【柊】ナイトウィザードクロスSSスレ【NW!】Vol.18
時に、管理人氏のPCが死んでるみたいだからできるだけみんな保存してあげてなー
全スレ
>>495 GJでした!ああもうかわいいよベル様とアゼルかわいいよwwwwww
アスモデートもいい感じに悪人・・・・っと思ったら、ちゃん様と飲みとな。許せんw
次回はクロス部分ですな。あかりんがこの戦いで何を得たのか。期待しておきます。
とりあえずまゆりんの出番は有るんですよね?(ずずいっ
>>1乙です〜
そして前スレ
>>495GJ!
奢りに釣られるなよ、ちゃん様www
そしてアゼルかわいいよアゼル。
おかげで投下準備してた作品のアゼル分が5割ほど増えたw
というわけで11時半ごろより短編投下しまっす〜
来やがれ支援!
輝明学園に存在する学園有志によって運営される喫茶店「サン=グラール」。学園転移以後はスクールメイズの話を聞きつけた他校の生徒も見られるようになり、以前より賑やかになった。
その一角に3人の少女がいた。一人はオレンジのブラウスに黒のスカートという私服であり、残る二人は輝明学園の制服を着ている。
腰まで届く赤い髪の私服の少女の名はコーティカルテ・アパ・ラグランジェス。
ポリフォニカの始祖精霊が一柱「紅の女神」にして、トルバス神曲学院特別講師タタラ=フォロンの契約精霊である。
残る制服を着た少女二人。一人は肩までの銀髪にポンチョ。もう一人はショートカットの黒髪。いわずと知れた「蝿の女王」ベール=ゼファーと「荒廃の魔王」アゼル=イブリスである。
3人とも誰か一人でも気まぐれを起こせば軽くサン=グラールが消し飛ぶ実力の持ち主であり、アゼルはともかくベルとコーティカルテにいたってはお世辞にも穏やかな性格とは言いがたい。
もし双方の性格を熟知している者がこの場に存在したなら、間違いなく速攻で執行部に「要監視」で連絡を入れるだろう。柊蓮司のご指名付きで。
しかし幸か不幸かトルバス神曲学院は転移して間もないため、コーティカルテを知る者はこの場にいなかった。
人知れず輝明学園は危機に立たされていたのである。
ポリフォニカっ!?支援
(ベル、この子・・・)
(分かってる。抑えてはいるけどとんでもない力の持ち主ね。)
さすがは裏界にその名を轟かせる魔王二人。彼女たちはコーティカルテの実力を見抜いていた。
(しかもこいつ人間じゃない。人の姿を取ってはいるけど本質は私たちに近いわね。
知性を持ったエネルギー体ってとこかしら?)
(目的は何だと思う?)
(大方どっかの学校の守り神で、うちに手を出したらただじゃおかんぞーってとこかしらね。
でもおあいにく様。そっちの都合に付きやってやる義務はないしね。場合によってはこの場で身の程をわきまえて貰おうかしら?)
一人なら苦戦必至であろうが、この場にはアゼルもいる。圧倒的に有利なのはこちら。
それぐらいのことも分からずに突っかかってくるような相手ならゲームの対局相手としては不足といわざるを得ない。付き合うだけ無駄である。
「で、わざわざ出向いてもらって聞きたいことってのは何かしら?」
「むっ?!・・・・コホン」
言葉に含まれる侮蔑の色を嗅ぎ取ったコーティカルテだが、何とか自制。ここでキレてしまっては目的が果たせないのだ。
この機を逃したらまず次はない。異世界の、しかも自分たちに近い存在の話を聞くなどという機会は。
「ひょっとしたら気がついているかも知れぬが、私は人ではない。
そしてそちらも人ではないことは聞き伝えで知っておる。
その上で聞く。そちらには――」
迷うことはない。直球勝負。
コーティ来ちゃったのかよw支援
「――そちらには、人との間に子を成す術は伝えられているか?」
「ぶーーーーーーーーーーっ!」
直球、ただし暴投ビーンボールまがいの質問がベルを襲った。
そりゃ飲んでた紅茶も吹くというもの。
「アンタ、初対面の相手にする質問がソレかーーーー!
まったく、真面目に相手しようと思ったこっちがバカみたいじゃない!」
「こここ、こっちだって相当恥ずかしいのだ!察しろ!」
「察するかバカモノーーー!」
「もしや貴様・・・相手がおらぬのか?」
「はぁ?いきなり何言い出すのよアンタ?」
突然の方向転換に当惑するベル。
「いやぁ、すまぬなぁ。一時とはいえ無辜を慰めてくれる相手がおらぬとは。
これは思い至らなかった。失礼失礼。」
言葉と裏腹に勝ち誇った笑みを浮かべるコーティカルテ。
「うっわ、ムカつく!」
いっそこのままふっ飛ばしてやろうと思ったが、隣のアゼルがベルの腕に抱きついてきたのでそれは成らなかった。
「アゼル?」
「ベル、私一人じゃ寂しい?」
爆弾投下。
「ちょっ、アゼル、このタイミングでそんなこと行ったら絶対に誤解――」
ガタンと、見れば椅子ごと思いっきり引いたコーティカルテ。
「されてるしーーーー!」
「いや、人のことをいえた義理ではないかも知れぬが非生産的なのはどうかと思うぞ?」
「いやそれ誤解だから!」
「まさか生やす事が出来るとか?!」
「しないから!つかそっち方面自重しろーーー!」
主にハッ(ry
なにげにFEARつながりの組み合わせだな
「あ゛ーー・・・疲れた・・・」
あの後。ひとしきり騒いで反論する気力もなくなってテーブルに突っ伏したところで、騒ぎを聞きつけたコーティカルテのお相手らしき人物――別件で輝明学園に来ていたフォロン――がやってきて。
なんとか引き取ってもらって周囲の奇異の目を避けて屋上に逃げて、やっと一息ついたところ。
「ベル・・・」
「アゼル?」
「ごめんなさい。ベルがバカにされてるみたいでなんか悔しくて。」
「いいわよ、別に・・・」
フェンス越しに、この世界をみる。
夕焼けに染まる、世界。
「ねえ、アゼル?」
「どうしたの、ベル?」
「アイツもそうだったけどさ。
人間って恋とか愛とかに振り回されて。時には私たちにソレを利用されて。
でも私たちの思惑をひっくり返すのもそういった絆。・・・ホント、よくわかんないわ。」
それは小さなものだけど、確かに弱音で。
だから、アゼルはベルの傍にそっと寄り添って。
「大丈夫よ、ベル。」
「は、アゼル。ひょっとして心配してる?
その必要はないわよ。だって私は――」
「大魔王ベール=ゼファーだから、でしょ?
そう、ベール=ゼファー。貴女は強い。」
――だって、その絆は、貴女も持っているものだから――
学園都市の郊外、というか学園と学園の間の空白地帯を大型のオンロードバイクが走っていく。フォロンの愛車、ハーメルンである。
無論乗り手はフォロン、タンデムシートにはコーティカルテ。
「フォロン、輝明学園に輝明学園におったのだ?
お前がいるなどとは聞いておらなんだぞ?」
「ああ、例の留学生制度の話で興味を持った生徒がいてね。資料を貰いに行こうにも手隙の先生がいなくて僕にお鉢が回ってきたんだ。
そういうコーティこそなんで輝明学園に?
あの銀髪の女の子ぐったりしてたけどなんかあったの?」
「少々気が向いただけだ。あの女は騒ぎすぎて自爆しただけ、気にするほどのことでもない。
・・・なぁ、フォロン。」
「ん、どうしたの、コーティ?」
「・・・なんでもない。」
それだけ言うと、フォロンの背をぎゅっと抱きしめた。
その温もりを逃さぬように。残された時間を惜しむように。
短い作品でしたが、投下終了です。
テキストで編集してた時は気にもしなかったけど、1行が長い気ががが
つか、エイフォニック=ソングバードにティアンが出てきたんで
「ひょっとしたら学園世界にティアン出せるかもだぜヒャッホイ!」とよろこんで。
・・・なんで出てきたのがこんな作品なのか自分でも良く分からんw
では、お目汚し失礼しましたm(__)m
>>14 いやいや、とてもGJ。謙遜なさらず。
しかし、ベルにすごいレベルでアゼルフラグ立ってるwwwwwww
>>14 乙、GJ。
アゼルとベルの関係と、ベルとコーティのやりとりがとても面白かった……が、ちょっとだけ。
一応「学園世界」ネタだから、
現状学生じゃないフォロンとコーティがこの世界にいる理由と「だれまでがこっちに来てるのか」は初出作者さんに定義してほしい。
でないと「この作品学校出るから学校の外にいるキャラもバンバン出していいよねー♪」ってことになりかねない。
柊みたいにたまたま近くにいて巻き込まれた、でもトルバスごとこっちに来てます、でもいいから、
作家さんがきちんと定義してほしい。「学園世界」ってルールが破られないために。
つーか、クロス元提示し忘れorz
一応文中に名前出てますが、神曲奏界ポリフォニカ。
更に細かく言えばエイフォニック=ソングバード。
ポリフォニカは色々考えてるんですが、エイフォニックの展開しだいでボツになる可能性が。
ティアン、このままレギュラー化してくれればいいんですが〜
でも何とかして紅の女神様に七年殺しをかける無敵のヒロインは出したいw
>>14 投下乙
ああ、学生時代じゃなくて講師として来てたのか、フォロン
……つかティアン関係ねえw
>>14 乙です
なんという直球暴投ビーンボールっていうかむしろデッドボールw
いや確かにコーティなら訊くだろーなぁ
……尊大幼女かあ……俺もミスカトニック大学近辺の尊大幼女作品とクロスさせてみようかしらん
【それは色々とマズい】
>>16 「エイフォニック=ソングバードしだいでネタがボツるかも」の部分が正にそこなので明示しときます、ハイ。
トルバス神曲学院しか転移してきていない設定です。フォロンとコーティは月1の特別講義の仕事のため学院に訪れて転移に巻き込まれました。
よって、他のツゲ神曲楽士派遣事務所のメンバーは来ていません。
で、ティアンなんですが・・・どーもエイフォニックのヒロイン(学生)の師匠になってもおかしくない展開なんですよね。
もしティアンが学院に出入りするようになれば巻き込まれでだせるぞ、と。
>>19 それはメインヒロインで自分を攻略しそうな騎士の時代か、ロリペド貧乏探偵の時代か激しく気になるな
学園世界的には騎士の方が正しい気もするが……まぁ、色々マズいのは激しく同意w
とりあえず、更新分保存完了…ってなわけでタバサと幽霊第3回、4時から投下します。
「イクゾ!」
咆哮と共に佐藤…魔人ケルベロスの姿が掻き消える。
(…速い)
ケルベロスのやったことは超高速での移動。タバサの知るどんな亜人よりも素早いその動きはタバサの動体視力を易々と上回る。
だが、焦りは無い。ここまでの戦いでタバサは既に“理解”している。
「させませんよ〜」
のんびりとした口調とは裏腹に、早く、正確に玲子を狙い飛んできた爪の前に立ちはだかるのは、幽霊勇者、倉沢桜花。
ドズンッ
並みの人間…否、悪魔であってもたやすく絶命するであろう一撃。
「…チィ!」
それを桜花は平然と“喰らって”みせる。
「う〜ん。流石に強烈ですねえ…」
桜花の霊体で構成された肉体をもえぐり取る一撃を受けてなお、桜花はその笑みを消さない。
「ですが、まだまだ私を倒せるほどの威力ではありませんね〜」
笑顔と共にえぐり取られた霊体部分を再構築してみせる。
「とりあえず、私の目が黒いうちは、お二人に攻撃が届くことは無いと思いますよ〜…もう死んでますけど〜」
桜花は軽口でもってケルベロスを挑発する。高レベルのガーディアン…ディフェンダーは伊達では無いのだ。
「ヤハリカ…」
“予想していた”事態にケルベロスは慌てない。
「ダガ、ソレガドウシタ?貴様ノ“炎”ハ俺ニハ効カン。ソレニ、何度モ攻撃スレバイズレハ貴様モ倒レルダロウ?」
そう、自分には、ケルベロスには桜花の得意とする人魂の攻撃…炎による攻撃は通用しない。
「別に問題ありませんよ〜」
だが、それを聞かされても桜花の笑みが消えることは無い。
「私のお仕事は、お二人を守ること。攻撃は…」
「ごめんなさい!佐藤くん!ブフーラ!」
「…ジャベリン」
「…お二人にお任せしますから〜」
桜花の言葉に応えるように2人の魔法使いが同時に魔法を完成させる。
「グゥ!?ソコノガキモ冷気ノ魔法ヲ使ウカ!」
強烈な冷気で脚元を氷に閉じ込められたとこで飛んでくる氷で出来た巨大な投槍。
脚が動かない状況で、最も回避の難しい腹を正確に狙って飛んできたそれをとっさに両手でつかんで受け止める。
運動エネルギーと冷気にケルベロスの手の皮が凍りついてはがれ、殺し切れなかった勢いで持って直進したジャベリンが腹に刺さる。
「オノレェ!」
凍りついた足もとの氷を忌々しげに砕き、ジャベリンを抜いて力任せに投げ捨てる。
腹からあふれ出る血を魔人の恐るべき治癒力で傷を塞いで止血し、ケルベロスはタバサを睨みつける。
“外”の相手は自らが苦手とする“氷”の魔法の使い手…
しかも玲子よりも優れた使い手である以上、力尽きるのはこちらの方が早い。
それを悟ったケルベロスは作戦を変更する。
アォォォォーン!
空を見上げ、高らかに遠吠えをする。
それと共にケルベロスの肉体に変化が訪れる。
メキメキと音すら立てて筋肉が膨れ上がり、同時に身体の各部分がより攻撃的に引き締まる。
「…あれは?」
その様子を見たタバサが傍らの玲子に尋ねる。
「あれは、多分“パワーブレス”です。攻撃力と命中力を同時に挙げる、ケルベロスの特技(エクストラ)」
「つまり…」
「はい。今ので更にパワーとスピードが増しました」
玲子の背中を冷汗が伝う。いくら頑丈な桜花と言えどもパワーブレスで強化したケルベロスの攻撃を何度も受ければ、危険だ。
寝ぼけまなこでしえーん。
「ウォォォォ!」
雄たけびと共にケルベロスが先ほど以上の高速で桜花に迫る。
「た、大変!すぐに回復を!」
大したダメージでは無いとは言え、桜花は先ほどもケルベロスの攻撃を受けている。連続で受ければ、いずれは削りきられる。
「いいえ〜。まだ大丈夫ですよ〜。それよりも、攻撃した方がいいかも知れません〜。長期戦になると、多分こっちが不利ですから〜」
桜花が玲子に助言しつつも、真面目な顔でケルベロスの動きを追う。
ここからは全力でいかないと、危険だ。
「来なさい。受け止めてあげます〜」
両手を広げ、仁王立ちになる。同時に人魂で玲子とタバサを囲み、盤石の陣形を引く。
「ククク!ヤット本気になったか!」
ケルベロスがニヤリと笑みを浮かべ、桜花に攻撃を仕掛ける。
まるで弾丸のような勢いで、ケルベロスは桜花にぶつかっていく。
「くっ…通しませんよ〜!」
勇者の持つ膨大なプラーナを開放し、それを真正面から受け止める。
「はああああああああああああ!」
その言葉に嘘偽りは無く、桜花はトラックの衝突に匹敵するケルベロスの突撃をわずか数cmの後退で完全に止めきった。
「どうです?まだやりますか〜?私としては、佐藤くんにも死んで貰いたくないんですけど〜」
力を見せつけた上でニッコリ笑い、桜花がケルベロスに言う。その瞬間だった。
「…残念。貴方の負けです。桜花さん」
ケルベロスは“魔獣”の演技を捨てて、“佐藤の声”で桜花に語りかける。
「えっ!?」
その声に反応し、桜花に一瞬だけ隙が生まれる。その隙を、ケルベロスは見逃さない。
「…!レイコ!」
それに反応できたのは、つい昨日“同じ技”を見たばかりの、タバサだけだった。
グァワアアアアアアアアアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
桜花の耳元に口をよせ、ケルベロスが魂も凍るような咆哮を上げる。
「くはっ!?」
その声に桜花の身体が固まり、その場に崩れ落ちる。
「どうだい?僕のゼロ距離“バインドボイス”の味は?」
金縛りになった桜花を見下ろしながら、ケルベロスは、佐藤の声で嗤った。
*
「く…あ…」
「ああ、気にしなくても桜花さんなら数分で動けるようになると思うよ。ただ、その頃には終わってると思うけど」
動くことも、まともに喋ることもできなくなった桜花に、ケルベロス…否、佐藤は優しく語りかける。
「これが、“魔人”の本領…本能に頼らない人間の“知恵”と圧倒的な悪魔の“力”のコラボレーションって奴さ」
佐藤は油断なく桜花の奥を見据える。
「…やれやれ。予定では全員動けなくしたところで玲子さんを1回“殺し”て桜花さんに退場願うつもりだったんだけどね」
タバサのとっさの判断で金縛りを免れた、2人の魔法使いを。
「まあ、いいや。どの道君たちじゃあ…僕のスピードにはついてこれない!」
地面を蹴り、一気に距離を詰める。桜花が動けるようになる前に、玲子を仕留めんがために。
だが、そんな佐藤の思惑は外される。
「アイスウォール」
「なにっ!?」
突如佐藤の目の前、玲子と佐藤を隔てるように現れた、氷の壁にぶち当たり、勢いを強制的に殺される。
「ウィンディ・アイシクル」
それに一気に畳みかけるように数十本もの氷の矢が現れ、佐藤に降り注ぐ。
「うわっ!?」
とっさにバックステップでかわした地面に次々と氷の矢が突き刺さる。
「…やるじゃないか。こりゃあチェフェイが負けたってのも頷ける」
かわし切れなかった氷の矢が数本突き刺さったまま、佐藤はタバサに話しかける。
「…確かに速いけど、軌道が単純。常にまっすぐ、確実に玲子が死ぬ軌道しか取らないから、予測は容易」
淡々とタバサは佐藤に弱点を告げる。
「予測できるなら、見えなくても対処可能。1回防いで、反撃で倒せばいい」
杖を向けて佐藤に言い放つ。
「レイコを守っているのは、オウカだけじゃない」
そう言うと同時に玲子の耳元に口をよせ玲子に何かをささやく。
「…――…―」
「…」
無言で、こくりと頷いた玲子を見た後、タバサは朗々と詠唱を開始する。
ラグーズ…
「くっ…分かった。良いだろう」
深く沈みこみ、脚にぐっと力を込める。
「先にあんたを、倒してやる!」
そう叫ぶと同時に再びタバサにも追い切れぬ速度で移動を開始した。
ウォータル…
(恐らくは、上か、後ろ…)
他は無い。前からでは防がれることは“学習”させたし、下から地面を掘って突っ込んでくるような芸当が可能なのは“隊長”くらいだ。
タバサは大きな杖を盾のようにして、攻撃に備える。
(怖いのは、一発で“死ぬ”ことだけ…)
頭と心臓。どう考えても即終わってしまう部分だけは死守できるように。
デル…
(…後ろ!)
ドズンッ!
タバサが攻撃の方向を悟った瞬間、タバサの身体が衝撃と浮遊感に包まれる。
「どうだ、これならかわせないだろ!?これで1人目だ!」
百舌のモズの早贄の如く、腹を“貫通”され、タバサが高々と持ち上げられる。その瞬間。
「カハッ…ウィンデ!」
胃から逆流してきた胃液混じりの血と共に最後の一言を無理に吐き出し、呪文を完成させる。
もうひとつ、支援しまーす。
「なにぃ!?攻撃魔法だと!?」
タバサを中心に巻き起こるは、冷気の旋風。
水蒸気が即座に凍る程の強烈な冷気が“タバサごと”佐藤を包み込み、嵐となる。
腕から滴るタバサの血ごと腕が凍りそうになる。口を開ければ内臓をも凍る。
本能的に佐藤はタバサを捨てて縮こまり、口と目を閉じて身を守る。
そうしなければ、死ぬと悟って。
「くぅぅぅぅ…」
(今畳みかけられたら、持ちこたえられない!)
全力でバックステップをして魔法の効果範囲から離れる。まともに喰らい続けたら、後は玲子のブフーラでも十分に死ねる。
それほどのダメージを佐藤は受けていた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
荒く息をつき、言葉を吐き出す。
「まさか、相討ち狙いで来るなんて…」
氷の嵐から逃れたことを確信して、佐藤はゆっくりと目を開き、一気に開き切る。
「そんな…馬鹿な…」
そこには、しっかりと地面に立つタバサの“元気な”姿があった。
「相討ち?私は、そんなことはしない」
先ほど佐藤に貫通され、穴があいたシャツには先ほど噴き出した多量の血がこびりついている。
だが、その下にあるのは、間違いなく“無傷”の白い腹。
「くっ…まさか、あの傷から再生したのか!?」
佐藤の問いに首を横に振る。否定。
「私は人間。そんなさつきみたいな再生能力は持ち合わせていない」
油断なくウィンディ・アイシクルを完成させ、周囲を囲む。
わずかでも佐藤が近付けば、間違いなくそれは容赦なく降り注ぎ…攻撃が届く前に、佐藤は死ぬ。
「私は、治療を受けただけ…」
呟いてタバサは傍らの“治療者”を見る。
「…まさか、完全治療がこうも簡単に出来るとは思わなかったけど」
治療者…宝玉の力を解放し、タバサを即座に癒した玲子の方を。
「攻撃魔法の直後に回復して欲しいって…まさかこれを狙っていたなんて…」
目の前の少女の半ば捨て身とも言える戦術に、玲子は茫然と呟く。
並みの人間じゃあ実行できない。そもそも思いつかないし、思いついても実行する“勇気”が持てない。
だが、それをこの少女はたやすく実行して見せた。そして、勝ったのだ。
「…残念。僕の負けだね」
それを悟った佐藤が、鼻を鳴らして後退…否、撤退を開始する。
「あんたら“外”の人間の強さ、とくと見せてもらった。僕は“尻尾を巻いて”逃げさせてもらうよ。“犬死に”はごめんだ」
ケルベロスの持つ身体能力で持ってあっという間に離れて行く。
「…それじゃ。今度会ったときは僕のサマナーとしての力も見せてあげる…1人で3人に挑むなんて真似は、もうしないよ」
挨拶をすると共に、佐藤は何処かへと去って行った。
「すみません〜。私がしっかりして無かったせいで、危ない橋を渡らせてしまいました〜」
ようやくバインドボイスから回復した桜花が、本当に申し訳なさそうにタバサに頭を下げる。
「いい。気にしないで」
その言葉に、ふるふると首を振り、タバサが言う。
「これぐらいは、慣れてるから」
多くの修羅場を乗り越えてきた、歴戦の“元北花壇騎士団”の顔で。
―――封印の間
再び傲慢界のキャンプと回復の泉でたっぷりと休んだ翌日。
3人は傲慢界で入手した『粗食のリング』を使用する。
次の魔界…飽食界への扉が開き、同時に魔神皇の封印の力が少しだけ弱まる。
「これで〜、私の通ってきた道も通れるようになったはずです〜」
「じゃあ…」
「はい。学園世界に向かう道ができました〜」
玲子の問いに浮かない顔で、桜花が頷く。
「…?どうしたの?」
その顔に怪訝そうに、タバサが問う。
「…心配なんです」
タバサの問いに桜花はごまかしも何も無しに2人に率直に言う。
「前にも話しましたが〜、この道は本当に危険なんです。恐らくは〜昨日の佐藤さんとの戦い、アレが普通に連発する位。
それにこの編成では〜…しかし、無いものねだりをしても始まりません〜、一気に抜けます。覚悟して下さいね〜?」
真剣な表情で、2人に注意を促す。
「分りました」
「分かった」
2人が頷いたのを確認し、目的地…軽子坂学園の用務員室へと向かう。
用務員室にある、“外”へと繋がるマンホール。かつて、幽閉の塔と呼ばれた場所につながっていたそれこそが、
魔界から学園世界につながる唯一の道の、入口だった。
「いいですか〜?重ねて言います。絶対に油断しないでください〜。ちょっとの判断ミスが即、死につながる。これから通る道は、そう言う場所です」
暗がりを延々歩きながら、桜花は再三2人に言う。
「一体、どういう場所なんですか?」
玲子が桜花に尋ねる。
「…そう言えば、まだ話してませんでしたね〜」
その事に思い当たり、桜花は2人にこれから行く場所について、説明することにする。
「タバサさん、“スクールメイズ”ってご存知ですか〜?」
「知ってる。確か輝明学園にある、巨大ダンジョン。許可を得れば、他校の生徒でも、探索が可能と聞いている」
「その通りです〜」
タバサの答えににっこりと笑って頷く。
「じゃあ私たちが行こうとしているのは、もしかして、その“スクールメイズ”なんですか?」
「う〜ん。その答えは半分当たりで半分外れです〜」
玲子の答えには顔をしかめて正解を言う。
「実はですね〜…スクールメイズには2つあるんです」
淡々と、解説をする。
「2つ?」
「はい〜。1つは輝明学園内にある、学園世界名物の方のスクールメイズ。そしてもう1つは…封印されたスクールメイズ」
出口が近いのだろう。辺りがゆっくりと明るくなる。
「封印された?」
「はい〜。かつて、私たち“ウィザード”の総力をあげてもどうしようもなかった“怪物”を純粋に封印するために作られた、巨大な檻。
高レベルのウィザード…柊さんクラスでも表層を抜けるのが精いっぱいってくらいの、超高レベル対応のスクールメイズ…」
出口…否、入口にたどり着き、桜花は後ろを振り返る。
「行きますよ〜。ここからが本番です」
後ろからの強い光…“紅色の月の光”をバックに桜花が言う。
「えっ!?なんで地下に月が!?それに…紅い月!?」
玲子が見慣れぬ現象に思わず辺りを見渡し、息を飲む。その部屋にいた、大量の“侵魔”を見て。
「…ここが」
タバサに頷いて、桜花が言う。
「はい〜。こここそが輝明学園スクールメイズ“上級”…通称、旧校舎」
辺りに気を配り、戦闘プランを組立てながら、桜花は呟く。
「ようこそ。地獄へ…」
と。
今日はここまで。
ちなみに旧校舎はタバサと玲子にはあからさまに必要Lvに足りてません。まさに最初からクライマックス級の難易度。
そして、前スレのレス返し。
>>477 と、言うわけでシルフィと一狼が向かった先は、タバサの救助です。“ヒキョーか忍者”が指定されていたのは…
あと、せっかく受けた支援はせっかくなので佐藤君に使わせてみました。パワーブレス=タルカジャ&スクカジャってことで。
>>478 今回の問題は編成だったり。ダンジョン探索するのには向いて無いですこのPT。
>>16 今アニメでやってるCSはフォロンも学生やってるから問題ないと思う
朝からGJ!
さりげなく柊でも表層が限界ってちゃんと書いてくれたのは嬉しかったな、二次創作の柊って場合によっちゃ一人で魔王級とも戦っちゃうし
それにしてもいきなり旧校舎でこのメンバーはキツいだろwww
……守護者の幻影三体とか出たら面白そうじゃね?(馬鹿は寝ぼけてるようだ)
ところで、学園世界サプリ話で申し訳ないが。
ライフパスのフレーバー、書き換え終わったけどexcel打ちしちゃったんだよな
38項目×2をレス書きすると超見にくいし、これはもう捨てちまった方がいいんだろうか
>>14 俺の朝の爽やかなコーヒー返せwwwww
ベル様とシンクロして吹きそうになったwwwwww
ともあれ、GJでした。なんならベル様、俺と子作r(ディバイン・コロナ
>>30 ここでスクイズかー。となると、某第一世界で絶賛活躍中のあのお方が来ますかね?w
続き待ってますノシ
>>33 CSVで保存して貼り付けるとか?
各出目ごとに3つくらいに分けて貼り付けると、そこまで見辛くはならないと思うけど。
……クレクレで非常に申し訳ないが
>>34 ろだってExcelも上げられるんか。絵だけだと思ってた。
いいトコあったら教えてくれると嬉しい。なにぶん初心者なもんで、どこがよくてどこが悪いとかはよく知らないんだ
>>35 CSV……ググってみたが、よくわからん。ごめん、ありがとう。
カンマ区切りの値。
id,name,class1,class2
1,柊蓮司,アタッカー,魔剣使い
2,赤羽くれは,ヒーラー,陰陽師
みたいなの。
>>36 エクセルで保存する際、「ファイルの種類」で「CSV」を選択すればOK。
基本はテキストファイルなので、書式設定などは無効になるが、
エクセルが入っていないPCでも開けるようになる。
>>30 GJ! 投下乙です〜
…“魔人”は元に戻せるのかしら。
そして真・スクールメイズにガクブル。
>下から地面掘って突撃してくるのは“隊長”くらい
そういやそんな事してたような。
さらりと“魔人”を凌駕するマモルさんマジパネェっす。
16時50分から投下します
円環少女とのクロス
時系列的に5間と6巻の間
PC1:武原仁、強化人間&魔剣使い
PC2:柊蓮司、魔剣使い
PC3:ナイトメア、夢使い
…………なんという前のめりなパーティ
第一話《ここは地獄である》
8月に起こった東京地下核爆弾事件からしばらく経過したある日。
公館のデスクに積まれる始末書の山を見渡し、事後処理作業に追われ、
現在、武原仁(たけはらじん)は書類との格闘の真っ最中であった。
神聖騎士団の大規模な襲撃、止められなかった核爆弾。
影響は大きく、事件が解決した後でも事後処理対応に、仁は地獄のような激務に身を削る毎日だ。
小学校で教師の仕事を終えると、直接公館へ足を運び公館の仕事である魔導師狩り、
それが終わると夜遅くまで報告書と溜まっている書類を片付け、明日の授業内容を作成する。
「仁、申請書のこことここが間違ってる。あと、これとそれね。
この書類は判子と糊付けでいいけど、こっちの束は間違っちゃいけない奴だから書き直しね」
「再提出」
「新しい刻印魔導師達の調書があるからお願いね」
「報告書の手順間違ってたわよ」
朝6時に起床し、小学校で小学生に振り回され、夕方から夜まで刻印魔導師を追いかけて街を走り回り、
家に帰ってからも深夜11時まで部屋に閉じこもって仕事する毎日が続く。
「死ぬ、死んでしまう」
メイゼルと話して息抜きしようにも、仕事で忙しい仁に彼女は気を使ってか、
きずなの家に泊まりこんで尋ねてこないし、京香姉ちゃんも同じく仕事、
専任係官である八咬(やがみ)も仕事、神和(かんなぎ)も当然訪ねてこない。
東郷先生に至っては来るはずもなかった。
アパートの部屋に男一人っきり、寂しいことこの上ない。
仁から訪れようにも、仕事が終わる頃にはへろへろになって、風呂から上がったとたん
ベッドへ吸い込まれ・・・
夢を見ている。
妙に現実感のある夢であった。
ベッドに力なく横たわるメイゼルの寂しげな笑顔。
布団から覗くひときわ目を惹く、血の気を失った白い首筋と長い黒髪。
小学六年生になるまだ未成熟な体と折れてしまいそうな手足は人の夢のように儚い。
メイゼルの姿が幻のごとく、手足の先から薄らいでいく。
エミュレーターにプラーナ、“存在の力”を奪われたからだ。
「せんせ。抱いて」
優しく抱きしめる。
舌足らずの彼女の服が濡れているのを見て、自分が泣いていると気づいた。
時間が経つごとに柔らかい体のぬくもりと香りがだんだんと消えてゆく。
手足は肩と膝の下から完全に消滅し、残った体も硝子細工のように薄らいで、
後ろのベッドが見えてしまっていた。
存在しないものは世界結界に阻まれ“なかったことになる”
無い物は存在しない。それが常識であり世界のルールだ。
仁は腕の中に居る少女を誰よりも知っているはず――――――だった。
腕の中の誰かは消滅した。
支えを失った仁はそのまま誰も居ないベッドの上に倒れた。
胸には何か大事なものを失った寂寥感。
仁は誰が居なくなったのか思い出せなかった。
ベッドの横には、誰かのお気に入りだった臙脂色のリボンだけが残っていた。
此処は地獄。
神の奇跡さえ届かぬ不毛の世界。
投下終了
wikiのハンドアウトをつかわさせて頂きました
円環少女か…この機会に読むかな、楽園は良かったし。
GJ!
>神聖騎士団
ごめん、これだけで笑ってしまったw
乙です。
Wikiにあるハンドアウト〜ってことは、別の方ということね。
あ。それと個人的な話ですが、保管庫の中の人のPCは復旧しました。
遅ればせながら、
>>1さまスレ立てお疲れ様でした。
深夜二時頃、「柊蓮司と銀なる石の少女」続きを投下させて頂きたく、予告に参りました。
それでは、後ほど。
ラッシュで来てるー
※
「嘘……もうこんな時間になってる……?」
なにげなく視線を落とした手首の上で。
腕時計の針が指し示す時刻を、何の気なしに確認したミナリは、思わず呆然と呟いていた。
紫帆たちが魔王の月匣から解放された後のこと。
門限はとうに過ぎ、当たり前のようにしっかりと鉄柵の閉められた学生寮の門前へ、ようやく帰り着いたのが、たったいまである。
時刻はすでに深夜零時を回り、部屋の灯が漏れている寮の窓は、ひとつもない。
「あれ、いつの間にカレンダー変わっちゃったの?」
ミナリにつられて携帯電話のディスプレイを見た紫帆も、同様に目を見張っていた。
それは、普段の彼女たちにしてみれば、あまりにも遅い帰宅時間である。
ショッピングモールから寮のある住宅街まではそう離れてはいないというのに、どうしてこんなに時間がかかってしまったのかと、二人はしきりに首を捻っていた。
しかし、考えてみれば無理もない話であろう。
今夜はとにかく、いろいろなことが一度に起こりすぎた。
魔王との邂逅。
次第に明かされていく敵たちの正体、そして目論見。
UGNにしてみれば宿敵とも言える、大物の中の大物、“プランナー”の事件への介在。
外面は強気に、または陽気に、もしくは平然と振舞ってはいても、紫帆たちの心に垂れ込めた不安という名の暗雲は重く、また果てしなく暗い。
晴れない気持ちは当然、その歩みをも鈍らせる。
その鈍重な足取りが、紫帆たちの普段の帰路をより遠く、より長いものにしていたのであろう。
そしてそのことは、逆説的に言うならば、彼女たちの受けた精神的な打撃の大きさをも表しているわけである。
しかし、いまの紫帆たちが直面し、解決しなければならない当面の問題は、魔王でもプランナーでも、ましてや紫帆の持つ賢者の石を巡る陰謀でもない、ごくごく小さなものであった。
「……委員長、ごめん。メール、打っておくの忘れてた……」
灯りのまったく点いていない寮の窓を見上げ、紫帆が呟く。
「……見れば分かるわ。本当ならどこかの窓から、縄梯子が垂れ下がっていたんでしょう……?」
こめかみを親指と人差し指で押さえながら、ミナリが深く溜息をついた。紫帆が携帯を取り出しながら、
「こんな時間にメールとか、電話かけたらやっぱり迷惑だよねえ……」
しょんぼりとした顔をしてそう言った。
肩を落とす紫帆の横顔を、しばし見つめていたミナリは、
「そんな顔しないの。つまらないことでくよくよするのは、いまからしばらくの間禁止するわ」
そう言って、不意に淡い笑顔を浮かべた。
紫帆が弾かれたように顔を上げ、ぽかんと口を開ける。
てっきりミナリに叱られると思っていたのだろう。
「もう。なんて顔してるの?」
呆れ顔で言いながらも、まあ、普段が普段だからこの反応も仕方がないか、とミナリは思う。
彼女だって、たとえ口にはしなくても、心のどこかでこれから自分たちが直面する事態の困難さを察してはいるのだ。
特に、事件の渦中に巻き込まれている紫帆が、自分たち以上に心を強く持たなければならないのは必至である。だから、彼女が心煩わせるようなことは、少ないに越したことはない。
だから、あえてミナリは叱らない。
紫帆とも長い付き合いとなったいまだからこそ分かるのは ―――
彼女の長所であり、持ち前の強みは、なによりも“明るさ”と“想いの強さ”であるということだ。
その良いところを損ねたくはない。そういう気持ちがミナリにはある。
なにより怖いのが、今回の一件で紫帆の想いの強さが、逆のベクトルへと向けられてしまうことだった。
長所とは、逆を返せばそれが十分短所ともなり得る。
もし紫帆に弱みがあるとするならば ――― 一度こうだと思い込むと、その想いの強さゆえに、ネガティヴな方向へも気持ちが突っ走ってしまいかねないことである。
単純といえば単純。
そんなところも持ち合わせている紫帆が、今回の一件で受けるストレスは決して小さくはないだろう。
だからこそ、
(ちょっと甘やかすことになってしまうかも……)
そう思わないでもないのだが、しばらくは紫帆にお小言を言うのも控えよう、とミナリはこっそり思っている。
自らの持つ賢者の石に絡んで、再び敵に狙われることになってということは、紫帆にとってはかなり精神的に堪えることであろうし、
(その上自分にガミガミ言われたら、紫帆もたまったものじゃないだろうし……)
一応は、「ガミガミ言っている」自覚のあるミナリなのである。
「い、委員長……怒らないの?」
「怒らないわよ、このくらいのことで。もともと門限は過ぎていたわけだし、途中で時間をロスしたのは魔王のせいだもの」
肩をすくめ、できるだけお気楽な口調でミナリは言う。
もしかしたら、こんな気遣いはひどくつまらないことかもしれないが、しかし、自分が紫帆を精神面で支え、助けて上げられるとしたら、きっとこういうことぐらいなのだろう。
こういう、なんでもないようなことでしか紫帆の助けになれないことが、少し歯痒い。
だけど多少なりとも紫帆の精神的ストレスが緩和されるのであれば、なにもしないよりはいくらかはましである。
しかし。
ミナリのこの考えは、ほんの少しだけ甘かった。
「………………」
紫帆は目を伏せ、視線を落とし、自分の靴の爪先をじっと見つめている。
ブレザーの袖を手のひらに包み込んで、ぎゅっと握り締めていた。
そのままの姿勢で固まったまま ――― 動こうとしない。
うなだれた顔を上げることができないようだった。
「紫帆?」
呼びかけて、その刹那「しまった」と思った。
紫帆は、確かに単純明快で朗らかな性格であるかもしれない。
学校の勉強はあまり得意ではないと言っていたし、ミナリの講義のように堅苦しい場が苦手だという一面からも、そのことは十分に窺える。
だけど、決してそれは、彼女の頭の回転が鈍いということを意味しない。
むしろ、銀目の鴉の事件の終盤においては、誰よりも機転の利くことを証明してみせたのもまた紫帆なのである。
そして、何でも屋なんてことを自ら進んで行う彼女は。
誰かの役に立つ、誰かのためになることが嬉しいのだ、という紫帆は。
他人を思いやることのできる少女でもある。
他人を思いやることができるということは、ひとの気持ちの機微には聡いということだ。
つまり紫帆は、ミナリが自分を叱らないことを、彼女が自分のことを気遣っているのだ、と敏感に察知したということになる。
そしてミナリも、紫帆の態度から、彼女がそれに気づいたことを知った。
だからこその「しまった」なのである。
「えっと、そのー……」
自分の迂闊さに舌打ちしたくなる。なにか言わなければ、と思うのだが、それではどんな言葉をかけたらいいものか。
「ごめん」でもなく。「いまの忘れて」とも言えず。
かといって、いまさらいつものように紫帆を叱るのもおかしな話であろう。
向き合ったまま、それっきり言葉が出てこない二人。
どうしたらいいものか、とミナリが頭を悩ませていると、その悩んでいる頭に突然、鈍い痛みが降ってきた。
ごちん、と一発。堅いもので後頭部を軽く。しかし思わず、
「いたっ!」
と叫んでしまうほどには強い痛みであった。そして、ミナリが小さく叫ぶのと同時に、
「いたーっ……」
紫帆も情けない声を上げ、頭をさすっていた。
思わず弾かれたように顔を上げると、痛みの正体はすぐに知れた。
柊の、両拳を握りしめるポーズを見るまでもなく ――― 彼がミナリたちの頭に、軽くゲンコツをお見舞いしたのである。
「痛いじゃないですかっ」
「柊クン、ひどいよー」
自分を見上げ口々に文句を言う二人に、柊は悪びれもせず、
「あのな。お前ら、さっき言ったことといまやってること、全っ然違うじゃねーか」
呆れ顔でそう言った。
持ちつ持たれつでいいじゃない、とミナリは紫帆を励まし。
それに対して、よろしくね、と紫帆も応えた。
いつも通りの仲間でいようと、そう再確認しあったのは、つい数時間前のことである。
「ミナリはミナリで変に気を回しすぎだ。紫帆は紫帆で、まんま普段の自分でいいんだ。会ったばかりの俺が知った風な口を利くのもなんだけど ――― 」
二人の少女の顔を見比べながら、柊は言う。
「間違ったって良いんだ。ミスったってかまわねえ。紫帆は、もっとマヌケでもいい」
「マヌケ!? ひ、ひどいよー!?」
「で! それを助けるのがミナリだろ? そのつど、お前は小姑みたいに紫帆を叱ってやりゃあいいんだよ」
「こ、小姑ですって!?」
暴言といえば暴言にすぎる柊の言葉に、それぞれが唖然としたリアクションを取る。
しかし紫帆とミナリは。
「……ぷっ」
互いの顔を一瞬見合わせると、吹き出した。
紫帆はミナリの憮然とした顔を見て。
ミナリは紫帆の、軽くショックを受けた顔を見て。
いつしか二人は、くすくすと笑い出していた。
二人とも柊の(ある意味失礼この上ない)言葉に、お互いがそれぞれ“普段の自分たち”らしい反応をしてみせたことが可笑しくて、笑い出していたのだ。
なんだ。
こっちのほうが断然、私たちじゃない ――― と。
同じようなことを言われて、同じものを見て笑い合った後は、なんだか重苦しいつかえが胸の中からストンと抜け落ちていた。
「なんだよ、俺、なんか面白いこと言ったか?」
紫帆たちに笑われて、柊が唇を尖らせた。
本気で、二人の忍び笑いの意味が分かっていないようである。
もっとも、なんの作為もなくああいうことを言えるからこそ、大げさに言えばその言葉が紫帆たちの救いになったのかもしれない。
「あはは、なんでもない。でもアリガト、柊クン」
ぺしぺしと紫帆が柊の二の腕を叩く。
「もう、なんだか気が抜けちゃいました」
眼鏡を外して目尻を指先で拭いながら、ミナリが言った。
いまいち釈然としない顔つきで「なんなんだ、まったく」と口の中でぼやきつつ、それでも柊は二人から漂う気配が明るいものになったことに一応は納得したようである。
不意になにかを思い出したようにポケットをまさぐり、
「じゃあ、もうひとつの問題も片付けとかなきゃな」
と言うと、紫帆の手首を掴み、その手のひらの上にとある品物を握らせた。
小さくて冷たい、そして硬質の感触が紫帆に伝わる。
半ば強引に柊から手渡された品物は ――― ひとつの鍵であった。
プラスチックのプレートがキーホルダーで括り付けられ、そこには『大鳩荘・五号室』と書かれている。
「柊クン、これ……君の部屋の鍵じゃない?」
「荷解きがまだだから少し散らかってるけどな。ベッドはシングルだったから、窮屈かもしれねえけど、二人寝るぐらいはできると思うし、後はまあ好きに使ってくれ」
「ちょっと、柊さん!」
気色ばんでミナリが声を荒げる。柊の口振りはまるで、門限を過ぎて帰れなくなった二人に、自分の部屋を明け渡すと言っているようであったからだ。
「え、でもそれじゃ……」
「おっと、盗まれるようなものはねえけど、戸締りだけはしておいてくれよな」
「やっぱり! 私たちに戸締りさせるっていうことは、柊さんは部屋に帰らないつもりなんでしょう!?」
いくらなんでもそれはない。そこまでしてもらうわけにはいかないだろう。
一つ屋根の下で複数の男女が眠るという事態を回避するためとはいえ、柊を部屋から追い出すようなことができるわけがない。
そもそも、ぺリゴールでこの話題が出たときだって、同じ部屋に寝泊りすることには無頓着だったはずなのに ―――
「あっ! もしかして、初めからそのつもりだったんじゃないの、柊クン!?」
なにかに気づいたような驚きの声を上げて、紫帆が尋ねる。
「え? だから俺、紫帆に最初に訊いただろ? 二十四時間やってるようなファミレスとか、ネットカフェとかないか、って」
国道沿いか、駅のロータリーって言ってたっけな ――― 先刻の紫帆の情報をちゃっかり記憶している柊が、そんなことを呟いた。
あのときの質問はようするに、最悪の場合自分の寝泊りする場所を確保するための、柊の情報収集だった ――― のであろうか。
「だ、だめだめ、そんなのだめだよ!」
「そうですよ、それなら私たちがファミレスで ――― 」
言いつのる二人に、柊は早々と背中を向けていた。
「お前らが護衛対象で、護らなきゃならない相手ってわけじゃないからな、今回は。ベランダでテント張らなくても済む分、いくらかはマシだ」
かつて、任務でそのような経験をしたことでもあるのだろうか。少しげっそりとしたわびしい表情を浮かべながら、柊はそんなことを言った。
追いすがろうとする紫帆たちから早足で離れていくその背中は、彼女たちから鍵を返してもらうつもりはないという無言の意思を示している。
鍵を受け取ったままの姿勢で不自然に固まった紫帆も、ついには柊を引き止める言葉が上手く捜せずに、「あうあう」と口を開閉させたまま、彼を見送るしか術がなかった。
「あ、明日! ファミレスでもネットカフェでも構いませんが、め、明細書は取っておいて私に渡してくださいね! お金は ――― 」
「いいって、いいって、高校生! こちとら任務で学校通ってるだけで、本当はとっくに卒業してる歳なんだ。そのくらいでガタガタ言わねーよ」
生真面目なミナリの呼びかけに、もう遠くなった柊の声が小さく届く。しばらく歩いて思い出したように、
「教科書は勝手に持ってっていいからなー」
と、ミナリにだけ向けた台詞を最後に残して、柊の姿は完全に夜の闇へと溶けて見えなくなっていた。
「あーあ……行っちゃった……ねえ、委員長。柊クン、いい人だね」
「いい人、っていうより、人がいい、って言うのよあれは」
夜の向こう側へと消えていった柊を見送って紫帆が言うのに、ミナリはどこか憮然としてそれに応じた。なんとなく事の顛末に納得していない様子なのは、彼女の堅物な性格ゆえである。
それでも自分の言葉に不自然な棘があることに気がつくと、ミナリはどこか気まずそうにもじもじと身体を揺すり、
「で、でもせっかくだし、柊さんのご厚意に甘えましょうか……」
とってつけたようにそう言った。
笑って頷いた紫帆と連れ立ち、寮に隣接する大鳩荘の玄関をくぐる。郵便受けを確認すると、柊の部屋はどうやら二階のようであった。
『五号室・柊蓮司』と真新しいプレートのかかった扉は、二階中央。預かった鍵をドアの鍵穴に差し込みながら、紫帆がミナリを振り返る。
「明日、きちんとお礼言って鍵返さなきゃね」
「そうね。それよりも明日は門限、守るようにしなきゃ」
ひどく真面目な顔をして受け答えをするミナリ。
今夜はとにかく、早く寝よう。
さっさとお風呂を頂いて、早起きして、寮のみんなが登校する時間よりも早くここを出なければ。
下手に寮生たちと出くわしたら、弁解の仕様もない ――― 目下の心配事は、いつしかそんなことへとすり替わっていた。
ついつい、癖のように手首の時計に目を落とす。深夜零時十五分。
柊クンのお部屋結構広いねー、などと、変なところで歓声を上げている紫帆を溜息混じりに横目で見遣りながら、ミナリは携帯電話のアラームを普段よりも一時間早くセットし直した。
(明日、もう一度仕切り直しだわ)
事件のこと。魔王。プランナー。エミュレイターとジャームの共闘によりもたらされるもの。
敵の目的。志帆の持つ賢者の石にまつわる、新しい戦い。
そして、魔王リオン=グンタに預けられた、もうひとつの“賢者の石”。
『……賢者の石……いいえ、“銀なる石”は間違いなく、七村紫帆に大いなる力を与えるもの……』
『この先の戦いにおける切り札となりうることだけは保証しますよ ――― 』
魔王の囁きが脳裏にまざまざと甦る。
リオンがただ助力のために、賢者の石を紫帆に手渡したはずはない。紫帆に力を与えることで彼女たちに利することが、必ずやあるはずである。
しかし、いまの自分たちにはそれを推測するための材料が、ない。
内心舌打ちをして唇を噛み、思わず顔を上げたとき、紫帆と目が合った。
こちらを ――― 考え込む自分をじっと見つめている。
「大丈夫。大丈夫だよ、委員長。貰った賢者の石がなんのためのものでも、どんなものでもきっと私は大丈夫。流されないし、負けないよ」
委員長も、柳也さんも、柊クンもいるしね ―――
そう言ってニッコリと笑う紫帆を、ミナリは眩しいものでも見るように、目を細めながら見つめていた。
※
こびりついた白い灰でくすみ、縁の部分があちこち凹んだアルミ製の灰皿に、十数本目の煙草の吸殻を押し付けながら、柳也はぼんやりと天井を見上げていた。
疲労したように目の周りが黒ずんで窪んでいるのは、生来の人相の悪さだけのせいではない。
世界の守護者とかいうご大層な肩書きの少女を連れて来店してきた、霧谷雄吾の言葉を幾度となく頭の中で反芻したゆえの、頭脳労働による疲弊のせいである。
自分たちとは別に、『エミュレイター』やら『魔王』などという外敵たちと、長きに渡り闘争を続けてきたウィザード。その戦いの歴史は、UGNなどとは比べ物にならないほどに長く、深い。
世界各地に伝わる伝説や伝承をそのままなぞらえたような、気も遠くなるような戦いの歴史。
紫帆やミナリたちに、アンゼロットと名乗った少女が語った御伽噺のような話が、どこまで真実味をもって伝わったのかは疑問だが、少なくとも柳也はこれを深刻な事態だと受け止めた。
物質や生命もつものが例外なく内包するプラーナを喰らうという化物。
中でも魔王級と呼ばれるほどに強力な固体は、決して誇張ではなく、この世界を滅亡の危機に陥れてきたという。
(そんな連中が、ジャームと共闘し ――― あまつさえファルスハーツなんかと手を組んだりしたらどうなる……?)
鳴島市周辺で観測された、ジャームとエミュレイターの同時発生現象の多発。
それが『ひとつの意志』の元に企てられた計画の一端であると、霧谷もアンゼロットも仄めかしていた。
しかも、それが紫帆の持つ賢者の石を狙って起こされた行動であるという予測を考慮にいれるとするならば。
プラーナを喰らうという本能で行動するエミュレイターと、さまざまな衝動に突き動かされて単調な破壊活動をするだけのジャームを相手にするだけ、というわけにはいかないはずだった。
必ず、背後で糸を引いている黒幕がいる。
邪悪な意志と、明確な悪意を持った黒幕が、必ず存在するに違いないのである。
少なくとも、日本支部長である霧谷が自ら腰を上げるほどの事件 ――― 考えたくもないことであったが、柳也は様々な事態を考慮に頭を悩まさざるを得ないのである。
外見はやる気がなさそうに見えるし、実際中身もやる気がないのだが、紫帆が事件の渦中にあるということで、柳也の内面にあるわずかな自発性が刺激されたのも確かだった。
紫帆が巻き込まれるとなれば、ミナリも黙ってはいないだろう。
あの少女たちを、柳也が思い描くような最悪の事態に放り出して看過できるほど、彼は冷たい人間ではなかった。
だからこそ、頼れるものはなんでも頼る。
使えるヤツは、それが親の仇(これは当然比喩ではあるが)でも使う。
わずかな逡巡の後の思い切りの良い決断で、“とある男”に協力を要請したのだが ―――
「……っ、なにがデート中だ、あの馬鹿……」
自分がかけた電話をさっさと切った悪友の、人を喰ったようなくにゃくにゃとした笑顔を思い出し、柳也は舌打ちをした。
無意識に伸ばした指が、次の煙草を求めて胸ポケットに差し込まれる。
柔らかく、ひどく頼りないソフトパックの感触が指に触れた。
「最後の一本、かよ」
仕方なく摘み上げた煙草を、ひん曲げた唇にくわえながらライターを探す。
その時、カウンターに投げ出しっぱなしにしておいた携帯電話が、味も素っ気もないアラーム音で柳也を呼び出した。着信、あり。
「もしもし、薫か!?」
ディスプレイに表示された名前を見て、取るものもとりあえず電話に出る。
そういえば、こっちからかけなおすと薫も言っていた。
『柳也くん、約束通りこちらから連絡させてもらったよ。時間もアレだからどうしようかと思ったんだけど、まあ、どうせ起きていたんでしょう?』
「別にお前の連絡を待って、起きてたわけじゃねえよ」
半分は嘘である。
霧谷との会話が気になって眠るどころではなかったというのが理由の半分ではあるが、もしかすると薫から連絡が来るかもしれないという思いが頭の片隅に引っかかっていたのは確かであった。
もしも普段、こんな時間に薫から電話なんかかかってきたら、何時だと思ってやがる、と怒鳴りつけてやるところだ。
しかし、いまは事情が事情である。
薫と連絡が取れたことが、こんなに有難いと思う日が来るなどとは、数時間前の柳也には予想も出来ないことであった。
『ふふふ。本当は僕と話したくて仕方がなかったんじゃないのかな? 柳也君。このツンデレめ』
気色悪い内容のことを、気色悪い猫なで声で薫がほざく。
だが、ここでいつもの薫のペースに巻き込まれるわけにはいかない。
込み上げてくる怒気をぐっ、と堪える。
「生憎、お前とじゃれ合っている暇はなくてな。いま、俺は店にいる。もうデートとやらは終わったんだろう? なら、すぐにぺリゴールへ来い」
薫との会話を円滑に進めるには、口早にこちらの要求をまず伝えるに限る。
そうでなくとも、彼との会話は脱線しがちになることが多いのだ。
『ああ、さっき君が言っていた仕事の話だろう? まあ、それはともかくとして、僕も君に話したいことが出来たんだよ』
「なんだと?」
『うん。デートのときの話なんだけどさあ ――― 』
「!? 馬鹿、お前の惚気話なんか聞いている場合じゃねえんだ!」
まずい。いつもの会話のパターンにはまりつつある。
紫帆たちが危機に陥るかもしれない瀬戸際というときに、薫と遊んでいる暇はないのだ。
『惚気じゃないったら。もしかしたら、君の言う仕事の話にも重要な関わりがあるかもしれないんだよ?』
「それは話を聞いて俺が判断する! いいからさっさと来い、この馬鹿!」
くらくらする頭に、自分の怒鳴り声が響いて眩暈がしそうであった。
『オーケー、それじゃあ柳也くん、そこで回れ右をしてみようか』
なに、と首を仰け反らせて背後を振り返る。
ぺリゴール入り口の扉の格子に嵌った硝子戸の向こうで ――― 柳也が言うところの“馬鹿”がにこやかな顔をしてこちらに向かって手を振っていた。
「!? あ、開いてるからさっさと入って来い! 居るなら初めから電話なんかするな!」
深夜一時。
柳也の怒声が響き渡るにはあまりにご近所迷惑な、少々遅すぎる時間であった ―――
※
そして。
時間の定かならぬ、いまこのとき。
場所も定かならぬ、その場所で。
二人の少女が互いに向き合って座っていた。
室内のようである。
しかし光源はあまりに乏しく、そこが広いのか狭いのかもよく分からない。
ただ、椅子に座っているから ――― そこに椅子があるからおそらくは室内なのであろう、とひどく頼りない情報源から推測されるだけのことだった。
片方の椅子に腰掛けているのは、十歳前後の少女である。
年齢不相応な落ち着きと妖艶さ。不均衡と不調和で構築された異界の美しさを持つ、幼い少女。
都築京香 ――― “プランナー”。
彼女は短いスカートから覗いた膝の上に、手慰みのための一冊の手文庫を置きながら、
「……プラン通りに、進んでいるようですね。七村紫帆との接触は済みましたか?」
対面の少女にそう訊いた。
相対するのは、彼女よりも十歳は年上に見える、どこか暗い翳のある少女。
黒く長い黒髪は背を覆い、その視線は、はらりと垂れた長い前髪の奥からひっそりとプランナーを見つめ返す。
「……ええ。賢者の……いえ、貴女たちの作り上げた“銀なる石”は、確かに彼女の手に渡りました。そちらの首尾も、上々のようで」
ローブにも似た黒い服の胸元で、こちらは分厚い古書をかき抱き、少女 ――― 裏界の魔王、リオン=グンタはそう応えるのだった。
「ですが、本来なら敵であるはずの相手に、あそこまであけすけに情報を与えるとは……随分と大胆なのですね ――― 」
「いつもの貴女と同じ手練手管を駆使しているにすぎませんよ、“秘密侯爵”。この件に関して私たちが裏で動いていることを“彼らに伝える”ことが、第一段階の主な目的ですから」
どちらも腹の底を見透かせぬような、会話の応酬である。
情報を伝えた相手 ――― それは、『本来の敵である』というくだりを聞くまでもなく、鳴島市ポートタワーの喫茶店で接触を図った千城寺薫のことであろう。
プランナーが薫に伝えたことはふたつ。
かつて、銀なる石を精製したヘルメス機関の資料を復元し、ほぼ同程度の力と性能を持つ個体の複製に成功したという情報。
そしてその複製した銀なる石を、好き勝手に研究材料として使っても構わないとした上で、千城寺薫に手渡したこと。
加えて、新しい石の持つ特性や可能性を示唆した上で、その研究レポートを作成すべし、と薫に依頼したのである。
ただし、その研究方法等は薫に完全に一任され、またプランナーと接触した事実、研究の内容などなど、彼がそれを必要だと感じたならば、その情報をUGNに流出させても構わない、等々。
「随分と破格の条件ですね……しかも、七つの石すべてを彼に手渡した……」
リオンがゆっくりと首を横に振る。
聞くものが聞けば、驚愕のあまり目の玉が飛び出るようなことを、プランナーがしていることが分かるだろう。プランナーが、リオンの言葉を受けて薄く笑う。
「惜しいとは、思いません」
身をかがめ、彼女は腰掛けた椅子の傍らに置かれたアタッシュケースを持ち上げる。
ぱくん、と音を立てて、ケースの中身をリオンに示すように蓋を開けた。
銀なる石を惜しいとは思わない ――― そう言った彼女の言葉の裏づけとなる、信じられない光景が、アタッシュケースの中身であった。
ケースに整然と並んだものは、十数本もの試験管。
ポートタワーの喫茶店で薫に手渡されたものと同様の、銀なる石が収められた試験管が、みっしりと。
「月(ムーン)。水星(マーキュリー)。金星(ヴィーナス)……ヘルメス機関のものとほぼ同等のレネゲイドクリスタル・レプリカ ――― 必要とあらば、いくらでもばら撒くことができます」
「 ――― なるほど」
二人の少女が密やかに嗤う。
「……それではこちらも準備を進めましょう。エミュレイターの尖兵……差しあたっては、百体ほどファー・ジ・アースへと招き寄せます」
恐るべき言葉を紡ぐ秘密侯爵に、プランナーは策謀を企むものの表情をして頷いた。
「結構です……それでは、プランを次のフェイズに移行させることにしましょうか」
(続く)
投下終了です。
なんだか、だんだんと風呂敷が大きくなってまいりました(笑)。
前スレで「ミナリの心情がスルーされているのが残念」とのご指摘を受け、実は内心で“しまったなー”と思っていました。
ひとつのシーン(一回の投下)で複数のキャラクターを出す場合、焦点を当てている以外のキャラ描写がおざなりになりがちなのは気をつけなければいけなかったのに……反省点ですね、確かに。
すべてのキャラに見せ場やメインのシーンは用意してあげたいと思っているんですが、なかなか難しいです。
卓ゲーのGMしているとき、話を上手く振ることが出来ずにPCBやCが空気になってしまうようなものでしょうか(笑)。いかん、いかん。気をつけなければ。
次はもっと、キャラの個性を十分に引き出して、上手く動かして話が回せるようにしたいですね。
それでは次回投下時まで。
じゃあ、自分もラッシュついでに投下しておきますか。
……規制、いつになったら終わるのやら
休日。
学園が転移して出来たこの世界に、休日出勤などというサラリーマン的なものは存在しない(一部教師除く)。
毎週1度、所により2度は訪れる休日。学園世界において、その過ごし方は様々である。
学園都市や麻帆良、蓬莱など“学生の遊び場”が充実している学園に遊びに行くもの。
購買で依頼を受けたり、自主的にダンジョンに向かったりして“冒険”に明け暮れるもの。
“研究者の楽園”ザールブルグアカデミーで学業を忘れてひたすら研究に勤しみ、議論を戦わせるもの。
そして―――
***
空を仰ぐ。
本日の空色はパステルブルー。春先の快晴の空の色。
やや強くはあるものの、心地よい暖かみを帯びた風が街角を吹き抜ける。
髪があおられ、とっさに帽子が落ちないように手を添えた。
胸元で朱色の大玉ビーズを留めた紐リボンを結び、ホルターネック(首の後ろで紐を結ぶタイプ)のモカブラウンキャミソール。
その上から、髪の色よりも濃い灰色薄手のニットカーディガンを羽織り。
七部丈のデニムパンツと、チョコレート色のコルク底サンダル。強い風にあおられたら落ちそうな生成色ニット編みハンチング帽。
久しぶりの休日らしい休日。
ここ最近は自分が「報道委員」となったために取材や調査、原稿書きに撮影などで休みらしい休みはとれなかった。
もっとも、丸一日の休息がなかっただけで、土日は取材を終えて原稿チェックをしてしまえば仕事はおしまい。
最近は「報道委員」の裏方の手伝いを「選抜委員」が進んでやってくれるようになったため、必ず2回の生ニュース放送をこなす同僚よりは忙しくはないのだ。
久しぶりにできた丸一日の休息に、この世界に取り込まれる前からの友人達と遊ぼうと声をかけてみた。が。
「まったく……この事態に順応していっていることを喜ぶべきなのか、休日に一人遊びに行くことを寂しく思うべきなのか。判断に困るな」
友人の黒い方は「舞島の暴走機関車」と陸上つながりで友情を芽生えさせたらしい。
生身で人を撥ねたり、廊下で人と正面衝突した上逆ギレたりと、妙なところで波長があったのだという。
……類は友を呼ぶ、の典型だろう。あちらは純粋に短距離走者で黒い方は中距離走者なわけだが。
もう一人の友人の下には、隔週で「彼氏においしい料理を作ってあげたい!」という少女たちが集まり、
おふくろの味を学ぶために研鑽する『0から始める家庭料理』という会を発足しているとのこと。
何人もの弟の面倒を見ている彼女は面倒見がよく、家庭のことなら細かいところまで気がつく良妻賢母の鑑のような少女だ。
そんな彼女を慕い多くの恋する乙女が集って始めた会が今日あるということで、なんだかとても謝られた。
……ちなみに。
彼女が1から10まで目を離さずに料理を教えたその時だけは、某赤い髪の少女の料理が『口に運べて、飲み込んでも害のないもの』になったあたり本気で凄いと思う。
目を離すと元のとおりになるので根本的な解決にはならないようだが。
ともあれ。
ヒマができ、知人が掴まらないとあって、今日は自分一人の行動。
街を歩けば、この世界に来た当初には見られなかったたくさんの店。
この世界には、おおまかに分けて4つのエリアが存在する。
1つが『学園エリア』。
この世界において最も多い面積を誇る、『学校』の群れがあるエリア。この世界の成立から4ヶ月経った今でも、いつ別の学校が転移してきてもおかしくない場所。
2つ目が『農業エリア』。
この世界の地下にある、食料供給のためのエリア。学園都市と麻帆良、そしてエルクレストとザールブルグの技術力の結晶ともいえる場所。
3つめが『生活エリア』。
この世界の住人が安心して住める場所を確保するエリア。学園同士の隙間でかつ別の学園が転移してくるには狭すぎるだろう土地に作られた生活区域。
なお、生活エリアは住むためだけの場所ではなく、コンビニから病院まで生活に必要なものを調達するための場所でもある。
4つめが『極上生徒会直轄管理エリア』。
この世界の運営を行う組織『極上生徒会』が直接管理している特殊なエリア。『極生』の運営管理に必要な建物や、その下部組織に関する場所だ。
その内訳は中心部であるA区画に9割が集中している。
今いるのはそのA区画中心にある、管理棟の西側に広がる一大試験テナント区画。
土曜日曜は自分の時間を持て余す学生達も多い。
娯楽のある学園に向かう者もあるが、より積極的に自分達の特性を発揮しようとする者たちもある。
そんな人間達が署名を集めて『極生』に直接陳情。己の言い分を極生の曲者たち相手に情熱で通した場所―――通称を『バザール』。
休日だけに開かれる、学生たちが自分の『店』を出すことを許された場所だ。
『他世界への理解を広めることは、学生同士が『隣人への不理解』によって起こす争いを減らすことにも繋がる』という意見が通り、
土日のみに開放される学生専用貸し店舗地帯はつい最近できた場所である。
『バザール』への出店には、『極上生徒会』に届け出て、自分の学校の教員にサインをもらい、『バザール運営事務所』に直接責任者が出頭して許可を得る必要がある。
事務所、と言った通りこのバザールを運営しているのは『極上生徒会』とは関係のない一団である。
『極上生徒会』に負担をかけない、という名目で、『学生の自由意志の尊重』『商業の独立独歩』を確立したのだ。
届け出は場所の使用許可を得るためのものであり、学生が自由な意思によって自己責任によって自由な商売を行うことが認められている場所、それが『バザール』である。
扱う商品は、特殊な石を使ったアクセサリー、世界特有の異世界風味な衣装、空飛ぶ箒、小型モニター、刀剣、銃、喫茶店から、漫研作成の同人誌まで。
危険物や飲食系の店を出すためには、出店前に差し止めを行うこともある事務所の入念な査察が行われ、武器類は売った相手の写真を事務所に提出する義務も存在する。
閑話休題。
職業病、とでもいうべきか。
まだ新しく活気溢れるこの『バザール』の取材には来ていなかった。
そして、この間リポートについて行った際に少し話した執行委員の切れ者ポンチ娘に聞いたことを思い出したのである。
いわく。
「バザールに出店していた<ちびくろ>って喫茶店の金魚鉢白玉クリームあんみつがすごくおいしかったでありますよっ!」
確認したところ、<ちびくろ>は確かにバザールでも人気の喫茶店だ。
世界中で玉石混交色んなものを(図々しくも)奢ってもらったり分けてもらったりする彼女が、『すごくおいしかった』と称するデザートも気になった。
気になると止まらない好奇心旺盛な連中の集まりが報道委員であり、性質の悪い自分の性を再認する。
食事で人の集まるだろう時間を少し外せば待つ時間もなく済むだろうと、レンガ造り外装の<ちびくろ>に到着。
木製の扉を開けると、採光用の大きな窓から陽光を取り入れた落ち着いた雰囲気。そして流れるのはジャズピアノの有線音。そして
「えぇい貴方では話になりません、店長を呼びなさい店長をっ!」
うわぉ。
本当にあんな風な叫び方をする人がいるんだなー、と思っていると。
「この暴挙、許しませんっ! こっちにも店長をお願いしますっ!」
二人目が出現。
いきなり大混乱の様相を呈してきて、実にイベントに事欠かない休日に、私こと氷室鐘は出会った。
おっと、支援するよー
***
店内で騒いでいた二人は、半泣きのウェイトレス少女が呼んだやけに渋い店長が出てくると状況が一変。
店長に少し話をすると、彼はいぶし銀な笑みを浮かべて頷く。
そして店の奥に店長が引っ込んだことで落ち着いたらしい二人は、周囲の視線が自分を向いていることを知り、俯いて恥ずかしそうに奥のテーブルに引っ込んだ。
氷室はその二人を追いかけ、テーブルの前に立ってたずねる。
「相席しても構わんかね?」
「あ、どうぞどうぞ……って、あなたは報道委員の氷室さんっ! まさか今の顛末の取材にっ!?」
わたわた、と慌てるのは海原○山二号。
全面的に休日であるにも関わらず、ボタンダウンの白ワイシャツと緋色のタイ、そして黒のローブ。
落ち着いた深めの青みを帯びた緑色の髪の大人しそうな少女である。
さっきまで海○の人並みに声を荒げていた人物には見えない。
苦笑して、氷室は首を横に振る。
「残念ながら、今日はオフでな。
それに、この世界ではこんな事件は日常茶飯事。紙面にするほどのことでもないだろう」
「ならば何の用です、氷室 鐘さん。
私たちに張り付いているのがあなたの仕事でないとするのならば、何の用があって声をかけるのですか?」
そう少し不機嫌に、少し頬を染めたまま言うのは○原一号。
黄色のサマーセーターに長袖ワイシャツ、紺のスカート。
暗い蒼瑠璃色の髪と、空色の瞳の……少、女? うん、少女少女。パイルでつつかれるのヤダ。
やれやれ、と肩をすくめて氷室は答えた。
「そうつんけんしないでくれ。取材ではないし、紙面にはしないと誓ってもいい。
ただ、私が報道委員なんかをやっているのは好奇心に忠実すぎるせいでもあってな」
「……つまり、別に取材ではないが気になるから教えろ、と?」
「そうとも言うな、シエル嬢。
どうしても邪魔だ、というのなら立ち去るが?」
そう意地悪く笑った氷室を見て、シエルと呼ばれた娘ははぁ、と溜め息をついた。
「好奇心旺盛すぎて事件に首を突っ込もうとする人間を止めるのが難しいのは、身をもって知っていますからね。
大したことでもないですし、マユリさんが問題ないなら私は構いませんが―――どうです?」
「あはは……ちょっとお恥ずかしいですが、氷室さんはこれを断ると調査という名目で聞き込みを開始してしまいそうですし。
だったら、話してしまった方がいくぶんか楽ですよ」
話を振られたマユリ―――マユリ=ヴァンスタインも苦笑しながらそう答える。
心外だな、と言いながら肩をすくめ、氷室は自分の席を引いて椅子にかけると、お勧めを受けた金魚鉢白玉クリームあんみつ(小)を注文。
一口水を飲んで、それで、と好奇心を隠した様子もなく彼女は問う。
「私の知る限り、マユリ嬢もシエル嬢も実に聡明な女性だと記憶している。
その二人があそこまで怒る事態だ、店員がなにか失礼でも働いたのか?」
「まさか。不埒なことをするウェイターがいたなら即席ながら問答無用で火葬しますよ。
これでも教会を守るシスターの端くれですから」
「……さらっと怖いことを言わないでくれ。いや確かにシエル嬢に手を出そうとするのは実に命知らずな行為だと思うが」
「そんなことはありませんよ。手を出したのが誰であれ、不逞な輩は残らず成敗。それが主の御心であり、その代行を成す私の使命というヤツです」
笑顔でそう言い切るシエル。
彼女はテンペストで逃げようとする輝明学園のウィザードを黒鍵と呼ばれる投擲用細剣で打ち落としたり、
弾丸を見て避ける性能の高速機動戦用4枚羽ヘリを、飛び道具のみで叩き壊すバケモノである。
執行委員連中から一目置かれていたり、お節介で『異界よりもの』を潰すのを手伝ったりするシエルに手を出すのは、自分専用の墓穴を掘るようなものだ。
「では、何をあんなに怒っていたのだ?」
「この店の隠れメニュー『バダミ・チキン』を頼んだらへーぜんと『そんなメニューありませんけど』とか言うからですっ!」
『バダミ・チキン』。
シナモンやクミン、ゴマなどを効かせ、ナッツやレーズンを加えたインド式チキンカレー。
月桂樹の葉や桂皮の香りが食欲を誘う、あっさりとした鶏と、コクのあるナッツがアクセントの、実に美味いカレーである。
思考が硬化した氷室に向けて、マユリもまた訴える。
「そうですよ! あたしがマスターの『まかないおむすびセット』を頼んだ時も同じこと言われたんですっ!」
『まかないおむすびセット』。
マスターが手ずから握る塩・梅・鮭の3種のおむすびとたくあん、そして至福の煎茶がついた日本人の心的なまかないメニュー。
頭が痛くなってきたのを自覚しながら、氷室はたずねる。
「……つまり、裏メニューはありません、と言われたことで怒っていたと?」
「な、なんですかそのかわいそうなものを見る目はっ!?
