あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part198

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1名無しさん@お腹いっぱい。
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。



(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part197
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1229558886/



まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/




     _             ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /    ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′    ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
             ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!




     _       
     〃  ^ヽ      ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
    J{  ハ从{_,    ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
    ノルノー゚ノjし     内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
   /く{ {丈} }つ    ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   l く/_jlム! |     ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
   レ-ヘじフ〜l      ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。





.   ,ィ =个=、      ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’     ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
               姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
              SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
              レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:08:58 ID:O5X7HSbM
>>1乙Good
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:09:18 ID:H6SPy/AK
96 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/12/04(木) 03:08:31 ID:DO3FnTGf
皆様、感想、雑談をぶった切るような形での書き込み。初めに謝罪をしておきます。
本スレに書くものかと思ったのですが、一応気になったので書き込みをします。私、この板ではリリカルなのはクロスとゼロの使い魔クロス、この二つのスレ・まとめサイトをよく見ております。
そんな中で、ふと気になりましたのが、先日投下されました「使い魔の左手、悪魔の右手」氏の作品、第一話の事です。
DMC4のクロスはまだまだ少なく私も大好物ですが、読んでいて思ったのです。召喚される前、ネロとキリエのシーンの文が、リリカルクロススレの方で連載されている作品によく似ていると。
その作品は、DMC4とのクロス、「魔法少女リリカルなのは〜DEVIL HUNTEERS〜」氏の同名作品です。
その第5話後半、シグナムとフェイトがネロを次元犯罪者と勘違いし、地球まで追ってきて、ネロ達と出会う場面の文及び描写と酷似している部分があります。

悪魔の右手氏
『城塞都市フォルトゥナ、ミティスの森
フォルトゥナ城を過ぎた辺りにある、ラテン語で「優しい」を意味する広大な森。
そのフォルトゥナで信仰されている宗教、再建が進む魔剣教団の本部が一望できるその場所で
二人のカップルが歩いている。』

リリカルなのはDHS第5話 
『何かを知っている。フェイトは今度こそは失敗しない事を胸に誓い、歩いて行く。
2人が向かうは、ミティスの森。フォルトゥナ城を過ぎた辺りにある、ラテン語で「優しい」を意味する広大な森だ。 』

悪魔の右手氏
『「ネロ」
「何だい?キリエ」
ネロ、と呼ばれた青年が振り返る。
「いつ来てもここは…素敵なところね、小鳥のさえずりと川のせせらぎがよく聞こえるわ」
「静かっちゃ静かなんだがな…」
「あなたとの時間もとても長く感じれる」
キリエ、と呼ばれた美しい女性はそういうと彼の左腕に腕をからめる。
「まぁ……ね…」 』
見ているこっちが恥ずかしくなるほどのノロケっぷりである、恋人であるキリエの口から出た素直な言葉に
ネロは少々頬を赤くしながら鼻の頭を気恥かしそうに?いた。

