魔の安楽椅子】
■売れ残った剣を貴族に高く売りつけてやりたい。
(トリステイン 武器屋)
●悪魔の俺様に商売の話を聞くなんざなかなかの悪者だねお前さんも。
まあそうだな、店一番の業物だとか、かの有名な誰それが作ったとか、
鉄だって一刀両断だとか適当なコト言ってやらそのへんの貴族なんざイチコロだとおもうぜ。
上手い嘘が思い付かなかったら俺様に相談しな。
悪いようにはしねえからよ。
■宝物庫に固定化の魔法が掛かってて練金で盗みが出来そうにありません。
どうすればいいでしょうか?
(アルビオン おマチさん)
●あ〜、よく解らんけど壊せばいいんじゃねーかな?
■ノートパソコンが壊れました。原因が解りません。
どうすれば良いでしょうか?
(東京都 平賀才人)
●ありゃま。そりゃ残念だったな。ディスクトップ型と違ってノートPCってのは個人で
パーツの交換が出来ない事が多いから原因を調べんのが難しいんだよな。
買った店かメーカーに問い合わせた方が良いぜ。
保証書に保証期限が書いてあるからよ。保証期間内だったらとっとと電話しな。
支援
《女神の四の字固め》
■素敵な彼に高価な剣を贈りたいけど安く済ませたいの。
(ゲルマニア 微熱)
あら、恋する女の子ちゃんなのね、
きっと武器屋のオヤジが相手が貴族だと思って店一番の業物だとか、かの有名な誰それが作ったとか、
鉄だって一刀両断だとか適当なコト言われて売りつけられちゃうかおら気を付けなさい。
そんなオヤジ野郎だったらあたしお色気でイチコロだわ。
「暑いわね……」って言いながらシャツのボタンを外したりフトモモをみせて迫ってやるの。
あたしだったら3分の1まで値切るわね。アナタもガンバんなささい。
おほほほほほほ。
■もし、よろしかったら、なんですが・・・。昼食をご一緒にいかがですかな?
(トリステイン 蛇炎)
●あら、あたしがそんな安い女にみえるっていうのかしら?
で、もちろんソチラのオゴリよね?
おほほほほほほ。
■ピンクのあの娘が悪口を言われて涙目で耐えてる姿がたまらねぇ。
言い返されてぇ。うっ。
(トリステイン ラブリーマリコルヌ)
●また出たわね変態ちゃん。女の子はデリケートなんだから虐めちゃダメなのよ。
あっちへお行き。しっしっ。
乙。
まさか第2回が出るとは思わなかった。
そして、才人は平和だな。
●以上なり。
それと八兵衛がうっかりしたため小ネタであることを告知し忘れて残念無念。
俺も
てかゲーム帝国ってとっくに終了してたのか
ググってちょっとびびった。
というわけで今回は刑罰多めでした。
原作のサイトの台詞が使えない縛りがあるので使えそうな台詞探すのめんどくさかった。
相変わらず完成度の高い仕事ッぷりにGJと不言猿をえない。
追記:罠シリーズとかも見てみたいかも。
続編、投下します。
予約がなければ14:45ごろから開始します。
`ハハ
( ゚ω゚) お断りします
(っ )っ
(__フ
(ノ彡ヒョイ
お断りします
お断りします
`ハハ ハハ
( ゚ω゚)゚ω゚)
(っ )っ )っ
(__フ__フ
(ノ彡(ノ彡ヒョヒョイ
お断りします
お断りします
お断りします
`ハハ ハハ ハハ
( ゚ω゚)゚ω゚)゚ω゚)
(っ )っ )っ )っ
(__フ__フ__フヒョヒョ
(ノ彡(ノ彡(ノ彡ヒョイ
スルー検定実施中
それでは、投下します。
「他にも、あのアルビオンの貴族ども、その他にも悪徳貴族、盗賊など、ありとあらゆる悪が俺の鉄拳を浴びた」
「本当、大活躍だったね」
「そうね。私も鼻が高かったわ」
そう言いながらも、ルイズの握り締められた拳は震えていた。
ウルトラ・スーパー・デラックスマンの活躍は続いた。
共和政の名のもとに、実際はアルビオンの貴族による独裁を狙う組織、レコン・キスタをたった一人で壊滅させた。
トライアングル・スクウェアクラスのメイジが束になってかかっても、ウルトラ・スーパー・デラックスマンに勝てない。
土、火、水、風……あらゆる系統の魔法が全く通用しないのだ。
恐れをなして逃げ出した貴族やメイジも、透視能力の前には袋の鼠だった。
そして、あえなくレコン・キスタは壊滅した。
戦火から守られた平民たちは、ウルトラ・スーパー・デラックスマンを正義の使者、救国の英雄と大きく讃えた。
ハルケギニア各国の王、皇帝は賞賛と多すぎるほどの褒美を与えた。
その一方で、貴族やメイジの権威は地に落ちた。
少しでも平民に横暴を働こうものなら、
「空を見ろ、鳥だ!」
「フネだ!」
「いや、ウルトラ・スーパー・デラックスマンだ! ……何か御用でしょうか?」
尻尾を巻いて逃げるだけだった。
ウルトラ・スーパー・デラックスマンを頭にして一揆を起こされてはかなわない。
さらに、王政府の信頼も得ている以上、彼に逆らうことは王に逆らうのと同じことになる。
手詰まりになった貴族は、税金を安くする、平民に無料の炊き出しをするなど、屈辱的なご機嫌取りをせざるをえなくなった。
「あー、まずいまずい!」
「ひっでえ味だぜ、貴族様はずいぶんな施しをして下さることで」
残さず食べておきながら、聞こえよがしの悪態が聞こえてくる。しかし、うっかり魔法を放つことはできない。
奴が……ウルトラ・スーパー・デラックスマンが飛んできたらアウトだ。
貴族は耐え難きを耐え、事なかれを決め込むしかなかった。
平民と貴族の立場は、句楽兼人=ウルトラ・スーパー・デラックスマンというたった一人の男の出現であっという間に逆転した。
名実ともに、ウルトラ・スーパー・デラックスマンは平民たちの救世主であった。
彼を召喚したルイズは、平民にとっては救世主の生みの親、貴族にとっては化け物を生み出した張本人として、賞賛と非難の両方を浴びていた。
シエスタたち使用人を始め、平民からは、
「ありがとうございます。おかげ様で、私たちの境遇がとても良くなりました」
と感謝される一方で、貴族の子女たちからは、
「平民どもが、俺たちのことバカにしやがるんだ! お前のせいで、俺たちまで権威『ゼロ』だ!」
と罵倒された。
しかし、
「クラクー、悪人がいるわよー!」
「わーっ! やめてくれ、悪かった!!」
ルイズは自分がウルトラ・スーパー・デラックスマンのボス、司令官になったつもりだった。
しかし実際は、単に彼の威を借る狐に成り下がっているだけのこと。
現に、ウルトラ・スーパー・デラックスマンの時だろうと、普段の姿、句楽だろうと、命令一つ出すことができない。
「あの……どちらへ……」
「ん? パトロールですよ」
「でも、今日は虚無の曜日で休みだから……」
「正義の味方たるもの、休日はないのです!」
「あ、いえ、使い魔の……」
「シュワッ!」
ウルトラ・スーパー・デラックスマンはあっという間に空高く飛んでいった。
彼を敵に回したらどうなるかはルイズもわかっている。
せめて、平民がしているように、威を借りて威張るくらいしかできない。
平民と同じことしかできない惨めな貴族、惨めな裸の女王様だった。
「こんな、こんなバカなことって……」
結局、自分自身は何一つ変われていないという事実は、平民からの賞賛の言葉も忘れさせた。
