あの作品のキャラがルイズに召喚されました part269

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part268
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1266199114/l50
まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/


     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!


     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。



.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:40:25 ID:QdMt53vs
>>1
テンプレはここまで
3名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:40:58 ID:K54yJoeq
[彼岸島基礎会話]
活躍→「凄ェ!」                       震撼→「怖ェ!」
回避→「危ねェ!」                     臭気→「臭ェ!」
危機→「やべェ!」                      疑問→「なんでだよ!」
焦燥→「なんてこった!」                  憤慨→「ちきしょう!(ちくしょう!)」
恐怖→「ひっ…ひぃっ!」                  絶叫→「嫌ァァァ!」
対峙→「たたっ斬る!」                   歓喜→「よっしゃ!」
嘲笑→「ハッ」                        謝罪→「すまぬ」
一喝→「やめんか」                     敬称→「だんなさん」
襲撃→「クエ―――――!!」               物欲→「ワクチンはわたしのものよ」
懐古→「懐かしいね…このトイレ…60年ぶりね」     薙刀→「縦横無尽じゃ」
馬鹿→「あっひゃっひゃっひゃっ!!」          命乞→「タスケテ…」
家業→「文房具屋だ!」                  推進→「エンジンだ!」
凝視→「おっぱいだ!」                   運転→「ふんっ」
賞賛→「でかした!」                     詰問→「ちゃんと聞いておるのか?ワシの話を」
換装→「丸太に持ち替えろ!」               偶然→「あったよ、どぶろくが!」
運天→「ええいままよっ!」                 救出→「うしっ」
逆上→「あの野郎!」「では死ね!」            着替→「うしっ」
救助→「この丸太に捕まるんじゃ」             蟹湧→「ちくしょう」
感心→「なるほど、考えたな」                悲哀→「悲しいかな」
消火→「いそげ!水がたりん!」              彼岸島→「手に負えねェ!」
先生→「もう勘弁してくれませんか」             挽肉 → 「成敗!」
発見→「ウラァ!」                       脅威→「○○だぞ…あの○○だぞ…!」
4名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:41:44 ID:K54yJoeq
投擲→「私が勇気をやろう」                   忘却→「石田様」
幻聴→「○○の声が聞こえる…」              捕獲→「血ィ吸わせろや!」
心臓→「無くても特に問題ない」                安堵→「この洞窟超助かる!」
脱出→「出てってやる!こんな○○出てってやる!」   閉込→「そんな殺生な!」
逃亡→「それでは私はこれで…」              限界→「もう耐えらんない!」
敬語→「ちゃんと使えよ」                    非難→「鬼よ!あんた鬼よ!」
謝罪→「ごめんなさい…もうしません…」           幻覚→「おい人間…何だっけ…この匂い…」 
鼻歌→「ラーララールールルー」                注射→「はっ!(ヒュンヒュン)」
死亡→「寂しいもんだな…さて行くか」             擬態→「うたた寝してただけよ!」
感謝→「やっぱり○○は頼りになるな!」           情報→「ひれ伏せ!ひれ伏すがいい!」
承知→「合点!」

松本光司→「語尾に先生さえ付いていればなんでも良い 」
5名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:42:27 ID:K54yJoeq
[彼岸島効果音集]
登場・集合・緊迫・咆哮・風景→「オオオォオ」
常時→「ハァハァ」
息切→「ハッハッ」                           慟哭→「ハーハー」
団欒→「ワーワー」                       出現→「ヌッ」
握締→「ぐっ」                              提示→「スッ」
掌握→「ガッ」                               疾走→「タッ」
挙動→「ガタッ」                              斬撃→「ザンッ」
空振→「ブンッ」                        噴出→「プシュッ」
激突→「ドンッ」「ドカッ」                       噛付→「ガブッ」
急迫→「ぐわっ」                              石突→「ボンッ」
足音→「コッコッ」「ザッザッ」                      夜王→「ウオオオオオッ」
放尿→「ドボドボ」「ブシュ―――」「ジョ――――」     号泣→「ぐぶっぐぶっ」
排便→「ブリブリッ」                             回転→「うおおおおおおっ」
吸飲→「じゅるじゅる」                          殴打→「ガンッガンッ」
落涙→「ぽろっぽろっ」                           血滴→「ポタッポタッ」
心拍→「ドキッドキッ」                          跳躍→「ぴょんっ」
老女→「ユラユラ」                            徐行→「そろり」
夜明→「チュンチュン チチチ」                   踏台→「南無三」
静寂→「シ―――――――――ン」            赤面→「カー」
接吻→「ツーン」                        誘蛇→「はぶしゅ!」
乗馬→「パカラッパカラッ」                   顔射→「ぶしゃー」
破壊→「ドンガッゴッ」                     沸騰→「ぐつぐつ」
打撲→「ゴンッ」                        刀折→「ポキッ」
無視→「プイッ」                        威嚇→「ヴヴヴヴヴ」
6名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:43:19 ID:K54yJoeq
絶叫→「グギャー」                      御飯→「マンマー」
爆笑→「ドッ」                        限界→「ア゛ー」
投擲→「ポイ」                       衝突→「ゴーン」
燃焼→「プスプス…」                     松明→「ジュッ」
決着→「ザンッ…コロコロ…」                 睡眠→「シ(死)―――――――――ン」
首絞→「ぎゅー」                       水泳→「もがもが」

次スレは>>970-980の間で
規制などでスレをたてられない場合、その旨をスレに報告してスレ立てを他の吸血鬼に願いでること
>>990を過ぎても次スレが立っていない場合は重複しないよう注意
次スレがないまま>>1000を迎えてしまうとスレ住人が隊長になってしまう可能性があります
7名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:44:35 ID:Umg6+mgN
ウルトラ乙

盛り上がってきた
8名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:45:24 ID:ZQwT8jMx
ウルトラの人投下乙でした!
来週が相変わらず待ち遠しいです。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:45:56 ID:qm+h0eY1
ウルトラの人は我等を燃え殺すつもりに違いない

支援は出来なかったけど乙
10名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:46:45 ID:LparW6YG
ラスボスの人乙
先生…
しかしやはりシュウはこうやって陰で暗躍するのが似合うな
11名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:47:17 ID:Ti/tVtu/
ラスボスさん乙でしたー。
マチルダさんの心境が理解できます。ただ上手くルイズのフォローをしておかないと大変なことを引き起こしそうで怖いですが。カトレアさんとご両親も。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:47:58 ID:h+9naFPI
乙でーす
昔のスパロボか・・・ゼゼー何とかさんの部下に優しい設定とかOGで蘇る日がくるのかしら

EXCEEDは今日届きましたが、明日は飲み会に拉致される予定で明後日の昼まで下手すりゃお預けですよぅ・・・orz

とりあえず今はチカの無事とコルベール先生の冥福を祈ります・・・
13名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:53:42 ID:s4PIhUEN
ウルトラが荒らしのなりすましだって気付いて無い人なのかなこいつら
14名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:54:30 ID:VXGZzqEq
ウルトラ乙

ナックル星人召喚でカトレアとサイト殺しを w
15名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:55:11 ID:Rhtsl5jE
いや感想もコピペしてるよ
俺がかつて書き込んだレスもそのまま使ってるし
さっきのラスボスの感想までコピペしてる
16名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:55:34 ID:EbyvBPpX
ラスボス氏乙!
ギーシュとどっこいだったユの字も強くなったな
やっぱりアニエスさんは監視も命令されてたか
17名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:55:42 ID:QV5eDXjC
>>13
荒らしの自演でござろう
つかトリップ変えられたから代理とごまかすようになったね
18名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:56:41 ID:RUso45tQ
ラスボスさん乙!
未来を変えようと積極的に過去に介入してましたっけ
ヒイロたち・・・カトルにいたっては街中にゼロ放置しましたっけなぁ
いやぁ懐かしい
>ほんとこいつらはデッドエンド好きだよな
やがてこのユーゼスも余裕で繰り出せるようになったら「フフフ・・」が・・・

しかし先生・・・見事にクリーンヒットしてしまったか
まぁ大丈夫・・・大丈夫・・・だよな?

そしてこないだのSeeDではメテオだったわけですが
[のメテオが思い出せないのでZやDFFで想像してしまいましたが
いずれにしてもラスボスさんとこのワルドほどじゃないにしろオーバーキルですなぁ
DFFの不完全詠唱だとたいてい命中しないんだよなぁ
19名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/25(木) 23:58:00 ID:ERe80Q1z
ラスボスの人、乙であります
ユーゼス、とうとう神能力がw
20名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 00:00:49 ID:rP9dCOV2
ラスボスさん乙

ラスボスの人が投稿始めて長いけど
膨大な後付設定を消化できるか心配してしまうな
21名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 01:01:54 ID:6LW+/Ohz
ワロタ
22名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 02:32:43 ID:cUH7gFZ/
ネクサスのナイトレイダー召喚
松永管理官はメイジをモルモットにしかねんし
西条副隊長は言葉より銃が出るだろうし
吉良沢参謀はえげつないし
弧門が頼りだ
23名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 02:47:32 ID:rGEx3fJn
こんなssがあるなんて知らなかったけどおもしろいなww
ゾーマとか予想外におもろくてワロタw
24名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 08:46:06 ID:r2TrLIjE
>>22
初期のルイズがダークファウストにされそうw
あ、先にメフィストになるやつがいないとダメか。
ワルドかジョゼフかな?
25名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 09:36:13 ID:rwyqOd/2
ナムコクロスカプコンより零児とシャオムウを召喚

それをきっかけにゲーム上での他キャラがぞろぞろやってきて
VSワルド戦では数の暴力でフルボッコ
でもトドメの瞬間にやっぱり逃げられるというパターン

他にも
敵ならメイジだろうが貴族だろうが容赦なくぶっ殺す飛竜
ギーシュの「ワルキューレ」の造形と使い道に怒るクリノ・サンドラ
やたら女性陣からモフモフされるクロノア
コッパゲに自分の世界の技術をボッタクリ価格で売ろうとするシルフィーさんやらで
よりカオスになっていく世界
26名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 11:34:37 ID:XISfCyEF
零児とシャオムウを召喚……今ならナムカプじゃなくて無限のフロンティアからの召喚でもおかしくないかも?
……現れるキャラのスタイルが悉く良いのでオスマンがヒャハー状態、ルイズも胸が本物なのかの確認に余念が無いとか。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 11:49:43 ID:GiLUB7O7
貧乳チームと巨乳チームとでクッキリ過ぎるほど区分けが出来てるけどな。
28名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 11:53:23 ID:QMooukyn
無限のフロンティアだと確かに貧乳はへそ出し姫と駄フォックスと洗濯板小悪魔くらいしかおらんからなー
神夜にいたっては100cmオーバーの神乳だし、ルイズが憤死しかねん
29名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 12:06:29 ID:CAtuwA3y
でも元がクロスオーバーの物とクロスさせるのって難しいんだよな
キャラが多すぎて、上手くやらないとクロス元の作品にゼロ魔を混ぜただけのになるし
30名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 12:10:48 ID:rwyqOd/2
シャオムウ「おぉ、見ろ零児!
     ロリ、メガネ、無表情、巨乳、貧乳にツンデレとよりどりみどりで
     どのマニアックな層にも受けるラインナップじゃぞ!
     ふむ…あとは天然ボケ巨乳がおれば完璧じゃな」
零児「……ボケはお前だけで充分だ」
31名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 14:24:16 ID:EBrvUjDB
水滸伝(原作)より鉄牛こと天殺星 李逵を召喚
ルイズは無事かもしんないけど周りの連中、とくにキュルケ逃げてぇ!
32名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 14:29:21 ID:xzwnvR/x
登場直後くらいの九紋龍は輝いてたなぁ
33名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 15:16:47 ID:CYlBybf4
現在人気再燃中のドラクエYから召喚するとしたらバーバラあたりが適当かな。
「使い魔? うん、卵もかえって特にやることもなかったしいいよ」
で、なぜか学院の井戸が夢ハルケギニアに通じてて、アンアンの夢の中でウェールズを助けたり、タバサママの心を狂わせている薬の精を
夢世界でやっつけたりと夢と現実をまたにかけて、世界を救う大冒険。

そういえばYの劇中で、X主人公の正式な名前が出てきてたな。やっぱ結婚イベントは本人にもきつかったか。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 15:18:15 ID:9C1+nFC8
常にのけ者にされてるテリーさんで俺TUEEEEEEEEをやるしかないだろ
35名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 16:04:34 ID:+WF2TWsh
>>33
正式な名前って、結局リュカ?それともアベル?
36名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 16:06:23 ID:HEdPLHvR
>>34
そして宝物庫にはドランゴの入った棺桶があるんですねわかります
37名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 17:50:13 ID:EHpIqOSD
>>33
アモッさんが一番適当だと思います
38名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 17:54:32 ID:7JuUaVMD
>>36
引換券としての本領発揮だな
39名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 17:56:23 ID:TLwwq6X3
デスタムーアってドレアムのせいでしょぼく見えるけど
歴代DQの中でもやったことはトップレベルなんだよね
夢の世界を具現化させるとか狭間の世界を作り出すとかだし
40名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 18:52:03 ID:cUH7gFZ/
亜空の使者の続編としてハルケ中にスマブラXのキャラ全員を召喚
41名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 19:00:47 ID:92qRQedi
>33
ナニソレ、普通に面白そう。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 19:06:35 ID:7JuUaVMD
>>33
夢の世界があるってことはデスタムーアがいるってことにならんかw
43名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 19:18:46 ID:9C1+nFC8
>>36
そうしたら絶対離反して、ワルドあたりとつるみそうだな
44名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 19:57:01 ID:1ckpWzfs
ドランゴの棺桶を引き摺っているテリーをワルドが召喚すればいいじゃないか
45名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 20:30:37 ID:qxG0mtwb
テリーの棺桶を引き摺ってるドランゴでもいいよな
46名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 21:02:38 ID:LBYY2nBE
その場合百%テリーが埋葬されるだろ
47名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 21:04:20 ID:RmuCHj1F
テリーマン召喚だと?
48名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 22:04:21 ID:wf/cm+8V
>>33
漫画版だとバーバラ現世に残るんだっけ?
49名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 22:45:47 ID:U2y/M4Bl
棺桶引き摺るアゼル・ルーと申したか。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/26(金) 22:59:45 ID:Z2cpFC5a
電脳警察サイバーコップという特撮作品で、主人公の仲間でライバル的立ち位置のキャラが自分の装備を棺桶に入れて引きずっていましたっけ。
あとテキサスマックの長距離砲とか。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 01:50:25 ID:TSWiRFE/
前スレの乙
だけど容量ギリギリの場合は新スレで頼む。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 01:55:19 ID:1ZPM0r1M
棺桶と聞いてメガテンシリーズに出てくる死神モトを思い出した
見た目、金の棺桶だから中を覗こうとしたルイズが喰われるw
53名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 01:57:26 ID:9ncKhYBM
ようこそ!モト劇場!
54名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 09:13:48 ID:YzXvJrmL
>>49
アゼル=イヴリスがどうしたって!?
まあ、あの魔王さん召喚したらコントラクト・サーヴァントでキスした瞬間存在を吸い尽くされて消滅しかねないけどなぁ

>>50
怪奇警察サイポリスがどうしたって!?
…瑠璃光如来の力で病気治せたっけ?
55名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 11:06:36 ID:8VNufrHY
棺桶・・・
ヴァレンタインとか
ハカイダーとか
何処でもアメリカの領土にしちまうスパロボ逆輸入のアメリカ人とか
56名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 11:49:16 ID:/Fsx/CMa
>>54
サイポリス復刊おめでとう
57名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 11:49:32 ID:PConfKSw
棺桶引きずっているアゼルというと、宇宙英雄物語のアゼル・アズリナ・アゼランディを最初に思い出す……。
つまり、ハルケギニアも誰かの夢という落ち。
58名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 12:57:35 ID:lE/Pl8EH
>>56
横レスだが、そのレスのおかげで初めてその事実を知った。懐かしいな。

サイポリスは後半インフレ起こしてたから、ルイズに誰か召喚させると無双になっちゃうかな。
59名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 13:02:01 ID:KRNJ/AD5
>57
あれは夢オチではなく、誰かの夢が世界に影響を及ぼしていた、という解釈ではないかと。夢が醒めても続く夢――と。
……なんとなくおかしい二つの月の軌道を考えると、その一つが占王星(クラートゥ)の可能性があったりして?
60名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 13:07:32 ID:PConfKSw
>59
そーすっと、その展開だとジョゼフが狂ったのも世界の真実を知ったためだとか。
…ゼロの魔砲使いとかぶるな。なんとなく。
あれもそろそろ続きを読みたいんだぜ。
61名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 15:12:52 ID:jRf0N4kw
年末から先週ぐらいまでに2回ぐらい投稿があったような気がするが
62名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 15:58:05 ID:5wgFASEI
>60
金魚鉢のようなヘルメットを被りっぱなしのジョゼフか……
63名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 16:03:43 ID:PConfKSw
>>61
クライマックス間際だから、早く続きがみたくて仕方ないんだよw
64名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 17:02:15 ID:ySV5usf4
アゼルという名前で貴族で魔法使いな人しか思いつかなかった
65ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 17:44:50 ID:oP3V3lGr
なんか、私の名まで騙っていらっしゃる方がおいでだったようで。
残念です。モノマネ歌合戦みたく、後ろから「ご本人登場」的なお遊びができずに。

さて、そんな阿呆なことを考えつつ、投下と参りたいと思います。
予告通り、捏造増し増しな感じの「デルフの記憶」編をお送りいたします。
……ツッコミ覚悟です。
17:55頃より失礼をば。
66ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 17:55:44 ID:oP3V3lGr
投下開始でおます
----

砂の海。
水が全て砂に変わってしまった大海原の中に、ボク達は立っていた。

ザザザ、と景色揺れて流れる。
砂、砂、砂。
淡いクリーム色が毒のように景色を蝕んでいる。
大荒れの砂の嵐。
水平線の向こうまで、ずっと砂の中。

風に舞い上がった砂が、顔をすり抜ける。
幻の砂粒。
目には入らないからいいけど……

「何も、見えないじゃない……」

前も、後ろも、全部クリーム色。
……アントリオンの巣に間違って入ったときだって、外の光が少しは見えたのに、
上から蓋をされたみたいに、何も見えない。

おまけに、聞こえる音といったら
風が、砂を巻き上げる高音のザザザって音と、
ときどきうなるようにゴウンって低い音がこだまするだけ。
からんからんに乾いた、寂しい響き。


……そんな、乾ききった景色を、ボク達は見ていた。



ゼロの黒魔道士
〜第六十九幕〜 迷いの剣



≪ミョズ……お前、正気か!?≫

ふと、人の声がした。
砂埃の色が濃いところ、うっすらと人影が見えた。

顔は……見えそうにない。

肖像画の顔を絵具で塗りつぶしちゃったみたいに、
クリーム色の細かいツブツブで肝心なところがべったり隠されている。
まるで……デルフが『思い出したくない』って思ってるような……

≪正気も何も――これしか道はねぇんですよ≫

別な人の声。
知ってるような、知らないような。
若い男の人っていうのは分かる。
『ミョズ』って呼ばれた人、かな……?
67ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 17:56:45 ID:oP3V3lGr
≪しかし、何か方法があるはず!≫
≪でも、今は何もねぇんでしょ?≫

『ミョズ』って呼ばれた方の人が、やれやれと首をふって、ボク達の方を見た。
いや、これは幻。記憶が見せる夢みたいなもの。
だから、きっとボク達の後ろにある何かを見たんだ、きっと。

その動きに合わせて、ボク達もゆっくりと後ろを振り向いた。
そこには、黒くて大きな影が、砂嵐の渦の中心となってそびえていた。

「こ、これっ!?さっきのっ!?」
「……バブイル……!」
ちゃんと、4枚の羽が揃った、真っ黒なアレクサンダー、バブイル。
幻の中でも、その魔力をビリビリ感じそうなほど、禍々しい姿でそこにいた。
ゴウン、とバブイルが唸る。
唸るたびに、クリーム色の砂がまぶされた塊が天の高くまで飛びあがる。
大きい。
村が1つすっぽり埋まりそうなぐらい、大きな砂と岩の塊だ。
それがバブイルの目の高さ……飛空挺が飛ぶぐらいの高さまで来たら、花火みたいに弾け飛ぶ。
それを見て、バブイルがまた唸る。笑っているみたいに。
いたずらっ子が、自分の割った風船を見てゲラゲラ笑うみたいに。


≪『こいつ』は、俺らと同じ、使い魔仲間が作っちまった負の遺産。
 なら、俺達でケリつけるのが道理ってぇもんでしょーよ?
 ほっといたらこのデカブツ、てめぇの魔力でアルビオンをそーしたように、
 世界中を空にブチ上げることまでしちまいますぜ?≫

使い魔……?
そう言われて、やっと気付いた。
『ミョズ』……クジャが、そうデルフに呼ばれて無かったっけ……?
確か……ガンダールヴと同じ、『虚無の使い魔』……
幻の砂煙に目をしばたかせながらじぃっと見ると、うっすらと、『ミョズ』の額にルーンが見えた。


≪ならばっ……私がっ!使い魔の責は、主人である私がっ……≫

『ミョズ』のご主人様が、自分の胸を指し示す。
顔が全部はっきり見えるわけじゃない。
でも、その口元から、覚悟のようなものが、はっきりと見て取れた。

それに対して、『ミョズ』は、固く結んだ口を、横にぐっと押し広げた。
悲しいのに、ものすごく悲しくて、怖いのに、
無理矢理、笑おうとするみたいに。

≪――来月、父親になるんしょ?ご主人様≫
≪!≫

砂埃を乗せた風が、ザザザと通り過ぎる。
さっきバブイルが砕いた、土岩のなれのはてだ。

≪生まれた子に、祝福ぐれぇ自分ぇでやってくだせぇよ。ヴィンと俺で、カタはつけてきますから≫

『ミョズ』が、何かを真上に放り投げる。
指輪、みたいだ。4つ……
そのうちの1つは見覚えがある。
この間まで、ルイズおねえちゃんの指にはまっていた、『水のルビー』だ。
68名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 17:57:04 ID:PConfKSw
しえん
69ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 17:57:45 ID:oP3V3lGr
自分が投げた指輪を4つとも、右手で一息にキャッチしてそのまま自分を親指で指し示す。
無理矢理横に拡げた口か見える、歯がカタカタと鳴っている。
怖い、怖いけど、誰かがやらなきゃいけない。
だから、自分がやる。でも、怖い……
……『ミョズ』は、何とかしてバブイルを止めようとしているんだ……
自分の、命をかけてでも……

≪ミョズ……いや……デルフィニウム……≫
≪――あぁ、そうそう、俺っちの代わりってぇわけにはいかねぇけど……こいつ、預けておきまさぁね≫

指輪をローブの奥にしまって、代わりに取りだした何かを、『ミョズ』――本当の名前は、デルフィニウム、なのかな?
ともかく、『ミョズ』はは自分のご主人様に放り投げたんだ。
その棒状の何かを、おぼつかない手取りで受け取ると、ご主人様はしげしげとそれを見た。

≪……剣?≫
立派な、剣。
鞘から抜くと、ほんのりと青白く透明に光るそれは、
まるでジタンの持っていた『アルテマウェポン』の輝きを思わせた。

≪銘はそうさなぁ……『デルフリンガー』、でどうよ?この俺様、デルフィニウムの剣だしさぁ!
 頼りないあんたのために、俺っちの知識と記憶、詰め込めるだけ詰め込んどきやしたんで、お役立てくだせぇ≫

デルフ……!!
そっか、なんで気がつかなかったんだろう。
『ミョズ』の声と……デルフの声、同じだってことに……!!

それだけ言い切ると、『ミョズ』はボク達の身体を『すり抜けた』。
いや、幻だから、ありえる話ではあるんだけど……
なんか、ドキリとした。
その幻の『ミョズ』の体が……悲しいぐらい、冷たく感じたから。

≪デルフィニウムっ!……エリアっ!!≫
≪ブリミル様よぉ!生まれてくるお子様方と、奥方様に挨拶もできずにすまねぇですね。
 だからせめて――『無限の可能性』ってぇヤツを、プレゼントさせてもらいまさぁ!
 行くぜ、エリアっ!!悪ぃな、付き合わせて!≫

『ミョズ』がドラゴンに飛び乗った。
そこには、既に、誰かが乗っていたみたいだ。
うすぼんやりと、その姿が見える。

≪――問題皆無。意志、同一≫

女の人、かな……?
その声には、震えも何もない。
淡々と、全てを覚悟した響きを感じた。

≪……ありがとよっ!そんじゃ、いっちょ封印しに行きやすかぁっ!!≫
≪デルフッ、エリアッ行くなぁあああああぁああああ――≫

砂嵐の中、ドラゴンが飛び上がる。
どんな逆風にも負けない、力強い羽ばたきで、飛んでいく。
やがて、それが空の小さな点になっていく……
70ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 17:58:54 ID:oP3V3lGr
そこで、また景色が急に変った。
小さくなる『ミョズ』を見送った、その空も、何もかも。
もう、砂埃も何もない。
ただただ、灰色の空。
その真下に広がる、灰色の森。
灰色の森。
白と黒が入り混じって、ボク達のいるところにまで伸びてきている。
砂漠の乾いた大地とはまた違う、無表情な景色が、ボク達のいる場所を取り囲んでいた。
どんよりと湿った、空は雨雲。
日の光すら覆い隠されて、世界が闇に落ちたように感じる。

≪お前が……お前が、全てをっ……!フォルサテぇえええええええええええ!!!≫


……今みたいにさびさびじゃない、輝いてるようなデルフを握っているのは、女の人。
左手のルーンが眩しすぎるぐらいに輝いている。
……この人が、『ガンダールヴ』なんだ……

≪『笛』も、『頭脳』も、神自身すらも消えたというに、まだ『盾』が残ったか……≫

フォルサテ。
声は、違う。ややしゃがれたような、そんな声だ。
教皇様のフリをしていた今のフォルサテとは違うけど、
吐き気がするぐらいのゆっくりとした声が、フォルサテなんだって、そう分からせた。
黒いローブの奥、歯だけが見える。
白く、冷たく、ぎらついていた。

≪本当に……お前がっ!!≫

大昔の『ガンダールヴ』が、デルフを構える。
歯をギリリとかみしめて、フォルサテを睨む。
それに伴って、またルーンが光る。
空に太陽が見えないから、その左手が太陽の代わりになっているみたいだった。

≪ふむ?……そうか、ゲルモニークの奴にでも聞いたか。愚かなる者め……≫
≪お前を……斬るっ!≫
≪無益な。『神の盾』が、新たなる神を破壊できるとでも?
 それよりも……我が盾となれば、お前の子達も庇護してやるぞ?≫
≪断るっっっ!!!≫

フォルサテの言い分を切り捨てて、『ガンダールヴ』が斬りかかる。
速い。
風、ううん、光だ。
一瞬きらめいたかと思うと、次の瞬間もう辿りつく。
光の速さで振りかざされた一撃は……幻をかき消すだけにしかならなかった。

≪……愚昧であることは人の業。それを救うのも、神の責だな!≫

フォルサテの、幻影。
自分の姿を真似した影だけを囮にして、フォルサテは距離をとっていた。
剣は届かない距離。
でも、魔法なら十分すぎるほどに、届く距離。

≪相棒っ!相棒っ!冷静になれって!あんにゃろ、隠し玉持ってるぜっ!?≫
≪うぉおおおおおおおお!!≫

それでも、必死に届こうとする。
『ガンダールヴ』が吠える。
素早く、前へ。ただただ、前へ。
デルフの声が届かないほど、意識は、ただ、前へ。
71ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 17:59:45 ID:oP3V3lGr
≪やれ、砂漠の智の民、と聞いていたが……何のことは無い、所詮は飢えた畜生か≫
≪黙れ黙れ黙れ黙れぇえええええええええ!!!≫

デルフを、振り上げる。
デルフを握った、『ガンダールヴ』の血管が浮き上がる。

≪猛れば良いわけでは無いぞ≫
≪なっ!?≫
≪相棒ぉおお!?≫

デルフは……振り下ろされること無く、地面に落ちた。
『ガンダールヴ』の胸が、真っ赤に染まっていく。
曇り空の灰色の世界の中、そこだけやけに色が鮮やかだ。
『ガンダールヴ』の胸を貫いたのは、ナイフ。
背中から、突き刺さる。
それを握っていたのは……小さな鏡から飛び出た手……

≪猛るのは獣の性――人を、さらには神と愚かなる野獣を分かつものは、深き知性≫

黒いローブの左手が、同じような鏡に斬られたみたいに、途中から消えてなくなっていた。
……きっと、『テレポ』とかと同じ魔法の応用なんだと思う。
自分の左手を、『ガンダールヴ』の後ろまで移動させて……刺したんだ。

≪く……はっ……≫
≪あ、相棒、しっかりしろよ!?相棒、相棒っ!?≫
≪その深謀を覗いた者は、それをこう呼ぶのだよ。『奇跡』、あるいは『魔法』とな……
 地を這いつくばるだけの羽虫には、少々高説すぎただろうか?≫

鏡から伸びた腕が、ぐにっと、ひねられる。
抉り取られるように、さらに血が地面に落ちる。
それを満足そうに見ているのか、黒いローブの奥の歯が、またギラリと光った。

≪……ぐ……ぁ……≫
≪嘆くべき日よ、『英雄の下僕』達の物語はここで終焉を迎えるとは。
 幸いなる日よ、『新たなる神話』がここに始まるの――ぐぉっ!?≫

突然、フォルサテが苦しみだした。
鏡から自分の左腕をナイフごと引きずり出そうとする。

でも、『ガンダールヴ』が、その動きを止めた。
左手で、ルーンの輝く左手で、その手をがっしりつかんで離さない。

≪……ぃぃゃ……ぉ前ノ……下らん妄想は……終わらせる……!!≫
≪き、貴様、何をしたっ!?この私の、永遠なる肉体に何をした!?≫
≪……お前に流れる水を……くはっ……『治療』した……だけさ……『元通りに』なぁ……≫
≪俺の……命が……永遠の命がっ!?貴様、貴様ぁああ!!≫

むりやり、引きはがすように、
フォルサテが鏡から手をなんとか引っ張り出した。
支える物がなくなった『ガンダールヴ』が、地面に落ちる。
デルフの隣に、血の雨を撒きながら……

≪あ、相棒?相棒!?あ、あいぼ……≫
≪水精霊の指輪、だとっ……アンドバリ村……ゲルモニーーークッ!!!ヤツかっ!!
 あぁ、愚かなる者はどこまでたっても愚図で愚鈍で愚昧なっ!!!!≫
72名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 17:59:45 ID:PConfKSw
しえん
73ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 18:00:46 ID:oP3V3lGr
フォルサテが『ガンダールヴ』の左手を見て驚いている。
よく、理屈は分からないけど……
フォルサテが左手の先からローブごとぐずぐずに、じわじわと腐っていってるってことは……
きっと、ゾンビを白魔法で治療するようなことなんだろうなとは思う……
でも、その代償に……

≪相棒、あい、おい!しっかりしろっ!こ、こんなことのために指輪の使い方教えたんじゃねぇよっ!?おい!?≫
≪……はは……悪いな、デルフ……≫

『ガンダールヴ』は、倒れている。
フェニックスの尾も、もう効果は無さそうなぐらい、弱々しく……
デルフと二人っきりでフォルサテを倒そうとして、
『ガンダールヴ』は倒れている。
……なんか、見ているだけのボクまで泣きそうだった。

≪そうか、この声は……『神の頭脳』かっ!小賢しく記憶だけを剣に封じよったかっ!!
 羽虫ごときがよってたかってこの私の計画を崩しよってっ!!!≫
≪……羽虫は、お前だ……フォルサテ……!≫
≪くそっ!くそくそくそくそぉっ!!羽虫ごときがっ!人間ごときがっ!!
 ――はは、ハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!≫

苦しんでいたフォルサテが、突然笑い始めた。
狂ったように、笑った。
腐った左手を引きずりながら、フォルサテは笑っていた。

≪な、何がおかしいんでぇこんちきしょっ!!≫
≪羽虫の知恵も悪くない。いや、畜生も飼いならせば家畜になるということか!
 なるほど、『神の頭脳』はためになる!せいぜい役立たせてもらうぞっ!『神の下僕』共っ!!
 フハハハ、ファーアファファファファファファファファファファファファファファ――≫

残った右手で杖を振って、黒い煙のようなものを作り出し、フォルサテはその中に消えていった。

≪あ、おい、このやっ――消えちまった……≫
≪……≫
≪あい……ぼう……?≫

ポツリ。
雨粒が落ちる音が、小さく、幻の景色の中響いた。

≪デルフ……ごめ……も……ム……リ……≫
≪相棒っ!ま、待ってろ!お、俺っち助けを……≫

ポツ、ポツ、ポツ。
雨粒の音が、どんどん大きくなる。
まるで、思い出したくないものを、覆い隠すかのように。

≪……デ……フ……ニウム……≫
≪っ!!ち、違ぇよ!俺っちは、剣の『デルフリンガー』!お前さんの相棒だよっ!
 だからお前さんがいねぇとどうしようもねぇんだよ!し、しっかりしろよ、おい!おいっ!?≫
≪……あ……≫
≪なんだ、どうしたよ、おいっ!?め、目ぇ開けろよっ!?俺っちと違って、綺麗な目ぇ持ってんじゃねぇかよっ!?なぁ!?≫
≪……――≫

『ガンダールヴ』の声は、もう聞こえない。
もう、息もできなかったんだろうし、雨音が激しくなってきたから。
……でも、口の動きで、何と言っているかは……何となく、分かってしまった……

(――アリガト
   ――デルフィニウム
     ――仲間デイテクレテ……)
74ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 18:01:47 ID:oP3V3lGr
スッと、『ガンダールヴ』の目が閉じられる。
ゆっくりと、『虹』の欠片が、体からわきおこって、
左手の指輪に吸い込まれていく。

≪あ、いぼう?あいぼ……なぁ、おい!?嘘……待てよっ!?俺、こんなことのためにっ……
 こんなことのために記憶を残したんじゃ……ざけんなっ!?おい!?なぁ!?なぁっ!?≫

幻の中のデルフが叫んで止めようとするけども、
『ガンダールヴ』の身体は、光に変わっていく。
綺麗だけど、儚い……本当の、『虹』みたいな光に……

≪サーシャっ!?サーシャ!?俺、俺、お前のこと好きだったんだぞ!?
 お前が結婚しても、お前が幸せになんならそれでいいと思ってよぉっ!?それでもお前が好きで、好きで、すっげぇ好きでっ!?
 ブリミルに喚ばれて、お前に会ってから、お前のことが、お前の目が、お前の笑顔が、お前の心が、お前の全てが……≫

デルフ……ううん。『デルフィニウム』の記憶、って言った方がいいのかなぁ?
その叫び声が、雨にかき消されそうになりながら、哀しく響いた。
腕があれば、最後に『ガンダールヴ』――サーシャを抱きしめられたのにって、そう嘆くように……

幻の中の雨粒が、冷たく、ボク達をすり抜けて地面に落ちていく。
誰かの涙みたいに、止まること無く、流れ落ちていく。

≪……ぅ、うぁああああああああああぁぁあぁぁあぁああああああああ!!!!!!≫





幻の雨が止んで、ボク達は、戻ってきた。
デルフの……悲しすぎる記憶から、今という場所に戻ってきた……はずなのに……
まだ、あの雨の感覚が残っていた。

「……」
「――ヘッ、青臭ぇなぁ。どーにも……」
「デルフ……デルフィニウム……さん……?」

ルイズおねえちゃんは、『デルフ』って、呼びにくかったみたいだ。
あんな記憶を見せられた後だから……しょうがない、よね……?

「……思い出すのがよ、怖かったのよ」
「……え?」

あの雨のはじまりみたいに、デルフがポツリと、呟いた。

「いや、分かってんのよ?生きてりゃ、相応に楽しいこともありゃ悲しいこともある……
 だけどよぉ……俺、馬鹿すぎるだろーがよ!いつか、好きな人が先に死んじまうことが分かってたってのによぉっ!?」
「っ!?」

デルフが、叫んだ。
錆だらけの剣身が、ビリビリと震える。

「あぁ、畜生、畜生!ブリミルにゃカッコいいこと言おうとしたけどよっ!結局ぁ俺っち、怖かっただけなんだよ!
 好きな人に、皆に、忘れられたまんま犬死にしちまうのがさっ!!だから、せめて記憶と意志だけでも残そうと……」
「デルフ、あんた……」
「それがどうよっ!?何もかんも忘れたくなるほど悲しいことばっかで……畜生っ!
 馬鹿だったんだよっ!命や想いなんかを弄ぼうとした、フォルサテも、俺もっ!!」
75ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 18:03:02 ID:oP3V3lGr
デルフの気持ちは、分かる気がする。
死にたくない。生きていたい。忘れられたくない。
その気持ちが、痛いほどによく分かる。
……でも、その後悔を慰められる言葉は、見つけられそうにも無かったんだ……

「俺は……『神の頭脳』なんかじゃねぇ……ただの……臆病者さぁ……」
「デルフ……」

沈黙が、『記憶の場所』を支配する。
先に進まなきゃいけないのに、その元気も無くなってしまうほどに。
……あの雨は、それだけ、冷たくて、悲しかったんだ……



沈黙を切り裂いたのは……
切り裂かれるような突風だったんだ。

「――……あ、終わり?もう終わったの?
 うーん!すっごくカンドウテキー。感動しすぎちゃって……反吐が出るわぁッ!!」
「っ!?」
「きゃっ!?」

声と同時に、その姿がボクとルイズおねえちゃんの間に割って入る。

異様、としか言えない姿だったんだ。

「あれれぇ〜?どーこかで見た顔でーすねぇ?んー?」

ちぐはぐな色や模様の布をつなぎ合わせた服から、ギンギラに輝く義手が伸びていて、
まるでお芝居の道化師の役みたいな格好。
でも、その上に乗っている顔は、楽しげで華やかなものなんかじゃなくて……
痩せこけて、何かに取り憑かれたになっているけど、間違いなく……

「わ、わる……」
「――ワルドッ!」

ワルド。あのハゲタカのような鋭い目は忘れようにも忘れられない。
ルイズおねえちゃんを、裏切ったワルド。
あのワルドが……なんでこんなところにっ!?

「はい、ピンポンピンポ〜ン♪ ワルド様のぉご登場でっす!
 正解者にはァ……ご褒美ィっ!!イイィッ!」
「うわぁっ!?」
「っ!!!!」

ワルドが腕をふっただけで、風が巻き起こる。
以前うけた『ウィンド・カッター』よりも、
ずっと研ぎ澄まされた風の刃だ。
前のがカミソリみたいって言うなら、
今度のこれは、斧の一撃。
ズンっていう重さが加わっていた。

「ワァアア〜……シェィッ!!」
「くっ!!」

しかもそれが、何発も同時に巻き起こる。
何をしたのかは分からないけども……
ワルド、すっごく強くなってしまっている……!
避けるのが精いっぱいだ……!
76ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/02/27(土) 18:04:03 ID:oP3V3lGr
「わ、ワルド、あなたどうしてっ!?」
「ルイズ、知りたいのかい?知りたい?じゃーあぁ

                       ……教えな〜い♪」


おどけた調子で、ワルドがルイズおねえちゃんの質問に答える。
一々、腹が立つようなそんな言い方だ。

「ふ、ふざけないでっ!!」
「ゴメンナサーイ。まぁ、君達の力を、確かめにィ来たんだけどねぇ〜」

自分のお尻を、ペンペンって叩きながら、ワルドは自分から距離を取った。
さっきの風で切り崩された壁や石畳の床が、いつの間にか一ヶ所に集まっていて、
ちょっとした尖塔のような格好になっている。
まるで、ガレキの塔。
ワルドは、そのてっぺんまで、スキップをしながら駆けあがった。

「――私達の?」
「力……?」
「さて、それではー!んー、ゴホンゴホンゲホーンっ!
 あーあー、本日ハー晴天ナーリー……コホン……
 死ぬ準備は、いいですか?」

ガレキの塔のてっぺんで、ワルドがポーズをとりながらそう聞く。

「できてないなら、お気の毒♪」

合わせるように、ワルドの声が真後ろから響く。
『風の遍在』……!
ワルドの得意魔法だ!

「っ!」
「ワルド……」

「悪い子には――」
「お仕置きィっ!!」

死ぬ準備なんて、できているわけがない。
悲しみに震えたままのデルフを、ボクはぎゅっと握りしめた。
……記憶の中の『ガンダールヴ』と同じように、ルーンを輝かせて……

----
本日は、以上です。
色々妄想で変な設定追加して申し訳ないです。
デルフの悲しい過去、こんな感じじゃないかなぁと手前が勝手に考えたものですので、
「無いわーw」で一笑のもと切り捨ててしていただいて結構でございます。
さて、次回、久々なワルドさん戦です。
……ほんと、捏造ばっかりでごめんなさい。
では、お目汚し、失礼いたしました。
77名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 18:04:44 ID:PConfKSw
しえん
78名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 18:08:37 ID:PConfKSw
投下乙。
捏造設定というと聞こえは悪いけど、作品を面白くするために手を加えるのは、二次創作として間違ってないんだぜ!
問題になるのなら、「これが本編の設定だ」といわんばかりに本編準拠を謳いながらいうことであって。
クロスではそんなに問題ないと思う。

次回も楽しみにしています。
79名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 18:37:29 ID:p+7Tl0Kq
異なる世界観のもの同士をクロスさせたら捏造設定が入らざるを得ないもんな。
だから後は面白さという名の説得力の問題だけだ
80名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 19:30:00 ID:3ogQaIZC
乙。

……このケフカがとち狂ったようなワルドは何なんだろう……。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 19:39:33 ID:E0mTecP0
あーやっぱりケフカ風味だよね、このワルド
82名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 19:41:36 ID:yhhOq9YS
ケフカ乙ー
83三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:04:04 ID:DRALPc/z
代理依頼があったので7分より投下させていただきます。
84三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:06:53 ID:DRALPc/z
 投稿します。
 クロス元は「ゼルダの伝説 時のオカリナ」より妖精ナビィ、
「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面」よりムジュラの仮面が、才人と一緒に
タバサに召喚されます。ちゃんとルーンは虚無のルーンです。
 ルイズはというと、シルフィードを召喚しています。

 この時点でご都合主義バリバリなので、そういうのが嫌いな人は
スルーしてください。
 それから両ゼルダゲームのネタばれも含むので、それが嫌という人も
ご注意を。
 また、タバサが召喚している通りタバサがメインヒロインなので、
タバサ嫌いの人も読まれない方がいいかもです。
85三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:08:41 ID:DRALPc/z
 半島状の大陸からなり、大きく5つの王国が存在する土地、ハルケギニア。
その西部に位置する、旧き時代からの伝統を重んじる王国、トリステイン。
この国の貴族の中でも筆頭とされるヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・
フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、今人生の転機とも
いうべき儀式の最中にあった。

 ここはトリステイン魔法学院。その名の通り、魔法を使えるメイジ、即ち
選ばれた力を持つ存在たる貴族たちに、魔法の術を学ばせる場所。
そして今日という日は、そのメイジのパートナーである、使い魔召喚の儀式
の日だった。

「ミスタ・グラモン、前へ!」
「はい!」

 引率の教師コルベールに、クラスメイトの名が次々と呼ばれていく。
それとともにルイズの鼓動も早まっていく。
――大丈夫、きっとうまくいく…やってみせるんだから…
 手にした杖を握りなおしながら、必死に自分に言い聞かせてみる。
――今日のために必死に勉強したんだもの、できないわけ、
ないじゃない……
 しかし、
――それでも、もしまた失敗したら……?
 しかし、その思いは実に弱々しく、自信に欠けるものだった。

 それは、彼女が劣等生だったからだ。
 国内でも3本の指に入る大貴族の娘、その華々しい肩書と裏腹に、彼女は
魔法が全くの不得手だった。火、水、土、風からなる四系統の魔法はおろか、
基礎であるコモンマジックさえ使いこなせない。
 呪文を唱えて起きる結果は、ただ一つ。

 爆発――。

 どんなに正しく呪文を唱えても、どんな風に魔力を込めても、起こす結果は
爆発、爆発、爆発の繰り返し。
 両親からは、そのことを何度嘆かれたことか。2人の優秀な姉たちと自分を
比べ、何度劣等感を感じたことか。同級生たちに莫迦にされ、何度虚勢を
張ったことか。

 そしてついた二つ名は、『ゼロ』。魔法成功確率ゼロパーセントの、
『ゼロのルイズ』――

 これまでの結果が、そしてその二つ名が、ルイズから自信を奪っていた。
そして、今回も失敗しないという保証はどこにもなく、ルイズの心は
不安の鎖に締め付けられていく。
86三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:09:49 ID:DRALPc/z
――でも、今日ばかりは失敗なんてできない

 それでも、やるしかないということも判っていた。使い魔の召喚はメイジ
にとって神聖なものであると同時に、進級のための試験でもある。
 今日失敗すれば、自分は落第、悪くすれば、退学させられて実家に連れ戻
されることになってしまうのだ。
 我知れず、ルイズは既に召喚を終えた同級生たちを見やる。皆様々な生き物を
召喚し、早速の交流に努めていた。
 果たして自分はあの中に加わることができるのだろうか。それを思うと、
胸が――大きくもないくせに――鉛と化したように重く感じられた。

――こんなこと、考えてちゃダメ!
 ルイズは小さくかぶりを振り、悲観的な考えを払おうとする。こんな気持ち
では上手くいくものもいきはしない。そう、技術がなくても、気持ちで負けては
そこでおしまいなのだ。

「ミス・ヴァリエール、前へ!」
 そして、とうとう自分の名が呼ばれた。
「は、はい!」
 心臓が鐘楼のようにけたたましく鳴り響く。できることなら、逃げ出したい
ほどの恐怖が、全身を苛んでいる。
 けれど、ルイズは真っ直ぐに前を見つめ、一歩を踏み出した。
 彼女は貴族、決して目の前のことから逃れるつもりはない。魔法が使えようと
使えまいと、その心得だけならば、彼女は間違いなく貴族だった。
「お、ヴァリエールの番だぜ」
「さて、今日はどのくらいの威力かな?」
「ルイズー、ほどほどにねー、私の使い魔が驚くから」
 クラスメイトが投げてくる野次が、その思いに拍車を掛ける。もし彼らの
言う通りになったらという考えが頭をよぎるが、あんな言葉に負けたくない
という気持ちの方が強い。
――見てなさい、私だって、私だってメイジなんだから!
87三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:11:15 ID:DRALPc/z
「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……」
 位置につき、呪文の詠唱を始める。
「5つの力を司るペンタゴン……」
 もはや後には引けない。希望と恐怖が胸の内でせめぎ合う中ルイズは呪文を
完成させた。
「我の運命に従いし、“使い魔”を召喚せよ!」
 その言葉が放たれた瞬間――

――彼女の眼前が爆ぜた。

 眩い閃光が宙を貫き、耳をつんざく轟音が虚空を揺らし、濛々たる黒煙が
周囲を覆う。
 その現実に、ルイズの心は折れた。
「……こんな」
 足から力が抜け、地にへたり込む。
「こんなのって……」
 頬を、冷たいものが伝った。もはやその心には絶望感さえなく、ただただ
虚しさが意識を支配していく。
 そのいたたまれない姿に、心ない生徒たちはいつものように野次を
飛ばそうとした。

 しかし――

「きゅいー!!」

 刹那、周囲の動きが全て止まる。突如上がった、イルカに似た高く澄んだ声。
それが、ルイズの起こした爆煙の中から聞こえてきたために。
――まさか……
 俯いていたルイズも顔を上げ、身を起こす。空虚だった心に、希望が差し
始めるのが判った。鼓動が、先程までとは違った意味で勢いづくのを感じた。

 徐々に晴れていく煙の中から、まず露わとなったのは、青い翼。コウモリに
似た、けれど青い鱗に覆われた一対の翼に、同じ色の胴から生えた四肢。
全長は6メイルほどで、尾と同じく長い首の先には角の生えた、そして耳の
ない爬虫類特有の頭部が付いている。
88三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:12:45 ID:DRALPc/z
「おい、うそだろ?」
「あの、ゼロのルイズが……」
「これ、夢じゃないわよね?」

 同級生たちがざわめく。しかし、それが気にもならないほどに、ルイズは茫然
としていた。周囲もこの現実が信じられないようだが、それは彼女も同様だ。
嘘。信じられない。ありえない。その混乱とさえいえる心境のまま、彼女は
目の前の存在の、一般的な呼称を呟く。
「風…竜…」
 その言葉に反応し、周囲を見回していた竜は、彼女に目を留めた。

「きゅい?」

「……!」
 その声にルイズは我に返ると、思わずその竜に駆け寄り、そして抱きつく。
「きゅ、きゅいいぃぃ!?」
  召喚した風竜が戸惑ったようにいななくが、ルイズは手を緩めない。
「……よかった……」
 瞳から、滴が零れた。先程の冷たいものとは違う、温かな滴が。
「よかった……ちゃんと、来てくれた……成功、できた……」
「……きゅい」
 鼻をすすりながら言葉を続ける彼女に、風竜は、彼女の使い魔は、ただ
されるがままでいてくれている。それが嬉しくて、また抱きしめる力を強める。
「(なんだか、あまえんぼな子に召喚されちゃったのね、きゅいきゅい)」
 そして、今抱きついている者から小さな呟きが漏れたことに、最強の
幻獣種を召喚した感動のさなかのルイズは、気付くこともなかった。
89三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:13:51 ID:DRALPc/z
 草地に腰をおろして本を広げながら、雪風のタバサは、ピーチブロンドの級友が
風竜を呼び出したことを、多少の驚きと、幾らかの納得を以って眺めていた。
「驚いたわね」
 その彼女の横では、親友であるキュルケが髪を掻き上げながら呟く。彼女
自慢の赤毛が舞い上がり、見るも華やかといった印象だ。
「まさか、あのルイズが風竜を召喚するなんてね」
 そうして話している間にも、件のクラスメイトはコントラクト・
サーヴァント、使い魔との契約をしていた。
「きゅ、きゅいいぃぃ……!?」
「だ、大丈夫、我慢して、使い魔のルーンが刻まれてるから、もう少し頑張って!」
 ルーンの刻まれる痛みに苦悶する竜を、ルイズが自身も泣きそうな顔で
宥めている。やがて契約を済ませ終わると、コルベールが珍しいルーンだと
スケッチを始めた。
 そこまで見届け、本に視線を移すと、キュルケが問い掛けてくる。
「貴方はあまり驚いていないのね?」
 不思議そうに尋ねるキュルケに、タバサは本を読みながら答えた。
「彼女の普段の姿なら、ある意味納得できる」
 必要最低限の答えだが、それは彼女の本心だった。普段の姿といっても、
教室で呪文を失敗している時の話ではない。その失敗を成功に変えようと、
ゼロの二つ名を返上しようと、陰で努力していることだ。
 あの必死な姿を一目でも見れば、それがこういう形で実っても
おかしくはないと思って然るべきだろう。
「そうねえ」
 キュルケもそれを理解しているのか、1つ溜息をつくと傍らの
サラマンダー、彼女が先程召喚した使い魔のフレイムを撫でた。
「今回は、この子を召喚した私が1番の当たり引いたと思ったけど、
流石に風竜には負けるかしらねえ」
 そういうキュルケの瞳には、嫉妬の類は一切浮かんでおらず、むしろ
どこか寂しそうなものが感じられた。彼女が、魔法を使えないルイズを
よくからかっていることは知っている。けれど、それが決して彼女を
揶揄するのが目的でないことも、またタバサは承知していた。

 ルイズはそのプライドの高さもあってか、失敗をする度にひどく落ち
込む。そんな時に限って、キュルケは負けず嫌いな彼女を挑発し、怒らせ
ついでに立ち直らせてきた。この赤毛の友人がいじめっ子な側面を
持っているのは確かだが、本当に苦しんでいる者にはいつもそれとなく
お節介をやく。タバサは、彼女のそんなところが好きだった。

 そんな彼女にとって、ルイズが成長の一端をみせたことは、祝福と寂し
さが入り混じった複雑な心境なのだろう。からかうのを楽しんではいるが、
頑張ってももらいたい。成功したのは喜ばしいが、元気づけついででいじれ
ないのはつまらない。わがままにもほどがあるが、とても暖かなわがままさだ。
タバサもまた、余り関わりのないクラスメイトの成功を、心の片隅で祝福した。
90三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:14:49 ID:DRALPc/z
「ミス・タバサ、前へ!」
「あ、ほらタバサ! 貴方の番よ」
 コルベールの呼び掛けにキュルケが気付き、タバサの肩を揺らす。
「わかった」
 短く答えて本を閉じ、タバサは立ち上がった。その顔は、努めて
ポーカー・フェイスに保っている。
「あら? タバサ」
「なに?」
 キュルケに呼び止められて振り返れば、彼女は珍しいものを見る目で
こちらを見ていた。
「貴方、もしかして緊張してる?」
「……」
 無表情だったつもりが、あっさり見破られた。この勘の良さも、彼女の
特徴の一つだ。そしてその彼女は面白そうに微笑んでみせると、タバサの
頭を撫でる。
「大丈夫よ、貴方だったら、あの風竜に負けないような召喚ができるわ」
 妹にかけるような優しい声。タバサはそれに頷いてみせると、儀式へと
向かっていった。

 しかし、タバサの本当の不安は、儀式そのものとは別にあった。それは、
彼女の名前のことだ。

 タバサ。その名前は、本名ではない。そもそも、その名前は普通人に
つけるような名前ではない。そして、彼女の本当の名は、キュルケにさえ
話していない。

 けれど、彼女は儀式で本名を名乗るわけにはいかなかった。彼女が今
名乗っている名は、彼女自身の決意を表す名。その決意を達するまでは、
この名を捨てる気はない。

 そして、仮にここで本名を明かせば、キュルケは間違いなく偽名を
名乗っていた理由を自分に問い詰めるだろう。そして、その理由を
聞けば、必ず彼女を巻き込むことになる。これはあくまで自分の
個人的なこと。彼女を巻き込むことは本意ではなかった。

 だが、この儀式でタバサを名乗れば、それは神聖なるこの儀式を
汚すことになる。果たしてそれで儀式が成功するのかどうか、それが
彼女には不安だったのだ。

 その思いを抱えながらも、彼女は儀式の位置につく。
そして軽く息を整えると、意を決して使い魔召喚の呪文、
サモン・サーヴァントの呪文を唱え始めた。
91三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:15:46 ID:DRALPc/z
「我が名はタバサ」
――始祖ブリミル、どうか今だけは、偽りの名で儀式を行うことを
許してください……
 始祖と呼ばれ、神格されたメイジに祈りを捧げ、儀式を続ける。
「5つの力を司るペンタゴン、我の運命に従いし、“使い魔”を召喚せよ」
 呪文を完成した瞬間、銀色の閃光が扉となって、彼女の眼前に現れた。

 しかし、彼女は知らない。彼女が祈った相手が、子孫へ残した秘宝の
秘密を、注意書きごと謎として残してしまうほど間の抜けた人物である
ことを。
 その上、自分の使い魔にさえ頭が上がらないほど情けない男でもあると
いうことを。

 そんな人間に祈りを捧げた後に、偽りの名で儀式を行った結果が
どうなるか、この時点では誰1人として知る由もない。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 21:18:06 ID:W8BdEwG6
既に避難所に投稿されてなかったか?
93名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 21:23:58 ID:W8BdEwG6
すまん、まとめサイトの間違い
94三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:28:59 ID:G78Qwqoi
力の女神ディン、知恵の女神ネール、勇気の女神フロル、黄金の
三大神と呼ばれた女神たちにより創造された光の世界、ハイラル。
 その南東部に広がる深き森で、妖精ナビィは生まれ育った。

 この森は、生涯子どもの姿で、自分だけの妖精をパートナーとする
種族コキリ族が住んでいる森。
 人が立ち入ることもなく、魔物に脅かされることもない、精霊たる
大樹デクの樹により守られた平和な場所。

 けれど、その平和は、野心に満ちた1人の盗賊によって破られた。

 デクの樹の命を受けたナビィは、森に住む1人の少年、コキリ族で
ありながら、何故か1人だけ妖精を持っていない少年の相棒として
遣わされる。それから、ナビィと少年、リンクのハイラルの命運を
懸けた冒険が始まったのだ。

 その旅路の最中には、様々なことがあった。神に選ばれた姫、
ゼルダとの出会い。さまざまな部族との交流と、邪悪な魔物たちとの
戦い。
 そして、やがてリンクとナビィは、彼がコキリ族ではなく、神の声を
聞くための長き耳を持つ民、ハイリア人であることを知る。

 時さえも越えるという信じがたい戦いの果てに、彼女とリンクは
全ての元凶、大魔王ガノンドロフとの決戦に臨んだ。伝説の戦士、
時の勇者へと成長したリンクは伝説の退魔の剣、マスターソードと
7人の賢者、そしてナビィの力を借りて、ガノンドロフを闇の
彼方へと封印した。
 戦いが終わり、時は平和な流れを取り戻すことができた。
長い冒険の末、リンクは彼のあるべき時、あるべき姿へと帰ることが
できたのだ。

 そして、それは、ナビィとリンクの別れの時でもあった。
95三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:30:22 ID:G78Qwqoi
「(さようなら、リンク……)」

 時の神殿で、マスターソードを再び眠りにつかせた相棒から、
ナビィはそっと離れていく。
 自分が彼とともに旅していた理由は、ハイラルを危機から救うため。
そして、自分たちはそれを果たしたのだ。
 いずれ、森の民コキリ族でないリンクは、森を捨て外の世界へ旅立って
いくだろう。けれど、自分の住むべき場所は、あくまで森の世界なのだ。
 彼とともに、行くことはできない。

「(リンクはもう、ナビィがいなくても、大丈夫だよね)」

 リンクの方も、それを判っているのだろう。頭上はるか高くにある、
日の光がさんさんと差し込む窓へと向かっていくナビィの姿を、黙って
見つめている。

「(リンクと冒険できて、楽しかったよ)」

 羽を揺らすごとに、思い出が蘇ってくる。哀しかったこともあった。
楽しかったこともあった。驚くべきこともあった。それをこの、勇敢で、
優しくて、寝ぼすけな勇者とともに歩んできたのだと思うと、別れへの
辛さと、この上ない誇らしさが胸を満たす。

 最後に見た相棒の顔は、やはり淋しさが浮かんでいて、けれど、決然と
した凛々しさもあって、そして、僅かな涙が、その目尻に光っていた。

「(ありがとう、私の相棒……)」

 そして、ナビィは日の光に満ちた窓の外へ出る。視界が、眩い白の光に
満たされていった。
96三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:31:36 ID:G78Qwqoi
「……え?」
 しかし、ナビィはすぐに異変に気付く。
「なに……これ……」
 窓の外へ出た瞬間、彼女を待っていたのは、白一色の世界だった。上下、
左右、どちらを向いても白い光で覆い尽くされている。
「……どうなってるのかしら? これも時の神殿の力?」
 困惑するも、ナビィはしいて気を落ち着かせ、この状況の分析に努めた。
この不可解な現象、時の神殿を入り口以外の道を使って出ようとした影響
なのだろうか。なにしろ7年もの時間を渡るような力を持っている場所
である。こういった奇妙なことが起きても、不思議ではないかもしれない。

 そこで、ナビィはこの場所がかなり強力なエネルギーを帯びた場所で
あることに気付いた。灼熱の火山や氷の洞窟、はては湖の底でも活動
できる妖精には問題になるレベルではないが、普通の生物ならば相当の
苦痛を与えるだろうことが判る。

「ああっ……がぁ……」
「?」
 奇妙な声に目を向けてみれば、いつのまにかそこには人影があった。
青いフードつきの服を着た少年がこの白い空間に浮かび、悶えている。
「ちょっ、貴方! 大丈夫!?」
 慌ててナビィはその少年の方に飛んでいくが、少年はよほど痛みが
ひどいのかまるで気付いた様子がない。
 あまりの悶絶ぶりにナビィの持ち前のお節介根性が膨れ始めるが、
生憎と彼女は他人を癒す類の能力に持ち合わせがない。

 どうしたものかとやきもきしていると、視界に何か別のものが近づいて
くるのが見えた。
「なんだろう、あれ?」
 目を凝らす間にも、その輪郭が徐々に明らかになってくる。それは
仮面だった。輪郭はハート型で、上部の縁に角が1対、中央から下方の
縁にそれより小さい角が4対ずつあり、毒々しい色遣いがなされて
大きなオレンジ色の眼が存在感を主張している。
 そして特筆すべきは、その仮面からかなり強力な魔力が感じられると
いうことだ。
 ナビィが少年と、仮面の両方に注意を向けていると、俄に周囲の空気が
揺らぎ始める。
「え!? 今度はなに!?」
 驚きながら周りを見回していくと、急に体が何処かへ引っ張られて
いくのを感じた。
「すっ、吸い込まれていく!? いったい、一体何なの!?」
 叫びながらも、ナビィと少年、そして仮面は、謎の吸引力そのままに
運ばれていった。

 そして次に視界が開けたときには――

「……」
 草原の上で、小柄な青い髪の少女の視線を、謎の空間の道連れ2名と
ともに浴びていた。
「(もう、なにがなんだか……)」
97三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:33:21 ID:G78Qwqoi
以上、とりあえずプロローグの終了です。才人とムジュラの仮面の出番が
ありませんでしたが、そちらは次回からということで。



 三重の異界の使い魔たちの第1話投稿します。今回からは、サブタイトルを
付けていきます。
 全編ムジュラの仮面視点、どうぞよろしくお願いします。
98三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:34:58 ID:G78Qwqoi
〜第1話 交わった異界〜

 ムジュラの仮面――時の閉ざされた世界を生き続けた魔物の甲羅から
彫られたその仮面には、その名が与えられている。

 ある民族による呪いの儀式に使われる、血塗られた歴史の魔の道具。
それを被りし物は邪悪で凄まじい力を手にし、世に災いをもたらす
古の呪物。人間の伝説では、そのように語られていた。

 しかし、それは事実とは異なっている。確かに、その仮面は被った相手に
強大な力を約束してきた。しかし、邪悪な災いを呼び寄せるのは、あくまで
仮面の、ムジュラの仮面の意思によってだ。

 そう、ムジュラの仮面は自我を、生命を持つ仮面だった。幾星霜の時を
経て呪いの念と魔性の祈りを浴び続けてきたためか、元々材料となった
魔の甲羅の力がそうさせたのか、ムジュラの仮面は強力な魔力を蓄えていき、
ついには知性を、心を得るにいたった。
 それも、極めて邪悪なそれを、だ。

 だからこそ、ムジュラの仮面は、己を被るものを欲した。自らの力を与える
者を欲した。
 その者の願いを叶えるために。そして、その者の欲望を、利用するために。
 欲望につけ込み、その者の心を握り、自分の目的の通りに動かしていく。
それがムジュラの仮面がもたらす、災いの過程だった。

 やがて人間たちはそれを恐れ、彼を闇へと封印したが、それも永遠に
とはいかなかった。紆余曲折を経てムジュラの仮面は陽光の下に戻り、
そして子鬼の手に渡った。
 それも、ムジュラの仮面にとっては好都合な、心に深い悲哀の闇を抱えた
子鬼に。

 ムジュラの仮面は歓喜のままに、その子鬼に力を与えた。存分に力を振るわ
せた。そして、存分に力を使わせてもらった。
 子鬼の孤独な心、その悲哀のままに世界を呪い、各地に災いをもたらして
いく。そして、ゆくゆくは滅びの月を大地に落とし、全てを等しく焼き尽くす
つもりだった。

 そのことに、特に理由があったわけではない。ただ、呪われた祭器である
自分自身が、これまでその身に宿してきた呪いの念が、彼に災いをもたらす
以外の存在意義を、見出すことを許さなかったのだ。

 しかし、それは打ち破られた。1人の少年と、妖精の少女によって。
99三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:36:23 ID:G78Qwqoi
 緑衣をまとったその少年は、12か13歳程度だっただろう幼さにもかか
わらず、ムジュラの仮面が各地にまいた呪いを、手にする刃で以って払い除け
てみせた。そして、ムジュラの仮面自身すらも、その少年剣士の手にかかった。

 自らが招いた月の内部で、仮面であることを捨て、魔人と化した直接対決の
場で、少年の剣にムジュラの仮面は討ち取られたのだ。

 目的もなく、本能のままに世界を破滅させようとした者と、勇気を奮い、
守るべきと決めたものを守らんとした者。
 今にして思えば、最初から勝負など見えていたのかもしれない。
背負うものが、あまりに違いすぎたのだ。

 少年から最後の一撃を受けた瞬間、ムジュラの仮面は深い脱力感を感じた。
全身から、なにかが抜け落ちていくのが判った。
 意識が、だんだんと深い淵へ沈んでいく。視界が、徐々に白く染まっていく。
もはやものを考える力も、気力も残されていない中、1つの思いが、心に
浮かんでいた。
 災いの時は、もう終わったのだ――

 しかし、と、ムジュラの仮面は思う。

――しかし、それからどうしてこうなっているんだ?