リリカルなのはDHS第五話
『「ここは、やっぱり静かね・・・・・・動物の鳴き声と川の流れの音だけ・・・・・・・ネロはそう思わない?」
「いや、いいところだとは思うさ」
ミティスの森でネロとキリエの2人はゆったりとしていた。何をするでもなく、ただ寄り添い、自然を感じる。
自然は人の心を癒し、恋人の存在はさらにそれを加速させる。ただ、静かに2人でいることが若い二人には幸福だった。
特にネロは、キリエがいいならなんでもといった感じだ。普段のはねっ返りぶりとは正反対である。
「でも悪魔が出たら危ないだろ?」
「でも、ネロが守ってくれるでしょ?あの時も・・・・・そうだったし・・・・・・・」
思い出されるのはあの全てが解決した日。2人の初めての接吻を邪魔した悪魔をネロは完膚なきまでに叩き潰した。それを持ってこられるとネロの顔も赤くなる。
「まぁ・・・ね・・・・」
鼻を掻き、照れ隠しをするネロ。そんな彼の様子を見て、キリエは優しい笑みを浮かべていた。 』
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:10:15 ID:H6SPy/AK
904 :名無しさん:2008/12/06(土) 01:29:09 HOST:i118-19-228-83.s05.a011.ap.plala.or.jp
失礼いたします。
私、「リリカルなのはクロスSSスレ」にて、「魔法少女リリカルなのは〜DEVIL HUNTERS〜」という作品を連載させて頂いている者です。
自分は、こちらのスレの作品の読み手として、主にまとめwiki、たまにスレ・避難所を覗いております。
この度、私の拙作からの盗用疑惑というのが報告されたようですが、同一作者の可能性及び、被害者の存在というコメントがありましたので、書き込みをさせて頂きました。
結論から言いますと、私は、こちらのスレでの長編作品は現時点では一切投下しておりません。
確認として、自分が執筆しておりますのは、件のリリカルなのは&DMC4クロス
某サイトにて投稿しております、マブラヴオルタネイティヴ&アーマード・コア4クロス、デビルメイクライ&ブラック・ラグーンクロス。
更新を停止しておりますが、ジョジョスレにて、仗助&トニオ召喚モノの4本を手掛け、これ以外に執筆しました長編作品はございません。
盗用疑惑に関するコメントですが、報告のレスを拝見させていただきました。
確かによく似ている部分があるなという感想を私は持ちました。あくまで個人的な意見ですが、あまりよい気分は致しません。
何故かと言いますと、クロス元がゲーム作品であり、今夏発売予定だったノベライズ版も未だ発売に至っていないと記憶しております。
また、設定資料集「デビルズ・マテリアライズコレクション」・「Saber of Savior」にも開発段階でのシナリオ台本のみで
DMC4本編の後日談に関する文献が存在しない状態で、こうも似るものだろうかと思うわけであります。
自分の中では、試作予告編も含めれば、10ヵ月近くに渡って執筆してきたものであり、所詮2次創作といえど、思い入れの強い作品であります。
それを盗用されたとなりますと、前述の通りいい気分は致しません。
とは言え、全て完全なコピペというわけではなく、現時点ではあくまで「疑わしき」でしかありませんので、管理者の方、議論をされた方の結論を待ちたいところであります。
仮定として、もし、盗用事実があるのなら、私はこのケースに関しては即刻削除は求めません。話の前半部分であり、完全なコピペではないからです。
但し、該当部分の全面改訂だけは求めたいと思います。
また、このスレの判断であります、「悪魔の右手」氏を反応を待つというのは、それはもう結構であります。
偉そうな事を言える立場ではございませんが、確実な検証をして頂き、氏のコメントを待ちたいと思います。
疑惑が事実であるのなら上記の該当部分を改訂していただければ結構ですし、
完全に氏が「そのような事実は全くない」と申されるのであれば私はそれ以上何も申しません。
そこからは議論者の方々の判断にゆだねたいと思います。
かつて、リリカルスレで盗作擁護の判定を受け追放された書き手もおりました事を考え、発言いたしますと
私は、盗作・盗用行為は許されざる事だと思っております。
ただ、今回はケースがケースですので比較的穏やかな姿勢で見ていきたいと思っております。
しかしながら、この件に対するレスポンスの皆無、反省のない態度、私以外からの引用、引き続き同様の行為が繰り返される等の事態になった場合
私は、流石に厳しい態度を取らざるを得ません。そのような場合は、削除を求めたいと思っております。

最後に、長文の書き込みを謝罪いたしますと共に、日々運営に関して議論を続けられています管理者及び他の方々に感謝を意をささげたいと思います。
追伸として、今後私に対する何らかのレスポンスが求められた場合、「リリカルなのはDHS」の名で書き込みをいたしますことをお伝えしたいと思います。
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:11:03 ID:H6SPy/AK
906 :名無しさん:2008/12/06(土) 01:51:22 HOST:wb01proxy01.ezweb.ne.jp
>>904 リリカルなのはDHS作者氏
自分はDMCもなのはもわからんので判断できんのですが
わかりやすい判断基準としてラテン語で云々の部分て
どっちかの原作とか資料とかであるんですか?

あと>>888=889であげられた以外に作者からみて疑わしいところってありますか?