本格インドカレーを出してくれる上日本人の味覚に合うカレー出してくれるところなんてそうそうないんですよっ!?」
「いや、汝の国籍はフランスだろ?」
「そうですよっ! 置いても型崩れしない上、口に入った瞬間においしくほどける絶妙な力加減!
握り固めて作る『おにぎり』ではなく、空気を柔らかく含みながらご飯粒同士を優しく結びつけたまさに『おむすび』!
ファー・ジ・アースのどこにも、あれほどの日本人の魂のようなおむすびを出してくれるところはなかったんですよっ!?」
「汝の国籍はドイツな上イギリス住まいのはずだがな?」
まぁそのへんは今さらだ。
大きく溜め息をつきながら、氷室は呟いた。
「さすがはシエルインドとオムスビテイカー、といったところか……」
「ど、どこからあの化け猫の馬鹿発言をっ!?」
「今ではもはや誰も知らない私の二つ名をどこでっ!?」
「報道委員、というよりも私の情報網と人間観察趣味を侮ってもらっては困る。
ある程度の有名人のことなら、大抵は頭に入っている。和美と比べられたら流石に劣るがな」
そんなことを言っていたら、さっきシエルにしかられておどおどしていた少女ではない男性ウェイターが3人の注文したものを運んでくる。
カレーとおむすびを見て笑顔でいっただっきまーす! と唱和する二人を見ながら、鐘も掌に乗るサイズの金魚鉢に入った白玉クリームあんみつを躊躇なく口に運んだ。
***
カレーとおむすびと金魚鉢が1つのテーブルに並ぶ光景。
それもこの店ではそう珍しい光景ではない。なにせホットケーキから刺身まで、頼まれればなんでも出してくれる喫茶店「ちびくろ」である。
事前予約さえあれば満漢全席すら出してくれる喫茶店なため、同じテーブルに珍妙な組み合わせがあっても特に気にされないのだ。
炊いたあんの甘ったるいほどではない上品な甘さと、逆に甘さを控えたひんやりミルクアイス。
もちもちした雲のような白玉と、さくさくと口の中に心地よい食感を残す三色寒天に、生と缶詰が入り混じったフルーツ類。
これは文句なく美味いな、と氷室は思う。今度グルメ紙面担当の森にでも言っておこう、と考えながら、目の前の二人に視線を戻した。
「しかし、汝らは知り合いだったのか? やけに意気投合していたようだが」
「意気投合、と言いますか……あたしがザールブルグでお借りした魔導書を公園のベンチで読んでたら、落とし物を拾ってくれたのがシエルさんだったんです」
マユリはお恥ずかしい、と言いながら頬を染める。
シエルはそうそう、と笑いながら続く。
「その時お腹が鳴っちゃって、マユリさんにおむすびを頂いたのが始まりでしたっけ。
何もないところから炊飯器と炊きたてご飯が出てきた時は感動したものです」
「その後月衣についてすごく熱心に聞かれましたっけ」
「仕方ないじゃないですか、月衣が私にもあればいつでもどこでもカレーが出せるんですよ?
そんな魔法のような能力が目の前にあるのに、気にならないわけがないじゃないですか」
シエル、月衣をカレー庫扱い。他に入れるもんはないのか、他に。
人同士がどう繋がっているかはわからぬものだな、と思いながら氷室はすくった寒天を一口。
シエル。
本名不明。学生として学校に入り込んではいるものの、本当は高校生ではない(もちろん禁句)。
もとは『聖堂教会』と呼ばれる西洋系宗教における『代行者』―――彼らの主の御心を具現する者たちのうち、異端審問官であり『埋葬機関』の一員。
……なんて情報を持っていても、氷室にはイマイチ意味がわかっていないのだが。
彼女がこの世界に来るまでの常識は、魔法などない(と本人は思っている)世界の日本のもの。
そんな物騒な言葉が並んでいたところで、あまり現実味がない。
氷室にとって現実感がなくとも現実だと認識できるのは、目にしたものだけ。
その点……シエルがパイルバンカーだの細身の剣だのを使ってバケモノ狩りをしているのを見た以上、彼女がトンでもビックリ人間なのは現実の話なのだ。
マユリ=ヴァンスタイン。
こちらは本名。ドイツ人の父と日本人の母を持ち、魔法使いたちの学校『ダンガルド魔術学校』でトップの成績の魔術師。
が、14にして何故か日本の秋葉原にある輝明学園分校高等部に任務で行った挙句、ダンガルドを破門されて復帰するというウルトラCをやらかした少女。
……こっちは、聞くだに涙の出そうな話である。
とはいえ、その能力は折り紙つき。彼女の魔法はあらゆる敵意を焼き払い、あらゆる悪意を押し流す。
その光景を映像のみとはいえ見たことがある身としては、あれが人間によって起こされているとは想像し辛いながらも信じるしかないものだった。
彼女らは、それぞれ氷室のもといた環境からは考えることの出来ない能力を持っている。
この世界に来ることがなければ、話すこともなかっただろうこの状況を思うと、実に縁は異なものと思う。
氷室がそう思っていたところ、マユリがそういえば、とおむすびを飲み込んで言った。
「氷室さん、この間銭形さんと揉めてましたけどどうしたんですか?」
マユリの言葉にむぐ、と白玉をのどに引っ掛ける氷室。
とんとんとん、とあわてて胸を叩く氷室に、尋常ではないものを感じあわてて水を渡すシエル。
支援はいるかい?
「あ、あぶないですよマユリさんっ! お餅ノドに引っ掛けて主の御許に向かうご老人が毎年何十人いると思ってるんです!」
「……そ、その心配も少しズレてはいないかねシエル嬢。
まったく、いきなり何を言い出すのかと思えば」
「ごめんなさいっ! だ、大丈夫ですか氷室さんっ!?」
あわてて涙目で謝ってくるマユリを見て、ふぅ、と溜め息。
「あれは揉めていたというか一方的に絡まれたようなものなのだが。
彼女のクラスメイトに記事にするための話を聞いていたのだが、プライバシーの侵害だ、と言われてな」
「誰に何を聞いたんです?」
「満潮少年に、子どもの頃のことを聞いていた。
おそらくはあの話の先に巡嬢が言って欲しくない過去の話があったのだろう。残念なことをした」
氷室の言葉に、あはははは、と笑ってごまかそうとするマユリ。
シエルは呆れたようにスプーンを口から引き抜いて一言。
「そういうのは趣味が悪い、というんですよ氷室さん」
「性質の悪さは自覚しているよ、シエル嬢。しかし、コレばかりは性分でな。なかなか押さえが利かなくて困っている」
そう彼女がパイナップルを口に運びつつ言った時。
「あれ? じゃあ、巡さんがホイッスルをくわえた時にあわてて走っていかれたのは、何か理由でもあったんですか?」
マユリが言った一言に、氷室はぴたり、と動きを止めた。
シエルが不思議そうにマユリに聞く。
「へ? そんなことがあったんですか?」
「はい。なんだかとても急いでらっしゃったので、何かあったのかと思ったんですが。
特にその日はその後大きな事件があったようなことはなかったですし、氷室さんは今仰った分にはあそこでまだ巡さんとお話されたかったみたいですし。
なにかあったのかと思ったんですけど……って、あれ? 氷室さん、どうかしました?」
内心この娘、侮れん……っ!と思いながら、内心の動揺を抑え氷室はHAHAHA、とアメリカンライクに答えてみる。
「な、なんのことかなマユリ嬢。別段私は巡嬢から逃げたりなど……」
「逃げたんですか?」
超☆墓穴。
マユリもシエルも不思議そうな表情をする中、氷室はあわてて言いつくろおうとする。
「いっ……いやいや。そもそも逃げたというのは言葉のあやでな?」
「氷室さん。汗、すごいですよ?」
「はっはっは、ちょっと暑いなぁ! 冷房を点けてもらわねば―――」
「とか言いながらなんで窓開けようとするんですかっ!? 外は風ちょっと強いからやーめーてー……っ!
怒られます! 一緒に座ってる私達まで怒られちゃいますからやめてくださいー!」
シエル、氷室を後ろから羽交い絞め。マユリと目で語る。
マユリ、何よりも先に月匣展開。3人と机と椅子を一瞬で喫茶店内から隔離する。
日本代表すらまだ会得していないだろうレベルのアイコンタクトをやってしまう彼女達に乾杯。
その後もばったんばったんと一通り暴れた後、3人はそれぞれの椅子に座る。
シエルが切り出した。
「で。どうしたんです氷室さん。
あなたがあんなに取り乱すなんて、非常に珍しいことだと思いますが」
「……失礼をした。
まさかマユリ嬢にそこまで見られていたとは思わなかったゆえ、少し自分を見失った」
「少しどころの話ではなく見失っていたように見受けましたが。
ここには私とマユリさんしかいないんです、さっさと吐き出して楽になっちゃいましょう」
シエルはそう言うと、楽しそうに笑う。
氷室はおそるおそるマユリを見てみる。そちらには、やはり好奇心に目を輝かせたマユリがこちらを見ている。
黙っていたところで方や異端審問の専門家、方や言葉のプロである魔術師。逃れられるとは到底思えない。
こういう場合は、特殊な能力を持つ森を呼んでそれまでなんとか話をそらし続けるのが彼女の常套手段。
しかし、月匣なんて異界に閉じ込められてしまえば彼女が助けを呼ぶのは不可能だ。
二人とも意外と策士だ。
両手を挙げて、降参の意を示す。
おそらくはこの二人ならば言っても酷いことにならないだろう。どちらも人の弱みを握ったところでどうこうする類の人間ではないはずだ、と判断。
氷室は、両手を組むと某司令みたいな格好で口元を隠し、言った。
「……私はな、巡嬢の能力が恐ろしいのだ」
「能力って言いますと? 確か、巡さんは普通の女の子だったはずですけど……」
「普通ではない。彼女は確かに恐るべき能力を保有している。
私にとっては鉄板ぶち抜いたり海割ったり竜巻起こしたりロボット一刀両断したりという直接的な脅威に対する怖さよりも、はるかに強力な恐怖を与える能力だ」
そう言った彼女の声は、震えてすらいた。
氷室の様子にただならぬものを感じたのか、マユリとシエルの顔が険しくなる。
銭形巡。
磯野第八中学に通う女子中学生。
ただそれだけの、特殊な能力など何も持たない積極性と暴走性のあるだけの人間の少女。
マユリのように魔法を使えるわけでも、シエルのように聖典や概念武装を扱えるわけでもない、普通の女の子。
にも関わらず、氷室のこのおびえよう。この様子は洒落や酔狂などではけしてない、と二人は判断した。
氷室は報道委員であり、本人自身の情報収集力も非常に高く、また『軍師』なんて呼ばれるくらいには慎重だ。
ならば彼女の証言の信頼性は疑うべくもない。
証言次第では銭形巡への対処を考えなければならない、と再び目で語るシエルとマユリ。
真剣な表情で、マユリがたずねた。
「……話はわかりました。
教えてもらえますか、その恐ろしい能力というのを」
氷室は一瞬逡巡して―――答える。
「わかった……その、力、とは」
「その力、とは?」
しえん
「ね―――――『猫使い』、だ……っ!」
氷室ががたがたと震え、今にもその能力を思い出しているかのようなその答えに、唖然とする二人。
そんな二人を置いてけぼりに、今にも泣きそうな氷室が語り続ける。
「わ、私は子どもの頃に野良猫に引っかかれたことがあってな。
雑菌が入ったせいで3日ほど熱でうなされ続け、その間化け猫に延々と追いかけられる夢を見続けたせいで、生は、生の猫だけは……っ!!」
嫌な過去の思い出が甦ってきたのか、うわぁんやめてくれぇぇぇぇっ! と崩れ落ちる氷室。
要は、猫のぬいぐるみやネコっぽいナマモノ、ネコ耳少女などは平気であるものの普通の猫というのは氷室鐘にとって大きすぎる弱点で。
その猫たちを自由自在に扱える『猫使い』の能力を持っている巡は、氷室にとっての天敵、ということのようだ。
目の前でがたがた震えている少女を見て、マユリとシエルが同時に溜め息。
「まったく……どんなバケモノみたいな答えが出てくるかと思えば」
「あはは。でも意外です、氷室さんにも怖いものがあるんですね」
「ぐすっ……どんな人間だって、苦手なものの1つや2つあるだろう。
それから、二人とも。くれぐれも、このことは内密に頼みたいのだが。でなければあいや某少年のコネを使ってでも『忘れて』もらうことになるぞ」
「そこまでするんですかっ!?」
涙目の氷室が言った一言に、マユリが驚く。
当然だ、と言って彼女が続けた。
「私は、世界に情報を伝える仕事に私なりに責任感と誇りを持っている。
情報員が弱点を握られていることの恐ろしさは、知っているだろう?」
情報、というのは人間社会において非常に大きな力だ。
巨大な力や権力を持った存在を倒す、という言葉に「ペンは剣よりも強し」という言葉もある。
ゆえにこそ、情報を多く持つ者には、常に権力者の目が光る。
もしも。この世界において一番広範に情報を行き渡らせられる力を持つ『報道委員』が、暴力・権力に屈することがあってしまえば。
それは『この世界に絶望を捨てる言葉を広める』という、氷室自身が共感した、報道委員の意義にしてリーダーの理念が永遠に失われることになる。
それだけの覚悟がある、と言った氷室に、やれやれ、とシエルが溜め息をついた。
「……わかりました。そもそも私は、人の弱みを誰かに言って楽しむ趣味はありませんしね」
「そんな趣味、あたしにもありませんよ。これは、ここだけの秘密、ということで」
「助かる。
……礼と言ってはなんだが、知りたいことができたら連絡してくれ。手が空いていたら、どこよりも早く正確な情報を提供することを約束しよう」
2人の言葉に安堵したように溜め息をついた後、氷室はそう言った。
それはもう『どんな手を使っても、な』という言葉が続きそうな感じの小悪魔の笑みを浮かべながら。
それにマユリは苦笑して。
シエルは頼りにしちゃいますよ、と頷いた。
fin.
おまけ
「あ、すみませーん! 今度はカノム・チン(カレーを入れたフォーみたいな感じのタイカレー)1つー!」
「わたしはシェフのおすすめおむすび3点盛りを5種類でー!」
「……この店は、どれほどのレシピがあるのだね」
バザール内店舗『ちびくろ』。
頼めばなんでも出てくるので、近くまでいらしたらぜひお越しくださいませ。
支援
72 :
夜ねこ:2009/05/03(日) 03:26:10 ID:d7JmxlKs
GWってなんですか?おいしい?(挨拶)
どうも、勝手に人様の形式乗っ取って物書いてる駄目野郎こと夜ねこです。規制解けないし!
つかね、「休日」の作家氏になんの断りもなくこういうことするのはやっぱりよくないよね。反省。
休日の作家氏が以前「書いてくれる人いないかなぁ」とおっしゃってたのを超俺解釈して書いてみました。すみません。
じゃあ出展ー。
舞島の暴走機関車 <高原 歩美(たかはら あゆみ)> 舞島学園高校@神のみぞ知るセカイ
……あれ、一人しかいねぇ。
えーと、じゃあ次はレス返しー。全部前スレ。
>>395 そうですねー。夜ねこ的には現時点では知りません。
理生先輩の方は知ってんじゃないですかね。キョンとか長門経由で。
>>396 単に自分がまったく遊戯王知らないだけなんですがねー。知らないものを出すのは、ちょっと信条に反しますので勘弁いただきたく。
あと、少なくとも文章形式にしないと自分は人様に物が見せられない性質なんで、書くのに時間がかかるのはご了承いただきたい。
あう。お、俺なんかおだてたって何もでないんだぜっ!?
ノーチェは……あの時柊相手に話せるは、A:くれは B:ノーチェ C:氷室 D:長門の4択で、無難にノーチェになっただけだったり。
>>397 ゲシュ子です。
自分的にはゲシュ子主人公で話ひとつかけそうなくらいゲシュ子が好きだ。
なお。完璧な予断ですが、柊の想定を空砦に合わせたのでゲシュ子もレベル10帯の魔装・魔法を使ってます。レベ6発動はサクリファイス効果。
>>404 ゲシュ子は萌え系生物ですよ? なんだか自分はサブキャラ発掘にちょっと定評があるらしく。
さぁ、愛さだを布教する活動に戻るんだ。俺はまた別のキャラの布教に走るよ。
今回の話。
氷室さんの、ちょっと(かわ)いいとこ見てみたいー。
うん。大好きですね氷室女史。シエル嬢とマユリも好きです。女の子のちょっとしたカフェ話。
この3人の共通点を見破れたら、今日からあなたは磨伸坂を昇り始めたことになると思う。嘘だけど。
あと、ちょっと面白組織を出してみた。
バザール
・土日開催。場所はA区画西側(執行部室と逆側)
・トップは『バザール運営事務所』。所長は謎。つーか決めない方が面白いと思う。
・極上とは不干渉。むしろちょっと仲悪い?
・@極生に届出。場所の権利を借りる手続き→A知ってる教師2名以上にサイン→B事務所に届け出た後、責任者が出頭すること。
・資格などは、↑の審査を通っていればすべてOK。
・治安維持として、ボランティアの自警団みたいなものがある。選抜委員などと掛け持つものも多い。
こんな感じです。使えそうだったら使ったってください。
ではまた。
PS ライフパスだけど
>>38氏の指摘箇所に置いてきた。B版だけど。しかもぐちゃぐちゃだけど。
73 :
休日の作者:2009/05/03(日) 06:23:30 ID:hGe/gebN
>>夜ねこさん
気にしなくても大丈夫です。むしろ大歓迎。
…それより当方、貴殿に1つ頼みたいことがあり。
私、基本的にノーチェのことはあんまし知らないんで、書けない話があったりします。
そこで、代わりに夜ねこさんに頼みたい。
内容は、10時より投下の『タバサと幽霊』最終回にて。
よるねこさん、GJ!
そ〜いえば、シエルもマユリも猫形態有の知り合いがいますな。
氷室女史、マユリに頼めば取材先の野良猫に話つけて退いてもらえるかもしれないぞ?
アゲハはいい迷惑かもしれないがw
しかしGWに入ってからすごいラッシュですな〜
―――スクールメイズ“旧校舎”
「はぁはぁ…なんとか…勝ちました…ね…」
魔法の使いすぎでふらつきながら、玲子が膝を落とす。
「…強かった」
辺りに転がる紅い魔石を拾う気力も無く、タバサもへたり込む。
「私はちょっとだけ、先の様子を見てきますので〜、お二人はしっかり休んでいてくださいね〜」
1人余裕があるように振舞う桜花だが、その桜花もボロボロになるまでダメージを引き受け、玲子のディアラマで回復したばかりだ。
「…正直、甘く見てました。ここは私の知る限りの…魔界以上に、辛い場所かも知れません」
「同感」
懐から水筒を取り出し、中に入れたMPポーションを飲んで精神力を回復する。
「それは?」
「精神力を回復する薬。レイコも」
玲子に水筒を手渡す。
「はい…ぷはっ。ありがとうございました」
返ってきた水筒がかなり軽くなっていることにタバサは危機感を覚える。
「一気に半分近く無くなった」
水筒の減りの速さ、それは魔法による精神力の消費速度が半端じゃないということ。
「…ダメ。やっぱり通じない」
一応はここも“学園世界”であるからとエヴァに0-Phoneをかけては見たが、通じない。
どうやらこの中は特殊な力で覆われていて、救助は期待できないと言う桜花の答えは、本当らしい。
「出口…ううん入口も消えちゃったから、あと戻りもできません…」
先ほどまであった軽子坂学園につながる道…魔界への道は既に消えている。
桜花の話によると、あの入口はこの“旧校舎”のどこかにランダムに現れては消え、また別の場所に現れると言うのを繰り返しているらしい。
「…私たち、生きて出られるんでしょうか…」
1部屋目で早くもこの“地獄”で生き残ることの難しさを思い知らされた玲子がタバサに尋ねる。
「…大丈夫。何とか生き残れそう」
玲子の問いかけに静かに目を閉じて沈黙したのち、タバサは答える。
「それよりも諦めて弱気になるのが、危険。諦めなければ、多分持つと思う」
「そう…ですよね。分かりました」
タバサの答えに勇気をもらい、玲子が立ち上がる。
「私、諦めません。必ず学園世界にたどり着きます。そして、みんなを助け出します」
「そう。それでいい。そろそろオウカも戻ってくる。準備を」
「はい!」
銃弾のチェック、アイテム…特に回復アイテムの確認、身体を温めるための準備運動…次の部屋に挑む準備をしていると、ちょうど桜花が戻ってくる。
「ただいま戻りました〜」
「お帰りなさい。どうです?何か分かりましたか?桜花さん」
「はい〜、私たち、今日は少しついてるかも知れません〜」
玲子の問いに、桜花は笑顔を浮かべ、分かったことを言う。
「襲ってきた敵の強さからそんなに深くは無いと思ってましたが、確認が取れました〜。ここは旧校舎の表層、第5階層です〜」
「じゃあ…」
「はい〜。出口まで4階層分上に登れば、出口…見事学園世界に到達〜。ミッションコンプリートって奴ですね〜」
桜花のもたらした朗報に玲子の表情が明るくなる。
「分りました!後4階ですね!」
「はい〜。それに、この部屋の先で上への階段も見つけました〜。それを登れば、あと3階層ですね〜」
にっこりと笑い、更なる朗報を伝える。
「よし!さ、行きましょうタバサさん」
玲子の言葉に、タバサがこくんと頷いた。
そして一行は意気揚揚とスクールメイズを突き進む。
…その先を知ること無く。
いのちだいじにラクカジャ支援
―――旧校舎 第4階層
「はぁはぁ…や、やっと階段ですね…」
息も絶え絶えで、玲子は数十m先に見える階段をじっと見る。
「ここにたどり着くまでに…何回死にかけたか…」
第5階層ですぐに見つかったのとは裏腹に、第4階層で階段を発見するまでに通った部屋数は、5部屋。
そのうちの2部屋では戦闘が発生。かなりの消耗を強いられた。
「…無くなった」
水筒の中のMPポーションが切れたのを確認し、タバサが眉をひそめる。
「こっちもです。魔石は0。宝玉も残りは1個だけ。後は回復力の弱い傷薬が何本か…正直、かなり厳しいです」
さっきまでの高揚が嘘のように憔悴しきって玲子が言う。
「はぁ…やっぱり普通に攻略しようとすると、厳しいですね〜」
桜花も心なし元気が無い。仲間がいる今回はいつものように壁や天井を通り抜けて戦闘を回避するわけには行かない上に、
ガーディアンである今は玲子から大きく離れることもできない。
助けを呼びに行くことも無しに普通に攻略するしかないのだ。そしてその結果として、桜花は何度もHPが尽きそうになり、更にMPもプラーナも相当量消耗していた。
「これが後3階分…」
ダメだ。どう考えてももたない。そう感じ、玲子はへたり込みそうになる。
「…ううん!大丈夫!頑張ろう!」
それを気合いを振り絞ってそれを踏みとどまる。
「行きましょう!とにかく何が何でも3階分…」
そう言って玲子が歩き出そうとした、その時だった。
「レイコ!動かないで!」
珍しくタバサが声を張り上げて玲子を制止する。
「ひゃっ!?ど、どうしたんですかタバサさん!?」
思わず驚いて足を止め、タバサを見開いてみつめる。
「…オウカ」
「…ああ〜、なるほど〜任せてください〜」
タバサは傍らの桜花に声をかける。それだけで事情を察した桜花は肉体を実体化させ、地面に降り立った。
それを確認し、タバサが玲子に言う。
「…罠がある。私が見つけられたのは、玲子の目の前の落とし穴だけ。多分これだけじゃないと思う」
「わ、罠!?」
タバサの言葉にギクリと玲子がこわばらせる。
今までの第4階層の探索で、旧校舎の恐ろしさがモンスターだけでは無いことを、玲子は知っていた。
「ここはオウカに任せる。下がって」
「は、はい!」
ゆっくりと前の部屋まで戻り、桜花に言う。
「…頼んだ」
「はい〜、行きますよ〜」
タバサに頷き返し、桜花はすぅ〜と深呼吸をして、構える。
「必殺ぅ〜…」
腰を落とし、尻を突き上げる。陸上競技で言うクラウチングスタートの体勢を取り、桜花は少しだけプラーナを“脚”へと貯める。
「漢女(おとめ)探知ぃ〜!」
掛け声と共に階段へ向かって一気にダッシュを開始。
ガコンッ!
駆けだした瞬間にぱっくり開いた、あえて分り易いように偽装した落とし穴をジャンプで回避。
ボカァン!
その直後、今度は対照的に着地点に巧妙に隠された地雷が爆発し、桜花の肉体を爆風が焼く。だが、桜花は止まらない。
ビスビスビスッ!
床から突き出した無数の槍を自らの身体に刺さる前にダッシュで駆け抜ける。
バチンッ!
見えないように偽装されていた攻性防壁は体当たりで強引に突破。
「…これ以上のダメージは、受けられません〜!」
階段の前で立ち止まりプラーナを開放、防御と魔防を飛躍的に高める。その次の瞬間。
ドゴンッ!ドガンッ!
地面から飛び出した物理型と魔法型、2つの魔導砲台の連射を一身に身に受けつつ、呼び出した人魂で破壊。
「ふぅ…これでもう通れると思いますよ〜。くれぐれも私の通って無いところは通らないでくださいね〜」
攻撃がやんだのを確認し、プスプスと煙を上げながらタバサと玲子に笑顔で手を振ってみせる。
「…やっぱり、桜花さんってすごいですね」
「…オウカがいなかったら、どうしようもなかった」
桜花の非常識な丈夫さに半ば唖然としながら、己の感想を口にする2人。
罠を見つける能力は【知覚】が“普通よりは上”程度の風のメイジであるタバサがいるだけ。
そして全員が魔法系であるために罠を解除する【器用】が高いものに至ってはゼロ。
そう、それこそがこの3人のパーティー最大の弱点。いつもならともかく、ダンジョン探索では致命的とも言える弱点。
「…私、少しは速さとかも鍛えておくべきだったんでしょうか?」
「ないものをねだっても仕方がない。あるもので何とかする」
罠(トラップ)への対処能力が欠如しているのだ。
(…卑怯番長か忍者の誰かがいれば…)
思わず浮かんだそんな考えを、頭を振って振り払う。
カゲモリの中には隊長を始めとしてこの手の罠に強い人間も何人かいるが、今いないものを求めてもしょうがないのだ。
「…行こう」
「…はい」
2人はそろそろと、桜花の作った“発動済みの罠の道”を歩き出した。
…ちなみに、最後の宝玉はこのあと速攻で桜花の治療に使われたのは言うまでも無い。
>「漢女(おとめ)探知ぃ〜!」
ちょっwww
―――第3階層第1室 休憩所
「…ああ、さっきからラッキーとアンラッキーが交互に来てる気がします〜」
桜花が噴水が備え付けられた部屋に喜びの声を上げる。
「…ここは?」
辺りを伺い、その部屋に一応危険が無いことを確認したタバサが、桜花に問う。
「はい〜。ここは“休憩所”です〜」
嬉々としてタバサに桜花が言う。
「冷たくて、奇麗な水ですね…それに、何かいい匂いがします」
何気なく噴水に手を入れた玲子が心地よい感覚を感じて、言う。
「桜花さん、これ、飲めますか?」
「大丈夫ですよ〜。その分量だと、5回分ってところですね〜」
玲子の問いに、桜花は笑顔で答える。
「5回分?」
「はい。飲めばHPかMPのどっちかが回復できます」
「MPと言うと、精神力?」
桜花の答えに、タバサが思わず聞き返す。
「そうです。そ〜言う場所ですから〜」
「わ、すごいです。これ。すごく…元気がでました」
噴水の水をすくって飲んだ玲子が驚きの声を上げる。
「…おいしい。それに、凄い回復力…」
乾いた喉に、すぅっと染み透る、清らかな水。疲れが取れて、精神力が一気に回復するのが分かる。
「あ、クリティカルって奴ですね〜」
タバサの反応に、桜花が華やいだ声を上げる。
「じゃあ…私も1回分、貰いますね〜」
近づいて水をすくい、笑顔でそれを口に含んで…
ぶふぁ!
盛大に吹き出した。
「うわ!?お、桜花さん!?大丈夫ですか!?」
ごほごほとむせる桜花に玲子が心配して近寄る。
「だ、大丈夫です…割とよくあることですから…」
涙目になりながら、解説する。
「と、このようにたま〜にですが、ファンブルして逆にダメージを受けることがあるのには、注意して下さいね〜」
その様子に思わず2人はちょっとだけ下がる。
「…さて〜、後2回分は…」
桜花の笑顔の問いに。
「オウカが使って」
「桜花さん、残り2回分は桜花さんが使ってください!ほ、ほら桜花さんずっとMPポーション使って無かったし!」
2人はほぼ同時に答えた。
*
「さて〜、次はどちらに行きますかね〜?」
回復を終え、桜花はキョロキョロと左右正面の3つの扉を見る。
「え〜っと正面は…」
ぎぃ〜っと少しだけ扉を開けて…すぐに閉じる。
「…で、左右どっちに行きましょう〜?」
さらっと正面と言う選択肢は外す桜花であった。
「え、えっと…じゃあ…」
その様子に冷汗を流しながら、玲子が選ぼうとした、その時だった。
「正面」
タバサが一言、重々しく言う。
「「ええ〜っ!?」」
玲子と桜花が同時に叫ぶ。
「ほ、本気ですか?さっきの桜花さんの反応を見るに、正面は無いって思うんですが!?」
「そ、そうですよ〜。正面の敵は今のパーティーだとちょっと洒落になりません〜。迂回しましょう〜」
2人の説得に、タバサはふるふると首を横に振る。
「ならばなおさら。これが、一番助かる可能性が高い」
じっと2人を見る。ありったけの本気を込めて。
「…事情を説明している時間は無い。お願い。信じて」
「…分りました〜。タバサさんの言うことなら〜」
「わ、私もです。信じますからね!」
目の前の少女が、本気であることを知り、2人が同意する。
「1つだけ。必要なのは、速攻勝負です〜!長引かせたら、ここで探索終了、全滅ですよ〜!」
桜花が2人に忠告しながら、正面への扉を開いた。
―――第3階層第2室 『魔蟲の住処』
そこは、巨大な蟲の巣だった。
「…こいつらは?」
「闇妖蟲…冥魔です〜!ようするに侵魔以上にやばい連中です〜!」
タバサの問いにいつもの余裕を見せること無く簡潔に桜花が答える。
「か、鍵が!?」
後ろの扉に鍵がかかり、開かなくなったのに気づき、玲子が狼狽する。
「逃がす気は、無いってことですか〜」
桜花が呟く。
「良いですか〜、タバサさん、玲子さん…」
2人に言い聞かせるように、桜花が言う。
「さっきも言いましたが、速攻勝負です…あの蟲が護っている“繭”を何が何でも破壊してください〜」
蟲に護られ、不気味に胎動するそれを指さす。
「あれ…羽化寸前です。もし羽化して成体が出てきたら…今の私たちでは手に負えません〜」
桜花たちに気づき、蟲たちが集う。羽化まで、繭を守るためだけに。
「あいつら、最後の1体になっても、絶対繭を守り続けるはずです〜」
それは、今の“火力”にかけるパーティーでは、かなり厳しい条件。
「私も攻撃に回りますが〜…正直、羽化するまえに壊せるかは、ギリギリです」
そして、桜花が解説を終えた瞬間。
ドグンッ!
繭がひときわ大きく震える。
「…来ますよ!」
そして、蟲たちが“侵入者たち”に糸を吐きかけようとした、その時だった。
ガチャンッ…ベキョ!
大きな音を立てて、扉の鍵…“タバサたちの向こう側の扉”の鍵が外れると同時に、重い鉄製の扉が吹っ飛ぶ。
ピギィ!?
繭を扉から守ろうとして闇幼蟲の1体が飛び出し、繭の代わりに無残に潰れる。
「ああああああああああああああ!!!!!!!!!!!見つけたのね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!」
ひときわ大きな声が部屋いっぱいに響くと同時に“影”が飛び込んで行く。
ピギャ!?
その影…学生服を着た少年は銀色に輝く銘刀を潰れた闇妖蟲にとどめとばかりに突き刺し、瞬時に絶命させる。
「良かった〜!無事だったんだね!タバサちゃん!」
茶色い髪を2つに結わえた少女がタバサに気づき、先ほど鉄製の扉を吹っ飛ばした手をぶんぶん振る。
「フン…お前がたやすく死ぬようなタマでは無いことは知っていたが、ずいぶんと面白いものを連れているじゃないか」
部屋にゆっくりと侵入してくる、金髪の少女が懐から魔法薬を取り出す。
「ちょうど良い。共同戦線だ。お前らの力、見せてみろ。さつき、斎堂。私の魔法が完成するまで、絶対にあいつらを私に近づけるなよ。
リク・ラク・ラ・ラック・ライラック…」
詠唱を開始した少女を見て、タバサはホッと息をつく。
「あの〜…」
「あの人たちは一体?何で旧校舎にいるんですか?」
事情がうまく呑み込めていない2人に、タバサは言う。
「彼らは…カゲモリ。私の、仲間」
若干誇らしげな響きを込めて。
―――輝明学園 旧校舎前
「ほんと〜に…ほんと〜に良かったのね!無茶苦茶心配したのね!きゅいきゅい!」
嬉しさのあまり、人型を解くのすら忘れたシルフィードが、ずりずりと泣きながらタバサに頬ずりをする。
タバサの顔に涙だか汗だか鼻汁だか涎だか分らないが、とにかく汁がつく。
「…シルフィードを連れて来たのは、エヴァの発案?」
そんな使い魔にされるがままになりながら、タバサがエヴァに尋ねる。
「ああ。正直人の姿では何の役にも立たんが、それでも“お前”を探すのにはうってつけだろう?」
ニヤリと嗤ったエヴァの言葉に、タバサはコクリと頷く。
「お陰で、エヴァたちの居場所が大体把握できた」
ハルケギニアのメイジは使い魔の見ているものの共有が可能。
旧校舎内で“シルフィードの目”を通して、2つのパーティーの状況を理解できたからこそ、タバサは攻略の計画を正確に立てることができた。
「しかし、よりによってあんな所にいるとはな。こんなことなら茶々丸をパソコンの解析に回すべきでは無かったか。
お陰で見つけるのに、いらん手間と“出費”がかかったぞ?」
冗談めかして、タバサに言う。
「出費?」
タバサの疑問にはさつきが代わって答える。
「私が頼んどいたの。執行部の探しものとか探すのが得意な人に、ずっと占いっぱなしにして、タバサちゃんの居場所が分かったらすぐに教えてって」
「あのイタリアン傭兵め、代わりに“ろんぎぬす”で1日飲み食いし放題、それが報酬であります!とかぬかしやがったぞ?足元をみおってからに」
しっかり報酬を受け取っているのを知られたのは失敗だったかも知れん。などと呟きつつ、エヴァは気を取り直しさつきに言う。
「まあいい。今夜は祝いの席だ。久し振りに飲みに行く。さつき、お前も来い」
「え?いいの?」
「ああ、割り勘だとかケチ臭いことは言わん。好きなものを頼んでいいぞ」
エヴァの言葉にぴくりと反応したシルフィードが、ぽいっとタバサを捨ててエヴァの元へと向かう。
「ずるいのね〜!私も行きたいのね〜!」
「お?そーかそーか。そうだな…よし、シルフィード、お前も来て良いぞ。ただし、人間の姿でこいよ?」
「分かったのね!了解なのね!きゅいきゅい!」
「…っと。その前に、一応斎堂には礼を言っておけ。せっかくの休日を台無しにしたんだからな」
「…それも了解なのね」
「さてと…」
一通り話がまとまったところでエヴァがタバサに向きなおる。
「お前も来るか?タバサ」
「いいの?特にシルフィード」
この人数になると結構な額になる。特にシルフィードは文字通りの意味で“竜並み”の胃袋の持ち主だ。子牛まるごと一頭くらいはぺろりと行く。
「構わん。むしろ好都合だ」
タバサの問いにエヴァは“闇の福音”に相応しい邪悪な笑みで答える。
「好都合?」
「契約にあっただろう?“任務に必要なものは向こうが用意”とな。
仲間を探し出し、情報を得ると言う“任務”ならば、“探すのにかかった費用”は全部“経費”だと思わないか?」
クックックとかな〜り悪役っぽい笑い声つきだ。
「費用は全額じじぃどもに出させる。あいつへの報酬兼接待費として認めると言う言質は取っている。奴らの驚く顔もたまには悪く無かろう?」
「そう…」
「で、タバサ。お前はどうする?お前もかなりの戦力…大食漢だと聞いてるぞ?」
エヴァの問いにタバサは少し考え…答える。
「後で行く」
「分かった。ちゃんと来いよ」
頷いて背を向け、ひらひらと手を振る。
「行くぞさつき。あいつにはさっき連絡しといた。すぐ来るとさ」
「うん。じゃあ、いこっか。…2人は?」
「用事があるからそれを済ませてからだそうだ」
徐々に遠ざかって行く2人の声を聞きながら、タバサはシルフィードに尋ねる。
「それで、何があったの?シルフィード」
「え〜と、あの、そのね…」
いつもの無表情と澄んだ瞳に見つめられ、ごにょごにょと口ごもりながら、シルフィードは事の顛末を説明した。
>>58 GJです。いいねぇ、リオン様もプランナーも悪そうでw
柊が相変わらず天然ジゴロなのもいい感じですw
って、そういやミナリと紫帆って、本編後でもフリーでしたっけ?
>>72 鐘やんー!俺の嫁ー!!!(黙れ
まゆりんといい、俺の嫁祭りではないですかっ!!(だからうるせぇ
閑話休題。なんかまとまらないので、感想を箇条書きで。
・鐘やんがカレーのことをイマイチよくわかってない、というのは、なんかリアルでいいですね。でもあんたら同じ世界出身だろうがww
・あと、知謀キャラが天然入ってる二人組に追い詰められる、っての、結構面白いwww
・わたわたしてる鐘やんかわいいよ鐘やんwwwww
・共通点、磨伸・・・・。なるほど、初期長門(涼宮ハルヒの憂鬱)&タバサ(ゼロの使い魔)かw
でも、一番の謎はこの喫茶店だと思います。ww
ともあれ、GJでした。次も待ってますw
ぎゃああああ、リロしてたのに割り込んじまったああああああああああああ!
気を取り直して、支援!
*
「…はい。分かりました。夜分遅くのお骨折り、感謝いたします」
ピッと0-phoneを切って、一狼は玲子と桜花に向きなおる。
「荻原様より、連絡を頂きました。赤羽理事長代理は、明日の朝ならばお二人にお会いできるとのことです」
正直、今の玲子と桜花の立場は微妙なものだった。何しろ“モンスター改め悪魔連続襲撃事件”の真相の一端を握る存在なのだ。
特に悪魔の中でも狐…チェフェイは各所で問題を起こしている。場合によっては『執行部』や『心霊部』にも事の次第を伝達しなければならない。
問題は、山積みなのだ。
「とりあえず、今夜はお疲れでしょう。桜花寮の客間…8号室にお泊りください。
赤根沢さんの今後の処遇については、明日、赤羽理事長代理から何かしら話があると思います。
…それと、カゲモリのことはくれぐれも口外為されぬよう、お頼みします」
「はい。分かりました。色々とありがとうございました」
「私からも、ありがとうございました〜」
2人の少女から礼を言われ、ちょっと照れて一狼は目をそらす。
「い、いえ、これも任務のうちですので…あ、そうだ。今から桜花寮に案内しますね」
「…いいえ〜。それには及びません〜」
そんな一狼を微笑ましく見ていた桜花が、一狼の後ろに立ったタバサに気づき、にこやかに断る。
「これでも〜学園を、守り続けて、30年。なので〜、と〜ぜん桜花寮の場所も知ってますよ〜。と、言うわけでついてきてくださいね〜」
「…あ、はい。案内よろしくお願いします。桜花さん」
玲子の方も桜花の態度で何かに気づいたのだろう。そそくさと桜花について行ってしまう。
「うん?どうしたんだろう急に?」
「イチロウ、話がある」
「のわあ!?」
思いっきり油断していたせいでタバサの接近に気付かなかった一狼が、驚いて声を上げた。
「な、なんですかタバサさん?」
いつもの無表情のまま、タバサが言う。
「…シルフィードから、話は聞いた。私に、任せて」
「え〜と、何を?」
一狼の問いは、さらっと無視された。
―――麻帆良学園 上空
「うまく行くといいのね!そうすればお姉さまったら愛のキューピッドなのね!きゅいきゅい!」
世界樹の前に置いてきた2人のラブラブっぷりに大いに満足し、空を駆けながらシルフィードが興奮してわめく。
「…大丈夫。あの2人は、相性が良い」
似たもの同士と言う言葉がぴったりのあの2人なら、きっと紆余曲折はあれど、最終的にはうまく行く。多分。
「そうなのね!次はお姉さまの番なのね!今にあの使い魔を悩殺なのね!ピンク髪なんてお姉さまの敵じゃないのね!きゅいきゅい!」
浮かれたままシルフィードが迂闊なことを口にして。
「…それは無い」
タバサに杖で殴られる。
「痛いのね!きゅい〜!」
そう叫ぶシルフィードの声にも、どこか喜びが込められている。
シルフィードは、嬉しかった。この“いつものお姉さま”が無事戻ってきたことが。
やっぱり自分の片割れとも言えるお姉さまがいるのといないのとでは、全然違うのだ。
「それじゃあ、次はろんぎぬすなのね!朝まで生騒ぎなのね!きゅいきゅい!」
「違う」
涎をちょっぴりこぼしながら言ったシルフィードに、タバサはふるふると首を振る。
「えええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
不満を隠そうともせず、シルフィードが大声で叫ぶ。
「シルフィは今日は朝からイチロウの持ってたまず〜い保存食しか口にしてないのね!お腹ぺっこぺこなのね!
今すぐご飯にしないと飢えて死ぬのね!きゅい〜!」
じたばたと空で暴れるシルフィードをとりあえず杖で殴って黙らせる。
「…うう〜、それで、どこに行けばいいのね」
観念したのか、シルフィードが泣きそうになりながらタバサに尋ねる。
「大丈夫。すぐ済む」
今回頑張った使い魔を労いながら、タバサが口にした、その場所は…
―――ザールブルグアカデミー
コン、コン、コン…
裏口で、正確にリズムを刻むように3回。
「は〜い」
その子が訪ねて来たと言う合図を受けて、マルローネ…マリーはドアを開けた。
マリーの予想通り、そこに立ってたのは…
「こんばんわシャルちゃん。ここ3日間くらい来なかったから、どうしたのかってちょっと心配してたんだァ〜」
大きな杖を抱えた青い髪とメガネの女の子…シャルにマリーは気さくに声をかける。
「ちょっと外せない用事があった…そちらの状況は、どう?」
「はいはい。ちょっと待っててね〜」
マリーは机をがさごそと漁り、今週分の報告書(レポート)を探し出す。
「はいこれ。…実は今ちょっぴり煮つまっててあんまし進展してないんだよねェ〜」
頭をぽりぽり掻きながら、あはははと笑ってみせる。だが。
「…赤系統の材料と火の属性魔石の減りが速すぎる。特に火竜の舌を何に使ったの?
それと賢者の石はこの前作ったばかりなのに、もう使用した?」
目の前の少女には通用しない。的確に情報を見抜き、正確に問題点を指摘する。
「…あははは」
ポリポリ頬を掻き、目をそらす。それを醒めた目でじっと見つめる、シャル。
「…ごめん!今週は別の研究してた!」
突然ぱんと手を打ち鳴らし、マリーは頭を下げる。
「…説明を」
至極冷静にシャルはマリーに問う。
「いや、実はさ…この前アカデミーで知り合った冒険者の女の子が“深精霊干渉症”って言うヤバい病気でさ…
ほっといたら卒業まで生きられないんじゃないかって話で…
その…治すのに賢者の石と赤系統のアイテム大判振る舞いしちゃった!ほんと〜に、ごめん!」
ぺこぺことシャルに謝る。
(ほんとこれ…二重の意味で罪悪感感じるんだよねェ〜)
マリーは知っている。目の前の少女…マリーの“パトロン”はこういう風に言えば。
「…分かった。新しい材料の費用は、明日持って来る」
特に非難も何もせずに受け入れてしまう。
「…ね、シャルちゃん?」
「なに?」
「その…怒らないの?」
流石に罪悪感が募り、マリーはシャルに聞く。
だが、その問いにシャルはふるふると首を横に振る。
「…“依頼の品”の研究に役に立つなら、それでいい。むしろまた1つ、“治す”方法が分かったのだから、喜ぶべきこと」
そう言うとシャルはついと後ろを向く。
「用事があるから今日はもう帰る。それじゃあまた」
そのままふらりと行ってしまいそうになるシャルをマリーは呼びとめる。
「あ!シャルちゃん!」
「…まだ何か?」
立ち止まったシャルに、マリーはタンスを漁って取り出した、1着の服を渡す。
「…?これは?」
「とりあえず、穴の開いたシャツだとあれだから、それに着替えなよ。エリーちゃんの服だからちょっと大きいかもだけどさ」
「…ありがとう」
礼を言い、その場で着替え始める。あっという間に着替えを終え、袖口を折って丈を合わせる。
「感謝する。次回洗って返す」
ぺこりと頭を下げ、シャルは走り去っていく。少しして何かが飛び立つような羽音が聞こえてくる。
「…う〜ん。やっぱりど〜考えても危ないお仕事してるんだよねェ…」
マリーがため息をつく。その手に持った、血のついたボロボロのシャツを抱えて。
マリーは知っている。
パトロンとして学生とは思えないような研究費(本人は大貴族の娘だから資金も豊富とかのたまっていたが)をマリーに対して出資しているって他にも、
シャルが学長の秘密の研究室によく出入りしてるとか、夜中にモンスターと竜に乗って戦ってたとか、執行部並みにあちこちで目撃されているとか、色々。
「…けど、やめろって言ってやめる子じゃあないんだよねェ〜」
あの深く静かな情熱を秘めた瞳…あれはかつて、未熟だった自分が親友を助けるために初めてエリキシル剤を完成させたときと同じ瞳だ。
そんな瞳を持った子は…成し遂げるまでは簡単には折れないし曲がらない。
「…よっしこうなったら意地でも完成させる!そんでシャルちゃんを安心させる!」
パンと頬を叩いて気合を入れ直し、再び研究に打ち込むことにする。
「やってやろうじゃん!『ありとあらゆる病気、毒、呪いを治療できる、究極の万能薬』!伝説の2人の片割れを…錬金術師をなめるなヨ!」
決め台詞と共に、マリーの新たなる挑戦が始まった。
―――推薦状
学園世界長老衆代表 荻原宗一郎様
陰守推薦権限保持者として以下の二名を陰守に推薦する。
輝明学園所属 倉沢 桜花
軽子坂学園高校所属 赤根沢 玲子
トリステイン魔術学院学院長 オールド・オスマン直属陰守(シュヴァリエ・ド・オーンブルガルド)
シャルロット・エレーヌ・オルレアン
今日はここまで。
今回のテーマは「魔人皇側の物語」と「タバサ」
彼女は原作で言えばタバサの冒険第11話くらいの頃を想定しています。
北花壇騎士はやめてて、母さまを助けだしたけど、治ってない。そんな時期。
それ以降になると学園にそもそもいなくなってしまうので、そう言う事にしました。
学園世界にはとんでもね〜治療法、治療薬が大量にあります。死人でも蘇る《イドゥン》とか、完全回復可能なエリクサーとか。
それらを持ち帰れれば、お母様も助けられるんじゃないか?そう、考えたようです。
しかしながら、その手のものは高い(どの世界でも最高クラスとなるとかなりの貴重品です)
ならばお金が必要。そこで…と言う流れです。
その後、最高ランクの錬金術師と知り合い、彼女に作成を依頼しました。
今は報酬の9割以上をそれに突っ込んでます(残りはアイテムの補充や本の購入)
とまあ、私的なタバサの設定in学園世界はこんな感じです。さて、レス返し。
>>32 >さりげなく柊でも表層が限界ってちゃんと書いてくれたのは嬉しかったな
まあ、いわば本編クリア後の隠しダンジョンですからね。Lv10ちょいで攻略は難しいかと。
最下層まで行くには荻原校長やヴィヴィ先生級(Lv30くらい?)がきっちりパーティー編成する必要があるでしょう。
ちなみにこのパーティーだと一応桜花さんだけは表層でなら生き残れるレベルですが、他の2人にはまだ無理です。
…無理のある編成だし。
>守護者の幻影
死ぬよ!?桜花さんでも一撃だよ!?
ってなわけで今回は浅い表層での探索。それでも2階層上るのが限界でしたが。
>>35 そんなわけで、残念ながら今回は出番なし。代わりに一応NWのダンジョン探索っぽい場面も入れてはみました。
>>40 魔人が治るかは…どっちのが良いですかね?考え中。
ちなみに隊長殿は設定では柊に匹敵する実力を持つバリバリのディフェンダー/忍者です。
別名バランスブレイカー。中々出番が回ってこないのはそのためだったりw
>夜ねこさん
と、言うわけで頼みたいのは「居酒屋ろんぎぬすin学園世界」
一狼辺りはともかく、さっちんやエヴァは正体大々的にバラさなきゃ“表”に交流持ったり力を借りても良いってスタンスです。
アライメントが(TO的な意味で)カオスなのでw
ちなみにタバサ&シルフィードの凸凹コンビは出てこなくても無問題です。
まあ、気が向いたら書いてやってください。
90 :
罵蔑痴坊(偽):2009/05/03(日) 10:29:30 ID:EDn2rm/Y
投げっぱなしだった『オヤジ四天王』に、かこさとしの『どろぼうがっこう』の石川五右ェ門先生をお招きしようと考えていたら、ゼロ魔○×スレで出てきやがった。
……知名度はあるって事でいいのか?
『特別執行委員異聞:汝の食べた物を言い給え、汝の人となりを当ててやる』
さて、諸君。
緋室灯嬢は任務に就いたかね?後数時間は戻ってこないね?
柊蓮司「……何をキョドキョドしていやがる。この作者は」
有無、先日の「執行委員壊滅事件」を踏まえ、極生管理棟内に食堂を設けるべきだと思うんだ。
ほれ、委員の詰め所の近くならろんぎぬすの代わりにもなるし。
(ざわ……ざわ……)
柊蓮司「……確かに、緋室はいない方がいいな……」
ノーチェ「今まで無かったのが不思議なくらいでありますな……」
あ〜る「うん、ご飯を食べないとお腹がすいて怒りっぽくなって……」
ちゅるや「そこに、スモークチーズはあるかい?」
どうやら、賛同頂けているようだな。
と言うわけで、既に開店準備は整っている。見たまえ!この店内を!!
ベル「うぃ〜〜(ヒック)
酒が足りないぞ〜〜持ってこ〜〜い(空の酒樽を幾つも転がして)」
『中の人ネタだ――――!?』
柊「おいこらマテや、仮にも学生の身分で酒なんか飲んでるんじゃねぇよ!」
ベル「飲まずにいられるかってのよ!アレを見なさい!」
ベネット「アレって……アレでヤンスか?」(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
【ジャイアンディナーショー】
…………それは、究極の選択であった。
でなけりゃ後は……闇カレーで良いか?結構食えたぞ?(実話)
91 :
罵蔑痴坊(偽):2009/05/03(日) 10:30:59 ID:EDn2rm/Y
投下予告と順序間違えたー!?
