あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part241

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part240
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1246433739/l50

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
     _
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 23:51:46 ID:FOk0DH6P
以上がテンプレ。>>2以降の、SS以外の長文はNGに指定してください。
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 23:57:16 ID:FDZwnWqN
>1おつー
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 00:17:14 ID:pTwzZC7p
5名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 20:05:35 ID:gIYJA2Vv
テスト
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 20:34:55 ID:FvC7csYB
>>1
7魔導書作者:2009/07/08(水) 20:51:23 ID:RULkiNYD
こんばんわー。
昨日は失態を見せた魔導書作者です。
今夜こそ投下しようと現れたしだい。
他に予定がなければ20:55から投下予定です。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 20:53:11 ID:YWdo7M0L
む。支援する。
9魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 20:55:07 ID:RULkiNYD
「お腹すいたー!」
声が響いたのは太陽が穏やかに大地を照らす時間だった。
「お腹すいたのね!」
その声に賛同するように新たな声も上がってくる。
「「お腹すいた!」」
そして息を合わせて再び繰り返され。
それはやがて、抑圧され続けた労働者の苦しく切実な叫びの如く噴出された。
「「お腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹す
いたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹すいたお腹す
いたお腹すいたお腹すいたお腹すいた――お腹すいた!!」」
場所は屋敷の裏。大きく影になった庭園の一角。
長らく手入れされていないのだろう、草木に侵蝕された石造りのガーデンテラ
スにそれらはいた。
待遇抗議の声を放つは、蒼い髪を後ろに流し、神秘的な雰囲気を持つ長身の少
女と。自ら輝くような金髪を持ち、小動物のような可愛らしさを漂わせる幼女。
背の高さ、雰囲気、容姿ともに好対照だが。
「「お腹すいた!」」
内面の純朴さと要求の内容は、まったく持って同じであった。
長身の少女――人へと変化したシルフィーは、姿を現したエルザと共に猛然と
抗議する。
「まったくお姉さま。ここに来てから、目立つからってシルフィーのご飯をま
ともに用意してくれないのはどうかと思うのね! きゅい!」
「そうだよ! バレるといけないからって帰るまでごはんくれないんだなんて、
おうぼうだよ!」
抗議の先にいるは本を手に椅子に座る少女――タバサであった。
その表情は本に隠れて見えない。
「シルフィーはエルザと一緒に断固こう……こう……きゅい?」
言葉の途中でつまった、というよりド忘れしたシルフィーにエルザが続ける。
「断固こうぎするかまえなのだ!」
「そう! 抗議する構えなのね!」
だが、そんな2人を前にしてもタバサは微動だにしない。
「「ちょっと聞いているのお姉さま(ちゃん)!」」
本から顔すら上げず、椅子にもたれたままのタバサに2人が詰め寄ったが。
本の位置がズレた。
そのまま本はズレにズレて、石のテーブルへと落ちる。
「「――」」
そして2人は同時に口をつぐんだ。
「すー……すー……」
タバサは静かに寝息を立てていたのである。
それにエルザは口を尖らすが、それ以上のことはしない。
「むー……」
ここ数日の激務を思えば仕方の無いことである。
しばらく2人は悩み。
「……シルフィー行こ」
「きゅい」
眠る主を起こさぬように、そっとその場を離れる。
「……ん」
サワサワと風が吹く。揺れた髪がかかりタバサは身動ぎをした。



眠っていたタバサを起こしたのはイザベラの女中である。
それに従い、イザベラの部屋へと赴いたタバサを出迎えたのは。
「来たね」
呼び出した張本人であるイザベラと、カステルモールであった。
ここにわざわざカステルモールがここにいるということは、なにか重要な用件
なのか。
そう考えを巡らせるタバサに、イザベラは機嫌良さそう話し始めた。
「今から命令を下す」
10魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 20:56:23 ID:RULkiNYD
遊園会の最終日、夜。
その日、会場となっているホールは騒然となった。
静かなざわめきを一睨みし、護衛と従者を連れて傍若無人な歩み。
少し驚いているアルトーワ伯の前で止まると。
「どうしたんだい? あたしがここに来るのは迷惑だっていう面だね」
イザベラは言いがかりにも近い言葉を吐いた。
それにアルトーワ伯は苦笑と共に返す。
「いえ、1日2日と参加なさらなかったので。もうここには来てくれないのかと、
落胆していたぐらいです」
「ふん、言ってな」
その顔を見てイザベラは不機嫌な顔になると、機尾を返した。
「どうぞお楽しみください」
歩み去っていく背中にアルトーワ伯が声をかけるが、イザベラは振り返りもせ
ず人ごみを分け進んでいった。



静寂に沈むホール。
その最奥でイザベラは、本来この館の主の座る席へと腰を下ろしている。
皆退場したホールに、彼女以外の姿は――護衛はおろか、従者も――ない。
刺客を心配し、ほとんどの者はイザベラを諭そうとしたが、イザベラの強権の
前に誰一人として“食い下がることもなく”引き下がった。
片手にワインボトルを持ち、杯を使わずイザベラは直接口を付ける。
咽が艶かしく上下し、口端から一筋ワインが伝った。
イザベラはそれを乱暴に拭うと、独り言のように呟く。
「もう、出てきたらどうだい」
その言葉に誘われるように。
『……』
いつも間にかホールに、白い影が佇んでいた。
白い甲冑、それに目穴部分の埋め込まれたガラスを不気味に赤く発光させ、幽
鬼の如く佇む。
だが、イザベラはそれを見ても、眉すら動かさず吐き捨てた。
「本当に来るとはね……あんたかい? 私の命を狙う刺客ってのは」
甲冑の男は、ただ無言。
「名乗るぐらいしたらどうなんだい」
その言葉に、蜘蛛のような兜から小さな声が漏れた。
『――2号(セカンド)』
男が――駆け出す。
背後から眩い光が吹き出して、地を這うように滑空し、突き出した手に光が集
まり刃と化す。
それが瞬く間に迫る状況で。
「陳腐な名前だねっ」
イザベラは鼻で笑った。
そして男の振るった刃は――
「やらせない」
『――!?』
いつの間にか現れたタバサの杖によって受け止められる。
『ブレイド』の魔法と刃が噛み合い、火花が散った。
男は弾かれるように、後ろへと下がる。
「かかったかかった!」
イザベラの笑いで、男に理解の色が広がった。
『罠……』
無言でタバサは杖を構える。
それは数時間前――

「今から命令を下す」
タバサとカステルモールは姿勢を正す。
そしてイザベラはもったいぶる様に間を空け。
「囮として私を使い、刺客を誘き出すよ」
とんでもない事を言った。
11魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 20:57:15 ID:RULkiNYD
「危険」
「そうです。もし王女の身になにかあれば――」
当然のことながらタバサとカステルモールは反対したが、イザベラが耳を貸す
ことはなく。
「お前達は何がなんでも私の身を護り、刺客を捕らえるんだ。いいね?」
そう押し切った。

「……」
そして、タバサはエルザと共に『不可視のマント』でイザベラの傍に控えてい
たのである。
タバサは前を見据えた。
視界には、どういう原理か。腕から光刃を出す白い甲冑の刺客。
隣にはマントを手に持つエルザ。
背後には笑うイザベラ。
カステルモールの姿はない。
なにかしらのアクシデントに見舞われたとタバサは仮定し、戦力計算から排除。
戦力になりうるのはタバサとエルザのみ。
そうタバサが思考した所で、エコーのかかった声が耳に届いた。
『……ジャル゙ロ゙ッド様。ナ゙ゼ領内ガラ゙出ナ゙ガッダノ゙デズ』
イザベラの目が細まる。
それは前回の問い。
「……」
それにタバサは1つ、息を吸った。

「わたしはタバサ――シャルロットではない」

その答えは、遠い昔に出してある。
『…………』
それに、途轍もない覚悟を見たのか。
『ナ゙ラ゙バ……手加減バ致ジマ゙ゼン゙』
光刃をタバサへと向けた。
それにタバサは頷き、エルザが構え。
「ラグーズ・ウォータル――」
タバサの詠唱を皮切りに、それぞれが動き出した。
戦場となったホールで、イザベラは冷めた目でそれを見ると――
「――くだらない」
ギリ、と歯軋りをした。

甲冑の男が動き出したと同時に、エルザがマントを被り不可視となる。
一瞬、男はそちらへ気をやるが。
背から閃光を放ち、一直線にタバサの元へと詰め寄った。
詠唱中のタバサへ刃が振り下ろされ――手にした杖で、見事受け止められる。
『――ッ』
男が息を呑む気配。
驚いて当然。騎士の鎧すら両断した刃を、魔法もかかっていない木の杖で受け
止められているのだから。

タバサの持つ杖はガリアに先祖代々伝わる家宝の1つ。
銘は無く。特殊な能力は一切ない。
だが、ただ1つだけ他の追従を許さない特徴を持っている。
それは――恐ろしく頑丈なのだ。
振り返れば、始祖ブリミルの時代から続くガリア王家の歴史で、比較的初期か
らこの杖は登場する。
いわく、火竜の吐息にも燃えず。
いわく、千の落雷にも折れず。
いわく、数多の戦場でも傷つかず。
事実、タバサがその杖を持って潜り抜けた実戦は数知れず。
だが傷一つ付くことはなかったという、曰く付きの杖である。
12魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 20:58:13 ID:RULkiNYD
斬れぬ杖に、男はタバサを力で押し潰そうとするが――身を屈めて、横飛びに
離れる。
――フォン。
不可視となったエルザの攻撃を避けた所で、タバサの魔法が完成する。
「『ウィンディ・アイシクル』」
男は更に後ろへ下がり、追いすがる氷の矢だけを刃で叩き落した。
再び対峙する両者。
この間まで、10秒と経っていない。
その10秒にも満たぬ攻防で、タバサは冷静に彼我の戦力を推し量っていた。
その結果は。
(少し……足らない)
タバサの体調が万全でないこともあるが。エルザを入れても単純な力量差で、
わずかに負けているのだ。
先の様子を見る限り、エルザの不可視も効果が薄く。相手の尋常ではない移動
速度で、大きな魔法を唱える隙がない。
杖で受けるにも、三度目はないだろう。
不利な状況下。タバサの思考が氷点下にまで冷え、精神がより研ぎ澄まされる。
視線は相手を細く、だが周囲を広く捉えた。
それに応えるように男も、ゆっくりと確かめるように刃を一振りする。
『――』
「――」
お互いに動く瞬間。
「おっと、その戦い。私も参加させてもらおう」
男が横に跳び、そこを風の刃が抉られた。
「――ふっ!」
そして飛翔するように一つの影が駆け抜ける。
「遅くなりました王女」
そう言って、タバサの隣にカステルモールが並んだ。
「本当だね。焦らしに焦らされて、待ちくたびれたよ」
そのイザベラの言葉を背に、カステルモールはマントをなびかせ、杖と短剣を
手に男へと向く。
「焦らした分だけの成果は見せるゆえ、ご容赦を」
カステルモールはタバサへと声をかけた。
「では、参りましょう。“タバサ殿”」
「……ん」
僅かな違和感があったが、タバサはそれを無視して頷き、杖を握り直す。
これで3対1。
前回と違い広いホール。お互いが邪魔にならないこの状況で、連携が取れれば
戦力バランスはタバサたちへ傾く。
先手を切るつもりかカステルモールが詠唱を始め、杖を……タバサへと向けた。
「『エア・ハンマー』」
――ドン!
タバサは人形のように弾き飛ばされると、勢いよく床を転がり、止まる。
五体を投げ出したまま、タバサは「かはっ……」と息を吐いた。
「え――」
身を隠すことすら忘れ、姿を現すエルザ。動くことさえできない男。魔法を放
ったままの姿勢カステルモール。
静止した時間は。
「く、くくく……」
笑いによって打ち破られる。
「あ――はははははははははははははははははっ!!」
それに突き動かされるようにエルザがタバサへと駆け出した。
「おねえちゃん!!」
突如大笑いを始めたイザベラは、今まで見たことも無いような愉悦を浮かべる。
「あは、あははははは! あははは……はははははは!」
そして立ち上がると、笑いながらタバサの元へと歩いていく。
エルザが縋りつくタバサを見下ろして、イザベラは愉快気に話しかけた。
「無様だねぇ……シャルロット」
「――っ!!」
エルザがイザベラを睨みつける。
13魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 20:59:45 ID:RULkiNYD
「なに見ているんだい。そこそこ腕は立つみたいだけど、しょせんは人形娘の
従者。礼儀がなってないね」
イザベラは鼻で笑う。
そしてイザベラはカステルモールへと顔を向け――その名を呼んだ。
「焦らされた甲斐あって、随分と楽しんだよ――地下水」
一礼するカステルモール――地下水。
そこには悪意しかなかった。
目の前にやりとりに、エルザは拳を握り締めるのを、目敏くイザベラが見つけ。
「なんだい? その手は――」
『――茶番バ終ヷリ゙ダ』
煮え滾るマグマのような怒気を含んだ声が響く。
びりびりと肌が泡立つ空気を発しながら、その男はいた。
「地下水――!」
イザベラの呼びかけに地下水は男へと杖を向ける。
男が一歩踏み出し、地下水の口から詠唱が洩れる寸前――
「おねえちゃん!!」
タバサが、立ち上がっていた。
「――……っ」
膝が絶えず震え、杖を突く手は頼りなく、俯いた頭は上がらぬまま。
産まれたての小鹿のように弱々しいが、彼女は確かに立っていた。
「大丈夫なの?」
心配そうなエルザにも反応しない。
地下水が向かおうとしたが、イザベラは手で制した。
「ふん、どうしようってんだい?」
イザベラの声にも、タバサは無言。
そして顔を上げ、イザベラと目が合うと――
「――」
そのか細い背を向けた。
「――――っなに、やってるんだいっ」
苛立たしげなイザベラの声。
「……護衛」
その返答は小さく掠れて返って来た。
「――は? あんた、なに言って……」
「護衛」
今度はしっかりとした声が返る。
思わずイザベラは怒鳴った。
「私は、あんたを騙したんだよ!!」
苛立ちのままにイザベラは怒鳴り続ける。
「アルトーワ伯の謀反なんてただのでっち上げ! 初めは刺客なんて話はまっ
たくなかったんだよ!」
それはなにかを訴えるような悲壮さを持ち。
「あんたも聞いただろう!? 私が地下水の名を呼ぶのを! 本物の刺客が来
たのを利用して、あんたに地下水をけしかけたんだよ!!」
叩き付けられる言葉。
「それなのに、なんでまだそんな事しようとするんだい!!」
その全てをタバサは受け止め。

「王女を護衛する――それが今の任務だから」

足を振るい立たせ、タバサは男と――地下水を視界に納める。
「あ……」
その言葉、その姿に――
「ああ……」
――イザベラは、
「あは……あはは……」
ほの暗い――
「あは、はははは……何だいそれ……それじゃ、私が――ただの道化じゃない
か……ははは」
――絶望の声を上げた。
【ああっ! 悲しき道化物語!】
14魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:01:05 ID:RULkiNYD
その場の空気が変わった。
ボウっと、イザベラの右手に光が灯る。
【実の父親に蹂躙された悲劇の少女!】
煌々と光る図形。
“JaGuMeuuuuu!!”
不快な鳴き声がホールへと響く。
【心に傷を負った少女に、救済者が現れた】
タバサが振り向くと――イザベラの右手から肉細工が――いや、赤子のような
肉腫が手の甲を突き破っていた。
“aAAaaaaaa――!!”
赤子に似ているからこそ、異形から洩れる産声は不快である。
【だが少女の心が回復するにつれ、完璧な救済者へ嫉妬を募らせる】
光りに晒された異形の身はグズグズと崩れ、まるで図形に吸収されるかのよう
に散っていく。
「なに――あれ……」
眼前の光景に、エルザが怯えだす。
そのタバサの脳裏にいつかの異形たちの姿が浮かぶ。
【少女は救済者へ、あの手この手で悪の限りを尽くす!】
だが、そんなものを彼女は見ておらず、ただ笑らい続ける。
「あははは……あはは……あはははははははははははは――」
【だが……救済者はそれを気にせず、少女を責めない】
狂った笑み、狂った笑い、発狂するかのごとく笑う笑う笑うが――その赤黒い
光を放つ図形が、強固に強制に強引に――イザベラの精神を崩壊させることは
ない。
尽きぬ笑いの果てに、彼女は誰かに囁くように“外の宇宙”へと乞う。
【少女は――救済者にとって“憎むべき価値すらない”ことに絶望し――】
「ははははははは――いらない。もう何もかも全部いらない」
世間から悪を押し付けられ、悪を演じ、悪を実行した少女は――全ての行為が
道化だと知る。
脳の奥から――図形の先から――宇宙の果てから――言葉で表現できない世界
から――ただ求める■■■があった。

【少女は――苦悩の果てに狂った!!】
「――出てこい、私の、私だけの、私ためだけの使い魔よ!!」

ざり……

そんな音と共に、“空間が割れた”。
それは虹色であった。
白と黒とポチとタマを混ぜた複雑な色であった。
またはシャツと出し忘れたポケットティッシュを一緒に洗った洗濯機のようで
あった。
または空と大地と星と銀河と宇宙を混ぜてこねて練って寝かせて、酵母菌でふ
っくら、後は焼いて美味しいパンができたよ。
雑多な/有害な/その世界から、それは滑り落ちる。

それは――書物であった。

“AbUSyU……Liiiii……”
そして不快極まりない世界が繕われる様に閉じると、手に生えていた異形は完
全に崩れて消える。
後に残されるは一冊の書。
イザベラは迷いなく、いや“思考すらしていない状態”で手に取った。
――ばら、ばららららららららら――
頁が独りでに開き、捲られ――パタン――と書が閉じる。
イザベラは、その顔に笑顔を――狂気に歪んだ笑顔を浮かべ。
「我と契約せよ――『屍食教典儀』」
禁忌の書に口付けた。

――フォンッ!
15魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:01:51 ID:RULkiNYD
タバサがその一撃を避けられたのは、全くの偶然である。
弱った体に反比例するように研ぎ澄まされた精神状態で、微かに鳴った危険信
号。
それに半場条件反射で反応し、ほんの少し杖を持ち上げただけである。
――だが、それが結果としてタバサの命を救った。
「――ッ!?」
小さな風切り音の直後、杖に重い衝撃が加わる。
「え? うわっ!?」
逆らう間もなく、タバサは傍にいたエルザを巻き込みながら吹き飛ぶ。
そして標的を外したソレは、直線上にいた地下水へ襲い掛かった。
「――な」
咄嗟に構えた杖が真ん中から断たれ、胸が裂け。
「に――」
崩れ落ちた地下水から血が広がる。
『オ゙ォ゙ォ゙ォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙――!!』
男が吼えるように声を上げた。
ド――ッ!!
眩い閃光が男の背から迸り――瞬間移動、そうとしか思えない速度でイザベラ
へと肉薄する。
帯を引いて光刃が振るわれ――

くらくらとする頭に、無理やり活を入れたタバサが目にしたのは。
「――」
腹部を貫かれた男であった。
男は血でぬらぬらと光る片刃の刀身を背に生やし、手の光刃はイザベラの頭上
で止まる。
イザベラは頭上の光刃にも微動にせず。左手に書を持ち、右手の“掌から生え
伸びる刀身で”男を貫いていた。
『グ――ガブッ』
兜の隙間から血が吐き出される。
光が薄れて刃が消えるが、男はイザベラへの首へと手を伸ばした。
『オ゙……オ゙ォ゙……ッ!!』
だが――
「さっさと死になさい」
イザベラの左腕からドレスを突き破って、無数の刃が男を貫く。
『――――』
ビク、と男が震えた。
そして動かなくなったことをイザベラは確認すると、軽々と男を持ち上げ、投
げる。
男はかなりの勢いで飛ぶと。
――ガシャン!
窓を突き破り、外へと消えた。
イザベラはもう見向きもせず、ただ呆然とそこにいる。
タバサはそれに恐怖を感じた。
たった数分の間で変貌した少女。
纏っていた荒々しい雰囲気は、瘴気を放つ禍々しいものに変わり。杖以上の重
い物など持ったことも無い腕には、無数の刀身が生え。争いに晒したこともな
い身を、返り血に染める。
なにより、この異状に包まれながら、赤子のような無垢な表情が――1番恐ろ
しい。
無数の刃が伸びる腕をイザベラは眺め。刃から滴る血へ、ぴちゃりと舌を這わ
す。
「あはっ」
その無邪気な笑みに、タバサとエルザの背筋が震えた。
「避けて――」
「うへぁっ!?」
タバサの脳内で警鐘が鳴り響き。エルザを突き飛ばすと、その反動で逆へ跳ぶ。
それと同時にイザベラが異形の腕を振り、それをなぞる様に2人の中間地点の
床が断裂される。
床を転がりながら、タバサはまずいと感じた。
16魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:02:41 ID:RULkiNYD
これでは次で仕留められる。
急いで立ち上がるが。
「――?」
攻撃は来なかった。
不思議に思いタバサがイザベラを見ると。
頬を高揚させたイザベラが2人を眺めていた。
「なに必死になってるのシャルロット」
楽しげな声。
「これは遊びよ」
くすくすと形良い唇で囀り。
「だから――」
その瞳には虫の足をもぐ子供の――邪気無き残酷さが込められていた。
「そう簡単には殺さないわ」
イザベラが軽く腕を振るうと斬撃が奔り、タバサたちを襲った。



イザベラは楽しかった。
心底愉快であった。
ガランドウの心、虚構の立場、継ぎ接ぎだらけの自分。
その全てが満たされ、埋められ、作り変えられ、塗り固められる。
ああ、なんと気持ちのいいことであろうか。
全てはこの魔導書のおかげだ。
この書のおかげで世界は一新し、一変し、一転した。
――ああ、世界は薔薇色となり、書からあふれ出す情報はなんと甘美な味を持
って……ぃ……で……力が、誰にも負けない魔神となれる力が……は……て…
…いで……何をしよう何をしよう、ああまずはこの場の――――入ってこない
で入ってこないで! 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 私は私でありたい!! 消さない
で来ないで止めて止めて止めて止めて止めてッ!! 怖い怖い怖い! 誰か誰
か誰でもお願い助け、助けt(削除削除削除削除削除削除削除――)
――さあ、全てを朱に染め、全てを満たした力で刻み込もう。
イザベラは、眼前で逃げ惑う2人を見下ろす。
マントを纏った金髪の幼女と、身の丈に会わない杖を持った青い髪の少女。
前者は記憶に無いが、いたぶるには関係が無い。
後者は――誰? 誰? 誰? 誰誰誰誰……誰?
――あれは誰だろう? なんだろうこの胸の閉塞感は? 胸が騒ぐ暴れだす、
あれは――
「シャル……ロット……」
自然とイザベラは呟いていた。
――そうだ、シャルロットだ。そうだなぜ忘れていたのだ。彼女は/あいつは/
あの娘は私の……なんのなのだろう?
重大な欠落。
ざわめく胸の中に反比例してイザベラの脳内は霧に撒かれるが如く曇る。
そして穴開きだらけの記憶と思考は、鈍く光る図形から湧き上がる狂気と妖気
によって埋められて――
――“うざったい!”
手の甲から刃が伸び――図形を切り裂いた。
裂かれた図形は、断末魔のような輝きを見せると、薄れていく。
すると先ほどから感じていた、頭を締め付けるような感覚が消える。
――ああ、それでなんだったっけ? そうそう……まずは殺してから考えよう。
そして自我の崩壊を“させなかった”図形から解放されたイザベラは、タバサ
へと腕を、刃を、斬撃を振るった。
「あははは! 遊ぼうシャルロット!」



不可視の斬撃を、タバサはイザベラの腕の動きと勘だけで予測し避ける。
「ふっ」
また1つ避けたところで、イザベラが楽しげに話しかけた。
「あはは! なにそれ、逃げてばっかり! もっと遊ぼうシャルロット!」
17魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:03:28 ID:RULkiNYD
絶え間ない猛攻。
タバサは綱渡りのように斬撃をスレスレで躱しながらも、魔法を完成させる。
「『エア・ハンマー』」
牽制の意味合いも含めて放たれた風は。
「なにそれ!」
いとも容易く斬撃の前に霧散した。
「つまらないわシャルロット!」
不満そうなイザベラの背後で、わずかに空気が揺れるが。
「残念」
イザベラが背後――不可視となっているエルザへと視線を合わせる。
「まるで馬鹿の一つ覚え」
「――っ!」
エルザは咄嗟に踏み留まったが、イザベラの背から無数の刃が突き出した。
その瞬間、エルザは口走った。
「眠りを導く風よ!」
それは正体を隠す上で、タバサから禁じられた先住魔法。
だが、命の危機の前にその禁をエルザは破る。
すでに契約を済ませた周辺の風が、契約に従い対象に眠りを与えんとした。
大いなる意思の元。風のあるところ、よほど魔法に耐性が無い限り強制的な睡
魔を与える魔法は。
「……そんなそよ風でどうするの?」
僅かに刃の進行を鈍らせただけである。
刃が、鋭い切っ先がエルザへと迫り。
「――『エア・カッター』!」
横から割り込んだ風が、刃を1つ、2つ断ち切り、残る刃をその衝撃で逸らした。
エルザは急いでタバサの元へと飛びのく。
「怪我は?」
「な、ないよっ」
タバサの問いに、姿を現したエルザは額に大粒の汗をかきながら答えた。
「そう」
悠長なことをしている暇はない。タバサはイザベラへと再び注目し――その様
子がおかしいことに気がついた。
「あ……あ……あ、ああ……」
イザベラはぶるぶると震え、自らの手を覗いている。
その手には血がついていた。
先ほどタバサが断った刃が掠めたのか、イザベラの頬から血が滴り落ちる。
それを尋常ではない様子で見るイザベラが。
「なんで?」
ポツリと漏らした。
「なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで? なんで?
なんで? なんで?――なんで?」
壊れたレコードのように繰り返す言葉に、エルザとタバサは動けない。
「なんで血が出るの? あれ? 私は力を、誰もにも負けない力を手に……じゃ
あなんで血が?」
そして、それはきた。
「なんで!! 私っ負け、なっ! なんで血っ! なんで、なんでなんでみん
な……邪魔するのッ!!」
気が狂ったかのようにな叫び。
それに呼応するように、全身を刀身が突き破った。
駄々っ子のようにイザベラが腕を振るうたびに床が、壁が、シャンデリアが抉
られ、斬られ、砕かれる。
それは一種の暴風であった。
吹き荒れる斬撃のひどさに、タバサとエルザは逆に動けない。
「おねえちゃん……」
打開策を模索するタバサに。
「なぜ逃げない」
その声が届いた。
声の先。そこには倒れたままの地下水がいる。
応急処置をしたのだろう。血は止まっていたが、首だけこちらへ向けて起き上
がる気配は無い。
18魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:04:09 ID:RULkiNYD
床に伏したまま地下水は問う。
「なぜ逃げない。あの王女はどう見ても自滅寸前。ただ、ここを離れれば済む」
それはそうであり。
「それに……お前に助ける義理はないはずだ」
「……」
その問いにタバサは黙った。
「どうなんだ、タバサ」
それに対してタバサは――確かに宣言する。
「王女を護衛する。それが――わたしの任務だから」
その愚直さに。
「ぐ――ぐははははははははは!!」
地下水が笑った。
近くの床が削られ、砕かれ、いつ巻き込まれるかもしれない状況で、地下水は
哄笑する。
「はははは! こりゃあいい! 気に入った!」
それまでの品を感じさせない口調。
地下水が上半身を持ち上げると、その手を、手に持った短剣を振り被り――
「お嬢! オレを使え!」
――投げた
地下水は倒れ、投げつけられた短剣はタバサへと飛び。
――ひょい、とタバサは避ける。
「わっ」
そして驚いたエルザがその短剣を掴み取った。
「いきなりあぶな――」
文句を言おうとしたエルザと、避けた体勢のタバサに――斬撃が迫り。
「イル・ウィンデ!」
風の刃が迎え撃ち、相殺した。
「――っ」
その魔法はタバサではない。
驚きに目を見張るタバサの先に、短剣を掲げるエルザがいる。
「え、え、ええ!?」
エルザ自身も戸惑いの声を上げると。
「避けるなんてひでぇぜ、お嬢」
乱暴な声が、エルザの手の中、短剣から響いてくる。
「インテリジェンスナイフ(知性のある短剣)……まさか」
「そうよ! ガリア北花壇騎士の“地下水”とはオレのことよ!」
エルザが芝居かかった礼をした。
「わ、体がかってに! き、きもちわるい〜!」
タバサの脳内で、数々の事柄が繋がった。
“地下水”とは人の心を操れる強力な『水』の使い手ではなく、持ち主を操れ
る強力な『魔短剣』であったのである。
「一体、何を……」
タバサの問いかけに、地下水はケラケラと笑い声を上げる。
「なに、お嬢。ただ王女を護るのを手伝ってやるだけだ」
「ちょっと! そんなのいいからかいほうしてよバカ剣!」
「なんだと小娘!」
急に言い争いを始める2人……1人と1本。
「あああああ――!!」
そこに斬撃が襲い掛かった。
左右に分かれて躱すタバサに、エルザと地下水。
「このままじゃ近づくことも侭ならねぇ! 王女はオレが抑えてやる。そこか
らはお嬢の好きにしな!」
「え、え! うわ〜ん!?」
そう言うと、エルザがイザベラへ向かい走り出す。
タバサはそれを見ると斬撃を1つ躱し、その時を待つことした。



掠めるだけで皮を剥ぎ、肉を抉る斬撃の嵐。
それを紙一重で躱しながら、エルザはイザベラへと突き進む。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:05:02 ID:FvC7csYB
我らは支援するレスを執る!
20魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:05:22 ID:RULkiNYD
その動きは達人染みており、またどこか機械的であった。
「気持ちわるいきもちわるいきもちわるい!」
そして己の体を他者に操られる感覚に、エルザは声高々に不満を言う。
「少し五月蝿いぞ小娘」
地下水の言葉に、エルザは大声で返した。
「きぃもぉちぃわぁるぅいぃー!!」
「……ち。わかったよ! “半分”返してやる!」
その声とともに、急にエルザの体に自由が戻ってくる。
自由になった途端にエルザは手にしている短剣へ怒鳴った。
「なにするの! ものすっごい、きもちわるかったんだから!」
「ただの慣らしだ。ぐだぐだ言うなよ」
エルザは先ほどとは違い、軽業師のような身軽さで斬撃を躱す。
「それで――どうやっておさえるの!」
足元をすくう斬撃を飛び越えると、空中にいるエルザを狙うように別の斬撃が
放たれ。
「『――イル・ラナ・デル・ウィンデ!』」
エルザの右腕が、口が別人のように動き。
短剣に付与された魔力の刃と斬撃がぶつかり、打ち勝った。
「単純だ。ようはお嬢に構っていられなくなるぐらい迎撃させる!」
「なにそれ!」
エルザの叫びに。
「こういうことだ!」
「『ラグーズ・ウォータル・イス』……」
またもエルザの口が勝手に言葉を紡ぎだす。
「小娘は躱すことだけに集中しな! 攻撃とタイミングはオレがやる!」
「〜〜ッ! 『イーサ・ハガラース』……」
エルザが憤慨する気配がしたが、体は斬撃を躱し、口は詠唱を続ける。
「……『ウォータル・デル・ウィンデ』!」
「ぶちかますぞ!」
その宣言と同時に。
「『アイス・ストーム』!!」
風が、空気を、大気を巻き上げ、巻き込み、渦を巻き。
空気中の水が、集まり、凝固し、肥大化し、渦を巡る。
それは、猛る烈風の渦に殺意の氷刃を備えた嵐となり、イザベラへと向かった。
それにイザベラは――手の中の書が独りでに捲られる。
「うあああああああ!!」
イザベラは腕を振るう、振るう、振るう、振るう振るう振るう振るう!
氷の嵐と斬撃が削り合い凌ぎ合う。
「ぐっ!!」
「う、うぅぅ!!」
それに耐えるエルザと地下水は言った。
「「おねえちゃん(お嬢)――いけっ!」」



タバサは走った。
今、イザベラの対応は全てエルザと地下水へと割かれている。
杖を構え、口内で短く詠唱。
途中でイザベラの目がタバサを捉えた。
だが、未だイザベラの目の前に氷の嵐は存在している。
詠唱が終わった。
イザベラの持つ書が高速で捲られ、皮膚を、ドレスを突き破って刀身が現れる。
十数もの刀身がタバサへと向いて、伸びた。
その勢いは凄まじく、1本2本破壊しても他の刀身に貫かれるだろう。
眼前へと迫る刀身へ向かい、タバサはその魔法を解放した。
「『ジャベリン』」
風が渦を撒いた。
それは巡るでもなく、回るでもなく、大気中にある水分という水分を余さず
“運んだ”。
21魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:06:17 ID:RULkiNYD
初めは水の粒ができ、それが固まり核となり、瞬く間に巨大な氷の槍へと成長
する。
そしてタバサは杖を突き出し、解き放つ。
巨大な氷は伸びる刀身を砕き、砕かれ、貫き、貫かれ……タバサはその空いた
空間をひた走る。
そしてとうとう、イザベラの眼前へとたどり着く。
「――しゃる、ろっと……」
呆然とタバサをイザベラは見上げ。
タバサは静かに見下ろした。
そこには虚勢も、狂気もなく。
ただただ、怯えて震え、泣き崩れる少女がいた。
イザベラ――少女は、両の眼から涙を流し。
「たす……けて」
額を突き破って、刀身がタバサへと迫った。
それをタバサは――

「わかった」

――杖で受け止める。
「イル・ラナ・デル――」
高速で詠唱をしながらタバサは杖を振り被った。
「あ――あああああああッッ!!」
イザベラの慟哭と書から毒々しい光が放たれ、書から文字があふれ出す。
それは幾何学な模様となり、組み合わさり、捻じ曲げ、展開し、回転し、
“邪悪で神々しい存在”としてタバサへ覆いかぶさるように広がり――

ジャン――

『ブレイド』を施した杖は、金切り声を上げて“魔導書”を断ち切った。

その瞬間、力尽きたようにイザベラは倒れる。
タバサがイザベラを受け止めると、体中にあった刀身は夢のように消えていた。
書が床へ落ち、ホールに充満していた圧迫感が消える。
「つ、つかれたぁ……」
へちゃりとエルザが床に転がった。
「ははは! やりやがった!」
そのエルザの手から零れ落ちた地下水が笑う。
タバサの腕の中でイザベラは、安らかに寝息を立てている。
そしてタバサが2つとなった書を見ると、それは床に落ちたままで、もうなん
の気配もない。
「……ふう」
タバサが一息吐いた。
だが、課せられた任務、王女の護衛はまだ終わっていない。
「――エルザ、彼女を運ぶ」
疲れたと文句をいうエルザと一緒にイザベラを抱え、連れて行く。
もうすぐ夜明けであった。

無人となったホール。
無惨な傷跡の残るこの場所にあるのは断たれた書物がぽつんとある。
割れた窓から突風が吹いた。
風に吹かれ、書が捲れ、分解する。
それは風に乗って、窓から外へと飛んで行った。
あとには、何も残されていない。



ガリア領内の上空を高速で白い光が帯を引いて進む。
ソレはガリア王宮へと一直線に侵入した。
そして王座の間へと降り立つと、俯く2人の女中と愛人に囲まれるジョゼフへ
と割れた声を出す。
22魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:07:28 ID:RULkiNYD
『……ジョゼブ……ガリ゙ア゙王!』
その姿は凄惨であった。
体中の貫通傷。全身の白を自らの血に染め、穴だらけの甲冑から紫電が散る。
それでも、ソレは倒れることも無く、2本の足でしかと床を踏む。
『約束バ果ダジダ……次バゴヂラ゙ノ゙約束ヺ果ダジデモ゙ラ゙オ゙ヴ』
差し出された手を見て、ジョゼフは笑った。
「終わったか! そうかそうか!」
それは無邪気な子供のような笑み。
『早グジロ゙!』
ソレは苛立ち急かす。
ジョゼフは膝元の愛人――モリエールを撫で付ける手を止めると、両手を広げ
た。
「なに、そんなに急く事はない。まあ、お前は急かしているのか、急かされて
いるのか、急いているのかは知らないが。急ぐばかりではいいことはないぞ?」
『…………』
「そう怒るな。わかった、わかったよ!」
無言のプレッシャーにジョゼフは観念したかのように言う。
「お前の伴侶と娘を返そうではないか! さあ、“家族の感動の対面”だ!」
そして腕を振り上げると、指を鳴らした(スナップ)。
『――?』
それと同時に、ジョゼフに仕えていた2人の女中が震えだす。
そして、服の内部から赤黒い触手があふれ出した。
「あは、あはは……あああ……」
醜悪な触手に肢体を弄られる2人。
そして快楽に歪め晒した顔に、甲冑の男は見覚えがあった。
それは、男の生涯の伴侶と最愛の娘。
『……オ゙ノ゙レ゙』
怨嗟の声が響く、そして致命的な亀裂でも入っていたのか。
バキリと、仮面の罅が広がり――割れた。
そこから漏れ出たのは青。
傷み色褪せながらも流れるガリア特有の青い髪と、壮年を深い皺と共に刻み込
んだ顔。
「謀ったな……ジョゼフッ!」
それはアルトーワ伯、その人であった。
「ははははっ! なにを言っている? 確かに返してやろうと言うではないか」
もうその声はアルトーワの耳に届かない。
半壊し、重傷を負った体に火が灯る。両腕を光が包み刃と化す。
「自らが与えた力によって死ぬがいい! 無能王ッッ!!」
後方で白きフレアが巻き起こり、体を急激に加速させる。
閃光となり、常人には視認すら不可能な速度で一直線にジョゼフへと迫り。
――景色が回転した。
(――なに?)
体が動かせない。声が出ない
理解ができなかった。自分は無能王へと鉄槌を下すために走ったはずなのに。
じれったく思っていると、回転する景色がそれを捉えた。
(ああ、体を動かせないのではない)
回転する首が、立ち止まる体を見据え――そもそも体と繋がっていない。
その体の向こうに、白い……“光を発しない光”を見つけた瞬間――
眼前が純白に染められ――アルトーワ伯は、体も首も細切れ以下となった。

「見事だ」
文字通り粉微塵となり散っていったアルトーワ伯を尻目に。
白い影、先ほどのアルトーワ伯と似た甲冑を纏ったそれをジョゼフが賞賛する。
それは類似点こそ在ったが、結論からしてソレは違った。
女性的なフォルム、全体的な完成度――なにより絶対的な威圧感からして次元
が違う。
白き影は、薄暗いこの場を染め上げるような鮮烈さを持つが、それ自身は光を
発していない。
例えるならそれは、光によって闇を照らすのはなく。光によって闇を喰らって
いるのだ。
23魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:09:21 ID:RULkiNYD
それは手から伸びる光刃を納めるとジョゼフに振り返る。
すると甲冑が端から分解していく。
それは魔術的な意味を持つ文字。
全て文字へ分解し消え去った後、残されるのは裸の女だった。
女はペタペタと歩きジョゼフの下へと辿りつくと、座りその膝へと頭を乗せる。
「ご苦労だった、モリエール」
それにジョゼフが手を乗せると、女――モリエールから嬉しそうな声が返って
来た。
「あー……♪」
「いやぁ、健気なものだねぇ」
突如、その声は響いた
「力のため……いや君のために、言葉と人並みの知性を引き換えに捧げたのだ
から」
それは褐色肌に眼鏡をかけた女中である。
モリエールが僅かに反応するが、それだけであった。
女が手を掲げると、その手にどこからか断章が集まる。
そしてそれは2つに断たれた書物となった。
「裏で暗躍しているあの子だって。君のために魔導書を持ち、君のために脳髄
にガイドブック(外道)を刻み込んだ」
最後のは才能がなかったしね、と女は呟くと、書物の斬られた部分を手で覆い
隠す。
「だが、君はそれでも飽き足らず、自らの娘の魂すらも弄ぶ」
そしてゆっくりと手で撫で付けると、その書物の傷は一切無くなっていた。
「本当に――君は悪い子だ」
女は背後からジョゼフへとしな垂れかかる。
その姿は白い肌と黒いスーツの美女へと変わっていた。
だがジョゼフはそれまでの表情を消すと、ひどく退屈そうな顔となる。
「はっこやつを作る技術を提供したのはお前、書を寄こしたのもお前、あやつ
の頭に外道を刻み込んだのもお前、そしてこれもお前のせいだろう?」
そう言って掲げた右手は裂け、血が流れていた。
イザベラに仕込んだ使い魔の一部、それが破壊されてことによるフィードバッ
クである。
その原因も、使い魔を通してジョゼフは知っていた。
「全てお前の思うが侭だな」
そうジョゼフが言うと、女はしのぶ笑みを浮かべる。
「とんでもない。これでも最後まで思い道理になったことなんて、ほとんど無
くてね」
「ほう」
ほんの少し、興味そそられたジョゼフが視線をやると、女は笑う。
「本当に困ったものさ――ご都合主義(デウスエクスマキナ)にはさ」
その笑いには楽しげな憎らしげな不快げな――酷く愛しげな物が含まれていた。



流れる風を受けてタバサは目を細める。
広がる地平線を見ながら、シルフィードの背でタバサは風を感じた。
背後には、タバサのマントに包まり芋虫となって眠るエルザが転がって、下を
見るとそこには護衛を引き連れた馬車たちがいる。
それを目にして、タバサは視線を元に戻した。
そしてタバサは――腕の中で未だ眠るイザベラを抱え直す。
あれからイザベラを部屋に送ったタバサは、なぜ負傷して倒れているのかと混
乱するカステルモールをなだめすかし、なんとかアルトーワ領を出る準備を始
めた。
屋敷を出る時、アルトーワ伯の姿は無く。代理と名乗る女中が代わりにタバサ
たちを見送った。
その後、タバサは負傷者による護衛の減少をカステルモールに訴え、イザベラ
を安全な風竜へと乗せることを提案する。
カステルモールは色々渋ったが、自身が負傷していることもあり渋々承諾し、
今に至る。
そして、それからずっとイザベラは眠り続けていた。
24魔導書が使い魔-イザベラと暗殺者-03:2009/07/08(水) 21:10:35 ID:RULkiNYD
シルフィーはイザベラを乗せているから喋れない、エルザは昨日の疲れと共に
熟睡、イザベラは昏睡状態。
静かな時間は。
「どうするんだいお嬢」
タバサの腰からの声で破られる。
「その王女を王宮に送り届けても、なんの解決にもならねえぞ」
腰に挿された短剣――地下水の言葉は的を射ていた。
イザベラの変調の原因は恐らくは王宮にある。
だからといって、タバサにはイザベラを匿う余裕や当てがあるわけでもない。
「……わかってる」
「そうか……」
それっきり地下水は沈黙する。
そして、タバサが思い出すのは消えた魔導書。
――あれは一体なんだったのか。前にザビエラ村にいた魔術師と名乗った道化
師もそれらしき物をもっていたが……。
そこまで考えたところでタバサは思考を止める。
複雑な思考をするには、体も頭も疲れ切っていた。
視線を前方に向ける。
見つめた地平線は、どこまでも広がっていた。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:11:06 ID:YWdo7M0L
しえん
26魔導書作者:2009/07/08(水) 21:13:03 ID:RULkiNYD
よし!これにて2つ目の外伝は終わりです!
この後のイザベラがどうなっているかは本編で明らかにされます!(考えてないとも言う
これで本編への仕掛けはほぼ完了。
次はアルビオン編の本編を書く予定です。
支援してくれた方、読んでくださる方ありがとうございます。
では、また会う日まで!
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:38:26 ID:FvC7csYB
魔導書さん乙でした!
ナイアさんの暗躍っぷりは流石ですなー。
メイドのニアーラも良いですけど、若本@ナイ神父も見てみたいかも……

しかし凄いなー、外伝の方で仕込んで本編で拾うとは……
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:39:35 ID:Xa74UJ2y
魔導書さん乙!こちらではイザベラが魔導書使いになるとは・・・・しかし、ナイアさんは本当に何処でも遊ぶのがお好きだ
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 21:41:12 ID:o5Sy6TCt
乙せざるを得ない
地下水かっこいいよ地下水
30鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/08(水) 22:02:09 ID:Sa2Vlp7F
どうもこんばんわ。最近内蔵が弱っててしんどいよぅ。
ラグドリアン湖編もそろそろ終わりが見えてきました。でも、まだ次のタバ冒編が書き終わらない……。
ともかく、書いた分は投下したいと思います。
予約2210にて
31鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/08(水) 22:10:08 ID:Sa2Vlp7F
 押し寄せる大波が狭い岸辺を覆いつくし、ごろごろと転がっていた岩や石を押し流してしまった。いまやほんの数分前まで陸地であった場所が水の浸食で
水精霊の領域となっている。
 いち早く反応したキュルケとタバサ、かろうじて難を逃れたギーシュとモンモランシーは浮遊【レビテイション】で宙に上がって回避することが出来たが、
四人は魔法に与らないギュスターヴの姿を見失ってしまった。
 そのことに気づき、タバサがシルフィードを呼び寄せ、その背中に降り立ったキュルケは真っ先にギュスターヴを探す。
「ギュスは?! ミスタ・ギュスは……」
 水に浸りきった地上を見て、キュルケは水辺に生えた樹木の一つにその姿を見つけることが出来た。張り出した大きな枝に止まり、その手に抜き身の
デルフリンガーを握っているのが見える。
「回収するわよ!」
「ま、待って、高度下げたら水精霊が攻撃してくるじゃない!」
「黙ってて。……逃げながら下がって」
 きゅ、きゅうぅぅぅ。
 タバサの言葉にシルフィードは嫌そうな鳴き声を上げる。
「頑張って」
 念を押すタバサにシルフィードは一鳴きして応えた。四人を乗せたシルフィードが水に潜るようにぐん、と沈み込む。と同時に、水上を滑るような低空を飛んだ。
 
 ウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
 
 人型に盛り上がった水精霊が反応する。その体の一部を触手のように伸ばし、緩慢だが威圧する動きで低空のシルフィードを追いかけた。シルフィードはそれを、
大きく旋回するようにして避ける。
「お、おおおお、落ちるぅぅぅ!」
 半泣きになってモンモランシーが叫んでいるのを尻目に、シルフィードは水精霊が伸ばす触手を避け、ギュスターヴの止まる枝の前に停止した。
 
 
 
 『水魔との狂宴』
 
 
 
32鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/08(水) 22:12:41 ID:Sa2Vlp7F
 身も軽くギュスターヴは飛び、シルフィードの背中に降りた。
「よくあの大波から逃げられたね」
「運がよかったのさ」
 そう答えたものの、ギュスターヴ自身、自分の動きを俄に驚いていた。
(【ガンダールヴ】があるとはいえ、体が軽すぎる気がする。モンモランシーを抱えた時も感じたが……)
 そこまで考えて、低く呻る水精霊が思考に沈もうとするギュスターヴを現実に引き戻す。
 
 滞空するシルフィードに、水精霊は身体に湛える光で捉えるように人型の頭をめぐらすと、人型を震わせはじめた。その振動が人型の頭へと集まっていくか
と思った瞬間、粘液の中で水泡が爆発するような音とともに一樽分はあるだろう水の塊がシルフィードに向かって飛ばされた。
「避けて!」
 きゅい!
 タバサの声に反応してシルフィードがうねる。水の砲弾がその後も、人型の頭から立て続けに発射されてシルフィードと背中の一行に襲い掛かった。
「お、お、落ちる、落ちるぅぅ!」
 再びモンモランシーから悲鳴が上がる。涼しい顔のタバサとは違い、どうにか捕まっているだけの四人にとって、シルフィードの回避運動は振り落とされる
恐怖との戦いとなっていた。シルフィードの背びれから手を離せば、真っ逆さまに湖に落ちてしまい、それはすなわち水精霊の侵略を身体に受けて廃人と化すことだからだ。
「上がって!」
 水弾をかわしながらシルフィードはその高度を徐々に上げ始める。水弾もそれに合わせて追いかけるように続くが、高度が高くなるほどにその勢いを弱めていた。
しかしそれでも、水精霊の人型は敵意を示す咆哮を止ませなかった。
「あんたたちどうするのよ! 完全に水精霊、怒ってるじゃない!」
「怒らせたのは貴方でしょ?」
 狭いシルフィードの上でキュルケとモンモランシーが言い合う間も水精霊の光がこちらをぎょろりと見つめている。
「水精霊の涙はなんとしても手に入れるわ! そのためには……」
 キュルケが杖を振りかぶり、ルーンを紡ぐ。杖先に南瓜大の火球を作り出し、水精霊に狙いを定める。
「攻撃あるのみ!」
 一気呵成、烈火球【ファイア・ボール】がキュルケの意思によって発射される。火球は外れず水精霊の人型にぶつかると、猛烈な蒸気を吹き上げながら爆発した。
 
 オオオオオオオオオォォォォォォォォン
 
 人型から悲鳴のような音が上がるのをキュルケは見逃さなかった。
「次はもっと大きいの行くわよ!」
 気合の乗ったキュルケが再び振りかぶりルーンを紡いでいたその時、突如シルフィードの高度ががくりと下がり、ルーンの詠唱が止まった。。
「わ! どうしたの?」
「もう限界。これ以上は休ませないと」
 きゅうぅぅぅぅ。
 人を沢山乗せての細かな空中運動は、まだ幼いシルフィードには非常に疲れるものだったようで、高度は徐々に落ち、一同が乗る背中がフラフラと傾くように
なり始めていた。
 水精霊の人型が動く。降りてきたシルフィードに向けて、再び触手のように身体を伸ばしはじめたのである。鬱陶しそうにシルフィードは逃げるが、高度が下がるに
つれてその動きも緩慢なものに変わっていた。
33鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/08(水) 22:14:27 ID:Sa2Vlp7F
「このままじゃ水精霊に取り込まれちゃうわ! 逃げるわよ!」
「駄目よ! 今ここで逃げたら次が無いじゃない!」
「どれだけ欲の皮突っ張ってるのよあんたは!」
「貴方だって水精霊の涙が必要なんでしょ! 少しはその広い頭で知恵を絞りなさいよ」
「な、なにが広いですってぇぇぇぇっ!!」
 狭い竜の背中で言い争いをするキュルケとモンモランシーを、まんじりとしてギーシュは見つめていた。
 するとやおらギーシュは腰に挿していた杖を抜いてモンモランシーを呼び止めて言った。
「モンモランシー」
「何よ!?」
「ここは僕が囮をするよ」
 けろりと言って、ギーシュはふらりとシルフィードの背中から飛び降りた。勿論浮遊を使ってはいたが、その背中はシルフィードからどんどんと離れていく。
「ギーシュ?!」
「皆はシルフィードを安全な場所まで移動させてくれ! 僕は水精霊をこの場に引き止めておく!」
 そう勇ましく言うと、まだ水の浸食を受けてない陸地に降り立ったギーシュは、腰から青銅の造花を抜いて投げ放った。
「来い! Nワルキューレ!」
 空いた手で握られた馬鞭型の杖を一振りし、青銅の造花と地面の一部が混ざり合う。すると次の瞬間にはその地面からしなやかな人型が立ち上がり、
同時に浮かび上がったおぼろげに金色に輝く青銅の部品をはめ込まれ、一体の人形が登場した。
「ラグドリアン湖に住まう、水の精霊よ! モンモランシーに変わってこのギーシュ・ド・グラモンがお相手しよう!」
 円盾(ラウンドシールド)と片手両刃剣(レイピア)を構えたワルキューレが、同じく杖を構えたギーシュの動きをなぞる。
 水精霊の人型の頭が上空からギーシュへと動いてゆき、それに合わせて触手の先も陸地へと向いていく。
「今だ。シルフィードを安全な場所へ」
 ギュスターヴの声にタバサが頷き、シルフィードの首を優しく叩く。シルフィードは懸命に羽ばたき、高度を上げて岸辺から遠ざかっていった。
「待って! まだギーシュが! ギーシュがあそこにいるのよ!」
「シルフィードを避難させてから救出に行くわよ当然。それまでギーシュが時間を稼いでくれるわよ」
 遠ざかる岸辺を一瞥して、キュルケは案じるように言う。するとモンモランシーがキュルケに掴みかかった。
「ちょっと、なにするのよ?」
「お高くとまってるトライアングルが偉そうに言うんじゃないわよ! ギーシュはあんた達と違ってだたのドットメイジなのよ! 水精霊と戦って無事で
済むはずがないじゃない……」
 捲くし立てるモンモランシーはそう言ってから、顔を埋めて嗚咽のような涙を流していた。
 
 
 見あげるばかりの水の巨人。ギーシュはそう、目の前の存在を認識した。古来より住まう水の精霊だと、敬っているとあっさりやられてしまう。
 訓練で分かったことだが、ワルキューレを満足に動かせる……十分なスピードとパワーを持って動かす事ができる距離には、明らかな限界があった。
おそらくドットメイジとしての限界がそれなのだろう。
 しがないドットメイジであるギーシュが技巧を凝らしたゴーレム、Nワルキューレ一体。
 その精密操作可能な距離は、きっちり6メイルだった。それ以上はどれだけ訓練しても、現状伸びはしないのだろう。
 そして今、ギーシュはワルキューレを5メイル先に構えさせている。そしてワルキューレは岸辺、水精霊の人型から3メイル離れた位置にあった。
「さぁ来い! 猛り狂った水精霊よ! その体の一部を奪ってくれる!」
 勇ましく叫ぶギーシュに、水精霊から水弾が打ち込まれる。素で食らえば骨が砕けてしまうかもしれないその水塊の射線上にワルキューレが飛び込んだ。
 円盾を構えたワルキューレは水弾の衝撃で吹き飛ぶものの、軽やかに着地し、再びギーシュから5メイルの位置で静止した。
 以前タバサと決闘した時にも使った戦法である。投射攻撃を妨害し、姿勢を崩した相手に攻撃するものだ。
 吼える水精霊は続けて水弾を吐き出し、ギーシュは自分が避けきれないと判断した水弾のみをワルキューレで捌き、他の水弾を自分で避けた。
 水弾の一つを横にかわし、背後の岩に水弾でヒビが走るのを見て冷や汗が吹き出る。
 それでも懸命にワルキューレを動かし、水精霊との距離を測ると、先ほどより水精霊の人型が、わずかだがこちらに近づいていたことにギーシュは気付いた。
34鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/08(水) 22:16:17 ID:Sa2Vlp7F
「陸地に上がれない水精霊が何故……はっ?!」
 考える暇もなく、水精霊の水弾が迫り来る。再びかわして一歩下がり、水精霊の立ち上がる水面をよく見れば、間違いなく、その立ち上がる人型はこちらへにじり、
にじりと歩んでいるのが分かる。
「ど、どうして岸を上がってくるんだ?!」
 分からないことがギーシュの意識を乱す。距離が徐々に詰まることで水弾の苛烈さも増しているようだった。ワルキューレを動かして捌くにも、受けた後の着地で
よろめいてしまっている。
(攻撃を受けすぎて“骨格”が歪み始めてるのかも)
 骨格と外殻の二層構造によってドットに余る性能を持つNワルキューレは、その構造ゆえに決して打たれ強くはない。円盾で防ぐにも、限界がありつつあった。
「ど、どうした水精霊! 僕はまだまだこのとおり健在だ! 所詮は精霊といってもその程度か!」
 威勢のいい声を上げても果たして水精霊は聞いているのかわからないが、水精霊は湛える光を明滅させて吼え狂った。そして、人型を震わせて“全身”から
水弾を撒き散らし始めた。
「いいいいいいぃぃぃぃっ?!」
 これはまずい、とギーシュは致死の危機を感じ取った。眼前には真横に雨が降るような光景が広がり、逃げるや避けるといったことが出来るような余地がまるでない。
(逃げられない! 避けられない! こ、こういう時は…)
 命の危機に人はその瞬間をとても長い時間に感じると言われる。ギーシュはまさに今、ものの数秒で降りかかる水弾を前に熟考することさえ出来た。
 そして拙いギーシュの頭脳が結論を下す。
「こういう時は、『逃げない』ッ!ワルキューレ!」
 即座にワルキューレを動かしたギーシュは、ワルキューレを自分の目鼻の先に立たせ、盾すらかまえさせずに直立させたのである。目の前にはすでに壁のような
水弾が迫っていた。
「この状況でたった一つ、僕が『生き残る方法』はこれだッ!」
 閃きがギーシュの脳内に煌く。杖を軽く振って短くルーンを唱えた。水弾がワルキューレの外殻に叩きつけられた、その瞬間。
 ワルキューレはその内側から“爆発”した。水精霊側からみれば、そのように見えたのだ。
 そして殴り雨の如き水弾が過ぎ去った後には、水を浴びていないギーシュと、“骨格”だけになったワルキューレが立っていた。
 
 
(Nワルキューレの外殻を排除し、その衝撃で水弾の雨を弾き飛ばすッ!)
 ギーシュはその時、水精霊が人のように考えるならば、『してやったり』と見れるだろう不敵な笑みを浮かべた。
「ふ、ふふふ。水精霊といえども一度にあれだけの水を飛ばせば実体を保てはしない」
 緊張が続いていたギーシュの意識は高揚していた。それを現すように、骨格だけになったワルキューレの空ろな瞳が水精霊を睨みつけるように傾いた。
「さぁ反撃だ! キュルケ達を待つまでも無く、その涙を頂く!」
 杖先がしなり、先端を水精霊に向ける。水精霊はその時、人型をうなだれるようにうつむかせていたのだ。
 ワルキューレが動く。身軽になったNワルキューレが目にも留まらぬ速さで水精霊の、光湛える人型頭部を刺し貫こうとレイピアを突き出す。ギーシュはレイピアが
当たった、と思った。だが。
 
 オオオオオオオオオオオオオォォォォン
 
 次の瞬間、ワルキューレは猛烈に弾かれた。ワルキューレがもんどりうって浅瀬に鯖折になって崩れ落ちるのを、高揚した頭でギーシュは見る。
「……あれ?」
 表情の固まったギーシュの前で、水精霊の人型はうなだれた体を持ち上げ、先ほどと変わらぬような吼え声をあげた。
「……えーと」
 まだ空白になっている頭で、ギーシュはずるずると岸辺を這い上がる水精霊をよく見た。
 その足元……足というほど明確な形ではないが、岸辺に乗り上げるその場所は、始めより打ち散らしていた水弾ですっかりずぶずぶとぬかるんでいたのである。
「し、しまったーーーー!!」
 ここにきてギーシュは、どうして水精霊が徐々に岸を登ってこれたのかを理解した。水弾で、或いは足元の浅瀬を岸辺に浸食させれば、水の領域を行く水精霊は
移動する事ができる。加えて体内の水分を減らしても、水で繋がっていれば湖からいくらでも取り込むことが出来るのであるから。
 
35鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/08(水) 22:18:18 ID:Sa2Vlp7F
 細波のような音とともに、水精霊はじり、じり、ずる、ずると岸辺を昇っていた。恐らく確実にギーシュをその触手で取り込まんとしてのことだろう。
 切り札のつもりのNワルキューレはかく座した上に操作射程を大きく離れてしまっている。自分の力量では現状出来る事がなくなってしまったことを、ギーシュは悟った。
「は、ははは。残念ながら僕はここまでのようだ……」
 ずるずると陸地を浸食して水精霊が近づいてくるのを見ながら、ギーシュは明確な破滅を理解した。おぞましい触手に絡めとられ、自分は水面に浮かぶ廃人として
湖を流れ、醜い水死体となって打ち上げられるのだ。水死すると体内の臓腑が腐り、体がパン生地のようにぶくぶくと膨れ上がるというから、腐臭と混ざってさぞかし、
名状しがたい姿なのだろう……。
「……が、柄じゃあなかったかもしれないなぁ。モンモランシーにいいところ、見せたかっただけなんだけど」
 すでに水精霊が1メイルほどの場所に立っているのを見上げ、ギーシュはつぶやいた。
 モンモランシー。自分の思い人が楽しげに柔和な笑みを浮かべる様を脳裏に思い描くと、体の内側からブルブルと震えてきてしまう。がちがちと歯の合わない音がして、
喉から裏返った叫びが突き上げる。
「や、やっぱり嫌だ! 廃人になって水死体なんて、僕はやっぱり嫌だ! 最期に見るのが水精霊の触手なんて、いやだぁぁぁッ!」
 すくみあがったギーシュを包むように伸び始めた触手に叫びつけても止まるはずもなく、ギーシュはせめて見るまいと瞼を閉じた。
 
 
 閉じた視界、耳朶には鉄板に垂らした水が弾けるような音が聞こえるだけで、体に水が触れるような感触はやってこない。
「何じっとしてるのよ」
 背後から聞き慣れた声が聞こえた。余裕のある、赤毛のゲルマニア娘の声だった。
 
 
「ギーシュを回収して」
「了解」
 返事と共に、振り替えってこちらを見たと思った瞬間に倒れこんだギーシュに駆け寄ったギュスターヴは、右手だけで器用にギーシュを担ぎ上げて飛び下がった。
水精霊はその間まるでギュスターヴの動きに注意を向ける様子を見せなかった。
 むしろ、その注意は間断なく烈火球を投げつけるキュルケにこそ向けられていた。光る頭が明滅して、聞くに慣れない吼え声と共に、また水弾を吐き出す。
 しかし水弾は、ある程度の距離を飛ぶと壁に叩きつけられた熟したトマトのように砕け散った。
「これくらい飛散させれば、精神侵食はされないはず」
「分かってても、やっぱり目の前でやられると心臓に悪いわね」
 手に杖を握ったタバサの言葉に、引きつり気味の微笑みでキュルケは答えた。
「タバサが空砕鎚【エア・ハンマー】で攻撃を防いで、私が攻撃するのはいいけど、ジリ貧はごめんよ?あれって水があればどれだけ叩いても平気なんでしょ?」
「モンモランシーが言った通りなら」
 言葉にあがったモンモランシーはすっかり錯乱してしまってつれてこれる状態ではなかったので、シルフィードと一緒にタバサの家に留まっている。
 ギュスターヴはギーシュを担いで二人の所まで戻ってくると、ギーシュを木陰に寝かして水精霊に向き直った。
「話に聞く限りじゃ、俺はあまり出番が無いと思うんだが……」
「あら、水精霊から涙を切り取るのはギュスの役目ですのよ」
 不敵に笑いながら、キュルケは投石のように振りかぶって、烈火球を水精霊に叩きつける。
「俺がか?火か風じゃなきゃ駄目なんじゃないのか?」
「モンモランシーは始めから水精霊と戦う気が無かったから調べなかったでしょうけどね。
水精霊の核は鋭利な刃物なら切りつける事ができるって、ものの本には書いてあったわ」
「調べたのは私」
 そうだったわね、と会話をしながらでありながらまた一つ投げる烈火球も、寸分と外れずに水精霊に当たって蒸気を濛々を上げていた。
36鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/08(水) 22:20:24 ID:Sa2Vlp7F
「チャンスは、水精霊が含んでいる水を全て吐き出した時」
 耳に障る音を撒き散らす水精霊が絶え間なく水弾を吐く。タバサがそれを風砕鎚で砕き散らし、合間合間に烈火球が飛ぶ。
「貴方は私を抱えて水精霊の背後に回って」
「背後……」
 短くタバサがそういうのを聞いて、ギュスターヴは水精霊の立つ岸辺を見渡した。ここは砂利に石、岩の転がるなだらかな坂だ。その両側を
切り立った土手が走っている……。
「そろそろよ!」
 鬱陶しいほどに投げ込まれた烈火球で、水精霊からは怒気すら感じられるほどの咆哮が上がり、人型を激しく振動させていた。
 烈しい水精霊の意思が空気を伝って飛び掛ってくるのではないか、と思ったその時。
 
 オ゛オオオオゥ゛ゥゥゥゥッ
 
 痙攣を起こす水精霊の人型から、拳大の水弾が矢雨のように弾け飛んだ。それをギュスターヴが凝視した時、ギュスターヴの意識の上でその水弾群は空中を
ゆっくりとこちらへ向かってくるようだった。
(動かなければ……タバサを担いで背後へ……)
 殆ど本能的に、ギュスターヴは左手のデルフリンガーを強く握り締めた。
 
 キュルケは水精霊が烈しい振動を起こした時、既に詠唱を切り替えて待っていた。そして思惑通りの攻撃が水精霊より放たれたと認識したと同時に、キュルケは
浮遊の魔法を完成させ、自分の出せる最大の速度を出して上昇することができた。
 意識の先端を投げ矢【ダーツ】のように鋭くするイメージが脳裏を走り、正午の太陽が視界の脇に見えた。
 だが、そのように懸命の上昇をするキュルケを戦慄させるものがあった。井戸底からくみ上げたような冷やかな水の感触を脹脛から下に感じるのだ。
(接触【ふ】れられた?!)
 廃人の恐怖がキュルケの上昇に更なる加速をもたらす。肺腑を締め付けるような苦しさを覚えてようやく、キュルケは振り返って地上を見たのだった。
「はっ……はっ……」
 水に濡れる、ただそれだけのことで冷や汗が吹き出る。それでも意識を保って空中にいられるということは、水精霊の精神浸食から逃れた事を意味した。
「タ……タバサッ! ギュスターヴッ!」
 眼下の状況を確認する。水精霊は頭を垂れ、ぶくぶくと水泡を体から湧き上がらせていた。タバサとギュスターヴの姿が確認できない。
 
