あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part244

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part243
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1248098203/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃  `ヽ   .  ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
21:2009/07/27(月) 08:59:14 ID:SQt6xqGS
テンプレは>1だけだ!
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/27(月) 09:02:29 ID:SQt6xqGS
すいません、こちらは重複スレです。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part244
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1248590519/l50
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 00:34:56 ID:5jzLazKB
>>1
どんまい
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 01:27:52 ID:ADqyK6EG
このスレは実質Part245です
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 05:29:12 ID:hxfi7pOY
ところで質問。
AA埋めが最近うざがられてるようだが、どういう理由で駄目なの?
自分としては、次スレ建ったら前スレはとっとと500KBに到達して
書き込めなくなってくれた方が、それ以上の書き込みをチェックせずに
いられるから楽なんだけど。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 06:06:25 ID:lWCxMiKD
雑談して埋めたいとか言ってる人がいたかな。
あとは、SSの投下を気にしたり、SSの投下に雑談を遮られたりしないってのもあるのかもね。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 07:32:25 ID:RYQu2Bp/
確かに雑談は楽しい。
せっかくそれができる場をつぶされたくない、という気持ちはわかる。
雑談がつきそうだったら埋めればいいんだし。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 07:49:33 ID:cXvw24/Y
>>8
ちょw結局埋めるのかよww

10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 07:55:13 ID:Gzm1RBm2
鯖に負担が掛かるから埋めんなってのが2ch運営の公式見解
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 07:56:28 ID:RYQu2Bp/
うん、必要なさそうだったら埋める。
けど雑談ネタが尽きないうちは埋めない。
これは大きな違いだ。

問答無用、判断不要、思考停止でかならずAAで埋める!

というのと、空気を見て、考えて、必要性を判断して、場合によっては埋める、だから。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 07:57:43 ID:RYQu2Bp/
>>10
お、そうだったのですか。
じゃあ、一時的にスレ乱立状態になってもいいのか。
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 08:41:11 ID:O+gc6Tqm
先約とか問題なければ、8:50から仮面ライダークロス投稿します。
14ドラゴンナイト・ゼロ:2009/08/01(土) 08:53:36 ID:O+gc6Tqm
「おきなわっ!」

金色の鉤爪が生えた足に顔面を蹴られ、ルイズは宙を舞った。
美しい放物線を描きながら、彼女は考えた。

(おきなわって、なに……?)

どうでもいいことだった。
例え休日に暇を持て余し、部屋のベッドに寝転んでいても、もっとマシなことを考えるだろう。
ルイズは次に、何で自分は蹴られたかについて考えた。
特に悪い事をした覚えはない。
確かに自分はゼロのルイズで、魔法もまともに使えない出来損ないかも知れないが、宙に浮かぶ強さで蹴られる程ではない筈だ。

(というか、誰に蹴られたんだっけ……?)

それははっきりしていた。
名前は知らない誰かに、だ。
彼――彼女である可能性もある――は、何度目かになる爆発と共に現れた。
爆発はルイズが起こしたものだった。
例え春の使い魔の儀という重大なイベントにおいても、ルイズの魔法は如何なく威力を発揮したのである。
もちろん、本人が望む所ではなかったが。
爆風が晴れると、ルイズの目の前で異装の人物が大の字になって倒れていた。
いや、いびきを掻いていた所を見ると、ただ寝ていたのだろう。

彼――めんどくさいので彼でいいや――は、三本のスリットが入った銀色の仮面を付けていた。
スリットに向こうには楕円形の真紅の目が覗き、まるでルビーのような輝きを放つ。
額から伸びた二本の角と、口元のマスクを挟む牙のように尖った部分が、ルイズは竜に似ていると思った。
体は、黒い二の腕と大腿部以外は炎のように赤い鎧で包まれている。
足には、鋭くはないが強靭そうな金色の鉤爪が生えていた。
腰に剣は無いし、鎧も見たことがないデザインだが、どこか国の騎士かも知れない。
15ドラゴンナイト・ゼロ:2009/08/01(土) 08:54:52 ID:O+gc6Tqm
(悪くないわね)

ルイズは胸の内でガッツポーズを取った。
黒髪をした同年代の平民の少年も悪くないが、騎士となればまた話は違う。
異国の騎士と姫君のラブロマンスに憧れなかったと言えば嘘になるのだ。
この時、ルイズの脳からは契約とか使い魔という単語は完全に失せていた。
それは、この日のために重ねた予習で疲れていたからかも知れないし、まさか人間が、という驚愕で混乱していたからかも知れない。
とにも、起こさないことには何も始まらないと、ルイズが彼に近づいた瞬間。

「わははは起きざまライダーキーック!!!」

………強烈な衝撃がルイズの顔面を襲った。



「あいたっ!」

長いような短いような滞空時間が過ぎ、ルイズは背中から地面に叩き付けられた。
口の奥が鉄臭い。
どうやら鼻血を垂らしているようだ。
貴族として、というか乙女として美しくない。

「あたた……な、なんなのよ一体……」

ルイズは上半身を起こし、ハンカチで鼻血を拭った。
すると、

「やったー♪ 寝たふり作戦大成功! 本日もオレさま絶好調ー!!」

起き上った例の赤い騎士が、両腕を天に掲げて歓喜を表現していた。
どうやら、あの蹴りは完全にわざと放ったものらしい。
寝たふり作戦とか言ってるし、およそ騎士とは思えない言動だった。
騎士じゃないのかも知れない。

「――――で、お前だれ?」

「え?」

気付くと、赤い騎士はすぐ目の前にいた。
間近で見て気付いたが、彼の身長はかなり低い。
子供と同じくらいだ。
赤い目が、ルイズの顔を覗き込む。
出会って間もないが、見知らぬ人物はとりあえず蹴ってみるという思考をしているのは確かだ。
下手にツンデレたら命はないだろう。
とりあえず、当たり障りのない言葉を並べようとしたルイズだったが、
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 08:55:18 ID:G8FG0KjU
支援
17ドラゴンナイト・ゼロ:2009/08/01(土) 08:57:00 ID:O+gc6Tqm
「まぁいいや! トドメだオラー!!」

「えええーっ!?」

答える隙もなく、赤い騎士は拳を振り上げた。
どうやら、人の話を聞くのは大嫌いのようだ。
来世に彼と出会ったら、そう肝に命じておこうとルイズが思った、その時。

「ギャアアー!!」

悲鳴が上がった。
ルイズではなく、赤い騎士の。
ごろごろとのたうち廻る赤い騎士は、炎に包まれてより赤くなっていた。
天の……ブリミルの助けだろうか。

「龍騎! お前という奴はライダーどころか女の子まで!」

そう言って燃え上がる赤い騎士の傍に立ったのは、これまた赤い竜だった。
蛇のように長い体、金色の双角、巨大な翼に刃の尾。
今まで、ルイズはたくさんの図鑑を読んで来たが、彼のような竜は初めて見た。
しかも、喋るということは韻竜である。
もしかしたら太古の昔に絶滅した希少種かも知れない。

「敵は全部倒せって言ったのはドラグレッダーだろーが! いっつも邪魔しやがって!」

「敵かどうかわからんだろーが! いっつも汚い手ばっか使いおって!」

早々と復活した赤い騎士は、どうやら龍騎というらしい。
そして見たこともない竜の名はドラグレッダーのようだ。
龍騎とドラグレッダーは、ルイズを置いてけぼりにして口ゲンカを始めてしまった。
しかも彼らにしか分からない内容で、割って入る隙がないのが腹立たしい。
ルイズはふうと溜息をつくと、杖を振り、口の中で小さく呪文を唱えた。

「――――とりあえず死になさい」

「ギャア!」

一人と一匹の間の生じた爆発が、轟音と共に口ゲンカを中断させた。
人生と竜生も中断してればいいのにと思ったが、龍騎の生命力は異常だった。

「なにしやがんだコラ!!」

「こっちのセリフでしょーがいきなり蹴って! というかあんたら何なのよ!」

「テメ―こそ誰だこのクソババア!」

「バッ……!?」

ルイズと龍騎は額と額をぶつけて睨み合った。
ともすれば唇を重ねてしまうかも知れない状態だったが、血が上った頭にそんなことを気にする機能はない。
ドラグレッダーが二人に火炎を吐きかけようか悩んでいると、横合いから困り切った声がかかった。

「あのーミス・ヴァリエール。次の授業の時間が迫っているんだが」

「あん? 何だテメ―ハゲ」

「あらミスタ、いたんですか? 忘れてました」
18ドラゴンナイト・ゼロ:2009/08/01(土) 08:58:00 ID:O+gc6Tqm
不機嫌の煽りをモロに受けたのは、眼鏡をかけた禿頭の中年、ジャン・コルベール。
暇さえあれば研究室にこもり、枯れ果てた砂漠に草を生やす薬の開発にハゲんでいるともっぱらの噂である。
周囲には日頃ルイズをゼロだゼロだとバカにする生徒達が並んでいるが、面倒なので割愛する。

「……いやだから、早く彼と契約して下さいよミス・ヴァリエール」

ルイズは耳を疑った。
もしコルベールの言う彼が龍騎だとしたら、ハゲが脳にまで及んだとしか思えない。

「正気ですかミスタ!? こんなのと契約したら明日が私の命日です!」

「ふざけんな! こいつと契約するくらいなら死んだ方がまだマシだぜ!」

ここに来て、初めて意見が合った。
死んだ方がマシだというのはその通りにしてやりたくなるが、もしかしたら気が合う相手かも知れないと、ルイズは思った。
友達にはしたくないタイプだけれど。
龍騎が首を傾げる。

「―――で、契約ってなに?」

「ええー!! 知らずに反対してたの!?」

とりあえず、人の言うことは内容を吟味せずに反対する主義のようだ。
友達どころか関わり合いになりたくないタイプである。
時すでに遅しだが。
とはいえ話が進まないので、ルイズは龍騎に契約について説明してやった。
この一文で済むから小説は便利だ。

「なるほど。使い魔ってあれだろ、ゲームとかに出てくる……ゲッ、じゃあ俺がお前の奴隷になれってことかー!?」

「別にあんたじゃなくてもいいわよ。むしろ……」

ルイズはちらりと、空気気味なドラグレッダーに目をやった。

「ワ、ワシ?」

「わけわかんない奴より、竜の方が良いのよね〜♪」

「んな無茶な……龍騎、なんとか言ってやってくれ!」

「よし、五百円でどうだ?」

「買った! いくらか知らないけど」

「えー!? ワシってワンコインの価値!?」

普通はいくら金を積んでも、なかなか竜を使い魔にすることはできない。
それも韻竜と契約したとなれば、もうルイズをゼロと呼ぶ者はいないだろう。
実家にも薄い胸を張って帰ることができるのだ。
しかし、人生はそう甘くはなかった。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 08:58:30 ID:G8FG0KjU
支援
20ドラゴンナイト・ゼロ:2009/08/01(土) 09:00:47 ID:O+gc6Tqm
「け、契約というならそもそも、ワシはもう龍騎と契約してるぞ!」

「え? そーだったの?」

「お前が聞くな! 現にお前とライドアップ出来るのは相棒のワシとだけだろーが!」

「でもカイザとギルスのとは合体できたぞ」

「セロハンテープでパーツくっつけるのは合体とは言わん!」

また訳の分からない単語が飛び始め、ルイズは顔を顰めた。
とにかく、ドラグレッダーは既に龍騎の使い魔で、ルイズとは契約できないということだ。
そうなると、少しまずいことになる。
成績にも響くだろうし、新たに「使い魔ゼロのルイズ」という不名誉な称号を与えられる可能性がある。
背中に刺さる「髪の毛ゼロのコルベール」の視線も痛い。
もう、道は一つしかなかった。

「仕方ないわね。龍騎、契約しましょう」

「やだ」

一刀両断だった。
まあ、さっき思い切り拒否してたから当然だろう。
しかし龍騎と契約しなければ、ルイズは今後ノー使い魔で生活することになる。
彼と契約したらしたで、命の危険に眠れない夜を過ごすことになりそうだが、その代わりドラグレッダーが手に入るのだ。
使い魔の物=主人の物。
ゼロの自分が竜を使い魔にする機会など、これを逃せば二度とないだろう。
女は度胸。必ずこのコントラクト・サーヴァントをモノにしてみせる。

「………給料払うって言ったら?」

「犬とお呼びくださいご主人様」

「早っ!」

見事な変わり身である。
ゴヒャクエンがいくらか知らないが、使い魔を金で売ろうとする男が、給料という言葉に喰い付かない筈がない。
だが、まさか膝まづいて手の甲にキスまでするとは思わなかった。
わかりやすい男だ。

「ゲヘヘヘ、結局1号もシャドームーンも金持ってなかったからな。ライダーより使い魔の方がお得だぜ」

「龍騎……一応正義の味方なんだから……」

仮面に赤い裂け目のような目と口を浮かべて下品に笑う龍騎に、ドラグレッダーが落涙する。
まあ、ルイズとしては龍騎が守銭奴である方が何かと都合がいい。

「で、契約ってどーすんの?」

「今やるから待ってて。えっと、我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……!」
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 09:01:42 ID:G8FG0KjU
支援
22ドラゴンナイト・ゼロ:2009/08/01(土) 09:02:32 ID:O+gc6Tqm
ルイズは心を静め、契約の呪文を唱えた。
そして、そっと龍騎に顔を寄せ、マスク部分――さっきは口があったのに――に口付けをした。
ウギャアと龍騎が悲鳴を上げ、ルイズを突き飛ばす。

「ぺっぺっぺっ! いきなり何しやがんだ汚ねーな!」

「き、汚い!? 乙女のファーストキスを汚いですって!?」

照れるなり慌てるなりはすると思ったが、まさか自分の唇を汚物扱いされるとは。
ルイズが爆破してやろうかと杖を構えた時、龍騎は再び悲鳴を上げた。
今度は苦痛の悲鳴だった。

「あぢぢぢぢっ! 左手があちぃ! テメ―よくもやってくれたな! オラァッ!」

「ギャアーッ殴る前に人の話を聞きなさい! ルーンが刻まれてるだけだから! ほら!」

打たれた右頬を抑えながら、ルイズは龍騎の左腕を掴んだ。
左手の甲に、奇妙な文字が刻まれている。
これがルーンだ。
龍騎が、正真正銘ルイズの使い魔になった証拠である。
先行きは不安で堪らないが、これで「使い魔ゼロのルイズ」と呼ばれる可能性は消えたのだ。
ほっと一息つく間もなく、龍騎がぎゃあぎゃあと噛みついてくる。

「痛いなんて聞いてねーぞ! あと休暇はあるんだろーな!?」

「そんなの私次第よ! もう使い魔になったんだから言うこと聞きなさい!」

「ふ、二人とも落ち着け。ほらコルベールって男と他の連中、もう帰っちゃったし」

「え?」

ルイズがケンカを中断して周りを見ると、たしかに誰もいなかった。
そういえば、次の授業の時間が迫ってるとか言っていた気がする。
まあ、こんなアホらしい口ゲンカを最後まで見届けようという奇特な暇人はなかなかいないだろう。

「って、このままじゃ遅刻しちゃう! 龍騎あんた空と飛べないの!?」

「いやそこはドラグレッダーに振れよ」

「あそこの城まで行けば……おいこら引っ張るな飛びにくい! あー!」

その後、ルイズが三回程ドラグレッダーから落ちたが(二回は自然に。一回は龍騎の手により)、城にはちゃんと到着したのであった。
授業は完璧遅刻だったけれど。
続く。
23ドラゴンナイト・ゼロ:2009/08/01(土) 09:06:16 ID:O+gc6Tqm
以上、投下終了。
このSSに登場した龍騎は「駈斗戦士仮面ライダーズ 超変身ギャグ外伝」の龍騎です。
城戸真司とは全く無関係なのであしからず。
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 09:12:21 ID:X2kffFdb
乙です!

>>城戸真司とは全く無関係なのであしからず。

ですよね〜w

「犬とお呼びくださいご主人様」 なんて台詞を彼が言ったと思うと・・・・!


思うと・・・・・・



ちょっといいかもしれないw
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 09:18:39 ID:yIUBI9GK
乙です!
まさか外道龍騎召喚とは思わなかったw
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 11:02:35 ID:yxp9DV+w
ドラゴンナイトという単語を見て
一瞬けしからんものが頭に浮かんだw
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 11:17:23 ID:zKtq6uq5
ルイズ、タバサ、キュルケなどがお礼にくるんだよね。
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 11:24:51 ID:cPmHI/NE
>>26
・カロン召喚でギーシュと耽美
・マルレーネ召喚でエルフ騒動。ついでにウェンディも現れてさぁ大変
・サラ召喚でカリン顔負けのスパルタ
・テファがエルフ姉妹or弓僧姉妹召喚でほーのぼーの
・マリリン召喚で世界が平和になりましたー

実にけしからんな
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 11:58:16 ID:5dvIkaDd
金色のガッシュ!!よりガッシュ・ベルを召還

ルイズを声が同じなためティオと勘違いしたりギーシュと清麿を勘違いしたり
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 12:04:44 ID:8oBVJYvS
むしろティオを召喚して桃髪、声同じで第4のヴァリエール妹に
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 12:08:47 ID:mNfJI8LG
ピンクの髪って、二昔前のエロゲのヒロインのイメージが付きまとっているのは何故だろう……著者がヤマグチノボルだから連想してしまうのだろうか。
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 12:10:03 ID:15UWCZuX
ゼロ魔の精神力とガッシュの心の力は別物なんだろうか?
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 12:15:14 ID:n1DUkuzV
フランケンふらん召喚でカトレア元気。タバサママも元気。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 12:17:56 ID:8oBVJYvS
>>32
ゼロ魔の精神力は使い果たすと気を失うけど
心の力は術が出なくなるだけで気を失わない

じゃなかったっけ?
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 12:38:19 ID:QZJwlAB+
>>28
カロンって亀の骨のやつ?
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 12:39:29 ID:bhDOPpet
>>12
旧スレの最後が多少残っていて、必要とされる新スレが立った状態を乱立って言うのかな。
まぁ、容量的に足りる人ですら新スレに投下するのは微妙だと思うけどな。
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 12:53:46 ID:XcetjQw2
リアル桃髪は引くけど二次元はおkな人が殆どだけど
不良の金髪は許せないって自分勝手だよな

むしろキャンチョメかウマゴンをry
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 13:00:55 ID:XcetjQw2
>>34
心の力使い果たしたら倒れてたような希ガス
気絶はしなくても疲労で動けなくなったりはしてた。
サイフォジオでカトレアさん治らんかな

連投スマソ
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 13:09:40 ID:bG9+XcLz
>>31
個人的にはそんな事ない。
むしろ、ミンキーモモとかようこそようことかハマーン様とか30年くらい昔の魔法少女の匂いがするな。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 13:13:46 ID:Ugfy0ZjX
>>37
必死のジェスチャーもむなしく再びウマゴンの名前になるウマゴン
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 13:19:03 ID:p/yZIM/s
帝国華撃団呼ぼうぜ
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 13:29:19 ID:l8UM7AT9
>>38
あれ?それはバオウ・ザケルガ(覚醒前)だったような?
ちなみにバオウ・ザケルガは心の力じゃなくて
心の力を使ったことによって蓄積される別の力をつかってたような気がする
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 13:30:18 ID:VG3W29Xf
本編でも部隊維持の為にものすごい金掛かってやたらと金策に走り回っていたので
帝国華撃団としての活動はそれぞれ生身でやる事になるな

紅蘭一人いてもあいつの壊れる事前提の機械じゃ産業革命まで達するのも無理そう
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 13:50:56 ID:58Sp4lxm
新装版刊行記念でバーサーカー呼ぼうぜ




フレッド・セイバーヘーゲンの。
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 14:31:46 ID:N6a/FPgb
ハーゲンダッツ食べたくなった
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 14:48:41 ID:XcetjQw2
>>42
アポロがディノ・リグロンだったか、最大呪文使ったとき倒れてたお(^3^)
雷帝の使い魔再開しないだろうか…。おっとクレクレ厨か
47ゼロの大地:2009/08/01(土) 14:58:33 ID:RhEkUJk9
ミサワソス一発ネタ
3:10分始めます
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:00:49 ID:r0kBWUQV
支援、お許しください!
49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:01:46 ID:EAT74KfG
いたんだ 三沢くん
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:04:38 ID:rIUXFfM4
行方不明組の一人支援
アモンとかどうなったのやら
51ゼロの大地:2009/08/01(土) 15:09:31 ID:RhEkUJk9
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:13:26 ID:Rajx9s2Y
タッグフォースの三沢の紹介文を思い出したわ

前衛的すぎるだろ・・・
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:18:58 ID:EAT74KfG
平民すら召喚できないとは、さすがゼロのルイズ
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:26:14 ID:OpecLKo2
あぶりだし?
55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:38:24 ID:dZRlIESI
夏ということで、ルイズが「くねくね」「ヒサルキ」「八尺様」のどれかを召喚。
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:41:47 ID:OpecLKo2
寺生まれのTさんでいい。
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:46:17 ID:EAT74KfG
三沢くんが またしても異世界から帰還し損ねたので
15:50くらいからGX繋がりで投下するよ 遊戯王デュエルモンスターズGXのユベル
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:47:57 ID:UkfLMWwJ
支援
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 15:48:58 ID:cPmHI/NE
>>35
中年の髭騎士。
初登場時はヒロインを主人公に届ける男前なんだけど、旅を続けるうちにモーホーという本性が顔を見せる男。
敵幹部(男)すらも愛の力で味方に引き入れると言う、メイン以上に目立つサブキャラ
60攻撃力0の使い魔:2009/08/01(土) 15:51:04 ID:EAT74KfG
(ここ…どこ……? 寒い…苦しい…何も見えない…何も聞こえない……)

ルイズは、凍てつくような寒さの 真っ暗な闇の中にいた。
全身に力が入らない。まるで重さが無くなったかのように 体が軽い。
にも かかわらず、開放感は いっさい無い。むしろ、あまりの閉塞感に、気持ち悪くて吐きそうになる。
とにかく寒い、苦しい。何より……寂しい。心細い。

(どうして……? こんなに好きなのに……なんで こんな仕打ちを……)

心の中で誰かに呼びかける。自分がこんな苦痛を味わう原因を作った、その誰かに。
それが誰かはわからないが、ルイズは その人物のことを知っているような気がした。
その人物のことを思うと、胸が苦しくなる。たまらなく愛おしくなる。

……どのくらいの時間が流れただろう。未だ、ルイズの苦しみは続いていた。
そして……彼女は気づいた。

(そっ…か……そうよ……私は…苦しんでるかぎり…絶対 あなたを忘れない……
 だから…私に こんな苦しみを……そうなんでしょ……?)

その結論を手にして、ルイズは たまらなく嬉しくなった。その発見に、胸が熱くなる。
心が、熱く焼けただれて、吐き気がするほど嬉しかった。

ある時……突然、世界が揺れた。ルイズの知覚できる範囲…世界が、何かに引き寄せられている。
引き寄せる力が強くなり、体も どんどん重くなっていく。世界が激しく揺れ、赤熱した光で視界が満たされる。

(熱い……! たすけて……! たすけて……)

誰かの名を呼び、助けを求める。
元より、自分の知っている人間は その人だけだ。自分の世界には、その人しか いらない。
自分の意識と体が激しく焼き尽くされるのを感じながら、ルイズは名前を呼び続けた。

凄まじい衝撃が走った。あたりに轟音が響く。
熱い……! 痛い……! 苦しい……! だが、まだ自分は生きている。
何も見えない。何も聞こえない。何も感じない。体が動かない。立ち上がれない。歩けない。
……左腕に力が入る。

(……! 動く……!)

左腕だけは、まだ感覚が残っていた。
ルイズは、左手で力いっぱい地面を引っかくように握り締める。そして 指を開く。
また握る。また開く。そうやって左手の握力だけで体を動かしていく。
焼けただれた肌と地面が擦れて痛い。が、気にせず進む。地面を握った指先の爪が割れて痛い。が、それも気にせず進む。

ルイズは、文字どおり「左腕だけ」で前に進んだ。自分をこんな目に遭わせた、愛しい人を目指して。
左腕以外の部位が さっきの出来事で焼失したことなど、今はどうでもいい。
彼に会いたい。いや、会わなければならない。
そして、伝えるのだ。いかに自分が彼を愛しているか。いかに自分の愛が強いか。
そうだ。世界を、自分の彼に対する愛で満たそう。そうすれば、きっと……喜んでくれる。
61攻撃力0の使い魔:2009/08/01(土) 15:53:31 ID:EAT74KfG
「……っ!!」

シーツを跳ねのけて飛び起きる。
気がつくと、ルイズは 部屋の中…ベッドの上にいた。カーテンが綺麗に整えて開けられた窓から、朝日が差し込んでいる。

「あっ!」

思わず、自分の体を確かめる。……手も、足も、胴体も、頭も、ちゃんと全部揃っている。
なぜ そんなことをしたのか自分でもわからないが、とにかく ホッとした。

「……夢?」

そういえば、何か…とてつもなく苦しくて…そして悲しい夢を見ていた気がする。
だが、どんな夢だったのかは思い出せない。汗だか涙だかわからないが、水滴が頬を伝って滴り落ちた。
大量の水分を含んだネグリジェが気持ち悪い。こちらは間違い無く汗だ。
だんだん頭がハッキリしてきたルイズは、部屋の中を見回す。誰もいない。

(まさか、昨日のことも夢……!?)

いや、そんなハズはない。事実、昨日 自分は使い魔の召喚に成功した。
その証拠に、昨日の夜 脱ぎ散らかした衣服が、無くなっている。
ルイズの召喚した使い魔が、洗濯のために運び出したのだろう。今 あいつが部屋にいないのも、きっと そのためだ。
どんどん正常な思考を取り戻していく頭で状況を整理していると、突然 ドアのカギが回され 扉が開く。
そして、昨日 ルイズが召喚した亜人:ユベルが現れた。

「……やぁ。おはよう、ルイズ。よく眠れたかい?」

トーンの低い女性の声で、ごく自然に呼び捨てにしてくる。だが、もう いちいち気にしない。

「ちょっと…ノックくらいしなさいよね。まあ…真面目に仕事してるみたいだし、許してあげるけど」
「あぁ……洗濯なら、そのへんにいたメイドに頼んでおいたよ。ボクより 彼女たちのほうが ずっと上手いだろう?」
「あ、あんたねぇ……洗濯も使い魔の仕事だって 昨日 言ったでしょ」
「そうかい? でも 残念ながら、ボクはキミの召使いになるつもりは無いねぇ」

どうやら「使い魔」についての認識が根本的に食い違っているようだが、それは今後ゆっくり教育していけばいい。
62攻撃力0の使い魔:2009/08/01(土) 15:56:34 ID:EAT74KfG
「……まあ、済んだことはいいわ。じゃあ…ホラ」

ルイズが ベッドから降りて床に立ち、そのまま じっとユベルを見つめる。

「着替えさせて」
「なに?」
「あんたが私の着替えを手伝うの」
「……それも使い魔の仕事なのかい?」
「そうよ。だから早くして」
「……言っただろ。ボクはキミの召使いじゃない。下僕でもなければ奴隷でもない。いわば協力者だ。
 キミや ほかの人間でもできることを、なぜ ボクがしてあげなきゃならない?」
「な…っ!」

なかなか思いどおりにならない使い魔に、ルイズは だんだん腹が立ってきた。
確かに使い魔の召喚と契約は大成功を収めたと言えるが、正直 今の関係は、ルイズが理想とする貴族の姿には ほど遠い。
さすがに奴隷ではないにせよ、使い魔は 下僕であるハズなのだ。
だが「自分は下僕ではない」と言う相手に「いいや、おまえは下僕だ」などとは言いづらい。相手が未知の亜人ならば、なおさらだ。
そこでルイズは「使い魔」という言葉の定義を利用して、それとなく使い魔の立場を伝えることにした。

「使い魔っていうのは、そういうもんなの! いいから言うとおりにしなさいよ!」
「……ふっ、そうかい。キミがそう望むなら……仕方無いね」
「へ?」

急に素直な反応を示すユベルに、拍子抜けして 思わず間抜けな声が漏れる。
が、すぐに 主人としての威厳を示すために立ち直る。

「わ、わかればいいのよ、わかれば。そこと そこと…あと そこに着替え入ってるから」

その言葉を聞いたユベルは背中の2枚の翼を広げ、宙に浮き上がる。
そして……ルイズに乗り移った。

(ちょっ…何してるのよ! 昨日 これはしないって言ったじゃない!)

そう困惑するルイズの頭の中に、ユベルの声が響く。

(何を驚いているんだ。簡単なことだろう?
 キミは、ボクに着替えを手伝わせたいと思っている。逆にボクは、キミが自分で着替えればいいと思っている。
 その2つの条件を、同時にクリアしようとしただけさ)
(……っ!)

確かに間違ってはいない。だが、何か釈然としない。
ルイズが反論を考えているうちに、ユベルはルイズの体で ルイズの着替えを済ます。
着替えが完了すると、ユベルはルイズの体から抜け出し、さらに部屋からも出て行こうとする。

「あっ、ちょっ! ご主人様をほっといて どこ行く気よ!」
「……キミはこれから、食堂へ朝食を摂りに行くんだろう?
 でも ボクはキミたちと違って、物は食べないからね。そのあいだ、好きにさせてもらうよ」
「って、こら! 待ちなさいったら!」
63攻撃力0の使い魔:2009/08/01(土) 15:59:12 ID:EAT74KfG
……部屋の外で、ユベルの動きが止まる。だが、ルイズを待っているわけではないらしい。
ルイズの位置からは壁で見えないが、廊下にいる何かと向き合っているようだ。
廊下に飛び出したルイズは、その「何か」の嬉しくない正体を発見した。

「はぁい、おはよう ルイズ。そうやって並ぶと、ホントに子供みたいね?」
「っ! キュルケ……!」

ルイズよりも背が高くてスタイルの良い 赤い長髪で褐色の肌をした少女。
朝っぱらから出会って早々、身長のことを冷やかされる。
……が、そのライバルが 自分の使い魔に上から見下ろされているという愉快な構図が、ルイズの怒りを相殺した。

「……で、あなたが ルイズの使い魔さんね? 初めまして。
 あたしはキュルケ。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー」

亜人の顔を、キュルケが見上げる。親友タバサの1.5倍近い身長から、3色の視線が降り注いでいる。
見たことも聞いたことも無い種族の亜人だ。確かに「悪魔」と言われても、嘘には聞こえない。

「ボクはユベル。よろしく、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー」
「……キュルケでいいわ」
「なんで わざわざフルネームで言いたがるのよ……」

長い名前を1発で覚えて すらすら言うユベルにつっこむ。ツェルプストーと仲良く会話するな、とは言い忘れる。

「それにしても……ゼロのルイズが、まさか亜人を召喚するなんてねぇ……驚いたわ」
「ふん、何言ってるのよ。こうして使い魔の召喚と使役には成功してるんだし、もう『ゼロ』じゃないわ」
「……そう。よかったじゃない」

胸を張るルイズを、特に馬鹿にするでも茶化すでもなく、キュルケは軽くねぎらった。
64攻撃力0の使い魔:2009/08/01(土) 16:02:52 ID:EAT74KfG
「ところで……ねぇ、ユベル。あなたって…女? それとも男?」
「……!?」

幼い頃から刷りこまれてきた、ツェルプストー家の忌むべき特質のことがルイズの頭をよぎった。

「ツェルプストーっ! あんた まさか、人の使い魔に手を出す気!? それも亜人に!」
「え? い、いや! そんなつもりは無いわよ! パッと見 男か女かわからなかったから、興味本位で訊いただけ!」

ルイズの懸念と疑念を払いのけるように手を振ってキュルケは否定する。さすがに、この相手に手を出そうなどとは思わない。

「ふーん……そう? でも、訊いても無駄よ。本人もわかってない…というより興味無いみたいだから」

その質問については、すでにルイズが昨日のうちに済ませてしまっていた。

「あら、そうなの? まあ確かに、綺麗に半分ずつだもんねぇ……それが正解なのかしら?」

「脱いでみれば わかるかも……」という考えが頭をよぎるが、すぐさま思いなおす。
もし、その性別の象徴も半分に分かれているのだとしたら……? そんなものを見る心の準備は できていない。
そんなキュルケを、ユベルは無言で品定めをするように3つの目で見つめ続けている。
男たちの 性的な意味を多分に含んだ熱視線とは 違う。少なくとも、キュルケの女性としての魅力を はかっているわけではない。
その異質な視線に耐えられなくなったのか、キュルケが口を開く。

「あっ、それより……! あたしも使い魔を召喚したのよ。誰かさんとは違って、一発でね!」
「う……うるさい! 試行錯誤の末に誰よりも大成するタイプなのよ、私は! たぶん!」

キュルケの背後から 大きな赤いトカゲが姿を現した。ユベルの視線が そちらに移る。

「このトカゲ……炎属性・爬虫類族か」

トカゲを見たユベルが そう呟いた。また聞こえた「属性」という単語に、ルイズは顔をしかめる。
昨日 その単語について 何度 質問しても、ユベルが答えてくれなかったからだ。
だが、なんとなく予想はついていた。このキュルケの使い魔に対するユベルの評価で、その予想は信憑性を持った。

「……あー、つまり火系統のトカゲって意味ね」

つまり「闇属性・悪魔族」のユベルは……?

「トカゲじゃなくて『サラマンダー』よ。尻尾の先に火が灯ってるでしょ。
 しかも、フレイムは 火竜山脈に生息する亜種で、普通のサラマンダーより ずっとレア物なんだから」
「れ、レア度なら こっちだって負けてないわよ! どこから来たかわからないくらいレアなんだから!」
「え? ルイズ、あんた……自分の使い魔に出身地も教えてもらってないの?」
「私だって知りたいわよ! でも、本人がわかってないんだから 仕方無いでしょ!」

まるで、レアカードを自慢し合う子供のように使い魔のレア度談義をする2人を、ユベルは見守る。
十代の父が、幼い十代にプレゼントした最初のレアカード……それが「ユベル」だった。
過ぎ去った日に思いを馳せ、決意を固める。

(十代……ボクは必ずキミを取り戻してみせる。そして……)
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 16:05:19 ID:EAT74KfG
投下終了 早く夢も希望も無いガチデュエルがしたい
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 16:17:48 ID:JmoAOMGM
乙。確かアメリカ版じゃユベルは女になってたはず。
まあ、キュルケなら「あたしは女でもかまわないで食っちまう人間なのよ」と言うだろうが…
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 16:42:53 ID:5dvIkaDd
乙〜。
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 16:57:27 ID:vFYV6Wm4
>35
「えんや〜〜こ〜〜ら〜〜」で親しまれた、三途の川の渡し。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 16:58:45 ID:fKAfaVpz
そういえば社長の人最近見ないね
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 17:10:31 ID:xgS4kKgK
ルイズに召喚されちゃったんだよ
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 17:20:30 ID:oQ9koXOv
楽しみにしてた人の最終更新から約3か月…
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 17:25:01 ID:L1+qUvwN
>>71
よくある
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 17:55:50 ID:NO+dNcJT
>>51
GJ!
めっちゃ意表を突かれた。さすがH ERO
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 17:56:16 ID:BCzbG92q
ここのスレとは別の人だけど社長が召還された奴なら他にある
ちなみに完結済み
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 17:59:09 ID:oQ9koXOv
AAの奴か?
あれは良かった
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 18:02:24 ID:EAT74KfG
遊戯王のキャラは やっぱりハイテンションなほうがサマになる
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 19:06:45 ID:p/yZIM/s
遊戯を召喚した方がよくね?
千年パズルをコルベールだかルイズだかに取り上げられて序盤は変身できなくしたりとか
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 19:11:55 ID:JmoAOMGM
チーム・サティスファクションのどれかひとりか、ゴドウィン兄弟のどちらかを呼んでみるとか
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 19:18:01 ID:kPJCF1EN
てっきり緑色の無敵の三沢さんが召喚されたのかと思っちまったじゃねーか!!
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 19:38:23 ID:RZKSNuV9
BLEACHから声つながりでネム召喚。身長や胸に差がありすぎて以下略
形は歪んでいるけど実はパパンから信頼かつ溺愛されてるんだよなぁ、彼女……

声つながりだとギーシュが吉良召喚できそうかな。
重さを倍にする→重力→土系統とか一応能力相性もいい。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 19:57:04 ID:Fbd4vWUf
二レスの小ネタを投下します。
召喚元は、宇宙戦艦金剛 自主規制の星。
82自主規制の使い魔:2009/08/01(土) 20:04:07 ID:Fbd4vWUf
「全宇宙のどこかにいる強く、賢く、美しい、私にもっとも相応しい使い魔よ! わが呼び声に答え我が元に来たれ!」

 唱えた呪文が爆発を呼び、そこにルイズの召喚した使い魔が姿を現す。
 爆発が生み出した土煙が晴れたとき、ルイズはそれの姿を目視する。

「おはようございます」

 滑らかに言葉を紡ぐそれは、しかし間違いなく人間ではない。
 顔だけ見れば人間、というかどっかの世界の伝説の殺し屋そっくりなのだが、首から下は人の体ではなく前世紀の地球人の考えた火星人の
ような触手が生えていて、それをもって直立しているし、頭頂部は男性のキノコに似た部位そっくりである。

「わ――っ!」
「そんなの召喚して気は確かか、ゼロのルイズ!」

 そんな言葉が聞こえてきたが、そんなものに構っていられる精神的余裕はルイズにはない。
 というか、こんなものを望んで召喚したとでも思っているのか、周りの奴らはと文句が言いたくなる。
 そんなルイズに、彼女が召喚した使い魔は容赦なく話しかけてくる。

「おれは……、セ○クス星人、オナ○ー・セン○リーというものだ……」
「オ、オナ……」
「なんて卑猥な使い魔なんだ、こいつはッ!」

 気が付くと物珍しさからか、集まってきたギャラリーに、大声で叫ばれてビクリッと肩を震わせるルイズであったが、よく見ると他にも生
徒たちのほとんどがルイズの召喚した使い魔に注目していた。若干数名、気にせずというか見ないフリをして召喚の儀式を続けている生徒も
いるが。
 つまりは、それだけ他にはありえない強烈な存在感を放つ形状をしていたのだ。と思ったのだが……、

「おはよ」
「うござ」
「います」

 そんな聞き覚えのない声に、思わず振り返ったのは現実逃避だったのかもしれないが、そこでルイズは更なる戦慄に襲われる。
 そこにいたのは、自分が召喚したのと顔意外そっくりの形状の三体の生物。
 召喚者なのだろう、キュルケとタバサとギーシュが泣きそうな顔をしているが、自分も同じような顔をしているのかもしれない。

「わしは、コン○ーム・ペ○○リーという者だ……」
「おれは、オル○○ム・タマ○ンという者だ……」
「私は、オ○ェラ・フ○○クだ」
「しっ、正気か彼等!!」

 それらの自己紹介に、ギーシュは叫びを上げ、キュルケはどういう顔をしていいのかわからないといった感じ、タバサは目が潤ませている
のが見えた気がした。
 あれ? でも、おかししいな。視界がぼやけて、よく見えないよ。
 などと思っていたら肩を叩かれ、振り返ると、自分の召喚した使い魔がどこから出したのかテーブルを用意し、そこにはワインやステーキ
を並べた食事の用意がしてある。

「食べたまえ。早く食べないと、せっかくのス○トロ料理がさめるぞ……」

 もう、やだ……。
 そう思ったルイズを誰が責められよう。

「ええい! こんな使い魔と契約できるわけないでしょ!!」
「いや、しかし発音が同じなだけのようですよ……」

 コルベールが、そんなことを言うが納得できようはずがない。
83自主規制の使い魔:2009/08/01(土) 20:08:42 ID:Fbd4vWUf
「うるさい、うるさい、うるさいっ! 使い魔を召喚できたら実家に手紙を書かなきゃならないのよ。こんなのだなんて手紙に書いたら狂人
扱いされるわ!!」
「ルイズの勝ち」

 ひょいとルイズの首の後ろを持ち上げるキュルケ。ムカっとしたが、今はキュルケと揉めている場合ではない。

「……しかし」
「しかしじゃないですよ! こんな使い魔、手紙だってふせ字だらけになるじゃないですか──ッ!」
 そう言ったのはギーシュ。彼といえど、この使い魔は守備範囲外だったようだ。

「ス○トロ料理が気に入らなかったのか?」
「そんなの気にいるわけないでしょ」
 実際、使い魔が用意したのは、それ自体はまともな食事なのだが、名前がアレだと食べる気がしない。

「まあいい……。どうやって我々をここに連れてきたのかは知らんが、そろそろ帰してくれんかね」
「我々にも、外せぬ用事というものがあるのだ……」
「な、なによ?」

 真面目な顔の四人(四体?)に、嫌な予感を感じながらも、ルイズたちは耳を傾ける。

「実は、わがヴァ○ナ帝国が、隣国からの脅威にさらされているのだ」
「うう……、また始まったかコンチクショウ」
 嫌だなあと思っても、無視するわけにもいかない。

「だから、こちらが先にヴァ○ナの隣国ア○スを攻略せねばならんのだ」
「い……っ、言ってる意味がわかってるのか君たちは──ッ!」
「おちつきなさいギーシュ」
 コホンッと咳払い一つして、キュルケは、それらと話を続ける。

「ア○スを攻め落とせるように、必ずあなたたちを帰す。それでいいわね」
 あまりといえば、あんまりなセリフに、ブフゥッとギーシュが吹き出すが、彼も笑っていられる立場ではない。

「でも、どうするのよ? 送還の魔法なんて教わってないわよ」

 当然の質問をするルイズの服の裾が引っ張られ、そこにいたタバサが耳元で囁く。

「わたしたちは、何も召喚していない。何も見なかった」
「それって……」

 なんとなく、言わんとすることを理解したルイズは、それはさすがに……、と四体を見て。
 そうね。その通りねと自身を納得させる。

「じゃあ、いくわよ」

 キュルケの宣言と共に、ルイズたちは呪文を唱え始める。
 キュルケとタバサは本人が扱いうる最強の攻撃魔法のルーンを、そしてルイズはなんとなく頭に浮かんだエクスプロージョンの呪文を唱え
る。

「ちょっと、君たち、春の使い魔召喚の儀式は神聖な……」

 コルベールが何か言っているが、知ったことか。


 ルイズが実家に送った手紙。
 フェオの月、フレイヤの週、ユルの曜。
 今日は春の使い魔召喚の儀式があったけど、特に何も召喚できませんでした。
84自主規制の使い魔:2009/08/01(土) 20:10:41 ID:Fbd4vWUf
改行多すぎた。
さて、これがながいけんの漫画だと何人が気づいてくれるだろうか。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 20:21:24 ID:TL8OoCMU
投下乙www
というかあんた最近や○夫短編集見ただろw
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 20:23:21 ID:5dvIkaDd
wwwwwwww
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 20:27:42 ID:WQyTBXOn
>>なんとなく頭に浮かんだエクスプロージョンの呪文
おいwww
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 20:42:27 ID:1xme/GbA
自主規制の人GJ!
伏せ字多すぎるわwwwwwwwww
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 20:44:25 ID:9Az1uGeR
>>なんとなく頭に浮かんだエクスプロージョンの呪文
投下作品の中で最速覚醒だなw
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 20:55:34 ID:EAT74KfG
異文化コミュニケーションって難しいなw
でも実際 名前で損してる人っているよね
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 21:09:45 ID:r0kBWUQV
>>89
この速度なら五話くらいでテレポートが使えるぞwwwww
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 21:11:10 ID:1hBwsGno
虚無がなんとなく浮かんだルイズって初めて見た気がするw
小ネタじゃなきゃできんわwww
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 21:19:59 ID:BCzbG92q
>>90
あぁ、マーラ様の事か
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 21:29:08 ID:VygnKXX8
DODのレオナールさんとか
オナ兄は流石に悪意を感じるw
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 21:30:57 ID:EAT74KfG
>>93
御立派様は むしろ見た目で損してるようなw

いくら自動翻訳とはいえ ハルケギニアの人が
「マーラサマ」→「魔羅様」→「男性器様」って変換できてるかは疑問
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 21:42:02 ID:QZJwlAB+
あんな御立派なモノが『損』ですと!?
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 21:44:23 ID:JmoAOMGM
男性陣からは崇拝の対象になっていたぞ
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 21:55:09 ID:EAT74KfG
収める鞘の無い抜き身の刀は ドン引きされても仕方無いと思うけど……
わかったよ 俺が悪かったよ たたり生唾くらってくる
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 21:58:04 ID:QZJwlAB+
見た目以上に中身も偉大だから俺も崇拝しそうだな、実物拝んだら
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:03:34 ID:r0kBWUQV
というより男根がモチーフの敵キャラって今考えると相当やばいなw
今の時代だとCEROが黙ってはいないなwwwww
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:06:52 ID:9plgprvA
>>100
最近出た奴でもしっかりあのお姿で出たような覚えが・・・・・
開発スタッフだかプロデューサーがSCE相手に苦労したとかカントカ・・・・・
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:10:32 ID:dv6s50B2
ハルケがイタリア語圏で磯野カツオが召喚されたら
イタリア語のio sonoは英語のI amと同義
そしてカッツォ(cazzo)は男性器そのもの
あとはわかるな
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:22:37 ID:QZJwlAB+
>>101
ライドウに出演して、後ろから御立派様がぶるんぶるん言わせながら付いてくるぜ
ARPGだからその存在感は圧倒的

もちろん猛突進の突き攻撃が強烈で何度昇天させられた事か
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:25:37 ID:EAT74KfG
アバドン王では もちろんミシャグジ様と同時召喚
あとマーラ様の話題でカツオとか言われると どうしてもハッカーズが思い浮かぶ
って いつからメガテンスレになったw ここの住人の守備範囲がよくわからん
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:25:45 ID:N6a/FPgb
>>90
カカなんて大したことない(以下略

>>102
誰も歌詞もがチン○チ○コ言ってるわけか、実現されたらテンテンくんのOPより凄いな。
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:27:17 ID:QZJwlAB+
>>104
たまにこうなる
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:32:31 ID:N6a/FPgb
>>104
このスレの守備範囲は異常
野球で言えば谷、サッカーで言えばマケレレ
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:35:19 ID:JTj8Iby9
>>99
GBAメガテン2のビジョナリィじゃ
食料の調達・敵への悪口・宿の手配 等の手助けさせてくれと言い出すからな。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:35:36 ID:cPmHI/NE
なんとなしに出した小ネタ発言に反応が返ってくるからな、このスレ
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:37:26 ID:EAT74KfG
>>108
あれのおかげで「菩提樹の下の恋」がマーラ様のイメージになったw
20XXではストーリーの中核に絡んでくれたよね
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:43:45 ID:HXzcnDG5
閣下には「マーラにはこれが限界」とか言われちゃったけどね。
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:48:45 ID:npW/i2cP
>>94
テファん所以外兄貴が心ひかれる人がおらんな
なんとなく誤爆っぽいが
そういえばDOD&Mの続きはまだかなー
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:52:04 ID:N4HB9jtc
ルイズはなんと目の前で着替えry
「待て・・・」
「な・・何よ」
「パンツからsageろ、話しはそれからだ」

スレ住民を召喚
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 22:52:19 ID:N6a/FPgb
酷いネーミングの流れでオナ兄さんと来たら、誤爆でもなんでも無いんじゃね?
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:04:48 ID:OpecLKo2
レオナールさんはマゾでホモでショタスキーだけどいい人だよ!
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:05:26 ID:bTPGDfFh
御立派様は完結してから大分経つのに今だ語られるとは。

>>104
安心しろ。メガテンスレ化だけじゃなく特撮スレ化する事もある。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:06:16 ID:N6a/FPgb
>>115
何気にカイム様より強いしなw
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:07:04 ID:EAT74KfG
なぜ わざわざ Leonard という名前をレオナールという読み方で彼に与えたのか
やっぱワザとだろ コレw
にしてもカイムさん契約前からバケモノみたいに強いんですが
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:09:34 ID:N6a/FPgb
ごめん、カイム様より強いってのはゲーム的な意味
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:12:13 ID:EAT74KfG
妖精と契約しただけなのに なんであんな強いんだろうな 
やっぱり視力を失ったからか
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:15:50 ID:l8UM7AT9
キラル・メキレル召喚とな

あいつもドモンと対等に渡り合えるびっくり人間だったな・・・
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:18:07 ID:cPmHI/NE
>>120
「剣の道を極めようとするこの私が今さら他の道を歩めるはずもない……!」
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:18:24 ID:Gm5rO4bg
伝説の竜を召喚とか考えてみたけど
クリティウス→ミョズニトニルン
ティマイオス→ヴィンダールブ
とまでは考えたが
ヘルモス→ガンダールブがどうにも使い辛いというか
ヘルモス自身が武器化するからどう頑張ってもデルフの出番が無い事に気づいて挫折した。
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:19:34 ID:N6a/FPgb
残念、地上最強じゃなくて伝説か
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:20:24 ID:9Az1uGeR
何故か連合のまとめっぽいことしてたり
スパロボにも結構頻繁に参戦してたりするね
マーメイドの兄ちゃんは未だに出たことないのに

それはそうと視力・・・すぐに浮かんだのがマクロス7Tのジンと真マジンガーのピグマンだった
他にもいるはずなんだがピンとこん
うーん・・・座頭ワン?
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:30:08 ID:EAT74KfG
遊戯王カードは武器でもあり幻獣でもあり魔道具でもあるから便利
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:30:44 ID:Jqx89d9I
>>125
7トラッシュとかおまwwwまたマイナーどころをw
一瞬誰だか判らなかったじゃねーかwww
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:31:47 ID:p/yZIM/s
ここでまさかのパトラッシュ召喚
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:35:16 ID:gfaqDDlG
月光条例の?
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:41:51 ID:Ypz2vqTh
ルイズが絶望の中で死んでしまう
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/01(土) 23:54:03 ID:l8UM7AT9
絶望から希望は生まれてく〜るの〜

というわけで超者ライディーン召喚
しかし誰にも見えない罠
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 00:00:04 ID:q4jtSpLo
>129
ゼロの使い魔が「月打」されました、とか?
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 00:05:16 ID:F1BlIZ6k
ウルトラマングレートことジャック・シンドー召喚
始祖の祈祷書と虚無のアイテムから最大の敵はハルケギニアそのものという結論が出て
最後はハルケ自身が呼び寄せた最強のゴーレムと戦う
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 00:26:43 ID:wvL4rE0X
破天荒遊戯の3人召還の小ネタを考えてたんだけど、何だかちょっと違和感が…

ルイズ
身長153cm
バストサイズ76

ラゼル
身長152cm
バストサイズ73(バロックヒート談)

……やっぱり何かおかしい……
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 00:44:47 ID:rAvXQFMD
スリーサイズからの計算だとルイズはCぐらいはあるんだっけ
ティファニアとグローランサーのおっぱい総帥とじゃどっちがでかいのだろうか
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 00:48:18 ID:JwM9nL1g
アンダーサイズが分からんから、カップの正確なところはよく分からんのだよなぁ
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 03:48:48 ID:fXRQ7l6w
鬼太郎召喚
メイジを妖怪扱い…するのか?
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 07:45:04 ID:fGKVKqcT
>>134
ギーシュがヒーたんを師匠と崇めるがラゼルに踏まれるがアル坊にフルボッコされる絵しか浮かばねぇw
ワルド?
心臓握り潰されて終了

逆に考えるんだ、ノボルが正確な数値を考えれるわけがないんだ。と
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 07:46:37 ID:MzrC4y/G
>>137
鬼太郎は召喚済み。
いきなり止まったけど。
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 07:48:48 ID:VkQg8mxY
煉獄のエスクードから召喚してー

けど、ドマイナーだからみんな知らねーだろうなぁ。
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 08:17:58 ID:0RIOYOJi
>>84
心の魔王・平口君か笛座輪芸氏でも書いてくれんか
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 08:35:40 ID:W5YVeOru
ヴァンパイア十字界だって通用するからなぁ
でもエスクードって聞くとレイアース思い出す
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 08:37:01 ID:swqJUawL
車の名前にもなかったっけ?
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 08:38:35 ID:PFV6rCVS
マイナーだろうがなんだろうが自分が好きなネタで書いたもん勝ち
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 08:46:33 ID:/xNc/Vnp
>>143
レイアースに出てくるキャラの名前は車から取られてる。
どのメーカーの車かを当てるのも結構楽しい
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 09:01:02 ID:WmVI5CLh
エメロードとかザガートとかランティスとか
主人公三人以外は全部車だったっけか
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 10:10:25 ID:GeeEWkaW
それにしても「攻撃力ゼロ」と聞いてエッグマン思い出す私は古いのだろうか
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 10:20:15 ID:C4x3MQz6
昨日はマーラ様談義してたのか・・・くそう、寝てたよ俺。
『魔』って漢字はマーラ様のために作られた字だからな。
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 10:21:54 ID:S8475d0N
>>146
あそこまでネーミング適当だといっそ清々しいなw
主人公の名前もド直球なら、重要ワードも伝説の泉に伝説の武器に伝説のry
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 10:33:59 ID:eyr5lcsD
せめて、主人公と敵、味方、道具、でそれぞれ軽自動車とか普通自動車とかトラックとか国産とか外車とか、そう区別すればよかったのに。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 10:35:48 ID:lXl7jFUM
どんなキャラでもいくつかのシーンは思いつくけど、
話としてつなげろって言われると難しいなあ
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 10:36:18 ID:1eS1zlN4
だいぶ亀だが

盲目で南斗白鷺拳のシュウが出てこないとはどういうことだ
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 11:12:02 ID:PFV6rCVS
>>147
失敬な、ゼロじゃなくて届かないだけだ!
ヤツの蹴りは魔王をも倒す!
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 11:13:36 ID:HZdIVyc6
>>151
自分は その断片を無理やり繋げて 話に仕立て上げてる
ただ 当初は1発ネタのつもりだったから 所々なんかおかしい
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 11:20:00 ID:JwM9nL1g
>>154
あれ、俺いつ書き込んだんだっけ
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 11:43:46 ID:triVQk1Q
ハイスコアからゴンちゃんを…
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 11:52:26 ID:bnyqjPSB
>>149
リリカルなのはも名前は車だったな
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 12:10:04 ID:x4BtGZ8o
>>150だけ見てトランスフォーマーの事かと思ったw
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 12:25:54 ID:0/ZLMsQ4
>158
虚無の使い魔が全部バンブルビーですか。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 12:48:28 ID:9H6GinaU
昔『さいばぁふぉーす』という漫画がありまして、メインキャラは軽自動車、敵は外車、という括りが有ったものですから。
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 12:48:48 ID:1eS1zlN4
テファあたりならオプティマス呼びそうな気がしないでもない
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 12:49:20 ID:M95Cvfc4
ヨタハチ爺ちゃんという絶望的な名前の人がいましたな
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 12:55:24 ID:WmVI5CLh
お、おちよしひこーっ!?>さいばぁふぉーす
イグドラシルとか海の人とかからでも面白い人たちが召喚できそうだなぁ

百喜夜行シリーズからきつねさんとかな!
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 13:03:50 ID:NkNnWf9N
南斗鳳凰拳前伝承者のオウガイがルイズに招喚されていたら
ルイズ=心構えをオウガイから学ぶ
オウガイ=鳳凰拳をサウザーに伝えたので、鳳凰拳は封印して使わない。
ジョゼフに召喚されていたトキから事の顛末を聞く(十字陵に有った遺体は人形(シン製作))
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 13:23:17 ID:XW061P25
>>147
エッグマンを馬鹿にするな!
どんな強烈な攻撃もダメージ1におさえる、という全キャラ中最大最強の防御力を持ってるんだぞ


まあどんなショボい攻撃もシステム上最低1ダメージを食らう上
最大HPが1なので無意味といえば無意味なのだが
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 13:27:08 ID:TDvP1iqh
>>141
あのカレーが食えない超能力者なら既に小ネタで召喚されてたよーな
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 13:41:08 ID:G5ctdylO
>>159
なんでそうなる

1でのオートボットの皆さんのコメントからすると
ことごとく「この主人ってのはイライラするな、抹殺していいか?」しそうな悪寒
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 13:42:53 ID:E4O485Ig
>>163

ミニ四ファイターを召喚。
世界にミニ四駆ブームと二頭身化が起きる。
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 13:46:39 ID:a6JV8UsB
>>55-56 オカ板ネタか
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 14:32:00 ID:8r2MnaU/
>>168
ついでに耳がでかくなるな
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 14:34:40 ID:+hofYi+D
>>167
実写版じゃ有り得ないが初代アニメのサイバトロンだと言いそうだな。
特にアイアンハイドやクリフなんか正義の破壊大帝だし。

でも、今考えるとサイバトロンって本当にフリーダムだなwwwww
ワーパスなんか笑いながらスタントロンフルボッコにしたり…
コンボイはモーターマスターを進んで潰しておいて「こんな事は二度と御免だ」って呟いたり。
172ウルトラ5番目の使い魔:2009/08/02(日) 14:41:23 ID:pGM120fd
皆さんどうも、では今週分の投下を開始したく存じます。
予約、他に問題がなければ十分後に投下開始します。今回使用レス数は10です。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 14:41:32 ID:MzrC4y/G
>>171
いや、>>167のセリフはマジで言っていたぞ。
こんときは主人じゃなくて親だったけど。
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 14:44:31 ID:w6tTW8P+
ウルトラ支援!
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 14:45:41 ID:+hofYi+D
>>173
あー思い出した思い出した。確かにそうだったな。
映画ではあんなことを言っていたのはアイアンハイドだけだったけどw

まぁそれはさておきウルトラの人の投稿に期待。
176ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (1/10):2009/08/02(日) 14:52:23 ID:pGM120fd
 第59話
 平和と出会いと流れ星
 
 宇宙怪獣 ザランガ 登場!
 