 周囲を取り囲む黒マントの少年少女たち、少し離れた位置にいる禿げかけの
男、そして眼前に立つ青い髪の小柄な少女、自分の隣りにいる妖精と少年を
見回しながら、ムジュラの仮面は思い悩んだ。
100三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:37:28 ID:G78Qwqoi
とりあえず、思い悩んでいる時点で自我は残っていることは判る。その
代わりというべきか、魔力はその大半を、邪気に至ってはほとんど全てを
失っていたが、あの瞬間は命を失う覚悟をしたので、生きているだけで
よしとすべきだろう。

 それはいい。いいのだが、今がどういう状況にあるのかが全く理解できない。
あの少年剣士との決戦からどうなったのか、気が付いてみれば、いつの間にか
この場に浮かんでいた。

 見回してみれば、周囲は青々とした草花の草原で、遠方には城と見紛う
程の荘厳な建物が見え、恐らく周りの者たちが使っている施設であろうと
検討をつける。

 ついたところで、やはり何故こんな場所にいるのかという理由は説明
できなかったが。

「……なんだこれ?」

 わけが判らず考え込んでいれば、不意にそんな声が上がる。見れば、人間の
少年と妖精の少女がこちらに目を向けていた。
 少年と妖精といっても、明らかに自分を倒したあの2人とは違う。妖精の方は、
あの少女が乳白色の輝きだったのに対し藍色に輝いていたし、少年の方はといえば
何もかもが違っている。
 あの少年が金髪碧眼で緑のロングチュニックにとんがり帽子という服装だったが、
この少年は髪も目も黒く、青いフードつきの服を着ており、その上明らかに
彼よりも4つか5つか年上だった。
 なによりも、眼の雰囲気がまるで違う。それなりに気骨がありそうではある
ものの、戦いとは無縁そうな甘っちょろい眼をしており、あの歴戦を物語る
眼光とは比べるべくもなかった。

 そんな分析をされているとも知らず、少年は不審そうな、しかし興味深そうな
眼で、ムジュラの仮面を見据えていた。
「お面が浮いてるって、これどういう仕掛け? 糸とかついてないよな?」
 言いながら、少年はムジュラの仮面の周りを沿うように腕を回していく。
ムジュラの仮面が何かで吊り下げられているものなのか確認しているらしい。
無邪気な行為と呼べるが、ムジュラの仮面はそういうものを容認する性格では
なかった。まして今の精神状態では、苛立たしいにもほどがある。

「やめろ、うっとうしい」

 そのため、気付いた時には、言葉を発していた。そのことに、ムジュラの仮面は
多少の驚きを覚える。自分はこれまで、人間の前で言葉を話そうとしなかった。
それは、あくまで自分を被る相手を利用するため、自我があることを悟られて
警戒を避けるためだったが、邪念の抜けた今となってはそうする理由はない。
 頭ではそう理解しているものの、こうも自然に「話す」という行為を自分が
したことに、僅かながら戸惑っていた。
101三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:38:40 ID:G78Qwqoi
「うおっ! しゃべった!?」

 一方、言葉を向けられた少年の方は、明らかにムジュラの仮面よりも驚いて
いた。平凡な顔に驚嘆の色を浮かべ、まじまじとムジュラの仮面を見つめる。
「すげえ、なんだこれ!?」
「ぬぅっ!?」
 かと思いきや、彼はいきなりムジュラの仮面を両手でつかんできた。
「なにこれ、なにこれ!? どっから声出てんの!? どうやって浮いてんの!?
動力なに!? どんな仕掛け!?」
「ビャビャビャビャビャッ!?」
 興奮した様子で、少年はムジュラの仮面をがくがくと揺らした。揺さぶられて
言葉にならない声を上げながらも、ムジュラの仮面は少年の顔を観察する。
 そこには、混じり気なしの好奇心に輝く満面の笑みがあった。その笑顔に、
ムジュラの仮面は抵抗も忘れて呆れてしまう。
いくら邪気が消えたとはいえ、言葉を操り自らの意思で動く仮面にこうも
物怖じしないとは。先程眼を見て感じた印象に、能天気も付け加えるべき
らしい。
102三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:39:37 ID:G78Qwqoi
「なんというか貴方、いい度胸……というよりいい神経してるね……」
 そこで、青い妖精の少女がやはり唖然とした声で少年に話しかけた。
すると、少年はまたも目を見開く。
「今度はホタルがしゃべった!?」
 叫ぶ少年に、妖精は苦笑いした様子で答えた。
「私はホタルじゃないわ。確かにこの羽は虫に見えるかもしれないけど、
お尻だけじゃなくて全身が光るホタルなんていないでしょ? ほとんど
羽ばたかないで、浮いていられる虫もね」
 妖精の言葉に、少年はなるほどと肯いて見せる。
「え? じゃあ、君なに?」
「妖精のナビィよ、妖精を見たことないんだ?」
「あ、ああ。って、え!? 妖精!? マジで!?」
 少年はまたも驚きの声を響かせ、次いで手にしたままのムジュラの仮面に
目を移した。
「って、ことはなに? もしかしてこれも、魔法のお面とかだったりすんのか?」
「……仮面と呼べ。銘はムジュラの仮面だ」
「あ、ああ。俺は才人、平賀才人」
 ヒラガ・サイト、語感からダンペイ、シロウといったものと同系統の名前かと
判断する。それをよそに少年、サイトは手を離し、なにやら頭を抱え始めた。
「俺、今一体何処にいるんだ?」
――ここに至ってようやくそれか
 自分のすぐそばにいた以上、恐らくサイトもムジュラの仮面と同様突然この
場に来てしまったのだろう。それなのに、これまでその言葉を出さないとは、
どういう思考回路をしているのだろうか。

「……ミスタ・コルベール」

 そこで、これまで言葉を発しなかった、青い髪の少女が口を開いた。
「この場合、どうすれば?」
 頭頂部辺りの禿げた男の方を見ながら、無表情に言う少女。淡々とした
ような声だったが、ムジュラの仮面はそこに動揺の色も聞き取っていた。
コルベールと呼ばれた男はしばらく答えあぐね、悩むように語りかけていく。
「ミス・タバサ、これは伝統なんだ。確かに、複数の召喚に加え、人間の
召喚、残り2名も人格を持つ存在と、あまりに異例尽くしではあるが、伝統で
あり神聖な儀式である使い魔の召喚をした以上、君は彼らと契約しなければ
ならない」
 なにやら話を進めているようだ。聞きなれない単語が多くてよく理解
できないが、どうやら自分たち3人も当事者であるらしい。ならば自分たち
にも話に入る資格はあるかと、ムジュラの仮面が割って入ろうとした時、
コルベールが自分に視線を向けてくる。
「ただ、他の2名はともかく、生物でない彼に関しては……」
 困惑した表情で言われ、ムジュラの仮面は脳内に疑問符を浮かべる。
「生き物でなければいけないのか?」
 聞き返しつつも、少し考えてみた。未だに状況はまるでつかめないの
だから、ここで無生物を理由に放置されると困ったことになる。
 なので、ムジュラの仮面は自分の力を見せることにした。今の力では
最強たる第4形態は無理だが、第2形態位までならなんとかなるだろう。
103三重の異界の使い魔たち 代理の代理:2010/02/27(土) 21:40:57 ID:G78Qwqoi
そうと決めると、魔の仮面はそのオレンジの瞳を力強く光らせ、
全身を唸らせ始めた。
「な、なんだぁ!?」
 すぐ傍のサイトが先程から上げ続けの驚愕の声をあげる間にも、その
変化を続けていく。
 人間の顔と同じ、せいぜい30センチ程度だった大きさをみるみる内に
膨張させ、10倍近い大きさまで肥大化させた。次いで、側面から生えた
角を、まるでヒレのようにゆらゆらと揺らす。仕上げとばかりに、
背面からは褐色の触手を幾十本も伸ばし、蛇のようににゅるにゅると
うごめかせてみせた。
 他人に被られるための第1形態から、自ら戦うための第2形態へ。その
変貌を遂げたのを確認すると、ムジュラの仮面はコルベールとタバサと
呼ばれた青い髪の少女の方に向き直る。
「これなら、生き物らしく見えるかな?」
 触手の1本を掲げて見せながら、呆気にとられた表情のコルベールたちに
問いかけてみた。そこで、不意に別の触手が引っ張られるのを感じる。
「ほんとすげーな、これマジで種も仕掛けもないのかよ?」
 見れば、ヒラガ・サイトが自分の触手を1本つかみ、観察していた。その
好奇心がむき出しの姿に、ムジュラの仮面はいっそ感心してしまう。
「なるほど、思っていたよりも更に能天気なようだな……」
「ひでえ言われ様だな、おい」
  軽く眉をしかめてサイトは抗議してくるが、ムジュラの仮面はそう言われ
ても仕方がないだろうと思っていた。

「3名とも、生きていることは確認した」
 そこで、タバサの声に再び注意を向ける。身の丈より長い杖を持つ眼鏡を
かけた少女は、彼らを見回していた。そして、サイトに視線を固定すると、
彼の方へ歩み寄っていく。
「え、な、なに?」
「……」
 怪訝とするサイトをよそに、タバサは無言。かと思えば、彼女はおもむろに
サイトの肩を片手でつかんだ。
「え、ちょっ、だからなんだよ!?」
「動かないで」
 思いっ切り慌てふためくサイトだが、タバサはそれに答えずに短く命令を
下す。そして、サイトは動揺しながらも言葉の通りおとなしくなった。
根性はあるかと思ったが、どうやら異性には弱いらしい。
 そして、彼女はもう片方の手で持った杖を軽く掲げ、詠う様な調子で
言葉を紡ぎ始めた。
「我が名はタバサ」
「あ、うん。俺は平賀才人」
 恐らく呪文の類の一部なのだろうが、サイトは自己紹介と勘違いした
らしく自らも名乗る。
「5つの力を司るペンタゴン」
 タバサはそれを無視し、何事かを唱えながらもつま先立ちになった。
「この者に祝福を与え」
 そして、段々と2人の顔が近づいていく。タバサの方がサイトより大分
身長が低いので、彼女は大きく背伸びしなければいけなかったが。
「え……?」
 初対面の少女が顔と顔の距離を縮めてくるという事態に、サイトは当惑の
色を強めていたが、混乱のあまりか固まってしまっている。
 そして――

「我が使い魔となせ」

 ――その言葉が放たれた瞬間、2人の唇が重なっていた。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 21:44:18 ID:q3kJQmlj
遅れたが支援
……これってシルフィードがガンダールヴってことか?
才人はガンダ無しだが仮面憑きか
105三重の異界の使い魔たち 代理:2010/02/27(土) 21:49:54 ID:DRALPc/z
 以上、今回はここまでです。ルイズ、タバサ、ナビィ、ムジュラの仮面と
続いたので、次回は才人視点中心になります。

 ちなみに、ムジュラの仮面が魔物の甲羅から彫られたというのはマンガ版の
設定です。ゲームしかしてない人はごめんなさい。
 ちなみにムジュラの仮面の口調はスタルキッドの顔から外れた時のものと、
月の内部の草原でムジュラの仮面をかぶった子どものものの中間をイメージして
います。ゲーム中ほとんどセリフないので微妙ですが……(笑)。

 それでは、お目汚し失礼しました。次回もがんばります。
* * * * *
106名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 21:50:57 ID:FvYN/bHc
最初題名を見て三重県がどうしたんだと思ってしまった
107名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 21:55:25 ID:3ogQaIZC
なんか本スレ向きじゃない気がするが、ともあれ乙。
108名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 22:24:19 ID:uWxQoKEk
>>76
なんと言うケフカ……このワルドは間違いなくCV:千葉繁
109名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 22:28:01 ID:syblypW+
ケフカっつったら唯一笑い声が用意されていたキャラなんだよな
110名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 22:36:29 ID:GSrx0vvz
ノーメイクのケフカは超イケメンだったからワルドは適役か?
111不思議な大晦日 ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:20:25 ID:OSN7KXDQ
23:25から小ネタを投稿します。
クロス元は「クレヨン王国の十二か月」で、「ユカ」が召喚されます。
112不思議な大晦日 ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:22:19 ID:OSN7KXDQ
申し訳ありません、投下予告にミスがありました。
ジョゼフ1世がユカを召喚です。
113不思議な大晦日@ ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:25:15 ID:OSN7KXDQ
「不思議な大晦日」

 大晦日の夜でした。
 ユカはもう明かりを消して、ベッドの中で目を閉じていました。
 静かです。
 ユカはふっと息をつきました。
 何だか眠れません。1年の最後の晩だと思うからでしょうか。
 でも大晦日といっても、普通の冬の夜とちっとも変わりはありません。
 いったいどうして今日が大晦日なのでしょう。どうして1年は365日なのでしょう。誰がそれを決めたのでしょう?
(あたしなら、もっとわかりやすい数にするな)
 とユカは思いました。例えば1年は300日の方がよっぽど感情が楽です。
 いや、いっそ1000日にしたらどうでしょう。そうすれば、小学2年生のユカはまだ2歳半というわけです。30歳のママはやっと10歳。そして禿げ頭の校長先生だって18か19なのです。
(あの校長先生が18歳)
 そこまでユカが空想した時、変な事に気が付きました。廊下の方が灯りも無いのにぼんやりと明るいのです。
 鈍いもやのような明るさが漂っているのです。
 その明るさが漏れている向かいの部屋から密やかな話し声がしました。
 ユカは部屋の中を覗き込みました。
 何という光景だったでしょう。
 11人の少年少女達が円の形に並び、会議でも開いているようなのです。
 少年少女達は、めいめい色違いの洋服と靴ととんがり帽子を被っていました。
 そしてよく見ると、その円陣の真ん中に1人の老人が座っていました。それは髪も眉毛も髭も真っ白な老人でした。
 少年少女達は老人が何か喋るのを一生懸命聞いているようです。
 ユカも耳を澄ませました。
 すると、木の葉の擦れ合うようなさやさやという音が、だんだんはっきりした声になって聞こえ始めました。
114不思議な大晦日A ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:29:40 ID:OSN7KXDQ
「大変な事になった」
 と、老人は年取ったいかめしい声で11人の少年少女に言いました。
「よいかな、心を落ち着けて聞いてもらいたい。今から10時間前、我がジョゼフ1世様が突然どこかへ行ってしまわれたのじゃ。つまり家出をなすったのじゃ」
 少年少女達は驚きのあまり、その体ほどにも跳ね上がったりぶっ倒れたりしました。
「王様がいなくなれば我がガリア王国がどんな風になるかは、みなもよく承知のはずじゃ。
王様は太陽じゃ。光じゃ。王様を失えば我々はだんだん色を失って、つまり世界は白黒写真のように形と影だけになってしまう。赤いリンゴも緑の葉も青い空ももう2度と見る事ができないのじゃ。
そうなればもう悪魔の国じゃ。人間も滅びてしまう。ハルケギニアも死んでしまう。もしこの1年のうちに王様を連れ戻さなければ、そういう恐ろしい事になる。
そこでわしは総理大臣として、イザベラ王女にすぐ王様を探しにお出かけになるようにお願いした。
つまり王様は逃げ出された。王女様は王様を連れ戻しに旅立たれる。これは長くて難しい旅になる。
というわけは、ジョゼフ1世様はイザベラ王女に宛てた書き置きの中で、王女様が12の悪い癖を直さない限り絶対に戻ってこないと仰っておられるのじゃ」
 やっとユカには、それがガリア王国の閣議だという事がわかりました。老人が総理大臣、11人の少年少女はそれぞれの大臣というわけです。
 老人は両手を広げて、賞状でも読むように王様の家出の書き置きを読み上げます。
「『イザベラよ。私は貴女が12の悪い癖を改めてその位に相応しい女になるまでは、断じてお城には戻らぬぞ。
その12の欠点とは、1.散らかし癖 2.お寝坊 3.嘘吐き 4.自慢屋 5.欲しがり癖 6.偏食 7.意地っ張り 8.げらげら笑いのすぐ怒り 9.けちんぼ 10.人のせいにする 11.疑い癖 12.お洒落3時間』」
 ユカは老人が1つ1つ読み上げる度にひやりとしました。というのは王女様の悪い癖はどれもこれも身に覚えがあって、まるで自分の事のような気がしたのです。
 老人は唇でも舐めているのか、髭をもぞもぞ動かしてから続けます。
「このお言葉から察すると王様のご決心はなかなか固い。王様を見つける事も大変なら、見つけた王様を連れ戻す事はなおさら大変である。
そこでわしは総理大臣として諸君が治めている12の地方にお願いしたい。イザベラ王女の旅を守り1日も早く王様を探し出すよう、みんなが心を合わせてくれ。もし王様をかくまったりすればその者は重く罰するぞ。
それにつけてもじゃ、王女様の長い道中を守り、ご退屈の時には話し相手となり、あの気まぐれなお方の心をいつも励ますお供の者が是非必要である。その者は知恵も勇気もあってとんちも利く者でなければならん。誰かそういう者を知らないか」
『さあ……』
 と11人の大臣達は、首を捻ったり腕を組んだりおでこを押さえたりして考え込んでしまいました。
 話の様子では、イザベラ王女はよほどわがままで気難しい人のようです。
115不思議な大晦日B ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:31:16 ID:OSN7KXDQ
 小太りの少年が溜め息混じりに言います。
「王様が逃げ出すのももっともだよ。あの方の散らかしようときたら!」
 金髪縦ロールの少女が言います。
「何しろあの方はおやつの頃に朝ごはんをお食べになるのよ」
 髪の毛が残念な事になっている男性が言います。
「そのうえ嘘吐きですし」
 羽飾りが付いた帽子の若者が言います。
「いくら器量自慢でも、ああ威張られちゃかなわないな」
 金髪で耳の長い少女が言います。
「あの人はまったく欲張りですよ」
 胸に青銅製のバラの造花を挿した少年が言います。
「あの人はお菓子しか召し上がらないのさ」
 青い髪の小柄で眼鏡をかけた少女が言います。
「……あんな意地っ張りな女は見た事もない……」
 同じ青い髪でも背の高い少女が言います。
「今げらげら笑ってるかと思ったら、もうかんかんに湯気を立てて怒ってるのね」
 赤い髪に日焼けした肌の少女が言います。
「けちもあそこまでいけば国宝よ」
 剣を背負った黒髪黒目の少年が言います。
「悪い事はみんな人のせいにするしな」
 その少年が背負っている剣が言います。
「おまけに疑い深いこと! 俺ほんとおでれーたぜ!」
 最後に桃髪の少女が言います。
「そんな欠点はみんな可愛らしいものじゃないの。あのお洒落3時間でいつも待たされてる王様のお気の毒な姿を見なさいよ」
 女の粗探しをするのは、どうやら地球もハルケギニアもちっとも変わらないようです。
 ユカはついくすくすと忍び笑いを漏らしました。
 大臣達は驚きのあまり、カチンカチンに凍ったように突き立っていました。
 ユカは部屋に入って言ってやりました。
「そんなに王女様の悪口ばかり言っていいものかしら?」
116不思議な大晦日C ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:35:12 ID:OSN7KXDQ
 その時です。すーっと背後の扉が開いて銀色の月の光が差し込むように見えたのですが、その光が急に強くなってくると、目の前に美しい女の人が現れました。
 その人は銀のティアラを頂き銀ギツネのコートを着て銀のハイヒールを履き、銀のトランクを提げていました。
 じっと見つめられるのが怖いほど綺麗な人です。
「ありがとう、ユカ。私がイザベラ王女よ」
 とその人は鈴を振るような声で言いました。
「大臣達もお父さまも、私の事なんかなんにも知らないのよ」
 ユカが振り向くと、部屋の中の大臣達はひざまずいて王女にお辞儀をしていました。
「あなただけが私の味方だわ。お願いだから私についてきて。聞いたでしょうけど、私はこの1年のうちにどうしてもお父さまをお連れしなければいけないの。オスマン首相! トランクに12色のドレスを入れたかしら」
「はい」
 と老人はひれ伏したまま答えました。
「ユカの分を早く早く!」
「はいはい」
 大臣達は飛び上がって廊下へと出ていきましたが、やがてそれぞれのドレスと靴と帽子とをささげ持って戻ってきました。
 桃髪の少女はピンクのを、黒髪黒目の少年は黒いのを、赤い髪の少女は赤という具合で、12枚のドレスと靴と帽子をユカの前に積み上げました。
「これで支度はできたわ。さあユカ、行くわよ」
「待って、王女様」
 とユカは叫びました。
「その前に聞きたいわ。王様はいい人なの?」
「そうよ。お父様はハルケギニア一いい人よ」
「では、王女様は12のお願いを聞いてあげるんですね?」
「そうはいかないわ」
 とイザベラ王女は鼻先でふふんと笑いました。
「それじゃ私が悪い人になるじゃないの」
117不思議な大晦日D ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:37:17 ID:OSN7KXDQ
「だって、散らかし癖は悪いわ」
 とユカは勇気を出して言いました。
「あれもしよう、これもしようって人は散らかすのが当たり前よ。いつもカタツムリみたいに1つの事をしてる人と違ってね」
「じゃ、お寝坊は?」
「そのかわり、夜は2時前には寝ないわよ」
「じゃ、嘘吐きは?」
「さあ」
 と王女は目を細めて言いました。
「何と答えようかしら。嘘にもいろんな種類があるわ」
「じゃ、自慢なさるのは?」
「自慢する事が無い人にとっては、さぞ悔しい事でしょうよ」
「でも何でも欲しがるのは?」
「何にも欲しがらない人よりましでしょ。始祖ブリミルは助手が欲しいから人間を使い魔にしたのよ」
「じゃ、お菓子しか食べないのは?」
「嫌いな物をどうして食べなくちゃいけないのよ? 風竜だってリンゴは食べないわ」
「意地っ張りなのは?」
「自己主張が強いと言ってちょうだい」
「げらげら笑いのすぐ怒りは?」
「神経が鋭敏で打てば響くものでね」
「でも王女様はけちなんでしょう?」
「訳も無いのにやりすぎるのは、だらしない事よ」
「じゃ、人のせいにするのは?」
「よくよく考えると、どうしてもそうなるのよ」
「でも疑い深いのは?」
「馬鹿でない証拠」
「じゃ、お洒落に3時間も王様を待たせるのは?」
「そのおかげでこんなに綺麗なのよ。どうかしら?」
 ユカはやりこめられて黙りました。
118不思議な大晦日E ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:40:59 ID:OSN7KXDQ
 イザベラ王女は満足そうに言いました。
「私、人から注意されて自分を直す事なんかまったく気にいらないわ。自分で悪いと思えば自分で直すわよ。でもまだそう思ってないんだから。さあユカ、トランクを持って」
 ユカは銀のトランクを持ちました。するとその軽い事といったら、ひよこの羽1枚ほどにしか感じられませんでした。
「ガリア王国は12人の大臣が12の地方を治めているのよ。私達はまず白の地方から旅を始める事になるわ。
それで私達は白いドレスに着替えないといけないのよ。そうしないと白の地方の雪白門をいくら叩いても開けてくれないわ。さあ、着替えるわよ」
 イザベラ王女は銀狐のコートを脱ぎ、白テンのコートと替えました。そして帽子も白なら靴も白になりました。
 ユカも同じ姿になりました。
 王女は言いました。
「私は姉であなたは妹って事にするわよ。あたしは『ユカ』って呼ぶから、あなたは『マリー姉さん』って呼びなさい。そうすれば私が王女とはわからないでしょ。
それから、私達が探すお父様は背の高い素敵な人よ。金色の髪に金色の目、金の爪を目印にしなさい。――出発するわよ!」
 ユカとイザベラ王女は庭へ出ました。
 するといつの間にか外は粉雪が激しく降り出していました。
 白馬が2頭、美しい橇に繋いであります。
 イザベラ王女とユカは乗り込みました。
「いってらっしゃい、イザベラ様」
「お早いお帰りを!」
 オスマン総理と11人と1本の大臣は、雪の庭まで降り手を振り回して2人の門出を見送りました。
119不思議な大晦日 ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:43:33 ID:OSN7KXDQ
以上投下終了です。
完全な一発ネタになってしまい、申し訳ありません。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/27(土) 23:46:28 ID:LgbNNqj3
クレヨン王国さんGJ!クレヨン王国と聞いてシルバー幼女様が出るかとオモタw
原作版の方なんですな。
もしルイズがシャカチックとユックタックを召喚したら、
ゼロのルイズが天使様を召喚したぞ〜と周囲から崇められるんだろうか。
121不思議な大晦日 ◆FS.maSXjhaWt :2010/02/27(土) 23:59:27 ID:OSN7KXDQ
>>120
「夢のトリステイン王国」は考えてはいたんですけどね。
ルイズが野菜達の香水瓶召喚で。
死神のふたつ名を持つ過去の強大なエルフが復活とか、
才人が実はビダーシャルの人間態(ポジションはクラウド)とか……。
122名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 00:05:19 ID:CxR4UOHm
フレッシュプリキュア!よりシフォンを召喚。
ルイズはちゃんとお世話できるのか!?

ラビリンスがハルケギニアに攻めてきそう。
連中はパラレルワールドを自由に移動できるから。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 00:06:31 ID:UC7d73Cc
寅さんを召喚して「使い魔はつらいよ」を
124名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 00:17:11 ID:eAOqkq+/
>>121
ルイズの悪い癖を直す旅wwwいいですねそれw
才人がクラウドポジションなのも美味しいですな。

>>122
プリプー様を召喚したら「キュアキュアプリップ〜」の一声で
もうハルケ大陸地下の風石問題から聖地の門の事まで全部解決しちゃう危険(?)がwww
125名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 00:28:24 ID:CxR4UOHm
>>124
ああ、シフォンならやりかねないですなw
ていうか、ガンダールヴの能力もデルフも不要ですよねw

ノーザがジョセフに取り入ってFUKOを集めたりとか想像した。
ラビリンスの管理下に置かれたら、スカロンもビダーシャルも
エレオノールさんもヴィットーリオも「すべてはメビウス様のために・・・」
126名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 01:01:40 ID:xqmct2vJ
今サガフロやっているだけに時の使い魔の今後が楽しみでならん
オーヴァードライブ→停滞のルーンor塔かは毎回悩むよな
127名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 01:50:48 ID:fqCKEgbu
>>126
トキノ君は適当にモンスターを取り込んで時を止める係だろう
128名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 02:19:18 ID:E+5CqGkG
オーバードライブ、時を止める…
この二つの符号が示すのは一つ……ッ!
129名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 02:33:13 ID:Wbk69T8S
どうしたキバヤシ
何かわかったのか!?
130名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 03:37:25 ID:eAOqkq+/
>>125
生けるデウス・エクス・マキナ的存在の前には
虚無の力もかくや…という感じですなw
(プリプーマジックでタバサママも正気になったりとか、火石で心中した筈のジョゼ&ミョズも漂白済みで復活して
ヨルムンガントが心強い味方になったりとかwww)

あと実際に出来るかどうか判らないけど、
ルイズのディスペルでなんやかや解除されて元のタマネギ(みたいな球根)に戻るノーザさんを想像してフイタw
クラインもそうだけど、あの人はある意味スキルニルに近いコンセプトで生み出されてるようにも見えるので、
ひょっとしたら可能なんじゃ?と思ったり。
131名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 08:53:22 ID:og1utULw
ワンダープロジェクトJからピーノを召喚。
・・・あれ?他の使い魔がみんないなくなってるんだけど。
「お腹いっぱいっす」

恐ろしい。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 09:32:00 ID:x0+igkXW
コルベールに分解される図が思い浮かんだ
133名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 10:02:30 ID:DBj5Upl7
なんか最近は偽物出現が流行ってるらしいな

面白そうだからここはひとつ大御所の偽物にも登場願いたいところだ

某T氏か
134名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 10:42:32 ID:tvq8U1KW
ムジュラの人乙

昔、「妖精ナビィ召喚」「ムジュラの仮面召喚」とか呟いてたんだが
まさか一遍に召喚されるとは思わなんだ。
更新楽しみにしてる。あとコメの三重県で吹いたw
135名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 10:55:01 ID:dV2fptNN
なんかデフォルトネームが決まっていないゲームとかのキャラを召喚させてみたいが、その場合名前どうするか思いつかない
ヒラガサイトのアナグラムにでもしてみようかと思ったが、この名前やりにくいし
136名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 10:58:15 ID:gYixbFT4
ノベライズされていれば、そこから名前と性格を持ってくるとか。
通称があるんなら、それを名乗らせてもいいし。
137名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 11:11:21 ID:dfNJWjVq
逆に考えるんだ。
作中で一切名前を表記しないで書けば良い。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 11:12:16 ID:zyJ2LVjK
いっそのこと「○○」とか。
139名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 11:12:44 ID:dV2fptNN
ノベライズ化なんて気配すらないものだしなぁ
通称かー…あるにはあるけどなぁ…
ちょっと通称でかいてみるか…
140名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 11:13:14 ID:gYixbFT4
一切しゃべらないというのも面白そうだな。
どうしても話さないといけないときは、相手が「〜〜ですって?」とかいう風に聞き返してくるとか。
あるいは、デルフが代弁してもいいかもしれん。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 11:27:31 ID:dV2fptNN
>>140
しゃべらないっていうの良いかもしれない
そのアイデア使わせてもらいます
142名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:05:48 ID:OmFomrxC
>>140-141
それ、結構ムズいぞ。
むかし、ワッハマン召喚しようと思ってあきらめた。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:10:55 ID:+yaORVXg
小ネタだけど、にゃんまげのやつは本人しゃべってなかったよね。
ああいうやり方すれば、上手くいくんじゃない?
144名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:18:43 ID:ig1LVU3g
ウルトラ乙
ミシェルさんの全身画ならファミ通.comの双月の騎士のページで確認できたと思います
自分もギムリ、レイナールの資料が欲しい…
145名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:23:59 ID:oPTsTVgf
ウル魔乙です
いつも楽しませてもらっています。
頑張ってください。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:28:56 ID:4dzIa3C+
誰か避難所のソーサリー・ゼロのことを思い出してあげてください<しゃべらない
147名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:29:29 ID:FHUB54X3
ウルトラの人乙
なんて前向きなルイズなんだ
148名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:32:59 ID:gy0w67se
新種の荒らし?

前スレ末のはコピペ連騰荒らしのだぞ。
149名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:49:42 ID:V2yr99mc
この感想もコピペじゃないか?
なんか見たことあるぞ
150名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:54:00 ID:WmUYSl1I
>133
偽者と言うと、青野武か。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 12:54:22 ID:ntpvMugp
ウル魔の人乙でした
この話を見て、エースはやっぱり北斗なんだなと改めて感じました。
バードンはあのケムジラを食べるシーンが印象的でした、トラウマ的に。
次回がどうなるか楽しみです。
152名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 13:18:13 ID:h857GVCD
吉田戦車キャラの「かわうそ」を召喚。
地味に他の使い魔をいじめてそうw
嫌なことはすべて「かわうそなので〜」
マリコルヌあたりをバイトに雇って変な商売を始めそう。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 13:19:47 ID:9JpcrhJ6
とりあえず日曜夕方以外でウルトラの人を名乗るのはまず例外無くカタリの
クソッタレ野朗だと思って間違い無い
154名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 13:38:51 ID:bP+lmvz+
>>148
誰か僕に構ってよ!でも引き出しないからコピペだよ!テヘ!
な子供なんだろう
155名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 13:44:55 ID:OzgBXUh5
ブラクラのソーヤー召喚ってのを考えたが、アルビオン以降が思いつかねぇ…
156名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 14:40:39 ID:WefJ6zQN
逆に考えるんだ。
「アルビオン編で終わっちゃってもいいさ」と考えるんだ。
157名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 14:47:56 ID:yAcZevTR
ウルトラの人の新話が楽しみで仕方ない。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 15:05:40 ID:9JpcrhJ6
もうすぐ本物がくる時間だからねー♪
皆さんこんにちは、それでは今週分の投下をいきたいのですがよろしいでしょうか。
ほか予約等なければ、アルビオン編のラストを15:50よりはじめたいと思います。
それから、前回ガンフェニックストライカーの名前が間違っていたことを指摘して
くださった方どうもありがとうございました。恥ずかしいことに間違って覚えていたのを
信じ込んでいたパターンですが、今回からはきちんと修正しておきました。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 15:43:39 ID:2o30Aua/
いらっしゃいませ

偽物にはお気を付けて投下お願いします
161名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 15:49:42 ID:9JpcrhJ6
支援もんがー♪
 第89話
 時空を超えた奇跡
 
 変身超獣 ブロッケン
 一角超獣 バキシム
 ウルトラマンメビウス 登場!
 
 
 たとえどんなに闇が深かろうと、たとえ世界の全てが踏みにじられようと、
すべての力が尽きて、誰もがあきらめてしまおうと、助けを求める人がいる限り、
光は必ず差し込んでくる。
 
 異次元人ヤプールの罠にはまって十字架にかけられ、人々の目の前で、
二大超獣バキシムとブロッケンによって、今まさに処刑されようとしている
ウルトラマンA。奴は、何万人もの人間にエースの死に様を見せつけることで、
復讐の成就と共に、その悲嘆と絶望のマイナスエネルギーで一気に力を回復しようと
画策していたのだ。
 矢尽き刀折れて、精神力もなくなった人間たちにもはやエースを救うすべはなく、
誰もが絶望に沈んだとき、アンリエッタはただ祈ることしかできず、その祈りの声に
答えるものはいなかった。しかし、このとき神に祈っていたのはアンリエッタだけ
ではなかった。世界の各地で、奇跡の日のその時に神に祈るものは何十、
何百万人といて、彼らの中にも世界の平和を望む者は大勢いた。
 その願いを神が聞き届けたのかはわからない。けれども、神という超越的な
存在に頼らなくても、世界を隔てても断ち切れることのない兄弟の絆は、
時空を超えた奇跡を起こした。
(ガンフェニックスだ! ルイズ見ろよ! はは、こりゃ奇跡だぜ)
(この赤い光、エース、あなたに似てる。あれは……?)
 擦り切れそうだった心に差し込んできた希望の光は、尽きていたはずだった元気を
二人の心に蘇らせ、ウルトラマンAは穏やかな声色でルイズの問いに答えた。
(弟だ……)
 日食の闇を超えて現れた不死鳥の翼、そして舞い降りた光は、エースの命を
奪おうとした悪意の力を打ち砕き、人々の前に夜の終わりを告げる朝日のように立ち上がる。
 
「ヘヤァッ!」
 
 十字架にかけられたエースをかばって立ちふさがった赤い光が、超新星爆発の
ように輝くとき、人々はその光の正体を見た。
「見ろ、あれは!」
「ウルトラマン!? 新しいウルトラマンだ!」
 この世界の人々は、まだ彼の名を知らない。けれども、その銀色の勇姿と、
みなぎる正義のオーラは邪悪な超獣を圧倒し、それを見る人々から恐怖心を
拭い去ったばかりか、大きな声で叫ばせる。
「これは奇跡か? いや、もうなんでもいいや。いっけーっ! がんばれーっ!」
「そうだ、俺たちが応援してるぞ! がんばれーっ!」
 人々の希望と平和への願いを一身に受けて彼は立つ、人々の幸せを壊そうと
するものを倒すため、無意味に命を奪おうとするものから人々を守るため。
二大超獣の放ったミサイルとレーザーをすべて跳ね返し、赤い光の中から
銀色の勇姿を現したウルトラ十番目の弟が、二大超獣へ向かって戦いの構えをとる。
今ここにガンフェニックスの炎の翼に乗って、CREW GUYS JAPANと
ウルトラマンメビウスがハルケギニアに駆けつけたのだ。
 
「セヤァッ!」
 
 右腕を引き、左腕を突き出した独特のファイティングポーズから一転して、
軽快な動きから走り出したメビウスは、その背にかばう兄エースを二匹から
引き離すために速攻に打って出た。
 まずは、一度戦ったことのあり、戦法がわかっているバキシムを狙う。だが奴は、
突っ込んでくるメビウスを食い止めるために腕のあいだから高熱火炎を発射して
きたが、これをメビウスはジャンプして飛び越え、奴の頭を踏み越えていく。
「タアッ!」
 踏み台にされて、前のめりに倒れるバキシムを超えて、メビウスは間髪入れずに
ブロッケンに挑みかかり、細身の体からは信じられない重さの鉄拳、メビウスパンチを
そのどてっぱらにめり込ませる。
「デヤァッ!」
 たまらずに、悲鳴をあげて後退するブロッケンだったが、逃がしはしないと
メビウスは、接近戦に持ち込んでキックを放ち、噛み付こうとしてきた頭を逆に
掴んでねじ上げた。しかし、その隙を狙って起き上がったバキシムが、鼻先から
ミサイルより強力な熱線を放とうと片目のレーダーで狙いを定める。だが、
その後頭部にさらに強力なビームが浴びせかけられて、バキシムのほうが
吹っ飛ばされる。
「見たか超獣め。俺たちCREW GUYSを忘れるな」
 バリアントスマッシャーの直撃を浴びせかけ、ガンフェニックストライカーが
二匹の上空を飛び去っていく。ミサイルやレーザーしか武装のなかった
ガンクルセイダー以前の防衛隊の戦闘機と違って、ガンフェニックスの火力は
通常でも怪獣を軽く吹っ飛ばせるほど強力なのだ。
 しかし、なぜ地球の戦闘機がこのハルケギニアにやってくることができたのだろうか? 
いや、エースや才人、ヤプールや超獣たちも感じたその疑念も、今現実に彼らが
ここにいて戦っているということの前には些細な問題であった。しかも、それだけではない。
「テッペイ、あいつらは一匹はわかるが、もう一匹のでかいやつはなんだ!?」
「ドキュメントTACに記録を確認、一角超獣バキシムと、変身超獣ブロッケンです! 」
 メビウスになったミライを見送り、あらためて敵の様子を確認していたガンフェニックスに、
時空のかなたの地球から、アーカイブ・ドキュメントに残された二大超獣のデータが届く。
それぞれのコクピットでは、ガンウィンガーに乗るマリナ、ガンローダーのリュウとセリザワ、
ガンブースターのジョージが、亜空間突破の興奮も冷め遣らぬままに、気を引き締め
なおして、操縦桿を握っている。
「二匹とも超獣か、やっぱりヤプールが復活してたってのは本当だったのか」
「ウルトラマンA……あんなにまでなって、たった一人でこの星を守ってたのね。
ヤプール、絶対に許さないわよ!」
「ああ、特にバキシムめ、前の借りはここで返すぜ!」
 ジョージ、マリナ、リュウはメビウスと戦う二大超獣の姿を見て、新たなる戦いの
覚悟を決めた。特に、リュウは以前バキシムに体を乗っ取られた経験があるので
そのときのことは覚えていないものの怒りが深い。しかし、血気にはやりがちになる
リュウに、後部座席のセリザワが釘を刺すように声をかけた。
「リュウ、冷静さを失うなよ。怒りや憎しみは判断を誤らせる。それで、守るべきものを
守れずに、失ってしまってからでは遅いのだ」
「はい、肝に銘じておきます」
 セリザワの、ウルトラマンヒカリの警告はリュウに隊長としてのあるべき姿を
思い出させた。それにセリザワは、リュウにとってあこがれであるとともに、隊長として
乗り越えなければならない壁でもある。彼は、これがそのための試験の一つだと
考えて、短く深呼吸をすると全員に言った。
164名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 15:53:59 ID:9JpcrhJ6
あいかわらず燃え殺されそうな予感
「ようし、メビウスと、ウルトラマンAを助けるぞ。GUYS・サリー・GO!!」
「G・I・G!」
 たとえどんな空であろうと、GUYSの心は常に一つ。ガンフェニックスは急降下しながら
必殺のバリアントスマッシャーを放ち、二匹の超獣を攻撃してメビウスを援護していく。

 その一方で、時空をへだてた地球でもガンフェニックスのサポートに余念がなかった。
「こちらガンフェニックス、観測データは届いてるか?」
「大丈夫です。亜空間ゲートは計算どおりに安定してます。そちらの惑星の観測
データは現在検証中ですが、地球型惑星でほぼ間違いないようです。それよりも、
バキシムもブロッケンも遠距離攻撃が得意な超獣です。気をつけてください」
「G・I・G!」
 東京湾上空に、ぽっかりと開いた時空の穴を前にして、超巨大戦闘機形態、
フェニックスネスト・フライトモードに変形したGUYS JAPANの基地で、
ガンフェニックスから送られてきた時空の向こうの惑星の環境や、バキシムと
ブロッケンのスキャニングデータがスーパーコンピュータによって高速で解析されていく。
そしてそのディレクションルームでは、無言で見守るサコミズの元で、テッペイと
コノミがリーダーになって若い隊員たちを引っ張りながら、異世界で戦うリュウたちの
ために奮闘していた。
「気圧0.9、大気組成、窒素77パーセント、酸素21パーセント、二酸化炭素
0.03パーセント、ほかアルゴン1パーセント、湿度60パーセント……重力
地球の98パーセント、このデータはほとんど地球と同じじゃないか」
 気圧がやや低いのは、ここが浮遊大陸であるためなのだが、便宜的に
ハルケギニア星と呼ぶこの星の自然環境はほとんど完全に地球と同じであった。
もっとも、そうでなければ才人が生存できているはずはないのだが、この環境で
あるのならば、GUYSクルーたちも宇宙服なしで行動できるとあって、居残り組の
テッペイたちはほっとして、さらに住人もほぼ完全な地球人型とわかると
それをガンフェニックスに通達した。
「リュウさん、その星はやっぱり完全な地球型惑星です。地球とまったく同じ
感覚で行動できます」
「なんだって? しかし、地球とまったく同じって、そんなことありえるのか?」
「アーカイブドキュメントZATに記録のあるミラクル星や、MACのサーリン星
などは地球とほぼ同じ環境の惑星であったことが確認されています。
住人がヒューマノイドタイプなのもそのためでしょう」
「なるほど、ヤプールが狙いそうなわけだ。だとしたら、なおさら奴らは許して
おくわけにはいかねえ!」
 たとえ宇宙のどんな星であろうと、平和に暮らしている人々に侵略の魔の手を
伸ばすやつを、CREW GUYSが許すわけにはいかない。地球一つだけの
平和だけでなく、宇宙全体の幸せあってこそ真の地球の平和もあるのだと、
GUYSの面々は、決意を新たに戦いの空を駆ける。
 
 が、人々の目をもっとも奪ったのはウルトラマンメビウスの活躍であることは言うまでもない。
 突然のメビウスとGUYSの戦闘介入によって、パニックに陥って攻撃が半端に
なっていたバキシムとブロッケンも、相手がメビウス一人だということで落ち着きを
取り戻し始め、バキシムは得意のミサイルの連射攻撃を仕掛けてくる。
 だがメビウスはメビウスブレスから発生したエネルギーをそのまま両手のひらに
とどめ、光の手刀にしてミサイルをはじきかえしながら、逆にバキシムに突撃していった。
『ライトニングスラッシャー!』
 かつてパラレルワールドで、双頭怪獣キングパンドンの火炎弾『双頭撃炎弾』を
跳ね返したように、バキシムのミサイルも一発残らず叩き落とされて、すれ違い様に
バキシムの腹に強力な手刀の一撃が居あい抜きのように斬りつけられ、背中まで
届く衝撃にバキシムは振り返ることもできずに、背中からメビウスに持ち上げられて、
投げ捨てられた。
「テャアッ!」
 轟音轟き、バキシムの体が舞い上げられた土煙に隠される。バキシムは、普段は
強力な武器となる体重も、今は逆に自らを痛めつける諸刃の剣となって地面に
めり込んだままで必死にもがいていた。
「すごい、なんというパワーとスピードだ」
「それなのに、動きに一切無駄がない……」
 戦い始めてからまだ一分も経っていないというのに、メビウスの戦いを見守っていた
カリーヌやタバサから感嘆の声が漏れる。なぜなら、メビウスの師匠はウルトラ兄弟
最強と名高い、宇宙警備隊筆頭教官ウルトラマンタロウであり、彼が地球滞在時から
磨きぬいてきた、パワーとスピードの両方を極めたテクニックを直伝されて、いまや
それに独自の戦法を組み合わせた、新たな宇宙拳法として大成させつつあったのだ。
 
 むろん、上空を飛ぶガンフェニックスのことも忘れてはならない。
「バキシムとブロッケンのスキャンが終了しました。二匹とも、過去に出現した
個体に比べて体内エネルギー量が増大しています」
「て、ことは攻撃力が上がってるってことか」
「はい、ですが体内の構造は変わっていませんから、武装強化などはおこなわれて
いないようです。ミサイルとレーザーに気をつけて、中距離以上からの攻撃に
つとめてください」
 時空の壁を超えて、フェニックスネストからテッペイの的確な敵情分析が届く、
バキシムは一度戦ったことのある相手だが、ブロッケンは初見である。ただし、
既に戦ったことがあるといってもバキシムも強敵である。メビウス一人では荷が重いし、
本当の目的はあくまでエースの救出である。現CREW GUYS隊長リュウは決断した。
「ようし、超獣はガンローダーとガンブースターで引き受ける。ガンウィンガーは
そのあいだにウルトラマンAを十字架から解放しろ。いくぞ、ガンフェニックス、
スプリット!」
「G・I・G!」
 隊員たちの返答とともに、ガンフェニックスはガンウィンガー、ガンブースター、
ガンローダーの三機に分離、それを見てガンフェニックスが機械だとは知らない
地上の人々からは、「三匹に分かれた!?」と、GUYSのメンバーが聞いたら失笑
しそうな叫びがあがったが、もちろん彼らはそんなことは知らずにそれぞれの
任務に向かっていく。
「いくぜバキシム、くらえ! バリアブルパルサー」
 リュウの操るガンローダーの黄色のビームが、メビウスに向かってミサイルを
放とうとしていたバキシムを直撃して火花を散らせ、続いてジョージが
ガンブースターの引き金を引く。
「ブロッケン、お前の相手は俺だ、アルタード・ブレイザー!」
 青白色のエネルギー弾が見事にブロッケンに炸裂し、ひるませたところへ
メビウスがすばやくキックを叩き込み、さらに頭一つ以上背の高いブロッケンの
上にジャンプして、奴の額に強烈なチョップをお見舞いした。
「テャァッ!」
 生き物にとって額は急所の一つである。そこに東京タワーでも真っ二つに
してしまうほどのメビウスチョップを食らっては、さしものブロッケンも脳震盪を
起こして巨体をよろめかせ、力なく後ずさりして後ろ足をついて倒れこんだ。
 しかし、その隙をついてバキシムがなおもエースの処刑を実行しようと
ミサイルをエースに向かって放つが、それを見逃すメビウスではない。素早く
メビウスブレスに右手を当てると、メビウスブレスから引き出したエネルギーを
矢じり型の光弾に変えてミサイルを狙い撃った。
『メビュームスラッシュ!』
 高速で追いすがったメビュームスラッシュは、ミサイルに追いついてこれを
全弾撃墜した。悔しがったバキシムはなおも次のミサイルを放とうとするが、
今度はバキシムの顔面にメビュームスラッシュが命中する。
「マリナさん、ここは大丈夫です。はやくエース兄さんを!」
「わかったわミライくん。リュウ! いくわよ、お願い」
 メビウスの声が、ミサイルを避けてチャンスをうかがっていたガンウィンガーの
マリナに届くと、彼女は必死に二大超獣を抑えているメビウスを見て、
今がチャンスだとリュウに決断をうながした。
「ようし、一気に決めるぜ! 全機、メテオール解禁!」
「G・I・G!」
 その瞬間、枷は解き放たれ黄金の不死鳥は舞い上がった!
「パーミッション・トゥシフト・マニューバ!」
 ガンウィンガー、ガンローダーに収納されていたカナードウィングが展開し、
常時展開状態のガンブースターのウィングとともに、それぞれの機体がまばゆく
輝く金色の粒子に覆われる。超絶科学メテオール、それを解き放ったガイズマシンの
本当の姿、マニューバモードの威力をここに見よ!
「喰らえ! ガトリングデトネイター!!」
 ガンブースターから放たれた六本のビーム砲の一斉射撃がバキシムを
吹き飛ばし、巨体に軽々と泥をつけさせる。だが、いきりたったブロッケンは
両腕と二本の尻尾を空に向けて、ビーム光線の乱射を仕掛けてきた。
「危ない!」
 両腕の先から連射されるストレート光線と、尻尾の先から放射されて、
空中を鞭のようになぎはらうスネーク光線が空を切り裂いてガンローダーと
ガンブースターを狙う。その弾幕の濃さには、どんな敏捷な鳥でも逃れられないと
人々は恐怖したが、GUYSクルーたちはおびえてなどいなかった。
「ファンタム・アビエイション・スタート!」
 ビームがガンローダーを貫いたと思われたとき、ガンローダーの姿は掻き消えて、
別の場所に出現していて、さらにそれも別の場所にガンローダーが現れたと
思ったときには消えていた。そう、それこそ右に左に、上下前後とランダムに
めまぐるしく金色の光を撒き散らしながら飛び回り、ブロッケンのどころか
鍛えぬいたタバサやカリーヌの動体視力でもまったく捉えることができない。
「速すぎる!?」
 普段冷静沈着な二人が、そんな感想しか漏らすしかできなかったほど
ガンローダーの動きは彼女たちの常識を超えていた。むろん、ガンブースターや
ガンウィンガーも同様の動きをして、まるで実体のない幽霊のように攻撃を
まったく寄せ付けない。これこそ、超絶科学メテオールの技術の一つ、
かつて地球にやってきた数え切れないほどの宇宙人のUFOや宇宙船の
残骸を分析して発見された、数々のオーバーテクノロジーを転用して、
重力や空気抵抗、慣性などを無視し、分身さえ可能な超高速を機体に与える、
その名も『ファンタム・アビエイション』、この技術の原型は防衛チームZATの
コンドル1号やMACのマッキー二号の翼にあった重力制御コイルにも
使われて、空力特性をまったく無視した形ながら高い空中機動性を可能に
しているが、ガンフェニックスのこれは文字通りレベルが違う!
「当たるものかよ!」
 通常のクルーズモードでさえ、ベロクロンの全力のミサイル攻撃の弾幕すら
かいくぐれる機動性を持つガンフェニックスの各機がこのモードを展開すれば、
威力はあっても弾数はそれより少ないバキシムのミサイル程度なら、当たるわけが
なかった。おまけに、意地になってガンフェニックスを追おうとすれば、隙ありと
ばかりにメビウスが殴りつける。
「セヤァッ!」
 メビウスの鉄拳、顔面直撃。左目がつぶれていたことからメビウスの接近に
気づけなかったのもあるが、わざわざ位置を教えてから殴りにいくほどこちらも
お人よしではない。
 しかし、ただではメビウスやガンフェニックスを捉えられないと思ったバキシムは、
悪辣な頭脳を回転させて、ウルトラマンは人間が危機に陥れば必ず助けに
いくはずだと考えて、ミサイルを戦いを見守っていたアンリエッタたちに向かって
発射した。
「きゃあっ!?」
「姫さま、危ない」
 迫ってくるミサイルを見て、アニエスが盾になろうと彼女をかばう。だがこれこそ
バキシムが望んでいる展開、愚かな人間たちは勝手にかばいあって死んでいく。
それはヤプールには決して理解できない感情だが、それを利用する術は誰よりも
心得ており、あえて速度をゆるめにしたミサイルが、一直線に人間たちに向かって
突き進む。さあ早く助けに行け、飛び道具で撃ち落そうとすれば人間たちも
巻き込むぞと、バキシムは、エースが角ミサイルから人々を守ったようにメビウスが
ミサイルに飛び込んでいくことを期待した。
 ただし、人間たちのことわざに、柳の下にドジョウは二匹いないというものがある。
「ジョージ!」
「G・I・G! やらせるかよ、スパイラル・ウォール!」
 リュウの指示でミサイルとのあいだに割り込んだジョージのガンブースターが、
回転を始めると、ガンブースターの機体が巨大な金色の球体のようになって
ミサイルを全弾叩き落した。
「ジョージさん!」
「ミライ、この星の人たちは俺にまかせろ。お前は気がねなくそいつらを
やっつけてしまえ!」
 高速回転するガンブースターは、ミサイルどころか熱線さえ軽々とはじき返して、
唖然として見守っているアンリエッタやウェールズの前に立ちはだかっている。
これも、メテオール技術の一つの成果、機体の周りに強力なバリヤーを
張り巡らせてあらゆる攻撃を跳ね返す究極の盾、『スパイラル・ウォール』だ。
これによって、人間たちに手出しができなくなったバキシムは、またメビウスと
戦わざるを得なくなったが、上空にはまだガンローダーが遷移して、ブロッケンに
攻撃を集中させて、二対一にならないように妨害をし、さらに怒り狂ってビームを
乱射するブロッケンの弾幕を軽々とかいくぐったガンローダーは、翼に隠された
巨大なファンを高速回転させて、二本の荒れ狂う荷電粒子ハリケーンを発生させた。
「ブリンガーファン・ターンオン!」
 竜巻は二頭の黒い龍の様にバキシムを飲み込むと、七万八千トンの奴の体重を
意にも介さず軽がると回転しながら空中へと巻き上げた。
「すっ、すごい……」
 アンリエッタとウェールズのヘクサゴンスペルにもびくともしなかったバキシムが、
まるで木の葉か人形のように軽々と宙を舞っている。とても現実とは思えない
光景だが、この程度は、ウルトラマンやウルトラマンジャックを一敗地にまみれさせた
ゴモラやグドンをさえ翻弄したガンローダーのメテオール、『ブリンガー・ファン』に
かかれば序の口に過ぎない。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 15:59:10 ID:KQ8qNCUn
南斗支援拳!!
 空中をきりもみしながら飛ばされたバキシムは、身動きができないまま
ブロッケンに向かって叩き落され、二匹はそれぞれが超重量級であったために
激突の衝撃も並ではなく、大きなダメージを受けた。だが、これだけの攻撃を
受けながらも二大超獣は信じられないほどの生命力を見せて起き上がってくる。
「さすがにしぶといな」
 メビウスとガンフェニックスのメテオールをこれだけ受けてもなお、バキシムと
ブロッケンには余裕が見られる。それに絶大な威力を誇る反面、メテオールは
まだ未知の部分が多いために、その使用可能時間が一分間と厳しく制限されており、
限界時間は刻一刻と近づいてきている。が、ならばその限界が来る前に勝負を
決めてしまえばいいだけだ。
「ミライ、行くぞ!」
「はい! リュウさん」
 残りの時間を一秒でも無駄にしないために、リュウはメビウスとともに一気に
攻勢に打って出た。ガンローダーとガンブースターのビームが二大超獣に
火花を散らせ、その隙をついて空中にジャンプしたメビウスの高角度からの
急降下キックがブロッケンを狙う。
『流星キック!』
 ウルトラマンジャックの代名詞ともいうべき必殺技がブロッケンの顔面に炸裂。
さすがにキングザウルス三世の角をへし折った本家ほどの威力はまだないが、
メビウス渾身の一撃にブロッケンの巨体が揺れて、それは偶然にもまた
バキシムを巻き込んで地面へと倒れ伏させた。
 そして二匹の超獣が身動きできなくなったのを見るや、リュウは攻撃に参加せずに
待機していたガンウィンガーのマリナに合図をした。
「マリナ、今だ!」
「G・I・G!」
 マリナはガンウィンガーを急旋回させて、十字架に磔にされているエースの
前に出ると、照準機を睨んで操縦桿のトリガーボタンに指をかけた。ターゲットは
エースのカラータイマー、通常ならばガンウィンガーにはスペシウム弾頭弾が
装備されているが、今回は別のメテオールカートリッジが搭載されてきており、
それこそウルトラマンAを救出するための切り札だ。
 
「マグネリウム・メディカライザー・シュート!」
 
 ガンウィンガーの機首から真っ赤な光線がほとばしり、エースのカラータイマーに
吸い込まれていったとき、ガンウィンガーは役目を果たしたように十字架から
離れていった。しかし、そのとき力尽きて灰色に染まっていたエースのカラータイマーに
赤い点滅が戻ったかと思うと、赤は青に色を変えて力強く輝きだし、エースの瞳に
乳白色の輝きが戻ると、目覚めたように彼は首を上げた。
「エースが……生き返ったぁ!」
 これこそ、かつてウルトラ警備隊がガッツ星人に倒されたウルトラセブンを
蘇生させた、ウルトラマンの活動エネルギーである、マグネリウムエネルギーを
光線化して発射する装置をメテオール化し、回復させることのできる特殊兵器
『マグネリウム・メディカライザー』である。
 十字架上のエースは、四肢を固定している鎖に力を入れると一気に引きちぎった。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:00:21 ID:9JpcrhJ6
た・・・・・・・・・・助けて・・・・・・・・・
燃えの・・・・・・燃えの炎に焼き尽くされてしまいそうだ・・・・・・支援
172名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:00:55 ID:V2yr99mc
ウルトラ支援
「ハァァッ……ダァァッ!」
 乾いた金属音を立てて鎖が粉々に砕け散るのと同時に、エースの足が大地に
降り立ち、太陽の輝きと弟や仲間たち、人々の喜びに満ちた眼差しを受けて、
ウルトラ兄弟五番目の弟は、右手を高く掲げて復活の雄叫びをあげた。
「トアァーッ!」
 ウルトラマンA、完全復活! 
 ここに、エース抹殺のために組み上げられたヤプールの謀略は完全に崩壊し、
闇はすべて光の中へ暴き出された。そして、闇の中でこそ恐怖の対象となる
悪霊も、光の下では消滅するしかない。バキシムとブロッケンは、まだ戦うには
充分な力を残していたが、エースの復活はもとより人間たちのあいだから
恐怖が完全に拭い去られ、マイナスエネルギーの発生が消滅してしまったことに
驚きとまどった。
「シュワッ!」
 倒れて砕け散る十字架を背にエースは跳び、メビウスと並んで戦いの構えをとる。
「エース兄さん、大丈夫ですか?」
「メビウス、すまなかったな、もう大丈夫だ」
 時空を超えて別れ別れになった兄弟が、再びめぐり合い、肩を並べて戦うときが
ついにやってきた。目指すは、バキシムとブロッケン、こいつらを倒せばもはや
ヤプールは当分のあいだ打つ手を失う。
 だが、長年に渡って怨念を積もり積もらせてきたヤプールは策が破られても、
なおもあきらめてはいなかった。
「ええい、何人に増えようとも同じことだ。いけぇーバキシム、ブロッケン! 
二人まとめて地獄に送り込めぇ!」
 光の戦士を前に、今度は二大超獣のほうが恐怖をふりはらうように雄叫びを
あげてエースとメビウスに突進していく。しかし、ウルトラ兄弟が力を合わせたら、
その力は二倍にも三倍にも強くなる。
「テャァッ!」
 エースのキックがバキシムの腹を打ち、巨体が大きく後ずさりする。さらに
メビウスもブロッケンに対して速攻をかけて、流れるようなパンチやチョップが
人馬の胴体や首にめり込んでいく。
 特に、ブロッケンをメビウスにまかせたエースの攻撃は猛攻という言葉も
生易しいすさまじさをもってバキシムに炸裂した。
(よくもやってくれたな、この野郎!)
(好き放題してくれた分は、百倍、いえ一億倍にしてお返ししてあげるから、
覚悟なさいよ!)
(その意気だ。しかし二人とも、心を憎しみに支配されるなよ。いくぞ!)
 エースに力を分けてもらって回復した才人とルイズの怒りも込めて、エースは
バキシムに立ち向かい、ミサイル攻撃も意に介さずに大地を蹴り、天空から
急降下チョップをおみまいし、首筋を掴んで背負い投げ、さらに尻尾を掴んで
ジャイアントスィングで放り投げた。
「ダァァッ!」
 大地を揺さぶる投げ技の連続攻撃、エースのフルパワーとハルケギニアの
引力に打ちのめされて、バキシムの全身に激しくダメージが加わる。しかし、
この程度で倒せるのならば、最初からとっくに倒している。起き上がってきた
奴は、なおも怒りを増して、この死にぞこないめとばかりに腕から高熱火炎を
放射してくるが、エースも突き合わせた両手の先から火炎を放って迎え撃つ。
『エースファイヤー!』
 火炎対火炎の衝突で、接触した熱エネルギーは暴発して大爆発を引き起こす。
吹き荒れる猛烈な爆風、しかし、その炎すらも火鼠の衣のようにまとって、
エースの真正面からの跳び蹴りが炸裂する。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:02:10 ID:TsCe5RUD
支援
175名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:03:16 ID:yAcZevTR
涙が・・・止まらない・・・
「テヤァァッ!」
 炎の一撃が、熱エネルギーと運動エネルギーを火山弾のごとき破壊力で
バキシムを地にひれ伏させる。だが、これでもなおバキシムは悲鳴をあげながらも
残った右目のレーダーでエースを見据え、倒れたままミサイルを放とうと
狙ってくる。けれど、そうはいかない。エースはバキシムを背中から持ち上げると、
空高くへ向かって垂直に投げ上げた。
「ダアッ!」
 ウルトラパワーで投げ上げられて、空を飛べないバキシムは何もできずに
宙を舞う。そして奴が重力に負けて落ちてきたところをエースは受け止めて、
風車の羽のように回転させながら投げ飛ばした。
『エースリフター!』
 激震と轟音が、地震などないはずのアルビオンの大地を激しく揺さぶり、
人々は立っていられないほどの揺れに見舞われる。かつてはこれだけで
地底超獣ギタギタンガを木っ端微塵にした大技に、重装兵はこけて
動けなくなり、馬に乗っていた兵は落馬して、軽いタバサなんかは
二メイルばかり宙に浮き上がった。が、これで終わりと思ったら大間違いだ。
エースは地面にめり込んでいるバキシムを引っ張りあげると、またも頭上に
持ち上げて、衝撃ででんぐりがえってスカートの中を丸出しにしている
キュルケの見ている前で。
「もしかして、二発目!?」
 そのまさかだった。バキシムの体が再度宙を舞い、エースリフターの第二波が
もう一度バキシムを大地に沈ませ、人間たちに一秒間の空中散歩をさせる。
しかし、エースの怒涛の連撃は止まらない。
「イャァッ!」
「って、まさか三発目!?」
 力を緩めずエースリフターの三発目が、バキシムを容赦なく痛めつける。
エースは光線技の豊富さが有名であるが、投げ技のバリエーションも
豊富で強力なのだ。

 むろんメビウスも兄に負けてはいない。ジャンプしてブロッケンのあごを下から
蹴り上げると、鋭い牙で噛み付こうとしてくるブロッケンの三つの口をかわし、
至近距離から放たれた火炎熱線をメビウスディフェンスサークルで受け止め、
そのままブロッケンめがけて押し返す。
「エイヤァッ!」
 バリヤーに跳ね返された自分の火炎をもろに受けて、ブロッケンは焼け焦げ、
チャンスを逃さずメビウスは連続攻撃を仕掛けて、巨体にみるみるうちに
ダメージを刻み込んでいく。
 しかしそれでも、現在ヤプールが最大の切り札として作り出したブロッケンは
しぶとく、残った生命力を全て破壊力に変えるかのように、怒りのままに両腕と
二本の尻尾の先からのビームで光線の弾幕を張ってきた。
「ヘヤッ!」
 襲い掛かる光の矢の雨あられをメビウスは高い瞬発力をもってかわすが、
激昂したブロッケンの攻撃は収まらない。だが、CREW GUYSも忘れては
ならない。再び合体したガンフェニックストライカーのバリアントスマッシャーが
ブロッケンをひるませ、セリザワはメビウスにテレパシーで呼びかけた。
「奴を倒すには、あと一歩強力な一撃が必要だ。使え、メビウス!」
 すると、空間を越えてセリザワの右手に出現したナイトブレスがメビウスの
メビウスブレスに一体化し、赤と青の輝きを放つナイトメビウスブレスに変形させ、
先端からメビュームブレードをもしのぐ光の剣が伸び、メビウスの体に雄雄しく
輝く金色のラインが刻まれた!
『ウルトラマンメビウス・メビウスブレイブ』
 ウルトラマンヒカリの意思を受け継いだ、メビウスのパワーアップバージョンが
姿を現し、メビウスは光の大剣、メビュームナイトブレードを振りかざし、
力強く駆けていく。
「テャァァッ!」
 正面攻撃、それは例えるならば強力な魔法を使うメイジに一本の剣だけで
向かっていく無謀な剣士を人々に連想させるものであったが、浴びせかけられる
光線はメビウスを止めるどころか、メビュームナイトブレードによってすべて
受け止められ、そのままメビウスは速度を緩めることなく突進していくではないか。
「いけーっ!」
 驚愕するブロッケン、その眼前でメビウスはジャンプして自分の体をコマのように
高速回転させながら、奴の巨体に向けて瞬時に剣閃を閃かせた。
『スピン・ブレードアタック!』
 超獣の強固な皮膚をものともせずに、メビュームナイトブレードの一撃は
ブロッケンを切り裂き、ななめに大きく燃える刀傷を巨体に刻み付けた。
しかし、宇宙量子怪獣ディガルーグを真っ二つに切り裂いたこの技を
喰らっても、なおもブロッケンは絶命せずに生きていた。恐るべきはヤプールの
怨念の力、だが闇が強かろうと、光はそれを超えていく。
「いくぜ! とどめだミライ」
「はい! リュウさん。エース兄さん」
「ああ、頼むぞメビウス」
 上昇し反転してきたガンフェニックスと、エースリフターの猛攻で、バキシムを
立てないほどにまで叩きのめしたエースが、ブロッケンと距離をとったメビウスに
並んで力をためる。そして、瀕死の傷を負ってなおもビームを放とうとする
ブロッケンへ向けて、メビウスはメビュームナイトブレードをかざし、剣舞を
踊るように、その切っ先をメビウスの輪の形になぞらせ、形成した巨大な
メビウスの輪の形のエネルギー波を投げつけた!
『メビュームナイトブレード・オーバーロード!』
 メビウスブレイブ最強の必殺技が炸裂し、ブロッケンがメビウスの輪の
光のエネルギーに焼かれていく。そこへ、ガンフェニックストライカーと
ウルトラマンAはとどめの一撃を叩き込んだ!
「インビンシブルフェニックス・ディスチャージ!」
『メタリウム光線!』
 ガンフェニックストライカーがまとった灼熱のエネルギーが機体の形を
かたどった、巨大な火の鳥となって飛び立ち、ブロッケンを炎の翼の中に
包み込むのと同時に、エースの必殺光線が勝利への架け橋となって
突き刺さる。光の三重攻撃、その圧倒的な威力の前にはさしもの巨大超獣
といえども到底耐え切れるものではない。
178名無しさん@支援いっぱい:2010/02/28(日) 16:05:36 ID:bejsompe
 