ゼロの貴族、ゼロのメイジ。ゼロのままなのは相変わらず。できたことは結果的にとはいえ、超人を作り出したことだけ。
ベッドに突っ伏したまま、一日中ルイズは泣いた。
「あの頃は良かったなあ……パトロールから帰れば、食事を出してもらえるし。それが近頃はどうだ」
急に句楽の顔から笑みが消える。
「まるでウルトラ・スーパー・デラックスマンの出る幕がないじゃないか!」
「悪人どもがみんなビビッちゃってるんだろう、君が怖くて」
不満をぶちまける句楽を、コルベールがなだめた。
「いや、何かあると俺が飛んでくから、誰も言わずに隠してるんだ。俺を甘く見るなよ、くそっ!」
「そ、そんなことないわよ。今はほんとに平和なんだから。あんたのおかげよ」
ルイズは作り笑顔で、懸命におだてる。
宇田川さん乙です
その時、玄関の呼び鈴が鳴った。
「お、お待たせいたしました」
食堂の出前持ちが、前もって注文していた食事を届けにきたのだ。
数人の男が、食事を入れた容器を持っている。
食事は、居間に運び込まれた。
「はい、ご苦労さん。おいくら?」
「い、いいですよ、お金なんて」
「えーっ、そんなの困るよ。それじゃまるで俺が……そう? なんか悪いねえ!」
「ま、毎度ーっ!」
逃げるように出前持ちたちは出ていった。
「うれしいなあ、みんなわかってくれて。俺の働きに報いてくれようとしてるんだなあ」
「そ、そうね。あははは」
一緒に出てきたルイズは乾いた笑いをする。
「冷めないうちに食べようか」
「そうね」
二人が居間に戻ろうとした時、
「わああーっ!!」
突然開いたドアから、包丁を持った女が飛び込んできた。
「また来た。まだわかんないの? 俺が不死身だってこと。今日はお客さんが来てるから、特別に許してやるけど」
「クラク……よくも……あの人を……くそっ、くそっ!!」
憎しみに燃えた目で、女は句楽に何度も包丁を突き立てたが、鋼鉄より堅い句楽の皮膚には傷一つつけることができない。
「彼を返せ! 返せ!」
「やかましい! 帰れ!」
句楽は女の首をつかむと、外に放り投げた。
「きゃあーっ! 」
女は悲鳴を上げながら、遠くに飛ばされていった。
「な、何なのよ、あの女?」
食事を食べながら、ルイズが聞いた。
「ああ、この前悪人がいたんで、ひねってやったんだよ。そいつに女がいて、しつこくつきまとわれてね」
ひねったという言葉にルイズとコルベールの顔が青ざめる。
「ひねったって……ギュッと……という意味かい?」
「悪い奴は容赦しないんだ。虫の居所によっては、やりすぎることもあるけど。あれはちょっと、ひねりすぎちゃったかな」
「……」
二人は手を止めて固まった。句楽が何をやったかは薄々察しがつく。
考えただけで嘔吐しそうになる。
「何だよ、二人とも」
句楽が立ち上がって言う。
「俺の力は、神が世の不正を正せと与えたもうたものだ! その俺に逆らうのはすなわち悪! その悪をつぶすのがなぜ悪い?」
「わかってる、よくわかってる! 君が正義の味方だってことは!」
「わかってるわよ、ほんとだから! 信じて!」
コルベールとルイズは必死に弁解した。
「ところが、わからないのが多くてうんざりしてるんだ」
今回はここまでです。
ここから、正義の味方だった彼が……という展開になります。
781 :
小塚誠英:2010/07/11(日) 15:00:16 ID:Opr5B7so
この世界にガンって病気はあるのか?
「あまりに強大すぎる力は、本人も周囲も不幸にする」というのは、物語のテーマとしては、比較的ありふれたものだ。
しかし、「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」ほどそれが極端な、あるいは徹底している例は珍しい。
彼の力は、誇張でなく、一人で世界を滅ぼすことも可能なレベルであり、そうであるがゆえに、遠からず、その力を向けるべき相手がこの世に存在しなくなってしまう。
力を向けるべき相手を失った彼は、やがては欲求不満、あるいは退屈から来るストレスのため、暴走を始めてしまうのだ。
同じ原作者による「パーマン」程度の能力だったら、彼も暴走せずに済んだかもしれないのに……。
トリップ変えます。
おい久しぶりに来たらなんなんだこの流れ
某所で相手にされなかったアホが居ついてるとか
男は黙ってNGName
みなさまこんにちは、ウルトラ5番目の使い魔、4話の投下準備できました。
ですが、スレの残容量がこの話の分には微妙ですので、新スレを立ててそちらのほうであらためて投下しようと思います。
ヒャッハー投下キター!
こちらでもちゃんと収まったとは思うのですが。
クズが発生していなければ。
収まらないならいざ知らず、収まるのに独断で立てて投下はどうかと思うね
それなら
投下量+余裕量がスレの容量を一定以上超えるようなら次スレを立てると明文化するべきなんじゃないか?
早漏のID:J9+wj47y死ね
とりあえず、ここどうする?
ここを提供して使ってくれればいいけどねぇ
手違いかはわかりませんが、まとめサイトには拙作『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』が
収録されていません。
ご希望とあらば、第1話をここで再掲します。
あぼーんだらけw便利な機能だ
雑談で埋めるかね。
どなたか教えて下さい。
スレの残り容量って、どうやって表示させるんでしょう?
ちなみにブラウザは『ギコナビ』です。
>>795 なんかあなたみんなに敵視されてるようだしわざわざいらんことするのやめたら
アンリエッタ女王がまだ姫殿下だった頃、
アルビオンの南にレコン・キスタという怪しい宗教がはやっていた。
それを信じないものは、恐ろしい祟りに見舞われるという。
その正体は何か?
姫殿下はレコン・キスタの秘密を探るため、
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔を呼んだ。
その名は……
赤影参上!
で、誰か書かないかね。
ハルケギニアを陰で操る卍党と申したか
>>801 「生きて恥をさらすのも辛いだろう?
助 け て や る よ w」
でおマチさんがサクッとやられる光景しか想像できんかった
前の話題で配役入れ替えの、こんなのがあったの思い出した。
確か
「あれは、まさかゴーレム!?」
「ほーっほっほっほ、その通り。よくご存知で」
「土くれのフーケ!!」
「如何にも、さあ破壊の杖を渡してもらいましょう」
こんなの。
個人的には、その後に書かれてた
ワルドは石の中にいるに吹いたけど。
石の中・・・
葵の得意技でもあるが
レールガンの黒子はそれ出来ないんだっけ
相手の体内に転送とかは出来ても
もう1人のテレポーターは、片足だっけ? だけだが石の中にいるをやっちまってトラウマになってるんだよな。
烈風カリンって知ってるかい?
昔、ハルケギニアで粋に暴れ回ってたって言うぜ
今も世の中荒れ放題 ボヤボヤしてると後ろからバッサリだ
どっちもどっちも
どっちもどっちも!