 
 ルイズたちの旅も、そろそろ前半が終わろうとしていた。
 内戦状態のアルビオン大陸も、戦場以外では治安はなかなかよく、盗賊だのなんのには会わずに、
目的地であるウェストウッド村まであと一時間ほどの距離まで来ていた。
「内乱中だっていうから用心してたのに、結局平和なもんだったな」
「そーだな、俺っちも出番あるかもと思ってわくわくしてたのに、期待はずれだったわ、つまんね」
 才人とデルフが仲良く髀肉の嘆を囲っている。馬車の旅というのも慣れれば退屈なもので、ラジオや
カーステレオがあるわけでもなく、豊かな自然も逆に変化がなくて飽きが早い。カードゲームをしたり
本を読もうかと思ったりもしたが、馬車はけっこう揺れてカードが飛び散るし、この際こっちの文字にも
慣れようかとタバサに借りた本を開いたが、すぐに酔ってしまってやめた。
 ルイズやキュルケなどは例によって先祖の誰彼がどうだとか、よく飽きもせずに言い争いを続けているが、
寝疲れてもしまった以上、退屈は最高の敵だった。仕方がないので御者をしているロングビルといっしょに
行き先を眺めた。街道は、旅人や商人が行きかい、こちらも平和そのものだった。
「この調子だと、予定より早く着きそうですね」
「そうですね……うーん」
「? どうかしたんですか」
 予定が早くなりそうなのに、なぜか納得のいかない顔をしているロングビルに、才人は不思議そうに
尋ねると、彼女は首をかしげながら答えた。
「いやね。いくらなんでも平和すぎるなって、普段なら一、二度は盗賊に、特にこんな女子供ばっかりの
一行なんてすぐにでも襲われると警戒してたんだけどね」
「そりゃ物騒な。けど、王党派ってのが治安維持に力を入れてるって聞きましたが」
「かといっても、内戦中にそんなに兵力を裂けるはずがないんだけど」
「なるほど、でも襲われるよりは襲われないほうがましでしょ」
 才人としても、悪人とはいえあまり人は斬りたくない。だからといって宇宙人や怪獣は殺してもいいのか
といわれると困るが、更正の余地があるなら生きてもらいたい。もっとも、「こらしめてやりなさい」の
パターンでギッタギタにしてやりたいとは、是非願うところだが。
 
 そうしてまた一〇分ほど馬車を進めていくと、街道の先に槍や剣を持った一団がたむろしているのを
見つけた。最初は盗賊かと思ったが、身なりを見ると役人のようだ。彼らは一〇名ほどで、道端に
転がっている汚い身なりの男たちを縛り上げている。どうやら盗賊の一団が捕まっているようで、
街道を一時的に封鎖されることになった一行は、馬車から降りて役人の一人に話しかけて事の
次第を聞くことにした。
177ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (2/10):2009/08/02(日) 14:54:59 ID:pGM120fd
「実は、ここのところあちらこちらで盗賊集団が次々と壊滅させられていて、我々が通報を受けたときには
すでに全員気絶させられて見つかるんです。おかげで、ここ最近は盗賊の被害が以前の一〇分の一
くらいに減りましたよ」
 こちらが貴族の一行だとわかったようで、役人の対応はていねいなものだった。
「盗賊が次々と? どういうことですの」
「それが、盗賊たちの供述では一人旅をしている女を襲ったら、これがめっぽう強くて気がついたら
気絶させられて捕まった後だったとか」
「たった一人で!? そんな凄腕のメイジがいるんですか」
「いいえ、それが魔法は一切使わずに、盗賊のメイジも体術だけで片付けてしまったとか。もうアルビオンの
全土で数百人の盗賊や傭兵くずれが半殺しで捕縛されています。平民たちの間では、『黒服の盗賊狩り』と
呼ばれてもっぱらの噂になってるくらいですよ」
「『黒服の盗賊狩り』……体術だけでメイジを含む盗賊団を壊滅させるなんて、サイトみたいな人がほかにも
いるものねえ」
 ルイズは世の中は広いものだと、しみじみ思った。自分の母である『烈風』カリンもしかり、世の中には
いくらでもすごい人がいるものだ。
 なお、この噂の人物の正体は旅を続けているジュリなのであるが、別に好き好んで盗賊狩りをしている
わけではない。若い女性があんまり無防備に一人旅をしているものだから、身の程を知らない盗賊たちが
喜んで集まってきて、その挙句返り討ちにあっているというわけである。この盗賊団にしても、昨日
似たような行為をしたあげく、丸一日野外に放置されて、気がついたときには縛り上げられていたのだが、
この時点では当然ルイズたちがそれを知るよしはない。
 顔をボコボコにされて肋骨を二、三本はへし折られたいかつい男たちは、いったい自分たちに何が起こった
のかわからないまま、役人に連行されていった。傷の手当てもろくにされずに、この酷暑の中を歩かされて
いくのは死ぬような思いだろうが、所詮は盗賊働きをしようとしての自業自得なので同情には値しない。
「失礼しました。どうぞお通りください」
 役人たちの事後処理が終わって、馬車は再び走り出した。役人は去り際に、この近辺の盗賊団はこいつらで
ほぼ一掃されました。ごゆるりと、旅をお続けくださいと、まるで自分の手柄のように言っていたが、それもまた
彼の顔といっしょに忘却の沼地への直行となった。
 
 
 一行を乗せた馬車は、それから街道の本筋を離れた森の中の脇道に入っていった。こちらに入ると、
本道のにぎやかさも嘘の様で、自分たち以外にはほとんど人とすれ違うこともなかった。木々の張った枝は
広く、昼間だというのに小さな道は木漏れ日がわずかに射すだけで薄暗い。しかしその分涼しくはあり、
これでやぶ蚊さえいなければ天国といえた。
 馬車は、そんな木々のトンネルの中をわだちの跡をたどりながら進んでいく。
「つきましたわよ」
 ロングビルに言われて馬車から身を乗り出したとき、一行はそこに村があるのかすらすぐにはわからなかった。
よくよく見てみれば、森の中に数件の小屋と、畑らしきものが見え隠れしている。
 その後、ロングビルの言う村の中央に馬車を停め、一行はようやく到着したウェストウッド村を見渡した。
本当に、村というよりは山小屋の集まりといったほうがいい。家々は、この森の中ではたいした存在感を持たず、
畑も自給自足というレベルに達しているのかどうかすら疑わしい。
178ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (3/10):2009/08/02(日) 14:56:16 ID:pGM120fd
「ここが、ウェストウッド村……ね」
 自分自身に確認する意味も込めて、ルイズは村の名前を復唱した。はっきり言えば、タルブ村より少し小さい
程度を想像していたのだが、その予測は完全に裏切られた。これでは村という呼び方すら過大に見えてしまう。
産業などある気配はまったくなく、ロングビルの仕送りがなければあっという間に森に飲み込まれてしまうのは
疑いようもない。ただ、村の裏手の森が台風に合ったみたいに広範囲に渡ってなぎ倒され、中途半端な平地に
なっているのには、前はこんなことはなかったのにとロングビルも合わせて不思議に思ったが、とにかくも
村であるなら住人がいるはずである。
「テファー! 今帰ったわよーっ!」
 そうロングビルが、目の前の一軒の丸木の家に向かって叫ぶと、数秒待ってから樫の木作りのドアが
内側から開き、中から緑色の簡素な服と、幅広の帽子をかぶった少女が飛び出してきた。
「マチルダ姉さん!」
「ただいま、テファ」
 ティファニアと、マチルダと呼ばれたロングビルはおよそ一年近くになる再会を手を取り合って喜び合った。
 けれど、ティファニアと初対面となるルイズ、才人たち一同は感動の再会を見て素直にお涙頂戴とは
いかなかった。ティファニアが、ロングビルから聞いていた以上の、妖精という表現をそのまま使える、
美の女神の寵愛を一身に受けたような美少女だったから、というのもあるが、最大の、そう最大の問題は
彼女の胸部の二つの膨らみにあったのだ。
「バ、バストレヴォリューション!?」
 と、平静であれば本人でさえ自己嫌悪したと思える頭の悪い台詞を、才人が呆然としてつぶやいたとき、
残った女性一同の中で、その台詞に怒りを覚える者はいても、否定できる者は誰一人としていなかったのだ。
「な……なに、アレ?」
「た、多分……胸」
 と、ルイズとシエスタ。
「ね、ねえタバサ、わたし夢を見てるの?」
「現実……」
 青ざめて絶句しているキュルケをタバサがなだめている。唯一、年長者たちが何に驚いているのか
わからずにアイだけがきょとんとしている。まぁ、阿呆な思春期真っ盛りな一同の気持ちを代弁するとすれば、
ティファニアの胸が彼らの常識を逸して大きかった。それで男の子の才人は思わず見とれてしまい、女子
一同の場合は、胸に自信のないルイズは逆立ちしても勝てない相手に絶望感を味わわされ、バストサイズに
優越感を抱いていたキュルケとシエスタは、完全に自信を打ち砕かれて天から地へ打ち落とされ、タバサは
一見平静を保っているように見えたが、内心では勝ち目〇パーセントの相手に、冷静な判断力を持って
敗北を認めていた。ただし、一時の激情も過ぎれば、それを埋めるための代償行為を要求する。
「このエロ犬! あんた何に見とれてんのよ!」
 と、才人に蹴りを入れたルイズなどはその際たるものだろう。ほかの者たちも、小さくても形がよければ
とかなんとかぶつぶつと言っているが、現実逃避以外の何者でもない。
 けれど、いくら現実を拒否しても時間の流れを停止も逆流させることもできない。ロングビルと再会を
喜んでいたティファニアが、いっしょに付いてきた奇妙な一団に気づいて尋ねてくると、言葉尻を震わせながら
自己紹介をせざるを得なくなった。
179ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (4/10):2009/08/02(日) 14:57:51 ID:pGM120fd
「ト、トリステイン魔法学院二年生の、る、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ。あ、
あなたのお姉さんには、い、いつもお世話になってるわっ!」
 他の者たちもだいたいはこんな調子である。ティファニア本人は、何故この客人たちが動揺しているのか
さっぱりわからなかったが、自分も陽光のように明るく無邪気な笑みを浮かべて、自分の名を名乗った。
 そうして、一同はそれぞれ大まかなことを語り合った。ロングビルの名前が偽名であることはフーケ事件の
時から一同は察しをつけていたが、本名はマチルダといい、ずっとティファニアのために仕送りをしていたこと、
ティファニアも今はマチルダが魔法学院で秘書をしており、その縁で仲良くなった生徒たちだと聞かされた。
むろん、土くれのフーケについては一言も触れられてはいない。
 それから、マチルダはアイを前に出して、この子を預かってほしいと頼んだ。すると、ティファニアは
自分の腰ほどの身長しかない少女の視線にまで腰を下ろして。
「はじめまして、アイちゃん。小さなところでがっかりしちゃったかな」
 ティファニアは、「今日からここがあなたの家よ」などと押し付けがましいことは言わなかった。元々、
子供の育成に理想的な環境などではないことくらい彼女も承知している。来るものは拒まないが、
いくら幼かろうと相手の意思を無視してはいけない。しかし、ティファニアの懸念は無用のものとなった。
「いいえ、これからよろしくお願いします。テファお姉さん」
 はつらつとアイは答えた。よき親を持った子供はよく育つ、ロングビルが育ての親となって暮らした
この数ヶ月、純粋な子供は水と日差しを貪欲に得て伸びる朝顔のように成長していた。単に自由に育てたり、
勉強を押し付けたりするだけが教育ではなく、人はそれを躾といい、ティファニアに快い初印象を与えていた。
「こちらこそよろしくね。よーし、じゃあみんな出ておいで!」
 ティファニアがドアを開けっ放しだった家に向かって手を振ると、中からいっせいに歓声をあげて
子供たちが飛び出てきて、一行に群がっていった。
「わっ、こ、こんなにいたのか!?」
 才人たちは、この村の住人にとってちょっと久しぶりの歓迎すべき客人になる者たちを、喜んで
出迎えてくる十数人の子供たちに囲まれて、またもうろたえていた。どの子たちも、身なりこそみすぼらしいが、
瞳は明るく強く輝いている。むしろ大人に近いはずの才人たちのほうが力負けしてしまいそうな勢いだった。
「こらこらあなたたち、お客さんを困らせるんじゃないの。それじゃあ皆さん、狭いところですけど、自分の家だと
思ってくつろいでください」
 はしゃぐ子供たちを落ち着かせて、ティファニアは困惑する一同を、家の中に誘った。まだまだ話したい
ことは山ほどあるが、とりあえず立ち話もなんであった。時間はまだたっぷりとある。こうして、夏休み旅行の
本番は、小さいながらもいろいろハプニングの種がありそうな村で、革命的な胸の持ち主の美少女との
出会いによって始まったのだった。
 
 
 それから、場所を室内に移して、子供たちにまかれながらいろいろと話し合った結果、一行はこの数ヶ月分の
驚きをいっぺんに使い果たすくらいの驚愕を味わうことになった。
「エ、エルフぅぅっ!?」
180ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (5/10):2009/08/02(日) 14:58:46 ID:pGM120fd
 と、ルイズとキュルケとシエスタの絶叫が響いたのが、その際たるものだっただろう。ティファニアの正体が
エルフであることは、ロングビルが隠す必要がないと言ったおかげで早々に明かされることになったのだが、
ティファニアは驚く三人におびえた様子を見せていたが、一時の興奮が収まると。
「なにを怯えてるんだお前ら、アホか?」
 白けた口調でつぶやいた才人の声もあり、落ち着きを取り戻していった。けれども、エルフがハルケギニアの
人間にとって恐怖の対象だということは変わりない。以前ジュリと話したときもティファニアは怯えていたが、
ジュリはエルフなど、文字通り星の数ほどいる宇宙生物の一つとしか思っていなかったために、すぐに
打ち解けられていた。また、才人は地球人であるために、エルフとはゲームの中で出てくる人間以外の
種族という印象しかない。けれど今回はあからさまな恐怖を向けられて、彼女は自分が大勢の人から
見たら忌まわしいものなのではと、泣きそうになっていたが、子供たちが怒りの声で糾弾をはじめた。
「テファおねえちゃんをいじめるな!」
 その数々の声が、ルイズたちを攻め立て、ティファニアは慌てて子供たちを止めようとしたが、それより
早くルイズが謝罪した。
「ご、ごめんなさい。あんまり突然だったものだから驚いてしまって、失礼したわ」
 キュルケとシエスタもルイズに次いで謝罪した。冷静になると、どう見ても弱い者いじめをしているようにしか
見えないし、才人の侮蔑するような視線が痛かった。むしろティファニアに「やっぱり、エルフは怖いですよね」
と、涙ながらに言われると、罪悪感ばかりが湧いてくる。
「いえ、悪かったのはわたしたちよ。エルフなんて見たことないから、怪物みたいなものかと先入観を
持ってたけど、案外人間とさして変わらないのね。けれど、なんでエルフがアルビオンに?」
 ティファニアは、訥々と自分の素性についてルイズたちに語った。自分の母はエルフで、東の地から来て、
父は昔はこのサウスゴータ地方一帯を治める大公だったが、ある日エルフをかこっていたことが王政府に
ばれて、追われる身となり、両親をその混乱で失い。親戚筋で、彼女を幼い頃から可愛がっていた
マチルダにかくまわれてこの森で過ごしていることなどを、途中何度かロングビルの助けを借りながら
話しきった。
「ハーフエルフ……可能性だけは聞いていたけど、本当に可能だったのね」
「母が、なぜアルビオンに来て、父と結ばれたのかは何も語ってはくれませんでした。それでも、母は
わたしが生まれてからずっと、国政に関わることもなく、隠遁生活を続けていました」
 何故ティファニアの母がアルビオンにやってきたについては、結局娘であるティファニア本人にも
わからないということだった。話し終わると、ぐっとティファニアは喉をつまらせた。ルイズたちは、悪いことを
思い出させてしまったと後悔したが、彼女に悪いものは感じられずに、ちょっと無理をして微笑んだ。
「顔を上げて、ミス・ティファニア、あなたが悪に属するものではないということはよくわかりました。
夏の間の短い期間ですけど、しばらくよろしくお願いするわ。そうでしょ、キュルケ」
「ちょっとルイズ、あたしが言おうとしてたこともっていかないでよね。ま、いいわ。休暇の間、仲良く
やりましょう。友達としてね……ある意味ライバルだけど」
「わ、わたしも負けませんよって、なに言ってるんだろうわたし!? と、とにかく人間……いえ、エルフも
人間も中身で勝負です! よろしくお願いします、ティファニアさん」
 ルイズ、キュルケ、シエスタがそれぞれ、自らの内にあった偏見との別れを告げるべく、強く、そして
親愛を込めて笑いかけると、落ち込んでいたティファニアの顔に紅がさした。
181ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (6/10):2009/08/02(日) 14:59:56 ID:pGM120fd
「わ、わたしこそよろしくお願いします。それではわたしのことも、テファと呼んでください。マチルダ
姉さんのお友達なら、わたしにとってもお友達です!」
 一同の間に、春の陽気のような暖かな空気が流れた。先程まで恐怖と警戒心を向けていたルイズたちと
ティファニアは、仲良く手を取り合って旧知のように笑いあっている。それを静かに眺め見ていたロングビルは、
にこりと微笑んだ。
「よかったわね、テファ」
「姉さん、ありがとう。今までで最高の贈り物よ」
 いきなりこんなに大勢の友達を得れて、ティファニアは今さっきとは別の意味を持つ涙を流していた。
元々、ルイズもシエスタもキュルケも、陰より陽に属する性格の持ち主なのである。それは怒りも憎しみも
存在するが、いわれもなく他者を貶めることに快楽を求めたことはない。しかし、そんな様子を同じように
見ていて、後一歩で飛び出そうかと思っていた才人はロングビルに軽く耳打ちした。
「ちょっと、無用心じゃないですか? もし、誰かが激発して彼女に危害を加えたり、秘密を漏らしたり
するようなことがあっちゃ、大変じゃないですか?」
「大丈夫よ、オスマンのセクハラじじいのところに入って後悔したときから、人を見る目は磨いてきた
つもりなの、じゃあ逆に聞くけどこの面子の中に一人でも恐怖や偏見に従って裏切るような人がいるの?」
 そう言われると、ルイズやキュルケが裏切りなどという貴族の誇りを真っ向から否定する行為に手を
染める姿は想像できないし、シエスタも人一倍友愛や人情には厚いタイプだ。一度決めた友情を、
自分から裏切るようなことは絶対にするまい。ただ、三人の誰もまったく全然、どうしようもなく敵わない
二つの巨峰の持ち主に、冷たくすれば返って敗北を認めることになるという、負け惜しみの悪あがきに
近い屈折した感情があったのも事実であるが、それでも彼女たちは宇宙人とでも親交を持った稀有な
経験の持ち主である。エルフであるということを回避すれば、仲良くしない理由のかけらも存在しなかった。
「それでも、秘密を知る者は少ないに越したことはないでしょ」
 なぜ、そんなリスクを犯してまでと聞く才人に、ロングビルは古びた木製のワイングラスから一口すすると、
自嘲げに才人に話した。
「実を言うとね。そろそろ私一人でこの子たちを守っていくのが限界になってきてたんだよ。子供はいずれ
大人になるものだしね。いつまでもこの森に隠しておけるはずもないし、今のうちに信頼できる味方を
与えてやりたいと思ったのさ。本来こんなことを頼めた義理じゃないかもしれないが、あの子の力に
なってやってくれないか?」
「そういうことすか……でも、さっきのあなたの台詞を借りれば、おれたちが万一にも断ると思ってたんですか?」
 才人は、投げられた変化球を同じ形でロングビルのミットにめがけて投げ返した。エルフの血を引く少女と
たくさんの子供たち、自分の力だけではどうにもならず、多分ルイズやキュルケたちの地位や財力を頼る
ことにもなるかと思うが、できるだけのことはしてやろうと彼は思った。
「まっ、ティファニアくらい可愛い子だったら、守って腐るほどおつりがくるわな」
「サイトくん、嫁にはあげないわよ」
「そういうとこだけは親バカですね。ま、無関心よりゃずっといいか」
 親バカなロングビルというのもなかなか親しみが持てると、才人は苦笑しながらも、タバサを巻き込んで
輪に入っていった。
182ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (7/10):2009/08/02(日) 15:02:12 ID:pGM120fd
 それから、一行は薄暗くなってきた外に合わせるように、夕食の準備を始め、最終的にティファニアの家で
二十人以上が一つの卓を囲んでの大宴会をおこなって、終わる頃にはもうなんらの屈託もなくティファニアや
子供たちと交流できていた。

 やがて夜も更けて、子供たちはそれぞれの家に帰って早めの就寝についた。アイは、早めにこの村に
慣れるためということで、エマという子といっしょの家で寝ることになった。
 さて、子供たちが大人しくなると、今度は夜更かし大好きな少女たちの時間である。ルイズたちは
ティファニアと女同士の話し合い、というか、どうすればどこが大きくなるかという重要会議を始めて、
男性である才人は外に追い出されて、同じように外で涼をとりながら酔いを醒ましていたロングビルと、
ぽつりぽつりと話し合っていた。
「やれやれ、雁首揃えて何を話し合ってんだか」
 今、ランプの明かりをこうこうと照らした室内では、”ティファニア嬢との親交と友愛を深めるための会談”
が、おこなわれているはずであったが、実際に中から聞こえてくるのは、何を食べているのかとか、
普段どういう運動をしているのかとか、根掘り葉掘りティファニアに尋問する言葉ばかり聞こえてきて、
持たざる者の哀愁を感じざるを得ない。特にルイズは、今後成長期が奇跡的にめぐってきたとしても
ティファニアを超えることは物理的に不可能なので、なおさら哀れを感じてしまう。あれはあれでいいもの
なのだが……
「サイトくんには、胸の小さな子の悩みはわからないのかしら?」
「正直あんまりわかりません。けど、やたら大きけりゃいいってもんじゃないと思うがなあ。誰も彼も大きければ
個性がねえし……それよりも、ロングビル……えーっと、マチルダさん」
「どっちでもいいわよ。どのみち帰ったらロングビルで通すんだし。それで、私に何か用?」
 ロングビルも、久々の里帰りで機嫌がよいようだ。
「じゃあロングビルさん。あの連中、ほっといていいんですか? どーもテファの教育上よくない気がするんすが」
「なあに、いずれ外で暮らすようになれば嫌でもそういうことは関わっていくことになるから、予行演習には
ちょうどいいわ。あの子はちょっと純粋すぎるところがあるからね」
 要は、無菌室で育てはしないということか、それに比べて、世の大人には子供にはいつまでも天使の
ように純粋でいてほしいと、子供の一挙一頭足まで厳しく制限する親がいるが、それは子供への愛ではなく
自らの妄想が作り出した理想の子供像への執着に過ぎない。そして、親の幻想を押し付けられる子供には
かえって有害でしかない。悪魔どもが天使を陥れようと跋扈するのが世の中なのだから。
「純粋すぎますか。けど、テファがあいつらに感化されたらそれはそれで問題な気がしますが」
「……」
 誇り高く尊大で暴力的なテファ、お色気ムンムンで男あさりをするテファ、妄想爆発でイケナイ子なテファ、
果ては無口で本ばかり読んでいるテファ、思わず想像してみた二人はぞっとするものを感じた。
「ま、まあそのことは、あとでテファに注意しておきましょう……」
 朱に染まれば赤くなるというが、あの連中の個性は朱というよりカレーのしみのようなものだ。一度
ついてしまえば洗っても落ちない。ロングビルは、この際積もる話もあるということで寝る前に悪い影響を
受けてはいないかと確認することにした。
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 15:03:35 ID:+hofYi+D
支援
184ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (8/10):2009/08/02(日) 15:03:51 ID:pGM120fd
 だが、先程の話ではあえて出さなかったが、アルビオンにいるエルフということで、才人は一つ心当たりを
つけていた。けれど、それを直接ティファニアに聞くことははばかられたので、ロングビルにそれとなく
話を振ってみようと思っていたのだが、せっかくの再開で機嫌がいいときにそんなときに話を振って
よいものかと、才人は今更ながら少々迷っていた。
「ところで、ロングビルさん」
「なに?」
「実は……えーっと」
 やはり、いざとなると簡単には踏ん切りがつかなかった。それに、エルフであるからと迫害されてきた
ティファニアの素性のことを思うと、聞きたくないという気持ちも同じくらいある。しかし、彼の心境を読んで
先手を取ったのはロングビルのほうだった。
「まあ、言わなくてもだいたいの予測はつくけどね。あの子の母親のことでしょ?」
「えっ!? あ、はい」
 こういうところは、さすが元盗賊だなと才人はロングビルの読心術に感心した。とはいえ、そうなれば
話は早い。才人は、覚悟を決めると一気に疑問を口にした。
「タルブ村で聞いた、アルビオンに旅立ったエルフの少女、もしかしてテファのお母さんは……」
「察しがいいわね。私も、タルブでその話を聞いたときは驚いたけど、間違いないわ。あの子の母は、
三〇年前にタルブを訪れたエルフの少女、ティリーよ」
 やっぱり、と、才人は予測が当たったことに心中で喝采したが。
「なんで、あのときにすぐおっしゃってくれなかったんですか?」
「時期を見て、順にと思っただけよ。あのとき全部話したら、あなたたちパニックになったでしょう」
「まあ、そりゃそうですね」
 才人はロングビルの気遣いに感謝した。けれど、才人の目的はティリーではなく、彼女といっしょに
アルビオンに旅立ったもう一人のほうだ。
「ですが、こうなったらもう単刀直入に聞きます。ティリーさんといっしょに、ここにはもう一人、異世界からの
来訪者、アスカ・シンさんがいたはずです。彼がこちらに来てからどうしたのか、知っていたら教えてください」
 誠心誠意を込めて、才人はぐっと頭を下げた。しかし、ロングビルから帰ってきた答えは、彼の期待には
副えないものだった。
「ごめんなさい、残念だけど何もわからないの」
「そんな……」
「知っていたら教えてあげたいわ。けれど、何分私はティリーさんと会ったことは何度もあるけど、私が
あの人と会ったころに、アスカさんはすでにいませんでしたし、私の実家が没落する際に彼女に関する
ものは全て消失してしまって、今となっては……」
「そうですか……わかりました」
 残念だが、三〇年も昔であれば仕方がない。だが、才人は同時に運命というもののめぐり合わせの奇妙さに
ついて、思いをはせずにはいられなかった。
「それにしても、まさかと思ったけど……こんな簡単に出会えるとはなあ」
 元々、アルビオンについた後は可能な限りアスカの、ダイナの足跡を探そうと決意していたが、あんまりの
あっけなさには怒る気も湧いてこない。しかし才人は絶望はしていなかった。以前、完全に消息不明と
オスマン学院長に言われたアスカの足跡が、今回はこんな簡単に見つかっている。今は途切れてしまったが、
運命というものがあるのだとすれば、その歩調は時代の流れと比例して停滞から速歩、疾走へと進んでいる
のかもしれない。ならば、次のステップに進めるのも、そう遠い話ではないかもしれないと、才人は自分に
言い聞かせた。
185ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (9/10):2009/08/02(日) 15:05:03 ID:pGM120fd
「さあ、そろそろ子供は寝る時間よ」
「へーい」
 気づいてみたら夜も更けて、月は天頂に今日は赤い光を輝かせている。室内では、飽きもせずに女子
五人がわいわいとやっていたが、ロングビルに一喝されてベッドの準備を始めた。この村にいる間は
貴族といえども自分のことは自分でやるというのが、最初にルールで決められていた。でなければ、
子供たちの見本にはならない。
「おやすみなさーい!」
 一斉にした合図とともに、一行は昼間の疲れも重なって急速に眠りの世界へと落ちていった。後には、
鈴虫の鳴き声と、風の音だけが夏の夜の平穏さを彩り、朝までの安らかな天国を約束していた。
 
 
 
 ただ、約一名、いや一匹、理不尽な不幸に身を焦がす者が存在していた。
「きゅーい! おなかすいたのねーっ!!」
 村の上空をグルグルと旋回しながら、シルフィードは朝からずっと悲鳴を上げ続けている胃袋の叫びに
呼応して、自分にまったく声をかけようとしない主人に抗議していた。
「まさかお姉さま、シルフィのこと忘れてる? そんなの嫌なのねーっ!」
 ここにも、バストレヴォリューションの犠牲者が一人……タバサがティファニアにショックを受けて、
シルフィードにエサをやるのをすっかり忘れていたのだ。けれども、空の上で月を囲んで回りながら叫んでも、
タバサはとっくにすやすやと安眠モードに入っていて、朝まではてこでも動かないだろう。
 そんなとき、悲しげに空を見上げたシルフィードの目に、月のそばを横切るように飛んでいく小さな光が
見えてきた。
「きゅい? 流れ星?」
 光り輝く小さな点は、夜空を横切って次第に遠ざかっていく。シルフィードは、しばしぼおっとその流れ星を
眺めていたが、ふと前にタバサから流れ星が消える前に願い事を言うとかなうという言い伝えを聞かされたのを
思い出して、前足を合わせて祈るようにつぶやいた。
「おなかいっぱいお肉が食べられますように、おなかいっぱいお魚が食べられますように、おなかいっぱい
ごちそうが食べられますように」
 なんともはや、自分の欲求にストレートなことである。けれども、シルフィードがたとえば「世界が平和に
なりますように」とか願っても、みんな気持ち悪がるだけだろう。シルフィードの幼さもまた、シルフィードの
個性であり魅力でもある。ルイズにしたって「胸が大きくなりますように」と願ったに違いないのだから。
「きゅーい、お星様、シルフィのお願い聞いてなのね……ね?」
 そのとき、シルフィードは自分の目をこすって、見えているものを確かめた。なんと、どういうわけか
いつの間に流れ星の傍に、もう一つ小さな流れ星が寄り添うようにして飛んでいるではないか。
「きゅいーっ、お星様のお母さんと子供なのね。これなら、シルフィのお願いもよく聞いてくれるかもね。きゅいきゅい」
 シルフィードは、このときだけは空腹を忘れて空の上ではしゃいでいた。
 だが、残念ながらシルフィードの願いは届くことはないだろう。なぜなら、シルフィードから見て流れ星に見えたのは、
この星の大気圏ギリギリを高速で飛んでいく怪獣の姿だったからだ。
186ウルトラ5番目の使い魔 第59話 (10/10):2009/08/02(日) 15:06:06 ID:pGM120fd
 その正体は、宇宙のかなたからやってきた、丸っこい体つきをした、カモノハシとイタチとカエルの
あいの子のようなユーモラスな姿の怪獣、ザランガだった。そしてそのかたわらには、ひとまわり小さな
ピンク色の怪獣が元気に飛び回り、ときたま前に飛び出ていっていたが、やがて疲れて後ろに下がって休み、
大きなほうは、小さなほうが遅れないようにその間速度を緩めてゆっくりといっしょに飛んで、疲れが癒えたら、
また一生懸命飛び回っていた。そう、それはザランガの子供だった。
 ザランガの一族は、この広大な宇宙を時が来れば長い年月をかけて旅をして子供を生み、また元の場所へと
親子で帰っていく渡りの性質を持っている。彼らも今から何年も前に、ここからはるかに離れたある星で親子になり、
子育てをするための元の星へと帰る途中だった。その彼らがこの星に寄ったのも、この惑星が今は宇宙の果ての
水と自然にあふれたその星によく似ていたからかもしれない。
 やがて親子は、旅の間のわずかな寄り道にきりをつけて、また宇宙のかなたへと飛び去っていった。
 もしかしたら、何百年か先にこの子供か、別のザランガがこの星を訪れるかもしれない。けれども、
ザランガは美しい水が大量にある星でしか子供を生めない。果たしてそのとき、この星はザランガが安心して
子供を生める平和な星であり続けられるのか。流れ星に願いがかけられるように、流れ星もまた願いを
かけていた。
 
 ずっと平和でありますように、と。
 
 
 続く
187ウルトラ5番目の使い魔 あとがき:2009/08/02(日) 15:07:49 ID:pGM120fd
今週はこれまでです。前回思いっきり派手にやりましたので、今回は穏やかにいきました。それに、せっかくの
夏休みなんだからルイズたちにはバカンスを楽しんでもらいたいですから。
しかし、胸革命の描写は難しいです。ティファニアは好きなキャラなんですがね。
ちなみに、胸談義で出番が少なかったりアニメオリジナルキャラであるために除外されがちですが、
ミシェル=巨
ベアトリス=微
エーコ=微
ビーコ=微
シーコ=微
 
という判断で問題ないでしょうか? というかベアトリスが自分より胸のでかい子を取り巻きにするとは思えない。
ゼロの使い魔は脇キャラもいい味出してるので、想像力がかきたてられます。アルビオンから帰ったら何か
話を作ろうかな。
 
それでは、次回からはまた別の展開といきます。
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 15:11:05 ID:TDvP1iqh
投下乙
胸は大きいに越した事はない
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 15:13:38 ID:/j3zJ8Ql
ウルトラ乙

今回の怪獣は通りすがっただけかw
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 15:15:08 ID:JwM9nL1g
乙。

通りすがりの怪獣だ、覚えておけ!
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 15:16:10 ID:TdT6XOKc
いやぁ、今回はイイハナシダナー
そして投下乙
192毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 15:22:12 ID:sVWygrDm
ウルトラの人、乙です。
今回はほのぼのですね…、まぁたまにはこういうのも良いですね。和みました。
…てか、シルフィードが可哀想だ。
ザランガって…コスモスのあれか。妊婦腹さらした初の怪獣だったな…。


で、毒の爪の使い魔の第50話が書き終わりました。予定その他が無ければ15:30から投下します。
193毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 15:30:01 ID:sVWygrDm
では、そろそろ投下開始します。

「…ンだと?」
ジャンガは言葉を失う。
自分の頬に何かが掛かり、それが紅い事に気が付き、頭上を見上げたその先の光景を見て…。

空にはシルフィードが飛んでおり、その背の上にはアンリエッタの姿があった。
それはいい…。問題なのはアンリエッタの胸から生えた、紅く濡れた槍のような物体だ。
アンリエッタは何が起こったのか解らないのだろう…、呆然とした表情で自分を貫くそれを見ている。
口の端から一筋の血が流れ、次いでゴホッと多量の吐血をした。
そのアンリエッタの背後に人影が立っている。
それが誰かを認識し、ジャンガは驚愕に目を見開き、次いで猛烈な殺意を覚えた。
「ガーレン…ッ!」
唸るような呟きが口から漏れる。
ガーレンは手にした槍を引く。
ズルリ、とアンリエッタの胸から槍状の物が引き抜かれた。
アンリエッタは糸の切れた人形のように、一切の抵抗も無くシルフィードの上に、うつ伏せの姿勢で崩れ落ちる。
ガーレンはそのまま手にした槍状の物を手馴れた仕草で振り回し、アンリエッタの方に先端を向ける。
その瞬間、大爆発が巻き起こった。
「シルフィード!?」
爆発で我を取り戻したタバサは、アンリエッタ諸共巻き込まれた使い魔の名を叫ぶ。
空に広がる黒煙の中から、黒煙の尾を引きながら二つの影が飛び出す。
一つはシルフィード、爆発でボロボロの状態になって地面に落下する。
もう一つはアンリエッタ、大きく吹き飛んだ彼女は遠く離れた地面に叩き付けられた。
そして、徐々に晴れていく煙の中で一人宙に浮く男が一人。…ガーレンだ。
「テメェ…、今のでくたばってなかったのかよ?」
ギリギリと歯を噛み締めながら、ジャンガはガーレンを睨みつける。
ガーレンはジャンガの方へ視線を向け、含み笑いをする。
「無論だ。今しがた、貴様等が苦労して葬ったのは我輩の”遍在”だ」
その言葉に、ジャンガではなくタバサが驚く。
ガーレンはジャンガと同じ世界の者であり、ハルケギニア<この世界>の出身ではないのだ。
当然、メイジなどではないのだから魔法など使えるはずがない。
だと言うのに…目の前の男は魔法を――死んだワルドや自分が使った”遍在”を使用したのだ。
それに、今の爆発は見間違いなどでなければ、ルイズの起こす爆発と殆ど同じだった。
一体全体どうなっている?

悩むタバサを見て、ガーレンは笑いながら答える。
「悩んでいるな…我輩が何故、貴様等メイジの魔法を扱えるかを? 答えは…」
ガーレンは右手に持った槍状の物を見せる。
「これだ」
タバサはガーレンが見せる物を見つめる。

黒塗りの棒の先端に、金色の刃の様な物が付いた形状は、誰が見ても槍のようだ。
今しがた、アンリエッタの胸を貫いた事から、少なくとも通常の槍と同じように扱えるようだ。
だが、これが魔法を使える答えだとガーレンは言っている。
ならば、その槍のように見える物は”杖”なのだろうか?
その時、タバサはとある事を思い出す。
以前、まだ北花壇騎士として任務についていた頃、ある時…自分はミノタウロスの身体に脳を移植した”元”貴族と出会った。
その貴族は杖として大きな”斧”を使っていた。
斧を杖として使えるのならば、槍を杖として使えても何ら不思議な事は無い。
だが、例え杖を持っていても”魔法の素質”が無ければ無用の長物。
本を可也読み漁ってはいるが、異世界の者が杖を持って魔法が使えたなどという記録は無い。
そもそも、ジャンガやガーレンみたいな存在自体が珍しいのだから、無いのは至極当然と言える。
今しがた”魔法は使えない”と決め付けたが、よくよく考えれば”解らない”と言うのが正しい。
ならば、ガーレンはあの槍の様な杖を手にする事で、魔法の力に目覚めたのだろうか?
194毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 15:34:00 ID:sVWygrDm
「ああ、そうだ…言い忘れていたが、この杖は貴様等が使っている物とは違う」
その言葉にタバサは考えを中断し、彼の方に目を向ける。
ガーレンは杖を眺めながら言葉を続ける。
「我輩が開発した特別製…、手にするだけで五つの力を自在に引き出し、如何なる魔法も使える究極の杖…。
――残念ながら、未だに未完成ではあるがな…」
「五つの力…?」
魔法の系統は火・水・土・風の四つと、伝説の虚無を合わせた五つ。
その力の全てを自在に操れる? そんな事がありえるはずがない…。
「残念ながら…そのありえない事が出来るのだよ」
タバサの心を読むようにガーレンは言った。
「貴様等は魔法を”神の奇跡”などと呼んでいるようだが…我輩からすれば非常に単純なシステムだ。
我輩の頭脳に掛かれば、解析や改良は実に簡単だった。
この『ロッド・オブ・エンペラー』はそれらのデータから作り上げた物なのだ。
だが、先ほども言ったとおり未完成…。どうにもスクウェアクラスの魔法や高レベルの”虚無”の使用に問題があってな…。
先程のような遍在も一体を生み出すのがやっとなのだよ。もっとも…、それでも貴様等の目を欺く位の効果はあったがな。
まぁ、それら問題点の改善が今後の課題だな」
ロッド・オブ・エンペラー――”皇帝の杖”とは随分とふざけた名前である。
確か、彼は最初に会った時の去り際、自分を世界の支配者などと言っていた。
あのような事を平然と言えるほどの傲慢ぶりならば、そのような名前をつけても不思議ではないだろうが…。

ビュンッ!

風を切る音がし、カッターがガーレン目掛けて飛ぶ。
ガーレンは薙ぎ払うように杖を一閃する。
カッターはあらぬ方向へと曲がり、消えた。
「話の途中で不意打ちか…。貴様らしいと言えばそれまでだが…」
余裕の表情でガーレンはカッターを投げつけた相手=ジャンガを見下ろす。
「るせェッ!! テメェがどうして魔法を使えるかとか、その手にしてるのが何だとか、
ンな事ァどうでもいいんだよッッッ!!!」
ジャンガが叫ぶ。その目は血走り、一目で”キレている”事が解る。
「テメェ…覚悟できてるのかよ?」
ガーレンは不敵な笑みを浮かべる。
「ほぅ。覚悟とは…何に対してのだ?」
「ンなの決まってんじゃねェか…」
ジャンガは遥か彼方で倒れるアンリエッタを見る。
ボロボロな姿で血の海に横たわる彼女を見ていると、以前自分が血の海に沈めかけた気障ガキの姿とだぶる。
自分がしたのを見る分には良いが…、他人に自分の物を殺られるのはこれ以上無いくらいムカつく。
しかも、自分が見ている目の前でやられたのだから…尚の事腹立たしい。
もう我慢ならない…、このくそつまらない見世物の見物料はタップリ払ってやる…、利子をつけてだ。
「くたばりやがれッッッ!!!」
無数のカッターが飛ぶ。
だが、ガーレンの眼前で先程と同様に次々とあらぬ方向へと曲がり、消えていく。
ジャンガは大きく舌打をする。
そんなジャンガを見下ろしながら、ガーレンは、やれやれ、とでも言うかのようにため息を吐いた。
「無駄な事は止めたまえ。我輩には貴様の攻撃など届かぬ」
「こんクソがッ!!」
「それよりも…いいのかね? アンリエッタ女王を放っておいても…」
ジャンガの眉がピクリと動く。
ガーレンは左の義手を口元に寄せ、笑みを浮かべる。
「彼女はまだ生きているぞ? 傷は深く、命に係わる物だが…直ぐに死ぬような物でもない。
無論、放っておけば死ぬが…、今ならばまだ助かるかもしれぬな」
ジャンガは横目でタバサを見る。
タバサは頷き、アンリエッタの下へと走った。
直後、裏の世界を生き、賞金稼ぎの日々を過ごして培われた、ジャンガの”第六感”が警鐘を打ち鳴らす。
考えるよりも先に足が動く…、タバサに追いつくや襟を掴み、強引に後ろへと飛び退く。



――次の瞬間、眼前で想像を絶する大爆発が巻き起こった。
195毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 15:37:27 ID:sVWygrDm
…叫ぶ事すら出来なかった。
突如巻き起こった大爆発は、ジャンガとタバサを風に吹き散らされる砂のように、数十メイルも吹き飛ばす。
「ぐっ!?」
地面に叩きつけられ、ジャンガは呻き声を上げた。
バックステップを行っていたとは言え、爆発との距離は開いてはいない。
殆ど至近距離で受ける事になった爆発の威力は、ジャンガに相当なダメージを与えていた。
全身が燃えるように熱く、激痛が体中を駆け巡る。
タバサが起き上がり、ジャンガの身体を揺する。
「しっかり…、しっかりして…」
タバサもまた至近距離で爆発を浴びていたのだが、それほどダメージを受けている様子は無い。
それもそのはず…、爆発が起こった瞬間にジャンガがその身を盾にし、彼女を爆風と炎から守ったのだ。

「お願い…、しっかりして」
タバサは必死にジャンガに話しかけながら身体を揺する。
無理も無い…、この状況はあのワルドとの戦いの時に、彼に庇ってもらった時と何ら変わり無い。
あんな思いをするのはもう嫌だ…、二度と迷惑を掛けたくない…。
そう誓っていたのに……あの時と同じような事になってしまうなんて…。

「ウルセェ…、起きてるってんだよ…」
ジャンガはゆっくりと身体を起こす。呼吸は荒いが何とか大丈夫なようだ。
タバサは思わず安堵の息を漏らす。
しかし、事態は未だ安心出来ない。
「ったく……何が起こったってんだ?」
ジャンガは眼前の光景に苦々しい表情で唸る。
つい先程までただの草原が広がっていたそこは、燃え盛る火の海へとその姿を変えていた。
よく見れば、巨大な土の塊が火に包まれているのが見える。恐らくはフーケの土ゴーレムだろう。
確か、彼女はゴーレムに乗っていたはずだが…、肝心の彼女の姿は見えない。今の爆発に吹き飛ばされたのだろうか…?
「フム…”あれ”が来たのか…」
背後からガーレンの声がした。
”あれ”とは一体何だ? …その疑問の答えは直ぐに出た。
十メイルを超そうかと言う巨体が、燃え盛る火の海の中から姿を現したのだ。



それはジャンガもタバサも始めて見るものだった。
異様なまでに巨大な腕、昆虫の様な短い六本の足、腹に有る口の様に見える器官、四つの目、
背中に並んだ三つの噴火口の様な突起物、と…可也禍々しい姿である。
幻獣だとしても見た事が無い種類だ。
『グルルオオオオオォォォッッッ!!!』
この世の物とは思えない恐ろしげな鳴き声を異型が上げる。
同時に凄まじいプレッシャーと殺気が、ジャンガとタバサに襲い掛かる。
これにはさしものジャンガも冷や汗を浮かべた。
「…何だってんだ、あのバケモンはよォ?」
その呟きに答えるようにガーレンが口を開く。
「『ナハトの闇』の産物だ」
「あ!? 何だって!?」
「ククク、だから”あれ”はナハトの闇の産物だ」
「あのバケモンが…ナハトの闇の…だと?」
信じられないと言った表情でジャンガは呟く。
ガーレンは異型をマジマジと見つめる。
「フン、”失敗作”の奴か…」
そう呟いた瞬間――異型の口腔が瞬き、炎の塊が吐き出された。
火系統のファイヤー・ボールなどとは比べ物にならない、巨大な火球が猛スピードで突っ込んでくる。
ガーレンは素早く杖を振り回し、火球目掛けて突き出す。
すると、火球は糸の付いた剣玉の玉のように方向を変え、異型目掛けて突進する。
異型の頭部に火球が命中し、大爆発が起きた。
異型は悲鳴を上げ、炎の中へと吹き飛ぶ。
「まったく…そこらの血に飢えた獣と変わらんな」
異型が吹き飛んだ方向を見据えながら、忌々しそうにガーレンは吐き捨てる。
だが、直ぐに楽しそうな笑みを浮かべるやジャンガに顔を向けた。
196毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 15:40:59 ID:sVWygrDm
「ジャンガ、我輩はここで帰らせてもらうとしよう」
「ああン!!? 逃がすと思うのかよ…?」
苛立ちを隠さずに言い放ち、ジャンガは立ち上がる。
「無理をするな…、今の貴様では無様を更に晒すだけだ」
「ざけんじゃねェ!」
「我輩よりもアンリエッタ女王の身を案じた方が良いのではないか? あの業火の中…あれほどの重傷で長くは持つまい」
「…知った事か」
ジャンガの言葉にガーレンは盛大に笑う。
それがジャンガの癪に障った。
「何が可笑しいんだ、ゴラァッ!?」
「グハハハハ! 無理をするな、今の貴様にあの女を見捨てられるはずが無い」
「何で玩具の事でそこまで命張らなきゃいけねェんだよ? 馬鹿馬鹿しい!」
「――火事で死んだのだったな、貴様の女は…」
誰が見てもハッキリと解るくらい、ジャンガはハッキリと動揺し、身体を振るわせた。
「テメェ…何で知ってやがる?」
「いいではないか理由など…。それよりも、貴様は彼女を見殺しに出来るのかね?」
ジャンガはこれ以上無い位の殺気を視線に乗せ、ガーレンに叩き付けた。
しかし、当の本人は涼しげな表情だ。
「助けたいのならば急いだほうがいいぞ? あれもそうだが…」
ガーレンは杖で空の彼方を指し示す。
ジャンガとタバサはその方角に顔を向ける。…だが、何も無い。
「何の変哲も無い夜空じゃねェか…?」
「ああ…そう見えるな。だが、不自然には感じないかね?」
「ン?」
そう言われてもう一度夜空を凝視する。…そして、確かに不自然な物を感じた。
暗い夜空に明らかに不自然な暗さを持った部分が在るのだ。
そして、それは徐々に大きさを増しているように感じる――否、実際に大きくなっている。
それが何なのかを察し、ジャンガは驚愕した。
「おいおい、まさか…?」
「ああ…そうだ、そのまさかだ」
夜空を徐々に埋め尽くしていく黒い影――それは数え切れないほどの大量のキメラドラゴンだった。
「まだあんなにいたのかよ…」
「我輩もあそこまで増えるとは予想していなかったがな…、まぁ…数が大いに越したことはない。
とまぁ…そう言うわけだジャンガ。急がねば、あのナハトの闇の産物とキメラドラゴン、両方を相手にしなければならなくなるぞ?
そうなったら確実に生き残る事は出来ん。無論…貴様等を待つ連中もな」
ガーレンは空の彼方を眺め、次いで後方のロサイスへと目を移す。
ジャンガは思いっきり舌打する。
そんなジャンガへとガーレンは視線を戻す。
「まぁ、精々頑張りたまえ…。我輩は遠くから一部始終を見学させてもらおう、ククク」
瞬間、ジャンガのカッターが飛んだ。
ガーレンが反応出来ないタイミングと速度。今度こそ確実に仕留めた…はずだった。
だが、カッターが命中したと思った瞬間――ガーレンは忽然とその姿を消したのだ。
直後、どこからともなくガーレンの声が響き渡る。
「では、またお目にかかろう。ジャンガ…貴様が生きていればな。グハハハハハハハ!!!」
ガーレンの笑い声は暗い夜空に響き渡った。



「クソ! クソ、クソ、クソ、クソッ!!」
ジャンガは爪で地面を何度も叩いた。
口からは呪詛の様な言葉が漏れる。
「あのマッドサイエンティストが、ふざけやがって!!!」
何度も何度も地面を叩く。
見ていられず、タバサがその腕を掴んだ。
「落ち着いて、ジャンガ…。悔しいのは解る…、でも今は他にする事がある」
「クソッ…」
未だ苛立ちは治まっていないだろうが、ジャンガは暴れるのを止めた。
そして、眼前に広がる火の海と彼方から迫るキメラドラゴンの大群とを交互に見比べる。
逡巡し、口を開く。
197毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 15:44:28 ID:sVWygrDm
「タバサ嬢ちゃんよ…」
「何?」
「…ロサイスに行って、他の連中と一緒にアルビオン<ここ>からトンズラしろ」
「――え?」
一瞬、言われた事の意味をタバサは理解できなかった。
「俺は姫嬢ちゃんを探して、そこらに隠れる。ほとぼりが冷めたら迎えに来りゃいい」
「ダメっ、そんなの危険すぎる」
タバサは猛反対した。だが、ジャンガは駆け出そうとする。
その腕をタバサは必死に掴んだ。
「放せよ…」
「放さない」
「放せってんだよ?」
「絶対に放さない」
ジャンガは殺気の籠もった視線をぶつける。
タバサもその視線を真っ向から受け止める。
「あなたが行くなら、わたしも行く」
「…テメェは失せろ」
「いや、絶対に付いて行く!」
瞬間、ジャンガの膝蹴りがタバサの鳩尾に叩き込まれた。
不意を突かれた一撃にタバサは両膝を付く。
それをジャンガはつまらない物を見るような目で見下す。
「ケッ、この程度にも反応出来ねェような今のテメェに何を期待するんだよ? 足手纏いはいらねェんだよ…」
「う…、あぐ…」
激痛に汗を流しながら、それでもタバサは顔を上げる。
ジャンガは鼻を鳴らす。
「文字通り何も出来ない”役立たず”になりたいなら、このまま付いて来な。…一分経たずに消し炭だろうがよ」
タバサは項垂れる。

解ってはいるのだ…、今の自分には出来る事は無い、と。
でも、それが解っていたとしても行かせたくはない。
嫌な予感がしてならないのだ。ここで彼を行かせたら…もう二度と会えない、そんな気がして仕方ない。

不意に、タバサの首に何かが巻かれる。
何だろう? と思いタバサは自分の首に巻かれた物を見る。
「これ…?」
――それはジャンガのマフラーだった。彼が決して外そうとしない大切な宝物。
タバサはジャンガを見る。既に彼は背を向けていた。
「ジャンガ…」
「あの炎じゃ焦げるかもしれネェし、俺はそいつを墓穴まで持ってく積もりだからよ。
戻るまでテメェが預かっとけ。そいつは俺の命より大事な物だからな…」
それだけ言い残し、ジャンガは走り去った。
「ジャンガ!?」
タバサは慌てて叫んだ。
だが、彼が振り向く事は無かった。

タバサは言われた事も忘れ、慌てて追いかけようと立ち上がろうとする。
と、その小柄な身体が突如浮かび上がり、猛スピードでジャンガが消えた方向とは正反対の――ロサイスの方へと飛んでいく。
見ればシルフィードが自分の身体を咥えている。
「放して! シルフィード、放して!! 何で…何で逃げるの!?」
シルフィードは答えない。タバサを咥えているのだから当然だが…。
タバサは暴れたが、シッカリと咥えられている為、抜けられそうにない。
「お願い、放して! また、またあの時みたいな、悲しい思いはしたくないの…、放して!!!
あなたも怪我をしているのに、こんな速度で飛ぶなんて…」
タバサはシルフィードの怪我が酷い物だという事は解っている。
このような速度で飛べば傷に響く。幾ら風韻竜だからとはいえ、無事で済むはずが無い。
涙で顔を濡らし、普段は上げないような叫び声を上げ、感情のままにタバサはシルフィードの顔を必死で叩いた。
と、何か冷たい物が手に触れる。…見れば手は濡れていた。
改めてシルフィードの顔を見て、タバサは気が付く。
――シルフィードもまた泣いていた。
198毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 15:48:00 ID:sVWygrDm
ゴツイ風韻竜の顔を涙が伝っている。中々気が付かなかったのは、風で後方に流れていたからだ。
タバサは己の使い魔の涙に悟った。
…シルフィードもまた悲しいのだ。本当はタバサの願いを叶えてあげたいのだろう。
だが、今の精神力が尽きた彼女では何も出来ない。ジャンガの言ったとおり足手纏いにしかならないだろう。
だからこそ、シルフィードはタバサに出来る事の手伝いをしているのだ。
ロサイスで待つ皆に事の次第を伝え、アルビオンから一時退却する――その為に。
そこまで思い至り、タバサは抵抗を諦めた。
そして、今や豆粒のように小さくなった火の海を見つめながら、更に涙を溢れさせた。



「チィ…、こいつは思った以上に…キツイゼ…」
炎の中、ジャンガは満身創痍で立っていた。
全身ボロボロ、血が常に滴り落ち、息も荒い。
その右腕には先程見つけた、同じく重傷のアンリエッタが抱えられている。
重傷だったが、まだ死んではいない。
フーケの方も一応見つかった。…既に消し炭だったが。
ジャンガは複雑な気持ちになったが、感傷に浸る暇は無い。
先程から何とか森の中へと逃れようとしていたが、そう簡単にはいかなかった。
――炎の壁を突き破り、火球が飛ぶ。
「チッ!」
慌ててその場を飛び退く。直前まで立っていた場所に火球が着弾、大爆発が巻き起こる。
爆発に煽られ、体制を崩しかけるが何とか着地する。
だが、身体への負担が大きい。ゴボッ、と口から吐血する。
それを袖で拭い、ジャンガは火球の飛んできた方向を睨む。
火の海からゆっくりと巨大な影が現れる。それの持つ、四つの目がジャンガを捕らえた。
ジャンガはため息とも取れる荒い呼吸をする。
この火の海…もしくは炎の牢獄の様な場所に入ってから、終始この異型の激しい攻撃に晒されていた。
おかげで逃げ回るのに精一杯で森へと駆け込む事も出来ない。
しかも、さらに厄介な事に――
「相棒…足は大丈夫か?」
背中のデルフリンガーが声を掛けてくる。
「あんまし大丈夫でもねェ…、おかげで動きが鈍って仕方ねェゼ…」
ジャンガは忌々しそうに呟く。

先程タバサを爆発から庇った際、ジャンガは身体に大きな負担を掛けた。
負担は思った以上に重く、その所為で足にダメージがいってしまったのだ。
おかげでスピードは大分削がれてしまっている。
万全の状態ならばまだ逃げ遂せる事も出来ただろうが…。

「クソ…」
「相棒! 上だっ!!」
「!?」
慌てて見上げる。
巨体を軽々と浮かせた大ジャンプで、こちらを踏み潰さんとする異型の姿があった。
何とか避けようとその場を飛び退く。
が、地面を踏み切ろうとした瞬間、激痛が足首に走る。
「ぐっ!?」
予想の半分以下の跳躍。直後、異型が地面に降り立つ。
恐るべき重量を誇る巨体が落下し、衝撃波が周囲に広がる。
距離の離せていないジャンガは吹き飛ばされてしまう。
地面を転がり、何とか立ち上がる。
しかし、身体の方はもう限界だ。それにアンリエッタの方もだ。
と、その巨体からは想像出来ない速度で異型が突進してくる。見れば、巨大な豪腕が振り被られている。
慌ててジャンガはアンリエッタを抱き抱えると、己の背を盾にした。
直後、背中に走る凄まじい衝撃。
ジャンガは再び吹き飛ばされ、地面を何度もバウンドし、地面から突き出ていた岩に背中から激突した。
先程の比では無い、大量の血が口から溢れる。
「…う、が…」
身体が動かない…、もう全身が激痛に支配されている。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 15:50:49 ID:fPq47mtJ
支援
200毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 15:52:00 ID:sVWygrDm
同時にこれ以上無い脱力感に見舞われた。
何も身体的にだけではない…、精神的にもダメージは酷かった。
自分が嘗て…掛け替えの無い相棒を殺してでも、何を犠牲にしてでも得たかった力…、
”ナハトの闇”の産物に自分が今殺されようとしている…、これ以上無いくらい痛烈な皮肉だ。
異型の口腔が瞬き、火球が打ち出された。
これで終わりかよ…、ジャンガが悔しさに歯を噛み締めた…次の瞬間。
「…何?」
自分の身体が”独りでに”動き出した。
自分は何もしていない…、文字通り力が入らないのだ。
…なのに身体は動いている。まるで自身が操り人形になったような感じだ。
異型が火球を連発してくる。それを自身の身体は巧みに避けていく。
そのまま火の海を抜けた。眼前には深い森。
身体は森を目掛けて駆け出す。
あそこまでもてよ…、ジャンガは己の意思に反しながらも、自身の目的を果たそうとする身体に全てをかけた。
――だが、突如として身体は動きを止めた。
糸の切れた人形のように己の身体が地面に倒れ伏す。
「だめか…、やっぱもたなかったぜ」
背中のデルフリンガーが悔しそうに呟く。
「…テメェ…か?」
「ああ…そうだぜ。俺は『吸い込んだ魔法の分だけガンダールヴを動かせる』力があるんだ。
…何でこんな能力付いたかは覚えてないけどよ」
「…んな事…、一言も…言ってねェ…じゃねェか……テメェ…」
「仕方ないだろう、忘れてたんだから。…にしても、何でこんな能力が付いたんだろうな?」
そんな場違いに暢気な会話をしていると、火の海から異型が姿を現した。
「ち、来ちまいやがった」
デルフリンガーはやけに落ち着いた声で話す。…もう何をしても無駄だ、と言う事を察しているのかもしれない。
ジャンガはとっくに限界だから、動く事など出来るはずも無い。
「…おい、ボロ剣…。…もう動けねェ…のかよ?」
「いや、無理だ…、残念だけどよ…。てか、相棒が俺を使わな過ぎるんだよ…。
まともに使ったのって、あの裏切り者の時ぐらいじゃねぇか? もうちょっと吸い込んでいたらよ、まだ動けたんだけどな…」
「…使えねェ…」
短くそう呟き……吐血した。
異型がジャンガを見据える。バカにするかのようにゆっくりと口を開き、その口腔に真っ赤な輝きを生み出す。
デルフリンガーはそれを見ながら呟く。
「ナハトの闇の主――ナハトゥム…、最悪な奴が出てきたね…。こりゃ、ハルケギニアも終わったかな?」



「…そんな…」
アルビオン大陸を遠く離れたレドウタブール号の甲板で、タバサは呆然と呟いた。

ジャンガと別れた後、タバサは怪我を押して飛んだシルフィードによって、何とかロサイスまで戻る事が出来た。
そして、タバサは待っていたルイズ達に事の次第を伝えた。
無論、ルイズは猛反対した。ジャンガやアンリエッタをおいて撤退など出来るはずがない、と。
アニエスも当然のように反対するかと思ったが、意外な事に即時撤退命令を出したのだ。
そんなアニエスにルイズは食って掛かった。
何故撤退するのか? アンリエッタを見捨てるのか? と。
そんな彼女を真っ直ぐに見据えながらアニエスは言った。
「女王陛下の事はジャンガに任せている。あいつが退けと言うなら、今は退くしかない」
その言葉はアニエスの中のジャンガに対する信頼の強さを証明していた。
自分の復讐を(乱暴な言い回しではあったが)叱って止めてくれたジャンガに対し、アニエスは父親のような感情を抱いていたのだ。
ルイズにはそんな事は解らなかったが、アニエスがジャンガを強く信頼しているのは解った。
そんなアニエスを見て、タバサにも説得され、ルイズも強引に内心の不安を押し殺し、
ジャンガにアンリエッタの事を任せ、自分達は即時撤退する案に賛成した。
既に準備が整っていた事もあり、キメラドラゴンの群れが到着する前にレドウタブール号はロサイスを発つ事が出来た。

――そして、現在に至る。

タバサの手の中にはエクレールダムールの花の瓶が有る。
…その花が輝きを失い、枯れ掛けている。
201毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 15:57:06 ID:sVWygrDm
エクレールダムールの花は遠く離れていても互いの事が解るマジックフラワーだ。
誓い合った相手が亡くなる時、その花もまた輝きを失って枯れると言う。
そう言った特性ゆえ、エクレールダムールの花を買った男女の墓には、自然と枯れた花の入った瓶が添えられる。
それが今枯れかけているという事は――。

「こんなの信じない!!!」
タバサは叫んだ。目の前の現実を…、自分の中の不安が的中しかけているのを…、尽く否定するかのように。
そんなタバサの絶叫にルイズもシエスタもキュルケも、皆が気遣うような視線を向ける。
ジュリオとガンツは腕を組み、目を閉じている。――ガンツは僅かに歯を噛み締めているが。
「あの人は……あの人はこんな事で嘘を吐かない! 絶対に、絶対に守ってくれる!
どんな不安も…どんな辛い現実も…ずっと裏切り続けてきてくれた…。
それなのに……枯れるなんて、ありえない!!!」
タバサはエクレールダムールの花の瓶を抱きしめる。瓶が割れてしまうかと思うくらい、強く抱きしめた。
そして、身体から放すと再び瓶の中の花を見つめる。だが、花は依然枯れ掛かっている。
タバサは涙を滲ませながら花に向かって呟く。
「お願い……、枯れ…ないで……、お願いだから……」
どこまでも純粋な気持ちで、願いを込めて言った。
…だが、現実は無常だった。

瓶の中でエクレールダムールの花は最後の輝きを放ち――枯れた。

タバサは力無く両膝を付く。
頬を涙が伝い、甲板に止めどなく零れ落ちる。
瓶が手から零れ落ちた。
甲板を転がり、瓶は呆然と立ち尽くすルイズの足元へと転がる。
自分の目の前で止まったそれを見て、ルイズは今度こそ絶叫した。

「ジャンガぁぁぁぁぁーーーーーッッッ!!! 姫さまぁぁぁぁぁーーーーーッッッ!!!」



異型の口から最大級の火球が放たれた。
真っ直ぐに突き進むそれは恐らくは触れた物全てを焼き尽くし、爆砕するだろう。
ジャンガは迫り来る火球を見つめながら、静かに呟いた。
「…クソッタレ…が…」

直後、火球がジャンガを飲み込んだ。

大爆発が巻き起こり、天高く爆煙が立ち上る。
それを見て異型は勝ち誇るかのように、歓喜するかのように、夜空に向かって吼えた。
――直後、異型はビクリと身体を震わせる。
それはまるで、獣が自分よりも恐ろしい相手に出くわしたかのような反応だ。
異型はブルブルと震え出し、慌てて火の海の中に姿を消した。
直後、火の海の傍に人影が立った。――ガリア王ジョゼフ一世その人であった。
ジョゼフは辺りを見回し、やれやれ、と言った感じでため息を吐いた。
「まったく…加減と言う物を知らぬのだな。やはりこの力の制御は難しいか…」
異型が消えた方向を見つめながらそう呟く。
しかし、直ぐに笑みを浮かべる。
「だが、やはり素晴らしい! この火の海…まさに地獄の光景を再現しているかのようではないか!?
素晴らしい! 素晴らしいぞ! これならば、余が苦しみ、泣き叫ぶ事の出来る悪夢を見つける事ができるだろう!
…それでも見つからなければ、ハルケギニア全土をこうすればいいのだ」
火の海を絵画を見るような目で見つめながら、ジョゼフはそう言った。
悪夢を求めた者の力……悪夢を生み出すには最適と言える。やはり、自分はこの力を得て良かった。
これならば今度こそ…今度こそ、自分は泣く事が出来るかもしれない。

「シャルル! 見ていろ…、今度こそ俺は人として泣き叫ぼう! 嘗てお前を手に掛けた時のように、泣き叫ぼう!
悪夢に溺れ、悪夢を求め、悪夢に苦しんだ…過去の英雄の様に!!!」

ジョゼフは笑った。狂ったように笑い続けた。――既にこの世に居ない弟を思いながら。
202毒の爪の使い魔:2009/08/02(日) 16:00:13 ID:sVWygrDm
一方、少し離れた森の中――。

一本の大木にジャンガとアンリエッタは寄り掛らされていた。
それを見下ろす一つの影。影は指を鳴らす。ジャンガの身体が輝き、傷がある程度塞がっていく。
それを見届け、影は踵を返す。
「待てよ」
影に向かってデルフリンガーが声を掛けた。
「…何でしょうか?」
「挨拶もせずに帰るのか?」
「ご冗談を…。あんな大喧嘩をしたのですから、そうそう世間話はできませんよ」
「そうかい…。…女王さんには何もしないのか?」
「……ええ、まぁ。ワタクシにはそんな義理はありませんし…」
「自分に素直だな…」
「のほほほほ♪」
影は笑う。
「ま、ジャンガちゃんの傷はある程度治しておいたので、大丈夫でしょう。女王陛下はジャンガちゃんに任せますのでね」
「この事話しても構わねぇか?」
影は逡巡し、頷く。
「構いませんよ、別に困りませんし。…では、ワタクシはこれにて。怪我も治りきっていないので失礼しますネ〜。アディオ〜ス♪」
笑い声を残し、影は消え去った。
残されたデルフリンガーは鞘へと治まった。



同じ頃、更に別の場所――。

薄暗い闇の中、ガーレンは静かに立ち尽くしていた。
「アルビオンを染める紅蓮の炎…、それはこの先この世界が辿る運命の表れ…。
世界は未知なる恐怖に怯え、際限なく悪夢を生み出す。
その悪夢を糧とし、ナハトの闇は再び現世に蘇る」
闇の中にガーレンの声が響き渡る。
その背後に影が二つ。
一つが楽しそうに笑う。
一つが不適に笑う。
ガーレンの言葉に呼応するように二つの影は思い思いの笑みを浮かべた。
そして、ガーレンが狂気に支配された笑みを浮かべ、高らかに笑った。
「グハハハハハ!!! 何とも言えない高揚感だ! ”向こう”では失敗したが…今度こそ上手くいく!
ナハトの闇は蘇り、世界を覆う! そしてその時こそ、我輩は真なる皇帝――否、神として世界に君臨する。
世界よ! 我輩を称えよ!! 我輩こそが正義! 絶対にして唯一無二の存在!」

両腕を高らかに広げ、ガーレンは叫んだ。

「今一度言おう! 我が名はガーレン!! ゴールドメダルの所有者にして、唯一無二の支配者たる資格を持った者なり!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

以上で投下終了です。
ではまた次回。アデュー!
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 16:09:58 ID:4UcDoJ2D
ではまた次回ろ言いつつアデューという作者はいったい…
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 16:15:53 ID:JwM9nL1g
>>203
シッ、本人はカッコよく決めてるつもりなんだよ
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 16:17:48 ID:eBO2EMNV
>>204
これならカッコよく決まってる?

> 通りすがりの怪獣だ、覚えておけ!
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 16:18:58 ID:JwM9nL1g
>>205
それを言われるとツライwww
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 16:31:56 ID:/j3zJ8Ql
アデューといえばAC3の最下位ランカー(初期)
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 16:51:57 ID:qRjTe7i4
毒の人おつー
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 16:57:10 ID:g7Xtd1p7
アデューっていえば光速の聖騎士
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 17:03:02 ID:fqr2ijp8
アデューといえばリューナイト
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 17:03:57 ID:/xNc/Vnp
>>209
ああ、ドリルボーイのことね。最近のじゃ、カワリーノさんってところか
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 17:13:50 ID:F1BlIZ6k
MATの岸田隊員かTACの山中隊員かナイトレイダーの凪副隊長を召喚したら
ルイズの胃に穴が開く生活スタート
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 17:34:26 ID:N61tzb7D
>>203
ではまた次回ろ
ではまた次回ろ
ではまた次回ろ
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 17:36:01 ID:zYekvTX/
>>206
もやしがんばwww
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 17:46:11 ID:HZdIVyc6
ディケイドもそうだが クロスオーバー企画に触れてると
いつのまにか自然と守備範囲が広くなる
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 17:58:45 ID:fcbccCrG
じゃーそろそろロリからホモまで範囲の広い奈良重雄さんにお越しいただこうか
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 18:00:15 ID:OU6gSwQN
ギーシュが「奈良づくし」で地獄を見る光景が見えるようだ……
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 18:01:56 ID:tenlX6XK
奈良づくしでギーシュが一生もののトラウマを植えつけられるわけか
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 18:16:47 ID:PoVdq8/I
> 通りすがりの怪獣だ、覚えておけ!