長編作者さん、お2人とも乙です。
>>89 GJです。割り込み失礼しました〜。
出番無しですかー、残念w
おまけでたかり魔とか、変態嫌いの神官とか連れてきてくれると面白かったのにw
【何を期待していた?】
閑話休題。陰守、さらにメンバー追加ですか。
だんだん戦力充実してきましたな・・・・その一部でいいから執行委員に回してやれば、柊は寝られるだろうに・・・・。
【寝られてないのが前提】
93 :
罵蔑痴坊(偽):2009/05/03(日) 10:45:50 ID:EDn2rm/Y
>92
柊に、休まないといけない、と、思わせるような台詞はあるんだけど、誰に言わせるか……
「例えば機械部品が、一つだけ他の倍の強度を持ったとする。
すると、その周囲の部品にしわ寄せが来て、結果機械全体の寿命が縮まるんだよ」
『ARIEL』の岸田博士がこのような事を言ってらしたんですが。
>>93 原作的にはくれはかエリスかな。あかりんはむしろキリキリ働かせそうw
このスレ(クロス)的には、レベッカとか。リルカとか。かな。
95 :
罵蔑痴坊(偽):2009/05/03(日) 11:26:58 ID:EDn2rm/Y
>94
では、エリスが激辛カレーを食べる話を書いてください。
【馬鹿は地下スレから帰還した】
アンゼあたりに言わせると、それはそれで説得力はあるな。
97 :
夜ねこ:2009/05/03(日) 12:20:17 ID:d7JmxlKs
>>89 別に居酒屋ろんぎぬすは自分のものではないし、ノーチェ出さずともろんぎぬすは書けると思うの。
……ってのは、さすがにすっとぼけ過ぎかw
夜ねこにろんぎぬすの話をふるってことは、「よると〜」の舞台設定で話を作れるか?ってことですよね?
ノーチェがいて、スルーマスターがいて、益体もない話する感じの。
柊を休ませたい → 柊をミッションに参加させない → 柊が首を突っ込めない状況? → 柊、囚われのお姫様役に!
そして、他のキャラで助け出すというシナリオを…
【それだと柊は身体を休めていない!】
そうです。やっぱりノーチェが出てくる夜ねこさんバージョンかな、と
とはいえあくまでも出来ればなんでスルーされたらそれはそれ。
私は待つだけです。
世界の危機も出動も、柊だけが全部やってるわけじゃないからなぁ
よく書かれてるから印象に残るだけで、ちゃんと日に平均6時間くらいは寝てると思われる
>>100 任務中の睡眠も含めればそのくらいになるだろうけど休めているとは思えないんだが
執行委員自体はだれが増えてもいいと思うんだが
一応は「お人好し」「それなりに戦闘力もしくは処理能力を有する」「その力を使っても問題ない」人間って制約はつくけど、
そんなに秘密は気にしなくても平気だと思う
シエル先輩とか、ネギまの長瀬楓とか、いいんじゃね?
野郎成分が増えないのはなんでだ。
それはそれとして骨休め、なぁ……
学園世界鉱山区近くに温泉でも作るか?
一応執行部近くに銭湯はある設定だけど
【そーゆー問題ではない】
今まで正体隠していたけど、転移を機にみんなにばれてしまったというのも多そうだな
プロローグ?
「これが移動用大砲かでかいな。」
下がる男こと柊は新しく現れたアルレビス学園に訪問のために来たのだが、校庭で生徒たちが騒いでいるのが気になったので見に来ていた。
生徒の護衛が錬金術で誰でも使える空中移動手段として作ったらしい。
「師匠!座標の設定出来ました。」
巨大大砲を弄っている青い髪の13か14才くらいの少年が近くにいるサングラスをかけてグレーの背広を着た黒髪の長身の男に向かって言った。
「わくわくするよね!ラス君。」
少年の隣にいた白いへそ出しミニスカ服の黒髪の少女が期待に満ちた表情で少年を手伝っている。
「そうですねイリス姉さん。」
少年も嬉しそうだ。
「皆さんマスターの奢りです。どうぞ食べていってください。」
白を基調としたモスグリーンのメイド服を着た緑髪の若い女性が、生徒たちにお茶と日本の城の形をした大きいケーキを切り分けて振舞っている。
「うめえ!物体X作るようなうちの女子とは大違いだ!でもなんで日本の城なんだ?」
別の学校のオレンジ色のヘッドホンを肩にかけた生徒がさり気なくツッコミを入れつつ喜んでいる。
「あなたもどうぞ。」
「おぅサンキュー。」
柊はメイドから切り分けたケーキを貰う。
「インデックスが喜びそうだな。」
別にいた他校生徒がケーキを食べつつ呟く。
「ペットのお土産にどうぞ。」
指揮を執っていた男が生徒にケーキが入った箱を手渡す。
「イリスにフラグ立てたら殺す。」と一言付け加えて。
「ちょっ、上条さんは何もしてませんし近づいてませんよお父さん!」
「お父さん言うな。」
「師匠準備が終わりました。」
大砲を弄っていた少年が男に言った。
そして、メイドが大砲についてるドアを開ける。
「さて、空中遊泳を楽しみたい人はこのドアに入ってくれ。」
「あたしがいっちばーん!」
「やめろ離せ!馬鹿姉貴!」
ピンクポニーテールの少女が弟らしき嫌がる水色髷頭の少年を引き連れて大砲の中に入っていく。
「エトはともかく、エナの奴大丈夫か?」
と、見ていた水色髪の少年が呟き、
「さぁ?どうかしらね」
と、隣にいる金髪黒リボンツインテールのお嬢様が他人事のように言い、
「大丈夫だといいんですけど。」
青い髪で白を基調とした青が入ったメイド服を着た女性が心配する。
「よーし、誰かの役に立つならおいらもいっちゃうぞー。だっておいらは妖精さんだからねー。」
筋肉ムキムキ緑の服に緑の帽子を被った大男が嬉々として大砲に入っていく。
「さらばペペロン我が友よ。」
小柄の白ビーバーの着ぐるみが渋い声でしゃべった。
「ちょっと、ペペロン!先に行かないでよ!あたしも飛ぶんだから!クロエ、うりゅお願いね。」
赤いへそ出しミニスカ服の金髪少女が雪男ぽいぬいぐるみのような物をそばにいた茶髪の眼鏡少女に預けて大砲に入っていった。
「ウルリカ多分これ死亡フラグっ…て言ってももう無駄ね。」
「うーうー。」
走り去った少女を見て、クロエと呼ばれた少女はうーうーしゃべるぬいぐるみのような物を抱き抱えて呟いた。
「後、三人か…ではそこのジュネスのガッカリ王子と幻想殺しと下がる男入れ。」
スーツの男が三人を指名する。
「なんで俺のあだ名知ってるんだよおっさん!つうかガッカリ王子はやめてくれ。」
「どうして俺の右手のこと知ってるんだよ俺は嫌だぞ!」
「下がる男言うな!」
「問答無用。」
男は一瞬で姿を消し、突然現れ生徒二人の襟首捕まえて大砲の中に強引にぶん投げる。
「うわぁああぁぁ!」
「ちょっおまっ!」
4メートルほど投げ飛ばされて二人ともドアの中に入る。
「ちょっと痛いじゃない!」
「危ないよう!」
中から文句が聞こえるが投げた男は完全に無視する。
「ちょっと待て、なんか嫌な予感がするんだが。」
柊の予感は間も無く的中することになる。
男は柊の言葉を完全に無視して柊の手を掴んで強引に投げる。
「うおっ!」
ドアに吸い込まれるように柊は大砲の中に入った。
「痛てぇ!」
「ぐはっ!」
「7名様お入りになりました。」
メイドが大砲のドアを閉めて鍵をかける。
「ちょっと待て!なぜ鍵を閉める。」
大砲に入ったエナ少年が危機を感じ取ったか慌て始める。
「さて、みなさん今回初めて人間を飛ばすことになったが、まぁ見ててくれ。」
男が大砲の前に立ち見ている生徒たちに言った。
「それってヤバくないか?」
「おいおい大丈夫なのか?」
生徒たちに動揺が広がり始める。
「ねーねーこれ失敗したらどうなんの?」
無邪気に大砲の中にいるピンク頭の少女エトが言う。
「大したことことじゃない、血と肉片の花火が上がるだけさ。」
大砲の外にいる男は些細なことのように答える。
「ファミ通の攻略本くらい安心していい。」
「泥船に乗った気分でいてくださいね。」
男とメイドの言葉に対して、
「「「安心できねーよ!!」」」
ツッコミ担当のガッカリ王子と幻想殺しと下がる男が同時に叫んだ。
彼らのツッコミが切欠になり、
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!降ろしてぇ!」
「冗談じゃないぞ!どうしてくれんだ馬鹿姉貴!」
「ちょっと待ってよ!降ろしてよ!」
「この壁ビクともしないよう!誰か助けてよう!」
「不幸だぁぁぁぁ!」
「誰か防御魔法使える奴いないのかよ!」
大砲に入ってる人たちが中で騒ぎ始める。
「師匠本当に大丈夫なんですか?」
ラス少年が不安そうに男に尋ねる。
「マネキンで実験を繰り返したから大丈夫だし、殺しても死なない連中を選んだから大丈夫だろ。」
と言いつつ男は導火線に着火する。
「どきどき。」
イリスが期待して待つ。
そして、無慈悲にも大砲を轟音を上げて中にいる人たちを打ち上げた。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「不幸だぁぁぁぁぁぁぁ!!」
こうして、打ち上げられた人たちは星になった。
「あいつら無茶しやがって。」
水色髪の少年が腕を組みつつ言った。
「彼らなら大丈夫でしょ。ロゼ、ウィムアトリエに戻るわよ。」
「はい、お嬢様。」
「わかった。」
ロゼと呼ばれた少年とウィムと呼ばれたメイドを引き連れてお嬢様はその場から立ち去る。
「ペペロン、お嬢ちゃん、君たちのことは忘れない。」
「さっ行きましょ。」
「うーうー。」
着ぐるみの人とぬいぐるみのような物を抱いた眼鏡少女が立ち去る。
「逃がさん、エグザズノシス・アクシオーマ・デイテロン…滅界剣 不動。」
なぜか黒髪から緑髪に変化したスーツの男が呟くと男の周りに赤い剣が12本現れ空中に浮かびつつ男の周囲を回転し始める。
そして、12本の剣が宙に飛び上がり、剣が約7mに巨大化して生徒たちを囲む形で地面に突き刺さった。
「師匠!?」
「マスターさん!?」
イリスとラスが男の突然の行動に驚く。
「マスターは、さーて、お父さんどんどん飛ばしちゃうぞーとつゆだくを注文するかのように実験を続けるそうです。」
メイドが無表情にノリよく男の代弁をする。
「ユーヴェリア、一曲頼もうか。ここはオープニングが相応しい。」
髪が緑色に変わった男はメイドに頼む。
「はい、マスター。My Silly Daysですね了解しました。」
メイドはスカートの中からエレキギターを取り出し構える。
「さて、どんどん打ち上げてデータを取るかイリスの肌に傷がついたら困るしな。」
男は阿鼻叫喚になった校庭を瞬間移動を使いながら生徒たちを追い掛け回し大砲に詰め込んでは打ち上げ始めた。
そして、メイドがギターをテンポよく弾き始める。
アンプも無いのに音が出る上に他の楽器の音も聞こえるのは不思議だが。
「ありったけのガラクタをつめーこんだ アトリエの窓にうつーった気まずそうなひーとりー♪」
アルレビス学園は今日も平和です。
空気を読まずに投下
タイトルはマナケミア2のラスボス曲から拝借
今回の登場人物 順不同
下がる男 柊 (下がる男)
学園代表執行部員 ロゼ(マナケミア2主人公)
学園代表執行部員補佐 ウルリカ(マナケミア2主人公)
ウルリカのペット?心のマナ うりゅ(マナケミア2)
ぷにフェチ変態お嬢様 リリア(マナケミア2)
どじっこメイド水のマナ ウィム(マナケミア2)
黒いお姉さん クロエ(マナケミア2)
フラグブレイカー 上条さん(禁書目録)
ジュネスのガッカリ王子 花村陽介(ペルソナ4)
少年錬金術師ラス (イリスのアトリエ2オリジナル要素含む)
マナの姫君 イリス(イリスのアトリエオリジナル要素含む)
魔人の錬金戦士アゾットマスター(イリスのアトリエ2オリジナル要素含む)
深緑のアゾット ユーヴェリア(イリスのアトリエ2性格に若干の変更とオートマタを剣に変更)
二人入れるの忘れていた
ガチムチ妖精ペペロン(マナケミア2)
能登半島の虎こと着ぐるみ紳士ゴトー(マナケミア2)
「それってヤバくないか?」
「おいおい大丈夫なのか?」
と言ったのはマナケミア2のモブキャラの不良生徒コンビのマックスとヴォルフ
注)マナケミア2はモブキャラもみんな名前があります
用語解説
大砲 イリスのアトリエグランファンタズムに出てきた移動用大砲
ホワイトセパレート 白いへそ出しミニスカ服イリスの普段着
風雲おかし城 アトリエシリーズ恒例のお菓子
ファミ通の攻略本 大丈夫?ファミ痛の攻略本だよ
エグザズノシス・アクシオーマ・デイテロン イリス2とイリスグラファンに出た技能で
物質変換やアゾット剣の増殖に使用したエグザズノシスの強化スキルでアゾット使いにしか使えない
滅界剣 不動 イリスグラファンに出た滅界剣 無双を防御専用に使ったガードスキルでオリジナル
柊休ますに小理屈は要らぬ、
ウィッチブレード改造した魔剣をメンテに出せば良いじゃない。
問題は、何処に任せるかだな・・・・・・
『柊の魔剣』ってーと学園世界でもかなり有名な銘剣だから、
技術者や研究者や錬金術師系な生徒達には弄れる機会が有れば
垂涎物だろうからなぁw
・・・・・・へ? オクタに外部発注すりゃ良いんじゃね?って?
Σそれじゃあ面白くないじゃあないかっ!w
柊に呪いをかける
目を覚ますにはお姫様のキスが必要です
>>111 魔剣持たぬ魔剣使い=使いは役立たず
と柊自身過去発言で認めてるからな。
魔剣が使えない状態では直接戦力的には柊は無能になります。
ま、それでも皆の心の支え的に柊の大事さは変わらないだろうけれど、
現場で使えない柊ならいっそ魔剣がメンテから上がるまで
良い骨休め期間に
出来るんじゃない?って柊と旧知の人達なら直ぐに提案出来るだろうし、
その理由を話せば他作品のキャラ達も柊自身も納得するだろうからね。
>>113 いや、さすがにどこに預けるにしても箒の本職以外に預けるのは不安だろうから
ついて行って延々ツッコミ入れて疲れて帰ってきそう、という意味で休暇にならない、と言ったんだが……
箒が戻ってきたら各学園の超絶技術で魔改造されてました、かと思った
と言うか、色々捻った理由じゃ無く案外、
単なる風邪で寝込んでたってしょーもない理由で強制休養とかでも駄目なんかな?
で、入れ替わり立ち替わり、各作品のキャラが柊の見舞いに来たり、
ヒロイン間で柊看病争奪戦とかw・・・・・・って、やっぱり柊の精神は
休めないわな、これじゃあ。
>>114 つ ヴィヴィ先生
手っ取り早いのは開発部だけど、さすがに回したら魔改造されそうだな。ボン太君BE見る限りw
授業時間中も活動できる執行委員が増えればいいんだけどな。
さすがに学園物で、授業時間を無視できるキャラはそうそういないしなぁ〜
シエル先輩にご出馬願うか?あの人もその実なんちゃってだし、実年齢は
【バカは黒鍵でハリネズミになった】
大学生あたりは比較的時間に余裕ありそうだがなあ
そろそろガンパレ陣の出番か>授業時間無視で活動
そーいや、ちょっと気になったけど柊がここまで酷使されてるって事は輝明学園生徒で柊以上のキャラクターは学園世界に来てないって認識でいいんかな?あ、校長とかは抜かしてね
いや、10レベルぐらいなら輝明学園に腐るほどいそうだからさ
>>110 柊の魔剣は神殺しなんて噂だけが一人歩きしてる“迷”剣だけどなw
>>121 突き放すような物言いで大変申し訳ないんだけどさ
柊が酷使……っつーか、多くの作者氏に使われるのも色々理由がある
キャライメージはパーソナリティキャラよりもリプレイキャラの方がよっぽど共有しやすいとか
そもそもこの板のこととか。
1つの執行を1セッションと数えると柊のレベルが恐ろしいことになる、なんて考え方もあるな
これはかなり好き嫌い分かれるし、自分もあまり考えたくない考え方だが
ともあれ、その辺の事情を考えることなく、さらに桜花出してる人がいるにも関わらずそういうことを言うのなら
自分で書いてみればいいのではないか、としか言いようがないけど
おひさしぶり。
最近、ウェブ上でエル=ネイシアのリプレイを見つけて機嫌のいい作者が「月と星と柊と」第12回を投下します。
学園世界での柊の休暇ですが、これは“絶対無理”ですね。本人が好きでやってんだし、常に人手足りてませんから、
「休め」って言う事は「困ってる人を見捨てろ」って言ってるのと同じ事ですし。
「箒がない? 身体を壊す? だから何だってんだ。困ってる奴がいるんだろ? なら、助けに行くのは当たり前じゃ
ねーか!」
こんな感じで止まらないでしょうね。柊に向かって、悪役に「お前は“困ってる人を絶対に見捨てない自分”という虚
像に酔っていたいだけで、本当は他人の事なんかどーでもいーんだろ?」みたいな事を言わせた俺が言うのも何ですが。
日常的なトラブルの解決に毎回毎回世界最強(と言われている)ウィザードが出向くのもおかしな話ではありますが、
休ませたければ平和になった事にするしかないでしょう。それか、みんなして「平和になった」という嘘をついて騙す
か。(そして、後でバレて・・・)
エルヴィデンスと冥魔七王の力関係は冥魔七王の方が有利だと思ってましたが、今号のGFで意識が変わりましたよ。
例えるなら、水戸のご老公と当時の老中の力関係と言うか。冥魔七王のが冥界軍首脳部に近いだろうけど、セルヴィの
が実力も実績もダンチだったんで、たぶん、冥魔七王より古女王のが威張ってるでしょう。
このSSのエルヴィデンスが柊vsエンダース戦の顛末を知ったらどうなることやら。
以下 解説
クロス先:超女王様伝説(アンゼロットのデビュー作)、「セブン=フォートレス」シリーズ
ゲスト・キャラ
○古女王(エンシェント★クイーン)エルヴィデンス/セルヴィ
アンゼロットの父・地神に封じられた古代神。きくたけ史上最初に登場した古代神であり、現状、最大の戦果の持ち主。
というか、天界に対してマトモな脅威となっている唯一の古代神。(他は出番がないか人間に倒されるかどっちか)
公式展開でエルンシャを倒し、アンゼロットの故郷・第三世界エル=ネイシアを奪っている。
当SSではベルの写し身を依り代にして自らの写し身・闇風姫(シャドウ★ゼピュロス)を顕現させ、本体の封印を解
く鍵としてアンゼロットを狙う。
シャドウ★ゼピュロスとしての姿は設定年齢15歳の黒髪黒翼の美少女で、守護天使級(推定L60)の戦闘力を持つ。
○星王神エルンシャ
第三世界エル=ネイシアの世界の守護者にして星の錫杖の造り手。寛大なる慈父神であり、アンゼロットの初恋の相手
でもある。
復活したエルヴィデンスによって身体を砕かれたが、公式展開では配下の神姫たちを指揮して絶賛リベンジ中。
当SSでは柊を依り代にし、無限とも思える治癒力でエルヴィデンスに対抗する。
○冥姫王プリギュラ
冥魔王。右目を薔薇の眼帯で覆い、茨を思わせるレースを飾ったゴスロリ・ファッションを纏った黒髪の少女。
エルヴィデンスの盟友だが、適度に足を引っ張ってから手助けをして、自作自演で恩を押し売りしようと考えている。
彼女のみ、セブン=フォートレス メビウス エル=ネイシアから参戦。
○闇海姫(シャドウ★ネプチューン)
エルヴィデンスに育てられたエルンシャの娘。薄桃色の髪をポニーテールにまとめ、海魔を象った鎧に身を包んだ幼女。
原作では生き別れの姉妹と殺し合わされ、敵方の姉妹に味方の姉妹を殺され、自らも、母になってくれたかもしれない
女性を二人も死に追いやり、最期は味方に裏切られて殺された。その一生は経歴だけ並べると悲惨極まりないが、本人
も周囲にいる者も誰一人として気にしていないので陰惨な印象は全くない。
当SSでは魔王デスノートの力で復活。一度は柊を圧倒したが、不完全復活状態で魔力のリミッターを外した為に身体
が自壊し、倒れたところをプリギュラに回収された。
○星精霊
超女王様伝説TRPGの選択可能種族リストに乗っていたエルンシャの眷属。カラー口絵でエルンシャの周りにいる糸目
のキューピーたちがコレだと思われる。
当SSでは変は語尾で話すが、そうゆう個体もいるというだけで、これが種族のスタンダードな訳ではない。
普段は透明で、血を吸ったときだけ赤くなって目に見えるようになる・・・のは名前のよく似た別の種族。
では23時55分から投下します。
【神話時代 エル=ネイシア 惑星間宇宙】
虚空に浮かび、瞬かぬ星々の光に照らされた石造りの巨大神殿。その入り口前の階段に、巡回任務から帰還した星精霊たちの報告を
受ける美貌の青年神― 第三世界エル=ネイシアの世界の守護者・星王神エルンシャの姿があった。
「星王神さま。惑星規模の瘴気塊を見つけたでスター」
「星王神さま。風星周辺で精霊獣を見かけたでエステル」
「星王神さま。皇王星付近に冥界門が開いたでシュテルン」
「よくぞ知らせてくれた、我が愛しき星精霊たちよ」
エルンシャは整った貌を引き締めて頷き、右手に持った星の錫杖を星精霊の一人が指差す方向へ― 瘴気の吹き溜まりへと向けた。
「滅せよ」
一言呟くや、星の錫杖から一筋の光条が放たれる。地上からは彗星のようにも見えるそれは、冥界から立ち上り蟠った瘴気を包み込
み、瞬く間に浄化し尽くしていき― その光景を見つめながら、エルンシャは誰にともなく呟いた。
「キリが無いな。アンゼとイクスは二人でこれを遣りながら、同時に地上の管理もしていたのか。それでは、過労で倒れるのも当然だ」
「ええ。だからこそ、エルンシャ様に来ていただいて、わたくしもイクスも大変感謝しているのですわ」
突然声をかけられ、驚いて振り向いたエルンシャに、アンゼロットは花が綻ぶような笑顔を向けてケーキとティーセットを入れたバ
スケットを軽く持ち上げて見せた。
「お疲れ様です、エルンシャ様。今日はシフォンケーキを焼いてみました。召し上がって戴けませんか?
それと、風星の精霊獣はここに来る途中でわたくしがぺちっとへち倒してきましたから安心してくださいな」
「おお、ありがとう、アンゼ。今、冥界門を閉じてしまうから少し待ってくれないか」
エルンシャは錫杖の飾りを変形させて内部に一つの銀河を収めた宝玉を顕わした。そして、地上からは超新星にも見える、だが決し
てアンゼロットの左目を晦ませることのない柔らかく暖かい輝きを放つ巨大な光球を作り出し、エル=ネイシアを隅々まで照らし出す。
「我が錫杖に込められしは・・・・・銀河」
エルンシャは遥か皇王星の衛星軌道上に開いた冥界門に向けて錫杖を一振りし、数天文単位の距離を数秒で横断した浄化を齎す光球
は、狙い過たず冥界門を撃ち抜き、一瞬にして消滅させた。
「これでしばらくは冥魔が迷い込むこともないだろう。では、アンゼ。遠慮なくケーキをいただくよ」
成果に満足したエルンシャはケーキを一切れ掴み取ってはぐはぐと頬張り、アンゼロットに微笑んだ。
「うん、おいしいよ、アンゼ。もう一切れもらおうかな」
「ええ、どうぞ。全部食べてくださいな。さ、星精霊たち。あなたたちもお食べなさい」
「ありがとうでスター!」
「いただきますでエステル!」
「とってもうれしいでシュテルン!」
背中に小さな翼を備え、頭上に光の輪を浮かべた、金色の巻き毛も愛らしい仔猫ほどの大きさの糸目の赤子の姿をした星精霊たちは
歓声を挙げてケーキに群がり、その光景をエルンシャは、穏やかな表情で微笑ましく見守り。
そして、アンゼロットは、その青年の姿をした神の美しい横顔に、目を奪われて陶然とした。
エルンシャはとても美しい。
慈愛に満ちた眼差し
包容力を感じさせる声
逞しい胸
文字通り神の手で創られた、男性美の結晶だ。
父親とエルンシャ以外の男性を見た事がないアンゼロットには、彼よりも美しい男がいるとはとても思えなかった。それに、美しい
のは外見だけではない。その心もまた、美しかった。優しく、寛大で、思い遣りに満ちていた。
>>122 あー、スマン酷使ってのは上で語られてる学園世界での活動的な意味で使ったんだ。作品とか作者氏に柊が使われる云々じゃなくてね
今見たら色々俺の言葉足りなかったけど、俺が言いたかったのは校長とか桜花とかパーソナリティーキャラじゃなくて
輝明学園というか、ナイトウィザードの特性上ケイオスでベルに起こされたレベル10の落とし子とか、オーバーナイトで節制の宝玉集めしたキャラとか、アステートの転生体の一人とか、六柱の巫女争奪戦のウィザードとか
名前はなくても輝明学園にいるだろうとされる高レベルウィザードは来てないのかな?って疑問だったんだ。
そいつらを作品の主要メンバーにするとかじゃなく、柊が休める理由で“そういう奴ら”に今日は任せて休日とか出来ないかな?って思ったんだ
まぁ、自分が書けばいいってのはその通りだと思うけど
最初に差し入れを持って来たとき、アンゼロットは緊張のあまり、熱いお茶を零して彼にかけてしまったが、彼は一言も彼女を責め
はなかった。
寧ろ、アンゼロットが火傷をしていないかどうか、そちらの方を気にしていたのだ。
そして、何度も会いに来るうちに気の大きくなったアンゼロットは次第に彼に甘えたり我儘を言うようになったが、彼は何時でも何
でも言う事を聞いてくれたのだ。
「エルンシャ様ー、だっこー」
「おう、よしよし」
「んー、ちゅーしてー、むちゅー」
「ああ、分かったよ、アンゼ」
(ああ、アンゼ様、すっかり幼児退行してるでスター)
(なんちゅーか、らぶらぶバカップルっちゅーよりも、甘えん坊な幼女とだだ甘な叔父さんって感じでヤンスなぁ)
(アンゼ様は、こないだ過労で倒れたばかりで病み上がりなんで、プラーナが足りてないでエステル)
(赤ん坊とゆーのは、愛と安らぎに満ちたプラーナを最も効率よく吸収できる形態なんでシュテルン)
アンゼロットは目を閉じて軽く顎を上げて唇を突き出し。
エルンシャは、アンゼロットの前髪をかき上げて優しく額に口付けた。
「逃げたー! ギリギリで逃げたでスター!」
「てゆーか、ナニをDoすりゃいーのか、まったく分かってないでエステル」
「エルンシャ様のアンゼ様への愛は、混じりっ気なしに純粋な神の愛なんでシュテルン」
「そこ、うるさいですわよ」
囁き交わす星精霊たちに気付いたアンゼロットは居住まいを正し、バスケットからティーセットを取り出した。慣れた手付きでお茶
を淹れ、石造りの階段に並んで腰掛けたエルンシャに勧める。
「はい、どうぞ。今日のお茶はミルクティですわ」
「ありがとう、アンゼ」
エルンシャは礼を言って受け取ったミルクティを一口飲んで微笑み。
その笑みがあまりにも眩しくて。
アンゼロットは朱に染まった頬に手を当てて目を逸らした。
「エルンシャ様も大変ですわね。ずっと虚空を漂って、瘴気の浄化を続けているのですもの」
「君とイクスが交代で差し入れをしてくれるお陰で、随分と助かっているよ。それに、これも至高神様たちが幻夢界を完成させるまで
のことだ。闇界・冥界を封じる蓋が出来れば、私も地上の管理を手伝いにいけるだろう」
「ええ。その日を楽しみにしていますわ」
アンゼロットは応え・・・・・・星精霊の頭を優しく撫でるエルンシャの手に、目を留めた。
綺麗な、手だった。
一度も、剣を握ったことのない、手。
一度も、血に濡れたことのない、手。
一度も、誰かを殴ったことのない、手。
冥魔を殺すためではなく、皆を慈しむためにある、手。
アンゼロットはエルンシャから目を離し、肘までを覆う、黒く長い手袋をはめた自分の両手を見下ろした。
長年に渡って武器を振るい続け、硬くなった手。
幾度となく、血に濡れた手。
何千体もの冥魔の臓腑を抉り、頭蓋を握り潰してきた手。
人の子らを慈しむためではなく、敵を殺すために鍛えられた、手。
(手だけでは・・・・・・・・・・・ありませんわね)
そっと、前髪を撫で付け、右目を ― 冥界の魔力を導く金色の邪眼を ― 隠す。
星の錫杖が放つ、浄化の光を遮るために。エルンシャの視線を、避けるために。
「どうしたのだ、アンゼロット?」
その仕草を見咎め、エルンシャがティーカップを口元に運ぶ手を止めた。
「いえ、その・・・・・・ご存知のとおり、わたくしの右目は邪眼です。もしもエルンシャ様のお目に触れて何かありましては・・・・・・・・・」
「恥じることないよ、アンゼロット」
慌てて右目を押さえるアンゼロットに、エルンシャは暖かく力強い手を伸ばし、優しく頬を撫で、右目を覆う前髪を除けると銀の双
眸でアンゼロットの金色の右目を覗き込んだ。
「君の瞳は美しい。人々の安息を願う、君の優しい心を映し出している。それに、この手も」
逞しく、包容力を感じさせる手がアンゼロットの手を取って手袋を外し、エルンシャは自らの頬にアンゼロットの手を当てた。
「この手は、皆を守ってくれた手だ。人の子らを慈しむためにあるものだ。私やイクスや、星精霊たちや至上神様のためにケーキをつ
くってくれる手だ。君は、世界の守護者だ。死を与える戦女神ではなく、安らぎを与える女神なのだ」
「エルンシャ様・・・・・・・・・・」
アンゼロットは潤んだ瞳でエルンシャを見つめてゆっくりと身を寄せていき、エルンシャは彼女を優しく抱き締めた。
(エルンシャ様、全力全開でアンゼロット様を口説いてるでスター)
(いやいやいや、アレだけやって本人は口説いてる自覚ないでエステル)
(てゆーか、エルンシャ様は慈愛の神だから、なんかよく分からないけどアンゼ様が急に落ち込んだんで慰めてるだけでシュテルン)
傍でケーキを貪る星精霊たちの交わす言葉を気にも留めず、エルンシャはアンゼロットに囁いた。
「アンゼロット。私はね、まだ、人の子らを見た事がないのだよ。ずっと、ここで瘴気の浄化をしているからね。それでも。私は、自
分が何を守っているのかを決して忘れはしない。それは、君と“イクスが”会いに来てくれるからだ」
「ソレは湿原でスター!」
「ココで他の女の名前出しちゃダメでエステル!」
「今のでアンゼ様は大変ご機嫌を害されたでシュテルン!」
「ん? 何か気に障る事を言ったかな、アンゼロット?」
「いいえ。何も」
急に騒ぎ出した星精霊たちに困惑したエルンシャから身を放し、アンゼロットはすっと表情を引き締めた。
「お邪魔して申し訳ありませんでした、エルンシャ様。もう行かなくてはなりませんわ」
「そうだな。お互い、そろそろ仕事に戻らねば。もう少し、ゆっくりと話せる時間が取れれば良いのだが」
「お父様が戻ってくれば、きっとそうなりますわ。では失礼いたします」
エルンシャの前を辞したアンゼロットは光速で自分の神殿に舞い戻ると、真っ直ぐに厨房に飛び込んだ。材料をチェックし、新たな
ケーキのアイデアを練り、闇の精霊たちに命じて足りない材料を取ってこさせ、猛然と調理に取り掛かる。
「負けませんわよ、イクスィム! 絶対に、エルンシャ様は譲れませんわ!」
その頃、地上で。封印された古代神が復活しつつある事など、露とも知らずに。
うっぎゃぴー?!リログしたはずなのに!?
すみませんの気持ちを込めて土下座支援
【現代 忘却世界 ラグシア城跡 100階ダンジョン最下層 元・エンディヴィエ封印の間 入り口付近】
(あの後・・・・・・・・帰ってきたお父様は地上の荒廃に激怒し、エルンシャ様を引き裂いて聖姫たちに作り変えたのでしたわね・・・・・・・・・)
更にその後、紆余曲折を経て彼は蘇ったが、再度復活した強大な古代神を一人で相手取れる筈もなく、古女王に倒され、今に至る。
(あの女は・・・・・・・・・・わたくしの手で倒さなければなりません)
通路の奥。曲がり角の向こうから新たな冥魔の一団が現れたのを認め、アンゼロットはやや脚色された回想から眼の前の現実へと意
識を戻した。まずは冥魔たちを倒さなければならない。戦姫に指揮された下僕は、本来の力を遥かに超える脅威となるのだ。
柊に戦姫の相手を任せはしたが、今日の柊に運命の加護はない。実力とおりに闘い、実力とおりに負けるだろう。だが、エルンシャ
が共にいるのだ。死ぬことだけはありえない。自分が行くまで、足止めさえしてくれればそれでいい。
「コイズミ!」
「ロンギヌス・ビーム!」
ロンギヌス・コイズミの放った光は、カバーリングに入ったトータスの鏡のような甲羅に跳ね返され、コイズミ自身の胸を打つ。
「くっ!」「よくやりました、コイズミ!」
ディフェンダーが囮にひっかかった隙を突き、月女王の繰り出した範囲攻撃魔法が冥魔の群れを薙ぎ払う― かと思われた、瞬間。
冥界の銀で作られたゴーレムが空間を歪めて攻撃を収束させ、総ての威力をその身に集め、ただ一人、灰燼と化し、そこに捻れた樹
怪が蘇生の光を浴びせて復活させた。
「くっ! やはり範囲攻撃は効果が低いですわね・・・・・・・・・黒き刃よ、敵を切り裂けい! 『ダーク=エッジ』!」
アンゼロットは呻き、闇の刃を生み出して。
手近にいた冥魔ヘドロンガーに斬りつけ、一太刀で首を刎ねた。
「どうやら、一体づつ仕留めていくしか― っ!」
頭部を失った冥魔の身体はヘドロの山と成り果て、崩れ落ちるも、床に落ちた頭部は切断面から手を生やし、アンゼロットの足首に
爪を立てていた。
「アンゼロット様! 今行きま― しまった!」「ガッデム!」
慌ててかけよろうとしたコイズミの脚を樹怪の根が絡めとって動きを封じ、黒い火トカゲが炎を吹き付ける。
アンゼロットはコイズミに防御魔法を飛ばしながら刃を振るって冥魔に止めを刺し、コイズミも樹怪の根をビームで焼き切って後退
し、額に冷や汗を浮かべて問いかけた。
「アンゼロット様! 冥魔とは斯様に士気高く、連携を取って襲ってくるものなのですか?!」
「いいえ! この冥魔たちは古代神が思念を送って指揮しているのですわ。下僕の覚悟と連携と、冥魔の力を兼ね備えた強敵です。
コイズミ、くれぐれも気を抜いてはなりません!」
「はっ! 承知致しました!」
広間に通じる通路で迫り来る冥魔の群れを向かえ討つ。広い場所で戦えば数で劣るこちら側はたちまち取り囲まれてしまう。なんと
しても、この狭い通路で倒さなければならないのだ。
「我が鞭を受けられるか!」
アンゼロットの振るう魔力の鞭がダーク・サラマンダーの背骨を打ち砕く。しかし、冥魔は最期の力を振り絞り、炎の魔力を込めた
視線で彼女を“視”た。
「効きませんわ!」
片手を振り、パァンと魔力を弾き飛ばし。その一瞬を突いて殴りかかった冥界の銀で作られたゴーレムの一撃をカバーに入ったコイ
ズミが受け止めて。程無く、アンゼロットの攻撃が冥魔たちに止めを刺した。
「はぁ、はぁ、はぁ。や、やっと、片付きましたな、アンゼロット様」
「え、ええ・・・・・・・思ったより梃子摺りましたわね」
呼吸を整える二人の身体には、無数の小さな傷があった。その殆どが、倒したと思った瞬間に最期の力で反撃されて受けた傷だった。
「これが・・・・・・・かつて、エルヴィデンス自身が不覚をとったという最強の下僕技、“一人1hp削り”。自分がされる側になってみると
凄まじくうっとおしいですわね」
「柊様と戦いながら、知性が無い筈の冥魔の群れをここまで統率するとは・・・・・・・・・以前、戦姫の最大の能力は数を力に変えるところだ
と聖華姫が言っていましたが、我が身で実感致しました」
個々の冥魔の能力はアンゼロットの敵ではなかったが、連携し、出し惜しみせずに力を絞り尽くすことで無視できないだけの被害を
与えていたのだ。だが、それももう、終ったようだ。アンゼロットは通路の奥の様子を伺ったが、最早、冥魔の気配は絶えていた。
「どうやら、今の一団で最後だったようですわね」
「はい。では、いよいよ柊様たちの援護に向かいましょう!」
二人は広間の方へと視線を向け― 悲鳴を上げた。
戦姫の手に握られた神殺しの魔剣が、本来の持ち主の胸を貫いていた。あれでは、その身に宿った星王神も・・・・・・・・・
「そんな・・・・・エルンシャ様・・・・・・・・」
胸の中を、冷たい風が吹き抜ける。眩暈がする。眼の前が暗くなる。床がせりあがってきて―
『リザレクションソウル』
「えっ?」
暖かく落ち着いた、包容力を感じさせる力強い男の声が耳を打ち、柊の命の灯が再び燃え上がり、その手の魔剣が跳ね上がり、戦姫
の脇腹へと突きたてられた。
「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!」
「――――――――――――――――――――――――!」
柊は雄叫びを上げ、戦姫の脇腹へと強引に魔剣を捻じ込み、ありったけの命とプラーナを注ぎ込み。
エルンシャもまた、魔剣を通じて瘴気を消し去る浄化の光を戦姫の体内に流し込む。
戦姫の全身が内側から白く淡く輝き、其の身を包む瘴気が薄れゆくのを認め、柊は更に刃を押し込んだ。
戦姫の左手が魔剣の刃を掴んで固定し。
戦姫の右手がウィッチブレードを振り上げ、柊の左手がその手首を掴んで押し止め。
二人の視線が、ぶつかりあった。
「はっ、私に一刺しくれた事は褒めてやる。今の一撃、中々のものだったぞ」
「へっ、ありがてぇこった。じゃ、ご褒美に俺の魔剣返してくれよ」
「そうはいかんな。たった今から、貴様の事は道具ではなく障害物として認識するぞ」
エルヴィデンスは掴んだ魔剣を力ずくで傷口から引き抜き、裂けるような笑みを湛えて柊を見た。
「しかし驚いたぞ。レベルや学年がひとつふたつ下がった程度で身も世もなく泣き喚く腑抜けが、如何にエルンシャの治癒力を当てに
したとて一旦死んで見せるとはな」
『まあ、本来の力を99%以上封じられた状態で、単身、世界を相手取って勝ったお前にとっては柊君の苦難も苦労の内に入らないのか
もしれないが、人の子にとってはとても大きな痛手なのだと思うよ。それを乗り越えた柊君の意思力を甘く見たな、エルヴィデンス』
「ああ、そのようだな」
古女王はエルンシャの言に同意し、柊の目を見つめて問いかける。
「何故、其処までする、柊蓮司? 貴様は別に、アンゼロットに忠誠を誓っているのでも、惚れ込んでいるのでもないのだろう?」
「俺は仲間を見捨てねぇ! 俺の仲間に手を出す奴は、絶対に許さねぇ! それが、総てだ!」
柊は叫び、今一度魔剣を押し込み、生命を注ぐ。全身の毛細血管が破裂し、柊の姿が真紅の霧に包まれる。一瞬後、その血煙は魔剣
へと吸い込まれ、晶の魔剣は歓喜の声を上げて刀身に刻まれた魔術文字をより強く光らせた。
「おっ、おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」
「ぐっ・・・・がっ・・・・・・・・・ッッ! このッ!」
戦姫の黒翼が左右から柊の脇下を打ち据え、肋骨を砕く。
折れた骨が突き刺さり、破れた肺から血が溢れ出る。熱いモノが喉をせりあがる。
ゴボリ、っと柊の吐いた血塊が晶の魔剣の宝玉を濡らし、更に、より一層輝きを増し、戦姫の手を灼いた魔剣を
柊はより深く、力任せに捻じ込んだ。
「やれ、エルンシャ!!」
『おおッ!』
一際眩い閃光が迸り、広間を白く染め上げて。
そして、その光が消えたとき。
そこに、黒翼の戦姫の姿は、なかった。
「結構、苦戦してるわねぇ、セルヴィ。わらわも手伝おうかしら?」
「いや、要らぬよ。エルンシャが復活した時点でこの計画は捨てている。後は遊びだ。こうしている間にも、第三世界では私の下僕達
がアンゼロットを迎え撃つ準備を進めている。丸一日、時間を稼げただけでも収穫はあったのだ。アンゼロットとの決着は向こうで着
ける。今日のところは十年前に遣り損ねた遊びを楽しむだけよ。アンゼロットの自害によって味わい損ねた、奴との闘争をな」
空間転移で上の階に逃れ、癒しの風に身を包んだエルヴィデンスは喉の奥でクククッと愉しげに嗤い、脇腹の傷を撫で回した。
「其れにしても、生命力を攻撃力に変換する柊蓮司と無限の治癒力を持つエルンシャか。あの二人、片方だけならどうという事も無い
が、組み合わさると中々楽しませてくれるわ。ところでプリギュラ」
「なぁに?」
ぐったりとした闇海姫を両手に抱えて寄ってきたプリギュラに、一転して疑わしげな視線を向け。
「奴等の仲間の攻撃によって、このダンジョンは1階から最下層まで吹き抜けになっているが、私の呼び寄せた冥魔達がこの穴を利用
しないのはどうした事だ? 飛行能力を持つ者もいた筈だが?」
「わらわじゃないわよぅ。アイツがなんかやったんじゃないのぉ?」
言外にお前の仕業かと問う古女王に冥魔王は笑って返し。
その視線を追った先には、熊の縫いぐるみを抱えた黒髪の幼女が立っていた。
「そうか、貴様か、寝ボスケ。運命の名の下に魔王と人間達を弄び、七つの人間界と天界の同胞達を見捨てて惰眠を貪る下種めが」
「・・・・・・・・・ひどい言われようだね。それはともかく、貴女がどんなに強くても、柊のお兄ちゃんは絶対に負けないよ、エルヴィデンス」
侮蔑も露に睨みつけ、忌々しげに吐き捨てるエルヴィデンスに、一旦、肩を竦めてからTISは微笑みを浮かべて宣言した。
「アレが貴様の理想とする人間の姿か、幻夢神」
「そうだよ」
幼女は誇らしげに胸を張り
「何処まで見下げ果てた輩だ。私は貴様を軽蔑するぞ」
面罵され戸惑った顔になった。
慈愛の念に満ち、強い意志を持ち、決して諦めず、常に信念を貫き通す。それを理想と言って、何故軽蔑されるのか?
「あれ程まで神に、為政者に都合の悪い者など初めて見たわ。あんな者が理想だと? 貴様には神としての、世界の管理者としての意
識は全く無いのだな」
「人は、自分の足で歩いていける。わたしたちは必要ないんだよ」
「ふざけるな。人間が自立出来ん事は第一、第三、第五世界の現状が証明している。神の加護無くして、人間が冥界から身を守るのは
不可能だ。尤もらしい事を言っているがな、結局のところ、貴様は仕事をサボりたいだけだろうが。そうやって人間を放置したが為に
信仰心が薄れ、幻夢界を維持するプラーナを確保出来なくなったのだろう? 主八界の現状は総て、貴様の怠慢が原因だ。
貴様が真面目に働いておれば、私とてイマイチ信用ならん冥界と手を組む必要もなかったのだ」
「もしもぉし」
何か言いたそうな冥魔王を黙殺し、古女王は更にTISを罵倒する。
「そもそも、神の為に人が居るのだ。神を崇めぬ人間こそ、主八界には不要な存在なのだ」
「その神が、貴女である必然もないよ、エルヴィデンス」
「ふんっ、人間には自らが崇める神を選ぶ権利がある。それくらいの自由は認めるさ。そして、私が選ばれないなら、選ばれるように
策を練る。が、神そのものを必要としない人間だと? そんな者は人間の存在意義に反するわ。天界の者達とて、其の存在を認めはせ
んよ。永年に渡り、幻夢界で闇界から立ち上る瘴気を浴び続けて狂ったか、幻夢神」
「貴女には理解出来ないんだね・・・・・・・・」
「あらぁ、わらわは分かるわよぉ」
悲しげに呟いたTISに、意外にもプリギュラが賛意を示し、満面に亀裂めいた笑みを浮かべて惜しみない賛辞を送る。
「人間に転生した魔王たちを因果律で守って世界を守る為に手を汚す覚悟を決めた者達を舞台から締め出して無力感を味あわせ、闘う
覚悟のない者に世界の命運を押し付けて大事な家族を殺させる。アンタのシナリオ、とっても残酷で卑劣で鬼畜で非道で素晴らしいわ
ぁ。第八世界は怒りと憎しみと悲しみと自己嫌悪の念に満ちた負の感情で味付けされたプラーナで一杯よぉ。ホント、いい趣味してる
じゃないのぉ。ねぇ、わらわ達と手を組まない? 一緒に地獄を造りましょうよぉ」
「違うよ。あたしはそんなつもりじゃ―」
「違わんよ。貴様が遣っている事はな、裏界のポンコツどもなどより遥かに多くの苦痛と悲嘆を世界に押し付けているのだ、幻夢神」
古女王に反論を封殺されたTISは目を伏せると、呆れ果てた、と言った風情で首を振った。
「古女王陛下お得意の精神破壊攻撃って奴だね。でも、あたしには効かないよ」
聖姫と闇姫の能力は、ほぼ同じ。故に、千日戦争に陥った彼女らは勝利を得るべく様々な手段を模索した。
下僕を集め、戦術を磨き、多彩なプリンセス・モンスターを製造し、数多の魔道具を造り。
そして出来上がった基本戦術とは。
まずは舌鋒で敵の胸を抉り、冷静な判断力を奪い
次に下僕を嗾けて敵の下僕を一掃し、出来るならば手傷を与え
心身共に僅かなりとも弱体化させたところで踊りかかる・・・・・・・・・というものだった。
つまり、戦姫同士の戦いは、横で聞いている者が耳を塞ぎたくなる凄まじい罵詈雑言の応酬から始まるのだ。
呪言や思念波を組み合わせ、脆弱な自我しか持ち合わせぬ者ならば其れだけで正気を失いかねない精神攻撃を繰り出し合うのだ。
油断と慢心が裸で歩いているポンコツがデカイ面出来る程度のヌルい世界の住人には全く想像の及ばない、苛烈な戦場が現れるのだ。
「どこぞの軍曹の罵りがインフルエンザの予防注射なら、戦姫の舌鋒はクラーレ毒を塗ったパイルバンカーのようなもの」
「そんだけ威力あったら毒関係なくない?」
「でもね、どんなに鋭い刺突でも、どんなに強力な猛毒でも、当たらなければ効果はないよ。
そして、あたしやお兄ちゃんの心がどこにあるか、貴女には絶対に分からない。
人間は神の家畜だと、信じて疑わない貴女には」
「人間は神の家畜だ。超至高神の命により、其の様に創ったのだ、我等108の古代神がな。
其を否定する貴様は最早、超至高神の臣下では無いぞ。
そして、私の様に人の子らを下僕として面倒を見て遣る事もなく、気が向いた時だけ干渉し、人の子らの生涯に悲劇を齎す貴様は裏
界のポンコツどもと変わらんよ。
己と対等以上の存在から目を背け、圧倒的弱者を虐げて己を全能と信じたがる負け犬だ」
「あー、はいはい、ヘイト乙っと。貴女と話す事は何もないよ、エルヴィデンス」
TISは溜息をついて空間転移で姿を消し。
古代神は麗しい貌を嫌悪に歪め、冥魔王は愛らしい顔に嘲笑を浮かべてそれを見送った。
「あーあ、逃げちゃった。にしてもぉ、セルヴィと柊蓮司って、結構、面白い組み合わせよねぇ」
絶大な力を持ちながらもその大半を封じられ、敵から奪った力で戦い、無理がたたって敗れ続けるエルヴィデンスと。
何の力も無いにも拘らず、更に味方から色々下げられて、それでも勝ち続ける柊蓮司。
何度も敗れても、そのたびに、それ以前よりも状況を好転させ、遂には世界を奪ったエルヴィデンスと。
何度勝利しても、決して世界を平和に出来ない柊蓮司。
なんと皮肉な対比だろうか。
思いを巡らす冥魔王の腕の中で、ぐったりとした幼姫がうわ言を呟いた。
「・・・・・・・ぱぱぁ・・・・ぱぱぁ・・・・・」
「うーん。闇海姫ちゃんは大分具合が悪いみたいねぇ」
「プリギュラ。お前は闇海姫を連れて先に帰れ。私は、もう少しアンゼロットと遊んでから戻るとしよう」
「お待たせしました、エルンシャ様、柊さん! 冥魔の方は片付きましたわ!」
「ご無事でしたか、お二方!」
「遅せえじゃねぇか、二人とも。こっちも、もう片付いたぜ、って魔剣! 俺の魔剣はッ?!」
柊は、全身を蝕む激痛を物ともせず、駆け寄ってきたアンゼロットとコイズミに軽口を返し。
次の瞬間、戦姫の消えた場所に奪われた魔剣が落ちていないのに気付き、顔を青ざめてうろたえた。
『落ち着き給え、柊君。すぐ上の階から強いプラーナを感じる。どうやら、空間転移で一時撤退したようだな。
だが、アンゼロットが八大神から切り離されている今はエルヴィデンスにとって千載一遇の好機。
傷を癒して、すぐに再戦を挑んでくるだろう』
「ですが、先の一撃で、あの女の瘴気は殆ど浄化されていました。もう、さっきまでのような力はないのではありませんか?」
「それでも、魔王たる者、そう簡単には自分の優位を疑いはしないでしょう。まだ、心のどこかで柊様を侮っている筈です。
きっと戻ってきますよ」
「そ、そうか? ならいいんだ」
安堵した柊の体内でエルンシャの治癒力が渦巻き、砕けた肋骨が再生し、破れた肺が直り、破裂した毛細血管が修復され、失った血
液が増産されていく。
今回は、実にいい仲間に恵まれた。
改めて、その幸せを噛み締める。能力だけの事じゃない。エルンシャもコイズミも、たまにちょっとボケたところを見せるときもあ
るが、とても真面目で誠実で、一緒にいて気持ちのいい漢たちだ。
(コイズミが俺を見る目は、正直、くすぐったくてしょうがねぇけどよ。コイツら、いつもの連中と違って俺をおちょくらねぇし、ど
んなにピンチになっても絶対に諦めねぇ。安心して命を預けられる、素晴らしい仲間たちだぜ)
その分、敵が半端なかった気がするが。例えるなら、ベルと安藤のおっさんを足して、嫌味にしたような感じだろうか?
「しかし、柊様はよく古代神の神気と精神干渉に耐えられましたなぁ」
感慨に耽る柊に、仮面越しでもソレと分かるほどに崇拝の念を露にしたコイズミが手放しで賛辞の言葉を投げかけた。
「私も、向こうで戦っている間中、ずっと頭の中で“諦めろ、諦めろ”と囁く声が聞こえてきて、何度も何度も挫けそうになりました
が、柊様はもっと強烈な呪詛を浴び続けていたのですよね?」
『うむ。柊君の意思の強さには私も驚いた。幾らかは私が緩和させたが、常人なら0.05秒で精神崩壊を起こすだろう威力の思念波を浴
び続け、幾度となく致命傷を受けながらも此処まで戦い抜いたのだからな。今迄、どれ程の苦難を乗り越えてきたのかが偲ばれるよ』
「・・・・・・・・・俺はそんなモンを受けてたのか」
今更ながら、ひどく無謀な真似をしたものだと背筋を震わせていると、アンゼロットが勝ち誇った表情で口を挟んだ。
「エルンシャ様、柊さんはわたくしが手塩にかけて育てあげたのですよ。わたくしの薫陶があればこそ、今の柊さんがあるのです」
「嘘つけ! お前はただ遊んでただけじゃねぇか! おい、エルンシャさんよ。コイツが俺に何をしたか、俺の記憶を“観て”くれよ」
『ふむ、どれどれ?』
「あ! やめて、やめてください、エルンシャ様!」
『おお! なんと!』
アンゼロットの制止も僅かに遅く、柊の記憶を覗いたエルンシャはショックを受けた様子で呻いた。
『あの優しいアンゼロットが・・・・・世界を守るためとはいえ、こんなにも残酷な仕打ちを・・・・さぞや、辛かっただろうな、アンゼロット』
「分かってくださいますか、エルンシャ様!」
「おら、ちょっと待て!」
『柊君。君も色々大変だっただろうが、アンゼロットの苦しみも分かってやってくれ。アンゼロットは、運命に選ばれる事の多い君が
その重圧に潰されないように君の心を紛らわせたり、鍛えたりしなければならなかったのだ。その為に、アンゼロットは涙を飲んで君
を逆境に追い込んでいたのだよ』
「ああ、エルンシャ様! 貴方は本当にわたくしのコトをよく分かってくださいますわ!」
「いくら何でも好意的解釈が過ぎるだろッ! アンタがそうやって甘やかすからコイツはッ!」
『いや、柊君。どうか、アンゼの苦しみも分かってやってくれないか?』
「柊様とエルンシャ様がアンゼロット様を巡って対立するのではないかと案じておりましたが、まるで姪御さんの教育方針を巡って争
う叔父さんのようですね」
「俺がこのオバハンの叔父みたいだって? よしてくれよ!」「ちょ、柊さまッ! エルンシャ様が―」
『ふむ。今のアンゼロットの容姿をそのように評するとは、些か上限が低すぎはしないかな、柊君?』
「妙な誤解すんじゃねぇよ!」「落ち着いてください、柊様」
憤慨する柊をコイズミが通夜のような鎮痛な表情で宥めにかかった、そのとき。
突如、柊がビクンッと身体を仰け反らせた。
「ッぐぁッッ?! こ・・・・・これは・・・・・・・・」「柊様!」「どうしました、柊さん!」
冷たい手が柊を掴み、頭の中を掻き回す。柊蓮司は識っていた。これが“何”なんのか。初めて世界の危機に対峙した、あのとき。
あの赤い小惑星と対峙したときに受けた、あの感覚。“アイツ”と一緒にひっかかった精神的トラップに、とてもよく似たものだった。
『これはエルヴィデンスの精神干渉! よもや、上の階から仕掛けてこようとはッ!』
「あ゛・・・・・・・・が・・・・・・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・ああああぁぁぁあぁぁぁぁッ!」
―――先ほどは的を外したが、此度はそうはいかん。貴様の持つ、最大の心の傷を見せて貰おうか―――
心が読まれる。記憶を“観”られる。魂が裸にされ、邪神の知覚に晒される。
「や・・・・・やめ・・・・・・・・やめ・・・・・・・・やが・・・・・・・・・れ・・・・・・・・・・・・」
目が霞む。一人の少年の姿が、脳裏に浮かぶ。
“そこの柊さん。天文部に入って、お友達を作ってみませんか?”
“シバくぞこの野郎ッ!”
「・・・・・・よ・・・・せ・・・・・・・・・ヤ・・・・・メ・・・・ロ・・・・・・・・」
―――クックック。そうか、コレか。コレが貴様の原点にして、決して己を許せぬ大罪か―――
“でね、コイツったら、迷子の男の子のお母さんを探し回ってるうちに、今度は自分が迷子になっちゃって”
“小学生の頃の話じゃないかぁ”
“おめーいい奴だな。携帯の番号教えろよ”
思い出す。思い出す。思い出す。彼と交わした、数々の会話を。
“いったい、どうしたんですか、柊さん、赤羽先輩?!”
“おめーの力を貸して欲しいんだ。今、俺たちはギリギリの崖っぷちでさ”
“あの、もしかして、駆け落ちですか?”
“馬鹿っ! そんなんじゃねぇよ!”
―――さあ、柊蓮司。今こそ自らの咎、しかと見据えるのだ―――
邪神の嘲笑が響き、気付けば、目の前に彼が立っていた。眼鏡をかけた、小柄な、大人しそうな少年が。
柊は彼を知っていた。もう一度会いたいと日夜望み、そして、その願いが適わぬ事に、心のどこかで安堵していた相手。
悔やんでも悔やみ切れぬ悪行の犠牲者。なかったことになった、柊蓮司が、犠牲にした戦友だった。
支援
今日はここまで。ご支援ありがとうございました。
ナイトウィザードSS界にまま見られる、柊聖人化・柊最強化・柊ニコポ化の流れに、俺は断固反対します。
俺より腕のいい作家さんたちが柊U−1化を進めてますけど・・・・・・だが俺は諦めない! 柊スレで魔窟と呼ばれたこの場所で!
アンチと呼ばれようと、野暮と言われようと、書き続ける! ・・・・・・・・・・・最近、執筆速度下がってますけど。
柊の犠牲否定は生まれつきだと思ってる作家さんもいるみたいですが、星継ぐノベライズ見るに、ウィザード覚醒当初の柊は力を
振り回すのを楽しむ為にエミュレイターを狩っていて、例の1件で闘う理由が変わったように見えるんですよね。
炎砦、黒皇子、そして空砦でも“彼”を気にかける描写がありますし。“彼”くらいですよ。何もなくても柊の方から思い出すのは。
それと、柊が負けないのは柊が強いからじゃなくて、勝てる敵としか戦ってないからですよ。
柊はL10ですが、アステートを倒すにはL30が4人、冥魔王パペロスならL50が5人必要と言われてまして。
ベルだって19歳モードになれば楽勝できるんですが、それじゃ面白くないからと言って手加減してて。
柊は決して強くない。だが、決して諦めない。そして、敵の傲慢さにつけ込んで、針の先のように小さな勝機を確実に
掴み取る。そこに痺れる憧れるってモンですよ。いつも楽勝じゃつまらない。
“彼”のときには一切犠牲を出さない選択肢は全く存在しなかったんで、それだけでも柊は滅茶苦茶恵まれてるように見えますが。
あ、アニメのときみたく、戦闘以外の方法で閉塞した状況を打開するとかもいいですね。
柊の天然ジゴロはねぇ。ガーネットはまだ、分かるんですよ。くれはの同位体だし、対人経験少ないし、柊に命を救わ
れてるし。けど、それなりの人付き合いをしてきてる筈のクロス先のキャラが初対面の柊がちょっと親切にしただけで
アレは・・・。「人として好感を持った」んなら当然の事だけど、そこで照れてるからなぁ。なんか、ニコポ臭いっちゅーか。
フラグスルーネタの為の前フリだってのは分かるんですが。気にし過ぎですかね?
俺がSS書きながらこんな事書いてるの見て、レッテル貼られそうでSS作家として大丈夫なのかと心配してくれる人も
いましたけど、同じ事書いても名無しとSS書きじゃ印象が違いますからね。他人を批判するときは特に。
反論は受け付けます。出来れば、SSで反論してくれると嬉しいですね。
ではまた次回。
違うジャンルだが、似たような書いてて、うざがられて
SSスレなのにSS投下してもスレ違いの荒らし扱い、最後には
投下しても、誰も反応しなくなって、投下なんかなかったかのように雑談が続く
ようになった作者みたことあるな
言いたいことはすご〜くよく解る
現状に対する危惧もまた
意見としても筋が通ってるので非常に同意できる
んが、なんだろうねぇ。このモヤモヤ感は
卓ゲ関連は風潮として「公式も含めて全てが鳥取」なイメージがあるから
「余所の卓」へのコメントに抵抗感があるだけかしらん
>>125 結局各鳥取で異なるキャラクターなわけで「強いエキストラ」にしかならないかなあと思う
で、「強いエキストラが守ってくれてるから大丈夫だよ」と言われても
読者への(もしかしたら作者さん自身へも)説得力に欠けるんじゃないかしら
っと言い忘れてた。
投下乙であります。
上のレスで細かいこと言いましたが、毎度毎度楽しみにしています。
次回もお待ちしております
……なんて言えばいいのやら
作者氏の書きたいものと、その主張と、書きあがったものの方向性のベクトルがバラバラで纏まりがなさすぎるように見受けられるんだけど
あいにくと書かない人間だからどこをどうすればいい、って指摘はムリだけどさ
「等身大の柊」を書きたいみたいだけど、相手は作者氏いわく「人間じゃ手の届かない相手」にしちゃってるし
それでいて「柊の諦めの悪さ」を出したいみたいだけど、あの口の回る王子が裏にいると知ってるはずなのに本人は敵の言葉にあんまり言い返さないし
敵が「人間には手の届かない相手」にしちゃったせいで「上位存在が無限回復してくれる」なんて加護手助けしちゃってるし。
最後のとかは他の作品と比べてもよほど作者氏の言う最低要素(あくまで「要素」な?)見えてしまうんだけど
あくまで個人的な感想だけど、もうちょっと考えて話作る方がよかったんじゃない?
書いたことない外野の戯言だが、作者氏は何と戦ってるんだ?
もうひとつ。知ってる作家の言葉に
「作家ならば作品で主張すべし。語るべき言葉などあらず(うろ覚え)」
なんて言葉がある
143 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/04(月) 01:35:59 ID:KPwIR/D3
>>柊は決して強くない。だが、決して諦めない。
言いたいことは理解できるし、共感もできるけどさ、
ここの部分が全く伝わってこないんだよ、ただクロス先の敵tueeeをやりたいようにしか見えない。
言い負かされて、打ちのめされてるだけ。「けっして折れない、あきらめない」って部分が伝わってこない。
クロスSSで柊に明確にフラグ立ってる奴がいたか?
夜ねこさんのベッキーくらいなもんじゃね。
自分が書きたいことを書くのはいい、だけどそれを人におしつけてんじゃねえよ。
作者なら作品で語れ、見苦しい。
144 :
143:2009/05/04(月) 01:38:14 ID:KPwIR/D3
あと少しデータばっか優先しすぎな気が。
一応これはSSなんだし。
まあ読者のレベルが低いと思ってしまうと
ついつい分かり易い言葉で語ってしまいたくなるものでもあるさ。
月と〜の人がそうであるかどうかは本人じゃないので知ったこっちゃないが、
昔、2chですらない所で軽く「やらかした」経験者はそんなことを思ったりした。
>>143 七瀬晶は…どっちかと言うとありゃあ最初から立ってたか?
