あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part214

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part213
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1234324215/

まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:10:02 ID:0CSoqd90
アプトム乙でしたー
3名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:10:31 ID:0kiQEwwG
>>1
スレ立てられなかったっていう前に前スレ埋まっちゃったから、どうしようかと思ってた
4名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:10:43 ID:H2eM5A5m
>>1
乙です。
5ゼロと損種実験体:2009/02/15(日) 19:11:59 ID:L4j18lrA
スレ立て乙です。なんか容量ぎりぎりですいませんでした。

では、また来週。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:13:18 ID:5TVdjb38
>>1
乙です
7名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:13:44 ID:S2HXso8R
しかしアプトムさん、別に悪意抱いてるわけじゃなく、ただ相手にしてないだけなのに嫌われててカワイソス
あと下手したら喰われかねない髭のお兄さんもカワイソス
(フーケがアプトムの事を教えるか教えないかで運命が決まってくるなw)
8名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:18:42 ID:NAgaX/Ki
サモン・サーヴァントは対称の前にゲートを作り出す魔法であり、そこを潜るかどうかは相手の意思に委ねられている。
ルイズ側の認識では、才人は自分から召喚されてきておいて文句を言っていることになるので、平民を誘拐してきてこき使っていると言う認識は間違い。



人間の言葉を話す竜のことを韻竜と呼ぶわけではない。
韻竜というの種族名であり、喋る竜をひっくるめて呼ぶ呼称ではない。もちろん、作中に「韻獣」などという言葉は出てこない。
さらに言うなら、二次創作中で、ルイズが喋る竜を呼び出したりすると、周囲の生徒が「韻竜だー」とか言ったりするが、実際には「韻竜」の名称はあまり知られていない可能性が高い。
現に10巻で、キュルケ、ギーシュ、マリコルヌは「韻竜」という言葉を知らなかった(ルイズとモンモランシーは真面目に勉強していたので知っていたらしい)。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:27:04 ID:ScKhntbC
才人からすりゃ「んなもんしらねーよ」だろうけどな
10名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:33:25 ID:HbjTPuvi
>>9
「ルイズ側の」認識な。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:42:33 ID:X8l1j0p+
>>1
前スレの>>941がちゃんと誘導できていないので
SS職人諸氏がここにたどり着けるのか謎。
勿論これは>>1のせいじゃないが。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:45:10 ID:dVXwHwn8
>>サモン・サーヴァントは対称の前にゲートを作り出す魔法であり、そこを潜るかどうかは相手の意思に委ねられている。
と、言うのはあくまで呼び出す側の言葉で
シルフィードやサイトみたいに言葉による意思の疎通の取れない相手ばっかり召喚してる以上
呼び出すメイジたちがその事を確証できる証拠はないはずなんだがそこら辺はハルケギニアのメイジたちはどう思ってるんだろう
皆がそう言ってるんだからそうに違いないって疑わずにいるのかな
13名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:48:57 ID:JB2FRlMa
変な誘導にだまされた……
14名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:53:08 ID:RYguUZad
>>1

>>8
でもそのゲートはなんなのか、そのゲートをくぐることによってどうなるかの説明は一切無いんだよな
15名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:53:48 ID:Tn0DYA9p
>>12
確かに説明ぐらいはしてほしいところだ。
16名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 19:57:47 ID:dVXwHwn8
ゲートから出てきた動物が危険な肉食系で呼んだメイジに危害を加える事故、とかを考えると
基本的にゲートからは対象の動物にとって良い匂いがして、だまされてゲートをくぐるんじゃなかろうか
で、ゲートをくぐってる間に低脳な動物は洗脳完了、たまに洗脳しきれなかった場合は
「エサ無いやんけボケー!」と大暴れ
とか
17名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:04:18 ID:5TVdjb38
前スレでロリババァのやつで、オスマンが獣の類じゃないのを使い魔にするのに
待ったをかけてたのは、ちと斬新な流れだったな。
18名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:14:15 ID:qMWJdbPk
専ブラがあれば嘘誘導などなんともないぜ
19名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:19:01 ID:xmFDrT1W
だが専ブラでも見事に引っ掛かった阿呆ぅもここにいた
20名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:21:47 ID:Z6/Mo3Qh
>>19
よう俺
21名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:22:25 ID:X8l1j0p+
>>17
メインランドには謎の生命体がいるから適当に見繕えば使い魔には事欠かないだろうけど。
あえてキャラの中から獣系の使い魔を選ぶとするなら
・サトウ氏(種族「知性化猫」)、
・お六(種族「ネト」「イ(人偏)」に「苗」もしくは化け猫)
・ウナギ人魚姫
・知性化猫系のキャラの中から適当に一人
・火星人メイド
……あたりか。
22名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:30:53 ID:rNx4tPcE
アプトムの人乙です。
アン様やルイズも色々アレだったが…ギーシュ…イタイよ…
23名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:35:25 ID:0HUBPBQw
http://image.www.rakuten.co.jp/kamasho/img10151799649.jpeg
これって、マジか?パンチラは、もう古いだろ
24名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:38:43 ID:gfslRxCM
今日のNGID
0HUBPBQw
25名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:40:09 ID:0kiQEwwG
>>23
甘味的ブラクラ注意。
まったくけしからんヤツだ。
26名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:47:42 ID:OEaigB9U
当方におやつの用意あり。
27名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:48:23 ID:zX9lUXDW
ママー、おなかすいたー
28名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 20:53:09 ID:mqwznPSX
>>26
おまいさんのお陰で覚悟のススメとのクロスが読みたくなったじゃないか、どうしてくれる!?
29名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:01:13 ID:ros8UOP2
覚悟なら既にあった様な
30名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:17:07 ID:U3jcxVXd
短編であったな、覚悟と散様がそれぞれ
31虚無と賢女の人:2009/02/15(日) 21:25:08 ID:ZImzh490
21:30より他がなかったら投下開始しますー
32名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:27:36 ID:OEaigB9U
>>28
一昨日ブックオフで見つけて、読んでる最中だったから使いたかったんだよ。
・・・3・6・8・9・10巻と飛び飛びで欲求不満になったが。

そして支援。
33虚無と賢女04話:2009/02/15(日) 21:30:40 ID:ZImzh490
では、投下開始します

室内を満たす熱気。その源である暖炉には焼けた石詰められており、今も火傷しそうなほどの熱量を放っていた。

「サウナ風呂は初めて入りましたが……、やっぱり熱いですね」
「あはは、あまり無理すると熱さで倒れちゃうこともありますからね」

平民用の共同風呂、すなわちサウナ風呂はその時、エレアノールとシエスタの貸切状態になっていた。





事の発端は、シルフィードに連れられて優雅な空の散歩だった。最初は初めての経験に普段から想像できないくらいに
興奮していたエレアノールも、次第に高空の気温の低さと風の強さに寒さを覚えるようになったのだ。きゅいきゅい、と
ご機嫌に空を翔るシルフィードは、自分の背中で寒さに震えるエレアノールに気付かない。
結局、エレアノールが凍える声でお願いをしてようやく空の散歩は終了した。地上に戻った後、冷え切った身体に震えている
エレアノールに気付いたシエスタが、サウナ風呂を使って温まることを提案し、マルトーの許可を取って早々と使用すること
になったのであった。





「でも、よろしかったのですか? シエスタさんは夕食の仕事があったはずですが?」

顔を流れる汗を手ぬぐいで拭きながら、エレアノールは隣に座るシエスタに尋ねる。
普段は下ろしている黒髪を纏め上げ、大き目のタオルを身体に巻いてるだけのエレアノール。あらわになったうなじと
身体の線、タオル一枚で隠しただけの形の良い豊かな胸、火照った肌と流れる汗。
もし、この場にギーシュが居たら、美しさと妖しさの競演に感涙したであろう。

「大丈夫ですよ、マルトーさんにもみんなにも許可取ってますから。それに勝手が分からないエレアノールさんが
サウナ風呂を一人で使うのは難しいと思いますよ」

上気した頬が普段とは違う魅惑的な美しさを見せながら、ニコニコと笑うシエスタ。
こちらも大き目のタオルを身体に巻いており、やはり豊かな胸と火照った肢体が健康的な魅力を醸し出している。
もし、この場にギーシュが居たら、健康美を讃える即興詩を謳い上げるだろう。

「むしろ、みんなエレアノールさんのお世話したいって言い出してましたからね。マルトーさんの鶴の一声で
私がすることに決まりましたけど、ちょっとした騒ぎになってましたよ」

エレアノールさんは人気者ですから、と笑いながら話すシエスタに、エレアノールは曖昧な―――困惑と照れくささが
入り混じった微笑みを返した。

「……あれ? 誰か来たのかな?」

外から中に入ってくる気配にシエスタは首を傾げる。

「他の誰かが……今は皆さん夕食の準備中でしたね」

誰が来たのだろうかと二人で話しいると、ドアを開けて入ってきたのは長い深緑色の髪をエレアノールと同じようにまとめた
女性。タオル一枚越しにハッキリと見て取れる成熟した身体は、艶っぽい色気を放っていた。
もし、この場にギーシュが居たら、艶やかな魅力に打ちのめされて卒倒していたであろう。

「あら……、もう先客が居られたのですね?」
「ミス・ロングビル!」

慌ててシエスタが立ち上がり頭を下げる。ロングビルはシエスタの礼を受けて、エレアノールに視線を向けてくる。
34虚無と賢女04話:2009/02/15(日) 21:33:24 ID:ZImzh490
「そちらの方は、確か……ミス・ヴァリエールの使い魔でしたね?」
「はい、エレアノールと申します」

エレアノールも立ち上がって礼をする。

「わたくしはロングビル、オールド・オスマンの秘書をしております。……貴女のことはよく聞いておりますよ」

暖炉を挟んで反対側の椅子に腰掛けたロングビルは、目を閉じ少し身体を反らせて熱気を浴びる。動作の一つ一つが
熟された魅惑を表現している。

「え、ええっと、ミス・ロングビルは確か、貴族用の浴場の使用許可もっておられましたよね? 今日はどうして?」
「……最近、浴場にネズミが出るようになりましてね。どうも、わたくしが入浴している時に出るみたいなのですが、
頻繁にネズミが出るようでは落ち着いて温まるのは難しいので……」

口調こそ丁寧であったが、言葉の節々に苛立ちまじりの声色が現れる。ああ、なるほどと納得して頷くシエスタ。

「どういうことなのです?」
「ああ、オールド・オスマンは女好きで有名なんです。私たち使用人の中にもすれ違いざまにお尻触れた人いますよ」

ぼそぼそと小声で話し合う。狭いサウナ室なのでロングビルにも聞こえているのだろうが、特に気にせずにいた。

「ミス・エレアノール、貴女も注意してくださいね。あの方は……呼吸をするのと同じ感覚でセクハラをしてきますから」
「え? ええ……心得ておきます」

流れる汗を拭きながらシエスタの方を見ると、目でドアの方を示していた。どうやらシエスタにとってあまり居心地が
良くないらしい。

「じゃあ、そろそろ行きますか」
「そうですね、それではミス・ロングビル。お先に失礼します」

先にシエスタが、続いてエレアノールが相次いでドアを開けて出て行く。





「やれやれ……本当にどこのお貴族様なんだろうね?」

ロングビルは、普段からは想像のつかない―――はすっぱな声で、彼女がエレアノールに対して抱いた印象を呟く。
ルイズが召喚した使い魔である平民の剣士。ドットメイジをあっさりと圧倒する力量、恐らくは……いや下手すれば熟練の
トライアングルメイジすら敵わないだろう。
しかし、雰囲気は上流階層の教育と躾を受けた者だけが纏うもの。学院の生徒たちよりもよほど貴族らしいと感じた。

「メイジじゃないなら、ゲルマニアあたりの成り上がり? いや、それにしちゃあ―――?」

しばらく考えてみるが、全てをあっさりと説明できそうにないと、考えるのを止める。

「ま、わたしには関係のない話……ヴァリエールのお嬢ちゃんが大当たり引いたのは、祝福してやってもいいけどね」

やれやれっと首を振って、ルイズの顔を思い浮かべる。

―――ロングビルはルイズのことを嫌ってなかった。魔法の練習のたびに爆発を起こすのは問題だが―――被害状況の
把握と損害の算出、そして修復にかかる費用の決算は例外なく彼女の仕事になる―――、周囲の見下げた嘲笑に
屈することのなく誇りを持ち続けようとする姿に親近感すら覚える。プライドだけが突出している傲慢な他のガキどもに
比べれば、よほど貴族らしい貴族。

「……チ、嫌なこと思い出したよ」
35虚無と賢女04話:2009/02/15(日) 21:36:00 ID:ZImzh490
かつて貴族の名を剥奪され、例えようのない汚辱を被った時、周りにいた貴族―――親友と言ってくれた者すら、一様に
嘲笑を投げかけてきた。今の自分の原点となる記憶―――そして『土くれ』のフーケの行動原理の一つ。
『土くれ』のフーケ、大胆さと繊細さを使い分けるメイジの盗賊、トリステイン中の貴族たちから財宝を盗み出す神出鬼没の
大怪盗、それがロングビルの正体であった。彼女はトリステイン魔法学院の宝物庫に秘蔵されている秘宝を求めて、
学院長秘書として学院に潜り込んでいた。

(ふふふ……学院秘蔵の『雷の宝珠』、それを盗んだ時の連中の慌てる顔が目に浮かぶよ)

まだ見ぬ秘宝を思い浮かべ、フーケは美しくも凄惨な含み笑みを浮かべた……。





水をかぶり汗を流した後、残った水気をタオルで拭きながらエレアノールはサウナ小屋を振り返る。

「エレアノールさん、どうかしました?」

隣で同じようにタオルで身体を拭いていたシエスタが不思議そうに尋ねてくる。

「いえ……、ロングビルさんはどういった方なのかと気になりまして」
「ミス・ロングビルですか? 私たちも詳しいことは……土系統のメイジであると聞いたことありますけど。家名をもって
おられないみたいですから、没落貴族なのかもしれないですね」

シエスタの言葉に、納得しきれない表情を浮かべつつ頷く。

「そうですね……。それに、あまり立ち入ったことを詮索をするのは失礼ですね」

会話を切り上げながらも、でも……と胸中で続ける。

(あの人は……何を装っているのでしょうか?)

同じように本心を装って見せようとしなかった仲間の一人を思い返す。結局、彼が何で軽薄な男を装っていたのだろうか、と
物思いにふけりかけたが、隣でメイド服を着始めたシエスタが声をかけてきたので思考を中断する。

「そういえば、エレアノールさん。明日は虚無の曜日ですけど、何か予定を立てられていますか?」
「虚無の曜日? ああ、お休みの日でしたね」
「ええ、もっとも私たちは半日ほど働きますけどね」

それでも半日は休めるのが嬉しいのか、明らかに声も朗らかになっていた。

「私はご主人様のお供で王都まで行くことになってます。色々と買い物されるつもりみたいですよ」
「そうですか……、ちょっと残念です」

みんなでピクニックに行こうと思ってたのですけど、とシエスタは残念そうに笑う。

「ええ、次に機会があればお付き合いしますね」

着替えなれているシエスタが、続いてエレアノールがメイド服を着終える。空を見上げると、群青色の中に二つの月が
浮かんで静かな輝きを放っていた。

「では、エレアノールさん。また賄いの時に」
「マルトーさんたちにお邪魔にならないように行きます、とお伝えください」

手を振りながら、二人はそれぞれの方向へと歩き出した。
36名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:36:12 ID:Tn0DYA9p
支援
37名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:36:21 ID:Tn0DYA9p
支援
38虚無と賢女04話 4/11:2009/02/15(日) 21:38:31 ID:ZImzh490
―――ルイズは唐突に夢を見ていると気付いた。

古びた部屋、手入れがほとんどされてない机と椅子、汚れたベッド、そして窓から見える―――トリスタニアの貧民街を
思わせるこじんまりとした町並み。それが夢の中の彼女が認識できる世界だった。そして、もう一人、お人よしそうな
黒髪の青年が、彼女のすぐ後ろに立っている。様子から見ると、彼女を訪ねてきたらしい。

「財宝、名声、永遠の命……。この地には人々の夢と希望と欲望が眠っていて、人々は危険を承知で、
自ら進んで魔物の棲む地下遺跡へと足を踏み入れる……」

―――それは憧憬の声―――

「使命感のため、命を懸けるに値する自分だけの夢のため、自分を信じて待つ愛する人のため……
今の私にここの人たちは眩しすぎる……」

―――それは諦観の声―――

「でも、これだけは忘れないで下さい。命を犠牲にしてまで得るべきものものなど、この世に何もないということを……」

―――それは苦悩の声―――

「どんな高価な財宝よりも、どんな崇高な使命よりも、人ひとりの命の方がはるかに重たい……」

―――それは悲哀の声―――

「貴方が何のためにこの町に来たのかは知りません。ですが、命を粗末に扱うのはやめて下さい。自分の命も、他者の命も……」

―――それは罪責の声―――

「でないと、私のように後悔し続けることになる……」

―――それは絶望の声―――

そして、ルイズは唐突に気付いた。夢の中の自分はエレアノールなのだ、と―――





「―――ッ?」

ルイズはベッドの上で目を覚ました。見上げる天井、ベッドと布団の感触、見回せばルイズにとって―――普段は
意識することもないほどに見慣れた家具と、そして椅子に腰掛けて毛布に包まって寝息を立てているエレアノール。
周囲の暗さと窓から差し込む月明かりの角度を見て、ルイズは今が夜中と朝の中間あたりだと察しをつける。

「変な……夢だったわね……」

再び天上を見上げながらポツリと呟く。今、自分が見ていた夢をゆっくりと思い返す。―――確かに夢の中の自分が
発していたのはエレアノールの声だったと、改めて気付く。

「でも、本当に……?」

夢の中のエレアノールの声は、後悔に身を引き裂かれそうな声色だった。今の自分を支えてくれる、優しくて他人思いで
思慮深い彼女と同じ声とは思えないほどに、絶望しきった昏い声……。
しばし、布団の中で考えてみるが、徐々に眠気が思考を覆い始める。

(ん……、ただの夢なんだから、気にしてても仕方ないわよ、ね……)

小さく欠伸をすると、ルイズは目を閉じて睡魔に身を委ねた。夜が明けたら虚無の曜日、王都トリスタニアで自分に
忠実な使い魔のために色々買ってあげるのだから、しっかり寝ておかないと……と考えたところでルイズの意識は
再び眠りの中に沈んでいった。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:40:46 ID:Tn0DYA9p
支援
40虚無と賢女04話 5/11:2009/02/15(日) 21:40:47 ID:ZImzh490
虚無の曜日のキュルケは、ゆっくりと朝の二度寝を満喫していた。休みの日のみに許される至高の時間、半分覚醒した意識が
心地よい感触を感じ取るため、熟睡している時よりも多くの幸福感を味わえる。フレイムもベッドの下で大人しくしており、
彼女の二度寝を遮るものは―――

「ん……?」

廊下から人の話し声が聞こえてくる。半分寝ている頭で昨夜は『サイレンス』をかけ忘れていたことを思い出し、続いて
その声に耳を傾ける。

「―――行くわよ。貴女は馬は―――」
「ええ、大丈夫―――時間はどれくらい―――」
「大体―――くらいね」

聞き覚えのある声。

(ルイズと……エレアノール、ね? もう、朝から何を話してるのかしら……?)

半ば無意識のうちに耳を済ませる。

「でも、こんな朝早く―――」
「―――貴女の武器と身の回りを買う―――行くわよ」
「はい―――」

会話と足音が徐々に遠ざかっていく。数分ほどして、キュルケはムクっとベッドから身を起こす。

「……あー、もう。目が冴えちゃったじゃないのよ」

ベッドの下のフレイムが「キュルル……」と同意するように小さく鳴いた。





タバサにとって虚無の曜日は、自分の世界に好きなだけ浸っていられる日である。今日もベッドに腰掛けて本を開いて
没頭していたが、その表情は一心不乱に論文を読み続ける研究者のようであった。手にとって開いているのは、
様々な使い魔に関する書物。
足元やベッドにも何冊もの使い魔やルーン文字、各地の伝承に関する書物が積んであった。一通りペラペラとページをめくり、
最後のページに目を通した後、タバサは小さくため息をつきながら本を閉じる。

(……この本にも無い)

今まで読んでいた本を足元に置き、続いてベッドに積んである本を取ろうとして―――うっかり崩す。

「……」

図書館から借りてきた本ばかりなので乱雑に放置するわけにも行かず、ベッドから立ち上がって一冊ずつ拾い上げ―――
一冊の開いた本のページに目が留まる。

【タルブの悪魔、その真相とは?】

ページの見開きに大きく書かれたタイトル。興味を惹かれて拾い上げて読み進める。どうやら去年出版された、
過去数十年の事件の中から伝奇的なものを取り扱った本のようである。
41名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:40:50 ID:Tn0DYA9p
支援
42名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:41:07 ID:Tn0DYA9p
支援
43名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:41:10 ID:Tn0DYA9p
支援
44名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:41:14 ID:Tn0DYA9p
支援
45名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:41:17 ID:Tn0DYA9p
支援
46名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:41:31 ID:Tn0DYA9p
支援
47名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:41:34 ID:Tn0DYA9p
支援
48名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:41:36 ID:Tn0DYA9p
支援
49名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:41:39 ID:Tn0DYA9p
支援
50虚無と賢女04話 6/11:2009/02/15(日) 21:43:18 ID:ZImzh490
【『タルブの悪魔』と呼ばれる正体不明の人間、もしくは亜人の存在は長く軍関係者の間で噂になっていた。
だが今回の記録を著すに当たり、当時のラ・ロシェール駐留の軍人やタルブ伯、そして実際に対峙して壊滅した
反乱貴族の残党の老兵士や事件の舞台となったタルブ村の住人から聴取したが、要領の得ない話しか聞けなかった。

その『タルブの悪魔』の存在がまことしやかに語られるようになったのは、今より約四十年前に起こったボード子爵の反乱時に、
敗れた子爵軍がラ・ロシェールからアルビオンに亡命しようとして果たせず、タルブ村へと敗走した時に起こった事件が
始まりである。タルブ村に敗走した時のボード子爵の兵力はメイジ四十人ないし五十人、兵士六百人ないし七百人ほどで
既に規律は乱れて逃亡が相次いでいたと推測される。そしてタルブ村を占拠すると、物資の略奪を行い始めた。

偶然、王都に滞在していたタルブ伯がラ・ロシェール駐留軍の援軍と共に、占拠から三日後に兵を率いて
到着した時には反乱軍は文字通り壊滅していた。ボード子爵とメイジ全員は戦死し、生き残った反乱軍兵士は一様に
『たった一人にみんなやられた!! あれは悪魔だ!!』と半狂乱になって叫んでいたという】

ページの末尾まで読み進めて、タバサは疑問に感じる。規律が乱れ、士気が落ちてたとはいえ、たった一人でこれだけの規模の
部隊を壊滅させるなどできるはずがなかった。聖地に居座る最強最悪の亜人エルフとて、一人に対して熟練のメイジ十人以上で
挑めば征することは可能なのだ。『質と量』は、こと戦争においては数の暴力で『量』が優位に立つ。
ありえそうな他の要因を幾つか思い浮かべて次のページをめくり、記された文章を読み進める。

【村人たちの証言も『突然、正体不明の男が現れて、あっという間に村を略奪しようとした反乱軍を壊滅させたらしい』と、
反乱兵士の証言と同様のものであり、その後の数度の調査でも『タルブの悪魔』の正体に関して有益な情報は得られなかったと
されている。
よって、軍の報告書では『追い詰められた反乱軍で内輪もめが発生してボード子爵は味方に討たれて戦死、生き残った
平民層の兵士が、王権に反逆していたとはいえ貴族に手をかけた大罪を隠すために口裏を合わせ、住人たちにも誤った認識を
与えるように広めた』とされた。
しかし、このことを元反乱兵士の老人に確認してみたが『確かにたった一人にやられた』と証言しており、その様子は
嘘を言っているようには聞こえなかった】

内輪もめ……が一番状況から考えられる妥当な結論と、タバサも思う。しかし、『妥当な結論』で未知の恐怖―――
エルフを凌駕する戦闘力をもった一個人が存在してるなど、軍人からは悪夢としか言いようがないはずだ―――を誤魔化そう
としているとも考えられる。

【さらに『タルブの悪魔』が実在している傍証として、興味深い日記をタルブ伯の書庫で拝見する機会に恵まれた。
今より五十年ほど前、当時のトリステインを荒らしていたオーク鬼の群れがタルブ村近郊に現れたという。
当時のタルブ伯が国王にも討伐の軍を派遣するように上申したが、それをすぐに撤回したことが日記に記されていた。
それには、王都へ使者を送り出した直後、村人よりオーク鬼の群れが全滅していると報告があり、確認してみると確かに
百体以上のオーク鬼の死体が付近の森の中で発見されたという記述があった。王宮にも、タルブ伯からの上申書と
撤回書がそれぞれ保管されていることは確認できた】

オーク鬼。一体で訓練を受けた手馴れの戦士五人分に匹敵する亜人。その数の多さから、ハルケギニアで最も人間の脅威に
なっている。何度か戦ったことがあるが、決して油断できる相手ではない。

【以上のことから、『タルブの悪魔』は今より五十年前にオーク鬼の群れを全滅させ、四十年前に反乱軍を壊滅させたと、
考えてもよいだろう。しかしながら、その正体については今なお謎のままである。ただ一つ、タルブ村を荒らそうとした
オーク鬼の群れと反乱軍は間違いなく壊滅しており、それらの事実に付属する根強い噂となって語り継がれていることは、
紛れも無い事実である―――】

支離滅裂―――としか言いようの無い―――な内容にタバサは本を閉じる。

(ありえない……、荒唐無稽)

時間を浪費したと思い本を足元へ置きかけて、ハっと気付く。『タルブの悪魔』とエレアノール、どちらも『ありえない』。
ありえない戦闘力をもつ『タルブの悪魔』、常人ではありえない身体能力のエレアノール。常識でも論理でもない、直感が
その二つを結びつける―――
51名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:43:19 ID:ros8UOP2
なんだこいつ
新手の荒らしか
52名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:45:14 ID:Tn0DYA9p
支援
53虚無と賢女04話 7/11:2009/02/15(日) 21:45:18 ID:ZImzh490
「きゅいきゅいきゅい!」

思考を邪魔する鳴き声、直感はあっという間に霧散した。窓を見ると使い魔のシルフィード、仕方なく窓を開ける。

「きゅいきゅい〜!」
「……?」

鳴きながら首を学園の外へ向けている。釣られて視線を向けると、そこには馬に乗っているルイズとエレアノール。

「……シルフィード」
「きゅい♪」

窓から飛び出し、シルフィードの背に乗ると追いかけるように指示を―――

「あら? 虚無の曜日にお出かけなんて珍しいわね?」

声の方向を見るとキュルケが彼女の部屋の窓から覗いていた。

「……野暮用」
「ふぅん……、あたしも一緒に行ってもいいかしら?」

キュルケの言葉にしばし迷う。しかし、友達のキュルケならいいか、と思い頷く。シルフィードにキュルケの部屋の前まで
迎えに行かせ、「そうこなくっちゃ」とキュルケが飛び乗ったのを確認してから改めて指示を出す。

「……シルフィード、あの二人。馬は食べちゃダメ」
「きゅいきゅい♪」

バサっと翼を羽ばたかせ、シルフィードは大空に舞い上がった。キュルケは風に波打つ髪を片手で押さえながら、感嘆の声を
もらす。

「貴女のシルフィードはいつ見ても惚れ惚れするわねぇ。……ところで、あの二人ってルイズとエレアノールのことでしょ?」
「……」

黙って頷く。それを見て、キュルケが―――悪戯小僧っぽい―――ニンマリとした笑みを浮かべる。

「タバサもファンクラブの一員? 貴女が人に興味持つなんて、明日は一日中雷雨かしら? あぁ、あたしは嬉しいわよ♪
貴女が『エレアノールお姉さま』と挨拶して、『おはようタバサ、タイが曲がっていてよ』と―――」

……やっぱり断るべきだったと、タバサは胸中でため息をついた。





トリスタニアの城下町をルイズとエレアノールの二人連れが歩いていた。

「賑やかな街ですね」
「当たり前でしょ、王都が寂れるなんてありえないじゃない」

一見して貴族の子女に見えるルイズと、お付のメイドに見えるエレアノール。仲良く歩く様子は周囲に違和感なく溶け
込んでいた。

「それで、まずはどこから行かれるのです?」
「まずは身の回りの品でしょ。ベッドにチェスト、後は衣装棚かしら? とりあえず家具を見に行くわよ」

自分に確認するように頷いて、そのまましっかりとした足取りで歩き出す。その後をエレアノールは、時折周囲の露店や建物に
視線を向けつつ続いた。
最初に訪れた貴族向け用の家具屋で商品を選び―――エレアノールはもっと質素なものでもと思っていたが、

「私の従者なんだから、最低限の見栄えは必要よ!」
54名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:45:36 ID:Tn0DYA9p
支援
55名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:46:12 ID:OEaigB9U
支援
56名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:46:17 ID:Tn0DYA9p
支援
57名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:46:53 ID:Tn0DYA9p
支援
58名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:47:28 ID:Tn0DYA9p
支援
59名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:47:31 ID:Tn0DYA9p
支援
60名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:47:36 ID:dUqxvo+p
支援
61虚無と賢女04話 8/11:2009/02/15(日) 21:47:41 ID:ZImzh490
ルイズの一声で下級貴族並の家具が選ばれ、学院に運送するように手配された。続いて訪れたのはやはり貴族向けの衣装と
装飾品を取り扱う店。ここでもエレアノールは新しい下着が買えれば、今のメイド服でも問題ないと思っていたが、

「今度の『フリッグの舞踏祭』は貴女にも従者として参加してもらうのよ! ドレスと装飾品をそろえないとダメじゃない!」

こちらでは中級貴族並の青を基調としたドレスと、髪飾りやイヤリングなどの装飾品が選ばれた。ドレスはサイズを直してから、
その舞踏祭に間に合うように学院へ送られてくるらしい。
こうして買い物が一段落する頃には、太陽は天頂を少し過ぎていた。

「ふう……剣はお昼を食べてからにするわね」
「ええ、賛成でございます」

二人の意見は一致し、貴族向けのレストランへ。





「はぁい、ヴァリエール。奇遇ね?」
「ななな、何で居るのよ、ツェルプストーぉ!?」

レストランの外に並んだ幾つかのテーブルに腰掛けていたキュルケを見て、ルイズは絶叫する。他の客が何事かと怪訝そうに
視線を向けてくるが、ルイズはキュルケに集中したまま気付いていない。

「……あの、こんにちは」

周囲の視線に頬を少し染めながら頭を下げるエレアノール。

「……(むしゃむしゃ」

一心不乱にサラダを食べ続けるタバサ。
非常に目立つ四人組に周囲の視線は中々離れなかった。

「今日は虚無の曜日、ショッピングに楽んでいることに疑問点はあるかしら?」
「そういう問題じゃないわよ! 何でここに居るのよ!?」
「だから奇遇よ、ただの偶然。……とりあえず座ったら? エレアノールもどうぞ、あたしもタバサも気にしないから」

無論、真相はこっそりと後を付け回して、レストランに先回りしたのだが、それを全く表に出さない。

「人の使い魔を勝手に指示しないでよ!!」
「あら、あたしは善意で言ったのよ。受けるか受けないかは使い魔である前に一人の人間である彼女の意志の問題、
あなたに決定権はないでしょ?」

二人の口喧嘩は収まる気配を全く見せない。エレアノールはどうしたものかと思い、この場で助け舟を出してくれそうな
タバサに視線を向けるが、我関せずとサラダを食べ続けているだけであった。





トリスタニアの武器屋は裏路地の中、下町の中でも清掃が行き届いていない一角にあった。ゴミや汚物が道端に転がり、
浮浪者や酔っ払いが家の壁に寄りかかって座り込んでる。白い石造りの建造物が目立つ美しい表通りとは正反対であった。

「汚いところねー……」
「私だってあまり来たくないわよ。ツェルプストー、嫌なら帰ってもいいのよ?」
「……」

顔をしかめて歩くルイズとキュルケ。タバサは本から視線を離さないまま、しっかりとした足取りでその後ろに続いている。
最後尾を歩くエレアノールは、周囲を憂いを秘めた目で見回していた。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:47:55 ID:ros8UOP2
>ID:Tn0DYA9p
無意味だから止めろ
63名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:48:18 ID:dUqxvo+p
下げ忘れた……orz

支援
64名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:49:14 ID:Tn0DYA9p
>>62
失礼しました。
65名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:49:26 ID:OEaigB9U
>>62
リロードしたら、こうなった・・・すまん
66虚無と賢女04話 9/11:2009/02/15(日) 21:49:53 ID:ZImzh490
「それで武器屋ってどこなのよ、ヴァリエール?」
「この辺のはずよ……。えーと、あ、あった」

ルイズが指差した先に、剣の形をした看板を下げた店があった。





店の中は薄暗く、昼間なのにランプが灯っていた。壁や棚に所狭しと剣や槍が並べられ、金属の立派な甲冑や革の胸当てが
飾られており、カウンターには砥石や小ぶりのナイフが置かれていた。四人が店に入ってくるとすぐに奥から主人が出てきて、
ルイズたちのマントを見て恭しく頭を下げる。

「これはこれは若奥様、うちは真っ当な商いが自慢、貴族様に目を付けられるようなことは何もしてませ―――」
「客よ、剣を見せなさい」

ルイズは腕を組んで言って、主人の挨拶を遮る。

「こりゃおったまげた! 貴族様が剣を! おったまげた!」
「どうして?」
「いえ、若奥様。坊主は聖具を振る、兵隊は剣を振る、貴族は杖を振る、そして陛下はバルコニーからお手をお振りになる、
と相場は決まっておりますんで」
「ふーん……、でも剣を使うのは私じゃないわ。使うのは私の従者よ」

後ろに控えていたエレアノールを指差し、主人も釣られて視線を向ける。

「へぇ、昨今はメイドも剣を振るうようで」
「私は剣のことなんかわからないから……、エレアノールで適当に決めちゃって」

ルイズの言葉に頷いたエレアノールは、前に進み出て主人と対面する。主人はジロジロとエレアノールを―――どういう剣なら
振るえるのかを見定めるように―――見ていた。

「あの、私はレイピアの心得がありますので、何本か見せていただけませんか。あとマインゴーシュもあれば、そちらも
お願いします」
「へぇ、ちょっとお待ちくだせえ」

主人はいそいそと店の奥に入っていき、すぐに数本のレイピアを持ってきた。どれもきらびやかな模様がついており、
実用性より装飾を重視している。手持ち無沙汰に壁の剣を見ていたキュルケが、横から覗き込んでくる。

「ふーん……、どんなものが出るかと思ったけど綺麗なレイピアじゃない」
「へぇ、最近は貴族様の間で下僕に帯剣させるのが流行っておりまして、このようなレイピアが人気が高いでさあ」
「流行ってるの?」

エレアノールを挟んでキュルケの反対側からレイピアを見ていたルイズが、主人の言葉に眉を不思議そうに動かす。

「そうでさ、何でも最近、このトリステインの城下町を盗賊が荒らしておりまして。『土くれ』のフーケというメイジの盗賊が
お宝を散々盗みまくって噂で、貴族様の方々は恐れて下僕にまで剣を持たせる始末でして、へえ」

主人は説明し終えると、再び店の奥へと戻り、今度はハンドガードのついた小剣を何本か持ってきた。こちらも、貴族用の
装飾を施してある。

「うちの貴族様向けの在庫はこれくらいでさあ。後は傭兵や警備兵向けの地味のしか残っておりませんぜ」
「ええ、では拝見させて頂きます」

主人の言葉に頷いて、エレアノールはレイピアを一本手に取る。同時に左手のルーンがほのかに光を発し始める。主人は
それを見て、少々驚いたように凝視したがすぐに視線を外す。ルイズとキュルケは既に決闘騒ぎの時に見ていたので、
特に気にもしていなかった。ただ一人、タバサはジーッとそのルーンを見つめ続けていた。
67虚無と賢女04話 10/11:2009/02/15(日) 21:52:21 ID:ZImzh490
エレアノールがレイピアの品定めを始めてから数分後、五本目のレイピアを手に取ろうとした時、店の外から一人の男が
ドスドスと足音を激しく立てながら入ってきた。身に着けている使い込まれた鎧や態度から、傭兵か何かなのだろう。

「おい!! 親父!! 何なんだこのボロ剣は!!」

男は主人を見つけると怒り心頭な怒鳴り声を上げて詰め寄ってくる。その剣幕にエレアノールは慌てて道を譲る。

「こ、これは旦那。その剣がどうかしたので?」
「どうかしたもない! こんな生意気なボロ剣なんか使っていられるか! 金を返せ!!」

男は手にもっていた剣を思いっきり床へと叩きつける。ガシャーンという荒々しい激突音と共に、

「いてぇ!?」

剣が、地面に叩きつけられた剣そのものが悲鳴を上げた。

「……け、剣が喋った、のです?」

エレアノールは足元に転がってきた長剣に驚きの声を上げる。ルイズの身長と同じくらいの長さの長剣は、
叩きつけられた衝撃で鞘から片刃の刀身が飛び出しており、錆が浮かんでボロボロになっているのが見える。

「あぁん? 剣が喋ったらおかしいのか娘っ子」

聞こえたのか、悪態交じりで答えてくるボロ剣(仮称)。いつの間にか、エレアノールの隣にチョコンと陣取ったタバサが
床に転がったボロ剣を覗き込んでくる。

「……インテリジェンスソード」
「インテリジェンスソード?」
「意思を持つ魔剣。……でも、こんなにボロボロなのは珍しい」

続いて、ルイズとキュルケも興味深そうに覗き込んでくる。

「本当ね。普通なら固定化の魔法かかっているから、こんなに錆びたりしないわよね」
「いい加減な固定化じゃないの? あちらの口喧嘩を聞く限りじゃ、口と性格も悪いみたいじゃない」

段々とエスカレートする主人と男の口論に、キュルケは苦笑する。男曰く「てめーみたいな三流に使われてたまるか」
「その辺の棒っきれでも振り回しておけ」などなど。

「おめーら、言いたい放題だな」

床に転がったままのボロ剣は呆れたように呟く。エレアノールは床に転がしたままにするのもと思い、深く考えずに
ボロ剣を拾い上げた。同時にそれまでのレイピアではほのかな輝きだけだったルーンが、はっきりと見て取れるほどに
光を発しだす。ボロ剣も顔色―――もとい雰囲気を一変させて、急に静かになる。

「……おでれーた。てめ、『使い手』か?」
「『使い手』?」

また知らない単語が飛び出した、とエレアノールはタバサに視線を向ける。しかし、タバサも知らないらしく首を横に振るだけ
であった。ルイズとキュルケも同じように首を振る。

「それに外見と違って、かなり鍛えこんでるじゃねーか。正直、見損なってたぜ」

エレアノールの手の中で何やらブツブツと納得するように呟いてたボロ剣は、「よし!」と威勢のいい声を上げた。

「てめ、俺を引き取れ!」

突然のボロ剣の売り込みにエレアノールは呆気に取られる。ルイズはそんなボロ剣なんかと渋い顔をし、キュルケは好奇心が
刺激されたのか面白そうな笑みを浮かべ、タバサは相変わらず無表情のまま。
68虚無と賢女04話 11/11:2009/02/15(日) 21:54:34 ID:ZImzh490
「引き取れと言われましても……」

とりあえず気を取り直して、ボロ剣を鞘から完全に抜いて状態確かめてみる。錆は刀身全体に浮いており、お世辞にも
褒められたものではない。

(でも……柄の拵えはしっかりしてますし、剣としての重量配分も理想的ですね)

カルス・バスティードで、武器としての実用性だけを追い求めていた鍛冶師の作品を思い出す。心の中で比べてみて、それと
遜色ない出来であると判断を下す。……気になる錆は砥いで落とせばどうとでもなる、とその判断に付け加える。

「……ご主人様、こちらの剣でよろしいでしょうか?」
「え〜〜〜。そんなのにするの? あっちのレイピアの方がいいじゃない」
「でも、外見はボロボロですけど、剣としてはしっかりしてますよ」

不満げに「う〜〜〜」と唸っていたが、エレアノールに決めさせるという先ほどの自分の言葉を思い出して渋々と納得する。

「おれっちの名前はデルフリンガー様だ! よろしくな相棒!」
「私はエレアノールです。こちらこそ、よろしくお願いしますね」

エレアノールはボロ剣改めデルフリンガーを納刀し、殴り合い寸前にまでヒートアップした主人と男の方へと振り返る。

「あの?」
「ああん!? 何だッ!?」
「この剣、私たちが買値分の代金を支払いますので、引き取ってもよろしいでしょうか?」
「「え?」」

エレアノールの提案に、主人と男は呆気に取られて聞き直した。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 21:58:07 ID:fXXqHiKg
さるさんか?
支援
70虚無と賢女の人:2009/02/15(日) 21:59:34 ID:ZImzh490
以上で投下を終了します。

……というわけで、エレアノールの剣術スタイルだとデルフ君を選ぶことは
ありえないだろうと考え、このようになりました。

あと、毎回、応援してくれる原作ファンの方々、遅れましたがありがとうございます。
まさか、知ってる人が居ようとは思っても無かったので同士にあえて嬉しい限りです。

では、この辺りで筆を置きます。それでは……。
71名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:00:31 ID:OEaigB9U
乙でした。
72名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:06:42 ID:Z1GA6AWV
投下乙、タルブの悪魔って、カルスで最も危険なあの男か?
……戦われた方々のご冥福をお祈りします
73名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:10:30 ID:6WM6HO2K
>>50 聖地に居座る最強最悪の亜人エルフとて、一人に対して熟練のメイジ十人以上で
挑めば征することは可能なのだ。

他のクロスSSでメイジ100人でもエルフに敵わない、って読んだ気がするんだけど、どっち?
74名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:12:18 ID:OEaigB9U
一応、原作ではエルフの10倍の数がいるとか言ってた気がするが。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:19:38 ID:5MCgjVV5
デルフを逆剣として使うわけですね
76名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:19:49 ID:tWxpl6HX
10倍でだいたい互角らしいから
確実に勝とうと思ったらさらに3倍から5倍必要なんじゃない?
77名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:20:06 ID:iqV6hYqb
「10人で小国を一晩で滅ぼした」とか、「ガリア・トリステイン連合軍7000人がエルフ500人と戦って勝利した」とかはあるがな。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:20:40 ID:LiQdY3Ef
ビダーシャルを基準にすると100倍でも足りなさそうだが
彼はエルフの中でも精鋭のはずだし
ガンダ補正無しのサーシャを基準に考えるあたりでちょうどいいんじゃない?
79名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:22:03 ID:5MCgjVV5
反射魔法を見る限り正直何人いても勝てないような気がする・・・
80名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:23:57 ID:OEaigB9U
エルフだってピンキリいるだろうしなあ。
一律同じ力量なわけないし。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:24:36 ID:nx37lWqC
黙れッ!そして聞けッ!!な人(?)がぶった斬ってたけどなw
82名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:25:06 ID:Tn0DYA9p
六巻コルベールのように酸素を奪うという手はあるかも……
風操られて終わりだろうけど。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:26:56 ID:S2HXso8R
ひょっとしたらピッコロの魔貫光殺砲みたく一点集中した攻撃で無理矢理ぶち抜いたとか
84名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:28:06 ID:wd+qi6tj
お互い姿が見えてるんだから純粋科学によるレーザー光線は効くとか見たことあるような。
もしくは東宝自衛隊のメーサータンクとか
85名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:30:48 ID:40q7IfxC
エルフ500人の部隊を制圧するのに、7000人の軍を動員したらしい。
7000人の全数がメイジなはずもないので、1対10という戦力分析は妥当。

でも、この戦力比はエルフの土地に侵攻した場合だからな。
アーハンブラで、ビダーシャルが「我はすでに契約している」という
表現を使ってることから判断して、精霊との契約にはそれなりに時間が
かかるんだろう。
エルフ側がなじみのない土地に侵攻してきた直後や、行軍中に奇襲を
仕掛けた場合には、戦力比がずっと小さくなる可能性がある。
あと、土地の精霊と契約する場合、あまり密集してると精霊の力の
奪い合いになってしまって、個々の出力が減ってしまうというのも
ありそうだ。
86名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:32:14 ID:/kY/0rw2
エルフのMP切れまでがんばれば普通に倒せるんじゃね
ひとり倒すのに何人の捨て駒メイジが必要かはわからんが
87名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:32:27 ID:Z1GA6AWV
改めて2対3000、不殺の条件で、30分で圧勝したやつらが
いかに狂っているかがわかるな、ビダーシャルでも流石に無理だろ
88名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:36:12 ID:tmEB7vTJ
ガリア王ジョゼフが、「史上最強の童貞」を召喚

「で、我がミョズニトルンとしては、優しいウェールズ王子をどうすべきだと?」
「死刑」

その頃魔法学院には、続々と召喚される大陸軍の面々が…
89名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:39:41 ID:ros8UOP2
「見えている」
「聞こえている」
「呼吸している」
これだけでかなり攻め手は考えられるな
90名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:40:30 ID:ros8UOP2
ロベスピエールはルイズが召喚してひどい事になってるのがあるぜ
91名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:41:32 ID:Tn0DYA9p
見えて聞こえているのならスタングレネードのようなもので、気絶させるとか。
「有害な分だけ反射」とかできるかもしれないが。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:43:53 ID:cRBXK0Af
エルフエルフと繰り返すから・・・
TOPからアーチェ召喚とか考えちゃいそうだ
ティファニアと共に、エルフと人間が仲良く暮らせる未来を創る壮大なストーリー

うん?誰だ、こんな時間に
ガチャ

「クレアァァァァァァァァーーーーーーーーーー」
93名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:44:08 ID:iqV6hYqb
>>89
光情報と空気の振動・流れは遮断が出来ないのか。
94名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:45:27 ID:OEaigB9U
>>85
考え方を変えると、契約した場合としてない場合は約10倍の違いが出るという解釈も可能かね。

>>91
認識できない攻撃なら通るということになると、達人の剣士とかの見せ場も作れそうだな。
95名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:48:01 ID:iqV6hYqb
催眠術とか幻術みたいなのはどうだろう。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:49:59 ID:ZYjsCjXv
>>91
反射が現代兵器にどこまで耐えられるか試してみたくなってきた
毒ガスやら音波兵器やら何から何まで含めて
97名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:50:30 ID:nx37lWqC
>>95
そこまで行ったら忍んでない忍者に頼まざるをえないんだが
98名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:55:43 ID:xmFDrT1W
パゥ・デイレルでも呼ぶかぇ?
99名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 22:58:01 ID:ZZ96hftv
>>85
>精霊の力の奪い合い
要するにエルフの戦力は関係なくて、『その土地の精霊』を相手に戦ってるようなもんか。
だとすれば、エルフの数が一人だろうと百人だろうと、戦力比は変わらないってことになるな。

>>92
ヴェイグはそろそろ、「クレア」以外の言葉を覚えるべきだと思うw
100名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:05:07 ID:MEj+Cpg1
>>92
話題にだけは何度もなるんだよな<ティファニアがアーチェ召喚。ただ誰も書いてない(書けない)だけ。
短編ぐらいならいい話ができそうな気がするんだけどね。
なりダンのアーチェなら仲間の死後寂しがるシーンとかもあるし、
昔はハーフエルフのリアって親友もいたから、いい友達になりそう。

>>99
それなら「ピーチパイ」で
101名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:10:41 ID:P2tUygOE
それでもヴェイグは歴代のテイルズ主人公で比較的まともという
102名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:13:17 ID:nx37lWqC
人気投票20位以内に入ったコングマンが召喚されたようです
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:17:16 ID:cRBXK0Af
>>99
本編では寡黙な性格で通ってるから無問題

リバースは種族の対立を扱ったんだっけ?
おかげで、特典とかでは喧嘩の仲裁役になったな
暑苦しく自分の世界に入り込む男は楽しいやら、鬱陶しいやら

そういえば、まとめチェックしたらいのたま画の人間が召喚されてないな
TODからソーディアンはあるけど・・・
ゲームやってないんで人となりはよく知らないけど、リオンがいないのはちょっと以外
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:18:35 ID:dVXwHwn8
TODのリオン・・・PS版のゾンビリオンを召喚
タバサ失神
だな
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:25:52 ID:tmEB7vTJ
単純にビダーシャルでも勝てない使い魔なら、ご立派様とか日本一の名探偵が…
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:27:53 ID:ZZ96hftv
>>105
そこでご立派様を挙げるなら、色丞狂介も入れてやれw
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:32:43 ID:/NO8PnSY
あと呼ばれた中では人修羅がエルフの天敵だろうな。
あれ、精霊絡みの魔法はまず間違いなく反射する。攻撃はメギドあるから問題ないし。
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:42:15 ID:eXr5bVku
天敵と言うかEND後のマサカドゥス装備の人修羅に対抗できる奴なんか殆どいないだろう
本編ではマサカドゥスあっても某死神さんとかに殺されるからそこまで強キャラって印象ないけど
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:44:02 ID:ChPfXIo3
魔王を倒したアバン先生ならエルフぐらい楽勝
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:47:17 ID:xmFDrT1W
無謀と慢心の精霊を味方につけたエルフ(笑)なら
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:48:01 ID:OEaigB9U
>>108
そりゃ相手も神話に登場する神や悪魔連中だからな。
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:52:55 ID:RYguUZad
伏義(字これであってたっけ?)も結構やばいレベルだな


・・・太極図って宝貝にしか効果ないんだっけ?
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:53:12 ID:dVXwHwn8
>>109
エルフの土地の精霊との契約、ってのが具体的にどういうものかにもよるけど
アバン先生なら破邪の秘法とかマホカトール的な技でその契約を無効化、とか出来るのかな
精霊を解放したり、もしくは精霊も裸足で逃げ出すほどの威圧感で当って反射を無力化するとか
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 23:54:03 ID:t7gVNG4T
>>107
なぜか反射でバンサンカーンやデスバカーンで自滅する姿が想像できてしまった
どうせ至高の魔弾で一撃死するだろうけど>エルフ

メガテン系だとなにげにワルドキラーも召喚されてるな
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:00:27 ID:SMJs4bDL
>>112
空間操作とか平気でやるし、魂魄を消滅させようとしたり、本質は他の人から力を吸って自分のものにしたりといろいろアレ
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:05:02 ID:82nYTSkl
人修羅もアバン先生エルフに対抗できるだけの力はあるけど
まずは話し合いじゃないか。
話を聞かずに力押し、更に圧倒的な力で返り討ちのビダーシャル。
「おのれ!覚えていろ蛮族めぇ!!」
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:05:02 ID:/x7ldzYo
>>112

確か宝貝の無力化と宝貝を経由して生命エネルギーを吸収する能力だった希ガス。

まぁ他にも空間系宝貝なんてチートもあるし…勝てる奴いるか?
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:08:42 ID:W70D/+mn
SF兵器持ちは大体エルフの天敵にならないか?
ビダーシャルの反射は、タイガー戦車の主砲で貫通できる。
単分子ワイヤー、高速振動剣、ライト セイバー、黄金聖闘士のあれこれ
なんかは防御しきれないのでは。
原作でも、破壊の杖ならOKだろう。アサルト ライフルでは厳しいと思う。

ビダーシャルはエルフの中でも数少ない火石精製が可能なほどの使い手だから、
大多数のエルフの反射はもう少し貧弱で、上位のスクエアなら貫通できるのかも。
そうでないと、どうあがいてもエルフには勝てないという話になってしまう。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:13:09 ID:wLyc10Mn
ぶちゃけ、タイガー戦車の主砲程度の物理攻撃力の持ち主なんて一杯いるからなあ。
ウォーズマンでも余裕で超えるんじゃないの?
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:14:30 ID:htfIJwyK
>>118
黄金聖闘士はSFじゃないぞ。
サイエンスはゆで並にぶっちぎってるし、スペースは殆ど関係ないからな。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:16:03 ID:op64+hRx
怪我前の一方通行なら出力差で勝てそう
まあ禁書世界の魔術相手でさえ能力どの位効くかわからないけど
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:20:05 ID:CyB+4VNJ
ウォーズマンのスクリュードライバーなら、確かに貫通できそうだw
マンモスマンならノーズフェンシングでイケるなww
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:22:48 ID:Jw/iKGeg
バージル兄貴もビダの反射くらい余裕で叩き割りそうだ
ダンテのロイヤルガードLv3のアルティメットも余裕でブチ抜いてくるしな
つか閻魔刀っていうチート武器もあるし…
124名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:23:17 ID:7Nk6J91Q
>>116
それとほぼ同じ展開を管理局の白い魔王がやってる。
125名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:27:04 ID:GIfBotfq
特殊能力持ちだらけだなぁ
ここはいっそ竜造寺淳平で

地面掘って背後に行けた&エルフは脱がす
126名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:27:57 ID:QFN/3RdD
>>121
向きがあるのなら魔術でも反射可能だと思っている。
準高速弾の自転砲はとめられないよな……
黒翼状態でも、突破できると思う。
127名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:28:53 ID:QFN/3RdD
間違えた、準光速弾だ……
128名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:29:57 ID:82nYTSkl
「反射」って
本人が使うのと自分以外に使うので強度に違いはでないのか?
あと本人が使ったとき、その場からほぼ動いてなかったハズだが
防御対象が移動するか否かで強度は変わるのか?
129名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:34:30 ID:Qk3cvq9e
エルフそのものじゃなくて、精霊の宿る対象を破壊する方向で攻めればもっと簡単。
130名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:35:38 ID:8x1fSBQS
レッツ環境破壊か
131名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:35:46 ID:Y27l+0cF
土地に付いてる精霊の数と物に付くことのできる精霊の数が同じな訳ないだろう

物や土地を精霊の住宅みたいに思えばいい数=力で
132名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:36:06 ID:iC2G+KVT
なんか魔装機神あたりでそんな攻撃方法を持ってる奴が居たような・・・?
133名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:38:35 ID:UUhaFyKa
太公望って最初の人の知識があるから魔法とか使い魔とか西洋文明も十二分に理解してそうだなぁ
ラスベガスとかタイタニックが通用してるんだから
ハルケギニアの地名を聞いて地球でいずれ誕生するはずの地名だと理解できそう
道標通りの未来=史実っぽいし
134名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:39:43 ID:Qk3cvq9e
>>130
そういえば、白い悪魔さんが、意図せずにそれやっちゃってたな。
あの世界の住人からすればまさに悪魔だ。
早く続き来ーい。
135名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:44:08 ID:PHV8TcBh
対反射で一番確実なのは精霊の強制支配だろ
精霊抜きならエルフ全員がただの耳の長い人扱いになってしまう

他に精霊のいないフィールドに引きずり込むとかもありか
基本的に精霊いないんじゃどうしようもねえはず
136名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:51:14 ID:WZhW6o/K
呪われた島のハイエルフを召喚すれば万事解決
137名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:52:59 ID:H7sbRiml
>>132
・・・某所で書かれて去年完結した二次創作じゃね?
138名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 00:58:16 ID:82nYTSkl
FF4でダークエルフ倒した手順じゃだめかな?
139名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:11:07 ID:SMJs4bDL
>>130
男のロマン環境破壊
つーことで空手家、絶火さんご登場
140名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:12:56 ID:gfo//D5U
反射が意思自体を跳ね返すものでないなら
空間使いのヘタレッシモさん・キースグリーン・ヴァニラアイス・億康でも対抗できそうだな
精霊も時間に縛られる存在だろうからDIOとか承太郎でも攻撃できそう
141名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:14:26 ID:gfo//D5U
オーフェンの意味消滅とかで精霊との契約の意味ごと消滅したりできそうだな
142名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:14:41 ID:+J5lKjh0
なまたさう
143名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:16:10 ID:W70D/+mn
精霊を滅するて言ってもなぁ。
原始的な精霊信仰の対象なら環境破壊で何とかなるかも知れんが、その場合
ウィルスみたいに破壊された環境に適応した精霊へと進化しそうな気が。
あと、多神教の神やキリスト教の守護聖人みたいな、社会生活と密着した形態へ
進化されると、殲滅はほぼ不可能だぞ。
ローマ神話にはピーク時で30万も神様がいたらしい。マイナーどころでは
夫婦喧嘩を仲裁する神様が神殿を持ってるという話を聞いたことがある。
キリスト教には寝取られ男の守護聖人なるものもいるそうな。
「慰めの精霊よ、契約に従い、寝取られて傷ついた我が心を癒したまえ」
…いやすぐるw
144名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:17:24 ID:H7sbRiml
>>140
「ヘタレッシモ」で二瞬考えて、分かってからフイタw

>>141
グロ魔術士殿はストロングサンダー姫に手も足も出なかったじゃないか
145名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:19:58 ID:H7sbRiml
>>142
キサマ、戦闘民族南河内人かッ!
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:22:29 ID:G7y9PVd4
よくあの音の並びを思いついたよなあ。
マジで頭から離れんわ。
147名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:23:32 ID:0fyr4q3v
>>135
精霊に関してならTOPのクラースだな。
召喚時に契約の指輪を無くしそうだが……
148名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:30:15 ID:gfo//D5U
逆に考える(ryAA略
攻撃を「与える」から反射される
ならば反射使ってくるエルフの周りの酸素を「奪え」ばいい
まあコルベール先生最強だな
149名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:33:15 ID:QFN/3RdD
>>148
エルフの魔法は反射だけではないから、風操作で酸素を集められると思う。
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:37:51 ID:ue+9Nqwb
戦うならエルフよりコルベールの方が厄介かも
151名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:38:09 ID:JVY4Fr2y
意外と直接的な物理攻撃には弱いんじゃね>反射
出力の差で人間の系統魔法が負けてるだけで同じ土俵に立たなければ先住魔法にも対抗できそう
ライトニングクラウドとかアイスストームぶつけるよりおマチさんのゴーレムで殴る蹴るとかのほうが効果あったりして
152名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:38:59 ID:gfo//D5U
まあコルベールさんに限らず
酸素操る能力者とか
上位の炎使いとかね
153名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:41:54 ID:yWCziHxZ
認知外空間からの奇襲だ!
154名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:42:10 ID:JVY4Fr2y
炎系統の術者は周囲に水素撒かれると主力技封じられるから元素とかの性質を発見されると大変そうだな
呪文となえるより水撒いて錬金!って言うほうが早いだろうし
155名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:42:46 ID:24EYW9uq
>>143
風の聖痕の上位の精霊術師なら一部精霊と交信して正面から何とか出来るかもね
その場合ビダがカルチャーショック受けるだろうけど

精霊の王と契約してる範疇外は置いとくとして宗家クラスなら相手の精霊毎焼くとか出来ちまうからな
156名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 01:55:34 ID:VNiC88y5
反射を正面から何とかできるんじゃね?
マナ・ライ
ウォート
カーラ
ベルド
ファーン
帰らずの森の長老

戦わずに勝ちそうな連中
付け耳、白粉
金力騎士

良くわからないが、勝つ
リウイ


アレクラストではこんな感じか?
157毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 01:58:31 ID:b99DSmwC
毒の爪の使い魔の第30話後編が書き終わりました。
特に予定その他が無いようであれば、2:05から投下します。
158名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:00:02 ID:H7sbRiml
さんざっぱら雑談ばっかりで消費してごめんなさい支援
159名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:02:08 ID:AEdFSFgW
>>146
ある意味、魔法使いにものすごく効果的な攻撃だなw
160名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:03:46 ID:dnqvLTFm
>>158
それでも原作魔法に対する雑談なら役に立つと信じたい!支援
161名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:03:54 ID:QFN/3RdD
支援
162毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:06:01 ID:b99DSmwC
では、時間ですので投下開始します。

五体のワルドとの戦いにジャンガは苦戦を強いられた。
デルフリンガーの魔法を吸収するという特性で、戦いが有利に進むというジャンガの考えは直ぐに改めさせられた。
ワルドは魔法の吸収を防ぐため、発射ではなく手持ちの武器にすると言う方法を取ったのだ。
『エア・ニードル』、回転する空気の渦を杖に纏わり付かせ、剣の如き鋭利さを宿らせる風系統の魔法。
杖自体が魔法の発生源であるため、まとめて吸収…と言うわけには行かない。
故に、折角の”魔法の吸収”と言うデルフリンガーの特性を生かす事ができなかった。
更に左腕を失ったのも痛い。利き腕ではないが、やはり支障はある。
相手も左腕を失っているが、殆ど魔法で戦っているので然程支障は無いだろう。
加えて四体の分身。分身も左腕は無いが、やはり支障があるようには感じられない。
寧ろ数の差がある分、あちらとしてはとても有利だろう。

数の差、力の差、それらが合わさり、結果としてジャンガはワルドに徐々に追い詰められる事となった。

風を纏わり付かせて青白く発光し、鋭利な切っ先と化した五本の杖を、五体のワルドは次々に突き出す。
その攻撃をジャンガは残った右腕の爪で、左腕に縛り付けたデルフリンガーで受け、流す。
だが、相手は五体、こちらは一人……受けきれなかった一撃が左肩を貫く。
「ぐっ!?」
ジャンガは激痛に呻く。
それを堪えながら、ジャンガは肩を貫くワルド目掛けて蹴りを放つ。
しかし、目の前のワルドは素早く杖を引き抜き、飛び退る。
ジャンガは舌打する。
――やはり五対一の戦力差は大き過ぎる。
相手は未だ左腕を失っただけだが、こちらは徐々にけがを負ってきてるのがその証拠だ。
このままではジリ貧だ。とはいえ……状況を覆すような手段も無い。
ジャンガはデルフリンガーに声を掛ける。
「オイ、自称左腕」
「何だ、相棒?」
「六千年前にも”前”のガンダールヴに握られてたんだってな?」
「いかにもそのとおり」
「そんなテメェに尋ねるゼ。…この状況を覆すような手段を持ってるか?」
「無い」
「そうかよ」
「ガッカリしないのか?」
「最初から期待してねェよ」
「…酷ぇ。魔法を吸い込んだり、光ったりしたのに…」
「あのヒゲヅラが今使っている魔法は吸い込めねェ…、光ったのも錆が取れただけ…、
これで何を期待すりゃいいんだよ?」
「……」
痛すぎる突っ込みに、デルフリンガーは沈黙せざるをえない。
ジャンガは、はぁ〜、と大きくため息を吐く。
そして、目の前の五体のワルドを睨み付けた。
当然と言えば当然だが、余裕綽々と言った様子であった。
ワルド達は一様に笑う。
「どうした? もう終わりか?」
「るせェ」
それだけ返し、ジャンガは再び構えを取った。
このままでは勝てそうにない…、正直敗北は決定的だ。
だからと言って今更引く気も無いが…。
ワルド達が再び笑う。…自分よりも弱い存在を嘲笑う。
それはジャンガ自身、騙し、殺した相手に向けていた物。
それが今、自分に向けられている。
163名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:08:25 ID:8LmKC28X
支援!
164毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:09:33 ID:b99DSmwC
――不愉快だった。

――思い出したくない事も思い出してしまう。

――黙らせてやる。

ジャンガは殺気を隠しもせず、獣のような雄叫びを上げながら突進する。
真正面にいたワルド目掛けてデルフリンガーを振るう。
それをワルドは容易くかわす。
その隙に、他のワルドが一斉に躍りかかる。
四方から突き出される杖をデルフリンガーと爪で受け流し、杖の動きを見切ってかわす。
だが、五体目の攻撃が見切れない。
――突き出された杖が左の脇腹を貫いた。
「がっ!?」
激痛に苦悶の声を漏らす。
杖が引き抜かれるや、ジャンガはその場に蹲る。
押さえた右腕の隙間から血が滴り落ちる。
そのジャンガの周囲を五体のワルドが取り囲む。
――不味い、非常に不味い。
ワルド達はバカにするような、ゆっくりとした動作で杖を掲げる。
そして悠長にルーンを唱え始めた。
バカにするような…ではない。…本気でバカにしているのだ。
目の前のワルドがニヤリと笑う。
「これで今度こそお別れだ…、”元”ガンダールヴ」
「…”毒の爪のジャンガ”様だって言っただろうが……ボケ」
荒い呼吸を繰り返しながら、苦しそうにジャンガは言った。
「ジャンガ!?」
ルイズの声が響き渡る。
ワルドはルイズの方へ顔を向ける。
「安心したまえ、ルイズ…君の次に彼の元へ送ってあげよう」
非情なまでに淡々と元婚約者に死刑宣告をするワルド。
ジャンガへと向き直り、最後のルーンを唱えた。
「では…さようならだ!」
「チッ…」
ワルドが叫びながら杖を振り下ろそうとした――その時だ。

ボコッ!