それ俺も書こうとしたが>>206に先を越されてた
おのれ、ディケイド…
220萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2009/08/02(日) 18:22:25 ID:PCTu9d85
皆様乙です。

進路クリアなら18:30頃から第5話を投下したいと思います。
221萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2009/08/02(日) 18:30:50 ID:PCTu9d85
それではいきます。


 トリステイン魔法学院の中央本塔の中に、とりわけ厳重に施錠された扉がある。学院の
秘宝を納めた宝物庫の扉――その扉の前に、指揮棒のような杖を手にした翠の髪の女が
立っていた。

「……扉にかけられし戒めを――……解き放て」

 何も起こらない。女は小さくため息をつく。
「やっぱりこっちは駄目か。鍵穴は飾りだし鍵自体に相当強力な『固定化』の呪文が
かけられているわね。
 私の得意な『錬金』の呪文でも開かないとは……厄介だわ」
 全く手間ばかりかかる――女は独りごちる。
「やっぱり……あの子たちに協力してもらうしかないかしら?」
「そこで何をしているのですか!」
 女の後ろ姿がランプの明かりに照らされる。そして誰何の声。女が振り向くと、そこには
眼鏡をかけた頭のやや寂しい中年のメイジ、コルベールが立っていた。
「ミス・ロングビル?何故こんなところに?」
 女――ロングビルは柔和な仮面をコルベールに向ける。
「ミスタ・コルベール。……実は宝物庫の目録を作ろうと思って来たのですが、オールド・
オスマンに鍵を借りるのを忘れてしまいまして」
「それは大変ですなー」
 コルベールはまるで自分が困っているかのような顔をする。
「私ったらうっかりしていましたわ。失礼します」
「あ、待ってください!」
 会釈してその場を去ろうとするロングビルをコルベールが呼び止める。
「な、何か?」
「……もし、よろしかったら……昼食をご一緒にいかがですかな?」
 真っ赤な顔をしたコルベール。ロングビルは内心吹き出しそうになっているのを完璧に
仮面の奥に隠した笑顔で答える。
「――よろこんで」
「本当ですか?」
「ええ。――ところで、ミスタ・コルベール。『破壊の杖』をごぞんじ?」
 ロングビルの質問にコルベールは喜色満面で答える。
「あぁ。見たことありますぞ。何というか……説明のしようがない奇妙な形をしていましたな。
『杖』といわれればそうなのかもしれませんが、見ただけではあれが何故『破壊』の名を
冠しているのか理解しがたいですな」
「――そうですか」
 ロングビルの眼鏡の奥に妖しい光が宿る。だが、コルベールはそれに全く気づかなかった。
「それより!料理長が東方の珍しい食材を手に入れたとのことで、オールド・オスマンと
あと二人しか食することができないという特別料理をお召し上がりになりませんか?」
「お気遣いなく!『本日のメニュー』で結構ですわ」
「そ……そうですか……」
 あからさまに落胆するコルベール。ロングビルは笑みを向けながら、すでにコルベールへの
興味は失っていた――


 ロングビルとコルベールがそのような会話をしていたときから時系列を少しさかのぼる。
ヴェストリの広場での決闘の後、ギーシュとふがく、そしてルイズの3人は学院長室に
呼び出されていた。
室内には3人以外にはオスマンとロングビルがいる。ロングビルは書類をこなしながら、
それとなくオスマンたちの会話に耳をそばだてる。

「……双方の言い分は分かった。怪我人がおらん以上は謹慎まではする必要もあるまい。
ミスタ・グラモンとミス・ヴァリエールはそれぞれ反省文を書いて提出しなさい。
 ミスタ・グラモンはもうええぞ。退出しなさい」
222萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2009/08/02(日) 18:32:19 ID:PCTu9d85
 ルイズとギーシュからことのあらまし、そしてふがくのことを聞いたオスマンは、学院長室の
机からルイズとギーシュを見る。その姿は伝説のメイジにふさわしい威厳にあふれていた。
「どうしてルイズが罰を受けるのよ!私が悪いっていうなら……」
「ふがく!あんたはわたしの使い魔なの!使い魔の不始末は主人の責任よ」
 ギーシュが学院長室を辞した後、ふがくが憤りをあらわにするが、ルイズがそれを封じた。
「……フガクというたかの?少し話を聞きたいが」
「失礼ですが、私は『ふがく』です。訂正いただきたいですね。オールド・オスマン」
「ふがく!」
 オスマンの言葉にふがくが普段よりは丁寧な言葉で訂正を求める。ルイズがそれを
制しようとしたが、逆にオスマンに制された。
「気にしとらんよ、ミス・ヴァリエール。いつもながら東方の発音はハルケギニアの人間には
少し癖があるように聞こえての。
 では、ふがく。おまえさん、ミス・ヴァリエールが釘を刺していなかったら本当にヴェストリの
広場ごと吹き飛ばすなどというマネをするつもりだったのかの?」
「できるか、と聞かれたらできると答えるわ。私はもともと敵国を爆撃で破壊するために
造られた鋼の乙女だから。でも、今回そうするつもりだったか、と聞かれたら答えはいいえよ」
「国を破壊するとは大きく出たの。じゃが、まぁそうじゃろう。でなければあんな塗料の樽を
ゴーレムに落とすだけでお茶を濁すこともあるまい。それでも、今のおまえさんはワシらには
十分すぎる驚異となる――」
「オ、オールド・オスマン!ふがくは、わたしがしっかりと手綱を握りますから!」
 オスマンの言葉にルイズが割って入る。オスマンは椅子から立ち上がると、陽が傾き始めた
空を見る。
「――ワシらは無益な争いは好まん」
「解ったわ。自衛以外で生徒は傷つけないと約束する」
「そうしてもらえると助かるの。
 それから、おまえさんのことはさっきミス・ヴァリエールから聞いたとおり教師や生徒に
伝えるぞ。極東――東方の東の果てにある帝国から召喚されたガーゴイル、とな。
とにかくおまえさんの正体が分からんで妙な気を起こしかねんのがおるからの。
向こうで将校扱いされとることまで流せば自制が効くじゃろ」
 実はルイズはふがくが『別世界から召喚された』ことは話していない。自分自身が信じて
いないためだ。そのため、そのままを聞いたオスマンはそう言って水たばこに火をつける
――が、それはオスマンの手を離れ、指揮棒のような杖を手にしたロングビルの手に落ちた。
「……オールド・オスマン。生徒の前ですよ」
「つれないのう。まぁ、ええわい。
 ミス・ヴァリエール。アルヴィーズの食堂の件も事後承諾で認める。ふがくは国交もない
他国とはいえ将校待遇の者を使い魔にしたということで准貴族として扱おう……この学院の
中に限り、じゃがの」
「あ、ありがとうございます。オールド・オスマン」
 ルイズが深々と頭を下げる。ふがくもそれに倣った。
「うむ。先ほどの言葉、忘れるでないぞ――」

 学院長室を辞したルイズとふがくを、ギーシュ、キュルケ、タバサ、モンモランシーが
待っていた。ギーシュの頬が赤く腫れていたのは気のせいだと思いたい。今まであまり
接点のなかった組み合わせに、ルイズが思わず尋ねる。
「……どういう風の吹きまわし?」
「僕はちゃんとした用件があったさ。そうしたらモンモランシーたちが上がってきたのさ」
 そう答えたのはギーシュ。ギーシュはそう言うと、ルイズに向かって深々と頭を下げた。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 18:33:13 ID:+hofYi+D
支援
224萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2009/08/02(日) 18:33:41 ID:PCTu9d85
「……君を侮辱したことを謝罪する。今後君のことをあのような言葉で侮辱することはないと誓うよ」
「え?」
 鳩が豆鉄砲を食ったよう――そう表現するしかないような表情をルイズが見せる。
そこにギーシュが言葉を継ぐ。
「モンモランシーにはさっき謝った。ケティには、後で謝りに行くつもりだよ」
「許してあげたら?ルイズ。さっきのギーシュは見物だったけどね」
 そう言うキュルケは笑っていた。ルイズもそう言われては拒否する理由は全くない。
「そ、そうね。でもギーシュ。これに懲りたら、もうつまらないことはしない方が身のためよ?」
「ああ、解ってる。僕が一番愛しているのはモンモランシーだからね」
「……だ・か・ら、そこでどうして私だけって言えないのよ貴方は!」
「おぐぉ!?」
 モンモランシーの肘鉄がギーシュの脇腹にもろに入る。悶絶するギーシュを横目に、
タバサがふがくに話しかける。
「……どうしてあんな警告をしたの?」
「どういうこと?」
「……決闘のとき。最初に見物人に離れるように警告した。それもかなり遠くに。
最初から『ワルキューレ』だけを狙うつもりなら必要がないはず」
 まっすぐ見つめてくるタバサの視線をふがくは真っ正面から受け止めて答える。
「決まってるでしょ?実弾を使うつもりだったからよ。『ワルキューレ』の脅威が判らなかったから、
演習弾がなかったら、そうするしかなかったし」
「あの銃だけでは不足?」
 タバサはふがくが使った機関短銃を非常に脅威ととらえていた。先込めのマスケット銃が
最新鋭のハルケギニア諸国には、ふがくの持っているような高速連射が可能な連発銃は
出所が不明な『場違いな工芸品』に類されるもの以外ほぼ存在しない。
ふがくたちは知るよしもないが、今回の決闘の後、学院長室に呼び出された彼女たちと
入れ替わりに退出したコルベールがヴェストリの広場に残された空薬莢を回収している。
タバサはふがくの高度からなら最初から『ワルキューレ』どころかギーシュを狙い撃つことも
できたと考えていた。
「だから、『ワルキューレ』がどんな材質でどういう構造か判んないし、私の知ってる
『青銅』とこっちのそれが同じかどうかも判んないんじゃ、最初からある程度の攻撃力を
持たせないとどうしようもないじゃない。
 今回は爆撃演習弾で何とかなったからよかったけど、もし効かなくて銃撃でもどうにも
ならなかったら、もう一回警告してから高度上げて爆弾で精密爆撃やって吹っ飛ばすか
拡散式爆弾で焼き尽くすしかないって思ってたし」
「……ごめんなさい。よく分からない……」
 タバサが困った顔をする。いつの間にかルイズたちも二人の会話に聞き入っていた。
特に当事者だったせいか、ギーシュの顔色は良くない。
「……参考までに聞いておきたいのだけど……その『バクダン』と、『カクサンシキバクダン』と
いうのを使っていた場合、僕はどうなっていたのかな?」
 ギーシュの声には怯えが混じっているが、ふがくは気にすることもなくあっさりと答える。
「爆弾は軍艦や戦車、施設を破壊するためのものだから、まぁギーシュと『ワルキューレ』の
距離だったらあの位置でも見物人を巻き込むことはなかったわね。ぎりぎりだけど。
 拡散式爆弾だったら……あれは着弾地点からおおよそ半径450メイルの範囲を焼き尽くすから……」
「も、もういいよ!分かったから!」
225萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2009/08/02(日) 18:35:16 ID:PCTu9d85
 どちらにしても自分は助からなかったことを理解したギーシュが、それ以上ふがくが
説明するのを止める。そのギーシュの上着の袖をモンモランシーが握りしめていた。
「だから警告してからって言ったじゃない!ルイズと約束したし無警告で爆撃しようなんて
考えてなかったわよ!」
「まぁ、ギーシュが助かったことには変わりないじゃない。
 でも、火のメイジでもそれだけの範囲を焼き尽くすのって結構無茶よ。本当にできるの?」
 『火』の話題だけあって、キュルケが前に出てくる。
「できるわよ。弾薬の補充できないから今すぐやって見せるわけにはいかないけど……」
 そう言ってふがくが懐に手を入れて何かを出す――それはヴェストリの広場で見せたような
形をしていたがそれよりも大きく、サイズはふがくの腕についているものとほぼ同じ。
先端に黄色の線がぐるりと回されて、後ろの羽がねじれた形で四角い枠に固定されていた。
「これが拡散式爆弾」
「……ということは、フガクの腕についてるのも、もしかして……全部、爆弾?」
 キュルケが言う。その顔はやや青ざめて、言葉には若干の怯えが混じっていた。
「そうよ?それがどうかした?……って、わたしは『ふがく』!『フガク』なんて呼ばないで!」
 怒るふがくにルイズが呆れるように言う。
「どうでもいいわよ、そんなこと」
「よくない!」
「……いいの!
 まったく。さっきも思ったけど、いったいあんたのどこにそんなのが収まってるのよ?
ちょっと見せなさい!」
「ちょ、ちょっと!どこさわって!」
 キュルケが何を心配しているのか気づきもせず、ルイズがふがくの懐に手を入れようとする。
「ル……ルイズ?止めなさいって!」
 キュルケがルイズの腕をつかむ。ルイズがふがくの懐から引っ張り出した手には、
自分の手のひらには余るような大きさの金属の筒が握られていた。
「……なにこれ?」
 ルイズがその手につかんだものを見る。それは銀色に輝く鉄の筒のようで、完全に密封されていた。
筒の側面には見たこともないささくれだったフルーツのような絵と、多分それの皮をむいて
芯を取った黄色いリングのようなものを盛りつけたような絵が描かれた紙が巻かれている。
文字も書かれているのだが、それはルイズたちの誰も見たこともない文字だった。
「パイン缶よ。それ。
 ……まったく。なんでこんなのがここに入ってるのよ……あるんだったらさっさと食べてたら
こんなことにならなくて済んだのに」
 気づかなかった自分を恥じるかのようにふがくが渋面を作る。改めてふがくが自分の懐を
探ると、同じものが2つ出てきた。
「パイン……カン?」
 ルイズは手に持った金属の筒――パイン缶をしげしげと眺める。それは鉄のようだが
銀色の光沢があり、完全に密閉されていてふたもなかったため、どういうものなのか
想像もできない。
「そこに絵が描いてあるパイナップルっていう果物のシロップ漬け缶詰よ。密閉してあるから
長期間保存できるし空挺補給作戦で武器や食料と一緒に地面に投げ落としても
まぁ大丈夫、ってものね」
「……つまり、これは食べ物?」
 タバサが聞く。その目はどことなく輝いているようにも見えた。
「これが食べ物って言われても想像つかないわね。こんなのどうやって中身を食べるのよ?」
226萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2009/08/02(日) 18:35:58 ID:PCTu9d85
 ルイズが缶をいじるが、ふたが圧着された缶にはどこにも開けられるようなところが
見つからない。
そうやっているうちに、ふがくは袖口から見慣れない器具を取り出した。
「昔は銃剣とかノミと金槌とかを使ってたらしいけど、今はこれを使うのよ」
 そう言ってふがくが全員に見せたのは、持ち手が妙に太い折りたたみ式のナイフ。
そこから小さなかぎ爪状ナイフ――缶切り――を引き出してみせるが、一見してどう使うのは
誰にも理解できなかった。
「ここじゃなんだし、食堂へ行きましょ。そこで詳しく説明してあげる」
 そう言ってふがくが階下への階段を下り始める。その後ろ姿を見るキュルケたちには
先ほどの恐怖もどこへやら、未知の食べ物への興味が勝った今は、もう怯えの表情など
かけらも見られなかった。


「……まったく。何を話しておるのかと思えば……物騒なことを」
 そう言ってオスマンは『遠見の鏡』に映るふがくたちの姿を消す。
『センシャ』はよく分からないが、半径450メイルを焼き尽くすものとは、尋常ではない。
これはもう少し念を押す必要がある、とオスマンは考えていた。

 一方――

(これは……時間かけてちまちま外壁や鍵を『錬金』し続けるよりずっと何とかなるかもしれないねぇ……)
 ロングビルがその柔らかな仮面の裏でオスマンにも気取られぬよう、ほくそ笑んでいた――
227萌え萌えゼロ大戦(略) ◆E4H.3ljCaE :2009/08/02(日) 18:37:19 ID:PCTu9d85
以上です。

昼前に投下しようとしてましたが、暑さに負けて寝込んでましたorz
皆様も体調管理には十分お気をつけて。
228ゼロと捕獲者:2009/08/02(日) 20:46:59 ID:H6vlR0YK
>>227
乙!

何も無ければ、20時50分から小ネタとして『ゼロと捕獲者』を投下するが大丈夫か?
229ゼロと捕獲者:2009/08/02(日) 20:50:27 ID:H6vlR0YK
「諸君、決闘だ!」
ギーシュは高らかにそう宣言をする。
すると、周囲の観客は盛り上がった声を上げた。

「よくやるわね」
キュルケは半ば呆れたような声で呟いた。

観客といっても居るのは学院の生徒や教師。
よほど暇だから来たのか。 いいや違う。
彼らは見物に来たのだ。
ギーシュの決闘の相手である平民が、地に這いつくばり許しを乞う、その姿を。
平民でも貴族になれる、『野蛮』と呼ばれるゲルマニアから来た彼女からすれば、その姿は嫌なものでしかなかった。

何故、止めなければならない教師まで居るのだろうか。
いいや、彼らも同じだ。
トリスティンの貴族は多くが平民を格下とし、見下す。
自分と同じ、生きている人間だとは思わない。
平民は貴族に従って当たり前。
それがトリスティンの、ハルキゲニアの長きに渡る因習だった。

悪しき因習、であろう。
平民が貴族に、尊敬の念で従うのならばそれは良い。
だが、大抵の場合が貴族が使う魔法に対する恐怖だ。

『恐怖』で従うということは、相手に逆らえないということ。
逆らわないのでなく逆らえない。
そんな相手を見て育つ貴族がどんな考え方をするのか、考えるまでもない。

平民とは、貴族に従って当たり前。
そんな考え方で育つのだ。
230ゼロと捕獲者:2009/08/02(日) 20:52:35 ID:H6vlR0YK
今回の決闘にきっかけは、メイド――否、メイドに扮したルイズの使い魔がギーシュの落とした香水ん拾ったからだった。
使い魔は確かに謝ったのだ。
でも使い魔も理由が理由なだけに、納得がいかなかったのだろう。
悪いのは二股をしていたギーシュであり、親切で拾った使い魔ではない。
使い魔は言ったのだ、「あなたはあの人達を『本当に好き』じゃないの?」と。
それを聞いて周囲のギーシュの友人達は笑った。
だから、謝った使い魔を見てほんの少し『貴族に対する礼儀』を説いただけで終わろうかと思っていたギーシュは、再び怒り、決闘を申し込んだのだった。

主であるルイズが自らの使い魔に駆け寄った。

「ちょっと、何を考えてるの! 謝ればギーシュも許してくれるわ!」
手を引き、使い魔に謝らせようとする。
だが使い魔は動こうとしなかった。

「ダメだよ、そんなの」
使い魔は言う。

「アンタ、分かってるの!? 平民はメイジに勝てないの!」

「でもダメだよ。 あのギーシュさんは、ケティさんとモン……えっと、とにかく二人の事を傷付けたんだよ? 『本当に好き』な一人じゃなくて、好きじゃない二人を傷付けたんだから」
使い魔は毅然として答える。

「ば、バカね! 怪我ですめば良い方なのよ!?」
一瞬気圧され、だがルイズは使い魔の愚行を止めようとする。
『ゼロ』と呼ばれ笑われたルイズ。
そんな自分がやっと呼び出せた使い魔だ、失いたくはない。

だが使い魔は、ゆっくりと首を振った。

「大丈夫」
柔らかく、微笑む。

「絶対、大丈夫だよ」

「ッ――知らないわよ!」
ルイズも諦めたのだろう。
踵を返し、二人を囲む人垣の中に入る。
絶対負ける、そう思いながら。
231ゼロと捕獲者:2009/08/02(日) 20:54:15 ID:H6vlR0YK
観客達も、キュルケも、ギーシュも、ルイズも。
ほぼ全員が、平民が負けると思っていた。

「ねぇ、タバサ。 どう思う?」

「…………」
キュルケの隣で本を読んでいたタバサはゆっくりと顔を上げて使い魔を見、すぐに本に視線を戻す。

「普通の平民じゃない」
と、小さく呟いて。



「僕はメイジだからね。
魔法を使わせてもらうよ、異論は無いね?」

「うん」
使い魔は頷く。

ギーシュは軽く笑うと杖を振った。
薔薇の花びらが一枚、はらりと落ちた。
と同時に、花びらは消え一つの鎧に姿を変える。

「僕は『青銅』のギーシュ。 相手をするのは僕のワルキューレさ」
その鎧は女性のような形をしていた。
青銅で出来た鎧。
だが、その強さは平民一人を地に伏すなど簡単である。

「ほぇー……」
使い魔は驚いたような声をあげる。

それを見て、ギーシュは余裕の笑みを浮かべた。

「僕が杖を落とせば君の勝ち、君が『参った』と言えば僕の勝ちだ」

「ねぇ、ギーシュさん」
使い魔が声をかける。

「私が勝ったら、あの二人に謝ってくれる?」

「良いだろう。
もしも君が勝てば、あのケティとモンモランシーに謝るさ」
ギーシュは大胆不敵な笑みを浮かべた。

対する使い魔は安心したような笑みを浮かべた。

「じゃあ私も……」
首から下げたペンダントを取り出す。
ぶら下がっているのは黄色い星が中央にある、鍵。

「なんだい?
故郷の親にでも祈るのかな?」
茶化すギーシュ。

鍵を手のひらに起き、使い魔は目を閉じた。

途端、使い魔から魔力と呼べるものが溢れだした。
とても、強い魔力。
こんな……ギーシュやルイズよりも年下にしか見えない、少女から。
232ゼロと捕獲者:2009/08/02(日) 20:55:49 ID:H6vlR0YK
「『星の力を秘めし鍵よ。
真の姿を我の前に示せ』」
ペンダントの紐が外れる。
だが鍵は宙に浮いたままだ。
強い魔力と共に、足元に金色に光る魔方陣が現れる。
中央に星、その周りに太陽と月を現すもの。

「『契約の元、さくらが命じる。

レリーズ
封印解除』!」
使い魔が叫ぶと、鍵に変化が現れた。

鍵の形が変わり、段々と伸びていく。
それはやがて、先端は丸い円を描き外側に小さな羽、内側に星の飾り、ピンクの色をした杖へと変わる。

「き……君は、メイジなのか……!?」
ギーシュは言う。

使い魔は、一枚のピンクをしたカードを取り出した。
女性が描かれ、その端にはこの場の誰もが読めない字が書かれていた。

使い魔はそのカードをギーシュの方に投げる。
杖をまるでバトンの様に回しながら、使い魔は呪文を詠唱した。

「『風よ。
戒めの鎖となれ。

ウインディ
  風 !』」

カードが使い魔のすぐそばにまで戻ってくる。
使い魔は、詠唱を終えると同時に杖の先端をカードに当てた。
星の部分が回り、小さな羽が大きく広がる。

カードから光が発せられ、同時に光とも煙ともつかない白く僅かに緑がかった風が現れる。
それらは細かく細く、ギーシュのワルキューレに絡み付く。
まるで、鎖のように。

「くっ、メイジだったなんて思わなかったよ。
なら、油断はしない!」
ギーシュは再び杖を振るう。
数枚の花びらが落ち、青銅のワルキューレに変わった。
剣や槍を持つワルキューレが、使い魔に襲いかかる。
233ゼロと捕獲者:2009/08/02(日) 20:57:44 ID:H6vlR0YK
「『かの者の姿を消し、我を危機から遠ざけよ!

イレイズ
  消』!」
同じようにカードを取り出し、詠唱をする。
同じく星の部分が回り、羽が大きく広がった。

すると、ワルキューレが全て消えた。
文字通り、音も無く。

「な、な……」
ギーシュは戦慄く。
メイジ、メイジだがこれはどの系統でもない。
水が、風か、土か、炎か。
いいや、どれでもない。
風を使ったが次の魔法は風ではない。
コモンマジックでもない。

そして、たとえどの系統に当てはまろうがこれはドットやラインでは有り得ない。 スクウェアクラスだと言われれば納得するだろう。

「君は、何者なんだ……」
ギーシュは後ろに後退する。
あまりの事に呆然としてしまい、杖を落としていた。 だがそれにも気付かない。

「もう全部捕まえ終わったんだけど……」

使い魔の少女は、まるで花が咲いたかのような笑顔を浮かべた。
     捕 獲 者
「カードキャプター、さくらだよ」
234ゼロと捕獲者:2009/08/02(日) 20:59:36 ID:H6vlR0YK
終了
カードキャプターさくら召喚でした
何か失礼があったら申し訳ありません……
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:03:12 ID:ioiSUrTt
乙。CCさくらとはまた、懐かしい
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:03:46 ID:6huY9n1S
コーンクリームスープ乙
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:07:05 ID:w6tTW8P+
乙です。
タイトル見て一瞬リンダキューブを想像したのは俺だけでいいw
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:08:47 ID:B6ig9Yxh
投下乙です。
CCさくらって実は結構なチート強キャラなんじゃなかった?
飛び飛びで見たことあるだけなんで詳しくはないんだけど。
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:11:18 ID:ioiSUrTt
>>238
ルイズの方が強いぞ
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:14:24 ID:DrHvXROy
健全な男子をあちらの道に引きずり込んだ、魔性の女がとうとう

本当は知世が原因なんですけどね

・・・あれはさくらonlyだよな?
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:22:20 ID:sIALPzQE
>>238
CLAMPキャラは総じてチート。
同作者のキャラ同士で戦ってる分にはショボイ戦闘繰り返してるが
多作品にデバったら魔力量でインフレ起こす。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:23:18 ID:DzaK4yIx
>>240
曰く、「エロパロ同人で最も多く犯されたキャラ・BEST-10」にランクインしてるらしいからな。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:28:46 ID:SLBzPjnj
あの綾波とかがランクインしてる地味に正確なBEST-10か
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:40:44 ID:gZeJxFB9
捕食者、というからホラーかサスペンスを期待したら期待を裏切られた……いい意味で。
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:49:21 ID:CzKpmB/K
>>244
ギーシュをカニバリってるさくらが脳裏に浮かんだぞどうしてくれる
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:49:28 ID:4n8rjYnH
さくらは汎用性高すぎって事で
魔法使いキャラの強さの話では大抵結構良い所に食い込む。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:51:34 ID:triVQk1Q
獲と食ってどうやったら見間違うんだよ…。
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 21:57:31 ID:ul4ldVVA
CCさくらとは確かに意表をつかれたな。確かに「捕獲者」ではあるし、最強の呪文で誰かはすぐに分かったけど。

しかし、小学生女子と決闘するのかギーシュ……
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 22:01:39 ID:/j3zJ8Ql
飴でぶっ壊す魔法を使う
どうみても13歳(実年齢122歳)には見えないロリと決闘したこともあるし
御愛嬌ということで
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 22:05:52 ID:sIALPzQE
>>246
真に汎用性高いのは古の魔法少女たちだけどな。
連中ってば、己の魔力は消費するにしても呪文唱えて杖振るだけで
空中からお菓子だの服だの犬猫だの生み出すからな。
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 22:29:01 ID:I2gyp78S
書店でCC全巻買う所を友人4人に目撃された時の事思い出した

乙!
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 22:43:31 ID:dsKLvKny
杖を振らなくても鼻をもにょもにょと動かすだけで何でもできる奥様は魔女が最高
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 22:50:22 ID:tTZfeCPO
>237
獣人化してギーシュ戦、指輪動物でワルド戦か。
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:01:24 ID:oyX+azTK
>>250
まあサリーちゃんとかもう何でもありだしな
死者蘇生ぐらいかできないの(というかやる機会がない)?
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:04:03 ID:/+tiP107
サブリナまた放送してくれないかな
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:04:20 ID:Q/AxsBra
キングにマントをもらうまで、まったく歯が立たなかったプレッシャーもきついな
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:08:13 ID:QvVt7NSU
CCサクラとは懐かしい
ハルケギニアでの衣装担当は誰になるんだ?
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:11:00 ID:oyX+azTK
>>257
ツバサの設定利用して
ハルキゲニアの知世とか?
もちろんどこかの国の貴族設定で
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:25:53 ID:MzrC4y/G
>>257
キュルケ、もしくはタバサ
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:27:35 ID:JirPwDOl
ミンサガの棒読み殿下
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:44:32 ID:01lYRQbr
>>258
CCさくらの場合
片付けなきゃ成らない問題が満載だったりする。

・アニメ版からだと小狼が結構カード持ってるから使用不可能な技も結構あるとか
・さくらカードに進化してないと困ったことになるとか
・そもそも召還されちゃった場合、月とケロちゃんはいっしょなのかとか
その辺の処理が作者の力量になってかかってくるな。

そのうえ『ツバサ』設定加えるとなると「極東の魔女」の人が絡んできて
「世界扉」無しで帰れちゃう可能性があるんだがどうする。
無論莫大な対価を誰かが支払うことになるがw
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:47:03 ID:F1BlIZ6k
君の青春は輝いているか

という事で剣流星ことメタルダー召喚
メンテ問題もスプリンガーも一緒ならクリア
デルフはポン刀風にアレンジ
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:47:50 ID:kIireT7K
>>261
「極東の魔女」への「対価」で使い魔生活という手も出来ないことも無さそうだけど。
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 23:51:03 ID:g7Xtd1p7
最近アプトムの人こないな・・・
いや、単行本読んできたもんで。
なんかアプトムさんが熱血してるんですけど。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:06:32 ID:QvVt7NSU
極東の魔女も召喚すればいいじゃない
侑子さん召喚とか面白そうだ
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:08:24 ID:5M2O316q
金剛番長召喚とか。ギーシュが悪矢七そのままになりそうだ。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:08:39 ID:t6N8Qfps
あの人戦うタイプじゃ無いしなー
戦っても強いとは思うが
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:15:56 ID:jcBI+cqg
ssを書いてて思う
文章ってこんなにも難しいんだね

一話一話が短いから自分の文章力の無さに絶望する
長くて面白い文章を書ける連載中or完結済みss作家さんは凄いぜ…せめて一話辺り10kbいきたいでござる
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:16:16 ID:dh1P45v5
そもそも戦闘シーンが無いじゃん、侑子さん
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:17:04 ID:pvdg5eUm
短くまとめる方が難しいんだが
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:18:25 ID:hWeUxvSy
>266
あっちの話も進んできた事だし
貴族連中全員○○番長名乗ってもいいような気がする
青銅番長
閃光番長
炎蛇番長
烈風番長
雪風番長・・・
きりが無い
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:19:35 ID:75KehHNI
>>265 >>267
呼び出したところで還っちゃわないかw
まあそれは保留としても
・使い魔契約で対価を要求するという前代未聞な事態が起こったり
・いろんな意味で「憚られる者」だったり

とか色々と愉快なことになりそう。
召還するのはやっぱり「乳革命」の能登なんだろうな。
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:21:48 ID:mjBztYaz
実写TFからラチェットを召喚したらどうなるかな

「ゲートを通った以上、あなたは彼女の使い魔となることを承諾した形に・・・」
「このハゲは大きな勘違いをしている」とか
「ハゲ!アフターバーナーを移植だ!」とか?
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:34:48 ID:SZqVsrSn
侑子さんはお酒でどうにかすればいけそうだ
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:40:44 ID:MSGfSJVZ
>>268
長けりゃいいってもんじゃないから安心しなされ
でも 面白さ以前に マトモな文章になってるかどうか 時々 心配になることはある
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:42:35 ID:CQcQzNPQ
むしろ麻倉美津里を呼ぼう
あの人ならウェールズを生き返らせる事が出来る


…アンアンを大幅に魔改造して、死んだウェールズの面の皮を騎士人形に貼り付けさせるワケだが
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:50:55 ID:5M2O316q
夜の街にガオ、なウェールズ王子か
麻倉屋さんは自分ルールで直接はそういうことせんと思うけど
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 00:55:19 ID:vq7O/f2c
鉄人操作して5万の戦力相手に戦うウェールズ王子を想像してしまった
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 01:02:18 ID:2IQ6pwP4
管理局の白い悪魔ですらさくらに勝てるかどうか分からんというのにギーシュ如きが勝てるはずもない
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 01:05:16 ID:ZaOueOKn
レイアース召喚とか言おうと思ったけど覚えてないから言えないぜ!!
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 01:14:13 ID:M/SEhJA0
>>280
魔神のほう?
おにゃのこのほう?
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 01:14:59 ID:FhuYaohn
失われたアーク
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 01:21:58 ID:GH/BI9of
斑木ふらんが召喚されたら
魔法無しでウェールズの復活ぐらいはやれそう。
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 01:51:23 ID:8XYneHHx
原作者さまに哀悼の意を捧げつつ、グイン・サーガのグイン召喚。
ルイズってシルヴィアと結構性格にてるし、ついでにグインの好みの女性も『なんでも
できる女よりも手のかかる女』って自分で公言してるくらいだし……あれ? もしかし
て相性ばっちりじゃねこの二人……ルイズならシルヴィアよりは性格幾分かいいだろう
し……グインの完璧超人ぶりに嫉妬っていう展開は変んなさそうだけど。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 02:10:12 ID:eG6r8BTw
個人的には好きじゃないなーCLAMP

だって、登場キャラが全員美男美女。不細工なんていない
ほとんど全員が善人。人間らしい悪や闇がぜーんぜんない

萌え萌えマンガとしては良いだろうが、人間らしい薄汚いドラマが全然無いんだもん
幼児向けおとぎ話じゃあるまいし


・・・俺の魂が腐ってるだけだとも言うが
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 02:15:52 ID:2n/NPjo7
>285
幼児向けおとぎ話なんだよ。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 02:21:04 ID:2IQ6pwP4
>>285
肉は腐りかけが一番美味いという
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 03:06:14 ID:UfM7qT2r
>>285
つ「東京BABYLON」

主役3人召喚しても面白いかもな…。
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 04:07:41 ID:MSGfSJVZ
>>285
そういうのがあるからこそ ジェットマンみたいな話が映える
全部おいしくマルカジリするのが俺のジャスティスでありファンタジー
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 04:19:13 ID:/OBKMQLQ
仮面ライダーアギトからG3ユニットをGトレーラーごと召喚
契約するなら氷川さんを選ぶかも知れんがオムロンと契約したらどうなるか興味深い
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 04:39:46 ID:/Ris5iW7
へうげものから宗匠を召喚
ハルケギニアにわびをもたらさんと宗匠の業の火が再び燃える!
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 05:46:45 ID:3a7F/XaR
CLAMP作品、結構えげつない敵キャラとか居た気がするけど
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 05:59:00 ID:AWqyyW3j
ブラック・ジャック召喚

カトレアさんを治してあげて下さい。
「報酬に新金貨2000頂く」
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 06:07:20 ID:UMRJXiU3
バスターマシン七号召喚

カトレアさんを治してあげて下さい。
「努力と根性!」
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 06:20:17 ID:xdk1WW3D
>>293
払います、一生かかってでも!!
その言葉が聞きたかった。
こうですか?
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 06:24:13 ID:8ogjCsP2
>>285
つ「聖伝」

まあ、CLAMPはCCさくら以降死んだようなもんだからな。Xも未完だし。
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 06:27:30 ID:AWqyyW3j
>>295
ヴァリエール家ならその場で支払われそうだけどね。
逆にその程度でいいのかと聞かれそうだが。

「では現金払いで」
「…銀行はないのか?量が多すぎる」
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 06:29:34 ID:IZIREevn
覚悟を試すぐらいの額となると、所有している領土とかかね
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 06:42:41 ID:/If3wVIz
>>297
平民風情がふざけるなと無理矢理タダ働きを命じるかも
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 06:46:37 ID:RpxPW8n0
いや、だからまともな貴族ならそういうことは言わないって。

あの世界もあるていど商業ってモノが広がっているから、
そういうことやっているとまともな商人がだんだんと寄りつかなくなって、
家や領地が長い目で見て寂れることになる。


まぁ間黒さんはどう見てもうさんくさいから、
流れ次第では叩き出されるのがオチなんじゃないかな。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 06:53:38 ID:D6YF/TKC
そもそも中世なうえ水魔法万歳なハルケギニアでは外科手術は医療として認められるか?
と思ったところでアスクレピオスのバズとロザリィ召喚とか思い浮かんだ
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 07:04:47 ID:1LrY2JGl
>>301
まさかこのスレにアスクレピオスを知ってる人がいるとは…。
また聖騎士(王宮の騎士)から逃げ回りつつまた遍歴を繰り返すのか。
いかん、このままではアンアンやシエスタ、テファに「あなたは病気です」とか言いそうだ
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 07:08:22 ID:0vpJNEx0
>>284
グインは女関係の対応は最悪だからルイズ発狂エンドしか想像できない
嫁が幽閉されているところに愛人連れ込んで子供作る屑男だぜ
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 08:35:34 ID:DBKPFUMs
>>301
蛇使い座といえばシャイナさん
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 08:52:04 ID:3Ae/1QlV
ガンダム00から、20話で取っ組み合ってるケルディムとガッデスを召喚………
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 08:59:07 ID:eG6r8BTw
エヴァ召喚


全くメンテナンスが出来ず、あっという間に腐肉の塊に
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 09:10:38 ID:qT79o3xi
>>285
美男美女ばっかがやなら松本漫画は? 美男美女は出るけどトチローや鉄朗みたいにブサイクも多い。けどかっこいい。
ほかヤッタラン副長や佐渡先生みたいに、短足ガニ股なんか彼らの生き様から見たらなんも魅力を損なうもんじゃない。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 09:13:21 ID:/OBKMQLQ
ゼルダの伝説からリンク召喚
取り敢えず壷があったら投げて鶏がいたら剣で突っつく
なおエルフと誤解されるのはお約束
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 09:15:05 ID:U7BhOWy+
鳥は突っつかないだろう、学習能力あるんだろうしw
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 09:43:18 ID:1LrY2JGl
リンクは召還済み。途中で終わってるけど。

それならガノン呼んだほうが…
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 09:50:55 ID:nH5BEg+g
チェンジング・ナウからドッグファイター01召喚
まさか酔っ払ってる間に今度は召還されてしまうとは
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 09:59:13 ID:BRRUPyDb
仮面ライダー電王からデンライナー召喚

…パスが無いから乗れないorz
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:00:17 ID:GH/BI9of
CCさくらの桜と原作の才人が同時に召喚されたら
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:05:45 ID:CHMcXCva
ディエンビエンフーからヤーボ大佐召喚してルイズがはにゃ〜んぐふふ。
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:08:16 ID:JW2Cx6S2
>>308
大量の鶏につつき殺される主人公ってのもめずらしい
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:11:01 ID:65cKtFXa
>>315見て、一瞬幸せな木の友達から誰か召喚されるのかとか焦った
違うよな、リンクだよな
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:14:29 ID:KkXJnwLQ
>>313
さくら「私が元の世界へ帰してあげます。絶対大丈夫だよ」
サイト「ありがとう」
ルイズ「・・・・・・」

Fin
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:19:15 ID:GH/BI9of
才人と桜で完結か・・・
どんな事が有っても桜を守ろうとする才人と、空気が読めない駄目な兄から目が離せない桜
ラブコメをする二人を呆然と眺めるルイズか。
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:22:11 ID:Na2EQ58e
他作品の男キャラと才人が召喚されたら、二人は師匠と弟子関係になり
才人が精神的に安定するのでルイズの仲も原作より安定というケースが多い

逆に他作品の女キャラと才人が召喚されたら(滅多にないが)、才人が女キャラの方を意識して
ルイズへの対応がおざなりになり、結果不仲になる

……ような気がする
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:24:26 ID:KkXJnwLQ
>>318
そんなわけないだろ
召喚から二時間後ぐらいに↓

さくら「私が元の世界へ帰してあげます。絶対大丈夫だよ(早く帰って晩御飯作らないと)」
サイト「ありがとう(帰ったら出会い系の掲示板見ないとな。さくらちゃんの様な子が居ますように)」
ルイズ「・・・・・・(・・・・・・)」
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:27:11 ID:rQitZABn
原作で相手がいるにも関わらずクロスキャラを才人とくっ付けてもいいの?
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:28:59 ID:AWqyyW3j
このエロサイトめw
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:35:52 ID:AWqyyW3j
あれ、GIFTの10がないぞ
元からなかったのかも知れないけどサイト開けても何もないんだけど。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:36:28 ID:Na2EQ58e
>>321
個人的にはその相手が嫌なキャラならいいんじゃないかと思わんでもない
と以前言葉召喚を書いた作者氏の別プロット(言葉と才人召喚)の小ネタが好きな俺が言ってみるw

もしあれに続きがあったなら
才人、言葉の事を気にかけルイズを放置
          ↓
使い魔に放置されたルイズがヤンデレに
          ↓
才人、ルイズの方に目を向け少しは落ち着く
          ↓
言葉も(当然ではあるが)本性を発揮しはじめる
          ↓
シエスタ・テファ・タバサまで影響される
          ↓
        n i c e b o a t
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:38:08 ID:XODs8quL
バッカーノより
フィーロ召喚

とりあえず何回死んでも生き返る


326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:39:52 ID:3UZTdVJB
日常系アニメとかの無能力者、パンピーってなかなか呼ばれないよね
やっぱ面白くするのは難しいのかな
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:50:27 ID:GH/BI9of
DBの原作開始前悟空を召喚
召喚されたその日の内に謎の魔獣(月を見た悟空)の襲撃に遭い魔法学園崩壊
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 10:51:06 ID:65cKtFXa
難しいというよりは、才人と似たような話になるからじゃないか?
ギーシュ戦に苦戦して剣出されてガンダールヴ発揮して勝つ、みたいな
頭や洞察力が良いだけではウェールズの変装やフーケの正体は見破れてもギーシュ戦やワルド戦はガンダールヴかその他ルーンに頼るしかないし
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 11:14:46 ID:GH/BI9of
カメレオンの矢沢みたいなやり方ならルーン無しでもいけるのじゃないか?
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 11:22:27 ID:/O60C8ZD
パンピーでもttのノエみたいな電波入ってるこ召喚したら手なずけるの大変そうだ
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 11:23:30 ID:hNHr/G5i
>>327
サイヤ人の大猿変身は双月の満月だと戦闘力も倍に
なりそうだな。
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 11:36:36 ID:eG6r8BTw
>>328
頭や洞察力が高く政戦両略に長けた人だったら
全てガンダールヴ無しで片づけてしまうという、身も蓋もない話になる可能性が…
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 11:37:22 ID:A2CjmIIG
>>332
何そのヤン・ウェンリー
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 11:37:34 ID:e/E9ydrW
パンピーでも“咲”の東山もも子なら・・・見つけるの自体が大変そうだw
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 11:43:28 ID:wjgMwgpB
>>332
作者の脳内で考えた孔明的策略を晒すとか、どんな羞恥プレイだよ
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 11:54:59 ID:GH/BI9of
しかし、政戦両略に長けた人だと手腕を振るえる地位にないと活躍出来ない。
盆暗揃いのトリステインで手腕を振るえるのか?
頼りになりそうなマザリーニは平時の人で混乱時に余り役に立たないし、
無能王か教皇の下に付いた方が活躍出来そうな気がする。
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 12:10:13 ID:k4MtCM5r
>>335
全部足場崩して敵を一層すればいい。これぞ必殺足バースト!
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 12:12:57 ID:vHz9ZK2u
>>301

治療機械万歳で手術を原始的と言った宇宙人を批判した黒男なら
「私は水魔法やそれに頼りっきりの連中が気に入らないんだ。だから医術が発展せず救える命も救えない」
とか言いそうだ。
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 12:18:35 ID:GH/BI9of
>>337
足元がお留守ですよ。作戦名はヤムチャで決定だな。

腕っ節も強くなく性格も普通?なアイマスDSの秋月涼を召喚したら
失敗魔法を始とする使える手段を全て使うルイズ無双が始まるかも
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 12:27:01 ID:LkeJIJPv
>>334
東山もも子 に一致する日本語のページ 3 件中 1 - 3 件目 (0.08 秒)
何処の誰子さんですか?
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 12:31:19 ID:IMJ7N1Yy
上がってた姫と龍を読んでみたが、呼ばれたの八竜太郎だったのか。
小学校の頃に親父に聞かされて以来だから、すごく懐かしい。ネイガーと言い、地元キャラがくるのは嬉しいなぁ。
とっぴんぱらりのぷぅ
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 12:50:57 ID:MXTE7Qnf
>>315
棄てプリの魔鳥デザートイーグル思い出した

野犬の群すら単独で蹴散らす奴はヤバい
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:05:38 ID:rQitZABn
野犬の群れを蹴散らす
赤カブトの出番だな
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:05:52 ID:iQp43C7h
>>334 >>340
おそらくは、咲-saki- という麻雀漫画に登場するステルスモモこと東横桃子のことを間違えたと思われ
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:07:55 ID:xE2s++VZ
>>331
月が多くても戦闘力は変わらないんじゃ?
あと二つ月有ってべジータの発言見る感じ満月にならないと変身しないっぽい
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:14:10 ID:/pNZm6GB
何処の月でも七万ゼノ以上のブルーツ波は満月のときにしか出ない、とか
ベジータ言ってたな。
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:15:19 ID:krle1R4n
DBの大猿変身はブルーツ波だと何度言えば……
月が二つ有れば力も倍とかどんだけw
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:21:35 ID:Emtz/LCT
合計でいいなら1つあたり850万ゼノのブルーツ波でも変身出来そうな
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:26:47 ID:9T56FpQ0
ギャリック砲放つ瞬間のベジータを召喚
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:38:28 ID:3UZTdVJB
>>348
ブルー波は波とかいってるけど線形性が無いのかもしれんよ
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:41:35 ID:K9Uxip9H
ウルトラマンの話しようぜ。
ガタノトーア召喚。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:51:49 ID:Z4L3h3zS
>>344>>334 >>340 ・・・・・すいません。素でまちがえました;;
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 13:52:59 ID:nLIQnpuz
>>344
咲は生身の普通人の麻雀漫画なのに人外パワー持ちすぎだよな

ステルスで姿が消えたり本気出すと発熱したり牌を打つと爆発したりスタンドが出たりのどっちおっぱい大きかったり

特にモモのステルスなんて上手く使えば戦えるだろ
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 14:10:53 ID:ZaOueOKn
咲の作者は麻雀を通して能力者バトルを描いているのか…
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 14:16:49 ID:qT79o3xi
>>351
なんでいきなり邪神召喚なんだよ。ハルケ即滅ぶだろう。
せめてカミーラならルイズがティガになればよし。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 14:21:08 ID:hWeUxvSy
べジータが避けた元気玉を召喚
なぜか聞こえる「悪の心がなければ跳ね返せるはずだっ!」

さあどっちだ
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 14:24:15 ID:nLIQnpuz
>>354
あの世界の麻雀はテニプリにおけるテニヌのようなもの
アガると稲妻がほとばしるし人間の域はとうに越えた
>>355
そもそもウルトラならガタノトーアではなくガタノゾーアだろ、と突っ込むべき
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 14:36:55 ID:AWqyyW3j
ティガになれるんなら7万なんて一捻りだな…
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 14:50:35 ID:Emtz/LCT
>>358
そこで7万匹のシビトゾイガーですよ
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 14:55:14 ID:VLjK2gV9
そういや最近マテパの人見ないな…
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 15:22:34 ID:GH/BI9of
新劇場版ゼルエル、ラミエルを召喚だと
後先考えずにその場のノリだけで公爵令嬢を殺そうとするウッカリさんなフーケでも自重しそう。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 15:29:41 ID:dh1P45v5
劇場版ゼルエルならルイズをパックンしちゃうんじゃね?
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 16:01:06 ID:vHz9ZK2u
タバサを返せー!
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 16:09:55 ID:ZzHNyLE7
>>363
ヒロインはタバサかよwwwwwwww
許せるッ!!!
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 16:11:45 ID:ehDkMa+2
>>358
そりゃイーヴィルティガかティガダークの所業だろう。
大量生産可能な怪獣といえば二次元超獣ガマスだな。写真を焼き増しすれば7万でも百万でもあっという間。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 16:20:17 ID:/OBKMQLQ
エウレカセブンからレントン召喚
馬よりリフボード
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 16:22:31 ID:dh1P45v5
ハルケギニアにトラパーはないだろう……。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 16:56:16 ID:ZwLYeUs8
無ければ作ればいいのだ
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 17:03:20 ID:oGGMq622
ニルヴァーシュの最終形態だったらトラパー自己生成できるとか言う設定なのでそれを絡めればあるいは・・・
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 17:13:23 ID:vHz9ZK2u
魔法の触媒がトラパーでハルケギニア中に普通にあるとかで絡める事が出来る………か?
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 17:22:10 ID:V3mDi9d3
そしたらスカブコーラルでハルキゲニアが構成されていることになるな
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 17:23:38 ID:FdqUDLlq
どこからともなくコーラリアンが沸くんですね、わかります
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 17:32:10 ID:dwb4gaBp
虚無の魔法――眠り続けるスカブコーラルを目覚めさせる可能性がある危険な力……とか?
374名無しさん@お腹いっぱい。 :2009/08/03(月) 17:47:12 ID:dKoQ9IAz
生物ではなくて、何らかの能力やパワーを召喚……というのは、ありなのだろうか?
FFTから継承のクリスタルとか、仮面ライダーアギトから『アギトの力』を召喚とか
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 17:55:51 ID:qFC62w21
ありでね?
「物」を召喚する奴は既にいくつかあるし。
形のない何かを呼び出す物も何かあったような気がする。
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 18:05:16 ID:V3mDi9d3
クリスタルで思い出したけど黒蟻の使い魔あったな……(';ω;`)ウッ
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 18:08:40 ID:XiKQ5LtT
ウィキの方で編集していたんだが、昨日投下されたさくらのやつを間違えて二重投稿してしまった
もしログインできる人見てるならタイトルが『の』になってる方の削除を良ければお願いしたい
迷惑な話だが、すまない
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 18:15:07 ID:IMJ7N1Yy
>>374
ロマサガ2の伝承法がルイズに召喚されたから大丈夫。
オディオの像もあったし
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 18:15:38 ID:z30JDSDZ
避難所のWiki更新スレで申請すれ
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 18:29:42 ID:9T56FpQ0
空中サーフィンていいよな
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 18:31:46 ID:gvm9X0JQ
カットバックドロップターン!
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 18:33:56 ID:XiKQ5LtT
>>379
ありがとう、迷惑かけた
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 18:54:21 ID:etREsBGn
とりあえず短編にしとけ

どうせ完結なんて無理なんだからさ
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:00:15 ID:a0qRZRfv
>>237
ガハハ!ガハハ!
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:00:59 ID:a0qRZRfv
ごめん誤爆した…
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:11:56 ID:kmUI30xF
どう考えても一発ネタにしかなり得ないキャラの方が多いものなぁ
というか、そこで収めるならもう何でもアリというか
ただまぁちょっと上手い落としどころが見つからずに悩んでるわけだが
1.ルイズオワタ
2.ハルケギニアオワタ
3.使い魔自力で帰っちゃった
4.使い魔死んじゃった
5.結末は神にも分からない
6.結末は貴方の心の中に

大雑把だが、大体こんなパターンかね
参考までに、今まで一発ネタで召喚された中で最も極悪というか外道な奴は誰だろう?
(外道高校監督は除外)
やっぱり『かみ』か?
387軍人の使い魔:2009/08/03(月) 19:14:26 ID:XiKQ5LtT
19:15から、小ネタを投下しても良いだろうか。
幸せな木の友達から、フリッピー召喚。
388軍人の使い魔:2009/08/03(月) 19:15:06 ID:XiKQ5LtT

『ゼロ』。
そう呼ばれていた彼女が呼び出したのは、一匹の動物だった。

全体的に緑色をしたそいつは、何故か服を着ており、どうやら亜人らしかった。
しかし、どう見てもただ二足歩行で言葉を話し軍服を着たクマである。

寝ていたそいつにルイズはキスをし、ルイズはそれを使い魔となした。

突然飛びおきたそいつに事情を説明すると、妙に優しい奴で、意外とあっさり受け入れてくれた。
亜人。
だが、平民を召喚するよりはマシだったのかもしれない。
そう思うと、妙に心強かった。

それに、召喚が成功したのだ。
これなら、私もちゃんと他の魔法が使える。
誰からも馬鹿にされない、ヴァリエール家の三女として相応しく振舞えるかもしれない・・・・・・。

そう思えば、とても心は晴れ上がった。

だが。

そう甘くはない、それが現実であった。
ルイズは激しく後悔するのである。

そいつを召喚してしまったことを。
『私は本当にゼロなんだ』と、思うのである。

389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:17:56 ID:/b62XShM
幸せな木の友達って何かと思ったら…し
390軍人の使い魔:2009/08/03(月) 19:22:19 ID:XiKQ5LtT

だが、悪夢が起こった。

突然学院からの連絡が全く無くなっていた。
それを気にした王宮は、何人かの者を派遣。

学院に着いたが誰も居ない。
誰の気配もしない。
学院をくまなく探したが、誰も居ない。

彼らは最後に食堂を見た。

その食堂は、悪夢と化していた。

あまりにも残虐な光景。
生き残っていたのは、ほんの数名。
教師は、全員が死亡。
特にオールド・オスマンの死体が、非常に残虐なことになっていた。

生き残っていた数名は全員が気絶していた。
そうでもしなければ、ならなかったのか。

彼らは、中央の一番惨い場所を見た。
そこにはルイズの召喚した使い魔。
風による裂傷、氷による凍傷、火による火傷、爆発による傷。
それらを受けながらも笑う、使い魔の死体。

後日、生き残ったうち一人のギーシュ・ド・グラモンは言う。
ブリミルと女王陛下に対する祈りをして食事を開始した瞬間、ルイズの使い魔が暴走した、と。
そいつは、ナイフを握り、笑いながら、ひきつったような笑みを浮かべながら、魔法も使わずに殺したと。
最後に死亡してしまったタバサ――否、シャルロットの最後の攻撃で、ようやく暴走が止まったと。

以後、学院は取り壊され、また召喚の儀式は禁止されたものとして、封印されたのだった。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:22:59 ID:5wwW3b4D
>>307
佐渡先生トコからミーくんを召喚
最初はガッカリなルイズだけど、後に
「私の14年間の青春はミーくんと共にあった」と述懐するようになるよ
392軍人の使い魔:2009/08/03(月) 19:23:06 ID:XiKQ5LtT
終了
食事の時間なのに、すまなかった。
もし不愉快に感じた人が居たら、本当申し訳ない。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:31:38 ID:99OzVNDe
別に不愉快にはならんが、元ネタ知らんとまったく意味がわからん内容なのな。
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:34:16 ID:SgcSCFZs
まったくだ。そのフリッピーとやらがなぜ暴走したのかも分からんし、
単にゼロ魔の登場人物を殺したかっただけにしか見えん。
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:34:58 ID:/If3wVIz
わからん
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:40:23 ID:ZDuBqiWI
>>394
そういうもの、としか言いようが無いな。フリッピーは
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:43:10 ID:VPh1zS0Q
wikipediaによると、クロス元がスプラッタな展開を
シュールなギャグっぽく表現してる作品みたいだから仕方ないのかね
一話完結で死んだキャラも次の話では何事もなかったかのように生きてるみたいだし
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:48:14 ID:1OHWmkYj
フリッピーは戦地帰りのトラウマ持ち軍人かなんかで
ふとしたことでスイッチが入ると戦地の記憶がフラッシュバックして殺人マシーンになる
しょっちゅうなる。登場するって事はまずそうなる。

って設定。
ハピツリはまあ、ピタゴラスイッチで必ずキャラが死ぬとかそういう、あれなアニメ。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:52:14 ID:1UkKDdTN
正直この文体でHTFは無理がありすぎるだろjk
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:54:20 ID:eKMeKTEe
ただスプラッタなだけでシュールなギャグなど感じられない文章だったのは仕方なくない
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 19:58:24 ID:Lf//7DWx
……松本作品でハーロックが召喚されたらルイズやばそうだな。
他人の心を縛る契約ってハーロックが一番嫌いそうな類だし。
しかしそれ以上にハーロックなら契約そのものをレジストしてしまいそうな気もする。
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:01:43 ID:7C/mSqqN
ハーロックってなんか特殊な力もってるの?
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:07:36 ID:m7iR6FNB
一番言うこと聞いてくれなさそうなのは
スナフキンあたりかな
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:20:04 ID:bfAtoXJR
言うこと聞かない唯我独尊キャラといえばダーク・シュナイダー。

たぶんというか絶対に、「ゼロの使い魔」の女キャラすべてに手をつけ(種付け)、
ハルケギニアに独立ハーレム王国を作るという、酷過ぎる蹂躙をやるに違いない。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:21:50 ID:MJnvmjeJ
>>404
あいつは人間の真似でセックスしてるだけで実は気持ちよくないらしい
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:23:54 ID:R34tHrwC
>>404
BASTARD懐かしいな。カラーでモザイク入りを晒したこともあるし、ヤツならやりかねん
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:26:06 ID:uVtTLZmW
ランスとダークシュナイダーだけは出してはいけない
全員ハイパー兵器の餌食になる
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:27:49 ID:kmUI30xF
>>405
あら、初耳っす
まぁ奴の出自を考えれば納得・・・
少年ジャンプでミカエルにぶっかけした時は凄いご満悦顔だったけどw

一応召喚されたけどこれも止まっちまったっけなぁ
ダイ・アモンの方とか再開せんだろうか
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:31:04 ID:lBBTwtga
ジョジョパロの人?
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:31:15 ID:bfAtoXJR
>>405
>>408
一応、ハーレムを作って女という女を己のモノにするという願望は持ってるみたい。

でも確かに、小説版のガラの推測じゃ、女を犯すのも残酷に振舞うのも優しくするのも、
「人間ならこうするんじゃないか」っていう想像でやってるみたいだな > ダーク・シュナイダー

アンスラはハルケの人間も抹殺対象とするのだろうか? 
生命全般を滅ぼす意思が有るみたいだが。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:44:43 ID:buK3LLcs
みんな何だかんだでBASTARD大好きだよね
黒い虹も本編もいつ再開するかわかんねぇけどな!