179名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:05:53 ID:TsCe5RUD
本物はやはり違う!支援!
「馬鹿なぁーっ!」
 ヤプールの悲鳴とブロッケンの断末魔の遠吠えがこだました瞬間、悪魔の
使者は太陽のような業火に焼き尽くされ、粉々の塵となって飛び去り、
夏の風の中に消滅していった。
「やったぁーっ!」
「すごすぎる……」
「ウェールズさま……」
「アンリエッタ……いや、もう言葉が出ないよ」
「やったやった! ほんとサイコーよ、ねえタバサ! ねえねえねえ!」
「く、苦しい……キュルケ、抱きしめすぎ……」
「きゅいーっ!? ちょっと、お姉さまを絞め殺す気」
 悪魔の最後に、人々のあいだからかけらの遠慮もない大歓声があがる。
見たかヤプール、お前がどんな卑劣な陰謀をめぐらせようと、人間の、
そしてウルトラマンはそれを超えていく。
「ようし、あとはバキシムだけだ」
 そう、超獣はあと一匹残っている。しかし、エースリフターの連続攻撃によって
大ダメージを受けていたバキシムがやっと起き上がってきたが、塵と化した
ブロッケンと、いまだ戦意の衰えない二人のウルトラマンとガンフェニックスを
前にしては、もはや勝ち目などないことは誰の目にも明らかだった。
「ヘヤッ!」
「セァッ!」
 構えをとり、攻撃の態勢をとるエースとメビウスに対して、バキシムはそれでも
戦意を衰えさせずに、なおもミサイルで反撃を試みてくる。恐るべきはヤプールの
怨念の力だが、もうそんなものは通じず、全弾軽々と叩き落されて、二人の
ウルトラマンにはいささかのダメージもない。
「とどめだ!」
 誰もがそう叫び、メタリウム光線とブレードシュートの狙いがバキシムに
向けられたときだった。
「おのれぇ! やむを得ん、バキシムよ、ここは引け、引くのだ!」
 バキシムの背後の空間が割れて、異次元の裂け目が現れる。ヤプールは
ここでバキシムまでも失うことを恐れ、バキシムを回収しようとしたのだ。
「逃がすか! バリアント・スマッシャー!」
 あと一歩のところで取り逃してなるものかと、ガンフェニックスの砲火が
バキシムを狙うが、それは残念ながら異次元の裂け目にバキシムが
逃げ込んでしまったことで、空振りに終わってしまった。
 しかし、綿密に立てた計画をすべて破壊され、用意した怪獣や超獣も
バキシムを残して倒されてしまったヤプールの怒りは、さらにすさまじかった。
「覚えていろウルトラ兄弟、そして人間どもよ! 我らの計画はまだまだ始まった
ばかりだ。いずれもっと強い超獣を生み出して、必ずや復讐してくれるぞお!」
 次元の裂け目がヤプールの怒りと悔しさに満ちた捨て台詞とともに閉じると、
あたりはそれまでの戦いがうそであったかのように、明るい光に包まれて、
早くも鳥や虫の声がざわめき始める。しかし、それが決して夢でも幻でもないことを、
人々は陽光を浴びて銀色に輝く、二人の巨人を見て感じていた。
「エース兄さん、よくぞ無事で」
「ありがとうメビウス、お前の……お前たちのおかげだ」
 ナイトブレスをヒカリに返還し、通常の姿に戻ったメビウスは、長い間探し続けてきた
兄を前にして、言葉を詰まらせながら手を握り合い、そして感極まった様子の
メビウスを見て、エースは強い懐かしさを感じた。思えば、この世界にやってきて
半年……短いようで、なんと長い月日であったことか、そのあいだに、どれだけ
兄弟たちに心配をかけてしまったか……しかしそれでも、こうして守るべきものを
守ることができた喜びは、何にも変えがたい。
「メビウス見てみろ、人々のあの笑顔を」
「はい」
 二人の見下ろす先では、誰もが喜びに湧いていた。キュルケはタバサを持ち上げて
胴上げをしてシルフィードに止められて、アニエスとミシェルは喜びすぎて調子に乗った
兵たちが抱きついてくるのを張り倒している。カリーヌでさえ、仮面の下の目は
笑っていて、そしてアンリエッタとウェールズが肩を抱き合いながら手を振り、
七万人の歓呼の声を浴びながら、ガンフェニックスとともにエースとメビウスは飛び立った。
「ショワッチ!」
「ショワッ!」
 光の中を、三つの光が帰っていく。
 一つの戦いが終わり、アルビオン大陸に平和が戻った。
 しかし、物語はまだ終わらない。
 
「エース兄さん!」
「え?」
「へ?」
 
 そう、まだ終わりはしないのだ。
 
 続く
182名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:10:35 ID:9JpcrhJ6
相変わらず我等を燃え殺さずにはいられないのですねウルトラの人

来週も、この時間この掲示板でキミと握手だ!  乙です
183ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc :2010/02/28(日) 16:10:49 ID:YVmiQ26T
以上です。今回も熱い支援をくださった皆様、どうもありがとうございました。
今回は、絶体絶命のヒーローを助けるために別のヒーローが駆けつけてくる
というヒーローものの王道にして、もっとも盛り上がる展開を満を持してやってみました。
こういうシーンはジャックを救いに初代ウルトラマンやセブンが駆けつけたときや、
我夢の危機に新たな力を得たアグルが助けに来る。他作品でも昭和ライダーシリーズの
歴代ライダー大集合などありますが、昔から子供たちにはこれほどの興奮は
なかったでしょうね。
ですが、これもアンリエッタやキュルケたち人間が全力で戦ったからこそ
エースを救うのに間に合ったのであって、ウルトラシリーズの根幹である、
人間が全力で出し切ったときにはじめてウルトラマンは力を貸してくれる
ということを今後も忘れずに書いていきたいと思います。
なお、先週ハルケギニアではウルトラマンはこの世界の人間と同化しなくては
一分しか行動できないとおっしゃってくださった方、そういった細かなことまで
覚えていてくださって大変うれしいですが、種明かしは次回まで少々お待ちください。
では、次回からは舞台を変えて、物語は次のステップに進みます。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:11:07 ID:TsCe5RUD
お疲れ様でした。
これでまた一週間、生きられます。
185名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:13:03 ID:V2yr99mc
ウルトラ乙
186名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:19:33 ID:yAcZevTR
ウルトラの人乙でした。
来週も全力で楽しみにしています。
187名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:23:14 ID:OmFomrxC
ウルトラの人乙

しかし、衝撃でアルビオンが崩壊しないかはらはらしたぜ。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 16:34:46 ID:nK41NzXr
乙ー
今回のラストシーン、ミライはやっぱりミライだなー
189名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 17:12:43 ID:UxojdCh6
ウルトラの人乙!
う〜ん燃えたの一言につきます!!
そしてついに二つの世界が繋がりましたが、どうなるのか。
そして最後のあのやり取りはもしや・・・次回もWKTKです!
190名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 17:25:08 ID:iXqBvTY0
乙でした。
超絶科学メテオールが見られて嬉しい。
ブリンガーファンでぐるぐる回りながら上へ吹っ飛ばされる怪獣がシュールで好きだったw
191名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:00:44 ID:Gd/9HDA2
ウルトラの人乙!
う〜ん燃えたの一言につきます!!
そしてついに二つの世界が繋がりましたが、どうなるのか。
そして最後のあのやり取りはもしや・・・次回もWKTKです!
192名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:01:08 ID:nHJYKuPz
ウルトラの人乙

しかし、衝撃でアルビオンが崩壊しないかはらはらしたぜ。
193名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:01:35 ID:PdMRnFfo
乙ー
今回のラストシーン、ミライはやっぱりミライだなー
194名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:02:11 ID:IiiAu2sM
ウルトラの人乙でした。
来週も全力で楽しみにしています。
195名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:03:10 ID:GkFF5+bR


                  /ヽ//
     /ヽ           /  /     ,、               __
    ∧| ヘ          / /´    ∧//                \  `ヽ、__
    \  ヘ    ヽソノ  | /    //  /                   ヽ   ヽ、 `-'ヽ. ノ/
     ヘ  ヘ    ヽヽ  | |   / く /                    ) 、_    ̄ ̄''''''''''‐‐‐--、
      ヘ  ヘ     ヽヽ ̄`''// ̄ヽl                  ,,ーー'i  ( ()) 〔〔     ‐‐‐'''''''´  最高に面白い!
      ヘ  ヘ     l  \i/ヽ /  /                  /ソソソソソソ,ーーーー、___,-‐'''´ヽー´
       ヘ  ヘ  三/\ Θ θ,'_ /  ウルトラの人乙!    /ソソソソソソー-、__\
       ヘ  ヘ 三/;:;:;:;:/ /,-,ヽヽ三 /;:                /ソソソソソソソソヽーー'
       ヘ;:;:;:;:;:三/;:;:;:;:ヽl ∨ ソ三/                ,--/ソソソソソソソソ/
        ヘ叭W_从 :;.:;/叭ヘ/               /ソ/ソソソソソソW_从 :;.:;
        (ヘ,l|二|;,:;,ゞ;;,,从 :叭叨ヘ         ,,,----‐'ソソソヽソソソソソソ,l|二|;,:;,ゞ;;,,从 : <ドーン
       / /ニニ。,,::从ゞ;;,;;;/*;:;:/`ヽ       /ソソソソソソ,-/  ゙iソソソソ。,,::从ゞ;;,;;;/* ̄ ̄iヽ
      / ./⌒`...;:.:〃l,l;、;.:;.w:;:;:トニニニヽ  ___ ソソ,-‐''´/lミミミソソソソ...;:.:〃l,l;、;.:;.w     ̄`‐‐、
     /  ヽ  ;。/从∵]ヽ,.,:;:;:| ヽニニ/ ̄\   \ '''´ソ,/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄;。/从∵]ヽ,.,    ,_/_,\
    /   l ̄´;:;:;:;:;:;:ゝニニニニ);:;:;:゙iヨ\〈___/__/ ソ/´l      l´´´\|ソソソ   \_  ヘ
  /     |三;:;:;:;:;:;:;:|ニニニニニ);:;:;:;:|ヨ       /ソソソソソソ   ゝ     ヽソソソソソソソj二二>  \ ヘ
196名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:03:40 ID:vHIJKLW7
ウルトラGJ!
最後そうか、エースと融合してるからミライから見りゃサイトとルイズが兄になっちまうのかwww
197名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:03:47 ID:LlQltFR8
ウルトラの人乙!
う〜ん燃えたの一言につきます!!
そしてついに二つの世界が繋がりましたが、どうなるのか。
そして最後のあのやり取りはもしや・・・次回もWKTKです!
198名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:04:45 ID:3EHCiBRR
                                      ∧     _
                        ヘ         l\ / l  ∧/ 二>
                     /  ゝ、       ヽヽ´\ |/  /l
                     ヽ    ヽ       ゝヽ彡 lフ οi/    オレの登場はまだかな?
                   _  ヽ    ヽ    <二二巛 ヘ  ノ>          ∧
                   \ ̄<< \  ヽ / ̄'''///ヘ\二、        /l   |__|   ∧
                  _<<<<< 丶 `ヾ   //ミミ彡ヘヘヘ>     / /  | |  ノノ
                 _\<<<<<  ヘ´ .. ''../\ミ\_//        \ヽ/ ̄\"/        ∧
                 \ <<<<<<< ヽ ヽミミミヽ_/彡/         /´ ̄\ノ      /l  |__|     ∧
                 < < <<<<<<\ヽ\ミミミ彡/l       .  /´ ̄\ノ´     / /  | |   ノノ
                  ゙>─'´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ \ \ミミ彡丿丿|       '/´ ̄\ノ       \ヽ/ ̄\"/
                  :゙i.._(⌒)  (⌒) (⌒)   ー、ゝ、 _ ノ彳 |       _/´ ̄\/         /´ ̄\ノ
                 _  /´´\、/l\      ノ ゙''ヘ _广  /      /´ ̄\ノ       .  /´ ̄\ノ´
                ヘ_/ヘ  /  | / ̄\ ノ     )(   l      _/´ ̄\ノ        '/´ ̄\ノ
              /j    \/ \ |/ノヘヘヘ     _、)(    l'''‐-、__ /´ ̄\ソ         _/´ ̄\/
             _..r/ __ヘノノノ      ノ  ノ     )(、  ノ / /\ ̄ヘ_ノ          /´ ̄\ノ
   ∧∧  ∧  _,へ|丿  / ̄\___ノ_ _ ノ丿 0    リ(  ノ、  / / / ヽ'‐-、__      _/´ ̄\ノ
   \ヽヽ丿ノ/\   ヽ`'/    `'''ー―,,,,,,ー'  \  0   0ノ  ゝく / / / / /\    ノ´ ̄\ソ
_      ,-‐‐‐\ \/ ̄     〈____〉 /    \___/i`i`ヘ\ ,`く / / /  ̄ ̄ ̄ヘー-----、
`゙`ー‐‐= ゞ´    ヘ..lく      〈____〉ヘ/  ̄\       ,' i`i`ヘ/   `く `/ _   ――、l___\
   i   ヘ / \       〈___ lヘヘ  ̄\ ヘi     ,' i`i`/ ヘ     ̄ヽ--\  ――l、_ \
──l. -‐‐‐ヘ / /`-、,ヘ,ヘ/〈____ィ   ̄\  / `'‐‐‐/ /ソ  ヘ`-、,ヘ,ヘ/〈_`‐-、 /ヘ \ \
    ̄      `\_ヘ ヘ'~~\_/ヘ     丿 ノ __..:ヘl___ノ_   ヘ ヘ'~~\_/\ ヽ、 `\|
            ーー ヘ ヘ_../  l     ノ  ノ   ヘ  ‐'ゝ、   ーー ヘ ヘ_../    \゙i
                        ノへへへ/-‐'     ヘ"  ヽヽヽヽ
                       /ヘヘヘ/         |     ∧∧、
                      ./_  _ i        '-、__  / ヘ \_
                      /  ヘ/  ヘ           `ーー、_\\
                     ..|   i   i_
                      ゝ  ハ  ノ
199名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:05:43 ID://eEWlEv
ウルトラの人乙です

たまたま見てないだけかもしれんが、そーいや最近は某提督みたいな露骨なアンチものは見かけなくなったね。
まあギーシュとモット、フーケとワルドが酷い目に合うのは様式美なので除くとして、
クロスに見せかけて嫌いなキャラを痛めつける断罪ものとかやっぱり見てて気持ちのいいものじゃないからねえ。良い傾向かな。
ゼロ魔第四期始まったらまたルイズとアンアンあたりにガーッと増えそうな予感がするのが気がかりだが。
200名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:06:38 ID:pQDx7kOe
ウルトラの人乙。

ところで、ハルケギニアではウルトラマンのエネルギーはハルケギニア人と合体しないと一分しか持たないんでしたよね。
一分以内に超獣2体倒せるかどうかとっても気になりますがそこは次回のお楽しみと言うことで。

あと、『ガンフェニックス・ストライカー』ではなく、正しくは『ガンフェニックストライカー』です。
201名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:27:24 ID:v/KvKA+g
>とびさった

飛び去った?
ええと、メビウスは地球から来たわけで。
ガイズと帰っていったと。
エースも一緒ってことは、あれ?
202名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:32:52 ID:GrQCw/v0
>>201
ウルトラマンはいつも怪獣倒したら飛んでいくだろう。
その後人目につかない適当なところで人間に戻るんだよ。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 19:54:10 ID:OmFomrxC
>>202
冷静に考えるといったいどこで人間に戻るんだろう? と不思議になるけどな。
本当に目に付かないところまで行ったら、人間に戻った後帰ってこれずに遭難するよ……
204名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 20:03:18 ID:V2yr99mc
実は飛んで行くのは立体映像で
皆の注意がそちらに行ってる間に目立たないように街角で元に戻ってるんだよ
205名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 20:11:51 ID:IOdqai8E
>>204
何かすごい納得した
206名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 20:53:58 ID:gy0w67se
ウル魔さん乙

そこら辺は特撮のお約束みたいなモノで突っ込んじゃいけないんだろうなw
207名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 21:30:40 ID:eaV5PwKn
ウルトラの人乙
しかし日食と来たからさりげなくコスモスを期待したが別にそんな事は無かったぜ。
バキシム撤退…まさかのあの形態に?
あと最後に一つ訂正してもらいたい。ウルトラ兄弟最強はタロウじゃなくて我らのゾフィー兄さんだ!
208名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 21:34:30 ID:eaV5PwKn
スマンsage忘れた
209名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 21:44:00 ID:Ga/gow6O
遅れながらウル魔の人、乙でしたー

ここまで、誰も爆散したワの人に触れてないのが泣けた。まぁ生きてんだろうけどw
210名無しさん@お腹いっぱい。:2010/02/28(日) 23:36:58 ID:oXb/9esK
>>207
ゾフィーさん、捏造はいけませんよ
そして投下乙
211名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 00:03:54 ID:ixkXi7Cz
さっきから長々と乙乙うるせえ
乙だけでスレ埋める気かお前ら・・・
212名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 00:10:50 ID:lVXyCQgR
半分以上作者に引っ付いてる荒しのコピペだって事教えなきゃだめなのかな
213名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 01:14:54 ID:YcVNpQBQ
俺がその荒らしだぁああああああ!

っていうよくある怪談のオチみたいな展開だったりしてな。
214名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/03/01(月) 02:17:26 ID:STh9EyN+
ウルトラの人乙です。
バキシムを取り逃がした事が後で禍根とならなきゃいいんですが・・・


>>221
ボクここははじめて?
出口はこっちだよ。
http://disneyparks.disney.go.com/dpj/ja_JP/index?name=DisneylandHomePage
215名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 02:18:05 ID:dx8eeXRw
>>221に期待
216名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 04:01:56 ID:Uc8drCe1
ウルトラの人は更新多い+乙多い+荒らし多いでスレの消費が半端無いんだよね
217名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 04:18:26 ID:qSile+JS
二つ目と三つ目はウルトラさんの所為じゃないぞ。
218名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 08:47:58 ID:aNQM8/aF
そして一つ目はなんら悪いことでない
219名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 09:20:33 ID:dKYcmUKC
ウル魔の人乙
220名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 09:39:26 ID:xFI5Y21C
ウルトラの人乙。

>218
2番目も悪い事じゃない気がするんだがw
221名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 09:49:09 ID:qSile+JS
二つ目には三つ目と被っているのとそうでないのがあるのがな・・・・
222名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/01(月) 12:11:21 ID:v0PYQ6VY
ルイズちゃん、君がタロウを忘れ、魔法を捨てて生きていくのはとても大変な事だ
だけどそんな苦労を君だけにはさせない
223名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 18:35:52 ID:EFQ0mm+B
やっと繋がった
224名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 18:36:51 ID:DsOhM7s9
お、復帰したか。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 18:40:45 ID:UujWXeam
ようやく復活か
226名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 18:54:21 ID:0rBihwNi
溜まってた分の投下ラッシュはじまるのか・・・ごくり
227名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 18:54:47 ID:2vICCx+C
来週のウルトラの人の新作が読めないかとハラハラしたぜ・・・
228名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 19:20:16 ID:yEsJl/g8
ラッシュ起こると良いな〜。
Seedの人も帰ってきて欲しいし、風助の続きも気になっております。
229名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 19:28:16 ID:izb7cP21
幼なのはの人も帰ってこないかなぁ。あれも、良いところで切れちゃってるんだよなぁ。
前回の投下の時、入院がどうのこうの言ってたから少し心配。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 19:30:55 ID:ZLMHfRNr
牙狼の続きも見たいな
231名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 19:33:51 ID:fe3HAhyL
俺はゴーオンの続きが見たい。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 19:49:39 ID:Z5tD+Jci
ウルトラの人乙です。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 19:58:25 ID:3y+hF5sP
投下ラッシュがくるとは・・・ゴク
234名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 20:10:49 ID:Rk+wo63Z
ウルトラの人投下乙でした!
来週が相変わらず待ち遠しいです。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 20:11:10 ID:YGTOt9q9
絶賛、サギョウ中なんだが、遍在はアレどうなんだろうか。

分身が考えた事は、本体も知れるのか、それとも、各々が独立してるので、口頭でないと伝わらないのかどっちだろうか。
原作二巻見ても、ハッキリ書かれてないけど、金樽で傭兵雇う時に、「連中が出発した」って言ってるから伝わってるような感じだし。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 20:14:48 ID:0CRKmXON
はっきり分からないなら作者にとって都合のよい妄想で補完してしまえばいいじゃない。
重要なのは自信満々に嘘をつくことだ。
237名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 20:14:59 ID:Tdo5O/AP
通信速度とデータ量は距離によって変動するんだよ、きっと
近いほど詳細なデータ交換ができる
238名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 20:17:36 ID:YGTOt9q9
ok
ノボルが違う設定出してきても、世紀末だから仕方ないで消毒する事にする。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 20:25:59 ID:B2DCz4VQ
韓国F5アタック→ブーメラン→顔面受け 珍事件 まとめ


■02月28日試験的に2ちゃん鯖にF5アタック開始
■03月01日2ちゃん各鯖へF5アタック開始、鯖沈黙
■03月02日19時頃各鯖順次復帰
■鯖本籍地の米国連邦捜査局(FBI)がサイバーテロの捜査開始
■鯖管理会社、2億2千万円の損害を発表
■キム・ヨナ英国保険会社より報奨金受け取りがIOC買収疑惑を加速
■さらに、キム・ヨナのオリンピック憲章違反(企業広告塔)の指摘がなされる
■F5戦闘機が2機墜落
■次の予定日は03月06日土曜日
240名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 20:36:26 ID:Zp17NgLd
241名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 20:57:55 ID:1VkTxXP7
ウルトラの人乙です。

あちこちで決戦となってまいりました。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 21:05:25 ID:qBmBmA66
おまえウルトラ将軍様の顔潰すようなことしてんじゃねえよw
243名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 21:22:38 ID:QUCjOhQ4
>>240
メル欄にsage以外の余計なもん入れると上がるみたいだからやめてくれ
244名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 22:21:29 ID:iVMiMwt8
クロノで妄想
ロボが一番かなあ
245名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 22:25:17 ID:ZLMHfRNr
女装フィリップを魅惑の妖精亭で働かせてみたい
246名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 22:27:07 ID:uyhsAUxL
相棒が来週で最終回か・・・。
そういえば相棒の人、さりげなく神戸も出てるけど、
更新来る前に神戸がフェードアウトするのではとふと思った。
まぁ気にせず次の更新を待ってます。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 22:33:55 ID:0rBihwNi
ラッシュ早く来てくれぇえええ
248名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 22:37:00 ID:kmLwhdZn
ところがビッケバッケ召喚
249名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 22:55:27 ID:uyhsAUxL
アニメのOPに乗せて、今まで召喚されたキャラを
網羅したMADを見てみたい
250名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 23:02:41 ID:H+EXXx6g
>>249
見たら発狂する系、どーすんだよwwww
251名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 23:08:00 ID:1NpU7JHa
>>250
同感
252名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 23:11:23 ID:DsOhM7s9
そこは逆転の発想で。

寧ろ見たら発狂系しかいないOPにすればいい。
253名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 23:26:44 ID:vahn7tqS
クロックタワー2からシザーマンを召喚……
してどうすんだろ。うーむ
254名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 23:31:57 ID:s1vHkGtZ
ウルトラ将軍様乙
相変わらずクオリティ高けぇw
255名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 23:33:11 ID:7lVqyttI
コピペ荒らしも復活・・・
まぁ無反応総スルーがベストか
256名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 23:38:48 ID:vahn7tqS
御無礼ロンです…ジョセフさんのトビで終了ですね
257名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 23:57:03 ID:uyhsAUxL
ユーゼスさんがあるので、「スーパーヒーロー作戦」つながりで、
「ダイダルの野望」より帝王ダイダスを召喚。

あるいはスーパーマリオRPGからカリバー召喚。
ハルケギニアがカジオー軍団によって混乱する。
258名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/03(水) 23:57:44 ID:WSF0sTEJ
>>250
ご立派さまの事ですね、分かります
259名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 00:08:35 ID:ZdW0Vxil
>>257
破滅招来体を取り込んだり、人間の負の感情をエネルギー源にしたり、デュナミス2だって噂があったりするようなヤツなんて知りません。
260名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 00:12:32 ID:QJRTuhq3
これでウルトラの作者が切れたら提督の再来だなw
261名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 00:14:07 ID:RljSFnto
>>257
武器そのものの武器軍団にガンダ付いたらえらいことになる予感
262名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 00:14:12 ID:BRHd1S9u
>>260
当時ここにいなかったんだが、提督のラストの打ち切り感って、やっぱそういうことだったの?
263名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 00:25:44 ID:fhiAsTEp
>>250
今まで召喚された中で見たら発狂するとかのやばい系っていうと、
クトゥルフ神話系統とか、ミネルヴァ、色丞 狂介辺りか。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 00:29:05 ID:EX21+0BU
>>260
と期待して君はコピペに勤しんでたんだね、ご苦労さん
265名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 00:34:06 ID:1jcM+T1d
いちいちID変えて一人で必死に荒らしてるのがいるね。
どう見てもバレバレだけど。
ウルトラの人への嫉妬と羨望でこんな事してるんだろうから
いっそキミが何か作品を書いてみればいいじゃないか。

ここの名無しはいい奴らが多いから案外受け入れてくれるかもしれんよ。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 00:41:10 ID:hi22kpLB
鋼の人の復活に期待しているぜ

アクマの人、GIFT、白い魔王もだ!
267名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 01:12:55 ID:nI5ebHM4
超少女明日香と超人ロック、なんとか復活を
望めんものだろうか。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 01:27:48 ID:RcrF+OOY
ダブルクロスの人とベルセルクの人と左手の人と大魔女候補の人まだー?
269名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 02:20:45 ID:FcDXWlzE
>>262
そういや当時もこんな感じで延々とTに対する
コピペ荒しやなりすましなどの嫌がらせがあったな。
で、荒らしはどうにもならんからTが避難所となった記憶が。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 02:48:44 ID:LXYcQAvK
全裸待機してるのに投下無しとかまったくおでれぇた
271名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/03/04(木) 04:05:52 ID:+Xwh9JUE
>>263
残念ながらこっちでは沙耶を除きクトゥルフ系は見つからなかったが(見落としてるかも)、理想郷になら一つガチなのがあったよ。
272名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 04:35:03 ID:Eaq5565L
>>271
昔色々あってだな……
273名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/03/04(木) 08:01:15 ID:+Xwh9JUE
>>272
不吉な匂いしかしないな
274名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 08:53:31 ID:MM/qW7kl
小ネタでいっこなかったっけ?
妖気だか邪気だかに酔ったキュルケがルイズの心臓食っちまうっつーのを見た覚えがある
275名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 09:06:18 ID:dGvwMYVV
836 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/03/04(木) 00:34:37 ID:db7lDZMq
>>832
呼ばれた気がした
と、あのゼロスレの末端作者が言ってみる

843 名前:ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 00:45:48 ID:db7lDZMq
OK,乗った。名乗る。
まぁ、くだらない作品だけど、お暇だったら読んでくださいませませー。頑張って終わらせるよー
276名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 10:55:49 ID:Jgi5SVz6
>>275
ああ、そのスレではちょっと前に二人ほど書き手が名乗って出てきて、それで普通に荒れずにするーっと流れていたんだよ。
それで名乗ったんだろうね。そこの部分だけ取り出したらあれだけど、全体からしたらそれほどたいしたことではなかった。
277名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 11:00:06 ID:fhiAsTEp
>>271
小ネタでティンダロスの猟犬、召喚元を伏せてあるのでもいくつかあったと思う。
それでも以前の騒動で結構減ってしまったみたいだけど。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 11:10:34 ID:Jgi5SVz6
>>277
いやな事件だったね…。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 11:51:17 ID:/+32NPAf
でしゃばる作者ってウザいよね
280名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 11:51:54 ID:Q45f0V3M
どことなく過疎ってる(?)ね
俺がおまじないでもかけておこう
281名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 11:54:59 ID:cWl3Njkx
うざいってか、見ていて痛い。
282名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 12:10:24 ID:THOOVUuk
わざわざ本スレでのたまうあなた方ほどには見苦しくないと思うがね
283名無しさん@お腹いっぱい。 :2010/03/04(木) 12:16:26 ID:+Xwh9JUE
こうして280-281みたいなのが書き込み辛い空気を作っていくのがSSスレ終焉のはじまりなのであった。
284名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 12:26:25 ID:OOBRQZy0
とっとと投下しろや能無し共が
285名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 12:30:42 ID:3kkIeGGT
春だね
286名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 12:56:53 ID:Jgi5SVz6
こういう時は、ちょっと前のあらしの存在にほんのちょびっとだけ感謝できる。
何故ならば、そいつらがこのよろしくない書き込みをしているのだと思えるからだ。
そして、あらしは盛況とまではいかなくても、ある程度の勢いのあるところに現れることが多いように思う。

つまり――このスレは、まだまだ大丈夫だ、ということだ。



百合系のキャラの召喚を見たいな(ボソッ
287名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:01:10 ID:96i8CQiO
>>264-265 >>269
今回、たぶん個人か、多くても二人の仕業だとは思うけど、書いてみろって言うのはやめたほうが・・・

Tの件で荒らしまわっていたのがどうも、なんちゃって作者らしいんだな。
すごい勢いでTの悪口書いてT排斥運動していた2人が一応は作者だった。

あの後作者専用チャットのログ知り合いに見せてもらったりもしたんだが。

悪口禁止、とかチャット管理者が決まりを作っているのにTへの悪口組織票の場となっていた。
本スレで投下できないようなSSを避難所で投下してる作者とか、
短編を一つ書いただけで作者でございと言ってるのとか、
ずっと前に更新停止して放置しているだけ(ほんの2〜3話)で作者でございと言ってるのとか

が主にT排斥論を唱えていたようなんだけどね。


で、そのことに対する苦言を呈していた作者をその他の作者チャットの連中がフルボッコ、
挙句にチャット管理者が「Tの悪口を言っている作者連中を擁護」
「Tへの擁護、T排斥論作者への抗議をしている作者を攻撃」
というとんでもないシーンまであってね。
作者大量逃走の要因はいろんな意味であそこの作者たちだと思う。

でまあ、状況が似ているわけよ。
人気のある作者に嫉妬してネガティブキャンペーンをしていた連中が
またぞろ沸いているように見えて仕方が無い。
そんな状況で書いてみろってのはものすごくまずい気がするんだ。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:05:25 ID:3+LHaH/+
そだね。
ノンケも構わず喰っちまうんだぜ、ってくらいガチ百合な人、召喚されないかなぁ…
…何で真っ先に武林クロスロードのリョウカが思い浮かぶかな自分!?
289名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:08:10 ID:Jgi5SVz6
武林クロスロードのあそこらは、百合つーかレズつかー。
けど、深見作品からの召喚というのはありかもしれんな。
ヤングガンカルナバルとかあのあたりから。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:09:10 ID:uOSuCqMV
禁書の白井黒子さんとか?
291名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:10:10 ID:3kkIeGGT
あまり詮索しないでおくか
292名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:25:28 ID:Jgi5SVz6
>>287は新手の荒らし――ではないかと一瞬疑うような書き込みだなあ。
チャットスレの内容なんか確認のしようがないし。
つか内容を要約すると「このスレの作者連中の溜まり場にはろくなやつがいないし、このスレ空気悪いから書き込むな」つーてるわけだしね。
あそこがよろしくないという話は伝え聞くが、本当の話かどうかはしらんし。
それに自分の記憶だと、あの事件の直後は管理人とかあたりはTの人をかばう方向に立ち回っていたように思えた。
そして、事件のすぐあとに確かスネーク召喚の人が投下してくれたりして、正常化しようとする空気がでてきたような。
ログを確認してないが、だいたいこんな感じだったかと。
いずれ投下がないスレは辛い――が、そもそも、今は平日の昼間だぞ?
普通にないよ。

>>290
黒子さんが美琴以外に……は想像しにくいけど、やはりここらはルーンの効果というあれでか。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:26:31 ID:hzIYObgL
ガチレズねぇ……女性しか存在しないブルードロップの異星人なんかどうだい?
294名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:29:27 ID:CLmc3hb3
CANAANのリャン・チー様か
そうするとギーシュがカミングズポジになるが
295名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:40:58 ID:/pDW1DEb
神原駿河を学院に放り込めばいい
凄いぞ
296名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:49:51 ID:3+LHaH/+
レズでBL好きな腐女子でネコで受けでロリコンでマゾで露出狂で欲求不満な神原駿河さんを放り込んだら…
物凄い化学反応が起こるじゃないか!
297名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:59:22 ID:IlYC1UHD
ガチレズと聞いて、「るいは智を呼ぶ」の花城花鶏が真っ先に浮かんだ
298名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 13:59:54 ID:96i8CQiO
>>292
それは作者専用秘密チャットの管理人さんと、
あのゼロウィキの管理人さん=いいだしっぺ氏が別人ですから当然ですよ〜〜


まあ、今にして思えば思いっきり荒れたから作者チャットの管理人さんが
悪印象もっても仕方なかったとも思うのですけどね。

けど「荒れる可能性があるのに投下する作者は荒らしでありそれまでの作品含めて削除するのが当然」
という論理は無いと思います。

極端な話ですね、私が今ここで「今後あらゆる作者が作品を投下したら荒らし行為を行う」
「つまり作品を投下することは=スレが荒れることである」
「よって、荒れることが分かっているのに今後投下する作者は全て荒らしである」
という三段論法がまかり通るのですよ。

たった一人のアンチが居ついただけでスレッドを潰せます。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 14:08:02 ID:Jgi5SVz6
>>298が荒らしでないと証明したいのなら、もう避難所の雑談とかの方にいくことをおすすめする。
そっちで相手したげるからさ。
空気が悪いのなら空気入れ替える――方がいいと思うんだ。


神原駿河か……化物語はアニメも未視聴で原作も読んでない……。
刀語で書きたいなあとか思ったことあるけど、設定練りこんでたら魔改造になったので断念。
けど興味でてきたから化物語読んでみる。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 14:30:16 ID:MlA5A9Ed
荒れる可能性じゃなくて確実に荒れる状況で、しかもその荒れるのを目的にしてたともなれば
話は別だ
301名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 14:37:47 ID:CsVjpw84
ヴェスペリアのユーリを召喚したら
契約拒否してSEED戦記みたいな展開になるんだろうか…
302sage:2010/03/04(木) 14:55:11 ID:l2n3ZhJU
鋼の錬金術師1期からエンヴィー召喚だと
ウロボロス形態だろうから韻龍召喚したぞ!っていう展開を想像したな
303名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 15:00:06 ID:96i8CQiO
>>300
Tは荒れるのは分かっていて投下した、
という趣旨の発言はしていましたが荒らすのが目的とは一言も言っていません。

一人の荒らしが特定の作者を恨んだだけで作者を叩き潰す事ができるのを是とする
のはどうかねえ、という問いかけはしていたようには読めたように思いますが。

というか、もしかして作者チャットの住人さんでしょうか?
304名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 15:07:43 ID:Jgi5SVz6
ああ、>>303は確定で荒らしだなあ……。
というわけで以後はID:96i8CQiOの人はスルーの方向で。



ヤングガンカルナバルから鉄美弓華の召喚とか、ちょっと書いてみたいと思った。
どんなかまだもやっとしているが。
305名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 15:08:53 ID:Am/5zsaD
>>299
とりあえず小説じゃないんだから文学線と三点リーダをやめて普通に書き込めや
コテ名乗るつもりならともかく痛々しくて笑ってしまうしIDが違っても誰かわかるぞw
306名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 15:12:47 ID:Jgi5SVz6
>>305別にいいじゃんw
とも思うけど、まあ無意味に反論して荒れるようならあれだし、こだわることでもないんでやめとく。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 15:16:35 ID:uyoynRNJ
ギーシュがレイザーム
モンモランシーがシリンモリン
キュルケがラドレヒト
マリコルヌがオムショコポ
を召喚
308名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 15:43:13 ID:pNEHfQLS
作者「これこれこういう話を書いたんだけど、避難所に投下した方が良さ気?」
住人「良さ気」
作者「把握」

後日
作者「だが、断る」
住人「なっ、なんだってー」

投下後
作者「荒れるのが分かっていて投下した。今も反省していない」
住人「何をするだァーッ」
309名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 16:26:51 ID:dDepcmwr
見えたか?気づいたか?これが悪霊だ
310名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 16:29:14 ID:9OUdCKYW
も、問題だ!これは問題だぞッ!
311名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 16:42:23 ID:0tLRmDvu
あれ?ゼロの奇妙な使い魔スレと間違えたかな俺?
312名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 17:01:54 ID:PH9eRLQz
リアルではひな祭りだったんだし、誰かハヤテから桂ヒナギクさん召喚してくれないかなあ。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 17:07:19 ID:Ur+u0H6U
ハヤテかナギかマリアさんのがやりやすいんじゃない?
314名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 17:29:36 ID:Jeu11wrC
雛祭りだからと言ってるのにお前は一体何を言ってるんだ
315名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 17:35:20 ID:j9kt3kXv
突然ツィツィミトル星人の電波だか知らないが

何故かご立派様しか降魔してないハム子がルイズに召喚され
意地でもペルソナを使わないというイメージが脳内に・・・
そしてペルソナの影響で女性限定でコミュが連鎖的に築かれて
逆ハーレムが・・・
316名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 17:45:53 ID:HrzM5DCt
自分も当時提督氏の擁護に回っていた読み専だけど…あれを判り易く例えるなら、
巧みなカムフラージュで周りから煙たがられないように注意しながら
住人の中にまぎれて提督氏に投石する輩(虚像でない素の自分自身が叩かれる側に回る事を心底怖れている)がいて、
それに対して提督氏が怒ってそいつを追いかけて住人達の人ごみの中に押し入って、
それで押しのけられた住人達が怒ってウザい出て行けと声高に叫ぶようになったという感じなんじゃないか?
(ちなみにそのキッカケになった第一声は、住人を装った投石君が住人の声をマネたもの)
ちなみに投石してた輩は相変わらず人ごみに隠れて嬉々として投石し続けてた。

要するに、人身掌握と扇動がそこそこ上手い子の悪ふざけの場として
ここが悪用されてしまった結果って事なんじゃないかね。
それにまんまと載せられた提督氏と住人達は気付かないままでね。
317名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 17:57:52 ID:/pV+67gB
こうして提督とその信者の悪名が広まっていくのであった
318名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 18:13:25 ID:Ckc3iltY
被害妄想もここまで来ると見事の一言。
319名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 18:15:16 ID:Jgi5SVz6
つくづく、嫌な事件だったね。
320名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 18:17:32 ID:6/tt2r92
作品自体は非常に面白かっただけに、余計複雑な気分になるな
321風の使い魔:2010/03/04(木) 18:31:28 ID:5doP6d1k
風の使い魔2話を18:45から投下したいと思うのですが、よろしいでしょうか?
容量が約40KBで、たぶん18レスくらいです。
途中規制に掛かって、19:00から再開。それで投下しきれなければ、どなたか代理をお願いいたします。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 18:38:26 ID:oSUuX+Xa
そういやダブルクロスの作者さんも撤退してんの?
まとめから何時のまにか消えてるけど
323名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 18:42:19 ID:XSZdX1vM
ktkr支援
324:2010/03/04(木) 18:42:33 ID:Pfxlv5Px
避難所の方に投下してもらったら自分が一気に投下しますけど、どうします?
325名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 18:42:39 ID:CLmc3hb3
cyclone effect don`t stop it
326名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 18:49:13 ID:5doP6d1k
>>324
お気遣いありがとうございます。ですが、今からですと、規制までに10分少々掛かるでしょうし
御迷惑でなければ、このまま行かせて下さい、5分以上開くことはしませんので。

※※※ 

 その日、彼女は寝不足だった。特別心掛けていたわけではないが、常日頃から規則正しい生活を送り、
これまで寝不足など滅多に無かっただけに、軽く衝撃だった。
 寝惚け眼を擦り、足元に転がる物体を見やる。寝床が固い床だというのに、お構いなしに爆睡中。まったく、
これが我が使い魔だと思うと、朝から暗澹とした気持ちになるというもの。それもこれも、事は昨夜に遡る。
 
風の使い魔 第一章 「輝きは君の中に」1-2

 昨晩、タバサはランプの明かりを頼りに読書をしていた。そこへアンロックで鍵を外して入ってきたのは、
やはりというかキュルケだった。入るなり、早口に何事かまくし立てていたが、サイレントの魔法を施して読書していたことを知ると、
途端にニヤニヤと思わせ振りな態度。あからさまに聞いて欲しそうだったが、特に興味も無かったので読書を続けた。
 数分後、そろそろかとタバサは顔を上げ、時計を一瞥する。
「そろそろ就寝時間」
 まだ風助は帰ってきていなかったが、タバサは既にパジャマに着替えており、いつでも寝る準備はできていた。
「そんなの誰も守ってないわよ。それよりもぉ……さっき中庭で何があったか知りたくない? 貴女が知りたいって言うなら教えてあげるけど?」 
 やたら焦らすくせに、どうしても聞いて欲しいらしい。仕方ないので聞こうかと思った時、
「まったく、あんたは! 何であんなところで居眠りなんかしてたのよっ! 悪いことした使い魔には、お仕置きが必要だわ!」
「仕方ねーだろ、あんまり眠気を誘われたもんだから……って元はといえば、お前が部屋から追いだしたんじゃねーか!」
「だからって中庭なんかで野宿しなくていいでしょ、恥ずかしい! あんたって頭の中まで犬なのね!」
「だから野宿じゃねぇっての! あいつと話してたら、そのうち眠くなって……」
 キュルケの開け放したドアの外を、ルイズとそれに引き摺られる使い魔が通り過ぎた。しかも、寮中に聞こえるくらいの大声で口論しながら。
 会話の端々から、どうやら使い魔の少年と風助が、一緒に中庭の木で居眠りしていたとのこと。
 タバサは、キュルケの話題の察しが付いた。大方、揃って居眠りしていた二人が何か変なことでもしたのだろう、と。
 キュルケはそんなことで人をからかうタイプでもないから、ルイズも交えた、よほど面白いアクシデントでもあったのか、と予想した。
「……大体分かった」
 と言って再び顔を本に落とす。タバサにとって、風助は大食らいで足が異常に速い以外はただの少年であり、
関心もあまり湧かないのが正直なところだった。当然、キュルケの話題にも。
「あ、ちょっとタバサ。違うのよ、実はね……」
 タバサの反応から思考を予想したのか、焦らすのを止めたキュルケは詰め寄って顔を近付けるが、
「よー、わりぃ。遅くなっちまった」
 ルイズ達の後をとことこと付いてきた風助によって、会話は中断された。
「別に」とタバサも返す。ちょうど寝る時間といったところだ。
 本を閉じたタバサが立ち上がると、キュルケも立つ。キュルケは、やや不満げに、もう、と息をついた。
話のオチを話せなかったのは残念だが、本人も帰ってきたことだし、聞く気があれば聞くだろう。
「じゃ、そろそろ帰るわ。おやすみなさい、タバサ」
「おやすみ」
 タバサに手を振ったキュルケは、扉を閉める直前、思い出したように風助を振り返った。
「それと、フースケ……って言ったかしら? さっきの演奏、良かったわよ。いいもの聞かせてもらったわ」
「おー、じゃあな」
 平民、しかも出会ったばかりだというのに、キュルケの態度はそれを感じさせない。応じる風助も、
もう友達にでもなったかのように気安く手を振る。
 置いてけぼりをくらったタバサはそれを不思議そうに見ていたが、きっと二人とも天性の性格なのだろうと自己完結した。
"演奏"という単語だけは、わずかに引っかかったが。
 キュルケが去り、静まり返った部屋で、最初に口を開いたのは風助。室内をきょろきょろと見回しながら訊ねる。
「なぁ、俺はどこで寝りゃいいんだ?」
 ベッドに腰かけたタバサが、無言で枕を叩く。寝床の問題は忘れていたわけではないが、夜も遅い。
明日、簡易ベッドでも用意すれば十分だろうと考えていた。
 かといって床で寝させるのも気が引けた。使い魔の管理もメイジの条件の内。風邪でも引かれては困る。
327:2010/03/04(木) 18:51:11 ID:Pfxlv5Px
了解&支援です

規制されたら避難所で待ってます
328風の使い魔:2010/03/04(木) 18:52:29 ID:5doP6d1k
「けど、二人じゃせめぇなぁ。俺は別に床でもいいぞ。慣れてるしな」
 風助は裸足になると、勝手に床に寝転んだ。実際シングルのベッドは、小柄の二人とはいえ狭い。
タバサとしてはどちらでもよかったので、毛布を手渡した。
「ありがとな」
 ただそれだけの意味しかなかったのだが、礼を言われると、どこかくすぐったいような気持ちになった。
 風助に背を向けて、タバサはベッドに横たわる。間近には圧迫感を感じさせる壁。
でも、風助の顔を見ながらでは寝辛い気がした。
 これまでここは自分だけの部屋だった。来客といえばキュルケぐらいのもの。声も音もない。自分だけが存在する静謐な空間。
そこに降って湧いたように現れた異分子に、もしかすると戸惑っているのかもしれない。
 そんなことを考えながらも眠気には勝てず、タバサの意識は緩やかに落ちていった。


 それからどれくらいの時間が経っただろう。タバサの意識は、耳をつんざく轟音により一瞬で覚醒を促された。
絶えず聞こえる音は、一定のリズムで響く唸り声。
 彼女の行動は素早かった。枕元に立て掛けた杖を取り、ベッドの上で中腰になって構え、音の正体を見極めんと、
闇に眼を凝らしつつ暗視の術を唱える。
 一瞬で暗闇に目が慣れる。室内に動くものはなく、他の音も混じらない。物々しい足音も、白刃の閃きも。
 ただ、部屋の中央の床に転がる物体が一つ。そこに居るのは、規則正しく胸を上下させる使い魔の少年だけ。
間抜けに開けられた口から、強烈な"いびき"が発されている。
 つまり、これが轟音の正体。タバサは拍子抜けして、ベッドに座り込んだ。なんてくだらない、つまらない、自分らしくないミスなのだろう。
 思えば、召喚した時からそうだったのだから、予想して然るべきだった。どうも召喚して以来、彼にはテンポを狂わされている気がしてならない。
 杖を振ってサイレントの魔法を掛ける。安眠を妨害されないよう、朝まで解けないように。
 ピタリと音が止んだ。そう、最初からこうしておけばよかったのだ。ようやく取り戻した静寂に、ほっと一息吐くと、タバサは再びベッドに入る。
気を張り詰めたものだから、すっかり目が冴えてしまった。
 礼を言われた時の不思議な感覚の正体が分かった。彼はとても純粋なのだ。人からされて嬉しかったことに対し、
ごく普通に、素直に礼が言える、いい意味での子供らしさ。
 かと思えば、自分から床で寝ると言う。あっさりと使い魔契約を了承したのも謎だ。ゲートを通ったのは自分からとしても、
文化も何もかもまったく違う国に召喚されて、普通なら大人でも心細いはず。ましてや風助ぐらいの子供なら、
親から引き離されれば、戸惑い泣き喚いてもおかしくない。
 つまり、彼の中には大人と子供が同居しているのだ。
 "親"でタバサは思い出す。殺された父、毒で心を狂わされた母を。狂ってしまった母を救い、父と母の仇を討つことが、
自分の生きる目的。その為には使い魔が駄目だと嘆いている暇はない。
 そういえば、彼はどういった経緯で召喚されたのだろう。どこで暮らして、どうやって生きてきたのか、親は恋しくないのか。
 自分が、そんなことすら知らないことに気付く。何ができて、何ができないのか。最低限のことすら確認していなかった。
 だが、できないなら、できるようになってもらうまで。その為にはまず、彼と話すことが必要かもしれない。
明日授業が終わった後にでも機会を設けよう。
 そう結論付けて、タバサは目を閉じる。この時、タバサは知らなかった。風助は、ある意味では自分と近しい存在。
子供が子供のままで生きることを許されず、強くなる道を自ら選びとったということを。
329風の使い魔:2010/03/04(木) 18:55:22 ID:5doP6d1k
 そんなこんなで、タバサは寝不足だった。母を思い出した後、完全に覚醒してしまい、なかなか寝付けなかったのである。
 風助は朝食が近い時間になると、匂いでも嗅ぎつけたか、自然に起き上がったが、タバサは朝食の席でもいま一つぼんやりとしていた。
 学院は、朝から結構豪勢な食事が出る。タバサはまったく問題ないが、こう朝からボリュームのある食事では困る者もいるのではないだろうか。
例えば、スタイルを気にする女生徒とか。
「足んねぇ」
「我慢」
 パンとサラダとベーコン、野菜スープetc……昨夜に引き続き、"それなり"の食事をペロリと平らげた風助に、タバサもまったく同じ答えを返す。
 少し離れたテーブルでは、ルイズと使い魔の少年――確か才人といったか――がなにやら揉めていた。
 どうやら貧相な食事に不満を述べているらしい。タバサは昨晩、使い魔の分の食事を、と伝えただけだ。
そして出てきたものが"それなり"のものだったのだが、ルイズは違うのだろうか。少し考えたが、特に興味もなかったので、食べ終わるとすぐに席を立った。
 食堂を出たタバサの後を、風助も付いて歩く。それを振り向きもせず、タバサは考えていた。次の講義は、使い魔も大型のもの以外は同席する。
しかし、風助を同席させていいものだろうか。
 同席させないでいても、風助が好きに動いて何か問題を起こさないか懸念はある。だが、同席させたらさせたで、まず確実に居眠りするだろう。
そうなれば、あの凄まじいいびきが教室中にこだましてしまう。
 タバサが逡巡していると、下から風助が見上げてきた。
「これからどうすんだ?」
「一緒に来て」
 考えた末、結局同席させることにし、
「おー、分かったぞ」
 風助も、いつもの調子で頷いた。


 階段状の教室では、長机が段ごとに並べられている。普段は等間隔に生徒が着席しているのだが、
今日は床に使い魔がひしめき合っている分、些か窮屈さは否めなかった。
 普通の獣ならまだしも、サラマンダーやバグベアーのような幻獣までもが主の傍らに座っている光景は、風助や才人にとっては異様だった。
各々の主人の隣で床に座った風助と才人は、物珍しそうに見回している。
 どの生徒も雑談に興じる中、ルイズと才人、風助とタバサは、物珍しげな視線を絶えず送られていた。ルイズとは違い、
タバサを大っぴらにからかう者はいなかったが、こそこそと陰口を叩く者は少なからずいる。全部筒抜けではあったが、
風助もタバサも表情一つ変えなかった。
 教室の扉が開き、恰幅の良い中年の女性が入ってくると、雑談や陰口は止み、教壇に立つ女性に注目が集まる。
彼女はぐるりと教室を見渡して、にっこりと笑顔を浮かべた。
「皆さん、春の使い魔召喚の儀式、成功おめでとうございます。私はシュヴルーズ、二つ名を『赤土』のシュヴルーズ。
なるほど。どの使い魔も、とても個性的ですわね」
 シュヴルーズの視線は、風助と才人を主に観察していた。前例のない人間の召喚が二人、しかも片やゼロとあだ名され、片や成績優秀のエリート。
珍しがるのも無理からぬこと。尤もシュヴルーズは、ルイズのあだ名の由来までは知らなかったのだが。
「二つ名からお察しの通り、私は土系統のメイジです。これから、皆さんに土魔法の講義をしたいと思います。一年のおさらいですので、
退屈な方もいるかもしれませんが、付いてきてくださいね」
 簡単な自己紹介の後、講義は始まった。系統の説明から始まり、錬金の講義へ。ルイズは真剣に講義に集中していたが、
タバサにとってはとっくに知っている内容なので、本を開いて独学を始める。
 使い魔二人はというと、才人は興味深そうに耳を傾けている。異世界の魔法の仕組みと実演。好奇心を刺激されずにはいられないというもの。
 風助は最初は同じように聞いていたのだが、内容が小難しくなるにつれ船を漕ぎだし、仕舞いには仰向けに倒れた。生徒でもないのに、生徒以上に態度が大きい。
 隣で黙々と本を読むタバサの横顔を眺めながら、いつの間にか風助は眠っていた。


 意識は身体を離れ、遠い過去へと飛ぶ。といっても、まだ三年程度しか経っていないのだが、もう随分昔のようにも思える。
 遠くから聞こえる爆音と悲鳴を聞きながら、風助は思い出す。
 あの頃、爆音と悲鳴は日常だった。聞き飽きるほど聞いたが、悲鳴だけは何度聞いても慣れなかった。
その度に、悔しさとやり切れない思いが込み上げたのは忘れない。
330風の使い魔:2010/03/04(木) 18:57:35 ID:5doP6d1k
 これ以上悲しい思いをする人が出ないように。その為だけに戦った日々。
 己の身一つを頼りに、銃弾と砲弾の雨を掻い潜り、炎を飛び越えた。何人もの敵兵を殺めても、
自分らしさを失わずにいられたのは、きっと共に駆ける戦友がいてくれたからだろう。
 焦げ臭い煙は戦場を思い出させる。違う点は、それは肉の焦げる臭いではないこと。血や硝煙の臭いはないということだ。
「……てっ!」
 顔面を何かに踏まれ、続いて蹴飛ばされた。ようやく目覚めた風助が周りを見回すと、何故か廊下で寝ていた。
 開け放された扉の向こうは大騒ぎ。暴れる使い魔が廊下を走っていき、追いかけて生徒も走っていく。
 教室を覗き込むと、中央の教壇でルイズとシュヴルーズが真っ黒になっていた。服はボロボロだが、
ルイズは胸を張っており、あまり深刻そうな感じはない。
 夢に出てきた爆発と悲鳴は、このせいだったのか。久しくあの頃の夢など見ていなかったが、
もしかするとあれは、短いホームシックだったのかもしれない。
 机の陰に隠れていた才人と目が合う。苦笑いをしている才人に、風助はにっこり笑った。
「やっぱおもしれぇなぁ、ここ」


 風助のいびきがうるさくなってきたのと時を同じくして、ルイズが錬金の実演に進み出た。風助の襟首に杖を引っ掛けて、
廊下まで引きずり出したタバサは、そのまま教室を去り、今は図書館で読書をしている。
 その後に起こることは容易に想像できたし、迷惑そうな視線を向けられたのでちょうどいいと思った。どうせ授業にはならない。
風助を放置したのはまずいかと思ったが、なかなか起きないので、これも仕方がない。
 タバサは今、館内を物色した際に目に留まった、先住魔法に関する書を読んでいた。
何となく手に取ったのだが、なかなか面白い。昼食まではこれで時間を潰せそうだ。
 先住魔法――精霊の力を借りて行使する、エルフを始めとする亜人独自の魔法。杖を必要とせず、
地形によっては強力な効果を発揮するのだが、詳細は定かではない。
 読んでも、タバサには今一つ実感が湧かなかった。精霊の力を借りて術を行使するのは、どんな感覚なのだろう。
人よりも自然と密接に関わっている彼らだからこそ使える術。これを踏まえれば、人が精霊と契約するのとは勝手が違うのかもしれない。 
 そんなことを考えていると、
「おめぇ、ずっと本読んでるけど、遊んだりしねぇのか?」
 横からカエルのような顔がぬっと伸びる。いつの間に来たのか、風助が隣に立っていた。
 タバサは答えない。答える必要がなかったからだ。黙って読書を続けていると、更に風助は距離を詰めてくる。
「じゃあ俺と友達になるか?」
 友達と呼べるのはキュルケぐらいのものだが、必要だと感じたこともなかった。故に風助の言葉は、普段なら聞き流す、取るに足らない言葉。
 しかしこの時、不思議とタバサは返事をしていた。彼女には珍しく、反射に近い返答だった。
 何か、自分の癇に障るものがあったのかもしれない。よくよく考えれば、
その言葉に同情や憐みの類が含まれていないことも気付けたのだろうが。
 他人のテリトリーに、軽いノリで踏み込むのはキュルケも同じ。その点において彼女は優れていた。少なくとも、
真正面から馬鹿正直に来る風助よりはずっと。自分勝手に行動しているようで、距離の取り方も巧みだった。
 本を閉じて席を立つタバサ。風助は彼女の後姿を見送りながら頭を掻いた。


 学院のメイド、シエスタは困っていた。切り揃えた黒髪は汗に濡れ、黒の瞳が不安そうに歪む。
 胸の高さまでこんもりと盛られた洗濯物。その籠を両手で担いで、さも重たげに運ぶ。
普段から洗濯物は多いのだが、今日の量は平時よりもかなり多い。
 二年の使い魔召喚の儀式が昨日会ったらしいが、そのせいで生活リズムが変わったのだろう。
動物の毛や土埃などで汚れた洗濯物も見られた。
 水場から拙い足取りで運ぶ最中、足元が見えなかったシエスタは、大きな何かに躓き、短い悲鳴を上げて転んだ。
331風の使い魔:2010/03/04(木) 18:59:04 ID:5doP6d1k
「きゃ!?」
 自分の服は汚れても構わないが、ひっくり返した籠には、洗濯済みの服が入っていたのだ。
「ああ、またやっちゃった……」
 泣きたい気分で拾い上げる洗濯物には、芝がびっしりとこびり付いている。
「うぅ……やり直しだわ……」
 それにしてもおかしい。これまで何十回と往復してきた、何もないはずの芝生の敷地。
躓くほど大きな石がそうそう入ってくるわけもない。一体何が転がっていたのかと、シエスタは足元を見た。

「よー、大丈夫か?」
「きゃぁあああ!!」

 躓いた何かがむくりと起き上がると、それは見たこともない奇妙な顔をした少年? だった。
あまりにインパクトのある顔に、思わず悲鳴を上げて後ずさる。

 何なのかしら……この物凄い顔の生き物は……。カエル? カエルなの? でも、見慣れない服装だけど、身体は人間だし……。

 しばしシエスタが呆気に取られていると、立ち上がったカエルは、洗濯物を拾って籠に投げ入れていく。
「あ、あの……」
「わりぃ、ポカポカして気持ちいいから寝ちまってた」
「私がやりますから、そんなことしていただかなくても……」
「けど、俺が邪魔しちまったんだろ? だったら手伝うぞ」
 昨日、平民の使い魔を召喚した生徒が二人いると聞いた。おそらく、そのどちらかだろう。
 だとしても、一人では昼食までに間に合わない。この際手伝ってもらおうと、渋々了承した。
「はぁ、そういうことでしたらお願いします」
「おー、俺は風助ってんだ」
「あ、はい。私はシエスタと申します」


「ありがとうございました、風助さん。おかげでなんとか昼までに終わりました」
 邪魔になるかと思ったが、意外や意外、風助は実にてきぱきと仕事をこなしてくれた。洗濯も手慣れているし、
何よりシスエスタでは持ち上げるだけで大変だった籠を、軽々と持ち上げたのには驚いた。
「なぁ、その丁寧語は止めてくんねぇか?」
「でも、そういうわけには……」
「何かくすぐったくて気持ちわりぃぞ。頼んでも駄目か?」
「……そうですか。では失礼して……風助君」
 そう呼ぶと、風助は屈託のない柔和な笑顔を浮かべた。何となく頭を撫でたくなる、年相応の子供らしい笑顔だった。
どこか故郷の弟を思い出させる。
 この少年はするりと心に入り込んでくるが、シエスタにはそれが不快ではなかった。
 ぐぅ、と風助の腹が鳴った。妙に大きな音に一瞬驚いたが、子供の扱いに慣れていたシエスタは即座に立て直した。
「お腹空いてるの? それなら後で厨房まで来て。賄いや残りがあるから、お願いして食べさせてあげる」
「おぉぉ! 嬉しいぞ、いつも足んねぇと思ってたんだ」
「それじゃあまた。ありがとうね、風助君」
 大げさに喜ぶ風助に苦笑しながら、シエスタは手を振って別れた。まさかこの後、
もう一人の使い魔の少年にも出会ってしまうとは、この時は思いもよらなかったのだが。


 タバサの部屋に帰るのにも迷う風助だったが、食堂に行くのは迷わない。美味しい匂いを辿れば、そこが食堂だった。
 床に出された三度目の食事は、十秒も掛からず風助の胃袋に消えた。前回同様に、量も"それなり"にあったはずなのだが、
これもいつも通りである。違うのは、足りないという訴えがないことだった。
「午後は一緒に来なくていい」
 風助ほどではないにせよ、豪華な食事をあっさりと片づけたタバサは、一言言い残すと食堂を出ていった。
 それを見送った風助も、続いて食堂を出る。行先は勿論、厨房。場所は聞いていなかったが、やはり匂いを辿れば簡単だった。
332風の使い魔:2010/03/04(木) 19:00:15 ID:5doP6d1k
 一番濃い匂いの漂うドアを開くと、そこにはシエスタとコックらしき数人、そしてもう一人見慣れた顔があった。
「よ、風助」
「よー、才人じゃねぇか」
 既に厨房のテーブルの一角に腰掛けていた才人が軽く手を上げた。先客だったのか、彼の前には美味しそうなシチューが並べられている。
「いらっしゃい、風助君」
 風助はシエスタに促されて、才人の隣に座る。
「どうりで食堂にいねぇと思ったぞ」
「しょうがねぇだろ。あいつに飯抜きにされちまったんだからな」
「あの後、サイトさんに会ってね。お腹空いてるようだったから、同じようにお誘いしたの」
 スプーンとフォークを握り締める風助の前にも、才人と同じものが出た。話もそこそこに手を伸ばす。
「おぉ、うめぇなこれ」
 一口食べて感嘆の声を漏らした。こういった素朴で簡単な味の方が風助は好みだった。
 二人の食べっぷりが気に入ったのか、シエスタもどこか嬉しそうだ。
「お代わりもありますから、二人とも言ってくださいね」
「お代わり」
 器一杯のシチューを数秒で空にした風助が、間髪入れずにお代わりを催促。慌ててシチューを付けるシエスタを尻目に、才人がジト目で風助を見る。
「風助、お前昼飯ちゃんと食ったんだろ。何でここでまで食ってんだ?」
「あんだけじゃ足んねぇんだ。おめぇこそ何で飯抜かれてんだ? お代わり」
「爆発の片付けもほとんど俺にやらせて、あんまり腹立ったもんだから、ゼロゼロって馬鹿にしたら、アイツすげえ怒ってさ」
「まぁ、貴族にそんなこと言ったら大変です」
 と、忙しなく鍋と風助を行き来するシエスタ。お代わりを渡しても、すぐに空になるので慌ただしいことこの上ない。
「おめぇが悪いんじゃねぇか。お代わり」
「いや、そうなんだけどさ……」
 十杯目を平らげた風助は、そこでお代わりの手を止めて、おもむろに才人を見た。
「ところで、貴族って何するもんなんだ? 偉いのか?」
 視線を向けられた才人はしばらく考えた挙句、
「俺に聞くなよ…………シエスタ」
 シエスタに話を投げた。突然話を振られたシエスタは、やはり困り顔で口元に手をやって考えだす。黙りこんでから数秒、シエスタは顔を上げた。
「うーん……政治をしたり、領地を管理したり……戦時となればメイジは戦闘に出るし……改めて聞かれると困りますね。
けどまぁ、風助君に分かりやすく言えば、国を守るっていうのが仕事でしょうか。だからこそ、平民よりずっといい暮らしをしてるんですもの」
「そんなにいいもんじゃねぇぞ」
 最後、シエスタの説明に水を差したのは、真っ白な高い帽子を被った中年の男。体躯も大きく、顔からして気風の良さそうな男性だった。
「あ、こちらコック長のマルトーさんです」
「あ、どうも……」
「おっちゃん、このシチューすっげぇうめぇぞ」
「おお、そうか! 坊主もいい食いっぷりじゃねぇか。そんなに美味そうに食ってもらえると、こっちも作った甲斐があるってもんだ」 
 シチューの椀を掲げてお代わりを再開した風助に、マルトーは実に上機嫌だった。豪快に笑いながら、風助の背中をバンバン叩く。
「まぁ、ともかく貴族の方々っていうのは、そんな感じです。偉いんですよ」
「ふーん……」
 気のない返事をする風助だったが、その顔から心中を読み取れる人間はいなかっただろう。
「さて、と。それじゃ私はデザートを配ってきますね。サイトさん、よろしければ手伝っていただけますか?」
「ああ、分かったよ」
「俺も手伝うぞ」
 連れ立って厨房を出ていく二人に、風助も付いていこうとしたのだが、
「ふふ、風助君はまだ食べ足りないんじゃないの? 大丈夫だよ、私とサイトさんだけでも」
 シエスタは笑顔でそう言うと、才人と出ていってしまった。残された風助は手持ち無沙汰になった。貴族とは何か。シエスタの話を反芻しながら、
マルトーからストップが掛かるまで、ひたすらシチューを食べ続けた。


 才人とシエスタが出ていってからしばらくして、風助も厨房を出た。大鍋を三分の一まで減らし、マルトーに、自分達の分がなくなる、とまで言わせた。
にも関わらず、マルトーは風助を気に入ったらしく、また来いと言って送り出してくれたのだから大物である。
333風の使い魔:2010/03/04(木) 19:02:01 ID:5doP6d1k
 そこそこ膨れた腹を抱えて散歩していると、広場に環状の人だかりが出来ていた。ぐるりと一周してみたが、
人の切れ目はなく、何が起きているのか知りようもない。どうしたものかと考えていると、
「あら? タバサ、あなたの使い魔が来たわよ」
 人だかりの中に、よく目立つ長身の赤髪を、その横に小さな青い髪を見つけた。手招きに応じて近寄る風助。そこにはタバサと、
「え〜っとおめぇは……」
「キュルケよ、キュルケ」
 キュルケがいた。尤も、タバサは本に目を落としたまま、ろくに輪の中も見ていない。
「よー、何やってんだ? これ」
「決闘よ」
「決闘?」
 タバサとキュルケの間に割り込むと、輪の中央には薔薇をくわえた金髪の少年が、向かいには才人が立っていた。
才人は既に一発もらっているのか、頬を腫らし、口の端から血を流している。
「あいつら、なんでこんなことしてんだ?」
「ギーシュの逆恨みよ。それに売り言葉に買い言葉。大した理由じゃないわ」
「ふーん、でもあいつ、そんなに強いのか?」
 気障な雰囲気の少年――あれがギーシュか。ギーシュは薔薇の枝を遊ばせて、余裕の表情。
どう見ても、身体能力では才人の方がまだ優れている。
「強いのはギーシュじゃないわ。あれ」
 キュルケが指し示すのは、ギーシュの盾になるように立つ青銅色の像。人の背丈ほどもある、鎧を着込んだ女戦士の像だ。
 像は、見た目に似合わぬ機敏な動きで才人に躍りかかった。才人の蹴りは空を切り、脇腹に拳が叩き込まれる。
「ギーシュのゴーレム、ワルキューレ。戦い慣れた戦士ならまだしも、ただの平民じゃ勝てっこないわね」
「ふーん……あれも魔法か。なんかすげぇぞ。でも、止めなくていいのか?」
 キュルケは肩を竦めた。タバサの様子や、他の生徒を見るに、この場にいる大方の人間がそう思っているのだろう。
「まさか、くだらないわ。あなたこそ止めないの?」
「ケンカなら止めねぇぞ」
 風助の意外な返事に、キュルケは内心驚いていた。まるでその気になれば割って入れるような口振り。そう言いながらも、
風助はキュルケに顔を向けもせず、才人とゴーレムの戦闘を観察している。その眼も、子供のそれとは思えなかった。
 なんとなく聞いただけなのだが、あながち的外れでもなかったのかもしれない。
「ケンカで済めばいいけどね」
 そう言うと、キュルケも決闘に視線を戻す。止めはしなかったが、その言葉は嘘ではなかった。


 戦いは一方的だった。見る見るうちに才人の身体に傷が刻まれ、ワルキューレには一発も入っていない。
尤も、入れたところで、相手が銅像の身体では才人の拳が砕けるだけだ。
 焦りと痛みによるものか、攻撃は大振りになり、形勢は益々不利になるばかり。顔面は更に腫れ上がり、
あれでは前も見えないに違いない。先ほどから右手を一切使わないのは、とっくに折れているからだ。
 やがて、がら空きの顎にカウンターの拳が叩き込まれ、才人は仰向けに倒れた。これで終わり、誰もがそう思っただろう。
「これで終わりかい?」
「なんの……まだまだ」
 だが、降ってきたギーシュの問いに、才人は答えた。よろよろと立ち上がろうとしたところに、ルイズが割って入る。
涙ながらに才人を制止しているようだが、内容までは聞き取れない。聞き取れたのは一言。
「使い魔でもいい。床で寝るのも、まずい飯も我慢する。生きる為だ、しょうがねえ。けど……下げたくねえ頭は下げられねえ!!」
 立ち上がった才人の強い叫びを余所に、タバサは本を閉じた。キュルケに付き合ったが、もういいだろう。
そろそろ悪趣味だし、何より結果は見えていた。
 背を向けようとしたその時、タバサのマントを揺らして、隣にいた風助が進み出た。一歩一歩、輪の中に向かって歩いていく。
 全員の注意は啖呵を切った才人に向けられており、風助を見ていたのはキュルケと、足を止めたタバサのみ。
 ワルキューレが才人に最後の一撃を加えんと跳び出す。合わせて風助が右足をぐっと踏み込み、二人の視界から消えた。


 折れた右腕を押さえて立ち上がったものの、視界は歪むは揺れるはで、使い物にならない。
おまけに勢い付けて立ち上がったせいで、立ち眩み、足元がふらつく。
334風の使い魔:2010/03/04(木) 19:04:54 ID:5doP6d1k
 迫るギーシュのワルキューレを前に才人は為す術なく、放たれる拳を見ていることしかできなかった。
間違いなく直撃コース。もうどこに当たっても、倒れたら立てない。
 脳裏を過ぎるのは、これで楽になれるという諦観。しかし同時に、負けたくない、折れたくないという意地もわずかに燻っていた。
だというのに、身体は意志を裏切って、まるで動いてくれない。
 懐に入ったワルキューレが拳を振り被った。才人は思わず目をつむって、来る痛みに備える。だが、いつまで待っても衝撃は訪れない。
 奇妙な浮遊感、続いて観衆のどよめき。
 ゆっくりと目を開けると、何故かギーシュの背中が映った。その先には、目の前に迫っていたはずのワルキューレ。
 状況に認識が追い付かない。混乱した思考を必死に整理していると、ふと自分の腹に何かがしがみついているのに気付いた。
「お前……風助!?」
 風助は答えなかった。ただ、風助が掴んだ服を放すと、全身が鉛になったみたいに沈み込んだ。まさか、今まで風助に支えられていたのだろうか。
 風助が向き直ったギーシュ。よく見ると、背後にいるワルキューレの拳がめり込んでいるのは、人間の胴体ほどの丸太だった。
 どこか見覚えのあるシチュエーション。アニメやゲームで見たことがある。攻撃を受ける瞬間に、物と素早く入れ替わる忍術。
 いや、まさかと思った。そんなことはあり得ないと。しかし、あれはまさしく。
「変わり身の術……?」


 ギーシュと対峙した風助は怒るでも、恐れるでもなく、ごく自然体で語りかける。
「よー、もういいんじゃねぇか? ケンカならとっくに勝負は付いてっぞ」
 一方ギーシュは、才人同様混乱していた。いつの間にか才人が背後に回り、ワルキューレの攻撃は丸太に当たっている。
だが、ヴェストリの広場にそんなものは落ちていなかったし、何より入れ替わる素振りなどなかった。
そして、目の前には、これまた、いつの間にか現れたタバサの使い魔。
 風助の言葉で、ギーシュはやっと正気に帰った。大仰に髪を掻き上げ、風助の問いに答える。
「これはケンカじゃない。決闘だよ」
「ケンカとどう違うんだ?」
「決闘とは互いの誇りを賭けて行う神聖なものさ。決闘に勝利することで、己の誇りを証明する。単なるケンカと一緒にされては困るな」
 風助はまたも首を傾げた。どんな理由で決闘に至ったのか知らないが、シエスタから聞いた話と食い違う。
「よくわかんねぇけど、貴族ってのは国を守るもんなんだろ? 弱い奴を守る為にいるおめぇが、その誇りを証明するのに弱い奴を傷つけるのか?」
「なっ!? それは……彼が僕を侮辱したからだ。彼が素直に負けを認めれば僕だって……」
 それは挑発や説教ではなく、純粋に疑問を呈しているのだろう。それ故に答え辛く、ギーシュは頭を悩ませた。
 自分とて、才人がここまで粘るとは思っていなかった。少し痛い目を見せてやろうというだけだったのだ。
それでも、こちらから申し込んだ手前、引くに引けないギーシュは、なんとか自分を正当化する理屈を捻り出す。
「……これは彼も望んだ納得ずくの決闘だ! 彼が負けを認めていないのに、君が勝手に割り込むのは、彼を侮辱することにもなりかねないぞ」
「……それもそうか」
 風助はあっさりと頷き、腕を組んで唸り始める。
 ギーシュ本人も、観衆である生徒達も肩透かしを食らった気分だった。これでは、何の為に出てきたのか分からない。
「そこまで言うなら君も彼に加勢するといい。僕は一対二でも、一向に構わない。君達で決めたまえ」
 なんだ、やはりただの子供じゃないか。風助を論破した(と思っている)ギーシュは気を良くし、妥協案を提示した。
 ここいらで寛大さを見せておかないと、器量の小さい奴だと思われかねない。現に観衆の中には、やり過ぎだと非難の視線を送る者も見受けられる。
 こう言えば、自分の面子を潰さずに終わりにできる。まさか本当に戦うはずがない。怖気づいて才人を説得し、逃げていくだろう。
 そう考えていたギーシュにとって、風助の答えはまったくの想定外だった。
「おぉ、いいのか? そんじゃそうするぞ」
 
335風の使い魔:2010/03/04(木) 19:06:39 ID:5doP6d1k
 唖然とするギーシュの顔を見たタバサは、これが風助の狙いだったのだろうと分析する。実際のところどうだか分からないが、
これなら自然に介入できる。しかし――。

 侮られた。虚仮にされた。こんな平民の子供にまで馬鹿にされたのか、僕は……!