大きな音と共に、ジャンガの蹲る床が陥没した。
「な!? おわっ!?」
突然の事にジャンガは対応できない。
床に開いた穴へと落ちてしまった。
ワルド達もまた動揺を隠せない。
暫し沈黙し、ようやく一人が呟いた。
「な、何が起きた?」
呟いた一人が穴の中を覗き込もうと首を伸ばし……刎ね飛ばされた。
首を失った一体が刎ね飛ばされた首と共に消滅する。
ワルド達の間に緊張が走る。今のは『エア・カッター』による風の刃だ。
一足飛びに穴から距離を取り、様子を伺う。
穴から小柄な人影が飛び出した。その人影が誰か気が付いたルイズは目を丸くする。
「タバサ!?」
そう、人影はタバサだった。

タバサは周囲を見渡し、状況を瞬時に理解する。
素早くルーンを唱え、杖を振る。幾本もの氷の矢が周囲に飛ぶ。
残ったワルド達はその氷の矢を何とかかわす。
と、突然飛んできた一発の火の玉が逃げるワルドの一体を飲み込んだ。
165名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:12:33 ID:8LmKC28X
やっぱりタバサは頼りになるな〜
支援!
166毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:12:58 ID:b99DSmwC
瞬時に焼き尽くされ、消滅する。
「あら? スクウェアともあろうお方が、このような不意打ちにやられるなんて、情けないですわね」
微妙に場にそぐわない声が響く。
今度は何だ? 残った三体のワルドの視線が声の方に向く。
燃えるような赤髪の少女が穴から出てきている。キュルケだった。
今し方、遍在の一つを燃やした『フレイム・ボール』を撃ったのは彼女である。
余計な邪魔が入った、とワルド達は一様に顔を顰めた。
キュルケの後にギーシュとモンモランシー、ヴェルダンデに押し上げられるようにしてジャンガも穴から出てきた。
「また…テメェに助けられるとはな」
ジャンガの言葉にギーシュは首を横に振る。
「いや、ヴェルダンデのお陰さ。ヴェルダンデが穴を掘り、ここまで辿り着かなければお手上げだったよ」
「…どっちにしろ、二度目には変わらないゼ」
そう言うジャンガにモンモランシーは『治癒』をかける。
「また酷くやられたわね…」
ジャンガの身体の怪我――特に肘から先を切断された左腕を見て、モンモランシーは顔を顰めた。
タバサが背中越しにジャンガに声を掛ける。
「また間に合わなかった…」
その申し訳なさそうな声を聞いて、ジャンガはため息を吐く。
「気にすんじゃねェよ…、この腕は俺のミスだ」
しかし、タバサは首を振る。
「それでも、間に合わなかったのは変わらない」
タバサはワルド達を真っ直ぐに見つめた。

――あいつがこの人を傷つけた。
そう思ったタバサの心中は複雑だった。
彼を傷つけたのは目の前の男。だが、自分が後れたのも事実。
自分は彼の騎士になると誓ったのに…、力になりたくて来たのに…、彼を傷つけてしまった。
タバサの小さな胸は申し訳ない気持ちで一杯だった。
でも、謝罪をしたところで彼の怪我が治るわけではない。
だから、せめて…彼を傷つけたあの男は自分が倒す。
そう心に決めると、自然と杖を握る手に力が籠もった。

ワルドは自分を見つめるタバサの目の冷たさに怪訝な表情を浮かべた。
――年端も行かない少女であるのに、なんという目をするのだろう?
彼はすぐにこの少女が見た目通りではない、相当な使い手である事を察した。
となれば子供と言えど油断はならない…、”あれ”も使う必要があるだろう。
(ここまでする事になるとはな)
ワルドは懐に手を入れ、三つの小さな玉を取り出す。
フーケの傍にいた遍在が取り出した物と寸分違わぬ代物だ。
それをワルドは放った。
地面に落ちるや、フーケの時と同じく青白いゲートが開き、中から幻獣が現れた。
持ち札はこれで全てだ。
(遍在は二つ潰されたが、何ら支障は無い)
三体の幻獣の力がどれほどの物かは見てみなければ解らないが、最低でも弾除け程度にはなる。
それに”あのピエロ”が自信を持って手渡した代物…、全くの役立たずでもあるまい。
ワルドは嫌みったらしい笑みを口元に浮かべた。

巨大な槍と盾を持った、三メイルはあろうかと言う漆黒の身体の幻獣。
一メイルほどの大きさの金色の鎧を身に纏った幻獣。
紫色の水晶球を持つ青い身体をした小型の幻獣。
突如現れた三体の幻獣。しかし、タバサ達は落ち着いていた。
当然だろう…、巨体の幻獣の姿がとても見覚えのある姿をしているのだから…。
「フーケといたのは、やはり彼だったみたいだね」
ギーシュはポツリと呟く。
キュルケもつまらなそうな表情を浮かべる。
「あの物取りだとか言っていた連中も、本当はあの男に雇われていた…ってところでしょうね」
そんな二人に向かってジャンガは声を掛ける。
「お前ら、ふざけてる場合じゃねェゼ? あの野郎…厄介な物を出しやがったゼ」
167毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:16:33 ID:b99DSmwC
『ジャイアントやりムゥ』――様々な種類がいるムゥの中では最も戦闘に適し、尚且つ賢い種族『やりムゥ』の大型種。
名前通りの巨大な槍と『ジャイアントたてムゥ』のそれに匹敵する頑強さを誇る特殊鋼の盾を持っている。
巨大な槍での突進攻撃や、好きな遊びである”そり”を真似た盾に乗っての体当たりなどを得意としている。
漆黒の身体のこの個体は最上位の存在であり、槍は先端が秘宝”ダイヤムゥンド”でできている特別性。
それは、ありとあらゆる物を貫き、破壊する、恐るべき威力を持っている。

『よろいムゥ・きん』――『よろいムゥ・ぎん』の上位種。
西洋甲冑の兜の様な形をした、磨き抜かれた金色の鎧を身に纏っている。
鎧の頑強さはまだしも、腕力、脚力など全てにおいて『よろいムゥ・ぎん』を上回っている。

『バーニィ』――魔力の宿った水晶球を持った小型の幻獣。
ぬいぐるみの様な愛らしい姿をしているが、水晶球の魔力で自由自在に炎を呼び出し、操る事ができる。
炎は敵に飛ばして黒焦げにする攻撃手段のほか、周囲に張り巡らせてバリアにするなど防御手段としても使われる。
紫の水晶球を持った青い個体は最上位の存在。呼び出す炎は冷たく、敵を無慈悲に焼き尽くす。

「また、面倒な相手見たいね…」
キュルケはやれやれと言った感じでため息を吐く。
「なら、尻尾巻いて逃げるか?」
ジャンガの言葉にキュルケは杖を構えて笑う。
「冗談。厄介な相手だからって、幻獣の一匹や二匹で背を向けるわけないでしょ?」
ギーシュもワルキューレを呼び出す。
その目には失望と怒りが混じった感情が浮かんでいる。
造花の杖をワルドに突きつけ、高らかに叫ぶ。
「ジャン・ジャック・ド・ワルド! 祖国と姫殿下を裏切った報い、このギーシュ・ド・グラモンが与える!」
その様子をジャンガは笑いながら見つめる。
「キキキ、張り切ってるじゃねェか」
言いながら立ち上がる。
「ちょっ、ちょっと?」
モンモランシーは慌てて彼を止めようとした。…まだ怪我の治療は終わっていないのだ。
そんな彼女をジャンガは制する。
そしてルイズと一緒に離れてろと言うと、タバサの横に並ぶ。
タバサは彼を見ずに口を開く。
「危険」
「平気だ」
「無茶はダメ」
「その言葉…そっくりそのまま返してやる。国に単身ケンカ売ったお嬢ちゃんよ〜?」
その言葉にタバサは恥ずかしそうに顔を赤らめ、口篭る。
そして逡巡し、口を開いた。
「……解った」
「最初からそう言えばいいんだよ」
「あなたはわたしが守る…絶対」
「無茶はすんじゃねェぞ?」
今し方の自分の台詞を返され、タバサは小さく頷いた。
そして、後ろの二人に声を掛ける。
「キュルケ、ギーシュ、力を貸して」
キュルケもギーシュもその言葉に”何を今更?”といった表情を浮かべる。
「水臭い事を言わないでよね、タバサ」
「それは愚問と言う物だ」
二人の返事にタバサは、ありがとう、と小さく呟く。
そして、ワルドへと視線を戻した。

「話は終わったかね?」
こちらの話が終わるまで、わざわざ待っていたらしい。
余裕の態度でワルドは声を掛けてくる。
そんなワルドにジャンガは小馬鹿にした笑みを向けた。
「ああ…テメェをどうボコボコにしてやるかの相談はな」
「それは面白い。…現実にはならないがな」
168名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:19:02 ID:0fyr4q3v
支援
169毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:20:40 ID:b99DSmwC
「そいつはどうかな? 結果はまだ出てねェんだからよ」
「解るとも。君達では僕には適わない」
その言葉にタバサ達が口を挟む。
「慢心は油断を生む」
「学院の生徒だからといって、この”微熱”を侮っていると、火傷ではすみませんわよ?」
「裏切り者に敗れる道理など無い!」
口々に叫ぶ彼女達の言葉をワルドは鼻で笑った。
「ならば、見せてもらおうか? 君達の力を」
ワルドは幻獣に向かって叫ぶ。
「さぁ、思う存分暴れるがいい!」
幻獣達が一斉に動き出し、三体のワルドも一斉に飛び掛る。
ジャンガ達もそれを真っ向から迎え撃った。



先陣を切るはジャイアントやりムゥ。ムゥハルコンとダイヤムゥンドのコラボが生み出す、破壊の槍を構えて突撃する。
その槍をワルキューレが五体がかりで受け止め、盾を三体で押し止める。
凄まじい突進のスピードに振り払われそうになるが、ワルキューレはそれを何とか押さえつけた。
「今だ!」
ギーシュの声にタバサとキュルケが同時に魔法を放つ。
ジャベリンとファイヤーボールが飛ぶが、ジャイアントやりムゥには届かない。
ジャベリンは飛んできた炎に溶かされ、ファイヤーボールは風で霧散された。
二人はそれぞれの攻撃が飛んで来た方に顔を向ける。
杖を構えたワルドと周囲に青白い炎を浮かべているバーニィの姿が見えた。
バーニィは手を振り上げたり下ろしたりして念じる。
水晶球が輝き、青白い炎が意思を持つかのような動きで、タバサやキュルケに襲い掛かる。
まるでフレイム・ボールのような正確さだ。
二人は襲い来る炎を何とか相殺する。
だが、その間に二体のワルドとよろいムゥ・きんが、ジャイアントやりムゥを押さえるワルキューレを破壊した。
拘束から解放されたジャイアントやりムゥが再び突撃を開始し、徐に手にした槍を突き出す。
槍が完全に突き出されるより早く、ジャンガが叫ぶ。
「テメェら、伏せやがれェ!」
ジャンガの叫び声に全員一斉に床へ伏せる。
次の瞬間、頭上を何かが凄まじい勢いで通り過ぎて行ったかと思うと、背後で爆音が起きた。
何事かと思って振り返り、呆然となる。
「な、何よ…あれ?」
キュルケが呆然と呟く。
背後にあった頑丈そうな扉が周りの壁ごと吹き飛んでいたのだ。
槍を突き出した勢いに突撃の勢いが加わった結果、それは途方もない力を生んだ。
槍に押し出された空気は、エア・ハンマーの何十倍になろうかという大質量の塊となり、
扉を壁ごと粉砕しただけに止まらず、その向こうの壁、向こうの壁と穴を開け、遂には外にまで達していた。
その凄まじい破壊力に全員は息を呑む。
あれをまともに受ければ、人間なんか木の葉のように吹き飛ぶどころか、土くれのように粉々になってしまう。
そして、押し出された空気であれなのだから槍本体の破壊力は……正直考えたくもない。
「全く、次から次へと厄介ね。あなたの世界の幻獣…ちょっと異常過ぎない?」
キュルケが半ば呆れた表情でジャンガを見る。いつもと変わらない喋り方だが、顔には冷や汗が浮かんでいる。
ジャンガはため息を吐きながら返答する。
「この世界の幻獣が貧弱過ぎるんだよ…、とは言え……確かに、この破壊力はちょいと変だゼ」
ジャンガの疑問も尤もだ。
ジャイアントやりムゥは確かに攻撃力に秀でているが、これだけの力を持っているのは見た事が無い。
(まァ…大方”あの野郎”が弄くったやつなんだろうけどな…)
そう、幻獣のボスである”あいつ”ならばこれ位の強化など造作も無い事なのだろう。
だが、原因が解った所でどうするべきか…?

ジャイアントやりムゥが再び槍を構える。
突き出そうとしたその時、タバサが杖を振る。
風が吹き荒れ、ジャイアントやりムゥを小型の竜巻の中に閉じ込めた。
170名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:23:14 ID:H7sbRiml
支援
171毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:24:07 ID:b99DSmwC
ジャイアントやりムゥは竜巻に阻まれ身動きが取れない。
それに止めを刺すべくタバサはジャベリンを作り出そうとする。
そこへ、一体のワルドとよろいムゥ・きんが襲い掛かる。
詠唱を中断し、タバサはその場を飛び退いた。
よろいムゥ・きんの爪が床を切り裂き、ワルドの青白く輝く杖がタバサの右足を掠める。
そのまま距離を離す。そこへ残りのワルドが加わる。
三体のワルドが一斉にライトニング・クラウドを放つ。
膨大な量の電撃がタバサに迫る。
だが、電撃は少女の身体に届かなかった。
間に割り込んだジャンガが構えたデルフリンガーに残らず吸収されたのだ。
ワルド達は一斉に舌打する。
「余計な真似を…」
「うるせェ。一対一じゃねェんだからよ…これ位は当然だろうが?
つうか…テメェも今し方やった事だろうが。キキキ」
最初のジャイアントやりムゥへの攻撃の妨害をジャンガは指摘した。
ワルドは更に顔を顰める。
と、よろいムゥ・きんがジャンガに突撃する。
とても重い鎧を着込んでいるとは思えない動きで爪を繰り出す。
それを何とか捌いていると、よろいムゥ・きんを横合いからワルキューレが殴り飛ばした。
吹き飛び、壁に激突する。
「やるじゃねェか…気障ガキ」
ギーシュにニヤリと笑ってみせるジャンガ。
対してギーシュもお返しとばかりに笑った。
「なに、大した事じゃないさ」
それは実に仲が良さそうな雰囲気だった。
しかし、今は暢気に友情を深めている(?)場合ではない。

バーニィの操る青白い炎が飛んできた。
その炎をジャンガはデルフリンガーで切り裂き、ギーシュはワルキューレで叩き落す。
だが、破壊しきれない物がワルキューレを焼いた。文字通り消し炭となるワルキューレ。

ワルキューレが燃え尽きるのを見て、ギーシュは歯を噛み締める。
最初に八体、そして今一体を破壊された。
残るワルキューレの数は五体、さてどう使うべきか?
――悩む必要など無い、ここまできたのなら。
造花を振り、五体のワルキューレを出す。
「盾代わりにでもなればいい」
ワルキューレを自分達の前方に配置…しようとして、一つの案が浮かんだ。――あまりにも単純すぎる物が。
「タバサ、ちょっといいか!?」

「無駄な事を」
ワルドは嘲り笑う。所詮子供の浅知恵だと。
三体のワルドが一斉に呪文を唱える。
「そんな付け焼刃なバリケードなど、容易く吹き飛ばしてくれる」
三対が一斉に『ウィンド・ブレイク』を唱える。
しかし、その詠唱が完成する前に敵のゴーレムが一斉に動き出す。
「ばかめ!」
叫びながら杖を突き出そうとした瞬間。
ゴーレムが一つ残らず爆発――否、粉砕された。
「何!?」
突然の事に頭がついていかない。そして、それが命取りとなった。
粉砕されたゴーレムの破片が無数の弾丸となり、ワルドや幻獣に襲い掛かったのだ。
ジャイアントやりムゥは自身を拘束している竜巻が盾代わりとなり届かない。
バーニィは炎のバリアに加えて身体が小さいのが幸いし、当たった破片は僅か。
よろいムゥ・きんは元々頑丈なので破片が当たっても傷一つ付かなかった。
しかし、幻獣はほぼ無傷であったが、生身なワルド達はそうもいかない。
三体の内、一体が対応が遅れ、破片の弾丸に全身を貫かれて消滅した。
172毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:27:49 ID:b99DSmwC
「上手くいくもんだな?」
事の成り行きを見ていたジャンガは素直に驚いた表情を浮かべる。
ギーシュは得意げに胸を逸らす。
「まぁね。もともとはタバサと例のピエロの合わせ技だったのを真似ただけだがね。
だが、威力は申し分ない。…欠点なのは、ワルキューレを大分消費する事か?」
「でも威力は申し分ない」
ギーシュの言った言葉をタバサが反芻する。
今し方の事を簡単に説明すれば、ワルキューレ五体をタバサが後ろから特大のウィンド・ブレイクで吹き飛ばしたのだ。
ギーシュが以前、学院で戦ったタバサとジョーカーが使った氷の散弾をアレンジした…と言うかそっくり真似た物。
「さしずめ『ワルキューレ・ショット』と言った所かな?」
「もう少し考えるべき」
「ネーミングセンスが無さすぎるゼ、テメェ」
二人の痛すぎる突っ込みにギーシュは軽く鬱になった。

「くっ、おのれ…よくも!!」
残った二人のワルドが怒りのあまりに叫んだ。
「堪え性の無いヒゲヅラだゼ。まさにガキだな」
「黙れ!」
エア・ニードルを再び唱える。杖が青白く輝き、鋭利さを宿す。
呪文が完成するや、二体のワルドは一足飛びに距離を詰める。
「チッ」
あれだけは吸い込めない。ジャンガは舌打すると、距離を離すべくその場を飛び退く。
ギーシュもキュルケもその場を飛び退き、タバサも後に続く。杖が床を貫く。
素早く引き抜き、一番手近なタバサに杖の矛先を向ける。
タバサは更に飛び退こうとし――足に痛みが走った。
それは先程杖が掠めた右足の傷だ。
一瞬…ほんの一瞬、タバサの足が止まった。――それは致命的な一瞬だった。
しまった、と思った時には手遅れ。
二体のワルドが青白く構えた杖を自分に突き立てんと迫る。

肉を刃物が貫く音が聞こえた。
しかし、それは自分の物ではない。
何故それが解るか?
それは、杖が貫いている物が目の前に在るからだ。

タバサは呆然となった。
「ぐっ…」
呻き声が耳に届く。
ゆっくりと杖が引き抜かれ、自分を庇った相手が地面に崩れ落ちる。
「ジャンガ!?」
珍しく感情を露わにした叫びを上げ、タバサはジャンガの身体に縋り付く。
苦しそうな呻き声を上げるジャンガの身体を触ると、ぬるっとした感触を手に感じた。
見る必要も無い。それが血である事はタバサは十分に理解している。
激しく咳き込むジャンガ。咳き込む度に血が吐き出される。
床には瞬く間に鮮血の泉が広がっていく。
「クソッ…が…」
「ジャンガ…、しっかり」
タバサは既に半泣き状態だ。
守ると誓ったのに、自分のミスで彼をこんな目に合わせてしまった――その事実が彼女を苦しめる。
その二人の前に二体のワルドが立つ。
タバサは顔を上げ、目の前の男を睨みつける。
ワルドはそれを涼しげな表情で流す。
「そんな目で睨まれても怖くはないな」
言いながらワルドの片割れが杖を構えた。
キュルケが咄嗟にファイヤー・ボールを撃とうとするが、もう片割れの風に吹き飛ばされる。
「静かにしていたまえ」
ギーシュも何とかしようと思ったが、既にワルキューレを限界まで作り出したので精神力が打ち止めであった。
173名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:30:13 ID:H7sbRiml
性悪猫さんガンバレ支援
174毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:31:31 ID:b99DSmwC
何の抵抗も出来ずに吹き飛ばされる。
片割れが他を威嚇している間、タバサとジャンガに杖を突きつけているワルドは詠唱を終わらせる。
電撃が纏わり付いていく、ライトニング・クラウドだ。
ジャンガは帯電する杖を見ながら舌打ちをする。
今の状態ではあれを避けられない。タバサだけでも逃がそうと思ったが、彼女の性格を考えれば言うだけ無駄だ。
自分は痛みで咄嗟に動けず、タバサは今から詠唱をしたところで間に合いそうにない。
向こうではタバサの竜巻の拘束を破るジャイアントやりムゥ、起き上がるよろいムゥ・きんとバーニィの姿が見えた。
三体の幻獣はどれも然程怪我は負っていない様子だった。
――不味い…本気で大ピンチだ。
ジャンガは焦った。…しかし、焦って状況が好転するはずが無い。
ワルドがニヤリと笑う。
「もはや万策尽きたかな、”元”ガンダールヴ?」
「”毒の爪のジャンガ”様だってんだろうが……いい加減覚えやがれ、バカが」
精一杯の悪態を吐くジャンガだが、ワルドは余裕の態度を崩さない。
「せいぜい吠えるがいい。最早、打つ手など無いのだからな」
ワルドがそう言った直後――隣でキュルケ達に杖を突きつけていたワルドが突如”引き裂かれた”。
突然の事にその場の全員が呆気に取られる。
そのワルドを引き裂いたのは…あろう事か、味方であるはずのよろいムゥ・きんだった。
「な、何を――」
ワルドの言葉は最後まで続かなかった。

ズバッ!

「なぁぁぁーーーーー!!?」

ワルドの絶叫が響き渡った。



あまりの展開にタバサもキュルケもギーシュもルイズもモンモランシーもジャンガも呆然とするしかなかった。
よろいムゥ・きんが背後から素早く駆け寄ったかと思うや、キュルケ達に杖を突きつけていたワルドを引き裂いた。
そしてタバサとジャンガに杖を突きつけていたワルド(これが本体らしかった)の胸を、
ジャイアントやりムゥの巨大な槍が刺し貫いたのだ。
何故? どうして? 疑問がジャンガ達の間を駆け抜ける。
――その疑問の答えは直ぐに出された。

「いけませんねぇ〜〜ワルドさん?」

突然、礼拝堂に惚けた感じの声が響いた。
その声はジャンガやタバサだけでなく、その場の全員が聞き覚えのある物だった。
と、いつの間にか――本当にいつの間にか――始祖の像の前、うつ伏せに倒れている若者の前にそいつはいた。
場の雰囲気にそぐわない滑稽な笑顔を貼り付けた白い顔。
腕や脚で繋がっていない手足。
赤とオレンジのカラフルな色彩の身体…もしくは頭。
ジャンガは突然の乱入者の名を呟いた。
「ジョーカー…」

ジョーカーはゆっくりとした足取りで歩き出すとワルドの方へと歩み寄る。
ワルドは首を回し、ジョーカーを見た。
「な、何故……何故…こんな…事を…?」
ジョーカーは表情を変えない。相変わらずの笑顔、いや…彼にしてみればこれが無表情なのだろう。
「はて? 何故こんな事を…ですか? 貴方…自分がやらかした事の重大さを理解していないようですね〜?」
「な、なんだ…と…?」
「はい。ワタクシは確か貴方に幻獣を召喚するための玉を渡した際にこう言いましたよね?
”他の方々はどうしても構わないが、ガンダールヴだけは”なるべく”無傷で済ますように”と」
「…か、彼は……もう…ガンダールヴ…ではない。…ならば…何も支障は…」
ワルドの言葉にジョーカーは驚いた表情をする。
175毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:35:23 ID:b99DSmwC
「はい? 何ですと? ジャンガちゃん…ガンダールヴでないって、本当ですか?」
ジョーカーの問いかけにジャンガは咳き込みながらも頷いて見せた。
その返答にジョーカーは一瞬呆然となったが、すぐに調子を取り戻すと言葉を続ける。
「なるほど、なるほど…、ジャンガちゃんはガンダールヴではないと? ほぅほぅ?」
「何が…そんなに興味深いん…だよ?」
「いえ、此方の事です。ルーンって生きている間にも消えるんですね…って感心しただけですよ」
のほほ、と笑い、ワルドへと向き直る。
「…なるほど。貴方がジャンガちゃんを平気で傷つけたのはそういう事でしたか…、いやはや…」
「解ったなら……早く、これを…」
「助けるわけないでしょう?」
冷たい返答…、ワルドの表情が曇る。
「な、何を…?」
「ワタクシはガンダールヴではなく、ジャンガちゃんが本人が好きなんですよ、大事なんですよ。
それを…ワタクシの言葉が足りなかったからとはいえ、傷つけた貴方を見過ごすとお思いですか?」
口調は丁寧だが、その言葉の裏側に隠れた殺気をワルドは本能で察した。
「ま、待て……まだ…僕は……死にたく…」

「黙れゴミ」

…その一言で場が静まり返った。
それまでの彼の態度からは到底想像できないような、氷のように冷たい――冷たすぎる言葉だった。
ジョーカーは元の無表情に戻っていた。――滑稽な笑顔がより一層恐怖を増す。
「目的を十分に果たせず、自らの私情に走って正体を明かすなどと言うつまらないミスを犯す。
更にはジャンガちゃんを殺す一歩手前まで行くとは…使えない奴だ」
タバサやルイズは呆然となっている。
ジョーカーの口調はそれまで聞いた物とはまるで別の物だった。
それは、目の前のジョーカーがまるで別の存在なのではないかと思えるほどに…。
ジャンガだけは唯一、平然とジョーカーを見つめている。
ジョーカーは言葉を続ける。
「満足に任務も果たせないお前はもういらない。蛆虫と呼ぶのも躊躇われる。
蛆でも残飯を処理するくらいには役に立つ。お前はそれにも役立たない。
お前はゴミだ…、蛆虫以下のゴミ屑だ。そして…ゴミは排除する必要がある」
ジョーカーが片手を上げる。
ジャイアントやりムゥが槍を振り被り、力一杯振った。
反動でワルドの身体が宙を舞う。
ジョーカーは一瞬でフラワージョーカーに変身し、魔力を集中させる。
隣ではバーニィが水晶球の魔力を集中させ、巨大な青白い炎を生み出していた。
それが何を意味しているのか……悟ったワルドの身体を恐怖が駆け巡る。
「まっ、待ってく――」



「サヨウナラ」 



ジョーカーの冷たい一言が引き金となり、赤と青の炎がワルド目掛けて飛んだ。
断末魔を上げる暇すらない。
二色の炎は混じり合い、紫の炎となってワルドを瞬く間に包み込んだ。
炎は数秒燃え上がり、そして消えた。――後には消し炭すら残らなかった。
裏切り者だとは言え、ワルドのあまりに哀れな最後にジャンガを除いた一同は息を呑むしかなかった。
ジョーカーは元の姿に戻り、一同を振り返る。
「のほほ、いやいやいや…御見苦しい所を見せてしまいましたね」
タバサ達が知っている”いつもの調子”でジョーカーは喋った。
しかし、今のジョーカーの姿はタバサ達の脳裏に鮮明に焼きついた。
おそらく、二度と忘れる事は無いだろう。
目の前の道化師の本性を知ったタバサは油断無く杖を構える。
それを見て、ジョーカーは笑った。
176毒の爪の使い魔:2009/02/16(月) 02:38:58 ID:b99DSmwC
「まぁまぁ、落ち着いてください、シャルロットさん。
ワタクシは何も貴方方とここで争うつもりは有りませんので。
…直ぐにそんな事を考える余裕も無くなりますのでね」
どう言う意味だ? と聞こうとしたタバサの耳に轟音が聞こえてきた。
穴が開いているので良く聞こえる。大砲や火の魔法の音、それらに混じり聞こえてくるのは大勢の人間の声。
ジョーカーはニヤリと笑ってみせる。
「とまぁそう言う訳ですよ。もうすぐここには『レコン・キスタ』の大群が攻め寄せてきます。
ので、ここは早く引いた方が身の為ですよ〜?」
ルイズは怪訝な表情で怒鳴る。
「どうして…どうして見逃すの?」
「まぁ…ここで無理に命を頂戴する必要は無いわけですし。
曲がりなりにも貴方方はジャンガちゃんの恩人ですからね〜。
それに……欲しい物は頂きましたから」
「え?」
ジョーカーは背後の倒れる若者を指差す。
「ウェールズ皇太子の命。そして…これです」
言いながら手を突き出してきた。その指の間に何かが挟まっているのにルイズは気が付いた。
ハッ、となり、慌てて懐を探る。――無い、皇太子から預かった手紙が無い。
ルイズはジョーカーを睨みつける。
「あ、あなた!?」
「のほほほほ♪ まぁ、ギブ&テイクと言うやつですね。今回のお助け代金として貰っていきますね〜♪」
「返して、姫様の手紙!」
そのルイズの言葉にジャンガは目を見開いた。
「手紙……クソッ…」
ジャンガは激痛が支配する身体に鞭打って立ち上がる。
その様子にジョーカーは慌てる。演技などではない、素のリアクションだ。
「あわわわわ、ジャンガちゃん!? む、無理はいけませんよ!?」
「るせェ……その手紙…を…返し…やが……れ…」
息も絶え絶えにそれだけを告げる。
ジョーカーは心底困った表情を浮かべる。
「ふぅむ……困りましたね。こればっかりはジャンガちゃんの頼みでも聞けないんですよね…」
と、そこでジョーカーは言葉を止めるや、倒れたウェールズをジッと見つめる。
暫くそうして見つめ続けた後、ジョーカーは笑いながらジャンガに向き直る。
「では、別の物を置いていきますよ。これならば…ジャンガちゃんも許してくれますよね?」
「何?」
訳が分からない……何を置いていくと言うんだ?
悩んでいると、足元を何かが走り去っていく。
小さな…本当に小さな幻獣だ。

『マイドゥ』――ゾウムシのような顔をした二本足の小型の幻獣。
皮膚が非常に柔らかく、口は通常の何倍にも広げる事が出来る。
お金が大好きで、何倍にも広げた口と猛烈な吸引力で小銭から金塊まで、金目の物は何でも吸い込む。
基本的にお金にしか興味が無く、凶暴性は皆無な幻獣。

マイドゥはあちらこちらから、ジョーカーの元に駆け寄る。
ジョーカーは薄く笑う。
「では、ジャンガちゃん…お身体お大事に。では、アーディオース!」
「待ちなさい!」
ルイズが叫ぶがジョーカーは一瞬でその場から消え去った。
幻獣達もまたその姿を掻き消した。
「姫様の…手紙が」
ルイズは呆然となる。
折角手に入れた手紙が、土壇場で奪われてしまったのだから無理も無い。
だが、悲観している暇は無い。
爆音や怒声や断末魔がどんどん迫ってきている。
急がなければ巻き込まれてしまう。
「ルイズ、しっかりなさい! はやく此処から逃げるわよ」
半ばキュルケに引きずられる形でルイズは歩かされた。
177毒の爪の使い魔:代理:2009/02/16(月) 02:47:30 ID:7fyja61K
モンモランシーもギーシュもヴェルダンデの掘った穴へと飛び込む。
タバサもジャンガの腕を掴む。
が、ジャンガはタバサを見ると首を振る。
「どうして?」
「…チィとばかし、やる事がある…。先に行け…」
「わたしも」
「…脱出路を確保しとけ。直ぐに行く」
「……解った」
タバサは寂しげな表情を浮かべるも、頷くと穴へと飛び込んだ。

それを見届けたジャンガは倒れたウェールズへと歩み寄った。
床に広がる血溜り、胸の傷、普通ならば死んでいると思われるだろう状態。
だが、ジャンガはウェールズの肩を掴むと揺さぶった。
「おい、目を覚ませ……オイッ! ゲホッ……目を開けやがれ…」
吐血しながらも、ジャンガはウェールズに語りかける。
すると、ウェールズの目がゆっくりと開いた。
「…きみ…は?」
苦しそうだが、何とか言葉を搾り出している。…どうやら、急所はギリギリで逸れていたようだ。
だが、深い事に変わりは無い。このままでは不味いだろう。
「ウェールズ皇太子……で、間違いない…んだよな…?」
ウェールズは、ああ、とだけ返事する。
ジャンガは確認を終えるや、ウェールズの身体を肩に担ぐ。
そして、ゆっくりとした足取りで穴へと向かう。
ウェールズは彼が何をしようとしているのかを悟り、彼に声を掛ける。
「だめだ……私は置いて行って…くれたまえ…」
「やだね……」
「…私が亡命すれば……やつらに…『レコン・キスタ』に口実を…」
「うるせェ…テメェの言う事は聞かねェ…。聞く義理は……無ェ…。
テメェを…せめて連れて…いかなけりゃ……あいつに、姫嬢ちゃんに合わす顔が……無ェからよ…」
「…アンリエッタ…?」
「ああ…」
「なら…なら、尚更だ……。私は…彼女に迷惑を…」
「…死ぬ事は…迷惑じゃないのかよ?」
「な…」
「死ぬにしても……せめて…知り合いに見取ってもらえりゃいいじゃねぇかよ…。
誰にも…見取って…もらえずに……くたばる奴…なんか……吐いて捨てるほど…いるんだからよ…」
ウェールズは口篭る。
それに、とジャンガは続ける。
「”亡命”ってのは……自分から逃げる…事だろ? テメェは…俺が連れ出すんだ……亡命じゃねェ…、キキ、キ」
「…こじつけだな」
「理由なんてな…そんな物だ…」
ジャンガは穴へと飛び降りた。
178毒の爪の使い魔:代理:2009/02/16(月) 02:48:44 ID:7fyja61K
穴を抜けるとそこはアルビオン大陸の真下、雲の中だった。
そこにはシルフィードが待機しており、落下してくるタバサ達を背中で受け止める。
「あいつは?」
キュルケがタバサに尋ねる。
「直ぐに来る」
「あのバカ……何をしてるのよ?」
言いながら、ルイズは手元に置いたジャンガの左腕を見る。
学院に戻れば何とか繋げられるかもしれないと思い、拾ってきたのだ。
「大丈夫なのかい? あの轟音では直ぐ近くまで迫ってたと思うが?」
ギーシュがそう言った時である。
穴から二つの人影がドサリとシルフィードの背に落ちてきた。
それは果たして、ジャンガとウェールズだった。
「ウェ、ウェールズ皇太子!?」
「う…うう…」
「生きてる!? モンモランシー、手当てを!?」
言われずとも、と言わんばかりにモンモランシーはウェールズに治癒を掛ける。
「キキキ……これで、なんとか……面子は…保てそうだゼ…」
苦しそうにそれだけ言うジャンガ。
そして、彼を例えようの無い脱力感が襲った。…限界だったのだ。
倒れたジャンガにルイズもタバサも力の限り彼の名を呼んだ。

だが、もう彼は答えなかった。



以上で投下終了です。
後編なのに、前編の約三倍の量ってどういう事だろう?(汗)

いやぁ…ちょっとジョーカーが怖くなっちゃいましたかね?
まぁ、俺としてはジャンガが関わるとジョーカーはこうなると思うんですよ。
と言うか、多分ジャンガに対するジョーカーの態度はデモンベインのエセルドレーダのような物だと思うんですよ。
何と言うか…残酷なところに惚れたと言うか、狂信じみた感じを抱いちゃった感じですかね。
だから、ナムカプの若干キツイ態度も”自分の強くて残虐なイメージ”を壊して欲しくないからのもので。いわゆる、愛のムチ?
まぁ、それでも例のお前発言つねつねのセリフは、羽目を外しすぎたジャンガへの純粋なお叱りでしょうが。

あと、ウェールズは実は生きてましたと言うオチでした。

では、今回はこの辺で。アーディオース!





以上、代理でやんした
179名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 02:52:08 ID:H7sbRiml
>あと、ウェールズは実は生きてましたと言うオチでした。
さらっと言いやがったなw

毒の爪の人も代理の人も乙でござんした
180名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 03:03:27 ID:u3GYGAty
毒の爪の人乙
やっぱジョーカーはジャンガ大好きっ子だな!
181名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 03:20:05 ID:8LmKC28X
毒の爪の方&代理の方、乙です!

ジャンガがどんどんボロボロになっていく…
今までのダメージ+今回のダメージは相当身体にきてるみたいだし大丈夫か?
増援のタバサ達と一緒に戦ってもガンダ補正がないせいか苦戦だったし
ムゥ達がいなければ原作のようにワルドに手傷を負わせて逃げられるようになったかな?

タバサもジャンガが自分を庇ったせいで傷を負ったから精神的にきつそうですね
半泣きのタバサを想像してちょっと萌えた自分はダメ人間ですねw

次回も楽しみにしております!
182ゼロスト:2009/02/16(月) 03:23:39 ID:KrOD5Q0n
毒の爪の人さん乙です、毎度のことながら非常に面白いストーリーですね
代理の方も乙です

さて、誰もいなければ6レス投下したいのですが
時はゼロアワー、昼食時という奴である。腹が減っては戦は出来ぬとばかりにたくさんの生徒が群れを成していた。
兄弟もちゃっかり――どうせ朝食抜きと言われただけだし――食堂へと集う学生の大軍の中の一員となっていた。
すると、フロスト兄弟に声をかけてくる者がいた。
「あ、シャギアさんにオルバさんじゃないですか」
シエスタが現れた。
「また会ったな、ミス・シエスタ」
「借りを返しに来たよ」
この会話だけ聞くと、彼らはひどく因縁めいた間柄かと誤解する者も少なからずいるだろう。
だがそこは温厚な性格のシエスタだ。律儀なんですね、と言った上で手伝いを求める。何故か服を貸し出して。
小さな部屋で、貸し出された衣装に袖を通す兄弟。ちなみにその際貸し出されたのが――
「オルバよ。なんでこうなるのだ?彼女の趣味か?普通にやらせればいいものを――」
「まあ、この世界でもメイドの反対は執事なんじゃないかな?それにメイド服着るよりはマシでしょ?」
漆黒のバトラースーツ、燕尾の紳士服である。もちろん白い手袋も何故かセットだ。
この兄弟、特にシャギアには何故か死ぬほど似合うから困る。ノーマルスーツも、普段着ているコートも黒いからか。
「兄さんには黒がよく似合うみたいだね」
「しかも腹も黒いときた。まさに黒執・・・いや、なんでもない」
「兄さん、いいからいこうよ」
オルバに諌められたシャギアとともに、部屋から出てシエスタの前に姿を見せる。
さて、そのシエスタはというと。声にならない歓喜の声をあげている。顔は提灯ばりに赤く染まり、
口を手で抑え、叫びたい衝動をこらえているように見える。足は内股でもじもじしており、明らかに息遣いが荒い。
「・・・・・・して、御用はなんでしょうお嬢様」
「なんなりとお申し付けください、マイロード」
ちょっとした冗談のつもりで――もちろん心を読んだ上で――、相手の望んでいそうな台詞を言ってみる兄弟。
今度こそ歓喜の咆哮をあげ、シエスタは普段の彼女からは考えられないような力で彼らの腕を掴み――
「私と一緒に逃げてください、どこか遠くまで!大丈夫、グータラ貴族の追っ手の数匹ぐらい!愛の力で跳ね除けてみせます!」
かっこうぃいモードにでも入ったか、とんでもなく危険な台詞と共に兄弟を引きずっていくシエスタ。
「お、おい落ち着いて!分かった、定期的に君を手伝うからさ!」
「今度から手伝うときはスーツを着てやる!頼むから落ち着くんだミス・シエスタ!」
兄弟の必死の説得の結果、彼女の部屋の手前まで引きずってきたところで漸く止まった。
兄弟は後に、「下手をするとDX並み、もしくはそれ以上の強敵だ」とこの時の様子を語る。
なんとか平静を取り戻したシエスタではあったが、自分が居ない間に食堂内はすごいことになっている。
戻った直後に仕事に忙殺される彼女は、まさしくてんてこ舞いという形容詞が良く似合う。
それを見た兄弟も自発的に――元々その気であったが――手伝うことにする。
「ご注文は、左の方から順にパイ、ショートケーキ、プリンでよろしいですね?・・・オルバ!」
「了解、兄さん・・・」
シャギアが客の心を読んで注文を取り付け、オルバがそれを運んでくる。ニュータイプ能力をうまく活用した
兄弟間のファインプレーに、まわりの客および食堂スタッフは総出で舌を巻く。
その効率もさることながら、的中率が100%だからだ。中には複数の中から悩んでいる者もいたようで、
その類の人たちは、思考を見透かされて複数出されたデザートを、困り顔をしながらも実に嬉しそうに全て平らげていた。
また、シエスタが暴走するほど板についている、彼らのスーツ姿の破壊力もかなり貢献しているらしく、
実の兄弟であることを知らず、薔薇兄弟であるという妄想にふけって体をくねらせ――た挙句ケーキを落っことす――者や、
彼らが注文をとっていることを見るや、ダイエット中という自制の鎖を引きちぎってどんどん注文する者、
挙句の果てには、よからぬ妄想に励んでいたために思わず(公共の場では憚られるようなこと)と注文する者もいたほどだ。
ようやく一息ついた頃には、新品のぴっかぴかのスーツの袖に少し皺が目立つようになってきていた。
「今日の我々の運勢は・・・『波乱あり。災難あり。戦いあり。出会いあり。』か、もう全て的中しているな」
「彼女はできれば敵に回したくないな」
おそらく、メイドではなく格闘家や傭兵の職に就いていれば、今頃はかなりの有名人に違いない。そう思った兄弟であった。
その彼女が、彼らのもとへ一休みをしにやってくる。シエスタは休憩中に占いをしているらしい兄弟を見て、
「へえ、占いですか?人には意外な特技があるんですねぇ」
君の、普段どこに隠してるか分からない力の方が意外だったよ、と兄弟は思ったが口には出さないでおく。
「そうだ、君も占われてみる?(・・・あと、もう暴走するのだけは勘弁ね)」
彼らの申し出を快く受け入れ、『また』荒い吐息と共に脳内のお花畑へと旅立つシエスタ。
――に、兄さん!できるだけ早く結果を出した方がよさそうだよ。また暴走されたら・・・!――
震える手で今日の彼女を占う兄者。占いの結果が出たことを伝えると、まるで眠気を振り払うように頭を振って彼女が反応する。
「今日、君には・・・災難があるだろう。しかし、それは誰かが振り払ってくれるので心配はいらない・・・とのことだ」
ともかく自分たちに降りかかっている災難を誰かに吹き飛ばしてもらいたいと、切に願うフロスト兄弟であった。
再び作業に戻る兄弟たち。そこに彼らの主人がやってきた。
「え・・・?あ、あんたたち、何なのよその格好は・・・」
そう言いながら鼻を押さえているルイズ。その反応を見て「もう波乱は勘弁してくれ」と天を仰ぐ兄弟。
しかし、ニュータイプ能力を駆使した自分たちの占いの的中率は100%。彼らには、己が運命を呪うしかないのだ。
「その服なら、私が着せました」
シエスタの発言は、ルイズの感情の導火線へと火を点ける。いや、それどころか核爆発を引き起こす。
「あ、ああああんたねぇ〜!これは私の使い魔なの!それを、どこの馬の骨とも知らない行きずりの女が開発してんじゃないわよ!
私に従順になったら、いろんな服を着させて遊んでみようと!新たな魅力を発見しようと思っていたのに!あんたはそれをッ!」
「いえ、私の運命の人です!だいたい、朝っぱらから自分の下着を洗わせるような人に、この方たちを近づけさせたくないです!」
非常に穏やかでない、というか非常にアブない表現が飛び交う現状に、当の彼らは頭を抱える。
「仕方ないじゃない私の使い魔なんだから!むしろ異世界から来たばかりなんだし、
これはれっきとした教育の一環よ!というかなんでそんなこと知ってるの!?」
「そんな破廉恥な教育が、エロ漫画でもなしに存在するとでも思っているんですか!?」
お互いに所有権を主張したり絆を主張したりと、本人からしてみればはた迷惑なことこの上ない論争が延々と続く。
これが国家同士の争いだったなら、さぞや不毛かつ激しい泥沼の戦争となっていたことだろう。
兄弟は厨房に入り込み、胃薬とお冷を求める。コック長は彼らにいたく同情し、
男はつらいな。夜になったらここにこい。酒の一本ぐらいおごったる、と彼らを慰めた。
兄弟とコック長との間に奇妙な友情のようなものが芽生えたのは言うまでもないだろう。
胃薬と冷水を飲み終えた兄弟が戻ってみると、言い争いはまだ続いていた。その激しさたるや、
TVタッ○ルや朝まで生○論などの討論番組が可愛く見えるほどだ。
兄弟たちはそろってチェスへと現実逃避する。それを傍らに、シエスタの大胆発言が更なるヒートアップをもたらす。
「じゃあ、私はあの方たちと婚約します!ほら、これであなたのよりも繋がりが強くなったでしょう!」
「そんなの許すかーー!だいたい、使い魔と主人は半ば伴侶とも言えるほどの強い結束なのよ!?
それに、あんたみたいな礼儀知らずな女に、私の使い魔をやるわけにはいかないわ!やるくらいなら私が飼い殺すわよ!」
「そんな決定権が貴女にあるんですか!ああ、なんて可哀想なシャギアさんにオルバさん!愛の欠片もなく隷属を強いられるなんて…」
「ええい、言ったわね・・・上等よ!ちょっと表に出なさい!決闘よ決闘!」
劇のような身振りと台詞がルイズの怒りを煽り、また彼女の発言に一部の女子が致死量の鼻血を出して昏倒したりしている。
その時、沈黙を守ってきた兄弟がついに立ち上がり、彼女たちに文字通り水を差す。
―少し、頭を冷やそうか。ルイズにミス・シエスタ―と兄者が。―もう頼むから言い争いはやめて。ね?―と弟者が。
そう懇願するも、水をぶっかけられた彼女らの感情は、マグマの如く煮えたぎっていた彼女らの感情はそう易々とおさまらない。
「あんた、主人に向かって何するのよ!?」「ああ、シャギアさんにオルバさん。私とは遊びだったんですね?」
だがその激しい感情も、――君たちのせいで胃に穴があきそうだよ・・・という弟の痛切な嘆きに。
――冷静になって、周りを見たまえ。――それでも言い争うなら、お前らなんか嫌いだ。という兄の言葉に、結局は沈静化した。

兄弟が召喚されて2日目。ここに、とある貴族と平民との間に講和条約が結ばれた。兄弟に「紳士服一式」を着せないことを核にして。
かつて戦争があった。二人の男子の紳士服姿に端を発した痴話喧嘩が、食堂全土を黙らせる大論戦となったのだ。
彼らの主人の貴族は、『彼らとの契約』を切り札に彼らの所有権を主張。平民に対して手を引くことを迫った。
これに対し平民側は、極秘に生み出された「友情の芽」と「自らが抱いた好意の芽」を拠り所に、徹底抗戦の構えをとった。
――思えば平民が、その二人組に着せた紳士服が、この一大論戦の引き金となった。
気持ちが昂った貴族は持論を強硬に主張。平民も、一歩も譲歩することなくこれに応戦。
論戦は泥沼となり、ついには生徒たちのオアシスである食堂の「空気」に、致命的なダメージを与えてしまった。
満ち満ちていた笑顔や喜びは失われ、ついには当事者の怒りをも買ってしまった。もはや論戦に勝ち負けなどなくなった。
――それから十五分の時が流れた。大痴話喧嘩の、食堂の空気への影響は著しかった。だが戦後15分、空気はようやく元に戻った。
「ようやく収まったみたいだね、兄さん」
「これがあと7回続いたら、その前に我々はもう駄目になりそうだ・・・。我々の過去の過ちを知ったよ」
「彼女たちが戦争を望まないように祈ろう・・・次に戦争が起こったら、僕らの負けだね。いろんな意味で」
(※第8次宇宙戦争が起きたきっかけは、彼らです。彼らが作りました)
彼らもようやく心身ともに一息つき、軽い腹ごしらえをしている。――私服姿で。
隣にはルイズがいるものの、どこか不満そうな顔をしている。だがシエスタと目線があった瞬間、どこかへ出て行ってしまった。
「どうでもいいけど、お腹減ってなかったのかな?彼女」
「いずれにせよ、いい厄介払いだ。これ以上戦争の火種が燻るようでは、我々の精神に支障をきたす・・・」
ルイズが聞いていたら憤激、シエスタが聞いていたら感激(早とちりとも言う)しそうな会話をしつつ、精神的休養に入る。

その頃。戦争の終結により食堂には以前の活気が戻っていた。そんな中、とある一角では・・・
「なあ、ギーシュ!お前は今誰と付き合っているんだ?」「誰が恋人なんだよ?」と、コイバナという花が咲いていた。
ギーシュと呼ばれた青年――見るからに、スカした感じのキザな男――は答えていわく、
「僕にそのような特定の女性は居ないのだ。バラは多くの人を楽しませるために咲くものだからね」と。
それをどこから聞いていたのか、兄弟は二人でごちる。
「バラは、美しく散るためにあるんじゃないのか?オルバよ」
「・・・いや、そこで僕に意見を求められても困るよ?」
兄弟間で勝手なやり取りが行われている中、ギーシュの武勇伝はヒートアップし・・・その拍子に懐から小瓶が落ちた。
たまたまそばに居たシエスタが親切心から拾って返そうとしたものの・・・
「これは僕のじゃない。『でも、確かに・・・』とにかく僕のじゃない。何なら貰ってくれても構わんよ、分かったね?」
半ば血相を変えてシエスタに迫るが、一足遅く友人にその小瓶を発見されてしまう。
結果、二股がバレる。後輩の女の子に顔を引っ叩かれる。香水の調合主、モンモラシーという少女に彼は必死で弁解をするものの・・・
結局は弁解空しく「少し、頭冷やそうか」と言わんばかりに香水を頭からかぶる羽目になるという3連コンボの完成だ。
ギーシュはそのやるせなさを、悲しみを、怒りに変えてシエスタに食って掛かる。
「そこのメイド、ちょっと待ちたまえ」
後ろ後ろではないが、背後に何か恐ろしいものを背負ったかのようにシエスタはゆっくりと振り返る。
「君が不用意にも小瓶を拾ってくれたおかげで!二股がばれ!二人には逃げられて!しかも僕はこの様だ!そこ、何がおかしい!」
「だって、お前が二股かけなきゃいいだけの話じゃあないか。ほら、謝ってこいよ!」
友人たちの謝れコールを超然とした態度ではねつけ、ギーシュはなおもシエスタに説教をする。
「申し訳ありません、貴族様・・・」
「いいや、謝ってすむ問題ではない!君が謝っても、彼女たちの名誉には傷がついたままだ!だいたいだね・・・」
その説教を遠巻きに見つめている二人組がいた。
「やれやれ・・・勘違い野郎はこれだから・・・」
「ミス・シエスタも災難だな・・・ん?」
彼らの目に見えたのは。彼女の涙。それを見て、猛然と怒りが湧いてくる兄弟。
「奴はつくづく愚か者だ。結局は自分可愛さのために、可憐に咲く野花を踏みにじるとは・・・」
「僕らは正さなければならないね・・・あの腐れ貴族を、そしてその精魂を!さあ行こう、兄さん!」
今にも襲い掛かりそうなほどいきり立つ弟。兄は自らの正当性を、そして現状を確認して曰く。
「・・・オルバよ、勘違いするな。我々が彼女を助けに行くのは、彼女に淡い好意を抱いているからではない。
彼女はまるで、世界に対する憎しみも、争うことも、他人を蹴落とすことも知らずに育ってきた我々なのだ。
同胞を侮辱されたからだ。・・・何より、彼女が傷ついたことにより我々が食いっぱぐれるようになっては困る」
「ふふ・・・兄さんも素直じゃないね・・・。まあ、僕らを初めて認めてくれた人に恩返しの一つもしなくっちゃあ、ね」
「そこの少年、もう気は済んだか?」
話の腰を折られたギーシュは、怒りの目つきを声の発した方向に移す。
「シエスタ、大丈夫だったかい?怖かったろう、引っ込んでてね。(・・・でも占いは当たったようだね)」
「シャギアさんに、オルバさん!」
待てまだ話は終わってないとばかりにシエスタに掴みかかる手をシャギアは捕まえて。
「しつこい男は嫌われるぞ、少年?」
こいつらは・・・クラスメイトのグランドプレを侮辱した使い魔二人組みか。どうせ口先だけだろう。
そう思ったギーシュはシエスタを諦め、この兄弟に狙いを定めて
「おや、それは経験談かい?それとも、モテ男からの忠告かな?平民同士で大変仲がいいことだ・・・」
「いや、見ていられないほど見苦しかったのでな。世界が彼女を黙殺するから、我々が彼女を救いに来たまでだ」
「おや、今度は白馬の騎士きどりって訳かい!平民のくせにいいご身分だこと・・・」
「貴様こそ貴族だからと調子に乗りすぎだな、少年。フェミニスト気取りのくせに、八つ当たりで女を泣かせるとは。おかしい話だ」
痛いところを突かれ思わず言葉に詰まるギーシュと、シャギアに同調する取り巻き。
「君たちはつくづく貴族に対する礼儀というものを知らないようだね・・・」
「無能な上層部に尽くす礼儀などない。お前に利用価値がありそうなら考えるが、それもなさそうだしな」
怒り心頭に達するギーシュ。ニヤリと微笑む兄弟。そのニヤリ笑いが怒りを増長させ・・・
「よかろう!貴族に逆らう者の末路を教えてやる!決闘だ!」
思わず高笑いをする兄弟。その笑顔には、狩人が罠にかかった獲物を見るような目つきを感じさせる。
話の急展開に焦るシエスタ。このままでは・・・彼らが殺されてしまう!?
そう思ったシエスタだが・・・オルバに口をふさがれ声を出すことができない。
いや、オルバやめよう。無駄な戦いはよしたほうがいい。とシャギアが言った。胸をなでおろすシエスタと、ほくそ笑むギーシュ。
そうだね、占いでは僕らの勝ちだもんね。結果の分かっている勝負に、何かを賭ける価値もないか、とオルバ。
「ほう・・・?その君たちの占いが、インチキであることをこの僕が証明してやろう!」
それで、会場は?まさか、教えずに不戦勝なんて汚い真似はしませんよね貴族殿?と徹底的に挑発する兄者。
負けじとギーシュも、ヴェストリの広場、風と火の塔の中間にある広場で待つ。逃げたければ逃げても構わないよ、ナイトくん?と返す。
「ふふふ・・・私の愛馬は凶暴です」
その言葉に薄気味悪さを感じ、1時間後だ!来たくなければ、いくらでも理由をつけるといい!と言い残し去っていくギーシュ。
ギーシュが去ったことを確認し、オルバはシエスタの口から手をどける。
「こ、殺されちゃいます・・・私のことはどうでもいいですから!逃げてください!」
「開口一番それか・・・君らしいといえば君らしいが」
「生憎だけど僕らはおりるつもりはないよ。それに・・・僕らが求めた戦争だ!」
その言葉に気圧されるシエスタだが、絶対に決闘をさせるわけにはいかない。何故なら・・・
「平民は貴族には勝てないんです!!」
先ほどまで、貴族をまったく恐れていなかった君の言う台詞とは思えん、とシャギアはその忠告を一笑に付して。
ま、スーツでも洗って待ってておくれよ。あと軽めの夕食を用意しておいてね、とオルバは言い残し、食堂を後にした。
189ゼロスト:2009/02/16(月) 03:37:10 ID:KrOD5Q0n
終了です


あれ、ようやくギーシュだ。予定が延びすぎたかな・・・
190名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 03:59:35 ID:BTCG4pWd
多分メガソニック砲辺りで遠くへ逝くギーシュの魂の平安を祈りつつ
乙でした
191名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 06:48:30 ID:NdUiww1+
>>98
食前絶後とか懐かしすぎるw
つか知ってる奴意外と多いのにびっくりしたわ

>>125
ミケいれば余裕
192名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 07:13:52 ID:/x7ldzYo
乙。
駄目だこのルイズとシエスタww
そしてギーシュ…チャレンジャーすぐるw
193名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 08:32:23 ID:MGBuiAT1
ナースに乗ってワルド星人がやってきた。
なんだこの電波・・・
194名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 09:43:37 ID:hxNcgljr
看護士姿のベール=ゼファーにワルドが襲い掛かるのですねわかります
(注:ベール=ゼファーは公式リプレイでナースのコスプレをしてました)
195名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 09:51:37 ID:n+N+P3JH
覚羅なんかエルフの天敵だな
あと横島の「美形で強いなんて神と世界が許してもこのオレがゆるさーん」な
ワラ人形もエルフには通じそうだ
196名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 10:04:51 ID:pxEYopuo
逆転の発想でエルフと仲良くなれるキャラをだな
197名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 10:12:34 ID:xED7VX6a
仲良くと言えば友情マンだな
もし断られてもぶちギレモードかヒーロー達によるフルボッコで万事解決だ
198名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 10:17:29 ID:HNYwSgWC
アークザラッド2からエルクとかアークを連れてきてだな。
つーかあいつら、攻撃無効化使えるんだよな。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 10:29:37 ID:CHzREfVW
反射反射って聞いてるとなんかメダロットのバンカラン思い出す。
お世話になったラストバトル
200名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 10:47:44 ID:xNUGtGRw
>>198
あれ? それってまとめwikiに無いよね?
消されちゃってる?
201名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 11:10:18 ID:n+N+P3JH
エルフと仲良くなるっつったら「新ソードワールドリプレイ」のエキューだねっ

「尖り耳が、尖り耳がステキだぁ!」
202名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 12:07:03 ID:crk7Tkl3
反射に対抗するなら接触の瞬間に拳を引けば勝手に反射して当たる学園都市理論をだな
203名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 12:53:09 ID:Yljj+1Cv
なんか昔に効いた気がするが、接触の瞬間に拳を引くって、慣性どうなってんだろうな?
接触の瞬間に拳を引くのなら速度0、質量×速度で力0で反射だぞ
当たった瞬間に既に反対方向に速度を持つなんてことは、相手の体の中から腕を引き抜かないと無理と思うが
204名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 12:56:29 ID:8x1fSBQS
木原神拳か、あれは神の拳だからいいんだよ
205名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 13:04:33 ID:F2GYPkrw
木原って聞くと冥王様しか出てこねぇw

⊃天⊂
206名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 13:16:20 ID:/XCvutLS
リナは神滅斬だな。当たればほぼ決まる技だし、反射じゃ防げまい
207名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 13:22:43 ID:iQZQJ0hK
エルフを狩るモノたちを読んでたんんだが、
『柔らか巻紙』はさすがにハルゲギニアには無いよな・・・
208名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 13:38:10 ID:H7sbRiml
>>206
スレイヤーズ魔法は、異世界では精霊魔法とL様魔法しか使えんのでないか
ぽいもの世界で使えてたのは、まあお祭りものってことで
209名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 13:44:30 ID:/XCvutLS
それだけあれば十分じゃね?魔族はいないわけだし
210名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 13:58:10 ID:G0Ibi8Hd
>>207
つまりハルゲギニア人はメガネを・・・
211名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 13:58:32 ID:ehM+wJwj
麻倉葉王ならエルフにも楽勝だよ!

