あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part215

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part214
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1234692557/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 09:15:06 ID:jMnB6oQv
重複した。こっちを先に利用してくれ orz
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1235061194/
3ゼロの花嫁:2009/02/23(月) 21:47:40 ID:w4jC8dNM
新スレで早速ですが、21:55よりゼロの花嫁18話投下します
4ゼロの花嫁:2009/02/23(月) 21:55:07 ID:w4jC8dNM
ゼロの花嫁18話「それぞれの日々」



ルイズ達が学院に戻ると、束の間の平穏を楽しんでいた学院の生徒達は皆揃って嘆息する。
問題児達と廊下ですれ違う度、目線を逸らすような生活を誰も好き好んでしたりはしないのだ。

「何か最近、貫禄すら感じられるようになってきたわ」
何時ものメンバー、ルイズ、キュルケ、タバサ、燦に、珍しくモンモランシーを加えながら中庭で昼食を取っている。
学院でも数少ないルイズ達とまともに接触出来る人間であるモンモランシーは、時折こうして話を聞きにくるのだ。
都度笑えないトラブルの話を聞かされるハメになるのだが。
「そう?」
サンドイッチを頬張りながらルイズ。
「ああ、特にアンタね。実家で何かあったの?」
そのまま燦と目を合わせ、どちらからともなく苦笑する。
「……まあ色々とね。でももう解決したからいいの」
モンモランシーは次にタバサを見る。
「タバサは少し表情が柔らかくなった?」
「そう?」
顔に出ないようにするのに大変な労苦を要するルイズ、キュルケ、燦の三人。
大公夫人が居る気配すら漏らしてはならない。ならば、タバサが超ご機嫌な理由も秘さねばならないのだ。
そして最後にキュルケへ。
「アンタは迷走してるわね〜」
「うっさい」
一時は幽鬼か何かと見まごうばかりであったが、今では妖艶な肢体を取り戻している。
ちょっとした雑談で各メンバーの機嫌を確認、しかる後本題へ。
モンモランシーの話術も中々に巧みである。
「で、さ。あの時ゴーレム粉々にしたルイズのアレ。そりゃルイズがバカみたいに訓練してるのは知ってるけど、幾らなんでもあれは無いでしょ」
「……バカは余計よ」
「何か凄い理由とかあるんじゃないの?」
にやにや笑いながらキュルケが口を挟んでくる。
「生徒達の間じゃどういう話になってるのよ」
「ルイズには超古代の悪魔が封じられていて、時々何かの拍子に表に出そうになるんだって『くっ、暴れるな邪気眼』とか言って」
物凄い嫌そうな顔のルイズ。
「そんな事言ってる奴等、全員この世から消え失せればいいのに」
「アンタが手を下せばあっと言う間よ」
「しないわよっ! 人を殺人鬼みたいに言わないで!」
モンモランシーはちょっと表情を引き締める。
「少し真面目な話……ね。アンタ達さ、一体何やってんの?」
即座にルイズは答える。
「学生」
「月に十回も医務室使う学生とか聞いた事もないわよ。私の実家も物凄い驚いてたけど、ルイズ、モット伯の件、アレ洒落になってないって」
「そう? 笑って済んだわよ?」
気楽にそう言うルイズだったが、モンモランシーは堅い表情を崩さない。
「あのね、問題なのは、それだけの大事件起こしておきながらアンタ達が飄々としすぎてるって事。つまり、あれだけの大事件をそう思えてしまう程に、アンタ達はヤバイ件に首突っ込んでるって事なんじゃない?」
指折り数えるモンモランシー。
「最近学院周辺で起きた事件、モット伯襲撃とその後の不可解な判決、巨大ゴーレムの襲来と無敵戦艦ルイズ、近所で起きたらしい国籍不明のスパイ迎撃……どうなってんのよ一体。全部アンタ達が絡んでるんじゃないの?」
そして、と最も気になっている事を口にする。
「アンタ達、使い魔召喚の儀式辺りから変よ。何て言っていいかわかんないけど、それ以前と比べるともう別人みたい。自分に剣刺すとか自分から燃えに行くとか、正気じゃないわよ絶対」
モンモランシー以外誰も口を開かない。
5ゼロの花嫁18話2/14:2009/02/23(月) 21:56:41 ID:w4jC8dNM
じっと、彼女の真意を確かめるべく言葉に耳を傾ける。
「ゴーレムに立ち向かった事だってそうよ、あんな事してたら命が幾つあっても足りやしないわ。何してるか知らないけど、少し自重した方がいいんじゃない?」
本気で詮索するような話を、モンモランシーがしてきたのはこれが初めてだ。
彼女なりに気にはなっていたのだろうが、ずっと黙って来たのだろう。
そして、これ以上見てはいられない、そう判断したからこそ口を出して来たのだ。
しかし四人は有体な言葉でお茶を濁し、モンモランシーは不機嫌そうに去って行った。

「ええ子じゃね、モンモランシーちゃん」
燦は打ち明けられぬ心苦しさからか、少し影のある顔でそう呟く。
キュルケも同じように少し悲しそうだ。
「生徒で私達の心配してくれてるのって、モンモランシーぐらいじゃないのかしら」
ルイズは料理を切り分けるナイフをぶらぶらと振りながら言った。
「詮索好きは多いみたいだけど」
手首の返しだけでナイフを投げると、建物で影になっている場所にナイフが突き立つ。
そこに隠れていた男は、頭を掻きながら物陰から出て来た。
「心配してるのはモンモランシーだけじゃないんだけどね」
バツが悪そうにしながら、そう言ってテーブルに歩み寄って来るのはギーシュであった。
「盗み聞きは謝るよ。少し出ずらかったんでね」
ルイズは不快そうに眉根を寄せたままだ。
「何か用?」
「ルイズとキュルケに客が来てるよ。正門前で、正式な形ではない、風体の怪しげな……多分メイジ」
「そう」
四人は同時に立ち上がる。
正門へと向かう彼女達に、ギーシュは大声をあげた。
「ぼ、僕じゃ役に立てないかもしれない! それでも! もし僕に出来る事があるのなら言ってくれ! 何時でもいい! どんな事でも構わないから言って欲しい!」
疑念を持っているモンモランシーにより疑惑を持たれるような事のないよう、客の話をモンモランシーが去ってからしたギーシュ。
何度もルイズに挑んだギーシュには良くわかる。
ルイズとは既に天地程の差がある。そんなルイズと共にあれるキュルケ、タバサとも歴然とした差があるだろう。
ほんの数ヶ月で、肩を並べて歩くには余りに遠い存在となってしまった友達に、ギーシュはありったけの声を振り絞って叫んだ。
「僕は君達に並んで見せるからな! 絶対にだ! 何時までも置いてきぼりなんて僕は納得してないんだからな!」
足手まとい、そう口にされたら耐えられない。
彼女達の事情に深入り出来なかったのは、そんな恐怖からかもしれない。
モンモランシーが言っていたように、ルイズ達が何か大きな事をしでかしてる。そんな気はしていた。
兄から事情を聞いた所によると、ルイズは前王にすら認められたという。
また、ギーシュもキュルケのようにルイズの真似をした事があるが、あんな様になって倒れるまでなど続けられなかった。
そして、今の会話の最中、ずっと杖を傍らに置いたまま、素振りすら見せずギーシュを警戒しているタバサに、魔法を打ち込む隙など見出せなかった。
勝てない。誰が相手でも。技術的にも、それ以外でも。
それがわかっているからこそ、踏み込む事を望まぬ彼女達の思うように、そうし続ける事がギーシュにとって出来る最大限だった。

彼女達の心からの笑顔も素直に受け取れない程、ギーシュは自分の無力が悔しかった。



正門前に居た男、彼に見覚えがあった。
剣呑な視線を送るルイズ。
「……何か御用かしら?」
ルイズだけではない、残る三人も抜きこそしてないが、いつでも動ける臨戦態勢だ。
男は苦笑して、両手を開いてみせる。
「杖は懐の中だ、出す気はない。また肩をへし折られては堪らんからな」
モット伯の屋敷を襲撃した時、伯の傍らに居てルイズに氷の矢を放ったメイジであった。
6ゼロの花嫁18話 3/14:2009/02/23(月) 21:57:07 ID:w4jC8dNM
「用は何か、と聞いたのよ」
取り付く島も無さそうだと見たのか、メイジは本題に入った。
「モット伯が人を集めてる。ならず者ばかりだが、中にメイジも混ざっている。恐らく狙いは君達だろう、注意したまえ」
キュルケは胡散臭そうな表情を隠そうともしない。
「……何だってそれをわざわざ、モット伯子飼いのアンタが知らせにくるのよ」
「伯の部下は辞めてきたよ。国に……君達から見れば小さすぎて笑えるだろうが、自分の領地に帰るさ。ただ、その前に一言礼と恨み言を言っておこうと思ってね」
男はじっとルイズを見つめる。
身長180サント以上ある男からは、どうしても見下ろす形になる。
「君のおかげで身の程を知ったよ。魔法の腕には自信があったし、それで成り上がってやるって王都へと出て来たんだが……魔法も使わぬ君の様な女性に負けたんだ、言い訳のしようもない。国に帰って嫁さんでも見つけてのんびりやるさ」
達観したような男の表情に、ルイズは何かを言わなければならないような衝動に駆られるが、うまい言葉が思いつかない。
ただ焦燥感に押されるように口を開く。
「あ、えっと……私は、その……」
「いいさ、一方的に私が恨み言を言いたかっただけだ。それと礼だ、気付かせてくれてありがとう。おかげで命は残ってくれてたよ」
貧乏貴族がモット伯の側近となるまでに必要な努力がどれ程のものなのか。ルイズにはわからなかったが、男の顔に刻まれた深い皺は、その一片なりとを感じさせてくれた。
「貴方は……」
ルイズの口からつい漏れかけた言葉、それをぐっと堪える。
「ん?」
男の前で、初めてルイズは笑みを見せた。
「あ、貴方は背も高いし、顔もそこそこ見れる。だから、きっと可愛いお嫁さんが見つかるわ」
男は不意を突かれたような顔をしたが、すぐに破顔する。
「ありがとう、もう会う事も無いだろうが達者でな」
去り行く男の背中に、口にしなかった言葉を心の中のみで送る。
『……貴方の方が強かったから、モット伯より先に倒したのよ』
恐らくモット伯の武名の幾分かはあの男が背負っていたのだろう。
しかし今更それを口にした所で意味は無い。あの男は、領地に戻り平穏に暮らすつもりなのだから。
そしてルイズは、

「さて。そういう話だけど、どうしてくれようかしら」

振り返って、頼もしき仲間達に不敵な笑みを見せる。
男と違い、まだまだルイズの戦いは続いていくのだから。



タバサは下町に知り合いが居るので、その者を使ってならず者に関する情報を集める事にした。
単独行動はなるべく避けるべき、との結論によりキュルケもそれにお付き合い。
そしてルイズと燦は、全くどーしていいのか思いつかないので、とりあえず気になった事をやっておく事にした。
基本、殴る相手が何処に居るかはっきりしてないと、動きずらいらしい。

ルイズが燦と二人で山ほどの花束を持って見舞いに行くと、ワルド子爵は喜色満面でこれを迎えた。
「やあ、良く来たねルイズ」
多少の社交辞令の後、ワルドはこの機会を逃すかとばかりに話題を切り出した。
「実はルイズ、君にプレゼントをしたいと思っているんだ。ただ私は女性の好みに疎くてね、それでだが……」
これから一緒に店を見て回らないかと持ちかける。
旧来は家に商人を呼びつけるのが慣わしであったのだが、最近トリスタニアの若い貴族の間では、意中の女性と共に買い物をするというのが流行っていたのだ。
もちろん大抵の女性は遠慮呵責無しに好きな物を選んでくれるので、これには裏づけとなる経済的余裕が必須なのだが。
キュルケからそんなスタイルがあるという話を聞いていたルイズは、飛びあがって喜ぶが、今行こうというワルドの言葉には流石に頷けない。
「しかしワルド様はお怪我が……」
「もう治ってるよ、医者がしつこいだけさ。さあ、そうと決まればすぐに行こう!」
多少強引な形で、ルイズと燦の二人を引きつれ病室を出る。
それとなく廊下を歩く人達の視線から逃れるようにしつつ、正門ではない中庭口から建物の外に出る。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 21:57:37 ID:/qfEDo0n
支援
8ゼロの花嫁18話 4/14:2009/02/23(月) 21:57:37 ID:w4jC8dNM
ルイズは小声で訊ねた。
「……もしかして、病室は退屈でした?」
「そりゃもう」
これだけは超本音なので、即座に答える。
更に言うなら、もっと面倒な事があるのだが、敢えて口にする事でもあるまい。

「貴様! 毎日毎日押しかけて来おって! 軍の仕事はどうした!? 平民混じりはロクに働かなくても良いとは随分お気楽な身分だな!」
「鏡見て物言えファック! てめえこそ毎日毎日仕事片付けて来てるフリして他の連中に押し付けてるだけなんじゃねえのか!?」

賑やかな正門付近をこそーっと避けるワルドに、ルイズも燦もつっこんだりしない優しさを持っていた。



冷静になれ、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
落ち着いて状況を整理するんだ。
まず、我々は病院を出てドレスの店に向かった。そこまではいい。
だが、そこでふと気が付いたら軍幹部ご用達の武器屋で武器を見ていた。
二人の女性をエスコートして、彼女達の希望に沿う形で万事を進めていたら、極自然に武器屋に居るとか意味がわからない。
彼女達がドレスを嬉しそうに選んでいたのまでは、理解出来る展開だった。
しかし、

この装飾品の短剣実用性無いわね → 店主カチンと来て反論 → じゃあ試してみましょう

→ 短剣をいきなり壁に向かってぶん投げる → 壁に根元まで深々と突き刺さった短剣を見て店主呆然

→ そこまでやっといて短剣の出来に文句を付けるルイズ → 店主発狂して怒鳴り散らす

→ 実用性のあるものが欲しいのなら案内しようと言ってその場を誤魔化し、店主に謝って店を出る(←今ココ)

どうすれば良かったんだ私は。
と、ともかくデートの一つもこなせぬでは子爵の名が泣く。きっちりルイズに好印象を与えねば。
ここから巻き返しを図る……あ、いや、ルイズはさっきの騒ぎもそれなりに楽しんでるようではあるが。

目の輝き方が違う。
私は呆然としながらルイズとお付の子、サンというらしい、が武器屋の店内ではしゃぎ回るのを見ていた。
盾はやっぱり便利だとか、槍は持ち運びが不便だけど最強じゃないとか、このメイスの黒光りが渋いとか、もう君等女の子やめれと。
「ねえ店主さん、片刃の剣は無いの?」
ルイズが訊ねると店主も即座に対応する。
二人共剣の目利きが出来るとわかると、店主も嬉しそうに対応するようになった。
自分が一番得意な武器の話題を可愛らしい女の子達と共有出来る機会なぞ、そうそうあるはずないのだから、店主の様も納得出来る。
サンが自前の剣を店主に見せた所、店主はとても嬉しそうだった。
「随分古い剣だが良く手入れされてる。自分が使う道具なんだ、きちっと自分で手入れしなきゃいざって時に頼れなくなっちまう。アンタ良くわかってるじゃないか」
サンと店主の会話を他所に、堂に入った姿勢で売り物の剣を見るルイズ。
軽々と振り回しているが、あれ、結構重いはずなんだが……
気を取り直して、話しかける。
「どうだい、気に入った物はあったかい?」
おーけい、私はこの程度で動じたりはしない。
武具のコレクターというのも中々に高尚な趣味ではないか。
「うーん、欲を言うのならもう少し長めがいいかしら。これだと軽すぎるのよ」
おいおい、それ短刀ではなく長剣ですよお嬢さん。
9ゼロの花嫁18話 5/14:2009/02/23(月) 21:58:08 ID:w4jC8dNM
「ちびっこのおめーにゃ、どう考えたって長すぎだろ」
流石私、突然サンの持つ剣が口をきいても動じない。
「何ですってええええ!! ……でもまあ確かに。これだと私じゃ鞘から抜けないわ。店主さん、少し短めでもっと重いの無いかしら?」
…………というかルイズ。もしかしてサンのではなく、君が使う剣を探しているのかい?
店主が幾つか引っ張り出してきた剣、その中で、一際輝く鉄の剣がルイズの目に止まった。
「これ凄いわ……もしかして種類の違う鉄を何重にも重ねてあるの? どうやって作ったのよこんなもの」
「良く気付いたね。ゲルマニアで作られた物で、硬度は文句無しだけど、何せサイズと重量のバランスが悪くてね。これを作った奴もすぐに普通の作り方に戻したらしい」
とにかく重くて扱いずらい、と説明されたルイズは、剣を片手でぶんぶん振り回す。
「……え?」
物凄い真顔になる店主。
「いいわ……このぐらいの重さでないと私使いずらい。両手持ちが基本になるけど……うん、悪く無いわ。固定化はかかってるのよね?」
「あ、ああ。そりゃ一応一級品だから……」
サンが持っている剣より一回り小さいぐらいの剣だ。おそらく重量はこちらの方が重いであろう。
ルイズから剣を受け取ったサンが、今度はゆっくりと振り上げ、同じようにゆっくりと振り下ろす。
「う〜ん、ルイズちゃんじゃとこれ少し重いかな。疲れるの早くなるで」
「いいのよ、その分更に鍛えるから」
「えー、また量増やすん? 朝起きる時間また早めなならんで」
「付き合いなさい。最近ちょっと楽すぎかなって思ってた所なのよ。目標がはっきりしてれば気合も入るし」
もう買う気満々で剣の値段を店主に問うルイズ。
……しまった。私も呆気に取られてて金を出すタイミングを外した。
が、まあ問題無いようだ。
あの物凄い衝撃を受けつつ、失望に塗れた顔を見れば、金が足りていないのは良くわかる。
「ルイズ、もし良ければ私にプレゼントさせてもらえないか? そもそも今日はその為に来たのだろう」
私の申し出を、申し訳無さそうにしながら全力で拒否してくるルイズ。
案外しっかりしている。こういう慎ましさなどは可愛げがあるとは思うのだが、買ってあげる物が物だしなぁ。
「頼むよ、婚約者にプレゼントの一つも渡せない甲斐性無しと思われては、我が家の恥だ。私を助けると思って、ね」
婚約者に実用一点張りの剣を買ってやるというのもどうかと思うがな。
しばらく粘るとルイズは恥ずかしそうに頷いてくれた。
うむ、この辺は以前の小さいルイズのままだ。
サンと嬉しそうに剣を持ってはしゃいでる。本当に嬉しそうだし、ルイズもサンも揃って見目麗しい事も手伝って、とても微笑ましい光景だと思う。
「嬉しいっ! 帰ったら早速勝負しましょうサン! この重量ならサンの剣ごと弾き返せるわ!」
「ええで〜、そんな硬そうな剣真正面から受けたりせんけどな〜」
「言ってくれるわね。見てなさい、今日こそは師匠越えを果たしてみせるわ! 腕の一、二本折れても文句言わないでよね!」
「ふっふっふ、十年早いでルイズちゃーん。剣が折れないってわかってるなら私も本気で打ち込むきに!」
愛らしいかどうかは判断に迷う所だが。
不良在庫を適正価格と思しき値段ではけた店主は、嬉しそうに手を振って私達を見送った。
サービスでナイフを二十本も付けてくれた辺り、かなり売り飛ばしたかったんだろうと思う。
まあいいさ、プレゼントを値切る訳にもいかんしな。
二人は揃って私に礼をして、学院へと帰って行った。
デート最後のサプライズとしてグリフォンで学院まで送ってやろうと思っていたのだが、ホントにスマンルイズ、今日はもう限界だ。色々と魂的に。

よっぽど部下達の相手してた方が楽だったと、改めて年頃の女の子の相手は難しいと認識しなおすワルドであった。



シュバリエの叙勲を受けたアニエスは、ここ一月程目が回るような忙しさに見舞われていた。
軍内部に新設された捜査部の立ち上げと、幾つかの捜査にてんてこ舞いだったのである。
ワルドが目を付けていた各部の人間を、女王認可の下片っ端から引っこ抜いて来たせいで、軍部の上のお方々には随分と睨まれている。
だから、ただ立ち上げるのではなく、同時に幾つかの案件を解決し、有用性を認めさせなければならない。
10ゼロの花嫁18話 6/14:2009/02/23(月) 21:59:20 ID:w4jC8dNM
アニエスは捜査の方に回っていたのだが、捜査だけに専念させてくれる程、人に余裕も無かったので、何やかやと捜査部の建物に寝泊りする日が続いている。
特にスパイ撃破の為とはいえ、ワルド自身が重傷を負ったのが痛かった。
おかげで軍でのワルド子爵の武名が跳ね上がってくれたので、楽になってくれた部分もあったのだが。
宮廷での評価はさておき、伝説の傭兵メンヌヴィルの恐ろしさは軍には充分に伝わっていた為、そんな相手を一騎打ちにて撃破したとなれば軍での評価も上がろうというものだ。
捜査部全体のモチベーションの高さも尋常ではなく、指揮官クラスの人間は皆アニエスの様に泊り込みで仕事を続けている。

この一月で一年分は働いたわね。
そんな言葉を捜査部宿舎にてアニエスが漏らすと、部内の同僚達は疲れているにも関わらず愉快そうに笑う。
誰もが強要されるでもなくこんな無茶な仕事の仕方をしているのは、一重に捜査部の意識の高さ故である。
任務に対する誠実さ、強い正義感、本来持っていたそれを存分に発揮出来る場所を、誰もが求めていたのだ。
疲れたから辞めたいなどと、つまらぬ事を言う者など居るはずもない。
こういった人材ばかりを集めたワルドの、人を見る目には感服せざるをえない。
捜査の進め方に関して、他の者には負けぬ自信があったアニエスであったが、着任三日目でより優秀な人間に教えを請いつつ自らの物としていこうと、スタンスを変えざるをえなくなった。
それを不快と思わぬ、そんな雰囲気が捜査部にはあった。
正直、楽しくて仕方が無い。
夢中で走りぬけたこの一ヶ月を振り返ると、そう思えてならないのだ。
これをロングビルと共に出来れば、そうも思ったが、そこでくすっと笑いがこみ上げてくる。
『そういえばロングビルは余り仕事が好きではなかったな。彼女にこんなペースで仕事をさせたら、怒り狂うかもしれん』
1/4刻刻みで仕事を管理するようなやり方、とてもじゃないが嫌いな人間にはさせられない。
ようやく立ち上げの方は目処もついた事だし、明日辺り久しぶりにロングビルを誘って飲みにでも行こう、そう心に決め、ワルドの元へ報告に向かう。

何時もの病室で、何故か子爵は大層疲れた顔をしていた。
「体調が優れぬようですが。明日以降出直しましょうか?」
「いや、構わない。仕事の事を考えている方が気は楽だ」
不思議な事を言う子爵であったが、大丈夫だというのなら申し訳無いが仕事を優先させていただく。
何せ報告事項と認可を求める書類が山積みなのだ。
「……といった次第でして。高等法院の件は踏み込むだけの資料が揃いました」
「まだ早いな。本丸を落とすにはもう少し外堀を埋めないと謁見の間で引っくり返される。街の動きは?」
「やはり検挙した組織の残党が一つ所に集まって来ています。連中絡みで一騒動ある、というのが我々の認識です」
「誘うか?」
「そのつもりで準備はしていたのですが、どうも他所で似たような事を考えている者が居るようで積極的に奴等を取り込んでおります……その者が何者かは現在調査中なのですが」
「残党を集めて何かをする? いずれも今のトリスタニアでは金を集める事も出来ぬような連中ばかりだぞ、誰がそのような真似を……」
「一番可能性が高いのはやはりガリア諜報員の筋でしょうが、さんざ叩いた後ですし、我等も対象を絞れずに居るのです」
「連中を使って今のトリスタニアに入り込むにも、利が無さ過ぎる。となると怨恨の筋か……」
「恩赦で外に出た奴等の中で、目立った馬鹿共は軒並み始末した後ですし、そういう意味では子爵が一番狙われやすいとは思うのですが」
「心配するな、私はもう好きに動ける」
「でしょうな。でなくば如何に子爵とて女連れで遊びまわる何て真似も出来ますまい」
今日は厄日か、とでも言いたげな顔で苦笑する子爵。
「見張ってたのか。全く、君達は本当に優秀だよ。私も気付けなかった」
「勘弁して下さい、大慌てで一個小隊丸々周辺警戒に付けたのですから」
そう言いながらも子爵の女性関係が中々に賑やかなのも知っている。
これ程の人物だ、さもありなんと理解はしているのであるが。
「悪かったよ。ところで、彼女達にも護衛は付けたのかい?」
「いいえ、必要ありません。あの二人で勝てぬ相手でしたら、一個小隊全部付けても意味がありませんし」
怪訝そうな子爵にアニエスは、以前この街でチンピラ相手に大立ち回りをした燦の事、アニエスが自ら「訓練」してやってるルイズの事を説明する。
子爵は、何とも形容しがたい表情であった。
「……そう、か。我が婚約者殿の武勇伝は、決闘、モット伯のみに留まらぬか……いやはや、とんだ跳ねっ返りに育ったものだ」
11ゼロの花嫁18話 7/14:2009/02/23(月) 21:59:58 ID:w4jC8dNM
全身から血の気が引いた。

いや、ちょっと待って下さい子爵。その婚約者って……えっと、ししゃくのだいじなだいじなこんやくしゃが、あのばりえーるなのですかー。
わたし、ほんのちょこっとだけ、ぼっこぼこにぶちのめしてしまいましたよー。
いえいえ、まいにちではなく、しゅうにいっかいぐらいのぺーすですが、くやしなきするぐらい、めっためたのぎったぎたに、たたきのめしてますよー。とてもたのしゅうございましたー。

これはマズイ。他のどうでもいい貴族ならさておき、大恩あるワルド子爵に恨まれるのは私の本意ではない。
な、何とかせねば……ええい、こういう時ロングビルが居れば……。
「縁がありまして、な、中々に見所がある故、少々厳しく鍛えております」
良し、嘘は言ってない。さんざ扱き下ろして来たが、あれはあれで、当然私には及ばないが、使える奴でもある。意味不明な程にタフだし。
「そうかい、なる程ね。捜査部一の剣の使い手も一緒になって鍛えているというのであれば、あの腕力も理解出来る。君の事だ、随分と厳しくしているのだろう?」
「それはもう……で、ではなくてですねっ! き、貴族の子女にあるまじき行為とも思いますが、当人のたっての希望という事で仕方なくですな……」
ワルド子爵は哀れむような視線でこちらを見ている。
「彼女の相手は苦労するだろう。私にも良くわかるよ」
「は、はあ……」
どうも子爵もあの小娘には手を焼いている模様。
内心だけで安堵の吐息を漏らすと、子爵から幾つかの指示を頂戴し、退室した。
「全く、つくづく人の邪魔ばかりしてくれる。あの小娘めが……」
でも、次勝負持ちかけられたら少しだけ優しくしてやろうとか、ちょっと日寄った事を考えてたりする今日この頃。



ヴァリエール家長女、エレオノールはつまらなそうにテーブルに頬杖を付く。
華美すぎる装飾を避けつつ、奇異なセンスと上品さを両立させた優雅な室内は、見た目にも楽しい造りとなっている。
運ばれてくる料理も独特で、それでいて味や食感に品があり、貴族向けの料理としては花丸をあげてもいい。
文化の粋を集めた王都トリステインならではの貴族専門店に、他の客達は皆満足そうにしていた。
「退屈、ですか?」
テーブル正面に座るこの男。
グラモン家の三男坊は、女性的な仕草でそう訊ねてくる。
女々しいといった意味ではない。万事に優しげな所作が、そう思わせてくれるのだ。
「……いえ、毎回思うのですが、ミスタ・グラモンは本当に軍人らしからぬな、と」
食事時の話題でも、彼は決して軍の話を持ち出して来ない。
職場の話は、誰しもしたくて堪らないはずであるのに。
「そういった話がお好みで?」
「大っ嫌いですわ」
「ではやはり無しにしましょう、ミス・ヴァリエール」
エレオノールの表情が怒りに歪む。
「……その呼び方は気に入らないと、先日言いませんでしたか?」
特にミス、の所がとは言えないようだ。
「そうですか、ではどのようにお呼びすれば?」
「エレオノールで構いませんわ」
つまらなそうに言い捨てる。
「わかりました。ではエレオノール……」
今度は癇に障る所ではない、憤怒の形相に変わる。
「ミスタ・グラモンッッッ!!……少し、馴れ馴れしすぎやしませんこと?」
もうどうすればいいんだコイツはと。
そんな理不尽にもミスタ・グラモンはにこやかに応える。
「では、エレオノールさん、でどうでしょう?」
不服そうに頷くエレオノールを見て、ミスタ・グラモンは満足気な顔をした。

こうして直接会うのも既に数度に及ぶ。
エレオノールはミスタ・グラモンを通じて、ルイズの学院における近況を調べていたのだ。
ミスタ・グラモンは弟のギーシュから話を聞き、エレオノールへと伝えているのだが、特に伝えるべき事が無くてもこうして食事に誘ったりしてくる。
エレオノールの職場での話を嬉しそうに聞いてくるので、エレオノールもついつい色々話したり、相談してしまったりもしている。
「ミスタ・グラモンは余りご自身の事は話したがらないのですね。そんなに自分に自信が無いのですか?」
プライベートでこうして何度も会うなど、それなりに親しいといってもいい間柄であるにも関わらず、こんな呼び方をする所が、とてもエレオノールらしい部分である。
ミスタ・グラモンは自嘲気味に笑う。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 22:00:16 ID:sU90+hO1
S.I.E.Nッ!
13ゼロの花嫁18話 8/14:2009/02/23(月) 22:00:30 ID:w4jC8dNM
「実は、少し落ち込んでます。……エレオノールさんはワルド子爵が新設した部隊のお話は聞いてらっしゃいますか?」
「ええ、まあ」
何時でもにこやかマイペースな彼が、自分からそれを崩して来たのは初めてだ。
「お話を伺った時、お恥ずかしい話ですが、きっと私にもお声がかかる。そう思っていたのです……」
エレオノールも、ワルド子爵が軍の優秀な人間を片っ端から引っこぬいている、そんな話を聞いてはいた。
「貴方の実力が不足していただけの話では?」
「その通りです。そんな私に自信を持てとは、少々酷な話です……」
本気で落ち込んでるミスタ・グラモンを他所に、エレオノールは給仕に新しい強めのウィスキーを頼む。
給仕が酒を持ってくると、エレオノールは自分のグラスではなく、ミスタ・グラモンのグラスに注ぐよう命じる。
「え?」
きょとんとした顔のミスタ・グラモンに、エレオノールは不愉快そうに言う。
「男の愚痴はみっともないだけですわ。自身の力が認められないからといって不平不満を漏らすだけでは、平民と変わりません」
エレオノールがグラスを持ち上げると、ミスタ・グラモンも反射的にグラスを手に持つ。
「明日からまたやりなおしなさい。それ以外、貴方程度に出来る事などありませんわ」
当人これで慰めてるつもりなのだから、そりゃ婚約者も逃げるわというお話である。



彼方に響く、剣撃の音。
ちゃんちゃんばらばらと賑やかな早朝、最近はそこに歌まで加わり大層騒々しい訓練となっている。
早朝のランニングにて山奥まで駆け、巨岩が転がる水辺にて訓練開始。
燦の英雄の詩を聞いているルイズさんの表情も、ようやく硬さが取れ、単に精神が異常高揚するだけとなっていた。
その被害でか、そこらの巨岩は半分以上粉々に砕かれていたりするのだが。
朝の訓練が一通り済んだルイズは、汗だくでべたーっとだらしなく地面に寝そべっている。
「……ちょっと、今日は無理しすぎたかも」
同じく、衣服が肌に張り付いてしまう程の汗をかきながら、近くのちょうどよい岩に座る燦。
「ルイズちゃん、新しい剣もらってから毎日それ言うてる」
「歌止めてもしばらく余波で気分盛り上がっちゃってるんだもの。やっぱその歌凶悪だわ」
しみじみと述懐するのは、岩に立てかけてあるデルフリンガーだ。
「ルイズも随分と人間離れしちまったなあ。お前さん何処までぶっちぎるつもりだよ、下手すりゃブリミルにだって負けないだろそれ」
荒い息でありながら、ルイズは表情を引き締める。
「冗談、英雄の詩に頼ってるようじゃ真の強さとは言えないわ。最強への道のりは遠く険しいのよ」
「……さいでございやすか」
今では恐くて娘っこ何てとても言えないデルフリンガーは、つっこむのも面倒なのかそれ以上何も言わない。
「何でだろうな、すんげえむかーーーーーーーーしに前の使い手と色んな所旅して回った時を思い出したよ。連中もやたらトラブルに見舞われてたっけな」
デルフの自分語りが珍しいのか、燦が興味深げに話を促すと、デルフはぽつぽつと語り出す。
「前のガンダールブが俺っちを使ってた時の話さ。今みたいに色んな事が纏まってやしない頃、騒々しいが、賑やかな時代だったな……ってそうだ! 忘れてた!」
「ん? どうしたん?」
「俺随分前に、ヘボ剣士に使われるのが嫌で体中錆だらけにしたんだっけか! そうだよ! 相棒が氷の魔法打ち返した時、何か変だなーって思ってたんだが、良く考えたら俺魔法吸収出来んじゃん!」
聞き逃せない話にルイズが口を挟む。
「前のガンダールブ? それって始祖ブリミルの使い魔の話じゃないの?」
「そうだよ。言ってなかったっけか」
「……アンタどんだけ長生きなのよ」
更なるルイズのつっこみと脅しにより、デルフは本来の輝く姿を取り戻す。
始祖ブリミルの勇姿にも興味があったルイズであったが、デルフはその頃の事をほとんど覚えていなかった。
「はっはっは、数千年分の記憶とかお前覚えてられるか?」
ふざけるなと怒りかけたルイズであったが、デルフのこの言葉には納得するしかない。
何時もの事ながら節々がびっきびきに痛むのを無視してルイズは立ち上がる。
そろそろ戻らないと授業に遅れてしまうからとそうしたのだが、立ち上がり少し遠間が見えるようになったルイズの視界に、一頭の馬の姿が映る。
「あら……あれは、シエスタ? いや、丈の長いスカートで馬に乗るのは止めた方がいいと思うんだけど……」
14ゼロの花嫁18話 9/14:2009/02/23(月) 22:01:14 ID:w4jC8dNM
うまい事鞍との間で挟んでいる前側はさておき、後ろ側はスカートの裾がわっさわっさと派手にたなびいている。
そんな様子からも見て取れるように、とても焦った様子でシエスタはルイズ達の下へと辿り着く。
「申し訳ありませんでした!」
馬から飛び降りるなり、開口一番頭を下げる。
ルイズ達が学院に戻るより、随分と遅れての帰還を詫びているのだ。
主人より遅れるなどメイドのありようとして、あまり褒められたものでもないが、そもそも予定より早く戻って来たルイズが悪いといえば悪い。
母相手の大立ち回りで、ちょびっと実家に居ずらくなったせいなのは、キュルケ達にすら秘密なのである。
そのキュルケも必要な物が揃うなりとっとと戻って来てしまっているしで、シエスタもメイドとして立場が無い。
ルイズは恐縮するシエスタを笑って許しつつ、ちょうどいいからと馬に乗ってペースメイカーをやるよう命じる。

後にシエスタは語る。
「あれは生き地獄と同義です。悪意は無いのでしょうけど、お仕えする者としてこんな心苦しい話はありません」
シエスタが馬に乗り、ルイズと燦がその後を走る。
汗をだっくだくに流し、必死の形相で主が走っているのに、従者たるシエスタは楽々と馬を走らせているだけなのだ。
例えルイズがぶっ倒れようとも、決して走る速度を変えてはならない。
そんな冷酷無比な命令を受け、半泣きになりながらシエスタは馬に跨る。
そして同じく従者たる使い魔燦が又鬼なのだ。
「ペース落ちてるで! もっと膝を上げて! 腕の振りが足りん! 限界の一つや二つ、笑いながら越えたらんかい!」

サンも熱くなると、すぐこうだから……
いっそ代われと言ってくれた方が楽です。あっと言う間に倒れるだろうけど。
走りながら、言われる通り無理矢理笑顔を作るルイズ様は、もう、何というか見てられません。
私は誓いました。もう二度とルイズ様の訓練には関わるまいと。

学院に戻った所で、前後もわからぬ程に疲れ臥すルイズ様をさておき、私はサンと少しお話をしました。
実家にあった石碑に刻まれた文字をサンに見せると、サンは、ああこれはな、と事も無げに読んでしまいました。
やはり私の考えは正しかったのです。
違う世界からやって来たと言っていた曾おじいさんの話をすると、サンは驚き、あろう事か「実は私もそうなんよ」とあっさりと言ってくれます。
「あーっと、これ内緒じゃった。ごめんシエスタちゃん、内緒って事にしといて」
そんな大層な秘密をあっさりさっくり使用人に漏らさないで下さい。私にも立場ってものがですね。
「……いや、内緒にしといてじゃないでしょ。サン、貴女まさかその調子で他の事もべらべら話して無いわよね」
これが一番びっくりしました。
声も出せない程に疲労し、医者を呼ぼうとまで思っていた(サンが何時もの事と言うので諦めた)ルイズ様が、まだ息は荒いままですが、何時の間にか回復して側に立っていました。
「あ、あはは。大丈夫じゃて、私口は堅い方じゃから」
硬いとかぬかす口は、一体どの口でしょう。
ルイズ様もサンのそんな様子には慣れっこなのか、軽く嘆息すると私に問いかけます。
「その曾おじいさんの話、少し詳しく聞かせてちょうだい。もしかしたら、サンを元の世界に戻してあげるヒントがあるかもしれないわ」
問われるままに答えると、ルイズ様の目が鋭さを増しました。ちょっと、というか、凄く、恐い、かも、です。
今日は授業は休み、と一方的に宣言し、ミスタ・コルベールとキュルケ様、タバサ様を呼びに行くよう申し付けられました。
わ、私何か大きな失敗でもしたのでしょうか……。

え? 皆様の呼び方が変わっている理由ですか?
これは私のケジメみたいなものです。
私の忠義は家名にではなくあの方々個人に対するもの。だから、そう断って以後はお名前で呼ばせていただいております。
例え如何なる事があろうとも、ルイズ様、キュルケ様、タバサ様に生涯お仕えする、そう心に決めた証でございます。

何時もの四人にシエスタ、コルベールを交えた話し合いは続く。
結論として、シエスタの曽祖父が口にしていた数々の話は、燦の居た国の過去の話であり、時間差を計算してもほぼ歴史は一致する。
曽祖父は結局元の世界には戻れずじまいであったが、召喚のゲート以外でこちらに来たという話は調査の価値がある、とコルベールは言う。
竜の羽衣の外見にしても、おそらく燦の世界にあった飛行機と呼ばれるものであろうという所まで話は進んだが、これ以上は現地での調査を要するとなる。
早速行こうと言うルイズ達であったが、これを止めたのはコルベールだ。
15ゼロの花嫁18話 10/14:2009/02/23(月) 22:02:37 ID:w4jC8dNM
「君達、幾らなんでも授業出なさすぎだ。自主学習分で進度が遅れているとは言わないが、これ以上学生たる本分を蔑ろにしてはいかん」
全員一言も無いわけで。
それでもコルベールは燦の件に関し、召喚の儀での責任者であったという事を気にしてか、以降は私が調査しようと言ってきた。
流石にそこまでは、と言って断るルイズであったが、コルベールは自信満々で、私に任せたまえと言って強引に引き受ける。
オールドオスマンから問題児達の担当を外すと言われた事が、この件に影響してるか否かは当のコルベール自身にしかわからぬであろう。
常に無く自己主張するコルベールに、ならばとルイズはシエスタを預け、調査行を依頼する事にした。
ルイズは最後に、シエスタの両肩に手を置く。
「私はどうしてもサンを元の世界に帰してあげなきゃならないの。どうか、貴女の力を貸してちょうだいシエスタ」
シエスタは、例え地獄の業火に焼き尽くされようと、使命果たして御覧に入れます。と決意を口にした。
横からキュルケが笑って言った。
「地獄の業火がどんなものか知らないけど、火に燃やされるって洒落にならないぐらいキツイから止めといた方がいいわよ」
何処ぞのグリフォン隊隊長殿も、心から頷くであろう言葉であった。



「師匠! 師匠と呼ばせてくだせえ!」
賭場を出た後、鍛冶屋の男はタバサに土下座して前非を詫びる。
学生ごときに博打の何たるかがわかるもんかい、そう馬鹿にしていたのだが、いざ賭場に出てみると男の負け分を吸収しきって尚浮きがあるほどの大勝利をタバサはやって見せた。
「あれは壷振りが手加減してた」
最後まで良くわからないといった顔をしていたキュルケがタバサに聞き返す。
「手加減?」
「平民を守った英雄、そんなキュルケの連れである私に壷振りが配慮してた。最初に言ってた通り、英雄から金は取れないって事だと思う」
「……それって壷振ってる人が出目を操れるって事?」
「それが出来なきゃ壷振りはやれない。その上で壷振りは客の張りを予想して目を出す。その読みをいかに外すかが本来のサイコロ賭博」
はー、そーなんだー、的な顔をしているキュルケ。
モット伯晒し者事件の影響はこんな所にも出ていた。
モット伯が人を集めているという情報を確認する為鍛冶屋の男を頼ったのだが、なら付き合えと賭場まで付き合わされたのだ。
妙に乗り気なタバサと共に賭場に入ると、目ざとい人間がキュルケの顔を見て件のメイジだと気付いた。
おかげで賭場の責任者がわざわざ頭を下げに来るぐらい丁重に扱われたキュルケは、平民の遊びも悪くないわね、とちょっと良い気分であった。
タバサの勝ちと男の負けでトータルすると、大体豪勢な夕食を楽しめる程度に勝っている。
金額まできっちりコントロール出来るなんて、ちょっと見ない程に見事な腕だったと、壷振りを賞賛するタバサ。
一行は男の馴染みの店で祝杯を挙げる。
男は大き目のジョッキに、並々注いだ酒を一息にあおる。
「まあ事情はわかった。んでもさっき見てわかる通りだ、トリスタニアで今ルイズ様やキュルケ様にケンカ売るような罰当たりはちょっと想像つかねえな」
外れか、と落胆する二人であったが、男は続ける。
「だがまあ、何処の街でもどうしようもねえ悪党ってな居るもんでな。流石の俺様もそういった仁義もクソもねえ連中との付き合いはごめん被るって話で、つまり、そいつらの話となると俺にも解らねえ訳よ」
結局の所、実のある話を聞く事は出来なかった。
だが、男は最後に笑って言った。
「今のトリスタニアで無法行為なんぞ出来る訳ぁねえんだよ。それがわかってねえ馬鹿共がまだ居るらしいが、遠からずそいつらもみんなまとめてお縄だろうさ」
タバサが怪訝そうな顔をしている事に気付いた男が告げる。
「ワルド様率いる鬼みてえな捜査部が睨みきかせてんだ。トリスタニアの主だった連中はみんなとっくの昔に抑えられてる。今平民の間で、特に法を犯してる連中にゃ最も恐れられてるお方さ」
ただ悪党を潰すのではなく、その後の利益移動や物流、人の流れまでを考えて動く捜査部のやり方は、強引すぎる手法でありながら、平民達からは広く受け入れられていた。
「他のどんな貴族でも出来なかった事をさらっとやってのけちまうんだ。天才だぜ、ワルド様は。ははっ、トリステインの未来は明るいぜ、全くよお」

帰り道、タバサの使い魔シルフィードに二人で乗りながら、素直にルイズ経由でワルド子爵を頼ろうという事で話は纏まった。
そして残った時間はというと……
「ようやく話せるようになったのね! キュルケはきっとおしゃべり大好きだから、話すの楽しみにしてたの!」
16ゼロの花嫁18話 11/14:2009/02/23(月) 22:03:38 ID:w4jC8dNM
きゅいきゅい騒ぐシルフィードの相手で全てを費やしてしまう。
タバサからシルフィードは実は風韻竜であると打ち明けられた。
超貴重な種であり、騒ぎになるのが嫌だったからと秘密にしていたのだが、これ以上欠片も秘密を持ちたくないというタバサの意向により、キュルケ、ルイズ、燦はこれを知る事となった。
「……相当我慢してたみたいね」
「……うん」
何を言おうと全然聞く耳持たず、いつまでも騒ぎ続けるシルフィードに閉口しながらも、二人は風情のある夜空の散歩を楽しんでいた。



ルイズからもたらされた情報が決定打であった。
ワルドはモット伯周辺の動きを探らせると、あっと言う間にならず者達の流れを捉える事に成功した。
あれだけの騒ぎの後だ、モット伯も大人しくしているかと思いきや、こんな思い切った手を打ってくるのは捜査部の人間にも予想外であった。
ヴァリエール公によるモット伯包囲網により、既に幾つかの利権を手放すハメになっていたモット伯は、捨て身で財産を放出し、ルイズ達に恨みの一撃をくれてやらんと狙っていたのだ。
ワルドは人の悪そうな笑みでアニエスに問う。
「ツテはヴァリエール公により封じられた。ならば金のみで動かせるものを全て活用しようという腹だろうな」
アニエスは、一目見ただけで二度とアニエスには逆らうまいと人に思わせる程の、冷酷無慈悲な表情で答える。
「金のみで動く。トリスタニアで明快にそれが為せる相手が動く、そういう事ですね」
「現場を押さえる。この件は君が特に志願していた件だ、君に任せようと思うがどうかね」
深々と頭を下げるアニエス。
「ご配慮痛み入ります。我が身を捨ててでも高等法院への切り込み、成し遂げて御覧に入れましょう」
「アニエス」
「はっ」
ワルドは悪夢から飛び出してきたような、鬼気迫るアニエスの表情にも怯む様子は無い。
「この程度の件で君を失うなどあってはならない損失だ。リッシュモンを追い詰め、なおかつ当然のごとく無傷で戻って来たまえ。君になら出来るはずだ」
君になら、君達になら出来るというのはワルドの殺し文句である。
ワルドがこれを口にする時は、同時に物凄い無理難題を押し付ける時でもあるので、捜査部ではある意味禁断の魔法並の扱いを受けている言葉だ。
しかし、アニエスは更に深く頭を下げ、心からの感謝の意を述べ退室していった。

半月後、謁見の間にて高等法院長リッシュモンの進退が取り沙汰される。
数多の味方を持つはずの彼の弁護をしてくれるものは、誰一人として居なかった。
特に女王アンリエッタの失望は甚だしく、長年仕えて来た功により爵位剥奪こそ無かったものの、公職追放という重い罰を科される事となった。
これは良い機会とばかりにマザリーニの仕掛けた策略により、財産の全てをも没収された彼は、失意のまま都を落ちていく。
彼が蓄財した全てをかき集めると、何とトリステインの国家予算一年分にも相当する額であり、王家は高等法院長の失脚という重大事を埋めて余りある利益を得ていた。
この件で大きな利益を得たマザリーニ、ワルド、そして後任の高等法院長は、裁決が下った夜、自室で同時に祝杯を挙げる。
トリステインの権力図を塗り替える、これが最初の一撃であった。

トリスタニアを離れる馬車がある。
夕暮れ時の茜色に染まった空と、がらがらと揺れる下級貴族の使うような古ぼけた馬車が、栄枯盛衰の儚さをリッシュモンに思い知らせてくる。
共の者も御者と小姓が一人づつのみ。
引き止める者も見送る者もおらず、無念さに涙しながら都を落ちる。
「止まれ」
フードを目深に被った者が道に立ち塞がり、すらりと剣を抜くと御者と小姓は我先にと逃げ出していく。
馬車の窓からその様子を見たリッシュモンも悲鳴をあげながら馬車から飛び降りるが、運動に慣れていない体は言う事を聞かず。
転倒し、地面をしこたま嘗めるハメになった。
「司法取引だ。タングルテールの虐殺での生き残りを探している。知っている限りの情報を教えろ」
女の声、しかし地面に倒れるリッシュモンは、そんな事より己の浅慮を大きく悔やむ。
転倒していたせいで、懐の杖を取り出す間も無く剣を突きつけられてしまったのだ。
人数が一人とわかっていれば、馬車の中からの魔法で蹴散らせたかもしれなかった。
「司法だと? 貴様官憲の類か? そ、それに取引材料も出さぬ取引なぞ成立するものか」
「この先に待ち構えて居るだろう、お前に恨みを持つ者達からその身を守り、無事に領地まで送り届けてやる。不服か?」
リッシュモンは虚勢を張って言い返す。
「ふん、平民の助けなど借りずとも我が魔法で……」
17ゼロの花嫁18話 12/14:2009/02/23(月) 22:04:18 ID:w4jC8dNM
「では好きにしろ。何処に何が待ち構えているかも知らず、追撃を逃れる抜け道も知らぬお前がどうこの窮地を切り抜けるのか、お手並み拝見だ」
フード女は剣を引き、身を翻す。
慌てて追いすがるリッシュモン。
「ま、待て! お前捜査部の人間だな! な、ならば部下も何処かに隠れているのだろう!? 私に恨みを持つ者が居るのか!? そんな情報を得たのだな!」
「取引だ」
「な、ならば私を無事に送り届けた後……」
「お前がそうしてくれるなら我々は効率良く作業を進められる、それだけだ。お前が居なくともいずれ同じ成果は挙げられよう」
二、三人付け、抜け道を潜って領地までに辿り着く間のみの労務で済むのなら、調査に関する手間をかけるよりは効率的だろう。
それ以上を望む、もしくは時間を大切だと考えぬというのであれば、そんな手間のかかる情報は不要だ。
勝手に何処でなりとのたれ死ねというフード女の言葉に、リッシュモンは項垂れる。
「我々は情報を得、貴様は命を得る。信用が必要ならば貴様も随分見慣れただろう身分証を幾らでも見せてやろう」
そう言って捜査部所属である事を示す、紋章入りの指輪をリッシュモンに見せると、彼はようやく折れた。

それが重要な情報でなければ、見捨てられるやもしれぬ。
そんな不安がリッシュモンを掻き立てる。
自身がいかに重要なポジションでタングルテールの件を処理したか、立案から実行に至るまでの経緯を事細かに説明する。
尤もらしくロマリアとの友好云々と言っている部分は、まあリップサービスのようなものだ。
ここで動いた金云々と言った所で誰も得はすまい。
以上、部下からの報告からも生存者が居る可能性はゼロであるとリッシュモンは結論づける。
それこそ特務部隊の精鋭である隊員達が裏切りでもせぬ限り、生存の可能性などありえぬと言い切った。
フードの女は、目深に被っていたフードを掻き上げる。
思っていた以上に若い。
鋭い視線が、まるで敵を見るようである。
「……いいや、生存者は居た」
「だからありえぬと言っている。あのジャンという若い隊長は一欠けらの躊躇も無く全てを焼き払ったと他の隊員全てから報告が上がっているんだ」
女は、泣いていた。

「私が……唯一の生存者だ!」

いきなり斬りつけられた。
全身をなますのようにめった斬りにされる中、私は、どうやら選択を誤ったらしい事に漸く気付けた。
何の事はない、こいつが、捜査部に所属しているこいつこそが、私に恨みを持つ賊であったのだ。
「……う、うそつきいぃ……」
子供の様なそんな言葉が、私の今生最後の呟きであった。



既に退院したワルドは、執務室で任務の報告を受ける。
憔悴しきった顔でワルドに報告事項を告げるアニエス。
一通りの捜査資料を整理し終えたと伝えた後、思い出したようにリッシュモンが賊に殺された旨を付け加える。
「……おそらく、彼に恨みを持つ何者かの犯行かと」
リッシュモンの末路にはさして興味も無いのか、ワルドは特に返事もせず書類を見渡し判を押す。
「復讐か……誰がやったかは知らんしどうでもいい事だが、殺して終わり、では意味が無いと私は思う」
内心、心臓が飛び出しそうになっているアニエスを他所に、ワルドはぺらっと紙をめくる。
「誰かを殺したい程に憎む、そんな気持ちも理解出来ないでもないが、怒りも悲しみも、力に変えられぬようではどの道そいつに先は無いさ」
誰に語るというのでもないだろう。独り言のように呟く。
「全ての想いを、自らの信念を支える糧とし突き進む。そう出来てこそ、自身を想い倒れていった者の無念は晴らされる。私は、そう思っているよ……」
判を押し終えると、ワルドが最近良くやる苦笑を見せる。
「っと、済まない。どうもここの所愚痴っぽくていけないよ。ご苦労様アニエス、君は期待以上の働きをしてくれた。皆もそれを認めているだろう。良くやってくれた」
陰鬱な表情を貼り付けたまま、アニエスは頭を下げ退室した。
何時もは反応がとても素直なアニエスらしからぬ行動に、ワルドは顎鬚を撫でながら考える。
「流石に無理をさせ過ぎたか。疲れも溜まっているようだし、休暇でも与えてゆっくりさせてやらんとマズイ……か」
激務が常になってきている捜査部においても、アニエスのここ最近の働きは目を見張るようであった。
それだけに無理を重ねて来たのだろう。素晴らしい功績を挙げた事でもあるし、他の連中もアニエスならば納得するだろう。
休む暇など与えない事で有名になりつつあったワルドは、必要書類を書き上げアニエスに二日間の特別休暇を与えた。
18ゼロの花嫁18話 13/14:2009/02/23(月) 22:04:54 ID:w4jC8dNM
ちょっとアニエス優遇しすぎかな、などと考えていたワルドの思考は捜査部外からの反応がかき消してくれた。
事情を聞いたグリフォン隊の副長は、しみじみとワルドに語ったものだ。
「……隊長、捜査部あれ働かせすぎですって。あれだけの勲功挙げた子に休み二日だけとか、鬼ですか貴方は」
「そ、そうか……いやしかしだな」
「しかしも何もありませんって。幾らなんでも他所との差がありすぎです、労務管理部良くあれで文句言ってきませんね。少しは自重して下さい」
文句言ってくるような奴はそもそも捜査部に入れてないのだから当然の結果であるが、他所と比べて労働時間が倍近くあると言われてはさしものワルドも抗弁しずらい。
気になって調べてみた所、実労働時間は人によっては三倍近くになってる人間まで居て、ワルドは慌てて全職員に休暇を取るよう命じた。
こんな仕事の仕方をさせていたら遠からず、当人はともかく、職員の一族や近しい者達から抗議が殺到するのは目に見えている。
しかし、命じるは命じたが、嫌な予感がして抜き打ちで調べると、誰一人、そうアニエスですら休暇を取っていない事が判明する。
捜査部を立ち上げて以来、一番背筋が冷えた瞬間だ、と後にワルドは述懐する。
本気で怒鳴りつけ、ようやく連中休暇を取ってくれたが、昼休みなどに何となく聞き耳を立ててみた所、誰もが家に書類を持ち帰ってやっぱり仕事してたらしい。
「モチベーションが高すぎるのも考え物だな……」
結局、当分の間ワルドは、他所の部署では考えられぬ贅沢な悩みに悩まされる事になる。



ワルドよりの使者から聞くべき事を聞いたラ・ヴァリエール公爵は、手勢にアジトへの強襲を指示する。
大貴族らしい典雅なやり方を好む公爵であったが、武力を行使すべきタイミングは決して外さない。
それが必要と判断したのなら、僅かな躊躇も無く配下の軍を動かす。
圧倒的な数で包囲し、一部の漏れも許さず徹底的に殲滅する。
公が王都の屋敷で処理すべき幾つかの案件を同時に見ていた所、執務室に首謀者たるモット伯が引きずられて来た。
伯はそこら中痣だらけにしながら、ぐったりと項垂れていた。
手勢の隊長を任せていた男が報告する。
「集まったならず者達全員の死亡を確認しました。こちらの被害は四名、いずれも平民です」
「遺体の処理は?」
「万事滞り無く。戦闘の音に気付き近寄ってきた者達も、全て我等が張った検問で追い返しております」
「ご苦労」
公は書類から目を上げ、モット伯を見る。
重要度の低い案件をとりあえずで処理するような口調で、ヴァリエール公爵は言った。
「ヴァリエール家に逆らうという事がどういう事か。理解したかね?」
隠れ家から執務室に引きずられてくる間にどんな事があったのか、モット伯は貴族の矜持も失って地面に這い蹲る。
「は、はいっ! 二度と! 二度とこのような愚かな真似はいたしませぬ!」
小さく嘆息する公。
「何だ、まだ理解しておらんか」
「い、いえっ! 存分に思い知りましてございます! 以後はヴァリエール家に絶対の忠誠と協力を誓わせていただきます!」
「二度とだの、以後だの、そんなものはありえぬ。そこを理解しておらぬと言ったのだ。連れていけ」
必死に哀願する伯は兵に引きずられて執務室を後にする。
公は無情な人間ではない。そんな様を哀れに思う心も持ち合わせている。
しかし、下した命令を撤回するような事も無かった。
「運の無い男だ。……まあ、今まで皆が認めていた事を突然許さぬと言われ、乱暴狼藉を働かれた挙句、大恥をかかされ、その上犯人はお咎めなしでは腹が立つも道理だがな」
使い魔に毒を盛るぐらいならば見逃してやらん事も無かったが、ルイズを殺すと兵まで集められては、こちらも相応の対処をするしか無い。
「法に乗っ取っていようと、理屈が正しかろうと、そんなものは我がヴァリエールの一族を傷つけて良い理由になぞならぬというのに。若すぎたなモット伯よ」
処刑完了の報告を、やはり先程と同じどうでもいい事のように聞き流し、ヴァリエール公はすぐにこの件を忘れた。



こうしてそれぞれの日々を過ごす彼等に、多大な影響を与える事件が遠きアルビオンの地で起こっていた。



アルビオン皇太子ウェールズ・テューダーは、残った親衛隊をかき集め、包囲網の突破を図る。
貴族派を名乗る反乱軍との二度の大きな戦、その全てが突然の配下の裏切りにより敗北を喫している。
19ゼロの花嫁18話 14/14:2009/02/23(月) 22:05:23 ID:w4jC8dNM
王家への忠誠心篤き勇士であったはずの諸侯が次々と裏切って行く様、そしてそれが原因で勝てる戦を悉く逃している悔しさは筆舌に尽くしがたい。
それでも残った者達への猜疑心を表に出さぬウェールズの器の大きさは、王たるに相応しい物であったろう。
現に、老齢により身動き取れぬ王の代わりとなり前線に出るウェールズ指揮の下、細かな勝利は幾度と無く積み重ねて来ているのだ。
そんな勝利達も、二度の大会戦での敗北で全て帳消しとなった。
満を持し、これが最後と挑んだこの戦においても、やはり裏切り者は居た。
敵陣深くまで何度も斬り込み、ウェールズの窮地を救って来たその貴族は、勇ましさをそのままにウェールズへと杖を向けたのだ。
三度目の敗北。
万全の布陣で臨もうと、裏切りすら考慮に入れた策を練ろうと、有能で忠実な者から寝返っていく現状で、どうやって勝利せよというのか。
最早兵も尽き、反撃の余力も残っていない。
それでも、ウェールズは最後の瞬間までアルビオンを諦めてなるものかと皆を叱咤激励する。
抗する術など何一つ残っていないのに、王家の矜持を胸に秘め、ただひたすらに勝利の道を探し続ける。
それが指揮をするものの責務であり、例えこの身が朽ち果てようと、この信念だけは、決して折られてなるものかと。




以上で投下終了です
次回ですが、色々と忙しくなりまして、一ヶ月か二ヶ月空ける事になりそうです
残すは佳境のみとなってきた所での空白はとても心苦しいのですが、一段落付き次第続きを書こうと思っております
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 22:05:25 ID:sU90+hO1
南斗支援拳奥義!
南斗猿桟屠脚!
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 22:20:49 ID:QQC/sryo
花嫁の人乙!!
この作品見てると冗談抜きでテンションが上がるから困る。
続き、楽しみにしております!!
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/23(月) 22:39:47 ID:j0oYYn9r
チキショォォォォ
おもしれぇぇぇぇぇ!!
花嫁の人大応援!!
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 00:16:30 ID:30Ce2erf
暁の女神から

……誰召喚しようかな
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 00:27:49 ID:9Z+2ecNV
某美の守護者しかいないだろ!!
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:06:58 ID:HGssdYze
暁の女神でエタメロ思い出した。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:09:11 ID:J1zj6PQc
ファントムダストのエドガー
パワポケの主人公
どちらかを考えてるんだが、どっちがいい?
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:10:08 ID:J1zj6PQc
すまん、下がってなかった。ちょっと逝ってくる
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:11:13 ID:AsvPsV3j
暁の女神からだとやばい、下手したら今書いてるのとネタが被るかも急いで完成させなきゃ
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:18:00 ID:YR5caeW6
>>27
マジレスするとあんたの書きたい方。

どっかの誰かの為じゃなくてまず自分のために書かないと長続きしないよ。
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:28:38 ID:F77W3s9G
どうせ書いても長続きしねぇし
31名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:32:11 ID:PGUnWkwf
召喚しました。で終わりのまとめに山ほど有る1話で止まってる長編(笑)の仲間入りは止めてくれよ
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:35:16 ID:MC9OyxOp
ダークシュナイダーを召喚してしまったら…
33名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:48:36 ID:9slprTIQ
>>32
契約するとルーシェになるんですね。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 01:55:28 ID:V0EjJGnV
ルイズは封印を解くカギになるのか?
35名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:03:27 ID:rBACkYQO
処女の接吻が必要なのでルイズは該当しませんね^^
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:05:34 ID:V0EjJGnV
処女ならだれでもいいんだっけ、
なんかほかにもルールがあったような。

いかんな、ほかの何かと混ざっている?
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:12:30 ID:LUvdr+HT
美の女神イノマタ
38名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:13:41 ID:mLrY42ys
四つの四を揃えるとアンスラが復活しそうだなぁ
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:15:41 ID:9slprTIQ
封印は処女のキスでいけるけど、
開封は呪文が必要だから、一度ルーシェになるともう……。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:22:22 ID:O3KsAL/Z
そしてルーシェ状態の時にルイズに徹底的に犬と仕込まれたため、
ダーク・シュナイダーに戻っても、ルイズにだけは逆らえない体質に
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:22:54 ID:YR5caeW6
選択が趣味なショタだからサイトより役に立つかも。
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:23:53 ID:rBACkYQO
それが世界の選択か…
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:29:53 ID:PGUnWkwf
着ぐるみの上から釘理論(エルフを狩るモノたち)により使い魔のルーンが無くなるまでずっとルーシェのままで戦闘では隠れてるんですね、わかります
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:31:40 ID:30Ce2erf
シュナイダー「ヘソまで反り返った俺のピー」

とか昔のジャンプはエロかったんだなーと思う
45ゼロスト:2009/02/24(火) 02:39:12 ID:LPE4zXK0
何もなければ、5分ほど後に投下をしたいと思います
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 02:41:39 ID:ALw9+RlP
支援
47ゼロスト1/5:2009/02/24(火) 02:42:44 ID:LPE4zXK0
兄弟はまず自らの愛機のところへ向かった。私服から、愛機に積んであるノーマルスーツに着替えるためだ。
私服で戦えないわけでもないが、やはりノーマルスーツの方が具合がいいのだろう。
「聞いたわよ、ギーシュに喧嘩売ったんですって?」
どこからともなくルイズが現れた!しかも微妙に膨れっ面で。
「我々はあの少年を打ちのめすだけだ。我々をなめてかかったことを後悔させてやらなければならん」
「そう・・・僕らが望んだ戦争だ!」
その強い口調と漲る闘志に驚くルイズだったが、本来の目的を思い出したのか彼女はこうアドバイスした。
あいつの二つ名は青銅。故に、おそらくはゴーレムを錬成して攻撃してくることだろう。だがそのゴーレムとて魔法、
媒介となる杖がなくては使えないということを。そして魔法にも限界があって、精神力が尽きれば何も出来なくなるということを。
ありがとう、貴重なアドバイスだったよとオルバが。自分の使い魔が優秀であるところ、とくとご覧くださいとシャギアが述べる。
それぞれに頭をなでられ、ルイズはどこか嬉しそうだった。
絶対勝ちなさい、いいわね?と言い残して駆けていく主人を尻目に、彼らは脳内で戦闘をシミュレートしていた。。
「さて・・・問題は、そのゴーレムとやらがどれほどの大きさであるかどうかだ・・・」
「でも、流石にモビルスーツサイズは錬成できないんじゃないかな?・・・懸念はそこだけだね」
結局、いざとなったら銃で腕を撃てばいいと結論付け、ガンダムの力は借りない兄弟だった。