各巻よりセリフ抜粋・デルフリンガー
1巻「おでれーた。見損なってた。てめ、『使い手』か」
2巻「懐かしいねえ。泣けるねえ。そうかぁ、いやぁ、なんか懐かしい気がしてたが、そうか。相棒、あの『ガンダールヴ』か!」
3巻「こいつは『武器』だろ? ひっついてりゃ、大概のことはわかるよ。忘れたか? 俺は一応、『伝説』なんだぜ?」
4巻「そりゃそうさ。勘違いすんなよガンダールヴ。お前さんの仕事は、敵をやっつけることでも、ひこうきとやらを飛ばすことでもねえ。『呪文詠唱中の主人を守る』。お前さんの仕事はそれだけだ」
5巻:セリフなし
6巻「いやぁ、相棒。すんごいお久しぶり。ほんとに寂しくて死ぬかと思った」
7巻「そりゃ、どう贔屓目に見たって、あのロマリアの神官のほうがかっこいいさ。顔はもう、そりゃ比べものにならねえよ。空飛ぶ生き物のレベルでいえば、ハエとフェニックスだよ。地を這う生き物でいえば、オケラとライオンだよ。水の生き物でいえば、ミジンコと白鳥だよ」
8巻「相手してよ」
9巻「おれは六千年も変わらずにやってきた。退屈だったが、それなりに幸せな時間だったのかもしれねえ。お前さんたちの歴史とやらも同じさ。なにも無理に変えるこたぁねえ。そのままにしておくに、越したことはねえよ」
10巻「もう。俺に話しかけるの、こういうときだけじゃねーか」
11巻「あんだよ。もうほんと、聞きたいことがあるときだけ呼ぶんじゃねーよ。切りたいものがあるときだけ抜くんじゃねーよ。もう俺に飽きたんだろ?」
12巻「相棒……、遅いよ……」
13巻「だってよう……、ずっと鞘に入りっぱなしでイライラしてたし……。第一おりゃあこの国がきれえなんだよ。この国をつくったフォルサテって男が、そりゃもういけすかないヤツで……」
14巻:セリフなし
15巻「やあ相棒。もう、俺が寂しいと言っても、誰にも届かないんだね」
16巻「あの生意気な娘っこに、ちゃんと謝るんだぜ……」
17巻:出番なし
18巻:出番なし
各巻よりセリフ抜粋・ギーシュ
1巻「確か、あのゼロのルイズが呼び出した、平民だったな。平民に貴族の機転を期待した僕が間違っていた。行きたまえ」
2巻「うむむ、ここで死ぬのかな。どうなのかな。死んだら、姫殿下とモンモランシーには会えなくなってしまうな……」
3巻「んー、きみはあれだな、ろくでなしだな」
4巻「なあに、ぼくなんか今学年は半分も授業に出てないぞ? サイトが来てからというもの、なぜか毎日冒険だ! あっはっは!」
5巻「白! 白かった! 白かったであります!」
6巻「ちょ、ちょっと大隊長どの! ぼくは学生仕官ですよ! そんないきなり中隊長なんて!」
7巻「……む、武者震いと言いたいが……、恐いだけだな。うん」
8巻「きみは平民だが、ぼくは友情など、抱いていたんだよ」
9巻「理想の自分っていうのかね。まぁ、ぼくは自分が理想だけどな! なんてったって、ぼくは世界一美しいからな! あっはっは! ああ! 何人ぼくの姿になるんだろう! ああ! ああああ! あ!」
10巻「きみってやつぁあああああ! ああああ、捕まっちまったじゃないかよぉ……! よりによって敬愛する女王陛下にぃいいいいい!」
11巻「ぼくはね、きみを友人だと思う。だからこそ、こうしたほうがいいと思うんだ」
12巻「なんというかね……、きみのいた国はどうか知らないが、こっちにだって可愛い女の子はいるし……、貴族にだってなれたじゃないか。もしルイズに放り出されるようなことがあったら、ぼくの領地に来ればいい。きみ一人ぐらい、養ってやるぜ」
13巻「まだ未完成の花束だ。最後の一本は……、キミダヨ」
14巻「笑って見送っておくれ。ぼくは貴族なんだよ」
15巻「そうだな。そうかもしれん……。でも、見ろサイト。ここに集まったロマリア、ガリア両軍の姿を! ここで一発格好いいところ見せてみろ! ぼくと水精霊騎士隊の名前は、子々孫々まで語り継がれるようになるぜ!」
16巻「サイト、実はおそろいの隊服を作ろうと思うんだが……」
17巻「だからぼくは、モンモランシーを他の女性の十倍、大切に扱う。ほんとはこれでも、足りないぐらいなんだろうな。でも、しないよりはマシだ。現にモンモランシーは、なんのかんのいってぼくをゆるしてくれる」
18巻「そりゃそうだが。最悪の場合を考えて行動しておかないと、無駄な犠牲を生むことになる。死んでる人間のために、部下を危険な目に遭わせるわけにはいかんよ」
各巻よりセリフ抜粋・シエスタ
1巻「貴族の方々にお出しする料理の余りモノで作ったシチューです。よかったら食べてください」
2巻:出番なし
3巻「け、結婚するからって言えば、喜ぶわ。みんな。母さまも、父さまも、妹や弟たちも……、みんな、きっと、喜ぶわ」
4巻「もう、ちょっと、その、人が来なさそうで、綺麗な場所がいいなあ。あ、でも! これ願望でして! サイトさんがここがいいって言うんなら、ここでも平気よ。ああ、わたし、怖いです。だって初めてなんだもの。母さま許して。わたしここでとうとう奪われちゃうのね」
5巻「……子供みたいな体して、貴族? ……へぇ」
6巻「好きなんでしょ? 要はやきもちじゃないですか。それなのに貴族がどーのこーのなんてね、ちゃんちゃらおかしいですわ」
7巻「やーん、こんな早く会えるなんてー! わたし感激です! か・ん・げ・き!」
8巻「勘違いしないでください! ミス・ヴァリエールは正直どうでもいいです! でも、好きな人の涙は見たくないんです……、ぐぐぐ……」
9巻「し、しかってください! サイトさんにしかっていただくなら、わたし本望だわ! こ、こんな感じですっ!」
10巻「『お前が望むやり方で、このわたしに奉仕しなさい』。そう言ってマダム・バタフライは、騎士に奉仕させるんです! それがもう! きゃあきゃあきゃあ! 言えません! きゃあきゃあきゃあ!」
11巻「でも、そんなやらかすであろうサイトさんが……、わたし……」
12巻「モノにしたなんて……。そんな言い方はよくないわ、ジェシカ。第一サイトさんは、わたしのそういう人じゃないもの。ご奉公先の、ご主人さまよ」
13巻「わ、わたしはちょっと舐めちゃいましたけど! そんぐらいですから! わたしは綺麗なままです! その、サイトさんのために……、ぽっ」
14巻:出番なし
15巻:出番なし
16巻「安心してください。このシエスタは、いつでもサイトさんの味方ですから。ほんとうもう、なんのかんの言ってわたしが一番ですよ? なにせよそ見してもあんまり怒りませんし、他の子とキスしてもあんまり怒りません。それ以上したら殺しますけど。でも好きですからね」
17巻「う、浮気はわたしだけにしてくださいねって! 言ったのにッ! やくそくしたのにッ! なんでサイトさんは高貴が好きなんですかぁ! 野に咲く可憐な花の良さだってもっと知るべきですッ!」
18巻「軽く? 入っちゃった?」
各巻よりセリフ抜粋・マリコルヌ
1巻「かぜっぴきだと? 俺は風上のマリコルヌだ! 風邪なんか引いてないぞ!」
2巻:出番なし
3巻「ふざけるな! 平民の使い魔を座らせて、僕が椅子をとりに行く? そんな法はないぞ! おい使い魔、どけ! そこは僕の席だ。そして、ここは貴族の食卓だ!」
4巻「あ! ああ! あ! ルイズッ! あ! ルイズ! きみみたいな美少女に踏まれて、我を忘れそうさ! ぼくの罪を清めてくれッ! 懺悔させてくれッ! こんなとこで可憐な妖精さんを気取って、我を忘れたぼくの罪を踏み潰してくれッ! ぼくはどうかしてるッ!