あと精神攻撃って有効なんじゃないかな?カタルシスウェーブみたいに害意がない物は特に
212名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 14:03:25 ID:pxEYopuo
スピットオブファイアは媒介が酸素で即座にオーバーソウル可能だからなあ
詠唱が終わる前に貫かれて焼失
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 14:23:35 ID:xNUGtGRw
>>211
胸に輝くM(マゾ)マーク?!?
214名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 14:41:35 ID:JVY4Fr2y
>>203
そこでフタエノキワミ理論ですよ
215名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 14:56:47 ID:n+N+P3JH
「二重の極み」ってどっかで聞いたことあるな、と思ってたらアレだ
「十七条拳法」なんだ
216名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 15:13:54 ID:fZbXDdgn
怨身万華鏡や霊磁砲なら問題ないな
217名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 15:16:02 ID:H7sbRiml
デスノート使えばいいじゃん
218名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 15:20:18 ID:JVY4Fr2y
>>216
普通にスパイシードロップで突破できるんじゃね
反射を破壊すればいいんだし
219名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 15:38:53 ID:YPlE7UL6
とりあえずトバティーエ召喚すれば精霊系の先住魔法は無力化できそうな気がする。
220名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 15:47:57 ID:o7ISeZXH
>>215
そんな連載の初期に出てきてそのままあまり触れられることなく消え去った拳法の名前なんて誰が覚えてるんだ
漫画自体がそれほどメジャーではないというのにw



実はあの漫画で出てきたあらゆる攻撃の中で一番恐ろしいのは
白癬菌スプレーなんじゃないかと思ってる。
一度かかると中々治らないからなぁ・・・
221名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 15:48:59 ID:gfo//D5U
つか反射は描写が無いからなんともいえないが
精霊の力のキャパを逸脱したような高火力の攻撃や連続攻撃は
反射できないかはするなあ
222名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 15:52:26 ID:CdXvoJPV
『ゼロの使い魔、間違いやすい名称TOP3』

×クンデルホフ大公国
○クルデンホルフ大公国

×ミョズニルニトン
○ミョズニトニルン

×ミセス・シュヴルース
○ミセス・シュヴルーズ
223名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 15:52:30 ID:chAN+wbG
>>220
>白癬菌スプレー
穏やかなテロじゃねえかそんなのw
なんて漫画?
224名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 16:06:10 ID:tELI2jhy
>>223
水虫が正月に悪化して片足切断しかけた俺にとっては全然穏やかじゃねぇ。
さらにもう少し進行してたら冗談抜きで助からなかった(医師談)らしいし。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 16:10:01 ID:84x27Hp/
>>223
安永孝一郎の「陸軍中野予備校」ではなかったっけ
226名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 16:23:43 ID:h2b0qcQS
>>224
水虫こえぇ〜。そういう病気とは知らなかった
227名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 16:32:40 ID:ZdNetAL3
>>220
俺も覚えてるぞ〜
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 16:52:16 ID:n+N+P3JH
>>217
エルフの文字で書かないとデスノートは通用しない
229名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 17:06:45 ID:6z4lcPN3
>>215
十七条拳法の極意は「痛みが伝わる前に拳を引く」だから二重の極みとは違うんでね?
十七条拳法は「核攻撃下でもお茶が飲める湯呑み」の中野式セラミックで出来たシェルターすら破壊する威力だ。戦車砲なんかメじゃないね。

>>223
安永航一郎の「陸軍中野予備校」。
安永漫画の中ではもっとも下品度が低い作品の一つじゃないかと思う。
少年サンデーで連載してた。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 17:20:13 ID:ruaL5xuV
癌、風邪と並んで特効薬をつくったら
ノーベル賞確定の病気でしたっけ。
>水虫

エイズもそうだったかな?
231名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 17:23:04 ID:aJP7YAFe
二重の極みは現実に同じような技があったな。
ゆるく拳を握り、一本拳みたいな攻撃が当たった瞬間握りしめることで二重に衝撃を与えるとかどうとか。
空手や中国拳法とか柔道の当身にあったな。実際にどの程度有効かは知らないけど。
内臓や心臓に衝撃を与える技らしいけど指を骨折しそうだと思った。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 17:30:19 ID:QPAXm+KX
>>231
柔術にある「重ね当て」の類かな?
アレは両手の掌でやるんだったか……「鎧徹し」とか。
233名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 17:38:08 ID:Qk3cvq9e
>>230
スレチだが草上仁の「生物兵器」お勧めしよう。

まぁ、あの男を召喚してもハルケギニアじゃ「兵器」としては役に立たんな。
本人的には水魔法で癒してもらってウハウハかも知れんが。
234名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 17:42:54 ID:xxooJyKU
カウンターは関節技に対してはどう反応するんだろう?
235名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 17:44:05 ID:h2b0qcQS
なぜか自分の関節が痛くなったりして
236名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 17:50:39 ID:8x1fSBQS
触れなきゃ関節技のかけようがない
237名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:19:26 ID:lawhb1ih
水虫は一生治らないぞ
治ったように見えるのは小康状態で発症しないだけ
白癬菌は血液中に残り続ける
簡単な血液検査すれば過去に水虫にかかったかどうかわかるぜ
238名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:20:32 ID:MGBuiAT1
>>222
クルデンホルフ大公国は間違えやすいけど、そこまで進んだSS自体そんなにないだろ。
ベアトリスだって提督にチョイ役程度で出たぐらいじゃね?
239名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:28:46 ID:JJgYKwWH
革命的なおっぱいに魔改造された小ネタもある
240名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:37:11 ID:097o2onG
足技使いの色黒女ボスが主人公の攻撃で水虫になったりスケバンになったりするあれか
強烈な体臭を武器にする元軍人とか、太陽光発電装備の人造人間とかもいたなー中野予備校
小ネタに玉金和尚はちらっと来てるけど
241名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:43:10 ID:xED7VX6a
ハクセン菌でなるのは水虫だけじゃなくインキンもな……
しかし悪化してナニ切断て話は聞かないよなあ
242名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:45:57 ID:CHzREfVW
>>211
精神攻撃……
ジャイアnry)
243名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:52:32 ID:lYL+ORNq
>>242
跳ね返ってきた!
244名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:54:46 ID:Zhl7KxBT
>>242
反射云々以前に精霊自体がまとめて終わるな
意志があって、認識したら精霊とて耐えられまい……サイレンス最強?
245名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:55:48 ID:Ttr+KF8K
>>243
しかし ジャイアンには きかなかった!

どう考えても2倍増で味方全滅です。ありがとうございました
246名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:56:43 ID:n+N+P3JH
しかしジャイアン自身には通じない
247名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:56:43 ID:ehM+wJwj
>>213
大学生に洗脳させれば綺麗なワルドだって余裕だぜw
だが改心第1号は多分ルイズ(床で飯食わせるイジメっ子)
248名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:59:03 ID:+vcCHI4d
微生物はなんでもできる魔法以上にチートな存在だからな
249名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:09:29 ID:K1vjZwVj
じゃあイキアタリバッタリ細菌メーカーで精霊、もしくは魔力を食べる菌を作りだせば最強か…
250名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:10:35 ID:/x7ldzYo
もやしもん…
251名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:20:49 ID:Ttr+KF8K
【速報】貴族派の軍内で大量食中毒発生!細菌テロの可能性も視野に
252名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:23:02 ID:LQpVMLiJ
水魔法のメイジが水無川に布陣した数千の敵兵と対峙する場面で
兵士を押し流す激流ではなく、足を濡らす程度のチョロチョロ水で撃退する話を考えてたところだ

従軍経験者に等しく刷り込まれた「塹壕足」へのアレルギー的な恐怖を利用しようってんだけど
アルビオン戦の後に予定しているガリア編で使う積もりなので、いつになることやら
253名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:26:40 ID:+vcCHI4d
>>249
フグ毒を無効化できるくらいだからないとは言い切れないのが恐ろしい

フグの卵巣食おうなんてどうすりゃ思いつくのやら
254名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:27:12 ID:xML7Id8+
後々使おうと思ってるネタは、その時まで覚えてられるか不安だね。
そこまで書き続けられるかという疑問もあるが。
255名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:28:15 ID:7CMPp7MB
意外にもシャーマンキングからは誰も召喚されてないのね
256名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:33:49 ID:iC2G+KVT
>>253
どういう原理かは知らないけど
フグをまるごと漬けて毒が無毒化されている漬物があるらしいよ
257名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:40:08 ID:N/dONNyG
258名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:42:28 ID:b5gQ1mAN
反射って跳ね返せる威力に限度がなかったっけ>確か14巻

それなら
「力で対抗するなんてバカのすることだよ
 でもね…私はバカだからそれしか能がないんだよ!」
理論が使えるんだが
でもヨルムンとビダの反射って同じなのかな
259名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:44:53 ID:ehM+wJwj
毒を抜く=化合物を切るのは科学的に説明つくけど
魔法の無力化ってどうすればいいのさ
260名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:45:07 ID:n+N+P3JH
たしかあのデカブツはエルフの協力で作ったはず
多分、ではあるが術者の力量で反射できる限界値に差が出るのだろう

そんな事を考えてたら何故かどすこい姉妹を思い出した

「はーぁドスコイ、ドスコイ!」
261名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:47:01 ID:8x1fSBQS
>>258
技を超える限りないパワーってことだな
262名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 19:52:41 ID:Yljj+1Cv
戦車砲でブチ抜けるんだから限度があるんじゃない?>反射
だとするとフーケのゴーレムでのボディプレスとかは通るのか、って疑問はあるけど
263名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:00:40 ID:gfo//D5U
ある程度の貫通力がありゃ反射ぶち抜けそうだな
戦車砲でぶち抜けるなら
ある程度の口径のライフルなら簡単にぶち抜けそうだし
物理的なエネルギーしか反射できないみたいだから有毒ガスとか科学攻撃でも対抗できそうだね
264名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:00:51 ID:YBE6frfj
>>262
一点にかかる負荷が重要なんじゃね?
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:02:02 ID:k0Mi+Flh
30メイル級のゴーレムって何の工夫もなしに作ると自重で崩壊するよね?
空想科学読本的な意味で。

てことはデカイゴーレムを作れるってのはそれだけですごいことなんだな多分。
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:07:27 ID:MGBuiAT1
30メイル級ということはガンダムにすればデストロイガンダム並みということか。
ウルトラマンが40メートル、ゴジラが50メートルだからかなりな巨大さだな。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:07:55 ID:K1vjZwVj
>>259
リリカルのAMFとかネギまの魔力無効化あたりか?
それか魔力(マナ?)を物質と考えれば特定周波数の振動による崩壊・拡散も考えられる。
ガガガのソリタリーウェーブ・テイルズオブジアビスの超振動ならいけるんじゃね?
268名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:09:31 ID:+vcCHI4d
でもロケット弾一発で吹っ飛ぶけどね
269名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:12:08 ID:YBE6frfj
>>267
AMFは魔力の結合を妨げるんだっけ?
ネギまの無効化ってどんな仕組みだっけ?
能力としては自分に都合のいい魔法は効いて
某幻想殺しよりも使い勝手が良いが
270名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:19:03 ID:xML7Id8+
>>268
ミサイルの類は爆発する前に反射される気がする。
271名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:20:42 ID:e2BCm1A5
>>269
あれはアーティファクトで攻撃したのを無効化だったはず
だから幻想殺しとは違って本体への魔法は無効化しない
272名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:25:36 ID:h5qMoVt9
>>271
本人も魔法無効化能力持ってるからアーティファクトだけの能力じゃないぞ
ネギまの魔法無効化は結構条件が曖昧なんだよな、多分半自動の任意選択で無効化できる感じかんだろうけど
273名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:25:47 ID:hxNcgljr
>>269
ネギまの魔法無効化は能力持ってる本人が認識できる魔法のみ任意選択で無効化じゃなかったっけ?
幻術にはひっかかってたから。
274名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:28:52 ID:h5qMoVt9
>>273
認識してなくても体に確実に害のある魔法は自動で無効化してるっぽい
原作序盤で自分の能力自覚してない時でもいろいろ無効化してるし

脱げる魔法は赤松作品だから無効化できなくても仕方ない
275名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:32:44 ID:82nYTSkl
ガーディアンヒーローズのビーム的な魔法はバリア貫通するぜ?
スーパーズルとかマジでセクハラ&チートだな。
276名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:35:02 ID:Nncwo0rz
ガーディアンヒーローズ懐かしいな。
OPとアンディが好きだった
277名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:35:49 ID:YBE6frfj
>>272-274
なるほど確かにあの変あいまいだよな
まあ脱げる魔法は仕方ないな、うん
278名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:37:51 ID:Yljj+1Cv
草むらの中にしゃがんで隠れた僧侶が突然叫ぶ「ばりあー」の恐怖は異常>ガーディアンヒーローズ



あとジジイは使用禁止w
279名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:38:35 ID:vYX4ibIg
もう一方通行、闇人間呼んで斥力を引力に変換しちゃおう
280名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:39:40 ID:Nncwo0rz
アンディじゃなくランディだった。
281名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:40:09 ID:ZJKz0PJ9
魔法無効化と言ったら月姫のさっち・・・
おっとスレ違いになるか。
282名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:43:12 ID:h5qMoVt9
ガーヒーの三大恐怖が一つ画面端ばりあー
283名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:44:27 ID:gfo//D5U
サイレンからSGK呼ぼうぜ
284名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:44:46 ID:HNYwSgWC
残りのふたつが気になるな
285ゼロの花嫁:2009/02/16(月) 20:45:23 ID:y3nJHlEg
他に居なければ、ゼロの花嫁17話、20:55より投下します
286名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:47:02 ID:HNYwSgWC
SDK呼ぼうぜにみえた

香水を拾う所からなんやかんやで発展して何故かギーシュの手術になると。
287名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:47:35 ID:ZJKz0PJ9
>ガーヒー
キャラランダム、レベルランダムで6人対戦した時のカオスさは異常。
超高レベル子供市民と中レベル天上神が残って一方的な展開になるも
子供市民の体力が全然減らないので終わらない罠。

ちなみに子供市民も天上神もライン無視して移動できるのよね。
子供市民は遠くの背景に隠れてやり過ごすと言うテクが・・・
しかしホーミングであぶりだされる。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:47:48 ID:IDx0h7RE
支援ぬ
289名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:49:43 ID:h5qMoVt9
残りの二つは画面最前の全画面攻撃とラインとラインの間に降り立った爺のアイスフィールド
290名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:50:06 ID:82nYTSkl
引火、感電、と気化冷凍?乱戦時はマジ脅威!
たまに使用者が巻き込まれてるときもw
291名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:51:47 ID:SmcjBlqn
>268
歩兵携行用の軽対戦車ロケットで30mもの土塊を吹き飛ばすのは無理なんだがねぇ…

支援
292名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:52:21 ID:pI05T88K
エルフ相手なら足洗邸のバロネス・オルツィだろうあれも精霊使いだし
なにより人間として強くなりたい奴だし
293ゼロの花嫁17話1/13:2009/02/16(月) 20:55:09 ID:y3nJHlEg
ゼロの花嫁17話「風と炎」



トリステイン入国前日。
宿の一室に陣取っていた彼らは、むさ苦しい顔を並べ最終確認を行っていた。
顔をフードで完全に覆っている指揮官は、この部屋に集まった各隊のリーダーに次々と指示を下していく。
「すんません隊長、それ合流出来なかった間抜けは死ねって事でいいんですよね」
惚けた口調で細身の男がそう言うと、隊長と呼ばれたフードの男は微かに笑ったようだ。
「そうだ。合流するまでは後ろめたい事は何も無い、それで辿り着けないような馬鹿はいらん」
1チーム三人で行動し、10個のチームが現地にて合流。目標への攻撃を開始する。
総数三十人のメイジである。目標が軍隊レベルでなければ相手にもなるまい。
小太りの男が至極尤もな疑問を口にする。
「話聞く限りじゃ、ここまで人数揃えなきゃなんねえ相手にも思えねえんですが」
隊長は部下の反論にも気を悪くした風は無い。
「手に負えねえバケモノが居るかもしれねえんだとよ。そいつは何だ、と依頼主に聞いたら何て言ったと思う?」
「さあ、何でしょ」
フードの中から含むような笑い声が聞こえる。
「エルフを相手にするつもりでやれ、だそうだ」
一同に緊張が走る。しかし隊長は笑ったままだ。
「言うに事欠いてエルフたあな。お前等、エルフに出会っちまったらどうする?」
異口同音に彼らは答えた。
『後ろも見ずに逃げまさあ』
隊長は声高らかに笑い出した。
「正解だ。んなもん相手にしてやる程の金なんざもらってねえよ。目標の女を確保したら、さっさとずらかるぜ」
リーダー達は指示を了解し、部屋を後にする。
しかし、一人の男は部屋に残ったままだ。
隊長は怪訝そうな顔をする。
「何だ?」
「一応釘刺しとこうと思いまして。隊長、お願いですから……」
男は真剣そのもの表情で言った。

「……エルフの燃える臭いが嗅ぎたいなんて言い出さないで下さいよ」

悪いが自信ねえ、そう切り替えしてきた隊長に、男は深く嘆息するのであった。



夕日も地平線に消えかかった、訪問するには遅すぎる時刻に、ベルスランは客人を迎え入れる。
この屋敷を訪れる者など決まっている。
数少ないそれが出来る人間の内、二人が顔を並べて現れた時、ベルスランは何やら嫌な予感を覚えた。
しかし一流の執事であるベルスランはそれをおくびにも出さず、にこやかに応対した。
「これはこれはオールドオスマン様にシャルロット様、ようこそおいで下さいました」
オールドオスマンは、ベルスランの嫌な予感など笑い飛ばすかのように陽気である。
「ワシもたまにはこちらに泊まらぬとな。寝室を用意してもらえるかの」
「何時でもご用意だけはさせていただいております。ご都合のよろしい時は何時でもおこし下さいませ。お食事はいかがされますか?」
「ふむ、タバサ……っとここでは違うんじゃったな。シャルロットはどうする?」
タバサがこくんと頷くのを見て、オールドオスマンは破顔する。
「ではよろしく頼む。ワシは居間で本を読んでおるから食事はそちらに頼むぞ」
「はっ」
294ゼロの花嫁17話2/13:2009/02/16(月) 20:55:33 ID:y3nJHlEg
オールドオスマンが促すと、タバサは小走りに母の部屋へと駆けて行った。
「……この屋敷に来ると本当別人じゃの」
顔一杯に幼気な笑みを浮かべるタバサを見たオールドオスマンは、そんな言葉を漏らす。
「元々シャルロット様はあのように明るい方でございました……皆様には感謝の言葉もありません」
「ワシは何もしとらん。それよりどうじゃ、変わった事とかは無いか? 足りぬ物があれば遠慮なく言うのだぞ」
ベルスランは大きく一礼する。
「いえ、足りぬ物は今の所は……ですが、今日不審な人影を見つけました。当人は隠れているつもりであったようですが……」
オールドオスマンの視線が鋭くなる。
「ふむ。で?」
「屋敷を遠巻きに見ており、半刻もせず居なくなりました。意図がわからぬので、奥様にはまだお伝えしておりません」
「正解じゃ。以後その件を口にする事は許さぬぞ」
「はっ」
不審者を見つけたその晩に、珍しい訪問者があった。
色々と気にかかる事もあるだろうに、ベルスランは余計な事は何一つ口にせず、厨房へと向かう。
その後姿にオールドオスマンは最後の指示を出す。
「奥方とシャルロットは自室で食事じゃろ。邪魔するのも何じゃて、ワシは居間で食べていると伝えておいてくれ」
「かしこまりました」
やはりベルスランは何も言ってこなかった。
「こういう奴ばかりじゃと楽なんじゃがなあ。……さて、最終防衛線はこれで良しとして。ここまで辿り着けるかの、連中は」



闇夜の中、一人も欠ける事無く、トリステインに無事潜入を果たした三十人のメイジ達。
斥候に出ていた一人が、自身で描いた地図をテーブルに広げる。
「外から見ただけなんで確証は無いんですが、まあ大体内装はこんな感じでしょう」
隊長はチームを三つに分ける。
一つは周囲を哨戒し、外部からの介入を防ぐ。一つは屋敷内部に入り目標の奪取。一つは屋敷外部を取り囲み、内部侵入組みのサポートに回る。
全てのチームが屋敷の内装までを頭に入れ、段取りを確認する。
作戦が完璧に決まれば、侵入した事に敵が気付く頃には、こちらはトリステイン国境すら超えていられるだろう。
もちろん目撃者は全て消すのが大前提である。
隊長は当然内部侵入組み、ではなく外部を取り囲むチームだ。
今回はそこらを無作為に燃やして良いミッションではない。
むしろ火の手なんぞ上げたらそれで気付く奴が出てくるかもしれないのだ。
伝説の傭兵と謳われた「白炎のメンヌヴィル」の出番は、とりあえず作戦の段階では無しであった。
ただ、厄介な奴が居るかもしれないという雇い主の言葉をメンヌヴィルは軽視していなかった。
それ故、対処出来ぬ敵が出た時は、躊躇無く全力の魔法を放つよう全員に告げてある。
それで大騒ぎになっても逃げ切るだけの準備もしてあるのだ。
メンヌヴィルを除くメンバーは全て、そんな準備が無駄になるよう祈っていたが、彼だけは違っていた。
『エルフ……ねえ。本気で出てくれないものかね。今までで一番燃やし甲斐がありそうなんだけどよお……』
エルフの恐怖は子供ですら知っている。
ハルケギニアに住む全ての人間が忌避する存在を、エサか何かのようにしか考えていない彼は、いまだかつてエルフに出会った事はない。
自らの力への絶対の自信か、はたまた判断能力が著しく欠如しているだけか。
或いは両方かもしれない。

「かかれっ!」

作戦の相談をしている、集合場所でもある小屋。
その中にまで聞こえる程の大声が外から聞こえてくる。
同時に小屋の壁という壁が悲鳴を上げ出した。
この場に集まった三十人全てが、幾多の戦場を経験している筋金入りの傭兵達である。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:55:48 ID:QFN/3RdD
支援
296ゼロの花嫁17話3/13:2009/02/16(月) 20:56:09 ID:y3nJHlEg
木の壁をどやす音が、魔法の攻撃である事にはすぐに気付いた。
「やべぇ隊長! 何だか知らねえがバレてるぜ! こりゃ十や二十じゃ効かねえぞ!」
メンヌヴィルは即座に判断を下す。
「作戦は失敗だ! 後先の事ぁ後で考えろ! とにかくこの場は全員逃げ延びるぞ!」
状況判断を正確に下せる程の情報を得られてはいない。
わかるのは今この小屋を包囲している連中にメイジが相当数居る事だけ。
それだけでは他の可能性も数多残っているのにも関わらず、メンヌヴィルはそれらの可能性を全て無視する。
例えこのまま強行して成功出来る道が残っていようと、その後生き残らねば意味は無いのだ。
三十人の歴戦のメイジというありえない程の戦力を所有しながらこういった判断が下せるからこそ、メンヌヴィルは伝説の傭兵と呼ばれる程になるまで生き残ってこれたのだ。
これ程の戦力が包囲の一点に絞って突破を計ったならば、一体どのようなメンバーがこれを止められるというのか。
小屋を出るなり、あっと言う間に包囲の一角を崩し突破に成功する傭兵達。
その際、敵戦力の確認も怠ってはいない。
「メイジは10人前後! 矢やら銃やらはもう数える気起きねえっすよ! くそっ! 総勢百人近く動員するたー俺達も偉くなったもんだぜ!」
それだけの包囲網を一瞬で、一人の被害も無く突破しておいてよくもまあそんな事が言えたものである。
しかし、包囲を行った者達は、彼らの想像を遙かに超えて、慎重で、執拗であった。
「クソッタレ! 隊長上です! グリフォンが来てやがる! くそっ! くそっ! トリステインのグリフォン隊っていやあ虎の子の精鋭部隊じゃねえか! 何だってそんなもんまで出張って来てやがんだよ!」
メンヌヴィルは自らの勘が正しかったと悟る。
最初の一斉攻撃の間合い、リズムから、この敵はヤバイと感じたのだが、大当たりだ。
連中は完全にこちらの戦力を把握した上で布陣してきている。
『……潜入時にドジった奴が居るか。まあいい、それは後だ。今は切り抜ける事だ』
いざ攻撃開始、そんな状態から一転して命賭けの逃亡となっても、瞬時に思考を切り替える事が出来る。
彼我の戦力差を冷静に見つめ、最適と思われる選択肢を。
自身の命がチップに乗せられていようと、何時でもドブに捨てる覚悟と共に。
その上で。

さて、面白くなってきやがったな。今回は随分と派手に燃やせそうだ。

部下達と一線を画したこの感覚。
危機の中でしか決して許されぬ行為に惹かれた壊人は、一人ほくそ笑む。
誰をどれだけ焼き尽くしても、戦場ならば許される。自らの鋭敏すぎる鼻腔を甘美に揺らす香しさを、存分に味わえる。

こんな破滅的な感覚と冷静な判断を共有出来る事が、彼を伝説と呼ばれる程の傭兵に押し上げたのかもしれない。



完全に包囲し、全てをそれだけで終わらせるつもりだったワルドは、傭兵達の見事な動きに舌を巻く。
「オールドオスマンにここまで段取りしていただいてこのザマとは」
舌打ちと共にそんな愚痴も出てしまう。
オールドオスマンより、外部、おそらくガリアからの武力行使がありうる。そんな話がもたらされた。
今の段階ではあくまで隠密裏にであろうが、学院を狙っているというオールドオスマンの情報は、最初は眉唾に感じていた。
確かにトリスタニアから離れていて、かつ重要人物を多数擁する学院は、ワルドもトリスタニア防衛の観点から注目はしていたが、真っ先に狙うのはここでは無いとも思っていた。
しかしオールドオスマンのもたらしたガリア諜報員に関する情報は正確で、的確であった。
ガリア側が現時点で動くとしたら(動くタイミングでは全くもって無いと言わざるを得ないが)現状ボロボロになった諜報員組織を頼らず、国外から直接目標地点を狙うだろう。
地理的に各国流通の中心地でもあるトリステインは、人の出入りを防ぐ事が困難である。
メイジであるのなら武器も必要としない為、発見は更なる困難を伴う。
が、それはあくまで一般的な衛士達の話だ。
ワルドの持つ犯罪組織にすら繋がっている情報網は、その程度の問題容易くクリア出来る。
ワルドは国内の犯罪組織を一部、故意に見逃している。
比較的手綱を取りやすい、そんな連中は泳がせておいた方が様々な点で都合が良いのだ。
もちろん他の貴族達にもそういった真似をしている連中が居る。
297名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:56:35 ID:QFN/3RdD
支援
298名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:56:39 ID:QFN/3RdD
支援
299名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:56:42 ID:QFN/3RdD
支援
300ゼロの花嫁17話4/13:2009/02/16(月) 20:56:44 ID:y3nJHlEg
ワルドはそれを取り締まる立場にあるのだが、その過程で様々な繋がりを作る事が出来た。
組織というが、結局は人である。
利害関係が共通している人間が集団を作り、それが犯罪と呼ばれる行為を為すか否かだけの話だ。
大抵の人間は利益さえ確保されているのなら、犯罪に手を染める事もない。
ならば、彼らの利益追求行為が犯罪でないように、そうあれるように指導してやればいいのだ。
誰も好き好んでリスクを犯そうという者もおるまい。
そうして作り上げた人脈の中で、今回役に立ってくれたのは、宿場町の客引きだ。
通りすがる人間がどんな類の者達か、一目でわかるぐらいでないと客引きは務まらない。
その上彼らは人の出入りをほとんど見ている為、監視の役割を任せるには持ってこいなのだ。
ヤクザ者とカタギの見分け方、そしてそれ以外の異質な存在を、彼らは瞬時に嗅ぎ分ける。
地場のヤクザ組織にとって、他所のヤクザ者の流入は特に気を使っている部分である。
その為、客引きはヤクザ達に情報を流し、僅かな金銭を得ている場合が多い。
そんな中、カタギでもない、ヤクザでもない、そういった連中が時折流れて来る。
ヤクザより尚澱んだ空気を纏う彼らは、傭兵と呼ばれる戦争によって生業を得ている人種だ。
下手な暴力集団より余程強力な武力を誇る彼らの動向は、ヤクザ連中にとっては厄介の種である。
なればこそ常時そういった存在を監視し、街というくくりの中に置いて明らかな異分子である傭兵が下手な動きを見せるようなら、即座に対応出来るようにしているのだ。

つい先日、客引き等を纏めている人間達が、危険信号を発した。
それを、オールドオスマンからの話を聞いていたワルドは、見逃さぬよう備えていたのだ。
一度に多数の傭兵が入り込んで来ていると聞いた時は、二度とオールドオスマンの話を疑いはすまいとまで思ったものだ。
なる程、少人数ごとに分かれてトリステイン入りし、作戦直前に一箇所に集まる形を取れば、衛士はまず気付けまい。
傭兵に限らず、特殊任務を行う隠密部隊が時折やる作戦だ、と客引きの頭領は言った。
これが何処ぞの軍隊のやる事なら見てみぬフリをした所だが、軍隊というには連中余りに品が無さ過ぎる、だそうだ。

メイジが二十人から三十人。
そんな目測で兵を揃え布陣した。教本に載せたいぐらい美しい布陣であったのだが、あれよあれよという間にすり抜けられてしまった。
やはりいざ戦場となると様々な勝手が違うものだと自戒し、改めて兵を動かす。
森の中へと逃げ込んだのは、捜索の為に分散したこちらを各個に撃破し、突破口を開くためと思われる。
グリフォンとて木々に遮られては連中をいつまでも追いきれまい。
「……ならば、裏をかくか」
当然リスクはある。
しかし傭兵達は歴戦の兵であるからこそ、こんな抜け道を選びはすまいと、ワルドは決めてかかった。
「グリフォン隊は変わらず上空から索敵。地上の兵は二隊に別れ、森を捜索せよ。敵を見付けても手は出すなよ、遠巻きに包囲するのみで良い」
森に入った後、全速で学院に向かったならば、おそらくワルドの命じた布陣では追いつかなくなる。
だが、傭兵達はそれはすまいとワルドは読んだ。
こちらが軍である以上、絶対に守らなければならない対象が学院だ。
ならばそちらに兵を回すのは常道中の常道。そこを敢えて外し兵力を集中する。
学院には一人使者を送り、警戒に務めるよう指示だけは出しておく。
つまり見捨てる。
もちろん傭兵達は即座に学院には向かわず、森の中でワルド達を迎え撃つであろうという予測の上での話だが。

この手は大当たりしてくれた。
敵を見付けても攻撃をせず応援を待ち、追撃より包囲を優先させた結果、傭兵達は森の中の一角に追い込まれる形となったのだ。
レビテーションの魔法で逃げようにも上にはグリフォン隊。
望みうる最良の形で決戦を迎えられそうだが、包囲に至るまでに予想以上の打撃を被っている。
どうも並の傭兵では無いようだ。
「上空、そして地上から一斉射撃後、突入せよ」
被害は覚悟の上。それでも乱戦になれば集団で逃亡を計るような真似も出来まい。
軍部のお偉方、元帥やら何やらと大仰な肩書きを持つ者達は、たかが傭兵三十人程を相手にこれ以上の兵を都合させてはくれまい。
ワルドの好みで言うのなら、数百の兵で、例え倍の数が居ようとアリの子一匹這い出ぬ程に取り囲んで完璧に殺しきる所なのだが。
301名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:56:59 ID:QFN/3RdD
支援
302名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:57:05 ID:QFN/3RdD
支援
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:57:09 ID:QFN/3RdD
支援
304ゼロの花嫁17話5/13:2009/02/16(月) 20:57:22 ID:y3nJHlEg
ワルドは当然といった顔で突入隊の先陣を切る。
こうしなければ、兵達は巧みな魔法を操る傭兵達への突入が鈍るだろうから。それだけの理由である。
案の定士気が上がったのか、雄叫びと共に兵達は飛び込んで行く。

全く、単純な連中だ。



メンヌヴィルは後方からの気配が消えた事で、後に付いて来ている者が誰一人居ない事に気付く。
誰も彼も簡単にやられるような連中ではないが、どうにも今回の敵、いや指揮官はヤり手のようだ。
こちらがやられて一番嫌な事を、味方の被害すら考慮に入れず選んでくる。
余りの軍隊指揮官らしからぬ動きに、メンヌヴィルも動きを見誤ってしまった。
「俺もヤキが回ったか?」
そんな愚痴に、返事が返ってきた。
「何、相手が悪かっただけさ。君はさんざ私の部下を燃やしてくれたメイジ……だね」
木の陰からすっと姿を現したのは、ワルド子爵であった。
しかし彼を前にメンヌヴィルは闘志を滾らせる事もなく、怪訝そうな顔で問う。
「……貴様、人間か?」
ワルドは話に付き合う気なのか、襲い掛かる事もせず、剣も抜かず暢気に構えたままだ。
「それは私の指揮を褒めてくれてると受け取っていいのかな?」
不意に自身で納得したのか、笑い出すメンヌヴィル。
「はははっ、そうか風か。確かトリステインのグリフォン隊隊長は風のスクウェアだったな。遍在の使い手は初めて見たぞ」
ワルドの顔が驚愕に歪む。
遍在はワルドの秘中の秘。誰にも明かしていないこの術を、この男は一目見ただけで見破ったのだ。
「本体は高みの見物か。ふん、スクウェアとてその程度の男なら恐れる事も無いわ」
そう言って顔の半分を覆い隠していたフードを払いのけると、顔に刻まれた醜い焼け跡と、その瞳が色を失っている事がわかる。
「……その目……そうか! 貴様白炎のメンヌヴィルか! 盲目だとの噂があったが……よもや真実だとは」
「そうだ、俺にまやかしなど通用せん。ましてや戦場に出る事すら厭う腰抜けが俺を止めるなぞ、夢物語も甚だしいわ」
メンヌヴィルの言葉に、すらりと剣を抜くワルド。
「生憎そんな安い挑発に乗ってあげられる程こちらにも余裕は無いのでね。さあ、やろうか」



ワルドは木にもたれかかり、その更に奥に居るはずの人物に対する評価を下す。
『鬼か悪魔……だな』
詠唱を終えると、風を纏って木々の間をすり抜けるように飛ぶ。
盾にしていた木はその巨体を紅蓮の炎で包み込み、断末魔に身をくねらせる。
森の木々を遮蔽にと考えていたワルドの狙いは簡単に覆される。
メンヌヴィルから放たれる炎は、森の樹木を薪か何かのように容易く燃やし尽くし尚、留まる事を知らない。
炎が触れただけで、樹液溢れる瑞々しい木々は、禿山に刺さる乾燥し皮すら食いつくされた不毛の枯れ木と成り果てる。
余りの異常さに、駆けつけた兵達も数多居たが、彼らはワルドの指示でこの場から下がらせた。
この尋常ならざる相手に、有象無象は居るだけ邪魔だ。
奴が真後ろに張り付いているかのように、何処に居ても正確に、確実にワルドへと伸びてくる炎の舌。
これをフライの魔法により纏った風の力と、自らのフットワークで華麗にかわす。
中空を飛ぶなどと、とてもではないが出来たものではない。
両の足が大地を蹴る力と姿勢を保つ風の力の双方が合わさって、始めて死神の鎌から逃れ得るのだ。
最速と自負するこのフットワークを持ってしても、奴へと踏み込めぬには訳がある。
まるでそれ自体が生き物のように、メンヌヴィルの炎は変幻自在に変化する。
時に火球へ、時にしなやかに伸び来る鞭へ、轟音響く巨大な剣へ、天まで覆わんばかりの絶壁へ。
一条の流れが二つに別れ、三叉の矛となりて四方を封じる。
305名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:58:04 ID:LlTwEIRu
>>297
短い時間に繰り返し支援しても無意味だからやめろ

支援
306ゼロの花嫁17話6/13:2009/02/16(月) 20:58:06 ID:y3nJHlEg
これ程見事な炎を、ワルドは見た事も、いや想像すらした事が無かった。
炎の魔法は派手ではあるが、外気の影響を受けやすい。
温度が低い地域や湿度の高い場所では、乾燥した大気の中に比べて炎が弱まるのは当然である。
そこまで極端でなくとも、周囲の状況や天気や時間帯によって温度湿度が異なる以上、操る炎も勢いや発火速度が異なってしまう。
だからこそ、そういった外的因子を無視する程の巨大な炎を作り上げる事が、炎のメイジが目指す高みの姿である。
だが、メンヌヴィルの操る炎はそんな大雑把で乱雑な炎ではない。
外気の全てを熟知しており、それぞれの環境に合わせて微細な調整を行い、大気中を思うがままに駆け巡る。
こんな真似、訓練などで到底出来るような事じゃない。
理屈などで理解出来る精度を遙かに超えた、最早超常現象と言っても過言ではない炎。
彼が炎を知るのに費やした、時間は、労苦は、情熱は、一体どれ程のものであろう。
誇りの為、生きのびる為、自らが寄って立つ全てであるから、そんなありきたりな動機付けでは納得出来ない。
それは無償の愛にも似ている。
心の内から沸き起こる衝動に身を任せ、ただひたすらに炎へと祈りを捧げる真紅の神官。
それこそが白炎のメンヌヴィルの正体なのではないだろうか。

頭を一つ振って、無益な思考から逃れる。
そろそろ盾、といってもほんの数瞬しか持たぬ薄氷のようなものだが、代わりにしてきた木々も少なくなってきた。
こちらも覚悟を決めねばならない。
これまでで得た情報。
奴は視覚によらぬ何か別の情報収集手段を手にしている。
嗅覚か聴覚か、あるいは双方か。
炎のメイジであるのなら温度変化にも敏感であろう。炎が飛びまわりそこら中が焼け焦げたこの場所で、どれ程効果的かは疑問だが。
背後からの奇襲は無意味。

魔法の火力で押し切る。
速射性能はこちらが上だが持続時間と精度に差がありすぎて、勝負にならない。

速度を更に上げて踏み込み直接攻撃。
近接までに一度はあの炎に飛び込むハメになる。あっと言う間に行動不能だ。

風を纏って鎧とする。
それを感じ取った奴により延焼ではなく温度で殺す炎を放たれる。

炎の隙間を縫うように風で切り裂く。
こちらの詠唱のタイミングに合わせて奴は炎を操れる。縫う隙間など一瞬で埋められてしまう。

「ならば、やはり物量だな」
メンヌヴィルがその気配に気付き炎を一度下がらせる。
ようやく、残る遍在がこの場へと辿り着いたのだ。
自らも含めその数四体。
ちょうどメンヌヴィルの四方を取り囲むように配置する。
上空に舞い上がるなど、そんな間抜けたワルドは一人も居ないのだ。



ただ魔力が高いだけではない。
厳しい訓練を自らに課してきたのだろう、さもなくばあの若さでこれ程の技量はありえぬ。
貴族は、それが高い魔力を誇る者であればあるほど、戦士ではなく研究者と成り果てる。
学問としての魔法を否定するつもりはないが、いざ戦場でそんな連中を相手にすると、嘲笑と共に僅かな失望を感じるのだ。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:58:09 ID:QFN/3RdD
支援
308名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:58:12 ID:QFN/3RdD
支援
309名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:58:15 ID:QFN/3RdD
支援
310ゼロの花嫁17話7/13:2009/02/16(月) 20:58:36 ID:y3nJHlEg
しかるに、この生まれも育ちも貴族然とした若造は、これ程の高い魔力を誇りながら、それを戦闘術として昇華する努力を怠らなかった。
フライの魔法を身に纏いながら、大地を駆けて炎を右に左にかわす姿の何と美しい事か。
並の相手ならば百回は捉えているはず。
そんな死の抱擁を、恐怖に惑わされる事も無く、危なげなく回避していく身体能力、判断能力、反射能力、胆力、魔法への深い理解……
全てが高い次元で纏まっており、隙らしい隙も見当たらない。
部下達では相手にもならぬ。
そして極めつけはこの「遍在」だ。
一人でさえ仕留めきれぬというのに、一気に四人にも増えてくれた。
感じる温度から人間ではなくそれ以外であると気付き、遍在の魔法に思い至ったのだが、だからといってそれで問題が解決してくれるわけではない。
長い詠唱の間を与えぬ事で、大きな魔法の使用を封じて来たが、それも四人に増えられては難しかろう。
奴等が動き出すより早く、自身の周囲を炎で覆う。
周囲数メイルを丸々覆い尽くす程の巨大な炎の天蓋だ。
これをやってしまうと、その奥の温度が感じ難くなってしまうので極力避けたかったが、致し方ない。
炎で視界を遮ってしまえば、連中の攻撃精度も落ちざるを得まい。
精神を研ぎ澄まし、常のそれより深い集中を。
炎を操りながら、更にその奥の動きを見抜け。
炎の天蓋をかなり大きめに取ってあるのは、中で動き回る為だ。
これだけの炎すら突き抜ける、奴等必殺の魔法を、メンヌヴィルは長年戦場に身を置く事で身につけた直感のみで回避しようとしていた。
紫電が二筋、炎を突き抜けてメンヌヴィルに迫る。
伏せる事でこれをかわしたメンヌヴィルは、次なる攻撃に備える。
四人のワルド全てに対し、これまで同様の攻撃精度を維持しつつ、自身の回避にも気を回す。
天蓋より伸びた四つ又の炎の竜は、各々対象を定め、張り付くように攻撃を仕掛け続ける。
メンヌヴィルは同時に複数の行動を行っているように思えるが、攻撃をする事と、攻撃をかわす事は表裏一体。
四人全員の動きを察し、見切り、流れるように次、更に次の手を打っていく。
一対一などクソ喰らえ、常に複数同士の戦闘を行い続けていたメンヌヴィルだからこその神業である。
連中の動揺が手に取るようにわかる。
最早トランスと言っていい程の集中力を発揮し、四人のワルドを圧倒し追い詰めて行くメンヌヴィルだが、追い詰められているのはメンヌヴィルも同様である。
こんなレベルの集中が、何時までも続けられるはずなどないのだから。
精神が限界を迎え、ぷっつりと糸が切れるように意識を保てなくなる前に、メンヌヴィルはただの一体でもいいからワルドを倒さねばならないのだ。
攻撃を誰かに集中させる事も出来ぬ。
残る三人を抑えたままで、誰を狙っているか悟られぬようにし、一体でも消してやれれば勝機はある。



何という魔力の強大さよ。
四体のワルドを相手取りながら、汲めど尽きぬ泉の様に、メンヌヴィルの魔力は湧き出てくる。
四対一を苦ともせず、先以上の攻撃でワルドの行動を縛る。
翻ってみるにワルドは苦しい。
特に最初から戦い続けているワルドは、魔力自体が尽きかけている。
311名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:59:10 ID:QFN/3RdD
>>305
そうなんですか?ありがとうございます。支援。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 20:59:12 ID:LlTwEIRu
支援
313ゼロの花嫁17話8/13:2009/02/16(月) 20:59:17 ID:y3nJHlEg
我慢比べならばこちらが上と考えていたワルドの予想は、大幅な修正を余儀なくされる。

―――引くか?
馬鹿な。

―――この場は引き上げ、圧倒的な包囲網を持って封殺すべし。
逃げ切られぬ保証は無い。

―――既に傭兵達は散り散りだ、連中の目論見も打ち砕いた事だし、無理は禁物。
見逃すのか?

―――ここで命を賭ける意義が見出せない。
意義ならある。


この程度で引く男に! 野心などと口にする資格は無い!



メンヌヴィルの感覚が教えてくれた。
最初の一体、この動きが鈍った事を。
瞬時に炎が踏み込み、紅蓮の腕がワルドを包み込む。

それは隙と呼ぶには余りに短すぎる、刹那の間。

残る三体のワルドが、同時に詠唱を終える。
メンヌヴィルへの攻撃ではない。
しかし魔法は効果を発揮しているはず。
奴は何をしている?
メンヌヴィルの目に寄らぬ知覚範囲にソレが飛び込んで来た時、メンヌヴィルはワルドへの評価を大幅に修正した。

『おおおおっ! そう来るか貴様!』

勇者に敬意を。
残る三体は、まだ見ぬ一体、これは温度を持つワルド本体だ、にありったけの風の魔法をかけていたのだ。
遙か後方から魔法と足とであらん限りの勢いを付け、一直線にメンヌヴィルへと踏み込んで来る暴風の渦。
メンヌヴィルの炎と真正面から対峙せんとする者、この男が初めてだ。
『いいぞ若造! その意気や良し!』
返礼とばかりに、飛び来るワルドの正面に炎を集中させる。
ワルドを知覚して、この判断を下すまでに要した時間。そのほんの僅かな間で、疾風は炎の壁へと辿り着く。
壁からメンヌヴィルまでの間に、炎を全て集めきれるか、この男を燃やしつくせるか、それが勝負の鍵だ。
燃やすなど飽き足らぬ、触れるもの全てを融解せんばかりの勢いで火勢を上げる。
間に合うか、ワルドの速さは最早人に制御しうる速度を遙かに超えている。

間に合わぬ!

身をよじるメンヌヴィル。
脇の下をくぐるように、風の拳がすり抜けていく。
やはりあれ程の速度、制御する事など出来なかったか。
それでもワルドの纏った風は、触れてすらいないメンヌヴィルの脇腹を大きく削り取り、右の腕をズタズタに切り裂いていく。
一度速度の付いた物体が止まるには、出している速度に比例した距離が必要になる。
そんな物理法則に従うように、ワルドは失速しながら大地に何度も叩き付けられ、都度全身が右に左に回り転がる。
メンヌヴィルの炎で薙ぎ払われた黒い大地を削り、その下のまっさらな薄茶色を抉り散らしながら、ワルドはようやくその場に止まった。
風の魔法が効果を発揮していたせいだろう、常人ならば三回は死ねる程の派手な転倒にも、ワルドの全身は何処も欠ける事なく五体を残している。
しかし全身を覆う衣服は醜く焼け焦げ、その下の地肌が赤黒く見え隠れしている。
左腕と右足はあらぬ方向に折れ曲がり、まるで焼却炉の奥で燃え残った人形のようだ。

それでも、そんな様でも、ワルドは身を起こす。

命の火は消えぬ、私はまだまだ戦える。そう主張するかのごとく上半身を無理矢理引きずり起こす。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:00:00 ID:QFN/3RdD
支援
315ゼロの花嫁17話9/13:2009/02/16(月) 21:00:06 ID:y3nJHlEg
動く右腕を上げようとするが、力を失ったかのようにぶるぶると震えるのみ。
ワルドを炎から守る為にその力を用いていた三体の遍在は、ワルドがメンヌヴィルをすり抜けた直後、メンヌヴィルの炎によって燃やし尽くされている。
勝利の道筋など何一つ見えぬはずのワルドは、しかし、不敵に笑いメンヌヴィルを指差す。

「私の、勝ちだ」

ワルドへと振り向いたメンヌヴィルの胴には、深々と剣が突き立てられていた。
すり抜ける瞬間、途方も無いあの速度の中、炎に視界を遮られながら、ワルドは正確にメンヌヴィルの急所を貫いていたのだ。
勝利を確信したワルドは、直後メンヌヴィルが正真正銘の化物であると知る事になる。
胴に剣を突き刺したまま、メンヌヴィルは身を翻し走り去って行ったのだ。
口元から滴る血は、確かに内臓を傷つけている証。
にも関わらず、森の中へと駆けていくメンヌヴィルを、ワルドはただ見守る以外術が無かった。

再び大地に仰向けに倒れる。
体中から悲鳴が聞こえてくるというのに、満天の星空が妙に清々しく感じる。
右手の杖を力無く握り、普段ならば一呼吸の間に終えられる詠唱を、途切れ途切れに口にする。
「……私だ」
魔法の風が声を届けた先は彼方の空を飛ぶグリフォン。
『隊長! 敵大将はどうしましたか!?』
大声を聞くだけで全身に激痛が走る。口を開く時の方がよっぽど痛いが。
「敵大将は白炎のメンヌヴィル。致命傷を負ったまま逃走中だ。発見しても下手に手を出さず、命が尽きるのを待て」
『おおおっ! それは隊長が!?』
「そうだ。以後の指揮は副官である君に委ねる。よろしく頼む」
『了解しました! ……と、隊長はどうされるので?』
はーっと息を吐く。とりあえずやるべき事はこれで終わった。
「私はちと疲れた。全てが終わってからでいいから、森に不自然に広がる広場に水のメイジを手配しておいてくれ……」
『隊長? それはどういう……まさか隊長負傷されて』
精神力の限界か、魔法がぶつんと切れる。
薄れ行く意識の中、ワルドは懐かしい母の声を聞いた気がした。
「……何とか、勝てたよ……母さん……」



人の想いが天に通じたとして、それは神の祝福なのであろうか。
一心不乱に祈りさえすれば、祈りの量が一定値を越えたのなら、そういった条件付けで確実に発動するものならば、それは祝福ではなくただの自然現象であろう。
同量の祈りであっても、同質の祈願であっても、届く時とそうでない場合がある。
だから祈りの存在は都合の良い期待をも煽りうる。決まったルールが無いのなら、博打と一緒であるから。
全知全能が神の絶対条件だとするならば、そんな乱数は不要であり、やはり自然がそうであるように、理不尽ながらもその中に理を内包しているはずだ。
もし、祈りに理があるのなら、そぐわぬ祈りは意味を成さぬであろう。
それでも、理屈とは別の所で人は神に祈る。
何故なら人は無意識の内に理解しているからだ。
強い想いは、純粋な心は、例え神の理を介さずとも、同じ人へと伝わっていくのだから。

メンヌヴィルは、これが最後と膝を折る。
水のメイジとてこれは治癒し得ぬ。
戦場で数多の死を垣間見てきたメンヌヴィルには、それが痛い程良く解っていた。
しかし、そんな絶対の死にすら抗うが傭兵の生き様。
ワルドが身動き取れぬとわかった時、トドメを刺し相打ちを狙うのではなく逃亡を選んだのもその為だ。
最後の瞬間まで自分の命を見捨てない。
全ての根幹となる命を、守ってくれるのは自分しかいないのだから。
それでも命が失われるとなったなら、後は静かに受け入れるだけだ。
木の陰に座り、じっと死を待ち続ける。
信じてもいない、死以外の何かが起こる可能性を待っているのではない。
体を休め、呼吸を整え、最後の魔法を放つ余力が溜まるのを待っているのだ。
「……最後の……炎を……」
316名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:00:39 ID:LlTwEIRu
支援
317ゼロの花嫁17話10/13:2009/02/16(月) 21:00:50 ID:y3nJHlEg
長年見慣れて来た自分の熱が、徐々に、徐々に失われていく。
思うがままに生きてきた半生、そこに一片の悔いもありはしないが、自らの信仰に気付く前、その頃の自分には後悔がある。
何故もっと早く気付けなかったのか。
後ほんの一日でいい、早く気付いてくれていれば、後の人生はもう少し変わったものになったかもしれないのに。
恋焦がれ、その身をも焼き尽くすと思われた炎は、しかし、ただ泥水を垂れ流す肉の塊を最後までメンヌヴィルに残した。
一目で良い。
そう願い続けた半生も、どうやらこれまでのようだ。
結局、メンヌヴィルはこれまでもそうであったように、一人ぼっちだったのだ。

「誰か居るのか?」

それは奇跡の足音。

「おいっ! 君その怪我は……待っていたまえ! すぐ学院に運んでやる!」

何十年もかけて、ようやく辿り着いた。

「おおっ……これは夢か幻か? 隊長が、俺の隊長が来てくれた……ふ、ふはははは! 隊長が俺に会いに来てくれたぞ!」



そう思ったのは何故だろう。
ふと外が気になり、読んでいた本を閉じると学院の外に出た。
そこで風に乗って香る僅かな臭いを嗅ぎ付ける。
正門の番をしている者に注意するよう伝えた後、私は森の中へと駆け出して行った。
周囲に木々が生い茂っているせいだろうか。
瑞々しい草木の香りしかしなくなり、先のは気のせいだったのかと引き返しかけたそこで、彼を見つけた。
「隊長! 俺だ! 覚えているだろう!」
「……すまない、何処かで会ったか?」
余りの必死な様子に申し訳無さを感じてしまう。
しかし彼はショックを受けた様子も無く、私にすがりついてくる。
「タングルテールで一緒だったメンヌヴィルだ! アンタの副長をやっていた男だ!」
頭頂から冷水を浴びせられた気分だ。
そうだ、この顔に残る傷跡、あの時の私の魔法だというのなら、確かに辻褄は合う。
「……そ、そうか……生きて……いたのか」
動揺を隠せない。
何故彼が何十年も経った私を一目で見分けられる。
そしてこの傷は何だ? この深さと位置では……とてもではないが学院のメイジでも助けられん。
傷の痛みなどまるで感じぬと言わんばかりに、彼は私にすり寄ってくる。
「お、俺はアンタに会いたかった! アンタに礼が言いたかった! 俺がその後の人生を充実したものと出来たのも、全てアンタのおかげなんだ!」
そして語る。
彼の特異な嗜好を。
光を失った瞳の代わりに、異常発達した嗅覚が全てとなり、それは味覚以上の娯楽をもたらしたと。
生まれ持った炎の力で生けとし生けるもの全てを燃やし尽くし、漂う香しき芳香に身を委ねる。
余りに罪深い告白を、新兵が手柄を立てたかのように浮かれながら話す。
そしてその嗜好に、自分がいかに忠実であったかを滔々と語る。
炎への理解を深め、焼くべき肉の構造を学ぶ。
又、これが戦場のみで許される行為と知り、如何に生き残り、肉を焼くかと工夫し続けた努力を誇る。
人倫を思考の果てに追いやれれば、彼の努力と献身は、敬意に値すると思える。
他の何を裏切っても、彼は、炎だけは裏切らなかった。
318ゼロの花嫁17話11/13:2009/02/16(月) 21:01:20 ID:y3nJHlEg
「アンタが教えてくれたんだ! アンタが焼き尽くしたタングルテールの住民が! そして俺自身を焼いてまで教えてくれた! まだ若かったあの時の隊長は、本当に美しかった……」
彼は、失われた瞳から涙を流していた。
「……俺は、神に感謝する。してやるさ! 最後の最後に、隊長に巡り会わせてくれたんだからな! ……おおっ、これで、何一つ思い残す事は無い……」
両手を広げたまま、何処にそんな力が残っていたのか彼は立ち上がった。
「さあ、最後の時だ。頼む隊長。俺が恋焦がれ、求め続けたアンタの最高の炎で葬ってくれ……」

何もかもが間違っていたのだ。
だから、こんなにも慕ってくれる彼は、歪み捩れ、それでいて、何処までもまっすぐ純粋に、生きてきたのだ。
かつてたくさんの死を目にしてきた私だが、最後の瞬間を嬉々として迎え入れられるような生き様の人間を見たのは数える程だ。
責任だの、使命だの、そんな下らぬ理由ではない。
彼の末期を穢したくない。その一心で、私は魔法を唱えた。

「は、はははははは! そうだ! この炎だ! 俺の皮が! 肉が! 骨が焼け焦げるこの香りだ! あの時と寸分変わらぬ隊長の炎だ!」

全身を炎に包みながら笑う彼は、しかし表情を曇らせる。

「……すま、ない隊長……随分、長い事、一人に、させちまった……こんな想いを共に出来る奴なんて、アンタも俺、しか、居なかっただろうに……済まなかった。ゆる、し、て、く……れ……」

私は、偽り無い本心を口にした。

「君は、最後の時に、私に会いに来てくれた。それが一番重要な事だ」

既に表情も定かではない彼は、失われかけた舌を必死に動かす。

「……ははっ、最後の教え……確かに、うけと……っ……た。……あ、……り……がと…………う」

燃え尽き、黒い煤のみとなった彼を見下ろし、私は泣いた。
ジャン・コルベールが犯した罪は、生涯、こうして私を苛み続けるだろう。
それでいい。
私は罪人で、心の拠り所であった誓いすら守る事を赦されない程に、罰を受け続けなければならないのだから。



意識を取り戻したのは、陣幕で治療を受けている最中だった。
隊員達が飛びあがって喜んでいる。泣き出してる奴まで居る。
何だ? 何が起きた?
こら、軽々しく人の名を呼ぶなお前達。返事してやる程こちらに力は残っていないんだ。
ふと見るとオールドオスマンもそこに居た。
苦しげな表情でこちらを見ている。
ふう、相手がオールドオスマンでは仕方あるまい。
「……副長、報告を」
すぐに二度寝したかったのだが、アドバイスを頂いたオールドオスマンに結果を報告せねばなるまい。
副長は……ヒドイ顔だ。泥まみれの上、涙でエライ事になってるぞ貴様。
「は、はい! 傭兵達三十名の内、死亡二十七名、三名程捕縛に成功しましたが、いずれも虫の息で事情を聞くのは難しいかと」
「そもそも簡単に口を割るような連中でも無かろう。敵の隊長は?」
「黒こげになっている所を発見しました! おそらく自害したと思われます! 付近に落ちていた杖が特異な形状であった事もあり、ほぼ当人と見て間違いありません!」
「わかった」
体の向きをオールドオスマンに向けるだけで、そこら中が痺れるように痛む。
「以上です。襲撃者は完全に撃破しました。学院の警戒態勢を解くようお伝え下さい」
オールドオスマンは、遠くを見るようにこちらから視線を逸らす。
319名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:01:29 ID:QFN/3RdD
支援
320ゼロの花嫁17話12/13:2009/02/16(月) 21:02:02 ID:y3nJHlEg
「……ご苦労じゃったな。君は、見事に守り抜いてくれた。今後、何かあったらワシに言ってくれ。出来うる限り、君への助力を為すと約束しよう」
何故か異常に恐縮しているオールドオスマンに、こちらからも礼を言う。
不審な態度だと思うが、今はそれを考えるのも億劫だ。
というか貴様等、用が済んだのならいつまでもぴーぴー泣いてないで陣幕から出ていってくれ。
私はさっさともう一寝入りしたいんだ。



母を助け出して以来、こうして夜を共にするのは始めてだ。
浮かれてしまう自分を子供のようだと評した所、母は笑って「貴女は子供よ、私の大切な娘じゃない」と言ってくれた。
子供扱いをされなくなって随分と経つ。
同級生達は皆、子供扱いされる事を嫌うが、これとてもいいものだと、心から思うのだ。
「うん」
素直に認めると、母は優しく私の髪を梳いてくれる。
こんな幸福が続いてくれるのなら、私は生涯子供でいい。

周囲の環境により無理矢理大人にさせられた少女は、母の腕に抱かれたまま静かに目を閉じた。
今、世界中で一番幸せなのは自分だと、確かに実感させるぬくもりと共に。



光栄だなどと思う程、純真無垢な存在ではない自覚はあるが、それでも畏れ多いと感じる所は僅かにだがあった。
「お話は伺いました。お役目ご苦労様でしたわ」
というか、何故一介の子爵ごときの病室に、一国の女王が見舞いに来るなどという事になっているのだ?
私ことジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドは先の騒動で負った怪我により、しばらくの入院を強いられていた。
我ながら無茶をしたと思う。
あの熱量ならば鉄すら容易く溶かすであろうに、そんな炎の中に風の防御があったとはいえ飛び込んで行くとは。
熱した溶鉱炉の中に顔を突っ込むようなものだ。
おかげでそこらが焼け焦げ、ヒドイ有様になってしまっている。
「心無い者達は、子爵の怪我を貴族にあるまじき失態だなどと言いますが、私はそうは思いません。ご立派ですよ」
この浅慮が服着て歩いているような女王が本心からそう言ってるのはわかるが、何の慰めにもならん。
たかが三十人程度の貴族崩れごときに重傷を負わされたと、宮廷では失笑の的である。
ふん、クズ共が。だったらお前等が奴を倒して見せろ。
何て子供っぽい愚痴を溢しても意味が無いので、私は次なる手を考えていた。
寝たきりだとて出来る事は山ほどある。
書類を手に、さあやるかと意気込んだ所で、女王の突然の訪問により肩透かしを喰らってしまった。
一体この女は何がしたいのだろう。
励ましに来たとでもいうのか。そんな暇があるんなら、宮廷の連中を黙らせてくれた方がよっぽどありがたい。
突然、部屋をノックする音と共に扉が開かれる。
……というか、ノックと同時に開けたら意味無いだろ。
「隊長! 書類ですが後は判をいただくだけにしておきました!」
「大将! どうですかい具合は!」
私と同世代の二人の若者が顔を出す。
片方はグリフォン隊の副長、片方は王軍の部隊長だ。
部屋に同時に入るなり、二人は親の敵でも見るかのように睨みあう。
「貴様! 平民風情が子爵に面会なぞと百年早いわ!」
「寝ぼけんなガキ! エリート部隊風情が王軍の部隊長様に逆らっていいとでも思ってんのか!?」
「き、ききききさまあああ!! 隊長! こんな下賎な男に惑わされてはなりませぬぞ!」
「はん! ワルド子爵様はな! てめえらみたいなおぼっちゃま部隊にゃもったいねえ男の中の男よ! 大将! 今度は是非ウチの連中纏めて率いてくだせえ!」
「何だとおおおお!! 平民混在の王軍なぞより格式も練度も高いグリフォン隊の方が指揮し甲斐があるに決まっておろうが!」
321名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:02:23 ID:QFN/3RdD
支援
322名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:02:41 ID:QFN/3RdD
支援
323ゼロの花嫁17話13/13:2009/02/16(月) 21:02:52 ID:y3nJHlEg
「けっ! ほざきゃあがれ! 大将! 具合が落ち着いたんなら軍宿舎に顔出してくだせえ! 極上の酒用意して待ってますんで!」
「ふふふふざけるな! ワルド様はお怪我を負われているのだぞ! ワルド様! そんなものよりグリフォン隊主催の晩餐会に是非ご出席下さい!」
口を開くのも面倒なので、彼らから視線を外し、部屋の椅子に腰掛けた女王陛下へ向ける。
笑えるぐらいの超反応だ。
『じょ! じょじょじょじょううううううおおおおおおおへいかああああああ!!』
最敬礼を瞬時に行うのは当然として、ダブル絶叫はいただけない。
どちらも戒告ものだ。
しかし女王陛下はにこやかに笑って、彼らを赦した。
「構いませんよ。それより、お二人にお聞きしたい事があるのですが……」
二人共が真っ青な顔で大声上げて了承すると、女王陛下はまたアホな事を言い出した。
「実は、ワルド子爵がどのような活躍をされたか、現場の方にお聞きしたかったのです。子爵は謙遜するばかりで話して下さいませんし、よろしいでしょうか?」
思いっきり断る、と言ってやりたいのだが、部下が居て、女王陛下が居るこの微妙な力関係上、こちらは頷くしかない。
せめて私の意を汲んでくれとばかりに視線を送ると、二人は、何を勘違いしたのか一から十まで嬉々として語り始める。

興奮しながら話を聞く女王陛下と、それ以上にヒートアップして騒ぐ二人から視線を逸らし、窓の外を見やる。
貴族同士が社交辞令としてかわす言葉ではない。
自分を本気全力でべた褒めする話を至近距離で聞かされ続けるとか、どんな拷問だこれは。
これで結構洒落にならない怪我人何だから、もう少し労われ貴様等。
頼む、思いっきり恩に着てやるから、誰か私を助けてくれ。

結局誰も来てくれないので自力で逃げ出そうとした所、怪我人が動くなと言われた。

「正直あの悪魔みてえな炎にゃ俺っちもびびりまくってたんですがね、そこはワルド様よ! 恐れる気も無く真っ先に飛び込んで行ったんでさ!」
「自身は重傷を負っておられるのに、部隊への引継ぎを確実にこなし、我等への指示をなしてからお倒れになるなど……正にワルド様は軍人の鑑です!」

……だったら怪我人の側で騒ぐなと……ああ、もういい……好きにしてくれ……





以上で投下を終了します。みなさん、支援ありがとうございました
一話一週間縛りが段々キツク思えて来たのは、物語が佳境に向かっている証拠と思い頑張ります
324名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:03:34 ID:ZJKz0PJ9
任侠と書いてにんぎょと読む支援!
325名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:04:52 ID:LlTwEIRu
ワルドもてもてwww
乙でしたー。
326名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:10:54 ID:TK850ovF
乙でしたー。
綺麗なワルドには不幸が似合うなあ。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:12:22 ID:a+QQ4SIR
こいつらなら……こいつらなら、エルフの反射魔法ごときなんぼのもんじゃあああ!