「逃げずにきたことは褒めてあげよう。だが、なんだ?そのセンスのない全身タイツは?」
――彼のことをよく知る取り巻きは、彼のファッションセンスのなさも知っているため、「お前が言えたことか」と思ったらしいが。
まあいい、動きやすい方がまだ勝負にもなろう。そう言うと薔薇を振りかざし、直後地面からゴーレムが出てくる。
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。何か問題はあるかい?」
普通の人間なら驚くことであろうが、彼らは仮にもガンダムタイプのパイロットだ。彼らにとっては只の金属人形に過ぎなかった。
「なんだ、この程度か。つくづくヴァサーゴやアシュタロンを使わないで正解だったな」
「こんなちゃっちいのにガンダムで戦っちゃあ、弱いものいじめみたいだものね。もっとすごいのが出るかと思ったけど」
その余裕もいつまで持つかな?とギーシュは更に薔薇を振り、合計4体のゴーレムが彼らに襲い掛かる。
あまり速いというわけではないが、威力の高そうな攻撃が次々に放たれる。
「遅すぎる。それで攻撃のつもりか?」
「扇風機にしては、時期が早すぎやしないかい?」
それらを糠に釘、暖簾に腕押しとばかりにひょいひょい避け続ける兄弟だったが。
ふと周りを見てみると、彼らはいつの間にか4体に囲まれていた。
「はははは!伊達に軍人の家柄じゃない!やれ、ワルキューレ!奴らをぶちのめせ!」
一斉に襲い掛かる4つの青銅の拳。だが当の兄弟は平然としていた。
「勘違いしてもらっては困る。囲んだんじゃない、囲ませたんだ」
そういうが早いか、今まで同様ギリギリまで引き付けて最小の動作でかわす。その刹那、ガゴオンと鈍い金属音が響き渡る。
「ゴーレムには痛覚がないんだよね?それが今回は仇となったね・・・」
直後、4つの腕がめいめい砕け散る。兄弟はその拍子に解けた包囲網を抜け、驚愕の表情を浮かべるギーシュの元へ進む。
芸術的なほどに自滅させられ、あまつさえ包囲網までやすやすと突破されてしまったギーシュは半狂乱で叫ぶ。
「な・・・なめるなぁっ!片腕がなくったってぇ!体当たりだってある、いけ!」
彼の指示通り体当たりをぶちかまそうと、走り寄る4体の隻腕ゴーレム。だが、その瞬間兄弟は不敵な微笑を浮かべる。
「ふふふふ・・・戦略とはこういうものだ。とくとその目で見るがいい」
刹那、一体のゴーレムがすっ転ぶ。そして勢いあまって、他の一体にたいあたりをぶちかました。
SMASHHHH!その反動で突き飛ばされたのが・・・SMASHHHH!というのをあと2回繰り返し・・・
「僕らのクイーンが君のビショップを取ったよ・・・」
ドラのような馬鹿でかい音が4回鳴り響いた後、地面の上にはワルキューレだったもの、つまり金属片ばかりが散らばっていた。
自らの手駒を、一切攻撃されることなしに全滅させられたギーシュは顎を外さんばかりに開けて叫ぶ。
「ば・・・馬鹿な!なにもしてないのに・・・ワルキューレが全滅だと!?な、何をした!」
「君の目は飾りかね?這いつくばって地面でもよく見てみるんだな・・・」
48ゼロスト2/5:2009/02/24(火) 02:43:10 ID:LPE4zXK0
地面には、いつの間にやらちょっとしたくぼみがある。見かけはちゃちいが、足を取られれば転んでしまう程度の深さはありそうだ。
そして、軟らかい土の部分が姿を現している。恐らく彼らは攻撃を避けながらもくぼみを作り、そこに誘導。地面の硬さの違いや、
段差によりバランスを崩したワルキューレは他のそれに特攻。あっという間に4連鎖全消しを組んでしまったのである。
恐慌状態に陥ったギーシュは2体のワルキューレを錬成して突っ込ませるも、またも攻撃をうまく誘導されて相打ち、1連鎖全消しだ。
ギーシュが更に焦っている間にも、兄弟の歩はさらに進む。最初の立ち位置の半分ほどまで距離を詰められていた。
「ナイトでクイーンを・・・。このまま何もしないと負けちゃうよ?ふふふ・・・」
敵が出てこないとふんだ彼らは走る。一気に距離を縮める兄弟だったが、その行く手を遮るようにワルキューレが現れる。
「ほう・・・いい作戦だ。護衛が全滅したところで間合いを一気に狭めさせ、気を抜いたところに突然現れる・・・」
間合いをかなり詰められた防衛戦であるため、機動力は必要としないし、金属製ゆえの攻撃力と防御力をフルに活かせる。いい作戦だ。
彼の手立てを冷静に予測(今回は買いかぶり)し、思わず感心するシャギア。だが突っ込んでいくことはやめない。
それはまるで、声高に名乗りを上げて敵陣に切り込んでいく戦国武将のように。
「ええい、ワルキューレ!押しつぶせ!どうせ突っ込んでくるだけなのだ!」
察するに、彼にはもはや余裕がない。開戦時には直立不動だった体も、今やそわそわとせわしなく動いている程だ。
まあ無理もない。彼らはワルキューレを丸腰で、しかも彼ら自身は一切手を下さずに破壊しているからだ。
だが、彼が今作り出したワルキューレは一体。しかも限界近くまで魔力を練りこんである。
これなら同士討ちの心配もないし、小手先の攻撃は無駄だ。まず防御を固め、疲れたところの隙をつく。今の彼にできる最高の作戦だ。
「・・・まあ、ガキにしてはよく考えたほうだ。だが、姿を現すのがいかんせん早すぎた・・・オルバ!」
「了解、兄さん!僕に任せてよ!」
オルバの言葉を聞いたギーシュは考える。知略では相手に圧倒的に劣る。だが個体能力は生身の彼らよりこちらの駒の方が上。
だが智謀に長ける彼らだ、何の考えもなしに動くまい・・・。あの言葉から察するに弟が時間稼ぎか?それとも逆に兄が囮か?
だが彼の想定した、兄弟が何かしら仕掛けてくるはずの間合いに入ってもなお兄弟は突撃をやめない。
「そ・・・そのまま突っ込んでくる!?・・・急に進路を変えるかもしれん、注意しなければ!」
最後までその動きを見極めようとするギーシュ。皮肉にもその選択が、兄弟にとって最も好都合なものだとは知らずに。
49ゼロスト3/5:2009/02/24(火) 02:44:04 ID:LPE4zXK0
彼らの決闘と同時刻の学院長室。この学園の学院長オスマンと、スケッチ男(オルバ談)ことコルベールが会談していた。
なんでも、彼がスケッチしたルーンの紋様が気になって調べたところ、伝説のルーン『ガンダールヴ』というものに酷似している。
本を見てみると、それが完全に一致するので学院長に報告に来たところ・・・どうやら本物の『ガンダールヴ』らしいとのことだ。
今後の対応について協議していたところに・・・ノックの音が鳴り響く。ドアを開けるとミス・ロングビルが息せき切ってやって来た。
「大変です、ヴェストリの広場で生徒同士が決闘をしているようです」
オスマンは思い切り顔をしかめ、ため息をつく。
「まったく・・・暇をもてあました貴族ほど性質の悪いものはないのう・・・で?誰が決闘をしているのじゃ?」
「はっ、ギーシュ・ド・グラモンという男子生徒と・・・ミス・ヴァリエールの使い魔です」
オスマンとコルベールは顔を見合わせる。先ほどまで自分たちが話題にしていた人物が、まさか決闘をしているとは。
「それで、教師の皆さんは決闘を中止させるために『眠りの鐘』の使用許可を求めていますが、どうなされますか?」
「アホか。たかだか子供の喧嘩に秘宝なんぞ使ってどうする?放っておきなさい。どうせ遊びのようなものじゃろう、多分・・・」
「は、はあ」
そういうと彼女は退出する。完全に気配まで消えたのを確認したうえで、オスマンは呪文を唱える。
すると、学院長室の中にヴェストリの広場の様子が映し出された・・・。


ギーシュは呆然としていた。目の前で、自分の予想を遥かに超える出来事が起こっているからだ。
兄弟はワルキューレを飛び越えてこちらに向かってくる。まるでどこぞの雑技団のような、驚くべき手順を踏んで。
彼らの取った行動はこうだ。その1。オルバが突っ込んでいく。その2、いつの間にか靴を脱いだシャギアがオルバを踏み台に大跳躍。
その3。シャギアは空中で180度前宙。その4。オルバも跳躍し、そのシャギアの腕を掴む。そしてここからが驚きだ。
その5。位置エネルギーと前宙の挙動を利用しながらオルバを前方に放り投げようとする。その6。オルバを放り投げる反動と、
前宙の挙動とを運動エネルギーとして利用し、オルバを放り投げつつも自分の体制をニュートラルに戻し、そして着地。
早い話が大ジャンプからの前宙にオルバを巻き込み、そのまま前宙の勢いを利用してオルバを前方に放り投げる。これにより
少ない力で人間を投げながらも、自らは体勢を立て直すことができ、踏み台となった彼にもゴーレムを飛び越えさせることができたのだ。
この一連の動作は言ってみれば、ハンドスプリングで空中にいる間に何かを受け取り、それを投げながら着地に至るようなものである。

『人間は自分の予想を超えたものを見ると呆然としてしまう』というが、確かにそれは正しかったとギーシュは思った。
自分の最後の砦が越えられたというのに、彼らについつい見入ってしまう自分は何だろう。だが、すぐに我に返り。
「・・・はっ!し、しまった!ワルキューレ、奴を・・・」
「やらせないよ」
ギーシュを抑えにかかったのは、ワルキューレを飛び越えつつ距離を詰めたオルバである。
杖を持つ手に蹴りを見舞って杖を叩き落し、ひるんだ隙に背後にまわって羽交い絞めにする。
振りほどこうと暴れるギーシュを押さえ込み、彼の耳元で王手を囁く。
「そしてナイトフォール、チェック・・・。」
完全にゴーレムは沈黙した。あとは止めを刺すだけだ。
「さあ、兄さん!とどめを!」
「了解だ」
弟の合図と同時に、一気に距離を詰め拳を作るシャギア。
他人には冷酷非情極まりないはずの彼は、駆け寄りながらも相手の評価すべき点、および反省点をまとめていた。
「最後のゴーレムはタイミングの悪さを除けば、なかなか考えたものだったな、少年。だが・・・相手が悪かったな」
そう言葉をかけると、容赦なく7連撃を見舞う。そして・・・
「我々に勝ちたければイノセンスにでも目覚めてくるんだな、少年?」
とどめの8撃目が、ギーシュを大きく吹っ飛ばした。
そして、吹き飛ばした先に寝そべる彼を見据えながら言い捨てる。
「世界を作るのはニュータイプではない。カテゴリーFと呼ばれた我々だ」
「そう・・・僕らの憎しみが、次の時代を築くんだ!」
50ゼロスト4/5:2009/02/24(火) 02:45:38 ID:LPE4zXK0
ふっ飛ばされて気絶しているはずのギーシュを見て、シャギアは感嘆の声をあげる。
「ほう・・・?手加減していたとはいえ、まだ立ち上がってくるだけの気概があるか」
ギーシュは懸命に立ち上がろうとしていた。恥をさらさないためでなく、純粋に戦うために。
いつの間にか、変なしがらみや怒りは吹き飛んでいた。できることならば、もう少し彼らと戦いたいと。そう心が欲していた。
よろめきながらもようやく立ち上がったギーシュ。そんな彼に兄弟は近づき、賞賛の言葉と共に彼の作戦の批評をする。
「その根性に免じてアドバイスしてやる。あの時貴様はもう少し錬成するタイミングを遅らせるべきだった。
うまくすれば我々は止まりきれずにゴーレムに正面衝突、悪くても足下から我々をすくいあげるぐらいはできたはずだ。
それにゴーレムの当たりにくい攻撃でも、相手は間合いを詰めすぎている。逃げ切れずに食らってしまうこともあるだろう」
「だけど、君はほぼ全ての魔力をつぎ込んでいたよね?疲れを待つ作戦だというのに。
疲れを待つっていったって、長期戦になればなるほど君のほうが加速度的に不利になっていくはずだよ。
それもあるから、君はもう少し引き付けて引き付けて、少ないチャンスに全てを賭けるべきだったんだ」
な・・・なるほど・・・。そんな考え方もあったか。確かにその方が理にかなった作戦だ。
怒りや焦りにとらわれていたとはいえ・・・僕の完全な失敗だ。しかも勝ちに驕ることなく、敵である僕にアドバイスまでするとは…
「う・・・うあ・・・も、もう少し我慢しててくれ、僕の体・・・」
このまま気を失うことは、何よりも彼らに対して失礼だと思うまでにギーシュは至っていた。
勝者を称えたい。感謝の言葉を言いたい。自分の目を覚ましてくれたのだから。その根性だけが彼を奮い立たせていた。
「ま・・・負けたよ・・・僕の完全敗北だ・・・」
そう呻いた直後に兄弟たちが微笑んだように見えたのは、彼の気のせいか、光の加減か。それとも本当に微笑んでくれたのか。
「素直な人間は嫌いじゃない・・・。君もせいぜい頑張るんだな」
シニカルな微笑を浮かべてそう呟くと、シャギアはスラリと伸びた脚を真上に掲げ、そのままギーシュの首筋へ落とす。
仄かな笑みを浮かべ、力尽きたギーシュは地面へと崩れ落ちる。
「力なきオールドタイプが、我々に敵うはずがない・・・」
「恐るるに足りなかったね、兄さん・・・」
彼らが一種の感慨に耽っている中、一部始終を見ていた女子生徒が悲痛な叫び声をあげて彼らの元へと駆け寄る。
「決闘だからって・・・決闘だからって!相手を殺してもいいの!?人殺し!」
ギーシュの躯を抱きかかえ、すすり泣く少女、ミス・モンモラシー。
彼女の言動に、にわかにざわつく広場。直後その広場に、兄弟の高笑いが響き渡る。
「はっはっはっは・・・それだけ彼のことが好きなようだな。確かに急所たる首を狙ったが・・・我々とて命までは取らん」
「大丈夫、気絶してるだけさ。早く医務室にでも運んであげたら?彼、本当に死んじゃうかもよ?――失恋のショックでね」
その言葉を聞き、爆弾が炸裂したかのように真っ赤になってしおらしくなる少女。穴があったら入りたいとはこのことか。
み、見せ物じゃないんだから!なんで笑ってるのよ!と、彼女を冷やかす群集に噛み付く彼女だが後の祭り。
当分の間は、彼女は周りからネタにされ続けることを余儀なくされるだろう。
群集は彼女をからかいながらも、丸腰で貴族を破り、色恋沙汰まで解決してしまった彼らに畏敬の念を覚えずにはいられなかった。
医務室に運ばれたギーシュが事の顛末を知り、兄弟に更なる思いを馳せることとなるのだが、そのエピソードは割愛させていただく。
51ゼロスト5/5:2009/02/24(火) 02:46:09 ID:LPE4zXK0
ほとんどの生徒の注目がモンモラシーに移ったところで、二人はとっととその場を後にする。主人とシエスタに勝利報告をするためだ。
特にシエスタには一刻も早くしておかないと、色々な意味で大変な事になりそうな予感がする。二人の勘がそう言っていた。
「・・・彼女は決闘を見に来たのだろうか?まあ彼女の性格からいって来ていなさそうだが・・・」
「確かに。じゃあ食堂にいるのかもしれないね、兄さん」
食堂に急ごうとしたところで唐突に呼び止められる。振り返ると、呼び止めたのは「目標その1」の主人だった。
だが、どうも見慣れぬ人物を2人も連れている。スケッチ男でもシエスタでも、さっきの連中でもない。
そのうちの1人は、オルバには見覚えがあるような気がした。背が高く胸の大きい女。確かフリーデンに潜入した時――
「素手で貴族を倒すなんてやるじゃない。私はキュルケ、よろしくねお2人さん」
自己紹介するキュルケだったが、その言葉を一言一句たりとも兄弟、特にオルバは聞いていない。むっつり黙って記憶を探っている。
――そうだ、確かトニヤとか言ったかな?フリーデンのオペレーター・・・。まさか、フリーデンの連中もこの世界に?
と思いはしたが、主人が彼女と一緒にいるのを嫌がっているように思えたので、その考えは頭から除外した。
――まあ、この世界にはMSのモの字もないからね・・・壊すと整備ができない以上、いるとしても容易に僕らと敵対はしないはずだ。
キュルケから目線をはずさず熟考しているオルバを見て、ルイズは途端に不機嫌になる。
「ちょっと、話聞いてるの!?」
「まあまあ、さしずめ私を値踏みでもしてるんじゃない?お二人さん、その気になったらいつでも来ていいからね?」
取っ組み合いになりそうな二人だったが、もう一人の少女に袖を引っ張られ、本来の目的へと戻る。
「それで、こっちが、私の親友のタバサ。無口で気難しいけど、仲良くしてあげてね」
――ルイズとキュルケが取っ組み合いになりそうな雰囲気になっていた時。兄は文字通り固まっていた。
驚きのあまり声が出ない。指一本動かせない。そんな状況であるというのに、金縛りに遭うとはこのことか、などと呑気に考えていた。
そんな兄をいぶかしく思った弟が兄の視線の先へ自分の照準を合わすと――彼も連鎖的に固まった。彼もまた呑気なもので、
溺れた人を助けに行った人が自分も溺れる、と言ったところだろうね。しかし青天の霹靂とはこのことか、と弟は思った。
今度はタバサから目線を外さない――尤も外さないのではなく外せないのだが――二人に、水と油コンビはやきもきしていた。
「何よ、今度はタバサ!?まさかこんなに節操の無い奴らだったとは・・・」
「そんなに暴力的な主人から逃げ出したいのかしら・・・ロリコンではないみたいだし・・・」
今度こそ殴り合いの喧嘩に発展する様を呈してきた頃、なんとか搾り出すように二人は呟く。
「・・・ティファ・アディール・・・」
「君が、何故こんなところに・・・」
頭に?マークを浮かべ、いぶかしげに首をかしげる三人。「知り合い?」とキュルケは聞くが、当事者はきっぱり否定する。
「その節はすまなかった、許して欲しい。なにぶん、その時は我々もしがない雇われの身でね・・・。白々しいかもしれないが」
そんなやり取りもどこ吹く風、兄弟は勝手に謝り始める。物事に無関心なタバサでさえ、ある意味での興味を持ったほどだ。
「・・・覚えてない?その方が都合がいいっちゃあいいけど・・・。まあ、「その時」の君は生と死の狭間にいたからねぇ」
ドクン・・・そのタバサの心臓が大きく脈打つ。
「うむ・・・?我々の事を覚えていないはずはないのだが・・・ゾンダーエプタでも会っただろう?確か」
「召喚されてルーンが刻み込まれた時の激痛で、記憶の一部が混濁したんじゃないかな?兄さん。あまり体が強い方ではなさそうだし」
「そうか・・・。真実を知ったら我々を憎むかもしれないが、「その時」の真実を見せよう。君の力で、我々の心を読み取ってくれ」
まさか・・・
「本当にダメ?うーん・・・そんなはずは・・・。――分かった、当事者である僕の記憶を読み取ってみてよ」
あの時、忘れもしないあの時・・・
「囚われの姫君を、お迎えにあがりました・・・」
この二人も一緒に・・・
「愛しています、殺したいほど・・・。ここまで言えば思い出し」
思い出した?尤も、その時の君は寝てたけどさ。と彼が言い終わる前に、タバサの魔法が彼の左胸を貫いた。
52ゼロスト:2009/02/24(火) 02:48:20 ID:LPE4zXK0
今回はこれで終了です
次ではフーケの一歩か二歩手前まで進めたいと思います
53名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 03:06:08 ID:ALw9+RlP

すごく…カオスですw
54ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/24(火) 07:31:23 ID:SJdaMPlW
規制解除されたかな?
すいません。避難所で代理頼んでましたが、自分で投稿します。
07:40頃より失礼いたします。
55ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/24(火) 07:39:48 ID:SJdaMPlW
投下開始です
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「ケケケ!やっぱし冒険にゃ戦闘がつきもんだよな〜!」
そう言って笑うデルフに、ボクはあまり賛成できなかったんだ。
「……のんびりした冒険もあっていいと思うんだけどなぁ……」
水の精霊が言うには、この大きな湖のガリア側、
さっきいた場所とは反対っ側に襲撃者が出るらしいんだ。
しかも、真夜中……つまり、今ぐらいの時間に。
夏が近づいてきてるとはいえ、夜の風がまだほんのちょっぴり寒かった。
「これも1つの訓練と思ばいいさ!僕も、新技を試したく思っていたところだしね」
今回は、デルフだけじゃなくてギーシュまで張り切っている。
うーん、襲撃者が出てるっていうのを、そうやって喜んでいいのかなぁ……?


ゼロの黒魔道士
〜第三十四幕〜 素敵だね


「新技って?いつのまに、そんなの編み出したの?」
襲撃者にバレると良くないから、焚き火もできない。
念のため、襲撃される水辺からは少し離れた茂みの中でじっとするだけ。
木の隙間からうっすら差し込むお月さまの光だけじゃ心細くて、
お互いがちゃんといることを確認するためにも、小声でずっとしゃべっていたんだ。
「フフフ、アニエス先生に散々しごかれたときにね!開眼したんだよ!『これだ』ってね!」
すごいなぁ……転んでもタダじゃ起きないっていうところが、ギーシュの強みだと思うんだ。
「どんな技でぇ?また『ギーシュなんちゃらスーパーアタック』とか
 『ミラクルギーシュうんちゃらクラッシュ』とかいうのじゃねぇだろうな?」
……ちょっと、技名の付け方にセンスが無いのはどうかとは思うけど。
「今度のは今までの格好だけの技ではないさ!」
あ、自覚してたんだ。……じゃぁ今までのは何だったんだろう?
「そんじゃぁどんな技よ?」
「えー、どうしようかなー?ライバルだしな〜?」
こうやって、もったいつけているギーシュが後で出した技は、
あんまりすごくないことが多いんだ。
この間の『ギーシュエキセントリックスーパークラッシュ』って、
散々引っ張って見せてくれたのも、ただの体当たり、だったし……
転んでもタダで起きないのはいいけど、もうちょっと考えてもいいんじゃないかなぁってときどき思うんだ。
「……見たい、かなぁ。襲撃者と戦うときに戦略とか考えなきゃいけないかもしれないし……」
だから、あたりさわりの無いように、そうやって聞いたんだ。
もし、とんでも無い技だったりしたら、ボクが頑張るしかないからだ。
(ルイズおねちゃん達は万が一のため別の場所で待機している。
 2ヶ所から挟み打つことも考慮した作戦だ)
56ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/24(火) 07:40:24 ID:SJdaMPlW
「ライバルにそう頼まれちゃ、しょうがないなぁ〜!では、とくとご覧あれ!」
すっごく嬉しそうに、ギーシュが少しだけ体勢を変える。
「それでは、いざ、鎌っ金っ!」
……錬金の魔法って、そういうポーズって必要なんだっけ?
ギーシュが軽く杖をふると、
(わざわざ腰をひねって変なポーズで一回転をしたりはしたけど)
ギーシュの体は鎧に包まれて、絵本に出てくる戦士みたいな姿になったんだ。
角とか飾りとかが豪華なところがまさにそんな感じだった。
「装着っ!『魔導アーマー』っ!!」
「おぉ〜!?ちっとぁ戦えそうな格好になったじゃねぇの?」
確かに、鎧をつけたことで、あんまり大きくない体が大きく見えるし、
なんとなく逞しい戦士っぽい雰囲気になったな、とは思うんだ。でも……
「……それ、動けるの?」
ギーシュの筋力を考えると、ちょっと不安になってしまうんだ。
「むしろ、いつもより動けるんだよ!『ワルキューレ』の応用でね!
 ボクには身体能力や持久力が足りないから、“足りない力は足せばいい”ってわけさ!
 僕を僕自身で操作することでね!」
……なるほど、確かにいいかもしれない。
『ワルキューレ』を動かすように、自分を動かしてしまえば、
魔力で自分の身体能力を補うことになって、メイジが苦手とする接近戦になっても不利にならないかもしれない。
「色々、考えてるんだなぁ……すごいや」
素直に、感心する。ギーシュって、やっぱりすごいのかもしれない。
「アニエス先生にボコボコにされてね、防御力を上げるために鎧を着ることを考えたんだ。
 しかし、メイジとして平民の鎧はどうかと考えた結果、自分で鎧を作ることに思い至ってね――
 それに、僕の彫金の趣味も活かせるしね!どうだい?この角の造形は!薔薇の棘をイメージしたのだが――」
……変なところに凝るのはどうかとは思うけど。

「おうおう、お二人さんよ、おしゃべりはその辺にしとかにゃなんねぇんじゃね?来たぜ」
デルフの言葉に、ゆるみきった注意を一気に引き締める。
大っきな影と、小さな影、襲撃者は2人組。
風の魔法か、おっきなガラスの球を押しつけたような跡が水面にでき、
そこに影が二つ乗ろうとしている。
水の精霊の言うとおりだった。
「よーし、ビビ君、はじめようか!今日は僕も活躍するよ!」
「おっとぉ、相棒がてめぇのために全部片付けるに決まってるだろうが!」
……なんか、ちょっと不真面目な感じがするけど、やる気なのはいいこと、かなぁ?
「岩砕き、骸崩す、地に潜む者たち……」
ともかく、牽制だ。逃がしてしまっては元も子もない。
「集いて赤き炎となれ! ファイア!」
ごく小さい火の球が、2つに分かれて相手に襲いかかる。
今回は、『全体化』しているから、火の球はさらに小さく半分ぐらいだ。
でも、これなら2人同時に牽制できる。
相手の出方を見るにはちょうどいい。
小さな影がまず反応した。
大っきな影はやや遅れるけれども、
小さな影を突き飛ばすような形で陸に上がる。
「いくぜ相棒っ!」
「うんっ!」
「決めるっ!」
茂みから飛び出し、一気に距離をつめる。
水の精霊の証言と、おねえちゃん達の推理から、
相手は風と火のメイジってことは大体分かっている。
相手が魔法を主体に戦うならば、近距離戦でやっつけた方がいい。
ざわざわとガンダールヴの力が騒ぎ出す。
それを抑えることなく、手や足に流す。
頭は冷静に、心は熱く、アニエス先生の教えだ。
57ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/24(火) 07:41:08 ID:SJdaMPlW
「そりゃーっ!!」
「え!?」
ギーシュの足が、かなり速くなっている。
『魔導アーマー』のせいかな?
ただ、ガシャンガシャンとスタイナーおじちゃんよりもうるさい音を立てて、
直線的に襲撃者めがけて走っている。
「おいおいつっぱしりすぎだろ!?」
デルフが指摘するってことは、よっぽどなんだと思う。
だから案の定……
「どわっ!?」
目の前で突然思いっきりコケるギーシュ。
焦りすぎて石にでもつまづいて……いや、そうじゃなかった。
「ギーシュっ!?」
ギーシュの右足、正確には『魔導アーマー』の膝関節の部分、
そこがカチコチの氷で固められていた。
相手のメイジがやったことか、それならものすごく正確だ。
このままギーシュを放っといたら、真っ先にやられてしまう。
「お、おのれっ!卑怯なーっ!!」
「ギーシュ!溶かすからじっとしてて!」
暴れるギーシュを少しだけ抑えて、感覚を研ぎ澄まさせる。
「岩砕き、骸崩す、地に潜む者たち
         集いて赤き炎となれ! ファイア!」
できる限りの早口で呪文を唱えて氷を溶かそうとする。
もちろん、この行為が何を招くかは、頭の冷静な部分で分かっている。
だけど、ギーシュが的になるのを放っておけるわけはない。

「相棒っ、危ねぇっ!!」
「っ!せいっ!!」
案の定、特大級の火の球、『ファイガ』を無駄なくボールに押し込めたような火球が、
ボクを目がけ真っ直ぐに飛んでくる。
襲撃者の2人のメイジの連携はうまく取れている。
足止めをした風メイジに、一気に潰しにかかる火メイジ。
だけど、連携が取れているのは襲撃者だけじゃない。
「デルフ、行くよっ!」
「熱つつつつ!!お、おうよっ!ガンガン来いやっ!」
魔法を吸い取る剣、デルフとの連携だ。
相手がデルフの能力を把握しきる前に、近距離から一気に……
「え!?」
相手が、ローブをかぶった相手が目の前まで来ていた。
そうか、火球を出した瞬間に相手も距離をつめたのか。
少し大柄の相手、接近戦に自信でもあるのだろうか?
それでも、怯むことはできない。ギーシュが後ろにいるんだ。
まずは、1人を確実に無力化しなくては――

「てぇぇいっ!!」
「ビビちゃん!!こんなところで何を!?」
「え?」
聞き覚えのある声、急に立ち止まってちょっとよろける。
そのまま目の前の腕の中におさまってしまう。
「あぁん、情熱的ねぇ♪このキュルケおねえちゃんを追って来てくれたの?」
ローブの頭の部分をめくると、そこには見慣れた真っ赤な髪。
「え、えぇぇっ!?ど、どうしてキュルケおねえちゃんが!?」
「私もいる」
湖すぐそばの茂みから、タバサおねえちゃんも姿を表す。
襲撃者って……まさかこの2人なの?
「え、ど、どうして!?」
「まぁ、いいじゃない、ビビちゃん♪
 あ、折角だし、もうちょっとなでさせてよ〜――ウリウリ♪」
「え、あ、あの、そ、そこはくすぐったい!や、やめて〜……!!」
変なところをなでられて、くすぐったくってしょうがなかった。
58ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/24(火) 07:41:54 ID:SJdaMPlW
「――ちょい待ち!これだとおれっちの見せ場今回なし!?何それ!?」
「――僕はコケただけだぞ?」
「ドンマイ」
「ここ?それとも、こっち?ウリウリ〜♪」
「や、やめ、アハハハ!や、やめてぇぇぇ〜〜!!」
ルイズおねえちゃん達が異変に気づいて、
ルイズおねえちゃんがキュルケおねえちゃんに飛び蹴りをするまでの間、
この妙な状態がしばらく続いたんだ……



「……じゃぁ、タバサおねえちゃんの実家もこの辺なんだ?」
「そうなのよ。実家が沈みそうだし、奨学金のための任務もあるし――
 で、友情のために私がここにいるってわけ!それをルイズが足蹴にして……」
「か、勝手にビビに抱きついたりしてるからでしょ!ちょっとは反省しなさいっ!」
事情を聞けば、タバサおねえちゃんはガリア国からの留学生で、
奨学金をもらって生活しているから、その見返りに任務を果たさなきゃいけないらしい。
それで、今回の任務っていうのが、『水の精霊の暴走を止めろ』ってことだったみたい。
タバサおねえちゃんの家もこの辺りらしいから、強硬手段に訴えてでもなんとかしなくちゃ、
ってことだったんだって。キュルケおねえちゃんはその付き添い。いつも仲良しだなぁ。
「まぁ、襲撃者が知り合いで良かったわよ。ギーシュが痛い目に合わなくて……」
「ぬぅ、僕としてはもう少しいい格好したかったんだがなぁ」
「ダハハ、思いっきりコケてたしなぁ!ざまぁねぇぜ!」
とりあえず、怪我も無く、後は水の精霊と交渉するだけ……

いや、それ以外にも聞かなきゃいけないことがある。
なんで水位を上げてたのか?
それに……
『記憶の落とし子』って何なのか?

「それより、あんた達はなんでここに?ビビちゃんが私に会いたいからじゃないの?」
「んなわけないでしょ!あのねぇ、実はモンモランシーが……」
「ちょ、ちょっと!!言いふらさないでよっ!」
「痴情のもつれと見た」
「――流石タバサねぇ、そうなのよ。元はと言えばギーシュに使うはずだった……」
「うわ、そこから説明するのはやめてくれ!?」
……おねえちゃん達は、とっても仲がいいなぁって、改めて思うんだ。



「――というわけで、襲撃者は捕まえたから、『水の精霊の涙』を分けて欲しいんだけど」
モンモランシーおねえちゃんのしでかしたことは、
キュルケおねえちゃんとタバサおねえちゃんの知るところとなってしまったんだ。
堅く口止めをしたのはいいけど、キュルケおねえちゃんがニヤニヤしてたのが気にかかる。
……そんな、悪いことにならないといいんだけどなぁ……
「良かろう、単なる者よ」
水の精霊はそう言うと、水面を小さい羽虫が暴れたみたいに細かく揺らせて、
自分の体から一欠片の水滴のようなものを飛ばす。
「うわっととと!」
ギーシュが叫んで、それを丁寧に壜に受けた。
それを見届けると、水の精霊は湖底へ帰ろうとしてしまう。
59ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/24(火) 07:42:32 ID:SJdaMPlW
「待って! 聞きたいことがあるの!」
キュルケおねえちゃんがそれを呼び止めた。
水の精霊はぴくり、と動きを止め、再び盛り上がって綺麗な女の人の形になる。
「なんだ、単なる者よ」
「あなたはどうして水かさを増やすの? できれば事情を説明して欲しいのだけれど。あたし達にできることなら、解決に当たるわ」
キュルケおねえちゃんの言葉を受けて、水の精霊は様々に形を変えたんだ。
めまぐるしく、グルグルと、色を変えながら。
水の精霊の表情ってよく分からないけど、これって迷っている、ってことなのかなぁ?
「お前たちに任せてよいものか、我は悩む。しかし、お前たちは我の願いをかなえた。信用して話してもよいことと思う」
やっと1つの答えを見つけたのか、水の精霊が安定した女の人の姿に戻る。
……今気づいたけど、モンモランシーおねえちゃんの姿に似てる、かな?
「数えるのもおろかしいほど月が交差する時の間、我が守りし秘宝を、お前達の同胞が盗んだのだ」
「秘宝?」
「そうだ。我が暮らすもっとも濃き水の底から。その秘宝が盗まれたのは月が二十五ほど交差する前の晩のこと」
25回……えっと、この間ルイズおねえちゃんに聞いたところだと、1年が12ヶ月で二つの月は1ヶ月に1回交叉するから……
大体2年前、かな?
「じゃあ、人間に復讐する為に水かさを増やしてるってわけ?」
「復讐? 我はそのような目的はもたない。ただ、秘宝を取り返したいと願うだけだ。ゆっくりと水が浸食すれば、いずれ秘宝に届く。
 水が全てを覆う暁には、我が体がその在り処を知ろう」
な、なんかのんびりした話だなぁって呆れてしまう。
「我とお前たちでは、時に対する概念が違う」
違うっていっても、これじゃあんまりだと思うんだ。
「じゃあ、私達がその秘宝を取り返してくればいいのね? なんていう秘宝なの?」
「『アンドバリ』の指輪。我が共に、時を過ごした指輪」
「聞いたことがあるわね」
モンモランシーおねえちゃんが考え込む。
「確か……『水』系統のマジックアイテムね。偽りの命を死者に与えるとか……」
……偽りの命?『フェニックスの尾』とか『ゾンビ化』とは違うのかなぁ……?
「そのとおりだ。単なる者よ。死は我にない概念ゆえ理解できぬが、死を宿命とするお前たちには魅力と思えるのかもしれぬ。
 しかしながら、其は偽りの命。 旧き水の力に過ぎぬ。『アンドバリ』の指輪はお前たちの益にはならぬだろう」
「誰がそんなもの取っていったのかしら。名前とか分からないの?」
「個体の一人がこう呼ばれていた。『クロムウェル』と」
「――クロムウェルって。確かアルビオンの新皇帝よね、記憶が確かなら」
キュルケおねえちゃんが呟いた。
「あの、恥知らずの!?」
ルイズおねえちゃんが顔をしかめる。
あの、アルビオンの戦争の、ウェールズ王子と敵対してた人たちのリーダーなら、
そういうふうな反応になるのも仕方ないと思うんだ。
「……偽りの命を与えられると、どうなっちゃうの……?」
「生前と同じ姿、同じ声、同じ記憶で指輪を使った者に従うようになる。個々に意思があるというのは不便なものだな」
「死者を動かすなんて趣味が悪いわね」
眉をひそめるキュルケおねえちゃん。
……趣味が悪いなんてもんじゃない。
とんでもなく愚かしいアイテムだと思うんだ。命を、弄ぶなんて。
「……約束する。その指輪を取り返してくるから、水かさを増やすのをやめて」
そう言ったのはタバサおねえちゃんだった。
……心なしか、タバサおねえちゃんも怒ってるような気がした。
いつもと同じ無表情だけど……
「わかった。お前たちを信用しよう。指輪が戻るのなら水を増やす必要もない」
「いつまでに取り返してくればいいの?」
「お前たちの寿命が尽きるまでで構わぬ」
……精霊とボクたちって、こんなに時間の感覚が違うの?
「我にとっては明日も未来もあまり変わらぬ」
60ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/24(火) 07:43:15 ID:SJdaMPlW
「待って」
気が遠くなるほどの時間の差を言い残して去ろうとする水の精霊を呼び止めたのはタバサおねえちゃんだったんだ。
「水の精霊。あなたに一つ聞きたい」
「なんだ?」
「あなたはわたしたちの間で『誓約』の精霊と呼ばれている。その理由を聞きたい」
「単なる者よ。我とお前たちでは存在の根底が違う。我はお前たちが深く理解はできぬ。
 しかし我がお前たちの身から見て不変であるが故に、変わらぬ何かを祈りたくなるのであろう」
タバサおねえちゃんその答えに満足したのか頷くと、ひざまずいて目をつむって、水の精霊にお祈りを捧げたんだ。
キュルケおねえちゃんが、それを優しく見守っていた。
「ねえギーシュ」
「なんだいモンモランシー」
「誓って?」
「何を?」
……ボクも鈍くて、トロい方だとは思うけど、ギーシュはそれ以上に鈍感だなぁと思うんだ。
流石に、この会話の流れだと、大体想像がつきそうなんだけど……
モンモランシーおねえちゃんがその頭を思いきり殴りつけた。
「わたしへの愛に決まってるじゃないの!」
「あ、ああ。えーと。ギーシュ・ド・グラモンは誓います。これから先、モンモランシーを一番に愛す……」
そこまで言ってまたギーシュは殴られちゃったんだ。
「一番って何よ!!二番三番がいるっていうの!?」
「痛っ!?あーえーそのー……」
「あぁ、もうっ!じれったいわねっ!!」
煮え切らない返事しかしないギーシュの頬を思いっきりつかんで、
モンモランシーおねえちゃんは無理やりギーシュにキスをしたんだ。
「あらあら、“世界一ピュアなキス”とはいかないみたいねぇ――」
キュルケおねえちゃんがケラケラ笑ってその様子を見る。
うーん、水の精霊の光で、湖が星空みたいに煌いて、なかなか神秘的でいいと思うんだけどなぁ?
「ルイズー、あんたも祈っといたら?恋人の1人でもできるようにって」
「ば、バカ言うんじゃないわよっ!男をとっかえひっかえするような女に言われたくないわっ!」
「あ、ちょっとおねえちゃん傷ついたわー、傷つかされちゃったわー。ビビちゃん慰めて〜!」
「え、わわっ!?」
水の精霊が、そんな光景にあきれたのか、去ろうとしてしまう。


「あ、あの……待ってください!」
これを逃したら、聞く機会は来ないんじゃないかなって思って、声を出した。
「何用か、『記憶の落とし子』よ」
水の精霊は、またボクのことを『記憶の落とし子』と呼んで振り返った。
キュルケおねえちゃんの抱きしめをなんとかふりほどいて、
帽子をかぶりなおして、聞いたんだ。
「……『記憶の落とし子』って、何ですか?」

少しだけ間があって、水の精霊が言葉を選ぶようにゆっくりと語り始めたんだ。
「我ら精霊と、単なる者をつなぐ物、それが『記憶の輪廻』だ。
 単なる者は死して『記憶』となり、精霊はそれを受くる――」
……?精霊って、クリスタルみたいな存在ってことなのかなぁ?
「『記憶の輪廻』は秩序に従う。
 だが、秩序が乱れしとき、『記憶の落とし子』が生まれ落ちる――」
……『霧』と『魂』の関係だと、なんとなく分かった。
ボクは、クジャに作られた存在だ。
『魂』が循環するときにできる残り滓である『霧』からボク達を作ったと、クジャが言っていた。
水の精霊は、そこからボクを『記憶の落とし子』って呼ぶのか……
「『記憶の落とし子』は秩序に変革をもたらす。
 望むがままに。新たな秩序か、さらなる混沌か――」
クジャは、ボク達を使って、ボク達の世界に混沌をもたらそうとした。
戦乱を引き起こし、『魂の循環』を汚そうとした。
それは、どんなに間違っても、ボクの望みなんかじゃない!
これまでも、この先も。
「……ありがとう。ボクは、混沌を望みません」
「我は傍観者にすぎぬ。礼はいらぬ」
61ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/24(火) 07:43:48 ID:SJdaMPlW
最後に、ボクもお祈りしたんだ。
世界が……平和でありますようにって。
誰も傷ついて泣いたりしない、そんな世界になりますようにって。
水の精霊が去った後の水面は、ゆらゆらと、星屑が反射して、
もう一つの夜空のように横たわっていた。



ピコン
ATE 〜死人(しびと)が笑う〜

「そ、それが、聖地の真実だと!?」
「あぁ、そうだな。仮説にすぎんが。だが筋は通っているだろ?」
ジョセフはこの瞬間がいつも好きだった。
チェスでチェック・メイトをかける瞬間。
サンクで手札を開ける瞬間。
工夫を凝らしたびっくり箱を知りあいが開ける瞬間。
驚愕に目を見開き、瞳には困惑の色が宿る。
ジョセフはそんな目が大好きだった。
それが見たいがために、寝る間も惜しんで悪戯を繰り返したこともある。
だが、今の地位は仮にも王。
やすやすと児戯をこなせる暇も、隙もなくなってきている。
だからこそ、今この瞬間を、得がたいものとして、
無上の喜びとして噛みしめているのだ。
おそらく、寝る前にもう1度思い出して愉悦に浸るだろうし、
起きた後で再度反芻し、素晴らしい朝を迎えることだろう。
何しろ、今宵トリックにかけたのは、
ハルケギニア中のメイジが、いやハルケギニア中の民衆が恐れる、
金髪長耳の悪魔、エルフなのだから。

「にわかには、信じられんな――それは、老評議会も同じだ」
やはり、そうかとジョセフはため息をつく。
いつも『大人たち』はこうだ。
目の前の真実を真実と認めず、幻想にすぎないと信じ込もうとする。
それが老いたる者の集団ならなおさらだ。
「アンドバリの指輪や、聖地、全てをつなぐ鍵がこの“外典”なのだがな?」
ビダーシャル、この頭に固定化がかかったエルフ共の代表が接触してきた理由は
『シャイターンの門』に近づこうとする人間の動きの抑止である。
聖地に近づくハルケギニア人、エルフ共が言うところの蛮族が存在することにも興味がわいたが、
それ以上に、エルフが同じテーブルについたことに、ジョセフはほくそ笑んだものだ。
人の動きの抑止など、たやすい用事である。
それで相手の示した掛け金、エルフの部下1名というのはまさに破格だ。
62ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/24(火) 07:44:21 ID:SJdaMPlW
しかし、同じテーブルについた相手を、それで返すのは、失礼というものだ。
何より、ジョセフの持つ手札は、多くが彼のミョズニトニルンが秘密裏に入手したものだが、
もっと大きな勝ちを期待できる素晴らしいものだった。
この程度の掛け金でゲームが終わってしまうのは実にもったいない。
ロワイヤル・ラファル・アヴェニューなど目ではないほど、
ピカピカに輝かんばかりの手札が揃いそうだ。
素晴らしい手札と上質の財布を持つ相手が存在し得る場合どうするか?
簡単な話だ。手札を、ほんの少しだけほのめかす。
掛け金をレイズさせるにはそれしかない。
「その程度の掛け金でいいのか?」と問いかける。
そうすれば、相手が値を少しだけ吊り上げてくる。
焦らず、ゲームの熱が場に沁み渡るまでこれを繰り返すのだ。
そうして、お互いの熱が最高潮に達し、最後の1枚が手に入ったとき、
一度に全てを晒しだす。もったいつけても構わないが、ジョセフはそうしたことを好まなかった。
手札を広げるときは、勝ち誇って、満面の笑みで、一度に、だ。
そのときの相手の顔といったら!
眼に映る光景を記憶できる魔法があれば、この表情だけを集めて城の壁に貼り付けるのもおもしろいだろう。
ジョセフは喉の奥で笑いながらそう考えた。
さぁ、仕上げだ。掛け金の徴収が残っている。

「――この件は、老評議会に預けねばならない。
 己個人の協力ならばもはや拒否はせぬが、ここまで大事となると――」
及第点だ。自分の役割を心得た男の合格点の回答。
この男の協力は申し分ないところまで得ている。
後は胴元を自分のテーブルまで引きずり降ろすだけ。
ここで焦ってしまってはそれはかなわない。
よって、ジョセフは慎重にこう言う。
「なるほどな。まぁしょうがあるまい。この“外典”にしてもロマリアの地下書庫から盗んだものだしな」
この手札はイカサマ同然に手に入れたジョーカー。
あまりにも強力すぎて、場から遠ざけられたルール違反も同然のカード。
それを惜しげもなく、切ったのだ。失敗は許されない。
その緊張感、その高揚感、ゲームの熱にジョセフは酔っていた。

「――では、早速この件は評議会に」
「あぁ、まてまて、普通に行き来していたのではまた1週間以上かかる」
熱は冷めぬうちに。料理もゲームも同じだ。
「速い方法でもあるのか?」
「あるのだな、それが。お前やミョズニトニルンの協力で新型の船ができてな。
 小型だが、かなり足は速い。試運転代わりに乗っていってくれ」
手札をもう1枚重ねての提示。ブラフなどという姑息な手段ではない。
王者の遊戯とはかくあるべし。最強の手札を惜しみなく、だ。
「『ブラック・ジャック号』……“黒い簒奪者”と名付けてな?どうだ、俺にピッタリだろう?」
「ふむ、それで?どこに行けばいい?」
「あぁ、この者が案内しよう。――おい、頼むぞ?お客さんだからな」
「――はい、かしこまりました」
そして、本日最後の手札が、部屋の隅から、月影の射さぬ場所から効果的に現れる。
少々、演出過剰な気もするが構わないだろう。
金の髪が月灯りに映える。まさに金ぴかに光る最高のカードだ。

「――ウェールズ・テューダーと申します。サハラまでの道案内はよろしくお願いいたしますね」
王者の風格をたたえた手札が、優しく微笑んだ

-------------------
今回は以上です。
次回は、アニエスさんに正気に戻ってもらいます……
ところで、まったく関係ないのですが、「ウボァー」と「ぎにゃぁぁぁぁ!!」、どっちがお好きですか?(謎
お目汚し失礼いたしました。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 09:34:22 ID:YIjirgfY
ビビの人乙!
ATEにまさかのブラック・ジャック号登場に歓喜 

私的には「ぎにゃぁぁぁぁ!!」が好きかな。
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 09:36:29 ID:T94yh1DV
ビビの人乙!前回のアニエスの台詞といい、今回の飛空挺の名前といい、
シリーズファンにはニヤリとさせられる部分が多いですな。
個人的にはウボァーが好きです。あと「しねぃ!」や「ホワッホッホッホ」も。
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 11:19:54 ID:tRY7RyJ9
 サイトの代わりにドリームキッドが、
 デルフリンガーの代わりにクアドラが、
 ゼロ戦の代わりにガルーダが。

  【スーパー鈴吹太郎大戦】
66名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 12:30:02 ID:Os/D3sk8
トニヤとキュルケ
ティファとタバサ

似てるかぁ・・・?

確かに文章設定では共通点はあるけど・・・
67名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 13:54:26 ID:YD6KAfRz
>65
それをすると教皇あたりにネコミミが生えて機械神ブリミルを信仰しはじめないか心配だ。

前スレ>585
ふと思ったんだが、黒い炎の人の本体とか銀の炎の鎧の胸にルーンが輝くとかはありでは?
あと、探耽求究のデコにルーンとか。
68名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 14:56:45 ID:zqjorQm1
徒は、自分の居場所さえ定めてしまえば世界を渡れるから呼んでもあまり意味がないような。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 15:40:16 ID:YeEHfbBJ
召喚繋がりでFateの英霊を呼ぶような話を書く人とかいないかな
やっぱり型月関連はスレが荒れる原因になり易いから皆避けてるのかな?
とりあえず俺には文才無いので無理です
70名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 15:42:30 ID:4i1zSq0o
避ける云々以前にスレ違いだよ
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 15:43:15 ID:UJ3oBO5F
>>69
テンプレ見れ、あと専用スレもある
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 15:52:08 ID:lYKra0Br
召喚といったらサモンナイトだろう、とサモン信者が言ってみる。
ビーニャの人も結局音沙汰ないし、本当に長期投下できる長編が読みたいよ…。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 16:05:12 ID:PiY96E2A
召喚ならモンスターコレクション。

ふと思ったが、ワルドにアースサークルかけたら土属性のスクウェアメイジになったりするんだろうか。
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 16:08:31 ID:2itFnqgy
>>73
「碧鱗の王」召喚しちゃったら困った事になりそうだ、いろいろと
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 16:18:24 ID:DneNp7Vw
召喚ならカルドセプト。
人頭杖を召喚してバルテアス神を復活させて自分の望みを叶えるため暗躍するルイズとかどうだろうか。
最初はカトレアの身体を治すという望みが魔法を使えることに入れ替わり……
やがて自分の力を周囲に知らしめることを、劣等感からの開放を、そして魔法社会への復讐へ、とか。
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 16:28:06 ID:5smEQDbW
書いてから感想求めた方が分かりやすいよ
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 17:01:55 ID:ImFKeLyV
>>75
ミゴール召喚が既出だ
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 17:05:10 ID:6iJ9VXUt
>>77
おマチさんが魔剣に身体喰いちぎられて、ルイズが黒くなってるあれですね
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 17:11:27 ID:sOUZKA07
ティンダロスの猟犬に目を付けられた人物召喚したらやっぱ時空を越えて追ってくるんだろうか?
魔法というチートでも、クトゥルフ系の相手には勝てないんかね?
漁船アタックみたいに追っ払うこと位はできるだろうけど、どの道無事じゃ済まんわな。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 17:13:08 ID:m40XZnFb
____________
|  _ __  る る 家     |     __ _
| '  ヽ_ ヽ ______ |    '´,  ヾ く/
|l、l#人从リ        . | |  ∠i lノ人))〉  _潮騒の音染みる
|ヾll ゚ ヮ゚ノll   (゚||||゚ ) | |__ | (|!|゚ヮ゚イl      贅沢な時間…
| rヽソ/ ヽっ ヾ。。。ノ|ヘ| |\\ ( つ旦O ̄\
| ノl ━」 | ̄| ̄| ̄| ̄|| |┃ ̄┃( )  )┃ ̄┃   V
|  廿廿 .| | | .| || |┃  ┃し し' ┃  ┃  (-)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
雄大な太平洋を臨む、伝統と格式のある海の家「るる家」。
最新のシャワー室と更衣室を完備し、ディープワンズによる
御荷物のセキュリティも万全です。
お昼は店長自ら造る当店ならではの浜料理をご堪能下さい。
きっと貴方を満足させます。
従業員一同お待ちしております。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 17:17:42 ID:ImFKeLyV
ここはちっと反則技で佐藤大輔召喚
ルーンによる服従効果を使って「中断してる作品再開しろ」と命令

あ、実在の人物はマズいのか
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 17:20:10 ID:sHP2Y2MZ
異世界から召喚といったら大貝獣物語、もう覚えてる人いないかな。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 17:28:10 ID:sOUZKA07
>>80
ちょっと泊まってみたいw
お客様の中に内原富手夫さんはおられませんか〜?

というわけで妖怪グルメから内原富手夫を召喚。
サラマンダーから風韻竜まで食材いろいろ。
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 17:52:10 ID:QU8MXm+f
>>81
借金で首が回らなくなったメイジを集めて
トリステインの国益を守る超法規部隊を作るのか
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 17:55:16 ID:6iJ9VXUt
ところでLouise and Little Familiar’s Order-10の代理投下したいんだがいいかな?
86代理 Louise and Little Familiar’s Order-10 01/06:2009/02/24(火) 17:58:18 ID:6iJ9VXUt
どーも作者です。まだ自分のパソコンは貰えんとです。では行きます。

今まで散々色々なお宝を貴族の屋敷から盗み出してきたフーケにも流儀という物が人々に知られていないだけだがある。それは盗みの際に人死にを出さないといった物だった。
平気でそんな事をするようになっては巷の火事場泥棒にも劣る。それに彼女はハニートラップなぞに迂闊に手を出すほど頓馬ではないと自負していた。
今フーケは自分が作り出した巨大土ゴーレムの肩辺りで小さく息を吐いていた。足元にいる学院生が、ゴーレムを見て慌てふためき、この場から退散して行ってくれたからだ。
これで自分の顔を見られる心配は無いし、怪我人も出ることは無いだろう。
それにしても仕事はやりやすくなったが、あの桃髪の生徒が放った魔法は一体何なのだろうか?
ゴーレムでも破壊が不可能そうだった本塔の壁をあっさりと破壊、いや爆破してみせた。既存の魔法体系ではどうやっても説明がつかない。
しかしフーケは頭を振って仕事に集中する事にした。このチャンスをみすみす逃す訳にはいかない。フーケはゴーレムの手を壁の穴に伸ばさせ、そこから宝物庫の中へ入った。
中は大半が換金すれば大金に化けそうな宝で一杯だったが、狙いは「鉄拳の箱」である。そして高価そうな箱が並んでいる一角にそれはあった。
小さく白い色をしたそれはたんまりと埃を被っており、箱の上部には丁寧に「鉄拳の箱、持ち出し不可」と書いてあった。フーケは堪えきれなくなったのか小さくほくそ笑むが、流石に中身をその場で開けるのは自重した。
それからフーケは腕伝いにゴーレムの肩に乗り、最後の仕上げとばかりに杖を一振りして壁に「鉄拳の箱、確かに領収いたしました。土くれのフーケ。」と残す。
今回の仕事は上々だった。早くこれを遠くの質屋で換金して田舎に残してきた妹の下に送金したい。
最近は彼女が使い魔召喚で喚び出したという青年―彼もこの世界で一応仕事をしている―も加わって食い扶持が増えた事もある。今回は喜んでくれるだろう。そんな事を考えながらフーケはゴーレムを動かし始めた。
ゴーレムは魔法学院の城壁を軽く乗り越え、重低音の地響きを辺りに轟かせながら草原を歩いていく。だがそれはあと少しで学院に一番近い所にある森に着くという時になって突然ぐしゃっと潰れる。
一部始終を中庭の奥で見守っていたメンバーの中で一番先に口を開いたのはギーシュだった。

「あれは……土ゴーレムだ。多分作ったのはトライアングルクラスだろう。でなきゃあんな大きなゴーレムなんか作れやしない。」
「でもあのメイジ、ルイズの作った穴から何かを抱えて出て来たわ。確かの階層の辺りは……」
「宝物庫。」

キュルケの質問に答えたのはタバサだった。そしてその言葉にキュルケ、ギーシュははっとお互いの顔を見合わせる。

「泥棒!!」

叫んだのはほぼ同時だった。しかし、それが分かったとてギーシュの推測が合っているなら、今ここにいる四人に対抗する手段は何一つ無かっただろう。
太陽の光を借りて白みかけていた空は、ゴーレムの潰れた地面を煌々と照らすだけだった。

Loise&Little Familiar's Order「For show or brave. That is the question.」

そこそこ日も昇ってきた頃になっても起床の時間と共に伝播した盗賊騒ぎは続いていた。
宝物庫の中では学院中の教師達が当直の教師であったミセス・シュヴルーズ、或いは警護に当たっていた平民の衛兵に責任の所在を擦り付け合っていたが、オールド・オスマンの登場によって漸く場は静まりと落ち着きを取り戻していった。

「皆の者!責任の所在は今回の問題点に非ずじゃ。この中でまともに当直をした者だけがそれをとやかく言う資格があるはずじゃが、その資格があるという者だけ意見を述べよ……と言ったところで誰も何も言えんのはわし自身もう掴んでおる事じゃ。
君らがそんな態度を取るから生徒が真似をするのじゃぞ。生徒はいつも君らの背中を見て大きくなるものじゃ。各自それを良く覚えておくように。
さて責任の話は一先ずさて置いてじゃ、犯行の現場を見ていたのは誰かの?」
「この四人です。掃除を終えて直ぐの出来事だったようです。」

コルベール氏が自分の直ぐ後ろにいた四人にさっと手を伸ばした。キュルケの隣には今や首輪の付いたヒメグマを鎖でもって離れないようにしているミーがいたが使い魔なので人数には入っていない。

「ふむ……君達か。詳しく説明してくれんかね?」

オスマン氏の質問に答えたのはギーシュだ。
87代理 Louise and Little Familiar’s Order-10 02/06:2009/02/24(火) 18:00:06 ID:6iJ9VXUt
「はい。突然大きな土ゴーレムが姿を現して、肩の辺りにいたメイジが壁に開いた穴から中に入っていったんです。そして何かを……恐らくは『鉄拳の箱』をだと思うのですが、とにかくそれを抱えて出て来たんです。
それから再びそのメイジはゴーレムの肩に乗りました。ゴーレムは城壁を跨いで外へ逃げて行き、いきなり崩れたんです。後には小さな土の丘があるだけでした。」
「有り難う。つまり後を追おうにも手懸かり無しというわけか。」

オスマン氏は困った顔をして顎鬚を弄り始めるが、その時長い黒髪に黒いマントをした教師の一人が話しに入ってきた。

「しかし、今の話には一つだけ合点のいかぬ所がある。
ミスタ・グラモン。メイジこと土くれのフーケは本塔の壁に開いた穴に入って盗みを働いたと言うが、そもそもその穴は何時開いたのだ?これだけ分厚く、またスクウェアクラスのメイジが何重にも『固定化』の魔法をかけていたというのに。」

その言葉を聞いてルイズの顔がさっと青くなる。
まさか国法で禁じられている貴族同士の決闘をやっている最中に自分が唱えて失敗した魔法が壁に命中したからなんて言えやしない。結果としてそれが過失にせよ、フーケの盗みの幇助をすることになってしまったのだから。
どう言おうか迷っていると、横からキュルケが助け舟を出した。

「ミスタ・ギトー。それ以前に開いていなかったのでしたら、フーケが自分で開けたのではありませんか?私たちはフーケが穴を開ける瞬間は見ていませんでしたが、少なくともここにいる全員は誰も本塔の壁に手を出していませんわ。
第一、もしそれが虚偽だったとしても学院生である私達がフーケに手を貸す理由が何一つありませんもの。」

それを受けてオスマン氏もギトー氏を宥めるように言う。

「ミス・ツェルプストーの言う通りじゃ。ここにいる四人の証言こそが昨夜の真実なのじゃ。フーケがそれだけの実力者であったとする事にしましょうぞ。
ところで、誰かミス・ロングビルを見なかったかね?今朝から姿が見えないのじゃが?」

オスマン氏の質問にその場にいる全員がばらばらに首を横に振る。と、そこへ本人がやって来た。訊くと、フーケの居場所を独自に行った調査の結果、突きとめることに成功したとの事である。
それによるとフーケはここから馬車で四時間近く行った所にある森の廃屋を隠れ家としているらしく、農民が黒尽くめの怪しい者がそこに入っていくのを見たというのだ。
一通りの報告を聞き終わったコルベール氏はオスマン氏に進言を行った。

「オールド・オスマン!直ぐに王室に報告しましょう!王室衛士隊に頼み、兵を差し向けてもらわねば!」

しかしオスマン氏はそれを話にもならないという表情で一蹴した。

「愚か者。そうしている間にフーケはお宝と共に逃げてしまうわ。大体当事者である我等が何も行動を起こさず、その様に他人に全てを任せる姿勢でどうする?
我々の身に起きた災難は我々自身の手で解決する。それが貴族として取るべき行動ではないかの?我々は赤子ではないのじゃぞ。
さて、そういう事でこれから捜索隊を編成する。我と思う者よ、杖を高く掲げよ。」

しかし誰の杖も上がらない。その様子にオスマン氏は嘆息したが、ややあって勢い良く杖を眼前に掲げる者がいたのを見た。ルイズである。
88代理 Louise and Little Familiar’s Order-10 03/06:2009/02/24(火) 18:06:32 ID:6iJ9VXUt
「ミス・ヴァリエール!あなたは生徒ですぞ!」
「でもコルベール先生、誰も杖を掲げていませんよ?」

しかし杖を掲げる者は直ぐにもう一人増えた。キュルケがその一人である。これにもコル
ベール氏は驚きの声を上げた。

「ミス・ツェルプストー!あなたも生徒ではありませんか!」
「ヴァリエール一人では何かと心配なもので……私がいた方が何かと安全かと思いましたの。」

その台詞にルイズは危うく噛み付きかけたが、これまでの経緯、そして昨晩の決闘の結果を考え、慌てて言葉を引っ込めた。そしてもう二人分杖が上がる。タバサとギーシュだった。

「心配。」
「淑女の危機を看過する事はグラモン家の恥。この捜索是非自分も参加させて下さい。」

二人の目はどこまでも真剣そのものだ。オスマン氏はそれを見て納得したように頷いた。

「そうか。行ってくれるか。ふむ、しかし生徒だけというのものう。ミスタ・コルベール。すまんが随行を頼めるかね?」
「かしこまりました。」

コルベール氏はオスマン氏からの頼みに恭しく頭を下げる。オスマン氏はそれを見て再度頷き、それぞれに励ましの言葉を送る。

「ミス・タバサ。君は若くしてシュヴァリエの称号を持つと聞いておる。それに恥じぬよう、己の実力全てを出して頑張るのじゃぞ。
それからミス・ツェルプストー、君はゲルマニアの優秀な軍人を多く輩出した家系の出であり、君自身も強力な炎魔法の使い手と聞いておる。君の放つ炎が皆を窮地から救わん事を願おう。
そしてミスタ・グラモン。軍門の家の出として、そして土メイジとして皆を守る確かな足場となるのじゃぞ。それからミス・ヴァリエールは……」

そこで言葉が途切れる。ルイズにとってそんな事は想定していた事の範疇だった。一体何を言うのだろうかと気にはなったが何とかそれを気取られないよう澄ましてみせる。
五秒ほどの間があってから、やっと言葉が見つかったのかオスマン氏は励ましの言葉を続ける。

「数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール家の息女。使い魔も従順でよく主人の為に尽くしてくれていると聞くが?」

その一言だけでもルイズにとっては救いだった。褒めるとは言ってもまさかヴィンダールブの一件を話す訳にはいかないだろうし。

「さて討伐隊として出る者は決まった。魔法学院長として諸君等の努力、そして貴族の義務に期待する。」

討伐隊の皆はオスマン氏がそう告げると真顔になって直立し、「杖にかけて!」と唱和する。
それからコルベール氏とギーシュは深々しくお辞儀し、ルイズ、キュルケ、タバサはスカートの端を摘んで恭しくお辞儀をする。それを見ていたミーは慌ててその真似をした。

「うむ。ミスタ・コルベール。出立に当たって数点渡しておく物があるから後で学院長室に来てくれたまえ。それから現地まで行く為の馬車はわしが用意しよう。道中の案内に関しては……ミス・ロングビル、頼みましたぞ。」

オスマン氏の要請にミス・ロングビルはにっこりと笑って応じた。

「元よりそのつもりですわ。」
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 18:13:55 ID:sOUZKA07
支援する!
90代理 Louise and Little Familiar’s Order-10 04/06:2009/02/24(火) 18:14:44 ID:6iJ9VXUt
ミス・ロングビルが御者をする屋根無し馬車は暗い森に続く一本道をひた走る。
荷台に乗っている五人はこれから待ち受ける相手の事を考えていたので暫く黙っていたが、やがてそれに耐え切れなくなったのか、キュルケが真っ先に口を開いた。

「ルイズ、何であの時手を上げたの?見栄なの?一応昨日の晩にも言ったけど、あなたの使い魔は今のところ私の手元にいるんですからね。あなた一人がゴーレムと対峙するんならあなた一人でどうにかしなさいよ。」

ルイズは隈の出来た半開きの目で小さく「五月蝿いわねえ」とだけ呟いた。大体そんな事は分かっているし、今の‘見栄’という指摘に嘘が無いとは言えない。ただ自分の、どんな時でも体裁を繕おうとする意図しない言動に嫌気が差していたのだ。
だがキュルケは尚も厳しい口調で続ける。

「相手は沢山場数踏んでいそうなトライアングルクラスのメイジなのよ。全員が無事に帰れるっていう保証があるかどうかも分からない危険な事なのに、どうしてあなたは使い魔まで連れてここにいるのよ?
まさか……あなた、使い魔との関係のルールを知った上で、この任務に自分から率先して参加したんじゃ……」
「ねえ、間違ってもその先の事で口を開いたらキュルケ、私この荷台からあんた蹴り落とすわよ。」

不機嫌極まりない視線を向けるルイズだったが、キュルケは何処吹く風といったような表情で消えるように「どうかしらね……」と呟く。
それを宥めるようにコルベール氏が両者の間に、やっと聞き取れるほどの小さな声で割って入った。

「二人とも。寝不足で気が立っているのかもしれないが、言い争いをしている余裕は無いぞ。何しろ我々の相手は直ぐ近くにいるのだからね。」

一瞬言葉の意味が判らなくてきょとんとするルイズとキュルケ、そして居眠りをしかけていたギーシュ。相手が直ぐ近くにいるとはどういうことだろうか?