柊の休暇に関しては柊に話を持って行きさえしなければ勝手に休むんじゃないかしら
空砦で一ヶ月間休業してすっかりダメ人間になっちゃってた辺り、
「乗りがかった船からは決して降りないが、自分から船に乗ろうとはしない」タイプだと思うんだけど
>>137 同意できるのは二段目だけだな。他は部分的にはともかくほとんど賛同できん
言葉尻捕まえてウダウダ語るのは面倒なんでそれだけ
>>146 ラジオドラマで古文書に「七瀬晶は柊蓮司の嫁」と書いてるとかいうネタがあったような。どっかのスレのネタだったか?
ラジオドラマが公式って訳ではないんだけど
>>147 局地的に仕事が多い日があるんなら、局地的に仕事が少ない日もありそうなもんだしな
……ヒマな時の柊って何してんだろ。逆に興味わくわ
>>147 「七瀬晶は柊の嫁」は、確かラジオドラマでも公式ではなく
七瀬晶のアルシャード世界での通り名が(古文書とか回想によると)シンマラ
→シンマラとは北欧神話に出てくるスルトの妻で、スルトの剣を保持してる
→リプレイ的にスルトの剣というと柊の魔剣を指している
→という事はスルト=柊で、その嫁シンマラ=晶
→つまり晶は古文書で「七瀬晶は柊の嫁」と発言しているんだよ!
という考察から生まれた何処かのスレ発祥のネタのはず
そして思う。
ニコポナデポ以上に『柊は女の子に積極的にモテたいのか?』と。
ニコポナデポが決定的に嫌われる理由は、その好感触の先に
該当女の子キャラの嫁化かハーレム環境が待っているのが
如実に見えて来るから。
そして、今迄の在野のニコポナデポ野郎達はエロゲ/ギャルゲ出身
主人公が大多数な所為か、女の子にモテたい姿勢が明確故に
ニコポナデポ=俺嫁化やハーレム化一直線ばかりだった。
翻って、柊はアニメNW!でエリスとの落ち着いての初対面時に
佳い雰囲気になり掛けた時にまんざらでも無く少し期待した様な素振りは
見せたが、それ以外の全メディアではモテたいオーラなど欠片も滲ませていない。
それどころか、佳い雰囲気になるもその鈍感さや野暮ったさ故に
肩透かしばかりで、片想いや友情止まりばかりな柊周りの女性関係。
それに見てるに、クロス先で柊にニコポナデポな女の子って、
上でも述べられてるベッキー以外はツンデレ属性持ちが多いと
自分には分析出来て、例を出せば電磁砲こと御坂美琴なれば、
単に付き合い上で凝り無く接する為にツン分を薄めただけで、
普段(原作)とのギャップでデレ状態に見えているだけだと思う。
ま、柊との仲を訊かれた際に普段通りに
「そんな訳は有るか。単なる借りの返済で自主的に手伝っているだけだ」
と動揺無くすらっと口にするか、はたまたドギマギと慌てながら
「そ、そんな訳有るかっ!? た、単なる借りの返済で、じ・・・自主的に付き合ってるだけだ」
と全力で怪しく否定するかで、ニコポナデポの犠牲者かどうかは判別出来ますがw
大体、学園世界的に柊との仲が最も近しいノーチェにしてからが
「柊蓮司と? 無い無いw 仲間として仕事上だけの付き合いでありますよ」
とあっさりと言い放ちそうですし。
柊U-1化への懸念に関しては・・・・・・確かに柊は
「勝てる相手としか戦っていない」ですな。厳密には
「運命に選ばれた結果、自分達でも勝てる“かも知れない”相手」
とですが。
メタな事を言えば、リプレイでの星を継ぐ者で
クライマックスバトルで柊だけ死亡して「柊サーガ、始まる前に、完」
てな可能性も高かった訳で。
ま、確かに此処のSSでは柊負けっぱなしってのは数少ないから、
柊U-1化懸念も致し方無いでしょうな。
星と月との方なんてそれに関してとても良い距離感で描かれているのですから、
いっそ一度位は「柊、惨敗して重体入院絶対安静! 復帰までの
間に他キャラが頑張る」なんてエピソードを描かれても良いのではないでしょうか?
>>137 なんでわざわざ煽るような言葉を選んで書き込むかな
それに自分は長々と主張を書いておいて「反論はSSで」とかバカじゃないの?
そんなくだらない文章を書いてる暇があったら、さっさと続き書いたら?
>>148 惰眠を貪ってるか、適当に散歩してるか、魔剣の手入れしてるか、
稽古しているかじゃない?<柊の休日の過ごし方
そう言えば、柊って趣味らしい趣味ってのを見せた事無いよね?
小説「魔法使いと、休日の過ごし方」見れば載ってるかな?
U-1化をいくら懸念したって多くのSS書きがそういうのを書いたら止められるものじゃないと思うんだが
そうなりそうな作品に対して改まるまでいちいち突っ込んでいく気なのか
極論すればサ、とりあえず各作家さんが、自分の面白いと思う話を書いてくれればいいよ
それのどれが面白いかは、自分で読んで判断するから
>>151 まったく関係ないけど、IDがジェームス・ボンドに1足りない
−−−各地で続発し始めた、小型冥魔の『常識社会での暴威』。
同時進行で発生する、下級魔王の拉致消失。後に再度出現後の
消えていた下級魔王達の裏界への理由無き造反。
それらの事件の真相究明の為に動いていた柊達は、
自分達とは別に隠密裏に独自に事件に挑む9人のサイボーグ達の存在を知る。
そしてその謎のサイボーグ達・・・・・・・00ナンバー・サイボーグ達も
柊達との邂逅で『世界の真実』を知り、今回の事件の裏に
あの組織の影が
見え隠れする事を柊達に語る。
そう・・・・・・『黒い幽霊(ブラック・ファントム)』は主八界間の闘争にまで
その操り手としての触手を伸ばそうとしていたのだ。
下級魔王達の造反・・・・・・・それが黒い幽霊に拠る洗脳と突き止めたベル達とも合流し、
柊達と009達は大型冥魔を改造した黒い幽霊の秘密アジトへと最終決戦の為に向かう・・・・・・・。
などと妄想してしまいましたとさ。
強力ワカモト相手だと勝てる気がしねえ
つーかさ、柊スレでのここの嫌悪感見てても全然ピンとこないんだけど、そんなに柊最強柊聖人化してるか?
SSは物語なんだから、よほどのバッドエンドを最初から想定された作品で無い以上、最終的に主人公が勝つという展開があるに決まってるのに、柊がSSで敵を倒してばっかり=最強化っておかしくね?
諦めが悪いから諦めないってのも、聖人どころかとても俗世っぽいと思うんだけどな、根が善人だから誰かを守る事を諦めないみたいなベクトルに向いてるだけで、そんなの割とよくあるキャラクター像じゃん
U−1系はよくしらねぇけども、全ステータスALLMAX俺最強系だよね、多分。
柊は魔法も使えないし頭も悪いんですけど? どこがどうU−1系なのやら、強そうに見えるのは各作者さんの戦闘描写がかっこいーからにしか見えないぜ
なんかほんと、このスレの作品に妙なレッテルつけたいアンチがいるんじゃないかとか思っちゃうよ
160 :
157:2009/05/04(月) 12:11:50 ID:Z3pZbQht
そしてツッコまれる前に自前でツッコむ。
「黒い幽霊(ブラック・ファントム)」じゃ無くて「黒い幽霊(ブラック・ゴースト)」じゃねぇか!!www
そして、妄想第二弾。(学園世界でも適用可)
−−−NW!クロスSSでは、その誰でもが心から安らげる雰囲気と
酸いも甘いも噛み分けた熟練のマスター兼バーテンダーの
和やかな人当たりが好評の居酒屋『ろんぎぬす』。
しかし、つい最近にそのろんぎぬすの対面に恐るべき脅威の
ライバル店が出店した。
『ピュアな心の持ち主がピュアなガールと戯れる紳士の社交場』
を謳ったキャバクラ、その名も・・・・・・『ドリームクラブ』!!
そして今此処に、恋のフラグブレイカーと云う裏名を
(本人の意に関わらず)欲しいままにしている
究極のピュアボーイ・柊蓮司が何の因果かそのドリームクラブへと誘われる!
さあ、キャバクラ初体験の柊蓮司の運命や如何に・・・・・・・?!
1時から投下します。
>>159 あるU1系ヲチスレの言葉だが
「あなたが最低と思うものが最低です。ただしそれが他の人に受け入れられるかどうかはわかりません」
「最低を覗く行為は、逆に向こうからも覗かれていることを覚悟しましょう」
って言葉がある。
「神殺し」とか、そういう肩書きがあれば「厨二病」「U1」と認定する人もいるってことで、
「最低要素があれば最低と認定できる」って風潮みたいなものもあるし。事実そういう考え方の人このスレにもいたしな
だから、何をどう思うかってのは人の感性次第なんだよな
すまない
こっちも支援
私、赤根沢玲子(あかねざわれいこ)がこの学園世界で暮らすようになって、1ヶ月になる。
正直未だに信じられない。こんな穏やかな暮らしが、また出来るようになるなんて。
今、私は輝明学園にいる。
何でも学園世界ではいわゆる“現代世界”系で、所属していた学園が転移してきていない学生は一時的に輝明学園に籍を置くのが普通らしい。
一応“元いた世界の学園”が転移してきたら交渉してOKならそちらに移ると言うルールらしいが、今のところそれが適用されたのは小等部に1人いただけ。
あまり期待するなとのことだ。
そんなわけで、私は今“転校生”として1年3組で勉強をしている…桜花さんと共に。
――― 7:00 桜花さんを起こす。いい加減夜型の生活は改善させないと。
「うん。ばっちり」
2人分のお弁当と焼きノリと塩鮭、浅漬けにお味噌汁の朝ごはんを完成させて私は、エプロンを外した。
伸びをひとつして、お料理が覚めないうちに桜花さんを起こしに行く。
本当は外の食堂に行けばタダで大抵のものが食べられるんだけど、戦場さながらに混むし、やっぱり朝はゆっくりしたい。
そんなわけで私は材料を貰って自炊することにしている。元々お母さんと2人暮らしだったから家事は普通にできるし。
シャッ!
朝日が入るよう、東に取り付けられた窓のカーテンを開けると“魔界”ではついぞ見れなかったお陽さまの光が電気をつけてない部屋を一気に明るくする。
今日もいい天気だ。学園世界TVでも今日は晴れだと言っていた。
ここは居住区にある輝明学園女子寮の5階。2人用のシェアルームのみで出来たこの階は、高いところにある分眺めも良い。
眼下には朝練に行くのか、もうちらほらと学生が歩いているのが見える。
「う〜…眩しいのでしめてくださ〜い」
お陽さまの光に当てられて、部屋に備え付けのベッドから桜花さんの眠たげな声が弱々しく聞こえてくる。
「駄目です。もう朝ごはん出来てるんですから、早く起きてください!」
ほっとくとず〜っと寝てる桜花さんの布団をひっぺがし、寝ぼけ眼の桜花さんを揺り動かす。
「やめてくださ〜い。起きます〜、起きますから〜」
寝ぼけながら言う桜花さんの体は、今日も温かかった。
私のガーディアンである桜花さんは今、私の護衛として私と2人で輝明学園女子寮で暮らし、私と同じ1年3組で勉強している…“人間の身体”で。
と言っても誰かから奪ったとかそう言う話では無い。
今の桜花さんの身体は“幽霊憑依用純有機性擬体”とか言う奴で、生体材料のみで構成され、酸素、水分、食物から得られる各種栄養素をエネルギーに動き、
自動的な体調の整理に睡眠を必要とし、ごく軽微な損傷ならわずか数日で自動的に修復…うんぬん。
まあようするに普通の人間とあんまり変わらない身体だという。
明確な意思を持った学生幽霊が普通の学生生活を送れるようにと、彩南高校と言う学園で作られた“バイオロイド”をベースに極上生徒会の開発部が作った、と聞いている。
桜花さん曰く、簡単に幽体離脱できるすぐれものだけど、素体のプラーナ用量限界の関係で入ったままだとイノセント(桜花さん用語で一般人の意味)並みの力しか
出ないのが困りもの、らしい。
私も桜花さんが戦うために“離脱”したときは、その場に倒れてピクリとも動かないため、すっごく“死体”っぽいのは問題だと思う。
1回放置したままの身体を病院に持ってかれて危うく司法解剖されそうになってからは桜花さんも反省して離脱したときは身体を
自分の月衣に突っ込むようになったから大分マシになったけど。
話がそれた。
「うぅ〜…こっちに来てから玲子が凄くお姉さんっぽくなった気がします〜」
桜花さんがブツブツ言いながら高等部の制服に着替える。
「私の方が年上ですよ〜?30年ほど。もっとお姉さんとして尊敬してくださ〜い」
「もう、またそんなこと言って…」
そんなことを言ってむくれる桜花さんを制服を整えながらたしなめる。お姉さんっぽく。
「桜花さん、見た目も中身も年下じゃないですか」
これも魔界にいた頃と変わったところ。
桜花さんが30年ほど前にお亡くなりになったのはご本人に聞いていたけど、お亡くなりになった年齢は聞いたことが無かった。
荻原校長のお話では、桜花さんがお亡くなりになったのは14歳…中学生の頃だったらしい。
そのこと自体は桜花さんがそんな頃からウィザードとして戦っていたと言う事でもあるのですごいと思うが、中学生以降の人生経験が無いことが桜花さんにずれを生んだ。
幽霊になると精神はあまり変化しなくなるため、桜花さんの心は今でも14歳のままだと言う。
知識や経験が豊富な分大人びて見えるけど、根本的なところでは私よりも年下の少女のままなのだ。
「…う〜、なんだかちょっぴり馬鹿にされてる気がします〜」
「気のせいですよ。ほら、早く着替えてください。ご飯、さめちゃいますから」
「うぅ〜…玲子の私のあしらい方も慣れてきた気がします〜」
短いけど、魂レベルの深い付き合いですから。
――― 7:50 出かける前の準備完了。お隣さんは、いつも通り。
ご飯を食べて歯を磨いて身だしなみを整え、準備は完了。
「桜花さんはどうですか?」
「はい〜。ばっちりですよ〜」
ようやく目が覚めたらしい桜花さんも笑顔で答える。うん。これなら大丈夫そうだ。
「じゃあ、行きましょうか?」
「そうですね〜早い方が通学路も込み合いませんからね〜」
2人して頷き合い、ドアを開けて外に出る。
それと同時にお隣の部屋のドアが開いて、お隣さんが出てきた。
「ん〜…」
寝ぐせだらけの長い髪にスカートをはいて無い、上だけの制服。鞄も持ってないし、はいてるのはスリッパ…多分トイレ用。
「…ねがいさん、あれは完全に寝ぼけてますね〜」
桜花さんが顎に手をやってうんうん頷いている。
いや、桜花さん。貴方もちゃんと起こさないとあんまり変わらない状態です。マジで。とはいえ。
「…大丈夫ですよ。どうせいつも通り…」
「ちょっと待てい!?」
ほら、やっぱり。慌てて飛びだしてきて、ねがいさんを止める、同じ顔をしたショートヘアーのもう1人のお隣さん。
「ん…どうしたの〜?いのりぃ…」
「どうしたの〜?いのりぃ…じゃあないでしょお姉ちゃん!」
お隣さん、要ねがいさんと要いのりさん。双子の姉妹で、2人とも1年生…私の同級生だ。
「んな格好でどこ行くつもりかっての!」
「んな格好?…きゃあ〜!?」
自分の格好を確認して一気に目が覚めたんだろう。悲鳴を上げてその場にへたり込む。
「あ〜もう…ファイアーワークス!」
パニック状態でおろおろしているねがいさんを、いのりさんの影から飛び出した鳥の頭を持つ大きな悪魔…もとい魔物が担ぎあげる。
「洗面所でお姉ちゃんの髪とかしてあげて。スカートはあたしがトイレに落ちてたの洗面所に持ってくから」
ブンと音がしそうな勢いで1つ頷き、ファイアーワークスがねがいさんを抱えて部屋の中へと運んで行く。
「まったく、睡眠時間が足りないとすぐ寝ぼけるんだから…だからあれほど夜更かしはするなっつってんのに…誰よ!?『がくおん』なんてもん作ったのは!?」
はぁ〜と重い溜息をついたあと地団駄を踏む。そこで私たちに気づいて、先ほどまでの怒りが嘘のようににかっと笑って言う。
「あ、おはよ〜!玲子ちゃんに桜花ちゃん!」
爽やかな笑顔だ。なんて言うか、太陽みたいな、明るい感じ。
私たちのお隣さんであるいのりさんとねがいさんは、2人揃ってウィザードらしい。クラスは魔物使いと、夢使い…だったかな?
魔物使いがどんなものかはなんとなく分かる。多分あのファイアーワークスって言うのが戦うんだろうなって。けど、夢使いって言うのはよく分からない。
何か夢の中に入れると言ってたような気がするけど…まあ、なにはともあれ。
「おはようございます。いのりさん」
「おはようございますいのりさん〜今日もお元気ですね〜」
桜花さんといっしょにいのりさんに挨拶を返す。
「あはは。ま、あたしは元気が売りだからね!」
桜花さんに豪快に笑いながら力こぶを作ってみせる。
「にしても…」
そのまま私たちをしげしげと見て、言う。
「玲子ちゃんと桜花ちゃんは2人ともしっかりしてるよね〜」
多分身支度が整っているのを見て、言っているんだろう。本当は桜花さんはあんまり変わらないんだけどなあ。
「まったく、お姉ちゃんももうちょっと見習ってくれりゃいいのに」
「いえいえ〜、その分はいのりさんがしっかりしてるわけですから〜いいんじゃないでしょうか〜」
桜花さん、それフォローになってません。
「はぁ〜…あたしもいつまでも一緒じゃ無いんだから、早くしっかりして欲しいんだけどね。京介のためにも」
そんなことを言いながら、いのりさんは部屋に戻って行く。
「おっと忘れてた」
その途中で何かに気づいてひょいと顔を出す。
「えっと何か?」
そう、私が尋ねるといのりさんが満面の笑みで言う。
「行ってらっしゃい。今日も頑張ってきてね」
あ、そっか…
「はい…行ってきます」
久しくかわしていなかったやりとりに、私も思わず微笑みながら、一言、答えた。
支援ですよ〜
おっと始まってる。支援支援。
支援っさーにょろーん
――― 8:10 登校。今日も2番手。
まだほとんど人のいない通学路をゆっくりと歩いて、15分。輝明学園に到着する。
「やっぱり朝はまったりが基本ですね〜」
朝練に行くには遅くて通学するには早いこの時間。学園への通学路が一番すいている時間だ(遅刻しないで行くのには)
元々人ゴミとかはあまり得意じゃないので、私は早めに出てこの時間。桜花さんもそれに文句ひとつ言わずに合わせてくれている。
朝独特の澄んだ空気を吸いながら、人気のない廊下を通って教室へと向かう。
ガラガラガラッ…
教室の扉を開けて中を見る。
「あ、おはようございます赤根沢さん、桜花さん」
中で黒板を丁寧に拭いていた氷室さんが私たちに気づいて手を止め、にっこりと笑顔で挨拶をする。
「ええ。おはようございます氷室さん」
「おはようございます〜おキヌちゃん〜」
私たちは2人揃って転校生仲間の氷室さんにごあいさつを返した。
氷室さんこと氷室キヌさんは私と同じ“転校生”の1人で1年生。私は照れくさくて呼べないけどみんなはおキヌちゃんって呼んでいる。
何でも氷室さんはよそ様の、学校だけど学校じゃない所に集まっていたときに転移してしまったとかで、
今は同じように転移してきた人たち(みんな高校生だ)と一緒に輝明学園に通っている。
元の世界では幽霊とか妖怪を退治する専門家を養成する学校に通っていて、時々オカルト関係の相談に乗ったりしているらしい。
「お二人とも、早いですね」
「ええ、朝の澄んだ空気が好きなんです。それに、早く出れば遅刻の心配も無いですから」
「あ、なるほど。それはありますね」
黒板を奇麗にするのを手伝いながら笑顔でのほほんと会話をする。
このほんわかした雰囲気のクラスメイトとは同じ転校生のよしみで親しくしてもらっている。
どちらかと言うと人付き合いの苦手な私がすぐにクラスに馴染めたのはこの人のお陰でもあるように思う。
だから私は彼女への感謝の意味も含め、早く来て氷室さんのお掃除を手伝うためと言うのが私が早く来る理由の1つだったりする。
ガラガラ
「あ、おはよう。3人とも早いね」
掃除を初めてしばらくするとちらほらとクラスメイトが登校してくる。そして。
「あ〜もう!結局今日も遅刻寸前じゃん!」
「いのりぃ…もっと…ゆっくり…」
「やかましい!誰のせいだと思ってんの誰の!」
ドタドタとお隣さんが別のクラスへと走り去っていくのを見た直後。
キーンコーンカーンコーン…
授業の始まりを告げる鐘が鳴り響いた。
支援立て続けにいきまーす。
―――12:00 氷室さんたちと昼食。あだ名をつけられる。
「最近思うんです〜。なんだか私、軽んじられてませんか〜?」
桜花さんがそんなことを言い出したのは、氷室さんたちとお弁当を食べていたときだった。
「ん?そんなことないぞ?桜花ちゃんが凄いってのは知ってるし」
氷室さんの手作りのお弁当を口に入れつつ言うのは2年生の横島忠夫(よこしまただお)さん。
基本的に可愛い女の子とみれば告白する人(私も初めて会ったときに告白されて、氷室さんに怒られてた)だけど、
15歳未満は対象外とのことで、桜花さんもそう言う対象には見られない、とのことだ。
「ああ、その通りだ。俺の魔装術の攻撃を正面から喰らって平気な奴なんて、魔族ならともかく幽霊では桜花が初めてだったからな」
購買のパンを齧りつつ頷くのは伊達雪之丞(だてゆきのじょう)さん。魔装術って言う自己強化の術を使える、霊能者の肉体派。
「ですわね。このおバカさんの攻撃に耐える霊圧と受け流す技術…桜花さんは素晴らしい素養と技量の持ち主ですわ」
隣に座って、優雅に同じく購買のサンドイッチを食べている弓かおりさんも頷きながら言う。
「んだと!?誰が馬鹿だ誰が!?」「あら!そんなの一目瞭然ですわ!このバトルマニアの戦闘バカ!」
そんな口喧嘩を始めた2人を放っておいて、巨大なお握りをかじりながら、タイガー寅吉さんも言う。
「考えすぎじゃろ?桜花ちゃんがすごいちゅうんはここにおるみんなが知っとるわい!」
「だな。桜花、一体何でそんなこと思ったんだ?」
タイガーさんの食べているお握りを作ってきた、一文字魔理(いちもんじまり)さんが怪訝そうに聞き返す。
「ほら〜、今のそれですよ〜」
どうやら桜花さんは今のやりとりに不満があるらしい。でもなんで?
「え?よく分からないんですが、今、僕ら何か桜花さんに失礼を?」
この中で一番の美形(輝明学園でもトップクラスじゃないかな?)の吸血鬼と人間のハーフ、ピートさんが桜花さんに尋ねる。
「その、桜花さんって呼び方ですよ〜」
呼び方?
「私としても〜、他人行儀に倉沢さんって呼ばれるよりは親しみやすくていいんですけど〜、玲子のことは全員『赤根沢さん』って苗字呼びなのに、
私だけ名前呼びってえのは納得いきません〜」
あ、そう言えば。ここにいる皆さんは全員、私のこと、苗字で呼ぶんだよね。同じクラスの他の子は結構名前で呼ぶ人多いのに。
「「「「「「「…あ〜」」」」」」」
そのことに一斉にハモる転校生一同。何か思い当たることがあるらしい。
「いや〜、そう言えばそうだな〜」
「気が付きませんでした」
「やっぱり同じ名前のせいか無意識のうちに拒絶反応が?」
「私は意識してましたわ。本能で動くどこぞの誰かさんとは違って。それに微妙に違いますわ」
「んだと!?」「なによ!?」
「いや〜ワシは別人でもあの人名前呼び捨てとかちゃんづけにするんはちいと怖いわ〜」
「なんだよタイガー情けねえ…って言いたいところだがあたしも。あの人にはかなわねえしなあ…」
転校生の人たちは口々に納得したように言ってるけど、どういうこと?
「いや実はですね…」
そんな私に気づいたのか、ピートさんが私に事情を説明してくれる。
何でも氷室さんたちのいた世界の、全員共通の知人に“令子さん”と言う方がおられるらしい。
それでその人は色んな意味で“凄い”人で、ここにいる全員が尊敬してたり恐れてたり、こき使われてたりするらしい(最後のはよく分からないけど)
そんな事情もあって私の“レイコ”と言う名前を呼ぶ人がいなかったと言う事だ。
ちなみにその後は桜花さんの「だったら玲子にあだ名つけましょうあだ名!」と言う発言を受けて議論が始まり、
昼休み終了5分前に「アカネ(苗字を縮めた呼び方だ)」と言うあだ名で呼ぼうと言う事になった。
―――16:00 授業終了。桜花さんと一緒に茶室へ行く。
キーンコーンカーンコーン…
「それじゃ、今日はここまで。ちゃんと勉強もしろよ〜」
授業が終わると同時に、教室にざわざわと喧騒が広がる。
「ねえ玲子、桜花。これからみんなでカラオケ行くんだけど、一緒に行かない?」
クラスの友達が私に親しげに話しかけてくる。
カラオケかぁ…行きたいけど…
「ごめん。今日はちょっと用事があるの。また、今度ね」
「私もです〜。ごめんなさい〜」
「え〜残念」
私には週3回、必ず用事がある。平日のうちの2日と、土曜日。ちょっと大変だけど、サボると“命にかかわる”用事なので、サボる気にはなれない。
「う〜ん、となると…あ、おキヌちゃんはどう?」
友達がちょうど通りかかったおキヌちゃんを捕まえて、カラオケに誘う。
「カラオケですか…ごめんなさい。今日はちょっと先約がありまして…」
「え〜おキヌちゃんも?」
しかし、氷室さんも今日は用事があるらしい。申し訳なさそうに断っていた。
「はい。今日は横島さんの特訓をお手伝いするってお約束してるんです」
「え?横島ってあの2年の霊能者の?アイツって特訓なんてすんの?」
同感だ。“遊ぶ金欲しさに”なんてどこぞの不良学生みたいな理由で購買の依頼をこなしている時以外は遊びまわってる人だと思ってたんだけど。
自給255円(労働基準法とか無い世界なのかな?)生活から解放されて生活がグッと楽になったとか言ってたし。
「はい…何でも負けられないライバルが出来たとかで」
苦笑しながら、氷室さんが事情を説明する。
何でもついこの前転移してきた学校に、『女好きで女の子と見れば口説き落そうとする、霊能力者の名門生まれの高校生霊能者』とやらがいるらしい。
横島さんの話では『強くて、雑草のように丈夫で、いつの間にか女の子に好かれてるくせにスケベで台なしにするバカ』だとか。
それで、その人が生理的に気に喰わないので、男としてどっちが上か見せつけるとかどうとか…それって同族嫌悪?
「じゃあその…」
「はい。その川平さんという方と今週末勝負するそうです。それで、男のプライドに賭けても負けたくないので特訓すると言ってました。それで、今日はそのお手伝いを」
「へえ〜。そっかあ…」
その友達がニヤリと笑って言う。
「だよねえ…おキヌちゃん、横島とラブラブだもんね〜」
「ええっ!?な、なにを言ってるんですか!?」
氷室さんの顔が真っ赤になる。
「お姉さんは知ってるよ?おキヌちゃんが毎日横島にお弁当作って行ってるとか、横島と2人でいるときにふとした時に頬をピンクに染めてたりとか」
「そ、そんなこと無いです!それに横島さんには私なんかよりもっとお似合いの人が…」
「学園世界にいるの?」
「…いや、いませんけど…」
「じゃあ、チャンスじゃね?正直趣味悪い気もするけど、おキヌちゃんには幸せになって欲しいしね〜。よ〜し、今日はお姉さんもついてっちゃうぞ〜。
ごめん!今日はアタシカラオケはパスね!よ〜し今日はおキヌちゃんの恋を、応援だ〜」
「だ、駄目ですよ〜!」
「だいじょ〜ぶ。『後輩として、横島先輩(はぁと)のカッコいいところ、みたいんです!』って言えば2つ返事でOKしてくれるから!」
「ああ、それは反則です!100%成功するじゃないですか!?」
「ひょ〜ほっほっほっほ…」
怪しげな笑いを上げて2年生の教室に向かう友達を慌てて追いかける氷室さん。
…あの子、確かイノセントだったよね?
*
今日はここまで。
今回のクロス先は…
白き陽の御子より要いのり、要ねがいの2名。
GS美神極楽大作戦より氷室キヌ、横島忠夫、伊達雪之丞、弓かおり、タイガー寅吉、一文字真理、ピートの7名。
そして名前だけ登場はいぬかみっ!より川平啓太。
以上です。
>>92 学園世界だとどうしても学園外のキャラは出しにくいです。すみません。
>>165 現行スレでは「魔境」だの「柊を英雄視してるやつらの吹き溜まり」だの「自分が正しい感覚をもってればOK」だのと言ってるやつが居る程度だったけど、何スレか前でえらい嫌われてたね。
>>176 乙〜
こんな日常もあってしかるべきだよね
っていうか大多数は普通の毎日を送ってると思うの!ちょっと友だち増えるだけで!
しかしおキヌちゃんを名字で呼ぶと、わかってるはずなのに脳内で某恋愛探偵と混同しがちだなw
>>159 そうだなぁ、まず第一に最強化ってのは神殺しとかパラメーターMAX以前にナイトウィザードの世界では柊以上の実力者は沢山いる(PS2ゲーム内でくれはも言ってる公式発言)にもかかわらず、最強の魔剣使い、神殺しなどと扱われる事がこのスレの作品で多いのが起因してると思う
あとは、演出戦闘とはいえ防御紙、回避能力低い、かつ攻撃するたびガリガリHP削られていく柊が一人で雑魚とはいえ魔王級と戦えたり、勝ったりするのとか原作では考えられない事をしてU-1化と言われてるんだと思う
聖人君主については……多分このスレじゃなく別のスレで顔見知りですらない魔王を助けたりした作品が影響大きいと思う。どれ、とは言わないけど
>柊が一人で雑魚とはいえ魔王級と戦えたり
でもこれってSSという表現形態ではやむを得ないところもないか
多数で戦いに挑むというのも書けるだろうけど1vs1よりはずっと書き手の想像力や発想力、それに技量も要求されるはずだし
まぁ、NW!クロスSSも一作品位は現代ファンタジーや
ジュブナイル伝奇の原点に立ち返って、
ソウルアーツ収録のリプレイやペルソナ4みたいな地域密着型展開のクロス話を
遣ってみるのも良いかも知らんね。
それなら、柊蓮司が無闇にU-1化するのも少しは抑えられるだろうし。
そうすると適したクロス先は・・・・・・・『ひぐらしの鳴く頃に』か?
はたまた、『ペルソナ・トリニティソウル』? 『我が家のお稲荷さま』?
今遣ってるアニメだと『タユタマ』も有りかな?
無理矢理にも侵魔関連を裏に絡めて、
『CLANNAD』や『CLANNAD After』や『To Heart 2』や
『ef』や『Wind』やその他色々なギャルゲーともクロス
させられるだろうけれど。
公式で地域密着型が出たのはいいよな
それまでは何が何でも世界滅亡に結びつけるのが標準だったし
それがNWの特徴と言えばそうなんだけど
CLANNAD Afterは最後のオチの部分を侵魔と結びつけたら面白そうだな
>>181 ……ある意味卑怯なことだから、ちょっとやりたくないけど
「一作品くらいそういうの出てくるべきじゃないか?」とか言うくらいなら、自分から書くべきなんじゃないのか?
地域密着な作品だって保管庫にはあるだろうに、ないって言って捨てるなら、自分が書くべきだろ
あとさ、このスレでもたくさん作者がいるんだからU1云々の話するんだったら
「この作品のここがダメ」ってハッキリ指摘しないとぐだぐだするだけだと思うよ
>>183 これは申し訳無い。
前述の言はあくまで柊蓮司U-1化懸念してる方へ向けた論で、
自分個人的には「・・・・・・何処がU-1? 全作品、それぞれに味が有って
自分は楽しく読ませて貰ってるけれど」な、現状肯定派な一人ですわ。
因みに、此方側のと或る問題を解決したら、久々に書き手復帰する予定です。
上記で言えば某初音島の伝説の桜絡みのクロスを既に妄想中ですが、
先ずは以前の連載を再開/完結させなきゃ、ね。
>>184 いや、こちらこそピリピリし過ぎてたな
俺は書けない人間だからさ
書いてる人がどれくらい一生懸命考えて書いてるかなんてわからないけど、
自分が楽しめる話を書いてくれてる人たちを否定されるのは我慢がならなかっただけ
それに、別に世界の危機じゃない話もいっぱいあるじゃないか
ろんぎぬすとかシンデレラとかの短編や、長編(?)だけど桃月町の魔法使いも世界の危機じゃないはずだろ?
なのに「世界の危機しかない」とか「柊1人で世界救ってばかり」とか言われると、「ちゃんと読んでるのかよ」と言いたくなるんだ
文章書いたことがないから苦労とかはわからないけど、
後から書いてる奴が、まったく読まないままに「過去のものはダメだ」って言うことがどれだけ失礼なことなのかは、わかってるつもり
<ヽ`∀´><これからは「世間の危機」がトレンドニダね なんつ(ry ホルホルホル
>>185 いやまぁ、「書き手の苦労」を鑑みて貰っているのと同じく、
「読み手の願望が期待」ってのが有るってのも自覚有る書き手には
きちんと分かってる人が多いからね。
だから、柊蓮司U-1化懸念の方みたいに「自分が読み手に回った際の
スレ作品傾向への独自の懸念」ってのを、スレ改善意見と信じて
提唱する方も出て来るのは致し方無いと思いはするけど、ね・・・・・・・。(微苦笑)
それでも、書き手が出来る事はひとつっ!
『自分が面白そうと信じた展開を他の誰かも楽しんでくれる事を
信じて、精進して創作をして衆人の目に触れられる場に発表する』
だけですよ♪
その上で、賛な感想は励みにし、否な意見は参考や肥やしにするだけですわ。
>>180 正直な話、その通りだとは俺も思ってるんだけどね……ただ、ここで柊が最強系と言われてる理由は、俺が言った部分が大きいと思うんだ
ただ、個人的な意見として、ここの柊はU-1とかニコポ、ナデポとかまでは達していないレベルだとは思う
柊を主人公にして書くなら、それが悲劇的な話でもない限り、最終的に柊が勝つのは必然であって、それをU1化と言うのはおかしな話
どの書き手さんの柊だって、仲間がいて、協力しあって、ボロボロになって勝利してるのに
結果だけを見てU1化と言うなら、それは他の人の作品をちゃんと読んでいないだけ
そんなに柊を持ち上げられるのが嫌なら、柊が完全に脇役だったりかませ犬だったりする作品を書けばいいのにね
PC5ですらないのか
>>135 随分遅れたが、そりゃ俺だw
最近PCの調子が悪くてねw今もだがwww
なんかガリガリ言い出したぞ、ヲイwwww
>>176 いのりこと俺の嫁キター!(前も同じよーな事逝った気がするw
なんだかんだで適応してますねぇ、二人とも。次はどう動くんでしょうか。
とまれ、GJでした。
>>92ですが、確かにそうですねぇ。残念。
「神殺しの力」なんて公式なのにU-1化とか言われたら何も書けなくなるんだが
何? 公式設定を使わずにオリジナル設定でSSを書けばいいの?
それは俗に言うU-1や最低SSって言うんじゃなかったか?
『神殺しの魔剣』たって、神と魔王“しか”切れないようなものじゃないか。
チートと言うのは例えば、スタイリッシュ・千葉かピアニィが《宿敵:人間》の力を以って、柊蓮司を振り回して戦うとかそういうのだと思う。
大竹パワーで人を斬り、柊力で神魔を斬る。
【カオスフレアじゃ柊蓮司は武器扱い】
というか、
>>137がせめて自分の思う「最低SS」がどれのことを指して言ってるのかはっきりさせてくれないとな
勝手に自分の主義主張だけ作品外で述べて、さらに意見に対しては
>同じ事書いても名無しとSS書きじゃ印象が違いますからね。他人を批判するときは特に。
>反論は受け付けます。出来れば、SSで反論してくれると嬉しいですね。
とか言ってしまう始末
どういうことを言ってるか理解できてるとはとても思えない。他人がくれる「感想」にランクをつけてるってことなんだぞ?
読み手を軽視してるのに、なんでこんな不特定多数が見るとこに投下してるんだ?
「反論」じゃないだろう、と。そもそもあなたも作品外で他人への批判をしてるだろう、と
ともかく、本当に他人へと警鐘を鳴らしたいなら、マズいと思う作者に直接言うべきだろうと思うんだが
でないと
>>137は「間違った大きな勢力相手に戦ってる俺カッコいい!」したいだけに見えてしまうよ
そもそも公式での設定≒最低系でも使えるような厨設定だからそこは(U-1に見えるのは)しょうがない点も、
某所の人類最強ランキングを見るに、わざわざU-1化しなくてもU-1要素は高いというか…
神殺しの魔剣設定は、それで止めささないとエンディングが変わるとか
次のセッションに影響するとか、そういう類のゲーム的なものだから
SSに反映するのが難しいんだよな。
>>185 >「世界の危機しかない」とか「柊1人で世界救ってばかり」
こういうこと言う奴に限って他のSS読まないんだよな。
>>196 神殺しの魔剣だからクロス先の神様と普通に戦えますじゃ面白くないもんな
>>197 ……つーか、まてよ?
ここがクロスな以上、柊がパーティ組まずに1人で戦ってる作品とか存在するのか?
俺が思いつくのって、他の奴が「特殊能力効果」になってるだけでラスボス戦が柊1人な「月と星と〜」しかないんだが……
というかこのスレで最低SSを探すのは柊が卒業するよりも難しいのでは。
むしろ最近は柊が全く出てこない話とかの方が多いのでは?とすら錯覚するが
…柊メイン気味のスレなのにw
>>199 強いて言うなら学園世界?
柊が一人で奔走しているような印象はあるけど、他の執行部員や協力者もいるし
実際に作品になっているのは他の執行部員の活躍だけどね
137はどうみても、作品の批評じゃなくて、よその作者の批判してるし、
いわゆる高CQってやつだろ。しかも自分の書いてる作品は、自分でこんなの
いやだの裏返しでしかない、柊踏み台の最低SSテンプレだしな。
最低SS批判で書かれたSSって結局は立場を変えただけでやってることは一緒だもんな。
次から ◆6H85fs.r4o が投稿したらスレが荒れるだろうな。
原作NWをヘイトするだけでも荒らし認定されるというのに
他SSの作者をヘイトしているんだから自分もヘイトされる覚悟だろうが。
過去のコメみたいに数字を弄り倒して満足しているGMとは卓を囲みたくないね。
>原作NWをヘイトするだけでも荒らし認定されるというのに
ってあったか?
◆6H85fs.r4o氏がうざがられてるのは言ってる事と書いてるSSの内容がおもいっきり正反対に見えるからじゃねーの?
柊U−1化する中で俺だけが! 本当の柊を書けるんだ!!
とかいいながらやってるこたぁ柊に無限回復チート乗せて神様と戦わせます! しかも相手は主八界の中から持って来ました!! だもん
まぁ、此処はクレバーに「作品と人格は直結では無い」と割り切って、
次に月と星と〜が投下されても下手に荒れたりせずに
「作品を読んで作品を批評しよう」よ、皆。
その上で、しっかり魅力を感じられれば好批評すれば良いし、
つまらないと感じれば批判すら付けずにスルーすれば良いんだし。
某スレの避難所騒動の如く、書き手の「創作者人格」と「それ以外での人格」を
ごっちゃにして特定個人人格攻撃が始まって、結末として
書き手の大半が
その顛末に呆れてスレに見切り付けて、まとめ収録済みの作品を
全削除した後に大量撤退なんて様は、もう二度と御免だからね。
今回みたいに作品外で余計なことを書かなきゃ荒れないさ
なんと言われようと書き続けるって宣言してるんだし、まぁ頑張ってもらいましょうや
ただ、今回の一件で読んでくれる人は確実に減っただろうけどね
◆6H85fs.r4o氏には、この一連の流れに対してSSで反論してくれると嬉しいですね
んー、作品ばかりに注目されてるけどさ。
柊スレで確認したここが魔窟と言われた時期に、ここがどんな話題してたか軽く見てみたんだが
前スレの157〜167の話題を見るとさ、このスレ的には柊を英雄とか主人公とか某型月の壊れた主人公系にとらえてる人が多いと思うわけ
で、柊スレの住人には原作初期から柊が好きな奴が多いと思うのよね、星継ぐリプレイとか黒皇子辺りのアニメ化前で柊が主役じゃない辺りね?
よく言われてるけど、柊はPC3〜5の立ち位置というのが原作でのあり方なんだよね
アニメでも主役という役目をやってはいたが、実は柊よりエリスの方が主人公として使える設定なんだよね
で、柊はその主人公を護るPC3〜5の立ち位置にしか過ぎない(スルトでは晶とキサラ、愚者の楽園ではレン、合わせ巫女では翠がこの主人公の立ち位置に該当する)
その辺りの意識の違いが、ここが魔窟と言われる大きな理由なんじゃねぇかな……うーん、上手く言えないな
上でちょっと出た学園世界での雑談を例に出すと
このスレ的には柊の魔剣=超☆有名な武器で練金術師とか技術者が涎モノ
柊スレ的には(←身勝手分析)柊の魔剣=あ〜、あるあるそういう設定の武器w
な対応の差がある、みたいな感じ?
そんなことより投稿しようぜ!(AA略)
てな訳で9時半より投下。
おっと、支援待機。
PCヤバいから、唐突に落ちるかもだがなっ!orz
>>209 作者否定しているんだから作品に注目しなくてどうするのさ?
> このスレ的には柊の魔剣=超☆有名な武器で練金術師とか技術者が涎モノ
話題のネタ以上の扱いがされたことがあったか?
SS中でゲストキャラが考えていてもそれをメインに据すえたものもないし
ゲストキャラが柊蓮司を良く知らない、「凄いらしい」って感じだと思うんだが。
それに公式の設定を掘り下げずに
>>209はSSを書ける?
ハーレムラブコメでもない限り、「そいや、そんな設定もあったね」なんて無理。
> 柊を英雄とか主人公とか某型月の壊れた主人公系にとらえてる人が多い
ならさ、◆6H85fs.r4o氏も柊蓮司を主人公に据えることなく英雄譚を書いて欲しいね。
今回スレが荒れているのは「自分も似たことをしているのに、他人を叩いている」のが
一番の引き金になっているからであって「魔窟だから」とか関係ないでしょ。
そんな意見のすり替えを行うようじゃ◆6H85fs.r4o乙。なんて言われるよ?
ちょっ、日刊になってるw
始まる前に遅まきながらひるの部の感想など
紆余曲折あった玲子さんと桜花さんですが、平穏な学生生活を送れててよかったよかった
…夜はカゲモリとして厳しい任務に赴いてるのかもですが
―――17:30 ザールブルグに到着。新しい1日が始まる。
ザールブルグアカデミーは、今日も人でごった返してた。
魔界にも負けないくらい色々な人がところせましと歩き回る、この異世界の学園。それが私の“用事”の場所だ。
“悪魔じゃない”エルフやドワーフが、この学園世界では割と普通にいる。
そんな話は聞いていたけど、“現代系”の学園である輝明学園にいる限り、そう言う人たちを目撃する機会は少ない。
精々が居住区で見かけたり、時々冒険者っぽい人に旧校舎じゃない方のスクールメイズへの行き方を聞かれるくらい。
(ピートさんたちの話では吸血鬼と人狼は輝明学園にも何人かいるらしいけど)
だけど、このザールブルグは、違う。
ここの校長の方針で“学園世界のすべての学生”に常時開放されているこの学園は、元々が“異世界系”の学園であることもあり、
前述のエルフやドワーフ、その他様々な異種族が闊歩する、異世界情緒に満ちた場所だ。
そして、そんな場所で私が向かうのは、図書室。そこにあるカゲモリの集会所。
「遅い。いつまで待たせる気だ」
茶室に入ると、エヴァさん…マスターがちょっとだけイライラした様子で、椅子に腰かけていた。
「いらっしゃいませ。玲子様、桜花様」
マスターの“護衛”である茶々丸さんがいつもみたいに深く頭を下げる。
「ごめんなさい。ちょっと色々あって…」
「すみません〜。おキヌちゃんを助けてたら遅くなりました〜」
あの後、必死の説得で“特訓の見学”を諦めさせていたら、遅くなってしまった。
「言い訳はいい。いつも通りだ。茶々丸と桜花はここに残れ」
「かしこまりました。それでは私はこちらで夕食の準備をさせて頂きます」
「は〜い…くれぐれも殺さないでくださいね〜。私がガーディアンじゃなくなっちゃうんで〜」
桜花さん、さらっと怖いこと言わないでください。
「…努力はしてやる」
あのマスター…その返答は不安しか巻き起こしません。
「あの…玲二さんは?」
“新しく始まる1日”に不安を感じながら、私はマスターに“もう1人の先生”の居場所を尋ねる。
「ああ、吾妻兄なら妹と一緒に先に行ったぞ。ついでだから自分も鍛え直すそうだ。もう“1時間”経つ…出てきたか」
マスターの返事を聞くと同時に、茶室に取り付けられた飾り…中にミニチュアの入った水晶球が光り、1人の女の子が出てくる。
「……」
私を見て、無表情に一瞥し、そのまま奥へ行ってしまったその人の名前は、吾妻エレンさん。
玲二さんの妹で…物凄く強い“カゲモリ”の1人。
見た目通りの年齢では無いらしいけど、実際にいくつなのかは、私も知らない。と言うより、聞けない。
「まったく…1人で“演技”していない時の奴は本当に無愛想だな」
マスターが一言呟いて私の方に向きなおる。
「行くぞ。“新しい一日”の始まりだ。きっちり叩きこんでやる…色々と、な」
お、お手柔らかにお願いします…
>>213 俺の中では玲子さんは、カゲモリとしてのお仕事中エヴァあたりと日夜漫才繰り広げてるw
という支援
―――18:00 午前中の玲二さんの授業終了。お昼を食べながら、玲二さんのアドヴァイスを受ける。
茶室の中に作られた、時間制御魔法で“1時間が1日”になる訓練所『エヴァの修錬場』
平日のうちの“1日”と土曜日の“1週間”を私はそこで過ごし、2人の先生から特訓を受けている。
『タバサ直々の推薦だから入れるが…今の実力では足手まといだ。他の連中に追いつくまで鍛えるから覚悟しておけ』
私と桜花さんがタバサさんの推薦で正式にカゲモリになった初日。マスターは、私にそう言って、今の特訓を課した。
ちなみに桜花さんは外で待っている。桜花さんが一緒だと甘えが出るからと言うのが、マスターの弁だ。
銃の訓練はいつもくもり空の荒涼とした荒野で行われる。目の前にはところどころにある様々なターゲットだけ。
それと最低限の生活が可能なログハウス。それしか無い寂しいところだ。
パン!パン!パン!…カチッ
全マガジンの弾丸を撃ち尽くしたのを確認して私はほっと肩を下ろす。
『とりあえず、今日は…あいつをひたすら撃ってみてくれ。もちろんちゃんと狙って、な。ちょっと見てみたいことがある』
そう、玲二さんは言い残して奥の小屋に引っ込んでしまった。いい匂いがしてる。何か作ってるのかな?
「…お。ちょうど撃ち終わったか?」
「…はい。結構弾数があったので疲れました」
振り返ると、そこには高校生には無い“大人っぽさ”と、おいしそうな焦げたケチャップの匂いを漂わせた玲二さん。
「…やっぱりか…」
玲二さんはそれ…30m先に取り付けられた人型のターゲットの紙を回収して、しげしげと眺めて一言だけ声をもらした。
『お前が使えるのは、魔法と銃か…分かった。魔法はこの私が直々に仕込んでやる。銃は吾妻…兄の方だな』
そう言ってマスターが連れて来たのが私の銃の先生“吾妻兄”こと吾妻玲二(あがつまれいじ)さん。
“カゲモリ”で1番銃の扱いに長けている(ちなみに2番目はさっき会った玲二さんの妹のエレンさんだ)人で、素人同然の私に銃の扱いを教えてくれる先生だ。
マスターが選んだだけあって、玲二さんに教わるようになってから、私の銃の腕はかなり上がった。
「えっと、どうですか?」
一言言ったきり考え込んでいた玲二さんに、私はたずねる。
「う〜ん…詳しいことは中でメシ食ってから話そうか」
そう言うと玲二さんはその紙をくるくると丸めて小屋の中へと入って行った。
「まず、これを見てどう思う?」
玲二さんの作ったナポリタンを食べ終え、食後のコーヒーを私の前に置いた玲二さんは先ほどのターゲットをポスターのように壁に貼り付けて私に問う。
えっと…
「命中率が、悪いと思います。半分くらいしか当たってない…やっぱりまだまだ、ですよね?」
改めて確認すると分かる。撃った弾数の半分くらいしか、人型のシルエットに当たっていない。これでも前よりは当たるようになったけど。
「う〜ん、そこじゃないんだけど…まあ、間違いでもないかな?」
だけど、玲二さんは私の答えに不満らしい。傍らにあったマジックを取ってつかつかとターゲットに近づき、2つ大きく丸をつける。
「玲子が狙った場所、頭と胸の中心…心臓に集中してるだろ?」
「あ…はい」
言われて見れば。確かに確実に相手を倒すのなら、そこを狙った方がいいかなと思って撃っていたと思う。
「それが問題だな」
「え?そうなんですか?」
玲二さんは頷いて解説する。
「頭と心臓。この2つが急所だってことは子供でも知っている。それだけに喰らうのを一番警戒する場所だ。慣れてるやつならまず間違いなく守ってる。
それに小さい。今回みたいに動かないターゲットでこの命中率だと、動いてる奴に当てるのはかなり難しいな」
頷く。確かに悪魔相手に銃を使っていたときも、もっと近くだったのに結構外した。
「だから狙うなら…」
玲二さんは再びきゅっと丸をつける。
「腹。一番動きが少なくて、警戒もうすい、そして多少それてもどっかには当たる“当てやすい場所”だ」
そう言ってポスターのほぼど真ん中に大きく。
「それでいいんですか?」
私は思わず聞き返した。
「いいって?」
「え、だって…」
腹では、当ててもすぐには倒せない。
そんな私の疑問を察した玲二さんが丁寧に答えてくれる。
「玲子にとって、メインは魔法。銃はあくまで護身用のサブウェポン。別に銃1つで俺やエレン、ライズ辺りに並びたいって言うんじゃないだろ?」
すらすらと魔法を使えない…逆に言えば魔法なしで他の人たちに匹敵する実力を持つカゲモリの人たちの名前を挙げる。
「そう、ですね…無理だと思います」
それに、私は頷く。
前に、先ほど玲二さんの言った2人…エレンさんとライズさんの“練習”を見たことがある。
とても眼で追えない速度で舞いのように模擬剣を繰り出すライズさんと、その剣を持った相手にゴム弾を詰めたハンドガンと刃止めしたナイフだけで“近接戦”を行うエレンさん。
(玲二さんに言わせれば『剣1本でエレンと渡り合えるライズの方が何者なのかと思う』と言う話だったけど)
私が、あの2人みたいな人と銃だけで戦う…考えただけでぞっとする“自殺行為”だ。
「ならば、銃なんていざって時に的に当たって動きを止められれば、それでいい。止めて時間を稼いで、魔法で倒すか、桜花に守って貰えばいいんだ」
そう言えば、マスターもそんなことを言っていた。後衛の“魔法使い”の体術は最低限自分の身を守るもの。後衛を守るのが前衛の仕事だと。
「…それに、俺がエヴァとしたのは玲子に銃で身を守る方法を教えるって約束だ。殺す方法は教えるつもりはない」
ふと、呟くように、そんな風に言う。
「…教え子に死なれるのは嫌だから、そこだけは全力で教えるけどな」
そう呟いた玲二さんは、酷く悲しそうな瞳をしていた。
…カゲモリの“ルール”の1つに、“他のカゲモリの過去を詮索しないこと”と言うのがある。
最初は、みんな知られたくない過去があるから位に思っていた…私自身“秘密”があるから。
でも、本当は…
「…そう、そんなのは、1回で十分だ」
その人に過去を“思い出させない”ためなのかも知れない。
「…さてと、そろそろ“午後の授業”だろ?」
う。玲二さんの言葉でそれに気づいた私は顔をしかめる。
午後の授業。それはマスター直々の“魔法”の訓練。
多分今日も私は、酷い目にあうんだろう。
なるほど、いい発想の転換。
銃はホドホドで、魔法中心に動きますか。支援
―――18:30 マスターの授業終了。さつきさんがマスターを怒らせる。
「お、終わった…」
一応向こうでも寝た(3時間くらいだけど)のに疲れをたっぷりと残して私はエヴァの修錬場から脱出する。
「フン…やはり『ぼうや』のようには行かんか」
対するマスターは疲れた様子は無い。いくらあの中ではマスターの“本来の魔力”がある程度は戻ると言っても、タフすぎだと思う。
マスターは、タバサさん以上の魔法制御技術と学園世界屈指…“魔王級”の魔力を併せ持った恐ろしい人だ…本来ならば。
今は“学園結界”と言う呪いの一種の影響で、魔力の方が物凄く弱体化しているらしい。
この学園世界に来てからは豊富な魔力がある学園世界の影響で“学園結界”の範囲が広がり(輝明学園の“世界結界”の残滓と混ざりあった結果だと言っていた)、
結果としてカゲモリの『課外活動』としてなら学園世界のどこへでも行けるが、代わりに何処に行っても“学園結界”の影響を受けると言う。
「へえ〜、桜花ちゃんは今学校通ってるんだ」
「ええ〜、30年ほどサボってたんでついて行くのが大変ですけどね〜」
部屋では桜花さんといつの間にか起き出してきたさつきさんが話をしていた。
「いいなあ〜、私もこんな身体じゃなかったら学校通うんだけどな〜」
さつきさんが溜息をついて言う。
さつきさんはマスターと同じ“吸血鬼”だ。
ただ600年位前に吸血鬼になったマスターに対して、さつきさんは吸血鬼になってから1年経っていない。
マスターによれば半年で今の領域に達した“天才”だと言う話だが、普段話しているさつきさんはそんなことを思わせない、普通の女の子だ。
だけど、そこはやっぱり吸血鬼。太陽の光が苦手だから昼間は外に出ないし、その外では“カレー臭のする恐〜い人”に狙われているとかで夜も無闇に外には出ない。
任務中以外はずっとこの茶室で過ごす、引きこもり系不登校児(本人談)だ。
「ああ、せめてちょっとだけでも学校行って、遠野君と会えたらな〜」
だら〜っとさつきさんが伸びているさつきさんに、マスターがたずねる。
「…なんだ、さつきはそんなに学校に行きたかったのか?」
「え?そりゃあ…まあ。一応まだ退学処分にはなってない学生ですし、やっぱり普通の高校生として暮らしたいな〜って」
「フン。そうならそうと早く言えば良かったものを」
そう言うとマスターはいや〜な予感がする笑みを浮かべて言う。
「それなら、この私が学校に行ける“呪い(まじない)”をしてやろう」
「え!?おまじない!?本当ですか!?」
思わず立ち上がって聞き返すさつきさん。
「ああ、効果はこの私が保証してやる」
重々しく頷く、マスター。
「それで…どんなおまじないなんですか?」
ごくりと唾をのみ、さつきさんがマスターに尋ねる。
「ああ、極めて強力な呪い(まじない)…名を“登校地獄”と言う」
「「「と、登校地獄!?」」」
あまりのインパクトにさつきさんと桜花さん、私の声がハモる。って言うかマスターなんですかそのネーミング。
「ああ、これはすごいぞ。何しろ学園と学園のある街からは一歩も出ることが出来なくなり、学校行事以外では旅行1つ出来なくなる。
かけ方次第ではそれすら出来んがな。それに無事卒業を迎えれば次の春には晴れて同じ学校の新入生。エンドレスで学校に通えるぞ。良かったな〜」
…あのう、それって…
「あの〜エヴァさん、むしろエヴァ様?」
「なんだ?」
さつきさんも恐らくは同じ疑問を抱いたらしく、おずおずとマスターに尋ねる。
「それって…おまじないじゃなくて…呪い(のろい)って言いません?」
「…はっはっは。何を言う」
あの、マスター。すごく…白々しいです。
「字は一緒だろう?」
「せめて否定して下さいエヴァ様!?」
さつきさんが悲鳴を上げる。
「それで、どうする?これでもこの魔法を私は15年ほど研究しているからな。元の世界でも屈指の専門家だ。
何ならお前が100年頑張っても解けないくらいの強さで掛けてやってもいいぞ?」
「全力でお断りします!」
即答。ですよね。
「ほう?いいのか?」
「って言うかむしろなんでそんな恐ろしいもの…そんなのにかかったら、かかったら…」
さつきさんが溜めてから、言葉を飛ばす。
「遠野くんが卒業したら2度と会えないじゃないですか!?」
問題そこなの!?
玲子さんNW的にいえばキャスターだろうしなあ支援
エヴァ・・・・あんた道連れ増やそうとしてるなw支援
「…ほほう」
「たった2年…遠野君が卒業したらそれっきりなんですよ!?これでも私の初恋なんです!正直競争率高すぎで厳しいのは分かってるけど…でも、諦めたくはないんです!」
うわあ…さつきさんって結構情熱的だったんだなあ…
そんなことを思いながらマスターの方を見て…私は固まった。
「そ〜かそ〜か…その遠野君とやらを追いかけて結ばれたいから、学校に行きたい、と」
な、なんと言う威圧感!?って言うか魔力は封印されてたんじゃないですかマスター!?
「玲子!」
異変を察知した桜花さんが離脱して私の傍らに立つ。肉体回収とか言ってる場合じゃない。
「それは、私への当てつけだと見ていいんだよな?弓塚さつきぃ…」
威圧感を纏いながらさつきさんをフルネームで呼ぶマスター。笑顔なのがむしろ怖い。
「な、何のことですか!?」
さつきさんの問いかけには答えず、マスターは淡々と宣言する。
「特別だ。この『闇の福音』の全身全霊をもってお前に登校地獄を掛けてやろう…永遠に解けないよう、念入りになぁ…」
ピシピシと音すら立てて部屋の温度が下がる。こ、怖すぎる!
「むう…このままだと茶室が消滅しかねませんね〜」
桜花さんが“戦闘の時の顔”で辺りに月匣を張り巡らせる。旧校舎の時よりも本気に見えるのは、気のせいですか?
「なぁ〜に心配せんでも5,6回高校生を繰り返せば案外その遠野君とやらの息子辺りがお前のクラスの担任として来るかも知れんぞぉ?」
何ですかマスターそのありえない設定。って言うか5,6回だと先生どころかまだ高校すら卒業してませんよその子。
「そ、そんな…それって遠野君と私が結ばれないの確定じゃないですか!?」
さつきさんも。何でそれをさらっと受け入れてますか?
「いいですか?機会を見つけたら即、逃げてください〜。ここは私が、食い止めます…帰ったら、おいしいご飯を作ってくださいね〜」
桜花さん、真面目な顔でそんな死にそうなセリフ吐かないでください。
「私は、負けない!呪いになんて頼らないで、遠野君と結ばれて見せる!エヴァ様…いや、エヴァンジェリン!あなたの好きには、させない!」
さつきさんも、そんなかっこいいこと言ってないでマスターをなだめてください。
「ならば、抗って見せるがいい…無駄なあがきだけどなぁ!共に、地獄に落ちようじゃないかぁ…」
マスターも、どう見ても悪役ですよ今のセリフ。
…え?さっきから私が覚めすぎじゃないかって?
…ついていけてないだけです。ぶっちゃけた話。
―――20:30 アカデミーの外で、タバサさんと会う。タバサさんの新しいお友達とご挨拶する。
「すっかり真っ暗ですね〜」
ザールブルグから居住区への道を歩きながら、さっきまでのことが嘘だったように朗らかに言う桜花さん。
「そうですね〜。いやあ茶々丸さんの手料理、おいしかったなあ〜」
私も調子を合せる。
…さっきの出来事はあの場にいた全員、お互い忘れることにした。って言うか5人がかり(私除く)で対等ってどういうことですかマスター。
閑話休題。
「そう言えば〜、玲子は大丈夫でしたか〜?」
「はい。茶室の最奥の客室にずっと隠れてましたから」
ヤバいと思ったら即逃げる。魔界で培った経験は、私の中でまだ生きていたらしい。
あの後、なんとかマスターを“鎮めた”後、茶々丸さんの手料理をご馳走になった。
正直色んな意味で晩御飯を作るだけの気力は残っていなかったのでありがたかった。
その結果、いつもより帰りが遅くなったけど。
「でも、やっぱりこの時間になると寂しいですね…」
夕方、人でごった返すザールブルグも最終下校時間を過ぎると一気に閑散とする。
この時間になると歩きまわる人も減るし、夜まで遊びたい人は夜も営業している店のある学園都市の方に行く。
「はい〜。まるで幽霊でも出そうですね〜」
いや、アンタが言いますか桜花さん。とはいえ。
「まあ、そうですね…こう、怪談とかだと突然目の前に小さい子供の幽霊とかが」
いた。
「うわっ!?」
青い髪と、金髪の、小さな2人の女の子が道にぬぼ〜っと、人形のような無表情で立っていた。
…え?青い髪?