>>管理人および議論スレ諸氏
盗用問題はコピペでもない限り検証が非常に難しいので
疑わしい部分の比較や双方の作者のコメントを待ちたいと思いますがどうでしょうか

あと期間とかの案として
一ヶ月間使い魔の左手、悪魔の右手氏からレスポンスがない場合
wiki登録分から本文を削除して盗用疑惑があるために一時削除の注意書きのみとし
二ヶ月間レスポンスがなければページを削除という形はいかがでしょうか

使い魔の左手、悪魔の右手氏からレスポンスがあった場合はコメントの内容次第になると思いますが
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:12:15 ID:H6SPy/AK
907 :リリカルなのはDHS ◆Y2c93Cv37M:2008/12/06(土) 02:45:24 HOST:i118-19-228-83.s05.a011.ap.plala.or.jp
ラテン語云々の部分に関しては、設定資料集などには一切記述されていません。
ただ、私が参考にいたしましたのは、2007年11月初め、プレス向けなどに発表した当時の最新情報にラテン語で「優しい」を意味するという記述はありました。
それの原文に関しては
『「デビル メイ クライ」シリーズでは珍しい、日差しが強く緑に囲まれた世界。それがフォルトゥナ郊外に広がる森林地帯「ミティスの森」だ。
ミティスとは優しいという意味を持つラテン語。
その名の通り、見る者の心を和ませる雄大な森だったか、フォルトゥナの悪魔に呼応するかのように、不気味な樹木が数多く見受けられるようになってきた。』
となっておりまして、私の文とは違うのは、原文では、場所については『フォルトゥナ郊外』、広さに関しては広大ではなく『雄大』と表現されています。
ただ、公式サイトでミティスの森に関して述べていたのは、比較的短期間で、詳細なキャラクターや武器などの紹介ページが出来てからは見ることが出来なくなっています。
また、他の疑わしいところという質問ですが、報告されましたレスでは、ネロが照れるシーンがありますが、鼻頭をかく。とはっきり言っているのは
拙作第六話にて
『この3人が集まり、使い捨ての尖兵にも等しい下級悪魔に劣ることがあろうか。
もとより悪魔を滅する使命を持つ者、愛する者のために重圧を押しのけた者、主の為にすべてをささげた者。古からの『原初の恐怖』でも彼らをすくめることなど出来なかった。
大剣が炎を巻き上げ悪魔を喰らう。大鎌が無慈悲にも悪魔の命を刈り取る。炎の魔剣が悪魔を切り裂く。
相手が人間ではないのならネロはもとよりフェイト達にも手加減をする理由は無い。30を超えるスケアクロウの群れが瞬く間に散っていく。
身を膨らませ、甲虫の群れが体液をまき散らしながら飛び散っていく。あとに残るのはちぎれた布袋、されどそれもやがて霞のように消え去っていく。
5分とかからない戦いであった。背に剣を戻したネロはすぐさまキリエの下へと歩む。
「大丈夫だったか?」
「うん・・・・・ネロが・・・守ってくれたから」
「まあ・・・・・ね」
鼻頭を掻きながら照れた表情を浮かべるネロ。
離れた場所で初めてその穏やかな表情を見たフェイト達はわずかに驚いたものの、すぐさま当初の目的を果たそうとする。 』
という5話と同じように「まぁ・・・ね」と言うシーンがございます。
とは言えどちらも同じような台詞まわしですので、現時点では疑惑でしかない事を考えますと
どちらかだ!とは申せませんが。
鼻頭をかく行為自体は、DMC4エンディングスタッフロールにて、あまり内容には触れませんが
2秒ほど映る場所があります。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:33:40 ID:NuVxkLdV
いやぁ平和だな……
8ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 21:34:28 ID:pUTn318l
 こんばんは、スレ立てしようとしたら弾かれちゃったラスボスですw

 他に予約の方がおられなければ、21:45から第15話の投下を行います。
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:36:00 ID:H6SPy/AK
ラスボス支援準備!!
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:36:03 ID:+ZmGevph
支援させてもらおうか。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:36:30 ID:3fKHZOaV
支援準備よーし
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:44:12 ID:+/I/5GHG
支援だ 後前スレの埋め立ても誰か頼む
13ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 21:45:00 ID:pUTn318l
 ある時は仮面の男と協力し、またある時は仮面の男と敵対した人物。
 彼は『肉体が死に瀕している』というきっかけによって因果の鎖から解き放たれつつあり、それゆえに仮面の男の勧誘を
受けていた。

「お前は因果律の呪縛から解き放たれた。もう、あの世界に未練はあるまい」
「………」
「準備は全て整った。私と来い。そして共に千年王国を築くのだ」
「……フ、フフ……断る。貴様の目論みは分かっておるわ」
「何……?」
「貴様の創ったデビルガンダムは……巨大な容器……。そう、光の巨人の力を満たすためのな……」
「………」
「貴様は、地球圏の支配など欲しておらん……。いや、すでに地球のことなぞ、どうでも良くなっておる」
「………」
「貴様の目的は……光の巨人の力を我が物にすることだ……」