 ゆっくりと近づく水弾の壁を前に、ギュスターヴは打ち合わせの内容を忠実に実行した。
 脇で杖を構えていたタバサを右腕で抱きかかえ、そのまま切り立つ土手に向かって走り出す。
 【ガンダールヴ】のお陰だろう十分な加速で土手の壁面を蹴り上げ、ほぼ垂直の岩壁を石畳を歩くような容易さで走り抜けた。
(これは……?!)
 再び自らの動きに驚くギュスターヴだった。こうして走る間、視界の脇に見える水弾はゆっくりと進み、その後にいる水精霊の人型の、表面に走る細波は
ジェリーのように固まって見えた。
 だが、そうして俄な混乱をする間も、ほんの僅かな時であった。切り立つ土手がもうすぐ途切れてしまう。
 ギュスターヴはとっさにデルフリンガーを岩壁に突き立てて体の勢いを強引に殺す。
「ぐっ……!」
「っ……」
 突き刺さったデルフリンガーを支えに、ギュスターヴは岩壁に張り付いた。脇に抱かれたタバサは、はっとして視界の情報を確認する。
「なに……?」
 その声にはタバサらしからぬ驚きの色が含まれていたが、二人の背後で大量の水がぶちまけられる音が聞こえて振り返った。
 背後から見えるうなだれた水精霊、そしてその前方の濡れ崩れた岸辺が確認できた。
「タ……タバサッ!ギュスターヴッ!」
 上空から切羽詰ったキュルケの声が聞こえたが、張り出した樹木の陰に隠れ、その姿を見ることは出来ない。
「タバサ」
 きょろきょろと頭をめぐらしていたタバサをギュスターヴが呼びかける。それが自分の行動を促すものであるのを理解して、ギュスターヴの腕の中に吊られたまま、
タバサは杖を構えてルーンを唱えた。
 大気中に含まれる水気が杖に集まり、同じくタバサが操る旋風が杖に渦巻く。水と風が相混ざり、ギュスターヴは頬に季節はずれの激しい冷気を感じ取った。
37鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/08(水) 22:22:13 ID:Sa2Vlp7F
「氷河剣【アイスソード】……だったな」
 顕現する一振りの剣を手にタバサが頷く。詠唱が続き、更なる冷気がタバサの元に集まっていく。
 息が白むほどの冷気が湛えられた氷河剣を逆手に構え直し、タバサの双眸が捉えたのは、ナメクジが這った様な跡のようにも見える、水精霊が昇った岸に繋がる
浅瀬の一点だった。
 鋭く息を吐き、タバサの手が動いた。氷河剣をにらみつけた水中の一点へ向けて投げつけたのだ。その鋭く澄まされた氷の刃が浅瀬に突きたてられると、
膝下ほどの水深があるはずだろう浅瀬が一帯に渡って凍結を始める。
「これは……ッ」
 驚くギュスターヴに抱えられた無手のタバサが言う。
「氷河剣で水精霊の水分供給路を断った。……湖底ならともかく、浅瀬に上がっていれば凍結で動きを止めるのは可能……」
 僅かだが、語るタバサの呼吸が乱れていた。体力ではなく、魔法をつかさどる精神に激しい疲労を受けているのだろう。
「後は核を壊せば、水精霊から涙を採る事が出来る。それは貴方の仕事」
「タバサ?」
「後は頼む」
 それだけ言うと、タバサは身をよじってギュスターヴの腕の中からすり抜けてしまった。
「タバサ?!」
 すり抜けて足元の水面へとタバサは落ちた。しかし落下の途中で体を捻り、受身を取った事から始めからこうするつもりだったのかもしれない。
「おーい相棒」
 呆然と水に浮かぶタバサを見ていたギュスターヴに左手に握った魔剣から声が掛かった。
「俺様けっこー丈夫だけどさ、あんまりぶら下がってると流石に曲がり癖つくしさー、はえーとこ水精霊を斬っちまおうぜ」
 振り返ったギュスターヴの視界に水精霊の人型が見える。先ほどまでうなだれていたそれは、今度は飢え乾いた迷人のように体をよじり、光湛える頭を
かきむしっているような動きをしていた。
「さー、さっきみてーに戦う勇気を込めな。進行した【ガンダールヴ】の力がありゃ、水精霊くれー楽勝よ」
「進行した……?」
「いーからいーから」
 釈然としないものを感じたギュスターヴだったが、デルフの言葉にも一理ある。水精霊を倒してしまわなければタバサを陸に上げられないのだから。
 岩に刺さるデルフリンガーを握り直し、呼吸を変えて意識を集中する。筋肉の軋みが認識できるほどの戦いの呼吸に自らを置き換えた。
 それが出来たとともにギュスターヴは動く。デルフリンガーを抜き、空かさず跳躍して振り上げた一撃を水精霊の背中から左肩にかけて走らせる。
「まるで斬った感触が無いな」
「駄目だぜ、ちゃんと核を斬らねーと。あの頭の部分が核だ。斬ったと同時に『涙』が出るぜ」
 ぬかるむ砂砂利を踏みしめて反転、遥か目線の上に目標を定める。
 軽く体を沈みこませてギュスターヴは再び跳躍する。体を捻り、その剣先が過たず水精霊をすり抜けた。
「『龍尾返し』!」
 まるで据え物の果物を切るような感触が手に残った。ずぶずぶとぬかるみに着地し、速やかに剣を鞘へと走らせるのだった。
「いいぜ、相棒。それが“本来の”【ガンダールヴ】さ……」
 
 
 キュルケの見下ろす岸辺に起こった出来事は、まさに一瞬の事だったのだろう。
 うなだれる水精霊の背後が一面凍ってしまったかと思えば、樹木の陰で何か大きなものが水に落ちる音がした。
 そして、瞬きをする、たったそれだけの時間の後、肩と頭を切り裂かれた水精霊とその足元に立つギュスターヴを確認できたのだった。
 ギュスターヴは切り裂かれた水精霊の頭から零れ落ちる、煌く液体を浴び、さながらそれは水の巨人が流す涙の如く、綺麗なものであったという。
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:23:49 ID:fRO7Vtdd
支援
39鋼の使い魔(後書き) ◆qtfp0iDgnk :2009/07/08(水) 22:25:02 ID:Sa2Vlp7F
投下終了。
最近欧米のファンタジー文学に興味が出ていたり。ドラゴンランスとか、アイスウィンド・サーガとか、コナンシリーズとか。
でもそれと比較すると日本のファンタジーは頓狂で、やっぱりライトですよねぇ。
所詮借り物か……。

では、次回でラグドリアン湖編最後になります。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:29:40 ID:RE+2161q
そりゃ数読んで無いだけだぜ
向こうにもウンコはたくさんあるが名作ばかりしかこっちに入ってきてないだけだ
扶桑社ロマンスとか児童書の海外ファンタジーも読んでみてくれ

それはともかく乙
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:35:45 ID:ZDEgufQV
ゲド4巻読んでると俺の求めてるファンタジーはこれじゃないって叫びたくなってくるな
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:40:35 ID:+yUubU9G
乙。まあ日本の漫画・アニメだってすべて海外でヒットするわけじゃないしねえ。
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:40:36 ID:moc7U/E6
リングテイルなんかはどうか
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:42:18 ID:6OT/WrL5
十二国記読んでみ
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:47:55 ID:SFuNGvZ7
児童文学の精霊の守人いいよ
先に出たリングテイルや十二国記もよいね
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 22:54:24 ID:vauYfKY1
>>39
その頓狂でライトな設定を借りて二次創作してるあなたは何?
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:03:22 ID:q1EeQszG
>>41
たしかそれ海外でも駄作認定されていたはず。
>ゲド4巻
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:04:41 ID:fhKxX9O3
ゲドは2巻までだなぁ
49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:05:59 ID:moc7U/E6
向こうのファンタジー系とか中世時代感密着型だったかな。
とすれば、日本に置き換えると、鬼平犯科帳とか・・・?
50名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:07:03 ID:ZyNijTnx
ゲドってジブリだからおもしろいんでしょ?
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:07:42 ID:NpqJDYbU
遠野物語かな<日本のファンタジー
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:08:03 ID:xSNGARmu
ジブリでもダメだったんじゃなかったかw
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:10:34 ID:M5X/H229
上映30分くらいでパヤオに「三時間くらい座ってた気がする…」と言わしめた名作だぜ
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:14:13 ID:1Hvj7Y+0
ゲド戦記は駿が滅茶苦茶好きで
いつもカバンに持ち歩いていて
行き詰ると読み返してたらしいな

原作者にアニメ化させてくれと何回か頼んだらしいけど断られたんで
自分の作品の中にゲド戦記でやりたいことを盛り込んでいって
今度は駿の作品みたゲド戦記の原作者が是非アニメ化してくれってオファーが来たらいけど
もうやりたい事はやり尽くしちゃってて断ったらしいな
55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:16:22 ID:1Hvj7Y+0
つか崖の上のポニョって駿の皮肉が利いたブラックな作品だったんだな
ttp://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-487.html
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:27:57 ID:KOQSC7F1
欧米にファンタジーがあるならば日本には伝奇がござる
というわけで朝鮮妖術師がハルケで大暴れ的なのを誰か
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:28:29 ID:fhKxX9O3
>>50
ジブリが作ったら名作がゴミになりましたって例
つーかそもそもあのエピソードはアニメ化向かないだろ
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:28:40 ID:jhCvp/Fn
日本ファンタジーの最高峰…
源氏物語に決まってるだろ
あの生霊とか紫の上の存在とかファンタジーすぐる
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:31:16 ID:Otw69pWp
普通に竹取物語だろ
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:32:57 ID:ZyNijTnx
>>57
でもヒットしたんだからおもしろいんでしょ?
61名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:41:40 ID:q1EeQszG
>>60
ヒットしたしないじゃなくて、
自分で見て面白かったかどうか判断した方がいいと思うぞ。
レンタルビデオとか利用すれば
高くても缶ジュース2,3本分の代金で釣りが来るだろうし。

自分は見ていないから評価は出来ないがな。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:44:25 ID:1Hvj7Y+0
ゲド戦記はアニメ製作経験の無い駿の息子が
腹黒いプロデューサーにまんまと担がれて作って
ジブリの後光でヒットした
親の七光り作品だからな
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:46:26 ID:HSMH9r5E
かつての朝日ソノラマは良かったんだぜ!
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/08(水) 23:59:29 ID:ZDEgufQV
>>60
原作者いわく「駿が監督してくれると思ったら吾朗だった」「作品を見て『これは監督の作品です』と言ったのが
褒めたと日本で思われてるようだが、あんなのを私の原作だと思われたくないという意味だ。間違えるな」
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:01:07 ID:hsRx9Ov+
>>60
「ジブリ」ブランドが付いたからヒットしただけ。
ゲド戦記の原作者に「自分の作品じゃない(超意訳)」と言われた駄作。
絵的なクオリティはあるけど。
ヒットしても原作本の方がカバー等をアニメ版の絵にしなかったのが正しい判断。
文春きいちご賞2006年度公開映画第1位だったし。

文春きいちご賞
文藝春秋の記者ならびに映画評論家により、
その年度最低の映画を選出しランキングする賞。
アメリカにおいて、同様の趣旨を持って開催されるゴールデンラズベリー賞に因んでいる。
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:05:12 ID:9wMIG5WR
>>63
聖刻1092シリーズは俺にとってのジャパニーズファンタジーの原点だな。
フェンを召喚してみようかと思ったけど、単体でゼロ魔世界に放り込んでも魅力的じゃないんだよね。
ガルン・クリシュナ・ジュレ=ミィと一緒に何もかも遠い昔の縁で縛られたア・ハーン大陸で暴れまわるからこそ
フェンなんだ。
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:09:57 ID:Qa2A3koA
竹取物語はあれジャパニーズファンタジーじゃないか?
何気に世界最古の創作物だし
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:18:00 ID:9wMIG5WR
>>67
千ニ、三百年ぐらい前の話だろ? 世界最古は流石に無理じゃね? 作者がハッキリしてるわけじゃないし。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:21:18 ID:FWWEsseO
>>66
ヴァシュマールの前垂れに描かれた模様が、単行本に載った画稿では皺が寄って線切れてるように見えてた筈なのに
後に描かれた設定画ではそのまま「そういう模様」になっていた事が未だに不思議でなりません
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:22:06 ID:s3GNQyef
知り合いの教授が酒飲みながら世界最古の宇宙人襲来SFなどと言っていたのを思い出した
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:22:16 ID:hbRjgjFm
日本最古な>竹取
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:23:03 ID:7Anz+05t
児童文学ってかなり良いファンタジーがたくさんあるよね。

ああ、小学校の図書館が聖地だったあの頃……
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:24:21 ID:g32/9rZS
>>67
世界最古てギリシアあたりじゃ紀元前500年とかにもう確立された文学があるでしょ?
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:24:31 ID:0Mi6CsXj
かぐや姫ってなにげに宇宙犯罪者だしな
(原作でそういう記述がある)
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:28:15 ID:4q6ZGyUU
バニースーツ着て地球侵略するくらいだからな。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:30:09 ID:ltTJbnv+
>>74
あ・・・アリエナイザー!?
ボスの出番だ
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:31:06 ID:RqfApp/O
蒸着!
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:37:34 ID:pZXyN/6V
>>58

平清重(だったか?)の腕がぐるんぐるん回る必殺技なゲームを思い出した。
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:41:58 ID:hbRjgjFm
差し支えなければ代理投下いきまーす
80ゼロと世界の破壊者:代理投下:2009/07/09(木) 00:42:41 ID:hbRjgjFm
第6話「平和な日」


 士がギーシュと決闘してから、およそ一週間が経過した。
 あの日から特に大きな事件もなく、ルイズは平穏無事な日常を過ごしていた。
 ただその日常とは、それ以前のものとは幾分か違ったものだったが、日が経つに連れルイズはその新たな日常にもいつしか慣れつつあった。

 まず、あの日以降、ルイズはゼロと呼ばれる事が極端に少なくなった。
 『メイジの力を見るならその使い魔を見ろ』と言う言葉がある。ルイズの使い魔とは、すなわち『仮面ライダーディケイド』こと門矢士。
 その力は決闘の時に多くの生徒が目の当たりにし、そして彼らに衝撃を与えた。
 メイジを倒す平民、それを召喚したルイズ、その事実はルイズの評価を一変させたのである。

 あれから士は使い魔としての仕事もちゃんとやってくれるようになった。
 やっぱり朝起こすのと身だしなみ関係は夏海が代行してくれたが、それ以外の仕事は士がやってくれている。
「それがこの世界での俺の役割、みたいだからな」
 と、士談。
 少し引っ掛かる言い方だが、まぁ使い魔としてちゃんと働いてくれてるから良いだろう、とルイズは思っていた。

「おはよう、ダーリン♪」
 朝の身支度が終わって部屋の外に出ると、そこには何故かいつもルイズの宿敵キュルケが待ち構えていた。
「…お、おはよう、キュルケ」
 顔を引きつらせつつルイズは挨拶を返す。
 あの日以降、これもまた日常となりつつある光景だった。ルイズとしてはあまり歓迎したくないものだが。
「あら?ルイズもいたの?」
 白々しい。
 ここはルイズの部屋で、そもそも最初に部屋から出たのもルイズなのだから、ルイズの存在に気付かぬわけが無い。気付いてるくせに敢えて無視してルイズの神経を逆撫でしているのだ。
 そしてその思惑通り、ルイズは苛立ちを覚えるのだった。
「…当たり前でしょう、ここは私の部屋なんだから…」
 それでも何とか感情を爆発させぬようこの場はグッと堪える。
「ねぇダーリン、ルイズの所が嫌になったらいつでもあたしの所に来てくれて良いんだからね♪」
 キュルケは相変わらずルイズを無視して士の隣に移動し、その腕にしがみつく。
「フ、人気者は辛いな」
「おい!」
 思わずルイズがツッコミを入れる。
 ここに夏海がいてくれたら『笑いのツボ』で士にお仕置きしてくれるんだけど、残念ながら今は洗濯物を持って写真館に戻ってしまった後だ。
 キュルケもそれを考慮してこの時間に待ち構えているのだろう。
(…ナツミに教えてもらおうかしら…『笑いのツボ』…)
 ルイズは自分の親指を見ながらそう考えるのだった。
 ルイズ、士、キュルケの3人が集まっている所に、更に最近はタバサも自発的にその輪に加わってくる事が多い。
「あら、タバサ」
 先にキュルケが気付き、二人がそれに倣ってタバサの方を向く。
「なんだ、またライダーの話を聞きたいのか?」
 タバサはこくりと頷く。タバサが士に近付く理由、それは『仮面ライダー』の話を聞くためである。
「またぁ?タバサも懲りないわねぇ、あんなお伽噺」
「そんな事は無い。なかなか興味深い」
 キュルケからしたら『仮面ライダー』の話はあまりに現実離れし過ぎていて、それこそお伽噺のような世界としか捉えられなかった。
 ルイズも同様なのだが、実際に『仮面ライダー』は目の前にいるし、士がただの道楽であんな話するとは思えなかった。
 あれは確か―――決闘の日の翌々日の虚無の曜日。
81ゼロと世界の破壊者:代理投下:2009/07/09(木) 00:43:40 ID:hbRjgjFm
 決闘で受けた傷により安静にと言い渡されたルイズは外出する事も敵わず、仕方無く光写真館を訪れていた。
 そこでいつもの如くコーヒーを飲んでいたのだが、何の話がきっかけか、いつの間にかただの雑談が士達の知る『仮面ライダー』の話にシフトしていた。

 曰く、士達は滅びに瀕した夏海の世界を救うため、9つの世界を巡る旅を始める事になった。
 9つの世界は見た目こそ夏海の世界とそう変わらないが、それぞれの世界にはそれぞれ違ったライダーが存在し、色々な理由で戦いを繰り広げていたと言う。
 そうして巡った9つの世界、士は失っていた力を取り戻してその使命を果たした…筈が、何故かこのハルケギニアに飛ばされてルイズの使い魔になってしまった、と言う事らしい。

「ふぅん…で、士はその9つの世界のライダーの力が使えるんだ…」
 ルイズは士から借りた9枚のカードを眺めながら感慨深げに呟いた。
 カードには1枚ずつ別々の仮面ライダーの顔が描かれている。中には決闘の時に見せた『龍騎』のカードもあった。
「…それで、ユウスケは『クウガ』なのね」
 ルイズはカードの中から『KUUGA』のカードを引き抜いてユウスケと並べた。
「その通り!」
 ユウスケは士達が最初に訪れた世界で戦っていた仮面ライダー『クウガ』で、士達と一緒にその世界を滅びから救った事が縁で旅に同行する事になったらしい。
「…ツカサが『クウガ』の力を使えるのに、ユウスケがいる意味あるの?」
 ルイズは率直な感想を言った。
 ぐさり、何かがユウスケの胸を貫いた。
「そ、そんな事無いよ!俺と士は最っ高のチームなんだ!いざって時は俺のクウガと士のディケイドの絶妙なコンビネーションで悪い奴をやっつける!だよな、士!」
「…そういやお前、クウガの世界以降まともに戦ってないよな」
 ざくっ、士の言葉が更にユウスケの胸を抉る。
「そ、そんな事無いぞ!キバの世界じゃワタルを助けるために変身したし!響鬼の世界でも魔化魍と戦ったし…!」
「即返り討ちにあったけど、か?」
「う、…アギトの世界じゃお前やショウイチさんと3人で戦ったじゃないか!」
「ま、あれはG3−Xだったけどな。…そう言えば電王の世界じゃ大活躍だったな」
 そう言いながら士はほくそ笑む。すると何故かユウスケはお尻を押さえた。
「あ、あんなのは大活躍って言わないんだよ…!」
 なんだかルイズにはよく判らない会話が繰り広げられて、しかも空気が微妙に悪くなってきた。
 仕方無く話題を変えようと、ルイズはカードの束から『KIVA』のカードを引き抜いてそれをキバーラと並べた。
「キバーラの一族は人間を仮面ライダー…『キバ』に変身させる能力を持ってるのね」
「えぇ。でも私にはそう言うの出来ないんだけどねぇ」
 『キバ』に変身させられる能力を持つのはキバット族の中でも名門『キバットバット家』の一族のみ。キバーラの代で言えばその兄である『キバットバット3世』がそれに当たる。
「そうなの?それじゃあ、アンタは何が出来るの?」
「ウフフ、それはヒミツよ♪」
「何よそれ、教えてくれても良いじゃない」
「フフ♪オンナはねぇ、よりミステリアスな方がオトコには魅力的に映るのよ♪ルイズちゃんもオンナノコなら覚えておいた方が良いわよ?」
「…いや、コウモリのアンタに女の魅力とか語られても説得力ないから…」
「あら、この私の美貌が判らないなんて、ルイズちゃんもまだまだ子供ねぇ」
 だから子供とかそれ以前の問題だってツッコもうと思ったが、キリが無さそうなんで止めた。
 それにしてもこのキバーラ、言い回しがどことなくあのキュルケに似てるなぁとルイズは思った。


 とまぁそんな後半部分は省くとして、そんな感じの話を後日タバサと、タバサにくっ付いて来たキュルケも聞く事になって今に至る。
 キュルケはそうでもないがタバサの方は何故か『仮面ライダー』に興味を持ったらしく、また士に惚れたと言うキュルケも相成って、ここ最近はルイズ、士、キュルケ、タバサの4人で行動する事が多い。そこに時々夏海やユウスケも加わる。
82ゼロと世界の破壊者:代理投下:2009/07/09(木) 00:44:40 ID:hbRjgjFm
「それじゃあ、また後でな」
 そう言って士は本塔へと続く渡り廊下でルイズ達と一旦別れる。
 士は基本的に食事は写真館の方で取っているのだ。
「ツカサってばいっつもあっちで食事するわよねぇ」
「床で食べるのはごめんだ、だそうよ」
 『アルヴィーズの食堂』は貴族の食卓、普通平民はそこで食事出来ないのだが、ルイズの特別な計らいでその使い魔の士はそこで食事して良い事になった。が、士は床に置かれた皿を見て1秒足らずで踵を返した。
 それ以降士は食堂には足を運ばず写真館で食事をし、授業前にルイズと合流する、と言う形式を取っている。
「まぁ、平民でも床で食事する人間もそういないわよね」
「そんな事言っても、これは食堂の規則なんだから仕方無いでしょ」
「その規則破って決闘したその口が言うの?」
「む」
 ルイズは顔を顰めた。
「それに比べたら平民を食堂で食事させるくらい、どーって事ないんじゃない?」
「そう言うワケにはいかないわよ!ツカサは平民!貴族が平民と同じ卓で食事するわけにはいかないでしょう!」
「相変わらずお堅い事で。でも惜しいわねぇ、ゲルマニアならツカサの実力で貴族になるなんて容易いのに」
「そんなんだからゲルマニアは野蛮なのよ」
「黴の生えた伝統に拘って国力弱めてるトリステインが言えた義理じゃないわよ」
「なんですってぇ!!?」
「何よ!」
 バチバチバチ、と二人は脇目も振らずに火花を散らせる。
「…あのぅ…ミス・ヴァリエール、ミス・ツェルプストー……」
 そんな二人に脇から怖ず怖ずと声をかける黒髪のメイド少女。
 ルイズとキュルケは同時にそちらを振り向く。
「あら?シエスタじゃない」
「どうしたの?こんな所で」
「ど、どうしたもこうしたも、ここは…」
 と、ルイズとキュルケはそこで初めて自分達が何処にいるのか場所に気付く。
「食堂、なんですけど…」
「あら、全然気付かなかったわ」
 どうやら口喧嘩に夢中で、とっくに食堂に到着していた事に気付かなかったようだ。
 因みにさっきまで一緒だった筈のタバサは二人を置いて先に行ったようで、付近には見当たらなかった。
 自分達が周囲から好機の的に晒されてる事に気が付き、ルイズの頬にさっと赤みが差す。
「もう、アンタがつまらない事ウダウダ言うから要らぬ恥掻いちゃったじゃない!」
「あたしの所為?あんたがつまらない意地を張り通すのが悪いんじゃない」
「私は貴族として当然の事を言ったまでよ!」
「あたしだってただツカサの待遇の改善を要求したまでよ。このままだといずれまたツカサに愛想尽かされちゃうわよ?ま、私にとってはむしろ願ったりだけどね!」
「ぬぁんですってえええ!!!?」
 そうして再びバチバチバチと二人の間で激しく火花が散る。
「ミ、ミス・ヴァリエールも、ミス・ツェルプストーも落ち着いてくださいぃ〜」
 慌ててシエスタが二人を宥めに入る。今この場面で二人の間に入れるのはシエスタだけしかいなかった。
 しかしながらここまで腹を割って口喧嘩出来る間柄、なんだかんだ言いながらこの二人って、本当は凄く仲が良いんじゃないだろうか、とシエスタは思った。
 思っただけで、決して口にはしない。きっと二人は絶対に認めようとしないだろうから。
83ゼロと世界の破壊者:代理投下:2009/07/09(木) 00:45:40 ID:hbRjgjFm
 一方その頃の光写真館。
「さあ皆さん、朝ご飯の準備が出来ましたよぉ〜」
 栄次郎の呼びかけに応じて各面々が食卓へと集まり出す。
「ユウスケぇ、かぷぅってして良〜い?」
「だから人の血を狙うなって」
 周りを飛ぶキバーラをやんわりと突っぱねながら卓に座るユウスケ。
 一時的にルイズの下から戻って来た士や、ルイズの洗濯物を洗濯機に放り込んだ夏海も卓に着く。
「それではみんな揃った所で、いただきますか」
「いただきます!」
 そうして手を合わせてから一同は朝食を食べ始める。
「士くん、最近はどうですか?」
 食事中、夏海が不意に尋ねた。
「どうって?」
「ルイズちゃんの使い魔生活の事です。最近じゃすっかりルイズちゃんの言う事も聞くようになってるみたいじゃないですか」
「どうもこうも、いつもいつもあいつの我が侭に付き合わされてばかりだ。俺は使い魔にはなってやったが、召使いになった覚えは無い」
 掃除に洗濯(これは夏海担当だが)、その他身の回りの雑用諸々、士は事ある毎にルイズに扱き使われていた。
「でも、最近じゃ全部ちゃんとやってるじゃないか?」
「…まぁ、それがこの世界での俺の役割、みたいだからな」
 そう言って士は盛りつけられたサラダの葉を一枚、口に運んだ。
 すると一瞬士の動きが止まったかと思うと、その顔がみるみる歪み、慌てて席を立ってそのまま流し台に直行した。
「ちょっと士くん!食事中にばっちいですよ!」
 夏海の非難を無視して士は流し台で何度もうがいをする。
「まったく、好き嫌いが過ぎるぞ、士。こんな葉っぱがなんだって言うんだ」
 と言ってユウスケもサラダの葉っぱを一枚口に運ぶ。
 が、ユウスケもまたみるみると顔を歪ませ、士と同じように流し台に走った。
「…な、なんなんだこの葉っぱ!?苦いにも程があるぞ!」
「あぁ、これは今朝マルトーさんから貰ったはしばみ草って言うこの世界の野菜だよ。確かに苦いけど、とっても栄養があるんだって」
「マルトーって…あの暑苦しい親父か…」
 士は以前厨房で出会った肉付きの良いコック長のおっさんを思い出した。
「何でも『いけ好かない貴族をやっつけた我等の英雄にいっぱい食べさせてくれ!』って、色んな食材をたくさん貰ったんだよ」
「英雄…か」
 その響きの良さに士はほくそ笑んだ。
「子供相手にディケイドに変身する人の何処が英雄ですか」
 そんな得意になっている士を夏海は突っぱねる。
 夏海としてはたとえ相手が魔法使いでも子供に対してディケイドに変身した士の事を許容しかねていた。
「…だが、はしばみ草とか言うのはダメだな。食えたもんじゃない」
 言いながら士は自分の椅子に戻って、目の前のはしばみ草のサラダを皿ごと押し退けた。
「何だい。おいしいのに…」
 栄次郎は士が押し退けた皿を受け取るとその葉っぱを口に運んだ。
 一瞬苦みで顔を歪ませたが、
「この苦みがたまらない!」
 と、更にもう一枚口に運ぶ。
「…でも、そうか。それで最近パン食が増えてるんだな」
 うがいして口の中の苦みから解放されたユウスケが言った。
 ここ最近、写真館では米よりもパン食の頻度が高くなっていた。今朝も勿論パン。自然とおかずも洋食に傾きがちになる。
「うちのお米ももう残り少なくなってきましたからね…それに、この世界じゃお米はあまり食べられてないみたいですから」
「食材もここの厨房からの貰いもの、種類もこの世界寄りになるってわけか」
 この世界を訪れてからもう11日、既にこれまでの世界と比べても最長の滞在期間だ。しかしまだこの世界でのはっきりとした目的が見えない。
 あとどれくらいこの世界に滞在する事になるか判らないが、いずれ写真館に備蓄された食料も尽きてしまう。
84ゼロと世界の破壊者:代理投下:2009/07/09(木) 00:46:40 ID:hbRjgjFm
「それでですね、いつまでもこちらに頼り切るのもいけないと思いましてね、お金を稼ぐためにもお店を開こうと思うんです」
「店?」
「お店って言うと、もしかして写真館を開くんですか?」
「そう、ユウスケくん正解です」
 と言って栄次郎はユウスケの前にはしばみ草のサラダを差し出す。正解したご褒美、のつもりだろうか。ユウスケは渋い顔をする。
「店開くにしても、色々と必要になってくるだろ。フイルムとか感光剤とか現像液とか…」
 特にその辺の消耗品は店を開くとなると多数必要となる。が、この世界にはそもそも写真機と言う技術自体が流通していない。無論、フイルムも感光剤もその他消耗品もその辺で買えるとは考えられない。
「その辺なら大丈夫です。コルベール先生が魔法で作れるって言ってましたから」
「…つくづく便利だな、魔法ってやつは…」
 士は苦笑いを浮かべつつ、ロールパンを一つ噛みちぎった。
「でもこの世界には写真が存在してないみたいだから、きっと大人気間違い無しだ!」
 と言うユウスケの言葉に、士の耳がぴくりと反応する。
「…なら、俺も久しぶりに店を構えてみるかな」
「士くん、そんな事言ってまたうちを代理店扱いする気じゃないでしょうね?」
 士の提言に異を唱える夏海。もと居た世界で士がこの写真館を代理店扱いした事で、ここがどれだけの迷惑を被った事か。
「何を言う。この機会に溜め込んだ借金を全部、それも色をつけて返してやるって言ってるんだ」
「そう言う事はご自分の写真の腕を考えてから言ってください!…この世界でも、士くんの写真はピンぼけばっかりじゃないですか」
 士がこの世界に来てから撮った写真も、ピンぼけだったり空間がねじ曲がったり謎の光が差し込んだりと、依然としてまともに写った写真は1枚も無い。
 それは、それまで写真を見た事が無かったルイズでさえも苦笑せざるを得ない出来であった。
「文句なら、俺に撮られたがらないこの世界に言え」
 士は不貞腐れる。その言い訳も聞くのは何度目だろうか。
「ま、士は大人しく栄次郎さんの手伝いをしてればいいよ。あんな写真じゃ商売どころか借金増やすのがオチだ」
「…フン」
 すると士はユウスケの皿に乗っていたソーセージをさっと掠め取ると、あっと言う間もなく自分の口へと運び込んだ。
「あぁ!!…最後に取って置いたのにぃ〜〜!!」
「手伝うんならお前が手伝ったらどうなんだ?お前だって居候は同じだろう」
「お前だって同じ居候だろっ!!」
 ならばとユウスケは士の皿のソーセージを狙うが、士はひょいと自分の皿を持ち上げて、ユウスケの悔しがる表情を横目にソーセージを頬張った。
「生憎俺はルイズの使い魔をやらなきゃならないからな、この店を手伝ってる暇は無い。…ま、ルイズのクラスメイト相手に商売するくらいの暇はあるがな」
「使い魔って、毎日毎日女の子に囲まれて……羨ましいぞっ!士!」
「ユウスケ…」
 夏海とキバーラの冷たい視線がユウスケに注ぐ。
「…士くんも、都合が悪くなるとルイズちゃんを出汁にするの、やめてください」
「だが、あいつの使い魔をやる事が俺のこの世界での役割みたいだからな。この世界で俺がやらなきゃいけない事が判らない以上、そうするしかないだろう」
 と言って、士はプチトマトを口の中に放り込む。
「…そもそも、ここって本当に俺達が訪れるべき世界なのかな?ほら、ルイズちゃんのあの何とかって魔法」
「サモン・サーヴァントか?」
「そう、それ!それで間違ってこの世界に飛ばされちゃったとか?大体、この世界には仮面ライダーだっていないんだし」
「そうかもしれん。…が、そうじゃないかもしれん。残念だが、そこら辺は断言出来ないな」
「…」
 士の話を聞きながら、夏海は撮影室のバックスクリーンの絵、二つの月が浮かぶ夜空の絵を見た。それは間違いなくこの世界を象徴する絵だ。この絵が出たと言う事は、自分達は必然的にこの世界にやって来た、と言う事になる。
 でも、この世界は今までとは明らかに違う。見た事も無い土地、見た事も無い風景、見た事も無い文化、魔法が当たり前のように存在し、人は貴族と平民と言う身分に区別され、何よりも仮面ライダーがいない世界。
 仮面ライダーがいなければそれと戦うモンスターもいない。いると言えばいるらしいが、この世界の魔法使いで事足りている。
 世界は至って平和で、滅びが訪れている兆候も見られない。何処か遠い国では戦争やら小競り合いが繰り返されてるみたいだが、そんなのは自分が元居た世界でも当たり前の出来事だった。
「…本当に、この世界には私達のやるべき事があるんでしょうか…?」
「お前までそんな事言い出すのか?夏みかん」
85ゼロと世界の破壊者:代理投下:2009/07/09(木) 00:47:40 ID:hbRjgjFm
「だってそうじゃないですか!もうこの世界にやって来てから十日も経つんですよ?なのにこの世界に来た目的も何も判らない…それにもう9つの世界を旅するって使命も終わりました。だったら元の世界に戻って来てもおかしくない筈です!」
「…確かに、お前の言う事も一理あるな。だから、それを調べる為にも明日街へ出るって話じゃなかったか?」
 ハルケギニアにやって来て11日、士達はこれまで一度たりとも学院の外に出た事は無かった。
 理由としては単純にルイズの許可が下りなかったから。
 見知らぬ広大な土地に案内無しで下手に飛び出したりしたら、最悪学院に戻ってこられなくなる。その上情報が集まりそうな大きな街は馬で2時間は掛かるらしい。馬の速力は夏海達は知らないが、それだけ遠くにある、と言う事は判った。
 そんな街に行くには道案内が必須。しかし学生の身であるルイズ達が平日に往復4時間も掛かる街まで行けるわけも無く、行けるとしたら学院が休みな『虚無の曜日』くらいである。
 先週の虚無の曜日はルイズの怪我を労って外出は控えたため、話は明日、今週の虚無の曜日に、と相成ったわけだ。
「人の集まる所に行けば色々と情報も聞き出せる。もしかしたらこの世界の仮面ライダーについても、何か判るかもしれないな」
「…でも、何も判らなかったら…?」
「…そんなのはその時考えればいい」
 そう言って士は匙を置いて、徐に立ち上がった。
「何処行くんですか?」
「そろそろ時間だからな、ルイズん所だ。あいつ、少しでも遅れると俺の事を駄犬呼ばわりしやがる…」
 憎々しくそう呟く士、そんな士に首輪を付けて犬扱いしているルイズのイメージが浮かんで、夏海は思わず吹き出した。
「ルイズちゃんの前では士くんもお犬さん扱いですか」
「…抜かしてろ」
 不機嫌そうにそう言い残して、士は撮影室の扉の向こうに消えて行った。
「士が犬か…随分マニアックだな…」
「んもぅ、ユウスケってば何言ってるのよぉ!」
「痛い!痛っ!痛たたっ!」
 キバーラがユウスケの頭に体当たりをする。
「さあさ、私達も、早く朝ご飯片付けちゃいましょう!早く食べて、お店を開く準備をしなくては!」
「えっ!?お店って、今日から始めるんですか!?」
「言ってませんでしたっけ?」
「聞いてません」
「ほらほら、夏海にもユウスケくんにも働いてもらうよ。特にユウスケくんにはほら、これを持って学院で宣伝してもらわないと」
 そう言って栄次郎が取り出したのはプラカード。というか今まで何処に置いてたんだ?
 プラカードには見た事も無い文字が描かれていた。夏海達には読めないがおそらくこれがハルケギニアの文字なのだろう。
「…準備、いいんすね…」
 おそらく夏海達が伺い知れぬ所で準備を着々と進めていたのだろう。協力者は、消耗品を用意したコルベールであろうか。
 異世界の技術に興味を持って足しげくこの写真館に通い詰めているあの人ならば、栄次郎と結託しててもおかしくはない。プラカードの代筆も、おそらくコルベールであろう。
「でもお店今日からなら、明日私達が街に行って大丈夫ですか?おじいちゃん一人に店を任せて…」
「大丈夫ですよ。いざとなったらコルベール先生にもお手伝いを頼みますから」
「は、はぁ…」
 一応はこの世界に貴族の人に手伝わせちゃって大丈夫だろうか、と二人は思ったが、あの人なら快く引き受けそうだとすぐに思い直した。
 元々コルベールの方も貴族とか平民とかの身分にあまり拘らない人間である事も幸いして、最近ではすっかり二人は良い茶飲み友達になっていた。
「ささ、まずはお片付けお片付け!お皿全部流しまで持って来ちゃって!」
「あ、はい!」
 朝食の片付けのため動き回る3人を、キバーラは少し離れた場所で眺めていた。
「フフ、今日も平和で何よりね…ウフフ♪」
 怪しい笑みを浮かべながら。
86ゼロと世界の破壊者:代理投下:2009/07/09(木) 00:48:40 ID:hbRjgjFm
 士がルイズを迎えに食堂までやってくると、そこで待っていたのは膨れっ面のご主人様だった。
「お帰りなさい、ダーリン♪」
 いつもの調子でキュルケが士に抱きつこうとするが、そこに空かさずルイズが足を掛け、結果キュルケはビターン!と思いっきり床に顔面から叩き付けられてしまった。
「…ったたた…、ルイズ、これはさっきのお返しのつもりかしら?」
「あらごめんなさい、ちょっと足が滑ったみたい」
 バチバチバチ、と二人の間で火花が散る。この光景、今日だけでもう何度目になるだろうか。
「…もう先程からずっとこんな調子で…」
 傍らに控えていたシエスタが苦笑いを浮かべながら説明した。
「いつもの事とは言え…懲りない連中だ」
 流石の士もこの二人の喧嘩にはうんざりしていた。
 ルイズとキュルケ、顔を合わせりゃ喧嘩しかしてない印象しか無い。
 それはシエスタや他の平民、むしろ学院中の人間にも最早お馴染みとなった光景で、ある種の名物と化していた。
 しかしそれにも関わらず、これまで一度も決闘騒ぎに陥ってない事が不思議なくらいである。
 だからと言ってこのまま放っておいたらいつまでも睨み合いを続けかねない。仕方無く、士は二人の間に入り込む。
「お前ら、もうすぐ授業が始まるんじゃないのか?」
「…そうね、いつまでもこうしてても仕方無いわね」
「ま、今回はダーリンの顔に免じて許してあげるわ」
 とりあえず授業が始まる直前と言う事もあって、二人はその場は杖を納める。
 士はやれやれと小さく肩を竦めると、いつの間にか合流したタバサも伴って4人で教室へと向かった。
 シエスタは食堂での仕事がまだ残っていたのでその場で別れた。
「…しかし、お前ら仲が悪いにも程がある。何か理由でもあるのか?」
 道すがら、それとなく士は尋ねた。
 すると一瞬ギロリとルイズが睨みつけてきたが、目を瞑って一呼吸置いてから口を開いた。
「…そうね、良い機会だから、アンタには説明しておくわ。私、ラ・ヴァリエールと、キュルケのツェルプストーの因縁を」
 その横ではキュルケがニヤニヤと笑みを浮かべながらこちらの方を横目で見ていた。どうやらキュルケから説明する気はないようだ。
「まずキュルケはこの国、トリステインの貴族じゃないの。隣国ゲルマニアの出身!私はね、そのゲルマニアって国が大嫌いなの!」
「ほお」
 士が適当に相槌を打つ。
「私の実家、つまりラ・ヴァリエールの領地はそのゲルマニアとの国境沿いにあるの。そして国境を挟んだゲルマニア側に領地の名こそツェルプストー!
ヴァリエールはゲルマニアとの戦争が起こる度にずっとその先陣を切って戦ってきたわ!ゲルマニアのツェルプストーとね!」
 ルイズの口調がだんだんと強まる。ルイズの中に刷り込まれたツェルプストーへの憎しみが沸々と沸き上がっているのだ。
「なるほどな」
 が、それとは逆に尋ねた当人は何とも冷めた反応を返していた。だんだんと話の内容がどうでもよく思えて来た。
「つまりキュルケは…フォン・ツェルプストーは…我がラ・ヴァリエールにとっての不倶戴天の敵なのよ!!」
 と、ルイズはキュルケをビシッと指差してそう言い放った。
 何故かキュルケはむんと胸を張っている。
「って、なんでアンタが偉そうにしてるのよ!」
 ルイズのツッコミに対しキュルケはオッホッホと笑って誤摩化す。
「…その上コイツらは色ボケの家系、これまでどれだけのヴァリエールのご先祖様がツェルプストーに恋人を寝取られた事か…!」
 ルイズはググッと拳を握って苦々しく言った。
 そこまで来ると士はルイズの話に対する興味を殆ど失っていた。
「つまり大昔から続く家絡みの宿敵関係ってヤツか」
「そう!その通りよ!」
 本当にどうでもいい理由だ。聞いた自分がバカらしく思える。
「でも宿敵だなんて言える程かしらね?ご先祖様がヴァリエールの恋人を寝取ったのだって、大方ヴァリエールが不甲斐無いからじゃないのかしら?」
「なんですってぇ!!?」
 そうやって再び爆発しかけるルイズだったが、丁度教室の前までやって来てた事が幸いし、その場はグッと堪える事に成功した。
 それからは言葉少なげにルイズは教室の端の方に座り、士もその隣に座る。
 するとその士を追ってその隣にキュルケが座って、更にその隣にタバサが無言で座る。結果、4人はルイズ、士、キュルケ、タバサの順番で並んで座っていた。
 思わずルイズが文句を言いかけたが、その前に教師が教室に入って来たためその場もグッと堪えた。
 しかし授業中、ルイズはずっと不機嫌そうにしていた事は言うまでもないだろう。
87ゼロと世界の破壊者:代理投下:2009/07/09(木) 00:49:42 ID:hbRjgjFm
 これももう一週間ずっとこうなのだからいい加減慣れろよ、と士は思っていた。
 そんな形で午前中の授業が終わり、昼休みを挟んで午後の授業。
 も、滞り無く終わり、時間はあっという間に放課後。ルイズと士の二人は写真館を訪れていた。
 授業が全て終わった放課後、写真館でコーヒーを飲んで静かなひと時を過ごす事がルイズにとってすっかり日課となっていた。
「…そう、静かなひと時を過ごす事が、ね…」
 カタカタカタ、とカップを持つ手が震える。
 するとその目の前に一枚の写真が差し出される。そこにはその写真を差し出した本人が真っ赤な髪を掻き揚げる仕草がばっちりと写っていた。
「見てみてよルイズ!凄いわぁシャシンって!私の美貌がばっちり表現されてるわ!名高い画家を雇って肖像画を描かせるよりもずっと早くて綺麗よぉ!」
 そう興奮気味に言い終わると、キュルケは再び自分の写真に見とれてうっとりとした。
「へぇぇぇ…それは良かったじゃない……………ってぇ!!」
 カップに残ったコーヒーを一気に飲み干し、ガチャリと音を立てて少し強引にカップをソーサーに置いた。
「何でアンタがここにいるのよぉっ!!?!?」
 ルイズはとうとう我慢し切れず叫びを上げた。
 ここは写真館。ルイズにとって新たな憩いの場所となりつつあった場所だが、今日来てみれば何故か宿敵キュルケがいる始末。
 しかもキュルケだけでなく、タバサも今現在ソファに座ってコーヒーを飲みながら読書に励んでいる。どうやらタバサはブラックのまま飲むのが好みらしい。
 他にも今この写真館のサロンには名前も知らない上級生や下級生が入り交じって、皆栄次郎に写真を撮ってもらっていた。
「何でって、あたしはただお昼に撮ってもらったシャシンを取りに来ただけよ?」
「だからなんでアンタがお昼にここで写真撮ってもらってんの!!?」
「昼休み暇でブラブラしてたらユウスケがここでお店やってるって宣伝しててね、タバサと一緒に試しに来てみたのよ」
「なんで店なんて開いてるのよっ!!?」
「それはあたし関係ない」
「…ツカサぁっ!!」
 ルイズの怒りの矛先が優雅にコーヒーを啜っている使い魔の方へと向く。
「生活費稼ぎ、だそうだ。この世界で暮らしていくにはこの世界の金は必要だからな」
「う…」
 あまりに真っ当すぎる答えが返って来たため、ルイズは言い返す事が出来ずに言葉に詰まる。
 ヴァリエールの資産があれば平民の一家を養うくらい雑作も無いが、ルイズは未だ学生の身、自由に出来るお金も限られ、精々使い魔を一匹養うのが精一杯だ。
(…せっかく新しく出来た憩いの場だったのに…)
 ルイズは力無く椅子に座り直した。
 ヴァリエールの領地が他国(主にゲルマニア)によって侵略されていくような、こんな感覚に苛まれた。
 しかしここはルイズが召喚したとは言えヴァリエールの領地ではないので、ルイズには何も言えない。
 一応コルベールが管理責任者と言う事になっているから、ある意味コルベールの領地のようなものだ。ならそっちに文句を言うべきかとも思ったが、公然と商売してる所を見ると許可が降りてないとは考えにくい。
 結局ルイズには自分だけの聖域を取り戻す術は見当たらなかった。精々学院中の人間に飽きてもらうのを待つくらいしか無い。
「そんな悪い事ばかりじゃないと思うぞ。ここが評価されれば、ここを召喚したお前も評価されるんじゃないか?」
 そう士に言われて、ルイズは少し考えてみた。
 つまり、写真館が有名になる⇒写真館は凄い⇒写真館を召喚したルイズは凄い!⇒ルイズはゼロじゃない!、と言う図式が組み立てられる。
「い、やぁね、そんな上手く行く筈無いでしょう…?」
 思わず緩めそうになる顔をどうにか引き締めるが、上手く行かずに口元がぴくぴくと痙攣する。
「顔、緩んでるぞ」
 が、士にそう言われてルイズは思わず口元を手で隠す。はっとなった時には既に遅く、士は肩を震わせて必至に笑いを堪えていた。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:53:53 ID:6Go7yZkv
 腹を立てたルイズは金切り声で士に何事か文句を言っているが士はまるで意に返さず、更に余計な事を言ってルイズの神経を逆撫でにしている。心底ルイズをからかって楽しんでいるようだ。
 そんな二人の様子を少し離れた所で見ていたキュルケは、「相変わらずね」と、自分とルイズを棚に上げた感想を述べた。
「平和」
 すると横にいたタバサがぽつりと呟いた。
「…確かに、平和よね。でも平和ばっかりってのも肩が凝るものよ」
「何言ってるのよ、平和が一番よ」
 するとキュルケの肩からちょこんと白いコウモリが顔を出した。
「キバーラ、あなたこんな所で、他の人に見つかるわよ?」
 写真館開店前からここを訪れていたキュルケやタバサには顔なじみだが、他の生徒にはなるべく見つからないようにしているキバーラ。大騒ぎになりにでもしたら色々と面倒だからである。
「そんなヘマはしないわよ、それにあっちのコ達はみんなカメラに夢中だしね」
 現在カメラの前に立っているのは名前も知らない上級生達だが、皆少し緊張した顔でカメラのレンズを注視している。キュルケの肩に乗っている小さなキバーラになど気付く素振りすら見せない。
「それより、真に闘争の中に身を置いて初めて平和の価値を知るもの。今の内にその平和を噛み締めといた方が良いわ」
「噛み締める?ただ退屈なだけの平和になんて価値はないわ。あ〜あ、何か面白い事件でも起きないかしらねぇ」
「…ま、早々判るものでもないしね。…そっちのお嬢ちゃんは少しは理解してると思ったんだけど」
 すると本に顔を落としたままのタバサの眉が一瞬ぴくりと吊り上がった。
 タバサは本から目を離すと、僅かに敵意を込めた目でキバーラを見詰めたが、キバーラは怪しく微笑むだけだ。
「…まぁ、アナタ達もその内判るでしょう。今の平和がどれだけ掛け替えのないものだったのか」
 それだけ言い残してキバーラはひょいとキュルケの肩から飛び降りた。
「いずれこの世界も闘争の渦に巻き込まれる。だってここには、その中心となる存在、ディケイドがいるのだからね…ウフフ♪」
 キバーラは未だルイズをからかう士の姿を見て、そして怪しく笑みを浮かべた。


―――――――――
今回は以上になります。
サブタイトルにもある通り事件も何も無いヤマもオチもろくに無い平和な日常、こう言う話が一番書きずらいですw
この手の日常話を面白く書ける人が羨ましいです。
それではまた再見!

―――――――――
ここまで代理投下、終了
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 00:55:42 ID:6Go7yZkv
最後でさるさん遭遇、携帯使ったけどちゃんと出来てるかな?
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 01:04:38 ID:9Ns1fnZ4
代理乙です
最後まで投下できてますよ
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 02:21:52 ID:YDC6qLuS
破壊の人も、代理さんも乙でした。

しかし、これの話が始まってから世界が九つだけじゃないことが公式で明言されたり、タイミング良いよなぁ……
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 06:34:25 ID:9wMIG5WR
うっかりするとディケイドからクロスしてシンケンジャーや電王本編・超電王が出せちゃうしな
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 07:44:35 ID:7fpC+yPz
スーパー戦隊はタイムスリップの話も多いから怪人一つ設定すればどこに出してもふしぜんじゃないけどな
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 08:22:29 ID:SHj/S2He
ギーシュのメダロット編
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 08:24:04 ID:ca/tKLBP
>>75
ロリじゃないババアに用はないわ。

ここはあれだ、やのまんのソングマスターからティアマトを
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 11:45:01 ID:RqfApp/O
オスマン「学院のメイジを総動員してアクシズを押すんだよ!」
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 12:17:20 ID:0Tn0V58S
レコンキスタと学園のメイジかわいそす。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 12:50:32 ID:6nTIn5IR
>96
この場合のアクシズは、やはりアルビオンだろうか?
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 13:42:44 ID:Fq24J3Zo
ユウスケ・・・・
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 13:58:08 ID:GpqCyfsT
 からっぽの役 クウガをゼロから始めよう
 伝説は塗り替える物
 今、脇役に甘んじろ

 クウキ 軽く無視されて

 クウキ 誇りはどこに

 クウキ ただのやられキャラ

 No turn No change
 士の横に立つ限り
 No turn No change
 目立てる物は何もない
 完全透明!俺はどこにいる

 NO変身!仮面ライダークウキ!
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 13:59:56 ID:WFYlNPGa
今後、ユウスケはクウガライジングアルティメットになれるからいいだろ
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 14:05:40 ID:/34H5QO1
てっきりこないだの脳改造でフラグが立ったかと思ったんだがなぁ>クウガライジングアルティメット
特撮雑誌『宇宙船』読んだら劇場版限定みたいな書きかたされてたのがちょっと気になって…

せめてセロ魔世界ではもうちょっと活躍出来るよう祈っておきましょう
活躍できる場面があるかどうかは知らないけどな!
ワルドの偏在も《アタックライド イリュージョン》で対応出来ちゃうしなぁ
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 14:10:36 ID:GpqCyfsT
最終回までには、ファイナルカメンライドでアルティメットクウガくらいは出ると思うけどね。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 14:13:29 ID:WFYlNPGa
ライダーマンがGacktだったり20年ぶりのてつをだったりアギトの賀集が出たりディケイドの映画版はすごいね
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 14:44:57 ID:ZbFe35G+
ディケイドは現行でもうSS二本あるんだよね・・・
最終回まで待った方がいいと思って自重したら出遅れた感があるな
なんか泣ける
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 14:51:36 ID:T4LK7P5R
まとめWikiってもしかして移動した?
更新が一個もないまま2日が過ぎたような。
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 14:54:01 ID:RqfApp/O
最遊記から三蔵を召喚
ルイズが何回死ね死ね言われるのか
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 14:58:16 ID:Fn7ukSIm
>>101
空鬼ライジングアルティメットは大ショッカーで司祭な土妹の持つ石で強制変質な上に乗っ取られて暴走
あとノーマルディケイドと一緒にシャドームーンに凹られるそうだ
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 15:02:08 ID:ZbFe35G+
ネタバレ自重汁、と言わざるをえない
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 15:03:43 ID:Fq24J3Zo
ライジングアルティメットは赤い目黒い眼両方公開されてたから最終的には本人の意思で戦うのは間違いないだろ
・・・ユウスケに赤い目のアルティメットになれるような精神があるとは思えない
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 15:09:52 ID:0a7+v0t/
五代さんは精神面ではライダー史上屈指だと思う
それよりもとりあえずネタバレ自重
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 15:20:49 ID:WFYlNPGa
五代雄介とユウスケは違う
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 15:22:46 ID:S/y4rXkA
ワルドのライトニングでライジング化ですよ!
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 15:38:14 ID:6Go7yZkv
>>113
ワの字「死ねぇ、ガンダールヴ!」
士「ふぅ、ユースケシールドが無かったらやられてたぜ」
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 15:42:14 ID:qmG2cknX
>>114
ワルド「おまえ・・私が言うのも何だがそれって人間の道としてどうなんだ?」
士「ふっ、俺のバリヤーはまだまだこんなもんじゃないぜ!」
夏海「と言いつつ私の襟首をつかんでいるこの手は何かしら・・・」

こうですか、わかりません!
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 15:57:24 ID:jaUbusjV
録るだけ録ってみたことないけど、
ディケイドの中の人ってそんな素敵な人だったのか?w
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 16:07:50 ID:I3tcAmQr
遅いと思いつつ………

>>78さ〜ん!
そいつは『源平討魔伝』だな。
主人公は『平景清(たいらのがげきよ)』で、歌舞伎の演目にもなってる人。

…間違ってもDMCの人じゃないぞ。
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 17:46:37 ID:aqzlc8r4
>>91-92
しかも次はシンケンジャーの世界(仮面ライダーの居ない世界)だから
仮面ライダーがいないどころじゃないゼロ魔の世界に行っても不思議は無い。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 17:48:53 ID:xdpvVnbF
>>107
三蔵と聞いても珍遊記が真っ先に出てきた俺
太郎なんて召喚したら・・・

ギーシュが太郎に電気アンマ喰らって死ぬ姿が目に浮かぶようだ

>>117
言われてみればすげぇ似てるやないかーい
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 18:22:58 ID:YDC6qLuS
とりあえず気になるのは今後の鳴滝だな。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 18:35:04 ID:ru5kBYRX
嘘か真かディケイドに水島ヒロ、細川茂、半田健人が出るとか
何の役かまでは不明だけどね
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 18:36:49 ID:34Rv2KsD
>>106
移転したというよりも更新する人が激減した
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 18:40:36 ID:qmG2cknX
>>116
>>115は『魔術師オーフェン』ネタだから真に受けないようにw
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 18:44:57 ID:rRA+kQWo
>118
それは無いね
何故なら二次元の世界に行くならば鳴滝さんがまずはプリキュアの世界へ誘導するからだ!
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 18:50:18 ID:ecBLUfmN
アルビオンを押し返したSSは既にあったりする。
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 18:52:19 ID:YHZQnfKu
思ったのだがガンダールヴってエスカリボルグも使いこなせるのだろうか、やっぱ
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 18:56:36 ID:YDC6qLuS
>>124
ヒーロータイム驚異の連携力www
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 19:18:51 ID:oFfl52gS
>>119
画太郎先生のあのでかいばばあ呼ぼうぜ
娘々もついでに
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 19:21:32 ID:sNjataFr
アルティメットクウガか

何気にパンチ力80dキック力100d
というほかのライダーの必殺技以上の攻撃力を素で叩き出してるんだよな
超自然発火能力で全体攻撃と
マイティアンクレット、ドラゴンロッド、ペガサスボウガン、タイタンソード
も設定上は使えるらしいし
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 19:34:30 ID:ZbFe35G+
アルティスペックはチート
スペック語るだけならスレチ

一瞬特板に間違えて来たのかと思ったわw
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 19:36:39 ID:sNjataFr
失礼した
自重する
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 19:58:46 ID:9Ns1fnZ4
ライダー系の召喚で見たいのはシャドウムーン様だな
カブト勢もキャラがいいので良い素材だと思うけど現存のSSはどれも中途半端に終わってるからなぁ
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:01:01 ID:sdobWTn2
>>123

いやもやしは電王の世界でユウスケシールドを出したぞw
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:03:45 ID:3VNwfjzD
>>123
てっきりストプラの弟バリアーかと思ったw
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:07:24 ID:sdobWTn2
>>100

俺の麦茶を返せwwwww
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:08:05 ID:CRsIvYt7
クウガの武器化能力はアルティメット由来らしいが
クウガに武器化された物体はクウガが手放したり変身解除で元に戻るけど
ゼロ使の世界の錬金は基本元の物体に戻らないんだよね?
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:09:03 ID:qmG2cknX
その通り。
ただ、錬金は虚無のディスペルマジックならどうにかなる模様。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:09:41 ID:6Er6Si2u
しかくさんかくとにかくまったく
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:11:22 ID:WFYlNPGa
カブタック
メタルヒーローで一番好きだわ
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:16:27 ID:0NF4aU90
ディケイドのSSも中途半端で投げ捨てるに決まってるだろ

電王の時と同じパターン
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:31:47 ID:ZbFe35G+
>>140がツンデレだってことは良くわかった
終わって欲しくないから挑発してるだけだよね!
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 20:51:05 ID:CRsIvYt7
>>137 thanks

それならアルティメットの力は虚無に近いのかも、クウガは五系統制覇だな、
SS内でのクウガの活躍に期待している
頼むぞ士!(士の方がユウスケよりクウガの力を使いこなしてるから)
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 21:09:00 ID:GpqCyfsT
>>142

ユウスケは感覚的にフォームチェンジしてたみたいだけど、
士は最初にクウガの能力を分析してたからなぁ。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 21:23:40 ID:F7g66zd9
電王編のユウスケは酷かった
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 21:39:11 ID:m0HshjPh
ユースケ「ツヨシーもうダメだ、ギブアップ」
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 21:53:38 ID:RqfApp/O
こうなったら浦飯幽助を召喚
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 21:54:48 ID:W4n7jjm/
>>145
それはサンタマリア。ユウスケは風魔の小次郎の方が役が生きている感じがする
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 21:57:20 ID:Z4mQs6bI
アルティメットって変身の力を司るんだっけ?
相手が燃えてるのは相手そのものを炎に変身させてるからとどっかで聞いたことがあるが
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 22:12:10 ID:YIpLR0FO
代理投下22:15予定