「おや〜?こんばんわ〜タバサさ〜ん」
「あ、た、タバサさん!こ、こんばんわ!」
うっかりしていた。タバサさんを幽霊と見間違えるなんて。
「「こんばんわ」」
タバサさんとタバサさんと一緒にいた女の子が2人して挨拶を返す。
「そちらの可愛らしい方は、どちら様ですか〜?」
桜花さんがたずねる。確かに可愛い子だ。なんて言うか、人形みたいな感じ。
タバサさんと同じく、ショートヘアーに切りそろえられた金髪の上に猫の耳みたいに2つに別れた黒い帽子をかぶっている。耳が長いからエルフって奴なのかもしれない。
タバサさんと同じくらいの背格好で、着ているのは紺色の制服。大きなピンク色の鞄には中いっぱいに良く分からない色々なアイテムが入っている。
なんとなく、タバサさんの生き別れの妹ですって言われたら信じてしまいそうな、タバサさんによく似た雰囲気を持つ女の子だった。
「この子は…」
桜花さんに聞かれて、タバサさんはついと目くばせ。その子が頷いて喋り出す。
桜花さん、ムチャシヤガッテ・・・・w支援
「ルーシーです。ルーシー・ミンシアード。光綾学園の冒険科で、スカウト志望です。よろしく」
その子…ルーシーちゃんが表情を変えること無くすらすらと言う。
「どうも〜倉沢桜花です〜。桜花ちゃんとでもお呼びください〜」
「あ、ど、どうも。赤根沢玲子です。よろしく」
私達も慌てて自己紹介を返す。
「前に交換留学でトリステインに来た時に、仲良くなった」
「なるほど〜、冒険者の方でしたか〜」
タバサさんの説明に桜花さんがうんうん頷いている。そう言えば光綾って異世界系の冒険者の学校だっけ?
確か、タバサさんの学園の隣にあるって言う。
「それで〜、ルーシーちゃんはおいくつですか〜?」
「18です」
「なるほど〜18歳ですか〜」
そっかあ。ルーシーちゃんは18歳かあ…
「…18ぃ!?」
ルーシーちゃんが思いっきり年上だったことに私は思わず驚いて声を上げる。
「…そうです。18歳。子供がやっちゃいけない色々も可能な年齢です。“アダルティー・ルーシー”とお呼びください」
私の発言に気分を害したのかルーシーさんはちょっとだけむっとした表情で私に言う。
「…ルーシーは罠の専門家。見つけるのも外すのも得意。ダンジョンに潜るときに、組んでいる」
それを取りなすようにタバサさんがルーシーさんについて詳しく説明を始める。
「ダンジョンに潜るなら、罠の専門家は必須。今日は今週末一緒に行く暗黒不思議学園の『百万迷宮』の攻略準備をしていた」
「あそこは面白ラッキーアイテムもありますが特殊な罠やモンスターも多いですから、普通のダンジョンのつもりで挑むと危険です」
「…頼りにしている」
「はい。私もユウキもニィさんも魔法は全く使えませんから、魔法の専門家であるタバサの存在は、心強いです」
「そのかわり…」
「はい。“復活薬”が出たらタバサの取り分、失われし伝説の秘宝、“マスタースクリーン”が出たら私が貰う。他は各々折半です。いいですね?」
「分かった。次は攻略ルート…」
「それと食事のタイミングです」
そこから発展してタバサさんとルーシーさんが話し合いを開始する。なかなか白熱した議論で、私たちが入る余地はない。
「そ、それじゃ私たちはこの辺で」
「はい〜。詳しい話は月曜日にでも聞かせてくださいね〜」
気を利かせて私たちはそっと離れる。どうやら耳に入ってないようで2人は議論を続けている。
「なんと言うか〜。似たもの同士ですね〜見た目も中身も〜」
同感です。
いや、ディアラマ使ってたしヒーラーかな(独り言)
支援
―――22:00 部屋の前でねがいさんと会う。今夜もパソコンでゲームらしい。
「ふぁ…ちょっと眠い…」
お風呂に入ってパジャマに着替えたら、一気に眠気が襲ってきた。
「くー…すー…」
桜花さんは戦いで疲れたのかもう寝てるし。
「でも、ちゃんとやることやらないと、寝たらまずいよね…」
正直私ももう寝たいけど、学生の本分は勉強。予習復習は怠らないようにしないと。
「しょ〜がない…」
私は立ち上がり、外に出る。
目的地はすぐそこ、寮に備え付けの自販機。コーヒーの1つも飲めば目が覚めるだろう。
「あ、こんばんわ。ねがいさん」
自販機の前で、ねがいさんと会う。
「あ、玲子…こんばんわ」
内気なねがいさんは小さな声で返事を返す。朝とは打って変わって元気そうだ。
「ねがいさんも、お勉強ですか?」
まだ10時だから寝るのは早い気もするけど、学園世界TVって放送が9時で終わるから、あんまり起きてても勉強くらいしかやること無いんだよね。
「ううん。違うの…『がくおん』はこの時間からが本番、だから…」
だけど、ねがいさんの目的は別にあるらしい。
「がくおん?」
そう言えば朝、いのりさんがそんなことを言ってた気がする。
「うん…がくおん」
ねがいさんががくおんについて説明してくれる。
がくおんって言うのは『学園世界Online』の略で、パソコンで遊べるゲーム…それも一度にたくさんの人が同時に遊べるゲームらしい。
プレイヤーは『ゲームの中の学園世界』の住人になって、冒険したり執行部に入ったりできるって言うゲームだ。
それで、昼間はプレイできないから、夜が沢山のプレイヤーが集まる『本番』となる。
特にこの時間になると、部活終わってから色々していた生徒や仕事の終わった先生たちもログインしてきて賑やかになるらしい。
「へぇ…すごいんですね」
ねがいさんの説明に、私は目を丸くする。
私の世界にもパソコンはあったけど、女子高生が持ってるほどには普及してなかったし、それを使ってみんなで一度にゲームなんて発想は無かった。
どうやら私のいた世界と輝明学園には10年位、時代の差があるようだ。
ちっちゃい携帯電話が普及してたり、携帯ゲーム機に画面が2つついてたりして、来た当初は驚いたものだ。
「うん…だから…今から準備」
そう言いながらねがいさんはペットボトルのお茶を一気に3本買う。ゲーム中はのどが渇くから、とのことだ。
「今日から『ペルソナ使い』と『サモナー』が実装されるから、新アカのレベル上げと性能テスト手伝うってこなたんと約束してるの…それじゃ…」
それを抱え、ねがいさんは足早に部屋へと戻って行く。一刻も早くゲームをやりたい。そんな感じだ。
「…あれじゃあ朝のあれも頷けるって感じだよね」
毎朝毎朝ねがいさんが寝ぼけている理由が分かり、ちょっとすっきりした私も部屋に戻り、勉強を始めることにした。
―――24:00 予習復習を終えて就寝。明日も頑張ろう。
「ふう…これでよしっと」
予習と復習。こっちに来てから始めた日記を書き終えて私はパタンと日記を閉じる。
「さてと…今日はもう寝よっと」
歯磨きして、桜花さんを起こさないように布団にはいる。
「それじゃ、おやすみなさーい…」
枕もとの電気を消して目を閉じる。
今日も色々あったせいか、あっという間に眠気が襲ってきて、私はすぐに眠りに落ちた…
以上です。
前回の(ひる)が普通の学園生活(日常)なら、(よる)は特殊な学園生活(非日常)。そんな感じにしてみました。
…最初のパートだけはシリアス風味だったのに…やはりエヴァ様周りの設定は面白設定が多すぎるw
それはさておき以下解説。
百万迷宮
5X5、全25マップにも及ぶ広大なダンジョン。
中心であるC−3付近にいくつかのマップにまたがった『暗黒不思議学園』があり、学園の“領土”となっているが、まだまだ多くの部分が未到達区域となっている。
このダンジョンは暗黒不思議学園の理事長リジィの方針で、『攻略した未到達区域のマップを学園に提出すること』を条件に未到達区域の冒険が許可される。
他のダンジョンには見られない特殊なモンスターと罠に満ちたダンジョン。具体的には『迷宮キングダム』を参照。他の“王国”があったりするかも。
がくおん
正式名称は『学園世界Online』
学園世界の生徒となり、電子上の学園世界で生活することができる学園世界専用MMO。
このゲームの特徴としてはキャラクタとして他校の生徒…
輝明学園の『ウィザード』や学園都市の『超能力者』、光稜やエルクレストの『冒険者』、トリステインの『メイジ』、ザールブルグの『錬金術師』など
“特殊な学園”の生徒として冒険したり執行任務を受けたりすることができる点である(そのため一部の学校では生徒数が“現実”以上の数だったりする)
そのため、特殊な力には縁のない、ゲーム好きの一般人生徒の間で人気がある。また、逆に“特殊な能力を持つ生徒”が『一般人』としてまったりプレイしてたりもする。
ちなみに教育的配慮からか平日の8:00〜16:00までは“メンテナンス中”となり接続不能となる。そのため学校をサボってのプレイは不可。
だが、そのことが逆に大量の“徹ゲーマー”を生んでいるのが実に皮肉である。
製作者は不明。麻帆良や学園都市のどこか、あるいはごく少人数で構成されたスーパーハッカー集団の手で作られたなど、色々な噂があるが真相は闇の中。
次に新キャラ説明
ファントム・オブ・インフェルノより“吾妻兄”吾妻玲二、“吾妻妹”吾妻エレンの2名。今まで名前だけは出てたカゲモリもちょっとだけ出してみました。
それとぱすてるチャイムより、ルーシー・ミンシアード。色々設定がタバサと被ってます。色々と。
そしてレス返し
>>103 カゲモリには正体ばれそうになった時助けられたって人も多いです。スカウト担当が助さんと格さんと風車の弥七を兼任と言うすっげえ黄門さまなのでw
>>178 大半は普通の学生やってますからね〜。まあ出て来たのは割と特殊な方々ですけど。
あと苗字は結構かぶりますね。多分各地の“柊さん”はちょっぴり複雑な心境でしょうw
>>191 いのりとねがいのコンビはやはり可愛いですね。思わずMMOプレイ出来て無さそうなねがいのために特殊設定まででっちあげてしまいましたw
>>213 GW中につき筆が凄い勢いで進みました。ビバ大型連休!…それはさておき。
午後5時以降は割と大変ですけどね。とはいえ実力足りてない玲子をいきなり任務に駆り出すほどには鬼じゃないでしょう。
…代わりに凶悪な訓練が課せられたけどw
ねがいー!wいーかげん外で執行部の手伝いでもしなさーいw
義弟(おとうと)は悲しいぞー! 支援w
>>228 GJでした。エヴァ、ハッキリ言って怖ぇ・・・・www
新設定ですかーw なんだかカオスが進んでる気がしますw
・・・・ちょっと、お借りしようかしら♪w
投下乙でした。
任務より厳しいやもしれませんね…エヴァ様の癇癪的な意味でw
そして吾妻兄妹初登場おめでとー。
なぜかこの二人がスカウト担当の黄門様に助けられてカゲモリ入りのイメージが。
がくおんも面白そうですね。一瞬深夜アニメでも始まったのか学園世界、と思いましたが。
これでオンラインを通じて学園世界各地に悪魔が実体化とか
ネットワークに潜む侵魔にプラーナを吸われるとか出来ますね。
【悪い事ばかり思いつく】
>228
乙。
因みに、百万迷宮の“既知の土地”は6×6ですよ。
更に『げっちゅー☆キングダム!』では8×8マップに拡張されています。
>>231 っつーか、がくおんがオンライン“ゲーム”ならば、必ずや吾奴も居るで在ろうて。
そう・・・・・・・アノ『落とし神』のアバターがw
ともあれ、一日の方GJ!♪
ひる編/よる編が、ギャップが有るのは確かだけれど
それな様でいてやはりキャラ達のそれぞれの「普段」
(引っ括めの為、敢えて「日常」とは言わず)が現れていて、
空気に染まるキャラ殺し無く楽しめましたよw
>152
シェローティアの空砦第二話(GF12th Vol.6)より魔剣メンテ中の柊
柊:じゃあ……ベランダに近い陽の当たる場所で安楽椅子に座ってですね、ぼーっと……。
柊:膝にのせた猫をなでながら沈む夕陽を見てね……(笑顔で遠い目)。
>>212 あ、いや俺としては一連の流れを見て荒れたのは
>>137氏が思う原作寄りの主人公じゃない柊像と、この魔窟と呼ばれるスレ住人の二次創作寄りの主人公な柊像の食い違いが原因じゃないかと思ったわけ
多分、その“凄いらしい”ってのが初期柊の頃から好きな人には引っ掛かるんじゃないかな?まぁ、俺がそうだからこれも予想にすぎないけど
で、俺が言ったのはSSがどうこうじゃなくて、スレ住人の意見というか認識についてなんだ、そういう話題が出る以上柊を使って英雄ものをやるのがこのスレの主流なのかな、と
話のすり替えとか不快に感じたのなら、俺の文才の無さだ、スマン
ただ
>>137はちょっと作品の内容と言ってる事が噛み合わないのは事実だな、このスレ的な柊を否定するのではなく、別スレの作品で大変申し訳ないが『白き異界の〜』氏のような原作寄りのPC3〜5な柊の扱いをした作品にするよう心がけるべきだった気がする
>>235 そりゃあ、NW!クロスSS書く上で
柊が「その他大勢のウィザード魔剣使いの一人」で居られるFtE舞台で
クロスキャラの方が来訪するんじゃ無く、柊が「異作品世界観からお邪魔して
相手世界観の中で活躍する」って内容のSSだと、ゲストと言う名の或る意味
「作中異分子」で在る柊を、相手側に合わせる為に
或る程度は
特別格を付ける事が多いからじゃないかねぇ。
自分基準での分析だけど、相手世界観の方がFtEにお邪魔して来た
上記の余所様でのリリなのクロスや此処での武装錬金クロスや
ぱにぽにクロス(実質はベホイミちゃんクロス)やDXクロスでの柊は、
別段英雄英雄して無くて「リプレイ時寄りの一、魔剣使い」として適度に描写されていると自分には見えてますし。
これは自分の考える手法のひとつですが、必ずしも柊をPC3〜5的な
「介添え役や手助け役や成り行き協力役」に収めて相手方世界観に
柊をお邪魔させた上でクロスさせたいなら、話の中心は
侵魔や冥魔絡みが知れず纏わり付いた
クロス先キャラの動向や展開に焦点を合わせて、柊は
「侵魔や冥魔絡みと云う裏事情を知っている上で、標的を探る為に
裏事情を暈しつつクロス先キャラ達に接触する異邦人」って感じに
すれば、それらしくなるんじゃないかな?
勿論、クライマックスへ向けての終盤では真相に気付いたクロス先の
キャラ達にも侵魔や冥魔の事は
柊の口から教えるけれど、クライマックスでも解決の鍵は
あくまでクロス先のキャラ達の動向次第で、柊はクロス先のキャラ達を
守る為に助力として奮闘するに留めて置くとか。
>>228 GJでした。エヴァはギャグもシリアスもいけるおいしい立ち位置だなぁ
タバサも外の世界の友達が増えてなんだか楽しそうですね
がくおんについては、オレも学園の垣根を越えたバンドでも結成されたのかと思ってましたw
>>235 どう見ても
>>137が狭量なのが原因であって
柊像の食い違いなんていうのは、それこそ話のすり替えじゃないかしら
他のSSも投下され、流れも変わってきたのに、また蒸し返す
荒らしにかまうなよ。魔窟だとか、どうみてもこのスレを馬鹿にしてるし
◆6H85fs.r4oだろ、こいつ。魔窟だなんて呼んでるの、柊スレの一部の馬鹿だけだし
それをもちこんだのも◆6H85fs.r4oだしな。
>>236 なるほど、確かにそういう見方も出来るのね。すっげー納得できたわ、確かに練金クロスの人とか例で挙げてもらったのは普通の魔剣使いっぽい感じでしたし
>>337 そっか、んじゃ俺の考えすぎか
>>338 あー、やっぱりそう思っちゃう?確かに作品投下された後だったし、誤解解こうと自分の考え書き込みしたけど、考え足らずだったわ、ごめん。
ちなみに魔窟とか馬鹿にした気はないんだ、ただ柊スレでそう言われてた時があったから引用しただけでね。
/)
///)
/,.=゙''"/
/ i f ,.r='"-‐'つ____ こまけぇこたぁいいんだよ!!
/ / _,.-‐'~/⌒ ⌒\
/ ,i ,二ニ⊃( ●). (●)\
/ ノ il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
,イ「ト、 ,!,!| |r┬-| |
/ iトヾヽ_/ィ"\ `ー'´ /
>>239 つかさー、このクロスSSスレはアニキャラ総合なんで通じ難いかも試練が
ゲーム的に見て
NPC的立場にいるときの柊像は「かつて世界を救った凄腕の魔剣使い」
みたいに知名度に箔つけられて、
PC的立場にいるときの柊像は「10レベル(前後)な一魔剣使い」
として苦闘してあがく側
スタンスによって見られ方や立場の差にともなう差があり
それどう捉えるかによって作者さんの描写の差につながってると
思えば良いと思われ
適当なたとえでないけど、ロードス島戦記一巻以降で経験積んだパーンが
後のフォーセリア物でリウイからどう見られたか考えれば描写にずれが出て当然
それこそ
>>240だわなw
仮面ライダーブレイドの橘さんみたいなもんだ。
NWは設定としての強さレベルをはじめとした数値での強さが一致しないのも注意したほうがいいと思う
1レベルでベルを倒せたからと言って、じゃあベルは弱いかと言えばそうではなくやっぱりベルは大魔王だし
10レベルで名もない雑魚侵魔に苦戦してやられてしまったとして、その雑魚侵魔はやっぱり雑魚で設定的には有象無象なんだし
そういや輝明学園にいるはずの高レベルPCは何してんだって話があったが、
学園世界開放の鍵を握ると(何故か)言われている柊蓮司の卒業証書を捜索するためスクールメイズ超深層に挑んでいるというネタが浮かんだ。
まあ浮かんだところで相当する公式キャラがいないんでSSに出来ないけどな! あとスクールメイズ持って無いし!
245 :
夜ねこ:2009/05/05(火) 21:00:34 ID:GFChUHJ3
……えーと。
うわ、言い辛いなこれ。
夜ねこというコテをつけたままで、少しだけ
>>137氏に向けて話すことを許していただきたいと思います。
たぶん、このスレでは柊に一番女の子を近づけてる作品を書いてると勝手に思っていますので。
>>137氏が私の作品内で『不快な印象を与えるような書き方がされている』と仰るのであれば、それは自分の未熟ゆえの不覚です。
今後とも精進していく所存です。申し訳ありませんでした。
ただ、
>>137氏が明確に私のことを指して言ってらっしゃるのかは私にはわかりません。
これは
>>137氏に限りませんが、私の作品内でダメなところはダメだとはっきりと言っていただければ幸いです。
そういった指摘は、何よりの芸の助けになります。
もちろん、楽しかったという感想も毎度毎度楽しく読ませていただいています。ありがとうございます。
>>137氏に、私が申し上げるところがあるとすれば、それは『SSは意見を戦わせる意図で書かれるものではない』ということでしょうか。
もちろん、あらゆる創作物には作者の意思が混じります。主張が入ります。心がこもります。
ただ、それだけです。
伝えたい思いを、言いたい言葉を、願っている考えを込めていることは込めますが、ただそれだけです。
それはつまり『ものづくりとは思いを届けるもの』だということだと、夜ねこは思います。誰かに見てもらって、そこで完成を見るものだと考えています。
読む人がいてこそ、物語は終わります。読んでくれる人がいてくれるから、物語は存在できると思っています。だから、自分の主張を言うためだけの物語は、私には作れません。
他の人を否定するためだけに作られた『物語』は、とても虚しいものだと思います。
少なくとも、私はそのために『物語』を作る気力はありません。甘ったれですが、『虚しい物語』を書くよりも、『誰かの心を動かせる物語』を書いていたいです。
未熟は未熟なりに、誰かに届くものを。
私の書いたお話を読んで何かしらの感想を抱いてくれる人がいてくれたらいいな、と思いながら誰かが読んでくれることを祈りながら書いています。
きっと、誰かが私の作ったものを読んでくれるというのは、当たり前のことではないから。
長々と失礼しました。
差し出がましい真似をしました。収まった頃にこんなこと蒸し返すあたり本当にどうしようもないと思います。
でも。
少し自分の未熟にヘコみもしましたが、夜ねこはこれからも精進していきたいと思います。
じゃあ、余計なことしたかもと(実際してるけどな)ビクビクしつつ1時間後投下ー。
CAUTION!
この話は、あくまで番外編です。
本編はすでに終了しており、本編終了後のIFストーリーでできています。
よって、本編とは多少関係性が変わっていたり、少し成長して本編通りのキャラクターとは少しズレたものとなっているかもしれません。
そのことを頭に入れた上、用法用量を正しく守ってお読みください
っていうかー。きくたけワールドだとレベルに意味なんて無いよね。
「倒されるべき時に倒されるべき場所で倒されるべき方法で倒されるべき相手に倒されようとしている
と判断したら倒れるのが正しいボスキャラだ」ってのがきくたけ世界。
S=FやN=Wは顕著だけど、本来レベルで勝てない相手には絶対勝てないはずのALffのスルトの剣
でも、真帝国の最新艦隊<レーヴァティン<奈落魔王<PCパーティを通して、卓ゲALffファンから
非難されたりする。きくたけキャラのグラーフ船長が3Lvのままで高レベルキャラと互角に渡り合ってる
なんてのもきくたけキャラだからだろうし。さらに遡ればBローズリプで人間に絶対勝てるはずがない
魔族にPCが(アイテムがあったとはいえ)勝利してる。
柊が主人公(もしくはPC的な立場)である限り、ボスキャラは彼(ら)に倒されるべき宿命をもってるんだ
からどんな超絶凄い設定があろうと倒せるのがきくたけワールド。
0レベルキャラが本気の聖竜騎士を粉砕してもストーリー的にそれが美しければそれでよし。
この流れを断ち切ってくれることを期待しつつ
夜ねこ氏の支援準備に入るぜ
まぁだからこその今回の混乱だからなぁ>きくたけ展開
分類的にはこんな感じかねぇ?
┏柊の活躍は運命的な要因が主である派
┃┗柊はただの魔剣使い派
┃
┣折中派(柊の活躍は王子がきくたけやユーザーに愛されているからだ派)
┃
┗柊の活躍は柊自身の努力や行動によるものだ派
┗柊は特別な存在派
分類だとかLvがどうとか、リプレイじゃなくてSSなんだから
どんな強敵だろうが倒すための伏線がしっかりしてればいいんじゃないの?
>>245 これから仕事なんで支援できないけど楽しみにしてますぜ
>聖竜騎士
SDガンダム外伝の聖竜騎士ゼロガンダムを思い出した。
>245
書く人皆に言えることだけど精神的に図太くなければこの先生き残れない
完全スルーされても批判されても気にせず投下すればいいのさ
感想貰えるだけマシさ
>>249 むしろリプレイの方が倒す伏線というか設定はしっかりしていると思う
「……はぁ」
どろりとした溜め息を吐き出すのは、疲れた様子の中年男性。
彼は、今いる場所である自分の城―――とある居酒屋の店主である。
それは、かなり密度の濃い人生を送っていることを自負する彼の経験からしても、人生屈指に急転直下な事態であった。
テナントのオーナーは代わるわ、2人目のオーナーもいなくなるわとここ最近は、上がかなり慌しいことになっていて。
その煽りを受け、なんだか知らないが『あ、あなたの店ですけどこれから別の場所に出店することになったんで(はぁと)!』なんてやけに丸っこい文字の辞令が届き。
文句をつけようと2代目オーナーにアポイントを取ろうとしたら、税務署の強制差し押さえ並みの速度でやってきた仮面集団により店内のものが次々と外に持ち出され。
翌日にはなんだかよくわからない乗り物に乗せられて。
長い長いトンネルを抜けると、そこは知らない街でした。
まさに椿事。
その後、仮面の集団によって案内され、以前と寸分変わらぬように再現された懐かしき我が城と再会。
『仕入先はこちらでお願いします』『ゴミだしはこうでこの日です』『水・電気・ガスなどのライフラインと、電話はすでに整備済みです』と、矢継ぎ早に状況説明。
文句を言う隙もなく『我々はこれで失礼します。新装開店オープンまで一週間猶予がありますので、この場所について把握しておいてください』と言って去っていった。
とはいえ、彼も自分以外の意思によって色々な所を渡り歩くのには慣れている。もとは勤め人だし。
店がそのままの形で別の場所に移転しただけと思えば、身一つで各地を転々とさせられた昔とは比較にならないほどに恵まれている。
そう思い直して、新天地で一番重要な状況の把握を開始した。
なんでも、この場所は『色んなところ』から学校が集まってくるらしい。
未成年を追い返すのが困りどころだな、と思いながらも、彼には世界や住人に対する疑問はなかった。
そもそも店にやってくるのが人外であったり、特殊な能力があったりするのは、前の場所でもよくあったことだ。
次に、最初にもらった世界地図で、酒場や飲食店などのある場所を確認し、どんなものが食事として出されているか、どんな酒があるのかを調査した。
もとのところでは得られないような、謎の植物や謎の動物の肉なども、毒がないことを確認してから自分の舌で味見し、どんな料理になるのかを確認した。
こんな地道な努力と調査が、いずれお客様を呼び込むのである。
お陰で新装開店の今日、店にはもとはなかった『大吟醸 鬼嫁』だの『祝福のワイン』だの『アインツベルン醸造スコッチ』だのといった貴重な酒もあったりする。
閑話休題。
そんなところは別に溜め息をつくところではないのだ。
問題はその新装開店の日の、宣伝もあってたくさん人が集まることが予想される大事な大事な仕込みの時間に。
「溜め息はよくないであります。幸せ逃げてくでありますよ?」
平然とやってきた上ご飯を催促する常連客の存在だった。
再びの溜め息とともに、銀髪の空気の読めない常連客に、無駄と知りながらも聞いてみる。
「……なぁ、嬢ちゃん。
嬢ちゃんがなんでこんなトコにいるか、ってのはもう聞かねぇよ。神出鬼没っぷりは俺にも充分わかってるから」
「えへへ、照れるでありますよー」
「誉めてねぇっ。
それはそれとして出てってくれ、こっちは仕込みで忙しいんだっ!」
割と実力行使も辞さない覚悟でマスターがそう言うものの、銀髪少女は笑顔で答える。
「まぁまぁ、ちょっと早めに開店してると思えばそんなに困らないでありましょう?
わたくしちゃんと宣伝しておいたのでありますから、きっと今日はたくさんお客さん来てくれると思うでありますよ〜」
「困るんだよ! 嬢ちゃんがここにいるってことは絶対ただメシ食ってくつもりだろうがっ!?」
「おや、バレてたでありますか」
「出てけ―――っ!!」
店主の魂からの叫びを、どこ吹く風と勝手に自分のコップにお冷を注いで飲み干す銀髪少女―――ノーチェ。
しえーん
やっぱりノーチェは学園世界に来てもろんぎぬすでたかるのかw支援
と、そこに。
「邪魔するぞ」
「大将さん、お久しぶりですー」
「……入る」
勝手口が開く。
そこには、3人の少女達が立っていた。
長い金の髪。フリルやリボンたっぷりの夜会服に身を包んだ、紅玉のごとき硬質な赤い瞳が印象的な少女。
花に例えるのなら妖しく艶かしい大輪の薔薇のような彼女の名前は、エヴァンジェリン=A=K=マクダウェル。ノーチェと同じこの店の前からの常連だ。
艶のある二つにくくった栗色の髪。黄味の強いオレンジ色のニットチュニックに、デニムのショートパンツの、火の入った炭のような鮮やかな赤の目の少女。
花に例えるのならふわふわと柔らかな梨の花のような彼女の名前は、弓塚 さつき。エヴァンジェリンやノーチェと同じ、やはり常連である。
氷を一本一本削り出したような水色の髪。ボタンダウンの白いシャツと、赤紐にバックルのついたボウタイ、翡翠色のタイトなミニスカートと黒いオーバーニーソックス。
花に例えるのなら気高くあでやかに咲く桔梗のような少女は、この店にくるのははじめてだ。
その3人を見て、あぁもうこれは居座る気だな、と思い肩を落とす店主。
諦めたなら行動は早い。ノーチェの隣の席に陣取る4人に向けて、コップにお冷を注いで出すと、言った。
「いらっしゃい。そちらの青い子は初顔だね」
「さつきと同じ委員会に入っている知り合いだ」
こともなげにエヴァンジェリンはそう言うと、青い髪の少女に挨拶するように促した。
少女は無表情のままに淡々とした口調で答える。
「タバサ」
「ようこそろんぎぬすへ。いらっしゃい」
に、とお世辞にも上手とは言えないものの、誠実そうな笑みを浮かべる店主に、タバサはこくんと頷いた。
し え ん っ
***
つきだしでだされた白ゴーヤの鰹節がけを、一口食べただけでものすごく気に入ったらしいタバサがノーチェの分も奪い取ってもぐもぐ食べている。
どうもクセの強い野菜の類が好きな模様。
タバサの視線に負けてつきだしを渡すことになったノーチェは、改めて頼んだシャリオチーズオムレツをもぐもぐ食べている。
それに負けないようにトマトとバジルの風味豊かなスパゲッティ・ポモドーロをくるくると一生懸命フォークに巻くのはさつき。
エヴァンジェリンはグラスで頼んだ赤ワインを片手に牛肉のたたきを口に運びながら、ノーチェに尋ねる。
「そういえば、秋沙はまだ来ていないのか? この店が来ると聞いて、あれも喜んでいたはずだが」
姫神 秋沙。
エヴァンジェリンやノーチェ、さつきらと同じこの店の常連である。
この店で集まっては飲み食いするために集まっていた彼女たちは、『学園世界』に来てからも個人的に何度か顔を会わせている。
ノーチェは、その問いを伸びるチーズを頑張ってちぎるためにフォークで格闘しながら答える。
「秋沙は、今日居酒屋に行くって担任の先生にうっかり言ってしまって止められて、その先生が引率で来るってことでようやくOKもらったらしいのでありましてな。
その先生が仕事が終わってから来るんで、正式な開店時間よりもちょっと遅くなるとのことでありますよ」
「なるほど。ドジをふんだわけか、珍しい」
「……生徒さん連れて居酒屋に来ようっていう先生もどうかと思うけどな、俺は」
店主のもっともなツッコミはやはりいつもの通りにスルーされる。
とはいえこの世界において、居酒屋の主なターゲットはやはり先生だ。
姫神がお客をひとり増やしてくれたことに、感謝しなければならないくらいであることもわかっている。なので姫神がやってきたら優しくしようと思う店主であった。
「おかわり」
よく通る声で、タバサがことりと器をカウンターの上に置く。
どうやらゴーヤがよほど気に入ったらしい。店主が苦笑いしながら小鉢を受け取り、またもゴーヤが盛られようとした時に、彼に向けてノーチェが言う。
「そういえば、今朝お届けしたものがあったでありましょう?
タバサもきっと気に入ると思うでありますから、出してあげてほしいでありますよっ」
「今朝って……やっぱりアレ、嬢ちゃんの仕業かよ。
移転してまだ一週間だってのに、どっからウチの住所なんか調べてくるんだか」
呆れたように言う店主。
今日の朝、クール便で送ってこられた差出人欄に「いつもの」と書いて送られてきた発泡スチロールの箱。
嫌な予感がしながらも、送り先にはほとんどの学園世界の住人は知らないだろうこの店の住所がきちんと記載されていて。
爆発物ではなかろう(この学園世界内で爆発物を郵便で送るのはかなり難しいらしい)とあたりをつけてあけてみると、そこには見事に食材が。
こんなことをする知人の心当たりは一人しかいなかったため、結局は別に大事にとっておいたのであった。
彼がタバサの方に目をやれば、彼女はノーチェが何を言ったのかわからずに無表情の中に不思議そうな色がある。
年頃を推測するに13から、多めに見ても15程度。
エヴァンジェリンやノーチェと同じくらいの外見にも関わらず、その2人とは違い、まったくの無表情。
姫神も結構無表情なところはあるものの、彼女はもとの性質からくる『ぼーっとした』という意味での無表情に近い。よく喋るし。
しかし、タバサの無表情は無口をともなう。
まるで、自分で『感情を表すことを禁じている』かのような―――いや、彼女の性質から言うのなら『凍らせた』と言った方が正しいかもしれない。
彼の読みは、果たして正しかった。
タバサは、己の目的を果たすその時までは、己の内の感情を押し込め、『人形』に鳴ることを誓った過去があり。
そして、未だ完璧にその目的が果たせたとは言い難い状況にある。
それでも彼女は、一人だった頃よりはだいぶ表情豊かになったのだが―――それでも、まだ見知らぬ人間相手に表情を変えるところまではいっていない。
そんなタバサの事情は知らないものの、店主がこの店を始めて、常連客を持って、思ったことがあった。
客商売をするようになって、それが大切なものであることを知った。
だから、彼はタバサに向けてにか、と笑う。
「お嬢ちゃん。あっちの嬢ちゃんの頼みだからな、ちょっとゴーヤ待っててくれるか?」
言われ、タバサはノーチェに視線を移す。
ノーチェは元気よくサムズアップ。意味がわからない。
とはいえ、彼女の口ぶりからするにどうやらタバサの好きそうなものを用意してくれたらしい。
タバサはこれで興味のあることに関しては好奇心旺盛だ。
彼女は店主の方を向き直り、こくりと頷いた。
「……任せる」
「あいよっ!」
そう言って、彼は調理を開始する。そこには確かに楽しそうな笑みがある。
そんな光景を楽しそうに眺めながら、さつきがノーチェに聞いた。
「そういえば、そっちはどうなの? やっぱり大変?」
「あははははー……こうやって仕事早めに切り上げて来てるわたくしが言うことではないでありますが。
仕事の量が半っ端ないでありますなー。
わたくしが前線に出て戦うと、他の仕事が滞るものでありますから痛い思いはしなくて済んでるでありますが。
書類書いて、それを送って、コピーして、調査して、誘導して、整理して、部屋の掃除して、お買い物行って、ケガして帰ってくる人がいたら多少のケガなら治療して。
えーとそれから洗濯とかもわたくしの仕事でありますな」
「うわ。それ大変だね、わたしだったらめげちゃいそう」
ノーチェが指折り数えて告げる日ごろの仕事を聞いて、さつきが案じるような声を上げる。
東棟にいる事務要員とは、書類仕事をやれば終わりというわけではない。
書類仕事と、東棟の維持、そして他の委員たちが帰ってきた時のケアなども兼任していると言っていい。
具体的にはお菓子やジュースを買ってきたり、ポットにお湯を用意したり、汚れた制服をクリーニングに出したり、魔法や救急セットでケガを治療したりといったことだ。
特にノーチェは同じ事務要員の初春とは異なり、一日中あの建物にいることができる。
よって、掃除は彼女か、もしくはヒマができた場合のみあの建物に住んでいる人間が行うことが多いのだった。
今度はノーチェがさつきに尋ね返す。
「そちらはどうでありますか?
こちらとは違ってどんどん新人さんが入ってきてるみたいでありますが」
「こっちー? うん。いっぱい知り合い増えて楽しいよ。
わたしも大分人から外れちゃってるけど、努力する人たちって凄いよねぇ」
そう言って、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
弓塚さつきは、自分の意思とは関係なく人外の力を持つに至った少女である。
スペックそのものは元いた世界有数の人外であるものの、いかんせん荒事の経験が少なすぎた彼女は、母校の転移に巻き込まれて『学園世界』にやってきた。
しかし、そこで今いる『組織』になりゆきとはいえ関わり、感じたこともある。
それは、『研鑽を積む』ということ。
常に先を見て、努力し続けるということの大切さ。
確かに彼女自身のスペックはすばらしいものだ。むしろ異常なほどの運に恵まれていると、彼女の知人も友人も、そして隣にいるエヴァンジェリンも言っている。
けれど彼女の同僚たちは、人外であろうとなかろうとつねに『研鑽』を積み続けている。
それを続けることで、能力だけなら圧倒的なさつきにも比肩し、やりようによっては圧倒するだけの力を発揮する。
磨かない原石は輝かない。
慢心した生物は「最強」にはなりえない。
泥にまみれ、血に濡れ、奈落に突き落とされようと、前へと進むものであれ。
それを、こちらに来て3ヶ月程度ではあるものの、さつきは強く感じていた。
以前会っていただけの頃とは異なり、事実エヴァンジェリンから教えを受け、たくさんの仲間たちと共に任務をこなし、陰から世界の存続を守ってきたことで。
自分が『研鑽』のための『努力』を続けることで、多くの誰かの毎日を守れることを知ったから。
タバサはゴーヤにはまったか支援
さつきの言葉を聞いて、エヴァンジェリンがワインをあおり、蛙を睨むように告げる。
「凄いよねぇ、ではない。
貴様も能天気に他人に対して関心している場合ではなかろう。
今日は少し無礼講にしておいてやるとは言ったが、明日は刹那とボーヤと犬相手に1対1の組み手×3メニューだ。
地獄のようにしごき上げ、天国のように放り出してやるから安心して対策を練れ」
「はぅあっ!! え、エヴァンジェリンさん、厳しいよ〜〜〜」
「エヴァンジェリン、さん?」
「すみませんでしたマスターっ!」
目が剣呑に輝くエヴァンジェリンに半泣きで平身低頭姿勢のさつき。
たまに飲むくらいの付き合いならば「ちょっと怖いけど優しい先輩」程度で済んでいたのかもしれない。
が、同僚(げぼく)になった今では「絶対服従。恐怖と尊敬を向けるべき主」という関係性になってしまったという。
まぁ、これはこれでさつきの成長があったのならばよしとすべきところだろうか。
と。
店主がカウンターの台に大きな皿と小鉢を置き、タバサのところに置きなおした。
「へい、山菜の天ぷらお待ち。
うどとたらの芽とシソ、それからタケノコ。こっちはつゆですが、食べ方はご存知で?」
「……本で見た」
とは言うものの、彼女も天ぷらを実際に食べるのは初めてだ。
むしろ箸を使うのもはじめて、といった様子のタバサに店主がフォークを差し出す。
それを受け取り、さっくりと刺してつゆにつけ、口に運ぶ。
一口目はゆっくりと味わおうといった様子であったが、ぱく。ぱくぱく。ぱくぱくぱくぱく。と食事スピードは加速度的に上がっていく。
小さな体のどこに入るのか、と言わんばかりのスピードで山菜の天ぷらがその口の中に入っていく光景を、食事を一緒にとったことのないノーチェと店主が呆然と見守る。
エヴァンジェリンは興味なさげに自分の頼んだものを口にし、さつきはいつものことだけどすごいねー、と笑う。
口元を汚すことなく、それでも高速で口を動かしながら味わうように食べる。
タバサは、大きな皿を見事なまでに綺麗に空にした。
彼女は口をあんぐりと開けて自分を見ている店主を見上げると、尋ねる。
「……まだある?」
「へ……あ、いや悪いねお嬢ちゃん。今日そこのツインテールが送った分は今ので全部なんだ」
「ついんてーるっ!?」
ノーチェ衝撃。髪の形で呼ばれるというのは彼女的に斬新だったらしい。
そんな彼女をスルーしてごめんな、と謝る店主に、タバサは首を横に軽く振る。
「おいしかった」
「そうかい。そりゃあよかった」
「また食べたい」
「それはそっちの嬢ちゃんに言ってくれ。どっから調達してきたのかは俺もわからんからな」
店主がそう言うと、タバサは頷いてノーチェの方を向いて話し出した。どうも気に入った山菜を自分で取ってくるつもりのようである。
この分だと、彼女がこの店の常連になるのも遠い未来のことではないかもしれない。
客商売をしていると、人の笑顔が見たくなる。
もちろん、無理や無茶を言う人もいる。苦しいことだってある。頭を下げなければならない回数も増えた。
けれど、何度も同じお客が足を運んでくれたり、そのお客がここを気に入ってくれることが、何よりも嬉しいと思えるようになった。
この店を開いて、以前は感じられないことを感じられるようになったというのは、きっと悪いことではないだろう。
「あっさりしたものが食いたくなった。何か出せ」
「あ、わたしはお肉! お肉食べたい!」
―――彼には感傷に浸っているヒマなんか与えられなかったりするのだが。
哀愁を漂わせながら料理に取り掛かる店主をスルーして、エヴァンジェリンが半眼で呟く。
「……それにしても、なんだか騒がしいな」
「そう? わたしにはよくわからないけど」
「お前は本っ当にボンクラだな。空気がざわめいていることくらい感知せんか」
さつきが首を傾げると、呆れたようにエヴァンジェリン。
エヴァンジェリン曰く、さつきはどうにも大雑把に力を使いすぎているらしい。
さつきの今の戦い方(スタイル)は、吸血鬼になったがゆえに身についた身体能力を振り回すようなもの。
強化の魔術などなくとも忍者並みのスピードで駆け、拳一発で巨岩を砕く。果ては彼女の世界において『世界を塗り替える』ことを可能とする異能『固有結界』も完備。
そんな高スペックすぎる能力に対して、それを扱う技術はほとんど身についていない状態だ。
学園世界に来てからは、エヴァンジェリンや仲間たちに教えを請い技術を覚えようとしており、強くなることに対して意欲の出てきた最近はなかなかにいい生徒になった。
そんなさつきはしかしながら、どうも『感じること』に関しては鈍いところがある。
自身の生命の危機に対しては割と働くのだが、それ以外のところはどうにも鈍い。感知系の魔法や技能を覚えさせるか、と仲間内では話が進んでいる。
……本人の知らないところで進んでいる『弓塚さつき改造計画』であった。
閑話休題。
エヴァンジェリンの硬い表情に、ノーチェがのーてんきに答える。
「D区画のこの近くには大きな人工温泉があるでありますからな。
この時間帯は部活帰りの汗を流そうと集まってくる近辺の部活動員がいっぱいくるのであります。
それのために『209』も来てるでありますでしょうからな」
「にーまるきゅー? 何それ」
さつきが不思議そうに尋ねる。
エヴァンジェリンも聞いたことがなかったのか、同じくノーチェの方を見ている。
それに答えたのは、今まで『ムラサキヨモギとセリと凍りトマトのローズマリードレッシングサラダ』を食べていたタバサだった。
「……各校選抜執行委員第209番隊」
「最近は選抜委員、なんて呼ばれてるでありますか。
各学校の生徒たちが集まって見回りとかをする委員のことでありますが、知ってるでありますよね?」
「あぁ、自警団のような連中と聞いているが。
しかし解せんな。それが来るだけで、なぜ騒がしくなるんだ?」
エヴァンジェリンの当然と言えば当然のその問いに、ノーチェはぱりぱりに皮の焼けた鶏肉を飲み下して答える。
「選抜委員の209番隊はちょっと特殊な編成でありまして。
各校選抜の選抜委員は男女問わないのでありますが、209番隊は全員女性だけで構成された部隊であります。
委員募集の宣伝部隊―――なんて言われてもいるでありますが、けっしてそんなマスコット部隊ではないのでありましてな」
「違うのか?」
「女の子にしかできない仕事をする部隊だと思ってもらえればいいでありますよ。
つまり、お風呂とかは必ず覗きをしようと血気盛んな青い春を迎えている若い男子がいっぱいいるわけでありましてな。
そういう不届きものに鉄槌を下す、女性防衛最強の砦。
隊長にヴィルアセム軍学校のラフィス、補佐にクレア、副隊長にアリアドネーのコレットと、中々に面白い面子を用意。
魔法の素質のある子はコレットから、ない子は縄術の達人のクレアからそれぞれ学んだ『生け捕り』を目的としたら最高性能を誇る部隊。
一神殿製の複座式空中バイク『橘樹(たちばな)改』を開発部が小型化改良した『橘樹改弐式』。それを10台配備してあるという、全ての女性の敵の撲滅者たち。
それが、各校選抜執行委員第209番隊。通称『209』であります」
ぐ、と拳を握って目を輝かせながら言うノーチェ。
『209』というのは、『女性を守る』ための部隊であり、この近くにある大型温泉で覗きを捕まえるための網を張っているらしい。
この部隊が出来てから、覗き犯や痴漢がものすごい勢いで検挙されるようになったとか。中には女性恐怖症に陥った者もいるとのこと。
エヴァンジェリンはつまらなそうにカウンターから鯛茶漬けを受け取りながら言った。
「……ざわついているのはガキ共のせい、というわけか。
まったく、騒がしくてかなわん。そんなことのために無駄に魔力を放出するのは大概にしろ」
「ま、マスター。本人がいないんだからそこまで言わなくても……」
「やかましい! 警戒のレベルを引き上げておかなければと思っていただけの話だ!
まったく……朝から突如魔力の渦が湧いたり、珍妙な効果を現す場が出現したり、よくわからん生物が出たりしているんだ。
片付けたのは執行委員とは聞いているが、いつこちらに命令が下るかはわからんからな。今日の夜から茶々丸に調べさせるように言ってある」
取り越し苦労だったことに安堵しつつ恥ずかしさに頬を染めて、さつきのほっぺたをぐいぐい引っ張るエヴァンジェリン。
そんな光景をタバサ越しに見ながら、ニヤニヤしながらノーチェは言った。
「だからピリピリしてたのでありますか。
エヴァンジェリン。ひょっとしなくても、意外とこの世界気に入ってるでありますな?」
「タバサ、借りるぞ」
エヴァンジェリンはそう言うと、タバサの前に置いてあるムラサキヨモギと小鉢のゴーヤを茶碗にわっさりと盛り、ノーチェの口に突っ込む。
むがむが、と小さく抵抗するものの、3秒後に撃沈してカウンターに突っ伏すノーチェ。合掌。
ノーチェにあわてて駆け寄るさつき。
楽しみに食べていた料理の大部分を持っていかれたタバサはじーっとエヴァンジェリンを見つめる。
「……返して」
「わかっている。おい、タバサに同じものを大盛りでくれてやれ。
会計はあそこの役立たずにツケろ」
「あいよー……っと、お嬢ちゃん申し訳ない。
実際の開店時間なんで暖簾出してきたいんだけど、ちょっと待っててもらえるかね?」
「待つ」
間髪を入れぬタバサの回答に軽く会釈して、じゃあちょっと失礼して、とカウンターから席を外し、外に出る。
暖簾をかけて戻ろうとすると、背後から騒がしい声がする。
振り向けば、黒髪の見知った少女と、桃色の髪の小さな女の子が仲良くしゃべりながらこっちに歩いてきていて。黒髪の少女がこちらに気づき、一礼。
店主は、けして上手とは言えない、けれど人によっては優しく見える笑顔で笑って、その2人に声をかける。
「いらっしゃい。『居酒屋ろんぎぬす』、新装開店だ」
その日。
ろんぎぬすはこれまでで一番の賑わいを見せ、戸を外して外に椅子や机を用意してまでの大繁盛をむかえたのだとか。
居酒屋ろんぎぬす。
そこはたくさんの人が出会い、笑い、怒って、泣く場所。
いつもの無愛想ながら悪人ではないマスターが待っておりますゆえ、学園世界店もどうぞご贔屓くださいませ。
fin
264 :
夜ねこ:2009/05/05(火) 22:34:32 ID:GFChUHJ3
言われたから書いてみた(挨拶)。
どうも、夜ねこでございますー。GWとかどこへも遊びに出かけてないぜ外に! 外に出たーい!(うるさい黙れ)
あと近況っていうと「ぶるらじ」が面白いってことと、
近所の河原まで行ったら家庭用花火の豪華な奴の打ち上げしてたってくらいかな?(どうでもいい)
えーと……と、とりあえず出展ー。
刹那 <桜咲 刹那(さくらざき せつな)> 麻帆良学園都市内麻帆良学園中等部@ネギま!?
コレット <コレット=ファランドール> 魔法学術都市アリアドネー@ネギま!?
ラフィス <ラフィス=ラズィル> ヴィルアセム帝国帝立第13軍学校@帝立第13軍学校異常アリ!?
クレア <クレア=ジーン> 同上
一神殿 @神さまのつくりかた
こんな感じですね。
……で、ではレス返しをー。
>>74 野良猫がどれだけいるのかもわかりませんがなww
でも、氷室女子はまず基本的にきちんと事前情報を調べておくと思います。んで、猫がいそうなところには大抵他の人を行かせると思う。
生きている猫がダメな彼女は実に可愛らしいですよ? いじめっ子がいじめるのをためらうくらい。
>>84 よーし。ちょっとほどよく酒飲んだ後にガチで殴り合おうか。
わかりあえる気はするがけして相容れない同志だぜ、俺達はよ……っ! 今決めた、あんたは宿敵と書いて『とも』と読む感じの相手だ!(落ち着け)
閑話休題。
シエルと氷室は同じ世界出身ではありますが同じ『セカイ』の住人じゃないですからね。
とか言いつつ今月の「氷室の天地」でシエル先輩海の家「飯庵」を出して商売してたけどね!
知謀に勝てるのは偶然と天然だけ、というのが俺の持論です。
くらいかな。
そ、そうですね今回の話についてちょっとお話しをー。
今回のコンセプトは「学園世界のろんぎぬす」(まんま過ぎる)。
いつもどおりの展開をやると『学園世界』的な感じと『ろんぎぬす』的な感じを両立させるのが難しかったので、ちょっと店主にスポット当ててみました。
大変ですね、春○さん。ちょっと報われてくれてるといいのですが。
……あれ? サクラコ(@くいすた)がここに迷い込んだら倒れるんじゃね? いや、学生が来ちゃいけないんだけどね?
カンの鋭い方はぴんと来てらっしゃるかもしれませんが、コレ実は『交流』の日のお話です。
エヴァもなんか世界に変なことが起きてるぞ? と当日に感じ取ったようなのですが、高い情報収集能力を持つノーチェが能天気にしてたのでスルーしたともいいます。
ノーチェの弱点は『自発的に調査しようとしないと情報収集が行えない』という点でしょうか。
あの前日に『アイツ』は『桃色転生者』から忠告を受け、当日一日起きた事件の『異変の痕跡』を『アイツ』が片っ端から拾っていったこと。
そして、ノーチェ自身が早くに帰ったため『自発的に調査を行う』という段階まで至れなかったために、彼女はあの事件には関われませんでした。
>「休日のすごし方」の作者様
書いてみました。(どんな挨拶じゃ)
「学園世界における『ろんぎぬす』を」ということでしたのでこんな感じになりました。ご満足頂けましたでしょうか。
こちらこそ、初挑戦の『休日の過ごし方』と、久しぶりに『ろんぎぬす』を書けて楽しかったです。ありがとうございました。
色々とお騒がせして申し訳ありませんでした。
ではまた、何か書きあがりました時にでもお目にかかれれば幸いです。
乙です乙です。
乙!
●日さん、天職なんじゃね?w
投下乙&GJです。
ヤバイノーチェマジ可愛い(ソコカヨ
話しは変わりますが。
少なくとも。自分は貴方が作品を書いたことでノーチェの出てるリプレイを読みたいと思ったし、実際読んで好きになった。
けれど、それは貴方の 所為《おかげ》 。もし貴方の作品が無ければ、自分はきっとそのリプレイ付きソースブックを買う決意は出なかったでしょうし、ノーチェを知らないままだったでしょう。
こんな感じで貴方の影響を(いい意味で)受けた、そんな人はここにもいますよ? ですから、自信を持って下さい。しっかり胸を張って下さい。そして、次回も期待しています。
もっと可愛いノーチェを、(今でも十分以上に可愛いけれどでも)それ以上に可愛いノーチェを!(オチツケ
FHにいた頃より大分幸せそうだよ恭○w
夜ねこさん乙っしたー。
相変わらずの扱いな春□さんに泣けたw。
あと『桃色転生者』を『桃尻勇者』と読み間違えたのはここだけの秘密だ!(w
乙です。GJ!
居酒屋ろんぎぬす@学園世界のおかげで、今週末の学園世界セッションに向けて色々とみなぎってきたんだぜ
271 :
休日の作者:2009/05/06(水) 00:22:13 ID:fkM8ZLeg
GJ。リクエストに応えていただき感謝いたします。
そう言えばカゲモリでは珍しいんですよね。才能オンリーで戦える存在のさっちんって。
まあ、人外ならではのスペックでもない限りは努力で補うしかないってのもありますが。
…ぬう、そう言えば空もさっちんよりか?人造人間は生まれつきの性能だし。
む、
>>270がなんか面白そうだけど大変そうなことをしようとしてる
よーし。みんなで「学園世界ステージ」で使えそうなギミック考えようぜ
具体的には特殊アイテムとか特殊能力とか特殊魔法とか!
つーか、ゲームに使えそうなものってなにかあったっけ?
オンセなら見てみたいな
オフセであってもどんな感じだったか後日教えてほしいなぁ
みんなシステムばらばらだから、とりあえずなりきりで。
これはひどいぞー。柊とかノーチェとか、キャラ扱いされないで、みんなが使いまわすアイテム扱い。
>みんなが使いまわすアイテム扱い。
エロ意方向に思考がシフトしてしまったではないか、どうしてくれる
> エロ意方向に
想像してみた。……なんか、王子PCは色気が足りない。
279 :
270:2009/05/06(水) 11:11:06 ID:YUXvUs6q
ぬおわ、なんだかほんのり興味津々ぽい視線をいただいてルー!?
>>275 参加メンツ全員による協議で3分の迷走の末、システムはGM氏の作ったオリシスを使うという超☆暴挙に
そんなことになるとは考えてなかったらしいGM氏が頭抱えてますた
>>273-274 オフセなのでござる
終わったら感触を簡潔に報告します。……つ、使うのオリシスだし、参考とかならないかもですががが
>>272 >面白そうだけど大変そうなこと
そして大変そうだけどごっつ面白そう、というやつでやんすな
事前のすり合わせの段階ですでにカオ……もとい、ネタと殺ル気が山盛りです
>>279 一層興味が湧いてきた。
報告お待ちしてます。
むしろ卓の全員このスレ見てんのかよww
濃いメンツだなオイ
>>281 濃いっすねー
ただ、スレ見てるかというとそうでもないかも。専ら保管庫でっていうのが殆どらしいというか
さて。SS書きの皆様のお邪魔にならぬよう、私そろそろ自重するであります
【バカは逃走した】
SS読んでこんな感じでシナリオ作ってくれと頼まれたことはあった
>>282 あァン、もっとお話したかったのに行っちゃったー(天っぽく)
しゃーない、d66+2で38人分くらい学園世界パーソナリティとか考えるか
>>282が六面使うルールかは知らんけど
えーと、必要そうなとこっていうと極生と執行委員と報道部と開発部とカゲモリと……各1〜3人は欲しいかな
あとはよく話に出るキャラとか?
総合的にはナイトウィザードキャラが4〜5割くらいを締めててほしい
NWパーソナリティ表と非NWパーソナリティ表作ればいんじゃね
コネは二つもらえる事になるけど
ナイトウィザードキャラ38人もいるか?
柊・くれは・ノーチェ・翠・静・マユリ・エリス・ねがい・いのり・青葉・葵・キッド・ベル・アゼル・一狼・空
くらいがSSにきちんと出たキャラで
灯・命・麒麟・トオル・ユリ・菖子・星・流・光明・剣道部部長とファンブック3の面子
……38はいかなそうだなー。秋葉原分校しか来てないらしいし
役割かぶってるのとかもいるだろうし、やっぱりこの中から絞った方がいい気がする
NW枠は最悪、下がる男の(ような、使い勝手のいい特定キャラ)枠・(それ以外の不特定な)ウィザード枠・魔王(の写し身)枠
という感じで2〜4枠くらいで良いんでない?
>>286 スクールメイズパーソナリティも入れればどうにか人数はごまかせそうだけど
リプレイキャラが多いせいかパーソナリティとしての機能が被りそうだね
>>287案的に絞って他作品のキャラとか立場の異なるキャラを増やした方がいいかな?
くれはと萩原校長あたりは組織の代表という立場もあるし入れた方がいいかなとも思うけど
NW枠は13人(ダイスで振って出る枠が12人+00か77用一人)ぐらいいれば十分なような希ガス
最大で12(全体の1/3くらい)くらいにしとくのはいいかもな<NWキャラ
他作品枠と組織枠で残りと考えれば充分か
自重すると言った舌の根も乾かぬうちにまた出没
ああぁごめんなさいごめんなさいスグ消えるから石投げないでッ
ウチの鳥取で今回GMが作ったパーソナリティは、14人(12人+チョイス専用2人)×2枚(TRPG勢・非TRPG勢)の計28人でござった
うち、NWキャラは柊・くれは・マユリ・ノーチェ・ベルの5人。ご参考になるかしら
……TRPG勢のラインナップを見て、そのままスーパーなTRPGの大戦とかもやれそうですねとgkbrする午後10時
頑張れよ
>>291ー
時に、学園世界全体で借り物競争とかやったら楽しそうやね
狙われるのは柊蓮司の卒業証書で。
ネタ振り潰しって、楽しい?
何者かの謀略により「借りるもの:柊蓮司の髪の毛」って借り物カードがいっぱい紛れ込んで柊の頭髪が危機一髪
というワケのわからぬ電波を受信した
学園世界合同体育祭とか、学園世界大学園祭週間とか、考えるとwktkなんじゃぜ
借り物競争か……
見たことあるものだと
・「前の競技に参加した奴」
・「アイドル」
・「心の壁」
なんて感じのがあるなー
学園世界ならではの借り物があると楽しそう。「○○の学校の中にある××」とか
(「出身校の」が何故か消された)【学校の七不思議】を一斉に引いて桜花さん争奪戦とか
>>296 「心の壁」を借りてこいってどういうことだw
「アイドル」だと……うっかりすると
A「私の事ね!」B「いーやアタシの事よ!」C「もしもし、ワタシワタシ」D(以下略)……
全員『で、あなたは誰を選ぶのかしら…!?』
とゆー修羅場になったりしそうだ。
借り物「人妻」とゆー電波を受信したが丁寧に返却しておいた
借りるもの:柊蓮司とフラグが立った女の子
さあどうなる?
借り物競争@学園世界
D66
11-12:柊蓮司の髪の毛
13-14:前の競技に参加した奴
15-16:アイドル
21-22:心の壁
23-24:学校の七不思議
25-26:人妻
31-32:柊蓮司とフラグが立った女の子
33-34:
35-36:
41-42:
43-44:
45-46:
51-52:
53-54:
55-56:
61-62:
63-64:
65-66:
00-00:
他に面白そうなのは
「魔法少女」
「巫女服」
「柊蓮司以外で柊姓の人」
これ以外に何があるかなぁ?
つ「ベルのポンチョ」
つ「アゼルの友達」
つ「蒔寺姓の和服淑女」
つ「スパゲッティを食べてるシエル」
つ「上条当麻の寝床の下の本」
つ「輝明学園高等部女子制服姿の赤羽くれは」
つ「柊蓮司の財布」
七徳の宝玉だの夜天の書だの聖杯だの、世界設定の根幹級のキーアイテムとか。
そして始まる大冒険。借り物競争で。
「ほ、星の錫杖。星の錫杖を私のために借りてきてくださいっ…」
>>298 一応全部元ネタがあってな
「前の競技に参加した奴」は禁書。
「アイドル」は瀬戸花。ご推察の通り永澄が……
「心の壁」は涼宮ハルヒちゃんの憂鬱ってスピンオフ作品から。
キョンの答えは古泉を連れてきて少女漫画風に「好きだ」って言ったあとげんなりした様子の自分たちの間を指して「今この辺にある」とのこと
>>305 はいはい学生でもない人をなんで学園世界に出そうとしてるのかなー
ルールくらい守れないかなー
すごくカッコいい声で
「世界の、救世主…」
借り物競争@学園世界Ver1.1
D66
11-12:柊蓮司の髪の毛
13-14:前の競技に参加した奴
15-16:アイドル
21-22:心の壁
23-24:学校の七不思議
25-26:人妻
31-32:魔法少女
33-34:巫女服
35-36:柊蓮司とフラグが立った女の子
41-42:柊蓮司の財布
43-44:ベルのポンチョ
45-46:アゼルの友達
51-52:蒔寺姓の和服淑女
53-54:スパゲッティを食べてるシエル
55-56:上条当麻の寝床の下の本
61-62:輝明学園高等部女子制服姿の赤羽くれは
63-64:ノーチェの水晶玉
65-66:柊蓮司以外で柊姓の人
00-00:世界の救世主
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_}_::...`ー´、ノ |:|;;;;ノ.:! i::.....:::ノ :i
`ー-、;;;ム |0-'.::i ト--'´ ..::/ ふも!
´"''~゙゛、、,r-一ー、 !、;;;;/ i ゙゛ ::ノ
/: 'v´ ̄`ヽ 、L_;;;-ー´ (3週間以上放置してたら保管するのに朝までかかった)
\/ {::. `,゛ `,
::../\ '、::.. ,i::.. ノ i
::::::,-一、.. `ー-一´`ー-一'´ /
:::/;;;;;;;;;;;`ー、_:::::::::::..._ノ_::::::_ノ´
`|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`、;-、_;-´;;;;;;`i´
!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;へ;;};;;;;;`i;;;;;;;;;;;;;}\
【保管(既存)】
◎とある世界の騒動日程(トラブルデイズ) #05
◎学園世界/仁義なきふぁんたじー
◎17-437 柊と幽霊少女〜学校へ行こう!
【保管(既存&新規)】
▲17-442 ハンドアウトテンプレート 前スレ>442 前スレ>450
▲休日の過ごし方 #幕間01-02 #バザール喫茶店編
▲学園世界の戦い(魔神皇編) #03-1 #03-2 #03-3 #03-4 #04-1 #04-2
【保管(新規)】
●NIGHT WIZARD cross period 24
●柊蓮司と銀なる石の少女 #04 #05 #06 #07
●堕ちし囁きの美籠(みこ) 01
●『執行委員の〜』シリーズ #外伝02 #04-1 #04-2 #04-3 #04-4
●とある魔法少女の憂鬱
●特別執行委員異聞 #03 #04
●女神と女王の狂想曲
●柊蓮司と地獄の虚神
●月と星と柊と #12
●よるのある風景 #外伝02
●前スレ>23 R.O.D
●前スレ>246 巨大ロボ
●前スレ>325 交換留学制度
●前スレ>366 校長四天王
●>157サイボーグ009
●>160 ろんぎぬす×ドリームクラブ
●>167 玲子の一日
【保留】
>308
卓ゲ用ろだの2144
>>309 これは乙としか言いようがない
マジでよく頑張ってくれた。
(PCの不調の)痛みに耐え、よく頑張った。感動した! ってくらい頑張った。
お疲れ様でした。
>>309 乙華麗で有りますっ!(ビシッ!!
借り物競走チャートに関しては、今は未だ保管は見送ってても良いのではないでしょうか。
この借り物競走チャートをネタにして大体育祭とかの
それこそリレー小説を展開したとかの機会が来た際には
学園世界セッションなさる方にスレ上で呼び掛けて
恐らく採って置いてあるで有ろうチャート・データを供出して貰えれば。
そして、
>>308の学園世界セッションの方ヘ。
特定キャラピンポイントなネタ借り物も良いですが、
もう少しネタの広がりを期待する為に以下の様な汎用物など如何でしょうか?