D・S召喚モノみてみたいけどハードル高くてやる人少ないのよね
理想郷のチラ裏のは完結してて出来もよかったけどやっぱなんか違う
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:47:04 ID:5M2O316q
D・Sはヨーコさんっていう首輪があって初めて物語に組み込めるキャラだしなあ。
ルーシェの状態で召喚ならなんとかなるかもしれん。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:48:00 ID:GdXwVA95
バスタードの作者は今週のバンチで「一回手にしたものは絶対離すな」って
コメントしていたくらいだし、今は愛娘にぞっこんみたいだよ。
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:49:19 ID:M7LVqY3R
バスタードとハンターはもうだめぽ
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:56:33 ID:kmUI30xF
>>414
×じゃなくて爆裂かと一瞬

じゃあアレです
爆炎CAMPASガードレスから色々召喚
エルフたちが必死こいて守り続けたシャイターンの門
いざ開いてみたら世界が滅ぶほどじゃなかった
なんだかんだで大団円
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:56:37 ID:TZE6RNhy
そういや、バスタードは避難所に直接投稿した奴がいたなあ・・・・
一晩で消されてたが。

個人的には面白かったので性器の方法で投稿して欲しかったものだが・・・・
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 20:57:46 ID:7C/mSqqN
わざと臭い誤字ですね
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:00:15 ID:N8wJs/C/
フリッピーって元ネタがわからないが、
「キルロイ」とどっちが凄いんだ?
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:10:29 ID:8jqUV8JE
スナフキンは実は身長が人間の腰くらいしか無いらしい
さすが半妖精
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:11:37 ID:FHnxQBSW
>403
ムーミン谷のゴルゴ?
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:15:20 ID:bfAtoXJR
白い死神は関係ないだろw
422サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 21:24:36 ID:hyJacQqF
小ネタを9:28分から投下します
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:25:40 ID:zVLuKRhu
接近すれば大丈夫だろうと思っていたらサブマシンガンで蜂の巣にされた
424サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 21:28:20 ID:hyJacQqF
「第一話 魔女の生贄」
深い深い闇の底。彼女の周りには ただひたら暗闇が続いていた。
彼女が気紛れに彼のものを創りし時。それがこの深淵の闇に光りが差し込む唯一の瞬間であった。

それは正しく運命であった。
長き長き時を経て、彼女は再び彼のものを創ることを決めた。
この空間が光りに照らされたのは幾許ぶりであろうか。
彼のものを創りし時、この世界は碧く耀く霧に覆われる。
彼女が己の力を解き放ったのだ。
425サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 21:29:23 ID:hyJacQqF
その時 数多の宇宙が生まれた。彼女が瞬く刹那、無限の時が流れていった。
そして彼女は白き神殿を両手で包み込んだ。彼のものを創るためである。
彼女は目を細め、彼のもののためだけに言霊を発した。
彼のもののために幾程の宇宙が犠牲になっただろうか。
運命に導かれた宇宙は互いに溶け合い一つの姿を模った。彼ものである。
だが、神殿に横たわる彼ものはまだ完全な姿ではない。
彼女は彼ものに力を授けた。
巨大な力の前に彼ものの形は崩れた。

世界が変わった。
彼女の手が動くその度に世界の様相は変化した。
彼女の手が動けば動く程彼ものの色が変わった。
淡い桃色、それが今回の彼のものの色だった。
儚げなその色に彼女は満足し、彼ものを祝福した。
祝福の言霊は虹を宿した宝玉となり、彼のものを包み込んだ。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:30:13 ID:kmUI30xF
小ネタと言いつつ第一話とな?
興味津々支援
427サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 21:30:46 ID:hyJacQqF
彼女は歓喜した。
"再びあの味が楽しめる"と。
彼のものの中心は白き槍が貫いている。
彼女が彼のものに力を授けるときにそうしたからだ。
彼女は親指と人差し指でそっと白槍を掴むと、それをゆっくりと上に上げていった。
腹部から白槍の先端が覗く彼のものは微動だにしなかった。
彼女は祝詞を唱えたその口で彼のものを飲み込もうとした。
428サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 21:31:42 ID:hyJacQqF
一話終了 第二話も投下
429サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 21:32:38 ID:hyJacQqF
「第二話 沈黙の使い魔」
「宇宙の果てのどこかにいる私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導き

に答えなさい!」
ここはハルケギニア、トリステイン魔法学院。
ルイズは春の使い魔召喚儀式を見事に成功させた。

「な、なんなのこれ……」

彼女が召喚したものは獣でも亜人でも人間でもなかった。
虹色の粒を纏ったピンク色の球体――その中心には白い棒が深々と突き刺さっていた。
ルイズは棒の部分をつまんでひょいとそれを持ち上げた。

(うぅ……見れば見るほど何かわからない。でも明らかに生き物じゃない)
430サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 21:33:38 ID:hyJacQqF
幻獣かドラゴンでも召喚してやろうと思っていたルイズはがっくりと肩を落とした。

「ミ、ミスタ・コルベール、召喚のやり直しを要求します!」
「ミス・ヴァリエール。使い魔の儀式は神聖なものです。召喚した使い魔が気に入らないからと言ってやり直すことは認められません。」

コルベールに要求を却下されたルイズは渋々とコントラクト・サーヴァントの締めに取り掛かった。
ルイズは召喚したそれと向き合い契約の呪文を唱えた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」

ルイズの柔らかな唇は淡い桃色の彼のものと触れ合った。
431サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 21:35:46 ID:hyJacQqF
第二話終了 第三話は書き終わり次第投下します。(彼のものメインの小ネタです)

我が導き

に答えなさい!」

我が導きに答えなさい!」
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:41:25 ID:ufUfUuFW
あれだ。

文章のイロハからやりなおしてこいマジで
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:42:54 ID:8GgTKZLv
>>431
ナメてんの?
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:44:54 ID:99OzVNDe
元ネタ、何よ?
435サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 21:51:06 ID:hyJacQqF
「最終話 サイバー・スイート」
「うっ!!!」
契約のキスを終えたルイズは突如悲鳴を上げると 肩を震わせながら膝を地に落とした。
顔中から冷や汗を流すルイズは息絶え絶えに呻き声を上げ、全身を貫く言い知れぬ刺激に耐えかね大地に伏した。

「うっ!! うぅぅ、う!! うーーーーっ!!!」

地面に寝そべったままルイズは使い魔を持った手を天高く掲げた。
そして使い魔を自らの口に運んだ。

「うまいーーーーーーー!!」

テーレッテレー♪

『ねっておいしいねるねるね〜るね』

その日、ハルケギニアは謎のオレンジ色の光に包まれて消えた。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:56:34 ID:AZAWP1Dn
>>435をギョティーヌへ。
では次。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 21:58:16 ID:3UZTdVJB
ここの住民って元ネタ何割ぐらい知ってんの?
俺は1割もわからんぜ
438サイバネティック・ファミリアー:2009/08/03(月) 22:00:26 ID:hyJacQqF
投下終了
元ネタ・サイバー菓子ねるねるねるねのCMの魔女の持ってるねるねるねるね
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:01:29 ID:/tJCdtxo
安心しろオレもそのぐらいだ。

>>403
でもスナフキンってムーミンと同じ妖精で人間より小さいんだよね。
確か電話帳と同じぐらいのサイズだったはず。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:02:40 ID:AWqyyW3j
アンアンの使い魔を見てみたいが…なんなんだろうな

ねるねるの人のよく分からなかったのは俺だけでいい
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:03:41 ID:8GgTKZLv
さすがにまとめに登録しようという気は起きない
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:06:12 ID:99OzVNDe
一瞬、新手の荒らしかと思ったが、単にギャグが滑っただけだったか。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:08:35 ID:cImJQm0E
っていうか多分、携帯から書きながら投下だろ?
以後スルーで
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:09:27 ID:AWqyyW3j
1レスかそこらでまとめればそこそこ受けたかも知れないのにMOTTAINAI
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:10:07 ID:Vp3Q/aQ5
予約無いですよね?
12分ごろ投下します。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:11:50 ID:hyJacQqF
>一瞬、新手の荒らしかと思った
すみませんでした……マジ滑りです

ttp://www.youtube.com/watch?v=GO1YcNVNTy8
彼女=魔女、彼もの=ねるね、白き神殿=プラスチック皿
虹の宝玉=キャンディチップ、オレンジの光=テーレッテレーの花火
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:12:15 ID:qT79o3xi
>>402
重力サーベルとコスモガンの名手である以外は鍛えた普通の人間くらいかな。
ただ精神的強さが並外れ、自由に生きるを信条にしてるからルーンの洗脳を自力でねじ伏せかねない。
同じ理由でエメラルダスもだめだな。松本作品の戦士は若い頃から生きるか死ぬかの瀬戸際で人生送ってきたのばかりだし。
第一アルカディア号にせよクイーンエメラルダス号にせよ、船が出ないと面白くない。
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:15:53 ID:Vp3Q/aQ5
港町ラ・ロシェールを見渡す岩山の上に、人修羅の姿があった。
「手がかりは無いか」
昨日ルイズ一行を襲った物盗りは、偶然ルイズ達を襲ったのではなく、何者かによって手引きされていた。
手がかりを得るため、幾つかの店や酒場で話を聞いたが、結果は芳しくなかった。
人修羅の身なりはルイズが用立てたもので、純白や漆黒を避けてはいるが仕立ては魔法学院の学生と同レベルのものであった、マントでも着けていればメイジだと思われたかもしれない。
ちぐはぐな身なりの男が酒場で多少聞き込んだところで、仮面を付けた男の足取りなど調べようもなかった。
ただ、人修羅もその点は理解している、そこで重要なのが『心眼』と呼ばれる殺気を感じ取る技術だった、他人の心を読む程ではないが、殺気や懐疑心には特に敏感に反応する。

「眩しいな…」
太陽は既に水平線を離れている、地球の時間で言えば午前7時頃だろう。
『そろそろ戻った方がいいんでねーの。もし嬢ちゃん達が狙われてるなら、また襲われるだろ』デルフリンガーが言った。
人修羅は「そうだな」と呟いて崖から飛び降りた、岩壁の途中の僅かな起伏を選んで飛び移り、町はずれへと下りていった。

◆◆◆◆◆◆

『女神の杵』亭に戻り、人気のない朝の酒場で体を休めていると、二階から羽帽子をかぶったワルドが降りてきた。人修羅の姿を見つけ、笑みを浮かべる。
「おはよう。使い魔くん。ずいぶんと朝が早いね」
「おはようございます。ちょっと寝付けませんで」
人修羅がそう言うと、ワルドがはははと笑った。
「緊張していると皆眠れなくなるのさ、今日のうちに緊張をほぐしておくといい」
「そうします」
人修羅は冷や汗を浮かべつつ答える、寝付けないどころか、夕べは桟橋へのルートや、賊が潜めそうな場所を一通り見てきたのだ。
わざわざ『睡眠の必要もありません』と言うこともあるまい。

すると、気をよくしたのかワルドはにっこりと笑った。
「きみは伝説の使い魔『ガンダールヴ』なんだろう?」
「え?」
人修羅は、不思議そうにワルドを見た。
ワルドは首を傾げて、人修羅の腕を見る。
「…昨日、グリフォンの上でルイズに聞いたが、きみは異なる世界からやってきたそうじゃないか。おまけに伝説の使い魔『ガンダールヴ』だそうだね」
「はぁ」
『ガンダールヴ』のことは他言無用だと注意されていた、ルイズが婚約者に話してしまったのだろうかと危惧した。
「僕は歴史に興味があってね。王立図書館で『ガンダールヴ』のことも伝説的な描かれ方をしていたんだ。君がガンダールヴと同じルーンを持っていると聞いて驚いたよ」
「そりゃどうも」
「それに、なかなか腕が立つそうじゃないか、任務のためにも、ちょっと手合わせ願いたい」
「手合わせって…?」
ワルドを見た、腰に差した剣状の杖をトントンと小突いている。
「つまり、これさ」
魔法の杖を引き抜くと、にやりと笑う。
「……ルイズさんに許可を取りたいんですけど、いいですかね」
「許可か…」
許可と聞いて、どうしたものかとワルドは唸る。
人修羅はどうやって断ろうかと悩んだ。

そこに、ギィ…という扉の音が聞こえた、誰かが入ってきたのかと扉を見ると、ロングビルが顔に緊張を浮かべて扉を開いていた。
すぐに人修羅の姿に気が付き、目があった。
「用があるみたいですね、ちょっと話を聞いてきます」
人修羅はそう言うと、そそくさとロングビルの元へ近づいた。

「どうしたんですか?」
「ミスタ・人修羅。私はあなた方がラ・ロシェールにたどり着いたのを見届るのが仕事でした。用はもう済みましたので、これから魔法学院に戻ります」
「わかりました」
「アルビオンでは何が起こるか解りませんから、気をつけてください、それでは…」
短い言葉を交わすと、ロングビルはいそいそと『女神の杵』亭を離れていった、その様子に焦りにも似た雰囲気を感じながらも、人修羅は黙って見送った。
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:16:06 ID:cJgHAtR/
ではアルカディア号召喚とか。
あれなら意志があるし、
空を飛べる船としておもしろいかも。
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:17:03 ID:74sCqDs6
人修羅来た
451アクマがこんにちわ:2009/08/03(月) 22:17:42 ID:Vp3Q/aQ5
「何かあったのかね?」
ワルドがそう声をかける。
「ミス・ロングビルは魔法学院に戻るそうです。元々、ラ・ロシェールに到着するのを見届けるのが仕事だったとかで」
「ほう、彼女は魔法学院の教師かね」
「そんなところです」

さ、どうやって腕試しのお誘いを断ろうか…そう考えていると、丁度良く二階からルイズ達が降りてきた。
「おはよ。みんな朝が早いな」
「おはよう」「おはよ」「君こそ早いな、おはよう」
タバサ、キュルケ、ギーシュが答える。なぜかルイズは黙ったままだ。
「ルイズさん?」
「あ、人修羅。朝早いのね」
ルイズの返事には、なぜかキレが無い。久しぶりに婚約者に会えたことで眠れなかったのだろうか。
(まさか…ワルドさんが強引に迫って…昨晩のうちにキスどころかあんな事やこんな事まで!?)

ゴン!と音を立てる勢いで、自分の頭を石造りのテーブルにぶつけた。
「なっ何やってるの?」
ルイズが驚いて近づくと、人修羅は引きつった表情のままルイズに向かって頭を下げた。
「ごめん。ホントにごめんなさい」
「何?何?何なのよもう」


◆◆◆◆◆◆


石造りのテーブルに自ら頭をぶつけるという奇行に走ったおかげで、『手合わせ』の話はうやむやになった。

「ここで集まっていても仕方あるまい。僕は桟橋へ行ってこよう。ルイズも行くかい?」
「ううん…、私はここに残るわ」
「そうか。すぐに戻るつもりだが、万が一ということもある。使い魔くん、ルイズを頼むよ」
「解りました。」

興が削がれたせいか、ワルドは手合わせの話を蒸し返そうとせず、アルビオンに行ける船があるのか調べるため桟橋へと出かけていった。
『女神の杵』亭からワルドを見送ると、ルイズは人修羅の側に寄り、ちらりと人修羅の顔を見て、すぐに視線を下に向けた。
「どうかしたの?」
「何でもない」
心配する人修羅を余所に、ルイズはそそくさと部屋に戻ってしまった。
「なんかあったのかな」
「あら、やっぱりルイズのことが心配なのね」
キュルケが悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべて、人修羅に近寄る。
「うん。心配してないと言ったら嘘になるかな」
「何よもうからかい甲斐が無いわねえ」
人修羅があっさりと答えてしまうので、キュルケはつまらなそうにした。
タバサはそんな二人の様子など気にすることなく、人修羅の向かいの席に座り、小声で呟いた。
「…何か解った?」
「ああ、昨日の話か」
人修羅はテーブルに肘を突き、静かにタバサの目を見返して答える。
ただならぬ雰囲気を感じたのか、キュルケがタバサの隣に座り、釣られてギーシュも人修羅の隣に座った。

「昨日の物盗を雇った男は、仮面を付けた壮年の男性。依頼を受けた酒場にも行ってきたけど、正体は解らずじまい。
あの物盗りは傭兵で、前金として15枚のエキュー金貨を貰っていた、おかしいと思わないか?俺でも大金だと解るべらぼうな金額だ。
これは勘だけど…傭兵に金を出してでも、こちらの戦力を測る必要があったんだろう」
「…貴方達は、何かの任務を負ってる?」
何気ないタバサの呟きはある種の核心を突いていた。
「ふふん。残念ながら君たちには教えられな」
「おい」
人修羅がギーシュを睨む、するとギーシュは得意げな表情をみるみる青ざめさせてしまった、殺気が漏れていたことに気付き、人修羅は慌てて視線を逸らす。
ギーシュは得体の知れない悪寒に戸惑い、目をぱちくりとさせ、黙ってしまった。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:17:47 ID:cImJQm0E
人修羅氏?名乗って欲しかったな
支援
453アクマがこんにちわ:2009/08/03(月) 22:19:30 ID:Vp3Q/aQ5
「ギーシュ…気持ちは解るが、そんな言い方をしたら任務を負っていると自慢してるようなものだろう。お忍びなんだから、任務を負ってることすら他人に気取られないよう注意しなきゃ」
「あ、ああ。うん。そうだね、ハハハ…」
乾いた笑いしか出ないギーシュ、可哀想だが自業自得だと割り切って、人修羅はタバサに視線を戻した。

「お忍びでアルビオンへ行く。それ以上は言えない。」
タバサとキュルケが頷く。人修羅はそれを見てにっこりと微笑むと、椅子の背もたれに体を預けた。

「……それにしても、ルイズといい、ワルド子爵といい。貴族であることを隠そうとしない。とんだお忍びがあったもんだ」
「格式しか取り柄がないんでしょ、トリステインは」
「キュルケさんは辛辣だな」
人修羅とキュルケは、揃って笑みを浮かべた。


そのまま無言で二分ほど過ぎた頃だろうか、タバサがぼそりと呟く。
「…朝食は取らないの?」
「ああ、そろそろ注文しようか。酒場の料理でいいのか?」
そう言って席を立つと、キュルケとギーシュは、変な物を見るような目で人修羅を見る。
「ここは酒場」とタバサ。
「ん?」
「朝食は給仕に運ばせて部屋で取るのが普通」
「あ、そうなの」
人修羅は恥ずかしそうに頭を掻いた。

◆◆◆◆◆◆

タバサとキュルケは朝食を取らずに出かけるようで、人修羅とギーシュは部屋に戻り大人しく朝食を取ることにした。
すぐに給仕の女性達がやってきて、ワゴンに乗せた朝食を小さなテーブルへと並べていく、朝食を部屋で取るのは、地球ではどの国の文化だったか…そんなことを考えながらふとギーシュを見た。
当然のように座り食事に手をつけているが、その動きに淀みはない。
食事は魔法学院の朝食より幾分か質素であるが、日本生まれ日本育ちの人修羅には十分豪勢な「コース料理」であった。
「すごいな」
「ん?」
「いや、ナイフとフォークを、きれいに動かすものだなと思って。幼い頃から練習しないとそう見事にはならないな」
人修羅はそう言うと、夜のうちに作っておいた木の箸でライスを摘み、口に運ぶ。
「君の食べ方も不思議なものだな、よくそんな棒で食べられるね」
「これは『箸』って言うんだ。故郷の食器さ」
ギーシュはふむ、と呟きつつ食べ物を口に運んだ。
「…そういえば君は、東方出身の優れたメイジだとか聞いたけど…本当かい?」
「ん?誰からそんな話を聞いたの」
「ミセス・シュヴルーズやミスタ・コルベールが言っていたよ、マジックアイテムの研究を手伝って貰っているとか、優れた医術を持つとか」
「メイジと言えばメイジ…なのかなあ。医術って言ってもそれほど詳しい訳じゃないぞ、俺の故郷じゃ皆学校に行くんだ。そこで各専門知識の『さわり』を習うんだよ。それがたまたま役に立った」
「平民も皆学校に行くのかい?」
「ああ。段階はあるけどな、小学校、中学校、高等学校、大学とあっって、そのうち小学校六年間と中学校三年間は受ける義務があるんだ」
「九年の義務か! しかし、平民にそんな教育が必要とは思えないなあ」
「そうでもないさ。ちゃんとした知識を得て見聞を広げる土台があれば、農業も工業もより良い結果を出そうと努力しあうんだよ。そりゃ知識を悪用して、互いの足を引っ張ることもあるが、それを罰するのが為政者だろ?」
「うむむむ…」
何か感じるものがあったのか、ギーシュは唸って考え込む。

(ギーシュは意外と真面目なんだな…)
そんなことを考えながら朝食の時間は過ぎていった。


◆◆◆◆◆◆
454アクマがこんにちわ:2009/08/03(月) 22:21:30 ID:Vp3Q/aQ5
朝食を終えた人修羅は、昨日に続いてこの街の様子を見ようと部屋を出たところで、ルイズと鉢合わせた。
「話があるんだけど…ちょっと来て」
「わかった」
ルイズと人修羅は、女神の杵亭の中庭を通り抜けて、今は倉庫として使われている部屋にやってきた。
掃除をすればちょっとしたホールとしても使えそうな広さだが、それもそのはず、ここはかつて貴族たちが集まり、陛下の閲兵を受けたという練兵場らしい。
樽や空き箱が積まれ、片隅には旗立台や古ぼけた棚などが並んでいた。

「人修羅」
ルイズが人修羅の顔を見上げ、細い声で独白を始めた。
「昨夜、ワルドにプロポーズされたの。この任務が終わったら、僕と結婚しよう…って。私ももう、十六だし、自分のことは自分で決められるって…言われたけど、でも、まだ、ワルド様に釣り含うような立派なメイジじゃないし……、もっともっと修行して……」

人修羅は、そっとルイズの肩に手を置いた。
「ルイズ。俺はこの世界のことは解らないけど、これだけは言っておく。迷っているなら止めるんだ。戸惑うならまだその時じゃない。
悩むだけじゃイヤだと言っているのと同じ事なんだ。今は駄目だと思うなら、今は駄目だとはっきり言った方がいい。
それでも求婚されて、自分の気持ちが変わったと思うなら、堂々と受けろ」

ルイズは驚いた顔で人修羅を見上げたが、不意に表情に力がこもった。
「うん、ありがとう。 …私って優柔不断なだけかもしれない。私は多分ワルド様と結婚することになると思うけど、今は…迷ってる。だから、ちゃんと自分の魔法を使えるようになってから、改めて考えてみる」
「いい顔になったな、悩んでばかりだと笑顔が曇る。笑ってた方がいい」
そう言ってルイズの頭を撫でると、ルイズが微笑み、そして人修羅も微笑んだ。

「あ、そうだ…朝、ワルドさんが俺を『ガンダールヴ』だと言ったけど、ルイズさん話しちゃったの?」
「うん。ワルド様も気づいていたみたい。グリフォンに乗った時『伝説のルーンによく似ている、いやそのものかい』って聞かれたから、隠しても仕方ないと思ったし…答えたわよ」
「そうか、それならいいんだ。秘密にしろと言われてたから、今朝突然『ガンダールヴ』だと言われて驚いたよ」
「ワルド様は魔法衛士隊、グリフォン隊の隊長よ。貴族の力関係だけじゃなくて、系列や歴史も学んでるわ。それぐらい不思議じゃないわよ」
「なるほどね」
人修羅は頭を掻きつつ、ルイズの背中をぽんと押して、練兵場を出て行った。

(疑いすぎても駄目だな…もう少し冷静にならないと)


「おや、ルイズに使い魔くん」
部屋に戻ろうとしたルイズと人修羅は、桟橋から帰ってきたワルドと鉢合わせた。
「交渉はどうでした?」
余計なことを言われても困るので、人修羅は船便の話を聞くことにしたが、ワルドは首を横に振った。
「昨日と変わらないな。明日の昼頃でないと風石が運ばれてこないらしい。今日の出航は無理そうだ」
そう言うと、ワルドはルイズに向き直る。
「ルイズはアルビオンに行ったことがあるんだね?」
「ええ、一度だけ行ったことがあるわ。でも行楽としてよ」
「それで十分だ、港に到着してからの経路や土地の情報を、幾つか聞いたのだが、ルイズの知っているアルビオンの様子と照らし合わせたい」
「もう何年も前の記憶だから、役には立たないと思うわ。それに…」
「それでもいい、僕はアルビオンへ行ったことはなくてね、地図と照らし合わせておきたいんだ」
「そう言うことなら…。あ、人修羅も聞いておいた方がいいんじゃない」
人修羅が返事をする前に、ワルドが口を挟む。
「使い魔君は用心深い、その性格を買って、一つ周囲の警戒を頼みたいんだが…」
「…解りました。細かい話は船の中でしてくれるんでしょう?」
「ああ」
「じゃ、見回りしてきます。ルイズ、何かあったら上空で爆発を起こすか、これを使ってくれ。すぐ駆け付ける」
「解ったわ。 …気をつけてね」
ルイズは人修羅から小石を受け取ると、人修羅を見送ろうとしたが、ワルドはルイズの背中を軽く押して部屋へ行こうと促した。

「使い魔くんが(野党に襲われないか)心配かい?」
「ええ。(ラ・ロシェールが壊滅しないか)心配よ」

二人の想像は、似ているようでまるで違っていた。


◆◆◆◆◆◆
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:23:22 ID:cImJQm0E
支援
456アクマがこんにちわ:2009/08/03(月) 22:24:17 ID:Vp3Q/aQ5
ワルドに言われなくとも、人修羅は適当な口実を作って外を見回るつもりだった。
念のため、ルイズには『テトラカーン』と『マカラカーン』をかけた上で、目印となる石を持たせてある。
直径2サントほどの小石は、周囲に被害を及ぼさず魔力を放出する『メディアラハン』を仕込んである。
杖を奪われたりなどして爆発を起こせない場合があるし、爆発が起こると巻き添えでルイズ自身が怪我をすることもあり得るが、石が発動させれば怪我の治癒だけでなく、その余波がルイズ達の目印となる。

人修羅は『女神の杵』亭を出て、デルフリンガーを背中に釣るためのベルトを引き締めると、様々な店が建ち並ぶ大通りへと歩いていった。

『あの嬢ちゃんの側にいてやらなくて、いいのかい?』
背中からデルフリンガーに声をかけられ、人修羅は小声で答えた。
「デルフ、今朝から視線を感じてる。そいつの正体を知りたい。今は真後ろに居るはずだ…それらしいヤツはいるか?」
『…こっちを監視してるヤツが居るとは思えねーけど』
「勘だけど、かなり遠い。宿を出てからずっと見られてる気がするんだが…」

人修羅はふと立ち止まり、街道に並ぶ店から果物屋を選んで近づいた。
「これ下さい」
そう言って林檎を一つ選び、壮年の男性へと代金を渡した。
「まいどあり、この林檎は今アルビオンへの出荷が止まってだいぶ安くなってるが、貴族向けの品物なんだ。味わってくれよ」
「へえ、そんな形で戦争の影響があるなんて、大変だな。ところで聞きたいことが有るんだが…知り合いがアルビオンから疎開したと聞いたんだが、どこに行ったのかが解らないんだ。そういった人が情報交換に使ってる場所とか知らないか?」
「それは知らないなあ、アルビオンからの疎開らしき人もあまり見かけない。酒場にはもう行ったかい?」
「酒場で一通り聞いてみたんだが、駄目でさ。林檎が好きだったからこの店にも立ち寄ってるかと思ってね」
「そうかい、すまないが俺には心当たりがないねえ」
「ありがとう。コレ取っておいてくれ」

人修羅はチップにと少量の硬貨を渡して店を出、来た道を戻った。
物珍しそうに店を覗き、辺りを見回して視線の元を探る……人修羅の目はシルフィードほどではないが、かなり遠くまで見通せるが、相手も人修羅を警戒したのだろう、見つけ出す前に気配は失せてしまった。

「視線が消えたな。デルフ、お前って人の姿は解るんだよな、どれくらいの距離まで解る?」
『特徴があって遮るモノがなければ、100メイル先でも解るぜ』
「壁越しは?」
『できねー訳じゃないけど、面倒だな。ぼやける』
「そうか。壁やドア越しに俺達を気にしてるヤツがいたらさりげなく教えてくれ。ついでに尾行にもな」
『あいよー』

そろそろ昼になる、人修羅は昼食を取るべく宿に戻った。



『女神の杵』亭に戻った人修羅は、見慣れた後ろ姿を見つけ、声をかけた。
「タバサさんにキュルケさん、買い物は済んだのかい」
「あら人修羅、貴方も外にいたの」
「見回りがてら美味そうな物を探したんだ、ところでギーシュは見なかったか?」
「先に戻ってたわよ」
「そうか…じゃあ二人に話したいことがあるんだけど、時間あるかな」
「いいわよ。タバサは?」
「私も平気」
「そっか…んじゃ、とりあえず酒場の席にでもつこう」
三人が中にはいると、ギーシュは既に適当な席についていたので、同じテーブルにつく。
457アクマがこんにちわ:2009/08/03(月) 22:27:09 ID:Vp3Q/aQ5

「やあ、麗しきレディの二人と同じテーブルとは光栄だな」
ギーシュはいつもの調子で三人に声をかけた。
「モンモランシーに殺されるぞ」
人修羅がぽつりと呟く。
「ちよっ、ちょっと待て、これは只の挨拶だよ!」
「ほんとかなー。どう思う二人とも?」
「ギーシュは移り気なだけね、情熱のかけらもないわ」
「ただのお調子者」
キュルケとタバサの容赦ない言に、ギーシュは突っ伏した。

「それはそれとして、だ。この際だから聞いておきたいけど、キュルケさんと、タバサさんは、アルビオンまでついてくるつもりなのか?」
「私はどっちでもいいわよ。人修羅が付いてきて欲しいって言うなら別だけど?」
「私は…必要ならついていく」
二人の言葉に驚いたのはギーシュだ、まさか二人とも付いてくるような事を言うとは思わなかった。
「おいおい、これはお忍びの任務なんだよ、二人は部外者じゃないか」
「だけど、もう知られてしまったろう?変に追い出すより、昨日みたいな事が起こるとも限らないから、二人には影からの強力を頼みたいんだ」
人修羅はギーシュを制すと、タバサとキュルケを見る。
「シルフィードは、アルビオンまで楽に行けるのか?」
「今の時期はアルビオンが近い。航路さえ解れば、二日はかからない。体力的にも問題はないと思う」
「そっか。…俺達は船でアルビオンに行くけど、誰にも気取られずにアルビオンに近づくことはできるか?」
「多分難しい。港周辺は竜騎士が哨戒に出ていると思う。その目をかいくぐるのは無理」
人修羅はタバサの回答から、アルビオンの港が厳しい監察課にあることを察した。ラ・ロシェールは港町として、交易地独特の威勢がある、しかし戦場ではない。
タバサは、アルビオンに入港する船全てが、貴族派もしくは王党派の入念な取り調べを受け、空には竜騎士がいて『フライ』で密入国するメイジを見張っていると想像しているのだろう。
キュルケも、ほとんど同じ考えだが、こちらはタバサと違い完全な『勘』であった。

「なら、船の後を追ってくれるか? 船上での危険に対応しきれない場合もある。もちろん、タバサに危険が有ればすぐに逃げてくれ、帰り道の確保ができればそれに超したこともないが……」
「わかった」タバサが頷く。

「な、なあ、そこまで心配しなくてもいいんじゃないか?アルビオンに到着したら手紙を届けるだけなんだろう?」
ギーシュが口を出すが、キュルケがふんと鼻で笑った。
「何がおかしいんだ」
「おかしいのは貴方よ、トリステインの貴族って危機感もないのね。王党派はもうニューカッスル城に籠城してるって話よ。貴方今日は女の子を口説くだけで、アルビオンについて何も調べなかったのかしら」
「な…なんだって…」
ギーシュはいてキュルケとタバサを見やる、自分を驚かすための冗談だ馬鹿も休み休み言い給え…と言い返そうにも、二人の凛とした瞳を見て何も言い返せなくなってしまった。
「ワルドさんが何とかしてくれるだろ?」
気まずい沈黙を破るため、人修羅が呟く、するとギーシュは幾分か緊張が解けたのか、ハハハと笑った。
「そ、そうだね。魔法衛士隊の隊長ならきっと上手い手があるはずさ」

キュルケは肩をすくめ、やってられないわ、と言いたげな視線を人修羅に向ける。
思わず苦笑で答えてしまった。


◆◆◆◆◆◆◆◆



一通り話を終えた一行は、思い思いの時間をラ・ロシェールで過ごした。
ルイズはワルドと出かけたりしたが、シルフィードが丘の上から見守ってくれたおかげで、人修羅も武器を売っている店を探し、投げナイフや鉄つぶてを補充したり、ガンダールヴのルーンを隠す手袋を買ったりした。

夕方になって宿屋に戻り、夕食。これは魔法学院よりも豪勢なもので、人修羅は『この旅だけで幾ら使う気だろう…』と冷や汗を流した。
そのまま皆は酒を飲みはじめ、アルビオン出航前だというのにパーティーのような雰囲気らしい。
それが悪いとは言わない、だが危機感が足らないと非難したくなる。もちろん、この非難は的はずれだ。
ハルケギニアの人間が酒に強いのは、水代わりにワインを飲むことが多かったからだ、石灰を含む地下水が多く、常飲に適さないため、エールやワインが水代わりに飲まれていた。
そんな国で6000年も過ごした人間達は、酔いに強くなる、子供も酒を飲める文化が出来上がるのは当然と言えた。
458アクマがこんにちわ:2009/08/03(月) 22:29:11 ID:Vp3Q/aQ5
…尚、人修羅は酒にイヤな思い出があるので飲酒を控えていた。
酒を飲んで、ふと気が付いたらラ・ロシェールの入り口に放り出されているかもしれない。
キュルケにも誘われたが、丁重にお断りし、部屋で装備品のチェックをしていた。

この世界で船に乗るのは初めてだ、しかも海ではなく空を飛ぶ船、人修羅は空を飛べないので心の何処かに焦りがあった。
「…………」
掌を上に向け、そこに青銅の固まりを乗せて、ゆっくりと握る姿を想像していく。
空の上で竜に襲われた場合、相手のスピードを上回る攻撃をしなければ、人修羅はともかく船が持たない場合もあるだろう。
そんな時はギーシュに青銅の塊を練金させ、直接投げつけるしかない。

酒場や街で聞きかじった情報を纏めていくと、この世界には空の海賊とも言える『空族』がいる。
軍人崩れが多く、マジックミサイル等の魔法だけでなく、船に大砲を積んでいる場合もあるという。
それらと対峙したときに、自分はどう行動すべきか?
船を落とされたら負け、しかも無駄な乗員はその場で殺されるか、船から落とされるかもしれない。
先の先を取って、遠距離攻撃に頼り、相手の船を潰すしか方法が無いのだろうか…。


そんなことを考えていると、不意にノックの音がした。
「どうぞ」と返事をするのと同時に扉が開き、ルイズが姿を見せた。
「ねえ、人修羅は飲まないの?」
「俺はいい、酒にはそんな強くないしな」
「そうなんだ」
ルイズは人修羅の側に近寄ると、ちょこんとベッドに座る。
足をブラブラとさせて、ベルトの長さを調節する人修羅を見つめた。
「ルイズさんこそ、下はいいのか。みんな飲んでるんだろ?」
「そうだけど、人修羅が一人だから、気になったのよ」
「俺のことなんか気にしなくてもいいのに」
「そうもいかないでしょ、人修羅は私の使い魔なんだから」

ふと、昨日の『兄妹みたい』というキュルケの言葉が浮かんだ、なるほど手のかかる妹かもしれない。
こうして、自分のことを気にしてくれるだけでも心が安らぐ、妹を持つ兄とはそんな気持ちなのだろうか。

人修羅は一通りの装備を身につけ、軽く体を動かした。
ベルトや足首に固定された五寸釘のような投げナイフや、内ポケットに入った鉄の礫は、動いても音が鳴らないようにう工夫されている。
人修羅は「よしっ」と満足そうに言った。



「ねえ、人修羅って、結婚とか考えたことあるの?」
「うん?」
ルイズの呟きに、人修羅は少し考え込んでしまった。
実を言えば結婚なんて考えたことはない、しかし、ボルテクス界では結婚生活の悩みを抱えたまま肉体を失い思念体になった者も少なくない。
(俺って、いわゆる耳年増なんだろうか)
「…あの、今日ワルド様にプロポーズさたって言ったじゃない。あの時『迷うなら止めろ』って言ってくれたでしょう?」
「その話か…そうだな、俺が結婚するなんて考えなかったなあ」
「その割には、すごく解りやすい言葉だったわ。なんか、目が覚めたって気がするもの」
「結婚して失敗したと嘆く人や、良かったと言う人の話は沢山知ってる。
隠し事が原因で離婚した人や、死別した人、第三者に奪われた人もいる。
結婚は喜びばかりじゃないと教えられたよ。でも、最善を尽くそうとした人は苦しみや悲しみを受け入れて、それを越える力を持ってると思う。
だから迷う内は止めろって言いたかったんだ」
「そう……」
ルイズはベッドから下りると、人修羅と向かい合った。
「改めて礼を言うわ、ありがとう」
「どういたしまして」

月明かりを背にした人修羅は、金色に輝く瞳がとても澄んで見えた。
それは記憶の中にいる誰よりも優しくて、悲しみを称えた色だった。
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:30:18 ID:cImJQm0E
支援
460アクマがこんにちわ:2009/08/03(月) 22:30:21 ID:Vp3Q/aQ5
…しかし、その数秒後に、月明かりは遮られてしまう。
「!」
人修羅はただならぬ気配を感じた、鉄の音と、巨大な何かが蠢く音が当たりに聞こえてくる。
「何か来る、ルイズさんは下がって」
「何かって…え、ええええええーー!」

窓の方を振り向き外を見ると、山が動いていた。二人は目を懲らして外を見るが、するとそれは地面ではなく、岩でできた巨大なゴーレムだと解った。

人修羅は巨大ゴーレムの足下に、傭兵らしき者が集まっていると察した。
「こんなゴーレムを作れるなんて」
「ルイズ、下がってろ、まだ一階には侵入されてないが、時間の問題だ」

首のない巨大なゴーレムの肩から、二人の人間が飛び降りた、フードを深く被っており顔は見えないが、二人とも何処かで見たような体格をしていた。
「あいつらが動かしてるのか!ルイズさん、俺が足止めする、皆と合流してくれ!!」
言うが早いか、人修羅はベランダに出てゴーレムの足元を見た、傭兵達が酒場に殺到していると思いきや、暗闇から弓矢を射ている、メイジの魔法を警戒してのことだろう。

瞬間、数本の矢が人修羅へと放たれた。
体で受けると服が破れる上、後ろにいるルイズに当たるかもしれない。人修羅は一瞬でデルフリンガーを抜き、矢を払いのけた。

だが、弓矢だけでなくゴーレムにも動きがあった、その巨大な手を人修羅に向かって振り下ろそうとしたのだ。

「人修羅!」
ルイズが叫ぶ。
それとほぼ同時に、人修羅はデルフリンガーを左手に持ち替え、右手の指に力を込める。「ジャッ!」
振り下ろされた腕はまるで獣のようで、指先は猛禽類を思わせる魔力の爪を纏っている、その破壊力は凄まじくゴーレムの肘までを一瞬で粉々にした。

バゴゴッ!と、硬い岩の割れる音が当たりに響く。
人修羅はすぐさまルイズの手をつかみ駆け出す、部屋を抜けて階段を駆け下り、一階の酒場へと向かった。

酒場では、突然現れた傭兵の一団が玄関へと乱入し、ワルドたちに襲いかかろうとしたらしい。
すぐさまギーシュ、キュルケ、タバサ、ワルドの四人が応戦したが、多勢に無勢。ラ・ロシェール中の傭兵が『女神の杵』亭を狙っているとしか思えない程だった。
キュルケたちは床と一体化したテーブルの足を折り、それを縦にすることで矢を避けていたが、相手もまた歴戦の傭兵らしくメイジの射程距離に入ろうとはしない。
傭兵たちは暗闇の中から、飛び道具で一方的に攻撃をしている、魔法を放とうと立ち上がれば、暗闇から矢が雨のように飛んでくる。

店の主人は傭兵達に文句を言おうとして、腕に矢を受けてのたうち回っていた。他の客はカウンターの陰に隠れてガタガタと震えている。

人修羅はそんな酒場を一瞥すると、ルイズを庇いつつキュルケ達の元に駆け寄った。
「参ったね」
ワルドの言葉に、人修羅とキュルケが頷く。
「こんなに傭兵を集めるなんて、誰だか知らないけど随分フンパツしたものね」
キュルケはそう言うと、人修羅を見た。
「奴らはこっちの精神力が切れるのを待ってるわ、油付きの矢を使われたら魔法で対処する羽目になるし、一斉に突撃されるのも時間の問題よ。どうする?」
「ぼくのゴーレムでふせいでやる」
ギーシュがちょっと青ざめながら言ったが、人修羅がそれを制止した。
「ギーシュ、震えてるお前じゃ無理だ」
「や、やってみなくちゃ解らないさ!」
声を震わせながら必死で立ち上がろうとするギーシュを押さえると、キュルケが呆れたように呟いた。
「あんたの作るゴーレム「ワルキューレと言ってくれ!」…ワルキューレじゃあ、一個小隊ぐらいが関の山よ」
「だが、相手は平民だ」
「あたしはあなたより戦いを知ってるつもりよ、平民を侮って死ぬ気?」
「ぼくはグラモン元帥の息子だ、卑しき傭兵ごときに、後れをとってな ごっ!」
人修羅はギーシュの頭を叩き、胸ぐらを掴んで引き寄せた。

「死ぬぞ」

ギーシュは、ぺたりと地面に尻を付いた。
「あ、ああ、じゃあどうすればいいんだ?」
その言葉を待っていたかのように、ワルドが口を開く。
「いいか諸君……このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ、成功とされる」
461アクマがこんにちわ:2009/08/03(月) 22:31:58 ID:Vp3Q/aQ5
その言葉にタバサが反応した、いつもの本を閉じて、一言呟く。
「囮」
それからタバサは、ワルドとルイズと人修羅を指して「桟橋へ」と呟いた。
「いや、俺がここに残る。タバサさんはシルフィードに頼んで、挟撃を警戒して周辺を探ってくれ。キュルケさんは突破口を開くのに必要だ、行ってくれ」
「人修羅!」
人修羅が残ると言い出したので、ルイズは驚いて声を上げた。
「心配するな、直ぐに追いつくさ」
「仕方ないわねぇ」とキュルケ。
タバサとギーシュは頷くだけで、ルイズは驚いた目で人修羅を見ていた。

「よし、行くぞ!」
ワルドが号令をかけ、ルイズの手を引く、ルイズは躊躇いがちに人修羅を見たが、すぐに事の重大さを思い出しワルドの後を走り出す。
そして、キュルケ、タバサ、ギーシュが後に続いていった。


……そして一人残った人修羅は、デルフリンガーを右手に持ち酒場を飛び出した。
無数の矢が人修羅を襲うが、涼しい顔で片っ端から叩き落とし、悠々と歩を勧めていく。
弓矢だけでは分が悪いと想ったのか、頭上ではゴーレムがの腕が振り上げられ、人修羅に振り下ろされようとしていた。

「悪く思うなよ」
デルフリンガーを左手に持ち替え、右手を高く掲げる。
瞬間、掌から黄金色の魔力が放たれ光り輝く剣が出現し、ゴォゥ…と風が吹いた。



◆◆◆◆◆◆◆◆


『女神の杵』亭を襲撃した傭兵達は、楽な仕事だとタカをくくっていた。
現在の『女神の杵』亭は酒場を作り窓を広げて、砦の機能を自ら捨てている、そんな宿を一つ落とすだけで、一人に一枚以上の金貨が手に入る上等な仕事だった。
物量と作戦があればメイジ数十人が相手でも簡単に殺せると知っている、しかも戦争に慣れていないメイジは、臆病極まりないか、猪突猛進の役立たずのどちらかだ。

だからこそ人修羅が酒場の入り口から出てきた時、傭兵達は『見せしめに丁度良い』ぐらいにしか思っていなかった。

「何だァ、一人で出てきやがった」
「やっちまえ」
暗闇に隠れた傭兵達が、弓をひく。
一斉に放たれた矢が人修羅へと襲いかかるが、その全てが魔法ではなく剣で弾かれたことに驚く。
「風の魔法でも使ってやがるのか、しかし…」
優れた風系統のメイジは、不可視の壁を作って弓矢を防ぐ、しかし人修羅は明らかに剣で矢を一つ残らず叩き落としていた。
「なめやがって」
傭兵の誰かが叫び、弓に矢をつがえた、その時人修羅の動きに変化があった。
高く掲げられた手に、黄金に輝く剣が出現したのだ。

「ジャッ!」
地面に叩きつけられた剣は、ドォォン!という爆発音と黄金色の衝撃波を作り出した。
『ヒートウェーブ』と名付けられた衝撃波は扇状に広がり、傭兵達を吹き飛ばしゴーレムにヒビを入れる。
ルイズの爆発より強力な衝撃波は、傭兵達をパニックに陥れた、暗闇の中では平衡感覚を失った傭兵が何人も逃げだそうとしている。
『手加減しろよ、岩山が崩れちまうぞ』
「解ってるよ、デルフ」
人修羅はそう呟くと、両腕を広げて大きく息を吸い込み、空気と魔力を体内で攪拌して力強く噴き出した。
ゴオオオとうなりを上げて噴き出されたそれは、空気中の水蒸気を一瞬で凍てつかせダイヤモンドダストを発生させるほどの強力な冷気であった。
傭兵達は、突き刺すような冷気で体中を刺激され、悲鳴を上げながら逃げていく。
『手加減って言うのか?これ』
「全力でやったら宿屋ごと凍り付くぞ」
『とんでもねー…』

人修羅はゴーレムを見上げた、既にヒビは直り、腕を振り上げて人修羅を潰そうとしている。
巨腕が振り下ろされる直前、人修羅はゴーレムに向かって跳躍した。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:38:39 ID:CkHTQCa7
支援
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:38:48 ID:cImJQm0E
さるさん?支援
464アクマがこんにちわ:2009/08/03(月) 22:39:44 ID:Vp3Q/aQ5
人修羅はゴーレムを見上げた、既にヒビは直り、腕を振り上げて人修羅を潰そうとしている。
巨腕が振り下ろされる直前、人修羅はゴーレムに向かって跳躍した。

「オオオオァァッ!!」
ズゴーン!と落雷のような音がラ・ロシェール中に響く、人修羅の『アイアンクロウ』でゴーレムが粉々に砕かれたのだ。
破片を周囲にまき散らし、完全にゴーレムの姿は消えた。

デルフリンガーを右手に持ち替えつつ、ゴーレムの破片がまき散らされた暗闇に走り出す、そこには二人のメイジが居た。
一人はゴーレムの破片の下敷きになっていたが、もう一人は仮面で顔を隠し、杖をこちらに向けている。
(こいつが傭兵を雇った”仮面の男”か!)
人修羅は身を屈めて、足に力を入れた。目にもとまらぬ早さで破片をかいくぐり、仮面をつけたメイジへと接近する。
仮面のメイジも、軽業師のような身の軽さで背後へと跳躍し距離を稼いだ。しかし人修羅の方がずっと素早い。
あと数歩という所で、杖の先端ゆらめいた。
『ウインド・ブレイクだ!』
デルフリンガーの叫びと共に、杖から魔力を伴う突風、いや爆風とも言うべき風が吹き荒れた。
それは人修羅の足下からゴーレムの破片を巻き上げ、岩の波を作り出した。
「ちぃ!」
人修羅は岩の波に逆らわず背後へ飛び、倒れているメイジを庇うように、無数の岩を弾き続けた。

それが収まると、すでに仮面の男の姿は無かった、逃げられたとは思えない、おそらくルイズ達を追っただろう。
人修羅は足下に転がるメイジへを見た、うつぶせに倒れ、直径1.5メイルの岩に足と腰を潰されている。
岩を持ち上げると、左足が潰れて骨が露出しているだけでなく、腰の骨も砕けていた、放っておけば死ぬのは時間の問題だろう。
『おい、こいつは…』
「気づいたか」
人修羅は跪くと、メイジを仰向けにした、月明かりに照らされた緑色の髪と整った顔立ちは見覚えがある。
メイジの正体は、ここには居ないはずのミス・ロングビルだった。

『こいつが裏切り者だったのか』
「いや…そうは思えない」
朝、ロングビルが人修羅の前に現れたとき、ほんの僅かにだが、怯えと焦りの混じった感情が見えた気がした。
「この人の実力なら宿ぐらいすぐに潰せるし、ゴーレムで派手に戦うより地面に穴でも空けて暗殺部隊を送り込む方が楽だ、しかしそれをしなかった。脅迫でもされたか?」
人修羅はロングビルへ『メディアラハン』をかけ怪我を治すと、ロングビルを肩に担ぐと、目にもとまらぬ早さで駆けだした。



===========
今回はここまでです。
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:39:45 ID:CkHTQCa7
もいっちょ
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:41:47 ID:CkHTQCa7
乙!

油断無く気を配っているつもりでも裏をかかれるか・・・

偏在は本当にチートだな
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:42:20 ID:8XYneHHx
アクマの方乙!
いや、やっぱ面白いわこの作品。
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:48:34 ID:cImJQm0E
乙!
ロングビルの扱いが気になるな
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 22:48:48 ID:Y0lHIK2T
アクマの人乙!もう連載辞めちゃったかと思ったけど、また読めてすげー嬉しいぜ!
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:00:50 ID:MSGfSJVZ

アマラエンド後の人修羅は相変わらず危なっかしいなw
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:01:06 ID:Emtz/LCT
帰ってきた!
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:05:14 ID:NRh4nsw0
横山光輝「マーズ」よりマーズを召喚

あーもうなんであんたみたいな平民が使い魔なのよ!
仕方ないわ、あんた使い魔になりなさい

「ナント身勝手ナ人間ダ…」
「 ガ イ ア ー ッ !!」

ハルゲニア\(^o^)/オワタ
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:10:09 ID:Na2EQ58e
>>472
真面目な話、マーズ単体とかガイアー単体連れてきたらどうなるんだろ?
マーズ単体召喚→地球側のガイアーがマーズの反応をロストして爆発
ガイアー単体召喚→ハルケギニア側のガイアーがマーズの反応をロストして(ry
474小ネタ:2009/08/03(月) 23:13:59 ID:eG6r8BTw
召喚の儀式、ルイズは延々と爆風を起こし広場に穴を広げていた。だが、とうとう何かが粉塵の中に現れた

「・・・あんだここは?なんでこんな場所に来ちまったんだ?」
 それは上半身裸で、前髪が妙に飛び出た変な少年。手には輝く剣を握りしめている
 ルイズも他の教師学生も呆然としている。そして召喚された少年もきょとんとしていた
「魔界、じゃねえな。何だか分かんねーけど、こんな所で遊んでいらんねーんだ。んじゃな」
 少年は左手でシュピッとサヨナラの挨拶。同時に右手の剣を振り下ろす

 その切っ先が、『何か』を切り裂いた。
 ぱっくりと開かれた『何か』の中には不思議な風景が見える。それは、やたら高く真四角でガラスに覆われた建造物の群れ
 一同が声をかける間もなく少年は『何か』に飛び込んだ。
 次の瞬間、『何か』は消えた。何もなかったかのように、全ては元通り
 後には呆然としたままのルイズその他一同が残された。


気を取り直して再開された召喚の儀式、ルイズは延々と爆風を起こし広場に穴を広げていた。
だが、またも何かが粉塵の中に現れた
 それは、不気味な黒い馬に乗り、骸骨のような甲冑に身を包んだ騎士。
「フ・・・、いかなる因果律からも離れた彼方の世界に喚ばれるとは、これも縁か」
 その騎士がまとう禍々しい気配に圧倒されたルイズ以下は、迂闊に動けず凍り付く
 騎士は人々を一瞥すると、暗き眼窩の奥に光るものを召喚主へ向ける
「だが、我はゴッドハンドを追わねばならぬ。娘よ、縁あれば、また会おう」
 そういうと騎士は、自分の剣を鞘から引き抜く。そして、いきなり剣先から飲み込んだ。
 突然の奇行に仰天した人々を気にすることもなく、今度はゆっくりと引き抜いた
 剣は、剣ではなくなっていた。何か不気味に歪んだ顔面がまとわりついた、剣とは言えないモノとなっている
 そして風を切って振り下ろす。そこには、さっきとはまた違った風景を映し出す『何か』が現れる
「さらばだ」
 騎士は『何か』に飛び込んだ。騎士の姿を飲み込んだ『何か』は即座に閉じる。
 再び広場は何事もなく元通りだった。


ルイズはめげずに召喚した。
 それはウサギの頭を持つタキシードを着た亜人
「おやおや。私としたことが、出てくる舞台を間違えてしまいましたか」
 亜人は背後に『何か』を作りだし、ひょいと飛び込む
「それではお嬢さん。道化は舞台裏へと帰ります。あなたはあなたの役者をお捜し下さい」
 またも広場は同上


 半べそになりながらもルイズは召喚する
 爆風の中から現れるのは、狸っぽい二足歩行の青くて丸い動物らしきモノ
「あれれぇ〜?変な所にでちゃったなぁ、早く帰らないとのび太くんにどら焼きをとられちゃうよ」
 狸がおなかのポケットに手を突っ込むと、絶対に入らないサイズのはずのドアがにゅうっと出てくる
「んじゃ、なんだか分からないけど、さよぉ〜ならぁ〜」
 狸は帰った。


 その後もルイズは頑張った。でもみんな素っ気なくさっさと帰って行った
 後ろの教師生徒達は、もういい加減にして欲しかった

 そして、少年が現れた。彼は、キョトンとするだけで、帰らなかった。
 ルイズは彼の頭を両手で挟む。万力じみた怪力でがっちり固定。
「動くな」
 彼女は前歯が折れるほどの勢いでキスをした。

  ♪ふぁーすっときすからはじまるぅ〜・・・


 ルイズが幽々白書の桑原、ベルセルクの髑髏の騎士、ローゼンメイデンのラプラスの魔、どらえもん
その他、次元移動が出来るキャラを延々と召喚し続けました
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:19:41 ID:Na2EQ58e
投下乙
幽遊あまり読んだ事ないんで、桑原は分かんなかったw
(魔界都市ハンターの十六夜京夜かと思った)
というか他の連中が化け物すぎるwww
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:20:35 ID:cImJQm0E
ネタとしては悪くないと思うんだが
まとめにくいな、これw
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:26:55 ID:bjogiLnk
ワロタwww
これは新しいジャンルだw
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:29:25 ID:jffdApg6
>>472
マーズ→ゴッドマーズからさらに連想して機甲神エルガイヤーを召喚

いやネオガンダムの方がいいかな
そういえばゼロの騎士団の続きまだかな
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:30:01 ID:KkXJnwLQ
桑原はAランク並みの力はあるよな
ワルドとか敵じゃねぇぞw
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:44:12 ID:IZIREevn
最初の奴は桑原か、桑原は次元斬れるけど次元の移動できたっけ、樹の方が適任じゃ
え?小ネタだから、気にしちゃ駄目?そうですか、分かりました
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:45:24 ID:Xip/DXvt
直ぐに帰る使い魔乙ですwwwww
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:53:00 ID:AWqyyW3j
ワロタw
しかしドラえもんのどこでもドアは次元さえも越えるのか
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/03(月) 23:57:09 ID:WGezwLNe
なぜだろ、この小ネタを観てSFC版ゴーストハンターのラプラスの魔が召喚されるのが思い浮かんだ
主人公達が世界移動用の五芒星を壊したタイミングでルイズが召喚するみたいな。
どこからどう考えてもバッドエンドだけど。
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 00:14:43 ID:z0OqFULZ
ブルーフィクサーにハルケギニアの明日を救って欲しい
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 00:19:58 ID:f4mm0nYC
>>483
あのハスターならなんとか倒せるだろ
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 00:36:49 ID:hR6uCrMT
>>484
バルディオスで亜空間を飛び越えれば元の世界に帰れるんじゃね?
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 00:38:08 ID:cDImQPAc
>480
ラスト間際ではどこでもドア扱いされて切れてただろう
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 00:40:34 ID:r/Q7K0G+
>>476
小ネタの元ネタ秘密で良いんじゃないか?
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 00:55:46 ID:N+DHsK1M
五芒星と次元移動で思い出したが、アベノ橋の二人って呼ばれてたっけ?
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 01:01:53 ID:vO4f5be1
五芒星 → 陰陽五行のドーマンセーマン → 晴明桔梗 → 安倍晴明 → 黒平安京! → ハルケギニアに赤鬼が………
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 01:04:13 ID:rc9vwD4b
>>487
そうだったっけ、覚えてないなー
しかし随分と進化したな、能力、初めは木刀無いと作れなかったのに
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 02:08:35 ID:iUULy4Dr
>>474
ちょ、大事な呼び水の剣をそんな事に使わすなw
あれ少なくとも二十以上のベヘリットが必要な筈だぞ、刀身に浮かんだ顔の数からして。

能力似てるし、桑原の次元刀でもゴッドハンド切れるんだろうか。
493こねたです。:2009/08/04(火) 03:05:10 ID:5H/jqzjL
携帯からモトネタ秘密の書き込みです。
494493:2009/08/04(火) 03:24:02 ID:5H/jqzjL
本文が長すぎて書き込めない!
493の目の前は真っ暗になった・・・
495名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 05:08:31 ID:u6pP0tFD
>>492
次元を切れるからゴッドハンドも切れるってんなら、桑ちゃんの次元刀でもイケるはず!
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 06:38:44 ID:xGg4oLUH
>>495
>>492

呼び水の剣はゴッドハンドを切る為じゃなくて坩堝に堕とす為に次元を切り裂くんじゃないか?
ゴッドハンドを切るだけならドラゴンころしや、多分イシドロやピコリンの魔術武器でも出来る筈
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 07:22:21 ID:jWMeoUnj
>>489
あの二人……というかサッシ呼ぶとハルケもめたくそにされそうだな
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 08:27:38 ID:1RClSiC4
漆塗りの小箱を召喚
ルイズが開けると中からきれいな玉が・・・たちこめるけむり。よみがえるあんこくのけしん。
で、おばけみたいななべに押し込まれてだな
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 09:18:49 ID:zlQiNJGe
>498
最後は一緒に育った家族と別れて、故郷に一人で帰るのですね。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 09:46:10 ID:wlN669WS
>>490
例の魔人が一番に出てきたよ五芒星
次が五星戦隊が
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 09:49:50 ID:/FK6uDCL
映画館で見る予告って大半がおもしろく感じるんだよな
つまりさ、実際に書くよりもそういうことなんだよ
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 10:54:13 ID:W/fjFQs7
つまり、それっぽい嘘予告風SSの大量生産だな!
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 11:23:07 ID:OewNPJuz
>>23
GJ!面白かった!
これはあの薄いプラ板みたいなのを貼り付けるおもちゃのやつやねw
続きが楽しみ〜。

>>33
木々津先生のタッチで描かれたルイズを想像してしまったぜ。
一歩間違えればえげつない結末が待ってるんだろうなぁw
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 12:00:09 ID:SQFJeG8X
>>474
呼ぶやつ呼ぶやつみんなすぐに帰ってしまう、俺も考えてた系統のネタだ・・・
まあ俺の場合いまいち面白くなくて、その中の一体を書き直して投下したけど。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 12:43:30 ID:S8dK71xH
もしかして、小ネタの造作もない使い魔でシュウ・シラカワを喚んだ人?
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 12:48:52 ID:SQFJeG8X
いやティンダロスの猟犬の方。
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 13:09:11 ID:SShWEbTa
ああ……あれ、ね。


ノーコメント
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 13:32:09 ID:M6dGGhQP
>>500
ああ、あの小ネタでイザベラの師匠になったあの方ですね。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 15:17:32 ID:giScmq0R
虚無のエネルギーが頂点に達することによりルイズは次元の壁を超えて使い魔を呼び寄せたりするんだよ
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 15:19:46 ID:je1htQWo
どこのバイカンフーだw

そういえばロム兄さん何してんだろ?
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 15:24:30 ID:giScmq0R
ロム兄さん呼んだ作品ってあったっけ
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 15:36:07 ID:je1htQWo
まとめを見て二年以上更新止まってる事に今気づいた
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 15:40:59 ID:OewNPJuz
>>489
アベ商ナツカシス
あの作品とクロスさせる場合はゼロ魔側を
サッシ達が巡る世界の一つとしてカリカチュアライズしてみるというのも一つの手かもしれないね。
でもそうなると登場人物全員がアベノ側のキャラのみになっちゃうけど…
(ムネムネがキュルケ役になったりとか、あるみとサッシがそれぞれ才人役、ルイズ役になったりとか)
最後は虚無ったあるみルイズがエクスプロージョンで次の世界へ、みたいな感じで終わりそうだぜ。
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 15:43:14 ID:MJeSoiBk
>>510
人間に転生した妹を覗き見・・・・・もとい温かい目で見守っています
ハイジャックに巻き込まれたり連続少女誘拐犯に狙われたりした時
剣狼を送ったりしてます
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 15:49:14 ID:z0OqFULZ
サラリーマン金太郎から矢島金太郎を召喚したら
まず根っからの貴族嫌いになりそうな気がする
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 16:17:51 ID:eJcJ5Bnv
>>515
気に入らない貴族は脊髄反射でぶん殴っても大丈夫、いざという時はコネと強運で何とかなるから。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 16:19:16 ID:HgiTfrUm
じゃあ島耕作をテファが召還だな
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 16:25:15 ID:HoRUUid2
絵本とクロスさせてるSSってあったっけ?
文章力の問題的にも短編で済ませようと思うんだけど
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 16:33:14 ID:OewNPJuz
>>515
ギーシュをどついて「ヴェストリの広場へ行こうぜ…」ですね。
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 16:34:17 ID:85mfHxBd
>>518
桃太郎や三匹のやぎのがらがらどんの話が小ネタにあるよ。
おとぎ話だけど、見るのは大抵絵本だろう。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 16:45:03 ID:HoRUUid2
>>520
ありがとう
とりあえず書いてみていけそうだったらまた投下しにきます
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 17:22:02 ID:uZ0jDaTb
特命係長がガリアで召喚
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 17:23:24 ID:MJeSoiBk
>>518
小ネタにある「トリステインの踏鞴法師」を読まれてみるが宜しかろ
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 17:26:58 ID:8xjXL0iy
>>517
島耕作が召喚されたら敵は超展開で死んでいくだろうな
突然ゼロ戦が突っ込むとか…
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 17:59:35 ID:8Ovzrwm4
超展開メイカーなキャラも小ネタ向けだよね どちらかというと
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 18:56:13 ID:7VaGTf8u
絵本から召還するなら、めっきらもっきらどおんどんの三人組がいいな…
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 19:10:58 ID:n+XiiSm4
>>522
宮廷が震災に遭うぞ。震源はもちろん…

はやてXブレードの黒鉄はやてか天地ひつぎを呼んでみたい
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 19:22:07 ID:85IAxDyp
>>526
絵本か・・・

アンパンマンはどうだろう
と思ったが顔はどうなるかな

アンパンマンつながりでニャンダーかめん召喚だ
普段はごく平凡な猫の亜人として暮らしつつ
「たすけて〜」の呼び声あらば
ギーシュ戦だろうがアルビオンだろうがタルブだろうがガリアだろうが東方だろうが
駆けつけてくれるに違いない

529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 19:27:58 ID:kNMyHwC8
>>528
マルトーとシエスタをそれぞれジャムおじさんとバタコさんの代理にすれば何とかなるんじゃないか。
顔の作り方を伝授する方法は思い付かないが。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 19:30:42 ID:2JVpLlFi
アルビオン輸送艦隊をPBYカタリナで全滅させるのを書いてみたい
イヤッホーウ、あのクソ野郎が吹き飛ぶのを見たか!?みたいな感じで
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 19:35:42 ID:vO4f5be1
慎一が真理阿を喰って身に付けた、他の魔獣にはない融合能力は
やっぱりデーモン族の特殊能力『合体』を参考にしてんのかしら。


それはそうと、悪魔憑き、いわゆる『憑依』を、デーモンが人間の体内に
テレポートして合体するという風に表現した冷奴先生は斬新だと思う。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 19:37:19 ID:vO4f5be1
すみません、誤爆しました。
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 19:37:37 ID:4pfzQG5d
>>529
タルブ名物でイナフ
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 19:47:19 ID:EaeDSNd0
531をみて実写版デビルマンを召喚かと思ってしまったのは私!
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 20:08:42 ID:z0OqFULZ
スターフォックスからフォックス召喚
タルブでアーウィンを見つける
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 20:18:16 ID:yIJvIYb1
>>530
それなんてMoH?
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 20:26:01 ID:87Qm5z4h
決死の覚悟で挑んだ召喚の儀で出てきたのは何の変哲も無い青年。
背に腹は変えられず渋々その青年と契約の儀を交わすルイズ。

----一方、遠い宇宙のどこかから
自分の体の中から消えた一人の青年を追って巨大な何かが
ルイズのいる星へ近づきつつある事をルイズ達はまだ、知らない……。


『最終兵器彼女』よりシュウジを召喚…後にちせも参上
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 20:32:13 ID:kr/86nbg
ルイズがFF6の魔導アーマーを召喚したら
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 20:37:46 ID:Yq8xvKp2
>>537
ガンダールヴで制御できるかが、運命のわかれめだな
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 20:40:14 ID:ZdpEzgTa
制御出来ちゃったら出来ちゃったで悲しいよね……
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 20:46:40 ID:S8dK71xH
鉄人28号召喚、各勢力間でコントローラーの争奪戦に
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 20:53:21 ID:fNNnSHyO
チェブラーシカ召喚...は途中で収拾つかなくなったんだぜ...
あれはソ連があったからこそできたネタだorz
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 21:05:51 ID:z0OqFULZ
超闘士ウルトラマンを呼んだら
時間制限無さそうだし
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 21:07:09 ID:hc3R+kpG
絵本…豆粒の人、待ってるんだぜ。
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 21:54:07 ID:aFra3xpc
昨日、人修羅の人来てたのね。
しかし手加減したヒートウェーブであの威力か…
本気で「気合い」→「冥界波」や「八相発破」をぶっ放したらニューカッスルでレコン・キスタ殲滅出来そうたな。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 21:56:14 ID:S8dK71xH
>>543
常時身長40メートルだってこと忘れずに
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 22:21:14 ID:1RClSiC4
実写スタースクリームを召喚
全身に刻まれた戦士のシンボルで他の国の使い魔と勘違いされたり
人間を虫けら扱いして容赦なく殺すために「狂ってる!」と言われ「いいや、やるべきことをやってるだけさ」と言い返したり


>>544
豆粒は事前にコロボックルシリーズを読破したのに知らない設定が出て焦ったなぁ
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 22:22:25 ID:kr/86nbg
最彼のシュウジ召喚で
聖地でシュウジの来訪を待つ殆ど機能が停止したちせを想像した。
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 22:27:17 ID:46yEie+l
>>529
パン生地になんか混ぜないといけないはず
星のしずくだか勇気の元だか
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 22:30:26 ID:85IAxDyp
>>549
あんこに勇気の花の蜜じゃなかったっけ?
これを入れ忘れると腑抜けたアンパンマンになったような
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 22:33:26 ID:+ZLfQDnV
>シュウジ召喚
切なさ大爆発だな。俺が初めて泣いた漫画だし、描いてみようかと思ったが、あの切なさは出せねえよ……。
ちせの体内から召喚したらある意味、シュウジの命を助けたことになるんでない? 原作であのままだと死ぬっぽいし。ルーンがどう作用するかわかんないけど。
聖地で待ってるなら「場違いな工芸品」そのものか召喚の寄り代になってそう。まさに「シャイターン」だし。初代四番目の使い魔とかね。

どっちにしてもシュウジのルーンは残り三つのどれでも面白いという想像に至った。
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 22:41:16 ID:8Ovzrwm4
四番目の使い魔って なんなんだろうね
やっぱ世界の破壊者ディケイド的なレベルの存在なんだろうか
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 22:44:41 ID:hR6uCrMT
>>552
原作25巻くらいまでには正体が明らかになるんじゃねーの
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 22:52:47 ID:kr/86nbg
エルフ、精霊、韻獣の言う大いなる意志だったりして
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 22:56:56 ID:ZdpEzgTa
ノボル?
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:00:56 ID:87Qm5z4h
チェンソーで切れる神様とか
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:01:49 ID:kr/86nbg
>>556
それは短篇で出てた。
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:04:53 ID:SQFJeG8X
シュウジ?東方不敗がどうかしたのか?
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:05:21 ID:87Qm5z4h
記す事も憚れるから見た目が変態仮面なのは間違いない
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:08:03 ID:qeD0U9qc
人修羅来たよ、待ってた甲斐があったよ!