「先生、それはどういう意味ですか?」
「……いいか、みんな。とにかく私の近くに寄るんだ。なるべく馬車より大きな声を出さないように気をつけるんだぞ。」

訳の分からぬまま三人はコルベール氏に近寄る。タバサもそれが何か大事な話をするサインだと気付いたのか、読みかけていた本を閉じて皆と一緒の事をした。
それからコルベール氏は御者台にいるミス・ロングビルに、自分達の動きが気付かれていない事を確認した後、声を潜めて話を始めだした。
91代理 Louise and Little Familiar’s Order-10 05/06:2009/02/24(火) 18:15:50 ID:6iJ9VXUt
「いいか諸君。フーケはミス・ロングビルである可能性がある。」
「ええっ?!!それはどうして……!」
「しーっ!!大きな声を出してはいけない!……今朝、彼女が周辺住民に対する聞き込みの結果、学院から馬車で四時間ほどの所にフーケの隠れ家があると報告した。それは覚えているね。だけどそれには大きな嘘が一つある。
考えてみたまえ。フーケに因る襲撃が行われたのは今日の未明である事を踏まえれば、日も出て間もない頃に外へ出て往復八時間かかる道程を行って帰って来る事はおかしくないかい?聞き込みをやっていたのなら尚更のこと時間がかかるだろう。
彼女が竜の様に高速で移動出来る手段を、動物にしろ魔法にしろ持っていたというのであれば話は別だが、私や学院長の知る限り、彼女はそのどちらも持っていない。
まあ、これはあくまで学院長の推論だが、私としては十分考慮する価値のある情報に思えるからこそ、君達に伝える事にしたのだが。」
「なら今の内にふん縛ってしまえば良いのでは?」

そこでギーシュが逸る心で提案してみるが、コルベール氏はしっかりと首を横に振って落ち着かせるように言った。

「ミスタ・グラモン、貴族が『ふん縛る』などという言葉を使うものではない。それに重ねて言うが、今私が言った事は未だ推論の域を出ない。
例えそれが事実であったとしても、状況、物的、何れの証拠も無しに捕まえた場合、相手が上手く立ち回るためにそれなりの用意をしていたら、圧倒的にこちらが不利になる。
必要なのは待つ事だ。相手が言い逃れ出来はしないボロを出した時、つまりこちらにとって決定的な好機の時、一気に仕掛ける。」

だがその作戦に納得がいかないのか、キュルケが少し訝しんだ様な表情でコルベール氏に対して言う。

「先生、期を待つ必要なんて無いと思いますわ。あちらはトライアングルクラスが一人、こちらは同格の人間が二人若しくは三人いますのよ。
未熟な私達に教える立場の先生が、まさか自分自身を卑下した上で戦力外だと思いになられて?」

隣でギーシュが「僕は戦力外なのか!」と小さく叫ぶのを無視してキュルケはじっとコルベール氏を見つめる。
コルベール氏は一瞬苦しそうな表情をしたが、一息吐いてからその返答をしだした。

「ミス・ツェルプストー、仮にもトライアングルの君が口にするべき言葉ではないな。
私は被るであろう被害を最小限に抑えようとして今の提案をしたのだ。もしフーケに金銭的な余裕があって貴族崩れの傭兵でも雇っていた上で我々を待ち構えていたらどうする?
それに我々の任務、学院長は討伐と仰ったが、フーケを罰するのは王宮等行政が、それも公平な審判の元で行う事だ。
我々はなるべく無傷でフーケを彼らの元に突き出さなければならないのだ。息の根を止めるというのは我々のするべき事ではない。分かったかな?」

コルベール氏の念押しにキュルケは渋々といった感じで頷く。元が軍人の家系の出だから腕を振るえないというのが不満なんだろう。
それから暫く行くと暗く鬱蒼とした森に着いたので、六人と一匹は馬車を降りて細くて狭い曲がりくねった道を進んでいく。
やがて開けた場所に辿り着いた。その脇の辺りに嘗ては炭焼き小屋だったらしい廃屋がある。怪盗の隠れ家には御誂え向きの様相だ。一行は一旦森の茂みに身を隠す。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 18:16:31 ID:8sW494CC
支援
93代理 Louise and Little Familiar’s Order-10 06/06:2009/02/24(火) 18:16:57 ID:6iJ9VXUt
「情報によるとフーケはあの中にいるという話です。」

ミス・ロングビルは廃屋を指差して言うが、今のところ中に人がいる気配は無さそうである。

「なるほど。しかし人がいる気配は無いですね。今の内に中にあるかもしれない『鉄拳の箱』を取り返しましょう!」
「ミスタ・グラモン。油断してはいけませんぞ。フーケはもしかすると、こうなる事を見越して罠を仕掛けているかもしれませんぞ。全員一斉に出て一巻の終わりなんて事もありえるのですぞ。」

急ぐギーシュをコルベール氏が抑える。しかし此処で何時までもじっとしていても埒が開かないのも事実だ。そこでタバサが自ら立案した作戦を披露した。
その作戦とはこうだ。先ずルイズが偵察兼囮として小屋の様子を確認。フーケがいなかった場合、全員を小屋へ呼び、『鉄拳の箱』奪取後、出来るならば学院に戻る。
もしフーケが現れた場合、コルベール氏中心の下、フーケが土ゴーレムを作り出す前に集中砲火で沈めるといったものだった。
一連の流れを聞いたルイズは溜め息一つ吐いて、「何で私なの?」と訊ねたが、タバサは一言「動きが素早い。」と言ったきり黙る。他の皆もそれに相違なかったようである。
どうにもならないと観念したルイズはいきなりミーの手を引っ張って小屋まで行こうとしたが、ミーはそこから一歩も動かずに恐る恐るルイズに訊く。

「御主人様、ミーも行かなきゃならないんですか?」
「そうよルイズ。さっきも言ったでしょ。この子はあなたの使い魔という立場を一時的にせよ離れてるのよ。あなたの行動に追随する理由なんて無いわ。」

キュルケがミーのもう片方の手を握りながらルイズに向かって冷たく言い放つ。
だがルイズはそれを上回る力でぐいと自分の元に引っ張り、黙って自分の後について行かせだした。
先に着いたルイズは中の様子を伺ってみるが、埃の厚く積もった家具や床は、そこに人が長くいないという事を如実に示していた。フーケは宝を持ってどこか遠くへ逃げてしまったのだろうか?
ルイズは一応小屋の全周囲を回ってみるが、やはり誰かが隠れている気配も無い。
ルイズは誰もいないという時のサインを出し皆を小屋の近くまで呼び寄せた。中の様子を見た感想がコルベール氏とキュルケから出る。

「中に誰もいないな。」
「誰も中にいないわねぇ。誰か中にいたら魔法の腕を振るえたのに。」

それからタバサはドアに魔法をかけてみるが、何の反応も無かった事から「罠は無い。」短く呟き、ドアを開けて中に入る。
そこで皆は事前の打ち合わせどおりに動く事になった。ミス・ロングビルは近辺の偵察、コルベール氏とギーシュは戸口でフーケが来るかどうかの見張り、そしてルイズ、タバサ、キュルケが小屋内部の捜索である。
小屋に入ったミーを含む四人は各々で怪しいと睨んだ箇所を調べる事となった。
だが探し始めて三分としない内に、タバサがボロボロの古ぼけたチェストから一つの白い箱を見つけ出す。それを見たキュルケは驚きのあまり目を丸くして叫んだ。

「『鉄拳の箱』じゃない!またあっけなく見つかったわね!」

だが『鉄拳の箱』を見て驚いたのはキュルケだけではない。

「ねえ、キュルケお姉ちゃん。それって本当に『鉄拳の箱』なの?」

その言葉を発したのはミーだった。キュルケはなんて事は無い様に気軽に話す。

「そうよ。宝物庫を見学した時に見たことがあるのよ。ミーちゃんもこれに興味あるの?」

話しかけられたミーは熱病にうかされた様にキュルケへ歩み寄り、まじまじと『鉄拳の箱』を見つめた。
ミーは『鉄拳の箱』、延いては白い箱の正体に気づいたのだ。中に何か、いや何の‘わざ’が収められているかは定かではないが。
その様子を見ながらルイズは腕を後ろに組んで言う。

「ま、これだけ早く『鉄拳の箱』を見つけて、しかもフーケに遭遇しないなんて思ってもいない僥倖よね。さ、みんなで早く帰……」

しかしそれは外から響いてきたギーシュの叫び声によって途切れた。何事かと思い戸口の方へ全員が向かおうとした時、いきなり景気の良い音をさせて小屋の屋根が吹き飛んだ。
屋根が吹き飛んだそこには……青空をバックに巨大な土ゴーレムが、そこにいる皆を威嚇するように立っていた。
94代理 Louise and Little Familiar’s Order-10:2009/02/24(火) 18:19:14 ID:6iJ9VXUt
以上で投下終了します。自分も若く子供を持たないためにレストランやコンビニとかで小さい子供が喚き出したら「誰かそいつを黙らせろ!」と内心で毒づいてしまいます。
つくづくこの作品のルイズ同様成長していかなければなあと感じる物です。
まあ、母曰く「子供が出来れば自ずと親となる生物に心境の変化は出るもの。」との事ですが……果たして私にとってそれは何時になることやら(笑)。
それではまた近い内にお会いしましょう。

此処までです。前回代理をして下さった方、遅ればせながら大変有難うございました。




これで代理投下完了です
ルイズとキュルケのミーの引っ張り合い見てると大岡裁きを思い出すけど、
大岡越前さんが見たらキュルケの方を母親認定しそうだ
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 18:28:38 ID:sOUZKA07
作者&代理の人乙!
期待の作品の一つなんで嬉しい限りです。

しかしルイズが変わるまではまだまだかかりそうですね……。
何がきっかけになってルイズに母性(?)が目覚めるのか楽しみでなりません。
ただずっとこのまま態度を改めず、決定的な出来事を期に本格的にキュルケがミーを保護する展開もアリかもしれん。

俺の中でキュルケはゼロ魔一のいい人。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 18:37:16 ID:0PTXRlkb
>「数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール家の息女。使い魔も従順でよく主人の為に尽くしてくれていると聞くが?」


これ遠まわしに本人に褒めるとこゼロだって言ってないか
まあこのルイズはフォロー不能なくらいダメな主人だからしょうがないが
97代理 Louise and Little Familiar’s Order-10:2009/02/24(火) 18:45:13 ID:6iJ9VXUt
>>95
>決定的な出来事を期に本格的にキュルケがミーを保護する展開もアリかもしれん。

本文より
キュルケがミーのもう片方の手を握りながらルイズに向かって冷たく言い放つ。
だがルイズはそれを上回る力でぐいと自分の元に引っ張り、黙って自分の後について行かせだした。

↓ここから妄想

フーケ 「その子が痛がらないように手を離したキュルケさんこそが、本当の母親よ!」
キュルケ 「ええっ!?」
ギーシュ 「彼女の言うとおりだな。 ルイズ、君の負けだよ。」
コルベール 「同感です。」
タバサ 「貴女の優しさに全ハルケギニアが泣いた。」
キュルケ 「ちょ、ちょっと、みんな、何言ってんのよ!? ルイズ、どうなってんのこれ?」
ルイズ 「悔しいけど私の負けね。 キュルケ、貴女がこの子の母親よ。」
キュルケ 「だ・か・ら・母親ってどういうことよ!!」
ミー 「……キュルケママは私が嫌いなの?」
キュルケ 「あんたもかぁーッ!!」

これは後にフーケ裁きと呼ばれることになり、キュルケは学院初の学生ママとして名を知られる事になるのだった……

こんな展開が俺の理想w
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 18:47:44 ID:0PTXRlkb
見た目的には子持ちでも問題ないから困る
この時点ではまだ10代なのに
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 19:14:07 ID:sOUZKA07
>>97
いや、もっとシリアスな展開を妄想してたんだがw

たとえば、
精神的に追い詰められたルイズがしたことがミーに深いトラウマを植え付けてしまい、キュルケが
「……もう限界、これ以上見てられないわ。あんたの安っぽいプライドに振り回されるミーの身にもなってみなさい」
「いくらあんたが喚こうがもう関係無いわ、ミーはあたしが守る!」
そう言ってルイズからミーをもぎ取ったキュルケは、彼女を自領にお持ち帰りして末永く幸せに暮らしました。
的な展開ww


もうね、キュルケが本当に好きなんだよ。
凛々しく格好良く、そしてちょっぴりエロス。
黒いキュルケって見たことないし。
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 19:14:51 ID:dor71LIt
ミーの人乙
エンテイは登場するのかどうか気になるところ
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 19:44:35 ID:Aw+VwcQi
>>82
FCの貝獣物語のほうが好きなんだが
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 19:46:49 ID:YeEHfbBJ
きゅーきゅーキュート!の春日理刀を召喚

・・・しようとしたところ、混沌とした実在のおかげでゲートが消滅
召喚できませんでした
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 19:50:30 ID:uXkYrgcM
カービィ…………のヘルパーを召喚。ワープして一瞬でカービィの元に戻りました。
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 19:51:15 ID:TXufPiEQ
ミーの人、代理の人、乙でした。

本当にルイズ、今の段階じゃどうしようもないな…。
しかし『鉄拳の箱』、わざマシンだったのか。
私はてっきり遺跡で見つかった○○○ー○のアレかと思っていたけど。
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:03:16 ID:z7On6uHU
俺の屍を越えてゆけの神様を召喚とかどうよ?
俺としては「寝る前には歯ぁ磨け」の雷神&風神コンビが梳きなんだが
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:09:06 ID:F77W3s9G
よーし、パパも脳内召喚しちゃうぞー
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:11:56 ID:ZAp7jKiD
自分はこの作品のキュルケは嫌いだな。
というかルイズは、今まで「ゼロ」と馬鹿にされ続けて、精神的に弱い部分が
あるし、子育てと言うのは非常にストレスが溜まることだし、
キュルケとかだってルイズのことを「ゼロ」と言ってきたし、内心がどうであれ、
もし、ルイズが成長するならルイズの心が癒されてからでないと。
周囲がそこら辺のことも理解していないからな……。
人間、心に余裕がないと荒れるしかないし、

この作品を読むと常々、思う。
子育てとは難しいことだと。
108名無しさん@お腹いっぱい:2009/02/24(火) 20:13:29 ID:Cd5zDt8d
なんか最近、「アクマがこんにちは」と「ゼロの魔王伝」を読み比べてみると魔王伝の方が遥かにゼロ魔キャラの死亡率が
高い気がして仕方無い。なぜだ!?人修羅はモノホンの悪魔なのに……菊地キャラの方が危険に感じるなんて……。
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:18:50 ID:ZAp7jKiD
>>107
最近、ちゃんと「sage」しているのになぜか上がってしまうことがある?
他の人もそういうことありますか?
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:23:17 ID:D1fQYnKX
>>109
ある。
更新すると、なんでか名前欄とメル欄が無記入になってるんだよな。
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:24:32 ID:Dul2hsV6
てすと
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:27:10 ID:nUqKqSxT
>>72
書きたいけどゲーム中会話スキップしまくりでキャラの特徴なんてしったこっちゃないんだぜ?
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:32:40 ID:KnxDPa9r
セリフ文「   」の最後は!・?・……以外は「。」は無くて良いよ。
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:42:26 ID:EsFKnVj7
>>107
虐待受ける子供(この場合ミー)にとっちゃ、いいとばっちりだろ。
ルイズがここまで周囲に追い詰められてたといっても、
それを理由に児童虐待の正当化なんかできないだろ。

キュルケにしても、本来ルイズのフォローする義務なんてないし。
このケースで彼女を責めるのは筋違い。
むしろ烈風カリンやエレオノールあたりだろ、責められるべきは。
こっちは家族なんだからそうした理解を示してやるべき立場にあるのに、
追い詰めることしかやってなかったんだから。
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 20:52:21 ID:dPVvAKSQ
>>108
菊地キャラは基本的にチート級ばかりだからな。魔王伝のキャラは特に。
てか本家も魔王伝の人も濃厚過ぎる描写がそれを助長してる感じ。
人修羅は性能はチートだけど、描写的にも性格的にも随分丸いから危険性はあまり感じないんじゃない?

>>113
古い文学作品とか読むと括弧内最後の読点は普通にある。
なうい作品は省く場合が多いけど、ついてても間違ってるわけじゃない。
よーするに作風だから問題なし。ちなみに俺は省く派。
116使い魔人生綺談:2009/02/24(火) 20:55:55 ID:Dul2hsV6
21時より投下開始しようかと思います。
117使い魔人生綺談:2009/02/24(火) 21:00:22 ID:Dul2hsV6
  使い魔人生綺談-03


「ぷはー。ふむ、大体の事は理解いたしました。この世界では、
魔法に関する技術が社会の根幹を形成している訳なのですな。
 ……ああ、この葉っぱ、結構好みですな。今度分けて貰えますかな?」

 学院長室にて、ニコはお水タバコを吸いながら、
オスマンとお互いの世界について談話していた。

「ええ、構いませんよ。後に包んでおきましょう。いやはや、
ミス・アージェントのフレーバー入りの葉っぱも、
慣れると結構いい感じですな。
 しかし、魔法は補助的なものであり、科学技術といいましたかな?
それを主に社会を形成しているとは、我々には想像もできませんなぁ」

 二台並べられた水タバコの器具の内、ニコの持ち込んだ
葉っぱを詰めた方を吸いながら、オスマンは感嘆の声を上げる。

 現在、学院長室にはニコ、ルイズ、オスマンと、
秘書であるロングビルがいた。
ちなみにルイズとロングビルは煙たそうにしているが、
喫煙者の二名はお構いなしであった。お互い、周囲の喫煙者に
対する厳しい目があるようで、愛好者同士気が合う様だ。

「ふん。魔法が無くてもやっていけるなんて、信じられないわ」

 ルイズはティーカップを下ろし、不機嫌な視線をニコに
向けながら言う。

「これ、ミス・ヴァリエール。我々とミス・アージェントの
世界は成り立ちからして違う。僅かな土地の隔たりですら、
人は価値観や主義主張を違えるものじゃ。ましてや世界
そのものが違うのじゃぞ? ならば形成される社会形態が
全く違うのも頷けるもんじゃ」

 オスマンは、齢三百を超えるといわれているが、頑迷な
思考の持ち主ではなく、ルイズよりも柔軟にニコの話を
受け入れていた。

「それです! 私はこいつのいう異世界とかいうのが信じ
られないのです。どうしてオールド・オスマンは信じられるの
ですか? このエルフモドキの話を!」

 エルフモドキとは酷い言い草じゃな、と言いながら、
ニコは水タバコのパイプを吸う。あまりニコ自身は気に
してない様子である。

「ミス・ヴァリエール。あまりに失礼な言動は慎みなさい。
それに言っておくが、ミス・アージェントの実力は、ワシ
よりも遥かに上じゃ。そして、エルフすらも凌駕する
魔法の使い手じゃろうな」

 オスマンの言葉を聞いてルイズは驚き、顔を青くする。
もしかして自分はヤバイ相手に喧嘩腰になっていたのじゃないかと。
118使い魔人生綺談:2009/02/24(火) 21:02:21 ID:Dul2hsV6
「オスマンさん。若人を脅すものではないですよ。
……まあ、異世界云々に関しては、実際に見てもらった方が
良いでしょうな。百聞は一見にしかず、とも言いますしな」

 そう言いニコは取り出した杖を振るう。途端、杖を向けられた
学院長室の片隅に光の柱が出現する。ルイズらは未知の魔法に
身構えるが、光の柱はすぐに収まる。

「あ、この扉は……」

 そこには、ルイズが呼び出してしまった扉が鎮座していた。
 ニコはその扉に近づき、ノブを回して開ける。その先には
学院長室とは違った部屋が広がっている。

「オスマンさん、ルイズ、あとそちらのロングビルさん
でしたかな? どうぞこちらに……」

 ニコはそう言い、扉の向こうへと消えてしまう。
残されたルイズらは逡巡するが、ややあってオスマンが立ち上がる。

「ほっほっほ……、まさかこの歳になって異世界に行く事
になろうとはな。人生分からんもんじゃわい。
ほれ、ミス・ヴァリエール。お主は当事者じゃ、行くぞ。
……ああ、ミス・ロングビルも一緒に来てみなさい」
「いえ、私は……」

 ロングビルは逡巡し断ろうとするが、

「なに、そう危険な事は無かろう。それにじゃ……、
お主の『悩み』の解決の糸口も見つかるかもしれんぞ?」
「……オールド・オスマンがそう言われるのでしたら」

 ロングビルはそう諭されると、オスマンに続いて扉の
向こうへと歩き始めた。
 ルイズは一人残されるが、目を瞑り深呼吸をした後に覚悟を決め、
扉の向こうへと消えていった。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 21:03:20 ID:Ib3ZAi2R
しぇーん
120使い魔人生綺談:2009/02/24(火) 21:04:41 ID:Dul2hsV6
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 まずルイズの目に飛び込んで来たのは、大量の本と書架であった。
それらに混じるように様々な雑貨の類も見て取れた。

「ようこそ、メインランド中央図書館へ。歓迎いたしますよ」

 そう出迎えたのはニコとショーシャであった。そしてニコの
足元には白い体毛の猫が座っている。ただし、そのサイズは
いささか大きく、ニコの体格であれば跨り乗れそうな程であった。

「む」

 巨大な白猫は、そう言いながら太めの前足を前に掲げる。
まるで握手を求めているかのようであった。

「おお、これは初めまして。ワシはオスマンですじゃ」

 オスマンはそう言いつつ腰を軽く曲げ、白猫の前足を
握手する為に取る。

「む」

 白猫は握手を終えると、前足で紙片の様な物を器用に掴み、
オスマンへと渡す。オスマンは受け取るが、自分には読めない
文字らしきものが書かれているので、ニコへと視線を向ける。

「それは名刺ですよ。ちなみに彼の名前はA.J.サトウです」
「む」

 紹介されたサトウは軽く会釈する。

「ふーん、随分と賢いのね。ニ……、ミス・アージェントの
使い魔なの?」

 ルイズはニコを呼び捨てかけるが、オスマンが敬意を
払っているので言い直し、質問する。

「サトウさんは友達じゃよ」
「友達? 猫が?」
「サトウさんは知性化猫じゃよ。言っておくが、サトウさんは
人間と同等の知性の持ち主じゃぞ。……ああ、あと、
無理にわしの事をミスとか言わんでよいぞ。呼び捨てで構わんよ」

 ルイズはそう説明を受けたが、まだ懐疑的であった。
 そんなルイズの前にサトウがやって来て、

「む」

 と、前足をルイズに差し出す。ルイズは少し躊躇したが、
サトウの前足を握る。
 普通の猫よりも長めの指と肉球が、ニギニギと握り返してくる。

 ……ちぃ姉さまが喜びそうな猫ね。

 と、ルイズは思っている間に、サトウはロングビルとも
握手を交わしていた。
121使い魔人生綺談:2009/02/24(火) 21:07:06 ID:Dul2hsV6
「さて。では、まずは軽く館内をお見せいたしましょう」

 ニコは部屋にある幾つかの扉の一つを開ける。扉の先に
進むニコにルイズらも続いて行き、最後尾にはサトウが
のっそりとした動きで続く。

「うわぁ……、何よこの本の量は……」

 ルイズらの視界を埋め尽くすのは、本の山と本がびっしりと
詰まった書架が彼処に林立する光景であった。目に見える範囲
ですら、学院の図書館の蔵書量を上回っている。
 その光景にルイズは、本と本棚で造られた街。
そんな考えがよぎった。

 ざーーーー……。

 ルイズらの耳にそんな音が聞こえてきた。

「こ、これは!?」

 オスマンが驚きの声と共に視線を向けた先には川が流れ、
音の発生源らしき滝まで存在していた。

「川ですよ。館内には独自の生態系がありますので、
その維持の為に必要なのです」

 ニコがそう説明する横で、ロングビルが川に近づく。

「あの……、本が水に浸かっていますが?」

 恐る恐るではあるが、水に半ば浸かった一冊の本を引き上げる。

「保存魔法がかけてあるので大丈夫じゃ。分子結合を強化し
化学変化を止めてしまう為、濡れても痛まず火にも焼けないのじゃよ」
「ほう……、我々の使う魔法にも『固定化』という魔法が
ありますが、それに似ていますな」

 オスマンがロングビルより本を受け取り、ゆっくりとめくる。
もっとも、オスマンには未知の文字の為、読む事はかなわないが。

「おや、そうですか」
「もっとも、流石にここまで強固になったりしませんですがなぁ」

 オスマンは本が破れないようにめくっていたが、
強く引っ張っても何とも無い事に感嘆し、苦笑しながら言葉を漏らす。
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 21:08:02 ID:/7rk2QB3
サトウさんの肉球をぷにぷにしつつ支援
123使い魔人生綺談:2009/02/24(火) 21:09:37 ID:Dul2hsV6
「ねえ、ニコ。此処にはあとどの位の本が有るの?」

 ルイズは何気なく聞いたが、その答えは驚くものであった。

「あー、おおよそじゃが、ここに有る分で全体の百分の一から
二百分の一といったところじゃな」

 その言葉にルイズたちは絶句する。ここにある蔵書量ですら、
トリステインでも有数の蔵書量を誇る学院の図書館を上回って
いる。しかも、さらにここの百倍か二百倍はあるという。

「ちなみに、外部コピーをしてない本もあるから、それを含めるともっと増えるな」
「外部コピー? 何よそれ」

 ルイズは理解不能な言葉に質問する。

「あーうん、何と言うかなぁ。簡単にいうと、図書館一つの
全てを収められる百科事典の様な物が有るとする。ただし、
それは普通には、そのままでは読めない」
「んー、まあ、きっと細か過ぎて読めないわね……」

 ニコは、ハルケギニアには電算装置の類は存在しないと
当たりをつけ、例えで話をしていく。ルイズは微妙な勘違い
をしている様だが、ニコは気にせず話を進める。

「まあ、受け取り方は自由じゃが……。外部コピーとは
其れを普通に読める様に書籍化することじゃよ」
「ふーん……。ところで、この図書館は主にどういった系統の
本が収められているの? ニコはメイジだから魔法中心?」
「何でも、といったところじゃな。学術書から娯楽小説、
お堅い哲学書からお色気満載の艶本まで何でもござれってところじゃ」

 ルイズが節操の無さに呆れている横でオスマンが艶本という
単語に反応しているが、ロングビルは気が付かない振りをしていた。
 と、

 ぐーーーー……。

 気が抜けるようなそんな音が響いた。
 視線が集まる先には、

「む」

 と、サトウが座っていた。腹を鳴らしながら。

「ああ、皆さん。お昼にでもいたしませんかな? わしがおごりますので……」

 ニコの言葉に、一同は首を縦に振るのであった。
124使い魔人生綺談:2009/02/24(火) 21:10:42 ID:Dul2hsV6
今回は以上です。

やっぱり、オスマンがきれいすぎるかなぁ。


メインランド側で、あと二、三回ほど話が続きますが、問題無いですかね?
使い魔候補もまだ出て無いし……。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 21:11:55 ID:Aw+VwcQi
面白いんで個人的には歓迎
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 21:36:12 ID:OZ4gsmyq
全く問題ございません
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 21:52:37 ID:F77W3s9G
乙です
異文化交流ってのも楽しみの一つなワケですよ
オスマンはアレだ、賢者タイムなんだきっと
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:13:05 ID:z7On6uHU
乙かれー

てか元ネタ見た事が無いんだが、サトウさんって「む」としか喋れ(鳴け?)ないのか?
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:22:53 ID:KnxDPa9r
乙です、元ネタは知らないけど面白く読ませていただいてます。

元ネタを知らない人にも楽しめるSSを書く腕前が羨ましいです。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:25:39 ID:hCJkoT8J
他の知性化猫は普通に喋るのも居るけど、
サトウさんは基本『む』としか言わない。
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:27:16 ID:su6WwLFl
良作読むとクロス元にポロロッカしたくなるね。
図書館といえば黒蟻の人は復活しないかなぁ。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:28:37 ID:OswkY0yG
まあ「はい」と「いいえ」だけで世界は救えるからな。
「む」だけでも一国くらいは救えるだろう。
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:29:35 ID:2w9t99wh
読みやすくておもしろいね
文章は奥が深い
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:56:12 ID:z7On6uHU
なるほどサンクス
ひたすら「む」「む」「む」と連呼する猫を想像して萌えてしまった
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:56:29 ID:MOrPx/Bo
ああああとかいう名前の勇者は多そうだなぁ。
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 22:57:46 ID:YeEHfbBJ
勇者と言えばふるちん
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:00:32 ID:OswkY0yG
ああああさんですか……
 あまりにもテキトーなお名前ですね……。
ま、まあ、あなたがそれでいいのなら、
  きっと良いのでしょう……。



みたいな。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:01:01 ID:sHP2Y2MZ
えにくすという名前の冒険の書ばっかり。
トンヌラは勇者じゃないよな。
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:03:42 ID:z7On6uHU
名前入力『ああああ』

それは貴方の名前ではありませんね。真面目にやってください
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:05:14 ID:OZLzm2ls
もょもと

だったっけ?
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:06:28 ID:EbqMQv8W
「ぷいにゅ〜」しか喋れないけど人間とだいたいの意思疎通できる火星猫もいるわけで
テレパシーでもつかってるんだろうか
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:10:40 ID:uXkYrgcM
ある意味有名どころだと「もういい」とか

Zとかだと変な名前付けると命名神マリナンに呪われるんだよな。
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:16:27 ID:lgwbuUet
このスレのネタばれ禁止っていつまでだっけ
1ヶ月は安全?
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:22:01 ID:mOtQiySf
>>141
          ┌│ 
___.  / ─┘      __/ 
        /      /           _  /
     /  __  |               /   ___/
__/       _| ____/ ____/
                                   ,. -""``ー、
                                  /,\,.-,,.ニニ,, 、、 `>,、
                                  .i.i .>',..、   ``ー/.!.|、
                                  ','/ (_,ノ   i゙`ヽ'、ノノ |
    (.`ヽ(`> 、  ────────           ソ       `''" Y_/
     `'<`ゝr'フ\     ________   +   /_,,_      _,,_  | \+
  ⊂コ二Lフ^´  ノ, /⌒) _____          .,r' (●),   、(●). _「~ 
  ⊂l二L7_ / -ゝ-')´                 + i    ,,ノ(、_, )ヽ、,,   .,!   + _ _ _ /)
       \_  、__,.イ\           +    ヽ、  `-=ニ=- '  ,ノ   /⌒ヽヽ`く   
        (T__ノ   Tヽ        , -r'⌒! ̄ `":::7`丶‐`ニニ´ ' ./" (井)二( ノ_ノ_ノ
         ヽ¬.   / ノ`ー-、ヘ<ー1´|  ヽ | :::::::::::::ト、 \ (    /ヽ  ⊂二 ̄`ー /
          \l__,./       i l.ヽ! |   .| ::::::::::::::l ヽ   `7ー.、‐'´ |\-、 ヾ----
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:23:26 ID:3+5fmDK4
勇者
名前 ああああ
装備 はずかしの拳
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:25:57 ID:85TxDyPZ
ああああだと怒られるけどあああだとセーフだった記憶がある
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:27:38 ID:aF/Siho/
登録名「あ」を有り金と装備剥いで除名
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:35:11 ID:su6WwLFl
私は常に「ワッハマン」だ。
ところでワッハマンは呼ばれてたっけ?
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:36:01 ID:m40XZnFb
カールビンソンのおとうさんは呼ばれてた気がするな。
ライカやベルカなんかも良いかも知れん。
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:39:51 ID:Y5jsJ9++
>>132
理解した瞬間吹いちまったじゃねーか!www
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:43:39 ID:su6WwLFl
>>149
おとうとさんのヤツは読んだよ。
あれも次元連結扉で「通い」の使い魔だったな。
ネタ系で行くならカールビンソンは使い魔の宝庫だね。

あさりキャラなら 「ラジヲマン」とか「戦う自衛官」あたりもよいかもw
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/24(火) 23:54:59 ID:8alhmCCD
カトレア姉さまも原子力で蘇りそうだな>ラジヲマン

「どうだっ!病弱だったのが嘘のような溢れかえるパワー、君のお姉さんは原子の力で今蘇ったんだ!!
いやぁ、心臓を原子炉に置き換えるという独創的な発想とそれを実現する私という実例が無ければ不可能だったよ。
ほら、迸る力がこの距離からでも計測器に……」
ガガガガガガガガガガ(注:ガイガーカウンター)
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:03:02 ID:Uyi3euds
タイトル見て新井素子の「二分割幽霊綺談」からの召喚かと思ったら違ったw
新井素子作品なら「扉を開けて」とか面白そう。
ガンダな魔女とヴィンダなライオン男とミョズなテレポーター(三人とも名前忘れた)
そして「絶句」から記す事も憚られる新井素子とかw
スーパー新井素子大戦とか妄想してみる。あらかた世界観共有してるし。
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:06:00 ID:poHyp5Iz
あらいもとこ・・・・おっさん乙!
155151:2009/02/25(水) 00:09:20 ID:AYxfa1Bg
>>152
自分でネタふっといてなんだが、聖地にはコンクリートで封鎖された原子炉がありそうだな。
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:15:40 ID:gahKfqBA
聖地にはアークレムナントがあるよ、多分
157名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:18:59 ID:lq41uUBZ
聖地にはゲッター線とかいうものが駄々漏れのドラゴンの遺骸があるのでは?
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:19:41 ID:nCHMKkYG
そして生まれる極道エルフ
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:22:51 ID:2NspuNXJ
むしろ魔王の骨が…


…マテパの人最近見ないな
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:23:08 ID:Uyi3euds
>>154
まだまだおっさんと呼ばれる年じゃねぇっすwwあと少しの間はまだ10代……。
まあそんなことはどうでもいいとして。
新井素子作品からなんか書いてみようかねぇ……グリーンレクイエム辺りとかいいかも。
あの人たちが頑張れば先住魔法っぽいことが出来たと思うし。
……ちょっと本棚漁ってみよう。
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:24:07 ID:TFbXylDc
>>159
土曜か日曜あたりに来たばかりだったような
162名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:27:48 ID:lq41uUBZ
パンプキンシザーズの901ATTのブルーランタン召喚・・・
保身無きゼロ距離爆撃「命を無視された魔法使い(ゲシュペンスト・メイジ)」・・・おっと寝言が漏れた。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:34:41 ID:Fr7Cl+AZ
何を思ったか、ルイ・サイファー閣下登場
どーせハルマゲドンがくるまで暇なお人なんで
164名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:45:08 ID:D3uCegjb
ルイズ「どうして使い魔になってくれたの?」
閣下「暇なのでこちらの世界を混乱させようと思って」
人修羅「お前ちょっとそこ座れ」
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:47:02 ID:SK2k5yEJ
>>162
独語はあまり知らんのだが『ゲシュペンスト・ザーヴェラー』でよいかな?
166名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:47:07 ID:Fr7Cl+AZ
閣下「良かったら、ベル・ゼブブも呼ぼうかい? 彼もどうせ暇だろうしね」
167名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:53:57 ID:pR3wMdcT
マーラ様が来たからにはアリオク様を
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 00:57:28 ID:nCHMKkYG
でこピンで万単位を撃破
169名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 01:07:23 ID:CK2Sss4X
何度か話題に出るピアスの少年
キャラ付けが面倒くさいな
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 01:12:08 ID:JUTNYJzR
上田信舟のペルソナから藤堂尚也召喚か。
召喚されてすぐの頃はペルソナが使えないけど、ギーシュ戦で何故かペルソナを使う能力復活とか。

どう考えても、ギーシュと決闘しないけどね。性格的に。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 01:14:54 ID:qoKPdsdZ
てか別にギーシュと決闘を避けるという選択肢は無いのかな。
そうなるとシエスタフラグはともかくギーシュ関係のフラグを立てるきっかけが
難しくなっちゃうけど。
172名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 01:16:08 ID:Fr7Cl+AZ
閣下ならば悪しき輝きでギーシュすら魅了できるはず
なんたって明けの明星ですし
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 01:16:49 ID:unUcqRqo
エロ本片手に部屋に突撃して親友になるという手もなくはない
174名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 01:16:56 ID:nCHMKkYG
召喚される瞬間でみんな死にそうだけど
175名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 01:18:06 ID:unUcqRqo
そういや「あんた誰?」のシーンはゲームで言うと名前入力にあたるのか
176名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 01:18:57 ID:CK2Sss4X
>>171
シエスタがギーシュにイチャモンつけられようが何されようがスルーするキャラや
食堂で問答無用にギーシュをボコボコするキャラか
177名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 01:56:25 ID:hXNeejiE
ヒカリアン召喚とか…



鉄道ないから無理か
178名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 02:02:45 ID:n7GJjlKR
武者○伝2の若召喚はどう?
アレならギーシュイベントこなせそう
最初シエスタ助けるために割り込んで
決闘では程々にぼこられた後覚醒して鬼の鎧装着して勝利
とか
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 02:13:23 ID:MfPROnPl
一つ聞きたいんだが
フーケ戦後、フリッグの舞踏会までの短編ってアリ?
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 02:19:16 ID:HZKmRSVp
別にナシな理由は無いと思うけど
っていうか、そんなの作者が書きたいように書いていいだろ
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 02:24:13 ID:yqQTAxdC
>>179
全然OK。
話題にも上ったおとうさんのやつもフリッグまでだし。
182名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 02:29:15 ID:w+cbv3Gx
金剛番長召喚の話をちょいと想像したらギーシュのビジュアルがまんま悪矢七に……
183名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 02:46:21 ID:LInZ9cax
>>182
マリコルヌはチャルデブ?
184名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 03:49:41 ID:ke/uUrsr
これから若者おいてけぼりな小ネタでも投下しようかな・・・
185名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 04:35:33 ID:poHyp5Iz
16巻、読んだ。鬱だ。 死のう。
まさか、ルイズが中古だとはなぁ・・・
作者は気が狂ったのか

一晩寝たら全てが夢に・・・・
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 04:51:36 ID:r1BlkA1W
一昨日既に読了している俺にそんな釣りは通じん
187名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 07:43:15 ID:rLOuhFt+
wwwww
188名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 08:07:07 ID:tHDQ9rZj
>>149
カールビンソンのおとうさんは本当にそのぐらい出来そうだから違和感無かった。

>>163>>166
どうせなら7大悪魔全員を。
これなら最強使い魔軍団になる。
ハルケギニアが大変な事になるかもしれないけど。
189名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 08:18:00 ID:/c5eXLum
>>184
小ネタで黄金バットとか召喚してるこのスレで、若者おいてけぼりなネタとなると…
ちょっと期待してみる
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 09:25:43 ID:BDZE0VlL
>>189
勧進帳から武蔵坊弁慶(立ち往生後)とか?
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 09:47:01 ID:2oNIHs6a
どうでもいいが、ギーシュとの決闘がクライマックスだと勘違いしてる奴がいないか?
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 09:57:35 ID:yrMx9jXh
長編を選ぶ作家さんが多いが、原作は刊行中だしかなり長い。
ならいっその事、ギーシュとの決闘こそをクライマックスに選ぶのも悪くないのでは?
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 10:07:09 ID:7//+r1sA
>>190
古典や伝統芸能系は、若者置いてけぼりと言うと違和感があるな。
あと、作品自体は古くても、世代関係なく名前は知られてるようなのも。ドラえもんとか。
ニコ動でおっさんホイホイタグがついてる感じがイメージに近いか。リメイクされない(もしくはリメイク自体も古い)し、今さら話題にも昇らないけど当時ファンが多かった程度のマイナーどころ。

ワタルとかレイアースとかセイバーマリオネットとかユナとかバトルアスリーテスとか……スレイヤーズは今やってるんだっけ?
ああ、90年代。
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 10:12:41 ID:/KflCrE0
>>191
本当にどうでもいいな
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 10:13:36 ID:CK2Sss4X
深夜アニメの黎明期でもある
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 10:14:24 ID:EwaIw2Ea
90年代…
俺も日本も輝いてたあの時代
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 10:23:15 ID:pmSREcSO
とりあぜず16巻読んだ俺は「月陽炎」クロスを見たいなあ

意外とおしとやかでしっかりものだった長女
人に言えぬ出生の持主で〇髪頭の引き篭もり次女
大喰らいでがさつな三女

長女はフツーに現当主と前妻の娘
次女は前妻が後妻の元夫(現当主の弟)にレイプされて生まれた娘
三女は後妻の連れ子で当主の弟の娘

ってそこに長女の婿候補としてサイトが
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 10:47:17 ID:dDmCLjdU
キン肉マン・王位争奪戦よりモーターマンというのを考えた。
あっちじゃ弱小超人呼ばわりでもこっちじゃそれなりに強いと思うんだ。

「いらっしゃいま……ああ、ゼブラさん」
「やあ春日君、ちょっと機械超人をもう一体作るんでね、適当に見繕ってくれ」

「はにゃあ、お帰りなさいませ、御主人様」
「やあ、薬王寺君、ちょっと荷物を広げさせて貰うよ(ガリガリドガガ)」

「……御主人様をゼロとか役立たずとか貴族のおまけとか言うなぁ!」
「……おまけってのは無かったと思うが……」
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 10:56:34 ID:up1MakCG
ギャップを上手く使いこなす奴って頭いいよな
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 10:57:37 ID:up1MakCG
ごばく
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 11:32:48 ID:hXNeejiE
旗元退屈男召喚とかありなのか…?

ありでも書けないけど…
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 11:45:00 ID:Vwbu+kG6
中村モンドは中々面白かったな
黄門様召喚だと大変なことになるけどw

「ひかえい、ひかえーい!このお方を何方と心得る、天下の〜水戸光圀公であらせられるぞ!」
「「「「「「…………え、だれ?」」」」」」
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 11:45:50 ID:3ic2QD8J
そこは通用しないとw
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 11:53:33 ID:2NspuNXJ
>>197
ふおんコネクトみたいにややこしいな
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 11:58:22 ID:2oNIHs6a
聖帝様みたいに、風格だけで帝王と理解させるのもあるがな。
ユダ様もだが、北斗キャラの濃さはすさまじすぎる。いまだにあれは続きが読みたい。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 12:10:49 ID:VWdsr0Vh
風格だけでは無理なんじゃないか?
「おのれ爺!者共出会えい!」
とか言われているわけでw
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 12:16:50 ID:3ic2QD8J
そのための印籠です
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 12:37:21 ID:b/dRNsvs
>>204のふおんで思い出したけど
ざらさんの好評だったのに雑誌都合で打ち切られた作品から各Kadenとオーナーを召還とか

七万人を吸い込む掃除機vsレーザーを撃つ形態電話の対決が……
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 13:30:57 ID:CK2Sss4X
>>202
徳川家の威光は遥か異世界のハルケギニアにまで届いているんだよ
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 13:40:40 ID:vbVZY4sy
暴れん坊将軍を呼ぼう
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 13:54:39 ID:ke/uUrsr
メシを食ってから小ネタ投下する。
10分後くらいかな。
『ついでにとんんちんかん』から間抜作先生を召喚
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 13:56:39 ID:0vFZjtz3
>>202
はるか遠くさそり座から倒幕を目的に侵攻してきた異星人にすら勝利した徳川幕府は異世界でも有名だ。
ルイズ「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ!
私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」

ドカーン!

ルイズ「やった、成功したわ!」

抜作「いきなり尻見せ!」
ルイズ「みせるなぁ!」ドカーン!
抜作はルイズに吹っ飛ばされました。

翌日・・・

抜作「それでは授業を始めまーす」
ルイズ「なんでアンタが先生をやってんのよ!」
抜作「うるさい、文庫小説で深夜アニメのくせに。こっちは週刊誌連載でフジの土曜ゴールデンタイム放送だぞ!」
ルイズ「ワケ分かんない事言ってんじゃ無いわよ!」
抜作「では授業を続けます」
ルイズ「聞きなさいよ!」
抜作「練金のお手本をみせるので後でみなさんにもやって貰います」

むむむむむむ・・・・パァーン!
抜作の頭が爆発しました。

抜作「では、ルイズさん、やってみて下さい」
ルイズ「出来るかぁ!」


予告状

魔法学院様へ
今夜、宝物庫にある不老長寿の巻物を
盗みに参上します。

         怪盗とんちんかん


オスマン「おのれ、怪盗とんちんかんめ!」
コルベール「ノリノリですな」
オスマン「そうでも無いわい。えらく久々なセリフでけっこうドキドキだったんじゃぞ」

『あーはっはっはっは!』

オスマン「何者じゃ!」

『微熱のレッド!』

『風雪のシロン…』

『青銅のグリーン!』

『『『怪盗・とんちんかん、参上!』』』

抜作「そして私がリーダーです」

ルイズ「あっ、怪しい・・・」

オスマン「ええい、衛兵ども、とんちんかんを捕まえるのだ」
衛兵「「「わーっ」」」

ドカ、バキ、グシャ、

オスマン「ええい役立たずの衛兵どもめ、予定通りにやられおって!こうなればワシ自ら・・・はっ、アナタは!」
抜作「キミは!」
オスマン「先生!」
抜作「オスマン君!」
オスマン「いやぁ、懐かしいですねぇ先生、300年ぶりでしょうか・・・」
抜作「ところでオスマン君」
オスマン「はい、何でしょう先生。」
抜作「不老長寿の巻物を下さい」
オスマン「はい、どうぞ」

レッド「ね、リーダー、巻物にはなんて書いてあるの?」
シロン「・・・。」

『長生きの方法
   死ななければよい』

グリーン「は?」
シロン「・・・。」

抜作「はっ、しまった。これは私が昔書いたものだった!」
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 14:14:10 ID:ke/uUrsr
以上で終了しました。
216151:2009/02/25(水) 14:24:04 ID:0+aJdWxl
>>215
中の人ネタwww
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 14:29:58 ID:0+aJdWxl
あ、名前欄消えてないorz
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 15:28:20 ID:7qdbe8vN
>>212
しかもその宇宙人は倒幕のため遥々地球までやってきた・・・徳川幕府凄過ぎ。
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 15:39:28 ID:FRTB3MST
バクシンガー召喚
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 15:57:14 ID:7qdbe8vN
ルイズが召喚したのがデスノートだったら・・・
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 15:58:44 ID:FN8roPjL
デス様はガチで弱いぞ
それこそギーシュに負けるくらい
能力だけは極めて強力だけど
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 16:13:27 ID:CVfVI5Td
ワルドママを生き返らせて、ワルドと命を繋げて殺しにかからせるとか、できるんだっけ?
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 16:13:43 ID:wBJd6fn4
デス様が弱い?
開門喰らってアニメートされてこい
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 16:15:13 ID:62e43ZIg
水戸黄門が全国漫遊から世界漫遊にクラスチェンジして世界中で活躍するという狂ったゲームが昔あったっけ・・・w
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 16:16:37 ID:avmHqowG
空砦は今どうなっとるんかいのぅ
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 16:47:43 ID:tJRzHoPV
デスさまが弱いとか
デスさまは因果律ごと何でも食べるぞ
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 16:50:21 ID:JD53ZZKT
破壊大帝フェルナンデス!
喚んだら大惨事だ。
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 16:56:47 ID:nQDHqV/C
デスノートは名前を相手の文字で書かなきゃいけないから
まずハルケギニアの文字を覚えなきゃいけない
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 17:02:55 ID:xgw6mcC2
仮面ライダーアギトから津上翔一を召喚。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 17:07:38 ID:Z3v85bDY
フェルナンデスは伸縮自在なので、なんとかサッカーボール大にすれば癒し系使い魔として大好評の予感。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 17:18:37 ID:eBZQFaEi
>229
聖地は竹藪になってるんだな
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 17:27:45 ID:42/twYP6
ルイズのところに翔一がくるんなら
テファのところに葦原涼が来てそうだな
まあ例によって不幸な目にあいそうというか
おマチさんに死亡フラグが立ちそうだが

タバサも真っ青なくらい悲惨な目に合いつづけてるからなあ涼
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 17:33:31 ID:mG3Bk5rG
仮面ライダーアギトから白い青年、または黒い青年を召喚。
人類の進化の形であるメイジを滅ぼすため、アンノウンが出没――!
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 17:49:39 ID:LInZ9cax
>>188>>191-192
七大悪魔、そしてギーシュ戦がクライマックスだと!?

それはつまり、ギーシュの造り出す七体のゴーレムに……
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 17:52:44 ID:m58zet8e
レッツ&ゴーから星馬烈を召喚。
学園最速代表を決める 魔法学院カップ編
ワルドとの激闘 トリステイングランプリ決勝編
国の威信をかけた ハルケギニアGP編を考えた。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:19:48 ID:o6ASfHoA
恐竜が召喚される作品ってあったっけ?
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:24:07 ID:7qdbe8vN
轟竜や砦蟹が召喚される話はあった
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:26:43 ID:9SKMD/PE
宇宙恐竜なら…
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:27:19 ID:g0Q3YQ+J
恐竜家族召喚とはマニアックだな
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:28:35 ID:hMWxF2Jg
ターガンのピューピュー・ポーポーは?
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:31:08 ID:b/dRNsvs
>>226
それデスレックスヘッドじゃなかったか?
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:36:03 ID:GAta6igJ
>>238
STMCがどうしたって?
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:39:18 ID:NwcgCMTK
>>238
ルーシーとかはいたはずだぞ
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:44:55 ID:VXtxHyub
つまり「大長編ゼロの使い魔 ルイズと恐竜」ですね?
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 18:57:50 ID:42/twYP6
恐竜と聞いて氷漬けにされていた全裸原人がこっちを見つめています
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 19:02:26 ID:sVlS2nid
玉乗り仕込むぞテメェ
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 19:05:50 ID:ji26XzPk
恐竜と言えばDioが・・・
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 19:07:07 ID:TFbXylDc
ギャランドゥと共に時間移動し恐竜と共に氷付けにされ現代に帰ってきたあの人のことだな
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 19:15:06 ID:2oNIHs6a
ゴモラザウルス…

眠りの地龍の人、帰ってこないかな。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 19:21:57 ID:axWom5Es
ちょっと上にデス様強いとか言ってる人がいるけど
デス様は棒読み王子一人も殺せない雑魚だよ
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 19:33:08 ID:hSbFlpSW
強いというか怖いというか面倒くさいというか。
敵に廻した時、スタンドとかと同じで特性と効果が解らなければ
こちらが一方的に詰むタイプじゃね?
逆にタネが解っていれば雑魚とまでは行かなくとも処置可能。
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 19:46:08 ID:T6iRLE6Z
>>245
あれって確か氷じゃなくて岩塩だった筈
岩塩の中にいたからあの名前を命名された
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 19:49:18 ID:nCHMKkYG
カブトボーグ召喚で全てが解決されます
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 19:59:24 ID:oUzYWt3m
>>188
お前、なんて恐ろしい事考えるんだ・・・・ハルケギニアでロウVSカオスの戦いが始まっちゃうぞ
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 20:04:50 ID:Ga7tG7WQ
恐竜人類ならすでに召還されてる。戻ってこないかな?

そういやルイズとギーシュって書き手によって、
・根は悪くない。
・最初から友好的
・どうしようもない愚か者
にけっこう分かれてる気がする。
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 20:11:40 ID:pR3wMdcT
最初から友好的で根は悪くないけど、どうしようもない愚か者なの。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 20:17:29 ID:8W5KZYCY
召喚されたキャラが女だと高い確率で根は悪くない、ってパターンな気もする
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 20:18:26 ID:n1PioPVT
ルイズがキング・オブ・ハートを召喚しちゃったり
シエスタの祖父がマスター・アジアでさぁ大変
ハルケギニアに王者之風が吹き荒れるッ!とか考えてwikiの当方不敗の人帰ってこないかな
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 20:19:07 ID:n1PioPVT
東方不敗だよ、俺
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 20:35:34 ID:kg9Lqt1B
アリオーシュが食べられちゃうよ!!
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 20:36:17 ID:kg9Lqt1B
ごめんなさい。
誤爆しました。
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 20:53:02 ID:izcXq3XY
竜と言えばサモンナイト4の竜の子なんてどうだろうか。
ところで0歳2ヶ月で大人な竜って何なんだろう。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:06:55 ID:0+aJdWxl
竜ならば、エスカフローネもよろしいのでは?
運命改変! 運命改変!
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:12:05 ID:592JYR2t
>>250
その棒読み王子は聖杯持ってオーヴァドライブ連発したりしてないか?

まぁ、あれ設定的に「神様は本気出してない(出せない)」があるみたいだけどな。
エロ神が言うところだと、本気でやり合うと世界滅びるらしいし。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:13:54 ID:lq41uUBZ
でっていぅを呼べ!ヤツはスーパードラゴンの子供だぞ
そしてシエスタの祖父がコンプレックスだらけの弟の方だ、いなくなっても問題ないからな。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:16:45 ID:jfK1pqoS
>>265
いや、ヨッシーって言ってやれよ……。
つーかでっていうじゃ三次創作とかになっちまう。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:20:05 ID:592JYR2t
>>266
明確な三次創作は無論だめだろうけど、
別にちっとしたエッセンスを三次から持ってくるぐらいは構わないでないの?
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:20:54 ID:8rU982PV
ではウィンドラゴンのシロンさんやランシーンやブレイズドラゴンのグリードーを
問題は地球じゃないことと、文明の黄昏時じゃないからレジェンズウォーどうするんだって話なんだけど
そしてルイズが風のサーガになってしまう
なんかいい解決策はないものかね
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:21:46 ID:GNSDplRG
竜ならシェンロンだろ。
「さあ願いを言え。どんな願いでも一つだけかなえてやろう」
「わたしの使い魔になりなさい!」
「……」
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:21:48 ID:YrTaK+y6
>>264
デス様に棒読みを生け贄に差し出してみるんだ
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:22:21 ID:zo4n5op0
アルビオンなど竜の艦の一部に過ぎん!
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:22:54 ID:ji26XzPk
>>266
       /ニYニヽ
   (ヽ   /( ゚ )( ゚ )ヽ   /)
  (((i ) /::::⌒`´⌒::::\  ( i)))  でっていうwwwwwwwwwwwwwww
 /∠_| ,-)___(-,|_ゝ \
( ___、  |-┬-|    ,__ )
    |    `ー'´   /´
    |         /
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:23:22 ID:nCHMKkYG
バスタードからドラゴンウォリアーをだな…
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:25:49 ID:+HTlLKY7
>>264
棒読み殿下を死の剣やら死の鎧の生贄にささげてもクリスタルシティに戻れば
何ごとも無かったかのようにいる=殿下を殺せない
ってことじゃないか?
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:25:52 ID:592JYR2t
>>270
アクアマリン持ち逃げするから仲間にした事ねーや
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:28:48 ID:TFbXylDc
タバサがシルフィードなら
ルイズはボルフィードだ!
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:31:09 ID:8cjr87uD
龍なら、コウリュウをだな・・・・
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:32:07 ID:YjwFuvlW
>>258
あの人エコロジストだから
Gガンの世界に比べてはるかに豊かなハルケギニアは大いに気に入りそうだな
大規模な環境破壊の遠因になりそうな戦争も阻止してくれるだろう
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:32:21 ID:uNwgVKNu
無間龍とか大神龍とか呼んだら世界の危機か
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:32:42 ID:YMMI0M5L
ルイズってペルソナ覚醒しても苦労しそうだよな
コミュ上げ的な意味で
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:39:29 ID:tOhawVdo
久しぶりに読もうと思ったらR.U.R.U.Rとのクロスのやつが見当たらないんだけど
削除されちゃった?
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:43:38 ID:oC9U3ZDN
>>281
うん
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:44:22 ID:epCF4mJc
聖龍騎士の帰還を望む・・・
騎士団もいいけど魔龍伝がよみたいなぁ
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:46:54 ID:tOhawVdo
>>282
そっか
面白かったからまた読もうと思ったんだけど
削除されたのなら仕方ないか
285名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:47:13 ID:hMWxF2Jg
>>281
この広いインターネットの何処かではきっと読むことができるでしょう
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:48:59 ID:8cjr87uD
どこかのアカラナ回廊かアマラ深界に落ちてるよ、たぶん
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 21:59:15 ID:bU0JBv2O
ドラゴンか・・・
FSSの『すえぞう』も思い出して下さい・・・
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:00:39 ID:YrTaK+y6
ドラゴンか…
紫龍の出番だな
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:01:25 ID:7qdbe8vN
オーフェンのディープドラゴンを召喚
一睨みで蒸発するレコンキスタ・・・バランスが崩壊するな。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:02:55 ID:eBZQFaEi
大空魔竜をひとつ
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:03:59 ID:2oNIHs6a
坊やよい子だねんねしなの龍を召喚。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:08:09 ID:UgR9VZsG
ドラゴンで考えてたらゲートからドラグレッター出てきて引きずり込まれるルイズが頭にうかんだ。
293名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:08:53 ID:nCHMKkYG
龍か…ゲッタードラゴンでどうだい?
294名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:09:26 ID:pR3wMdcT
燃えよドラゴン
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:09:33 ID:n6cFrC2E
MOZ世界よりレッド・ドラゴンを召喚したようです
テファはブルー・ドラゴンかな?
296名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:10:44 ID:RNnTDkYW
>>723
ゴーレムウォーでラーズの使った竜戦士か現在DSの使ってる竜戦士かで全く別次元の強さになりそうな気がするがw
どっちにしてもゼロ魔世界だとオーバースペックにも程がある気がする
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:10:56 ID:8cjr87uD
あと、龍といえば呪いの様に生きて祝いのように死ぬの彼女も
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:11:02 ID:7qdbe8vN
>>293
どのゲッタードラゴン?
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:12:49 ID:2YGmfTVV
いっそゴジラサウルスを召喚とか。
魔法の力を食い尽くして怪獣王にクラスアップするのが目に見えるな。
300名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:14:13 ID:nCHMKkYG
>>298
どれでもいいけど聖とか真とかだとアレだから、漫画原作版に出てきた進化が始まったばかりの引きこもりドラゴンで
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:16:44 ID:Hy4EbDFx
強すぎても「なぎはらえー」で終わるからな
溜めとか盛り上がりとか入れるのは難しい

やはりサンサラから竜の卵を召喚して、一から育てるのがいいかと
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:16:56 ID:yE0jGpS6
>>291
普通に辰の子太郎の龍と言えよww

「おまえカトレアおねえちゃんをいじめるから倒すけど良いよね?  答えは聞いてない」
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:19:48 ID:8rU982PV
>>302
ルイズに「バカじゃないの」とか「うるさいよ、ルイズは黙ってて」とか言った後に、
おねえちゃんに「はーい☆」って言う図が見えた
304名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:20:59 ID:SK2k5yEJ
ザ・レッドドラゴン

100メガショック時代のプロレスゲームでスマン!
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:23:04 ID:IgrSFVFd
ドラゴンか……ゾイドからキングゴジュラスとギルベイダー召還とか浮かんだ。
306名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:23:07 ID:4KWjiSbm
組紐屋の竜を召喚とか


八丁堀が召喚されたんだから竜だって・・・
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:26:55 ID:uNwgVKNu
ブラックドラゴンというかギルハカイダー召喚

たぶんワルドに負ける
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:28:34 ID:ji26XzPk
>>306
三味線屋勇次の劣化版か
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:29:34 ID:ID3KS7od
じゃあリュウタロスで
310名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:29:50 ID:7qdbe8vN
竜騎士のジョブや魔物職のドラゴンとか。
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:32:10 ID:Jj1YqDPi
ならば戦え!ドラゴンからきええええええええいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
(奇声

※空手は正しい練習が必要です。
 見よう見まねで空手を使うのは絶対やめましょう。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:33:03 ID:1WXYnCzR
恐竜召喚だとアバレンジャーのアバレキラーとトップゲイラーを考えたが、放送が大分前だったんでキャラ造形うろ覚えなんだよな。
313名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:33:19 ID:dMSpJ+tW
竜ねえ・・・
某曲芸のインファンタリアのストラトスかレマ先生だな
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:40:58 ID:SwzRtoDm
ストIIのリュウだな
しょうりゅうけんをやぶらぬかぎり云々
315名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:42:03 ID:UgR9VZsG
自分の居場所を探してる頃のブラックウォーグレイモン
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:42:22 ID:pR3wMdcT
龍…蒼天航路の呂布とか
317名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:42:39 ID:8rU982PV
>>315
いいなBWグレイモン
ぜひ読みたい
318名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:44:13 ID:CvZzysOo
ドラッグオンドラグーンの人の続きが読みたいな。
そして何か書きたいんだが召還して楽しそうなキャラが浮かばないorz
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:46:23 ID:vKaxtuXT
>>318
ゼロの使い魔より平賀才人を召喚がまじオヌヌメ
320名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:48:16 ID:dSngdbkb
それ、原作と大差ないんじゃ?
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:48:32 ID:8W5KZYCY
>>316
ルイズ「平民は貴族の言うk(頭グシャ)」
ルイズ死亡
で終わると思う
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:49:19 ID:TFbXylDc
>>319
それは原作からさらに別の世界のルイズに召喚されるということか
323名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:51:30 ID:uNwgVKNu
ルイズが呼んだのと別に誰かが呼んでサイトが同じ世界で2人になる展開
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:51:41 ID:592JYR2t
>>319
ガンダールブのルーンの重ねがけで加速ジョセフと真っ当に打ち合うのを幻視した。
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:51:44 ID:GNSDplRG
>>322
ガンダールヴのルーンに新たなガンダールヴのルーンを加えて200万パワー
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:53:30 ID:Vr5U1g8A
ふと思ったんですが、RPGの主人公で全くしゃべらないキャラが居るじゃないですか。
そういったキャラをサイトを代役として使う場合、このスレ的にアリなんですかね。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:55:47 ID:592JYR2t
>>326
1・仮の口調・性格を持たせて使用する。
2・ネタも兼ねて、一切しゃべらせないまま使用する。

両方ともあったと思うが。
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:55:49 ID:5wHLoOyh
龍…MFから召喚してもルイズに調教出来るとは思えない&寿命がストレスで減り捲って即死の予感

ゼロガンダムとかゼフィリスとシャノン、ダイレンジャーとかしか思い浮かばねーや
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:57:01 ID:CvZzysOo
>>326
文字で動きとかをうまく表現できるならしゃべらなくても良いんじゃないでせうか。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:57:38 ID:oeD/42uZ
>301、>312
サンサラとアバレからの召喚は考えたことがある

サンサラは2の黒竜(後のカオスドラゴン)を召喚、
何か適当な事件を起こしてルイズ国外逃亡、追跡隊派遣(誰かルイズと親しい人間を含む)、
次々滅ぶ国々(アルビオンは第五階層と同じ目に遭う)
聖地にてルイズ死亡、追跡隊VSカオスの最終決戦という話。

アバレの方は教皇がミケラ召喚、カタコンベに収められた実でトリノイドを作らせ、エルフ攻略。

トリノイド名まで考えてある。
ハルケギニア版トリノイド第1号・トウガンダールヴ(冬瓜・雁・ガンダールヴ)
2号カモノハシバミョズニトニルン(カモノハシ・ハシバミ草・ミョズニトニルン)
3号ヴィンダールヴァンパイアーモンド(ヴィンダールヴ・ヴァンパイア・アーモンド)

等身大ならまだしも巨大化した虚無の三使い魔を前にエルフ終了のお知らせ。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:58:41 ID:a+e1Wowq
サンサラで考えてるんだけど終盤の展開はできてるんだけどなあ
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 22:59:40 ID:30RaSeJp
無属性センコークーラーとか
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:01:54 ID:soG7SUy/
両手にデルフリンガーで400万パワー
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:02:00 ID:hMWxF2Jg
ソーサリーの主人公はしゃべっていなかったはず
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:02:56 ID:1nplpfqN
>>326
ペルソナ3の主人公(通称キタロー)召喚とかもあったし、いいんじゃないか?
でも、出来るなら小説とかドラマCDとか参考にした人格を持たせた方が無難かもしれない。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:04:42 ID:TFbXylDc
サイヤ人の王子な声のDQ5主人公とかか
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:05:40 ID:7qdbe8vN
喋らないと言うと
般若の面装備の闇ゾーマ単独撃破後のDQV勇者
サマル放置プレイのもょもと(単にhellsingの大尉並の無口にするだけでもいいけど)
村を滅ぼされ失語症に罹ったDQ4勇者
とかか。
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:06:33 ID:JD53ZZKT
竜か……高須ry)
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:06:56 ID:soG7SUy/
ピアスの少年は小説版では慈平とかいう名前だったな
やたらと狂暴だった
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:11:43 ID:7qdbe8vN
DQXの双子(青髪)を召喚だと
ルイズ=自分を馬鹿にしないのはいいけど虫歯になりそうな甘い空気を作るのはやめて。
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:11:47 ID:ID3KS7od
そしていつもの3倍の心の震えをくわえれば400万×3の……ジョゼフ! お前を上回る1200万パワーだーっ!!
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:16:10 ID:Eppx800s
恋姫無双の恋(呂布)なら食い物やれば言う事を聞いてくれそうだな。
食事の時はタバサとひたすらモグモグモグモグ…してそうだが
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:17:05 ID:R2reWBA2
ヨハン・カスパール・・・地味すぎて誰も知らんか
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:18:37 ID:HPUFt8Ri
デビルサマナー葛葉ライドウのライドウとゴウトを召喚と言うのは?
主人公が無口でもゴウトがその分話せばこと足りるはず。
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:19:26 ID:0ItaubqI
竜……ブレスオブファイアシリーズから、竜族の誰かとか?
主人公のリュウを召喚したら、それがどのシリーズのリュウであれ、結構なバランスブレイカーになるかもしれん。

……あ、理想郷にVリュウ召喚のやつがあったっけ。
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:19:38 ID:ADwAiAob
>>342
彼女は家族(戦火におわれた動物達だけど)のために戦ってたんじゃなかったっけ?
それから引き離されたら怒るぞ、きっと
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:25:34 ID:r1BlkA1W
16巻読んだけどさ、ルイズってつくづく面倒くせえ女だよな・・・
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:29:22 ID:oC9U3ZDN
だがそれがいい
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:29:41 ID:axWom5Es
何を今更。普通に地雷だよ
350名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:31:02 ID:uNwgVKNu
アン様やシエスタも相当だからな…
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:31:34 ID:qoKPdsdZ
客観的に見ればツンデレなんて属性はそんなモンだよ。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:31:43 ID:hSbFlpSW
奴が面倒くさくないとあっという間にエロ小説です。本当に(ry
今もある意味アレだとか言うな。
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:32:09 ID:Eppx800s
そういやドワーフってハルケギニアに居たっけ?
居ないのなら召喚された際に、耳が尖ってるからエルフのジジィだーとか言われるのだろうか?