(※出典元は挙げますが、遣り様に依っては他校でも捜索可)
つ「ウニ@アトリエシリーズ」
つ「ガーターベルト@九龍妖魔學園紀」
つ「死ぬ程臭い女子の靴下@NW!ライフパス+ガンパレードシリーズ」
つ「LOVE!(はぁと)で好きな人(同性可/無性別種族可/
機械知性体可)@オリジナル」
つ「世紀末覇者焼き(完成品)@氷室の天地」
つ「髪型ワカメな生徒@Fate/stay night & 氷室の天地/九龍妖魔學園紀」
つ「ジャックフロスト@女神転生if」
後、柊関連は被り過ぎな気がしますから、何れかひとつに絞った方が良いと思う。
Σけれど、『アゼルの友達(アゼル本人認証必要)』は決して譲れんっ!!
保管庫管理人の方、いつもお疲れ様です。
借り物…エルクレストのゴミ箱に捨ててある魔導銃とか?
保管庫のボン太くんネタを読み返して思いだしたんですが
他の世界にもこういう可愛い外見の装備ってありましたよね、たしか。
ドルフィンヘルム@真・女神転生シリーズとか。
…モーリーさまとか好んで集めてそうだなぁ。あとルーシー。
借り物……尻で壊した蛇口
>>313 蛇口では無い、正確には水道管だ。
そしてそれを為したのは弓塚さつきを希望すr(Σ夢を掴むさっちんアァームッ!
>>311 そーだね、クロススレならではの遊びがない気がするし、柊関連は「柊姓の人間(柊蓮司を除く)」だけでいいんじゃないかな
あと
「髪型ワカメな生徒」なら「ワカメ(非植物)」とか「ジャックフロスト」なら「ヒーホー?」とかの方が面白いかも
>>312 異世界の可愛い系装備やちょっとHな装備を集めてみるモーリー様
→(着ても似合わぬであろうな……でも、ちょっとだけ……)
→姿見の前でノリノリにポーズ決めてるモーリー様
ですね、わかりま
…ヒィィ、モーリー様!?
いえわたくしめは何も見てなどおりませ(ザシュ
ラビリンスシティみたいに物々交換やってそうだな
>316
ムチャシヤガッテ(AAry
「モーリー様が狙いそうなもの」とか書いてあってゴール地点でモーリー様が待ってたりするんだなw
>309
乙。
ですが、特別執行委員異聞のページから3と4にいけません。
それと、3の中にある『目同樹利亜』は『目同樹里亜』に訂正をお願いします。
……本当にいいのかな?他人様の同人誌ネタなのに。
>319
直した
>320
早っ!ご苦労様です。
いいのかな、と後で思うくらいなら最初からチラシの裏で納めとけばいいのに
何も考えずにとりあえず思いついたら投げてるとか?
チラ裏も便所の落書きも同レベルよ
借り物競争@学園世界Ver1.5
D66 ROC
00 :柊蓮司とフラグが立った女の子
11-12:ボン太くんシリーズの一体
13-14:前の競技に参加した奴
15-16:アイドル
21-22:心の壁
23-24:学校の七不思議
25-26:人妻
31-32:魔法少女
33-34:世紀末覇者焼き(完成品)
35-36:転校生(例:赤根沢玲子 ベル・フライ)
41-42:デュエルディスク (遊戯王GX)
43-44:死ぬ程臭い女子の靴下
45-46:アゼルの友達(アゼル本人認証必要)
51-52:ヒーホー?(ジャックフロスト)
53-54:LOVE!(はぁと)で好きな人(同性可/無性別種族可/機械知性体可)
55-56:上条当麻の寝床の下の本
61-62:エルクレストのゴミ箱に捨ててある魔導銃
63-64:単身楽団 (神曲奏界ポリフォニカ)
65-66:柊蓮司以外で柊姓の人
77 :世界の救世主
>>324 考えると「アゼルの友達」って凄ぇ難度高いなw
しかも「アゼル本人認証必要」ってんだから、取り敢えずの偽装で
不特定の誰かを連れて行ったとしても、アゼルの真ん前で
「私はアゼルの友達です」って宣言せにゃあならんのだから、
その場で即決「アゼルのおともだち100人できるかな?計画@学園世界」に取り込まれるw
でもアゼルならたとえ知らない他人でもその場で
「じゃあこれから友達に…」
とかになってOKかもしれない
「アゼルの友達になりたいのならまず私を納得させなさい」
ベル様が立ちはだかっておられます
>>327 それだととりあえずベル連れて行けばいいんじゃねw
そういや、学園世界とは全く関係なくふと思い付いたんだが
同調者の能力っていうか設定ってさ、型月世界と相性よさげじゃね?
世界珠を『』と解釈すれば結構面白い事出来そうだ
……問題はコクがありすぎる型月世界の料理のしにくさかw
>>328 ○判定
(
>>11を見ながら)
「これは“友達”かな?」「友達を越えたナニカじゃないかな」
「じゃあ…残念だけど借り直し!」
未完でいらっしゃるけど、『騒動日程』を終えた上条さんならおkかしら>アゼルの友達
上条さんはアゼルを友だちと呼ぶことにためらいはなかろうが、ベル様に目をつけられるとエラいことになると思うの
>>330-331 他にも、クロマティ高校のヤンキー達なら
アゼルの問題を知った上でも一悶着の末に
『友達』と言ってくれそうだなw
クロ高はなーw
なんかいろいろあったあげく、神山君(とメカ沢)がベルを(主に明後日の方向に、周りの方々を)説き伏せて無理矢理納得させそうなw
>>329 型月厨が一番の問題だろ。ルイズスレでは、型月は混ぜるな厳禁とまで
テンプレに書かれてるくらいだ
>>329 そういう解釈はな……
型月の設定をNWの上位に置くことになるから俺はあまり好かない
逆にしてしまうのも同じだけどな
型月をクロスさせるのなら片方の作品の設定でもう片方の作品の設定を解釈するのではなく両者は別物ですでやるのがいいかと
片方の研究者キャラが自分の知識で解釈しようとする描写を入れるのはかまわんけど
>>335 世界設定レベルでクロスさせちゃうのって、そういう風に取られちゃうのか……。
反省しよう。
>>336 例を出すならば、
武装錬金クロスは「元は同じ錬金術を祖とするが、武装錬金側の錬金術と
NW!側の錬金術とではその求める先故の道程が異なった事に因って
既に別種の概念体系へと分派している」として、
DXクロスでは「それぞれの能力根底や概念を『そう云うものだから』と
それぞれに立たせたままで物語には過剰な小理屈は挿し挟まない」事で、
『互いの常識で一方のみを上書きする事無く、アクションバランスのみを
調整する事で互いの根底概念の尊重共存を図っている』からね。
型月厨が毛嫌いされるのは、こうでは無くて
「クロス先の根底概念を型月概念で一方的に上書きしないと認めない」
からなんだよね。
338 :
336:2009/05/08(金) 15:08:18 ID:tT6yq9X1
>337
武装錬金クロスなら、登場人物らが持つ「武装錬金」は超古代文明の遺産である、とか
DXクロスなら、レネゲイドウィルスは魔王が生み出した世界結界を内部から破壊するための兵器、とか
そういうこじつけでNW世界の1エッセンスとして取りこんじゃうイメージ?
……そういえば、ここにクロス先の作品のキャラをウィザードにした挙げ句
オリジナル設定山と詰め込んだ作品があったっけなぁ
>>339 それが自分がピンと来た作品と同じ物かは分からないけれど、
それでも「クロス先を一方的な踏み台にする事無く、クロス先のキャラ達も
NW!概念にノリノリで生き生き活躍出来ていて、読んで楽しい面白い」
なら、ぶっちゃけ「細けぇ事ぁ良いんだよ!(AA略」で良いんだけどね。
更に追加して言うなら、型月厨が毛嫌いされる第二の要因に
「型月概念を背景にクロス先を一方に踏み台にして蹂躙したがる」
ってのも挙げられる。
型月キャラがシャドームーンと戦うやつ思い出した
>>341 正直、シャドームーンや仮面ライダーブラックRXって
等身大キャラとしては素で全力域の魔王や冥魔王と五分以上に
渡り合えるよな。
難しいっすね。
とりあえず登場人物のバランスだけ気を付けていればいいかなあ?と思っていましたが。
とはいえ、地球を舞台にした作品とナイトウィザードをクロスさせる場合、
どこかでウィザード化や裁定者化させてしまったほうが都合がいいことは多いでしょうね。
>>338 レネゲイドウィルスの正体はアモルファスタイプのエミュレーターである。とか、
悪魔寄生体とは賢者の石(レネゲイドウィルスの結晶の方)が生命体化したもの。とか。
すなわち、アモルファス→シェイプドライフへの移行時にとる初期の形質が、「賢者の石」である。とかを考えたことがない訳でもない。
>>343 バトルのない話を書くという選択肢はないのかいw
>>342 知っているかい?実はシャドームーンは巨大化できることを。
そして裏設定的にはRXも巨大化できることをw
でも現場レベルでは、
「変わったタイプのウィザード/オーヴァード/悪魔憑きだな。」
で、済んでしまうという罠。
>345
「都合がいいことも多い」って書くと語弊がありますね。
「都合がいいこともある」くらいで。
つか、
>>348は何か書いてるの?
いや、言いたくなきゃ言う必要はないけど「反省」しなきゃならんほどの話なのかな、と
序盤のままで止まってるのを、書いたと言っていいならw
>>343 基本的にはそれで充分だよ。<登場人物のバランスに気を付ける。
注意しなきゃならないのは、上でのアモルファスタイプ云々の方みたいに
クロス元の根底概念をクロス先の根底概念の正体や仕組みの
ギミックに応用しようとする場合、ね。
(戦闘時に根底概念理由で攻撃が無効化するか否かも含む)
うーむ、ちょっとした妄想と話題ふりのつもりが予想の斜め上いっててちょっとビックリw
俺の妄想では同調者の世界珠へアクセス出来るって設定を利用して『』へ至ろうとする型月の敵が魔王と手を組んでうんたらかんたらって感じだったが……
やっぱりそういうのも固定概念に固めちまって嫌われるのだろうか……
型月ってマジで、作者の腕が良くないと作品にし辛いんだなぁ、改めて勉強になったわ
>>352 発想自体は悪くない。寧ろ興味深くて読んでみたい♪
・・・・・・やっぱ、癌は「型月優遇の為には荒らし上等!w」なんて
先入観を常識レベルで周囲に印象刻み付けちまった型月厨そのものだな。
型月作品自体にゃあ何の罪も無いよなぁ。
>>352 どうしても難しいなら世界設定レベルで融合させなくても柊見たく適当なキャラを型月の世界にたたき込んでもできる展開だと思うしやり方はいろいろあると思う
裏技としては聖剣/乱舞みたいに世界設定レベルでいじっている部分はウヤムヤにしてしまうという方法もあるし
>>352 因みに、シナリオのプロセスを殆ど変えずにそれが描ける
題材にこれを推して置く。
つ『スクライド』
ま、あくまで型月作品とで絡めたいなら此方はスルーして下さいなw
結局のところ、そこまで気にしなくていいってことなのかな?
一応、いま考えてるのが、いわゆる「魔法少女モノ」の作品なんだ。
舞台となるは現代の地球。
魔法少女モノということで、主人公は普通の人間なのに特殊な力を持ってたりするし、
不思議アイテムなんかも登場したりする。
更に言うと、魔法少女のパワーソースは、想いの力だったりする。
この辺をナイトウィザードの世界で解釈しようと思ってたところなので、
あれ? もしかしてマズいかな? と考えてしまった次第。
NW側は割と何でもアリのような世界設定だし、
クロス先に、そこまで詳しい世界設定が掲載されているわけでもないし。
>>356 田中天「(裏声で)魔法は『想いのちから』ッ!」
うん、良いんでないかい。
358 :
ゼノスケープ:2009/05/08(金) 18:12:40 ID:30rkfnIX
似たものは同じものにしてしまうか、
あくまで違うものとして扱うか。
…の違いだけなんだけどな。
ところで、
裏界にR-TYPEのバイドが次元を越えて侵攻して来て、
萌え魔王達が激しく迎撃している最中にそのバイド群を追って来た
地球連合宇宙軍艦隊も交えた、次元戦争な妄想が湧いたりしますた。
そして、バイド汚染されて敵に廻る萌え魔王や、バイド化した冥魔等々・・・・・・!
・・・・・・いや、単にR戦闘機と萌え魔王達との激突を見たかっただけですがw
っつか、バイドは侵魔や冥魔にも通用するだろうか?
>>356 気にしないと下位上位が鼻につくSSになる
だけど気にしすぎで書けなくなるのはもったいない
要はバランスですよ
>>359 分かった。ブラックアイレム団による侵攻が始まるんだな。
>>359 侵魔はともかく冥魔は難しいんじゃね?
設定的には、
冥界の障気にすら耐えられた(どう見ても変質というか狂ってるけど)存在だし。
仮に汚染されたとして、その変化が外から見て分かるのかと言うと…(-_-;)
>>355 mjd?アルターvsメディウムしか妄想出来ないぜ……何故なら俺の知識がギャランドゥ!しかないからなw
>>354 あ、俺の妄想では公式同調者が型月世界行くってゆーか行かされる感じだったw
>>362 って事は、冥魔/バイド双方、戦闘本能のままに喰い合うかの如く
激突するだけってのがベターな展開かな?<バイド vs 冥魔
波動砲の一斉掃射と萌え魔王達の高レベル魔法とのコラボもwktkだと思うがw
>>363 『』を“向こう側”へと置き換えれば、大体辻褄は合う。
>358
改めて、そのへんの線引きが難しいと思ったよ。
アドバイスありがとう。
お互いの作品に登場する「よく似た存在」を、
どう関連付けるかというのも、それはそれでクロス作品の見どころだと考える人間もいるだろうから。
他作品キャラや能力をNWのデータに落とすってのは、まさにそれだと思うしね。
そういえば、ここにはパワーバランスの上位下位しか書いてない話もあったね。誰のどれとは言わないが
>>365 お前マジ頭いいなっ!
というわけで誰かこんなネタで一つ作品をry(バカは色々妄想したはいいがプロットすら出来ていなかった)
とりあえず美少女は俺の嫁ということでクロスさせれば同次元じゃね?
>>369 俺なんでも同次元クロスさせるいい方法考えた!
つ「しっと団」
ネタとしてならここはわりとどんなものでも受け入れるからな。
FATE VS NW スレもどんなものでもネタにする卓ゲ住人のせいで、立派なネタスレとして機能してたし。
(嵐の乱立させたスレをきっちり使うのがどうかという話はさておいて)
ガンダム種だろうが、型月だろうが、YOKOSHIMAだろうが、ネタになってさえいればオールオッケーだと思う。
「◎◎は××だったんだよ!」
「なんだってー(AA略」
ってのはNWの基本ネタだし。
>>371 今何故か
「これは魔王キクター・ケの陰謀だったんだよー!1!!!」
ねるねるめいとねるねるめいと・・・・・・
という電波が
俺疲れてるんだな
魔王アリーノーみたいなもんか
>322
実は、「差し替えネタを用意している」事にこそ喰い付いて欲しかったんだけどね。
気が付いたら目的が入れ替わるところだった。
思い出させてくれて有難う、>322さん!
>324
『究極超人あ〜る』の体育祭の目玉は、前代未聞、大障害借り物マラソンでしたが……
【杉浦茂の「猿飛佐助」】
こんなレベルのものを要求したので完走者無しでした。
宜しければ22:45分ごろから投下します
>>309 保管ありがとうございます
第六章 蝿の女王 _heavy_player_
1
巨大な河は、大地に刻まれた傷痕のようにも見える。
山から海へ、内から外へ、
学園都市に発生した侵魔の群もまた、流れると言う点では河のようなもの。
けれどソレは、外から内への大海嘯。いや、唯一点へと収束する、譬えるならば湖だろうか。例外は海に続く出口がないこと。蒸発する他減る事は無く。蒸発すれば濃度は増す。
湛えるのは悪意と憎悪。
湖面は沸き立ち黒々と煮え立つ真性の悪魔たち。
第六学区の廃墟は、この世に出現した地獄そのもの。
ならば、それに蓋をしなければ。舞台の下、板子一枚挟めば底なしの奈落。しかしその床(ふた)失くして、人の生など立ち行かぬ。
「ぅおおおおおおおおおおおお!!!!!」
声は力。腹の底、魂の奥から搾り出す。
身の丈を超える巨大な剣は、裂帛の気合に呼応するように、刃を震わす甲高い音を立てた。
薙ぐ。横一閃に。
刃圏に入った下級侵魔共を、一撃で両断してのける魔法の箒。
神殺しの魔剣を素体に、鍛ち上げられたウィッチブレード。振るう事が許されるのは、柊蓮司唯一人。
殺すものは、群からはぐれた悪魔たち。
人の居なくなった学園都市に被せる蓋。多重複合結界の基点の一つ。
第六学区へ向う本筋からはぐれた怪物たちは、そこに襲撃をかけ、しかし。魔剣使いと超電磁砲。そしてこの世界の学生たちによって阻まれていた。
しかし、マジカルウォーフェアを戦い抜いたベテランウィザードも、他の学生たちも、人の身の枠に囚われている事は変わりない。
無限再生機能を持つ侵魔の群。
有限(人間)の身では、無限など架空の概念に過ぎない。それは、人の精神の射程を大きくは擦れている。
けれど、『無限』とは、限りが無いのではなく、限りを測れない事であるのなら―――、尤も。それでもソレを殺しつくすというのなら、終わりを見る事が叶わない事は当然至極。
悪魔を切り裂く柊も、すでにして満身創痍。大小深浅多種多様。頭、胴体四つの肢。傷の無い箇所を探す方が困難である。
身につける特別製の呪錬制服は、斬られ破れ鉤裂かれ、視るも無残な襤褸切れ同然。血の滲む箇所も、両の指では数え切れない。
それこそ、激戦を物語る虚像の指標。
けれど、その体から力が無くなる事はありえない。
「ぅおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
叫ぶ。
脳に直流する精神の電流は、心臓を鼓舞し鼓動を速める。
開いた傷から、血があふれ出す。
赤黒い命の滴。血塗れになった神殺しの刃。
魔剣使いの命を喰らい、彼の剣は切味を増す。
巻戻すように起き上がる侵魔を、処女血を啜る吸血鬼のような、刃鳴りの音が笑う。
何度斃しても起き上がる。殺しても殺しても死なない相手。
だがそれに何の意味がある。
達成すべき勝利の条件は、敵の殲滅にはない。地獄と日常を分ける結界(フタ)。それを形成するまでの時を、稼ぐ事ができればそれで良い。
そうであるのなら、魔剣使いの勝利は確定している。
異界の神々の力を、異界の理論で編み上げ、異界の理と絡み合って組み上がった領域の壁。
ソレは、数分前に完成していた。
一心不乱に、祈りを捧げた異世界の神官、巨漢の神術師に、褐色の肌の妖精僧兵。役割を果たした彼らは、既にこの街の住人の手で『外』へと避難し終えている。
柊が成すべき事は、あとは、御坂美琴と合流して上条当麻を助けにいくことだけ――――
そのために、立ちはだかる悪魔の壁をぶち抜く必要がある。
そうして、魔剣を振り上げて、
不意に、世界から音が消えた。
まるで、彩度の無いフィルムに押し込められた写真。
若しくは、ブルーレイにハイビジョン録画した映像を、最早博物館にしか無いであろう白黒テレビで再生したような。
そんな、覚えの在りすぎる灰色の世界。
柊蓮司は、そこでそれに出会った。
2
深い緑に輝く破壊の槍。矢継ぎ早に撃ち掛けられる攻撃魔法は、目標を捉え得ず粉塵を巻き上げる。
一瞬、視界を覆い隠すカーテンが晴れた時には、既に其処には何も無く、何時の間にか拳が届く範囲にまで接近を許していた。
慌てて、空に飛に逃げる。
魔王と超能力者が重ねた拳が、箒を掠めて機能停止。ガラクタは重力法則と言う基本原理に則り、落下する。上に乗っていた魔法使いごと。
落下までの短い間に体勢を立て直して、無様に転がる事は避けたウィザードだが、その間に踏込んできた、二人組の拳に脳を揺らされる。
三日三晩の徹夜明けの、睡魔にも似た暴力的な衝動が四肢に根を伸ばし、ウィザードは仰臥する。
そんな方法で、戦闘不能に追い込まれたのはこれで三人目だった。
邪魔な下級侵魔を排した月匣の中。葛葉亨以下、十名の魔王監視部隊は、アゼル・イヴリスと上条当麻を追い詰めた。しかし、それが直接的な攻略には繋がっていない。
荒廃の力と幻想殺し。
前者を後者が押さえ込んでいる以上、アゼル・イヴリスより先に上条当麻を殺すことは出来ない。
幻想殺しが効果を失えば、その先に待っているのは破局(カタストロフ)唯一つ。
ソレを防ぐ為にウィザードが居るというのに、それでは本末転倒だ。
タイミングは、二人同時かアゼル・イヴリスが先。それが望ましい。
しかし、広範囲に二人とも巻き込む攻撃は、幻想殺しでガードされ、アゼルを狙った攻撃は、安全地帯に入り込まれて空を切る。
上条当麻に向けられる攻撃は、アゼル・イヴリスの行動を制限する為だけの牽制。上条当麻が一秒前に居たところには、決して致命傷が飛んではこないのだから。
遠距離からの射撃は、かわされ防がれる。
ならば、近距離(ショートレンジ)での白兵戦はどうか。
接近した一人が、刃を振りかぶり叩き落す。
あろうことか、其処に二人は、握りあった右手左手を突き出してきた。
この一撃は、いわば牽制。魔王の腕を切れるとは思わない、しかし、人間上条当麻の右手はどうか? それでもし、幻想殺しの効果が失われてしまえば!
その迷いが、刃の進行を滞らせる。その時間は一瞬にも満たず、しかし、その一瞬で上条とアゼルは踏込み、左手と右手の掌底を、挟みこむようにウィザードの脇腹に叩き付ける。
合計二十四本の肋骨の内、左右第八から第十一までの計八本が、鈍い音を立てた。
かはっ。と、湿った咳のような音をたてて、肺の中身が空になる。身体が酸素を求めたその隙に、箒(ウィッチブレード)を折り砕いて、複合ストレートが顔面に突き刺さった。
接近戦を挑めば、魔王の膂力の前に敗北する。
『幻想殺し(イマジンブレイカー)上条当麻』。
葛葉亨の最大の誤算は、彼の存在を見誤った事だ。
ありとあらゆる異能の力を打ち消す右手。彼らの最大の武器である荒廃の力を押さえ込むハンディキャップ。
表界ではないこの世界で、魔王相手に対等に戦える。彼等(ウィザード)にとってのアドバンテージ。
それだけだと思っていた。けれど蓋を開ければ『荒廃の力』という確実な『死』を、余計に浮き彫りにする恐怖の象徴。
機能停止=死。
自然、攻撃の手は弛み、相手は其処につけ入ってくる。
此方の魔法を打ち消す事や、学園都市製一般人的身体能力など瑣末な事、上条の存在は、ウィザードたちの行動をも縛り付ける鎖であった。
しかし、葛葉亨は、ウィザードだ。
異能の力を操り、無垢なる人々の為に命を使う、夜闇の魔法使いである。
裏界の最終兵器たる荒廃の魔王を斃す。それは、第八世界の平和の為に、意義のあること。
世界を護るウィザードとして、命を懸けて成し遂げねばならないことだった。
そして何より、アゼル・イヴリスは希望の宝玉を廻る土星会戦で散った同僚たちの仇。
あの戦場で、星々の海で、荒廃の魔王と対峙してただ一人生き残った自分だけは、
決して、この少女の姿をした怪物を逃すわけにはいかないのだ。
監視部隊の残りは七人。対する相手は二人。数の上では十分にこちらが有利。
それに、もう幻想殺しを見誤りはしない。
「桂木、相川、稲枝! 間合いを取って集中砲火!!
粟根、十叶は私と共に白兵戦!!
菫は雨原、峰百、麦奈を回復後、四人で砲撃に回れ!!
何も考えるな!! 魔王を斃す事だけを念頭に置け!!」
戦術を投げ捨てる。選ぶのは特攻。
部下を二人引き連れて、槍型箒を掲げて突進する。
質を変えた三種類の砲撃が、上条とアゼルの足を止めた。幻想殺しを掲げて防御する。其処に、光輝の槍先が肉薄。三方向からの直接攻撃に、逃げ場をなくした魔王は、跳躍する。
唯一開いた上空。
そこに、待ち構えるように、四つの砲口が光を湛えていた。
対多数戦の鉄則は、攻防の主導権を常に持ち続けること。
常に攻め手を持ち、決して護る為だけに護ってはならない。防御は須らく次の攻撃への布石で無ければ成らない。
意識的、または無意識的に、幻想殺しの機能停止=荒廃の力の開放という恐怖を使って、上条当麻はウィザードの動きを牽制していた。戦場での主導権を占有していた。
ならば、避けられようが防がれようが、アゼルだけを狙えばいい。喩え上条の右手が機能を失ったとしても、そのときには荒廃の魔王を斃して居ればいい。
死の恐怖で行動が縛られる。状況の分析が攻撃を阻害する。そんなものは捨ててしまえ。そうすれば、戦場は民主主義が席巻する。
閃光がすべてを塗りつぶす。
二人が頼るものは、幻想殺し以外にありえない。
攻勢魔力の奔流を、上条の右手が打ち消して安全地帯を形成する。
思惑通りに。
ウィザードは、槍の穂先を上空に向ける。
燐光を纏い、爆光を噴射して光の槍が魔王に迫る。
あらゆる異能を封じられた今、支えの無い空中では、流石の魔王と雖も体勢を立て直す事はできない。
「アゼルッ!!」
上条の絶叫も、肉を貫く嫌な音を掻き消す事はできなかった。
この通り、嘘の様にあっさりと、結果(こたえ)がでる。
どさり。と、重たい音をたてて魔王と超能力者の身体が地に伏せる。
衝撃に悶絶する上条。そして、
「ぅぐっ、■■■ぁ!!」
苦痛に呻く。
アゼル・イヴリスは、豊かな胸から、なだらかな腹から、絞まった腿から、光の刃が貫通した傷口から噴き出した血で、全身を染め上げていた。
ウィザードは攻撃の手を緩めない。
泥にまみれた芋虫のように、身を捩るアゼルに光の刃を振り下ろす。
刃は大地を抉る。
自らも肋骨の何本かは持って行かれているであろう、もしかしたら内蔵も痛めているかもしれないその体で、上条当麻は少女の身体を巻き込むように転がった。
そして、魔王の血で全身を汚しながら、少女を抱えて身を起こす。
上条の腕の中で力なく、アゼルは咳と共に大量の血を吐き出した。
「てめぇら………」
睨み付ける。その瞳に浮かぶのは怒りの一色。
「何で、何でこんな事が出来るんだよッ!!」
自明。ソレは敵だ。
ウィザードは言葉なく断言する。
「それに、俺は被害者だ。加害者を憎んで何が悪い」
ウィザードは光をたたえる。
憎しみで彩られた、死の光。
その光は、上条とアゼルを消し飛ばすだろう。
ギシリ。と、奥歯が鳴った。
死の光が解き放たれる。
網膜を灼く閃光は、この身、この腕に抱く少女の身体すら焼き尽くすだろう。
握られる右手を突き出す。
ソレが異能の力であるのなら、仮令神様の奇跡であっても打ち消す右手。
光が掻き消える。
異世界の魔法とは言え、所詮異能の力。
上条の網膜に補色の痕跡を刻んで、攻勢魔力は霧散した。しかし、
(!?)
敵は一人ではない。
灼き付いた色を砕いて、襲い来る攻撃魔法の嵐。
圧迫する闇が、牙のような隆起が、出現した瀑布が、竜の息吹とばかりの炎が、巨大な竜巻が、歪んだ闇の矢が、拳のような空気が、炎の獣が、泥の拳が、
すべて、上条ごとアゼルを討ち滅ぼそうとする殺意の顕現。
(……っ、クソッ!!)
幻想殺し(イマジンブレイカー)は間に合わない。
効果が及ぶのは右腕、その手首から先。全方位からの範囲攻撃には対応のしようがない。
約束された絶命までの数瞬。
その間、上条にできたのはアゼル・イヴリスを庇う壁になる事だけだった。
3
学園都市は広い。
開発の遅れていた西東京一帯を一挙に買い取って造られた学校の街は、東京、埼玉、神奈川の三県を又に掛け、東京都の半分ぐらいの敷地を円形に切り抜いて鎮座していた。
この学園世界へも、街一つがそのままやって来ている。そのため、世界内でも有数の広さを持っているわけだ。
つまり、何が言いたいのかと言えば、そんなところで人一人を見失えば、見つけ出すのはとても大変だという事。
そしてそれが、一度見つけた迷子であるのなら、その精神的疲労感はイロンナモノを振り切ってしまうという事だ。
「ちょっと!! 待ってってば!!」
何もかも投げ出したくなるような徒労感を回避する為に、魔法少女カレイドルビー・プリズマイリヤこと、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは、声を張り上げる。
怖しくすばしっこく、体格を生かして狭い路地ばかりを逃走する、肉体年齢一〇歳程度の少女が、振り向きもせずにのたまわく。
「待てと言われて待つ奴がいるかぁあ!! って、ミサカはミサカはどこかで聞いたような科白をカナミンの偽者に向って言ってみる!!」
「まぁ!? なんという事でしょう!! この由緒正しき(リリカルマジカルな)魔法少女(カレイドルビー)を偽者扱いだなんてっ!!」
イリヤの手にある杖が、傷ついたような声をあげる。
因みに、カナミンとは学園都市で放映されていたテレビアニメ『超起動少女(マジカルパワード)カナミン』。と、その主人公のことである。
言うまでも無く、日本が誇るオタクの戦略物資(ジャパニメーション)であったりする。
それはともかく。
戒厳令(コード・ブラック)下の学園都市で、発生した迷子。名前を『打ち止め(ラストオーダー)』という彼女は、一度はイリヤを含めた執行委員の手で保護された。
なんでも、同じく学園都市出身の御坂美琴の妹らしく、執行委員長とでも言うべき柊蓮司と、彼女が捜索に加わった途端、いともあっさり見つかった。というか自分からやってきた。
ふらふらと。
で、曰く。
「うわーい、お姉様だお姉様だって、ミサカはミサカは偶然の出会いに吃驚してみるって、いたたたたたた!!
なんでいきなりミサカのこめかみをグリグリするの! ってミサカはミサカは暴力反対って声高に叫んでみたり!!」
「喧しいわこのアホ妹!! 戒厳令(コード・ブラック)よ、戒厳令!!
にも拘らずふらふらふらふらと! どれだけの人に迷惑掛けたか!! 解ってんの!!」
「だって、あの人が近くに居る気がしたんだもん!! って、ミサカはミサカは自分の正当性を主張してみる!!」
「なに言ってんのよ!! 学園都市の人間は避難してるの!! アンタが避難し終えてない最後の一人なのよ!!」
「痛いいたいいたい!! 御免なさいお姉さま!! ってミサカはミサカは泣きながら謝ってみる!!」
周囲に迷惑を掛け捲った妹を折檻する姉の声が、住人が殆どいなくなった街に反響した。
その後、御坂美琴と柊蓮司は他の執行委員からの電話で、街に張る複合結界の基点の防衛に回され、イリヤは打ち止めの避難誘導を任されたのだが、
「なんで逃げるのぉお!!」
姉譲りの電撃をイリヤに食らわせて、怯んだ隙に逃げ出しやがったのだ。
「だってだってコッチの方からあの人の気配がしたんだもん! ってミサカはミサカは自分の直感を信じてみたり!!
きっと迷子になって泣いてるんだからミサカが行ってあげなくちゃいけないのってミサカはミサカは不退転の意思で断言してみる!!」
此方は空を飛べるとは言え、土地勘は地元民(ラストオーダー)の方が圧倒的に上。
つまり、ちょこまかと動き回る打ち止めの行動に、イリヤはついていくのがやっと。
このままでは、遠からず見失ってしまうだろう。
と、その時ポケットの中が震える。バイブレーション設定の0-phoneを取り出して、通話ボタンを押して。
「もしもし初春お姉ちゃん!? 今すっごく立て込んでるんだけど!!」
『イリヤさん? 迷子ちゃんの避難誘導のことを伺いたかったんですけど………』
「今全力で追っかけてる!」
電話の向こう。コンピュータに向っているであろう初春飾利に、イリヤは叫ぶようにそういった。
『なるべく急いでくださいね。その子が最後の住人です』
「それホント? なんか知り合いがいる気がするって言ってたんだけど」
『……少なくとも、学園都市の住民として登録されている人たちは、間違いなく避難完了していますよ』
「………。解った、急いで捕まえるね」
『お願いしますね。
っと、そうだ、もう一つ確認しておきたい事があったんです』
わざわざ前置きをする初春の様子に、イリヤはなんだろうと首を傾げ、
『柊さんたちが第六学区に向わず、結界基点の防衛に向っているんです―――』
何故だかわかりますか? と、疑問を呈するその科白に思わず「は?」と、聞き返していた。
『ですから、柊さんたちが複合結界の基点に向っているのは―――』
「いや、そうじゃなくて。それ、ノーチェが電話して頼んだでしょ? 0-phoneから声聞こえてたよ?」
今度は、向うから『は?』と返って来た。
『へ? それホントですか!?』
「うん。美遊も聞いてたはずだけど」
「私も聞いてましたよ〜」
魔法の杖にも太鼓判を押されて、スピーカーの向うで慌しい音が聞こえてくる
『ノーチェさん? いつの間にそんな事を? 『知らないであります。私は演算にかかりきりでありましたよ!!』』
「………。ノーチェじゃないの?」
『本人は違うと言い張ってますが―――『そもそも、迷子の捜索に加われなんて言った覚えも無いであります!!』……だ、そうです』
「―――じゃあ、だれが?」
『………ちょっとまずそうですね。
―――わかりました。それはコッチで何とかしますからイリヤさんは迷子の追跡に全力を尽くしてください』
通話を切って飛行に専念する。
打ち止め(ラストオーダー)の背中は、思ったよりも小さくなっていた。
「ヤバ」
支援だお
4
腕の中には死にかけた少女の躯。
護ろうとしたものに刃を突きたてられ、痛々しく血に塗れた。
上条の身体など壁にすらならないとしても、死なせてたまるかと抱きすくめる。
その魔法は殺意の具現。
再現された自然現象を模して、死神の鎌が迫る。
背を向けた。襲い来るであろう破壊に、歯を食いしばる。
恐らくは、空前にして絶後の痛み。死を告げるチカラであるのなら。
耐える為に力を込めて、しかし痛みは――――――無い。
―――紅い月が昇る。
魔法の代りに届いたのは、
「で? アンタはいつまでアゼルを抱きしめてる気なのかしら?」
まるで害虫を見下ろすような冷え切った視線と声。そして同時に、上条の脇腹に激痛。
「みぎゃぁあああ!!」
折れた肋骨の上から、黒革のローファーを叩き込まれて、上条当麻は愉快な絶叫を上げた。
仰臥して苦悶のダンスに身を捩る上条を無視して、凶悪無比な蹴りを放った当人は、気を失っているアゼル・イヴリスの身体から、血で汚れた黒い帯、その残骸を引き剥がす。
「う、うぐぉおおおお……」
上条を蹴たぐった少女は、その身体に刻まれる大小さまざまな生傷の数々に貌を顰めながら、取り出した包帯のようなものを巻きつけていく。
首、胸と、帯を巻きつけ、左腕に及ぼうかと言う辺りで、
「おおおおぅうるぅおおお……」
眦を吊り上げる。
ぎゅうっ。と、握り締められた左手。いまだに悶え続ける上条の右手を握り締めている左手にピクピクと眉を上下させ、
「ちょっと、手を離しなさい」
「おおおおおお、き、効いたああああああ。どごって、脇腹、ボキってなんか、ぐぉっ」
苦悶の声をあげて何一つ聞いていない上条に、再び革靴で蹴りを入れた。
大きく咳き込んで跳ね起きる上条に、彼女はもう一度同じことを告げると、
「いや、俺がこの手はなしたら大惨事だし。荒廃の力つったか? それがあらゆるプラーナだかなんだかを吸い取っちまうらしい って、何でアゼル裸なんだよ!?」
「欲情したら殺すわよ」
「んあっ!? 欲情するなってそんな無茶な っ!? ごめんなさい許してください冗談ですそんな状況じゃないのはよく解ってます!!」
「………どうでもいいから、土下座する前に目ェ瞑って右手を離せ」
「―――いや、だから。俺の右手は幻想殺しっつって―――」
上条は、自分の右手と、アゼルの力について説明しようとするが、少女はそれを遮って、
「んなこと解ってるわよ。
だから魔殺の帯を巻くのに、アンタの右手が邪魔だっていってんの」
意識をなくして尚、しっかりと幻想殺しを握り締めるアゼルの左手を引き剥がし、その少女が告げた言葉に、上条は引っ掛かりを覚える。
「………魔殺の帯って、アゼルの力を抑えてたって言う? それってかなり貴重なんじゃなかったか? 確かアゼルが代えはないとか言ってたけど―――」
価格、日本円にして約三百万円。そんなもの、そうそう用意できるものではない。
目の前の少女は、見た感じ御坂美琴と同じくらい。つまり中学生ぐらいの年齢にしか見えない。そんな少女が、どうして魔殺の帯など持っているのだろう?
高山外套(ポンチョ)の下に輝明学園の制服を着ている事からきっと第八世界の関係者だとは思うが。
波打つ銀髪の下から、黄金の瞳を覗かせて、その少女は不機嫌に告げる。
「そ。苦労したわよ。あんたとアゼルを引き合わせるのはゲーム上の必要事項だもの。
その時、間違いなく幻想殺しが魔殺の帯を破壊するでしょうし、そうなるとココから先には進めないもの―――」
あらゆる異能を否定する右手。それは魔王の装備ですら例外なく破壊するだろう。
だから。と、彼女は、
「贋物にすり替えておいたわ。
そこの残骸は、単に魔殺の帯っぽい感触がするだけの布切れよ」
なんでもないように、告げた。
「そういうことだから、今後一切アゼルに触れるんじゃないわよ。アンタが壊した贋物と違って、本物(コレ)は跡形も無く消えちゃうんだから――――」
「…………ちょっと待てよ」
何かを言っている少女の言葉を遮って、上条は声をあげた。
「ってことは何か? 第六学区が壊滅したのって……」
もしも、アゼル・イヴリスの魔殺の帯がちゃんと機能していたのなら、此処まで被害が出る事はなかった。
もしも、此処までの被害が出る事がなければ、アゼルがこれほど傷つく事はなかったのではないか。
つまり、それは―――
「お前が―――、元凶?」
上条の視線を受けてその少女は、ニィっ、と三日月の笑みを浮かべる。
「半分ほどね。
力を解放したのはルー・サイファー。被害を広げたのはこのあたし。
ま、帯が贋物だって気付かなかったアゼルも迂闊と言えば迂闊かしら――――っ!?」
気付けば、上条の手は少女の胸倉を掴みあげていた。
その気楽な物言いに、理性の掛け金が弾け跳んでいた。
「この手を離しなさい、上条当麻」
「テメェはッ!! どの面下げてココに居るんだッ!!」
「何を怒るの上条当麻。私たちは魔王。悪魔の王よ。
望まれる役割(ロール)なんて、人に仇為す事だけでしょう?」
「五月ッ蝿ェ!! そんな言葉で誤魔化せると思うな。
死んじまった一万人以上の人たちに、何よりお前はアゼルを傷つけたんだぞ!!」
氷河のように冷え渡る少女に、烈火の如き上条が拮抗する。
もういっちょ支援
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∪~"゙''´~"U u''゙"J.
「お前はアゼルの事が大事なんだろ!!
だったら何でそんなコトができるんだよ!!」
ほんの一瞬。いや、それ以下の時間、彼女は言葉につまり、
「―――、……」
そう、小さく呟いた声は上条には届かず、彼女は音を発てて上条の腕を叩き落とした。
「恨み言なら後で幾らでも聞き流してあげる。
アゼルを治した後でね」
支援
5
心にある感情はたった一つ。
ただ、怒りだけが―――すべてを塗り潰していた。
葛葉亨は、ウィザードだ。
所属は超時空多次元機甲特務武装黄金天翼神聖魔法騎士団。通称ロンギヌス。
常に、人間の世界を奪いに来るエミュレイターとの戦いの最前線にでる部隊にいる事は、彼の誇りだった。
少し前には、あの柊蓮司とともに冥魔『夜闇よりも冥きもの』の封印に関わる事件で、輝明学園秋葉原分校の『学園迷宮(スクールメイズ)』に潜った事もある。
そして、この学園世界でも彼は魔王がらみの任務についていた。
『蝿の女王』ベール・ゼファー。
『荒廃の魔王』アゼル・イヴリス。
学園世界に入り込んできた二体の魔王。その魔王の監視が、その任務の内容だった。
魔王とは、世界に対するクリティカルな危機的存在のことである。戦闘能力は低くとも、世界の危機に直結する能力を持つもの。『荒廃の魔王』などが、その代表格であろう。
予想されうる危機に対して、その発言の兆候をいち早く発見し、それに対応する事が彼らに求められる仕事だった。
そして、その日が来た。
学園世界でも、有数の土地を有する学校の街『学園都市』。その第六学区が消滅した。
異世界の街に吹き荒れたのは、プラーナを収奪する死の嵐。魔王アゼル・イヴリスが荒廃の力。
其処に在るだけで世界を滅ぼす怪物は、ついにその正体を顕にしたのだった。
彼と、その部下たちはただちに迎撃に出た。
魔王は、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』という異世界の異能者によって、あらゆる力を封じられていた。忌まわしき『荒廃の力』も含め、すべての魔法も特殊能力も使えない。
絶好の機会であった。
裏界の最終兵器たる荒廃の魔王を斃す。それは、第八世界の平和の為に、意義のあること。
世界を護るウィザードとして、命を懸けて成し遂げねばならないことだった。
そして何より、希望の宝玉を廻る土星会戦で散った同僚たちの仇をとるためには、この機会を逃すわけには行かなかった。
ソレなのに、自分たちが張った月匣の中に、更に強力な月匣を張ることでアゼル・イヴリスは彼らの手から逃れ得た。
心には怒りが在った。
アゼル・イヴリスは残酷だ。
ソレが与える死のカタチは、尊厳そのものを奪い去る。
プラーナを食い尽くされるという事。ソレは物事が存在する為の力。ソレを失ったものは消滅する。
肉体がなくなることではない。魂が食われるだけでも無い。ソレそのものが、存在していたという事実が、消えて、無くなる。
記憶も、記録も、何一つ残らない。
誰に聞いても、何を聞いても、誰も知らない。
今まで生きてきたすべてを、人生を、すべて無かった事にされてしまう。
それは、人間の死ではありえない。
それが、どれだけ残酷な事か
人は、肉体が滅んだ程度では死に得ない。ソレまでにかかわった人々の中に、有形無形の影響として残るからだ。
だから、人間らしく死ねなかったものは、唯の無意味な肉の塊になる。否、其の骸(にく)すら残っていない。
アゼル・イヴリスは、ソレを与える。
関わった人々はまだ生きているのに、忘れ去られてしまう。いや、最初から居なかったことにされてしまう。
人間の尊厳を、正面から踏み砕く蛮行。
その怪物に、仲間を殺された。そして、自分ひとりが生き残った。
記録など何処にも無く、もう、顔も名前すら思い出せない。
それでも、失った事実だけは残っている。ぽっかりと黒々とした穴がこの胸に開いている。
だから、苦しい。
だから、許せない。
この胸の欠落を埋めるには、幕を引くしかない。
怒りの一色で心を塗りつぶし、ウィザードは魔王を殺す為に引き金を引いた。
6
くるくる。と、少女は器用に白い裸身に黒い帯を巻きつけてゆく。
胸から、左腕、右腕。腰を通って下腹部、両脚と、荒廃の魔王の全身に魔殺の帯が巻かれてゆく。
その間、上条当麻は所在無さげに、佇んでいる事しかできなかった。
原因は右手。
神の奇跡すら打ち消す右手は、魔法治療の害にこそなれ益する所は何も無い。
見上げた空には紅い月。
第八世界に出現する、侵魔の張った月匣という小世界(けっかい)には、必ず出現する裏界の風景。
今の上条たちは、ウィザードたちが張った月匣の中に張られた、もう一つの月匣に包まれている状態である。
月匣の主(ルーラー)曰く「そう簡単には破られないわ」。そういう訳で、とりあえずも一休みと言ったところだ。
しかし、紅い月匣を展開したのは、上条の腕の中で、死にそうになっていたアゼルではない。勿論、ただの人間である上条でもない。
今、アゼルを治療している、この銀髪金眼の少女こそ張本人。そして、この数時間ばかりの騒動の元凶であった。
「っと。ま、こんなもんでしょ」
癒しの光がアゼルを包み込み、後には傷の消えた滑らかな肌。色白を通り越して蒼白の肌は、元々の瑞々しいハリとツヤを取り戻していた。
魔法でアゼルを癒したのは銀髪の少女。そして、遠因としてアゼルを傷つけたのも、この魔王。
治療がひと段落したところを見計らって、上条は声をかけた。
「お前、一体何なんだよ」
この少女が、アゼルの事を大切に思っている事はよく判る。口調は乱暴で態度はぶっきらぼうだが、その言動はすべてアゼル・イヴリスを案じているからに他ならない。
そうであるのに―――
「そうね。自己紹介をしましょうか。
我が名はベール・ゼファー。空行くモノを遍く支配する美しき蝿の女王。
そして、アゼル・イヴリスの所有者よ」
気を失い人形のように動かないアゼルに、輝明学園の制服を着せながら、魔王と名乗った少女の言葉。その不穏な響きに、上条は眉を顰める。
「所有者?」
「そう、アゼルはあたしの所有物(モノ)。
だから、そうね。上条当麻、アンタには一応礼を言っておく。
アンタがいなけりゃ、アゼルはきっとここまで来る事はできなかったもの―――」
「んな事はどうでもいい」
上条は問う。
「なんで、こんな事をしたんだよ」
「言ったでしょ。
これはゲームだから。この状況は必要なフラグなのよ」
足をそろえて畳んで地面に座り、アゼルの頭を白い太腿に乗せて、その少女はそう言った。
その物言いに、再度理性が跳びそうになる。
「ゲームだと………。それ本気で言ってるのか?」
「ええ。本気よ」
冷静に、努めて冷静に上条は言葉を重ねる。
支援みゅ
「そんな下んねぇことで、こんな事を引き起こしたのか?」
「下らない。とは言って欲しくないわね。
必要だった。それだけよ」
静かに、空気が帯電する。
まるで零れる寸前にまで水を湛えたグラスのように、何かの切掛けがあれば、表面張力を失って溢れるだろう。
「アゼルを傷つけてもか?」
「ええ。必要だったから」
「アゼルは大切な存在(ひと)なんだろ?」
「ええ。それでも」
「巫山ッ戯んな!!!」
もう一度、上条当麻は爆発した。
「テメェのいうゲームとやらは、大勢の人を殺して、大切な人を悲しませて苦しませて、辛い思いをさせてまで、やんなくちゃいけない事なのかよ!!」
あふれ出した怒りを、止める術はない。
上条の怒号を前に、ベール・ゼファーは何も言わず、慈しむようにアゼルの頭を撫でる。
「そんなもんの何がゲームだ!! そんなもんに何の意味があるってんだ!!」
唯、瞳だけは真直ぐに、上条を見据える。
口を開きかけ、しかし留まって、一度唾を飲み込み、もう一度話そうとした、そのとき。
「―――上条君? ………ベル?」
朦朧と、意識を取り戻したアゼルが薄っすらと瞼を上げていた。
「アゼルっ!」
安堵と喜びを確かめようと、上条が右手を伸ばす。
その手を、
「触れるな! 上条当麻(イマジンブレイカー)ッ!!」
猛烈な剣幕で、ベール・ゼファーが叩き落とした。
「さっきも言ったけど、これ以上アゼルに触らないでくれる?」
本物の魔殺の帯を壊されてしまえば代えは無い。そうなれば、もうどうしようもない。と、ベルは言う。
それと、アゼルに着せた制服は呪錬制服という魔術的強化服であり、此方も幻想殺しの前では紙屑同然である。
ソレを理解して、上条は手を引っ込めた。
ゆっくりと、身体を起こして、アゼルは周囲を見回す。
状況を把握し、彼女はほっと溜息をついた。
「良かった。上条君もベルも無事だったんだね」
何よりも先ず、他人(上条とベル)の無事を確認して、そして荒廃の魔王は自分の状態に気が回る。
「これは………、魔殺の帯? どうして―――」
「あたしがすり替えといたのよ」
それだけで、聡い少女は総てを理解した。理解出来てしまった。
「――――どうして?」
呆然と、呟く。
それ以外に言葉はなく、それ以外は心にない。
その目で見つめられて、蝿の女王はその言葉を口にした。
「理由は二つ。
一つは、魔殺の帯を壊されるわけにはいかなかったから。それはこれから必要に成るもの―――」
人差し指を一本立てて、次いで中指を立てる。
「そしてもう一つ。それはこの問いを発する為」
超越者の証である黄金の瞳を、ベール・ゼファーは上条に向け、
「上条当麻。アンタはこれで完全に部外者になった。
唯の巻き込まれただけの一般人(被害者)に成り下がった ――――」
魔殺の帯は戻り、完全ではないものの、死の嵐『荒廃の力』は押さえ込まれた。
そして、魔殺の帯を奪ったのはベール・ゼファー。上条が詰め寄った通りに元凶といえるのはこの目の前の少女。
もう何処にも、上条当麻がアゼル・イヴリスの味方をしなければならない理由など、存在しない。
「アンタはもう加害者(アゼル)と同じ所には立っていない。
それでも、アンタは―――」
―――アゼルの味方でいられるの?
人外の色を湛えた瞳で、ベール・ゼファーは上条を見つめる。
「―――」
少しの沈黙を挟んで、上条当麻は息をつく。
唇を開いて、答えようとしたその瞬間。
巨大な硝子を砕くような音と共に、空の紅月が砕け散った。
景色が揺らぐ。
広がるのは変わらぬ廃墟、しかし境界の壁は蒼く。
空には両手の指ほどの数の影が、
「ちっ……良い所で」
小さく、魔王が舌打ちして。
「此処までだエミュレイター!!
一網打尽にぶち殺してやる!!」
ウィザードの殺気が三人を打った。
7
あふれ出す殺気は、どろりどろりとヘドロのように。
質量を錯覚させて彼ら三人にまとわりついた。
人間とは、ココまでナニカを憎めるのだろうか。
強烈な感情に中てられて、上条当麻は内臓がひっくり返る様な不快感を覚える。
狂笑(えがお)すら見せて、怒り狂うウィザードを、けれどベール・ゼファーは
「ご苦労な事ね。
その内、渋谷の駅前に銅像が建つんじゃない? その忠犬ぶりは」
後ずさるアゼルを支え起し、心の底から詰まらないものを見るような貌で、彼らを見据える。
「忠犬? 何の事だ」
彼は、訝しげに首を傾げた。そうして曰く。
俺たちは、野良犬だ。己の意思でココにいる。
「極上生徒会は、アゼル・イヴリスを拘束しろ。と、命令を変えた。
そんなもの、俺たちは呑まない」
「命令無視かよ!?」
驚く声は上条のもの。
しかし、考えてみれば『魔術師』という連中は、ヤニ臭い似非神父しかり露出多過な女教皇しかり、自分の信念以外に興味を持たない生き物ばかりだった。
ナニモイラナイカラ、ワタシノジャマヲスルナ。
そんな、子供みたいな考えを極めた連中が、上条当麻の知る『魔術師』というもの。
だとすれば、彼ら(ナイトウィザード)はどうして、其処までアゼル・イヴリスを憎むのか。
「言っただろう? 上条当麻。
俺は被害者だ。加害者を憎んで何が悪い―――」
ウィザードは語る。
マジカルウォーフェアと呼ばれる戦争の一幕を。
土星圏での惨劇と悲劇を。
「あの戦場で、星々の海で、ただ一人生き残った俺だけは―――。
決して、そこの怪物を許すわけにはいかない」
なんて解り易い、個人的な理由(うらみ)。
ナニモイラナイカラ、オレノジャマヲスルナ。
告げるウィザード。己と同じでありながら、全く正反対の相手。
加害者の理由だとか過程だとか、内心だとか行動だとか、最終的にそう言ったモノで救われるのは、横で見ているだけの傍観者だけ。
どちらの当事者にとっても、ソレが救いになる事は無い。
上条が何を言おうと、最初からその言葉が届くはずも無かったのか―――?
苦しげに、上条当麻はウィザードを見る。
それに、
「ばっかじゃないの?」
蝿の女王は心底馬鹿にした口調で、そう言った。
ただただ、支援
ザワリ。と、空気が蠢く。
爆発寸前の爆弾を、気化したガソリンに放り込んだ様な剣呑さ。
意にも解さず。
「なんつーかね。あたしもさ、馬鹿って嫌いじゃないのよ。
ソコのソレ(かみじょうとうま)とか、アソコのアレ(ひいらぎれんじ)とかね。観てて面白いもの。
でもさ、アンタのソレは面白いけど、酷く不愉快だわ。
そうねえ―――。巷に溢れているクズ芸人みたいなもんかしら? 滑稽なマネをしなければ笑いを取れない三流共―――」
本物の芸人と言うのは、ただ喋っているだけで人を笑わせる(たのしませる)ものだ。と、
比喩表現(はつげん)の意図が掴め無いウィザードを憐れみながら、
「アンタは滑稽なの。見てて可哀想になるぐらい。
そんな見当違いの信念(いかり)を掲げて、あまつさえあたしの所有物(モノ)に手を出そうなんてさ――ホント、いい加減してくれない?」
呪ってやる。
魔王は低く笑い。そして、告げた。
―――アンタさ、一体何時からロンギヌスやってんのよ。
「 。え?」
何を言われたのか解らない。と、ウィザード葛葉亨は間抜けな声をあげた。
呑み込むまで数瞬。
葛葉亨が、ロンギヌスに名を連ねたのは、マジカルウォーフェアで減った補充人員として。
ソレがどうした。と、いったい何が言いたいんだ。と、応えようとして、
(なに?)
小さな引っ掛かりに息を呑んだ。
その隙間に滑り込むように、
―――アンタが『学園迷宮(スクールメイズ)』に放り込まれたのって何でだっけ?
魔王は、そんな問いを重ねてきた。
ソレは、ウィザードとしての研修のために。ロンギヌスになってから日の浅い自分たちは、もっと経験を積まねばならない。
そう、冥魔『夜闇よりも冥きもの』の時のように。
(??)
口には出せない。答えを思い浮かべる度、激しくなる違和感が唇を縫い付ける。
―――アンタが、アンゼロットに『学園迷宮』に送り込んだのは何で?
アンゼロット。
現在第三世界に出張している、第八世界の本当の守護者。
それは答えるまでも無い。それこそ冥魔に関わる事件だからだ。
彼の高名な魔剣使い、柊蓮司と、現守護者代行、赤羽くれはと共に、そしてこの魔王ベール・ゼファーともそこでまみえたのが初見の筈だ。
それは、様々な思惑の絡み合った事件であった。
守護者アンゼロットは策のため、当時――と言ってもそれほど昔の事ではなく、今と変わらず三下だった自分たちを任務に就けたのだった。
其処には、成長を願った部分もあったそうだが―――柊蓮司のように世界を救えるようなウィザードになれるように。
上品に罵倒されて、内心泣きそうだったのは秘密だ。
(???)
なんだろう。ナニカが引っかかる。悪魔の言葉など聞いてはいけないのに、ナニカが心をつかんで離さない。
思考の海が広がる。
いったい何が引っかかっているのか、一体ナニに違和感を覚えているのか。
葛葉亨は、ウィザードだ。
所属は超時空多次元機甲特務武装黄金天翼神聖魔法騎士団。通称ロンギヌス。
常に、人間の世界を奪いに来るエミュレイターとの戦いの最前線にでる部隊にいる事は、彼の誇りだった。
そして、この学園世界でも彼は魔王がらみの任務についていた。
学園世界に入り込んできた二体の魔王。その魔王の監視が、その任務の内容だった。
そして、その日が来た。
異世界の街に吹き荒れたのは、プラーナを収奪する死の嵐。魔王アゼル・イヴリスが荒廃の力。
絶好の機会であった。
裏界の最終兵器たる荒廃の魔王を斃す。それは、第八世界の平和の為に、意義のあること。
世界を護るウィザードとして、命を懸けて成し遂げねばならないことだった。
『そして何より、希望の宝玉を廻る土星会戦で散った同僚たちの仇をとるためには、この機会を逃すわけには行かなかった』
そうだ、だから、ウィザードとしてだけではなく個人としてもあの怪物を許す事はできなかった。
そうでなければ、絶対である命令に逆らったりはしない。
この胸にある虚。其処に満たされた怒りは、押さえようがなかった。
だから―――
矛盾を噛殺す。
違和感を踏み潰す。
アゼル・イヴリスを殺す。
この胸の虚に、渦巻く憎悪は止められない。
それが、なければ―――
「くだらない」いらいらと「結局ソコに落ち着くわけ?」
ベール・ゼファーは呟いた。
「はっきり言わないと解らないようだから、言葉にしてあげる」
死神の鎌を振り下ろす冷酷さで、
「幻想殺しも無いアンタが、荒廃の力を潜り抜けられると思ってんの?」
冷徹な真理を舌に乗せた。
鉄は熱いうちに鍛て。冷え固まれば、最早砕く事しかできないのだから。
バキン。と、何かが壊れるような音がした。
続きが気になる支援
これはさるさん喰らったな支援
『荒廃の魔王』アゼル・イヴリス。
裏界の荒野に佇む孤独な魔王。周囲から無差別にプラーナを奪い取るが故に、同じ侵魔たちからも忌み嫌われる怪物。
身体に巻く帯状結界で能力を抑制したところで、完全に押さえ込む事ができるわけではなく、そのチカラは視認できる距離に近づいただけで並みのウィザードを消し飛ばす。
だから、土星戦役では数多くのウィザードがその力の餌食になった。
葛葉亨の『同僚』もまた。一切の矛盾もなくそのチカラはスベテを喰らう。
―――だとすれば、なぜ、葛葉亨は生きている。
「それが、矛盾?」
気付いてしまえば、後は容易い。
刻まれた溝が川になるように。
そもそも、新米ロンギヌスの自分が、どうして土星戦役に参加していたんだ。とか目を凝らせば、穴は幾らでも浮かび上がってきた。
だとすれば、この胸の虚も其処に渦巻く憎悪も、スベテ―――
「まさか。一体誰が、何のために―――」
「考えれば判るでしょ? アゼルを殺させるために」
ウィザードが魔王を斃すのは当然であり。その事実が都合の良いダレカが。
「そんな記憶など、俺には―――」
ない。と、応える前に答えに気づいた。
「―――the dream hunter」
それは『夢使い』と、分類される魔法使い。
幻想と精神を操る彼らならば―――、在り得ない記憶を刻み込む事も、その逆もまた、容易だろう。
人であるウィザードに可能なら、人ならざる悪魔であるのなら、
その異能(チカラ)は、<偽りの記憶>という。
「嘘だ――……」
それは、致命的なまでの、破滅(呪い)だった。
立脚点を否定される。
ガラガラと、崩れ落ちる様な音がする。
「嘘だ嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁあああああああああッ!!」
ウィザードの絶叫は、灼熱の妖光、月匣を砕く轟音に、熔けて消えた。
帰ってきたか支援
8
蒼色をした境界線が砕ける。
魔法使いの月匣は、地獄を遮る板子の床。
犇き蠢く悪鬼羅刹。吹き荒れる咆哮は求める声。命を望む亡者の怨嗟。
檻を外され、ケダモノたちが踊り嗤う。
ゆらり。と、熱波に景色が揺れた。
陽炎の向うから現れる、小さな影。
金糸を梳いた髪を二つに括り、飾りの鈴をぶら下げた少女。年のころは十三か、十四。白い小袖に緋袴という、上条当麻に同級生を髣髴とさせる服装。
素直に巫女服と表現できないのは、足全体を覆う緋袴が膝の上で断ち切られ、プリーツの入ったスカートのように見えるからか。
何にせよ、奇妙な少女と評しても間違いではない。
「パール・クール……」呆然とアゼルが「そんな、自分から出てくるなんて―――」
ちりん。と、髪留めの鈴が涼やかな音を立てた。
少女は、パール・クールは笑っている。唇の両端を吊り上げて、三日月のように口元が裂けていた。
「まったく、使えない犬よね。高々人形一つ壊せないなんて―――」
結局私が出て来なくちゃいけなくなったじゃない。
無邪気に邪悪に嗤われているのは、上条ではなかった。
灼けて熔けた地面を挟み、そそり立つ光の壁。防御魔法の輝きの向うに、立ち尽くすウィザード。
葛葉亨。
犬と呼ばれた監視部隊のウィザードは、焼け焦げた身体で新たな魔王を見る。
「おまえは、何を言っている」
全身が赤く、何処か白っぽい。
典型的な温熱熱傷の症状。人間の皮膚は約四五℃の温度で熱傷になり、七〇℃以上の高熱に曝されると一秒で組織の崩壊が始まる。
深度Uと呼ばれる症状。
今の彼は、全身に強い痛みと灼熱感に苛まれている筈だ。
すぐにでも治療をしなければ、命に関わるだろう大怪我で、しかし彼は、
「答えろ! パール・クール!!」
その手の槍を、魔王に向けた。
言葉で否定されても、感情は付いていかない。
この胸に抱く虚。ソコに渦巻く憎悪と怒り。
それは、どうしようもない恐怖に取って代わった。
この胸に抱く信念が砕かれる事の方が恐ろしい。と、このどうしようもない感情の波は何処にぶつければいいのか、と。
一瞥する魔王を睨みつけ、
魔法の光に飲み込まれた。
再び吹き荒れる熱光波。見えない力の壁が軋み、閃光に目を閉じた上条は、サウナに放り込まれたかの様な錯覚に襲われる。
光が収まり、静寂が戻った。攻撃そのものは一秒にも満たず、薄っすらと目を開ければ、
「ふん、狗の分際でご主人様に歯向かってるんじゃないわよ」
あっさりと、魔法使いの姿はソコから消え去っていた。
「―――――」
あまりの事に、言葉が出ない。
いままで目の前で喋っていた人間が、一瞬で消え去った。
冗談か、悪夢であるといわれれば、そちらの方が納得し易いほどに
コロサレタ。
メノマエデヒトガコロサレタ。
瞬間、上条当麻は絶叫を放っていた。
魔王は五月蝿げに視線を流す。
「何? 何であんたが怒るのよ。アレはあんたの敵でしょ? 片付けてやったんだから涙でも流して感謝しなさいよ。
ありがとうございますパール様、このご恩は一生忘れません。ってね」
咽の奥から這い出す、言葉にならぬ感情。
視界が白濁する。聴覚が遠ざかる。
灼熱する脳髄の深奥。その熱に導かれるまま、上条の足が大地を蹴った。
後であがる制止の声も届かない。激情に駆られるがまま間合いを詰める。硬く握った右手を叩き付けるために。
一秒でも早く、この巫山戯けた餓鬼を殴り飛ばす為に。
魔王は動かない。
人間の拳など脅威ではないという事か。
それでも、何体かの下級侵魔が主を庇うように前に出た。
夫々に鉈のような大爪を振り上げる。一撃で人の頭など西瓜のように砕くであろう打撃。
上条の足は止らない。
瞬殺。
軽い右手のジャブ。連射された上条の拳に触れた瞬間、黒い悪魔は霞と消える。
その光景に、魔王は多少驚いたのか、先程よりも眼を見開いていた。
踏込む。
突進を、無理矢理に止めた左足の負荷を、腰を回し肩を入れて、この右拳の威力に加算する。
ゴッ!! と、上条の拳が空気を裂いた。
何を感じたか、咄嗟に両腕を掲げて防御した魔王の両脚が、大地を離れる。
数メートル吹き飛ばされた魔王は、一瞬の空白を挟んで怒りに染まる。
「人間の分際でッ!!」
「テメェはッ!! 人の命を何だと思ってやがるッ!!!」
爆発した。
そうとしか表現できない怒号は、悪魔を前にして見当違いも甚だしい。だからこそ力のこもった人間の咆哮。
呆気にとられたパール・クールは、一瞬、怒りを忘れた。
そんな馬鹿馬鹿しい事を、正面きってぶちまける人間など、終ぞ見たことは無かったのだから。
「エサよ」
だから応えた。
「私たちは喰らうもの、あんたたちは餌。
あんただって見てたでしょうが、ソコのアゼル・イヴリスが街一つを食い尽くすところを。
私がやったことと、そいつのやったこと、何が違うのよ」
「―――ねぇよ……」
震えながら、上条は言う。
「テメェとアゼルを一緒にするんじゃねぇよ!!」
「へぇ、ソレと私と、一体何処が違うのかしら? そもそも、アンタはソレの何を知ってるのよ」
危険な響きを含ませて、パール・クールは呟く。
「知ってるさ。
たった数時間だけどな。俺はアゼルと一緒に居たんだから」
目の前には強大な魔王。
恐らくは、夏の海で出会った天使にも、勝るとも劣らぬ超越者。
「コイツは人を殺した。数え切れないくらい沢山の人を。悲しませた人の数はきっとそれ以上だ」
罪は消えない。ソレが自分の意思ではなかったとしても、その事実が多少なりとも救いとなるのは横で眺めている傍観者だけだ。
「でもな、知ってるんだ、ソレが許されないコトだって。
被害者と加害者が明確な以上、どんな事情があったって一切の感情移入を否定されるべき怪物なんだって―――」
だから、苦しいのだ。
だから、これ以上被害を出したくなくて、それでも関係の無い高校生を巻き込んでしまって。それが、更に苦しくて、護りたくて、その身に刻む傷すら、その命すら些細な事で。
「もう一度言う、巫山戯んな。お前の何が、何処と同じなんだ!!」
この数時間、上条はアゼルと共に居た。
だから知っている。彼女がどれだけ悲しんでいたか、苦しんでいたか。
決して表には出さなかったけれど、それでも肌で感じていた。
罪を罪と知る者と、力を理由に正当化する者。
その差異は僅かだろう。
しかし、その紙一重は、明らかな断絶だった。
だから、被害者に成り下がった上条当麻は、ソレでもアゼル・イヴリスの味方を出来る。
「アゼルを―――」
上条は、溢れる感情を込めて、金の髪をした魔王を睨みつける。
「テメェみたいなバケモノと一緒にするんじゃねぇ!!」
支援ふたたび
行間 六
「アゼルを―――テメェみたいなバケモノと一緒にするんじゃねぇ!!」
その言葉を聞いた瞬間、彼女の心に溢れたのは歓喜だった。
ある程度予想はしていた、恐らくは、上条当麻ならばそう応えるだろうと。
けれど、人の心などこの世で一番解らないもの、上条のような人種になれば尚更のこと。
だから―――完全にフラグが立った事を、『蝿の女王』ベール・ゼファーは心から喜んでいた。
これで必要なものはすべて揃った。長い時間をかけて準備してきたものが実を結んだ。
その達成感、充足感が血管を駆け巡る。
成長が喪失の回復であるのなら、それをもたらすのは、希望ではなく絶望。
けれど、失っている事すら知らなかった。
だからこそ、これでお膳立ては十分。
ここでやるべき事は全て終わった。だからこそ、役の跳ねた演者には早々に舞台から去ってもらわなければ。
人間に正面から怒鳴りつけられて、パール・クールは目を白黒とさせていた。
当然か、魔王相手に此処まで言う人間など、第八世界には居そうにない。
あの柊蓮司だって、魔王=捕食者と言う構図(だいぜんてい)に、文句をつけるような事はしないだろう。
全く、馬鹿は愉しい。
小さく微笑んで、息をつく。
―――名残惜しいが幕を引こう。
成すべき事は総て成した。後はスタッフロールに名を連ねるだけ。
変わらず笑みを浮かべながら、ベール・ゼファーは腕を振るった。
以上です。支援ありがとうございました。
また長くなった。そして書きたい事の半分ぐらいしかかけてない(泣)
本当なら柊が脱がされてたのに。
兎に角も、ここまでお付き合いありがとうございました。
アゼルって、恋愛感情とか理解できるんでしょうか?