ヒートウェーブのときにあのジャァッ!!って掛け声がフラッシュバックしたw
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:10:11 ID:8Ovzrwm4
まあヒートウェーブなんか すぐ消しちゃうけどね
破邪の光弾までに修得できる物理スキルの弱いこと弱いこと
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:11:12 ID:Yq8xvKp2
>>551
それだと四番目の使い魔のルーンの効果はちせと同じ能力になりそうだな
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:20:31 ID:zBkttFHy
>>542
そうなん?
チェブラーシカ可愛いからルイズ大喜びだぜきっと。
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:30:56 ID:vO4f5be1
>>553
さすがにそこまで引き延ばさないだろww  …………たぶん
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:43:21 ID:aFra3xpc
>571
まぁ中盤までは氷結高揚+絶対零度とかの魔法系スキル主体だからねぇ。
終盤の強力物理スキルも貫通覚えてないと使い難いし。
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:44:39 ID:YtbR3xqf
原作40巻くらいまで余裕で出すんじゃねーのと思う
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:54:39 ID:4pfzQG5d
ローダン並みに長期化する悪夢を見た
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 23:58:43 ID:qeD0U9qc
そのヒートウェーブをあえて使う当たり
アバチュの人修羅様に通づるモノを感じたw

逆に言うと閣下エンド後だから貫通覚えてるはずだよな。
スキル構成が気になるわぁ。
晩餐とかうかつに使ったらハルケギニア全土が崩壊しそうだが。
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:02:02 ID:8CdYvhCJ
>>567
せめてグイン並みに。

未完フラグが立ちかねないが。
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:05:56 ID:z+43NwIs
>>569
そこでクトゥルー化ですよ。
有志のファンが好き勝手な続編や外伝を・・・あれ?
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:08:10 ID:0ZukKN8l
少なくともフーケは好き勝手されまくられてますよね
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:10:03 ID:IGtNVGsM
>>559
使うと異形化するタイプかもな。
ハルクとか仮面ライダーシンみたいなやつ
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:13:20 ID:Ch+bW9af
ハルケギニアの世界観を根幹からひっくり返す存在とか

具体的にどんなのか全く説明できないけど
伝承が真実をいっているとは限らないしまだ何かありそう
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:19:44 ID:GVuAaSPF
使い魔召喚とか虚無とかブリミルが理を捻じ曲げてそうだよな
だから始祖の虚無は危険で封印されてるとか
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:23:04 ID:gJj59nf8
魔法使う奴が貴族=エライで通ってるから
案外なんの特別な魔力を持たない範馬勇次郎みたいな奴だったんじゃね

伝説の使い魔が魔法を使えない平民なんて有り得ん!許さん!
みたいな感じで名前を消されたとか
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:31:28 ID:0ZukKN8l
貴族制ができたのはブリミルの後の時代だろ
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:34:51 ID:wrOHcd4+
汁ハバ=未来から時間跳躍魔法で召喚されたサイト
記してしまうと未来が変わるので記すことができなかった
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:44:57 ID:/v7RXTf4
先約が無ければ 投下します
遊戯王デュエルモンスターズGXよりユベル 攻撃力0の使い魔
579攻撃力0の使い魔:2009/08/05(水) 00:47:46 ID:/v7RXTf4
ここは、トリステイン魔法学院で最も背の高い本塔の中にある『アルヴィーズの食堂』。
ユベルが 自分に食事は必要無いと言って どこかへ行ってしまったため、ルイズは独りで席に着いていた。
食事もそこそこに、キュルケと別れたあとに廊下でしたユベルとの会話を 反芻してみる。

――「ねぇ、ユベル。あなた、さっき『物は食べない』って言ってたけど……ホントなの?」
――「……あぁ。ボクが食べるのは、人間の心の闇。
―― 苦しみや悲しみ…疑念・憎悪・殺意……キミたちのそういった感情が、ボクに力をくれるんだ。
―― かつてボクを手助けしてくれた者たちも、暗い暗い心の闇を持っていたよ……」
――「……負の感情が力になる、なんて言われても…さっぱりわからないわ。お腹壊さないの?
―― 確かに、メイジの精神状態で魔法の威力が変わることは あるらしいけど……」
――「ボクは、キミたちの使う魔法のことは よく知らないけど、たぶん似たようなものだろうね。
―― だって ホラ、現に キミの同級生の中にも いるだろう? 心に深い闇を抱えた優秀な魔法使いがねぇ」
――「え? この中に…そんな人がいるって言うの……? それ以前に どうして そんなことがわかるのよ?」
――「なんだ、知らなかったのかい。……まあいい。いずれ、彼女にも協力してもらうとしよう」
――「人の話 聴きなさいよ……」

そんな会話を思い出しながら、2年生のテーブルに着いている生徒たちを見る。
優秀なメイジ…とは、トライアングルクラス以上か。となると……

(……キュルケ? って、あの色ボケツェルプストーが そんな闇を抱えてるわけないか。
 でも それじゃあ、あいつ以外に 同級生のトライアングルって言ったら……)

まさかね。と、心に闇を抱えているらしい人物に見当をつけるのをやめる。
そして、去り際にユベルが言ったことを思い出す。

――「キミの心の闇も 見せてもらったよ、ルイズ」
580攻撃力0の使い魔:2009/08/05(水) 00:51:30 ID:/v7RXTf4
その頃、ユベルは食堂の外…中庭にいた。
学院全体から、自分の協力者として相応しい『心の闇』を持った人物の気配を探す。
今、ぬるま湯の生活に溺れているような者ではダメだ。たとえ、その人物が凄惨な過去を背負っていたとしても。
現在進行形で、複雑な負の感情を心に抱えているような者が望ましい。
……まずは、2人。

「……?」

中庭の広場には、外で待機するように命じられた 様々な種類の使い魔たちがいた。
そして、その すべての使い魔たちが、ユベルに対して警戒心を むき出しにしている。

(こいつらは……)

このレベルの下級モンスターに いくら警戒されたところで、何の不都合も無い。
だが、その使い魔たちの中に 大きなモグラの姿を発見したときは、さすがのユベルも露骨に不快な表情を浮かべた。

(モグラか……忌々しいヤツめ。だが、所詮は……ん?)

下級モンスター同然な使い魔たちの中に、1匹だけ異質な力を持つ者を見つけた。
ユベルも知る風属性・ドラゴン族のモンスター<<サファイア・ドラゴン>>のような、翼を持った青い竜。
おとなしそうだが、やはりユベルに対しては警戒心を見せている。

(ほかのヤツらよりは いくらかマシなようだな……)

ユベルが1歩近づく。青い竜が2歩下がる。

(……ふん、ボクを警戒しているのか)

ユベルが また1歩近づく。青い竜が今度は3歩下がる。
青い竜は、誰かに助けを求めるように鳴き声を発した。
青い竜が助けを求めた相手の気配を背後に感じ、ユベルが振り向く。

(ほう……まさか自分から来てくれるとはね)
581攻撃力0の使い魔:2009/08/05(水) 00:54:09 ID:/v7RXTf4
青い髪と青い目をした ルイズよりも小柄な 眼鏡の少女を、ユベルが見下ろす。この学院で出会った者の中で、いちばん身長差が激しい。
あまりにも高さが合わないので、ユベルは片膝をついて 目線を少女に合わせ……3つの目で心の中を探る。
少女のほうもユベルを見つめる。その目線の先には、ユベルの額の目に刻まれたルーンがあった。

「……ふふ、そういうことか」
「……?」

ユベルは、少女の『心の闇』の正体を確認すると 立ち上がり、口の端を歪めて笑った。

「ボクはルイズの使い魔のユベル。キミは?」
「タバサ」
「……こいつは?」
「シルフィード」
「そうか……」
「…………」

会話終了。ただ当たり障りの無い会話を続けても意味が無い。
そう判断したユベルは、少女の心の中からドローしたばかりの手札を 早速 使うことにする。

「ところで……ねぇ、シャルロット」
「……!?」

ここでは呼ばれるハズの無い名前を呼ばれ、タバサは驚くよりも前に杖を構える。

「落ち着くんだ、タバサ。ボクはキミと争うつもりは無いよ」

目を丸くしたまま杖を構える少女に、ユベルが言う。だが、タバサは杖を下ろさない。

「……あなたは…何者?」

絞り出すような声で、タバサが目の前の亜人に尋ねる。

「さあ……? 強いて言えば『悪魔』かな? どのみち キミたちには馴染みの無い存在だよ」
「……どうして、私のことを知っているの?」

と 質問を続けつつ、亜人の後ろで硬直しているシルフィードを睨む。青い竜は、自分は何もしていないと目で訴える。

「昨日 キミを見たときから、キミには何かあると思っていた。
 そして たった今、キミの心の闇が、ボクに すべて教えてくれたんだ」
「心の…闇?」
「そう。キミたち人間の…心の後ろ暗い部分。ボクには それがわかるんだ」
「…………」
「キミの望み……叶えてあげてもいいよ」
「……!」
「キミには、悪魔に魂を売ってでも、復讐したい相手がいるんだろう? 助けたい人がいるんだろう?
 ボクがキミに、その一歩を踏み出す勇気と『力』を与えてあげる。憎い敵を打ち倒し…愛する者を救う『力』をね」
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 00:54:58 ID:0vpkJ2uF
悪魔の囁きが聞こえる。
支援。
583攻撃力0の使い魔:2009/08/05(水) 00:59:03 ID:/v7RXTf4
「悪魔」を自称する この亜人が 自分にこんな提案をする理由が、タバサにはわからなかった。
確かに ここハルケギニアは、陰謀・謀略に満ちている。今のガリア王国の内情を快く思わず 政府転覆を狙う者など、いくらでもいるだろう。
だが、昨日 召喚されたばかりの使い魔が、そんなことを望むとは思えない。主人であるヴァリエール公爵家の娘の差し金ということも考えにくい。
もしかしたら、本当にタバサの心を覗いて その事情を知り、気まぐれに力を貸そうとしているのかもしれない。
だが……

「おねえさま! そいつにかかわっちゃダメなのね! ダメ! 絶対ダメ!」

それまで ユベルの背後で縮こまっていたシルフィードが、大きな体を揺らしてタバサに駆け寄り、すがりつくように懇願する。
人語を話す幻の風韻竜であることは隠す というタバサとの約束は、すっかり頭から飛んでいる。

「ふん、そんなにボクが嫌いかい。だが、おまえに決定権は無いからね。……さあ、キミの答えを聞こうか、お姫様」

しばらくの沈黙の後、タバサが口を開いた。

「……考えさせて」

その言葉を聞いて、シルフィードが安堵の反応を示す。

「きゅい! シルフィは おねえさまを信じてたのね! でも 断るなら もっとハッキリ言うのね!」
「……まだ断るとは言ってない」
「きゅい!?」

再び、シルフィードが落ち着きを無くす。

「私たちは まだ、あなたのことを よく知らない」
「ほう。つまり、信用できないということかい?」
「……正直に言えば、そう。それに、今の あなたからは 戦うための『力』を感じない」
「だからボクが本当にキミの役に立つかどうかもわからない、ということか。
 なるほど、ずいぶんと慎重だね。でも、いいよ。ボクは待っている」

そう言うと ユベルは再び片膝をついて姿勢を低くし、左手をタバサの方へ差し出した。
身長に見合う大きな手は、堅そうな紫色の皮膚に覆われ、指先からは鋭いツメが飛び出している。

「今日は、キミと話ができて よかったよ、タバサ」
「……握手?」
「あぁ。見てわからないかい?」
「…………」

しばらく黙ったまま、タバサは じっとユベルを見つめる。
相変わらず何を考えているかわからないが、攻撃性は感じられない。

「…………」
「…………」

やがてタバサも左手を差し出し、大きさの合わない手で2人は握手を交わす。
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 01:02:05 ID:JYSWgXMt
モグラは嫌いだろうなあw
支援
585攻撃力0の使い魔:2009/08/05(水) 01:02:57 ID:/v7RXTf4
「っ!?」「ッ!?」

2人が同時に何かに驚き、同じタイミングで手を離す。ユベルの額…の眼球に刻まれたルーンが、淡い光を放っている。

(なんだ、これは……!?)

『雪風のタバサ』『風属性』『魔法使い族』『ガリア北花壇警護騎士団の七号』『会得している魔法』……
目の前の少女について、ユベルがタバサの心の闇から読み取った以上の情報が、次から次へと頭の中に流れ込んでくる。
デュエルモンスターズのカード……いや、それを遥かに超える情報量だ。この娘の有用な能力が一目で確認できる。

(これじゃあ…まるで道具として利用しろと言っているようだな……)

その時、左手を抑えて うずくまるタバサと その傍らで取り乱すシルフィードの背後の景色に、校舎から出てくる ルイズの姿が見えた。
ほかの生徒たちも ちらほらと見える。皆、自身の使い魔を呼びに来たようだ。

(……まあいい。ひとまず、この子との『繋がり』は出来た。残るは、もう1人か……)

幸い、ここは魔法学院だ。授業や図書館…それに教師たちを利用すれば、この世界についての知識は手に入る。
この世界について 十分に情報を得る頃には、十代の居場所を探知できるだけの力も戻っているだろう。

「……それじゃあ、ボクは先に 授業に行ってるよ」

ユベルは、無表情の仮面の額に汗を浮かべているタバサに 一声かけると、背中の翼を広げ
腕を組んで直立した姿勢のまま 謎の浮遊力で低空飛行しつつ、ルイズの元へ向かった。
その黒い後ろ姿を、タバサが無言で見つめる。

「お姉さま、大丈夫なのね!?」
「……大丈夫。なんでもない」

確かに 体は大丈夫だ。だが、なんでもないということはなかった。タバサは ハッキリと感じていた。
自分と あのユベルという亜人との間に、何か「繋がり」のようなものが出来てしまったことを。
その関係は、メイジと使い魔の関係のような「絆(きずな)」とは違う。何か、重たく粘ついた鎖で絡めとられるような感覚……
地球の「漢字」を知る者であれば、その「絆」という文字を「きずな」ではなく「ほだし」と読んでしまうだろう。

(……迂闊だった。でも……)

ユベルの手に触れたとき 頭の中に流れ込んできた 謎のヴィジョン。
10メイル程度の距離をとって対面する2人の人間。両者の左腕に装着された 奇妙な形の 盾のような物体。
その変な器具を装着した生身の人間が、杖も無しに魔法を操り 幻獣や亜人を使役して、お互いの命を削り合っていた。
まだ確証は持てないが、あのユベルという亜人が言っていた「力」とは このことだろう。
その、この世のものとは思えない 異様な光景…そして「力」に、復讐者としての彼女は 暗い希望を見出していた。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 01:04:07 ID:/v7RXTf4
投下終了 おいデュエルしろよ
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 01:17:28 ID:0vpkJ2uF
>>586
キリコ「所詮遊びだ……ってバトリングじゃなくてデュエルか。こりゃまた失礼しました(チャンカチャンカ)」
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 01:27:38 ID:fFm6NnIu
渇いた〜叫〜びが〜♪
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 01:41:27 ID:LtoV3eIo
モグラさんの強さは半端無いからな。
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 01:54:13 ID:V9aKVfMC
元キングが召喚されたらルイズに従わないだろうなあ
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 02:03:49 ID:YSBOQ5pm
社長も全く従ってなかったな
ここ最近投下されないけどまってるぜ
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 02:09:01 ID:fFm6NnIu
城之内が召喚されたら一躍ヒーローと持て囃されて
調子に乗る姿が容易に浮かぶ
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 02:43:20 ID:LdhPjKMr
じゃあバンデット・キースを
ああ、全く言うこと聞きそうにない
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 02:46:40 ID:/v7RXTf4
「なぁ、ルイズ! 俺たちは…チーム、だよな? 仲間だよな!?」
「ルイズぅ! 裏切ったのか!? 俺を…売ったのか!?」
「るぅぅぅぅいずぅぅぅぅぅぅ……!!!」
こんなんじゃ満足できねぇぜ
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 03:00:23 ID:fFm6NnIu
じゃあペガサスを
うーむ、緊張感の無いゼロ魔になりそうな希ガス
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 03:05:28 ID:NfKWSOQJ
昨日届いたばっかだが、ガーディアン・エアトスならルイズを優しく見守ってくれそう。
さて、デッキを組むか。
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 06:52:09 ID:jdoDT6Qf
ゼロ魔世界の時間の単位は秒、分、時間でいいんだっけ
そこら辺の具体的な設定ってあったけ?
後時計の存在とかあったなら教えて欲しい
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 07:15:29 ID:8Z85Y236
>>597
暦単位の設定は公式である。
時計は作中で度々存在が確認できる。フーケイベントでもアジトまでの時間をおマチさんが報告
している(馬で片道4時間)ので少なくとも分〜時間は計測できていると思う。
うろ覚えだけど、時計はウェールズの部屋に水盤時計(多分魔法駆動)、キュルケが懐中時計を
それぞれ所持していたと思う。

暦に関する設定は↓のwikiで説明されている。
ttp://wiki.livedoor.jp/saitohiraga/

まぁ一番良いのは自分で小説を読んで確認する事だと思うけどね。
599598:2009/08/05(水) 07:17:14 ID:8Z85Y236
>>597
後、忘れていたけどできればこういう質問は避難所の質問スレでした方がいいと思う。
600598,599:2009/08/05(水) 07:19:16 ID:8Z85Y236
間違えたorz
×質問スレ
○設定・考察スレ
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 07:29:06 ID:8MMv/3ki
>>597
ちなみにタバサの冒険の3巻に収録されている「タバサと老戦士」というエピソードには、「分」で時間を測る描写があります。
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:00:04 ID:MeLa51k0
>>596
残りのクリアー、オレイカルコス、ダークネスじゃ召喚した時点であぶなすぎる。
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:01:41 ID:A2f+9Wn1
アクマの人はこれからどうするんだろう。
人修羅は「敵には容赦ない」っていうことになってるし、ルイズ守るのに全力をつくしてるからワルド如きじゃ驚異にならないだろ。

サイヤの使い魔の人が同じところで止まってるのも、ワルド戦がギャグにしかならんからだろうなぁ。
二次創作はキャラとストーリーを原作に任せているから文章力のみで魅せることができるんだとわかってるけど、原作のストーリーラインに固執して更新が止まるのは惜しい。
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:11:01 ID:vKIvIPin
アクマの人の面白かったから最初から読んでる。
ゆっくり続けてくれればそれでいいんだ…

そういやアノンの人来ないな。
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:11:14 ID:NWos3TzO
憚られる使い魔がFF10のユウナ・レスカだと
ルイズ達が究極召喚獣を求める理由が無い。
形が分からない災厄だと仲間を捧げる理由に弱いし、どうするべきか。
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:17:26 ID:V9aKVfMC
>>603
インフレを起こせばいいんじゃな
エアハンマーで山の形を削るぐらい強くして
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:24:17 ID:A2f+9Wn1
ワルド「僕はこんなにもすばらしい力を手に入れたぞWRYYYYYYY!!!」

エアハンマーでアルビオン沈没

っていうことka
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:26:33 ID:8BTUR54N
>>606
しかしマサカドゥス持ちという。
現実は非情である。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:36:29 ID:32OUShmw
ワルドって名前からして小物だよね
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:41:47 ID:GRkPhWJ9
ドナルドのほうがよかったと思う
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:42:22 ID:VMMy1akL
>マサカドゥス
万能属性以外の全ての攻撃が無効だから衝撃(エアハンマーとか)無効。電撃(ライトニングクラウド)も無効。物理攻撃無効。
この人修羅が何持ってるか知らんが習得可能なスキルが 火炎反射 氷結反射 電撃反射 衝撃反射 物理反射 …か。
……だから反則だってこれww


…関係ないが自ら敗者を名乗るミシュダル召喚したらやっぱりルイズはキレるんだろうか。使い魔を見ろ的に。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:47:04 ID:GVuAaSPF
>>610
タバサの小さい頃に働いてたコック長じゃねーかwwww
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:53:40 ID:/v7RXTf4
>>611
大丈夫だ 銃撃・地変・万能は効く
銃士と土系統のメイジと虚無のメイジなら かすり傷くらいは負わせられる
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 10:59:48 ID:jQeDIzeA
>>612
ケイシーライバック「ん、呼んだか?」
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 11:23:18 ID:5SbjRCXS
グワワワワと鳴くアヒルの方なら
いやダメだ見えない使い魔になる
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 11:25:03 ID:Y+/nrDc1
目線の使い魔でも可だな
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 11:31:17 ID:NWos3TzO
>>616
オーフェンのディープドラゴンを想像した。
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 11:59:03 ID:/LZ2V/DZ
>>609
某音ゲーにワルドック船長というキャラが居てだな……
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 12:08:03 ID:LtoV3eIo
ブラックタイガー変身セットを召喚して
牛ビームで7万の軍隊を蹴散らす海老のルイズとか
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 12:25:58 ID:a7iRfokT
>>618
スマイル大歓喜なあのロボットを呼ぶ、と
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 12:43:25 ID:GuzIXe1S
>>603
ぶっちゃけた話、テンプレぶっちぎってニューカッスルでレコン・キスタ壊滅で良いと思う。
それだけの事が出来る超規格外存在を召喚した訳だし。
あと、人修羅の力知っているおマチさんがワルドに協力してるのは
ティファ達を人質に捕られたからかなと妄想。
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 12:44:34 ID:NfKWSOQJ
>>619
一瞬29万6千光年の宇宙の旅にルイズが旅立つのかと思ったぞ
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 12:54:13 ID:Ld38phfF
>>609
悪い奴だからワルド(悪奴)だったりして
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 12:56:18 ID:/LZ2V/DZ
そういえば小ネタにMZD召喚があったな
でもファンの間で固定になってるだけでポップンのキャラの性格は公式では決まってなかったはず
 

軍隊全滅出来るような力持ったキャラを召喚すれば、レコンキスタはニューカッスルで全滅出来るはず
ルイズが虚無に目覚める機会が変わるけどな
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:01:00 ID:zcZcPsS3
一時十分より初投下させていただきます。

クロス相手
ドラゴンボールよりフリーザ様。

題名 宇宙の帝王の使い魔 
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:01:42 ID:wrOHcd4+
少年ゴクウ召喚してRR軍のようにレコンも壊滅とか考えてた時期が僕にもありました
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:09:35 ID:/LZ2V/DZ
>>625
支援
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:10:04 ID:NWos3TzO
戦闘バランスを考えると亀仙流入門前か。
629宇宙の帝王の使い魔:2009/08/05(水) 13:10:58 ID:zcZcPsS3
 注意書き

 一、最終形態だが、口調は第一形態。
 二、戦闘においてフリーザ様は無敵。よって戦闘シーンスリルゼロ。
 三、スリルはフリーザ様がご立腹なされて星を破壊なされないかヒヤヒヤするところにあり!

 第一話 恐怖のはじまり

 ベテラン教師コルベールは絶句した。
 他の生徒を帰らせるという判断は間違ってなかった。この場にもし他の生徒がいるようなことがあれば、未曾有の大混乱に満ちただろう。
 見れば、ルイズも目を見開いて空を仰いでいた。何も考えたくないのかもしれない。使い魔に対する恐怖というよりも罪悪感。この化け物を呼び出してしまった責任。それは小さく震える肩には重過ぎるものだ。
 「オッホッホッホ。見なさい! 花火ですよぉ!!」
 これだけの災害を指一本でやってのけた全ての元凶は哄笑を撒き散らしていた。
 (どうすれば……いいんだ……)
 コルベールは答えが出ないまま、大量の光を放つそれに見入っていた。
630宇宙の帝王の使い魔:2009/08/05(水) 13:15:06 ID:zcZcPsS3
 フリーザ様は何が起きたか理解出来なかった。
 無礼にも自分の体に傷をつけた猿。もちろんゆっくりと制裁を与えていたのだが、少し目を話した隙に愚かにも反撃をしてきたのだ。真上からせまる巨大な蒼のエネルギー弾。しまった、と思った時にはもう遅かった。すでにフリーザ様は卑怯なサイヤ人の罠にかかっていたのだ。
 果敢にもフリーザ様は不愉快な正義のエナジーの塊を受け止めようとしたが、姑息にもナメック星以外の星からも集められたエネルギーは大きく膨れ上がっていた。
 さすがにフリーザ様もそれには怯まざるを得なかった。無論、フリーザ様が死ぬはずがないのだが、少なくとも痛手を受けることには違いない。
 その時だった。
 青の球体に何かの穴が生まれた。それを安全圏だと踏んだフリーザ様は猛スピードで穴の中へと吸い込まれるように入っていった。
 だが、フリーザ様はすぐにそれが過ちだったと気づいた。体の感覚が薄れていく。空を飛ぶのとは違う妙な浮遊感。何等かの手段で、ナメック星から飛ばされたのかもしれない。
 宇宙ではない。宇宙ならば、偉大なフリーザ様は地上と何等変わりなく動けるからだ。
 揺れる空間は、フリーザ様の意識をも薄れさしていった。必死に抵抗を試みるがそれもむなしく終わった。
 意識が闇に閉ざされた。

 目を覚ましたところはまた見慣れぬ場所だった。
 どうやら先ほどの空間ではなく、また別の場所らしい。ナメック星と同じくに緑が茂っていたが、こちらの方が色素が明るい。
 フリーザ様は地面に寝転んだまま周りを見渡す。地球人だ。黒いローブに身を包んだ地球人が何人もこちらを凝視していた。
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:17:52 ID:YHytERZA
sageれよ
632宇宙の帝王の使い魔:2009/08/05(水) 13:20:46 ID:zcZcPsS3
 そんな偉大なお方を訝しく観察する者がいた。ピンクの長髪に、鳶色の可愛らしい瞳をパチクリさせている少女。
 (あー何あいつ。気持ち悪い……しかも人みたいな形しているし……でも、人じゃないわね。幻獣かしら)
 通称ゼロのルイズ。本名――ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。珍しく魔法を成功させたせいか機嫌が良さそうだ。
 ルイズは状況が理解できていなさそうな使い魔の方に駆け寄る。
 契約しない内は呼び出しても使役できるわけではないので、不意打ちぎみに契約しようという算段だ。しかし、ルイズのその行動は使い魔が口を開いたことから中断された。
 「おや、ここは地球ですか?」
 使い魔が話したという事実を理解するのに数秒要した。
 「え、あんた言葉話せるの?」
 「あんたとは誰ですか?」
 思わず歓喜が胸に満ち溢れる。造形はあまり好みではないが、使い魔が言葉を話せるという話は聞いたことがない。
 一応人型をしているので、口の位置は探すまでもなかった。濃い紫のくちびる。そこに自分のファーストキスを重ねるかと思うと、ちょっと吐き気がしたが、言葉を話せる使い魔を逃すわけにはいかない。
 契約しようと顔を近づけたとき――。
 「キィエェェェェーーー」
 金きり音とともに、体が宙に浮いた。
 (風の魔法!?)
 案の定、衝撃は使い魔から放たれていた。
 空中に浮いた体が地面に叩きつけられる。最初の一瞬放たれたほどではないが、今もなお続いている風の余韻に髪の毛が乱れる。
 「あんた? あんたとは誰です?」
 口調は丁寧だが、その中には怒りの感情があるということが読み取れた。あんた、そう呼んだのが勘に障ったのだろうか。
 「じゃあ、名前教えなさいよ」
 先ほどより強い衝撃。今度はルイズだけでなく、周りの生徒まで尻餅をつくはめになった。口々に生徒たちが悪態をつく。
 「おいっ、ゼロのルイズ! とっとと契約しろよ!!」
 「そうよ! 迷惑なんだから!!」
 確かにその通りである。このままだとあの使い魔はもっと大きな風の波動を繰り出すだろう。しかしルイズはその風の波動に阻まれて近づくことがままならないのだ。
 「みなさん、ヴァリエール以外は教室に戻りなさい」
 下手に使い魔を刺激するのはまずいと考えたのか、コルベールは生徒たちに指示した。生徒達もこの場にいたら自分達の使い魔が風の波動に触発されて暴れだすかもしれないと、素直にそれに従う。
 やがてそこにはルイズと使い魔とコルベールだけになった。
 「とりあえず、契約させなさいよ」
 「何ですかその言葉使いは? それが宇宙の帝王に対する態度ですか?」
 「はぁ? 宇宙の帝王って何よ?」
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:20:59 ID:gN7PCcPz
わざわざ、キャラ改変しますと宣言してから投下とな?

ようこそフリーザの名をつかったオリ主さんw
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:21:57 ID:N6O+o0Wn
というか地の文でも様づけなんだな
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:24:03 ID:PD5GEDAt
小ネタではなく長編なのか?

取り合えず地の文の様付けはスゲー違和感あるな
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:24:57 ID:gN7PCcPz
そいやなんで地球人と決めつけな地の文?
原住民族とか、わるくてもカスとかでよさそうなもんを
637宇宙の帝王の使い魔:2009/08/05(水) 13:25:46 ID:zcZcPsS3
 まったく話がかみ合わない。だが、ルイズには譲歩する気などさらさらなかった。使い魔には使い魔らしい振る舞いを。目の前にいる使い魔は口調こそ丁寧だが、明らかに上からものを見ていることが分る。
 ここで主従関係をはっきりさせなければ――。
 「あんたは使い魔。分ってるの?」
 「使い魔? ホッホッホ。少し無礼が過ぎますが、私は寛大です。この田舎の惑星にはまだ私の名前は知られてないのでしょう」
 「はぁ? 何言って……」
 言葉が喉でつっかえた。代わりに「嘘」という単語がこみ上げてくる。
 使い魔の指の先っぽ――そこに小さな光が宿ったと思いきや、瞬時に膨れ上がり邪悪な赤紫の光玉を構成した。今まで見たことも聞いたこともない魔法だった。いや、魔法とは違うかもしれない。何か別の次元の、何か並外れたものを感じた。
 「おや。この星には月が二つあるようですね。では」
 膨れ上がっていく紅玉を乗せた使い魔の指先が、何かを弾く様にチョコっと折られる。たったそれだけの動作で紅玉は指を離れ、空に向かって飛んでいった。
 ルイズは目で追おうとしたが、その質量からはありえない速度で飛んでいった紅玉はすぐに点になった。
 すぐに事は起こった。
 世界が滅びたかの様な――。
 ――光。
 ――音。
 そして大気を揺るがす震動。
 「…………」
 「…………」
 ルイズは何も言えなかった。コルベールも何も言えなかった。
 ただ、目の前で起きた出来事が信じがたいものだとしか分らなかった。
 まず、ルイズの呼んだ使い魔が赤紫の巨大な光の玉を作って、それが二つある月の片割れに飛んでいって、爆発した。
 「オッホッホッホ。見なさい! きれいな花火ですよぉ!!」
 息を詰まらせている二人を他所に使い魔は哄笑していた。
 確かにきれいかもしれない。真っ白な光の中に時折発見できる赤紫の光の線。絶妙にそれらは絡み合い幻想的な光景をつくりだしていた。
 だが、この光景の代償が月としたら重すぎる。月はたった二つしかないのだ。夜空の電球はこれで一つになってしまった。
 哄笑している使い魔にとってはその程度のものかもしれない。指一本で壊せるもの。そんな脆いものにどうして価値を認められようか。
 では、ここは? この国はどうなるのか?
 もし、使い魔が月にしたことをここでしたら?
 答えはすでにルイズの中に出ていた。
 絶対に使い魔の機嫌を損ねる訳にはいかない。
 ルイズは使い魔に向かって頭を下げる。
 「先ほどの無礼をどうかお許しください」
 「いいですよ。私は物分りのよいかたが大好きですからね。オッホッホッホ」
 月の花火を見てご機嫌なのか、あっさりと許す使い魔。今ならば無理やり契約できるかもしれない。だが、もし失敗したら間違いなくルイズは葬られるだろう。成功したとしても月を破壊した使い魔を制御できるという保障はない。
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:25:55 ID:YHytERZA
>>635
ザーボンさんが投下してるんだろう

支援
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:26:30 ID:6m6Uf2tj
スグル星人とか似たような宇宙人いるから地球人はないわぁ
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:28:03 ID:V9aKVfMC
リアル中学生の予感
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:38:16 ID:B2Saken2
どうしたんだ?
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:40:08 ID:6m6Uf2tj
>>641
心が折れたんだろ
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:40:25 ID:B2Saken2
なるほど
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:40:41 ID:YHytERZA
おまいらが袋叩きにするから・・・
645宇宙の帝王の使い魔:2009/08/05(水) 13:40:51 ID:zcZcPsS3
 ここで動くのはリスクが大きいと、ルイズはひたすらゴマをすりつづける。
 「あの、失礼ながらあなた様の名前を伺ってもよろしいですか?」
 「おや、そういえば、無知なこの星の人間には私の存在が知られてませんね。いいでしょう。私はフリーザ」
 「フリーザ……。フリーザ様とお呼びしたらよろしいんですね?」
 「ええ、もちろんです。ところで、この星の指導者はどこですか?」
 ギクッとルイズは唸る。
 「指導者と会ってどうなさるつもりですか?」
 「大したことありませんよ。ただ、私の支配下に入ってもらうだけですから」
 さらりと大したことを言うフリーザ。
 ここで素直に教えるわけにはいかない。ルイズ達が今いる国――トリステイン王国の指導者はルイズにとって大切な人だった。たとえ、ここで嘘をつきそれをフリーザに咎められようと絶対に彼女だけは危険には晒させない――。
 「ミスタ・コルベール」
 ルイズがそう呼ぶと「はい?」と素っ頓狂な声が返ってきた。まさかここで自分に話が振られるとは思わなかったのだろう。
 「オールド・オスマンの所まで連れてって」
 「は? なぜ?」
 「この学校で一番の指導者といったら?」
 「まぁオスマン氏になるでしょうな」
 「分ってるなら早く」
 急かすルイズだったが、コルベールはフリーザの方を見たまま動かなかった。
 確かにオスマンはこの学校で一番偉い。しかし、フリーザは国の指導者に会いたいと言ったのだ。今はにこやかにしているものの、言葉使いが気に食わないという理由だけで星を破壊したフリーザ。そんな男に嘘をつくのは恐れ多かった。
 「コルベールさん、では案内してもらいましょうか」
 白羽の矢が立ち今度こそビクリとする。
 ルイズの言うとおり嘘をつきオスマン氏の元に連れて行くか? それとも正直に女王陛下のことを話してしまおうか。
 だが、コルベールが答えを出す前にフリーザはイライラした様子で言った。
 「おや、聞こえなかったんですかコルベールさん?」
 その指が自分に向けられているのに血の気が引きコルベールは、
 「こちらへ」
 足はオスマン氏がいる学園の方に向いていた。それが、自分の出した答えだと納得し、オスマン氏に申し訳なくなりながらも歩を進めた。


 今日はここまでです。
 地球人はやらかしてしまったかな……。
 クリリンとか見てるから瞬時に思いついたのが地球人。さすがに無理やりか……。
 語り手はフリーザサマサマ派とルイズ視点に寄っている対等派があって、様づけはフリーザ派の語り手の時発動します。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:45:18 ID:YHytERZA


次は書きタメちゃんとやって間の空かないように投下汁
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 13:54:50 ID:GRkPhWJ9
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 14:34:40 ID:4lBm8zgn
いやぁ、夏は暑いなぁ
649鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/08/05(水) 14:35:11 ID:YpLok4EM
どうもこんにちわ。鋼の人でございます。
鋼の使い魔外伝三話目の投下に入りたいと思います。
投下予告1445から。
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 14:35:16 ID:6m6Uf2tj
今年冷夏じゃね
このスレのように
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 14:38:01 ID:4lBm8zgn
>>650
言われてみればそうだな…。冷夏とはいえ嫌な汗はだらだら出るけど
652外伝 魔法戦士タバサ(3) ◆qtfp0iDgnk :2009/08/05(水) 14:45:06 ID:YpLok4EM
 人攫いたちがたどり着いたのは山のもう少し登った場所にある洞窟だった。ただ、洞窟といっても多少人の手がはいっている。出入りしやすいように天井と側面を削ってあ
り、出入り口の両側には松明を置く台が用意してあった。
「さぁて……へへへ、お前さんのツラを拝ませてもらうぜ」
 集団を先導していた松明を持った男が担がれていたシェフィールドのフードに手をかけ、松明の灯りの元に顔を晒す。
「おおぅ……へへ、へ、こいつぁ、どえらい別嬪さんだ。……ぁん?お前さん、エズレの村人かぁ?」
 じろじろと黄ばんだ目玉でシェフィールドの顔を舐めるように見ながら人攫いは聞くが、うなだれたシェフィールドは無言を返した。
「おい!こいつ本当にエズレの村にいた奴か?」
「いや、わかんねぇけど、あの村で売り物になりそうなのといやぁ一人しかいねぇはずだぜ」
「別にいいじゃねぇか。ただの村娘よりよっぽど売り物になりそうなくれぇ、綺麗な顔してるじゃねぇか。……お前さん、何者だい?」
 一人、腰に剣を挿した男が振り返り、口を開かないシェフィールドの顎に脂ぎった手をかけた。硝子細工のように滑らかな肌触りに男はうっとりとする。
「しゃべる気にはならねぇかい?……へへへ、しかし綺麗な顔してるなぁお前さん……へへ、よだれが出ちまうぜ。こんだけ綺麗なナリならよ、ちっとばかし味見したっていい
ような気がしねぇか?」
 女性が見れば吐き気を催しそうな顔をして、男の一人は仲間を見回した。
「頭に見つかったら殺されちまうぜ」
「なぁに、頭はまだ寝てるじゃねぇか。全員で口閉めときゃばれやしねぇって……おら、降ろせよ」
 シェフィールドを担いでいた大男に降ろさせる。岩と砂利ばかりの地面に降ろされたシェフィールドに剣を挿している男がのしかかった。
「へ、へ、へへ。黙ってんなら都合がいいぜぇ。すーぐ終わるからなぁ……」
 悪臭漂う息を吐きかけながら、男の手がシェフィールドの腰に伸びる。
 その時。金属を擦り合わせたような音とともに一陣の風が人攫いたちに向かって吹き込む。
「あぁん?何の音……」
 のしかかっていた男が振り返った時、男はよじれる身体の隙間から噴出す鮮血で視界を真っ赤に染め、そのまま胸から上を地面に落として息絶えた。
 目の前の出来事に呆然とした人攫いたちが、男が振り返ろうとした先を見たとき、片手で短い杖をこちらに向け、もう一方の手を肩に伸ばした姿勢でこちらを睨む、マントを
被った少女を観ることになった。
「メ、メイジだ!」
「メイジがいるぞ!」
 誰かがそう叫ぶ。それと同時に男達は己の武器を構えつつ、穴倉の中へと引き下がっていった。
 タバサはそれを追わず、まず地面に投げ出されたままのシェフィールドに駆け寄った。
「大丈夫?」
「問題なかったが、反吐が出るよ」
 緩めていた縄を解いてシェフィールドは立ち上がった。不愉快に引きつる目尻が人攫いたちへの嫌悪を感じさせる。
 と、その時。穴倉の中から二人に向かって矢が飛んできた。二人はとっさに横に飛んでそれをかわし、穴倉の壁に身体を沿わせた。
 このまま穴倉の中へ入っていっても外灯りに照らされるまま矢の的になる。加えて、空気の流れの悪い場所ではタバサの使う風の魔法は威力が極端に落ちる。
 そうと決めたタバサは自らに暗視を掛けなおし、杖を納めて肩に吊った剣を抜いた。
「決断が早いな」
 振り返ると、シェフィールドが被っていたローブを脱ぎ捨てていた。初めて見るローブの下はワインレッドの皮でできた独特の様式の服だった。手足はボディラインがでるよ
うなぴっちりとしたデザインで、背中の布が膝裏辺りまで垂れている。そしてその手には一振りの剣が握られていた。
「次の矢が出たら、行く」
 シェフィールドが頷くのと同じく、穴倉から矢の雨が一度途切れる。二人は空かさず穴倉の中に飛び込んだ。
 
653外伝 魔法戦士タバサ(3) ◆qtfp0iDgnk :2009/08/05(水) 14:47:06 ID:YpLok4EM
 穴の中は8メイルほど先で広くなっていて、天井に近いところに油式のカンテラが何個も吊り下げられていた。
 二人が出口に並ぶと、短槍と剣を持った男二人が飛び掛ってくる。
 素早くタバサは抜き身の剣を構えて踏み込む。
「『払い抜け』!」
 タバサの剣先が男の腋腹を抜け、男が聞くに堪えない悲鳴を上げながら倒れた。
 そのままタバサは武器を握ってけん制する人攫いの集団の中に突っ込んでいく。型も何もなくただ武器を振り回すだけの男達を、タバサは冷静に捌き、的確に技を叩き
込んでいく。
 シェフィールドが短槍を突き出してきた男に向かって剣を抜く。鞘から抜かれた剣身は素早く振り抜かれて槍ごと男の両腕を切り落とした。
「ぎゃあっ!」
「……『切り返し』」
 抜き身のシェフィールドの剣は、まるで血で染めたような紅色に光り輝いている。そのまま滑るようにシェフィールドは動き、短銃を構えていた男の人差し指を切り飛ばした。
 突入してものの数呼吸も掛からなかった。穴倉に潜んでいた凡そ10人ほどの人攫いの集団は、たった二人の剣技によって鎮圧されてしまったのだ。
「ひぃ、ひぃ……」
「う、嘘だ。メイジのくせに剣で戦うなんて……」
 悲鳴とうめき声を上げて転がる男達の中には、打ち所悪く事切れたものもいるようだった。
 タバサは呼吸を整えながら、カンテラに照らされるシェフィールドの剣を見た。
 鮮血のような綺麗な紅の剣は、まるで命を固めたような力強さを見るものに感じさせる。
「こいつらはどうするんだ?どこかに突き出すのか?」
 こちらを見るシェフィールドに首を振り、タバサは答えた。
「私達の標的は牛頭鬼、無駄な事はしない」
「そうだな……」
 と、穴倉の奥から人の頭ほどの火球が飛び、二人の足元に転がる人攫いの一人が燃え上がった。
「グギャアッ!」
「メイジが来たと聞いて起きてみれば、小娘が二人じゃないか……」
 穴倉の奥から足音と共に杖を握った男がでてくる。年のころは四十も行っていないだろう。だが、ボロボロの軍装にマントの切れ端を羽織っている。
「お、お頭!助けてくれぇ!」
「煩いぞ。満足に戦う事もできないのか。ゴミどもめ」
 メイジらしき男は倒れる部下達を心底蔑んだ目で見てから、タバサたちを見た。
「見たところ、武者修行中の貴族の娘と、その従者といったところかな」
「誰?」
「名前など忘れたなァ。……そうだな、仮に『オルレアン公』と名乗ろうか。せっかく担ぎ上げてやったのに毒矢などで死んでしまった貴族の恥知らず。間抜けな王弟殿下さ」
 ぎりり、と冷たい眼差しの下で歯を噛み締める。こんなごろつきが父の名をかたり、あまつさえ侮辱するなど、タバサが怒りに胸を震わせていた。
「さ、て。ここで杖を抜かない様子だと、風のメイジのようだな。残念だが私は戦場にいたお陰で、色々と系統をまたいで使うのが得意でね」
 と、ルーンを紡いでメイジ崩れは杖先に先ほど飛ばしたものと同じ火球を作り出した。
「本格的な烈火球【ファイアボール】には程遠いが、君達を丸焼きにするくらいは十分に出来る。さぁ、その手のものを捨ててもらおうか」
 杖先に浮かべた火球をちらつかせながらメイジ崩れが迫る。タバサはシェフィールドと目配せして、手に持っていた剣と腰の杖を地面に投げた。
「うむ。素直なことだ。この二人を縛り上げろ」
 穴倉の奥から、さらに数人の部下がやってきて、ロープを手に無防備な二人に近寄る。
 タバサはこの時、この状況をどうやって打開するべきか考えていた。ロープをかける隙に武器を奪ってメイジに飛び掛るか。それとも、一度捕まり相手の気が
緩んだところで武器を手に入れて反撃に転ずるか。それとも……
 戦意を絶やさず思考をめぐらせていたタバサの脇で、シェフィールドは何を思ったのか片手を高々と掲げて構えた。
「『幻夢の一撃』【ストライクミラージュ】!」
 そう叫んで掲げた手を近寄る男達に振り下ろした。
 男達が突然の動きに一瞬身体を硬直させた時、“それ”は目の前をすり抜けた。
 薄暗い灯りの中でもはっきりと見える、妖しく発光する黒い馬が現れて男達の間を飛び去ったのだ。
 そしてその馬はタバサたちに縄をかけようとした集団の最後尾にいた男にぶつかった。
「なっ、なんだこれはぁ?!」
654外伝 魔法戦士タバサ(3) ◆qtfp0iDgnk :2009/08/05(水) 14:49:06 ID:YpLok4EM
 飛び掛る謎の黒い馬が後ろ足で立ち上がって、前足の蹄で男の胸を叩きつぶした。男は恐怖に慄く悲鳴を上げて仰向けに倒れこんだ。
「……は! 貴様! 何を……」
 悠然と見守っていたメイジ崩れが気を取り直し、杖を再び構えようとした時、目の前には浅く跳躍し拳を振りかぶるシェフィールドが待っていた。
 その両腕は非メイジの戦士が身につける籠手(ガントレット)らしき、緑色に光る防具に包まれている。
 シェフィールドの拳がメイジ崩れの横面を強かに捉え、杖を抜きかけていた男は派手に吹き飛んで岩壁に叩きつけられる。
「お、お頭!」
 従っていた男達は気が付いた時には、頭目はずるずると岩壁から崩れていた。
「てめぇ!」
 逆上した何人かが手の武器を持ってシェフィールドの背後から襲い掛かる。シェフィールドが再び手を掲げて、唱える。
「『硝子の盾』【シールド・オブ・グラス】」
 そしてなんら防御の素振りをせずにゆっくりと振り向く。振り返った先には突き出された槍先とナイフが待っていた。
 男達はその手に、分厚い肉を貫く独特の感触が返ってくるものと思っていた。
 だが、刃の先は何か透明な板に阻まれているかのように、シェフィールドの身体から数サントのところで止まっているではないか。
「な、なんだよ、これ……」
 分けが分からず、思考が麻痺し始めた瞬間、目の前が爆発的に光ったのが分かった。
 そして男達が次に……意識を失う前に覚えたのは、岩壁に強かに叩きつけられる背中と、胸や腕に何か鋭いものが突き刺さる痛みであった。
 
 
 タバサも、倒れたままわずかに息のあったものたちも、一体何が起こったのかわからなかった。
 かろうじて分かったのは一つ。シェフィールドが、一切杖らしきものを使わずに、まるで魔法としかいいようのない現象を起こして、あっという間にメイジ崩れの頭目と
部下を倒してしまった、ということだ。
 その現実が人に思わせることは、やはり一つしかない。
「せ、せせ、先住魔法だ!」
「あ、亜人だぁ!亜人の先住魔法じゃないかぁ!」
 卑しい人攫いたちが悲鳴をあげる。無様なことに、起き上がることも出来ないものが這ってでも逃げようとしている。
 そんな男達のなかに、自分達の頭を助けようなどという考えが浮かぶわけもない。
 好きなだけ騒いだあげく、村々から人を浚って売りさばいていた悪党たちは、息絶えたか、気を失っているものを覗いて、穴倉から逃げ去ってしまった。
 
 タバサは静かになった穴倉の中で、落とした杖と剣を拾って仕舞うと、灯りの元で立ち尽くしていたシェフィールドに、彼女の剣を渡した。
「ああ、ありがとう」
 シェフィールドは剣を腰に吊りなおし、深く息を吐いた。
「貴方は亜人?」
「……そう言うみたい、かな」
「さっき使ったのは、先住魔法?」
「よく分からないな。『妖術』って言うんだ。あれ」
 視線を外しながら、シェフィールドはそう答えた。
 その姿に、先ほどまで男達を圧倒していた時に見せた迫力は感じさせない。いや、初めて宿屋で会った時や、村長の家で感じた名付けがたい圧力もない。
どこにでもいる普通の女性のようだった。
「……警戒、しないんだな。私の事」
 シェフィールドの、どこか悲しげな眼差しがタバサに向けられた。
 タバサも、シェフィールドが言う『妖術』を見た瞬間、彼女はやはりジョゼフの使わした暗殺者で、やはり自分を殺す為に同行しているのかと考えた。しかし、
男達を叩きのめしてからの彼女は、打ち棄てられた仔犬のように頼りなげな空気を纏って、穴倉の暗い先を見つめていたのだ。
 ともかくタバサは、この謎の亜人、寂しげに視線を投げかける女性を、今は暗殺者だとは思わなかった。
「きゅい〜」
 二人が物言わずにいると、外からあの緊張感のない鳴き声ともにシルフィードが駆け寄ってきた。
「きゅい!お姉さま、一体何をしたのね。外で茂みに隠れてたら穴の中から小汚いおじさんたちがぞろぞろ出てきて、シルフィすごく怖かったのね!無事でよかったのね」
 まくし立てながらタバサの周りと飛び回るシルフィードに、シェフィールドは頬を緩ませ、不器用に笑った。
 
 
655外伝 魔法戦士タバサ(3) ◆qtfp0iDgnk :2009/08/05(水) 14:51:18 ID:YpLok4EM
 穴倉に残った人攫いたちを当人達が残した縄で縛り上げて転がし、タバサをシェフィールドはメイジ崩れらしき頭目をたたき起こした。
「ぐっ……」
 頭目は忌々しげにその濁った目で二人を睨んでいる。何とか縄を抜けようともがいているが、後でに親指どうしを結んであり、普通に考えれば自分で外すのは
不可能だった。
「お前の手下の一人が牛頭鬼の出る時間を知っていると言っていた。お前も知っているのか?」
「さてな……」
 薄笑いを浮かべる頭目にシェフィールドはこみ上げる殺意を押し殺しながら、タバサを振り返った。
「どうする?」
「このまま官憲に突き出すのは簡単。でも、それだと任務に支障が出る。私は速やかに情報を手に入れたい」
「同感だね。それじゃ、少し離れてて……」
「なに?なにをするのね?」
 と、シェフィールドは手を掲げ、意識を集中しているようだった。タバサはシルフィードと一緒に少しシェフィールドから距離をとる。
「この術は、あんまり得意じゃないんだけど……」
 つぶやきが少し漏れて、シェフィールドの手が頭目に向けられる。
「『ファッシネイション』」
 そう言うとシェフィールドの手から薔薇の花びらのような、赤い欠片が放出される。赤い欠片は同じ色の気体のようなものを纏っていて、縛られていた頭目が
それを頭から掛けられた。
「わぶっ?!き、貴様!一体私に……なにを……」
 頭目は悪態を吐くが、段々と言葉を間延びさせ、目は深酒に酔ったようにどろりとさせ、口が半開きになってしまりがなくなっている。
「ぁー……」
「もう大丈夫。戻ってきて」
「何をしたの?」
「ん……何て言うのかな。……誘惑、したんだ」
 シェフィールドはかなり気まずそうに言って小鼻を掻いている。
「誘惑?」
「そういう術なんだよ。相手を自分の血と精神で誘惑して、意のままに操る術。……はぁ、これすごく苦手なんだ。人を誘惑するなんて柄じゃないし」
 どうやらシェフィールドにとって、今の先住魔法は使い慣れないものだったらしい。まぁ、シルフィードだってたいした事はできないわけだし、亜人にだって得手
不得手くらいあるのだろう、とタバサは考えた。
「そう。それで」
「そうだ。さぁ、牛頭鬼について知ってる事を全て話してもらおう」
 再度二人は頭目に詰問を行うと、今度はまるで嘘のようにあっさりと話し始めた。
 頭目によると、そもそもこの穴倉の一番奥の岩壁に亀裂が走っていて、そこからさらに奥に広がる洞窟が牛頭鬼の住処になっているのだという。
「わたしはそこからみのたうろすをかんさつしてこうどうのぱたーんをよみとった」
 抑揚のない声で頭目はそう話した。
「ということはこの奥を進めば牛頭鬼の巣につながっているのか」
「いわかべのきれつからおくはここよりもひろくつかいやすくなっている。だからわたしはふだんはそこにいて、みのたうろすのうごきをかんさつしながらぶかにしじを
だしていた」
 恐らく亀裂は牛頭鬼が通れるほどの大きさが無いのだろう。しかし、広くはともかく、使いやすくなっているとはどういうことだろうか……?
「だいたいわかった」
「きゅい。お仕事はまだまだつづくのね」
 タバサとシルフィードが各々に答える。
「よし。お前は……そうだな。そこにいるお前の部下と一緒に山を降りろ。街道に出てどこか適当な宿場で詰め所に出頭しろ」
 そこでシェフィールドが転がっている他の男達にも『ファッシネイション』をかけ、頭目と一緒に山を降りるように伝えた。
 かくして、縛られた格好の男達がぞろぞろと山を降りていくという奇怪な光景を見送ってから、三人は再び穴倉の中へと入った。
「まぁ、あの術はそんなに長続きしないけど、山から下ろしてしまえば後は官憲が始末してくれるだろう」
 少なくとも、これで後腐れなく牛頭鬼に専念できる。
「行こう」
「行くのね」
 
 穴倉のさらに奥には、たしかに頭目が言ったとおり、岩壁に大きな亀裂が走っていた。人一人が余裕で通れるほどの、大きな裂け目がある。
 三人は亀裂を通りぬけると、そこが先ほどまでいた穴倉など比較にならないほど広い地下空間であることを知った。
「山の下とは思えないほど、広いのねー」
 ひろいのねー ひろいのねー のねー ねー
 シルフィードの緊張感のない声が空間に反響する。それほどに、ここは広いということだ。
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 14:52:29 ID:IO6xDXjM
サガフロ1!?
657外伝 魔法戦士タバサ(3) ◆qtfp0iDgnk :2009/08/05(水) 14:53:23 ID:YpLok4EM
 穴倉から持ってきたカンテラ如きでは天井すら照らすことが出来ない。高さ10メイル、幅も同じほどある大きな空間だった。
「どこかにあの男が使っていた部屋なりスペースがあるはずだ。まずそこを探そう」
 人攫い集団の頭目が使っていたと思しき場所は亀裂からすぐ傍にあった。空間の一角に、明らかに人が使うためにあるような出入り口の如き場所があり、そこを入ると
真新しい木箱や雑貨類が雑然と置かれていて、つい先ほどまで人が使っていたことが分かったからだ。
 タバサたち三人は、部屋に灯りを入れると部屋の捜索を始めた。牛頭鬼の行動を観察していたというのなら、恐らくそれをまとめた紙なりメモがあるかもしれない。
「きゅい。けっこういいもの食べてるのね……。あ、いわしのビネガー漬ああるのね!」
 もともと注意力散漫なシルフィードは、雑貨の中に混じっている保存食を漁っているようだった。なるほど、夜盗の類が食べてるには割といいものがそろっていた。
瓶詰めにされた魚、野菜、飲みかけのワインも置いてある。瓶詰めは特に国土の広いガリアやゲルマニアでは流通の多い商品だ。内陸で海の魚を食べようと思えば、
このような保存食か、専門の冷蔵技術を持っている貴族向けの鮮魚運搬業者から高値で買うしかない。一方国土面積から見て海岸線の長いトリステインや
ゲルマニアでは、わざわざ小分けにせず樽ごと保存食にして流通されるという。
「……あった」
 シルフィードが食べ物を漁っているのを尻目に、タバサが黙々と木箱や鞄をひっくり返して見つけ出したそれは、色褪せて褐色になってはいたが、まだ比較的
新しいインクで書かれたメモだった。紙に押された印を見ると、軍隊が下士官に配給するものだったようだ。
「読んでみてくれ」
 一息入れようとシェフィールドが腰掛けながら聞き、タバサは灯りを近づけて乱雑に掻かれた字面を読み取ってみた。
「『朝、変化なし 昼、うなり声が聞こえる 夜、変わらずうなり声 深夜、巣を抜けて外へ 早朝、巣へ戻ってくる……』」
 どうやら頭目はまめな男だったようで、こうして何日も牛頭鬼の動きを観察し続けたことがメモの量から判断できた。
 そのメモを読んでいくと、牛頭鬼は三日から五日はこの地下空間に篭り、何日かに一度だけ外に出ては、帰ってくるというサイクルのようだった。
 一番新しいメモには、牛頭鬼が地下空間の奥で活発に動き回っていることが記されていた。
「このメモの様子だと、明日には牛頭鬼は外に出て、外の村に被害がでると考えられる」
「きゅい。こんな細かいことが出来るなら、人攫いなんてしないで真面目に働けばよかったのに」
「まったくだな」
 シェフィールドは嘆息しつつ、懐から時計を取り出して開いた。握りこぶし大の円盤を開くとねじ巻き式の時計になっている。これ一つでも50エキューはするのだが、
シェフィールドが亜人なら、どうやって手に入れたのだろう。
 いや、それをいうなら、ガリア王宮は亜人と交流があるということになる。どうしてそんなことが……
「外は7時か。少し休めるな」
 タバサの思惑はともかく、シェフィールドはそう言って壁にもたれて目を閉じた。
「きゅい。お腹すいたのね〜。どうせあのおじさんたち戻ってこないんだし、頂いちゃうのね」
 休憩と聞いてシルフィードは嬉しそうに座り込んで見つけ出した瓶詰めを開け始める。酢漬けの独特の香りが狭い空間に広がって、口に涎が溜りそうだ。
「ほらお姉さま。休むときに休んでおかないとお仕事にならないので。だから食べるのね、ほら食べるのね」
 きゃんきゃんと小うるさいシルフィードに促されるまま、タバサは開封された瓶詰めに口をつけることになった。保存食特有の濃い目の味付けが口に広がる。
「あなたも食べるのね?」
 ハンカチで口を拭きながらシルフィードが壁際に振り向く。
 シェフィールドは緩やかに首を横に振った。
「私は遠慮しておくよ。でも、そうだな……水貰える?」
 タバサから水筒を受け取ってシェフィールドはそれだけを静かに口に運んでいた。
 
658外伝 魔法戦士タバサ(3) ◆qtfp0iDgnk :2009/08/05(水) 14:54:32 ID:YpLok4EM
 食べ物らしいものを口にして満足したシルフィードが、タバサの鞄の中にあった布を蒲団代わりにして眠っているそばで、タバサ自身は灯りに照らされる部屋を
観察していた。
 この地下空間は、明らかに人の手が加えられていた。それも夜盗が潜んでいた穴倉など、比較にならないほど大規模にだ。今腰を下ろしているこの小部屋も、
壁や床は単純に岩を均した以上に滑らかで、石造りの神殿の中のようにも見える。
「……起きてる?」
「なんだ?」
 壁にもたれて腰を下ろしていたシェフィールドから声が返ってくる。
「あなたは、なぜこの仕事を請けたの?亜人がガリア王宮の手下をしているのはどうして?」
 カンテラの灯りが揺らめき、壁に伸びていた影が伸び縮みする。
 軽はずみな質問だったかもしれない、とタバサは思った。だから、自分の懸念を包み隠さずに言ってみることにした。
「私は、あなたが私を狙う暗殺者だと、考えていた」
「私がか?」
「そう」
 それを聞いて、シェフィールドは笑って答えた。
「それはないな。私にはそんな器用な真似はできないよ」
 ふぅ、と深く息を吐いて、シェフィールドは続ける。
「私はただ、この国の上の連中と取引をしたんだ。私が彼らの言う事を聞く代わり、私の友人を傷つけないという、な」
「友人?」
「そう、大事な人さ」
 そう答えるシェフィールドの声は、わずかに震えているような気がした。
「あいつらが言うままに、外を歩き、言われた相手を倒す。吸血鬼とか、有翼人とかね。体のいい使い走りさ」
 タバサはシェフィールドがそうやって話し続けるのを、静かに聞いていた。自分とて、彼女と立場は大差ないのだから。だが、未知の魔法を使う彼女すら従えさせる、ガリア王宮の底深さにこそ、タバサの気持ちは向けられていた。
 狂わされた母、謀殺された父の仇を討てるのは、一体いつのことだろう。魔法を磨き、剣技も修めた。それでも尚、足らないのだろうか。今こうしている間も、寂れた屋敷の一室で寝台に沈んでいるであろう母の姿を思うと、身体の奥に黒い熱が篭る。
「……貴方は」
「ん?」
 タバサはそこで言葉を止めた。友人を自由にしたくないのか、など、聞くまでもないだろうから。
「……そろそろ時間だな」
 取り出した時計を見ながらシェフィールドが言った。それを聞いてタバサは眠っているシルフィードを起こす。
「起きて」
「んきゅ……シルフィはもう少し眠っていたいとおもうな……あふぅ」
 なかなか目を覚まさないシルフィードに呆れたタバサは仕方なく、シルフィードの頭を少し持ち上げて、そのまま手を離す。
 脱力していたシルフィードの後頭部が冷たい石の床に叩きつけられ、まどろんでいたシルフィードは飛び上がった。
「んぎゅっ?!」
 飛び起きて頭を抱えてシルフィードがのた打ち回っているのが可笑しくて、眺めていたシェフィールドはころころと笑った。
 
----------
今回はここまで。
次回で最後になります。
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 14:55:46 ID:IO6xDXjM
っていうか、あの人か
GJ
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 15:34:30 ID:4QrNtO9s
仮面ライダーインペラーこと佐野満を召喚
一向に自分の待遇を改善しないルイズに早々に見切りを付け、各勢力に自分を売り込む
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 15:47:33 ID:iQmVYuLU
アクマの人キタ━(゚∀゚)━! と、まとめを見て気付いた。
俺Tueeeになりすぎないバランスがステキさ。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 15:56:07 ID:OZK8g16n
16:05頃からとうこうしてもいいかなぁ?おにいちゃんたち。
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 16:05:10 ID:ZrXh76XW
>>662
キサマの作戦目的とIDは!?
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 16:06:46 ID:4QrNtO9s
>>662
ヒイロ「あれはOZのシャトルか!?」
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 16:07:01 ID:OZK8g16n
なんか日本一ソフトウェアからだれか
つかいましょうかんします。ないようは少し
ぼうけんしてみます
うん。じゃあいくね。
しかしあついねおにいちゃんたち
ねこのミャオちゃんツルペタかわいい

>>663
むずかしいことはわかんないよう
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 16:11:19 ID:OZK8g16n
第1話『not taimanin』

「我は宇宙最強の魔王!魔王ゼタである!」

…そう"言った"のは、一冊の赤い本だった。本が喋るだなんてそんな非現実な事あり得るのだろうか?現在の日本の科学力なら難しい事ではないかもしれない…が、ここは日本じゃない。更に言うと地球ですらない。
 本の周囲を見てみよう。様々な髪色の、まるで外国人のような出で立ちの少年少女達が数十人居て、皆似たようなおかしな格好をしているではないか。恥ずかしくないのだろうかと思われる方も居るだろうが、"この世界"では別に珍しくもない普通の服装だ。
その上、学生服だ。まぁ細かいことは気にするな。学生服を着ている彼らは専ら学生だ。コスプレでは断じてない。えぇ断じて。
彼らは『喋る本』を見て笑ったり驚いたり様々な反応を見せているようだが…その中で一際驚き、最も『喋る本』に近い位置にいる彼女…名前はルイズ・フランソワーズ・ド・ラ・ヴァリエール。
無意味に名前が長いが不思議と語呂が良いー…のは置いておいて。この本を呼び出したのは、他ならぬ彼女なのである!
 「な…何なのよ!この本ー…。」
 ルイズは自分の呼び出した物を見て、何とも言えない複雑な気持ちになっていた。トリステイン魔法学院の生徒である彼女は、学院の進級試験の課題である使い魔召喚に合格する為『サモン・サーヴァント』と呼ばれる召喚魔法を用い、この赤い本を召喚したのだが…
確かに召喚には成功した。しかし召喚したのは喋る本だ。見たところ役に立ちそうには見えない…それどころか、己を魔王とか言っちゃってる辺り、頭がおかしいのではないか…と、ルイズの腹の内はこんなところだろう。
尤も、本に頭があるのかと言いたいところではあるが。
 「おい!そこのへんちくりんな格好した小娘!貴様は一体なんだ!そもそもここは一体どこだ!」
 「へ、へんちくりん!?」
 本の偉そうな態度に、ルイズは少なからずカチンときただろう。へんちくりんなのはお前だ。
ルイズは貴族である。なんでも、トリステイン貴族の中でもかなりの権力を誇るヴァリエール家という由緒正しい貴族の子らしい。プライドは人一倍ならぬ貴族一倍高い。
 「我は魔王だ!しかもレベル3000の宇宙最強の魔王であるぞ!」
 「何ワケわかんないこと言ってるのよ!何でこんなのがー…」
 ルイズは泣きたくなった。やっとの思いで召喚したものが…こんな訳のわからない喋る本!泣きたくもなる。…レベル3000というのは嘘ではないのだが、
本の状態ではそれもあまり意味がないというか、こんなところでも虚勢を張ってしまう辺り、流石は宇宙最強の魔王と言った所か。
 「見ろよ!ゼロのルイズが召喚に成功したかと思ったら気味の悪い喋る本を召喚したぞー!」
  「ドカン!ルイズは使い魔を召喚した、ショモーツ(本)」
 生徒達は口々にルイズの事を嘲笑った。ついに耐えられなくなったルイズは、ミスタ・コルベール(高い確率で頭の事をネタにされるがそれはそれでキャラが立っていて良いのではないか?な人)に駆け寄り一連の出来事について抗議した。
 「ああもう!ミスタ・コルベール!もう一回召喚させてください!」
 「それはダメだミス・ヴァリエール。召喚で呼び出した『使い魔』を変更することはできない。君はあの本を使い魔にするしかない。」
 「いや…あれ本じゃないですか!そもそも生き物じゃないものを使い魔にするなんて聞いたことがありません!」
 喋るとはいえ本は本。本というのは常識的に考えてモノに分類されるものだ。一般的に使い魔というのは生き物である。物を使い魔になんて前代未聞だ。そもそも物に『契約』は出来るのだろうか?
とまぁ…実を言うとルイズの頭には何よりもう一度召喚をやらせてもらおうという事しか頭に無い。上記のような理由があれば何でもよかった。とにかくルイズはアレを使い魔にはしたくないらしい。
しかしそんな切実な願いも、伝統を破るわけにはいかない。例外は認められない。使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する。そろそろ自分も彼女の一人くらい欲しい等の旨をコルベールの口から告げられる事により、見事に打ち砕かれた。
ルイズは肩をがっくりと落とした。
667ゼロの使い魔[暑中見舞い始めました]:2009/08/05(水) 16:14:37 ID:OZK8g16n
 「おい貴様ら!さっきから何をゴチャゴチャと!我を無視するなァ!」
 赤い本…全知全能の書に憑依(コンファイン)しているゼタは気が立っていた。全知全能の書の人格が再び外に出たいと言って代わりに全知全能の書にコンファインしてやったらこの有り様だ。そもそも好きな願いを一つ叶えてやるという条件に乗ったのがいけなかった。
おかげで変な鏡に吸い込まれるわ訳わかんないところに召喚されるわで。ゼタは今なら戦艦良綱だって沈められそうなくらいストレスが貯まっていた。とはいえ、こんな体ではそれも叶わない。
 「全く…何で私がこんなのを使い魔にィ〜…」
 「ん?おい小娘。今…使い魔がどうとか…言っていたな…?」
 「そうよ。アンタは私の使い魔になるの。正直、アンタみたいなのを使い魔にするなんて…不本意だけど…」

  「ふぅぅざぁけぇぇるなあ゛ぁぁぁぁぁぁッ!!」


 ある種雄叫びにも似た怒鳴り声が辺り一帯に響く。そりゃもう凄い怒声。ざわめいていた生徒達も一瞬で静かになる。そう、彼らは皆驚いていた。このとんでもない威圧感はどこから出ているのだろうかと。
 「は…はぁ…!」
 ルイズは腰が抜けた。何せこんな至近距離から、こんなとてつもない声を出されたら…いや、声じゃない。恐怖している。何に?この本に?何で?何でこんな本がこれ程までに強大な存在感を放っているのか?訳がわからない。
 「おい小娘。何故我を召喚した?何故我を使い魔にしようとした?」
 本のくせにやたら威厳溢れる本がルイズに問う。
 「うぇ?あ…こ、これは春の使い魔召喚の儀式で、使い魔召喚に成功しないと、次の学年に進めなくて…だから…」
 「我を使い魔として召喚したー…と?」
 「そ、そうよ!」
 腰が抜けているルイズであったが、本相手にビビっていることがばれてはプライドが傷つくと根性だけで強がっていた。コルベールに腰が抜けてることはバレてなさそうだ。
 「ふん…魔王である我を使い魔にしようとなど腹立たしいわこのピンク小娘!我は忙しいのだ!貴様になどコイツで十分だ!『インバイト!』」
 本が何か呪文の様なものを叫んだ。直後、凄い勢いで何かが落ちてきて…

ひゆゅゅゅぅぅぅ…ドスン!