 病魔に冒された危うい身体で、それでも自らが育てた弟子と戦い抜いた武術の達人。
 彼は死の淵(フチ)にありながらも、満足そうに男の勧誘を跳ねのける。
 ……ぜひ自分と共に歩んで欲しかったが、無理強いは出来まい。
 そのようにして強引に傘下に入れた人間など、役に立つとは思えない。

「貴様……神にでもなるつもりか……?」
「……他人の目には神の姿として映るかも知れん。だが……」
「貴様の業(ゴウ)は……我が弟子とその同胞達が、必ずや打ち砕くだろう……。
 フ、フフ……今思えばトレーズ・クシュリナーダめ……これを見越してワシを過去へ送りおったのか……」
「さらばだ……東方不敗マスターアジア……」

 ―――男は名残惜しさを感じつつ、彼に永久の別れを告げた。
 そして、場面は転換する。

「そう。私の研究対象とはウルトラマンなのだ。
 ……彼らの力を我が物とすれば、私は私という存在を呪縛する因果の鎖から解脱(ゲダツ)することが出来る。
 忌まわしい過去も、呪わしい未来も関係ない」
「………」
「もう、■■■■■■■■■という器に縛られることもない」

(あれ?)
 夢を見ていて、今までになかった雑音が混じった。
 この男の名前が明らかになる―――と思ったのに、肝心のその部分がボヤかされてしまったのである。
(何で……?)
 ルイズの疑問に構わず、夢は進んでいく。

「私は全てを超越する……その先に何があるか不明だが……。
 それは『超えて』から確かめればよい」
「たった……それだけのために……お前は、デビルガンダムをこの星に送り込んだのか!?」
「そうだ。この数百年……光の巨人は新西暦155年の地球にしかその姿を現していない。
 そして、新西暦155年こそがカラータイマーを手に入れる絶好の機会……」

 自分の思惑を大きく外れて動いてしまった、青い髪の複製人間に自分の目的を告げる。
 そのために『彼ら』の力を欲した。
 そのために時を超えた。
 そのために……仮面で素顔を隠した。
 元より理解などは、求めていない。
14ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 21:47:00 ID:pUTn318l
「貴公は私の良い右腕になると思っていたが……どうやら相容れぬ存在だったようだな」
「残念です」

 再び場面は変わる。
 仮面の男は、対峙している人物に対して最終確認を行っていた。

「……最後に問う。私と来る気はないか?」
「私は戦いという行為の解答を見つけなければなりません。
 そして、それはネオバディムが敗者を演じることによって導き出されることでしょう」
「……私もかつては敗者だった。だが、敗北は人に屈辱と狂気しか与えない。この私のようにな……」
「あなたは純粋すぎるのだ……」

 男が知る限り、最も高潔な精神を持つ人間。
 良きパートナーとして共に歩めると思っていたが、彼は彼自身の道を進み続けると決意していた。
 ……どうしても欲しい人材に限って男の勧誘を跳ね除け、またそのような者だけが男の内面を読み取ることに、男は苦笑
する。

「フッ……。果たして君たち地球人が敗北から勝利を、そして未来を見い出せるのか?」
「後(ノチ)の歴史がその答えを出すでしょう」
「使い古された言葉だが、今はそれが最も相応(フサワ)しいか…」