614 :ゼロの仲魔:2009/07/09(木) 20:22:56 ID:rKPe3l/I
代理投下、どなたかお願いします。
ゼロの仲魔、第二話です
150ゼロの仲魔(代理):2009/07/09(木) 22:15:05 ID:YIpLR0FO
 使い魔召喚の儀式が終わり、すぐに二年生の授業というものは始まっていた。
 このとき、使い魔が同伴するというのが慣習である。つまり、規則ではない。だから、咎められる事はなかったのだが、馬鹿にされてしまった。
 召喚に失敗した。家柄で進級した。魔法が使えない。
 ゼロ、ゼロ、ゼロ。
 授業が始まってから毎日、朝食を終えてから授業の準備をするのであるが、気が重たかった。染みが広がるように、鬱屈したものが溜まっていく。動けない。
 しかし、ここで引きこもってしまったら隣のキュルケを始めとする同級生にとことん馬鹿にされてしまう。うんうんとベッドの上で唸っていたが持ち前の意地で準備を始めた。
 最近のルイズはこの試練を越えるのが日課になっていた。
 鏡の前で身なりをチェックし、おかしいところがないのを確認する。これからのこと、雨のように降ってくる罵倒に気構えもする。自分で自分に応援をし、がちがちに鎧を着込む。
 そうして、心が平静になってからルイズは部屋の扉を開け、目の前にある真っ黒なものに困惑した。
 妙なことである。昨日までも、食堂から帰ってくるまでもこんなものはなかった。というか廊下にあったら邪魔だ。
『なにを呆けているのだ?』
 聞き覚えのある声。ルイズが視線を上げると、少年が見下ろしてきていた。
 その彼の肩に、声の主、猫のゴウトが座っていた。
「……え、あんた誰?」
『うぬが呼んだんのろうが! 忘れるな!』
 合点が言った。あまりに急な事で即座に記憶から引き出されなかったのだ。
 目の前の男は彼女が召喚した使い魔である。
「あなた、大丈夫なの? 先生の話じゃあ数日で目覚めるとは聞いてたけど、動けるようになるとかは言ってなかったわよ」
『そこらのものたちと一緒にするな。治療されればどうということはない』
「そういうものなんだ」
 じろじろと、値踏みするかのようにルイズは少年を見つめた。
「まあいいわ。いいこと、あんた、えっと……」
「――ライドウ、葛葉ライドウ」
「そう。ライドウ、あんたは私の――」
『説明はとうにしている』
 出鼻を挫かれた。
151ゼロの仲魔(代理):2009/07/09(木) 22:15:46 ID:YIpLR0FO
 ルイズはゴウトを睨むが、とりあえずこの場が廊下なので、とっとと話をすませることにした。
「とりあえず、いいこと。今日からしっかり働きなさいよね。あんたはこの私の、使い魔なんだから」
 ライドウは少々考え込んでいたが、すぐに口を開いた。
「……今後ともヨロシク」
 彼は素直だった。もしここで誰がやるかこのゼロとでも罵倒されれば蹴りの一つや二つはしてやろうかと思ったが、まったくそんなことはなかった。ルイズはほんの少しだけ気をよくし、食堂へ向かうためにと歩き出した。
 と、すぐにその足が止まり、上昇傾向だった気分は暴落する。彼女の目の前に、今度は隣室のキュルケが立ちふさがっていたからだ。
「おはよう。いい朝ね、ヴァリエール」
「あんたに会わなかったら最高の朝だったでしょうね。ツェルプストー」
 その返答にくすくすとキュルケは笑った。
「ご機嫌斜めね。ようやくそちらの男性、あなたの使い魔が目覚めたって言うのに。そうだわ、折角だから使い魔同士、親交を深めてもらいましょう。フレイムー」
 キュルケが名前を呼ぶと、のっしのっしと彼女の背後から大きなトカゲがやってきた。むしろ大人の鰐に近い体格である。
 ちろちろと舌のように口から火を出している。体表は燃えるように赤い。
「サラマンダー、相変わらず立派ね」
 ルイズが悔しそうに頬を引きつらせながらその種族の名前を呟くと、キュルケは人差し指を振って訂正した。
「正確には、火流山脈に生息する亜種よ。見なさいこの立派な姿を。普通のサラマンダーよりももっとレアなんだから。やっぱり使い魔っていえばこういうのじゃないとねえ」
 おほほほと、実に楽しそうに笑っていた。
 ルイズのコメカミがひくついている。
「そりゃよかったわね。ええ。で、話はそれだけなのかしら」
「それだけよ。じゃあお先に失礼……」
 キュルケの言葉が止まり、視線がサラマンダーに向けられた。ルイズもそちらに目をやると、自身の使い魔であるライドウとそのサラマンダー、使い魔同士が目を合わせていた。
 敵対心があるわけではなく、どちらかといえば、飼い主とペットという具合であった。
『なにをしているのだ? ライドウ』
「――いや、なんでもない」
 ゴウトに言われ、ライドウは視線を外す。サラマンダーもすぐに自身の主であるキュルケのところに戻った。
「えと、ともかく先に行くわね」
 ばあいと手を振ってキュルケは離れていった。
 ルイズはその背を見送ってからライドウに目を向けた。
「あんたね、ツェルプストーなんかの使い魔と仲良くしてんじゃないわよ!」
『えらい理不尽だな』
「ゴウトは黙ってなさい! いいこと、あの女の家系は敵! 敵なんだからね!」
『なにかあったのか?』
「なにかどころじゃないわよ!」
 床を踏み抜くほどの勢いで地団駄をふみ、ヴァリエールとツェルプストーの因縁を口にした。
 国境を境にして隣接しあう領地なために戦争になれば真っ先にぶつかりあい、平時であれば男は女を奪い合い、女は男を奪い合う。いや、男女関係においてはヴァリエールは常に奪われる側だった。
 そうなればその恨みもわかるようなものであるが、少々行き過ぎているきらいもあった。誰もそのことを指摘しないが。
152ゼロの仲魔(代理):2009/07/09(木) 22:16:27 ID:YIpLR0FO
 ひとしきり文句を口にしたらすっきりしたのか、ルイズはずんずんと廊下を歩いていった。ライドウとゴウトもその後ろをついていく。
 教室にルイズたちが入ると、一斉に視線を向けられる。ネチネチとした、厭らしいものがこめられていた。それを無視し、誰も周囲にいない一角に座った。ライドウは無言で彼女のそばに立っている。
 やはり、というか、当たり前であるが、彼女以外には人の使い魔など呼んではいなかった。鳥や蛙、モグラに蛇、窓を見やると鮮やかな青色の巨大な竜が部屋を覗いていた。
『ライドウが眠ってる間に散策していたのでもう驚かないが、一堂に会すとなかなか壮観だな』
「――悪魔は、いないか」
 ゴウトとライドウがなにやら話をしているが、気にも留めなかった。
 すぐに教師、シュヴルーズというふくよかな女性もやってくる。騒いでいたものたちも静まり、それぞれの席についた。
 彼女は教壇に立ち、笑みを浮かべて生徒たちを見回した。
「皆さん。春の使い魔召喚は大成功だったようですね。このシュヴルーズ、毎年この季節を楽しみにしているのですよ」
 彼女にとってはこのクラスはまだ授業を行っていなかった。
 そうして、ルイズたちに目を向ける。
「あらあら、ミス・ヴァリエールは珍しい使い魔を召喚しましたのね」
 にっこりと微笑みながら彼女は言う。皮肉でもなんでもない。
 ルイズも入学してもう一年、教員の性格は大体わかっている。シュヴルーズが生徒を気遣ってくれていて、親身になって相談に乗ってくれる事もあるというのも知っている。
 ただ、教師として、彼女は自分の言葉にもう少し気を回す必要があった。
「ゼロのルイズ、いくら召喚できなかったからってどこぞの平民を連れてくるなよ!」
「召喚したわよ! そしたらこいつが来たのよ!」
 一人の生徒がほとんど条件反射的に侮蔑の言葉を吐いた。
 売り言葉に買い言葉で、ルイズは立ち上がって言い返した。
「ゼロが成功するものか!」
「お静かに」
 シュヴルーズがそう言って魔法を唱えると、その生徒の口に粘土が貼り付けられた。
「あなたはそのままで授業を受けなさい。それではみなさん、始めますよ」
153ゼロの仲魔(代理):2009/07/09(木) 22:17:25 ID:YIpLR0FO
 授業は静かに進んでいく。二年になったばかりというのもあって基本的な講義に始まり、それから徐々にシュヴルーズの得意な土属性の話になっていく。
 そのうちに実践だといい、小石を取り出して錬金という魔法をかける。すると、ただの石ころが金色に輝くものへと変化した。
『――ほう! すごいものだな!』
 ゴウトが感嘆の声を上げる。
 生徒達もその技術に驚き、どよめいていた。
「先生、それってまさか黄金ですの?」
 キュルケが質問をすると、シュヴルーズは否定した。
「これは真鍮です。私ではとても黄金などは作れません。作れたとしても、それからしばらくはなんの魔法もできないほど精神力を消失してしまうでしょう。黄金とはそういうものなのです」
『ふむふむ』
 授業が始まってからずっとであったが、ゴウトは生徒でもないのに真剣にシュヴルーズの話に耳を傾けていた。ぼそぼそと声が気になっていたのでちらりとルイズが一瞥すると、なんと彼は猫の手で小さな手帳に文字を書いていた。
 知能があるというのはわかっていたが、とんでもなく器用な猫であった。なにを書いているのかはまったく理解できなかったが、恐らくは授業の内容であろうという推測はできる。
「あんた、なんでそんなことしてんの?」
『ん? いやなに、いざというときにこういう知識が必要になるかもしれんのでな。勉強せねばいかん』
「……あんたって猫なのよね」
『見かけはな』
 そうして話し込んでいると、とんとんとルイズは肩をつつかれた。ライドウだ。
 なんのようだと思えば、シュヴルーズがこちらを見ていた。
「戯れは終わりましたか? ミス・ヴァリエール」
「す、すいません!」
「かまいませんよ。ただ、折角ですし、あなたに錬金の実践をやってもらいましょうか」
 しんと、シュヴルーズが言い終わった途端、教室内に静寂が満ちた。
 この不穏な空気にゴウトは毛を逆立たせ、ライドウも顔を強張らせた。
 キュルケがさっと手を挙げて発言する。
「先生、それはやめておいたほうがよろしいかと」
「何故です? 彼女は大変熱心な生徒であると聞いておりますが」
 シュヴルーズの答えにキュルケは顔を渋めて、今度はルイズに顔を向けてきた。
「お願い、やめて」
 仇敵に対してとは思えない懇願。目に涙を浮かべるほどの徹底ぶり。彼女の態度はからかっているものでなかった。
 とはいえ、それがルイズの心を穏やかにさせて、拒否の方向へ導くわけもなかった。むしろ、やってやろうじゃないのという気にさせてしまったのだった。
 彼女は席を立ち、しっかりとした歩みで教壇へ向かった。
 他の生徒達は絶望を浮かべ、机の下にもぐりこんでいく。奇妙な光景だ。
 ルイズは小石の前に立ち、深呼吸をしてから魔法の詠唱に入り、錬金を唱えた。
 そして、爆発した。
154ゼロの仲魔(代理):2009/07/09(木) 22:18:39 ID:YIpLR0FO
 ルイズの魔法は成功しないばかりか爆発を引き起こした。
 その衝撃は机や椅子、教壇を吹き飛ばし、さらにはそばで見守っていたシュヴルーズを負傷させてしまったのだ。ただ、そもそも爆発での死因というのは吹き飛ばされた物体が人体に刺さるなどなので、彼女はいたって軽傷であった。気絶はしたが。
 ついでに、室内には多くの使い魔、獣達がいたので閃光と轟音により過度の興奮状態に陥って阿鼻叫喚の地獄絵図になった。
 生徒達から非難されて、罵られ、文句を言われながらもルイズはこう言った。
「ちょっと失敗したわね」
「ちょっとじゃないでしょーが!」
 もちろんこんなことになれば罰が待っている。
 今回は、教室の掃除を魔法を使わないでやるということだった。ルイズはそれを甘んじて受けた。どうせ魔法を使ったら失敗するのだ。だからどうしたと。
 だが、そんなものは虚勢以外のなにものでもない。
 使い魔であるライドウに指示をし、破壊された机や椅子などを外へと運び出させて、自分は力のいらない拭き掃除などをしていたら、不意に、とてつもない圧迫感を持つなにかに喉を絞められてしまった。
 呼吸ができなくなり、鼻の奥が熱くなる。目の奥に痛みが生まれ、何度もまばたきをしてしまう。
 こみあげてくるものを奥歯をかみ締める事で腹の底に追いやる。
 出てくるな、出てくるな、出てくるんじゃない。
 そう頭の中で念じて、必死になって堪えようとする。
『別に我慢する事はなかろうに』
 背後に振り返るとゴウトがいた。黒猫は尻尾をゆらしている。
「なに、よ……なにか、言いたいの……」
『いや、うぬの魔法の腕も、周囲の反応とゼロという名から予想できていた。驚きはしない』
「だったらなによ。なにしにそこにいるの」
『――お前にはまぎれもなく、魔法を使うという素地はある』
 慰めに聴こえたが、次の言葉は彼女の心をえぐった。
『だが、扱えなければ無意味であり、無価値だ。正直に言わせてもらうが、お前には普通の魔法を使う才能がない』
「わかってるわよそんなこと。あんたに言われなくても……わかってんのよ!」
 ルイズは怒りのままに雑巾を投げつけた。
 ゴウトは華麗に避ける。
「避けるな!」
『子供のかんしゃくにわざわざ付き合うほどお人よしではない。それに、まだ我の話は終わっておらんぞ』
「なによ! さっさと言いたいこと言って出て行きなさいよ!」
『だったら言わせてもらうが――』
 ゴウトはじっと、強い力が篭った瞳でルイズを見つめ、言った。
『うぬは頑張っている』
 初め、ルイズは彼がなにを言っているのかわからなかった。
『たぶん、魔法をやって爆発以外起こったことがないのであろう。それこそ、何度やっても、どんな魔法でも結果は同じ。それでもなお、諦める事はなく、開き直る事はなく、ひたすらに努力をしている。そうであろう。他の生徒と比べても、熱心に講義を聴いていたではないか』
「それは……」
『よくやっている。本当に、心からそう思うぞ。教諭もそう思っていて、うぬを好いておる』
「そんな、そんなわけないじゃない。何度失敗したと思ってるのよ。十や二十じゃないのよ」
『それだけ失敗していながらどうしてこの学院に留まる事ができる?』
「家柄よ。誇張でもなんでもなく、ヴァリエール家は名門中の名門なのよ。先生たちも、私じゃなく、ヴァリエールという家が気に入っているのよ」
 やれやれとゴウトはため息をついた。
155ゼロの仲魔(代理):2009/07/09(木) 22:20:02 ID:YIpLR0FO
『節穴だな。自分のことだからか、それとも子供だからか。仮にそうであったらもっと硬い態度をとるものだ。コルベールというものはどうだった? シュヴルーズとやらはどうだった? あのものたちからは取り立てて悪意は感じなかったぞ?』
 言い返すことができない。否定する事ができない。
 けども、認めることもできない。
 ルイズは魔法こそ絶対のものだという価値観を持っている。それは当然の事だ。貴族というのは、始祖ブリミルから与えられた系統魔法を扱うもの。伝説を受け継ぐものなのだ。魔法を扱えない貴族など、なんの価値もない。
 そんなクズを気に入る貴族などいるはずがない。そう彼女は思い込んでいる。
『まあ、使えんということには変わりないのだがな』
「……持ち上げて落すんじゃないわよ!」
 ルイズは杖で叩こうとしたが、またも華麗に避けられる。
「この、すばしっこい!」
『これでも戦場にいながらにして一度たりとも巻き添えを食ったことがない。回避には自信があるのだ』
 ゴウトはカカッと笑った。からかうようなその笑顔に苛立ちで目の前が真っ赤になり、ルイズはなおも追いかけようとするが、ひょいとその小さな身体を抱き上げられた。
 ライドウが帰ってきていた。軽々と両脇に手を入れられて、持ち上げられていた。
 ルイズは両手両足を振り回しながらライドウを睨む。
「離しなさいよ! あの馬鹿猫、懲らしめてやるんだから!」
『我はそやつのお目付け役だぞ。我に何がしかの危害を加えるはずがなかろう』
 歯噛みするルイズ。仇敵のキュルケに胸や魔法で馬鹿にされたときのように顔をゆがめていた。
 しかし、そっとライドウが差し出したある道具を見て、きょとんと目を丸くした。
「……え、なに、これ、まさか効果あるの?」
 彼は頷いた。
 ルイズはそれを持って、ゴウトに向き直る。ちらちらと左右に振ってみると、彼はピクピクと身体を震わせていた。
 動揺している。その双眸は見開かれており、その道具を追ってしまっていた。
『こ、この、裏切り者が……うぬは鬼か、悪魔か!?』
「――ただの猫でないあなたに効果はないのでは?」
 ライドウは微笑を浮かべていた。
 ルイズはそれを振りながらじりじりと近づいていく。ゴウトはその場を動けないでいた。
 そして、至近距離にまで近寄る。ゴウトは明らかに左右に揺らされるそれを目で追っている。
『わ、我は、我は猫ではないのだ。よ、よせ、うううぬぬぬぬ……』
「へえ、そう、猫じゃないの」
『――ふうおおぉ!? く、くびはいかん! くびは、くびはあぁぁ!』
 ゴウトはその道具、猫じゃらしに悲鳴を上げていた。
『く、くやしい!』
「おもしろいわね、これ」
156ゼロの仲魔(代理):2009/07/09(木) 22:20:44 ID:YIpLR0FO
621 :ゼロの仲魔:2009/07/09(木) 20:36:31 ID:rKPe3l/I
以上で二話は終わりです。
それでは、どなたかお願いします。

----

以上

代理投下終了
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 22:29:44 ID:naJfnS9f
代理投下乙。
ゴウト大好き。キャラに違和感なし。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 22:57:44 ID:kJNPaw/i
乙です
ゴウト可愛いよゴウト
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 23:35:34 ID:sdobWTn2
ライドウの人乙です。
猫可愛いよ猫
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 00:27:32 ID:Phhjkxnp
代理さんおつです
GJです
ゴウトかわいいよゴウト
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 00:28:35 ID:ZDlVbiN8
0:30から、猫つながりでコネタ投下していいかな?
162ぜろめ〜わく(1/3):2009/07/10(金) 00:31:46 ID:ZDlVbiN8
んじゃいきます。



召喚。
それは「彼ら」には馴染み深いものだった。
社会の発展のため、アドバイザーたる人間を呼び出す。それも相手の都合など考えず何度も。
召喚のタイミングの悪さ、無知・勘違いを叱咤され、時々は褒められ励まされ、
そして時間が過ぎれば「百合子様」はもとの世界に還って行く。
ここ数年繰り返した当たり前の日々。
今日も「彼ら」はそのつもりだったのだ。

博物館に設置された魔方陣。
その前で皆で呪文を唱えていく。
最初は半信半疑だったこの儀式も、回数を重ねた今では成功を疑うものなどいない。
あとは召喚者に気づいてもらうための鳴り物を鳴らすだけとなったとき、
「彼ら」の中でもリーダー格に当たる「彼」は、魔方陣の上に鏡のようなものがあるのに気づいた。
(このままでは「百合子様」の召喚の障害になる……)
そう思った彼は無謀にも魔方陣に足を踏み入れ、鏡をどけるため手を伸ばした。
共に召喚儀式を行う仲間が鳴り物を鳴らした、その瞬間。
急に「鏡」が周囲を吸い込み始め、「彼」は鏡に飲まれた。

---

トリステイン魔法学院。
まず失敗することなどない使い魔召喚の儀式において、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは
クラスメイトの嘲笑が聞こえる中、十数回と「爆発」という失敗を繰り返していた。

(これができないと留年、そんなことになったら家に連れ戻される……そんなわけには行かないのよ!
……次の召喚に私の全てをかける!今度こそ!)
大きく息を吸って杖を構える、そして呪文を口にする。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!」
(ーーもう、なんでもいい!どひゃーっというような何かを!お願い!)
異世界の、天下無敵の女子高生がかつて抱いたものと同じ思いを込めて杖を振り下ろす。
一瞬の空白の後、

どんどこどんどこ。

遠くで太鼓の音がした。そして

ちゅどーん!!

やっぱり爆発の音も。

盛大な爆発の後、そこにうつ伏せに伸びていたそれは明らかに「猫」だった。
後頭部の模様から察するに多分、トラジマの猫。
だが、その猫は服ーーローブのようなものをーーを着ていた。
いや、服どころか、後ろ足に靴のようなもの履いていた。
「あれだけ失敗しておいてただの猫かよ」
「いや、猫は服着てないって」
「好事家なら着せるかもしれないな」
「でも靴なら前後両足履かせるだろ」
それまで続いていた周囲の嘲笑が好奇心丸出しの声に代わっていく。
163ぜろめ〜わく(2/3):2009/07/10(金) 00:33:26 ID:ZDlVbiN8
ルイズは猫に近づき、杖でそっとつついた。
「……アンタ、大丈夫?」
通じるわけないのだが、言葉に出して聞いてしまう。
猫はそれで気がついたのか顔を上げる。そして前足をつっぱって体をおこす。
(よかった、無事だったのね……)
と安心したルイズは続いた光景に驚愕した。
猫の胴体はそのまま人間のごとく起き上がったーーつまりは二本足で立ち上がったのだ。
凍りついたルイズの眼前で、猫はローブを脱ぐ。その下から小さいとはいえ、仕立ての良い三つ揃えが出てくる。
軽く埃をはらうような仕草をし、つま先立ちになったあと、猫はルイズの方を向いた。

「お呼び立てしておきながら失礼しました、百合子様……って
人間の方がこんなにたくさん〜〜〜〜!ここはどこなんですか〜〜〜〜!?」

猫が喋った。それも「契約」前の。

ーーどひゃーっ!

ルイズは貴族らしくもない声を上げてしまった。
というか、そういう使い魔呼びたかったんでしょ?、という声がどこかから聞こえたとか聞こえないとか。

「多分別の世界から来た」という、猫の語る内容はあまりにも荒唐無稽だった。
曰く、猫をシンカ(人間と同じ知恵をつけること……らしい)させたのちに人間が立ち去り、猫しかいない社会にいた。
曰く、シンカさせてもらったため、その世界の猫はみな2本足で立ち、言葉を喋る。服も着るし靴も履く。
曰く、その社会でベンゴシ(裁かれる人を擁護する仕事……って犯罪者庇うの?)をしていて、
その傍ら、人間社会を再現するための活動をしていた。
曰く、ある日一人だけ人間が戻ってきた、それが『マイヤー』様。
曰く、猫嫌いの『マイヤー』様への対応として、別の世界から召喚儀式で人間を呼び出した、それが『ユリコ』様。
ただ、この「召喚儀式」は使い魔としての召喚ではなく、一時的に呼び出すだけで、時間が経つと元の場所へ戻ってしまうらしい。
そのため『ユリコ』様は『マイヤー』様対策と人間社会に近づけるためにアドバイザーとを兼ねて定期的に呼び出していた。
曰く、さらにその後『ヨーリス』様が戻ってきた。男性が二人となったことで、人間の区別がつかないことがあると分かった。
曰く、曰く、曰く…。
当然、人間がいないところからきたのだからハルケギニアという地名も聴いたことはない。
もっともルイズたちも、獣人どころか猫そのものだけの社会なんて聞いたことはなかったが。

元いた世界では希少にして神同然だという人間に仕えるならと、使い魔の契約も承諾してくれ
『コンクラクト・サーヴァント』も無事交わされた。
猫の額のしましまがルーンに変化した。ような気がする。

猫の使い魔は有能だった。少なくとも普通の猫の使い魔以上には。
感覚共有こそできなかったものの、喋れるどころか文字もあっという間に覚え、平民でもできない読み書き計算をこなすどころか
地図・図面のような図形も描き起こし、本の2・3冊は平気で運ぶ。
ということで校内のお使いくらいはこなし、ハルケギニアの地理を学び始めてからは触媒の探索もできるようになった。
また、『ユリコ』様なる人物が来た際のお世話役だったというだけあって、猫なのにマナーは一通り心得ているし、
人間サイズのポットでも器用にお茶を入れて見せる。ただ、お茶はちょっとぬるいし、受け取るときはしゃがむか床に座る必要があるけど。
さらに「ベンゴシ」という職業と、「人間社会の再現」という活動からなのか、学問、民族学、雑学の知識はかなりあった。
魔法をほとんど知らなかったり、争いごとに鈍かったりと何かがずれてはいるけど。
当初心配した「人間の区別がつかない」のも、日を追うごとになんとかなっていったようだ。
そういえば「カガク」って何なんだろう。説明されるたびに「そういうことが起きている」っていうのは分かるのだけど。
164ぜろめ〜わく(3/3):2009/07/10(金) 00:34:42 ID:ZDlVbiN8
そんなある日、猫の使い魔がルイズに尋ねた。
「ところでルイズ様、この世界には『こたつ』はないんですか?」
「何よコタツって?」
「4本足のテーブルの裏に熱源を固定して布団をかぶせたものです。あったかいんですよ。」
「そんなもの聞いたこともないわ」
「そ、そんな。私達は人間の方の使わないものを作ってしまったんでしょうか??
発掘もしたし百合子様はそういうものだとおっしゃっていたし、ブリタニカにも載っていたのに!!」
「……え、えーと『ユリコ』様の世界にはあったのかも知れないわ。」
…この話は「火は破壊しか司らない」という悩みを抱えていたコルベールに伝わり、
後日コルベール協力の下、火石を用いて『コタツ』は再現された。
そしてこの『コタツ』は暖房器具として、トリステインはもちろん北方であるゲルマニアをも席巻した。
猫の使い魔が一時的に野生化(曰く「先祖がえり」)して、ルイズの顔に引っかき傷をつけてしまうといオチもついて。

また別の日、猫の使い魔はこうも尋ねた。
「ルイズ様、この学校には『修学旅行』はないんですか?」
「シュウガク…旅行?」
「学校のみんなと一緒に遠くへ出かけていくんです。それで旅館では枕の投げ合いをして、お土産を買って帰るんです」
「お土産はともかく…枕投げて何が楽しいの?」
「ええっと、百合子様のお話ではそれでお互いの理解と友情を深めるんだそうです」
「よくわかんないけど、決闘の一種かしら?」
この誤解から、後日ギーシュと猫の使い魔の間に発生した決闘にてルイズはこの「枕投げ」を提案、猫の使い魔が勝ってしまい、
以降トリステインにおける決闘が枕の投げ合いで決着をつけるという平和的(?)な争いになったとか。

ルイズが寝込んでしまったある日、猫の使い魔は学院のコック長であるマルトーにお願いした。
「マルトー様、ルイズ様のために桃缶をゆずっていただけませんか」
「何でぇ、その『モモカン』ってぇのは」
「桃のシロップ漬けを金属缶に詰めたものです。病気の人が食べると元気が出るんですよ。」
「『モモカン』はわからねぇが、桃のシロップ漬けを作ればいいんだな。」
「いいえ、桃缶じゃなきゃだめなんです!」
この言い争いは、偶然通りかかったミセス・シュヴルーズに缶と缶きりを『錬金』してもらうことで治まり、
猫の使い魔はこれを持ち帰って自身の主人に与えた。
このおかげで元気になった…かどうかはさておき、数ヶ月後、食べ切れなかったらしい桃缶の中身が
一切腐敗していなかったことを知った教師陣は驚愕し、しばらくの研究の後、
トリステインにて『モモカン』が実用化されることとなる。
……中身が桃でなくても『モモカン』と呼ぶようになってしまったが。

アンリエッタ王女が魔法学院を訪れた日、猫の使い魔は思い出したように聞いた。
「ルイズ様、そういえばこの世界には『レディースデー』はないんでしょうか?」
「……は?」
「レディが一番偉いことを称える日なんですよ、その日レディは映画を見るんです。」
「この国の一番偉い方は大后様だけど……そんなものは……」
「そ、そんな。私達は人間の方の……」
「そこから先は言わなくていいから。それより、『エイガ』って何?」
結局、ハルケギニアの技術では映画の再現は無理があったため、演劇においてレディースデーは制定された。
大后、王女も「レディ代表」として交代で参観することとなり、特にアンリエッタにとってはよい息抜きになったとか。
165ぜろめ〜わく(4/3):2009/07/10(金) 00:35:43 ID:ZDlVbiN8
他にもボンサイ、ブリタニカ、ハナビ、列車、自動車、チーズ転がし、チューリップ市、オリンピックと
猫の使い魔が語った文化は多種にわたり、トリステイン(ラ・ヴァリエール領)を中心に貴族・平民を問わない知識・技術を伝えていった。
不思議なことに伝えられた知識の中に「軍事・武器・兵器」にまつわるものはなかったが、
『戦争』の説明を受けた猫の使い魔曰く「マイヤー様たちが教えてくれなかったし、人間の方が残した記録にもなかった」そうだ。

学院卒業後、ルイズは争いを知らない猫の使い魔のため、軍人ではなく文官としての道を選んだ。
使い魔の知識を元に優秀な文官として働いた彼女は、トリステインに大きな益をもたらした事で
主従とも王女(のちに女王)に重用され、ヴァリエール家の名をそう貶めることなく幸せに暮らしたという。
さらに後、猫の使い魔の話を伝え聞いた人々が、この二人にあやかろうと「富をもたらす『マネキネコ』」という置物も作られた。
この猫の模様はトラジマであったという。

ただ、某虚無の使い手に異世界より召喚された某人間の使い魔はこうのたまったとか。
「……なんかこの世界の人たち勘違いしてねぇか!?」

ーー

「ねこめ〜わく」から、シマシマ・ハヤカワを召喚


すみません投下回数間違えましたが、以上です。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 01:31:30 ID:RJplxTw4
イイハナシダナー
一瞬アイルーかと思ったおれはバカだった

なんにしろ楽しく読めたよ乙ー
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 01:34:02 ID:kN2A+UHx
一応突っ込み。
中世脱した辺りなら普通に弁護士は存在する。
まぁ、ゼロ魔世界にいるとも限らんが。
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 02:05:32 ID:WH3vVfN/
ねこめ〜わくが来るとはw
スゲー好きな作品なので嬉しいぜ
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 02:06:46 ID:WH3vVfN/
リアルじゃ教会方に弁護士いたな
王妃の離婚マジオススメ
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 07:50:25 ID:Y8pdQjFn
昔のイギリスだかの王様だかが
離婚したいからカソリックからプロテスタントに改宗した話を思い出した
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 08:27:35 ID:K8OcxtJN
プロテスタントに改宗なんてしないよ
自分で新しい宗派つくったんだよイギリス国教会
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 09:05:24 ID:yob0+KeP
>>171
いまもそれを真面目に信仰してる人がいるんだよなあ
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 09:06:34 ID:yob0+KeP
下げ忘れスマソ
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 09:14:46 ID:dEV06hH4
一応他に色々な人の意図があったりする代物だから別に離婚問題オンリーで作られたわけじゃないぞ
兎に角カソリック権力から離れたい連中は多かったんだ
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 10:21:33 ID:1GgLeOwk
ヒストリエから召喚の話にあった破壊の車輪ってヘウレーカに出てきたエウリュアロスなんだなw
ヘウレーカ読んで初めて気がついた
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 11:17:30 ID:QcBf0EJd
遅レスだが

>>107
三蔵と聞いて日下三蔵が頭に浮かび
ハルゲニアで出版されたミステリやSFの傑作集を編纂する姿が浮かんだ俺はミスオタ。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 11:48:06 ID:EONnHlL2
三蔵と聞くとマライヒを思い出してしまう
あるいは「悟空道」のアレ
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 11:50:07 ID:r8WSmO8f
ゴクードーくん?
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 11:53:47 ID:26m7ue2N
最近の三蔵といったらテンジカーズだろ
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 11:54:34 ID:EONnHlL2
>>179
テンジカーズのどっちを?
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 11:57:01 ID:26m7ue2N
どっちなどとけち臭いことは言わん。
一行5人まとめてルイズの使い魔だ!

うん、ルイズの胃がピンチだな!
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 13:22:20 ID:gmrZ6epG
>>165
投下乙です
……戦争どうなったんだろw
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 14:29:24 ID:od324rri
>>176
ハルゲニアって新しいなw
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 14:58:40 ID:EQe8AhN5
アスランとか海坊主とか磯野波平が召喚されるハゲルキニア
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 15:10:08 ID:feF8Cy42
愛の国、ガンダーラ・ブホテルを目指すルイズ一行。召喚キャラはタカティンとナレーさん。
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 15:34:37 ID:EONnHlL2
>>184
そういやアスランがハゲってどこから出てきたんだろう?
オフィシャルなネタと聞いた覚えがあるが
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 15:39:14 ID:dPmW9hCQ
ゴクドー君か・・・
ルーベットなら人買いに売り飛ばしても自力で戻るほどのバイタリティあるからギャグになるが
ルイズじゃロリコン親父に売り飛ばされて洒落にならないなw
炎の魔剣があるからデルフも使われないだろうし
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 15:48:21 ID:pNHBrFDe
>>186
種序盤で作画崩壊してたときのアスランのデコが
明らかに広がって見えたことがあって、

デコが広がっているみたいだな→何かアクの強い面々が同僚だ→任務も失敗続き→
ストレス溜まっていそう→ってことはこの歳でハゲになり始めているのか

ってかんじでいつの間にかアスラン=ハゲというのが定着した。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 15:57:18 ID:4oXXfDXG
>>187
炎の魔剣が手元に戻ることを悪用して武器屋に売ったこともあったな
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 16:13:20 ID:NyDtKPS2
>>188
アスラン=ヅラからだと思ってた。
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 16:54:07 ID:jTyUDZsQ
ヅラじゃない、かつrあ違う。アスランだ。
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:07:54 ID:17ofkAEt
中の人はノリノリで演りそうだなw
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:11:01 ID:xMwp6oz2
石田が言うにはアスランは今まで演じたキャラで30番目だかのお気に入りだっかな
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:15:33 ID:H22u+bhe
高いんだか低いんだかw
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:23:06 ID:gmrZ6epG
二番目に心に残らないキャラって言ってたような
というか殆どの出演陣が演じてたキャラを嫌ってたんじゃね?
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:26:13 ID:xMwp6oz2
>>195
そんなことないだろ
田中理恵にはラジオ番組でラクスが一番好きですってハガキに「マジかよww」って突っ込みいれるぐらい愛されてるし
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:29:59 ID:EXmH5QLB
>>195は触らない方がよさげ
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:32:27 ID:Qx4ljuF6
他作品の批判なら他所でやれ
だいたい種は売れたんだから批判を受けるような作品じゃないんだし
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:33:53 ID:Hcyie5IF
>>198
Wのあの人よろしく、エレガントに「スルー」だ
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:55:19 ID:1GgLeOwk
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 17:58:13 ID:1GgLeOwk
すまんミスった

>>189 トリステインで炎の剣を売りまくってお尋ね者になるんだなw
ゴクドーは始めのキスの前に逃げて原作ルーベット風にルイズが追いかけながらハルケを巡るストーリーになりそうだw
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 18:19:51 ID:M7AewEkL
ギャグ描写なんだが、やってることを省みてみるとマジで鬼畜なのがゴクドー・ユーコット・キカンスキー

同時に色んな神や魔神の類いの加護を受けているチートな不死身キャラ。でも間抜けなイメージの主人公。

ゴクドーくんじゃ三蔵は悪役キャラだったが、最後はどうなったんだっけ?
なんか一度、別キャラに転生してゴクドーに絡んでたような気がするんだが。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 18:21:56 ID:EQe8AhN5
YAT!!安心宇宙旅行よりYATダブごと社員全員召喚


…桂さんとゴロー以外は忘れてた
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 18:30:11 ID:c6JUePlN
ゴクドー君ってカエルにされた弟いなかったっけ? 美人の奥さん持ちで、海賊と商人見習いと旅するやつ。
それに若い頃はガチで可憐な妖精だったババアもいたな……
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 18:32:49 ID:HXh/Wm80
ゴクドー君って女好きの魔族の男が最終的に男と結婚した作品だっけ
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 18:44:18 ID:EONnHlL2
撲殺使い魔ドクロちゃん
「召喚だよ!ドクロちゃん!」

この場合撲殺されるのはやっぱギーシュなんだろーな
マリコルヌでもいいな
いやここは意表をついてワルドでいってみるか
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 18:45:27 ID:M7AewEkL
>>204
「電卓の騎士」だな確か。

セイギは兄貴じゃなかったっけ?
んで元々1人の人間(二重人格だっけか?)だったけど、文字通り二つに引き裂かれて2人になった。
そのせいかセイギの息子、つまりゴクドーくんの甥も親父と叔父に似た二つの人格を持ってたはず。
アイテム類の名前がチ●カスとか、ひでえネーミングだったなあ。


>>205
しかも自分の異母弟という………
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 18:52:53 ID:+D2TQawm
>>198
売れたから批判は云々なんて台詞は売ってる側が言う事だ
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 18:56:48 ID:M7AewEkL
>>208
スレ違いのゴクドーくんの話を続けた自分も自分ですが、引っ張らないほうがよろしいかと思います。
210「ぜろめ〜わく」の者:2009/07/10(金) 19:28:40 ID:ZDlVbiN8
ただいま〜
>>166,168
thx。
初書きなんだけどで褒められると嬉しいな。

>>167,169
不勉強だったんで、知らんかった、すまぬ。
フーケの話とかくらいしか裁判ネタがなかったんでいないと思い込んでいたけど、
よく考えたら貴族同士の仲裁専門の弁士っていてもふしぎじゃないもんな…。
「王妃の離婚」は今度読んでみるー。

>>182
>……戦争どうなったんだろw
というわけで突貫で戦争の火種になったジョセフについてのコネタを書いて見た。
ツメは甘いしクレームきそうだけどそこらへんはご勘弁願うが。
・同じ「ねこめ〜わく」から何か
・竹本わーるどから何か
で19:30から投下していいでしょうか?
召喚。
それは「彼女」には馴染み深いものだった。
「彼ら」は自分達の社会の発展のため、アドバイザーたる「彼女」を呼び出す。
それも自分の都合など考えず何度も。
召喚のタイミングの悪さ、無知・勘違いを叱り、時々は褒めて励まし、
そして時間が過ぎれば「彼ら」の社会を離れもとの世界に還って行く。
ここ数年繰り返した当たり前の日々。
今日も「彼女」はそのつもりだったのだ。

いつものごとく「彼ら」によびだされた「彼女」は、新しく発掘されたという遺跡ににいた。
「なんですか?これ。」
「……さぁ?」
いつもならば、しょーもないものを発掘した彼らに名前を教えて終わるのだが、
今日発掘されたという「鏡のような何か」についてはまったく心当たりがなかった。
「ヘンリヒには見てもらったの?」
「マイヤー様も分からないそうです。ただ、「アクウカンコウコウの実験で見たゲートみたいだ」とおっしゃっていましたが……」
「何それ?」
「……それこそ私達では……」
そんな議論をしていたとき、「鏡」がゆらいだ。
「今、なんか動かなかったか?」
「大変です!とりあえず保全だけでもしないと」
「手伝うわ、シマちゃん!」
そういって小柄な「彼ら」の替わりに持ち上げようと「彼女」は「鏡」に触れた。
その瞬間「鏡」が周囲を吸い込み始め、「彼女」は鏡に飲まれた。

−−−

「……ふむ、人間が召喚されるとはな。」
ガリアの王宮、ヴェルサルテイル。
その玉座には、中年の男が一人。
この宮殿の主、ジョゼフ一世である。
「娘、名は何と……」
あっけにとられている召喚された娘に声をかける。
本来ならば敬意か畏怖か恐怖かを持って接せられるはずの彼に対し、
今までいた場所と違う場所に放り出されたらしいその娘は混乱していた。
「……きゃーっ、なによなによなによなによなによなによこれーっ!」
「娘よ、質問に……」
「何で人間がいるのよーっ!また何か変なものに召喚されちゃったわけー!?」

「……まぁよい。さて、そなたはブリミルの使い魔のうちの何なのだろうな…」
そういって、ジョゼフ一世は「コンクラクト・サーヴァント」の呪文を唱えながら娘に歩み寄った。
そして引き寄せ、頤に手を添える。
「何すんのよこのエロ親……」
叫ぶ娘の唇に触れる寸前、娘は突然消えた。
その場には呆然とするジョゼフしかいなかった。
「何だったのだ、あの娘は……」

その後、ジョセフは数十回と召喚を試みたが、時々件の娘が召喚されるだけで、
そのたび怒鳴られ蹴られどつかれ、どんなに厳重な警備を敷いても最終的に消えうせられるということを
繰り返した結果、あまりの馬鹿らしさに彼は使い魔を召喚することを諦めた。
そして野心はおろか王位さえ姪へ譲り渡し、隠者として暮らしたとか。

また、使い魔として召喚されながら一国の王を手玉に取ったその娘は、警備兵の目撃証言から
「天下無敵のジョシコーセー」と呼ばれたとか呼ばれなかったとか。

猫の世界において「シマちゃん失踪事件」がおきる数年前の話であった…。
---
ジョゼフ一世が、「ねこめ〜わく」より、猫の世界に召喚中の村上百合子を召喚。
(そして猫たちの召喚の時間切れで元の世界に戻される)
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 19:34:43 ID:M7AewEkL
支援
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 19:36:39 ID:m8FduIhE
スレイヤーズから
ルイズ→ガウリイ
ジョゼフ→リナ
教皇→アメリア
テファ→ゼル召喚
…デルフ=ゴルンノウ゛ァにすれば面白いかも。
他はジョゼフと教皇が高々と宙を舞った挙句ゼロ魔イベントの大半が消滅しそうw
「カオール 地球人。」
ガリアの王宮、ヴェルサルテイル。
目の前の「何か」の召喚主にして、王宮の主であるジョセフ一世は困惑していた。
形容するなら「帽子を被った蛸」、だが足の本数も多ければ、口も長いわけではないそれは
魔法の代わりに知識を詰め込んだジョセフですら知らぬ生物だった。

「……お前は「何」だ?」
言葉を発したのだから、解せるだろうと問いかける。
「先進国の 住人は 本来 発展途上国の 住民との 接触は るー」
目の前の「何か」は問いを無視して謎の言葉をつむいだ。
「禁止されて いることも あることも ある」
「…?」
「 だが 召喚 された ならば 従う 
    これも ルール るー」
「……ならば、『契約』に応じるのだな、お前は」
「るー」
「何か」は相槌をうつようなしぐさをしてから、足の一本でジョゼフの脇にあったテーブルを指した。

「 ビジョップが クイーン ナイトの 6番」
「……!そんな手が!」

「何か」が指したのはチェス盤だった。

それ以降、記すことさえはばかられる使い魔は王のよきチェス相手となった。
大変強かった使い魔とのチェスに没頭した王は「無能王」のままだったが、王弟と娘と姪に助けられ
平凡に王位をまっとうしたという…。

トリステインにて猫の使い魔が召喚される、6年前のことであった。
---
ジョゼフ一世が、「てきぱきワーキン・ラブ」からチェス好きの火星人を召喚
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 19:38:09 ID:m8FduIhE
っと失礼しました。
支援
216「ぜろめ〜わく」の者:2009/07/10(金) 19:42:50 ID:ZDlVbiN8
…まぁそんなんで。
竹本わーるどに関わったが最後、どんなに野心があっても好戦的でも「毒気抜かれる」が
個人的な結論です。

間抜けすぎるの批判はうけます。はい。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 19:46:25 ID:gmrZ6epG
投下乙
自分はあおいちゃんパニックや昔の短編しか知らない人間ですが
確かに竹本作品の奇妙な生物が傍にいたら、野心を持つのが馬鹿らしくなるでしょうなw
教皇の方も似たような感じなんだろうなぁ

……本来の役目果たしてるの胸革命のとこの才人だけ?
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 19:47:59 ID:sZKcYDMJ


何々、面白かったですよw
毒気抜かれたジョゼフとか英雄で大好きになっちゃいましたし
むしろこんなん度々見たいかも
しかし、何度やっても帰っちゃって失敗か・・・
ルイズがこっちパターンだったら下手すると自殺モンかもしれない
219「ぜろめ〜わく」の者:2009/07/10(金) 19:58:24 ID:ZDlVbiN8
>>218
都合よく考えるわけじゃないけど、ルイズだったら百合子をこんなかんじで召喚しても
諦めないだろうし、他のSSなんかでもあるみたいに妥協点を見出して
「2、3日に1回にしてよ…」の言動を引き出せるんじゃないかと思います。
・・・やっぱり戦争の役には立ちそうもないですけどね…。
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 20:05:13 ID:WH3vVfN/
竹本ワールドに関わってる時点で自殺なんて暗い結果はありえねーw
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 20:32:32 ID:bd3IKR1q
投下乙
間抜けすぎる(ほめ言葉
222プリキュアの人:2009/07/10(金) 20:34:33 ID:By+b8OQj
>>118 >>124
書いてみました。
ダークドリームの冒険・番外編「ダークドリームと鳴滝」


ある日の話、ダークドリームと才人はいつものように厨房で食事をとっていた。
テーブルの中央にあるのは、今日の夕食に出たあぶり鳥の端切ればかりを集めたものだ。
少々肉は少なくて脂身が多いが、味付けは食堂で出るものと変らない。
才人もダークドリームも、手当たり次第にフォークで刺して口へ運んでいる。
最近では定番になってきた厨房の風景……
才人は、ふと、なにか違和感を感じた。
気温が下がったような、空気の色が変ったような……そんな違和感。
才人が辺りを見渡してみると、厨房の奥にコート姿の男がたっている。
眼鏡をかけ、帽子を目深にかぶった、中年の男が芝居っ気たっぷりに口を開く。

「ふふふふ……、もうすぐ、ここに悪魔がやってくる。世界の破壊者『ディケイド』!!
 あの悪魔は、『この世界』の全てを破壊するために……」

「なにやってんだ?おっさん」
ルイズに召喚されてから散々ファンタジーを味わったけれど、ここまで電波な発言は、そうお目にかかれない。
才人は呆れた顔で、コート姿の男の顔を見つめた。
コート姿の男は、才人の視線に気がつくと、驚いた顔で周囲を見渡す。
「む……ここは『プリキュアの世界』ではない!なぜだ……!?」
男はテーブルの向こう側にいるダークドリームに気づいた。
ダークドリームは、『あぶり鳥』を口に放り込んでもしゃもしゃかじっている。
そのうちに、見られている事に気づいて、口を動かしながら顔を上げた。
コートの男と目が合い、何処かであったっけと首をかしげた。
「違う……、失礼。人違いだった……」
コートの男は、二人に背を向けると、帽子を押さえながら扉を開けて厨房から出て行く。
「結局、なんだったんだ?あいつ」
「はむ、はんだろね……」
ダークドリームは、肉を頬張りながら才人に気のない返事を返す。
「変な事言ってたな。『世界の破壊者ディケイド』とか、『プリキュアの世界』とか……」
「ほうだね……ぷりきゅ…あ」
ダークドリームの体がピタリと止まった!!
凍りついたように動きを止めたまま、口だけ動かして、鶏肉をごっくんと飲み込む……。

「プリキュアの世界いぃぃっっ!!?」
バンっ!と机に手を突いて立ち上がり椅子が倒れるのもかまわずに、コートの男が出て行った扉へ駆け寄る。
「どうしたんだよ。そんなにあわてて」
「い、いい、今の、サイトの国の人だっ!!」
「ええぇぇぇっっ!!」
才人も気がついた。あまりに電波な発言に呆気にとられていたが、あいつの服は地球のものだ。
あわててスプーンを放り出してダークドリームの後を追いかける。

ふたりがノブを回して扉を開くと……そこには、コートの男はいなかった。
ただ、いつも通りの『ヴェストリの広場』が広がっていた。
ダークドリームと才人が顔を見合わせる中、ただ、風だけが広場を吹き抜けていた。


END


さておき「ダークドリームの冒険」の第6話が完成しました。20:45から投下します。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 20:39:01 ID:pct3AD4S
鳴滝wwww
wktkしつつ支援
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 20:39:37 ID:blohHr/K
うぉぉおおおおおおおおおおおおい何やってんだぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 20:42:13 ID:m8FduIhE
鳴滝さんなにしてるんですかwww
プリキュア支援
魔法学院のタバサの部屋に伝書フクロウがやってくる。
今回の『仕事』は、ラグドリアン湖の『水の精霊』を退治する事だった。
ただ、いつもの『仕事』と違ったのは、行き先はオルレアン邸、タバサの実家であるということ。
そして、キュルケがついてきているということだった。
タバサ、キュルケ、ダークドリームの3人は、馬車に揺られてラグドリアン湖の畔をガリアの国境を越えて進んでいた。
魔法学院から、馬車で1日近く。そこにタバサの実家はある。
ダークドリームにとっては、いつもの『仕事』とあまり変わらない。
でも、タバサの様子は少しおかしかった。本を開けたまま、一度もページをめくっていない。
キュルケは、牛に手を振ったり、道すがらの農夫からリンゴを買ったり、わざとはしゃいでいる。
けれど、タバサは本に目を落としたまま聞こうともしない。……いや、多分、本当に聞こえていないんだろう。

タバサの実家は大きなお屋敷だった。
キュルケは家紋を見て顔をしかめていたけれど、わたしには何のことだかわからなかった。
ただ、大きなお屋敷なのに、人がいない……。
住んでいるのはタバサの母親と、執事のペルスランさんだけ。彼はタバサの昔の話をしてくれた。
キュルケは、とても驚いていた。でも、わたしは少しだけ知っていた。
『タバサ』はタバサの本物の名前じゃ無いって事だけは……。
タバサは、寝ているときに毎日言っているから。
「それを飲まないで、母さま」
「母さま、わたしよ。わたしが『シャルロット』なの」

そういうものだと思っていた……。
他の人間が寝ているところを見たことがなかったから。みんな、そうなんだろうと思っていた。
でも、ペルスランさんの話を聞き、キュルケの驚きようを見ていると、タバサが『特別』なんだって……わかった。
タバサが寝ているときに苦しそうにしている意味が、なんとなく……わかった気がする。



夕食の後、キュルケは客間に、ダークドリームは使用人の居室に案内された。
魔法学院のタバサの部屋に比べると、一回りは小さいけれど、とても手入れが行き届いた清潔な部屋だった。
ふかふかのベッドには真っ白なシーツがかけられ、大きな枕が置いてある。
部屋の奥には鏡台があり、その近くにあるテーブルには水差しまで用意されている。
ダークドリームが手荷物を置くと、案内してきたペルスランが一礼した。
「あちらの離れにお風呂の用意をしております。どうぞ旅の疲れを癒していただきますよう」

ペルスランの教えてくれた離れは、平民の客人を泊めるときに使う浴室だった。
体を充分に伸ばせる程度の湯船に、そう広くはない洗い場。
服を脱ぎ、そっと湯船に体をつける……。
彼女は、今まで、まともに風呂に入った事などなかった。
学院の使用人達が混浴で入っているサウナ風呂に行く気には、とてもなれなかった。
混浴とはいっても水着のようなものを着けて入るのだが、それでも嫌なものは嫌だ。
女生徒達が使用している『大浴場』には、使い魔など入れてくれない。
そもそも、彼女はほとんど汗をかかない。体が汚れたらふき取ればいい。
だから、ダークドリームは体が汚れると、桶に湯を1杯汲んできて、体を拭いてすませていた。
はじめて入ったお風呂は、なんだかよくわからなかったけれど、水をたっぷり使っていいのが嬉しかった。
体の隅までよく洗って、用意してくれた寝間着に袖を通す。
木綿のパジャマは少し大きかったけれど、肌触りはとても柔らかく、あたたかだった。

ふたつの月の明かりが照らす下、ダークドリームは屋敷と離れをつなぐ石畳の通路を歩いていた。
風呂上りの体に、涼しい夜風が心地よい。
「お風呂……かぁ」
ダークドリームは、ふと『ヴェストリの広場』に才人が風呂を作っていたのを思い出した。
共同風呂に拒否反応を示した才人は、厨房で使わなくなった大鍋をもらって、五右衛門風呂にしていた。
あんな大きな鍋に、水をためるのも湯を沸かすのも大変そうだが、才人は毎日のように風呂で疲れを癒している。
最近では才人の手によってテントが増設され、フレイムやヴェルダンテなど、『使い魔』の溜まり場にもなっている。
そういえば、少し前にメイドの間でシエスタが才人と一緒に入ったとか噂になった事があったっけ。
「でも……あんな所で体を洗うなんて、信じられないわ」

ダークドリームは風呂を終えて寝室に帰ると、ゆっくりと部屋を見渡した。
魔法学院の寮では、いつも、部屋の奥にある椅子がダークドリームの指定席だった。
特に用がないときは、そこに座って、ただ、じっと目を閉じている。
『作られた』存在の彼女には、それで充分だった。
別に疲れることはないし、眠る必要だってない。やることがなければ、ただ、座っていればいいだけ。
タバサも、ただ黙って本のページをめくり……、やがて明かりを消す……。
それが、彼女達にとっての『夜』だった。

でも、今、この部屋にはダークドリームがひとりだけ。
彼女は、大きな背もたれのついた椅子から目を逸らすと、ベッドに腰掛けた。
「このベッド……わたしが使って、いいんだよね」
別に眠る必要なんてない、横になる必要すらない、
ただ……そうしたかったから。
それだけの理由で、ダークドリームはタバサのまねをしてベットに横になった。
ふかふかの枕が、彼女の頭を大きく包みこみ、干したてのシーツは太陽の匂いを振りまく。
なんだか、たまらない気分になった彼女は、仰向けになって手足を大きく伸ばした。
じんわりと体から力が抜けていく感じが、とても心地よかった。
そのまま、ゆっくりと目を閉じる……。


どれくらい、そうやって過ごしただろうか?
窓から入ってくる月明かりに照らされて、ダークドリームは目を開けた。
いつの間にか、月があんなに高い。
「わたし、こんなことしてて……いいのかな……?」
ハルケギニアに来てから、もう2ヶ月以上の時が流れている。
シャドウ様はどうしたんだろうか?
あの後、すぐにも『プリキュア』と戦うはずだった。
『鏡の国』には、会った事のない4人の『ダークプリキュア』が作られているはずだけど。
わたしがいなくて、大丈夫なんだろうか?
早く、『鏡の国』に帰らないといけないのに……。

帰る方法は、まだ見つかっていない。
タバサが古い召喚の事例を調べてくれたけれど、はっきりとした手がかりは見つからないまま。
ただ、昔から『プリキュアの世界』にいた人物が、ハルケギニアに来た例はあるらしい。
シエスタのひいおじいちゃんも『プリキュアの世界』の人間で、才人が持ち帰った『竜の羽衣』も、その世界のもの。
今までにわかったのは、それくらい。
そもそも、本当に帰る方法なんかあるんだろうか?
……もし、なかったら、わたしはどうすればいいんだろう?

わたしが作られた目的は、キュアドリームを倒すため。
このまま帰れなかったら、わたしは永遠に目的を果たせない。
……もし、本当に帰れなかったら、わたしはどうすればいいんだろう?

ロンバルド男爵夫人は、自分が作られた目的を精一杯果たそうとしていた。
デルフは、自分が作られた目的を『忘れた』といった。
わたしも、いつか『プリキュアを倒す』という目的を忘れるんだろうか。
……もし、このままの日が、ずっと続いたとしたら?

ダークドリームはゆっくりと起き上がり、ベットの縁に座った。
そのまま立ち上がり、テーブルの上にある水差しから、コップに水を注ぐ。
口をつけると、その水はうっすらと果実の味がした。どうやら、水差しにレモンでも入れていたらしい。
窓から見上げると、二つの月が空高く輝いていた。夜半過ぎ、といったところだろう。
ダークドリームは、月明かりの下、自分の荷物を手探りで広げた。
手にしているのは、あの日キュルケに買ってもらったメイク道具だ。
そのまま、部屋の奥にある鏡台の前まで行って、メイク道具の箱から手鏡を取り出し、姿見の前へ置いた。
『真夜中の2時に、合わせ鏡の前でゲートを開ける』
これが、一番確実な『鏡の国』へ行く方法のはずだ。

ダークドリームは、鏡の間に立つと、大きく息を吸い込んで手を両方の鏡にかざす。
……なにも起こらない……。
二度・三度と繰り返してみるが、結果は同じ。
やっぱりダメと、ため息をついてダークドリームは手鏡をしまう。
「わたし……、なにやってるんだろ」
そう呟いて、ダークドリームは気がついた。
なぜだろう?今日はずいぶんと夜が長い……。

いつの間にか、ダークドリームはベッドの上に座り込んで膝を抱えていた。
なんで、わたしはこんなに、いろいろな事を考えているんだろうか?
いつもは、気がついたら朝になっているのに、なんで、こんなに時間が経つのが遅いのだろうか?
考えてみれば、『鏡の国』へのゲートを開けようとしたのも、ずいぶん久しぶりだ。
何で、今まで試そうと思わなかったんだろう?
正直なところ、さっき、ゲートを開ける前に、少しだけドキドキした。
『プリキュアの世界』の2時が、こっちの世界では何時になるかわからない。
もう少し続けたらゲートが開いたかもしれないのに、さっさと手鏡をしまったのはなぜだろう?
「ほんと……わたし、なにやってるんだろ」
ダークドリームはベッドから立ち上がり、もう一度、鏡台の前に歩いていった。

その夜、タバサとキュルケは同じ部屋で寝ていた。
気が張り詰めて疲れたのか、タバサはベッドに入るとすぐに寝てしまった。
キュルケは眠れずに、ソファの上で肩肘をついていた。
先ほどタバサから聞いた任務の事で頭がいっぱいだったのである。
「安請けあいしちゃったけど、こりゃ大事だわ」
もしかしたら、命を落すかもしれない。
けれど、キュルケにとって、この小さな友人の方がずっと心配である。今まで、どんな思いで『仕事』をこなしてきたんだろう。

タバサは寝返りを打った。眼鏡を外した寝顔は、どこまでもあどけない少女だった。
年に合わぬ不幸を背負わされ、シュヴァリエに叙される功績を挙げ、今また困難に立ち向かおうとする掃討者には見えなかった。
「母さま」
タバサの寝言に、キュルケがピクンと反応した。
「母さま、ダメ……それを飲んじゃダメ。母さま」
寝言でタバサは何度も母の名を呼んだ。額にはじっとりと汗が浮き出ている。
キュルケはそっと立ち上がるとベッドに入りこみ、タバサを抱きしめた。
タバサはキュルケの胸に顔をうずめた。
……しばらくすると、タバサは安心したように寝息を立て始めた。
子供をあやすような声で、キュルケは優しくタバサに呟いた。
「ねえ、シャルロット。この『微熱』が全部あたためて溶かしてあげる。だから安心してゆっくりお休みなさい」


そんな二人を、じっと見つめているものがいた。ダークドリームだ。
彼女の部屋の鏡台には、タバサの部屋の鏡と同じ光景が映し出されている。
ただ、なんとなくタバサの顔が見たくなっただけ。
でも、鏡に映し出されたのは、彼女が見たこともない安らかな寝顔。

タバサは、自分の部屋で毎日うなされていた。
毎日、同じ寝言を繰り返していた。
人間が『眠る』というのは、こういうものだと思っていた。
……でも、違った。現に、タバサは安らかな寝息を立てているのだから。

ダークドリームは、今日、執事に聞いた話を思い出していた。
『タバサ』は、タバサの偽物の名前。
タバサの本物の名前は『シャルロット』。
わたしにとっては、タバサの名前は『タバサ』の他にはない。
わたしにとっては、タバサは寝ているときは、母親の名前を呼んでいる。
タバサにとっては、どうなんだろう?
あの日、わたしを人攫いから助けてくれた『タバサ』は……本物なんだろうか?
今、キュルケの胸で静かな寝息を立てている少女は……どっちなんだろう?


今日の夜は、ほんとに長い……
ダークドリームは、手を振り『鏡』を元に戻した。
そのまま、大きな背もたれのついた椅子にゆっくりと座り、目を閉じた。

次の日の朝、夜明けと共にダークドリームは部屋を出た。
結局、一晩中なんとなく落ち着かなかったので、館の周りを散歩しているのだ。
黒いドレスに黒いルージュ、アイシャドウ。
『鏡の国』の格好をしたまま庭を歩いていると、後ろから声をかける者がいる。
「おはよ、朝から気合が入ってるわね」
キュルケだ。
そういえば『召喚の儀』のときのダークドリームは、あんな服を着ていたっけ。
そんなことを考えながらキュルケは、黒い服の少女の方へ歩いていく。
「おはよう」
答えたダークドリームの顔は、いつもより強張っていたのかもしれない。
キュルケは笑顔のままダークドリームの肩に手をやった。
「その格好も似合うわね」
「え?う、うん」
「でも、ちょっと疲れた顔してるわよ。眠れなかったの?」
いや、そもそもわたしは眠ったことなんかない。
それに、クリスタルからパワーをもらっているから、わたしは疲れることもないはず。
でも……、昨日の夜はとても長かった。

そんな風にダークドリームが考えていると、タバサの声がした。
「朝食を食べたら出発する」
タバサの方を向いたダークドリームの顔は、少しだけ緩んでいた。
キュルケはそんな横顔を見ながら、軽く笑った。
「もしかして、独りで寂しかったかな?」
……そうなんだろうか?
とっても、夜が長かったのは、『寂しかった』から、なんだろうか。
ずっと、色々と考えていたのは、『寂しかった』から、なんだろうか

ただ、キュルケとタバサの声を聞いていると、胸のモヤモヤしたものがすっと晴れていく気がする。
ダークドリームは小さく頷いて、タバサの方へ歩いていった。

今回はここまでです。
読んでくださった方、前回感想をいただいた方、Wikiに登録してくださった方。ありがとうございました。


プリキュアシリーズ恒例!お泊りイベントーーーっ!!
……って雰囲気でもないですけどね。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 20:53:03 ID:m8FduIhE
プリキュアの人乙です。
鳴滝に吹いて本編にしんみりさせていただきましたGJ!
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 20:56:51 ID:dEV06hH4
>222
あるあるあるあるあるwwwwwwwwwwwww
ねえよ!

ってぐらい鳴滝GJ
234使い魔の達人:2009/07/10(金) 20:57:14 ID:pct3AD4S
ダークドリームの人、お疲れ様です。
三人の関係が見ててとても和みます。
今後どうなるのか目が離せませんね。

そして、もし次の投下予約がなければ、21:10あたりから投下をしたいと考えます。
よろしいでしょうか?
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:00:30 ID:TkHbhdDh
おk
236使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:01:38 ID:pct3AD4S
失礼。21:30ごろからに訂正させてください
237プリキュアの人:2009/07/10(金) 21:03:35 ID:By+b8OQj
感想および支援ありがとうございます。
ひとつだけ書き忘れていました。
「ダークドリームと鳴滝」は、思いっきり一発ネタの多重クロスですのでWikiへの登録はしないようにお願いしておきます。m(_ _)m


それでは、使い魔の達人さん。がんばってくださいね。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:14:21 ID:xMwp6oz2
ハリーポッターってゼロ魔を結構パクってるんだな
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:14:59 ID:uArKQwWh
いや、逆じゃないのか?
って、釣り?
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:24:10 ID:xMwp6oz2
釣りでも何でもないが
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:28:25 ID:pwNMQqAK
じゃあゼロ魔のギーシュはLUNARのナッシュからパクってるな
242使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:30:43 ID:pct3AD4S
そいだらぼちぼち始めますね
――――――――――――――――――――――――――――――――
「ふん。使い魔風情が、この僕に謝れ…だと?」
 ある春の日の昼下がり。トリステイン魔法学院内、ヴェストリの広場。
 人垣の中で、カズキはギーシュに指を突きつけながら、頷いた。
「ああ。お前だけじゃない。この場で今、ルイズを『ゼロ』って言ったやつ。ルイズを笑ったやつ。ルイズに謝れ」
 辺りを睨め付けながら、そう続ける。当のルイズは、わけがわからなくなった。
「ちょ、ちょっとあんた!自分が何言ってるのかわかってんの!?」
 ルイズは詰め寄った。カズキは良いから、とそれを制した。何が良いからよ。ルイズは混乱した。
 確かに『ゼロ』と蔑まれるのは悔しい。悔しいがしかし、その同情だけでここまでのことをやらかすなんて、まず思わない。
「ふん、実に主人思いの使い魔じゃないか。良かったなルイズ」
 鼻を鳴らしてギーシュが言う。
「さて使い魔君。いきなり平民にお前呼ばわりされる覚えもないが、まぁいい。
この状況で、使い魔である君の怒りももっともだ。だがしかし。しかしだね?
僕や彼等がルイズに謝ったところで、彼女の『ゼロ』は揺るがない事実だ。
彼女は、いくら唱えても魔法を成功させた例がないからね。…いや、失礼。
確かにルイズは、『サモン・サーヴァント』、『コントラクト・サーヴァント』を成功させたね。
ふむ。それならば、彼女の『ゼロ』もまた、返上できようものだろう。が、しかしだ」
 そして、薔薇の造花をカズキに突きつけ返した。
「その対象が、君だというのがいけない」


 使い魔の達人 第五話  VS.ギーシュ


「…どういう意味だ」
 カズキは、静かに聞き返した。
「そのままの意味だが、言わないとわからないかね?」
 無言のカズキ。ギーシュはやれやれ、と肩を竦めた。
「召喚されたのは、君。契約したのも、君。じゃあ、‘君はなんだ’?」
 ギーシュは口元を歪めながら、続ける。
「ルイズの使い魔である君は、いったいどういう存在か?言うまでもなく、何の取り得もない、ただの平民だ。
では、それを聞いた者はどう思うだろうか?果たして今度こそ、ルイズを『ゼロ』と呼ばずにいられるだろうか?」
 ふう、と一息ついて。
「今、ルイズを『ゼロ』たらしめているのは、他でもない君だ。ルイズに謝るべきは、君なんじゃないかな?」
 そう言葉を終えると、辺りからぱらぱらと拍手が湧く。ギーシュは、満足そうに前髪をかき上げた。
 朝のルイズを思い出す。キュルケのサラマンダーを見て、悔しいと自分に当り散らしてきたルイズ。
早朝、すれ違う貴族の自分への馬鹿にしたような視線。授業前の、シュヴルーズの言葉。
 ルイズを見やる。ルイズもまた、切なげな瞳でカズキを見ていた。

 オレは…

 だから、カズキは微笑んだ。そして、ギーシュに向き直る。
「それはできない」
 ギーシュを見据え、カズキは言葉を発した。
「ほう?」
「オレは、ルイズを『ゼロ』と笑わない。でも今ここで、オレが自分のことでルイズに謝れば、
オレを召喚したルイズを、『ゼロ』だと認めてしまうことになる。ルイズを、笑ってしまうことになる」
 カズキの言葉に、その衝撃に、ルイズは胸の奥を激しく揺さぶられた。
面白くなさそうに鼻を鳴らすギーシュ。
「ふん、そもそも認めるつもりもない、だから謝らないと。妬けるほどに主人想いだね、君は。
ではどうするね?今、ルイズが『ゼロ』ではないと定義するには、君自身がただの平民ではない。
ルイズの、いやさ貴族の使い魔に相応しい存在であることを証明する必要があるのだが…」
 だが、それは無理だろう?と小馬鹿にするように、ギーシュは笑った。
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:31:02 ID:m8FduIhE
支援
244使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:31:59 ID:pct3AD4S
「そんなの…」
 ルイズは、歯噛みした。話に聞く限りでは、多少戦いに心得のあるというだけの、平民。
そして、いずれ人を襲う化物になるという話だが、そんな荒唐無稽な戯言を、誰が信じると言うのだろうか。
 カズキは、何も言わずにギーシュを見据えている。
 何も言わない二人に、ギーシュはしかし、これは名案だと薔薇を掲げた。
「そうだ、ではこうしよう。使い魔君。君と僕とで、決闘をしようじゃないか。
君が僕に負ければ、当然ルイズは『ゼロ』のままだが」
 首を振りながら、ギーシュは続けた。
「これは有り得ないだろうが、君が僕に勝つことができれば、彼女を『ゼロ』ではないと認めよう。
メイジに勝てる平民。使い魔としては申し分ない存在だろう?
なんだったら、これまでの彼女への侮蔑の言葉を、皆に代わって謝罪しても良い。うん、我ながら名案だな。
些か趣旨は異なるが、これもまた決闘と言える。此処に居る皆の昼休みも、無駄にならないしね」
 そう区切ると、辺りで歓声が起こった。決闘というより余興のような扱いだと、カズキは思った。
「そんな!なに考えてるのよ!あんたも、そんなことしにここに来たわけじゃないでしょ!?」
 ルイズが声を挙げた。回りまわって、振り出しに戻ってしまった。そんなルイズを、やはりカズキは制した。
「随分こっちに都合の良い話だけれど、本当に良いのか?」
 薔薇を揺らしながら、余裕交じりにギーシュが応える。
「構わんさ。精々藁に縋りたまえ」
 やがて、二人は対峙する。が、そこにルイズは、尚も食い下がる。
「やめてよ!ギーシュ!そもそも、決闘は禁止されてるでしょ!?」
「禁止されてるのは、貴族同士の決闘のみだよ。平民と貴族の間での決闘なんか、誰も禁止していない」
 朗々と語るギーシュに、ルイズは言葉に詰まった。
「そ、それは、そんなこと今までになかったから……」
「ルイズ、君はそこの使い魔君に随分大事に思われているようだが、なんだね。君も彼を好きになったのかね?」
 ギーシュが冷やかすように笑う。ルイズは、顔を赤く染めながら怒声を返す。
「そ、そんなんじゃないわ!自分の使い魔が、みすみす怪我するのを、黙って見ていられるわけないじゃない!」
「…だ、そうだ。君の主人は、使い魔の君の決意には反対のご様子だが、どうするね?」
 カズキは振り返った。先ほどと同じく、ルイズに優しく微笑んで。
「大丈夫。任せて」
 そう告げれば、ギーシュに向き直った。ルイズは、つい、何も言えなくなった。
 な、なにが任せてなのよ!あんなやつが、ただの平民が…メイジに勝てるわけがないじゃない!
 やきもきした様に、思考をめぐらす。そのうちに、カズキの準備が整ったと見たのか、ギーシュが造花を一つ振った。
「さてと、では始めるか」
 その言葉に、周りの歓声が一際大きくなる。焦らしに焦らされた外野も、興奮状態にあるようだ。
これではもう、いち生徒に止めることは適わない。
「勝敗の決め方は?」
 不意に、そんなことを問うカズキ。ギーシュは、一瞬呆気に取られた顔になると、何がおかしいのか、笑った。
「それはもちろん、どちらかが降参するまでさ」
 言うが早いか、カズキは駆け出した。生身の人間を相手にするのは気が引けるが、その相手は魔法使いだ。
どんな魔法を使うか知らないが、先手必勝である。
 ギーシュは、そんなカズキを余裕の笑みで見つめると、薔薇の花を振った。
 花びらが一枚、宙を舞ったかと思うと……甲冑を着た女戦士の形をした、人形になった。
 身長は人間と同じくらいだが、硬い金属製のようだ。淡い陽光を受けて、その肌……甲冑がきらめいた。
 そして、それがカズキの前に立ちふさがった。
「な、なんだ!?」
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?
もちろん、君がこの僕の杖。薔薇を奪えば君の勝ちだ。簡単だろう?」
 見せ付けるように、薔薇を揺らす。そんなことは不可能だ、と言わんばかり。
 カズキは無言でギーシュを、そして甲冑の女戦士を見据えた。
「言い忘れたな。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」
 その言葉と共に、青銅の女戦士が動く。こちらに突進して、右の拳を突き出してきた。
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:32:17 ID:By+b8OQj
しえーん
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:33:03 ID:qyPeRYF7
支援
駄目ーーっ!
ギーシュ逃げてーーーっwwwww
247使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:33:14 ID:pct3AD4S
「――っ!」
 間一髪、その拳を避ける。見慣れない相手に一瞬戸惑ったが、その動きは、多少常人より早い程度。
一ヶ月間、錬金の戦士として死に物狂いの特訓をしたカズキには、十分捉えられる動きである。
 続けて二撃。もちろんかわせない攻撃ではない。カズキは後ろに下がりつつ、落ち着いて青銅人形の拳を避けた。
「ほう、少しはやるようだね。そうでなくては、こちらとしても困るがね」
 操っているのは言うまでもなくギーシュだ。ならば、わざわざ相手をすることもない。
「行くぞ!」
 カズキはするりとゴーレムを避けると、ギーシュに。その手の薔薇に向かい、疾走する。
すると、それを待ってましたとギーシュは杖を振った。二枚の花びらが、やはり青銅の女戦士に変わる。
「うおっ!?」
 二体のゴーレムが、腕を水平に繰り出してくる。タイミングはドンピシャ。
「ぐっ…!」
 カズキの身体が派手に後ろに跳ぶ。とっさに両腕で防御し、できる限り後ろへ跳ねた。
が、青銅製の腕から繰り出された一撃は、かなりの威力を持っていた様だ。
 …だけど、ブラボー程じゃない!
 転がりながらも立ち上がったカズキは腕の痛みを忘れ、前を見据えた。ギーシュの前に、ゴーレムが門番のように立ち塞がる。
「前ばかりを気にしていては、いけないな」
 ギーシュの言葉。咄嗟に横に跳ね、後ろからの攻撃を避ける。一体目のギーシュのゴーレムだ。
「ふん。まさか、一体しか作れないなどと思ってはいなかっただろうね?」
 すると、今度は三体がカズキに向かってくる。取り囲むような動き。
「さて、一体なら潜り抜けられるだろうが、三体ならどうかな?」
 次々と攻撃を繰り出してくるゴーレムたち。動作はてんでバラバラだが、一撃一撃はそれなりに速く、重い。
そして、一体をかわしても別の一体が立ち塞がる。これでは、埒が明かない。