 「そいつでも使い魔にしておけ!ではさらばだ!」
668ゼロの使い魔[暑中見舞い始めました]:2009/08/05(水) 16:16:25 ID:OZK8g16n
本は青白い光に包まれた…かと思ったらきれいさっぱり何処かに消えてしまった。
──沈黙。
  一体何が起きたのやら。ここに居るものが誰一人として理解ができなかった。
 「あの〜…ミスタ・コルベール…帰ってしまったんですが…どうすれば…」
 コルベールはあまりの出来事に硬直していた。召喚した使い魔が帰る?兄さん、事件です。例外ってレベルじゃねーぞ。
 「ううむ…使い魔が帰ってしまっては…もう一度召喚する他ないか…」
 「ほ、本当ですか!?」
 ルイズは歓喜に身を震わせた。小躍りしたい気分だった。サンバだ。リオ・デ・ジャネイロも目じゃない、カーニバルである。それくらい、使い魔召喚をやり直す事ができて嬉しかったのだ。かくして、ルイズは再びサモン・サーヴァントを行った…
 コツを掴んだのか、今度は一発で成功したようだった…
 「やったッッ!!できたッッ!第二部完ッッ!」
 
 しかしだった…

 「何で…」
 「何で私は普通の使い魔を召喚できないのよぉー!」
 召喚されたのは平民の少年だった。
 「あのー…ミスタ・コルベール…」
 「ミス・ヴァリエール、さっきも言いましたが、解っているね?」
 「はい…。」
 そう返事をすると、ルイズは渋々『コントラクト・サーヴァント』と呼ばれる使い魔契約の儀式を行う。少年は気を失っている。面倒な事になる前にさっさと済ましてしまおう…半ば自暴自棄になったルイズは契約の儀式を行う為、少年に近づいた。
 「えー、我が名は…ルイズー……いつつのちからをつかさどるぺんたごんよー…なんたらかんたらー…」
 本当に、ルイズは自暴自棄になっていた。

 ちゅ

 柔らかな感触が少年の唇に宿る。
 (うわぁー…何だこれー…どうなってんだぁー?キスされてんのか?あー…でもなんかきもちいー、悪くないなー。キスって幸せな気分になれるんだね。)
 少年、平賀才人は 夢から覚めたばかりの曖昧な意識の中、ただぼーっと目の前の少女を見ていた。こんな可愛い子が自分とキスしてくれるなんてとても良い夢を見たなこりゃ愛だの恋だの通り越して健康に良いわいだの、そんな事を才人は考えていた。
669ゼロの使い魔[暑中見舞い始めました]:2009/08/05(水) 16:18:55 ID:OZK8g16n
そんな才人に気がついたのか、少女ルイズは途端に顔を真っ赤にする。
 「あ、アンタ…起きてたの…?」
 「え〜?これは夢のな…ッッ!?」
 と、才人が何かを言いかけ、途端に苦しみ出した。
 「ぐっ…ぐあぁぁぁ!」
 (な…何なんだよこれ熱い熱い熱い熱いあついあついアツイアツイ…)
 先程とは一変、才人は自分が置かれている状況がマズイ事に気がついた。 
 (体が…熱いッッ!何をしたんだこいつ!まさか…さっきのキスは何らかの薬を口移ししたんじゃ!?…きっと体は子供、頭脳は大人になる薬を飲まされちまったんだ…うぅーくそ!ん?いやいやそう考えるのは早計だよな、落ち着け。周りを見てみろ…
そもそも何なんだよこいつら!…何でみんな似たような格好を…そのマントカッコいいとか思ってんのか?何かの宗教団体ですか?まてよ…こいつら、さては何らかの悪の組織で俺を拉致してこんな…こんな事やるのは奴等しかいない!ゴルゴムの仕業だ!
おばあちゃんは言っていた『事件の裏には必ずゴルゴムが関係してる』と…!畜生こいつら何をするつもりなんだ…!)
 「ここは何処だ!お前らさてはゴルゴムだろ!俺をどうするつもりだー!」
 才人は訳のわからないことを口にした。
  「何言ってんのこいつ?」


 「召喚?魔法?使い魔?ははは…そんなの信じれるわけ無いだろ?」
 「何言ってんのよ。アンタの悪の組織だライダーだの方が信じれないけど。」
ルイズは、状況のわからない才人に今の状況を説明してやった。コルベールに手のルーンを写されながら聞いている才人だったが、彼はそれを全く信じていなく(いきなり魔法の世界に来た、それを信じろというのは無理な話なのだが)
「やっぱりお前ゴルゴムだろ。」としきりに囁いていた。しかし、コルベールの令により次の授業に向かう生徒達が飛んでいくのを見て、みるみる顔が青ざめていく。
 「い…家に返せよ!」
 「だから無理だって言ってんでしょ!この平民!」
途端にぎゃーぎゃー暴れだした才人であったが、話を聞いていく内に自分は異世界へ来てしまったんだと感付くと、途端に大人しくなった。才人はこれは夢だと思いたかった。でもほっぺたをつねっても目が覚めることはなく、ほんのりと痛みが頬に残るのみだった。
 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
ルイズにそう言った生徒も浮いている。ははっ、どうやら本当にファンタジーの世界にきてしまったらしい、なんて、才人の反応は案外軽かった。いや、ただ単に思考停止しているだけか。
 「ほら、行くわよ!」
 「あ?あぁ…」
  こうして、才人はルイズの使い魔になった。しかしこれはまだ苦難の始まりに過ぎ…ん?何かを忘れてるようなー…ま、いっか。
「ちょーっと待ったあぁぁぁぁぁぁ!ぜんぜん良くないから!!」
670ゼロの使い魔[暑中見舞い始めました]:2009/08/05(水) 16:22:05 ID:OZK8g16n
〜♪がんばれ女の子(#魔界戦記ディスガイア・お馴染みのアレ)〜
 
 「な、何?」
 突如こだまする声。ルイズ達が振り替えるとそこには見慣れない黒髪の少女が立っていた。
 「何…はこっちの台詞!いきなりどっかに飛ばされたと思ったら、知らない場所にいるし、何か勝手に話は進んでいくし、私はどーなるのぉー!?」
「おや…彼女は…?」
 「というかずっとここに倒れてたのに何で誰も気づかないのよ!」
 「あー…そういえばー…」 

 『インバイトッ!』

 「あの本が何か召喚していたようなー…」
 「あの本…?まさかそれって喋る赤いヤツ?」
 「え?あぁそうだけど…」
 ルイズが答えると黒髪の少女はわなわなと肩を震わせた。額には青筋が浮かび上がり、歯はギリギリと鳴っていた。
 「あんのクソ本…またしても私を…畜生…畜生ーーッ!!」
 とりあえずこの少女はあの本の知り合いのようだ。
 「えっとどうします?ミスタ・コルベール?」
 「…とりあえず、事情を説明した方が良いのでは?」
 「そ、そうですね…」
  かくかくしかじか… 
 「四角いムーヴという事でして。」
 「つまり…使い魔を召喚の儀式でゼタを呼び出しちゃって、でもゼタは帰っちゃって代わりにあたしが使い魔としてよこされたって事?」 
 コルベールから大体の事を聞いた黒髪の少女は、簡単に今の状況をまとめた。
 「まぁ使い魔には彼がなったのですけどね。」
 「あ、どーも…。」  
 才人はおどおどと少女に挨拶する。実際才人もまだ詳しく状況を把握できていないので多少混乱気味だ。
 「じゃあ…私が来た意味って何?」
 「・・・・」
 気まずい沈黙が場を支配する。
 「私…どうなるの?」
 「どうなるって…言われてもねぇ?」
 「アンタもあの本みたいに帰れないの?」
 「普通の人間の私にそんな事できるわけ無いでしょ!?」
 ルイズは、「何だ平民か」と少女を見下したような態度でぼやいた。すると少女は凄い勢いでこう訂正した!
 「平民じゃないもん!私はアサギ!主人公(笑)だし!」
 「・・・・」
 コルベールが「はぁ、」と相槌を打つ。もしかしたらこの子は頭の痛い子なのかもしれない。コルベールの長年の経験がそんな事を思わせていた。
 「ねぇ、私どうすれば良いの?あぁ…元の世界に帰りたいー…。」
 元の世界、という単語がどういう事か気に掛かったが、何がどうあれ関係ない平民を学院に置いておくわけにもいかない。
 「君には悪いが… この先は君自信の力で何とか…。」
 「そんな!私はこの世界の事何も知らないのよ!この先どうするか決まるまで当面面倒見てもらう位してもらわないと!元はと言えばゼタを召喚したあの娘に原因があるじゃない!
こんな訳のわからない場所に連れてこられたんだもの!養ってよ!田舎モンなめてっど痛い目みるだよっ!」 
 「なっ…何よその言い草!平民のくせにー…そもそもアンタどっから来たのよ!」 
 「日本一(ソフトウェア)からに決まってるでしょ?」 
 「どこよニホンイチって!そんな地名の国何処にも無いわよ!」 
 「私が売込みしてる会社よ!自分でも何いってるかわからないけど、とにかく自分の世界に…は、当分戻れそうにないし…だから…もうとにかく暫く養えー!」
 「誰がアンタなんか!」
 「いやしかしミス・ヴァリエール。彼女の言う事にも一理あります。どうでしょう、ここは彼女をミス・ヴァリエールの専属使用人と言う事にしてみては?」
 「専属…?」
671ゼロの使い魔[暑中見舞い始めました]:2009/08/05(水) 16:24:23 ID:OZK8g16n
「そうです。とりあえず、彼女は此処が何処だか分からない田舎の方の方の用ですし、帰る手段が見つかるまで、当面はそのような形で学院に置くと言うのは…どうだろうか?」
 何だか腑に落ちない所もあったが、専属使用人というのも響きが良い。人手が多いに越したことはないし…と、ルイズはあまり深く考えず…
 「しょ、しょーがないわね!特別によ!特別に!」
 二つ返事でオーケーした。
 「あ…ありがとう!ありがとうみんな!ありがとう人類!」
 おいおい人類に感謝する前にまずは私に、ルイズ様に感謝しなさいよとルイズは思った。
 「とにかく、これで事は丸く収まりそうかな?」
 「あ、あなたもありがとう。あなた髪はないけど愛はあるんですね!」
 コルベールは胃がキリキリと痛むのがわかった。がんばれーまけんなーちからのーかぎりいきてやれーってそんなどこかで聞いた台詞をかけたくなる位コルベールは凹んでいたそうな。
 (俺超空気…)
 出れるだけマシという話。
「それじゃ、行くわよ二人とも。」
 下僕が二人も手に入って少し上機嫌なルイズ。そんな彼女の後にだらだら続く才人と少女。
 (何だか面倒な事に巻き込まれたなぁー…魔法の世界…なんだよなぁー…) 
 「異世界…か。」 
 「あなたも違う世界から来たの?」 
 「え?」 
 黒髪の少女が才人にそんな事を言った。この子は何を言ってるのかわかっているのだろうかと才人は思った。
 「…自己紹介…しない?」
 「あ?あぁうん…」
 「私はアサギ。私も違う世界から来たの。」
  これが、主人公才人と主人公(笑)アサギとの出会いであったそうなー…

672ゼロの使い魔[暑中見舞い始めました]:2009/08/05(水) 16:26:34 ID:OZK8g16n
 ◇◆次回予告◆◇
エトナ「ひょんな事から異世界へと飛ばされてしまったアサギ!」
アサギ「ゼタしね!やぶれろ!」
エトナ「そこで出会った同じく異世界からやってきたと言う人間『才人』!彼は敵か!?味方か!?」
才人「そんなことより君かわいいね。つんつんしちゃうぞ。」
エトナ「それで何だかんだでエトナ様が大活躍してジエンド!次回作にご期待くださーい!」
ルイズ「勝手に終わらすんじゃないわよっ!」
エトナ「そして殿下の出番はあるのか!?無いのか!?」
ラハール「勿論出るだろう!魔王だぞ?ハァ〜ッハッハッハァッ!」
エトナ「次回、魔界美少女伝説エトナ!『N.Iソフトウェアは焼き増しと有料DLですこすこ稼いでるのに何故赤字なのか?』の巻。あなたのハートに〜…トキメキビーム!」
一同「タイトル変えんな!!」

シエスタ「えっと…次回のお話の本当のタイトルは『ハルケの中心で主役をさけんだアサギ』です。みなさん、ご期待くださいね?」
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 16:31:25 ID:OZK8g16n
いじょう、日本一ソフトウェアのえいえんのしかいさくしゅじんこうの
朝霧アサギたんしょうかんでした。じかい予告あったけどどうしようかまよっている
いきおいでやってしまった。こうかいはしてない。はんせいはしている。
アチャ子がかわいすぎていきるのがつらい。
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 16:34:29 ID:ws9Sb4DN
ゼタビーム!
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 16:39:45 ID:OZK8g16n
ぼくは わるいあらしじゃ ないよ
アサギてなんだよポカーンな人用↓

朝霧アサギ
好きなもの:主役
嫌いなもの:のうのうと主役を張ってる人間
いつまでも発売しないゲームソフト

朝霧アサギの軌跡
【魔界ウォーズ製作決定】
と共に華麗に暑中見舞い。アサギ全盛期。

【ファントム・キングダム】
ゲーム初出。ゼタの世界に迷い込み、ゼタに戦いを挑まれる。弱いので光の早さで敗北。負けたかわりにゼタの弟子となり、一人前になるまでゼタの世界から出られない呪いをかけられる。ついでに魔界ウォーズの発売も阻止される。
性格はクールな女性。能登ボイスアサギ。

【魔界戦記ディスガイア2】
ファントム・キングダムの世界に迷い込んだディスガイア2主人公アデルとロザリンドに出会い、自分は一人前にならないとこの世界から出られない事を打ち明ける。アデルに戦いを挑み一人前になったことを証明しようとするが、弱いのでやっぱり瞬殺。
なんかロリになってる。声が植田佳奈になる。

【ソウルクレイドル】
一人前になったアサギ、ゼタを好き勝手に使い、アサギ親衛隊を伴いつつソウルクレイドルの世界に喧嘩を売る。初回プレイでは倒すのが無理に近いボスのフィーヌを瞬殺し、
ソウルクレイドルの世界をぶっ壊したためストーリーが進行不可になる。やりたい放題。声がやっぱり変わる。

【魔界戦記ディスガイア3】
自分のゲームを求めてさ迷う。かなりやつれている。マオ一行に倒されると、自分のゲームは超魔王に盗まれたんだと矛先が変わる。実際、超魔王は関与していない。
中の人はベッキーだよー(ベリル/ダネット/ジェニファーの斉藤千和)※超魔王戦時には水橋祭りが開幕。水橋が同時に何人存在したのか。ここら辺から他作品との境界が無いも同然に。トロが可愛い。

【ブリニー〜オレがry】
主人公の前にラスボス(裏)をつとめるという悲しき事態に。ついにはプリニーに喧嘩を売る。スイーツハンターらしい。
行く先々で邪魔をするも上手くいかず、ラストでは『アサギ・メタモルフォーゼ』と共に全てを犠牲にした姿『プリティープリニー』に変身するが、スーツが爆発して結局負ける。
アイドルも目指しだす。訛りのある田舎者キャラに。主人公(笑)が公式になる。声優は日本一クイーン水橋かおり。サントラのアサギのパケ絵可愛すぎあいしてる。

【魔界戦記ディスガイア2ポータブル】
アクターレ編にて映画の主役(笑)になって登場。かなり自信過剰な女王様キャラな性格になる。魔界ウォーズの主役の筈がアクターレに偽物と決めつけられやっぱりフルボッコにされる。声は引き続き水橋かおり。この作品も好き勝手しすぎ。

いじょうがアサギたんのれきしなの。アサギとけんさくしたら対魔忍がいちばんうえにでてくるけどがんばれアサギたん!



・・・なんか色々ごめんなさい。
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 16:50:59 ID:4lBm8zgn
>>675
声が安定しない主人公(仮)だっけ?w
世の中には主人公(笑)って呼ばれてる奴もいるけど、果たしてどっちが幸せなんd「ハイパーボッ!!」
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 16:51:42 ID:ws9Sb4DN
さすがの俺も、プリニーと2Pは持ってなかった。

本当に発売されないゲームの主人公は地獄だぜフゥハハー
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 17:21:31 ID:eyL2Yxwx
アーサーギー!
アーサーギー!
アーサーギー!

主人公の座を奪い取るまでがんばって!
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 17:32:35 ID:8BK/cbhb
>>675
>アサギでけんさく
最近は新撰組の漫画も出てくるな。
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 18:38:26 ID:mJ/09wzY
日本一ソフトウェアといえば羅刹だろ?
681名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 18:39:18 ID:IO6xDXjM
クッキングファイター
682名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 19:24:54 ID:w0EwGkI6
アサギといえば、どっかのガン●ムモドキのアニメで
監督脚本家が戦争の雰囲気作りのためというかムード作りのためだけに
ノリで殺したトリオの一人がそんな名前だった気がする
メガネだったか金髪だったかのどっちかだと思う

大惨事α久しぶりにやったから思い出しかけたけど、間違ってるかもしんない
まぁ召喚するほどのキャラじゃねーな
脇役に名前が付いたようなキャラだったし
683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 19:28:30 ID:N6O+o0Wn
あー、アサギ・コードウェルだっけ? サルファで精神要員に使ってたから覚えてる。
しかしアサギ、ディスガイア2までしか知らなかったがこうなってたとは。
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 19:36:33 ID:w0EwGkI6
>>アサギ・コードウェル
そうそう、その反逆とか反攻とかナイトメアとか付きそうな名前
メガネだったかな

でもどっちかつーと俺も日本一より対魔のほうが真っ先に(ry

夏だしホラー物から何か召喚されないかなぁ、と思いつつ
まとめから消えてしまったらしいゼロのバースデイを誰か保管してらっしゃらないでしょうか
結構怖いと聞いて興味があるのですが
685名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 19:58:03 ID:ZrGsPSGL
浅葱といえば、空色勾玉の狭也と前世の狭由良姫の好きな色や似合う色が浅葱色だったなぁ。

というわけで勾玉三部作から勾玉を召喚
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:01:21 ID:YHytERZA
アサギと言えば対魔忍・・・はダメか
ダメだよな
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:10:19 ID:JeRuYR13
>>686
アニメ5期の監督はむらかみてるあきに決定
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:22:49 ID:3MnnO87g
>>685 懐かしIIIIIIIIIIIIIIIII
というか勾玉は虚無の血に反応しそうな気がする。
ルイズが幽ならテファは明か顕、ジョゼフが暗でヴィットーリオが嬰、ジョゼットが生か顕あたりか。

いっそ作者つながりでサイトと一緒にフィリエルも召喚。
サイトとギーシュが馬に同乗する場面で学院女子が総腐女子化。黒髪と金髪繋がりで。
まあ中の人も女性人気高い品。


児童文学なら上橋菜穂子の守り人シリーズからバルサを召喚したいかも。
ガンダールヴの武器は槍と剣だからデルフも一応出せる。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:24:09 ID:wrOHcd4+
若本が出てくるエロアニメか・・・
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:36:37 ID:8BK/cbhb
>>686
元がエロゲでも18禁展開にしなければok。
うたわれるもののハクオロさんも喚ばれたけど完結してるし。
そんな私は大番長の豪くんを喚びたいが文章構成すら一苦労している身なので
投稿するのは暫く後の話になるかと。

>>689
つよきす デモンベイン どっちも原作:エロゲなだけの健全アニメだけど。
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:37:58 ID:PfQRAIYe
>>658
結局多重クロスやったのか……
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:45:30 ID:8BK/cbhb
>>691
外伝で出したって事は外伝だけの活躍にする予定なんじゃないのか?
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:50:20 ID:a7iRfokT
>>690
デモベのアニメ……?

ああ、機神咆吼についてたOVAか
694名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:52:37 ID:JeRuYR13
>>689
麦人もな!!

そしてその監督次回作には子安まで出演しているという………
695名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 20:56:40 ID:vSOrl3JD
おお、ファントム・キングダム、ファントム・キングダムじゃないか!
1周目第三話ステージ4をクリアした所で止まってるファントム・キングダムだ!

…いや、序盤の稼ぎどころだといわれて延々と第三話ステージ4をプレイしてたんだが
どれくらいLv上げたらいいのかがわからなくて止まっちゃったんだよなぁ
696名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 21:17:41 ID:InDliS8n
宇宙の帝王乙!
圧倒的というものを見せてもらったww
月が二つあったら片方は壊してみたくなりますねww
697名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 21:18:00 ID:Jt07dJy/
しんちゃんをアンリエッタ様が召喚。お忍びでルイズ達とアルビオン潜入行。
風雲ニューカッスル城攻防戦をリアルに描く実写版映画とかどうだろう?
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 21:19:39 ID:mzhpyP7r
サイト「あ、これゼミでやった問題だ」
699名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 21:23:54 ID:GVuAaSPF
>>689
ニニンがシノブ伝のこと?
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 21:29:57 ID:gN7PCcPz
そういや平蔵ちゃんって若本的には弱い方でチェリーなんだよな?
小ネタならおもしろくなりそうだな
701名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 21:40:21 ID:dNLc1ffS
平蔵ってきいても長谷川平蔵しか思い浮かばない
702名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 21:43:13 ID:4QrNtO9s
ウッソ君の大発明!
インテリジェンスソードを10本束にすればあるいは
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 22:03:36 ID:2rTSmXz5
>>681
マルトーと「いざ、クッキングバトル!」とか
ルイズが見たところ料理人のようだけど・・・とか言うんだな。
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 22:04:06 ID:5RsIO8Hj
>>702

それ何てクロスボーンガンダム?
…普通にカッタートルネードとか撃てそうww
705名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 22:08:41 ID:WKLjpt3/
>>687
ルイズが爆乳改造されたあげく、オーク鬼のケフィアまみれにされるんですね、わかります。
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 22:12:31 ID:GVuAaSPF
>>705
おっきいなんてルイズじゃない!!
万死に値する!!
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 22:16:46 ID:eLj/nN+K
亀だけど、人修羅の人お帰りなさい!!
ここで一番好きな作品だから続きが読めて凄い嬉しい。
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 22:48:33 ID:e+mfs5wT
「作者さんに応援のメッセージを送りたいけど、亀だから伝わるか心配」
そんな亀さんたちに朗報だ! なんと避難所には作者さんを応援するスレというものがある。
その名もズバリ、『全力でSS職人を応援するスレ』だ。
このスレに書き込めば作者さんのやる気は勿論のこと、反応を貰えることがあるので亀さんも一安心というわけさ!
本スレと比べれば流れも緩やかで言うこと無しだね! さぁ君も今すぐアクセス!

作者さんがスレの存在を知らないと無意味なのは秘密だ。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/05(水) 22:52:57 ID:4lBm8zgn
>>702
ミョズニトニルン「わはははは、聞きてーか!こいつがガンダムフォーミュラー91どわあああああああ!超スーパーすげぇどすばい…」

記すことすら憚られる使い魔「ちっしょうがねぇな。ええい!このスイッチだ!!」
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 00:00:07 ID:OJ3RVfY7
ここでGの影忍のターンですね、わかります。

いや、普通に名作なんだよ。迷作としかいいようのない>>709>>702のとは違って
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 00:01:58 ID:ZJQN6fse
いや、残念ながらタイラント・ソードのターンだ。
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 00:06:03 ID:WVocOzDJ
>>705
マジッすかぁマダム
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 00:28:17 ID:+BPyB7EM
>>711
だがそこでAOZ
知名度がアレ過ぎるのと整備なんかに問題が残り過ぎるか……
714アノンの法則:2009/08/06(木) 00:42:45 ID:+kjdqsR4
お久しぶりです
就活が忙しかったのと、リリーのアトリエが面白かったのとで
手直しが全く進みませんでした

予定が無いようなら投下します
715アノンの法則:2009/08/06(木) 00:43:54 ID:+kjdqsR4
「なんであんなことをしたの?」
その夜、ルイズは部屋の床にアノンを座らせ、昼間の決闘騒ぎについて、問い正していた。
整った顔に、険しい表情を浮かべている。
「なんでって…」
アノンは頭を掻いた。
「彼は、あの香水の壜が愛の証だって言ってたから。それを壊せば本当に死んじゃうのか、試したんだよ」
ルイズは、信じられない思いで、自分の使い魔を見つめた。
「……それだけのために? たったそれだけのために、ギーシュの香水の壜を壊したの? 本当にギーシュが死んだら、どうするつもりだったのよ!?」
「どうして、死んじゃいけないの?」
怒りを露わにするルイズに、アノンはきょとんとした顔で尋ねた。
「自分以外の命なんて、どうなったっていいじゃない。キミって不思議なコト言うんだね」
反省どころか、自分が悪いとさえ思っていないアノンに、ルイズは怒鳴り声を上げた。
「あんた…自分のコトしか頭に無いの!? 他人はどうなってもいいって言うの!?」
「当然だろ? 一番大切なのは自分だけだよ。生物として当たり前のコトじゃないか」
その目には、一点の曇りもない。
こいつは本当に、心の底からそう思っている。ルイズはうすら寒いものを感じた。
確かに、貴族の中にも平民を虫けらのように扱う者もいる。
それこそ、その命さえ『どうなったっていい』と。
だがどんな傲慢な貴族でも、家族や友人が死ねば悲しむし、涙だって流す。
なのに、この使い魔は自分以外は『どうなったっていい』と言い切った。
自分以外の全てを、虫けらのように見ているのだ。
このままでは、また今回のような騒ぎを起すだろう。
そして、今度こそ死人が出るかもしれない。
自分が、こいつを抑えるしかない。
貴族として、男としてのプライドをボロボロにされ、うなだれ去っていくギーシュの背中を思い出す。
「今後、一切の勝手な行動を禁じるわ。また今回みたいな騒ぎを起したら、許さないわよ」
黙ってこちらを見つめ返すアノンに、ルイズは強く言い放った。
「忘れないで。あんたはわたしの使い魔なんだからね!」
716アノンの法則:2009/08/06(木) 00:45:26 ID:+kjdqsR4
アノンが、ルイズの使い魔として生活を始めてから、十日が経つ。
ギーシュとの決闘騒ぎからこっち、アノンを軽く見る生徒は、ほとんどいなくなっていた。
実はエルフで先住魔法を使ったのではないか、などと噂されているし、その噂を信じない者からも、貴族に楯突く生意気な平民として密かに敵意を向けられていた。
それとは対照的に、学院で働く平民達の間でのアノンの評判は、かなり好意的なものだった。
やはり、いけ好かない貴族を決闘で負かしたというのは、彼らにとって、相当胸のすくものだったらしい。
ギーシュとの決闘以降、アノンは平民達の間で、英雄のような扱いを受けていた。
それにより、アノンの食糧事情も解決している。
今日も、アノンは床に用意された相変わらずの粗食を早々に平らげ、ルイズに外で待っていると告げて、厨房に赴く。
そうするとコック達の歓迎と共に、豪華な食事が用意されるのだ。
「おお、来たなアノン! 今日のシチューは特別だ!」
そう言って、コック長のマルトーはいつもより豪華なシチューをアノンの前に置いた。
アノンはシチューをほお張る。
「うん、おいしい。あのスープとは大違いだ」
「そりゃそうだ。そのシチューは、貴族連中に出してるものと、同じもんだからな。……しかし、お前さんも大変だな」
うまそうにシチューをかき込むアノンを満足気に見た後、マルトーは心底気の毒そうに言った。
「メイジを倒すほどだって言うのに、あの貴族の小娘のせいで、ずいぶん不自由してるだろう」
決闘以降、ルイズはアノンに対して、かなり神経質になっていた。
まず、夕食以降の外出の禁止と、どこへ行くにも必ずルイズに行き先を告げることが言い渡された。
洗濯に行くときも、水を汲みにいくときも、ルイズから離れるときは必ず、だ。
他の使い魔のように感覚を共有できないため、そうやって常にどこで何をしているのか、把握しようというのだ。
アノンも今のところ言うことを聞いているのだが、それでも、たまにルイズが自分の後をつけていることに気づいている。
気をつけていなければ、そのうち厨房で食事を恵んでもらっていることがばれるかもしれない。
「まあ、使い魔だしね」
大して気にしている風でもないアノンに、マルトーは興奮したようにアノンの肩を掴む。
「お前はメイジのゴーレムを倒したんだ! すげぇ事だぞこれは! 一体どうやったらあんなに強くなれるのか、俺にも教えてくれよ」
「嫌だなぁ、ボクはそんなにスゴクもないし、強くもないよ」
「お前たち! 聞いたか!」
マルトーは厨房のコック達に叫んだ。
「本当の達人というのは、こういうものだ! 決して己の腕前を誇ったりしないものだ! 見習えよ! 達人は誇らない!」
「達人は誇らない!」
嬉しそうに唱和するマルトーやコック達に、アノンはまたむず痒い思いをするのだった。
そんなアノンの生活は、いくらかの不自由はあるものの、概ね問題はない。
だが、少々気になることもあった。
それは、シエスタのことだ。
学院の使用人たちが、皆アノンを褒め称えるなかで、彼女の態度だけが違っていた。
言葉を交わそうとせず、目が合うと視線を反らし、怯えたように立ち去ってしまう。
シエスタは、厨房で働く者たちの中でただ一人、決闘の原因から結末までを、その目で見ていた。
悪魔が、ひとの大切なものを踏みにじり、圧倒的な力で叩き伏せる、その一部始終を。
明らかに自分を避けるシエスタに、またひとつ、別の奇妙な感覚を覚えるアノンだった。
717アノンの法則:2009/08/06(木) 00:46:33 ID:+kjdqsR4
「アノン、街へ行くわよ」
「街?」
今日は虚無の曜日。つまり休日である。
全寮制のこの学院の生徒達は、基本的に学院の外に出ない。
だが、この虚無の曜日には馬で三時間ほどの距離にある、城下町まで買い物に出かける生徒が多かった。
学院にも週に何度か商人が訪れ、いくらかの品を売っていくのだが、それだけでは補い切れないものもある。
それが年ごろの女の子なら、なおさらである。
ルイズもいくつかの必需品が切れたため、街に買い物に行く必要が出てきた。
だがここで問題が。
果たして、アノンを街に連れて行ってもいいものだろうか。
ルイズは迷いに迷ったが、アノンを学院に一人残して置くほうが危険と考え、結局連れて行くことにしたのだった。
少しでも勝手な真似をするようならば、即座に首輪をつけるつもりで、猛獣用の首輪とリードを用意して。
馬を二頭借りて、学院を出発する。
そんな二人を、部屋の窓から見つめる人物が一人。
「あの二人、出かけるの? ルイズったら、ここのところずっと彼にべったりなのよねー」
そう呟いたのは、ルイズの宿敵、キュルケ・フォン・ツェルプストーだった。
実はキュルケ、ヴェストリの広場での決闘騒ぎ以来、アノンを誘う機会を虎視眈々と狙っていた。
自分は直接決闘を見ていたわけではないが、メイジを倒した平民。
なんとも興味を引かれる存在ではないか。
それがあのヴァリエールの使い魔だというのなら、なおさら『微熱』が燃え上がろうというものだ。
――だが。
ここ最近、ルイズはアノンをかなり拘束しているようだ。
夜はほとんど部屋から出さないし、昼間も行き先をいちいち報告させているようで隙が無い。
一人になったところを狙おうとしても、物陰からルイズがこっそり覗いていたりするのだ。
少し考えて、キュルケは部屋を飛び出し、親友の部屋へと向かった。
718アノンの法則:2009/08/06(木) 00:47:34 ID:+kjdqsR4
ここはトリステイン城下町、ブルドンネ街。
トリステインで一番の大通りは、虚無の曜日と言うこともあって、人でごった返していた。
「いい? アノン。勝手に離れたりしたら、ホントに首輪つけるわよ?」
人ごみの中を歩きながら、ルイズが後ろのアノンに、厳しく言いつける。
「しっかり私の後についてきなさいよ。余所見もしちゃだめ。私の背中だけ見てなさい。それから……」
全て街に来るまでの道中で、散々聞かせたことなのだが、ルイズの小言はまだまだ続く。
「……わかった? 首輪がいやなら、くれぐれもおとなしく……あれ?」
振り返ると、後ろを歩いていたはずのアノンが、いつの間にかいなくなっていた。
「ま、まさかいきなりはぐれたって言うの…?」
慌ててあたりを見回すルイズ。だが、アノンの姿は見当たらなかった。
いきなり立ち止まったルイズを迷惑そうにしながら、たくさんの人が通り過ぎていく。
「あ、あのバカ!」
ルイズは人の流れに逆らい、急いで来た道を戻り始めた。
719アノンの法則:2009/08/06(木) 00:49:19 ID:+kjdqsR4
街に着いて早々、アノンはルイズをまいた。
なにせ一緒にいると、露店を見物することすらできないのだ。
人ごみのせいではぐれたとでも言えばいいだろう、などと考えながら、アノンは人でごった返す通りを歩いていく。
道端の露店が珍しく、つい足を止める。
だが、そこに並べられた珍しい品々を買うことはできない。
アノンは無一文なのだった。
こちらに来てから、買い物をする機会など無かったから気にしていなかったが、身一つで召喚されたため、持ち物といえば、ルイズから与えられた服があるだけ。
ルイズがアノンに財布を預けたりするはずもなく、自分だけでは小物ひとつ買えないのだった。
「見るだけって思ってたけど、こう珍しいものが揃ってるといろいろと欲しくなってくるなあ」
そんな時、人ごみの中にこちらに向かって歩いてくる、中年の男が目に付いた。
不機嫌そうなその男は、肥えた体にマントを身につけており、身なりからして裕福な貴族の様だ。
眉をしかめて、よたよたと歩いている。いかにも人ごみに慣れていない、と言った感じだ。
察するに、気まぐれで街に出ては見たものの連れの者とはぐれてしまった、と言ったところか。
すれ違う時に、アノンとその男の肩がぶつかった。
「気をつけろ!」
「すいません、貴族サマ」
アノンは軽く頭を下げたが、そんなぞんざいな謝罪では、男の怒りは収まらないらしく、
「貴様、無礼だぞ! 平民の分際で!」
憤慨した貴族の男は杖を抜いた。道行く人が何事かと足を止める。
アノンも、まさかこんな所で魔法を使うのか、と身構えた。
「モット伯様。こちらです!」
その時、従者らしい若い男が人ごみを掻き分け、声を上げながら駆けてきた。
そこで男は、自分が周りの注目を集めてしまっていることに気づき、不愉快そうに杖を戻した。
「なんだ! 見世物ではないぞ!」
怒る貴族に、立ち止まっていた者達はそそくさと去っていく。
男は八つ当たり気味に従者を怒鳴り、最後に忌々しげにアノンを睨みつけて、去っていった。
「貴族ってどこでも似たようなもんなんだな」
そう呟いて、アノンはさっきまで男の懐にあった立派な財布を、ぽんぽんと手の中で弄んだ。
720アノンの法則:2009/08/06(木) 00:50:03 ID:+kjdqsR4
以上です


ではまた
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 01:35:45 ID:DUMuQRcn
おつつ
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 01:56:17 ID:6bW6ucr6
おつんでれ
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 02:34:01 ID:K38WoCj4
鋼の人乙。
人であり、人でないシェフィさん大活躍ですね〜

>>691
鋼の人があえて進んだ多重クロスの苦行道。
上手い絡みを期待しようじゃないか。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 02:35:42 ID:onfCa+4h
ところでいつまで外伝やるの?
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 02:44:38 ID:K38WoCj4
>>724
>>658の最後の行を読むこと。
726小ネタ:2009/08/06(木) 02:49:21 ID:/5sBFHyI
ゴーストライダーのひとりが老いたカウボーイの名を呼んだ
「お前の魂を地獄から救いたければ悔い改めろ。さもなければ俺たちと一緒に来い。
そしてあの悪魔の雄牛の群れを追いかけ、果てしなき大空を永遠に翔るのだ」

                      『Ghost Riders in the Sky』

ギーシュは四辻の真ん中に突っ立っていた。何をするわけでもない。ただ、突っ立っていた。
クロスロードの伝説──満月の晩に四辻に立ち、悪魔が来るのを待つ。かれこれもう半刻は過ぎたか。
いくら夜とはいえ、夏も近いというのに酷い寒気がする。寒さに身を縮めらせ、ギーシュは手首をこすった。
「ギーシュ・グラモンだね」
後ろから声をかけられ、ギーシュは振り向いた。振り向いた先には男がひとり立っていた。
黒狼の皮に金無垢のボタンをあしらった見事な外套を羽織った長身の見知らぬ男だ。
顔に刻まれた皺から推測すればすでに初老か。不思議な雰囲気を纏った男だ。
特に印象的なのは水晶の髑髏をつけたその銀の杖だ。これほど見事な杖は中々お目にかかれない。
「失礼ですがあなたは?」
怪訝そうにギーシュが男に問いかける。男はにこやかに優しい口調で質問に答えた。
「これは自己紹介が遅れてしまった。私の名前はメフィスト。君の望みを叶えにきた悪魔さ。君は力が欲しいんだろう
道化師のままは嫌だ。家族から出来の悪い末弟のミソッカス扱いされるのはもう願い下げにしたい、兄達への劣等感を克服したい」
杖をもてあそびながら、メフィストと名乗った男がギーシュの横顔を覗き込む。
メフィストの問いかけにギーシュは内心を見透かされた者特有の居心地を覚えた。
そして、悪魔。今この男は自らを悪魔と名乗った。構わずにメフィストが話を続ける。
「私は君に力を貸してあげたいんだよ、ギーシュ。私は君のような若者が大好きなんだ」
ギーシュの肩に手を置き、メフィストは懐から羊皮紙を取り出してギーシュの鼻面に置いた。
「もっともこれは取引だ。無償で君に力を与えるわけにはいかない。そこで君にこの契約書にサインをしてもらいたいんだ
君の魂を私にくれないか、ギーシュ」
「本当にあなたが僕に力をくれるなら、この魂を譲ってもかまいませんよ」
「ふふ、悪いようにはしないさ。想像もつかないような強大な力を君に与えようじゃないか」
雷鳴が轟いた。鼓膜をつんざく大音響がギーシュの脳天を打つ。己の魂と引き換えに素晴らしい力を手に入れる。
それは中々魅力的な取引に思えた。少なくとも悪い取引ではない。ギーシュはメフィストの申し出を受け入れた。
「いいでしょう。契約をしましょう」
「ではここにサインを」
見慣れぬ文字が羅列された羊皮紙を広げ、ギーシュが親指の表面をナイフで切り、血で拇印を押した。
「契約成立だ。お互いに良い取引だったな、ギーシュ。これで君は私のものだ」
ギーシュは永遠の呪いを受けた。自らの手によって、ゴーストライダーとなったのだ。


マーベルコミックの『ゴーストライダー』でした。
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 03:19:19 ID:JMr7roSU
>>723
多重クロスにこだわってた様だし、なんか考えてるギミックがあるんだろうね

というかありそうでなかったよねあの人の召還
人気はあると思うんだがな、俺の嫁だし
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 03:24:37 ID:BmpDIXkA
口調は話す相手によってころっとかわるわ性格もルートによって変わるわで恐ろしくやりにくそう
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 04:10:13 ID:2ekCRo/U
>>702
ウッソ「ワルド!周りを見てみろ!インテリジェンソードに精神力を流して作った
    プラズマバリアーだ!この中にルイズの失敗魔法を撃ち込めばどうなるか!
    さらばだ!ワルド!貴様は電子レンジに入れられたダイナマイトだ!
    失敗魔法の閉鎖空間の中で分解されるがいい!」

発明したあとワルド戦で悪役のように容赦無く使って倒すんですね、分かります
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 04:12:14 ID:auXE+sPS
ワルドの最期に頭をよぎったのは"電子レンジとダイナマイトって何だろう?"という素朴な疑問だった…
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 04:12:36 ID:2ekCRo/U
>>729
インテリジェンソードってなんだよ、インテリジェンスソードだよ…onz
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 06:46:20 ID:LabfH+QI
アノンの人乙

就活がんばれー!
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 10:52:02 ID:P+4UPtJg
コスプレイヤー、マニア、おたく、占い師 募集!
ライブチャット「マニアカデミー」
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 11:29:45 ID:B6yqiAgs
>>733
コスプレイヤーとか占い師とか・・・
東せっちゃんの事を言うとるのかキミは
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 11:52:43 ID:l1TMhBLb
給食のときも あの格好だったしなぁ
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 12:53:05 ID:y5DZvR0L
デデデ召喚
武器はもちろんハンマー
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 13:10:13 ID:jlZNETIW
アノンの人乙

毎回楽しく読ませてもらってるぜ
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 13:32:34 ID:LabfH+QI
>>736
ワドルディになら抱かれてもいい
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 13:53:19 ID:UwJDQ1wV
野比のび太を召喚

剣より銃の方が良いと思うが夢幻三剣士の経験でどうにか使えそう
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 14:10:02 ID:y5DZvR0L
剣は防御用だからね。デルフのアドバイスかサポートで何とかなるでしょ
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 14:24:17 ID:BSo5iMI6
デルフ三刀流
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 14:31:09 ID:B6yqiAgs
のび太召喚か…
F先生マニアの人が真剣に長編で書いてくれたらベイダー級の名作に化ける予感がするよ
最後の方でやっとドラえもんがのび太を迎えに来るんだけど、
里心がついて帰りたくないみたいな事言ったりして。
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 14:34:37 ID:rXfqCVh8
鍛冶屋に打ち直されるデルフ
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 14:39:41 ID:y5DZvR0L
デルフ「いやぁ、死ぬかと思ったよ相棒」
才人「死んでたんだよ!!!!」
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 15:36:33 ID:/P0vXPRY
コルベールの例があるから、今さら誰が生き返ってきても別に驚かん。
デルフもそのうち【デルフ復活!】とか銘打ってV2とかにパワーアップして帰ってくるさ。
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 15:37:36 ID:B3R5d/F0
喋る機能は外しました
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 15:39:03 ID:e/lo0hRi
デルフ「トランスフォーム!」
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 15:39:45 ID:qLzv175s
仮面ライダークウガの先代クウガのように、実はデルフの『中の人』が何処かに存在して封印されたままでいるとか。
そしてその人を見つけ出してもう一度デルフを作り出し――って、剣の部分を作れる人が居ないか。
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 15:48:18 ID:y5DZvR0L
エルフに頼むっきゃねーな
750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 15:49:39 ID:u2WL08ZR
エルフがゲーム会社のことだと思ってしまった俺はもうだめかもしれん
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 16:03:33 ID:UCc56p1/
実はデルフの中の人はマスターガンダールブで聖地の封印を解くと
サイトはアルティメットガンダールブに進化するんだよ
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 16:22:54 ID:rdS+ryNu
>>747ああ、たしかにディセプティコン・ゼロでの君は他に類を見ないほどに活躍してたね
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 16:23:38 ID:rXfqCVh8
三方を海に囲まれ、外界との接触を絶つように存在する某世界に属するハルケギニアは、数々の魔法的な話や独特の宗教があるが、それらを除けばごく普通の片田舎の世界である。
1976年8月2日。大規模なコントラクトサーバントが発生し、ハルケギニアに甚大な被害を及ぼした。
災害から6000年後、2003年。ハルケギニアに伝わる都市伝説を確かめるべく異界からやってきた高校生や自らの魅力を裏付けるためにトリステインを調査しにきた女学生、左遷されてやってきたガリア騎士などが魔法学院を訪れる。
8月3日午前0時、赤い海からサイレンが鳴り響いた。不死の存在・屍人との戦いの中、恐るべき事実が明らかになる。これは、全ての人が人である為に生還を願う人々の物語である。

どうあがいても、貧乳

SIREN世界に引き込むならこんな感じか
754アノンの法則:2009/08/06(木) 17:21:44 ID:+kjdqsR4
>>753
やっべ超読みたい
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 17:22:27 ID:auXE+sPS
もうSDKを召喚してうりえんで全てを焼き払ってみればいいと思う
ジョゼフ側は堕辰子を先に召喚して
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 17:27:18 ID:VcAunbWv
マイクロフト召喚
弟に「活動的でさえあれば私より優れた探偵になれただろう」と評されるほどの男。
ただ・・・・・・・・・それをどうやってゼロ魔と関わらせよう・・・・・・
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 17:41:30 ID:A8VYSUn+
ビル・ゲイツ召喚に見えて確かに話には絡めにくいなーと納得しかけたのは俺だけでいい
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 17:43:05 ID:lMsOO3ul
サー・ウルリック・フォン・リキテンシュタインを召喚
そしてギーシュとの決闘時に、どこからともなく現れる素っ裸の紋章官
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 17:44:07 ID:lMsOO3ul
>>755
スーパードンキーコング?
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 17:49:19 ID:auXE+sPS
>>759
SIREN1の主人公
SDKは主人公のHNで須田恭也の略
色々あって不死身で世界を移動して屍人を狩り続けるようになった
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 17:59:33 ID:dkw2r8Ma
スーパードクターKを召喚と聞いて
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 18:10:52 ID:rXfqCVh8
>>759 当然と言えば当然なのにそう訳したのを初めて見たw
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 18:24:12 ID:a8socelM
トリコ召喚…と思ったがハルケギニアに旨そうな怪獣って居たっけ?
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 18:27:46 ID:C6y/urop
>>763
他の使い魔を食うんだろ、きっと。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 18:28:37 ID:jk5AJmhc
東の方に生息する未知のなんたらって設定にすればいくらでも作り放題
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 18:30:45 ID:h3Nc7/sH
トリコって最低必要摂取カロリーがものすごいんじゃなかったっけ?
しかも一定レベル以上の味でないと摂取できないという面倒な体質だったような。

そこら辺に旨いモノが生えているというあの世界でないと餓死するんじゃないかな。。
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 18:32:50 ID:siLL0n3Q
>761
スーパードクターKADA?

特殊能力:味方に掛けられた妨害系を解除し武力を上昇させます
魅・勇
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 18:39:35 ID:9cFgrnsA
>>757
悪いな、俺もだ。

>>766
小松ポジにマルトーの旦那が収まってなんとか……
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 18:41:18 ID:lMsOO3ul
> 一定レベル以上の味でないと摂取できない
こんな設定あったのか、知らんかったw
ちなみにどこらへんで出た?
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:02:44 ID:UwJDQ1wV
ボンボン版餓狼伝説からテリー召喚
わたしはゆるしませんよーっ!
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:08:16 ID:h3Nc7/sH
>>769
うろ覚えなんで間違っているかもしれないスマン。

あいつらの持つグルメ細胞が旨いモノを求め続けるという
設定があったはず。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:11:19 ID:WuAQ37Gi
>>763

ハルケギニアは実はグルメ界にあることにしちゃえば
山や森にでも行って幻獣や怪物の類をとって食えば如何にかなりそうだが
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:13:22 ID:lMsOO3ul
>>771
そっか、ありがとう。
適当にググって分からなかったら本スレとかで聞いてみる。
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:16:47 ID:B6yqiAgs
トリコの話題が出とるな…
テリクロたんを召喚したらルイズも喜ぶぜきっと
ウォフ!ウォフ!
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:21:00 ID:vDlraJER
幻の極楽鳥のタマゴはやはり美味い食材だったって展開に
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:30:23 ID:+9S1DUev
テリー召還してルイズ狂喜乱舞

小ネタでいけるんじゃね
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:41:38 ID:9cFgrnsA
誰呼ぶにしろトリコの話はハルケもグルメ界の一部ってしないと拙いかもな。少なくともテリーはそうだ。
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:41:47 ID:4CDvJONT
テリーと言われてもボガードさん
もしくはワンダーランド
もしくは解説の人
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:44:13 ID:WuAQ37Gi
グルメ界に含めると作中に出てくる砂漠は
気候の変化や人による自然破壊ではなくデスゴールが作った事になりそうだな
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:44:57 ID:wPtcxiXV
パワーウェイブとかハルケギニアだとどんな扱いされるんだろう
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:50:59 ID:alw6dcuf
>>780
杖使わないし普通に先住扱いされるんじゃない?
一般人も使えるのならどうなるか分からんけど……
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:51:27 ID:jrYZYtAK
むしろハルケの貴族はグルメ貴族。
トリコの世界は超未来という流れで。
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:52:10 ID:tvfplYz6
トリコ呼んじゃうとデルフが包丁のように扱われる様が容易に想像できる…
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 19:53:58 ID:WuAQ37Gi
BBコーンの様に収穫し辛いモノを採りに行くときにも使われそうだ。
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:00:36 ID:l1TMhBLb
ある話では草刈りに使われ ある話では改造され
また ある話ではスルーされ……
786名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:07:18 ID:9XAy+5B/
この前の双剣氏のとこのデルフのメタなネタを思い出した
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:25:37 ID:rBQDIohl
「わたしもよくこれで刺身を作った 剣なんてはたから見れば包丁と大してかわりゃしないんですよ」
788ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:28:20 ID:4BIkYrLP
差し支えなければ今から5分後、破壊者9話を投稿したいと思います。
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:29:43 ID:tzGfC3C1
なにも もんだいは なぁい
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:30:04 ID:XGUrgQle
おのれディケイド!ゼロ魔の世界も破壊するつもりか!
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:31:02 ID:5o3eW42K
バイならー
792ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:33:22 ID:4BIkYrLP
第9話「王都トリスタニア・後編」


 報告に行ったワルドと別れて待たされる事十数分。
 ルイズ達は王宮付きの衛士に案内されて謁見の間に通された。
 一番奥に置かれている玉座には、紫色のローブを身に纏ったまだ年端も行かぬ少女、アンリエッタ王女殿下が優しく微笑みながら座っていた。
 その傍らには灰色のローブに身を包んだ痩せぎすの四十男、宰相のマザリーニが佇み、少し離れた場所にワルドの姿もあった。
 その堂々たる面々を前にし、ルイズは今更ながら緊張して唾をごくりと飲み込んだ。
 玉座の前までやってくると、ルイズは跪き、頭を垂れた。夏海、ユウスケも見真似で跪く。士だけがぼうと突っ立ってたので、ルイズは服の裾を引っ張って無理矢理跪かせた。
「楽にしてください、皆さん」
 アンリエッタに声をかけられ、ルイズ達は顔を上げた。
 アンリエッタはルイズの顔を見ると、愛おしそうに微笑んだ。
「久しぶりね、ルイズ。前に会ったのはもう何年前だったかしら?」
「ご無沙汰しております、姫殿下。もうずっと会いに来れず、申し訳ございません」
「良いのよ、ルイズ。またこうして会えたのだから。…あぁ、懐かしいわ。幼い頃、一緒になって宮廷の中庭で蝶を追いかけたりして…」
「うぉっほん!」
 マザリーニが態とらしく咳払いをしてアンリエッタの話を打ち切らせる。
「殿下、昔話はまた次の機会に」
「そ、そうでしたわね…」
 アンリエッタはこほんと小さく咳払いをすると改めてルイズ達を見据えた。
「この度は、我が王都トリスタニアを襲った災厄を打ち滅ぼしてくれた事、心より感謝致します」
「勿体ないお言葉です」
 ルイズ達は再び頭を垂れた。
「いえ、もしあなた達がいなかったら被害はもっと拡大していたに違いありません。それが最小限で食い止められたのは一重にあなた達の働きのお陰です。是非ともわたくし達からお礼をさせてください」
「お礼…ですか?」
 するとマザリーニが一歩前に出て、その手に持っていた書簡を広げた。
「ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール、貴君にシュヴァリエの爵位を与える」
「シュヴァリエぇ!?」
 思わずルイズが声を上げた。
 シュヴァリエとは、王室から与えられる最下級の爵位であるが、それを手に入れると言う事は純粋にその実力を王宮に認められたと言う証なのだ。
「あなたの使い魔の活躍はワルドから聞かせてもらいました。人を使い魔にする事自体驚きですけど、まさか魔法衛士隊でも敵わない怪物を倒す程とは…。ルイズ、とても立派な使い魔と契約なさいましたね」
「は、はぁ…」
 ルイズの声があからさまに沈む。
「わたくし達からはこのくらいの事しかできませんが、是非―――」
「殿下っ!」
 アンリエッタの言葉を遮るようにルイズが叫んだ。アンリエッタ達の顔が強張った。
「お言葉を遮ってしまい申し訳ございません。また、重ね重ね無礼を承知で申し上げさせてもらう事を先にお詫び致します」
「…何ですか?」
 アンリエッタが怪訝そうな顔でルイズに先を促す。
「…この度のシュヴァリエの称号の授与、辞退させて頂きます!」
 そう言った瞬間、一同が驚きの表情でルイズに視線を集めた。
「ミス・ヴァリーエル!殿下のご厚意を無駄にする―――」
 すぐさまマザリーニが抗議に出たが、それをアンリエッタが手で制する。
「…理由を、聞いても良いかしら?」
 少し強張った顔でアンリエッタは尋ねた。
「はい。この度の功績、全ては私の使い魔カドヤ・ツカサと、その友人オノデラ・ユウスケの二人によるものです。私自身は何もしていません。ですので、私がシュヴァリエを授与するのは分不相応であると判断しました」
「ですが内一人はあなたの使い魔なのですぞ?使い魔の功績はその主人の功績も同じ、あなたには謝礼を受け取る資格があると判断出来ますが…?」
 尚もマザリーニが喰らいつく。
「それでも、私自身が納得出来ません!もし今回の事で何か褒美をとお考えなのでしたら、私にではなくこちらの二人にお与えください!」
 と言ってルイズは自分の後ろにいた士とユウスケを示した。
793ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:34:30 ID:4BIkYrLP
 ユウスケは目を丸くして自分を指差し、士は面倒くさそうに小さく溜息を付いた。
「お前、せっかくくれるって言ってんだから、貰っておけばいいだろ」
「うるさいわね!私はただ、自分の実力で取りたいだけよ!」
 二人の言い争いをこほんと咳払いを一つして聞き流すと、マザリーニは渋い顔で口を開いた。
「…ですが聞く所によると彼らは平民。彼らをこの場に通した事だけでも特別な措置であると言うのに、その上謝礼までと言うのは…」
「別に宜しいのではなくて?枢機卿」
 マザリーニが渋っていると、アンリエッタが首を傾げた。
「しかし、彼らは貴族ではありません。彼らに爵位を与えるわけにもいきますまい」
「何も爵位だけが謝礼と言うわけではないでしょう?」
「むぅ…」
 マザリーニは顔を顰めた。
 アンリエッタは肩を竦めると、マザリーニを無視してルイズの背後の、士とユウスケを見た。
「カドヤさんに、オノデラさん、でしたね?シュヴァリエの称号とはいきませんけど、わたくしにできる限りの範囲で、何かお礼させてください」
「殿下!?」
 マザリーニは声を荒げた。
「姫殿下!」
 ルイズの顔がぱあっと輝いた。
「これは王宮からではなく、あくまでわたくし個人からのお礼です。宜しいですよね?枢機卿」
 アンリエッタがマザリーニ笑みを向けた。
 その笑みを前にしては、マザリーニも何も言う事ができなくなる。
「…しかし、お礼って言われてもなぁ」
 ユウスケが考え込む。お礼を、といきなり言われても、すぐには思いつかない。
「じゃあ、俺から少し、あんたらに聞きたい事があるんだが」
 と士が言った瞬間、ルイズ、マザリーニ、ワルドの3人がブハッと吹き出した。すぐさまルイズの鉄拳が士の脳天に直撃する。
 その間アンリエッタはきょとんとしていた。
「…いてぇな」
 士は殴られた箇所を擦ってルイズを抗議の目で睨む。だが抗議するのはルイズの方だ。
「あ、ああ、アンタねぇ…!仮にもここに在らせられるのはこのトリステインを納められる王女殿下とその補佐を担っている枢機卿猊下よ!そそそそれを、恐れ多くも、あ、あ、あ、あんたら呼ばわりするなんて……!!?」
「仕方ありません、士くん程礼儀から程遠い人はいませんから…」
 士の横で夏海が肩を竦めた。
「…良いわ、これ以上姫殿下に無礼を働くわけにもいかないから、私が代わりに聞いたげるわ!」
「面倒くさいな…」
 仕方無く士はルイズに質問の内容を伝え、それをルイズが礼儀正しくアンリエッタ達に尋ねた。
 質問の内容は、思った通り『仮面ライダー』についてだった。
「『カメンライダー』…ですか?」
「はい、全身に甲冑を纏い、人間を遥かに超えた力を持つ戦士の事です」
「それはもしや、そこの二人と同じ力を持つ者の事ですかな?」
 横からマザリーニが尋ねる。
「えぇ、その通りです。何か、王宮にそれらしい報告はされていませんでしょうか?」
 アンリエッタとマザリーニは目を合わせたが、二人とも首を傾げるしかなかった。
 次いでワルドにも目線を向けたが、ワルドも目を伏せて首を横に振った。
「…どうやら噂すら立って無いようだな」
 今日の午前中、街で聞き込みを行ってもまるで収穫は無かった。
 王宮ならばそのような超常の戦士の存在が見つかればすぐにでも報告されそうだと尋ねてみたのだが、それも無い。
「ごめんなさい、力になれなくて…」
「いえ、姫殿下がお気に病む必要はありません!」
 気を落としたアンリエッタを慌ててルイズがフォローを入れた。
 すると今まで何事かを考え込んでいたユウスケがおずおずと手を挙げた。
「あの…謝礼の事で、俺の方からいいですか…?」
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:35:13 ID:5o3eW42K
そうそう、グロンギ語だっけ?あれうpロダにあげるのやめてね
あれのせい支援絵が流れてがっかりしてる人がいたから。あと、うpロダは基本的にファンが支援絵あげるとこらしいから
795ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:35:32 ID:4BIkYrLP
「あ、はい!なんでしょうか?」
 気を取り直してアンリエッタが応対する。
 今の質問に答えられなかった分、ここで名誉挽回と躍起になったのだ。
「実は俺、今欲しいものがあるんですけど」
「物、ですか?」
 アンリエッタが聞き返すと、ユウスケは「はい!」と力強く返事した。
「物品を強請るなんて、アンタにしては随分と俗っぽい要求ね」
「そう言われても、お礼ってそれくらいしか思い浮かばなかったんだよ」
「判りました。わたくしに出来る範囲で用意致します」
 それを聞いてユウスケは小さくガッツポーズを作った。
「なら俺も―――」
 と、スッと士の手が挙がった。
 一同が注視する中、士は悠然と口を開いた。
「ちょっと頼みたい事があるのですが、よろしいですか?姫殿下」
 何よりもまずルイズは士が敬語を使った事に驚いた。と言うか使えるなら始めから使えと心の中で猛烈に突っ込んだ。
 しかし何やら含みのある言い回し。しかも言った当人は口元に怪しい笑みを浮かべている。
 アンリエッタの背筋に冷や汗が流れた。