(………むぅ)
 『夢』の初期には、おそらく仮面の男の若い頃なのだろう同じ声の人物が馬鹿みたいに笑ったりもしたが、何だか自分の
使い魔と人格的に食い違いがあったので、違和感を感じるだけだった。
 だが、こっちの『年を経た男』の方は、自分の使い魔のイメージに近いのでより現実味がある。
(何よ、もう……)
 そしてこの男の声と喋り方のトーンで、薄くだろうが苦笑だろうが、笑い声が出たことにカチンと来た。
 だって同じ声の自分の使い魔は、自分に対して一度だって笑ったことなどない。
 ―――そりゃあ、自分だって使い魔に笑いかけたことはないが。
(……でも……)
 それはさておき、夢を見ている自分にとって明らかに理解の出来ない言葉が、登場人物の口から発せられていた。
 敗北から、勝利と未来を見い出す。
 どういう意味なのだろう。
 この仮面の男は、それを知っているのだろうか……?
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:47:04 ID:p8TfhWeP
光の速さで支援
16名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:48:22 ID:H6SPy/AK
支援
17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:48:24 ID:+/I/5GHG
支援
18ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 21:49:00 ID:pUTn318l
「アルビオンが見えたぞー!」
「……んぅ?」
 船員の大声で、目が覚めた。
(そう言えば、昨日は船の端で寝てたんだっけ……)
 ユーゼスたちと合流した後、『船室に余裕がない』ということで毛布を借りて舷側(ゲンソク)で眠りについたことを
思い出す。
 周囲を見るとギーシュとキュルケとタバサが寝ていて、空を見ると確かに雲の切れ間から巨大な大陸―――アルビオンが
見える。
「ほう、なかなか雄大な眺めだな……」
 隣で寝ていたユーゼスも、目を覚ましてその光景を眺めていた。
「……傷は大丈夫なの?」
 包帯が巻かれた使い魔の左腕を見ながら、少し心配そうにルイズが問いかける。ユーゼスは相変わらず感情のこもらない
声で、その問いに答えた。
「痛みのことを聞いているのなら、それなりに引いてはいる。完治には程遠いがな」
「そう……」
 眠りにつく前に、輸送船に積んであった水の秘薬をありったけ持って来させ、その内の半分を直接左腕にかけた(その
光景を見て船員やギーシュ、キュルケは後ずさっていた)のだが、やはりそう簡単に治るものでもないらしい。
「じゃあ、包帯を替えましょうか」
「うむ」
 ルイズの提案に頷き、ユーゼスは包帯を解き始める。
「白衣も新しいものを購入しなくてはいけないな。左腕の部分が無いのは見苦しい」
「そうね。……アルビオンで売ってるかしら?」
「戦争中の国に、そこまで求めるのはどうかと思うが」
 会話をしている間に包帯は完全に解かれ、少々グロテスクな火傷の痕があらわになった。
 ルイズは僅かに顔をしかめたが、特に嫌悪を示さずに残った半分の水の秘薬を振りかけていく。
「ぐ……っ」
「やっぱり痛い?」
「……当然だ」
 アルビオンに行けば、それこそ戦争中なのだから傷薬もあるだろう。
 昼頃には到着の予定だから、着いたらすぐ秘薬屋なり病院なりに駆け込んで、包帯を取り替えれば良い。
「しかし、良いのか? 水の秘薬の代金とて、馬鹿にならない金額だろうに」
「使い魔を見捨てたり切り捨てたりするメイジは、メイジじゃないわ。……いいから、アンタは黙って治療を受けてなさ
い」
「……了解した、御主人様」
 そのままルイズに腕に包帯を巻かれながらアルビオン大陸を眺めるユーゼスだったが、そこで妙なことに気付いた。
「御主人様、質問だ」
「何よ?」
「あの水晶のような物は何だ?」
「水晶?」
 疑問符だらけの会話の後、ユーゼスが右手で指差す先を見るルイズ。
 その示された先にある浮遊大陸を、よくよく見てみると―――確かに、ところどころに小さく(距離が離れているので、
実際はそれなりの大きさなのだろうが)青い水晶のような物がある。
「……何かしら。前にアルビオンに来た時は、あんなのは無かったはずなんだけど」
「最近になって発生した、ということか」
 まあそれほど重要視する必要もないだろう、と二人は楽観視する。
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:49:34 ID:H6SPy/AK
支援
20名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:50:00 ID:+8zsfbjc
貧弱な支援
21ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 21:51:00 ID:pUTn318l
 そして、ちょうどユーゼスの左腕に包帯を巻き終わった頃、
「右舷上方の雲中より、船が接近してきます!」
 鐘つきの見張り台に立っていた船員が、大声を張り上げた。
 今度はそちらに視線を移してみると、確かに船が接近している。色は黒、大きさは今自分たちが乗っているものより
一回り大きい程度、そしてところどころに大砲が装備されていた。