 人垣の中、決闘騒動を面白半分で見物していたキュルケは、今は半ば暖かい眼差しを持って、その様子を見ていた。
 これであの使い魔君が勝っちゃったら、あたしももう、あの子をゼロと呼べないわね。
 そんなことを考えながら、決闘を見守る。授業には熱心でないし、近くで爆発を起こされればそりゃ腹も立つ。
そんな、授業中ルイズに文句を言っていたキュルケではあるが、日頃彼女にとって、ルイズは手間のかかる妹のようなものだ。
何より、からかうのが面白い。が、それも、少なくとも『ゼロ』で発破をかけるのも、今日限りかも知れない。
 ふと視線を横に向ける。隣には、眼鏡をかけた無口な親友が本を読んでいるはずだった。面白そうだからと無理やりつれてきたのだが…
「あら、珍しいわね。あなたもこの決闘に興味が湧いたのかしら?タバサ」
 タバサと呼ばれたのは、キュルケとはまるで正反対な容姿を持つ少女。
背筋の凍るような印象を与える、短く切りそろえた青い髪に、氷雪のような白い肌。
その体躯はやはり、隣の親友と真逆で、背丈は低く、同年代と比べても貧相と言えるものであった。
身長に見合わぬ、節くれだった長い杖を携え、端から見れば無感情に、眼鏡の奥の青い瞳で決闘の様子を見ている。
一体何が、彼女の琴線に触れたのだろうか。そちらも気になるが…今はあちらだ。
 キュルケは視線を戻す。三体のゴーレム相手に、ひらりひらりとその攻撃を避けるカズキ。が、見ていて危なっかしい。
「よく避けるわね。さすがに、貴族に喧嘩売るだけのことはあるのかしら」
「多少の心得はある様子。でも、動きそのものはまだまだ未熟」
 タバサはカズキの動きから、そう評価した。
 カズキは、戦士長・キャプテンブラボーとの一ヶ月間の死に物狂いの特訓。
及び元信奉者・早坂秋水との模擬戦じみた稽古を修め、命懸けの実戦を幾度も行ってきた。
 が、それでも‘一ヶ月’。‘錬金術’の‘力’を用いての強行軍だが、それでも、身のこなしそのものを身につけるには限度がある。
何より、カズキは基本一対一が多く、多対一(正確には二。その後たくさん)などは一度のみ。
 やはりそれでも、それらの経験が手伝って、今はゴーレムの攻撃をほとんど避けることはできる。しかし…
「それに、彼にはあれを倒す手段がない」
 タバサの指摘どおり、今のカズキは無手。武器もないこの状況では、避け続けるしかない。

248使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:34:21 ID:pct3AD4S
 どうやって切り抜ける…!?
 カズキは攻撃を上手く捌きながら、そのことを考えていた。大分慣れてきた様だ。
 いの一番に考えたのは、やはりこの胸に潜む、‘錬金術’の‘力’の発動――だが、この状況。
戦闘中に発動して、果たして闘争心が高ぶった自分が、化物にならぬ保証はない。死を振り撒かぬ保証はない。
今はそれだけ危ういところまで来ているはずだ。
 しかし、一ヶ月の特訓の中で、カズキが徹底的に行ったのはやはり、前述の‘力’を用いた戦う術を磨くことのみ。
それ以外の戦う特訓を、カズキは行っていない。しかし、外野を。ルイズを巻き添えにしてしまうくらいなら。
カズキはいの一番の選択肢をなくす。では、どうするか?決まっている。
 青銅のゴーレムが一体突っ込んでくる。カズキは足を止めると、それを見据えた。
「おや、もう諦めるのかね?」
 せせら笑うようなギーシュの声。カズキは構えると、呼吸を整える。
ワルキューレの動きに合わせ、正面からその拳を突き出した。
「くらえ!通信空手拳!」
 カウンター気味の正拳。鈍い音が辺りに響く。この決闘、初めてのカズキの攻撃である。
 その衝撃は如何程なものか。青銅の女戦士は、後ろによろけていた。皆が目を見開く。
「……いってぇぇぇえええ!!」
「あったりまえでしょ!馬鹿!!」
 赤くなった拳を解いて振るカズキに、思わずツッコむルイズ。どこか締まらない。
「でもっ!少しヘコんでる!」
 カズキはゴーレムの胸の辺りを指した。なるほど、確かに拳の跡がくっきりと残っている。
 あの硬い青銅を、素手で歪ませたのだ。周りのほとんどが、目を丸くした。
「すげぇ!平民が、ギーシュのゴーレムに一発食らわせたぞ!」
 外野がどよめいた。誰かが発したその言葉に、ギーシュの目が鋭いものに変わる。
「ふ……平民風情が!よくもこの僕の『ワルキューレ』に、傷をつけてくれたなぁあ!」
 激昂し、薔薇を振る。すると、三体の青銅ゴーレムの手に、同じく青銅の剣が出現した。
「いっ!?」
 今度はカズキが目を丸くした。まさか得物まで即席とは。そんなことを考える間に、女戦士は次々と剣戟を繰り出してくる。
「うわっと!」
 ただ殴りかかられるのとは勝手が違う。つい大きく避ける。まだ、避けきれる。
「ひ、卑怯よ!剣だなんて!」
 ルイズが吼えた。しかしギーシュはいいやと首を振る。
「卑怯なものか。己の力と相手の力を全てぶつけ合う。それが決闘だろう?」
 ギーシュの言葉に、カズキはブラボーとの闘いを思い出す。
斗貴子を、仲間を犠牲にしてでもブラボーに勝てと斗貴子は言った。だが、自分が取った決断は――。
「ああ、そうだよルイズ。オレも今、オレの出せる‘全力’で、こいつを倒す」
「言うじゃないか、平民」
 青銅のゴーレムが、大上段からの剣を振り下ろす。カズキは、真正面からそれに向かった。
「――カズキっ!」
 ルイズの悲痛な叫びが響いた。


 ところ変わって、ここは学院長室。
 コルベールは泡を飛ばしてオスマンに説明していた。
 春の使い魔召喚の際に、ルイズが平民の少年を呼び出してしまったこと。
 ルイズがその少年と『契約』した証明として現れたルーン文字が、気になったこと。
 それを調べていたら……
「始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』に行き着いた、というわけじゃね?」
 オスマンは、コルベールが描いたカズキの手に現れたルーン文字のスケッチをじっと見つめた。
「そうです!あの少年の左手に刻まれたルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』に刻まれていたモノとまったく同じであります!」
「で、君の結論は?」
249使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:35:29 ID:pct3AD4S
「あの少年は『ガンダールヴ』です!これが大事じゃなくて、なんなんですか!オールド・オスマン!」
 コルベールは、禿げ上がった頭を、ハンカチで拭きながらまくし立てた。
「ふむ……。確かに、ルーンが同じじゃ。同じじゃと言うことは、ただの平民だったその少年は、
『ガンダールヴ』になった、ということになるんじゃのうな」
「どうしましょう」
「しかし、それだけで、そう決めつけるのは早計かも知れん」
「それもそうですな」
 オスマンは、コツコツと机を叩いた。
 ドアがノックされた。
「誰じゃ?」
 扉の向こうから、ロングビルの声が聞こえてきた。
「私です。オールド・オスマン」
「なんじゃ?」
「ヴェストリの広場で、決闘をしている生徒がいるようです。大騒ぎになっています。止めに入った生徒がいましたが、生徒たちに邪魔されて、止められないようです」
「まったく、暇を持て余した貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるんだね?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」
「あの、グラモンとこのバカ息子か。親父も色の道では剛の者じゃったが、その息子共も輪をかけて女好きじゃ。
おおかた女の子の取り合いじゃろう。相手は誰じゃ?」
「……それが、メイジではありません。ミス・ヴァリエールの使い魔の少年のようです」
 オスマンとコルベールは顔を見合わせた。
「教師たちは、決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可を求めております」
 オスマンの目が、鷹のように鋭く光った。
「アホか。たかが子供のケンカを止めるのに、秘宝を使ってどうするんじゃ。放っておきなさい」
「わかりました」
 ロングビルが去っていく足音。コルベールは、つばを飲み込んで、オスマンを促した。
「オールド・オスマン」
「うむ」
 オスマンは杖を振った。壁にかかった大きな鏡に、ヴェストリ広場の様子が映し出された。


 静まり返った広場の中、ルイズは目を見張った。キュルケも、他のギャラリーも。
タバサはあんまり変わらなかったが、ギーシュもやはり、目を見張った。
 『ワルキューレ』の剣は、カズキの顔の真上で静止している。
そしてその銅の刀身に、カズキの両の掌がぴったりと張り付いていた。
「できた!真剣白羽取りっ!!」
 カズキは鼻息荒く言った。青銅ゴーレムの動きは早いが、一撃の威力はそれほどでもない。
なにより剣の使い手としても、模擬戦の稽古相手であった秋水に比べれば、全然見切れる程度のものだ。
ならば、その剣を止めることも、あわよくば奪うこともできるのでは…そう考えての、一か八かの行動である。
 あとは、この剣を…!?
 瞬間、カズキは身体が軽くなるのを感じた。見れば、刃を挟む手の左側。ルーンが光っている。
 ふと、刃の先。ゴーレムが、剣をぐいと引こうとしているのがわかった。随分と遅い動作だ。
両腕はふさがっている。だからカズキは、思い切り足を前に繰り出した。
 腹に足跡を刻まれたゴーレムは、大きく跳んだ。カズキの両の手には、すっぽ抜けたのか青銅の剣だけが残る。
 それを手中に収めると、まるで自分の手の延長のように、しっくりと馴染んだ。しかしそれ以上に、カズキは驚いた。
 なんだ、この力。あとからあとから湧いてくる…まさか!
 カズキは力の限り叫んだ。
「みんな、オレから離れろ!!」
「…へ?」
 しかし、周りからは不可解な視線が送られるばかり。
誰一人として、苦痛に歪んだ顔をこちらに向けていない。カズキは混乱した。
250使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:36:58 ID:pct3AD4S
「…ふ、ふん。まさか『ワルキューレ』の剣を奪うとはね。しかも手で直接受け止めるとは、恐れ入ったよ。
しかし、今の一言はなんだい?武器を手にしたことで気が強くなったのかね?」
 ギーシュが激しく動揺を見せる。やはり、体調を崩している様子はない。
 しかし、カズキの身体には、依然力が湧いてきている。
「まぁ良い。それは君には相応しくない。返してもらおうか!」
 ギーシュは薔薇を振った。胸に足跡をつけたゴーレムが、諸手を挙げてこちらに突っ込んでくる。
 おかしい、さっきよりも全然遅い。どうなってんだ?
 そう考えながら、カズキはひらりとそれをかわすと、剣を持つ手に力を込めた。自然に身体が動く。
 瞬く間に、青銅のゴーレムが斜めから真っ二つに切り裂かれた。
 ずしん、と倒れる女戦士。その断面は、銅鏡のように輝いていた。
 カズキは驚いた。いつもの自分の戦い方とは違う。竹刀を振ったことはあるが、まともな剣の使い方なんて、知らないはずだ。
それなのに、剣を使い慣れた得物のように扱い、ものの見事にゴーレムを斬ってしまった。
そしてこの状況。力が漲るのに、周りの誰も苦しまぬ、この状況。
力の漲り方にも、カズキはどこか違和感を覚えた。力は湧き上ってくるが、こんな風に身体が軽くなるのは初めてだ。
肌の色も変わっていない。見慣れた黄色である。何かが、ヴィクター化と違う。決定的な何かが…。
 疑問は尽きない。けれど、今は――!
 カズキはギーシュを見据えた。
 自分のゴーレムが粘土のように切り裂かれるのを見て、ギーシュは声にならないうめきをあげた。
即座に薔薇を振る。二体のゴーレムが、それに合わせて剣を振った。
 その間に飛び込みつつ、剣を振るうカズキ。駆け抜けた後には、上下に分かれた青銅人形が、二つ。
 その二つが地面に落ちると、まだまだと、ギーシュは薔薇を振った。
すぐさま、先ほどと同じ青銅ゴーレムが四体。最初から剣を手にしている。
全部で七体のゴーレムが、ギーシュの武器だ。
 そのうち三体が、三方向からカズキに襲い掛かる。しかし、結果は同じだった。
 三体のゴーレムが、バラバラに切り裂かれる。降る剣が見えない。速い。あんな風に剣を振れる人間がいるなんて思えない。
 咄嗟に残りの一体を、ギーシュは自分の盾にした。次の瞬間に、難なく切り裂かれる。
 全てのゴーレムが倒れれば、カズキは、ギーシュの前に剣を突きつけた。
「ひっ!」
 ギーシュは尻餅をついた。剣の切っ先も、それに合わせて下に動く。
「…続けるか?」
 呟くように、カズキ。ギーシュはふるふると首を横に振った。完全に戦意を喪失しているようだ。
 震えた声でギーシュは言った。
「ま、参った」

「あらすごい、ほんとに勝っちゃった」
 キュルケは予想外の結果に、ポツリと呟いた。いくら素早い平民とはいえ、メイジに勝つのは基本不可能。
そう考えるのが、こちらの常識である。それを、一瞬で覆してしまった。
 周りでも、見物していた連中が、あの平民、やるじゃないか!とか、ギーシュが負けたぞ!とか、歓声を送っている。
「ビックリねぇ。あなたもそう思うでしょ?タバサ…って」
 既に興味もないのか、何時ものように本を取り出してその文面を目で追っている。
その様子に一つ苦笑を浮かべれば、やがてカズキとギーシュ。そしてルイズを見やる。
 『ゼロ』とはお別れね…良かったじゃない、ルイズ。

「ルイズ、おいで」
 カズキは剣を地面に突き立て、ルイズを促した。
 此処に至るまで、嵐のような紆余曲折があったが、勝敗は決した。ルイズが『ゼロ』ではない証明は成されたのだ。
 …使い魔の手によって。平民の、もうすぐ化物になるという少年、カズキの手によって。
 ルイズは、一歩、また一歩と、ゆっくりとそちらへ足を運んだ。
「ルイズ…」
 ギーシュが呟く。ルイズが来てしまう前に、どうしても訊いておきたいことがあった。カズキの方を向き、声をかける。
「なぁ、君は一体何者なんだ?僕の『ワルキューレ』を倒すなんて」
 問われたカズキは、ふと何か考え、笑いながら言った。
「ルイズの使い魔」
 その簡潔な答えに、ギーシュは唖然とした。だがやがて、そうか、と力なく笑った。

251使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:38:10 ID:pct3AD4S
 ルイズは歩きながら、これまでの自分を思い出しながら、考える。
 これまでの自分――学院で『ゼロ』と馬鹿にされ続けた自分。貴族からも、表立ってはないが平民からも、笑われ続けた自分。
魔法は、貴族にとって絶対だ。だから、学院では実家以上に努力した。
しかし、いかなる系統も、自分を向いてはくれなかった。いかなる努力も、この世界は嘲笑うかのように水泡に帰してくれた。
努力が実らぬ事を意識してからは、毎日が苦痛だった。
部屋から出たくないと思ったことも何度もあったが、それだけはできなかった。
それをすれば…学院で味方の居ない自分がそれをすれば、もう自分は立ち直れぬと知っていたからだ。
 そんな自分。『ゼロ』の自分。
 だが、目の前に今、‘新たな自分’が用意されている。
 これからの自分――己の使い魔が切り拓いてくれた、『ゼロ』じゃない自分。『ゼロ』と呼ばれぬ自分。
その自分は、いったいどうなるのだろう。どうなってしまうのだろう。どんな世界を見れるのだろう。
四つのいずれかの系統も、自分を向いてくれるだろうか。世界は、この努力を受け入れてくれるだろうか。
不安は尽きないが、それ以上に期待が勝る。そう思えるほど、新たな自分は魅力的である。
正直、それに身を委ねてしまいたい。それほどに、使い魔が示してくれた道は、光に満ち溢れている…が

 それは、これまでの自分に対する裏切りではないか―――

 一度そう考えれば、躊躇いが生じ、足取りも重くなる。
 確かに自分は頑張った。努力した。ならば、それもいつかは報われていいのではないか。そしてそれは、今なのではないか。
自分の魔法で召喚した使い魔が、他のメイジを圧倒した。その今ならば…。
 だが、それに対し、自分は何かをしたのか?何か魔法を唱えたか?
 何もしていない。使い魔を召喚し、契約を為した。それ以外、何もしていないのだ。
 否。むしろこの決闘を、止めようとさえした。それすら振り切り、あの使い魔は、己の新たな道を切り拓いた。

 果たしてそれは、自分にとって、本当に進むべき道なのだろうか?

 だから、この数歩。己の使い魔が倒した相手の前に、たどり着くまでの僅かな間に。
 ルイズは、それを見極めることを決断した。

 ルイズがギーシュの前に立つ。ギーシュもすかさず立ち上がり、二人の貴族が対峙する。
「る、ルイズ。…その」
 目が泳ぐ。まともにルイズの顔を見れない。
これまで散々『ゼロ』と馬鹿にしてきた罪悪感が、その鳶色の瞳を見据えることを、恐れさせている。
 辺りがしんと静まった。見ていた連中もまた、そのほとんどが、ギーシュと同じ心中である。顔を俯けている者もいた。
中にはやはり、腑に落ちぬ者もいるようだ。時折、ぶつくさと何か聞こえた。が、カズキが目を向けると、静まった。
 『ゼロ』と呼び続けた自分たち。其れにひたすら耐えた少女は、己の使い魔を持って其れの偽を証明せしめた。
 ならば、自分たちはどうせねばならないか。意を決したらしいギーシュは、ルイズに顔を向けた。
ルイズもまた、俯いていて、その表情は伺えない。が、言わなくては。自分は貴族なのだから。
 先刻のカズキの様に頭をたれて、ギーシュは口を開いた。
「ごめんよ、ルイズ。これまでの、僕等の非礼を。貴族にあるまじき幾つもの侮蔑を、許してくれ!」
 既にギーシュは、『ゼロ』と呼ぶことを自ら止めていた。そうすることが、ルイズへの謝罪の姿勢として正しいと思ったのだ。
「このとおりだ!なんだったら、君の気が済むまで殴ってくれて構わない!あ、でも顔はできれば勘弁しておくれ」
 この期に及んで顔の心配とは。見守りながら、カズキは呆れた。次いである種の感心も覚えた。
 ギーシュの精一杯の謝辞。やはりルイズは俯いたまま…と、カズキの耳に、ぶつぶつと囁きのようなものが入り込んできた。
「る、ルイズ…?」
 ギーシュは顔を上げ、その色を青くした。ルイズが、何事か呟いている。カズキは、それに聞き覚えがあった。
 そう、これは確か…‘錬金’の呪文。
 ルイズは杖を手に取ると、その先端を、傍らに立つカズキが地面に突き刺した青銅の剣に向けた。
「へ?」
252使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:39:09 ID:pct3AD4S
 広場の真ん中で、強烈な爆発が巻き起こった。
 カズキが、ギーシュが、ルイズが吹っ飛んだ。それはもう、中空にて煙を尾に、見事な放物線を描いていた。
 どしゃり、と地面に叩きつけられる三人。周囲の連中も、爆発の余波を浴びて、見るも無残な状況である。
「な、なんだ!?」
「ルイズがまた魔法を失敗させたんだ!でも、なんでいきなり!」
 一気に騒がしくなる。そんな中、ルイズはやはり、何事もなかったように立ち上がった。
 ギーシュやカズキは地面に倒れ伏したままだ。カズキは一番至近距離から爆発を食らった為か、頭が揺れていた。痙攣も酷い。
それでも、気を失わないだけ、シュヴルーズとは鍛え方が違ったが。
「な、何を…」
 声を出せる状態ではないカズキに替わり、ギーシュが尋ねた。
「…やっぱり、成功しないわね、魔法」
 杖を覗き込みながら、ルイズは確かめるように言った。
結局のところ、この決闘で勝とうが負けようが、やはり依然ルイズの魔法が失敗すれば爆発を起こすことに、変わりはない。
その場にいた皆が、それを思い知った。
 なら、この決闘はなんだったんだ?次いで皆がそう思った。
「そう。魔法の成功確率、いつも『ゼロ』。だから、『ゼロ』のルイズ。ふふ、的を射てるわよね」
 顔を俯け、切なげに笑う。しかし、即座に顔を上げる。瞳は吊り上り、ある決意を携えていた。
ルイズの脳裏には、教室でカズキとの会話に出てきた、ある言葉が浮かんでいた。
「でも、だからこそ、自力で魔法を成功させなきゃ、『ゼロ』は拭えないわ。
『ゼロ』の返上の仕方は、自分で決める。そう、選択肢は、自分で作り出すものよ。
使い魔に、丸々全部、なんとかしてもらうことじゃない。なにより…」
 ルイズは、煤だらけのブロンドの髪を一つ払い、
「そんなの、わたしのプライドが許さないわ」
 どこまでも気位の高いルイズである。皆に呆れが生じたが、ルイズは続けた。
「『ゼロ』と呼びたければ、呼ぶが良いわ」
 皆を見据え、朗々とルイズは語りだす。
「でも、いつか認めさせてみせる。わたし自身の魔法で、必ず」
 その瞳は、この場の誰よりも前を向いていた。上を向いていた。
「それを、この場でみんなに誓うわ」
 ルイズは口上を終えた。
 やがてぽつぽつと、拍手が起こった。貴族から貴族への、激励の、そして賛賞の拍手である。
 この決闘の勝者は、ギーシュでも、カズキでもない。新たな一歩を踏み出したルイズその人なのだ。
 未だ起き上がれぬカズキは、しかし微笑みながら見つめていた。その左手のルーンは、決闘前と同じ、淡い輝きを放っていた。


 オスマンとコルベールは、『遠見の鑑』で一部始終を見終えると、顔を見合わせた。
その表情は、先ほどまで、平民が貴族に勝った事により驚愕で彩られていたが、今は穏やかなものである。
「ミス・ヴァリエールは、立派な貴族になる資質を秘めておるの」
「ですね。教師としても、誇らしいものです。その努力が実るよう、なんとかしてあげたいと思います」
 だが、その表情はすぐさま険しいものへ変わった。感慨に耽ってばかりもいられない。
「しかし、オールド・オスマン」
「うむ」
「あの平民、勝ってしまいましたが……」
「うむ」
「ミスタ・グラモンは一番レベルの低い『ドット』メイジですが、それでもただの平民に遅れをとるとは思えません。
そしてあの動き!何より、剣を手にとってからのものは凄まじい!あんな平民、見たことがない!やはり彼は、『ガンダールヴ』!」
「うむむ……」
 コルベールは、オスマンを促した。
「オールド・オスマン。さっそく王宮に報告して、指示を仰がないことには……」
「それには及ばん」
253使い魔の達人:2009/07/10(金) 21:40:14 ID:pct3AD4S
 オスマン氏は重々しく頷いた。白い髭が、激しく揺れた。
「どうしてですか?これは世紀の大発見ですよ!現代に蘇った『ガンダールヴ』!」
「ミスタ・コルベール。『ガンダールヴ』はただの使い魔ではない」
「そのとおりです。始祖ブリミルの用いた『ガンダールヴ』。
その姿形は記述がありませんが、主人の呪文詠唱時間を守るために特化した存在と伝え聞きます」
「そうじゃ。始祖ブリミルは、呪文を唱える時間が長かった……、その強力な呪文ゆえに。
知ってのとおり、詠唱時間中のメイジは無力じゃ。そんな無力な間、己の体を守るために始祖ブリミルが用いた使い魔が『ガンダールヴ』じゃ。その強さは……」
 その後を、コルベールが興奮した調子で引き取った。
「千人もの軍隊を一人で壊滅させるほどの力を持ち、あまつさえ並のメイジでは歯が立たなかったとか!」
「で、ミスタ・コルベール」
「はい」
「その少年は、ほんとうにただの人間だったのかね?」
「はい、どこからどう見ても、ただの平民の少年でした。
ミス・ヴァリエールとの契約の際、一瞬姿が変わり稲光を発した為、念のため『ディテクト・マジック』で確かめたのですが」
 思い出すのは、使い魔のルーンをスケッチする際のこと。先住魔法を用いる亜人の類でもあれば、また別の反応を示すと思えたが…。
「何かしら姿を変える魔法、マジックアイテムの類も持っておらず、その反応は正真正銘、ただの人間。平民の少年でした。
おそらく、あの現象は『ガンダールヴ』になる際に発生したものと考えられます」
「ふむ。そんなただの少年を、現代の『ガンダールヴ』にしたのは、誰なんじゃね?」
「ミス・ヴァリエールですが……」
「彼女は、優秀なメイジなのかね?」
「いえ、というか、その…今しがた大変素晴らしい決意表明をしておりましたがその、むしろ無能というか……」
「さて、その二つが問題じゃ」
「…ですね」
「無能なメイジと契約したただの少年が、何故『ガンダールヴ』になったのか。まったく、謎じゃ。理由が見えん」
「そうですね……」
「とにかく、王室の盆暗どもに『ガンダールヴ』とその主人を渡すわけにはいくまい。
そんなオモチャを与えてしまっては、またぞろ戦でも引き起こすじゃろうて。
宮廷で暇を持て余している連中はまったく、戦が好きじゃからな」
「…思慮が足りませんでした。学院長の深謀には恐れ入ります」
「この件は私が預かる。他言は無用じゃ。ミスタ・コルベール」
「畏まりました」
 オスマンは杖を握ると窓際へ向かった。遠い歴史の彼方へ、思いを馳せる。
「伝説の使い魔『ガンダールヴ』か……。いったい、どのような姿をしておったのだろうなあ」
 コルベールは、夢見るように呟いた。
「『ガンダールヴ』は、あらゆる武器を使いこなし、敵と対峙したとありますから……」
「ふむ」
「とりあえず、腕と手はあったんでしょうなあ」


 やがて、その場は自然に解散の運びとなった。ぽつりぽつりと人が減っていく中、幾人かは思うところがあったのか、
ルイズに謝罪と激励を言いに来た。それをルイズは澄ました顔で返し、その内に広場には、ルイズとカズキだけになった。
「良かったね」
 重い体を起こし、カズキはルイズに話しかけた。剣を握っていた時は羽のように軽かった身体が、今は決闘前より重く感じる。
原因はわからないが、ヴィクター化とは違う力の湧き方。それの反動だろうか、と考える。
ルイズが話しかけられている間、自分がエネルギードレインが発動していないことは、既に確認済みだ。
沸いた疑問は拭えないが、今はルイズだ。ちなみに、青銅の剣はルイズの『錬金』でものの見事に爆砕した。
 ぼろぼろのカズキに、ルイズは半眼を突きつけた。なお、ぼろぼろなのは言うまでもなくほぼルイズのせいである。
「なによ、皮肉のつもり?使い魔のくせに、勝手にご主人様をだしに決闘なんか受けちゃって。
言っとくけどね、あんたの助けなんか要らないの。良かれと思ってなんとかしてもらうほど、安くはないの。わかった?」
 その言葉に、カズキは最初の夜を思い出した。見知らぬ女の子を、斗貴子を救おうと、必死だったあの夜。
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:45:46 ID:62EbD4HU
期待age
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:47:29 ID:m8FduIhE
さるさん?
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 21:58:33 ID:Za5KYhvn
代理投下に上がってた最後の1レスもって来る
257使い魔の達人(代理):2009/07/10(金) 21:59:23 ID:Za5KYhvn
「う、うん…」
 結局、あの頃と変わんないのかな、オレ。ヘッポコ過ぎだ。
 顔をどよんと沈ませるカズキに、しかしルイズは続ける。
「わかったら、あんた。わたしに協力しなさい。わたしの使い魔なんだから、当然よね」
「協力?」
「そう、協力」
 オウム返しをしてくる使い魔に、ルイズは説明する。
「あんた、わたしにどうして良いかわかんないって言ったわよね。魔法のこともわかんないって。
でも、わかんなくても、わたしのためになんでもしなさい。わたしの『ゼロ』を返上する為に、頑張りなさい」
 カズキは眉を顰めた。
「今さっきしたじゃないか」
「今からよ。さっきのやり方じゃ、わたしは納得できないの」
 なんて我侭なんだろう。カズキは呆れた。けれど、あのやり方は、
ルイズ自身の力以外で認めさせることは、結局なんの解決にもならなかったことは、カズキも百も承知だ。
 オレは、ルイズになにができるんだろう。そして、その前に…
「でも俺は…」
「その代わり」
 ルイズは綺麗な人差し指をピンと立て、続けた。
「わたしも、あんたがその、化物とやらにならないための方法。一緒に考えてあげる」
 口元に笑みを浮かべながら、ルイズは言った。カズキもやがて、顔を綻ばせた。
「ありがとう、ルイズ」
 ルイズのこともそうだが、自分の現状も、解決策は未だ見出せない。
 どちらも、上手くいくかわからない。けれど、その気持ちは嬉しかった。
「勘違いしないでよね!あんたが化物になって騒がれでもしたら、わたしの責任になるんだから!」


 これまでの自分。これからの自分。
 じゃあ、‘今の自分’は?
 今の自分には、この使い魔が居る。自分のことを、笑わないと言ってくれた使い魔が。
『ゼロ』と呼ぶなと、叫んでくれた使い魔が。
『選択肢は他人に与えられるのではなく、自ら作り出していくもの』。
 ならば、自分も作り出してみよう。『ゼロ』と呼ばれぬ為の選択肢を。
 果たしてその選択が、間違っていたとしても、おそらくそれに後悔は生まれぬだろう。
 それに、この使い魔とならきっとできる。そんな予感がルイズにはするのだ。


「うわ、もう午後の授業開始してからどれだけ経ってるのかしら。ほら、とっとと行くわよ」
 ルイズは歩き出した。制服は煤で汚れたままであるが、気にならなかった。
「うん」
 置いていかれぬよう、カズキもその横に並んだ。


―――――――――――――――――――――――――――――――
以上です。
アレクさんってアレクサンドリアじゃなくてアレキサンドリアだったんですね
お粗末
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:04:14 ID:1GgLeOwk
お疲れ
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:17:27 ID:+/iXvCY0
DQ9
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:17:58 ID:+/iXvCY0
DQ9の主人公を償還するぜ
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:20:50 ID:wseQUMXt

なんて前向きなルイズなんだ
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:21:09 ID:m8FduIhE
達人の人乙。
相変わらず和月絵で再生されたぜ。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:21:12 ID:Qi4KBWQG
ルイズ「ン・・・一回しか言わないからよく聞きなさいよ!
好きよ、ハサ」
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:23:47 ID:+/iXvCY0
名前 たかし
容姿 金髪碧眼でサンディも見ほれるほど超イケメンで背が高い
お金 6554445G
LV 99
ステータス 全職業とスキルを習得でカンスト
その他経歴など ゼロ魔に行く前はロック歌手として全米に名をとどろかし後に政治家に転校
辣腕をふるい北朝鮮をつぶし児童ポルノ規正法とダウンドード規正法を廃案にし
大統領になる

こんな感じの主人公です。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:24:30 ID:jTyUDZsQ
>>263
……閃ハサ?
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:32:57 ID:76oY24ka
>>264
毎回毎回良くそんなひどいネタが浮かんでくるな
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:33:47 ID:1GgLeOwk
ギーシュ≒マルフォイ

マルフォイ「友達は選ぶべきだフォイ」
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:40:43 ID:VcFz0GhQ
65545ならともかく、なんで6554445なんて半端な所持金なんだ
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:42:21 ID:qFi8DHE/
そして65535でもないw
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 22:42:53 ID:pZf4/xrR
ドラコ・マルフォイはハルケギニアに来たらどう思うだろうな
いつの時機から来るかにもよるが

謎のプリンスの時は本当にかわいそうだった
追い詰められ過ぎてて
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:10:53 ID:gN4sk4BX
>>264
FF13ヴェルサス(笑)並の中二病だな君は
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:11:08 ID:K8OcxtJN
俺の記憶違いかもしれないけど以前アメリカドラマのフルハウスとのクロスオーバーって無かったっけ?
wiki見てもなかったが、どっかで読んだような気がするんだけど…
やっぱり記憶違いかなぁ
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:17:36 ID:4oXXfDXG
>>264
河村たかしなのか、長尾たかしなのか…
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:18:00 ID:gmrZ6epG
>>271
FF13のキャラが召喚されたら専門用語多くて誰も理解できんぞwww
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:18:06 ID:/thm3FFX
>>264
たかし…ご飯作ったから、かーちゃんと一緒に食べよう…ね?だから、部屋から出てきて頂戴…
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:18:20 ID:Qi4KBWQG
ガンダム野郎から天地大河を召喚
問題は何のプラモを出すかだな
農丸頑駄無は外せんが
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:23:00 ID:wseQUMXt
>>276
千生と大副将軍は外せない
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:28:27 ID:m8FduIhE
FFでふと思ったが…電撃の旅団を召喚するのはアリ?
団長とか中川さん召喚したら面白そうだが。
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:33:22 ID:pNHBrFDe
そいつらはオフィシャルとは微妙に違う気がするんだが。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:33:42 ID:EitK55bv
ネトゲのアンソロ漫画キャラ召喚したい
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/10(金) 23:50:18 ID:ixgEY/oG
避難所で投稿されたロストーワールドの二人いいなあw
こういうレゲーからの召喚は大歓迎だw

80年代レゲーでゼロ魔の世界に出て、面白そうなのは他に何がいるだろうか?

ナムコなら源平討魔伝の影清、妖怪道中記のたろすけ・・・。

カプコンなら魔界村のアーサーとかかな?
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 00:04:21 ID:9nDcxghd
カプコンならマルサの女だろう
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 00:04:45 ID:Azbmeuuy
ピーチ姫救出大作戦版ルイージを召喚
ハルケ中の埋蔵コインが奴一人の手で独占される
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 00:08:49 ID:Jo9WjQF8
パックマンとコナミマンを忘れるなよ。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 00:15:30 ID:OEaS+bJ3
>>FF11召喚

サンドリア王国が一番のネックなんだよな…
脳筋王子とか召喚させたいところなんだが…
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 00:16:52 ID:1EgWVEUo
ブロントさんがアウトなら、内藤あたりはどうなんだろう。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 00:18:52 ID:8SnCGjou
ワイワイワールド…ふとツインビーに乗り込むルイズを幻視した。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 00:39:16 ID:yhN7Yjix
ブロントとか内藤は内輪ネタすぎるだろう。
ネ実でやれ。
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 00:47:22 ID:SaHv8xyg
ネ実でも歓迎されないだろうな
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:04:32 ID:hzoeFdQD
別にいいんじゃね。
マイナーすぎる漫画やラノベまで出てんだし、今更内輪がどうこうとか。
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:07:12 ID:HxiGhViJ
マイナーでもマンガやラノベはともかく
実在の痛いゲームプレイヤーは無いだろ…
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:07:46 ID:7mviIY9e
内輪のうちはどうにもならない



いいか決しておやじギャグじゃないからな
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:08:14 ID:NODK/Kjx
いいわけねーだろアホ
荒れる原因になるようなもん奨励すんなカス
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:10:29 ID:hzoeFdQD
カスとか煽り口調はやめようよ、荒れる原因になる。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:11:55 ID:HxiGhViJ
>>294を見た何人が「お前が言うな」と思っただろう…
それは誰にも分からない
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:13:33 ID:1EgWVEUo
ブロントは実際のプレイヤーだからアウトとして、内藤はある意味創作面が目立ってるキャラだからどうなのかなと思ったんだ。内藤スレとかな。
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:14:07 ID:7mviIY9e
今放送中のメイド刑事召喚


文字じゃあの棒読みが再現できないな…
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:18:27 ID:aXjFzRdq
>>281
メトロクロスなら小ネタにある。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:20:50 ID:Azbmeuuy
ボトムズよりメロウリンク召喚
破壊の杖はパイルバンカー
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:24:37 ID:6iDwyIk0
ん? 投下するの?
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:25:24 ID:KEv8LPYt
>>299
対ATライフルじゃないのかw
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:36:43 ID:yVgfC+O2
ブロントさんは公式でもエイプリールフールネタとして出てきたことがあるんだぜ
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:43:13 ID:IGSSMYxF
そのエイプリルフールネタ以外から参照にしたらアウトだろうけどな
それ以外は公式でも何でも無いわけだし
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:48:57 ID:6iDwyIk0
公式だろうがなんだろうが“荒れるからアウト”でええやんか大したネタでもなし
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 01:50:56 ID:O8pptkXp
荒れる以前に、三次創作紛いだからアウト
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 02:03:48 ID:Hco8ZB+l
小ネタならアリかも知れんが……
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 02:03:50 ID:SGCUOjOO
FFXIから呼ぶんなら小説キャラメインにしとくのが無難だろうね
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 02:14:27 ID:t87ruoXJ
ゼロ魔は荒れるからアウトな(キリッ
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 02:33:06 ID:adJOrR4m
>>281
アーサーの武器がたいまつとかだったら、
ルイズ涙目どころじゃないな。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 02:44:45 ID:CfFKoLlo
>>309
いいじゃないか、たいまつぐらい。
むしろイチゴパンツで出てこられたほうが問題だろ。
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 03:04:59 ID:9RsueQQu
カプコンか、ブレス・オブ・ファイアはいつYが出るんだろう。
ブレスキャラならルイズの使い魔はUニーナが一番理解者になれるかな。でもリンプーも捨てがたいな。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 03:06:06 ID:SeUqpJlL
むしろ一発喰らっただけで骨になる方が問題じゃないかと
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 06:17:41 ID:E0xkQFua
>>311
6は出ないとカプコンの偉い人が言ってた。
Uだったらタペタあたりが話を作りやすそうな気がする。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 08:35:49 ID:S4K2XFHe
カイザーナックルからジェネラル参戦とか…どう見てもぶち壊しです。本当に(ry
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 08:51:56 ID:npx2YZEc
>>312
パンツ一丁の怪しいおっさんが落とし穴に落ちたので、穴を覗いて無事かどうか確認しようとしたら、
そこにおっさんの姿はなく、ただ白骨死体があるだけだった……

軽く怪談だよなw
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 09:04:56 ID:X3X60Y+n
>>315
探検家風のおっさんが敷居で躓いて身体が細切れになって消滅とかも
見た奴は何がなんだか分からなくなるだろうな
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 09:11:48 ID:g2m97db2
エイブaGOGO!からマドカン族のエイブ召喚








さあ!喜劇のスプラッタ大冒険が始まるぞ!!(主人公が)
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 09:25:18 ID:1KOD2TaF
>>311
ガーランドあたりがいいんじゃないだろうか
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 09:31:36 ID:aQiB12D7
>>311
ディース、ミリアもいいんじゃないか。他には5ボッシュも
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 09:42:39 ID:2p6809Gm
11から呼ぶなら野百合さんとかダヴィル卿とかハルヴァとかクリルラの親父さんとかいるじゃないか
マートを呼んで鍛えなおされたりもいいかも分からん
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 09:54:30 ID:X3X60Y+n
>>318
分かっているのに先に東京レプリカのバイクが出てきた俺
ハルケギニアに漂着してコルベールが変形誤作動させて挟まるとこまでは容易に想像できる
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 09:54:52 ID:sp0i2s1y
連邦の黒い悪魔は・・・・さすがにヤバいか
何回も国が滅ぶか・・・・
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 10:33:42 ID:ymCbnq4T
>>315-316
死ぬたびに章の最初まで戻されてルイズだけ
「今アンタ死んでたわよね!?」とか「戻った! 今間違いなく戻ったでしょ!?」
とか言いだして、可哀想な子扱いされるのが思い浮かんだ
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 10:48:15 ID:yhN7Yjix
>>320
そのあたりのキャラってセリフも少ないし、キャラがよくわからん。
設定本持ってるくらいのコアなユーザーでゼロ魔がわかるって少ない気がする。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 10:49:45 ID:SeUqpJlL
イースIIIから
史上最強のヒロインことエレナを召喚とか
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 11:01:07 ID:jD9qF2qP
孤独のグルメから井之頭五郎を召喚したらおもしろそうじゃね?
問題はご飯の有無だが
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 11:05:57 ID:sp0i2s1y
麦ご飯で足りるだろ、多分

輸入雑貨の貿易商だからそこそこの才覚もあるだろうし、
祖父直伝の古武道の覚えもあるから強そうだ
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 11:41:44 ID:czi3C9Ie
ゴクドー呼ぶならアニメ版が良さそうだ
魔剣呼べる程度の能力だし、あのキャラの良さは「数奇な運命」とかで最後に痛い目に会うところだしw
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 11:45:56 ID:EmCKNaBF
しかしゴクード召喚
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 12:01:10 ID:1MzNFsC6
ゴクドー君も
女→じじい→ルーベット→赤ん坊→うんこ
と話が進んでいくうちに呪いで色んなもんに変身したなw
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 12:14:48 ID:7Hr8f/Mu
ボツネタ
『ゼロから夢をかなえるゾウ』
ルイズが召喚したのは、変なゾウみたいな自称・神様の『ガネーシャ』だった。

「なめとんの!? 使い魔って、自分神様なめとんの?」
「い、いえ、そういうわけじゃ……」
「それだからいつまでもゼロのまんまなんやで。悔しくないんか」
「……悔しいわよ」

「自分がワシ呼び出す前に教えた子で、すごい子がいたんやで。
自分と同じ、なーんもできんかったんや。それが今や、建築の世界でな……」

「靴、みがけや」
「は?」
「せやから、靴、みがけ言うとんねん」
『靴を……みがく? 何を言い出すわけ?』
しかし、ガネーシャは平然と話し続けた。
「ええか? 自分が学校の授業行く時も、外に買い物行く時も、
自分がパーティー行ってバカ騒ぎしてる時も、靴はずっと気張って支えてくれとんのや。
そういう自分支えてくれてるもん大事にできんやつが成功するか、アホ!」

ガネーシャの課題
靴をみがく

うまくまとまらず、やめました。
どなたか、書いて下さる方はおられませんか?
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 12:26:27 ID:oo246JVt
避難所に専用スレがあるからそっちへゴー
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 12:29:06 ID:v4mEXscF
マイメロディのところの王様思いだした
昔は有能だったのに坂を転げ落ちるように堕落したよなあの王様
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 13:03:04 ID:jD9qF2qP
アキンドーって主人公だよな?
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 14:27:12 ID:6iDwyIk0
いやダチョウだよ
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 14:27:35 ID:oZGe3CBu
>>334
アキンドーもヒーローもルーベットも餃子三兄弟も主人公。
ウンピーナもね。
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 14:40:42 ID:2p6809Gm
>>322
じゃあ弱体前の白い悪魔を呼んでみるとか
寝かせときゃ基本無害だし
>>324
トリビューンとかあるから何とかならんかな
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 15:00:59 ID:10RgTNJM
外道主人公ならハーメルンのヴァイオリン弾きのハーメルとか……

あっと言う間にルイズの寿命が尽きて終了しちまうか
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 15:12:12 ID:IGSSMYxF
地獄の筋肉痛を引き起こすうえに三年寿命が減るんだっけ?
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 15:25:02 ID:npx2YZEc
アニメ版は別人だから、召喚する時は注意するべしw>ハーメル
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 15:26:06 ID:H/aAPvm5
>>340
アニメの方ってDVDとかでてるの?
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 15:34:40 ID:fDEoEbpk
>>314
たまには良いではないか。夢、憧れ、それらを手ににするための努力を彼女はしたんだ。
尖兵が使い魔になる?
ふっ、子供じみたおとぎ話だ。
だがこんな世の中、おとぎ話が現実になってもいいとは…思わないかね?
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 15:42:25 ID:IGSSMYxF
>>341
BOXが出てるよ
レンタルであるかはしらない
アニメ版は「原案 ハーメルンのバイオリン弾き」って感じで殆ど別物だけど、
一度は見てみてもいいかもね

となみに、ケストラーとパンドラの関係は断然アニメの方が好きだな、俺は
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 15:54:04 ID:eFEdLrTz
アニメ版は原作とまったく違うからなあ。
原作はギャグがあったからあれだが、実際は相当シリアスで鬱な話だからギャグでバランスが取れてたとこがあるからな。
アニメ版はシリアス一直線だったから、凄い暗くて重い話だった。
歌は好きだが・・・特にOP2の未完成協奏曲。

ケストラーは作者自身が、早く死なねえかなこいつとか思うくらい嫌なやつに描いてたんだよな。
アニメは望まずに魔王になってしまったって感じだった覚えがあるが・・・原作だと・・・ある意味、最悪の結婚詐欺だもんなあ。
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 15:58:01 ID:icpFzSmz
ディケイドライバーを無資格者が使おうとするとどうなる?

○弾き飛ばされる
○何も起こらない
○無資格者が死ぬ
○無資格者が怪物化する
○理想の体型に変身できる

さぁミス・ヴァリエール、実験タイムだ!
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:09:51 ID:czi3C9Ie
> ハーメル
第一話早々、マリコルヌの使い魔をヴァイオリンで呼び寄せて晩御飯にしそうだ…
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:23:21 ID:h/bvtQQg
ディエンドには外道衆も変身できるみたいだし
ディケイドライバーも資格要らないんじゃない?
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:27:36 ID:D/yHqv3K
仮面ライダーWって昭和テイストのデザインね
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:27:52 ID:8SnCGjou
グランセイザーからチーポ君召喚…
ルイズがグランセイザーに変身、サポート役がキュルケとタバサとシエスタ…違和感無いなw
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:48:19 ID:rvoXqwQy
灰化するかもしれないから、まずはマリコルヌで試そうぜ
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:53:10 ID:6ZyVa2ZO
美形化したら個性なくなるしそれ以外じゃ悲惨だし
もう踏んだり蹴ったりだな
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 16:57:51 ID:R1s2f1uM
>>349
問題はルイズには魔法少女とかメタルヒーローを知らんからグランセイザーの外見に違和感覚えず大喜びしそうなとこだな
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:17:06 ID:/OpY41nI
SF作品とのクロスオーバーを考えてみた

スターウォーズのハンソロとチューバッカが
ミレニアムファルコンと共に召喚される
ソロが帝国の検問を振り切ろうとして
ハイパードライブに入ったが座標をセットする装置が壊れてしまい
トリステインにたどり着く

354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:28:36 ID:eFEdLrTz
スターウォーズはご先祖様だぞ。
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:37:58 ID:aQiB12D7
>>349
それグランセイザーやない。トランセイザーや
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:41:22 ID:5aw0+8OC
ハリーポッターとのクロスSSは何故無い?
クロスしにくいのか、クロスしたくないのか。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:44:41 ID:6psWLHZt
ハリポタって面白いの?
一巻序盤で挫折した人間が言うのもなんだが。
映画とかのあらすじとか見る限り
悪い意味でこてこての王道ファンタジーというイメージなんだが。
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:45:13 ID:BE5JtGHu
ダースベーダー召喚がこのスレの元祖なんだよな

ハリーポッターは単純にめんどくさいからじゃないか
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:51:58 ID:zS152bW6
>>357
途中から、悪い意味で王道をはずして、gdgdになる。
ついでに言うと、トールキン風の世界を求めている、本格派ファンタジーになりきれないのに、
中途半端にそのあたりを引きずっているあたりが、非常に微妙すぎる。
電子部品が使えないという設定で、現代+ファンタジーにした意味を完全に殺していたりと、いろんな意味でだめな設定が多い。

そのあたりを抜きにして、ストーリーだけを語るのなら、ラノベとしては及第点程度は与えられるんじゃない?
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:54:38 ID:yhN7Yjix
ハリポタは翻訳の評判が悪いってことは聞いた。
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:55:16 ID:oo246JVt
日本のファンタジーは頓狂で、やっぱりライトですから。
所詮借り物ですよね。
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:56:20 ID:0n7N7sYN
>>357
ぶっちゃけ大した事ない
いろんな意味で軽かったから売れただけじゃないかと思ってる
ハリポタより面白い児童向けファンタジーは洋の東西問わずにいっぱいある
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:56:56 ID:H/aAPvm5
>>357
原作をゴブレットまで、映画は二作目まで見たけどそこそこかな
原作は面白い
映画は話削りすぎて超微妙
ただはーマイオニーがかわいい

ハリポタは杖のデザインとか魔法学校とかゼロ使で使われてるネタもある希ガス
向こうではこういうラノベッぽいのは新鮮だったんでわ
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:03:53 ID:KnLn0oZw
ハリポタ好きなのは俺だけか
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:04:04 ID:5aw0+8OC
才能あれど己の生まれにコンプレックス持ってるトム・リドルと、
生まれは良くとも自分の才能にコンプレックス持ってるルイズは
良い対比に成りそうなんだがな、ハリポタのどのキャラを召喚しても。

トム・リドルのキャラクターだけじゃなく、魔法使いを世の支配者とする社会を
創ろうとしているのが悪玉というか“敵”の役割であるハリポタの世界観と、
メイジ=魔法使いが世を支配していて、主人公側がそのメイジサイドである
ゼロ魔の世界観+設定も「対比」になって、話を造り易い気がするんだがな…………



>>358
元は姉妹スレの奇妙な使い魔スレから派生したんだけどな、このスレ。
一番最初のゼロ魔クロススレはベーダー卿のかもしれんが。
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:04:21 ID:RA12ewe4
日本のファンタジーというと……太閤記?
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:04:41 ID:BE5JtGHu
ハーマイオニーは原作だと3巻か4巻まで出っ歯のブスなんだぜ
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:07:00 ID:H/aAPvm5
>>367
マルフォイフォイだかに呪いかけられて前歯えらいことになって
戻してもらうときにちょっとだけ多めに戻してもらったんだっけか
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:10:44 ID:5aw0+8OC
2ちゃんのフォイネタはやめようぜw
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:14:56 ID:zS152bW6
>>363
4巻までは色々とあっても面白いと言えるんだけどねぇ。

魔法のルールがゼロ魔以上に投げやりなのと、戦闘が激しく単調なのが、クロスさせにくさの原因だと思う。
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:18:18 ID:H/aAPvm5
>>369
黙るフォイ!とか?
372名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:19:10 ID:czi3C9Ie
つかサイトが一巻で「魔法学院」「全寮制」「素晴らしい」「そんな話が」←とかこんなこと言ってたのはハリポタのオマージュだからじゃないのか?

一昔前のマルフォイはネタとして愛されていたけどなw
http://tamasoku.blog35.fc2.com/blog-entry-481.html
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:23:29 ID:H/aAPvm5
吹き替えの「プォッタァ〜」とかもネタにならんか
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:26:57 ID:BE5JtGHu
大抵はエクスペリアームズ一発で勝負決まるしな……
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:28:52 ID:9nDcxghd
ハリポタ系オマージュなら、MAW3のライルが使いやすそうだけどな。魔法が使えて、名字持ち。制服姿は学者チックか?

あとハーメルならオカリナかオーボゥが良さげ。どっちにしても対七万は無双になりそうだが
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:30:56 ID:H/aAPvm5
>>375
無敵の適役が弱体化して仲間になったキャラなんかは、基本強くて無双にならないいいバランスだと思うんだ
マテパのジール・ボーイとかどうだろう
377名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:35:33 ID:IGSSMYxF
ジルさんは弱体化した状態でも無双可能なレベルかと
メテオン圧倒してたし
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:36:45 ID:czi3C9Ie
ガンガン勢か。
ガンダになって喜びそうなモンスターズ+のクリオとか。普通の少年だけど彼、勇者志望だし
彼ならオークを仲間にしようとしたりするんじゃないだろうかw
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:45:34 ID:9nDcxghd
もしくはパンツァークラインのブリュンヒルド(レヴァンティン)を召喚するとか。
ゼロ魔は北欧神話の名前流用してるから、神具を手に入れたと歓喜するか剣を召喚したと悩むかのどっちかになりそうだ
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:46:58 ID:lqLhMPeW
>>374
ハリポタ魔法はハルケギニアの魔法と違って
ワンスペルで発動できるからかなりチートじみてくる気がするな。



セクタムセンブラとかクルーシオとか危険すぎる。
インペリオに至ってはアンドバリの指輪とほぼ同等だし…
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:50:58 ID:OyBCwNuP
ジール・ボーイ片腕無くした状態でも万全の状態と同じぐらい鍛え直してるような
まあ万全に戻ったらさらに強くなるだろうけど
382『ゼロの戦闘妖精』 :2009/07/11(土) 18:51:23 ID:o12FV1dX
『ゼロの戦闘妖精』の作者ですが、どうも筆が進まないので 別件の小ネタを書いてみました。
「被召喚者の正体は?」と言うタイプの話ですから、モトネタは秘密にさせていただきます。
 タイトルは、【『右手』のガンダールブ 】
五分後に投下します。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:54:40 ID:5aw0+8OC
>>380
日本語訳だと、カナ表記の呪文の後に命令形の口頭語の
呪文が付くが、原作じゃカナ表記呪文だけなんだよな確か。


スネイプ召喚してみたいなあ………
384『右手』のガンダールヴ:2009/07/11(土) 18:56:50 ID:o12FV1dX
『右手』のガンダールヴ
「ルイズが平民を召喚したぞ!」
爆煙の中から現れたのは 少年だった。
白地に緑のラインが入ったシャツに 同じく白のデニムズボン。
年の頃は高校生くらいの デイパックを背負った少年。
疲れ果てたように 眠っていた。
彼が、『母親の顔と身体を乗っ取った怪物』と戦ったばかりだと知る者など 誰もいない。
そして 正確には『彼』ではなく、『彼ら』であることに気付く者も…

前例の無い「平民の召喚」であっても、学校のカリキュラムの一端である『召喚の儀式』を取りやめるわけにも行かず、
目覚めた少年の意思を無視する形で「コントラクト・サーヴァント」は続行された。
ルイズは呪文を唱えた。ここまではイイ。だが 契約を完成させるためには、相手に口付けをしなければならない。
出会ったばかりの少女にキスを迫られ、少年は近づくルイズの顔を押しのける。その際 右手が僅かに唇に触れた。
突然 右手の甲が輝き、そこにルーンが刻まれる。『契約』は成立した。
事情の全く判らない少年の方は当然として、ルイズも驚いていた。
(私… まだ『キス』してないのに!)
「コントラクト・サーヴァントは 一度で成功したようですね。」
ルイズと少年が密着していたため、担当の教師や他の生徒達からは キス出来た様に見えたらしい。
「ほう、これは珍しいルーンですね。ちょっと 書き写させてもらいますよ。」
珍しいことは間違いない。なにせ 伝説の使い魔『ガンダールヴ』のルーンなのだから。
この教師 コルベールは、後にルーンが何であるか突き止めた際に 首を捻ることになる。
(はて、ガンダールヴのルーンは、左手のハズでは…?)

その晩 ルイズは自室で 使い魔となった少年に、実に多くの事を説明せねばならなかった。
少年は、ハルケギニアにおける常識的な知識を ほとんど持ち合わせていなかったからだ。
説明に頻出する『魔法』と言う存在、そして 窓から見えた二つの月に、少年はここが『異世界』であることを理解した。
(父さんは きっと心配してるだろうなぁ。
 でも、母さんの仇は討ったし、ここなら もう あのバケモノ達に関わらなくて済むだろうし…)
「ちょっと、アンタ ちゃんと聞いてるの?
 そういえば、まだアンタの名前って 聞いてなかったわよね。」
「ん〜、『シンイチ』でいいよ。
 で、ルイズさん、だっけ?」
「シンイチ!
 アンタは使い魔なんだから、私の事は『ご主人様』って呼びなさいって言ったでしょ!」
「それなんだけどね〜。
 貴女が契約した『使い魔』って、たぶんオレじゃないよ。」
「そんなはずないわ!ちゃんとルーンだって刻まれたし!」
そう言ってシンイチの右手を掴もうとしたルイズ。
だか、『右腕』は ありえない角度でグニャリと曲がり、ルイズの手をすり抜けた。
「なっ、ナニよこれ!?」
右腕は傍らの机の上まで伸びて、先端に粘土の様な塊が出来た。
塊から、申し訳程度の短い足が生えた。
頂点から ひょろりと伸びた触手が生え、触手の先にはギョロっとした目玉が出来た。
胴体には 不釣合いに大きな唇が現れた。
その「何か」を指差して、口をパクパクさせるルイズ。
二人?の視線が合った時 ソレは言った。
「やぁ 『ご主人様』。
 私が 君の使い魔、『ミギー』だ。
 シンイチ共々 宜しく頼む。」
残念ながら ミギーの挨拶は、気絶したルイズには届かなかった。
           END
(『寄生獣』から ミギーとシンイチを召喚)
385『右手』のガンダールヴ:2009/07/11(土) 18:57:30 ID:o12FV1dX
終わりです。
尻切れトンボなのは、出来れば長編で仕上げてみたいからで これはプロローグみたいなもんです。
偽母を倒した直後の 多少厭世的な精神状態なので、望郷の念は余り強くないはず。
ミギーが強いのはもちろん、シンイチも心臓リペア後なので、単体でもハイスペック。
使い魔のミギーと 準・使い魔的な位置になるシンイチ、二人とルイズの関係など、書ければ
面白くなりそうな要素は多いんですけどね〜。

でも 書けるとしたら、『雪風』を終わらせてからって事になるんで、いつになるやら…
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:01:53 ID:5aw0+8OC
>>385
乙!

『右手』というワードから何となく予想はしていたが………
確かにそのころの慎一の性格って寄生生物よりの、虚無的なものだったよね。
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:03:36 ID:nxPXQwtn
乙。ミギー&新一は胸のルーンの方が面白そうだ。
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:03:58 ID:Y7YLuEh9
つーかミギーがそんな簡単に正体現すかな?
……ルーン効果?
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:04:24 ID:czi3C9Ie
お疲れ

1日で日本語を覚えられるミギーなら次の日にはルイズの本棚からハルケの言葉を覚えていそうだ
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:11:31 ID:zS152bW6
あるいは、周囲を見てミギーのような存在も珍しくないと判断したのかも。
人間に擬態した、粘性生物の一種とした方が通りはいいかも。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:13:13 ID:rvoXqwQy
>382
>『ゼロの戦闘妖精』の作者


誰?
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:13:57 ID:i0XHIDjH
シンイチか……あの話は結構好きだった。ミギーは全身武器のようなものだし、鬼に金棒かな。
シンイチとミギーはこの時点で互いに分身みたいなものだし。
かなり面白そう。雪風も楽しみにしてますよ。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:15:27 ID:Y7YLuEh9
>>390
そういう解釈もありか

……好きな作品だと細かい事が気になってしまうんで、>>385氏はあまり気にしないでほしい
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:20:28 ID:5xyx3o3V

寄生獣だったら元からガンダールヴ以上の高速戦闘が出来るだろうけど、
自分の体で戦ってるかぎり「武器を使いこなす」という変な制約は満たさないかな。

まあデルフ掴んで半径5メイルくらいで振り回せばいいんだが。
なんか鬼のように強そうだ。
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:22:34 ID:2p6809Gm
寄生獣は知らないから何とも言えないが、戦闘妖精の方は楽しみにしてるんだぜ
無理しない程度に頑張って欲しいのだぜ
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:23:56 ID:rvoXqwQy
○○の作者なんて自己紹介するのは、代表作として自信がある書き手だけにしとけよ

見てきて後悔した
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:29:01 ID:n5oD1njY
まぁとりあえず毒吐きに行け
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 19:33:26 ID:8H7JlqX0
戦う司書がアニメ化するみたいだな。
黒蟻の人帰って来ないだろうか。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:00:35 ID:10RgTNJM
>>379
武装精霊って波長の有った人間に寄生するんじゃなかったっけ?

主人公一緒に召還しないとルイズは戦えないし魔剣に支配されたら女の子のパンツ見て正気に戻るとか出来なくて展開に困りそうな気がする
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:18:32 ID:v4mEXscF
武器に変形する人間っていうと『EREMENTAR GERAD』とか?

あとは…ディバイン・ブレード召喚
ただし『絶対隷奴』から
18禁ネタになるから避難所行きになるけど
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:37:49 ID:E0xkQFua
あ、いや避難所でも18禁ネタが無理だということが判明した。
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:53:08 ID:Azbmeuuy
>>400
魔装機神からリューネが来たかとオモタ
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:53:47 ID:1MzNFsC6
ワルドが遍在使おうが一瞬でバラバラの肉片に瞬殺されないかw
シンイチ一人でガンダルーヴ並みの身体能力なのに
ミギーはその数倍の速度とパワーで動けるからな

寄生獣は絵は古臭いけど
是非読んでもらいたい作品だ
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 20:58:43 ID:9nDcxghd
>399
貴典に憑依した時が流星状態だったから、憑依直前でゲート出現→ルイズに直撃のパターンなら行けそうな気がするんだが。
レバ→ブリはルイズの虚無覚醒に合わせる感じで徐々に徐々に変化。
最初は両手持ちしても反応なしで、ワルドに対する殺意でレバ暴走とかさ。
貴典は妹と植物人間状態の母親が入るから、絶対に使い魔なならないだろうし
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:00:17 ID:Y7YLuEh9
>>403
ミギーだとフーケなんて知らね、アルビオンなんて行かねとか言いそうだな
(基本的に自分と新一の身を守ることのみを最優先だし)
新一といかに理想的な関係を築けるかだが、その新一もヤサグレ気味な頃だし
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:08:18 ID:czi3C9Ie
ミギーがルイズに「殺すことはできないにしろ視力を奪うことくらいはできる」ぐらいの脅しはやりそうだな

そういえば寄生獣の作中最強に近い田宮の召喚はどうなったんだろうな
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:11:37 ID:7mviIY9e
みんな怖くないのか…
ミッ

うわぁなにするやめ
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:20:34 ID:sp0i2s1y
>>406
最古の完結の長編(三話だが・・・)であった筈
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:27:37 ID:Azbmeuuy
愛と勇気は言葉
ルイズ、オーバーヒートだ!
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:41:01 ID:lqLhMPeW
そういやアナ姫召喚なんてのもあったな。
大分前から音沙汰無しだが。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:41:04 ID:czi3C9Ie
>>408 最古の方はなぜか排除されていたんだよ…
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:53:24 ID:1MzNFsC6
>>405
自分の命さえ無事ならいいから
下手したらルイズの殺害すら視野に入れるのがミギーだからな
知能のある昆虫みたいな連中だし
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 21:53:57 ID:dpsldHSi
寄生獣だったら、最初のミミズ状態で召還→ルイズの右腕に寄生でも
おもしろいかも。
ミギー「ルイズ、君の女性器をピーさせてみせてくれ」
ルイズ「ちょ、馬鹿やめ・・・!」
キュルケ「あの子アレと会話してた?」
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:01:43 ID:czi3C9Ie
モット伯についた寄生獣が平民をさらっては行方不明にさせるのか…
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:07:04 ID:vy0CYhr7
ミギーたちのことを「寄生獣」って呼ぶ男の人って…
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:12:00 ID:1EgWVEUo
ふと思ったんだが、ギャバンとデカレンのボスって同僚だったんだよな?それならユーゼスも面識ありそうだよな。
どうでもいいか。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:17:44 ID:fILR1b9G
>>416
面識は無いんじゃないか?ユの字が知ってても不思議はないけど。
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:24:07 ID:74KT1OL0
>>416
そんな裏設定があったのか
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:27:57 ID:Jo9WjQF8
トランスフォーマー実写版やビーストの、プロトフォームセイバートロニアンが来たらどうなるんだろう。
ルイズをスキャンして美少女型になるのか?それともコルベールか?
スタスクあたりだと空を飛べそうなシルフィードか。

【ビルドロンは校舎をスキャンしたという】

>416
まあ、映像公式じゃなくて、あくまでもステージショーでの話だがな。
しかし、世間様に流布しちゃった以上美味しすぎて捨てられないのは確かだ。

で、どっちが来ると言うのだね?
ギャバンだとして、宇宙刑事のかね?警視総監のかね?
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:29:08 ID:6psWLHZt
長谷川史観が公式化したのか・・・・・・
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:29:29 ID:BSA2y2Lt
デカレンのボスは召還されたらルイズ的には当たりなのかな
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:30:03 ID:E0xkQFua
いや、たしか遊園地のショーの設定だったと記憶してる。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:38:21 ID:74KT1OL0
でもデカベースがないと変身できないな
あのスーツはデカベースから送られてくるものじゃなかったっけ?