 太陽が西に傾き始めた頃、城下町は復興作業に追われていた。
 グロンギによって殺された平民達は手厚く葬られ、被害を受けた民家や商店の片付けに住民達は忙殺されていた。
 武器屋の親父もその一人で、中でも彼の武器屋の崩壊っぷりは他と比べても酷い物で、店内は棚からカウンターに至るまで破壊され、商品も殆どお釈迦になっていた。
 その原因がクウガとバヅーに立て続けに店の中に突っ込まれた結果と言う事を親父は知る由もなかった。
「ったく、なんでうちだけがこんな目にあうんだか…」
 親父がぼやきながら木屑やら駄目になった武具の破片やらを拾い集めている。国から保証金が出してもらえると聞いたが、それを差し引いてもこの損害は大きすぎる。
「そりゃおめえの日頃の行いが悪い証拠だ!」
 すると壁に立て掛けられた錆びた剣がカチカチとはばきを鳴らして笑った。昼間、クウガに使われていたあの喋る剣だ。
「なんだと!?このボロ剣め!そもそもなんで高価な商品がことごとく駄目になったのに、厄介もののお前が無事なんだよ!?お前がぶっ壊れりゃ良かったんだ!」
「へっ!壊れたってのはそりゃその剣がナマクラだったって証拠だろう!見た目ばっか綺麗にしたって実際に使えなけりゃ意味ねぇな!その点、俺は出来が違うからな!」
 えっへんと、ボロ剣は無い胸を張った。
「馬鹿言うな!ボロボロに錆びて布切れだって碌に切れないくせに!てめえの方がよっぽどナマクラだろうが!」
 親父と剣の口喧嘩がヒートアップしていると、店の入り口に人影が現れた。人影は二つ。うち片方は親父には馴染みの顔だった。
「…随分とやられたな、親父」
「なんでえ、アニエスじゃねえか。どうしたんだ?城勤めのお前さんが今更こんな所に」
 アニエスと呼ばれた短い金髪の女性兵士は、小さく溜息を付くと自分と同行してきた黒髪の男を指差して言った。
「その王宮からの命令でな、彼の買い物に付き合うよう命じられた」
「王宮からの?見た所ただの平民に見えるが、実は何処かの国のお偉いさんかい?おれはてっきりお前さんのコレかと思ったぜ!」
 と、親父は自分の親指を立ててみせた。アニエスは少し顔を赤らめて眉を顰めた。
「…冗談が過ぎるぞ。どうやら彼は昼間の騒動を解決した功労者らしい。それで、謝礼に彼の望む剣を買ってくるよう命じられたんだ」
「はぁ〜、噂じゃ魔法衛士隊でも敵わない怪物だったって話じゃねえか!それをあいつが!人は見かけによらないねえ。アニエス、お前も負けちゃいられんなあ!」
 はっはっはとアニエスをからかう親父。アニエスは気を悪くして彼女が連れてきた黒髪の男、ユウスケの方を見た。
 ユウスケはキョロキョロと崩壊した店の中で目当ての剣を捜していたが、壁に立て掛けられていたボロ剣を見つけると声を上げてそちらに駆け寄った。
「あぁっ!こいつだ!こいつだよ!!」
 柄を握り、その剣を持ち上げた。
「…それで良いのか?」
 アニエスが驚いた顔で尋ねた。
 ユウスケが手にしたのは刃がボロボロに錆びていてとてもじゃないが剣としての役目は果たせない代物だ。しかもアニエスの記憶が確かなら、あの剣はある意味この店の名物であるアレだ。
「ああ!俺はこいつが良いんだ!何てったってこいつは俺のイメージに応えてくれたんだからな!」
 ユウスケが目を輝かせて手に持った剣を眺めた。どうやら完全にあの剣に惚れ込んでるようだ。
796ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:36:34 ID:4BIkYrLP
「おや?もしかしておめえ、昼間俺を使って化け物どもを倒してたやつか?」
 するとボロ剣はカチカチとはばきを鳴らして言葉を発した。
 やっぱりか、とアニエスは肩を竦めたが、その剣の口から飛び出た言葉に耳を疑った。この男が、このボロ剣で昼間の怪物を退治しただと…?
「あぁ、さっきぶり!お前の事を買いにきてやったぜ!」
 ユウスケが無邪気に笑って剣に答えた。
「はあ!?おいデル公!お前があの魔法衛士隊も敵わなかったって怪物を倒したなんて、大法螺吹いてんじゃねえ!お前みたいなボロ剣じゃ野良犬一匹斬れねえだろうが!」
「バカにすんじゃねえ!昼間はこの兄ちゃんと組んで大活躍だったんだぜ!襲い来る怪物を斬って斬って斬りまくって!最後には弓矢んなって奴らをみんなぶっ倒したんだぜ!なあ!」
「ああ!」
 ボロ剣と同意するユウスケ。
 だが親父とアニエスはとてもじゃないがその話を真に受ける事は出来なかった。特に最後の『弓矢になって』云々は意味不明すぎる。剣の何処をどうやったら弓矢に出来るのだろうか。
「いいねえ兄ちゃん!気に入ったぜ!おめえ、名前はなんて言うんだ?」
「ユウスケ、小野寺ユウスケだ!」
「ユウスケか!俺はデルフリンガーってんだ!デルフで良いぜ!」
 上機嫌にユウスケと会話するデルフを見て、武器屋の親父は少し驚いた。
 いつも不機嫌でつまらなさそうにしていて、来る客来る客全てに文句ばっかり言っていたあのデル公が、こんなにも楽しそうに誰かと話してる所なんて初めて見た。
「…念のために聞くが、本当にそれで良いのだな?何なら別の店の、もっと良いお前に合った剣を見繕っても構わないが?」
「あぁ!俺、こいつが良いんだ!」
 ユウスケは言い切った。今更デルフ以外の剣を選ぶなんて考えもいてないようだ。
 アニエスは小さく肩を竦めると、親父に向き直った。
「あの剣を買おう。幾らだ?」
「そうだな、あれなら500エキューでどうだ?」
 するとアニエスは顔を顰めた。
「500?ボッタくり過ぎだろ。どう見ても100かそこらが良い所だ」
「ま、いつもならそれくらいだが、店がこの有様だからな。売れるもんはなるべく高く売っておきたいんだよ」
 店の惨状を改めて見回し、やれやれとアニエスは溜息を付いた。
「へっ!普段は俺の事厄介もの扱いしてたクセに!こんな時だけ一丁前の商品扱いか!」
「うるせえデル公!いっつも商売の邪魔ばっかしてたんだ!売れる時ぐらいちょっとは店を潤わしてけってんだ!」
 デルフと親父の口論を傍目に、アニエスはさらさらと小切手を書いていた。
「ま、殿下からは金に糸目は着けるなとのお達しだからな」
 そう独り言を呟くと、小切手を切って親父に手渡す。
「おう!確かに!ちょっと待ってな、今鞘をつけてやるからな」
 小切手を確認して気を良くした親父は、何とか無事だった店の奥に引っ込むとそこから鞘を持ってくる。
「どうしてもうるさいと思ったら、こうして鞘に入れればおとなしくならあ」
 ユウスケからデルフを受け取った親父は、デルフを鞘に納めてからまたユウスケに手渡した。
「宜しくな!デルフ!」
 ユウスケはデルフを完全には鞘に納めず、デルフが喋れなくならないようにはばきの部分だけを覗かせた。
「おう!相棒!」
 デルフがカチカチとはばきを鳴らして上機嫌に言った。
 鞘紐を使ってデルフを肩に担ぐと、ユウスケとアニエスは一緒に店の外へ向かう。
「…それにしてもその剣で怪物を倒すとは、話が本当なら見かけによらずなかなか剣の腕は立つみたいだな。今度機会があったら手合わせ願いたいものだ」
「ははは…お手柔らかに…」
 アニエスの申し出にユウスケは苦笑いで返しながら、二人は店の外に出て行った。
 後に残ったのは、この店の主人である親父と、崩壊した店のみだった。
 親父は急に静かになった店の中で、何か物悲しさを感じていた。
 今までずっと煩わしいと思っていたデルフが売れて、嬉しい筈なのに、それを寂しいと感じてしまうのは店がこんな状態だからだろうか。
「…さぁて、片付け片付けっと」
 親父は滅茶苦茶になった店の片付けを再開した。
 まるで心の中の喪失感を拭いさるかのように、黙々と作業に没頭した。
797ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:38:29 ID:4BIkYrLP
 城門から出て行くルイズ達を、アンリエッタは王宮の窓から眺めていた。
 まさかあんな頼み事をされるだなんて思ってもみなかったが、久しぶりにルイズの顔も見れたし、少し身体も動かせて、最近曇りがちだった気分が少し晴れやかになった。
「おぉ、こちらにおいででしたか殿下」
 するとそこに白髪を携えたマザリーニ枢機卿が姿を見せた。
 アンリエッタはせっかく晴れやかだった気持ちにどんよりしたと雲を掛けられ、顔を顰める。
「何ですか?枢機卿。また政治のお話ですか?」
「左様です。私が何故この王宮に仕えているのか、よもやお忘れではないでしょうね?」
 その不満をたっぷりと込めてマザリーニに問いかけたが、マザリーニは平然とそれを返した。
 マザリーニは先帝亡き後、このトリステインの内政、外交を一手に引き受けていた。その度重なる激務に追われて髪も髭もすっかり真っ白、伸びた指は骨張って、実際の年齢よりも十は老けて見える程だ。
 更に気分を悪くしたアンリエッタはぷいとそっぽを向いた。
「政治の話ならわたくし無しでもできますでしょう?だってあなたはこのトリステインの王様なのですから」
 それを聞いて、マザリーニは眉を顰めた。
「…何を仰っているかさっぱり判りませんな」
「枢機卿、今街で流行ってる小唄はご存知かしら?」
「はて、存じませんな」
 嘘である。トリステインの内政を司る彼はどんな些細な情報も聞き逃さない。それがどんなものか知ってるからこそ、敢えて知らないフリをしているのだ。
「なら聞かせてさしあげますわ。トリステインの王家には、美貌はあっても杖が無い。杖を握るは枢機卿。灰色帽子の鳥の骨―――」
 マザリーニは目を細めた。『鳥の骨』などと自分の悪口が王女の口から出たので気分を害したのだ。
「街女が歌うような小唄など、口にしてはなりませぬ」
「いいじゃないの、小唄くらい。それに全部が嘘ってわけでもないでしょう?実際に政治を取り行ってるのはわたくしではなくあなたなのだから。…さっきだって、謁見なんかに付き合わずに一人で政務に勤しんでいれば良かったのよ」
 アンリエッタは先程ルイズとの思い出話を邪魔された事をまだ根に持っていた。
「あの時お止めにならなければ今でも長々とお喋りに興じていたでしょう。流石にそれでは政務に支障を来します。…それに、私自身も彼らをこの目で見ておきたかったですからな」
「…彼らとは、ルイズの使い魔の彼とその友人の事ですか?」
「左様です。何せ彼らは魔法衛士隊ですら敵わなかった怪物を倒す程の実力者、その彼らを放っておく手は無いでしょう」
「それでルイズにシュヴァリエを与えようとしたのね?シュヴァリエの爵位と共に従軍義務も与えて、ルイズとその使い魔を我が軍に加えようと」
「えぇ、彼らの実力を鑑みれば当然の事。それに昨今のアルビオンの情勢、いずれ奴らはアルビオン王家を討ち滅ぼし、次はこのトリステインに攻め込んでくるでしょう」
「レコン・キスタ…」
 アンリエッタは憎々しげに『敵』の名を口にした。
 アルビオンの貴族を誑かし、恐れ多くも始祖が授けた三本の王権の一つを打ち倒さんとし、新たな秩序を打ち立てようとする下賤な蛮族。決して赦すわけにはいかない。
「それを迎え撃つためにも、より強い兵士を一人でも集め、自軍の兵力を固め、そして隣国ゲルマニアとの軍事同盟を―――」
「判っております!」
 ゲルマニア、と言う単語を耳にし、考えたくもない事を思い出してアンリエッタはヒステリックに叫んだ。
 アンリエッタの気持ちを察したマザリーニは肩を竦めると、話題を変える事にしいた。
「…ところで、彼らの口から出た単語、殿下は覚えておられますか?」
「…『カメンライダー』…とやらの事ですか?」
 マザリーニは頷く。
「どうやら彼らは自分達と同じ力を持ったその『カメンライダー』なる人物を捜しているようですが、ならばその人探し、この王宮でもできる限り手助けしてみてはと考えているのですが」
 それを聞いて、アンリエッタは小さく溜息を付いた。
「…つまり、あわよくば探し出した『カメンライダー』なる人物を我が軍に引き込もう、と言う魂胆なのですね」
「ほほぉ、殿下もなかなかご察しがよろしいですな」
「莫迦にしないでください!一体どれだけあなたの横で政治の現場を目にしてきたとお思いですか?この位、判って当たり前です!」
 不機嫌そうにアンリエッタは声を荒げた。
「はははっ!これは失礼致しました!」
 かかと笑うマザリーニ。だがすぐに真面目な顔をする。
798ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:39:51 ID:4BIkYrLP
「…ですが、事態はこの国の行く末を左右するかもしれない事態であります。より迅速に、かつ他国に知れぬよう内密に動く必要がございますな」
「その事、この後の会議で議論するのでしょう?」
「左様です。ですのでこの事を殿下にも心に留めておいて頂きたい」
 とは言っても、その会議を取り仕切るのも実質マザリーニ。アンリエッタは会議室の上座に座って最終的にマザリーニの出した案を肯定するだけ。そこにはアンリエッタの意思はまったく存在しない、文字通りの傀儡人形でしかない。
「さあ、そろそろ重臣達も集まっている頃でしょう。我々もそろそろ向かうとしましょう」
 そう言ってマザリーニが会議室へと誘う。
 アンリエッタはもう一度窓の外を見た。沈みゆく太陽の光がトリスタニアの街を朱に染め上げている。そこにはもうルイズ達の姿は何処にも見えなくなっていた。
「殿下」
 マザリーニに急かされ、渋々アンリエッタは窓から離れ、会議室へと続く廊下を重い足取りで歩いて行った。

 その後、すぐさま王宮は『"カメンライダー"捜索隊』の派遣を決定。部隊が編成され、間もなくトリステイン各地に散ってその情報収集に当たる事になる。
 しかし王宮のその行動が今後トリステインにどのような結果を齎すのか、まだ誰も知らない。


 街の門の傍にある駅。
 マシンディケイダーとトライチェイサーを預けたその駅で、ユウスケ、キュルケ、タバサの3人は残りの3人を待っていた。
 アニエスとは武器屋を出てすぐに別れた。
 平民であるが剣の腕がかなり立つとの事で王女に近い位置での護衛を任されていた彼女だが、それが幸か不幸か、たまたま近くで護衛任務に当たっていたためにユウスケの買い物の付添人を任されてしまったのだ。
 と言うわけで護衛任務の途中に駆り出されてしまった手前、一刻も早く戻って殿下へ報告し任務に復帰するために、用が済むと足早に王宮へと帰って行ったのだ。
 閑話休題。
 キュルケはユウスケが携えてきた剣をまじまじと見詰めて鼻を鳴らした。
「ふぅん…まさかインテリジェンスソードとはねぇ……やっぱり本当に強い人は選ぶものも違うわね♪」
 と言って、ユウスケにウインクして見せた。
「は、ははは…」
 ユウスケは顔を引きつらせて笑った。
 キュルケのユウスケに対する態度は半日前とはまるで別物になっていた。
 原因はクウガとなって戦った事。クウガの強さを目の当たりにし、キュルケはユウスケへの恋心をも芽生えさせてしまったようだ。
 そんなキュルケとは対照的に、タバサはただ黙々と、駅の傍に降ろしていたシルフィードの身体に背を凭れさせながら読書に勤しんでいた。
 暫くすると、ルイズ、士、夏海の3人も駅に戻ってきた。
「キュルケ!?何でアンタがここにいるのよ!」
 ルイズはまずユウスケと一緒にキュルケ達もそこにいた事に驚いた。
「やあね、あたし達を勝手に帰っちゃうような薄情な人間だと思ってたの?」
「だからっていちいち私を待つような温情あふれる人間とも思えないわね。アンタが待ってたのはツカサとユウスケでしょ?」
 バレたか、とキュルケはちろと舌を見せた。
「だってこんなにいい男が身近に二人もいるのよ?これを見逃す手は無いじゃない」
 と、キュルケはユウスケの腕に抱き着く。ユウスケは引きつった笑みを浮かべ明らかな拒絶反応を見せていた。
「どうした?女に抱きつかれるのは待望じゃなかったのか?もっと嬉しい顔したらどうなんだ?」
 カメラを向けながら士が尋ねる。
「いや、それはそうなんだけど、これはこれで何とも言えぬ心地の悪さと言うか…」
「もう、ユウスケってばホントにウブなんだから」
 そう言ってキュルケはユウスケの腕を自分の胸の谷間に押し込んだ。
「はふん…♪」
 ユウスケが悶える。
「そう言えばあんた達随分遅かったわね?謝礼にユウスケは剣買ってもらって、あんた達は何やってたの?」
 と、ルイズの顔があからさまに不機嫌になる。
「…このバカ使い魔、恐れ多くもアンリエッタ姫殿下の写真の撮影を頼んだのよ」
 士を睨みつけながらルイズは言った。
799ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:41:13 ID:4BIkYrLP
「別に構いやしないだろ。あっちは写真の事は知らないんだから。ただワケも判らず言われた通りにポーズ取ってただけとしか思ってないだろ」
「構うわよ!これ見よがしに姫殿下に、あ、あんなポーズやこんなポーズを……!アンタが撮影してる間、私はずっと気が休まらなかったんだからね!!」
「別に、それほど変なポーズは要求しなかっただろ。なあ?」
「ええ」
 あの場に居合わせていた夏海が肯定する。
 しかし夏海達からすればただの撮影会の感覚だが、一国の姫にポーズを要求するなど、ルイズ達トリステインの人間からすれば恐れ多すぎる事、ルイズを初めとするあの場にいた士と夏海以外の人間はずっと気が気で無かった。
「あぁ…あのお姫様の写真か。それは見てみたいなぁ」
「もう、ユウスケってば浮気性ね。お望みならあたしの全てをあなたにさらけ出しても良くってよ?」
 そう言ってキュルケは胸元の布地を指でずらして見せた。ユウスケは慌てて鼻を押さえて目線を反らす。
 そんなユウスケを冷ややかに見詰めながら夏海が言った。
「…士くんの写真に多くを望んでも無駄だと思いますけど?」
「そ、それもそうだね…」
 すると士はあからさまに不機嫌な表情になった。
「そう言うお前はどんな剣を買ってもらったんだよ?」
 と、ユウスケが肩に携えていた剣をサッと掠め取ると、それを鞘から抜いて眺めた。
「何だこれ?錆々じゃないか。こんなのがお前が欲しかった剣だって言うのか?」
 ユウスケの剣を蔑むと、突然そのボロ剣ことデルフリンガーがはばきをカチカチと鳴らして声を上げた。
「おうおうおう!兄ちゃんの知り合いのくせに碌な目利きもできねーのか!俺様の凄さがわからねえとは、おめえの目は節穴以下だな!」
 すると士、ルイズ、夏海の三人は揃って目を丸くした。
「驚いたな、この世界の剣は喋るのか」
「んなどれもこれも剣が喋るワケじゃないわよ。これはインテリジェンスソード。何処かの誰だかが道楽で作り始めた喋る魔剣よ。…んまぁ、私も実際に見るのは初めてなんだけどね」
 士のツッコミを入れつつ、ルイズはデルフをまじまじと眺めた。
「ほう、そっちの嬢ちゃんは俺の良さがわかる分、こっちのトーヘンボクとは違うみたいだな!」
「…どうせ買ってもらうならもっと綺麗で口の悪くないやつにすれば良かったのに」
「あれえ…?」
 誉めた途端に貶されて、デルフは無い腰が砕けた。
「良いんだよ、それで。俺はそいつが気に入ったんだから!」
「かーっ!やっぱ俺の良さがわかるのは兄ちゃんだけだぜ!俺、兄ちゃんに貰われてホントーに良かったぜ!!」
 デルフは感極まって声を上げた。もし涙腺があったら号泣しそうな勢いだ。
「…ま、お前らお似合いかもな」
 と、士はデルフを鞘へ戻そうとデルフの柄を握った瞬間、
「ん?なんだおめえ?一体何者だ?」
 デルフは怪訝な声で士に問いかけた。
「…?お前こそいきなりなんだ?」
 士も怪訝そうに聞き返す。
「いや、なんだかな…この感じ、前にどっかで……ん〜、思い出せねーな」
「…ワケが判らん」
 考え込むデルフを無視して士はデルフを完全に鞘にしまう。
 そうなってしまえばデルフはもう何も喋れなくなるが、まだ何かを思い出そうとしているようで、その状態でもうんうん唸っていた。
 士はデルフをユウスケに放って渡すと、足を駅へと向けた。
「いい加減帰るぞ。もうすぐ日も暮れるしな」
「それもそうね」
 既に太陽は傾き始めて、西の空を真っ赤に染めていた。東の空から夕闇が迫っている。おそらく後1時間足らずで日は完全に暮れてしまうだろう。いくらバイクでも学院に着く頃には完全に日が暮れてそうだ。
800ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:42:24 ID:4BIkYrLP
「アンタらはいいわよね、風竜ならここから学院まですぐでしょうし」
 ルイズは駅の傍でタバサが凭れ掛かっている風竜を見ながら言った。
「あら?お望みなら乗って行く?代わりにあたしはツカサかユウスケと相乗りして帰るから」
「ユウスケならともかく、ツカサはダメよ。ツェルプストーには使い魔一匹、小鳥一羽くれてやる義理は無いんだから」
 キッと睨みつけてルイズは言い切った。
「なら、あたしユウスケと相乗りして帰るわ♪それなら文句は無いんでしょう?」
「えぇ!?」
 だがそれを聞いて顔色を変えたのは夏海だった。
「そ、それじゃあ私はどうやって帰れば良いんですか…!?」
「タバサの風竜に乗せてもらえばいいわよ。あれならバイクより速いから、日が暮れる前に学院に着けるわ」
「えぇぇぇ…」
 夏海はシルフィードを見た。シルフィードと目が合い、夏海の顔が青ざめる。
 ルイズ達ハルケギニアの人間にとってはそこそこ馴染みの深い竜であるが、現代日本で生まれ育った夏海にとっては未知の生物、むしろ今まで士達が戦ってきた怪物の類いに近い印象を持っていた。
 と言うかどう見てもでっかいトカゲにしか見えなかいものに乗って帰れとか、夏海にはハードルが高過ぎた。馬にだって碌に乗った事が無いって言うのに。
「む、無理です…乗れません!」
 顔をぶんぶんと横に振って思いっきり拒絶する夏海。それを見ていたシルフィードがショックを受けて「きゅい〜…」と悲しげな声を上げる。
 するとそこに自分達のバイクを引いて士とユウスケが戻って来る。
「何が無理なんだ?」
 ルイズは小さくはあと溜息を付いた。
「仕方無いわ、私はタバサの風竜で帰るから、夏海は士の後ろに乗って帰りなさい」
「…っ、…は、はい…」
 一瞬、良いのかと聞き返そうとしたが、素直にルイズの申し出を受け入れた。竜に乗るよりずっと良い。
「…良いの?」
 と、何故かキュルケの方から異を唱えられた。
「何が?」
「…ううん、別に」
 キュルケはつまらなそうにそう言うと、そのままユウスケの方に夢中になりそれっきりルイズには絡まなかった。
 何故そんな事を言い出したのかルイズも気にはなったものの、それ以上深く追求しなかった。今日はただの休日だった筈が、とにかく色々あり過ぎて逆にとてつもなく疲れた。一刻も早く帰って休みたかった。
 士達がヘルメットを被っている中、ルイズはシルフィードの足下で本を読んでいたタバサに近付いた。
「じゃ、よろしくね」
 ルイズがそう言うと、タバサは本から顔を上げて小さくコクリと頷いた。
 そう言えば、タバサと直接話すのは初めてのような気がした。
「そうだ、あのバイク――ツカサ達に速さ合わせて飛んでね」
「わかった」
 タバサは短くそう言ってシルフィードの背中に跨がった。ルイズもタバサに倣ってその後ろにちょこんと乗っかった。
 士達のバイクが走り出すと同時に、シルフィードも翼を広げて夕暮れの空へ飛び上がった。
801ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 20:44:48 ID:4BIkYrLP
 魔法学院まで続く街道をマシンディケイダーは疾走していた。
 日が暮れ掛かって若干道が判り辛くなっていたが、そこは上空をわざわざバイクに合わせて飛んでいるタバサの風竜が目印となってくれていた。
 マシンディケイダーの後方にはトライチェイサーが、何とも覚束無いタイヤ運びで着いてきている。転倒しないのが不思議なくらいだ。
 と言うのも、後部に乗せたキュルケがその豊満な胸を惜しげも無くユウスケの背中に押し付けているので、ユウスケは沸き上がる動悸を押さえつけて精一杯転倒しないよう、運転だけに神経を向けるのに必至だったのだ。
「今日は街に出て来て正解でしたね」
 道中、後ろに跨がっている夏海がそう言ってきた。
「…ま、そこそこ楽しめたしな。…この世界のライダーについては、結局何も判らなかったが」
「でも、この世界での私達の使命は、だいたいわかったんじゃないですか?」
「は?」
 夏海の言わんとしている事が判らず、士は聞き返す。
「この世界にもグロンギがいたって事は、きっとクウガの世界と同じようにあいつらをやっつけるのが士くんの使命なんです。それに、そうして行けばきっとこの世界のライダーにも会えます!」
 夏海は自信たっぷりに自分の推論を語った。だがそれ聞いていた士はやや冷淡な態度で返事を返す。
「…お前の言いたい事はだいたいわかった。だが残念だがそれは無い」
「え?それってどう言う意味ですか?」
 今度は夏海が士の言いたい事が理解出来ず、逆に聞き返した。
「あいつらは元々この世界にいた連中じゃない。おそらく、クウガかアギトかの世界にいたのが、何らかの方法でこの世界に来てしまったんだろうな」
 昼間戦ったグムンは、『気が付いたらこの月が二つある世界にいた』と言っていた。つまり月が二つも無い別の世界、異世界からやって来たのは明白だ。
 月が一つしか無い世界では、何処に行っても月は一つであるように、この月が二つある世界でも何処へ行っても月は二つなのだから。
「そんな、一体どうやって…?」
 夏海達が知る限り、異世界を渡る方法は限られる。と言うか、異世界を渡れる存在は、と言い換えた方が良いだろう。
 まず、自分達の写真館。そしてそれとは別に、自分達と同じように世界を渡り歩いている人間が、あと二人…。
「…前に、似たような事があったな。…あいつなら、色々と説明がつく」
「あいつって…?」
 聞きながら、夏海も何となく士の出そうとしている答えに見当を着けていた。自分達と同じように世界を渡っている、二人の人間の内の一人―――。
「鳴滝」
「鳴滝さんが…?」
 士達の旅の先々に現れ、士=ディケイドを世界の破壊者と呼び、その旅の妨害してきた鳴滝。あの男なら、ディケイドを倒すためにグロンギを呼ぶ事だって不可能じゃない筈だ。
「以前、似たような事をやってた事もあるしな」
 それは龍騎の世界での話だ。鳴滝は実験と称し、剣の世界の怪物・アンデッドを龍騎の世界に潜り込ませていた。一体何が目的だったかは知らないが、それが出来る鳴滝なら今回のグロンギも不可能ではないと士は踏んだのだ。
「それにタイミングも良すぎる。俺達が街に来た所に異世界からやってきたグロンギ…おそらくほぼ鳴滝の仕業に間違いないだろう」
「…それじゃあ、士くんがこの世界での使命は…」
「まだ判らずじまいって事だ」
「そんな…!」
「とりあえず、もう暫くルイズの使い魔をやっていろって事だろ」
 とにかくこの世界はこれまでの世界とは勝手がまるで違う。
 一先ずルイズの使い魔と言う役割は与えられたが、そこからどうにもこの世界の仮面ライダーに繋がる道筋が見出せないのだ。
 そもそもこの世界に本当に仮面ライダーがいるのかどうか。この世界にやって来た当初からずっと疑問に思っていたが、その答えもいよいよもって『否』に傾きかけている。
 そしてこの世界に仮面ライダーがいないのなら、士はこの世界で一体何をすれば良いのか。何故、この世界にやって来たのか…。とにかく判らない事だらけなのだ。
「…もう暫くって…いつまでですか…?」
「…夏海?」
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:48:13 ID:6H/BJE7i
支援
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:48:57 ID:ck+jEsBt
武器屋の親父でしんみりするだなんて…
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:53:59 ID:a8socelM
さるさん?
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 20:59:09 ID:y5DZvR0L
しえん
806名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 21:03:59 ID:RV85GzlL
807ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 21:22:36 ID:zgy6nNF3
さるさん解けた?
代理が現れないみたいなので続き投下してみます。

――――――
「一体いつまで、私達はこの世界にいなくちゃいけないんですか…?私達は9つの世界を旅するって使命を終えた筈です。だったら元の世界に戻っても良い筈なのに…こんなワケの判らない世界に…仮面ライダーのいない世界に飛ばされて、
一体何をしろって言うんですか?……私の世界は…本当に、救われたんでしょうか…?」
 夏海の脳裏に、あの日の惨劇が蘇っていた。
 溢れる怪物、炎に包まれる街、逃げ惑う人々、そして静止した世界。それを救うために、自分達はこの旅を始めたのだ。
 もし9つの世界を巡り終えた時点で世界が救われたとしても、実際に自分の目で見てみない事には安心出来ない。
「…」
 士は何も言わずにバイクを走らせ続けた。
「…士くん…何とか言ってください…」
 何かを言おうにも、士には何を言えば良いのか判らなかった。
 士にも、この世界の事、自分達がこの世界を訪れた理由、まったく判っていないのは同じだ。だからと言って適当な言葉を並べて夏海の機嫌を取れる程、口も達者ではない。
「…いいですよね、士くんは……士くんは結局自分の世界を見つけられなかったから、諦めがつけて…」
 そこで突然士はブレーキを掛けてバイクを急停止させた。突然の事で夏海は思わず小さな悲鳴を上げた。
 すぐ後ろを走行していたトライチェイサーがマシンディケイダーを抜き去り、少しした所で停車した。
 夏海が口をぱくぱくさせていると、士はゴーグルを外して夏海の方を振り返りながら言った。
「…なら、この世界は何もしないでこのまま通り過ぎるか?」
「え…?」
 士は静かに、しかしその内に様々な感情を含ませて、夏海に尋ねた。
「どうせこの世界にはライダーはいそうにない。俺のやるべき事も見つけられない。だったらこれ以上ここにいても、ルイズに扱き使われるだけで時間の無駄だからな、とっとと通り過ぎるのも手だろう」
「…」
 夏海は思案した。確かに士くんの言う通りだ。ライダーもいない、やるべき事も見つけられない、そんなこの世界にいつまでも居続けるくらいなら、このまま通り過ぎてしまうのも良いだろう。
 そうだ。九つの世界を旅すると言う使命はもう終わったのだ。ならこんな世界にいつまでも留まっていても仕方が無い。何の気兼ねも無く帰れば良いのだ。帰ればそこに、滅びから救われた自分の世界がきっと待っている。自分を迎えてくれる。
「…そうですね、それも良いかもしれません…」
 夏海は、抑揚の無い声でそう答えた。
 一瞬、士くんの目が酷く冷たい光を放ったような気がしたけど、きっと気のせいだろう。
「士、どうした?故障か?」
 するとそこへ心配したユウスケがUターンしてこちらにやってきた。その後に跨がったキュルケも顔を覗かせている。
「ツカサ、いきなりどうしたの?急に止まったりして」
 同様に、シルフィードを降下させてもらってルイズもこちらにやってくる。
「大した事無い。すぐに追うから、お前らは先行ってろ」
 そう言われ、皆怪訝そうな顔をしたが、言われた通り先に向かった。
 暫くしてある程度距離が開いたのを見計らい、士もマシンディケイダーを走らせた。相変わらずふらふらと覚束無いタイヤ取りのトライチェイサーの尾灯を追って、帰路を走る。
 それから二人は終始無言だった。
 士は、相変わらず何を考えてるのかいまいちよく判らない。ただ無言のまま、ひたすらバイクを走らせるだけだった。
 夏海もそんな士の背中に身体を預けながら、一度も口を開こうとはしなかった。
 『この世界を立ち去る』ついさっき自分で決断した事だ。
 なのに、何でだろう、その事を考えると何かが夏海の心に引っ掛かる。
『本当にそれで良いのですか?』
 と、心の中から誰かが問いかける。
 …良いに決まってる。自分達にはこの世界に来た意味は無い。昨日ユウスケが言ったように、ルイズの魔法で間違ってこの世界に来てしまっただけ。これは言わば、事故みたいなものなのだ。
 これから、自分達は自分の世界に帰る。そこにはきっと、この旅に出る前の、元の生活が待っている。そもそもそれを取り戻すために旅に出たのだ。それがもうすぐ、取り戻せる。何を迷う必要があるのだろう。
 夏海はそう、まるで自分に言い聞かせるかのように、心の中で反芻し続けた。
 だが、心の中の声はずっと響き続けた。
『本当に、このままで良いの?』
 ―――と。
808ゼロと世界の破壊者:2009/08/06(木) 21:24:14 ID:zgy6nNF3
 トライチェイサー、マシンディケイダー、2台のバイクが通り過ぎた街道の真ん中に、いつの間にか一人の男が立ち、街道の向こうへと消えてゆくバイクの尾灯を憎々しく見詰めていた。
 茶色い帽子とコートを羽織った、眼鏡を掛けた中年の男、鳴滝である。
 その周囲を、写真館にいた筈のキバーラが愉快そうに笑いながら飛び回っている。
「あ〜ららぁ、もう帰っちゃうのねディケイド。それはそれでちょっとつまんないわねぇ♪」
「…それで良い。ディケイド、お前はこの世界にあってはならない!そのままこの世界から立ち去ってしまえ!」
 すると鳴滝の目の前に波打つ鏡のようなオーロラが現れた。オーロラが鳴滝を通り過ぎると、その存在はこつ然とその場から消え去った。
「フフ…だけど、もう少し楽しませてもらわないとね、ディケイド♪」
 残されたキバーラは怪しく微笑みながら、パタパタと羽音を立てて宵闇に染まった魔法学園へ飛び去って行った。
 そして静寂に包まれる街道。
 その道端の木陰から、一人の男が顔を出して、双月に照らされた魔法学院の建物を見詰めた。
「…あれが、トリステイン魔法学院」
 男は指鉄砲を作って魔法学院の本塔に狙いを定めると、バンとそれを撃つ真似事をした。
「あそこのお宝は、この僕が頂く」
 そう一言呟くと、男は闇の中へ消えて行った。
 そして再び訪れる静寂の闇。新たな物語の幕開けの兆しを、天に輝く双月だけが見詰めていた。


――――――

今回は以上になります。支援してくださった方ありがとうございます。代理が現れる前にさるさんから解放されるとは…w
ちょっと展開が迷走してしまい書き直しに手間が掛かったため中編から間が空いてしまいました。
なので10話以降も手直し等でもう少し時間が掛かります。と言うか1巻分の書き貯めが出来るまで暫く潜りますw
そう言うワケで次はいつになるか判りませんがそれまで再見!

>>794
了解です、ご迷惑おかけして申し訳ありません。
ロダの方は消してwikiに直接新しいページ作った方が良いですかね…?
本文に直接訳を載せるのは容量的にちょっと怪しいものがあるので…。
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 21:27:57 ID:KoLJ1rN7
>>808
ふつうに本編内で括弧書きして、本編で完結していれば済む話ですよ
ディケイド自体、字幕を使っていたじゃないですか
810名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 21:40:51 ID:onfCa+4h
まあ読めない文章に意味はないよね
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 21:41:12 ID:9yDZ/rCm
ディケイドの人乙!
809の言うとおり、括弧書きにしてくれたが読む側としてもありがたい。
とはいえ、今後グロンギが出てくるか分からんけどw
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 21:48:30 ID:B6yqiAgs
おのれディケイドの人!
ゼロ魔の世界までもを破壊するというのか!乙です!
813名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 21:57:30 ID:ck+jEsBt
乙です。
Wikiに関しては、一話が1ページで収まんなくても別にいいんじゃないかな、とか思いますよ
今後出てくることがあれば、やはり括弧書きでよろしいかと

とにもかくにも、次はフーケ…もとい、海東編かww
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:04:07 ID:2yuLyPTk
アルカナハートの皆と才人が召還されたようです。


そして始まる才人主人公のギャルゲー。
でも一人だけレズ。
そして原作才人ならルイズ一筋なはず。
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:05:18 ID:wPtcxiXV
フーケと海東でお宝盗みあいバトル

でも案外そこらへんの小石を「魔法の石だ」といわれたらあっさり信じて満足して去っていきそう
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:06:26 ID:a8socelM
ディケイドの人乙です。
次回の海…フーケ編が楽しみですw
817名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:14:47 ID:owHzr7Jq
>>814
最初の決闘→看病イベントがない、もしくは別のキャラが絡むことにより
才人とルイズが別の相手に目を向けるというのもそれはそれで面白そうなんだが
818名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:27:21 ID:2yuLyPTk
>>817
そりゃ俺もSSもっといいの描けたら才人とさーたんをくっつかせたいよ。
でも俺SSじゃなくて絵しか描けないんだ・・・
819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:31:03 ID:zAPxnwvi
また君か…
820名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:42:29 ID:ck+jEsBt
ここでぼやいてるうちはどうしようもねぇな
821名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:42:40 ID:l1TMhBLb
グロンギ語の翻訳作業 仕事はやいな 乙
822名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 22:54:47 ID:iFzVKGaE
ディケイド乙。
しかし一人称なのか三人称なのかハッキリしてくれ。
823名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:05:12 ID:BSo5iMI6
夏みかんてネガの世界から急にうざくなったよね
824名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:07:49 ID:t2S6XqbI
>>823
シンケン世界のオチとかRX世界ではいいヒロインだったと思うが

というかそれは特板で語るべきだと思うよ
825名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:13:21 ID:l1TMhBLb
>>823
そんなに夏メロンがウザいか?
826名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:14:59 ID:brFwUrqM
夏みかんと聞いて
みかん星人しか思いつかなかったオレはもうオッサンなのか…

召喚しても一番リアクションに困る使い魔だろうな
827名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:21:36 ID:wPtcxiXV
そういえばライダーの居ないシンケンジャーの世界でもカード手に入れてたな
この世界でもルイズのカードとか手に入れるのかな?
828名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:22:26 ID:u2WL08ZR
みかん絵日記を思い出した俺
829名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:27:07 ID:l1TMhBLb
>>827
さすがに KAMEN RIDE は無理だろうから
シンケンみたく FINAL ATTACK RIDE かねぇ
830名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:28:33 ID:t2S6XqbI
>>827
というかカード云々以前に九つの世界以外の世界を知らない時期のはずなんだがなぁ・・・
響鬼世界の直後らしいから
831名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:28:46 ID:iFzVKGaE
カイジンライドがアリなんだから、メイジライドはどうだろうか。
832名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:28:46 ID:/yW66RKh
国中を捜索って、カイザギアのように『使ったら死ぬ』変身ベルトが発見されたりしないだろうな?!
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:34:46 ID:YD9oyLdu
みかんってハルケギニアにはあるのだろうか…?


交易するような大航海時代2のアル・ヴェザス召喚
834名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:42:25 ID:5o3eW42K
>>833
みかんはわからないけどオレンジはありそうだな


ジェレミア「ゼロォォォォォォォォ!!」
ルイズ「ゼロじゃないわよオレンジ!」
ジェレミア「オレンジじゃないんです…」
835名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:43:09 ID:Gum+u+gO
シエスタの祖父が緑川弘博士(本郷猛の恩師であり、彼の改造にも携わった人)というのはどう?
羽衣云々はプロトタイプのサイクロンで(サイクロンを作ったのも彼)。
836名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:43:09 ID:351Revs/
>>766
グルメ細胞のせいでカロリー摂取しつづけないとグルメ細胞に食われて死ぬ
もしルイズが召喚した場合、食費が天井知らずで仕送り的な意味で死ぬ
837名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:48:59 ID:QlSdSeAC
まぁとりあえずあれだ。
こういうスレの常として感想を書くのは良いと思うが、現状で分かってる事意外での予想レスは止めておいた方がいいと思う。
作者も困るだろうし。
838名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:55:19 ID:Gum+u+gO
>>814
その一人というのは冴姫?
巫女は姉妹、頼子はミケもセット?
839名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:57:56 ID:2yuLyPTk
>>838
http://roofcity.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upload/src/up0116.jpg
この子っつうかさーたん
そして多分冴姫というかさーたんしかレズが居ないはずだけど・・・
二次創作では全員レズだけど公式はさーたんだけなはずだ
840名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/06(木) 23:59:12 ID:2yuLyPTk
やっべやっぱり投下するんじゃなかった・・・orz。
自分で描いた絵なんだけど才人が才人っぽくみえねぇ。
決闘の後に看病する冴姫の図を描いてみたんだけど、どうも・・・。
ついでに画材はGペンと筆ペンで、SAIで修正したの。
841名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:09:26 ID:ex2mRomI
なにこれこわい
842名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:11:24 ID:l7hcp1QS
>>839-840
上手くはないけど味わいはある絵では。
はぁとが料理できるみたいだからお粥とか作ってくれそう。

シチュエーションとしては東京事変の際アルカナの力が集まり過ぎて召喚ゲートを呼び込み、更にそれに平賀君が巻き込まれた、とか?
才人君がはぁとにどんな通称をつけられるのかも楽しみ。
843名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:11:53 ID:VmNMn2ZE
仮面ライダーSDからバトルライダーズを召喚と聞いて
844名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:12:25 ID:zc8MWkZy
ううくそっオンゲーにさえハマらなければ・・・!
845名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:12:56 ID:ko8rQODx
>>839
サムネで小林ゆう画伯の画風に見えたんで、実際開いたら幾分ましだったぜw
それでも怖いが。
846名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:15:25 ID:Lx2KJo5r
>>839
画面下の触手みたいなのは何かと思ったらベッドのシーツかw
847名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:16:08 ID:zc8MWkZy
20日間後だ・・・!
5日間ずつここで投下して反応を見て腕を戻し具合を見る・・・!
そうでもしないとやってらんない・・・!

目標は20日間後に元の画力に戻す事・・・!
てなわけでまじで本当に変な絵載せてごめんなさいでもまた投下します
848名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:17:51 ID:ISm1bRN5
味わいあるって表現は便利に使えて良いなw
849名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:18:21 ID:l7hcp1QS
>>847
まぁ有料って訳でもグロ画像という訳でもないのですから、そう気を落とさずに。
850名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:20:35 ID:ISm1bRN5
>>847
絵板に投下して他の作品を流さないのは評価するぜw
851名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 00:50:42 ID:4/rLfu6z
おおっ、ディケイド続きが!遂に鳴滝がきちゃったのかw
破壊者だけに"破壊"の杖が一体何なのか気になる木

>>831
ツンデレライドゥ♪
もしルイズがファイナルフォームライドされるとしたら何に変形するんだろうとか考えると眠れないよ。
ゼロ戦っぽい形になったりするんかな?w
852名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 01:02:50 ID:k1VdNNN4
FINAL ATTACK RIDE ZE,ZE,ZE,ZERO!

うーん、これだとディケイドがエクスプロージョン使いそうだ……
853名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 01:08:00 ID:VmNMn2ZE
ルイズが変形して敵に突っ込んだ末に爆発します
854名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 01:20:48 ID:lPBDSjug
とりあえず鳴滝はフレプリの世界で安息を得ればいいと思う
855名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 01:29:54 ID:hW2pAjT0
>>853
それ、単なる特攻機桜…もとい、単なる人間爆弾じゃねーかwww
リトルボーイはダメだぞ!!
856名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 02:03:44 ID:d/GPKk0C
そこでキョーダインですよ
857名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 02:46:53 ID:4/rLfu6z
タバサとジョゼットで姉妹拳…
バ〜イクロ〜ッサ〜
858Persona 0 :2009/08/07(金) 02:47:42 ID:zUNcwpmp
すいません大変御無沙汰しております。
もはや誰も覚えておられないかもしれませんが、3:00から第十八話を投下させていただこうかと思います。
進路はクリアでしょうか?
859名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 02:50:39 ID:4/rLfu6z
クリアダヨー
860名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 02:51:35 ID:K/861IxP
まずはsageるんだ!!
861名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 02:58:46 ID:Ev43d0fw
オマエハナニヲイッテイルンダ?

>>858
おーけーカモン
862Persona 0 :2009/08/07(金) 03:02:51 ID:zUNcwpmp
あ、あれ……sageてる筈なんですが何故だろう……
すいません大変失礼致しました。
初回の投下でSageれてないようでしたら、代理投下スレに投下させて頂きますね。
申し訳ないです。
それではペルソナ0の第十八話投下させていただきます。
間が空きすぎて文章の書き方忘れたりしてますが、それはそれ……


Persona 0 第十八話

「ぐがぁあああああAAAAAAAAAAA!」

 肉が軋む鈍い音を立てながらジュリオの体が作りかえられていく、韻竜の幼生を火龍山脈のサラマンダーを、鍛え上げられたグリフォンを、
 そして数知れぬ多くの幻獣たちを取りこみながら、ジュリオが一匹の巨大な獣へと姿を変えていく。
 次々に新たな命を取り込み異形を深めるジュリオ、その変態を主であるヴィットーリオは悲しそうな瞳で見つめていた。
 だがその悲しみの奥底には奇妙なことだが歓喜にも似た熱が宿っている。
 悲哀と歓喜、その矛盾した二つはけして相反することなくこの一人の狂信者のなかで息づいている。
 ――そしてそれは、彼の使い魔もまた同じ。

「はぁっ、はぁっ、はぁ、ふふふ、どうだいヴィンダールヴもすごいもんだろう?」

 そうたとえ使い魔のルーンなどなくとも彼〈ジュリオ〉は彼〈ヴィットーリオ〉の使い魔だ。
 主を守り、主の目となり足となり、主の望んだことを行う。
 使い魔の役目とされているその役目を誰よりも忠実に果たすと言う意味にかけて、ジュリオに比肩しうる者はないのだから。
 そして今のジュリオはヴィットーリオの〈夢〉にその身すべてを捧げた。
 天に向かって腕を伸ばすその姿が何に似ているかと問われれば、おそらく多くの人間がこう答えるだろう。
〈天使〉と。

 だが、その天使は天からの使いと言うにはあまりにも生々しすぎる肉を身に纏う存在だった。
 確かにその背中には巨大な三対の翼が有り、頭上には球状の塊がそのうちに白熱した炎を灯して輝いている、全体のシルエットは歪ながらも人のように見える。
 しかしいくつもの幻獣をその血と肉としたその天使は、傍から見ればあまりにも毒々しい。
 そしてよく見ればロマリアの地下で使われるのを待ち続けていた〈場違いな工芸品〉の数々もその体に融合していた。
 右腕には三対のカラシニコフが機関砲の如く聳え、その背の翼の骨格はおそらくかつて聖槍と呼ばれたものの模造品。
 他にもさまざまな時代な多様な兵器を内蔵した今のジュリオは、さながら生きた要塞とでも言うべき存在となっていた。

 そのマジックアイテムの名前は〈ヴィンダールヴの鞭〉
 人、或いは獣を、ヴィンダールヴが使役するための最強の「聖獣」へと作り変える、けして使われることのなかった奇蹟の残り香。
863Persona 0 :2009/08/07(金) 03:05:33 ID:zUNcwpmp
 
「ほら、こんなこともできる……!」
「――――!?」

 ジュリオの六本の手のうち竜の形を蒼い腕がタバサに向けて手を伸ばすと、ふわりとタバサの体が浮き上がる。

「い、いやっ……」

 短い叫び声、それに満足したようにジュリオは軽く笑うと自分の体の一部に命じて、腕を巡る精霊の力を強くした。
 引き寄せられる華奢な体、一瞬でタバサはジュリオの体へと引き寄せられ……

「やめ、こんなの……やめっ!?」
「おねえさま、シルフィと一緒になるのね、きゅいきゅい」

 ジュリオの体から浮き上がった蒼い竜の顎に一飲みに飲み込まれる。
 ごくりと喉を鳴らしたシルフィードは、そのままジュリオのなかへと沈んでいった。

「ふ、ははは、まずは一人……! いや二人かな?」

 その顔だけを天使の額から露出させた状態で苦しそうに呻くジュリオ、そのジュリオの顔の下には一人の少年が縫いとめられている。
 両手と両足を肉の中に縫いとめられた状態で忘我した状態で聖人のように吊るされる彼の名は、平賀才人。
 サイトがほんの少し前まで取り憑いていた、こちら側の世界の才人に他ならない。
 
「やめろっ、こんなことをして何になる!」
「聖下と僕の夢が叶う……それだけで、それだけで僕には十分なんだ」

 ジュリオは叫びながらその体に内蔵された火器を点火、無数の三十九mm弾頭が高速回転しながらサイト達をなぎ払う。
 
「ぐあっ!?」
「きゃあぁぁぁあああああ」

 咄嗟に全員がペルソナでガードするが、その被害は甚大だった。
 特に物理に対して耐性があるわけではないルイズと、貫通に弱いギーシュにはこの一撃は耐えがたい。

「ルイズ!? ギーシュ!? 待って今メディアラを……」

 ペルソナを展開しようとするキュルケ、そのキュルケへ。

「させないよ……堕天の微笑み」

 ぞわりとキュルケは体を震わせると、そのまま体を痙攣させながら立ち竦む。
 何が起きたのかは、おそらくその魔法をその身に受けたキュルケさえも分かってはいないだろう。
 ――それは対象に術者の想いを流し込む魔法
864Persona 0 :2009/08/07(金) 03:08:21 ID:zUNcwpmp
 キュルケの精神は今、ジュリオの狂信によってオーバーフローさせられているのだ。
 だから思えない、何をすべきなのか考えられない。
 そしてその間隙でキュルケが垣間見たのは、凄愴とも言うべきジュリオの過去の記憶だった。
 まるで夢のようなその情景のなかで、子供の姿のジュリオは死の床にあった。
 周囲には何人にも大人たち、彼らは口々に先祖還りだの、マギ族の血だの、わけのわからない言葉を吐いている。
 だがひとつだけ共通しているのは、誰ひとりとしてジュリオを助けようとはしていないことだ。

「呪われた子め!その悪魔の眼で私を見るな!」

 助けを求めるように見上げた瞳に帰ってきたのは痛烈な拳骨の一撃だ。
 顔を、腹を、もう一度顔を、体中を滅多打ちに殴られて肺の底にたまっていた血の塊が再び喉元へとせり上がり、ごぽりとその口からあふれ出る。
 その光景に、回りの大人たちは尚ジュリオへの嫌悪を深めたのだろう、ジュリオを甚振る拳がまた一つ増えた。
 もういやだ、逃げだしたい。
 助けは来ないことなど分かっていた、それでも祈ってしまった。
 ――ブリミル様、どうかこの汚らしい僕を、この世界から消し去ってください。 

 その願いは叶えられることはなかったが、しかしジュリオは運命とでも言うべき出会いを得た。
 突然の怒号、周囲にいた大人たちを杖を奮って制圧していく聖堂騎士たち。
 その背後から現れたのは先代の教皇と、未だ年若い少年と言っても差支えない神官であった。
 あたりに満ちる噎せ返るような血臭のなかで、ジュリオは目の前でありきたりな慰めと慈しみの言葉を自分に向かって投げかける老人よりもなお。
 その後ろで微笑みながらも涙を浮かべる少年神官のほうが、何倍も何十倍も尊く思えた。

「キュルケしっかりしろ、キュルケ!」
 じんじんとする頬の痛み、一瞬の白昼夢からキュルケは目覚めた。
 状況は一つも変わっていない、いや前よりも何倍も悪くなっている。
 タバサと“才人”は肉の牢獄へと囚われ、ルイズとギーシュはとても戦列に戻れそうもない瀕死の重傷を負っている。
 そして無事なのがサイトとキュルケの二人だけしかいないと言うのがもう一つの最悪だった、二人のうちどちらにしても人質だけを避けてジュリオを倒す手段がない。
 もしサイトが“記すことさえ憚られる使い魔”の力を使えばジュリオは倒せるかもしれないがタバサと才人は無事では済むまい。
 そしてキュルケには一撃でジュリオを打倒するだけの力がそもそもない。

「さぁおとなしく僕らに協力するんだ、そうすれば……」

 じりりとジュリオがその巨体を揺らしながら二人へとにじり寄る、背後には壁、目指す階段はジュリオがふさぐ吹き抜けを走り抜けてなお遠く、もはや完全に手詰まりかと思われた。
 だが……

「ジュリオ、一つだけ聞かせろ……」
「なんだい? 兄弟」
「もし、もしも此処で俺が首を縦に振ったらお前や、お前が取りこんだ使い魔たちは元に戻れるのか?」

 そのサイトの言葉に、ジュリオは僅かに悲しそうに首を振った。

「それは無理さ、僕と彼らは“神の獣”として混沌に溶けてしまった、この状態でなんとか出来るとしたら本当に神か始祖ブリミルくらいのものだろう」

 僅かに嘆息、口の端に浮かべた苦笑はこの期に及んで何を聞いてくるのかと言うサイトへの呆れか、それともこんな姿になってまで軽口が減らない自分への嘆息か。

「ああ、でも安心してくれていいよ、君の半身とシャルロット姫殿下は体内に幽閉してるだけで取りこんだ訳じゃないからね、君が聞き分けよければ二人の身の安全くらいは保証でき……」

 皆まで聞くまでもなくサイトは駆け出していた。
865Persona 0 :2009/08/07(金) 03:11:23 ID:zUNcwpmp
「くっ、おとなしくし……」

 ジュリオが腕を振りかぶり……その瞬間にすべては終わっていた。
 サイトが唱えたのは虚無のスペル、〈加速〉だったから。
 瞬きの一瞬の間にサイトはジュリオへと迫り、そしてデルフリンガーを振り下ろす。
 鮮血が舞った。
 ジュリオではなく、その体に縫い止められたもう一人の“才人”の体からだくだくと止め処なく。

「ごぷっ」

 口から盛大に吐血する才人、その心臓にはデルフリンガーが深々と突き刺さっている。

「あんた、何してるの!? 何してるのよおおおおおおおお!?」

 キュルケの絶叫など意に介さず、サイトは才人の体からデルフリンガーを引き抜いた。
 切り裂かれた胸からは派手に血が飛び散り、天使となったジュリオの体を赤く染める。
 どう見ても致命傷だった。

「その体は“ヴィンダールヴ”の能力で制御してるんだろう?」
「サイ……ト……マサカ……キミは……」

 サイトはもう一人の己の死を悼むように瞳を閉じ、途中で首を振ってジュリオを見た。
 悼む資格なんて、とうの昔に自分からは失せている。

「だったら、“俺”が死ねばいい」

 もう一度盛大に才人が血を吐き、その右腕のルーンの光が次第に薄く掠れていく。
 それとシンクロするように、ジュリオの体のあちこちが自分の好き勝手に動きだす。
 てんでばらばらに方向に発射される銃弾、苦しむように背中から吐きだされる火球、皮膚から聞こえるいくつものうめき声。
 本来ならば異なる者同士を混ぜ合わせたことに拒絶反応、ヴィンダールヴの能力で抑えていたそれが一気に噴き出したのだ。

「黙れお前ら! 僕に従え!」
「ジュリオ、タバサを返せ!」
 
 自壊していく肉体、そのうちの一本がもげ落ちた。
 
「ぐあああああああ!」

 内側から強烈な冷気の一撃を見舞われたのだと気づく間もなく、蒼い髪の少女が空中へと躍り出る。
 まとわりつく粘液と肉片をへばりつかせながら、半裸のタバサは生還した。

「タバサ!」
「ごめんなさい、心配させて」

 かろうじて残ったローブで体を隠しながら、雪風の少女は戦列へと復帰した。

「はは、はははははは、ははははははははは!」

 ジュリオは笑う、笑いながら拒絶反応で崩れていく体で最後の悪あがきとばかりにサイトに向かって飛びかかる。


「さよならだ……ジュリオ。みんな、やってくれ」
「でも、まだ才人が……」
「いいんだ! どうせあの傷でたすかりゃしねぇよ。やってくれ、さっさと俺ごと奴を撃ってくれ!」
「キミは、自分を殺すと言うのかい!?」
「だめよ、そんなの許さ……」
866Persona 0 :2009/08/07(金) 03:12:25 ID:zUNcwpmp
 ――――マハブフダイン

 真っ先にジュリオの体に付き立ったのは、巨大な巨大な鋭い氷柱。
 それをぶつけた少女は食い締めた唇から血を流しながら、涙を堪えてジュリオを……その体に取り込まれた才人を見ていた。

「彼の意思を無駄にしてはだめ」

 そう言うと、タバサはさらに氷の雨を降らせて行く。
 次々に傷つき、凍り付いては砕けるジュリオの体。
 傷つき、原型を失っていく才人の体……
 辛そうに魔法を唱え続けるタバサの後ろにサイトは寄り添うと、その肩を抱きながら共に詠唱<スペル>を唱える。
 全てを終わらせるために。


 その姿が皆の決意を固めたのだろう、誰にともなくギーシュやルイズも頷き、そして魔法を唱えだす。

「合体魔法で一気に決める……いいね?」

 ――――タルカジャ!

 ――――メギドラ!

 ――――ハイプレッシャー!