「軍艦か?」
「もしかしたら、反乱勢……貴族派の船かもしれないわ」
 不安そうな顔をするルイズだったが、直後にその不安は的中してしまう。
 黒船がいきなり、輸送船の進路に向かって砲弾を撃ったのである。
 直後に輸送船は速度を落として停船し、黒船はこちらの船に寄りそい、2つの船が鉤(カギ)つきのロープで繋がれ、あれ
よあれよという間に、数十人の武装した屈強そうな男たちが船に乗り込んできた。
「空賊だ! 抵抗するな!」
「空賊……ですって?」
 黒船から響いてきた大声に、ルイズが眉をひそめる。
 いきなり大騒ぎになったので、周囲で眠りこけていたメンバーもさすがに目を覚まし始めた。
「ふあぁ……、なによぉ、もお、うるさいわねぇ〜……」
「……もう、アルビオンに着いたのかい? 早いね……って、な、何だね、彼らは!?」
「………」
「フゴ?」
 目覚めたらいきなり何者かの襲撃を受けていたので、状況が把握しきれていないらしい。
「空賊よ、空賊」
「何ぃ!? お、応戦だ!! ここで船が止められてしまっては、アルビオンに行くことが……!!」
 泡を食った様子のギーシュが、バラの造花を取り出して空賊に攻撃を行おうとする。
 だが、その行為はタバサとキュルケに止められた。
「多勢に無勢」
「それに、下手にこの中で暴れてごらんなさい。船がバラバラになってお空に放り出される……なんて嫌よ、あたしは」
「ぐ、ぐぬぅ……」
「フゴ……」
 ガックリと気を落とすギーシュの肩を、ヴェルダンデがポンと叩く。それに感じ入ったのか『ああヴェルダンデ、君は
なんて主人思いの使い魔なんだ』、とギーシュは自分の使い魔と抱き合い始めた。
「ギーシュは放っとくとして……。どうするの?」
「大砲で狙いを付けられていて、ミス・タバサが言っていたように多勢に無勢の状況、……加えて敵の中にはメイジもいる
ようだ」
 ギャンギャンと叫んでいたワルドのグリフォンの顔に霞(カスミ)のようなものがかかり、直後に意識を失って倒れて
しまった―――そんな光景を見て、ユーゼスは水系統の『スリーピング・クラウド』を使われたと当たりをつける。
「そう言えば、ワルドはどうしてるの?」
「あそこで、船長と一緒に空賊と何か話をしてるけど……アレが空賊のボス? なんだかずいぶん若いわね」
 ルイズに問われたのでワルドを探してその状況を説明するキュルケだったが、周囲の構成メンバーと比較して、空賊の頭
の年齢が妙に若いことに気付いた。
 アレで無精ヒゲがなければ、かなり若く……と言うか、下手をすると幼さすら感じてしまいそうに見える。
「って、何でワルド子爵はあんなにホイホイと空賊の話を聞いてるんだ!?」
 ハッと我に返ったギーシュが、メンバー中最強の使い手はこんな時に何をしているんだ、と怒り始めた。
 それにタバサは平坦な声で答える。
「元々、この船の風石はアルビオンの最短距離ギリギリ分しか積んでいない。それをカバーするために、子爵は風魔法で
船を動かしていた。つまり、子爵の魔法は打ち止め」
「―――タバサ。君の冷静さは立派だと思うが、あまりそう淡々と語られると、時たまではあるが微妙にムカつくよ」
「それほどでもない」
「いや、褒めちゃいないんだがね!!?」
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:51:11 ID:H6SPy/AK
東方不敗支援
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:51:54 ID:rKYgZiC/
支援
24ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 21:53:00 ID:pUTn318l
 そんなやり取りをしていると、そのワルドや船長と話していた空賊の頭がこちらに気付いて顔を向けた。
「おや、貴族の客まで乗せてるのか」
 そのまま自分たちの方に近付き、それぞれの顔を見渡して―――
「……ん?」
 その視線がタバサに差し掛かったあたりで、停止する。
「はて……」
 そのままタバサの顔をジロジロと見る、空賊の頭。どうやら何かを思い出そうとしているらしい。
「?」
 見られているタバサの方も、なぜ自分が注目されるのか分からずに首を傾げる。
 そうしてそのまま数秒が経過して、空賊の頭はハッと自分の職務を思い出した。
「こ、こりゃあ別嬪(ベッピン)ぞろいだ。お前ら、俺の船で皿洗いでもやらねえか?」
 その言葉を聞いたルイズは立ち上がり、キッと空賊の頭を睨みつける。
「下がりなさい、下郎」
「驚いた! 下郎ときたもんだ!」
 大声で笑う空賊の頭。
 それに激昂したギーシュが、またバラの造花を握ってそれを振るおうとするが、ガン、と足元で何かが叩かれた音がして
そちらに視線を移した。
 見るとキュルケが杖を振るい、自分のすぐ横の甲板に打ち付けている。
「落ち着きなさい、ギーシュ。早死にしたいの?」
「し、しかし……」
「……あなただけが死ぬのならまだ良いけど、下手に連中を刺激すれば、あたしたちもこの船の船員も皆殺しよ?」
「ぐぬぅぅぅう〜〜!」
 ギリギリと歯ぎしりしながら空賊の頭に視線を注ぐギーシュ。
 それを見た空賊の頭は、フンと鼻息を鳴らすと、
「てめえら、コイツらも運びな。身代金がたんまりと貰えるだろうぜ」
 ルイズたち6人を連行するように指示したのであった。