あ! あ! んんぁああああああああッ!」
5巻:出番なし
6巻「士官候補生のマリコルヌ・ド・グランドプレです! 本日着任いたしました!」
7巻「おお、ルイズが目を覚ましたぞ」
8巻:出番なし
9巻「ルイズとモンモランシーが隊長のほうが、いいんじゃないか?」
10巻「ああ。いざというときの勇気が欲しくってさ。戦争にも行ってみたけど……。ぼくは震えてただけだった。怖くて、泣いちゃったしね。どんなときにも逃げ出さない、勇気が欲しいのさ」
11巻「やあサイト。今のぼくは、モテモテのオーラがかかってるから、そのぐらいのキックはへいちゃらだよ。やっつけたいなら、竜騎士一個軍団引っ張ってきな」
12巻「行こうぜ。ぼくたちの戦場へ」
13巻「それに、きみだけを行かせたら、ぼくたちの名誉に傷がつく。なあ?」
14巻「吐けや。おじょうちゃん」
15巻「そう。我の名はマリコルヌ。全カルカソンヌ市民の声を代弁して恥知らずな"異教徒"どもに罰を与えんとする神の鉄槌なり」
16巻「ごめん。ごめんよ……。ぼくは今まで、自分の性癖を全肯定しすぎてたみたいだ。これからは普通になる。約束する。もう、君に罵られることを望んだりはしない。ぼくはもう、ぽっちゃりに甘んじない」
17巻「なに一人でわかったようなツラしてんだっての。お前なんかただの変態だっての」
18巻「怪しいなあ。特にこのスカートちゃんが……」
各巻よりセリフ抜粋・アンリエッタ
1巻:出番なし
2巻「ああ! ルイズ! ルイズ・フランソワーズ! そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい! あなたとわたくしはおともだち! おともだちじゃないの!」
3巻「ならば、わたくしは……、勇敢に生きてみようと思います」
4巻「そんなことは知ってるわ。わたしの居室で、唇を合わせたときから、そんなことは百も承知。でも、それでもわたしはかまわない。ルイズ、あなたは人を好きになったことがないのね。本気で好きになったら、何もかもを捨てても、ついて行きたいと思うものよ。
嘘かもしれなくても、信じざるをえないものよ。私は誓ったのよルイズ。水の精霊の前で、誓約の言葉を口にしたの。『ウェールズさまに変わらぬ愛を誓います』と。世のすべてに嘘をついても、自分の気持ちにだけは嘘はつけないわ。だから行かせてルイズ」
5巻「今宵だけでよいのです。恋人になれと申しているわけではありません。ただ、抱きしめて……、口づけをくださいまし……」
6巻「この身を焼くことで罪が赦されるなら……、喜んで贖罪の業火に身をゆだねましょう」
7巻「ならばあと一週間でロンディニウムを落としなさい! なんのためにあれだけの艦隊を! あれだけの軍勢を! なんのために“虚無”を! 切り札をつけたと思っているのですか!」
8巻「王になんか……、なるんじゃなかった……」
9巻「しばし……、ほんの少し……、安らげる時間が欲しいだけなのです。できれば、あなたのそばで……、それを得たいだけなのです」
10巻「自信はないし、うまくやれているとは思えない。でもね、わたくしは女王なのよ。ルイズ」
11巻「ルイズ、ルイズ! 殿方を蹴っ飛ばすなんて、レディのすることではないわ!」
12巻:出番なし
13巻「神は、多少の教義の違いなどには目をつむってくれますわ」
14巻「よくわかりました。これから聖下のお言葉は、布で濾したあと、慎重に理性を働かせて拝聴することにいたしましょう。ただ、もう一つの件に関しましては、正式に抗議することにいたします」
15巻「わたくしがいなくとも、国は動きます。マザリーニ枢機卿も母君も、家臣団も未だ健在なのですから。ですが……、エルフとの大規模な戦になったらハルケギニアが潰れます」
16巻「あなた、夢中になってわたくしの唇を求めてきたのですよ。こんな風に……」
17巻「あれはただ、あなたの真似をしただけですわ。誘惑したわけではありません」
18巻「わたくしだって、たまに本音を漏らしたいわ。心を許せる相手がほしいのです」
各巻よりセリフ抜粋・ワルド
1巻:出番なし
2巻「僕は敵じゃない。姫殿下より、きみたちに同行することを命じられてね。きみたちだけではやはり心もとないらしい。しかし、お忍びの任務であるゆえ、一部隊つけるわけにもいかぬ。そこで僕が指名されたってワケだ」
3巻「ありませぬ。しかし、わたしに乗りこなせぬ幻獣はハルケギニアには存在しないと存じます」
4巻「くそ! 俺は……、俺は無能なのか? また『聖地』が遠ざかったではないか……」
5巻:出番なし
6巻「まあ有能は有能らしい。期待しようじゃないか」
7巻:出番なし
8巻:出番なし
9巻:出番なし
10巻:出番なし
11巻:出番なし
12巻:出番なし
13巻:出番なし
14巻:出番なし
15巻:出番なし
16巻:出番なし
17巻:出番なし
18巻「わかるだろ、マチルダ。俺にとって、聖地に向かうことは義務なんだ。そこに何があるのか、それはどうだっていいんだ。母の最期の願いだ。俺は、聖地に行かなくちゃいけないんだ」
梅
成長しない人が一目で分かってしまう・・・
>>806 最近はアニメしか見てないから誰のことだかもうサッパリだぜ!!orz
でもいそうね、そういう能力絡みのトラウマ
初期ルイズにそっち方面から説教しても・・・あまり効果はないかな
>>795 投稿すれば必ずまとめサイトにのると考えているのがそもそも間違いです
通常は自分で投稿するものです
何かの理由でできない場合は避難所で頭を下げて頼むものです
スレの容量が余ってしまったようなので、予定より早いのですが16KB程度投稿して良いでしょうか?
OK
>>816 荒らしにそんな一般論言うだけ無駄ですよ
では投稿を開始します。
オレンジ色の使い魔 第5話
自室謹慎とはなんとも退屈なものだ。
ハミイーが戻ってくるまでは会話の相手さえいない。
ルイズは学科の予習でもしてみようかと思ったが、すでにかなり先まで進めてしまっていることを思い出した。
ベッドに寝転び、どうやって時間を潰すかしばらく考えて見た。
ハミイーから聞いたことについて整理してみるのはどうだろう。
いろいろと驚嘆すべき話を聞かせてくれたが、検証する方法はあるだろうか。
まず地動説が事実だと言う話から。
夜空の恒星がみんな太陽だと言う話も、ハミイーの故郷が他所の太陽を巡る惑星だと言う話も地動説に比べれば
小さいことに思える。
地動説が事実かどうかは、世界認識の根幹に関わること。
大地から太陽までの距離は……何千年も前から多くの学者や神官たちが測定を繰り返している。と、以前に
エレオノール姉さまに聞いた。
学院の授業には出てこない豆知識。
どうやって測るのかは姉さまも専門外で知らないらしい。
今の暦を作るのに使われている数値はロマリア天文所のなんとかと言う神官が求めた値で、確か1億リーグを超える
とてつもない距離だったはず。
それを半径とする巨大な円の上をこの大地がたった一年で巡っているのなら、この大地は最速の風竜の何百倍も速く
動いていることになる。
だのに、私たちは吹き飛ばされることなく大地の上に立っていられる。
これが地動説の難点のひとつで、他にもいろいろと問題があるらしい。
もっと詳しく聞いておけばよかった。
とにかく、多くの問題を抱えているというのに、地動説を用いて作った暦は天動説で作った暦よりもずっと正確に
出来ている。
天動説では一年の長ささえ正確に求めることができない。
うん、たしかそうだったはず。
天動説にも地動説にも欠陥があると言うことで、それを追求し神の御業を学ぶことはブリミル教徒として正しい
行いのひとつ。
だから、ハルケギニア最大の天文所がロマリアにある。
それら天文所の聖職者たちが学者たちと何千年も議論を続けてきたというのに、未だに天動説では正確な暦が
作れないし、地動説は根本的な難点を解消できていない。
現状では、天文学の専門家でもどちらが正しいのか判断を保留している。と教えてくれたのはやはりエレオノール姉さま。
「うー……受け売り知識を使って、たった二日で証明が出来たら、魔法実技が落ちこぼれでもアカデミーに就職できそうね」
クジン人はどうやって検証したのだろう。
ハミイーに聞けば教えてくれるかもしれないが、いずれ決闘で打ち負かさないといけない相手に聞くのは、悔しい。
「……なんで私、ハミイーなら知ってるなんて思ったんだろ?」
ハミイーの言ってることは作り話で、この大地のどこかに猫の国がある方が自然だって考えたのは昨日のことなのに。
決闘の作戦を考えるために、爆風に身を晒して煤まみれになって協力してくれたから?