 ギーシュの顔がみるみる険しくなる。屈辱で身体は小刻みに震え、目に見えるほどの怒気に、危険を感じ取った観衆の表情が変わった。
 ギーシュが杖を振ると、一枚の花びらが剣に変わる。ギーシュはそれを掴むと、風助と才人の前に投げた。
「どっちでもいい。続けるなら剣を取りたまえ。但し、続けるなら僕も容赦はしない。今ならまだ、ごめんなさいで許してやろう」
 ギーシュは低く抑揚のない声で言い放った。その眼光は鋭く、風助を睨んでいる。
 だが風助は、ギーシュにも、突き立った剣にも背を向けた。跪く才人に向き直り、
「そういうことだ。おめぇはちょっと休んでろ」
 頭を、ぽんぽんと叩く。
 風助に、何か得体の知れないものがあるのは薄々感じている。だからといって、ギーシュを怒らせたのは自分だ。
そのとばっちりで、彼を危険に晒せない。故に才人は手を振り払い、胸倉を掴んで怒鳴った。
「馬鹿野郎! お前が勝てるわけねぇだろうが! いいから退いてろ。俺はまだ……」
 その言葉は右肩に走る激痛で、最後まで言い切ることはできなかった。風助は、跪いて肩を抑える才人の正面に立ち、背を反らせる。

 風助が才人目掛けて頭を振り下ろすと、ゴン、と鈍い音が響いた。

「つぅ〜〜!!」
「お〜いて」
 言葉もなく、才人は頭を押さえて蹲る。突然の頭突き、しかも相当な石頭。視界がぐらつき、脳が揺れた。
 対する風助は、いつもの無表情でひりつく額をさすっている。
「馬鹿はおめぇだぞ、才人」
 ギーシュに完全に背を向け、風助は才人を見下ろす。
「今のおめぇの意地は、おめぇを心配してる奴を泣かせてまで、張り通さなきゃなんねぇもんなのか?」
 風助と才人の視線が同じ方に向く。そこには、取り巻く生徒達から一歩前に出て、祈るように両手を組むルイズの姿。
才人を案じる少女の目には涙が溜まり、今にも流れ落ちようとしていた。
 才人は下げたくない頭は下げられないと言った。強い自分でありたい、理不尽な力に己を曲げたくない、その意志は風助にもよく分かる。
ルイズがいなければ、止めなかったかもしれない。
 ただ風助には、彼が命すら懸けて戦うには、この状況は安過ぎる気がしてならなかった。
 これは余計なことで、ただのお節介。それでも大切な決闘に口を挿んだのは、単純に彼が好きだったから。だからつい、余計な世話を焼いてしまったのだ。
 

 改めて、風助はギーシュと相対する。周囲の反応は大きく分けて二つ。止めようにも止められないか、最初から止める気がないか、である。
「止めておきたまえ。怪我では済まない」
「気にすんな。俺はおめぇよりつえぇぞ」
 子供を傷つけるのは流石に憚られた。大人げないが、むこうがやる気で、最後通告すら無視するなら仕方がない。
「それならもう何も言うまい。君の勇気は称賛に値する」
 風助は左掌を上に向けて突き出し、その上に親指を空に立てた拳を乗せた。それを構えだと判断し、ギーシュも薔薇の杖を突き出す。
「君も木石に非ねば名ぐらいあるだろう。戦う気なら名乗りたまえ」
 風助にとって、決闘での名乗りといえば一つしかなかった。
 何年経とうと、"元"が付こうと、決して揺るがない理念。強くなりたいと願い、すべてを懸けて得た力。それこそが自分の誇り。

「元忍空組、一番隊隊長、『子忍』の風助!」

 瞬間、前から吹きつける突風がギーシュの顔を打つ。閉じた目を開くと、まるで入れ替わったかのように、
眼前のカエル顔の少年が大きく見えた。膨張する気配がそう見せかけている。
 気を抜けば飲み込まれてしまいそうな威圧感。
それは、さながら歴戦の戦士のみが発することのできる裂帛の気合(といっても歴戦の戦士と立ち合った経験などないのだが)。
336風の使い魔:2010/03/04(木) 19:08:24 ID:5doP6d1k
 しかし、退くわけにはいかない。成り行きとはいえ、ここで引いては面目が丸潰れだ。
他人から見れば下らないプライドであっても、自分にとっては、それが拠り所なのだ。
 震える足を踏み込み、怖気づく心を奮い立たせ、ギーシュはあらん限りの声で叫んだ。
「青銅のギーシュだ!!」
 ワルキューレに号令を掛け、風助が膝を曲げる。双方共に、一触即発の状況。
 誰もが静まり返る中、一人だけ動く者がいた。ギーシュはその姿を見て、風助は足音で、それぞれ動きを止めた。


 風助はそうまでして張り通さなきゃならないのかと聞いた。横暴な主人が、心から心配してくれているのも分かっている。
「だからって……"弱い奴"呼ばわりされて黙ってられるかよ」
 事実なだけに我慢ならなかった。その一言が、消えかけていた火を再び燃え上がらせた。
 才人は立ち上がって、左手で剣を握った。剣を握ると、左手のルーンが輝きを増す。
あれほど重かった身体は重力から解放されたように軽く、視界は冴え、全身の痛みも和らいだ。身体が告げていた、まだ戦えると。
「ほんと馬鹿だなぁ、おめぇ」
 剣を支えに、力を振り絞って歩く。そんな才人を横目で見た風助は微笑んだ。
その肩に手が乗せられる。傷ついてなお、力強い意志を感じさせる手だった。
「でも俺……そんな馬鹿は嫌いじゃねぇぞ」
「まだやれる気がするんだ。風助、もう少しだけ俺にやらせてくれ」
 きっと止めても無駄なのだろう。風助は印をそっと解こうとしたのだが、
「ほら、下がっててくれよ……おっと」
 才人が風助の腕を掴んで引き戻そうとした瞬間、才人がつまづいた。なんとか持ち直したものの、
才人の掴んだ風助の手は突き出され、空を切った。傍から見れば何もないはずの真空を。
 
「あ」
「あ?」
「えっ?」

 風助が間の抜けた声を出すと、まず才人、そしてようやく再開かと意気込んでいたギーシュも、疑問符を発した。
それもそのはず、風助以外には気付くはずもないのだから。
 風に身を波打たせる透明な龍。才人の掴んだ風助の手が、龍の触れてはならない部位に触れてしまったことなど。

「けつ……」 

 轟、と足元から旋風が生まれた。風助の呟きを掻き消して、瞬く間に風は渦を巻いて立ち昇る。
風助と才人、ギーシュの姿を覆い隠しながら。
「うわぁぁぁあああああ!!」
 その悲鳴はギーシュと才人、どちらのものだったのか。それすら分からないまま、
たちまち渦は三人を呑み込み、塔にも達する巨大な竜巻に成長した。


「な、なんじゃ、あれは!?」
 鏡に映った広場の様子に仰天するのは、白髪に白い髭を蓄えた老人、学院長オールド・オスマンである。
広場で決闘の知らせを聞いたので、マジックアイテム『遠見の鏡』で見ていたのだが、そこに突如として巨大な竜巻が発生した。
「竜巻……ですね」
「たわけ! そんなことは見れば分かるわ!」
 呆然と呟いたのは、学院長室を訪れていた教師、コルベール。ルイズの召喚した使い魔、才人のルーンについて調べた結果、
『ガンダールヴ』に行き着いた。始祖ブリミルと共に戦ったという伝説の使い魔である。
 この世紀の大発見を報告に来たのだが、そこで見たものは途轍もないものだった。
「見てください、あれ……きゃ!」
 窓を開け放ったのはオスマンの秘書、ミス・ロングビルである。窓を開けた途端、室内に強風が吹き込み、
ロングビルは緑色の長い髪、風を受けて翻るスカートを咄嗟に押さえた。
「おぉ!?」
 オスマンの視線は、ついついはためくスカートに釘付けになるが、学院長室からでも見える巨大な竜巻を前にしては、邪な考えも吹き飛んだ。
「学院長! 生徒の避難を急がせましょう!」
「うむ。それと全教師に呼び掛けて、何としても竜巻を食い止めるんじゃ。校舎に当たれば甚大な被害が出るぞ」
337風の使い魔:2010/03/04(木) 19:11:26 ID:5doP6d1k
 眠りの鐘を使わせておけばよかったか、などと考えても既に後の祭り。しかし、あの竜巻は誰が生み出したというのか。
 ギーシュは土のメイジである。ガンダールヴの少年がそんな力を持っていたなら、何故一方的にやられていたのか、
ということになる。となれば、もう一人の幼い少年なのか。しかし、杖も持たなければ詠唱した様子もない。
  学院長室を慌てて出ていくコルベールを、オスマンは呼び止めた。コルベールに背を向けたまま、その目は窓の外を睨んでいる。
「ミスタ・コルベール……君の言う伝説の使い魔ガンダールヴとやらは、先住魔法を使えたりしたのかね?」
「いえ……そのような記述はありませんが……」
 オスマンは手振りでコルベールとロングビルを追い払い、一人呟いた。どうやらガンダールヴ以外にも、
何かとんでもないものが呼び寄せられたようだ。 
「何だというのかのう……あれは」


――空子旋
自然の力を手にする忍空十二流派が一つ、子忍。空子旋とは、巨大な竜巻を発生させ、周囲一帯を巻き込む、子忍最大規模の忍空技。
しかし、自身を中心に竜巻を発生させる為、必然的に使い手本人も逃れられない諸刃の剣。即ち、子忍最大の自爆技である。


「やべぇ……久々にやっちまったぞ」
 荒れ狂う風の渦の中、風助は流れに逆って走る。走ると言っても、風助が走っているのは地面ではない。
巻き上げられた結果、地上から数メイル離された、風の渦の内側である。足を止めれば落下より先に風に流され、切り刻まれるだろう。
「風助! どうなってんだ、これ!」
「しゃべんな! 舌噛むぞ!」
 右手に才人を抱え、左手でギーシュの襟首を掴んでいる。ギーシュはとうに目を回しているのか、何も言わない。
 風龍の尻を突いて発動させる空子旋。過去に何度か暴発させたが、自分一人ならなんとかなった。
他人を巻き込んだこともあったが、同じ忍空使いだったので、大事には至らなかった。今は違う。
「才人! そいつのこと持って、しっかり掴まってろ!!」
 訳が分からないが、今は言うとおりにするしかない。才人は意識のないギーシュを引き寄せて、風助に抱きつく。
「うぉぉおおおおお!!」
 原因はどうあれ、今この二人を守れるのは自分しかいない。この竜巻は何としてでも止めなければ。
 雄叫びを上げた風助は両手を広げ、風の障壁――暴れ回る風龍に手を突き入れた。


 竜巻の発生により、広場は静寂から一転、混乱と悲鳴に包まれた。取り巻いていた生徒達は散り散りになって逃げ惑う。
「ちょっとこれ……まずいわよ、タバサ!」
 キュルケに言われるまでもない。タバサは本をしまい、竜巻を見る。今はまだ動いていないが、建物に当たればひとたまりもない。
 タバサは竜巻に向かって杖を掲げた。マントが風を孕んで膨れ上がる。それほどまでに風の猛威は凄まじい。
小柄な身体など、簡単に浮き上がってしまいそうなほどに。
 だが、タバサは逃げなかった。今、この場で最も風に長けたメイジは、間違いなく自分。そして、あの中には使い魔がいる。
見捨ててはおけない。それに、状況から考えても、あれを起こしたのは風助の可能性が高いのだ。
  大丈夫、この程度の危険は何度も乗り越えてきた。こんな竜巻に負けはしない。英雄的行動ではなく、
自分ならできると、勝算があると思ったからこそ、タバサはその場に留まった。
 広場に植わっていた樹の一本が限界を超えてしなり、根元から折れた。折れた枝がタバサ目がけて飛来。
咄嗟にかわしたはいいのだが、詠唱が中断された。
 しかも、心なしか竜巻が近くなっている。竜巻が動いているのではない。身体が吸い寄せられている。
 杖を地面に突き立て、それを支えに詠唱を再開。杖が長くて助かったと、心から思った。完全に勢いを殺すことはできないが、それで十分だ。
 しかし、目の前の嵐は意志を持っているかの如く、タバサに詠唱を許さない。
 続けてもう一本、樹が巻き込まれた。飛んでくるのは、竜巻に引き裂かれ、切り刻まれた樹の一部。
しかも今度は枝などと生易しいものではない。タバサの身体ほどもある塊。
338名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:12:07 ID:EiV7XVXT
シエン
339風の使い魔:2010/03/04(木) 19:13:40 ID:5doP6d1k
 よけ切れない、直感的にそう判断した。交わす為に跳べば、吸い込まれてしまう。避けなければ叩きつけられる。
どの道同じこと。刹那の間に、無数の選択肢が閃く。
 間に合うかどうか、立て直せるかどうかは問題ではない。防御の為に杖を向けようとした時、
風圧を物ともしない火球が、迫る樹の破片を爆散させた。
 爆発の衝撃と風で、支えにした杖が外れる。急激に身体が引き寄せられたが、もうタバサの胸に不安はなかった。
風に吸い寄せられる身体が、ぐっと逆方向に引っ張られる。

「あなたは詠唱に集中して!」
「あの中には、わたしの使い魔だっているんだから!」

 誰かがマントを引っ張っている。見るまでもなく、それはルイズとキュルケだった。
 今度こそ揺るぎない確信を抱いて、タバサはルーンを詠唱する。風を三つ足し合わせた、自身の出せる最大の風。
 高々と掲げた杖から、規模は小型ながらも絶えず渦を巻く竜巻が生じた。二つの竜巻が激突する。
それらは削り合い、相殺し、ほどなくして衰え消滅した。
 

 騒動は、時間にして二分少々といったところか。竜巻の外にいた人間には死傷者は出ていない。
しかし、あの竜巻に最初に巻き込まれた三人の生存は、誰から見ても絶望的だった。
 タバサとルイズとキュルケ、そして遠巻きに見ている生徒達。口を開くものはおらず、
ただ土煙が晴れるのを緊張の眼差しで見ていた。数秒後、土煙の中に影が浮かび上がる。
「生きてるぞ!!」
 誰かが声を上げた。そこにいたのは、風助に肩を支えられた才人。才人に腕を掴まれたギーシュ。
そして、舌を出して笑顔を見せる風助。
 三人とも服はボロボロだが、怪我は擦り傷程度。あの竜巻に呑まれたにしては、幸運を通り越して奇跡だった。
唯一才人は、それまでの戦いの分消耗しているようだったが。
「大丈夫か? 才人」
 ぐったりと息も絶え絶えの才人に、風助は語りかけた。首に回した彼の左腕、剣を握った手の甲のルーンが淡く光っている。
「風助……お前、無茶苦茶……だなぁ……」
 途切れ途切れに言い残すと、才人の手から剣がこぼれ落ち、同時に光が消えた。肩の重みが、ずんと増す。
どうやら、意識を失ったらしい。無理もない、むしろここまで持ったのが不思議だった。
 風助は気絶している二人を引きずりながら歩いてくる。タバサは駆け寄ろうとしたが、踏み止まった。身体が自然とブレーキを掛けていた。
 畏怖、というのが一番近いだろうか。あの狂暴な竜巻を何の前動作もなく生み出した風助に、ほんのわずか警戒心が芽生えたのだ。
あの純真無垢な顔の裏には、何が隠れているのだろうか、と。
 あんな巨大な竜巻、スクウェアクラスのメイジでもなければ出せない。召喚した際、彼には魔力がないことが確認されている。
となると、もしやあれは先住魔法なのだろうか。考えれば考えるほど、迷いは深まる。
「サイト!!」
 立ち止まるタバサの横をルイズは走り抜け、才人に駆け寄っていく。遅れてきた男性教師がそれに続いた。
「ちょっと! あんた大丈夫なの!?」
「大丈夫だ、寝てるだけだぞ」
 教師はまだしも、何故ルイズは何の警戒も抱かず、近寄れるのか。たぶん考えが回っていないだけなのだろう。
だが、それだけ使い魔が心配だったに違いない。
340風の使い魔:2010/03/04(木) 19:16:11 ID:5doP6d1k
 風助が才人とギーシュを引き渡す光景を遠巻き眺めていると、不意に背中が叩かれた。
「行かないの?」
 振り向くと、そこに居たのはキュルケだった。そうだ、自分は彼のことを何も知らないに等しい。
そして、知らなければ不安も解消されるはずがない。
 タバサはキュルケに頷くと、一歩ずつ風助に歩み寄った。


「ふぅ……流石に疲れたぞ……」
 風助はその場で尻餅をついた。空子旋の中で自分も含めた三人を守り、
なおかつ風を制御するというのは想像以上に厳しく、当分動けそうになかった。
 大の字になって寝転がると、開けた空に太陽の光が眩しい。さっきまでの嵐が嘘のように空は澄み切って、
吹き抜ける優しい風に悠然と龍が泳いでいる。
「ふぁぁあ……」
 このまま寝てしまおうかと欠伸をした時、日が翳った。違う、太陽を遮ってタバサが顔を覗きこんでいる。
「わりぃ、失敗しちまった」
 上半身のみを起き上がらせた風助は、最初にそう言った。怪我人が三人だけとはいえ、
多大な迷惑を掛けたことくらいは分かる。自分の面倒を見ているタバサが、責めを負うかもしれないことも。
「おめぇが助けてくれたんだろ? ありがとな」
 竜巻の中で確かに感じた、力強いもう一つの竜巻。渦の隙間から垣間見えたのは彼女の姿。
だから風助は、素直に謝罪と礼を口にした。
 一方、タバサはまだ戸惑っていた。やはり、あの竜巻は風助の仕業だった。では、この罰の悪そうな顔をしている少年に、
主としてどう接するべきなのか。得体の知れない力を持っている、この使い魔に。
 タバサはしばし考えると、杖を軽く持ち上げ、

「あいてっ」

 風助の頭に落とした。ゴン、と鈍い音が鳴る。
 タバサは昨夜のルイズの言葉を思い出していた。

――悪いことをした使い魔には、お仕置きが必要だわ。

 今はこれでいい。深く考える必要はないだろう。少なくとも話を聞くまでは。だから、これは自分への迷惑料としておく。
「話して」
 タバサの意図を風助も理解したらしく、頭を撫でながら立ち上がった。
「おぉ、ちゃんと話すぞ。俺のことも、忍空のことも」
 忍空とは、忍空組とは何か。そこで自分は何をしていたのか、そのすべてを。その為にはまず、国を乱した戦争から話さなければならないだろう。

 
EDO歴三年――かつて戦争があった。大戦の最中、わずか数十名の部隊で戦局を左右した部隊、その名を『忍空組』。
戦乱を終わらせるべく立ち上がり、一切の近代兵器を持たず剣林弾雨を駆け抜けた彼らは、民衆の間で英雄とまで謳われ、語り草になった。
戦から三年、弱き人々を守る為の力は、弱き人々に向けられていた。
戦乱の爪痕深く、堕ちた忍空の残党が蔓延る世界で今、本当の忍空を知る者は少ない。
341名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:16:48 ID:AxARLbMH
支援
342風の使い魔:2010/03/04(木) 19:18:41 ID:5doP6d1k
以上、投下終了。今回はこんな感じです。
風助とタバサ、思うに一番共通してるのは、キャラが掴みにくい点でしょうか。ちゃんと掴めているのか不安だったりします。

>>327氏、他支援してくださった方々ありがとうございました。
出来る限り詰めたら、余裕がありました。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:20:49 ID:oLMIOH78
GJでした!
これからどうなるのか楽しみです。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:21:45 ID:Pfxlv5Px
乙です
345名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:29:18 ID:mSG2lGNG

次回も期待
346名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:29:48 ID:1R8Z8j1j
乙です。
才人の地球に忍空のコミックがあるのか気になるなあ。
347名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:34:22 ID:PmiOjuFW
>>322
DXの隼人の作者さんならあん時撤退してなかったか?
348名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:37:09 ID:qrHGW4E1
乙でした
いいシーンなんだけど、画で想像するとあまりのギャップに笑ってしまうんだがw
349名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:43:17 ID:D2i2VnPW
忍空の人、乙でした。

風助のマイペースぶりが良い味出てます。
次回楽しみにしてます。
350名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:44:30 ID:hzIYObgL
シエスタが桐山絵で再生された……orz
351名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:45:43 ID:j9kt3kXv


>けつ
絶対やると思ってたわw
352名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:46:18 ID:oSUuX+Xa
>>347
あーやっぱそうなのか
教えてくれてありがとう
353名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 19:56:47 ID:4P+IFl8k
風の使い魔の人乙&GJ!
風助タバサコンビのこれからが楽しみです
354名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 20:01:31 ID:F6fv8YtU
しかし冷静になってみてみるとこの決闘騒動の時のサイトって
悪い意味でも良い意味でも筋金入りの馬鹿だよな。
355名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 20:06:37 ID:+r7TOfmw
そyだね、ウルトラ5番目の使い魔 ◆213pT8BiCcと同じくらい馬鹿だ
356名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 20:09:16 ID:PfL3G95Q
そりゃあ別に精神修養積んだ武術家でもない、お気楽に生きてた学生だからな。
いきなり異世界に召喚されて、帰る方法も分からない場所でさらに変な因縁付けられたら後先考えない感情的行動に出ても仕方ないだろう。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 20:25:41 ID:WcwniQ3X
J。名乗りも見れたし、才人も噛ませにならなかったのはよかった。
主従協力プレイもいい。その分風助が割り食った気もするが。次回に期待です。
358三重の異界の使い魔たち:2010/03/04(木) 20:33:48 ID:EJM33Uea
>>355
ウル魔の決闘シーンはミシェルの命やらルイズたちの心やら色々背負ってたから
仕方がない。
359名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 20:48:04 ID:K8VY6Z7r
風助って本当いいやつだよなぁ・・・
360名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 20:54:58 ID:C7RdJRt3
いち乙
原作知らないけど、風助の活躍を見るがために見てるぜ!
361名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 21:16:36 ID:WcwniQ3X
そういや風助は母親(父もだっけ?)の仇を許したんだよね。
タバサ的にはどうなんだろ。万が一、キュルケがジョゼフと仲良くなったりしたら。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 21:45:38 ID:K8VY6Z7r
>>361それアニメじゃね?
363名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 21:47:35 ID:ZdW0Vxil
タバサの復讐心は、才人にデレた程度でどっかに飛んでっちやう程度のものだからな。
364名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 21:57:55 ID:Jgi5SVz6
あ、気づいたら投下が。
風の使い魔の人、乙でした。
365名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 22:25:11 ID:gPradWGl
>けつ
吹いた。&懐かしかった。
カエル…もとい、風の使い魔さん、乙でした
366名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 22:32:20 ID:Q9TjbfmK
まぁ、ラブコメだしな
367名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 22:54:44 ID:rzax4fjt
風の使い魔の人乙
面白かった
368名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 23:22:21 ID:k8hmLAIk
お前ラブコメは初めてか? 力抜けよ
らぶこめにまじになっちゃってどうするの

さぁ、好きな方を選んでくれ!


ちなみに俺は、せっかくだから俺はこの赤の扉を選ぶぜ!
と叫んで、キュルケキュルケキュルケーとなったのに、
中年のハゲに持っていかれた。
超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ
窮地を救ったりとかそんな感じの鉄板で持っていかれた。
そんな俺の屍を越えてゆけ。
369名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/04(木) 23:55:32 ID:5doP6d1k
感想ありがとうございます。励みになります。

>>361
両親とも殺されてます。あと、許したというよりかは、許そうとしたって感じかと。
まあ、親友の旧友ってだけで、今も昔も外道で、許す余地のないキャラでしたし。殺そうと思えば殺せたのは確かですが。
370名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:05:46 ID:mkk6ZLru
>>368
俺、アニメから入った口だけど、ハゲは最初から好きだったよ。
むしろキュルケが一人に絞った方が嬉しかったな。いつまでも才人に構っててもなんだし。
371名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:17:08 ID:tT2Gj74c
>>368
神様とでも子作りに励んで元気出せ。
372名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:18:32 ID:gLhBr1Wj
ハゲを嫌いだと言った覚えは無い!
それはそれ、これはこれなんだ!
373名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:20:16 ID:/SII60Jt
風助はいいなぁ
374名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:28:59 ID:gLhBr1Wj
>>371
あれ手塩にかけて育てた娘にヤッテコイって言うの嫌だよね……
375名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:32:49 ID:tU/E2yeB
>>374
相手がハニワだったりするともう…
オレシカのキャラ召喚ってのは無理あるな
376名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:34:40 ID:nbh2klgK
>>375
小ネタにはあった気が。
377名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:36:50 ID:gLhBr1Wj
ID:tU/E2yeB見てるか。
お前の臨む作品がまとめwikiにいるんだ。
それも2作品もだ。


或る屍を越えてゆかれ損なった使い魔の独り言
http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/1903.html

愛、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール戦記
http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/2663.html
378名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:38:42 ID:pnvuTg8M
キツトとかイツカとかのことじゃない?
379名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:43:41 ID:gLhBr1Wj
主人公だって良いじゃない
つくりは似たようなものだもの
            379

キツトはムカつくので、最後のあの瞬間に召喚されて欲しいです
380名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:45:21 ID:hTxf24VN
そういえば意外にガチャピン召喚って見ないな
381名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:50:23 ID:p7CaeKMN
なに平日の昼間っからTの話題で応酬してんだよwww
引き籠りのワナビ共が笑えるわwww


あ、ウル魔の人乙乙です^^;
382虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 00:54:21 ID:mcXQsbdS
投下予定なさそうなので、01:00ほどから投下させていただきます。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 00:54:54 ID:oehiYRx8
相手が阿狛・吽狛ん時って3Pなのかな?
384風の使い魔:2010/03/05(金) 00:59:04 ID:68uZoHnD
度々失礼します。Wiki編集してたら、致命的なミスがあったので少しだけ。
>>330の『反射に近い返答だった』の後のタバサの台詞が丸々抜けてました。
Wikiで修正しました。
385名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:00:53 ID:CDpooGwS
しえん。
386虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:01:08 ID:mcXQsbdS
level-22「情報」


 日が上がり翌日、回収してきた武器やワートホグを停めている倉庫の一室で、マスターチーフは固定化が掛かった椅子に腰掛ける。
 そうして手には棚に立てかけていた武器、『BR55 バトルライフル』に手に取る。
 クルリと手の内でバトルライフルを回し、それを解体して行く。
 定期的な整備、戦場での撃ち合いの最中に起こってはいけない動作不良を防ぐ処置。
 カチリカチリと、僅かに擦れ接触して音を鳴らす。

「………」

 外から覗かれないよう締め切った室内に、僅かな明かりを灯すランプによって照らされる倉庫内。
 無言で解体し続け、一分も掛からずバトルライフルが銃ではなく、銃の部品となり変わる。
 次は余計な汚れが付いていないか、金属疲労を起こしていないか、一つ一つ確かめ磨いていく。

「………」

 磨いた後にもう一度確認、問題がないなら組み直し始める。
 そうして銃の手入れをしながら考える。

 召喚されてからもうすぐ一ヶ月が経つ、これからも現状のまま続くなら非常に拙い状況。
 召還魔法は今だ見つかっておらず、その他の帰還方法も見当たらない。

 この惑星に着た理由は、アークに逃げ込みヘイローを起動させようとした『真実の預言者』の抹殺任務が始めとなる。
 アークを付き進んで真実の預言者の抹殺後、ヘイローの起動を阻止したことにより用済みとなったチーフたちに襲いかかるフラッドの大群。
 それを捌きながらも元来た道を引き返していると、チーフの視界の先に通路を横切るコルタナの青い影が見えた。
 それを追いかけたその先に見たものは、再建造されている破壊したはずのアルファ・ヘイローだった。
 それもそのはず、アークとはノアの箱舟的存在であり、ヘイローを建造する施設でもあった。

 ヘイローとは直径一万キロメートルの、地球より一回り小さい環状建造物。
 起動すれば25000光年の範囲内に居る全生命体を殲滅する、究極の知的生命体破壊兵器。
 コルタナがフラッドどもを全滅させることが出来る手段と言っていたのはこれだったのだ。
 多数のフラッドがアークに集まっている今、未完成のアルファ・ヘイローを起動させればフラッドだけを殲滅することが出来る。
 さらに起動させれば、不完全故に起動に耐えられずアルファ・ヘイローが崩壊するはずだ。

 起動させることを決めてからは、フラッドとセンチネルの激しい妨害と戦闘の末コントロールルームにたどり着き、アルファ・ヘイローの起動しようとする。
 その際にアルファ・ヘイローから共に戦ってきたジョンソンが、完成する前に起動させまいと超古代文明のA.I、ギルティ・スパークの攻撃によって命を落としてしまった。
 許して置けるはずも無い、妨害を図るギルティ・スパークに攻撃を仕掛けるも超科学によって作られる力場によって攻撃が通らない。
 だが命尽きるその時まで援護を行ったジョンソンのおかげによって、ギルティ・スパークを破壊することに成功する。
 ジョンソンの最後を看取りヘイローを起動、後は脱出するだけ。

 だが不完全なヘイローの起動による崩壊、爆発から完全に逃れきることは出来なかった。
 脱出に使ったフリゲート艦、フォワード・オン・トゥドーンがアルファ・ヘイローの爆発によって生じたスリップスペースワープポータルの崩壊に巻き込まれた。
 辛うじてスリップスペースワープに移行出来たが、フォワード・オン・トゥドーンがポータルから完全に抜け出る前にポータルが崩壊してしまった。
 通常空間に抜け出た艦前方とスリップスペース内にあった艦後方、ポータルが崩れたことにより船体が真っ二つに折れてしまった。
 運が悪い事にコルタナと俺は艦後部に乗っていたために、スリップスペースに取り残された。

 恐らくは艦前方、操舵室にいたアービターは地球へと帰還出来ただろう。
 自身とコルタナは十分減速し、通常空間に復帰出来たフォワード・オン・トゥドーンの中に留まっていた。
 減速するまで折れた船体が長時間スリップスペース内に留まったため、スリップスペースワープを駆使しても地球から何年も掛かる場所へと移動してしまった。
 救助ビーコンを発信するも、救助が来るまで長期間掛かる。
 だからコールドスリープに付き、いつか救助が来る日を、いつか地球に帰れる日を眠って待ち続ける、はずだった。

「………」

 その後は召喚され、この地に呼び寄せられた。
 コールドスリープポッド共、ルイズによって召喚された。
387名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:02:01 ID:CDpooGwS
支援。
388虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:02:02 ID:mcXQsbdS
 手で弄っていた部品を組み上げ完成するバトルライフル、構え照準を倉庫奥に横たわるコールドスリープポッドに合わせて見る。
 自身が入り眠っていたポッド、コードやパイプは恐ろしく鋭利な刃物で切り取られたかのような断面。

 聞いた話によれば、召喚の際現れるゲートは呼び出す者の前面に現れるらしく。
 ゲートを潜るか否かは、呼び出される者の意志に委ねられるらしい。
 応じるなら潜り、応じないなら潜らない、普通であれば選択出来たのだが。
 眠っている状態で意識は無く、相対的に見れば宇宙空間を漂う船体は慣性に従い常に移動し続ける。
 つまり、自分が眠るポッドの前にゲートが現れ、本来なら眠っているため自動的に潜らない選択になるはずだったが。
 船体が移動しているために、動かないゲートと動く船体に乗る自分は交差して、召喚に応じた、と判断されたらしい。

 無論これは推測、確証がないもの。
 その状態で意識は無かったために、どうなったのか確かめることは出来なかった。
 とりあえずはコールドスリープに入っていなくても、潜る事は無かっただろう。
 コルタナから見たら、ゲートがポッドに接近して飲み込んだように見えたのかも知れない。

 コルタナは言っていた、俺には運があると。
 運があるならこんな事にはならないんじゃないか、と考える。

 弾が装填されたマガジンを銃後部下方にはめ込み、ボルトを押し込んで薬室に弾を送り込む。

「………」

 置いてきてしまったコルタナのことが気になる。
 俺がここに居る以上、彼女はフォワード・オン・トゥドーンに一人取り残されていることになる。
 地球に帰る前に、彼女の元へと帰らねばならない。
 多分、いや、確実に怒るだろうな。

 その時は謝ろう、問題はその時が来るかどうか。
 帰れないと言う事態は是非とも避けたい、アーマーのエネルギーも無限ではない。
 戦闘状態のままならエネルギーシールドを展開し続ける、それは有限のエネルギーを消費し続ける事に変りない。
 アーマーを常時戦闘状態にまま稼働させ続けても一ヶ月は持つが、一ヶ月以内に帰れると言う保証はない。
 学院内に居る時は、出来るだけエネルギーシールドを無効化しておく必要がある。

 現に学園内ではカットしている時が多い、幸い支障なく動かすために必要なエネルギーは別系統に割り振られている。
 エネルギー不足によるエネルギーシールドが展開出来なくなっても、アーマーは死重になる事はない。
 流石にその状態から数カ月エネルギー補給を行わなければ、超重量の金属の鎧に成り果てるが。
 出来ればそうなる前にフォワード・オン・トゥドーンに戻るか、最悪エネルギー補給だけでも受けたいが、この地に専用の設備がある訳も無い。 
 そうして既に一ヶ月ほど経っている、今までのように消費エネルギー削減を継続して行かなければ、二ヶ月と持たずエネルギーシールドを張れなくなるだろう。

 調整を済ませ、バトルライフルを棚に置く。
 次はアサルトライフルを取ろうとして。

「ミスタ、居ますかな?」

 コンコン、と倉庫のドアがノックされる。
 存在を確かめた声の主は、学院の教師コルベールだった。
 アサルトライフルに伸ばした手を戻し、立ち上がる。
 歩きドアを開けば、予想通りコルベールが立っていた。

「頼まれていた資料、集めておきました。 今から時間は有りますかな?」
「ああ、助かる」
「それでは、図書館にありますのでそこで」
389名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:02:02 ID:68uZoHnD
支援
390虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:03:18 ID:mcXQsbdS
 この地に召喚されてから椅子に腰掛けるのも躊躇われる、理由は椅子が重さに耐え切れないからだ。
 100キログラムを超える体重の人間が座っても耐え切る木製の椅子、しかし500キログラムは無理なようで座れば脚が折れる。
 別段24時間立ち続けるなど問題ではなく、立ったまま眠れるのだから座る必要は大きくない。

「立ったままもなんでしょう」

 コルベールは呪文を唱えながら軽く杖を振り、椅子に硬化の魔法を掛ける。
 木製と金属製の椅子とでは耐久力が違う、しかし魔法の力は木製の椅子を金属製並みの強度へと跳ね上げる。
 左手で硬化を掛けられた椅子に腰掛ける事を進められる、断る理由も無いので腰を降ろした。
 魔法が掛かっていなければ、数秒と経たず音を立てて脚はひん曲がり折れる。
 硬化の魔法はそれを防ぎ、軋む音すら立てず椅子本来の役目を果たしていた。

「こちらの本とこちら、これも僅かですが記されています」

 移動してきた図書館の隅、長い机の端に陣取る。
 その机に並べられた数冊の書物。

「恐らくミスタが一番望まれるであろう情報が載っているのが、これです」

 少々古びた書物。
 コルベールが挟んだのであろう栞があるページを開く。
 そのページには読めない文字と模様のようなイラストが載せられている。

「……このページです、『ガンダールヴ』。 始祖ブリミルが従えていたと言われる、四つの使い魔の内の一つ」

 模様のようなイラスト、それは使い魔に刻まれるルーン。

「この模様を見たことは?」
「いや」
「その鎧を脱いで確認は?」
「していない」
「……理由を聞いても」
「必要である時以外では脱げない、軍機でそう決まっている」

 ヘルメットならば素早く脱げるが、見える範囲の顔にはこのような模様は見当たらなかった。
 そうなるとどこに有るのか確認するため、ニョルニルアーマーを全て脱がなければならない。
 しかしそれは法によって禁じられており、その法の特例で食事をする際に脱ぐヘルメットにアーマーの調整や整備、新型アーマーへの交換などでしか脱ぐことは出来ない。
 現時点で刻まれているルーンを確認するには、どの特例にも当てはまらない。

「……わかりました、そうであるなら確認しない方が良いですね」

 理解を示したコルベールに向かって頷く。

「それではガンダールヴの方ですが、虚無の魔法は通常の魔法と比べ、非常に強力であり長い詠唱を必要としていたと伝え聞きます」
「………」
「貴方が言っておられた身体能力の向上は、主であるメイジを守るために有るのでしょう」
「効果時間などは書かれては」
「いませんね、どれほどの時間続くかは実際に試して見ないと。 しかしながらその役目を考えると短い時間ではないと思われます」
「………」

 もう一度開かれているページに視線を落とす。

「……本当に貴方がそうであるなら、主である彼女の属性は……そうなるのでしょうね」

 主語、その本質を問う言葉を濁してコルベールが言う。

「となればミス・ヴァリエールは後三体の使い魔を呼び出せるかも知れません、『神の盾』である貴方に、『神の笛』に『神の頭脳』、そして──」
「そりゃあどうだろうね」
「!!」
391虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:04:20 ID:mcXQsbdS
 コルベールが突然聞こえてくる声に、杖を取って辺りを警戒する。

「こっちだよ、こっち。 相棒の腰」
「……いや、まさか」
「昔は結構居たような気がするんだけどねぇ、同類」

 カチカチと鍔の金具を鳴らして、どこから発声しているか分からないデルフリンガーが喋る。
 とりあえず腰から外して、テーブルの上に置く。

「インテリジェンスソードですか、初めて見ましたよ」
「……デルフリンガー、初めて掴んだとき『使い手』と言っていたな」
「言ったな」
「どういう意味だ」
「そのままさ、ガンダールヴの左手はおれさ。 おれが作られた時から、最初っから決まってるんだぜ」
「……つまり、君はガンダールヴが扱っていた武器だと?」
「そうそう」
「なんと言う、世紀の大発見ではないか……。 君は始祖ブリミルを見た事があるのかね!?」
「あるに決まってんだろ! おれの相棒は主の傍に居なきゃ意味ねぇし」
「おお! 始祖ブリミル・ヴァルトリを直接見た事があるなど……どう言う人物だったのかね?」

 最後の方は小声になっていたコルベール。

「ブリミル・ヴァルトリ? 誰だそりゃ? ニダベリールじゃねぇのかね?」
「ニダベリール? 君は始祖ブリミルの使い魔、ガンダールヴに振るわれていたインテリジェンスソードだろう?」

 認識の齟齬が発生している会話。
 知らない話に割り込むほど多弁ではないチーフはただ話を聞くだけ。
 ヴァリトリなんてしらねー、ニダベリールがヴァリトリなのか、改名した理由は何なのか、など。
 分からない話でも何かの手掛かりになるかも知れない、最低限重要そうなキーワードは耳に入れて覚えておく。
 そうしてコルベールとデルフリンガーの問答は十分ほど続いたが、結局は『よく覚えていない』とデルフリンガーが言ってあまり情報が集まらなかった。

「……ふむ、ブリミル教に知られれば大変になりそうな事が幾つかありますね。 ミスタ、この話はどうか内密に」
「わかった」

 ルイズはともかく、自分としては見知らぬ惑星で祭り上げられるのは遠慮したい。

「とりあえず、事実ならばミスタの体のどこかにこのルーンが刻まれているはずです。 もし安心して鎧を脱ぐ時があるならば、どこに有るか確認してください」
「ああ」
「……この事は彼女も知っているのですか?」
「知っている」
「そうですか、出来れば貴方からもそうであると言い触らさないよう申して貰えませんか。 オールド・オスマンもこの事については他言無用と」
「了解した」

 基本的に自分が関わることは他言無用となっている。
 ワートホグを停めている倉庫なども、火器が仕舞ってある為一部の者以外は出入り禁止の処置がされている。
 学園の中には自分の事を喋るゴーレムとしか認識していない生徒も多数存在している。
 自分が使っている装備や武器も同様だ、ワートホグは特殊なマジックアイテムなどと説明している。
 この学園の最高責任者であるオールド・オスマンがそう言えばそうであると、疑問を持ったとしても口を挟む者は居ない。

「……しかしながら、随分と大きな話になっていますな」
「………」

 否定は出来ない。
 どこか知らない惑星に住む原住民に、どう考えても不可思議な現象によって召喚され。
 使い魔と言うより護衛に近く、召還魔法の捜索を条件にルイズを守ることを約束すれば。
 それを試すかのごとく、この国の王女がわざわざ出向いてアルビオンへ行って手紙を取り返して欲しいと言ってきた。
 その道中に盗賊や、アルビオンで子爵の裏切りから告げられるルイズの虚無にガンダールヴ、そしてクロムウェルの暗殺。
 さらにはエルフが住むと言うサハラに何か重大な秘密が眠っているかも知れない。

 と、たった一ヶ月、30日程度で起こった出来事にしては随分と大きな話だ。
392名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:04:34 ID:CDpooGwS
支援
393虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:05:27 ID:mcXQsbdS
「それで、送り返す魔法は」
「……申し訳ない、今だ見つかっては……」

 週に一回、その間隔で尋ねるが答えは先週と変わらなかった。

「並行してサモン・サーヴァントの逆転が可能か確かめてはいるんですが、こちらもあまり芳しく無く……」
「わかった」

 見つからないものは仕様がない、召喚魔法の可逆化が可能かどうかに期待しておくしかない。
 それを待つだけではなく、何故か落ちているUNSCやコヴナントの武器や乗り物を探した方が良いのは確実。
 万に一つもなさそうだが、スリップスペースワープが可能なフリゲート艦や巡洋艦もこの惑星上に存在しているかも知れない。
 期待を掛けるにはあまりに小さな確率、だがそれでも諦められるほど達観はしていない。
 結局分かったのは調べてもらった虚無関係のことだけだったが、使い魔契約の効果が悪いものではなさそうなのが良かった。

「………」

 しかしながら情報獲得量が少なすぎる、自身で調べようにも文字が読めないために書物から情報を得ることができない。
 人に聞こうにも気安く話せる内容ではない、習おうにも数ヶ月は掛かるだろう。
 学習能力はそこそこの自信が有るが、専心したとしても実用レベルになるには最低でも数ヶ月は必要となるだろう。
 だが現実はそうも行かない、情報収集や散らばる武器や装備の回収、ルイズの護衛などが重なっているために下手をすれば一年以上掛かるかもしれない。
 コルタナのような人間を遥かに超える極めて高い学習能力を持つA.Iが居れば、一ヶ月どころか数日と掛からず誤解なく利用出来ていただろうが。

 無い物ねだりをしても仕様がない、とりあえず帰るためには文字の学習をしなくてはいけないだろう。
 そう考え、テーブルを挟んで反対側に座るコルベールへと口を開こうとすれば、遠くから呼びかける声が聞こえた。
 「チーフ!」と呼んだのはピンクブロンドの少女、ルイズであった。
 そのまま図書館の中を走り寄ってくるが、それを見たコルベールは窘めた。

「ミス・ヴァリエール、はしたないですぞ。 貴族の子女であろう者が静かにすべき図書館で大声を上げて、あまつさえ走るなどと」
「す、すみません……」

 事実、図書館にいた他の存在は迷惑そうにこちらを見ていた。

「……ミス・ヴァリエール、座りなさい。 彼とも話していたのだが、とても大事な事を言っておかなければならない」

 コルベールが左手でチーフの隣の椅子を勧める。

「ミスタ・コルベール、その話は後ほどでは……」
「駄目です、今ここでミス・ヴァリエールは聞いておかなければなりません」
「……わかりました」

 真剣な表情で言うコルベールに押されたのか、ルイズは頷いて椅子に座る。

「この事についてどうしてそれを貴女方が知ったのかは聞かない方が良いでしょう、それを知る権利は私には無いでしょうから」
「この事?」
「……ミス・ヴァリエールが虚無だと言う事です」

 それを聞いた瞬間ルイズは目を剥き、こちらを見た。

「喋ったの!?」
「ああ」

 信じられないとチーフを見るルイズ。
 だがコルベールはそれについて話し出す。

「私は他言をしませんよ、正直に言ってミス・ヴァリエールや彼の事が知られれば大変な事になるのは目に見えていますから」
「……なんで」
「ミスタ・コルベールが信用出来ると感じたからだ」
394名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:05:58 ID:/SII60Jt
シェン
395名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:05:58 ID:68uZoHnD
支援。
396虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:06:33 ID:mcXQsbdS
 実際オールド・オスマンに武器の危険性に付いて話して、すぐに対応してもらった。
 勿論どれほど危険か、と言うのを数発の弾薬を消費してその目で確かめてもらっている。
 その時にコルベールが居合わせ、その圧倒的と言って良い性能の銃に恐れをなした。
 そのような物が使用可能なレベルでそこらかしこに落ちている、急遽対応するのは正解だった。

「でも、こんな……」
「はは、まぁ私に信用がないのは分かります。 何なら私の全てに誓って喋らないと約束しましょう」
「………」
「私ではなく、彼を信じて欲しい。 勿論私も信用して欲しいのですが、無理強いは出来ませんから」
「……わかりました」

 渋々、仕様がなくと言った感じにルイズは頷く。

「それでは私が喋らない理由をお聞かせします、その理由は虚無である貴女と彼の存在に訳があるからです」
「……私は分かりますけど、なにがあるんですか?」
「私が知っているのは彼、マスターチーフが他国の軍人である事です」
「……はい」
「懸念するべき事は彼が他国の軍人であり、ミス・ヴァリエールがトリステインの公爵家の三女と言う事です」
「………」
「他国、ハルケギニアで産まれた人間ではないと言うのはそれほど問題は無いのですが、彼が軍人だと言うのが拙いのです」
「……どうしてですか?」

 ルイズはさも疑問を口にする。

「ミス・ヴァリエールが召喚して呼ばれたのですから、事故として扱えるものですが。 彼が軍人であれば何らかの思惑を持って、使い魔になる事を受けたと思われても仕方ありません」
「そんな!」
「……そう思われるかも知れない、と言うことです。 ですからこれは懸念としては低いと言わざるを得ません、尤も心配することは……」

 そう言ってからコルベールは視線を図書館へと巡らせる。
 聞き耳を立てている者が居ないか確かめたのだ、そうしてこちらに注意を傾けているものが居ないと判断して口を開く。

「彼が所属する国の軍隊がこの地、ハルケギニア全土を侵略しようとすれば一ヶ月も掛からず制圧出来るほど強力な存在だと言うことです」

 声を抑えて語るコルベールにルイズは驚きを隠せない。

「ちょっと待ってください、確かにチーフは強いですけど……」
「ミス・ヴァリエールは彼が持つ武器をどれほど知っているのですか?」
「え? ……えっと、銃だと言うのは知ってます」
「そうです、銃です。 ハルケギニアの銃がどういう物かは?」
「……メイジ殺しと呼ばれる平民が使っているくらいにしか」
「そうですね、一回撃つごとに筒を掃除して、火の秘薬を詰め直して弾を入れる、そうして次を撃てるようになります」
「はぁ……」
「要するに手間が掛かると言うことです、それに精度も悪く届く距離も短い、この事もあって殆ど広まってはいません」
「……そんな物を使ってるんですか?」

 使えないものを使っているのかと、ルイズはコルベールを見た後こちらに視線を向けてくるが応えない。

「ミス・ヴァリエールが思っている通り、普通であれば使えない、使い難い物なのですが。 彼が使用している銃は別物です」
「……?」
「彼が使う銃は今挙げた問題の撃つのに手間が掛かる、精度が悪い、届く距離が短いの三つを全て克服したものです」
「それって、簡単に撃てて真っ直ぐ飛んで遠くまで届くってことですか?」
「ええ、魔法より遥かに強力な攻撃手段です」
「………」

 またも視線を向けてくるが応えない。
397名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:07:57 ID:CDpooGwS
しえん。
398虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:08:23 ID:mcXQsbdS
「お分かりですか? 彼の持つ銃は使い方をしっかり学ぶだけで、子供でもスクウェアメイジを簡単に殺せるくらいの物です」
「……すくうぇあ?」
「ええ、もし彼が銃を使って誰かを殺害すると決めたなら、恐らくは誰も逃げれないでしょう」
「……そんなの使ってたの?」
「ああ」

 三度視線を向けてきて聞いてくるルイズに、一言簡潔に答える。
 そのまま呆然として、ルイズはコルベールの話を聞き続ける。

「物によっては1リーグを超えて狙える銃もあります、そんな銃を持つ彼が多数の者たちに知れ渡ったらどうすると思いますか?」
「………」
「ある貴族ならばそれを恐れて銃を壊そうとしたり、使われないよう彼を襲わせて殺そうとするかも知れません。 あるいは手に入れて良からぬ事を考えるかも知れません」

 コルベールは小声ながら、ルイズにしっかり聞こえるよう可能性を告げる。

「宮廷貴族なら利用しようと目論み、邪魔な輩を暗殺させようとするかも知れません」
「……そんな」
「これはまだいいでしょう、少ないと言える死者が出るだけですから」
「まだあるんですか!?」
「ええ、先程言った彼が所属する軍隊の事ですが、私が心配するのは今言った銃が軍人の手に隅々まで渡っていることです」
「………」
「彼のような使い手はそんなに居ないと思いますが、基本的な使い方を理解している軍人が数十万、数百万と居て、その数だけ彼が使う銃と同じものが有ると言うことです」

 驚きの連続で、ルイズは言葉を発することが出来ないでいた。

「彼が言うにはハルケギニアを知らないし、侵略している暇が無いそうなのですが、やろうと思えばやれる力を持っています」
「……そんな、そんな」
「ですが、もしハルケギニアの事を知っていて、彼がここに居てミス・ヴァリエールの使い魔をやっていると言うのは介入する口実の一つになるのです」
「……落ち着け、そうはならない」

 うつむいて震えるルイズの肩に軽く手を置いて声を掛ける。

「ミス・ヴァリエール、この事についてはいずれ彼が帰る時に再度話合わなければなりません。 ですが今問題にするのはこちら側、ハルケギニアの者たちのことです」
「……どうすれば」
「……貴女は虚無のメイジで、強力な武器を使える彼は貴女の使い魔です。 そうなれば口を出してくる存在は二つ」
「それは……?」
「まずはこの国、トリステインです。 貴女と彼個人だけでは戦争を起こすのは無理でしょうが、この国にとって邪魔な他国の要人を暗殺することは出来ます」

 ルイズに命令して、そうさせるよう仕向けるかも知れない。
 勿論断ることは出来るが、何らかの手段、人質などを使って従わせようとするかも知れない。
 それに今言った事はすでに起こっている、チーフが直接殺した訳ではないがそれの手伝いをしてしまっている。
 一国の指導者と言って良い立場の人間を殺せたと言う事実は大きい。

「むしろこれはミス・ヴァリエールではなく彼の力ですが……、もう一つは貴女が目的となるロマリアです」

 ブリミル教総本山、宗教庁がある最高権威の国。
 虚無かどうかの真偽を問い、本物であれば招き入れ、偽物であれば虚無を騙った不敬で処断されかねない。

「間違いなくミス・ヴァリエールと、その周りが一変するでしょう。 今までの生活はもう出来ないと考えても良いかと」
「………」
「私は貴女が虚無であると知られない方が良いと思うのです、そうなればミス・ヴァリエールは魔法が使えないと馬鹿にされ続けるかも知れませんが……」
「……それは、構いません」
「……そうですか、知られれば大変な目に合うのは間違いないと思います。 知られ一悶着有った際に、彼が害されれば彼の国が報復をしないと言う確証もないので」

 チーフがそうはならないと言っても、一兵士の言葉であり、軍全体の決定ではない。
 ましてやマスターチーフと言う存在は地球人類にとって英雄に等しい存在だ。
 そのマスターチーフが害されたと言うならば、それは地球人類への敵対行動に取られかねない。
 尤も、今この惑星に居る事は知られていないだろうから、この惑星上で死んだとしてもそう言った事にはならないだろうと考えているマスターチーフだった。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:08:35 ID:XAQeppDI
南斗支援拳!
400虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:10:02 ID:mcXQsbdS
「オールド・オスマンも秘密にしておいて欲しいと、今の貴女方の行動一つで全てが変わる可能性があるので」
「……はい」
「私たちはお願いするしか出来ません、これは貴方の人生で重要なことですから。 出来れば誰も彼も血を流すような事態には陥って欲しくないのです」
「……わかりました」
「時間を掛けてゆっくりと考えてください、これが貴方が知って欲しかったことです」

 それを聞いてルイズは強く頷いた。





 そうしてコルベールとの真剣な話は終わる。
 二人はコルベールと別れ、図書館を後にした。

「何か有ったのか」

 ルイズには整備のため倉庫に居ると告げてきた、図書館まで来たのは何か用事があって自分を探しに来たのだろう。

「え? ……うん、キュルケが──」
「あー、居た居た。 探したわよ」

 ルイズを遮って現れたのはキュルケ。

「ちょっと、見つけたなら早く教えなさいよ」
「……うるさいわね、大事な話してたんだからしょうがないでしょ」
「ふーん……、それよりチーフ。 宝探しに行くんだけど、協力してくれない?」
「ルイズに聞いてくれ」

 答えをルイズに即投げる。
 必要でない限り、ルイズの傍から離れるのは良い事ではない。
 ルイズが行かないと言えば行かない、行くと言えば行く。
 行動原理は護衛と言う物によって成り立っている。

「ならOKね、それじゃあ準備を……」
「行かない」

 元々行く気だったのか、キュルケが行くのだと判断していたからそうなのだろうが。
 一転して行かないと言い切るルイズ、それを聞いたキュルケは怪訝な顔をしてルイズを見る。
401名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:10:06 ID:68uZoHnD
支援
402虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:11:27 ID:mcXQsbdS
「ちょっとちょっと、さっきは行くって言ってたじゃないの」
「行かない、行かないったら行かないの!」

 そう言って、二人を振り切るように走り出すルイズ。

「……チーフ、何か有ったの?」

 走っていくルイズの背中を見ながら、キュルケが声を掛けてくる。

「ああ、だが心配することではない」
「……そう、チーフが居れば楽になると思ってたけど、これじゃあしかたないわねぇ」
「あまり危ないことはするな」

 そう言えば。

「そんなに危険なことじゃないわよ、相手は貴方じゃないんだし早々負けないわ」

 と杖を取り出して見せつける。

「ま、チーフが行かないなら他に誰か連れて行くとするわ。 お土産期待しててね」

 としなを作ってキュルケは元来た廊下を歩いて去っていく。
 それを見送ってから、叫んで走っていったルイズを追いかけた。
 それからルイズは二日ほど授業を休み、室内でずっと何かを考えていた。
 それも三日目には終わり、授業に出始めいつもと変わらない日常に戻る。

 そうして行かなかったのが間違いだと、キュルケたちが戻ってきてから気が付いた。
 キュルケたち一行、キュルケにタバサ、ギーシュに無理やり連れて行かれたモンモランシー。
 その四人が十日ほどしてから帰ってきて、すぐにタバサがチーフの元に訪れた。

「……何かあったのか」
「有った」

 夜も更けてきたところに話したい事が有るとタバサが部屋を訪れ、ベッドに座る部屋主のルイズと共に耳を傾ける。
 そうしてチーフの顔、姿が映り込むヘルメットの前面を見てタバサは言った。

「ペリカンを見た」
403虚無と最後の希望 ◆Twi2c6nqJ. :2010/03/05(金) 01:12:24 ID:mcXQsbdS
以上で投下終了です、リーチでアイヒー。
404名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:15:35 ID:CDpooGwS
投下乙でした。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:18:36 ID:1S6W6SlK
>>384
伏線かと思ってたや
406名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:28:07 ID:/SII60Jt
乙乙。
407名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 01:30:16 ID:pnvuTg8M
乙です。
408名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 02:38:23 ID:UsugaqKa
乙!!
409名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 13:01:10 ID:99BEtdev
乙!
コルベールがいい感じだ
410名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 15:53:15 ID:vlh3+NK4
乙でした
411名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 16:29:32 ID:NJAoFz03
412名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 16:35:42 ID:ng32ozhi
>411
他サイト作品のアドレスを直接書くのって拙くありませんでしたっけ?
413名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 16:39:49 ID:Xq86Kwmi
憑依物(笑)
414名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 16:39:57 ID:tT2Gj74c
いかなる釣りにも嵐にも通じる手立て・・・人、それをスルーという。
415名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 16:45:17 ID:/25csHR5
>>411
クオリティの高いかどうかは別にしても、三つのうち自分が見たこと有る下二つ両方とも
ゼロ魔蹂躙物じゃん!
416名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 16:50:57 ID:NJAoFz03
僕はテンプレ展開がいやなのですよ。
提督とかもお気に入りです。
あとルイズが大嫌いです。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 16:52:08 ID:WDlCi0aP
小説家になろうというサイトに名作がいっぱい有りますよ
418名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 16:55:18 ID:vlh3+NK4
蹂躙
蹂躙
イミフ
ああ、良いクォリティだなぁ


ごめん、つい釣られた。
419名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 16:55:46 ID:NJAoFz03
http://mai-net.ath.cx/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=16788&n=0&count=1

こんなのも好きです。

>>417
ありがとうございます。さっそく行ってみます。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 17:12:23 ID:/25csHR5
もしゼロの使い魔の○○が××だったら まとめwiki
とかどう?
俺は「ルイズが武器屋に拾われました」が好き
少なくともテンプレ展開ではない。
421名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 17:40:28 ID:NIYaHjnd
忍空の人、乙
小さい頃たまたまアニメで見たときは、なにこのブサイクと思いましたけど、見ているうちにかっこいいということに見てくれは関係ないということを教えてくれた最初のアニメでした。
やっぱ男は中身で勝負だよなあ、コッパゲも見た目は完璧落第だけどキュルケを落とせたんだし。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 17:42:32 ID:WDlCi0aP
中身でフォローできるけど結局は見た目が最初にくるよ。残念
423名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 17:58:12 ID:mkk6ZLru
命の危機を救えば、つり橋効果も相まって、見た目が駄目でも彼女をゲットできるわけだ。
昔からのお約束。ハゲがキュルケに、風助が結花に惚れられたのも同じ。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 18:11:26 ID:fNKDg7oz
ぶっちゃけルイズと才人も1〜2巻あたりはそうなんじゃね?
425名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 18:23:43 ID:oJsZf6MA
なんだかどれも短くて今後の更新にハラハラさせられそうな気配だなぁ。
自分はまだ初期で「コイツは途中で投げるな」とかの見極めが上手く出来ない…
あんまり酷いのはわかるんだけれどもね
426名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 18:30:04 ID:KlzdKWaf
最初の見た目をすっ飛ばすのが異世界召喚ものや突然覚醒ものです
427名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 18:35:20 ID:GOtSSgSA
見た目ブサイクで中身がかっこいいとなると
ここは世紀末リーダー的存在たけしの出番だな
428名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 18:45:32 ID:9sIiUE8q
>>427
フーケ(7)
ワルド(7)
コッパゲ(7)
オスマン(7)

ですね
わかります
429名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 19:02:05 ID:yK2RgboJ
ジロン・アモスが浮かんだ
まあ奴はそこらのトカゲでも焼いて食うし使い魔以外でも生きていけるだろ
430名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 19:30:00 ID:2qbFpu9h
主人公じゃないし、強くなるにはガンダ以上に状況が限定されるけど
今週号で小学生のパンツ食ったエア・ギアのオニギリ
フーケ戦は楽勝と思われるが
ギーシュ戦がどうなるか・・・妄想力でワルキューレすら対象にすれば勝機は十分あるだろうか

とりあえず、中身はある意味かっこいいですよ
小烏丸唯一の非童貞だし
431名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 19:51:13 ID:NJAoFz03
432名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 19:53:22 ID:AhHWslpg
見た目カッコ悪くて中身が最高なら銀河鉄道999の鉄郎とトチローだろ。
鉄郎とメーテル、トチローとエメラルダス
宇宙を生きるのに見た目なんか関係ない。強い信念と腕を持った男だけが生き残れるし、女も惚れる。

だが案外サイトやルイズはハーロックに見込みありと認められて、アルカディア号に乗れるかも。
433名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 19:54:56 ID:ebmdZkxw
だが、召喚されるのは映画版の鉄郎だったりするw
434名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 20:01:06 ID:Y87F5zDT
さんを付けろよ! このデコ助野郎!!
435名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 20:06:09 ID:5eK3u+8x
>>433
映画版の鉄郎は単に年齢設定が上がっただけで、別に美男じゃないよ。
絵的には結構格好良いけど……

999に乗る前の鉄郎だと精神的にも年齢的にもサイトの代わりに喚ぶのにちょうど良いかも。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 20:08:41 ID:BfctMktO
>>434
アキラ以外の能力者はカプセルが無くなるとアウトだな

437名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 20:30:11 ID:WDlCi0aP
カッコいいブサメンというとポルコがまず浮かぶな。あ、いやブサメンじゃなくてブタメンでしたなこれは失敬(ペシッ
438名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 20:55:56 ID:GOtSSgSA
零戦で飛空挺や竜と渡り合うポルコ…

やべぇ、激しく見たい
439名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:03:08 ID:MWDcRPIe
タルブにあるのはゼロ戦ではなく、かつて死んだ筈の戦友の形見だった……の方があってるかも。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:12:50 ID:Xq86Kwmi
時代的に複葉機や三葉機になってしまうぞw
風竜よりずっと遅いんじゃ流石に不利だろう
441名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:26:26 ID:t/2bIUci
速力はゼロ戦の半分程度…
機銃も7.7ミリとか
でも外装はジェラルミンで無く木製や布張りだからエンジンは難しいだろうけど
多少のダメージなら修理自体は可能か?
442名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:33:27 ID:AhHWslpg
そもそもポルコは戦争が嫌いで殺しはやらないんだが
マリー・ガラント号を襲ってきたのが空賊連合のバカどもだったら面白いかな。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:33:59 ID:mXcuKy2r
鉄拳のボブは普通にイケメンか
わざわざ自分をピザにして精神的にもイケメンだし
444名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:34:13 ID:hoLxuO3n
>>440
「早いことは早いが、年季が足りねえよ若いの」
一瞬の早業でポルコの操る福葉機が竜騎士の後ろに滑りこむ
ポルコの得意技、捻り込みだ



こんなのを妄想してみた・・・いまいちだなあ自分 orz
445名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:37:30 ID:i3Fkmd2/
>>444
なにそれよみたい
446名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:38:56 ID:sCsaLzAm
そこは、戦記モノ好きで読み込まないと書けないんじゃないか?
447名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:52:37 ID:ER9Yf++z
絵で見せてなんぼの作品を文章にするのは難しいだろうな。
448名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:53:03 ID:hTxf24VN
金剛番長が単身地下の風石を砕きに向かうのが見たい
449名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 21:59:34 ID:tT2Gj74c
知ったことか!!
450名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 22:05:45 ID:ID0e1Bse
ニコニコ 黒い噂
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9901355
451名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 22:35:03 ID:5eK3u+8x
ポルコは小ネタで喚ばれてなかったけ?