つ【スペシウム超光波】
つ【マグナムシュート】
つ【ストリウム超光波】
328名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:16:05 ID:82nYTSkl
>>292
時計男は召喚の下準備に精霊との交渉が必要なわけだが、セコンドサイトでいけるのか?
手持ちでもスプリガンとかグルアガッハとか・・・シルキーのタンスは自宅のタンスにリンクしてるんだっけ。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:23:22 ID:iKGKrwHu
161 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 02:03:54 ID:QFN/3RdD
支援

295 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:55:48 ID:QFN/3RdD
支援

297 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:56:35 ID:QFN/3RdD
支援

298 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:56:39 ID:QFN/3RdD
支援

299 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:56:42 ID:QFN/3RdD
支援

301 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:56:59 ID:QFN/3RdD
支援

302 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:57:05 ID:QFN/3RdD
支援

303 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:57:09 ID:QFN/3RdD
支援

307 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:58:09 ID:QFN/3RdD
支援

308 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:58:12 ID:QFN/3RdD
支援

309 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:58:15 ID:QFN/3RdD
支援

311 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 20:59:10 ID:QFN/3RdD
>>305
そうなんですか?ありがとうございます。支援。

314 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 21:00:00 ID:QFN/3RdD
支援

319 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 21:01:29 ID:QFN/3RdD
支援

321 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 21:02:23 ID:QFN/3RdD
支援

322 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/16(月) 21:02:41 ID:QFN/3RdD
支援
330名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:25:27 ID:rw/Zkyec
エルフの反射より甲賀弦之介の方が格上
331名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:27:39 ID:D6M/KXEj
>>256
河豚毒は中和されないみたいよ。また聞きだけど

 山崎幹夫『毒の話』(中公新書)によると、

 これは実験の結果からみても決して無毒にはなっていない。二年も漬けた例でも、10グラムあたり10MU以上の毒力があったと報告されている。
 この場合はいろいろな種類のフグの卵巣を使うので、毒の平均化が行われること、大量の塩分により毒の吸収率が低下すること、塩辛い味のため大量をいちどきにたべないことなどが、中毒をおこさない原因なのだろう。

と書かれているそうだ。
332名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:29:28 ID:D6M/KXEj
と、書き込んでから気づいた。花嫁の人GJでした。
しかしこの話、もう色んな意味で原作とは違う物語になってるから、続きの展開が予想つかんです。
それだけに楽しみはましているわけですが。
333名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:35:46 ID:rVTxW3vh
>>327
マグナムシュートは確か、敵の攻撃に自分のエネルギーを乗せて放つ反射技だぞ……。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 21:36:08 ID:Z5AmTzGt
花嫁の人乙でした。
しかし、ゼロの花嫁のゼロ魔キャラ達はどうしてこうも格好良いかな。
335名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:00:32 ID:26LEgh7b
>>236
投げ技はガード不可なんだよ(格ゲー的な意味で

>>259
精霊魔法無効化なら、たしか『風の聖痕』に術の元になる精霊を食って無効化する奴がいた。

>>330
『カルラ舞う』の剣持さんとかも「返します」の一言で殺気自体を跳ね返して、ヤクザに吐血させたりしてたな。
ふと思ったが、エルフの『反射』は呪詛みたいな実体のない霊的な攻撃を反射できるのか?
できないなら呪術師キャラとかはエルフをフルボッコにできるかも。あと投げキャラもな。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:06:04 ID:n+N+P3JH
弦之介と同じ能力の持ち主としてシン・クザクがいたな
でもエルフが人間に殺気を放つとは思えん
人間が無力なウジ虫に殺気を放たないように
337名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:08:12 ID:82nYTSkl
四系統は霊的な攻撃にあらず?
たしかに運動エネルギーと熱エネルギーだから霊的なものは皆無なのか。
338名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:10:17 ID:gfo//D5U
河豚の毒は幼生の時期に食う餌の生き物に毒があって
成体になる頃にはその毒が猛毒になるくらい内臓に蓄積されるのが原理だったはず
んで河豚の養殖成功した会社が卵巣だか内臓売ってんじゃなかったか?
339名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:14:08 ID:82nYTSkl
>>338
え、何それ!?
毒を食って毒を性巣ってやつか!!
340名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:15:10 ID:lawhb1ih
>323
乙です
決闘から集団戦闘まで本当に戦闘シーンが上手いと思う
ワルドvsメンヌなんてレアな上に燃えも押さえててスゲェ
メンヌの最後ヤンデレw
341名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:16:17 ID:MGBuiAT1
>>239
>革命的なおっぱいに魔改造された小ネタもある

すいません、どれですか?
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:20:24 ID:m3BmwSKZ
>>339
え?よく聞こえなかったからもっかい言って
343名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:24:36 ID:26LEgh7b
>>336
人間だってうるさく飛び回る蚊や蝿を殺すときは殺気立つことがあるからな。
うまく挑発して怒らせれば、あるいは。
344名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:28:03 ID:7CMPp7MB
レンズマンを召喚すると漏れなく他の奴らが
異世界なら問題ないけどレンズ通信ができなく
345名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:28:27 ID:W70D/+mn
>>341
エロパロ板のヤマグチノボル総合で出たやつかな?
忘却使って人格改造。
正直、忘却は既出の虚無魔法で最も残酷だと思う。
上手く使えば心理治療にもなるんだが。
346名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:30:28 ID:iC2G+KVT
>>344
レンズマンと聞いて蒼野大気のアルターを思い出した俺
347名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:31:06 ID:82nYTSkl
>>342
ん?だから酵素のパワーで独ソ殲め・・・あれ
348名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:38:06 ID:lqI1NaPl
>>327
なんで普通の方じゃなくてドラゴンボールモドキの方なんだよw
349名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:39:24 ID:iC2G+KVT
超闘士のほうかw

キングホーンとかあったなぁ
350MtL:2009/02/16(月) 22:40:49 ID:klpEN42s
こんばんは。
ちょっと間が空いてしまいましたが、何も無ければ10分後に投下予定で予約を入れさせて頂きます。
351名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:42:11 ID:D+LrHb+a
こんばんは支援
352名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:42:21 ID:26LEgh7b
>>346
つまり『反射』を殴って裏表逆転させ、出ようとすると反射して出られないようにしてビダーシャルを閉じ込める、と。
353名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:43:25 ID:a+QQ4SIR
>>333
そうだったか……大技で覚えてたのがそれくらいだったんだ、指摘サンクス

>>348
モドキ言うなw いや否定はしないけどw 
ああ、ヤプール戦役以降は黒歴史だがな!

ループ星人ヤンドとか怪僧マザロンは、「四番目」の資格充分だと思うんだ
354名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:44:41 ID:SMJs4bDL
>>352
つまり『裏返ったッッツ!!』てことかい?
355名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:47:01 ID:rVTxW3vh
>>353
そう、メタルブレストさ……。だがアンタたちのように「自分の身を守る」ためじゃない。これを使って身体を拘束しておかないと、自分自身のエネルギーに体が耐えられないんでねぇ!!(セリフうろ覚え)
356名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:49:02 ID:ehM+wJwj
花嫁の人GJでした!風VS炎の頂上対決最高に燃えました
こんな熱くかっこ良いワルドに出会う日が来ようとは…
俺の脳内でママンへの勝利報告までもジャンプ漫画的に変換されたw

剣崎なら…!剣崎ならギャラクティカファントムで反射なんか無視できる…!
357名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:49:15 ID:VWSKCU0s
お待ちしてました支援
358MtL:2009/02/16(月) 22:52:46 ID:klpEN42s
マジシャン ザ ルイズ 3章 (54)虚空の大穴

全てを呑み込む穴の驚異は、ウルザを吸い込むだけに止まらなかった。

「うわああああああああ!!」

戦場に悲鳴が、こだまする。



ウェザーライト号のブリッジでは、アラートが騒がしくがなり立てていた。
それもそうだろう。今、ウェザーライトの船体は四五度近くの傾きをもって、船首を上にして斜めに傾いでいるのである。
ただ事ではない。
しかし、そのような窮状であるにも関わらず、周囲にウェザーライトを救おうというフネはない。
なぜなら、他のフネも大なり小なり似たような状況であるからだ。

艦隊は上空からの襲いかかる強力な吸引力に、必死に逆らっていた。
浮力を調整し、自重と重力で対抗する。
だが、重量級のフネなどはそれでいいが、船体の軽い船などは徐々にコントロールを失い、上空へと引き込まれて始めている。
フネは元来このような事態に対処できるようには作られてはいないのだ。

唯一幸いだったのは、このような状況の為に、両軍の戦闘行動が一時中断していることだろうか。

謎の力の影響を受けているのは、何も連合艦隊だけではない。アルビオン側のフネも同様である。
その証拠に、ベキベキという音を立てながら、一隻のアルビオン巡洋艦が、甲板を引きはがされて、破片をばらまきながら空中分解した。
両軍とも、現状を維持するだけで手一杯で戦闘どころでは無いのだ。



混乱の原因、それはプレインズウォーカー同士の戦いの余波に他ならない。
奇しくもそれは、象と蟻の例えを現実のものとしたのである。

ワルドが穿った奈落の大穴。
それはプレインズウォーカーであろうとも引き込んで捕らえる、恐るべきものであった。
だが、それだけの力が、周囲に影響を及ぼさないはずがない。
今のワルドにとってはささやかな余波でしかないそれが、戦場にある全てのものを大穴へと向かって引き込もうとしている力の正体だった。



359名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:53:54 ID:VWSKCU0s
支援
360名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:56:18 ID:lawhb1ih
【狂】ワルド支援
361MtL:2009/02/16(月) 22:56:33 ID:klpEN42s
「モンモランシー! ギーシュ!」
そんな混乱の中で、ウェザーライトのルイズは声を上げた。

ブリッジ内が強烈な風になぶられている。
ドラゴンに破壊されたブリッジの亀裂から、猛烈な勢いで空気が吸い出されているのだ。
吸い上げられる空気は濁流となって、周囲に激しい気流を発生させている。
外を見れば、フネ、人、飛竜、様々なものが上空へと巻き上げられているのが見て取れる。

そのような状況で、ギーシュは右手で必死にブリッジの縁に掴まり、自分とモンモランシー、二人分の体重を支えていた。
既にギーシュの体は浮き上がってしまっており、その手を離せば二人は直ぐにでも外へ放り出されてしまうだろう。

「モンモランシー! しっかりっ!」
「ギ、ギーシュ……」



そう、今や二人の命運は、ギーシュ一人の手にかかっているのである。

「ギーシュッ! 馬鹿なことは止めて手を放して! あなただけなら助かるわ!」
「馬鹿言っちゃいけないよモンモランシー! か弱い女性を見捨てて、自分だけがのうのうと生き残るなんて、そんなのはトリステイン貴族のやることじゃない!」
「でも、このままじゃ二人とも!」
「それこそ望むところだよ! 僕は君を守ってみせる、その為にここにいるんだっ!」

ギーシュ・ド・グラモンはこの戦場に、物見遊山で来ているわけではない。
彼は彼なりの決意を抱いて、この戦場に立っているのだ。

モンモランシーが最初、戦場へ出発するウェザーライトに忍び込むという計画を彼に打ち明けたとき、ギーシュは当然ながら猛反対した。
戦場の恐ろしさや死ぬかも知れないというということを、切々と訴えて説得しようとした。
だが、モンモランシーの決意は固く、彼女はその考えを曲げようとはしなかった。
これにはギーシュもほとほと困り果てた。
何が彼女をそこまで駆り立てるのか、モンモランシーは話してくれなかったが、ルイズが関係しているのだろうということは薄々察することができた。
だからといって彼女がこのまま危険に飛び込んでいくのを見過ごすことなどできはしない。けれど彼女は言って聞いてくれるような雰囲気でもない。
いっそ可哀想だが縄で縛ってでも阻止するべきだろうか、そんなふうに悩んでいるギーシュに、彼女はこう言ったのだ。

『それに、いざとなったらあなたが助けてくれるんでしょ? ギーシュ』

明らかに狙って言ったのは確実であろうに、その言葉はギーシュの頭にガーンときた。
モンモランシーが上目遣いに放った言葉に、ギーシュの頭とハートは一辺に打ち抜かれた。


考えてもみてほしい。
愛しい彼女が、危険な場所に行くのだという。
そしてそこでの頼りになるのは自分だけだと言うのだ。
自分だけを頼りにして、彼女は危険に飛び込むのだという。
自分はそれだけ彼女に信頼されているのだ。

362名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:57:56 ID:YHggurUR
支援
363名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:58:14 ID:lawhb1ih
バカップルめ支援
364名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 22:59:43 ID:VWSKCU0s
MtLではモンモランシーが萌え担当な気がする
365MtL:2009/02/16(月) 23:00:34 ID:klpEN42s
迫る悪漢! モンモランシーのピンチ! そこに颯爽と現れる美しいナイト! ギーシュ・ド・グラモン!
ぱぱっと華麗に悪漢を打ち倒し、震える彼女を抱き上げる!

『大丈夫かい? モンモランシー、君は僕が守ってあげるよ』

そう格好良くキメると彼女は
『ギーシュ最高! 素敵! 全部あげちゃう! 抱いて!』
と言ってくるのだ。

(悪くない、悪くないぞ、ギーシュ・ド・グラモン!)
正に英雄譚ではないか。
沸騰した頭で、そんなことを思う。


最初からギーシュに選択権は無かった。
結局ギーシュはモンモランシーの企てに力を貸し、今こうして彼女と一緒にいるのだ。

そんな彼が、掴んだモンモランシーの手を放すわけにはいかない。
だが、心の決意とは裏腹に、肉体は徐々に限界を迎えつつある。
先ほどから縁を掴んでいる右手に、感覚が無くなっている。一点で体重を支えていることで、しびれ始めてきているのだ。
まだしばらくは持つが、長々と耐えられる保証はない。
だからといって、掴んだモンモランシーの手を離すなどは論外だ。

「ギーシュ! 早く手を放して! 私は『フライ』で飛ぶから!」
「馬鹿言っちゃいけない……。『フライ』で飛んだって、こんな状況じゃ焼け石に水さ。どのみちすぐに巻き上げられる」
「でも……」
「ぐうぅ……」

苦しそうにギーシュが呻く。
その声で、モンモランシーにもギーシュに余裕が無いのが伝わってきた。
だと言うのに、この馬鹿な幼なじみは自分の手を掴んで離そうとしない。
元はと言えば、自分が無理矢理連れてきたようなものなのに……
そんな彼の姿を見るモンモランシーの目尻から、光るものが流れていった。
「ギーシュ……」
「モンモランシー……」

しかし、そんなやりとりは、二人以上に焦りを含んだ声に遮られた。
「待ってて二人とも! 今すぐ防御のための『膜』をそっちにまで広げるから!」
ルイズである。

ルイズの周囲には、ウルザが施した強力な防御機構が働いている。
今の彼女は、ウルザが望まない限り、外界からの影響を殆ど受けることがない。
例えギーシュ達が吸い出されるほどの吸引力であっても、ルイズの周囲だけはそよ風が吹いた程度にしか感じないのである。
その防御のための不可視の力場を拡大し、ギーシュ達のところまで広げようというのがルイズの考えた、二人の危機を救う方法であった。

だが、その計画には大きな落とし穴がある。
ルイズの計画を実行するためにはウルザの施した術式に手を加え、自らの手で操作しなくてはならない。
それはただの人間であるルイズが、プレインズウォーカーに立ち向かうという意味であった。
366MtL:2009/02/16(月) 23:04:00 ID:klpEN42s
人間とプレインズウォーカーとの間に横たわる溝は深く大きい。普通なら永久に埋められない程の差だ。
しかし、ルイズの手にはそれを狭めることを可能とする道具があった。

ルイズはまず右手に嵌めた、水のルビーに集中した。
そうして、自身とルビーとの『接続』を試みる。
生身のままでパワーストーンを操作しようなど、尋常ならざる技であるが、それがパワーストーンへの高すぎる順応性持ち、すでにその毒に犯されている彼女の武器だった。

ルイズはまずイメージした。
自分自身の境界線を朧気にしていくイメージ。そうして指先にある巨大な力と少しずつ自分を重ねていくことを想像する。
すると一秒ほどで、指先にピリッという電流が流れるような感覚が来た。
これで『接続』は完了である。
『接続』は、呆気ないほど簡単に済んだ。
これでルイズのマナの許容量は拡大され、パワーストーンの莫大な魔力を自身の精神力の延長として行使できるようになった訳である。
勿論、パワーストーンの力を行使すること自体はウルザからは堅く禁止されていることがらだったが、今はそんなことには構っていられない。
そうして水のルビーとの契約を済ませると、続いて風のルビーとも同様の接続を済ませる。

一連の準備を終えると、ルイズは自分の席の前に据えられた平面映像が浮かんでいる磨かれた大理石の上に手を乗せた。
そうして粗くなった呼吸を少しの間整えて、そこに自分の魔力を流し込んだ。
ウルザが操作しているのを見たことはあったが、自分で操作するのは初めてである。そもそも『魔力を流し込む』ということ自体、彼女にとって初めての経験だ。
正直、すぐにうまくいくとは思っていなかった。
だが、意外なことにルイズはウェザーライトと繋がってから数秒で、その操作方法を理解が理解できてしまった。
一つ操作を行えば二つを、二つ操作を行えば四つを。
倍の倍で、操作を行えば行うほどどうやってこのフネを操作すればいいかがフィードバックされてくるのだ。

ウェザーライトの操作というのは、要は『自分の腕』と『魔法』との間のような存在だ。
マナ=精神力に命令を乗せて、それを端末から流し込めば思った通りに動かすことができる。
何も難しいことはない。メイジなら誰しもがやっていることだ。
ルイズはそれをルビーのバックアップを受けながらこなしていく。

一分ほどで表層的な操作について一通り試し終えたルイズは、顔を上げてギーシュ達を見た。
ギーシュは何とかまだ破損したブリッジ外壁近くの柵に掴まっていた。
だが、ルイズの霞む視界ではギーシュ達が今どのような状態にあるのかまでは判別できない。
あとどれだけそんな状況で耐えられるだろうか。
一分、二分?
それとも三十秒?
兎も角、急がねばならなかった。

ルイズは再び目の前のコンソールに向き直る。
次はもっと高度な操作を行うつもりだった。
ウェザーライトの操作はある意味潜水に似ている。自分自身であるマナ/精神力を、深く沈ませていく、その深さによって捜査できる範囲が変わってくる。
高度な操作になるほど、より深い深度へと精神を潜り込ませるため、多くのマナを消費する。
だが、幸いにも今のルイズはマナ/精神力に関してなら無尽蔵と言っても良い。


余談であるが、ルイズ自身の精神力は、ロマリアで思い出すのもおぞましい『アレ』と対峙した晩以来、枯渇した状態が続いていた。
普通なら精神力は一晩ぐっすりと寝れば回復してしまうものなのだが、どういう訳か虚無の魔法を行使するための精神力はなかなか回復しなかったのである。
原理はよく分からないのだが、虚無に関する魔法を使用するための精神力の充足には特殊な条件が必要らしく、それが何なのか分からない彼女には回復する術が無かったのだ。
だが、パワーストーンの支援さえあれば、魔力は使い放題である。
無論、代償は必要ではあるが……。

367名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:04:00 ID:lawhb1ih
妄想する余裕はある支援
368名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:06:09 ID:VWSKCU0s
プレインズウォーカー・ルイズ?支援
369名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:06:43 ID:MGBuiAT1
>>345
検索して見てきましたが、やはり忘却は悪用されたら最悪の魔法ですね。
ベアトリスはあれはあれで可愛いんだから。

はさまりましたが支援
370MtL:2009/02/16(月) 23:07:56 ID:klpEN42s
正規の手続きを無視して、強引にウェザーライトの操作系統へと深く潜っていく。
途中、二つほどルイズを拒もうとする障害があったが、そんなものは強引に焼き切ってやった。
そうやってどんどんと潜り込んで、ルイズの脳裏に閃く直感。
あと一層で、自分の周囲を固めている防御の力に手が届く。
そう思い、逸る心のままに新たなマナを注ぎ込んだとき、異変は起こった。

「かっ、はっ!?」
頭の中が爆発したような強烈な頭痛、そして焼け付くような右目の痛み。
「――――――っ!?」
ルイズは声にならない悲鳴を上げて、その手で右目を押さえた。
途端に、

   世界の半分がブラックアウトした。

(な、に……?)
ルイズは脳裏に疑問を浮かべる。
ひどい頭痛は治まっていない。だが、それすらも凌駕して、ルイズは放心した。
突然世界の右半分から光が消滅したのだ。

いいや、そんなことではない。
ルイズにも本当は分かっている。
これは支払うべき代価だ。
驚くようなことではない。

右目が光を失った。
ただ、それだけのことだった。


そう、最初から分かっていてやったことだ。

「何よ……たかだか右目じゃない、何を驚いているのよ、私は。はん、ばっかみたい、ただそれだけじゃないの」
言って、ルイズは震える手をきつく握りしめると、それをそのままそれを、コンソールへと叩き付けた。
「少し、不便になっただけよ……!」
きつく結んだ唇が切れて、そこから血が一筋流れた。

ルイズは直ぐさま作業を再開する。
最後の門を破り、最深部一歩手前の領域のコントロールを掌握する。
それで十分。ルイズの目的を果たすには、それで必要十分なレベルだった。
(……艦内非常用保安機構。これね)
ブリッジ内の様子がルイズの頭にイメージとして伝わってくる。
半径一メイル程度の円が自分を取り囲んでいるのが分かる。ルイズはそこに魔力の触覚を伸ばし、力場を発生させている術式に拡大の式を刻み込む。

すると、ルイズの耳にキーンという耳鳴りのような音が聞こえた。
続いて、ごうごうと鳴っていた風音が止み、バタンと何かが落ちる音がする。
ルイズが慌ててそちらを見ると、重なるように床に倒れているギーシュとモンモランシーがいた。

「た、助かった、のか、僕たちは……」
「どうやらそうみたいね……って、きゃあ! ギーシュッ! どこ触ってるのよっ!?」
「おお、モンモランシー。そうは言っても君が上に乗っているのだから僕からはどうしようもないよ……もっふもっふ」
「いやあ! 顔を動かさないでぇ!」
371名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:10:43 ID:lawhb1ih
代償にした結果がこれだよ支援
372MtL:2009/02/16(月) 23:11:13 ID:klpEN42s
そんな声を聞いて、ルイズは徐々に緊張を解いていった。
思えば一人ウェザーライトに乗り込んで以来、これが初めて気の抜けた瞬間だった。
気を許せる友人、それがどれだけ大切なものか、初めて分かった気がした。

だが、次に聞こえてきた音が、ルイズに再び緊張を強いた。

「……っ!? 何この音っ、警告音が……変わった?」
再び艦内に鳴り響くアラート。
先ほどまでものとは全く別種の耳障りな音。
そして続いて響いた声に、ルイズは驚愕した。

『コアに対する第三深度の不正な侵入を確認しました。緊急時非常マニュアルに基づき、これよりウェザーライトUは精霊による自立航行モードに移行します』

無機質な、声。
この船には闖入者であるモンモランシーを除けば、ルイズの他に乗組員はいない。
つまり、今の声はウェザーライトUから流れたこととなる。
ルイズはウェザーライトUが喋ることなど、このとき初めて知った。
だが、次に発せられた声は、最初の衝撃を遙かに上回るものだった。

『ただちに不正な設定を破棄。艦内非常用保安に関する設定を復元します』
それはとてつもなく、冷徹な声のようにルイズには感じられた。
「待っ……」

ルイズが言い切る前に、弦を弾いたようなピンッという音が響いた。
それを契機に、拡大したはずの防御の力場が消滅した。


防御が消失したことで、ブリッジ内を再び強風が襲った。
猛烈な勢いで、再び空気が吸い出される。

「う、わっ、わ……」
「え、何? ちょっと……」。
抵抗する力も残されていないモンモランシー達の体が浮き上る。
そして、今度こそ何にも掴まることができず、二人の体は、外へ。

ルイズは呆気にとられながら、二人が外へと放り出されていくのを見ているだけしかできなかった。
そんな彼女に去来するのは
(何で?)
という疑問。

「モンモランシーッ! ギーシュッ!」
ただ、そう叫んで手を伸ばす。

二人は遠い。
腕は虚空にあって、何も掴まない。
その手に意味なんて無い。それで何かが変わるわけでもない。
二人の姿はすでに見えない。

そう彼女は失敗したのだ。
373名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:11:59 ID:VWSKCU0s
もっふもっふにしてやんよ支援
374名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:12:59 ID:lawhb1ih
あっさり死ぬのがMtG支援
375MtL:2009/02/16(月) 23:14:38 ID:klpEN42s
(何で、何でよ?)
悔しさと怒りで、涙がにじむ。

力を手に入れたはずだった。
それはみんなを救える力だったはずだ。

彼女が思う、立派な貴族が持つべき力。
何事にも背を向けず、誰かの為に戦い抜く力。
決して負けず、誰かの笑顔を守る力。
気高く、誇り高い、そんな力。
魔法が使えなかった彼女が夢見た、理想の力。

ルイズはそれを手に入れたはずだった。

けれどその力は、友達を助けることもできないものだった。
命を削ってまで手に入れたものは、理想とはかけ離れた、ちっぽけなものだった。
ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールはここに現実を思い知らされた。
自分の望んだものは、神様にでもならなければ手に入らないと、思い知らされた。


「ぅ……ああっ、うわあああああっ!」
頬を冷たいものが伝うのを感じながら、ブリッジに開いた穴に手を伸ばす。
友達が消えてしまったその場所に、手を伸ばす。
後悔と未練が入り交じった感情を持て余して、嗚咽する。

結局何もできなかった。
そうルイズの心が絶望に塗りつぶされそうになったそのとき、彼女の半分しかない視界に、一瞬だけ影が差した。
ただ一瞬の交錯。
もうはっきりとした焦点を結べないルイズの瞳。彼女にはそれがなんだったのか分からない。

けれど彼女はその影に、希望を感じた。
だから彼女は、直感だけでその名を叫んだ。

「タバサ!」

                   空がどんなものかだって? そりゃあ怖いところだよ。
                   誰だって落ちれば分かる。
                                  ――ギーシュ
376名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:18:28 ID:VWSKCU0s
タバサ、おいしいところを
377MtL:2009/02/16(月) 23:19:43 ID:klpEN42s
以上で投下終了です。
暖かいご支援有り難うございます。
色々と事情が重なり投下が遅れましたが、申し訳ありません。

避難所などで下さった感想、しっかりと活力とさせて頂いております。
以後も頑張ります。

また、前回投下後に「穴」の正体について話題に上がっていたようなのですが、あれは「the abyss」の変形なのでした。

ではではー。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:22:36 ID:YHggurUR
投下乙です。
[滅び/Damnation]じゃなかったのか。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:23:38 ID:VWSKCU0s
投下乙です
先に穴に落ちたウルザはどうなっちゃってるんだろう?
次回も楽しみにしてます
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:33:48 ID:JJgYKwWH
>>369
エロパロではなく、
小ネタの革命的な使い魔だよ
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:36:37 ID:0fyr4q3v
>>378
[Damnation]がDemonbane(デモンベイン)に読めてしまった自分
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:41:46 ID:VWSKCU0s
某nethackではデーモンベインに限らず〜ベインは外れアーティファクト(MB除く)だったな
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:41:47 ID:SmcjBlqn
ティーガーTじゃなくて97式中戦車チハだったらヨルムンで詰むよね
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:43:55 ID:3v1eKb19
超遅レスだが長門の人乙だった
本好きキャラなら”文学少女”召喚とかも見たいが…
だめだ、遠子先輩が肝心な時に始祖の祈祷書をもしゃもしゃと食べてまう光景しか思い浮かばん
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:55:14 ID:WZhW6o/K
>>383
チハタンを囮にして肉弾だよ
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:55:19 ID:crk7Tkl3
『反射』が無意味になる攻撃でふと思ったのがラッキーマン


あいつなら、あいつならきっとラッキーヒットで反射をすり抜けそうだ(具体的にはビダの自爆とかで
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 23:59:46 ID:EjcZd/94
おいしい魔法のとなえかたのアルフィ・ナゲット・ミチルを召喚。
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:00:05 ID:wSrK8Z72
MtLの人乙
しかしルイズの身体がどんどん蝕まれていくな…
ラストまでちゃんと生きていられるんだろうか
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:00:59 ID:4gVZmNY4
>>385
ガチタンに見えた
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:04:36 ID:4Ipy+yfc
>>389
社長はお帰りください
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:05:07 ID:N5vloKxE
「反射」に限らず古今東西のバリアとかみてて思ったこと、
相手を見る事ができるのは光が通るから、相手の声が聞こえるのは音の波、空気の振動が伝わるからじゃん?
つまり、光学兵器や閃光弾、あと視覚情報からくる魔眼や催眠術と、超音波なんかも効果あるのか?
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:08:39 ID:gwbqMZaQ
エルフの反射はスパロボのエヴァのATフィールドみたいな印象があって困る。
反射を越えてしまうと一撃で倒せてしまって盛り上がらないとかの理由で。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:10:26 ID:Q7EMmGkj
FF5のエクスデスなんですけど、
あれはあの鎧姿でキスすれば契約できるのと
擬人化の術か何かで人間の姿をとってそれで契約できるのと
どっちがいいでしょうか・・・。
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:13:01 ID:Ry7hAkz4
>>393
擬人化は危険と俺の全神経が警鐘を鳴らしている
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:14:19 ID:lN7CnHrI
教室の黒板にXYZ
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:16:55 ID:Nabc0y9E
前にサイトが召喚されてからの流れを簡単にまとめたテンプレらしきものを見たんだけど
誰か心当たりない?避難所とか見て回ったんだけど見つからなくて・・・
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:17:54 ID:iexaXAxD
>>393

鎧の上からでおk
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:19:03 ID:XdldnbHu
>>395
でもあらわれるのはシティハンターではなく、片腕が銃の男でした
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:19:32 ID:Nabc0y9E
>>396
自己解決しました。すんません
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:26:50 ID:Q7EMmGkj
>>394
>>397
回答ありがとうございました。
ファファファファファファ
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:37:11 ID:Krm8O9XH
>>383
逆にマウスみたいな超重戦車だったら、ヨルムンどころか運搬の時点で詰むよな。
さすがに188dはオストラントでも運べないだろ……
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:42:16 ID:mv6Sf+o4
戦車とモビルスーツを合わせた全く新しい兵器、
モビルタンク「ヒルドルブ」!
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:47:09 ID:gwbqMZaQ
ヨルムンは例えば投げ飛ばして落とせば自重で壊れたりするのかな。
それやろうとしたら、ヨルムンを持ち上げられるくらいの巨体の持ち主でなとい無理なんだが。

ヒロイックエイジのベルクロスならいけるか?
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:50:28 ID:LDa8hlMd
>>402
毎回毎回ルイズが召喚した使い魔が熱いドラマを繰り広げた挙句死ぬのか。
オリヴァーマイ召喚してコッパゲとトンデモメカ作り続けては失敗するという構想をしたことはあるが…
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:50:38 ID:oFHtB7vB
何の脈絡も無く、『メタルマックス』のうろつきポリタンを呼ぶ事を考えた。

四角くて足がいっぱいで、おまけに臭い。
必死で仕えるだろうけど疎まれるだろうな。

でも、フーケを焼き払って少し評価される。
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 00:52:03 ID:8cN/f491
>>393
エクスデス擬人化するとモリゾーになるからダメ
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 01:00:37 ID:4Ipy+yfc
エクスデスはあの鎧姿がすでに擬人じゃん
本性は邪悪な老木だし
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 01:03:22 ID:Z/MeFxxN
時空の覇者亀田召喚で
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 01:04:47 ID:IfjeREwa
>ヨルムン自重で
風石で軽量化してるらしいから、単純な落下だとかなりの高度が必要だと思う。
3体コンビの大ジャンプ―2体が腕を組んだところに跳躍役が足をかけて跳ぶ―で
フネを落とした実績がある。

風石の補充を断てば動けなくなるらしいので、稼働時間の長いエヴァだと思えばいい。
つまり、拠点防衛こそが真骨頂であり、侵攻戦で運用するのは難しい。
本当にロマリアを焦土と化す気なら、両用艦隊フル稼働で風石をピストン輸送しないと
無理だろう。ジョゼフやる気なさ杉。
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 01:23:38 ID:Rw2WDxZ7
エクスデス擬人化でモリゾーという発想に吹いた。
言われてみれば、すごくしっくりくるぞ!
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 01:26:16 ID:J63vSTDG
森憎と木殺召喚か
アルデンの森に開発の魔手が
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 01:40:01 ID:rDR5ggXe
自然を守る名目で森林を切り開いて開催された
愛知万博のアレかw
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 01:59:14 ID:x0DGsoox
>>328
まあオルツィはマメに契約相手にご機嫌とってるからこその力なんだろうし
ビダーシャルが来る前ならセコンドサイトでいくらでも契約できるんだろうが契約済みの相手は厳しいだろうな
でも「時計塔」で時間を戻せばなんとかなりそうな気もする
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:14:02 ID:uCQPatPt
>>403
エイジならベルクロスにならなくても余裕で投げ飛ばしそうなんだが

エイジは立ち位置的には扱い易いんだがキャラスペックがあまりにも高すぎるのが困る
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:28:48 ID:3cUrEJ5T
ヨルムンなんて、ウォーズマンのスクリュードライバーで風穴開くぜwww
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:29:24 ID:sCt1BfAP
確かにエイジなら原作の最終回の映像見る限り、違和感なくハルケギニアに召還できるな。
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:38:40 ID:4Ipy+yfc
おいベルクロスとか光速で宇宙空間飛行して
惑星パンチで破壊できる
オーバーパワーのやつ召喚する気かw
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:38:51 ID:/WIldCYS
エイジと言われても蒼き流星
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:39:24 ID:/29WYur2
そもそもエイジ相手じゃ契約できないとおもうよ
極端な言い方をすると使い魔化って洗脳と改造でしょ
ベルクロスの特性が絶対的存在=外的要因に左右されない だから完全に無効化されて何度キスしても何も起こらない事になるんじゃないかな
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:41:09 ID:6BKX2bfV
エイジの行動原理って基本的に「おとうさんが言ってた」だから
ハルケギニアに召還されたら果たしてどう動くやら
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:43:56 ID:gwbqMZaQ
ブリミルが黄金の種族だったことにすればエイジ召喚もなんとか、こじつけられそう。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:45:23 ID:/29WYur2
まあ『おとうさん』が用意した婚約者を宇宙の王にする話ですしね
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 02:58:12 ID:nALePmdO
エイジこと英雄の種族はいくらなんでもオーバースペックすぎるだろ
わりと厨性能のオーガン(デトネイターじゃないよ)が完全にザコと化してるレベルっていうか
惑星破壊くらいやるのが普通の連中だもん…
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 03:01:10 ID:9Ak+nKGR
エイジは話の舞台が宇宙だから
トンデモパワーもいたしかたなしと言うか
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 03:01:21 ID:UNk12i2q
ルイズが毒々しい色合いで、ヌメヌメしていてイボだらけで
三十センチくらいもある大カエルを召喚したら・・・・

「さあ 契約のキスを!」

「いや〜 駄目なの ルイズぽんぽん痛いの!」

ちょっと萌えます
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 03:38:16 ID:/MaCE9PW
>>414
エイジは生身でかなり丈夫な宇宙戦艦の装甲破れるからな……
かなり体格差のあるフートゥを持ち上げたりも出来るし

もし召還されたら迎えに来たディアネイラ様と召還者で女の戦い勃発か

そーいやディアネイラ様も胸が無(ry
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 03:52:28 ID:R0+Z/VK8
エイジじゃ流石に強すぎだって
ムリョウくんなんてどうかな?
常識人だし、事情を説明すれば使い魔にもなってくれるよ
後、強い
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 05:13:18 ID:ut2oDHMr
被召喚者の寿命にもよるだろうけど、
契約期間はご主人様が死ぬまでってのが最大のネックかな?
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 06:35:15 ID:4gVZmNY4
エイジ「地球は狙われている!」
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 07:00:53 ID:AGcirQKg
ワルド「脳がぁー、脳が痛ぇ〜!!」
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 08:36:06 ID:eqCA67GG
>>425
ジュディの人最近来ないなあ
楽しみなのに
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 08:36:18 ID:EU7e7yBr
エイジ「行くぞ、デルフ!」
デルフ「レディ」
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 08:40:23 ID:b8lI0m4o
あの頃はロシアじゃなくてソビエトだったよな
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 08:53:57 ID:flBXYN5r
エイジと聞いてドスペラート再開を期待していた
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 09:31:21 ID:AGcirQKg
新スパロボでデビルアクシズのコアとなったゴステロを思いだしてまった。
この場合、DG細胞召喚でデビルアルビオンのコアとなるルイズだな。
ゲルマニア忍法の使い手を名乗る怪しい覆面メイジの正体とは…?
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 09:42:26 ID:P5PLnI0e
>>435
DG細胞移植されて病気治ったけど暗黒化したカトレアを幻視した
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 10:32:57 ID:AGcirQKg
>>436
カトレア「をーーーほっほっほっほっっ!なっちゃあいない!なっちゃあいないわ、ルイズ!シュツルム、ウント、ドランクゥーーーーッ!」

と高笑いしながら、ゴーレムを大回転させながらルイズに突っ込む怪しいゲルマニア国旗の覆面姿のカトレア姉さんですか?
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 10:47:24 ID:U5t2jm7d
>>437
レア姉ちゃんがそれやると、
クラゲが使い魔で脳みそ同レベルの恥ずかしい格好をした
女魔法使いが浮かぶんだが。

主に胸的に。
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 11:30:08 ID:wPWJ6K/c
モンスターファーム(アニメ準拠)からゴーレムが召喚されたようでせう
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 11:33:26 ID:FizecsTQ
>439
アニメ版準拠? だとするならガリアにはムーがいて、その正体は海軍少尉の……
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 11:39:00 ID:lQudQ9mE
>>438
恥ずかしい格好とはなんだ!
母親から受け継いだ由緒ある衣装だぞw
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 12:06:22 ID:FizecsTQ
>441
つまり先代マンティコア隊の隊長は、男装の麗人ではなく……?!
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 12:14:43 ID:me5BFKFQ
恥ずかしい衣装=ナーガの衣装と思ってたんだが
違うのか?
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 12:49:13 ID:LvTtfapE
もうナーガ召喚すればいいんですよ
一宿一飯の義理で使い魔ぐらいしてくれますよ
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 12:53:52 ID:XdldnbHu
あとに残されたのはすっかり調教(というか洗脳?)された痴女ルックのルイズでした
ルイズ「オ〜〜ホッホッホッホッホーー!」
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 12:58:00 ID:R4B6ltX8
そこはテファだろ、偏食エルフ的に考えて・・・
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 12:58:06 ID:z+Z0v8p7
>>445ルイズにあの格好させるとかなんの拷問だ?リナ以下の胸囲なんd(ry
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 13:18:17 ID:UFHOASiD
そういえばリナ召喚ってまだ無いよな
どう考えても使い魔なんてやってくれそうにないが
449名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 13:23:07 ID:LvTtfapE
対ワルドとかそこそこ面白そうなんだがな
原作的な戦い方なら割と小技で勝負するだろうし
450名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 13:23:37 ID:GqlRhJbG
>443
そのナーガの衣装が、れっきとした母親の形見なんだよ。
だから、暗殺された母親の仇を討つために、あの服を着て城を出て行ったんだよ。
451名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 13:35:38 ID:/WIldCYS
あとがきに書いた「冗談だろ」と思うような設定を本当に使うからなー
ガウリイの一巻以前のいきさつとか
452名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 13:38:23 ID:vQqMb3e9
城を出たって……周知の事実ではあるが名言はされていないぞ!w
453名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 13:47:32 ID:8qyTzapv
スレイヤーズって専用スレ無かった?
そこで誰か作ってるんじゃないの?
454名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 14:17:39 ID:WP6bzsH/
スレイヤーズのキャラがルイズに召喚されました
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1218447571/

リナがバーストロンドでルイズが失敗爆発とかそんな感じになりそうな。まあリナの圧勝だろうけど。
リナが殺すって言ったら本気で殺されそうだからね。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 14:25:49 ID:d3+j10iT
>>437
シュツルム・ウント・ドランクって技名聞くと、どうしても瞬殺されたエグリゴリのサイボーグ部隊の
隊長さんが浮かんでくるなあ…
456重攻の使い魔 ◆ecegNbNqok :2009/02/17(火) 14:44:14 ID:JN1tzTrl
14:55より投下します。
457重攻の使い魔 ◆ecegNbNqok :2009/02/17(火) 14:55:07 ID:JN1tzTrl
投下開始
458重攻の使い魔 第5話『巨人達の戦場』:2009/02/17(火) 14:55:42 ID:JN1tzTrl

 赤い月の輝きによって照らされる庭園。その中を幼いルイズは必死で走り抜け、自分を追いかけてくる
者達から身を隠すために植え込みの中へと逃げ込む。

「ルイズ、どこに行ったの!? まだお説教は終わっていませんよ! 早く出てきなさい、ルイズ!」

 母親の怒鳴り声が庭に響く。ルイズは母親の声を聞いて植え込みの中で身を竦ませる。なぜ自分ばかり
が怒られるのだろう。二人の姉はいつも褒められて、怒られることなどないのに。ルイズが縮こまってい
ると、植え込みの隙間から近付いてくる二組の足を見つけた。どうやら使用人らしく、世間話が聞こえて
くる。

「ルイズお嬢様は難儀ですねぇ……」
「全くだわ。エレオノールお嬢様とカトレアお嬢様はあんなにも魔法がおできになるというのに、ルイズ
お嬢様ときたらフライの一つも使えないんだから。おまけにいつもこうやって逃げ出して……。本当に手間
ばかりかけさせて」

 すぐ近くにルイズが潜んでいるとは思ってもいない使用人達の会話を聞いてルイズは悲しくなった。この
者達もやはり自分は出来損ないだと思っているのだ。みんな、自分が会う者はみんな自分の敵になる。母親、
エレオノール、そして平民の使用人達までも。ルイズの幼い精神では、己の感じる悔しさや悲しさに上手く
説明を付けることは出来なかった。
 使用人達はルイズの隠れている植え込みを掻き分けて探し始める。このままここにいたら見つかってしまう。
そして怒り猛っている母親の元に連れ戻されてしまうに違いない。そんなことは嫌だとルイズはまだ見付から
ぬうちに植え込みから逃げ出した。逃げ出したルイズが向かったのは、庭師以外が立ち寄ることは余り無い、
中庭にある静かな池だった。勤勉な庭師によって常に手入れされている池の周囲には季節の花々が咲き乱れ、
石造りのアーチとベンチには悩みなど持っていなさそうな小鳥達が集っている。
 その池のほとりに一艘の小船が浮いていた。かつては舟遊びを楽しむために使用されていたが、二人の姉は
立派に成長し、父親は近隣貴族との付き合いと趣味の狩猟に精を出すようになり、母親は娘達の教育と嫁ぎ先
以外に目が入らなくなっている。結局、現在この池と小船を気にしているのはルイズと庭師の老人だけであった。
その庭師も、昨日ここを手入れしたばかりであり、今日は別の場所の手入れをしているはずであった。誰も立ち
寄らない静かな池に浮かぶ小船の中でルイズは丸くなって隠れていた。あらかじめ用意していた毛布にくるまり
暖を取る。しばらくしゃっくりを上げながら泣いていたが、そのうち泣き疲れてルイズは次第に夢の世界へと
旅立っていった。




 老人が玄関前の植え込みの手入れをしている時、ルイズの母親でありヴァリエール公爵婦人であるカリーヌ
が苛立ちを顔に貼り付けながら歩み寄ってきた。それに気付いた老人は鋏を地面に置き、失礼のないよう
カリーヌが口を開くのを待った。老人は先程から使用人達にも何度か声を掛けられおり、おそらくカリーヌも
同じ要件だろうと予想していた。

「リットー、ルイズを見かけなかったかしら。あの子、また逃げ出したのよ」
「はあ、誠に申し訳ないのですが、わたくしはルイズお嬢様は見かけておりません。朝からここの手入れをし
ておりましたが、お嬢様らしき人影はありませんでした」
459重攻の使い魔 第5話『巨人達の戦場』:2009/02/17(火) 14:56:16 ID:JN1tzTrl

 予想通りの質問に、リットーは決まりきった返答をする。そのリットーの態度に何か感じる所があったのか、
カリーヌは続けて質問する。

「よもやあの子を匿っている、なんてことはないでしょうね?」
「まさか! カリーヌ様に虚言を吐くなどという恐れ多いことなど出来ようもありません。ただわたくし、
最近また一段と目が悪くなりまして、もしかしたらいたはずのお嬢様に気付かなかったのかもしれません。
それについてのお叱りならば謹んでお受けいたします」

 カリーヌはリットーの頭からつま先まで眺め、ふうと溜息をついた。

「疑って悪かったわね。とにかくあの子を見かけたら知らせて頂戴」
「承知いたしました」

 そう言うとカリーヌはまた同じように肩で風を切りながら立ち去っていった。カリーヌの後姿を眺めながら、
リットーはルイズの隠れているだろう場所を思い浮かべる。おそらくルイズは中庭の池に浮かぶ小船の中に隠
れているのだろう。リットーはルイズがカリーヌに叱られた時、いつもそこに隠れていることを知っていた。
 ルイズは誰も知らない自分だけの世界だと思っていたのだが、所詮は子供のすることであった。中庭に人影
がないのは事実であったが、保守作業を行っているリットーにはルイズが中庭でしばしば遊び、また小船を
隠れ家にしていることは明白だった。保守作業の中には小船の整備も含まれており、いざ作業をしようとした
時に毛布が持ち込まれているのを見れば誰でも気付くというものだ。
 屋敷にいるものは皆、ルイズが母親から頻繁に叱られていることを知っている。だが叱られる度に小船に
隠れて泣いているのを知っているのはリットーだけだった。余りに不憫なルイズの姿に、リットーは今回のよう
に叱られている最中に逃げ出した時は黙って知らぬ振りをするようにしていた。小船の中で少しでも気が晴れる
のならそれでいい。

「お嬢様もお可哀相になぁ……」

 そう呟くと、リットーは再び植え込みの手入れを始めた。




 赤く赤く燃え上がる大地、夢の中のルイズは力なくへたり込んでいた。いつもあるはずのヴァリエール家の
屋敷は見渡す限りどこにも無く、あるのは恐ろしく巨大なゴーレムの残骸だけだった。奇妙に体を捻らせ、
大地に倒れ伏す巨人の目が幼いルイズを凝視している。その虚無を湛えた目に、ルイズは震え上がってしまう。

「お母様、お父様ぁ! どこにいるのー!? エレオノール姉様ぁ、カトレア姉様ぁ、怖いよぅ!」
460重攻の使い魔 第5話『巨人達の戦場』:2009/02/17(火) 14:56:46 ID:JN1tzTrl

 ルイズはそう叫ぶも、答える声はない。響くのは炎の上がる音と乾いた大地を駆け抜ける砂嵐の音だけだった。
ここには命といえるものは何も無い。理由などなかったが、ルイズはただそう確信した。自分は本当に一人ぼっち。
そう考えただけでルイズの瞳からはぼろぼろと大粒の涙が零れ落ちる。

「やだぁっ、おうちに帰りたいよぅ!」

 ルイズが泣き喚いていると、それまでの炎と風の音に耳をつんざくような甲高い音が混じり始める。しばらく
すると遠くに影が現れる。一つ二つと影は数を増やし、次第にルイズが座り込んでいる場所へと近付いてくる。
そしてまた、反対方向からも同じように複数の影が現れる。影は近付くにつれ巨大になり、次の瞬間ルイズの目
の前で15メイルはあるかと思われる鋼鉄の巨人が激突した。

「きゃあぁぁっ!!」

 激突と同時に周囲から巨大な爆煙があがる。大地は削れ大量の砂埃が舞い上がる。小さなルイズの体もまた枯葉
のように吹き飛ばされ、25メイルほどの距離を置いてきりもみしながら大地に叩きつけられた。ルイズが呻きなが
ら顔を上げると、すぐ傍で50は下らない数の巨人が光の剣や炎の出る棍棒を手に戦いの狂宴を演じていた。ある
巨人が敵を切り倒すと、その巨人はまた別の巨人が振り下ろした輝く棍棒で叩き潰される。
 その時、上半身を切り飛ばされた巨人がルイズの2メイルほど隣に吹き飛ばされてきた。ルイズは己に向かって
くる巨人から目を離すことも、逃げ出すこともできなかった。完全に腰が抜けてしまい、もはや這いずることすら
できない。

「もうやだぁ……。お父様……お母様……、姉様ぁ……助けてよう」

 喉がかすれ、ルイズは叫ぶこともできない。ただただぐすぐすと泣きながらここにはいない家族に助けを求める
以外にルイズに選択肢は無かった。そしてその選択肢も、全く意味の無いものでしかない。
 ある時、一体の巨人がすすり泣くルイズを目に留めた。ルイズが視線を感じて顔を上げると、光の棍棒を腕に
取り付けた巨人が光り輝く瞳を向けていた。その巨人は軽く跳躍すると、ルイズのまさに眼前へと砂埃を巻き上げ
ながら着地した。ルイズは自分に向けられる明確な殺意に身を震わせる。巨人が腕を振り上げると、ルイズは思わず
目を瞑った。次の瞬間には恐ろしい速度で振り下ろされ、自分はあっけなく死ぬのだ。誰にも歓迎されない自分。
短い人生が走馬灯のように流れ、もう諦めたその時、けたたましい音が響き渡った。ルイズがそっと目を開けると
今しがた自分を殺そうとしていた巨人はずっと遠くに吹き飛ばされ、体から赤い炎を吹き出していた。背後から
ずしんずしんと足音が聞こえ、ルイズが振り返るとそこには真紅の鎧を纏った巨人が立っていた。

「ら、いでん……?」

 ルイズは思わずそう呟く。ライデンとは何か、何故自分はそのような言葉を発したのか。なにもかもがルイズの
理解の範疇を超えていた。
 巨人はルイズを殺そうとするでもなく、静かにルイズを巨大な手のひらに乗せると、甲高い音を上げて後退し始
める。それまで大地を赤く染め上げていた戦火は徐々に鎮まりつつあり、ルイズは巨人の手のひらから同じように
後退していく巨人達を呆然と眺めていた。
461重攻の使い魔 第5話『巨人達の戦場』:2009/02/17(火) 14:57:15 ID:JN1tzTrl

 魔法学院自室で一晩中うなされていたルイズは目を開くと、がばりと勢いよく身を起こした。

「はぁっ、はぁっ……はぁ……」

 ルイズは起き上がると同時にごくりと唾を飲み込んだ。寝巻きが汗でぐっしょりと濡れている。何かとてつもなく
恐ろしい夢を見ていた気がする。ルイズはしばらく深呼吸を繰り返し、何とか呼吸を落ち着かせた。丁度いい時間に
起きれたことは良いのだが、なにぶん寝覚めが最悪だった。起きた瞬間に夢の内容のほとんどを忘れてしまったが、
今の自分の姿を見る限りろくでもない夢だったのだろう。

(何か懐かしい夢を見たような気もするけど……、一体どんな夢を見たのかしら。思い出せない)

 とにかく体に張り付いて気持ち悪いことこの上ない寝巻きを脱いで体を拭かなければならない。つい先日の学院
宝物庫のフーケ襲撃で精神が参っているのかもしれない。弱音を吐くまいと生きてきたルイズであったが、このよ
うな突発的かつ衝撃的な事態になると心の弱さが露呈してしまうのか、とルイズは溜息をつく。とはいえ、今回の
事件では生徒どころか多くの教師もうろたえきっていた以上、ルイズの嘆きは必要以上に自分を卑下するものだった。
 そそくさと体を拭き、普段着に着替え終えたルイズはいつも通り洗濯物を籠に放り込み、朝食を取るため食堂へ
と向かう。

「さ、行くわよライデン」

 何気なくルイズは己の使い魔をそう呼んだ。そして自分が言った言葉をルイズは自覚していなかった。




 朝食を終え、ルイズは他の生徒よりも一足早く教室に向かう。昨日の夜は予習どころではなかったので、少しでも
授業前に予習しておきたかったのだ。
 ルイズは教科書を開き、予習に集中しているとキュルケが大勢の取り巻きを引き連れて入ってきた。取り巻きは
全て男子生徒であり、みなキュルケを振り向かせようと美辞麗句を並べ立てる。キュルケはそのような男子達を手元に
置いておくためのリップサービスは忘れない。キュルケの艶のある唇が動かされる度に男子生徒たちの顔が明るくなる。
 そして、取り巻きにちょっとごめんなさいと断ると、キュルケは優雅な足取りでルイズの傍へとやってきた。

「おはようルイズ。朝から勉強に精が出るわね」
「……なんか用? わたしは今予習で忙しいんだけど」

 キュルケはあからさまに挑発する姿勢を見せたが、やはりルイズは真剣に取り合おうとはしなかった。キュルケは
多少むっとした表情を作ったが、ここ数日間のルイズとのやり取りを思い出し、あまり生産的ではないと判断したのか
早々に矛を収める。そして先日の事件について新たに知った話を始める。
 実の所キュルケは本気でルイズを嫌っているわけではなかった。どちらかといえば好意に近い感情を持っているのだが、
ツェルプストーの血のためか、ついルイズをからかってしまうのだ。そして今まではキュルケのからかいにルイズが必死
になって言い返していたのだが、ここ数日は反応も極めて薄いものになり、正直からかう意味が無くなってしまった。
意味が無いと判断すれば、キュルケの切り替えは早かった。
462重攻の使い魔 第5話『巨人達の戦場』:2009/02/17(火) 14:57:38 ID:JN1tzTrl

「昨日殺された先生ってミスタ・メレガニーだったって話聞いた?」
「ミスタ・メレガニー? あの『鬼火』のメレガニーが殺されたの?」
「そうよ。仮に『鬼火』が油断してたのだとしても、歴戦のメイジをフーケはいとも簡単に殺して宝を盗み出した。
恐ろしい話よ。まあもうこのあたりにはいないとは思うけど」

 キュルケから聞いた話はまた意外なものだった。今しがた話しに上ったメレガニーの二つ名は『鬼火』。ゆらゆらと
空中に浮いた鬼火を自在に操り、確実に標的を倒していくという戦い方をするということで勇名を馳せた者がメレガニー
だった。以前は魔法衛士隊に所属し、数々の戦場で恐れられていたメレガニーは、齢50を過ぎた所で後は若い者に任せる、
と言って一線を退いた。その後は魔法学院の教師として教鞭を振るっていたのだが。そのような者すら簡単に手玉に
とってしまうフーケに、ルイズは軽く身震いしてしまう。

「そんな深刻な顔しなくてもいいじゃない。後は王宮に任せるしかないんだから。わざわざ大したお宝を持ってない
生徒をフーケが狙うなんてありえないから安心なさいな」
「……む、そんなこと分かってるわよ」

 何かキュルケに年上面をされたような気がしてルイズはむっとした表情になる。そっぽを向いてしまったルイズを見て、
キュルケはくすくすと笑った。

「そういえばルイズ、あなたあのゴーレムに名前付けてあげたの? いつまでも名無しじゃ可哀相じゃない?」
「……そうね。ライデンにぴったりな名前が中々思い付かないのよ」
「え? ライデン?」