ハミイーが言うように、自分は子供だ。
子供だから、あの大きな動くヌイグルミに懐いてしまっているのだろうか。
考えても答えは出そうにない。
切り替えて見ることにした。
ハミイーが語った驚嘆すべき話を自分が知るハルケギニアの学問で検証することは難しいけれども、ハミイーの話それ
自体に矛盾が無いか追求することなら自分にも出来そう。
太陽から太陽への航海には昔は何十年も掛かっていたと言っていた。本当ならそれだけの期間、船の中で暮らしていた
クジン人が居たことになる。
どんなに大きな船でも、何十年分もの食料を積み込むなんて出来るわけがない。
もし出来たとしても、航海を始めてすぐに腐ってしまう。
クジンは職人の技術が発達している国だと言うから、水魔法に相当する保存方法がありそう。
それでも、何十年もの保存は無理なはず。
ハミイーの話が本当なら、何十年もの航海をどうやって実現していたのか矛盾の無い説明があるはず。
ノックの音にルイズは跳ね起きた。
スルーの覚悟を完了させろ、お前等。
>>815 アニメには出てなかったかな。魔術の方の黒子メイン話で戦った相手だからな。
そしてオレンジの方に支援を開始する。
速記をまとめ終わり、オスマンに提出すると手があいてしまった。
マチルダは状況を考えて見ることにした。
まず、オスマンは何を知っているのか。
あの脅迫めいた言葉は何を意図しているのか。
順を追って考えてみよう。
まず、あの言葉は単なる偶然であり、マチルダの正体について何も知らない場合。この場合は対応を要さないが、
楽観的に過ぎる上に意味がない。
では、オスマンがミス・ロングビルの正体がマチルダ・オブ・サウスゴータであると知っている場合、さらに
マチルダが盗賊「土くれのフーケ」であると知っている場合にはどうか。
どちらの場合であっても、あの言葉は脅迫ないし警告だ。
脅迫の場合、要求が伴う。
これまでのことからして、ありそうなのは痴漢行為やもっとおぞましい行為を受け入れるようにとの要求か。
単なる好色な老人と見くびるのは危険だろう。
それらよりももっと恐ろしい要求があるかもしれない。
警告であるなら、自分のいかなる行為を制止するためのものか?
そして、自分の身に何が起きるかよりももっと恐ろしい可能性がある。
ウェストウッドの子供たち、わけてもティファニアについて知られている可能性だ。
マチルダは身震いし、小さく頭を振った。
このままでは思考の迷路に陥ってしまう。
自分の行動の選択肢を考えよう。まず二つ。
逃げ出すか、秘書として留まるか。
留まる場合、秘書の仕事に専念することは出来ない。秘書の給料だけでウェストウッドの子供たちを養えるものなら、
誰が好き好んで危ない橋を渡るものか。
では秘書として留まりつつ「土くれのフーケ」としての仕事を続けて大丈夫だろうか?
それはオスマンがどこまで知っているのか、そして自分をどうするつもりなのかによる。あまりにも不確定要素が
大きい。
リスクがどの程度あるのか見当もつかない。
では逃げて、別の拠点に腰を据えて盗賊稼業を続けるか?
こちらのリスクはある程度は絞り込める。酒場娘と盗賊を兼業していたころとあまり変わりはない。
やはり逃げよう。
新しい拠点に落ち着くまではウェストウッドへの送金を行えなくなる。ひと稼ぎしてまとまった金を送ったら、
ただちに逃げるとしよう。
どこへ逃げる?
もちろん、安全な送金手段を確保できる場所でなくてはならない。トリステイン国内では「ミス・ロングビル」
が手配される危険性がある。
したがってトリステイン国外、それも余所者が目立ちにくい大都市だ。
ヴインドボナかリュティスのどちらかだろう。リュクサンブールも各国との往来が激しい都市だが、クルデンホルフは
トリステインと繋がりが強い国だ。
到着して目にするのが「ミス・ロングビル」の手配書と言うのではキツイ。
やはり二大国の首都のどちらかだ。
人口流入が激しいヴインドボナは余所者が目立ちにくい利点があり、ガリア王がマジックアイテムを買い集めて
いると評判のリュティスなら盗品転売の利益は大きいはずだ。
リスク回避から言えばヴインドボナか。
そこまで考えて、マチルダは重大な問題に気づいた。全身に冷や汗がどっと湧き出す。
もしオスマンがウェストウッドの子供たちのことまで知っていたら、私が逃げ出した後であの子たちはどうなる?
オスマンが何をどこまで知っているのか確認するか、あるいはオスマンとあの大猫を亡き者にするまでは逃げる
わけにはゆかない。
そのことに今まで気づかず逃げるつもりになるとは、「土くれのフーケ」ともあろうものがオスマンの言葉に
脅えていたようだ。
しっかりしなくては。
もうひとつ、オスマンとあの大猫を殺してから逃げると言う選択肢もあるが、それが可能ならこんなに混乱し悩んだり
はしない。
当面は、ブースター・スパイスなる長命不老の秘薬の情報を欲しがっているフリをしよう。
オスマンがミス・ロングビル=土くれのフーケと知っているにせよ、疑っているだけにせよ、逃げ出すよりは
ブースター・スパイスについて知りたがる方が自然に見えるはずだ。
実際、もし手に入れることが出来れば、あとは協力してくれる水のスクウェアメイジを見つければ大儲けも夢ではない。
盗賊稼業から足を洗うことさえ出来るだろう。
さきほど取り繕うつもりで問いを発したことは間違いではなかった。
とにかく、しばらくは様子をうかがうとしよう。
勢い良くドアを開けると、使用人のシエスタがトレーを手にして立っていた。拍子抜けしたルイズは、自分が
オレンジ色の巨体を期待していたことに気づいて顔をしかめた。
どうやら本当に、あの生きたヌイグルミに懐いてしまっているらしい。
「あ、あの、ミス・ヴァリエール?」
シエスタの不安げな様子に気づいて表情を取り繕う。
「えーっと、シエスタだったわね。あなたには処分は無いから安心なさい」
「お礼とお詫びを申し上げます。私などのために、ミス・ヴァリエールが謹慎処分など……」
「勘違いしないように。私はギーシュをたしなめただけで、あなたを助けたわけじゃないのよ」
「は、はい。お許しください」
「怒ってるわけじゃないから。用件はそれだけ?謹慎中だから、あまり人とお話するわけには行かないのよ」
「パイがお好きとお聞きしましたので、急いで焼いてまいりました」
ルイズは表情を輝かせ、急いでシエスタを部屋に招き入れると念のために廊下を見渡した。謹慎中の身で
お菓子の差し入れを受けるなど、寮監にでも知れたら困ったことになる。
午後の授業中とあって寮塔は静かで、どうやら誰にも見られずに済んだようだ。ドアに施錠する。
配膳を始めたシエスタの表情は依然として固いまま。
この使用人はこれまでにも何度かシーツの交換などにこの部屋に来たことがあるが、こんなに固い表情はして
いなかったはずだ。
自分とギーシュの決闘や処分についてまだ気にしているのだろう。
こういう場合、何を命じればよいのだろうか?