>>346
馬ごと召喚されたガンダムファイターも居るんだ。家族ごと呼べば問題ねぇw
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:32:14 ID:eBZQFaEi
女とつきあうなんて面倒な手間を楽しむもんだべ
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:36:12 ID:NwcgCMTK
ガルガド再生工房でもルイズはキツイとおもうぞw
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:36:14 ID:pE3JthhQ
>>343
最近地味にmugenで見かけるよ
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:38:33 ID:lq41uUBZ
女性の手に興奮する殺人鬼の「キラ」とフリーダムに殺人鬼な「キラ」と新世界の神を名乗る殺人鬼の「キラ」が召喚された場合・・・
色々どうなるんだ?
キラ「悪人を殺して新世界を創る」
キラ「そうすれば平和になるね」
キラ「良いな平穏に暮らせそうだ」キラ同盟結成
358名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:44:03 ID:sVlS2nid
剣王に謝れ
359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:44:24 ID:axWom5Es
パイロットのキラ
手フェチのキラ
神の成り損ないのキラ
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:45:02 ID:rZwg9whI
>>339
確か、本名が「ジェイ・スザクイン」で無理矢理日本語に直して「朱雀院 慈平」なんだよな。
361名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:45:02 ID:6AYEnXWw
ロボやその他の機械系の召喚ネタはやはり補給・整備なんかの兵站がネックだよなぁ
362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:46:22 ID:GNSDplRG
>>357
一番上は召喚者を真っ先に始末しそうだな。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:47:24 ID:w+cbv3Gx
討ち入られたキラ
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:47:51 ID:e93nIbXz
整備は固定化で…と言っても得体のしれないもののために貴族様に固定化をかけてもらうまでの道筋が…
365名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:48:28 ID:hSbFlpSW
>>362
いや、奴は狡猾に利用し尽くすタイプだ。
特にルイズみたいな権力者の縁者ならなw
366名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:55:06 ID:lq41uUBZ
第四の使い魔キラが忍者漫画とキラッ☆しか思いつかん。
367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/25(水) 23:57:29 ID:Uyi3euds
>>362
俺的にはリュークがついているか否かでテンションがかなり違う。
ちなみについてる場合ついてない場合の500倍くらいテンション上がる。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:00:27 ID:unUcqRqo
はいといいえとおおっとの三種類まではRPGの主人公でもしゃべれるな
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:01:49 ID:witxhAN1
>>367
禁断症状が出て体を捻ってる所をタバサが偶然見かけてトラウマになりそうだな!!
500倍興奮してきた!!
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:02:51 ID:fyywzqfC
第二のキラことミサミサ役をティファニアがやるのですね、分かります
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:06:32 ID:Hpm7CRlX
ちょっとウザったいくらいにイチャイチャしてくるテファということか
372重攻の使い魔 ◆ecegNbNqok :2009/02/26(木) 00:07:10 ID:10Lp2SrE
0:15より投下します。
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:14:05 ID:D02KFkdX
箱○オラタン配信決定記念支援
374重攻の使い魔 ◆ecegNbNqok :2009/02/26(木) 00:15:11 ID:10Lp2SrE
投下開始
375重攻の使い魔 第7話『死地送り』:2009/02/26(木) 00:15:44 ID:10Lp2SrE

 ルイズにとって憩いの空間であったはずの自室は、王女の突然の訪問によって一気に緊張した空間
へと変化した。雲上人との近すぎる邂逅は下々の人間にとって重圧以外の何物でもない。些細な粗相
も許されない緊張感はルイズとシエスタの精神を急速に削っていく。そのような二人の内心など全く
知らないとばかりに、アンリエッタは感極まった様子で床に膝をついたルイズを力いっぱい抱きしめた。

「ああ、懐かしいルイズ……。お久し振りですね」
「なりません姫殿下。このような下賎な場所へお越しになられたばかりか、抱擁するなど……」

 ルイズは慎重に言葉を選び、アンリエッタの機嫌を損ねないようにやんわりと拒絶する。そんな余り
に他人行儀なルイズの態度を見て、アンリエッタは悲しげな表情を浮かべる。

「……ルイズ、わたくしたちはもうお友達ではないの? 昔はいつも一緒に遊んでいたじゃない。
あなたにまでそんなよそよそしい態度を取られたらわたくし……」
「もったいないお言葉です姫殿下。ですが今となっては姫殿下とわたしの立場は余りに異なります。
殿下のご好意は大変名誉なことであると存じ上げますが、それでもわたしはお受けするわけにはいかないのです」

 あくまで王族に対する態度を貫くルイズに、アンリエッタは顔を俯かせる。そして静かに立ち上がる
と、ルイズに背を向け窓際に歩み寄った。昔を懐かしむ様子で話を続ける。

「ルイズ、ここにはマザリーニも、母上も、あの何かと言い寄ってくる宮廷貴族達もいないのですよ。
わたくしの周りにはもう信用できる人がいないのです。毎日毎日帝王学の勉強……宮廷貴族達との
会合……、近寄ってくる人はわたくしを今は無き父上の娘としか見ていないわ。わたくしをアンリ
エッタとして見てくれる人は一人もいない……。でもルイズ、あなたは違うわ。あなたは昔のわたくし
を知っている。アンリエッタとしてのわたくしを知っている数少ない人なのです。お願い……昔と
同じように話してちょうだい」
「姫殿下……」

 アンリエッタの切実な訴えに、ルイズはこのままの態度を取り続けるか迷ってしまう。これほどまで
にアンリエッタがかつての自分を求めているのに、それを無碍にしてしまってよいものなのだろうか。
貴族として臣下としての自分と、かつてアンリエッタの幼馴染であった自分との間で煩悶としてしまう。
 ルイズが思わず顔を上げると、アンリエッタは静かに振り返った。その美しい顔が赤い月に照らされ、
一種の芸術とも呼べる光景が現れる。アンリエッタは儚い微笑を浮かべると、どうか判って欲しいと
ばかりに言葉を紡ぐ。

「幼い頃、二人で泥だらけになりながら蝶を追い掛け回したこと、覚えてる? 宮廷の中庭でのことよ」
「……ええ、殿下のお召し物を汚してしまって、ラ・ポルト様に叱られたことはつい昨日の出来事のよう
に覚えています」
376重攻の使い魔 第7話『死地送り』:2009/02/26(木) 00:16:14 ID:10Lp2SrE

 ルイズがはにかんだ表情でそう答えると、アンリエッタの表情が明るくなる。今まで臣下としての態度
を崩さなかったルイズの物言いが少しずつ砕け始めたのを見て、アンリエッタは嬉しくなってしまったのだ。

「そう、そうよルイズ。お菓子を取り合ってつかみ合いの喧嘩をしたこともあったわね。わたくしは
いつもあなたに泣かされてばかりいたわ。ルイズったら強いんだもの」
「わたしも一度ならず姫様に泣かされたことがございます。姫様もなかなかお強かったではありませんか」

 アンリエッタの振る思い出話にルイズが乗ってきて、二人の会話は弾んだ。アンリエッタは部屋の中で
くるりと回転すると、手を広げて大げさな身振りをする。

「宮廷ごっこの最中にあなたとわたくし、どっちがお姫様役をやるかで取っ組み合いの喧嘩をしたあれ、
何て言ってたかしら……。ええと、そう、アミアンの包囲戦だわ。あの時、わたくしの一発がうまく
あなたのお腹に決まって……」
「姫様の御前でわたしは気絶いたしましたね」

 思い出話に花を咲かし、どちらからともなくぷっと吹出すと、二人は互いの顔を見合わせて笑い合った。
今この場にいるのはトリステイン王女とその臣下ではなく、ただ久し振りに顔を合わせた幼馴染の少女達
であった。

「ふふ、その調子よルイズ。本当に懐かしくって……わたくし……」

 ルイズを再び抱き締めると、先程まで笑っていたアンリエッタの青い瞳に涙が溜まり、つうっと頬を
伝って床へと落ちた。

「……あらいやだ、わたくしったら泣いてしまうなんて……。……ほんとに、ごめんなさいルイズ、
少しだけ泣かせて……」
「姫様……」

 普段、国民に見せている気丈な姿とは異なり、ぽろぽろと涙を零すアンリエッタに、ルイズは黙って
肩を貸す。アンリエッタも自分と同じように、孤独の中で生きてきたのだろうか。ふとそのような考え
がルイズの脳裏をよぎる。
 アンリエッタはしばらくルイズの肩に顔をうずめていたが、少しばかり落ち着いたのかルイズの背中
に回していた手を緩め、ゆっくりと立ち上がった。

「ごめんなさいね、ルイズ。みっともない所を見せてしまって」
「ではこれもわたし達だけの秘密といたしましょう」
「うふふ、そうね。そうしてちょうだい」

 まだ涙の後は残っていたが、ルイズの軽口を聞いてアンリエッタは普段どおりの笑顔を見せる。そこで
先程から床に頭をこすり付けているシエスタに気が付き、ルイズへと尋ねた。
377重攻の使い魔 第6話『死地送り』:2009/02/26(木) 00:17:13 ID:10Lp2SrE

「ところでルイズ、そちらの方はどなた? あなたのお友達なら是非紹介してほしいわ」

 アンリエッタの言葉にずっと黙りこくっていたシエスタの肩が震える。余りの事態に声も出せないのか、
ただひたすら平伏するばかりであった。ルイズはシエスタをどのように紹介するか、若干逡巡したものの
素直に伝えることに決めた。

「姫様、彼女はここ魔法学院の使用人をしておりますシエスタです。そしてその……、わたしの友人でもあります」
「……!?」

 ルイズの言葉に、シエスタははっとした様子で顔を上げる。しかし顔を上げた瞬間にアンリエッタの姿
が目に入ったのか、再び急いで床に伏せてしまった。そんなシエスタの姿に、アンリエッタはくすりと微笑む
と、近くまで歩み寄り顔を伏せている少女の手を取った。

「お顔をお上げになって、シエスタさん。ルイズのお友達ならわたくしもお近づきになりたいの。ね、お願い」
「シエスタ、姫様がおっしゃってるんだから顔を上げたほうがいいわよ。こう見えて姫様は怒らせると怖いんだから」
「もう、ルイズったら。……シエスタさん、ルイズもこう言ってるし、ね?」

 ルイズとアンリエッタの催促に、シエスタはぎくしゃくと顔を上げる。王族を直に見るどころか、触れられて
いると言う事実がシエスタの全身を金縛り状態へ陥らせていた。アンリエッタの顔を見据えると、どもりながら
も自己紹介をする。

「わ、わわ、わたくし、し、使用人のシエスタとも、もも、申します。あ、アンリエッタ様をここ、こんな
ちか、近くでお目にかかることが、で、できて、ここ、光栄の極みでございますっ!!」
「ふふ、よろしくねシエスタさん。ルイズは性格がきついから迷惑掛けてるかもしれないけど、これからも
ルイズをお願いね?」
「ととと、とんでもございませんっ! むしろわたくしの方がミス・ヴァリエールにご迷惑を掛けてばかりで……」

 性格がきついというアンリエッタの言葉に、ルイズはついむっとした顔になるが、見ていて哀れになる
ほどうろたえているシエスタの姿にそのようなことはどうでもよくなった。このまま放っておいて混乱
させるがままにしていては周囲の、ツェルプストーあたりが聞きつける事態になるかもしれない。とにかく
シエスタを諌めなければならない。

「ほら、シエスタ。ちょっとは落ち着きなさい。姫様はお忍びで来られてるのに、そんなに騒いじゃ
バレちゃうじゃない」
「す、すいません……」

 二人のやり取りをくすくすと笑いながら眺めていたアンリエッタであったが、笑いを収めると一転して
憂鬱な表情を浮かべる。そしてここに来た目的を話し出した。
378重攻の使い魔 第6話『死地送り』:2009/02/26(木) 00:17:39 ID:10Lp2SrE

「ルイズ、わたくしが今日ここにやってきたのは、あなたに相談したいことがあったからなのです。
……聞いていただける?」
「……もちろんです姫様。わたしがお力になれるのであれば何なりとご相談下さい」

 身分違いの幼馴染の浮かべた表情と口調から、並々ならぬ事態を感じ取ったルイズは態度を改める。

「ありがとうルイズ。今からお話しすることは絶対に口外してはなりません。シエスタさん、申し訳
ないのだけれど、席を外してもらえますか?」
「は、はいっ」

 慌てて部屋を飛び出そうとするシエスタであったが、ルイズが呼び止める。シエスタが振り向くと、
ルイズは少しばかり照れながら小さく手を振った。ぱっと笑顔を見せると、一礼してシエスタは部屋
から出ていった。

「……いいお友達ね。仲良くなるのに身分なんて関係ない、そうは思わない?」

 アンリエッタの問いかけはいささか絵空事であった。身分が違うもの同士は出会いの場そのものも
限られ、仮に親睦を深めることができたとしても、周囲の人間がそれを許すまい。現実的でない理想は
単なる空想に過ぎない。しかし、ルイズはそんな理想も悪くないと感じていた。

「アルビオンの反乱軍に対抗するため、わたくしはこの度ゲルマニアへ嫁ぎ、トリステイン・ゲルマニア
同盟を結ぶことになりました」

 一呼吸置いて吐き出された言葉を聞き、ルイズが驚きと怒りのないまぜになった表情を作るが、
口を開こうとするのをアンリエッタは静かに制した。勢いを削がれたルイズは大人しく話を聞くことにした。

「わたくしのことはいいの。好きな相手と結婚できるなんて、もうずっと昔に諦めてますから。
……ですが、アルビオンの裏切り者達はこの同盟を望んでいません。理由は……言わなくてもお分かりでしょう」

 ルイズが頷いたのを確認すると、アンリエッタは話を続ける。

「ですから、わたくしの婚姻を妨げる物が何かないかと血眼になって探し回っているのです。……もし、
そのようなものが発見されれば同盟は破棄、トリステインは単独で反乱軍と戦わねばならなくなるで
しょう。そしてトリステインが反乱軍に勝利する可能性は、万に一つとまでは言いませんが、千に一つ
ぐらいです。国を守る為に、この同盟は絶対に結ばれなければなりません」
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:17:42 ID:D02KFkdX
支援
380重攻の使い魔 第6話『死地送り』:2009/02/26(木) 00:18:04 ID:10Lp2SrE

 話を聞くうちに、ルイズの顔は徐々に青くなっていった。この話しぶりからすると、その婚姻を
妨げる何かがあるとしか思えない。深刻な顔をするルイズを見て、アンリエッタは小さく溜息を付いた。

「そうよ、ルイズ。あなたが今考えてる通り、その何かがあるのです。わたくしが以前したためた
一通の手紙、それが問題なのです」
「……そのお手紙は今どこに? わたしはそれをお守りすればよいのですか?」
「手紙はここにはありません。……アルビオンにあるのです」

 アンリエッタの言葉に、今度こそルイズの顔が蒼白になった。余りの事態に声を失ってしまう。

「その手紙を持っているのは反乱軍ではなく、アルビオン王家のウェールズ皇太子なのです。あなた
にはその手紙の回収と焼却をお願いしたいのです。……無謀なお願いであることは重々承知しているわ。
ですが今わたくしが頼れる人はほとんどいないのです」
「……姫様の御為とあらば火竜の顎の中だろうと、地獄の釜の中だろうと、何処なりと向かいます。
トリステインの危機を救うため、何よりわたしをお頼りしていただいた姫様の想いを無碍にするわけ
には参りません」

 勇ましい台詞を言ったものの、実の所ルイズは内心恐怖で一杯だった。ただでさえ魔法も満足に使えない
未熟者が、敵陣の只中に突入するのだ。到底生きて帰れるとは思えない。だというのに、ルイズが二つ返事
で引き受けたのは、ギーシュのワルキューレを蹴散らした強力な使い魔ライデンがいたからだった。この
ライデンがいれば生還できるかもしれない、アンリエッタの期待に応えられるかもしれない。何よりルイズは
この幼馴染に失望されたくはなかったのだ。

「ありがとうルイズ。聞いていた通り勇ましく優秀なメイジなのですね。あなたに相談して本当に良かったわ」
「……あの、失礼ですが聞いていた、というのは?」

 アンリエッタの言葉にルイズは訝る。自分が優秀だなどと誰から聞いたというのだろうか。学院にいる
者からすれば自分が碌に魔法を使えないのは当然の事実であり、院外の者からすればそもそも自分のこと
など知っている訳がない。王宮の研究機関に籍を置いている姉ならば判るが、自分はラ・ヴァリエール
公爵家三女以上の認識はされていないだろう。ルイズの疑問はもっともだった。

「ごめんなさい、伝えるのを忘れていました。実はワルド子爵に相談した所、あなたが優秀なメイジであり、
きっとわたくしの頼みを聞いてくれるだろうと言われたのです。この任務にはあなたとワルド子爵、二人で
就いてもらうことになります」
「ワルド子爵が……?」
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:18:25 ID:IjSVwceA
sienn
382重攻の使い魔 第6話『死地送り』:2009/02/26(木) 00:18:26 ID:10Lp2SrE

 いよいよルイズの混乱の度合いは深まってきた。ワルドといえば、日中の歓迎式典で見かけたばかりだ。
確かに面識はあるが、ここ10年ほどは一度も会っていない。しかもなぜ自分が優秀なメイジであるとアン
リエッタに伝えたのか。ワルドが自分の魔法の出来不出来を知っているのは不自然な上に齟齬がある。
しかしアンリエッタの安堵した様子を見ると、とても訂正する気分にはなれなかった。旧友との再会による
喜びが、説明できない違和感によって乱される。

「誉あるグリフォン隊隊長のワルド子爵と、彼の推薦するルイズ。きっとこの困難な任務をやり遂げて
もらえると信じています」
「……はい、身命にかけて」

 その後、出発は明朝と説明するとアンリエッタは部屋を出ようとした。しかし、アンリエッタが取っ手
を掴む前に扉が開かれた。ルイズとアンリエッタがまさか、と思っていると、入ってきたのはギーシュで
あった。ギーシュは後ろ手に扉を閉めると、アンリエッタの眼前に跪いた。

「姫殿下! その困難な任務、是非ともこのギーシュ・ド・グラモンに仰せ付け下さい!」
「ちょ、ちょっとギーシュ! あんたまさか聞いてたの!?」

 突然の闖入者に、声を潜めることも忘れたルイズの言葉をギーシュは無視した。続けて恭しい態度で
アンリエッタの懇願する。

「盗み聞きしていたことへのお叱りはごもっとも。ですが殿下の、ひいてはここトリステインの危機と
あっては黙っているわけには参りません。どうか、どうか任務の一員に加えていただきたく存じます!」

 一人盛り上がるギーシュに、アンリエッタはしばし呆然となっていたが、とりあえず正気を取り戻した。

「グラモンというと、あの元帥の?」
「はい。息子でございます、姫殿下」
「あなたも、このわたくしの力になっていただけるのですか?」

 ギーシュが間髪入れずに頷いたのを見て、アンリエッタは感極まったようだった。ギーシュの手を
取ると、その華奢な手の平で優しく包み込んだ。
383重攻の使い魔 第6話『死地送り』:2009/02/26(木) 00:18:49 ID:10Lp2SrE

「ありがとう。お父様に似て勇敢な方なのですね。……ではおねがいします。
この不幸な姫をお助け下さい、ギーシュさん」
「……!! はっ、たとえこの身が滅びようとも、必ずや殿下のご期待に応えてみせます!」

 雲上人であるアンリエッタに名前を呼んでもらったことで、ギーシュは完全にのぼせ上がっていた。
何やらぶつぶつと姫殿下が、と呟いている。ルイズは玉乗りするカエルでも見るような奇異の視線を
ギーシュへ向けると、はぁ、と小さく溜息をついた。アンリエッタの方を見やると、何やら手紙を
したためている。一通り書き終わったところで筆が止まったが、しばらく悩んだ末に一行付け加えていた。

「ルイズ、皇太子に会ったらこの手紙を渡して下さい。すぐに手紙を返してくれるでしょう」

 そう言って手紙を巻いて封蝋と花押を押し、アンリエッタは自らの右手の薬指から王家に相応しい
彫刻が施された指輪を引き抜くと、ルイズの手を取って握らせた。

「母君からいただいた『水のルビー』です。せめてものお守りにしてください。路銀に困ったなら売却
していただいても構いません」

 アンリエッタはそう言うも、ルイズにとってはこの指輪を売り払うなどとんでもなかった。絶対に失
くさないよう自らの右手の薬指に通すと、深々と頭を下げた。アンリエッタが回収して欲しいと言った
手紙の内容、説明はされなかったがルイズには薄ぼんやりと予想が付いていた。王族の義務という、
幼馴染の苦悩をルイズは測りかねていた。

「この任務にはトリステインの未来がかかっています。母君の指輪が、アルビオンに吹き荒れる嵐から
あなたがたを守りますように」

 夜空に赤く輝く二つの月が、見つめあう二人を照らしていた。
384重攻の使い魔 ◆ecegNbNqok :2009/02/26(木) 00:19:47 ID:10Lp2SrE
以上です。最初の方、第6話を第7話と書いてしまい、すいませんでした。
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:21:15 ID:D02KFkdX
雷電さん乙
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:22:33 ID:9CMtmQia
ライデンじゃなくてハッター軍曹だったら積極的に物語に関わってきそうだ
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:26:49 ID:4ZmJE8uy
>>347
ある意味ヤッたら終了なので仕方ないね!
388ゼロと魔獣のような悪魔:2009/02/26(木) 00:37:51 ID:bHVdMSpx
こんばんは、夜分恐れ入ります。
もしよろしければ45分ごろに第二話を投下させていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
389ゼロと魔獣のような悪魔2-1/9:2009/02/26(木) 00:45:39 ID:bHVdMSpx
ゼロと魔獣のような悪魔-2
見知らぬ世界で大騒ぎ


「・・・・・・?」

いつまで気を失っていたのだろう。
目を閉じていても光の眩しさを感じる。今は朝か昼か。
霊界サプレスの住人は魔力が満ちる夜に行動する。
光を忌み嫌う悪魔となればそれは尚更だ。
日中は眠れるはずなのに目が覚める、それはつまり寝過ぎたということか。
・・・・・
目をうっすらと開ける、ぼやけた視界に入ってきたのは白い布。
ああ、これはシーツかと目を再び閉じようとする。
このまま布団に包まって目をつぶっていればまた睡魔が来てくれる・・・
「んぅ・・・・・・・・・・・ッはぁあっ!?」
シーツを跳ね飛ばして飛び起き辺りを見回す。
清潔感が溢れる部屋、戸棚には薬?とおぼしき瓶が並び向かいにはもう一つベッド
がある。
窓からは光が差し込み、少し開けられた窓からは爽やかな風が吹き込んでくる。
「どこよココ!?」
自分はギエン砦で調律者達と戦って負けて・・・
気がついたら金の派閥の連中に囲まれてて、目の前の女を殺そうと切りかかった
ら気を失って・・・気がついたらベッドの上・・・。
「つまりここは金の派閥の医務室・・・?」
なんで自分は(恐らく)運び込まれて寝ていたのか。
はっとして自分の体を確認する。
下着姿の所々には包帯が巻かれて、丁寧に手当てされたのが分かる。
何故悪魔の自分が治療されていたのか、考えると頭が痛くなってきそうだ。
幸い誰もいないようだし、逃げられるならば逃げてしまおう。
そう考えたビーニャは足を出し地面に着け、
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!い!!!たっっ!!あぁ!!」
言葉にならない声を上げてうずくまってしまった。
体に力が入らない。
床の上で生まれたての鳥のヒナ状態のビーニャは痺れるような痛みに目じりにうっすらと
涙を浮かべながら自分の服を探す。
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 00:47:51 ID:2asUVE9/
支援
391ゼロと魔獣のような悪魔2-2/9:2009/02/26(木) 00:48:14 ID:bHVdMSpx
しかし周りにそれらしきものは無い。
サモナイト石や短剣といった危険物が入った服だ、取り上げられて当然だろう。
お気に入りの髪留めも無いし。
そうこうしているうちにだんだんと感覚もしっかりしてきて立ち上がれるようになり、
ベッドに腰かけているとしびれは消えてしまった。
少し傷は痛むが。
拳を握ったり開いたりして動くことを確認したビーニャは、止む無く下着姿で脱出することにした。
ドアノブに手をかけると鍵もかかっていなく開くことができる。
いくらなんでも悪魔相手にこれは無いだろう。
罠なのかと勘繰りながらゆっくりと戸をあけ外に視線を向けるが外には警備の者らしき
影も形もない。
ますますおかしいと思いつつも、こうしていてもらちが明かないので行動することにした。
裸足で抜き足さし足と廊下を進んでいく。
最初は窓からとも考えたが覗いた高さが結構な物なので止めた。
「にしても、どこがどこだかさっぱり分かんない」
独り言を言いながら歩いているのだが誰とも出くわすわけでもないのでお構いなし。
しかも召喚師の本陣、内部構造なども知るわけがない。
あてどなく歩きながら曲がり角を曲がろうとしたその時、
「きゃっ!」
「いたっ!」
不注意にも人と出くわしてしまった。
お互いぶつかった時に尻もちをついてしまい、なおかつ鼻もぶつけたようだ。
ビーニャが花を抑え涙目になりながら前を向くと目の前の桃色の髪の人間も鼻を押さえて
いる。
(・・・桃色の髪・・・・・・・・・・・・この女っ!!!!)
意識を失う前に見た召喚師と思しき桃色の髪の女。
それとこんなところで出会ってしまったのだ。
「ど、どこ見て歩いてるのよ!傷が残ったらどうす・・・る・・・気・・・」
目が合った。即座に後ろに飛び退く。
こんなところで見つかってる場合じゃない。
「目が覚めたのね!一時はどうなること思ったけど、・・・無断で出歩けるくらい元気そう   じゃない」
桃色の女こと、ルイズが立ち上がりビーニャに話しかける。
「でも、勝手に出歩くのは関心しないわよ?使い魔があちこち行くのなら主人の許可がいるんだから」
392ゼロと魔獣のような悪魔2-3/9:2009/02/26(木) 00:50:44 ID:bHVdMSpx
(使い魔?アタシが?誰の?)
ビーニャが訝しげに見ているのを気づいていないのか、ルイズは主人として使い魔に対する主従の関係な態度で話続ける。
「それにあんたは今私とぶつかった訳だけど、普段ならこんなことは許しがたいことなのよ?平民ならどんな制裁を受けるかもしれないのを、あんたは私の使い魔ということで特別に許してあげるんだから」
時折鼻をさすりながらもルイズは言葉を続ける。
最初は黙って聞いていたが、上から目線の口調にだんだんと腹が立ってくる。
「分かった?それじゃ医務室に戻っ・・・あぐっ!?」
その瞬間ルイズは後方に吹き飛ばされた。
何事かと目線を上げると包帯だらけの少女がこっちに手をかざし睨みつけている姿が映った。
口元が微かに笑っている。

(な、何!?こいつがやったの!?)

「何言ってんだか知らないけどさぁ・・・アンタのその態度すっごくムカツクんだよねぇ」
転んだままついたまま動けないルイズを突き刺すような目線で睨む。
「一人でアタシの相手しようなんていい度胸じゃん。
 じゃあ特別に・・・」
(な・・・何する気!?)

「思いっっっっきり壊してあげる!!ダークブリンガーッ!!」

腕を振り下ろしたビーニャを見てとっさに腕で身をかばう。
正面から来るであろうその攻撃から身を守るために――――――
だが、その防御は無駄に終わった。

ゴワ―――――ン

それは真上、頭に降り注いだのだから。

「いっった!!何なのよもう!」
頭の衝撃の正体を見ようと横を見れば、鈍い銀色の大きな桶、
通称金ダライがごわわんと音をたてて転がっていた。

393ゼロと魔獣のような悪魔2-4/9:2009/02/26(木) 00:53:45 ID:bHVdMSpx
ルイズが金ダライを見ている一方、その金ダライを召喚したビーニャは目が点になっていた。
「・・・・・は?」
自分は闇の気を纏った剣を呼び出してコイツ・・・桃娘にぶつけたはず。
それで辺りに血しぶきが飛び散って終わっていたはず。
それが生きてるし、しかも隣のアレは何?剣を呼んだはずなんだけど。
なんで、
バカ―――――――ン
考え事をしているビーニャの顔面にその金ダライが命中した。
後ろに倒れこみ顔を押さえて何事かと顔を上げれば、桃娘がこちらを睨んでいる。
なぜか背後に炎のような物も見えるような気がして正直おっかない。
「・・・ケガしてるだろうからって・・・きっと混乱してるだろうからって・・・
最初に切りかかってきた時の事許してあげようと思ったけど・・・」
覚えてたんだ。
「・・・きっと医務室でまだ眠ったままなのかなと思って・・・見に来てあげたら・・」
そんなこと頼んでないんだけど。
「いないから探して・・・傷が開いたりしないように言おうとしてあげたら・・・
 因縁つけてきた挙句・・・人の頭に変な物ぶつけてきて・・・」
それはアタシも予想外、本当は殺す気だったんだけど。
いつの間にか桃娘が手に持っている杖がバチバチと音を立てている。
これは

「覚悟しなさいっっっっ!!!」

まずい

そう思ったときには閃光が見えていた。
あ、桃娘の今の顔、キュラーが従えてた悪鬼が憑いた人間そっくり。

394ゼロと魔獣のような悪魔2-5/9:2009/02/26(木) 00:55:53 ID:bHVdMSpx
「彼女の様子はどうでしょうかね・・・」
階段をゆっくり上がりながら、昨日のサモン・サーヴァントの儀式監督者のコルベールは医務室に向かっていた。
ミス・ヴァリエールことルイズが呼び出した少女。
コルベールはビーニャの事が気になっていた。
血でところどころ染まった服、手慣れた手つきで短剣を抜き放ち切りかかる動作、まるで戦場から来たかのようだった。
そして何よりも気になったのは目、赤い輝きの中に見える深い闇、あの目がコルベールの心に波を立てていた。
(とにかく彼女の回復を待って、それから先のことを考え―――――――!?)
矢先、コルベールは爆発音で階段を踏み外しそうになった。
「何事ですかっ!?」
体勢を持ち直して最後の段を上り曲がり角の向こうに顔を出すと、
「ちょっとそこどいてぇぇぇぇぇぇ!!!」
件の少女が下着&包帯姿で真横を駆け抜けた。
「あ!待ちなさ「待ちなさい!よけるんじゃないわよっ!!!」」
振り返っていたコルベールの真横をルイズが鬼の如き形相で走り抜けていった。
そのまま階段を駆け下りて行った二人をぽかんと見ていたコルベールだったが、はっと
己を取り戻して爆音が聞こえた法を見れば見事なまでにぼろぼろになった石造りの廊下が見える。
壁には大砲の直撃を受けたかのような大穴が空き外の光景が覗いている。
「待ちなさぁぁあああああい!!」
大方の事情を察したコルベールは二人の後を追いかけて階段を駆け降りた。

所々で響く爆音で生徒達が騒ぎ始める。
「何!?戦争!」
「それとも盗賊か何かの襲撃か?」
「ゼロのルイズが一人戦争ごっこをやってるって!」
「ついに切れたか・・・」
「いや、呼びだした使い魔を襲ってるそうだ!」
「しかも傷だらけで下着だけの女の子らしいって」
「それを笑いながら追いかけまわしてるそうね」
「そんな性癖が・・・・」

周りはあくまで傍観者なのだが、追いかけられる一人と追いかける一人、さらにそれを追
395ゼロと魔獣のような悪魔2-6/9:2009/02/26(木) 00:58:32 ID:bHVdMSpx
いかける一人は必死だった。

「あぁもう!何なのよアイツ!」
裸足であちこちかけ回りながらビーニャは何とか隠れ場所を探そうと必死だった。
そこで途中で見つけた食堂とおぼしき場所に侵入すると、厨房でコックを突き飛ばして包丁を奪い、それを掴みながら走り回り今は開けた広場に来ていた。
はぁはぁと息を切らして手近に隠れられそうな場所を探すがそれらしき場所は無い、見回しているうちに後ろから複数の声が聞こえてきた。
「やばっ!」
いよいよもって焦ってきたビーニャの目に壁に持たれるように座っている少女が目に入る。
本を読んでいるのかと思いきやこちらに目を向けている。
(どこにでもいるわよね。一人が好きなヤツ)
本来なら逃げるべきだが一人でいるということがビーニャにとっては有難かった。
コイツを人質にさせてもらおう。
「ちょっとそこのアンタ」
笑みを浮かべながら包丁を持って近づくビーニャを少女、タバサは無表情で見つめている。
(・・・余裕ってわけ?それとも頭いかれてんの?)
距離を詰めても動じないタバサにビーニャは腹が立ってきた。
さっきの桃娘にやられた分もこいつに当たらせてもらおうと掴みかかろうとした瞬間、
ビーニャの前に青い鱗のドラゴンが舞い降りた。
「っ!メイトルパのワイバーン!?っぐあう!!」
突如現れた飛竜に目を奪われたと同時にビーニャは横から見えない何かに吹き飛ばされる衝撃を受け地面に叩きつけられた。
(・・・・・)
青い髪の少女とワイバーン、それと大勢の人間が走ってくるのが見える。
しくじったなぁと思いながら、ビーニャは意識を失った。

396ゼロと魔獣のような悪魔2-7/9:2009/02/26(木) 01:01:12 ID:bHVdMSpx
(・・・)
意識を失い、また目覚めるのはこれで何度目だろう。
うっすらと目を開けて入ってきたのは白いシーツ、どかしてみれば見覚えのある天井。
(さっきは広場で倒れたはずだけど・・・)
「・・・夢か」
「夢じゃないわよ」
目を閉じようとすると頬に激痛が走った。
「い!いひゃいいひゃい!」
指の感覚、誰かが頬を引っ張っている。
「いひゃひゃひゃひゃ!ふしゃけんしゃないひゃよ!!」
相手を手を振りほどく。
驚いて目を向ければ昼間の桃娘ではないか、じっとこちらを睨んでいる。
「アンタはっ!」
掴みかかろうと腕を出すとジャラリと両手に錠と鎖がついているのに気がついた。
「な、なんなのよコレは!」
「暴れまわる獣には鎖が必要でしょ?」
鎖に驚いているビーニャを見てニッコリとほほ笑むルイズ。
「さっさとはずさないと――――」
怒鳴りかけた矢先部屋の中に誰かが入ってきた。
「どうやら目が覚めたようですね」
やってきたのは頭部のさびしい中年の男、追いかけられてる時にすれ違った気がする。
入ってきた男はベッド横に立って頭を下げて挨拶をする。
「初めまして。私の名前はコルベール。ここで教師をしている者です。
 錠や鎖など手荒な処置かもしれませんが、どうかご容赦を。
 貴女のお名前を伺ってもよいでしょうか?」
「・・・・・」
ビーニャは答えようとしない。
俯いたまま黙っている。
「何とか言いなさいよ!」
業を煮やしたルイズが口を開くとビーニャはきっと二人を睨みつけた。
「いい加減なお芝居はもう沢山なのよ!
 さっさと殺したらいいじゃない!それとも見せもの?研究のサンプル?
 したけりゃ好きにすれば!
ご機嫌伺いなんか不要よ!金の派閥の召喚師ども!」
言うだけ言うとビーニャは俯いて黙ってしまった。
いきなりの剣幕に二人は驚いたが、すぐに平静を取り戻したコルベールがそれに答える。
397ゼロと魔獣のような悪魔2-8/9:2009/02/26(木) 01:03:37 ID:bHVdMSpx
「落ち着いてください。ここはトリステイン魔法学園であり貴女の言う金の派閥という組織ではありません。
 そして私達はメイジで召喚師という者でもありません」
あくまで穏やかに回答するコルベール。
殺意をもって切りかかってくるような会田の場合は刺激しないことが重要だ、
その答えにビーニャは顔を上げる。
「・・・トリステイン?メイジ?・・・なにそれ?」
「あんたどこの田舎の出身なのよ。知らないの?」
「聞いたことないわよそんなところ!ここはファナンじゃないの!?」
「だから違うって言ってるじゃない。ファナン、なんてこっちが聞いたことないわよ」
ますます意味が分からない。
「・・・質問。中央エルバレスタ地方、王都ゼラム、・・・リィンバウムって
 知ってる?」
二人とも首を横に振った。
(ここは完全に別の大陸か何かだ・・・)
ふと、窓に目をやれば外は既に薄暗くなって空に二つの月が現れ始めている。
(訂正・・・・異世界・・・)
これならば自分のことを知らない、地名も知らない、召喚術も知らないというのもうなずける。
念のためここの場所や近隣のあらかたの地名を聞いたが、うん、さっぱりだわ。
頭痛がしてきた。
しかも場所のやり取りが終わったら今度は、契約の話が出てきたがそれがますます頭を痛くさせる。

「つまり、アタシは魔法を使う、いわゆるメイジのアンタに呼ばれて。さらに使い魔になれってのね」
「そうよ。ありがたく思いなさい。貴族に直に仕えられるなんてないんだから」
「キャハハハハハハっ!死んでも嫌!!」
「・・・・どっっこまでも失礼な平民ね!まだやられたりないのかしら!」
杖を取り出したルイズをコルベールが落ち着かせるのにまたしばらく掛かった。
このまま拒否しようとしたが昼間の騒ぎの責任を問うことになると言われ、もし
使い魔になればそのことは不問とすると持ちかけてきた。
このハゲかけ親父、いい性格してる。
やむなく了解した。
が、

「何が悲しくてアンタなんかとキ、キスしなくちゃなんないのよ!」
398ゼロと魔獣のような悪魔2-9/9:2009/02/26(木) 01:06:25 ID:bHVdMSpx
「こっちだってサモン・サーヴァントがやり直せるならあんたなんか願い下げよ!」
「もう勘弁して下さい・・・」
再びケンカが始まりそうな二人のそばでコルベールは胃を痛めていた。


その後なんとか契約を完了しルイズの部屋へとやってきたビーニャは、暗い部屋で
自分の左手の文字をじっと見つめていた。
「まさかアタシが使役の立場にさせられるなんてね」
詳しい話はまた後日ということでそのまま解散してこいつの部屋に来てみれば、
「あんたは床!」
と言われてやむなく床に転がっている。
異世界ならば魔力の質もリィンバウムのそれとは異なる、召喚の失敗もおそらく原因はそれだ、ならこちらに慣れるまでは精々従ってやろう。
力が戻れば従う理由は無いし、こっちからおさらば。
それでレイム様のところに戻る方法を見つけてさっさと帰ろう。
そんなことを考えているビーニャの顔に白いパンティがぺそっと落ちてきた。
「明日からバリバリ働いてもらうから覚悟しなさい。とりあえずそれは明日洗濯しておい 
 て」
言うだけ言ってルイズはまた寝てしまった。

(・・・・やっぱりコイツは真っ先に殺そう。ついでにアタシをふっ飛ばしたあの青頭も)
顔のパンティを払うと昼間の疲れからか強烈な眠気とともに、ビーニャはすぐ目を閉じた。


399ゼロと魔獣のような悪魔:2009/02/26(木) 01:08:11 ID:bHVdMSpx
以上です。
夜分失礼しました。><
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 01:08:52 ID:Cc6EuQgo
乙です。
着々とルイズ死亡フラグがww
401ゼロスト:2009/02/26(木) 02:18:17 ID:Zl19lqA0
ちょっと7レスよろしいですか?

遅ればせながら>>66
これは、二人がいかに人の話を聞いていないか・・・本当に聞いてないんだけど・・・
じゃなくて、二人がパッと見の印象だけを一人歩きさせた結果だということを言いたかったんです。
402ゼロスト1/7:2009/02/26(木) 02:20:04 ID:Zl19lqA0
・・・かに見えた。だがそこは幾多の戦場を潜り抜け、ニュータイプに近い能力を持つオルバである。
彼女の殺意を感じるや否や即座に身をかがめて風矢をかわし、即座に銃を構え臨戦態勢に入る。
二の矢を放とうと呪文詠唱が終わる寸前、一瞬浮いた腕をシャギアが逃がさずに掴む。
「そこまでだ。我々は何も君と戦いたいわけではないのだよ、ティファ・アディー・・・ル・・・?」
自らの勘違いを悟った兄は、報復に足でも撃ち抜かんとしている弟を制する。
「オルバ、この少女はティファ・アディールではない。私としたことがとんだ人違いを・・・」
今さらながら、たとえニュータイプといえども魔法は使えないと思うのだが。
それはともかく、場に流れた一触即発ムードは少し払拭されたが、代わりに兄弟の言動に注目が置かれる。
兄の制止を受けたオルバが、改めてタバサをよく見てみると・・・
「本当だ!髪の毛は青だし、眼鏡もかけてる!それに彼女の方がもう少し背が高いし。・・・全然違うね?」
兄弟間での勝手な自己解決を、怪訝そうに思う三人。タバサに至っては、まだ殺意を放出中だ。
兄弟は、第一印象から受けたイメージだけが一人歩きした結果がこの有様だ、とは口が裂けても言えないので、とりあえず
「すまなかったな、蒼髪の少女。何が君をそこまで駆り立てたのかは知らないが・・・」
「ごめんね、怖い思いをさせてしまって。なにぶん、君が僕らの天敵に似てたから。・・・知らないよ、って思うだろうけどね」
真相を微妙にぼかしつつ、謝罪と同時に敵意がない事を主張。それを受け、タバサも徐々に殺意の放出を止め、軽く頭を下げる。
ほっと胸をなで下ろす水と油コンビ。だが、この和解によって二人の間に渦巻く疑念も払拭された、というわけではない。
ルイズは彼ら兄弟の主人として、キュルケは当事者(?)たるタバサの親友として、兄弟を詰問する。
「和解してくれてよかったとは思うわよ?でも私達の疑問は解決されてないの。その節に一体どんなことしたのか答えなさい」
下手な事を言ってしまったなという顔をして押し黙る二人。さながら、酔っ払ってのうわ言を問い詰められているようだ。
ただ、黙っている時間の長さに比例して主人の怒りも大きくなっているので、観念したかのように「その節」を語る。
「我々が元の世界にいた頃、新たな戦争が始まる前・・・我々は身分を隠して、とある企業に自らを売り込んだ。
受け持った任務が「ニュータイプ少女、ティファ・アディールの奪還」。彼女は、その企業の研究素材にして生粋のニュータイプだ。
その力の軍事利用に成功すれば、その企業は産業界のトップになること間違いなし。それ故に奪還は急務だった」
「彼女は、その企業の研究所から攫われた。だったらもう一度研究所の襲撃をしなければならない事態を起こせばいい。
・・・という作戦の元に僕が潜入して、寝ている彼女に一服盛ったんだ。まあ作戦通り奴らは医務室」
最後まで言い終わる前に、水と油の見事な連携パンチが彼の顔面めがけて放たれる。
たまらず回避するオルバだったが、避けた先にはルイズの二発目が。今日は散々な日だよ、と言って顔をさする。
「それで、タバサ。あなたは何で彼らを襲ったの?なんか、尋常じゃないほど怖い顔してたわよ?」
403ゼロスト2/7:2009/02/26(木) 02:21:22 ID:Zl19lqA0
キュルケの質問に、今度はタバサが押し黙る。気まずい沈黙が辺りを包む。
普段はだんまり比べに根負けするルイズもキュルケも押し黙り、聞き出すまでの長い精神戦になりそうだ。
しかし時間が経つにつれ、心なしかタバサが困ってきているように見える。そんな彼女を見かねた兄弟が思わず助け舟を出す。
「突然、見知らぬ男に『囚われの姫君』だの『愛しています、殺したいほど』とか言われてパニックになったんだよね?」
「お互いの『人違い』もある。我々は彼女を天敵と、彼女は我々を変質者と間違えたのだから。お互い憎むべき相手を間違えたな」
兄弟の突然の横槍に気分を害する二人。しかも、この助け舟に本人は乗っている。本当の理由を聞き出すことが事実上不可能になった。
片やキュルケは相当不満顔で、今にも兄弟に食って掛からんとしていたが、片やルイズは少し不満気ではあるが平然としている。
「人には知られたくないこともある。だからあまり深く詮索してやるな、って言うんでしょ?・・・それが殺されかけた相手でも?」
「そうだ、我々の『カテゴリーF』と同じ。知らずに触れてしまったようだが、彼女にも彼女なりの暗い過去があるのではないかな?」
まあ、今回だけな。我々に落ち度がなければ、あと女性でなかったら容赦なく心のうちを読んでいたがね、と付け加えて。
二人の過去と事情を知っているだけに、こういう話に食いつきそうなルイズは意外とあっさり詮索する事を止める。
本当に彼女の過去に関係しているなら、自分のやろうとしていることは『ゼロのルイズ』の由来を聞く事や、
兄弟にカテゴリーFについて聞く事と同じだから。当事者たるタバサには、『言いたくなったら教えて』と加えておくのを忘れずに。
だが事情を知らないキュルケにとって、そんな説明だけで『はい、分かりました』と納得することはできなかった。
だが、今の会話の中に新しい疑問が出てきた。この際これだけでも、というか今回ばかりは知りたい、とキュルケは思った。
何せ目の前で事件が迷宮入りしているのだ、これぐらい罰は当たるまい。そう自分に言い聞かせて。
タバサも、同じく興味を持った。そう、兄が会話の中でうっかり言ってしまった、彼らの暗い過去に。コンプレックスに。地雷原に。
「「カテゴリーFって・・・何?」」
そう言い終わるか終わらないかのうちに、さっきの仕返しだと言わんばかりに兄弟は彼女らの頭に銃を突きつける。
「それはルイズに、僕らの前じゃない所で聞いてくれる?・・・確かに兄さんが言ってしまったとはいえ、僕らの汚点なんだよね」
「あまり人の心に土足で踏み込むと、自らの身を滅ぼすことになる。その意思がなかったとはいえ、先の我々がそうだったように」
そのあまりの手際よさと、彼らの言葉からにじみ出る強い威圧感に、二人は揃って両腕を上げ全面降伏の意思を示す。
特に勘違いして兄弟に襲い掛かったタバサには、シャギアの言葉は痛烈な皮肉に聞こえた。
少しして彼らは銃を仕舞い、二人に対しうやうやしく頭を下げる。
「この度は失礼しました。平にご容赦のほどを」
「僕はオルバ・フロスト。こっちは僕の兄のシャギア・フロスト。よろしく、えーと・・・なんて言ってたっけかな・・・」
仕方ないと言えば仕方ない。彼らは二人の自己紹介そっちのけで盛大な勘違いをしていたのだから。
先ほどの大立ち回りに今の手際よさ、その割に時々どこかが抜けているこの兄弟。この落差にキュルケは魅了された。
(このギャップが魅力なのかもね・・・)そう思いつつ、軽口の一つも叩きながらもう一度自己紹介しなおすつもりだったが。
「オルバ、背が高い方がミス・キュルケで炎の使い手。髪が青い方が風の使い手、ミス・タバサだ」
「今後ともよろしく。(・・・よく見てみれば、二人とも全然似てないね。なんであんな幻想に囚われてたんだ?)」
二人は驚愕した。自己紹介をまったく聞いていないはずの二人が自らの名前を、さらに言っていないはずの自分の属性までを
ぴたりと当ててしまったのだから。今のところ誰も気づいていないが、普段無表情のタバサですら驚愕の表情をしている。
滅多にお目にかかることのない希少な光景を見る権利を有するルイズは、使い魔への注意のためにその権利を放棄していた。
404ゼロスト4/7:2009/02/26(木) 02:22:06 ID:Zl19lqA0
「シャギア!自分で『人の心に土足で踏み込むと〜』とか言ってて、自分でやってちゃ世話ないじゃない!
それに、私は無闇やったらに乙女の心を覗くなって注意したはずでしょ!?(・・・キュルケはいいけど、乙女というより遊び人だし)」
「名前だけだぞ?それぐらいなら、別に問題なかろう・・・(・・・あと、その小声聞こえてるぞ。早く逃げるんだな)」
直後、怒りのオーラを身にまとったキュルケがルイズとの間に戦端を開く。その激しさたるや、先の決闘と今行われている喧嘩とが、
時と場所を同じくして進行していた場合、ある意味こちらの方が観衆が沸きそうだ。
やれやれと肩をすくめながら、兄弟はタバサに呟く。
「お互い大変だな」
彼女はほとんど無反応だったが、彼女もあの二人にはあきれているように兄弟には感じられた。
喧嘩を仲裁する義理も両成敗する理由もない彼らは、さっさとその場を後にして食堂へ向かう。
「我々には、やらねばならんことが残っているのでね」

だが今の兄弟には1つだけ、自分たちのことだというのに自分たちにも分からない疑問があった。
「オルバよ、何故あの時の我々には、練習もなしにあんなトリッキーな芸当が出来たのだ?」
「確かにあの時は頭も冴えてたし、体を軽く感じられた。不思議と力が漲っているようにも感じられたよね」
「あの時、ふとワルキューレとやらを二人で飛び越えるイメージが浮かんできた・・・そしてそれを実践までしてしまった」
「まるで、脳波で動くビットのように・・・。そのイメージと同じように・・・機械的に・・・。」
頭を悩ませる兄弟。気付いていないが、その彼らの左手の紋章が青白い輝きを放っていた。――『あの時』と同じように。
405ゼロスト5/7:2009/02/26(木) 02:22:31 ID:Zl19lqA0
兄弟は頭を悩ませ続けたまま食堂近くまで来たはいいが、『自分達がまだノーマルスーツを着たまま』だということを思い出した。
「このままじゃ、間違いなく彼女は焦ってしまうね・・・」
「何せこの世界の価値観では、我々が今着ているのは全身タイツだからな・・・」
さらに加えると、今はまだ昼過ぎ。まだお腹も減っていない。夕ご飯には早すぎる時間帯だ。
「やはり我々が来たのが早すぎた。出直すとしよう」
「分かったよ、兄さん・・・」
彼らは自らの愛機へと向かう。着替えるだけでは流石に時間を潰しきれる訳もないので、
以前のフリーデンご一行との戦いを基にした戦闘シミュレーションに勤しみながら時が経つのを待つ。
・・・彼らの誤算は1つ。彼らレベルのパイロットには、戦闘シミュレーションは退屈だということだ。
しかも彼らは準ニュータイプ。かなり高いレベルのシミュレートでも、目をつぶってクリアすることも不可能ではない。
しばらく続いたところで、早速その誤算に気付いたようだ。
「・・・これ、エンドレスモードにしないと退屈だよ。兄さん・・・」
「うむ・・・。かくなる上は、生身で戦闘シミュレートといくか?オルバよ」
そうと決まれば吉日、結局パイロットスーツのままコクピットから降り、10メイルほど離れて睨み合う。
「オルバよ、得物は・・・どうする?」
「うーん・・・そこに落ちてる枝にしよう。長さも同じぐらいだし、丁度いいよ」
という訳で、木の枝を得物に実戦形式でのトレーニングが始まった。開戦の合図は、シャギアが真上に投げた小石。
小石が落着した瞬間、疾風の如く駆け出す兄弟。そして中間地点で切り結ぶ。そこから一進一退の攻防が始まった。
まず鍔迫り合いをオルバが制する。シャギアの体勢を崩し、兜割りに一文字を見舞う。
シャギアはそれを側転でかわし、突っ込んでくるオルバのその喉元付近に突きを放つ。
それをいなしながら面打ち、それを払って胴抜き、それを横っ飛びに緊急回避して間合いを取る。
「しゃらくさい!」
「いい気になるな!」
威圧的な掛け声と共に再び切り結ぶ二人。そして、そのまま切り返しの要領で袈裟切りの打ち合いになる。
そのあまりの力強さに、二人の得物が同時に根元から折れた。折れたことを確認した刹那、同時にバック宙して距離をとる双子。
そして、これまた同時に枝の残った部分を投げつける。それが空中で交錯した瞬間――
カンフー映画よろしく壮絶な殴り合いが始まった。映画と違うところは、お互いに一発も相手に当たっていない点である。
目まぐるしい打ち合い。辺りには、いつの間にやらギャラリーまで出来始めている。
「やるな!」
「兄さんこそ!」

1時間経過。
「はあ・・・はあ・・・ちょっと、休もうか兄さん・・・」
「う・・・うむ、了解だ、オルバよ・・・」
兄弟は揃って休息をとる。無理もない、1時間もの間お互いまったく気が抜けない戦闘を続けてきたのだから。
彼らがふとギャラリーを見てみると、何人かひっくり返っているのがいる。おおかた、戦闘に中てられて酸欠でも起こしたのだろう。
「はあ・・・確かに息もつかせぬとはこのことだろうと・・・はあ・・・思うけど・・・」
「ま・・・まさか本当に酸欠でぶっ倒れるバカがいるとは・・・はあ・・・」
だがその直後、二人とも疲労で意識を手放してしまう。

時は黄昏時、死ぬには相応しい時間帯かもしれない頃。
「・・・はっ!起きているか、オルバ」
「う、う〜ん。今起きたよ、兄さん」
寝ぼけ眼で二人が目にしたのは、沈みゆく夕日。昼過ぎに腹ごなしのつもりで稽古をしてから、今までずっと寝ていたのだ。
「黄昏時か・・・。食堂に行くには相応しい時間かもしれないね。そろそろ行こうか、兄さん」
「待てオルバ、着替えるのはどうした」
406ゼロスト6/7:2009/02/26(木) 02:23:03 ID:Zl19lqA0
所変わって、ついでに時も戻って食堂。時間軸としては、兄弟が決闘を終わらせ愛機へ向かっていた頃。
シエスタは昼過ぎからずっとおたおたしていた。
「(もし、もしもお二人に何かあったら・・・それは私がやったんだ・・・私が・・・)」
青白い顔をして頭を抱える。時折ため息。終始この調子である。
見かねたコック長が声をかける。
「大丈夫か?とりあえず、医務室にでも一応行ってみたらどうだい?」
「本当は私だって見に行きたいです!決闘を見に行きたかったです!でもこの有様です・・・体の震えが止まらないんですよ!」
「弱ったな・・・頼むから、生きてるなら早く来てくれよ・・・あの兄弟・・・」

1時間後。
シエスタの錯乱は、次のステージへ進んでいた。
「ああ・・・まだ戻ってこない・・・。きっと、何かあったんだ・・・」
今の彼女からは厭世のムードすら漂っている。意気消沈とはこのことだろう。
1時間ほど前まで頻繁に出ていたため息すらなりを潜め、ひたすら俯いている。
そこに、先ほどのコック長がやってくる。
「シエスタ。30分ほど前から、多くの人が広場に向かってるらしい。なんかあるのかもしれないぜ?」
――この時点での時間軸としては、兄弟の戦いが一息ついた頃である。
しかし、今のシエスタはネガティブモード全開である。折角の情報も逆効果だった。
「どうせ勝った貴族の方が祝勝パレードでもやってるんでしょう?・・・天国なんてあるんですかね、この世に」
新鮮なチーズもすぐさまブルーチーズになってしまうほど、陰気なオーラが彼女を覆っていた。

そして今の黄昏時。彼女の精神的負荷はピークに達していた。
「私の今日は、こんな地獄ではなかった!私はどこで道を誤ってしまったのでしょう!?」
彼女から迸る負のオーラが、食堂の空気そのものを陰陰滅滅としたものに変えてしまっていた。
いつも光に満ち溢れた目からは生気が失せ、テンションが下がりすぎて逆にテンションが妙に高くなってしまっている。
厨房のコック部隊も、シエスタの放つ負のオーラに中てられ、彼らの敗北――ひいては死まで――を覚悟していた。
「あいつら、いい奴だったのに・・・」
「そんな奴いなかったんだよ、最初から。こう思わなくちゃやってられるか・・・」
押しつぶされそうなほど重たい空気の中に、シエスタの涙声がこだまする。
「私のせいで二人は・・・!誰か、愚かな私を撃って!」
押しつぶされそうな重い空気の中に、今度は場違いなほど元気な声がこだまする。
「自殺志願には、ちょっと早すぎる時間じゃないかな?」
407ゼロスト7/7:2009/02/26(木) 02:23:48 ID:Zl19lqA0
シエスタは我が目を疑った。自分のせいでやられたとばかり思っていた二人が生きている。
生きてこの場にいる。私に話しかけている。シエスタの目から涙がとめどなく溢れてくる。彼女はそれを止めようともしなかった。
シャギアは厨房に顔を出し、勝利報告を済ませておく。困ったのは厨房の中である。今まで死んだという前提でいたのに、
それが無傷でこの場に立っている。『まさか、我々があんなのに負けるとでも?・・・心外だな』とまで言われ。
ただ立ち尽くしていたコック達であったが、しばらくして鬨の声を揚げる。
「おいおい、まさかお前ら!この二人が負けるとでも思っていたのかよ、バーカ!」
「あぁ!?さっきまで沈み込んでたお前が、言う事かっ!」
「うるせえ野郎共!くっちゃべってねえで、祝勝会の料理作りに取り掛からねーか!!」
厨房は文字通り大騒ぎである。軽口、啖呵、罵詈雑言、発破、行動の指示となんでもありだ。
厨房を離脱したシャギアと、オルバは揃ってシエスタに謝罪と勝利報告をする。
「ごめんね、勝ってからすぐ行くつもりだったんだけど。遅くなっちゃったね」
「あまり早すぎてもどうかと思ったのだが・・・。逆に遅すぎたようだな、すまなかった」
「・・・いいんです」
「実は着替えに行った先で兄さんと模擬戦して、その後寝ちゃってさ。本当、ごめんね」
「そこまで思い詰めるほど心配してくれたか、正直すまなかった」
「いいんですっ!」
その言葉と共に、シエスタは兄弟めがけて飛びつく。フライングクロスチョップもかくや、というその勢いに、
油断していた兄弟は二人して床へ押し倒される。その拍子に体を強かに打ちつけ、悶絶する。
押し倒した当のシエスタは、兄弟の胸で声を上げて泣いている。よほど心配でたまらなかったのだろう。
「心配だったんですよ!?本当に、やられちゃったのかと・・・私・・・私・・・!」
悶絶と気まずさのダブルパンチを食らっている兄弟だが、彼女に強く抱きすくめられ身動きが取れない。
「すまない・・・。だから、とりあえず放してくれ・・・」
「お願いです、今は私を見てください!私は、今はあなたたちを感じていたいんです・・・」
泣いている女性にこう強く言われて振りほどけるほど――元々身動きとれないが――彼らも冷酷ではない。
『勝手に負けたことにするな』だとか、『心外だよ。あんなのに負けると思われてたなんて』などと口では言いながらも、
自らも彼女を抱きしめ、彼女の頭を優しくなでてやる。不安が吹き飛び、抱きしめられて頭までなでられたシエスタは、
落ち着きを取り戻すと共に泣き疲れて眠ってしまった。先ほどの破滅的な悲壮感の元凶とは思えぬほどに幸せそうな寝顔で。
「・・・まあ、落ち着いてくれて助かった。だが・・・我々はどうやって脱出すればいいんだ?オルバよ」
「まさか無碍に振り払う訳にもいかないよね・・・」
そういう彼らの顔は、まるで遊び疲れて寝ている娘を見守る父親のような、穏やかなそれだった。

「ねえ兄さん、今ルイズがここに来ちゃったりしたらかなり修羅」
「やめろ、そういうことを言うもんじゃない。もし本当にそうなったらどうする」
408予定外に延びてしまいましたorz8/7:2009/02/26(木) 02:25:48 ID:Zl19lqA0
運よくルイズの襲来もなく、兄弟の必死の揺り起こしによりシエスタが目覚めてから数十分。
食堂は兄弟とスタッフご一行の貸切状態で祝勝会が開かれていた。
あまり豪華な料理でなくていい、という兄弟の意見をよそに、
「別にいいじゃねえか。お前らが食わなくても、誰かが食えばいいんだしよお」
というコック長の言葉通り、テーブルの上に置かれる料理の豪華なこと豪華なこと。
しまいには、勝手に乾杯の音頭を取ってワインをがぶ飲みしている。
兄弟は半ばあきれながらも、居心地の良さを感じていた。今までにまったく経験のない感覚。
この心地よさは、守るに値すると彼らは思っていた。


「結局食べちゃうんだよね、豪華な料理が並んでいると」
「しかも食べ過ぎる」
祝勝会もたけなわ、コック部隊が後片付けをしている頃。兄弟は夜風に当たっていた。
月が綺麗な夜。月の光を浴びてたたずむ二人は、話しかけづらいほど色っぽく見える。
二人と話がしたくて後をついてきたシエスタが、物陰から彼らに見とれて立ち尽くしている。
「・・・シエスタ、何か話でも?」
驚いたシエスタが物影から出てくる。はにかんだような笑いを顔に浮かべて。
「やっぱり、勘が非常にいいんですね。足音を殺してきたはずなのに分かっちゃうなんて」
それに対し、当然だと言わんばかりにニヤリ笑いをする兄弟。
シエスタは月を見上げながら、。
「すごいですね。貴族の方を、素手で倒してしまったんでしょう?やっぱり私も見に行くべきだったんでしょうか?」
別にそんなことはない、と言おうとしたシャギア。だが、まったく別の手立てが彼らの頭に思い浮かんだ。
躊躇いつつも決闘の時と同じくそのアイデアに従い、目を閉じて精神を集中させる二人。
月光に照らされた左手が青白い光を放ち、彼らの集中力を高める。
「「シエスタ、目を閉じろ(閉じてね)」」
目を閉じたシエスタの頭に浮かんできたのは、彼らの決闘の光景だった。
いや、決闘だけではない。その後の一悶着、兄弟間の戦闘、今しがたの祝勝会。
その全てが、彼女の頭の中に流れ込んできた。
ニュータイプの意思疎通能力の応用である。
「はわわ!す、すごいです!見える・・・私にも見える!」
何もせずとも脳裏にイメージが浮かんで来ることにはしゃぐシエスタ。
そんな彼女以上に驚いているのは、当の兄弟たちだ。
「・・・素晴らしい。我々にもこんな芸当が出来たのか・・・」
「なんか、ニュータイプにでもなった気分だね」
全てを伝え終え、兄弟は彼女との接続を切る。
「はい、お仕舞い」
脳波の接続は切れたが、シエスタは妙な浮遊感に囚われている。
神秘的なニュータイプ初体験だったのだ、無理もないといえばないのだが。
すごいすごい!と子どものようにはしゃぐ彼女を見て、兄弟は微笑む。
「君には天真爛漫という形容が相応しいな・・・」
「うらやましいよ」
409予定外に延びてしまいましたorz9/7:2009/02/26(木) 02:26:35 ID:Zl19lqA0
その微笑から寂しげな感情を鋭敏に感じ取ったか、シエスタは二人に問う。
「どうかしました?寂しそうな顔でしたけど・・・。それとも私、知らない間に何か気に障ることでも?」
先ほどまでと一転しておろおろし始める彼女に、二人は苦笑する。
「ははは、君は心配性が過ぎるな・・・」
「そこが可愛いとは思うけどね」
可愛いと言われ、顔を真紅に染めて俯く。些細なやり取りだが、彼女は今までにない幸せを感じていた。
最初は気難しい貴族かと思ったけど、やっぱり同じ人間なんだな。彼女の疲れが吹き飛んでいくようだった。
「さて、時間が時間だ。お互い寝た方がいいんじゃないか?・・・時間といえばルイズはどうした?」
「あ・・・。昼から今の今までいなかったから、帰ったら相当おかんむりだろうなぁ」
主人の性格からして見えてくる未来に、打ちひしがれる兄弟。そんな彼らに、シエスタは優しく声をかける。
「じゃあ、私の部屋に来ませんか?それに、ルイズさんも一日経ったら忘れてますよ。きっと」
「・・・そうだな、最悪でも彼女が目覚める前に部屋に戻っていればいいのだし」
「じゃあ、お言葉に甘えて」

シエスタの部屋に着くやいなや、兄弟は壁に寄りかかって寝てしまう。
シエスタは慈悲深い笑顔を浮かべ、彼らに毛布をかけてやる。
「今日一日お疲れ様です。おやすみなさい、私の・・・いえ、我らの騎士様・・・」
部屋の主が完全に寝静まったのを感じ、二人はむっくりと起き出す。
暗い中で、手探りで筆記用具を探し、今日一日を振り返る。
「彼女はニュータイプではないはず。何故ああも直接通信が上手くいったのだろう?」
「おそらくだけど、彼女の『知りたい』という強い願望が僕らの脳波に反応し、直接通信の受信用回路を作り出したのかもね」
「今のところそう考えるのが妥当か・・・。つまり一方的通信なら、受け手の強い欲求と高い集中力があればできる、ということか?」
「かもね。――しっかし、今日は謎だらけの日だね」
頭が冴える謎。体が軽くなる謎。オールドタイプと直接交信できた謎。さまざまな謎が今日一日で生まれたのだ。
「ああ。特に最後のそれは大きいな。なにせ彼女はオールドタイプで・・・我々はカテゴリーFなのに」
やや自嘲気味にそう語る兄。彼らはそう言うが、カテゴリーFの定義は『フラッシュシステムに対応しない事』のみ。
それさえ除けば、天然のニュータイプに最も近い人物である。だから普段でも、直接交信は不可能ではないはずなのだ。
「まあ、これらはおいおい考えるとして・・・。そういえば『あの話』、本当なのかな?」
「どうだかな・・・。どちらにせよ、我々には守るべきものが増えたということだ。主人たるルイズと・・・この少女、シエスタ」
そう言ってシエスタを見る。寝ているはずのシエスタが、一瞬微笑んだ気がした。
とりあえず浮かび出た謎を忘れぬようにメモに書き出すことにして、兄弟は本当に就寝する。
メモのタイトルは、ニュータイプ能力および自らの身体能力に関する考察。
これは彼ら自身の体験に基づき、謎を解決するために現時点での情報および考察を書き出したものである。そこにはこう書いてある。

召喚暦2日目←この考察を書き出した日である。必ずしも更新時に、召喚されてから何日か書かなければいけないのではない。便宜上だ。
・戦闘に突入した場合に、頭脳の明晰さが増し、身体能力の大幅な底上げが起こった。また、NT能力も強化されている模様。
・月の出る夜にオールドタイプの少女との直接交信を行った結果、まだ一方通行ではあるものの直接交信に成功した。
察するに、受け手に強い意志があることと、お互い強く集中する事により、受け手の脳内に脳波受信回路が一時的に形成される模様。
・このテレパス能力を鍛えてゆけば、強い集中が前提ではあるが双方向通信や記憶の共有も不可能ではないと推測する。
またこれは仮説ではあるが、意思疎通能力だけでなく感覚伝播能力でも同様のことが出来ないだろうか。
これもまた仮説であるが、相手にその意思がなくとも、勝手に相手の頭の中に情報を送り込んでやる事も不可能ではないはずである。
・ニュータイプと長い期間行動を共にした者に、時々微弱ではあるもののNT能力の萌芽が見られる。という説に則り、
主人たるルイズとメイドの少女、シエスタを護衛対象及び観察対象にする必要がありと認める。     
                                            フロスト兄弟
ちなみに二人の朝帰りを、主人は珍しく早起きして待ち受けているのだが、それはまた別の話である。
410ゼロスト:2009/02/26(木) 02:28:29 ID:Zl19lqA0
終了です。
数字が一個ずれてるのはご愛嬌です。・・・いえ、すいませんミスりました。
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 02:58:38 ID:Cc6EuQgo
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 04:26:16 ID:lWXhtcr7
>>259
東方先生、地球温暖化について一言お願いします。
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 06:19:20 ID:MvcxgDgx
>>412
ドモンよ、温暖化などと生ぬるいことを言っているから余計に熱く感じるのだ!
な・れ・ば・こ・そ! この地球をデビルガンダムの業火で燃やし尽くしてやれば温暖化など誰も気にも留めなくなろうと言うもの!
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 07:20:30 ID:FGZyiFO+
ししょうはそんなこと言わない
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 08:02:14 ID:ZaBs5dH2
むしろ人類抹殺する。爆熱の人復活して欲しいな・・・・
そういやドモンに限らずサイトと違っていつか絶対帰らなければいけない奴っているよな
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 08:38:40 ID:WuEdr7kW
あの大自然の中に聳え立つデビルガンダムの姿を幻視していた師匠がそんなヘンテコな事言うかよ
緑一つ無い廃墟の荒野を見ただけで泣き叫んでたんだぞ
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 09:07:19 ID:x6dZGg1W
デビルガンダム四天王って師匠とその他の差が激しいよな。
同じ四天王なのにアレンビーなんて状況が状況とはいえレインに負けてるし

黄金聖闘士のシャカとデスマスクの差よりはマシだけど
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 09:22:46 ID:ihrAUtbV
>>417
金の蟹の使い魔

『ぎゃぴいーーーー!!!』

〜浣〜
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 09:58:03 ID:9skZ2Mdj
前聖戦の蟹座と元蟹座教皇はあんなに格好良かったのにな
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 10:02:36 ID:xbgJJxt/
前聖戦の黄金はどいつもこいつも格好良いから困る
アルバフィカ様とか
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 10:06:57 ID:VJU02utM
今まとめ見たらリリカルイズの人復活してたんだね
もう更新は絶望的かと思ったが・・・良かった
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 10:55:38 ID:w7luavtJ
>>417
マニゴルドとその師匠はあんなにイカスのになぁ
ちなみにクロノス神達と戦った時のデスマスクは素敵です
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 11:55:13 ID:1mcC3Zfn
・マルコメにSの彼女が出来る
・アンアンがエロい
・デルフ脂肪

以上全くつかえねーネタバレ
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 12:18:00 ID:ZCl34ktJ
発売日過ぎてバレもなんも無いだろう
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 12:49:18 ID:O7UkXwRV
>>422
ギガントマキアのデスマスクも格好いいぞ
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 13:10:46 ID:Hpm7CRlX
見開き魂魄分離はいつ見ても吹く
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 13:22:26 ID:x6dZGg1W
相変わらずデスマスク様は人気者だな
しかしギーシュおマチさんワルドはアルデバラン(現役の方)先生にかませ犬とは
何たるかをご教授して貰うべきだ
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 14:04:44 ID:dthPQc5C
>>425
つまり、車田の手から離れれば蟹はカッコよくなるんだよ
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 14:04:54 ID:w7luavtJ
>>427
「おっと、かませ犬の話題なら我等ギガス九兵神に任せてもらおうか」
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 14:22:54 ID:9skZ2Mdj
チャンピオンで連載してる車田の冥王神話のほうが二次創作にみえる不思議
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 14:41:53 ID:w7luavtJ
>>430
並べた場合面白いものが本編でつまらn・・・・ゲフンゲフン、イマイチな方が
二次創作よばわりされるのものだよ
種&種運命が高山版がオリジナル呼ばわりされるのと同じだ
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 14:47:26 ID:cTIISm2j
全盛期の車田と今の車田を比べてやるなよ…。
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 14:51:48 ID:g4uJ3y7b
そら対象年齢が「少年」のままの車田の聖矢と、昔の車田読んだ層をターゲットにしたGやらを「昔の車田読んだ層」が比べりゃなあ
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 14:58:24 ID:afFMph9r
話は変わるがパワポケの主人公を召喚するなら、相棒のメガネキャラは必要だろうか?
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 14:59:24 ID:TnENRpGu
脳内召喚で終わるくせに
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 15:13:08 ID:ovPHjTxS
ウィキのお絵かき掲示板が定期的にご立派になるのは、仕様ですか?
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 15:26:50 ID:4ZmJE8uy
>>436
仕様です、何の問題もありません
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 16:11:44 ID:diD1GVcX
蟹か…本編版、G版、LC版、あと何年先に出るのか判らんがND版の4人が召喚されるので誰か書いてくれんかな。
頭脳に当たる人が居なさそうなのが問題だがw

>357-358
左手の剣王、頭脳の新世界の計画どおり、右手の猫草の飼い主、記すことすら憚られるフリーダム…と?
フリーダムはテファといっしょに引きこもってればしばらくは安全な気はするが、レコンキスタが動き出した時点で戦争止めに入りそうな。
…頭脳の狂うぜ、記すことすら(かわいそう過ぎて)憚られるシンというのもありか。
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 16:41:14 ID:w7luavtJ
>>438
謎の惑星Q星に住んでる光熱怪獣も仲間に入れたげてくれさい

あ、あれはキラじゃなくてキーラか
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 17:03:01 ID:6+jTbBOG
ピロロロロロ










                                            ゼットーン
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 17:30:36 ID:vM6N0OE5
>>439
レオに、月光怪獣キララってのも出たぞ。
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 17:35:49 ID:YgyLMdiD
>>400
まとめへどうぞ
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 17:36:14 ID:YgyLMdiD
sage忘れ失礼しました
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 17:49:42 ID:oUwKOfax
今年のスーパーヒーロータイムは、どっちを呼んでもチートになりそうだ……
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 18:08:52 ID:SYQEcd9c
先代獅子座は当代獅子座が地味だったのが嘘みたいだ
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 18:11:39 ID:6+jTbBOG
>>444
赤を召還すると
(水)<殿ー!!
って追いかけてきます
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 18:42:01 ID:Sr2UQsiH
ロードスとかの洋風味ファンタジーから召還っての結構少ないね
ディードリットとか人間食う以外の部分は常識どおりのエルフでスゲー混乱しそうだ
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 18:47:35 ID:w7luavtJ
>>447
探偵でも未来少年でもないコナン召喚
ただ剣と勢いと腕力だけで全てを乗り越えていくその姿にチートとか
ご都合主義とかを超えた感動を覚えた
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 18:51:22 ID:dPDWmUTK
魔法の知識があるキャラ召還すると説明がすごいめんどくさそうなんだよね。
ブラムド召還した人とマーティン召還した人すげーなぁと思っている。
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:12:14 ID:6urbIb2+
>>438
ちょっと思ったんだが。
剣王キラがガンダールヴにぴったりなのはいいんだが、タルブ村にあいつの役に立つ何が伝わってるかが気になるw
下手するとシエスタが剣王震空牙でギーシュをフッ飛ばしそうだ。
あと幻魔剣の特性(幻魔剣の傷は魔法でも塞がらない)も扱いづらいと思う。

>>449
確かに。…そういえば「学べば誰でも魔法が使える」とか「ごく自然に誰もが魔法を使える」世界から来たのって何人くらい居たっけ。
そういう世界とのギャップはどう書かれてたかとかちと気になる。
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:13:07 ID:mePICrxE
>448
ギャグもできる分未来少年の方が使い勝手が良さそうだな。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:15:59 ID:x6dZGg1W
>>447
常識どうりと言うか日本人のエルフに対する常識を作ったエルフだわな

ハルケギニアの精霊って上位の精霊王とかいないのかなあ?
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:20:51 ID:/GsMV1vn
>>450
そういえば味方になってから幻魔剣の特性が役に立ったことないような…
てことはキラってボス級には殆どダメージ与えてなかった?
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:23:07 ID:jrFixgbO
>>450

塞がらない傷を負わせるのは、呪われた武器を使ってる時だけじゃなかったっけ。

宝物庫に呪われた武器が在るのか、村に代々伝わる品として呪われた武器が在るのか気になるが。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:23:39 ID:Sr2UQsiH
>>452
あー、じゃなくてハルケギニアの常識どおりのエルフって意味で
456名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:44:24 ID:Sr2UQsiH
ダイスレの虚無と獣王きてるけど、毎度毎度面白いなあ
457名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:47:09 ID:dPDWmUTK
エルフ召還するとしたら一番面白そうなのって誰だ?
できれば一人身がいいわけだがw
458名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:55:03 ID:dMPg17io
「エルフを狩るモノたち」のセルシア・マリクレール
呪文のかけらを探すために使い魔になることを了承し
ギーシュやフーケ、ワルドから呪文の回収に成功するが
そのたびにヒゲ犬になったりパンダになったりカッパになったり
459名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:57:19 ID:RwiT1JZ0
>>448
>>451
間を取って未来探偵コナン・ザ・グレートに1票
460名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 19:57:47 ID:Sr2UQsiH
サーラの冒険のダークエルフの兄ちゃんかな
普通のエルフですらアレなのに、黒いエルフだったらどんな騒ぎになるか想像するだけで笑える
461名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:05:50 ID:wn9EY+5N
>>459
頭脳は高校生! 体は蛮族王!

混ぜるな 危険!
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:08:33 ID:ZCl34ktJ
>456
態々他のスレの話しを持ち込む必要は無いだろう
463名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:15:14 ID:Toi1tzBg
>>454
宝物庫にナントカという生きた鎧(休眠状態)
村には呪われたはやぶさの剣

んで、シエスタは拳法が使えて剣王涙目とか?