しかし、ポルコは航空戦で見どころ作る他に、
時々本当の姿が見えたりしてそっちで話作れたりもしそうでおいしいな。
……いや、考えてみると契約のキスで元の姿に戻ったり……?
452名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 23:45:11 ID:ByQylbDg
豚の姿ならば、何で平民なんか召喚、とはならないけどな
453名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 23:47:19 ID:L3xMBlKr
カメレオンの矢沢栄作を呼べば
ハルケの全てをハッタリで解決してくれるに違いない
454名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/05(金) 23:53:01 ID:OqI2Q+dI
>>451
ルーンの輝きが最大になった時のみ人間になるとか
455名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 00:16:42 ID:UHDFmfJ4
>>452
「うわああゼロのルイズがオークを召喚したぞ!!」「ミスヴァリェール、危険です!」「な…なんでオークなのよ…」

恐れられるうえにルイズも喜ばないんじゃないかw
456名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 00:27:16 ID:z2LPWV0U
豚と平民どっちがいいか、って話になるな。
いや、この場合は豚人間だから……えーと……。
457名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 00:39:21 ID:Z0EKEv1e
豚人間とのキスを回りに要求されるルイズ
458名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 01:01:34 ID:71XdPy2X
こんな深夜に賢者タイムとかいやらしい
エッチなのはいけないと思うんだ、これがな
459名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 01:08:55 ID:QNb9/dsn
ポルコネタは既に小ネタでありましたぞ。
長編にするなら完全オリジナルルートにしないと厳しそう。

でもポルコの腕なら風竜とか軽く落とせそう。
460名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 01:12:19 ID:gDsO5Yhx
科学特捜隊一同を呼んで魔法学院をトリステイン支部に
イデとコルベールは良いコンビだろうな
461名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 01:41:43 ID:2N96uIO0
そしてイデ発動
462名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 01:42:37 ID:aFX2tck5
白旗を振ったせいで怒り狂ったエルフを相手に、ハルケギニアじゅうを逃げ回るのですね?
463名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 02:02:08 ID:xAZ5Cm5D
だがエルフはハルケギニアを埋め尽くすほどの物量を繰り出してくるんですね。
俺もイデって言われて、ウルトラマンの方じゃなく伝説巨神がまっさきに思い浮かんじまった。
464名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 02:19:29 ID:VHrtw6bP
巨神つながりでゴーグ召喚

普通に話になるが空飛べないし、ガ体のせいでアルビオンにいけない……。
そこさえクリアできりゃなあ。
465名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 02:28:07 ID:wXmGjH9R
ペンウッド卿をハルケギニア無双させたいんですが構いませんよね?
466名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 02:40:20 ID:9wOfxE9g
明日ぐらいには投下できると思うんだけど、ワルドを少しアッパー調整しすぎたかもしれん。
前倒しでヒポグリフ隊の隊長が出るかもしれないんだけど、同じ隊長なのに扱いの差がハート様とスペードぐらいある。
どうしようか。
467名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 02:44:42 ID:u5+J/Rlx
変化球でいいんじゃねえの
468名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 02:45:26 ID:qG80sN9Y
そういう芸風と言い切れば問題ない
469名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 03:19:06 ID:MDhuZ7pT
「貴方のお婆さまの使い魔は、それはもうトリステイン無双という感じで、
襲いかかってくるエルフやレコンキスタをちぎっては投げちぎっては投げ、
最後は聖地に爆弾とともに突撃してエルフを壊滅させました」

「それ、絶対嘘ですよね?」

「本当です。だから予算下さい」

「うわあああん!」
470名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 03:47:23 ID:nFAqr9qn
よし、ドリフターズからドリフのみんなを召喚しようぜ
もしくは以下略から主人公三人
471名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 03:49:56 ID:xAZ5Cm5D
大佐「ルイズは俺のもんだって言っただろぉおおお」
ドク「いいやおれのものだっていってんでしょぉおお」
大尉「俺、ハルケギニアに召喚されてハーフエルフ探してくる。あと使い魔にもなる」
472名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 05:09:00 ID:NnLO9Wfa
>>471
思うに大佐ではなく少佐ではないか?
あと大尉召喚は確かwikiの預かりものページ(ヘルシングネタは別スレがあった)にあった気がする。
473名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 09:10:54 ID:9sjcTQGW
>>460
コルベール先生ならホリイ隊員とも仲よくなれそうだ。
先生単独でモンスターキャッチャーくらいなら作れそうだし。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 10:52:21 ID:QNb9/dsn
>>ドリフターズ
日本武人3人衆がタブル村から国盗りを始めたようです。
475名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 11:35:10 ID:6CfT4lBK
少佐「タルブだって言ってんだろぉおおお」
ドク「シェスタでもギーシェでもジョセフでもないからぁあああ」
大尉「俺、学校の先生になっておマチさん探してくる。あとワルドは殺る」
476名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 13:21:23 ID:ffBqX3ro
>>473
その人のいるところは科学特捜隊(SSSP)じゃなくてGUTSだろ。
歴代防衛チームの中だったらDEUSのジン、エレア、ケイ、エスの四人で銃士隊よりさらに裏の部隊として活躍させれば。
477世紀末モヒカン:2010/03/06(土) 13:24:36 ID:9wOfxE9g
聖帝様が30分からご投下になるぞーーーー!荒らしは消毒だぁーーー!スレを空けろーーー!!

478名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 13:26:11 ID:lbaIqlDZ
(0゚・∀・)wktk
479帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 13:30:07 ID:9wOfxE9g

明朝。
グリフォンと馬が一頭ずつ魔法学院を立つ。
馬の背に乗るのは、ギーシュ・ド・グラモン。
先行するグリフォンの背に二人して跨っているのが、ゼロ改め南斗爆殺拳のルイズと、現グリフォン隊隊長のワルド子爵である。

そして、出発する一行を見つめる一つの影。
学院長室の窓からアンリエッタが祈りながら見送っていた。

「彼女たちに、加護をお与え下さい。始祖ブリミルよ……」
あの後、一頻り泣いた後にルイズの部屋に行った。
胸の内を全て吐き出して落ち着いたのか、部屋に入る頃には泣いた素振りなど微塵も見せなかったのはさすがと言える。
結局、ルイズとギーシュがアルビオンに行く事になったのだが、やはり学生二人だけでは心もとない。

それで、ふと、記憶の片隅から、花を摘んできてくれた若い貴族の名前が浮かんだ。
その二つ名は『閃光』。
風のスクウェアメイジで、その力量はアルビオンにもそうそういないと言われている程。
ラ・ヴァリエール公爵領近くの領地を持つ、グリフォン隊隊長の名前。
ただそれだけではなく、昔一度だけ、そのワルド子爵がルイズの婚約者だとルイズ本人の口から聞いたことがある。

ルイズの婚約者という事であれば、信頼できるし、自分の護衛で学院に滞在しているのだから今からでも話は通せる。
それに、こういった隠密行動では優秀な風のメイジの力が一番役に立つ。
そんな気持ちでワルドの部屋のドアを叩くと、その申し出はあっさりと快諾され今に至る。

目を閉じて祈る隣では、暢気そうに鼻毛を抜いていたオスマンが盛大にくしゃみをしたところだった。
「見送らないのですか?オールド・オスマン」
「いや、見てのとおり、この老いぼれは鼻毛を抜いておりますのでな」
どこか飄々とした、捕らえどころのない雲のような態度は、この老人にとってはいつもの事だが
そんなオスマンを見て、アンリエッタの脳裏には、あの常に余裕の笑みを浮かべた顔が浮かんだ。

遥か東のロバ・アル・カリイエから来た男。
その地に伝わる南斗聖拳の使い手にして、南斗の頂点に君臨する帝王。
それ程の力を持つ男が、要求する物と引き換えにルイズに力を貸すという契約を結んでいる。
当然、アンリエッタはサウザーもアルビオンに行くものだと思っていたが、出発する一行の中にその姿は無い。

それもそのはず。
当のルイズがサウザーに頼んでいないからだ。
姫様に危害を加え、無礼を働いたというのが大きな理由らしい。
今のアンリエッタには、そんな些細な事は気にしていられないぐらい切羽詰っているが、こればかりはルイズとサウザーの問題なので口を出すわけにもいかなかった。

「……ところで、オールド・オスマンは南斗聖拳というものををご存知ですか?」
「はて、姫はどこでそれをお知りになったのですかな?」
と、聞いてみたが、オスマンもアンリエッタがどこで南斗聖拳をどこで知ったのかは薄々感付いている。
なにせ、その使い手が学院に居る上に、隠し立てもしていないので直接にしろ、人伝にしろ耳に入るのは当然だからだ。
そうであれば、隠し立てし下手に詮索されるよりも、全てを話し納得してもらうのが一番良い。
そう腹を決めると、まるで遠い昔話でも語るかのように話し始めた。

「いや、それは聞きますまい。……南斗聖拳は、系統魔法と対極にある存在。
  我々が代々始祖ブリミルの血によって系統魔法を操るのに対して、彼らは長き年月に渡って研鑽を続け、一世代ごとの伝承によって技を伝えてきたと聞いております」
ハルケギニアの世界は小さい。
強大なエルフが住まう地を挟んでからの地はほとんどが未知の部分に包まれているからだ。
たまに東方の品という名目で荷が運ばれてくるが、それが本当にロバ・アル・カリイエの物なのかはハッキリしていない。
480名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 13:30:42 ID:ffBqX3ro
聖帝様の支援ができるとは、
この週末に一辺の悔いなし!
481帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 13:31:08 ID:9wOfxE9g
ハルケギニアにおける系統魔法が使えるかどうかのは、まず始祖ブリミルの血を受け継いでいるかどうかと考えられている。
六千年という長い間、その考えで通ってきたため、今では試しに魔法を使ってみようなんて思う平民は皆無だ。
ならば、ロバ・アル・カリイエでは系統魔法を使えるメイジが存在しないとも考えられる。
それ故に、翼人や吸血鬼、そしてエルフなどの先住魔法を使う外敵から身を守る為に、神とも言えるブリミルに頼る事なく、人が人のみの力で練り上げた聖なる拳。
そう考えれば、確かに系統魔法と南斗聖拳は対極の存在とも言えた。
もちろん、南斗聖拳はロバ・アル・カリイエで生み出されたものではないが、少なくともオスマンはそう思っているし、聖帝様もどうでもいいため別に否定はしていない。
むしろ、案外こちらにも南斗聖拳や崋山流、泰山流などの拳法が違う形として伝わってるかもしれないと考えているぐらいだ。

「彼は、その南斗聖拳の中でも最強と呼ばれる……、確か……そう、南斗鳳凰拳を使い、その実力は始祖ブリミルが用いたガンダールヴにも匹敵するでしょうな」
「ガンダールヴに……」
「実は、土くれのフーケも彼が斃しましてな。あのゴーレムを粉砕する様は壮観でしたわい」
アンリエッタの頭に昨夜の出来事が浮かぶ。
窓から離れようとした時、突如として石壁に穴が空き、あっけに取られている間に捕らえられてしまった。
宝物庫程ではないにしろ学院の壁には固定化がかけられていて、ちょっとやそっとの呪文では壊れない造りになっているはずなのに、易々とそれを貫いた。
だから、オスマンが千の軍を滅ぼせられるというガンダールヴに匹敵するなどという突拍子も無いことを言っても、それはすんなり受け入れる事ができた。

――あのガンダールヴに匹敵する力の持ち主ならルイズを護り切ってくれるのに……

いくら、ワルドが風のスクウェアメイジと言えど、孤立無援の状態で混沌のアルビオンからルイズを無事に守りきれるか疑問が残る。
数で押されれば、もしもという事もある。
無二の親友が命をかけて危険な任務をしてくれるのならば、自分に出来る事は何か。
そう考えると、自然と足が動き、いつの間にかサウザーの部屋の前に立ってしまっていた。


「王女が護衛も付けずに何の用だ?」
アンリエッタが聖帝様の居室に近付き、声を掛ける前に、逆に中から声がかかった
姿も見ずに言い当てられた事に戸惑ったものの、気を取り直して部屋の中へと入る。
こんな所で躓いてはいられないのだ。

「是非、貴方にお話したい事があります」
「何を話しに来たかは想像が付くが……かまわぬ。話してみるがいい」
帝王と王女。
名前だけなら立場的にアンリエッタが少し下程度の両者だが、現実には決して超えることの出来ない壁のような物が存在している。
それは、玉座に座ったままのサウザーという形で現れていた。

「貴方は、南斗聖拳の使い手と聞き及んでおります。あの土くれのフーケも貴方が斃したと
  オールド・オスマンから聞きました。無礼を承知で、わたくしに、いえ、ルイズに力をお貸し願えませんでしょうか」
あの老人、随分と口が軽い物だと思ったが、この際それはどうでもいい。
「それは、この俺に手紙の奪還を手伝えという事か?」
「は、はい、その通りです!」
「……くだらんな。帝王たる俺が、何故そのような事をせねばならぬ。そのような雑務は連中に任せておけば事足りる」
一瞬、ハンマーで頭を殴られたかのような衝撃がアンリエッタを襲った。
にべも無く拒絶され、アンリエッタにとっての最後の望みが断たれたような物だ。
思わずその場に座り込みそうになってしまいそうになったが、サウザーはそんなアンリエッタを眺め淡々と告げた。

「……それに、貴様が欲しいのは手紙などではあるまい?」
心の内を見透かされたような感覚に、アンリエッタの心が大きく揺らぐ。
一度、本心を曝け出してしまったのだから、今更、王女の仮面を被っても仕方が無いと悟ったのか、本当の願いを言った。
「仰るとおりです。ウェールズ皇太子を救っては頂けないでしょうか?」
サウザーはと言うと、さっきよりは興味を引かれたのか、ほんの僅かに笑みを浮かべると片手を天に突き出し続けた。

「ふっ……お前には致命的に足りぬ物がある」
そう言うと、突き出した手を握り締める。
「それは、欲望。己の欲しい物を手に入れようとする『執念』だ」
まるで、この世の全てを手に入れようとせんばかりの仕草に、アンリエッタは目を引かれた。
482帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 13:33:11 ID:9wOfxE9g
欲望はなにも物だけに限った事ではない。
殉星のように、一つの愛をひたすらに求める者。
義星のように、一人の女のために死のうとする者。
妖星のように、己のために強く、美しく輝こうとする者。
仁星のように、今より輝こうとする光を守ろうとする者。
将星のように、覇を唱え、師のために聖帝十字陵を造ろうとした者。
程度の違いこそあれ、強者と呼ばれる者は目的のために生き、全てにおいて強烈な執念を持っている。
何かを手に入れたい。何かを守りたい。何かを成し遂げたいという想いこそが強さに繋がり、その根源は、全て執念だ。

「執念……」
今まで聞くことも無かった言葉をを呟くと戸惑いと共に、心の奥底に、ある感情が湧き上がる。
羨望、とでも言うのだろうか。

籠の中で飼われた鳥は、羽ばたく事すら出来ず、飼い主の機嫌を損ねぬよう囀りながら、窓の外の空を眺めるだけ。
空に浮かぶ雲のように、自由気ままに生きてみたいと思った事だって一度や二度ではない。
たった一度ですら、太陽の下で愛する人と並んで歩く事もできず、今にも滅びる運命にある人に、表立って亡命を勧める事もできない。
出来る事なら、ルイズとアルビオンに渡り直接、自身の言葉で亡命を勧めたいと思っているぐらいである。

それでも、思う事が出来るだけで、行動に移す事はできない。
ゲルマニアの皇帝との婚姻を控えているし、なにより、王女としての立場がそうさせる事を許しはしない。
幼少の頃から、王族は自らの心の平穏より、国の平穏を考えるものだと教えられてきたし、為政者としてはそれが正しい形だ。

だが、それなりに平穏な時代である事や、生まれを差し引いても、やはりアンリエッタには致命的に執念が足りない。
王族に生まれたから。同盟を結ぶためだから。
そう自分に言い聞かせて、抗おうとはせずに、流れに流されるまま生きている。
それでは執念など生まれるはずもないし、まして、執念に勝る怒りなど生まれる事は絶対に無い。

だからこそ、そんな生き方しかできなかったアンリエッタには、誰にも媚びる事なく
ただ一人頂点という高みに立ち、思うが侭に生きるサウザーの姿に羨望という物を感じたのかもしれない。

「それも、力あってこそ出来る事。わたくしには、何の力もありません……。国を守るための道具にしかなれないわたくしに一体何が出来るのでしょう」
同時に、その場所が自分では、到底たどり着く事の出来ない場所だという事も、痛い程に思い知らされた。
飾りとはいえ、権力の高みに上る事を義務付けられて育ったアンリエッタと、己の力で権力を奪い、掴み取ってきたサウザーとでは歩んできた道の険しさが違う。
サウザーが纏う雰囲気は、為政者の物ではなく、支配者。
軍団を率い、敵を打ち破り、領土を切り取り、新たに得た土地を支配する。
国の為に王が存在するのではなく、王の為に国が存在し、下の者は悉く王の為に尽くす。
宮廷貴族から、同盟を結ぶための道具として見られていると感じているアンリエッタだからこそ、今の自分とサウザーにある差が、天と地程にもあると感じ取れたのだった。

「もう一度、お願いいたします。あの方を……ウェールズ様を救っては頂けないでしょうか」
アンリエッタがいくら頭を下げようともサウザーからの返事は無い。
始祖ブリミルにいくら祈りを捧げても、アルビオンの戦況が好転する事はなかった。
決着が付く前にルイズが自分の書いた手紙を届けても、あの誇り高い皇太子は、名誉のた為に死ぬ事を選ぶかもしれない。
始祖に祈っても無駄というのなら、何に縋ればいい。
半ば絶望していた所に、ガンダールヴに匹敵するという男が現れた。
力は目の前の男が備えている。なら自分は一体どうすればいいかと、恐る恐るアンリエッタが口を開いた。
483帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 13:35:23 ID:9wOfxE9g

「……わたくしは、貴方に、どういった形で酬いればいいのでしょう?」
おそよ、生半可な対価では力は得られない。
秘宝である水のルビーはルイズに渡してしまったし、そもそも、そう言った類の物で動くような男では無い事はアンリエッタにも分かる。
アンリエッタに残されている物は、王族としての僅かながらの権威と金銀宝石に後は自身の身体ぐらいの物である。

ごくり、とアンリエッタが生唾を飲んだ。
政策一つにしろ、自分で決められる事は無く、その身体すら、ゲルマニアとの同盟を結ぶための道具に使われ自由とは言いがたい。
アンリエッタの中で天秤が揺れ動いている。
一つは、国のために、ゲルマニアとの同盟を結ぶ為に、このまま何もしないか。
そして、もう一つは、愛するウェールズを助けるために、この身を差し出すか。

正直言って、アンリエッタにはどちらも選び難い。
だが、少なくとも行動すればウェールズが助かる可能性は何倍にも大きくなる。
ラ・ポルトやマザリーニは怒るだろう。母は泣くかもしれない。生きてウェールズに会えても、誓いを守れなかった事に幻滅されてしまうかもしれない。
それでも、王女としてではなく、一人の少女として、どんな形であれウェールズに生きて欲しい。
天秤の針が傾くと、自然にアンリエッタの指がドレスにかかる。
するりとドレスが床に落ちると、その肢体が露になった。
トリステインの白百合と評される程の美貌と、木目細やかな肌に、その存在を大きく主張する胸だけでも、世紀末計算では水食料一ヶ月分以上はカタい。
ユダが見れば連れ去られ、肩にUDの紋章が付く事間違い無しだろう。

「これしか……ウェールズ様をお助けする道が無いのなら……」
一度決め、行動に移したとはいえ、やはり人前で肌を晒す事に抵抗があるのか、アンリエッタは顔を赤らめ、両手で身体を隠している。 
アンリエッタの取った行動が少しばかり意外だったのか、サウザーは、ほんの少し一瞥すると目を閉じ含み笑いをした。

「なるほど、それが貴様の執念……という訳か」
温室栽培のお姫様にしては上出来だろう。少しだけだが気に入った。
マントを外すと、投げ捨てるようにしてアンリエッタに被せる。
思わぬ布の感触に、アンリエッタは己の身体すら対価足り得ないのかと、涙が出そうになったが、サウザーは、ほんの少し面白そうな声を混ぜて言う。

「よかろう。お前には、使い道がある。望みが適うか否かは貴様の執念次第だ」
それは、見方によっては、より性質の悪い、悪魔の誘いにも等しい言葉だった。



学院の敷地の中に設けられた仮の厩舎。
十数頭のグリフォンやマンティコアの中に混じって、馬の体を持ち、鳥の前足と嘴を持つ幻獣であるヒポグリフが数頭だけそこに繋がれていた。

全貴族の憧れでもあり、トリステインの精鋭部隊の一つといえるはずの彼らだったが、現状は無残な物だった。
なにせ、モヒカンによる被害で、ヒポグリフの補充のための再編中で部隊としての戦力は無いに等しい。
トリステイン侵攻が可能性としてある以上、魔法衛士隊だけ優先して幻獣を補充できるような状況ではないのだ。
それでも、王女の護衛に隊長と、なんとか数を揃えれた分の隊員は駆り出されている。
そんな彼らの宿舎では、隊長を含む隊員数名が目覚めの悪い朝を迎えていた。

「あの炎の杖さえなければ、遅れを取らなかったものを……」
ぽつりと隊長が小さく呟くと、隊員全員の脳裏にはあの悪夢のような出来事が浮かぶ。
ただの賊と思ってかかったのがそもそもの誤りだったと、今更後悔しても遅い。
分かってはいるが、それでもそう思いたくもなる。
484名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 13:40:51 ID:FpZY801X
長いぜぇー長くてさるだぜぇー
485帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 13:41:23 ID:9wOfxE9g
相手は、円形の盾と十字を組み合わせた紋章が印された武器防具を身につけていたが、そんな形の紋章を持つ軍はハルケギニアには存在しない。
仮にあったとしても、戦争でもないのに一つの村を丸々焼き尽くすような略奪を起こすような真似をするはずがない。

今年入隊したばかりの見習いの新入りが魔法を放とうと近付き、悲鳴が聞こえた時には、その新入りがヒポグリフ諸共炎で焼かれているところだった。
辛うじて隊員に死者は出なかったものの、炎の杖やヒポグリフよりも速く小回りの利く鉄の馬。なにより相手の身体能力の高さのせいもあって散々な憂き目にあってしまっている。
今でも「ヒャッハー!」という、あの悪魔のような笑い声が夢に出てくるのだから、悪夢としか言いようがなかった。

「それにしても彼奴ら一体何の目的があって……」
あれだけの略奪を行ったにも関わらず、不思議な事に金銭の類には全く手が付けられていなかったのである。
銅貨、銀貨はおろか、エキュー金貨の一枚すら手付かずで、一体何が奪われたのかというと、襲われた村にあった全ての食料と水。
穀物はもちろん、果物に酒類、果ては家畜まで。
まるでイナゴの群れにでも襲われたかのように奪われていたのだ。

だが、今となっては村を襲った動機も分からない。
何か裏があったにしろ、手加減すればこちらが全滅していたかもしれず全員殺すしかなかった。

そう言えば、聖帝だとか言っていたような気がするな、と考えた所でなんとなく外から獣の鳴き声が聞こえてくる事に気付いた。

それも一つや二つではない……全部だ!!

聞き慣れた幻獣が騒ぐ様子に、隊長が一人の隊員に様子を見てくるように命じ、しばらくすると幻獣の鳴き声に混じって人の悲鳴が聞こえてきた。

これは、ただ事ではない。
そう判断した隊長が、全員に戦闘態勢で向かう事を命ずると自分も杖を手にし外に出る。
急いで厩舎に駆けつけると、実に奇妙な光景を目にする事になった。

一人の男が三頭のピポグリフを引きつれ厩舎から出てきている。
その足元には、先程様子を見させに出した隊員が倒れ、頭を踏まれている。
そして、男が厩舎の中で喚く幻獣に向け、邪魔だと言わんばかりに視線を送ると、一瞬で静かになってしまった。
種類によって形こそ違うものの、幻獣達が取っているポーズは、いわゆる服従の姿勢。
静かになった事に満足したのか、男が一足飛びにヒポグリフの背に乗る。
まるで、伝説のヴィンダールヴでも現れたかのような光景に、さすがのヒポグリフ隊も怯んだ。
なにせ、使い魔でない幻獣を馬のように乗りこなすには、その幻獣に力を認めさせねばならないからだ。

全員が杖を向けると、ヒポグリフに乗った男……まぁこんな事やらかすのは聖帝様ぐらいなものだが
サウザーはそれが何だとお構いなしに歩を進め、取り囲むヒポグリフ隊に挑発的な笑みを向けた。

「俺は一切抵抗はせぬ。かかってくるがいい」
ヒポグリフに乗ったまま、しかも、轡を握ったままで言い放つ。
「お、おのれぇ!」
挑発に激高した隊長が杖を片手に距離を詰める。
勢いに任せてサウザーを刺し貫こうとする直前、無数の拳撃が隊長を襲った。

エア・ハンマーにでも喰らったかのように吹き飛び、地面に叩き付けれた隊長が、辛うじて上半身を起こし苦しそうにサウザーを見ると目を見張った。
「ば、馬鹿な……奴は轡を握ったまま……!」
そう、サウザーは避けるどころか、轡すら放してはいなかったのだ。
「ぅぐ……では、わたしが見たものは一体……?」
見た物は、形容するなら拳の壁。

「くははは、真の奥義を極め、真髄を極めた者はその身に闘気を纏う事ができる」
手を掲げ、笑いながら衛士達を見下す。
今、サウザーがやった事は、分かり易く言えば発勁の法。
ラオウがそれを用い、同じ南斗六聖のレイを近付けもしなかったのはつい最近の事である。
しかし、この星は将星。
所詮、他の五星は将星の衛星にすぎぬ。
闘気とは非情の血によって生まれる物。
愛と情けを捨て去ったが故に、その闘気の強大さは並大抵の物ではない。
486名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 13:41:54 ID:wsAKYO/d
ヒャッハー!投下は支援だー!
487名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 13:42:26 ID:9C+38zK7
ををっ サウザー様にリアルタイム遭遇は初めてだ  支援
488帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 13:43:11 ID:9wOfxE9g
「貴様ら風情では、この聖帝サウザーには指一本も触れる事すらできんのだ!ふははははははは!!」
「せ、聖帝だと……!?まさか!」
炎の杖を持ち、鉄の馬を駆る恐怖の軍団。
その中の一人が聖帝様と叫んでいたのを確かに聞いた。

「ほう、その名だけは知っていたか。まぁどこで知ったかなど興味は無いがな」
「その紋章は、やはり……」
サウザーのバックルに印されていた紋章を見て不安が確信に変わった。
あの、部隊を半壊に追いやった軍団を率いていた男なら、その強さはどれ程になるのか。

我々だけでは手に負えない。
瞬時にそう判断した隊長が、部下に向け他の衛士隊にも応援を呼ぶように命ずると、サウザーの姿が馬上から消えた。

「前だ!」
唯一、動きについていけた隊長が叫ぶも、サウザーが隊員の額を軽く突く。
軽い衝撃を受けると、また目の前のサウザーの姿が掻き消えた。
何が起こったのかと、分からないまま走り出そうとすると、視界が揺らぎ、地面が迫る。
自分が倒れたと認識できるようになる頃には、その場に居た全員が倒されてしまった。

「この俺に武器を向けた事を後悔するがいい」
「な、何をするつもりだ?」
人差し指を立て、倒れた隊員のこめかみに指を当てる。
軽く含み笑いをすると、サウザーの指が音を立ててめり込んだ。

頭を貫かれて無事な者などは居ない。
指で貫くなど現実離れしている出来事だが、現にこうして起こっている。

「や、やめて……ゆ、指を止めてくれ!」
恥も外聞も無く命乞いをしても、聖帝様は降伏など許しはしない。
薄笑いを浮かべながらゆっくりと指を差し込む。
「やめてとめてやめてとめてやめてぇ!とめった!!」
第一間接ぐらいまで指が埋まると、わめいていた隊員が白目を剥き、舌を出して地面へ這い蹲った。

ズブズブと、指が頭にめり込んでいくその光景に、隊員が逃げ出そうとしても体がピクリとも動かない。
同時に戦慄と恐怖が奔る。
まるで、目の前に火竜でも舞い降りたかのような威圧感を感じるのは、決して気のせいではない。
さっきまで180サント程だったはずの男の身体が、やけに巨大に見えるのも恐怖による幻覚などではなく、纏う闘気がそう見させている。

魔法衛士という職に就いた以上、いつか相手に殺される事は覚悟していた。
氷のような冷徹さで斃される事も、炎のような怒りで身を焼かれる事すらも覚悟して今日まで臨んできた。
だが、これは違う。
怒りを見せず、かと言って感情を見せない冷徹さを持っているわけでもない。
指を突き入れる瞬間ですらも、面白そうに笑みを浮かべている。

だからこそ、恐ろしい。

そして、気付いてしまった。
これは到底、闘いなどと呼べる代物では無かった事に。

虐殺、蹂躙、処刑、etc……
今の状況に合う言葉はどれもこのぐらいだ。

かの『烈風』を相手にすれば、こう感じるのだろうかと、現実から目を背け始めたところに、聖帝様の指先が、また一人の隊員のこめかみへ突き当てられた。

「た、たすけ……」
「ふはは……聞こえんなぁ?その程度で、この俺の許しを請えるとでも思っているのか?」
「てエブッ!うれえろお!ちにゃ!!」
地の底から聞こえてきそうな悲鳴が、容赦なく現実へと引き戻す。
残された者に唯一許された事は、自分の番が来るのを恐怖と絶望に打ち震えながら待ち、聖帝サウザーに武器を向けた事を後悔する事だけだった。
489帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 13:44:56 ID:9wOfxE9g
第十話『野望の仮面』

ちょっと世紀末模様な魔法学院から遥か離れた港町。
港と言っても海があるわけではなく、一本の巨大な樹が聳え立つ峡谷に挟まれ場所に位置する『ラ・ロシェール』
日が落ち、町の灯りでぼんやりと映るラ・ロシェールの町は一種の混乱に巻き込まれていた。
アルビオン帰りで溢れるラ・ロシェール中の傭兵が、貴族御用達の宿屋『女神の杵』亭を取り囲んでいたからだ。
それだけならまだしも、巨大な岩石で出来たゴーレムまで居るのだから、他のラ・ロシェールの住人は家に閉じ篭り閂を掛けている。

その宿屋で、大勢の傭兵に囲まれ、弓矢を間断なく撃ち込まれているという不運な目に合っているのは、今朝、学院を出発したばかりのギーシュとキュルケにタバサ。
キュルケとタバサも居るのは、朝早くにルイズ達が出かけるのを見掛け興味本位で付いてきたという事だ。

この襲撃が、アルビオン貴族による妨害だと判断したルイズとワルドは、任務を果たすべく、裏口から出て桟橋へと向かって行きここには居ない。
つまり、ここに居る三人は傭兵を引き付ける囮という事になるのだが、しばらくしてから矢が一本も撃ち込まれなくなり静寂が訪れた。

「……どういうつもりかしら?」
魔法の射程外からの牽制と、地の利を得た戦い方こそが、傭兵達が自分達に勝利する唯一の戦法なのにそれを止めた。
何か罠があるのか、それとも誘い出してゴーレムで叩き潰そうというのかと、様々な考えが浮かぶ。

「こうしても始まらないわね。とりあえず、あなたのゴーレムを一体送ってみてくれる?」
「お安い御用だ」
ギーシュが、テーブルの影で薔薇の杖を振ると、花びらが錬金されて青銅のワルキューレが生み出される。
ギーシュの心情を反映したかのように、物陰に隠れながらワルキューレが入り口へと辿り着いた。

「……何も起こらないね」
「奇妙」
矢が飛んでくるわけでもなし、ゴーレムに潰されるわけでもない。
何も起こらないだけにかえって不気味さが増していく。
まさか、この宿屋ごと叩き潰そうとでもしているのかと、最悪に近い考えが浮かんだ時、入り口から誰かが一人で入ってくるのが見えた。

「一人?何のつもりかしら?」
目深にフードを被った女が、ワルキューレなど眼中に無いかのようにはね扉を開ける。
こんな状況下で、ただの女が宿を取りに来たなどとは考えられない。
むしろ、一人で入ってきた事を考えると敵の首領格であると考えるのが自然な事だった。

「一つ分かった事があるよ」
「それは?」
そんな中、これ以上なく真剣な顔で言うので、腐っても軍人の家系のだけはあると、二人とも少しギーシュに対する評価を改めた。
「彼女が、美人だって事さ。僕の目に狂いは無い!(キリッ)」
……が、すぐに評価を戻した。
それどころか、マイナス査定である。
命が掛かってるかもしれないのに、こと女性の事になるとGOLANの有様なのだから、生き延びられれば付き合いを考える必要があるかもしれないと思ったぐらいだ。
そんな一行を無視して、女がカウンターの下で震えている店主を見付け出すと、笑みを浮かべて話しかけた。

「店主。今すぐに最上の食事を用意して」
「わ、わしの店を滅茶苦茶にして、一体どうしてくれるんだ!
テーブルは折れ、壁には矢が無数の突き刺さり、とても町一番の宿屋とは思えない惨状である。
店主が文句を言うのも当然だったが、女は意に介した風もなく、懐から杖を取り出すと『練金』の呪文を唱えた。
すると、キュルケ達が盾代わりにしていたテーブルは、あっという間に土くれと化しぼろぼろと音を立てて崩れ、
もう一度練金を唱えると、その土くれが元のテーブルへと変化した。見事なまでの練金である。
元々、土のメイジによって一枚岩から作り出されただけに、修繕は難しい事ではないのか、ボロボロだった店内は三分と経たずに元通りになっていた。
490名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 13:46:09 ID:Q9w5Vw3x
うひょーww
支援たわば!!!
491帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 13:46:33 ID:9wOfxE9g

「これでどうかしら。気に入らないのなら、一度この宿屋を更地にしてあげてもいいんだけど」
さらっと脅迫染みた言葉を吐きながら女がフードを外す。
細く、高い鼻筋に切れ長の目。それにかかる眼鏡が知的な印象を与える美人が笑みを浮かべていたが
その女をよく知っているキュルケ、タバサ、ギーシュの三人は、何か化物でも見たかのようにその場から後ずさると杖を構えた。

「ミス・ロングビル……いえ、フ、フー……!」
目の前に立つ女が土くれのフーケだとキュルケが名前を言おうとした瞬間、頬をナイフが掠め後ろの壁に当たり床に落ちた。
「何か言ったかい?小娘」
表情こそ笑顔であったが、その名で呼ぶなと言わんばかりの口調が妙にアンバランスで怖い。
とりあえず、座れと促されると、三人が三人とも顔を見合わせたが、従うしかなかった。
周りが岩で囲まれた室内である以上、地の利は圧倒的に向こうにあったからだ。

「さ……て、まぁそう身構えなくてもいいよ。傭兵は外で待たせてるだけだから。」
フーケがワインの栓を抜きながら、砕けた口調で戦う意思が無い事を伝えると、杯にワインを満たすと一息に飲み干す。
その様子に毒気を抜かれたのか、幾分か緊張を解くと一番の疑問をフーケにぶつけた。
「ミス・ロングビル……よね?コルベール先生が死んだのを確認したはずだけど……」
三人とも思わず、足元に目が行く。
足は付いてるから、幽霊とかの類である事は無いようだ。

そんな三人を意に介した風もなく、フーケが二杯目を継ぎ足しながら小さく言った。
「今のはマチルダ。秘書の名前は捨てたからそっちで」
フーケ改めマチルダが軽く言うと、本来の調子を取り戻したのか、キュルケが声を荒げた。
「ふざけないで!あたしが聞いてるのは、どうして生きてるのかって事よ!」
「さぁてね。私にもよく分からないんだよ。どうしても知りたいのなら……」
途中まで話すと、何かに気付いたのかマチルダが唐突に立ち上がった。

何が何だか分からないという風の三人を無視し、マチルダが店の外へと飛び出していった。
「ま、待ちなさい!」
慌ててキュルケが追いかけ、残る二人も後に続く。
店の外ではマチルダが街の門の方をじっと眺めている。

「もう……一体何なのよ。訳が分からないじゃない」
呆れ顔でキュルケがタバサに言う。
とはいえ、訳が分からないのはタバサも同じである。
死んだはずのフーケがここに居て、奇妙な行動を取っているのだから、それは仕方ない。
溜息を付いて辺りを見回してみると、何故かギーシュが青褪めた顔をして突っ立っていた。

「……もしかして、今になって怖くなったとか?」
屈強な傭兵に囲まれているのだから、その気持ちも分からないでもない。
だが、ギーシュは首を振り、それを否定すると、ゆっくりと呟いた。

「く、来る……」
「来るって何が?」
ドットとはいえ、土系統のギーシュには地面を通じて聞こえる、微かな振動を感じる事が出来ていた。
青褪めているのは、振動が近付くにつれ、それがあまり思い出したくない物と完全に一致していたからだった。

そうしていると、町の灯りの向こうから僅かに土煙が巻き起こるのが見える。
キュルケにも薄ぼんやりとしか見えなかったが、その形がはっきりと見えるようになった時には、ギーシュが顔を青くさせている理由が分かった気がした。

\タタタ〜ン♪タタタタタタタタタタッタタ〜♪/

巨大で派手な、ギーシュの服以上に悪趣味な玉座に座って、聖帝様がゆったりしていらっしゃるのだから、呆れなんぞ通り越して畏怖の念すら覚えてしまう。
492帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 13:49:02 ID:9wOfxE9g
巨大で派手な、ギーシュの服以上に悪趣味な玉座に座って、聖帝様がゆったりしていらっしゃるのだから、呆れなんぞ通り越して畏怖の念すら覚えてしまう。

というより、アレで学院からここまで練り歩いてきたという事実が驚愕に値する。
しかも、聖帝号(仮)に繋がれているのは、馬ではなくヒポグリフ。
派手好きで注目を集めるのが好きなキュルケでも、裸足で逃げ出してしまいそうだ。

「聖帝様。ご要望どおり、傭兵を雇い入れお待ちしておりました」
聖帝号(仮)の到着に合わせ、マチルダが傅きサウザーを出迎えた。
御者がいい感じに焦燥しきったヒポグリフ隊の隊員っぽいのは、見なかった事にしておこうと心に決めた。
触らぬ神に……いや、この場合悪魔か。とにかく、触れてはいけない事が世の中には沢山あるのである。

サウザーはご苦労、と短く労うと玉座から降り辺りを見回す。
歴戦といった感じの傭兵達を見て、とりあえず満足したのか何時もの笑みが浮かんだ。

「……どういう事か説明して頂けると嬉しいんだけど」
サウザーが斃したはずのフーケが、生きていて、名前を変え何故かサウザーに跪いている。
おまけに、自分達を襲ってきた傭兵の雇い主はサウザーその人。
もう、お手上げという感じでキュルケが答えを求めると、最も分かり易い形でサウザーはその質問に答えた。

「……え?」
身体の内側から、重い音が響いたと思うと、あまりの理不尽さに信じられないという面持ちでキュルケが目を見張る。
その身体にはサウザーの手刀が、深々と身体に突き刺さっていた。

「う、嘘、……な…んで……」
不思議と痛みはないものの、口から流れ出てきた物は紛れも無く血。
自分の鼓動と意識が弱くなってくるのに反比例して、今まで感じた事の無い感情が大きくなっている。
消えそうな光に手を伸ばしても、光に届くことは決して無い。
息が出来なくなり、目の前が段々暗くなってくるにつれ、それが死への恐怖だという事が分かってきた。

――やだ……こんな所で死にたくない……

脳裏に映るのは、小うるさく説教をし、遂には老侯爵と結婚させようとした両親の顔。
次いで、次々と今までとっかえひっかえしてきた恋人が映り、最期に映ったのは、親友のタバサだった。

ぼんやりとタバサの声が聞こえるのは、幻聴などではないのだろう。
少し目を開けると、薄っすらと青い頭が自分の身体にすがり付いているのが見えた。
何時でも、何が起ころうとも変わらない、雪風のベールで覆われているはずのタバサの顔が崩れている。
付き合いを始めてから初めて見せた顔に、心を満たしていた恐怖心が不思議と薄らぐ。

タバサの心の奥底で眠る熱い物が、今にも冷たくなりそうなキュルケの身体を優しく包んだ。
それが、どれ程有難かったのかは言葉では言い表せない。救われたと言ってもいい。
タバサは、周りで言われているような、無愛想で無感情な少女ではない。
ただ、何かがあって、感情をひたすら押し殺しているだけなのだ。
一年かけて、微熱の炎で少しづつその氷を溶かしてきたのだが、友人の死という局面に晒され、一気に感情が流れ出したのだろう。
それだけに、一つだけ心残りな事が出来た。
それは自分が居なくなった後に、再びタバサが完全に心を凍らせてしまうのではないかという事。
また、あの一年前のように、誰とも話そうともせず、黙々と本だけを読んで事になるのではないかと思うと、キュルケの微熱が消えかけの蝋燭の炎のように燃え上がる。
最期の力を振り絞って、キュルケは優しくタバサに呟いた。

「や、約束して…タバサ……む、昔のように……もう一度ぬくもりを……」
そう言い残すと、キュルケの身体から力が抜け落ちる。
ハッとした顔になって、タバサがキュルケの胸に耳を当てるが、生命の鼓動は聞こえてこなかった。
いくら身体を揺さぶっても、いくら声をかけてもキュルケが目を覚ますことは無い。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 13:49:23 ID:Q9w5Vw3x
南斗人間砲弾で支援!!
494名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 13:51:42 ID:FpZY801X
南斗支援拳!
495帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 14:00:53 ID:9wOfxE9g
それと同時に、昔の事が嫌でも思い出される。
父が叔父に殺されたと知った時の夜。
自分の身代わりになって、毒入りの料理を口にし、心を狂わされてしまった時の夜。
そして、名前を捨ててから、初めて出来た友達。
心に吹きすさぶ雪風を溶かしてくれるような唯一無二の友達を、理不尽な暴力で失った。
心の奥底から流れ出てくる感情に耐え切れず、タバサが涙を流しながら小さく呟いた。

「こんなに苦しいのなら……悲しいのなら……!もう、何も要らない……!!」
キュルケの最期の願いも虚しく、タバサが導き出した結論は、あの時と同じように言葉と表情を消し去る事だった。


ちょっとしたデジャヴを感じないわけではないが、サウザーは二人の寸劇を眺めている。
この後、またどういう反応をしてくれるのかと思えば、これはこれでそれなりに面白い。
なんというか、意地の悪い笑みというやつの最上のを浮かべていると、一歩下がった所に、なんとも言えない顔でフーケが立っていた。

「聖帝様、よろしいのですか?あのままでは、何か良からぬ事を起こすかもしれませんが」
「ふっ、それはそれで面白かろう」
マチルダは、感情に任せタバサがサウザーを攻撃するのではないかと危惧したのだが、どうやら心配は無さそうだった。
そうなる事も、十分予想している上でやったのだから、万が一があったとしてもサウザーが遅れを取る事は無い。
それより気の毒なのは、あの二人。
自分の身に起こった事を、サウザーは紛れも無く再現してみせてくれたのだから、この先どうなるかも想像が付く。

まったく、やる事なす事つくづく規格外な事ばかりだとため息を漏らすと、いつの間にかフードを被った見慣れない少女がタバサの後ろに立っている事に気付く。
なんだかこの前、見たことあるような気がする姿だけに、念の為、本当に念の為に一応確認しておく事にした。

「あ、あれは、まさか……その……アンリエッタ王女では……?」
「ほう、それなりの変装はさせていたのだが、さすがだな」
否定される事を切に願っていたにも関わらず、賞賛混じりに即答された事に、思わず頭を抱えそうになった。
今頃、あのジジイは大慌てなんだろうなぁ、なんて思うと、『ねぇどんな気持ち?こんな大事になって、今どんな気持ち?』とか『ざまぁ見ろ、バーカ!死ね!』と煽りたく無いわけではない。
ただ、自然に王女誘拐という事をやらかしているのだから、頭を抱えたって特に信じていない神様でも許してくれるだろう。
縛られていないあたり、無理矢理連れてきたというわけではないだろうが、周りから、特に衛士から見れば立派な誘拐である。

「心配いりません、彼女は少し眠っているだけです。そうなのでしょう?」
少女が優しくなだめる様にタバサに囁くと、次いで同意を求めるようにサウザーにそう言った。
「ふん、余計な真似を」
サウザーは否定するわけでも、肯定するわけでもなく、アンリエッタが寸劇に割り込んできたのが気に入らないと言った感じで返す。
まぁ、手品のタネは元より隠し立てはするつもりは無かったし、そろそろ時間だったので、見物を打ち切ることにした。

そんなサウザーとは対照的に、生気が消え去ったような、何の感情も篭っていない虚ろな目をしたタバサがサウザーを見据える。
手には杖が握られ、口からは機械のように『アイス・ストーム』の呪文を小さく、誰にも分からないように唱えさせていた。

サウザーとの力量差は痛いぐらいに自覚している。
それでも、例えこの身が滅びようとも、一矢報いねば何かが壊れてしまう。
そんな思いに駆られ、呪文の詠唱を終えようとした時、詠唱の声に混じって、もう二度と聞けるはずの無いと思っていた声がタバサの耳に届いた。
496帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 14:02:48 ID:9wOfxE9g
「う……ん……」
その小さな呻きの様な音でも、タバサの耳にはハッキリと聞こえる。
そして、今さっきなんと言われたか。

『眠っているだけ』。
確かに、眠っているだけと言った。
急いでキュルケの胸に耳を当てると、さっきとは逆に小さかった鼓動が、段々と大きくなってくる音を聞いた。

「あ、あれ、あたし、なんでこんな所で……」
夢から覚めたような形でキュルケが呟くと、胸に衝撃を受け、そこを見てみると、タバサが顔を埋めていた。
すると、段々と置かれている状況を思い出す。
サウザーに突かれて、死に掛かっていたはずなのに、今またこうして生きている。
恐る恐る胸の辺りに手をやると、規則正しい鼓動を刻んでいる事に心底安堵した。
割と本気で、屍人鬼にでもなってしまったのではないかと心配だったのだ。

「……もう大丈夫だから。それよりどうなったのか話してくれる?」
半身を起こし、タバサの頭を撫でると、タバサは小さく答える。
「……心臓……止まってた」
胸に顔を埋めながら小さな手でキュルケの服を握り締める様は、タバサを年相応の少女に見させていた。

一度死んでから、しばらくしてから息を吹き返す。
同じ様な光景を目にしていたので、サウザーの方へ視線を向けると
特に悪びれる様子も無く、面白かったとでも言わんばかりに笑いながら説明した。

「人体には七百八もの経絡秘孔がある。それを突けば、死んだように見せかける事など造作もない事よ」
南斗聖拳でも、六聖拳ぐらいの使い手になれば、ある程度の秘孔の位置は把握しているし、秘孔を突く事も出来る。
聖極輪の合図によって、互いの秘孔を突いて仮死状態にする事が出来るのだから、人を輪切りにするより容易い事だ。

「……そういう事は、言葉で説明して欲しかったんだけど。おかげで、いらない恥をかいたじゃない」
「貴様らに話したところで、経絡秘孔の事など分かるはずなかろう」
ならば、実際に味わった方が早いし、それについて何か文句でもあるのか?との言い草であったが、文句など言えるはずもなかった。
なにしろ、下手に機嫌を損ねれば、指先一つダウンし、『ひでぶ!』や『あわびゅ!』である。
マチルダが従っているのも、その辺りが理由かと察し、せっかく戻ってきた命。精一杯大事にしようと、キュルケが心に決めたのは言うまでもない。

ようやく落ち着いてきたのかタバサも、俯きながら珍しく顔を赤らめさせている。
よくよく考えてみれば、同じ事をしていた以上、フーケの時と同じようにキュルケが死んでいない事ぐらい分かりそうな物だ。
思いのほか、自分の中でのキュルケの存在が大きかったという事を再認識させられると、小さく「反省」と呟いた。
いつも見せない様子に、何か感じ入る物があったのか今度はキュルケがタバサに抱き付く。
満面の笑みでの抱擁は、息苦しくなったタバサが杖でキュルケの頭を叩くまで続けられていたが、聖帝様はもう興味無いのか、町から見える巨大な樹を眺めている。

あそこから船が出る。
飛行船みたいなものかもしれないが、この際、常識は捨ててしまった方がいいだろう。
南斗列車砲とか、南斗人間砲弾が存在する世紀末に常識なんて無いのだけれども。

夜風がラ・ロシェールの町を通り抜けると、サウザーのマントが靡く。
いい風だ。
497帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 14:07:56 ID:9wOfxE9g
核戦争の後、世紀末の世に覇を唱えると決意した日も、こんな風が吹いていた。
あの時は、己の配下である南斗二十九派、ユダの二十三派、シンの十数派が離脱し、残った者も大半が聖帝軍に付き、後は散り散りになった。
今や、南斗六聖拳の内、残ったのは慈母星のみ。
慈母星にしても、血統が重視された南斗宗家の象徴のようなもので、とても残された南斗を纏め上げる力は持っていない。
五車星が付いていようが、雲を除いて六星に遠く及ばない。
五星が墜ち、南斗の智将と呼ばれた南斗流鴎拳のリュウロウも既に散っている。
恐らく、南斗は衰退の時代を迎える事になるだろう。
だが、衰退はしても南斗が滅びる事は決して無い。
陽拳故に、使い手が斃れようとも、技は残る。
それに、一子相伝の鳳凰拳はここにある。
南斗鳳凰拳がある限り南斗は滅びはしない。

珍しく、過去に想いを馳せていると、夜風に混じって別の風音が向かってくるのを捉えた。
切り裂くような風切り音と、何かが砕けるような僅かな音。

「跳べッ!」
そう言うと、突如、サウザーが、その場から後ろに飛ぶ。
すると、数瞬遅れて、何かが地面を引き裂きながら通り過ぎる。

「ぶべい!」
「あぷぱ!」
流れ弾と言うべきだろうか、サウザーがかわした物を食らって避け切れなかった何人かの傭兵が悲鳴を上げる。
胸を切り裂かれた者、脚を切り裂かれ地面に倒れ伏す者様々だが、サウザーは傭兵が受けた傷よりも、地面に残った傷を見て声をあげた。

「これは……南斗聖拳!?」
地面に残されたいくつもの傷跡は、ユダの使う伝衝裂波によく似ていた。
ユダは死んだはずだが、己の例があるだけに確実に死んだと言い切れる状況ではない。
とはいえ、仮にユダだとしても、鳳凰拳相手に戦いを挑むというような真似はしない。

ならば、何らかの事情でこちらに伝わった南斗聖拳の一派か。
攻撃が飛ばされるまで、気配すら感じ取れなったところを見ると、相当の手練なのだろう。
それでもサウザーが余裕を崩す事は無い。
南斗聖拳では、南斗鳳凰拳に対抗する事は決して出来ない。
だが、裂け目を辿った出元に立っていたのは、白い仮面で顔を隠し、黒塗りの杖を握った男だった。

思わぬ伏兵の登場にマチルダは軽く舌打ちをすると、サウザーに詫びた。
「……申し訳ございません。どうやら、泳がされていたようです」
サウザーに命じられた事は、レコンキスタの内情偵察と、使える兵力の確保。
既に知り得る情報は全て伝えたので、残りは兵力の確保になるのだが、これが難しかった。
なにせ、時間もそうあるわけでもなし、一エキューすらも渡されていなかったので、貴族の屋敷でも襲おうかと本気で考えていたぐらいだ。

そこにラ・ロシェールで傭兵を使い、ルイズ達を襲撃するというレコンキスタ側の作戦があったので利用させて貰った。
あの男は、ラ・ヴェリエールの娘を追っていたはずなのに、戻ってきたのは、やはり信用されていなかったのだろう。
緊張した面持ちのマチルダとは対照的にサウザーは、相手がメイジだと知って、むしろ興味が沸いたようだった。

「構わん。だが、俺に気配を悟らさせぬとはな。何者だ」
伝衝裂波と見誤る程の威力。
実体が見えなかった事から察するに『エア・カッター』と思われるが、先程のそれは以前、タバサが見せた物とは比べ物にならない。
同じ魔法でも、使い手により威力が違うという事は知っていたが、これ程までに変わる物だとは考えていなかった。
間違いない。
こいつは、この男は、間違いなくスクウェアだ。
それも、かなりの修羅場を潜り抜けている。
498名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 14:12:08 ID:Q9w5Vw3x
ワルドがキターwwww
支援
499帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 14:12:58 ID:9wOfxE9g
であれば、ここは自ら出向かねばなるまい。
今の所、使える部下の数は限られているし無駄に消耗させるわけにもいかない。
それにこの際、誰が生殺与奪の権を握っているのか見せ付けておく必要がある。
本来の雇い主の出現に戸惑う傭兵達を押しのけ、サウザーが前に出た。

マントを投げ捨て、男の前に立つとひり付く様な空気が辺りを包み沈黙が流れる。
最早、誰も間に割って入る事は出来ないだろうし、下手に邪魔立てすれば、確実に命が無くなる。
そんな雰囲気が辺り一帯を支配していた。

「どうした?来ぬのならこちらから行くぞ」
「・・・・・・・・・・・・」
その沈黙を肯定と見なし、サウザーが立っていた場所から、瞬きの、一瞬。
そのほんの一瞬の間で仮面の男の懐へと入った。
どんな間合いからでも一瞬にして懐へと入り込む踏み込みの速さ。
俗に言う、縮地法というやつだが、サウザーが用いる物は一般の物を遥かに凌駕している。
そして、その神速の踏み込みから放たれる一撃こそが、南斗鳳凰拳が最強と呼ばれている原動力の一つ。

   南斗鳳凰拳
『極 星 十 字 拳』

並の相手なら、最初の一撃で終わる。
拳先が男を捉える瞬間、男が絶妙のタイミイングで後ろに跳び下がったかと思うと、その服が十字に切り裂かれた。

「はぁ!」
服だけしか斬れなかった事に少し驚いたが、続け様に突きを二発程繰り出す。
手刀は仮面を僅かに掠めただけで終わり、逆に男が細身の杖を連続で突いてきた。
常人から見れば、目にも止まらぬというスピードだが、サウザーからすれば見切る事は可能だ。
「うりゃあ!」
突きを皮一枚で避け、かわし様に回し蹴りを放つ。
すると、仮面の男は蹴りが放たれる事を知っていたかのように身を転げさせると、サウザーに杖を向ける。
それが魔法の発動だと悟った時には、空気が撥ねサウザーを襲っていた。
空気の塊を敵にぶつけ吹き飛ばす『エア・ハンマー』の呪文。
さすがに吹き飛ばされはしないが、風圧に押され五メイル程後ろに下がらされてしまった。

「ほう、よくぞ極星十字拳をかわした。この拳をかわしたのはお前で二人目だ」
一人は言うまでも無くケンシロウ。
そのケンシロウでも、一撃目は多少の傷を負っている。
雑魚ばかりしか居ないと思っていたが、この男は極星十字拳を全て避けきった。

あながち、ギトーが風が最強だと言っていたのも間違ってはいないのかもしれない。
そう考えたのは、風のメイジが持つ、鋭敏な感覚で風の流れを読むという特有の力が理由だ。
これは、北斗神拳奥義『空極流舞』に近い物がある。
つまり、空気の流れを読み、その流れを先読みして極星十字拳をかわしきったというわけだ。
それでも先読みと言っても簡単な事ではない。
いくらサウザーの動きを先読み出来ていても、身体が付いていかなければ、結局は同じ事なのである。

極星十字拳をかわしながら魔法を詠唱し、反撃に転じる事が出来るだけの技量。
そして、こいつが放った魔法。
風の塊を相手にぶつけるという、風の初歩的な魔法の一つだが、風圧とて極めれば立派な殺人術になり得るのだ。
さっきまでサウザーが立っていた場所から伸びる地面の跡が、その威力の高さを物語っている。
並の人間なら、あのまま吹き飛ばされて壁に叩き付けられ死んでいたかもしれない。
500帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 14:16:05 ID:9wOfxE9g
ビレニィプリズンに幽閉されていた、羅漢仁王拳の使い手、デビルリバース。
羅漢仁王拳奥義『風殺金剛拳』は強大な風圧を起こし、敵を殺傷する。
この男は北斗や南斗よりも遥かに長い歴史を持つ、羅漢仁王拳の奥義に匹敵する程の風を軽く起こしてみせた。

北斗南斗が二千年、羅漢仁王拳が五千年なら、メイジは六千年の歴史を持つ。
そう思うと、魔法という物も中々に奥が深い。
空極流舞に伝衝裂波、果ては風殺金剛拳のような奥義とされる秘伝の技が、ほんの初級の魔法で再現されてしまっているのだから、形無しというやつだろう。


「ふふふふ、面白い。だが、この俺の攻撃、どこまで避け続けられるかな?」
もちろん、サウザーとて今のは様子見だ。
むしろ、あっさり倒されてしまっては、せっかくの興が削がれてしまう。
折角の機会なのだから、楽しませて貰わなければ意味が無い。

数歩進むと、一気に間合いへと踏み込む。
そのスピードはさっき見せた物より数段速い。
さっきのが目にも止まらぬ速さと言うのなら、今のは目にも写らぬ速さ。
生半可な人間では、消えたと思った次の瞬間には、致命傷を負っている。
しかし、突きを繰り出すより早く、男の身体が何の動作も無く空中へと飛び上がった。

「むっ!?」
槍の如き手刀は空を貫き、何の手応えも無い。
フライの魔法一つにしろ、その早さと高さは相当な物だ。

何か仕掛けてくるかと思い見上げてみると、空には、月を背景にあの男が浮かび、こちらを見下ろしていた。
普段とは違う、一つに重なった青白く輝く月明かりを背に、人が中に浮いているというのは何とも幻想的な光景である。
どうやら、サウザーと違い、仮面の男は最後までやり合うつもりは無いらしい。
単純に勝てないと判断して逃げにかかったのか、元から探りを入れるだけが目的だったのかは分からない。

今まで、半人前か雑魚ばかりしか相手していなかったので、メイジの強さの上限という物を計る機会が無かった。
ようやく、スクウェアらしき敵が現れたというのに、こうもあっさり退かれては興醒めもいいところだ。
いつの間にか、サウザーの顔からは笑みが消え、汚物を見るかのような表情に変わっている。

「この俺から逃げようなどとは、甘く見られた物だ」
どちらにしろ、このまま見逃す聖帝様ではない。
生かして捕らえれば新しい情報を吐くかもしれない。
当然素直に吐くとは思えないが、経絡秘孔の一つ『新一』を突けば大抵の抵抗は無意味である。
なにより聖帝サウザーに逆らった者は、降伏も逃走も許されないのだ。
そう言うと、サウザーが跳んだ。

空は風の領域。
誰が言ったか知らないが、それは紛れもない事実。
風の流れを読み、フライなどにより空を駆ける。

だが、空に領域を持つのは鳳凰とて同じ。
この場の誰よりも早く、高く舞い上がる事が出来る。

「その程度で、逃げ切れるとでも思っていたのか?」
あっという間に、男の頭上に躍り出ると、挑発的な言葉を投げかける。
表情こそ、仮面に隠されて分からないが、頭上を取られた事で動きに一瞬乱れが生じた。
なまじ己の力の高さに自負があったとみえるだけに、生身の人間に上を行かれた事に動揺したのだろう。
そして、その一瞬の乱れが隙を生む事になる。
拳法の達人同士の戦いでは、僅かな気迫の乱れですら命取りになるのだ。
達人中の達人であるサウザーが、その隙を見逃すはずはない。
501名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 14:18:16 ID:Q9w5Vw3x
ヒャッハー!
支援するぜ!!
502帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2010/03/06(土) 14:20:37 ID:9wOfxE9g
「喰らえ!南斗鳳凰拳――」
中空で腕を解き放とうとする様は、鳳凰が翼を広げるかの如し。
月明かりも相俟って、その姿に、どこか優雅さすらも感じさせるのは、当人の自信と南斗最強という鳳凰拳の格の高さからか。
大気を引き裂き、鋼鉄すらも切り裂く必殺の拳が、仮面の男の身体を確実に捕らえた。

「極星十字拳!」
南斗鳳凰拳は通常構えを持たないが、極星十字拳にしても決まった型という物を持たない。
構え無き構えから放たれ、その場の状況により千変万化する無想の必殺拳。
受けた敵は全て等しく十字の傷跡をその身に残す。それが極星十字拳なのである。

「やった!」
遥か眼下で傭兵達が歓喜の声を上げているが、サウザーはどうも納得できていない顔をしている。
あの隙を突いたタイミングでの極星十字拳は、かわせるはずのものではない。
それにも関わらず、手応えが僅かに違う。
違和感は些細な物でも、何百、何千と敵を切り裂いてきた拳だ。
肉を切り裂き、骨を断つ、その僅かな感触が無い事ぐらい気付ける。
そのままの勢いで身体を一回転させ地面へと着地すると、サウザーの背後から、からん、という無機質な音が届いた。

「……ふん、逃げたか?」
地面に落ちてきた物は、あの仮面一つ。
そこには傷を受けた敵どころか、血痕すらも残っていなかった。

「ふっふふ……、はははは……!くははははは!」
「せ、聖帝様!?」
相手に逃げられたというのに、悪役三段笑いを始めたサウザーを見てマチルダの頭の中で、ご乱心、という言葉が頭に浮かんだ。
当然違う。
正面から聖帝の前に立ち塞がって逃げおおせた敵は、あの男が初めてだ。
しかも、まだ何かを隠している。
これが可笑しくなくてなんだというのだ。