>ボスとギャバン
公式か非公式か怪しいネタなのか
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:41:59 ID:1EgWVEUo
ディスガイア的な感じで別世界=別の惑星みたいな感じにすれば行けるかもしれんね。
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:45:12 ID:Jo9WjQF8
>423
大丈夫、ボスはスーツ無しでも強いから。
ショットガンで狙撃しかねないボスだし、黒色火薬の前装銃でレキシントン中破位までは……

 【ボーディングした方が確実である】
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:53:17 ID:74KT1OL0
>>425
そういえば銀河一刀流の正当後継者だったな
ガンダルーンとの相乗効果で恐ろしいことに
427SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/07/11(土) 22:56:45 ID:fILR1b9G
どうも。スコールのです。
他にいらっしゃらなければ11:00より投下したいと思います。
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:56:49 ID:BhXpHHD+
ミギーはとにかく徹底的に理詰めで考えるからなぁ、いやまあ寄生生物は全般的にそうなんだけど。
「『罪』だとか『生きる権利』だとかそういう人間の概念なんて知らんよ」とか割と平気で言うし、ルイズとは相性が悪そうだ。
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 22:58:09 ID:sp0i2s1y
事前支援
430SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/07/11(土) 23:00:00 ID:fILR1b9G
intermission 01 The Loser


 スコールが、タルブでラグナロクを手に入れる一月弱前のことである。
 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、学院女子寮内の自室で幼なじみの訪問を受けていた。
「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね」
 そして彼女から、直々に命を受けた。
 率直に言って、嬉しかった。
 使い魔召喚の義で、召喚した平民に逃げられてからというもの、ルイズへの風当たりはますます強くなっていたのだ。そんな自分が、幼なじみの窮地を助けられるのだと思うと胸が躍った。
「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ」
 そして彼女は、自ら志願してきた学友や、手助けを申し渡された許嫁と共に戦地アルビオンへと向かった。
「朝がた、窓から見てたらあんたたちが馬に乗って出かけようとしてるもんだから、急いでタバサを叩き起こして後をつけたのよ」
 その旅は決して順調とは呼べず、腹立たしいツェルプストーの介入や敵方に雇われたと思しき傭兵達の襲撃もあった。
「このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ、成功とされる」
 それでも、死力を尽くして戦場を駆け抜けて、やっとの思いでアルビオン向けのフネに乗った。
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
 空賊につかまってしまい、もはやこれまでかと思いきや、予想よりもずっと早く目的の人物に会うことも出来た。
 良かった、これで幼なじみの姫様の手助けが出来る。そう思ったのに――
「私は王族だ。嘘はつかぬ。姫と、私の名誉に誓って言うが、ただの一行たりとも、私に亡命を勧めるような文句は書かれていない」
 だんだん、おかしくなっていったのだ。
 ウェールズは何故か逃げようとしなかった。
「今から結婚式をするんだ」
 そして、許嫁もおかしな事を言い出した。
 なぜ、その異常さに気づけなかったのか。
「そうだ。この旅における僕の目的は三つあった。その二つが達成できただけでも、よしとしなければな」
 気づいたときには、何もかもが遅かった。


 あれから一月が過ぎた。
 任務の内の二つ――ウェールズ皇太子の暗殺と手紙の強奪――が達成できただけでもよしと言いながら、ルイズの『元』婚約者ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵は、ルイズを手放そうとはしなかった。
 レコン・キスタ内部での地位をフルに活用し、ルイズに個室を与え、目一杯にもてなした。まるで、そうすればいつかルイズが振り向くとでも思っているかのように。
(冗談じゃないわ)
 国を裏切り、陛下と姫様の信頼を裏切り、そして自分を裏切ったワルド。
 何故に好意を抱けるのか?
 ……もし、ワルドが『ストックホルム症候群』の事を知っていれば、ルイズに対しての扱いもまたもう少し違ったモノになっていただろう。
 杖と行動の自由こそ与えなかったモノの、過度のもてなしはルイズの緊張感を緩めていた。
 そうした精神的な緩急がつけられたからこそ、何の訓練も受けていない少女でも、憎しみを心の糧にして精神が折られずに保っていられたのだ。
431SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/07/11(土) 23:01:02 ID:fILR1b9G
 牢獄に繋がれ、常に心を責め苛まれていれば、ワルドが説得のため語るレコン・キスタの理念に転んでいたかもしれなかった。
「やぁ、僕のルイズ。今日は良い知らせがあるよ」
 だから、にこやかに笑みを浮かべながら近づいてくるのを見ても、フンとそっぽを向く。
 まぁ、結局はいつも頭に血が上ってワルドを怒鳴りつけることになるのだが。
「実はね、今日はこれから里帰りをしようと思うんだ。君と一緒にね」
「里帰り?」
「そうさ、君もそろそろ帰りたいだろう?トリステインへ」
 どういう事なのかと尋ねる間も無く、ルイズ専属となっていたメイドに出立の準備を整えられ、馬車に放り込まれた。
「ワルド!里帰りって何なの!?」
 馬車内で隣に座ったワルドに詰め寄る。
「君も知っているだろう?アンリエッタ王女が婚礼の儀を上げようとしていたことを」
「!」
 そう、だからこそ自分はここまで来たのだ。
「そして今回、我々神聖アルビオン帝国からも参列者を出すことになってね、僕もその一員に選ばれたんだよ」
「あなたは……!よくも恥ずかしげもなくそんな事が出来るわね!」
「そう怒らないで欲しい、ルイズ。それを口実に、こうして君を連れ出して故郷への凱旋も出来るのだからね」
「フン、凱旋ですって?トリステインに帰ったところで、あなたに向けられるのは罵倒と侮蔑だけだわ!」
 そうはならんさ……口には出さずワルドは心中ほくそ笑んだ。


 その日の内に二人はレキシントン号に乗船した。
 引き連れる艦隊の数があまりにも物々しすぎるのではないかと思えたが、げせんな反乱組織はこうして示威行為をしなければ保てないのだろうとやや見下して納得していた。
「ほら、ルイズ。迎えのトリステイン艦隊が見えてきたよ」
 何の意図があるのか、甲板に連れ出したルイズにワルドがそう言って指し示す先には、懐かしい王家の意匠を刻んだ艦隊が整然と近づいていた。
(何としても、この機会に逃げ出さなくてはいけないわ……)
 自分がレコン・キスタに囚われていては、アンリエッタ姫が存分に攻撃できない。と思ってしまうのは、ルイズの自己過大評価である。
 国を治める立場の者となれば、私的な縁は無視しなければならないものだし、もしアンリエッタがそう思っても『鶏の骨』マザリーニ枢機卿辺りは、手心を加えることなく攻撃を命じるだろう。
 だがそれでも、この機会にレコン・キスタから逃げだそうという気概は、正しいことだ。
 ……既にしてトリステインでは死んだ者として扱われている彼女を助けようと意図的に動く者など皆無なのだから。
「さて、ではそろそろ始まるかな」
 不敵な笑みをワルドが浮かべる。
 どおん、と歓迎の礼砲をトリステイン艦隊が上げるのに併せて、レコン・キスタ艦隊の一隻が火を噴いた。
「な、何!?」
「トリステインからの砲撃だよ」
「ほ、砲撃!?そんな、だって今のは礼砲で……」
「ああ、もちろんそうだろうね。今のトリステインに、レコン・キスタへ戦争を仕掛ける程の力は無い。だが、その礼砲に併せてこちらの軍艦がああして一隻落とされたのだ。開戦へ持ち込むには十分な理由だろう?」
 したり顔でそう頷く。
「ひ、卑怯だわ!フネを自爆させて、その罪をトリステインになすりつけるだなんて!」
「ルイズ、覚えておくと良い。歴史とは常に勝者によって作られるんだ。そして、常に力ある者が勝者となる」
 ルイズは、悔しげに元婚約者を睨み上げるしかなかった。
(ああ、姫様、申し訳ありません!任務も果たせず、今こうして迫りつつある危機をお教えすることも出来ないだなんて……!)
 心の中では謝意を述べながらも、ルイズは未だにこの自体の本質を理解しては居なかった。
 もし、彼女が正確に事態を把握していれば、ワルドには批難ではなく、家族の助命を訴える言葉を投げかけていただろう。
432SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/07/11(土) 23:01:58 ID:fILR1b9G
 エスタ大統領執務室。
「ジャンクションレーダーの開発状況は?」
 ラグナの問いに、補佐官のウォードは申し訳なさそうに首を振る。
「はかどってないか……ああ、オダインのじいさんがいればなぁ!」
 彼の行方は既にスコールと同じ方法で掴んでいる。
 ……やはりというか、同じ土地に居るらしい。国は違うようだが……
 ただ、意思の疎通が出来ないために、こちらの状況を伝えることも出来なければ、もちろん知恵を借りることも出来ない。
 そもそも、どうもあちらの魔法に興味津々のようで、帰ろうとするそぶりがほとんど見られないとの事だ。
 現在オダイン魔法研究所の所員達は、オダインの残した『ジャンクション・マシーン・エルオーネ』の基礎理論を元にして、エルオーネの『接続』先を調べるレーダー、引いてはそこへ繋げるための装置を作成しようとしているのだが、状況は芳しくないようだ。
「せめてジャンクション・マシーン自体は完成させて、エルオーネの負担を軽くしてやりたいんだが……」
 義娘と息子に苦労を強いる自分は、一体何なのだろうとラグナは苦い顔をした。
(まだあいつには、パパとも、父さんとも、クソ親父とも呼ばれてないんだ……そんなんで……そんなんで……)




前々から、このタイミングでルイズの話を入れようとは思っていたんですが、先週の皆さんの反応を見る限り、ベストタイミングだったようですね。
短いですが、あくまでも幕間という事で今週はこの辺で……。
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 23:02:38 ID:Jl3EE7gr

待ってました
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 23:07:21 ID:BhXpHHD+
乙。

本筋はあくまでスコールだから、ルイズはサイドストーリー的な感じで短くてもいいと思う。
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 23:11:34 ID:aQiB12D7
乙。ところでページ名は何で作成すればいいんだろう?

あと、ラグナロクの主砲は使えた方がFF8のファンとしては嬉しいかも
436SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/07/11(土) 23:19:20 ID:fILR1b9G
>>435
ページ名は連番で、これまで通り目次でタイトルを付けてくださると嬉しいです。一連の流れとしているつもりですので。

荷電粒子ビーム砲ですか……今後直す方向で検討してみようかな。実はレーザー機銃だけでも十分すぎる火力なのですが。所であの機銃、レーザーと言うよりはビームに見えますよねぇ……
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 23:30:30 ID:aQiB12D7
>>436
「i01」で登録してしまいましたが、「06」の方が良かったですかね?
「06」が良ければ更新報告スレで修正を依頼しますが
438SeeD戦記・ハルケギニア lion heart with revenger:2009/07/11(土) 23:32:35 ID:fILR1b9G
>>437
僕の方で依頼しておきます。ありがとうございました。
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 23:35:18 ID:Rei0Aizo
>>39>>361ですか? あんまりしつこいとスレ住民から嫌われますよwww
こんばんは。予約なければ2分後に投下しますね。
53.護衛のアニエス

「えー、おほん。えへん。ごほん……」

何をすれば良いのか、そんなことは分かっている。でもできない。というよりしたくない。
エレオノールはルイズの使い魔によって回復した婚約者と、
両頬が赤くのびきっているルイズを前にして、わざとらしい咳払いを続ける。
ひとしきりその様を見たヴァレリーは、腹を抱えて笑いながら出て行った。

なんかあやまりたくない。自分が悪いとは分かっているが、
それであやまるのはどうなのだろうか。いや、
むしろあれはノックもせずに人の部屋を勝手に見たのが悪いのだから、
あやまる必要自体無いのではないか。

笑顔のカトレアがゆっくりと顔をエレオノールのそばによせる。

「姉さま。いいかげんにしないとやっぱりなしって言われるかもしれませんわ」
「……ごめんなさい」

やれやれと苦笑いするカトレアは、
マーティンにいつものことだと説明した。
場所が変わってもメイジがメイジであることに変わりはないらしい。
自分の非を認めたがらないのは、よくあるメイジの特徴だ。

「バ、バーガンディ。これからまたちょっと色々しないといけなくなったから、へ、返事は、えっと」

両手の指を絡ませて、顔を赤らめ視線を下へ向けるエレオノールに、
バーガンディは頷いた。

「休みに入ったら連絡をくれるかい?公爵様の所へ一緒に行こう」
「え、うん。そうね。そ、それじゃまた」
「ああ、それじゃ皆さん。ミスタ、さっきはどうも」

手を振りながら爽やかな青年は去っていく。
それを見て、女の子らしい感情がエレオノールの体を走る。
バーガンディと一緒にいたい。しかし今はやるべきことがある。
ぐっとこらえて仕事の顔に戻った。

「さて、ルイズ……さっきのことは水に流すとして、準備は良いかしら?」

気を取り直し、研究者の目でルイズに聞いた。
鋭い眼光は、ルイズを家族の一員としてではなく研究の対象として見ている。

「姉さま、私何をすれば良いの?」
「色々」

あいまい過ぎて意味が分からない。ルイズが首をひねると、
エレオノールはとりあえず一番やって欲しいことを言い始めた。

「『虚無』そのものについて研究する為の資料がまるで足りないわ。
 当然よね?伝説や伝記にしか残っていないんだから。
 あの時はちょっとはしゃいじゃったけど、あなたが『虚無』である証拠もあるわけじゃないし。
 とてつもない力を持っているのは間違いないから、その時点で研究対象だけれど……」

ルイズは、アンリエッタからもらった祈祷書と水のルビーを荷物から取り出した。

「ああ、詩を詠みあげるのは聞いたわ。ちゃんとできたの?」
「これが証拠なの、姉さま」
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 23:41:47 ID:aQiB12D7
>>438
いえ、本当にすみませんでした。

あと、多銃身レーザーはビームライフルを連射しているような印象を受けました
水のルビーを指にはめて、何も書かれていない祈祷書を見るとブリミルの注意書きが見える。
エレオノールはそう聞いて、顔をしかめてちっと舌打ちする。

「前々から怪しいとは思っていたのよ。でもそういうのって調べられないのよね。
 ブリミル教において重要な物だから、学術的に確かめたりとかできなかったのよ。ありがたいわね。
あなたがそれを持っているということは……」

エレオノールは研究者としての笑み、ルイズからしてみればちょっと怖いほほえみを浮かべている。
嫌な予感がした。姉関係では外れた試しが無い予感だった。

「あ、姉さま、ダメですからね?これ、お国の物ですから。私のじゃないですから」
「いいじゃない。減るものでもなし」
「いやいやいやいや、何かするんですよね?危ないことするんですよね?姉さま」

いつもなら頬をつねられているに違いない物言いだった。しかし少々機嫌が良いエレオノールは、
懐から一枚のカードを取り出してルイズに渡す。

「こ、これはトリスタニア一の菓子職人、サルモの店の年間無料パス!」
「報酬として用意しておいたの。クックベリーパイ、食べ放題よ?」

甘い物食べ放題。世の女の子にこれ以上の効果を持つ言葉はどれだけあるだろうか?
特に未だ色気より食い気のルイズにはなおさらだ。

ルイズの頭の中に天使と悪魔が現れた。誘惑を無視してお国に仕える立派な貴族になりましょうと働きかける天使ルイズ。
大丈夫、いくら姉さまでも丁寧に扱うからもらっちゃいなさいよと誘惑する悪魔ルイズ。結局のところ悪魔が勝った。

「……そうよね。ちょっとくらいなら大丈夫よね」

目にダメな光が輝き口元によだれがたれそうになっているルイズは、
ぼろぼろの祈祷書をエレオノールに渡した。
さすがお姉さんである。妹がどうすれば言うことを聞くのかよく理解している。
その割にこういった手段に出ないのは、もちろんルイズをつねるのが面白いからだ。

「それでこそ私の妹よ。それじゃついてきなさい。ああ、あなたもね。
ルイズから話は聞いているわ。その知識、ぜひ教えてくださいな」

エレオノールはマーティンを手招きして、軽い足取りで部屋から出て行った。

「さ、行きましょマーティン!」
「ん、ああ」

ルイズに押される形でマーティンも部屋からいなくなる。
残っているのはカトレアと、使用人の服を着ていたせいか視界にすら入れてもらえなかったシエスタだ。

「姉さまったらそそっかしいから。気にしないでね」
「はい……お掃除でもしましょうかね」

二人はエレオノールの部屋でのんびり過ごすのであった。
平和なトリステインとはうって変わって、アルビオンは首都ロンディニウムのハヴィランド宮殿では、
王政府から国を取り上げた革命者たちが会議を行っている。議題はトリステインをいつ攻めるか。

「やはり」

イスに座る将校の一人が口を開く。

「今すぐにでもトリステインを攻め落とすべきでは?ゲルマニアと同盟を組む直前である今を逃しては、
 我々はあのゲルマニア艦隊を相手に戦わねばなりません」

国力を伸ばし続けるゲルマニアは、どこの国にとっても脅威になりうる存在だ。
歴史こそ浅いが、それ以外はほぼ揃っている。他国から色々な理由で逃げたランクの高いメイジ、
夢に騙され、ひどい環境で働く多くの労働力、そしてハルケギニア一の国土を持ち、
ブリミル教を国教としているのに、その教えを無視した魔法をあまり使わない工業力の高さ……
噂ではエルフたちやロバ・アルカリイエの人々とも貿易を交わしているらしく、
相手にするには骨の折れる国なのだ。

「そんな不作法なマネができるか!」

老いた老将軍が立ち上がって怒鳴りあげた。トリステインとは少し前に不可侵条約を締結したばかりである。
生粋のアルビオン貴族で軍人からしてみれば、そんな行いはアルビオンの品位を汚すことに他ならない。

「落ち着きたまえ、ホーキンス将軍」

議長兼初代皇帝であるクロムウェルが手をあげて、激したホーキンスをなだめる。
老将ははっとした様子でイスに座った。

「閣下はどのように考えられておられるのですか?」

でっぷり太った将軍がクロムウェルにたずねた。
クロムウェルは口元に手を当て考える素振りを見せる。

「ふむ……たしかに、今攻め落とさねばゲルマニアと同時に戦わねばならぬな。
 しかしかの国といえど、どこからやってくるか分からぬ艦隊と、
それに満載された彼らには勝てぬのではないかな?」

衛兵代わりのスケルトンを指差した。
疲れず、食料を必要とせず、不平不満を言わない上に常に命令通りに動く。
クロムウェルの秘書が使う東方の魔法は倫理的には問題しかないが、
こと人材の消費が激しい戦争においては、とても便利なものだった。
当然真っ当な軍人たちは忌み嫌うがが、文句をいう者はどういうわけかすぐにいなくなってしまう。

「どこからやってくるか分からぬ……?アルビオンは常に移動していますが、
 一定のコースでハルケギニアの上空を周回しているのですぞ」

「うむ、そうだとも。では、それを変えられたらどうするかね?」

太った将軍の顔色が青ざめた。

「な……今なんとおっしゃられましたか?」
「なに、余の秘書は優秀でね。古文書に書かれた言葉を解読したところ、おもしろいことが分かったのだよ」

当然、古文書なんて無い。嘘っぱちでも信じ込ませることができるから、彼は今この役職でいられるのだ。
秘書という名のご主人様であるマニマルコは、ロンディニウムの地下にいた。
王城にある秘密の抜け道から通じるそこは、もしもの時の避難通路として作られたものだ。
だが、それだけではない。マニマルコはそう考えた。

何故この大陸は浮かんでいる?あらゆる物は重力で常に星の中心に引っ張られているというのに、
これだけはそれを無視し、風石が内包されているわけでもないのに悠々と空に浮かんでいる。
マニマルコはその答えを魔法だと考えた。

大きな力がこの大陸を空に浮かばせている。しかし誰もその正確な理由を知らず、
そして毎月規則正しく移動することから考えて、おそらく自動的にそう動くように制御されているはず。
では、その制御装置はどこにあるのか?おそらくこの大陸のどこかにあり、人目につかず、そして最も安全な所。

「ふむ……」

そうしてこのロンディニウムの地下通路を探り当て、
スケルトンを用いて何かないかと探索した結果、面白い物が見つかった。
抜け道の奥深く、たいまつでもなければ真っ暗な、
石造りの通路にボンヤリと光る小さな魔法陣。
ハルケギニアでは全く見られないそれは、マニマルコが見知った術式で作られていた。
はるか昔からタムリエルで使われている魔法で構成されていたのだ。
もうほぼ使われていない古代のエルフ文字で。

「この地にエルフの祖先がいたというのか?まさかここが……まぁいい」

魔法の明かりを灯して壁に書かれた魔法陣の周りをよく見ると、ほんのわずかではあるが亀裂がある。
通路が封印されているらしい。ふさわしい者以外を通さない為だろう。

「さて、開けるか」

マニマルコは魔法陣の前で呪文を唱える。
長々と「古き法」を唱え終わると魔法陣は輝いたが、そのきらめきは一瞬だった。
失敗だ。マニマルコですら外せない強固な魔術防壁で守られているのだ。

「正攻法では不可能か」

壁をスケルトンたちに壊させる方法もあるが無理だろう。
地下通路全体に強力な「固定化」の呪文がかけられている。
「おそらくこれを守る為にそうしたのだろうが……」

俺が入れないじゃないか。マニマルコが壁に向かってどうしようか考えていると、
スケルトンの足音が聞こえてきた。騒がしい少女の声もする。

「マニマルコ!クロムウェルが呼んでるよ……なぁに、これ?」

イザベラが触れると、急に魔法陣は輝きだした。紫色の円がひとしきり輝くと、
魔法陣が書かれていた壁は音を立てながら割れていく。
音が止むと、魔法陣が書かれていた壁から全く違う造りの遺跡が顔を出していた。

「えーと……なんか悪いことした?」
「そうでもない。むしろありがたいよ」

解除の鍵は王家の血か。マニマルコが優しくイザベラの頭をなでる。イザベラは嬉しそうに笑った。

「さて、中はどうなっているのか……ああ、クロムウェルにはもう少しかかると伝えてくれるかな」

返事がない。マニマルコがイザベラを見ると、彼女は開いた壁を興味深そうにのぞき込んでいた。
中からは青白い光が漏れだしている。アイレイドの遺跡で見かける、ウェルキンド石が放つ魔法力の輝きだった。

「一緒に来たい?」
「うん!」

スケルトン一体を代わりに送り、マニマルコたちはさらに奥深くへと進んでいった。


一方、トリステインの王宮。アンリエッタの居室では、
式でアンリエッタがまとうドレスの仮縫いでおおわらわであった。
大后マリアンヌの姿も見えた。彼女は純白のドレスに身を包んだ娘を、
目を細めて見守っていた。

アンリエッタの表情はまるで太陽のよう。仮縫いのための縫い子たちが、
袖の具合や腰の位置を尋ねる度に、鏡で自分を見ながら楽しそうに答えている。

「あ、母さま」

鏡の端に映った大后を見て、ようやく気が付いたらしい。
アンリエッタは振り向いた。

「愛しい娘や。ずいぶんと楽しそうね」
「それはもう」

その笑顔は年頃の娘のものだ。何も悩んでいるようには見えない。
縫い子たちが空気を読んで下がると、アンリエッタは母后の膝に頬をうずめた。

「望まぬ結婚だと思っていたのだけれど」

「そんなことありませんわ!アルは優しいし、ハンサムだし。
 とっても頼りになりそうですもの」

「そう」

マリアンヌはとても寂しそうに目を下に向ける。
アンリエッタは不思議そうに尋ねた。
「母さま。どうかなさいましたの?」
「いえ、あの人と会った時を思い出して」
「お父さまのこと?」

マリアンヌは頷いた。

「あの人は遊び人で、呆け者で、約束をやぶってばかりでした」

静かに、アンリエッタは聞いている。
父王がアンリエッタに残した言葉は「わがままであれ」。
アンリエッタはずっと忠実に守っている。

「いつでも一緒にいると言ったくせに、先にいってしまうのだもの。酷い人でしょう?」
「母さま……」

アンリエッタは、悲しそうなマリアンヌに抱きついた。

「わたしは大丈夫ですわ。幸せになりますもの」
「いいえ。今は幸せでも、後で必ず悲しいことが起こってしまうのです」

アンリエッタは笑顔で母后を見る。

「たとえそうだとしても、乗り越えてみせますわ。だって、わたしはゲルマニア皇妃になるのですもの。
 それくらいしないと、アルのお嫁さんは務まりませんわ」

「そう……強いのですね。アンリエッタ」

もしかしたら、わたくしもこうなっていたのかしら。
アンリエッタは寂しそうに笑うマリアンヌを見てそう思う。
ウェールズさまが死んでいたら、果たして今のようにゲルマニアに嫁げただろうか。
母さまのように過去に生きて、ウェールズさまを殺した相手への復讐心に駆られていたかも。

とりあえず、わたくしとウェールズさまにひどいことしたワルドは、見つけたら死刑。

未だ見つからない標的に思いを馳せるアンリエッタは、
段々とよい子の顔が崩れ、その口元に悪魔の笑みを宿らせる。

「……どうかしましたか?アンリエッタ」
「へ、いえ、なんでもありませんわ!今後のことを少し考えていましたの」
「そう。あなたは先に生きなさい。あなたの母親は、その生き方を忘れてしまったから」

アンリエッタは清らかな笑顔で答えた。

「はい。わたしは明日を生きますわ」

母娘はしっかりと抱き合った。


アニエスという女剣士がいる。世にも珍しい魔法を使う剣士である。
魔法剣士とでも呼ぶべきだが、ハルケギニアには普通いない。
メイジは剣を平民の武器と考え、杖を使うことをよしとするからだ。

そんな珍しいアニエスは、どういうわけか宮殿近くの衛士隊の練習場にて、
烈風と戦っていた。放たれた風によって上空300メイルまで吹き飛ばされるが、意識を失わずにフライを唱える。

「このっ!」
下降しながら、地上にいる相手にありったけの氷のつぶてを放つ。
しかし、全てブレイドがかかった杖で切り払われた。
飛行しながらの呪文使用は難易度が高く、あまり使えるメイジはいない。
実戦を通して、死にものぐるいで覚えた技がまるで通用しない相手にどう攻めるべきか、
地面に降りて剣を構えて考えていた。

「な」

音も立てず、目前の相手が消え去る。ふと、背後に気配を感じた。
アニエスは振り向く間も無く、エア・カッターの衝撃を受けて気絶した。


「わたくしに仕える気はなくって?アニエス」

リッシュモンを殺した夜、汚い宿屋にて。
目前にいる変装したアンリエッタに、ひざまずくアニエスは自分の耳を疑った。
自分はトリステイン王家に仕える貴族を殺したのである。
たとえそれが復讐の為であったとしても、許されるはずが無い。

王家とは始祖と同一で、侵してはならない。そういう教えの元で育ったからだ。
実際、アニエスは終わったら首を持って行って処刑されるつもりだった。
復讐を成し遂げることが、アニエスにとっての命題だからである。

「聞こえたかしら?」
「その、おっしゃる意味が……」
「仲の良かった女官が、アルビオンのスパイに殺されてしまいましたの」

アニエスはどうにも話が見えない。アンリエッタはやれやれと言いたげに続ける。

「それで、どうにもね。信用の置ける者が近くにいなくなったものだから」
「私を、信用なさるのですか?」

アンリエッタは慈悲深い笑みを浮かべている。

「リッシュモンの件は、本当に感謝していますわ。あなたのおかげで国益は守られました。
わたくしは彼が裏切っていることすら知りませんでしたし、
 もし知ったとしても、そうそう行動に移せるものではありませんから」

アンリエッタはアニエスに近づいて、スベスベした美しい手で彼女の手を取る。

「あなたは、勇敢にも国の為にあえて汚れ役になってくれたのです。信頼しないはずがありません」
「ですが、それは結果の話です。私は……」

遮るように、アンリエッタは続ける。

「たとえ復讐であったとしても、あなたは殺された人々の無念を晴らしました。
 これを誇り高きおこないと言わずして、なんと言えばいいのかしら?」

アニエスは日の当たらない人生を過ごしてきた。
復讐の為に生きることは、決して報われないものだろうと考えていた。

「……アニエス。どうかしたの?」

気付かぬ内に、アニエスの頬に涙が伝っていた。殺し、殺されの冷たい世界で生きたアニエスにとって、
今目の前で自分の手を取るアンリエッタは、あまりにも暖かい存在だった。

「私は、汚れています。日の当たらぬ世界で生きてきました」
「だからこそ、わたくしの見えぬ物が見えることもあるでしょう?」
アンリエッタはアニエスを抱きしめる。胸元にアニエスの顔が埋まる。暖かい。
人に抱きしめられたのは何年ぶりだろうか。久しく忘れていた様々な思いが、
アニエスにあふれ出す。視界がぼやけ、何も見えなくなる。

「その手で、私を守ってくださいますね?」

声を上げて泣くアニエスは、アンリエッタを強く抱きしめた。
了承の証だった。

そんなこんなで、アニエスはアンリエッタに拾われた。
アニエスが生かした男はグレイ・フォックスが引き取ることとなった。
何故生かしたのか、アンリエッタが尋ねたところ、

「彼らは軍人です。命令に従うのがその役目でしょう。
命令を下す者が、彼らの分の責を負うのが筋というものかと」

と迷いの無い目で返答された。正論だったがそこまで割り切れるものだろうか、
フォックスは不思議に思った。
シエスタは学院に戻り、ルイズの手助けをすることとなった。
後にアンリエッタ直々に書状が送られ、ルイズ専属の使用人になる予定である。

アニエスの今の役職は雇われ護衛とか、名無しの自由騎士とか、そんな感じだ。
理由は「わたくしが気に入りましたから」である。
お姫さまのわがままは今に始まったことでもない。
とはいえ、少し前にもワルドが裏切ったばかりだから、
どこぞの馬の骨など護衛として雇えるはずがない。

マザリーニが当然のように反対したが、アンリエッタはそれを拒否。
マリアンヌの前でも、珍しくその姿勢を貫いた。
困ったマザリーニは、正式なグリフォン隊の隊長が決まり、
やることが無くなって帰ろうとしていた烈風さんを呼び止め、様子を見させることにした。

マンティコア隊の隊長として一時代を築き、
身を退いた後も暇があれば隊員達を指導したカリーヌ・デジレに、
彼女が本当に大丈夫かどうか確かめさせることにしたのだ。


「気に入りました」
「は、はぁ」

頭に水をぶっかけられて起きたアニエスに、カリーヌ・デジレは微笑んだ。
雲の上の人の考えや言動はよく分からない。アニエスはここ最近ずっとそう思っている。

「今の隊員より筋が良い。姑息な手を使う者を長らく見てきましたが、
 それをするわけでもない。どうにかして衛士隊に入れたいくらいです」

カリーヌは誰であろうと得物が何であろうと実力があれば認める。
自分もそうして認められたからだ。それにアニエスは礼儀正しく規律を守り、慎ましやかだ。
つまり、カリーヌにとても良い感じに見えている。

「は、ははは」

どうやって、あの人は魔法も使わずこの化け物と引き分けたのだろうか。
独り立ちするまで自分に剣を教えてくれた、武器屋の親父を思い出す。
魔法の使い方は幼い頃村で基礎を学び、本を読んで勉強した。そのおかげで現在の魔法が持つ重要な意味も理解できた。
「ところで」

カリーヌはどこか遠くを見るような目でアニエスにたずねる。

「お前に剣を教えたのは一体誰ですか?」
「あなた様と一度戦い、今も生きておられる方です」

ふむ、とカリーヌは頷くと、再び構えた。

「なら、まだ大丈夫ですね」
「へ?」
「エッシャーが雇ったあの男なら、これくらいで準備運動が終わったと言うでしょう」

アニエスにはカリーヌが楽しそうに笑っているように見えた。
規律によって、がんじがらめに縛られている獣の片鱗を少しではあるが覗かせていたのかもしれない。
飲まれるな、飲み込んでやれ。アニエスは立ち上がり、深く息を吸って剣を構える。

「さぁ、続きをしましょう」

アニエスは勢いよく、空元気で返事をする。

「お手柔らかに!」

吹き荒れる嵐の中、アニエスはそれを切り裂くように突き進む。
こんな暴風相手に魔法を使っても無駄だからだ。どちらが切り裂かれたのかは言うまでもない。


投下終了。ルイズが虚無ったのはママさんの血が原因だと思う。レヤウィン伯爵がアン様ならいいのに。
では、また次の投下まで。
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 01:22:56 ID:ilf3jDiu
>>419
馬車とかの手ごろなブツをスキャンするだろう。
でかすぎて擬態する物がない場合はそのままでいいと思っちゃったりするんでね?

召喚した後が問題だな。オートボッツまたはマクシマルズは「我々は君たちの争いに介入はしない」と言いそうで
ディセプティコンズまたはプレダコンズは「ふざけんな虫けらが、死ね」と言いそうだからどっちの陣営にしろ見せ場は限られていきそう。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 01:42:38 ID:xRH7Ceoq
>450
乙。カリンママの方がなるほど虚無に近いかも。
破壊力の面で。
>451
ただ、召喚の儀式の時は近くにそういう手頃な物が無いんじゃないかな、と。

虚無の血統の中にオールスパーク(或いはそれに匹敵する重要な物件)の手がかりがあり、
その導きを受けて召喚されたバンブルビー、か。
小説前日譚の状態で呼ばれたのなら、何だか分からないけど飛行形態もあるようだし。

ジョゼフや教皇はデストロン系の誰かを呼んだ、と言うところか。
で、テファがオプティマスを呼ぶ。キスをすると強くなる。
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 01:51:48 ID:EgoosZJl
問題なければ、5分後ぐらいから短編投下します。

「超絶倫人ベラボーマン」から「中村等(ベラボーマン)」を召喚。
タイトルは「1スゥの力」。全5レスです。
454ベラボー 1/5:2009/07/12(日) 01:56:17 ID:EgoosZJl
 息を切らせながら、男が走る。この先の広場で始まっているであろう、決闘を止めるために。
 男、中村等は、日本の学校で教鞭を取る、ごく普通の教師だった。いや、生活態度はともかく、彼の
経歴は普通の一言では済ませられない。なにしろ彼は、世界を救ったヒーローなのだ。
 狂気の科学者爆田博士の、ロボットを用いた世界征服の野望を打ち砕いた、超絶倫人ベラボーマン。
彼こそが、そのベラボーマンだった。
 新田四丁目事件と呼ばれるこの事件の後、彼は勤めていた保険会社を辞め、教諭となった。
 あの事件が夢の中の出来事だったかのように思える穏やかな日々。それが突如終わりを告げたのは、
つい昨日の事だった。
 仕事を終え、帰宅するため自家用車に乗り込もうとした時、突然、銀色の鏡のようなものが運転席を
塞ぐように現れ、シートに腰掛けようとしていた彼は、避ける事もできずにその鏡に吸い込まれた。
 目が覚めたときには、ルイズと言う少女の使い魔にされていたのだ。
 魔法が支配する、見知らぬ世界。彼が少女の使い魔になるのを承諾したのは、この未知の世界で、
元の世界に戻る方途が見つかるまでの生活を保障されたからに過ぎなかった。当初は。
 しかし、今は知ってしまった。ルイズと言う少女が、どれほどのプレッシャーとコンプレックスを、その
小さな体の内に抱え込んでいるのかを。


     1スゥの力


「ルイズさん!」
 人垣をかき分けて広場に出た中村は、呻いた。鎧を纏った女戦士の銅像が、ルイズにボディブローを
打ち込んでいる場面を見てしまったからだ。
「ルイズさん!」
 再び名前を叫び、中村は崩れ落ちたルイズに駆け寄る。彼女の顔は、無惨に腫れ上がっていた。
「フン。何度も何度も立ち上がってくる根性は、見事だと誉めてあげるよ、ゼロのルイズ」
 広場の反対側に立つ少年が、芝居がかった声を上げた。
 ルイズの側にしゃがみ込んだ中村が、その少年に顔を向け、眼鏡の奥から睨む。
 少年は、手に持った銅の造花を口元に引き寄せて続ける。
「けれどもね、もう諦めたらどうだい? メイドを庇った態度は、確かに平民を守る義務を負う貴族らしい
と言えるかも知れない。しかし、満足に魔法も使えない者を、貴族と呼べるかい?」
 地面に横たわったままのルイズが、ぴくりと体を震わせた。
「それにね、みんなもう我慢の限界なのさ。君の爆発のとばっちりを被るのはね」
 周囲の人垣から、少年の言葉に賛同するざわめきが起こる。
「これを機に、学院を去りたまえ。領地に篭って静かに暮らした方がいい。そうすれば、ヴァリエールの
名をこれ以上汚す事もないだろうさ」
 そう言って、あはは、と軽やかな笑い声を立てる少年。
 彼を睨んでいた中村は、うめき声を聞いてルイズに顔を向けた。
 彼女は、泣いていた。腫れ上がった目から、止めどなく涙がこぼれていた。
 少女の手が、土を抉ってきつく握られ、そして、力なく開かれた。
「……わたし……もう、ダメ……」
 消え入りそうな呟きが、中村の耳に届いた。
 中村は一度うつむき、そして決然とした表情で顔を上げると、静かにルイズに声を掛けた。
「ルイズさん。世の中は、裏切りに満ちています」
 突然の言葉に、ルイズは目だけを動かして中村を見た。
455ベラボー 2/5:2009/07/12(日) 01:57:08 ID:EgoosZJl
「相手を出し抜くための足の引っ張り合い。自分だけが甘い汁を吸うための謀略、策略。一度社会に
出れば、それらの裏切りや騙し合いに、否応なく晒される事になる。友人と思っていた者が、次の日には
敵になる。そんな事は日常茶飯事です。」
 眼鏡を指で押し上げ、彼は続ける。
「そんな中で、自分を守るために疑い深くなる事も必要でしょう。誰も信じられなくなる事もあるかも
知れない。ですが……ですが、それでも──」
 中村の手が、優しくルイズの頬に置かれる。
「それでも、自分を信じる事だけはやめてはいけない! 絶対に、何があってもです!」
 静かに、しかし力強く発せられたその言葉は、広場の隅々にまで響いた。
 中村のまっすぐな目を避けるように、ルイズは顔をそらした。
「でも……わたし、何もできないもの……」
「できますよ」
 ポケットからハンカチを取り出し、ルイズの涙を拭いながら、中村は続ける。
「あなたには、守るべき者を守れる力が備わっている」
 笑顔を見せてそう言うと、中村は顔を上げて周囲の人垣に声をかけた。
「どなたか、銀貨をお持ちではありませんか? 一枚で結構です、譲っていただけませんか」
 成り行きを見守っていた生徒たちは、互いに顔を見合わせた。ざわめきが広場に広がるが、中村の
呼びかけに応える生徒はいない。
 誰も反応しない事に焦れたのか、ようやく、人垣の中から進み出る者がいた。肌の白い者の多い
中では、ひときわ異彩を放つ褐色の肌を持つ少女だった。彼女は、見事な赤い髪をさらりとかきあげると、
無造作にポケットに手を突っ込み、銀貨を取り出して中村に放った。
「キュルケさん、ありがとうございます」
 中村の言葉に、手をひらひら振って応えるキュルケ。
 彼女に頷き返して、中村はルイズに向き直った。少女の手を取り、銀貨を握らせる。そして、自分の手を
被せ、ルイズに語りかけた。
「この一枚の銀貨が、あなたの力を呼び覚ましてくれます。あなたの中に眠る、超変身物質の力を」
「チョウヘンシン……ブッシツ?」
 中村は頷き、ルイズの手を2、3度軽く叩く。
「さあ、この手の中の銀貨と、あなたの中の力に意識を集中して。信じるんです。あなたの力を。そして、
銀貨が力を引き出してくれる事を」
 ルイズはじっと中村を見つめた。眼鏡の奥の目は、眠りにつこうとする我が子を見るかのように優しい。
握られた手に、彼の温もりを感じた。
 静かに、ルイズは目を閉じた。魔法の呪文を詠唱するときのように、精神を集中させる。
 どれぐらい、そうしていたのか。彼女は、自分の中にリズムがうねっている事に気づいた。と同時に、
銀貨を握った手から、暖かい力が腕を登って来る。行き場を求めて波のようにうねるリズムと暖かい
力が同調した、と思ったその時、弾けるような衝動を感じて彼女は目を見開いた。
 ルイズの体が、まばゆい光を放っていた。人垣がどよめく。
「銀の力が、わたしを変える……!」
 彼女の声に呼応したかのように、目を開けていられない程の光が彼女から発せられた。
 光が収まったとき、広場に、不思議な出で立ちの少女が立っていた。
 赤と青のラインが印象的な桃色の流線型の兜、ゴーグルを付け、黒のマントの下には、兜と同じ
色使いの薄い鎧のようなような物を纏っている。何よりも特徴的なのは、その手足だ。白いグラブと
ブーツに先端を包まれた腕と脚は、赤いボールをいくつも繋げたようになっている。
 広場に、驚きの声が上がった。なんだ、あれは。ルイズなのか、あいつは。
 しかし、一番驚いているのは、ルイズ自身だった。
456ベラボー 3/5:2009/07/12(日) 01:57:48 ID:EgoosZJl
「こ、これがわたし……?」
 全身に目をやり、戸惑ったように言う。
「そう。これがあなたのもう一つの姿、超絶倫少女ベラボーガールです」
 立ち上がった中村が、にっこりと笑って言った。彼は、ベラボーガールの肩に手を置くと、真顔に戻って
広場の反対側にいる少年に目を向けた。
「さあ、ベラボーガール。あの乱暴な少年に、少しお灸を据えてやりましょう」
 それまで成り行きを呆然と見守っていた少年は、この言葉にはっとなった。苦々しげに顔を歪めて、
吐き出すように怒鳴る。
「妙ちきりんな鎧をつけただけでいい気になるなよ! 立ち上がった事を後悔させてやる!」
 少年が造花を振ると、銅像が腕を振り上げた。
 引きつれたような悲鳴をあげ、ベラボーガールが身を縮こまらせた。
 その腹に、強烈なパンチが打ち込まれた。先ほどまでのルイズなら、軽く2、3メイルは吹き飛ばされ
そうな勢いの攻撃だった。しかしベラボーガールは、わずかによろめいただけでその拳を受けきった。
「なっ……!」
 驚愕に声を上げる少年。一方のルイズも、驚いたように声を漏らした。
「痛く、ない?」
「くっ……やせ我慢だ!」
 乱暴に造花を振り回す少年。それに応じ、銅像が狂ったように拳を乱打する。
 しかしベラボーガールは動じない。それどころか、一撃受けるたびにその防御体勢は洗練されて行った。
腰を落として体を縮め、唯一むき出しになっている鼻から下を、両腕で覆う。
 しゃにむに攻撃を続ける銅像だったが、その防御を打ち崩すことができず、反対に両拳が粉々に
砕け散ってしまった。
「今です、ベラボーガール! パンチを!」
 その機を逃さず、中村が鋭い声を飛ばす。
「え、えーい!」
 ベラボーガールの大振りのパンチが、銅像の胸に当たった。すると、銅像は激しい音を立ててひしゃげ、
地面に転がって動かなくなった。
「そ、そんな!」
「すごい……」
 少年とベラボーガールが、同時に驚きの声を上げる。
 周囲の生徒たちも声を上げた。中には、少年に対して野次を飛ばすものも居る。
 そのぶしつけな言葉に、少年の顔が紅潮した。
「もう容赦はしない!」
 そう言って少年が造花を振ると、そこから花びらが地面に散った。すると、地面から生えるようにして、
六体の銅像が現れた。そられの銅像は、みな手に剣や槍を持っている。
「ルイズ、謝るなら今のうちだよ? 僕としても、級友を切り裂くような真似はしたくないからね」
 鋭利な切っ先を向けられて、さすがのベラボーガールも怯んだように後ずさった。
「謝る必要はありませんよ、ベラボーガール」
 彼女が振り返ると、中村が腰に手を当てて笑顔を見せていた。
「ナカムラ……」
「あなたなら、ここから一歩も動かずに、あの銅像を全て倒すこともできます。そうですねぇ……」
 彼は銅像に目をやると、顎に手を当てて少し考える素振りをした。そして右端の銅像を指差すと、
「まずは、右端を狙ってみましょうか。あの銅像めがけて、パンチを打ってみて下さい」
「こ、ここから?」
 ベラボーガールは、戸惑ったように声を上げた。
457ベラボー 4/5:2009/07/12(日) 01:58:37 ID:EgoosZJl
 新たに現れた銅像までの距離は、ゆうに10メイルはある。到底、攻撃が届く距離ではない。
「大丈夫。私を、何よりも自分を信じて」
 安心させるように、にっこりと笑う中村。
 普通ならば、そんな話は信じられないだろう。魔法ではない、ただのパンチが、10メイル先の敵を
どうにかできるなど。
 しかし、ベラボーガールは心を決めた。絶望のどん詰まりに蹲っていた自分に、新たな道を示して
くれた、彼を信じようと。
 口を真一文字に結び、銅像に向き直った。片足を上げ、右腕を振りかぶる。そして、大きく踏み込んで
腕を力いっぱい突き出した。
「えーいっ!」
 気合の掛け声とともに突き出された腕は、弾丸のような速さで10メイル伸び、狙った銅像をスクラップに
した。
「な、なんだってー!!」
 それまでで一番の驚きの声が、少年と人垣から上がった。それは、ベラボーガールも同じだった。
「うえぇ、何これぇっ!」
 思わず、と言った感じで手を引っ込めたベラボーガール。すると、文字通りに伸びた腕が弾丸のような
速さで縮み、元の長さに戻った。
「どうです、すごいでしょう? これがベラボーの力です」
「あ、あのねえ! こういうことになるって、最初に言ってよ! びっくりするじゃない!」
 ベラボーガールがそう抗議すると、中村は笑って頭をかきながら言った。
「いやぁ、実はそのリアクションをちょっと期待してました」
 むっとして、ベラボーガールが彼の腹を軽く小突く。
「あ痛ぁー!」
 腹を押さえて身をよじる中村を尻目に、ベラボーガールは少年に向き直った。
「まあ、いいわ。これであいつをやっつけてやる」
「くっ……調子に乗るなぁっ!」
 叫んで、少年が造花を振る。すると、1体を護衛に残して、他の4体が猛然とダッシュした。
「えーい!」
 ベラボーガールのパンチが飛び、走ってくる1体が砕けた。残るは3体。距離は8メイル。
「えーい!」
 銅像が2体に減った。距離は5メイル。
「えーい!」
「甘いっ!」
 少年が造花を振り、残る2体を左右に散開させる。パンチは、2体の真ん中を抜けて行った。散開した
銅像は、そのままルイズの横に走りこんで槍を構えた。距離はそれぞれ3メイル。
「挟み撃ちだ!」
 少年が勝ち誇ったように叫んだ。
「くっ……!」
 ベラボーガールが、初めて焦った顔になる。
 どちらかを攻撃しても、次の攻撃に移る前に槍を受けてしまう。どうする。この鎧は、槍の一突きに耐え
られるか。一撃耐えられれば──。
 そこまで考えたとき、ふと、ベラボーガールの脳裏に閃くものがあった。だが、彼女は迷った。
 上手くいくだろうか。もし失敗すれば、2体から攻撃を受けてしまう。
「これで終わりだ! さよなら、ゼロのルイズ!」
 少年が造花を振り下ろした。
458ベラボー 5/5:2009/07/12(日) 02:00:01 ID:EgoosZJl
 その瞬間、ベラボーガールは決然とした顔で叫んだ。
「できる! わたしならできる!」
 その場で軽く飛び上がると、彼女は足を左右に大きく広げた。
「えーい、開脚キィーック!!」
 ベラボーガールの両脚が伸び、槍を掠めて銅像の胸を蹴り飛ばした。
「なぁっ!」
 少年の驚きをよそに、しなやかに着地したベラボーガールは、間髪を入れずにパンチを繰り出した。
そのパンチは、護衛に回っていた銅像を貫き、少年の眼前数サントの所で止まった。
 冷や汗を垂らしながら、少年が数歩後ずさりする。やがて、かみ締めた歯の間から搾り出すように、
「おぼえてろよ!」
 そう言うと、脱兎のごとく駆け出して広場を出て行った。
 腕を戻し、ベラボーガールは無言で、少年の逃げ去った方向を見つめる。広場に、奇妙な静寂が
広がった。
 その静寂を割って、拍手が聞こえた。
 ベラボーガールが振り返ると、中村が笑顔で手を叩いていた。
「ナカムラ……」
 その呟きに呼応したように、人垣から拍手が聞こえた。キュルケだった。呆れたような顔だったが、
彼女の口元には、確かに笑みが浮かんでいる。
 さらに、彼女のそばに居た、青い髪の小さな女の子も、控えめな拍手を始めた。
 やがて、ざわめきのように拍手の波が広場に広がっていき、大歓声となった。
 ベラボー、ルイズ! ベラボー! ベラボーガール、ベラボー!
 突然浴びせられた大歓声に、ベラボーガールは戸惑って広場を見渡す。やがて、彼女の胸のうちに
喜びが湧き上がり、あふれ出した。
 彼女は、生粋のトリステイン貴族らしく芝居がかった仕草で見栄を切ると、高らかに宣言した。

「ベラボー参上!!」

                   ベラボーガール  ベラボーガール
                 進め! 城を越えて  走れ! 空を海を 
                目指せ! 地平線へ  戦え! 明日のために
              今、呼んでいる声人々が  銀の力がわたしを変えてゆく
                    ハルケギニアを  またにかけながら
                    さあ、行くぞ!  平和のため
                   倒せ! 進め!  悪を! 砕け!
                   ベラボーガール  ベラボーガール
                          ベラボーガール

「ちなみに、手足だけでなく、首も伸びますよ」
「……それは遠慮しておくわ」

おわり
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 02:01:42 ID:EgoosZJl
わしがガリア王じゃ! てな感じで。はい。

ちなみに、プライバシーに配慮して少年の名は伏せさせて頂きました。
どこかの誰かさんとは何の関係もありません。多分。
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 02:31:22 ID:FPPtY3Y1
乙です。
うぉー懐かしい!聖蹟桜ヶ丘のナムコランドでやったなぁ。
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 02:36:12 ID:FPPtY3Y1
>>418
元は稲田徹の脳内設定でしたが、ヒーローショーでその設定が活かされたこともあります。
将来レンジャーズストライクでもそんな設定になりそう。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 04:15:44 ID:+/QxbEuq
ふと思ったんだがソウルテイカー召還されたら変身後は悪魔扱いされて追い回されそうだな
実際は悪魔じゃなくてエイリアンだけど
463プリキュアの人:2009/07/12(日) 06:56:34 ID:aed4Zz1b
「ダークドリームの冒険」の、第7話が完成しました。
いつもの時間に投下しようかと思ったのですが……、
今週の「フレッシュプリキュア!」は思いっきりクライマックスっぽいです。
そのため、早めに投下しておきます。

7:00より、投下開始します。

コルベールが死んでから、3日が過ぎようとしていた。
トリステイン魔法学院を、アルビオンのメイジの一団が襲ったあの日……。
コルベールは女性とたちを守るために戦い、銃士隊の隊長を救うために魔法の矢に倒れた。


わたしは、何もできなかった……。
タバサが紙風船を飛ばし、キュルケが爆発させ、目が見えなくなった敵をわたしが倒す。
簡単な作戦のはずだった……、けど、部屋に飛び込んだ瞬間、わたしは炎に焼かれていた。
目が見えなくても戦える敵がいるなんて思ってなかった。
最初から、そのつもりで行動していれば避けられたはずだったのに……。
そして、わたしとキュルケを助けるためにコルベール先生は戦い、……死んだ。
水の魔法を使える生徒達が、何人かかっても治せなかった……。
わたしは、見てることしかできなかった。
どうしてだろう、わたしは戦うために作られたはずなのに。
どうして、あんな敵の存在に気づかなかったんだろう……。
どうして、こんなときに誰も助けられないたんだろう……。

あれから3日……、
キュルケはコルベール先生の亡骸をゲルマニアに持ち帰った。
タバサはずっと変わらずに本を読んでいる。
でも、町に行って買う本は、水魔法の本ばかりだ。
図書室では、多くの女生徒が本を開いて真剣な顔つきで勉強をしている。
『治癒』に関する本は、全部貸し出されてもうないって、司書の人がぼやいてる。
みんな、目の奥に強い光をたたえている。

でも……、わたしは何をすればいいんだろう?


メンヌヴィル率いる一団に学院を占拠された日を境に、学院の雰囲気は一変していた。
殺されるという恐怖感。
身近な教師の死。
助けられなかった無力感。
どこか他人事のような存在だった『戦争』と『現実』を目の当たりにして、女学生たちに連帯感が生まれた。
「今、自分にできること」を考え始め、行動している。
特に、己の力が及ばす、コルベールを助けられなかった『水』系統の生徒達には顕著だった。
『治癒』の力を、もっと強くしたい……。
自分の周りにある『悲しみ』すら癒せるほどに……。
そうして、何人もの生徒が図書室に通い、勉強を続けている。

ダークドリームもそんな一人だった。
でも、彼女には『治癒』の力なんてない。
彼女は、プリキュアと戦うために作られた。
それなのに、『戦う』ことすら満足にできなかった。
どうすればいいんだろう……?
なんで、誰も答えてくれないんだろう……?
どうして、わたしは、こんな不便な能力で作られたんだろう……?

キュルケも、才人も、シエスタもいない。
タバサに聞こうと思っても、なぜか口が動かない。
彼女には、水魔法の本を読むタバサを見つめる事しかできなかった。

「やっと見つけたわ……。ダークドリーム」
学院の廊下を歩くダークドリームに、覚えのある声が聞こえる。
この声は……
「シャドウ様っ?!」
ダークドリームが振り返ると、廊下の窓ガラスにうっすらと別の景色が見える。
間違いない。あの景色は『鏡の国』の宮殿だ。
急いで窓ガラスに駆け寄ると、映っている景色がズームして、人の顔になる。
本当にシャドウ様だ!シャドウ様がわたしを探してくれていたんだ!
ダークドリームは、窓ガラスに顔をつけんばかりに近づいて、シャドウの顔をじっとみつめた。

「また、ずいぶんとややこしい世界まで紛れ込んでいたものね。
 今、『ゲート』を開けるわ。すぐに帰ってらっしゃい」
か、帰る!?……『鏡の国』へ……、今すぐ!?
ダークドリームは蒼白になった。
その体が小さく震え始める。
いざ、そうなってみてダークドリームはわからなくなった。
どうして、わたしは震えているの?
シャドウ様のところに帰れるのに……、作られた目的を果たせるのに……、
そんなダークドリームの様子を見てシャドウは怪訝な顔をした。
それに気づいたダークドリームは、喉の奥から、必死で言葉を絞り出す。
「す、少しだけ……時間をください。お願いします!」
怪訝な顔つきのまま、シャドウがダークドリームを眺める。
「お願いします。わ、わたしにも準備が……」
必死に頼み込むダークドリームを見て、シャドウはフンと鼻を鳴らした。
「まあいいわ。10分だけ待ってあげる。」
「あ、ありがとうございます!」

ダークドリームは礼もさながらに駆け出した。
向かった先は、タバサの部屋。
息を切らせながら、ノブを回しドアを開ける。
中では、いつものようにタバサが本を読んでいる。
「タバサ!」
息を切らせるダークドリームにも、目すら動かさず、本を読み続ける。
「シャドウ様がわたしを見つけて下さったの!」
「そう」
タバサは、本から目を上げずに短く返事をした。
え?…なに……。なによ、その反応は。
「今すぐ、『鏡の国』に帰らなきゃいけないのよっ!!」
「よかった」
声を上げて訴えるダークドリームに、タバサは、また短く返事をした。
……なんで……どうして……?
『よかった』ってどういうこと……?タバサにとってわたしは必要ないの?!
わたしがヘマをしてコルベール先生が死んだから……?
戦争のせいで、『仕事』だって忙しくなってきている。
タバサは、わたしが帰って平気なの!?


混乱しているダークドリームの前で、タバサは本をパタンと閉じた。
そして……、笑った。
「今まで、ありがとう」

はじめて見た……タバサが笑っているところ。
さっきの『よかった』も、素直に帰れることを祝福してたんだ……。


ダークドリームは気づいた。タバサが寂しくないふりをしているって事に。
本当は辛いのに、顔に出さない。タバサは、ずっと、そうしてきた。
だから、わたしと別れるときも『そう』してるんだ。
つらいはずなのに、笑顔まで見せてくれた。
わたしを大切に思ってくれているから。
『帰る』ときまで守る、っていうのが、わたしとの約束だったから。

ダークドリームは、さっき混乱していた自分がとても小さく思えた。
タバサは、あんなにも、私のためを思ってくれていたのに……。
わたしは、タバサを疑った。
自分が帰りたくないのをタバサのせいにしようとした。
目から溢れてくるもので視界がにじんでいく……。
タバサの姿がどんどんぼやけていく……。
ダークドリームは、扉を閉めて駆け出した。
涙をポロポロこぼしたまま、廊下を走っていく。
ごめん……タバサ。
ごめんね……。
何を謝っているのかすら、もうわからない。
ただ、心の奥からあふれてくる感情に呼応するかのように、涙は流れ続けた。

ここは『鏡の国』の宮殿の一室。
薄暗い部屋に、大小さまざまな、薄い水晶のようなものが浮かんでいる。
これが、『鏡の国』の鏡だ。その表面には、様々な世界の様子が鮮明に映っている。
そのうちのひとつから、ダークドリームの姿が現れた。
桃色の服に、薄いリップ……ハルケギニアの格好のまま、ゆっくりと鏡から足を踏み出す。

部屋の中央には、紫色の服に身を包んだ人物がいる。
シャドウだ。鍛え上げられた体に、女性のような顔。
水晶細工のような髪をいじりながら、ダークドリームの方をじっと見ている。

「まったく、手間をかけさせてくれたわね」
「申し訳ございません、シャドウ様」
頭を下げるダークドリームを、凍るような目で見ながら、言葉を続ける。
「別の『ゲート』が開きかかっているところに、お前が『ゲート』を繋いだから、ずいぶんややこしい事になってたわ。
 お前の時間では、あの世界に飛ばされて、どれくらいたったの?」
「9ヶ月……です」
ダークドリームは、頭を下げたまま答える。
「こちらでは、半日、といったところかしら。……まあいいわ。パーティには間に合ったから」
そういって、シャドウは指を鳴らす。
すると、4つの影が音もなくシャドウの横へと現れる。
影の正体は、黒い服を着た4人の女の子。光を感じさせない冷たい目で、ダークドリームを見下ろす。
「あなた以外の、ダークプリキュアよ」
シャドウの言葉に、ダークドリームは顔を上げた。
「よろしく」
4人のダークプリキュアの方へ歩いて手を差し出す。


ダークプリキュアたちは、一瞬、呆けた顔をしたあと、いっせいに笑い出した。

「なにそれ!?『仲間』ごっこでもしてるつもり。くっだらないの」
黄色い髪をしたダークレモネードは、お腹を抱えて笑っている。

「弱い奴ほど群れるものよ。『仲間』なんていらないわ。わたしは優秀だもの」
青い髪をしたダークアクアが、口に手を当てて笑う。

「さすがは、シャドウ様に余計な力を使わせた『落ちこぼれ』ね。笑わせてくれるわ」
そう言ったのは、緑色の髪をしたダークミントだ。

「どうでもいいけど、わたしの足だけは引っ張らないでよね。『面倒』だから」
キュルケと同じ、赤い髪をしたダークルージュが吐き捨てるように言う。

ダークプリキュアたちが口々に笑う中、シャドウがパンパンと手を叩く。
「お前たち、それくらいにしておきなさい。
 もうすぐゲストの『プリキュア』がやってくるわ。お出迎えの準備よ!」
「はい!シャドウ様」
シャドウの声を聞いたダークプリキュアたちは、一斉に後ろを向いて、シャドウと共に部屋を出て行く。
もう、誰一人、ダークドリームの方を見ようともしない。

ただ1人だけ残された部屋で、ダークドリームはふるふると肩を震わせていた。
黙ったまま、ポケットに手を入れ、中のものを取り出す。
それは、あの日、キュルケに買ってもらった、お気に入りのリップルージュ。
その上に、ポツリ、ポツリと、雫が滴り……はじける。
頬から落ちる涙が、リップを濡らしていく。
ダークドリームは両手で握り締めるように、ぎゅっと力を込めた。
自分の涙がとても熱い。そして、涙は、握り締めた手も濡らしてゆく……。

「こんな……こんなのって!!」
ダークドリームは、唇を噛むと、手に持ったものを思い切り床に叩きつける。
キィン!と音を立てて、リップが跳ね、転がってゆく……。
それでも、もう、ダークドリームは落ちた物の方を向くことはなかった。



『玉座の間』に、黒いドレスを着た少女が入ってくる。
黒いルージュ、濃いアイシャドウ、黒いドレスに桃色の髪……。
もう、表情を感じさせなくなった『人形』が玉座に座るシャドウの前に立つ。
「お待たせしました。シャドウ様」
その声も、何の感情もなく、ただ淡々と言葉を続けるだけ。
「揃ったわね……ふふふ。『ゲスト』も、もうすぐ到着するわ。
 さあ、パーティの時間よ!!……ふふふ、あはははは」
『玉座の間』には、ただ、シャドウの笑い声だけが響きわたっていた。

469第7話「ダークドリームと鏡の国」あとがき:2009/07/12(日) 07:06:07 ID:aed4Zz1b
今回はここまでです。
読んでくださった方、前回感想をいただいた方、Wikiに登録してくださった方、ありがとうございました。


今回で、ダークドリームのハルケギニアにおける物語は、一応終了します。
あと2話(+エピローグ)で物語は完結しますが、ここから先は、最終回まで『ゼロの使い魔』のキャラクターが登場する事はありません。
無用の混乱を避けるために、次からは全て避難所の方に投下するようにします。
第8話の投下予定日は7/15の夜(DVD・プリキュアオールスターズDXの発売日)を考えています。

それでは、ご迷惑をおかけする事をあらかじめお詫びしておきます。m(_ _)m
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 07:50:29 ID:OpuV5d3I
プリキュアの人乙です。
15日までwktkしつつ正座待機。
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 09:04:26 ID:h5sHlHvR
乙です
ダークドリームの今後の行動が気になりすぎます
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 09:16:39 ID:1bsxJfgr
プリキュアの人乙でしたー
ダークドリームの葛藤や如何に、ですね。続きが気になります
オールスターズも買わないとなぁ…

>>419
つ プリテンダー(人間に変形するトランスフォーマー)
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 11:30:57 ID:05OhNwXa
ふと、超能力者って無制限に能力を仕える奴以外なら、結構召喚しても面白いんじゃないかと思った。
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 11:36:10 ID:pCGrQixk
Darker Than Blackの能力者みたいなの?

それとも能力仕様で体力消費タイプ?
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 11:39:35 ID:evC1yUI8
んじゃ家族八景から七瀬さんでも。
単純な無双は無理だけど、ガンダなったら能力が生きて結構強そうだ。
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 11:57:36 ID:pej2PvO8
>>420
一瞬文芸評論家の長谷川史親に見えたw
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 12:03:56 ID:hlIBpsEl
公式化つうか、影響はかなり受けてるみたいだな
すごい科学の一巻が出て以来クロスオーバーにちゃんとした理由付けが行われるようになった
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 12:06:10 ID:8J+afm3N
>>473
…NEEDLESSばんじゃーい
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 12:06:30 ID:05OhNwXa
そういや黒とか、普通に面白そうだな。
大食い、一応美形、体術とワイヤーナイフを使うからガンダ補正が有効だし。

普通にさえない使用人を装いつつ、仮面をかぶってトリスティンのクソ貴族を感電死させて、
いつしか風系メイジの殺し屋が、最近現れたと、土くれのフーケとともに町の噂になるなんてのはどうだろう。


ただ、……黒って能力って無制限なんだよなw
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 12:22:12 ID:05OhNwXa
ワイヤーナイフじゃなくて、ワイヤー付きナイフでした。
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 12:48:20 ID:vJmCKrkJ
うえきの能力は無制限なんだろうか
限定条件とかあるしバランスはいいかも
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 13:02:17 ID:+NR4QkNI
基本的に制限ないんだろうけど能力者以外の人間に対して能力使うとペナルティで自分自身の存在の消滅に繋がるのでダメぽ
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 13:31:17 ID:pCGrQixk
能力使うたびに自分の指を自分で折ったり、本のページを全部折りながら1冊読んだり、小石を100個均等に並べたり、他人の靴を脱がせて逆さまに立てたりしないと死亡するキャラ達も居るんだぜ
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 13:37:43 ID:2icYoETf
指折りで何故かギィ・クリフトス・レッシュの飛行機でのあれを思い出した
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 13:39:31 ID:gKV1r0CY
ダーカー斬ブラックか
486ウルトラ5番目の使い魔:2009/07/12(日) 13:41:08 ID:BkmVGv2S
こんにちは、毎週お世話になってます。
 
プリキュアの人、乙でした。前回から一気に時系列が飛んでいてびっくりしましたが、ここまでダークドリームの
心の成長や葛藤がはっきりと現れていて、最後のほうでは本当にやりきれなさを感じました。
15日を楽しみにしています。

それでは今週も、ウルトラ5番目の使い魔、第56話の投下を始めたいと思いますが、よろしければ、10分後の
13:50より開始します。
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 13:51:29 ID:RjKXnXs0
ウルトラ事前支援だッ!
488ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (1/12):2009/07/12(日) 13:52:09 ID:BkmVGv2S
 第56話
 大怪鳥空中戦!! (後編)
 
 始祖怪鳥 テロチルス
 火山怪鳥 バードン 登場!
 