 杖と剣と鞭を全て取り上げられ、全員揃って船倉に押し込められた。
 ギーシュはイライラしながらオロオロしており、
 キュルケは取りあえず壁際に座り込んでノンビリし、
 タバサは本まで取り上げられたので退屈そうで、
 ワルドは興味深そうに船倉の積荷―――酒ダルや食料袋やら火薬ダルやら―――を観察中、
 ユーゼスはどうにか脱出が出来ないものか、と右手で壁を叩いて回り、
 ルイズはそんなユーゼスにくっついている。
「……アンタ、怪我は大丈夫なの?」
 またその質問か、とユーゼスは思った。この主人は、ことあるごとに自分の腕の状態を聞いてくる。
「何もしなくても軽く痛む。身体を動かすと、響いて痛む。右腕を動かそうとすると、酷く痛む」
「じゃあ、動いちゃダメでしょう!」
「駄目と言うなら、今のこの状況こそが駄目だと思うがな」
「……もう、ああ言えばこう言う!」
 そんなやり取りを見て、『何やってるんだコイツら』という視線を向ける他のメンバーたち。
 緊迫しているのかしていないのか、微妙な空気が流れ始めていたのだが……。
「おい、飯だぞ」
 扉が開き、スープの入った皿を持った、太った男と痩せぎすの男が入ってきて、その空気は霧散してしまった。
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:54:57 ID:H6SPy/AK
支援
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:55:43 ID:rKYgZiC/
真摯に支援
27ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 21:55:55 ID:pUTn318l
 スープを受け取ろうとキュルケが立ち上がって手を伸ばすが、太った男はそれを右手で制する。
「……何よ、這いつくばって物乞いでもすれば良いっての?」
「そんな趣味はねえよ。こっちの質問に答えてからだ」
 ルイズはその言葉を聞いて、ツカツカと空賊たちの近くへと歩き、そしてピシリと言い放つ。
「言ってごらんなさい」
「……捕まってるってのに、随分と居丈高(イタケダカ)な……。まあいい、お前たち、アルビオンに何の用なんだ?」
「旅行よ」
「旅行? ……トリステインの貴族が、こんな学生ばっかりで、このご時勢のアルビオンに旅行だって? おいおい、一体
何を見物するつもりだい?」
「そんなこと、あなたに―――」
 答えることを拒否しようとするルイズだったが、横からユーゼスが口を挟んだ。
「アルビオンで最近、妙な水晶のような物が発見されたと聞いたのでな。研究熱心な御主人様たちは、好奇心を抑えられ
なくなって直接アルビオンに乗り込もうとしているのだ」
「ちょ、ちょっと、ユーゼス!?」
 まさか正直に話すつもりでは……などと思って声を荒げるルイズだったが、使い魔の口から出たのは嘘であった。
 ……まあ、デタラメも良いところだけど、一応それで話は通るし―――と、ルイズは閉口してしまう。
(平然と嘘をつくなぁ、この男は……)
 ラ・ロシェールへの『移動手段』を騙(カタ)った時といい、よくパッと思いつけるなぁ、などとギーシュは感心してい
た。
「お前には聞いてねぇよ。しかし、研究ねぇ……」
 太った男はいきなり話に割り込んできたユーゼスに睨みを利かせ、その後に何かを考え込む。
 その後、女性陣と男性陣に分かれてスープを飲み始める。食器は武器に使われることを警戒してか、金属製ではなく木製
のスプーンだった。
28ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 21:58:00 ID:pUTn318l
 その様子を見ていた痩せぎすの男が、楽しそうに言う。
「おめえら、もしかしてアルビオンの貴族派かい?」
 一行は質問には答えず、無言でスープを飲み続けている。……正直、スープだけでは腹に溜まらない。
「おいおい、ダンマリじゃ分からねえよ。でも、そうだったら失礼したな。俺たちはその貴族派に協力しててね」