まだまだこの世界は底を見せていない。
エルフ等に至っては、メイジ一人の数倍の戦力になるという。
それがどうしようもなく愉快だ。
だから、笑う。
まだ見ぬ強敵に帝王の血がたぎる。

これからの闘いは儀式だ。
一度、地に墜ちた将星が、天空に舞い戻るために必要な復活の儀式。
それには眼前に立ち塞がる敵を打ち倒し、全て平伏させる事が必要だ。
敵が強大であればある程、それらを全て打ち破った時に将星は、より強く、再び極星として輝く事が出来るのだから。

***********************************

本日の経絡秘孔(使用順)
『アミバがボクサーに使ったやつ(名称不明)』効果効能:身動きが取れなくなる。
『頭顳(ずせつ)』効果効能:気絶させ、その直前の記憶を消す。
『頭亜(とうあ)』効果効能:突いた相手を自分の指示通りに動かせるようになる。
『仮死状態になる秘孔(名称不明)』効果効能:仮死状態になる。

復ッッ活ッツ!!!おマチさん復ッッ活ッツ!!
まぁ、ワルドとヒポ隊長の扱いの差は、遍在って事とワルドの持つ執念の差って事でこらえてくれ。
エア・カッターやエア・ハンマーって書くと大したことなさそうだけど、伝衝裂波や風殺金剛拳って書くと一撃必殺に見える。ふしぎ!!
503名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 14:22:49 ID:QF3mtwx7
聖帝乙
確かに一撃必殺っぽく聞こえるw

だがレッパは……ねえ?
504名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 14:27:18 ID:Q9w5Vw3x
聖帝様乙!!
アンアンとワルドのその後が心配な展開だww
505名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 14:33:38 ID:5yPPRNl6
本気でハルケギニア支配するつもりか、この人www
テーレッテー♪

というか南斗でも伝承者クラスなら秘孔を突けるっていいんだろうか?と思ったが
そういえばケンとレイが牙一族騙す時に、レイの技を受けたケンも仮死状態になってたな
あれを参考にしての設定だとすると問題ないか
506名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 14:49:11 ID:9wOfxE9g
解説書の『北斗の拳 SPECIAL』で、「南斗聖拳も基礎においては北斗と共通する部分を持っている」
ってあるし、最終的にはバットも秘孔突いてるから問題無いんだぜ。
507名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 14:50:38 ID:p0PeMPqW
たしかにバットも秘孔ついてたし
アミバだってトキになりすましてたからできるよね
508名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 14:54:34 ID:DcFW6wjJ
聖帝乙
ワルドの実力って聖帝様の解説からするとアミバやジャギより高くないかw
509名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 14:58:46 ID:5yPPRNl6
そういえばバットには誰が技を教えたんだろ?
多分ケンと別れてから覚えたんだろうけど
第一部最終話の時点で生き残ってる北斗や南斗の関係者で
それなりの実力者ってリハクしかいないんだが

アミバは恐らくジャギに教わったんだろう(んでジャギも南斗をアミバから教わったと)
510名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 15:11:17 ID:TnCO3aEl
>>508
閃光だから光の速さで動けるよ!よ!
511名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 15:12:30 ID:Qhll6yxh
第漆話のタイトルは?
512名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 15:16:51 ID:xAZ5Cm5D
>>510
光の速さで明日へダッシュできるな。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 15:32:50 ID:9wOfxE9g
>>511
「野望の仮面」
元ネタは原作十九巻。
514名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 16:00:36 ID:I7542Nj1
>>512
そして使い魔は前半分がアバトサウルスで後半分がプレシオサウルな生き物、と。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 17:08:27 ID:2zdHJDv1
>>512
ダッシュどころか、光の速さで歩ける。
516名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 17:13:20 ID:I7542Nj1
>>515
ワルドの歩行でハルケギニアがヤバイい。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 17:22:33 ID:sHEO3D96
スキンヘッドのキャラって今まで召喚されたかな?
コルベールの反応が面白くなりそう
518名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 17:30:58 ID:9wOfxE9g
覚えてる限りではファウスト先生がハゲ。
紙袋被ってるし自爆したらアフロになるけどw
519名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 17:39:03 ID:JMQKW1KT
ご立派様はツルツルだろ
520名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 17:56:05 ID:qHLQsNMX
「HITMAN」(ゲーム)から暗殺者47が召喚されてたね。
頭に鞭打たれてた。禿にミミズ腫れって、かぁいそうに…
521名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 18:40:18 ID:SUHEnBHF
『時の使い魔』の方の代理投下をさせていただきます。
次のレスから始めさせていただきます。
522時の使い魔 代理:2010/03/06(土) 18:41:11 ID:SUHEnBHF
食堂に移動し、昼食を摂る。ルイズは相変わらず豪勢な食事だが、時の君は朝と変
わらず質素な食事なので食べ終わりにタイムラグが出る。
「時の君の食事ももうちょっと何とかしないとね。まあ従順だし、ご主人様としてこれ
くらいのご褒美はあげないと。」
 朝に聞いた生命力云々の話もそうだが、これからは魔法の事で教えを請わないといけ
ない。食事くらいちゃんとしてやらないと罰が当たりそうだ。
「そうか、…ん?」
 そういうと時の君は立ち上がり、歩き出していく。
「ちょ、ちょっとどこ行くのよ?」
 少し歩いたところで立ち止まり、しゃがみこむとすぐに戻ってきた。
「この壜が落ちていた。捨てた訳ではあるまい、誰か落としたんじゃないか?」
「ちょっと貸して。ん、この色はモンモランシーの香水ね、ほら、あそこに金髪で巻き
髪の子がいるでしょ?あの子のよ。渡してきてくれる?」
 時の君へ壜を渡すと、モンモランシーの下へスタスタと歩いていった。この間に食事
を終わらせないと…時の君に術を見せてもらう約束がある。場所はどこがいいだろう?
ヴェストリの広場がいいだろうか?広さもあるし丁度いいだろう。
「落し物だ。」
 モンモランシーが食事を摂っていると、目の前に妖魔と噂される男が現れ、何か液体
の入った壜を突き出している。おもわず食事の手を止め、呆然とした。
「お前の物じゃないのか?落ちていたぞ。」
「へ?あ、ああ確かに私の壜だわ。あ、ありがとう。」
 手渡すと、用はそれだけであったのだろう、すぐに目の前から立ち去っていく。
「びっくりした…ん?これ、ギーシュにあげた香水じゃない!落としたのかしら?しょ
うがないわね…」
 折角私が作ってあげたものを落とすなんて…渡して一言注意してやろうと、ギーシュ
の方へ向かって行った。
 ギーシュはほっとしていた。誤ってポケットから壜を落とした時は、回りに下世話な
話が好きな友人達がいたので迂闊に拾えなかったが、ルイズの使い魔が壜を拾い上げ持
ち去っていった。ゴミだと思ったのか、盗んだのかは判らないが、後でルイズに返して
もらえばいいだろう。
「おいギーシュ、お前は一体誰と付き合っているんだ?」
 やはりだ。あの場で拾っていたら、ここぞとばかりに囃し立てられていただろう。別
に隠したいわけではないが…色々と問題がある。
「何を言っているんだい?薔薇は多くの人を楽しませる為にあるんだよ。特定の人なん
ていないさ。」
 よし。うまくかわせた。あとは、ルイズから香水を返してもらえば完璧だろう…その
時、視界の端でルイズの使い魔がモンモランシーに何か渡している…モンモランシーが
立ち上がってこっちへ向かってきた…ふと、背中に嫌な汗をかく。
523時の使い魔 代理:2010/03/06(土) 18:43:04 ID:SUHEnBHF
「ギーシュ!せっかくあげた物を落とすなんてもうちょっと注意して欲しいわね。拾っ
てくれた人がいたからいいものの、失くしたら大変よ。」
 モンモランシーが、口を尖らせながら壜を渡してくる。
「ギーシュ…やっぱり、モンモランシーと…」
「やっぱりそうか!前から怪しいとは思ってたんだ!モンモランシーと付き合ってたん
だな!」
 突然のモンモランシーの襲来に、だんだん周囲のモブ達がヒートアップしてきた。
「い、いや…彼女の名誉の為に言っておくが…」
 しどろもどろになりながら言い訳を始めるが、いつの間にか近くまで寄って来ていた
少女が言葉を遮った。
「ギーシュさま・・・やはり、ミスモンモランシーと…」
 ボロボロと泣き出すが、目の前にモンモランシーがいる為、迂闊なことは言えない。
「ケ、ケティ…」
「何も聞きたくはありませんわ!さよなら!」
 バチン!と威勢のいい音と共にケティと呼ばれた少女は足早に去っていく。
「ち、違うんだモンモランシー。誤解だ、彼女とは一緒にラ・ロシェールの森へ遠乗り
へ行っただけで…」
「やっぱり、あの一年生に手を出していたのね?」
「お願いだよ。『香水』のモンモラシー、咲き誇る薔薇のような顔をそのような怒りで
ゆがませないでくれよ。僕まで悲しくなるじゃないか!」
 ギーシュの言い訳を聞き終わると、モンモランシーはテーブルにあったワインを掴み、
ギーシュの頭へとぶちまけた。
「うそつき!」
 と言い、モンモランシーもギーシュの下から去って行った。
「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだね。」
 苦し紛れの台詞を言いながら頭から浴びたワインを拭いていると沸々と怒りが沸いて
きた。
「おい、そこのルイズの使い魔君。」
 一連の流れを見ていたであろうルイズの使い魔に指をさす。
「君が軽率に香水の壜をモンモランシーに渡したせいで、二人のレディの名誉が傷つい
た。どうしてくれるんだね?」
「はぁ!?何言ってるのよ、二股してたギーシュが悪いに決まってるじゃない!」
 使い魔の代わりに答えたルイズに、周囲も賛同する。
「そりゃそうだ!」
「どう考えても、二股してたほうが悪いぜ!」
 このままでは分が悪い。既に散々な目にあっている、せめて自分の名誉を回復しなけ
れば…
「では、どっちが悪いか決闘で決めようじゃないか!これなら文句はあるまい。」
 かなり苦しい、自分でも何を言っているか判らない。
「あるに決まってるでしょ!意味が判らないわ!」
 もっともな事だ。やはり苦しすぎたか…ではどうするか…考えていると、ルイズの使
い魔が口を開いた。
524時の使い魔 代理:2010/03/06(土) 18:47:01 ID:SUHEnBHF
「いいだろう。」
「ちょっ!こんな訳の判らない茶番に巻き込まれないでよ!」
「いいや聞いた!逃げるなよ!ヴェストリの広場で待っているからな!」
 何か言わせる前に足早に去っていく。決闘という一大イベントを起こせば二股を掛け
ていた件は薄れるだろう。万が一逃げられても、逃げた事を突付けば矛先はかわせる。
思わぬ幸運にほくそえみながらヴェストリの広場へと足を向けた。
「どうするのよ決闘なんか受けちゃって…もう皆広場に行っちゃったみたいだし、ここ
で逃げたら後から何を言われるか判らないわよ。」
 思わぬ展開にルイズは混乱していた。
「術を見せる約束をしていたろう。丁度いいかと思ってな。」
「だからって決闘する事はないじゃない!あれでもギーシュはかなり優秀なのよ!」
 ドットとはいえ、成績は上位である。まだ未知数の時の君より、よく見知っているギ
ーシュの方が強さはよくわかっている。
「使い魔の主な任務は護衛なんだろう?生徒に負けているようでは、話になるまい。術
が魔法に通用するかどうかをみるいい機会だ。」
 時の君の冷静な態度を見て次第に落ち着いてくる。確かに、この私が教えを請うのだ。
ギーシュに負けているようでは、術の力もたかがしれているだろう。
「…自信はあるのね?」
「ああ。」
「わかったわ。やるからには完勝しなさい!こっちよ!」
 そうだ。自分の使い魔を信じられないようでは御主人様として失格だろう。確かに未
知数だが、この使い魔は何かやってくれそうな気がする。ふと、隅で顔を青くしていた
メイドが走り寄って来た。
「時の君!大丈夫なんですか!?」
「問題ない。」
「で、でも怪我でもしたら…」
「ちょっと…誰よ、このメイド…」
 ウルウルとした瞳で時の君を見上げている。私以外の人が、時の君と仲良く(ルイズ
にはそう見える)話している姿を見るのは初めてだった。何か沸々と…
「今朝、洗濯場を教えてもらったシエスタだ。」
「そ、そう。時の君なら問題ないわ!何たって『私の使い魔』だもの!」
 何故か私の使い魔の部分を強調してしまったが、そう信頼している証のようなものだ。
「そうですよね、大丈夫ですよね。私は仕事で見にいけませんが、くれぐれも怪我には
お気をつけて…」
「わかった。」
「じゃあ行くわよ!」
 シエスタというメイドと別れ、ヴェストリの広場へ向かった。
525時の使い魔 代理:2010/03/06(土) 18:49:25 ID:SUHEnBHF
ヴェストリの広場では、これから行われる貴族と妖魔との決闘を一目見るため、大勢
の生徒が駆けつけて来ていた。
「僕は勇敢にも妖魔と決闘を行う!皆、万来の拍手で送り出してくれ!」
 芝居調の台詞で、観客を沸かせる。この勝負に勝てば、名誉は挽回出来ようし、モン
モランシーも惚れ直してくれるかもしれない。
「君は妖魔らしいね、ならば手を抜くわけにはいかない。僕は魔法を使わせてもらうよ。」
 ギーシュも召喚の時、現場に居たのだが、この男が妖魔だとは考えていなかった。ル
イズが妖魔など召喚できるはずがないという侮りと、人間にしか見えないせいである。
「ハンデとなってしまうが、もし僕が杖を落としたら負けを認めよう。それよりいいの
かい?一度決闘が始まったらもう止まらないよ。」
「わかった。」
「やれやれ、メイジの実力というものをよく把握していないようだね。僕がしっかり教
えてあげよう。では、決闘を開始しよう!」
 そもそも本当に妖魔なら、何かの間違いで召喚されたのだとしても、黙ってゼロのル
イズに従っているのはおかしいだろう。やはり、平民だ。などと考え、この決闘に勝ち、
名誉を挽回する為、杖を掲げ、振った。…はずだった。
「時術《タイムリープ》」※対象者の周りの時間を数秒間飛ばす。
 現れるはずのワルキューレは影も形もない。時の君は、歩いて無造作にギーシュとの
距離を縮めていく。
「な、何だ!?くそっ!考え事で集中力が乱れてしまったか…これでは恥の上塗りだ!」
 身に起こった異変には気付かず、また杖を振ろうとする…が。
「《タイムリープ》」
「ま、また!?この僕が二度も失敗するなんて…くそぉっ!」
 周りの観客からは失笑が漏れ始めていたが、今は気にしている余裕はない。今度こそ
はと、俄然力の入った振り方をした。…つもりである。
「《タイムリープ》」
「何でだぁ!!うう…冷静に、冷静になるんだ…はっ!」
 魔法が出ない事に気を取られている間に、時の君が目の前に来ていた。
「終わりだな。」
杖を振り上げた所を、一瞬で奪われてしまった。もはや手は何も握っていない。
「何よ。もう終わり?ギーシュって大したこと無いのね。魔法を出せてすらいないじゃ
ない。」
 噂を聞き付け、キュルケとタバサは一緒に観戦していた。
「彼が何かしていた。」
 実質、時の君が動きを止めていたのは最初だけだが、歩きながらも口が動いているの
をタバサは見逃さなかった。
「へえ。じゃあ、彼がギーシュに魔法を使わせなかったの?妖魔らしいし、先住魔法か
しら?」
「わからない、興味深い。」
 魔法をキャンセルしているのだろうか…そんなことが出来るのか?だとしたらメイジ
はあの妖魔に勝つことは難しいだろう。タバサは、真剣な表情で勝負を見守った。
526時の使い魔 代理:2010/03/06(土) 18:51:37 ID:SUHEnBHF
「いくら相手が妖魔だからって、緊張しすぎだろ!」
「魔法を出せないって…お!いい二つ名考えたぜ、ゼロのギーシュって言うのはどうだ?」
「それじゃ、ルイズと被る。でも、ルイズは一応爆発はするし、爆発のルイズ、ゼロの
ギーシュでいいか!」
 観客達から、思い思いの失笑や嘲笑を浴びせかけられる。あまりの事態に思考停止し
ていたギーシュだが、気を取り戻して声をあらげた。
「な、納得できるかぁ!」
「納得しろ。杖を奪えば勝ちなんだろう。」
「くっ、今のはちょっとしたお遊びさ!」
 ギーシュは屈辱に顔を歪ませながら、時の君から杖を取り返す。
「さっきは油断したんだ!僕は、青銅、『青銅』のギーシュだ!僕は、ゼロではない!」
 杖を振り、七体のゴーレムを出現させる。
「ちゃんと現れた…よし!先程の事は余興だ。もはや、逃げることは許されない。」
 今のギーシュには全く余裕が無くなっている。観客からは野次が飛ぶが、耳には入っ
ていなかった。
「ふむ、あれでは御主人様にも伝わりにくいか…もう少し解りやすくやるか。」
 ギーシュやギャラリーの反応を見るに、確かに時を飛ばすだけでは何が起こったか解
らないかもしれない。
「…陰術《ハイドビハインド》」※対象者の背後に影を出現させ驚かせる。それだけ。
 ルイズの学友に怪我を負わせる訳にもいくまい、そう考え隙を突く事にした。
「うわっ!何だ!?誰だ?」
 ギーシュは、突然後ろから肩を叩かれ、驚き振り返った。
「秘術《剣》」※三本の魔法剣を出現させ、相手を串刺しにする。
 ギーシュが後ろに気を取られている間に、ギーシュの周りに三本の剣が現れ、首寸前
で停止している。
「まだやるか?」
「ま、まいった。」
 時の君は、ギーシュが杖を手放したのを見てから、剣を消滅させた。がっくりとうな
垂れるギーシュには声をかけず、ルイズの元へと向かう。
「本当に圧勝じゃない…ギーシュ何も出来なかったわね。」
 顔をひくつかせながら、ルイズが言う。
「勝つには、相手に何もさせない事が一番確実だからな。どうだ?護衛としては。」
「ま、まあまあね!一応、合格よ!」
527時の使い魔 代理:2010/03/06(土) 18:54:17 ID:SUHEnBHF
「圧勝ですね…先住魔法とはすごいですな。」
 コルベールは、時の君のルーンについてオールドオスマンに報告する為学園長室を訪
れた際、この決闘騒ぎが起こったので共に遠見の鏡で観戦していた。
「ふぅむ…先住魔法というのは精霊の力を借りる魔法と聞いていたがのう、ほれ先程の
剣が跡形もなく消えておる。」
「先住魔法ではないと?では、ガンダールヴの力ですか?」
「わからん…あらゆる武器を使いこなしたというのがガンダールヴじゃろう。確かに剣
は武器じゃが…何か引っかかるのう、それにいくらグラモンの馬鹿息子とはいえ、ああ
何度も魔法を失敗するのもおかしいじゃろう。やはりあの使い魔が何かしておったので
はないかの。」
「自分を下級妖魔と言っていたのでそこまで警戒はしていなかったのですが、やはり妖
魔というのは人間とは一線を画す存在なのですね。それに加えガンダールヴのルーンま
で…」
 確かに召喚の儀式の時に、下級妖魔と言っていた。だがどうだろうこの手腕は、自分
でも勝てるかどうか…
「とりあえずこの件を王国へ報告して指示を仰ぎましょう!妖魔の力に加えガンダール
ヴとは大変な存在です!」
「ならぬ。この件を王宮のボンクラ共へ報告すれば、戦争の道具として利用されかねん。
それは君としても本意ではないじゃろう、ミスタコルベール。」
 どこからか取り出した煙草を吸いながらオールドオスマンが答える。
「ははぁ、確かにやりかねませんね…」
「この件はわしが預かる。他言は無用じゃ。」
「はい、かしこまりました。」
「しかし、あれが全ての力ではあるまい…」
「そうでしょうね。随分手加減をして戦っているように見えました。ミスヴァリエール
には従順なようですし、下手に手出しをしなければ危険はないと思いますが…」
「しばらくは様子見じゃな。」
 二人はしばらく時の君についての検証を行っていた。
528時の使い魔 代理:2010/03/06(土) 18:57:38 ID:SUHEnBHF
以上で、代理終了です。
529名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 19:37:02 ID:TI0UYtUZ
時の使い魔の人GJ!
代理の人もお疲れ様。

しかし、決闘への持って行き方が上手いな。
実にスムーズで無理がない。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 20:10:41 ID:hljaS5e6
ハイドハイドハイドハイドハイドビハインド
531名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 20:12:39 ID:SjD7zIML
アクマの人まだかな…
532名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 20:14:43 ID:OmeM/Eeg
時の乙ー
陰術と秘術使いって事は陽術と印術は使えないのか
あとは剣と小手と具足に何のモンスターが入ってるかって所だろうか

>「魔法を出せないって…お!いい二つ名考えたぜ、ゼロのギーシュって言うのはどうだ?」
>「それじゃ、ルイズと被る。でも、ルイズは一応爆発はするし、爆発のルイズ、ゼロの
ギーシュでいいか!」
二つ名の変更見てたらキン肉マンU世の初期のスカーフェイスが召喚されて
「良い二つ名だな、俺が勝ったらその二つ名をもらうぜ!」
って言ってギーシュ達から二つ名を奪っていくのを思いついた
たぶんウォーズマンを最近見て無いからだな
533名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 20:47:03 ID:Jusa0lGE
>>532
完璧貴族に転向したルイズがマント狩りとな?

いや以前ネプチューンキング召喚の妄想してた事があってつい
534名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 20:52:26 ID:ARYvXJti
では巨乳ハンター召喚でキュルケのパイ拓を……
 
535赤目の使い魔-11:2010/03/06(土) 20:54:32 ID:XH+U4i9W
どうも、一ヶ月ちょいのご無沙汰です
予約が無いのなら8:59辺りから投下を
536名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 20:55:47 ID:kpBkJYRZ
トキノクン乙
モンモランシーに瓶手渡しか、これはこれで珍しい展開
恥の上塗りのギーシュ哀れ
ふと思ったけど、秘術の剣ってハルケで傍から見ると錬金に見られそうね
>>530
ヴァジュ「う、う、う、ぅぅ美しいィィィイィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!」
つ【芸術点5】
537赤目の使い魔-11:2010/03/06(土) 20:59:48 ID:XH+U4i9W
静まり返った廊下に、足音が反響する。
昼休みにもかかわらず、誰も居ない。その事実が、走るルイズの不安を煽る。

――なんで……なんで……
――貴族に、喧嘩を売るなんて……!

焦燥、動揺、様々な意図を含んだ疑問が、彼女の思考を支配する。
その脳裏には、先程告げられた言葉が反芻されていた。

・・・

あの後、キュルケは部屋の惨状を見て、静かに言った。

――貴方たちに何があったのかは、詮索するつもりは無いわ。
――だから、私はただ報告だけをしに来たのよ。
――……貴方の使い魔が、生徒の一人に喧嘩を売ったわ。
――彼、殺されるかもしれないわよ。
――場所は、ヴェストリの広場。
――行くか行かないかは、貴方が決めなさい。
――そうそう、喧嘩の原因だけどね。
――1つは、相手の生徒が彼の友達を怒鳴りつけたから。
――もう1つは、貴方を侮辱したからよ。

そして表情を変えぬまま戸を引き、去っていく。
ルイズは、暫く逡巡していたが――
やがて、ベッドから飛び降り、外へと飛び出した。

・・・

確かに、彼に会うのは恐い。出来る限り関わりたくないと言うのが本音だ。
だが、足は止まらない。床を蹴り風を切り、彼女を広場へと運ぶ。

彼の言葉が、彼女を慮ってのモノだという事は理解してないわけではない。
去り際に心無い言葉放ったことも、少し後悔している。
一端とはいえ、決闘の原因に自分の事があったという話に、心が動いたのも事実。
だが、彼の言う事に従うかは、また別の話だ。
別の話なのだが――

「あぁ、もう!」

ピンク色の髪の毛を掻き毟り、ルイズはしかと前を見据える。

――細かいことはもういい。
――後は、着いてから考える!

そう心で呟いたときの、彼女の目――
その中に、いつもの強気な光が少しながらも戻っていた。

足に伝わる固い石の感触が、土を踏むやわらかい衝撃へと変わる。広場に集まる群衆が、すぐに目に入った。
人が密集する中を、押しやりかき分け前に進む。やがて、目の前が開けてきた。

そこで、彼女が見たものは――

538赤目の使い魔-11:2010/03/06(土) 21:00:33 ID:XH+U4i9W
・・・


数分前 ヴェストリの広場


「ば、馬鹿な……」

驚愕が、言葉となって現れる。
幾らドットの魔法とは言え、ワルキューレは並の人間よりも優れた身体能力を有している。
更に、その身体を形作るのは二つ名の通り青銅だ。能力強度共に平民が太刀打ち出来る訳が無い。
だが、現実では首を失い地面へ無様に転がっている。

――一体、どうやって……?

単純に説明すると、クリストファーは頭を抱えると同時に膝を首に差し込み、強度の弱い繋ぎ目を狙って、思い切り両手を引きワルキューレの首をへし折ったのだが――
ギーシュの視点ではワルキューレとクリストファーの姿は重なり、それらの間は死角となるため、
その場面を見ることが出来なかった彼は、クリストファーが純粋な腕力でワルキューレを破壊したのだと思い込んでいた。
頭が疑問と恐怖で掻き乱される中、クリストファーの声が彼の耳に届く。

「どうしたの? 随分と静かになっちゃって。怖いんなら無理しないほうがいいと思うよ?」

「……ッ! 舐めるな!」

冷静な思考をなんとか取り戻し、ギーシュは再び薔薇を振るう。花弁が二枚地面へ舞い、新たなワルキューレが同数生まれた。
そうだ。何を恐れることがある。まだこちらにはワルキューレのストックが四体もある。対するクリストファーはその身一つ。万に一つも負ける目など無い。

「ハハ、そう来なくっちゃね」

犬歯をガチリと噛み合わせ、クリストファーは楽しげに笑った。
二対のワルキューレと相対し、体勢を整えた次の瞬間――
背後に居たワルキューレが、勢い良く跳ね起きた。 

「なッ……」

――よし!

ギーシュは内心でほくそ笑む。
ワルキューレは人間ではない。ゴーレム――つまりは動く石像だ。
首を破壊したと言っても、それは人間にとっての急所と言うだけであり、移動手段を破壊しない限り動きを止めることはできない。
目の前の衝撃のせいで思考が硬直し、ワルキューレも停止していたが、逆にそれが吉と出たようだ。
首の無い歪なワルキューレは、一切の容赦なく片腕をクリストファーの頭部に向かって薙いだ。

しかし――それは再び空を切る。

「よっ……と」

 攻撃にいち早く反応したクリストファーは、その場にしゃがむ事でやり過ごしていた。
 明らかな凶器が頭上を通り過ぎたのに、彼の顔には更に楽しげな笑いが広がっている。

「まぁ、確かにあれじゃあ止まらないか」

そう言ってクリストファーは持っていたワルキューレの頭に手を突っ込み、限界まで体勢を低くしてワルキューレの足元へと潜る。
そして、奇妙なグローブと化した首でワルキューレの膝を思いっきり殴りつけた。
ガゴン、と重い衝突音が響き、ワルキューレの膝が砕け、首もひび割れて崩れる。
衝撃と破壊でバランスを崩したワルキューレは再び地面に伏す。起き上がろうともがくが、砕けた足ではそれすらままならない。

539赤目の使い魔-11:2010/03/06(土) 21:02:57 ID:XH+U4i9W
「おぉイテテ、まずは一体……っとォ!」

首の残骸を振り払い、痛みが響く拳をさすりながら話すクリストファーに向かって、二体のワルキューレが駆ける。
まずは一体。強烈な右フックが迫るが、クリストファーは身体を引いて難なくそれを避ける。
ワルキューレも隙は見せない。続け様に左、再び右と拳が唸る。先の出来事で学んだのだろうか、懐に潜る暇を与えない。
クリストファーも迂闊に飛び込むことは出来ず、ひたすら引いて逃げ続ける。
その間に、二体目のワルキューレが横から迫った。防戦一方のクリストファーを重い青銅の拳が襲う。
しかし、クリストファーはその腕を上から取り、押し込んで軌道をずらすと、自らも跳んでその腕へと平均台の要領で乗る。
同時に、別のワルキューレの顔面を足で捉え、蹴るのではなく思い切り押す。
よろけるワルキューレを尻目に、クリストファーは勢いに乗って腕の上で倒立する。彼の全体重が腕にかかり、もう一体のワルキューレもバランスを崩した。
その隙を見逃さず、彼は足をその頭部へと振り下ろし、両足で挟み込む。そして手を離すと同時に、その足を勢いよく前に引く。
ただでさえバランスを崩されていたワルキューレは、抵抗も出来ず地面へ倒れ伏した。
その間にクリストファーは無事着地し、ワルキューレの上に乗る。足の付け根を踏みつけ、両手で足を取り思い切り引いた。
再び、金属の砕ける音が響いた。
いくら青銅とはいえ、首の例の通り、関節の強度は他の場所と比べて格段と低くなる。本来曲がらない方向へ強制的に曲げられた足は根元からへし折れ、クリストファーの手中へと収まった。
それを手に、クリストファーは残りのワルキューレへと駆けた。ようやく体勢を取り戻したワルキューレは慌てて防御体勢を取る。

――……?

ふと、クリストファーは体に違和感を覚えた。思わず動きを止めそうになるが、身体に悪影響を及ぼす物ではないと判断し、そのまま足をワルキューレへと振り下ろす。
本人としては、防御の腕を壊せば十分、その後は同じ様に足を破壊し動きを止めようと考えていたのだが――

――足はワルキューレの体ごと、防御を粉々に砕いた。

540赤目の使い魔-11:2010/03/06(土) 21:03:50 ID:XH+U4i9W
――え……!?

今度は、クリストファーの頭が驚きに満たされる。
足を振りかぶった瞬間、いつもよりも段違いの力が腕に込められたのだ。違和感の正体はこれだったのか。
しかし、今はその感触は消えている。彼は、一層困惑した。

だが、一番困惑していたのはギーシュだ。
一度ならず、二度三度までもワルキューレが倒された。それなのに、目の前の男は怪我をするどころか息一つ上がっていない。
薔薇を握る手に汗が滲む。最早、手を抜いてなどいられない。
我武者羅に造花を振るう。四枚、残り全ての花弁が舞った。
新たに四体が練成された。今度は剣、斧、槍と思い思いの獲物を手にしており、残りの一体は盾を構えギーシュを守るように陣取っている。
地面を蹴り、剣を手にした一体が最初に駆けた。斧を持った二体目もそれに続く。
クリストファーも、困惑を振り払いワルキューレに向き直った。剣が、その眼前に振り下ろされる。

そして、その場に居合わせた生徒たちは、信じられない物を見た。
迫る剣に対し、クリストファーはその剣背に手を添え、無理やり軌道を変えたのだ。
聞くだけならば、頭の周りを飛び回る虫を打ち払ったかのように思える動き。
だが、それはあまりにも速く、周囲に素手で剣を弾いたかのような錯覚を周囲に覚えさせる。
剣は彼の頭めがけ垂直に振り下ろされていた。横から力を加えれば、軌道を変えることは確かに造作も無い。
その代わり、剣を追う動体視力、その速さに反応する反射神経が、共に尋常じゃなく必要とされる。
そんな人間離れした行為を軽々とやってのけたクリストファーは、休む暇を与えず、片手で剣の柄を、もう一方でワルキューレの腕を取り、手首を膝へと落とす。
繋ぎ目を的確に狙った膝蹴りはたやすく青銅の手を砕き、剣がワルキューレの手を残したままクリストファーの手中に納まる。

――……まただ。

再び、違和感が体中を支配した。体が羽のように軽くなり、力が溢れ出す。
どうやら、武器を手にした時のみこの感触は現れるようだ。
しかし、その原因はいまだ見当も付かない。

――だけどまぁ、

クリストファーはニヤリと笑って、剣を握る手に力を込める。

――手助けしてくれるってんなら……使わない道理は無い!

そして、ワルキューレに向かって薙いだ。
剣は青銅の身体を切り裂き、いとも簡単に両断する。上半身が宙を舞い、どしゃり、と音を立てて落ちた。
さらに、もう一体のワルキューレへと駆ける。あまりに爆発的な加速に地面が爆ぜた。
斧を構えたワルキューレは横一線に振り抜くが、クリストファーはそれをかいくぐり、相手の股下から剣を跳ね上げる。
一閃、ワルキューレは真っ二つに割れた。
槍を持ったワルキューレが動いた。体を捻り、槍を勢いよく投擲する。
迫り来る凶器を見て、クリストファーは剣をほうった。体を回転させて、紙一重で避けると同時に槍の柄を掴む。
そしてそのまま体を百八十度回転させ、更に勢いを上乗せしてワルキューレに投げ返した。
刃先が煌いたのは一瞬。瞬きを終える頃には、槍はワルキューレの胸を突き破り、余波で上半身も粉々に砕け散っていた。
投擲と同時に、クリストファーは地を蹴る。放っていた剣を拾い、最後の一体へと駆けた。

541赤目の使い魔-11:2010/03/06(土) 21:05:15 ID:XH+U4i9W
「ひッ……!」

ギーシュの頭が恐怖に満たされる。本能、理性が共に危険だと叫ぶ。
だが、最早手元には盾を持ったワルキューレしか残っていない。
形は盾でも、材質は青銅だ。当然、既にワルキューレを二体も切り飛ばしているクリストファーに通用するはずも無く――

気が付けば、ワルキューレは盾ごと両断され、彼とギーシュの間を阻むものは何も存在していなかった。

「あ……ぁ……」

静かに歩み寄るクリストファーを見て、恐怖に締め付けられた声帯が、言葉にならない音を発する。
今でも、彼は笑みを浮かべていた。一目で微笑みとわかる、優しい優しい笑顔。
だが目が、あの禍々しい赤眼がギーシュの心臓を射竦める。
そんなギーシュの心情を愉しむかのように、クリストファーが軽やかに声を掛けた。

「さて……、君はさっき、僕の提案にこう言ったよね?」

クリストファーの赤目が、ギーシュをじっと見つめる。その瞳孔に、恐怖に震える自分が映った。

「――『勝手にすればいい』ってさ」

「…………ッ!」

その一言が、少年の頭から矜持と良識を吹き飛ばした。
相手に背を向け、足がもつれるのにも構わず一目散に逃げ去ろうとする。

「だから、まぁ――勝手に死になよ」

無論、クリストファーがそのままギーシュを見送る筈も無く――

重い衝撃が、彼の首筋を貫いた。


542名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 21:08:06 ID:hpq2LSFT
さるったか? 支援
543赤目の使い魔-11:2010/03/06(土) 21:08:47 ID:XH+U4i9W
以上で終了です。
うーむ、やはりクリストファーは台詞回しが難しい……。
成田さんの力量にはほとほと感心するばかりです。

それではまた。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 22:34:24 ID:I7542Nj1
>>534
ルイズがシヅ子さんポジションか
545名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/06(土) 23:36:41 ID:ZgHarUfc
>>534
>では巨乳ハンター召喚でキュルケのパイ拓を……
安心しろ。もう既にやられている。
546:名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 01:05:46 ID:7xM0fKbs
>>509
>そういえばバットには誰が技を教えたんだろ?
ラオウが北斗真拳を盗む(使うのを視て覚える)事を許したキャラがいましたから
ケンシロウから盗んだ(ケンシロウが使うのを視て覚えたんだ)と思っていました。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 01:08:46 ID:gv5LesQv
ジャギ様から北斗神拳を盗んだ男もいたしなぁ
アイツはまがい物だけど
548名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 01:38:21 ID:66NRzKRQ
エリオット・ネスらが召喚されました
549名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 01:53:26 ID:3tQWLpXS
Wikiって何字以上になると1ページに登録できなくなる?
550名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 02:20:16 ID:GQWn12gn
サラリーマンをなめんじゃねえ!
551名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 04:07:18 ID:Vzi8OedQ
時の君乙

タイムリープは反則だw
複数回行動でなければこれ毎回使うだけで完封できるんだぞw

印術がないって事はオーヴァドライヴ+停滞のルーンはないみたいね
まぁタイムリープ以上のチートだから無理もないか
552名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 07:48:40 ID:0ZLt/256
シャーマンキングより麻倉葉を召喚
阿弥陀丸がデルフとオーバーソウルするな。
553名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 08:04:11 ID:spAO9Voj
必殺技を使うと何も書いてない1レスが挟まれるのか
554名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 08:37:43 ID:tECAGgbR
>>551
印術うんぬんはこのSSにおける設定如何だな
ルーンソード持ってるかもしれないし
555名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 08:45:13 ID:x0rFjsEU
ここでファイズギアを召喚してみたいな
556名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 09:34:32 ID:lQVnm7fD
>>552
憑依系はうんたらこうたら
557名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 09:36:24 ID:CpYBGa26
かなり上の方で話題になってたけど、
紅の豚からポルコ召還したらオークとか言われて処分されるんじゃないだろうか
558名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 09:38:48 ID:spAO9Voj
それも話題になってないか?
559名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 09:39:55 ID:sjmdLd/k
>>555
決めた。お前これからそのレス番になった時にファイズの話題出せ
560名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 09:50:06 ID:2RbSUVgx
>ファイズ
フェイズに見えた俺はPS3版を昨日終わらせた
だが最後の条件を満たすの忘れたんでフェイズED見れませんでした!

フェイズとルイズ・・・うまくいきそうにねぇなぁ
っていうかエルダー人は耳的にエルフだと勘違いされるんだろな
561名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 09:50:49 ID:l3TT3/zb
帝王ktkr
562名無しさん@お腹いっぱい:2010/03/07(日) 09:56:44 ID:AfAMZE+Z
聖帝様は逃げおおせたと言っているけど、ありゃ単純に偏在が致死ダメージ喰らったから消失しただけだよな?
しかし、ワルドって強かったんだなw 良く中ボス扱い程度なんで、ここまで評価され直したケースも珍しい。
563名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 10:12:39 ID:fOj30dxg
憑依系は好かれないけど、ルイズ「が」憑依する話はどうなんだろう

> 中ボス扱い
そりゃ召喚されるキャラが
地形が変わるレベルの攻撃力持ってたり、理不尽にタフだったり変態なせいだ
564名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 11:30:55 ID:/b2MoMPQ
ここで永遠の中ボス、ビューティー男爵バイア…
565名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 12:13:56 ID:7GqyR4rZ
>>556
それは憑依系の意味が違うだろう……
566名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 12:32:29 ID:qf11YG3S
ギニュー隊長INカエルを召喚しちゃって
宝物庫にあった翻訳機で喋れるようになったギニューが
ルイズの体を乗っ取ったりとか
567名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 12:35:59 ID:7bCFvPV9
ヘラクレスの栄光の4だっけ? 幽霊状態で、憑依しながら話を進めるやつ。
568名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 12:41:50 ID:yG+feS/0
「GIFT」は憑依系に分類されるのだろうか

>>564
中ボスといえばキング・オブ・中ボス「あしゅら男爵」を
能力はともかくまあレア物の亜人という事になるのだろう
タルブに隠されてるのはガラダブラMK01?
そういや機械獣のメンテはヘルが一体一体匠の技で行ってるのだろうか?
それとも自動修理システムみたいなもんがあるんだろうか
569名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 12:49:54 ID:7bCFvPV9
>>568
恒常的なメンテナンスができないから、使い捨て同然の作戦しか建てられないという説も。
570名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 12:50:41 ID:yG+feS/0
連投スマヌ
>>567
「レリクス」じゃね?
571名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 12:52:05 ID:snZ05cA8
>>568
機械獣あしゅら男爵の方が……
真マジンガー版だとミケーネに表返る危険性あるけど
572名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 13:10:33 ID:6XI4kdvn
>>564
ああ、ディスガイアの中ボスといえば悪魔ハンターのサルディアさんですねわかります
573名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 13:11:58 ID:GaAYPZNH
ビューティフルジョー召喚という電波が来た
574名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 13:14:58 ID:G3LGvy8+
>>573
ジョゼフの加速vsスローが見えた
575名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 13:26:18 ID:/d+QaANR
憑依系ってのは要するに「オリキャラ召喚」とほぼイコールだから禁止ってことじゃないの?
電王のイマジンだとかのような、憑依や乗っ取り能力を持つキャラの召喚なら何も問題ないだろ
576名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 13:29:00 ID:PtJBchYh
電王とシャーマンキングあたりの名前が挙がると出る流れだな・・・・
>憑依系の定義
577名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 13:29:41 ID:FcfPTIke
>>555
「standing by」
「error」
578名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 13:55:10 ID:Pk35A6KH
ジェットスライガー召喚。使い魔として違和感がない。
579名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 14:06:34 ID:2RbSUVgx
私の名は破夢子!
人呼んでビューティ!!

・・・覚悟の世紀末世界じゃともかく
まともな世界だととりあえず人間とは思うまいな
580名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 14:10:29 ID:V4k6D0ts
貴様の召喚は侵略行為!
581名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 14:25:49 ID:5EsX76aF
銀狼怪奇ファイルから不破耕介召喚
化学で犯人の手口を解決してもしょちゅう外れるけど
魔法の一言で済むこっちの方がむしろやりやすいかも知れん
582名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 14:54:59 ID:IjvY8FCe
>>579
あれとじゃキスした時点でお話終了だろw
583名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 15:06:02 ID:C30eTGwn
永遠に消えない使い魔の印!
584ウルトラ5番目の使い魔  ◆213pT8BiCc :2010/03/07(日) 15:42:51 ID:2Qd6EiHk
皆さんこんにちは、いつもお世話になってます。
第90話の投下をいきたいのですがよろしいでしょうか。
問題なければ15:50より開始いたします。
585名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 15:45:25 ID:mfvQzey9
支援するのでありまするー
586名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 15:46:35 ID:Di4R01mE
ウルトラサイン支援
587名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 15:46:36 ID:biw0D5Bp
やっふー! 待ってた!
588名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 15:49:25 ID:dmG0cpKn
ウルトラ喜多!
 第90話
 決断のとき
 
 ウルトラマンメビウス
 マケット怪獣 リムエレキング 登場
 
 
 アルビオン大陸を覆っていた戦雲は、長い戦いの末に払われた。
 しかし、一つの戦いの終わりは、また新たなストーリーの始まりでもある。
 
 激闘の末に、ブロッケンを倒し、バキシムを退けてヤプールの陰謀を完全に
打ち砕いたウルトラマンA、ウルトラマンメビウス、ガンフェニックスが空のかなた
へと飛び去っていったのを見送り、アンリエッタとウェールズたちは、いまだに
興奮冷めやらぬ兵たちをまとめて、負傷者の救護から使い物にならなくなった
城から別の拠点への移動の準備と、戦闘中にも増して忙しい時間が待っていた。
「水のメイジと秘薬は重傷者の介護に優先的に回しなさい。自分で歩ける程度の
負傷者は、たとえ貴族でも後回しにしてかまいません」
「内戦終結を国中の生き残った貴族や領主に知らせて、王政府に従属することを
制約させるために送る書簡と、各国に王政府が復古したことを宣言する書簡が
何百通も、しかも早期にいるだと? なぜそんなことを早く……ええいペンと
公文書紙をもて! それから使者の準備をしろ」
 次から次へと面倒な仕事が二人のもとへ入ってくるが、二人は疲れた体を押して
その公務を果たしていった。しかし、レコン・キスタの完全崩壊と内戦の終結は、
数日と経たずにアルビオン全土、さらにはハルケギニア全土に伝わって、
また人々は安心して生活できる日が戻ってくるだろう。そのためと思えば、
この程度の苦労はなんでもなく、むしろ力が湧いてくるくらいだった。
 その光景を、戦いから解放されたカリーヌ、アニエスらは当然自分たちも
手伝いながら、どこか楽しそうに横目で見ていた。
「ふむ……あれだけのことをこなしたばかりだというのに元気なものだ。やはり、
若いというものはいいものだ。私もあれくらいのころは」
「ほお、伝説の『烈風』の青春? それは少なからず興味がありますな」
 短いとはいえ、ともに死地を抜けて戦友と呼べる間柄になったカリーヌとアニエスは、
頼もしく働いている自分たちの主君を見て、満足げにつぶやいていた。しかし、
その余裕は数秒も経たずに破られた。
「お二人とも、仕事は山積みなんですから私語は謹んでください! 隊長、
恩賞を求める貴族や傭兵の部隊が詰め掛けてきてますから、実績と身元、
功績の証拠を書類にまとめて提出するように説明してきてください! 
『烈風』どのも、補給部隊がもうすぐ到着するはずですから出迎えと護衛を
お願いします。とにかく人手が足りないんですから!」
「あっ! す、すまん」
「むう、騎士など平和になれば役立たずか……」
 戦闘となれば一騎当千のアニエスとカリーヌも、戦いが終わってみれば馬車の
中に作った簡易事務所の中で、被害報告や嘆願書やらの書類と格闘している
ミシェルに怒鳴られる立場に転落してしまっていた。
「やれやれ……事務仕事を部下に任せきりにしていたツケがこんなところで回ってくるとは」
「まあ、若いうちは何事も経験と思うことだ。愚痴をこぼしていられるのも、今のうちだぞ」
 これからさらに忙しくなるだろうし、笑って済ませられないことも数多く出てくるだろうが、
こうして、新生アルビオン王国とトリステイン王国はこの日、新しい一歩を踏み出した。
 
 しかし、どんなに太陽が明るく照らそうとも、いつかは日が沈んで夜が来るように、
ヤプールがまだ滅んでいない以上、この平和がかりそめのものであることを
誰もが知っていた。そう、確かに、ヤプールはこの世界における最大の作戦を失敗し、
多数の怪獣、超獣を失い、バキシムも深手を負ったためにすぐには手を打てない
だろうが、奴が復讐をあきらめるということは絶対にない。必ず、より強力な超獣と
より悪辣な計略を持って侵略攻撃を仕掛けてくるだろう。それまでに、こちらも
迎え撃てるだけの戦力を整えておかねばならない。戦いは、まだこれからが本番だった。
 
 そしてもう一つ、人間たちを救ったあと、高空をマッハで飛び、かなたへと
飛び去っていった三つの光、その行方がどうなったのか、それからもう一つの幕があがる。
 
 二大超獣を撃破し、大空へと飛び立ったウルトラマンA、ウルトラマンメビウス、
そしてガンフェニックストライカーは瞬く間に人間たちの肉眼で観測できる距離から
飛び去っていっていたが、彼らは神でも霊魂でもない。その消えていった先は
天上界でも冥界でもなく、まだこの世界に確かに存在していた。
 
 ここは戦場から一〇リーグばかり離れた、森の中にぽっかりと開いた草原。
そこに、青々と茂る草花をカーペットにして、才人とルイズが寝転んでいた。
「生きてるなあ」
「そうよねえ……」
 全身の力を抜いて、草原の上に大の字で寝転んだ二人の肌を太陽の日差しが
暖めて、吹き去っていった風が冷やし、草の香りが鼻腔をなでる。ハルケギニアの
自然の息吹が、二人に生きているという実感を与えていた。
 とにかく、今回の戦いはいままでとは激しさが違った。怪獣、宇宙人、円盤生物、
そして超獣の息もつかせぬ波状攻撃……よくぞ、生き残れたものだ。死を恐れない
とか口では偉そうなことを言えるが、やはり生きている幸福は生きているときに
だけ味わえるものだ。
「なあルイズ」
「ん?」
 ルイズはぼんやりと返事をした。戦いのダメージは、エースが後遺症が残らない
ようにしてくれたとはいえ、全身をガタガタになったような疲労感が包んでいる。
しかしそれは心地よい疲れだった。大きな仕事をやりとげた後の、満足感の
ともなう疲労感だった。
「俺たち、やったんだよな?」
「ん? んっふっふっふふ……あーはっはっはっ!」
 なんのことかと思ったら、そんなことかとルイズは笑い出した。
「おい、なんで笑うんだよ?」
「あっはっはっ! だって、あんまり当たり前なこと言うんだもの。そんなに
自信がなかったの? バカねえ、わたしが保障してあげるわよ。わたしたちは
勝った、どっか間違ってる?」
「はっ……そうか、そうだよな」
 ルイズの一言で、才人もようやく胸をなでおろして、ルイズといっしょに大きな
声で遠慮のない笑い声を、彼ら以外誰もいない草原の上に響かせた。
そしてひとしきり笑ったあとで、上体を起こすと顔を見つめあった。
「よう、ゼロのルイズ」
「なに、馬鹿犬」
 いつもだったら腹立たしい言葉も、今は何も感じない。むしろ、貴族だの軍隊だの
政治だの、そんなものとは何一つ関係のない凡人以下の自分たちが、一時的にせよ
世界を救ったという圧倒的な優越感が二人の心を満たし、自然と手を握り合った。
そして目と目を見つめあい、どちらからともなく顔を近づけはじめた。
 が、そこで突如頭上から響いてきたジェット音と、森の木々をもゆるがせる暴風で
我に返って空を見上げると、そこには。
591名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 15:52:31 ID:L/Dkf7DV
ウルトラ支援
「サイト、あれは!」
「そうか! 忘れてた」
 草原の中央へと向かって、大きな影を差しかけながら降下してくる炎を描いた
鋼鉄の翼。空からジェットの垂直噴射でガンフェニックストライカーが降下してきたのだ。
 それは、今から数分前のこと。
「ではメビウス、またあとでな」
「はい、兄さん」
 人間たちの見える距離から離れたと確認したウルトラマンAは、ヒビノ・ミライの
姿に戻ってガンフェニックスのコクピットに座ったメビウスと分かれて、一旦別の
方向へと飛んでいった。マグネリウム・メディカライザーでエネルギーを補充
できたものの、活動限界時間は刻々と近づいてきており、早めに変身を解除する
必要があったのである。
「さて、それではどのあたりに……」
 見下ろす先は、人里はなれた未開の樹林地帯が延々と続いていた。
サウスゴータ地方はアルビオンの重要な拠点であるが、ひとたび都市部を
離れると、手付かずの自然が残っている。ただそれはいいのだが、そんな中で
変身解除しても上空のガンフェニックスに気づいてもらえないし、気づいて
もらえたとしても着陸することができない。
 だが、時間が近づいてカラータイマーも鳴り出し、さすがに焦りが湧いてきたときに
森の中にぽっかりと開いた草原を見つけて、そこへ向かって手を合わせると
リング状の光線が二つ発射されてエースの姿が掻き消え、草原に降り立った
リングの中から二人の姿が現れた。ただし、二人とも疲労感だけはしっかりと
エースから分け与えられていたために、開放感からすっかりガンフェニックスと
メビウスのことを忘れて、寝込んでしまっていたのだった。
「すげえ、本物のガンフェニックストライカーだ!」
 雑誌やテレビの中で親しみ、何度か東京上空を飛んでいくのを遠くから見ていた
CREW GUYSの主力戦闘機が今、目の前に実物が下りてこようとしている。
「サイト、一応聞いておくけどあれって……」
「ああ、おれの世界の戦闘機だ。すっげーっ! こんなに近くで見るの初めてだ」
 興奮して目を輝かせている才人と、圧倒されているルイズの前で、ガンフェニックスは
ジェット噴射で彼らの髪をなびかせながら着陸し、ガンウィンガーのコクピットが
開くと、そこから才人にとってあこがれの人物が降りてきた。
「ヒビノ・ミライ隊員だ!」
 そう、彼こそウルトラマンメビウスその人。あのエンペラ星人との決戦のときに、
才人も彼がメビウスであることを知って、ずっと一度会ってみたいと思っていたのだ。
さらに見てみれば、ガンローダーやガンブースターからも、TVで見知ったGUYSの
隊員たちが続々と降りてくる。皆、地球を救ったまぎれもない英雄たち、才人
だけでなく、地球で彼らのことを知らないものはいない。
 だが、ガンフェニックスから降りて、こちらに向かって駆けてきたミライ隊員の
第一声は、二人を仰天させた。
 
「エース兄さん!」
「え?」
「へ?」
 
 一瞬、空気が凍りついた。にこやかに笑っているミライに対して、二人の顔は
驚愕とパニックで引きつってしまっている。が、それも当然である。いきなり
正体をそのものずばりで言い当てられてしまったのだから。だけど、二人が
鯉のように口を無意味に動かしながらうろたえていると、そこへセリザワが
とがめるようにミライへ告げた。
「メビウス、お前と違って人間と同化したウルトラマンは元の人格と同居して
いるんだ。そんな直接的に言っては驚かせてしまうだろう。それに、彼らにも
人間としての生活があるんだ。それを考えろ」
 厳しいセリザワの言葉に、ミライははっとしたように二人に向かって頭を下げた。
「す、すみません。つい兄さんとまた会えたことがうれしくて」
「あ、そんないいですよ」
 ほとんど九十度の姿勢で、すまなさそうに頭を下げられては怒るセリフなど
湧いてくるはずもなかった。
 しかし、頭の回転が人一倍速いルイズはセリザワとミライの言葉の中にあった
聞き捨てならない単語を耳ざとく捉えていた。
「ちょっ、ちょっと待ってよ。わたしたちを兄さんってことは、あんたは……」
 するとミライはルイズのほうを向いてにっこりと笑い。
「はじめまして、僕はヒビノ・ミライ、ウルトラマンメビウスです」
「えっ……ええーっ!」
 びっくり仰天して、思わず後ろに飛びのいたルイズを見て、才人はやったねと
ばかりに口元をほころばせた。見ると、後ろのほうでもマリナ隊員やジョージ隊員が
苦笑いしていた。
「あーあ、そりゃまあびっくりするよね。あたしたちだってそうだったもの」
「そうだよな。で、ミライ、その二人がか?」
「はい! お二人の手の、ウルトラリングがその証拠です!」
 明るくはきはきと語るミライは、頼もしい兄を自慢するようでとても輝いていた。
それはそうだ、エースだけではなく、長男ゾフィーから一つ上の兄の80まで
誰もが地球と宇宙の平和を守り抜いてきた永遠のヒーローたちだ。今では
メビウスもその栄光あるウルトラ兄弟の中の一人であるが、彼にとって
兄たちがあこがれの人であるのは変わりない。
 がしかし、目の前にいる子供二人がウルトラマンだとはにわかには信じがたい
GUYSの面々に興味深げに見つめられて、ルイズは自分がまるで珍獣になった
ような気分を味わっていた。
「ちょっとサイト、この連中なんなのよ!?」
「おっ、落ち着けルイズ。えーっと、話せば長いことながら……とりあえずサインください」
「あんたが落ち着けぇ!」
 あこがれのヒーローのウルトラマンメビウスと会えて、才人はアイドルの
コンサートで偶然声をかけてもらったミーハーな女の子のようになっていた。
といっても、本物のウルトラマンや防衛チームの人たちに会えたのだから
才人ならずとも大なり小なり動揺しただろう。道端で総理大臣だの大統領に
会ったのだとかいうのとは格が違う。
 
 ちなみにそのとき、エースは大混乱まっしぐらな才人とルイズを置いていて、
メビウスとテレパシーでわずかだが先んじて会話をしていた。
(あらためて、よく来てくれたなメビウス)
(はい! リュウさんや、GUYSのみんなのおかげです)
 ウルトラマンA、北斗星司はGUYSの面々を見て、かつてのTACの仲間たちの
ことを思い出した。かつて、ウルトラマンジャック、郷秀樹はGUYSのことを家と
表現したが、それほどの絆で結ばれた仲間を得ることほど、人生においての
宝はない。
(迷惑をかけたな。皆は変わりないか?)
(はい、ゾフィー兄さんも、大隊長もきっと喜ぶと思います)
(そうか……)
 メビウスはうれしそうに言うが、その言葉でウルトラの父や兄弟たちに心配を
かけていたとわかって、エースは罪悪感を覚えた。それに、ボガールによって
M78星雲のアニマル星が襲撃されたことなどを聞かされて、ヤプールの
攻撃が向こうの世界にも及びはじめたことを知って慄然となった。
(ほんの半年でそこまで……ヤプールめ、怪獣墓場にはまだ数多くの凶悪
怪獣たちが眠っている。このままでは、奴の戦力は際限なく強化されていくぞ)
 いくら攻撃を食い止めても、ヤプールはいくらでもやり直しが利く状況では
いつまで経っても戦いは終わらない。新たなる戦いの予感が、エースの心に
走ったが、彼は才人とルイズの分も疲労していたので、残念ながら会話は
それ以上長くは続けられなかった。けれどそれでも、ミライは心配しつづけていた
兄の無事を確認できてうれしかった。
 
 しかし、感動の再会を果たした兄弟とは裏腹に、いつものやりとりをはじめた
二人だったが、才人も浮かれてばかりはいられなかった。
「しかしミライ、あんまりホイホイ正体明かすようなまねすんなよ。いくら相手が
お前の兄さんだからってな。さてと、君が平賀才人くんだな?」
「え!? どうして俺のことを」
 てっきりGUYSはウルトラマンAを追ってやってきたと思っていた才人は
驚いたが、リュウはまだ貫禄というものにはほど遠いものの、姿勢を正して
彼に言った。
「GUYSの情報収集力を甘くみちゃいかん。ウルトラマンAが消息を絶ったのと
同じ日に、君が失踪した秋葉原で次元の歪みが観測されていたんだ。
それで調べた結果、君のことが捜査線に浮上してきたのさ」
 セリザワ隊長とサコミズ隊長を真似しているのだろうけれど、どちらかといえば
トリヤマ補佐官のほうを連想させるリュウの仕草と口調に、マリナとジョージは
声を殺して笑っていた。
「じゃあ、GUYSはおれを探してここへ?」
「人命救助も、立派なGUYSの仕事だからな。命の大切さに、人間もウルトラマンも
差はねえよ。しかし、まさかウルトラマンAと合体してるとは思わなかったけどな」
「あ、はい……ぼくらは、エースに命を救われたんです」
 才人はリュウたちに、ベロクロンに一度殺されて、それでウルトラマンAに
救われたことを語った。
「本当は、ぼくたちはとっくのとうに死んでるはずだったんです。けれど、エースに
助けられて、それでせめて役に立てればと思って」
「そうか、苦労したんだな。たった一人で、よく頑張った」
「いえ、おれは決して一人じゃああり……いだだだっ!?」
 一人ではありませんでしたと、そう言おうとしたところで才人は耳を思いっきり
引っ張られる痛みに襲われた。
「こらあ、このバカ犬! さっきからご主人様を無視して、なに一人でくっちゃべってんの!」
 存在をスルーされていたことで、夜叉のようになっているルイズの顔を見て、
しまったルイズのこと忘れてたと思ったときには遅かった。
595名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 15:59:46 ID:V4k6D0ts
支援五つの誓い
「あだだだ! ルイズ、ちょっとやめろって!」
「うるさい! だいたいあんたはなにかれ構わず気が散りすぎるのよ。もう
何百ぺんも、なにを置いてもわたしを第一に行動しなさいと言い聞かせてあげてる
でしょうが!」
 才人は、そんなに言われたか? ていうか忘れてたのは謝るから爆発は
勘弁してくださいと、必死に懇願したが、ルイズの怒りはそんな簡単には
収まりそうもなかった。なにせ、プライドと独占欲が人一倍強い上に、主人と
使い魔という関係から才人に対しては自制心が極端に薄い彼女のこと、
最初はガンフェニックスや、ウルトラマンメビウスに驚いて慌てたが、
気が落ち着いてみれば、無視されていた不愉快さプラス、せっかくさっきは
才人といい雰囲気になりかけたところで水を差された腹立たしさが蘇ってきて、
ルイズの機嫌はツインテールを食べ損ねたグドンのようになってしまっていた。
もっとも、そんな二人の様子を見てあっけにとられたのは、もちろん二人の
いきさつなど知るはずもないGUYSの面々であった。
「えーっと、そちらのお嬢さんは……」
 GUYSの面々は、視線を隣で不機嫌そうにしているルイズへと向けた。
すると、ルイズはきっとして振り返ると、地球の街場で見かけるような
女子高生とは比較にならないほど、鋭い目つきで彼らを睨み付けた。
「なに!?」
 目つきの悪さなら、残酷怪獣ガモスといい勝負をしそうな今のルイズを
前にしては、大抵の男はおじけずいて声をかけられないだろう。だが、
そこで持ち前を発揮したのが、GUYS一の伊達男のジョージだった。
「失礼、セニョリータ、君のパートナーを無断でお借りしてすみませんでした。
私はCREW GUYS JAPANの隊員でジョージと申します。よろしければ
うるわしき貴女のお名前をお聞かせ願えますか?」
「あら、少しは礼儀のわかる奴がいるみたいね。いいわ、わたしの名前はルイズ・
フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、以後お見知りおきを」
 聞いているこっちが恥ずかしくなるジョージの歯の浮くようなセリフが、
意外とルイズの気に入ったようだった。とはいえ、同じような台詞ならほかの
貴族から飽きるくらいに聞かされているであろうルイズに通じたのはジョージの
人柄のなせるわざか。ともあれ、ずいぶんと今更だが、ここに来てようやくルイズと
GUYSの面々はお互いに名乗りあった。しかし、さっきの才人の説明でルイズが
才人と同じく、ウルトラマンAと分離合体している人間なのはわかったが、
その才人との係わり合いがGUYSの面々を唖然とさせた。
「こいつはわたしの召喚した使い魔、だからわたしはこいつの主人なのよ!」
「はぁ?」
 怪訝な顔をする一同を前にして、才人は頭が痛くなるのを我慢して、あまり
思い出したくない召喚時の思い出と、ルイズとはそれでご主人様と使い魔という
関係になってしまったこと、それでこの半年をいろいろな事件に見舞われながらも
微妙な関係を続けてきたことを、とりあえずルイズを怒らせない程度にまとめて
説明した。しかし、戦闘中にもこの星の住人は完全な地球人型で、星もほぼ完全な
地球型惑星であることは観測されており、だからこそ宇宙服もつけずに
ガンフェニックスから降りてきたのだが、ここまで地球とそっくりだと時空を超えて
きたという実感も薄まってしまっていた。
「なによ?」
「えーっと……人間、だよな?」
「はぁ? なに寝とぼけたこと言ってるの、あんたバカぁ?」
 と、言われてもリュウたちから見れば、ルイズは中学生くらいの普通の女の子に
しか見えないので、なんと言ってきりだせばいいのか困惑してしまっていた。
なにせ、過去の記録はともかくGUYSが直接会ったことのある宇宙人では
サイコキノ星人のカコや、メイツ星人のビオも人間と同じ姿をしていたが、
あれはあくまで地球人に変身していたのであって、元から完全な地球人型の
宇宙人と会うのはこれが初めてである。またルイズのほうも、GUYSの
面々をあからさまに警戒している。
「お、おいルイズ」
「なによ、ケンカ売ってるのはあっちでしょ。人のことじろじろ見て、失礼ったらないわ」
 それはそうなのだし、ルイズの性格から言って見世物のようにされるのは到底
我慢ならないものなのもわかるが、自分でさえハルケギニアになじむにはかなりの
時間を必要としたのだ。まして、GUYSの面々はこちらに来てまだ一時間も経って
いないのである。
 これはまずいかも……互いに、話を切り出せずににらみ合いが続き、このままでは、
ただでさえ短気なルイズが怒って、話がややこしくなると思った才人は慌てて
両者のあいだに入って、まためんどくさいなあと思いながらも、ルイズには
GUYSが自分の国でウルトラマンといっしょに平和を守った人たちであること、
GUYSの面々には、このハルケギニアは地球と非常によく似た環境や文明を持って
いるが、彼らが魔法と呼ぶ超能力は持っているものの、まだ自分たちが星というものに
住んでいる概念すらないことを、大急ぎで説明した。
「……というわけです。あー疲れた」
 さっきから説明しっぱなしで才人はようやく息をついた。ほんとに、こんなに
しゃべったのは久しぶりだ。召喚のときから今までのことを、ほとんど根こそぎ
口に出してしまったように思える。水があったらペットボトル一本分は飲みつくしたい
ところだが、才人やウルトラマンAが消えたいきさつから、このハルケギニアの
概要をまとめて聞かされたリュウたちのショックは大きかった。
「つまり、ここには宇宙船とか時空転移装置とかいうものは?」
「そんなもん、あったらとっくに使わせてもらってますよ」
「あー……なんてこったい」
 才人が次元の裂け目に消えてしまったことについては判明していたものの、
そんなものを作り出すのだから、てっきり科学の進んだ星に連れ去られて
しまったものだと思い込んでいたGUYSの面々は、それがまさか使い魔召喚の
ための儀式による事故だったとは思いもよらず、拍子抜けしたようにしていた。
唯一の例外は、ウルトラマンヒカリと意識を共用しているセリザワで、彼はその
科学者としての知識と経験から、彼らにこう説明した。
「テレポーテーションやワープのミスで、たまにとんでもない場所に出たり、
時空を超えた場所からものを呼び寄せたりすることがある。ある星の例だが、
ブラックホール兵器の実験中に、誤って古代の巨大昆虫を呼び出してしまい、
都市がひとつ壊滅させられた例があるそうだ」
 ウルトラマンでさえ、空間移動には膨大なエネルギーを必要とする。この星では
それがサモン・サーヴァントという形でそれが日常的におこなわれているが、実は
自分の望んだものを遠方から転移させてくるというのは大変なことなのだ。
 また、魔法についてなのだが、一応証拠としてルイズが爆発を起こして見せたものの、
分身したり火を噴いたりと、超能力を持った宇宙人は山のようにいるので初期の
才人のようにGUYSの面々は特に驚いたりはしなかった。むしろそれよりも、
あらためてルイズの顔と才人の顔を間近で見比べて。
「しかし、ほとんど地球人と同じなんでびっくりしたぜ」
 そう言われて才人ははっとした。確かに、地球人から見ればルイズたちは
別の星の、いわゆる宇宙人に違いない。魔法という超能力を使える以外は
一切違いがないので、これまで考えたこともなく、思わず自分もルイズの顔を
じっと見つめた。
「なによ、わたしの顔になんかついてるの?」
「あ、いや……なんでもねえよ」
 髪の毛をかきむしって、才人はいかんいかんと自分自身に警鐘を鳴らした。
考えてみれば、ウルトラマンはいうに及ばず地球人だって立派な宇宙人ではないか、
彼は自分の心の中に、宇宙人イコール悪という間違った方程式ができていたことに
自己嫌悪を覚えると、それを意識して追い出した。しかし、同時にやはり自分は
違う星に生まれたのだということをあらためて実感してしまうことになった。
「言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」
「いや、ほんとになんでもないって。あ、そういえばエースはM78星雲出身の
ウルトラマンは、この世界の人間と同化しないと一分間しか行動できないって
言ってたのに、どうしてメビウス……ミライさんはなんともないんですか?」
 余計なことを言ったらまた殴られそうだったので、才人はとにかくごまかした。
「そういえば……あのときエースは太陽の光に苦手なものが含まれてるとか
言ってたけど、どうしてあんたは平気だったの?」
 ウルトラマンダイナやウルトラマンジャスティスはM78星雲出身ではないので
別格だと思っていたが、エースと同族のメビウスはその制約を受けてしまうはず
なのだ。しかしミライは少し考え込むと、その質問に一つの仮説を提示した。
「いえ、エース兄さんの言うとおりだと思います。僕も変身したときに、少しからだが
重いような気がしました。僕が平気でいられたのは、多分これのおかげだと
思います」
 そう言ってミライは左腕に現れたメビウスブレスをかざして見せた。
「これは、ウルトラの父から預かった神秘のアイテムなんです。武器としてだけでなく、
様々な環境から僕を守ってくれています」
「へえ、便利なものがあるものだなあ」
 才人はミライの腕に赤く輝くメビウスブレスを見て思った。メビウスブレスは
今でも謎の多いアイテムで、変身のときやメビウスの技の元になるだけでなく、
本来ウルトラ心臓を持つタロウにしかできないウルトラダイナマイトを、ウルトラ心臓の
代わりになることで可能にするなど、超絶的な力を秘めている。これが、どういう
理屈かはわからないが、メビウスをこの星の環境から保護しているのだろう。
「この星は、僕たちM78星雲のウルトラマンにとっては過酷な環境なんですね。
エース兄さんをずっと助けていただいて、どうもありがとうございました」
「いや! 命を助けてもらえたことに比べればこのくらい」
「まあまあミライ、つもる話は多いが、ともかく今はみんな無事だったことを喜べよ。
ほんとに、無事でよかったよかった。なあ」
「あ、ありがとうございます」
 豪快にリュウに肩を叩かれると、才人の体が強く震えた。自分のような、
まだ未成熟で、魔法の力で底上げした強さしかない細身ではなく、長年の鍛錬と
実戦で鍛え上げられた大人の体、戦士の肉体の力強さだった。もっとも、
マリナなどは「熱血バカはこれだから」などと呆れているが、やがて才人に
向かって話しかけた。
「ところで才人くん、私たちに聞きたいことがあるんじゃないかな?」
「あっ、そ、そうだった!」
 うっかりあこがれのGUYSやウルトラマンメビウスと会えたことで舞い上がっていたが、
考えてみれば、聞きたいことはほかにも山のようにあった。どうしてGUYSがこの世界に
来れたのか、地球は今どうなっているのか、ほかにも地球に残してきた両親の
ことなど数限りない。だが、頭の中を整理すれば一番に聞きたいことは決まっていた。
「ど、どうやって、あなたがたはこの星にやってきたんですか?」
 やはり、何をおいてもそれしか考えられなかった。地球とハルケギニアは完全に
次元を超えた別宇宙にあるのに、いったいどんな方法を使ってその壁を超えてきたのか?
しかし、それに答えたのはここにいる誰でもなかった。
 