 
 トリステイン・ゲルマニア・アルビオン連合護衛艦隊は、今壊滅の危機に瀕していた。
 四隻の非武装船を護衛する艦艇は、戦艦一、戦列竜母艦一、砲艦二、巡洋艦四と、国籍の違いはあれども
相手が空賊程度であれば一蹴できる戦力を有していた彼らも、空飛ぶ要塞とでもいうべき巨大始祖鳥の前には、
猛禽に目をつけられた小雀のように、口ばしと爪で反撃することも、ましてや逃げ去ることすら適わない。
「何をしている、もっとよく狙え!」
 下士官が砲手を叱咤するが、弾丸のような速さで飛ぶ相手に当たるはずもないし、これほどに巨大な物体が
音速に近い速度で飛べば、強烈な衝撃波(ソニックブーム)を生み、球形砲弾や半端な魔法などは軽々と
はじき返されてしまう。それどころか、仮にまぐれで当たっても効果はまったくなく、威嚇にすらならない。
彼らは、これまで新鋭艦に配属されたことを誇りとしていたが、これがこの敵にはおもちゃ同然だということを
思い知らされて、かつてなす術なく全滅していった地球防衛軍や旧GUYSのような絶望感を味わわされていた。
 しかし、これは本当の恐怖のほんの幕開けでしかなかったのだ。

 沈没していく『マリー・ガラント』号の炎の中から現れた、恐るべき巨大怪鳥の姿を見て、才人は全身の血液が
干上がっていくような錯覚を覚えていた。
「始祖怪鳥テロチルスに、火山怪鳥バードン……悪夢にもほどがあるぜ」
 才人は、今日が地球だったら仏滅に違いないと確信していた。一匹でもとんでもなく強い怪鳥が二匹、しかも
一匹はあのバードンだ。その野太い鳴き声が響いてくる度に、才人の心から闘志が削られ、恐怖心が高まっていく。
「あんた、何びびってるのよ! わたしたちがやらなきゃ艦隊は全滅しちゃうわよ」
 自然と恐怖心をにじませていた才人にルイズの叱咤が飛ぶ。才人にも、それはわかっている、わかっているのだが、
今回ばかりは相手が違う。才人の心に、幼い頃テレビのドキュメンタリーで見たZATとバードンの戦い、その当時
最悪の怪獣災害と言われた事件のことが浮かんでくる。
 超高速で飛び回り、牧場や精肉所、肉のあるところを手当たり次第に荒らしまわるバードンによって日本経済は
麻痺しかけた。けれど、それは大人の事情であって、その当時まだ小学生であった才人はそんなことよりも、
迎え撃ったウルトラマンタロウを鋭いくちばしでめった刺しにして殺害し、救援に駆けつけたゾフィーをも圧倒的な
実力で惨殺したその恐怖感が、今でも残るトラウマとなって立ち向かう勇気をそいでいたのだ。
「サイト! 聞いてるの!? 返事しなさい」
 ルイズの怒鳴り声も、今の才人には半分も届かない。一度カーブで事故を起こしてしまったドライバーが、
その後カーブに差し掛かったときに無意識にスピードを絞ってしまうように、人間は一度植え付けられてしまった
恐怖心を、理性ではなく本能的に回避しようという機能が働いてしまうのだ。もちろん、それは生物が不要な
危険を回避するために必要不可欠な機能なのだが、機械と違って人間は一度組み込まれてしまったリミッターを
簡単に外すことはできない。
 戦わねばならない、そんなことはとうにわかっている。しかし、胸のうちから湧き上がってくる恐怖心のために
足がすくみ、いくら自分を奮い立たせようとしても、のどがカラカラに干からびて、体が言うことを聞いてくれない。
「……サイト、あなたまさか……怯えてるの?」
 幾度となく聞いたルイズのその言葉にも、今回は言い返すことはできない。少しは大人になり、忘れかけていた
トラウマだが、体は心以上にはっきりとそれを覚えていた。最強、というならゼットンやタイラントがいるが、
そいつらを恐れたことはない。しかし、お化け屋敷に怯える子供に、あれは作り物だと言って納得させられるだろうか。
489ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (2/12):2009/07/12(日) 13:53:47 ID:BkmVGv2S
「……あいつは、強い。そうなのねサイト」
 ルイズは、才人の態度からバードンの恐ろしさを確信した。元々感情に流されやすくはあるが、聡明な理解力を
持っている。これまで才人は逃げろとは言うが、それはあくまで敵の実力を見てのことであり、臆病者とそしられる
ような醜態を見せたことはない。
「ああ、火山怪鳥バードン……俺の故郷でも、最強に限りなく近いといわれている大怪獣だ」
「それだけじゃ、ないんでしょ」
 単に強いだけなら才人がここまで恐れるはずはない。半年も付き合えば、鈍いルイズにもその程度の心の機微は
察することができた。
「……奴の同族に、ウルトラマンが二人、殺されたことがある」
「なんですって!?」
 ルイズも絶句していた。まさに超人と呼んでよい存在であるウルトラマンを死なせるとは、どれほど恐ろしい
怪獣だというのか。
「うそじゃない。ウルトラマンだって傷つきもすれば死にもする。お前にだってわかるだろう」
 ドラゴリーのとき、ザラガスのとき、エースは致命傷を受けかけた。あのまま攻められていたなら、どうなっていたかは
わからない。けれども、それでも、今は戦わなければならないのだ。
「わかるわ……だけど、敵に背を向けない……いえ、私たちがやらなきゃ誰がみんなを守るの? ロングビルさんも
アイちゃんも、タバサや、おまけでキュルケとシエスタも、みんなみんな食べられちゃうまで震えてる気?」
「わかってる、わかってるんだが……」
 頭では、しなければならないことはわかっている。しかし、才人が恐怖心を抱えたまま変身したとしても、エースに
充分な力を与えられるか、ただ体の貸し借りをしているだけではないのだ。いらだちをつのらせるルイズを見かね、
才人の背中のデルフも使い手の心情をルイズにもわかりやすく説明した。
「娘っ子、相棒にとっちゃ、あの怪獣はお前の母ちゃんや姉ちゃんみたいなもんなんだよ。逆らいたくても
震えちまってできねえのさ」
 その例えは、二人のどちらにとっても不愉快な響きを持っていたが、正鵠を射ていた点では反論のしようもなかった。
ルイズがカリーヌやエレオノールに逆らえるかといえば、否の一言で事足りてしまう。
 だが、『マリー・ガラント』を空の藻屑に変えたバードンは、今度は『ダンケルク』に目標を定めて火炎を吹きかけてきた。
「きゃあっ!」
「危ないっ!!」
 とっさに才人はルイズを押し倒すかたちで甲板へ倒れこんだ。火炎は『ダンケルク』が高高度でも気圧を保つために
張り巡らせてあった風の防壁にさえぎられて威力を減殺され、その大部分が跳ね返されたが、それでも貫通してきた
熱波が才人の背中を焼いた。
「ぐっ……」
 うめき声が漏れ、背中がひどい日焼けをした後のように熱を持つ、熱波は船に影響を与えるほどではなかったが、
生身の体には、パーカーを羽織っていたことと、背中にデルフリンガーをしょっていたことを合わせても、
火傷とまではいかなくてもかなり効いた。
「サイト、あんた大丈夫!?」
「なんとかな……」
 苦痛の表情を見せる才人に、ルイズはこれからどう言えばいいのかとっさにはわからなかった。わが身を
省みずに、こんなに勇敢に行動できるのに、なぜたった一歩の勇気が出てこないのか。バードンとテロチルスは
艦隊の抵抗を意に返さず、スズメバチがミツバチの巣を食い破るように、口ばしを突き立てては獲物を捕らえていく。

 今や、艦隊は前後から二大怪獣の攻撃を受けて、ほんの数分しか経っていないというのに半数近くの船が
何らかのダメージを受けて、しかも相手にはなんら有効な反撃を打てていない。このままでは、一〇分と待たずして
艦隊全ての人間が怪鳥の胃袋に納まってしまうだろう。
490ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (3/12):2009/07/12(日) 13:56:17 ID:BkmVGv2S
「給炭艦『ラングレー』に大火災発生、炎上しつつ墜落していきます!!」
 今度は、大量の石炭を積載していた輸送船『ラングレー』がバードンの火炎の餌食となって沈んでいった。
バードンとテロチルスは先を争うように、焼けて食べやすくなった肉をついばんでいく。次は自分たちが
ああなる番だと、艦隊の誰もが痛感していた。
 それでも、あきらめの悪い人間はまだ存在している。まだどうにか被害を免れている『ダンケルク』では、
檻の鍵をぶち壊して、キュルケとタバサがシルフィードを解放していた。
「いよっし! これでなんとか脱出の足は確保できたわね。さっそく出しましょう」
「待って、今飛び出たら餌食にされる」
 タバサの見るところ、あの二体の怪鳥の飛行速度はシルフィードを大幅に上回る。タイミングを見計らわないと
むざむざエサにされるだけだ。けれど、待っていて結局船と運命を共にしたのでは話にならない。
「それにしても、この船の船長は何を考えてるのかしら、このままアルビオンにまで無事に向かえると思ってるの?」
 キュルケは、先程から艦隊がまったく進路を変える様子がないことをいぶかしんでいた。すでに、巡洋艦が
一隻撃沈されているのだ。トリステインの領空に戻って援軍なり救援なりを要請するほうが、はるかに確実だし、
撃ち落されても下が海か陸地かでは生存率は比べるべくもない。
「ようし、あたしはブリッジに進路を変えるよう要請してくるから、タバサはみんなを脱出できるように準備してて」
「うん……シルフィード、動いちゃだめ」
 二人は、きゅーいと不安そうに鳴くシルフィードを残して、ブリッジと船室のほうに別れた。
 けれど、実はブリッジではすでに進路を変えるか維持するかで激論が繰り広げられていたのだ。
 
「すぐに引き返すべきです!」
「だめだ、このまま進むんだ!」
 ブリッジの舵輪を前にして、トリステンへの退避を主張する船長に、あくまでアルビオンを目指そうとする
ワルドが杖を突きつけて、反転を阻んでいた。
「この艦隊の戦力では、あの怪物たちに太刀打ちできません。一時転進して戦力を整え、後日にかけるべきです」
 船長の言い分はもっともで、船員たちのほとんどがうなづいている。しかし、杖を構えた貴族に逆らうことは
できずに、心の中で船長にエールを送るしかできない。けれど、正論が正論として認められることは、体裁や
面子の前には非常にまれであることを彼らは知っていて、貴族というものはそれらの塊であった。
「いかん、アルビオンへの大使たるものがわずかばかりの危険を恐れて引き返したとあっては後世の笑いものに
なるだけだろう。ここはなんとしてでも進むのだ」
「それでは、名誉のためにここでこの船も沈めと……」
「ふっ、いや、この艦隊の使命は我々を無事にアルビオンまで送り届けることにある。我々さえ無事に目的地に
たどり着ければ彼らは大変な名誉を得られるのだ。なあに、この船はゲルマニア製の最新鋭船だ。頑丈さには
定評がある、そう簡単には沈みはすまい。それに、あの二頭がいかに大食いでも、一〇隻も食い尽くせば
満足して帰るだろうよ」
 悠然と、笑みさえ浮かべて宣言するワルドに船員たちは絶句した。彼は、自分たちがアルビオンに行く、
それだけのために艦隊全てを犠牲にしようとしている。舵輪を握っていた操舵士は歯を震わせて、この舵輪を
思いっきり回したい欲求にかられたが、ワルドに杖を向けられては手を上げるしかなかった。
「私は進めと言ったんだ。貴族に同じことを二回言わせる気かね?」
 哀れな操舵士は、平民にはどうしようもない魔法の行使に、ただ震えるしかなかったが、見せしめにワルドが
呪文を唱えようとしたとき、それまで話を見守って、どちらにも賛成も反対もしていなかったミシェルが彼の
杖の前に、自分の剣をさえぎるようにかざした。
491ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (4/12):2009/07/12(日) 13:58:07 ID:BkmVGv2S
「なんのまねだい? ミス・ミシェル」
「そのへんにしておけ、武器なき者を脅すために始祖は魔法を貴族に使わしたとは、寡聞にして聞かんのだがな」
「ふっ、聞き分けの悪い平民を矯正するのも貴族の責務だよ。そういえば、貴官も平民だったかねえ」
 明らかな恐喝ととれる台詞に、普通の平民ならば縮み上がって許しを請うだろうが、ミシェルは平然とその
眼光を跳ね返し、同等以上の不遜さを漂わせて言い返した。
「面白い、しかし我ら銃士隊の戦歴において、スクウェアやトライアングルクラスとのメイジとの戦いがなかった
とでも思うか。自信があるならよーく狙って呪文を唱えてみるがいい、外せば次の瞬間私の刃は貴様の
喉か心臓をえぐっているだろうよ」
 それは過信でも背伸びでもなく、正統な自信であった。ワルドも、戦えば少なくとも無傷では済まないとの
判断にいたり、表面上は紳士をつくろって杖を下げた。
「ミス・ミシェル、なぜこのような無意味な行為をする? 我らは共に同じ使命を受けた同志ではないか」
「勘違いするな。私は私の仕事は果たす。しかしそれ以外のことにおいて、貴様に気を使って仲良くする
義務はない」
 はっきりと、貴様は嫌いだと言われたに等しい台詞をぶつけられ、ワルドの口ひげが震えたが、彼が
なんらかを発する前に、ブリッジに飛び込んできた赤毛の少女によって、私闘はぎりぎりのところで
ストップさせられた。
「なにしてらっしゃるの!! このままのんびり遊覧旅行でもしているつもり、早く船をまわしなさいよ」
「ミス・ツェルプストー、ルイズの友人だったね。けれど、我々はトリステインの大使、そして今この
タイミングを逃してしまえばアルビオン王家と、戦闘が始まる前に同盟を結ぶことができなくなる。
引き返すわけにはいかないのだよ」
 キュルケは戦慄した。いくら重い使命を担っているとはいえ、すでに三隻もが撃沈されてしまい、到着まで
まだ半日はあるというのに、どう考えてもまともではない。
「巡洋艦『レイガナーズ』撃沈!!」
 そうしているうちにも、新たな犠牲が出た。テロチルスの体当たりをまともに受けた『レイガナーズ』は
全長一〇〇メイルの船体を真っ二つにされ、くの時に折れ曲がって沈んでいく。乗員たちは、風石である程度
浮くことのできる救命ボートで脱出しているが、反転して襲い掛かってくるテロチルスに、自ら飛び降りて
海面にまっさかさまに落ちていく者たちの姿を見て、さしものキュルケも視線をそらした。
 さらに、ワルドは護衛艦が全部沈められても、この船さえ生き残ればよいと言ったが、当然テロチルスや
バードンが選り好みをしてくれるはずがなく、『ダンケルク』号の右舷船底部にバードンの体当たりが命中して、
激震をこの大型船に与えた。
「ひ、被害を報告せよ!!」
 船長は、この状況にあっても自らの責務から目をそらそうとはしていなかった。それが、彼の生存するための
唯一の道だったとしても、その責任感には素直に賞賛を送ってもよいだろう。だが、伝声管を通じて各所の
船員たちからあがってきた報告は、この勇敢な船長に死を覚悟させるに十分なものだった。
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 13:59:48 ID:gsUQ1u/M
支援だ支援だわっふるわっふる
493ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (5/12):2009/07/12(日) 14:00:46 ID:BkmVGv2S
「右舷厨房に火災発生! 食料庫に延焼が広がっています」
「貯水槽に亀裂発生! 消火用水が足りません」
「第八から第三〇の三等船室が損傷、気密が破れています。三等船室の乗客を上部階に避難させる
許可をください」
「船内劇場と教会でインテリアに多数の乗客が押しつぶされています。応援頼みます」
「副操舵室圧壊! 内火艇格納庫損傷」
「第三艦橋大破!!」
「右舷の風石の貯蔵庫が破られました。このままでは高度を維持できません」
 被害は甚大だった。確かにゲルマニア製の頑丈な船体はなんとか攻撃に耐えて見せたが、特に、風石の
貯蔵庫が破壊されたのは痛い。このままでは高度を維持できずに墜落は免れない。キュルケや船員達は
それみたことかと非難げにワルドを睨みつけているが、ワルドは事も無げに言ってのけた。
「足りないぶんの風石は僕が補おう。僕は風のスクウェアだ」
 舌打ちのコンサートが無音でブリッジを流れた。しかし、どうあれワルドに足りない分の風石を補って
もらわなくては、魚雷を食らったに等しい損傷を受けたこの船が無事に着水できたとしても、すぐに沈没して
鳥のえさからサメのえさに変わるだけだ。
「ちっ……船長、わたくしは火のトライアングルですわ。何かお役に立てることはなくって?」
「おお、ありがたい。それでは火災の消火をお願いいたします」
「ええ、火のメイジは燃やすだけだと言われますが、言うことを聞かない火を操るのも火のメイジの仕事、
おまかせくださいませ」
 もはや脱出は不可能だとみたキュルケは、視点を変えて沈み往く船をなんとか助けようと、ブリッジを
駆け下りようとして、ミシェルに止められた。
「待て、ミス・ツェルプストー、私も協力しよう。ミスター・ワルド、さぼって沈めるなよ」
 駆け下りる階段の先からは、すでに煙の匂いが鼻をついてきて、キュルケはこれまで手足のように
操ってきた火が、自らの敵となって立ちはだかってきていることを覚悟せざるを得なかった。
 
 
 『ダンケルク』号の受けた損害は、上甲板をも当たり前に揺さぶり、そこにいた者を例外なく甲板に
叩きつけ、少なからぬ痛みを味わわせていた。
「サイト、あんたちょっと生きてるの!? ねえ」
 けれどルイズはそのほとんどを受けることなく、無事に立っていることができた。才人が、彼女に危機が
迫るたびにその身を抱えて、自らクッションとなったからである。ただし、その代償に全身を強打した彼は
まともに呼吸することができずに、喉からかすれた音を出すだけで精一杯の状態になっていた。
「この馬鹿、あんたってやつは、どうしていつもこう……」
 他人の危機には後先考えずに飛び込んでいくくせに、自分のこととなると適当なのか、これほど主人に
心配をかけさせる使い魔はほかにいるまい。毎度助けられるこっちの身にもなれと、ルイズはせめて
その手を握ってやることくらいしかできなかった。
 だが、燃え盛る船団と、その炎に焼かれる人々を救うためには、ここで寝ているわけにはいかない。
残酷なようだが、無理矢理にでも才人を立たせて戦わせるしかないのか。けれどそのとき、才人と
ルイズの心に、エースの声が響いてきた。
494ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (6/12):2009/07/12(日) 14:03:29 ID:BkmVGv2S
(ルイズ、才人くん)
(っ、エース……)
 二人は、まだ変身していない状態ながらも、エースと同化しているときの精神がつながった擬似感覚を
共有して、エースと向かい合った。
(才人くん、君の心に宿った恐怖心は、私にもよくわかる。バードンに倒されたタロウやゾフィー兄さんが、
銀十字軍のメディカルルームに運び込まれてきたときには、私もぞっとした)
 それまでのウルトラマンの戦いにおいても、ウルトラマンがゼットンにカラータイマーを破壊されたときや、
疲労が溜まりすぎて体を壊しかけたセブンの例はあるが、ここまで徹底的に息の根を止められたことはない。
治療にあたったウルトラの母も、あと少しで本当に死ぬところだったと言っていたのだ。
 ルイズも、エースの記憶からボロボロに傷ついたタロウやゾフィーの姿をかいま見て、バードンの底知れない
恐ろしさを感じざるをえなかった。
(だがそれでも、タロウは地球で自分を信じて待ち続けてくれていた人々のために、迷わずに地球に戻っていった。
君は、そんなタロウの姿にあこがれてきたんじゃないか?)
(はい……)
 それでも、才人は恐怖を振り切ることはできなかった。あのタロウやゾフィーをも倒した大怪獣を相手にして、
果たして勝てるのか、死を恐れないなどと知った風な口は利かない、怖いものは怖いし、死にたくなどない。
だが、才人にもエースがそれ以上言いたいことはわかっていた。勝てるかどうかというのは問題ではない。
今、みんなを守れるのは自分たちしかいないのだ。
 けれど、苦悩する才人を救ったのは、意外にもルイズの穏やかな声だった。
(なら、わたしがあんたについていてあげる。あんたが怖くないように、わたしがずっとそばにいてあげる)
(ルイズ……)
(ふん! だらしない使い魔を守ってあげるのも主人の務めよ。それに、さっきあんたはわたしを守ってくれた。
借りは、返すわよ)
 いつものようにつれない態度をとってはいたが、ルイズはいつも才人からもらってきたものを、少しでも
返したいと思っていた。かつては自分のことだけしか見えてなかった彼女にも、誰かのために何かをして
やりたいと思う心、それは少しずつ受け継がれ、そして芽生えていっていた。
(エース、俺、頑張ってみるよ)
 まだ正直怖い。だけども直接心を通じて伝わってくるルイズの叱咤と激励の意思が、才人にひとかけらの
勇気を与えてくれた。
(わかった。ルイズくん、才人くんを頼む、そして、君たち二人で私を支えてくれ。さあ、ゆくぞ!!)
 
「ウルトラ・ターッチ!!」
 心と体を一つにつなぎ、光となった二人は『ダンケルク』の甲板から天空へと飛び立ち、舞い降りてきた
ときには銀色に輝く光の戦士、ウルトラマンAへと変身していた。
 
「デャァ!!」
 直上から急降下してきたエースのキックが、調子に乗って悠然と飛んでいたバードンの背中に直撃し、
背骨の関節を逆方向にひねったあげく、勢いそのままにテロチルスにまでぶっつけて、二匹の怪鳥を
きりもみさせて打ち落とした。
 
「ウルトラマンAだ!!」
「万歳! これで助かった」
 もはや死を覚悟していた艦隊の乗組員達も、エースの勇姿と、悲鳴をあげながら墜落していくバードンと
テロチルスを見て喝采をあげる。しかし、こいつらはこの程度でまいるような弱い怪獣ではない。きりもみを
海面寸前で止めると、そのまま巨大な翼を羽ばたかせて揚力を得て、まるでロケットのように猛烈に
急上昇をかけながらエースに逆襲をかけてきた。
495ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (7/12):2009/07/12(日) 14:05:07 ID:BkmVGv2S
「シャッ!」
 はじめにバードンの、次にテロチルスの口ばしを突き立てた突進をかわし、エースはさらに反転して
向かってこようとする二匹を見据える。そう、かつてタロウやジャックが同じく経験したように。
(サイト……大丈夫?)
(ああ……)
 エースの視界を通して、野太い鳴き声をあげながら向かってくるバードンの姿を見ながら、才人は
沸きあがってくる恐怖心と必死に戦っていた。正直、まだ怖い、けれどルイズがそばにいて支えてくれる。
好きな子の前でこれ以上みっともない格好ができるかと、それが才人をギリギリ支えていた。
(みんな頑張ってるんだ、俺だけ負けられるか! エース、バードンの口ばしには猛毒がある。絶対に
あれには刺されるな!!)
 トラウマを乗り越えるため、才人は心の声を張り上げた。バードンの口ばしの毒の威力はすさまじく、
一撃でメビウスは戦闘不能にされ、連続で受けたタロウやゾフィーは絶命にまで追い込まれている。
エースは才人の助言に従い、腕を伸ばして飛行体勢に入る。
 
 ウルトラマンエースvsバードン&テロチルス、超音速の空中戦が始まった!!
 
(後ろから来るわよ!)
 飛行するエースの後ろから、食事を邪魔されて怒り狂うバードンとテロチルスが、音速を超える速さで
襲い掛かってくる。二匹とも凶暴性では折り紙付きだ。こうなったらエースを倒すまで、けっして追撃が
止むことはあるまい。だが、艦隊を守るためにはそのほうが都合がいい。
 追いすがりながら火炎を吹き付けてくるバードンの攻撃を右旋回してかわし、別方向から甲高い声を
あげながら軟降下攻撃を仕掛けてくるテロチルスの体当たりを、さらに上回る加速で振り切って、
艦隊から引き離していく。
「信じられない。なんという速さだ」
 艦隊の将兵たちは、ハルケギニア最速の風竜すら遠く及ばない高速で飛ぶ二羽の怪鳥と、それすら
引き離す勢いで飛ぶエースの飛行能力のすさまじさに、感心することさえ忘れて見入っていた。
そう、エースの空中飛行能力はマッハ二〇と、ウルトラマンタロウと並んで兄弟最速を誇る。相手が鳥でも、
この速度があるならひけをとりはしない。
「デャッ!」
 間合いを十分とったエースは振り返り、先頭で向かってくるテロチルスに対して、右手から手裏剣を
投げつけるように、小型の光弾を放った!!
『スラッシュ光線!!』
 テロチルスの真っ赤な頭部で爆発が起こり、その進撃スピードがやや鈍る。しかし、テロチルスは
ウルトラマンジャックのスペシウム光線の二連打を浴びても平然と飛行していたほどに頑強な体を誇る。
この程度では少々の足止め程度にしかならない。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 14:06:02 ID:S5UdTVSM
おお、支援です
497ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (8/12):2009/07/12(日) 14:07:08 ID:BkmVGv2S
(しぶといな)
 テロチルスが反撃にと、鼻の穴から発射してきた矢じり型の小型光線をかわし、エースはさらに
突進してくるバードンをやり過ごしながら、この二大怪獣の攻略方法を探していた。エースの飛行速度は
この二頭を上回るが、敵も高機動を誇る以上、小技の光線は当たってもメタリウム光線などの大技は
かわされてしまう可能性が大きい。第一、仮に当たったとしても撃墜できるとは限らない。
(サイト、あんたの世界じゃどうやってあいつらを倒したの?)
(ああ、それなんだが……)
 才人は、いつものように怪獣の攻略法をうまく説明することができなかった。なぜなら、初代テロチルス、
初代バードンはどちらも正攻法ではなく、ウルトラマンジャックの空中からのきりもみ落とし、ウルトラマンタロウの
キングブレスレットを使った分身かく乱戦法・ミラクル作戦で、地上に激突させられて倒されている。
要するに、ここは海上、その手は使えない。落としてもまた飛び上がってくるだけである。さらにいえば、
メビウスと戦った二代目バードンは、GUYSの狙撃によって毒袋を撃ち抜かれて弱体化した後に
メビュームシュートを受けて倒されているが、この高速機動戦で毒袋を正確に攻撃するなどとはいくら
エースでも不可能だ。
(つまりは、過去の戦訓はあまり役に立たない。新しく考えるしかないってことだな)
(ごめんエース、役に立てなくて)
(その言葉はまだ早いな。君は、私や兄弟たちの戦いをずっと見てきたんだろう? だったら、相手をよく見て
それからアドバイスをくれ)
 エースは襲い掛かってくるテロチルスと、火炎を吐きかけてくるバードンをかわしながら、逆に頭を踏みつけて
飛び上がり、距離をとってエネルギーを溜め、両手を突き出して赤色のエネルギーの矢を放った!!
『レッドアロー!!』
 赤色光弾がバードンの背中に命中し、その飛行がわずかに緩む。体の頑強さではバードンはテロチルスより
劣り、ゾフィーのZ光線でもそれなりにダメージを与えられている。
(いよっし、効いてるわよ。このままいけるんじゃない?)
(いや……やっぱりこれじゃあまり……)
 ルイズは正直に喜んでいたが、レッドアローではやはり致命傷とまではいかない。連射すれば別かもしれないが、
いくらなんでもエースのエネルギーが持たない。スタミナではこの二頭のほうがエースより断然上回るのだ。
上昇旋回して口ばしを突きたてようと背面飛行で向かってくるテロチルスを、エースはなんとか身を捩じらせて受け止める。
「デャァァッ!!」
 悲鳴を上げて暴れるテロチルスの首筋を掴んで勢いを利用し、そのままバードンの方向へと投げつけた。
一万八千トンと三万三千トンがぶつかり合って、雷鳴のような空中衝突の轟音が虚空をはさんで艦隊にまで
響き渡る。
 
「なんて戦いだ……」
 遠巻きから見守る将兵たちには、まるで流星が飛び回って戦っているかのようにさえ見える。あの二体の
怪獣は艦隊を襲うときはまるで本気ではなかったのだ。
498ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (9/12):2009/07/12(日) 14:09:16 ID:BkmVGv2S
 また、船底を破壊されて甲板まで避難してきた『ダンケルク』の客の中から、ロングビルはアイを守りながら
じっと戦いを見守っていた。
「ウルトラマンA……必ず、勝って」
 もしエースが敗北するようなことがあれば、この艦隊の全員はおろか、アルビオンで待っているあの子にも
二度と会えなくなる。見守ることしかできないこの身がはがゆいが、せめて勝利を祈ろう。
 
 けれど、長引く戦いは確実にエースから力を削り、消耗は焦りを呼びつつあった。
 空中衝突したバードンとテロチルスは互いに怒り、バードンはその口ばしを開いて火炎を、テロチルスは
銀色の糸を相手に向かって吐きかけ、空中で爆発を起こして爆風が両者を吹き飛ばす。だが、その爆炎の
中から平然と飛び出てきたテロチルス、そしてバードンの凶悪な姿を見て、才人の心に恐怖が蘇る。
(ひっ!)
(サイト、しゃきっとしなさいよ)
 ルイズに叱咤され、才人は勇気を振り絞ってバードンの眼光に対抗しようとする。
「ヘヤァッ!!」
 その才人の勇気に応えて、エースはバードンの突撃に渾身の体当たりをかけるが、やはり空中では
向こうに分があり、押し負けてしまう。さらに、よろめいたところにテロチルスが光線を撃ってきて、なんとか
それはかわしたものの、とうとう長期戦が響いてカラータイマーが鳴り始めた。
(まずいな、エース、大丈夫か!?)
(正直きつい。少しでも奴らの動きが止まってくれれば、大技を撃ち込んでやれるんだが)
 一匹に集中しようとすれば、もう一匹に後ろから狙われる。大技は振りが大きいために、この二対一の
状態では使いづらい。才人はここでなんとかせねばと恐怖と戦いながら、必死で知恵をしぼった。
空中ではやはり鳥には勝てない、鳥を飛べなくするには……そうだ!!
(エース、上昇だ。とにかく高く飛んでくれ!!)
(……なに? わかった!)
 エースは才人の言葉の意味を図りかねたが、その言葉を信じて飛んだ。
「ショワッチ!!」
 二匹に背を向けて急上昇をかけていく。当然二匹も逃がすまいと、けたたましく鳴きながら垂直上昇で
追いかけてきた。あっという間に雲を突きぬけ、さらに高く高く昇っていく。
 高度八千、一万、一万五千、二匹の怪鳥はその強靭な翼でレシプロ機の飛べる限界高度さえ突破し、
執念深く追撃してくる。しかし、高度二万を突破したところで二匹は突然失速した。まるで、太陽に近づきすぎた
イカロスのように、それまで空気抵抗など存在しないように轟然と大気を掻き分けていた翼は、いくら
羽ばたかせても虚空を切るだけとなり、慣性での上昇力がなくなった後、重力に逆らえずに自由落下を始める。
(やった、いくら速くても鳥は鳥だ、宇宙までは飛べはしないぜ!)
 そうだ、確かにバードンとテロチルスは比類なき飛行能力を誇るが、風を切って飛んでいることには変わりない。
ならばその切る風のない場所、空気の限りなく薄まる高高度におびき寄せれば飛べなくなる。
499ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (10/12):2009/07/12(日) 14:11:14 ID:BkmVGv2S
(いまだ、決めろエース!!)
「デヤッ!!」
 虚しく翼を羽ばたかせ、背中から墜落していく二匹の巨鳥、今しかチャンスはない。エースは落ちていく
テロチルスを見下ろし、腕を胸の前でクロスさせてエネルギーを溜めると、両腕を上下に勢いよく開き、
その指先を結んだ間から巨大な三日月形の光の刃を撃ち出した!!
 
『バーチカル・ギロチン!!』
 
 光の刃は沈み行く月のように落下し、逃れることも許さぬまま、テロチルスの左の翼の付け根を寸断した!!
(やったわ!!)
 翼を失った鳥など、泳げない魚に等しい。自らの庭である空に生存を拒絶され、テロチルスは残った
片翼でもがきながら、これまで見下ろすだけだった海原の底の深遠の闇へと悲鳴を上げながら落ちていった。
残るはバードン一匹、だが、エネルギーを大量消費するギロチン技はもう使えない。
(かくなる上は、地獄まで付き合ってもらうぞバードン!!)
(ちょっ、どうする気!?)
 ルイズがエースの意図を図りかねて叫ぶが、今は説明している暇はないと、エースは自らも急降下の体勢に
入ると、重力のままに一気に下降してバードンの背後に回りこむと、背中から羽交い絞めにして直角で全速落下していった。
(……っ!)
 翼を押さえ込まれて飛べないバードンは、首を回してエースを口ばしで突っつこうと激しく暴れる。猛毒の口ばしが
エースの顔のすぐそばをかすめ、間近で見る才人の恐怖を蘇らせるが、彼は必死でそれに耐えた。
 高度が上昇しているとき以上の速さで下がり、一万二千、八千とみるみるうちに雲を突き抜け、青い海原が迫ってくる。
やがて絡み合ったまま両者は煙を噴き上げている艦隊のそばを通り過ぎた。
「うわあっ!?」
 すさまじい風圧が甲板にいた人間を襲い、彼らは目を開けた後に、海面に立ち上る高さ数百メイルに及ぶとてつもない
高さの水柱を見たのだ。
「ウルトラマン……まさか、怪獣を道連れにする気なのか……」
 誰かが呆然とつぶやいたその視線の先で、海面は激しく泡立つだけでその下の光景を見通すことはできない。
 しかし、エースは死なばもろともなどと考えてはいない。この世界、そして未来に守るべき大勢の星と人々の
ために、ここで倒れるわけにはいかないのだ。
 
 深度百、二百、バードンを抱えたままエースはどんどん深海へと潜っていく。あっという間に太陽の日差しも
届かなくなり、暗黒の世界を進む中で、カラータイマーの輝きだけが激しく明滅する。だが、どれだけ深海に
潜ろうともバードンは強靭な生命力を発揮して、なおも束縛を振り払おうと暴れるのをやめない。
 このままでは、バードンが溺れ死ぬより先にエースのエネルギーが尽きてしまう。二人が、あと何十秒と
持たないそのタイムリミットに恐れを抱いたとき、暗黒の海底に真紅の光芒が満ちてきた。
 
 海底火山だ。
 
(深海一千メートルの水圧と、灼熱のマグマ……ともに味わってもらうぞバードン!!)
(ええーっ!!)
(そんな無茶な!!)
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 14:11:38 ID:1bsxJfgr
対Uキラーザウルス・ネオ戦でもエースは見事な空中殺法を披露してましたね支援
501ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (11/12):2009/07/12(日) 14:12:13 ID:BkmVGv2S
 ここにきて、さしものルイズと才人もエースのあんまりにも無茶な作戦に完全に度肝を抜かれてしまった。
が、忘れては困るがエースは地球人、北斗星司でもある。パン屋のトラックでベロクロンに突っ込んだり、
アリブンタの蟻地獄に飛び込んだりと、無茶な戦法は昔からだ。
 そして、悲鳴を上げる二人といっしょに、エースはバードンを抱えたまま海底に真赤な裂け目を
開いた火口に飛び込んだ。かつて、マザロン人を追って富士の火口に飛び込んだとき、ルナチクスを
追って地球のマグマ層に突入したときのように、地獄の釜の底へ……やがて、どちらかの命を
飲み込んだ業火は、その歓喜を表すかのようにその身を震わせて、数万トンの水圧のヴェールも
破り捨てる爆裂を生んで、海面に白銀の大爆発を発生させた!!
 
「どっちが勝ったんだ……」
 水柱が収まった後で、海面から立ち上る黒煙の柱を見下ろしながら、艦隊に残った人々は、ただ
その目で見ることのできなかった戦いの結末がどうなったのかを、固唾を呑んで待った。けれど、
海面には何も現れない。
「まさか……」
 次第に後方に遠ざかっていく噴煙を望みながら、人々は最悪の結果を思い浮かべた。
だが、そのとき白波立つ海原から猛々しく飛び立った銀色の勇姿を見て、全艦からいっせいに歓声が
立ち昇った。
 
 ウルトラマンAは、水しぶきの銀色の粉をまといつつ、天高く飛び上がっていく。
(勝った……)
(生きてるのよね……)
 才人とルイズは、太陽の光を目指しながら、生きているということの喜びをしみじみと味わっていた。
自分たちもけっこう無茶をするかなと思っていたが、すぐそばに上には上がいた。さすが元TACは
だてではない。
(どうだ才人君、まだ怖いかい?)
(あ……)
 言われてみれば、いつの間にか胸のうちから湧いていた震えが消えている。エース、北斗は以前
多くの子供たちと接し、導いてきたときのように才人に無邪気な笑いを向けた。
(君は、自分自身で恐怖の根源と戦って倒したんだ。もう、あんな奴を恐れる必要はどこにもないさ)
(ああ、もう大丈夫だ、おっしゃあーっ!!)
 トラウマを乗り越えて、自信に溢れた声で答える才人を、ルイズは呆れたように、ほんとに頼りに
なるのかならないのか、よくわからない使い魔ねぇ、と見守りながら笑っていた。
502ウルトラ5番目の使い魔 第56話 (12/12):2009/07/12(日) 14:13:29 ID:BkmVGv2S
 見れば、損傷を受けた艦隊もほとんど消火を完了させて、沈む気配のあるものはない。半数を
失いながらも、艦隊はかろうじてその命脈を保っていた。
「ショワッチ!!」
 悪魔の去って平和を取り戻した空を、ウルトラマンAは飛び去っていった。
 
 
 客船『ダンケルク』も中破状態であったが、なんとか乗客に死者も出ずに飛び続けている。
甲板上にはクルーや乗客たちが詰めかけ、エースの勝利と生き残ったことへの感謝を込めて、万歳三唱が
続いている。もちろんロングビルもアイもそこにいる。
 船内からは、シエスタたちほかの乗客、体中すすけたキュルケとタバサ、汗を拭きながらミシェルも
出てきて喜びの輪に加わっていく。
 
 
 けれど、そんななかで唯一陰鬱な場所が同じ船の場所にあった。
「船長、副操舵室の応急修理が終わりました。いらしてくださいませんか?」
「わかった、すぐ行く……では子爵、私はこれで」
 戦闘のさなかに屋根を飛ばされて、舵輪も壊れたブリッジから、船長が逃げ出すように立ち去っていった。
残ったのは、風魔法を使い続けているワルドのみ、ほかのクルーたちもあまりの居心地の悪さにすでに
それぞれ理由をつけていなくなっていた。
「ふん、平民どもはこれだから、誰のおかげで生きていられると思っている」
 誰のせいで艦隊がこれほどの被害をこうむったかについては一切触れずに、ワルドは傲慢そうに無人の
ブリッジで鼻を鳴らした。もちろん、彼の心中には必死になって艦隊を守った大勢のクルーや、犠牲に
なった人々のことは一グラムも存在しない。
「まあいい、それよりも俺はついている。今アルビオンに行きそこなうわけにはいかんからな……
ふふふ、天は俺に味方している」
 アルビオンで自分がなすべき役目と、それによって与えられる自分の輝かしい未来を想像して、
ワルドは幻想に酔い、さらなる未来に黒い夢をはせた。けれど、彼の喉にひっかかるような哄笑が
誰をはばからずに響き渡る中、彼の背後から湿度を感じるような陰気な声が流れた。
「そうだな、確かにお前はついている」
 突然無人のはずのブリッジに響いた声に、ワルドはとっさに振り向いたが、そこには誰の姿も見つからずに、
彼は空耳かとそれを忘却の沼地に投げ捨てた。
 だが、それは空耳ではなかったのだ。ワルドが楽しげに未来図を構築するなか、部屋の影に溶け込むように
存在していた黒衣の老人が不気味な笑顔を彼に向け、やがて本当に影の中に溶けて消えていったのだ。
 
 
 様々な思いが交錯するなか、生き残った艦隊はよろめくように進んでいく。ここまで来たら、もう引き返す
道はない。そして、見張り員の叫びが全艦に響き渡ったとき、彼らはこの旅が終焉に近づいてきたことを知った。
「アルビオンが見えたぞーっ!!」
 才人、ルイズたちがいっせいに船首に駆けつけ、その先に広がる雄大な光景に息を呑んだ。
 大洋の上をさまよう巨大な、あまりにも巨大な大陸がそこにあった。緑に包まれてそびえ立つ山脈、大河は
大陸の端から流れ落ちて、そのまま霧となり雲となって大陸を包み込む。地球では、こんな光景はまずお目に
かかれないだろう。ベル星人が作った擬似空間の異次元の島、ウルトラ警備隊基地を狙った時限爆弾島も、
この光景に比べれば可愛いものだ。
「あれが、白の国、アルビオン……」
 白い雲の上に浮かぶ浮遊大陸アルビオンが、その巨大な姿をはるかに浮かべて彼らをじっと待っていた。
 だが、その美しい大陸にかつてない脅威が迫っていることに、今気づく者は誰一人いない。
 
 
 続く
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 14:15:47 ID:RjKXnXs0
ウルトラ乙
504ウルトラ5番目の使い魔 あとがき:2009/07/12(日) 14:18:24 ID:BkmVGv2S
以上です。今回も支援してくださった方々、どうもありがとうございました。
60話近くになってようやくとアルビオンにつけました。
wikiで見ましたが、バードンは「トラウマ怪獣」とも呼ばれているそうですね。実際、小学生くらいのころは
人間を食べるバードンがすごく怖かったです。ほかにも、小さいころはバルタン星人やワイアール星人、
キュラソ星人やアリブンタの話で眠れなかった記憶があります。今回は、そんなトラウマが現実として
存在する話として書いてみました。
 
また、これまでカリーヌさんの鬼の目があったためにギャグキャラ化落ちしかけていたワルドですが、
枷がなくなったので、やっと本来の彼らしい態度も示せたと思います。
 
では次回からアルビオン編本格突入です。行きはよいよい帰りは怖い。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 14:22:36 ID:05OhNwXa

特撮って興味無かったけど、面白かった。
ウルトラマンでも死んだ事あるんだなぁとはじめて知った。
次回も期待します。
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 14:24:57 ID:1bsxJfgr
乙でしたー
なんというウルトラ・ローリング・クラッシュ
そしてワルドはあんだけカリンママンに凹まされてまだいらんこと考えることが出来るんですね
……タフと言えばタフだなぁ……
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 14:45:44 ID:S5UdTVSM
ウル魔の人乙でした
この話を見て、エースはやっぱり北斗なんだなと改めて感じました。
バードンはあのケムジラを食べるシーンが印象的でした、トラウマ的に。
次回がどうなるか楽しみです。
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 15:04:05 ID:gsUQ1u/M
ウルトラの方お疲れ様でした
そういやバードンはゾフィー、タロウとウルトラ最強ツートップ(父、キング除く)を
まとめて倒してるんだよなぁ

そのうちジャッカル大魔王の出演もあったりして
次も期待しておりますです、はい
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 15:05:33 ID:OpuV5d3I
ウルトラの人乙&GJ!
今回も良かった。
ワの人がどんな要らん事するか楽しみですw
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 15:08:53 ID:H/xqh1Po
>>482
「電気を砂糖に変える能力」のように何かを無害化する力なら問題ないぞ。
能力解除の結果、相手にダメージ入る分にはペナルティ食らわんし。
「炎を飴玉に変える能力」なんかあったら便利だろうな。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 15:11:13 ID:OpuV5d3I
シンケンジャーからシンケンゴールド召喚…
マルトーと気が合いそうだが寿司の腕は普通らしいからハルケギニアに寿司流行らすのは無理っぽいな。
まぁ一人で巨大戦までこなせるし…普通にデルフと零戦とタイガー戦車涙目だなw
512毒の爪の使い魔:2009/07/12(日) 15:29:59 ID:frmf163l
ウルトラの人乙です。
バニラとアボラス、グドンとツインテールのように同士討ちをするかと思えば、結構仲良くしてましたね二匹?
まぁ、流石にぶつかった時は怒りあらわにしてたようですが。
無茶な戦法…お見事です。まぁ、サイトも惚れた女の為に単身七万に突っ込んでいくような無茶なお方ですし、お互い様です。
で、ワルド。やっぱりね…こんな事で終わるお方じゃないと思ってましたよ。
いやいや、これでワルド悪党フラグが折れる心配は無さそうですね。
さてさて…彼に関わるのは何かな? 今からとても楽しみです♪
次回も頑張ってってください。

そして、毒の爪の使い魔の44話が書き終わりました。
予定などが他に無ければ、15:35辺りから投下したいと思います。
513毒の爪の使い魔:2009/07/12(日) 15:35:01 ID:frmf163l
では、そろそろ投下開始します。

「テメェ、生きてやがったのか…」
「死んだと思ってたかよ? 残念だなァ…このとおり生きてるゼ。まァ、俺自身あん時は死ぬと思ってたがよ…キキキ」
ジャンガとガンツは互いに相手を油断無く見据える。
片やニヤニヤ笑いながら余裕綽々で相手を見据え、片や獲物を狩る獅子の様な鋭い目付きで相手を睨む。
気まずい空気が辺りに漂う。

ルイズとタバサは、それを敏感に感じ取っていた。
何しろ二人は彼等がどういう関係なのかを嫌と言うほど知っている。
どうしてあの亜人の少年が此処に居るのかは解らない。だが、非常に不味い事態なのは解っていた。
「あ、あの二人とも?」
恐る恐るルイズが声を掛けるが、二人は見向きもしない。
「ここは遊び場でないぞ? 揉め事ならば外でやれ」
ド・ポワチエがそう言ったが、やはり二人は視線を逸らさない。
亜人如きに無視された事にド・ポワチエは憤りを覚えた。
「聞こえないのか!? 揉め事ならば外でやれと言っている」
やはり二人は動かない。
ド・ポワチエはいよいよ我慢がいかなくなった。
「貴様等! このわたしを無視するとは、どういうつも――」

BANG! ビュン!

一発の銃声と空気を切り裂く音が同時に響いた。
ド・ポワチエの背後の壁に縦一文字の亀裂と一つの大きな銃痕が生まれた。
突然の事にその場の殆どの者が理解できなかったが、ルイズとタバサは直ぐに理解できた。
ド・ポワチエの言葉を遮る様にジャンガはカッターを放ち、ガンツは金色の十字のマークが刻まれた赤い銃を撃ったのだ。
そのタイミングは事前に打ち合わせでもしたかのように、寸分違わず同時に放たれた。
「な、な…」
言葉を失うド・ポワチエ。
二人は相手から視線を逸らしてすらいない。
ジャンガは大袈裟な位、大きなため息を吐く。
「よォ、ここはウゼェ奴が横から茶々入れてきやがる。場所変えようじゃネェか?」
「ああ、構わねぇぜ? 俺もそう思ったところだ。…つーか、テメェと意見が合うなんざ驚きだぜ」
呆れた様な表情を浮かべながら、ガンツは両手を広げる。
「キキキ、そりゃそうだ」
笑いながらジャンガは言った。
ガンツはジュリオへ顔を向ける。
「急に用事が出来たんでな…、戻るのは少しばかり後にしてもらうぜ」
「構わないよ。けれど、船酔いの方は大丈夫かい?」
「…気にしないようにしてんだ。思い出さすんじゃねぇよ…」
「これは失礼した」
あっさりと謝罪するジュリオにガンツはため息を吐いた。
「オイ、クソガキ? 俺もちょいと用事を済ませてくるゼ」
そう言うジャンガを不安を隠そうともしない表情でルイズとタバサが見つめる。
「ちょ、ちょっと…あんた、あいつとは…」
「一人で行っちゃだめ」
慌てる二人をジャンガは愉快そうに眺め、笑った。
「オイオイ、何マジな顔になってんだよ? ちょっとばかり昔のよしみで話をするだけだゼ」
「で、でも…」
「ウルセェな…、ガキが口挟む事じゃネェんだよ。黙って大人しく待ってろってんだ」
そして、ジャンガとガンツは部屋を後にしたのだった。
514毒の爪の使い魔:2009/07/12(日) 15:39:07 ID:frmf163l
暫く船の中を転々とし、漸く落ち着ける場所を見つけた。
そこは船の底部に位置する薄暗い通路だった。
「…この辺でいいか」
「ああ…、ここならそうそう邪魔も入らねェだろう」
ガンツの呟きにジャンガは同意する。
そしてガンツはジャンガに向き直った。
「さてと、色々と聞きたい事は在るんだがよ…」
「そりゃ俺もだ。まさかとは思うが…地獄の果てどころか、こんな異世界にまで俺を追って来た訳じゃネェだろうな?」
「違ぇよ」
「そりゃそうだよな」
ジャンガはそう言って、キキキ、と笑う。
「にしてもよ…何で銃を抜かないんだ? 前だったら有無を言わさず俺にぶっ放してきやがったのによ?」
ジャンガの言葉にガンツは、フッ、と含み笑いをする。
「もう復讐は終わったからさ。テメェを一度見逃した…その時にな」
「ホゥ?」
「確かに俺はお前を殺したかった…、親父を裏切ったお前を何処までも追い詰めて、殺したいと思ってたさ
だがよ…お人好しなアイツやオッサンと一緒に居て、情けねぇお前の命乞いを見て、
段々テメェのやってる事が馬鹿らしく思えてきたんだよ…。
流石にクロノアの奴がお前にやられた時は、ぶっ倒すつもりで撃ったがよ…」
「……」
「ま、とにかくだ…、俺はお前の事はもう然程憎くはねぇよ。
いけ好かねぇ奴だとは思ってるが…少なくともガキの様にムキになって追い掛け回すつもりは無ぇ。
一度決着をつけたのに、お前が生きてると解ったらまた追いかける…、それこそただのガキだ」
「……キ、キキキ」
それまで黙ってガンツの話に耳を傾けていたジャンガだったが、唐突に笑い出した。
「キキキ、キキキキキキキ!」
「何が可笑しい?」
以前ならばその笑い声に苛立ち、怒鳴り声の一つでも上げただろう。
だが、今のガンツはいたって冷静だった。
「キキキ、いや…少し前まで、馬鹿の一つ覚えみたいに親父の仇を取るとか言って、
俺を追っかけまわしていたガキが、暫く見ない間に随分と大人になったもんだ、と思っただけだゼ」
嫌みったらしく言うジャンガ。
そんな彼にガンツはため息を吐く。
「テメェは相変わらずみたいだな…」
「キ、そう簡単に変わるもんかよ、このジャンガ様がよ?」
「だろうな。…あのクレバスに落ちた後、テメェはこっちに来たのか?」
「ああ…そうさ。あの俺の後ろに居た、桃髪のクソガキに召喚されたんだよ」
ジャンガはガンツにこれまでの経緯を語った…。途中、色々と適当に誤魔化したが。
話を聞き終わってガンツはジャンガに尋ねた。
「一つ聞きたい事がある」
「何だ?」
「正義の味方の真似事なんかして、お前はここで何を企んでるんだ?」
「…別に? まァ…強いて言えば、この俺の楽しい”玩具箱”で遊ぶ事が目的だな…」
「フン、なるほどね? お前を慕ってる嬢ちゃん達も、ただの玩具かよ?」
「それ以外に何かあるか?」
「……別に。正直俺に不都合な事が無けりゃ、お前がここで今何をしてようが構わねぇさ」
「俺を放っておいていいのかよ…ガンツ坊や?」
「俺がお前を追っていた理由は親父の仇討ち以外ないからな…。それに俺は正義の味方なんかじゃねぇ。
必要以上に他人の事には口を挟まねぇし、首も突っ込まねぇ主義なんだよ」

それはガンツの本心だった。
世の中を一人で旅し、立ちはだかる困難は己の力だけで乗り切ってきた。
そんな彼は「人は裏切る時は平気で裏切るんだよ」と言い切ったりもした。
嘗ての冒険でも、ムゥンズ遺跡で悪夢の実験のために囚われていた人々も、
ジャンガを追う目的の為に、彼は平気で見捨てた。
別にそれは彼が非情だからというわけではない…、”自分には関係無い”からだ。
自分は自分、他人は他人と割り切り、周囲に流されず己の考えで行動する……それがガンツだった。
もっとも、そんな彼も時には周囲の意見を聞き、協力する事の大切さを冒険の仲間から学んだりもしたのだが…。
515毒の爪の使い魔:2009/07/12(日) 15:43:29 ID:frmf163l
「ま、そう言うわけだ。俺はお前が何をしようと構わねぇ。だが…俺の邪魔もするな。
もし、妙なまねをしたら…後ろからでも撃つ」
そう言ってガンツは鋭い目付きでジャンガを睨んだ。
ジャンガはわざとらしく震えて見せた。
「お〜お、こえェ、こえェ。んな事ァ解ってんだよ。俺だって漸くウゼェお前から解放されたんだ…。
また追いかけっこをやるのはご免だゼ」
「解ってんならいいさ」
そう言ってガンツはその場を歩き去ろうとする。
その背に向かってジャンガは声を掛けた。
「おい、ちょっと待てや? 俺からも少しばかり聞かせろ」
ガンツはジャンガを振り返る。
「いいぜ。だが、手短にしろよ。あの野郎を待たせるとうるせぇからな…」
「それだゼ…、一匹狼のお前が何であんな優男なガキと一緒に嫌がるんだ。
あんな確実に何かしら企んでる奴と、好き好んでつるんでる訳じゃねェよな…?」
ガンツは大袈裟な位、大きなため息を吐いた。
「確かになお前の言うとおりさ。本当だったらつるんだりしねぇよ。…ちょいと、訳在りでな」
「訳?」
ああ、と呟き、ガンツはこれまでの経緯を語り始めた。

テメェらが起こした事件が終わってから、俺は賞金稼ぎとしての一人旅に戻った。
賞金首を追いながら、あちこちを転々としてな。
で、二、三ヶ月ほどが経った頃か? ある日、いつものようにレッドクランを走らせていたら、突然俺は光に包まれた。
それはほんの一瞬だったさ。だが、その一瞬の間に俺はそれまでとはまったく別の場所に居たんだ。

「別の場所?」
ああ、と言って頷き、ガンツは話を続ける。

俺が光に包まれる直前まで、レッドクランを走らせていたのは人影なんか見えない荒野だった。
だが、光に包まれた後、俺の周りには人が大勢居やがった。どいつも見ない面をしてたが、
そんな事よりも気になった事があった。街だったんだよ…その時、俺が居たのは。
メイジ? 召喚? いや、その時はまだそんな事は知らなかったし、多少混乱していた事もあったから解らなかった。
だが、今思い返してみてもこっちでやってる普通の召喚とは違うみたいだったぜ。
最初は街の雰囲気から天空寺院の近くかと思ったが…肝心のそれが見当たらなかった。
周りの連中は俺を見ながら、ひそひそ何かを話してるしよ…。
そしたらさ、変な連中が現れてよ…俺が何者かとか色々尋ねてきやがった。
その質問を俺は妙に感じたよ。
俺は一応は名の通った賞金稼ぎだしよ、余程の田舎でもない限り知らない奴なんざ居ないはずなんだからよ。
まぁ、人が来たのは好都合だったからよ…俺も此処が何処だか尋ねたさ。
するとそいつら何て言ったと思う? ”下賎な亜人が敬虔たる我々ロマリアの神官に声を掛けるな”だとさ。
ロマリアなんて聞いた事も無かったし、何処かのチンピラの集まりかと思ってな、銃をぶっ放して軽くそいつ等に脅しを掛けた。
するとな、そいつら杖みたいな物を取り出して、何をするかと思えば炎やら氷やら風やらをぶっ放してきやがった。
ま、後はそいつらと街中でやりあう羽目になってよ…暫くはドンパチが続いたぜ。
何とか全員黙らせると、空からデッカイ竜が降りて来やがった。それに乗っていたのが、あの野郎だったのさ。
あいつは俺と連中のドンパチを空の上から見物してたらしくてよ、
俺の腕前が凄いとか何とか世辞を次から次から言って…、俺をデッカイ寺院へと誘った。
あからさまに怪しい勧誘だったが…他に行く当ても無かったしよ、あえて乗ってやった。
で、連れて行かれた先で会わされたのがロマリアの教皇とか言う奴だ。

「教皇だ?」
「俺も詳しくは知らねぇがよ、天空寺院の大巫女のような立場にあるみたいだぜ」
「ホゥ?」
「ま、それで俺はその教皇…ヴィットーリオって奴と話をしてよ、ここが別の場所どころか…全くの別世界だって知ったわけだ。
正直、最初は信じられなかったがよ……通貨の単位も違うし、ブリミル教なんてのも知らねぇ。
終いにはジュリオの奴に竜であっちこっちを少々飛び回ってもらって完全に理解したさ」
そこでガンツは一息ついた。
ジャンガは顔を俯けて暫く考え込んでいたが、ガンツに視線を戻す。
「お前がここへ来たのは召喚じゃない…つったな?」
「ああ、そうみたいだぜ」
「じゃあ…お前は何の所為でここに来た?」
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 15:48:11 ID:IU9UyBXK
支援。
それにしてもガンツとジャンガが普通に話してるのを想像するとシュールだ
517毒の爪の使い魔:2009/07/12(日) 15:48:32 ID:frmf163l
「さあなぁ…、結局奴等でも解らないらしいしよ。ま、今となってはどうでもいい事だけどさ。
”如何して来たか”よりも”どうやって帰るか”の方が俺には重要だしよ」
「…あんのかよ、その方法?」
「知るかよ…。だいたい、知っていたら俺はとっくに帰ってるぜ」
「だろうな…」
ガンツは再びため息を吐く。
「ま、そんな矢先に奴等が帰る方法を探してくれるとか言って来やがった」
「タイミング良過ぎだな…、下心見え見えだゼ」
「ああ…、奴等は俺に交換条件として”帰る方法が見つかるまで自分達の手伝いをしてくれないか?”って言ってきやがった。
ま、お前の言ったとおり何か企んでるのは間違いなかったがよ…さっき言ったとおり、他に当ても無かったしな」
「で…、協力体制をとって、こうして他所の国の戦争に首を突っ込みに来たと?」
「正直乗り気じゃなかったがよ…”お偉い教皇様”が世を乱すアルビオンと戦うトリステインに協力しなさい、つってな。
――船に乗るなんて知ってたら嫌でも来なかったがよ」
”お偉い教皇様”の部分に皮肉な調子を含めながら、そう言ったガンツの顔が青くなる。
…どうやら、船酔いがぶり返してきたらしい、今にも戻しそうなほど辛そうな表情だ。
ジャンガは首を振り、ため息を一つ吐いた。
「ったく…情けネェ。どうしてそんなに船に弱いんだか…。バッツが見たら泣くゼ?」
「…うるせぇ。だいたい、テメェを憎くなくなったとは言ってもよ、許してはいねぇんだからな?
馴れ馴れしく親父の名を語るんじゃねぇ…、うう…」
壁に手を着き、ガンツは苦しそうに項垂れる。
ジャンガは呆れたような表情でそんな彼を見つめている。
「解ったからもう行きやがれ…、こんな所で吐かれたら俺だって迷惑だゼ」
「ああ…言われなくても…そうさせてもらうさ…」
息も絶え絶えになりながら、ガンツは壁に手をつきながら、のろのろと亀の様な歩みで歩き去っていった。

ガンツを見送った後、ジャンガは背中の鞘を足の裏で乱暴に蹴り上げた。
鞘からデルフリンガーが出てくる。
「うわっと? な、なんだよ?」
「よォ、今の話聞いていたかボロ剣?」
「今の話? …悪ィ、寝てたんで聞いてなかった」
その言葉にジャンガの目尻が吊り上る。
「あン? 剣の癖に居眠りだァ? ふざけんじゃねェよ…」
「仕方ないだろ? 眠くなるんだから…」
どおりで静かなわけである。
ジャンガは半ば呆れて大きくため息を吐いた。
「まァいい。一つテメェに聞きたい事がある」
「何だね、相棒?」
「俺と同じように別の世界からハルケギニア<ここ>へ来た奴がいる。
そいつは俺と違って召喚じゃなかったようだが…、何か心当たりみたいなものはあるか?」
「知らん」
「…真面目に答えろ」
ジャンガの目付きが鋭くなり、言葉にドスが利いてくる。
デルフリンガーは慌てた。
「おい、こら待て!? 俺は真面目に答えたつもりだよ! 本気で知らないんだってば。
だいたい、サモン・サーヴァントで別の世界の亜人が連れて来られるなんて事態が、そもそも前代未聞なんだからよ!?
サモン・サーヴァント以外の方法での異世界からの召喚なんざ見当がつかねぇよ!」
必死に答えるデルフリンガーの言葉にジャンガは鼻を鳴らす。
「ったく…メンドくせぇ」
一言吐き捨て、ジャンガは踵を返した。



――トリステイン・ゲルマニア連合軍が港町ロサイスに上陸してから約三週間…。
連合軍の当初の予定ではロサイス付近で決戦を行い、そのままロンディニウムへと進行するはずだった。
だが、敵は反撃をしないばかりか、首都ロンディニウムへと立て篭もり、長期戦の構えを見せたのだ。
敵地での長期戦は望むところではないし、何よりトリステインの国力では長期戦は不可能である。
短期決戦を想定していた為に、兵糧などの補給物資は六週間分しかないのであった。
しかも…問題はそれだけに留まらない。
518毒の爪の使い魔:2009/07/12(日) 15:53:05 ID:frmf163l
まず、敵の巧妙な足止め。
連合軍は上陸から二週間ほどが経過した先週、漸く攻勢が開始された。
それにより、シティオブサウスゴータを完全占領し、ロンディニウムへの足掛かりを確保できた。
だが、敵軍は撤退の際にシティオブサウスゴータの食料を全て奪っていったのだ。
その為、連合軍は兵糧の補給ができないばかりか、街の住民に施しをしなければならなかった。
そして、問題はもう一つ…、アルビオン側から休戦の申し込みがあったのだ。
新年の数日前から降臨祭の終了までと言う事で、その期間は二週間ほど。
それだけの期間で何が出来るのか? と疑問に思うが、何が出来るか解らずとも時間など与えたくは無い。
更に付け加えれば、敵はアンリエッタ女王を捕らえているのだ。
連れ去った以上、殺すつもりは無いだろうが…正直どうなるか解らない。
一刻も早い救出が望まれるが、降臨祭の間はどんな戦も休戦するのが慣例だ。
結局、こちら側の兵糧の問題もあり、アルビオン側の申し込みを連合軍は受け、降臨祭の間は休戦する事となった。



青空に数多くの花火が撃ちあがる。ハルケギニア最大のお祭りである、降臨祭の始まりを告げる物だ。
今日から十日間ほど、連日飲めや歌えの大騒ぎが続く。
シティオブサウスゴータの市民はおろか、連合軍の兵士達も一緒に騒いでいた。
そんな街中の状況を冷やかな目で見つめている人物が一人居た。――ルイズだ。
「まったく…どいつもこいつも、恥ずかしくないのかしら…。
シティオブサウスゴータの人は敵を歓迎するし…、連合軍は戦争中だってのにバカ騒ぎして…。
だいたい、敵の所には姫さまが捕まっているのよ? …こんなバカ騒ぎしている暇なんて無いじゃないのよ…」
ブツブツと言いながら、ルイズは道に転がっていた紙コップを蹴り飛ばす。
そんな彼女の横にガンツが並んだ。彼も今は暇をもらっていたのだ。
「そんなにカリカリすること無いだろうが? ま、お前の気持ちは解らないでもないがよ…、そんなに思いつめんな」
ルイズはガンツを振り返らずに口を開く。
「なんでよ? 今は戦争中なのよ…、気を抜く事なんて許されないわ」
「姫さま…って奴の事が気になるのか?」
「そうよ…、アンリエッタ女王陛下…わたしが心を許せる、わたしを必要として、親友と言ってくれる大切な人」
ガンツは腕を組む。
「俺はその女王陛下に面識なんか無いからよ…、正直他人事にしか感じないがな。
なるほど…、それじゃ気が立っていてもしかたねぇな」
「そう言う事よ」
「だがよ…、そんなんじゃ命落とすだけだな。こう言った状況だからこそ、もっと気を落ち着けやがれ」
「…わたしにもバカ騒ぎをしろって言うの?」
ガンツは組んでいた手を解き、両手を広げて見せた。
「いや、勢いはそのままで構わねぇが、少しは状況を良く見据えろって事さ。
知り合いのお子ちゃまがよ、アンタと似たような状況になった時に、知り合いのオッサンがそんな言葉を言っていたぜ…」
ガンツの言葉にルイズはため息を吐いた。
「はぁ〜、どうしてそんな風に楽観視が出来るのかしら?
あんたが居た所の亜人は皆そうなの?」
「さてな…」
ガンツはそう言って、それっきり黙る。ルイズは再度ため息を吐いた。
そこで、ルイズは辺りを見回し、ジャンガの姿を探す。
しかし見当たらない…、何処へ行ってしまったのだろうか?
その時、背後から声が掛けられた。
「ここに居たか、探したぞ」
「あ、アニエス?」
やって来たのはアニエスだった。銃士隊は近衛の隊だが、こう言った総力戦には参加するのが習いだった。

銃士隊が参加する事を知った時、総司令官のド・ポワチエは苦い表情をしていた。
規模こそ違えど、銃士隊の隊長は遠征軍を指揮する将軍と同格かそれ以上の官位なのだ。
何としても元帥になりたいド・ポワチエは、銃士隊の参加を快く思っていなかったのだ。
それは何も手柄を横取りにされる、と思っただけではない。
メイジではない平民に何が出来る、軍議の際に上座に座られては困る、などの軽視もあった。
結局はアンリエッタがいない為、臨時に政治の杖を振っているマリアンヌ太后やマザリーニ枢機卿の推薦もあり、
ド・ポワチエは渋々承諾をしたが、銃士隊に対する軽視は変わらなかった。
事実、出港直前の会議にはアニエスは参加していなかった。いや、できなかった。
ド・ポワチエの指示で補給物資の運搬の補助や監督などをさせられていたからだ。
だが、アニエスはそんな事は特に気にしてはいない。
519毒の爪の使い魔:2009/07/12(日) 15:57:50 ID:frmf163l
彼女にとっては軍議に出るよりも、この戦に参加する事が出来ただけでも良かったのだ。
正直、手柄などどうでもいい。ポワチエが欲しがるなら好きなだけくれてやるつもりだった。
彼女の目的はただ一つ――自分の新たな心の拠り所であるアンリエッタ女王陛下の救出だけだった。

アニエスは簡潔にルイズに用件を伝える。
「総司令部からお前に呼び出しが掛かっている」
「わたしに? まだ休戦の最中なのに…」
少し考え、ルイズはアニエスに尋ねる。
「どんな用なの?」
「さて…、わたしには詳しい事は何一つ教えられて無いのでな」
「信用されて無いんだな?」
ガンツの言葉にアニエスは苦笑する。
「煙たがられていると言った方が正しい。…平民風情に何が出来る? それが総司令官の考えなのだ」
「へっ、どんな奴にもそれなりの長所が有るってのによ…、頭が固すぎだぜ。そんなんで司令官が務まるのか?」
「有能でない事は認めるがな…、とりあえず無能ではない事はこのシティオブサウスゴータの占領から解る」
侮蔑の色を隠しもしないでガンツとアニエスはそんな事を言ってのけた。
勿論、周囲に気取られないように小声だが。
そんな二人の会話にルイズは口を挟んだ。
「とにかく、呼び出しが掛かっているのね?」
「ああ、付いて来てくれ」
そう言ってアニエスはルイズを伴って歩き出そうとする。
しかし、ルイズはアニエスを呼び止めた。
「ちょっと待って。…使い魔が居ないのよ」
「あいつが? 一緒ではなかったのか」
「ちょっと目を離している間にいなくなっちゃったのよ。…ご主人様を放っておいて何処で遊び惚けてるのかしら?」

「いいじゃネェかよ…、祭りなんだしさァ。カリカリしすぎなテメェの方がバカなんじゃネェか?」

噂をすれば影…、とはよく言ったものだ。ルイズは大きくため息を吐き、後ろを振り返る。
「ジャンガ! あんた、何処へ行っていたのよ!? ご主人様をほったらかしにする…なんて……」
ルイズの声は徐々にトーンが下がっていった。

そこにはジャンガが立っていた。それは別に問題ではない。

彼の隣にはタバサが立っていた。それも大した問題ではない。

――問題なのは二人が持っている二つの瓶だ。

「あ、あんた…それって?」
ルイズはジャンガに詰め寄りながら、震える指先でジャンガが腕に抱えている瓶を指差した。
瓶は無色透明、中には一輪の花が咲いている。
その花の色は二つの瓶でそれぞれ異なっており、ジャンガの花はピンク色、タバサの花は青色をしている。
ジャンガは花の入った瓶を見る。
「ああ…、こいつか? そこら辺をブラついていたらよ…タバサ嬢ちゃんが来てな。この花を渡してきたんだよ」
「タバサ…?」
目付きを鋭くし、ルイズはジャンガとタバサを交互に睨む。
気にせずジャンガは話を続ける。
「それでタバサ嬢ちゃん…いきなり「誓いをして欲しい」何て言ってきてよ…。
最初何の事だか解らなかったがな、あまりにしつこく言ってくるんでよ…。
ま、面白そうだったから付き合ってやったんだ」
「…それで?」
「俺は”足手纏いにならない限り、テメェを片腕として認めてやる”って言った。
タバサ嬢ちゃんは”俺に認められてる限り、足手纏いには決してならない”って言いやがった。
そしたらよ…、この花が急に咲き初めてな。キキキ、面白い花だよな〜?
聞いてみたらよ、これは誓いの証なんだとさ。で、俺にこっちの色の花を持っていてくれ…ってさ。
正直に言や、花なんかに興味は無かったがよ…。ま、別に持っておくのも悪くはネェよな、キキキ」
ジャンガの話を聞きながら、ルイズは身体を振るわせる。
520毒の爪の使い魔:2009/07/12(日) 16:01:23 ID:frmf163l
エクレールダムールの花――二人の人間の絆を象徴し、互いの事が解るというマジックアイテム。
この花を持ち寄って誓いの言葉を言うと花は咲く。
それ故、結婚式に用いられる事も多く、カップルの間では人気の一品である。

ルイズは歯を噛み締める。ギリギリと音が鳴るほどに噛み締める。
自分が居ない間に…この使い魔は何をしているんだ? ご主人様を放っておいて…他人と誓いの言葉を交わす?
…別に結婚式でもなんでもないし、誓いと言ってもそれは当人同士の間の物だから、自分が口を挟む道理は無い。
だが……何故だか物凄く悔しい。
ルイズはチラリとタバサを見る。
タバサは相変わらずの無表情だった――が、その頬がほんのりと赤く染まっているのに気が付いた。
「は?」
呆然とするルイズに向かって、タバサは表情を崩さないまま右手を上げ、
「ぶい」と言いながらピースサインをして見せた。
ルイズの歯軋りが一層激しくなる。
こ、こここ、この小娘…、ひ、ひひ人の使い魔に、て、手を出して……何余裕ぶってるのかしら?
てか、こいつ使い魔よ? 亜人よ? 忘れ掛けてるかもしれないけど…あなた殺されかけたのよ?
そいつと誓いの言葉を交わすなんて…何考えてるのかしら?
ち、ちち、誓いの言葉…誓いの…誓いの…ち、ちちち、ちち、誓いの言葉をぉぉぉぉーーー!?
そこまで考えてルイズは顔を真っ赤にし、踵を返すとアニエスの方に歩いていく。
「行きましょう、アニエス」
「いいのか、彼を連れて行かなくて?」
「いいのよ! あんな猫! 優柔不断で自由奔放すぎるあんな奴に、この戦争の意味なんか解らないわ!
わたし一人で話は聞くわ! さ、案内してアニエス!」
「わ、解った」
ルイズの気迫に多少押されながらもアニエスは彼女を伴い、その場から歩き去っていった。

後に残されたジャンガは爪でポリポリと頬を掻く。
「何がそんなに癪に障ったんだ、あのクソガキ?」
「…少し調子に乗りすぎた」
タバサがポツリと呟いた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

以上で投下終了です。

ガンツの語りの部分は原作六巻のメンヌヴィルの物を参考にして書きました。
放任主義…というよりは、他人にあまり関心が無い感じなんだな、ガンツって。
エクレールダムールの花は結婚式限定のものでは無さそうな事がウィキで解ったので、こんなかんじにしました。
アニメは酷評だけど、エクレールダムール関連は結構ジーンと来たし。

では、また次回。アディオス〜♪
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 16:33:55 ID:IU9UyBXK
乙!
タバサ自重wwww
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 18:27:20 ID:/pQomthV
乙です!
WIKIで今までの見てたら面白かったです。これからも頑張ってください。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 19:59:32 ID:lzUm/GhV
>>505
そもそも初代ウルトラマンからしてゼットンにやられています。
前田日明がそれをきっかけに格闘技を志したとか、最終話で子供達が窓を開けて夜空を見たというのは有名な話。
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 20:01:51 ID:BC0aM+od
毒の爪の人、乙です!