そういえば呼ばれた人が銃使いで、シエスタの先祖が銃使いの好きだった人って
いう、少し悲しい話があったとおもうが、なんだっけ?
464名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:23:07 ID:witxhAN1
劇場版の指輪物語のエルフの王を推薦。
グラサン黒スーツを装備すると「ごきげんようミスヴァリエール」と言い出す危険があるが。
465名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:32:57 ID:Sr2UQsiH
誰も知らんだろうけど魔術探偵スラクサスのマクリの姐さんとかもいいかも
エルフと人間とオークの混血なんて総突っ込み喰らいそう

後は銃と魔法、青い炎の刑事エルフのケインとか
ついでに自然保護団体も込みで「ゾンビは希少生物だから狩ってはダメ!まず生態調査しましょう!」
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:33:05 ID:9skZ2Mdj
>>464
その息子は刀鍛冶のエルフで海賊の親友か
467名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:38:27 ID:witxhAN1
>>エルフと人間とオークの混血
それって3P?
468名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:38:57 ID:jrFixgbO
>>450

幻魔剣の傷は魔法でも塞がらない、気による治療は可能が作中の描写だったけど
幻魔剣の傷は傷口の周囲諸共抉り取れば痕は残るだろうが治療可能ではなかったか
469名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:43:32 ID:8TSu75ef
>>461
ちょ、未来少年のコナンはどこ行ったw
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:47:17 ID:Sr2UQsiH
>>467
父母以前も含めて人間エルフオークね
がっつり筋肉系姐さんだけど女性&身分で蹴られる高等学校に入りたがってるってキャラ
スラムで若干ハードボイルド風味で面白いんだけど、続きが全然翻訳されないんだよねー
471名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:47:37 ID:4LHaIabN
つか剣王キラの場合幻魔剣習得して合流後の敵でまともに(幻魔剣の効果が)戦果上げたのって
獣魔将軍リカンタス"だけ"だったりするんだよな…
他は傷口ごと噛み千切って無効化されたりそもそも効かないだったりと…
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:49:46 ID:PYp3pkwa
>>457
ジルオールのフェティ様だな
ルイズ以上のツンツン
473名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:55:03 ID:PWvfKx2s
新参ですまんが、書いてきてみたんだがどうすればいい?
投下するって、いったらいいのか?
あと魔剣士の里に帰ったとこの兄貴の優しさが好きだ
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:57:56 ID:2asUVE9/
>>473
先ずは投下してみたら?問題があれば教えてくれるさ
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:58:54 ID:5G/j0oVf
>>473
何の作品の誰を召喚するか、何時からどのぐらいの長さで投下するか、宣言してくれ。
名前欄に作品タイトル入れてくれるとなお良い。
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:59:07 ID:jup4CxP9
投下する前に予告すると良い あと何の作品か言うといいです。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 20:59:19 ID:z51RdbfZ
5分後とか時間宣言と特に隠し玉とかないのなら元ネタそえて投下予告
投下終わったら完了宣言忘れずに
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:00:54 ID:PWvfKx2s
>>474
わかった
2ちゃんもまともにやるのは不備があったらすいません
投下する
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:03:28 ID:PWvfKx2s
なんかいろいろ忠告ありがとう
じゃあ二分後に。作品名zeropon!
呼んだの→パタポン2からパタポン族
480zeropon!:2009/02/26(木) 21:09:06 ID:PWvfKx2s
なんか長すぎるらしい・・・
60行以内なんだけど
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:10:29 ID:TvEupL1+
>>463
FFTのムスタディオのやつ

>>480
行数以外にもバイト数の問題かもわからん
482zeropon!:2009/02/26(木) 21:18:07 ID:PWvfKx2s
zeropon!

第一話
神、出現

どん!どどん!どどん!
凄まじい爆発に爆煙が生まれ、そして晴れる。 
「・・・何よ、これ?」
彼女が召喚したのは一冊の本だった。
トリステイン学院春の使い魔召喚の儀式、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは
幾度も幾度も詠唱と、それによる爆発を繰り返しその結果、穿たれた一番大きなクレーターの真ん中。
そこにあったのは、魔獣でも、もはや生物でもなく、本だったと分かった瞬間、彼女は絶望した。
「ミ、ミスタ・コルベール!や、やり直しを・・・」
「ミス・ヴァリエール。残念ですがそれは許可できません。たとえ本であろうと、召喚したならば
それはあなたの使い魔です。」
教師から放たれたその言葉が、再び彼女を絶望に突き飛ばす。
「し、しかし・・・!」
「だめです。それに契約をしないというのならば、召喚失敗ということで残念ながら留年、ということになりますが?」
「そんな!」
ただでさえ肩身の狭い思いをしているのだ。ヴァリエール家の三女として留年という選択肢はルイズには無かった。
「あははははは!さすが『ゼロ』のルイズ!本を召喚するなんて!」
「生物ですらないなんて『ゼロ』の二つ名はだてじゃないな!」
同級生の嘲弄と嘲笑に涙が出そうになるがこらえて、ルイズはクレーターに向かい、そこにある本を手に取る
改めてその本を見ると表題が書かれていた。
題名は「パタポン〜再び海に出る〜」
「絵本・・・かしら?」
「はやくしろよ!ゼロ!」
「コントラクト・サーヴァントも失敗か?!」
同級生の野次に意を決して、声を上げる。
「わが名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン。この物に祝福を与え我が使い魔となせ!」
そして表紙に口付けする。淡い光が本を包む。
「・・・・・・あれ?」
本は淡い光を放っただけで何も変化が起こらなかった。
「ふむ。・・・これは、失敗、ということですかな?」
「ちょ、まままってください!本の中かもしれません!」
失敗。この二文字は慣れ親しんだものだが、今回ばかりは遠慮したい。慌てて本を開く。そこには・・・
「これ・・・契約・・書?」
一頁目、そこには、余白でも目次でもなく、契約書、と書かれたページがあった。
そこにはこう書かれていた。
『私は世界の果てを目指すためパタポンの神様になることを誓います。途中で投げ出しそうになっても絶対に最後まであきらめません。』
そして契約者の欄はまだ空欄だった。契約者のルーンはなかった。別のページかと思い次のページを開く・・・が開かない。
「これは・・・契約しないと開かないみたいですね。マジックアイテムの類でしょうか?」
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:18:12 ID:dAMcbYco
便乗して質問
まだ構想を練ってる段階なんだが、ガンダールヴのみ異作品の人物で、ヴィンダールヴやミョズニトニルンは原作準拠のジュリオ・シェフィールドって設定でもいいの?
元ネタは王ドロボウJINGのジンの予定
484zeropon!:2009/02/26(木) 21:20:21 ID:PWvfKx2s
後ろから見ていたコルベールが言う。
「それで?」
「はい?」
「それに契約しないんですか?」
契約書とかかれているのだ。契約するのだろう。当たり前だ。しかし・・・書いた途端、デロデロデロデロデーロロ、と呪われるかもしれない。
「さあどうするんですか?あなたが最後なんです。早く決めなさい。」
そういって錬金で作った羽ペンを差し出すコルベール。
それをニヤニヤと見つめる同級生たち。
ルイズは困惑していた。これが何なのか分かりもしないのだ。しかもそれに契約しないと留年になってしまう。
ルイズは考える。今までの人生を。困難と苦難にまみれた人生。
「・・・それがどうだって言うのよ。」
今までの人生苦難でできたようなもの。もうひとつぐらい。
「背負ってやるわ!」
コルベールから羽ペンを奪いとり、ルイズは再び声を上げる。
「良く聞きなさい!わが名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!苦難だろうと!困難だろうと!いくらでものりこえてやるわ!」
ルイズが書き込むと、書いた文字が光りだす。そしてその末尾に契約のルーンが刻まれた。
「ふむ、これで契約完了ですね。しかし・・・いったいどんな内容なのでしょうか?」
自称、研究者のコルベールは見たことも無い文字でかかれた本に興味があるようだ。。
「せんせー!もうかえりましょうよー」
「ゼロが出した物なんてたいしたこと無いですって!」
「まあまあ、さわりだけでも見せてくれませんか?ミス・ヴァリエール」
興味津々といった感じでルイズの本を覗き込むコルベール。
「はあ、わかりました・・・」
正直てかる頭がまぶしいが、ルイズはページを開く。
そこには奇妙な生き物が描かれていた。目玉。目玉が手が生えて足が生えて動いていた。
動いて・・・
「え?!これ、動いてる?!」
絵本の絵は動いていた。そこに描かれた・・・多分これがパタポンなのだろう。
それがせわしなくページを動き回っていた。
文字がページに浮かび上がる。
「ほう。やはりマジックアイテムですか。動く絵本とはこれまた珍しい。」
ー最強の悪魔を倒し、かつての都市に帰りついたパタポン達ー
ーパタポラーナはかつての繁栄を取り戻そうとしていたー
「おや?これはどうもに続編、のようですね・・・。」
コルベールがつぶやく。いきなり最強の敵との戦いが終わってしまっている。
これが一冊目なら作者は何かの病気だろう。
ーしかしパタポンたちの旅はまだ終わりませんー
ーもう一度海を越えるためー
ー彼らは再び船を作りましたー
そこまで読むと勝手にページがめくれた。
「自動とは!これまた面白い!」
一人喜ぶコルベール。そんなコルベールの様子に同級生たちが周りに集まってくる。
ーふたたび海に漕ぎ出したパタポンたちー
ー荒波小波を超えて、はるかなる世界の果てを目指しますー
ーしかし・・・その途中パタポンたちの前に鏡が現れましたー
「?・・・これって。」
その鏡をルイズは見たことがあった。
「これは・・・サモンゲート?」
パタポンたちの船の前に突然描かれたそれは、まぎれもなく召喚の際に呼び出されるサモンゲート。
それを見た面々はざわめきだす。
ーパタポンたちはあんまり考えないで突っ込みましたー
そう書かれた直後にパタポンたちは船ごとサモンゲートに入っていった。
考えなさいよ!とルイズが頭の中で突っ込んだ瞬間、背後に大爆音、あわててルイズが振り返るとそこに・・・

一隻の船があらわれていた。そしてそこから
「ほへ?」
「ふへ?」
「おや?」
と、わらわらと船の上から目玉生物が、絵本に描かれていたその姿そのままの『パタポンたち』が顔を覗かせていた。
485zeropon!:2009/02/26(木) 21:21:37 ID:PWvfKx2s
とりあえず第一話投下終わり
ぐだぐっだですまん

486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:24:07 ID:B9y1PxYR
支援

>>483
別に構わんだろ
特にこれと言った決まりは無いんだし好きにすると良い


エルフの話題で何故かエルフェンリートを連想したがコウタが居ないと問答無用で首が……
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:27:42 ID:XkaB+7Pb
エルフでもしもシリーズのダーエロ思い出した
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:29:48 ID:CcPkqgTS
前田慶次召喚したら普通に七万の軍勢にも勝ちそうな気がするがな
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:30:01 ID:dZ2ydZOK
>>457
フェアノール
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:30:05 ID:r/sIPwTS
こりゃまた和みそうな
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:30:30 ID:dAMcbYco
>>485
割り込みすまんかった
>>486
ありがとう、そうする

492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:32:08 ID:Cc6EuQgo

元ネタは知らないけど面白そうなので次回にwktk。
493名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:33:19 ID:witxhAN1
>>483
全身全霊応援するぜ!
ジュリオとシェフィールドが出るまでがんばって!
494名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:34:19 ID:Cc6EuQgo
>>488

原哲夫版はチートすぐるから…ガンダ補正付いたら無双確定だなw
495zeropon!:2009/02/26(木) 21:36:21 ID:PWvfKx2s
>>492
ありがとう。とりあえず投下だけで恥ずかしくて死にそうだから帰るよ。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:36:27 ID:rqDfXalr
アバタールチューナーから、ジェナを想像してみた。
強すぎ+確実に心臓(何だっけ)決定だw
497名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:40:29 ID:dPDWmUTK
乙、懲りずに続き書いてくれよw
498名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:40:31 ID:Sr2UQsiH
>>488
華々しく負け戦するつもりで単騎駆けしてなぜか生き残って風流余生なEDが思い浮かんだ
負け戦が似合う男NO1
499名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:41:13 ID:witxhAN1
>>488
七万の軍勢?手紙奪還のときにレコンキスタ滅ぶから。
「負け戦で勝つから・・・」とか言い出して・・・
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 21:59:03 ID:CcPkqgTS
ただ、貴族至上主義のこの国にいっちゃうとな1日3回はキセルトントンアタック繰り出すな慶次は
っていうか身分的には貴族なんだがな、前田慶次
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:00:26 ID:YgyLMdiD
>>488
ギーシュは斬首確定だな
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:02:33 ID:jRN5og4b
タバサが耳を切り取っている姿がありありと目に浮かび申した
503ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/26(木) 22:03:19 ID:fyywzqfC
新しい人が出てくると、負けられないと思って気合が入りますね、乙です!

予約が無ければ、22:15頃より失礼いたします。
アニエス先生復活編&新シリーズ突入ということでお願いします。
……先に謝ります。アニエスファンの皆様、ゴメンなさいね。
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:04:58 ID:witxhAN1
>>502
ちょっと待て!そのキャスティングだとあの般若顔の片腕マッチョは・・・
カステラモート(名前忘れた)とか言う人か!?
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:07:06 ID:ioZlopom
支援ぬ
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:07:15 ID:Sr2UQsiH
>>501
子供相手にそんなことはしなさそう
ちょっとキツいおしおき程度になりそうな
507八神庵 ◆em0/u2z4a. :2009/02/26(木) 22:10:52 ID:ZOUbj9v7
初投稿ですが、KOFシリーズより八神庵が登場するSSを投稿したいのですが、よろしいでしょうか?
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:12:12 ID:ioZlopom
>>507
予約が入ってるから、その後でお願いします。
509八神庵 ◆em0/u2z4a. :2009/02/26(木) 22:12:29 ID:ZOUbj9v7
失礼しました、黒魔道士の方がいらっしゃいましたね・・・・

またの機会にします。
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:12:36 ID:cTIISm2j
>>507
黒魔道士の人が予約を入れてるので、少なくとも終わるまでは待ちなさい。

しかし、今日は新規さんが多いな…。
511ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/26(木) 22:13:06 ID:fyywzqfC
っと、次の方が待ってはるのね。
予定早めます。
投下開始です。
------------------
「――……」
音の無い世界って、こんな感じなのかもしれないなって思ったんだ。
「――……」
いや、むしろこの部屋だけが、どっか遠い世界にポツンと、
切り離された状態であるって方がしっくりくるかもしれない。
「――……」
遠くで、誰かの声がする。なのに、この部屋では衣擦れと呼吸の音がわずかにするだけ。
今なら、カエルがまばたきする音すら聞こえるかもしれない。
「――つかぬことを、聞いて良いか?」
「……う、うん、どうぞ……?」
アニエス先生に解毒剤を飲んでもらった後、何ともいえない沈黙がボク達を支配していたんだ。
アニエス先生は、天井を見上げてから、眉間に痕が残りそうなぐらい皺をよせて、
ずーっとその状態で床の1点を見つめ続けていたんだ。
「――そこの戸だが――明らかに周囲と違うな?まさか、誰かが壊した――ということはあったか?
 その――例えば、まさかとは思うのだが、わたしがとか?」
きっと、惚れ薬のせいで記憶があやふやだから確かめたいってことなんだと思って、
ボクは正直に答えちゃったんだ。
「うん……アニエス先生が、思いっきり壊しました……」
アニエス先生の眉間の皺が一層深くなる。
「――ま、まさかだが――わたしは、何事か、叫んでやいまいな?
 そ、その、本当にまさかだぞ?うん、いやわたしの思い違いならいいのだが――」
眉間の皺にそえたアニエス先生の指先に力がこもるのが分かる。
「えっとー……叫んでた、かな?」
「な、何を!?何と叫んでいた!?」
「……『今さら疑うものか!私はそなたを信じる!!』……とか?」
信頼されてるなって思って、うれしい言葉だったのは間違いないんだけど。
それを聞いたアニエス先生は、天を大きく仰いだんだ。
そして、大きく、世界から音を取り戻すかのように、大きく、叫んだんだ。

「――ぎにゃぁぁぁぁ!!」

ゼロの黒魔道士
〜第三十五幕〜  乙女のピンチ
512ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/26(木) 22:13:28 ID:fyywzqfC
「――ウボァー……」
「え〜と〜……」
アニエス先生は、叫んだ後、変な踊りみたいなものを踊って
(なんか、頭を抱えたままクルクル回って)、
その後壁に頭をグリグリと押し込んで、変な声を出して固まってしまったんだ。
「――ウボァー……」
「あ、アニエス先生、大丈夫……?」
心配になったから、アニエス先生の肩をそっとゆすろうとすると、ギーシュがそれを止めたんだ。
「――ビビ君、残酷だからもうやめておこう。今は、壁とでも話すのが一番だ」
「え、ど、どういうこと……?」
ルイズおねえちゃんたちも、悲しそうな顔をして部屋を出て行こうとする。
「――記憶はそのままなんてねぇ……モンモランシー、あんた、とんでもないもん作ったのね」
キュルケおねえちゃんがため息をつく。
記憶があるってことが、そこまで酷いことなのかなぁ……?
「こ、ここまで酷いとは思わなかったわよ!――今はものすごく反省してるわ」
「反省してもらわなきゃ困るわよ。私の部屋なのよ?」
……えっと、アニエス先生、どうなっちゃったの?
「相棒、鎧の姉ちゃんは“ブレイヴ・ブレイク”しちまったってことよ」
「“ブレイヴ・ブレイク”?な、何なの、それ?酷い病気なの?」
……だとすると、とんでもないなぁって思うんだけど。
「まぁ、怪我みてぇなもんだな。誇りの崩壊ってぇことよ。体にゃ異常はねぇけど、今なら小石1つで死ぬ状態だわな」
そ、それってとっても酷い状態じゃない?
「あ、アニエス先生、大丈夫!?」
「相棒っ!だからそっとしといてやりなって!今はそれしかねぇ。なぁに、誇りなんざ時間が立てば戻る――はずだがな」
……ボクに、何もできそうにないのが、歯がゆかった。
「あ、アニエス先生……お大事にね?」
「――ウボァー……」
地獄の底から舞い戻ってきたみたいな声を出しつづけるアニエス先生。
……早く、元気になって欲しいな……



ルイズおねえちゃんのお部屋にはいれないから、
授業の無い午後、ボク達は図書室にいたんだ。
ルイズおねえちゃん達は、みんなそれぞれ調べ物があるみたい。
ちなみに、ボクはこの世界の文字が読めないみたいだから
(絵つきのところはなんとなく分かるけど、文字がちょっとずつ違うみたいなんだ)、
絵本を適当に選んでもらって、言葉の勉強をすることにしたんだ。
『イーヴァルディの勇者』っていうタイトルで、お城の前に戦士がたたずんでいる絵からはじまっている。
その本を、ときどきルイズおねちゃんの邪魔にならないように意味を聞きながら、ゆっくりと読んでいったんだ。
「――そう、それは『探求』って読むの。だから、ここは『そして探求の旅は始まった』ね」
「……あ、こっちは『旅』なんだ」
絵の中には、おっきな橋とお城が幻想的に建っている。
なんか、ここから物語がはじまるんだって感じで、すっごくワクワクする。
513ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/26(木) 22:13:52 ID:fyywzqfC
「――うぅむ、やはり関節が重要か……」
ギーシュは『アダマン鎧の歴史』って本を読んでいる。
一昨日の晩の戦闘でもうちょっと鎧について研究しようとしているらしい。
「――まったく、とんだ災難だったわ。しかも部屋には帰れないし……」
ルイズおねえちゃんが読んでいるのは『吟遊詩人の心得』って本。
さっきは「しずかに やさしく」って部分が使えないかって吟味していた。
「も、もういいじゃない!終わったんだから!」
モンモランシーおねえちゃんは『ゾディアックレシピ』という本で新しい調合を見ているみたい。
みんな、勉強熱心だなぁと思うんだ。
「本当に終わったのかしらねぇ?あんたとギーシュのことだから、ひょっとして――」
そう言って、からかっているのはキュルケおねえちゃん。
キュルケおねえちゃんは、他の人とはちょっと違う物を読んで、っていうか、見ていたんだ。
「う、うっさいわね!二度とするわけないでしょ!!」
「――ところで、さっきから気になってたんだが……なんで、『地図』を?」
ギーシュが聞いた通り、キュルケおねえちゃんが広げていたのは、
『地図』だったんだ。それも、大きさも、詳しさもバラバラのをいくつも……
「ん?ちょっと調べ物よ。タバサをちょっとアテにしてたけど、あの子、あれで結構忙しいからねぇ――」
タバサおねえちゃんは、「お仕事の報告」ってことで、
奨学金を払ってくれている人のところに行ってるんだって。
奨学金をもらうって、大変なんだなぁ……

「……ん?……これも、図書室にあった地図なの?」
キュルケおねえちゃんが机に広げている地図の中に、1枚だけ、妙に古ぼけてて汚いのがあったんだ。
あちこち黄ばんで、ボロボロで、穴あきチーズを思い出させた。
「あら、ビビちゃん、気づいちゃった?も〜、目ざといのね〜」
キュルケおねえちゃんが嬉しそうにそれに反応する。
地図って言っても、色んな色の線が細かく入り乱れていて、どれがどういう意味かさっぱりだった。
例えば、青色の線は、海岸線のようにも見えるし、河の流れかもしれない。
「ちょっとね、掘り出し物で見つけたのよ。それがどこの地図かなぁって思ってね」
「掘り出し物、ねぇ?何の地図だっての?」
ルイズおねえちゃんが、詩を作るのに行き詰っちゃったのか、興味をしめしてきた。
「えぇ〜、ルイズ、あんたまで興味あるの〜?ビビちゃんにだけこっそり教えようと思ったのにぃ〜」
キュルケおねえちゃんが冗談っぽく言いながら、またボクに抱きつく。
「な、なんでビビだけなのよっ!?」
「だって〜、折角のお宝探しを邪魔されたくないもの!」
……お宝探し?
「――え、何かい?じゃぁこれは宝の地図だっていうのかい?」
ギーシュが『お宝』って部分に食いついたみたいだ。
「あ、バレた?バレちゃ〜しょうがないわね!」
……なんか、むしろバラす気満々だったような気も……
「――なんか、すっごく胡散臭いんだけど、どうしたの、これ?」
モンモランシーおねえちゃんが『ゾディアックレシピ』をわきによけながら地図に注目する。
「ん?買ったのよ。知り合いの古物商から!ちょっと良い値がしたけど、これは本物よ〜!」
……なんか、ちょっとどころじゃなく、すっごく胡散臭い気がするんだ。
「――ちなみに、いくらだったわけ?」
「えっと〜、5枚セットで――ゴニョゴニョ」
……お宝の地図が5枚セット?……騙されている感じがするのはどうしてなのかなぁ?
「――は!?ば、バッカじゃないの!?こんなチリ紙にそんな値段をつけるって何!?」
詳しい値段は聞きとれなかったけど、それなりの値段だったらしい。
ルイズおねえちゃんの声があまりにも大きかったから……
「ちょっと!!あなたたち!さっきから私語がうるさいですわよっ!!出てお行きなさいっ!!!」
……図書室の人に追い出されちゃったんだ。
514ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/26(木) 22:14:15 ID:fyywzqfC



「――で、結局これって何処の地図なのよ?バッテン印がどこを示しているかさっぱりじゃない?」
ボク達は、ヴェストリの広場でさっきの地図を広げていたんだ。
『地図帳』っていう、ハルケギニア中の地図を何枚も集めた本も図書室から借りてきて、一緒に広げている。
「それなのよね〜……1つ仮説を解決しようとすると、2つ疑問が出てきちゃって……」
「――騙されて無いかい?やっぱり」
「そんなわけないじゃない!見てよ、この紙の古さ、それに上等さ!
 この上質な紙がこんなに古ぼけるからには、何らかのいわくがあってしかるべきでしょ!」
確かに、その『お宝の地図』は、羊皮紙なんかよりもずっとつやつやの紙でできていて、
それがボロボロになるぐらい古いってことは、やっぱり価値があるってことなのかなぁ?
「――でも、結局描いてある内容が分からなければクズ紙も同然じゃない?」
モンモランシーおねえちゃんの指摘って、現実的で問題の真中をぴったり言ってしまってると思う。
「と、いうわけで!あんた達の知恵を借りたいのよ!タバサがいないのは不満だけど、
 一応、あんた達、学科の成績はトップクラスじゃない?ギーシュは除くけど」
なるほど。だから、わざわざあんな風にして、この地図の興味を引いたんだ……
キュルケおねえちゃん、頭いいなって思う。
「――ま、まぁいいわよ?詔も進んでないし、いい気分転換ね」
ルイズおねえちゃんは、『トップクラス』って言葉にちょっと照れてるみたいだ。
「私はパス。そんな胡散臭い話に――」
「――『惚れ薬』の噂話、殿方とピロートークでするにはぴったりかもね?」
モンモランシーおねえちゃんの台詞に、キュルケおねえちゃんの言葉がかぶさる。
「ぐっ……」
モンモランシーおねえちゃんが言葉に詰まる。
惚れ薬の話をあんまり広められたくないってことなんだと思うけど……
「……ぴろぉとぉくって、何……?」
「――ビビ君、君はまだ知らなくていいよ」
何故か、ギーシュの顔が少し赤くなっている。
……なんなんだろ?ぴろぉとぉくって……地名、かなぁ……?
「わ、分かったわよ!協力するわよ、協力!お、脅しに屈したわけじゃないからね!」
「まぁ、いいでしょ。これでチャラ、ね。――今のところは」
なんか、キュルケおねえちゃんがフフフと笑うところに暗闇の雲みたいなのがうごめいてる気がしたんだ。

「ところで、僕もそこまで学科試験の成績が悪いわけでは……いやトップクラスではないけども――」
「だって、ギーシュ、想像力が無いもの」
「空気読めないところもあるし」
「し、失礼なこと言わないでよ、2人とも!
 ――そ、そりゃぁギーシュもちょっと頭の回転が遅いところもあるけれど!」
……ギーシュ、最後のモンモランシーおねえちゃんの言葉が一番堪えたみたいで、
その後、ボクとデルフがしばらく慰めることになっちゃったんだ……



お日さまが傾いて、ボクの影が自分の身長を追い越すぐらいになっても、
全然地図探しはうまくいかなかったんだ。
線がアルビオンの軌道という仮説も、潮の満ち引きの痕っていう仮説もダメだったんだ。
「――な、なかなか手こずらせるわねぇ!ま、まぁお宝が簡単に見つかったら詰らないけれども!!」
キュルケおねえちゃんは、それでもしぶとく、
地図に新しい穴が空いちゃうじゃないかってぐらい、じっと地図を見つめていた。
「――と、いうか、これってそもそも地図なのかい?」
ギーシュは、確かにあんまり頭は使っていないと思うときはあるけれど、
ときどき、妙なところに注目して、みんながハッとすることを言うなって思う。
「ち、地図よ!そう言って売られてたんだから、地図に決まってるでしょ!」
キュルケおねえちゃんがすごく必死だ。
……安くなかったから、かなぁ?地図って信じたくていっぱいって感じがする。
515ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/26(木) 22:14:40 ID:fyywzqfC
「――あら、それって――」
「……あ、シエスタ、もう洗濯物の取り込みの時間?」
いろんな荷物を持ったまま、シエスタが通りがかって、寄ってきたんだ。
「あ、いえ、洗濯物はまだですけど――その紙って……」
「キュルケが騙されて買った地図もどきよ」
「騙されて無いってば!!」
ルイズおねえちゃんの指摘に、キュルケおねえちゃんが必死で否定するけど、
シエスタの視線は地図の釘付けになっていたんだ。
「――間違いないです。これ、タルブのです」
「……え!」
……本当に、地図だったの?
「タルブってどこだっけ?」
「えぇと、確か、ラ・ロシェール近郊の村だったかしら、ワインで有名な」
「……シエスタの、実家があるんだよね?弟さんとかがいっぱいいるって……」
前に、洗濯をしながら聞いたことがあったんだ。
弟さんたちを大切に思っていて、失敗談とか、自慢話とか、たくさん聞いたんだ。
「えぇ、間違いなく、これってタルブのですわ……」
「ちょ、ちょっとちょっとちょっと!!そ、それ本当に!?ホントに本当に!?」
キュルケおねえちゃんの目が爛々と輝いている。
さっきまで、偽物かもって思ってた分、喜びもひとしおみたいだ。
「き、貴族様に嘘はつきませんわよ……」
少しだけ、その剣幕にシエスタが引いている。
それぐらい、すごい迫力と勢いだった。
「案内!貴女の村なんでしょ!?案内して!」
キュルケおねえちゃんは今すぐ馬車を借りて来ようっていう勢いだった。

「……す、すいませんっ!それはちょっと……」
シエスタの表情が、悲しそうに曇った。
「あ!ごめんなさいね、私としたことが!もちろん、貴女のために学院に許可は取るわ!
 報酬だってきちんと払うし、そんな長くはかからないでしょうし……」
キュルケおねえちゃんはもうワクワクが止まらないって感じだった。
「ち、ちがうんです……じ、実は……」
シエスタの目から、大粒の涙がポツリと落ちた。
「私、私……実は……」
そこから、ポツポツとシエスタが事情を話しはじめたんだ。



「モット伯、ね……あんまりいい噂は聞かないわねぇ」
シエスタは、モットおじさん、この間会った、カールしたお髭の貴族の家に雇われることになったらしい。
……そんなに、悪いこと、なのかなぁ?
「え、そんなに悪い噂が?父の知り合いで、僕も見知っているが……」
ギーシュも疑問に思ったらしい。
この間、会った限りでは、気のいいおじさんって感じだったんだけどなぁ?
「はぁ?ゲルマニアの私ですら知ってるのに、これだからトリステインの男は……」
キュルケおねえちゃんがあきれ顔だ。
「政治家としては優秀だけど、女と見れば見境なく……って聞くわ。
 平民の女次々に毒牙にかけて食いものにする、非劣な男ってね……」
毒牙?食いもの?え、ま、まさか……
「……ど、毒で弱らせて食べちゃうの!?」
「相棒〜、違ぇよ!ぜんっぜん違ぇよ!いいか、食うってぇのは、男が女を……」
「わーわーわーわー!!!」
ギーシュが、大声をあげながらデルフの鍔の部分をマントで覆い隠したから、
その意味を知ることはできなかったんだ……
結局、食いものにするって、何なんだろ……?
516ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/26(木) 22:15:16 ID:fyywzqfC
「ビビ、あんたはまだ知らなくていいわ」
ルイズおねえちゃんがため息をつく。……気になるなぁ。
「しかも今夜から、なのね。それで、その荷物を……」
ともかく、シエスタは、自分の部屋から荷物を運びだして、モットおじさんの所へ行く準備中だったんだって。
……気が進まないのに、行かなきゃいけないってことだから、悲しんでいるっていうのは、なんとか理解できた。
「わ、私、断れなくてっ……す、すいません、こんなことを貴族の皆様に言うのは……」
シエスタの涙が、地面に小さな水たまりを作っていた。
なんとか、してあげたいなぁ……

「よし、分かったわ!私達がなんとかするっ!!」
「キュルケ!?」
キュルケおねえちゃんが、勇ましく立ち上がったんだ。
「み、ミス・ツェルプストー!?」
シエスタの潤んだ瞳が上にあげられた。
お日さまにの光をキラキラとあちこちに撒いている。
「その代わり、貴女の村を後で案内してもらうわよ?」
にっこりと笑うキュルケおねえちゃんが、すっごく男前に見えたんだ。
女の人なのに……
「ふむ、確かに、乙女の危機とあれば、なんとかしたいが……何か、方法はあるのかい、キュルケ君」
ギーシュも、ちょっと乗り気だった。
ラグドリアン湖で何もできなかったから、なのかなぁ?
「そうよねー、アポイントを取らないと、会ってもくれないでしょうし……」
ルイズおねえちゃんが考えこむ。
「大体、会ってどうする気よ?噂を基に『返してくれ』って言う気?」
モンモランシーおねえちゃんの指摘はいつも鋭い。
ただ、会うだけじゃダメなんだ。
それに、完全に悪い人ってわけじゃないから、モットおじさんを倒すってわけにもいかないし……
……何か、方法は無いかなぁ……

「あ」
キュルケおねえちゃんが、突然、何かを思いついたのか、手を叩いた。
「ねぇ、ルイズ、こういうのって、アリかしら……」
ルイズおねえちゃんの耳に両手をあてて、ひそひそ話をはじめちゃった。
「何よ、どうせくだらない……え?いやちょっとそれは!?……うん、あ、それはアリかも……え、ギーシュが!?」
……?ギーシュが、何かやれば、シエスタが助かるのかな?
話の流れが全然つかめなかった。
「――って作戦、どう?」
キュルケおねえちゃんがニッと白い歯を見せて笑った。
「い、いいんじゃない?うん、おもしろいわ!」
ルイズおねえちゃんも親指を上げる。
どうやら、とってもいい作戦みたいだけど……おもしろいって、何?
「おいおい、何をやらかすつもりだい?」
ギーシュも、自分の名前が出たから、気が気じゃないみたい。

そんなギーシュに、キュルケおねえちゃんは、咳払いをしてから、
大真面目な顔になってこう言ったんだ。
「ギーシュ、あんた覚悟、ある?」
--------------
今回は以上です。
次回予告:幕間劇の形でお送りする予定です。
キャラ崩壊予定です。ギーシュファンの人、ゴメンなさい。

お目汚し失礼いたしました。
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:15:50 ID:gWKaPTHc
さりげないスコールw支援
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:23:43 ID:WFUshoMr
>>485
おお、なんという斬新な召喚シーン
元ネタ知らないけど面白くなりそうな予感。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:28:51 ID:Cc6EuQgo
ビビの人乙です。
アニエスさん…お大事にwww
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:29:02 ID:WXB3P9m5
>>506
慶次郎は一瞬迷った。ルイズの真意を計りかねたのである。
自分を侮辱したギーシュをこらしめてくれ、と言っているようである。
貴族は平民より偉いのだから許してやってくれと言外に頼んでいるようにも見える。
慶次郎はギーシュを見た。いやな顔だった。
もうすぐ始まる決闘におびえきってはいたが、どこかにふてくされたような色がある。
そして、何よりも悪いことをしたという感じがない。
むしろ不当に非難されたという不平不満の方がありありと見える。
二股をかけたくらいでどうだというんだ。何で僕がこんな目にあわなきゃいけないんだ。
ギーシュの顔はそう言っている。かっかと怒ってさえいた。思い上がった顔である。
その顔が慶次郎の気持ちを鎮静化させた。
(この男は殺す)
はっきりそう決めたのである。ルイズがどう思おうと知ったことではない。
子供相手に大人げない、と世間の人々は言うかもしれないが、そんなこともクソくらえだ。
こんないやな顔をした奴をそのままにしておけるはずがなかった。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:32:25 ID:u9QvH5vF
久しぶりに読み返したんだが………
ディセプティコン・ゼロ復活しないかなぁ
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:33:31 ID:FGZyiFO+
黒魔道士乙ー
これは・・・ギーシュがクラウドか?w
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:35:27 ID:Cc6EuQgo
>>506

ビンタ喰らいまくるかイチモツ握られて説教コースだなw
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:43:17 ID:gWKaPTHc
>>522
男男男の看板の魅惑の妖精亭ですねわかります。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:47:16 ID:z9RnljUA
>>485
遅レスだけど、乙!
パタポン大好きだぜ応援するぜ
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:47:23 ID:witxhAN1
キセルカンカーンは?
そういえばあのキセル純金だよね・・・
「平民が随分洒落たモノを持ってるじゃないか・・・って、重っ!?」その後ボカリと・・。
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:52:05 ID:xoF/FxVL
>>494
いいえ、天羅WARの“デビルサムライ”前田慶次郎利益です
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:55:26 ID:O7UkXwRV
>>459
>未来探偵コナン・ザ・グレート
たしか、「容疑者全員皆殺し!」だったよな。
なんのマンガの背景にあったか思い出せねえ。

>>438
頭脳に当たる人は居るじゃないか。
つ教皇セージ
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 22:56:57 ID:YgyLMdiD
乙〜

>>506
上杉家の小姓とギーシュの歳はそう変わりなく・・・
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:00:33 ID:p+ZHsZA8
>>520
俺もまったく同じ場面想像したよ。
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:02:59 ID:TnENRpGu
最近、避難所の方はSSの投下が無くて寂しい限り
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:05:22 ID:eyq5fFKW
ほんとうに寂しいのう
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:09:29 ID:Y6uHY2yx
逆転裁判のナルホドが貴族相手に屁理屈並べるってのを書こうとしたけど、
法律知識も無ければ逆転裁判もやったこと無いからあきらめた。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:10:12 ID:witxhAN1
なんか寂れた商店街を寂しそうに見つめる年配の方、みたいだな
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:14:54 ID:dN2zExI6
>>533
がいしゅつ
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:21:16 ID:10Lp2SrE
>>521
読んでくれる人がいる以上俺は完結へ向けてひた走る
今まで爆熱とかディセプティコンとかトランスフォーマーとか、
楽しみにしてた作品がことごとく止まってるのを見ると尚更ね
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:25:01 ID:witxhAN1
前田慶次がジョゼフサイドに召喚されても面白いかも、
駒としては使えないが天下一の歌舞伎っぷりにジョゼフドキワク!
キレイなジョゼフが見れるかもしれない・・・
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:27:49 ID:Sr2UQsiH
テファに召還された場合は少し早い隠居でひょっとこさいルートとか?
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:30:40 ID:n5490RdY
>>537
するとこれはジョゼフの台詞になるんですね?

      ↓

馬鹿! 阿呆! うすらとんかち!
鬼畜! 天魔! 増上慢!
貴様に何が判る! 天下百年の計のかけらも判るまい!
虚言が嫌いだと! 当たり前だ!
わしの方が貴様よりずっとずっと嫌いだ! 虫酸が走るわ!
そ、それでも敢て虚言を言わねばならぬ者の胸のうちが貴様に判るか!
糞壺に落ちて糞尿に塗れるよりまだ悪い!
自分がいやになる! いっそ死んだほうがましだ!
その思いに耐えてぬけぬけと虚言を云うんだ!
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:37:49 ID:fWFKyYfe
>>533
逆転裁判は、逆転世界でのトンデモ法制度があってこその話だから
クロスは難しい
あの世界の霊媒師とかはうまく使えれば面白そうではあるけどな
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:40:03 ID:witxhAN1
>>538
早すぎだろ!!たぶん3Pで終わるぞ。

>>539
そこから始まるキレイなジョゼフルート
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:45:38 ID:XeE1NPSS
慶次が召還されたらいの一番にすることはルイズをひっぱたくことしか考えられないし
松風もルイズを乗せないような気がするな。
前田利家のように思い切り泣いた後ならどうかわからんが
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:46:23 ID:vM6N0OE5
ジョゼフが骨を召喚、あちこちで暗躍させて利用するが、実は裏で教皇ともつるんでいた。
アンリエッタの前に現れる風魔小太郎、淀君との差は察するべし。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:48:30 ID:Sr2UQsiH
意表をついて愛馬松風だけを召還とか面白いかも知れんな
ルイズの特技と噛み合ってるし

松風の気性と絡めて成長ものとしてやれそうな
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:55:43 ID:xHXUk/d9
どう考えても逃げ出した松風を探しに
ルイズが全国を放浪する様しか思い浮かばん。
それはそれで面白いかも。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:56:37 ID:witxhAN1
先生、慶次君が左手に間違いなくガンダールヴのルーン持ってるくせに
学園一の暴れ馬、グリフォン、竜、果てはミノタウロスまで乗りこなしてます・・・
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/26(木) 23:59:34 ID:Sr2UQsiH
>>546
あるあるw
城下の酒場で馴染みになってそうだなw
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:00:02 ID:ivEn1tzi
遅ればせながらパタポン乙!
アレはパタポンを人間に置き換えて想像するととんでもなく殺伐としてえげつないんだが。
しかしパタポンだと和めちゃう、ふしぎ。

七万の兵をルイズの指示で明るく激しく殲滅するパタポン軍団が見えた
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:01:29 ID:F0TRQnKI
クロス元のネタばれに関しては注意したほうがよろしいでしょうか?
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:04:37 ID:YhgT+WVy
>>549
必要も無いのにガンガンネタバレするのは避けたほうが良いだろうが
メジャーな作品で皆知っているようなのなら別にはばかる必要も無いと思う
犯人はヤス、みたいな
まあ世界を構成する上で情報って大切だし、仕方ない部分も多いと思うよ
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:06:12 ID:Z0qeaKWL
一応最初にでも断りいれたほうが無難ではあると思うよ
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:08:52 ID:zwJ166O5
まあ発売から何年も経ってるゲームなんかはそれほど気にしなくてもいいと思うけど
やっぱ物によるだろうね、ネタバレの許容範囲は
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:10:17 ID:rfzfYmmX
>>550
ありがとうございます
一応投下するときはネタばれ注意と表記することにします。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:11:56 ID:lx1hEGAU
>>549
そのためにクロス元を明かしているわけだし、そこまで気にしないでいいんじゃない?
ゼロ魔と、クロス元のネタを使うのは、みんなわかっていて読んでいるだろうし、
ゼロ魔とクロス元ネタばれを見たくない人はスルーすればいいわけだし。


クロス元を隠した方が好ましい話で、重大なネタばれがあるというのなら、はなしは別だが。
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:13:13 ID:SAOjzsV6
ネタバレよりageてる事に注意すべきでは?
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:21:24 ID:l5GpE9km
テンプレ読んでないんだろうな…
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:22:47 ID:9qk8UI2T
ルイズが召喚したのがレシィ、鰤、タカトとかの受け系美少年だったら
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:26:20 ID:wTVzyR82
>>557
タイトルは「BLの使い魔」ですか?「ゼロのハーレム」ですか?
そして同時にどこかで阿部さんが召喚されました(ベンチ付き)
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:33:21 ID:Z0qeaKWL
ワルドがギャグキャラになりそう
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:36:44 ID:SwogGsvC
>>558
 書 か な い か

いや勿論まとめの阿部さん召喚は読んでますよ?w
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:46:32 ID:9qk8UI2T
ギーシュの決闘の動機が何かが目覚めそうになった事を誤魔化す為になるな。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 00:46:51 ID:wTVzyR82
ジョゼフとビットリオ(?)はホイホイで
おっぱいエルフと癇癪娘には「お ん な は か え れ」
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 01:12:08 ID:Ym6NtE+6
ここってルイズ以外が召喚しても問題ないんだよね?
こんなネタが来た。

コルベールがゲハラを召喚したようです。
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 01:25:27 ID:0M4Pj8tA
ぎゃー! トカゲだ さよならー
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 01:25:33 ID:UFo5yJQj
録画はしたが見てねーな、ハゲラ
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 01:28:30 ID:wTVzyR82
コルベールが召喚すべきはアート○ーチャーとかリー○21じゃね?
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 01:29:44 ID:tOLDKDS/
ルイズ以外が召喚する場合は避難所推奨、批判の中で投下したいMな方は別ですが
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 01:33:20 ID:aPzYw0BE
封神演技からジョカが……攻めてきました!
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 01:38:26 ID:bJgOirh5
ゼノギアスからGエレメンツとエルデカイザーとか
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 01:49:03 ID:z5PTYEWr
>>569
呼ぶ時期に因るんだろうがED後だとエリィとフェイ以外エーテル関係使えないのがネック。
先生ならデルフと相まって活躍出来そうだが天才キャラは書くのが難しいのがネック。
剣使うキャラ……剣使うキャラ……

あ、塵閣下呼べば良いんだ!エレメンツと離れ離れになってホームシック発動しちゃいそうだけど。
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 02:42:34 ID:N9oPWr2t
最近というか、数年前から人気のアイドルマスターから召喚しました。




でもアニメ版。
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 03:31:21 ID:pCWhhnFF
>>571ロボが世界を越えてアイドル迎えにきちゃうな
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 03:33:53 ID:ku7qAemy
淫ベルとか言う変態ロボですね
わかります
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 03:34:02 ID:crIsO7Ca
むしろインベルと契約してルイズがアイドルマスターに。
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 03:41:49 ID:pCWhhnFF
釘宮ボイスなのに淫ベルと契約か!…と思ったがあれは声が違うんだっけか
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 03:44:14 ID:ZBC6jUuj
覗きイベントが盗撮イベントにランクアップするな
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 03:53:12 ID:02rEss6h
自分を盗撮されて喜ぶヒロインが理解できません
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 04:16:05 ID:RhawQ5WP
ルイズが召還したのがマイティーハートのフェクダだったら
フェクダは無限ループからの脱却に歓喜するだろうし何よりルイズの嫉妬パワーで嫉妬弾撃ち放題だし良いかもしれん
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 07:44:22 ID:CbIl+HF9
>>520
リアルバウトハイスクールの南雲慶一郎みたいだな。
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 07:49:04 ID:9qk8UI2T
アイマスといっても二次創作のフヒ歩だったら
ルイズPは価値観を守れるか。
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 08:03:03 ID:/utyp9Xq
二次創作なら閣下を呼んでアンドバリの指輪不要の展開もありかと。
582"IDOLA" have the immortal servant 0/8 ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:18:55 ID:t+SC4/ZZ
お久しぶりです。
予約がなければ20分から投下を始めたいと思います。
といっても今回はイザベラが主役の外伝になります。
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 09:19:35 ID:LWAC4g1b
待ってたよ。支援だ!!支援するしかない!
584"IDOLA" have the immortal servant 1/8 ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:20:26 ID:t+SC4/ZZ
"IDOLA" have the immortal servant外伝 イザベラと猟犬 前編

 ガリア王国の都リュティス。
 隣国トリステインの国境からおおよそ千リーグは離れた内陸部に位置するリュティスは、人口三十万人からを擁する、ハルケギニア最大の都市である。
 その東端に、ガリア王家の王族達が暮らすヴェルサルテイル宮殿がある。
 ガリア王ジョゼフが執務を執り行うグラン・トロワから少し離れた場所に位置する薔薇色の離宮プチ・トロワ。
 その離宮の主、イザベラは退屈そうに欠伸をした。
 一国の王女にしては無作法が過ぎる。が、不興を買うことを恐れ、周りにイザベラを諌める者はいない。父王も執務と「趣味」に没頭する余り、イザベラに対して干渉してこない。
 北花壇騎士団団長。それがイザベラの肩書きではある。
だが実際にすることはジョゼフの命を北花壇騎士団の騎士に伝えることが主であって、何もそれがイザベラでなければならない理由はどこにもない。
 使用人達には内心で疎まれ、貴族達には魔法の才に乏しいことを理由に、父も無能王なら娘も娘だと影で蔑まれ、その父親からは相手にされていない。
 そして彼女はそれを嫌というほど自覚していた。だから、我侭を言う。癇癪を起こす。更に人心は彼女から離れていく。
 イザベラは、孤独な娘だった。
 今日もイザベラ……というより、北花壇騎士団には任務が与えられていた。
 だが、今日はタバサとは関わりのない任務だ。あの人形娘で憂さを晴らせないというのは不快だった。
 以前タバサに遂行させた任務などは、吸血鬼が相手だった。
 それを伝えても表情一つ変えなかったタバサなのだが、イザベラは例によってそれが面白くない。
あの人形娘が無様にうろたえ、怯える顔を見たいのである。達成することが困難で、聞くだに恐ろしい任務であればあるほど良いと思えた。
 とは言え、それほどの大事件などそうそう都合よく舞い込んでくるものでもないし、そこまでの懸案ともなればイザベラに話が回ってくる前にジョゼフが直接の指揮を執ることになろう。
 今日のもう一つの任務はなんだったか。ああ。確か新人に仕事を与え、どの程度使えるのか報告しろ、というものだったか。
 正確にはまだ北花壇騎士団に入団したわけではなく、その任務の結果如何で入団が決定する、というものだった。
 イザベラにとっては新しいおもちゃを与えられた、というような認識に過ぎなかった。従順であればそれでよし。そうでなければ使い潰すまでだ。
 しかし到着したその新人は、イザベラの想像を遥かに超えていた。
 入り口に控えた騎士が、イザベラに報告する。
「黒犬殿、到着しました!」
 主に日陰の仕事、汚れ仕事を任される北花壇騎士団の団員は、名前で呼ばれることはおろか、二つ名で呼ばれることすらない。
 代わりに番号で呼ばれる。同僚の顔も名前も、何をしているかも、基本的には知らされることはない。
 これからの活躍で北花壇騎士団に編入されるかという新人に番号がないのは当然である。だから二つ名で呼ばれるのだろうが、『黒犬』とはどういう事か、とイザベラは訝しんだ。
 普通、メイジを指す二つ名は火、風、水、土の四大属性が聞くだけで解るようになっている場合が多い。例えば、キュルケなら『微熱』、タバサなら『雪風』という具合だ。 
「遅いわ! 何をしていたのよ!」
 居室に現れた「新人」に向かってイザベラの怒鳴り声が響く。
 頭から目深にフードを被り、その顔は伺えない。頭からゆったりとしたローブで全身を覆っていて、体格も肌の色も良く解らないが、見上げるような長身だった。
「刻限通りのはずだが」
 抑揚のない静かな声で新人が答える。若い男の低い声だったが……、奇妙な声色をしていた。篭っているというのか、どことなく不自然さが漂う。
「呼ばれたら刻限より前に来ているのが礼儀だろ。それよりそのフードを脱ぎな! 誰の前だと思っている!」
 男は無言でフードを脱ぐ。その下から現れたのは、金属光沢を持つ、丸みのある紫色の兜だった。容姿は分からない。兜と一繋がりになったような銀色のマスクがすっぽりと頭部を包んでいたからだ。
585"IDOLA" have the immortal servant 2/8 ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:21:43 ID:t+SC4/ZZ
「その兜とマスクもよ。言われないと分からないのかい」
 イザベラは一瞬呆気に取られたが、高圧的に命令を下す。
「外装は外せない。オレは人間ではなくアンドロイド……ここの言葉で言うのならばガーゴイルだろうからな」
「……魔法人形? これが?」
 イザベラが控えていたメイジに目を向ける。
「確かに、陛下からはそのように伺っております」
 との答えが返ってきた。
 今日の相手は人形娘ではないと思ったら、正真正銘の人形がやってきた。それが面白かったのかイザベラは声に出して笑った。
「よくよく私も人形と縁があるらしいね。ええおい?」
 なるほど。それで全身をローブで覆っていたわけか。無礼な言葉も多目に見てやろう。人間でないものに礼儀作法を説くのは無意味だ。
 イザベラはベッドから降りると、そのガーゴイルをもっと間近で観察することにした。
 魔法の才には優れていないが、魔法大国ガリアのメイジであるイザベラだ。自律行動しているガーゴイルというものの価値が分からぬほどの愚鈍ではない。
「よく出来てるじゃないか。名前は?」
「キリーク。キリーク・ザ・ブラックハウンド」
「ふうん……」
 じろじろと顔を覗き込んだり、肩などを触ったりして、ローブの下にある身体も金属であることを確かめていたイザベラだったが、突如何を思ったかキリークの足を蹴飛ばした。
「痛っ!?」
 顔を顰めて悲鳴を上げたのはイザベラだった。重量が桁違いな為にイザベラに蹴られた程度ではキリークは微動だにしないが、生身であるイザベラの方はそうはいかなかった。
「この……、重いんだよ!」
 そんな身勝手な台詞を吐き捨てながら、イザベラはベッドの上に戻って爪先を手で摩る。
 キリークはというと、目の前の娘には何の興味も湧かなかった。興味があるのは、闘争と殺戮。それから、それを自分の元に運んでくる命令と、運命の巡り合わせだけだ。
 トリステインでオスマンと出会い、そして別れたキリークは、闘争を求めて傭兵としてアルビオンの「革命戦争」に参加していた。
 そこで「革命戦争」の手引きをしていたシェフィールドに出会うことになる。シェフィールドはこの男に興味を示した。
 ガーゴイルのようなもの、と自称しながら、全く魔力を感知できなかったからだ。
 ガリアならば、ジョゼフ一世ならば、この戦いが終わった後でも、狩り場を存分に用意してやれると、シェフィールドは誘いを持ちかけた。
 既にレコン・キスタの勝利が濃厚となってキリークが退屈を感じ始めていた、そんな時期だった。誘いに乗って、キリークはガリアに身を置いた。
「まあ、いい。命令を伝えるわ。あんたの任務は奴隷商人の摘発。場合によっちゃ殲滅だとよ。詳しいことはこれを読みな」
 そういって、指令の書かれた羊皮紙をキリークに向かって放る。
 羊皮紙を空中で掴み取りながら、殲滅という言葉にキリークの目が黄色い光を放った。
「ク……、ククク」
 笑い声だった。押し殺したような、しかし喜悦の色が含まれた笑い。
 それを耳にした瞬間、イザベラの心に言いようの無い恐怖が、じわりと広がった。
 人形だからタバサのように無感動なのかと思い込んでいた。
 だがあの人形娘は違う、とイザベラは認識を改める。
 戦えることが。何かを殺せることが。嬉しくて楽しくて、この猟犬は笑うのだ。
 北花壇騎士団にも色んな奴がいるが、こここまで凄惨な殺気を放つ者はそうはいない。
「ククク……、承知した。ではこれよりブラックハウンド、任務に移る」
「……ちょっと待ちな」
 退出しようとしたキリークを、イザベラは呼び止めていた。
 不思議な話だが、キリークに戦慄を覚えながらも、イザベラにはある種の期待感があった。
「何だ?」
「近くに来な」
 命令するとキリークはイザベラの目の前までやって来る。
「右手を上げてみな」
 言われて、キリークは無言で右手を掲げる。
 やはり、この人形は―――。
「下ろしていい。あんた、あたしのことをどう思う? 率直に言ってみな」
「不可解な小娘だ。無意味に思えるオーダーで時間を無駄にしている」
 キリークは平然と答えた。イザベラが癇癪を起こす恐ろしさを身を以って知っている侍女達は
キリークが無作法を働く度に気が気ではなかったが、流石に今の発言はボーダーラインを余裕で超えていると思われた。
586"IDOLA" have the immortal servant 3/8 ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:22:35 ID:t+SC4/ZZ
 イザベラが癇癪を起こしたしわ寄せが、我が身にまで降りかからないことを祈りながら身を寄せ合って震え上がる。が、彼女たちの主の反応は意外なものだった。心底楽しそうに、寝台の上で笑い転げる。
 キリークはとりあえず命令には従う。だが、不敬を隠そうともしない。その点において、キリークは人間より遥かに信頼できる、とイザベラは直感していた。
 侍女達はイザベラの顔色と機嫌を伺ってばかりだ。呼びつけてみればいつも危害を加えられるのではないかとおどおどしている。
 ガリア貴族は彼女とその父親を蔑んでいるくせに面と向かえば卑屈に美麗字句を並べ立ててくる。
 バッソ=カステルモールというイザベラの身辺警護を任されている貴族がいる。有数の実力者で表面上イザベラに忠誠を誓っているが腹の中はどうだか知れない。彼はオレルアン公の派閥の人間だったからだ。
 それを裏付けるかのように、彼の態度は非常に事務的だ。他の連中のようにご機嫌伺いの愛想笑いをしないだけまだマシかも知れないが。
 名目上は自分の直属の部下である北花壇騎士団の連中。こいつらは論外だ。
 表立って逆らうことはないのだが、実力者揃いであるだけにイザベラのことなど鬱陶しい小娘としか思っていないのは明らかだった。
 どいつもこいつも大嫌いだ。うんざりする。
 自分は無能で我侭な、けれど血筋だけはご立派なお姫様だ。そんなことぐらい解っている。嫌というほど解っている。
 プチ・トロワから一歩外に出れば、侮蔑、憐憫、嘲笑のいずれかを含んだ眼差しを向けられる。その癖彼らはイザベラに面と向かうと実に卑屈に笑うのだ。
自分にではなく、自分の後ろにいる、無能王と影で蔑んでいる父親の威光にひれ伏して。
 それが反吐が出るほど嫌いだった。何が貴族の誇りだ。馬鹿馬鹿しい。
 だが、目の前の「これ」は、あらゆる意味においてイザベラの知る者達と違っている。
 キリークとて、イザベラのことを敬う気持ちなど欠片も持ち合わせていないだろう。その点では他の連中と同じだ。
 だが少なくとも、面従腹背ではない。あの薄気味の悪い笑みを向けてこない。
 本来なら無礼であるはずのキリークの態度が、逆にイザベラには小気味良かった。
 それもそのはずだ。これは道具だ。道具は自発的に持ち主を裏切ることはない。
 実際のキリークがどうであれ、イザベラはそのようにキリークを見て、期待を抱いていた。
 ひとしきり笑い転げた後、イザベラは問う。
故お前は、そんな無意味な命令でも聞くのよ?」
 イザベラはこの鋼の猟犬に興味が湧いていた。それ故、もっと深く突っ込んだ質問をしてみようと、寝台から身を乗り出してキリークの顔を覗き込んだ。
「オレの目的達成に反しない。仮初ではあるが、主は主だ。そういう調整をされている」
 キリークはそのようにプログラムされ、感情レンジの調整を受けている。
 闘争と殺戮に喜びを見出す破綻した人格にすら、敵対する者に情けを掛けずに確実に始末するという、実に猟犬らしい理由がある。
 だからこそ本能的に「主を必要する」という保険をかけなければ、使う側にとっても危険すぎて運用できないのである。
 キリークの存在意義はつまるところ人切り包丁だ。故に「使う人間」は居なければならない。
 任務の内容に応じて「仲間を守る」「任務遂行を最優先させる」というように感情や思考の優先比率を調整されることはある。今現在は、かなりの割合でキリークの自由意志に任せるというような調整をされたままになっている。
 ラグオルにいた時、彼に下っていた任務は、ハンターズとしてラグオル地表に降り、調査を行うことだったからだ。それ故、ある程度の社会性を保ち、臨機応変に立ち回る必要があったのだ。
 これはキリークにとっては喜ばしいものだった。行動に融通が利く調整であるということは、上手くすればあの男と見え、戦う機会が生まれるかも知れなかったから。
 しかし、幾つかの依頼を受けて地表に降りてみれば、何時の間にかハルケギニアに迷い込んでしまっていたのである。
 それからは最終的な目標をラグオルへの帰還とは定めていたが、当面のオーダーを下す者がいない。だからキリークは仮の主を必要としていた。
 自分を使う見返りとして、戦いの場を与えること、帰還の方法を探すことの二点でジョゼフとシェフィールドの確約を得ている。利害が一致したからキリークはガリアにいるのだ。
「お前の目的って?」
「強者との闘争。それから、元いた場所への帰還だ」
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 09:22:55 ID:LWAC4g1b
支援
588"IDOLA" have the immortal servant 4/8 ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:23:19 ID:t+SC4/ZZ
 
 
 それから、数時間後。馬車に揺られるイザベラとカステルモールの姿があった。御者を務めているのはキリークである。
 プチ・トロワを出ることなど滅多にないイザベラだが、今回の外出の理由はキリークへの興味に負けたからだ。
 幾つか質問を投げ掛けてみたが、キリークは破綻した人格を除けば、自分が主である内は非常に信頼できる相手だと思えた。
 だが、肝心の腕の方は実戦で見せて貰わなければ判断できない。
威圧感は十分過ぎるほどあるが、実力が伴っているとは限らないからだ。完全なる実力主義である北花壇騎士団に、無能な輩は一人として必要ない。
 ましてや、初めて自分の忠実な手駒というものを得られるかもしれないのだ。
 そういうわけで、イザベラはキリークに着いて行って仕事振りを監視する、と言い出した。
 一国の王女であるイザベラが護衛も引き連れずにお忍びで外出するなど普通に考えれば有り得ないことなのだが、イザベラはルイズやアンリエッタ以上の世間知らずなのである。
信じられないほど無警戒に、自身の思い付きを実行に移していた。
 といっても、自衛の手段だけは用意してきている。
 イザベラの右手には短刀が握られていた。これはジョゼフに与えられたインテリジェンスナイフ、地下水だ。
 持ち主の身体を操り、魔力を上乗せする強力な武器である。
 特性を聞いた時にはタバサを弄ぶのに使えるのではないかと色々と青写真を膨らませたりもしたが、そこは移り気で気紛れなイザベラである。計画を実行に移すのも気分次第で、未だ決行はしていなかった。
 そんなわけで何となく温存していた地下水なのだが、考えてみれば魔法を使えない自らの護衛役にうってつけではないかと思い立ち、すぐに呼び出すことができたので、こうして実際に護衛役として駆り出したわけである。
 隣に控えるカステルモールも実は本人ではなく、地下水の力を借り、ガーゴイルで作り出した複製である。カステルモール本人よりもスキルニルで作ったメイジの方が、余程信頼できるというものだ。
 地下水による能力の上乗せと操縦で、現在のイザベラの戦闘能力は歴戦のトライアングル……、いや、スクウェアメイジにも匹敵する。
その上ガリアでも指折りの実力を持つメイジが護衛についている。もし任務の途中で何かしらの危険に遭遇しても、身を護る以上のことはできるだろう。
 もしもキリークが裏切ったとしても何も問題は無い。あれは空を飛べない。であれば、フライで逃れてしまえばいいだけの話なのだから。
 空を飛ぶ敵に対しての対抗手段をキリークが何も持っていないと考えるのは、結論から言えば大きな見誤りなのだが、少なくともイザベラはそう思っている。
 奴隷商人掃討の任務においても、戦うのはキリークだけだ。
 何の危険もない。イザベラにしてみれば闘技場へ見物に行くような感覚であった。
「なあお前。あいつの武器。どう思う?」
 馬車に揺られているだけというのは退屈なのか、イザベラは地下水に話しかけた。
 武器、というのはキリークの傍らに立て掛けられたポールウェポンだ。
 暗い紫色を基調にした長大な鎌で、柄の部分だけでも二メイル以上、刃の部分は七十から八十サントはあるだろうか。
 通常、貴族は平民の武器になど興味を示さないが、何事にも程度というものがある。
巨大さもさることながら、キリークの持つ大鎌はぼんやりとした紫色の燐光が纏わりついていて見るだに禍々しく、凡百の武器と一線を画しているのは確かだ。
「私も長いこと生きていますが、あんな物を見るのは初めてでさあ」
 と、地下水。その解答はイザベラを満足させるものではなかった。
 鼻を鳴らしてイザベラが吐き捨てる。
「ふん。同じ武器同士ならもう少し詳しく分析できないのかしらね」
「姫殿下も無茶を仰る。そりゃ、多少の推測はできますよ? それが正解かどうかは分かりませんがね」
「ほう」
 キリークはハルケギニアではない異国からやって来たと言った。彼の言を信じるなら、あれも異国から持ち込まれた武器かも知れない。
「まず、あれはまともな金属じゃありませんぜ。何か別のモノで刃に見える部分を作ってるようですな。切れ味の方は実際使ってるところを見るしか無いでしょう。
これ以上詳しいことがお知りになりたいならディティクトマジックを使ってみますが」
 それはつまり、イザベラの身体を使って、ということになる。地下水はそれ単体では喋るナイフに過ぎないからだ。
「あー。いい。魔法まで使うのは面倒だ。楽しみは後にとっとくとするよ」
 右手は地下水で塞がっているので、左手をひらひらとさせてイザベラは答えた。
589"IDOLA" have the immortal servant 5/8 ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:24:15 ID:t+SC4/ZZ
 
 
 イザベラとキリークを乗せた馬車が辿りついたのは、煉瓦作りの城壁でぐるりと囲まれた宿場街であった。
 狭い馬車に揺られていたことで身体が固まっていたのか、イザベラは軽く伸びをした。
「さて。情報が確かならこの近辺に潜んでるってことだけど。……どうするの?」
 キリークに問うが、イザベラ自身は事件の捜査などする必要もないし、協力してやる気も無い。方法は全て任務を受けたキリークに一任されているのだ。
「まずは聞き込みというのがセオリーだろう」
「面倒ね。薄汚い人攫いなんぞが大手を振って、ガリアにのさばってるのは気に入らないのよ。さっさと片付けちまいな」
 女子供を奉公に出して幾ばくかの金を得る、というのはハルケギニアにおいてはありふれた話ではある。
 だから人買い自体は仲介業者としての意味合いで合法的に存在してはいるのだが、今回捜索の対象になっている連中は商人と呼ぶのもおこがましい連中だ。
 あちこちでうら若い娘や子供を攫い、それを裕福な連中に売りさばいているらしい。無論、重罪である。
 連中の顧客になっているのは性倒錯者や、人体実験をしたがっているメイジだ。別件で摘発された貴族が丁度そういう輩で、非道な奴隷商人の存在が明らかになったというわけである。
 北花壇騎士団に捕縛、ないし殲滅の命令が下ったのは、連中が誰に「商品」を売り捌いたか特定できないからだ。
正規の花壇騎士団を動かして捜索に当たった場合、顧客の中に下手に大物が居でもしたら大変なスキャンダルになりかねない。
 その点、北花壇騎士団ならば、動因する人員さえ選べば問題は無い。わざわざジョゼフがキリークを指定してやらせろというのだから、父もキリークなら秘密が漏れないと考えているのだろう。
 要するに北花壇騎士団にやれというのは闇から闇へと葬り去れということである。勿論、情報を聞き出して顧客の実態が把握できるならば尚良い。
 ともかく、犯人は誘拐を主な手口としている。国内で誘拐事件が多発している地域を追えば、遠からず犯人の足取りが掴めるというわけだ。
 キリークはイザベラが居ようが居まいが関係ないと言った様子で、時折道行く人に何事か話し掛けながら、宿場町を進んでいった。
何も説明しないキリークに不満を感じるが、イザベラも少し遅れて後を付いていく。
 目的無く歩いているようにも見えたキリークだったが、向かった先は酒場であった。
 余り上品とは言えない佇まいであったが、店内には食欲をそそる匂いが充満していた。
 キリークはカウンターに腰を落ち着けて銀貨を数枚置き、料理と酒を注文した。
 店主はキリークの風体に度肝を抜かれたようであったが、金払いの良さに愛想笑いを浮かべ、厨房へ引っ込んでいく。
「何よ。ガーゴイルの癖に、食事なんか必要なのかい?」
 イザベラの問いかけに、キリークは首を横に振った。
「いいや」
「じゃあ、何だって料理なんか頼むの?」
「金払いが良ければ口も軽くなるものだ」
 キリークの返答にイザベラは少しこの猟犬の見方を変えていた。外見は悪目立ちするし、性格は紛うことなき戦闘狂なのだ。聞き込みなどできるのかと侮っていたが、諜報活動もかなり手馴れているように見えた。
 しかし、諜報活動のできるガーゴイルなんてものが存在するとは。
「はいよ」
 店主が料理を次々と運んでくる。それを皿ごとイザベラの方へと押しやって、キリークは店主に問いかけた。
「そういえば、知っているか?」
「何をだい」
「最近、誘拐事件が流行っているそうだ」
「ああ。街道に沿って若い娘や子供が居なくなってるって話だな。
段々南下して来てるから、年頃の子がいる知り合いは、次はここら辺りに向かって来るんじゃないかって、ピリピリしてる奴が多くてよ。
いや……、もう近郷の村や街でも何人か小さな子供がさらわれたって言ってたっけな」
590"IDOLA" have the immortal servant 6/8 ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:24:59 ID:t+SC4/ZZ
 キリークと店主の話はそれなりに弾んでいるらしい。
 イザベラは目の前に盛られた料理とにらみ合いをしながらも、キリークに対して文句を言ってやりたかった。
 こんな下賎の者が食うような物をガリアの王女が食べられるか、といったところだ。
が、相手が人間ならともかく、キリークに限ってはその手のクレームは言うだけ無駄だし、高貴な出自の人間だと自分から吹聴するような行動もよろしくない。
 今日の外出はお忍びであり、プチ・トロワにはイザベラのスキルニルを影武者として残してきているのだ。
イザベラはプチ・トロワに篭りがちだから、顔を知っている者がこんな場末の酒場にいるとも思えないが用心に越したことはない。悶着を起こして目立つのは遠慮したかった。
 何よりイザベラはかなり空腹であった。やがて、誘惑に負けておずおずと料理に手を付け始めた。
 口に入れてみればどの料理も手が込んでいる上に絶品だ。ふん、と詰らなさそうに鼻を鳴らしながらも、イザベラの手は止まらなくなっていた。
 そして、イザベラが満腹感を感じ始めた頃だ。
「そこな騎士様! 騎士様にお願いがありますのじゃ!」
 突然、悲痛な声が聞こえた。
 イザベラが振り返ってみれば、カステルモールのスキルニルが、ボロボロの麻布の服を纏った老婆に詰め寄られている場面であった。
 老婆は目に涙を溜めて、スキルニルの足元に跪き、何やら必死な様子だ。
「何か?」
 イザベラは内心で気味の悪い老婆だと思ったものの、スキルニルには当たり障りのない応対をさせる。話を聞くだけ聞いて、適当にあしらってやるのが面倒が無くて良いだろう。
 店主はいきなり店にやって来た老婆を見やって何か言いたそうな顔をしていたが、スキルニルの方が相手をしてやるつもりだと解ると、小さく首を振って皿を磨き始めた。
「おお、騎士様! この婆の頼みを聞いてくださいますか……!
 婆はここから三時間ほど歩いたところにある、エズレ村に住むドミニクと申す者にございます。騎士様をそれと見込んでお頼みしたいことがございますじゃ」
 