ルイズはあれこれと考えて見たが、シエスタが先に口を開いた。
「あれは……クジン人は危険な生き物です」
「!?何を知ってるの、シエスタ」
「私も曽祖父が遺した言葉を聞いているだけです……クジン人は、人間を殺します」
シエスタはパイを切り分けながら答えた。断面から蛙苺の真っ赤なソースが溢れ、ルイズは大好物を目にしながら
眉をしかめた。
「おやつの時にそういう話するのはどうかしら。第一、無意味よ」
「申し訳ありません。ですが……」
「ハミイーは私が公爵の娘だと言う事も、公爵と言う概念も理解してるわ。この国で公爵を敵に回す意味も理解してる。
私に危害を加えることなどありえないわよ」
ルイズはさらりと答えた。
なにしろ、当然のことなのだから。
同時に、さきほどから気にかかっていたことについて、少し考え直した。
そういえばハミイーも言っていた、クジンは人間の国と何度も戦争をしていると。
やはり猫の国クジンはこの大地のどこかにあって、シエスタの曽祖父はクジンと敵対する国からやってきた人なのだ。
他所の太陽を巡る惑星から人や物がやってきたなどと言う話は聞いたこともないが、遥か東方を意味する
ロバ・アル・カリイエ由来の物や人の話は時折は聞くし、そう称するものを目にしたこともある。
ここに居るシエスタの黒髪と黒い瞳も、そのひとつかもしれない。
「どうぞ」
小皿に切り分けられた蛙苺のパイを受け取る。
「ありがと。……ん、美味しい!」
満面の笑みを向けると、シエスタの顔が明るくなった。
「シエスタの曽祖父はロバ・アル・カリイエからいらしたの?珍しい髪の色ね」
「はい、曽祖父はノウンスペースと言っていたそうですけれど。この髪と瞳の色は曽祖父から受け継いだものです。
おかわりを召されますか?」
「お願い。……ロバ・アル・カリイエについて聞いても良いかしら?」
ルイズは少し考えてから尋ねた。
クジンはロバ・アル・カリイエの人間の国と接するどこかにあるのだろう。シエスタの曽祖父が遺した言葉とやらを
聞いておけば、ハミイーの話と整合あるいは追及できるはず。
ロバ・アル・カリイエの人は自分たちの住む地域をノウンスペース……「既知の領域」なる即物的な名前で呼んで
いるらしいことがわかった。
これだけでもかなりの収穫。
でも、あちらではハルケギニアをなんと呼んでいるのだろう?
西方?
アンノウンスペース?
「曽祖父は変わった人だったそうです。遺されている言葉も語られたそのままじゃなくて、良く判らない部分や、
本当とは思えないところを祖父や父が解釈したものです」
「それで構わないわよ。ありがと」
新しい小皿を受け取り、話の続きを待つ。
「……えーと……まず、ロバ・アル・カリイエにはいくつも国があります」
「ハルケギニアにもいくつも国があるものね」
「曽祖父が生まれた国はプラトーと言って、『あれを見ろ』山と言う大きな山の頂にある平原なんだそうです」
「そんな名前をつけるなんて、何か見た目に変わったところがある山なのかしら?」
「なんでも、山頂の面積はトリステインの倍くらいあるそうです」
ルイズはパイを取り落としそうになった。
「あはは、そんな山を見たら私だって叫ぶかもしれないわね、『あれを見ろ!』って」
何か心にひっかかるものがあったが、ルイズは続きを聞くことにした。
「プラトーは医術がすごく発達していて、手足を失うような大怪我でも必ず治せて、病気で死ぬ人も滅多に居ないんだ
そうで……」
「それほんと?!」
シエスタが身をすくめたのを見て、ルイズは自分が椅子から立ち上がって大声を出していたことに気づいた。
視線を落とす。大丈夫、パイは小皿の上に無事に着地している。
「は、はい……。昔は貴族が優先されていたそうですが、曽祖父の居たころは平民も高度な医術の恩恵を受けられて、
他の国からも治療を受けに来る人が多く居たとか。でも、サハラの向こうじゃ私たちにはどうにも出来ませんよね」
ルイズは腰を下ろした。
「あの……」
「ちょっと考えさせて」
少しの間、ルイズは上の空だった。体が弱いちい姉さまを、サハラを越える旅に連れ出せるはずがない。でも、
ロバ・アル・カリイエから医師を招くことはできないだろうか?
シエスタの曽祖父がやってきた例があるのだし、方法はあるはず。
「もう大丈夫。話の続きをきかせて」
「はい。ウィ・メイド・イットと言う国は夏と冬には強風が吹き荒れるせいで、街はみんな地下にあるんだそうです。
クジンとの最初の戦争で人間が勝利できたのは、ウィ・メイド・イットの人たちが外から来た行商人から優れた船を
買ったからだとか」
「つまり、ロバ・アル・カリイエよりさらに遠くにも国があるのね。でも、ウィ・メイド・イットって変わった名前の国ね」
「地下の街を作り上げたことを記念して名づけたそうです」
ルイズは想像してみた。
強風が吹き荒れると言うからには話に聞く砂漠のような国で、きっとサハラの東の端に面しているのだろう。
その街を作り上げるまではさぞ暮らしにくかったに違いない。
「ウンダーランドと言う国は何度かクジン人に占領されて、一度は他の国が結成した連合軍が大きな船を飛び込ませて、
住人ごとクジンの占領軍を吹き飛ばしたそうです。でも、今でも近くのティアマットと言う島にクジン人が住んでいるとか」
「……火の秘薬を満載した船を突入させたのね……」
想像して身震いした。
ロバ・アル・カリイエの国々は、戦争に勝つためには手段を選ばないらしい。
「曽祖父の言葉では、ラムシップと言う船をものすごい速さで飛び込ませて、何百リーグもある大きな穴を開けたそう
ですけど、実際にはミス・ヴァリエールがおっしゃるとおりだと思います」
「何百リーグは大げさだと思うけど、シエスタの曽祖父の言葉も正しいと思うわよ。ラムシップって言うのは、
たぶん敵の船にぶつけて沈めるための角が付いてる軍船だと思うわ。その角の名前がラムだからラムシップ。
港に突入する前に沈められないように、丈夫なラムシップに帆をいっぱいに張って、すごい速さで飛び込ませたのね」
「何十年も意味がわからずに伝えられてきた言葉の意味を教えていただけるなんて、ミス・ヴァリエールとお話できて
私は幸せです」
ルイズが以前に読んだ年鑑の記述を元に推測してみせると、シエスタは感心した様子だった。
ルイズはパイを食べ終わるまでロバ・アル・カリイエの話を聞き、続きは夕食時に聞くことにして下がらせた。
筆記用具を取り出し、聞いた話を整理してゆく。
催眠術を使う奇妙な生き物が住むダウンと言う国は砂漠が広がっているが、気候そのものは穏やかだという。
ホームと言う国では、一時は住民全員が鎧をまとって暮らしていたらしい。
東西ふたつに分かたれた国であるジンクス国には、筋骨隆々の人々と巨獣バンダースナッチが暮らしている。
馬車を一呑みする巨大な鳥、ロック鳥が住む国マーグレイヴ。
シルヴァレイズのヒマワリは花があるべきところに鏡があって、その群落に日中に近づいた者は光を浴びせられて
焼き払われてしまうと言う。
ウンダーランドで建造された条約締結装置と言う機械のおかげで人が住めるようになったと言う、キャニヨン。
そして、チキューに住む人々は平地人と呼ばれる。
ハミイーはチキューに赴任していたことがあるらしいが、その国は平原にあるらしいと判った。