ジャンガとガンツ、一触即発香と思いきやこの展開は意外でした
割り切ってるというかドライというか… でもこの2人が戦う時がきたらまたスゴいことになりそうすね
ヴィンダールブに亜人を従える能力はあるのかな?
あったとしたらちょっとヤバいかもしれませんね

タバサ、いいぞもっとやれ!w
Vサインとか微笑ましいwww

525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 20:03:32 ID:BC0aM+od
ageちゃったよ ごめんorz
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 20:07:13 ID:VwYWhB+l


うん。まぁ、好きにやったらいいんじゃないかなもう
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 21:30:09 ID:jMiRmfRw
くそっ、堕天使稼業で忙しいってのにこの投下ラッシュはなんだ!!
書き手どもめgjすぐるw
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 21:56:06 ID:pD7tzUJn
原作無知な俺にエクレールダムールの花の色の意味を教えてプリーズ
ゼロ魔wiki見てもググッてもわからん
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:01:34 ID:hHEpE551
>>528
それは原作読んだとしてもわからんぞ
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:03:37 ID:dowlahXD
>>528
ぐぐったらいくつか記述あったぞ。
もうちょっと探してみ。ファイト!!
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:05:20 ID:r2eQ3xJL
>>523
というかゼットンはチートすぎるw

火球の温度10億だか10兆だっけ?
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:10:10 ID:tq1zd4WK
一兆度の炎だよ。

ヴァーさまなら耐えられる。
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:10:51 ID:ufhac8IV
>>531
一兆度ね。
そう言えばゾフィがバードンに負けたのは
タロウをウルトラの国に送還する際にエネルギーの大半を使い果たしたから、って説をどっかで見た覚えがあるなあ。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:12:34 ID:GiulaZzC
ゴーデス細胞がハルケに流れ着いたら

グレートと頭で会話するルイズが見たいんだが
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:15:58 ID:pD7tzUJn
とりあえず
死んだら枯れる、光る事もあるってのは分かった
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:21:36 ID:WiFyL/Hg
COD5の米海兵隊が召喚されました

奴らを焼き尽くしてやる
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:25:04 ID:ibMWd0S+
>>528
アニメだと描写補正で開花の時に光ってたな。蕾は撫子色っぽいんだが、開花すると桃色っぽく見えた。
たぶん桃色で良いんじゃね?
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:29:19 ID:ibMWd0S+
しくった。色じゃなくて意味だったのね。
離れ離れになってても相手の安否が分かるみたいなもんやね

二期最終話視返したが、タバサの「しぶとい…」がツボに入った
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:32:12 ID:pD7tzUJn
なんかこう
花言葉みたいなものがあるのかなーと思ったんだが
そんな事は無かったぜ!
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:32:42 ID:KaGKoofs
アニメってオーク鬼ほとんど出ない?
最終話で何あのゴブリンってなった記憶があるんだけど
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:35:59 ID:ibMWd0S+
>>539
自分で考えるんだ。
幸せになれますようにとか絆とか、そんな感じで
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 22:59:00 ID:A7FAz5kG
直訳するとフランス語で愛の稲妻
「愛は稲妻のように」が元ネタなんかな
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:02:19 ID:ufhac8IV
愛なんて稲妻のように一瞬で終わりますよってことなのかしら。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:12:30 ID:owG2M3qP
そんなことよりおうどんたべたい
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:16:58 ID:6QzKmJzn
俺のハートを貫いた!!!! って意味?
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:20:44 ID:BQ7MSvfz
>>544
自重しろ、うどん県民が。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:23:36 ID:vJmCKrkJ
上の方でうえきネタの話がでてたけど
天界人なら喚んでも行けそうじゃない?
キルノートンは小ネタにしかならなそうだけど
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/12(日) 23:54:16 ID:eoAXNAPY
>>544
冷凍うどんを茹でて、卵を落として、醤油とネギと七味と天かすをかけて食うのが俺のジャスティス
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:01:02 ID:BQ7MSvfz
>>548
水で締めないうどんなら許可する。
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:10:50 ID:jBM0iF7q
うどんの過剰摂取は香川県の河川の水質を悪化させるからやめろ
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:22:51 ID:XufQrKUI
探偵チャーリー召喚だって?
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:27:31 ID:h0T5kk68
香川は毎年水不足なんだから、香川県民はおやつ代わりにうどん食うのを自重しろよ
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:30:45 ID:F0FF86SY
強化されたマシュマー様を召喚
髪の色だけでルイズをハマーン様と勘違い
勿論タルブ戦ではハマーン様ばんざーい!で艦隊を壊滅させる
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:31:48 ID:HqT/K/Zz
愛媛から水道引いてもらってポンジュースで茹でてはどうか
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:31:58 ID:t7fnNnr9
うどんフ○ラ
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:32:39 ID:HqT/K/Zz
>>553の直後にIDがZZとかw
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:39:32 ID:Ux0JfWpd
うどんでヴァンプ将軍を連想した
召喚されてたっけ?
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:45:20 ID:b/WGxXfE
>>554
すでにある
流石に愛媛から水道は引いてないが
ポンうどんと言う愛称で特に県境に住む人たちに親しまれている
なんでも食事と言うよりはおやつと言う感覚が強く
学校給食なんかではデザートとして出されることもあるとか
愛媛、香川の両県で共同開発されたイメージキャラクターのポンど君は意外な人気があり、
駅ではストラップやキーホルダーがよく売られてたりする

ちなみにポンジュースで茹でるのではなく、ポンジュースをだし汁の代わりに使う
最近ではめんにオレンジ果汁を練りこんだ新商品が発売されたとか
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:49:39 ID:Jv4Rss7B
なんでうどん話になってるんだ?
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:51:13 ID:Qto4A4e6
ルイズがうどんを召喚してハルキゲニアの食に革命を起こすSSとか何とか
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:54:35 ID:mVktrNQi
かんべんしてくれ、
ギタドラ「みかんのうた」クリップのレスラー召喚したくなるじゃないか。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:58:00 ID:HqT/K/Zz
>>558
マジかwww
どっちもなんか旨そうだな
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 00:59:35 ID:b/WGxXfE
>>562
ごめん
一行目から三行目までウソ
あと四行目から七行目までもウソ

でも最後の二行だけはウソ
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 01:04:01 ID:8qKrwdXA
ここで新作出るたびにワの人のやられかたに思いをはせる私は、彼が好きなのか嫌いなのか。
原作だとライバルとしてラストまで出ずっぱりかと思いきや……だったなあ。

最新刊で復活とかしてるんだろうか? このままフェードアウトしそうでも有るけどw
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 01:06:49 ID:kEKIPD4f
パンツァードラグーンからドラゴン召喚
破壊の杖は旧世紀の銃で相手の魔法属性に合わせて変形で対処する
最後は使命を果たして砂になり、その中から生まれたミニドラゴンと共にルイズが旅に出る
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 01:15:40 ID:HqT/K/Zz
>>563
こやつめ、ハハハ!(AAry
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 01:17:14 ID:/DHkEjwH
ワルドが活躍してる作品なんて殆ど無いからな……涙が出てくるぜ
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 01:21:10 ID:jBM0iF7q
隻腕と盲目のメイジ このような取り組みが…
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 01:25:52 ID:b/WGxXfE
>>566
ユメ
悪夢は見れたかよ…?


ん、なんていうかごめん
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 01:41:44 ID:sXXoQEGs
うえきの法則でだれか書いてくれないかな
職能力の方なら才とか関係ないと思うんだ
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 01:49:18 ID:b/WGxXfE
>>570
ぢつは俺書いてる
アノンが召喚される奴
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 02:17:42 ID:sXXoQEGs
>>571
どうせウソだろ
このポンジュース
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 02:36:01 ID:o+rVrpr8
うどんより蕎麦派な俺はどうしよう
らーめんはずるい
ラーメン好きの小池さんでいつでも召喚出来るから
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 02:42:32 ID:2u3W+1fV
ドゥーチェを召喚しよう
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 03:08:44 ID:JL2DyrSa
じゃあ蕎麦好きな壬生狼を召喚……

うどんと聞いてパトベセルのクーのうどんアニメを思い出した俺は超異端派だな。さすがに誰もわかるまい……
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 07:28:13 ID:BsN3F12p
じゃあ俺は、アリゾナ州パラダイスから
ポスタル・デュードさんを召喚するよ
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 07:33:16 ID:7DcOjndH
>>567
他所に行ってしまったが「さあう"ぁんといろいろ」のワルドは大活躍してますよ
読んでる側の涙が止まらなくなる大活躍だ
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 09:52:04 ID:oq3Gbue5
>558
そもそもそんな事はじめるはるか昔下手すりゃ100年以上前からみかん汁で米を炊いたりしてた地方だぞ
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 11:03:46 ID:o+rVrpr8
ハルケギニアでみかんごはんを流行らせるサイト…ゴクリ
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 11:18:00 ID:8izKSq8r
I『もしも才人があの地方の出身だったら』、IFスレだったら面白そうなネタだな
トリステインで流行する奇怪な料理……
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 12:07:03 ID:tM+ZZ2bA
北海道出身のサイトが角屋のやきそばを……

なんだあの焼かないやきそば
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 12:28:31 ID:7DcOjndH
「ルイズ!好き嫌いしないでこの『しもつかれ』を食べなさい!」
「でもぉ」
「これは我が家に代々伝わる料理で、ご先祖様がかたじけなくも始祖より作り方を賜ったのです」
「たまには他の物も食べたいです・・・・・・」
「よいですかルイズ、この『しもつかれ』は大変体に良い上、男性でも女性でも、体のとある部分が増加すると言われているのです。
 カトレアは好き嫌いせずこれを良く食べていたので健康にはなりませんでしたがああなりました」
ごくりとルイズはつばを飲み込み、真剣な表情で
「エレオノールねえさまは・・・・・・・」
「あの子は・・・・・・・これを嫌ったのです。嫌がり、ほとんど食べようと」
「食べます!もう口からはみ出すほどに食べさせて頂きます!」
「よろしい」
「で、お母様、男性の場合の増加する場所とは?」
「あなたはまだ知らなくていいのです」

参考資料:「がんばれ!ぼくらの団長ちゃん」
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 12:30:34 ID:XbbLtVDT
トリスティン・ガリア間で繰り広げられる熾烈なお好み焼き論争!
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 12:44:12 ID:7DcOjndH
>>583
ビダーシャル「だからあやつらは蛮族だというのだ。
       やつらの食するお好み焼きなど、具の多いホットケーキに過ぎん。
       しかも真っ黒い泥水なぞでウッドーンを食べる・・・・・・理解外にも程がある」

でもきっとアルビオンの食事はまずいんだろうな。
「アルビオンではアルビオン料理以外のものを食べていれば問題ありません」
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 12:48:56 ID:G4Ca4KWx
BULLET WITCHのアリシアがルイズに召喚されました。
 便利な箒(空を飛ぶことは出来ない「あはー」が、色々な火器に姿を変える事が出来る)
 弾薬無限(魔力消費により補給)
 升な回避能力(回避不可能に見える弾幕の中でも回避行動をとれば全ての弾丸を避けられる)
 着替能力(白ミニスカ、女子高生、女教師(秘書?)、包帯、スジ(穿いてない)妖精など戦闘時のコスチュームを変更可能※)
 ダークネス(アリシアの精神に憑依してる肉体を持たない悪魔。数々の魔法を引き起こす高い魔力と、数々のピンチを潜りぬける知恵をアリシアに与える)
などなど

※会話時には普通のウィッチ衣装に戻る。(着替えは一瞬で裸は見れない)
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 13:00:12 ID:Bb/lShPX
ストパンまだかなぁ
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 13:30:14 ID:1+SjUm/i
うどんと聞いてなぜかガルキーバを思い出した

あのパートナーたちが召還されればルイズは喜ぶだろうな
588名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 13:36:13 ID:KFSl7HdY
>>583
小野寺作品とのクロスを読みたくなった。
「妄想使い魔ヤマモト」とか「ガンダールヴちゃん剣風帖」とか「トリステイン魔法学院血風録」とか
「嗚呼!熱血ロリータ使い魔」とか「外道学院長オールド・オスマン」とか。
誰か書いてくれないかな……。
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 13:42:50 ID:h/9spRZA
>588
GB使い魔とか嫌がらせどころじゃねえwwwwwww
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 13:44:20 ID:Vxa0YUPw
>ダークネス(アリシアの精神に憑依してる肉体を持たない悪魔。数々の魔法を引き起こす高い魔力と、数々のピンチを潜りぬける知恵をアリシアに与える)
>>数々のピンチを潜りぬける知恵

汚いなさすがダークネスきたない
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 13:48:17 ID:6iU2It8M
>>587
黒いうどんだっけか?
うどん屋のオヤジが病んでたりで結構鬱な話だったような
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:03:14 ID:Z0P+Kotw
うどん屋と言えば足洗邸のアレだろう
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:16:31 ID:gEfVEcNP
>>588
スピパラはどうした!?

素で霊と会話する主人公召喚した日にゃギーシュとか悲惨な事になりそうだな
決闘の最中に守護霊に女癖の悪さ聞いてワルキューレから逃げ回りながら暴露、説教、遊ばれた女性陣による粛正とか
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:32:39 ID:oZiWRJHh
>>588
「タバサちゃんは可愛いのぉ、ギーシュ!」
「へいっ、そうですね」
「なぁギーシュ、わしゃどうすればいいかのう」
「錬金で彼女と同じ眼鏡を作りました」
「わしゃタバサちゃんを想うだけで、………うっ!ヤってしもうたー」

こんな感じかな。
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:36:27 ID:Qto4A4e6
巣ドラというかソフトハウスキャラのドラゴン召喚面白そうなんだが
竜化すると性欲が暴走するっていうエロゲ設定が邪魔なんだよなぁ…
どーすりゃいいと思う?
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:38:06 ID:9Q4baj+L
別スレでやれよ
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:40:42 ID:Qto4A4e6
>>596
エロSSやりたくないんだよ文脈で分かるだろ?
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:49:35 ID:gEfVEcNP
>>595
違う、♂ドラゴンが捕らえた人間で練習するのは
数倍強い♀と結婚したあと♀を怒らせない為
命かかってるから♂は必死に練習する
♀が居ないなら何もやらないんじゃね?


性欲の暴走はブラッドに古代竜以外総ての血が混ざってる性で度重なる行為の結果暴走しただけ
つかブラッド喚んだらパワーバランス滅茶苦茶になるぞ
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:49:46 ID:pQ5EtW6Y
あんな「そーいえばそんな設定もあったね…」みたいな空気設定は無視してもいい気はする
ていうか暴走抑えられないのってヘタレ主人公限定じゃないの?
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:54:25 ID:Qto4A4e6
>>598-599
THX
OPで一応竜化すると性欲が云々言ってたのが印象に残ってたからどーかな…って引っかかってたけど
確かに余り気にする必要無いかもしれないちょっと試行錯誤してみる

パワーバランス的には♂竜ならウィザクラで一魔法使いに結構フルボッコにされてるから
大丈夫じゃないかなーと
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 14:59:33 ID:gEfVEcNP
>>600
いやウィザクラのヒロイン自体規格外なんだけど……
あとウィザクラの竜自体♂竜のなかでかなり弱い部類って聞いたこと有るんだが
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 15:10:07 ID:Zch5WZSq
ウィザクラの竜って、天界や魔界との戦いに負けてから退化したんじゃなかったっけ?
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 15:18:44 ID:Qto4A4e6
一応ウィザクラの最上の塔の竜は♂の中では2番目に強いって自分で言ってたハズ
それでも♀竜含めれば弱い方らしいけど
最上の塔以外にも出る他の♂の凡竜だとけっこう色んな人が倒してるみたいだし…
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 15:21:40 ID:kBn/QFem
あの世界の竜は雄と雌に越えられない壁があるみたいだし。

巣ドラならググってみればいいのが見つかると思うぞ。
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 15:34:53 ID:Qto4A4e6
>>604
あ、本当だ…既にあった
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 16:38:33 ID:Z0P+Kotw
>>605
ブラッド召喚するとエロ必須なるから、呼ぶなら女キャラにした方いいぞ。
去勢すればいいのに
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 17:07:05 ID:F/6jPRxr
初心者らくらく邪神マニュアル+スターターキットを召喚

ルイズは結構邪神の素質あると思うんだ
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 17:23:32 ID:Hce8fRu5
モッコス召還ですね、わかります
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 17:26:32 ID:JEon/yo/
>>606
女キャラにしたら間違ってリュミスが来て阿鼻叫喚か。
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 17:28:48 ID:sW+w9GoH
巣ドラならクーを呼べば、モンスター売ってもらって好きなのを使い魔にどうぞ、とかできるかもしれんな。
最初はベトから始まって、ワルド戦の頃にはハラミボディとか。
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 18:06:25 ID:Z0P+Kotw
ハラミボディと申したか。
でもクーとかメイドは耳でエルフ扱いされるだろうからな。フェイとかドゥエルナなら当たりじゃないか?
フェイならガンダかヴィン、ドゥエルナならミョズかヴィンとかさ
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 18:10:07 ID:tM+ZZ2bA
>610
ベト>ハラミまでに何匹の使い魔が死ぬのだろう……
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 18:15:54 ID:JEon/yo/
ハンマースイングの影が薄すぎて泣けてくる。
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 19:02:20 ID:gEfVEcNP
そしてやってくり究極生命体突然変異ベト
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 19:22:24 ID:6oOm8sF7
ちょっと質問
このスレでGヒコロウと美川べるのの知名度は如何程?
後ゲマインシャフト
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 19:26:01 ID:sW+w9GoH
考えてみたらギーシュ戦でベト死亡。
土ゴーレムとの最初の邂逅で、リトルハット死亡。
フーケ戦でマッドキラー死亡。
なんとなく任務に使えそうだとタバサがモエルモン購入。
ラ・ロシェールの決闘で突撃アイ死亡。
としても、アルビオンのワルド戦は、デーモンスピアになるのか。
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 19:28:27 ID:w1zRv0Vo
ダークマジシャンが大火炎・・・
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 19:30:13 ID:w1zRv0Vo
いや、ダークマジシャンが大暗黒か・・・
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 19:42:53 ID:XNT4AhDv
学院が要塞化して、トラップやらなんやらで阿鼻叫喚のメンヌヴィル隊…か……
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 19:46:19 ID:htX7suL5
>>615
ゲマインシャフトは全巻所持
ミカベルはシガラミンとトランセイザー以外はおおよそ所持
アトラス系アンソロもほぼ大体
Gヒコロウは知らん、↑二人と同系列なん?
ならば読むしか
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:02:01 ID:Z0P+Kotw
>>615
美川は結構漫画出してるし、一昔前にDNAのアンソロで活躍してたから知られてると思う。
Gヒコロウは……ゲーメストか? それとも道満晴明と知り合いの成人漫画家か?
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:13:38 ID:LyBmepLz
>>615

全部俺の好物です。
ただG=ヒコロウはうすた並に上級者向けと思われ。
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:14:02 ID:xVOeZ5/e
ドラクエからゲマですね分かります
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:20:40 ID:tM+ZZ2bA
Gヒコロウはゲーメストの漫画しか知らんな
髪の毛が寂しい人だよね
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:24:33 ID:7DcOjndH
どちらもぶっちゃけカタギの人間はまず知らんとみていいでしょう
ココに顔を出す、カタギとは言い難いアレな人間でも知名度はかなり低く
10d2の70以上出さないと知識判定で失敗するでしょうね
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:28:27 ID:htX7suL5
>>622
サンクス、そういやタバサのお化け怖いの真相が明らかになる前は
坂神練司召喚なんてアイディア出されてたなぁ
良かったよ、連載されて途中で真相発覚とかならなくて
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:37:36 ID:DG8itcCt
エロシーンではなく、暴力表現としてのレイプ描写はこの本スレに投下してもよろしいのでしょうか。
それとも、あんまり酷い描写はやはり避難所へ投下するべきなのでしょうか。ご意見をお願いします。
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:41:21 ID:PSUJoSRe
>>625
2面ダイス10回振って合計で70以上出すのか、難しいな
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:42:48 ID:E30+B3nj
>>627
ココじゃなくてアニキャラ総合板の運営と、したらば本体に問い合わせてみたほうがいい。
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 20:45:55 ID:gEfVEcNP
>>610
クー単独は難しいんじゃね?
クーやメイド達自身商会の商品でもあるし、ブラッドの所に居る間は所有権がブラッドに仮託されてる状態だからルイズに召還された時点でルイズに何らかのペナルティ科せられかねん
この辺はブラッド一緒なら大丈夫

あとクーって自力で地上と魔界行き来するから帰還も問題ないだろうし
日替わり使い魔みたいな往復か何らかの通信アイテムを置いていくって形になるんじゃね?
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:02:35 ID:LNcGvUWQ
>>627
他でやって欲しいです。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:04:44 ID:jBM0iF7q
朝チュン的な技術でよいのでは
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:08:28 ID:k2llntL8
個人的には避難所でもやめて頂きたいところだ。
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:12:05 ID:E30+B3nj
というか避難所でも、したらばの規約上18禁描写は不可能と思われる。
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:16:40 ID:HqaFEqgD
巣ドラクロス――NTのは削除されたから、前のほうしか残ってないんですよね。他にどこか無かったろうか。
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:19:34 ID:7DcOjndH
NTのは作者にメールすれば送って貰えるらしいですよ
試した事ないけど
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:23:32 ID:kEKIPD4f
矢島美容室が召喚されたら
638615:2009/07/13(月) 21:24:29 ID:HUh4ovl4
回答(´・ω●)
ヒコロウの知名度の低さに泣いた
プロフェッサーシャーボとかオルロック知らないか・・・

ミカベルとゲマインシャフトは通じるようなので短編書いてきます
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:27:19 ID:w7bhX8/6
>>638
不死身の人と駄目な発明する人か・・・ヒコロウはマイナー過ぎるから仕方ないだろ
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:38:01 ID:sEbuMMgz
もっとマイナーな作品で書いてる人間もいるし、「俺が知らしめてやる!」くらいの気概が欲しいな。
がんばれ。
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:40:41 ID:gEfVEcNP
>>638
ダムゾンゲルゲ召喚し大惨事になった後メカヨッチャンが美味しい米を炊き
エコロGが逝くのか……
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:45:43 ID:xEEA/1Ev
>>635
俺はあの作品大嫌いだけどあの作者個人サイトもってたと思うよ。
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 21:59:12 ID:b/WGxXfE
メモ帳開いてしこしこ書いてたら突然友人がやってきて「なにしてんの?」って聞かれた
これこれこういうの書いてるって説明したら「暗っ」て言われた

さっきそいつの狭い部屋にゼロ魔全巻とうえきの法則全巻置いてきてやった
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:03:24 ID:sEbuMMgz
個人的に>>563で腹抱えて笑わせて貰ったから、センスに期待してる。
でも経過報告とか状況報告までしなくて良いよ。
物書きなら、作品で語れ!


あと後書きとかな。
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:05:45 ID:b/WGxXfE
>>644
期待されると萎縮しちゃうんだぜ
「物書きなら、作品で語れ!」ちょっと興奮した
がんばるわ
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:09:01 ID:1SjMSeH/
>>644
三行目読んでおお、と思って最後の一行でフイタ
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:11:42 ID:Z0P+Kotw
つぅか、ゲーメスト知ってる人いたのねこの板
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:13:37 ID:7DcOjndH
ゲーメストを知ってる人は多々あれどOUTを知ってる人はそうはいまい。

ルイズ、「スカーレットマクダラン」召喚
ちきゅはぼくらのものなんだ
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:14:58 ID:8498EeRC
エルフを狩るモノたちのセルシアはルイズに似てるよね

少しだけ
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:17:58 ID:d/Fx9d89
雑っ君ポップの根腐博士が召喚されてたじゃん
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:18:58 ID:d/Fx9d89
>>648
グランゾートの続編で鰻人間が出てくる話って最後どうなったんだっけ
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:29:27 ID:dGD8Uy4d
ゲーメストといえば、K-×6の偽善者戦隊ばかりが印象に残ってるなぁ
あと、ギース・ボヒョー・ハワード
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:29:30 ID:kEKIPD4f
陸戦型ガンダムとシロー・アマダを召喚
ワルドとも解り合うべく奮闘する
654名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:30:27 ID:Z0P+Kotw
>>648
Oガンダムとか懐かし過ぎるな。廃刊して13年?
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:33:39 ID:1SjMSeH/
>>652
ゼロの「あやしい」使い魔


ツィーン
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:36:03 ID:+AujDsTS
>>654
1995年5月号が最終号。
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:37:53 ID:nDsnFDgT
ゲーメスト………。
誤植したらコスプレするって言った矢先に誤植して『小鉄の刑』になったヤツは元気かのぉ…。
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:40:43 ID:VDC7X7eO
>>585
銃に魔法付与できるし、ワルドに風魔法で弾丸防がれたらローズスピアで地面から串刺しにすれば余裕だし、
戦車一撃で破壊できる大魔法唱えれるし、チート過ぎるだろw
というわけで、是非書いてくれw
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 22:41:01 ID:8izKSq8r
>>655
悪を憎んで人も許さない韓国人のことですね、わかります
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:05:04 ID:0iCp9qjy
なぜか宮崎アニメからの召喚が無いな。
ムスカ大佐召喚とか面白そうなのに。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:06:43 ID:p+uh7DF2
>>660
小ネタで、ナウシカなら呼ばれてたぞ。

当然即死したが。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:08:41 ID:xVOeZ5/e
王蟲呼ぼうぜ!しかも最初から怒っていて、進行方向はルイズ及び学院で!
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:11:44 ID:zuJyIbyp
つまんね
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:13:37 ID:F/6jPRxr
ルイズは心が荒んでるから宮崎アニメのキャラクターとは合わないよ
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:13:46 ID:tM+ZZ2bA
シシ神呼ぼうぜ!しかも最初から怒っていて、進行方向はルイズ及び学院で!
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:16:25 ID:LoYQwqvZ
宮崎アニメは能力バトル展開してないから
書き手の腕が試されそうだな
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:17:47 ID:jA+V4WMT
ジブリの魔法使いといえばハウルの動く城のハウルだろ
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:23:25 ID:nw/lz9RO
>>661
ナウシカが普通に使い魔したらどうなるか?



まずアイツ素の時点でヴィンダールヴに近いくらい他生物と友好的だし、
原作、映画でもわかる通り剣術の才もなかなかあったりする。
意外とチートかもしれん


てかナウシカの性格ならルイズが白ルイズ化しても違和感無いんだが…
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:28:02 ID:xVOeZ5/e
>>668
ルイズじゃなくて、色的にタバサに召喚させてお姉さん役とか…イザベラに召喚させてお姉さん役とか…
どっちにしろお姉さん的ポジションに付きそう
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:31:55 ID:LNcGvUWQ
宮崎アニメなら、飛ぶ飛ばない以前に飛行艇が無くて飛べなくて涙目になる豚を……
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:32:59 ID:Z0P+Kotw
ナウシカって漫画版じゃ魔法を気嫌ってなかったっけ?
忌まわしき技とか言ってた気がする〜
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:33:57 ID:LoYQwqvZ
ピンク髪のドーラ様
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:35:40 ID:19hR/28s
>>668
ナウシカ世界の人間は清浄な大気の元じゃ生きられないんだよ
汚染した環境に適応するような身体になってるから
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:37:44 ID:o+rVrpr8
小ネタにあるぞ>ナウシカ召喚
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:38:15 ID:qJQmAffq
>>673
だから小ネタでは召喚された途端即死しました。
似たようなのではバルサス・ダイア(太陽光を浴びて即死)というのもあります。
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:40:14 ID:qJQmAffq
>>657
田渕健康なら月刊アルカディアで元気にバカやってますよ。




確かみてみろ!
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:55:19 ID:p+uh7DF2
>>673
使い間のルーンで魔改造したら、耐えられるようになった、という理屈で無理やり話を作るとか。
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/13(月) 23:58:54 ID:PSUJoSRe
>>677
契約する前に死ぬって話じゃねw
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:08:31 ID:D3KmxnDO
鏡通った時点で改造でもしないとだめだなw
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:08:35 ID:7QqMtsyI
>>677-678
ゲートをくぐる間に体質改造が行われるってのもこじつけられない?
681名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:20:49 ID:Ev8tHF4Z
あなたは、そこにいますか?
682名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:21:41 ID:ji1MF8uN
>バレットウィッチ。
アリシアの●●がハルケギニアに来た事があり、そこで●●を●●したのであれば、アリシアがハルケギニアに行く必要性もあるか……もしれない。
しかし、その場合、ハルケギニアは絶滅の危機に立たされているけれども。(というよりあのホノボノ?した世界にワームマンが闊歩するなんて)
あぁ、テファがワームマンになってたらどうするつもりだ。……ん?テファがアリシアを召喚すれば……。
683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:21:46 ID:qDMCtpPa
どうしても書きたいなら、それしかないんじゃないかなw
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:22:59 ID:9kpIX9b2
ぽにょは呼ぶなよw
あれ可愛くえがかれてるけど
裏の意味で主人公の父親は船ごと沈没して死んで
あの町の人たち大津波で街ごと沈んで皆死んでるって言う
絶望的な話なんだぞ
685名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:24:48 ID:1PUL73gt
>>684
ふんぐるい・むぐるうなふ・いあ・ぽにょ!
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 00:26:33 ID:kOvvu8XW
バレットウィッチというと
地形ダメージで即死してるイメージしかないw
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 02:08:57 ID:0gM2iJWM
ゴールドライタン召喚
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 02:09:51 ID:MjB8dJZ2
なんか、忌まわしき狩人が門を抜けてきて、喰おうとしたら偶然キスして使い魔になるというのが見えた。

ギーシュもフーケも食べて、空賊を食べたら中に王子がいたのに気が付きませんでした。
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 02:40:19 ID:PVtPZn4L
ウィッチブレイドを召喚してルイズをボドボドに
カイザのベルトを召喚してルイズをボドボドに
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 02:58:56 ID:pwCcjFpf
ガンダ=アニメ店長から島本和彦
ミョズ=吠えろペンより炎尾燃
ヴィンダー=アオウホノオより焔燃
記すことすら憚れる=究極超人あ〜るよりバレーボール部部長島本
を召喚
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 08:09:30 ID:4Ctw9OV3
うえきの法則誰か書いてんの?
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 10:21:36 ID:ApYpHRD4
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 10:53:18 ID:+3+NKa9S
>>692
エロゲだが、スピたんのクェド・ギンがいるぞ。
虚無(闇?)の力を使えるナイスガイ。力に侵食されて暴走しちまうのが難だが。
それを差し引いても研究者としても統治者としても有能だし、カリスマがある。
694名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 11:04:23 ID:202VMDd8
>692
偏った判別と基準であんま役に立たない他所の二次創作的な物を基準みたいに引用的に持って来られてもな
695名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 14:54:09 ID:aM131Yp4
ジブリキャラなら、トトロを呼んでも何人が姿を見れることか……多分スレた子供にゃ見えないだろうな。
696名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 15:00:06 ID:bGZa0kdm
タバサに見えたりしたら萌えるが、まぁ流石に見えないだろねー
697名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 15:00:08 ID:PVtPZn4L
トトロは死後のお話と聞いたが本当かいな
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 15:05:23 ID:BnKdPhEl
>>697
ドラえもんは植物状態ののび太が見てる幻ってのと同じレベルの都市伝説
699名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 15:06:35 ID:858AB6tz
ポニョだってクトゥルー
千と千尋も黄泉巡り
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 15:07:17 ID:K4NZXOnA
>トトロ
みんなが見えない中、何故か見えてしまって戸惑うコルベール先生。
学院の面々から「ミスタ……ついに頭の中まで可哀そうなことになってしまって……」とキ印扱いされてしまうのでした。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 15:12:16 ID:ulyt0pa0
実写トランスフォーマーの前日譚よりぶっ壊れた巨大冷凍コンテナを召喚
ルイズが野次馬からの嘲笑を受ける中、コンテナの中から巨大な鋼鉄の手が。
学院で破壊の限りを尽くすアイスマンを、責任を感じたルイズが虚無の魔法を使って追い返すとか
702名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 15:20:03 ID:9kpIX9b2
>>697
ポニョに関しては死後の話ってのはガチだぞ
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 15:25:27 ID:BnKdPhEl
人類が1999年に滅亡してて俺たちの今の人生が死後の幻っていうのもガチだぞ
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 15:48:08 ID:aM131Yp4
死後のお話からの召喚だったら、サイヤの使い魔の幽霊悟空あたりかな。復活を切に望む。
705名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 16:11:40 ID:BnKdPhEl
新作タイムリー中でアトリエからパメラさん…役に立ちそうにNEEEEE
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 16:16:00 ID:+7AF9AMw
プロフェッサー・ランドウがイザベラ嬢に召喚されてしまったようです
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 16:26:01 ID:174eJZ6p
プロフェッサー・ギルがジョゼフに召喚されました
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 16:34:21 ID:96ntWuRV
>>706
女帝ジャテーゴがヴィットーリオに召喚されてしまったようです
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 16:44:03 ID:sZzil6FW
ヱヴァからシンジさんを召喚してしまうとか
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 17:12:34 ID:e44B7gcF
>>709
破のシンジって綾波のために命かける熱血漢で
しまいにゃ暴走初号機すら完全制御するって聞いたがマジ?
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 17:20:10 ID:4tOvPKff
ひょっこりひょうたん島が死後の話っていう
衝撃の事実を知ったのは、確かこのスレだったな。
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 17:20:18 ID:174eJZ6p
>>710
それがホントかウソかは知らんがとりあえず最低一ヶ月はネタバレの類
我慢するのがよろしかろ
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 17:27:09 ID:YsS6CPmZ
マスエフェクトからレックスたん召喚見たいなぁ
シタデルへのマスリレイに突っ込むところでレックスだけ召喚。
転送事故でどっかの未開惑星に飛んだと思うレックスたん。
帰る手段が無さそうなので、雇われて「今までで最長の契約(ルイズの寿命まで)になりそうだな…」と呟くレックスたん。
色んな惑星を回ってたから月が二つあっても驚かないレックスたん。
魔法も未知の文明の云々と納得するレックスたん。
破壊の○○が先祖代々のあの旧式アーマーだったり。
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 17:30:02 ID:bGZa0kdm
ひょうたん島は、死後の話がどーたら以前に元々が結構黒くねーか?w
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 17:49:40 ID:174eJZ6p
食糧問題が起きないよう「死後の世界」と設定したらしい
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 17:53:11 ID:XQDfSDh/
ゼロのバースデイとか読む前に消えちゃったんだよなぁ
ホラー物からの召喚はこれからの季節にピタリじゃないだろうか

それはそうと最近の思いつき
『百億の昼と千億の夜』(漫画版)からラストシーン後の阿修羅王召喚
話と思考が壮大になり過ぎるのとチート能力過ぎるので没

『続・11人いる!』終了後からタダ召喚
能力は高すぎず低すぎず、人格は中々、貴族王族国家のゴタゴタに揉まれた経験アリ
結構面白そうじゃないかと思ったが、まだ中々固まらん

ルイズがヨグ=ソトースを召喚して孕まされる
ルイズの子供たちとオスマン、コルベールの死闘
今電波が入ったとこなのでまだ固まってない
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 17:53:59 ID:PVtPZn4L
ひょうたん島自体が漂流してるのに次々と漂流者がやって来るというおかしな現象が起きてるんだから
ねえ?
718名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:02:12 ID:NJJa/Y71
よい子のこわい食育SSは本当に恐かった
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:03:55 ID:WPddndRy
つかひょうたん島の砂漠の話で、幽霊のお姫様とか幽霊共和国とか地獄とか天国とか出てきたけど、死後の世界にもさらに死後の世界ってあるのか?
720名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:30:14 ID:858AB6tz
それをこのスレで聞く必要ってあるの?
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:37:20 ID:xpYTfOiq
>>712
このスレってそんなルールあったの?
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:39:13 ID:S3vpozfY
>>721
ないあるよ
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:39:29 ID:bGZa0kdm
一般的なマナーの話だと思うよ…
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:42:14 ID:tVjW0kbr
>>721
ルールじゃなくて配慮とか気遣いのレベルの話だろ

…マナー、って書いたら途端に胡散臭くなったんで止めた
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:43:08 ID:H7HEIanN
ネタバレの自重は当然の良識かと、今更書くまでもないんでは
726724:2009/07/14(火) 18:44:11 ID:tVjW0kbr
orz

別に>>723が胡散臭いって言ってるわけじゃないんだ、すまん
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:52:31 ID:xpYTfOiq
>>723-725
ネタバレっつっても、これって既に公開されてる作品の話でしょ?
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:57:27 ID:PVtPZn4L
俺が見てない=ネタバレですね?
分かりたくもない
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:58:20 ID:j85qi+19
まだ見てない自分が居ます、今週末行きたいと思ってるんだけどw
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 18:59:48 ID:MlEBf0ye
公開されている最中だから問題なんだよ
公開された作品ならネタバレしてもいいかもしんないけど
やってるのなら今後エヴァ見ようかな的な人が偶然レス見ちゃったら可愛そうだろ
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:00:48 ID:6zJ+w4dO
>>728-729
じわじわくるなw
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:01:23 ID:9kpIX9b2
つか流石に公開3週もたった映画のネタバレすんなって言うほうがおかしいだろ
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:02:08 ID:MlEBf0ye
>>729
週末の場合予約するか早めに行かないと席取れない可能性があるから気をつけてね
先週末行ったら満席で見れなかった俺が忠告してみる
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:04:29 ID:fpBppp4d
俺が見てる=ネタバレじゃない ですね?
分かりたくもない
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:10:55 ID:+3+NKa9S
ネタバレ云々以前に、エヴァのはスレ違だべや
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:13:51 ID:+K1mv+6S
DVDを購入して初視聴となる層もいるだろうに
自分の基準でしか他人を想像できない人間は口を慎むべきだろう
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:18:59 ID:JXM/NEbt
いっそのことサイトを大量に召喚しようぜ。

1巻のサイト、2巻のサイト、3巻のサイト、4巻の………という感じにサイトを10人くらい召喚。
あるいはパタリロの電送機事故のように、召喚の際に時空が歪んだ結果、10人のサイトが出現。
もちろんギーシュ戦もフーケ戦もワルド戦も10人がかりでフルボッコ。対7万もガンダ無双。


「貴様あっ………ヒラガサイト!!」
「ガンダールヴが10人!?」
「「「「「「「「「「レコン・キスタ! ガリア王国! 貴様らまとめて全滅だ!!!」」」」」」」」」」
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:19:35 ID:xpYTfOiq
>>730
それが嫌な人は、そういう話が出そうなスレを避ければ良いんじゃないの?
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:19:43 ID:H7HEIanN
>>737
それ絶対サイト違う
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:22:25 ID:H7HEIanN
>>738
「見ていない層」が大多数でありうるうちはそう言うやり方は馬鹿げてる。
言わんでも解るだろ
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:23:16 ID:YsS6CPmZ
>>738
一人一人の小さな気遣いでみんな幸せになれるのって素晴らしいと思わない?
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:24:15 ID:+K1mv+6S
>>738
それは顔の見える相手にのみ通用する話
それでも、いい顔はされない

不特定多数の人間が利用するネット掲示板内では暴論に近いぞ
君の連想できる人間しかいない場所じゃないんだから
少しは他人の心を量ってくれ
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:26:02 ID:xpYTfOiq
>>740
スレ内のどれだけが「見たいけど、まだ見てなくてネタバレも嫌な層」なのか分かってるってこと?
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:28:32 ID:+K1mv+6S
>>743
不特定多数の意味を調べてくれ
それで分からないならスレから消えることを推奨する
知らない人から叩かれたくはないだろう
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:29:09 ID:xpYTfOiq
>>742
顔が見える相手なら、まずは見たか聞いて話すだろw

暴論ねぇ、そういう話が出そうなところは避けるのが普通だと思うけどな。
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:29:21 ID:BnKdPhEl
そろそろゼロ魔の話をしませんか?
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:30:55 ID:IQEhCVbO
>>737
サイト同士で殴りあいのバトルロイヤルが始まりそうなんだが。
増えるんなら、ルイズがパーマンからコピーロボット召喚して二人のルイズとかの方が。
一応、コピーロボットは本体の言うこと聞くし。
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:31:31 ID:jNyeRd8h
>>744
自分の意見を全体にすり替えるな
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:32:41 ID:xpYTfOiq
>>744
スレ内の話かと思ったんだけどな、そういうことじゃなかったのか。
>>740は、このスレ内の大多数が「まだ見てないし、ネタバレも嫌な層」だから止めろ。って言ってるのかと思ったよ。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:34:06 ID:BnKdPhEl
ルイズがエレオノール姉さまを召喚
751名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:35:47 ID:JXM/NEbt
スレ違いな論議をつづける奴はルイズエクスプロージョンで、死ねえっ!


>>747
いや、「ガンダールヴの才人」が何人も使い魔になったら面白いかなと思って。
どっちかつーとゼロ魔IFスレ向けのネタなんですが。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:37:08 ID:wQlZIl76
>>737
1歳のサイト、2歳のサイト、3歳のサイト、4歳の……
に見えてしまったw
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:37:17 ID:5zm6pSuv
このスレでゼロ魔に関係ないネタバレを見るとすごい微妙な気分になる
とりあえずネタバレしたいならそれ関係のスレに行けよ、と
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:38:42 ID:xpYTfOiq
>>753
召喚に絡められてたら我慢しろよ、と
今回はそうでも無さそうだけどな
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:39:15 ID:4tOvPKff
出物腫れ物ところ構わずってヤツさ
756名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:40:21 ID:xpYTfOiq
「嫌わず」じゃないか?
757名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:41:07 ID:+7AF9AMw
スルースキル磨くことをおすすめする
758名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:42:26 ID:pwCcjFpf
やめろ、みんな、ワルドのために争うんじゃない!!
759名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:43:07 ID:YsS6CPmZ
召喚されるサイトがそれぞれ、
これから起こる事を知ってるたらどうなるんだろうか<サイト大量召喚
760名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:46:48 ID:xSeZVX+n
最新刊のサイト「野郎、ぶっ殺してやる!」

…違うな
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:49:30 ID:JuohmNcZ
1巻のサイトをルイズに、2巻のサイトをシエスタに、…とあてがっていくとあら不思議
皆幸せになりました
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:51:52 ID:H7HEIanN
>>761
それ、何人かあぶれるサイトが出るような……
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:52:26 ID:XSmE/cpv
サイトはサイトでもボーキサイト(アルミニウム鉱鉄)を召喚

コルベール大喜び
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:52:38 ID:MlEBf0ye
後半あまるぞwww
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:53:32 ID:NwRFzDPJ
自分もここで一本書きたいと思ったんですが…。
仮面ライダーキバとキン肉マンU世どっちがいいですか?
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:54:03 ID:H7HEIanN
>>763
アルミニウムって電気精錬じゃなかったっけ……
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:54:56 ID:aDAmReHD
>>741
>>737に言ったのかと思ったw
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:55:47 ID:vG0knZjL
サイト「寄るな、動くな、くたばれ、阿呆」
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:55:57 ID:JXM/NEbt
>>761
時々入れ替わって、変則ハーレムを楽しんでそうだなその場合。
バレたら殺されるだろうが。
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:56:31 ID:Jui3JdOw
ルイズ・シエスタ・タバサ・キュルケ・マチルダ・テファ・アニエス・エレオノール・カトレア・きゅいきゅい・
シエスタの従姉妹・イザベラ・ケティ・あとテファを慕っている貴族の娘・テファのとこの女の子……
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:57:18 ID:H7HEIanN
>>765
他人の意見を聞いてから書く程度の姿勢や気分なら、書かない方が良いと思うぞ、冗談抜きで。
それ自分の筆じゃないし。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 19:58:10 ID:Jui3JdOw
安価抜けたorz

>>761>>762>>764


あとタバサママンを入れても16人か
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:04:53 ID:yv88f48n
>>772
まさかカリーヌ様をカウントしてるんじゃなかろうな
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:08:18 ID:Jui3JdOw
いや流石にあのお方はカウントできないw
……何気に今気づいたがアンアン忘れてた
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:11:45 ID:PGR7h7bg
>>766
ボーキサイト→アルミナ→アルミニウム
という順に精製でその際に電気使うな
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:12:55 ID:hI9MR4rt
>>737
つ 『ゼロの使い魔S』
1236人のサイトが召喚されてる
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:15:22 ID:MlEBf0ye
物さえあれば錬金で一発複製できるんじゃねーの?
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:16:32 ID:3my0MmAA
ゼロ魔キャラ召喚してもokな感じ?
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:18:56 ID:pZD4nu+W
>>777
エンジンに使われる鉄を錬金で着なかったし、
食べ物も難しかった。
そう簡単にはいかないと思う。
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:19:37 ID:qy/CTf2A
>>737
このスレとはズレるが・・・
『ゼロの使い魔S』
と言うSSを検索してみよう

10人以上のサイトが召喚されてるから(汗)
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:21:37 ID:AJy9koEI
いきなりさびた合金を作れるギーシュはなぜドットなんだろう?
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:21:47 ID:3my0MmAA
スレと完全にズレるけど、「ヤムチャ最強への道」もいいよ!
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:22:38 ID:XQDfSDh/
ガソリンの複製にも結構手間かけてたんだよなぁ

>778
小ネタにそんなんあったなぁ
タバサがイザベラ召喚したりギーシュがケティ召喚したり
ルイズが平行ルイズ召喚したりとかも

ワルドがルイズに召喚されてたりしたら
あるいは奴的には虚無に迫れて万々歳なのかもしれんね
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:25:21 ID:yv88f48n
>>781
ドゥドゥーの「足せる数がメイジのレベルじゃない」発言は
ギーシュの様なメイジをフォローするためのセリフだと思ってる
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:26:47 ID:3pOsoipi
>>780
確か何人かいろいろと混ざったようなw
786名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:27:21 ID:BaUoWIRE
青銅はイメージしやすいんじゃないの?
この類の魔法のセオリー的に。
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:27:35 ID:pwCcjFpf
青銅は青銅で別に錆びてる訳じゃ…

青銅…銅鐸…死ねぇ…
788名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:28:54 ID:15OpG/Xy
宙召還て小ネタでなかったっけ?
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:30:12 ID:3my0MmAA
何で宙さん錬金されてしまうん?
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:31:03 ID:+3+NKa9S
>>750
遅レスだが、バーガンディ呼べば略奪だな
791名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:31:37 ID:aHqtNmTX
>>774
アンアンを対象から外すだとぉ!?
お前、そんな正しいことするんじゃねぇよ!!
792名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:40:16 ID:+3+NKa9S
>>774
なぜスカロンを外したし
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:45:31 ID:7L7NVs6q
バレ見ると楽しめない人はネット断ちするしかないと思うけどな
いつならいい悪い以前に愉快犯的にネタばれコピペ貼る奴は出るだろうから
自分はゲームとか長編作品やってるときはログ採るために開きはするけど読んだりはしなかった。

宙さん呼ぶなら鋼鉄神版を卑弥呼に確保する前の時間列がいいな
ビックシューターはみっちー的に無理なので
佐々木さんは試作機あたりのギガシューター関係者で
794名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 20:46:33 ID:oe4Lh8LX
>>791
それでも!!
俺はアンアンが好きだぁ!!
795名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 21:00:39 ID:pwCcjFpf
本当にそうなのかな…?
796名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 21:04:23 ID:aHqtNmTX
そう言えばこのスレで改良アンアンはよく見かけるけど、改悪アンアンって見かけないよな。
797名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 21:04:29 ID:4tOvPKff
何が?
798名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 21:09:19 ID:WPddndRy
>>772
アイーシャ、ナタリー、エルザ、アネット、サーシャ、ブリジッタ、ジル、リュリュ、アニメオリジナルキャラも入れればミシェル
ゼロの使い魔の女性層の厚さを甘く見るなよ。
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 21:16:36 ID:ji1MF8uN
ルイズがアニメ・攻殻機動隊SACから草薙素子少佐を召喚。
怖いメスゴ…ゲフン…お姉さんは好きですか?
800名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 21:22:54 ID:Zxdy9LGM
>>799
何度か少佐を呼んだら?って話はでてるけど義体のメンテができないのが難点。
801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 21:23:16 ID:3my0MmAA
怖いメカゴジラ?
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 21:46:44 ID:Ev8tHF4Z
黒焦げのΞガンダムとハサウェイを召喚
ゼロ・マフティーと改名し
エルフやガリア等を襲撃する
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 21:58:03 ID:pwCcjFpf
むしろエルフに味方する気がする…

「虚無の犯した過ちはマフティーが粛正する!!」
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:00:11 ID:DSorjvW+
マフティーといえば革命だが
ハルケギニアでいきなり短絡的に政治介入するのはありえないんじゃないか
あいつの理想世界ってあの場所じゃ実現不可能だし
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:05:39 ID:pwCcjFpf
究極超人あ〜るよりR・田中 イチローをしょ

こ…米がないだと…!?
806名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:12:27 ID:qiar89Nf
>>801
ルイズがVS版メカゴジラを召喚
タルブでガルーダ拾ってスーパーメカゴジラになるんですねわかります
807名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:22:06 ID:+7AF9AMw
無限のフロンティアとのクロスは馬が合いそうだな。ノリが軽いし、アインストが!クロスゲートが!で大体片付けられるし
アシェンの二重人格で翻弄され神夜の乳に嫉妬し、駄狐に驚き腹鬼に仲間意識が芽生える
ネタには事欠かないだろうね
808名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:27:12 ID:XQDfSDh/
ラスボスさんとこじゃ教皇がヴァールシャインを召喚したんだったな
思えば死にかけといえ、あれと接吻するのも尋常な精神ではできんよなぁ
考えても見るとラスボスさんとこで一番出番少ないんだな、ヴァールシャイン
ひょっとして召喚されたシーン以降は株分けアインストばっかりで奴自体はほとんど出てないような

それはそうと主人公たち召喚はそれはそれで見たいわぁ
>>807
うなぎ姫とルイズは良い感じになれそうだ
コッパゲ先生も寄ってくるだろうが・・・ん?灰被りと邪神がセクハラされる?
809名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:27:32 ID:N7cT2fCj
クロノクルセイドのクロノを召喚。
なんとなくピッタリな感じはするけど寿命削ってまでやること思いつかないな。
810名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:29:27 ID:0ls3TB5x
>>807
ル・タ・駄・魔・鬼(((((……牛乳か)))))
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:37:44 ID:EYffnYJc
エレメンタルジェレイドのロンブル君と12人の愛宝石召喚してルイズが入る余地ゼロの使い魔。
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 22:40:41 ID:aHqtNmTX
>>808
今までのあとがきを見るに、ラスボスは何か基本テンプレ通りにしか進められないタイプみたいだから、
ヴィットーリオが出てこない前半じゃヴァールシャインを全面に出せないんでないの。
813虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:01:49 ID:RDGai77Z
マスターチーフより作戦行動の仕様書が届きました。
内容は「23:05より行動開始したい、他の優先するべき作戦行動が無ければ承認を希望する。 また、支援は司令部の判断に任せる」との事です。
作戦行動を認可しますか?
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 23:05:49 ID:pwCcjFpf
認可
同時に支援行動を開始する
815名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 23:06:00 ID:fpBppp4d
久しぶり!待ってました支援!
816虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:06:39 ID:RDGai77Z
「……朝日」

 4人はフネの中、夜明け前に港を出て夜が明けて来た頃に白の国が見え始める。
 それでもまだ2〜3時間は掛かるとの事、ルイズたちは既に港に着いているかもしれない。
 出来るだけ早く追いつきたい、数多の戦場で生き残る要因となった『勘』がざわめいていた。





 フネ、唯一アルビオン大陸に渡る手段。
 渡る為には条件がある、それはフネを浮かばすための『風石』が必要。
 だが、一番風石を積んだフネはルイズたちが乗って行ってしまっている。
 つまり、アルビオンまでいける風石を積んでいるフネは、今現在一艘もない。

 浮力を得るための手段が風石しかない、しかし浮力を得るための風石がない。
 それはアルビオンへ渡れないと言う現状を指し示していた。
 渡る手段がない、どうしようか、と考えていた所にシルフィードが現れた。
 タバサに残り付くように言われたのだろう、背を向けきゅいきゅと鳴くその姿、まるで乗れと言わんばかり。
 キュルケが乗れと言っているのか問いかけた所、頷き一度鳴いた。

 それを聞いてシルフィードなら行けるでしょう、と判断したキュルケ。
 チーフを除く3人はシルフィードの背中に乗ろうとした所に止める声。

「……アルビオンまでの距離はどの位あるか分かるか」
「距離? そうねぇ……、フネで10時間位かしら」

 それを聞いて押し黙るチーフ。
 押し黙った姿に怪訝を抱いたキュルケ。

「どうしたの? 何か問題でも?」
「恐らくシルフィードでも、たどり着く前に力尽きてしまうかもしれない」
「4人も乗せたらアルビオンまでたどり着けないって事?」

 頷く、それを見てキュルケが笑う。

「大丈夫よ、竜って言うのはとてもタフなのよ。 4人乗せた位じゃ全然疲れないんだから、ね?」

 と、シルフィードの頭を撫で声を掛ける。
 撫でられたシルフィードは鳴いて頷いた。
817虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:07:41 ID:RDGai77Z
「……恐らくは無理だ」
「どうして? ……ああ、鎧が重いのね。 そうね、その鎧だと10リーブル位かしら?」

 チーフは首を横に振る。

「……20リーブル?」

 首を振る。

「まさか……、30リーブルなんて言わないわよね?」

 それにも首を振る。

「逆ね! 軽いんでしょ?」

 やはり首を横に振った。

「……幾つなのよ」

 埒が明かない、重さがいくつあるのかキュルケは問いかける。

「……70だ」
「え?」
「70リーブル程だ」

 それを聞いてキュルケ、ギーシュ、モンモランシーの3人は絶句した。
 鎧を着ている以上それなりに重いだろうと思っていた3人、だがチーフが言ったのは予想以上の重さ。
 1リーブルは5キログラムより少し下らしい、一般的な女性の体重が10リーブル程でありキュルケもそれ位らしく。
 この惑星の重力が1Gで、地球の女性の平均体重と近いならその程度だろうと荒い推測。

 そしてチーフが言った約70リーブル、キログラムで表せば350キログラムから400キログラムの間。
 大まかとは言えアーマーが70リーブルという重さに当てはまる数値、チーフの体重もあわせれば100リーブルに届く。
 チーフ自身の体重もキュルケの二倍以上、130キログラムほどある。
 チーフ自身とアーマーの重量を合わせれば0.5トン、100リーブルを超えるかも知れない。
 難しい計算抜きにすればキュルケの10倍前後重いと言う事、普通の人間の体重ではないし、着たらまともに動けなくなるような重さ。

 如何に竜がタフだとは言え、背中に0.5トン以上の重さを乗せて10時間も飛び続けられるとは思えなかった。
818虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:09:01 ID:RDGai77Z
「70リーブルの重さって、普通動けなくなるわよ……」

 呆れながら言う言葉。
 大の男でも確実に動けなくなるような重さ、チーフなら……と思わなくないが流石に重過ぎる。

「……パワーアシストが有るから問題ない」

 よく分からない単語に首をかしげる3人。

「動きやすくなる魔法が掛かっていると思えば良い」

 と言われてもどういう魔法なのか、勿論思いつかないし聞いた事も無い魔法に疑問を抱くが。

「……侮れないわね」

 『かがく』と言う物で作られた鎧。
 優れたメイジでもそんな重い物を何十時間も軽くし続ける事は出来ない。
 メイジの矜持である魔法と言えど、出来ない事だってある。
 ならこの鎧は魔法で出来ない事を実現していることになる。
 このチーフを相手にすれば、つくづく魔法が使えないと言う事が馬鹿に出来ないと思えるようになってきたキュルケであった。

「それで、その鎧が重いって事は分かったけど、シルフィードが無理なら今すぐ追いかけるのは無理なんだけど」
「他のフネから風石を買い取る事は出来ないか」
「……そうね、その手があるわね」

 なるほど、と3人が頷く。
 大きい風石が無ければ、小さな風石を複数集めればいい。
 使える物は何でも使う、『武器は現地調達』が基本のチーフからすれば普通の考えだったりする。
 そうと決まればすぐにでも買取に走り出す。
 幸いチーフ除く皆が財布を持って来ていた為、そのお金で風石を買う事となる。

 だが向こうにも都合がある、風石の買取に渋る船長も勿論居る。
 さらには足元を見る、平均的な値より割高で売ろうとする者も居た。
 お金は無限にあるわけじゃない、ある分だけしか買い取れないため切り詰める必要がある。
 安くしてもらうために貴族と言う肩書きとチーフと言う圧力を使って出来るだけ安く、必要な分だけ買取り。
 アルビオン行きだったフネを貸し切り、風石を運び込んで出発することとなった。
819虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:10:28 ID:RDGai77Z
 そうしてチーフ一行はフネへと乗り込み、アルビオンへ渡る事となる。
 フネに揺られ、夜が明けない内にキュルケ、ギーシュ、モンモランシーは睡眠をとる事に。
 チーフは空の上とは言え、変わらず警戒を緩めない。
 3人が別々の部屋で眠り、その部屋に至る道を警備しておく。
 そうして数時間、朝日が上がった事が分かり、アルビオンの全容を確かめるため甲板に上がる。
 朝日を浴びながら甲板でアルビオンを見つめるチーフの下に、船内から現れたキュルケが隣に立つ。

「……まだ掛かりそうね」
「まだ眠っていた方が良い」
「ダーリンは眠ったの?」
「ああ」
「……そう、じゃあもう少し眠らせてもらうわ」

 チーフが言ったとおり、必要な睡眠は既に取っている。
 通常人間が必要な睡眠は6〜8時間ほどと言われる。
 減る時間にも寄るが、影響が受けるのは精神的なものが大きい。
 特に集中力、睡眠不足に陥ればその分だけ集中力、集中できる時間が目張りに減ってゆく。
 だがスパルタンU計画によって身体能力、遺伝子学的、技術的に強化されたチーフは、通常の強化されて無い人間よりもはるかに強靭である。