 
「これこの通り! お金ならありますで! 村中で集めてまいりました」
 ドミニクは平身低頭。畏まった様子で皮袋を逆さにして中身をぶちまけた。
 殆ど銅貨ばかり。その中に銀貨が数枚、と言った内訳だ。
 はっきり言って、イザベラにして見れば鼻で笑ってしまうような額であった。
 これっぽっちの金額で、悪名高いミノタウロスを相手に戦えというのだ。この老婆は。
 だが、通りすがりの人間を捕まえて雇うぐらいなら先に話を持っていくべき相手がいるはずだ。
「すまんが、私には用事がある。そういう話は領主殿にされるがよろしかろう」
「エメルダ様にはもう訴えただよ! 多忙を理由に断られちまっただ!」
 話を聞いてやったことを、イザベラは後悔し始めていた。
 スキルニルに相手をさせてはいるが、元より内容が何であれ、受ける気のない話だった。
 老婆はカステルモールに依頼しているつもりだが、実はイザベラに依頼しているのと同じことなのだ。
 こんなにも頼んでいるのに断るのかと、責められているな気がした。
 話を聞けば同情もするし、可哀想だと思う程度の人情はイザベラとて持ち合わせているが、戦えと言われたら話は変わる。
魔法の才能が無いと繰り返し陰口を叩かれ、嫌というほど自分の実力は思い知っているのだ。
 はっきり言って、ミノタウロスと戦う自信なんて全く無い。スキルニルと地下水という武装も、あくまで自衛の手段として持ってきたものだ。
 キリークも一緒にいるが、あれは北花壇騎士団の入団テスト中だし本当に強いかどうかも定かではない。
 高みの見物のつもりでやってきたのに、なんでこんな面倒な話になっているのだろう。 
 しつこく食い下がる老婆も鬱陶しいが、領民の頼みを無視したエメルダなる領主にもむかっ腹が立ってくる。
大物であるとは言え、たかが化物一匹。さっさとメイジ数人を差し向けて退治してやれば終わる話なのに、何が多忙だ。
 というか、領主の多忙という言い分には納得して引き下がっておいて、用事があるから無理という返事には何故納得しないのだろう?
591"IDOLA" have the immortal servant 7/8 ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:25:56 ID:t+SC4/ZZ
 イザベラの苛立ちは頂点に達しようとしていた。その間も老婆の懇願は延々と続いている。可愛い孫娘が生贄に選ばれたとか何とか。
 領主どころか、王女が断っていると言うのに。ああいや、この婆さんが自分を王女だなんて知ってるわけが無いし、相手をさせているのは人形だ。全くお忍びなんてするもんじゃない。
 そりゃわたしがあの人形娘程度に魔法が使えるなら二つ返事で片付けてやるとも。そうさ。あいつなら吸血鬼だって全然怖がらなかったんだからミノタウロスだってきっと楽しょ……ああいや。何考えてるんだわたしは。
 決してあいつは有能とかじゃなくて、使い減りしないし、父様から名指しで命令が来るから、わたしも使い倒してやってるだけ! 便利な道具と同じ!
 確かに魔法はちょっと使えるかも知れないけど、あんなの全然駄目。無愛想で無口で、何考えてるか解らない。
 きっと内心じゃ顎で使ってるわたしのことを馬鹿にしてるに決まってる。北花壇騎士団団長だなんて言って、無能姫じゃないかってな。
そうさ! きっと、絶対……父様を恨んでるから、わたしのことも、殺したいほど憎んでるに決まってるんだ。
 だから、だからわたしは……。
 ――あーったくもうッ! 何であんなムカつく顔を思い出してるんだ!? 折角美味い料理と酒で気分が良かったのに、全部台無しじゃないかッ! こんなにムカつくのは誰のせいだ?
 この婆さんか? 牛面の化物か? やる気のない領主か? 人形娘か? ああん!?
「――その話、もう少し詳しく聞かせてもらおう」
 イザベラがその額に青筋を浮かばせ、いい加減怒鳴り散らそうとする寸前になって、キリークが低い声で言った。
「はぁぁっ!?」
 イザベラの怒りの矛先は、そのままキリークに向かった。
 自分を頼りにしてきた老婆と違って、こっちには何一つ遠慮などしてやることはない。
「お前、自分のやるべき事、ちゃんと解ってるんだろうね!? 忘れたとか寝言抜かしたらこの場でクビだぞクビ!」
「落ち着け。あながち無関係な話でもないかも知れん」
 それまで大人しくしていたイザベラが突然怒鳴ったので、皆呆気に取られて彼女を見ていたが、キリークは驚いた風もなく全く変わらぬ調子で答えた。
 
 
 馬車にドミニクを乗せて、イザベラ達はエズレ村へ向かった。
 見えてきたエズレ村は、わずかな畑があるだけで何も無い村、というドミニクの説明の通りの……いや、王宮の外を殆ど見たことのないイザベラにとっては、想像を遥かに上回る寒村であった。
 村中かき集めて、あれっぽっちの金しか出せないという理由も、解る気がする。
 馬車から降りると、村人があちこちから集まってくる。
「騎士様を連れてきただよ! それも三人もだ!」
 ドミニクが言うと、歓声があがった。皆一様に、期待と畏怖の眼差しを向けてくる。
「お願いです、騎士様! この村を救って下せえ!」
「本当にジジはいい子なんです! あの子を守ってやって下さい!」
 一様に皆必死で、イザベラにしてみれば何とも異様な雰囲気であった。
「……本当に任務と関係があるんだろうね?」
 イザベラは隣にいるキリークに、小声で問う。
 キリークが言うには、件の人攫い達が化物を騙って誘拐を繰り返している可能性も考えられる、とのことだ。 
 領主が動くとして、相手が悪知恵の働く人攫いなら慎重に事を進めるだろう。
 しかし、化け物を退治するつもりであるなら、領主が動いた事はどうしたって領民の口から漏れる。犯人側としては、早く察知できればできるほど逃げやすくなる、という寸法だ。
 確証はないが、考えられないことではないと、キリークは言った。
「違ったら、また聞き込みからやり直せば良いだけの話だ。外れであっても、恩を売っておけば村人の協力を仰ぐことができる」
「ちっ……」
 イザベラは舌打ちした。別にキリークの言い分が気に障ったというわけではない。
 王宮で向けられる嘲笑や哀れみとは、まるで逆なのに、村人の視線を向けられるのが、堪らなく嫌だったのだ。
 沸き起こる感情が違う。王宮の連中には怒りを感じるが、村人の目は怖かった。
 もし、彼らを失望させてしまったら。
 村を救いに来た騎士様だったはずなのに、また無能姫だと謗りを受けるのだろうか。
 そんな考えが浮かんで来て、イザベラは首を横に振った。
 期待されているのは主にスキルニルとキリークだし、実際に戦うのはキリーク一人だけになるはずだ。
 ドミニクがどう思っていようが自分は戦わないし、ここには新人の監視に来ただけに過ぎない。
592"IDOLA" have the immortal servant 8/8 ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:26:54 ID:t+SC4/ZZ
「長いこと馬車に揺られてたから、疲れたわ」
 村人の視線に耐えられなくなったイザベラは不貞腐れた顔でドミニクに告げた。
「いやはや、これは気がつきませんで。ささ、こちらです」
 ドミニクに連れられて、村のはずれへと向かう。土を焼いて固めた壁の、こじんまりとした家だ。
 扉を開くと、中には二人の女性が抱き合って泣いているところだった。年からいって、母親とその娘といったところだろう。
「おばあちゃん!」
「ジジ! もう大丈夫だよ。三人も騎士様が来てくだすった」
 ドミニクの孫娘のジジは、イザベラと同い年か、或いは少し上かもしれない。着ている服こそ粗末で化粧っ気もないが、かなり器量は良く、生贄に選ばれたというのも解る気がする。
「ありがとうございます! ありがとうございます! どうかこの子を救ってやってください!」
 ジジの母親が、スキルニルに縋りついていた。
「またかよ……」
 イザベラはスキルニルにジジの母親の相手をさせる傍ら、居た堪れなくなって目を背けた。
「すまないけど、そっちの男はとても疲れてる。寝床を用意して、仕事の時まで寝させてやってもらえるかい? キリークは休まず、しっかり話を聞いとくんだね。わたしは周囲の調査に行って来る」
 一々スキルニルに茶番を演じさせるのも面倒になったイザベラは、適当に言い残すと外に出て行く。
“姫殿下。本当にミノタウロスがいた場合ですが、私はあまりお役に立てませんよ”
 二人きりになったのを見計らって、地下水が心に直接語り掛けてきた。
 地下水はウィンディ・アイシクルのような強烈な攻撃魔法も使えるが、鋼のような体表を持つミノタウロスとは相性が悪い。
「わたしが戦うわけないだろうが。お前の任務はわたしの護衛だ。話の流れで妙なことになってるが、そこは変わらないんだから履き違えるんじゃないよ」
“はあ。そいつを聞いて安心しましたが”
 地下水はとぼけた声で言った。勿論、そんなことぐらい解っていた。しかし、地下水は己の性質と経験故に、ある種の予感を感じ取っていた。
だから護衛と言う任務を受けている以上は、進言というよりも忠告をせざるを得なかったのだ。
「ったく。こんな辛気臭い村に来る羽目になるなら、プチ・トロワにいるんだったよ。息が詰りそうだ」
 時折村人が何か言いたげに近付いてくるが、イザベラが不機嫌そうに睨みつけると誰もが愛想笑いをして離れていく。村人はミノタウロスも恐れているが、メイジもまた畏怖の対象なのだろう。
 期待されるよりは、怖がられて近付かれない方がイザベラも気楽だった。
 プチ・トロワの使用人どもと同じだ。自分を恐怖している相手は侮蔑の眼差しを向けてこないし、互いの密告を恐れる余りに陰で罵倒もしない。
だからプチ・トロワはイザベラにとって居心地の良い場所なのである。
「おねえちゃん!」
 不意に、背中から子供の声が浴びせられた。
 面倒臭そうにイザベラが振り返ると、まだ年端もいかない少女が、息せき切って駆けて来るところだった。村の子供だろう。
 流石にこんな子供にまで凄むのは大人げないと思ったのか、イザベラは小さく溜息を吐いて向き直る。
「なんだよ」
「ジジおねえちゃんはどこにも行かなくてすむの?」
「は?」
 一瞬何を言っているのか解らずに、イザベラは首を傾げた。
「おねえちゃんたちが来てくれたからだいじょうぶって、おかあさん言ってたもん」
 イザベラを見上げてくる少女は思い詰めたような表情で、事情も良く解ってはいないのに、ジジが窮地にあることだけは理解しているらしい。
 相当にあのジジという娘を慕っているのだろう。
「そりゃ……」
 イザベラは返答に詰る。自分が戦うわけでもないのに、安請け合いでは返事をしにくい。
「やってみないと分からないわ」
 その返答に、今にも泣き出しそうな顔になる少女。
 イザベラは自分の髪をがしがしと掻き回して、半ば自棄になって言った。
「あ゛ー……。泣くんじゃないわよ。わかったわよ。やってやるわよ。だからもう、暗くなる前に家に帰りな」
「ほんと?」
「ああ。約束してやるよ」
 まだ不安そうな表情であったが、それで少女は納得したのか、頷いて小さく微笑む。
 単純なものだ。さっき泣いた子供が、もう笑ったという奴だ。
「ありがとう、おねえちゃん! わたし、アルマっていうの」
 何度も振り返ってイザベラに手を振って、少女はやって来た方向へと駆けていった。
「……子供はこれだから。お前の名前なんざ聞いてないって言うのよ」
 後に残されたイザベラは暫くの間、少女の消えた方向をぼんやりと見ていた。
593"IDOLA" have the immortal servant ◆GUDE6lLSzI :2009/02/27(金) 09:28:07 ID:t+SC4/ZZ
以上で投下を終了します。
久しぶりに来て続きじゃなくて外伝というのも恐縮ですが、
前中後編の三度に分けての投下になると思います。
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 09:35:55 ID:LWAC4g1b
お疲れ様です。キリークの笑い声がいつ出てくるか、今から楽しみですよ。
イザベラ様はどうなることやら。
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 09:51:18 ID:hYTsJbMZ
ええええええ!?フロウ爺来てたのか!
待ってたよ、お帰りなさい!
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 10:13:11 ID:l8MlAXLo
お疲れサマー。クロス元は知らない作品だがすごい楽しみだ。


以下遅レス
>454
えーと、多分幻魔剣自体が呪われた剣を使うのが前提の技術だった気がする。
多分震空牙も呪いの武器じゃないとダメなんじゃないかな。

>463
拳王シエスタ!?……なんかすごい勢いで涙目なモット伯が見える……ギーシュもか?w

>468
うん、正しい。獣王も食いちぎったし、異魔神はそれ以上の超再生で対処した。
…でもまずその発想&実行に至る人間があまり居ないと思うw
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 10:14:50 ID:gJ1p7STt
乙です。

読む前はフロウウェンが気になって仕方なかったのに
読み終わった後はすっかりイゼベラとキリークの方が気になってる。
ふしぎ!
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 10:34:08 ID:W6eZ8ibb
>>528
コナン・ザ・グレートは確か月刊連載時のケンイチの背景だ
当時大笑いした記憶がある
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 10:39:11 ID:1k+4N2xM
>596
好きな女が過去に死んでて更に子供作っててって状況悲惨すぎるだろ
しかも確実に生まれる筈のリーの存在まで否定されるとか涙目レベルじゃねえや
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 12:21:45 ID:Pj966gLW
うおおおおお旦那キター!
マジでキリークが出るとは思いませんでした。
キリークは大好きなキャラだったのに倒さなくちゃいけなかったので、せめて
クロスSSでは死なないで欲しいとは思っていますけどやっば無理なのかなぁ…
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 12:51:18 ID:w0LzH/jK
>599
じゃあ非業の死を遂げたキラの兄・剣王サーバインとか?
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 13:03:55 ID:l8MlAXLo
>599
あ、そーいやそうだったな。でも時期次第じゃそこまで悲劇でもないかも。
アルス達と再会する前の時間軸から飛んで同じ時期に戻るとかだったら
獣王軍と戦ってる面子がヤオからシエスタに入れ替わって何事も無く歴史が進みそうなw

>601
…つまりシエスタの目に車輪眼が浮かんで、タルブ村に魔剣ネクロスが安置されてると…
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 13:26:15 ID:w0LzH/jK
>602
まぁそれも『アリ』だが撃破された後のにーさんの方ならルイズに召還されても
戻るの戻らないの後腐れなさそうだし
それにあの朴念仁っぽいにーさんが、女性陣に振り回されたりとか絵になりそうじゃね?
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 13:30:00 ID:ku7qAemy
>593
乙です
イザベラ様が絡むSSは面白いのが多いなぁ
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 13:41:50 ID:u5rR3Ia2
>>603
わりとラブコメファンタジー的な意味で王道っぽいなw
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 13:53:18 ID:eG3asmfC
おじいちゃんの続きだと!?
あそこからどう続くんだろう…
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 14:10:19 ID:8gt1ojvM
おじいちゃんと聞くと、最近はドクター・バルカスを連想する。
強殖装甲ガイバーからドクター・バルカスを召喚。調整されてゾアノイドになっていく学院の生徒たち。
ワルドは、おじいちゃんに尻尾振ってハイパーゾアノイドにしてもらえばいいと思うよ。
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 14:35:07 ID:RhawQ5WP
お爺ちゃん……リュウケンドーのDr.ウォーム?
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 15:07:05 ID:P6TCNAMg
爺さんキャラってあんまり見ないよな。
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 15:32:06 ID:jrBxxf8E
ルイズが非処女って本当ですか?
611蒼い使い魔:2009/02/27(金) 15:34:42 ID:2FTa2Ais
皆様こんにちは、37話が完成したので投下しようとおもいます
今回は長いです
具体的にいえばDMC4の初見のM18にかかる時間くらい長いです。
予約等なければ、15:40に投下します
612蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 15:40:12 ID:2FTa2Ais
――ラグドリアン湖
トリステインとガリアとの国境に位置する、およそ600平方キロメイルほど面積を持った、
ハルケギニア随一の名勝と謳われる広大な湖である。
季節によって様々な美しさを見せるラグドリアン湖の景色は多くの人々の心を魅了する。
「どうなってるのよこれ……」
そんなラグドリアン湖を、馬に跨り小高い丘から見下ろしながらルイズが唖然とした表情で呟く、
季節はもう夏に差し掛かっている、道中は初夏のさわやかな日差しがルイズ達を照らし続けていた。
しかし、目の前のラグドリアン湖は違った、頭上を照らしていた太陽はいつの間にか姿を消し、
まるで冬の光景をそのまま切り取って貼り付けたかのように湖を中心に分厚い雲がかかり、雪を降らせていた。
夏の高い気温と空から降り続く溶ける事のない雪、
この二つが同居するラグドリアン湖の光景は奇妙を通り越してもはや異常としか言いようがない。
「一体どうなってるんだい? なんでこんなに暑いのに雪が溶けずに積もってるんだ? ぶぇっくし!」
空から降る雪に身体を冷やしたのかギーシュが盛大にくしゃみをした。
「(この気配……奴らか)」
そんな中ラグドリアン湖の光景を険しい表情で眺めていたバージルの後ろからぴょこっとシルフィードが顔をだす
「きゅい……生き物たちの声が聞こえないのね、こんなの初めてなのね……すごく嫌な感じなの……」
「やっぱり、あなたにもわかる?」
怯えたようにバージルの背中にしがみつくシルフィードにモンモランシーが声をかける。
「この雪、自然に降るものじゃないわ、すごい魔力よ、禍々しくて、汚らわしい力を感じるわ」
「貴様にもわかるのか?」
バージルがモンモランシーに横目で見ながら尋ねると、モンモランシーは肩をすくめた。
「私は水のメイジ、香水のモンモランシーよ、雪も大元は水だからね、何となくわかるのよ」
そういうとまっすぐラグドリアン湖のある方向を指差す
「いやだわ……なにかが"いる"、たぶんこの雪の元、もういやよ、絶対行きたくな――」
――ヒュンッ! と風を切る音とともにモンモランシーの前を何かが通り過ぎる、
モンモランシーが恐る恐る地面に視線を落とすとそこには幻影剣が深々と刺さっていた。
「10秒やる、ここで死ぬか、湖まで行くか、選べ」
吹きつける雪よりも冷たいバージルの視線がモンモランシーを貫く、
「い、行くわよ! 行けばいいんでしょ行けば!」
半ばヤケ気味にモンモランシーが叫ぶ、するとギーシュがモンモランシーの横に馬をつける。
「安心したまえ、恋人よ、ぼくがついてるじゃないか!」
「気休めにもならないわ、あなた、よわっちいし」
そういうとモンモランシーはあきらめたように肩を落とした。
613蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 15:42:08 ID:2FTa2Ais
湖畔へ降りると降り積もる雪のせいか気温が低くなる、やはりというべきか、周囲は夏だというのに雪がしんしんと降り積もり
ラグドリアン湖は一面雪化粧が施されている、その景色はある種の美しさすら感じさせた。
「これが音に聞こえたラグドリアン湖か! 雪景色ってのも美しいな! ヤッホォーー!」
一人旅行気分のギーシュが季節外れの雪景色に興奮したのか馬に拍車を入れ喚きながら湖へと駆け降りる
凍っているとはいえ湖は湖、馬は水を怖がり波打ち際で急にとまってしまう。
慣性の法則でギーシュは馬上から投げ出されて湖に頭から飛び込んだ、
幸か不幸か、湖には分厚い氷が張っており、ギーシュは水中にダイブすることなく、氷上に頭から叩きつけられる。
「ぐげっ!? あっ、頭がっ!! あいだだだだ!!!」
頭頂部を豪快に打ったギーシュがジタバタと悶絶する。
「やっぱり付き合いを考えた方がいいかしら」
モンモランシーが呟く。
「そうね、こういう旅はいい機会よ、見えなかったものが見えてくるからね」
ルイズがどこかで遠い目で同意した。
「お……思い出が領空侵犯してきた……」
「めくるめく走馬灯ってやつね、よかったじゃない、そうそう見れないわよ」
フラフラとおぼつかない足取りで戻ってきたギーシュにモンモランシーが冷たい一言を投げる
どうやら氷の厚さは相当なものらしい、ギーシュが叩きつけられた部分にはヒビ一つ入っておらず、
なおかつ歩いて戻ってきた所を見るに人が立っても割れるという心配はなさそうだった。
ギーシュから湖に視線を戻したモンモランシーがふと首をかしげた。
「ヘンね……水位があがってるわ、昔、ラグドリアン湖の岸辺はずっと向こうだったはずよ」
「どういうことだ」
バージルが尋ねるとモンモランシーが指をさす
「見て、あそこ、屋根が出てるでしょ、村が飲まれてしまったみたいね」
指の先には雪に埋もれてしまってはいるが家屋の屋根が見える、他にも黒々と家が氷漬けになっていた。
モンモランシーは波打ち際に近づくと、氷に手をかざし目をつむった。
しばらくそうしていたモンモランシーは立ち上がり困ったように首を横に振った。
「すごい魔力……水の精霊の声が全く聞こえないわ、湖全体が凍るなんて本来あり得ないことよ?
ここじゃ湖の底まで凍っちゃってる……沖に行かないとダメね……」
「触れるだけでわかるのか?」
「ええ、私を誰だとお思い? このラグドリアン湖に住む水の精霊と、
トリステイン王家は旧い盟約で結ばれているわ、その際の交渉役を『水』のモンモランシ家は何代も続けてきていたの」
「本業、というわけか」
「そう言うことね」
「ならば話は早い、沖へ行き氷の薄い場所を探す、幸い氷は厚い、上を歩いても割れることはあるまい」
バージルはそう言うと、氷の張った湖面へと降り立つ、ルイズ達もそれに続く様に降りると沖へと向かい歩きだした。
614蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 15:45:07 ID:2FTa2Ais
「しかし、夏場に雪なんて避暑にはもってこいな環境だね、ちょっと寒いけど……しかし……」
沖へと向かいながら呑気にギーシュがあたりを見回すと顎に手をあて何やら考えるような仕草をとる
「何よ、なにか気になることでもあるの?」
そんなギーシュにルイズが尋ねると、何やら思わしげに首をかしげた
「ちょっと思ったんだけど、ここまでくる間、僕たち誰か人に会ったかい?」
「そう言えば誰とも会わなかったわね、でもそれがどうしたの?」
「いや、ラグドリアン湖はトリステインはおろかハルケギニアでも一、二を争う景勝地だろ? そんな場所に夏場だというのに溶けない雪が降っている、
涼みに来た人がいてもおかしくないじゃないか、それが一人もいないんだ、おかしいと思わないかい?」
「確かに……この状況は異常だけど、人が誰もいないのはおかしいわ……」
その言葉を聞き何やら不安になったのかルイズがバージルのコートの裾をぎゅっと握る、
するとバージルがすっと前方を指差し、静かに口を開いた。
「……人間ならおそらくアレだ、もっとも生きてはいないだろうがな」
一同がバージルの指差す先に注目する、最初は水位の上昇により水没した木々に出来上がった樹氷の群れではないかと思われた、
だが、それは違うようだった、よく見ると樹氷にしては透明感がある、――氷柱だ、それも巨大な。
その氷柱の先端はまるで騎乗槍のように鋭くなっており、その先にはなにやら黒い何かが見え、その氷柱もそこから赤黒く変色している。
目を凝らしてみるとそれが何か、良くわかった、いや、わかってしまった、
ぐったりと氷の槍に貫かれた人間の死体、それがいくつもいくつも湖面から生えた氷柱に突き刺さり
本来透明であったであろう湖面を赤く染め上げていた。
「ひぃっ! きゃあああああああ!!!!」
「モンモランシー! 見ちゃダメだ!」
幻想的な光景に突如現れた地獄絵図にモンモランシーが半狂乱になりながら悲鳴を上げる、
それをギーシュが抱きしめこれ以上見せないために必死に視界を覆う、
「ひどい……一体何がこんなっ……!」
「きゅいきゅい!」
ルイズとシルフィードがバージルのコートに縋りつく、
だがバージルは無遠慮にそれを振り払うとつかつかと氷柱の群れに歩を進める。
「(殺してからこうしたのか……あるいは生きたままこうなったか、どちらにしろ悪魔の仕業には違いはないか……)」
氷柱の一本を見上げ、哀れな犠牲者を見る、女子供一切の区別なく、貫かれているのを見るにこの近辺の村人、
雪景色を楽しみに来た旅人も含まれるのだろう、中には調査に来たであろうメイジの騎士の姿も見受けられた。
「きゅいきゅい! おにいさま! おねえさまは!? おねえさまは大丈夫なのね!? きゅいきゅいきゅいきゅい!」
シルフィードが急に喚き出し、戻ってきたバージルに縋りつく、
惚れ薬の効果があるとはいえ流石は使い魔、この惨状に近くに実家があるタバサのことが心配になったようだ。
「知らん、探しに行くなら勝手にしろ」
振り払いながら冷然と言い放つ、シルフィードは思い詰めたような表情で自分の頭をぽこぽこと叩く。
「おにいさまのおそばにいたい! でもおねえさまも心配なのね! うぅ……この身が二つあればいいのに! きゅい!」
「鬱陶しさが二倍だ……行くならさっさとタバサの所へ行け、そのまま戻ってくるな」
そう吐き捨てるように言うと、ルイズ達に向きなおった
「事情が変わった、この雪、魔界が関わっている可能性が高い、元を断つ」
615蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 15:46:55 ID:2FTa2Ais
その言葉にギーシュ達の顔が青くなる。
「あ、悪魔の仕業だってのかい!? 一体どうやって元を断とうって言うんだ!」
「この状況を引き起こしている悪魔、もしくはなんらかの仕掛け、それを破壊するなりすればこの雪も止まる」
バージルが簡単なことのようにさらっと言ってのける、だがその言葉にモンモランシーが半泣きになりながら喚き出す
「魔界? 悪魔ってなによ! 私を変なことに巻き込まないで! 私は帰――っ!?」
彼女の必死の抗議はそこで中断される、目の前に閻魔刀の刃が突きつけられていたからだ。
恐怖にへたり込み言葉を失うモンモランシーにバージルは冷然とした口調で告げる。
「一つ、勘違いをしているようだな」
「え……あ……」
強烈な殺意に怯え竦む彼女の頬に閻魔刀が触れる、ただ軽く触れただけにも関わらず薄らと皮膚が切れた。
「解除薬を貴様に作らせるのは俺の慈悲だ、他のメイジに作らせる手もあるが、それでは貴様の立つ瀬がなくなる、
そう考え貴様に調合させる事にした、だが貴様がそれを阻むというのであれば……貴様をここで殺し別のメイジに作らせる
安心しろ、貴様の死体は肉片一つ、髪の毛一本たりとも残さん」
「い、い、行くわ! 行くわよ! 行けばいいんでしょ!」
かなり物騒な脅し文句だがモンモランシーにはこれ以上ない効果があったようだ
必死に首を縦に振るモンモランシーを一瞥し閻魔刀を納刀する。
ぶつくさと文句を言いながら立ち上がるモンモランシーを尻目に歩を進めるバージルにルイズが尋ねる
「ねぇ、本当にそう考えてたの?」
「何のことだ」
「さっきの話、モンモランシーに作らせるって話よ、立つ瀬がないとかどうとかって言ってたじゃない」
「ただの思いつきだ、奴の立場など知ったことではない、
だが奴以外に水の精霊を呼び出せるような人間を俺は知らん、
それに、解除薬が奴以外に作れないということも考えられる、だからここまで連れてきた」
どうやら先ほどの脅しは口からの出任せだったらしい、こんな状況とはいえ、他人のことを考え行動するような人間ではない、
「ちょっとだけいいとこあるな、なんて思った私がバカだったわ……」
「何か言ったか?」
「別に」
ルイズは呆れたように呟くとがっくりと肩を落とす、そしてふと別な方向へ視線を向けると、一面の雪の中にちらっと赤い炎が目に留まった。
「……? あれって……」
「何だ」
バージルがルイズへ視線を向ける、するとしばらく一つの方向をじっと見続けていたルイズが突然驚いたように声を上げた。
「やっぱり! 火だわ! 誰かが戦ってる!」


「なんなのよこいつらっ! 倒してもキリがない!」
キュルケが悲鳴交じりにフレイム・ボールを放つ、
火球は真っ直ぐ標的に向かう、だが火球は迎え撃つように放たれた氷の矢によりかき消され空中に霧散、水蒸気となり視界を遮る。
パキパキッ、と何かが凍る音とともにウィンディ・アイシクルに似た氷の矢が水蒸気のベールを切り裂きキュルケに襲い掛かった。
「ッ!?」
「アイス・ウォール」
――ガガッ! ズガガガガッ! と詠唱と共に目の前に現れた氷の壁に氷弾がブチ当たる音が響く
間一髪、タバサのアイス・ウォールがキュルケに向かってきた氷の矢を全て防いだのだった。
「たっ……助かったわ……」
「来る」
キュルケが安堵の言葉を漏らすのもつかの間、タバサが警告を発する、
バギン! という派手な音ともに氷の壁が砕け散り、大量の氷の槍が地面から生えてきた。
跳ねるように回避した二人はすぐさま杖を構え、目の前に躍り出た一体に各々の得意魔法を叩きこむ、
集中砲火を浴びた悪魔は奇妙な断末魔の悲鳴を残しまるで氷が溶けるように湖面へと消えて行った。
616蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 15:49:09 ID:2FTa2Ais
勝利の余韻に浸る暇もなく二人は油断なく悪魔の群れを注視する
眼前に聳え立つ三本の氷柱、その頂点に乗りこちらを見下ろす悪魔、
爬虫類の様なしなやかな体を持ち、両手には絶対零度の冷気を放つ鋭い爪、
魔帝が人間界侵攻のために造り上げた魔界兵
その中でも最精鋭であるフロストが三体、二人を見下ろしていた。
「……………」
「……………」
「……………」
二人の視線に悪魔達は沈黙で答え、氷柱から飛び降りると、
自らの身体を微粒子に分散させ瞬間移動ともいえる速度で二人を取り囲み統制のとれた動きでじりじりとこちらの様子をうかがい始めた。
「ちょっと……マズくない?」
キュルケがそう呟いた瞬間、背後に回り込んだ一体が無言のまま目の前の獲物に爪を突き立てるべく飛びかかる
「ッ!!」
すぐさま反応しキュルケがフレイム・ボールを放とうとしたその時、
――ひゅおん! と風を切る音とともに横から矢のようにカッ飛んで来た一本の剣がフロストの喉元を深々と貫き、地面へと叩き落とした。
「!?」
二人とフロストの群れは突然喉元から剣を生やし、苦痛に地面をのたうちまわるフロストを見て驚きながら周囲を見渡す、
すると喉元に突き刺さっている剣が緊迫した状況に似つかわしくない軽い口調でカチカチと言葉を発した。
「よ……よぉ、お二人さん、お元気?」
「ダーリンの剣……!? まさか!」
その声に気が付いたキュルケが剣が飛んできた方向を見る、
すると吹きつける雪の中からこれまたこの景色に溶け込みそうな蒼いコートをはためかせバージルの姿が現れる、
その姿を認めたフロストの群れは即座にバージルへと狙いを変え即座に飛びかかる。
「ダーリン!? どうしてここに!?」
「話は後だ」
思わず声を上げるキュルケに短く返すと、ベオウルフを装着し自らに飛びかかってきたフロストの腹に強烈な後ろ回し蹴りを叩きこむ、
思いっきり蹴り飛ばされたフロストはさながら大砲の砲丸と化し、時間差で飛びかかってきたもう一体を巻き込み派手に吹っ飛んで行く。
バージルはすぐさま身を翻し跳躍、デルフが喉元に突き刺さり未だ地面を舐めている一体の頭目がけ閻魔刀を突き立てる。
脳を破壊されなすすべなく絶命するフロストからデルフを引き抜くと、何を思ったかそのまま空中へと放り投げる。
くるくると回転しながら宙を舞ったデルフが、体勢を立て直し再びバージルに爪を突き立てんと真上から飛びかかる二体のフロストを切り裂く。
未だ宙を舞うデルフよりも先に落下してきたフロスト達を閻魔刀で両断し華麗に納刀する。
悶絶しながら絶命するフロストを尻目に、落ちてきたデルフを高く掲げた右手に掴むと、切っ先を返して地面に叩き付けた。
一瞬でフロストの群れを片付けたバージルにしばらく呆然としていたキュルケとタバサが駆け寄る
「ダーリン! 助けにきてくれたのね! あぁんもう本当素敵! 惚れ直しちゃう!」
「……」
キュルケがバージルに抱きつこうとするも頭を押さえられ近寄れなくされじたばたとたたらを踏む。
そんなキュルケをよそにタバサがバージルに尋ねる
「どうしてここに?」
「ただの偶然だ」
タバサの問いに短く答えるとバージルは自らが歩いてきた方向を見る、すると遠くからかすかにルイズ達の声が聞こえてきた。

「キュルケ! タバサ! 大丈夫!?」
「えぇ、ダーリンのおかげでね」
タバサ達と合流したルイズ達はお互いの無事を確かめあう、
「ところでさっきの奴らは一体なんなんだい? もしかしてこの吹雪の原因?」
ギーシュがどこかへっぴり腰になりながらあたりを見回しながら尋ねる、
もしかしたらさっきみたいのがまだ周囲に潜んでいるかもしれない、そう思うと不安を感じずにはいられないのだろう。
生憎ここは氷上だ、彼が得意とするゴーレムを錬金することは非常に難しい。
617蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 15:50:33 ID:2FTa2Ais
「奴らは尖兵だ、吹雪の原因は別にある」
だがバージルはあっさりそれを否定すると、タバサ達に向きなおった。
「何故ここにいる、お前の実家がここの近くとは聞いてはいるが」
「目的は湖の増水を起こしている水の精霊の退治、雪の調査、原因を突き止める事、あなたは?」
「水の精霊とやらに会いに来た、だが事情が変わった、この雪、
魔界が関わっている可能性が高い、元を断つ、目的は同じということか」
「そ、そうだ、目的が同じなら一緒に行動したらどうだい?」
ギーシュの提案に反対する者はいなかった、先ほどのフロストの群れがいつ襲ってきてもおかしくはない、
いつの間にかラグドリアン湖は悪魔の巣窟と化してしまっているのだ、わざわざ別れて行動するほど愚かしいことはない。
「いい?」
「構わん、好きにしろ」
タバサがバージルに尋ねる、彼も特に反対する理由もないのかあっさりと首を縦に振った。

沖へと向かうと、ラグドリアン湖の様子はさらに異常さを増した。
今の時刻は真昼時、厚い雲が上空を覆っているとはいえ、ある程度の明るさはあった。
にもかかわらず、突然周囲が闇に包まれ、まるで夜のように暗く閉ざされてしまった。
今まで比較的穏やかだった雪も奔流のような大吹雪に変わりルイズ達に吹きつける、
その雪はもちろん冷たいのだが、周囲の気温だけは夏の暑さのまま、なんとも言えない気持ち悪さである。
そんな中、バージルが立ち止まると不意にあたりを見回した
「……」
「どうしたの?」
「この異常を引き起こしている存在が近い、死にたくなければ警戒を怠るな」
その言葉にルイズ達が身構える、
「きゅい、でもこのあたりから精霊の力を感じるのね」
シルフィードが言うにはこのあたりは台風で言う目の部分、この異常を引き起こしている部分だという
「きゅい……精霊の力を吸い取ってこの異常を起こしてるの、ひどいことするのね!」
吸い取るための部分、つまり精霊の力の強い場所がここらしい、
ならばこの場所が精霊を呼ぶにはふさわしい場所、ともいえる。
「そうね、精霊を呼ぶならここが一番いいと思う……、というかもうここしかないわね」
モンモランシーが覚悟を決めたように頷く
「でも氷が張ってるわよ? どうするの?」
ルイズが首を傾げると、バージルが閻魔刀を抜き放ち、湖面に突き立てる。
氷に込められた魔の力、それを氷ごと断ち切り穴を開ける、
「キュルケ、氷を溶かせ、これならお前の炎が通るはずだ」
「えぇ、いいわよ」
キュルケが軽く頷くと、発火の呪文を唱え炎を放つと言葉の通りみるみる氷は溶け小さな穴が開いた、中を覗くとかろうじて水面が見える。
これならば水の精霊とも交渉ができるだろう、出てこれるかどうかは別問題だが……。
するとモンモランシーは腰にさげていた袋から一匹のカエルを取り出した。鮮やかな黄色に、黒い斑点がいくつも散っている。
カエルはちょこんとモンモランシーの手の上に乗り、忠実な下僕のようにまっすぐとモンモランシーを見つめていた。
「ひっ! カエル!」
カエルが苦手なルイズが小さく悲鳴をあげバージルに寄り添う。
それを同じくバージルの背中にしがみついていたシルフィードが見咎め眉を吊り上げた。
「きゅいきゅい! そうやっておにいさまにすり寄ってからに! 自重というものを知るといいの!」
「あんたに言われたかないわよこのぉ!」
きゃんきゃんと喚きたてる二人を無視しバージルがそのカエルを見ながら尋ねる。
618蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 15:51:47 ID:2FTa2Ais
「それが貴様の使い魔か」
「えぇ、これが私の使い魔のロビンよ、これから中に入って水の精霊を呼んできてもらうわ」
「でも湖が凍ってるわよ? 凍死しちゃわない?」
キュルケが湖を指差し尋ねると、モンモランシーが首を振る
「それが……湖の水温はいつもとかわらないの、それが不気味なのよ、この気温で雪や氷が溶けないのと関係しているみたい……」
モンモランシーはそう言うと、指を立て使い魔に命令する
「いい? ロビン、あなたたちの古いおともだちと連絡がとりたいの」
モンモランシーはポケットから針を取り出すと、それで指の先を突いた、
赤い血の玉が膨れ上がり、それをカエルに一滴垂らす。
それからすぐに、モンモランシーは魔法を唱え指先の傷を治療する、
ペロっと舐めると、再びカエルに顔を近づけた。
「これで相手は私のことがわかるわ。覚えていればの話だけど、
じゃ、ロビンお願いね、偉い精霊、旧き水の精霊を見つけて、盟約の持ち主の一人が話をしたいと告げてちょうだい、わかった?」
カエルはぴょこんと頷き、ぴょんと跳ねて水の中へと消えてゆく
「今、ロビンが水の精霊を呼びに行ってくれたわ、見つかったら連れてきてくれるでしょう、
小さな穴だから出てくるのに時間はかかるでしょうけどね……」
その様子を眺めていたバージルがふとモンモランシーへ尋ねる
「先ほど、貴様は水の精霊との交渉役を貴様の家系は代々続けてきていた、と言ったな、今はその役目を務めていないのか?」
「水の精霊の機嫌を損ねちゃってね、今は他の貴族が務めているわ」
モンモランシーはそういうとその質問に答え始めた
「その時の話なんだけど……干拓を行うのに水の精霊の協力を仰いだの、
大きなガラス容器を用意してその中に入ってもらって領地まで来てもらったわ、
なのに父上が不用意な一言言っちゃってね、干拓は失敗しちゃったわ、
でもまぁ、呼び出すくらいなら私でも出来るから、安心して」
そう言いながら肩をすくめる、あまりいい思い出ではないのは確かだ。
「それで? 水の精霊とはどのような存在だ」
バージルが尋ねると、ギーシュやキュルケも気になるのだろう、モンモランシーの言葉に耳を傾けた
シルフィードは"なにか"の存在を感じているのかきょろきょろとあたりを見回している。
「水の精霊は……、人間たちより、ずっとずっと長く生きている存在よ。
六千年前に始祖ブリミルがハルケギニアに光臨した際にはすでに存在していたというわ、その体はまるで――」
――フフフ……アハハハ……
モンモランシーがそこまで言った時、辺りを包みこむ闇の中から、淫靡な笑い声が聞こえてきた
「なっ……何? この声……」
ルイズが驚き周囲を見渡す。すると闇の中を舞う二つの影が躍り出た。
吹雪の中、淫猥な笑みを響かせながらふわりふわりと二人の乙女が宙を舞う。
青白い光を放ちながら裸身を絡ませこちらに向かって手招きを繰り返していた。
それを見たギーシュが鼻息荒く目を輝かせる。
「こっ! これが水の精霊っ!? ベイビーちゃーんー!! サイコーだ! イイね! グッときた!」
二人の乙女の中に滑り込むように中に入り込む
「あいつの頭、年中春よね……」
「やっぱり付き合いを考えよう……」
それをやや呆れた様子で見ながらキュルケがモンモランシーに尋ねる。
「で、あれが水の精霊なの?」
「違うわ……あんなのじゃないわよ、あれは一体なに?」
それを見たモンモランシーが首を横に振る
「タバサ」
バージルがタバサに何やら耳打ちをする、タバサは小さく頷くと杖を構えた。
「いやぁ! 水の精霊がこんなにもフレンドリーだとは思わなかったなぁ!」
ゴロンと横になり二人の乙女を横に侍らせたギーシュが男の本懐を遂げたような表情を浮かべる
その瞬間、吹雪に濁る闇の中から巨大な重量を持った"何か"が飛び出してきて、バックリ開いた大口の中にギーシュを飲み込まんと――
619蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 15:53:11 ID:2FTa2Ais
「エア・ハンマー」
「うぇっ!? うわあああああ!」
間一髪、タバサのエア・ハンマーがギーシュに直撃し吹き飛ばされたお陰でなんとか丸飲みを逃れる。
「クソッたれが! 食い損なうとはのう!」
ずらりと鋭い牙の並んだ口をぱくぱくさせつつ闇の中から飛び出してきた白い化物が赤く光る目を細めた。
背中にしょった氷塊の中からは長い触角が二本突き出ており、その先端には青白く光る女が二人……
いや、女の姿をした疑似餌が二つくっついている。
「カっ、カエルぅぅぅ!!」
「……随分立派になって帰ってきたな?」
「ロビン……? あなたなの?」
突如闇の中から現れギーシュを丸のみにしようとした巨大ガエルにモンモランシーが少々引き気味に尋ねる。
「母ちゃん……帰ってきたで……ってボケがッ!! んなワケあるか!!」
モンモランシーの問いにノリツッコミをしつつカエルの化け物――バエルが大声で怒鳴りつけると、
吹き付ける風と一緒に異臭を放つおぞましい色をした粘液が大口の中から飛び出した
「きゅいきゅい! くっさいのね! 鼻がおかしくなりそうなのね! きゅいきゅい!」
その臭いを嗅いだシルフィードが騒ぎ立てる、
「早く片付けんと気分が悪い、鼻が曲がりそうだ」
珍しく顔を顰めバージルが吐き捨てる、その言葉に激昂したのか
「ブチ殺してやる! ガキ共め!」
喉の袋をいっぱいに膨らまして以前に倍する大声でわめくと、前にも増して大量の粘液がばら撒かれ、吹雪が異様な色になった。

「You bastard!(クソガキが!)」
バエルがひときわ大きく怒鳴ると、背負った氷塊をまるで矢のように射出する、
「カエルいやあああああ!!」
ルイズが悲鳴交じりに空から降り注ぐ氷塊から逃げ回る。
カエルが苦手な彼女にとってはトラウマ級の悪魔だ、杖を振ることすら忘れ必死になって走り回った。
「誰がカエルじゃと! 丸のみにしてやる小娘がァ!」
だが悪いことに、カエルという言葉にさらに怒ったのかバエルが自身に降りかかる魔法を物ともせず
逃げ回るルイズめがけ大きな口をあけ跳躍する。
「きぃやあああああ!!」
さらに激しい悲鳴がルイズの喉から絞り出される、このままでは飲み込まれる、
ルイズが迫るバエルの口内を見て恐怖に目をつむる、
あぁ、大っきらいなカエルに食べられて死ぬなんて……本当最悪だ……
「ひ……あぁ……ぐえっ!?」
悲嘆に暮れていると急に上に引っ張り上げられるような感覚に襲われ思わずカエルのような声を出す
「ふぇ……?」
気がつくとルイズはバージルの小脇に抱えられている、どうやら間一髪、飲み込まれる直前に救出されたらしい。
「え、あ……ありがと、バージ――むぎゃ!」
ルイズが礼を言おうとした途端無遠慮に地面に投げ出され、またまた情けない声を上げる、
「あにすんのよ! せ、せっかく人がお礼を言おうとしたのに!」
「言ってる場合か、お前達は下がっていろ、このカエルの相手は俺がする」
喚くルイズを尻目にバージルは憤るバエルに向かって歩いてゆく、
普段なら「わたしも戦うわ!」と息巻くはずであったがなにしろ相手が相手だ、巨大ガエルというだけでトラウマものである。
「わ……わかったわ、本当早く倒して! お願い!」
「……」
珍しく弱り切ったルイズの言葉に沈黙で答え怒りに荒い息を吐くバエルの前に立ちはだかった。
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 15:54:17 ID:+Fc4BzsG
支援
621蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 15:56:03 ID:2FTa2Ais
「まずは貴様からか! 丸飲みにして消化したるわい!」
「やれるものならな」
その挑発に反応するように、バエルが鼻で大きく息を吸い込むと、耳をつんざく咆哮を放つ、
その咆哮は空気を一瞬で冷却し、舞い散る雪が氷塊と化しバージルに襲い掛かかる、
だが、すぐさまトリックアップでバエルの頭上へと躍り出ると、デルフを抜き放ちバエルの背中に強烈な一撃を叩きこんだ。
しかし、その一撃は背負った氷塊により威力を削がれ、分厚い皮膚に阻まれてしまいイマイチ効果がないようだった
バエルは背中の上のバージルを振り落とさんと体を大きく揺らし、背中の氷弾を打ち出す。
それに反応し、空中に飛び上がったバージルは、追撃として新たに放たれた氷弾をデルフを使い叩き落とした。
「ただのカエルかと思えば、少々見くびっていたか」
右手に握ったデルフを軽く弄びながら、バージルがバエルを見据える
「ボケがァァァッ! 噛み砕いてくれる!」
カエル、という言葉に激昂したのか、バエルは一際大声で叫ぶと丸飲みにせんと大口を開けバージルへと飛びかかる
だがバージルは何を思ったかその場から動こうとせず、バエルの口の中に消えていってしまった。
「いやああああ!! おにいさまあああああ!!」
それを見たシルフィードがあらん限りの悲鳴を上げる
「ばかぁ! なにやってんのよぉ!」
ルイズが叫びながら杖を抜き、バージルを救わんと走り出す、もうこの際カエルがどうとか言っていられない、
バージルを助け出さなくては、その思いが、ルイズを動かした、
キュルケやタバサ、ギーシュもそれに続かんと杖を抜き、バエルの眼前へと立ちふさがる。
「バージルを出しなさいよこの化けガエル!」
ルイズが啖呵を切りバエルに杖を突きつける、しかしバエルはカエル、という言葉を聞いたにも関わらずピクリとも動かない……
「……? ど、どうしたのよ、か、かかってらっしゃい」
少々引き腰だがルイズが挑発しても何も反応しない、どうしたのだろう、とよく見てみると、
バエルの目がピクピクと動いている、何やら苦しんでいる、そんな様子だ。

「アガァッ!?」
「きゃあ!?」
突如口を開けたバエルに悲鳴を上げながらルイズがへたり込む、だがその口の中を見た瞬間
ルイズ達の顔に希望が灯る、その中には彼女の使い魔、バージルが平然と立っていた。
飛びかかってきたバエルの勢いを利用しデルフを上顎に突き立てつっかえ棒の代わりにすると、
無理やり口の中をこじ開けベオウルフを装着する、渾身の力を込めた左アッパーを皮切りに、口の中を蹂躙し始めた。
頬を拳で打ち抜き、歯を砕く、上顎に拳が叩き込まれる度に背中に残った氷塊が血の色に染まってゆく、
殴りながらちゃっかり円陣幻影剣を展開し、さらに被害を拡大させている。
「ムゴッ! グェッ! ガァッ! ガッ!?」
どうやら相当怒りが溜まっているらしい、容赦など微塵も感じさせないほど殴ったにもかかわらず
バージルはいつの間にか閻魔刀まで抜き放っており、口の中を切り刻んでいた、舌を斬り裂き、頬を裂く、
舌の一部と思われる肉塊が外へと飛び出し、挙句の果てにはバエルの体中から幻影剣が飛び出す始末、もう口の中は大惨事だろう、
「うっ……口の中に鉄の味が……」
それをみたギーシュが口元を押さえ苦い顔で呟く、想像してしまったらしい、
「あんなもの口に入れるからよ」
ルイズが心配して損をした、といった表情で肩をすくめる。
上顎に刺さったデルフに力を込めると、そのまま上顎を貫通し、バエルの頭の部分からバージルが飛び出した。
「グゲャアアアアア!!」
追い打ちの一撃に苦悶の悲鳴をあげながらラグドリアン湖の氷上に巨体を横たえる。
息も絶え絶えになりながらバエルは最後の力を振り絞り呪詛の言葉を投げた。
「クソッ! 畜生! ゲートさえ開けば――」
遺言を最後まで聞かずにバージルが閻魔刀で頭から叩き割る、
するとパキパキッ! とバエルの身体がみるみる氷の塊へと変わり、ボコォン! と派手な音をたてて砕け散った。
その時、辺りを包み込んでいた闇が急激に晴れてゆく、
どうやらこの闇はバエルから放出されるガスで作り出された擬似的なものだったらしい、
バエルの死体があった部分から――コォーンと何かが落ちる音が聞こえる、
バージルは青く光る小さな石を拾い上げると、小さく鼻をならしコートの中にしまい込んだ。
622蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 16:00:31 ID:2FTa2Ais
「バージル!」
「おにいさま!」
バエルを倒したバージルの近くにルイズ達が駆け寄る、
「大丈夫……って聞く必要なんかないわよね……」
心配すること自体がバカバカしい、そう言いたげに肩を落としがっくりとルイズがうなだれる
バージルは駆け寄ってきたルイズ達に視線を合わせることもなく、周囲を改めて見回すと何かに気が付いたのか眉間にしわを寄せ静かに呟く。
「……魔界の氷を軸に悪魔を呼び出したか、くだらん小細工を施したものだな……」
バージルが視線を向ける先に、ルイズ達が注目する、今まではあたりに闇に包まれ気がつかなかったが
ひときわ大きな氷柱が禍々しい魔力を放ちながら聳え立っていた。
「なっ、今までこんなのあったかい?」
「きゅいきゅい! この氷! 精霊の力を吸い取って雪を降らせているのね! はやく壊してあげるのね!」
きゅいきゅい喚くシルフィードを押しのけバージルが一歩前へ出ると、目にも留まらぬ速度で閻魔刀を抜刀、
刃が氷に触れていないにもかかわらず、巨大な氷柱が横一閃、閻魔刀が鞘に納められた途端、
――ズズッ……ズズゥゥゥン……と派手に音を立てながら倒壊した。
「なっ、なっ、なにあれっ!? 何がっ!? ど、どうやって!?」
初めてバージルの剣技をみたモンモランシーが目を白黒させ騒ぎ立てる。
だがルイズ含めた5人はもはや見慣れているせいか、特にリアクションをとるわけでもなく
何を今さら騒いでいるんだコイツは、といった表情でモンモランシーを見つめた。
「どうって……ねぇ?」
「あの化物との戦いを見てなかったのかい?」
「空間ごと斬ってる」
「あいつに関してはあぁいうものだと理解してもらえればいいわ」
「なんであなたたちそんな平然としていられるのよ!」
とあくまで淡々と答える面々にモンモランシーが喚いていると、不意に空が明るくなった。
異変を引き起こしていた装置が破壊されたためか、空を覆っていた分厚い雲に切れ目が入り見る見るうちに霧散していく、
夏のまぶしい太陽の光が差し込んできたのだ、湖を覆っていた氷から魔力が消え、ラグドリアン湖に精霊の力が戻っていった。
夏の日差しにキラキラと湖面の氷や舞い散る雪に反射しルイズ達の前に幻想的な光景が広がった。
「わぁっ」
「綺麗ねぇ……」
その美しい光景にルイズ達は思わず息をのむ、
「この雪は悪魔の仕業だったけど、こういう景色も悪くはないわよね、バージル……?」
ルイズが己が使い魔の名を呼び振り返る、だが、バージルは何も反応を返さずに先ほど破壊した魔界の氷の前に立っていた。
よく見ると氷の中に奇妙な光を放つ何かが見える、その光はふわりと浮きあがるとバージルの中へと吸い込まれ、彼の身体が光に包まれた。
その様子を見たルイズが思わず後ずさる、この男と数か月間生活を共にして培った勘が警告を発する。
――絶対ロクでもないことが起こる

「これは……」
自身を包み込みこんでいた光が消え、自分の身体に起きた変化に思わず呟く、
肩に金属製の小さな羽のようなものが装着され、同じように金属のフェイスマスクが口元を覆う。
両手両足がまるで鋼の様に硬質化、足元にはいくつもの刃が並んだ円形のエッジがついており、
拳を握りしめると、硬質化した腕の部分から噴気孔のようなものが現れた。
「魔具……か」
生物と同化し、対象の手脚を鋼のように高質化させる魔界金属――衝撃鋼ギルガメス。
彼の所持する閻魔刀然り、ベオウルフ然り、魔具と呼ばれるものはそれぞれ凄まじい魔力を秘めている、
おそらくは雪を振らせる魔力の補助に使われていたのであろう、
魔力を供給していた部分が破壊され、行き場を失った魔具がバージルに取りついたのだった。
バージルは、しばらくの間、鋼のように硬質化した手のひらを握ったり開いたりしていたが、
おもむろに腰を落とし体勢を低くする、そして静かに拳を振り上げる……
623蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 16:02:18 ID:2FTa2Ais
その様子を見ていたルイズが顔を真っ青にしながら、いまだに景色に心を奪われているキュルケ達に声をかける。
「ねぇ……みんな……ちょっといい? あれ……」
「なによルイズ、どうし……ちゃ……」
「きゅいきゅい! おにいさま? 一緒に見……」
震えながらバージルを指差すルイズに首をかしげながらバージルへと視線を向ける、そして全員言葉を失い、みるみる顔が青くなってゆく。

――バシュン! シュゴォォォォ! と拳から突き出るように現れた噴気孔から何やら蒸気が噴出するような音が聞こえてくる。
よく見ると、恐ろしい程のエネルギーが蓄積されているのだろう、蒸気どころか炎が噴き出している。

「逃げて!」

ルイズがありったけの声を上げ、全員が弾かれたように全速力で駆けだすのと、
バージルが拳を湖面に叩き込むのは、ほぼ同時だった。

その破壊力、まさに「衝撃」的
最大加速、最大出力で湖面に振り下ろされた渾身の拳は、そのものの威力もさることながら
氷に打ちつけられた衝撃に、ギルガメスが反応、
噴気孔から巨大な杭が勢いよく突き出され、さらに凄まじい衝撃を生み出す。
その拳は厚さおよそ一メイルはあろうかという分厚い氷をたやすくブチ割るだけにとどまらず、巨大な水柱を発生させた
足元の氷がバージルの拳から発生した衝撃に次々空へと舞い上がってゆく、
少しでも脚を緩めればたちまち氷とともに空へと打ち上げられるだろう。
さらに空から雨のように巨大な氷塊が地上を逃げ惑うルイズ達に次々降り注ぐ、先ほどのバエルよりもひどい有様だ
一方のバージルは拳を叩きつけ湖面の氷をブチ割るのと同時に上空へと飛びあがり
共に舞い上がった氷塊を次々拳打で打ち砕きさらに被害を拡大させている。
やがて重力に従い、衝撃の範囲外だった湖面の上へバージルが降り立つと
――カシャン! と小気味よい音と共にフェイスマスクが解除され彼の顔が現れた。
すると彼の後ろに、上空へ跳ね上がった厚さ一メイル程の氷の板が次々に重なり、およそ十メイル程の高さにまで積み上がる
バージルはそれを後ろ目でちらと見やり、親指で鼻の頭を弾くと、もう一度空へと飛びあがり高く脚を振り上げる、
すると――ギュゥィィィィン!! と足元のエッジが火花を散らしながら高速で回転を始め――一気に氷塊に向け踵を振り下ろす!
――ガッシャァァァン! っとまるでバターのように容易く氷塊を両断、十メイルはあった氷の塔は一瞬にして砕け散ってしまった。
氷塊と一緒に上空へと向かって吹き飛ばされた水が雨となって降り注ぎ、太陽の光に反射し巨大な虹を作り上げる。
「Too easy.(――まぁまぁだな)」
その虹の下、常に無表情の彼にしては珍しく、水に濡れ降りた髪を掻きあげることも忘れ、
新たな力にどことなく嬉しそうな笑みを口元に浮かべながら呟いた。

「こっ、この馬鹿ぁぁぁぁぁ!!! いきなりなにすんのよぉぉぉ!!!」
「水の面積を広げただけだ、これで水の精霊とやらも姿を出しやすくなっただろう」
いきなり大災害を巻き起こした張本人であるバージルは口元に浮かべていた笑みを消し
食ってかかるルイズを見て、何事もなかったかのようにしれといった。
「だからってわたしたちのことちょっとは考えなさいよ!! もうちょっとで死ぬとこだったわよ!
悪魔じゃなくてあんたに殺されちゃ本末転倒じゃない!!」
尚も喚くルイズから視線を外し、バージルは氷がなくなった水面を睨みつけると静かに言った。
「黙れ、……水の精霊とやらのお出ましだ」
バージルがそう言うと、三十メイルほど離れた水面の下が眩いばかりに輝いた、
まるでそれ自体が意思を持っているかのように水面がうごめき、餅が膨らむようにして水面が盛り上がって行く。
ルイズや息も絶え絶えで戻ってきたギーシュ達が呆気に取られてそれを見つめていた。
まるで見えない手でこねられているように、盛り上がった水が様々に形を変える。
巨大なアメーバのような姿だった。
湖からモンモランシーのカエルが上がってきて、ぴょんぴょん跳ねながら主人の元へ戻ってきた。
モンモランシーは手のひらに乗せると人差し指でカエルの頭を撫でる。
「ありがとう、ちゃんと連れてきてくれたのね」
モンモランシーは水の精霊に向けて両手を広げ口を開いた
「わたしはモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。水の使い手で旧き盟約の一員の家系よ。
カエルに付けた血に覚えはおありかしら、覚えていたらわたしたちにわかるやり方と言葉で返事をしてちょうだい」
624蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 16:04:04 ID:2FTa2Ais
水の精霊……、盛り上がった水面は見えない手によって粘土がこねられるように姿を変えてゆく、
そしてその水の塊はモンモランシーそっくりの形になり、にっこりとほほ笑んだ。
次に水の精霊は表情をさまざまに変える、笑顔の次は怒り、その次は泣き顔、と繰り返して行くうちに
無表情になる、そして水の精霊はモンモランシーの問いに答えた。
「覚えている、単なる者よ。貴様の体に流れる液体を、我は覚えている、
貴様に最後に会ってから月が五十二回交差した」
水の精霊はそう言うと次にルイズ達をぐるりと見渡した。
「単なる者よ、忌々しき力から湖を我を解放してくれたこと、まずは礼を言おう」
「いいえ、わたしたちは大したことはしていないわ、そのかわり、お願いがあるの
あつかましいとは思うけれど、あなたの一部を分けてほしいの」
水の精霊の言葉にモンモランシーは謙遜した態度で答えると、水の精霊に体の一部を分けてくれるように頼んだ。
すると水の精霊はにこっと笑い短く答えた。
「断る、単なる者よ」
「そりゃそうよね、残念でしたー。さ、帰りましょ」
モンモランシーがあっさりとあきらめたのでルイズが必死にしがみつく、
「ちょっと待ちなさいよ! ここまできてそれはないわよ! ちゃんと責任持ちなさい!」
「だって断られちゃったんだもん! しょうがないでしょ!」
そんな風に言い争いをしているとバージルがふらりと一歩前に出る、
そしてモンモランシーに低い声で尋ねた。
「確認だ、精霊の涙、とは奴の体の一部の事だったな?」
「え、えぇ、そうよ」
それを聞いたバージルからとんでもない一言が飛び出した。
「ということは、コイツを殺せば手に入るということか」
その言葉を聞いた一同が凍りつく、水の精霊本人を目の前にして殺害宣言、間違いなく怒りを買ってしまう。
だがバージルは知ったことではないと言わんばかりに水の精霊を睨みつける。
「ようやく怒りのはけ口が見つかった、コイツに感謝するんだな」
モンモランシーにそう言うと静かに閻魔刀を抜き放つ。
「貴様と同じ顔、同じ姿、遠慮する点が何一つ見当たらん」
普段から遠慮どころか容赦すらしないくせに、バージルが閻魔刀を水の精霊に突きつけ冷徹に言い放つ。
「我に挑むか、無力なる者よ」
「貴様を殺し、最後に残ったその一部を奪うとしよう」
「ちょっ! 何考え――」
モンモランシーがバージルを止めようと近寄ろうとした瞬間、ルイズが後ろから必死の形相でしがみつく
「なっ、何するのよルイズ! あなたなら水の精霊の怖さを知らないわけないでしょ!?」
「あいつ……キレてる……あぁなったらもう手がつけれれないわよ」
ルイズが怯えるように首を横に振る、もうこうなったらただ見守るしか方法はない。
「よかろう、相手になろう」
水の精霊がそう言うと、水面に浮いた氷塊をバージル目がけ凄まじい速度で飛ばしてきた
だがバージルは空中に跳び上がると閻魔刀を振い飛んできた氷塊を華麗に切り落としてゆく、
そして宙を遊ぶ氷塊よりも先に地面に降り立つと地面へと降り注ぐ氷塊を次々水の精霊にむけ蹴り飛ばしてゆく、
バージルへ向け放たれたはずの氷塊は次々水の精霊の顔面に直撃し、最後に飛んできた一際大きな塊が頭の部分を粉砕した。
「Come on(――来い)」
顔がなくなった水の精霊にむけ冷然と挑発する、すると水の精霊はぐにぐにと姿を変え頭の部分を再生する。
そしてまたもあらゆる表情を浮かべると、再び笑みを浮かべ、水の中へと潜って行った。
バージルは即座に水の中へと飛び込もうとするが、何者かにコートを引っ張られ、水面まで後数歩のところで立ち止まる
邪魔をされたバージルがコートを掴んだ人間、タバサを不愉快そうな目で睨みつけた。
「待って」
「邪魔をする気か? だとすれば、お前とて容赦はしない」
その言葉にタバサはふるふると首を横に振る
「邪魔をする気はない、そのまま水の中に入るのは危険、水に触れながら精霊と戦うのは自殺行為」
タバサが言うには、水の精霊は水に触れるものの精神や生命そのものを自在に操ることが出来るらしい、
このまま飛び込むのは危険だということで止めたらしい、
「いくら貴方でも、精神を支配されない保証はない」
「何か手でも?」
タバサのその言葉に少々イラついたような口調で聞きかえす、するとタバサは小さく頷いた。
625蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 16:06:10 ID:2FTa2Ais
「……なんのつもりだ」
バージルが少々ばつが悪そうにタバサに尋ねる、
それもそのはず、バージルの首元にタバサが腕を回し背中にしがみついているからだ
「きゅいきゅいきゅいきゅいきゅい!!!! おねえさま!! そこはシルフィの特等席なのね!! きゅいきゅいきゅい!」
「タっ……タバサ! あんたまでなにを!!」
その様子をみたシルフィードとルイズが地団太を踏みまくる、キュルケにいたってはニヤニヤしっぱなしである。
そんな連中には気にも留めていないと言わんばかりにタバサが状況説明をする。
「水に触れなければ水の精霊の攻撃は届かない、私があなたの後ろで空気の球を作る」
「……少し動きにくいが、仕方あるまい」
その説明に納得したのかタバサを背負い、バージルが水の中に飛び込んでいった。

「追って来たか、無力なる者よ」
水の底で待ち構えていた水の精霊は淡々と言葉をつづけバージルを見る。
「メイジではない貴様に何ができる、後ろの娘は空気の球を作るのに手一杯だ」
だがバージルは水の精霊の言葉にも耳を貸さずにずんずんと歩を進める
そして空気の球の中に水の精霊の身体が入り込む。
「剣では我は切れ――」
水の精霊の言葉はそこで途切れる、バージルが閻魔刀を抜刀し首の部分を斬り飛ばしたのだった。
斬り飛ばされた水の精霊の一部はぶすぶすと煙を上げながら、魔力を失いどんどん萎んでゆく。
水の精霊は今まで感じたことのない強烈な苦痛にのたうちまわる、傷口が焼けるように熱い。
閻魔刀に精霊としての魔を喰われているのだ。
魔力の塊のようなものである精霊にとって閻魔刀は触れるだけで我が身を焼く劇毒だ。
「What'd you say?(――何か言ったか?)」
――ジャリッっと萎んでゆく水の精霊の一部を踏みにじり皮肉たっぷりにバージルが挑発する、
「苦しいか? しかし……閻魔刀では少々都合が悪い、これで殺してしまっては涙は手に入らんな」
言葉とは裏腹にそんなことは露ほどにも気にしていない、そんな様子が伝わってきた。
「まぁいい、死にたくなったら『精霊の涙』……貴様の一部を差し出せ、そうしたら殺してやる」
その言葉とともに閻魔刀を振い今度は右腕を斬り飛ばす。
「――ッ!!?」
奇妙な悲鳴が水の中に響き渡る、その様子にバージルが少々不愉快そうに顔を顰めるも、さらに左足を斬り飛ばした。
「……待て、貴様……一体何者だ」
長い拷問の末、水の精霊がついに口を開く
「差し出す気になったか?」
閻魔刀を突きつけ冷然と言い放つ、背中にタバサを背負っているせいで少々決まっていないのが残念だ。
「不死たる我ら精霊をも滅するその刃、閻魔刀、貴様に流れる血、覚えがある」
水の精霊の首元に向けられた閻魔刀がピタリと止まる、
「何の話だ」
「その恐るべき力の片鱗、まさか、スパーダ……」
「親父を、スパーダを知っているのか?」
精霊の口から出たスパーダの名に思わず聞き返す、
すると水の精霊はふるふるとからだを震わせると、崇めるようにその名を口にした。
「おぉ……スパーダ……偉大なる名、偉大なる者、神代の昔、闇を祓いし最後の希望」
「親父の何を知っている」
「スパーダ、伝説の魔剣士、闇が光を覆い、二つの世が再び混じり合う時その者は現れた、
我らの世を守るために剣をお取りになられた、再びスパーダの血族に相見えることがあろうとは……」
水の精霊はそれだけ言うと、ぐにぐにと姿を変え再び人間の姿をとる、首と腕、左足が欠損しているため誰とは判断できないが……。
「偉大なる血を引きし者よ、ここに非礼を詫び、喜んで我が身の欠片を捧げよう」
既に何箇所か斬り飛ばしているが……水の精霊は今までの態度を一変し気前よく差し出すと言いだした。
その言葉を降伏と受け取ったのか、バージルは閻魔刀を納刀した。
626蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 16:08:42 ID:2FTa2Ais
水の精霊の提案で、もう一度地上へと出た二人は、ルイズ達と合流し水の精霊から身体の一部を受け取る
「あいつだけは絶対怒らせちゃダメね……」
体の数か所を斬り飛ばされた痛々しい姿の水の精霊を見てルイズが顔を真っ青にして呟く、
完全にアウェイであるはずの水の中で水の精霊を圧倒、地上へと再び引きずり出しているあたり相当キレていたのは確かだ。
「もうちょっとで私がああなってたのね……」
さすがにモンモランシーも顔を青くして呟いた。
「スパーダの血を引くものよ、頼みがある」
そんななか、水の精霊がバージルに語りかける
「……内容次第だ」
相も変わらず傲岸な受け答え方である、怒りも多少は引いたのか問答に答える気にはなったようだ。
「数える程も愚かしい程月が交差する時の間、我が守りし秘宝を、お前たちの同胞が盗んだのだ」
「それで?」
「その秘宝が盗まれたのは、月が三十程交差する前の晩のこと」
「わかりやすく言え」
「(おおよそ二年前よ!)」
モンモランシーが小声でフォローを入れる、王族どころか水の精霊を前にしてもこの傲岸不遜っぷり、はっきり言ってタチが悪い。
「それで? その秘宝とやらを俺に取り戻してこい、そう言いたいのか?」
「そうだ、我も取り戻すため水かさを増していた水が浸食し続ければいずれ秘宝に届くだろう。
水がすべてを覆い尽くすその暁には我が体が秘宝のありかを知るだろう」
「耄碌もここまでくれば笑えるな」
言葉とは裏腹にどこか憐れみを含んだ目でバージルは水の精霊を見る
「ちょっと! 言葉を選びなさいよ!」
突っかかってくるモンモランシーを無視しつつバージルは続ける
「なぜ俺に頼む」
「スパーダの血族は信用できるからだ、我も水かさをふやす必要もなくなる」
「その秘宝とやらの名前は?」
「『アンドバリ』の指輪、我が共に時を過ごした指輪」
「なんか聞いたことがあるわ」
モンモランシーが呟く
「『水』系統のマジックアイテムね、たしか、死者に偽りの命を与えるという……」
「そのとおり。誰が作ったものかはわからぬがな。死は我にはない概念ゆえ理解できぬが。
死を免れぬお前たちにはどうやら『命』を与える力は魅力と思えるかもしれぬ。
しかし『アンドバリ』の指輪がもたらすものは偽りの命。旧き水の力に過ぎぬ、所詮益にはならぬ」
先ほど『死』に片足突っ込んでいたにも関わらず、水の精霊がしれと言った。
「風の力を行使して、我の住み処にやってきたのは数個体。眠る我には手を触れず、秘宝のみを持ち去っていった」
「どんな奴だ、手掛かりがなければ話にならん」
「確か個体の一人がこう呼ばれていた。『クロムウェル』と」
その名前には聞き覚えがあったのか、キュルケがぽつりと呟く
「聞き間違えじゃなければ、アルビオンの新皇帝の名前ね」
それを聞いていたルイズ達が顔を見合わせる、するとルイズが質問をする
「あの、偽りの命を与えられたらどうなるの?」
「指輪を使ったものに従うようになる、個々に意思があるということは不便なものだな」
「とんでもない指輪ね、死者を動かすなんて趣味が悪いわ」
キュルケが何やら考えるように顎に手をあてていたが、途中であきらめたのか髪をかきあげた。
「受けてくれるか?」
腕を組んで目をつむっているバージルに水の精霊が尋ねる
「いいだろう、俺もそいつには用がある」
そう短く答えると踵を返し、湖をあとにしようとする、
「礼を言う、偉大なるスパーダの息子よ」
そう言い残すと水の精霊もごぼごぼと姿を消そうとした。
だがその時、誰かが水の精霊を呼びとめた
627蒼い使い魔 第37話:2009/02/27(金) 16:10:20 ID:2FTa2Ais
「待って」
その声がした方向を全員が見る、そこにいたのはバージルの背中にいるタバサだった。
タバサが彼の背中から降りると、水の精霊の所へと向かってゆく。
バージルを除く全員が少々驚いたようにタバサを見た、
なぜ彼女が、水の精霊を呼び止めるのだろうか?
皆が同じ疑問を抱く中、タバサは周りを気にせず話を進めた。
「水の精霊。あなたに一つ聞きたい」
「なんだ?」
「あなたはわたしたちの間で『誓約』の精霊と呼ばれている。その理由が聞きたい」
「単なる者よ。我とお前たちでは存在の根底が違うゆえ、深く理解はできぬ。しかし我が思うには、我の存在自体がそう呼ばれる理由であるのだろう。
我に決まったかたちはない。しかし、我は不変の存在。お前たちが目まぐるしく世代を入れ替える間、我はずっとこの水と共にあった」
水の精霊の言葉に小さくタバサが頷く
「変わらぬ我の前ゆえ、お前たちは変わらぬ何かを祈りたくなるのだろう」
タバサは最後に大きく頷くと、目をつむり手を合わした。キュルケは優しく肩に手を置く。
バージルは大体察しがついているのかあまり気にしている様子はなかった。

そんなタバサの様子を見ていたモンモランシーが肘でギーシュをつつく
「ん、なんだね?」
「あんたも誓約しなさいよ。ほら」
「なにを?」
本当にわからないといった顔でギーシュが聞き返したので
モンモランシーは思いっきりギーシュの顔面にストレイトを叩きこむ
「なんのために私が惚れ薬を調合したとおもってんのよ!」
「あ、あぁ……ゲホッ……え、えっと、ギーシュ・ド・グラモンは誓います、これから先、モンモランシーを一番目に」
今度はモンモランシーのキック13が華麗に叩き込まれる
「なっ……なんだね……ちゃ、ちゃんと誓約したはずじゃ……」
「『一番』じゃないのよ! 私『だけ』! 私『だけ』愛すると誓いなさい!」
ギーシュは悲しそうな表情で誓約を口にする、どうにも守られそうにない口調であった
「きゅいきゅい! おにいさまっ! 誓約のお時間がやってきたのね! シルフィと永遠の愛を誓うのね!」
俺には関係ないと言わんばかりの勢いでさっさと歩き去るバージルをシルフィードがきゅいきゅいと鳴きながら腕に絡みつく、
「ばっ、この雌竜! なに勝手なこと言ってるのよ! 絶対許さないわよ! バージル!? 絶対言っちゃダメだからね!」
それをみたルイズが必死になってバージルに腕にしがみついた。
「桃髪っ! いつもいつもでしゃばってきて! 二人の愛を邪魔しないで――あいだっ! いだっ! 痛い! きゅい!」
そんなシルフィードの頭を誓約を終えたタバサが杖で打ちすえる、結構本気だ、
「な、なにするのね! きゅい!」
「ふふ、言い気味ね! タバサ、もっとやっちゃいなさ――いだっ! なにすんのよ!」
「手が滑った」
「わざとでしょあんた! も〜〜〜!」
「いい加減にしろ……」
バージルが騒ぎ立てる三人を見ながら眉間を指で押さえながら呟く
この馬鹿馬鹿しい騒ぎも今日限りでおわり、そう思うと幾分気分は和らぐが……・
小さくため息を吐き、空を見上げる、空には二つの月が静かに光を放ちラグドリアン湖を照らしていた。
628蒼い使い魔:2009/02/27(金) 16:12:22 ID:2FTa2Ais
これにて投下は終わりです

スパーダ家家訓『手に入れた魔具はとりあえず試せ』

なんでだろう、マジでここまで書くのに苦労した
構想は次々浮かぶんだけど、なにかがしっくりこない、
考えなおしのループに陥ったりで大変だったぜ……
出しちゃったよ、ギルガメス、さよならベオウルフ、
アレ実はチャージして殴った時パイルバンカーになるんだよね、足技に至ってはチェーンソーだし
4で出てくる魔具はハルケギニアで兄貴が使った魔具の一部〜ってのだったらいいよね
パンドラはちと無理があるけど、ギルガメス自体は魔界金属だし、たくさんあるうちの一つとか
あと、フロストの氷ってマグマ程度じゃ溶けないらしいぜ!
それでは次の投下にお会いしましょう
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 16:13:28 ID:U5A3iUev
遅レスだが>>582
本編もすげー気になるが外伝も続き気になるぜどうしてくれるんだ
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 16:30:09 ID:DEJXm++j
蒼い人乙です。
キャシャーンバージルを想像して吹いたw
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 16:32:28 ID:j5tGD01P
>>463
>拳王シエスタ
この言葉を見て、釵で動けなくして小パンでペチペチやるシエスタが……。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 16:42:21 ID:ZN4Tm4Vw
キリークとバージル、共に大好きだ!!
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 18:01:15 ID:vE62vFRK
東方先生はじいちゃんに分類されますか?
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 19:01:49 ID:iXik8vcj
おじいちゃんではなく、師匠に分類されます。
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 19:03:29 ID:BHkGBfjS
ベルゼブブさまはおじいちゃん
ルイ・サイファー閣下はお兄様
人修羅はおにいちゃん
636ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:04:04 ID:Q/z+Xnjd
うぉぁ、IDOLAの人とバージルの人が来てはったんか!?
もうね、本当に乙です!こうカッコいいのは私にゃ書けないですわ。

さて、半分ぐらい書きためてたので、続きが早めにできました。
19:10頃から失礼したく存じます。
637ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:10:06 ID:Q/z+Xnjd
投下開始です。今日は和風な幕間劇でお送りいたします。
---------------
とざいとーざいっ!
一座、高席にはござりますれど
御免お許しなこうむり!