「ふう。これをシエスタに読み聞かせれば、確認できるわね。ハミイーには、とりあえず伏せておきましょう」
紙束を仕舞い込み、ルイズはもう一度ベッドに寝転んだ。
シエスタから話を聞いたことを伏せたままで、ハミイーに「人類の領地の惑星」について聞いてみよう。
たぶん、ロバ・アル・カリイエの国々を別の惑星と称して説明するだろう。
だが、シエスタに説明を聞いたときから何かひっかかるものがある。
それが何なのか、ルイズには判らなかった。
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短いですが、今回は以上です。
乙でありんす
乙登録早過ぎw
>>816 自分でしようとしたんですが、できないんです。
頼んでも無視されて。
そこの管理人さんが意地悪するから。
登録してくださった方、ありがとうございました。
避難所にも意地悪して書き込ませてくれないんです。
どなたか代行をお願いします。
オレンジさん、乙です。
異文化交流っていいなあ。
>>830 まとめサイト・避難所双方に拒否されてる自覚があるのなら代理投稿を頼むべきではない
それは管理者達の意志を無視する行為だし善意で代理投稿した人にまで迷惑がかかる
何故拒否られてるのか心当たりがあるなら他人に頼む前にまず自分でその要因を取り除くべき
具体的には平身低頭して必ず行いを改めるからどうか機会を与えてくれと誠心誠意頼むべき
勿論口だけでなく実際に行いを改めることは当然として
逆に心当たりがないなら落ち度のない人間を拒否するようなサイトへの登録にこだわることはない
あるいはプライドが邪魔してできないというなら諦めるしかない
いずれにせよ誰も引き留めたりしないから諦めて去るべき
>>832 十分わかりました。
では、あなたにお願いします。
まあ、投稿されても削除するけどなw
お断りします
自分で登録したのがずいぶん前で投稿の仕方を忘れてしまった・・・
しかも小ネタだし・・・
登録したらアク禁になるんじゃない?
断るくらいならなぜ、私宛に書かれるんですか?
お言葉には責任を持っていただかなければ。
というわけで、あなたにお願いします。
削除やアク禁どころかNGワード登録で規制されておりますゆえ
登録自体が既にできませぬ
>>839 態度を改めたら考えてやるから、アンタに対してレスつけてんだろ?
現状だと、代理で登録もしないし、頼んでも誰もやろうとしないといってんだから。
こいつの首の上に乗っているのは帽子掛けか……
最近の荒らしはこういう手法を使うのか……
はい、態度を改めました。
>>844 考えたが、態度が改まった保証がゼロなんで、却下。
>>832のどこをどう解釈したら、「頼まれたら無条件で代理します」ってことになるんだよw
これだから、日本語の通じない狂人ってやつは……
私の自分の言葉に責任を持っているから、あなたの今の態度では登録できない、といっているのですよ
まともに読んでいただきたいものです
あるいはちゃんと読んだのでしょうか
読んだ結果そういう理解になったのなら申し訳ありません、アドバイスの仕方を間違えておりました
まず病院へ行くべき
>>844 じゃあ、態度を改める証拠として、
今までの自分の態度の何が悪かったのかを簡単にレポートにしてここに書いてくれませんかね?
そもそも今までの自分の何をこれから改めるのか、を分かるように誓言していただかないと判断しようがありません
まとめに載せてくれないなら自分の為に新しくスレを立てるべき!とかほざく馬鹿に誰が優しくするか
そのくせ被害者面とかどんだけ恥知らずなんだか
そういえば盗作疑惑もあったなコイツ
あ〜、そもそもNGワード機能使用してるから、誰かが代理でしようとしても無理だと思うよ?
つまりは諦めて他所行ったら?ってこと
>>840 なるほどw
ちょっとオレンジの人がかわいそうだなw
投下後に関係ないことで盛り上がってしまった
あと、ゲーム帝国の人はこれ以上この人にかかわらない方がいいと思うよ?
これ以上擁護するなら同じような考え方の人間か同一人物と思われるんじゃない?
こいつは素行が悪すぎた
>>847 では、簡単なレポートを書きます。
何が悪かった?
全て。
これからどうする?
全てを良くする。
以上であります。
今までの全てが悪かった、と
では良いところの全くなかったこれまでのあなたの作品など到底登録はできませんな
それから、それをレポートだと称するのであれば中学すら卒業不可能でしょう
やはり病院か小学校へ逝くべきです
ちょっと気になったので失礼
>>850 好意的な態度を何でも「擁護」と取るのはいかがなものかと・・・
続きが気になる人はここで投下されるのを読むしかないのですし
ここへの投下自体が禁止されているわけではありませんし
避難所荒らして、今本スレ荒らしてる奴のなんざ見たくもないんですけど
2chなら2chのスレ毎のルール、他所のサイトならサイト毎のルールがある
それすら守らないで自分のワガママ押し通そうとする奴の投下とか迷惑なだけだ
善意をもって相手に接しても相手が不善を繰り返すなら排除しなくてはイカンだろうが
宇田川は色んな所で叩かれ過ぎてドM通り越して不感症になってるし、
自分に都合の悪い事は自分に都合の言いように改変するから何言っても無駄
良くわかりました。
関わった方々にお願いします。
然るべき所に申し出ればいいんでないの?
あと極力触れない様にすればいい
ID:4/2a+OlBは独善的で嫌だな
>>854 ある程度発言内容などを把握しているはずなのに登録しようとしていたりするので擁護と取ってしまった
投稿中だから
>>761をスルーしてしまったのかもしれないが、その後の流れをみてもわかりそうなものだし
言っちゃ悪いが、「宇田川の作品が気に入らないから、宇田川のことを非難し、罵倒する」のでは、「ハルケギニアの貴族が気に入らないから、貴族が滅びる作品を書き続ける」宇田川自身と、何も変わらないぞ。
言っちゃ悪いが、気に入る気に入らないの問題じゃないんだぜ
>>860 違う違う。
作品じゃなくて、本人自体の行動が無茶苦茶なんですよ。
私は特別病棟の看護師じゃねえんで、これ以上残業する気はありません
もう失礼します、おやすみなさい
>>860 荒らしは要らんと言ってる
作品云々とか誰が言ってんだ?お前論点ズレ過ぎだ
作品だけでなく、避難所での問題行動のこともあるんだがな
どっちにしろこの人の作品は登録不可能なんだからもうスルーでよくね?
>>855 排除しようとする行為までは否定していません
私自身も宇田川さんの態度は好ましくない以前の問題だと思ってますしね
投下自体に肯定的な人にまでそれを押し付けるのが間違っていると言いたいだけです
それ以前に、ルールがどうこう言うならこの議論が既に
>>1に反してるんですが・・・
>>859 それは「擁護」ではなく「肯定的」なだけです
否定的な人のあらゆる発言を否定し、対象をどうあっても正当化しようとすれば「擁護」ですけどね
自演じゃね?と思えるほどの書き込みだな
作品内容の問題じゃなく本人の態度の問題でしょうねえ、
これまでの彼の発言からいって
彼の作品内容自体をおとしめる類の批判ってこのスレではありましたっけ?