 ルイズがさらりと言った言葉にキュルケは目を丸くする。ぴったりな名前も何も今自分で言ったではないか。しかし
当のルイズはそのことに気付いていないらしい。

「何よ、その顔。わたし何か変なこと言った?」
「ルイズ、あなた今あのゴーレムのことをライデンって呼んだじゃない。気付かなかったの?」

 キュルケの指摘にルイズはぽかんとした表情を浮かべ、先程の自分の言葉を思い返す。確かにライデン、と言っていた
気がする。何故気付かなかったのだろうか。ルイズはつい自分の記憶力を疑ってしまう。しかし自分はどこでライデン
という名前を思い付いたのか。無意識のうちに名前を決めていたのか。
 思い悩み始めたルイズを見て、キュルケはあまり上手いとはいえないフォローをする。

「まあ、いい名前なんじゃない? 他に思いつかないならライデンでいいと思うけど」
「……そうね。この際ライデンでいっか。うん、そうするわ」

 召喚されて一週間以上経ったこの日、ゴーレムは名前を与えられた。ルイズは知る由も無かったが、奇しくもゴーレム
本来の名を言い当てていた。
463重攻の使い魔 第5話『巨人達の戦場』:2009/02/17(火) 14:58:00 ID:JN1tzTrl

 ルイズ達が『疾風』のギトーによる講義を受けていたその時、突然教室の扉が勢いよく開かれた。大きなロールの金髪
のかつらをかぶり、レースの飾りや豪奢な刺繍が施されたローブを纏うという珍妙な格好で現れたのはコルベールだった。
何やら酷く慌てている様子である。

「ミスタ・コルベール、何事ですか。今は授業中ですよ」

 ギトーの非難の込められた言葉にコルベールはこほんと咳払いをすると軽い謝罪の言葉を述べ、生徒全員に聞こえる
よう話し始める。

「申し訳ないミスタ・ギトー。ですが急を要する連絡なのです。……えー皆さん、本日はトリステイン魔法学院にとって
素晴らしき日となりました。始祖ブリミルの降誕祭に並ぶ、とてもめでたい日です。突然のことですが本日の授業は全て
中止となりました」

 一体何事かと教室にいる生徒達がひそひそと話し合っている。降って湧いた授業中止の知らせに喜ぶ者も少なからずいた。
コルベールの後ろでギトーが何か言いたげな表情を作るが、コルベールは気づかずに話を続ける。

「恐れ多くも先の陛下の忘れ形見であり、我がトリステインがハルケギニアに誇る美しき姫君、アンリエッタ姫殿下が
本日ゲルマニアご訪問からのお帰りに、この魔法学院に行幸なされます」

 コルベールの口から出た予想外の言葉に教室のざわめきが一層大きくなる。貴族の子弟といえども王族を間近に見る
ことは稀である。精々パレードの際に平民と同じように遠くから眺めるしかないのだ。運がよければ近くから眺めること
もできなくはないが、そのような場所の競争率は非常に激しく、貴族だからといって割り込めるようなものではなかった。
そのためか見るからに興奮している者も多く、一瞬にして教室が浮き足立ってしまっていた。そしてそれはギトーにとっ
ても同じであった。
 コルベールが静まるよう大声で注意すると、熱狂は少しばかり落ち着いた。

「したがって間違っても粗相があってはいけません。誠に急な話ですが、只今より学院の総力を挙げて歓迎式典の準備
を行います。授業の中止はそのためです。生徒諸君は正装して正門に集合した後、整列すること。以上です」

 生徒達は緊張した面持ちとなり、神妙に返事をした。生徒達の正確に状況を理解している様子を見て、コルベールは
よろしいと重々しく頷いた。そして一際力のこもった口調で告げた。

「昨日、フーケがこの学院を襲うという嘆かわしい事件が起き、我々はミスタ・メレガニーという素晴らしい方を亡く
しました。姫殿下は大層悲しんでおられているようです。二度とこのような悲劇を起こさないためにも、再び姫殿下を
悲しませるようなことを無くすためにも、我々は姫殿下に弱き姿を見せるわけにはいかないのです。分かりましたか?」

 生徒達は一斉にはいと返事をする。コルベールは後はよろしくお願いしますとギトーに言うと、入ってきた時と同じ
ように急いで出て行った。教室に残された生徒達はギトーの指示に従い、姫殿下を迎えるために急いで準備を始める。
 ルイズは突然の王女の来訪に幼い頃の記憶を刺激され、郷愁なのか寂しさなのか、自分でもよく分からない思いに
囚われていた。
464重攻の使い魔 第5話『巨人達の戦場』:2009/02/17(火) 14:58:26 ID:JN1tzTrl

 民衆の間を走る馬車の中で、本日13回目の溜息をついている少女がいた。その少女の名はアンリエッタ・ド・トリス
テイン。ここトリステイン王国の王女であった。すらりとした細く美しい顔、そして薄い青色の瞳には憂いが湛えられ
ている。先程民衆に見せていた笑顔はどこにもなく、ただただ憂鬱な表情を貼り付けていた。傍にいるマザリーニ枢機卿
が今後の予定を説明するも、アンリエッタは心ここにあらずといった様子で返事をするでもなく聞き流していた。マザ
リーニは内心溜息を付くと、いい加減要領を得ないアンリエッタに苦言を呈する。

「殿下、王族たるもの無闇に臣下の前で溜息などつくものではありませぬ。弱き姿を見せぬのもまた王族の勤めなのです。
そのような態度ではいらぬ不安を煽ることになりかねませんぞ」

 マザリーニの言葉に、アンリエッタの憂鬱は更に深まっていった。諦観と苛立ちの込められた声で返事をする。

「王家、王族、そして王女……。ただ臣下の言うままにしか動けない者が果たして王族なのでしょうか?」
「……ゲルマニアとの同盟の件ですかな」
「私だって分かっています。あの礼儀知らずの裏切り者達に対抗するためにもゲルマニアとの同盟が必要なことは。
それでも、私は……」

 アンリエッタの憂鬱は正にそれであった。まだうら若き乙女が、壮年に差し掛かりつつある丸々と太った男と結婚
せねばならない。トリステインとゲルマニアの現在までの関係を顧みてもこれ以上の屈辱はなかった。そんなアンリ
エッタの内心を知ってか知らずか、マザリーニは抑揚の無い低い声で答える。

「それが王族というものです。この小国トリステインを守り、民草を守る、それが王族たる者の義務なのですぞ」

 マザリーニの決まりきった回答にアンリエッタはまたしても溜息をついた。自らの手に余ると判断したマザリーニ
は馬車のカーテンをずらし、馬車に随行する三つの魔法衛士隊の一つ、グリフォン隊の隊長に手招きをした。すると
羽帽子をかぶり長い髭を生やした、精悍な顔立ちの若い貴族が馬車へと自らのまたがるグリフォンを寄せた。

「お呼びでございますか、猊下」
「ワルド君、陛下のご機嫌がどうにも麗しくない。何かお気晴らしになるものを見つけてきてくれたまえ」

 ワルドと呼ばれた貴族はマザリーニに了解の意を伝えると、さっと周囲を見回し、目ざとく街道に咲く花を見つけ
ると、腰に差された杖を引き抜き短く呪文を唱える。小さなつむじ風が発生し、小さな花はいとも簡単に空中へと
舞い上がる。ワルドは風を操り、花を手元まで持ってくる。
 ワルドは花を手に馬車の窓を叩きマザリーニへ手渡そうとしたが、直接王女が受け取ると伝えられのでマザリーニ
に一礼すると場さyの反対側に回った。するすると窓が開かれ、アンリエッタが花を受け取ると左手を差し出した。
ワルドは王女の厚意を無碍にするようなことはせず、アンリエッタの手を取ると優雅に口づけをした。
 アンリエッタは自らの左手に口付けをする貴族に名を問うた。
465重攻の使い魔 第5話『巨人達の戦場』:2009/02/17(火) 14:58:55 ID:JN1tzTrl

「殿下をお守りする魔法衛士隊が一つ、グリフォン隊隊長のワルド子爵でございます」

 恭しい態度で答えるワルドの姿に、アンリエッタも相応しい態度で応対する。

「あなたは立派でございますね。まるで貴族の鑑のよう……」
「私は陛下の卑しき下僕に過ぎませぬ」
「ああ、祖父が生きていた頃には、貴族は押しなべてそのような態度を示したというのに……。最近はあなたの
ような貴族はほんの一握り……。子爵、あなたの忠誠に期待してよいのですか? わたくしが困った時には力を
貸していただけますか?」

 アンリエッタの深刻な声音に、ワルドは重々しい態度で答える。

「殿下のご要望とあらば、たとえ戦の最中だろうと空の上だろうと、何を置いても即座に駆けつける所存であります」

 アンリエッタが優雅に頷くと、ワルドは一礼をして馬車から離れていった。その姿を眺めながらアンリエッタ
はまたしても溜息をついてしまう。

「なぜわたくしは王族に生まれてしまったのでしょう……。一介の貴族として生まれていればもっと自由な人生を
送れたでしょうに……」
「滅多なことを言うものではありませんぞ。私以外の者が聞いていたらどうなさるおつもりですか」

 その後もマザリーニの小言が延々と続いたが、アンリエッタの耳にはほとんど入らなかった。ワルドから受け取った
小花を弄びながらアンリエッタは幼かった記憶を思い返していた。あの頃は王族だとか身分の違いだとか気にしたこと
はなかった。親友の少女と毎日走り回り、花を摘み、泥だらけになって遊び回ったものだ。そして何度か取っ組み合って
大喧嘩をしたこともあった。しかしいまや自らを取り囲むのは卑しい心を持った貴族達だ。毎日が色褪せてしまい、
しかも心に重くのしかかる悩みを告白できる相手はいない。それはマザリーニとて例外ではなかった。
 ワルドにこの胸の内の悩みを相談してみようか。先程ワルドが見せた曇りのない忠誠の誓いと、誉あるグリフォン
隊隊長という肩書きが、アンリエッタの心を揺さぶる。聡明なワルドならば自信の悩みに答えをくれるかもしれない。
学院に向かう馬車に揺られながらアンリエッタの思考は深みにはまっていく。
 そういえばかつての親友もこの学院に通っているのではないだろうか。もしかしたら会えるかもしれない。昔のような
関係を持つことは最早不可能だろうが、旧友に会えるかもしれないと思うと、アンリエッタの心は少しだけ軽くなった。
466名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 15:16:17 ID:iexaXAxD
さるさん?
467代理:2009/02/17(火) 15:24:59 ID:ifukcV+5

 王女の学院訪問はつつがなく行われたが、ルイズの気分は更に複雑なものになっていた。優雅に手を振りながら笑顔
を見せる王女と、その傍につき従うグリフォン隊隊長の子爵を見てしまったからだ。自らの過去と多かれ少なかれ結び
付く者達。ここのところルイズの心が休まる時は少なく、そこに追い討ちをかけるかのように王女訪問とくる。ただた
だ早く部屋に戻り、シエスタと紅茶を飲みたいとルイズは考えていた。ルイズはどうでもいい話をすることで、心の
重圧から逃れたかった。
 キュルケがルイズに話しかけるも、ぼんやりとして話を聞いているのかいないのかよく分からず、やれやれと肩を
すくめると、キュルケはしばらく放っておいた方がよさそうだと、ルイズに話し掛けるのをやめた。

「はぁ、もう疲れたわ……。昨日はあんな事件が起きて、今日は王女が訪問して……」
「お疲れ様です、ミス・ヴァリエール。私たちも今日はてんてこ舞いでした」

 その日の夜、ルイズとシエスタはこれまで通り紅茶を飲みながら雑談していた。王女は綺麗だった、魔法衛士隊は
やはり格好いい。どうしても話題は今日のことになってしまう。ルイズにしてもシエスタにしても、フーケを話題に
する気には到底ならなかったのだ。
 一息ついて、シエスタがそろそろ帰ります、と言ったその時、扉が規則正しく叩かれた。始めに長く2回、続いて
短く3回。その叩き方をルイズは覚えていた。はっとした表情となり、急いで扉を開けるとそこには真っ黒なローブ
を頭から被った少女が立っていた。少女はさっと周りを見渡すと、そそくさと部屋の中に入ってきた。

「ミス・ヴァリエール、どちら様ですか?」

 突然の来訪者を不思議に思ったシエスタがルイズに尋ねる。後ろ手に扉を閉めた少女は、杖を取り出すと短く呪文
を唱えた。すると光の粉が部屋中を舞った。
 フードに隠れ、少女の顔を窺うことはできなかったが、ルイズにはこの少女が何者なのか分かっていた。

「どこで聞き耳を立てられているか分かりませんからね」

 少女はそう言うと、体を覆うローブを脱いだ。現れた顔を見て、ルイズはやはりと思うと同時に何故この人がここ
にいるのかという疑問と驚きが同時にやってきた。ルイズの部屋を訪問した少女は、昼間学院へ訪れたアンリエッタ
王女その人であったのだ。

「ひ、姫殿下!」

 ルイズが慌ててアンリエッタの前に膝をつく。それまで想像の埒外の展開に呆然と椅子に座ったままだったシエスタ
は、真っ青になると、椅子から転げ落ちるように頭を伏せた。貴族どころではなく王族。その御前で顔を上げるなど
恐れ多いも甚だしい。シエスタは床に額を押し付けんばかりであった。
 アンリエッタは涼しげな表情で二人を見渡すと、透き通った心地良い声で告げた。

「お久し振りね、ルイズ・フランソワーズ」
468重攻の使い魔 第5話『巨人達の戦場』:2009/02/17(火) 15:25:28 ID:JN1tzTrl

 王女の学院訪問はつつがなく行われたが、ルイズの気分は更に複雑なものになっていた。優雅に手を振りながら笑顔
を見せる王女と、その傍につき従うグリフォン隊隊長の子爵を見てしまったからだ。自らの過去と多かれ少なかれ結び
付く者達。ここのところルイズの心が休まる時は少なく、そこに追い討ちをかけるかのように王女訪問とくる。ただた
だ早く部屋に戻り、シエスタと紅茶を飲みたいとルイズは考えていた。ルイズはどうでもいい話をすることで、心の
重圧から逃れたかった。
 キュルケがルイズに話しかけるも、ぼんやりとして話を聞いているのかいないのかよく分からず、やれやれと肩を
すくめると、キュルケはしばらく放っておいた方がよさそうだと、ルイズに話し掛けるのをやめた。

「はぁ、もう疲れたわ……。昨日はあんな事件が起きて、今日は王女が訪問して……」
「お疲れ様です、ミス・ヴァリエール。私たちも今日はてんてこ舞いでした」

 その日の夜、ルイズとシエスタはこれまで通り紅茶を飲みながら雑談していた。王女は綺麗だった、魔法衛士隊は
やはり格好いい。どうしても話題は今日のことになってしまう。ルイズにしてもシエスタにしても、フーケを話題に
する気には到底ならなかったのだ。
 一息ついて、シエスタがそろそろ帰ります、と言ったその時、扉が規則正しく叩かれた。始めに長く2回、続いて
短く3回。その叩き方をルイズは覚えていた。はっとした表情となり、急いで扉を開けるとそこには真っ黒なローブ
を頭から被った少女が立っていた。少女はさっと周りを見渡すと、そそくさと部屋の中に入ってきた。

「ミス・ヴァリエール、どちら様ですか?」

 突然の来訪者を不思議に思ったシエスタがルイズに尋ねる。後ろ手に扉を閉めた少女は、杖を取り出すと短く呪文
を唱えた。すると光の粉が部屋中を舞った。
 フードに隠れ、少女の顔を窺うことはできなかったが、ルイズにはこの少女が何者なのか分かっていた。

「どこで聞き耳を立てられているか分かりませんからね」

 少女はそう言うと、体を覆うローブを脱いだ。現れた顔を見て、ルイズはやはりと思うと同時に何故この人がここ
にいるのかという疑問と驚きが同時にやってきた。ルイズの部屋を訪問した少女は、昼間学院へ訪れたアンリエッタ
王女その人であったのだ。

「ひ、姫殿下!」

 ルイズが慌ててアンリエッタの前に膝をつく。それまで想像の埒外の展開に呆然と椅子に座ったままだったシエスタ
は、真っ青になると、椅子から転げ落ちるように頭を伏せた。貴族どころではなく王族。その御前で顔を上げるなど
恐れ多いも甚だしい。シエスタは床に額を押し付けんばかりであった。
 アンリエッタは涼しげな表情で二人を見渡すと、透き通った心地良い声で告げた。

「お久し振りね、ルイズ・フランソワーズ」
469代理:2009/02/17(火) 15:25:29 ID:ifukcV+5
連投でさるさんを食らってしまい、最後だけ代理投下して頂きました。
ちょっとオリキャラが出てますが、モブなので余り気にしないで下さい。

---
470名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 15:26:45 ID:Dd/F2/2r
あやうく重複代理するところだった
471重攻の使い魔 ◆ecegNbNqok :2009/02/17(火) 15:26:59 ID:JN1tzTrl
あああ、投下できるかもう一度試してみたら被ってしましました。
代理投下していただいた方、申し訳ありません。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 15:29:04 ID:ifukcV+5
ありゃ、失礼しました。時間が00分ぴったりになると、さるさんキャンセルされるので、覚えておくと良いと思います
473重攻の使い魔 ◆ecegNbNqok :2009/02/17(火) 15:30:27 ID:JN1tzTrl
すいません。覚えておきます……
474名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 15:32:50 ID:LQTlZk9s
おつかれさまです
そういえば「フーケ」ってば「盗みはすれど殺しはせず」なイメージがあるんだよな
追手であるルイズ達を殺そうとしたってのに
475名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 15:54:02 ID:ut2oDHMr
>>438
レア姉ちゃんwwww
476名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 15:55:47 ID:urbUQf3l
>>448
遅レスだけど小ネタであったよ。
まとめには登録されなかったが。
477名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 15:57:09 ID:Qjfzoavo
あれは何も考えずに感情の赴くままに暴走してるルイズにキレたんじゃないかな?
あー言う貴族の方が悪徳貴族よりおマチ的に許せなさそうだ
478名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 16:43:04 ID:2iVbZk+N
泥棒系と言うか、怪盗みたいなやつって召喚されてたっけ?
479名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 16:49:23 ID:Z/MeFxxN
アルセーヌ・ルパンはまだいないようだな
480名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 16:49:41 ID:WrKjmhwg
>>478
小ネタにルパン3世がいたような
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:00:49 ID:tcZkpHQA
ライデンの人、GJでした!
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:04:33 ID:U5t2jm7d
>>478
泥棒じゃない、トレジャーハンターと呼べ。
の彼が浮かんだ。

ゼロ魔世界に太古の文明の遺産が眠る遺跡とかあったっけ?
いくつかのマジックアイテムの設定を見ると
少しずつ魔法技術レベルの後退はしているみたいだけど。
483名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:16:03 ID:+CeVpnsy
インディ召喚か…
484名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:36:51 ID:5pCq/zcH
>>482
ロックを召喚するにしてもどの時点のロックを
485名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:41:37 ID:AGcirQKg
シエスタが怪盗アマリリスの子孫とかどうかなあ。フーケのライバルキャラで
ルイズにはサイラスで
486名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:44:08 ID:WsfE3ksj
>>484
死体にハアハアしている時代で
487名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:45:03 ID:/WIldCYS
怪盗か。
……ライムライト・サイトとか言って分かる方はいらはるのかのぅ
488名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:49:48 ID:J63vSTDG
三姉妹をいぢくる「怪盗ゼロ」が出てくるエロゲがあるそうな
489名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:51:45 ID:urbUQf3l
アマリリスと聞いて和田ワールドからサキとクルトと明日香を召喚。
ジョゼフは信楽老を召喚します。
490名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:53:42 ID:Y1KzKJIP
明日香って、もうあるぞ
未完だけど

女中繋がりでシャーリーの続きを書いてほしいなぁ ・・・
491名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 17:55:38 ID:me5BFKFQ
トレジャーハンターというと、八頭大が浮かぶ
最近ジルガ使えるようになったようだが
魔王伝にでても咬ませにしかならんので出番はないんだろうな
492名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:01:20 ID:AGcirQKg
アスカ召喚ならうる星やつらのよろい娘を
変なゴーレム?召喚してまったと嘆くルイズだが、召喚した使い魔がコッパゲやギーシュを見たとたん
「きゃー男ーーーっ!」
「ぶるーいんぱるす!」
投下予約がないのなら、二分後に投下しますねい
42.シェオゴラス

小雨が降る暗い森の中、ルイズはカトレアから離れた所に現れた。
カトレアは日記帳を持ってひたすら森の奥へと歩いている。
時折激しく咳き込みながら、ランランと目を輝かせているのがルイズには何故か分かった。
辺りは強い風が吹き、ルイズは自分の視界すら確保出来ないというのに、
カトレアは明かりも点けずにずんずん前へ進んでいく。その顔は歓喜に満ちていて、
精神力が具現化したオーラが彼女の周りを漂っている。
青にも茶色にも見えるそれが舞う。荒れ狂う嵐のようなそれらをまとう姉はとても怖かった。

「獣って、どこにいるのかしら。ああ、もうここで倒れるのも悪くないわね。
 だめ、だめよカトレア。こんな所じゃすぐに見つかってしまうわ…」

こわい。このちいねえさまも、今のちいねえさまも。
いつものちいねえさまがどこにもいない。こわい。
ルイズはおっかなびっくり着いて行くことにした。
ここで戻っても意味がないと頭で分かっているからだ。

カトレアが咳と共に吐いた血を見てルイズは後を追う。
カトレアの姿は、彼女の発するぼんやりした光で輪郭だけが見える。
しかし体の状態は良さそうには見えない。
しきりに体を掻くカトレアから、たくさんの皮膚がこぼれているからだ。

「やっと、やっと終わるわ。嗚呼、どうかあの世では作り笑いせず、
真っ当に暮らせる程度の幸せを得られますように!
 姉さま用のお手紙も残したし、ルイズがこれを知るのはしばらく先でしょうし、
 父さまはわたしに無関心で、母さまは何を考えてわたしを生かしているのか……」

膝をついて口から何かをはき出す音が辺りに響いた。
大量の血が流れる。カトレアは笑った。

「凄いわ。記録更新かしら…でも変ね。ひどく頭が冴えて、いつも以上に元気なのよ。
だからわたしの後に誰かいるのも分かっているの」

ビクリとルイズが震え上がる。隠れていた木が、錬金の魔法で倒された。
カトレアは笑っていた。とても怖く笑っていた。

「こんな時まで幻覚だなんて…あれ、もしかしてルイズ?」

夜中でよく見えないせいか、髪の色だけでカトレアは判断した。
夜で、ほとんど光の無い森の中でも、その髪色はそう間違えたりはしない。

「ち、ちいねえさま」
「しばらくぶりね。ごめんね。今は遊んであげられないの」

思い出の中のカトレアは、いつもルイズと同じ髪色だった。
しかしそれは、カトレアが痛みを苦にしなくなってからの色だったのだ。
八年前の事を思い出せなかったルイズは、それが普通の髪色だと思って過ごしていた。

カトレアはニコリと微笑んだ。

「危ないわよ。早く帰りなさい」
「ね、ねえさまも、いっしょに…」

微笑んだまま、カトレアはルイズの目を真っ直ぐ睨んだ。

「ねぇ、あんたルイズじゃないわよね?けど幻覚でもなさそうだわ。
 あんた誰?わたしに何がしたくてここにいるの?」
微笑みが消える。ルイズはただただ怖がった。

「違うの、わたしはルイズよ!ちいねえさま!!」

「黙れ!消えなさい。わたしの杖があなたに向かない内に…
 いいえ、いいわ。ついて来たいなら来なさいな。風邪、引かないように気を付けてね」

そのまま背を向けて、また森の奥へと進む。ルイズはその後に続いた。
振り向きもせずにカトレアがルイズに言った。

「あんたね。わたしの妹に似ているのよ。
 でもね、あの子そんなにしっかりした目をしてないわ。
 誰かが周りにいないと困るのにかんしゃく持ちでね。
 わたしにそっくりよ。だからこの世で一番嫌いなの」

「かんしゃく…ちいねえさまも持っていたの?」

自分が落ちこぼれだという自覚はずっとあった。
もちろんそれを表に出したりはしないが、
優秀な姉達に比べて何も出来ないと錯覚し、
時には使用人たちの言動を目で制した事もあった。
そしてその後に激しく後悔する。そんな自分がルイズは嫌いだった。

「ええ、とってもね。母さまに酷いことたくさん言ったし、
 エレオノール姉さまを敢えて困らせたりもしたわね…
 でもルイズには出来なかったわ。わたしと同じだから。
 わたしは体が動かない。あの子は魔法が使えない。
 出来損ない同士よ。ヴァリエールの血なのに。
 馬鹿なお父さまが、下級貴族の娘と結婚するから!
 それで三人の娘に負担が掛かっているのに知らんぷり。
 あんな奴死ねばいいんだわ!」

ひとしきり叫んでから、カトレアはまた激しく咳き込んで血を吐いた。
座り込んで、苦虫を噛みつぶした様な顔でルイズを見る。

「嫌よね。本当にわたし自分が嫌いよ。
 本当はちゃんと気に掛けられているって分かっているのに。
 何も思っていないなら、あんな建物造ろうとも思わないのに。
 ああ、獣はどこかしら。早く悪夢を終わらせたいわ」

ゆらりと立ち上がって、カトレアは奥に進む。
そんな風に見ていたんだ。私のこと。
同情から優しくされていたのだろうか?
そんな事を考えていると、気が付けば一人になっていた。

「あれ?」

置いていかれた事に気が付いたルイズは、
辺りを見渡すが何も見えない。

「ど、どうしよう」

暗い森の中、一人でいるのはとても不安だ。
明かりを杖先に付ける呪文はドットメイジから出来る。
つまりルイズがそれをすれば杖が壊れるかもしれない事を意味した。

「ち、ちいねえさま何処に行ったの?」
しかし返事は無い。代わりに風変わりな笑い声が聞こえた。

「だ、だれ?」

笑い声は前から聞こえる。ルイズはその声の方へと進もうとしたとき――

「誰かと聞きたいんなら、まずお前から名前を言うべきだと思うんだが?」

それなりに若々しい声が耳元でささやいた。

「ぎゃぁあああああああああ!!!」

驚いて尻餅をつくルイズを余所に、耳元でささやいた老人が笑いながらまくし立てる。
これ以上なく愉快そうに。

「良いねぇ。絹を裂いている!何で裂く?裂いて売るのか?儲かるのか?」

やたらとテンションの高い老人がルイズの背後に立っていた。
毒々しい色の服を着て、大きな杖を手で回して遊ぶ様は年を感じさせない無邪気さがあった。
髪はほとんど白髪で、肌の色はルイズに近い。特に際だった特徴はその目で、左右で色が違う。
ハルケギニアでは猫目として知られるオッドアイで、金と銀の目を持っている。
その瞳も猫の様に細い老人を見たルイズは、何とか言葉を出そうとするが、
何の意味も持たない物しか口からは出なかった。

「ああああ、あ、ああ、あ、あんた」

しかし老人はそれらにすら意味を持たせる。

「あがくってか?悪くないな。しかしこの余にあがくのか?
 やめとけにん…君は人間かね?何か違うな。ここの連中は普通じゃないが、
 だが何か違う…あーパラか。そうだな。お前パラか?パラだな。いよう!パラ」

「パラって何よ!」

ようやく物を言える状態まで心が落ち着き、ルイズは無謀にもツッコミを入れた。
老人は内心良い暇つぶしができそうだと思いながらそれを顔に出さず、首をかしげた。

「パラはアレだろ。こんな桃髪してやがるくせに違うと?変わった人間だ」
「桃じゃないわ!『ピンクがかったブロンド』よ」

変わった老人は目を大きく開けて驚いた。

「なぜイチゴ?それだとショッキングじゃあないし、冗談にしちゃつまらん。才能がないな。全く無い」
「何がショッキングよ!そもそも何がイチゴなのよ」
「落ち着け!衝撃的な顔が台無しだぞ?ミス・ショッキング」

ルイズは顔を真っ赤にして言い返す。完全にからかっている老人のペースだった。

「勝手に名前を作らないで!私はルイズ!
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールって名前があるんだから!」

「分かった。よろしくなショッキング・ルドラ」
「ルドラって何なのよ!!!!」
「ルドラはルドラだろうが。全くこれだから最近の若い人間は。100歳なんざ若輩もいいとこだ!」
「十分老人よ!!!」
ツッコミの連打にルイズは段々疲れてきた。
笑顔の老人はとても楽しそうに、次は何を言おうかと考えている。

「あ、あんた、もしかして…シェオゴラス?」

乱心の神、以前悪夢の女王から聞いた名だったが、こいつ以上に相応しい存在はいない。とルイズは感じた。
ぜいぜいと息を吐いて言うと、老人の目が更にランランと輝き、気持ち良さそうに叫んだ。

「そうだ!余の名はシェィオゴォォォラァス!!!きょぉおおおうきのおうじさまだぁあああああ!
 他にも色々あるが面倒だから省く。で、お前はなんなんだルドラ。
お前はここにいてここにいない。夢見気分で余に会ってやがる。
誰の回し者かね。アズラだな?あいつ以外いねぇ!
そんなに嫌か?負けるのが。負けたのは余だ!
ズルして負けたのを余の島まであざ笑いに来やがった!!
それで、お前さんはなんなのかね。ナイスクリーム食うか?美味いぞ。
余は食べることが好きでな。こいつはなんと……」

ようやく老人は本題に入った。今もまだ色々と喋っているが省略する。
彼はどこからか取り出したクリームを舐めながらルイズを見ている。
これはルイズが何者かを聞いているだけであり、他は全て修飾の類だ。

シェオゴラス。乱心の神であり、その心の内は誰にも分からないとされる神。
現在はシロディールの英雄と称される、マーティンの友人がその役を担っているが、
元々はこの老人の格好のデイドラがシェオゴラスと名乗っていた。
狂気を司る存在として相応しく、「自他共に認める」狂人である。

ルイズはノクターナルに振り回されるマチルダの気分になりながらそれに答えようとしたが、
生来の空気読めない子の力を発揮してしまった。

「その前に一つだけ良い?」
「何だ、早く言え。言わないと段々空に浮かんで行くぞ。シェオゴラスはどれほど空高く浮かぶのか!」

叫ぶように歌っている。ルイズは頭が痛くなってきたが、とりあえず聞いてみた。

「…何で普通に喋ってるの?」

王子達はあれが普通と聞いたから、何か不可思議に思ったのだ。

「ああ?あれはちょっと疲れるんだ。分かるか?魔法力を使うのだよ。だから例えば――」

小雨が嵐になる。風が恐ろしいほどにうなり声を上げ、
そこら辺の木々をなぎ払う。ルイズは風にあおられるが地面にへばり着き、悲鳴を上げる。
しかしその金切り声は嵐のごう音によって全てかき消され、シェオゴラスの耳には全く入らない。

『こういう時なら使う訳だ。で、お前はなんなのかね、ショッキング・ルドラ』

止めてとルイズは叫ぶが、嵐のせいで全く聞こえない。
シェオゴラスは涼しい顔だ。嵐は彼を避けてルイズに当たっているのだ。

『おい、どうしたルドラ。大丈夫か?雨まみれに泥まみれじゃねえか。
 ナミラじゃあるまいに。風邪を引くぞ。お前頭の方は大丈夫か?』
からかう相手が死なない程度に不愉快な思いをさせる。
シェオゴラスが好きな時間の潰し方である。
しかし、彼の領域にアポ無しで入ると下手をすれば死んでしまうので、
そこは要注意である。

こう――姫に怒ってから少し切れやすくなっていて、
さらに姉の秘密を知って不安定だった堪忍袋の緒が、ついに切れた。
雨風の中ルイズは立ち上がって吠える。そして力が爆発した。

『あんたに――いわれたかぁないわよぉおおおおおおおおお!!!』

爆風が嵐を吹き飛ばす。雨風どころか森の一部まで消え去る大きな爆発だった。
シェオゴラスは口笛をヒュウと鳴らす。

「なんだ、お前も出来るじゃねぇか。まあ当然だなパラだからな」

ぱんぱんとリズム良く手を叩くシェオゴラス。当然だが、尚更ルイズの怒りは燃え上がる。

「なんなのよあんたはぁあああああああ!!!」

ルイズは切れた。サイトなら死を覚悟する程度には切れた。
怒りで黒いオーラが彼女から吹き出しているが、
その程度で動じるほどシェオゴラスは柔でもない。
皮肉屋はやれやれと言いたげに両手をあげた。

「言ったであろう?余の名はシェオゴラス。狂気の王子様だ」


「うなされてるわね。ちょっとまずい事したかしら…。
ちゃんとわたしを理解するには、一番分かりやすいと思ったのだけれど」

カトレアはルイズに布団をかぶせて、動物たちと一緒に様子を見ている。
ルイズは難しい顔でムニャムニャと口を動かしていて、
その腕や足は何かを訴えかけるかのように、バタバタ動かしている。
カトレアの隣にいるラルカスが右手で頭を掻いた。『虚無』の魔法が珍しい事もあって、
どの様な状態かを確認しているのだ。

「シェオゴラス卿は人を選ぶからな…大丈夫だとは思うが」
「そうね。他の方々だと危ないだろうけど、たぶん大丈夫でしょうね」

ルイズの体を撫でながら子守歌を歌うカトレアは、
とても美しい若奥様に見えた。その様にラルカスは見とれてしまう。
視線に気付いたカトレアは、コロコロと笑ってラルカスを見た。

「どうかしたの?ラルカス」
「いや、何でもない」
「ふぅん」

三年前からそれなりな間柄だが、ラルカスが気後れしているのだ。
特に、カトレアの病気が治ってしまった今は。
ラルカスは今の生活が気に入っている。美しい女の主人に潤沢な実験道具の数々。
召喚のゲートが開いた時は驚いたが、その主人がヴァリエールの次女で、
しかも水のメイジを欲しているとなったら、自分以上の使い魔はいないだろう。
体を変えた事で得たスクウェアクラスの「水」の力、そして体力精神力共に旺盛。
人の為になるなら薄暗い洞窟で一人寂しく研究をするより、
そっちの方が大いにマシだ。そんな訳で彼女の使い魔になった。
最初はミノタウロスらしく接して、ある程度うち解けてから事実を上の姉妹二人に打ち明けたところ、
エレオノールに解剖されそうになったり、危険な島の住人達とかみ合わない話をさせられたりしたが、
今となっては良い思い出である。

カトレアとエレオノール以外は簡単な魔法がいくらか使える変わったミノタウロスとして認識している。

「先に言っておきますけれど、わたしは『普通』に戻れませんからね。
 それ以前に、これがわたしの普通なのだけれど。
みんながみんな、模範的な貴族にはなれないもの。
わたしは元々そういうのからは外れていたのだから」

シェオゴラスの影響を受けたのはカトレアだけではない。
ラルカスに脳移植の方法を教えたのもシェオゴラスだった。
何があっても死にたくない。生きたいと願った結果、
ある日夢の中でミノタウロスの体を用いる方法を教わった。
人としての尊厳を捨てて、ミノタウロスとなって生きる。
狂気をはらんだ行為であることは間違いないが、
それでも生きることをラルカスは望んだ。

「ああ、わたしもだ」

コロコロと笑うカトレアは、そんな彼を微笑ましく見た。

投下終了。
ルーンの効果で子供を食べる本能は押さえられました。
でめたしでめたし。では、また次の投下まで。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:18:14 ID:6reH9TAp
>>486
その時代のロックはアンドバリの噂を聞いてレコンキスタに走るから駄目
501名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:19:08 ID:LQTlZk9s
支援するのでありまするー
502名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:24:53 ID:TL+f236B
>>501
その気持ち、ありがたく受け取らせていただきます。

>>482
スキルニルとか凄く古代の遺産ぽいのだけれど、遺跡は無かったなぁ。
503名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:28:23 ID:WrKjmhwg
ロックというとブラックラグーン思い出す
504名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:33:54 ID:4gVZmNY4
ロボット
ギースの息子
505名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:34:06 ID:YEHpr1zF
ばにいはんたあぜろというえろげがあってだな(棒読み)
506名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:38:06 ID:LQTlZk9s
おっと森山犬と聞いちゃあ「ワールドエンブリオ」より
天海陸召喚と言わねばなりますまい
507名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:55:30 ID:/WIldCYS
>>503
上司のご機嫌伺いが終わったと思ったら異世界まできて女のご機嫌伺いですな
508名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 18:58:32 ID:ZmiLp/vk
ロックならバリアントナイフがあれば反射も問題ないな
509名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 19:02:57 ID:hsPlp6Zs
遅れたけど重攻の人GJ!
リットーとメレガニーの名前が出てきてニヤニヤが止まらないw
510名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 19:03:02 ID:PS4AgR1t
スクロールの中の人、おつかれさまですー^^
511名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 19:14:21 ID:JxS+YZh3
あの伝説のマタドールスーツを召喚して契約した結果
着ると人格が変わりガンダ効果も付与されるという事か。


しかしキュルケがあのスペインの情熱を感じたら一体どの様な事になるのか。
512名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 19:25:18 ID:C+VUu1Qj
ばにぃはんたぁ零はノベル版なら読んだ事はあるのだがねぇ。

つーわけで、ブレザーバニーは俺のということで。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 19:29:05 ID:WrKjmhwg
>>507
まさに
514名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:09:38 ID:ZmiLp/vk
橘さんが召喚

適度に強くて適度にヘタレだし何気に高スペックだから面白そうだ
問題は彼は生贄がいないと活躍できないということだが
515名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:17:17 ID:e98byfZQ
バーニングルイズ
516名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:24:24 ID:5FweMhwh
>>514
右京さんに謝れ!
517名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:26:40 ID:4gVZmNY4
スパイラル!

のほうを思い出しちまったよ
518名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:33:18 ID:IdJJ5PZ8
それも面白いが、天の道を往き総てを司る男はどうかな?
おばあちゃんが言っていた・・
519一発ネタ:2009/02/17(火) 20:36:20 ID:urbUQf3l
 春の使い魔召喚の儀式。そこで『ゼロのルイズ』が呼び出したのは、一頭の熊だった。
 否、それは熊というにはあまりにも大きすぎた。大きく、太く、超重量、そして大雑把すぎた。それはまさに怪獣だった。
 爛々と光る隻眼は、それの凶暴さを語り、あと、なんか口元が血で汚れていたりした。

「ミス・ヴァリエール!」
「なんですか。ミスタ・コルベール」
「召喚のやり直しを。これはなかった事にして召喚のやり直しをしてください」

 そんな言葉に、ルイズは、ありありと不満を顔に浮かべる。
 何度も失敗して、ようやく召喚をしたのに、どうしてやりなおさなくてはいけないのか。

「それはダメです。ミスタ・コルベール」
「どうしてですか?」
「決まりだからです。一度呼び出した使い魔は変更することはできません。何故なら春の使い魔召喚は神聖な儀式だからです」
「いや、しかしですね。いくらなんでも、これは物騒すぎます。今すぐ、猟友会を呼んで始末してもらうべきです」

 そんなコルベールの説得に、ルイズは「はあ?」という顔をする。
 自分はちょっと普通より大きな熊を召喚しただけである。なんか体長15メイルくらいの大きさがあるように見えるけど、それだけである。
 これが危険なら、某赤毛胸デカが召喚したサラマンダーや、青髪ペッタンが召喚したウィンドドラゴンだって危険なはずだ。
 そう思ったルイズは、それをそのまま口にする。
 さあ、殺すならわたしごと殺しやがれとでも言うような態度に、コルベールは折れ、ルイズはその巨熊と契約を交わす。
 以外にも、巨熊は大人しくコントラクト・サーヴァントを受け入れ、ファーストキスは血の味がした。使い魔のルーンは熊の胸に刻まれた。

 ルイズの使い魔になった熊は、知能が高く彼女の言うことをよく聞いた。
 使い魔のルーンは時に対象となる獣の知能を人間並みに上げることがあると聞く。
 これも似たようなものだろうと、ルイズは思ったが、実は巨熊は召喚した時点からルイズとコルベールの会話を理解していた。
 そんな巨熊は、夜になるとよく学院から出て行った。
 衛兵はそれを止めなかった。というか、止めたら喰われそうで怖かった。帰ってくるときは、口元を新鮮な血で濡らしていたし。
 巨熊は、凶悪な外見とは裏腹に、とても大人しくルイズのいうことを聞いた。
 だからまあ、学院の他の生徒の使い魔が何匹か消えても誰も疑わなかった。学院で働く平民も何人か行方不明になっていたが、巨熊にお前が犯人かと問い詰めるものもいなかった。
 というか、知能が高いといっても獣である。犯罪の隠匿なんてものをするとは誰も考えない。
 そんなわけで、しばらくは平和な日々が続いた。その平和な日々の中、巨熊は更に大きくなったが、それを気にしても仕方がなかろう。

 そんな日々の中、ある夜、土くれのフーケという盗賊が現れた。
 フーケの操る土ゴーレムは30メイルもの巨大なものであったが、気がついたらそれと同じ大きさまで成長していた巨熊によって、あっさりと破壊された。
 そんな事件のおかげで、ルイズはますます巨熊を可愛がるようになった。

 そうして更に月日が流れ、トリステインでは、いつしか平民が野生の熊に襲われる事件が勃発するようになった。
 その熊の目撃者の証言からして、それはルイズの使い魔に酷似した姿であり、さらに今までにハルケギニアにはいなかった巨体であると聞き学院の人々は、もしやと思ったが、その疑いはすぐに晴れた。
 更に大きく育ったルイズの使い魔は、目撃された熊とは比べ物にならないほどに大きく、また被害の範囲は広く、一頭の熊に回れる範囲を超えていた。

 更に月日は流れる。ルイズの使い魔が、もはや人知を超えた巨体に育ったとき、それは牙を剥いた。
 トリステインだけでは留まらずハルケギニア全土を襲うようになった巨大熊の群れ。それは、ルイズの使い魔の血を引く者たち。
 それらは、ただ巨大なだけではなく高い知能を持ち、メイジたちの戦力を測り、戦略を持って人を襲う。

 かくして、ハルケギニアは、かつて赤カブトと呼ばれた巨熊とメイジたちが大地の覇権を賭けて争う戦場と化したのであった

銀牙から赤カブト召喚。
タイトルは、赤い使い魔。
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:40:09 ID:Gi3o39tZ
最終回直後、パリから豆腐片手に召喚されるのは考えた事ある
521名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:47:36 ID:4zvhIXoo
カブト違いだ
522名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:50:24 ID:sBLlLQ4O
ディケイドは召喚じゃなくて勝手に来るパターンか
523名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:52:52 ID:vl1ytXM3
読みながらもしかして……と思ったらやっぱり赤カブトか!
ここまで育ったら、もはやヨルムンガンドにガチで勝てるな。
こうなったら誰かウルトラ兄弟呼んでこーい!
524名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:55:11 ID:+/CczjQb
カブトといえば超重甲
525名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:55:57 ID:ZmiLp/vk
原作の最終決戦の時点で10mあったからなw
強い上にやたら頭が回るから始末が悪い
526名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:57:23 ID:KGv6cO/3
動物と言うのなら、白イタチのノロイ様もなかなか……
527名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 20:59:40 ID:U5t2jm7d
>>526
あれに困るのはモートソグニルぐらいじゃ。

普通より大きいぐらいのイタチのはず。
鼠にとっちゃそれどころじゃないかもしれんが。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:05:06 ID:B0layutn
カブトと言えばカラス天狗

おぉ〜妖剣飛竜
血に飢えた斬れ味よ♪
529名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:11:06 ID:4zvhIXoo
ウィードのハイブリットはやはり赤カブトと比べたら今一だなぁ
530名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:11:25 ID:cvnL1X65
天狗……黒天狗党?
531名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:19:11 ID:/MaCE9PW
カブトと言ったらタイムボカンとビーファイターとメタビー、
ヘラクス、カブトライジャーを思い出す俺……


カブトライジャーで思い出したけどシュリケンジャー召還とか面白そうだな(変装的な意味で)
532名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:23:01 ID:LX/oDy7A
ここであえてトリカブト
533名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:24:58 ID:YEHpr1zF
「嘲笑する虐殺者」ニーズホッグを召喚

「…………コルベール先生、何でしょうかその頭のシマシマ模様は」
「!?」
《ちょ、読取り機械ないのかよクルックー!》
534名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:31:28 ID:Ev+d0SJd
>普通より大きいぐらいのイタチのはず。
2、3倍の大きさなんで
でかくても全長で普通の人間程度か
でも一対一だと人間でも危険

ちなみに「スレドニー・ヴァシュタール」という海外の短編小説で
似た様な白い大イタチが人をあっさり殺している
535名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:38:50 ID:sCt1BfAP
重攻のライデンの人乙。
なかなかライデンが活躍しないからヤキモキしてますが、毎回楽しみにしてますぜ。
あと、まとめサイトにある重攻の使い魔の話がボリュームアップしていました。コレは改訂版何ですよね?
536名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:46:00 ID:RP+yXcUT
>>533
誰も覚えてなさそうな懐かしいネタをw
バーコードエンペラーっていっても分かる人がいるかどうかw
537名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:49:12 ID:wDpQYZs0
カブトなんだからムシキングからカブト虫召喚
人よりでかいから十分驚異になるな
538名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:55:23 ID:N5vloKxE
かつて日曜の朝に現れたカブトムシも思い出してあげてね。
539名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 21:56:58 ID:iexaXAxD
>>538

> かつて日曜の朝に現れたカブトムシも思い出してあげてね。

カブタック?
540名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:00:57 ID:anVedY8V
カブトの流れでいくとロックマンX3よりグラビティ・ビートブート召喚
541名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:01:32 ID:N5vloKxE
>539
うんそれ、
でもあの時間帯って過去にもカブトムシがガサガサしてたみたいだね。
542名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:03:13 ID:2yoAlyoO
今更だが重攻の人乙。
でもリットー大尉もメレガニー少尉も…(´;ω;`)ウッ
…そのうちお間抜けベルグドルコンビとか出てくるんじゃなかろうか。
543名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:04:12 ID:3cUrEJ5T
なぜに皆スルーするんだ?
カブトといったら、天の道を行き総てを司るカブトがいたじゃないか!!
詳しいことは良く思い出せんがww
544名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:07:10 ID:/WIldCYS
>>530
ハートを磨くっきゃないな
545名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:07:57 ID:dm74HtBo
>>543
パリで豆腐の人っていうのがその人だとマジレス。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:08:35 ID:U5t2jm7d
>>543
既に喚ばれているからじゃないかな。
小ネタだけど。

速攻で帰っちゃったし。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:09:05 ID:N5vloKxE
>>543
あんなツノがプラーンする物体がカブトだとは認めたくないな、
キャストオフならマッハマッパのジョゼフで事足りるし。
548名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:09:23 ID:ut2oDHMr
>>544
綺麗に磨くっきゃないな
549名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:10:03 ID:r8Nsa5xg
テントモンしんかぁあああああ
550名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:13:44 ID:mv6Sf+o4
FF6のロックが浮かんだ次に、
何故か空賊ボーン一家がアルビオン周辺で大暴れ。
って電波が……
ロック繋がりで
551名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:13:56 ID:3cUrEJ5T
パリで豆腐の人…スマン見逃してたw
小ネタにあったのか。
ちょっと見てこよう。

>>547
ツノがプラーンとするのが良いんだよw
マッハマッパのジョゼフも小ネタにあるのか。
それも探してみるか。
552名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:14:49 ID:I5z8Itaj
カブトはトーキョーN◎VAではボディガード的なスタイル(職業のようなもの)だから…
小上紫乃がティファに召喚されてヒューと腹黒無敵コンビを組むとか
敵側ならヒューは良くて相打ち、射程距離も考えるとやや不利という強敵になるな

>>529
赤カブトは少年漫画の悪役として魅力があったからなぁ
掲載誌の違いがあるかもな
553名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:16:06 ID:N5vloKxE
>>551
いや、マッハマッパは以前そんな話がされただけだ。誤解を生んだようですまない
554名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:19:55 ID:4gVZmNY4
カブタックを忘れるとは何事かッ!!1
555名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:22:11 ID:3cUrEJ5T
>>553
お絵かき掲示板でマッハマッパのジョゼフを見つけることが出来た。
誤解してしまったが、そのお陰で面白いものを見れたし礼を言うぜw
556名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:23:25 ID:mv6Sf+o4
カブトボーグ……
お呼びでない……
557名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:23:58 ID:2iVbZk+N
なぜ誰もゴ・ガドル・バやビートルセイザーを挙げない…?
558名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:27:25 ID:Rc+hNNGg
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:31:20 ID:4zvhIXoo
カブトムシなら武者○伝2の神武兜頑駄無もだぜ
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:34:49 ID:Krm8O9XH
そこでダンバインですよ
561名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:35:45 ID:4PzB4GrN
ハイパールイズですね、わかります
562名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:36:20 ID:0XY3uWx/
ビーファイターカブトなつかしす

懐かしすぎて思い出せねぇからクロスなんて書けねぇね
563名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:36:43 ID:N5vloKxE
そろそろカブトムシの話は置いといて、クワガタの話をしようぜ?
564名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:39:37 ID:G1LYJvjO
>>561
ジョゼフや教皇もハイパー化しそうだな
あと中盤以降でエルフ達が秘術を使い、ハルケギニアの人間達は地球に追い出されて
テファの虚無魔法でハルケギニアに転生するオチですね
565名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:42:18 ID:N5vloKxE
聖地の門がオーラロードってやつですかい?
566名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:43:43 ID:sBLlLQ4O
>>561
ルイズの怒りに応えて時間を空間を超えてついにゴールドプラチナムが来るか
567名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:48:16 ID:vl1ytXM3
なんでサタンビートルの名前が出ないんだ?
568名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:49:53 ID:+/CczjQb
>>563
クワガタ?
クワガタイタン?
569名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:51:05 ID:r8Nsa5xg
カブトの話ばかりしてるから、うちの地元でカブト♀のことマンクソって呼ばれてたこと思い出した
570名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:51:15 ID:KyuAUdg6
す、ストロンガーは?
571名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:51:20 ID:EU7e7yBr
>>487
そんな大清水さちの読みきり漫画なんて知りません
572名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:53:50 ID:oGzoybJZ
重攻の作者、オブリビオンの作者乙であります。

ゲーム引っ張り出して遊びたくなるぜ。

今は………汚染熊の頭をフルスイングさ♪
573名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:54:08 ID:2iVbZk+N
虫の使い魔っていないよなぁ。
……そもそも無脊椎動物だし、意思の疎通が出来ないからか?
574名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:54:27 ID:me5BFKFQ
カブトムシの話しはやめて別のにしないか
イカレタ銀髪の蜘蛛を召喚
575名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:56:48 ID:4zvhIXoo
ああ…なんて卑しい仕事なんだ…
間違いなく避難所でしか書けねぇ
576名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:57:39 ID:2iVbZk+N
じゃあ最新号のアニマルから怒れる金髪の蜘蛛を。
577名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:57:53 ID:84SnVXzM
>>447
遅レスだがルイズのスリーサイズでカップ算出すると多分Cカップくらいはあるはず
578名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 22:59:59 ID:j2MGGzHL
以前東方とのクロスSSを書いていた人たち、今書いている人たちに宣伝
東方ProjectクロスSSスレ↓
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1234699193/l50
579名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:00:13 ID:+/CczjQb
蜘蛛といわれるとNOIRのポップコーンの回の女暗殺者を思い出す
580名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:03:59 ID:eK+AmZkT
蜘蛛ねえ…


東山三十六方草木も眠る丑三つ時
何処で鳴るのか夜陰の鐘が陰に篭って物凄く
581名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:08:34 ID:kqfTGxjY
>>580 クモーン (パタリロ!5巻 スターダストより)
582名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:09:05 ID:4Ipy+yfc
ドロッセルお嬢様呼ぼうぜ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6168009
583名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:09:28 ID:/WIldCYS
銀ぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!
584名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:09:29 ID:EU7e7yBr
職ころねぇ

死織召喚で、ルイズをいじめる「悪い子」のギーシュを……


うん、避難所でも難しいな
585名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:09:42 ID:N5vloKxE
蜘蛛の糸の射程が半径20mって話だけど、メイジの魔法の射程はどんなもんだ?
586名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:11:00 ID:geEQJ2F1
587名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:11:50 ID:iexaXAxD
蜘蛛ねぇ…
レンゲル?
588MtL:2009/02/17(火) 23:13:42 ID:SFtzQ3dw
あなたが――蜘蛛だったのですね
589名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:14:27 ID:SFtzQ3dw
すいません、また名前消し忘れました……
以後何事も無かったようにどうぞ……
590名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:14:27 ID:iexaXAxD
職コロはなぁ…誰を呼んでも避難所だろうw
個人的にはマンティス姐さん希望
591名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:15:30 ID:wDpQYZs0
ゼロのルイズに召喚された男!
スパイダーマン!
592名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:15:48 ID:6cyR/LDX
職コロなら赤松さんが1番扱いやすそうね。逆はMr.AAかな。
593名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:16:00 ID:N5vloKxE
>>590
はて、「マンティス≒ミスロングビル」って式が見えるのはナゼ?
594名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:16:03 ID:4zvhIXoo
死条だとデルフ涙目確実だよなぁ
595名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:17:04 ID:EU7e7yBr
赤松なら本スレで問題ないような気がする
ただ、あの決め台詞が使えないような気もするが
596名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:17:50 ID:8XMJ2uiL
マンティスだと、カリスってか?
597名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:20:29 ID:geEQJ2F1
職コロか。
平松流さんなんかどうだ。
くるくるぱー状態だと死亡確定だが。
598名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:24:58 ID:5FweMhwh
>>597
確実にルイズレイプフラグ

ってか職殺は誰呼んでもほとんど貞操の危機
599名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:26:46 ID:IjA9V7hZ
西川繋がりでアーク・ザ・ラッドから召喚とか考えた、が
あまりネタにするにもオーソドックスぽい気がする
これでもかってくらい魔法使いなゴーゲン呼び出して早々に萎縮する学院の人々くらいしか・・・
もしくはコッパゲ先生がヂークベックをカスタマイズする話とかか・・・
600名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:27:13 ID:iJ+Dry+S
>>596
職殺にマンティスって言う昼はOL夜は殺人者が居るのよ
行為の最中に相手に鎌刺して死を感じながら快楽を貪る人
601名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:28:16 ID:XdldnbHu
ブラックアウト!!






ヒデオ
602名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:29:08 ID:e98byfZQ
東映スパイダーマンは短編であったな。
603名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:29:49 ID:rP/KcZLe
犬飼警視ならルイズの貞操もデルフの出番も大丈夫。
ギーシュやマルッコイノが犬になるかもしれんが。
……やっぱり避難所行きだな。
604名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:31:09 ID:IjA9V7hZ
赤松と死織さんなら貞操の心配は無用だな
死織さんが来たら確実にクラスの半分は一ヶ月ほどで煮込まれちまうが
後は女殺し屋は多重人格の・・・オヤジモードになったらノンケの男でも掘られるんだよな
この場合女子は心配要らないけど
605名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:31:25 ID:N5vloKxE
七万の軍勢を相手に殿を命じられたルイズに
「ずるいよルイズさん、あんなにいっぱい殺せるなんて・・・」
蜘蛛さんの殺人技巧+(ガンダールヴ補正×お仕事中のテンション)=七万と余裕じゃね?
606名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:32:11 ID:+/CczjQb
>>559
西川つながりならZ MANは?
607名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:33:46 ID:4zvhIXoo
>>605
ぶっちゃけ7万といっても全部相手にしなきゃいけないわけじゃ無いしな
化け物じみた強さ、しかもいかれたような言動で振舞っていれば
逃げていく連中も多いだろうし
608名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:34:23 ID:3UEJfRJ3
保管庫でゼロの花嫁16〜17話一気読みしました。
いやもー、最高に面白かったです。メンヌさんの最期も良かった。
マチルダさんもまだ終わらずにいてくれるみたいだし。やっほう。
609名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:34:30 ID:/WIldCYS
ゼットマン? ナナシ?
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:35:02 ID:WsfE3ksj
職コロは超重度の変態しか居らんから書き切るの大変だと思うぞw
スク水脱糞男とか早撃ちマックとかマスターじじいとかを召喚するようなもんだ。
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:36:23 ID:EU7e7yBr
>>606
メンヌヴィルに本当の白炎を見せるマゼンダとか?
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:37:44 ID:IjA9V7hZ
Z MAN実は未読ですねん
申し訳ない

職殺で避難所行きを免れるのは赤松さんだけというのは確定ぽいすね
そしてふと思いついたのが顔が似てるヒソカ(H×H)とフォルケン(エスカフローネ)
あとぶっ飛んだ殺人者ってことでバトルロワイアルの桐山
コインの表裏次第でルイズは最凶の使い魔をGETするだろう
613名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:39:29 ID:me5BFKFQ
仮にマンティスを召喚したとしてだ
マンティスが志賀の存在しない世界に耐えれるのか?
ルイズが速攻で殺されそうなわけだが
614名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:40:00 ID:E6iqR7gC
蜘蛛かぁ・・・




ヒャアァッ!ハッハハ!死ぬ!糸に巻かれて死ぬんだよぉ!ヒャアハッハハ!
615名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:40:29 ID:hhj+L/zQ
マラサンガスクリット ブラックウィドース
616名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:43:25 ID:N5vloKxE
ギーシュとの決闘でさ
造花の薔薇を放さないように手で押さえて、
「まいった」を言わせないように口を塞ぐか喉を突くかした後に
「あとはどちらかが死ぬまでか〜しょーがないよね〜」とか言いながら・・・いや何でもない
617名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:51:03 ID:EU7e7yBr
イカグモさんは一応悪人専門だからギーシュは大丈夫かと

ただ、フーケは間違いなく輪切り
618名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:52:28 ID:iexaXAxD
>>613

> マンティスが志賀の存在しない世界に耐えれるのか?

うん。漏れもそう思うw
多分ルイズ4等分されると思われ。
だが蜘蛛に会う前ならいけそうな希ガス。
避難所確定だけどねw
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:56:19 ID:ETnOmptM
殺し屋は駄目だ
召喚するなら夜逃げ屋にしなさい
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:56:42 ID:N5vloKxE
>>618
VSワルドで本領発揮だな、ルイズショック死しそうだ。
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/17(火) 23:56:47 ID:Ry7hAkz4
蜘蛛系の奴召喚……
深淵の谷間に巣を張る蜘蛛、アトラク=ナクア!
とか、どうかな?
622名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:01:21 ID:sFuNO+7s
>>587
オッペケテンムッキー!
623名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:03:56 ID:yb1/Rn8x
>>609
ナナシと聞いてスウィッチのブランが何故か浮かんできた

全身真っ白で瞳は緑色だった筈だから亜人扱いされるんだろうか
624名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:07:47 ID:hSZgEhNi
天道総司が呼ばれるか、ゼクターを呼ぶとか。
天道が呼ばれたら、ルイズの言うこと絶対きかないな。
俺は誰の指図も受けないとかいいそう。
でもなんだかんだいって妹みたいなルイズの世話をしそう。
タバサはドレイクゼクター+グリップを呼びそう。
シルフィは友達ポジション。みたいな。
625名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:13:10 ID:RWFP9k6d
クロックアップとワルドの詠唱どちらが早いか
626名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:16:35 ID:pRM7l+YW
>>624

タバサはガタックゼクターだろJK
そしてモンモンにフラレたギーシュとマルコメがキックホッパーとパンチホッパーでw
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:16:40 ID:wlBhtejI
クロックアップだろ
ボタン押すだけだし
628名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:18:39 ID:/q9UzwPQ
>>626
もの凄い勢いで落ちていくワの字こそキックホッパーにふさわしい
629名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:18:55 ID:sFuNO+7s
劇中で見せたサナギをクナイガンでなで斬りにしていくように偏在を切り刻む姿を想像したら脳汁出た
630名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:19:15 ID:hSZgEhNi
学園がハイパーゼクターを保管してそう。
で、シエスタの実家にはパーフェクトゼクターが。

もしルイズ達がゼクター召喚したらどうなる?
631名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:20:58 ID:l3VMNsBf
ギーシュは間違いなくとんぼ
632名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:22:47 ID:Ytb+A6In
いっそ始祖が天道で
始祖の秘宝が各ゼクターってことにしてはどうか
633名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:22:57 ID:sFuNO+7s
キュルケはサソードか?
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:23:31 ID:b67ddTl0
コーカサスという選択肢も
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:23:45 ID:VFzLWmKZ
636名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:24:17 ID:hSZgEhNi
タバサはドレイクかなって思った。
637名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:24:36 ID:VFzLWmKZ
失敗した
>>614
やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて
638名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:25:44 ID:pM+t+qFk
ババン・ナ・ウェイレアとその御一行召喚
聖地ことネザーストークを目指し冒険するコポ
こないだFFプレイヤー多かったから分かるはずだ!
あいつら戦わせても強いし、真龍と気候には勝てなかったが…
639名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:25:57 ID:pRM7l+YW
>>630

ルイズ:カブト
キュルケ:サソード
タバサ:ガタック
ギーシュ:ドレイク
モンモン:キック
ケティ:パンチ
ザビーは思いつかないw
640名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:28:10 ID:tHMKCnkR
タバサがガタック使うより加賀見ごと召還して欲しいと思うのは俺だけだろうか

蒼同士で映えると思うんだよな、絵的にも
641名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:29:49 ID:tHMKCnkR
御免sageが抜けてた…orz
642名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:30:14 ID:hSZgEhNi
ルイズの家のご先祖は天道、キュルケの家は調和を意識してそうだから
矢車(落ちる前)、タバサは風を操るし、風間大介。
ギーシュは貴族云々で神代剣。
どうでしょう?
643名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:30:24 ID:hSo9CYEo
我々のコリブリ召喚・・・
644名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:31:10 ID:H6z/qOxc
>>621
それってたしかクトゥルフ系だからSAN値がヤバい事になる事だけは確かだな。
しかしクトゥルフ系の中でもマイナー過ぎるだろそれはw
どんなやつか思い出せねぇよ。
645名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:31:27 ID:5CjZL+Cx
まあ、ゼクターだけ呼んだ所でベルトとかなければ何の意味も無いんだけどな。
646名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:33:39 ID:pRM7l+YW
>>640

なら地獄兄弟をテファが召喚…いきなり更生しそうだww
647名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:34:23 ID:Ytb+A6In
>>640
以前、小ネタであったが
ガタックはルイズが似合うと思うんだよな
スペックの強さと本体の弱さ的に

なぜかオスマンがヴァイオリンを弾きながら
「今生の希望、それは全て打ち砕かれなければ……」
とか言ったりする
648名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:38:34 ID:hSZgEhNi
>>645
そこはセットで召喚されてるってことで。
>>646
確かに・・

タバサが加賀美呼んだら変わっていくかも。
そしてルイズが天道を呼んだら平民に対しての考え改めそう。
そしてシエスタは天道にべたべたに惚れる。
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:39:59 ID:sFuNO+7s
>>648
なんだ、いつものシエスタじゃないか
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:42:10 ID:KzXzaVrQ
ヴァイオリン……
YES!ロリータ!NO!タッチ!の出番か
651名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:43:55 ID:pRM7l+YW
テファがザビーゼクター召喚…何故か蜂女という言葉が浮かんだw
652名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:44:17 ID:TtQq0SR2
ヴァイ=オリンさんの出番か

とりあえず、ギーシュにキスは確定だな
653名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:45:29 ID:yJzbcYWW
蜘蛛か…初音姉さ(この発言は避難所に飛ばされました)
654名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:49:58 ID:UtGqtpoJ
>>653
キレイな姉さんなら・・・いやだめかやっぱり
655名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:50:28 ID:3eQdIobM
ああ、初音姉さ(この発言も避難所に飛ばされました)
656名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 00:53:22 ID:tHMKCnkR
>>650
あの人はルイズの使い魔って天職だよな(ルイズが成長しなければ)
何せロリコンは信仰だし信仰の対象には手を出さない変態紳士だからな!