…もしかして、これってベルがアゼルに普通の恋愛を体験させたかったというオチなのか?
【馬鹿はてきとーなことを抜かした】
なぜだ?
もんのすっごく説得力がある。
アゼルの転生者はしっかり恋愛してたよな
乙です。
相変わらずアゼルが大事なベル様が素敵でしたw
>>413 アカギは幼馴染からの猛アピールに応えたというかなんというか
恋愛…?という印象がなぁ
見える!俺には見えるぞ!
アゼルにフラグが成立した事を電磁砲やその妹に知られて、不幸だーと叫ぶ上条さんが!
乙です乙です
それにしても最後のベルの発言が意味深だ。
リオンがSOS団に引っ込んでいるのはベルとアゼルのらぶらぶさにあてられたからです
とか考えてしまった
1・キョンの物言いじゃないが「……付き合いきれん」と思った
2・二人の様子をはたから見て楽しんでいる
3・その他
さぁどれだ?
>>418 4.力ちゃん
【馬鹿は中の人と混同している】
>>410 乙ですー。
相も変わらず複数の思惑と意思と行動がきっちり書かれててスゲェよアンタ
やっぱりあの声ノーチェじゃなかったのか
1つにかかりきりになってる以上、それほっといて他の話出すような奴じゃないし
パールの居場所探るためぬオペレーションは初春が担当してるのに、わざわざノーチェがオペレーション代わる道理もないしな
……パールがベルをほぼスルー状態なのと、柊が何を守らされてるのかは気になるかな。あと脱ぐってナンデスカ
次回更新、お待ちしています
打ち止めの方も気になるねえ。 あの人ってやっぱりあの人だろうし、どう絡んでくるのやら。
2時半から、投下します。
―――学園世界 特別居住区
居住区には、名もなき“無人”の学生寮がいくつか点在している。
これらはいつ、どこに来るかも分からない“新たな学園”が来たとき、初めてその学園の学生寮の名を与えられ、学生たちが入るようになっている“ストック”である。
最低限の家具が備え付けられ、ライフラインが整えられた無人の寮。
選抜委員の定期的な見回りにも関わらず、そういう場所を密かにたまり場とする“不法入居者”は後を絶たない。
そして、そんな学生寮の1室、そこに、彼らはいた―――。
「どうだ?佐藤。玲子の足取りは追えたか?」
この世界で最も一般的な男の服、詰襟の学生服を着崩し、髪を金髪に染めた少年がきっちりと学生服を着こんだメガネの少年に尋ねる。
メガネの少年…佐藤は小手のようなものをつけた右手をせわしなく動かし、ヘッドギアに取り付けたモノクルを覗きこみつつ首を振る。
「いや。今、仕留められた。狙撃で一発。どこから来たかは分からなかった。的確だ。やっぱり向こうにデータが渡ってると考えた方がいいな」
「ちっ…ダークども向けの簡易版っつっても基本的なデータは一通り入ってたからな…セオリーは理解してる。そんなところか?」
「ああ。手もちの“鳥系”で追うのは難しいと思う。まあ、だからって他のなら楽ってわけじゃないけど」
淡々と分析をした後、佐藤は顔を曇らせる。
「ごめんな、ジャターユ…」
呟きつつ、いたわるような手つきで小手のようなもの…アームターミナルと呼ばれる召喚用にカスタマイズされたパソコンを撫でる。
「ああ?何言ってやがんだ?」
それを聞き咎め、少年は顔を歪める。
「悪魔は全部悪魔だろ?死のうがどうしようが知ったこっちゃねえ」
「違う!こいつらは僕の仲魔で…」
「いいや、一緒だ」
アームターミナルを抱き、声を荒げた佐藤に、少年は断言する。
「クソッたれの化け物で、利用すべき道具。なにより…俺らを“こんな体”にした張本人どもだ」
思い出して歯を食いしばる。
「俺は、あいつらが大っ嫌いだ…だからな、俺はあいつらの味方をするてめえも、大っ嫌いだ…」
その瞳に宿るのは、深い憎悪。男は佐藤を睨みつける。
「ああ?なんだその眼は?」
だが、佐藤の方も一歩も引かない。まっすぐに少年を見つめる…“獣の目”で。
「トリケセ…チャーリー…」
呟くように言葉を漏らすと共に佐藤の身体が膨らむ。露出した肌が灰色の毛に覆われだす。
「へっ…やるか犬コロ?今までと同じと思うなよ?こっちは“ほぼすべて”てめえより上だ」
それを見て、チャーリーと呼ばれた少年が口元を歪める。そして肌が徐々に紫へと変わっていく。
そんな、一触即発の空気を破ったのは、1人の少女の声だった。
「2人ともやめな」
そんな声と共に入って来たのは、ブレザーを着崩した少女。彼女は軽々と抱えていた2人の少年…「各校選抜執行委員」と書かれた腕章をつけた少年たちを投げ出す。
「定期パトロールが来た。一応顔を見られる前に気絶させて記憶いじったけど、潮時だね。移るよ。準備して」
そう言うと少女はさっさと準備をすべく、奥の部屋へ行こうとする。
「おーおー。ライトな女神さまはお優しいこって。こんな奴ら、ぶっ殺しちまえばいいだろうが」
その、倒れた少年を蹴り飛ばす、軽く蹴っただけのように見えたそれは、少年をたやすく壁まで吹き飛ばした。
「ぐあ!?」
壁にぶつかった少年が、苦痛に声を上げる。当たった場所は完全に骨が折れていた。
「…やめろって言ったでしょ」
だが、次の瞬間、少女がじろりとチャーリーを見て呟くと同時に、その折れた骨が“何事も起こらなかったか”のように一瞬で完治した。
「玲子を捕まえてその後ろにいる“カゲモリ”を洗え。目立たないように。それが命令だったでしょ?それとも魔神皇に逆らって死にたいの?」
「…ちっ。分かったよ」
チャーリーは目をそらす。
「命拾いしたな。佐藤。ユミに感謝しとけよ」
言い残し、チャーリーは何度目かになる“引っ越し”の準備を始める。
「ごめん。由美さん。僕は…」
元の眼鏡の少年の姿に戻った佐藤が由美に謝る。それに由美は苦笑して答えた。
「いいの。っていうか、いちいち謝らないでよ。今までも、これからも佐藤君があたしたちには必要なんだから。ほら、佐藤君も準備して」
そう言うと、由美もまた引っ越しの準備を始める。
「…やっぱり、強いな2人とも」
そんな2人の背中を見て、佐藤は笑う。
「…僕とは、大違いだ…」
自分に残された“時間”が少ないことに、ひどく悲しくなりながら。
…10分後。
「あれ?俺ら…」
「やばい。ちょっとボウっとしてた」
アパートの前で目を覚ました少年は、ハッと気が付きキョロキョロと辺りを見渡す。
「…あれ?お前も」
「え?お前もか?」
時計を2人して確認。最後に見たときより15分経っている。
「…疲れてんのかな?俺ら」
「まあ、いいや次行こうぜ」
ちらりとそのアパートを見て言う。
「ここは“もう見た”しな」
「ああ」
そして、少年たちは次の無人学生寮へと向かう。6番目の無人学生寮の記入欄に“異常なし”と書き込みながら。
―――ザールブルグアカデミー
「…またか」
授業前、見つけたから潰しておいた。そんな報告を0-Phoneで吾妻玲二から受け、斎堂一狼は溜息をついた。
「…やっぱり、タバサさんの読み通りか。玲子さんを狙っているみたいだな」
玲子がこの学園世界に来て、1ヶ月。エヴァからは『“使える”ようになるにはもう少しかかる』と聞いている。
「一応、大抵の相手なら桜花さんが護ってくれると思うけど…」
桜花の実力は、一狼も信頼している。と言うよりも、自分より強いのだ。力量は疑いようもない。
「…相手に知られているからな」
だが、向こうが“知っている相手”である以上、ある程度の準備はしてきているはず。そう、一狼は読んでいた。
だからこそ今までに2回あった悪魔絡みの事件を通して相手を…悪魔を理解している自分たちが“2人で”前線の指揮に当たっている。
「…いや、心配し過ぎか」
何事にも慎重な一狼が珍しく、楽観的な発言をする。
「そうかしら?私にはまだ信じられないのだけれど」
一狼の呟きに答えるのは、もう1人の前線指揮担当、ドルファン学園所属、ライズ・ハイマー。
「その“隊長”とやらは、本当に役に立つの?」
「え?どうしたんですか急に」
そこそこの信頼を相手に持つからこそ、ライズは自らの疑問を一狼に率直にぶつける。カゲモリが実力者揃いの組織であることはライズも知っている。
そこの隊長ともなれば、相応の実力の持ち主であることは間違いない。だが。
「…私は、その隊長には、会ったことが無い。実力を知らないわ」
一狼のことはそれなりに信頼しているが、だからと言って自分にとって未知の相手の実力を黙って信じろと言われても、はいそうですかと頷くつもりにはなれない。
敵を知るのと同じくらい己を…味方を知ることは重要なのだ。
「…ああ、そう言えばライズさんは隊長殿と会ったこと無いんでしたっけ?」
一狼がその事に思い当たり、ライズに聞く。
「ええ。無いわ。そもそも私はあのエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルが隊長だと思っていたのだけれど?」
一ヶ月ほど前、ライズは知った。数多くの悪名と“人形使い”の異名を持つカゲモリの指揮官、エヴァンジェリンは確かにカゲモリ内では大きな発言権を持つ。
だが、決してNo1…“隊長”では無い、と。
「まぁ、気持ちは分からなくもありません。エヴァさんは強さと冷静さを兼ね備えてます。正直“指揮官”としては隊長よりエヴァさんの方が上ですからね」
苦笑する。そう言えばさつきが言っていた。隊長は多忙につき滅多に茶室には顔を出さない。
そのせいか比較的最近入った“新人さん”の中にはエヴァを隊長だと思っている人も多いと。
「それで、隊長…カゲモリマモルとは、どんな奴なの?」
「隊長殿がどんな人か…ですか」
ライズの問いに一狼はちょっとだけ考えて、隊長…陰守マモルについての説明をする。
「まず、クラスは僕と同じ忍者です。年も僕と同じ2年生。通っている学園は特殊な能力の保持者がいない…実際はホタルさんや山芽さんがいるからそうでも無いんですが、
とにかく、基本的には普通の学園です。ずっと家の掟も兼ねた“任務”についているので、カゲモリ…あ、組織の方ですね、にはあまり顔を出しません」
「そこでは無いわ」
そんな、通り一辺倒な情報はライズとて既に確認している。
「私が聞きたいのは、イチロー、あなたから見たカゲモリマモルと言う人間よ」
目の前の少年の実力は理解している。イチローが自分が背中を預けるのに足るだけの実力を持つ“忍者”であると。
なればこそ、同じ忍者であるイチローから見た隊長と言うものは、きっと参考になるはずだ。
「僕から見た隊長殿、ですか…」
その言葉に、一狼は遠い目をして、言う。
「そうですね…一言で言えば…」
と言うより、一狼にとって、隊長…マモルはその一言でしか表わせない。
「…“でたらめ”ですかね」
カゲモリに最初からいた他の2人と、同じ感想しか。
―――エヴァの茶室
話は1ヶ月前までさかのぼる。
「本気…いや、正気か?タバサ」
タバサの帰還から数日。久しぶりに顔を出して早々タバサの言いだした話を聞き、エヴァが眉をひそめる。
それにタバサはこくんと頷く。
「本人の意思は確認した。“魔人皇”との決着を、自らの手でつけることをレイコは望んでいる。それには、普通の“ウィザード”としての教育では、時間がかかり過ぎる」
そう言いつつ、タバサは育ちの良さを伺わせる、美しい字で書かれたそれ…カゲモリへの“推薦状”を取り出して見せる。
「承諾は得ている。後は、協力者たるエヴァたちの同意だけ」
言うべきことを言い、他の3人の返事を待つ。
「…私は賛成よ」
最初に口火を切ったのは、今回の任務の指揮役を依頼されたカゲモリ屈指の剣の使い手、ライズだった。
「その代わり、“使える”ようになるまでは与える情報は最低限。入り方もオウカとか言う方にだけ。それが条件よ。たかが“おとり”に、全部教える必要は無いわ」
守るより、攻めろ。ただし引き際は間違うな。そう教わってきた“攻めるもの”の集団の中で育ったライズは、攻めることを恐れない。
肉は斬らせてやる。代わりに確実に相手の骨まで断つ、それならば、収支は合うのだから。
「…僕は反対だ」
それにもう1人の指揮官としてタバサ直々に選ばれた一狼が異を唱える。
「それじゃあまるで、玲子さんが魔人皇の情報を得るための道具みたいじゃないか…タバサさん、何であなたがこんな作戦を立てたんです?
正直、いつものタバサさんらしくない。そう思います」
一狼は知っている。タバサは聡明で、根は優しい少女だと。だからこそ、信じられない。明らかに実力の劣る人間をおとり…道具扱いにするような作戦を立てるなんて。
「そうだな。タバサ、お前にしては随分と残酷な絵を描くじゃないか…全ての話を聞いてから判断する。話せ」
何かあることを察したエヴァがタバサに促す。それに、タバサは頷き、答える。
「危険な作戦なのは理解している。“教育”が終わる前に狙われるかつけられる確率は極めて高いと言わざるを得ない。そうなればこちらの情報が向こうに知られる。
だけど、成功すればこちらの情報が増える。狙われなければ、戦うだけの力を得る。やる価値は、ある。それに…」
一度だけ言葉を切り、タバサはその情報を口にする。タバサに“玲子をおとりにする”ことを決意させたその情報を。
「…隊長の承諾を得た。しばらくの間、隊長がレイコを護衛する。その間に、決着をつける」
その反応は、劇的だった。
「隊長殿がっ!?」
「…なるほどな」
一狼が驚いて声を上げ、エヴァが納得して頷く。
「…隊長?」
ただ1人、ライズは眉をひそめ、エヴァの方を見る。
「…なんだ、斎堂。お前、ライズに話して無かったのか?」
「え?…ああ」
その様子を見て、事情を察したエヴァがライズに断言する。
「お前がどう思っているが知らんが…私はお前らの隊長なんてものになった覚えはない」
「…そうなの?」
怪訝そうに聞き返したライズにエヴァの代わりに一狼が説明する。
「はい。僕らの、カゲモリの隊長殿の名前は…陰守マモル。組織の名前の由来にもなった、学園世界最高の“守り手”です」
敬意と…若干の恐れを持って。
「…マモル?それが、このカゲモリの長の名前?」
確認するように、その名を口にする。
「はい。僕なんかが足元にも及ばないほどのすご腕の“忍者”。それが隊長殿です」
「“ウィザード”から見ても“常識”が通用しない存在。それが隊長。カゲモリの、切り札」
ライズの疑問に2人は自らの隊長評を口にする。
「…私は、奴に似た人間を2人知っている」
エヴァが最後に口にする。2人。エヴァの世界における“伝説の剣闘士”と、“最強の魔法使い”。そう、あの2人と同じ。
「奴は…マモルはあいつらと同じ“バグキャラ”だ…」
確信を込めて、重々しく。その言葉に…
「「「…バグキャラ?」」」
ファンタジー世界出身2名と高校生までロクにTVも無いような場所で育った田舎育ちが揃って首をかしげる。
「…少しはゲームくらいやれ。学生だろうが。お前ら」
思いっきり滑ったことに顔をしかめながら、エヴァが苦々しげにつぶやいた。
今日はここまで。
ちなみに今回のシリーズにおける隊長殿は“原作版”の“終了後”が想定されています。
でたらめ時空が形成される可能性がありますので、登板の際には用法用量を守って正しくお使いください。
>>230 エヴァ様はどSですから。
新設定はどんどんお使いください。それこそが本望。
>>231 まあ、とりあえず怪しげなゲームがあったら罠と思えと言うのは基本ですね。
ちなみに、カゲモリメンバーの大半は黄門様が探してきます。隠している力を見抜いたうえで。例外は初期メンバーの“友人”や“下僕”くらいです。
そう言う意味では自分から言い出したり、タバサに推薦されたライズや玲子の方が異端です。
>>232 学園世界においての百万迷宮の中心は暗黒不思議学園。故に奇数×奇数のマップ数で中心地点に暗黒不思議学園と言う設定です。
まあ、25マップあれば完全制覇すれば余裕で“列強”に名を連ねることも可能になるので、良いんじゃないかなと。
…あの範囲だと普通に落下ダメージ騎士も未到達区域のどこかにいそうですがw
>>233 ギャルゲーでは無いのがネックですかね…彼はこの世界でどうやって入手しているんだろう?
>>237 苦労人属性ですからね。エヴァ様…
ルーシーとタバサが仲良くなるまでには色々あったのですが、いかんせんNWキャラが絡めないという事で没に。
ちなみにがくおんのネーミングは、たまたま目についたアレからだったりw
乙です。
ところで、現在のカゲモリメンバーは何人で、誰が入っているのでしょうか?
>>428 人数は不明ですね。作者も知らないメンバーがいるかも知れませんのでw
(カゲモリのメンバー追加は他の作者さんがやることもあるでしょう)
作中人物でも全員把握しているのはジジイ四天王と弓塚さつきくらいでしょう。
(さつきは常に茶室にいるため、大抵のメンバーと面識があります)
ちなみに私が今まで登場させたのは
NWより、斎堂一狼、倉沢桜花の2名
陰からマモル!より陰守マモル、雲隠ホタル、服部山芽の3名。
魔法先生ネギま!よりエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、絡繰茶々丸の2名。
ゼロの使い魔よりタバサとその使い魔シルフィードの2名。
メルティブラッドより弓塚さつき。
みつめてナイトよりライズ・ハイマー。
ファントム・オブ・インフェルノより吾妻玲二、吾妻エレンの2名。
そして真・女神転生ifより赤根沢玲子(見習い)
以上14名ですかね。
あと名前だけでてきているのは、
涼宮ハルヒの憂鬱より古泉一樹、金剛番長より卑怯番長の2名。
今後増えるかは未定です。すべては黄門様の頑張り次第w
>>429 ありがとうございます。
つまり今のところ見習い含めて16人ですか。
……非常勤を含めた『執行委員』とどっちが多いんだろ?
>>427 投下乙です〜。
……キタ! 隊長キタ! これで勝つる!!
…とはいえ向こうも魔人三人+悪魔。激戦の上玲子さん桜花さんには辛い闘いに…。
というか佐藤くんに死にフラグ臭がががが。
>カゲモリメンバー
こないだ執行委員と一緒に数えてみたんですが、
誰か言ってた気もしますがカゲモリの方が多いんですね。
執行委員の方は事務の初春と手伝いの長門含めて11人でした(数え間違えてなければ)。
まあ執行委員はいざとなれば一日執行委員の時のようにおおっぴらに手伝ってもらえるんですけどね。
執行委員と特別執行委員とカゲモリの差がよく分からん。
当然のように学園世界が外敵(エミュレイターなど)から襲われて、
当然のように学園世界が崩壊の危機に陥ってしまった場合、
いちばん堂々と動けるのはどこ?
カゲモリはどうどうとはうごけんだろうな
特別執行委員はロンギヌスみたいなもんだろうからNWのシナリオの定番からすると一つの事件に複数人が出てくるのは珍しいだろう
部隊単位で出てきたら「うわー、だめだー」要因だろうし
となると執行委員が一番堂々と動けると予想
「特別執行委員」は「学生として籍を置いていない執行委員(柊とかノーチェ)」じゃなかったっけ?
なんで堂々と動ける度では
「執行委員=特別執行委員>>>(正体や能力を隠さなくてはいけないと言う致命的な壁)>>>カゲモリ」
かと。
>>427 投下乙でした〜。
まぁ、バグキャラだよな・・・親父はその上を行ってるけどw
「力」のことを回りに知られたくない人間は執行委員になりづらいからなぁ。
周りの反対も出てくるだろうし、カゲモリの方がなりやすいのは確か。
力を持ってるって知られてる上で、やりそうな人間・・・カズキン&トッキュンぐらいしか思いつかないな
一応執行部に入れたい人間がいて、そのための布石も打ったけど、実際に出せるか出せないかはっきりするのが今月末)^^;
>433-434
なるほど、そういう感じなのか。
モヤモヤがとれた。
>>431だけど
>執行委員=11人
ってのはどうもかなり数えミスってたようなので(滝汗)
発言を取り消させていただきます。すみません。
えーと……
「執行委員」……
正式名称「執行部付執行委員」。
主な業務は世界内で起きるいざこざの可及的速やかな仲裁(手段問わず)。あとついでに「異界よりのもの」から学生を守ること。
世界的に広く知られた委員であるため、広く色んな人に知られている。雑誌になるくらいだし。
※「世界の危機」に関しての業務は実は書かれてなかった。おそらくは個人判断でやってる
現状の構成員
柊・ノーチェ・初春・美琴・宗介・エリー・植木・ベホイミ・美遊・イリヤ(長門は正式じゃないっぽい)
特別執行委員……よくわからん
カゲモリ……
輝明学園校長のじーさんによって作られた、各学校内の内偵と「世界の危機」が表面化する前に潰すことを使命とする組織。
基本的に立場・能力上「主だって能力を使えない」能力者が多い。
使命上必要があれば、じーさんがカゲモリ生徒に「輝明学園生」としての身分を与えることがある。
現状構成員は>>参照
「選抜委員」
正式名称「各校選抜執行委員」。
主な業務は「学園世界内の見回りと治安維持」。要は自警団とかお巡りさんとかそんな感じ。
技術者集団「開発部」による発明品の量産型なんかで武装して、各校から派遣された学生が治安維持をしてるらしい。
もちろん魔法・武術なんかが使える生徒もいる。
「うわーもうだめだー」要員でもあるが、彼らの武器は数。執行委員への出動要請から迷子の捜索まで。彼らがいなければこの世界は成り立たないだろう
現状の構成員
把握してない
……こんな感じ?
そろそろきちんと明文化した方がよろしいやもな、委員会系
>438
えーと、特別執行委員は、
*執行部付執行委員の中で「肩書き:学生」で無い者、及び柊蓮司。特別が付かない執行委員との差は殆ど無い。
(例:R・田中一郎(備品)、ベネット(三下)、イリヤ達(児童)など……
こんな風に思ってました。ちゅるやさんなんか、ボーダーライン上でタイトロープダンス踊ってるんじゃないかな?
……なんで、ちゅるやさんがいるんだろう?
>>439 うわぉご本人様っ。
>>438は自分のイメージ適当にまとめた結果なんだけど、カゲモリらへん間違ってないだろうか?
いや、他の作者方にも聞いてはおきたいんだけども!
割と適当にこれまでやってきたけど、
そろそろ委員会関連は「所属(極上付とか学校単位とか)」「業務内容」「募集要綱」「トップ」なんかを決めておいて
明文化してページ作っておいた方が一見さんにも新規参入作者さんにもやりやすいと思うんだ
>440
ご本人、って程でもありませんが。
カゲモリは、何処までが本当で何処からが欺瞞情報か分からないので、そっちの書き手さんに任せます。
部外者で知っているの、くれはと柊とノーチェぐらい?それ以外で知っている人は、実は関係者だとか言いそうだし。
後、「開発部」。
香椎先生が怪しいポーション(効能:不味い)とか作っていそういやそれはいい。
【良くない】
色々な人が出入りしていて、当人たちですら把握出来ねぇ、と言う状況かも。ボン太君BEを見るに。
「開発部の部長って、誰ですか?」
「部長……みんな!今から開発部の部長を開発するぞ!」
ところで、『学園世界の悪役』なんてのも有るんじゃないかなぁ。
分かりやすいところで、蓬莱学園の「黄昏のペンギン」とか、春校OB・成原成行とか、学食立喰師とか、豪巌とか。
んー?
……ちゅーか、なんでこの作者氏は自分の作品に関係ないところでもコテ外さないん?
>442
あー、ただの外し忘れ。気にするまでも無いから。
>>441 と言うか、罵蔑痴坊(偽)さんは他の方への感想レスや雑談でも
出現当初からコテのまんまだったから、最早このスレの恒例物として
「あ、居るんだ」程度にしか思ってない人も多いんじゃない?
作品投下時以外のこの人に関しては。
それに、別に荒らししてる訳でも無いから気にする程でも無いでしょうよw
そうだな、せいぜい居るんだうぜぇ、くらいにしか思わん
カゲモリ(陰守)
学園世界成立初期、輝明学園校長荻原宗一郎が他のジジイ四天王と話し合い、荻原自身が実力を認めた忍者を隊長とし、“裏”に強い生徒を各学園の代表とした、
学園世界の平和を“陰”から“守”る特殊部隊。
執行委員に比肩しうるだけの能力を持っていながら、正体を明かしたくない、タダ働きはごめんなどの理由で表舞台へ立たない者たちで構成されている。
(その特性上、初期は人外種族や、忍者、隠密が多かったが、今はそうでもない)
構成員数は不明。全員把握しているのはジジイ四天王と弓塚さつきくらい。
主な任務は学園世界を脅かす敵の排除及びその内偵。任務にはジジイ四天王より、難易度に応じて絶滅社並みの報酬が支払われる(具体額はGMと応相談)
そう言う意味では“ジジイ四天王”と契約した『傭兵部隊』であるとも言える。
内部規律はそれほど厳しくなく、大きな問題さえ起こさなければ任務中以外は基本的に何をしても文句は言われない。
ただし、『構成員であることを他の構成員及びジジイ四天王以外に明かさない』と言う“掟”は徹底されており、その正体を明かした場合は、罰則が与えられる。
主な待遇
構成員になった時点で、任務中、身分を名乗る必要が出来たときに使うための『輝明学園特別ウィザード学生証』と『輝明学園の制服(ランクは応相談)』が配給される。
(最近は万色学園の『時空鞘』も加えようと言う声も多い)
また、ザールブルグアカデミー内にあるカゲモリのセーフハウス兼集会場『エヴァの茶室』の場所と行き方を教えられ、自由に使用することができるようになる。
任務中は、基本的に輝明学園のウィザードとして行動することとなる。クラスはNWにあるクラスから各々の特性に近いものを適当に選択。
(隊長であれば“忍者”、吾妻兄妹やライズならば“強化人間”、さつきならば“吸血鬼”、シルフィードなら“人狼”など)
任務中に使用した消耗品の類は経費として落とせ、一部アイテムはザールブルグアカデミー学長ドルニエ手製のアイテムが使用できる。
武器などの装備は自前で用意。構成員のかなりの割合がカゲモリの報酬を使って輝明学園=NWの装備で整えている。
任務の依頼は基本的な適性を考慮した上でジジイ四天王か、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルからされることが多い。
主要人物(登場作品)
陰守マモル(陰からマモル!)
カゲモリの隊長。すご腕の忍者。エヴァ曰く『バグキャラ』。普段は『紺若ゆうなの護衛』と言う高難易度任務に専任しているため、顔を出さないレアキャラ。
そのせいか最近は顔を知らない、と言うカゲモリ構成員も多い。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(魔法先生ネギま!)
カゲモリの“麻帆良学園”代表生徒。カゲモリの指揮官的存在。任務の依頼は彼女を通して行われることが多い。高度な魔法制御技術と豊富な知識を持つ知性派吸血鬼。
普段は自らの従者である“絡繰茶々丸”と行動を共にしている。最近のマイブームは才能ある人間を鍛えること、らしい。
斎堂一狼(ナイトウィザード)
カゲモリの“輝明学園”代表生徒。腕の良い忍者。青春ディスタンスな関係である人造人間である姫宮空との距離感が最近の悩み。魔人皇編ではライズと並ぶ主人公的存在。
タバサ(ゼロの使い魔)
カゲモリの“トリステイン魔術学院”代表生徒。“雪風”と言う称号を持ち、氷系の魔法と風系の魔法に精通している。魔法関係ではエヴァと並んで頼られている。
普段は自らの使い魔、風韻竜の“シルフィード”と共に行動している。ちなみに報酬の大半を“世界最高の万能治療薬”の研究の研究費用に使用している。
ライズ・ハイマー(みつめてナイト)
ドルファンとの戦争を担う傭兵集団『ヴァルファ・ヴァラハリアン』の八騎将の1人、“隠密”のサリシュアン。レイピア系を使いこなす剣士。
魔人皇編での主人公的存在その2。傭兵の中で育ったせいか、基本的価値観が傭兵や軍人のそれなのが特徴のシニカル少女。
弓塚さつき(メルティブラッド)
色々あってカゲモリに加入した、肉体派吸血鬼。基礎的な肉体スペックはカゲモリでもトップクラスだが、経験と技術が足りてないため、今一つ生かし切れてない。
元々が普通の女子高生のため、カゲモリの中では常識的言動が目立つ。普段はエヴァの茶室に“住んで”いるためカゲモリメンバーの顔と名前が大体一致するのが割と凄い。
吾妻兄妹(ファントム・オブ・インフェルノ)
かつてアメリカで犯罪結社で名を轟かせた後に全てを捨てて逃亡し、日本の高校に潜りこんで束の間の平安を楽しんでいた暗殺者コンビ。
荻原に見出され、組織としての保護と『“人殺し”はしない』と言う条件で加入。
こちらに来たお陰で元いた“組織”から狙われることは無くなったものの、代わりにカゲモリの案件に駆り出されることとなったので、どっちが良かったかは微妙。
カゲモリには『とある魔術の禁書目録』の“グループ”の四人を加えてみるのはどうでしょうか。
日向の側である上条とは違って、裏側から守りたい者を守るために活動してますから
自分で書けば名を連ねられると思うよ
SSに書けばなおよし
>>449 「SSは書けるし過去に書いた事も有る」って人でも
「けど、その希望クロス先の原作は本格的に読んだ事は無いから手は出せない」
って書き手さんも多いんじゃない? 自分みたいに。
まぁ、だから自分で書けば?って言われてるんだけどな
しかし、ここも変わったね。
前は作者に「こんな展開いいんじゃないですかね!」って言ってる奴に割と擁護的な環境だったと記憶してるけど
今はちゃんと「自分で書けば?」って言える人が増えたもんな
自分としては好ましいけど、前の擁護的な人たちはどうしちゃったのかね
>>453 そらおまい
「こんな展開いいんじゃないですかね!」って言ってる奴擁護する裏には
当然「自分でも書けるようになろうね」って含みがあるわけよJK
卓ゲ的に言えば「口はさんでネタ出しする以上おまいGM汁」みたいにさ
>>453 学園世界に限って言えば、流石に複数書き手で多重クロスし過ぎだから
他人に頼るよりは自分で直接イメージ投影した方が早いよ?って感じで
「なら自分で書いた方が良いよ」って諭し易くもなるんだろ。
実際、個人の独占世界観って訳じゃ無いから待つよりその方が早いし。
ネタ拾い上等!な気質が未だスレから廃れてはいないんだから、
単独連載に対しては未だ以前の様に寛容でしょうよ。
学園世界だとネタを言っている人は知っているが書く人は知らないというのがごろごろあるだろうからな
そうなると学園世界以外のSSと同じ感覚でネタの拾いようがなくなる
卓ゲのセッションだと世界設定について共通認識があるから拾えるんだけどな
出来はともかく、1〜2レス分くらいのSSなら1日もあれば誰にでも書けると思う。
会話だけの作品でもいい。
その辺から攻めてみるのもいいんでないかい。
4人全員じゃなくて土御門だけカゲモリに持ってこようか考えたことはあるんだけどね〜
禁書の「グループ」4人は性格的な問題もさることながら、4人中2人が「あの世界での魔術師」なのが痛い。
禁書の魔術は「界」が奇跡的なバランスで成り立っているからこそ使えるという設定であり、
普通に考えると「界が崩れているであろう学園世界では、禁書の魔術は使えない」ってことになってしまう。
土御門は有用な能力が魔術だから界が崩れちまったら微妙に役に立たないなぁと断念した。
そこはなぜか使える
理由はわからないが使えるという矛盾に学園世界の秘密があるのかもしれない
ってすればいいんじゃないかな
あらゆる世界の属性が融合してる云々とか、いくらでも理屈はでっち上げられるしな
むしろグループは基本的に「悪党に人質取られて嫌々火消しやってる」奴らなんであくまで日向に出ないだけの正義の味方であるカゲモリとは趣が違うような。
>>456 通常連載なら、希望するネタ振る読み手側も
その通常連載のクロス元に知識限定してネタ振りしてくれるしね。
だから、書き手側も分かる知識だからネタ拾いし易くなる。
学園世界の場合は、現状の書き手さん達が原作やキャラへの愛情と同じ程度に
『自身の力量で何人までのキャラを描けるか』を絞った末での
今の登場メンバーなんだろうから、他力本願のキャラ追加希望は
期待する書き手さんに負荷を増させるだけにもなりかねない危険性が有るよね。
……まぁ、まったく知らない作品のネタ振りとかされた時に
作品を理解するためにかかる時間とお金を考えると、ちょっとな。
あ〜、確かにヘタに整合性取ろうと考えるよりはとっとと書いちまえって話だわなw
ペルソナ2ネタで「ペルソナが一部NWの魔王様になってます」って小ネタ考えたはいいが、
ネタの細部を忘れてて、調べなきゃとか思ってて
ほったらかしにしてたらペルソナ2出しづらい状況になっててorzになったの忘れてたわw
以下ボツになった小ネタ
「ペルソナルシファー、アルファブラスト!」
『―全てを滅ぼせ我が光―』
「ペルソナサタン、オメガクラスト!」
『―全てを貫く私の光―』
「「ハルマゲドン!!」」
『『アイン=ソフ=オウル!!』』
「なんかこっちに来てからペルソナが変わってしまった気が・・・」
「強いしかわいいし、いいんじゃない?」
注・ハルマゲドン:問答無用の全滅魔法。
ルシファー(魔王系最強ペルソナ)のアルファブラスト→サタン(天使系最強ペルソナ)のオメガクラストで発動する合体技
464 :
463:2009/05/09(土) 22:35:02 ID:zDAy0Udd
訂正、改めて調べたらルシファーとサタンの使う技が逆でした・・・orz
>>463 別に時間軸がずれた同じ世界の作品から来てもいいじゃないと真女神転生ifとクロスさせた人が言ってみる。
…そういや同じ学校だけど時間軸が違うは扱いが難しいね。マルチとイルファの夢の競演とか、ちょっとだけ考えたりもしたけれど。
>465
それなら HMX-14 PIECE とか推してみる
未来、過去という異世界から来たんだな
>>465 ペルソナ1・2もたまきちゃんどうするんだよって問題が(^^;
まぁ、平行世界(並列世界)って解釈すればOKなのかな?
そういや、学園世界を書くときって極上生徒会っていうのは最低限知らなきゃいけない作品なの?
特に柊を動かすときは
極上生徒会知らなくても書いてる奴ここにいます〜
今は柊動かしてないけど、そのうち絡める予定です〜
ぶっちゃけ半ば名前借りてるだけだしなあ、極生
そういえば極上キャラ(名称元ネタの方)はほとんど出て来て無いな
もともと戦闘メインのアニメじゃないから仕方ないといえばそうなんだが。
極上生徒会知らないと難解な設定も無いし、別に気にしないで良いと思われ
>>469 極上生徒会は名前だけで元ネタ作品のキャラは誰1人として出てきてない罠
>469
僕も知らんので、大丈夫じゃないかな。
必要なら、なんか適当に用語を出しておきつつ、自分が知ってる作品のキャラを嘱託か何かで出しておけばOKだと思うし。
女の子 「略して……屋上生徒会っ!(びしっ)」
>>469 と言うか、りのやプッチャンを始めとした本家極上生徒会の面子が
殆ど登場してない描かれていないこの摩訶不思議状態!w
・・・・・・ところで、プッチャンってジジイ四天王やベルやエヴァンジェリン辺りと
タメ口利く事を当人達に自然に受け止められれても不思議も違和感も無いよな?
アノ常識超越ハンドパペットは。
ほんとに今のところ名前借りてるだけだわなあ、極上生徒会は
……学園世界の極上生徒会というと、なぜか真っ先に林水閣下を連想してしまう今日この頃
>>476 なんだかんだで色んなところで出てきてるからだろうなぁ……<閣下
>474
本当に有りそうだ。
>476
普通に有力者だと思ってますが。
まぁ、本家極上生徒会の生徒会長も林水敦宣閣下並みの才媛だし、
その上で血統に基付く超能力者でも在るからね。
未だ誰も明言してない『極上生徒会会長とその補佐陣』に
本家極上生徒会の面子が実は初期から居た、としても良いんじゃない?
極上生徒会の現状化も、本家極上生徒会生徒会長の先見性で組織企画し、
柊蓮司と出会い知り合った事が本格始動への切っ掛けになったとかで。
プッチャン「……で、だ。」
どんぺり「どうした? 出番の相談でもするつもりか」
書いてる人間でも知らない人の方が多いんじゃないだろうか?<極上生徒会
だったら原作極上は今まで通り気にしない方向にしとかないと、書けない作者も出てくるんでは?
いや、原作極上を出すなと言ってるんではなくて
あまり原作極上についてうんぬん言い過ぎると書きづらくなるんじゃないかって話な?
>>481 つまり今迄通りのスタンスだね。
『原作極上生徒会も学園世界に出したい書き手が、
責任持って原作極上生徒会パートや設定周りを
他の書き手にもフォローするのを担当する』と。
学園の一角にオオサカと呼ばれるエリアがある。日本が列強に分割占領された世界、その中の自由(過ぎる)都市、
オオサカに存在していた学園が集中転移してきたエリアである。
法よりも銃と金がものを言う世界から転移してきたモラルの低いオオサカ市民たちの行動は一般学生から時として白い
目で見られることもあり、執行委員会をはじめとする各レベルの組織はオオサカからの人とモノの流れに対する監視を
強めていた。
シアトルやチバから転移してきた影の住人達は彼らのチンピラ振りを生暖かい目で眺めていたし、N◎VAから転移して
来た者たちはオオサカM∞Nの住人はやっぱり、などという目で見ていたが。
閑話休題
ここはそんなオオサカエリアの一角、私立東江戸川大学の8号館地下、裏びれたサークルボックスである。
部室のない同好会は虎視眈々と空き部屋の占拠を狙うが、活動していないくせに歴史と伝統だけはある公認サークル
は部屋を明け渡そうとはしない。結果として、「部室警備員」をさせるために亜侠学生を会費・コンパ代無料で入部
させているケースがあり、この刑事法研究会もそうした部室の一つである。
(オオサカにおける刑事法にちり紙以上の価値があるのかどうかははなはだしい疑問であるが、学問とは本来即物的な
価値があるかどうかで論じられるべきではないのである。たぶん)
偏差値40の5流大学、学部と学生の数だけはやたら多いこの学校であるならば必然ではあるが、本来の部員はみな
麻雀にではらっており、居残った部室警備員は学外から招いた友人とカセットコンロで焼き肉をしているところであった。
(おかしいな、まともな大学だったはずの俺の通ってた大学もこんな感じだった気がする)
「お金を稼がないと本気でまずいんじゃよー」ぐったりしながらビールを口に運ぶのは野村切々舞。12歳・男の傾国兵器。
学園の全生徒を落として野村学園(注:中学校)の学長に就任した「学園落とし」の2つ名を持つ兵であり、映画俳優でもある。
「なにをやったんですか?」と尋ねるのはりん子ちゃん。ルルブの表紙を飾る美少女であるが、ベーシックカルマの解説
イラストからはハブられているww
「学長のことだから、情報ハプニング表:恋愛・12「生命の誕生。子供ができる」とか引いたんじゃないの」
「それか11「性病が伝染る。1日以内に病院で治療を受けないと鼻がもげる」でも ぐはぁ」
「いやなこと思い出させるなー!」
マグロでドツキ倒されたのは、千葉マサトくん18歳・男。こないだ発売されたリプレイでUFOから帰ってきた(?)という設定が
生えたww ドツキ倒したのはソニア千葉17歳・女。マグロでプロの殺し屋を撲殺する女子高生であり、ヒロインのくせに性病
を伝染されて鼻が ぐはぁ
「で、本当はなによ?」本日二つ目の撃墜マークをマグロに刻んでソニアが振り向く。
「大麻が高くてさ〜」ぐったりした表情でうめく学長(大麻中毒)。
当然であるが、学園世界にはクスリを扱う犯罪組織などは存在しない。アホな大学生あたりが自宅で栽培している分の
あまりぐらいしか闇市場に出回らないわけであるが、需要と供給のバランスから高値に張り付いている。
「あー。中毒の人たちは苦しんでるみたいですね。でも、覚醒剤とかヘロインとか本気で手に入らないものよりはましじゃない
ですか」 無邪気に笑うりん子ちゃん。亜侠…侠のまがいものの倫理観なんてこんなものである。
ちなみにシャブは前衛にはマジで有効だ。高いけどなんとかして買え。中毒にもなりにくいし。なったらなった時のことだし。
「それが〜、学園の予算に手ぇつけたらさぁ、こんど各学園の財務状況調査をするってことに学長会議で決まってそれまでに
穴埋めしないと俺の首が飛ぶ〜」
ちなみに学園世界ではほとんどの学生・生徒は無収入であることから、学園から元の生活レベルに応じた一定額を
支給している。それ以上欲しければバイトするしかないわけである。
「うちの女子使って金稼ごうかとか思ったんだけどさ〜、フレーバーだから駄目ですとかDDに言われるしさ〜」
「で、うちの出番や」とセーナさん。大学2回生のマレーシアからの留学生。というかこの部屋に皆を招待したホストが今まで
何をやっていたかというと、一心不乱にホルモンを焼いていたのである。参謀とは地道な役割であるな、うむ。
「ほら、第6区が消し飛んだやん。そいで、あそこにいてた人らに支給するはずやった金が宙に浮いとってな、どないするんか
決まるまで、輝明学園大金庫に保管されるとるらしいんや」
「つ、つまり?」
ごくりと息を呑んだマサトに向かってセーナがほほ笑みとともに告げたのは
「そう。Bank Rush や!」
>>482 そういうこと
いやよく知らんけどね?
極上生徒会を全書き手が知ってるなら問題ないんだろうけど、学園世界はレギュレーションだし
共有しなくていい平行世界にしちゃえばなんでもアリな以上、みんな細かいところ決める必要もないと言えばないんだけど
>>483 「 ま た オ オ サ カ か 」
支援w
学園世界に現在未登場なキャラ(名前だけキャラ含む)をストーリーに関わらせる場合、
原作未読者にも分かるように描写や説明を(なるべく)加える事
というルールも加えるべきかな?
つーか、誰も知らないキャラをきちんと描写すんのって、作者からすればやって当然レベルの話じゃないのか?
>>486 それは加えた方が良かろうね。
正直、自分を例にするなら、上での陰守解説まとめ見るまで
赤根沢玲子が女神転生ifのキャラだって知りませんでしたからw
(ケルベロスに異形化した佐藤との戦闘でブフーラ使ってるの見て、
「女神転生ifのキャラかな?」と推測位はしてましたが)
489 :
483:2009/05/10(日) 00:03:01 ID:07WNvC2U
今 気がついたけど1「スレ」だけって どれだけ投下するつもりだよ、俺 orz
そして、
>>483GJ!
サタスペの“らしさ”が濃密に凝縮してて思わずニンマリしてしまいましたよw
果たして、輝明学園大金庫は何処に?
・・・・・・「ゴミ捨て場」に隠し扉とかだったら、校長と校長代理以外には
その場所を探す事すら超難易度だぞ!w
>>488 出典は初登場時に作者さんがレスしてた気がする>赤根沢玲子
一緒に登場した桜花さんの出典が「ヴァリアブルウィッチ」になってて、
誰かが「スタメモじゃなかったけ?」みたいなレスしてたの覚えてる。
本家極上生徒会を絡めて学園世界物を書こうとして、NW以外にクロスする作品が思いつかず
「……これだと普通のNWクロスじゃないか」と足踏みしているバカがここに一人
超能力者、忍者、龍使いと、意外に戦闘力のある集団なんだけどなぁ
>>492 どのような内容なのかは分からないが、
林水閣下とか芝村舞とか、学園世界で極上生徒会のメンバーになっている人物を登場させてはどうだ?
>>492 普通のナイトウィザードクロスじゃダメなのか?
別に学園世界レギュレーションでもよし、そうでなくともよし
>>493 正直その人たちのことは作品名ぐらいしか知らないんだな
>>494 本家極上を学園世界にちゃんと登場させたくて話を考え始めたので
普通のクロス物だとモチベーションが上がらないのよ
496 :
紅き月と滅びの花@学園世界:2009/05/10(日) 02:01:44 ID:YyPHTC5+
極上生徒会云々の流れは一切無視しつつ、3レス分くらいのを投下。
結末などはまだ微妙に決まっていないので、途中で失速・消滅する可能性があるのですが、
自分のモチベをあげるためにも、見切り発車してしまおうと思います。
タイトルは「紅き月と滅びの花」@学園世界。
なお、ナイトウィザードのキャラはまだ登場しません。
次のシーンで出るはず……
// SCENE 00
学園世界の夜は紅い。
禍々しく輝く紅き月光は、大地に刻まれた凹凸をよりくっきりと映し出した。
―― ここは危険だ!
ヒトの持つ獣としての本能が警笛を鳴らす。
世界が真っ赤に染められたとき、闇の住人が餌を求めて狩りを開始するのだ。
侵魔のパワーは強大で、生半可な人間では相手に傷一つ負わせることも出来ない。
だからと言って、この未知なる敵を前にしてただ逃げ回っている我々ではなかった。
学園の中にも少なからず魔力を持つ者がいる。
元いた世界で戦争に明け暮れていた傭兵もいる。
そして太古の昔から、侵魔たちと戦い続けてきた魔法使いたちも。
出身は違えど目的は同じ。
この学園を、一緒に過ごした仲間たちを守りたい。
学園を取り巻くあらゆるトラブルに立ち向かう。
それが執行委員たちに課された使命なのだ。
--------------------------------------------------------------------
ナイトウィザード 学園世界クロスオーバー
「 紅 き 月 と 滅 び の 花 」
--------------------------------------------------------------------
// SCENE 01
執行委員たちの影の苦労を知ってか知らずか、一般生徒たちの危機意識は大して高くない。
転移した最初の頃こそ不安がる者も多かったが、いやはや慣れとは恐ろしいものだ。
土曜の午後ともなれば、バイトにデートにショッピング……ここが異世界であることも忘れ、思い思いの時間を過ごしている。
ツインテールにまとめた蒼い髪が印象的な、グレーテルという少女もその1人。
13歳という幼なさながら、その優しげな碧眼の奥に強い意志を秘めている。
兄から命ぜられた任務のため、都内のとある中学校に潜入していたところ、今回の学園転移現象に巻き込まれてしまったというわけだ。
その任務自体はすでに意味を失っており、特に潜入先で留まっている必要は無かったのだけれど。
「(お兄さまには、どんな花が似合うかしら?)」
学園が立ち並ぶこの世界にも、空いたエリアというものがある。
その多くは居住地域などとしての活用が進められているが、それでも立地が悪すぎたり、住むには狭すぎたりといった理由から、ほとんど手の付けられていない場所が幾つか残っていたりする。
例えば、ここのような。
そんな事情からか、彼女の他に人の姿は無い。代わりに、その存在をアピールするのは色鮮やかな花々だ。
ちょっとした花壇のようなこの場所が、グレーテルのお気に入りだった。
「こんなことになっちゃって、お前たちも大変ね」
スイセン、パンジー、マリーゴールド……大半は地球(エルデ)でよく見られる植物だ。
季節感がバラバラなのは、この閉ざされた特殊な環境のせいだろうか。
その他にも、自身に含まれる微細なマナにより淡く光るという、地球には無い珍しい花も咲いている。
今はまだ明るいのでよく判別は出来ないが、日が落ちれば幻想的な景色を見せることだろう。
そういえば幼い頃、よく兄と一緒に花畑で遊んだものだ。
裸足で駆け回ったり、大の字になって眠ったり、花飾りを作ったり。
「お兄さまは今ごろ何をしてるんだろう……?」
ふと、兄のことを口に出して心配してしまう。
怪我はないだろうか? 変な病気にかかっていないだろうか?
そして何より、自分を心配してくれているだろうか?
学園世界に転移してきて以来、兄とは会っていない。
これだけの期間2人が離れ離れになったのは初めてだったが、何故かずっと一緒に過ごしているように思える。
だから決して寂しいとは感じなかった。
本家極上はよく知らないけど
その「戦闘力のあるメンバー」の誰かしらを既存の執行委員に出向させて絡めるとかいかがか。
執行委員の方の作品もあまり詳しくないとしたら難しいかな。
少女は一日中ここに居られる自信はあったが、学生という身分がそれを許してはくれない。
十分に気分転換もしたことだし、今日はこれでおしまいにしよう。
グレーテルは花を傷つけないようにそっと立ち上がり、名残惜しそうにきびすを返した。
身体の回転と逆向きに流れる風景は、様々な花の色が混ざり合い、まるで万華鏡のよう。
「あれ?」
ふいに、視界の隅に引かれる一筋の赤い線。
ハーモニーの中に紛れ込む一瞬のノイズに、グレーテルは軽い違和感を覚えた。
花壇の端に置かれた白い大きな石のそばに、真っ赤な花が一輪だけ顔を覗かせている。
ただそれだけのはずなのに、少女の意識の奥に強く根付かせてしまっていた。
「不思議な花ね、今まで見たことない。お兄さまなら知ってるかな……?」
鮮血のように染まった花弁に、自己主張の強い刺激的な香り。
見れば見るほど、この花だけが周囲から孤立しているのだ。
まるで彼女を誘っているかような出で立ちに、そろそろ帰らねばならないということも忘れ、再び花壇の隣にしゃがんでじっくりと観察することにした。
グレーテルはしっかりと記憶に刻みつけようと、顔を近づけ、花の香りを楽しんでみる。
鼻腔から頭の後ろの方に抜ける感覚。刺激的ではあるが、不快というわけではない。
ドクン、ちょっとだけ少女の鼓動が速くなる。
なんだか顔も少し火照ってきたようだ。
自分の足元の方から、未知の感覚がの脳天まで昇っていく。
「……ふあ……っ……」
頭の中が真っ白になった。
一瞬で全身の力が抜け、普段のグレーテルなら絶対に上げないような、気の抜けた声を思わず漏らしてしまう。
風景がぐにゃりと歪み、天地さえも分からなくなる。
今の彼女には、身体を支えるという簡単なことすら困難だ。
手足は痺れて言うことを聞かず、三半規管の発する文句を止めることも出来ない。
ドサリ。
薄れゆく意識の中でグレーテルが見たものは、視界一面に広がる真っ赤な絨毯だった。
今日はここまで。
ナイトウィザード分がまだ出てません、ごめんなさい。
とりあえずのクロス先は、「おとぎ銃士 赤ずきん」。
グレーテル以外の子が出てくるかどうかは、まだ分かりませんけれど。
第2回以降、NWと、もう一つのクロス先作品が登場する予定です。
割り込み申し訳ありませんでした。
おとぎ銃士は未見のため現状感想は難しいのですが、
次回投下をお待ちさせていただきます。
ほほう。投下乙です。
描写からするとサンドリオン様超現役の頃なのかな?
>502
お構いなくー。
>503
正確なことを決めているわけではありませんが、そんな感じで。
不幸少女っぷりが萌えるんです、はい。
カゲモリの作者さんに質問。
『アリスの照星』という、腹ペコ女子高生ガンスリンガーのガンアクション漫画があるんですが、
これの主人公の“ALICE”天羽ヨーコってカゲモリでしょうか?執行委員でしょうか?
相方のドロシーはピンでカゲモリとか言わないでも無さそうな気がしないでもないように思えて……
……作者さんがそれ知らない場合は、どう答えればいいと思う?
いや、自分は別人だけどさ
>506
……その時は、卓ゲ者らしくダイスで決めようかな?
というか、自分で考えて決めればいいじゃないか
許可を得たり質問したりって、平行世界とかでいくらでも片付けられる世界観で何か意味のある行為かね?
そもそも、執行委員も陰守も全メンバーリスト作成を締め切った訳じゃ無いし、
今はモブでも後にクロスキャラとして浮上出来るで有ろうその他大勢の執行委員や陰守も多く居るしね。
『貴方の思い描くままの天羽ヨーコ』を学園世界に投入して、
貴方の脳内での天羽ヨーコに身の振り方を決めて貰えば良いのですよ。
そういや、
>>270ってどうしたのかなー、と適当に思い出してみる
>>510 未だ準備中じゃない?
それか、今日がセッション日で今正にセッションの真っ最中とか。
512 :
270:2009/05/10(日) 23:55:28 ID:lPf34umg
土曜日にセッションしてきましたよー。超☆楽しかったー!
レギュレーション(?)は
・学生であること(一部特例あり)
・既存作品のキャラクターであること
という豪速変化球セッション
GM氏が別の鳥取で同じシナリオとレギュ使うらしいので、その辺触れないよう各PCの一部会話で雰囲気だけでも報告……というか察してプリーズ
「……悪魔で、いいよ」
「コンゴトモヨロシク」
「何か違う。というかだな、俺にはヤマオカがいるしこれ以上カードもアイテムも要らんからTALKは控えろと何度(ry」
「暗いよ怖いよ、ドラ○も〜ん。……あれ、なんだろうこれ。つるつるしてるけど……ド、ド○えもん?」
「少年。それは私のおいなりさんだ」
「カオス! カオスでありますよこのパーティ! 執行部室に帰らせて欲しいでありますーっ!」
……まあ、その、なんだ。皆さん超スマン
>>512 楽しく大惨事だったようでなにより___
>>512 乙ー。
なにそのカオスなクセに実に学園世界的なセッションww
つーかノーチェ、お前、なんでそんな……w
これはやべえ、すげー混ざりたいw
のび犬のクラスが気になる…魔剣使い? 夢幻三剣士的に。
>>279によると、システムはオリジナルだって。
それはそれとしてのび太をNWクラスで表すなら…やはり射撃? 強化人間?
518 :
270:2009/05/11(月) 00:56:10 ID:IIOgsl4h
ビッグライトで巨大化した変態仮面は超怖い(挨拶)
>>513 近年稀に見る素敵大惨事でござった
次々とネタの湧くこと湧くこと泉の如し
>>514 これが学園世界の懐の広さ、というやつなのでございましょうか
ノーチェさんはなんか始終ヒドい目にあってたよママン
>>516-517 のび太はガチな射撃キャラでした。例えるならガンスリンガー相当(ゲーム違う)
夢使いとか
>519
色々と納得した!
のび太はS=Fの 未来から来た青い猫 ”遺産使い” だと思う。
カゲモリの書き手さんに質問なんですけど、学園世界でのエヴァンジェリンの魔力ってどれくらいまで回復してる設定ですか?
原作と同じく月齢によって変化するのか、満月の時ぐらいの魔力がデフォなのか……
ちょっとエヴァを使ってみようかと考えているので、答えいただけると助かります
ここのスタイルはそういうとこは気づいた人で書きたい人が設定するというするだと思う
さらには少々整合性がとれなくなっても気にしないってとこもありそう
だな、個人の作品ならそういう設定云々はしっかり決めて守るべきだけど、学園世界はあえてそういう縛りを弛くしてるとか上か過去で書き込みあったはず
学園世界の緩い縛りについてはテンプレに描いておいた方がいいかもしれない
そういう意見が返ってくるのは分かっていたんですが、参考までにということで
>>525 違います
>>527 失礼した。
同じような質問が2日続いたもんだから、つい
にしても、カゲモリはどんどん世界が広がっていくな。
このくらい他の組織も広がっていけば、もっと学園世界は拡張されていくだろうになー
クラブ活動とか、おいしそうな設定は結構あるはずだけど、
やっぱりたくさんの人が知ってる作品が入ってないと難しいのかな
保管されているけど、続きを書こうにも執行部の連中の作品を
悉く知らない俺みたいな奴が居ます。
まだそこまで執行部の人物が固まってなかった時だったからなぁ……
どう絡ませるべきか
>>529 学園世界初期の頃の話にしてしまえば?