さて、このところご覧に入れまするは、
トリステインは名だたる武門の息子!ギーシュとあい申します男の噺!
こいつぁ只のボンボンとぁ訳が違いまして、
一本筋の通りやした助六真っ青の色男ってぇ次第でござんす。

女中とぁいえ女子の危機なんてことになっちまやぁ、
この漢が黙っていられる訳にゃ参りやせん!
しかし今度の相手ぁちっと難物、
トリステインのお妃さんのおぼえもめでてぇ身の丈のくせ、
女中を次から次に手篭めにするってな風聞飛び交う悪代官!
下手に首を突っ込みゃ、お家ごとその首が飛ぶってなもんだ!

とぁいえ、そんなことで尻込みしてるようじゃぁ噺になりやせん!
そこでギーシュとそのお仲間が雁首ひっそろえて描いた絵図とは!?

お後は見てのお楽しみっ!
お代は見てのお帰りで、

あ、頂戴つかまつりまする〜〜!!



―ゼロの黒魔道士―
〜幕間劇ノ三〜 蜂蜜色香纏雲艶 (はちみついろか まといしくもの あですがた)


「ギーシュ、あんた覚悟、ある?」

おおよそ、女人にこんなことを聞かれて、
『無い』って言っちゃぁ男が廃るってなもんで、
「もちろんさ!」
と言ってのけちまうところから噺が始まります。

「どんな作戦でも?」
「ん〜、どんなって言うと?流石に、実家に迷惑がかかるのは――」
とぁいえ、まだ尻の青さも抜けきらねぇ書生の身。
お家に火の粉がふりかかんのは避けてぇお年頃。

「その心配は無いはずよ。多分ね――
 それじゃ、作戦前に準備がいるわね、ルイズ!モンモランシー!手伝いなさい!」
「了解!じゃ私はコルベール先生のところに――」
「え、ちょ、わ、私も手伝うの!?」
「彼氏ががんばるって言ってるのに黙って見てるのは問題あるでしょ?
 いいからさっさと来なさい!」
「す、すいません!な、なんか私ごときのために……」
「いいのよ、私が好きでやってるんだし!それより……ってどこにあるの?」
「え?あ、あぁ、それでしたら……」
女三人で姦しいってなこと言いやすが、四人にもなるとさらにってぇ次第でして。
「作戦って、何だろうね……??」
「うーん――まぁ、やるだけのことはやるさ」
「おれっちの出番あんのかなぁ?」
あいにく男ってぇ字ぁ重ねて書いても所詮男、
黙って待つしかねぇ身が辛い!
638ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:11:01 ID:Q/z+Xnjd



さて姦しい四人娘、学院中を隅から隅までずずずいっと騒ぎとおしやして、
半刻もしねぇ内に慌しく帰って参りやした。
「はい、ギーシュ!急いでこれに着替えなさい!」
「え?着替える?」
四の五の言わず、赤髪娘が何やら黒っぽい布の塊をつきつけてきまして、
「モット伯の家に潜入するのに必要なのよ!急ぎなさい!」
見りゃぁ桃髪の娘ぁ今にも吹き出しそうな面してるし、
恋人の黄巻き髪ぁお通夜かってぇほど気の毒そうな面してまして、
こいつぁ何か妙ちきりんなことになったんじゃぁねぇかと、
足りねぇ頭で考えたギーシュがその布の塊を開いてみるってぇと、

「――こ、これはっ!?」

布の塊の尺はギーシュの身の丈ほど、
肌触りぁしなやかで、そこそこお足がかかりそうってな代物。
闇夜みてぇに黒いそいつに雪みてぇに白いヒラヒラがあちこちに。
お公家さんやら貴族さんが肌を通す代物じゃぁないが、
見覚えぐらいなら腐るほどあるってな形をしてやがりました。

「……これって、もしかして……」
とんがり帽子の小僧がすぐ気づきやして、
「――メイド服だぁな、間違いなく」
剣の野郎が続いて気づきやす。
「着替えるって――え?」
ところが当の本人ぁそう簡単に認めたくないってぇもんでして、
「そうよ。ギーシュ、あんたがメイドに化けて、潜入するの!」
「え?」
「ぷ、ククククク――は、はい、ほら、コルベール先生から金髪のカツラも、借りてきたわよ?プププ――」
桃髪娘が取り出すは金色夜叉ってなばかりに輝く毛の束。
「え、あ」
「あの、一応、香水も――女らしい香りがする物を――ギーシュ、無事でね?」
黄巻き髪が取り出すは蜜みてぇに甘い香りのみっちり詰まった、洒落っ気のあるギャマンの小瓶。
「えぇぇぇぇ!?!?ぼ、僕が女装するのかっ!?」」
ようよう飲み込んだあたり、おつむに血が巡りやすのが少々遅ぇのはご愛嬌。
「いーい?玄関でいきなり『メイドを返してください』なんて言ってもしょうがないでしょ?
 だから、まずは中に潜入することが大切なの!」
「い、いやしかし、それならば、何故、僕が!?」
男が女物の服に袖を通すってぇなぁ、男児としての恥もありまさぁ、
気が咎めるってぇのも詮方ねぇことでございやす。
「あら、こんな危険な仕事、女性にさせるつもり?」
「ぐ」
色男にこれを言っちまっちゃぁ弱いもんでして、
例えるならナメクジに塩、狸に泥船、オスマンに女の尻てなもんでしょうか、
最後のぁちょいと違う気もしやすがまぁそういったところで。
「はい、さっさと着替える!ビビちゃん、悪いけど手伝ってあげてね?」
「……え……あ、う、うん……」
年貢の納め時ってのぁこんなもんかと、貴族の身に初めて染みわたりやして、
こんちくしょう、男は度胸と腹をくくり、えいやとばかりに立ち上がる!
「よ、良かろう!見せてやろうではないか!一世一代のメイド姿をっ!」
ちょいと間違ってる気もいたしやすところはご愛嬌。
639ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:11:49 ID:Q/z+Xnjd
さてさて、覚悟ぁ決めたがどう着たもんかと、
布の塊をひっくり返してる内に、足元に落ちた薄布っ切れ一枚。
なんだいこいつぁ?とばかりにつまみあげりゃ、
こいつぁまた驚き桃の木山椒の木!
「こ、これはっ!?」
薄くて黒くて三角で、男ってぇのぁなんでこの薄布を目指すのか、
夢の三角布、女人の下穿き、当世風に言やぁぱんてぃと呼ばれておりやす代物でして。
「変装するからには、全身整えなきゃね?」
何もそんなところぁ誰も見やしめぇと、
思いながらもギーシュも男、
そんな薄布一枚に思いをはせたこともあらぁ助平の一人でございやして。
つまんで透かして香りを嗅いで、思わず五感が冴え渡りやす。
あぁ、この布っ切れってぇのぁこういう香りがするもんか――

「――あ、残念だけど、それ新品だから」
思い出したように付け加える赤髪娘。
「え、あ、その、あ、アハハハハハハ――」
残念至極ってぇ表情と、助平心を見透かされた恥ってもんが交じり合い、
思わず目が天を平泳ぎいたしやすギーシュ。
「――ギーシュ……」
恋人の黄巻き髪にゃぁ呆れられ、
「うわー、最低……」
桃髪娘にゃにらまれて、
「ま、まぁ男の子、でいらっしゃいますものね……」
女中にゃぁ何やらいらぬ同情されちまいまして、
戦を前に、男の尊厳ってぇのが風の前の塵になっちまいそうになりやしたが、
「じ、自分の部屋で、着替えてくるよ!ビビ君、行こう!」
「あ、う、うん……」
女中の危機を救わんがため、ここで折れて何とする!
男ギーシュの大芝居、気張ってやるさと歩み去るっ!!



お天道さんもとっぷりと暮れやして、
目指すぁ悪代官、モット伯の屋敷!
正義の志士たらんと、馬車は静かに進み行くっ!!
――ってなワケには参りやせんで。
「アッハッハッハッ!!に、似合ってるわよ!ギーシュ!!」
赤髪娘の天地に響きそうな笑い声、
「み、ミスタ・グラモン、その、き、綺麗、ですよ?」
助け舟が実は泥舟になっちまってる、女中の笑い声、
「――なんで、こんなことに――」
色男ってのぁ何着ても似合うもんだが、恥が先に立っちまったぁ助六の情けねぇ声、
何はともあれ、その道中のにぎやかなこと!

「だ、大体だねっ!キュルケ君も来るなら僕はこんな格好をしなくても!」
見りゃぁ赤髪娘も女中の姿、
とはいえ、熟れごろ食べごろの水菓子を胸元からはみ出させているそいつぁ、
女中よりも遊女の色香ってなもんで、
『お戯れはよすでありんす』なんつわれたら、世の男はホイホイついてきそうな塩梅でございやす。

「あら、あんた、乙女の危機に、助けが女一人でいいって言うの?」
「ぐ」
ぐぅの音は出なくとも、ぐの音ぐれぇは出ちまいやしたギーシュ。
天然物ほどの色香ぁ無ぇとしても、こちらも化けに化けたりで、
こぼれる金の髪ぁカツラとは思えねぇほど、さながら天女の羽衣の輝き、
布をつめにつめた胸ぁ天上の雲の柔らかさ、
化粧をちょいとばっかり施した顔ぁ切れ長の小粋な美人ってもんで、
元々細身の体で手足も長く、小股の切れ上がった粋なお嬢ちゃんに見え、
黄巻き髪の香水もあいまって蜂蜜の色香を出してございやす。
640ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:12:21 ID:Q/z+Xnjd
「え、えっと、す、すいません!こんなお手間までかけてしまいまして!!」
さて渦中の張本人、危機に陥った女中はって言いやすと、
こちらは流石に本職で、餅は餅屋って言いやしたところ。
黒髪に白い髪留めで、小さくまとまりやした顔が愛らしく、
女中の服にしっかり納まる乳、尻、太ももってぇのぁかくあるべきってな姿で、
悪代官ならずとも一家に一台は所望してぇってな具合でございやす。
馬車を操る手さばきも上々で、
ちょいとした趣味人なら『ぼ、僕も操られたい』ってなことを思っちまうかもしれやせん。

まぁそんなこんなで、見場ばっかりは極上の女中三人衆。
今宵の絵図は至極単純。
女中のフリして屋敷に入り、
悪代官がいざ色事をはじめようって段になったら、
扉蹴破り、動かぬ証をその場でおさえ、
家名をちらつかせての直談判。
時は戦乱、綱紀粛正とのお達しがお上から出てやがる時代にごぜぇやす。
平民とぁいえ、女中を囲っての良からぬ艶事なんざぁ知れちゃぁ、
名前どころか首がしゅぽぉんと飛んじまいやす。
互いに出るとこ出ちゃまずいってんで手打ちにして一件落着。
言ってみりゃぁ痛みわけ狙いってもんでして。
「ま、まぁ構わないけどね――僕が女装をすることは無かったんじゃ――」
「あぁ、ダメダメ!あんたは今、メイドなんだから!『僕』は禁止ね!」
「ぐ――むぅ……わ、私、こんな感じで、い、いいのかしら?」
つっかえながらも、女言葉で話す色男。
またその恥じらいが初々しいてなもんでして。
「上出来、上出来!」
赤髪娘の笑顔が止まりゃしやせん。

「あ、そういえば、屋敷に入ったら、『ミスタ・グラモン』ってお呼びするのはまずいですよね?」
「あぁ、そうね、名前を考えないとね――」
「な、名前!?」
グラモンなんざぁ男らしい名前で呼ばれちゃお里が知れ渡りやす。
何ぞいい名前は無いかってんで雁首そろえて頭をひねりやした。
「――クラウディア、ってどう?」
「んー、綺麗な名前だけど、どういう言われが?」
「いや、昔見たお芝居かなんかで、女装してた兵士の名前がそういう名前だった記憶が。
 確か――『LOVELESS』って芝居だったかしら?」
なんのことぁない。
芝居にゃぁ芝居の役の名前がしっくりくるって寸法でして、
「――それってどうなんだろう……」
「いいじゃないですか!クラウディアさん、うん、響きがいいですわよ?」
「いや、僕としてはもうちょっと――」
「『僕』は禁止よ、クラウディア!」
「う〜――わ、私、クラウディア、よ、よろしくね?」
「うん、だいぶ様になってきたわね!」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね、クラウディアさん!」
かくして、当世きっての色男ギーシュ改め、
当世きっての色女クラウディア、ここに参上ってぇ次第にございやして、
故事を遡りゃぁヤマトのタケルも女装して妖怪退治をしたってもんで、
英雄ってのぁ古今東西、女人に化けるのが慣わしみてぇな所もございやす。
ともかく、クラウディア嬢ご一行、悪代官の屋敷へといざ参る!!


641ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:12:48 ID:Q/z+Xnjd
「なんとなんと!シエスタ君の他にも、こんな美人お友達も一緒に!?」
さぁて舞台ぁ件の悪代官、モット伯の屋敷!
油の乗った大物貴族の舌なめずりぁ蝦蟇蛙の親分みてぇにぬらりとしておりやして、
世の女ぁこうした男衆に気をつけなとわざわざ言う必要もねぇほどの好色ぶり!
「全く、私は果報者だなぁ!さて、それでは早速、今宵は――」

並び立った見場だけ美人女中三人娘をじっとりと舐めるように見つめる蝦蟇親父、
そいつの眼力ぁじっとりとしておりやして、服の上からねぶり倒すかのごとく、
流石ぁ水メイジ、視線にも水っ気がたんまりとこもってるってなぁ塩梅でござんす。
嫌らしい視線に身ぃよじって耐えるクラウディア嬢。
そりゃぁ男が男にねっぷりと見られて気持ちがいい訳ありやせんや。
さてさて、蝦蟇親父、じっくりどっぷり品定めを終えて、告げた今宵のお相手は!!
「そこの、金髪のちょっと骨太の君!君は私と来てくれ。
 ――後の二人は、今日はいいよ。ゆっくり休んでいてくれ」
「は、え、な、ぼ、ぼく――いや私っ!?」
どうした訳か気に入られちまいやしたクラウディア嬢、
まさかてめぇがってんで、顔が蒼くなることナスビのごとしでございやす。
「おや、思ったより低い声だね?それはそれでセクシーで実に私好みだよ」
眼尻の下がる蝦蟇親父の視線がまた油ぎっておりやして、
こりゃいよいよ背筋に冷汗タラリとなるクラウディア嬢、
生きた心地もしやせんや。
「さささっ、こちらに来たまえ――」
どうしたもんかと、赤髪娘に目で問うも、
行くしかねぇというつれない返事。
こりゃぁ腹をくくるしかあるまいと、
「――は、はいぃぃ」
返事の「はい」がまた笑っちまうぐらい震えてて、
そいつを初々しいと思うんだか、また蝦蟇親父が舌舐めずり、
猫の前のネズミってぇのぁこんなもんかとクラウディア嬢ぁ気が気じゃありやせん。
もっと気が気じゃねぇことに、
赤髪娘がふっと「おもしろくなってきたわ」
なんぞと口が動くのが見えちまった次第でございまして、
足が思うようにゃ動きやせんや。

「何をしてるんだね?早く来たまえ」
「あ、あの、は、はい――」
さてさてどうなることですやら。



さて貴族さんの寝室ってぇのぁ、我々一般庶民とぁ勝手が違いやして、
豪奢な洋式布団にゃぁ天道さんが照る訳でもねぇのに天蓋がついてございやすし、
布団ってぇと、真っ白な薄布にゃ皴一つねぇところに、
どんぐれぇの鳥さんが真っ裸になったんだかってぇほど羽がたっぷり詰まった枕もございやす。
部屋ん中の調度品ってぇと、そりゃぁまた豪華なもんでして、
そんじょそこらのコソ泥が入ったところで、どいつを持って帰ろうか迷うばっかりで、
かえって盗めねぇってぐらいのもんです。
そんな塩梅で寝室の様子はってぇと、我々一般庶民とぁ違うんでございやすが、
使い方ってぇと、洋の東西や金持ち貧乏の差ってぇのは無いもんでござんすねぇ。
つまるところ、寝るか、営むかってなもんで。
営むってぇのが何かってぇのは、
ちょいっと若いお客さんもいるみてぇなんでここじゃぁ控えさせていただきやす。
良い子のぼっちゃんじょうちゃんは帰っておっかさんにでも聞いておくんなさい。
ここで言えることぁ、せいぜい男と女が“しっぽり”しちまうってぇ曖昧なところでご勘弁を。
642ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:13:12 ID:Q/z+Xnjd
さてさて、件の悪代官と我らがクラウディア嬢ことギーシュの旦那、
その豪奢な寝室に、男と女じゃねぇくせしてしっぽりと営もうってんで来ちまいやした。
「あぁ、もう私は待ち切れないよ、そういえば、君の名前は?」
蝦蟇親父の方はってぇと、もう鼻息荒く暴れ馬のごとし。
「え、あ、く、クラウディアと申します」
一方クラウディア嬢ってぇと、声も足も震えた生まれたての子馬のごとし。
文字どおり“薔薇”のギーシュになっちまっちゃぁたまるまいってぇもんですや。
「そうか、クラウディア――いい名前だ。
 しかし、いい骨格をしているねぇ、君は――
 私はねぇ、君みたいなたくましい娘が大好きでね――」
口でその名前を転がしていい気になりやがる蝦蟇親でございやす。

「それでは、早速――」
部屋の扉をしめるなり、この親父、いきなり鞭と黒い紐みてぇのを取り出しやがりやした。
その黒い紐ってぇのぁ、“魔法の拘束具”てな名前がついてる代物でして、
普通ぁ猛獣なんぞをこうしつけたりしやすときに使うもんでして。
なんで鞭とんな拘束具を取り出したかってぇいいやすのぁ、言わずともしれようってもんでございやす。
もちろん、普段おつむの弱ぇギーシュもこういうことにゃ頭がすぐまわりやす助平の一人でございやす。
つまるところ、自分ぇが“しつけられちまう”ってぇ図が頭にピンと浮かびやす。
さぁここで慌てる慌てるクラウディア嬢、
広い寝室つってもたかがしれておりやす、
それでも何とか離れてぇとばかりに反対っ側の壁へひとっ飛びすること牛若丸のごとし。
それを見てまたニヤリとするは蝦蟇親父、ふてぶてしい笑いで今宵の獲物を狙いやす。
喩えるとすりゃ千本目の刀求めた武蔵坊弁慶ってぇところでしょうか。
違う点って言やぁここぁ五条大橋でもなけりゃぁ、
求めるのぁ“刀”じゃなしに“鞘”ってなもんで――
ちぃっとばっかし艶のある喩えなんで、今のは流してくださって結構でございやす。

「おやおや、どうしたんだい?逃げるのかね?」
猫なで声がまたぬらり、一々湿気とぬめりのある響きでございやす。
さぁ、ギーシュ、ここで逃げなきゃ“薔薇”で“菊”がまずいことになるってな次第でして――
この喩えぁもう止めにしておきやしょう、ちぃっとお腐れ様衆の臭いもしてめぇりやした。
ともかく、逃げるっつったって限りがございやす。
部屋ぁ真四角なのに視覚なしってな洒落にもなんねぇことになっておりやして、
友の突入がかなり遅く感じやす。
じわりじわりと悪代官の息が近くなるってぇと、
その吐息がまた湿気てやがって、冷汗にじんわり絡んで気持ち悪ぃったらありゃしやせん。
えぇい、あいつら何してやがると、来るはずの友を待つ身ぁ辛いなり。
友がこのまま来ねぇとなりゃ、自分ぇで何とかせにゃなるまいと、
懐の薔薇に手を伸ばそうといたしやすが、こいつぁ失敗に終わりやす。
女中の服ってぇのぁ、メイジ連中のそれと違いやして、マントってぇのがございやせん。
なんとも間抜けなことに、着替えたときにどこに薔薇を仕込んだか失念しちまうという間抜けぶり。
こいつぁ大失態と思っちゃいてももう遅ぇ。
「さぁ、捕まえたぞ」
懐探った手が蝦蟇親父にハッシとばかりに受け取られ、
あとは絡めて、持ち上げて、投げて、しっぽり、布団で、椿がポトリと落ちるまで――
走馬灯ってぇのぁ本当に頭で回るもんだなと、
味わいたくねぇことを考えちまいやす。
いよいよ年貢の納め時、これにて一巻の終わり、
ゼロの使い魔は十六巻まで刊行中、お求めのお客さんはお近くの売店へってなもんで。
643ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:13:48 ID:Q/z+Xnjd
「それじゃ、これを使って――」
あぁ、こいつぁいよいよ“男”を捨てることになるってぇのか。
いっそ刺し違えて――そうさ、“命惜しむな名を惜しめ”。骨の髄まで武人のコッチコチの頭でごぜぇやす。
あぁ、始祖さま、母上さま、父上さま、兄上さま、誰でも後は頼むってな物騒なことを叫んじまいそうになりやして、
「――私を、虐めてくれたまえ」
「――ふ、ぇ?へ?」
思わず素っ頓狂な声も出ちまいやすわ。
世に趣味人ってぇのぁ大勢おりやすし、
数少ねぇギーシュの友人も“その気”ってぇのがございやす。
しかしまぁ、この状況でそんな御仁に出会うとぁお始祖さまでも思うめぇって次第でして。
「さぁ、な、何をしているのかね!わ、私を早く、縛ってくれ!」
見りゃぁいつの間にやら上半身はだけて布団の上の蝦蟇親父、
そいつぁさながら、まな板の上鯛、陸に上がった河童、なんとも情けねぇ姿でして。
「え、あーそのー……はい……」
なんか納得いかねぇものの、拘束具で縛りにかかるクラウディア嬢。
人間ってぇのぁ不思議なもんで、
あんまりにも変なことが続くと、脳の味噌ってぇ野郎がそれ以上考えるのを嫌がっちまうてなもんだそうで。
丁度ギーシュの野郎はそんな塩梅でございやした。
「さ、さぁ、次はその鞭で!!」
「あ、え、えぇ、では――」



ちいちいぱっぱ、ちいぱっぱ!雀の学校の先生よろしくムチが飛ぶ!
それに合わせて響くオヤジの声のまぁ嬉しそうなこと!
目黒のサンマを食ったお殿さんですら、もうちっと慎ましやかでございやしたでしょうに、
このオヤジときたら、汚ぇ涎と涙ダバダバ流して喜んでやがりやす。
この水っ気のあり様が水メイジたる所以じゃぁねぇかってなことを邪推しちまいやすと、
してこの国のお姫さんは水メイジだったななどと余計な妄想に火がついて大火事になっちめぇやす。
気をしっかともって本筋へと戻りやしょう。

さてさて、ムチの振り方、女としての身の振り方が板に付いてめぇりやしたクラウディア嬢。
しかし、カマボコの野郎が板にしっかと付くのが、きっちり冷え切った後でありやすように、
そういった諸々が板に付いてきた頃合いにゃぁオツムの方にも冷えが来るもんでございやす。
「(……僕は、何を……)」
女中ってぇなぁ奉公人の格好をしながら、振る舞いは女王のごとく、
ちーっとばっかし妙な塩梅であることぁ自明のことでございやす。

ところで、お客さん方におかれやしては、即席麺、当世風に言やぁいんすたんとらぁめんってな軽食を、
どのような具合でお召し上がりになられるでございやしょうか?
あっしゃぁ専ら早めが好みでございやして。えぇ、お察しのとおり女子も若い方が――
――あぁ、こいつは話が脇道にそれやしたね。大通に戻らねぇと。
ところが世の中にゃぁ、麺の野郎がだるんだるんになるまで待つのも好きなヤツがいるそうで、
ありゃぁ絶対、女も熟れきった乳母の方が好みの――こいつぁ失敬。大通、でございやすね?
それはさておき、豪奢な寝室の扉が赤穂浪士の討ち入りより派手にぶち開けられたのは、
いんすたんとらぁめんの野郎がぶよぶよになっちまうぐれぇ正しい時期ってのを逃しておりやして。
「そこまでよ、モット伯!」
赤髪娘の凛とした声ぁ勇ましいもんでございやすが、外しちまった感じぁいなめやせん。
ってぇ次第でございやすので、
「遅いよっ!?」
てなことをクラウディア嬢ことギーシュの野郎が叫んじまうのも仕方があんめぇことにございやす。
「ちょっと迷っただけよ!」
「ご、ご無事ですか、ミスタ……あ、く、クラウディアさん!!」
とぁいえ、援軍とぁ心強ぇもの。やっと生きた心地がしてまいりやす。
644ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:14:12 ID:Q/z+Xnjd
「――これは、何ごとだ?君たち、ただのメイドでは無いな?」
生きた心地に冷や水がぶっかけられやす。流石ぁ水メイジってぇいったところでございやしょうか。
さっきまで嬌声響かせてたオヤジとは思えねぇほど、雷鳴轟くような凄みをきかせやす悪代官!
それにちょいっとばっかりひるんじまったクラウディア嬢。
「な、名のるほどの者ではないっ!!」
しかしその中身は助六真っ青の色男っ!
世の乙女を救ってみしょうぞ男道っ!
ここでひいてはなるものか!
腹はとうの昔にくくってあらぁ、寝具に足かけにらみをきかせ!
「お、お前の悪行は全てお見通しだっ!!」
声はちっとぁ震えたものの、見得切る様は悪くはなし。
おしむらくは女中の艶姿、ムチを片手の珍妙な所ぐれぇでしょうか。
「だから、何だと言うのだ?」
しかしこっちも名うての悪代官!
踏んだ修羅場は数知れず!
ゆるがねぇこと大海原のごとく!
ちっと残念なのぁ拘束具のヤツをつけっぱなしにしちまって、
足をもがれたタコ状態ってぇ所ぐれぇでしょうか。

「ぼ、僕たちを解放したまえ!さ、さもないと……」
嗚呼、男ギーシュ!決めるときぁ決める男!
寝具にかけた足に力をこめて、キッと睨むは蝦蟇親父!
何の因果か女中の姿、せめて決めるは男前に、
ぐっと肝をひきしめて、啖呵を切るは勇ましく!
「切り落とすぞ」
何を?ってな野暮なことを聞いちゃぁいけねぇですよお客さん。
ここぁ黙って男ギーシュの晴れ姿、その両の眼にしっかと焼き付けておくんなさい。

「そうね……言う通りにしないと……」
と、ここでおいでまするは、今宵の筋を描いたキュルケ嬢!
男が何だと言うものか、こちとらゲルマニアの女だと、
目にかからん燃ゆる赤髪ふりはらい、切ります見得は内なる炎!
「ねじり切っちゃうわよ」
だから何をってなことぁ聞かないでおくんなせぇよお客さん。
そいつを聞くのは野暮天もいいところでさぁ。

「え、えっと……お、お願いします、でないとそのー……」
さてさてどん尻に控えますは、悲劇の主役!
威風堂々とぁいかねぇものの、なかなか度胸がすわってるのか、
女だてらにおみ足を、振り上げ降ろすは豪奢な寝具!
「す、すりつぶしますわよ?」
あぁ、皆まで言わねぇでおくんなせぇ。何をだって聞きてぇのは山々でしょう。
しかしここぁ少しばかりご辛抱を願いやして、噺を続けさせておくんなせぇ。

「ほう――この私が『波濤のモット』と知っての所業かね?」
いやさ敵も天晴れなるかな!
三段の睨みを正面より、討って返すは大上段!
小娘ごときの脅しなど、例え手足が動かずとも、
己が気迫で押し戻す、これぞ『波濤』の心意気!
さぁさ舞台と役者が出そろって、火花散りやす寝室に、
どちらが動くか根競べ、瞬きすらもできやしねぇ!
645ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/27(金) 19:14:45 ID:Q/z+Xnjd
「……もちろんタダ、とは申しませんわ」
ここで動くは女前!
赤髪見事な情熱の、そのたわわなる胸元から、取りだしたるは紙の束。
「そ、それはっ!?」
カッと開かれるは蝦蟇親父の目ん玉。
縛られてやがる手が喉元から飛び出そうなぐれぇに紙束に食いついておりやす。
「“召喚されし書物”!?」
えぇい、控えぃ控えぃ控えぃっ!
この本を何だと心得るっ!
当地のお貴族さん達ぁその由来をご存じねぇようなんで、
この場をお借りしてご解説申し上げやす。
大本の出所ぁ遠く離れた異界の地、
地底世界はドワーフ城、その礎の下にある、開発室が奥深く、
幾人の漢が求めたか、見果てぬ聖地はエロマンガ島、
ここに控えしお宝は、その名もずばり“エッチなほん”なるぞ!
頭が高い!控えぃ控えぃ控えぃっ!
「くっ……そ、そのようなもので……」
さぁこれにたじろぐは悪代官!
お宝のあまりのご威光に、あてられ目ん玉空泳ぐ。
「――そう言ってられるのは……いつまでかしらね!」
パラパラパラっと紙の束、踊りめくれて花吹雪!
「お、おぉぉぉぉぉ!?」
あまりに秀逸なその中身、あの蝦蟇親父がチラリと目に入れただけで鼻血吹雪が地に落ちる!
「……ゴクッ……」
横目で見ただけのギーシュの野郎も唾を飲み込めば、
「……」
女中の頬が朱に染まる、なんたる威力か“エッチなほん”!
しかし赤髪娘の顔たるや、どちらが悪玉か分かりゃしねぇ!
げに恐ろしきは女かな!

「よかろう――もとより、嫌がる娘を飼うほど私は非道ではない」
顔を整えるも鼻からは、紅ぇ道がタラリと伸びておりやす蝦蟇親父。
ホッとギーシュは紛い物の胸をなでおろしやす。
「しかし、残念だな――シエスタ君はもちろんだが、クラウディア君はまさに好みだったのだがなぁ……」
締めの台詞はやはりぬめりと、湿り気こもる蝦蟇親父。
ゾクリとギーシュの背が凍りやす。
「は、ははは――」
笑いがカラカラに乾いたスルメみてぇになるのも詮方ねぇことで。



「いや〜!良かったわね、シエスタ!」
「ほ、本当に、ありがとうございました!お二人とも!」
帰りの道ぁ月灯り、照らす街道ゆるやかに、馬車がガタゴト進み行く。
「――どうしたのよ、ギーシュ?名演技だったじゃない!」
「――どうされました、ミスタ・グラモン?」
ところが釈然としてねぇのは今宵の主役、助六気取りのギーシュの野郎。
「――あの、さ」
「え、まさか、モット伯にあんた……」
「そ、そんな!?」
暗い顔にいらぬ勘違いをしちまう女二人。
「い、いやそうじゃなくて!?ていうか何もされてないっ!?何もされてないからっ!?」
流石に、そこだけは否定しねぇと、おめおめ生きていけなくなっちめぇやす。
「じゃぁ、どうしたのよ?シエスタが助かったし、万事問題ないじゃない?」
何が問題なんでぇと、訝しげな表情を作りやす赤髪娘。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 19:15:19 ID:kXkVMPjC
支援
647ゼロの黒魔道士 代理:2009/02/27(金) 19:45:15 ID:ZBC6jUuj
代理行きます。
648ゼロの黒魔道士 代理:2009/02/27(金) 19:45:55 ID:ZBC6jUuj
「……僕、必要だったか?」
足りない頭をぶん回し、やっとこさ気づいた助六気取り。
よくよく考えてみりゃ、必要だったのぁ“召喚されし書物”のみ、
それさえありゃぁ何も女中の格好はしねぇでも良かったんじゃぁねぇかと、
流石のギーシュも気づいちまったってぇ次第でございやす。
「ううん。必要無かったわよ?」
それをあっさり肯定しちまう赤髪娘!
「じ、じゃぁなんで僕がっ!?」

「――おもしろそうだったから」
げに恐ろしきは女かな!
身も蓋もあったもんじゃねぇキュルケ嬢の言葉に、うなだれる首はガックリと、
落ちる涙に月灯り、漢泣きをしたところで服は女中のものでございやす。
「み、ミスタ・グラモン!?か、かっこよかったですわよ!?」
女中の庇いもちっとばっかり的を外れておりやして、
垂れる頭が戻りやせん。

兎にも角にも、女中の危機に立ちあがる、漢ギーシュの晴れ姿、
艶姿とぁなっちまいやしたものの、
あ、これにて、一件落着とあいなりました!
助六気取りの青瓢箪の活躍は、
まず今日はこれぎりにてっ!!
--------------
というわけで、本日は以上です。
まぁ、昨日見破られた方がいたのですが(すげぇな)
ギーシュ=チョコボ頭ということで(中の人的に)。
中の人的にって言えば、ギーシュが「ザケル!」って叫んでビビが優しい王様目指すってのもありましたねそういえば。
(そうすると、「首絞めルイズ」というあだ名がつくね。同じ桃色髪だし)
まぁそれはともかく、色々声つきになってきてる昨今のゲーム界にあってこのシーンにまだ声がないってどうよってなことを思いまして、
やらかしてしまいました。めっちゃ反省してます。だが、後悔はしないっ!
というわけで、お目汚し失礼いたしました。


以上代理でした。
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 19:59:29 ID:PbxR8TIG
ビビの人乙、代理の人も乙。
7のコルネオのところと・・・エッチな本ってシリーズで出てきた気がするけどいくつだっけ、4?5?
LOVELESSは7でいいのかな、とにかくシリーズネタ満載で面白かったですw
650サイヤの使い魔:2009/02/27(金) 20:06:42 ID:rzB6Eei8
買っちゃった買っちゃったぁ、冬コミで釘宮病L型症候群のTシャツ衝動買いしちゃったぁ(笑)
でもまだ袖通してません、外で着るの恥ずかしいし、半袖だし、ピンクだし。

8時30分過ぎくらいから投下します。
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 20:16:52 ID:oLM2Jsz6
しえん
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 20:24:42 ID:eG3asmfC
ダメだコイツ…早くなんとかしないと……
支援!
653サイヤの使い魔:2009/02/27(金) 20:31:21 ID:rzB6Eei8
翌朝になっても、ルイズはふさぎ込んだままだった。
アルビオン行きの船に乗り込む段階になって、流石に心配になったのか悟空が声をかけたものの、

「大丈夫よ。でも今は一人になりたいの。お願い、ほっといて」

と取り付く島も無く、そのままルイズは一人、客室に消えていった。
無理も無い、とワルドは思った。
彼女が今一番会いたく無い相手は、自分の使い魔なのだから。



客室で独りぼっちになったルイズは、ベッドの上で両膝を抱えた体制で座り、頭を膝に押し付けるようにしていた。
――メイジの実力を見るには使い魔を見ろ。
その言葉が、今のルイズに重くのしかかっていた。
いや、召喚したその日からうすうす感じてはいたのだ。
半狂乱になったタバサの、手加減無しの魔法を何度その身に受けても怪我一つ負わず、ギーシュのワルキューレが繰り出す攻撃にも耐える頑強な身体。
メイジではないが、そこらのメイジにも引けを取らない数々の特殊能力。
天然なんだか器が大きいのか、どんな境遇でも「ま、いいか」の一言で済ます素直で純粋な性格。
決定的だったのは、一昨日のワルドとの試合だ。
あの魔法衛士隊の隊長であるワルドをも(片手間で!)あしらった上、たったの一撃で気絶させてしまったのだ。
そんな凄い使い魔を召喚した自分はといえばどうだろう。
ゴクウが来てからというもの、目に見えて成長したとは思えない。相変わらずコモン・マジックすらも満足に唱えられてはいない。
学園生活が多少楽しくはなったが、それは考えを改めただけの単なる逃げだ。
自分も成長した。それをこの手で実感したい。そのために、アンリエッタの頼みも殆ど二つ返事で引き受けたのだ。
困難極まりない危険な任務だが、だからこそ、この任務を達成すれば、使い魔の実力に見合ったメイジだと言えるのではないか。
使い魔に対しての負い目が、じわじわと彼女の精神を侵食し始めていた。



そんなルイズの心境を知ってか知らずか、悟空は出港してからというもの船内には入ろうとせず、甲板の上で眼下に流れる風景をもの珍しそうに眺めたり、甲板の一角に係留されているワルドのグリフォンやシルフィードと仲良くじゃれあったりしている。
自分で飛ぶ時は基本的に目的地の方角しか見ないので、こうやってのんびり景色を楽しむのは意外と面白かった。
食堂で昼食を食べ終え、船長からラウンジに招待されたワルドたちが見た時は、器用にも船と相対速度を保ちつつ、甲板から数メイル離れた上空に佇んでいた。
昼食の後は皆と行動を共にしていたルイズもそれを見たが、すぐに浮かない顔で視線を逸らしてしまった。

「……では、戦況は芳しくないと?」
「はい。伝聞では、現在王軍はニューカッスル付近に陣を配置し、もはや篭城戦寸前です。
 補給路を断たれてしまえば、陥落も時間の問題だとか」

船長から最新のアルビオン情勢を聞いたワルドは、船長の意見に意を唱えそうになった。
篭城は恐らく、囮だ。
あの王子のことだ。地上の補給路を断てば陥落する、そう思わせておいて、何らかの対抗策を講じてくるだろう。
追い詰められた鼠は手強い。必ずや一矢酬いてくるはずだ。
その時、自分はどっちの立場にいるのだろう。
レコン・キスタは、ワルドにとって聖地へ行くための足がかりでしかない。
アルビオンを討ち滅ぼし、ハルケギニアを統一し、最終的には聖地をも手に入れんとする。
その時になって初めて、ワルドの計画はやっと実行の第一プロセスを踏み出すのだ。
それに比べ、現状はどうだろう。
このままレコン・キスタに留まれば、遅かれ早かれ、いずれワルドはルイズ達と表立って敵対することになる。
彼女の傍らにはあの使い魔がいることは明白だ。彼らがアルビオン側に組すれば、戦力が飛躍的に上がる。
そして今のワルドに彼を倒すことは、まず不可能だ。
ルイズとあの使い魔だけでも何とかしてレコン・キスタに引き入れてしまうか。
それとも、いっそルイズ達に同行して、王軍の手助けをするべきか。聖地へ行くのはその後でもいい。
ガリアの後ろ盾があるとはいえ、組織単体で見ればあくまでも利害の一致で集まった烏合の衆でしかない前者に比べ、後者はうまくすればアルビオンとトリステインという二大国家を背後に持つ事になる。
この先起こるであろう戦争を上手く切り抜ければ、聖地へ行ける可能性としては後者の方が高いかもしれない。
654サイヤの使い魔:2009/02/27(金) 20:33:30 ID:rzB6Eei8
ワルドの考えは、ラウンジの上に設けられた鐘楼に上っていた見張りの船員があげた大声に中断された。

「右舷上方の雲中より、船が接近してきます!」

船外にいた悟空も、船員の言った方角は理解できなかったが、確かに近づいてくる複数の気を感じていた。
ワルドが観察窓から外の様子を伺うと、タールで黒く船体を塗装し、舷側から砲門を剥き出しにした、どうみても客船とは思えない船が接近してきていた。
アルビオンの貴族派だろうと判断した船長が、見張り員に手旗信号で敵ではない旨を伝えさせたが、応答が無い。
副長の「あの船は旗を掲げておりません!」という報告を聞いて初めて、二人は相手が空賊だとわかった。
それまで余裕のあった船長の顔がみるみる青ざめた。

「逃げろ! 取り舵いっぱい!」

船長は船を遠ざける指示を出した。
戦うなどと言う選択肢は初めから用意していなかった。
相手は片舷側に二十数門も大砲を並べた戦闘用の船、対してこちらは船体の大きさこそ同等だが、武装など皆無に近い客船。
いや、実際には客船ではない。
アルビオン近辺に出没する空賊の狙いは貴金属の類ではなく、燃料や積荷、食料といった、戦闘継続に不可欠なものばかりだと言う噂だ。
昨今、空賊の襲撃を避けるために、老朽化した客船や医療船に若干の改造を加え、輸送船や商船としてアルビオン-ラ・ロシェール間を行き来するのが、船乗り達の間で慣習になっていた。
ダウンしていたワルドの代わりにキュルケたちが調達してきたこの船も、その類のものだ。
場合によっては、より客船らしく装うためにこうして少数の客人を乗せたりはするものの、客室の殆どは倉庫に改造されている。
武装が全くと言っていいほど無くなるというデメリットはあるが、改造してしまえば積載量に大した違いは無く、襲撃される危険性も以前よりは減っていた。
外にいた悟空は、眼下の船が急に進路を変えたのを見て、遅れまいと甲板へ降下しはじめた。その時、黒船から一発の砲弾が船の針路めがけて発射され、同時に黒船の中で何者かの気が上がるのを感じた。
悟空が振り返ると同時に、たちまち彼の視界が白一色に染まる。
誰かが系統魔法を唱えたのだ、と気付いた時には、既に悟空は意識を失っていた。
大砲の轟音と、次いで甲板から聞こえたドサッと言う音に再び外の様子を伺ったルイズは、自身の使い魔が甲板に倒れているのをみて悲鳴を上げた。

「ゴクウ!!」

それまでのふさぎ込んだ様子からは一転、取り乱し半狂乱になって甲板に出ようとするルイズをワルドは必死に抑えた。

「いやあぁぁぁぁ!!! ゴクウ!! ゴクウ――!!!!」
「ルイズ! 落ち着くんだ! ルイズ!!」
「ゴクウがあ! ゴクウが撃たれたぁ――!!」
「撃たれてない! 眠ってるだけだ!! 僕を信じろ!!」
「ほ…ほんと?」

ルイズは暴れるのをやめた。
ワルドは自身のグリフォンを指差して見せた。ルイズがその方向を見ると、確かにグリフォンは甲板に寝そべり、穏やかな寝息を立てている。シルフィードも同様だった。

「空に浮いていたので、メイジと間違えられたんだろう。落ちる寸前、彼の顔に青白い雲がまとわりつくのを見た。僕のグリフォンもそうだ。あれは眠りの雲だ」

眠りの雲。
水系統のラインスペルである。

「それじゃあ……」
「相手にメイジがいるようだな」

どすんと音を立て、甲板に空賊たちが降り立った。数は8人。その中に、派手な格好の一人の空賊がいた。
赤銅色に日焼けした逞しい胸板を薄汚れたシャツで覆い、縮れた黒髪と伸びた無精ひげがいかにも荒くれ者という雰囲気をかもし出している。
唯一、その左目に掛けられた緑色のレンズをした奇妙な形の片眼鏡が異彩を放っていた。
恐らくあれが頭だろう。

「な、何とかできないものでしょうか」船長がワルドにすがる。
「乗り込まれる前なら落とすことも出来ただろうが、今となってはどうにもできんな。下手に戦えば、他の乗客の命をも危険にさらしかねない。
 それに、そもそもこの船が戦闘に耐えられないだろう」

船長がこの船の秘密をワルドに打ち明けようとした瞬間、甲板のど真ん中に立った頭が大声を張り上げた。

「船長はどこでえ。出てきやがれ」
655サイヤの使い魔:2009/02/27(金) 20:34:48 ID:rzB6Eei8
「ご指名だぞ」

ワルドに促され、震えながらも椅子から立ち上がった船長は、服の裾を両手で引っ張って形を整えるとラウンジのドアを開け、甲板に歩いていった。
頭は大またで船長に近づき、顔をぴたぴたと抜いた曲刀で叩いた。

「船の名前と艦隊登録番号、それと積荷は?」
「トリステインの<ドレーク>。艦隊登録番号も積荷も無い。見ての通り、この船は客船だ」
「ん〜? 間違ったかな?」

頭は曲刀を持ってない方の拳を顎に当てて捻ると(ぼきっという音がした)、傍らに立っていた目出し帽を被った部下を呼んだ。

「ジョニー!」
「へい!」
「この船の名前と、積荷は?」

ジョニーと呼ばれた男は手に持った台帳を一瞥し、答えた。

「トリステインの<ドレーク>、艦隊登録番号NCC-70956。アンドロメダ級の輸送船で、積荷は硫黄とありますぜ」
「だ、そうだ。生憎だが、おめえらの偽装なんざハナッからお見通しなんだよ」

船長は驚きと屈辱に歯を噛み締めた。
軍艦には運行スケジュールや空中接舷の都合上、当然偽装した輸送船の情報も載せられている。
それがこうして襲撃され、あまつさえ艦隊登録番号まで知られているということは、この空賊、商船のみならず何処かでトリステインの軍艦を拿捕したに違いない。
船長の反応に満足した頭はにやっと笑うと、船長の帽子を取り上げ、自分が被った。

「船ごと全部買った。料金はてめえらの命だ。スコッティ!」
「へい!」白髪交じりの、恰幅のいい空賊が一歩進み出た。
「こいつら徴集して――」頭は船長を顎でしゃくった。「――この船を引っ張ってく準備をさせろ」
「わかりやした。でも、引っ張って行くとなると、その分余計に風石を消費することになるんで、曳航の準備と航路の計算のために2時間ばかし貰えますかね」
「30分でやれ」

今や単なる労働力扱いになってしまった船長が屈辱で震える。
それから頭は、数人の手下を従えて船長が出てきたラウンジの中へと入っていくと、中にワルドやルイズたちがいるのに気付いた。

「おや、貴族の客まで乗せてるのか」

それから、キュルケやフーケ――やけに静かだと思ったら、食堂から持ってきたエールの大瓶を抱いて眠りこけていた――を見ると口笛を吹いた。

「別嬪ぞろいだな。おめえら、俺の船に来いや。暫くの間いい暮らしをさせてやるぜ」

手下たちが下品な笑い声をあげた。その目に映る好色そうな雰囲気から、「いい」というのが彼女達に対して向けられたものではないとわかる。
頭が「どうだ? 悪い取引じゃねえだろ」と言いながらルイズの顎に手を伸ばしてきた。
ルイズはその手をピシャリとはねつけると、燃えるような怒りを込めて、男を睨みつける。悟空を甲板に落とされたこともあって、ルイズの怒りは頂点に達していた。

「下がりなさい……下郎」

押し殺した声で、淡々とした調子で言葉をつむぐ。
その様子から、ルイズの怒りが本気であることが長年の付き合いであるキュルケにはわかっていた。

「こいつぁ驚いた! 下郎ときたもんだ!!」

頭がよく響く大声で爆笑した。
それまで我関せずといった姿勢で、部屋の隅で静かに本を読んでいたタバサが、いい加減煩くなってきたのか杖を構えようとしたが、ワルドに止められた。

「ルイズの使い魔がまだ外だ。どうにかして彼を起こしてから、体制を整えて一気に反撃に出よう」

タバサはうなずくと、再び本に目を落とした。

「ジョニー!」
「へい!」
656サイヤの使い魔:2009/02/27(金) 20:36:20 ID:rzB6Eei8
「こいつらをどこか一部屋にまとめとけ。後で身代金をたっぷり頂くんだ」
「わかりやした!」ジョニーが頭に代わってワルドたちの前に立った。「よし、てめえら男女男女で交互に並べ!」

ワルドたちは言われた通り、ワルド、ルイズ、ギーシュ、キュルケ、タバサ、フーケの順に並んだ。
ひとりずつ数えていたジョニーがあることに気付く。

「頭!」
「何だ!」
「女が若干男より多いです!」
「そうか、だったら女男女女男女だ!」
「女男女女女男ですね!」
「違うわ!」頭が吼えた。「よく聞けぃ!こーやって並べ!!」

男女男女と言い合いを始めた空賊たちに、半ばあきれ返ったワルドが提案する。

「あー、君たち、外に倒れている僕たちの仲間を加えればちょうど女男女男女男女になるんじゃないのかね?」
「おお! おめえ頭いいな!!」
「採用!!」

ワルドはため息をついた。いろんな意味で。



ワルドたちは、空賊船の船倉に揃って閉じ込められた。<ハサウェイ>のクルーたちは、自分たちのものだった船の曳航を手伝わされているらしい。
周りには、酒樽やら穀物の詰まった袋やら、火薬樽が雑然と置かれ、部屋の隅には砲弾がうず高く積み上げられている。
杖もデルフリンガーも賊に取り上げられてしまった。その上、扉1枚隔てた向こうには先ほどのジョニーとか言う空賊が見張りについている。
したがって、ここを力づくで出ることは不可能だ。
寝ている悟空が起きない限りは。
眠りの雲は一般的な系統魔法同様、基本的に術者が解除するか、さもなくば意識を失うようなことがなければ解除されない。
せめて賊のうち誰がこの魔法を唱えたメイジなのかがわかれば、何とか説得して術を解除させることくらいはできるかもしれないのだが、とにかく今はやれるだけのことをやるしかない。
ルイズは眠っていると言うよりも死んでいると言った方がよさそうなくらい、静かに寝息を立てている悟空を起こそうとあれこれ試行錯誤していた。

肩を揺らす(ルイズの提案)――反応なし。ならばと髪を引っ張って頭を少し浮かせ、手を離して床に落とすも結果は変わらず。
耳に水を入れる(タバサの提案)――反応なし。「寝耳に水はガセビア…」とタバサが残念そうに呟いた。
くすぐる(ギーシュの提案)――反応なし。傍で見ていたタバサのほうがむず痒そうに身体をくねらせ始めたので、いたたまれなくなって中断。
お姫様のキス(キュルケの提案)――ルイズ(と何故かタバサ)が全力で却下。
鼻をつまむ(フーケの提案)――1分以上経過したところで「殺す気かこの酔っ払い!」とルイズの蹴りが入り、中断。
どてっ腹に一発(ワルドの提案)――ワルドの手首が捻挫した。
それならバックから一発(ルイズの提案2)――ルイズと悟空以外の全員から「自重しろ」と却下。「軽い冗談なのに……」とルイズがブンむくれた。

タバサがワルドの手首を治療していると、扉が開き、頭からジョニーと呼ばれていた男がスープの入った皿を持ってやってきた。
扉の近くにいたルイズが受け取ろうとしたとき、ジョニーはその皿をひょいと持ち上げた。

「質問に答えてからだ」
「言ってみなさい」
「お前たち、アルビオンに何の用だ?」
「旅行よ」ルイズは腰に手を当て、毅然とした声で言った。
「トリステイン貴族が? 雁首そろえて? 今時のアルビオンへ?
 いったい、何を見物するつもりだい?」
「そんなこと、あなたに言う必要はないわ」
「強がるじゃねえか。だけど嫌いじゃねえな、そういうの」

ジョニーは笑うと、皿と水の入ったコップを寄越した。
タバサがひょいと顔を持ち上げ、ジョニーに訊いた。

「いま何時?」
「あ? ちょっと待て」ジョニーは船倉から顔だけ外に出し、廊下の突き当たりに掛けられた時計を見た。「2時49分だ」
「ありがとう」
657サイヤの使い魔:2009/02/27(金) 20:38:13 ID:rzB6Eei8
ジョニーが船倉から出ると、キュルケが訊いた。

「タバサ、時間が気になるの?」
「もうすぐ3時」
「3時に何かあるの?」
「シルフィードのご飯の時間」

その途端、床の上で死んだように眠り続けていた悟空が跳ね起きた。

「メシ!?」

全員が唖然とした様子で悟空を見た。ルイズに至っては、危うく皿を落としそうになった。
食い物への執着、おそるべしである。

「メシは? メシは何処だ?」
「あ……はいこれ」

とりあえずルイズがスープの入った皿を寄越すと、悟空はそれを2口で飲み干した。
いつもと変わらぬその様子を見て安心したのか、ルイズは気が抜けたようにへなへなとその場にへたり込み、「ほぁ」と息をついた。

「ぷはーっ、うめえ! おかわり!」
「もう無いわよ〜」キュルケが言った。
「えーっ、オラ、あんなんじゃ全然足んねえぞ」
「あんらねぇ、自分が今何処にいるかわあってるう?」

どれほど飲んだのか、呂律の回っていないフーケに言われ、悟空は改めて周囲をキョロキョロと見回した。

「あれ、そういやオラさっきまで船の上にいたはずなんだけどな……。ここ何処だ?」
「それはもう2時間も前の話よ。私達は空賊に捕まったの」
「空賊? …もしかしてさっきの黒い船か?」
「ええそうよ」
「ふーん……。何で逃げなかったんだ?」
「君が! 寝ちゃってたから! みんなで起こそうとずっと頑張ってたんじゃないか!!」
「そ、そうなんか……。わりい」

珍しくルイズの代わりにギーシュが怒鳴り始め、よりによってギーシュに怒られたことで、流石に悟空も事態がただ事ではないと感じ始めていた。
場の空気を和ませようと、キュルケが髪をかき上げて言った。

「まあ、ともかくこれでゴクウも起きてくれたことだし、早くここを脱出しようじゃない」
「そうだな。というわけでゴクウ、宜しく」
「ん? 何を?」
「あの扉をブチ破って、見張りを片付けてくれ。自慢じゃないが、僕達メイジは杖を取り上げられると何もできないんでね」
「あ、そういやデルフは…」

悟空は右肩の後ろ、剣があるべき場所を手探りしたが、そこには何も無かった。

「…デルフも取られちまったんか。よし、じゃ、やっか。でもその前に…」
「?」

悟空は扉の前に立つと、扉をガンガンとノックした。
すぐさま、ジョニーの怒鳴り声が聞こえてきた。

『うるさいぞ! 何をしている!』
「すんませーん、おかわりくださーい」

ギーシュがずっこけた。

「何をやってるんだ君は!? 賊を相手におかわり要求してどーする!」
658サイヤの使い魔:2009/02/27(金) 20:40:08 ID:rzB6Eei8
「いや、メシ食ってからでもいいかなと思って」

扉の向こうにいるジョニーが答えた。

『おかわりだぁ? ……しょうがない奴だな、ちょっと待ってろ』

悟空を除く全員がずっこけた。

「そ…揃いも揃ってバカばっかだわ……」
『へいっきしゅ!!』

倒れたままのキュルケがうんざりした口調で呟くと、絶妙のタイミングで扉の向こうからジョニーのくしゃみが聞こえてきた。
直後ジョニーが悲鳴を上げ、悟空たちは何事かと扉に耳を押し当てた。

『は…腹がぁ……』
「腹?」
『もぉ……漏れるぅ〜!!』

ジョニーが情けない悲鳴を漏らしたかと思うと、どたどたと廊下を走り抜ける音が聞こえ、何処かの扉が開閉される音を最後に、物音がしなくなった。

「……………何かしらね…?」

キュルケの問いにワルドが答えた。

「トイレに…駆け込んだようだな」
「もしかして…脱出のチャンスってことかしら」
「そうみてえだな。近くには誰の気も感じねえ」
「ダーリン、やっちゃって。ご飯はその後よ」
「わかった」

再度キュルケに促され、悟空は無造作にドアノブを引っ張った。木製の扉は脆く、鍵もろとも取っ手が外れ、乾いた金属音を立てて船倉内に転がった。
悟空が静かに扉を開けると、通路の奥、曲がり角の向こうから、ジョニーの『出る☆』という声が聞こえてきた。
本当にトイレに駆け込んだらしい。

「それで、どうすんだ?」
「賊の頭をひっ捕らえよう。まずは僕達の杖を取り戻す」
『出るぅ!』
「頭が都合よく持ってるかしらね?」
「持ってないにせよ、人質にすれば手下どもを脅して交換材料にできる」
「何処にいるのかしら? ダーリン、頭が何処にいるか、キってやつでわかる?」
『まだ出る〜!!』
「何人かの気は感じるけどよ、そのカシラって奴がどいつなのかわかんねえ。オラ、顔は見てねえしよ」
「ああ、そうなの……」
「見つからないように、手当たり次第当たってみるしかなさそうだね。幸い、ゴクウがいるおかげで相手の位置は把握できるわけだし」
『フオッ!?』
「だが、この人数は目立つぞ」ワルドが言った。「ここは少数精鋭で行こう」
「だったら、ダーリンと子爵さまでいいんじゃない?」
「キュルケたちはいいのか?」
『こ…こんなものが……』
「あたしはそういうの面倒だし苦手だし、タバサは本読んでるし、ギーシュは薔薇の匂いで嫌でも気付かれるし、酔っ払いのおばさんは酒臭いし」
「だぁ〜れがおばひゃんよ! あらひはまら23よ!」
「あ……わ、わたしも…」

さっきまで元気だったのに、悟空が起きてからというもの、ずっと黙りこくったままだったルイズが、悟空の目をおどおどと見つめながら言った。

『新記録だ……』
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 20:40:43 ID:JsneNbf5
出張先から支援
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 20:42:18 ID:af2HWCiv
>>658
ジョニー自重www
支援
661サイヤの使い魔:2009/02/27(金) 20:42:23 ID:rzB6Eei8
「いや、多分オラとワルドだけで大丈夫だ。危ないからおめえはみんなと一緒に待っててくれ」
「え……そ、そう…………」
『流せるのか……これ……?』

てっきり駄々をこねるものだと思っていたキュルケは、ルイズがあっさり引き下がったのを見て目を丸くした。
通路の向こうから、便器に水を流す音と、ジョニーが嘆息を漏らす『クソぉ〜……』という声が聞こえてきた。

「やっこさんも戻ってくるようだな。では行くとしよう」
「ああ」

再び水を流す音に紛れるように、ルイズたちは再び船倉に戻って扉を――取っ手と鍵はギーシュが急遽こしらえた――そっと閉め、それを確認したワルドと悟空は駆け出した。
662サイヤの使い魔:2009/02/27(金) 20:43:27 ID:rzB6Eei8
以上、投下完了。今回は挿絵なし。
悟空たちZ戦士は状態異常系の攻撃には弱いのです。心臓病とか催眠スプレーとかよいこ眠々拳とか。

今更ですが、他のDBキャラが召喚されたSSとかを片っ端から読んでみました。

>「俺の知り合いに悟空というやつがいてな、そいつは働かない上に、メシは人の十倍以上食べる」
>「最悪、そいつ召喚しなくてよかったわ…。ってかアンタの世界って、そんなやつばっかなの?」

あははははorz
頑張ろう
せめて最後まで書ききろう
去年の冬コミにて2年に渡って描き続けてきたシリーズものがひとまず完結したから、今後は多少ペースアップできるかもです。
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 20:47:55 ID:czfwDTNy
ドラゴンボールのキャラを壊し、ゼロ魔の世界を台無しにする駄作ですね
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 20:51:09 ID:6a15auw/
>それならバックから一発(ルイズの提案2)
完全に腐ってるじゃねーか
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 20:59:32 ID:P6go05JW
>>662
それ長所を上げず短所だけ並べて一方を貶める最悪ssの典型だから気にしてはいけない

せめて持ち上げるだけ持ち上げての落ちとしてなら許容できるかも?しれないけど……
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 21:08:37 ID:xhdmF1La
ナメック星人の最長老様でも召喚して潜在能力を開放してもらえば、ルイズも自分の使い魔に劣等感とか抱かなくてすむのにね。
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 21:11:08 ID:hqMi3YSV
>>662
それは別にあなたのSSを侮辱しているわけではないと思います。

というかDBファンの悟空の評価ってそういうのが多いですし。
それでも悟空が好きという人はたくさんいます。
これは同じ作品から別のキャラが喚ばれたときによくあるようなことだと思って
気にしないのが一番だと思います。
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 21:16:53 ID:P6TCNAMg
何でもそうだが、ただ単に駄目な所を並べ立てたらそれが良くなるか……と言うと全然違う。
逆に駄目な所を直そうとしたらもっと駄目になったって例もあるし。
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 21:19:08 ID:U5A3iUev
ちょっと待て話が変わってきてる気がするぞ
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 21:39:41 ID:9qk8UI2T
よい子眠々拳とアクマイト光線(例外的に通用しない相手あり)はDB最強の技。
ルイズが悟空に劣等感を打ち明ければしっかり(武道家としての)稽古をつけてくれると思う。
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 21:47:52 ID:tYl7rc6V
ウホッ!サイヤの人来てた!
このワルドは少しお利口さんなんだな。以外と、この後悟空を苦戦させるかも。
なんにせよ続きが楽しみですwGJ!!
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 22:00:04 ID:/SZez2yA
ジョニー……どこの平行世界でも下がる柊蓮司みたいな奴だな……
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 22:20:39 ID:kbH4+SeH
そーいや悟空や久保やユーゼスのような規格外使い魔なら、別段レコンキスタやルイズの虚無に拘わらんでも
「頼む、整地に連れていってくれ!」
で済むと思うんだが
意外に使い魔に取り入るワルド少ないなあ
理想郷のイスカンダル召喚くらいかなあ
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 22:22:27 ID:9Ww8J54g
ユーゼスは連れてってやる義理はないとか言いそう
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 22:24:36 ID:DrlXFNVb
ジョニーよりもスタートレックネタが目に付いたよ。
GJ!
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 22:26:31 ID:af2HWCiv
>>673
それは盲点だった。そうだよな。悟空だったら舞空術使えるしエルフが何百人束になっても
勝てない位強いし、頼めば二つ返事で連れて行ってくれそうだ。
「お礼に腹いっぱいメシを食べさせてやる」とか言えばもっと確実かな。
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 22:32:36 ID:N0xcyvEE
そこはトリステイン貴族のワルドですから
平民にものを頼むなど思いつきもしないのでは。
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 22:34:10 ID:/Tb7aL0W
>>673
単純に一般人が考えるエルフがチート並の強さと考えてるなら
いくら強かろうがそう簡単に使い魔>エルフと考えれないんじゃないかな
例えば自分より強いボクサーがいるとしても米軍にはかなわないだろうって感じに
それに飛ぶぐらいなら普通にメイジも出来るわけだし・・・
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 22:54:38 ID:kbH4+SeH
まあ、原作で聖地やエルフ領内の実態が描かれてないから、うかつに描写できないっつうのが主な理由なんだろうが
聖地の状態まで踏み込んだ作品…提督、るるる、久保…う〜む
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 22:58:47 ID:NaqV+4Ff
亀レスですが、DMC3乙です
DMC4から素敵にゲスト参戦
何気にダンテも台詞だけ登場ww