テファがヴォルケン喚んでラブコメやってるのにガリアではガイアに潮を噴かせるイケメン、
教皇が変態の天才な樽島さん召喚しちゃって大変な事になるの想像余裕でした
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:00:20 ID:4o9SbfB6
>>643
とりあえず

いやらしい
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:27:19 ID:zpgOfjGh
仮面ライダーカブトね。
面白そうなネタだけどハイパークロックアップが使えると
過去逆行ができて歴史改変すら可能になるから扱い難しい気がするな。
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:30:46 ID:rNBhYz0v
753喚ぼうぜ
660名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:35:54 ID:sFuNO+7s
>>659
テファが兄貴、ジョセフがダディを呼ぶのか
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:41:00 ID:zKiBB74c
>>658
ぶっちゃけ本編でもご都合やるとき以外に使われてなかったんで、無視しちゃっていいと思う
本当に書くのなら
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:42:27 ID:x7B+nQnJ
テファやカトレアならばリュウタロスも弟モードで言うこと聞く筈……

>>659
総てを失ったキングをですね
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:43:55 ID:b67ddTl0
おとやん呼んだらどうなるかね
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:48:10 ID:1xAxu3Zx
ポパイいねーな
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:50:30 ID:l3VMNsBf
>>663
サイトと同じく皆に好かれる
ただし途中から展開が昼ドラに…
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:52:53 ID:8j1B4hWL
お前らカブトを含め、ライダーがホント好きなんだなw
実際に召喚したら、ゼロ魔キャラじゃ手に負えないのは目に見えているんだよな。
ギャグタッチで書けば面白いかもしれない。
667名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:53:05 ID:rNBhYz0v
>>662
キングはプライドが高いから使い魔になんて無理だよ
ライフエナジー吸われちゃうぜ
668名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 01:56:24 ID:Xk6KsoQ3
仮面のりだ…なんでもない
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 02:16:30 ID:1xAxu3Zx
やめろワルドォ〜!
ぶっとばすぞぉ〜!
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 02:46:39 ID:8j1B4hWL
カーニバルとフェスティバルが炸裂するんだなwwww
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 02:48:23 ID:RDXLXuds
困ったときには、チビのりダー(頼るな!)♪
で問題無く進みそうだ
672名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 04:38:53 ID:9VMOdOSm
遅レスではあるもののライデン氏GJ

もしや彼はリットー大尉?
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 04:39:49 ID:+yHFraSi
アルビオン編にてワルド裏切り時にハイパークロックアップ発動。
ハイパーカブト初登場時みたく、時間を逆行してウェールズを刺す前に凹す展開を夢想したw
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 05:52:20 ID:PjWXEw5N
天道の本職(?)は料理人だから喚ばれて真っ先に喧嘩売るとしたらギーシュではなくマルトーに
そして始まるハルケギニア食の旅
あれ、ゼクターいらなくね?
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 06:41:05 ID:BwR5FxyT
>540
岩本版ビートブードは、シャルルとタメはれるブラコンだったな
裏切った理由も兄のブーメルン・クワンガーを生き返らせる為だし

クモの流れで初音ねえさまを思い付いたが既出なのね
しかしルイズはかな子になりえるのか
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 07:39:41 ID:97yh39HE
いっそ仮面ライダーカブトから呼ぶなら擬似天道&ダークカブトゼクターのほうが良いんじゃなかろうか

>蜘蛛ネタ
つ トランスフォーマービーストウォーズ以降のシリーズからブラックウィドゥ
つ エンジェルフォイゾンからアトラック=ナチャ
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 07:51:50 ID:utneLZ7G
「十三番目のアリス」の九条院アリスを召喚してルイズと癇癪の応酬させると面白いかなと思ったが、いかんせん作品がドがつくマイナーだ
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 07:58:11 ID:UTv8y3jn
マイナーかどうかじゃない、読んで面白いかそうじゃないかだよ
知らなくても面白く読んでる作品は多い
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 08:42:41 ID:VbYEser5
ならば俺はおめんライダーとキンタマンを
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 08:44:50 ID:rN6QCNOZ
蜘蛛ねたなら……初音姉様しかいないだろう?

「身の程を知るのね、豚」 ばりばり。

「殺してあげましょうか? 望むなら、あなたの目の前で」 もぎゅもぎゅ。


・・・ただこれだとルイズがゼロのメイジと蔑まれて夜な夜な学院の男子生徒にりょーじょ(ry
681名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 09:04:13 ID:uKXlDtWK
初音というなら、ミックミクにしてもらおうか。
682名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 09:13:07 ID:utneLZ7G
ネギでシバかれるギーシュが思い浮かんだ
683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 09:14:37 ID:li4WC7bb
>>679
よろしい。ならばスープーマンだ。
684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 09:38:32 ID:AojvRjD4
ヨークごと初音ちゃん召喚とかどうか?
685名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 10:00:48 ID:lvoKbQ7W
へばワタクシメは永井豪の黒歴史「超マン」を
「イヤハヤ南友」とならんで何故か復刻されねいのだ、アレ
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 10:34:51 ID:rNBhYz0v
マイナーでも良いならG・O・D pureから主人公を召喚しちゃうぞ
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 10:44:17 ID:Ur8K+O66
そうぞどうぞ
688名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 11:03:00 ID:lvoKbQ7W
>>682
わたしはむしろワルドを・・・・・・
ワルドに「ヘタレ」「ロリコン」「マザコン」に続き「マゾヒスト」属性が・・・・・・
こう見ると全ての属性をエドワゥさん保持してるな
ホントあの人はどれだけアレなんだ
689名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 11:06:01 ID:8c9rgU4v
共通点としては名家の生まれ、能力が高い、母親と早くに死に別れるってとこか
あと初期は強敵だったとこだなw
690名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 11:07:42 ID:AojvRjD4
ダイナミック黒歴史なら
〇んち〇ポコイダーと
へ〇き〇タマイダーしかないではないか!
691名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 11:41:21 ID:bYxa469X
FFX-2からユウナ(アビリティすべてマスター)を呼んだらどうなる?
それかFF8のスコール(アルティミシア戦後現代に帰る途中で呼ばれる。)
も面白い気がする。
でもやっぱりライダーが見たいな。
692名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 12:18:06 ID:x7B+nQnJ
ライダー……
アンブロシウスエーテルライダー形態を召還して吹き飛ばされる訳でs(ry



ライダーならヘラクスやギャレン、カッガーミン召還が読みたいかな
693名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 12:37:41 ID:njbG8/hP
ふとデジモンセイバーズからバンチョーレオモン呼んだらって思ったことあるけど・・・
絶対従わんわアイツはwww主人公のマサルもだけど
694名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 12:43:54 ID:8krLU2x1
>693
セイバーズ版アグモンを召喚して、従え、従わない、の繰り返しで大喧嘩をした結果、ルイズを姉貴または姉さんと呼ぶアグモンの姿が一瞬で想像できた。
となれば宝物庫にはデジヴァイスが眠っているんだろうな。
そしてバンチョーレオモンの正体は海軍少尉、佐々木……
695名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 12:47:47 ID:Uj49LEUh
FFか
シャントット様を召喚
何故か高笑いと共に崩壊していき学園を幻視した
696名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 12:48:40 ID:19vkBSz5
シャントット女史の魔力は半端じゃないからな・・・・
697名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 12:57:31 ID:aHTvTmct
強大かつ無限の魔力をもつからな・・・
実際古代魔法クラスのぽんぽん詠唱しまくるし、何よりブチキレモードの魔法の威力が半端ない
698名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 13:03:02 ID:FzYtwe4S
>>693-694
セイバーズ好きな自分が嬉しい
バンチョーレオモンは漢だしおとんだししっかりしてるし、ルイズのいい父親分になると思うんだ
まあルイズが漢魂に慣れるまで大変だろうけど
アグモンは食いしん坊だからご飯が心配

他にデジモンキャラで面白そうな奴いないかなー
ロイヤルナイツとか?
699名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 13:13:26 ID:FtqWNY1G
シャントットを喚んだ場合、ご立派さま並みの被害がでる
喚ぶならディシディアにでてくる壊れかけの人形
700名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 13:21:22 ID:ZoM9VSbL
岩本版X…
3のヴァジュリーラが「ひゃあっはは!メリ〜クリスマ〜ス!!!」みたいなことを言ってたのを思い出した。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 13:21:27 ID:CfX8CRCl
>>698
むしろ誕生直後のギルモンをだな…
当然ルーンは胸
702名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 14:14:03 ID:lvoKbQ7W
向坂環召喚

アイアンクローで七万の軍勢を圧倒できるか?
ルーンは・・・・・・・・「記すことさえ憚られる」ヤツかな
703名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 14:15:23 ID:HAi6MN8f
>>702
X、ADのDQNタカ棒で我慢しておきなさい
704名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 14:15:50 ID:Y0Lvup19
野比のびた召喚
705名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 14:16:28 ID:8IgAAAAf
>>701
それルーンやない、デジタルハザードや
虚無の力ってそういうものか
そして最終的には合体するのか否か
ていうかタカトの立場は
まあルイズモン?と首かしげられたら最高だが
706名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 14:37:45 ID:mCOgGUi4
>>702
それだとルーンのスケッチしようとしたコルベール先生がアイアンクロー食らうじゃないかw
707名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 15:17:10 ID:EsTaUXEN
>>698
デーモン様呼んだらダークウィルスで周辺の人間やら使い魔の感情操って洗脳してえらいことになるだろうな
708名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 15:22:23 ID:BwR5FxyT
>700
ファンの間ではアイリス、岩本先生のオリジナルキャラのマーティよりも人気が
あって、作者の公式サイトではヴァジュリーラのリクエストが抜群に多いらしい。
毎年12/24になるとヴァジュリーラがクリスマスを祝うイラストがアップされるのは
ファンの間では恒例となっているんだぜ。
709名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 15:28:56 ID:lvoKbQ7W
じゃあキャラ変えて向坂雄二を
なんと豪華にもう一人付けてしまいましょう
オマケとして別作品ですが鮫永新一をセットで

「まあ、とってもオトクですね」
710名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 15:54:22 ID:5sBWsh+c
今日は随分と投下がないな・・・なんか寂しい。
711名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 15:55:29 ID:19vkBSz5
今回は>>1000まで行きそうだな
712名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 15:56:06 ID:pWdkbt7M
>>710
それはギャグで言ってるのか…?
713名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 15:56:42 ID:VBn1G/Op
714名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 16:14:35 ID:ScbQNG9R
西川作品があがってたので”G”の刻印を持つ男をZの印を出たところあたりの精神状態でぜひ
715名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 16:25:41 ID:Ur8K+O66
此処は物乞いスレではござらぬ
716名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 16:37:32 ID:+rtrbpKQ
>>713
目が血走ってるのはデフォなんだwwwwwww
717名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 17:11:52 ID:KzXzaVrQ
>>688
ブルーだっけ?ブラックだっけ?
718名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 17:43:25 ID:dH5RTzoO
ルイズがイフを召喚という電波が来たんだが…
アイツって使い魔に出来るんだろうか?
719名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 17:44:38 ID:97yh39HE
ウルトラマンマックスのあれか!?>イフ
720名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 17:52:48 ID:1hSiDBm7
キスをしたらキスをやり返されるんじゃね?
721名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 18:18:26 ID:eZJAMO6z
GONZO解散で軽いショックでござるの巻
まあ合併だからまだいいけど
722名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 18:31:27 ID:3RL7TsZg
>>713
ちょ、連載時クリスマスにX処刑しようとしたのは憶えてるけど、こんな扱いだったのかwwwww

もういっそVAVAやΣもまとめて呼んじまえww
723名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 18:51:40 ID:VBn1G/Op
VAVAはともかく、シグマはハゲのおっさんとしか思われなさそうだ。
724名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 18:58:11 ID:uFGp077T
いや、作品書いてる方々ってどうやってあんなに一気に投下できんのかな?
メモ帳とかを使ってコピーすんのかな?
それが解らなくって書くのあきらめた経験が……
725名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 18:59:19 ID:FzYtwe4S
VAVAのヘルメットの中はどうなってるんだろ一体
726名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 19:01:33 ID:8K2QOeVN
1レスの文章量4069バイト、60行以下がアニキャラ総合に投稿できる条件。
あと長すぎる行は改行すればおk。
727名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 19:09:53 ID:1hSiDBm7
>>724
普通はメモ帳とかに書いてそれを保存し、見直しやら何やらをした上で投下するもんだと思ってたんだが……。
俺ってもしかして少数派?

あとsageろ。
728名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 19:15:04 ID:4kKkP6sP
>>727
普通はそうだろう。
でも、別のスレだけど最近は書きながら投下という斜め上な思考を持つヤツが多々出没して荒れる元になってる。
729名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 19:17:49 ID:4kKkP6sP
すまん。下げ忘れた。
730名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 19:18:33 ID:aeLISmn9
>>726
4kbって、だいたい全角2000字ぐらいだろ? でも明らかに1レス2000字オーバーしてる作品あるよな?
実際のところ、1レス何文字ぐらいまでなんだろ?
731名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 19:19:47 ID:sGvd88kL
>>727
自分はヴァーティカルエディターっていうフリーソフトで書いている。
縦書き、原稿換算、章ごとに分割して表示できてとても便利。
732名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 19:27:57 ID:uFGp077T
>>727
ごめん、忘れてた。

皆親切で涙が出そうだ……
ヴァーティカルエディターか、やってみます。皆ありがとうございます。
733名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 20:40:50 ID:QtHup1yz
ゼロの使い魔はメイドのヒト、続き書いて欲しいですな
森薫のシャーリーが召喚された話
あの娘は可愛いなぁ
734名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 20:48:14 ID:7jzKTr26
俺はテキストで適当に打ってるけど
JOJOスレの方のwikiだと横幅が狭くて改行が多いから
だいたいの字数が分かるようにワード使ってるな
735名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 20:50:23 ID:BwR5FxyT
>733
そしてまさかのスーパー森薫メイド大戦なんだよね
シャーリー以外にもメアリ・バンクスが出たのには驚いた
しかもミョズで
736名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:10:31 ID:kXf7sSJ/
メモ帳に書いて適当に分けて投下してます。
たまに、分ける分量ミスって、更に分けるはめになって予告したレス数をオーバーすることがしばしば……。
737名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:12:29 ID:lo8GtlG4
さっきざっとまとめ見てきたんだけど、
キュルケやタバサは好きだけど、ルイズ嫌いって言う人かなりいるみたい。
まあ俺もなんだけど。
738名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:17:41 ID:+dNz2bU2
>>737
まあ、それは仕方ないんじゃないかな。
今度十六巻が出る訳だけど、これだけ巻を重ねているというのに全然立派な貴族になっていないんだぜ?
739名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:19:26 ID:Ztndu6du
最初と比べれば遥かにデレてるじゃないか。
だってレモンちゃんだぜ?
740名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:20:06 ID:yb1/Rn8x
メイドならコルクマリーをオススメしよう

ただし、話が進むごとに主要キャラが減っていく
741名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:21:07 ID:kXf7sSJ/
>>737
どちらかといえば嫌いだったけど、書くほうになったら何か可愛く思えてしまった私がいます。
喜怒哀楽が激しいと書いてて楽しい。
742名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:22:39 ID:aDvHjK7s
ルイズが、ドラゴンドライブのセンコークーラを召喚…

とりあえず、ドラゴンドライブ読んで来るわ
743名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:23:31 ID:N3V9+4e7
>>737
書いていく度にこんな優しいルイズは原作のルイズじゃないとへこんでる作者がここに
744名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:24:37 ID:1hSiDBm7
俺なんか話が進めば進むほどルイズが空気に
745名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:25:15 ID:TtQq0SR2
>>740
マリー「…あなた、シエスタじゃないわね?」
746名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:25:43 ID:BwR5FxyT
ルイズ好きだぜ俺は
「このキャラ召喚したらルイズはにゅふふふ」とキモい笑みが浮かんじゃうよ
747名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:30:05 ID:7jzKTr26
原作のルイズよりクロスSSのルイズの方が好きなんだよな俺
レモンちゃんだし……
748名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:35:36 ID:GHOd1fN8
俺にとってはゼロ魔の主人公はサイトじゃなくてルイズ
だからSS書くときも召喚された主人公に想いを寄せるヒロイン、ではなく
主人公のルイズと背中を預けられる相棒、ってイメージしてるよ

つまり俺はルイズが好きってことさ
749名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:35:46 ID:3RL7TsZg
書きようによっていくらでも性格を変化させられる、ある意味美味しいキャラかもしれんね。
アンアンなんかも、覚醒するか黒化するか、能天気な貴族キャラとしても描写出来るし
個人的にはクロムウェルなんかも好きだ。ディセプティコンやもう一人の左手の
バリバリの政治家バージョンや、エルクゥでのサイトと漫才やってる善人バージョンとか。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:40:45 ID:DFsep6xQ
 キュルケはチョイ役、タバサは出さず、ギーシュとの決闘無しでやろうと思ってますがね。
 ついでにいうと、シエスタは存在すらしていない。
751ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/18(水) 21:41:20 ID:sr+EWEeO
お久しぶりです。トリップつけました。

久々に投下したく存じます。
予約が無ければ21:50頃から失礼をいたします。
752名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:43:15 ID:Qdt06mRJ
ひゃっほぅ支援
753名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:46:50 ID:gHNmDC+S
黒魔を支援しつつ
>>750
むしろ余計に見てみたい、と言っておくぜ
754名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:47:12 ID:wlBhtejI
ディセプティコンってトランスフォーマーだっけ?

トランスフォーマート言えば俺の中ではビーストウォーズシリーズが一番印象に残ってるから
リターンズで死んだコンボイとかメガトロンの召喚を見てみたいなと思ったり

でもこの二人って別シリーズで転生してた気がするので
デプスチャージやランページ、最後に登場したせいで出番が全然無かったタイガーファルコン
日本版で男に性転換された挙句タイガトロンとウホっな展開にされ
メタルス序盤でエイリアンに誘拐され終盤でタイガーファルコンになってからは
中の人すらいなくなったマリクもといエアラザーを召喚してやってください
755名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:49:08 ID:bYxa469X
カブトはおもしろいよ。
天道語録もあって、ちょこちょこ料理作ったり。
最終的には加賀美と友情築くし。
飛ばされても加賀美にひより任せられるし。
756ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/18(水) 21:49:49 ID:sr+EWEeO
投下開始です

―――

「わ、わたしを置いていくというのか!?
 ――この身、そなたに預けると言ったはず。
 本当にそれがそなたの望みなのか……?」
「え、えっとー……」
アニエス先生がこの状態で一緒に来ると、ややこしいことになるってことで、
ルイズおねえちゃんの部屋に置いていくってことになったんだけど……
「そうか――貴様がわたしのビビをたぶらかそうとしているのだな!」
「ちょ、あ、危ないでしょっ!?」
アニエス先生は、ついてくるって聞かないんだ。
ルイズおねえちゃんに剣をつきつけたりするし……
「その〜――アニエス先生?ちょっと、ビビ君は外せない用事でして――」
「ならばっ!わたしも連れて行けっ!何故貴様ら青瓢箪だけが付き添うのだっ!
 ビビに何かあったらどうしてくれるっ!!それとも、連れて行けぬ理由でもあるのか!?」
ちなみに、モットおじさんには、
「酷い風邪だから2〜3日学院で療養させる」って言い訳をしている。
……ある意味、酷い風邪、だよね?これも……
「実は――そのとおりなんです。えぇ。ビビ君はシャイですので、自分からは言いませんが――」
ギーシュがゆっくりと、アニエス先生に説明を始める。
「ビビ君は、アニエス先生に贈り物をしたいと、で、僕達にその見立てを手伝って欲しいんだそうです。
 ――アニエス先生を驚かせたかったそうですので、本当は理由を黙っておきたかったのですが――」
「な、なんだと!?」
ギーシュって、こういうことにはよく頭が回るなぁって、感心してしまうんだ。
「――び、ビビ、本当なのか!?」
「え?え、あ、う、うん……」
ギーシュが目で「そうだって返事しろ」って言ってたから、そのとおりにしたんだ。
「そ、そうか――そなたの心遣いに気づかぬとはなんたる不覚っ!!」
アニエス先生がゆっくり剣をおろす。
このチャンスを逃したらもう次は無い、と思ったんだ。
「あ、あの……ボク達を信じて、待っててもらえる……?」
「今さら疑うものか!私はそなたを信じる!!」
ホッと一息をつくボク達。
これで、なんとか出発はできそうだ。

でも……恋って、こんなに疲れるものなんだなぁ……


―ゼロの黒魔道士―
〜第三十三幕〜 誓いの泉 ラグドリアン湖
757ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/18(水) 21:50:37 ID:sr+EWEeO
旅そのものは順調で、そろそろ春から夏に変わっていく風が気持ちよかった。
「しっかし、娘っ子は旅先にまで白ぇだけの本持ってくのか?」
「仕方ないでしょ!肌身離さず持つようにってオールド・オスマンもおっしゃってたし!!」
ルイズおねえちゃんは、馬車の上であの真っ白な本と、ペンと羊皮紙を片手にぶつぶつとつぶやいていた。
「四属性について――う〜ん――結局、火は燃える、でしょ?風は、吹くで――」
「……なんか、そのまんま、だね……」
ルイズおねえちゃんって、頭はいいけど、こーゆーのは苦手なのかなぁ?
「姫殿下も見る目無いんじゃないの?創作性ゼロのあんたに巫女やらせるなんて――」
モンモランシーおねえちゃんがため息をつく。
モンモランシーおねえちゃんは、学院を出てからずっと不機嫌だったんだ。
「っさいわねぇっ!!『水は手違いで他人に混乱を導く』ぐらい入れてやるわよ!?」
「なっ!?言ったわね!この詩の才能ゼロがっ!」
「お、おねえちゃん達、馬車であまり暴れない方が……」
「やれやれー!もっとやれー!おもしれーぞー!」
「――次の辻はまっすぐ、だったかな――」
ギーシュは1人、馬車を操っているから、
もみくちゃになる馬車内の喧騒に加わらず、静かなまま旅を続けることができてたみたい。
ちょっと、ずるいなぁって、帽子を直しながら思ったんだ。



朝からずっと馬車に乗って、水の精霊がいるっていう泉に着いたのは、
お日さまの頭が少し残ってるぐらいの夕方だった。
「大きな湖だね……向こう岸がほとんど見えないや……」
水面に映る赤いお日さまの影が、なんとなく神秘的で、
いかにも精霊が住んでるって感じがしたんだ。
「さーて、モンモランシー!さっさと水の精霊を呼んで、とっとと帰るわよ!」
ルイズおねえちゃんは、モンモランシーおねえちゃんの服をひっぱりながら降りてきた。
「――おかしいわ」
モンモランシーおねえちゃんは、まだ不機嫌そう……
というより、不思議そうに、首をかしげたんだ。
「よいしょっと――ん?どうしたんだい、モンモランシー?何か、変なことでも?」
馬を近くにつなぎとめてたギーシュも、
そんなモンモランシーおねえちゃんの様子に気づいたみたい。
「ギーシュ、間違いなく道なりに来たのよね?地図どおりに?」
「え、う、うん。何だい?まさか、違う湖に来てしまったのか?」
「ううん、そうじゃないの――水が、増えてる……」
水が、増える?
湖って、大きければ、海みたいに満ち潮とかあるっていうから、そういうことなのかなぁ?
「ほら、そこ。畑のための柵が、水に沈んでるし――どうなってるのよ!?」
満ち潮とかじゃないらしい。
見ると、確かに湖の中から壊れた柵がにょきにょきと、
水の深いところまで点線みたいにつながっているのが分かったんだ。
……水の精霊って、自分で家庭菜園とかやるのかなぁ……?
「つまり――水位が上がったってこと?単に気候の変動とかじゃないの?」
ルイズおねえちゃんが、何をそんなにうろたえてるのって言いたそうに、
モンモランシーおねえちゃんに視線を向けた。
「急激すぎよ!5年ぐらい前はここには村があって、農業やってて――」
「……みんな、沈んじゃったってこと?」
「おれっちが覚えてる限りじゃ聞いたこともねぇなぁ、村が沈むなんざ――」
「デルフ、あんたはなーんにも覚えてないじゃない!」
すごい大嵐でもあったのかなぁ?それとも、地震、とか?
758ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/18(水) 21:51:21 ID:sr+EWEeO
「おんや、そこな貴族様方、何くさしてなさるでな?」
釣り道具を持ったおじさんが、後ろを通り過ぎたんだ。
「釣りなばハァ、ここさでやったらいかんべな?
 ここさで釣りしてちゃぁ、水の精霊さん“また”ずべっちゃ怒りなさるでなぁ」
……何か、今重要なことを聞いた気がする。
「……また?」
「釣りなば、こっから東のバタリア丘陵の辺りがお勧めだべすて?
 何ならオラはが初心者に釣り解説なばハァさせていただくべな?
 初心者はまずザリガニ釣りから始めてスキルなば上げて――」
「ちょ、ちょっと!待ちなさいよ!!」
釣り解説を始めたおじさんの話を遮る形で、
モンモランシーおねえちゃんが声を上げたんだ。
「――カーボンロッドさとリトルワーム辺りで――ん?何だべすか?」
「水の精霊が怒るって、しかも“また”って何よ!?
 まさか、アンタが釣りでもして――」
「そったらホデナスなことすねぇでよ、貴族様!
 オラば良心的な釣り爺さんだで?いやさ、釣り好きなば噂さ聞くだけんど、
 なーんでも水の精霊さんが怒りなすって、水位ば上げてるっち噂だべす。
 ありゃ――ワジャームで特大のトゥルナバルウが上がった前の年なば、3年ほど前からだべす」
水の精霊が、怒る?なんか、やっちゃったのかなぁ……?
「昔の“交渉役”なば、こげなことさなったら、真面目に交渉ばしてくれたけんど、
 今の貴族様はちとばかし不真面目でちーとも改善ばせんのべす――
 おっと、お、オラがこげなこと言ったってのは秘密ね?貴族批判なばしてねぇべす?」
……そこまでしゃべって秘密も何も無いとは思うんだけど……
「いや、してねぇべす、とかそんなのどうでもいいのよ!
 水精霊が怒るって、何があったっていうの!?」
モンモランシーおねえちゃんが、さっきまでの不機嫌さとか全部吹き飛ばすぐらいに怒ってる。
「それが分かれば苦労すねぇてなことですべ。“交渉役”様さ何もしてくれねぇべす。
 ともかく、じわじわ水位ば上がって、畑の半分ば水浸しさなって村出た農民さもいるとか。
 オラはも好みの釣り場さ飲み込まるわ、立ち入り禁止さなるわで悲しいべす――」



釣り好きのおじちゃんは、その後夜釣りに最適なポイントとかを、
じーっくりと、それはもう気が遠くなるほど話してくれて、
「んだば、釣りのこと聞きたぐばオラはに任せてくんろだべす〜!
 オラ、この後カダーバくんだりで粘ってるすから〜!」
って言って、そのまま去っていったんだ。
……趣味とか持ってる人って、好きなことを語りだすと長いんだなぁ……
「ふぁ――で?結局、水の精霊が怒ってるってのは分かったけど、
 『水の精霊の涙』は入手できないわけ?」
ルイズおねえちゃんが欠伸を大きく一回して湖をもう一回見渡した。
「ほんと、もう、どうなってんのよ!
 ウチが“交渉役”だった頃はこんな――」
湖が沸騰してしまいそうなぐらい、モンモランシーおねえちゃんは怒ってるみたいだった。
「“ウチが”って……モンモランシーおねえちゃん、その、“交渉役”だったの?」
「そうよっ!まぁ、正確にはウチの実家だけど――
 干拓事業に失敗してお役御免になるまではしっかり勤めてたのよ、それなのに――
 あぁっ!腹立たしいっ!あんな平民に馬鹿にされるような仕事では無いはずなのにっ!!」
いつもの、ギーシュが怪我したりしたときとはまた違う怒り方をしていた。
……きっと、自分のプライドとかを、傷つけられたって思ってるんだろうなと思う。
ルイズおねえちゃんも、ときどき同じような怒り方してたことがあったから……
759ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/18(水) 21:52:06 ID:sr+EWEeO
「こうなったら、水の精霊に色々問い詰めなきゃいけないわね――」
そう言って、モンモランシーおねえちゃんが手に持っていた小さな袋から取り出したのは……
「っ!?きゃっ!?」
ルイズおねえちゃんが小さく悲鳴をあげるもの、
そして、ボクの仲間の1人だったら舌舐めずりをして喜びそうなものだったんだ。
「……カエル?……すっごい色だね……」
マスタードみたいにまっ黄色な体に、黒い斑点がポツンポツンとついているカエルだったんだ。
「そう、私の使い魔のロビンよ。可愛いでしょ?」
そう言って胸を張る姿は、ヴェルダンデを自慢するギーシュとどこか似ていて、
なるほど、お似合いの二人なんだなぁってちょっと思ったんだ。
「あ、あなたの使い魔が可愛いのは分かったから、は、早く引っ込めなさいよっ!!」
ルイズおねえちゃんが、ボクの背中で震えていた。
……もしかして。
「なんでぇ、娘っ子。カエルなんぞが苦手なのか?」
デルフがボクが思っていたことをそのまま口にする。
「う、うっさいわねぇっ!!」
……ボクじゃなくて、クイナが召喚されなくて良かったなぁと思った。
きっと、ハルケギニア中の珍しいカエルを捕まえて料理してたと思うから……
「引っ込めるわけにはいかないわよ、今から水の精霊と“交渉”するんだから――
 ギーシュ、ちょっとロビン持ってて」
「ん?あ、あぁ、了解」
モンモランシーおねえちゃんは、ギーシュにロビンを抱かせておいて、
懐から取り出した針でちょんっと自分の指先をつついて血を出した。
……ちょっと、痛そうだなぁ……
「ロビン、分かってるわね?水の精霊に粗相のないようにね?」
ロビンがモンモランシーおねえちゃんの血を、長い舌ペロンッと出して舐めとると、
「ケロッ」と軽く鳴いて湖に飛び込んだんだ。
「後は相手がこちらを覚えていてくれれば、姿を見せてくれるはずよ。
 まあ誓約の水精霊が忘れているはずはないと思うけど、実家が失礼なことをしでかしているから、怒って出てきてくれない可能性はあるわね」
「――つまり、確率は5分ということかい、モンモランシー?」
ギーシュがロビンを触って少し濡れた服を払いながら聞く。
「頼りになるんでしょうね、あのか、カ――使い魔はっ!」
……ルイズおねえちゃん、『カエル』って言うのも嫌なのかなぁ……?
「5分より悪いかも。今の“交渉役”も失礼なことしてそうだし――」
モンモランシーおねえちゃんが深くため息をつく。
「なんでぇ、頼りねぇな、巻き髪の嬢ちゃんよ。
 無駄足に終わんのは嫌だぜ?まぁおれっちに足は無いけど」
「――いや、大丈夫のようだよ?」
モンモランシーおねえちゃんがデルフの失礼な言いっぷりに反論しようとしたとき、
湖の表面が、虹色にゆらゆらとゆらめいたんだ。
虹色って言うけど、空にかかるような虹の色とは全然違っていて、
なんて言ったらいいんだろう……思いつく限りの鮮やかな色をお鍋に入れてかき混ぜた色、かな?
目にまぶしかったけど、どこかで見たような、ちょっと懐かしくなるような、そんな光だったんだ。
その光の膜が水面からにゅぅっと盛り上がって、虹の珠みたいな形になる。
「コホン――私はモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。水の使い手で、古き盟約の一員の家系よ。
 蛙につけた血に覚えはおありかしら。覚えていたら、私たちに判るやり方と言葉で返事をちょうだい」
モンモランシーおねえちゃんが咳払いをして、かしこまった言い方で返事を求めると、
虹色の球体はグネリグネリと雲が形を変えていくように上に伸びてきて、
だんだんと、女の人の姿になっていったんだ。
綺麗な、女の人。
760ゼロの黒魔道士 ◆ICfirDiULM :2009/02/18(水) 21:52:38 ID:sr+EWEeO
ギーシュが思わず「ほぅ」ってうなったら、モンモランシーおねえちゃんに肘うちを当てられてた。
……変なところに当たっちゃったみたいで、すごく苦しそうにうずくまってる。
「覚えている。単なる者よ。貴様の体を流れる体液を、我は覚えている。貴様に最後にあってから、月が五十一回交差した」
虹色の綺麗な女の人が、水がお鍋で揺れるときのような響きをもった声でしゃべる。
なるほど、この人が水の精霊なんだ。
「良かった――それで、少し“交渉”したいのだけれど――」
「それはかなわぬ」
モンモランシーおねえちゃんの切り出しを、あっさりと、
『リフレク』で魔法を跳ね返すよりもあっさりと、水の精霊は跳ね除けてしまった。
「ちょ、ちょっとちょっと!?どういうことよ!?わ、私の実家の失態なら詫びるから――」
モンモランシーおねえちゃんが焦って食い下がる。
「それもある。しかし、今、我はお前たち単なる者を相手にできんのだ」
そう言いながらズズズと溶けるみたいに水に戻ろうとする精霊。
……ちょっと、人が溶けてるみたいで気持ち悪かったのはナイショだ。
「待ちなさいよっ!!さっきから聞いてれば!私はねぇ、遥々来たのっ!
 それを“相手にできない”の一言で下がられちゃ困るのっ!」
ルイズおねえちゃんが、叫ぶ。……ボクの背中の後ろで。
ロビンが戻ってきたから、前に出れないみたいだ。
「相手にできん者は相手にできん。――ほう。だが懐かしき顔がいるな」
水の精霊がルイズおねえちゃんを睨もうとして、表情を変えて溶けるのを止めた。
「『記憶の落とし子』か。久しいな。最後にあったのは、月が七万は交差する前だったか」
そしてまた、女の人の姿に戻っていく。
「……『記憶の落とし子』?え、ま、まさかボクのこと!?」
月が七万って……どれくらい昔のことかは分からないけど、
少なくともボクは水の精霊と会ったことなんて一度も無いはずだったんだ。
「『記憶の落とし子』よ、お前が望むならば“交渉”に臨もう。
 だが、今は単なる者の襲撃を受けておる。よって日を改め――」
「――しゅ、襲撃?何者かに襲われているのですか?」
ギーシュがまだ痛そうにしながら立ち上がりつつそう聞いた。
「単なる者よ。我は貴様等の同胞に襲撃を受けている。我は水位を増やすことに手一杯で、襲撃者への手が回らぬ」
水の精霊を襲う人達がいるってこと?……何か、意味があるのかなぁ……
「――つまり、そいつらを捕まえれば“交渉”してくれるってわけね?」
ルイズおねえちゃんが、ロビンを見ないようにしながら、水の精霊と視線を合わせる。
「良かろう。単なる者よ。懐かしき顔に免じ、そのときは“交渉”に臨もう」
……「捕まえる」って、え、まさか……
「ちょ、ちょっとちょっと!?さっきから“交渉役”越えて何勝手に話を進めて――」
「ビビっ!やるわよっ!?」
「……やっぱり……」
嫌な予感はしたけど、やっぱり、ボクたちでなんとかしなきゃいけないみたいだ。
「けけけ!やっぱおれっちの活躍の場がなくっちゃなぁっ!!」
デルフはすっごく嬉しそう。

こうして、ボク達は襲撃者を退治することになっちゃったんだ。
……それにしても、『記憶の落とし子』って……何だろ?
―――
本日は以上です。
支援毎度どうもです。こんな駄文に・・・
さて、私事で恐縮ですが、今後の投下予定です。
なんとか、学生としての仕事が明日終わるので、3月はできる限り投下しまくれそうですが、
その後上京することになり、どうやらしばらく新社会人として研修とやらでネット環境につなげそうにありません。
4月〜6月は投下できなくなるかもしれませんが、きっちり完結させるつもりですので、よろしくお付き合い願います。
お目汚し、失礼いたしました。
761名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:55:33 ID:Ei5sUHmi
元ネタしらなくても大概は読んでる
元ネタしってても読まないのはある
どれとは言わないけどなw
762名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 21:58:51 ID:b5MY8v2P
ギーシュとの決闘で圧倒的な力を見せ付けろキャラが出てくると

「あれはなに?」
「私にもできる?」
「教えて」

こんな風に、必ずと言っていいほど、タバサが出てくるのがウザク感じてしまう。
763名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:08:03 ID:1hSiDBm7
>>762
何となく分かる。
そもそもタバサって、そこまで貪欲なキャラだっけ?
764名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:12:46 ID:wCx+54bu
貪欲だとは思うが、それ以上に人付き合いを避けるキャラであるはず。
戦闘技術欲しさに得体の知れない人物に近づくのはちょっとね。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:13:13 ID:b67ddTl0
復讐のために力を求めている描写はあった、もっと強くならないとみたいな感じで
というか毒吐きスレでやれよって内容
766名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:13:14 ID:8K2QOeVN
修行中だっていって金にならなくても不利と分かっていてミノ倒しに行く程度には。
767名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:14:01 ID:wlBhtejI
あえて能力を隠し続ける
という展開もいいな



・・・そういえばラスボスはそんな展開だった
768名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:19:08 ID:1hSiDBm7
>>767
アレはただ怠けてるだけってイメージがあるんだが。
769名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:19:55 ID:+rtrbpKQ
>>768
泣いてるぞ
770名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:21:07 ID:Ei5sUHmi
アホな理由の決闘でそこまでせんでもとは思ったりする
771名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:22:59 ID:1hSiDBm7
>>770
必要最低限の力でいいはずなのに、そんな力を誇示するようにせんでも……とは思う。
772名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:23:48 ID:GHOd1fN8
>>767
重攻のライデンはまだ一回も火器使ってないね
アルビオン編はどうなるか
773名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:27:15 ID:AbPuBg+S
姉妹スレじゃそのアホな理由の決闘で殺されちまうこともあるな
774名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:29:19 ID:BWvfYcj8
黒魔導師の人乙です!

>>762
そんなタバサも大好きです。
そして、母親のためならちょっぴりダーティなことをするタバサも大好きです。
775名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:30:06 ID:Ei5sUHmi
ギーシュ戦で前後編とかやられるとすごいやきもきする
サラッと終わらしてくれよ
776名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:31:03 ID:GHOd1fN8
痴話げんかに割り込んできた奴に昇天させられるとかギーシュ不憫にも程があるだろww
もうちょっと愛をもってギーシュを扱ってくれる職人ふえてくれないかね
777名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:31:32 ID:8K2QOeVN
ギーシュの呼んだ使い魔がアレでナニで、
ギーシュ戦で覚醒してまさかの急展開。
778名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:32:32 ID:Ei5sUHmi
>773
暗殺者チームなら仕方ないな
779名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:33:41 ID:1hSiDBm7
決闘でギーシュが勝つパターンって、あったっけ?
780名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:35:18 ID:30MrLhPE
>>779
小鬼キングダムなんか、ギーシュが圧勝してるぞ。
781名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:37:19 ID:30MrLhPE
ごめん、「迷宮キングダム」から召喚の作品「ルイズキングダム!」だな。

あと、スターオーシャンから呼ばれた奴もギーシュに負けてなかったっけか。
782名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:37:26 ID:AbPuBg+S
ご立派な使い魔はギーシュ勝ってるよ
783名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:38:05 ID:matzY2LT
すんません思いっきり大人気ないことしました…orz
784名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:40:36 ID:1hSiDBm7
精神レベルが才人と同じくらいか、それ以下だったりしたらギーシュとの決闘にムキになっても違和感ないんだが、
そんなキャラが召喚される割合はかなり低いからなあ。
785名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:40:42 ID:GHOd1fN8
お前か! 俺のギーシュをフルボッコにしたのは!
786名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:42:54 ID:RDXLXuds
ゼロ魔の出始めの頃だとギーシュもここまで愛されてなかっただろ
作家さん事に方向性もあるんだから余計な足枷かけるのは止そうぜ
787名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:42:55 ID:tl+YCQfr
>>772
アルビオン編になってもレーザー使わなかったりして。
考えてみると第二世代型ライデンの武器対人戦ではオーバーキルでに効果範囲が広すぎるよw

キャラクターに愛を込めながら書きたいものですが、果たしてそれは愛と呼べる物なのでしょうか?
そんなことはおいといて、投下予約なければ二分後に投下しますねぃ。
789名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:45:45 ID:TtQq0SR2
>>784
相手の侮辱を聞き流せないようなプライドの無駄に高い奴ならば違和感が無いと思うが

>>781
勝ってはいなが負けてもいない
見てられなくなって突っ込んでくるゴーレムの前にルイズ乱入
クロードが咄嗟にフェイズガン使ってゴーレム消滅で決闘終了
790名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:46:51 ID:8c9rgU4v
>>783
兄貴ですか?
43. ラ・ヴァリエールの姉妹

ルイズは残り少ない自制心を全て費やして、
どうにかこの存在自体がシャレになっていない老人に来た理由を話した。
シェオゴラスは不服そうな顔でルイズを見ている。

「ハ!余は記憶か。誰がそんな魔法を作った?
 マグナス?イスミール?トール・パパ?それともチェザーレの馬鹿か?
ああ、ブリミルかもしれんな。あの野郎余の言うこと無視しやがって!!
知ってるか?あいつのヴィンダーなルーンを作ってやったのは余だぞ。
なのにあの野郎、余の信者にならなかった!酷い詐欺ってもんだ!!!」

「知らないわよ!それより、あんたなんなのよ。全然わかんないのよ!
ちいねえさまを変にしたりわたしに嵐を浴びせたり!!」

シェオゴラスは生暖かい笑みをルイズに向けながら、優しげな声で語る。
ああ、こいつ可哀想と言いたげな目をしていた。

「ん?お前は何を言っておるのかね。余が何なのか未だに分からないのか?
ああ、お前の髪はシラミ混じりのショッキングな髪であったな。
それでは余の言葉を理解できんのも無理はなかろう……」

シェオゴラスはキラキラした目で、ツッコミが来るのを待っている。
こんな奴に敬意を払いたいとは、泥まみれのルイズは全く思わなかった。
素なの?これが素なの?ルイズは深く、深くため息をついた。
残念ながら、相手が外見幼女なのでまだ軽い方であった。
ツッコミが来なかったので、シェオゴラスは話を続ける。

「で、その記憶の中の余に会いに来たお前は何なのだルドラよ。
 アレか。余りにも余に会いたくて会いたくて来たのだな?
 嬉しいな。信者に大切にされるのは嬉しい事だ。
 さぁクエストだ。このフォークで狩ってこい!!」

とルイズはフォークを渡される。
こいつ何も聞いてないわ。爆発で老人を吹っ飛ばしたいルイズだが、
どうにか己を落ち着かせて、もらったフォークを見る。
先が長く二本になっているフォークで、食事に使うには大きすぎる品だ。
そして、持っていると何故か疲れがどっと肩にのしかかっていくような、
そんな嫌な気分になった。

「なによこのフォーク。少し大きすぎるけど」

「フォークだ!岩の様に歌うフォーク。戦慄を歌う旋律のフォーク!
旋律を歌う戦慄のフォークだったか?どっちでもいい!それでネッチを狩ってこい。
ネッチだ。空を飛ぶグレイトな魚だ。モロウウインドにいる。
そうだ!モロウウインドにはすべてがある。一糸もまとうな!」

「いや、ここハルケギニアだから」

シェオゴラスはガクリと自分で言って地面に膝をついた。
そして地の底を這うような声で、ルイズに涙ながらに訴えた。

「ルドラよ…お前は余に会いに来たんじゃないのかね?
 そしてそれはクエストをする為に来たのだろう?
 ボーダーウォッチに燃える犬を降らす方が良かったかね?」

「何でそんな事すんのよ!そこの人に迷惑かかるじゃない」
ルイズはフォークを投げ捨てる。顔に青筋が浮かんでいるが、至極真っ当な意見だった。
シェオゴラスは不敵に笑って立ち上がり、高らかに言った。というより叫んだ。

『決まっているだろう…ぅおもしろいからだぁああああああああ!!!』

ちょっと欝に入って溜めた分、恐ろしいまでの大音響が響く。
空に多少残っていた雲が吹き飛ばされ、近くの木々がなぎ倒されていく。
その衝撃波とも言える声は当然ルイズにもぶつかる。
ルイズは、安いのりで貼り付けた堪忍袋の緒がまた切れるのを感じた。

「うるさぁああああああああああい!!!!」

あまりにも大声で叫ぶので、
ルイズはついうっかりシェオゴラスに杖を向けて、
その周辺を爆発させる。果たして爆風で舞い上がった土埃が晴れると、
シェオゴラスはそこにいなかった。

「五個目のあを言っている間に時を止めた…何故止められるか?神に不可能はあるぞ」
「…そこは無いっていうべきじゃないの?」

段々とルイズもこの男の扱い方に慣れてきたらしい。
それともただ疲れただけだろうか。
背後でささやく乱心の神に、機械的なツッコミを入れた。

「いいや、ある。トラブってんだ。頭が痛くなりすぎて痛みが無くなるほどにな」

長い間起こり続けるトラブルの解決方法を探しに、
シェオゴラスはこの地にも何度か足を運んでいるが、一向に解決策は浮かばない。

杖に片手を置き、もう片方の手を額に当ててシェオゴラスは物憂げなため息を吐く。

「なぁルドラよ。余は何なのだろうな。ジャガラクの夢を見る余が本当の余か、
 余の夢を見るジャガラクが本当の余か……余は他の者達に作られた。
 されど、あまりにも長い間存在し続けた。元がどっちだったか忘れたのだ。
 本当はジャガラクだけどな!!」

「……ねぇ、要点だけまとめて言ったりしてくれない?」

ツッコミに、というより話す事に疲れたらしい。ルイズはハァとため息をついた。

「そうだな、そうするか。今まで良いツッコミだった。暁のツッコミ女王だ。
 余が認定する。誇れ――で、だ。お前の姉に余が会ったらしいな。
お供に連れてきたビッグヘッドが今会っている。あいつは良い奴だ」

「え」

ルイズが表情を変える。シェオゴラスは微笑んでいた。

「お前と無駄話してたからな。だが、心配すんな。ここにゃあエルダースクロールはねぇが、
 アカトシュが過去への介入を不可能にしてる。だからこいつは本当の流れにゃ影響はねぇ」

なんかホっとしたけど、どうしようかしら。
現実に戻っても、そこにはどこか怖いちいねえさまがいるし、
かといってずっとここにいるのもダメだろうし。
ルイズはむーと、頭を抱えて考えている。
793名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:48:47 ID:GHOd1fN8
>>786
冗談だったんだけど、もし気分悪くしちゃった職人さんがいたならごめん
ギーシュ大好きなもんで・・・
「何だ?お前の姉は余の信者になったのだろう。なら問題はなかろう。
 お前は一度でも姉に傷つけられた事があったか?
 デイゴンは推奨するな。あいつは壊すのが好きだからな。
ノクターナルも苦労してる。一度要塞が乗っ取られた。」

そうだ。白い髪の時も私と同じ髪色の時も、ずっとちいねえさまは優しかった。
例えそれが同情からだとしても。でも、どうしてだろう。ちょっとだけ嘘を付いたシェオゴラスは、
悩むルイズを見てタイミングを伺いながら、ゆっくりと話し始める。

「簡単な話だ。体が普通じゃない。誰だって出来る事が出来ない。
皆と違う事を言ったりする。そんな奴らは他の連中にどう見られるか知ってるか?」

「知ってるわ。馬鹿にされるのよ」

自分の経験に即して言ったが、シェオゴラスにハナで笑われた。

「その程度か?ルドラ、分かっていないな。イカレたと思われるのだよ。
お前の姉はお前以外にどう映っていたのだろうな」

「え――」

使用人達に影で言われた事もあったが、結局のところ彼女は大貴族の娘であり、
そして親は愛情を持って育ってきた。母親の意向でスパルタであり、
相当追いつめられていた事は否めないが、彼女を無視しようとは誰も思わなかった。
カトレアがフォンティーヌに名を変えたのは、公爵がその体でヴァリエールの名を持つ事に、
不憫を感じたからだ。ルイズはいずれその名に相応しくなるだろう。
と心の何処かで思っていたからこそ、末娘にヴァリエールの名を持たせていた。

その事はカトレアにどの様な思いを抱かせたのか。
ルイズは、言われてそれに気が付いた。

「じゃ、じゃあちいねえさまは、みんなから変だって思われて、だからあんたなんかに……」
「知るか。そもそも変とは何だね?」

ルイズはハァ?と今更ながらの言葉を口にする老人を見た。

「変って、あんたさっきから言ってるじゃない。イカレてるって事でしょ」

シェオゴラスはふんふん歌でも歌うように口ずさむ。
煙に巻くのもおもしろいが、ちょいと頭を良くしてやろう。
そんな事を考えているのかもしれない。

「何をもって正気とする?何をもって狂気とする?他と同じかどうかか?
全員がおかしけりゃそいつらは正気ってか?一人だけ正気の奴がそこに紛れりゃそいつが狂気か?
なぁルドラ。お前が正気である証拠は何だ?余が狂気である証拠は何処だ?」

「わ、わたしのはともかく、少なくてもあんたは――」
「余が狂気か?確かに余はそう言ったが。だが狂人の言を信じるのは狂人だけだろう?」

乱心の神シェオゴラス。しかし、その乱心とはもともとどの様な者に起こるのか?
その意味をある程度理解できたからこそ、シロディールの英雄はシェオゴラスになれた――のかもしれない。
ルイズは言葉に詰まった。確かにそうだ。
狂った者の考えなど普通そうだと思わない。
ならこの老人は狂っていないのか。いや、狂っていると思いたい。
ルイズは自身の価値観の外にいる老人の話が、
頭の中でぐるぐる渦巻いている感じがした。

「お前は貴族らしいな。なら一つ聞くが――
伝統!誇り!名誉!そいつらは何の役にたつ?
 格好良く死ぬ役に立つか。馬鹿馬鹿しくて欠伸が出るな。
 定命の存在は生きる事が最も大切な使命、命題だ。
 最近はそれを理解できん馬鹿が多すぎて困る。
 お前もどこかでそれに乗っ取って格好良く死のうとか、
 考えていないだろうな?貴族だから国の為に死ぬ。愚の骨頂だ。
国は人がいなくちゃできん。だが、上に立つ者がいなければ国にはならん。
そこまで考えて、お前は上に立つ者をやっているのかね?」

国を支えるのは平民。支えられる代わりにそれらを守るのは貴族と王家。
そんな理想論しか知らないルイズにとって、今の言葉は意味が分からなかった。
呆然としたルイズにシェオゴラスは苦笑した。

「ルドラ。お前は脳みそこねろ。そのままじゃパイにした時固すぎて食えん。
それ以前にお前の頭には何か入っているのかね?」

ルイズの頭をコンコンとシェオゴラスは叩いた。

「ああ、一応詰まっている。なら、ちゃんと使え。余がお前に狂気を宿させる前にな」

さっきまでなら爆発で吹っ飛ばしたくなっていただろうが、
今は違った。雰囲気その物が変わったと言うべきだろうか。
シェオゴラスはその容貌に見合った知性のある顔に、いつの間にか変わっていた。

「ねぇ、さっきの言葉の意味。自覚しろってことだろうけど、
何をどう自覚しろってことよ?貴族としての自覚って意味なら、
国の為に死んで何が悪いの?」

国を守るとは、即ち戦の際に兵隊となって敵国から国を守るということだ。
誰がどう見ても、普通の考え方だろう。

シェオゴラスはとりあえず満足気な様子で頷いた。

「さて、な。もっとそういうのを知ってる奴に聞くことだ。
じゃあな前置詞と冠詞。なかなか面白かったぞ。
 本当の余がお前に会えていないのが残念でならん。
 土産に秘宝の一つでも渡したいが、あいにく持って帰れぬだろうしな。
ああ、もしまた来たくなったらいつでも来い。さもないと目玉をもぎ取るぞ」

世界が薄れていく。シェオゴラスにもそろそろ終わりだということが分かったようだ。
ルイズは薄れていく皮肉屋の老人に、ため息混じりの悪態をついた。

「ル・ブラン・ド・ラってわけね…変な事思いつくわね」
「狂喜に酔え!万人に狂気を!」

シェオゴラスの高らかな声が辺りに響いて追憶の世界は潰える。
ルイズは元の世界に帰っていった。
796名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:50:41 ID:GHOd1fN8
更新し忘れで横槍ごめんついでに支援
「お帰りルイズ。シェオゴラス様はどうだった?」
「キチガイね」

カトレアは、ずっとルイズに寄り添っていたらしい。
ルイズが目覚めたとき、ベッドの隣に座っていた。
半身を起こすルイズにいつもの様に話しかける。
ルイズは笑っている。カトレアもコロコロと笑った。

「そうね。けれど紳士なのよ。あのお方は」
「なんとなく、理解出来たわ」
「そ。じゃあ何か聞きたい事はあるかしら?」

ルイズはうーんと考え込んでから、ベッドに倒れた。
変わっているけれど、それがちいねえさまなんだ。
だったら別にいいや。と眠そうな目でカトレアを見る。
いつも通りのよく知る姉がそこにいた。
人を見る目を変えたのは自分自身だった。それに気づけただけでも、
あの変わり者で皮肉屋の老人に会えた事は良いことなのだろうと、
ルイズはふとんをかぶりながら思った。

「眠いから寝るわ。ちいねえさま。疲れたの。何だかひどく疲れたの」

「そう。そうよね。わたしも初めてビッグヘッドやシェオゴラス様に会った時は、
 そりゃあ疲れたものよ」

そうよね。普通疲れるわ。とルイズはカトレアのベッドでぐっすり休もうとした。
しかし、カトレアは笑顔でルイズの体を揺する。

「でもね、ルイズ。問題があるの」
「う〜ん。眠らせてよう」
「今ね、昼なの。あなたずーっと寝ていたのよ」

そうなんだ。でも知らない。眠いの。眠らせてちいねえさま。
ルイズは声に出さず昔のカトレアがそうした様に、
布団の中に潜り込もうとした。

「それでね。今日はわたしの薬がアカデミーから来る日なんだけど…」
「カトレア、もういいわ。わたしが言うから」

その声が聞こえたとき、ルイズは布団から跳ね起きた。
慎ましやかな胸で、流れる様な金髪を持つヴァリエールの長女、
エレオノールがベッド脇に立っていた。

「エ、エエエ、エレ、エレオノールねえさ――」
「学院サボッてアルビオン行って。何したんだっけ。おちび?」

ルイズは戦々恐々と長女を見る。何も考えずに謝ろうとする前に、両の頬を思いっきりつねられた。

「いひゃい!いひゃいれすあでさま!!」
「痛くしてんのよこのおバカ!!そこで死んだらどうするつもりだったの!?」

カトレアがコロコロと笑う中、久しぶりにルイズはきつく頬をつねられた。

「むかしからこんなに心配させて…このバカ!」

次いで、ルイズはとても強くぎゅっと抱きしめられた。
「ふえ?」
「魔法、使えるようになったんですってね。カトレアから聞いたわ」

ルイズはエレオノールの顔を見る。一度も見たことのない笑顔だった。
そして、その目は泣きはらした様に真っ赤になっている。

「それに、カトレアの病気も治したのね」
「…はい」

エレオノールの目に、再び涙が溢れ始めた。
アカデミーに入ったのも、薬の研究を続けたのも、
全ては今日の日の為に。ただ、妹の為に続けたのだ。
ヴァリエールの生まれでありながら、
唯一「普通」のメイジに生まれた彼女は、
常に重圧の中で生きなければならなかった。しかし彼女はそれをはねのけた。
妹たちへの愛情だけで。

ヴァリエールの長女として生まれ、魔法勉学何でもそれなりにこなした。
カトレアの病について理解出来る年になってからは、
どうにかしてそれを治せないかと水の系統を中心に勉強を始めた。
公爵の反対を押し切って婿も取らずにアカデミーに入り、
カトレアの治療の為の薬を作り続けた。辛く、苦しい作業だった。
ずっと自分が正しいのか悩み続けた。それのせいで、
必要以上にルイズや見合い相手に辛く当たった事もあった。
だが、それも今日で終わりになる、と思われるかもしれないが、
実際はそう上手くいかない気がしないでもない。

「良くやってくれたわ。ルイズ。本当にありがとう。
 本当に…本当に…」

ルイズを抱きしめたまま、エレオノールはぽろぽろ涙をこぼした。

「エレオノール姉さま…」

ルイズは、目を閉じ声をあげて泣くエレオノールにつられて、
自身も涙を流した。止まらないそれはとても暖かく、
ずっと昔、叱られた時に出たそれとは全く違う物だった。


「グッドエンドかしらね?ラルカス」

カトレアが小声で、側にいた使い魔に話しかける。

「いや――君が病気を治さない理由って、これだったのかね?」

「まぁ、そうね。狂気の神様に治してもらいました。じゃ、締まらないじゃない。
 今の状態なら死にはしないって言われたし、それにこの本に載ってる内容で、
 わたしたちが出来る内容ならちょっとばかり血を見ないとダメだったもの。
エレオノール姉さまは多分するだろうけど、そんな治し方は嫌だもの」

シェオゴラスに病を治してやるからここに住めと言われたが、
結局彼女はそれを断ってトリステインに帰った。
その際にもらった指輪が、動物の本能を狂わせている。
友達は多い方が良いだろう。とシェオゴラスにもらったのだ。
何故帰ったのかというと、ふと家族の姿が浮かんでしまったから、らしい。
なんだかんだ言っても、皆の事を愛しているのだ。
799名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:52:33 ID:Qdt06mRJ
脳みそこねこねコンパイル支援
その後も色々あってシェオゴラスと共にオブリビオンの様々な領域を旅した。
そのせいで、あるダークエルフから凄まじく妬まれているのだが、カトレアはそんな事知らない。

禁断の黒の書は、誰かがその内容を見ておかしくならないように、
普段は何かの図面が書かれた本にしか見えない。
だから、カトレアにしかその中身は分からないのだ。
ちなみに、彼女は姉の心情を理解していたので、
これ以上心労を掛けないようにシェオゴラスの一件については、
優しく歪めて話してあった。

「カトレア。君はなかなか――アレだね」
「あら?普通じゃない。わたしにとってはね」

カトレアはコロコロと笑いながら、涙を流して抱き合う姉と妹を見る。
幸せそうな顔で。

「ははは。そうだな。私にとってもだ」

ミノタウロスも、牛の頭で器用に笑った。

投下終了。
シェオゴラスは敢えて誤解させようと頑張っているキャラクターで、
一見狂っているとみせかけて実は……なお方です。だからといって善良じゃないけどね。
では、また次の投下まで。

支援どもです。横やり?かまいませんとも。
801名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 22:58:52 ID:GHOd1fN8
乙ガレーン

牛頭の笑顔を想像すると何か怖いな
目の焦点があってなさそうで
802名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:00:15 ID:OpvTjue2
>>783
クロムウェルを暗殺する作業に戻るんだ
803名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:17:44 ID:Ei5sUHmi
乙です
いつも読んでますよー、元ネタしらないけど
前回といい今回も爺さんがはっちゃけすぎて面白いな、と
荒木飛呂彦の絵で脳内再生されるから困る
804名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:21:05 ID:8c9rgU4v
>>783
それよりも聖帝の続きを早くお願い
805名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:23:34 ID:aeLISmn9
>>775
そういや、ドラクエの戦闘シーンそのまんまの表現であっさり1レス終了ってのがあったな
806モヒカン+火炎放射機:2009/02/18(水) 23:26:15 ID:UNn5Hw65
下がれ下がれぇーーー!スレを開けろーーー!聖帝様の御投下だぁーーー!
支援しろーーー!消毒されてぇかーーーー!
>>783
偽者は消毒だぁぁ〜〜〜!