 あらゆる状況下での活動、戦闘が可能になるよう身体能力を強化されており。
 短い時間、2〜3時間睡眠を取るだけで大幅に体力を回復できるよう調整されている。
 座る、或いは寝転がる事が出来ない場所で直立したまま睡眠を取る事だって可能。
 さらにはアーマーのお陰で場所を問わず、それこそ水中や地中、果ては宇宙でも睡眠が取れる。
 ルイズが寝静まっても警戒を行うチーフに、いつ寝ているのかと言う疑問も短い時間にちょくちょく睡眠を取っているからであった。
 
 船内に戻っていくキュルケを見送り、再度視線をアルビオンへと戻す。
 その視線の先、大地の下半分を白い雲で覆われた、浮かぶ大陸に注がれていた。
820名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 23:10:48 ID:j85qi+19
支援
821虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:11:58 ID:RDGai77Z
 それから約3時間ほど経ってようやくアルビオンの港が見えてくる。
 それを機に連れて来た使い魔を含む、一行全員が甲板に集まる。

「直接は無理よねぇ」

 そうキュルケが呟く、恐らくはアルビオン中の港は不審な者が入り込まないよう警戒しているだろう。
 そうなれば堂々とフネに乗ったまま港には行けない。

「この距離ならシルフィードでも行けるんじゃないのかね?」
「そうねぇ、正面からは無理でしょうし、そうするしか無さそうね」

 チーフも反論は無いらしく、黙ってこの話を聞くだけ。
 そうと決まればやっておかなければいけない事がある。

「船長、はいこれ」
「……これは?」

 キュルケが船長を呼び出し、少し重たい麻袋を手渡した。

「口止め料よ」
「……ああ!」

 ようやく理解したのか、船員以外が乗ってきたと言うことを知られたくはない。
 口止めとして硬貨を渡しておく。

「黙っておきなさいよ? もし一言でも喋ったらその顔が真っ黒になるから」

 胸元から取り出した杖を船長に向け、喋らぬよう脅しておく。
 頬を引きつらせ、何度も頷く船長。
 キュルケはそれを無視してシルフィードを呼んだ。
 甲高い泣き声、空の覇者と言わんばかりに翼を広げたシルフィードがフネを追い越した。
 ぐるりと大きく旋回、また追いかける位置となり、羽ばたきながら甲板に降り立つ。

「ええっと、スカボローだったかしら?」
「ええ、お城がニューカッスル、港から馬で一日くらい掛かったと思うけど」
「ルイズたちはもうお城に向かっているだろうね、追いつけるかな」
「襲われて、足止めされてなきゃ追いつけないでしょうね」
「シルフィードに乗っていけばもっと……」
「ばれるでしょうが」
「それもそうか……」

 目立ちやすいシルフィードに乗っていくわけには行かない、もし見つかれば間違いなく追いかけられる。
 チーフは重たいし、速度が鈍って追いつかれるかも。

「その時は落とす」
「……何を?」
「行こう」
「え、ちょっと! 何を!?」

 問いかけるキュルケを流し、シルフィードに乗れと催促するチーフ。
 何を落とすのか、普通に考えれば敵だろうが、何か引っかかる嫌なものを感じたキュルケだった。
822虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:12:58 ID:RDGai77Z
 4人はシルフィードの背中に乗り、ヴェルダンデはシルフィードの口に銜えられて飛ぶ。
 スカボローの港から大きく外れ、雲に隠れつつニューカッスル城の方向へと近づきながらアルビオンの大地へと降り立つ。
 降り立った場所は平野である為、見渡しが良く、この場に留まれば遠くからでも見つかってしまう。
 故にすぐ移動を開始し、近くの森の中に入った。

「やっぱりきつそうよねぇ」
「きゅい」

 森に入るなりキュルケが言う、シルフィードはそれに同意して鳴いた。
 0.5トンはやはり無理だった、もとより銃やデルフリンガーの重さも加わるし、キュルケたちの重みも加わる。
 600キロを超える重荷を背負ったまま、十時間も飛べるほどシルフィードは育っていなかったと言うこと。

「一度港に戻る? 馬が買える様な所は港……」

 とキュルケが言葉を止めた。
 見ればヴェルダンデが物凄い勢いで地面を掘り返して潜って行く。

「ヴェ、ヴェルダンデ!? 待ってくれ! どこへ!?」

 ギーシュが慌てて止めるも、ヴェルダンデは無視して地中へと消えていく。
 その穴は大きく、人が簡単に入り込める大きさだった。

「………」

 キュルケとモンモランシーは「またこいつは……」と言う表情でギーシュを見ていた。
 チーフも穴を見つめた後ギーシュを見る。

「い、いやぁ……はは……」
「どうすんのよ」
「ど、どうって……」
「ギーシュの使い魔でしょうが、さっさと呼び戻しなさいよ」
「いやね、ヴェルダンデは宝石が何とかと言っててね……」
「はぁ?」
「……ルイズが着けていた指輪?」

 ギーシュが首をかしげる様に言った。

「何? あのもぐら、ルイズが着けてる指輪の匂いでも嗅ぎ取ったわけ?」
「そうらしいよ、進んでいった方向もニューカッスル城の方だし……」

 そんなギーシュの答え、どうする? とキュルケがチーフに視線を向ける。
823虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:14:14 ID:RDGai77Z
「それは確かか」
「間違いないって言ってるよ」
「辿り着けるんだな?」
「匂いは覚えたって」
「そうか、それなら3人は地下から行った方が良い」

 馬を買って突っ切るにしても、かなりの危険が伴う。
 チーフ一人なら切り抜けられるかもしれないが、3人も居ればフォローに回れず危険な目に合うかもしれない。
 ならば、敵が居ない地下に潜っていくほうが確実に安全だ。
 幸い、キュルケたちが入り込めるほどの大きさがある。

「3人はって、チーフはどうするの?」
「徒歩で向かう」
「心配は……要らないわね」

 昨晩100人以上一人で倒し尽くしたチーフが、生半可な山賊などに負けるとは思えない。
 元よりこの穴のサイズではチーフにとって窮屈、せめてあと50センチほど欲しい穴の大きさだった。
 同様に、穴に入れないシルフィードをどうしようかと、話し合おうとすれば。

「きゅい」

 とシルフィードが一度鳴いてチーフの傍による。

「シルフィードはダーリンと一緒に居るの?」
「きゅい」

 もう一度鳴いて、キュルケの問いに答えた。

「流石に潜れないしね、それじゃあ……どこで落ち合いましょうか」

 行き当たりばったり、追いつけるか分からないし、城の中であったら正規の訪問で無い以上確実に会える保証は無い。
 だから会えなかった場合にどうするか、それを考え決めておく。

「そうね、戦いも近いって聞いたし、会えなかったらここで落ち合いましょうか」

 穴、ヴェルダンデが掘った穴で集合する事を決める。
 キュルケたちは穴を通って戻ってくれば良いだけの話だから簡単だろう。
 穴が塞がっていたり、他の誰かが居たとしてもヴェルダンデが他の出口を作れば良い。

 そうして今後の行動を決めた後、キュルケたちに持ってきた水や食料を多めに分け、穴に潜っていくのを見送る。
 こちらはこちらで進もうか、と言う所でシルフィードに異変が起こる。
 一度鳴いたシルフィードが一瞬だけ光り、視界を染める。
 それが収まり、光を遮るため翳していた手を下ろせば。

「………」

 タバサと良く似た青色の、長い髪をなびかせる全裸の少女が居た。
824虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:15:34 ID:RDGai77Z
「お兄さま、いくのね!」

 と飛びついてくる少女、流石のチーフも一瞬唖然とした。
 だがやはり流石のチーフは一瞬で我に返り、抱きついてくる少女に尋ねる。

「……シルフィードか」
「そうなのね、お姉さまがお師匠様なら見せても良いって言ってたのね」
「そうか」
「そうそう、そうなのね」

 いつの間にか肩車のようにシルフィードがチーフの上に乗っていた。
 どうやら魔法は質量保存の法則も無視するようだ。
 竜のシルフィードは間違いなくチーフより重く、そのまま乗せたらそれなりの負荷が掛かるはずだが。
 この少女、シルフィードらしい少女は姿かたち見た目通りの重さしかない。
 
「すぐ戻れるのか?」
「簡単ね」

 チーフから飛び降り、また一瞬だけ光ると青い風竜シルフィードの巨体があった。

「きゅい、本当の名前は『イクルルゥ』なのね。 お姉さまが人前で喋っちゃいけないって言ってるから、いっつもこの姿なのね」

 使い魔契約ではなく、元から喋れる動物は『韻』と言う存在らしい。
 生態系を調べる為に見た図鑑に一言だけ注釈されていたのを思い出す。
 そうしていれば、いつの間にかまた少女に戻り駆け回っているシルフィード。
 そこでチーフは疑問を浮かべる。

「何故変身する必要が」

 韻と言えど喋らなければ通常の風竜と見分けが付かない。
 生態個数も比較的多く見られるほど存在している、アルビオン界隈で飛んでいてもなんら不思議ではない。
 そうなれば、態々人型になってチーフに付いてくる必要もない。

「お姉さまが離れるなって言ってたのね、だから一緒に行くのね!」

 そう言ってチーフに飛びつくシルフィード。
 何らかの理由、恐らく急行の事態に陥った時の移動手段と予測付ける。
 すでに急行的な事態だが、目立つシルフィードに乗って直接追いかけるのは……最後の手段か。

 そんな事を考えながら、肩に人型シルフィードを乗せてニューカッスル城に向かうチーフであった。
825虚無と最後の希望:2009/07/14(火) 23:16:16 ID:RDGai77Z
以上、投下終了です。

煩悩すら完全に支配する、つかチーフにエロスは似合わないと思う。
全裸でも無視するチーフさんパネェ。
それとODSTやリーチでwktk、二ヶ月が長い。
826名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 23:22:48 ID:aDAmReHD
>>825
乙です。ODSTの前にGow2日本語版とドリク(ry
827名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 23:33:11 ID:vh/pvUV5
性欲をもてあます
828名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 23:51:25 ID:fpBppp4d
乙でした
チーフが全裸の女を肩車してる光景……何かツボに来ますなw
829名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:01:37 ID:aHqtNmTX
シルフィードの本名は『イルククゥ』ですよ。
830名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:11:18 ID:JtF3a2d+
投下の許可を求めるレスに対して拒否したら作者はみんな投下しないんだろうか
831名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:14:30 ID:Jk1zkCiK
ついイルルクゥと書きそうになってしまうのはアルルカンと語感が似ているからだろうか
832名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:17:52 ID:TDVJLLnh
>>830
暗黙の了解でしょうよ。

明らかなルール違反や釣りレスじゃない限り拒否されることはありえないし。
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:18:06 ID:rAZiJEU1
ついイルルゥと覚えてしまうおれはうたわれるもの。
834名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:20:26 ID:mViZcsmU
>>832
実際にルール違反してたために作者が投下やめて
別スレに誘導された例もあったね

あと、投下が別の作者と被ってしまわないか?とかの確認もあるんだが
835名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:39:47 ID:Jc8FN6Yo
>>833
ムックルとガチャタラに気を付けろ

そういやムティカパを単独でルイズが召還したら惨劇だよな
弱点水しかないし無駄に賢いからそうそうやられないし
森の母であるアルルゥが一緒ならまた違うんだが
836名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:49:04 ID:+9ydjqGt
グリッドマン召喚
ハルケ自体コンピューターワールドのひとつって事にしちまえば戦えるだろうし
837名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:53:47 ID:QyeGgN7k
投下よろしいでしょうか?
元ネタ、うえきの法則より地獄人アノン召喚

初投下ですのでミス、ルール違反があった際はご指導よろしくお願いします
838名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:57:54 ID:rAZiJEU1
よし、仏締めろ!
839名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 00:57:56 ID:QyeGgN7k
自分以外の命なんて、どうなったっていい。
そう思っていた。
ただの好奇心のために、他人の宝物を踏み潰そうとしたこともあったし、親も他人も平気で騙し、利用した。

『ボクの夢はね… 平凡かもしれないケド、“幸せ”になるコトなんだ』
         ロード
『ボクの前には誰も立っていない!!! どこまでも伸びるまっさらな“道”!!! そんな人生を歩けるなんて、これ以上の“幸せ”はないだろう?』

だからボクは、全てを滅ぼすコトに決めた。

「全部滅ぼして自分ひとりになるのが夢? そんなの夢でも何でもねえよ」

誰よりも強くなったボクを、倒した人が言った。

「叶った時、一緒に喜び合える誰かがいるから、“夢”なんだろ?」

「……! そうか…もしボクにも君達みたいな仲間がいたら…」

彼の言葉で、ボクは自分の夢に足りなかった物を悟り、神を解放した。

地面にトンネルが現れ、重力に引かれるまま、アノンの体は地獄界へと落下を始める。
だが、トンネルを落ちるアノンの前に、突如奇妙な鏡が現れた。
抵抗もできず、アノンは落ちる勢いのまま、鏡に突っ込む。
視界が、真っ白な光で覆われた。
840アノンの法則:2009/07/15(水) 01:00:06 ID:QyeGgN7k
早速タイトル入れ忘れた…


「宇宙の果てのどこかにいる、私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より訴えるわ、我が導きに答えなさい!」
その独創的な呪文が起こしたのは、使い魔の召喚ではなく、広場の土を掘り返す、本日13回目の爆発だった。
あたりに土煙が立ちこめ、爆発を起こした張本人に、一斉に野次が飛んだ。
「また失敗だ!『サモン・サーヴァント』もまともにできないのかよ!」
「さすがゼロのルイズ!!」
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
ルイズは周りから浴びせられる野次に、よく通る声で怒鳴り返した。
「いや、何か召喚できたようですよ、ミス・ヴァリエール」
ルイズと生徒達が騒いでいると、進級試験を兼ねたこの使い魔召喚の儀式を監督していた、ハゲ頭の教師、コルベールがそう言った。
慌ててコルベールの指すほうを見ると、確かに土煙の向こうに何かの影があった。
それも結構大きい。
(ドラゴン? グリフォン? もしかして誰も見たこと無いような幻獣とか!)
期待に胸を膨らませ、その影をみつめるルイズ。
しかし、土煙が晴れ、そこに現れたのはドラゴンでもグリフォンでもなく――一人の少年だった。
841アノンの法則:2009/07/15(水) 01:02:54 ID:QyeGgN7k
彼は地面に両脚を投げ出して、不思議そうに辺りを見回していた。
歳はルイズたちと同じくらいに見える。
ルイズよりも濃いピンク色の、背中まで伸びた長い髪。
顔や体に刻まれた刺青のような模様が目を引いたが、どうにも全身が小汚い。
上から下まで埃まみれで、着ているものといったら腰に巻いたボロ布一枚。
どう見ても裕福な者には見えない。
いや、それどころか――
「平民だ! ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」
「それになんだあの格好。乞食じゃないのか?」
一瞬静まり返った生徒達だったが、召喚された少年を見て、またすぐに大騒ぎを始めた。
中には腹を抱えて笑っている者もいる。
「ココは…?」
ここは、地獄界ではないのだろうか。
アノンは周りの風景に、違和感を感じた。
ロベルトと神、取り込んでいた二人の天界人を解放した以上、待っているのは地獄界への強制送還のみ。
だが、ここは自分の知っている地獄界とは、似ても似つかない。
少し離れた場所に、数十人の人間達が人垣を作っていた。
歳は全員、自分と同じくらいに見える。
皆、同じような制服にマントと杖を身につけ、こちらを見て可笑しそうに笑っていた。
加えて、馬鹿にしたような野次も飛び交っている。
「…?」
アノンが状況を飲み込めずに、きょろきょろしていると、眩しい頭に向かって何かを訴える一人の少女が目に付いた。
「ミスタ・コルベール! もう一回召喚させてください!」
少女はずいぶん必死な様子だったが、ハゲ頭が横に振られるとがっくりと肩を落とし、アノンのほうに顔を向けた。
桃色掛かったブロンドの髪を揺らし、整った眉を不機嫌そうに歪めて、コルベールと呼ばれたハゲ頭の男と一緒に近づいてくる。
少女は目の前まで来ると、アノンを見下ろしながら、
「あんた誰?」
と言った。
842アノンの法則:2009/07/15(水) 01:05:26 ID:QyeGgN7k
「ボクは…アノン」
「どこの平民?」
「ヘイミン?」
耳慣れない言葉に、思わず聞き返すアノン。
「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」
そんな声が聞こえ、笑い声が一層大きくなった。
「だ、だからちょっと間違っただけだってば!」
目の前の少女――ルイズというらしい――が怒鳴った。
「ミス・ヴァリエール。早く儀式を続けなさい」
ハゲ頭の男がルイズを急かした。
「か、彼と?」
急に顔を赤らめて、しり込みするルイズ。
「そうだ。早く。次の授業が始まってしまうじゃないか。君は召喚にどれだけ時間をかけたと思ってるんだね? いいから早く契約したまえ」
コルベールに急かされて、ルイズはう〜、と小さく唸り、アノンに向き直った。
「あ、あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」
(キゾク?)
またも、耳慣れない言葉。
だが、アノンがそれを聞き返す前に、ルイズは、手に持った小さな杖振った。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
ぎゅっと目をつむって、ルイズの顔が近づいてくる。
アノンは思わず身を引いたが、杖を持っていないほうの手で、がっしりと頭を掴まれた。
唇が、重ねられる。
(!?)
混乱しながらも、アノンは身動きできずに、横たわっていた。
唇が、離れた。
843アノンの法則:2009/07/15(水) 01:08:39 ID:QyeGgN7k
「終わりました」
顔を真っ赤にして、ルイズがコルベールに言った。
「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」
コルベールが、祝福してくれたが、ルイズは、まったくもって喜ぶ気にはなれなかった。
アノンはわけが分からず、顔を真っ赤にした少女と、ニコニコするハゲ頭を交互に眺める。
不意に、左手の甲に異様な熱を感じた。
「! これは…?」
「『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ。すぐ終わるわ」
確かに、左手の熱はすぐに収まり、体は平静を取り戻した。
「『ツカイマノルーン』って、なに? いや、その前にココはどこ? キミ誰?」
「あのね?」
「うん」
「アンタ、それが貴族にものを尋ねる時の口の利き方?」
「はあ」
気の抜けた返事をするアノンに、ハゲ頭が近寄ってきて、アノンの左手を確かめる。
そこには、見たことも無い、文字のようなものが刻まれていた。
「なんだこれ?」
「ふむ……珍しいルーンだな」
そう言って、ハゲ頭はすばやくその文字を紙に模写すると、改めてアノンの体を観察した。
「ほう……いや、全身に刺青とは珍しい。君は一体どこから来たんだね?」
「その前に、こっちの質問に答えてくれないかな。ここはドコ? キミ達は何者なんだい?」
興味深げに、尋ねてくるハゲ頭に、アノンは質問を返したが、
「先生。早く行かないと、次の授業が始まりまーす」
後ろから、そんな声が聞こえ、
「おお、そうだった。君の話は、また今度聞かせてくれ」
そう言ってハゲ頭は、質問に答えないまま、文字を描き写した紙を懐にしまってきびすを返すと、宙に浮かんだ。
844アノンの法則:2009/07/15(水) 01:11:10 ID:QyeGgN7k
「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」
それに続いて、他の生徒らしい者達も、一斉に宙に浮いた。
神器を使ってる様子はない。
アノンは目を見張った。
浮かんだ全員はすうっと、城のような石造りの建物へ向かって飛んでいった。
(天界人でないなら……まさか能力者?)
アノンは浮かんだ考えを、すぐに打ち消した。
三次選考に残ったメンバー以外の能力者たちは、すでにバトルをリタイアし、能力を失っているはず。
そうでなくても、これだけの能力者が一箇所に集まるなど…。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
「その平民、あんたの使い魔にお似合いよ!」
空から、そんな言葉が投げつけられた。
残ったのは、ルイズとアノンだけ。
とりあえず、アノンは地面から腰を上げた。
ルイズは、服に――と言っても腰のボロ布だが――に付いた泥をはらうアノンに、向かって大声で怒鳴った。
「あんた、なんなのよ!」
「それはこっちのセリフだよ。ココはどこ? キミ達は能力者なのかい? この『ツカイマノルーン』って言うのは何? まだ何も答えてもらっていないよ」
「能力者って何よ、メイジって言いなさい。ったく、どこの田舎から来たかしらないけど、説明してあげる」
「あ、その前に」
「なに?」
「ココは地獄界じゃないの?」
「地獄? 何馬鹿なこと言ってるのよ。ここはトリステイン! そしてかの高名なトリステイン魔法学院よ!」
「まほーがくいん?」
「わたしは二年生のルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。今日からあんたのご主人様よ。覚えておきなさい!」
「ふーん。ルイズくん、か」
「私はあんたの主よ? ルイズ“様”、もしくはご主人様と呼びなさい!」
「ルイズ。とりあえず、あの皆が入ってった建物まで、連れて行ってくれないかい? そこでいろいろ聞かせてもらうよ」
「ちょっと、なんで呼び捨てになってるのよ!?」
キーキー怒るルイズを無視して、アノンは建物に向かって歩き出した。
が、
「あれ?」
一歩踏み出したところで膝が折れ、そのまま地面に倒れこんでしまった。
「ちょ、ちょっと、あんた!? どうしたのよ一体!」
倒れたアノンに、駆け寄るルイズ。
突然の事態に忘れていたが、アノンはついさっき、大地を削る自分の“魔王”を砕いた、植木の“魔王”の直撃を食らったのだ。
まともに動けるはずがない。
まるで動かない自分の体に、戦った者の強さを思う。
(植木くん、強かったなあ……)
幼い頃から修行を重ね、ロベルトと神、二人の十ツ星天界人を取り込んで、誰よりも強くなったはずの自分を倒した男――植木耕介。
彼の顔を思い浮かべながら、アノンは、意識を失った。
845アノンの法則:2009/07/15(水) 01:13:15 ID:QyeGgN7k
以上です
何かしらミスがあればご指摘お願いします

ではまた
846名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:22:38 ID:rzptVsy7
…うん。まぁ、がんばってくれ乙
847名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:40:15 ID:HXYjLzvp
乙です

アノンか
ギーシュとの決闘で負けたギーシュを飲む込むか飲み込まないか気になるところ
848名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 01:54:20 ID:3ux7xeSp

まぁ飲み込んでも戻せるから大丈夫だろう
849名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 02:46:52 ID:AIGY4icn
>>836
サイトのパソコンの中とかなら無理なくもないか。
ほかロマリアの場違いな工芸品の中にあったハイテク兵器のコンピューターとか、個人的にはフレムラーが好きだ。
円谷からみでカーンデジファーがゼットンを再生させてぶつけてきたりとかもいいかも。
850名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 03:07:50 ID:ESHJ2JvH
>>835を見間違えて
ムック召喚か
と思った俺は多分ガチャピン
851名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 03:21:31 ID:4rzxHn48
むしろ今までムックとガチャピンだと思ってた
852名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 06:55:53 ID:kfa/KU85
マスターチーフの人乙です。
チーフなら世界を変える事が出来るハズ!ガンガレ!
853名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 07:44:26 ID:c4Gyy+Qu
アノンの人乙
続き楽しみにしてるよ。神器使えるんだっけ?
854名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 08:34:54 ID:DMPybr4u
ロベルト吐き出しましたし、神器は使えないんじゃないかと。
……誰が飲み込まれるかで色々変わりそうですが。
855名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 09:48:08 ID:jrHCIVnH
ロードオブヴァーミリオンからリシア召喚してみたいが、雑魚より台詞が少なくて…。
856名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 10:18:21 ID:sVkA8pqD
携帯サイトの連載小説だと色々と喋っているらしい
.net登録して無いからよく分からん
857名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 11:45:10 ID:ESHJ2JvH
携帯サイト…

俺?
サイト
今は使い魔?ってのやってる

ガシボカ
俺は死んだ
虚無(笑)
858名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 11:59:29 ID:8C1Y5YGY
つまんね
859名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 12:04:25 ID:LL5OxQbq
オレ

サイト

年?

17

彼女?

まぁ

当たり前に

いない

てか

いる訳ないじゃん

みたいな
860名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 12:23:28 ID:AIGY4icn
なんだ? その、いつ、どこで、誰が、どうした、文遊びは。
861名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 12:41:34 ID:JtF3a2d+
携帯小説です
862名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 13:02:32 ID:I6gR82jG
>>860
「ナウなヤングにバカウケ」な携帯小説です
大ヒットしてるらしいですよ
こんなん見るとラノベってまだマシなんだなぁ、とつくづく思う
863名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 13:09:22 ID:sVkA8pqD
念の為アレだが
スクエニ公式携帯サイトのサイドストーリーの事な
http://lordofv.net/
プロローグは登録しなくても読めるけど、リシアは出てないw
864名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 13:29:36 ID:R/5R1+Si
>>861-862
携帯小説じゃなくて「ケータイ小説(笑)」って言わなきゃ
865名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 14:02:55 ID:rzptVsy7
>>862
いーかげん冷めてる頃じゃないか? 知らんけど
まぁラノタだって目くそみたいなもんですよ
866名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 14:20:46 ID:ogGvnEC6
HAGANEの人乙
867名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 14:40:08 ID:sM4zTaXe
>>866
作者叩きは毒吐きでやれ
868鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/15(水) 15:27:48 ID:IVF4uTsJ
なんか呼ばれたかな?痛い人こと鋼の人ですよー。
ところで投下したいんだけど、容量大丈夫かな……?
869名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 15:30:49 ID:HgISFf+q
何とかなると思うが…
870鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/15(水) 15:31:20 ID:IVF4uTsJ
んー、いいのかな?1535から、投下しますね。
871鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/15(水) 15:35:29 ID:IVF4uTsJ
 うら寂れたオルレアン邸の庭先に、すっかり疲れてしまったシルフィードが身体を丸めて大いびきをかいて眠っているのに、その傍らのベンチで膝を抱えた
モンモランシーは、まるで死んでいるかのような静寂を作って固まっていた。
 彼女の中を渦巻くのは、こんな現状を作り出した自分への限りない自責の念だった。全ては自分が幻覚剤などという小細工を弄したからだ、と。
 きっとギーシュは水精霊に負け、白痴の人形となって帰ってくるのだ。いつも困ったような、それでいて大なり小なりの心を注いでくれた少年が、空ろな眼差しで
こっちを見る様を想像して、モンモランシーは苦しみ、悶え、悲しくなっていた。
 
 シルフィードを降ろし、ギュスターヴ、キュルケ、タバサが飛び出していってから、どれほど時間が経ったか分からない。懐中時計が荷物の中にあったはずだが、
取り出してみる気にはなれなかった。ただ、庭の端で風竜がごすかぴーと不細工な寝息を立てており、その腹の辺りにキュルケのサラマンダーが添い寝している。
(私、何、してるんだろう……)
 鬱々と深淵を覗くモンモランシーが、遠くから聞こえる複数の足音に気付くまで、たっぷりと時間が掛かった。そして気付いても、顔を上げて事実を確認するのを拒否した。
 複数の足音が自分のすぐ近くで止まった。
「あんたいつまでそうやって泣いてるのよ」
 幾分か疲れが感じられるキュルケの声が掛けられても、モンモランシーは答えなかった。
「よっと……」
 ギュスターヴの声とともにモンモランシーの肩に何かが寄りかかるのを感じる。
「ふぎゃ」
 ベンチに下ろされた何かから潰れた蛙のような声がして、モンモランシーは漸くそれが何か解って振り返る。
「ん……あぁ? ……はっ!? み、水精霊はどこにっ?!」
 ベンチに下ろされた衝撃で目覚め、ギーシュは飛び上がり様にきょろきょろと首をめぐらすと、傍らにモンモランシーが居るのに気付いて喜びの声を上げた。
「おお! モンモランシー! 怪我もないみたいで良かった! ……えーっと、もしかして水精霊は……」
「安心なさいな。私達がきっちり始末つけておいたわよ」
 ぱたぱたと手を振ってキュルケは言った。
「そうか! 良かったぁ……あ、じゃあ『水精霊の涙』はどうなったのかね?」
「あー…それが、ねぇ……」
 聞くと一転してキュルケは視線を反らして口を濁らせる。向けられた視線は、ここまでギーシュを運んできたギュスターヴを見た。
「採れるには採れたんだがな。……色々ごたついてしまって、これだけなんだ……」
 ギュスターヴがそう言ってギーシュに見せたのは、昼食の時に空けたワインの小ボトルだ。その中に容量の半分ほど、きらきらと真珠粉が混ざったような煌く液体が
入っている。
「こ……これだけ、かい?」
「勿体無かったわねぇ。本当は浴びるほど採れたんだけど、タバサを湖から引き上げたり、受け取る容器をこっちに置いて来ちゃった事をその時になって気付いてね。
近くに落ちてた空き瓶で掬い取れたのがそれだけになっちゃったのよ」
「そ、そんなぁ〜! 僕が命がけで囮をやったのにぃ〜?!」
 感嘆に声を上げてギーシュは腰から崩れ落ちた。口角と鼻腔が痙攣と弛緩を繰り返している。
「はぁ〜〜、たったそれだけ、あんなに頑張ったのにたったそれだけ……」
 かくかくを揺れながらつぶやくと、それまで押し黙っていたモンモランシーが不意に立ち上がり、ギーシュの前に立った。
「ギーシュ…」
「……ああ、ごめんよモンモランシー。たったあれっぽっちじゃ薬の材料には……」
 ぶつぶつと言葉を紡ぐギーシュを、モンモランシーは華奢な腕で力いっぱい引き寄せ、抱きしめた。
「も、モンモランシー?」
「ギーシュぅぅぅぅぅ!」
 顔をぐしゃぐしゃにして、モンモランシーはギーシュの身体に抱きついた。蠢惑にギーシュを誑かたり、傲慢なほどに魔法薬つくりに勤しむ姿など、そこには影形も
見られなかった。ただ、涙声でギーシュ、ギーシュと呼びかけながら、少し苦しいくらいにギーシュを抱きしめる。
「ううううぅぅぅ。ギーシュ、怪我してない? 頭変になってない?」
 シャツを涙と鼻汁でべちゃべちゃにされながら、普段では考えられないほど、モンモランシーが愛おしく思えて、知らぬ内にギーシュはモンモランシーの頭を撫でていた。
872鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/15(水) 15:37:24 ID:IVF4uTsJ
「モンモランシー、僕はこのとおり足腰も立ってるよ。だからさ」
「うん、うん」
「もうこれからはその、他の皆に迷惑を掛けるようなことはやめないかい?」
 ずりずりと頭を擦り付けながらモンモランシーは頷いた。もう真っ平だこんなこと。これからはもっとさしあたりなく魔法薬作ったり香水調合したりしよう、と、心底思って
仕方がなかった。
「あ、あとさ…」
「後、なに……?」
「その、ギュスターヴもキュルケも、見てるんだけど……」
 ちらりとギーシュが脇向けば、じっと見られないほどにギュスターヴとキュルケがにやりにやりとして二人を眺めているのであった。
 
 
 
 『忍び寄る第二幕』
 
 
 
 「……後で厨房を貸してもらえる?」
 一同が再び集まった時、開口一番にモンモランシーはそう言った。既にギーシュは汚れたシャツを変え、ずぶぬれだったタバサも着替えを済ませていた。
 集められたのはオルレアン邸の中で、喫煙や談話を愉しむ為の一室だった。既に時刻は夕刻に入り、この屋敷の家令を勤めるペルスランが、滅多となった客人たちの
ためにとささやかな夕食を作っている。
 避暑地にもされるラグドリアン湖畔にあるこの屋敷も陽が落ち始めると肌寒く、談話室には暖炉の火が灯されていた。
「どうして?」
 形式的には主催者【ホスト】になるタバサはまだ生乾きの髪で答えた。
「『水精霊の涙』は熱処理しないと薬品の材料にならないのよ。生のままじゃ危険で扱えないし。……それと悪いけど熱処理すると目減りして、材料としては足りなくなるわ」
「そう」
「それじゃあタバサのために剣を買うのは無理そうね」
 無駄足だったかしら、とワインに口をつけながらキュルケが呟く。
「……少なくともこっちは助力を得られて助かった。有難う、キュルケ」
「あら。そんな風に仰られるなら、悪い気はしなくてよ」
 ギュスターヴの謝辞にキュルケは微笑みを返す。ギュスターヴは次にタバサを見やった。
「で、だ。タバサには俺から剣を用意してやりたいんだが……」
「気前がいいねぇ君は……」
 この場でおそらく、最も疲れているだろうギーシュはちびちびとワインを飲みつつ、気付けにとモンモランシーに渡された乾燥はしばみ草を口に含んで咀嚼していた。
「はははッ、ま、確かに今回、懐からかなり出してるけどな。わざわざ剣を買って渡すつもりはないぞ」
「ん? するってぇと、相棒自分で剣を打つのかよ」
「そういえば君は、コルベール先生のところで毎日トンテントンテンとさせてたね」
 ちょっと興味あるなぁ、とギーシュは思いつつ、やっぱりもぐもぐと口を動かしている。少し手持ち無沙汰なのはNワルキューレに使った青銅の造花を回収し忘れたからで、キュルケ曰く「そこまでする余裕も義理もない」との事だ。
「……そう」
 タバサは平素と同じように、無表情なまま頷いて答えた。
 
 心ばかりの夕食、そしてそれに続いてモンモランシーが厨房で『水精霊の涙』の熱処理を行い、一同は用意された部屋に引き上げた。突然の来客であったのにも
かかわらず、ペルスランは精力的に働き、タバサの友人達に尽くしてくれた。
 灯す蝋燭無き廊下を今、キュルケは寝間着姿で進んでいた。手には発光【ライト】を掛けた杖を持ち、空いた手には枕を抱いている。
 キュルケが進む先にはタバサの部屋があった。人気ない廊下の中で、そこだけから人の気配がする。
(もしかしたら、もう、眠っているのかもしれないけど……)
 先日ペルスランから聞いた、オルレアン家を襲った不幸。小さな体に、タバサはどれ程の気持ちを押し込んで暮らしているのだろう。そう思うと、キュルケは胸の奥が
ちくちくとするのだ。
 部屋の前で灯りを消し、そっとタバサの部屋のドアを覗き込むと、差し込む月明かりに照らされて、学院の部屋とはまるで違った調度の趣味が垣間見えた。丁寧に
並べられた人形たち、かわいらしいフリルの散りばめられたレースの天蓋のついたベッドがある。けれど、そのベッドの上に、タバサらしき影は見受けられない。
「タバサ……?」
 ゆっくりとドアを開けて、キュルケは部屋の中へと入った。今夜もまた、双つの月は情け容赦ないほど、無関心な明るさで夜を照らす。その中に、タバサはいた。
 寝間着に包まれたタバサは眼鏡を外し、床に膝をつけた姿勢に腕を胸で組み、一心に何かへと祈りを捧げていた。その姿の、なんと健気なことだろう。
 キュルケは一拍の間、何も言う事が出来ずにただそれを見つめていた。タバサの小さな背中を貫くほどじっと見ていたキュルケははっとして、タバサが何に祈りを
捧げているのか分かった。
873名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 15:37:31 ID:ScJQTqph
sien
874鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/15(水) 15:39:57 ID:IVF4uTsJ
 それは黒塗りの施された、余り見かけない形の、だが確実に聖具……ブリミル信仰で信者が祈りを捧げる御物だと分かるものだった。聖具はブリミル
若しくはその信仰に殉じて聖人とされた者を模しているとされる、漠然とした人型をしている。タバサは一体、誰に祈りを捧げていたのだろうか。
 杖を近くのテーブルに置き、キュルケはそっとタバサに近づいて、後ろから目隠しする。
「だーれだ?」
 びく、と震えてタバサは、柔らかなキュルケの指先を解いて振り返った。
「ふふふ……。子供はそろそろ、寝る時間よ?」
「どうして」
 ここに来たの、と問いつつ、タバサは立ち上がってベッドに腰掛けた。キュルケは片腕に抱いた枕を差し出した。
「私枕が替わると寝付けないの。けれど、人肌が一緒にあれば眠れるのよ」
 だからね、と枕をタバサのベッドへ置き、タバサの反対側からベッドの上を這って進む。そして背中からタバサを抱きしめた。
「もう、ちゃんと体拭いたの? まだ頭、湿っぽいわよ」
 くりくりとタバサの髪で遊びながら、キュルケは言った。
「キュルケ」
「ん?」
 暖かなキュルケの腕を感じながら、タバサは続ける。
「さっき、私が何をしていたか、聞かないの?」
「何って、寝る前のお祈りでしょう? 私はしないけど、誰でもするでしょう?」
 そう言われて、タバサは何も答えなかった。だからキュルケも、自分の推測が当たっているものと考えた。
 しかしキュルケは知らないだろう。答えなかったタバサの眼差しが、月光すら照らせぬ部屋の闇をじっと見つめていたことを。それは精一杯、タバサの心の抵抗だった。
己を恥じる気持ちだった。
 今すぐにも吐き出したい、感情のうねり。けれどそれは、長年にわたって積み上げたものを崩してしまいかねないものだ。たとえどれ程に慕うキュルケにでも、それは
言えない。
「………ごめんなさい」
 消え入りそうな声でタバサは言った。果たしてそれは、キュルケの耳に届いたのだろうか。
「もう寝ましょう? タバサ。今日は少し冷えるわ」
 
 その夜、タバサとキュルケは同じベッドで眠りについた。キュルケはタバサが寝息を吐くまで、タバサを胸に抱いていた。眠るタバサは、起きている時には
ついぞ見せない、穏やかでかわいらしい風情を見せていた。
(せめて夢の中でくらい……肩の荷を降ろせるといいわね)
 さらさらと髪を撫でながら、キュルケは稚い友人の寝顔を眺めていた。
「そういえば……」
 その髪のしっとりとした撫で心地が、昼間の出来事を思い出す。
(なぜギュスは、水精霊を頭からかぶっても平気だったのかしら……)
 疑問がぱっと浮かび、暫く考えていたのだが、規則正しいタバサの寝息を聞きながら、キュルケの意識も徐々にまどろんでいったのだった。
 
 そして二日後、ギュスターヴ、ギーシュ、モンモランシーの三人は魔法学院へ帰参した。
 キュルケとタバサはあと数日ラグドリアン湖に滞在すると言って三人を見送り、今はまだオルレアン邸に居ることだろう。
 モンモランシーが荷物を引っ手繰って部屋に引篭もり、残されたギーシュとギュスターヴは、とりあえずその場を解散する。時刻は正午頃。普段であればルイズも、
食堂に行っているはずだが、暗示薬『スノーウォーカー』に罹ったルイズは男性のいる場所に行くことができない。おそらく、部屋でシエスタと一緒に食事を
摂っているはずだ。
 なんだかんだと一週間近く顔を合わせていない、奇縁でつながる少女を思って、ギュスターヴの歩調は知れず早くなった。部屋の前に立ち、よく聞こえるように
ノックして暫く待った。
「どちら様でしょうか」
875鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/15(水) 15:42:34 ID:IVF4uTsJ
「……俺だ、シエスタ」
 その声に応じたのか、ドアは開かれる。細く開かれたドアから抜け出たのは、最早馴染み深い若草髪のメイドだ。
「おかりなさい!ギュスターヴさん」
 元気に返事を返してくれたシエスタは、それでもどこか疲労の影がちらついている。
「長い間世話を任せていて済まないな」
「いいえ、これくらいのことは仕事の内ですから」
 そうは言っても、他の人と交代できないまま十日以上かいがいしく世話をしてくれているのだから、頭の下がる思いだった。
「……ルイズの調子は、どうかな」
「元気なものですよ。だた、外出はできないというだけですし。……部屋でできることをずっとなさっているんです。読書とか、刺繍とか」
「刺繍?」
 脳内でルイズと刺繍がうまく結びつかなくて、ギュスターヴは首を傾げた。
「はい。時間だけは有り余ってますから、そりゃあもう熱心にやられてます」
 熱心に糸繰るルイズなど、余計にイメージできず、ギュスターヴはますます困惑するばかりだった。
 
 ラグドリアン湖から帰って来た翌日。
 モンモランシーの召集に応じて、ギュスターヴは仮の寝床からモンモランシーの部屋に出向いた。
 出てきたモンモランシーは封のされた小瓶を片手に、隈の浮いた顔を見せる。
「出来たわよ。あとはこれを飲ませてあげて」
 それだけ言ってモンモランシーは部屋に戻った。おそらく疲労の溜った体をベッドに投げ出していることだろう。
 早速シエスタに薬を手渡し、ギュスターヴは部屋の外で静かに待った。
 
 中のシエスタから呼ばれ気を使いながら慎重にドアをくぐり、ルイズを部屋に探す。ルイズは部屋に置かれた椅子に座っていて、備え付けのテーブルに水差しと
空のカップが置かれている、部屋には鼻腔をくすぐるうす甘い香りが漂っていた。年頃の少女特有の体臭だと感じたのは、暫くぶりに室内に入れたからかもしれない。
「ルイズ……?」
 ぼんやりと椅子に座っているルイズに声をかけると、ルイズはギュスターヴの顔を見てとても気まずそうな様子を見せた。
「ぎ、ギュスターヴ……その、ず、随分、苦労、かけたわ、ね……」
 どこか気恥ずかしそうに視線を反らすルイズの膝の上に、ギュスターヴは何か白い布が広げられているのを見つける。
「ルイズ、それ……」
「こ、これ?! これは……」
 もじもじと要領を得ないルイズを見て、ギュスターヴはどう対応しようか少し困った。
 水差しを片付けようと盆を持ったシエスタが部屋を出て行き、たっぷりと一呼吸待ってから、ルイズは動いた。
「あ、あのね? ほら、薬のせいで、出歩けなかったでしょ? だ、だから」
 ほら、とルイズは手元の布をギュスターヴに押し付けた。
「何だ?」
「し、主人の危機に骨を折らせた礼よ! 受け取りなさい」
 押し付けられた布を広げてみると、隅のほうに小さくだが紋様が刺繍されているのが分かった。それはどこか、ギュスターヴの鎧に刻まれた紋様に似ている……ようにも
見えるし、そうでもないようにも見える。
「バンダナよ。良い布使ったんだから」
「……引篭もっている間、ずっとこれを作っていたのか?」
「だ、だって、外に出て男の人見たら体か勝手に走っちゃうし……」
「……そうか」
 渡されたバンダナをしげしげとギュスターヴは見る。上質な布地は手触りに心地よく、薄い橙の染料で染めてあるようだ。丁寧に折りたたんで懐に収めると、空いた手で
ルイズの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「ぅ……」
「有難う、ルイズ」
 男は顔を皺に寄せて微笑んで少女を見た。
 久しぶりの触れ合いに、ギュスターヴはらしくなくルイズの頭を撫で続け、ルイズはルイズで、始めはキッと目を鋭くして何か言おうとしたが、結局黙って頭を
撫でられていた。
 
876鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/07/15(水) 15:44:34 ID:IVF4uTsJ
 ルイズが元に戻ってから、二日後。
 コルベール塔の傍でルイズは一人、小枝を握って空き地を眺めていた。枝先を向けた場所に草木に従うつむじ風が巻き、ルイズの指す先を追う様に『樹の術』は起こった。ただ、アニマを見る目が無ければ、ただルイズが枝を降って風が起きている、程度にしか見えないだろう。
 それでいて、ルイズは近くの炉から聞こえてくる、規則正しい研磨音に耳をじっと傾けていた。
 その音が聞こえなくなって暫くして、ルイズは鍛冶場の中に入った。鍛冶場ではバンダナを巻いて長い髪を纏めたギュスターヴが、拵えのされていない、裸の片刃剣を
水に漬けて休んでいた。
「術を使っている間、気持ち言い風が吹くようになったな」
「あんたに分かるの?そんな事」
「アニマが感じられなくても、肌に当たる風で分かる」
「ふぅん……」
 炉は火が消えないように炭を継ぎながらも、炉口が閉められていて、鍛冶場は意外と涼しかった。
「それがタバサに上げるっていう剣?」
「剣というか、刀だな。大概片刃の長剣は『刀』と言う」
「ん? じゃああの駄剣も刀って言うのかしらね」
 駄剣と呼ばれたデルフはというと、鍛冶場の端っこで盥に張った水に漬けられている。汚れを浮かせているのだそうだ。水に沈んでいるせいか、口うるさくも無い。
「研ぎも済ませたし、あとは銘を掘って拵えを作れば完成だ。帰って来次第、渡してやれる……ルイズ?」
 腰を下ろしていたギュスターヴが振り返ると、ルイズが近くの椅子に寄りかかって寝息を立てていた。
 樹の術に限り、念入りの稽古のお陰か、ルイズは十分なコントロールが出来るようになっていた。どれだけの事が教えられるか分からないが、ギュスターヴは
出来るだけアニマについて教えてやるつもりだった。
 初夏を迎えた爽やかな風が、空き地の方から吹き込んでいた。
 
 王都の最も汚らわしい場所の一室に、彼らはやってきた。その数八人。皆一同に灰色のローブをかぶり、男か女かすらも分からない。
 彼らを応対した一人のトリステイン貴族は、彼らの持ってきた一通の書状を確認していた。
「……確かに。君らの主人から、君らを暫くの間世話する事、合い分かった」
 その声は肥満体独特のせわしない呼吸音の混じった、中年男性のものだった。
「だが、その前に……君らの名前を教えたまえ。君らを使わせた主人がなにをさせるのかは知らないが……ね」
 それに答えるように、灰色のローブの中から一人が進み出て、フードに手を掛けた。
「お教えしますが、決して口には出さぬと、誓えますかな……」
 そして油煙にくすんだ窓の光を受けてフードの下がトリステイン貴族に晒された。その瞬間、トリステイン貴族は年不相応なほどに情けない声を上げて腰を抜かして
倒れこんでしまった。
「あ、そ、そんな……貴方様は!」
「しっ……いけませんよ。名前を言っては」
 優しく『彼』は腰を曲げてトリステイン貴族に手を伸ばした。優しくいたわりを感じさせるような、若い男性の声で。
「し、しかし、貴方様は、ア、アルビオンで」
「そう、しかし……私はここにいる」
 薫るような、短く整えられた金髪が揺れて、彼……『ウェールズ』は微笑んだ。
877鋼の使い魔(後書き) ◆qtfp0iDgnk :2009/07/15(水) 15:45:36 ID:IVF4uTsJ
投下終了。ラグドリアン湖解決編ということで。
次回から暫くタバサメインの話に入ります。
あと関係ないけどイザベラと加賀元子って似てるよね(何
では。
878名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 15:49:09 ID:IVF4uTsJ
879名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 15:49:48 ID:ScJQTqph
otu
880名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 16:08:43 ID:rzptVsy7
乙!
これは…絵板の絵の再現ですね! 分かります!
なんだかんだ言って今までは平和でしたが、さてさてどうなるやら…

あと、巨大なお世話だとは思うのですが>>868みたいな発言が痛いと言われるんだと思いますよw
881名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 16:12:04 ID:nZKVndkj
鋼の人乙!
ギュス様良いよぉぉギュス様ぁぁぁあ!
882名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 17:36:45 ID:JtF3a2d+
マーカス・ライトを召喚
あ、ジョンが助からないから駄目か
883名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 18:23:27 ID:rByb2BUu
イザベラと加賀元子は俺も思ったw
884名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 20:14:14 ID:8zA5wOA+
各巻よりセリフ抜粋・ギーシュ

1巻「確か、あのゼロのルイズが呼び出した、平民だったな。平民に貴族の機転を期待した僕が間違っていた。行きたまえ」
2巻「うむむ、ここで死ぬのかな。どうなのかな。死んだら、姫殿下とモンモランシーには会えなくなってしまうな……」
3巻「んー、きみはあれだな、ろくでなしだな」
4巻「なあに、ぼくなんか今学年は半分も授業に出てないぞ? サイトが来てからというもの、なぜか毎日冒険だ! あっはっは!」
5巻「白! 白かった! 白かったであります!」
6巻「ちょ、ちょっと大隊長どの! ぼくは学生仕官ですよ! そんないきなり中隊長なんて!」
7巻「……む、武者震いと言いたいが……、恐いだけだな。うん」
8巻「きみは平民だが、ぼくは友情など、抱いていたんだよ」
9巻「理想の自分っていうのかね。まぁ、ぼくは自分が理想だけどな! なんてったって、ぼくは世界一美しいからな! あっはっは! ああ! 何人ぼくの姿になるんだろう! ああ! ああああ! あ!」
10巻「きみってやつぁあああああ! ああああ、捕まっちまったじゃないかよぉ……! よりによって敬愛する女王陛下にぃいいいいい!」
11巻「ぼくはね、きみを友人だと思う。だからこそ、こうしたほうがいいと思うんだ」
12巻「なんというかね……、きみのいた国はどうか知らないが、こっちにだって可愛い女の子はいるし……、貴族にだってなれたじゃないか。もしルイズに放り出されるようなことがあったら、ぼくの領地に来ればいい。きみ一人ぐらい、養ってやるぜ」
13巻「まだ未完成の花束だ。最後の一本は……、キミダヨ」
14巻「笑って見送っておくれ。ぼくは貴族なんだよ」
15巻「そうだな。そうかもしれん……。でも、見ろサイト。ここに集まったロマリア、ガリア両軍の姿を! ここで一発格好いいところ見せてみろ! ぼくと水精霊騎士隊の名前は、子々孫々まで語り継がれるようになるぜ!」
16巻「サイト、実はおそろいの隊服を作ろうと思うんだが……」
885名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 20:19:37 ID:8zA5wOA+
各巻よりセリフ抜粋・シエスタ

1巻「貴族の方々にお出しする料理の余りモノで作ったシチューです。よかったら食べてください」
2巻:出番なし
3巻「け、結婚するからって言えば、喜ぶわ。みんな。母さまも、父さまも、妹や弟たちも……、みんな、きっと、喜ぶわ」
4巻「もう、ちょっと、その、人が来なさそうで、綺麗な場所がいいなあ。あ、でも! これ願望でして! サイトさんがここがいいって言うんなら、ここでも平気よ。ああ、わたし、怖いです。だって初めてなんだもの。母さま許して。わたしここでとうとう奪われちゃうのね」
5巻「……子供みたいな体して、貴族? ……へぇ」
6巻「好きなんでしょ? 要はやきもちじゃないですか。それなのに貴族がどーのこーのなんてね、ちゃんちゃらおかしいですわ」
7巻「やーん、こんな早く会えるなんてー! わたし感激です! か・ん・げ・き!」
8巻「勘違いしないでください! ミス・ヴァリエールは正直どうでもいいです! でも、好きな人の涙は見たくないんです……、ぐぐぐ……」
9巻「し、しかってください! サイトさんにしかっていただくなら、わたし本望だわ! こ、こんな感じですっ!」
10巻「『お前が望むやり方で、このわたしに奉仕しなさい』。そう言ってマダム・バタフライは、騎士に奉仕させるんです! それがもう! きゃあきゃあきゃあ! 言えません! きゃあきゃあきゃあ!」
11巻「でも、そんなやらかすであろうサイトさんが……、わたし……」
12巻「モノにしたなんて……。そんな言い方はよくないわ、ジェシカ。第一サイトさんは、わたしのそういう人じゃないもの。ご奉公先の、ご主人さまよ」
13巻「わ、わたしはちょっと舐めちゃいましたけど! そんぐらいですから! わたしは綺麗なままです! その、サイトさんのために……、ぽっ」
14巻:出番なし
15巻:出番なし
16巻:「安心してください。このシエスタは、いつでもサイトさんの味方ですから。ほんとうもう、なんのかんの言ってわたしが一番ですよ?
 なにせよそ見してもあんまり怒りませんし、他の子とキスしてもあんまり怒りません。それ以上したら殺しますけど。でも好きですからね」
886アノンの法則:2009/07/15(水) 20:22:38 ID:QyeGgN7k
デルフのみたいです
887名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 20:28:42 ID:8zA5wOA+
>>886
デ、デルフを飲んでどうしようと言うのだ……。
888名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 20:28:41 ID:hlqZrSAm
ギーシュがヒロインなんだな結局
889名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 20:32:58 ID:QyeGgN7k
>>887
デルフのセリフをみたいって言いたかったのに、へんなことに…
890名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 20:34:40 ID:8zA5wOA+
アン様のも作ろうかと思ったけど、自分が作ると何だかえらい偏った内容になりそうなのでやめときましたww
891名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 20:41:48 ID:wSB2+a2M
飲み込んで僕のデルフリンガー
892名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 20:46:29 ID:LvXmw5BK
>>886
スペクトラルタワー2からウェイブを呼ぶのか
893名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 21:27:52 ID:X3QM1ku/
浦澤版の鉄腕アトム召還とか読んでみたい。
平民の子供を呼んだと思ったら、10万馬力の万能使い魔。
人間の姿と心を持ったゴーレムということでコッパゲを大喜びさせそう。
従軍経験もあるし、ルイズやアンアンに戦争の恐ろしさを教えたりもできる。
894名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 21:57:22 ID:rBFODKdN
新スレが変熊の話になってるな。
895名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 21:58:41 ID:w65iR5x3
893
アトムの場合、ロボットの三原則が組み込まれている
はずだから人間に攻撃できないのが最大の問題だろうか。
まぁ、直接攻撃できなくてもなんとかなりそうだけど。
896名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:01:51 ID:NsN9UjGR
バトル物にしなければ基本的に解決
897極悪の使い魔:2009/07/15(水) 22:21:52 ID:H3HG4C9r
暗い、音の無い世界を、ジャギの魂はあてどなく彷徨っていた。
(これで俺のクソッタレな人生も終着駅ってわけだ)
常に心の内に地獄を抱えて生きてきた男にとって、ようやく訪れた安息の時といっていいかもしれない。
だが運命はどこまでもジャギに冷たかった。
唐突にジャギの前に、ボサボサの髪に汚い着物、左手に瓢箪を持った老人が現れる。
「ホェヘヘヘ〜、おおジャギよ、しんでしまうとはなさけない」
「テメーなに越境出演してやがる!死人なんか構ってねえでさっさと『蒼天の拳』に帰りやがれ!」
謎の道士の出現にイヤな汗を流しながら叫ぶジャギ。
「待て待て北斗の鬼子よ、あの世に行く前にお主にはホレ、別の舞台が用意されておる」
謎の道士が指差す先には光輝く例のアレ。
ソレはジャギの魂を、ジェネラルエレクトリック社製の真空吸引機のような勢いで吸い寄せる。
「行くがよい、そして己が宿命を見つけるのだ!」
遠くから道士の声が聞こえる。
「俺に指図するんじゃねえー!」
ジャギは吼えた。
「宿命なんぞクソくらえだ―――――ッ!」

轟音、震動、そして突風。
爆煙が吹き払われた草原に一同が見たものは、ぱんつ丸出しでまんぐり返ったピンクの髪の少女と、爆心地の中央に立つ、目付きの悪い少年だった。
「平民!」
「ゼロの平民!」
「無能の証明!」
「まさに無様!」
一斉にはやし立てるその他大勢。
例によって逆上したルイズがコッパゲに喰ってかかっている間、ジャギはパニックに陥っていた。
顔に手を当ててみる。
頭を固定する金具が無い
胸を見下ろしてみる。
七つの傷が無い。
それどころか体全体が若返っている。
そう、アンナと夢を語り合っていたあの頃の姿に。
そんなこんなで混乱しまくっていたジャギが、人の気配に気付いて顔を上げると、目の前に思い切り不機嫌そうな顔をした少女がいた。
「感謝しなさいよね、貴族にこんなことされるなんて…
め ご し
ブーツの底がルイズの顔面にめり込んだ。
ゴロゴロゴロと気持ちよいほどの勢いで地面を転がり、慌てて受け止めたコッパゲ共々這い蹲るルイズ。
それを見て更に笑いのボルテージを上げる同級生達。
彼らは知らない。
ジャギが一番嫌いなものを。
それが自分に向けられたものか否かに関係なく、他者を見下す笑いはジャギの心で燃え盛る地獄の釜に薪をくべる行為だということを。
「面白いか?」
ボソリとジャギは言った。
「他人(ヒト)の無様な姿がそんなに面白いか!」
ジャギの両腕が消えた。
残像さえ生じない速度で振られた腕が衝撃波を生む。
「ウギャーッ!」
顔を割られ、肉を削がれたギャラリー共が絶叫する。
南斗紅鶴拳奥義・伝衝烈波(劣化コピー)である。
レイが見れば「ユダの足元にも及ばん」と言うだろうが、生徒達をビビらせるには充分だった。
「先住魔法だ!」
「おかーさーん!」
「俺進級したらケティに告白するんだ…」
「メディーック!」
「俺の名前を言ってみろ―――――!」
ノリノリのジャギが更なる攻撃を繰り出そうとしたその時−
「面白い技を使うな平民」
烏合の衆と化した生徒たちの只中に、飢餓と疫病を従え、蒼褪めた馬に乗った死神のような男が悠然と立っていた。
名を疾風のギトーという
898名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:25:46 ID:H3HG4C9r
続かない
899名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:29:37 ID:BQksuwGX
なんだ続かないのか
ならしょうがないな
900名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:31:09 ID:zRfl8M7I
・・・え?

・・・続かないの!?
901名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:32:45 ID:NsN9UjGR
埋めとしてはハイレベルな埋めだな
902名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:35:16 ID:J+knGnIH
不覚にも吹いてしまった。
903名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:41:09 ID:R3jXvLvg
ギトーの勇気が世界を救うと信じて!
904名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:41:44 ID:EVFyAFA/
やべえ、すげえわくわくしちったぞw
905名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 22:48:57 ID:rzptVsy7
面白いが、確かに続かれても困るかもしれんw
906名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:13:06 ID:kfa/KU85
だな…
907名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:15:29 ID:J8wq2oHA
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908名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:31:53 ID:rzptVsy7
what?
909名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:32:16 ID:GUko+Ly+
真面目な話、コンプレックス持ち同士で意気投合したら面白そう>ジャ……ケンシロウ様
910名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:37:05 ID:hoga6pRu
続きは次スレの埋め時にだな!
911名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:38:07 ID:NsN9UjGR
そりゃあ壮大で気の長い作品だなww
埋め時に簡単なリレーssでもやるか
912名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:42:41 ID:mViZcsmU
今のところ召喚者の類型として
1・コンプレックスに共感して協力
2・召喚者が良い人(ルイズに恩義を感じて)で積極的にルイズに協力的
3・使い魔フリーダムだがルイズが頑張って制御
4・主義の違いから使い魔になるをの渋るがだんだん折り合いをつけていく
5・使い魔フリーダムすぐる…従えられない、現実は無情である
ってパターンがあるね

俺は2のパターンに好きな作品が多いけど
自分で書くと大抵3か5になってしまう
913名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:44:38 ID:ojUP5o6o
ひぃー…なんか時間がとれない…
執筆はおろかスレに来たのが数日ぶりだよ…
914名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:48:21 ID:ojUP5o6o
どんなに投下間隔が開いても、そんなに期待されてないとしても、
やっぱりそれなりに綺麗に終わらせるところまでは頑張りたいな
915名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:48:41 ID:NsN9UjGR
型破りが好きな俺は5の展開が好きだな
凄く難しくて上手い人じゃないと手に負えない展開にすぐになる緊張感がたまらん

>>913
どなたか存じませんが、気にせず時間が取れたら暇つぶしにでもと考えてくだされ
ここは自由な2chなんですから
916名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:51:45 ID:fCNfSVsF
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むしろ>>907がダメダメです
917名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:53:05 ID:mViZcsmU
ダチルイズってなんの事かと思ったけど
ダメルイズか
918名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 23:55:44 ID:4tsutgqP
ハイルルイズかと思った
919名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 00:37:02 ID:yGmKPnpo
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part242
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1247640488/

        lア′                         \  _/\
.        /     /  :/  .:.:j  .:.      \    ヽ ∨ _/ 〉
       /     /  .:./  .:.:.; イ.:.: /    \:.:.:.. 丶    l ∨ _/
   __,/'⌒ヽ    /\.:./  .:.:.:./ |.:.:.:! :.:.  :ヽ:.\:.:.  l     ∨{/|
   \ /    `、 .:.!:.:.:.:/ト、.:.:.: /   {.:. j{ .:.:  .:.: |ヾ:.:}ヽ: イ´:. :.:|:  !´  ト、
     7     ∨.:|:.: / .|.:.\/    l:.:八.:.:.. ...:.:.jハ.:l/l:.:lヽ:..:.:l:  |__/  \
    i    ....   l.:.l:.:,'  j.:.__/\   j:/  \ :.:.:/ /! _j:/ jl :.:|:  |:.:.:.:.:.:.:.:
ー―‐ |   .::::::::..  |:.:|:.{,>〃テFミ\/     }:.://チF千ヾ<|:.;':.  |¨ ̄`ヽ
:.:.:.:.:.: ∧ :::::::::::::::: |:.:Wヘi{  !{ヘ  `トヽ_/  、ノ''´{iヘ  }:! }ハ l/.:.:  |
ー‐=≦仏 ::::::::::::::: l :.:.ハ. ヾ V:::ヽイj         V:::ヽイ/   /:.:.:   |
:.:_// ∧:::::::::::::: |\_:ヽ  _ ゞ‐='' :::::::::::::::::::::::::: ゞ=-'' _  /.:.:.:   |     
:/ /_/_イヽ:::::::::::/{  :.:.}          '             /.:.:.:.     |
厂     |{ ::::::::::::::.ヽ :.八   __   -―=  ̄ 'ヽ  /..:.:.:.:    |  /
  __  |::\:::::::::::::::..∨.:.:.l丶、 ∨ ̄           〉ィ/..:.:.:.:.:   ヽレ'´ ̄ ̄
/ _`ヽ{/:::`::::::::::::::.:.\ :|  iく_> 、  _____,  <r:/.:.:.:.:.:.:     {:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
 /´  `\}::::::/:::::::::::::::.. \ ヽ\__ ,>ー<    ノ,'..:.:.:.:.:.:.:    ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.
,イ    ::::|/::::::::::::::::::::::::.. ヽ、__〕/_____ `< i..:.:.:.:.:.:.:.:      \:.:.:.:.:.:.:
│    :::!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::........................    )  } |..:.:.:.:.:.:.:.:       \.:.:.:.
│    ..:::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,、::::::::::::::::::_/  / l .:.:.:.:.:.:.:.:..         \:.:
920名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 00:59:34 ID:UEYj9MLu
>>892
う○こを食べるような人は帰ってください
921名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 01:25:59 ID:KzU3hf0r
          /    <__ \ \/ノ
         /   /<__ \ \ ヘ /⌒/  あのさぁ...
         /  〆  └--、ヽ、\ - \ |
         / レ\ =ミ=、__/丶  -     〉なんてゆうか...
       / ン/  (- =、 > <( \       |
       し/  ミ   'ー--ヘ/ \ミiヽ     {  あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part242 なんだよね。
       リ/   /    ン /("ミ 、 、ヘ      > 、
       |    /<.o イ  'ー ヾ / >、  ∠/ヽヘ http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1247640488/って言う...
     ,.-/|   -=、_/ "|   _∠/  \(⌒)   ノ \
   / | \ヽ   ヽ,-\}   ∠ノ      ヾ、 /    \そう、「次スレさ」
 ̄<   !  `\      /___    \/ \(
922名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 02:09:27 ID:KzU3hf0r
 ̄|〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
::::::|
::::::|          __
::::::|8848m    ヽl ノ ヽ l ヽノー―
::::::|//ヽ     ヽ ー|―  ヽ _/エ/_
::::::|/ Y \    //|\  / /エ/
::::::| |  ::::ヽ          __  __
::::::|/ \ ノ^\        ___  __    ̄ ̄|  ―|―,  ̄ ̄|
::::::|      \  3773m   |       |    /   |  |   /、
::::::|:::::: :: :.      _ _     ノ      ノ    ノ   /  /  /  \
::::::|        //^ヽ\
::::::|[チョモランマ]/〜〜〜 \   マリアナ海溝 次スレ
::::::|     /  [富士山 ]  \   10920m あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part242
::::::L                     ↓    ↓
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1247640488/
923名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 02:13:22 ID:KzU3hf0r
              小マゼラン星雲              __
 ̄ ̄ `――- , __  (太陽の600億倍)  __ , -――
            ̄ ̄ー――― '  ̄ ̄
               ∧
           マゼランマゼラン〜!

         _,,,,,,,,_
        /`  `'i、
IRS5     |      l    <うはwww俺w様w最w大wwっうぇwww
       ゙l、    /
        `'ー---'"
(太陽の1万倍)

アンタレス    o  <プwデネブ小さすぎワロスw
(太陽の250倍)

デネブ      。  <デネブデネブ〜!
(太陽の60倍)

太陽        .  <たいようたいよう〜!
(直径13万km)


  プププ、恒星小さすぎ馬鹿じゃねーの?     恒星を2000億個含む我らが銀河系
              V                  ↓(太陽の6000億倍)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゙゙゙゙゙゙゙゙̄‐‐‐‐‐‐‐-‐‐‐‐-‐--------、、、、、、、、、、,,,,_____

 そして我らが次スレ、あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part242
                 ↓
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1247640488/
924名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 02:24:24 ID:TF/7d8h4
浦沢作品ならやはり究極のバランスブレイカーなヨハン
925名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/16(木) 02:43:07 ID:vlLt4xh8
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926名無しさん@お腹いっぱい。
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part242
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