「合体魔法、ゴッドハンドだ!」

 シグルズの握った剣にイドゥンの放ったのメギドラが纏わりつき、まるで巨人の拳のような形をした力の塊になる。
 飛び上がったシグルズはそれを躊躇なくジュリオへと叩きつけた。

 自分に向かう死を眺めながら、とろけた体でジュリオはぼそりと呟いた。

「これでいい、後は彼女が……ああ、ヴィトーリオ様、僕はあなたのお役に立て……」

 その言葉だけ残し、ジュリオの意識は闇へと飲まれた。
867Persona 0 :2009/08/07(金) 03:13:27 ID:zUNcwpmp
 誰も一言も交わさず、極彩色に塗りたくされた回廊を歩く。
 いつの間にかヴィットーリオはいなくなっていた、もはや彼らを阻むものはない。
 だがジュリオの死は皆の心に黒々とした影を落としていた。
 そもそも何故自分たちはこんな塔に登っているのか?
 それもただ顔見知りと言う間柄の相手の頼み如きで。
 或いははじめからずっと共に死線を潜り続け、その心の闇を共有してきた仲間の頼みなら今此処で迷うことはなかっただろう。
 だが多かれ少なかれ自分たちが信じてきた信仰を敵に回し、目の前で生の人間の死に直面して、ゆるぎない決意がない限りその心に迷いが生じない筈がないのだ。
 ペルソナとは心の力、想いの結晶。
 故に先ほどからシャドウたちを蹴散らす彼らの動きには、いつものような覇気が欠けている。
 だがその時はやがて訪れる、誰にでも運命の時はいつかやってくる……

「いる……この上に奴が……!」

 震える拳を握り締め、サイトはルイズたちへと振り向いた。

「すまねぇ、こんなところまでつき合わせて。あとは俺一人で決着を……」

 パンと乾いた音が響く、腫れた頬を押さえながらサイトはルイズを見る。
 毅然とした表情、震えながらも虚勢に満ちたその姿、愛しくてしょうがない彼のご主人様。

「こんなところまで連れて来て、今更何言ってるのよ!」

 サイトは頭を掻きながら僅かに苦笑する。

「そうだな、今更か」

 サイトはゆっくりと長い長い階段を上り始めた。
 カツカツとそれに追い縋るように軽い足音が続き、やがて怯えながらも優雅な足音が続き、決意を込めた足音が続き……最後におずおずと言った様子の足音が続く。

「この先にはガリアの無能王、ジョゼフとそして奴がいる筈だ……」
「奴?」
「ああ、運命を玩び、運命を嘲笑う。さいっていの野郎だ」
868Persona 0 :2009/08/07(金) 03:14:19 ID:zUNcwpmp
 それは誰?
 その問いかけが届く前に視界が開ける。
 見上げれば満天の星空と空に輝く二つの真月、その月光に照らされ、月を臨む塔の中心で一人の男が椅子に腰掛けていた。

「ようこそ待っていた、トリステインの虚無の担い手ルイズ」

 男はゆっくりと立ち上がると、その顔に嬉しそうに嬉しそうに笑みを刻みながらサイトたちへ向かって歩みを進める。

「そしてその使い魔、ヒラガサイト……」

 そして無能王はぴたりとその歩みを止める、その左手には始祖の香炉を、その右手には水晶で出来た髑髏。
 それら二つを空へ向かって放り投げると、ジョゼフは月に向かって高々と吼えた。

「待っていた、待っていたぞーーーーー!」

 取り出したのは銃と言うにはあまりにも禍々しい夜に塗りつぶされた漆黒の塊。
 それを自らの頭に押し付けると、ジョゼフは躊躇うことなく引き金を引いた。

「ペルソナッ!」


 ぞわりとジョゼフの影が蠢く、影達は空へ向かって立ち上がり幾多の触手となって湧き出した。
 夜を塗りこめた体にはあらゆるモノを嘲笑する歪んだいくつもの目、いくつもの口があり、今もまたケタケタと嘲笑うことを上げ続けている。
 人の持つ暗黒面の象徴たるペルソナにして、破滅を望む者たちに力を与え、その自滅していく姿を嘲笑う者。
 千の貌を持つそのペルソナの名は這いよる混沌-ニャルラトホテプ-

「さぁ舞踏会のはじまりだっ、俺を退屈させるなよっ!」
869Persona 0 :2009/08/07(金) 03:20:14 ID:zUNcwpmp
以上です、前回から大変間が空きましたことをまず謝罪させて頂きます。
次回は出来る限り早く……休みの都合がつき次第仕上げてまいりますが、何分不景気な世の中ですので……
このような駄文をもしほんの少しでも楽しんでいただけた方は、期待せずに気長に待って頂ければ無上の幸福。

次回は待望の無能王戦、そして世界の真実と、ラストバトル寸前まで書かせていただく予定です。
思えば随分遠いところまで来たものです、最初のプロットからかけ離れたものへと変貌してきておりますが。
この腕の動く限りはどんなに遅くなっても必ず完結させますので……それでは次回十九話でお会いしましょう。
870名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 03:26:30 ID:Lx2KJo5r
そういえば無能王と神取って声 同じだね
871名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 07:37:40 ID:iZ3T7R08
ペルソナッ!
872名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 11:14:27 ID:9WbtCwUh
これは熱い!ペルソナさん乙です!
873名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 11:52:34 ID:S1GT5JvR
鋼の錬金術士よりエドワード・エルリック召喚

ギーシュ辺りが錬金に魅せられて弟子にしてくれと頼みにきそうだ
874名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 12:06:07 ID:e0PCfJqX
タバサが穴久保ピカチュウ召喚。雷は風系統だからイケるな。
そして従姉妹が従兄弟を召喚。
875名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 12:24:02 ID:i3fU/Cdf
ハガレンは専用のスレがあったような気がするが、最近は更新してんのかねー。
876名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 12:31:31 ID:MNoMDKQ1
銀英伝よりトリューニヒト召喚
ジョゼフに胡麻を擦る一方で
ハルケ全土の民主化を企てたりして
877名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:04:01 ID:1/8D1szY
ハルケの動物がすべてポケモンで、契約魔法の使えない平民はポケモンが扱えない
だが魔法はあくまでおまけで、ポケモントレーナーとしての腕がいいと優秀とされる
学院の他の生徒は全部ポケモンを召喚するんだがルイズだけサトシを召喚
ダンジョンもあるよ
878名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:04:25 ID:cbtiErje
>>839
>>818で「俺SSじゃなくて絵しか描けないんだ・・・」なんて言ってるから、
多少なりとも上手いのかと思ったらそんなオチかよw

SSだけじゃなくて絵も描けないじゃねぇかwwww
とでも突っ込めば良いのか?w
879名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:09:28 ID:LVZ7CIMC
>>877
ポケモンリーグで毎回それなりの成績を残してるサトシがどれくらい認められるのか
880名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:13:23 ID:juQJAr0P
ソードワールドだと魔法の力を失った古代魔法王国の魔法使い、その歴史のためか現在に至っても魔法使いは迫害される傾向がある模様。
ゼロ魔だと、もし魔法の力が失われたなら……
881名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:25:44 ID:xKdhKtPL
>>876
トリューニヒトならどの陣営でも生きていけそうだから恐いな。
882名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:28:41 ID:6ChX+/CF
マザーから「あのあれ」を召喚


…出落ちだな
883名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:32:45 ID:phIkiFfj
>>881
しかも過程とか考えず結果だけ見れば
トリューニヒトのやり方こそが銀河に平和をもたらす最善の方法、というのがまた・・・・・・

>>882
マザーからならどせいさんを呼ぶべきだろう
884名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:35:27 ID:ah8MMifB
トリューニヒトは保身が上手すぎて作者ですら殺せなかったから強引にロイエンタールに殺させた経緯があるからなぁ
885名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:39:15 ID:WAxBz196
というかあの人、ジョゼフや教皇に召喚されれば上手く手腕を発揮できるだろうけど
ルイズに召喚されたら果たしてどこまで持ちこたえられるか分からんような
どこまで口先三寸で直接戦闘を回避できるかが命運を分けることになるぞwww
886名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 13:39:35 ID:9WbtCwUh
某口先の魔術師も裸足で逃げ出すトリューニヒトの弁舌が
ハルケでどう発揮されるのかは確かに気になるなw
ルーンはベロに刻まれるんじゃないのかと思ってしまうぜ。
887名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 14:24:39 ID:xKdhKtPL
ド・ヴィリエだったらロマリアで聖堂騎士団をたぶらかせて勢力を持ちそうだが、ハルケギニアに麻薬を広めかねないな
888名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 14:29:11 ID:phIkiFfj
薬物中毒は水魔法で治療できるのだろうか
889名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 14:50:16 ID:aD/YqvFT
殺し屋1から垣原雅雄を召喚。
生粋のマゾヒストならあの生活でも耐えられる…


だめだルイズが殺される
890名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 14:54:39 ID:S1GT5JvR
一瞬海原雄山かと思った

やけにグルメ好きでマルトーを弟子に
891名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 14:56:43 ID:uX1+Kbga
ルイズのツンデレ度じゃ勝ち目ないな
892名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 15:28:15 ID:phIkiFfj
殺し屋さんから殺し屋さん(本名不明)呼ぶのかと思った

・・・・・・キュルケが天敵だな
893名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 15:30:45 ID:fcANx6RN
パワポケのキャラを召喚したらどうなるだろう・・・
裏は基本RPGだからともかく、表は野球ゲームとは思えないくらい戦闘要員多いし・・・
894名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 15:34:30 ID:fX89/YKp
ソウルイーターからラグナロク召喚

いじめられてどんどん壊れていくルイズ……いい
895名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 15:35:13 ID:Hia+k7km
いやパワポケサクセスは表でもガンダーロボと生身で戦える改造人間とか
理不尽な願いの叶え方をする魔人とかいるから・・・
896名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 16:46:15 ID:8FkXNVfi
>>895
つまり魔法が使えるようになりたい、とか願っちまうと
よかろう、ただし魔法は尻から出る、みたいなことに……
897名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 16:58:58 ID:fcANx6RN
いや、パワポケの魔人は「願いは自力で叶えろ。さもなくば鈍い殺す」だから・・・
な?理不尽だろ?
898名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 17:42:29 ID:v9lKdBVr
>>884
だったら作者でさえ殺しきれなかったビッテンフェルトやポプランだった場合は、艦隊指揮官や竜騎士をやらせたら無双そう。
899名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 17:48:59 ID:phIkiFfj
>>898
レーダーやセンサー、火器を用いての戦争が優秀だからといって
ファンタジー世界の戦争で優秀とは限らない

特にポプランは正直竜騎士として優秀とは思えないな
900名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 17:56:22 ID:JqClScF9
ラッキーマンからスーパースターマンを召喚

駄目だな
901名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:05:27 ID:icaJlfY1
ハンターハンターからフェイタンを召喚。…ルイズ殺されるな
902名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:13:55 ID:pSNw/9Iv
>>899
そんなに運動神経と要領悪い奴だったっけ?
903名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:14:18 ID:RmOXHjgn
「○○を召喚・・・やっぱ駄目だ」みたいな提案して即否定のレスするやつの頭がわからん。
自分で言っといて否定してちゃ何も生まれないだろ。
それとも、他書き手の参考にもならんような事やネタつぶし書いて楽しむ構ってちゃんなのか?
904名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:22:56 ID:N9ZCa6fV
即ルイズを殺すようなキャラを召喚して得するのはヘイターだけ。
905名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:27:21 ID:Ph47ebCx
>>902
ローゼンリッターと一緒に皇帝の旗艦に殴りこみかけて生き残れるくらい陸戦の腕がある
竜騎士として優秀かどうかは確かに分らないが、戦士としては優秀だと思われる
906名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:29:09 ID:aD/YqvFT
>>900
スーパースターマンは公式で不死身設定だし
指レンジャー戦でもスピードマンの正体晒すまで追い詰めたりもしてるし
ガンダールブの力があればそこそこ活躍するかもな

あと他人の不幸話(特に家族もの)にも弱いからタバサにも協力しそうだ
907名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:29:27 ID:WAxBz196
召喚された奴がラスボスになって、それにルイズ達が立ち向かう展開を見てみたい捻くれ者な俺
それに近そうなのが王蛇なんだけど

狂蛇の作者の人、自分は今でも投下待ってますよ
908名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:30:32 ID:FtBdtRET
>>899
オフレッサー上級大将を呼べばいいじゃない
909名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:38:43 ID:phIkiFfj
>>902
運動神経はいいし陸戦能力は高いだろうが竜騎士としての空戦能力は極端な話
竜という生き物を御しえるか、そして攻撃的魔法能力が高いかどうかで決まる。
機銃という連射能力の高い武器に慣れているポプランがボウガンという単発攻撃しか出来ない武器で
戦えるとは思えない
っていうかポプランに限らず、双方が高速移動しながらの単発攻撃なぞ99.999%当たらない。

>>908
オフレッサーなら陸戦に限れば活躍するかも
ただ土メイジの掘った落とし穴に落ちるのが関の山、かな
910名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:54:59 ID:GrbMTJSP
Fallout3からリバティ・プライム召喚!
・・・民主主義の権化だからルイズとか王政ヤバいかな?
911名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 18:57:32 ID:LzuYPVx1
>>903
まともな人間には理解できないからきちがいなんだよ
912名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:04:03 ID:9WbtCwUh
>>898
7万戦でビッテン突破して玉砕とか…許せる!
913名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:04:16 ID:N9ZCa6fV
>>910
言ってるそばからこういうのが。
わざとやってんのか?
914名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:05:25 ID:S7fG3KiP
>>909
スパルタニアンってレーザーじゃなかったっけ?
915名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:07:02 ID:dSulajyB
>>909
おまえさんの竜は火を吐かなければ爪も牙もないんか?
飛行速度もゼロ戦と風竜と火竜とでそれぞれかなり差がでて違うのにそれでもどうにもならんと?
916名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:10:10 ID:Lfs97hPw
訓練すれば優秀な竜騎士になるだろうけどいきなりは無理ってことでしょ
917名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:13:14 ID:cORqukdM
バイオハザードアウトブレイクから8人召喚
918名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:14:09 ID:bSIjTXzg
Tウイルス感染してっぞwww
919名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:14:11 ID:iYr+iTQv
そんなことよりウルトラマンの話しようぜ。
ツインテール召喚。
920名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:16:43 ID:bIyr15g5
ルイズの髪型もツインテールに
921名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:17:04 ID:hbYsb9fV
いまだに制作が何を思ってエビ風味なんていう設定にしたのかよく分からない
922名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:18:45 ID:LRfYMwAS
そもそも竜騎士とパイロットでは必要とされる技能がぜんぜんちげえ
ポプラン活かすなら奴の経歴考えて編隊戦術をハルキゲニアに持ち込むとかだろ
オーラバトラー戦記のジョクみたいに
923名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:19:08 ID:0lr4s9jo
>>906
やつが活躍する話が想像できるのか?
まともに活躍してたらそれはスーパースターマンじゃない
924名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:19:11 ID:wKoe4z7V
グドンがおいしく頂ける様にじゃね?
925名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:29:25 ID:pSNw/9Iv
>>909
何で攻撃手段がボウガン限定なのか説明してくれないか?

> っていうかポプランに限らず、双方が高速移動しながらの単発攻撃なぞ99.999%当たらない。

風竜より速い20世紀の戦闘機同志によるドッグファイトは残り0.001%という事か
926名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:35:24 ID:wKoe4z7V
ボウガン・・・ペガサスボウガン!

クロックアップすら捕らえたペガサスフォームなら
偏在にまぎれた本体も見つけ出せると思うんだ
927名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:35:31 ID:LRfYMwAS
>>925
単発の攻撃と機関銃じゃ全然違うだろ
機関砲と火竜のブレスでも初速が違いすぎる
928名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:36:06 ID:uX1+Kbga
あれは連射してるからなあ
攻撃は点じゃなくて線だろ
929名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:36:16 ID:VmNMn2ZE
GXからフロスト兄弟召喚

オルバ「僕らは正さなければならない、虚無を継ぐ者も、力あるメイジも全てだ」
シャギア「そう、世界を変えるためにも真に評価されるべきは」
オルバ「僕たちだけで良い!」
930名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:39:49 ID:pY8wd+FX
ボウガンといえばあれっしょ

クリスタルを砕いて一時は変身出来ないようにしたけど
結局新たな変身手段を手に入れたわ結果として干渉スペクトルを地球人に漏らして
フォンが倒される遠因を作ってしまった
主人公と対の傷を負った最初のライバルキャラ
倒されたときには「やっぱあいつじゃ駄目かー」とか言われちゃったアイツ

・・・むしろ漫画版の従者ロボを呼ぶべきか?
931名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:41:11 ID:FtBdtRET
>>927
射程も違いすぎるな。

そういやFF6の王様もボウガン使えたっけ
932名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:41:35 ID:pSNw/9Iv
戦闘機だろうが竜だろうが、連射だろうが単発だろうが、
武器や乗り物に合わせて戦闘するだけの話だと思うがねぇ
銀英伝に限らずごく一般論として、特定のこれに慣れてるからあれでやれないってほど応用が効かないって
前提になるのhqあそうそうないと思うがねぇ
933名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:46:15 ID:LzuYPVx1
別に戦闘機乗ったからって竜に乗れなくなるわけじゃないと思うが
応用も何も戦闘機の技術は竜操るのに何の関係も無いと思うぞ
バイクに乗れる奴だって馬に乗ったら初心者と全く変わらんだろ
934名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 19:48:39 ID:xBFE614/
ハルケギニアの竜使いには訓練や学習の概念はありません
だって描いてないから

だから永久に無理!という事で一つお開きで
935名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:02:13 ID:d2OLolqd
>>923
スーパースターマンのスリ能力はラッキーマンの世界の最強クラスの敵にも通用する超絶技能だ
心を読む能力が通用しないほどの無意識で行う為にとんでもないものまで盗んでしまいそう

貴族崩れのスリたちから掏り取った金でシェペー卿の剣を買って直に叩き折るという展開を行うことも可能
936名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:05:58 ID:dSulajyB
ぶっちゃけ上とって急降下のちすれ違いざまに爪や牙、もしくは後ろとってからブレスが王道だと思うんだがなぁ
羽付きの狩り的に

戦闘機と比べるまでもなく遅いことが描写されてるし
風竜の時点でレアもので大抵はさらに遅い火竜だし
937名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:10:54 ID:NMhkEJZ2
そもそも、竜に力量を認められないと、乗ることは叶わないからな
使い手の魔法の実力を見定められて、振り落とされそう
ポプランのそれは女性専用だからね
扱えたにしても、竜使いの厳しいだろう訓練に耐える気あるかね

ヴィンダールヴとしての召喚で、竜騎隊の隊長を任せることは可能だろう
女と酒を断ってもらわなきゃいかんが

一つ疑問
ポプランやシェーンコップのストライクゾーンの中に、学院のメンバーは入るんだろうか……
938名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:11:59 ID:cBVI4Eic
フーケ「スーパースターマン半端ないって、もうあいつ半端ないって!
格上の相手から無意識にスルもん。 そんなん出来ひんやん、普通。」

マチルダ「あれは凄かった。 俺握手してもらったぞ」
939名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:14:00 ID:XI+Agf4V
竜がビームみたいなブレス吐くことにすれば、機銃がないとかあまり問題にならないな
940名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:14:53 ID:OrbZu+f2
『シャングリ・ラ』から北条國子を召喚。
とりあえずブーメランのお陰でデル公涙目。

モンモンと声が一緒っていうネタでVS.ギーシュが別の展開になりそう。
結果的には決闘して驚異的に運動能力と鞭とブーメランでゴーレム薙ぎ払われギーシュ涙目。
941名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:17:26 ID:pY8wd+FX
>>ブレス
鷹の目を召喚

その結果、元の世界ではタイムパラドックス発生して大変なことに
942名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:20:39 ID:xBFE614/
>>939
おっと嫌味はそこまでだ
違う物を使いこなすのは無理無理無理!て主張でいいのだよ
943名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:20:45 ID:RdjE2rt/
>>937
シェーンコップもポプランもちゃんとした年齢の人を相手にした記述しかない。
特にポプランはカリンへの対応を見る限り年下には面倒は見ても手は出さないかと。
帝国領に来たときにも知らなかったとはいえ人妻に手だしてるし。
女を憎むロイエンタールなら手を出して傷付けるだろうがな。
944名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:23:07 ID:kiJJghjN
戦闘機と風竜や火竜との戦いと言うと、ゼロ戦才人だな。

http://syosetu.com/g.php?c=w3286a&m2=nl
945名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:27:41 ID:9WbtCwUh
>>929
その二人ならアカデミーで作られた人造メイジって設定でも通用するなw
946名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:30:59 ID:TqwvEuoz
>>945

いや、それはエレオノールに死亡フラグ乱立だしwww
947名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:31:22 ID:RdjE2rt/
>>945
劣化ヘクサゴン・スペルの使い手なので認められず世界を憎むって話を連想した。
948名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:32:54 ID:eh8B1II+
>>946
ヴァサーゴとアシュタロンにアカデミーごとサテライトランチャーやられかねん
949名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:33:25 ID:RdjE2rt/
>>939
パンツァードラグーンとクロスさせたら違和感なく出来そうな設定だな。
950使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:34:06 ID:nOhe7hK9
どうもみなさんこんばんわ
特に投下予約がなければ、20:40あたりから
投下を行いたいと思いますがよろしいでしょうか
951名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:36:19 ID:NMhkEJZ2
ロイエンタールが自発的に女と接触するかね
女から寄ってくるんで、相手をした事実を方便に、捨てることを肯定しているだけなような
それと、安っぽい憎しみに振り回される輩でもないだろうよ
ローエンタールの女嫌いは、別な部分に根幹がある、と予測している
『乱世の勇』に繋がる点があるとも踏んでいるからな

これを考えるに、召喚が不可能という訳ではなさそうだな
生まれたことを後悔した過去は、ルイズに無関係な話じゃないし

というわけで、支援します
952使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:39:38 ID:nOhe7hK9
うお、950踏んじまった

そして立てようとしたらスレ立て規制食らいました
どなたかお願いします
953使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:41:34 ID:nOhe7hK9
そして40分になったのでぼちぼち始めます
ぐぬぬ…慌しいスタートなんじゃ……
――――――――――――――――――――――――
「それにしても、武器なんて持ち歩いて良いの?」
 王都トリスタニア、ブリドンネ街。武器屋までの道すがら、カズキは前を歩くルイズに尋ねた。
「はぁ?平民が護衛役をするのに武器を携帯しなくて、どうやって主人を危険から守るのよ」
「いや、オレの居たトコじゃ、武器や凶器は持ってるだけで犯罪者だからさ。実際持ち歩いてたら危ないじゃん」
「ふぅん。あんたんとこはそうなってたの。ま、メイジがいない世界じゃそうよね。
でもこっちじゃ、治安を守るのも基本メイジの勤めだもの。武器を持った平民ごとき、物の数じゃないわ」
 それじゃ持ってても、あまり意味がないような気もするな、とカズキは思うだけで、口には出さなかった。
「オレは?」
「自惚れないの。そりゃあんた、この間ギーシュとの決闘で勝ってたけれど、ギーシュごときと衛士を一緒にしないことね。
あんたに武器を持たせるのは、襲ってくる相手を倒させるのが目的じゃないわ。
もしものときに主人であるわたしが、安全に魔法を詠唱する時間を稼ぐ為。その手段の一つとして持たせるの。身の程を知ることね」
「どんな魔法でも爆発するのに?」
 ルイズはにこやかな笑顔を浮かべた。
「今すぐその爆発で、あんたの命を絶ってあげてもいいのよ?」
「ごめんなさい」
 そんなこんなで、二人は狭い路地裏から先、ゴミの類が道端に転がる、衛生的によろしくない道を行く。
ルイズが先ほどあまり行きたくないと言った理由をカズキは思い知った。できればあまり足を踏み入れたくない。
 四辻に出ると、ルイズは辺りを見回す。
「ピエモンの秘薬屋の近くだったから、この辺りなんだけど……」
 それから、一枚の銅の看板を見つけ、嬉しそうに呟いた。
「あ、あった」
 見ると、剣の形をした看板がぶら下がっていた。どうやらそこが武器屋らしかった。二人は石段を登り、羽扉に手をかけた。


 使い魔の達人 第八話  土くれのフーケ


 店の中は昼間だと言うのに薄暗く、ランプの灯りがともっていた。壁や棚に、
所狭しと剣や槍が乱雑に並べられ、立派な甲冑が飾ってあった。
 店の奥で、パイプを加えていた親父が入って来たルイズを胡散臭げに見つめた。
さっきの服飾店とは違う雰囲気に、思わずカズキは喉を鳴らした。
ルイズの胸の紐タイ留めに描かれた五芒星に気付いた親父が、パイプを離し、ドスの利いた声を出した。
「旦那、貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんや」
「客よ」
 腕を組んで言うルイズに、親父は目を丸くした。
「こりゃおったまげた。貴族が剣を!おったまげた!」
「どうして?」
「いえ、若奥様。坊主は聖具を振る、兵隊は剣を振る、貴族は杖を振る、
そして陛下はバルコニーからお手をお振りになる、と相場は決まっておりますんで」
「使うのはわたしじゃないわ。使い魔よ」
「忘れておりました。昨今は使い魔も剣を振るようで」
 主人は商売っ気たっぷりにお愛想を言った。それから、カズキをじろじろと眺めた。
「剣をお使いになるのはこの方で?」
 ルイズは頷いた。が、それを聞いたカズキは待ったをかけた。
「ルイズ、ルイズ」
「なによ。商談中よ、ちょっと黙んなさい」
「オレ、剣よりは槍の方が使い慣れてるんだけど。特に突撃槍(ランス)」
「あら、あんた剣士だったんじゃないの?でも、あの時は剣をあんなに使えてたじゃない」
 ルイズの脳裏には、ギーシュのゴーレムをずんばらりと切り裂いたときのカズキが浮かんでいた。
「いや、あれはオレにもよくわかんないんだけど、このルーン?が光って、体が自然に動いたんだよ」
954使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:43:11 ID:nOhe7hK9
「今も光ってるじゃない」
 カズキは左手を掲げた。仄かに輝いている使い魔のルーンを示して。
「これよりもっと光ってた」
「ふぅん…なるほど。けど、槍はダメよ」
 何か思うところがあったのか、一つ頷くルイズ。
「なんでさ」
「ダサいわ」
 カズキは沈んだ。それはもう見事に、床に手を着き膝を着き、しかし踏ん張ることもできぬほど崩折れたのだ。
 そんなカズキに言い聞かせるように続けるルイズ。
「従者と言えばやっぱり剣よ。槍なんて長い武器、通路じゃ邪魔になるだけだわ。
でもわたし、剣なんてわかんないからとりあえず、こいつに合いそうなの適当に持ってきてちょうだい」
 主人はいそいそと奥の倉庫に消えた。彼は聞こえないよう、小声で呟いた。
「……こりゃ、鴨がネギしょってやってきたわい。せいぜい、高く売りつけてやるとしよう」
 彼は一メイルほどの長さの、細身の剣を持って現れた。主人は思い出すように言った。
「そういや、昨今の宮廷の貴族の方々の間で下僕に剣を持たすのがはやっておりましてね。
その際にお選びになるのが、このようなレイピアでさあ」
 なるほど。きらびやかな模様がついていて、貴族に似合いの綺麗な剣だった。
「貴族の間で、下僕に剣を持たすのがはやってる?」
「へえ。なんでも、最近このトリステインの城下町を、盗賊が荒らしておりまして……」
「盗賊?」
「そうでさ。なんでも『土くれ』のフーケとかいう、メイジの盗賊が、貴族のお宝を散々盗みまくってるって噂で。
貴族の方々は恐れて、下僕にまで剣を持たせる始末で。へえ」
「ふうん。…にしてもこれ、細いわね」
 ルイズは盗賊には興味を示さず、剣の方を見やる。すぐに折れてしまいそうな細身の剣。
カズキは確か、もっと大きな剣を軽々と振っていたはずだ。ルイズは両の手を広げた。
「もっと大きくて太いのがいいわ」
「お言葉ですが、剣と人には相性ってもんがございます。男と女のように。
見たところ、若奥様の使い魔とやらには、この程度が無難なようで」
「大きくて太いのがいいと、言ったのよ」
 ルイズが言うと、店主はぺこりと頭を下げて奥へと消えた。その際に、小さく「素人が!」と呟くのを忘れなかった。
 今度は立派な剣を油布で拭きながら、主人は現れた。カズキもいい加減復活したらしい。何かぶつくさ言っているが放っておく。
「これなんていかがです?」
 見事な剣だった。一・五メイルはあろうかという大剣で、柄は両手で扱えるように長く、立派な拵えである。
ところどころに宝石が散りばめられ、鏡のように両刃の刀身が光っている。見るからに切れそうな、頑丈な大剣であった。
「店一番の業物でさ。貴族のお供をさせるなら、このぐらいは腰から下げて欲しいものですな。
といっても、こいつを腰から下げるのは、よほどの大男でないと無理でさあ。やっこさんなら、肩からしょわんといかんですな」
 カズキも近寄って、その剣をまじまじと眺めた。大きくて、綺麗な剣だな。そんな第一印象。
槍を扱った経験はあるが、ものの良し悪しがわかるほど目が肥えているわけでもないのだ。
「すごい剣だね。ちょっと使うのがもったいない気もするけど」
「そうそう使うこともないでしょうね。けれど、店主の台詞じゃないけれど、それくらいは持っていてもらわなきゃ」
 とにもかくにも、カズキも気に入ったようではある。ルイズは頷いた。店一番と親父が太鼓判を押したのも気に入った。
貴族はとにかく、なんでも一番でないと気がすまないのである。
「おいくら?」
「何せこいつを鍛えたのは、かの高名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿で。魔法がかかってるから鉄だって一刀両断でさ。
ごらんなさい。ここにその名が刻まれているでしょう?おやすかあ、ありませんぜ」
 尋ねるルイズに、主人はもったいぶって柄に刻まれた文字を指差した。ルイズは胸をそらせて言う。
「わたしは貴族よ」
「エキュー金貨で二千。新金貨なら三千」
「立派な家に、森つきの庭が買えるじゃないの」
955使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:44:20 ID:nOhe7hK9
 ルイズは呆れて言った。カズキは相場と貨幣価値がわからないので、ぼけっと突っ立っていた。
「名剣は城に匹敵しますぜ。屋敷で済んだら安いもんでさ」
「新金貨であと百とちょっとしかないわ」
 ルイズはあっけなく財布の中身をばらしてしまった。今日はちょっとした買い物もあるだろうと、
これでも多めに持ち合わせてきたほどだったが、ぜんぜん足りないようだ。主人は話にならない、というように手を振った。
「まともな大剣なら、どんなに安くても相場は二百でさ」
 ルイズは顔を赤くした。剣がそんなに高いとは知らなかったのだ。そんなルイズを見てカズキは慌てて慰めるように言った。
「ま、ま。お金が足りないんじゃ仕方ないよ。それにほら、こんな立派な剣じゃなくても、オレは良いからさ」
「あんたが良くても、わたしがいや…とも言ってられないわね。しかたないわ、買えるのにしましょうか」
 そのとき……乱雑に積み上げられた剣の中から、声がした。低い、男の声だった。
「そうだそうだ!その坊主にゃ、んなでけえのじゃあなく、そこらの棒っきれで十分だな!
そんなひょろっこい腕じゃ、棒もいっぱしに振れるかわかんねえけどよ!」
「な、なんだ?」
 カズキは声をする方に目を向けたが、そこにはただ剣が乱雑に置いてあるのみ。
突然の暴言に思うところがないわけでもないが、それ以上に声の正体が気にかかる。
「わかったら、棒でも槍でも買ってさっさと家に帰りな!おめえもだよ!貴族の娘っ子!」
「失礼ね!」
 ルイズの怒声を背に受けつつ、カズキはつかつかと声の方へ近づいた。
「誰かいるのか?」
「おめえの目は節穴か!」
 カズキはその声に、目を丸くした。なんと、声の主は一本の剣であった。錆の浮いたボロボロの剣から、声は発されているのだった。
「すごい、剣が喋ってる!」
 カズキがそう言うと、店の主人が怒鳴り声をあげた。
「やい!デル公!お客様に失礼なこと言うんじゃねえ!」
「デル公?」
 カズキはその剣をまじまじと見つめた。さっきの大剣と長さは変わらないが、刀身が細かった。薄手の長剣である。
ただ、表面に錆が浮き、お世辞にも見栄えが良いとは言えなかった。
「お客様?剣もまともに振れねえような小僧っこがお客様?ふざけんじゃねえよ!耳をちょん切ってやらあ!顔を出せ!」
 しかもずいぶん口が悪いときてる。しかし、喋る剣とは。カズキはとある自動人形を思い出していた。
あれもずいぶん口は悪いが、気の良い奴だった。じゃあきっとこいつも、そうに違いない。カズキはそう思った。
「それって、インテリジェンスソード?」
 ルイズが、当惑した声を上げた。
「そうでさ、若奥様。意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。いったい、どこの魔術師が始めたんでしょうかねえ、
剣を喋らせるなんて……。とにかく、こいつはやたらと口は悪いわ、客に喧嘩は売るわで閉口してまして……。
やいデル公!これ以上失礼があったら、貴族に頼んでてめえを溶かしちまうからな!」
「おもしれ!やってみろ!どうせこの世にゃもう、飽き飽きしてたところさ!溶かしてくれるんなら、上等だ!」
「やってやらあ!」
 売り言葉に買い言葉か。主人が魔剣を手に取ろうとするのを、カズキが止めた。
「ちょっと待った。喋る剣なんて面白いじゃん。溶かすなんて、もったいないよ」
 そしてカズキは、その剣をまじまじと見つめた。
「へっ!なんでえ!物珍しいからってお情けで助けてなんかいらね…うん?」
 やがて、魔剣は押し黙った。まるで、カズキを観察するかのように。それもしばしの間。すぐに喋りだした。
「おでれーた。見損なってた。てめ、『使い手』か」
「『使い手』?」
「ふん、自分の実力も知らんのか。まあいい、てめ、俺を買え」
「お、良いの?」
 するとカズキは、その錆の浮いた魔剣を手に取った。左手のルーンが、輝きを増した。
「ルイズ。これに――」
「おでれーた。てめ、随分面白え鍛え方してんのな。見た目がひょろっこいから気付かなかったけど、よく鍛えてあんじゃねぇか」
 手で直に触れられて、カズキの実力を測ったようだ。ルイズに剣を買ってもらう旨を伝えようとしたところに、魔剣がそう言った。
一ヶ月間の地獄のトレーニングの間に培った超実戦的な肉体及び戦闘感覚は、この魔剣を唸らせるに値したようだ。
956使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:45:45 ID:nOhe7hK9
「そ、そう?なんか照れるな」
「なにあんた、そんなの買うつもりなの?もっと綺麗で喋らないのにしたら?そんなおべっか使うような剣、いらないわよ」
「いや、デル公がおべっかなんざ、言うはずがないですぜ。そんな愛嬌あったら、とっとと買われてってるはずでさ」
「じゃあなに、あんた、そんなボロ剣の御眼鏡に適ったってワケ?」
 ルイズは心底嫌だ、と言わんばかりの顔を作った。
 すると魔剣は、つばをカタカタカタ、と鳴らしだした。それにルイズはビクリ、と慄いた。
「な、なによこいつ…!」
「何か面白いことでもあったんでしょうかね?笑ってるんでさ」
 付き合いも長いのか、感情を見て読み取れるようだ。店主が説明した。
「いやいやいや、おっでれーた!こんなぎりっぎりで人間やってる『使い手』はさすがに初めてだ!なんなんだ、てめ!」
 先刻までの憂いを帯びた様子が嘘のような、可笑しくてたまらない、と言わんばかりの生き生きとした口調。
 しかしその一言は、カズキの表情を驚愕のものに一変させるには十分だった。
「…わ、わかるのか?」
「おうよ!なんてったって俺は…あれ?なんだったっけ」
「わかるのか?オレはまだ、人間なんだな!?」
 尚も詰め寄るカズキ。その逼迫した様子に、ルイズも店主も目を丸くした。魔剣もまた、萎縮した声を上げた。
「お、おうよ…人間ってか、『使い手』なんだが。まぁどっちでもいいやな。
残りのおめえは、なんだ。……なんなの、おめ?人間のようで、人間じゃねえ。亜人の類ともまるで違う。
ってかおめ、そんな握るな握るな。錆びてるっても俺様、剣なんだからよ」
 逆に問い返され、さらには心配された。気付けば、その刀身を思い切り握っていたようだ。
手を離すと、手のひらに赤い線が少し走っていた。じわりと痛みが広がる。流れ出る血は、もちろん赤い。
「まだ、人間なのか」
 カズキの顔に、これまでにない安堵が広がった。タイムリミットは過ぎているけれど、まだ、人間なんだ。傷む拳を、強く握った。
「ボロ剣の証言ってのがいまいち信憑性ないけど…あんたの体、ほんっとーに化物になりかけだったのね」
 ルイズが頬を掻きながら、そう呟いた。状況についていけてなかった店主が、ルイズが発した化物、の一言にひっ、と呻いた。
「……信じてくれてなかったの?」
「そりゃ、ここ最近のあんた見てたら、危険な状態なのはわかるんだけど。いつまで経っても化物になんないし。
というか、そんなあんたが危険人物に見えたくらいだわ。それにあんた、なんでもすぐ信じそうだもの。
誰かに騙されて、悩んでんじゃないか、とか考えてたわよ」
 あまりな言い草に、カズキは再度沈んだ。けど、今度はすぐ立ち直った。
「え、ええと。若奥様の使い魔さん、大丈夫なんでしょうね?いきなり襲ってきたりとか、しねえですよね?」
 店主はすっかり腰が引けた様子で、ルイズに切り出した。
「あぁ、平気よ。今のところは無害っていうのが、あの剣のおかげで証明されたみたいだし…不安は残るけど」
「で、えーと。この剣、買いたいんだけど、良いかな?」
「しかたないわね。これ、おいくら?」
「ああ、そいつなら百で結構でさ」
「あら、安いのね」
「錆びも浮いてて口も悪い。こっちとしちゃ、厄介払いみたいなもんなんでさ。ハイ」
 店主がひらひらと手を振ると、カズキは早速上着の内ポケットから財布を取り出した。
中身を出し、主人が丁寧に百枚数えれば、商談は成立した。
「毎度」
 カズキの持った剣を恐る恐る受け取れば、鞘に収めた。
「どうしても煩いと思ったら、こうして鞘に入れればおとなしくなりまさあ」
 カズキは頷いて、それを受け取った。少しだけ鞘から出して、語りかけた。
「よろしくな、デル公」
「おう、俺はデル公じゃなくて、デルフリンガーってんだ!デルフでいいぜ!よろしくな、相棒!」
「あぁ、オレは武藤カズキ。よろしく、デルフ」
 そうして、カズキはデルフリンガーを手に入れた。

957使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:47:29 ID:nOhe7hK9
「やっと出てきた。こんな色気もなにもないところで、随分時間がかかったわね」
 ルイズとカズキが武器屋から出てくるのを見届ける影。赤い髪のまぶしいキュルケである。傍にはタバサが、黙々と読書に耽っていた。
「まったく、ヴァリエールったら、剣なんかプレゼントしてあの人の気を引こうだなんて。姑息な手を使うものね。
あたしが狙ってるから、警戒するのは当然でしょうけれど」
 自信たっぷりにそういうと、さてと、と呟いて、彼女は今しがた二人が出てきた武器屋へ向かった。

 大通りの道を歩く。必要なものは買ったということで、帰路に着き始めた。
「いてて…血は止まったけど、動かすと痛いや」
 先ほど思わずデルフリンガーを握った手が痛い。大した出血にならなかったのが救いか。
既に‘錬金術'の‘力'が作用しているのだろう。血が固まってきている。
「興奮するからよ。馬鹿ね」
 呆れたように、ルイズ。今日一番の収穫かもしれない、使い魔の剣。ひょっとしたら、この少年の助けになるかもしれない。
学院を出る前からは見違えるように、生気の戻った表情のカズキに、ルイズもどこか安堵していた。
「なあデルフ。さっき言ってた『使い手』って、なんなんだ?」
 歩きながら、カズキはデルフを手に取って話しかけた。鞘から少し引き抜けば、そのつばをカタカタと鳴らした。
「あん?『使い手』は『使い手』さ。俺としては、相棒の胸に詰まってる‘そいつ’の方が気になるんだが――」
「ちょっと、あんたたち。少しは場所を考えなさいよ。こんな往来で剣を半分抜いてるなんて、衛士に捕まっても言い訳できないわよ?
自分の体が気になるのはわかるけど、時間はあるんだから、あとでゆっくり話でもなんでもなさい。今はまず、帰るわよ」
 そんな使い魔と剣を嗜める。まったく、新しいおもちゃを買ってもらった子供のようだ。ルイズにはそんな風に思えた。
「そっか。了解。また後でな、デルフ」
 ルイズが一緒に居るとはいえ、こんな街中で剣を相手にぶつぶつ言ってたら違う意味で捕まりそうだ。カズキは剣を鞘に戻せば、背中に担いだ。

 二人は駅まで戻れば、学院から乗ってきた馬二頭を引き取った。馬のほうも十分休んで、準備万端のようだ。
「さ、帰るわよ。服と剣を買ってあげた上、腰が痛いなんて泣き言は聞かないからね。ちゃんと着いてきなさい」
「任せろ!何を隠そう、オレは乗馬の達人!」
「あんた、朝の自分覚えてないでしょ」
 調子を取り戻してきたカズキに苦笑を返し、ルイズがそう言った。
 馬に跨り、学院への道を往く。
「ハイヨー!シルバー!!ってぅおおおぉぉおぉ!?」
「ははは、相棒!いくら『使い手』だからって、そっちの扱いは専門外だぜ!」
 慣れない馬の扱いに四苦八苦するカズキを、デルフが笑った。それでも朝よりは、乗りこなせている。
ルイズも、しかたないわね、あの使い魔は。とぼやきながらそれを追った。


「で、これはどういう意味なわけ?ツェルプストー」
 既に夜の帳も落ちて、部屋の窓からは二つの月が煌々と輝いているのが見える。
しかしカズキは、それを見ることは適わない。床に正座して、目の前には今しがた購入してきたデルフリンガー。
そしてもう一本。昼間、武器屋で店主が持ち出してきた、見事な大剣が並んで置かれていた。
 ルイズとキュルケは、お互い睨み合っている。タバサはベッドに座り、我関せずと本を広げていた。
そんな一同を、テーブルに置かれたランプが照らす。空気が、重い。
「どうもなにも、カズキにはそんなボロ剣よりもこっち。この剣のほうが似合ってるから、これを使いなさいって言ってるのよ」
 部屋に戻ると同時に、待っていたわと押しかけてきたキュルケ。その腕には、大剣が抱えられていたという次第である。
「最近大人しいと思ったら…。余計なお世話よ。使い魔の使う道具は間に合ってるわ」
 ねえ?とカズキに伺うルイズ。カズキはどうしてよいやら、正座のまま苦笑を返しておいた。
大剣のプレゼントは嬉しいけれど、今の自分にはルイズの買ってくれたデルフリンガーがある。
 しかし、そんな曖昧な反応は、ルイズのお気に召さなかったようだ。
「なによあんた。よもや、わたしの買ってあげた剣と、この女の剣。どっち使うかで、迷ってんじゃないでしょうね」
「そうね、ボロくたって、主人であるルイズの買ってあげた剣だもの。使い魔としては、そっちを選ぼうとするのが当然よね。
でも、この剣をあげるって言われたら、そりゃ目移りするのも仕方ないってものよ。変な嫉妬はやめなさいよね」
「誰が嫉妬してるのよ!」
958使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:48:26 ID:nOhe7hK9
「そうじゃない?あなたが買えなかった剣を、あたしがなんなく手に入れてプレゼントしたもんだから、嫉妬してるんじゃなくて?」
「誰がよ!やめてよね!ツェルプストーの者からは豆の一粒だって恵んでもらいたくない!そんだけよ!」
 がなるルイズを無視して、キュルケはカズキに顔を向けた。カズキは、ルイズの態度に思うところがあったが、意識をそちらに向けた。
「ねえ、カズキ?この名剣を鍛えたのは、ゲルマニア屈指の錬金魔術師、シュペー卿だそうよ?剣も女も、生まれはゲルマニアに限るわ」
「どういう意味よ」
「そのままの意味よ?」
 ふふん、と胸をそらせてキュルケが言う。確かにキュルケは美人だし、名剣もすごく綺麗だ。うーん、とカズキは唸った。
するとキュルケが顔を近づけてきた。熱っぽい流し目を送り、語りかけてくる。カズキは思わず顔を赤くした。
「それに、トリステインの女ときたら、このルイズみたいに独占欲旺盛で、そのくせ殿方には無理難題ばかり吹っかけて、
嫉妬深くて、気が短くて、ヒステリーで、口ばっかりで、プライドばっかり高くって、どうしようもないんだから」
 ルイズはキュルケをぐっと睨みつけた。
「なによ。ホントのことじゃないの。あれから少しは進んだのかしら?使い魔に剣なんて買い与えるほど余裕があるんですものね」
 痛いところを突いてくるキュルケである。ルイズは顔を思わずしかめるが、すぐに余裕たっぷりに口を開いた。
「へ、へんだ!あんたなんか、ただの色ボケじゃない!なあに?ゲルマニアで男を漁りすぎて相手にされなくなったから、トリステインまで留学して来たんでしょ?」
 冷たい笑みを浮かべてキュルケを挑発する。随分頭にきているようで、声が震えていた。
「言ってくれるわね。ヴァリエール……」
 キュルケの顔色が変わった。ルイズが勝ち誇ったように言った。
「なによ。ホントのことでしょう?」
 二人は同時に自分の杖に手をかけた。
 それまで、じっと本を読んでいたタバサが、二人より早く自分の杖を振る。
 つむじ風が舞い上がり、キュルケとルイズの手から、杖を吹き飛ばした。
「室内」
 淡々と言うタバサ。ここでやれば危険であることを、暗に告げている。
「なにこの子。こないだも一緒にいたわね」
 ルイズが忌々しげに呟いた。キュルケが答える。
「あたしの友達よ」
「なんで、あんたの友達がわたしの部屋にいるのよ」
 キュルケは、ぐっとルイズを睨んだ。
「いいじゃない」
「すごいね、一瞬で杖を飛ばすなんて」
 助かった、とカズキはじっと本を読んでいるタバサに声をかけた。返事はなく、黙々と本の頁をめくっている。かなり無口なようだ
 眼鏡をかけた物静かな雰囲気が、妹のまひろの友達、しっかり者のちーちゃんを連想させた。
あの子をもう少し口数減らすと、こんな感じなんだろうか。そう思った。
「オレは武藤カズキ。よろしく」
「タバサ」
 本に目を向けたまま、簡潔に返事が返ってきた。なんだか、声の感じも似てる気がした。トーンはだいぶ違うけれど。
 すると、依然睨み合っていた二人して、文句を言ってきた。
「あんた、なにこっちを無視してその子に挨拶なんかしてんのよ」
「カズキ、タバサみたいな子が良いの?」
「いや、キュルケさんの友達ってことは、ルイズの友達でもあるだろ?挨拶しないと」
『ちょっと!誰が友達よ!こんな女!!』
 見事な唱和を見せる二人であった。やっぱり仲良いよな、とカズキは表情を緩ませた。
 そんなカズキに毒気を抜かれたのか、二人は顔を見合わせる。
「で、どうするの?こいつにでも選んでもらう?」
「いいえ。もっとわかりやすい形にしましょう。それにそろそろ、決着もつけたいところじゃない?」
「あら、いいわね」
 和やかに話していると思えば、キュルケは眉を吊り上げ、ルイズも負けじと胸を張った。同時に叫ぶ。
『決闘よ!』
「あれっ?」
 カズキは目を疑った。なぜそんな流れになるのか、理解が追いつかなかった。喧嘩するほど仲が良いって言う、あれだろうか。
959使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:49:40 ID:nOhe7hK9
「もちろん、魔法でよ?」
 キュルケが、勝ち誇ったように言った。ルイズは唇をかみ締めたが、すぐに頷いた。
「ええ。望むところよ」
「いいの?魔法で決闘で。言っとくけど、これに負けたら、剣のことだけじゃないわ。あんたのこと、『ゼロ』と呼ばせてもらうからね」
 小ばかにした調子で、キュルケが呟く。ルイズは頷いた。自信はない。もちろん、ない。
でも、ツェルプストー家の女に魔法で勝負と言われては、引き下がれない。
「もちろんよ!誰が負けるもんですか!」

「なあルイズ。ルイズとキュルケさん、なんでそんなにいがみ合ってんの?」
 中庭までの道すがら、二本の剣を抱えたカズキは、そんなことを尋ねる。ルイズとキュルケは不意に顔を見合わせると、同時にふん、と顔を逸らした。
「そんなの、ツェルプストーの人間だからに決まってるじゃない」
「それだけじゃわかんないよ」
 すると、横からキュルケが口を挟んできた。
「そうね。もう少し説明してあげなさいな、ヴァリエール。カズキ、さっき言ったと思うけれど、あたしはゲルマニアの女。
このトリステインの隣国、ゲルマニアの貴族なのよ。それでね」
「わたしの実家、ラ・ヴァリエールとキュルケの実家、フォン・ツェルプストーは国境を挟んで隣同士なの」
「国同士で戦争が起これば、昔から真っ先にぶつかり合ってた仇敵ってわけよ。だから、仲良くなんてそもそも無理なわけ」
 そこまでで、説明は十分だろうと、ルイズとキュルケは押し黙った。なんだかんだで二人して、きちんと説明してくれてる。
「それで、部屋も隣同士ってわけか」
「そう、それが何より気に食わないのよ」
「それはこっちの台詞よ。まったく、どういう基準で部屋を決めてるのかしらね、トリステイン貴族は。頭が悪いとしか思えないわ」
 ルイズがキュルケを睨んだ。そ知らぬ顔で歩を進めるキュルケ。カズキはうーん、とひとつ唸って。
「良いんじゃない?せっかく隣同士なんだし、仲良くなれば」
「あんた、話聞いてなかったの?」
「そういう建設的な考えも素敵だけど、こればっかりは流石にね」
 そういうもんかなぁ、と首を傾げているうちに、四人は中庭へ到着した。二つの月が、あたりを照らす。
「まあ、そんな両家の歴史にも、あたし達の代で、一応の決着がつくことになるわね。始めましょうか」
 キュルケが言った。カズキは心配になったのか、口を開いた。
「ほんとに決闘なんてするの?」
「そうよ」
 ルイズもやる気満々である。今更あとには引けないらしい。
 カズキとしては、決闘に付き合うようなことはせず、先ほど購入したばかりのデルフリンガーにいくつか質問をしたいところである。
が、今はどうも、それをするわけにもいかない。決闘ということは、ギーシュの時みたいに魔法をばんばん使うのだろう。とてもじゃないが、ほうってはおけない。
「でも、危ないじゃん。決着をつけなきゃいけないのなら、もっと安全な、どっちも納得できる方法にしなよ」
 一理ある、と思ったのか、カズキの言葉にキュルケが頷いた。
「確かに、怪我するのも馬鹿らしいわね」
 ルイズも、その考えには賛成の様子だ。首を縦に振る。
「そうね」
 すると、それまで黙っていたタバサが本を閉じ、キュルケに近づいて、何かを呟く。それから、カズキを指差した。
「あ、それいいわね!」
 ぽん、と手の平を合わせて、キュルケが微笑む。そして、キュルケもルイズへ呟いた。
「あ、それはいいわ」
 ルイズも頷いた。
 三人は、一斉にカズキの方を振り向いた。
「へ?」
 カズキは目をぱちくりと瞬いた。

「なぁー。これはないんじゃない?」
 カズキは情けない声で言うが、誰も返事をしてくれない。
 本塔の上から、ローブで縛られ、吊るされ、空中にぶら下がっている。ぶら下がりの達人のカズキではあるが、
ロープで簀巻きにされていてはその本領は発揮できなかった。
960使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:50:49 ID:nOhe7hK9
 こんなことになるなら、どっちか選んでおくべきだったんだろうか。後悔先に立たずである。
 はるか地面には、小さくルイズとキュルケの姿が見える。塔の屋上には、ウインドドラゴンに跨ったタバサ。風竜は二本の剣を咥えていた。
 ルイズとキュルケが上を見れば、ロープに縛られ、吊るされ、揺れるカズキが見えた。それを確認し、キュルケが腕を組み言う。
「いいこと?ヴァリエール。あのロープを切って、カズキを地面に落としたほうが勝ちよ。
勝ったほうの剣をカズキが使う。いいわね?」
「わかったわ」
 ルイズは硬い表情で頷いた。
「使う魔法は自由。ただし、あたしは後攻。そのぐらいはハンデよ」
「いいわ」
「じゃあ、どうぞ」
 ルイズは杖を構えた。屋上のタバサが、カズキを吊るしたロープを振り始めた。左右に揺れる。
『ファイアボール』等の魔法は命中率が高い。動かさなければ、簡単にロープに命中してしまう。
 しかし、命中するかしないかを気にする前に、ルイズには魔法が成功するかしないか、という問題があった。
散々成功することのなかった自分の魔法。決闘の日以来、なにか劇的に自分の中で変わったことがあるかといえば、もちろんない。
強いて言えば図書館の本漁りで新たな知識を少々得た程度だが、それで解決するような問題でもない。
 だけど…それでもやらなきゃ。ツェルプストーはもちろん、あいつが見てる前で、無様な姿は晒せないわ!
 ルイズは『火』の魔法、『ファイアボール』の詠唱を始めた。
 もし失敗したら…立派な大剣を背中に背負い、キュルケのもとへと去っていくカズキを想像し、ルイズはぶんぶんと頭を振る。
あの使い魔はそんなことはしない。だからきっと、自分も大丈夫だ、とルイズは自分を奮い立たせた。
 呪文詠唱が完成すると、気合を込めて杖を振った。
 呪文が成功すれば、火の玉が杖の先から飛び出すはずであった。
 しかし、杖の先からは何も出ない。一瞬遅れて、カズキの後ろの壁が爆発した。
 爆風が吹き荒れ、カズキが揺れた。揺られながら、身動きの取れないカズキは戦慄した。
「タンマ!タンマ!流石にこんな風に死ぬのはカンベン!!」
 ルイズはそんなカズキをお構いなしに塔を睨みつけた。ロープはなんともない。せめて爆風で切れてくれたら、と思ったが、甘かったようだ。
本塔の壁にはヒビが入っている。キュルケは……腹を抱えて笑っていた。
「あっはっはっは!ロープじゃなくて壁を爆発させてどうするのよ!器用ね!」
 ルイズは憮然とした。キュルケはひとしきり笑った後、口元を歪ませたまま言った。
「まったく、結局魔法はだめな『ゼロ』のままじゃないの。ちょっとは成長したかと思ったけど、期待はずれみたいね」
 そんなキュルケの言葉に、ルイズは悔しそうに拳を握り、膝をついた。
「さて、次はあたしの番ね」
 キュルケは狩人の目でカズキを吊るしたロープを見据えた。タバサがロープを揺らしているが、そんなことはお構いなしだ。
余裕の笑みを浮かべ、手馴れた仕草で杖を振り、呪文を唱えた。『ファイアボール』はキュルケの十八番なのだ。
 メロン大の火球が杖の先から放たれ、狙い違わずカズキを吊るすロープに直撃した。一瞬でロープを燃やし尽くす。
「うわあぁぁああ!」
 そのまま自由落下を始めるカズキ。このままでは地面に激突してしまう…と思われたが、落下速度は徐々に下がっていく。
 タバサが杖を振り、『レビテーション』をカズキにかけてくれたのだ。ゆっくりと地面へ着地するカズキ。
 キュルケは勝ち誇って、笑い声をあげた。
「あたしの勝ちね、ヴァリエール!いいえ、『ゼロ』のルイズ!」
 ルイズはしょぼんとして座り込み、地面の草をむしり始めた。
 そんなルイズを、カズキは複雑な気分で見つめていた。またしても『ゼロ』と呼ばれているルイズ。
けれど、自分には今何もできない。何故ならば――
「とりあえず、ロープ解いてくんない?」
 きっちりロープで体をぐるぐる巻きにされている。身動きが取れない。
 キュルケは微笑んだ。
「ええ。喜んで」
 そのときである。
 背後に巨大な何かの気配を感じて、キュルケは振り返った。
 我が目を疑う。
「な、なにこれ!」
 キュルケは口を大きく開けた。土の巨人が月明かりを受け、そこに悠々と立っていた。
961名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:56:57 ID:rSXDfyAc
962名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 20:58:36 ID:wKoe4z7V
御前はこの世界だとどんな扱いを受けるんだろう
963名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:06:51 ID:SUeG8lqP
                                          ○________
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  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
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       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
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  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
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 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>
964名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:07:33 ID:SUeG8lqP
                                          ○________
                               埋め          |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
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  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
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       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
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    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>
965名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:09:12 ID:DPN0N9Rq
まだ投下終わってないんじゃないのか?
966名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:11:15 ID:uMBqdTkZ
30KBもあんのに埋めるのかよ
もう荒らしと変わらんじゃないか
そもそも2ちゃんねるの公式見解では埋めは禁止だ
967名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:15:35 ID:xBFE614/
AA出したいんでしょ
どうせ自分で作ったものじゃないだろうけど
968名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:19:43 ID:DPN0N9Rq
終了の声が無いけどサルかな?
969名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:23:11 ID:DPN0N9Rq
達人代理
710 :使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:53:37 ID:jNkg.WkU
/(^o^)\そしてさるさんもくらいました
もしよろしければ、以下の文をどなたか投下していただけないでしょうか
――――――――――――――――――――――――――――――
 そして、のっそりとした動作でこちらに歩いてくるではないか。
「きゃぁあああああああ!」
 キュルケの悲鳴。カズキもその巨人――土ゴーレムの大きさに、目を見張った。
 な、なんだありゃ!こんなでかいゴーレムも魔法で…っていうか、こっちに近づいてるぞ!
 ゴーレムは、身長が三十メイルほど。見れば、肩に黒い人影が見える。月明かりが、それを照らしてくれていた。
 気づくと、キュルケがいない。突然のことにパニックに陥って逃げ出してしまったらしい。無理もない。
「って、まだ動けないし!うわわわわ!」
 カズキは身体を捻って、尺取虫よろしくなんとか動こうとした。あのゴーレムの目的は謎だが、このままでは踏み潰されてしまう。
だが、もがいてもしっかり縛ってあるので、うまく動けない。
 我に返ったルイズがカズキに駆け寄ってきた。
「な、なんで縛られてんのよ!あんたってば!」
「ルイズたちが縛ったんだろ!?」
 そんな二人の頭上に、ゴーレムの足が持ち上がる。
「っ…ルイズ、逃げろ!」
 カズキは怒鳴った。しかしルイズは、ロープを外そうともがいている。
「黙ってなさい。……ったく、誰よ!こんな風にロープ結んだの!」
「だからルイズだろ!いいから、早く逃げろ!」
 周りが見えていないのだろうか。そのうちに、ゴーレムの足が落ちてくる。
「――!」
 カズキの眉が吊り上った。
 そして、その身に宿した‘力'を発動しようとした、その瞬間――
「きゅい〜!」
「!?」
 間一髪、タバサのウインドドラゴンが滑り込んだ。二人を両の足でしっかり掴むと、ゴーレムの足と地面の間をすり抜ける。
 カズキの転がっていたあたりに、ゴーレムの足がずしん、と音を発ててめり込んだ。
 上空に避難したウインドドラゴンに掴まれながら、二人はそれを見下ろす。
「な、なんだあれ…」
「わかんないけど……巨大な土ゴーレムね」
「『土』の魔法か…あんなに大きいの、作れるんだ」
「…あれだけ大きいとなると、少なくともトライアングルクラスのメイジね」
「そっか……」
 カズキは、ルイズへと視線を移した。
「ところでルイズ。さっき、なんで逃げなかったんだよ」
 ルイズはきっぱりと言い放った。
「そんなの、使い魔を見捨てるメイジなんて、メイジじゃないわ」
 カズキはそんなルイズを見つめた。日頃からメイジだ貴族だ言っているルイズだ。メイジとしては立派かもしれない。でも――
「でも、今のは助かったから良いけど。ひょっとしたらお前、二人とも死んでたかも知れないんだぞ?」
 カズキの言葉に、ルイズは頭に来るものがあったようだ。口早に言った。
「なに?助けてもらっておいて、その言い草は。お礼が欲しいとは言わないわ。けれど、そんな口の利き方を許した覚えはないわよ」
「助けてくれたのは、ルイズじゃないだろ。そりゃ、助けようとしてくれたことは、嬉しいよ。ありがとう。
けれど、それが上手くいかなくて、オレだけじゃあなく、ルイズも死んじゃうんじゃ、意味がないだろ?」
「なによ、その態度。それにあんた、それはわたしに、あんたを助けられないから、
あんた見捨てて一人で逃げた方が良かった、とでも言いたいわけ?
自分は死んでもかまわないとか、そういうわけ?使い魔のくせに、何様のつもりよ」
 まくし立てるルイズに、カズキは思わず詰まった。
「そうじゃない。そうじゃないんだけど…」
「そうね。化物になりかけのあんただものね。ゴーレムなんかにぺしゃんこにされても、しぶとく生きてるかも知れないわね。
……まったく、こんな恩知らずの使い魔、助けようとするんじゃなかったわ」
 それ以降、ルイズは口を閉ざし、そっぽを向いてしまった。
 カズキもどうしてよいやら、ゴーレムのほうを見やれば、土ゴーレムは塔に背を向けて歩き出していた。
970名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:24:43 ID:DPN0N9Rq
達人代理
711 :使い魔の達人:2009/08/07(金) 20:55:41 ID:jNkg.WkU
 見れば、塔の壁に大穴が開いている。あのゴーレムが壊したのだろうか?
 すると、二人の身体はウインドドラゴンの足を離れ、その大きな背へと移動した。タバサが魔法で運んでくれたのだろう。
ついでに、『風』の魔法でロープを切ってくれた。自由になったカズキは、身体をほぐしながら口を開いた。
「ありがとう」
 あっさりタバサに礼を言ったカズキに、ルイズはさらに頭にきた。というか、カチンと鳴った。
 主人である自分には、礼の一つも言う前に、文句を言ってきたカズキ。
それが、風竜を使ってルイズ以上に危険なタイミングで救出劇を行ったタバサには、礼を言うのだ。
 ルイズは完全にへそを曲げてしまった。が、表情には出さない。見せない。
 そんなルイズに気づかぬカズキは、塔のほうを見やりながら言った。
「あのゴーレム、塔の壁を壊してたけれど、何をしてたんだろう?」
 その問いに、タバサが答えた。
「宝物庫」
 タバサの指す先、壁にあいた穴を見た。暗くてよくわからないが、確かにあのあたりは宝物庫だったはずだ。
 ルイズは、昼間王都で聞いた盗賊の噂話を思い出した。確か、貴族ばかりを狙うという話である。が、心を乱されていては、それもすぐ吹っ飛んでしまった。
 そのうちに、草原の真ん中を歩いていたゴーレムは、ぐしゃっと崩れ落ちた。
 三人は地面に降り立った。月明かりに照らされ、こんもりと小山に盛り上がった土以外、そこになはにもなかった。

 翌朝、宝物庫を調べた教師は、壁に刻まれた文字を発見する。


 『破壊の聖石、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』


―――――――――――――――――――――――――――――
以上です。
ひょっとして新スレでやったほうが良かったのかな、とか今更ながら思います
ナイトミュージアム見ます
お粗末
971名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:25:10 ID:KApw/Q6Z
だからデカイAAで埋めんなつーてんだろうがコノ腐れボケカス頭に蛆わいてんのか脳の変わりにクソ詰まってんのかいい加減にしろゴキブリ野郎肥溜めに溺れろ糞虫が

支援
972名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:29:27 ID:KApw/Q6Z
作者様と代理様乙でした。

次はフーケ戦か。
973名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:50:58 ID:qbDP1ZWd
乙でしたー。
聖石……FFTを思い出してしまいました。
というかデルフの「ぎりっぎり人間」発言が……
974名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:54:44 ID:7nrbhcls
>>961
乙です。
975名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:55:07 ID:7nrbhcls
sageわすれすみません。
976名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 21:59:24 ID:RdjE2rt/
>>973
ムスタディオのがルカヴィ出る直前で止まってしまったのを思い出した。
977名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 22:24:26 ID:9WbtCwUh
>>951
ロイエンタールの女性に対する態度は自分のキチガイおかんへの
コンプレックスが原因なんじゃないかな。
おかんloveのワルドとは色んな意味で縁がありそうだw
978名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 22:33:30 ID:C3vUT88o
>>920
ツインテルイズかわいいです
979名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 22:37:34 ID:xKdhKtPL
>>978
うむ、つまり常時逆立ちしてあごで歩くルイズということですね

は、冗談として
ベアトリスとキャラかぶるでしょ
980名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 22:40:50 ID:NMhkEJZ2
>>977
実際に起こった事象を意味してはいない
それで刻まれた何かが本題
後々の言動を見るに、合理的に考えすぎる性格がヒントなんだろう

ただ、全巻を読破したわけじゃないからな
これから見識を深めたいと存じてます
981名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/07(金) 22:55:38 ID:wKoe4z7V
>>978
リリカルイズだとバリアジャケットのときはツインテールだっけ?
982名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:14:58 ID:1d7dA5K7
火竜とか風竜って強いイメージあるし土竜も強いのだろうか?
983名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:15:43 ID:OoZrGcVZ
>>982
もぐらが強いとかご冗談を
984名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:16:01 ID:IGU78n4u
>>982
モグラが?
985名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:21:47 ID:1d7dA5K7
それ以上僕のヴェルダ…土竜を馬鹿にするのはよしてもらおうか…?
986名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:26:06 ID:gZDcKULt
土竜というより地竜というべきだろう。
ブレスオブファイアWじゃ、風竜、泥竜、砂竜、草竜、樹竜、海竜、岩竜とかがでたな。

そういえば、古代怪獣ゴモラを喚んだ眠りの地竜の人、再開してくれないかな。
せっかく次の映画じゃゴモラが主役なんだから、ゴルザとかも出てきて面白くなってきたところだからなあ。
987名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:39:40 ID:IGU78n4u
>>986
ミミズが?
988名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:39:44 ID:Zb2dKu7T
小ネタ投下後に、これがこのスレに投下する最後の作品みたいなこと言ってなかったっけか
989名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:47:16 ID:VzOEhZJQ
ヴェルダンデならユベルを倒せる、俺はそう信じている
990名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:57:31 ID:1dQuMq7V
>>988
> 388 名前:単なる酒場の短い話[sage] 投稿日:2009/07/24(金) 03:12:40 ID:GctB7NQG
> これでこのスレッドとはお別れです。
> かつてヘタレ航空参謀や古代地底怪獣、母親大好き宇宙人の凡作に支援してくださった方、ありがとうございました。
> それでは。

これだな。Part243で短編投下後に、こう書き残していった。
991名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:59:39 ID:Zb2dKu7T
そうそうそれそれ、うろ覚えだったから助かった。
ありがとう。
992名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 02:12:46 ID:gZDcKULt
そうか、それは残念。超振動波をみれる日はなくなったか。

>>989
幼女>土竜ですか

もしくは、
攻撃→スキドレ→返り討ち
あ、そういえばユベルにスキドレは天敵だな。
今の環境なら9月には準制限あたりに緩和されるかな? 消えろ、BF
993名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 02:24:14 ID:o4V85EUU
>>985
ギーシュ脅威の土竜姦!
ヴェルダンデの穴掘りは僕に任せろ!
人と使い魔がおりなすド迫力ファック!!
994名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 04:02:20 ID:lHYrEjoV
モグラ?
ああ、仮面ライダーアマゾンのヒロイン
もしくは遊戯王GXのチートカードか
995名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 04:20:41 ID:dl/wHYWp
チチューン
996名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 04:37:35 ID:FOtm68EQ
>>907 魔界塔師サガがあるじゃないか
997名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 08:15:26 ID:M7YXG8/q
埋め
998名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 08:30:45 ID:M7YXG8/q
生め
999名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 08:37:14 ID:M7YXG8/q
産め
1000名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 08:39:38 ID:L8rG2gu4
1000ならキュルケがワンピースから処刑寸前のエースを召喚するSSを書く
10011001
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。