うん、ギーシュは後々オイシイキャラになるのを知ってバイツァ・ダストしたくなる時とかあるよ。スゴク。
807帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/02/18(水) 23:31:50 ID:UNn5Hw65
本来、人の手が届くことの無い高さにまで本で囲まれているトリステイン魔法学院の図書館。
図書館らしく静寂に包まれ、本のページをめくる微かな音だけがしている。
その中の一角。例によって平民が入れるはずのない場所に、サウザーが陣取っていた。

「なるほど。……大体の事は理解した」
今のところ、領土も持たず、部下も居ない。となれば、今やるべき事は情報の収集。
そのためには字を覚える必要があったわけで、この数日は図書館に入り浸っていた。
どういうわけか、言葉は理解できるが文字が理解できないという、非常に厄介な状態に陥っている。
誰かに読ませればいいと思うだろうが、それでは偽の情報に踊らされる可能性が無いとは言えないし、重要な案件について目を通さないというのも問題があった。
今は特に不都合は無いが、先を見据えて最優先事項とする事にしたのだ。

「も、もう文字を覚えたんですか?」
ここに召喚されてまだ三日。にも関わらず、あっさりと理解したの言ってのけた事に
文字を覚えることを手伝うようにと命じられた、学院長秘書であるミス・ロングビルもこれには驚いた。
「大体、だがな」
基本的な所さえ覚えれば、後は量をこなしていくだけで、それはさして問題ではない。
とはいっても、この三日間一睡もせずブッ通しで単語や文法を覚えいた。
無論、南斗鳳凰拳の修練にも耐え得る、並み外れた体力と集中力があってこそ成せる業だが。

この前の決闘騒ぎといい、つくづく規格外な使い魔だとロングビルも思う。
大体、実際のところ契約には至っていない。
あの騒ぎのあと、彼女の直属の上司。
つまり、学院長であるオスマンとも対峙したのだが、なんというか、凄く偉そうだった事はよく覚えている。

第参話『始動』

その三日前のトリステイン魔法学院本塔の一角にある学院長室。
本来この時間ならば、オスマンは暇を持て余しボケっとしているか、水タバコでもふかしているかなのだが
今のこの部屋は、一種異様な空気に包まれそれどころではなくなっていた。
808名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:33:03 ID:BKbf8/Ur
たっぽい支援
809帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/02/18(水) 23:33:44 ID:UNn5Hw65
「貴様が、ここの長か。わざわざ俺が出向いてやったのだ。答える事には答えてもらう」
相変わらず膝を組み、頬杖を付いた状態で威圧感を隠すこと無く言い放ったのは無論、聖帝サウザー。
対するのは白い口ひげを触りながら、サウザーから放たれる威圧感を受け流している学院長オスマン。
齢百歳とも、三百歳とも言われているだけあってこの手の流し方は心得ているらしい。
もっとも、流せているのはオスマンのみで、同席しているコルベールとルイズはモロに受け止めてしまっている。
ルイズはルイズで『オールド・オスマンの前なのに何なのよこの態度は!』と場が場でなければ叫んでいるところだったが。

「まず、俺を呼び出した理由でも聞かせてもらおうか」
「え、ええ。あなたは春の使い魔召喚の儀式で……」
汗をかきながらコルベールが答え始めたが、知りたいのは目的ではなく理由だ。
「それは、この小娘から聞いた。よもや、その下らん儀式のためだけに召喚したのではあるまいな」
コルベールの言葉を遮ると、目を細め殺気混じりの視線を送りながら言った。
肝心のコルベールは選ぶ言葉が無いのか、完全に答えに詰まっている。
南斗聖拳最強の南斗鳳凰拳を会得した男のガン付けだ。一般人なら、それだけで逃げ出しそうなものだったが、今度は見かねたオスマンが割り込んできた。

「まぁそう敵意を剥き出しにせずともいいじゃろう。少なくとも我々はあなたの敵ではないよ。南斗のお方」
南斗。確かにオスマンはそう言った。南斗聖拳とだけなら言った覚えはある。この言い方だと南斗聖拳が何か知っている言い方だった。
さすがのサウザーも、この何年生きているか分からないオスマンの言い様には興味を持った。
「……なにを知っている?」

「ミス・ヴァリエール。私も遠見の鏡で見ていたが、彼はただの平民ではない」
「それは…まぁ分かります」
ギーシュを一蹴し、トライアングルメイジのキュルケとタバサの二人を同時に相手にして
傷一つで圧倒した男がただの平民でないという事ぐらいは、ルイズでも理解はできる。

「知る者もほとんどおらんだろうが……彼は遥か昔から伝わる伝説の『南斗聖拳』の使い手。……という事でよろしかったかな?」
「半分正解というところだ。南斗聖拳とは百八派ある流派の総称にすぎん。俺はその中でも最強と呼ばれる南斗鳳凰拳を身に付けている」
「あの地面の切り口、やはりのぅ……」
一人納得し始めたオスマンだったが、他の二人、特にルイズにはさっぱりな事だらけだ。
あのオスマンが伝説とまで言ったのだから、凄いものなのだろうという事ぐらいは理解できたが、とりあえず詳しい事は直接聞いてみる事にした。
「南斗聖拳?……何でしょうか、それは」
こほんと咳払いを一つすると、オスマンがルイズに向き直り重々しい口調で語り始めた。
「遥か昔から、東の地『ロバ・アルカイリエ』により伝わる、エルフですら知らぬ恐るべき暗殺拳があると聞く…
  その名を南斗聖拳!肉体を極限まで鍛え抜き、四肢を鋭利な刃物と化すことにより
 地上のあらゆる物質を力で打ち砕くと伝えられる一撃必殺の拳法……!それが今…ここに……!」
「くっはははは……。そうだ、よく知っているな」
やろうと思えば鋼鉄すら引き裂く必殺の拳。
ロバ・アルカイリエというのがどういう場所かは知らないが、オスマンの南斗聖拳に関する認識はほぼ間違いないと言っても問題ないだろう。
ならば、なぜ南斗聖拳の事を知っているかと疑問が残るが
南斗聖拳百八派と言っても、あくまで主なものが百八派というだけで、厳密に言えば流派自体の数はこれより多い。
陽拳と言われているだけに、昔から数多くの流派が分裂し広がっていった。
……およそ拳法と呼べないような紛い物のような代物もあるが、鳳凰拳以外は伝承者は一人というわけではないので同じような前例があったのかもしれない。
それでも、伝説とか言っていたあたり、稀なケースなのだろうと把握した。
810帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/02/18(水) 23:35:46 ID:UNn5Hw65
「能力は使い手の力量次第。このあたりはメイジと同じかもしれんが……」
サウザーからは見えないようにオスマンが短く杖を振ると、部屋の片隅に置かれていたナイフが飛んだ。
「ふん」
それでもサウザーは動じることなく、頬杖を付いた手を少し動かすと、飛んでくるナイフの刀身を指で挟むようにして止めた。

「お見事。と、まぁ私はあの『ガンダールヴ』にも匹敵すると思っておる」
神の左手『ガンダールヴ』。
あらゆる武器を使いこなし、たった一人で千の軍隊を滅ぼせるとまで伝えられている、かつて始祖ブリミルが使役したと言われる四人の使い魔のうちの一人。
その始祖の使い魔と、ほぼ同等とオスマンは言ってのけた。
それを聞いてコルベールが顔色を変えた。
なにせ、目の前の男は呼び出されただけでまだ契約を行っていない。
状況が状況だっただけに仕方の無い事だったが、ガンダールヴに匹敵するとまで言われた男が契約に応じるかどうか。
そう考えた時、何かが刺さったような音がした。

「このナイフ、止める気でなければ今頃は貴様の額に突き刺さっていたところだ」
サウザーの手にあったナイフはオスマンの頬を掠め、その後ろの壁に突き刺さっている。
無論、止める気が無くても問題なかったが、その場合は投げる場所が少しズレていただけの事だ。
「そこまで見切っていたとはさすがじゃな。……それで、ミスタ・コルベール。ミス・ヴァリエールは契約はしておらんのだね」
「は、はい。あの場合はやむを得なかったものと」
「ふぅむ」
白い髭を触りながらとぼけたような顔をしているオスマンだったが、内心はこれでもかというぐらい困り果てている。
サラマンダーしかり風竜しかり、本来は召喚時に契約するものである。
万が一の事態に備えて監督官として教師が付いてはいるものの、召喚された直後の使い魔というのは大抵が大人しい。
そこを狙って契約に持ち込むというのが本来のやり方なのだ。
その結果が例の決闘騒ぎで、ドットメイジ一人、トライアングルメイジ二人に完封という有様だった。
かといって、コルベールが取った処置について非を問うつもりはない。
そもそも、サモン・サーヴァントで人間が召喚される事がイレギュラーな事なのだ。
呼び出した使い魔が規格外なら、その後取った行動も規格外。
前例が無いだけに、オスマンを以ってしても先人の知恵に頼るというわけにもいかず
また、自身が最高責任者なだけに他に投げるわけにもいかず、自分で答えを見つけるしかなかった。

それでも、逆に考えれば契約してなくてよかったかもしれないと思ったのも事実だった。
もう使用人の間では噂になっているようだったが、この男はどこかの国の帝王だというのである。
サウザーの挙動や、なにより皮膚を直接刺激するような覇気を感じて、まんざら噂だけではないとオスマンも確信していた。
なまじその力量の片鱗を目の辺りにしただけに、下手をすればトリステイン存亡にも関わる。

とりあえず、サウザーはじっくり時間をかけるとして、問題はルイズだった。
どんな魔法も失敗し爆発を起こす問題児。ただ、誰よりも努力している所はオスマンも承知している。
トリステイン子女の例に漏れずプライドが高いルイズをどう説得すればいいものかと頭を痛めたが、とにかく話を切り出すことにした。
811名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:35:59 ID:MaqgILcs
支援
812名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:37:24 ID:30MrLhPE
北斗支援拳
813帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/02/18(水) 23:37:43 ID:UNn5Hw65
「あー、こほん。ミス・ヴァリエール、念のために聞いておくが、サモン・サーヴァントをやり直す気は……」
「ありません」
やんわりとしたオスマンの問いにピシャリという音がしそうなぐらい気持ちよくルイズが返してきた。
「だが、彼が契約に応じるとは思えん。使い魔と契約できねば、進級はおろか退学という事もありえる」
「ミスタ・コルベール。使い魔召喚の儀式は神聖なものでやり直しはできないんじゃなかったんですか?」
「え、ええ。本来なら、ミス。ヴァリエールの言うとおりですね」
ルイズの言葉を肯定したコルベールを見て、モートソグニルに髪の毛を齧らせると決意する。
退学という、オスマンの持つ最強のカードをちらつかせても譲らないルイズを見てどうしたものかと考えを張り巡らせた。

「ふはははは……そうでなくてはな」
だが、思考の迷路からの脱出路を開いたのは他でもないサウザーだった。
「貴様らの言う使い魔がどういうものかは知らぬ。――が、俺はこいつを気に入った」
北斗でもなく、南斗でもない。まして拳法すら知らぬような小娘が、南斗最強の拳を前にして退かぬと言ってのけた。
退かぬ、媚ぬ、省みぬ、を信条とするサウザーにとってこれ程愉快な事はない。
あの時、退いていれば手刀はルイズを貫いていた。
この場で下手に媚びていたり、召喚した事を省みていれば、このような物言いは絶対にない。

「風下にこそ立たぬが、俺の求める物を取り揃えるというのであれば、俺も力ぐらいは貸してやろう」
サウザーが要求した物は三つ。二つは食料と住居の確保。無論、帝王としてである。
そして三つ目が、この学院内における権限。例を挙げるなら施設の使用と立ち入りの無制限化。
力で奪ってもいいのだが、得られる物は一時的なもので、新たに得ようとすればまた力が必要になる。
使える駒はおろか、単身でそんな事をするという事は効率が悪く、賢い者のする事ではない。
ならば、必要としている物を用意させる代わりに、力を貸す。
取引と考えればなんの事はない。……あくまで上から目線だったが。
ただ、風下に立たぬという事から、使い魔などには決してならない。
その場の全員がはっきりとそう感じ取った。

「ふむ……ミス・ヴァリエールの使い魔にはならぬが、協力はする。という事でよろしいかな?」
「物分りが良いではないか。だが、どうしてもというなら、俺を力で捻じ伏せてみる事だ。できればの話だがな」
自信があるなら、何時、何処でもかかってくるがいい、とサウザーが付け加えるとオスマンがため息を一つ吐くと、ルイズへと向き直った。
「彼はそう言っておるが、ミス・ヴァリエールはそれで構わんのかね?」
「構いません」
「やれやれ……ここまではっきり言われると気持ちがいいわい。仕方あるまい、特例じゃがそれを認めるしかなかろうな」
オスマンとしても、これ以上の妥協点は無いと悟ったのか、半ば諦めにも似た気持ちが沸き出ている。
食料と住居の確保はどうにでもなる。施設に関しては、宝物庫が機密上問題になるぐらいだが、見るだけなら減るものではない。
それに、可能性は限りなくゼロに近くても、ルイズがサウザーを負かせる事ができれば従ってやると言っている。
気に入っていると言っているあたり、少なくとも大怪我や殺す事はないだろうと判断した上でそう決めた。

「ただ、今日のような騒ぎを頻繁に起こされては私としても困る。そこはよく考えて頂きたい」
「よかろう。俺が相手をする程のものではないからな」
まだ相手をしていないスクウェアなら興味はあったが、学生風情ならばわざわざ相手をするまでもない。
相手にするなら……目の前の頭の薄い男のような奴というところだった。

話すことはもう無いと言わんばかりにサウザーが立ち上がると、部屋のドアへ手を伸ばし背を向けたままオスマンに問いかけた。
「ああ、一つ聞く事がある」
「我々が答えれる範囲の事であれば答えよう」
「こいつの爆発。これはどういったものだ」
二人にとって気まずい沈黙が数秒流れる。
答えられる。確かに答えられるのだが、本人が居る前でただの失敗魔法と言うのはオスマンもコルベールも答えるのは気が引けた。
その沈黙を打ち破ったのは、その爆発の元凶であるルイズ自身だった。

「あの爆発は魔法が失敗した結果よ。それ以上でもそれ以下でもないわ」
「……なるほどな」
言いながらドアを開けサウザーが部屋の外へと歩を進めるとルイズも同じように外に出て行った。
814名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:39:52 ID:30MrLhPE
南斗支援砲弾
815帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/02/18(水) 23:39:55 ID:UNn5Hw65

「……死ぬかと思った。正直、少し漏らしたかもしれん」
ドアが閉じると同時にオスマンの力が抜けるとそう呟いた。
まさか、ナイフを頬スレスレに投げ返されるとは思ってもいなかったらしい。
机の上に突っ伏したオスマンを見て、呆れながらコルベールが言った。
「なら、格好つけてあんな事やらなきゃよかったじゃないですか。それより、よろしいんですか?」
「構わんよ。無理に契約する事など到底できんだろうし、ミス・ヴァリエールもサモン・サーヴァントをやり直す気が無いと言っておる」
召喚そのものは成功したのだし、主を守るのが使い魔なのだから、契約しているのとそう大差はない。
問題は、何時サウザーの気が変わるかという事だ。
その問題は一先ず置いておくとして、コルベールも何故オスマンが南斗聖拳を知っていたのかが気になった。

「まぁ、ミス・ツェルプストーとミス・タバサに勝てる実力があるなら申し分無いとは思いますが
  オールド・オスマンは、その……南斗聖拳。ガンダールヴにも匹敵するというそれを何処でお知りになったのですか?」
コルベールの問いかけに対して、大きくため息を吐くと思い出すかのような口調でオスマンんが語り始めた。
「……百五十年以上前だったかな。火竜山脈へ硫黄を取りに行った時なんじゃが、道中、信じられない物を見た」
火竜山脈。その名が示すように火竜が多く住む火山帯の事だ。
「大きな若い火竜と一人の男が素手で対峙していた」
魔法に優れたメイジであれ、人の身では決してかなわぬ存在。
その竜の前に杖も持たぬ男が素手で立っていたのだから信じられぬというのも無理の無い事だ。
「私も手が出せなかったので、隠れて様子を伺っていたんじゃが
  火竜がブレスを吐くいたと思った次の瞬間には、いつの間にか男が火竜の脇に立っていたか思うと火竜の首が胴体から離れていた」
「それが……」
「そう、南斗聖拳。遥か東から来たとしか言わなかったが、古きより伝わる南斗聖拳の一派だと教えてくれた。これが私の知っている全てだ」
火竜すら素手で殺しきる。スクウェアクラスのメイジですら出来るかどうか分からない芸当をやってのけたという事を聞いてコルベールが絶句した。
そして、あの男は、その南斗聖拳の中でも最強だと言っていた。
それが事実であるならば、その強さはコルベールが想像できるところではなかった。

「……王室に報告致しますか?」
「無用じゃ。頭の堅い王室のボンクラどもに言ったところで信じはすまい。
  仮に信じたとして仮定して、アカデミーの連中が来て彼を連れて行こうとしに来たらどうなる」
「……どうなります?」
「あのワルキューレの残骸が人間になるだけじゃな。恐らく杖を抜く暇もあるまい」
オスマンが言わんとしている事はコルベールにもよく理解できた。
いくら魔法が優れていても、杖を持ち呪文を唱えなければ使うことはできない。
武器を構えるという事すら必要としないだけに、どちらが早いかと問われれば自明の理というものだ。

「それにしても……ゼロの二つ名を持つミス・ヴァリエールが、何故、南斗聖拳の使い手を召喚できたのでしょうか」
魔法が使えない落ちこぼれ。それが学院でのルイズの一般的な評価だっただけに、ルイズがサウザーを召喚できた理由が全く分からない。
「分からん、全く以って謎じゃ。そういえば、彼のほかにもう一人、いや、もう一体召喚されたと聞いたが、それはどうなったんだね?」
「あの遺体でしたら、放置するのも何なので、私の研究室に安置しておきました」
同時に召喚された一人と一体。何か深い繋がりがあるのだろうかと思い、ぞんざいにもできなかった。
816名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:40:01 ID:H2qyFqqn
久しぶりの支援
817帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/02/18(水) 23:41:22 ID:UNn5Hw65
――火竜すら素手で殺す、ねぇ……だとしたら、相当なバケモンだよ。

と、ロングビルが乱雑に置かれた本を本棚に戻しながら三日前の学院長室での会話を思い出し、そう結論付けた。
二年生の中でもトップクラスの二人を同時に相手にした男なら、不確定要素になるかもしれないと思い
音を消す風の魔法『サイレント』で部屋での会話を伺っていたのだが、話が事実ならばこの先の行動に相当の支障が出る。
火竜を殺すというのはにわかに信じられない事だが、メイジに一歩の遅れも見せなかった事から、遥か東の南斗聖拳の使い手という事だけは信じられた。

本を戻し、サウザーのところに戻ろうとした時、目が合った。
相変わらず頬杖を付きながら、何か薄笑いを浮かべながらロングビルを見ている。
「わたくしの顔に何か付いていますか?」
「くっはは、貴様のようなヤツが秘書だと?……何を考えている?」
突然、そう言われロングビルの心臓が跳ね上がった。
半分冗談めかした口調だったが、言葉尻に確信めいたものが感じられる。
「ふっ……まぁいい。精々、俺の障害にならぬようにする事だ」
巧妙に隠しているつもりだろうが、それを見抜けぬ程サウザーとて甘くは無い。
いわゆる、悪党と呼ばれる人種なら五万と見てきただけに、目を見ればどんなやつかは大体分かるつもりだ。

無意識だが、時折足音を立てないようにする動きから察するに、盗賊の類。
そして、その理由も自分より他の者のためにやっていると、なんとなくそう判断した。
確か、カサンドラの衛士だった、二神風雷拳の使い手、ライガとフウガも獄長ウイグルに弟を人質に取られ、衛士をしていたと密偵からの報告を受けている。
恐らくまぁ、それと似た理由だろうが、どう動こうが興味はない。

この女よりは、ルイズのあの魔法に興味があったというのもある。
金髪の小僧が作り出した木人形。赤い髪の女の炎。タバサとかいう小娘の風と氷。
これらが成功した魔法で、ルイズの爆発が失敗。
拳王の一撃とほぼ同等の威力の魔法が失敗などというのは解せぬ事だ。

召喚者と使い魔には、共通点が多いというのもサウザーが知った事の一つだ。
金髪の小僧なら土竜。キュルケとかいう女は、よく分からぬ火蜥蜴。タバサは竜。
系統によって大まかに呼び出される物の傾向が決まり、実力が高ければ呼び出される使い魔の実力も高い。
となれば、南斗聖拳最強の南斗鳳凰拳のサウザーを呼び出したルイズもまた最強という事になる。
そう考えればあの爆発が拳王の一撃と同等となるのも理解できる。ただ、そうなると何故それが失敗になるかという疑問が残る。
こればかりは魔法に関しては素人同然なので分かりはしなかったが、突如聞こえてきた声にその思考を打ち切った。

「やっと見つけた……!三日もわたしを放っておいてこんな場所で何をやってんのかしら?」
入り口の方から、そんな事を言いながら近付いてくるのはもちろんルイズだ。
後にも先にも聖帝にこんな口を利くのはルイズぐらいなものだろう。
「言ったはずだ。俺は力は貸すと言ったが、貴様の使い魔になる気は無いとな。従えさせたくば……後は分かっていよう」
「上等よ。ヴェストリの広場に来なさい。
  あんたに勝って、わたしがゼロじゃない事を教えてあげるわ。それで、ミス・ロングビル、立会いをお願いしたいのですが」
「くははははは!威勢だけは良いようだな。その二つ名が嫌ならば、南斗爆殺拳のルイズとでも名乗ったらどうだ」
「なによ、その怪しい二つ名は!」
ルイズの頭の中に、何故か葉巻を加えた自分の姿が映ったが、ろくな死に方をしそうになかったので断じてお断りだ。
「貴様も来い、礼にいい物を見せてやろう」

図書館から出ていく二人から、そんな会話が聞こえてきたが、ただ一人残されたロングビルがぽつりと呟いた。
「なんなのさ、こいつら……」
正体を見切られたかと思ったが、本当に興味が無いようで放置され行ってしまった。
その上で契約を行うかどうかの決闘をやろうとしている。
とんだ厄介事に巻き込まれたものだと思ったが、来いと言われた以上行かないわけにもいかず、予定を早めるしかないと考えながらヴェストリの広場に向かう事にした。
818帝王(貴族)に逃走はない(のよ)!:2009/02/18(水) 23:43:12 ID:UNn5Hw65
ヒャッハーー!投下した!
聖帝様+素手+ガンダである必要が無い+契約する必要も無い=デルフは要らない子
町イベント無いな…これは……
819名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:45:53 ID:30MrLhPE
聖帝様!乙でございました!
820名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:47:22 ID:BKbf8/Ur
乙ッーーーッ!東洋の神秘GJ拳法
この乙をくらって姉妹スレにも投下していくねーッ!
821名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/18(水) 23:51:49 ID:wCx+54bu
おマチさん、逃げてー!
822名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 00:17:29 ID:X0SS9vAc
電撃の「ロウきゅーぶ!」。
イラストが糞ってワケじゃないけど、作品の見所と合ってないっていうか。
ストーリーの盛り上がるシーンとか無視して、萌え上がるシーンばかりをひたすらイラストに。
こういう、「このシーンをイラストに」とか、誰が決めるのかねえ。



ところでタイトルが「篭球部」だと気付かなかった俺はバカですかそうですか。
823名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 00:21:15 ID:X0SS9vAc
ごめん、誤爆。
824名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 00:23:11 ID:LqAxcaVK
東方の南斗支援
825名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 00:23:33 ID:LqAxcaVK
っておわっとるorz
826名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 00:37:47 ID:GXcPrn8D
聖帝様は孤児をやしなうテファとかのような存在には甘そうだな。
827名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 00:44:02 ID:fF7X1pVM
ああ、でもただ養われてる孤児には厳しそうな気がするぜ
828名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 00:45:26 ID:ncKlRNJW
乙!続きが気になる。
生ハムの続きも気になる。
ガトーの続きも気になる。
829名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 01:01:26 ID:G618HZH4
投下乙です。
今回も面白かったー。

しかし、南斗爆殺拳のルイズwwwwwww
830名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 01:57:22 ID:6zhAIZwB
投下乙!!
聖帝様に喧嘩売るとは、ルイズが自殺志願者に思えてくるw
まぁ、これから先のことを考えれば、ルイズはしばらく死んだりはしないだろうけどww
831名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 02:01:58 ID:1BZUPJRt
ヒャッハー!聖帝様の御投下だ〜!!
832名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 02:34:14 ID:ulPizuIl
ルイズが聖帝様倒すなら寝込み襲うしかないんじゃね
正面からじゃ杖抜き終わる前に腕が落ちてそう
833名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 02:44:19 ID:eGwmA3aY
>>832
対等の条件で戦う必要がないだろ
予め聖帝さまには全身を鎖で巻つけ身動きできない状態になってもらいルイズの詠唱が終わるまで何もしない条件で戦っていただく
834名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 03:29:06 ID:RJ3T9Zqh
>>833
いくらなんでも悪条件すぎる。
ルイズに不利過ぎるではないか。
835名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 03:46:24 ID:D0Lsj3t7
つまりどんな悪条件でもルイズが勝てる明確なビジョンが見つからない
836名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 07:37:07 ID:4vbXHlDo
ダルブにリュウケン辺りを喚んで無想転生を教えてもらうしかないな

聖帝の人は姉妹スレでもギーシュの扱いが酷かったものなぁ・・・w
手紙イベント辺りで唐突に再登場させるが宜しいかと
837名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 09:09:54 ID:kIiWj/3I
バスタードからガラ召還とかいいかもな
割と素直に面倒見てくれそうな気がする
838名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 09:25:22 ID:+uKT8E5u
魔法白羽取りが見てぇw ライトニングクラウド投げ返されてワルド涙目wwwwwwwwwwww
そして是非ともスライムいじめをルイズにかまして欲しい! 見えるぞー見えちゃうぞーって
839名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 09:27:00 ID:bv6ndAXQ
わざとらしいまでに露骨にハンデもらい、お情け的に勝たせてもらってルイズは満足するんだろうか
840名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 09:51:52 ID:tSUSmKdV
一年ぶりにこのスレにきたぜ
アグリアスかと思ったらアニエスだった
841ゼロの伝説:2009/02/19(木) 10:32:39 ID:5dXw4WKV
皆さん、お久しぶりです。今回はちゃんとPCからです。大丈夫です。
では始めさせていただきますね。
842ゼロの伝説:2009/02/19(木) 10:48:54 ID:5dXw4WKV
 あの後ルイズは体を保つために、青年のことをミスタ・コルベールには「エルフのようなもの」と誤魔化し、学院の寮の自室に連れて帰った。
 その際、ミスタ・コルベールがディテクト・マジックを掛けたのだが、よく判らない反応だったのがルイズの言葉を信用させるきっかけになった。
 だが一つだけ、ミスタ・コルベールには疑問があった。
 青年の左手を見せてもらった時のことだった。
「これは……珍しいルーンですね」
「ルーン?」
「正三角形のルーンは見たことがありません」
「……さっきもルーンを刻んだとか言われたな。普通は両手に刻まれるのか?」
「体の一ヵ所だけです」
「それなら、その左手のはルーンじゃない。恐らくこの右手の方だろう」
 言うと、青年は右手をミスタ・コルベールに見せた。
「なんと、ではその左手の模様は?」
「……話してもしょうがない」
「そうですか、それにしても、珍しいルーンだ……」

 青年の連れていた馬の方は、学院の馬小屋に預けてもらうことにした。
 
「本当にただの人間なの?」
 部屋に戻るなり開口一番、ルイズは青年に尋ねた。
「俺自身はただの人間のつもりだが」
「ディテクト・マジックでもよく判らなかったってミスタ・コルベールも言ってたのよ」
「そのディテクト何とかとやらは知らんが、仮に俺がただの人間じゃないとしたらどうだと言うんだ」
「……まあ、どうでもないわね」
「さて、まずは話を聴きたい。俺がこんなところに呼び出された理由からだ」
「あたしがサモン・サーヴァントで偶々あんたを召喚した」
「本当にか」
「本当よ。サモン・サーヴァントで望む使い魔を呼び出せるなんてことは聞いたことがないわ」
「……次。此処は何と言う国だ」
「ハルケギニアのトリステイン王国よ」
「ハイラルという国に聞き覚えは?」
「知らないわね。ずっと遠い……東方にあるのかも知れないけど」
「最後。俺は帰れるのか」
「召喚した使い魔を帰すなんて無理よ」
「そうか……そう言えば、俺はツカイマとやらだそうだな。詳しく教えてくれ」
「あ、うん、使い魔っていうのは、メイジが使役する僕のことよ。役割について、一つは、主人の目となり耳となること」
「見聞を伝えろということか」
「それもあるけど、主人は使い魔の感覚を共有することが出来るの。あんたの見ている物があたしにも見えるってこと」
「見えるのか?」
「……駄目みたい……何も見えないわ」
「ふむ。他には」
「えと、主人の望む物を持ってくること」
「例えば?」
「秘薬とかよ。……でも、あんた知らないわよねえ」
「知ってたら探せるかもな。探して欲しい時に教えてくれ」
「……ま、まだあるわ! 主人を護ること!」
「単純明快な役割だな」
「あんた結構強そうだから、それだけにしといてあげるわ」
「他には無いのか? いくら何でもしょっちゅう襲われているワケではないだろ。それでは俺が暇だ」
「え、うーん……。正直、人間を喚び出すだなんて考えてもみなかったのよね……」
「飯でも作るか」
「食事は学院が……あ、そうだわ! 掃除と洗濯!」
「それはまた随分と単純な……」
「じゃ、これ明日の朝には洗っておいて。あたしは寝るから」
 そう言うなり、ルイズは上着を脱いで椅子に掛けると下着姿からあっという間に寝間着姿になり、寝台に入っていった。
 人前で臆面もなく着替える彼女に青年は怪訝な顔をしたが、とりあえず自分も眠ることにした。
「……藁で寝ろってか」
 溜め息をつくと、やや多く積まれてる藁を散らしてその上に仰向けになる。
 窓から見える夜空に浮かぶ二つの月を見ながら青年は、ここが彼の故郷に近い場所ではないことを思った。
「……まだ、何か忘れてる気がする」
 が、どうにも分からない。考える内に青年は微睡みに落ちていった。
843ゼロの伝説:2009/02/19(木) 10:51:37 ID:5dXw4WKV
 
 ……。
 ………………。
 朝……か……。
 薄暗いが、早朝には違いないだろう。
 目を覚ました時、俺は昨晩の出来事が夢であったことを期待したが、見慣れぬ部屋の中と、
自分と愛馬を召喚したという少女がベッドの中で眠っているのを見て、夢ではなかったかと溜め息をついた。
 ハルケギニア。ハイラルとは全く別の場所。影の世界のような、光の世界とは別の空間という意味で括れる、言うなれば異世界。
 この世界で生活する術を知らない俺は、とりあえず彼女の使い魔として世話にならなければならない。
 そう言えば、寝る前に洗濯物を任されていたのを思い出す。洗ってくるとしよう。
 椅子に掛けられた上着を抱えると、彼女を起こさないように部屋を出た。
 
「すまないが、洗い場は何処だ?」
 部屋を出たのはいいが、肝心の洗い場を知らなかった俺は、山のような洗濯物を抱えていた女中に場所を尋ねた。
「ひ、あ、え」
「?」
 何故怯えるのだろうか。
「あ、あの、ミス・ヴァリエールのエルフの使い魔さんですか? 結構有名なんですけど」
 この女中の話すところによると、俺が召喚されたことは結構な話題になっているらしい。
「あっ、洗い場でしたね。私も丁度そこへ行くので、一緒に行きましょう」
 話している内に緊張が解れたのか、シエスタと名乗った彼女は気さくに話し、俺を洗い場に案内してくれた。
 彼女の運んでいた洗い物も運んでやると、親切なことに俺の分の洗い物まで請け負ってくれて、洗い場で別れた。
 この時、それなりに重要なことを俺は忘れていた。
 
 この空いた時間に、俺は主の部屋に戻り、彼女を揺すり起こした。
「ん〜……ん? え、エルフ!?」
 ガバッ、と毛布を跳ね飛ばして俺にぶっかけるのと同時に、彼女は「そう言えば昨日召喚したんだった」
と場を紛らわすべく咳払いをすると、自分に服を着せるよう命令した。
 自分で出来ないのかとも反論したが、貴族はそういうものだと言われたので仕方がなく着せる。

 食堂に行くから附いてこいと言われたので共に部屋を出る。
 その途中、褐色の肌に燃えるような赤髪の少女が部屋から出てきた。この主人よりも背が高く、この年代の女子としては結構高い部類に入る身長だろう。
「おはよう、ルイズ」
 その少女はこちらを見ると、笑いながら主人に向かって朝の挨拶をする。
「おはよう、キュルケ」
 対するヴァリエールはやや得意満面そうな顔で挨拶を返した。虚勢を張っているとも見えたが。
「あなたの使い魔って、それ?」
「人に人差し指を向けて、「それ」などと言うんじゃない」
 「それ」呼ばわりされたので注意する。
「あら、ごめんなさい。でも、本当にゼロのルイズがエルフを喚び出しちゃうなんてねえ」
「ふふん、あんたとは違うのよ。これでもうゼロとは呼ばせないわ」
「その割には何度も失敗してたくせに」
「う、うるさい!」
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。勿論、一発で成功よ。フレイムー」
 キュルケが何かの名前を呼ぶと、彼女が出てきた部屋から真っ赤な蜥蜴が現れた。
 ……ドドンゴ? いや、あれは緑色だ。
「ふん、エルフとサラマンダーじゃ比較にならないわね。さ、行くわよ」
 彼女は鼻で笑うと、俺の手を引いてさっさと歩き出した。
 さっさと行ってしまうルイズを、後ろからつまらなさそうな、しかしどこか残念な顔で見るキュルケ。
 俺の感想はと言うと、まあ男性にとっては当たり前の上に月並みな感想な訳で省略させていただく。
844ゼロの伝説:2009/02/19(木) 10:53:38 ID:5dXw4WKV
 食堂に着くと、他の生徒がこちらを見た途端、足早に逃げるように遠ざかる。不審に思ったが、気にしないでと席に着いたルイズに言われた。
 卓上の豪華な食事を見つめながら何処に着けばいいかと尋ねれば、彼女は床を指差した。
しかし床かと思ったら、固そうなパンと冷めていそうなスープ少量がこじんまりとしたテーブルの上にあった。
「耳を貸しなさい」
 この待遇に俺が抗議する前にルイズは俺に耳打ちをする。
 彼女によると、人間に嫌われているエルフ達はこのような待遇を強いられてもおかしくなく、寧ろ当然だということなのらしい。
 よくあることだ。対立民族に対して奴隷のような扱いをするなんてことは。
 一応、俺はエルフということだから、そうしないと色々とまずいらしい。
 もし俺が(このハルケギニアにおいての)人間と同等の扱いをルイズから施されれば、それ即ち彼女はエルフの間者だという疑いをもたれることになるだろう。
そうなればルイズはトリステインの権力者の一存により捕らわれ、俺は主人を失うことになる。
 今現在、俺は自分自身をエルフではないと証明する術を知らないし、自分独りでハルケギニアで生きる術も知らないので、
今回以降もそれに則って生活しなければならない。
 しばらくして始まった唱和をBGMに、俺はボソボソとパンとスープを口に含んだ。
 
「授業?」
 食後、ルイズに同行を求められ、何処へ行くのかと尋ねれば、授業に出る為に教室へ行くとのことだった。
「そ、あんたも一緒に来なさい」
 そう言えば、ここは学校だったな。
「しかしだな、俺は魔法なんてわからなムグッ!」
 口に握り拳を差し込まれた。
「ここでそう言うことは言っちゃダメよ。周りの奴らはあんたがエルフで魔法を使えるって思い込んでるんだから。分かった?」
「……ひょうはい(了解)」
 む?
 握り拳が外されると、俺は慌てて後ろを振り向いた。突然の行動に、ルイズがどうしたのかと訊いてきた。
「視線を感じた」
 気配は既に無いようだが……気のせいだったか?
 
「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですね」
 教室に着き、後ろの壁にでも寄りかかってろと言われ、寄りかかりながら他の使い魔を見物していると、
紫のローブを身に着けた一人の中年女性が教室に入ってきて教壇に立ってこう言った。恐らく、教師だろう。
「このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔を見るのが楽しみなのですよ」
 言いながら、彼女は教室の中の使い魔達を眺めた。
「……ミス・ヴァリエールは随分と珍し……い、いえ、風変わりな使い魔を召喚したようですね?」
 途端に教室が重い沈黙に閉ざされた。
 ルイズを含む生徒達の、こちらの表情を窺うような視線をチラチラと感じる。こっち見んな。
 
 文字が解らないので授業を傍聴していたが、内容はどうやら一年生の授業の復習のようだった。
 この世界の魔法には、主流の火・水・土・風、そして失われたと言われている虚無の五つの系統があり、
中でも土系統の魔法はハルケギニアでの生活に密接に関わっているのだとか。
 練金という魔法で土を真鍮にあっさりと変えたのを見て、なるほどと思う。建築には欠かせなさそうだ。
「では、誰かに練金をやってもらうことにしましょう。ミス・ヴァリエール、やってみなさい」
「はい!」
 迷いの無い指名だった。最初から決めていたとも言える。ルイズは元気良く返事をし、立ち上がる。
 しかし、シュヴルーズ教諭の指名に室内がざわつき始め、生徒の一人がこう言った。
「先生、危険です。ゼロのルイズにやらせるなんて!」
 ゼロ?
「何故ですか? エルフを召喚した彼女になら出来る筈ですよ」
「で、でも……」
 シュヴルーズと生徒とが問答している間にルイズは教卓の前に到着した。他の生徒達が慌てて机の下に潜り込んだ。
 このままでは自分の身も危ないような気がして、彼らに倣って近くの空いている机に潜り込もうとした時だった。
 大爆発が起きた。
 室外に飛ばされ廊下の壁に腰を打った。 室内からは阿鼻叫喚の騒ぎが聞こえた。 他の使い魔が暴れ出したようだった。
 腰をさすりながら教室に戻ると、窓ガラスは割れ、教卓は粉々。他の生徒達の砦であった机も根元から折れて倒れていた。
 間近に居たシュヴルーズ教諭は、黒板に叩き付けられて失神していた。
 顔を煤だらけにしたルイズが、優雅にハンカチを取り出して顔を拭きながら呟いた。
「ちょっと失敗したわね」
「ちょっとじゃないだろ!」
 間髪入れずに、他の生徒達が文句を口々に叫んだ。
「魔法の成功率ゼロのルイズ!」
 そういう訳か。
845ゼロの伝説:2009/02/19(木) 10:54:54 ID:5dXw4WKV
 教室の清掃を命じられたルイズに付き添い、瓦礫を運び出しては箒で掃き出す作業をしている。
「幻滅したでしょ」
 ルイズが箒で床を掃きながら、呟くように俺に聞かせた。彼女は背を向けていた。
「魔法が使えて当たり前なのに、魔法が全く使えない貴族だなんて」
 自嘲気味に話していた。声がどことなく震えている。
 泣いているのかも知れない彼女に、俺は黙りこくっていることしか出来なかった。
 
 昼食である。
 と言っても、食堂に着いたときには、俺とルイズ以外はほとんど食べ終わりかけていた。
「時間を掛け過ぎたか」
 しかし、食事が早かろうと俺の食事は『固いパンに少ないスープ』だろう。
 遅ければ『更に固くなったパンと冷め切ったスープ』になる。最悪だ。最早スープではない。
 ルイズが悠々と席に座って食べ始める中で、何処かで見た人物がこちらを手招きしている姿が視界に入った。
 誰だったか。ああ、そうだ。今朝のメイドだ。シエスタと言ったか。
 パンを詰め込みスープで押し流すと、ルイズには用を足して来ると言って、退席した。
 
「生き返る心地だ」
 厨房で、俺はまかない食をご馳走になっていた。料理長のマルトーという男が、今朝のシエスタから話を聞いて俺のことを気に入ったらしい。
「へへっ、ありがとよ」
 柔らかいパンに熱々のスープ、そしてサラダまである。スープの匂いは食欲を更にそそった。
「しかし、エルフのあんたに口に合って良かったぜ。食う物は人間と同じなのかい?」
「……俺は、人間の食う物も好きだ。他の同朋はよく知らない」
 勿論、エルフが何を口にしているかは知らないが、俺個人の話にすれば誤魔化せる。この食事の恩人である彼には悪いが。
「そうか、それは何よりだ」
 彼は機嫌良く笑った。
「礼がしたい。俺に出来ることなら何でも手伝おう」
「義理堅いねぇ。それじゃ、これからデザートを運ぶからそれを手伝ってくれよ」
「分かった」
 デザートを運んで回る。
 ただの配膳だが、何となく緊張する。速く移動すると零してしまうし、遅いと客が待ちくたびれてしまう。
 
 テーブルに近付く度に怯えの視線を強く感じる配膳をしていると、金髪のカールで、薔薇の花を持った貴族が目に入った。気障と言うか、そのような雰囲気が彼にはあった。
「おい、ギーシュ。今は誰と付き合ってるんだよ」
 友人であろう一人が彼にそう尋ねた。貴族でも平民でも、似たような話題であることに親近感を覚える。
「付き合うだって? 僕にそのような特定の女性はいないよ。薔薇は多くの人を楽しませる為に咲くのだからね」
 ギーシュと呼ばれた青年貴族はそう返答した。野郎なんか見ても楽しくはないぞ。
 心の中で唾を吐いていると、彼のポケットから何かがずり落ちた。小瓶のような物だ。お人好しな性分の為に、俺はついついそれを拾って彼に渡そうとした。
「落ちたぞ」
 しかし、こちらを振り向こうとしない。聞こえてないのかと思ったが、こちらを見たり前を見たりで目が泳いでいた。彼にとっては何かマズイものらしい。
「お、それはミス・モンモランシーの香水じゃないか! と言うことは、モンモランシーと付き合ってるのかよ、ギーシュ?」
 彼の友人らしき生徒がこちらの持つ小瓶を見て、ギーシュと呼ばれた青年に尋ねた。
「知らないな。それは僕のでは……」
 ギーシュが弁解しようとすると、ギーシュやルイズとは色の違うマントを羽織った女生徒が近付き、彼の頬に平手打ちを喰らわせた。
「私のことは遊びだったんですね」
「ケ、ケティ、君は誤解をしているんだ」
「さようなら」
 もう一発平手打ちを逆頬に喰らわせ、彼女は走り去ってしまった。
 それから間もなく、まるでドリルのような巻き髪ツインテールの女生徒が彼に近付き、既に赤く腫れ上がった彼の頬に平手打ち。
「あなたの愛はよく解りました」
「待ってくれ、モンモランシー。彼女とは湖を散歩しただけで……」
「さよなら」
 ケティと呼ばれた女生徒と同じく逆頬にやはり平手を喰らわせ、モンモランシーと呼ばれた女生徒は歩き去った。
846ゼロの伝説:2009/02/19(木) 10:57:00 ID:5dXw4WKV
「待ちたまえ」
 一部始終を見て配膳の作業に戻ろうとした時、頬を赤く腫れ上がらせたギーシュがこちらを呼び止めた。
「君のせいで女性二人の名誉が傷付いた。どうしてくれるんだね」
「お、おい、ギーシュ! 止せって!」
 慌てて周りの生徒がギーシュに止める。だが、ギーシュは問題なさそうにこう言った。
「構いやしないよ。それに、僕は聞いたんだ。このエルフは魔法なんか使えない、偽物だとね。それならば、彼はただの耳の長い『平民』だ」
 こいつ……わざと大声で……。先程の視線はこいつの物だったか。
 同時に、後方から吹き出す音が聞こえた。咳き込む声からすると、ルイズのようだ。
 ギーシュの言葉に、俺とルイズに視線が集まった。先程の発言は正しいのかという疑惑と、魔法が使えないのなら何も怖くないという優越が入り混じった眼差しだった。
「……俺がエルフだろうと何だろうと、二股と言う女性への冒涜を、お前みたいにすることは無いがな」
 言い返してやると、彼はわなわなと肩を震わせ、指を俺に突き付けてこう言った。
「……君には貴族と平民との違いを思い知らせてやった方が良さそうだな。決闘だ! ヴェストリの広場で待つ!」
 そう言うと、彼は立ち去った。
 周りで見ていた生徒達は騒ぎ立て、ヴェストリの広場とやらへ向かったようだ。
 その様を呆然と見ていると、服を引っ張られた。ルイズだった。顔を青ざめさせたシエスタの姿も目に入った。
「あ、あんた、何やってるのよ!」
「デザートの配膳」
「そういうことじゃないわ! 今すぐギーシュに謝って来なさい」
「安心しろ。魔法を使う相手との戦闘には慣れてる」
 三回ぐらいしか経験してないが……いや、二……回……?
「あんたの世界の魔法がどんなのかは知らないけど、一方的に魔法を使える貴族に平民は勝てないわ」
「勝てば良いんだろ?」
 勝利主義的な俺の言葉に、ルイズは「えっ?」という顔をした。
「何にでも攻略法はある。弱点の無いものはない。神とかなら話は別だが」
 俺はルイズを説得させるべくそう言い、野次馬と化す為にヴェストリの広場へ向かうのであろう生徒達の群れを追いかけた。
 
「諸君、決闘だ!」
 ギーシュの言葉に、ヴェストリの広場に集まった野次馬が歓声を上げた。
「ギーシュが決闘するらしいぞ! 相手はルイズの使い魔だ!」
「ルイズの使い魔ってエルフだろ!? ヤバいんじゃないのか!?」
「魔法が使えないエルフらしいぞ」
 野次馬が口々に騒ぎ立てる。
 だが、気にしてもいられないので、広場の中央へと立ち、先に来ていたギーシュと睨み合う。
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。異論は?」
「無い」
 俺が了承すると、ギーシュは数歩下がって距離を取った。
「僕の二つ名は『青銅のギーシュ』だ」
「俺は、」
「平民の名前など聞く気はない!」
 ちょ、名乗らせろ!
「従って、青銅のゴーレムで相手をしてやろう」
 しかし彼は無視してそう言うと、彼は薔薇の造花を振った。どうやら、あれが杖のようだ。花びらが一枚舞い落ちる。
「行け、ワルキューレ!」
 地に着いた瞬間、花びらは女騎士を模したゴーレムに姿を変えた。ワルキューレはこちらに剣を向けながら突進してきた。
「よっ」
 軽く横跳びで回避する。スピードは普通だな。
 粗方の攻撃を避け尽くす頃には、ギーシュは第二、第三のワルキューレを生み出していた。「そろそろ攻撃させてもらおうか」
「ふっ、僕のワルキューレの連携をかいくぐるなど……」
 その時、轟音と共にワルキューレの胴体が粉々に吹き飛んだ。吹き飛んだ後には、単なる瓦礫と化したワルキューレと鎖付きの鉄球だけが残っていた。
「青銅は、鉄には勝てないみたいだな」
「な、な、な、な……」
 妙だな。観衆のどよめきが半端じゃない。チェーンハンマーで青銅騎士を粉砕しただけなのだが、そこまで騒ぐことだろうか。
「き、君……どこからその鉄球を取り出したのだね?」
 ギーシュが尋ねてきた。
 ……ん?
「ああ……いや、それは……この巾着袋に」
「そんな物に入るかァァァ!」
 怒号と共に二体のワルキューレが飛び掛かってくる。頭上でハンマーを振り回し、それらも一体目と同じように破壊した。
847ゼロの伝説:2009/02/19(木) 10:59:04 ID:5dXw4WKV
今回はここまでです。短くてすいません。
 
遅ればせながら、聖帝の人乙です。
848名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 12:13:30 ID:0Nk69PuK
神の手を持つ男、ゼロを召喚
破壊の杖が盗まれても、新たな本物を作るから何ともないぜ
849名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 12:18:28 ID:LUrGM4ku
>破壊の杖が盗まれても、新たな本物を作る
グランパ召喚がそんな感じだったな
850名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 12:19:34 ID:mLgatn3N
始祖のオルゴールやらを全く同じもの作ってオリジナルをぶち壊すんですね、わかります
851名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 12:57:11 ID:o90EAUde
リンクの人、乙です

>>「そんなものに入るかァァァ!」
い、言うてはならんことを・・・・・・
852名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 13:41:01 ID:1nHykgjl
水曜日に投下の仕方をおしえていただいたものです。
今日中には出来ませんが近いうちに投下させていただきたいと思います。
853名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 14:31:34 ID:wF0iEXp7
リンクの人乙。
まあ、魔法みたいなもんだよなww
854名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 15:19:27 ID:RYZn310S
「虫取り網(笑)」---涙目の魔法使い
855名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 15:34:31 ID:EETKj3JP
魔法ならなんでもはじき返せるわけじゃないぜ。
むしろはじき返せないものの方がずっと多いというか
856名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 15:51:38 ID:o90EAUde
ふと思ったが、リンクよりいっそにわとり召喚してしまえばいいのではなかろか
ヤツならスクェアメイジだろーが遍在だろーが七万の軍勢だろうが蹴散らすぞ、きっと
857名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 16:08:05 ID:DeDB53fI
>>856
たしか夢を見る島仕様だと燃やされたらアウト
858名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 16:20:43 ID:7Ts7T8P3
夢島ならワンワンだなw
859名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 17:42:26 ID:rQTtfVxt
アウターゾーンからミザリィ召喚

ええ、オスマンとフーケが涙目になります、別々の意味で
860名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 17:51:10 ID:NYQIJsxz
オスマンは時間を止める時計endか
おマチさんは……幸福の腕輪、何でも燃やす手のコルベール

いかん、ワルドが黒魔法でママンを生き返らせるというきれいなワルドルートが思い浮かんだが、
いつの間にか胸ポケットに人形を入れた駄目ワルドに入れ替わってしまったw
861名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 18:15:26 ID:Nr6bNOWO
短冊に願いをかけたら、ゾンビママンが出てきて死にかけたとこをミザリィに助けられるルートですね。わかります。
下のは、死神の手違いでルイズが死んで、魂が人形にINですね。わかります。
862名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:01:19 ID:4YQ3F5Cy
どうも鶏を召喚する言うと
某河辺に群棲する巨大カラーヒヨコを先に浮かべてしまうな・・・(汗)
863カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:02:36 ID:4Dv45m3O
どうもいきなりですがお久しぶりです。カービィの人です。
かなり放置してしまいましたが、使い魔のカービィ第12話の方が漸く書けました。
予約も見当たらないので8時10分位に投下したいと思います。
人少ないようですが、よかったら支援していただけると助かります。

それと今回からトリつけました。今回からはこれで行くので、よろしくお願いします。
864名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:05:13 ID:notqyxJ8
カービィの人キタ------(゚∀゚)------
865名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:05:38 ID:TNDYLHKO
うわぁーいカービィの人支援!
866カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:11:27 ID:4Dv45m3O
「こちらです」

そう言ってロングビルがルイズを連れて来たのは、小屋の近くにある少し拓けた場所だった。
切り株がいくつかあるところから、小屋の持ち主が薪の調達などに使っていた場所なのだろう。
推察もそこそこに、ルイズは頻りに辺りを見回し始めた。

しかし、そこにはルイズが求めているような物は無い。
あるのは古びた切り株とロングビルの後姿。
それとルイズの腕から飛び出し、切り株の上で遊んでいるカービィだけ。

「あの、ミス・ロングビル。さっき言っていたものは一体どこに?」
「ああ、それならここですよ」

振り向いたロングビルが持っていたのは、彼女の報告にあった黒いローブその物だった。
その色が、ルイズの脳裏に昨夜の映像をフラッシュバックさせる。
確信を持つためにルイズはもっと近くでよく確認しようと、ロングビルに駆け寄った。

「おっと、それ以上動くんじゃないよ!」

だが何の前触れもなく、ルイズの眼前にロングビルの杖突き立てられた。
謂れ無く突き付けられた杖にルイズは硬直。
切り株で遊んでいたカービィも、目を丸くしてロングビルとルイズを交互に見ている。
対するロングビルの口元は、普段の冷静な雰囲気からは想像も出来ないほど嫌らしく歪んでいた。

「ったく。ガキの癖に盗賊を強請ろうなんて、随分図太い神経してるねぇ」
「盗賊? 強請る?」
「ここまで来ると感心するよ。あんたは『イイ貴族サマ』になるだろうよ」

皮肉たっぷりに言い放つロングビルだったが、ルイズにはその真意を半分も汲み取ることが出来ない。
分かるのは、彼女と自分の間に何か大きな誤解がという名の溝が生まれていることだけだった。

「ミ、ミス・ロングビル。さっきから話が見えないのだけれど……」
「まだしらばっくれる気かい!?」
「ひっ!」
「ぽよっ!?」

怒号と共にロングビルの杖を握る力が一層強まる。
覇気を含んだ怒号に、ルイズは思わず目を瞑った。
その声にカービィもやっと状況を把握し、ルイズの足元へ飛び付く。

「あんたにあたしの正体がバレてるのは分かってるんだよ」
867カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:12:30 ID:4Dv45m3O
―――――えっ?

一瞬だけ、ルイズはロングビルの言葉を理解することが出来なかった。
その間にもロングビルは言葉を続ける。

「使い魔と主人の感覚は繋がっている。メイジの常識だろう?」

今度はちゃんとルイズの頭に言葉が情報として入ってきた。
そしてロングビルの言葉を理解したルイズは、先程感じた大きな溝の正体に気がついた。

「昨日の晩、あんたの使い魔はあたしの顔をバッチリ見てるんだよ」

簡単な話である。要は、カービィという存在が非常識だったのだ。
『使い魔は主人の目となり耳となる』というメイジの一般常識から外れていた。ただそれだけの事。
その為に、目の前の人物は盛大に勘違いし、ルイズを頭の中で悪女に仕立て上げ、勝手に自分の正体まで明かしてしまったのだ。

「だからあんたがあたしの、『怪盗フーケ』の顔を知らないわけがないだろう?」

言いたい事を言い放ったロングビル。いや、怪盗フーケの顔には、まだあの嫌らしい笑みが浮かんでいた。
だが、その表情は真実を理解したルイズにはこの上なく滑稽に映る。
貴族たちを恐怖に陥れている怪盗フーケの痴態を目の前にしているのだ。無理もないだろう。

「ぷふぅ」
「は?」
「ぽよぉ?」

ルイズは必死に笑いを堪えようと雑草だらけの地面を凝視したが、笑いは既に口から漏れ出していた。
気の抜けるような音を出したルイズの噴き出しに、間抜けな声で答えるカービィとフーケ。
これが引き金となったのか、ルイズの我慢は機能する前に限界を迎えた。

「あはっ、あははははは! お、おっかし、あははははははは!」
「な、何笑ってるんだい!?」

今度はフーケが困惑する番だった。
急に笑い出したルイズを前に、先程の笑みが引き攣りに変わる。
しかしルイズもルイズで、笑ってしまった以上もう止まれない。
込み上げてくる笑いを鎮めながら顔を上げる。

「く、くくく……あ、あんたね、勘違いしてるのよ!」
「勘違い、だぁ?」
868カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:13:57 ID:4Dv45m3O
怪訝そうな顔を浮かべ、フーケは構えていた杖を握る手に力を込める。
そんな事はお構い無しに、ルイズは勝気な姿勢を崩さない。

「そう、勘違い。カービィはね、他の使い魔とは違うのよ」
「何言ってんだい。使い魔に種族以外の違いも何もあるもんか」
「でも違うのよ。カービィと私は感覚を共有してないの。つまり、カービィの見聞きしているものは、私にはこれっぽっちも伝わって来ていないってことよ!!」

キュルケがこの場にいたら確実に笑い飛ばしていたであろう事を堂々と言い放つルイズ。
昂っている感情によって、本人がそれを自虐だと気付いていないのが救いであろう。
フーケはそれを聞いて、漸くルイズが笑いだした理由に気が付いたようだ。

「それじゃあ、あたしは」
「そ、勝手に勘違いして勝手に正体を明かしてくれたって訳!」

推理小説に登場する名探偵宜しく、ルイズはフーケに杖を突き付ける。
勝ちを確信したルイズは、高らかに叫んだ。それはもう清々しいほどに。

「さぁ、お喋りはここまでよ! 潔く捕まって『煌きの星』を」
「で、そんな事バラしてどうするんだい?」
「えっ?」

ルイズの決め台詞は、フーケのたった一言に遮られた。
同時に昂っていた感情は消沈し、冷静な思考が戻ってくる。
確かに、フーケの汚点を白昼の元に晒したところでルイズには何もメリットはない。
推理小説のように、犯人を追いつめ罪を認めさせればハッピーエンド。とは行かないのだ。
寧ろ実力差が大きく開いている相手の神経を逆撫でして、自分自身の身に危険が――

そこまで考えて、ルイズは鋭い殺気が自分の周りを包んでいるのに気が付いた。
いや、冷静に考えていれば、フーケを問い質せばこうなる事は簡単に予測できたのだ。

「さぁて、元からあんた達を生かしておく気はなかったけど……こりゃ本格的にヤらないとダメみたいだねぇ」

地響きとともに、フーケの視線がルイズの遥か上へ上へと昇って行く。
もちろん、フーケが巨大化したわけではない。
フーケの足元の地面が盛り上がり、巨大なゴーレムとなったのだ。
しかし、ルイズにはこの激しい地響きがフーケの怒りその物に思えてならなかった。

「と、とにかく退散よ!」
「ぽよおぉ!?」

ルイズは足下で右往左往しているカービィを引っ掴むと、一目散に小屋へと走った。
869名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:14:07 ID:ZzgRgua+
カービィきた!これで勝つる!
870カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:14:56 ID:4Dv45m3O
この時、ルイズはシエスタを連れて来なかった自分に心の底から感謝した。
彼女がいたら、間違いなく自分と共に危ない目に逢っていただろう。
そんな事を考えているうちに、ルイズの視界に小屋とキュルケ達の姿が入ってきた。
ルイズが駆け寄って来るのに気が付いたのか、キュルケ達もルイズ達へ駆け寄る。

「ヴァリエール、どこ行ってたのよ! あんたとカービィの姿は見えないわ、突然ゴーレムが出てくるわ、おまけにミス・ロングビルまで居なくなって!」
「そのミス・ロングビルがフーケだったのよ!」
「なんだって! それは本当かい!?」
「細かい話は後! 今はとにかくあのゴーレムから逃げないと、私たちみんなあのゴーレムに潰されちゃうわ!」

状況が全く把握できていない三人にも、ルイズから焦燥感が伝わる。
その間にも、ゴーレムは刻一刻と小屋へと近付いて来ていた。
時間がないことを悟ったキュルケがタバサへ視線を送る。

「タバサ、あなたの使い魔で何とか逃げられない!?」
「足止め出来れば、可能」
「だ、そうよ?」

キュルケが視線をルイズへ戻すと、その手には杖が握られている。
ギーシュ、タバサ、そしてキュルケも同じく杖を手にしており、臨戦態勢は既に整っていた。

「ファイア・ボール!」

最初に動いたのはキュルケとタバサだった。
灼熱の火球と槍状の氷塊がゴーレムへ襲いかかり、直撃する。
しかし、火球は軽い焦げ跡、氷塊はそのまま突き刺さり、大したダメージを与えることは出来ない。
続いてギーシュが二体のワルキューレを出現させたが、闇雲に向かわせたためにあっという間にゴーレムに踏み潰されてしまった。

「僕のワルキューレが、あんな簡単に……」
「弱音吐いてる暇があったら攻撃しなさい! ファイア・ボール!」

追撃とばかりにルイズはキュルケと同じルーンを唱えるが、発生したのはまたも爆発だった。
やはり駄目かと奥歯を噛みしめるルイズ。
しかし爆煙が晴れた先には、爆発によって抉られたゴーレムの胸があった。

(やった!)