しかし、ベオウルフがあるのにギルガメス?
しかもカエルとなると、パンドラかと思ったのですが;
と、思ってしまった浅ましい自分
681ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:12:34 ID:7gZdVZG0
ビビの方、サイヤの方乙です。
ギーシュの女装はクラウド思い出しました。
3話「三人と吸血鬼退治」前編
投下予告させていただきます。
23時20分を予定しております。
よろしくお願いします。
682ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:20:29 ID:7gZdVZG0
ゼロの騎士団 PART2 幻魔皇帝 クロムウェル 3 「三人と吸血鬼退治」前編

使い魔品評会の夜 タバサの部屋
タバサが手紙を受け取り、それを読んだ時から、ゼータは主の異変を感じ取っていた。
「これから用がある」
部屋にいたタバサが、突然本を閉じた。そして、彼女は杖を取り、使い古されたローブを取り出す。
そのローブはゼータから見ても使いなれている物であり、貴族の娘であるタバサからは考えられない代物であった。
「それは、受け取った手紙が関係しているのか?」
ゼータはそれを見て、主の様子が変わったのが関係しているのかと感じた。
彼女はただコクリと首を縦に振り、ゼータを見つめる。
「あなたにも、来てほしい」
珍しくタバサがゼータに頼みごとをする。その顔には緊張した様子が見て取れる。
付き合ってから、一か月近くになるが彼女がこの様な表情をするのはモット邸以来の事であった。
(何かあるな……)
ゼータはその顔を見ながらただ事では無いと感じた。危険な事かも知れない。
しかし、ゼータはタバサを守る気でいるので、それを断る気など毛頭も無かった。
タバサにしても、ゼータを今回の任務に連れていくのは最初から頭の内に有った。
「わかった、デルフ行くぞ!」
「おう、相棒!気合入っているな」
ゼータに持たれてデルフも気合の入った返事を返す。実践はこの間のレース以来であるが、
日ごろの訓練と、デルフの手入れはいつも欠かさず行っていた。
その様子をうかがい、タバサが自室の窓を開ける。
「ここから出る。誰にも気づかれたくない」
明かりを消して、窓から周囲を確認した後に小声で呟きながら窓から外に降りた。
(こんな行動を取るとは、ますますただ事ではないな)
それを見ながら、ゼータは事態がただ事では無いと感じた。
二人は地面に降りながら、学院を後にした。
683ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:21:03 ID:7gZdVZG0
学院を抜け出た二人は、近くの森に来ていた。
「どうして森なのだ?馬を借りるんじゃないのか?」
夜と言う事もあり、厩舎があいているかは解らない。
しかし、町に行くのならやはり馬が必要だろうとゼータは感じた。
「彼女を呼ぶ……」
タバサが、それだけ言いながら口笛を吹く。数十秒後途端に森がざわめきだした。
何かと思いゼータが上を見上げると、上空から彼女の友人である。風竜のシルフィードが降下してきた。
シルフィードは降りて来るなり、嬉しそうにタバサにすり寄る。
「きゅい、お姉さま任務なのね、シルフィードはこの時を待ってたのね、
お姉さまったら最近はあの青トンガリと一緒だったからシルフィード嬉しいの……」
そこまで言いかけて、その青トンガリがシルフィードの視界に入った。
「お姉さま、何なのね、何であの青トンガリがここにいるのね!」
シルフィードが鳴きながら、タバサに抗議する。
シルフィードにとって任務とは過酷だがタバサと一緒にいる時間だけであり、
目の前の青トンガリが居る事は論外であった。
「今回の任務に連れていく。」
そう言って、タバサはシルフィードに飛び乗る。
「いやなのね、そんな青トンガリ乗せたらシルフィードの体鉄臭くなっちゃうのね、
キレイな体じゃいられないのね、汚されちゃうのね」
本人を前にして、暴言を通り越した言葉を浴びせかけながら、ゼータを翼で拒絶の意思を表す。
シルフィードとしては唯でさえ、ゼータと居るのが嫌なのに、
更に自分達の任務に連れていくと言う事が信じられなかった。
「シルフィード、君はどうして、私の事が嫌いなのだ?」
気付いていないが、ゼータのタバサの騎士と言う態度が気にいらないのであるが、
ゼータは自分が騎士なので当然と考えており、ゼータにはシルフィードに嫌われる理由が見当つかなかった
「うるさいのね、だいたい、その青トンガリは剣が少し使えるだけなのね、私の3分の1も使えないのね」
「……うるさい」
シルフィードが羽をはばたかせて、胸を張る。しかし、タバサが持っている杖で頭をはたく。
「きゅい、痛いのね……わかりました。仕方なく乗せてやるのね、仕方なく」
嫌なことを強調して、どうにかシルフィードの同意を得る。
(困ったな、もう少し好意的になってほしいものだ……)
自身の心の中で、呟きながらゼータは、シルフィードの背中に乗る。
「プチ・トロアへ………」
タバサはそれだけ言い、シルフィードは了解して大空に舞う。
二人は夜空にまぎれて、目的地に飛んだ。
684ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:21:49 ID:7gZdVZG0
二人を乗せたまま、十数時間後、日も明ける頃にタバサの目的地である。ヴェルサルテイル宮殿の上空にたどり着いた。
「あなた達は、ここで待っていて」
中庭に降り立った後、二人に待機を命じタバサは、プチ・トロアへと入っていく。
(すごいものだな、これでも離宮と言うわけか……)
タバサの向う建物よりも、さらに大きな建物を見つけ、そこが離宮である事と気づく。
ゼータはトリステインの王都に勝るとも劣らない宮殿を見ながら、タバサの後ろ姿を見送った。

「イザベラ様、シャルロット様が参られました。」
イザベラの一番近くにいる家臣がタバサの到着を告げる。
一番上の席にはイザベラが座り、メイドや家臣等がその脇に連なる。
しかし、その様子は暖かさとは程遠く、生贄を見送る村人の様な空気であった。
「あんなのはガーゴイルでいいんだよ!……よく来たね、ガーゴイル」
タバサの顔を見るなり、イザベラが歪んだ笑みで迎える。
自身が下す任務の内容を知っているだけに、早く彼女のおびえる顔が見たかった。
しかし、彼女の顔はあだ名のガーゴイルの様にいつもの無表情であった。
イザベラにはそれが気に食わなかったが、どうせ、強がりだろうと感じ、不満そうな表情をまた笑顔に戻す。
「人形七号、お前を信頼して今回は重大な任務を与えてあげるわ!なんと、吸血鬼退治よ!」
手に持った、扇でタバサを指しながらイザベラが嬉しそうに告げる。
その様子を見ながら、家臣達が暗い顔を更に暗くする。
しかし、タバサの表情はそれでも変わる事は無かった。
それは、イザベラにとっては不愉快の一言で有り、更に威嚇しようとする。
「お前、解っているの?吸血鬼よ!既に三人もの騎士がやられているのよ!」
近寄り、首筋に扇を当てて、首を切るサインを示すが、それでもタバサは表情を崩さなかった。
タバサの反応が変わらないのが悔しいのか、イザベラは舌打ちする。
「ちっ!任務から逃げる事は出来ないよ」
任務を遂行する重要性を繰り返し、イザベラは首で行けと指示を出す。
頷き、タバサが出ていく。その様子を、不満そうなイザベラと、暗い顔の家臣達が見送っていた。
685ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:22:27 ID:7gZdVZG0
タバサが二人の所に戻ってきた後、直に、大空に戻っていた。
「今回の任務は吸血鬼退治、付近に着いたら説明する」
場所を指示した後、それだけを言いながら、タバサは読書を再開する。
それを聞いて、三人がそれぞれ違う反応を示す。
「吸血鬼……何だ、それは?」
ゼータは言葉の意味が理解できなかった。
「きゅい、吸血鬼!大変なのね!お姉さま、なんでそんなに冷静なのね」
シルフィードは事の重要性を理解しているらしく。冷静なタバサに驚きの声をかける。
「吸血鬼か、おもしれぇ!相棒、いっちょ派手に行こうぜ」
それとは反対に、鞘を鳴らしながらデルフが好戦的な反応を示す。
(吸血鬼とは何なのだ?)
「デルフ、吸血鬼とは何なのだ?教えてくれ」
「何にも知らない奴なのね、吸血鬼は最悪な奴なのね、狡賢くて、先住魔法を使うのね血を吸った相手をグールにして操った入りするのね」
ゼータの無知を罵倒しながら、シルフィードが自身の知識で応える。
「なるほど、確かに厄介な相手だな、デルフ、気を引き締めていくぞ」
「問題ねぇよ、俺と相棒なら一捻りさ」
シルフィードの説明を聞いたゼータが警戒を強めるが、
自身の相棒に自信があるのかデルフは強気な態度を崩さない。その様子を見ながら、シルフィードは呆れる。
「きゅい、馬鹿なのね、こいつら真性の馬鹿なのね」
本来、最悪の相手であるはずの吸血鬼を聞いても二人の反応は非常識と言える物であり、シルフィードはこいつ等を連れて来た事に後悔していた。
「うるせぇ、トカゲ野郎!いい加減にしないと刺身にするぞ」
「うるさいのね、ナマクラの癖に韻竜のシルフィードに喧嘩売るとはいい度胸なのね」
「韻竜だか、天龍だか知らねえぇが、こっちは使い手探して6000年近く生きているんだぞ」
剣と竜がお互いを罵り合い、空の上が騒がしくなる。
(そうだ、使い手とは何なのだろう……)
ふと気付き、ゼータが尋ねる。
「デルフ、使い手とはなんなんだ?」
「使い手とは、「使い手」なんだがよ、使い魔には契約するとルーンが刻まれる相棒の手にもあるだろう?」
そう言われて、ゼータは右手を見る。その手には読めないが烈空と言う文字が刻まれている。
「ルーンは何かしらの効果を与える。
そして、使い手のルーンを持つ物が持てば俺はそれを分かる事が出来る。ちなみに、相棒は使い手じゃねぇ」
デルフが、ゼータを使い手では無い事を断言する。
「じゃあこのルーンは何の効果か分かるか?」
「それが、さっぱりわからねぇ、俺も初めて見るルーンだし、何よりそれは意図的に封印されている気がするぜ!」
「封印?」
「本来、ルーンは力を与えるけれど、そいつは何かを隠しているみたいだぜ、相棒は俺を握っている時に何か感じた事はないのか?」
「いや、特にないぞ」
ゼータは既に何度もデルフを握っているが、特に変わった事はない。
「それじゃあ、いざって時が来れば、凄い力を出すかも知れねぇな、もっとも相棒は剣の腕は既に凄いけどな」
「きゅい、お前みたいな、ナマクラが言っても全然説得力がないのね」
「んだと、コラッ!」
シルフィードが噛みつき、デルフがそれに応じる。
結局村に着くまでに、8ラウンド二人の口喧嘩は展開された。
686ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:23:11 ID:7gZdVZG0
数時間後、日が完全に開けた頃、タバサ達は目的の村付近に到着した。
「お姉さま、これからどうするのね?」
「今回は慎重に行く、だから、化けて」
タバサのその一言でシルフィードの体は硬くなる。
「い……や……なの」「化けて」
身をかがめながら、タバサを威嚇する。
「嫌なの」「嫌じゃない」
しかし、タバサは動じない。
「お肉あげる……」
シルフィードにとって、魅力的な条件をタバサが上げる。それを聞いて、シルフィードが口ごもる。
(お姉さまから、お肉をくれるなんて珍しいのね、変わるのは嫌なのね)
感情の板挟みとなり数秒の間難しい顔をしたが、自身にとっての妥協点を見つける。
「お肉たくさん欲しいのね……」
その条件を聞いて、タバサが無言で首を振る。
「それじゃあ……我をまといし風よ、我が姿を変えよ」
その言葉と共に、シルフィードを風が包みこみゼータ達の視界を覆う。
そして、視界が開けた後、そこには成人の女性が立っていた。
「なんだ、なんだ、変身したのか!?」
「韻竜って奴は姿を変えられるからな、しかし、あの馬鹿竜がやると驚きだぜ」
驚くゼータと、驚いたと言いながらも、どこか思い出すような口調のデルフリンガーが反応を示す。
しかし、その様子を気にせずシルフィードは不満を顔中に表していた。
「きゅい、やっぱこの体は動きにくいのね」
手足をばたつかせながら、シルフィードが不満の声を上げる。
その様子を気にせず、タバサが婦人用の上品な服を差し出すが、それを見て喜ぶどころか益々嫌な反応を示す。
「いやなのね、服は嫌なのね」
「なら、肉は無しで」
タバサが目をそらしながら、シルフィードの妥協案を取り消そううとする。
(お姉さまなら、本当にやりかねないのね)
シルフィードがタバサの反応から、本気で実施しかねないのを見て考え込む。
「……わかったのね、そのかわりお肉3倍なのね」
渋々、タバサから服を受け取り着替え出す。数分後には着替えたシルフィードがそこにいた。
「はぁ、けどこんな恰好して何をし出すのね」
自身は出番まで待機だと思っていたので、タバサの考えが理解できなかった。
タバサはシルフィードに近づき、自身の杖とマントを着せる。
その様子をゼータとデルフが訳も分からず見守る。そして、それが終わった後、全員に作戦を伝える。
「吸血鬼は弱い人間を狙う、だから、私が囮になる。
シルフィードは騎士の役、ゼータはガーゴイルの役。私がおびき寄せて三人で叩く。」
タバサが二人を指差し、それぞれの役割を伝えるがゼータが慌てて抗議する。
「タバサそれは危険ではないか!?」
「たしかに危険、けど、私がおとりになれば、村人には手を出さない。」
タバサが囮になる事で、村人の危険は減る。それはゼータにも理解できる。
「それもそうだが!?」
それでは、当然タバサの危険が増す事になり、ゼータにとっては看過出来る事では無い。
「私も騎士、この程度の危険は慣れている。それとあなたにも冷静でいてほしい」
しかし、タバサは首を振り、ゼータの抗議を退ける。そして、そのまま村に歩き出す。
「タバサ!なぜ私にだけ言うのだ!」
歩き出したタバサを、抗議しながらゼータとシルフィードが追う。
少し遠目に見える村を目指して、三人は歩き出した。
687ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:24:32 ID:7gZdVZG0
三人が目指したサビエラ村は春から夏に移り変わる風景としてはあまりにも殺風景であった。
村の中にある木はほとんど枯れており、本来花が咲いているはずの花壇は手入れがされているが、茶色い土の色しか見えない。
「いかにもな感じだな、活気がなさすぎる」
「いいねぇ、いかにもな感じじゃなぇか」
ムンゾ帝国に支配されていたころの街を思い出し、ゼータが感想を述べる。それに反するように、嬉しそうにデルフが感想を述べる。
村の中央にまで来ると、一人の老人がこちらを見つけ歩いてくる。
「よくぞいらして下さいました。私はこの村の村長のアイザックと申します」
シルフィードの姿を見つけ、真っ先にその老人が挨拶をする。
それを見ながらタバサが、シルフィードとゼータに目線を配る。
「私はガリア花壇騎士のシルフィードなの、よろしくね」
シルフィードが名乗るが村長はそれに応対しつつ、その横にいるゼータに目が行く。
「よろしくお願いします。そちらの方は?」
村長が珍しそうにゼータを見ながら、シルフィードに尋ねる。
「私は騎士シルフィードのガーゴイルのゼータと申します」
「従者のタバサです」
ゼータが礼をし、タバサが同じく礼をする。しかし、村長にはその様子はやはり珍しく見えた。
「こいつはガーゴイルだから気を使わなくていいのね、荷物持ちでも薪割りでもさせるといいのね」
シルフィードが雑な扱いで、ゼータを指差す。
「そうですか、いやはやガーゴイルと言う物は初めて見ましたので、ここでは何ですし我が家にお越し下さい」
一人で納得して、村長が先導する。三人はそれについていくが、村には人がおらずシルフィードが辺りを見回す。
「どうしたのかしら、もう太陽は昇っているのに……」
幾ら、小さな村でも人が居ない事にシルフィードも不安を覚える。
「タバサ」「……私達を見ている」
ゼータの呼びかけにタバサが答える。
シルフィードは気付かなかったが家の窓の辺りには人の気配があり、その視線は全てこちらの方を窺っている事に二人は気付いた。
(なんだ、あの連中は、子供と変なゴーレムを連れてやがるぜ)
(こないだの騎士様の方がずっと強そうだよ……)
(何日持つかねぇ、あの様子じゃ今度も短そうだね)
三人を見る様子はとても好意的とは言えなかった。それを肌で感じ取りながら、ゼータは窓を見るがそれに気づいたように気配は遠のいた。
(我々は歓迎されていない訳か、確かに見た目がこれでは)
屈強な騎士には程遠いシルフィードと子供の様に見えるタバサ、そして、自身を見て驚いているであろうゼータを見て期待するのは難しい事であった。
ゼータが辺りを見まわし終えた時、前方を行く村長の足が止まる気配がする。
何かと思いその先を見据えると、村の中でも大きな家の前に数人の若い男達が居た。
(歓迎会を開くと言う雰囲気ではないな)
殺気立った若者たちを見ながら、胸中で呟く。
先頭の精悍な顔つきの男が代表として一歩前に出る。
「村長、また騎士を読んだのか、犯人はアレキサンドルの所に決まっている。早く殺せばいいんだ!どうせそこの騎士様も数日と持たないだろうよ!」
薪割り用の斧を持ちながら、目の前の男がゼータ達を睨みつける。
688ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:25:19 ID:7gZdVZG0
「お前達、そんな事を言うんじゃない、騎士様に失礼ではないか。
それに、あの二人が犯人だと言う証拠はない、勝手な事を言ってみんなを混乱させるんじゃない」
「勝手なもんか、みんな内心ではそう思っているよ、それにアレキサンドルには吸血の跡があるんだ、あいつ等に違いない!」
男の後に続くように、各々が勝手な事を言いはじめ場を騒がせる。
それを見て、シルフィードも杖を構えながら前に出る。
「喧嘩はやめなさいなの、それを解決するために私達がやって来たんだから、
みんなの不安を煽るような真似は駄目なの吸血鬼はそれに乗じるのが常套手段なんだから」
自身の知っている知識を披露しながら、胸を張り場の収拾を図るがそれは失敗に終わった。
「ふざけるな!アンタみたいなのが本当に騎士なのか?噂を聞きつけて、礼金を奪いに来た詐欺師なんじゃないのか」
周りの男がシルフィードに野次を飛ばす。
女、それもいかにも頭の悪そうな話し方をするシルフィードを見て彼らの中には騎士だと思う物は皆無であった。
「もう何なの、シルフィード頭に「私の主を侮辱しないでいただこう」きゅい!」
シルフィードを手でどけながら、ゼータが前に躍り出る。
「我々はこれでもガリア王国より命を受けて来た物だ、それを侮辱すると言う事はガリア王国を侮辱する事」
ゼータが王国の名前を出した事に、男達は静かになる。
頭に血が上ったからといって、王国の騎士を本当に侮辱する事がどんなに重罪であるかわからなくもない。
「それに……」
そう言いかけて、ゼータが左手のデルフに手をかける。

それは、余りの早業であった。

その場でゼータの軌跡が見えていたのはタバサだけであった。
鞘から抜き出し、もう一度鞘に戻した音が鳴った時、目の前の男達の獲物は柄の部分から、先を地面に落ちていた。
「これを見てもう一度同じことが言えるのなら、今度は私が相手になろう」
それだけを言い、ゼータがシルフィードの後ろに下がる。
(すっすごいのね、さすがに剣が使えるだけはあるのね)
自身もゼータの剣が見えなかっただけに、シルフィードも内心でたじろく。
「コイツを従えている私なのね、それでも信用ならないの」
そう言うシルフィードの態度に、男達も沈黙する。
それを察して、村長が割って入る。
「申し訳ございません騎士様。あなた様の実力は存分にわかりました。お前たち解ったであろう、さぁ道をあけろ」
男達を掻き分けながら、村長が自身の家の扉を開けて三人を招き入れる。
満足した面持ちのシルフィード、憮然とした態度のゼータ、そして……
「何とかの威を借る」
それだけ言いながら、いつも通りの無表情で家には居るタバサ。
家の窓からのぞく住民たちと、未だに声が出せない男達。
こうして、三人の吸血鬼退治はスタートした。
窓から、彼らを除く気配に気づかずに……
689ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:25:53 ID:7gZdVZG0
仲は客人を止める余裕があるくらいは広く、想像していた以上には大きい部屋に案内された。
三人は机をまたぎ、村長と対面して座る。
「すみません村の物が無礼を働いて、みんな気が立っているのです。」
「分かっているのね、誰がグールか分からないからみんな気が立っているのね」
それも吸血鬼の戦略の一種である事を知っているため、シルフィードが慰めるように言う。
(それで、男達の殺気立っている訳か……)
ゼータも理由が分かり納得する。
「おじいちゃん……」
その時、扉が開く音がして、金髪の少女が扉を開け申し訳なさそうに入ってくる…
そして、短い歩幅でゼータ達に構わず、真っ先に村長の元にやってくる。
「おお、エルザこの方たちが騎士様だよ、さぁ挨拶しなさい」
「こんにちは……エルザです……」
村長に促され、ぎこちない様子であいさつする。恐怖が混じった眼でシルフィードを見ている、
(かっ可愛いのね!お人形さんみたいなのね)
ほほを緩めて、シルフィードがエルザに目をくぎ付ける。
「はじめまして、私はシルフィード、こっちは従者のタバサでこれは青トンガリなのね」
「私だけ、紹介が雑な気軽のだが……」
呻くゼータを無視して、シルフィードがエルザに近寄るがとっさに村長の後ろに隠れる。
「すみません、エルザは私が森で見つけて来たのです。なんでも盗賊に両親が襲われてそれ以来、
メイジが嫌いになってしまったのです……とりあえず話の前に、
荷物を置く部屋に案内させて頂きます。こちらにどうぞ」
話を変えて期間中三人の宿泊する部屋に、村長が案内する。
三人がそれに続くが……
「ん?」
ゼータが視線に気づき、そちらに目を向けるとエルザがこちらを見ている。
「どうしたんだい?」
彼女の不思議そうな視線に気づき、ゼータが微笑みかける。
「あなたって、なんなの?」
「私はシルフィードのガーゴイルのゼータと言うんだよ。よろしく、エルザ」
警戒させないように、ゼータが慎重に応対する。
「うん、よろしくねゼータお兄ちゃん」
警戒を解いたのか、エルザが返す。
「コラ、何やっているの青トンガリ、早く来なさい」
後ろからシルフィードが呼びかける。
「分かった、今すぐ行く」
そう言いながら、エルザに背を向けるが……
(ん?今笑わなかったか?)
一瞬だけ、エルザが笑った様な気がしたが、ゼータはさほど気にせず二人の後を追った。
690ゼロの騎士団:2009/02/27(金) 23:27:01 ID:7gZdVZG0
「ふむ、やってきたようですね」
少し離れた森から、その様子を見つめる物が居た。
「剣の腕は衰えていないようですね、そうでなくては面白くない……」
おそらく、それを見ればだれもが異形と言う眼で先程の出来事を見つめる。
「まぁ、しっかり役割をはたして下さいよ」
それは三人が家の中に入った後、森の奥に姿を消した。


「25 ふん、ビビって逃げたらどうなるか分かっているだろうね?」
ガリアの王女 イザベラ
タバサに嫉妬している。
MP 180

「26 花壇騎士のシルフィードなのね、よろしく」
花壇騎士? シルフィード
口調が誰かに似ている。
HP 400

以上で投下終了です。
次回は中編です、ありがとうございます。

691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/27(金) 23:36:34 ID:WX5eW+8H
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 00:26:16 ID:XuvDv2T/
騎士団の人、乙です

何か吸血鬼以外にも敵がいそうですね〜
ゼータの剣の腕云々言ってますから、新たなSDガンダムキャラの登場かな?
今回の件でゼータのルーンに何か動きがあるかどうか楽しみです
693鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/02/28(土) 01:48:19 ID:6PlO6k+8
こんばんわー週末の深夜ですがオチしてる人はいるのだろうか…?
2:00から最終話を投下します。
694名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 01:50:10 ID:yoHh5vEB
支援
695名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 01:50:40 ID:+pJgrTD9
見てるよしえーん。
696名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 01:51:37 ID:bmLVg67e
世界の合言葉は支援
697名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 01:53:50 ID:JyhXIg5C
支援とは、する為にあるのである
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 01:55:54 ID:EhdFASyN
オチだと別の意味になるような気がしてならない
699鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/02/28(土) 02:00:10 ID:6PlO6k+8
 時刻1755。斜陽が射すタルブの村へトリステイン王軍が入った。
 正午を過ぎた頃戦端が開いたアルビオン地上部隊3800との戦闘は、6時間に渡る激戦の果てに終息した。
 アルビオン軍はトリステイン軍の奮戦と、謎の天変地異による旗艦『レキシントン』含む二隻の戦艦が爆沈した事で戦線が崩壊した。
地上部隊3800は最後、非傭兵による400の集団を残して降伏した。残されたアルビオン分艦隊は、逃走を試みて北東ラ・ロシェールへ進路を取り
戦場から逃走したものの、先んじて封鎖されたラ・ロシェール港を奪取できないまま、風石が尽きて降伏した。
 無論、トリステイン軍も甚大な被害を受けての勝利だった。先遣部隊として戦場に現れた傭兵団『銀狼旅団』200、タルブ領主アストン伯の私兵80、
そしてトリステイン王軍3000が戦場に投入され、今タルブに生きて入ったものはそれぞれ150、10、1100を数えるだけとなっていた。
特にメイジ兵は騎馬、下馬合せて1200の内、今いるのは三分の一にも満たない。
 捕えた捕虜達が逃げ出さぬよう監視される中、タルブ村中央広場に陣取った王軍本陣にて、即興で設えられた台にアンリエッタが登る。
 アンリエッタもまた満身創痍だった。王宮から、或いは飾られた馬車から外を見ていた時の手弱い可憐さは、身に着けた白銀の箔鎧を泥と埃、煤と返り血で汚し、
翻るマントもボロボロになっていた。
 だが、アンリエッタの眼は以前のようなただ憂うだけのそれではない。今の彼女には王族の責任を、民草と国土を守ったという確かな実感が秘められていた。
「……」
 肩で息をしながら台の上から自分を見守る兵士達を見た。労いの言葉を言わねばならないのに、声が枯れてしまって何を言えばいいのか頭が真っ白になる。
 以前なら露ほども心を砕かずにすらすらと言葉が出たはずなのに。
「…殿下」
 傍に控えたマザリーニがそっと声をかける。
 アンリエッタはぐっと唾を一呑みして息を吸い、半分だけ吐いて口を開いた。
「トリステイン王国軍並びアストン伯傘下の諸兵。及び先鋒を務めた『銀狼旅団』の各位へ。
我々はアルビオンから降りてきた侵略者を撃退する事ができました。
倍する数の敵に向かい、私の声の下戦った各位に、トリステイン王国女王マリアンヌ・ド・トリステインに成り代わり、礼を申し上げます。
と同時に、この戦いで命を落とした者達に私は祈ります。天にまします始祖の下へ還ることが出来ることを。
今ここタルブに私達が地に足をつけていられることが、彼らの犠牲の証明であり、生きた証であることを忘れてはなりません」
 台の両脇で篝火が炊かれている。炎は細く伸びて天を目指しているようだった。
「今後は最低一両日、我々はここタルブに滞在し周辺に逃走したアルビオン兵の掃討に務めます。
アストン伯には王軍より兵士を貸与しますので、避難させた住人が無事に家に戻れるように計らいなさい」
 台の下で跪いていたアストン伯が胸に杖を掲げて敬礼する。
「詳しい行程はグラモン元帥に一任します。ド・ゼッサール卿とアニエス殿には別件で話がありますので、後でアストン伯邸へお越しください。
各位、既に疲れているでしょうが、交代で休息を取らせますので、どうかそれまで堪えてください」
「トリステイン王国万歳!アンリエッタ殿下万歳!」
「トリステイン王国万歳!アンリエッタ殿下万歳!」
 広場に並ぶ兵士達から万歳の声が返ってくる。国を、そして自分を称える声が。
 声を背中に浴びながら、アンリエッタは台を降りる。そのまま台上はグラモン元帥が変わって行程の指示説明を始める中、
マザリーニを連れてアストン伯邸へとユニコーンを向けた。
 
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 02:01:26 ID:JyhXIg5C
支援
701鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/02/28(土) 02:02:39 ID:6PlO6k+8
「実に見事なお言葉でございましたよ殿下。このマザリーニ、感服した次第にございます」
「心にもないことを…」
 アストン伯邸までの短い道を護衛と共にに二人は進んでいた。
「…でも、今回のことでよく分かりました。…トリステインをこのままに、私は国から出る事はできません」
「ほぅ、…では如何なされるおつもりですかな」
 門前で下馬した二人は使用人に案内されるままに屋敷の中を歩く。
「マザリーニ。敢えて言いましょう。母上…マリアンヌ女王に玉座を預けておくことは出来ません」
 はたとマザリーニの足が止まった。傍に立つ護衛の兵士も耳を疑って唖然とする中、アンリエッタは通された部屋の椅子に座ってマザリーニに正対した。
「…それは詰まる所、陛下に玉座をお降りしていただくと言う事でよろしいのですかな?」
「こうなることを貴方は以前から予見していたのではありませんか?でなければわざわざゲルマニアから傭兵団を招待して隠しておくことなどしないでしょう」
「さて…関知いたしませんな。ですが殿下がそう思われるなら、そうなのでしょうな」
 老獪な能吏と若い貴人は互いの視線を盗みあった。やがて、アンリエッタはマザリーニから視線を外した。
「…いいでしょう。その辺りについては問いません。ともかくは二人が来てから決めるとしましょう。これからのことは」
 
 そう、もう周りに明日を決められるのは御免だ。これからは自分で決めて行かねばならない。
 アンリエッタの目は、まだ甘さが残りながら、確実に鋭く、前を向くようになっていた。
 
 
 
702鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/02/28(土) 02:05:10 ID:6PlO6k+8
 黄昏た空の下で、ギュスターヴは意識を失ったルイズを抱いて丘の頂上に腰掛けていた。
 FBを受け止めた左手は裂き傷を晒したままで、冷たくなり始めた風が障って沁みる。
 その格好のまま、ギュスターヴが話しかけた。
「デルフ」
「なんだい」
 デルフは拾われず捨てられたままだったが互いに気にしなかった。
「そこの卵が何だか、お前は知っているのか」
 風に燻した金髪が揺れる。
 ルイズが手にしていた妖しき卵は樹木に叩きつけられても傷一つつけず、そのまま地面に転がっているのが薄暮の中でもわずかに見えた。
「何となくは覚えてるぜ。一応6千年は剣やってるからな。…そいつはな、たしかブリミル達の想いを詰め込んだものだったと思う。
でも今日まで剣やってて、そいつを見たのは何度目かなぁ…一、二回くらいしかないような気がするね。あんまり覚えてないんだけど」
 
 藪に突っ込まれたままのデルフは露草に濡れていた。剣身が暮れる冷気を吸って醒めるような光沢を見せる。
「相棒」
「なんだ」
 ギュスターヴの腰下ろす場所から、遠く見下ろせるタルブの村の真ん中で篝火が炊かれているのが見える。
「お嬢ちゃんが目ェ覚ましたら、なんていうんだい」
 デルフの握りに巻かれた布がほつれて風に舞う。ギュスターヴは答えないまま時間が過ぎて、太陽が地平を沈み行く。
「ん…」
 双月は下界の出来事を嘲笑うように、昨日とまるで変わらず光を浮かべてギュスターヴ達を照らす。
 ギュスターヴに倒れ掛かったままだったルイズの瞼が、ゆっくりと開けられた。細くあけたルイズの目は夢現なのか、ぼんやりと藪を見たり、丘の下を見ていた。
「……ここは…」
「気が付いたか」
 ルイズは声を聞いて初めて自分がギュスターヴに倒れ掛かっていたのに気付いた。
「ギュ、ギュスターヴ…何してるのよ。離しなさい」
 離すというかルイズが離れればいいだけなのだが、まだルイズの頭ははっきりとしていなかった。
「立てるか?」
「当たり前でしょ。っと…とと…」
 立ち上がったルイズだが、脹脛が震えてしゃんと立っていられない。えっちらおっちらと足を踏み出して、どうにかギュスターヴの隣に座りこめた。
「ふぅ」
 二人の間を夜気の風が抜けた。
 
703鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/02/28(土) 02:07:19 ID:6PlO6k+8
「ねぇ、ギュスターヴ」
「なんだ」
 夜は落ちた。松明らしき小さな灯火が村の隣の小さな森に移り、そして村へと戻っていくのが見えた。
「夢を…私ね、ずっと夢を見ていた。夢の中で私は、小船の上で卵を抱いて眠っているの。小船が曇天の中、小川をゆったりと流れていくの。
春先みたいに暖かくて、私は卵を抱えてとろとろまどろんでいられた…」
 話しながら、ルイズの目は伏せがちに戦場となった街道を見ていた。日の落ちて徐々に月が高く昇っていくが、遠景では街道は暗い。
 炎と堕ちた船の残骸も、今は目に映らない。
「……ルイズ。…お前は…」
「言わないでっ」
 震えた声でルイズが叫んだ。
「何となく、分かってたから…。祈祷書を開いた時に、心臓が爆発しそうなほどドキドキして、目の前が真っ暗になって…。
そのまま暖かくて真っ暗な中で、私はずっと眠って…でもずっとずっと遠いところから、自分が何をしていたのか見えていた気がする」
 一陣の風が吹きぬけた。藪から一枚の葉を浚った風が、丘を降りて地面に堕ちた船まで飛んでいく。
 自分からあふれ出る、黒い何かがたまらなかった。
「私…沢山の人を殺してしまった……っ」
 白パンのような頬を一筋の涙が伝って、夜闇に落ちた。
「…ルイズじゃない。ルイズを借りたあいつが全てやったことだ」
「でも私は全部!全部…覚えてる…。お屋敷でメイドから、学院で先生からアニマを奪って。この丘から戦場に向かって光を落として。船が沈んで。
ギュスターヴを切りつけて。全部……覚えてるのよ…」
 夜闇は二人を包んでいた。月明かりとデルフだけが、二人を見ていた。
 
「俺は『出来損ない』だった」
「だった?」
 冷たい。夜闇がどこまでも二人を包んでいる。
「7歳で俺は母さんと城を追い出された。そのまま家庭教師と海を越えて亡命した。19歳で母さんは亡命先で死んだ。まだ39歳だった…」
 ルイズはいつか見た、ギュスターヴらしき少年を抱いた女性が出てきた夢を思い出していた。
 どこかでみみずくが鳴いた。
「15歳で剣を打って、20歳で国を一つ奪い取った。28の時に義理の弟と戦争をして、処刑させた。術の使えない…アニマに触れられない俺が、自分の都合で殺したんだ」
 普段なら、与太事と聞き流していたかもしれない。でも今は違った。自分の中を蹂躙した何かがのせいなのか、月と夜と風のせいか。
 ルイズは今、ギュスターヴ自身の過去を、ありのままに受け止められそうな気がした。
 またみみずくが鳴き、羽ばたきの音とともに遠くなっていく。
「殺したかったわけじゃない。ただ俺は…アニマと術がなくても生きていけることを証明したかった。普通ではないと言われても、なんてことはないことを証明できたんだ」
「私は……っ!」
 吐き出すルイズの言葉で、また一羽のみみずくが飛び立った。
「私はメイジでありたかったっ!貴族でありたかったっ!勇敢で、高潔で、お父様やお母様のような立派な…立派なハルケギニアのメイジでありたかったのよ!」
 ギュスターヴはうっすらと月明かりに照らされたルイズの顔を見た。
 つぶらな相貌から零れるものが大地を濡らしている。地面に食い込む細指がかりかりと土を削っている。
「……でも。今日、分かっちゃった。…どんなに願っても、努力しても、私は普通のメイジには成れないんだって。…馬鹿よね。
人間を……あんたを使い魔にした時から、多分心のどこかでそんな気がするのを、ずっと知らない振りして」
「そんな言い方をするな…」
 ギュスターヴはどう声をかけるべきか迷ってしまった。ギュスターヴはハルケギニアでメイジと魔法が、それを持たぬ者をどのような位置に追いやるのか、
ありありと知っているわけではないのだから。
 
704鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/02/28(土) 02:11:05 ID:6PlO6k+8
 涙を流してルイズは暫くの間、悶えるように呻いた。悔しい気持ち、諦めがたいような詰る声が漏れていた。
肩を抱いてかきむしり、体の内側から焼かれているかのように暴れて……ルイズは止まった。
「……ギュスターヴ」
 俯いたままぐしぐしと涙を拭ってルイズが聞く。目元は腫れ、眼球は充血して桜色をしていることだろう。
「私、やめるわ」
「何を…?」
 聞き返すギュスターヴに答えず、ルイズは立ち上がった。そして懐に押し込んであった、自分用の杖を抜き出す。
「……」
 長い間、手に馴染んだ杖を見ているルイズの脳裏を、さして長くもない半生が駆け抜けた。
 領地のお屋敷で、日の暮れるまで魔法の練習をした記憶。
 家庭教師から押し付けられた課題をいくらこなしても爆発しかしなかった過去。
 失敗した魔法をあざ笑った、全ての顔…。
 
 きゅ、と口角を上げたルイズは、杖を振りかぶって、何もない闇に向かって杖を投げ捨てた。
 
 月明かりを何度か反射して、すぐに杖は見えなくなる。夜闇に杖の放物線だけが、残像のように残った。
 
 
 
「私。皆と同じことができようなんて、思うのやめるわ。たとえあの悪魔の力が使えなくても、私が私らしく生きていけるって、証明してみせる」
 つたない宣言だった。
 だが、ルイズは心に決めた。祈祷書から流れ込んだ意思が自分を通して使った力は、系統魔法とはまったく別の力だった。
それが伝説の虚無そのものなのか、それともまったく別の忌むべき悪魔の力なのかは分からない。
 祈祷書は語りかけた。自分には世界を統べる資格があると。だがそんなものが今まで欲しかったわけではないし、
そんなもののための力に振り回されるなんてもう、真っ平御免だ。
 ギュスターヴは呆然とルイズが杖を棄てるところを見ていた。そしてルイズが言い放った言葉を頭で追いながら、ルイズ自身をよく、視た。
「出来ると思っているのか?」
「出来るじゃなくてやるのよ。私はルイズよ。ラ・ヴァリエールなのよ。でもそれとメイジであることが全て一体であらねばならないなんて、
振り返ってみれば、誰が決めたのよ?」
 おそらくハルケギニアの貴族が聞けば、とんでもない世迷言を言い始めたと聞き流す事だろう。
 だが、聞いたのはアニマも魔法も縁の無い、異界の王だった男だ。
「……いいんじゃないか?自分をどう決めるかは結局、自分にしかできないことだ。回りの条件なんて所詮、後から付いてきたりするものだからな」
 よっ、とギュスターヴは立ち上がり、傍に投げ捨てたままのFBとデルフを拾い上げ、FBの柄をルイズに向けた。
「何?」
「これを使ってみるか?」
 びくり、と言われた言葉にFBとギュスターヴを見比べる。おぼろげに思い出せる、ギュスターヴを切りつけたり炎を浴びせたりした光景に恐怖を覚える。
「ファイアブランドは使い手を選ぶ。曲がりなりにもお前はこれを使った。なら、これはルイズが使うべきものだ」
 熱を失った白いFBがルイズに映る。
「……」
 どうしても、怖い。祈祷書の時のように、飲み込まれるのではないかという恐怖に駆られる。
 はっとして、ギュスターヴを見上げた。徐々に昇り始めた月の光を受けた顔は、まっすぐな目でルイズを見ている。
(覚悟を試されている…)
 人とは異なる道を行く。それは険しいものだ。だからこそ一層の強い意志が求められる。
 ギュスターヴはそれを試しているのだ。既存のメイジという枠を打ち捨てるというルイズの覚悟を。
 …ふと、ルイズは目の前の男の目線が自分よりもずっと上にあるということが、少し気になった。身長差がずっとあるのだから当然なのだが、
ルイズはそれが少し、憎たらしく思えた。
(えっらそうに…あんたは私の使い魔…なんだから!)
 そうだ。覚悟も決意もまず一つ。だがそれと同じくらい。
 
 この男を見返してやりたい。
 
 『水のルビー』が光る。澄んだウォーターブルーの光がルイズの左手から溢れていく。
「見てなさい。私は…」
 FBの柄がルイズに握られる。
 
「私だけの明日を手に入れて見せるわ」
 
 
705名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 02:12:16 ID:JyhXIg5C
支援
706鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2009/02/28(土) 02:14:55 ID:6PlO6k+8
 …タルブ北面会戦が終結した後、トリステイン王軍1250名は総指揮を務めた王女アンリエッタの命によって3日後、王都トリスタニア王城を軍事占領し、
アンリエッタは女王マリアンヌへ退位を迫った。
 マリアンヌはこれを受け入れ、退位宣言書を交付。戴冠までの代理権限をアンリエッタに移譲した。
 国主としての権限を掌握したアンリエッタはマリアンヌを王宮の端にあった塔へ封じ、またタルブ会戦前においてアルビオン融和を唱えた一派に対し、
蟄居や退官を命じるなど様々な政策を断行した。
 後にアンリエッタはマリアンヌに承認されトリステイン王国女王として戴冠し、続けて様々な革新的政策を進めていくこととなるが、タルブ会戦終結後から戴冠式まで、
半月に及ぶ空位期間を『アンリエッタ僭政』、その後を『アンリエッタ親政』と称す。
   (新トリステイン史61巻2章より抜粋)
 
 
 
 『ルイズの夜』
 
 
 
 第一部『覚醒篇』 了
707鋼の使い魔(後書き) ◆qtfp0iDgnk :2009/02/28(土) 02:19:00 ID:6PlO6k+8
投下終了。
これにて原作中1〜3巻を相手取った『覚醒篇』を終了とさせていただきます。
予定では第二部以降はガリア組をどしどし出したかったのですが、イザベラの性格設定とか元素の兄弟の持ってた鞭状の杖とか、色々と困難が付いてきそう。
それはともかく、鋼の使い魔では一応、サガフロンティア2のテーマを部分的に借りているつもりだったりします。
文脈的に言えば、アンリエッタの動きが表の歴史、ルイズの動きが裏の歴史ですね。
とまぁ、そういった具合で、次の用意が出来たら、またお会いしましょう。
果たしていつになるか分かりませんが…。では。
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 03:17:39 ID:akD19Pfm
脚気えええええええええええええええええええええ
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 03:22:27 ID:f57hoyfT
IDOLA の3分の1ぐらいの

ひとしきり笑い転げた後、イザベラは問う。
故お前は、そんな無意味な命令でも聞くのよ?」

とあるけど、

「何故お前は、そんな無意味な命令でも聞くのよ?」

だよね?
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 05:27:30 ID:ZVNpb6mN
鋼の人乙。

今後のエッグの動きとか超気になる。
あと「白パンのような頬を一筋の涙が伝って」って表現に感服した。
どうでもいいことだけど。
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 06:11:19 ID:poFVHxBU
白パンツって読んでエロイイメージを抱いてしまった俺を許してください
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 08:59:09 ID:C4685Cql
>>711
君は何も悪くない。
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 10:04:27 ID:ciCFiJQ9
白パンより縞パンの方が好みだ
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 10:47:24 ID:oYc7cD53
>>711

さあ、好きなパンツを選ぶんだ。

ttp://www.omoshiro-news.net/joyful_a007/img127snd/24285.jpg
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 10:48:04 ID:sgpa9vlK
何だこの流れはwwww
実にけしかる!

鋼の人1部完結乙です!
さてさて、
私は陰ながら2部でのシェスタとアニエスの活躍を期待してます。

アニエスの血筋はおそらく×××××の
×××××で×××と予想してますんで。
(注:×の数の文字数とは限りません)
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 10:53:32 ID:Mfj2vjCy
そうかそうか
それは…よかったのう…
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 11:38:25 ID:IsDHpLrw
鋼の人乙
ルイズは家出てディガーにでもなるつもりかね・・・
718名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 11:57:29 ID:0VU+4C4Y
亀ですがサイヤの人、乙です
やはり飯が絡むと起きますかw
ワルドもこれだけ力の差を見せ付けられては敵にはなりづらいでしょうね
がんがれワルドw
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 12:10:36 ID:JZqhZqOo
>>717
え? ルイズがティガになる。
つまりタルブにピラミッドがあって、ラグドリアン湖から超古代遺跡が復活するんですね。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 12:12:05 ID:m0jG8GHH
亀2号だが
フロウウェンの人乙です。
お待ちしておりました
m(__)m
次回にwktkしつつ正座待機。
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 13:17:45 ID:QcIvKGuh
>>719
今は勇気と愛が必要なんですね、わかります。
722zeropon!:2009/02/28(土) 13:57:55 ID:coX8fBH2
続きを書いてきたので投下します
1400からいきます
723zeropon!:2009/02/28(土) 14:03:27 ID:coX8fBH2
zeropon!

第二話

神との遭遇

「・・・・ゼロの絵本から船が出てきた・・」
「ば・・馬鹿な!ゼロだぞ?!そんなこと・・・」
船の出現により一瞬静まり返った場がざわめきだす。そして当の本人はというと、

・・・放心していた。

あまりの出来事に脳が情報を処理できなくなっていた。
「ミス・ヴァリエール・・・?」
コルベールが呼びかけても反応しない。完全に心ここにあらず状態だった。
そしてその騒ぎの元凶、パタポンたちの船はというと、
最初顔をのぞかしていたパタポンたちは、顔を引っ込めて、なにやら船の上でごにょごにょとしていたが、そのうち船の上からカラカラと梯子が下りてきた。
そしてそこからひょこひょこと、三人いや三体?のパタポンが降りてきた。
一体は普通の?、書かれていた通りのパタポンだったが、もう一体は七色の羽を顔・・・目玉の周りにあしらっていて、そしてなんだか内股で、しゃなりしゃなりと気品高くあるいてきた。
そして最後の一体はオレンジ色の仮面を顔につけており目玉がみえない。しかしそれをみたコルベールはぴくり、と体を強張らせた。その一体が発する空気、それは間違いなく強者のそれだったからだ。
そうこうするうちに、三体のパタポンはルイズの前に来る。七色の羽をつけた一体がルイズの前にしずしずと進み出る。そして優雅に一礼すると、

「こんにちは、神様。ごきげんうるわしゅうぞんじあげます。」

と・・・喋った。しゃべったのである。
「し・・・喋った!?」
「韻獣?!いや亜人なのか?!」
この世界では喋る動物、韻獣は大変珍しい生き物だ。それに亜人だとしても
このような亜人は誰もみたことがない。
どよめきに包まれる皆を無視しつつ、七色目玉は喋る。
「お初にお目にかかります。私、巫女を勤めさせていただいている、メデン、と申します。幾へもの旅路の果てに神に会えるなんて夢のよう・・・」
「ちょ、ちょっと待って?!」
放心していたルイズは朗々と語りだすメデンをとめる。
「はい?」
「神ってなに?」
「何をいってらっしゃるのやら。あなたのことですが?」
至極当然といった感じでメデンはルイズに答える。
「・・・わた、し?」
「はい。そのパタポンの書が何よりの証拠。我らを導く偉大なる神ルイズ様でしょう?」
当然のようにルイズの名前をだすメデン。
「何で私の名前を?」
「はあ、よくは分からないのですが、この左手の・・・」
そういって掲げたメデンの手には使い魔のルーンが刻まれていた。
「この文字が、あなた様が神で、その名はルイズ様だと教えてくれています。」
同じように腕を上げる残りの二体。そこにも同じようにルーンが刻まれていた。
「ああ、そうでした。紹介が遅れました。この二人は、仮面を被っているのが『ヒ・ロポン』被ってないほうが『シタ・パン』です。」
「ふうむ、これは・・・。ミス・ヴァリエール。正直信じられませんが・・・彼ら全てがあなたの使い魔、みたいですね。」
コルベールがうめくように呟く。こんな自体は彼が教師になってから、いや、この学院どころか世界でも初ではなかろうか。
上を見れば他のパタポンたちがいる。その数は少なくとも三十以上。もはや一部隊である。
「とりあえず、召喚の儀は終了です。みなさん、今日はこの後は補習とします。とりあえず自室にもどってください。」
無理やり授業を締めたコルベール、珍しいといいながらパタポンたちのルーンをスケッチするとそそくさと飛び立つ。
コルベールに続いて同級生たちはつぎつぎと学び舎に向けて飛び立っていった。
「ゼローー!お前は歩きだ!しっかりな!」
「まあ、とべないか!あはははは!」
「黙りなさい!このかぜっぴき!『錬金』!」
「僕はかz!うぐろばああ!」
ルイズを罵倒した一人の生徒が一番高速で飛んでいった。
724zeropon!:2009/02/28(土) 14:04:14 ID:coX8fBH2
「ふう、とりあえず静かになったわね。それで・・・」
くるりと振り返るルイズ。そこにあるのは船、そしてたくさんのパタポン。
「・・・あんたたち何人いるの?」
ルイズがメデンに尋ねる。
「全員よびましょうか?皆のもの!ルイズ様がお呼びである!降りてきなさい!」
メデンが声を上げると船からわらわらと下りてくる。
おおきいの、背が高いの、帽子をかぶったの、それは実に多彩な組み合わせだった。その数約五十。
「・・・とりあえず私の部屋には入れないわね」
「住むところに関してはご心配なく。神の手を煩わせはしません」
「そう?それならいいんだけど・・・。まあ、いっか。とりあえずメデン。私と一緒に来て。聞きたいことがたくさんあるの」
「わかりました。皆のもの。私はルイズ様についていきます。皆で協力して寝床の確保を、後あれも忘れずに」
「「「はーい」」」
なんというか間の抜けた感じの答えと共に彼らは動き出す。
「それではルイズ様。いきましょう」
「え、ええ」
とん、てん、かん、こん!
小気味のいい音が鳴り出す中、部屋に向かうルイズだった。

・・・ところかわってルイズの部屋。
メデンとシタ・パンと色々と話すルイズ
彼女らの話を聞いた結果、本に書かれていたことはほとんどその通りのようだった。
世界の果てを目指していたこと。その途中で、自分たちの故郷にたどり着き、そこを異民族から取り戻したこと。そして再び海に出た時、サモンゲートに入ったこと。
「まあ、なんかとりあえず納得したわ。あとは使い魔としてのことなんだけど・・・」
「その『使い魔』、とはどういったことをすればよろしいのでしょうか?」
メデンが尋ねる。シタ・パンは寝てる。とりあえず踏む。
「そうね。使い魔の主な仕事としては魔法薬や、秘薬の材料をあつめたり・・・」
「神のためならいくらでも見つけてきましょう」
「・・・この辺の地理とかわかるの?」
「わかりません」
即答するメデン。シタ・パンを踏みしめながら思う、・・・多分無理だろう。
「・・・次に主の目になること」
「・・・?」
「視界の共有って事なんだけど・・・全然見えないわね。いいわ、最後ね。それでこれが一番重要なこと。使い魔は主を守ること」
「それならばお任せを!」
ぴょんぴょんと跳ねるメデン。
「神に害を為すものは全て駆逐して見せます!」
ぐっ、とコブシ?を握るメデン。
「・・・それは頼もしいわね。」
ルイズは最後のやつも無理っぽいなと思っていた。彼らの文明レベルはかなり低い気がする。
メイジどころかジャイアントモールにも勝てるかどうか・・・
「・・・はずれ、かな?」
「は?」
「なんでもないわ。とりあえず・・・」
服を脱いでポイっとメデンに投げる。それを受け取ったメデンに、
「それ、朝までに洗っておいて。あと朝にはちゃんと起こしてね。」
と命じた。
「承りました。」
恭しく一礼をし、メデンはルイズの服と、ルイズに踏まれて気絶していたシタ・パンを引きずって部屋を出て行った。
「・・・大丈夫かしら。」
彼らは使い魔使い魔した使い魔だが、なんというか今までの失敗し続けた自分の魔法、それが召喚した彼らを、正直・・・信用できなかった。
「・・・まあ、明日考えよ」
そう呟いたルイズはベッドにもぐりこむと疲れていたのかすぐにスヤスヤと寝息をたて始めた。

725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:07:01 ID:ijTJzb6Z
どう見ても“眼”なのにw支援。
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:08:08 ID:5CKOUj19
まあ数十人もいる奴ら全員と視覚共有なんてしたら大変だからな
727zeropon!:2009/02/28(土) 14:08:08 ID:coX8fBH2
zeropon!

第三話 

get a  breakfast

 早朝・・・トリステイン学院の裏手、そこをうろうろする二つの影,があった。
彼らの名は、シタ・パンとザッツ・ヨー。いつもは巫女であるメデンのそばについているパタポンなのだが、ルイズに召喚された時からルイズのそばにつくようメデンに命じられた。
そんな彼らの今日の任務は『ルイズの服の洗濯』である。しかし・・・迷っていた。彼らは水場を求めさまよっていた。このままだと任務が果たせない。
そうなると後に待っているのは、メデンからの『お仕置き』である。最早、絶望のふちにあった彼らに、天の使いが現れた。
「あの・・・なにか探してるの?」
シタ・パンとザッツ・ヨーが振り返るとそこに神・ルイズや、神のご学友達とはまた違う格好をした人物が立っていた。
「洗濯場を探しています!」
「洗濯しないと怒られるのです!」
「ふえ?!しゃべ・・・あ、もしかして貴方たちがミス・ヴァリエールが召喚された使い魔さん?」
「ミス?」
「ヴァリエール?」
「ええと、ルイズ様のことです」
「そうです!」
「その通りです!」
元気良く、無駄に元気よく返事をする二匹。
「貴女は?」
「誰?」
「私ですか?私はここの学園で給仕をしているシエスタです」
「給仕?」
「メイド?」
「メイド萌え?」
「残念ながら私はメガネっ娘派だ」
「私はポニーテイルだ。」
「需要はないが」
「洗濯場までの案内を」
「お願い!」
「します!」
・・・途中に紳士か変態が混じっていた気がするが気のせいだろう。シエスタは二匹を井戸端の洗濯場に連れて行った。
洗濯場についたシエスタは二匹に並んで一緒に持ってきた洗濯物を洗うことにしたのだが・・・シエスタは驚いた。協力して井戸の水をたらいに入れて、一匹が洗濯板を持って一匹が洗う。
彼らの行動には淀みなく行われ、時間にして三分ほどで彼らは
「ありがとー!シエスタさん!」
「感謝ー!」
と言うと、そそくさとどこかへ行ってしまった。
「・・・あれ?あれって」
シエスタはふと、思い出していた。祖父が語った昔話。それは一つ目の生き物の昔話。
「まさかね・・・」
728zeropon!:2009/02/28(土) 14:09:13 ID:coX8fBH2
「・・・さま」
「ふにゅう・・・ふにょう・・」
「・・・・・・さま、ルイズ様」
「うーーん?」
「ルイズ様、朝でございます」
「ふえ?」
自分を起こす声にうっすらと目を開けるルイズ。そこに見えるはいつもの部屋で無く、特大の目玉があった。
「うひゃあああ!?」
ベッドから跳ね起きるルイズ。
「なななななななななな??!」
「ルイズ様朝でございます」
再びその言葉を繰り返す目玉。驚きでパニックに陥ったルイズだがなんとか頭を落ち着けその目玉が自分の使い魔であることを思い出す。
「・・・朝から心臓に悪いわ」
明日からの起床について少し考えるルイズであった。
ルイズはベッドから降りると、メデンたちに顔を洗う水を持ってくるように命じ・・・
「お顔をどうぞ」
・・・る前に二匹のパタポンがスっと水の入った桶を抱えてきた。
「・・・ごくろう」
それで顔を洗ったルイズ。続いて服を着せようとしたが・・・先ほどのパタポンが肩車をしてふらふらしながら服を持ってきていた。
「おき・・・が・・・えを・・・」
・・・下のパタポンが死にそうだったので服は普通に自分で着替えることにした。
着替えをしていると、部屋の前が騒がしい。着替えを終えて部屋を出てみれば、部屋の扉の前で先ほどの二匹のパタポンが赤毛の女に槍を突きつけていた。
「何者だ!」
「名を名乗れ!」
「ルイズ様に害を為す気か!」
「やっつけろ!」
「・・・フレイム」
パチンっと女が指を鳴らすと廊下の奥から、炎を灯した尻尾、赤い鱗を持つ大型のトカゲが現れた。
「うわわわ?!」
「なんだこれ?!」
突然現れたそれに驚くパタポン。
「・・・やりなさい」
ぼう!女が命令するとフレイムと呼ばれたトカゲは口から火を吐く。
「ふぎゃあああ!」
「あっち!あっち!」
もろにそれを浴びたパタポン達は体についた火を必死に転がりまわって消す。
「ちょっとツェルプストー!ひとの使い魔になんてことしてんのよ!」
「あら、ごめんあそばせルイズ。あなたと同じ不躾な使い魔だったものだからちょっとお仕置きしちゃったわ」
胸元を開いた服になまめかしい身体を包んだツェルプストーと呼ばれた女は悪びれもせず言い放った。
729zeropon!:2009/02/28(土) 14:09:57 ID:coX8fBH2
「ルイズ様、こちらの方は?」
ルイズの脇に控えていたメデンが尋ねる。ジタバタしている二匹のパタポンには一瞥もくれなかった。
「あら?あなたは確かメデンだったかしら?大変ねえ、こんなやかましい主人に召喚されちゃって。私の名前はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。キュルケでいいわ。よろしくね」
「これはご丁寧に。部下の者が失礼を致しました。ルイズ様のご友人とは知らなかったもので。」
「メデン!こんな牛乳女友達でもなんでもないわ!敵よ敵。敵で十分よ!」
「牛乳なんて失礼ねえ。自分がないからって」
「きいいいいい!言わせておけばああ!」
「あら、ルイズをからかうのが楽しすぎて、長居しちゃった。早くしないと朝食食べ損ねちゃう。行くわよ、フレイム」
フェロモンを撒き散らしながら歩き去っていくキュルケとくるるる、と喉を鳴らしながらそれについていくフレイム。
「あ・の・おんなああああ!レアなサラマンダーを召喚したからわざわざ見せつけに来たわねええ!」
「あの獣はそんなに珍しいんですか?」
「好事家ならかなりの高値をつけるものらしいけど、くううう、むかつくわ!ふん!いいわ!忌々しいけど今は朝食よ。・・・って」
ルイズは傍らのメデンに目を落とす。
「あんたたちの食事どうしようかしら、というかあんた達は何食べるの?」
「お肉が好きです!」
「かったいのもやわかいのも好きです!」
いつの間にか復活していた先ほど燃やされたパタポンたち。焦げてはいるものの平気なようだ。
「肉食なの?」
「野菜も食べますよ」
メデンが答える。基本雑食のようだ。しかし問題は量である。五十匹近いパタポンを満たす量である。かなりの量が必要だ。
「仕方ないわね、給仕の人間に頼むしかないか。ついてきなさいメデン、あとそこの負け犬は朝ごはん抜きね」
「「なん・・・だと!?」」
その言葉に炎にすら耐え切った二匹のパタポンは真っ白に燃え尽きた。

メデンと二匹の真っ白なパタポンをつれて食堂に来たルイズはさっそく給仕に頼もうと思い周りを見渡す。ちょうど良くメイドがいたので呼び止める。
「ちょっと」
「はい?なんでしょうか?・・・ミス・ヴァリエール」
「なんで私の名前って、・・・まあ『ゼロ』なんて呼ばれてたらそりゃ有名にもなるわよね」
自分につけられた不名誉な二つ名を思い出しため息をつく。
「あ、いえ!ちがいます!あの、今朝、ミス・ヴァリエールの使い魔の方とお話したので」
「あ!シエスタ!」
「あ!ほんとだ!」
ルイズの後ろをついてきていた白パタポンどもがいつの間にか復活していた。
「なんであんた達、この娘を知ってんのよ?」
「今朝、洗濯場を教えてもらいました!」
「ありがとー!」
「そうなの?悪かったわね、迷惑かけたみたいで」
「いいえ、お気になさらずに、それで、あの御用のほうは・・・」
「あ、そうだった。こいつらに食べさせる食事をお願いしたいから調理場まで案内してくれない?」
730zeropon!:2009/02/28(土) 14:10:34 ID:coX8fBH2
「分かりました。どうぞこちらへ」
シエスタに案内されてルイズは調理場に入った。
「マルトーさーん」
「ん?なんだシエスタ・・・そちらの方は?」
あからさまにいやそうな顔をするマルトーと呼ばれた男。
「こちらはミス・ヴァリエールです。ミス・ヴァリエール、こちら調理長のマルトーさんです」
「ああ、あの『ゼロ』の・・・っとこいつは失礼を・・・」
思わず口走ってしまったのをあわてて訂正するマルトー。
「いいわ、気にしないで。そう呼ばれてるのは事実よ。・・・いつか見返してやるけどね」
にやりとマルトーに笑うルイズ。それを見たマルトーは
「ハッハッハ!こいつは頼もしい!気に入ったぜ貴族様!で、用ってのはなんですかい?」
豪快に笑うマルトー。そしてぞんざいな口調で貴族に話すマルトーにあたふたしているシエスタ。
しかしそんなマルトーを咎めもしないルイズ。根本的なところで今まで接してきた貴族と違うことを感じ取ったマルトーはルイズに好意を持った。
「こいつらの食事を頼みたいんだけど・・・五十匹分」
「五十匹ですかい!?」
結構な数に驚くマルトー。
「やっぱり無理かしら?」
少し不安そうに尋ねるルイズ、しかし
「確かに多いですが、コックが食事を出せなかったなんざ末代までの恥でさあ!お任せをミス・ヴァリエール!」
ドンッと胸を叩くマルトー。
「ありがとうミスタ・マルトー、ほらあんたたちも礼を言いなさい。」
「ありがとうございます。」
「「ありがとうございます!」」
「うをお、しゃべった?!」
いままで黙っていたパタポンたちが普通にしゃべったので驚くマルトー。
「くははは!こいつはゆかいな奴等の食事を作れるもんだ!お前らとっとと残りを呼んできな!」
「「はーい!」」
ぱたぱたと、マルトーに言われ残りのパタポンを呼びにいく二匹。
「これで一安心だわ、私も朝食を・・・」
しかし無情にも鳴り響く始業の合図。
「・・・ううう。使い魔は食べれて私は食べれないなんて・・・ごめんなさい、あいつらの事頼むわ」
ふらふらと、揺れながら調理場を出て行ったルイズ。そんなルイズを見送るマルトーとシエスタとメデン。
「・・・?お前さんは行かなくていいのかい?」
「朝ごはんを食べませんと」
至極当然に言い放つメデンだった。
731zeropon!:2009/02/28(土) 14:11:21 ID:coX8fBH2
とりあえず三話目まで投下終了
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:15:26 ID:ijTJzb6Z
乙。

それでも飯を食うメデン……お前はそーゆー奴だったw

時に、超絶望がクリア出来ません。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:16:45 ID:m0jG8GHH
乙です。
朝から目玉てww
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:18:36 ID:OuQlTdAb
パタポン体験版でやっただけだがかわいすぎるだろ
735zeropon!:2009/02/28(土) 14:20:09 ID:coX8fBH2
>>732

ジゴトン戦車に頼って自分は後ろから回復しながら見とけばおk
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:24:51 ID:pgVLtB7c
なんかほのぼのしてんなぁ…グッジョブだが!w
原作知らないけどなんか楽しみだわ。
737zeropon!:2009/02/28(土) 14:27:41 ID:coX8fBH2
四話目行きます
1430から行きます
738zeropon!:2009/02/28(土) 14:29:19 ID:coX8fBH2
zeropon!

第四話 

『ゼロ』の使い魔

きゅるるるるるるるるる
軽快な空腹音が響く。
「・・・あなたご飯食べなかったの?」
キュルケが聞いてくる。
「うるさいわねえ・・・食べそびれちゃったのよ。」
「そう・・・あなた,使い魔は?」
「ふえ?・・・あれ?メデン?」
いつもはほっといてもついてくるメデンがいなかった。今日の授業は使い魔のお披露目も兼ねている。
「もう!こんなときに使い魔がいないだなんて、いったい・・・」
「ルイズ様」
にゅうっとルイズの横にいつの間にか現れたメデンがいた。
「・・・あんた、急に出てくるのやめなさい。心臓に悪いから。で、それはなに?」
突然現れたメデンは包みを抱えていた。その包みからはえもいわれぬいい匂いがしている。
「シエスタ様がルイズ様に、と」
「私に?なにかしら?」
ルイズが包みを開けてみると二つの白米の塊があった。
「なにこれ?」
「シエスタ様の故郷の携帯食で、『オーニギャリ』というものらしいです。朝食の代わりに是非と」
「へえ、おいしそうね。ルイズ、一個もらうわよ」
ひょいっと横から二個あったうちの一個を取るキュルケ
「あ!ちょっとキュルケ!私がもらったのに!あんた朝ごはん食べたんでしょ?」
「いいじゃない、一個ぐらい。あらおいしい」
「・・・あんたダイエット中じゃなかった?」
「ぐうっ」
乙女の脅威のひとつを指摘されたキュルケはオーニギャリの手を止める。
「あんた最近太ってきてない?」
「ぐぐうう・・・」
完全に朝の仕返しを成し遂げたルイズはオーニギャリをほおばる。
「うーん、いいわね。これ。塩味が適度にきいてて美味しい。あとでシエスタにお礼言わなきゃね」
キレイに平らげたルイズ。横を見ればキュルケが涙を流しながら最後の一欠けらを食べていた。
「・・・なんでダイエット中のご飯っておいしいのかしら?」
「・・・お腹が減ってるからよ」
世の無情とシエスタの愛情をを二人で噛み締めていると、始業のベルが鳴った。
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:37:57 ID:EoS0Zp6l
>>738
なんと米があったか。
支援。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:40:45 ID:f57hoyfT
容量オーバーになるから書き込めないのかな?

次スレ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1235799602/
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:42:52 ID:f57hoyfT
立て宣言忘れてしまったけど、重複はないようだ
よかった

次スレ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1235799602/
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:45:36 ID:f57hoyfT
>>738
500K近いので
続きは次スレで/次スレで最初から

スレ立ての時名前をsageてしまった orz
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 14:56:49 ID:f57hoyfT
zeropon! はさるさん食らっているのか?

http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1222096182/l50
へ投下するか
四話目は時間を置いて改めて最初からでもいいと思う
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 15:01:29 ID:N4bNH2d1
まぁ今00になったからすぐ来るんでないかな
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 15:12:53 ID:N4bNH2d1
さるさん来なかったらそのまま書き込んでたのかと思うとちょうどいいタイミングだったな
746zeropon!:2009/02/28(土) 15:18:58 ID:coX8fBH2
びっくりした
747zeropon!:2009/02/28(土) 15:20:05 ID:coX8fBH2
仕切りなおします
五分後に
748名無しさん@お腹いっぱい。
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>