”それに関しては、私が説明してあげるわ”
 
 突然、どこからともなく響いてきた声に才人とルイズは驚いたが、ジョージが
GUYSメモリーディスプレイを差し出すと、そこにはフェニックスネストの
ディレクションルームで手を振るフジサワ博士が映し出されていた。
「はじめまして、才人くんに、異星のお譲ちゃん」
「わっ! なによこれ」
「あー、簡単に言えば遠く離れたところにいる人と話せる道具かな」
 才人も、ルイズに地球のものを説明する要領をわかってきていた。どうせ理屈を
教えても無駄なのだから、役割だけを答えればいい。地球人の自分が魔法の
理屈を理解できないのと同じことだ。
 ディスプレイを通して見る後ろのほうでは、サコミズやミサキが見守る前で、
新人隊員たちが緊張して構え、データの記録と分析に当たっている。あと、
留守番部隊のテッペイとコノミが、「魔法の星なんて、リュウさんたち、なんて
うらやましいんだ」と、学術的興味とロマンの両面から残念がっている。
 だが、きさくに話しかけてくるフジサワ博士から教えられた答えは、二人を
仰天させるのに充分だった。
「日食が、地球とハルケギニアを結ぶゲートですって!?」
「ええ、地球でも今年に数十年に一度の大型の皆既日食が起きるって
ことは知ってた? あなたの消えた日の異次元のゲートを調査しているうちに、
それと同じ波長の時空波を突き止めて、しかも観測を続けた結果、それがピークに
達するのが偶然にも日食のときだとわかったの。多分、二つの星は時空間で
何かしらの結びつきがあって、それが強く顕実するのが日食のときなんでしょうね」
 その理由はフジサワ博士にも残念ながらわからない。強いていうなら古代に
なんらかの魔法の力が働いたのかもと、あいまいな答えしか出てこなかったが、
原因よりむしろ結果が大事であった。
「じゃあ、あそこにはまだ……」
「ええ、肉眼で視認はできないでしょうけど、地上高度六千メートルに、
確かに亜空間ゲートは存在してるわ」
 才人は思わず空を見上げて、目を焼いた日の光を手でさえぎりながらも
顔を上げ続けた。目には見えないが、太陽の中に地球へとつながる門が、
この世界に来てから探し続けてきた門が、あそこにあるのだ。
「ただ、時空のゲートは見つかっても、それが正しくこの世界に通じている
かどうかまではわからなかったわ。下手に飛び込んだら、それこそGUYSも
全滅なんてことにもなりかねなかったしね。けど、あなたたちは本当に
運がよかったわね」
「どういうことですか?」
 意味がわからなかった才人に、フジサワ博士に代わって説明したのは
ミライだった。彼は、昨日の異空間内での戦いのときにゼロ戦に乗った
才人の姿を見かけ、それでその消えた先にウルトラマンAもいると確信して
フジサワ博士に連絡をとり、開いたゲートを通してわずかに伝わってくる
エースの思念をたどって、ここまできたのだと語った。
「あのエアロヴァイパーの時空間にGUYSも……そうとわかっていたら……」
「ああ、気に病むことはないわよ。ガンフェニックスの記録を見たけど、あんな
一瞬のこと、ミライくんでもなければ気づけっこないわよ。けれど、それだけでは
二つの世界を結びつけることはできなかった。それで開発したのが……」
 そこでフジサワ博士は、科学者らしくもったいつけた様子で間をおくと、
手品のタネを明かすように誇らしげに語った。
「新型の、メテオール!?」
「そう、私が作った最新型メテオール、『ディメンショナル・ディゾルバーR(リバース)』、
かつて異次元人ヤプールの異次元ゲートを封鎖したディメンショナル・ディゾルバーの
極性を反転させて、異次元ゲートを封鎖するのではなく、固定して半永久的に
開いたままにするのよ」
 自分が作ったんだぞと、誇らしげに語るフジサワ博士の態度は、どこかしら
エレオノールを連想させてルイズは嫌な感じになったが、これで一番の謎は解けた。
「苦労したのよ。日食がゲートを開く鍵だとわかったのはいいけど、地球で次の
日食までたった一日しかなかったし、ゲートをこじ開けるにはフェニックスキャノンを
使わなきゃならないから、フライトモードを起動させるのにみんな不眠で頑張ったんだから」
「そこまでして……」
「気にしなくてもいいわよ。みんなお礼なんか目当てじゃないんだし、それに、
私はもう一つ実験してみたいこともあったしね」
「え?」
 怪訝な顔をした二人の前で、緑色の粒子がきらめいたかと思うと、ルイズの
目の前に、白くてまるっこいからだをしたぬいぐるみのような怪獣が現れた。
「ひっ……きゃーっ!」
 思わず突き飛ばしてしまったルイズの手の先で、小型の怪獣はくるくる
宙を舞うと、ひょいとマリナの頭の上に乗っかった。
「あはは、心配しなくてもいいわよ。リムはとってもおとなしくていい子なんだから」
「そ、それってGUYSのマスコットの?」
「ええ、マケット怪獣のリムエレキング、愛称はリム。どう、可愛いでしょ」
 そう言って、マリナはそっとリムをルイズに差し出した。この、体長ほんの
40センチほどしかない小さなエレキングは、ミクラスなどと同じくGUYSの
粒子加速器で生成された高エネルギー粒子ミストを使って生み出される、
擬似的な生命体『マケット怪獣』の一体である。ただし、意図的にではなく
過去に粒子加速器の故障で偶然生まれたためにほとんど戦闘力はなく、
現在はその愛らしい姿からCREW GUYS JAPANのマスコットキャラとして
人気を集めている。とはいえ、小さいけれども怪獣であり、ハルケギニアで
小さいころから色々な幻獣を見てきたルイズも、恐る恐るといった様子で
受け取ると、そっと抱きしめた。
「へ、平気よね?」
「大丈夫です。リムも僕たちの大切な仲間です。人に危害を加えたり
するようなことはしませんよ」
 ミライもそう保障してくれて、ルイズは最初はビクついていたが、やがてリムが
小さな声で鳴いて、体をもぞもぞと腕の中で動かすと、ルイズの顔も赤ん坊を抱いた
母親のように柔らかくなっていた。
「……けっこう、かわいいかも」
 もっとも、才人にとってはリムよりもそんなルイズの表情のほうが可愛らしく、
思わず顔がにやけかけたのを見られかけて、慌てて話題を戻させた。
「そ、それで実験ってのはこのことなんですか?」
「ええ、亜空間ゲートを越えて、どれだけのものを送り込めるかやっておきたくて、
けれどリムを出現させるための分子ミストもそちらに送り込めるということは、
少なくとも、二つの世界の行き来にはほとんど支障はないみたいね」
601名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 16:06:13 ID:R/az/uqY
支援
 要するに、ガンフェニックスなどを使えば、ハルケギニアと地球の行き来が
可能だということを意味していた。しかしそれは、才人にとって無意識に
考えることを避けてきた、一つの選択をいやおうなく思い出させることでもあった。
そして、半分自慢に近い説明を終えたフジサワ博士が満足して引っ込み、
テッペイが話の要点をまとめようとしたとき、才人の動揺は決定的になった。
「通信の確保及び、ゲート内の空間の航路確保の計算も完了しました。
現在、両世界間の直結はほぼ完璧です。これならば、才人くんをこちらの」
「あっ! そういえばリムエレキングをこっちで実体化できるということは、
もしかしたらほかのマケット怪獣も?」
「え? ああ、それは……」
 強引に話に割り込んで中断させたが、それは、地球との行き来が可能だと
わかったときに、半年前の自分ならば必ず口にしたはずの言葉を、今口に出すこと、
そして聞くことを恐れているということを思い知らせるだけであった。
「サイト、どうしたの? なんか顔色が悪いわよ」
「そ、そうか? 気のせいじゃないか」
 無意識のうちに湧いてきた冷や汗を、ルイズは目ざとく見つけていた。
しかし、ごまかしきれずに心音は高鳴り、口の中はからからに干からびてくる。
その理由は、自分でわかっている。
「いえ、ほんと顔色悪いわよ? どっか、怪我でもしてた?」
 普段、大抵のことではほうっておかれるルイズがここまで言うのだから、
顔色がないのは本当のことなのだろう。心配したマリナが、医療セットを
とってこようかと言ってきたが、問題は心理的なものなのだから体をどうした
ところで回復したりはしない。
 今の才人は、まるで悪い点をとったテストのことを親に思い出されたくない
小学生のように、皆の一挙一頭足におびえていた。だが、どんなに
引き伸ばそうとしても、それが一時しのぎにしかならず、どれだけ聞きたくないと
思っても、その時は躊躇無くやってくる。
 
「よかったな、これで日本に帰れるぜ!」
 
 まったくの、何の邪気もない親切心で言われたその一言が才人を打ちのめした。
 
 
 続く
603ウルトラ5番目の使い魔 あとがき ◆213pT8BiCc :2010/03/07(日) 16:09:45 ID:2Qd6EiHk
今週は以上です。
長きに渡ったアルビオンを舞台にしたヤプールの野望も打ち砕かれ、今回からこれまで
並行して進めてきた地球の人々も一つの軸に合わせて、次のステップに入りました。
日食設定は、私はアニメ→原作と入った口ですので、これを使うことは当初から決めていました。
アニメは人によって諸説評価は分かれるようですが、私は最終回で地球への帰還を
蹴ってルイズのために残った才人のところなどが大好きです。
そして才人の帰還は3巻や、13、14巻で取り上げられたゼロ魔の中でも重要な問題ですが、
この作中では彼がどう考えどういう決断をしていくのか、それらの人々との交流も
加えながら書いていきたいと思います。
それから、今週も支援ありがとうございました。
604名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 16:12:50 ID:L/Dkf7DV
ウルトラ乙
605名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 16:15:34 ID:Pk35A6KH
おつおつ。

自由に行き来できるんだから、一度ルイズつれて帰るのかな?
ヤプールの動向が現時点で未知数な以上、まだハルケとのコネは必要なはずだし。
どのみち一緒でないとハルケで活動できないんだし。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 16:16:18 ID:Di4R01mE
607名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 16:31:35 ID:knH4mrZ/
乙です
才人がどんな決断をするのか楽しみです
608名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 16:43:50 ID:R/az/uqY
ウルトラ人乙
609名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 16:52:45 ID:u+78vRJ7
ウルトラの人乙です。今週も楽しませてもらいました!
しかし地球と行き来できるようになって一番喜ぶのはコルベール先生かも・・・
610名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 17:04:02 ID:lQqkS46V
つまりこれからはルイズ一人でエースに変身するんですね、わかります
611ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:40:32 ID:pIN0KA1V
ウルトラの方、乙でございました。
地球か、何もかも懐かしい……
新話軸を楽しみにさせていただきます。

さてさて、ウルトラ様の後ですとちょいとやりにくいのは重々承知しているのですが、
ここで折れてはなるものか。気張って投下したく存じます。
17:50頃より失礼させていただこうと思います。
何卒、よろしくお願いいたします。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 17:46:30 ID:34UhcScg
黒魔道士に限った話じゃないが、日常パートが一番読んでて愉しい
613ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:50:07 ID:pIN0KA1V
投下開始でございます

----
「ワタシとー、やり合うおつもりですかー?おつもりですねー?それでは〜……」

ガレキの塔の上、ワルドの手が光った。

「狂宴のはじまりはじまりぃ〜!!」

切り裂くような風の渦。
風が千と万の刃となって襲ってくる。


「くっ!」
「きゃっ!?」

避けるのが、精一杯……
ワルド、何でこんなに強くなってるの!?


ゼロの黒魔道士
〜第七十幕〜  かぜはやみ



石畳の床が、どんどん削られていく。
カケラの一個一個が、まるで刃のようだ。
一つ一つが鋭く尖り、急所を確実に狙ってくる

「ほらほらーっ!コォオオッ!!」

ワルドの掛け声が、別の場所からも聞こえる。
風の遍在。
別の方向から竜巻みたいな風が、ボク達を襲う。

「ハァアアッ!」
「ダッ!!」

デルフでも止めることができない、空気の剣、
それが、2か所から。
僕の身体が、引き裂かれそうになる……

「どう、すごい?すごいでしょ、ぼくちん!昔の俺様と全然違うでしょォ?」

「くっ……」
遍在のワルドに向かって、斬りかかる。
切り裂かれそうになりながら、こっちから出る。
デルフが本調子じゃなくても、遍在ぐらいなら……
そう思ったボクが甘かったみたいだ。

ワルドは、あっさりと自分の遍在を『消した』。
ボクの攻撃が当たる直前に、消して、また『出した』。
ボクの、背後に……

「あーくび出ちゃいそー……っとぉ、危ないデスヨー」
「うわぁっ!?」
「ビビッ!?」

遍在をいくつも出したりひっこめたり……
魔力が増えると、こんなこともできるの!?
614ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:51:46 ID:pIN0KA1V
「あー、もう『閃光』って二つ名も古臭くてビミョーな感じーィ?」
「じゃーあぁ……“光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる騎士”〜ッなんてー、どう?どぅー?」
「ん、いいかもー♪ 重力も操っちゃう〜?操っちゃおうか〜?」

遍在の自分と、会話しながら、ワルド達がケタケタ笑った。
戦いながら笑うなんて、どうかしてる。
その声が、ぐわんぐわんと空気の中に広がる。
ボクの頭までおかしくなってしまいそう……

「……狂ってる……!」

これが、一番しっくりくる。
ワルドは、『狂っている』。
どういう理由か知らないけど、今のワルドは強力な魔力をその体の中に宿している。
無理矢理、大きな魔力を取りこんで、使って……だから、頭がおかしくなっているんだ、きっと。
まるで……黒のワルツ3号みたいに。
過ぎた魔力が、脳を侵して、狂ってしまっているんだ。

そんなことを考えていると、ルイズおねえちゃんが立ち上がった。
全く無防備に、すっと立ち上がったんだ。
額を少し切ってしまったのか、血まで流しながら。

「ワルド!どうしちゃったっていうのよっ!?」

「べっつーにー?なーんにもー?僕は僕だもーんねー!」
「んー?それよりぃ、ルイズちゃぁ〜ん!早くぅ、『虚無』の力を見せておくれよぉ♪」
「あ、そうだそうだー!ほらほら、君もぉ、破壊したくて、うずうずしてきちゃってるんでしょぉ?」

2人のワルドが、やかましく笑う。
小馬鹿にするような、イライラするような笑い方。
でも、ルイズおねえちゃんは、それにひるまないでギッとワルドを睨みつけたんだ。

「ワルド!もうやめて!私達は、この先へ進まなければならないの!みんなの、ためにっ!」

「ふーん、みんなのー?」
「へー、あっそー……」

2人のワルドが、1人になる。
また遍在を消した……

「……イイ子ぶりやがって」
いや、違う!
速すぎて見えなかっただけだ!
いつの間にかルイズおねえちゃんの目の前にワルドが立っている!

「ひぁっ!?」
「ルイズおねえちゃんっ!!」

ギリギリ。本当にギリギリだった。
ルイズおねえちゃんとワルドの間に体をねじこんだ。
……ただのパンチが、ものすごく重い。
デルフで受け止めるのがやっとだっ……

「『みんなのため』?『誰かのため』?ケーッ!気色ワルくて反吐が出る!!!!!」
「っ!?」
615ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:53:14 ID:pIN0KA1V
ワルドの声に合わせて、景色が歪む。
みんなの記憶を見た、さっきと同じように。
だけど、変だ。
空の色がチグハグ。
影の方向もバラバラ。
地面は、目がチカチカするようなグチャグチャの色のタイルがしきつめられている。
いくつもの額縁が浮いていて、ステンドグラスの中を魚が泳いでいて、
太陽が3つで、月が紫色の1個きり……
……記憶まで、狂ってしまったっていうの?

「そんなもんはイイ子ぶりっ子の押しつけだァッ!ィ役立たず以下なのだ!!」
「っ!?」
変わった景色に目を囚われていると、額縁の1つ大きな口を開けた。
ワルドごと、ボク達を飲み込む。
まるで虫取り網のように、額縁が上から覆いかぶさってボク達を包んだんだ。

額縁の中……
ここは……アルビオンの教会?
真っ白な壁に、キラキラのステンドグラス……
変わっていく景色に目がチカチカしてくる……
「結局みんな、自分が満足したいだけのワガママッ子なのさーっ!もっと素直になってェ、僕と破壊しよぉーよーっ!」
「っ!?ぅぁあっ!?」

しまった。
目が慣れていない間に、やられた。
遍在のワルド、その足が、ボクを蹴飛ばす。
ズシンとした衝撃。
歪む視界。
自分の足が、床から浮いて……
ダメだ、飛ばされるッ……

「『フライ』ッ!!」

ふっ飛ばされている間、ルイズおねえちゃんの呪文が聞こえた。
でも、ワルドには避けられたみたいだ。

「ほらほらー!虚無だとかなんだとか言ってぇー!結局はブッ壊すための爆発呪文じゃぁないかー!」
「だったらー、いっそ僕と一緒にィ、何もかも破壊しよーよっ!あブッ壊そぉ〜♪」

ワルド達の、狂った笑いが教会の中にこだまする。
変幻自在……まるで捕え所のない、本当に、風のような相手……
「くっ……」

大理石の床の上、なんとか立ち上がるけど、勝機が見えない……

『風』相手に、どうやって戦ったらいいの!?
616ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:54:17 ID:pIN0KA1V
----
ピコン
ATE 〜うみはあれ〜


「ふんっ!!」
「GRWOO!?」

鉄の葉一片閃いて、
また一体、トリスタニアの脅威が取り除かれる。
銀の鱗の奥底まで、深く突き刺さった鋼の一振り。
アニエスは確実に相手を命を奪った感触を確かめてから、
血飛沫を振りまきながらその剣を引き抜いた。

事態は収束に向かいつつある。
それは間違いない。
一体一体、着実にアニエス自身が屠ってきたのだ。
それでも、なお、障害は多い。
空に目を向ければ、未だ多くの銀の竜。
血と炎の忌まわしき臭気は止むことなく辺りに漂っている。

「息をつく間も無いな――っ!?」
剣の血糊をぬぐいながら、アニエスは確かに聞いた。
救護を求める微かな悲鳴、喘ぎ。
本当に、息つく暇もあったものではない。

「こっちかっ!!」

足が一歩でも進む限り、
剣が振ることができる限り、
例え息がどれだけあがろうとも、アニエスは駆ける。

しかし、そこに横たわっていたのは信じがたい事実であった。

「たい……ちょ……」
「ミシェル!?どうした!?しっかりしろっ!?」

路地に討ち捨てられていた身体は、自分の部下のもの。
銃士隊副長、ミシェル。武ではアニエスにも匹敵する剛の者。
それが剣すら持たず、やっとのことでその身をひきずっているという有り様だ。
幸いなことに、まだ暖かい。
いや、それが幸いかどうか……
全身をぬらぬらとした粘着質のある液体に浸されている。それが生温い熱を放っているのだ。
猛獣の涎を頭からかぶったにしても、このように全身を覆われることはあるまい。
それに、怪我も大してしてないようなのに疲労の色が濃い。
やはりミシェルを包む粘液が原因か。
まさか、毒か。

「に……げて……くださ……い……」
「たわけっ!手負いの部下を放って逃げれるものかっ!!」

ぐったりとした部下の身体をその肩に担ぐ。
ぬるり、とした粘液が自分にかかっても気にしない。
例え、それが毒だったとしてもアニエスは躊躇しなかっただろう。
それが上官としての、いや人としての当然の行いであるのだから。

だが、ミシェルを担いでの退却は、為されることは無かった。

『そいつ』は、ぬらりと現れた。
617ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:55:32 ID:pIN0KA1V
「――もう、焦らし上手なんやから〜!ミシェルた〜ん、どこ行きはった……おろ?」
「っ!?」

まず驚くべきはその大きさ。
かつてトリステイン魔法学院をも襲ったフーケとかいう泥棒がいたそうだが、
そのゴーレムをはるかにしのぐ。
今までその巨体をどこに隠していたというのだろうか、
紫色の球体が、ぬぅんと家屋を見下ろして、その全容を露わにしてゆく。

色で言えばブルーベリー。
それを何百万倍も大きく膨らませればこのようになるだろうか。
ククリ刀のように湾曲した両目が、その端の方からだらりと垂れ下がり、
鮫や鰐といった水棲系の猛獣のごとき牙が球体の下部から上歯だけ何本も突き出している。
そして、それが何よりもこの球体を特徴づけるものであるが、
ぬらり、と艶めかしく濡れ光る太い触手。それが、8本。
その内の1本が赤瓦の屋根を思いっきり踏みつぶした。

「たいちょ……あい……つやば……い……」

肩に担いだミシェルの肢体がビクンと反応する。
ミシェル。
武の上ではアニエスも認めた女騎士をここまで怯えさせるとは。

「うひょひょひょ! さっすがトリステインやで、しかし〜!
 かわいい女の子ぎょうさん……
 うっひょひょー!わいの好みやでー!惚れてまうやろーっ! ゲルマニアから出てきて良かったーっ!」
「貴様が、ミシェルをっ――」

アニエスも、噂程度には聞いたことがある。
ゲルマニア海軍が捕えたクラーケンとかいうしゃべるタコの仲間。
それが見世物小屋から逃げだし、いずこかに消えたと。
それがこいつなのだろう。

こいつが、この下劣極まりない嬌声をあげてミシェルをなぶり者にでもしたというのか。
アニエスは自身の血が、ふつふつと湧き立つのを感じた。

「お?お?そんな目ぇで見つめられると照れてまうや〜ん!
 うんもー、オルちゃんモテ期到来?この世の春が来てもうた?もう、オルちゃん感激ーっ!」
「ペラペラしゃべるタコがっ……私の部下をっ!!」
「た……ちょ……ダ……め……」

ミシェルの身体を、ゆっくりと下ろす。
頑丈そうな商店の壁。
柱がしっかりしている場所だから、しばらくは持つだろう。
少なくとも、このタコ野郎を刺身にする間は持つはずだ。

「タコちゃいますー!オルトロスですぅーっ!知ってる人は知っているー!知らない人は覚えてねー!
 お姉ちゃんも名前教ぇてーなー?
 何て言うお名前なーん?
 彼氏とかいてるー?
 紫のタコって好みー?           ってタコちゃうわー!」
「貴様に名乗る名など、無いっ!」
618ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:56:32 ID:pIN0KA1V
怒声と共に閃かせるは、鋼の一振り。
最初っから抜き身。
なめた口を聞く下衆なケダモノ相手に、手加減をするつもりは一切ない。

何より、自分の部下を傷つけられたのだ。
許せるわけがあろうか?

「あ、今 ムカつくタコ野郎だと思わなかった?しつこい?しつこい?
 ゴメンねゴメンね〜♪ほな、お詫び言うたらなんやねんけど……
 わいの女にしてあ〜げるっ!!」
「ほざけっ!!」
「ダメ……たい……ちょ……!」

巨大なる化け物に立ち向かう女騎士。
さながら英雄劇のワンシーンのようなその場面を、
かすれていく意識の中ミシェルは、こう思いながら見ているしかなかった。
『隊長では、こいつに勝てない』、と。

----
ピコン
ATE 〜だいちはくさっていく〜

「間違いないか?」
「うん、すっごくにおう!くっさーいのっ!こっち!」

ガリアの大通りを広場へ、さらにそこから下り、街の外へ。
エルフと吸血鬼、大小2つの影が疾風のごとく駆け抜ける。
かかる死体の群れどもを、驚嘆すべき先住魔法で討ち払い、
迷うことなく進み行く。

彼らの任は『此度の襲撃の司令官を始末する』こと。

司令官の存在、イザベラは襲撃の最中これを推察し、2人に指示を出した。
一見、本能のままに暴れているように見えたゾンビだが、イザベラは看破したのだ。
氾濫する死人の群れ、それが確実に王宮を目指している様を。
また、その流れを誘導している死人が、その群れの中に何匹か紛れていたことを。
群れの部隊長共とでも言うべきそいつらが、昨日今日腐ったばかりというような見た目では無かったことを。

そして――

「『モスフングス』の、焼けつくようなにおい……ほらっ!やっぱり!!」

むせかえるほどの、モスフングスの胞子。
リーダー格の死体共にこびりついた、墓場キノコの香り。
それを辿った先が、ここだった。

「吸血鬼の嗅覚とは、大したものだな……」

レイスウォール共同墓地。
リュティス郊外にひっそりと広がる終の寝所。
身より無き兵士が、家が滅びた貴族が眠る場所。

予想通り、と言うべきか。
墓土が掘り返され、引きずるような足跡までがついている。
あとは、肝心の『誰が掘り返し、誰が動かしたか』だが……
619ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:57:33 ID:pIN0KA1V
「――気付かれた、か」
「っ!?」
「えっ!?」

こちらはモスフングスよりも早く見つかった。
というよりも、見つけられた、と言った方が正しいか。

墓標達を見守る菩提樹の上より、ふわりと姿が舞い降りた。
流れる金髪、美しい肌、涼やかな碧眼。
そして、尖った、耳。

「ビダおにいちゃん!?え、双子っ!?」
「――なるほど。我が写し身か」
「やはり、お前か。我の――」

ビダーシャルは薄々気付いていた。相手の正体に。
かさぶたが既に取れた頬をなぜる。
ロマリアにおいて血を流してしまった。
一滴で十分だ。血は記憶と肉体をつなぐ鍵。

「『我の偽者』、とでも? どちらが偽者か、本物かなど、些細な相違では無いか」

おそらくは蛮人の古の法具、『スキルニル』であろう。
血の一滴さえあれば、偽者を拵えるなど単純な作業にしかならない。
しかしながら、偽者の自分自身の挙動を、ビダーシャルは首をかしげて見ていた。
違和感。
その動き、その仕草。
まるで、熱にうかされているかのような……

「――肝要なのは、どう生き、どう死に、どう操るか、だ……このように」

呼応するように、墓土が盛り上がる。
冬眠後の蛙共が目覚めるかのごとく、死体共が、
いや、それだけでは無い。
掘り起こされた墓土がまた、ビダーシャルの姿を象っていく。
何体も、何体も。
モスフングスの肺胞をかきむしるような臭いのする土を飲み込んで。

「我が写し身とて、容赦はせんぞ? まだ約束を果たす途中なのでな」
「うわ、不味そうなのがいっぱい……どれも土だったり腐ってたり……」
「貴様っ……禁忌の術を!」

『己自身を象ること無かれ』、『死者を操ること無かれ』。
これらは、道義的な理由はもちろん、
その危うさからエルフの間で暗黙の内に禁忌とされてきた事柄である。

己自身の強さや力は、己自身では御することはできない。
死に生を模させるのもまた、多大な魔力を要する。

精霊の力を借りる先住魔法の術者が、禁忌の力を御することはまず不可能で、
やがて借りうけた魔力を返済しきれなくなってしまえば、
精霊達は容赦なく貸しを回収しようとし、術者の精神も肉体も奪い尽くすことになるだろう。
それを、いとも簡単に、躊躇も無く為し得たこの偽者――

「我が名はネフテスが使者、ビダーシャル。
 滅びと腐りの禁呪、ゆっくり味わいながら死ぬが良い」
「くっ……」
620ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:58:47 ID:pIN0KA1V
ビダーシャルは感じていた。
この偽者は、自身の血より生まれた己自身であるが、
いかなる理由か、その強さも力も、はるかに自身を越えているということを。
冷静沈着を常とするエルフの心に、珍しく焦燥の感情が芽生えた。


----
ピコン
ATE 〜ほのおがすべてをやきつくす〜

勝者と、敗者。
戦においてそれらは常に表裏一体。
薄紙一枚で隔てられた差でしかない。
たやすくそれらは入れ替わり、覆る。

「はぁ、はぁ……」

コルベールは、自分が勝者の側に立っていることを感謝した。
過去の亡霊、かつての部下は黒焦げになって横たわっている。
あるいは、自分がそうなっていたやもしれないと考えると、冷や汗しか出ない。


『爆炎』。
コルベールが長年の経験から編み出した、必殺の魔法。
土魔法による錬金で空気の組成を変える。
しかる後に点火。爆散する炎は敵を一息で狩る。
また、同時に周囲の空気を奪い取ることで窒息させる。
確実な二の太刀を用意した、まさに必殺の魔法であると言えよう。

だが、相応にリスクは伴う。
集中力を要する魔法は、精神的疲労を加速させる。
長年、戦闘行為から遠ざかっていたコルベールにとってはなおさらだ。
ブランクという枷。
おもりの付いた衣服のような疲労が、全身を覆っていた。

コルベールは、その感覚を振り払うように踵を返し歩き始めた。
長々と感傷に浸るわけにもいくまい。
自分は教師なのだ。
生徒の安全を確認せねばなるまい。

『ドクン』

だが、どうしたことだろう。
かつての軍人としての本能が、
いや、もっと原初からの本能、生物としての本能が告げている。
『終わっていない』、と……

『ドクン』

自身の心音に導かれるように、振り返る。
理性が告げる、『見るな、見てはいけない。逃げるべきだ』と。
充血した眼球が、それに反し、横たわる死体を捕えてしまった。

『ドクン』

炭と化したメンヌヴィルの身体が、わずかに震えた。
それは……そう、歓喜の渦を自ら湧き起こすかのように。
621ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 17:59:59 ID:pIN0KA1V
「――ダーハハハハハ……さっすが隊長殿だぜぇ……」

『ドクン』

コルベールの血が一気に冷える。
ありえない。
自分の魔法を直撃を受け、生きていることなどありえない。
し損じたか?ならばトドメを。
だが、それができない。
血が凍る。理性の指示に、身体が反応しない。
見ていることしかできない。

『ドクン』

「『人間』の武の極み、確かに見させてもらったぞ、隊長殿ぉ……」

爛れた黒焦げのシルエットが、ゆっくりと持ち上がる。
卵から孵る毒虫。
脱皮を終えたばかりの蛇。
忌まわしき嫌悪感を振りまきながら、メンヌヴィルの身体が、鎌首をもたげた。
腕は折れているのか、ダラリと垂れ下がり、それがまた蛇を思わせる。

『ドクン』

「――感謝するぞ、えぇ?……『人間』やめる決心がついたことになぁ!!」
メキリメキリと、メンヌヴィルの身体が膨らむ。
小さい身体に押し込められていたエネルギーが、出口を求めるように、ボコボコと膨れ上がる。
血管が浮き上がり、発光する。
『生まれる』。コルベールはそう感じた。
人間という殻を捨てて、『何か』が生まれようとしている。

「――な……」
「う、うごゥぅウうぅうゥウぉぉォォォォォオオオおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

叫びが途切れた時、彼はもう、『人には非ず』という存在になっていた。

「ハァ……この姿になんのは初めてでな、えぇ?少々やりすぎちまうかもしれないのは勘弁してくれよ?」

深紅の鱗、血染めの瞳、朱に染まった牙。
炎そのものをたて髪とし、大木を思わせる太い胴体がとぐろを巻いている。
蛇。“炎蛇”。かつてコルベールの二つ名であった存在。
いや、そんな生っちょろい物じゃない。

コルベールは、こうつぶやくのがやっとであった。
「――化け物……」

はるか東方に住む幻獣に、名称の起源こそはハルケギニアと同じくするものの、全く異なる存在があると言う。
圧倒的な力を誇り、半ば伝説上と化した生命種。
『龍』。
ハルケギニアの『竜』が天空を駆ける覇者とするならば、
東方における『龍』は神そのもの。
622ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2010/03/07(日) 18:00:52 ID:pIN0KA1V
「お疲れのようだな隊長殿、えぇ?『さあ、回復してやろう』とでも言いたいトコだが、俺は回復魔法は使えないんでな。
 まぁ、俺様も腕が折れてるんだ……イーブンってことで、問題無いな?それじゃ……」

コルベールが感じたのは、畏怖。
まさしく神に抱くような、畏怖の念。
それが、いかなる死神や悪神であれ、人はその壁を越えられない。

「『全力でかかってくるがよい!』なーんてなっ!!ダハハハハハハ!楽しもうや、隊長殿ぉお!!」

勝者と、敗者。
戦においてそれらは常に表裏一体。
薄紙一枚で隔てられた差でしかない。
たやすくそれらは入れ替わり、覆る。

だがコルベールは、疲弊した脳で感じてしまう。
自分が、今はどちらの側に立ってしまったのかを。

----
本日は、以上でございます。
RPGをクロス先に選んでおります拙作、そりゃ『四天王戦』はやらないとね、ってな次第です。
え?若干一匹場違いな蛸がいる?そりゃお前様、あれですよ、あれ。
ファンタジー+女騎士 とくれば、『触手モンスターにあれやこれやされる展開』が必要でしょうがっ!でしょうがっ!?(力説)
……そんなアホな思考回路を持つ作者がお送りさせていただいております。もう少しお付き合いを。
では、お目汚し、失礼いたしました。
623名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 18:07:06 ID:biw0D5Bp
乙ー
相変わらずのFFオールスターw ちょっとやりすぎな気もするけど楽しいからよしw
さりげないFF1ネタが良いですねぃ。
624名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 19:04:43 ID:8p2gbzHi
乙です。
ティナにセクハラ働こうとしたタコが出てきたか。
初見でたこあしで全滅させられたのも、皆懐かしい思い出です。
ってか、ミシェルさんになにしくさってんだ!三枚にオロすぞこのクソ野郎!
625名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 19:53:01 ID:maBDyxKf
もうワルドが千葉繁でしか再生されねぇ……どうしてくれるんだ。
626名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 19:56:15 ID:5EsX76aF
ワルド「う〜ら〜め〜しぃ〜!!」
627名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:00:18 ID:34UhcScg
ワルド「じかい〜、ほくっとのっけんんんん〜!」
628名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:00:41 ID:x0rFjsEU
ケフカ・パラッツォも千葉御大だっけか
629名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:28:27 ID:L/Dkf7DV
エビチャーハンがどうしたって?
630名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:30:21 ID:SKvP/A2x
私のバナナが見つからない
631名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:37:22 ID:V4k6D0ts
何を言ってるのか分からんが、とにかくよし。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:37:26 ID:+S+z17Qf
乙。

しかしフライって風系統の空を飛ぶための魔法のはずなんだけど、
それでどうやってワルドを攻撃するんだか、
しかも虚無しか使えないはずのルイズが何で使えるんだか分からないぜ。
633名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:41:42 ID:2RbSUVgx
やぁはぁぎぃ?
だぁれだよ?
しぃらねぇぇぇぇぇなぁぁぁぁぁぁ!?
ダァァァァッハッハッハッハッハw

黒魔乙w
>ファンタジー+女騎士 とくれば、『触手モンスターにあれやこれやされる展開』
けしからん、実にけしからんどすなぁ
いいぞもっとやれ
634名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:45:34 ID:TmK2LgZ3
>>632
ルイズは何唱えても爆発するから、何の魔法でも良いから詠唱の短い呪文で攻撃できる。
635名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:49:19 ID:+S+z17Qf
>>634
いまいち納得は出来んが、取りあえず理屈は分かった。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:51:15 ID:RCvqEO3g
乙でした!
最初こんな壮大な物語になるとは思いもよらなかった
ホンントに乙!!
637名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:51:21 ID:ZOlcr7Dv
黒魔の方、乙でしたー。
ワルドもメンヌヴィルも良い感じに壊れて……ラスボス直前の雰囲気が出ていて良いですね。
638名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:52:12 ID:UJe1Cyfq
遅れながら言わせて貰います
乙です

最初から最後まで鳥肌が立ちっぱなしです
なんかもう凄すぎて言葉が出ません
639名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 20:59:56 ID:y+t1wbHM
お疲れ様でした!
今のところ、誰もが誰も救われない話。
続きがとても楽しみです。
640名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 21:03:37 ID:xNpBjY59
これすごいな
物語が自作とかプロットとか全部初代スレで話の数書いてるしプロットとかしっかり組んでるのか
登場人物の数といいうまいわー
どこまでプロット詳しく書いてるかみてみたいな
641名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 21:07:36 ID:Wp1uTJPD
乙乙でした
ホント演出がうまい!!毎回のことながら期待裏切らない出来に脱帽です
ゼロの黒魔道士氏の好きなように作り上げてください
どこまでもついて行きます
642名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 22:23:22 ID:WFgjUWhj
一つ聞きたいが
投稿された作品の中でどうしようもない悪人が召喚された話はあるかい?
643名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 22:25:01 ID:TqhhoNOU
>>642
姉妹スレの話だが医者が召喚された短編があった
644名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 22:34:09 ID:lQqkS46V
ああ、チョコ先生か
二つあるけどどれも欝になる話だったな
まあそれよりも欝なのがチープとプラネット召喚なんだが
645名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 22:49:19 ID:PsVB6G5U
結構悪人は召喚されてきたような
646名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 22:51:06 ID:V4k6D0ts
悪”人”だと数えるほどかな。
647名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 22:51:09 ID:75+eeZ2y
作品名が出ないと検索の仕様もねぇ。
648名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 23:10:36 ID:WFgjUWhj
極悪人(生物)だったら鬱ENDになりがちだし、小悪党だと話が上手く纏まらないし…
北斗無双にジャギ様出演記念と言うことで、書こうかと思っているんだが早くも挫折しそうだ
649名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 23:18:29 ID:8p2gbzHi
ジャギ様、あのお顔とキッスですか。
悪人通り越して狂暴な怪物を召喚してルイズ抹殺エンドという救いようのないのもあるが、
ルイズって善にも悪にもどっちに転んでも不自然じゃないおいしいキャラだね。
650名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 23:28:06 ID:75+eeZ2y
あの世界で唯一の伝承者となれば、けっこう善人化したりしてw
651名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 23:34:13 ID:kOML4WM4
ジャギ様はあれで女性には一途だからねぇ...
652名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 23:41:13 ID:75+eeZ2y
ヒロモト森一画のルイズを想像しようとしたが、何故か少女ゾンビになってしまった。
653名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 23:43:32 ID:WFgjUWhj
極悪ノ華のジャギ様はジャギ様であってジャギ様のような気がしてしまうので敬遠してたな
分かりやすく言えば、北斗無双に出演する聖帝様に近いな、決定的な何かが違う点で
654名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/07(日) 23:47:19 ID:5EsX76aF
キリヤマ「よくやった、これでアルビオンも、我々のものだ!」
655名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 00:13:57 ID:YjW9ticP
やべぇ、物凄く納得できる。
656名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 00:31:17 ID:NX39FqEC
血を吐いてまでマラソンがしたいのか
657名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 00:46:10 ID:uN2s6ugZ
キリヤマ隊長は超兵器開発をやめさせて、台詞がウルトラマンメビウスでわざわざ引用される人格者ですけど。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 00:58:06 ID:lCSyfnrI
遅まきながら時の人乙!
陰術と秘術取得しているトキノクンだなんてウチとは真逆だわw
裏技で妖術と魔術、秘術と印術も両立出来るから多才なトキノクンが益々楽しみだ

時術と陰術が指し示すもの…これは間違いなくサガット並のタイガー14連撃!
659名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 01:40:33 ID:gvvgA6/e
そろそろどっかの料理人が喚ばれないだろうか
小松とか
セツ婆とか



トミーロッドとか
660名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 01:50:19 ID:C8rZuMOV
ドーピングコンソメスープとおっしゃったか
661名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 01:51:12 ID:EBQU4Duq
歩く死亡フラグは駄目?
662名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 01:54:41 ID:BWK1KIq8
歩く死亡フラグって?
663名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 02:28:10 ID:GAOn395D
セガール
664名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 02:33:00 ID:j24tdNmn
『人類は麺類』
例えそれが異世界の人間だろうがメイジだろうが例外はないはず!!
665名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 02:47:09 ID:uN2s6ugZ
「カービィ、吸い込みよ!」

「ぎゃあぁぁっ!」

byソードカービィ
666名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 06:30:08 ID:l0b3kzct
ジャギ「何故諦める必要ある!?何を躊躇う事がある奪い取れ!!今は悪魔が微笑む時代なんだ!!」
ジョセフ「………っ!!」

何かあってるなこの二人
667名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 07:11:09 ID:ny5WoE5h
空飛ぶ死亡フラグ、PJをだな……
668名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 07:32:20 ID:tdXnzWif
>>666
合ってないと思う
669名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 09:31:31 ID:jjqxk3wZ
「兄より優れた弟などいねぇ!」もジョゼフからしたら…なぁ…
670名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 10:02:07 ID:12K4rejT
ルーンの効果で意識が伝わると仮定すると、けっこう共感するかも。
どっちも兄より優れた弟を持ってる境遇だし。台詞ではこういってるけど、実はこいつも・・・みたいな
671名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 10:52:41 ID:NnPidJe4
心底弟を憎んでるジャギと実は弟を愛してるジョゼフとじゃ相性悪いと思う

根っこのところは女嫌いなロイエンタールと徹底的に女好きなシェーンコップくらい合わない
672名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 11:14:04 ID:Rtk+UDdY
どんな例えなんだw
673名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 11:24:48 ID:IUhxMMbu
逆に考えれば、その相性の悪さというか根本的な愛情の有無を生かせれば
面白い話になりそうな気もする
なんというかジョゼフのように愛しさ余って憎さ百倍なタイプだと
殺してしまえと煽られると逆に躊躇いそうな気もするし
674名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 11:30:10 ID:nXkmo9wn
だよな
むしろそういう相違点ってのが話を作る上で重要
675名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 12:05:05 ID:T0MSbsv/
ジョゼフとシャルルが仮にガチで全力を出し切って戦ったとしたら、
シャルルはうまく予想出来ないけど、ジョゼフの方は勝敗に関わらず満足しそうな気がする。
676名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 12:25:04 ID:NnPidJe4
>>675
「あはは、一度でいいからこうやって思いきり兄弟喧嘩ってモンをしてみたかったんだ」
「兄さんが妙に遠慮するからだよ」
677名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 12:28:49 ID:yvJ4dkxX
>>676
なんか狂気を孕んでる感じだな
678名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 12:29:09 ID:b77FZFPS
画:原哲夫で脳内再生余裕でした。
何と男臭いゼロの使い魔。
679名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 12:38:03 ID:cSihVD8l
他に兄弟喧嘩(?)が印象的なキャラというと・・・
グラップラー刃牙の鎬兄弟とかテッカマンブレードのブレード&エビルとかが思い浮かぶな。
ただこの二つは優秀なのは兄で弟がコンプレックス持ちというゼロ魔とは逆だが
680名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 12:38:11 ID:uN2s6ugZ
孔雀王や夜叉鴉とか荻野作品とのクロス
怨霊になって復讐しに来るシャルル
681名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 12:41:17 ID:I7Hc+7OI
ジャギィ……
682名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 12:46:23 ID:yvJ4dkxX
逆に兄弟愛という事で宇宙鉄人キョーダインからスカイゼル グランゼル
683名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 12:51:39 ID:FFX1dmWX
>>676
鉄火饅無礼℃?
684名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 13:06:17 ID:NnPidJe4
印象深い兄弟喧嘩・・・・・・・

兄「カラスが黒い、という命題を覆すにはうんぬんかんぬん」
弟「兄上はご自分の以下略」
685名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 13:26:50 ID:XzQes99a
兄さんをとぅんとぅんしていいのは僕だけだ!
686名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 13:45:18 ID:KOtICuw/
貴様の召喚は侵略行為
687名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 13:50:18 ID:mBXcS2gM
悠久3のルシードが、召喚されたら
多分こうなるんじゃないかなと思った
「ブルーフェザーだ!
 魔法行使による誘拐の現行犯で逮捕する」
688名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 14:18:13 ID:UrmgU2mh
>>686
それは俺がすでに使ったネタだ。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 14:20:07 ID:m1YJNiBN
いや
俺だし
690名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 15:29:08 ID:T9vlEisc
>>642
小ネタだがT-1000
691名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 15:45:35 ID:UWKfrrLy
決闘のイベントでギーシュが容赦無しに殺されたのってなんかある?

今の所ジョジョクロスのプロシュート兄貴ぐらいしかしらねーや
692名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 15:58:02 ID:e7gVUh7Z
T-1000は「悪人」とゆーのだろうか…
ちょっとニュアンスが違うような気もするが
693名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 15:58:07 ID:IUhxMMbu
というかあれ読んで思ったけど、普通は学生に非があっても
学生が殺されたらそいつに何らかの処罰するのが普通だよね
694名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:01:14 ID:e7gVUh7Z
アンパンマン「顔が汚れて力が出ない…」

そこへ駆けつけるコルベール先生の作ったカマド搭載の顔型走行車両!

アンパンマン「マルトーおじさん!」
シエスタ「アンパンマンさん、新しい顔です!」


とこういうストーリーはどうだろう
普段出番のないマルトーさん&シエスタの遠投が大活躍
695名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:03:09 ID:FRctwCKA
劇場版アンパンマンなら多分ハルケ大陸の浮上も阻止してくれそうだw
今後は大陸浮上阻止をクライマックスに据えたクロス作品も出てくるんだろうかね。
696名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:12:11 ID:e7gVUh7Z
「アンパンマンは私の使い魔なのよ!」と独占欲をむき出しにするルイズと、
「ルイズちゃん、ぼくはみんなが好きだよ」という博愛精神の塊のアンパンマンのすれ違いと和解、
タバサやキュルケなどとの心の交流等を描く。悪人以外誰からも愛されるアンパンマン

ギーシュは決闘イベントで一回地平線の彼方まで殴り飛ばされそうだがw
697名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:15:59 ID:e7gVUh7Z
ついでに品評会の舞台でカチコチに固まるあがり症のアンパンマンと、
何故か召喚されていて場を引っ掻き回すしらたまさんなんかも出てくると面白そう
698名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:16:22 ID:S1z7XrIw
アンパンマンの中身はアンコです。そしてサイズは人の顔よりも大きいのです。
それをブン投げて命中させるバタコさん……そしてここではシエスタの腕力は……モット伯が情事の最中に死体に変わりそうだ。
699名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:24:29 ID:NnPidJe4
ちなみにつぶあんなんだそうで
だってやなせ先生がつぶあん大好きだから
700名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:27:22 ID:e7gVUh7Z
ルイズはアンパンマン、タバサは多分ロールパンナを召喚するとして
キュルケやその他は何を召喚すると合うかねえ
701名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:40:42 ID:NnPidJe4
アンパンマンは小ネタに傑作があるので勧めてみる
702名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:42:16 ID:aamQ4NUK
>>700
キュルケはカレーパンマンでどうかな。
結構相性はいいと思う。
そしてギーシュは食パンマンを召喚して紳士な彼に二股していることを説教されるとか。
703名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:47:41 ID:UrmgU2mh
カレーパンマンによってハルケにカレー革命が起きるんだな。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 16:54:30 ID:3TATCvMz
天丼、かつ丼、かま飯の三人はどこでもよさそうだな。
で、ロマリアにあるのはばいきんまん製のもぐりんとか。
 
そういえば、タバサの冒険に出てくる錬金コック志望のリュリュはアンパンマンキャラと相性ばつぐんだな。
705名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 23:10:10 ID:JSmF+VZV
復活したか。
706名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 23:10:41 ID:CYNGjGyu
バイキンマン召喚
企んでた悪事が全部裏目に出てしまい周囲から英雄と称えられてヒーヒー言う
707名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 23:23:37 ID:uT/LIH1m
何気にチート技術力の持ち主バイキンマン
怪しげな機械作って悪事を企んでるところにコルベール先生が現われてべた褒めされていい気になって失敗
708名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 23:30:48 ID:oLL5yB1h
類似例・エッグマン

あいつら真面目に搦め手使えば世界征服とか簡単なはずなのになぁ
709名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 23:35:30 ID:6pdRC0lC
「本気で世界征服したら人間たちが滅んでしまうではないか。なんぼなんでもそりゃまずかろう」
と息子に語る魔王を思い出した
710名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 23:37:03 ID:CYNGjGyu
でもいくらライバルキャラだけ出してもソニックやアンパンマンいないと抜け殻だろうね
彼ら行動原理にライバルに勝ちたいってのがあるし
711名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 23:48:57 ID:pLfZsYa3
風のワルド
水のオルトロス
土のスキルニル
炎のメンヌヴィル

紅一点がいないぞ!
712名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/08(月) 23:57:13 ID:wZfeL1l3
疾風の我流努
密林の折人呂須
火炎の面濡火留
巨山の鍬屡似

わーつよそー
713名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 00:02:36 ID:CYNGjGyu
ルイズ達をセーラー戦士に
714名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 00:07:59 ID:6kwXG+MS
キュルケがただの風俗嬢になってしまうぞ
715名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 00:24:14 ID:1Pw0sd9a
セーラー戦士は属性であてると面どいんだよな。
あとゼロつか女性陣のなかには明らかに年がやばい人もいるし。
716名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 00:38:27 ID:5nmCjTfr
エレオノール姉さま、ちい姉さま、マチルダ姉さんのセーラー戦死姿はそれだけでご飯100杯いけるだろJK……。
717名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 00:43:35 ID:PP3l7mOP
>>716
胸焼けしそうなんだが。
718名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 00:43:46 ID:5ph5lun0
水星→モット
金星→
火星→メンヌヴィル
木星→ワルド

1人足りないな
719名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 00:54:33 ID:kTyzou8H
エターナルセーラームーンが風石問題を全て解決
720名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 01:22:56 ID:vKYDQQ0a
>>715
セーラー戦士は全部で9人だからなんとかならんか?
メインは5人で外惑星2人は外部勢力、冥王星と土星は特殊だしさ。
ルイズ、キュルケ、タバサ、ティファニア、モンモランシー、シエスタ、イザベラ、ジョゼット
あともう一人使えそうなキャラを見繕えばどうにか揃わないかな。
721名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 01:36:02 ID:1Pw0sd9a
こんなとこか

月:ルイズ
火:キュルケ
水:モンモン
木:タバサ
金:テファ

土:ジョゼ
天:シエスタ
海:アンアン
冥:イザベラ
722名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 01:46:44 ID:cEcgajFg
しかし、今や冥王星は太陽系からハブられたかわいそうな子だからな……

やっぱ、あの恥ずかしい仮面はワルドになるんだろうか。
723名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 01:58:26 ID:zECpGfht
バラつながりでギーシュというのもアリでは
実力やカップリング面的な問題があるかも知れんが
724名無しさん@お腹いっぱい:2010/03/09(火) 02:02:49 ID:nXYOIcgm
w
725名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 02:53:09 ID:Ab/g+Etc
ワルキューレ仮面さま!
726名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 02:56:12 ID:6kwXG+MS
ゾイ才人の出番だな
727名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 03:43:31 ID:U14quJQD
そんなカセット文庫思い出しそうなフレーズ
728名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 10:44:16 ID:PP3l7mOP
>>725
正体はいったい何者なんだ……?
729名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 11:13:43 ID:X0QjfJe6
>>716
場末のキャバクラだなw
730名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 11:39:57 ID:ZdD2Zb9g
衣装繋がりで青銅聖衣だけを召喚しちゃったってのは無いのか
731名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 12:12:57 ID:qRBPcvAI
聖衣は青銅でも自力で主の所に帰還しそうだからな。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 12:21:57 ID:IMih4Ap2
>>678
ワルドを画:原哲夫にすると、俺の中ではヤサカになってしまう…。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 12:24:41 ID:5LvlgmZH
【リクエスト】こんな物語が読みたい!【受付】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1232987628/
734名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 12:28:49 ID:bQX+gfvy
ルイズをウルトラ戦士にしたらゾフィーらをお兄様と呼ぶのか
735名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 12:47:10 ID:jUjB973d
>>731
じゃあ、カイザーナックルあたりしようぜ。
あれはもう投棄されてるから、新たな主にルイズ選んでも不思議じゃない。
736名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 12:55:35 ID:x0tEnjvz
>>729
そのドリームクラブは何処にありますか!?

あとSILENT KNIGHT翔という単語が脳裏に浮かんだ
ルイズが神人類にエヴォリューションDA!
737名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 13:46:01 ID:OYZ67/7a
>>736
オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな
      
               このはてしなく遠い使い魔坂をよ・・・
738名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 13:47:50 ID:hrWcOXsk
打ち切りか…。
739名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 13:56:46 ID:qRBPcvAI
聖闘士はシスコン、ブラコン、マザコン、露出狂と一通り揃ってるよな。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 13:59:55 ID:GYQwlzqq
>>734
ルイズがハヤタ達を学院に誘って広場でBBQするのか
741名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 14:01:53 ID:3MbM2yZT
そこから黄金聖闘士になると神に近い男がいたり、ヨボヨボのじいさんがいきなり18歳くらいになったりする
742名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 14:17:09 ID:FrNh0oXu
>>735
カイザーナックルと聞いて最強の尖兵・パーフェクトソルジャーが出てくるゲームを連想して
4人(?)の使い魔が右手・ペットショップ(ジョジョ)、左手・トキ(北斗)、
頭脳・毛利元就(BASARA)、(攻略法を)記すことすらはばかれる・ジェネラル(カイザーナックル)
まで妄想余裕でした。
743名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 14:24:10 ID:wiBSH1eC
MUGEN厨死ね
744名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 16:34:12 ID:MLGQlV2B
魔法学院(のみ)の平和のために戦う美少女仮面ゼロトリン
「愛ある限り、戦いましょう!」
745名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 16:43:51 ID:bQX+gfvy
メイジパワーメイクアップ
746名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 16:46:41 ID:wCPbTEGP
オスマン「オヤジパワーメーイクアーップ!」
747名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 16:48:03 ID:OYZ67/7a
>>746
で、オスマンが18歳のジジイに変身して金ピカの鎧を着込む、と
748名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 16:59:17 ID:5AO9aaa3
しかしこのスレの平均年齢はいくつなんだ・・・・
749名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:01:19 ID:gOgQIB2S
黄金でまともにルイズのいうことを聞いてくれそうなのは
時代を問わず、牛さんくらいだろうな
750名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:06:21 ID:9CPLT06C
>>748
25ぐらいじゃね?
標準偏差はやたらと高そうだが
751名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:06:46 ID:OYZ67/7a
ライオンさんとケンタウロスさんも過去現在問わず聞いてくれそう
752名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:10:38 ID:OYZ67/7a
>>748
精神年齢は異様に低いっポイ
753名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:16:27 ID:oQYxYVIg
永遠の17歳ですからー
754名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:26:46 ID:zw7KUPRy
755名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:34:14 ID:5AO9aaa3
どいつもこいつもオスマン並みに長生きしそうではあるな。
756名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:38:11 ID:zECpGfht
乙女「使い魔とやらになってほしければ、大地に頭を擦り付けてこの私を拝め!
   そうすれば、万に一つなってやらんこともない!」
757名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:53:04 ID:wCPbTEGP
宿命の17歳(^^;)
758名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 17:58:53 ID:zECpGfht
羊「くらえ!わが師シオン譲りの…
  うろたえるな小僧ーーーー!!!(ワルド4+1体が見開きで吹っ飛ぶ)」
759名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 18:13:42 ID:OYZ67/7a
17歳の伝説
760名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 18:18:52 ID:3RvpIheg
>>738
>打ち切りか…。
そもそも原作未完のノベのSSなんだから
「俺たちの戦いはこれからだEND」なんてむしろ自然なくらいと
というわけでザ・打ち切りーズ召喚
田中魔王
マサトメ
倉本駆馬
武士沢光沢
四方堂麻里亜
御手洗団吾
勇者アベル
アルバトロ=ナル=エイジ=アスカ
ミア=アリス
天城空也
リュウセイ=ダテ(新)

なんかジャンプばっかりだわ
761名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 18:20:56 ID:ZdD2Zb9g
>>760
田中魔王は一応魔族だしかなり強力な部類ではあるんだろうけどな

なんといったって水虫を完全治療できるんだし
762名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 18:22:09 ID:zECpGfht
個人的な打ち切りヒーローはペイントマンの一色彩人
たぶん知ってる人はほとんどいないと思うが自分は好きだった
763名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 18:28:36 ID:ZdD2Zb9g
>>760
惑星をつぐ者のバラダット・ナイブスも入れてやってくれ
764名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 18:51:52 ID:bQX+gfvy
ルイズ「わ、わざわざM78星雲からよくぞお越し下さいました、お兄様方。
     今宵はこのルイズ・フランソワ・ド・ヴァリエール、精一杯御持て成しさせて頂きます、心行くまでお楽しみ下さいませッ!」
ハヤタ「ハハハ、そんなに堅苦しくなる事は無い、兄妹でそんなに畏まるのは変だろう」
ダン「ウルトラマン兄さん、ここは地球じゃないんだ。俺達の知らない仕来たりが色々あるんだろう。」
北斗「全くダルイよなあ、タキシードなんて地球にいた頃は着なくて済んだのに」
郷「お前がいつでも自然体過ぎるだけだろう」
ルイズ「あれ、そ、そういえばゾフィーお兄様は」
郷「ゾフィー兄さんならハルケギア周辺のパトロールだ、終わったらすぐ合流するらしい」
北斗「ゾフィー兄さん働き者だよなあ、折角の兄妹揃ってのメシだってのに」
ダン「ゾフィーなんかいいよ、さ、パーティーへ行こうぜ」
765名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 19:30:07 ID:C56XCcMq
勇者アベルってアニメ版ドラクエのやつだよな?
あれって最終的にきっちり完結したよな?
766名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 19:36:51 ID:hrWcOXsk
>>760

『千石うぐいす』と『奈良重雄』も追加しといてくれ。
767名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 19:45:47 ID:Rb+CMpLZ
ルイズと相性が良さそうなウルトラマンはゼロだな
768名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 19:45:48 ID:XZpejEYz
宇宙鉄人キョーダイン、原作(テレビ版)終了後に召喚。

いや、ルイズに「お兄ちゃん」と言わせたいだけなんだが。
769名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 20:48:21 ID:UbWnZCDU
大番長から、豪ちゃん召喚すると……
物語終了後だと、クレイジーに強いので
やはり、物語中の学聖ボタンに力をチャージ中でパラメーターに
−100の状態の方が面白いのかな?
770名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 21:03:14 ID:x0tEnjvz
もういっそルイズの望む通りにドラゴン召喚させてやろうぜ
7thDRAGONからフロワロと一緒に
771名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 21:55:35 ID:uhJZOj8R
ドラゴンならセンコークーラ(チビスケ)とかかわいいし良いじゃないか
772名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 21:57:26 ID:1Ny4gq13
ここですえぞうを
773名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:14:06 ID:D+93c49T
ドラゴンなら小隆起様を召喚してちっぱい同盟
774名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:14:32 ID:0RlaRmR4
>>770
竜を666匹か
軽く世界が壊滅するな
775名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:27:47 ID:UbWnZCDU
ドラゴン……
真・ゲッタードラゴンを召喚して
〜ハルケギニア最後の日〜とか
ドラゴンボールのシェンロン召喚で
使い魔になれの願い事の後に、飛び散るシェンロンとか……
776名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:32:14 ID:PFvg5wvm
ドラゴン種族をだな
777名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:32:53 ID:3MTSpr36
ユカイなミルさん召喚?
778名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:33:41 ID:f1nNQhkx
>>772
タルブでルイズとシエスタの命を対価に5色のドラゴンが来て全部消滅。
(レコンキスタもガリアもロマリアも聖地も)
779名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:39:16 ID:cEcgajFg
そうや、アンアンがゲルマニアに嫁いだ場合、トリステインの王位はどうするつもりだったんだろうな。
780名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:42:45 ID:q5JDYvDa
>779
多分マリアンヌ王妃を象徴に、鳥の骨が自身に鞭打って政治を続け、将来的にはアンリエッタが産む子供を王として戴くつもりだったのでは?
781名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:43:07 ID:dBP9CyBh
ドラゴン…アーフィM4…ってこっちは正式には竜機神<ドラグーン>か
龍王機は魂吸っちゃうからルイズが危機だしなぁ
ロボ系のドラゴンは難しいな
武者頑駄無の龍神導士仁宇頑駄無とか白龍赤龍蒼龍とかなら行けるか?
782名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:43:08 ID:3MTSpr36
>>779
アンリエッタの第二子が継ぐというのが一般的かな?
783名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:47:10 ID:/GNJJqT4
場合によってはルイズパパが王位に付くって可能性もあるかな?
王家傍系の公爵ってのは王位継承権を持つし
784名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:49:43 ID:cEcgajFg
>>782
どっちにしろ結構時間かかるな。
嫁いで、そんなポンって産まれりゃ跡継ぎ問題なんて起こるわけないし。

リッシュモンとか腐ったミカンも居る事考えたら、内乱もあり得ない事ではないし、ホント運がいいなぁ。
785名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:52:18 ID:30afRZ0p
モンハンネタはどれも面白かったな
小ネタでいけるし
786名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 22:52:55 ID:3MTSpr36
>>783
多分無理。
王様というのは、王家という家を継ぐ人という扱いだから、
すでにラ・ヴァリエール家を継いでいるルイズパパには継承権は基本的にない。

逆にいえば、エレオノールとルイズにはあるはず。
分家を継いだカトレアにはないけど。

まぁ、公爵家の場合嫡男にしかないとかいう縛りがあることもあるから、ルイズにはないということもあるし、
トリステインの国法では他家を継いだ人にも、王位継承権はあるのかもしれんが。
787名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 23:18:38 ID:OgKBzrud
魔砲使いの人マジ慧眼だったな
788名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 23:36:28 ID:m7wofa0w
虚無後は王位継承権上位(二位?)になったんだっけルイズ
789名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 23:36:57 ID:/GNJJqT4
一位は誰よ?
790名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 23:39:23 ID:cEcgajFg
ヴァリエール公爵家から出る事を考えると、エレ姉さまじゃね?
ちいねえさまはラ・フォンティーヌ継いでるから飛ばしでルイズが二位。
791名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/09(火) 23:42:31 ID:kTyzou8H
>>779
王朝交代するだけじゃないの
おそらく継承戦争がおこると思うけど
792名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 00:32:00 ID:+Mhe/kum
水のメイジの力で北岡先生の病を治してくれれば
もうライダー辞めたしヴァリエール家顧問弁護士としての一生を潔く選ぶだろうか
793名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 00:37:39 ID:r719Eoyq
>>792
ゴローちゃんのいない北岡先生なんて、ツンデレ要素のないルイズみたいなもんだぜ。
794名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 00:48:20 ID:WKFiX+zv
シエスタちゃん、後よろしく。
795名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 01:11:58 ID:tDRbjz/S
王位継承権で困ったら団体戦によるトーナメントやれよ
796名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 01:48:07 ID:qDq9EldN
そしてルイズには強力の神が降臨するわけだ
797名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 01:53:45 ID:kvreQPE8
そして、ワルドの胸のローラーにサイトが潰されて
ギーシュがサイト・ザ・グレートとなり、ルイズとコンビを組んで勝ち上がるわけだ
798名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 01:58:06 ID:rOyHgdBJ
紅い獅子の人帰ってキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
ってことで寝る前に代理投下
799ゼロの少女と紅い獅子 第10話 代理:2010/03/10(水) 01:58:49 ID:rOyHgdBJ
 街は騒然となっていた。
 あちらこちらで火の手が上がりメイジや武装した兵士が戦闘を始めている。
 奇襲のために待機していた連中が炙り出されたか、元々こういう作戦なのかは不明だが。
 反乱軍は積極的に市民を攻撃するそぶりこそ見せないが、無差別に攻撃魔法を叩きこんでは多くの巻沿いを
生み出していた。