あなたの話を基にして選抜委員の枠組みが出来てきたとか後付けでこじつければいい
執行委員のメンバーってまとめにあるのだけだっけ
もっといたような気がするんだが
後、キャラの後に出展作品も書いて欲しい
わかれば書いてもいいんだが名前の一部だけでは判別できなくて書けない
>>531 まとめに書いてあるのって、たぶん「執行委員の〜」の人のページに出展だいたい書いてあるはず
あの人そのへんこまめだから
宗介はたぶんフルメタの相良軍曹だろ?
俺携帯なんで頼むわー
>>532 その人以外にも執行委員の事を書いてた人いなかったかなと思って
勘違いならいいんだけどな
>>533 いたと思うー
……どれのこと?
執行委員関連は設定が割とごちゃごちゃしてるから、
作品によっては違う委員になってたり、執行委員だったりするんだよな
ってわけで、どの作品のこと言ってるかわかれば答えられるかもー
>>529 極論だけど柊と貴方の出したい作品のキャラだけ出してもいいんじゃないかしら
他の連中は別件で動けないとか理由づけて
>>533 夜ねこ氏が勢力的に書いてるのは確かなれど、他にも書いてる方いたはず
ウィキで調べてみたらいいんでは
>>535 「執行委員の〜」の人も宗介はなんか知らないけど書いてくれないしな
知らないからなのかは本人しかわからんが、
他の作者氏も柊知らないって人はいないんだから、
とりあえず柊と行動させて執行委員ですーって言わせとけば執行委員になるんじゃねって言っとく
なんか、ココだけはコテハン出して書き込まなきゃいけない気がするので。
僕が特別執行委員として追加したのが、
*R・田中一郎(究極超人あ〜る)
*ベネット(アリアンロッドリプレイ「ルネス殺人事件」)
執行委員顧問の先生が、
*門矢士(仮面ライダーディケイド)
*目同樹里亜(FATE、ただし某二次創作仕様)
*香椎あやめ(ヒミツの保健室)
多分普通の執行委員か、せいぜい嘱託なのが、
*“オデ娘”春日井絢乃(超鋼女セーラ)
*佐々木絵真(ヒミツの保健室)
他に、『執行委員壊滅す』で追加されたのが、
*ちゅるやさん(にょろーん ちゅるやさん)
*ベル・フライ、アゼル・イブリス(ナイトウィザード)
*レイフォン(鋼殻のレギオス)
*風子(CLANNAD)
*氏名不詳・汎用人型決戦兵器搭乗者(新世紀エヴァンゲリオン?)
後は……後はテキトーに。
顧問の先生というのは盲点だったな
えーまず最初に言っておきますと、これは私の中でのカゲモリです。作者の数だけカゲモリ像はあるかと思いますので、あくまでも参考程度と思っておいてください。
>>458 >>505 私はこの作品を知りませんので、私が描写出来るかと言われればNOです。
そこで、出すのであれば他の方々に書いてもらうこととなるでしょう。
代わりといっちゃあなんですが、私がカゲモリに加えられると思うキャラの基準的なものを挙げてみたいと思います。
題して「カゲモリ5ヶ条」
1.一般人に被害を出さないように活動して下さい
解説
そもそもなんのために作られた組織なのかを考えましょう。
2.上の1を踏まえたうえで、“勝つために”戦ってください
解説
正々堂々が大好きな正義の味方や戦えればそれでいい戦闘馬鹿はもっと良いところがあるでしょう。
3.自分の身は自分で守ってください
解説
カゲモリは基本少人数で行動します。自分の身は自分で守れないと、危険です。
弱いけどどうしても入りたいと言う場合、守ってくれるお友達を一緒に引きずり込んであげてください。
4.出来ないことは素直に出来ないと言いましょう。
解説
多分他の人がやってくれます。向いてないことを無理にやろうとしなくてもいいです。むしろするな。
5.正体を悟られないようにしましょう。
解説
一般人相手すら怪しすぎる人だと思われている人は多分執行部の方が向いてます。某軍曹とか。
こんな感じですかね
…ん?これだと卑怯番長は…まあ、秋山優って顔の方は知られてないのでギリギリセーフとします。
>>522 モロに受けてます。常時フルパワーだと強すぎるので。
ですが例外として自らの領域とでも言うべきエヴァの茶室や修錬場では多少魔力も戻るようです。修行に付き合えるくらいには。
あと執行委員として登場しているのは「エレニアックの迷子」に出てきた
ナツミ・キャメロン (光稜学園の執行委員)
リルカ・エレニアック (ファルガイアの学園の執行委員)
の二人だな。
つーか、平行世界でいいじゃんか。同じ題材使って話書いてるだけでリレーじゃないんだしさ
作者さんはみんな知ってる作品の範囲で話書いてるんだけ
同じ組織の話書いても、他作者さんのキャラをどうしても拾わなきゃいけないなんて決まりはないんだし
実際、他の作者さんの書いてる話とはまったく関係ない独立した話書いてる人もいるじゃん。どっかのコテの人みたいに
拾うか拾わないかも作者氏次第なんだから自由にやればいいと思うよ。作った話をまったく拾われない可能性があることも含めてさ
むしろ、現在所属が確認されてる人は明確に書かない方がいいかもね
>所属が確認されてる人
極論言えば、ちゃんとした理由があるなら、そこすら無視してもいいんじゃよ
別に学園世界自体、原因不明な緊急事態で異常事態なんだから、複数の所属に入ってても良いじゃんか。
執行委員とか風紀委員とか、カゲモリとか、全部有志で自薦なんだから、理由があれば反目して当たり前。
>>544 ……それはそれでズレてる指摘な気がするなぁ
今回はたぶん
「よくその組織を題材にして書いてる作者さんがいて、その作者さんに許可を得て新しいキャラを入れたい」って人がいて
「そもそも学園世界はシェアワールドであって誰が誰の書いた作品の話を拾っても拾わなくてもいいレギュレーションなんだから気にしなくていい」
って話のはず。
組織関連は代表と目的と主なたまり場だけまとめて、登場人物は削った方がやっぱりいいかもね
あまりぎちぎちにやると、新規の人が書かなくなるしな。
設定全部おぼえてなきゃ書くなとなったら、最終的に誰もいなくなる。
作者の数だけ、似てるけど別の世界があるでいいんじゃね。
>>546 うむ、それだ。
言うなればシェアードパラレルワールド。作者さんの数だけ萌えノーチェが居る。ウィーハブノーチェ。イエスウィーキャン。ノーチェイズデッド。柊の味も見ておこう。そんな感じ。
【バカは脊髄で語り始めた】
>>547 よし!その情熱のまま今すぐノーチェものを地下に投下する準備をするんだ(色々間違えてるバカは地下に堕ちていった)
>>548 途中まで書いたけど、それを投下する恥ずかしさに負けてダストシュートしたなぁ
エロが過ぎてノーチェが(自主規制)な(規制)だったもんだから、つい……
さ、ふぃあ通更新待ちながら寝るか
なんか俺も急に恥ずかしくなってきた。
ノーチェ修正しようかしら…?
否。そのまま突き進むのだ
さすれば、我らが求めたアスガルドへの道も拓けようというものぞ
ノリで書いた覚えのある俺が言うのもなんだが、なんでこんなにノーチェファン多いんだよここw
いっそファンクラブでも作っちまうか?
やるのは自由だが、然るべき話題は地下でやれ。
板名を復唱しろ馬鹿野郎ども。
>>553 すまん。ちょっと悪ノリし過ぎたな。地下の話は地下でしてくる
しかし明智くん、私を倒そうとも第2第3のノーチェFC設立のため動きはじめるものが……
【いい加減黙って地下に行け】
何このウザいの。
卓ゲの人間ってこんな奴ばっかなの? 馬鹿は〜とか補足だか何だか知らないが
マジ欝陶しいわ。
このウザさたぶん節制のなんたらって地下でも空気読めない馬鹿だと思う
6時半から投下します。
休日。
学園が転移して出来たこの世界に、休日出勤などと言うサラリーマン的なものは存在しない(一部教師除く)
毎週1度、所により2度は訪れる休日。学園世界において、その過ごし方は様々である。
購買で依頼を受けたり、自主的にダンジョンに向かったりして“冒険”に明け暮れるもの。
“研究者の楽園”ザールブルグアカデミーで学業を忘れてひたすら研究に勤しみ、議論を戦わせるもの。
自らの学園で、次の“学園対抗競技大会”に向けて練習や部活動に勤しむもの。
そして、“龍使い:藤原竜之介”が選んだ休日の過ごし方は―――
―――白皇学院 コロシアム
「噂には聞いてたけど…本当にあったんだな」
目の前に立つそれ…学園の敷地内に作られたその会場を見ながら、竜之介は茫然と呟いた。
「本当にここは、同じ日本にあった学校なのか?」
白皇学院。とある世界、日本の東京にあったこの学園は、びっくりするほど金のある学園である。
何しろ通っているのが日本でも指折りの富豪の子弟とその執事、それか学園の格を上げるためにとんでもない難易度の入学試験を乗り越えた、
いわば傭兵とでも言うべき天才たち。
そんな人間ばかりが集まっているだけあって、この学園の金持ちっぷりは常軌を逸している。
地価の高い東京に路面電車が必要なほどの敷地面積があると言うだけでもその凄さは分かると言うものだ。
さて、この学園、とんでもない金持ちなだけあって、施設も充実している。
そして、学園世界にやって来てからはその施設を休日限定で貸出もやっている…とてつもない使用料がかかるが。
閑話休題。
「ほら!こっちです!」
香椎珠美が竜之介を引っ張っていく。手には2枚のチケットを手にしている。
「それにしても驚きました!竜之介の親戚だったなんて!」
「…ええ。竜之介さんとは親しくお付き合いをさせてもらってます…そりゃあもう、昔から」
若干目をそらしながら、竜之介はその“設定”に頷く…“女の姿”で。
「今日は楽しんでってくださいね!竜之介の馬鹿に遠慮なんてしないで!…まったく、せっかくのチケットなのに『すみません。
竜之介さんは急な用事で行けなくなったそうです』だなんて。しかも龍美さんに伝えてきてくれなんて無責任じゃないですか!?」
「いいえ。きっと竜之介さんも何か事情があったんですよ…お、私は知りませんけど」
龍美。それが竜之介が“女の姿の自分”のときに珠美に名乗っている名前。
学園世界に来てからも、珠美に真実は伝えられていない。
「…ま。いいです。とにかく、せっかく報道部の友達から貰ったんですし、楽しみましょう!凄いって話だし!」
この学園世界に来てから、珠美は極上生徒会の報道部に入っている。賢明の宝玉事件の後も、その好奇心は衰えることは無かった。
「はい!実は私も昨日から楽しみで楽しみで、お陰で朝から―――」
「…昨日?」
「いえ。何でもありません」
慌てて誤魔化す。言えない。遠足前の子供ばりにワクワクしていた結果、朝起きたときからこの姿で男子学生寮で過ごす羽目になったなんて。
知り合いの男ウィザード連中のお陰で大半の男子どもにはばれ無かったものの、ばれてたら大騒ぎになっていたはずだ。男子学生寮に美少女がいるって。
(―――けどまあ、よく考えたら、“試合”で興奮したらこいつの目の前で変身してたかも知れないのか…)
そんなことに思い当たり、むしろこっちの方が良かったと気づく。
竜之介とて“龍使い”のはしくれ。このイベントには前から興味があったし、だからこそ珠美に誘われたときに後先考えず脊髄反射で『行く!』と答えたのだ。
「すみませ〜ん。2人、お願いします」
珠美が受付のお姉さんにチケットを2枚渡す。
(…すごいな。受付からしてガルデローベ生かよ)
それが学園世界でも屈指の“武闘派”として知られる学園の生徒であることに気づき、竜之介は内心舌をまく。
「…はい。確かに。お2人様、ご案内〜。ようこそ、武術の祭典『D−1グランプリ』へ!」
受付のお姉さんが、元気に2人を会場内へと案内した。
始まりは、とある『同好会』だった。
新白連合学園世界支部。
元の世界では様々な武闘家が集まった不良系サークルだったと言うこの同好会は、今では1000を軽く超える『会員』と10万を超える『ファン』を持つ、
学園世界屈指のマンモス組織となっている。新島と名乗る宇宙人っぽい男が主催するサークルのモットーは…
俺よりも 強い奴と 戦いたい!
そのモットーにひかれ集まったのは各学園世界に生息していた、3度の飯よりバトルが好きな戦闘馬鹿ども。
最初期は『素手のみ、武器と魔法、エネルギー弾は使用不可』だったのが、いつの間にか『武器や魔法、エネルギー弾の使用もOK』な「D−2」と言うレギュレーションが
作られ、
(ちなみに素手のみのレギュレーションは「D−3」となった。もっとも中には素手だけでD−2に挑むつわものもいるが)
そのD−2の上位32人のみが昇格できる「D−1」が設立された(ちなみにベスト32から外れると即D−2落ちという厳しい掟)
今ではD−1同士の試合ともなれば、こうして大きな会場を借りて行い、割と高い見物料にも関わらず格闘ファンの申込みが殺到してチケットが品薄になるほどだ。
(この辺はサークルの主催の手腕によるところが大きい、らしい)
特に今回はグランプリ。D−1ファイターが多数参加し、更には外部から招かれた招待選手とD−1ファイターたちが戦うと言う噂に、チケットは即完売。
闇取引価格は定価の30倍にも及んだと言う。
竜之介も頑張ってチケットを取ろうとしたのだが取れず諦めていたのだが、珠美がアリーナS席チケットを貰い受けてきて、竜之介を誘った。
そして現在にいたると言うわけである。
「うおおお!すっげえ!」
会場に入り、下の試合会場でウォーミングアップに勤しむ戦士たちに竜之介は思わず素に戻り、興奮の声を上げる。
「…龍美さん、格闘技お好きなんですか?」
いつもと様子が違う竜之介に若干引きながら、珠美が尋ねる。
「え?あ、その、はい…」
竜之介とて、武術家の端くれ、この手のものに興味が無いわけではないのだ。むしろ大好きだと言ってもいい。
―――数時間後
「すごかったですね…」
ここまでとは思っていなかったらしい珠美が、茫然と呟く。
「ああ、すごかった…」
竜之介も半ば呆然とする。想像以上だった。
「さっきの試合、すごかったな…」「ああ、まさか黒竜モーニングデストロイヤーをメガ本多対空で撃ち落とすなんてな…」
「その前もやべえだろ」「ああ、史上最強のメイド決定戦!安藤まほろvs仮面のメイドガイな。名前だけ聞いてただのイロモノだと思ってたけど…」
「その前も…」「ああ、あの魔法先生、どんだけ強いんだよ。あんなでかい奴相手に楽勝だったぞ?」「その前も…」
周りもあまりにも凄い“前座”の試合に周りもざわめいている。
「これで前座だなんて…真打ちはどうなるんだ…」
想像してみて、思わず武者震いする。そしてついでに。
ぶるっ!
「…すみません。私、ちょっとお花を摘みに行ってまいります」
催したのでトイレに行っておくことにする。
「…ふぅ〜」
衆人環境の中、流石に男子トイレに入るわけにもいかず、女子トイレで迅速にことをすませ、竜之介は一息ついていた。そのときだった。
「…あれ?そこにおるん、竜之介君?」
唐突に声をかけられる。知り合いの声だ。その声に竜之介は振り向く。
「え?光明さん?」
ちょっと予想していなかった顔、同じ輝明学園のウィザードにして錬金術師、亜門光明の姿に竜之介は首をかしげた。
「何でここに?」
竜之介の知る限り、亜門光明は格闘技を見に来たりはしない。休日はザールブルグで議論してるか、管理棟で開発やってるかだ。
「あぁ、今日はな、開発部のみんなときてんねん」
その疑問に、光明は笑って答える。
「新島さんがチケット人数分送ってくれはったし、それにうちらの子ぉの晴れ舞台やからな」
「…うちらの、子?」
光明の言葉に疑問を覚え、どういう意味か尋ねようとした時だった。
「――――大変長らくお待たせしました。D−1グランプリメインイベント『二大魔獣超決戦!勝つのは野生か、マシーンか!?』がまもなく開始となります。
会場内の皆さまは、速やかに席へとお戻りください」
会場内にアナウンスが響き渡る。
「おっと、始まってまう。うちもこんだけは見逃すわけにはいかんねん。それじゃな」
そう言うと光明は小走りに席へと戻って行く。
「…どういうことなんだ?」
その様子に、竜之介は首をかしげた。
「あ、お帰りなさい…あれ、どうかしました?」
席に戻り、竜之介は何となく辺りをキョロキョロ見渡す。そしてほどなく発見する。
(…あ。いた)
アリーナ席の一角に陣取る、怪しげな一団。具体的には白衣率が異常。どっちかと言うと研究室とかのが似合いそうなその集団は…
「あ…あれって開発部の人たちですよね」
珠美がそれに気づき、少しだけ考え込む。
「ええ…開発部の人たちが来てるなんて珍しいなって…」
「そうですね…ああ、もしかして」
竜之介の疑問に答える形で考えていた珠美が、理由を察してほほ笑む。
「私、分かっちゃいました」
「え?本当ですか?」
「はい。報道部で聞いたんです。今日、ちょうど念入りにメンテナンスしてたって。だから…」
そして、珠美がその答えを述べようとした、そのときだった。
会場の灯りが全て消え、下の競技場だけが照らされる。
「…大変長らくお待たせしました」
その中央に立つ、司会兼ジャッジ、そしてこのサークルの主催者である宇宙人っぽい男がとうとうと語る。
「これより、メインイベント『二大魔獣超決戦!勝つのは野生か、マシーンか!?』を開始いたします。ルールは時間無制限。
判定は一切なし。最後に立っていた方の勝ちと言う、シンプルなルールです…」
そして、マイクを高らかに掲げ、大音量で喋る。
「いつものことながら、見物客の皆様には被害が及ばぬよう、会場を包む形で強力な魔法障壁を張らせてもらっていますが…今回、それでも怖い!
よっていつもの3倍の強度で準備させてもらいました!会場の皆様は、是非ともこの1戦を見逃されませんよう、よろしくお願いします!」
そして、手をバッと入場口の方へ向ける。
「それではまずは招待選手のご紹介!ご入場、お願いします!」
のっそりと入って来るのは…1体の『獣』
「一見愛らしいこの姿…ですが騙されてはいけません!この姿の下に隠されたのは、凶暴なる「兵器」!まさに魔獣、魔獣と呼ぶに相応しい、開発部の至宝!
学園世界の英知を結集して作られた、極上生徒会の最終兵器…ボン太くん…ブルゥゥゥゥゥゥゥム!エディィィィショォォォォォン!」
「ふぅぅぅぅぅもっふぅぅぅぅぅぅぅ!」
学ランと学帽をかぶったその獣が高らかに咆哮を上げる。その咆哮に会場の盛り上がりは最高潮に達した。
「たいするはぁぁぁぁ…」
バッと反対側の入場口に手を向ける。
「つよぉぉぉぉい!説明不要!所属来歴一切不明!参加直後にD−1ファイターを打ち破り、いきなりD−1に殴りこみをかけた獣人族の闘士!
我ら新白連合学園世界支部の誇る魔犬…マルゥゥゥゥゥゥコォォォォォォォォ!」
「犬じゃないけんって…何度言わせればわかるんじゃぁぁぁぁぁぁぁあい!」
入って来たのはセーラー服を着た短髪の少女。犬耳としっぽが愛らしい。少女は視線だけで殺せそうな勢いで司会を睨みつける。
それを受け流し、司会が言う。
「おおっとマルコ選手、いきなり凄い怒り!ですが、今回それをぶつけるべき相手は私では無い!目の前の彼こそ、あなたが倒すべき相手なのです!
何しろ私、このボン太くんに言われたとおりにマルコ選手のご紹介に上がったのですから!」
「ふもっ!?」
ぷるぷると慌てて首を振るボン太くんin中の人。だが、そんな些細なこと聞いていないマルコはその視線を強さはそのままにボン太くんに向ける。
「おんどれぇい…ふざけた格好しとる割に、なめた真似しくさってくれたのう…」
怒りのボルテージマックス。怒りすぎて逆に冷静な口調。まさに最初からクライマックス状態だ。
「ふもっふぅぅぅ」
一方のボン太くんももはや説得とかは無理と悟ったのだろう。剣呑な表情(どんなんだ?とか聞いちゃいけない)で学ランに手を突っ込む。
まさに一触即発。
「それでは…本日のメインイベント…時間無制限1本勝負…」
いつの間にやら安全圏まで退避した司会がマイクに対して怒鳴る。
「試合…開始!」
カァァァァァァン!
ゴングが会場に鳴り響き。
「ふもおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」
「ぬりゃあああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
2体の獣の死闘が始まった。
「すごいですね!…龍美さん?」
銃弾と魔法、拳と爪が飛び交う戦場に、珠美が興奮して隣を見る。
「どうしたんですか?何か顔が青いですけど」
「い、いえ!何でもありません!」
慌てて誤魔化す。
(まさか魔王がこんな所にいるなんて…)
見れば下にいた光明もあんぐりと口を開けている。予想外だったのだろう。
(…まあ、ルール守ったタイマンならいいのかな?)
目の前で完全武装のボン太くんと戦っている魔王…“狼の王”マルコ。
戦うのが3度の飯より好きな戦闘狂として知られるこの魔王は、ファー・ジ・アースの征服とかはどうでもいいらしいと聞いたことがある。
実際今回も単純に戦いを楽しんでいる様子だ。
(でも、なんでそもそもここに…?)
ふと、そんな疑問も覚えたが、そんな疑問は目の前の死闘を見てたらどうでもよくなった。
魔王のタイマンなんてそう見れるもんじゃない。ここは是非楽しんでおこう。そう、思えたから。
―――裏界
『引き分けじゃい!負けとらんけんね!』
ごく短いその便りを受け取り、彼女の今回の“雇い主”はほくそ笑む。
「そうか…ついに写し身とは言えあれと戦えるまでになったか…」
もはや部下では手に負えず、マルコを“雇う”ことにしたが、まさかそれとすら引き分けるとは思わなかった。
「素晴らしい。素晴らしいぞ!ボン太きゅんBE!」
惜しみない称賛を贈る。これでこそ、自らのコレクションに加えるに相応しい。
「モーリー様。手に入れてまいりました」
部下の落し子が自らの主、モーリー・グレイにそれを差し出す。
「うむ。では用意を」
「はっ」
恭しくそれ…『二大魔獣超決戦!勝つのは野生か、マシーンか!?〜全試合内容45分〜』のDVDをセットする。
「準備できましてございます」
「よし、下がれ」
頷き、部下に退出を促す。
「さて、存分に…楽しませてもらおうか」
自らのお気に入りの2匹の、壮絶なるダブルKOまでの過程を楽しむべく、魔王、モーリー=グレイは気合いを入れた。
今日はここまで。ちなみにDは次元のD。D−3が3DでD−2が2Dってことで1つ。格ゲー的な意味で。
てな訳で今回は…
藤原竜之介、香椎珠美(NW!ヴァリアブル・ウィッチ)
“新白連合学園世界支部主催”新島春夫(史上最強の弟子ケンイチ)
黒竜モーニングデストロイヤー(すももももももも)
メガ本多対空(速攻生徒会)
安藤まほろ(まほろまてぃっく)
仮面のメイドガイ(仮面のメイドガイ)
“魔法先生”ネギ=スプリングフィールド(魔法先生ネギま!)
亜門光明(NW!深き迷宮のバーレスク)
ボン太くんBE(色々)
“狼の王”マルコ(NW!)
にてお送りいたしました。
マルコかよ!支援
いやまあ、マルコって基本こういう扱いだけどね
グラーシャあたりも嬉々として参加しそうだなこのイベント…
>>563 いそうですね。確かに。
…設定からするとグラーシャはD−2で地味にそこそこ弱い奴いたぶってそうだけどw
ちなみに元ネタが抜けてたので保管。
白皇学園(ハヤテのごとく!)
ガルデローベ(舞乙HiMe)
です。
>556
とんだ濡れ衣だよっ!
この訓練された美少年ハンターを捕まえて!!
素手のみでD-2に挑む…椿一成とかやりそうだなw
>>562 >Dは次元のD。D−3が3DでD−2が2D
ドラグナーのことかとオモた。
投下乙です。
バトルバカが多そうな学園世界、こういうイベントがあった方が
適度なガス抜きにも良さそうですねえ。
それにしてもマルコ、モーリー……、
魔王連中ももはや学園世界を楽しんでるなこれはw
……はっ、そ、そうか
学園世界という「面白い玩具」を提供することで裏界魔王の注意をファー・ジ・アースからそらせその間に手中に収めてしまおうという冥魔王の策略だったのか!
ルーの策略に違いない
いずれラビリンスシティとつなげるつもりなんだ
プラーナの供給量ハンパなくありそうだし
/:::::::::/ 」.. ⊥ ノ__ /r-、::::::::::::::::::::>
. /:::::::::::>/´ ` 、 `7__:::::∠
// ̄ ̄/ ヾノ'´ハ:::::::::/
∠___l ト、 \ l V _):::/
/::::::::::::| |:::::::ト、 弋_ト、. \ ,j ∨::::/
. ,:::::::::::::::::::レ|:::::::::::}`⌒`ヽ、 \ ノ ,.ィ ノ ̄i ●>324 借り物競争@学園世界Ver1.5
/::::::::::::::::::/ ,j:::::::::::! `゙ r、 _..ィ'^7ヘ. l ●>483 さたすぺ!クロス
. /::::::::::::::::::;ハ j::::::::::::l ト、_ 、 iーr' ,:::::|:::i\} ●とある世界の騒動日程 #06-1 #06-2
/::::::::::::::::::/ |::::::::::l V ,‐┬-,. --ィ / ::: |:::| ●学園世界の戦い(魔神皇編) #05-1
´ ̄7::::::/ |:::::::::::ト、 弋ノ」ノ_/{_,ハ_/,::::::::/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ ●紅き月と滅びの花
、::::::i::::::/l |::::::::: | ヽ. _ / |::::/ 保 / ●休日の過ごし方 #03
ハ:::|::::i::::V. | ::::::: ト、 \ / j::/ 管 /________
|l::|::::|::::::V |::::::::| \ `ー―‐' i;′ リ __./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
|l::|::::|::::::::V . |:::::::: | /i ̄ ̄ ̄i\ / ス /ヾ ):::::::::::::::::::::::::::::::::/
|l::|::/:::::::::::V| :::: |/ | | ,l/ ト,ィ::::) _..... -‐/:::::::::::::::::::::::::::::::::/
|l:ノ::::::::::::::::V ! ::::: | l l '/ フ ̄ ̄ ̄ヽ. ヽ:::::::::::::::::::::::::::::ハ
|l::::::::::::::::::::::k、::::::: | 、ミ,ィvハvイ ノ ̄T ̄〈 ィー--...._ 〉:::::::::::::::::::::::/ l
|l::::::::::::::::::::::::::|::::::::|:::>《{ }》{::::::::::} / _ {::::::::::::::::::::: / |
|l:::::::::::::::::::::::::::\:::|/ `T¨´ \:::::::\冫'´  ̄` ノ::::::::::::::::::::/ l
とりあえず
>>571乙
ところでまぁこんな天下一武闘会的なもんがあると知ったら
参加したがる人間が結構出てくると思うのだけどどんなカードが見たいよ?
あとトトカルチョとか成立しそうだよな。だれが元締めやるのかは知らん
シロジロ「閉塞した空間、見えない解決の糸口、集められたのは自制の効きにくい若者ばかり、
その中で戦い、あるいはそれを観戦しストレスを発散する……これは金になる」
ハイディ「さすがはシロ君、儲かるチャンスには意地汚いね!」
シロジロ「そんなに褒めるな、照れるじゃないか」
ハイディ「えへへへ」
とりあえず柊は挑戦者で列ができそうだな
……柊が一人でそんな挑戦者の列に勝てるとでも?w
柊「いや、無理。執行部の仕事で忙しいから」
噂がどんどん一人歩き的な意味で?
あとは多分連戦でも回復させるだろう。弱ってるやつに勝って喜ぶ方々じゃないと信じてる<D−1ファイター
柊「あ、じゃ大会用にデータ組み直していいですか?(笑)」
むしろこうじゃね?w
連戦じゃなくてもアタッカー一人は地味に代償キツいだろ
一撃で仕留めれなければ避けれない防げない……と、非常にタイマンは向かない男だと思うぞ
あ、でも護法剣やバリアシステムあるから少しはもつのか?
噂の独り歩きはありそうだがなw
NWのシステム準拠で考えると一人で戦うシステムじゃないからな
そのままSSにすると穴だらけのキャラになるのは仕方ない
というか柊のキャラ的にこういった大会じゃ逆に案外コロっと負けちゃうような…
守るものがない戦いだからなぁ
>578
データ的に処理する場合は相手もNWで再現だから、極端に相性が悪いか、
レベル差がなければそこそこは戦えんじゃね?
柊は基本戦闘特化キャラだし
柊蓮司・・・聞いた事がある
銀髪紅眼の中世的な顔立ちの男で
背中に天使の翼、臀部からは七つの尾を生やし
世界の危機が訪れた時に青き衣を纏い金色の野に降り立ったとか・・・
NWキャラは基本的にパーティー組んでなんぼだと思う。
一人で戦えるのは敵になった時だけ。
NWでなくても闘技場に出てくるような奴で自力回復できる奴の方が珍しいと思うけどねぇ……
スペックの遥かに上回る相手に対するパーティ戦闘と
PC間戦闘って別物だってことくらい卓ゲ民ならわかると思うんだけどなー
PvPがいつも行われてる舞台って考えれば理解しやすいと思うけど
ていうか、個人的にはキャラ再現はSSでできてもスペックの完全な再現はあんまり必要ないと思う
ベルですら主役ポジになったらパーティ組んで戦闘に挑むくらいだしな
「防御が苦手」ってことは輝明学園内では知られてるんだっけ
苦手なんじゃないんだよ!
背中には、信頼できる仲間がいるってだけさ!
いや、俺が言ったのは柊の基本戦闘方針が全力出すと一回事にHPを半分近く削られるから、基本がタイマンの大会では向かないだろうって意味じゃったんだが……
まぁ、
>>584の言う通りSSにするんなら再現しなくてもいい事なんじゃろうか?
>>588 SSに限らずアニメでもヒーラーって戦闘後に回復することはあっても戦闘中には出しにくいよな
>>588 きちんとTRPG的な思考でかんがえるとな
毎回生命の刃組まなきゃ一撃に半分なんてことはない
刃の供物はシーン持続だから一応入れとくだろうけど、
ダメージ期待出来ない時やオーバーキル確定の時に組ませるようなマヌケなことは王子はしない
空砦で、HPの消費で後々不利になるからって理由でそのラウンド中に倒せた相手を倒さなかった人だぞ?
リソースの配分に関しては実にクレバーな王子が、生命の刃をそうポンポン無駄使いすることはないよ
生命の刃組んだ一撃は、当たればでかいしな。
……もしかして、最大スペックしか見てないとか?
>>590 なるほど、そう考えるなら納得やな。
たしかに大会で手を抜かないだろうって考えから最大スペックしか見てなかったわw
王子は対戦相手によって戦法変えるだろうし、相手の出方わからない事考えると初回で必ずリソース注ぎ込めるからって全力出すわけないか
残りの命なんてノリでどうとでもなる。
精神が肉体を凌駕した!とかで。ドン!
>592
ユースやシェルジュはどうにもなりませんでした。
さて……投下しに来たはいいんだが、おまけが8k本編30ちょいなんだ
……どうしよっか?
>>595 一気に投下するにはスレの残りが微妙だな
量次第じゃ次スレ先に建ててそっちで
投下する方が良いかもわからんね
あとは切りのいいとこまで投下して
残り翌日に回すとか
色々と手があるんじゃね?
いやー、規制解けないもんだから携帯投下なんスよね。よってスレ立て出来ないもんで……
仕方ないからおまけ部分だけ投下して(本編読まなくても平気仕様だし)、明日以降に本編って感じにしようと思いますー。
そんなわけでおまけ投下です。
舞台は学園世界。ある高校の放課後の話です
本編はまぁ新しいスレが立ちました時にでも。
***
北高。
元文芸部こと現SOS団の部室。今日も俺はそこにいる。
まあ、ある意味それも当然だ。俺は数少ないここのヒラ団員であり、溜まり場に足を運ぶという日常を繰り返すのも楽しいと言えば楽しい。
とはいえ、ハルヒの奴はこの間団内で行った『不思議写真コンテスト』で、一人あまりに不思議度の少ない写真を撮ってしまったことが納得いかなかったらしい。
一番インパクトある写真をとってきた古泉を連れ、
「見てなさいよキョン! アンタが驚きすぎてホントに心臓止まった上に飛び上がって天井ぶち抜いちゃう写真撮ってきてやるんだから!」
とのたまって外に行ってしまったので、俺は大人しく待機しているのだ。
もしもそんな写真で心臓が止まったら末代までの恥だが、何を起こすかわからない奴なので、万が一があったらちゃんと病院に連れて行ってくれることを祈る。
今日は長門が執行部室に行ってしまっている。
そのため、部室には俺、群田さん、そして―――
「キョンくん、今日は凍頂烏龍ですっ」
いつにもましてご機嫌な様子の朝比奈さんがいるのだった。
手に入れるのが難しい上、おいしく淹れるのが難しい(らしい)発酵の独特な中国紅茶を手ずから出してくれる美少女を見て心和まないわけがない。
俺は朝比奈さんの出してくれたありがたくて涙が出そうな紅茶に幸せな気分になりながら、『こちら』に来てから指で数え切れるくらい珍しい平穏な気分で尋ねた。
「朝比奈さん、今日はやけにご機嫌ですね。なにかいいことでもありましたか」
たとえば四葉のクローバーを見つけたとか、と思わず言ってしまいそうなほど平穏な気分ではあったものの、そこまでいくと古泉とほとんど変わらない気がして飲み込む。
古泉2号になる趣味は俺にはないからな。
そんな俺の言葉に、はいっ、とまぶしい笑顔をこちらに向けてくれる朝比奈さん。
彼女は純白のヒラヒラしたエプロンドレスに申し訳程度についているポケットに手を入れ、定期入れのようなものを取り出して見せてくれる。
「いい定期入れですね。どこで手に入れたんです?」
「あ。この間バザールに行ったら、『元の材質が何かよくわからないものだから500円でいいよ』ってエルクレストの学生さんが売ってくださったんですー」
何かあったらどうするんですか、そんな怪しいものに手を出さないでください。そんなことしてるといずれ通販番組にだまされたりしますよ。
いや、朝比奈さんならもうだまされてそうだけど。
普段ならばそこで会話が終わっているはずだが、今回は発言頻度が長門よりは少しマシ程度にあまり自分から喋ってくれない群田さんが、珍しくその会話に割り込んだ。
いつものようにアルカイックな笑顔を浮かべたまま、彼女は読んでいる分厚い本から少し目線を上げた。
「……別に、みくるは新しい定期入れを見せたかったわけではないと思いますよ?」
そうなんですか朝比奈さん?
「あ、はいそうです。
実はこっち、中の方を見てくださいっ」
そう言って、怪しい革の定期に入った中身を渡してくる。その仕種に癒された俺は渡されたそれを見て、絶句。
『学従連発行 メイドU種免許証』
俺の目が高性能なガラス球にでもなってない限りは、そこにはそう書いてあるように見えた。
口にするべき言葉が見当たらない状態の俺を放ったままで、群田さんは朝比奈さんに祝福の言葉を送る。
「……おめでとう、みくる。学従連―――学園世界従者連盟が実施している従者技能検定資格試験、とうとう免許を得たのですね」
「はい、ありがとうございます群田さん! 前2回は落ちてしまいましたが、三度目の正直です!」
三回も挑戦してたんですか。
二種免かよ支援
601 :
おまけ:2009/05/15(金) 00:58:49 ID:MRY7NaXL
そんな俺の至極真っ当な問いかけに、朝日奈さんは笑顔で答えてくれた。
「そうなんです。あたしは学従連の講座を受けてて、第1回試験から受けさせてもらってたんですけど、なかなか難しくて」
「……目を丸くしているあなたのために、聞かれてはいませんが説明をしましょう。
『学園世界従者連盟』と呼ばれる組織は、学園世界中の主に仕えるべき『従者』たちのつながりのことです。
『学園都市』のメイド専門学校関係者、白皇学園の執事生徒、トリステインやヴィルアセム帝国帝立第13軍学校の貴族の子弟に用意された従者達が主に所属しています。
学従連はそんな彼らが自らの主人のために自分達の技術向上、またこの世界における状況の把握のために設立された組織ですが、
最近はそれ以外にも、他の学校の人間の中で従者の心得を学びたいというものたちのため、様々な講座を行い、また月に一度『従者試験』を行っているのです」
「『従者試験』には、『執事試験』・『メイドT種試験』・『メイドU種試験』があって、あたしは3回目でようやく『メイドU種』をとったんですよー」
頭が痛い。『こちら』―――『学園世界』なんて呼ばれてるふざけた場所に来てから、俺は自分の常識をことごとくぶち壊されている気がする。実際その通りなんだが。
もともと限定的超能力者に、意識しないとそう見えない未来人、無口な万能宇宙人、ミステリアスな異世界人と、よくわからん存在とごく普通の日常を過ごしていた俺。
だが、その日常そのものがひっくり返るという事態を目にしてしまってから、我らが団長に暴走エンジンがかかってしまった。
異常にもすぐ慣れてしまえば、ルーチンワーク=ハルヒのストレスという図式が成立してしまうのだが、なんというかこの場所は退屈からは実に無縁だ。
何が起こるかわからない爆弾がそこかしこに仕掛けられていると言い換えてもいいかもしれない。
毎日自分達と同じ年頃の少年少女たちがとんでもない騒ぎを起こして、いつそのとんでもない騒ぎに巻き込まれるかもわからない状態。
しかしそれでも自分の周りくらいは変化のない日常を送ってくれているかと思っていたのだが―――ちょっと想定が甘かったようだ。
しかし、頭が痛いのはあくまで俺の都合であって、朝比奈さんには何の関係もない。
話を聞く限り、その試験を通るのにもの凄い努力をしたのだろう。それは素直に祝福してしかるべきだ。うん、俺も強くなったもんだ。毎日団長にしごかれてるからな。
「頑張ったんですね、朝日奈さん」
「がんばっちゃいました。これでみなさんにもっとおいしい紅茶を飲んでもらえます」
紅茶淹れるだけなら紅茶職人のところにでも行った方がいいんじゃないだろうか。
そんな野暮なことはもちろん朝比奈さんには言わず、素直に疑問に思ったことを伝える。
「そういえば、執事試験は一種類なのにメイド試験にはT種とU種があるのはなんでなんですか?」
「執事さんはもともとご主人様の影となって執務をこなし、剣となり盾となることもいとわない方しかなれないんです。
その点、メイドさんはご主人様のお世話と執務のお手伝いをこなせる人と、執事さんと同じようにご主人様を守ることまで出来る人の2種類がいるんですよ」
つまり、武装メイドにはT種試験を合格しないとなれないということだろうか。
朝日奈さんがT種試験にまで手を出そうと思わないことを祈るばかりである。これ以上俺の日常を侵害されるのは心外だ。
偶発的にビームが出たことはあっても、自分からベレッタが使えるようになったり毒の調合のできるようになったりした朝比奈さんは見たくない。
そんな殺人メイド朝比奈さん未来予想図を想像し、思わずため息をつきたくなる俺の心情も理解していただきたい。
602 :
おまけ:2009/05/15(金) 00:59:31 ID:MRY7NaXL
この場所にいる限り俺の心労は雪だるま式に増えていくような気がする。
けど、この場所にいることで見られるものも結構あったりするのだ。
それは、もとの学校じゃ見られないくらいの超新星が爆発したみたいなハルヒの生き生きした笑い顔とか。
こんな感じでハルヒが関わっていないことに関して自分から挑戦していこうとする朝比奈さんの一生懸命な姿とか。
他の組織からの襲撃がなくなったことで余裕ができたのか、ハルヒを護衛しながら自分の行きたいところに誘導するようになった古泉とか。
執行部室に向かうことをなぜか毎回俺に宣言してから行く長門の背中に、冗談で行ってらっしゃい、と言った時に聞こえた『行ってきます』って言葉とか。
そんなアウトドア派になっていく奴らをよそに、いつもと変わらず本を読みながらここで待っててくれる群田さんとか。
何よりも、そんな仲間たちを見ていて素直に嬉しいと思える俺もいたりすることとか。
百害ばかりが顔を出すこんな場所にいながら、そんなことがちょっと悪くないと思えたりすることが何よりも。
―――やれやれ、ってやつだ。
fin.
ではー、本編は明日以降(日付変わってるけど)、新しいスレを確認次第参りたいと思いますー
では。
投下乙です。
そのまま2時から投下します。
―――ザールブルグ近辺 通学路
「うぅ…まだ身体の節々が痛い…」
今日も今日とて非常に大変だった“1日”にフラフラになりながら、メガネの“ガーディアン憑き”、赤根沢玲子は帰り道を歩いていた。
「大丈夫ですか〜?」
傍らに立つおかっぱの少女が心配そうに玲子に聞く。
彼女の名は倉沢桜花。元輝明学園の守護霊にして現赤根沢玲子の“ガーディアン”である。
「はい…何とか歩けるくらいには…」
なんて言ったそばから脱力して転びそうになる。
「おっと…本当に大丈夫ですか〜?」
「…すみません。やっぱり、肩を貸して頂けますか…?」
ここで意地を張っても仕方がない。そう判断し、玲子は桜花に言う。
「それにしても〜一体どんな訓練を〜?」
玲子に肩を貸しながら、玲子をここまで消耗させる訓練とは何かが気になり、桜花は玲子に尋ねる。
「はい。今日は、新しい魔法の習得が課題でした」
そう言うと同時に、玲子の脳裏に、その時の様子が思い浮かぶ―――
「どうやらお前ら“ガーディアン憑き”の魔法の適正は、憑いたガーディアンの特性に影響されるらしい」
タバサと共に玲子を“研究”した結果を、エヴァは淡々と述べる。
「今のお前の魔法の適正は“火”に向いている。憑いている桜花が火の使い手だから、当然と言えば当然だな」
輝明学園で確認した桜花の属性は“冥”と“火”。
これらのうち冥の魔法とは今一つ相性が良くない。どうやら玲子自身の特性と反しているらしい。
「今までのガーディアンから覚えた中には“氷”の魔法もあるようだが、今そこを鍛えてもどうせ伸びん。故にお前には“火”を鍛えてもらう。喜べ。今日から実践編だ」
ぱぁっと、玲子の顔に笑顔が宿る。
「はい!分かりました。よろしくお願いしますマスター!」
これまでのひたすら基本…集中、制御、発動速度、反射速度を鍛えるためにエヴァの魔法を“迎撃”する訓練から解放され、
ようやく1歩踏み出せた気がして、玲子は嬉しかった。
「…いい返事だ。それでは、始めようか」
そう言うと、エヴァはふっと笑みを浮かべ魔法を詠唱する。
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック…氷の精霊(セプテンデキム・スピリトゥス) 17頭(グラキアーレス)集い来りて(コエウンテース)
敵を切り裂け(イニミクム・コンキダント)魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)・氷の17矢(グラキアーリス)!!」
エヴァが詠唱を完成させると同時にエヴァの周りに17本の氷柱が浮かぶ。その威力は、タバサの“ウィンディ・アイシクル”に匹敵するだろう。
「…何をすればいいか、分かるな?」
いつもの不敵な笑みを浮かべ、エヴァが言う。
「あ、え、えっと…りく・らく・ららっく・らいら「馬鹿か」ええっ!?」
とりあえずエヴァの詠唱を真似ようとした玲子に、エヴァは冷たく言い放つ。
「言っただろう?お前には火を鍛えてもらう、と。私の“氷”の魔法を真似てどうする。第一貴様は私の世界の魔法のことなど知らんだろう?
私の世界の魔法はただ唱えれば発動するほど、甘くは無いぞ」
精神の集中から始まり魔力の収束、発動、解放。基本プロセスには共通点こそあるものの、その様式は、世界ごとに様々だ。
既に元の世界の魔法を“極めた”ような奴ならともかく、並の魔術師では“異世界の様式”の魔法を使いこなせるようになるまでには月単位の訓練が必要となる。
「お遊びなら“火よ灯れ(アールデスカット)”から始めてもいいんだが、今は時間がない。お前のところの様式の魔法なぞ知らん。自力で習得しろ」
そう言うと同時に、宙に浮いた氷柱が全て、玲子の方を向く。
「え、あ、あのマスター…自力でと言うと?」
その様子に冷汗を浮かべて聞く。答えは何とな〜くわかったけど、聞かずにはいられなかった。
「ああ、安心しろ。急所は外してやるし“ディアラマ”を唱えられるくらいの暇はやる。
全弾まるごと焼き払えるだけの“炎”を生み出せ無い限り、ひたすら削り続けられる。そう思え」
「その台詞のどこでどう安心しろと言うんですかマスター!?」
玲子の突っ込みをものともせず、エヴァが笑みを深めて、言う。
「避けようなんて考えるなよ?追尾式だ。お前の足では避け切れん。むしろうっかり変な所に刺さってガーディアン交代なんてことになりかねんからな」
そして、その邪悪な笑顔のままエヴァはゆっくりと指を鳴らす体制を取り…
「タバサお薦めのエルクレスト産MPポーションを腐るほど用意しておいた。私のおごりだ。遠慮せず存分に…使いまくっていいぞ?」
パチンと地獄の開幕を告げる鐘を鳴らした。
「―――びっくりするほどスパルタンですね〜」
玲子から本日の“訓練”の内容を聞き桜花が驚いて声を上げる。
「はい。カロンがいい笑顔で手招きしてるのが目に焼き付いて離れません…」
あの川の向こう側に言ったら…楽になれるのかしら?なんてなことを最後の1時間はずっと考えていたように思う。
「それで、どうなったんですか〜?」
「はい。一応最後には“合格”もらえました…」
今日習得しないと次回は“土曜”…やり遂げないと次はこれが1週間と考えたら…
「人間、死ぬ気になれば意外と出来るものなんですね…」
しみじみと悟ったようなことを言ってみる玲子だった。
「玲子」
死んだ魚のような目になった玲子を、桜花がギュッと抱きしめる。
「今日の晩御飯は、私が作ります〜…ねがいさんにこの前貰ったカップめんですけど」
「…ああ、ありがとう。助かります…」
人の情けが身に染みる。って言うか涙出てきた。
そんなことを思いながら、桜花と2人して抱き合ったその時だった。
「―――やれやれ。少し見ないうちに随分と親しくなったのですね…」
よく澄んだ、美しい声が辺りに響き…“異界化”する。
「この声は…まさか!?」
その声に聞き覚えのある玲子が驚くと同時に、抱き合っていた桜花からガクンと力が抜け、ついで玲子の手の中から“消失”する。
「お久し振りですね〜パワーさん」
肉の殻を脱ぎ棄て、戦闘形態…本来の幽霊の姿となった桜花が、その“知り合い”に声をかける。
「…ええ。貴方もお元気そうですね。彷徨える御霊…倉沢桜花よ」
桜花の声に答え、その羽の生えた戦士…“天使パワー”は無表情に言い放った。
「パワー…じゃあもしかして!?」
「はい」
玲子の驚きの声にパワーは頷く。
「我が兄弟…サマナー佐藤は今、この世界に来ております」
そして、剣を構える。
「サマナー佐藤が、貴方に用事があるそうです。故あって言葉とすることはできません。無理やりにでも…来てもらいますよ」
その様子を油断なく見ながら、桜花がおっとりと言う。
「さて〜、どうしましょうかね〜?」
桜花は考えていた。目の前の天使の実力は知っている…自分を倒せるほどの実力は無い、と。戦ってもいいのだが。
「どうします〜?玲子〜」
「…一旦、逃げましょう」
務めて冷静に振舞いつつ、玲子は瞬時に手を決め、パワーに聞こえないよう小声で桜花に伝える。
『子供のころ、何かあったら時にはおまわりさんのところにでも逃げろって教わっただろ?それと一緒さ。無理に戦う必要は無い』
玲二から言われている。ヤバいと思ったら逃げたり助けを呼んだりするのは、恥でも何でも無いと。
「あと走って数分…500mも行けば居住区にでます。そこまで行けば…安全だと思います」
居住区には、たくさんの選抜委員やウィザードが住んでいる。玲子以上の実力者も大量にいる。
彼らなら、例え佐藤の仲魔が総がかりでも負けないはずだし、佐藤たちもそんな目立つ真似はしたがらないはずだ。
「私が、隙を作ります。それと同時に逃げます、いいですね?」
「…了解です〜」
どうやらこの1ヶ月の訓練は無駄では無かったらしい。その事に桜花はうっすらと笑みを浮かべ、頷く。
「さあ、来ていただきますよ…ヒートウェイヴ!」
挨拶代わりにパワーは必殺の剣…自らの持つ最強の大技を放つ。
「残念。届きませんよ〜」
それを桜花は笑顔を崩さず軽々と受け止める。
「…く!強いとは思っていたがこれほどとは!」
味方にすれば頼もしく…敵にすれば恐ろしい。そのことをパワーは知っていたが…未だ理解しきれていなかった。
「やはりここはサマナー佐藤の指示通り…」
そう呟いた瞬間、パワーは気づいた。その…今までの玲子ではありえぬ程の魔力の高まりに。
「はぁぁあああああああああああ!」
集中のために声を出す。ただの雄たけび。魔界の…“悪魔”の魔法に詠唱はいらない。いるのは集中、制御、発動のみ。
最も原初に近いが故に習得に必要なのは“本能”のみ…純粋な意思の力によって悪魔の魔法は発動する。
「…マハラギオン!」
発動のトリガー代わりの言葉を開放すると同時に。
「馬鹿な!?いつの間にそんな高位魔法を!?」
驚きの声を上げたパワーを、燃え盛る炎の嵐が飲み込んだ。
…数分後。
「はぁはぁ…ダメ…走り切れない…」
「大丈夫ですか〜?」
つい先ほどまでの訓練で疲労困憊だった玲子が、半分ほどでへたり込む。
「こうなったら…受けて立つしか」
傍らの桜花を見て言う。だが。
「…いえ〜、その心配はいらないようですよ〜」
後ろを確認し、桜花が言う。
「…え?」
玲子も後ろを見て。
「追ってきてません〜。振り切れたようです〜」
「ええっ!?」
誰もいない通学路を見て驚きの声を上げる。
「一体何が…?」
パワーがあの程度で倒せるとは思えないし、逃がすとも思えない。だからこそ、何が起こったのか。玲子は首をかしげた。
―――輝明学園 女子学生寮前
「…帰ってきました。戦ったのか?大きな疲労が見られます…え?それは訓練の成果?ま、まあとにかく無事みたいです」
今にも倒れそうなふらふらな足取りで帰ってきた玲子が桜花と共に女子寮に入って行くのをエヴァに報告し、一狼はほっと息をついた。
「今日の任務、無事完了、と…」
とりあえず、輝明学園の寮まで来ればもう心配はない。
輝明学園の女子ウィザードの大半がここに住んでいるのだ。中には侵魔相手にドンぱち繰り広げてきた物騒な方々がごろごろいる。
魔王とガチで戦った奴だって結構いる。雑魚魔王クラスなら1人で相手できそうな人も心辺りがある。玲子のお隣には魔王級との戦闘経験もある“要姉妹”だっている。
ただの痴漢ウィザードとかなら半殺しで極上生徒会に突きだされる位で済むだろうが、“異界の悪魔”ならばまず侵入したら生きて出られない。そんな物騒なところなのだ。
「これで1ヶ月が経ったことになるわね…」
傍らに立ち、じっと玲子の様子を見ていたライズが、ポツリとつぶやく。
「…あれだけの“隙”を見せている割に、食い付きが悪いわ」
ザールブルグから居住区に向かうまでの道は電灯もロクにないために暗い。
おまけにザールブルグの生徒の大半はアカデミー内で暮らしているので、平日に居住区へ行く学生もほとんどいない。
人気がなく、待ち伏せには最適の場所。にも関わらず、玲子を狙って来ないとは…
「やる気がないのか…それとも“読んで”いるのかしら?」
明らかな“隙”を作ってそこを相手にあえて狙わせるのは、兵法の常套手段だ。
玲子の話から、上である“魔人皇”はともかく、“前線での指揮官”には戦術の心得は無いとライズは判断した。
だからこそ引っかかると思っていたのだが…
「だとしたら…面倒くさいことになるわね」
エヴァの“訓練”とやらがいつ完了するのかは知らないが、この護衛任務はそう長く続かない予定だとは聞いている。
だからこそ早めに尻尾を掴んで叩き潰したい。そう、ライズは考えていた。
「こちらからも動くべきかしら?」
そんなことをライズがポツリと呟いたときだった。
「いや〜、あっちもこのままってつもりは無いみたいだぞ?」
そんな声がライズの“背後”から聞こえる。
「…!?」
驚いて距離を取り、振り向いた先に立ってたのは…
「…いきなり斬りかかってこないだけ、椿より大分マシだな」
顔の半分を占めるグルグル眼鏡と、灰色の詰襟。夜だと言うのに寝ぐせが残ったままの手入れされていないぼさぼさの髪。そんな、おとぼけ学生が1人。
そこからは覇気も強そうな気配もまるで感じられない。完全に一般人の学生だ。
「…何者なの?」
だが、そんな“自分の直感”には惑わされず、ライズが時空鞘の中の剣に手をかけつつ聞く。
隠密たるライズと忍者である一狼。この2人の背後を気配も無しに取れる奴が、見た目と、気配通りのはずがない。
「…ライズさん。大丈夫です」
臨戦態勢を取ったライズを、一狼が止める。ついで、その少年に、敬意を持って話しかける。
「隊長殿。何かあったのですか?」
「その呼び方は、やめてくれって言っただろ」
相変わらずの堅苦しい口調に苦笑しつつ、言う。
「マモルでいいって。僕はそんなにすごい奴じゃないんだからさ」
何でも無いことのように“カゲモリ”の隊長、陰守マモルは言った。
俺はもう落ち(ねむ)るけど、この最後の支援だけは、届け―――
「…なるほどね」
相変わらずおとぼけなマモルを見て、ライズが言う。
「どうやら、貴方が隊長だと言うのは、間違い無さそうね」
「へぇ?」
マモルが意外そうに声を上げる。
「初めて会った人は大体僕が隊長だって言うと驚くんだけどな」
「いいえ。貴方が隊長…最高の“陰”だと言うのなら、納得がいくわ」
ライズが緊張を解き、マモルを見る。
「陰は、人の中に紛れ込むのが仕事だもの」
自らの実力を悟られぬよう、それを隠す。
最初から隠す必要のないエヴァやタバサ、未熟な玲子はともかく、他の“カゲモリ”は多かれ少なかれその能力を持つ。
方法は2つ。吾妻兄妹のように一般人に紛れ込むため、一般人の“演技”を完璧に身につけるか、一狼やライズのように気配を殺す“穏形”の技を学ぶかである。
「…もっとも、極めるとここまでになるとは思ってなかったけど」
どんな手だれにも実力を見破らせない“演技”と完全に気配を殺す“穏形”。その2つを極めたマモルの実力を、知らないものが見破ることはまずないだろう。
「…ま、その辺はあの人たちの息子を17年やってれば自然と、ね」
ポリポリと頭を掻きながら、マモルは目をそらす。
「それで、隊長殿。あちらに何か動きがあったのですか?」
話しが一段落したと見て、一狼がマモルに尋ねる。
それにマモルは頷いて答える。
「ああ、羽の生えた人間…あれが天使って言うのかな?まあとにかくそれが玲子さんを襲ってきた」
「そう、それで?」
「…なんか、佐藤って人が玲子に用事があるらしい。無理やりにでも連れて行くって言ってたから、とりあえず倒してきた」
何でも無いことのように、マモルが言う。
「…そう」
それを当然のように受け取り、ライズが頷く。
「喋れる人型の悪魔だと言うのなら捕まえて事情を吐かせられれば楽なのだけれど」
「やあ、それがさ、相手の強さよく分からなかったから、本気でやったんだ。そしたら…」
「瞬殺と言うわけね」
ライズが溜息をつく。非難はしない。相手の悪魔、特にある程度以上の奴だったら“手加減”していたらこっちが危険だってことぐらい、ライズも理解している。
「まあね…次はちゃんと喋れる程度にしておくよ」
ライズの言葉に、マモルが頷く。
「お願いするわ」
どうやら目の前の男…陰守の名を持つ隊長は実際の実力もかなりのものらしい。
現在の殺気が全く無い状態からはどの程度か推し量ることもできないが、それを悟らせないのもある意味では実力だと言うことなのだろう。
「じゃ、僕はもう行くよ。椿と椿の知り合いのウィザードに頼んであるとは言え、ゆうなは放っておくと何を起こすか分かんないし」
そんなことを言いつつとマモルはしゅばっと掻き消えるように姿を消す。
「あれが隊長…カゲモリマモル」
ライズが確認するように口にする。
「なるほど…隠密としての能力は間違い無さそうね」
その鮮やかな消えっぷりにライズが関心して言う。
「あとはもう一つ…戦うものとしての実力なのだけど…」
とりあえず、玲子の前に出てくるレベルの悪魔を一撃で“殺せる”ほどだと言うのだから、弱くはないだろうとだけライズは結論づける。
…このとき、彼女は見誤っていた。隊長の実力のほどを。
―――通学路
「一体何が…」
パワーが玲子と接触して30分、その場所からまるで動きを見せないパワーを不審に思って見にきた佐藤は絶句した。
「…パワー!?」
ズタボロにされたうえで、鎖で念いりに縛られたパワーを見て。
「クソ!?まさかこんな手で…」
仲魔が倒され…“殺されれば”悪魔はアームターミナルに戻ってくる。
だからこそ、やられてもそれをすぐに察知できたのだが…
「まさか…“殺さない”とはな…」
今までとは違う。今まで、何度か仲魔を“殺してきた”奴らとは、何かが。
「…う、うぅ…サマナー…佐藤…」
その声でようやく目を覚ましたのだろう。パワーがゆっくりと目を開ける。
「パワー!大丈夫か!?」
「す、すみません…」
一瞬の出来事だった。玲子が逃げた直後に現れた“それ”にパワーは手も足も出ず、倒され、捕まえられた…“殺される”こと無く。
「一体何があったんだ?」
「敗北しました…黒い…奇妙な格好の男…恐ろしく…桜花以上に…強い…」
パワーが必死に見たものを伝える。
「分かった!もう喋るな!今バステトを…」
アームターミナルをいじり出す佐藤に、パワーが最後の力を振り絞り、伝える。
「…おと…は…か…け…な…ど…よん…ひゃく…ねん」
“あの男”の、奇妙な口上を。
がっくし
力を使いきり、パワーは気絶する。しばらくは目を覚まさないだろう。
「いったい何なんだ…400年って」
彼はまだ気づいていない。
それが魔人皇という“闇”とカゲモリの誇る“陰”の、ファーストコンタクトだったと言う事を。
*
今日はここまで。
>>430 数はどっちなんでしょうね。カゲモリは横のつながりが弱い分、数はそこそこいますから。
>>431 あの阿智太郎作品で最長巻数記録保持者ですからねー。原作読み返したらしたら色々面白忍術多すぎで笑いましたw
…佐藤君の死にフラグは、まあ。
>>432-434 カゲモリは陰から動いてナンボですからね。
後ろからサクッと暗殺系の人が多いので、堂々とは動かないでしょう。
>>435 私にとってマモルの立ち位置は短編でのリナ=インバースです。
本人は“うちの父さん母さん”が凄すぎて麻痺してますが、ご本人もかなりのバグキャラです。
>>603 乙です
学園世界従者連盟と聞いて、何故か真っ先に「大きな剣をブン回すメイドさんたち」を描いたアレなゲームを連想してしまった……orz
お二人とも乙でしたー
そうか、白麗陵学院従育科(@れでぃ×ばと!)はこの世界では執事試験およびメイドT種試験合格を目指すのか。
…というか此処が仕掛け人の一つのような気もするなぁ。
そしてマモルたいちょーぱねぇっすw
アニメしか見てないですが、アレだけでも十分チートじみてたのに学園世界でさらに磨きが掛かってるんじゃないでしょーかw
そして椿さんの知り合いのウィザードって…
投下乙っすー
みんなを見守るキョン君はやはり萌えるなぁ
本編の投下も期待しておりますー
マモル隊長は何たるチート。パワーさんの「よん…ひゃく…ねん」噴きましたw
魔人皇さんはどこかの忍猿を捕まえてきて悪魔合体でもするしかないんじゃ…w
ここまでチートにしてほんとだいじょぶか?
そのうち他のキャラがい引き立て役になりそうで怖いんだが
明らかにオーバースペックすぎる。
さすがに作者氏はわかってると思うよ?
あとがきとかで「バグキャラ」だって言ってる以上、活躍させる場所のさじ加減を理解できてる発言だと感じるけど
実際崩壊したと感じた時に言った方がいいと思うよ、ネタばらしになっちゃうだろうし
確かにバランスがちょっと……
マモルは確かにかなりの実力者だろうとは思うけど、他の作品のキャラも存在する中でこれだけやると荒れそうで怖い。
特に強さ比較は、キャラに語らせたり、地の文で書いたりするのは相当気をつけないと危険。
オープニングフェイズでプレーヤーが演出でいい気になってると思うなら話は別だけど。
>>617 誰かを「バグキャラ」と書くのはその他のキャラをそれ以下と書くのに近しいものがあるからなあ。
クロスではそこら辺はぼかしてて欲しかったなあ。
阿智作品は好きなだけに、今後マモルを活躍させる場合、うまくバランスをとって欲しい。
橘さんキャラだったなら異論は出ないぜ。
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/ ヽ‐-、ヽ
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/ / Y´ヽ ,ハ
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! ハ | ノ \i `ヽヘ /ニミk_ハ
ヾ小{ ● ● レ'ミ、 y'ミ トj まだ埋まっていない……
{ミl⊃ 、_,、_, ⊂⊃-、 >' ンミ}
k/⌒!,、 __, イ、{=、 /=jミ/
/ //_j_:j_|ミj ゞ;'ヽシ Z'
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ヾ小{ ● ● ル'ミ、 y'ミ、} よし決めた、下がる男をいじって埋めよう!
{ミl⊃ 、_,、_, ⊂⊃-、 >'=_} j
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\ j``ヽ_,.>、 __, イ、{=、j /ミ/
Y ト} ヌ/_j_:j_|ヨ ゞ'、_,.ヘZ'
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