あんまり見た覚えが無いんですが……
お前達に足りないものーーーそれはーー!!
略
そして何よりも、スルー力が足りない!!
>>872 それはもう仕様だと思いねぇ
これから夏休みになるかと思うと頭が痛い話だ
>>869 >>1に反するけどな、ここ数日の本スレ見てて流石に我慢出来なくなったから言ってるんだよ
安っぽい道徳観とかでもの言っても、肝心の問題起こしてる奴が行い正さないんだから
その言葉は全て無駄かつ無意味に終わるとか考えられないの?
言いたいこと言ったから もう黙るわ
>>869 ただ、問題発言てんこ盛りであることを把握してる人を肯定するのであればそれは擁護に当たるのかな?と思ったんだ
実際にあの手この手でwikiに投稿したらそれは擁護にあたるだろうけど、このスレとは違うから関係ないね
擁護というのは訂正するよ
オナニーはオナニーでも、ここに投下されるべきはルールを守って他人を喜ばせる、言わばAVのオナニーだからね。
独りよがりな自分の為だけのオナニーは自分の部屋でシコシコやるべきなんだよな。
そんなことよりゼロ魔の話しようぜ!
と思ったがゼロ魔自体で話したい話題が思いつかなかったのでクロスネタのことでも
テイルズのなりダンクロス発売を控えたこのタイミングで、オリジナル版のメル&ディオ召喚で今書いてる
べ、別にウェールズとアンアンの服着せてヘクサゴンスペル撃たせたいんじゃないんだからね!
宇田川「何で俺の作品はまとめWikiに載らねーんだよ!俺の作品のどこが悪いんだよ!
スレの奴隷ども、細かいことはいいからとっとと載せろや!」
って駄々をこねているようにしか見えんが
>>874 宇田川さんに対してならばいくらでも注意・警告・罵倒何でもどうぞ
ただ、今までの流れから見て「無駄かつ無意味に終わる」と思いますけど
私が気に入らないのはこの三つだけです
・肯定的な人に、自分の否定的な考えを押し付ける人
・私や肯定的な人の発言を「宇田川さんの擁護」と取る人
・宇田川さん
いくら安っぽい道徳観だろうと、論理的に正しければ何も問題無いと私は思います
荒らしに対して面白いとか続きを期待してると言うって事は、
荒らしさんまたこのスレに来てくださいね、と言ってるのと同じ
擁護だの肯定以前にただの荒らし
>>880 そうそう、それが心配
同じ考えと見られるっていうのはたしかに言いすぎだったとおもうけど、肯定する人がいればまた来るとおもう
というか実際に某所では(ry
なんでお前らスルーできないの?
構わないと呼吸が止まるのか?
>>882 残りkb見れ
埋めかねたガス抜きだ
宇田川乙
>>880 短絡的にも程がある
予約が無い状態で投下OKを出して何が悪い、素直な感想を述べて何が悪い
そいつに問題がある、そいつが気に入らないからって
そいつに関わる事や人全てを否定すりゃいいってもんじゃねーだろ
>>881 来ればいいじゃないか
最近は否定派が何も反応しない時は多少の雑談と投下で済んでるだろ
であれば、荒らさせたくなきゃスルーすればいいって普通にわかるはずだが
所詮、自覚が無いだけで俺もお前も宇田川もある意味全員荒らしなんだよ
敬語疲れた
そろそろ寝るんで返答あったら以降は携帯で
随分無責任な発言だこと
投下や感想まではいいが、登録を促すようなことを言うのはだめだろう
wikiの方でははっきりと拒絶されてるんだし
登録したらそのときは本当に荒しと認定されるだろうね
最近の荒らしは色々いるねぇ
避難所でも便乗して騒いでた奴がいたみたいだが、一人現れたら二人三人ってやつか
論理的に正しければと綺麗事ぬかした直後に!この様です
自分が荒らしだって言うなら二度と来ないでほしいわ
>そいつに関わる事や人全てを否定すりゃいいってもんじゃねーだろ
うわぁ・・・人に短絡的とか言っといてこれは無いわ
まあ、お前がそう受け取ったのなら話が噛みあわなくても仕方ないわな
続きが読みたきゃここ以外のところで投下してもらえばいいだろ
そんなところがあるかどうか知らんが
登録拒否されている作品を代理人を立ててなら
登録してもらえると考えてること自体が
宇田川氏の正気を疑う材料にしかなりませんね。
例えるなら、ヤーさんに頼まれて、
「ヤーさんに頼まれたから」って窓口で言って、
名古屋場所のチケット買おうとするようなことでしょ。
宇田川氏は、現在自分のサイトも開設しておられるようですし
アルカディアは残念ながらNG登録されてしまったようですが
小説家になろうという場所でも投稿していますよね
このスレにこだわらず、そちらで好きなだけやればいいのではないでしょうか
>>738 映画に出てきた
ダミーのDとスカルのSが抜けてる
今までの劇場版と違って、Wの劇場版は全部TV本編と繋がっているよ
>>886 結果的に登録してないわけだし
拒絶されてる事を初めて知ったとしても今後気を付ければ済む話だし
何らかの方法で本人が無理矢理登録したとしたら、さすがに何言われてようと見捨てるさ
>>892 初耳
それなら別サイトのみで投下ってのを宣言して移った方がいいかもな
読みたい人は手間かけてでも読みに行くだろうし
俺宛てと思われる他のレスはスルーさせていただく
真っ向から反論できるほど中身が無いから、スルー「する」じゃなく「するしかない」だが…
携帯だと面倒って理由もあるけどな
いや、それは「スルー」ではなくただの「勝利宣言」だ
面倒ならスルーすれば良いものを、わざわざ捨て台詞ご苦労様です
>>893 Aアノマロカリス・アームズ・アクセル
Bバード・ビースト
Cサイクロン・クレイドール・コックローチ
Dダミー
Fファング
Gジーン
Hヒート・ホッパー
Iアイスエイジ・インヴィジブル
Jジョーカー・ジュエル
Lルナ・ライアー
Mメタル・マグマ・マネー・マスカレイド
Nナスカ・ナイトメア
Pパペティアー・プリズム
Qケツァルコアトルス
Sスイーツ・スミロドン・スカル
Tタブー・ティーレックス・テラー・トリガー・トライセラトップス・トライアル
Vバイラス・バイオレンス
Wウェザー
Yイエスタデイ
Zゾーン
ちょっと増やした
理想郷でもNGされてんのか奴は
まああの態度なら当然か
>>895 何も言わずにスルーして
「都合の悪いレスには反論できないのか」(ちなみにこれが本当の勝利宣言)
などと言って調子に乗る奴が出てくるよりは、スルーする理由を言っておいた方が手間かからないからな
それに、意味を理解できる奴は内容を具体的にして言い直してくるし
そんな的外れな指摘が来るとは思いもしなかったから、結局二度手間になってしまったが…orz
再度勝利宣言ご苦労様です
「スルーする理由」も何もスルー出来てないから
っていうか、スルー宣言の後にレス返しって・・・
お前スルーするつもり全くないだろ?
ゲーム帝国登録してくれた方、修正してくれた方、ありがとう御座います。
>>850 忠告感謝。
>>898 自分にとって都合の悪いレスや反論出来ないものは的外れって言いたいだけだろ
寝るって宣言して1時間足らずで戻ってきて並べた御託がこの有様
お前、宇田川と同レベルかそれ以下じゃね?