 詰め所を脱出した一行はその喧騒から逃れる為、一路郊外に向かって進んでいた。途中何度かメイジや兵士が
立ちはだかったが、それらはことごとくワルドに無力化された。
 やがて大きな街道に出た。幸い周囲に反乱軍の姿は見えない。街道は街を外れて田舎に向かっている。
 ワルドはウェールズから借りたメイジの一人に告げる。
「この後は君達に任せる。我々にはまだ任務があるからな」
「お力添えに感謝いたします。ブリミルの御加護があらんことを」
 メイジや一行は感謝を述べると街道からゾロゾロと街を後にした。

「どこに逃げたって、戦火から逃げられるとは思えないけどねぇ……」
 去りゆく人々を見ながらフーケが呟いた。
「誰だって命は惜しいさ。目の前に死が迫れば皆逃げる」
 そう言ってワルドは再度辺りに目をやり敵を探ったが、周辺には反乱軍も市民の姿も見えなかった。
 さすがに火をつけて回り、略奪するほどではないらしい。あるいは後から計画的に略奪するのかもしれないが。
「さて……任務はいいが、このままでは賊の手がかりを掴むのも苦労しそうだな。まさか当てもなくアルビオンを彷徨うわけにもいくまい」
「ワルド、ゲンやウェールズ殿下とはどうやって合流するの?」
「うむ、期を見て少し戻ってみるつもりだが、まあ、オオトリ君がいれば少なくとも危害はあるまい」
 その言葉にルイズが複雑な表情を浮かべた。
 
 学園を出るとき。いやラ・ロシェールを発つ時ですらこんな事になるとは想像もしていなかった。赤と黒のブサイクドラゴン
――確かギラスとか言ったか――に襲われる方が、ある意味ではマシだったかもしれない。自分達は国家の存亡に関わろうとしているのだ。
 確かに最早アルビオンは国家としての体を成してはいない。しかしウェールズが存在しレコン・キスタを認めない限り彼等は賊軍のままだ。
 ましてや彼等は状況から察するにジェームズ王を既に虜に、いや殺害してるだろう。
 この現状で待っているのは介入戦争だ。ただ、空中を飛ぶアルビオンにおいそれと手を出せる国はそうないが。
 それでも、ウェールズを立てればまだ大義はある。トリステインは小国だが、ゲルマニアやガリアあたりが本気になればいくらレコン・キスタ
と言えど打ち負かすだろう。
 逆にウェールズが亡き者になればそれこそ何とでもなる。適当な言葉を並べて――実に不謹慎だが――予言でも何でも捏造すればいい。
 抜け掛けが出来ないのはどこも同じ。他国もそう簡単には攻め込めない。まさかレコン・キスタも本気で聖地を狙ってるとは考えにくい。

 ルイズは身を震わせた。ウェールズの生存如何でハルケ・ギニアの勢力図は大きく変わるかもしれない。
 その護衛の一人に自分の使い魔が混ざっているのだ。
 護衛の失敗を恐れているのではない。あまりの見通しの立たなさが恐ろしいのだ。
ここまで巻き込まれて、このいざこざが終わって「ハイ、サヨウナラ」と言う事にはなるまい。任務を中断させてでも彼の安全を
確保しなくてはならない。
 ならばどうするか?
 トリステインに連れ帰るのが一番手っ取り早い。だがそれは母国に戦乱の火種を持ち込むことになる。

 ――どーするのよ……。

 最近、急速に増えつつあるため息をついたルイズを見てワルドが口を開く。
「考えていることが大体理解できるぞ、ルイズ。まあ、こうなった以上一旦戻るしかあるまい。ウェールズ殿下の安全保障的にも、な」
「で、でもトリステインに連れて帰ったら……」
「しかたあるまい……。枢機卿はいい顔をしないだろうがな」
 そして、詰所のある方角を見て続けるワルド。
「問題は、殿下がそれを望むかどうかだ」


「奇跡だな。或いはまだブリミルは我らを見放していなかったか」
 ウェールズの呟きは、軽い自嘲を含んでいた。
 二度目の襲撃を何とか撃退したウェールズらは詰め所をから脱出し、近くの空き家に逃げ込んでいた。
 賊の撃退には成功したものの、被害は甚大だった。もともと少なかった味方のメイジは更に何人かが打ち取られ、残る者も
皆大なり小なり傷を負っていた。中には虫の息の者もいる。
「もっとも、ここを嗅ぎつけられるのも時間の問題だろうが」
 そう言って、配下の者達を見渡した。
800ゼロの少女と紅い獅子 第10話 代理:2010/03/10(水) 01:59:10 ID:rOyHgdBJ
 傷つき打ちのめされても尚、彼らの目は腐ってはいなかった。そして、ウェールズが彼らに下す命令を待っている。
 おそらくは最後の命令を。
 その眼差しを受けてウェールズがすっくと立ち上がった。古びた家屋の中にあってもさすがの凛々しさである。
「私は貴公らの様な家臣もって大変光栄だ」
「むう、ならば一番手柄を立てて益々殿下の覚え良くならねばなりませんな」
 ある家臣の芝居がかった一言に一同がどっと沸いた。

 その光景をゲンは少し離れて見ていた。
 複雑な心境だった。本来ならば玉砕覚悟の突撃など、思いとどまらせるところだ。
 だが彼らは少々状況が違う。
 戦いに敗れ、自分たちの国をほとんどを奪われ、そして今、憎き敵は彼らの首を取らんと肉薄している。
 逆転の道が無いならば、せめて一矢報いて花と散る。それはそれで理解できる。

 だが、彼らには守るべき民が居る。民もまた彼らを当てにしてあの詰所に集っていたのではないのか?
 民を統治する者はその最期の瞬間まで民とともに在るべきではないのか?
 それとも、ウェールズ達にとって民はそのような対象ではないのか。

 ――或いは、彼らが見限られたか。


「君。そう、たしかヴァリエール嬢の従者であったかな」
 ゲンの黙考を打ち破ったのはウェールズだった。このような状況にもかかわらず口元には笑みを浮かべている。
「ここまで、よく戦ってくれた。君が居なくてはもう我等は生きてはいなかったであろう。礼を言う」
「いえ……勿体ないお言葉です」
 頭を下げつつも、渋い顔はすぐには隠せない。ゲンはそこまで器用な男ではなかった。
 その表情を勘違いしたかウェールズが続ける。
「あぁ、心配せずとも君にまで付き合えとは言わんよ。君はヴァリエール嬢達と早々に合流したまえ」
その心配はもっともな事であったが、ゲンはその言葉に即座に答えることはできなかった。
なおも逡巡する彼に流石にウェールズも怪訝な表情になる。
「恐れながら殿下、お尋ねしたい事がございます」
「む? 構わぬが」
「殿下は……。この後のアルビオンと貴方の臣民をどうお考えです?」
 意外な方向の質問に一瞬ウェールズは表情を失う。
 そして、その言葉の意味を咀嚼するうちに何とも言えない表情になっていった。
 やがて、それは自嘲の色を増し行く。
「……君は知らなかったのだろうな。此度の戦いは外部からの侵略では無い。わが臣下が、そそのかされたとは言え反乱を起こしたのだ。
 反乱を抑えきれぬ王族に臣民は着いては来るまい。城すら失った王族は討ち死にするのみだ。虜の辱めは受けんよ」
「ならば、人々は何故あの詰所に集まったのです?」
「為政者の庇護を求めて集まったのではあるまい。彼らは助けてくれれば誰でも良いのだよ」
「それでも彼らは殿下と家臣団の皆さんの力を頼りにしてるのですよ」
 しぶとく食い下がるゲンにウェールズは煩げにかぶりを振る。
「私は……もう、彼らを庇護する義務はない」
 その言葉で場が沈黙した。家臣のメイジ達も押し黙っている。ウェールズ本人も口には出したくなかったのだろう。表情からは自嘲の笑みも
消え失せ、苦しげな表情を浮かべている。
 それでもゲンは言葉を絞り出さずにはいられなかった。
「……殿下が王族なのは城があるからですか、領地があるからですか。そうでは無いでしょう……!」
 これには流石に家臣も気色ばんだ。杖に手をやり、ズイっと一歩踏み出してくる。
「無礼な、下郎めが。言葉を慎め!」
「殿下、平民の言葉に惑わされてはなりませんぞ」
 口々に罵倒を口にするメイジ達。
 その内の一人が興奮してゲンに詰め寄った。
「平民の分際で我等貴族、ひいては王族たるウェールズ殿下に良くもその様な言葉が吐けたものよ!
領地を追われた口惜しみ、城を追われた口惜しみ、忠誠を誓う王を守りきれぬ口惜しみ、貴様ごときに何がわかるか。
戦場に出ぬ貴様らに罵倒されるいわれなど無いわ!」
 他の家臣たちもそうだ、と言わんばかりにゲンを睨みつける。
 確かに彼らにしてみれば、剣折れ矢尽き、最早これまで。ならば敵と刺し違えてでも、と言ったところでこのセリフを浴びせられたなら、
無粋な闖入者にしか映らない。
801ゼロの少女と紅い獅子 第10話 代理:2010/03/10(水) 01:59:38 ID:rOyHgdBJ
「……知っている」
 何の事か理解できたのはゲン本人だけだっただろう。
「何と?」
 呆けた様にメイジの一人が尋ねた。
 亡国の王子が続ける。その顔は古傷を抉られ苦痛にゆがんだ。
「知っている。国土を破壊され、弟を囚われ、王を目の前で殺された時の、無力さを、口惜しみを俺は知っている」
 場を沈黙が支配した。
 冗談と笑い飛ばすには、ゲンの様子は尋常ではなかった。
 ゲンは奥歯を噛みしめ、拳を握り黙してしまった。固く閉じた拳が小刻みに震えている。 
 家臣たちも互いに顔を見合わせしきりに口は動くものの、重い静寂がそれに蓋をする。
「一体、君は……」
 ようやくウェールズが口を開いた時。
「アアァァァ……!」
 断末魔が突然戸口から響いた。恐らくは外に待機していた刺客がやられたのだろう。
 だが、誰がやったのか? 援軍は期待できない。
 決して喜んで良い状況ではなかった。
 先程までとはまた違った緊張が支配する。皆一様に戸口に注意を払う。

 唐突に扉が開いた。と、言うよりはブチ破って何かが放り込まれたと言ったほうが正しい。その物体が明らかになるとメイジ達の間に
戦慄が走った。
 黒焦げになった人間の死体であった。どういう力が働いたか、体のあちこちがおかしな方向にひん曲がっている。
 メイジ達の戦慄はこの死体そのものに向けられた物ではない。その原因に対してである。
 ズルリ、と重たげな移動音が聞こえたのは直後だった。再び皆も注目が戸口に向く。

 実に形容しがたい生物が――これを生物と認めるとするならばだが――そこに居た。
 全長3メイルと言ったところ。石のような肌、真っ赤な目、カエルのような面だが亀の様な首をもち甲羅を背負っている。
 何より異質な事に、本来手足があるべき場所は管の先のようになって広がっている。
 皆言葉を失った。それはあまりにも理解の範疇から逸脱しすぎている。
 
「な……何だ、コレは?」
 一人がもっともな疑問を口にする。そしてそれに対する回答はすぐに行われた。
「キィシャアアァァァ!」
 突然、バケモノが口を開くと同時に真っ赤な舌が飛び出した。一瞬にして近くに居たメイジの首に絡みつく。
「ゲェッ!」
 それこそカエルの様な悲鳴を残して、そのメイジの体が力無く崩れた。一撃で首の骨を折られたのだろう。
 バケモノは哀れな犠牲者を長い舌で振り回し、無造作に放り投げた。
「うっ……おおおおお!」
 しかし訓練されたメイジである。いかにショックを受けようと、たちまちの内に臨戦態勢となる。無数の炎の矢が、
氷の矢がバケモノに殺到した。
 しかし、それらはいたずらにバケモノを刺激したに過ぎなかった。その不気味な皮膚には傷一つ着かない。
 余りの事に、流石に一行が後ずさる。それに合わせてバケモノが一歩踏み出した。
「デエェェイ!」
 その瞬間、ゲンがバケモノに突撃した。右手にはいつの間にか抜刀されたデルフリンガーが握られている。
 すかさずバケモノが舌で迎撃する。寸分の所でかわすゲン、振りかぶった大剣がバケモノの口内を捕らえようとした。
 しかし、その瞬間。長い舌は突然軌道を変えゲンに巻きつく。
 とっさにデルフリンガーで迎撃しようとしたのが仇となり、右腕の自由を奪われる。
「シャッアアァァァ!」
 大きく振り回されそのままゲンは壁に叩きつけられた。派手な音が衝撃を物語る。
 一瞬息が詰まるも、空いた左手で舌を掴んで捻じり上げながら、ゲンはウェールズ達に向かって叫んだ。
「今のうちに逃げてください!」
「な、……逃げるなど。最早……」
「得体のしれないバケモノにやられて、名誉も無いでしょう!」
「む……う……」
 名誉の死などと言う物はあり得ないというのがゲンの考えであったがここは方便である。
 しかし、ウェールズ達はなおも躊躇する。
「ならば、先に行った私の主人達を応援に呼んできて貰えますか?」
「しかし……君はどうする! 見捨てて逃げるなどはできん」
「ご安心を殿下……」
 ゲンは苦しさをにじませながらもニヤリと笑って見せる。
「私はこいつと戦って勝った事がありますから」
802ゼロの少女と紅い獅子 第10話 代理:2010/03/10(水) 02:00:02 ID:rOyHgdBJ
「なっ……! 君は一体……?」
 それでもその言葉で楔が抜けたように一行は別の出口にジリジリと移動を始めた。だが、それをバケモノは目ざとく認めると、
ウェールズ達に向かった管のようになった前足を向けた。 
「うおっ!」
 そこから、猛烈な火花が散った。至近距離からこれを浴びれば、確かにそう時間を置かず黒焦げになるだろう。
「このぉ!」
 ゲンが腕を絡めとられたまま突進してバケモノに体当たりした。火花の軌道が逸れる。
「今のうちに! 早く」
「う、うむ。君、死ぬなよ! ワルド殿と合流したら戻るからな」
 そう言い残してウェールズ達が足早に脱出してゆく。
 バケモノが追いすがろうとズルリ、ズルリと体を重たげに動かすが、それをゲンが渾身の力を込めて阻止する。  
「飛んで追いかける事も出来ないところをみると、かなり中途半端に生み出されたようだな」
 ゲンが左手に力を込めながら呟く。その甲は鈍いながらも光を帯びていた。
 その力をもってしても不利な状況だったが、ゲンは目の前のバケモノを逃すわけにはいかなかった。
 円盤生物がハルケ・ギニアで出現した事実。それは、ここにブラックスターの破片が降り注いだ証だ。
 そして、こうもタイミングよく表れたという事は、何者かがその力を理解して使っている証。
 ――マグマ以外にも俺のいた宇宙の奴が居るのか?
 一瞬疑問が浮かんだが、それもすぐに打ち消す。なお、彼には現地人が使っているというのは論外だった。
「おまえを倒して、飼い主を引きずり出してやる……!」
 低く唸るように呟き、ゲンはデルフリンガーを振りかざした。


 ルイズ達は元来た道を戻っていた。兎にも角にも、ウェールズ達一行を放っておくわけにはいかなかったからだ。
 もと来た道を逆方向に向かっているにも拘らず、ルイズは妙な違和感を感じていた。
 それは、あとの二人も同様だったらしい。フーケなどは先程からしきりに辺りを見回している。やがて、ワルドがポツリと呟いた。
「妙だな……」
「妙って?」
 違和感が解消できるかもとの期待もあって、ルイズが返す。
「静かすぎる。さっきまであれ程混乱していたのが、ぴたりと止んでしまってる。あまりに不自然だ」
 歩みを止めてルイズも辺りを見渡す。
 成程、いかに裏路地といえど脱出する時はそこら中から喧騒が聞こえていたのに、今では完全に静まり返っている。 
 レコン・キスタの連中が撤退したのだろうか? 息を潜めて隠れている町人の気配は何とは無しに感じられた。
 しかし、ならば何のためにあれ程の騒乱を始めたというのか。敵の意図をルイズは測りかねた。

 その時、唐突に背後から声がした。
「遅いから迎えに来てあげたわよ、ミスタ・ワルド。女性二人をはべらせて到着とは良い御身分ね」
 その声にびくりと反応したのは女性二人。ワルド露骨に顔をしかめながら、ゆっくりと振り返った。
 女が居た。フードを頭かぶっているのと良い、フーケと背格好が似ているが、更に冷たい感じが窺えた。
 フードの間からは意味もなく浮かんだ薄ら笑いが覗く。
 暫く黙っていたワルドはスッっとルイズの前に移動して口を開いた。
「……どう言う事だシェフィールド。事が性急すぎるのでは無いか?」
 詰問するかのような口ぶりのワルドであったが、シェフィールドは飄々とした態度でそれをかわす。
「思った以上に『アレ』の回収が進んだのよ。お陰でそれなりに使い物になるのが出て来る様になったわ」
「バカが……。感づかれたらどうする気だ。それに『アレ』はお前達が思っているほど使いやすい代物ではない」
「感づかれたら、ねぇ?」
 そう言って、首をかしげて見せるシェフィールド。ワルドは身動ぎ一つせず泰然と佇んでいる。

 一方、ルイズは混乱していた。まったく唐突に表れた女とワルドが知り合いであるのは勿論だが、二人の会話を聞く限りでは
どう考えてもワルドがレコン・キスタに通じているようにしか聞こえない。
 信じられなかった。王国の騎士団全体でも特に優秀であり、枢機卿の覚えも良い模範的なメイジであるワルドが、よもや
レコン・キスタと関係があるなどとは夢にも思わない。
 立て続けに起こる、想定外の事象に彼女の理性は悲鳴を上げそうになっていた。
 ところが、理性と言う物は自分に注意が向くと頑丈に成るものだ。
「……で、その小さい娘が――可能性ね。まだ覚醒していないのかしら」
 シェフィールドが自分の事を言ってるという事を理解するのにルイズは時間を要した。
 そして、あっという間に冷静になる。ただしそれは、氷の塊で無理やり得られた冷静さであったが。
803ゼロの少女と紅い獅子 第10話 代理:2010/03/10(水) 02:00:52 ID:rOyHgdBJ
 そもそも、会った事もないこの女が何故自分の事を知ってるかが問題であった。
――大体、覚醒って何のこと?
 そして、ひどく冷えた心根は次の一言で凍りつく。
「こっちに連れてきた方が始末しやすいって事かしら? ――勿論、やってくれるわよね」

 ――始末、殺す、誰が? 誰を? 何? 何なの? どうなってるのよ? 私は――
「それは覚醒したらの話だ。 約束は守ってもらおう」
「どうでも良いことだわ。不確定要素は早めに摘み取っておくべきじゃない?」
 懐に手を忍ばせながら、あくまでも余裕たっぷりで応じるシェフィールド。
 その動きに応じるように、ワルドが腰に携えた杖に手をやる。
「あらあら、随分とその娘に執着するのね」
「一つ言っておく。俺は貴様の下僕になった覚えはない」
 そして視線はそのままに、背後で呆然とするルイズに声をかける。
「ルイズ、下がっていてくれ。すぐに終わらせる」
「ワルド、……どうなってるの?」
 色々な疑問が口から溢れそうになって結局言葉にならない。わずかに紡いだその声は今にも泣きだしそうだ。
 ワルドはその疑問には答えず。杖を抜きはらった。
 それを見たシェフィールドの笑みに嗜虐的な要素が加わる。
「解ってるかしら? 貴方は重要だけど、決して絶対じゃないのよ?」
 両者の間で緊張の糸が張り詰める。切れた瞬間、どうなるかは全く予想がつかない。

 その糸は意外な方法でプッツリと切れた。
「おぉ、ワルド殿! 戻ってきておられたか」
 現れたのは、ウェールズ一行であった。偶然にもすぐ近くの建物に隠れていたらしい。
 本来合流は喜ばしいところだったが、ルイズは好機かどうか判断しかねた。
 ワルドがレコン・キスタに通じているならば、最悪の状況である。いかに敵らしき人物と相対してるからと言って、それは
自分やウェールズの味方である事とは必ずしも一致しない。
 他方、ウェールズ達が来た事でワルドが取り敢えずはトリステイン貴族の仮面を付け直す事も考えられなくはなかった。
 どちらにしても、突拍子もない状況をすぐに説明するのは実に躊躇われた。
 ウェールズもこの状況に違和感を感じたか、一時は晴れた顔が再び曇っている。
 もっとも、ウェールズはシェフィールドを只のメイジくらいにしか考えていないようだが。
「殿下、誠に恐懼の極みでございますが、ルイズ嬢を伴ってここを一刻も早く離れて下さい」
「その前に彼女の従者に加勢してやってはくれんか? ついさっき得体の知れぬバケモノに襲われてな。彼は
援軍を呼んできてくれと……いや、まあ、我々を逃がすために残ったのだ。場所はすぐそこだ」
 得体のしれないバケモノと言う言葉にワルド、フーケ、そしてルイズがびくりと反応する。
「シェフィールド、貴様。不完全な個体を顕現させたのか……!」
「ちょうど良い実験台にしようと思ったまで。ま、人間一人に手こずるじゃあまだまだ……」
 その反応にワルドが小馬鹿にしたようにニヤリと笑う。
「その人間一人が、『奴』だ」
 その瞬間シェフィールドの顔から笑みが消え去った。何か考えるようなそぶりを見せ黙り込む。

 その時更なる混乱が壁を突き破って飛び出してきた。

「ぐあっ! くっ、この!」
 地面に叩きつけられながらもゲンは意地でも舌を離さなかった。これこそが正に生命線である。
 そして、叩きつけた獲物を追って石色のバケモノが這い出してくる。
 バケモノにも感情があるのか、しぶとい相手にいら立つかのように甲高い咆哮をあげた。
 
 立ち上がったゲンはやっとのことで状況を把握する。
「これは、どう言う……」
「おやおや、役者が揃ってしまったわね」
 茶々を入れるようにシェフィールドの声が響いた。いつの間にか笑みが戻っている。
「いいわ、最高の実験装置だわ。せいぜい見せてもらおうかしら」 
 そう言ってバケモノに目をやる。
「せいぜい暴れなさい、ブラックガロン」
804ゼロの少女と紅い獅子 第10話 代理:2010/03/10(水) 02:01:34 ID:rOyHgdBJ
以上です。
ここから、結構話の筋が決まってるので次は割と早いかも……多分、恐らく、きっと。
いつも同じこと言ってますね。本当にすみません。

それでは、さいなら。


ここまで、代理終了
805名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 06:11:09 ID:BN+l2W4V
きれいなワルドになるかどうかはまだ五分五分か…。
ともあれ、ご無沙汰&乙
806名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 10:13:08 ID:zm8SCO7k
獅子の人お帰りなさい。
円盤生物相手だと変身しなくてはだけど精霊の拒絶反応が心配だ・・・。
807名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 17:08:31 ID:ra3TRWMy
乙です。ギラス兄弟をブサイクとはひどいなルイズ。
レオは等身大での戦いも見どころでしたね。ツルク星人とかアンタレスとか。
しかし、まともに戦えば80先生を苦戦させたロベルガーでもなければ、大半の円盤生物はレオの敵じゃないけど今はレオもハンディを
持ってるから厳しいかなあ。けど、そうした逆境を跳ね除けるのがレオの魅力なので、次も楽しみにしています。
808名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 18:06:11 ID:+Mhe/kum
特訓の一環でダンと同乗したタバサのシルフィードに追われまくるルイズ

ダン「ゼロ、逃げるな。向かって来い!」
ルイズ「やめて下さいセブンお兄様ー!」
タバサ「・・・面白い」
809名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/10(水) 22:24:46 ID:zm8SCO7k
そういえばウルトラの人はマックスの怪獣とネクサスのビーストはまだ登場させてないなぁ・・・
810名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 01:02:01 ID:x8a3cQnK
もう一日以上経っちゃったけど、ドラゴンならプレッシャーに押しつぶされそうなトイレのドラゴンを召喚して
プレッシャーから解放されたということで一安心するも、何だかんだで以前とは比べ物にならないプレッシャーが掛かり
今まで以上にトイレに籠るドラゴンを召喚

ヴィンダがペコで、ミョズがスマイル、そして憚れるP2
811名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 01:43:49 ID:UUE9re3k
ドラゴンなら半熟ヒーローのカバドラゴンとか。
呼び出すために卵の前で踊り狂うルイズ。
812名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 07:02:38 ID:tW3C+HMN
ドラゴンだったらMFのラグナロックス
あの駄目っぷりにルイズは耐えれるか?
813名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 07:45:31 ID:Bp1nESBY
ルギアとか
ひこうタイプだけど向こうでならドラゴンになれる
814名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 07:53:09 ID:pm0LjFYR
黄色のトラックスーツ着てヌンチャク振り回せば
815名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 12:23:11 ID:q0jQsLi9
ドラゴンか…ダークヘリオス、というかサイバリオン召喚。
有人機(元祖)か無人機(ヘリオス)かで扱いが変わりそうだが。
816名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 13:16:54 ID:T/KmQDQy
ドラゴン……露出狂を召喚

あとはリュミスかな……毒竜(ヒドラ)をあやつるマゼランはドラゴンに分類は出来そうもないな
817名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 14:40:02 ID:bgLJtqv+
谷ドラゴンのスタンリーを召喚
デカイ、強い、とにかくタフ。
818名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 15:10:54 ID:67je9XBf
スタン・リーを召喚
ちょこちょこ出てきて、たまに瓦礫に潰されそうな女の子とか助けたりしてる
819名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 16:19:39 ID:Am0zYhXN
サンサーラナーガから卵を召喚。
期待を込めてルイズは卵を温める暖めるあたためる。
そして卵から

ダチョウが生まれる。
820名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 16:24:16 ID:9Ru++Voh
>>816
821名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 16:26:11 ID:9Ru++Voh
>>816
日本産の八岐大蛇などいかがでしょう。
822名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 17:42:30 ID:QQ0Cwdeo
ジェイソン召喚
ザ・フジミVSハルケギニアのメイジ達
823名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 18:07:10 ID:H0sTHy6i
フレディさんがアップを始めました
824名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 18:36:26 ID:JUlmaRmE
>>816
フィルポッツのラヴェンダードラゴンとか
825名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 18:52:11 ID:JKgmmLWM
ドラゴンならMTGからドラコを呼べばいい
マナ供給を怠ると即座に死ぬが・・・
826名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 19:01:14 ID:rfloIbN7
>>822ルイズがジェイソンをガンダールブで召喚
ジョセフがフレディをミョズで召喚ってですねわかります
827名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 19:14:11 ID:ylqyYDUj
>>826
ヴィンダールヴがアレッサ=ギレスピー(実写版)
記すこと憚られる使い魔が貞子ってーとこかな

ここの主題と大きく外れるが
スーパーホラー大戦な馬鹿SSが見てみたいものだ
ラクーンシティとサイレントヒルが隣町とか
828名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 19:24:24 ID:l/xgxY1Z
アーマーゾーン!
829名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 19:27:46 ID:JKgmmLWM
>>826
ホラー映画からジョセフが呼ぶならピンヘッド様だろ
もしくは件のパズルボックスそのものを喚んで、それが後にタバサの手に・・・
830名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 19:48:14 ID:YKaRxIc3
理想郷のチラ裏でジャギ様の単発あったんだけど、>>648の人だろうか。
綺麗に纏まってたし、ジャギ様のキャラも崩れてなかったから非常に良かった。
で、最終回の千葉さんばりにテンション上がって、本編三割ぐらしか出来てないけど、予告が出来た。

テーレッテー
遂に聖帝がニューカッスルへ乗り込んだ!
刻々と刻まれる滅亡への秒読みにルイズの叫びが木霊する!!
次回!北斗の拳!
「天を舞う鳳凰!誇りと共に滅びよアルビオン!!」

*都合により内容は変更になる場合があります。
831名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 19:51:34 ID:FtGHU9YS
アルビオン滅ぼす気か、兄貴wwwww
832名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 20:07:51 ID:Rw5x+llq
>>816
DX2ストライクから”湖の乙女””すべての獣の王”モルガン=ル=フェイはどうかな!

「ちょっと! チェスばかりやってないで、使い魔らしい仕事しなさいよ!」
「働きたくないのじゃ!絶対働きたくないのじゃ!」
833名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 20:11:14 ID:T5DaXXdb
あのネット廃人がチェスで満足するものか
834名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 20:15:03 ID:LJdhW093
>>832
召喚時の姿によって「どっかの貴族を誘拐しちゃった!」と蒼い顔するか「韻竜召喚した!」って喜ぶかに分岐するな
後で妄言に辟易するのは変わらんけど
835名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 20:40:47 ID:O7CpQwxN
聖★おにいさんのブッダとイエスを呼んだ場合、
異なる宗教の世界で二人はどうなっちゃうのやら
836名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 20:43:07 ID:YKaRxIc3
ハシバミ草を生のまま食べて、茨引っ張ってセコム呼ぶイエスが速攻で浮かんだ。
837名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 20:46:10 ID:1lrRj0oO
>>835-836
ブッダは既に小ネタであるよ
838名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 20:47:27 ID:l/xgxY1Z
GUYSのリュウを使い魔にしたら何度どやされるか
839名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 20:52:32 ID:YKaRxIc3
>>837
見てきた。
そして吹いた。
840名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 20:59:40 ID:d+SAFyZC
北斗無双で聖帝の声が熱気バサラになってる
841名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 21:52:55 ID:ylqyYDUj
>>840
『オレの悲鳴を聞けぇっ!!』
スーパーロボット大戦0Gサーガ
ルイズとアホな使い魔とアホの子と江戸っ子

シュラーセンフェレストより地球へと帰還しようとした三人
しかし、アカシックレコードは尚も彼らの運命を弄んだのだった!!
「てめぇーなんてことしやがる!!アクセルさんの記憶はすげーよく飛ぶんだぞ!!
 初期型ファミコン並なんだぞ!!」
剣突き立つ大地、ここは魔法と冒険の世界ハルケギニア
この物語は、この淀んだハルケギニアで出会った戦士と戦士とアインストっ娘と虚無と修羅の物語である

八角水割りに冒された脳で考えた、赦してくれとは言わない
842名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:17:06 ID:5p1Uqe7i
いつの間に舞台はアースティアに融合したんだ
843名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:22:43 ID:/w5FXYI+
>>841

タバサ「……声をかけてくれる人がいて、うらやましい」
キュルケ「はぁ……。誰かわたしたちにも、がんばってって声をかけてくれないかしらね」
アクセル「では、せんえつながらこの俺が。……タバサ、キュルケ、がんばってねぇん」
タバサ「気持ち悪い」
キュルケ「地獄に落ちろ」
アクセル「ひでえ」
844名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:25:47 ID:5rzm/s1B
ほう、ナイトスクリーム召喚とな?
845名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:26:37 ID:ylqyYDUj
いやいや、突き立ったのはアースブレードじゃなくてソーディアンってーことで
ちなみにOGしか知らん人にはわからんじゃろうが
あの世紀末モヒカンな修羅はOGからの登場で
元々はあんなんおらんかったで
マグナスはハート様だし(外見的に)
アルカイドも羅王もといラオウだったけどな

コンプレックスの塊なフェルナンドとか
二つ名つながりのアルティスとか呼ぶのは面白そうだと思った
ジョゼフの所に呼び出される修羅は間違いなくミザルなんだろうけど
奴はどうしたって小物で終わるんだなぁ、これが
846名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:28:07 ID:xPlB2we+
ソーディアンはスクコマ1からで、修羅はコンパクト3だっけ?
847名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:29:52 ID:/w5FXYI+
ネージュ姫がアレディつきで呼ばれたら、間違いなくエルフとその従者扱いされるんだろうなぁ。耳の形とかで。
848名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:30:44 ID:Lmde6oYx
?   「よし決めた!オマエはコレカラ私の弟子だ!よってお姉様と呼べ!!」
ルイズ「なんで名前もまだ知らない使い魔のアンタにそんな事言われなくっちゃならないのよ!」
アストリッド「ほほう、天才と名高いこの私を知らないとはな。私の名前はアストリッドだ!」

などと「ロロナのアトリエ2」の製作発表もあったという事で一発カキコしてみたw
849名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:32:02 ID:xPlB2we+
>>848
ルイズじゃ、結局お姉様と呼ぶことになりそう。
850名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:39:27 ID:ylqyYDUj
>>846
そう、ちなみにソーディアンはスクコマとOGで別々の様子(ライディーンコピーは乗ってたけど)
スクコマじゃ近づく物体のエネルギーは時に生命力ですら吸い尽くす恐るべき仕様

>>847
実際エルフだしねぇ、そしてある意味というか様々な意味でハルケのエルフより危険
・・・いかん、あっち側から召喚するとさっちーリファインが入って
頼んでもいないのにみんな大きくなってしまう!!
851名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:39:31 ID:5p1Uqe7i
>>845
「これだ!ドリルに私は男を見た!」のミザルさんか。

いや、OG外伝はやったのよ? Exceedまだやってないだけで。
852名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:41:44 ID:5p1Uqe7i
>>850
シャオムウが揺れたことを考えると、ルイズでさえ揺れる可能性が皆無とは言えないわけか。

「な…! だ、誰でも良いわ。エンドレスフロンティアから誰か私の使い魔にぃ!」
853名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:44:23 ID:/w5FXYI+
>>850
エンドレス・フロンティアの恵まれない女性たちはちゃんと連合組んでるし、こっちでも大丈夫です、きっと。
854名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:46:22 ID:ylqyYDUj
>>851
そう、あくまで修羅としては頭の切れる男ですが
全体的に見て小悪党の域を出れない、ジーベル=ミステルと同レベルの人です
グラシャラボラスに自力で改造施したりするけど、覇気を用いた技を使わない(使えない?)辺りにも
そのキャラが見えてしまう

ジョゼフに呼ばれても技術面ではともかく策士としては完全に劣る
そこんとこ凸凹というか温度差のあるコンビだろうなぁ
そういやC3でも開始早々から修羅王様に志の低さを怒られていたなぁ

っていうか、冷静になって考えてみると、奴らがKissするわけね・・・
855名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:46:37 ID:xPlB2we+
>>850
別の様子というか、実際に別のラディ・エス・ラディウスという設定だしね。
機能の違いは単純に保存状態の差じゃないかと思う。
856名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:52:20 ID:qaYdJW13
ミザルは相当の実力者のはずだが
857名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 22:56:27 ID:xPlB2we+
他の超級修羅神の乗り手が化物ばかりだから、どうしても見劣りするわな。
858名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/11(木) 23:28:41 ID:XbftfnsJ
>>852
スパンKINGが召喚されてルイズが事有る毎にスパンキングされたり病み付きになったおマチさんが連想されて困った
シャオムウと琥魔とキュオンがスパンキングされる為だけにやって来てよりカオスになりそうな気も
859名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 00:21:09 ID:pQQoa9P0
>>858
スパンキングと聞くとガチムチレスリングしか思い浮かばねぇよ!
860名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 00:35:38 ID:kMRwxUr2
スパーキングな人達が召喚されてハルケギニア崩壊
861名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 00:56:25 ID:QJkbACBn
オラ、サイヤの使い魔をずっとまってっぞ
862名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 01:50:03 ID:A6IpPr8h
日替わり、ゾーマ、ベノム、寄生エイリアン、アモン……はふんはふん orz
863名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 02:46:50 ID:fd7PBwm8
>>827
ハルケギニアにTVないぞどうするんだ?
864名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 04:08:21 ID:kKOkw9F3
ここまで見てきてジェイソン召喚が一番面白そうwww書いてみたいけど自分全く文才無いからなぁ・・・
865名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 04:24:30 ID:22R+DGDi
ジェイソンはまともに考えて絶対ルイズの言うことなんざ聞かないだろーから、
それを曲げて使い魔契約でおとなしくなったことにするのか、もしくは素直な暴走虐殺に走るのか
暴走したとしてどうやって収拾つけるのか
といったあたりがまず考えどころかな?
866名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 04:26:01 ID:22R+DGDi
もしくは映画のジェイソンじゃなくてゲームのスプラッターハウスのやつが呼ばれたりとか
さらにいえばスプラッターハウスでもアーケード版かファルコン版かでも大分違うな
867名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 05:40:10 ID:+ikHzc3N
ただ、ホラー映画の怪物ってあくまで現実世界だと恐ろしいのであって、ファンタジー世界だとたいしたこと無かったりするよな。
ハルケには無いけど、僧侶に対アンデッド呪文がある世界だとゾンビはただの雑魚だし。
クトゥルーの旧支配者級だって魔王をボコれるレベルの勇者は普通に勝てそうだし。
868名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 07:32:24 ID:7kyu4Vws
>>864
文才無いかどうかはまず妄想が文に出来るかどうかだ
小ネタ的に書いて自分で自分の妄想が形になっているか評価するんだ

>>865
プレデターと似た展開になるんじゃね?
召還される場合、妄想としてはルイズの屋敷の湖(池?)に
死体が眠っていると召還され易い気がするな
869名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 09:13:47 ID:kKOkw9F3
ルイズの屋敷の湖の底にジェイソンの体が沈んでいてルイズに召喚された事により復活。そしてすぐ側に居るコルベールの腕をナタで切り落とすまで妄想できた
870名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 09:18:20 ID:IadJ2KUh
蹂躙ってレベルじゃねーよ
871名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 09:33:54 ID:vC4btT1K
人間を獲物や食料としてしか見ていない危険な生き物を召喚……というパニック系を考えると、やはりジェイソンやフレディのようなパニックムービー系が最初に思い出されますね。
コミック系だと……チャンピオンに連載していた藤澤先生のBMネクタールとかレギオンとかが危険かな?
872名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 09:55:30 ID:dkQdJmk2
BMはヤバ過ぎる
最初期なら一帯を錬金で封鎖するとか対処できるかもしれんが、
あの繁殖力を理解する頃には国中に拡散してるだろうし
873名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 10:48:30 ID:Z4U9JP2V
>>871
マーヴルゾンビーズのゾンビは知性や超能力を維持したまま理性を失った
「人食い」になっちまいますからね
神より強いゾンビってめっさ厄介
もっとも肉体の一部が腐ってしまい再生系の能力は失われるようですが
874名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 10:58:16 ID:Z4U9JP2V
そういえばベジ太郎も滅ぼした星の人間?の腕を食ってましたな
875名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 10:59:08 ID:0aCHybv7
久々に1000行くか?
876名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 11:02:35 ID:/jECKpjv
>>871
ジョーズ召喚

陸に打ち上げられてビチビチするドでかいサメに
使い魔が死んじゃう!
とか言ってアタフタするルイズと何とかしようとするコッパゲ…。
まさにパニックものだな。
877名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 11:12:30 ID:Z4U9JP2V
>>876
なんだその宮城県最強の番長は
878名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 11:20:43 ID:kMRwxUr2
鬼鮫召喚か
879名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 11:33:21 ID:U28QvCDd
チャクラが美味けりゃホイホイ付いて行っちまう刀に捨てられた人か
あの人オカマ口調っぽいよね
880名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 11:36:58 ID:U28QvCDd
>>864>>869
そんなあなたにこの名言を送る

何度でも言おう
文才が無いじゃない
やる気が無いんだ
やる気があれば練習という言葉を思いつく
頑張れ
超頑張れ
で、上手くなったら来てくれw

あと、sageてくれw
881名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 16:03:25 ID:22R+DGDi
ソニックブラストマン召喚

「メイドが因縁をつけられている! 3発殴ってキザ男をKOせよ!」
「宝物庫が危ない! 3発殴ってゴーレムを止めろ!」
「タルブが攻撃されている! 3発殴って悪のレキシントン号を破壊せよ!」
「巨大装甲モンスター出現! 3発殴ってヨルムンガンドを倒せ!」
「地中からハルケギニアの危機が接近! 3発殴って風石を砕け!」
882名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 16:24:31 ID:ruqQpLc7
>>875
残り容量が中途半端だから、投稿したい人がいてもちとためらわれる微妙な線だな。
しかし獅子の人もまたやってきてくれて、これは次スレあたり祭りが起きそうな予感がする。
883名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 16:28:38 ID:5ekD/3Eu
そういうこと言ってる時に限って、ウルトラの人以外ロクな投下がなかったりする。
884名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 17:18:41 ID:BPz8+ewG
>>881
ギーシュが顔ボコボコになるんかいww
懐かしすぎてお茶噴いたわw
885名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 17:25:26 ID:Xi5S/yNf
ウルトラの人と黒魔の人の投下の信頼性はダントツだよな。
…正直ほかの人にもどんどん投稿してほしいなぁ。
最後の希望さんとか魔砲の人とかまってまーす!
886名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 18:01:20 ID:ZPFZxeNr
湖の底に眠る死体というフレーズで、ホッケーマスクを被ったウェールズの姿が頭に浮かんだんだが…w
887名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 18:07:38 ID:ruqQpLc7
>>885
ちょい待ち、投下が安心していられるなら聖帝の人やラスボスの人も忘れるな。
それに日替わりの人やSEEDの人も前回の投下からまだそんなに経ってないし、雪風の人に日露の人、萌え萌えの人も
たいして間が空いてるわけじゃない。
新しい人でもテイルズの人、忍空の人、時の君の人とつぶぞろいだし、ほかの人も合わせるとこのスレの作家さんたちの充実度は
並大抵のもんじゃないぞ。どれも下手な週刊誌を読むより面白い。
888名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 18:16:32 ID:Z4U9JP2V
オイラとしては爆熱の人の帰還を期待するのでありまする
889名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 18:30:19 ID:lkj4uJZy
なんにしろ定期的に投下できる作者さんは尊敬できる
それだけでもすごいのにここは面白いものが多い
890名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 18:32:44 ID:z4lCoE57
1日1行、3日でも2行訂正して1行の身としてはここのSS作者さんは凄いなと思う
891名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 18:46:01 ID:YWTOXDyE
PC整理してたら孤独のグルメのゴローさんが呼ばれるSS見つけた
前ふたばでスク書いてる人が書いてた奴なんだけど、無断でここに書いたらマズいかな?
自分勝手な話だけど、結構おもしろかったから共有したいんだ
892名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 18:51:03 ID:u0mRB49I
駄目に決まってんだろ
893名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 18:52:51 ID:YWTOXDyE
そうだよね…
不快な思いさせてゴメン…
894名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 19:15:06 ID:jbZld8Hd
ありえねぇ…どうしたらそんな発想が出て来るんだ
895名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 19:25:18 ID:tdFrrknm
投下してみたいが、他の作家さんのレベルが高くて投下できねえ
896名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 19:30:27 ID:Bharh8xa
>>895
気にしないで
さあ!
897名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 19:33:10 ID:u0mRB49I
>>895
書いてく内に上手くなってくもん
898名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 19:38:07 ID:RVGQTjaH
いずれ書く。待ってろ。
899名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 19:38:09 ID:tdFrrknm
>>896-897
わかった
八時半ぐらいに初投下します
元ネタは「ドラゴンクエストモンスターズ+」で、キャラはマルモ
容姿は3巻の表紙か画像検索で
腹が痛くなってきた
900名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:08:10 ID:vFU+HBa0
懐かしいな
打ち切りになった時はマジでショックだった
901名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:09:33 ID:VglX/dCP
マルモか、なるほど
誰を連れてるのか、あるいは誰も連れてないのか。状況次第でいろいろ変わりそうだなぁ
とにかく期待してます

堕ちたテリー召喚で邪配合に手を染めたルイズとか妄想したがネタがない…
902名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:16:03 ID:xGN1H34V
>>895
投下はいいんだけど容量大丈夫なのか?
903名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:20:45 ID:tdFrrknm
>>900
あれほどドラクエらしい漫画なんてそうそうないのにね

>>901
5巻以降になります。パーティはクリオのみ

>>902
13キロバイト前後なんで大丈夫です
904五月蠅いゼロの五月蠅くない使い魔:2010/03/12(金) 20:29:26 ID:tdFrrknm
それでは投下します。
この作品にうっふんぱっふんな展開やギャグ展開はいまのところありません。
かといってシリアス過ぎるわけでもありません。
それでもよろしければお付き合いください。
905名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:30:25 ID:5ekD/3Eu
初投下前の異常な心臓バクバクは誰もが投下する道だ支援。
906五月蠅いゼロの五月蠅くない使い魔:2010/03/12(金) 20:31:30 ID:tdFrrknm
  第1夜
  使い魔って何?


 草原を、自身の肩まである杖を持った少女が歩いている。
 服装は、肩を露出させる厚く白い無地のワンピースに金のバックルの付いたベルト、
手首からの二の腕まである青紫色の腕袋、そして浅黄色のマント。髪は薄紫色で、大雑把に
二つ縛りでまとめられて先がブラシのようになっており、額には小さな玉がくくり付けられている。
 加えて少女の後ろを跳ねながら付いてくるのは、人間の頭より一回り小さい『タマゴ』――自らの意思で動く『タマゴ』だ。
 タマゴ鑑定士すら正体のわからぬタマゴであるが、魔物には違いなく、少女に従っている。
 少女は類まれなる魔法の才能を持つ『賢者』であると同時に、『魔物使い(モンスターマスター)』でもあった。
後ろのタマゴは、かつて仲間だった三匹の魔物の生まれ変わりだと少女は思っている。
 タマゴの名前は『クリオ』。少女の大切な人と同じ名前。

 そんな少女とタマゴの前に、突然光る鏡のようなものが現れた。
「ピー! ピー!」とタマゴが騒ぎ、少女も思わず杖を向ける。
 しかし、すぐにそれについて『あるもの』が思い当たった。
「旅の扉……?」
 それは異世界への扉。彼女もいくつか通ったことがある。モンスターマスターなれば、誰もが通る、冒険のはじまりの扉。
 少女の旅は、目的はあるが、もともと行く当てもない流浪の旅。いつかまた大切な人と出会うまでの修行の旅。
 タマゴを落ち着かせ、扉を通る決意をする。
「おいで、クリオ」
 タマゴと共に、少女は光る鏡のようなものに入っていく。
 そして、扉をくぐった向こうで待っていたのは――――爆発だった。

 目の前の倒れた少女を見て、ルイズ・ド・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは頭を抱えた。
 二年生に進級する際に必要な春の使い魔召喚の儀式。幾度も『サモン・サーヴァント』の呪文を唱えては失敗し、
周りの同級生から嘲笑され、とうとう先生からの「後一回だけ」の言葉を受けて、一段と強く己の使い魔を願った。
 果たして現れたのは、メイジと思しき少女。マントを身に付け杖を持つ、これぞメイジといわんばかりの少女だった。
「おい、ゼロのルイズがメイジの女の子を召喚したぞ!」
「さすがはゼロのルイズだ!」
「自分が魔法使えないからって、何もメイジを誘拐してくることないだろ!」
 生徒の間で爆笑の渦が沸き起こる中、その場で慌ててルイズに駆け寄ったのは、禿頭の中年教師コルベール。
「ミス・ヴァリエール」
 声をかけられてルイズは顔を上げた。
「ミスタ・コルベール! あの! もう一回召喚させてください!」
「それはダメだ。ミス・ヴァリエール」
「どうしてですか!」
 興奮するルイズを抑えようとしながら、コルベールは続ける。
「落ち着きなさい。一度召喚された『使い魔』は変更することができない。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。
好むと好まざるにかかわらず、彼女を使い魔にするしかない……」
「そんな!」
 コルベールはなおも続ける。
「けれども、相手がメイジとなれば……事は重大です。もしも彼女がトリステインではない国のメイジだとすれば、
最悪の場合外交問題になります。当然、あなたの家は少なからず損害を被るでしょうし、学院も……」
907五月蠅いゼロの五月蠅くない使い魔:2010/03/12(金) 20:33:48 ID:tdFrrknm
 と、コルベールとルイズが顔をつき合わせている間に、少女が目を覚ました。
「ここは……」
「お気づきになられましたか、ミス」
 コルベールは少女の上半身を起こした。
「ここは一体……?」
 エメラルドグリーンの目に移るのは、正面に立つピンクがかったブロンドの髪の少女と、横にしゃがむ禿頭の中年男。
「ここは、トリステイン魔法学院です」
「トリステイン魔法学院?」
「ご存知ありませんか」
「私、別の世界から来たから……」
「べ、別の世界?」
 コルベールとルイズは混乱した。まさか、ルイズの爆発で頭がおかしくなったのでは。
「ま、まあ、とりあえず大事なことだけ確認しておきましょう。あなたの領地は?」
「領地?」
「家ですな」
「…………ない」
 少女は自分の生みの親を憶えていない。幼い頃別の夫婦に貰われたが、妻が魔法の力を恐れて放逐した。
その後は様々な所を旅して、魔法の才能を伸ばし、魔物を仲間にし、そして……。
 コルベールとルイズは、この少女を没落貴族の娘だと考えた。没落貴族の娘の行く末は相場が決まっている。
妾か、傭兵か、犯罪者か……。
「あの」
 ルイズが口を開いた。
「もしよかったら、魔法学院に住まない?」
「え?」
「その……行く所がないなら、だけど」
 その言葉は同情と打算だった。大貴族の三女であるルイズは、自分が召喚した以上、
おそらく没落したであろう貴族の娘を放ってはおけなかったし、使い魔召喚が失敗したとなれば、進級できなくなる。
 一方、少女にしてみれば、初めて訪れる世界で衣食住が確保できるのはありがたいことだった。
周囲に目を配れば同じような格好の少年少女が百人近く、そして動物や魔物が同じぐらい。
学院がそれなりの規模であることは推察できる。
「オホン、失礼」
 コルベールが口を挟んだ。
「ミス、いかがです、貴女さえよければ、ミス・ヴァリエールと契約を……」
 コクンと、少女が頷いた。
 ルイズはほっとした。
「では、ミス・ヴァリエール。契約を」
「はい」
 ルイズは少女の前で小さな杖を振った。
「我が名はルイズ・ド・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンダゴン。
この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
 朗々と呪文らしき言葉を唱え終えると、ゆっくりと唇を近づけた。
「ん……!?」
 とまどう少女を抑えて口付けを終えると、ルイズと少女は顔を赤らめた。ルイズは気恥ずかしさから。少女は息苦しさから。
「終わりました」
「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」
 コルベールが嬉しそうに言った。
「……いきなり――」
 何を、と少女は言おうとしたが、その言葉は額に走る痛みと熱で止められた。それも一瞬のことであったが。
「ふむ、珍しいルーンだな。ちょっと失礼」
 横のコルベールが少女の額に浮かんだルーンを確認し、それをスケッチしていた。
「ではミス・ヴァリエール。本日の授業は免除しますので、彼女に学院を案内してあげてください。
夕食を食べ終わった後は、学院長室まで彼女と一緒に来てください。」
「わかりました」
「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」
 コルベールは踵を返すと宙に浮いた。
 すると、周りの生徒達も一斉に宙に浮いて、城のような石造りの建物へ向かって飛んでいった。
「ルイズ、お前はそのメイジに掴まってこいよ!」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
「そのメイジ、あんたより絶対優秀ね!」
 口々にそう言って笑いながら飛び去っていく。残されたのは、ルイズと少女だけになった。
908名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:35:57 ID:VglX/dCP
ななしは『シエン』をとなえた。しかしなにもおこらなかった。
909五月蠅いゼロの五月蠅くない使い魔:2010/03/12(金) 20:36:44 ID:tdFrrknm
 皆が飛び去った後、ルイズが口を開いた。
「そういえば、あなたの名前は?」
「…………マルモ」
「ふうん。ところで、そろそろ立ったらどう?」
 言われてマルモが立ち上がる。と、
「ピー! ピー!」
「な、何?! 何?!」
「……クリオ」
 今までどこにいたのか、タマゴ=クリオがマルモの足元に寄っていた。
「そのタマゴ、あなたの使い魔?」
 ルイズが訝しげに訊いた。
「使い魔……って、何?」
「へ? あ、あなた、メイジじゃないの?!」
「私は、メイジ……魔法使いじゃない。賢者」
「賢者? 一体何を言ってるの?」
 もしや、自分はメイジになりすました娘を使い魔にしてしまったのではないかとルイズは落ち込んだ。
「賢者は魔法使いと僧侶の両方の呪文が使える。限られた職業」
「わけわかんないこと言わないでよ! ……はあ、わたしひょっとしてとんでもない失敗を…………」
 ぶつぶつと呪いの言葉を吐くルイズ。そこにクリオが慰めに入る。
「ピー」
「……そういえば、このタマゴは何なの? 使い魔じゃないらしいけど」
 ルイズは実技ができない分座学で猛勉強したが、孵化しないまま動くタマゴなんて聞いたことがない。
ひょっとしたら新種の幻獣かもしれない。
「私もよくわからない。でも、すごくいい子」
「ピー! ピー!」
 タマゴはルイズの頬に擦り寄っている。
「ああ、せめてこっちを使い魔にできていれば……」
「さっきも言ってたけど、その使い魔って何?」
 使い魔を知らないメイジなんていない。ルイズはマルモが平民だと確信した。
「しょうがないわね! 説明してあげるわよ!
 いい? 使い魔っていうのはね……まず、主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」
「どういうこと?」
「使い魔が見たものは、主人も見ることができるのよ」
「……見えない」
「わたしもよ!」
 ルイズはややヒステリックに言った。
「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」
「……歩いていれば、拾える」
「そんなので見つかれば秘薬じゃないわよ!」
 マルモが旅してきた世界では体力や魔法力が全回復する薬や死んだ者を生き返らせる葉などが落ちていたのだが、
こちらの世界ではそういうことはないのだろうと判断した。
「そして、これが一番なんだけど……、使い魔は、主人を守る存在であるのよ! その能力で、主人を敵から守るのが
一番の役目! でも、あんたじゃ無理ね……」
「私は賢者。ほとんどの魔法が使える」
「嘘おっしゃい! ああ! 全くどうしてこんな……」
「嘘じゃない。見てて」
 と、ヒステリーを起こしているルイズの横で、マルモが遠くの地面に向かって杖を構える。
910五月蠅いゼロの五月蠅くない使い魔:2010/03/12(金) 20:38:45 ID:tdFrrknm
「ヒャダルコ」
 一瞬小さな吹雪が巻き起こり、幾本もの巨大な氷柱が地面に深く突き刺さる。
「嘘……」
 その光景に、ルイズは目を見開いた。
「あ、あんた、やっぱりメイジじゃないの!」
「だから、魔法使いじゃなくて、賢者」
「もう、どっちだっていいわよ!」
 ルイズは悲しくなってきた。同情と打算からマルモを使い魔にしたが、魔法の威力を見るに最低でもトライアングルメイジ。
自分はゼロ。ゼロのルイズ。魔法は失敗ばかり。成功したのはさっきの『サモン・サーヴァント』と、
『コントラクト・サーヴァント』ぐらい。けれども相手は紛う方なきメイジ。余計に同級生から馬鹿にされるに決まっている。
 悲しみに、悔しさがにじんでくる。
「……泣かないで」
「ピー」
「だ、誰が泣いてるっていうのよ!」
 言葉とは裏腹に、ぽろぽろと涙がこぼれていた。袖で拭っても拭っても、とめどなく涙があふれてくる。
 そんなルイズを、マルモは抱き寄せた。
「え?」
 二人の身長は同じ程度だが、抱き寄せた際にルイズが膝立ちの状態となり、マルモの胸の辺りに顔を埋める形となる。
 マルモの胸は大きい方ではないが、そのふくらみは柔らかくルイズを包んだ。
 マルモが思い出すのは、かつて共に賢者の修行をした少女。自分のせいで他人が悲しむのは、もう嫌だった。
 ルイズが思い出すのは、何度も自分を慰めてくれた姉。姉と一緒にいると、何故か心和むのだった。
 時間を忘れ、二人はずっとくっついていた。
 やがてルイズは泣き止むと、立ち上がって顔を赤らめながら、ぼそぼそと言葉を紡いだ。
「その……ごめんなさい」
「え?」
「えっと……服、汚しちゃって、それに……」
 泣いたのは、とても自分勝手な理由だから。己の才能への失意。使い魔の才能への嫉妬。虚栄心。自尊心。
 それらが入り混じり、膨れ上がり、涙という形であふれた。
 マルモは、そんなルイズに語りかける。
「ルイズ」
「え……?」
「あなたの名前」
「……うん」
「名前があるということは、誰かがあなたを呼ぶ必要があるということ。名前があるかぎり、あなたは必要な存在」
 マルモは、いつも傍にいてくれた仲間を、名前を呼ばなかったばっかりに失ってしまった。
 だがルイズは、マルモの言葉に納得がいかなかった。
「……ゼロよ」
「え?」
「ゼロのルイズ! どんな魔法も、使えて当たり前の魔法でさえ失敗ばかり! 成功確率ゼロのルイズ!!
こんなの、こんな名前、呼んで欲しくないわよ……!」
 ルイズは再び泣きそうになる。
「ルイズ」
「何よ! どうせ、魔法を使えるあんたには……!」
 マルモは再びルイズを抱き寄せた。今度は立ったままだ。
「放せ! 放しなさい!!」
「ルイズ」
 暴れるルイズを、マルモは抱きとめて放さない。
「放しなさいよ! あんたも……」
「私は、呼ばない」
「え?」
「あなたを、『ゼロ』なんて呼ばない。ルイズ。何も付かない、『ルイズ』」
「な、慰めや同情なんて! どうせ心の中で、馬鹿にするんだわ!!」
「信じて、ルイズ。何があろうと、他の皆が『ゼロ』と言おうと、私はあなたを『ルイズ』と呼ぶ」
「うるさい! うるさい! うるさい!!」
「ルイズ」
「……何よ、何よ、どうして、あんたなんか…………」
 どうして、今日あったばっかりなのに、こんなに優しくしてくれるのだろう。どうして、こんなに心安らぐのだろう。
 ルイズは顔が見えないように、深く、深く、マルモに抱きついた。
911五月蠅いゼロの五月蠅くない使い魔:2010/03/12(金) 20:42:10 ID:tdFrrknm
 やがてルイズは落ち着くと、抱きついたままマルモに声をかけた。
「ねえ、あなたの名前、もう一回言ってくれる?」
「……マルモ」
「マルモ」
 と、ルイズはマルモの名前をいつくしむように呟く。
「ねえマルモ。本当は、使い魔には許さないことなんだけど……私のことを、『ルイズ』って呼び捨てにしていいわ」
「……ルイズ」
「い、言っとくけど、二人っきりの時だけだからね?! 皆の前で言ったら、私の躾が疑われちゃうもの!」
「わかった……ルイズ」
「わ、わかればいいのよ」
 いつまでも抱き合っているわけにもいかないので、ルイズはマルモから離れた。
速くなっている鼓動を悟られたくなかった。
「それじゃあ、学院に向かいましょう」
「ピー!」
「わっ」
 タマゴ=クリオの声にルイズは驚く。
「クリオだっけ? 出たり消えたり、本当に不思議なタマゴね」
「別に消えてない。ずっといた」
「そお? まあいいわ、行きましょう。歩きながら話を聞くわ」
 二人は、お互いのことを話しながら学院へ歩いていった。



以上です。初投下なので緊張でやばい。
早くもクリオがデルフ化のおそれ大。活躍させたいけど、しばらくは平和パートが続きそう。
マルモの口調が難しい。マルモは基本尻キャラですが、胸もいけます。多分。
ルイズからマルモへの好感度は最初から高めにいきます。ついでにルイズの精神も原作の300%安定してます。
マルモの配色は3巻と5巻で異なりますが、3巻の方を採用しました。
wikiへの編集は自分でやります。
パワーバランス調整のため、攻撃呪文の威力やランクを以下のように設定しました。

マルモの攻撃呪文のランク対応表簡易版
 ・ドットスペル級:メラ、ヒャド
 ・ラインスペル級:メラミ、ギラ、バギ
 ・トライアングルスペル級:ベギラマ、ヒャダルコ、バギマ
 ・スクウェアスペル〜エルフの先住魔法級:メラゾーマ、ベギラゴン、ヒャダイン、マヒャド、バギクロス

攻撃対象がグループ、全体の呪文はランクを高めに設定しています。
イオ系やドラゴラムなど、四系統に該当しないような呪文はランクを設定しませんが、登場するかもしれません。
支援、応援してくださった方、ありがとうございます。
912名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:44:56 ID:0aCHybv7


ついでに新スレ立ててくる
913名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:46:52 ID:0aCHybv7
914名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:52:49 ID:kMRwxUr2
おつおつ
915名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:57:45 ID:5ekD/3Eu
乙。
916名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 20:58:24 ID:tdFrrknm
>>913
917名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 21:00:03 ID:VglX/dCP
投下乙です

ぶっちゃけ原作終了後に当たる世界なので性格とか結構難しそうですな
にしても呪文は… イオナズンなんぞ使ったらエクスプロージョンも霞むw
逆に雷系を見たマルモが… とか

>>913
スレ立て乙です
918名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 21:14:46 ID:ijO3AydG
マルモ乙
日替わりやゾーマなどドラクエ系の更新が止まって久しいので期待大です
919名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 21:31:54 ID:jekhIKfq
亀ですが獅子の人、復活を待っていた甲斐がありました。損失実験体、日替わり、
魔王伝の人も待っています。
920名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 21:50:40 ID:HlkRsgl4
トリステイン学園のてっぺんに風車とか名前の書かれた旗?が!
921名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 23:18:20 ID:H6U1C0b7
ちょっとお聞きしたいんですけど、
魔術士オーフェンのオーフェンとフーケがコンビになる作品って以前ありませんでしたか?
保管庫を探しても見当たらないのですが
922名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 23:25:16 ID:wKYBy2Fx
理想郷じゃなかったっけ
923名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 23:45:01 ID:H6U1C0b7
見つけられました、ありがとうございます
924名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/12(金) 23:46:35 ID:UPihAi1a
>>921
前はあったが出て行った、だったと思う。今はArcadiaじゃないか?
925名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 05:03:59 ID:4kJ1eDeW
波打ち際のむろみさんを召喚

ヴェルダンデと一緒にミミズ食べてたり、水の精霊と世間話始めたり、タルブのアルビオン戦で歌を歌って船全滅させるとかは思いつくんだけど
ストーリー展開させるには難しいか……。
926名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 05:52:37 ID:ZNmO/xv5
むろみさんかぁ
空中戦艦には歌は無効っぽいような・・・いやでもファンタジーの住人だからなぁ
927名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 06:15:19 ID:qHkAcqns
むろみさんは おともだち関係がスゴいからなぁ。
最終兵器『リヴァイアさん』とか。
928名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 09:05:24 ID:Nd29vake
ハルケギニアでは人魚の扱いってどうなのよ
929名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 10:47:43 ID:P0z9Q8V7
>>928
亜人扱いになるんじゃね?
むろみさん、最大の問題は召喚直後に周辺の使い魔に小魚として認識されるって事だと思うんだ
930名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 11:25:59 ID:/ERSEOSx
むろみさんああ見えて人類発祥以前はもっとも優美な人魚として名を馳せていたんだよな。
今じゃすっかり尾びれがズタボロだけど。
931名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 12:36:19 ID:U4Ut/VvM
ほいほいさんは召喚しても話が続かないなぁ
932名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 12:40:38 ID:pv3EJL5H
むろみさんはアレだな
ストーリー展開するより短編連作みたいな形で1シーンだけの一発ネタをたくさん、でもいいよね
933名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 12:44:16 ID:WSKrfJ3l
>>929
むろみ姐さんのことだ、ハルケギニアの幻獣たちも過去に世話になってるかも知れないぜ。
ついでに、ブリミルもデルフもガキ扱い。
チートキャラとは別の意味でヤバイw
934名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 12:51:51 ID:WSKrfJ3l
>>931
害虫駆除ロボット?
ゴキブリの返り血(?)でどろどろの状態で召喚されて、
それにキスを強制されるルイズを想像してしまった。おぇーっorz
935名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 13:08:17 ID:/ERSEOSx
>>933
別スレ扱いになっちゃうけど、
ラグドリアン湖の精霊=むろみさん とかw
936名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 13:35:18 ID:qHkAcqns
釣りキチ少女のルイズが、召喚の鏡に釣り糸をたらすと
むろみさんが釣れて・・・
「いやー ルイズちゃんのゴカイは、いつも美味しいかねー」
「コルベール先生。とりあえずコレで、召喚OKってことになりませんか?」
「・・・・・・」
937名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 13:57:46 ID:aq4pNDtZ
ブリミルが、リヴァイアさんに滅ぼされたアトランティスの末裔だとしても何の違和感も無いなw
938名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 14:45:49 ID:s4O0WTZF
>>931
充電をどうするかが問題だな
あとモートソグニルが狩られそうw
939名無しさん@お腹いっぱい。:2010/03/13(土) 15:53:03 ID:cAPvmPPE
>>938
つまり・・・平穏な学園生活の陰で繰り広げられる
ホイホイさんと小動物系の使い魔達との凄惨極まりない死闘ということか
940名無しさん@お腹いっぱい。
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>