誰もがそう思った次の瞬間、爆発によって抉られた穴は辺りの土によって瞬く間に修復されていった。

「くっ、なんて奴なの!」
871カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:16:19 ID:4Dv45m3O
「今は時間を稼げばいい。無駄でも攻撃して」

毒気付くルイズの横で、タバサは淡々と攻撃を続ける。
その様子に勇気づけられたのか、ルイズ、キュルケ、ギーシュは再びゴーレムに向かって総攻撃を始めた。

一方、ゴーレムに乗っているフーケはこの状況がむず痒くなってきていた。
最初こそたっぷり遊んでやろうと思っていたのだが、ルイズの失敗魔法を受けてからはそうも言っていられなくなったのだ。
確かにゴーレムはいくら攻撃を受けても修復するが、爆発の際の衝撃を緩和させることは出来ない。
次の一発が来る前に、早々に片付けてしまおうとゴーレムの歩みを急がせた。
しかし、ゴーレムが片足を上げたまさにその時。フーケの恐れていた一発が上げられた片足を直撃した。

「うあぁ!?」

大きな衝撃に大勢を崩すフーケとゴーレム。
なんとか横転という最悪の事態は免れたが、フーケの懐から仄かに光る何かが滑り落ちた。

「ちょっ! 冗談じゃないよ!?」

フーケは必死に手を伸ばすが、何かは彼女の指の間を虚しくもすり抜けていった。
そして地上で失敗魔法を成功させたルイズは、フーケの手から落ちて行った物を見逃さなかった。
そう、間違いない。あれは――

「『煌きの星』っ!」

意識した瞬間、ルイズは落下点へ向け一目散に走っていた。
背後で仲間が彼女を引きとめる声も聞かずに。
『煌きの星』はその名の如く、流れ星のように地面へと落下していく。
落下まで約15メイル、10メイル、5メイル、3メイル――――

(間に合う!!)

ルイズは落下点へ滑り込み、地上スレスレのところで『煌きの星』をキャッチした。

「やった!!」

手中で輝く『煌きの星』を見つめながら、ルイズは直ぐ様立ち上がった。
これで後はこの場から逃げるだけ――
仲間の下へ駆けだそうとしたのと、ルイズの視界が暗くなったのはほぼ同時だった。

「返しな! それはあたしの獲物だよ!」
872カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:17:50 ID:4Dv45m3O
天からの怒声にルイズが頭上を見上げると、そこにはゴーレムの巨大な掌が迫っていた。

「ヴァリエール! 逃げなさい!」

キュルケの悲鳴にも似た叫びに従い逃げようとするが、足が動かない。
ここに来て恐怖が一気にルイズに襲いかかって来たのだ。
掌はもうそこまで来ている。
ルイズはどうしようもなくなり、ただ強く目を瞑った。

「ぽよおぉぉ!!」

聞きなれた使い魔の声と共に、ルイズの腰に柔らかいものがぶつかった。
棒のようになっていた足ではその衝撃に耐えることが出来ず、ルイズはそのまま突き飛ばされた。

「痛っ!」

突き飛ばされた衝撃で膝を擦り剥いたが、ルイズにとってはそんな事はどうでも良かった。
さっきの声、腰にぶつかった柔らかいもの。そして、軽い怪我程度で済んでいる今の自分。
間違いであって欲しかった。
ついさっきまでゴーレムの掌があった場所を見ると、今にも握りつぶされそうなカービィがそこにいた。

「ぐ、ぴぃ……」
「カービィ!!」

擦り剥いた膝の痛みも忘れてルイズは立ち上がった。
杖を構え、離れていくゴーレムの手を追いかける。
ゴーレムに捕まり苦しがっているカービィを助ける為に。
しかし、目の前を横切った白い影が、カービィの下へ向かっていたルイズを浚った。

「ヴァリエール、大丈夫!?」
「えっ、ツェルプストー? ……こ、ここは?」
「ミス・タバサの風竜の上だよ。よかった、大した怪我は無さそうだ」

キュルケとギーシュが安堵の表情でルイズを覗き込んでいる。
ルイズが二人から視線を外すと、確かにそこは風竜の背の上だった。
先頭にはタバサが座っており、横手にはあの巨大なゴーレムが――

「そ、そうだわ! カービィを助けなきゃ! タバサ、風竜をゴーレムに近付けて!」
「……それは出来ない」
「ど、どうして!?」

ルイズはタバサに詰め寄ろうとしたが、キュルケがそれを許さなかった。
キュルケはルイズの肩を掴みむと、自分の方へ引き寄せる。
873名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:19:52 ID:D3lSNCeb
しえん
874名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:20:02 ID:Wq/3eYPr
……ふぅ

あっ支援
875カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:20:45 ID:4Dv45m3O
「あんただって分かってるでしょ? 今逃げないと、下手したら私達全員」
「だからってカービィを見捨てろって言うの!?」

四人の間に沈黙が走る。
誰しもカービィを見捨てたくない気持ちは同じだった。
しかし、相手は何度も再生する巨大なゴーレム。
切り札とも言えるカービィの剣士の姿も、あのゴーレムの前では歯が立たなかった。
選択肢は、一つしかない。

しかし、ルイズはその選択肢を蹴った。

「私だけでも下ろして!」
「なっ!? ルイズ、君は!」
「分かってるわよ! 私の力じゃ敵うわけないってことくらい!!」

ギーシュの止めの言葉もまともに聞かず、ルイズは叫ぶ。

「でも、カービィは私を助けてくれたの! そして、カービィは今助けが必要なの!!」

手にしていた『煌きの星』を握りしめ、ルイズは再び立ち上がった。
今度こそカービィを助けに行くために。


「私は貴族よ! 魔法が使えるだけがそうじゃない! 助けを求めている相手に背を向けないのが貴族なのよ!!」


刹那、ルイズの掌から眩い光が溢れ出した。
ルイズが掌を見ると、先程まで仄かに光っていただけの『煌きの星』が激しく輝いている。

「な、なに、これ……?」

不思議なことに、ルイズは掌の上で力強く輝く物体に微塵も恐怖を感じなかった。
それどころか、この光に優しさすら感じるのだ。
他の三人も同じようで、光を見つめる三人の目に恐怖の色は無かった。

そしてゴーレムの手の中で今にも潰されそうになっているカービィも、この力強い光を感じ取っていた。
同時に、みるみる体に力が湧いて行く。
自分は、これを知っている。
ププビレッジに初めて墜落した日に、ある少女の祈りによって覚醒した力の源。
星の戦士である証。

(ワープ……スター……)
876カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:22:31 ID:4Dv45m3O
「きゃ!?」

『煌きの星』――ワープスターはルイズの手を離れると、ゴーレムの手目掛けて飛んで行った。
大きさは元の形状の数十倍になり、飛行のスピードも速い。
タバサの風竜に匹敵するのではないかという速度で激突されたのだから、いかにゴーレムの頑丈な拳でもたまったものではなかった。
激突した個所から罅が入り、完全に砕け散ると同時にカービィが姿を現す。

「ぽよ!」
「カービィ!!」

慣れた様子でワープスターに飛び乗り、ルイズに手を振るカービィ。
だが、そんな悠長な時間を与えてくれる程フーケはお優しくはなかった。

「この! あたしのお宝横取りしやがって!」

フーケはゴーレムの腕をブンブンと振り回しカービィを落とそうとするが、小さく小回りも利く空中の相手を捕える事は出来ない。
カービィはゴーレムの周りを飛び回りながら、フーケを撹乱し続けた。

「これなら、イケるわ!」

これを好機と読んだルイズは背中のデルフを引き抜いく。

「さぁ! 出番よ!」
「お、おい、娘っ子……ま、まさか今回もアレをやるなんて言わないよな……」

引き抜かれて早々、デルフの鍔はカタカタと震えていた。
前回吸い込まれたときに余ほど怖い思いをしたのだろうか。
長い年月を過ごしてきたデルフがこれほど怖がるとは、一体何が……
しかし、ルイズはその震えをきっと武者震いの類だろうと解釈した。

「私に買われたのが運の尽きよ、諦めなさい」
「そ、そりゃないぜぇ!」
「カービィ! 吸い込みよ!!」

ゴーレムの横腹辺りを飛行していたカービィは、ルイズの合図と共に大きな口を開けて吸い込みを始めた。
空気が風となり、風が渦となってカービィの口に吸い込まれていく。

「や、やめろ! やめろぉ!!」
「そぉれ!!」
「ぎいぃゃぁあああああああああああああああああああ!!!」
877名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:24:31 ID:sQBaUOGQ
しえん
878カービィの人 ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:25:37 ID:4Dv45m3O
絶叫と共に問答無用で投げられたデルフは、抵抗空しくカービィの下へと飛んで行った。
しかし、デルフの前にカービィの口の中へ吸い込まれたものがあった。
それは、タバサの放った水魔法・シャベリンの氷塊。
溶けずにゴーレムに突き刺さっていたそれがカービィの吸い込みの勢いで抜け、そのまま口の中へ吸い込まれたのだ。
デルフが口内に収まる前に、カービィは天高く飛翔した。

眩い光がカービィを包み、その姿を変えてゆく。
しかし、今回はいつもと様子が違った。
剣を吸い込んだ時とは違い、カービィの周りに冷気が生まれたのだ。
光が収まると、そこにはルイズが予想していた『ソードカービィ』とは全く違う姿のカービィがいた。
帽子にはクリスタスにも引けを取らないほど美しく輝く氷塊があしらわれ、ピンク色の体は真っ青になっている。
この姿こそ冷気を自在に操る戦士、『アイスカービィ』

「か、変わった……!?」

新しいカービィの姿に、ルイズはただ呆気に取られると同時に頭痛を引き起こしていた。
『煌きの星』がカービィの乗り物となり、そのカービィが新しい姿へと変身。
余りにもルイズの想定外のことが置きすぎているのだ、頭痛になるのも仕方のないことだろう。
だが、ルイズは嬉しくもあった。
『煌きの星』の発した輝きが、彼女の意思に答えてくれたものだと直感的に理解していたからだ。

変身を終えワープスターに再び飛び乗ったカービィは、再びゴーレムの下へ向かっていく。
途中死にそうな叫び声を上げて飛んで来たデルフを空中で回収し、高速で接近していく。
未知の姿への変身にフーケは驚きを隠せなかったが、向かって来たカービィを認め考えるのを止めた。

「調子に乗るんじゃないよ! このボール!」

更に激しくゴーレムの腕を振り回すが、その鈍重な動きではカービィを捕えることすらままならなかった。
そうこうしているうちに、カービィが冷気を吐きながらゴーレムの周りを何度も何度も周り始める。
最初は何をしているのか見当も付かなかったフーケだが、すぐにその真意を知ることになった。

「こ、こいつ! ゴーレムを丸ごと凍らせてる!?」

水のスクウェアメイジですら、このサイズのゴーレムを凍らせるのは難しいだろう。
それなのに、カービィはすでにゴーレムの下半身を完全に凍らせているのだ。
足の関節部が完全に凍らされてしまったためか、ゴーレムはもう歩くことが出来ない。

「嘘だろ、あ、あたしがこんなところで……」

カービィは既に上半身の半分を凍らせていた。
ここまで来たら、土くれのフーケと言えども何も出来ない。
ゴーレムの肩で、彼女はガックリと膝をついた。
そして、無意識に、呟いた。

「あ、悪魔……」

フーケが顔を上げると、そこには剣を振り上げゴーレムを真っ二つ切り裂いて行くカービィの姿があった。
――やっぱり、悪魔だ。
凍結したゴーレムが崩れていく中、フーケは破片と共に落下しながらそんな事を考えていた。
879名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:28:12 ID:g3cbUOVO
無限の可能性を秘めたピンクボール支援
880名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:30:09 ID:+JgTIHpe
何でも食べちゃう支援
881カービィの人(携帯) ◆15ZjR5mv3o :2009/02/19(木) 20:33:32 ID:C7/8iTtT
最後の最後でサル喰らいましたorz
最後の1レスは代理投下スレでお願いしてきます。
支援して下さった方々、ありがとうございました。
882代理のカービィ:2009/02/19(木) 20:38:16 ID:nKCOX76Z
サルさん食らってしまいました。
申し訳ないんですが、どなたか代理投下をお願いします。

 
 
 
「ん、ん……」
「フーケが目覚めた」
「本当!?」

フーケが目を覚ますと、そこは行きに使った馬車の中だった。
どうやら縛られているようで、身動きが一切取れない。
うっすらとぼやけているフーケの視界には、ルイズ、キュルケ、タバサが自分を覗き込んでいる姿があった。

「やれやれ、あの麗しいミス・ロングビルがフーケだったなんてね……綺麗なバラには棘があるってことかな?」
「いいからあんたは手綱を握ってなさい」

ルイズにはいはいと軽く返事をし、ギーシュは再び馬車の運転に専念した。
張本人ながら先程まで殺されかけていた学生の集まりとは、フーケにはとても思えなかった。
そこでふと、フーケは先程のことを思い出す。
自分はゴーレムから落下したあとどうなっただろうか?

「あの後、あたしは一体……」
「ゴーレムから落っこちていくところをカービィが助けたのよ」
「なんだって?」

フーケは頭だけを必死で動かすと、足元でカービィがぐっすりと眠っているのを見つけた。
先程までの雄姿がまるで嘘のような寝顔だ。
その寝顔に毒気を抜かれたのか、フーケはルイズにあることを尋ねてみることにした。

「……なんで」
「ん?」
「なんでこいつはあたしを助けたんだい? あたしはあんたらを殺そうとしてたんだよ?」
「ああ、そんなこと」

ルイズは眠っているカービィを自らの膝の上へ乗せた。
余ほど疲れたのだろうか、全く目覚める様子がない。

「カービィは優しいからよ」

当り前のように言い放ったルイズの言葉に、フーケは思わず噴き出しそうになった。
あれだけの力があって、あれだけの強さがあって、優しい?
そんなのは嘘に決まっている。いつだって強い奴は弱者を虐げるものだ。
強くて優しい奴なんて、所詮はおとぎ話の世界の住人。
でももし、本当にそんな奴がいるのなら。

それは悪魔じゃなくて、勇者と言うんじゃなかろうか―――

「は、はは……本当になんなんだい、こいつは?」
「決まってるでしょ」

カービィの頭を一撫ですると、ルイズは得意気に呟いた。

「私の使い魔よ」
883名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:42:23 ID:C7/8iTtT
>>882
代理人さんどうもありがとうございました!
884名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:49:28 ID:HVlb0Ooo
カービィかっけぇ!
悪魔だけどw
885名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:52:41 ID:2bA5TGzD
さすが星の戦士にしてピンクの悪魔
そして敵を真っ二つは何気にアニメのお家芸だと思う
886名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 20:54:17 ID:DFeC27gu
ピンクの悪魔乙!
887名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 21:38:22 ID:kIiWj/3I
さすが俺たちのピンクボール!



そろそろぜろろの続きが読みたいなあ

後、サザンアイズ帰ってきてほしい
888名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 21:41:36 ID:u45e2xst
カービィの人乙



…あれでる…いやなんでもない
889名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 21:55:28 ID:54x3jjPz
「伝説の剣はじめました」クロスの人は秘密のお店で「破壊の杖」を買ってきてイベント終わりネタを
やってくれると思ってたな、そういや
890名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 21:55:49 ID:MinfsDBQ
カービィの人GJ!
アニメ版は巨大な敵も問題なかったからマジで悪魔だw
891名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:09:41 ID:+3ZHXGVF
カービィの人お疲れ様!

でも、デルフがうわなにをするやめr
892名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:36:48 ID:baZ5QTgQ
予約がないようなら22:45より、シーン17の運命の扉を開きます。
予定では20kb、後書きを含めると9レスとなる予定。
893名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:38:09 ID:UXeGI4ES
待ってたよ
支援
894名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:38:10 ID:8M/pmF0D
>>892
出来ればタイトルもお願いします
895ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 22:42:25 ID:baZ5QTgQ
また題名忘れてた…orz
というわけで、ゴーストステップ・ゼロです
896名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:42:34 ID:+kif80EO
扉を開くと来たらあの人しかおるまい

でもタイトルつけてくれ(単に忘れただけだと思うが
897名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:44:06 ID:BwyfJE42
メタラーでアニメ好きー 第六期
http://mamono.2ch.net/test/read.html/hrhm/1234961546/l100
898名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:44:10 ID:8M/pmF0D
>>895
失礼致しました。

待機
899ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 22:49:09 ID:baZ5QTgQ
大丈夫みたいなので、運命の扉を開きます。

“女神の杵”亭の中庭で行われたヒューとワルドの手合せは、ワルドの勝利という形で終結した。

「ちょっと、ヒュー!大丈夫なの?」

ヒューが飛ばされた[実際には飛び込んだ]飼い葉の山に、ルイズが慌てて駆け寄る。
するとどうだろう、ルイズがあと数歩の所まで近付いた時、中から飼い葉にまみれたヒューが出てきた。

「やれやれ、えらい目に遭った。」

ゴーストステップ・ゼロ  シーン17 “Masquerade”

    シーンカード:カブトワリ(挫折/作戦失敗。極めて危険な状況の発生。崩壊。根本からの破壊。)

見た所、怪我らしい怪我もない。内心、安堵したルイズだったが、口からは全く正反対の言葉が出てくる。

「何言ってるの、メイジ相手に手合せして怪我一つしてないんだから、運がいい方よ。これに懲りたら、少しは御主人様の言う事を聞く事ね。」
「善処するよ。」
「アンタね…。」

ヒューが身体やコートに付いた飼い葉を叩いて落としながら、ルイズに言葉を返していると、対戦相手のワルドが笑みを浮か
べて歩み寄って来た。

「助かったよ、ヒュー君。お蔭で大分勘を取り戻せた、ところで怪我はないかな?十分手加減はしたと思っているんだが。」
「ああ、この通り、ピンピンしてる。流石は魔法衛視隊の隊長を務めているだけのことはある。」
「君も中々のものさ、切り込まれた時は肝が冷えたよ。」
「お世辞として受け取っておこうか。ところでルイズお嬢さん。」
「何?」
「さしあたって今日はする事も無いだろうし、俺は部屋にいる、何かあったら呼びに来てくれ。」
「何、勝手に決めてるのよ」
「とはいってもな、フネは明日にならないと出ない。レコン・キスタの目があるかもしれないから外出も控える、どうしても
宿にいる事になるんだ。なら、部屋か食堂にいるしかないだろう?」
「それはそうだけど…。」
「まぁ、飯時には下りてくるよ。じゃあ子爵、ルイズお嬢さんの相手を押し付けるようで悪いがよろしく頼む。」
「言われるまでも無いさ、ルイズの事は僕に任せて君は十分休養を取るといい。」
「子爵がいればちょっとした外出も問題ないだろうしな、今の内に美味い食事でも摂って来たらいいんじゃないか?」

ルイズの襟を整えながらそう言うと、ヒューは宿の中へと戻っていった。

立ち去るヒューの背中を見ながら、ワルドは目的の完遂に確信を抱いた。何しろ一番の懸念事項だった存在が唯の平民だと
判明したからだ。
確かにあの常軌を逸した体術は脅威だが、所詮は魔法を使えない平民、スクエアの自分に敵うはずもない。第一、手合せでは
切り札は勿論、殺傷力が高い呪文すら封印して勝利したのだ。実戦ならば遠慮する必要もない、次の機会で始末できるだろう。
ワルドはトントン拍子に進んでいく現状に内心、笑いが止まらなかった。

「さて、ヒュー君の提案でもあるし、どうだろうルイズ、昼食は外で摂らないか?」
「ええ、私はいいけど…」

言いよどんだルイズの背中を後押ししたのは、ギーシュだった。
900ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 22:51:13 ID:baZ5QTgQ
「そうだね、子爵も一緒だし、何より昼食なら問題ないんじゃないかな。」
「ギーシュ?」
「聞けば子爵とは婚約者同士というじゃないか。ならばこの機に少しでも互いの事を知っていく事は、今後の為にもなるん
じゃないか?」

確かにギーシュの言葉にも一理ある。何よりヒューやギーシュとは違い、数年越しの間なのだ、相手がどんな人物か見る事も
大事だろう。

「そうね、それじゃあワルド、エスコートしてくださる?」
「喜んで、ミ・レディ。」
「それじゃあ、ギーシュ。私達は食事を摂ったら、もう一度フネの予定を聞いてみるわ。ヒューに聞かれたら、そう言って
ちょうだい。」
「ああ、分かったよルイズ。楽しんでくるといい。」

そうした会話が終わり、納得したルイズはワルドと連れ立って食事へと出かけた。
901名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:51:23 ID:mAJgXJfq
支援
902名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:52:07 ID:+kif80EO
支援砲撃を開始する
903ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 22:53:06 ID:baZ5QTgQ
時間は少々進み、舞台はヒューとギーシュが泊まっている部屋に移る。
ヒューは先程、手に入れたワルドの映像と声紋データを<ポケットロン>に移し終わった所だった、傍らには厨房で用意して
もらった食事のサンドイッチが置いてある。
さて、これから検証を始めようか等と考えながら、サンドイッチを取ろうと手を伸ばした時、不意に扉が開かれた。

「邪魔するわよ、ヒュー…って何これ。」

盗み聞き防止の為に、扉を覆う様に掛けていたシーツを跳ね除けながらキュルケとタバサが部屋に入ってくる。

「ノック位欲しいものだけどな。何か用か?」
「ちょっと聞きたい事があるのよ。」
「聞きたい事?」
「子爵との手合せ。」
「そう、手を抜いたんじゃないかって、この子が言うのよ。」

キュルケとタバサの目的を聞いたヒューは、とりあえず理由を聞く事にする。

「中々面白い話だな、理由は?」
「三つある、一つは貴方の戦い方。ギーシュと戦った時の技を使っていない。」
「唯の手合せだからな、特に必要ないだろう、子爵も手加減してたしな。」
「そう、特に必要なかった…この手合せ自体が。これが二つ目」
「ギーシュにワルキューレを出してもらえばいいだけだものね。」
「なるほどな、そういう手もあったか。で、最後の三つ目は?」
「女の勘「よ」」
「オーケイ、分かったよ。そこまで言われたら白状するしかないな。」

ヒューは両手を上げて苦笑すると、2人に椅子を勧めて自分はベッドに腰掛ける。

「さて、何を聞きたい?」
「何故、手合せを受けたのか、その理由。」

ある意味、核心を突くタバサの質問のヒューは暫く考えた後、答え始めた。

「実は今朝方教えた情報とは別の情報がある。」
「貴方また隠し事してたの?」
「言えない理由がある…。」

呆れた様にキュルケが声を上げる隣で、タバサがその理由を推察する。
ヒューはタバサに頷いて見せると、次いで口に指を当てて扉と窓を指差す。
その仕草を理解したタバサがサイレンスを、キュルケがロックを窓と扉に掛ける。

「これでいいの?ヒュー。」
「ああ、こういう時に魔法は助かるな。」
「いいから話す。」
「さて、先にこいつを見てくれ。」

そう言ってヒューが出したのは、自分の<ポケットロン>だった。ディスプレイには昨晩の白仮面が映っている。

「これは…、何処かの路地裏ね?時間の表示から見ると夜みたいだけど。」
「そう、こいつは昨日の夜、宿に帰る俺を待ち伏せていたメイジだ。」
「!」
「それって!」
「そう、レコン・キスタだろうな。」
「じゃあ、ルイズと子爵が危ないじゃない!」

ヒューから聞いた話にいきり立つキュルケをタバサが抑える。
904名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:53:48 ID:g8nlVFIz
支援
905ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 22:54:59 ID:baZ5QTgQ
「何よ、タバサ。あの2人が危ないのよ?」
「だったら先にヒューが止めてる。」
「……何か理由があるの?ヒュー。」
「少し考えて見ると簡単なんだけどな」
「タイミングが早すぎる?」
「タイミング?」
「そう、君らのお蔭で情報の拡散はある程度抑えられたからな。今の所、この件を知っているのは俺達を含めても10人前後
じゃないかと思っている。」
「そうね、私達が把握しているだけで7人だもの。」
「けど、内6人は一緒にいる。」
「さて、ここで問題だ。白仮面は何故、俺を待ち伏せした…いや、できたんだ?」

2人はヒューが言った言葉を理解すると、その意味に唖然となった。
それはそうだろう、アンリエッタ姫が学園でルイズに話す前に誰かに漏らさない限り、このタイミングで待ち受ける事は不可
能といっても間違い無い。そうなると疑惑はただ1人に絞られる。

「まさか、あのワルド子爵が…」
「けど、彼以外漏らす人間がいない。」
【かなり低い確率で物取りの可能性もあるけどな】
「そこで、“これ”だ」

と、言いつつヒューは<ポケットロン>を操作する。音量を操作し最大近いレベルに上げた後、動画を再生。
2人の、というよりヒューの一方的な話の後、白仮面がエア=ハンマーを唱えた瞬間、再生を止める。次いで先程の手合せで
ワルドがエア=ハンマーを唱える場面を再生。悪戯っぽい笑いを浮かべたヒューは、2人に尋ねる。

「さて、何か気が付いたかい?」
「詠唱速度、声色共に」
「似てるわね」
「そう、似ているだけだ。」
「?」
「どういう事、これが証拠じゃないの?」
「似ているだけなら良く似た他人、という可能性もある。そこで、こうする」

さらに<ポケットロン>を操作し、二つの呪文を同時に再生・声紋を表示する。

「何?この変な模様。」
「こいつは声紋のパターンさ。」
「声紋?」
「声紋を説明する前に一つ話をしようか。音とは何か説明できるかい?」
「音?」
「よく分からないわね、音は音じゃないの?」

訝しげな2人にヒューは、身振り手振りを交えて軽い説明を始める。

「残念ながらそれだけじゃないのさ。音というのは波・振動の事でもある。」
「波や振動?」
「そう、遠くに声を届けるには大声を出すだろう?それは大きな波を空気に与えているという事だ。
 小さな声だと小さい波しか生まれない、だから遠くへその声は届かない。」
「水面に波紋を出すのと同じ原理?」
「そう、正にその通り。大きな波紋はより強い波を発生させる。
 人は声を出す際、呼気で声帯と呼ばれる器官や人体の様々な場所を振動させて、それぞれ固有の声を出す。
 何しろ体全体の問題だからな、いくら声色を真似ようとも誤魔化しが効かないモノの一つだ。」
「なるほどね…。ああ、あのシーツはその為?」
「?」
「よく分かったな。そう、盗聴防止用だよ、焼け石に水程度のものだけどね。」
「で、どうなの?ヒュー。その声紋って…」
「ドンピシャ、一致したよ。」

予想通りの結果が出た事にヒューは何の感慨も受けていないようだった。
906名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:56:05 ID:+kif80EO
紫煙
907ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 22:56:50 ID:baZ5QTgQ
【で、相棒。これからどうするんだ?】
「暫く泳いでもらうさ。」
「どうしてよ、すぐに捕まえれば楽じゃない。というよりルイズは大丈夫なの?」
「なるべく被害が出ないようにしたいんだよ、一応スクエアだから何が出てくるか分かったものじゃない。
 やるとすると、俺達が手紙を取り戻した後だな。少なくともそれまではルイズお嬢さんが必要だし、その方がヤツにとって
も都合がいいはずだ。
 ところでお2人さん、それとデルフ。」
「何?」「何かしら。」【何だい、相棒】
「風の魔法で注意しときたい魔法ってあるか?」
【そりゃあ、アレじゃねえか?】
「偏在」
「ああ、確かにね。あれは厄介だわ。」
「それは、どんな魔法なんだ?」

ヒュー以外の2人と1本が口を揃えて言う、“偏在”なる魔法に興味を引かれて聞いてみる。

【風が何処にでもある事を象徴する魔法でな、魔法で自分と同じ存在を作り出すのさ。】
「しかも、その存在は自己判断可能な上、魔法も使う。」
「距離とか関係無しに出てくるしね、おかげでミスタ・ギトーの煩い事といったら…。」

練金に続く魔法の不条理をヒューはまた一つ知った。
頭を抱えているヒューの肩を叩いて励ましたキュルケが、疑問を口にした。

「ところでヒューって、いつ位から子爵が怪しいって思ってたわけ?」
「そうだな、いつ位かというと…襲われた時かな、この映像を見てくれ。今朝の子爵と昨日の夜の白仮面だ…何か気付いた事は?」
「杖?」
「そういえば確かに似ているわね。」
【加えてご丁寧に顔まで隠しているしな、関係者だって白状しているようなものさ。】
「一応、それでも魔法衛視隊の誰かという可能性も考えていたんだが。まさか本人とは…いや、もしかしたらこれこそ偏在な
のかもしれないな。」
「可能性はある。」
「そうね、この時間帯なら私達まだ起きてただろうし、偏在と考えた方がいいでしょうね。」
「全く、面倒な話だ。」
「ところで、この事を他の2人に言わなくてもいいわけ?」
「止めた方がいい。」
【だな】
「あら、どうしてよ。戦力は多い方がいいじゃない?」
【無理だって、あの2人に腹芸…隠し事ができると思うかい?】
「……無理ね。」
「態度でばれる。」
「という事でね、いいタイミングを見計らって何とかする他ないのさ。」
「なるほどね、分かったわ。何かあったら私達も手を貸してあげる。」

そう言うと、2人は窓と扉に掛かっていた魔法を解除した後、自分達の部屋へと戻っていった。
908名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:57:07 ID:8M/pmF0D
支援
909名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:57:17 ID:5bqyswji
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910名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:57:49 ID:5bqyswji
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911名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:58:30 ID:5bqyswji
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   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
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 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ / 
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>
912ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 22:58:51 ID:baZ5QTgQ
その後、ルイズとワルドが宿に戻り、ヒューを除いた全員が夕食を摂り終えた頃だろうか。
食後の弛んだ空気は宿の軒先から響いてきた怒号によって、いささか強引に終わりを告げた。

「いたぞ!この宿だ!」

着込んでいる鎧や、手に持つ様々な武器から見て傭兵の類だろうか。平時であれば、躊躇なく盗賊に鞍替えしそうな雰囲気の
連中だ。
その一団はルイズ達を見つけると、警告も何もせず飛び道具を射掛けて来る。
襲われた方はテーブルの下に急ぎ避難すると、床に固定されているテーブルの足を練金で崩して、即席のバリケードにする。

「何なのあいつら!」
「恐らく、レコン・キスタに雇われた連中だろう。」
「でしょうね、こちらの戦力が多いから削りに来たのかしら?」
「そう考えるのが妥当。」
「し、しかし、どうするんだね。連中、玄関から射掛けてくるだけで此方に攻め込んで来ないが…。」

ギーシュがそんな疑問を口にした瞬間、ここにいなかった男の声が突如響いてきた。

「トリック・オア・トリート。
 どうしたんだい、いきなりエキサイティングなシーンじゃないか。」
「ヒュー!アンタ何してたのよ。」
「メシを食いに下りようかと思ったら、いきなり騒動が始まってたからな。ほら、全員分の荷物だ。
 で、どういう状況なんだい?」
「どういうも何も無いわ、連中いきなり襲ってきたのよ。」
「反撃は?」
「魔法の有効射程外」
「恐らく、連中の中に対メイジ戦の経験がある人物がいるんだろうな。」
「可能性はある、もしかしたら雇ったヤツの指示かもしれないが…。」

ワルドの予想をヒューが補足する。そんな2人にルイズが焦れたように話しかける。

「で、どうするの?」
「どうするもな、これじゃあ千日手だよ。此方は攻め込めない、向うも決定力不足。しばらく待ってれば矢が尽きて撤退する
だろう……そうか、連中は足止めが目的だ。」
「どういう事?」
「なるほど、僕にも分かったよヒュー君。ルイズ、レコン・キスタの目的はフネだ、連中はフネを飛ばせない様にするのが
目的なんだよ。」
「何ですって!」
「確かに、時間を稼げばこの任務の意味は失われる。」
「じゃあ、のんびりなんてしてられないわね。」
「大変じゃないか!そうなると何が何でも連中を退けないと。」

レコン・キスタの目的を知ったタバサ以外の学生はいきり立った、そんな彼等にワルドが語り始める。

「良いかな、諸君。このような任務では半数でも目的の場所へ辿り着ければ、成功とされる。そこで囮組とアルビオン組に分
けようと思うのだが。」
「ただでさえ少ない戦力を分ける必要は無いだろう。」
「ほう、ヒュー君にはこの状況を打開する秘策でもあるのかな?」

自分が提案した作戦を真っ向から否定した平民に、ワルドは不快感を押し隠して質問を返す。
返されたヒューは、自分の荷物から緑色の筒のような物を取り出す。ギーシュやワルドは知らなかったが、ルイズ達は、それ
が<破壊の杖>と呼ばれている物と、どこか似通った雰囲気を感じていた。
913名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:59:10 ID:anUSkwWe
>>909
ちょwwwなんで薙ぎ払うのさ!
支援
914名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 22:59:17 ID:5bqyswji
                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    / 
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
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 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
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        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
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                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>
915ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 23:00:56 ID:baZ5QTgQ
「策じゃなくて道具だけどな。タバサ、俺がこいつを投げたら、風で玄関の外まで飛ばしてもらえるか?」
「分かった。」
「いいか、こいつを投げたら目と耳をしっかり塞ぐ事。しなかったらえらい目に合うからな。」

ヒューの真剣な表情にルイズ達はただ頷き、早々と目と耳を塞いでいた。

「タバサ、準備は?」
「いつでも」

タバサの返事を聞いたヒューは、筒の上部に付いていたピンを引き抜くと、襲撃者達に向かって放り投げた。次いでタバサが
風で玄関口に放り込む。
ヒューとタバサはバリケードの内側に伏せて目と耳を塞ぐ。
次の瞬間。ルイズ達の耳に甲高い轟音が響き、目蓋の裏側には閃光が瞬いた。

「い、一体何が…」
「う〜、まだ耳がキンキンするよ。」

塞ぎ方が甘かったのか、ワルドとギーシュがふらふらとする頭で周りを見回すと。先程までの喧騒が嘘の様に静まり返っていた。
そんな2人にヒューが笑いを含んだ声で話しかけてくる。

「ギーシュ、子爵。大丈夫か?」
「ああ、何とかね。」
「ヒュー、今のは一体。」
「話は後だ、今は桟橋に行こう。多分そっちにはメイジもいるはずだ。」

ヒューに促されて立ち上がったワルドが見たのは。宿の外で、呻きながら倒れ伏す傭兵達だった。
恐らく、さっきの閃光と轟音が彼等に何らかのダメージを与えたのだろう。


宿を出たルイズ達はワルドの先導で桟橋へ向かっていた、殿はヒューが勤めている。
しっかりとした造りの建造物があればシルフィードやグリフォンを呼んだのだが、生憎とそこまで建築技術が発達していな
かったので、全員が足を動かす事になった。
暫くラ・ロシエールの街を進むと、そこには巨大な樹木が聳え立っていた。
流石にニューロエイジに存在する、超高層ビルやアーコロジー、軌道エレベーターには及ばないが、自然にできた物として見
ると、なるほどこれは驚愕に値する光景だ。
見ると、樹木には木の実の様に船舶が吊り下げられている。恐らくあれが空を行くフネというものだろう。
吊り下げている枝毎に、樹を巻く様に階段が取り付けられている。

「ちょっとまて、あれを上るのか?」
「何言ってるの、上らないとフネに乗れないでしょう。」
「もしや、ヒュー君は高い所が苦手なのかな。」
「いや、流石にそんな事は無いんだが。待ち伏せの可能性がある以上、ここは危険だろう。」
「だけど、登らないわけにはいかないよヒュー。」
「いや、別に馬鹿正直に階段を登る必要はないだろう。子爵がグリフォンをタバサがシルフィードを呼んで、直接乗り付け
ればいいじゃないか。」
「た、確かにそうだが。」
「周囲を見た所そういった幻獣はいないようだし、待ち伏せされていてもフネに潜伏していない以上、問題は無いだろう。」
「じゃあ、タバサお願いね。」

ヒューの真っ当な意見にワルドは反論を封じられた上、いち早くキュルケがタバサに頼んでしまった為、ワルドもグリフォン
を呼ばざるを得なくなった。
916名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:01:06 ID:qE9HMesT
まだ速えよw支援
917名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:01:49 ID:V5N2up30
ただの荒らしだろ
918ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 23:02:49 ID:baZ5QTgQ
シルフィードとグリフォンが到着するまでの間、ルイズ達はヒューに先程の道具について質問をしていた。

「ところで、さっきの道具って何だったの?」
「そうそう、まだ耳鳴りがするよ。」
「ギーシュ、忠告はしたはずだぞ。あれは<スパイスガール>っていう俺の故郷の道具だ。効果はさっき経験した通り、強烈
な閃光と轟音で効果範囲の対象に対してダメージを与える非殺傷兵器さ。」
「たかが光と音であんな惨状になるのかい?」
「光や音は馬鹿にしたもんじゃないぞ、俺の故郷では武器だってある。光や音は人を殺せるんだ。」

ヒューの言葉に興味を引かれたのか、ワルドが会話に入ってくる。

「ほう、例えばどういった原理で人を殺すのかな?差し障りがなければ教えて欲しいな。」
「レンズで光を集て火をつけるのと原理は同じさ、詳しい事は専門家じゃないから、聞かれても説明は難しいな。
 来たみたいだな。」

「ああ、そのようだ。」
【あぶねぇ!避けろ相棒!】

「がぁっ!」

全員がシルフィードとグリフォンを確認した刹那、デルフの警告に無意識に従ったヒューの左肩を風の刃が切り裂いて行く。
ヒューの肩から血が噴水の様に迸る、反射的に傷口を押さえてエア=カッターが飛んできた方向を見ると、其処には白仮面を
被った偏在ワルドが杖を構えて立っていた。

「やれやれ、こんな所までおでましとは。少しばかり超過労働じゃないのか?ミスタ・クラウン。」
「ヒュー!」
「危ない!下がっているんだルイズ!」
「ワルド!でもヒューが」
「分かっている、どちらにしろあのメイジがいなくなるまで幻獣に乗れない。お嬢さん方、それにギーシュ君。ルイズと幻獣
を守ってくれ。」
「任せておいて」
「承知」
「わ、分かりました!」

学生達に指示を出したワルドは、ヒューの横に出る。

「やれそうかね?」
「何とかね、利き腕じゃなくて助かったよ。利き腕だったらワインを飲むにも一苦労するところだ。」
「減らず口をそれだけ言えれば上等だろう。ではいこうか」

ワルドの言葉と共に、2人は弾ける様に左右に分かれる。直後、白仮面が放ったエア=ハンマーが、先程まで2人がいた空間
に炸裂する。
左に飛んだワルドが、移動しながら生成したエア=ニードルで刺突を繰り出す。
その動き、呪文詠唱。共に“閃光”の2つ名に相応しい鋭さ、速度、苛烈さを持っていた。
ワルドが突き出したエア=ニードルは白仮面の胸を深々と抉り取る、そうして次の呪文を矢継ぎ早に唱える。
その射線上にはヒューがおり、さらにその向うには断崖があったが、その呪文は止まらなかった。

右に飛んだヒューは、デルフリンガーを右手一本で抜き放ち、白仮面に斬り付けていた。
その時、ヒューには笑みを浮かべたワルドが白仮面の胸を抉りながら、次の呪文を詠唱しているのが見え・聞こえた。
昨日の夜から都合2回、直に聞いた間違えるはずが無い呪文、エア=ハンマーの呪文。
後は断崖絶壁。なるほど、用済みの偏在を消すと同時に俺を始末する気か、と確信する。

(けど、まぁ残念ながらこれ位、N◎VAじゃあ日常茶飯事さ!)
919ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 23:04:40 ID:baZ5QTgQ
ヒューの意識が加速する、意思の力は時として肉体の枷を取り外し、人に奇跡を約束する。
視界はモノクロームに置き換わり、世界は限りなく静止していく。
仮初の静止した世界の中、ヒューだけが自由だった。そう、この瞬間、ヒューは己ができる事なら何でも出来る、ワルドの首
を落とす事さえ…。
しかし、今はまだ無理だ。そう、≪このワルドが本体だという確証が無い限り≫、目の前の道化師[クラウン]を消した所で、
次の道化師が出てくるだけだ。毒蛇は頭を潰すに限る、だからこそ今は泳がせる。

ヒューはワルドの背後に着地して、一つ息を吐く。

ヒューの意識がゆっくりと元の早さに戻り、オンボロの肉体に再び枷が嵌められる。
視界はモノクロームから色鮮やかな世界に、世界は時を取り戻していく。



ワルドの呪文が完成する、エア=ハンマーが己の偏在を目障りな平民ごと断崖の向うに打ち落とす。
これで、自分の計画を阻む要素が一つ減った、ルイズ再び孤独になり自分を頼る事になるだろう。
全くもって笑いが止まらなかった。ああ、ルイズ達に背を向けていて良かった、もしこの笑いを見られていたら面倒だったろう。

「トリック・オア・トリート。
 お見事だな、子爵。流石は魔法衛視隊の隊長サマ、全くもって見事な手際だったよ。」

瞬間、ワルドの身体は動きを止め、心は凍りついた。
何故だ、何故、背後からあの男の声が聞こえる!偏在と共に断崖から落としたはず…、こいつも偏在を使えるのか?
いや、あいつは杖を持っていなかった!無事な方の手には剣を持っていたじゃないか!
ワルドはヒューが何なのか、さっぱり分からなかった。妙な知識と道具を持っている、頭が回るだけの唯の平民だと思っていた。
しかし、“それ”は己が必殺を期して放った攻撃を避けきったどころか、気配も感じさせずにすぐ傍にまで近寄っていたのだ。
一体、己の婚約者は何を呼び出したのだ?虚無の使い魔というのは、須らくこの様な化け物だというのか。
ワルドの胸中には、この旅に出る前の高揚など、最早一片たりとも残ってはいなかった。
今、彼の心を占めるのは、得体のしれない使い魔に対する恐怖と、これから先の旅に対する不安だけだった。



襲撃者の追撃を辛くもかわしたルイズ達は、当初の予定を半日ほど繰り上げてラ・ロシエールを発ち、天空の国へと旅立つのだった。
920名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:04:42 ID:aqUtSoLd
支援
921ゴーストステップ・ゼロ:2009/02/19(木) 23:06:27 ID:baZ5QTgQ
シーン17
三つ
…トーキョーN◎VAの高等警察“ブラックハウンド機動捜査課”の課長・千早冴子の決め台詞
『その理由は3つあります』のパロディ。
 ファンの方がいたらすいませんでした。

声紋
…以前の足跡と同様、最近の技術は凄いです。性別、顔形、身長、年齢等が特定できるようです。
 まぁ、本体と偏在が同一の声紋を持っているかは疑問が残りますが、この話では同一としています。

超高層ビル
…イワヤトビルの事。
 正式名称は「日本国東京新星市総督府」。高さ3000m、“日本”への入り口がある。

アーコロジー
…完全都市型建造物の事。
 N◎VAには、各メガ=コーポが誇る高さ1500mにも及ぶアーコロジーがある。

スパイスガール(I)
…JOJOに出てくるスタンドの名前…ではなく。作中にもあった様にスタングレネードの事。
 ゲーム内ではバックファイアと呼ばれる不利な影響を与える武装だが、作中では普通に影響させてます。


支援ありがとうございました。
投下中に薙ぎ払いは勘弁して欲しい、どきどきだよ!

ようやく、ラ・ロシエールを脱出できたー。
とりあえず、神業一つ使っちゃいましたが、格好良ければいいよね。

それと、ワルドごめん。
922名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:08:01 ID:TNDYLHKO
ヒューの人乙!!
薙ぎ払われるなんて、N◎VAでもロスでも日常茶飯事ですね。
923名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:11:20 ID:+kif80EO

ヒューカッコヨス
924名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:14:02 ID:XJ+N3Ydl
乙。ここまで判りやすく道化なのも珍しいw
925名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:17:04 ID:cFMuQ5au
1000まで行きそうだな
926名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:18:30 ID:mAJgXJfq
乙でした
今更だがワルドが可哀想になってきたw
927名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:21:11 ID:UXeGI4ES
確実に先手先手を取られてしまってる上に、隠し玉であるはずの偏在まで
既に把握されてしまってるからな。
ホントに、お話になりませんの状態w
928名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:25:46 ID:0c+x76kf
1000なら構想倒れのSSを書き始める!
929名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:31:21 ID:Zgh/JlIM
930より上だったら、次の話を土曜日までに頑張って書き上げて投下する。
930名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:31:44 ID:Zgh/JlIM
しまったsage忘れた。
931名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:32:08 ID:+kif80EO
>>927
本格的に仕掛ける前に手の内を見せすぎたワルドの自業自得


____とはいいませんよ
932名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:33:50 ID:Fc/wS3Bb
>>930
合わせ技一本ということでよろしく
933名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:42:03 ID:Zk5Ls9Bb
>>930
何を書くんだい?きたいしてるぜ
934名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:56:48 ID:75uSj4MD
>>929
お前やる気ねーだろ
935名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/19(木) 23:58:04 ID:75uSj4MD
すまんすまん
>>933>>928宛てね
936名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 00:15:49 ID:1HjiTXtL
このスレが1000まで行ったら気合で風邪治して日曜までに書き上げる。
937名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 00:20:48 ID:SBdDW+bN
>>931
仙里算総眼…はこの前やったな
938名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 00:57:50 ID:ysiCvBzD
残り容量と残レス数的に、投下のしづらい状況だなぁ…
939名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 00:58:49 ID:kCunC4TC
>>950まで行きそうだから明日でいいんじゃない?
940名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:02:49 ID:btMJJJm4
>>940なら最新話日曜日に投下・・・したい
941名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:07:57 ID:hDiUsHPr
1000なら一気に5話投下する
942名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:15:37 ID:PVjeNoA/
>>942なら一巻の終わりまで投下したい
943名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:18:12 ID:kCunC4TC
>>940-942
お前ら覚悟して安価取ろうとしてきてる人ですよね?
944名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:19:37 ID:32cQtAy/
>>943
そいつらはマンモーニなんだ、釣ろうとしてるだけなんだよ。ペッシだけに。
945名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:19:40 ID:qDX2QO7h
1000なら、このスレのうちにできる限りの投下を行う
946名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:21:14 ID:fgKqMam2
1000を取る気もないのに1000ならとか言うんじゃないわよ
947名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:22:13 ID:CuXVrCDk
嗚呼、チンポがかゆい
948名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:23:06 ID:t5OkVbT/
950なら今月中に今書いているのを完成させて投下
949名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:34:11 ID:owAeiQK4
950名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:34:56 ID:owAeiQK4
おやすみなさい
951名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:36:11 ID:fDPyGPvo
テンプレぐらい張ろうぜ、と言いかけてそんなもの無かったのに気付いた。
952名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 01:51:15 ID:fgKqMam2
久しぶりにスレが埋まるかな
953名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 02:01:36 ID:PmpL/uke
                         _,  ―――― 、
                     , ‐ ':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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                   !:::::::::::::|L-イ十ト-ヽ: : | .斗--マ:::: |: : :: |
                  ヽ :::: : |ヘ::/_{ヽ  ヽゝ_」\:: ヘ|::|: : :: |
                   ヽ\:ヽヤイr=ミ     ヽイ二ヾ、:}/: :: :: |
                    ゝヘY ハュリ       辷リ /: : : :: /
                    /::/: :| `ー  ,    `ー' /:: :: :::/
                    /: :| : :|           /:. ::.:: /
                      ∧: :|:: ::ヽ    o      /:: : :: /
                  / |::::|::: :: ::>      .,イ::/:: :.:/
                   { ∧ |::/ ̄ | ` -  ´/〃/:: ::/
                       ! { ヘリ__, -‐|     {/:/: :/
              / ̄`ーrr―ヘ{::::::: /‐   - ‐/ //
            / /二二ス__入/       }::イ ̄`ーr――-、
           / / ーニニ7           Wヘ ::\::{::::::::::::::: ヽ
         / W   `―、ノ              ヘ:::: ヘ:::::::::::::::::::|
        /::: / {    スヘノ                    }::::::::\/ :::::::::|
        |::::::/. │ ,,イ::: /                    | :::::::::::| ::::::::: |
         {/{   ムイ/::::/      , '   ヽ       /:::::::::::::|::::::::::::ヘ
        | ヘ   ∨{:::/ーr―− '       ヽ      / ::::::::::: /::::::::::::: ヘ
        |  \ ヽl/:::::|     ,  " ̄ ̄`ヽ  ` 、 _ /:::::::::::::::/:::::::::::::::::: ヘ
.        /|ヽ     o7:::::::|    ヽ/ /    `ー=rz/::::::::::: /::::::::::::::::::::/
       /:{:::|:::::\0/ ::::::: l     入/ /       7\: /:|―――、/
       {:::∨ ::::/:|::::::::::/     /  `イ く ̄`マ―‐/   \/::::/::::::/´
      \;;{/::::::/;;; '      ,'     「イ   |.\/    /ヘく―‐:::}
       /:::::::::::/´         |    | ||  │ /    /::::::\ヾ‐::|
.     /::::::/::::/          ,|.   /| ||   ヘ/ o   O.|::::::::::::: ヘ:::く
   /::::: /:::::::/          ^ |  / 1イ!   `ー┬―イ|::::::::::::::::::ハソ
 /_:/::::::::: /          |  / .!ノ       .|::::::: ヘ ::::::::::::::: /
. {/:/|:::::::::: 人          | / /}       /::::::::::: ヘ:::::::: /
. |:: /  | :::::: /  \        |,/ /ソ       /::::::::::::::::::N/
. |;/  .!::::: ∧   { \      /ソヘ///     /::::::::::::::::::::|
./     ヽ;;/  、 |ミニ`7ー――‐{ /「了 ̄ ̄ ̄/ ::::::::::::::::::: |
.         、| ‐メ- ニ ミ‐/| ∧ト‐―‐  /:::::::::::::::::::::::::|
          l /  ヾソ/ハ /\|    ム┬―‐┬-、:::|
          ヽ{゙` ー/ /ヽY   |\     仏ソ  | ::: ヾ|
            ヾ=/  / /∧  |  ヘ    //   ,':::::::: リ
           /   / // ∧ |、  ヘ  /イ  /:::::::::::::}
           /     .,' // / ヘイ ヽ  }.    /::::::::: /
.         /     l 〃 /   イ} │/    /:::::::/
       /        .|  { l  /∧ l/    /__/
.     /          |  | | / │ ヽ{.    /
   /            .|  |/    |   リ  /
. /              | 人     ノ.   /
954名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 02:02:44 ID:RnBnDCFZ
>>952
微妙ですね。
955名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 02:15:05 ID:SBoTsAkM
>>953
おにんにんついてる?
956名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 02:42:44 ID:lm1Wx1ff
/ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽミミ《ii(!!!/ヽ、/ヾ彡彡'三ミミヽノヽ
|  フンッ   |iッ、ヾ!i川( メ彡ミ彡'´,==ヾ巛彡
ゝ、____ノ  `゙''‐=ミヽ/=ヽi|//彡》ミ)、ヾ、メノ
ミミミミミミミミi       ヽ ヾミツ''' ヘ彡ヽ リ/
ミミミ/ ̄ヾツ     ヽ  ヽ   )  |三キ´((ミ、_ノ
ミミ/::::::::::          \ i  |    |、 ヾヽ
ミ/:::::::  ,ァェ三ミミミャ、  ヽ .i l / ri》ミニミャ、、
゙::::::::   '     ヾミッ、,, 丿i::i i ./,ッ彡ノ‐-─、ヽヽ、
::::::::::::    ‐-、__、ヽヾミミ彡ノノ彡'_ノミミミヽ-彡ヾ、
ヽ:::::::::.    ` `‐-',‐`ゝ、゙' /-‐'´)ミミミ=-`´ヽ  ヽ
:::::i-、:::::       ̄ノ  ..:ヽ !ヽ  |  ヾミミヽ
::: |:::::ヽ :::   /´/ ..:::::::_i i ::/ミ==-    俺だけ
:::..ヽ::::__ノ 、       ( `  )/ミヾ))
:ヽ、>´: ! i        ⌒ ''´/ミ<ハ      仲間外れかよ・・・・・・
:::::::ヽ:::: ヽ      ,/,二ニ'フ/!i|川  リ
::::::::::ヽ:::: )   , =ニ、_'ー-' .i'-‐┴‐-=、_
:::::::::.. ヽ、_ヽ     `ー‐,';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ、
`'ヽ‐:::::  ゙ヽ、:: /ヽ、, /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
;;;;;;;;\     ヽ、;::....  ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i
957名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 02:42:58 ID:HjScczVS
もっこりしてるしついてるでしょ
958名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 02:53:29 ID:2lGEX7Nc
俺的にはついてるほうg いやなんでもない
959名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 03:03:13 ID:28S/dfY/
キスダムの哀羽シュウで小ネタくらいの短めのものを書こうと思って、途中まで進めたんだが、確認したい部分があるのにDVD出てないからどうしようもない
960名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 03:04:53 ID:HjScczVS
シエスタってメイドで巨乳な女の子らしい
961名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 03:06:18 ID:fgKqMam2
>>959
キに
スる
ダけ
ムだ
962名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 03:15:53 ID:2lGEX7Nc
>>961吹いたwwwww

けどすごく的を得ていると思います…
963名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 07:14:37 ID:5A3gY80y
以前から良く出る FSSのすえぞう召喚 
その都度、「すえがあの世界から居なくなったらデモンにジョーカーが滅びるので速攻迎えが来る」
と反論出まくりだが、ふと、「ハルケギニア=未来のジュノーorカステポー」ならアリだと気付いた。
(ついでに「すえ相当のアバレ」ならすえその物でなくてもLEDの幼生であればいいのだし)
964鋼の人 ◆qtfp0iDgnk :2009/02/20(金) 08:55:23 ID:ysiCvBzD
ぁー、投下したいけど容量きついし、かといって次スレに行っていいのか迷うのですが…。
965名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 08:59:59 ID:wgHWBq5V
次スレにしとけば?支援もするよ
正味千取りしたいだけだが
966名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 09:11:28 ID:jMnB6oQv
・・・・ちょっと次スレ立ててくる
967名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 09:13:26 ID:wgHWBq5V
>>949あたりで次スレ立ってなかった?
968名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 09:16:28 ID:jMnB6oQv
ゴメン、確認を怠っていたわ。
再利用するなりしてくれ

先に立っていた方
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1235061194/

オレが立てた方
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1235088757/


マジでスマソ orz
969名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 09:32:27 ID:fgKqMam2
>>968
これは新手の荒らしか
いや、勘ぐりすぎだね
970名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 09:52:16 ID:2lGEX7Nc
さぁさぁ1000までうめうめ
971名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 09:57:09 ID:gV+1Ieah
うまるか?  でもうめ
972名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 09:59:16 ID:fgKqMam2
うめーうめー
973名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 10:34:35 ID:2lGEX7Nc
うめーうめーうめー
974名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 10:39:15 ID:Vb+6oM1P
975なら究極超人あ〜る召還
975名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 10:59:52 ID:kGKdqdNm
975なら対艦思考弾体バルシシシア・ギルガガガントス召還
976名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 11:57:47 ID:PfrrQ1cj
>975
キュルケが埋もれるわw
リヴァイアサンにしとけ
977名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 12:11:32 ID:e84KnkV1
>>976
ルーン補正があってもルイズに子守が出来るとは思えん・・・
初日で学園が吹き飛ぶぞ
978名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 12:49:05 ID:jncqe39g
979名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 13:10:03 ID:5FE79Hel
誰かバキ呼ぼう
980名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 13:17:55 ID:s3ENJwkw
魔法には足技が(ry
981名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 13:22:42 ID:VNkxpoq7
ウエストウッドで生き返ったら
「範馬刃牙復活ッ! 範馬刃牙復活ッ! 範馬刃牙復活ッ!」
982名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 13:25:48 ID:w6Nl8hvE
SAGAでルイズとやるわけか
983名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 13:31:37 ID:W1trcfHh
そういえばバキも今、ある意味でクロスものやってたよな。
恐竜時代からのクロス……
984名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 13:49:28 ID:gT3+JcTH
つまりジュラシックパークやディノクライシスからクロスしろと。
…というか同じ雑誌で連載してる『白亜紀恐竜奇譚 竜の国のユタ』という作品があったな。
985名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 13:58:56 ID:qUtrO5xe
ユダ様がどうしたって?
986名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 14:03:11 ID:uJh2llpP
>>981
キャオラッッ!!とか叫びながらワルドが蹴り入れてそうだな。
てか、烈さんもツンデレだしな。ある意味。
987名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 14:05:22 ID:tTn+x/D5
シンのほうがいいぞ
5クトや雷震衝をぶっぱしまくり
ありえないコンボやら動きでgdgdな戦闘しつつもなぜか勝っているシン
そして寝起き状態だと別人
988名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 14:06:34 ID:ySwdmGbt
1000ならどまんじゅう召喚する
989名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 14:13:30 ID:bUSYipcU
1000ならワンピースから麦わら海賊団を召喚する話を今月中に書いて投下する。
990名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 14:28:47 ID:9Zynnyxc
1000ならACfAから最凶オペ子召喚
991名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 14:38:48 ID:kGKdqdNm
アミバ様召還
カトレアが実験台になりそうだがw
992名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 14:42:00 ID:qUtrO5xe
>>991
そこは原作トキにしてやれよw
小ネタのACトキはワルドがカワイソスすぎる
993名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 14:53:50 ID:8JxM0eyn
>>992
原作トキでも有情なだけで強いからな。どっちみちワルドが泣くな
994名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 14:57:42 ID:iW4tmDz/
有情?
ハルケギニアに召喚されるべきトキは、世紀末スポーツアクションゲーム以外にありえない
胡坐を掻く先、死屍累々・・・
995名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 15:03:11 ID:aXirzNvl
>>987
シンじゃなくて5様じゃねーかww
それなら某魔法戦士喚んでほしいなw
996名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 15:07:21 ID:ZOZ5WJdV
流れを読まずに埋め小ネタ
 
 ルイズが召喚したのは氷のような水色髪の剣士の青年だった。
 冷静沈着といった面持ちであったが、意外に熱血な一面があった。
 
 召喚後、最初の授業。
 ミス・シュヴルーズはルイズの使い魔である青年を見てこう言った。
「ミス・ヴァリエールは変わった使い魔を召喚したのですね」
 彼女の言葉に教室が笑いの渦に包まれ、まるで風のようなガラガラ声の一人の男子生徒が笑いながらルイズを馬鹿にした。
「召喚が成功しなかったからって、そこら辺を歩いてた平民を連れてくるなよ! ゼロのルイズ!」
「ちゃんと召喚は成功したわよ! 風邪っ引きのマルコリヌ!」
「僕は風邪っ引きじゃない!」
「いいえ、そんなガラガラ声、誰が聞いても風邪っ引きよ!」
「ふん、魔法が使えないだなんて、君は貴族じゃなくて平民だな! 平民同士で仲良くやればいい!」
「止めろ」
 ルイズとマルコリヌの口喧嘩を、青年が諫めた。
「貴族でも平民でも関係ない、俺達は同じ『ヒト』だ。喧嘩することじゃない。
 ……姿形は違っていても、クレアはクレアなんだ……なのに俺は……俺は……!」
「ちょ、ちょっとあんた?」
 教室が冷気に包まれ始めた。
「クレアアアアアアアアアアアア!!!!」
 青年の絶叫と共に、彼の『氷のフォルス』が暴走し、教室は氷漬けとなった。
 学園内の火のメイジ達が全ての氷を解かすのに、しばらく時間が掛かったと言われている。
 
 
 テイルズオブリバースよりヴェイグ・リュングベルを召喚。
997名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 15:11:57 ID:a/kyzbMa
>>987>>995
別のシンでは駄目か?
「貴族の誇りとやらの綺麗事を振りかざすのはヴァリエールのお家芸だな!!」
998名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 15:17:11 ID:fDPyGPvo
>>997
ルイズは綺麗事は言うけどそれを実践しようとするから問題ないんじゃね?
しかも真っ当にそれをやるし、現実も見失わない。
あいつらの綺麗事はほんと見た目だけで、実践するときも中身はスカスカかドロドロだからな。
999名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 15:19:26 ID:hqyyqV8p
>>998
実践(笑)
現実も見失わない(笑)
1000名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 15:20:12 ID:UpqWPX08
>>1000なら黒の剣の人が書き終わって投下。
10011001
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