「……じゃあ、この船はやっぱり反乱軍の軍艦なのね?」
「だから『協力』だって言ってんだろ。あくまで対等な関係だよ。……まあ、おめえらには関係ねえか。
 で、どっちだ? 貴族派か? 王党派か? 貴族派だったら、きちんと港まで送ってやるよ」
「……っ、誰が薄汚いアルビオンの反乱軍なものですか! バカ言っちゃいけないわ! わたしは王党派への使いよ!!」
 あちゃあ、とキュルケとギーシュ、ユーゼスですら頭を抱えた。ちなみにタバサはボンヤリとなりゆきを眺めており、
ワルドは無表情に自分の婚約者の様子を見ている。
「わたしはトリステインを代表してアルビオンの王室に向かう貴族なんだから、つまりは大使よ! 大使としての扱いを、
アンタたちに要求するわ!」
「ルイズ」
「何よ、ツェルプストー!?」
「あなた、馬鹿? いえ、馬鹿なのね。馬鹿正直に自分の目的を、こんな馬鹿みたいな空賊なんかに明かすなんて、極めつけの馬鹿としか
言いようがないわ。
 ……そうだ、今度からあなた、『馬鹿』のルイズと名乗りなさいな」
「誰が馬鹿なのよ!? こんな連中にウソついて頭を下げるくらいなら、死んだ方がマシじゃない!!」
「いや、時と場合を選ぶべきだと思うんだけど……」
 ギーシュもおずおずと口を出すが、ルイズに眼光を向けられて黙ってしまう。
「―――お前、正直なのは美徳だが、タダじゃ済まないぞ。……頭に報告してくる、一応見張りを強めておけ」
「おう」
 痩せぎすの方の空賊が去り、太った空賊が残って常に見張られるようになってしまった。
「……さすがに今のは無いと思うぞ」
「ああもうユーゼス、アンタまで……。フン、良いわよ、そうやって達観してなさい。最後の最後まで、わたしは諦めない
わ。
 空に放り出されたとしても、地面に叩きつけられる瞬間まで、ロープが伸びるって信じてるんだから」
「『放り出されてからの努力』よりも、まずは『放り出されないための努力』に力を注ぐべきではないのか?」
「それとこれとは別。嘘なんかつけるもんですか、あんな連中に!」
 ユーゼスが苦言を呈するが、ルイズは頑として聞き入れない。どうやら譲れない一線らしい。
 溜息を吐くユーゼスだったが、そんなルイズの元にワルドが近付いてきて、その肩を叩く。
「良いぞルイズ、さすがは僕の花嫁だ」
「……………」
 微笑みながらそう言うワルドだったが、ルイズの表情は複雑そうである。
(妙なタイミングで声をかけてくるな……)
 一方のユーゼスは、そんなワルドの行動と言動に関して、ささいな違和感を覚えたのだった。
29名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:58:11 ID:rKYgZiC/
おお、この展開は吉と出るか凶と出るか
30名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:59:23 ID:+8zsfbjc
お前は口を閉じろwww>ロリコンヒゲ
31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:59:24 ID:H6SPy/AK
支援
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 21:59:27 ID:rKYgZiC/
・・・ワルド、KY
33ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:00:00 ID:pUTn318l
「頭がお呼びだ」
 痩せぎすの男が戻って来て、6人揃って頭とやらの部屋まで通される。なかなかに立派な部屋だった。
 上座に座る頭を取り囲むようにしてガラの悪そうな男たちが陣取っており、こちらを見ながらニヤニヤと笑みを浮かべ
ている。
「頭の前だ。挨拶しろ」
 しかし、ルイズは気の強そうな瞳で空賊の頭を睨むばかりである。頭はそんな視線を受けて、ニヤッとこれみよがしに
笑った。
「気の強い女は好きだぜ、子供でもな。……さてと、名乗りな」
(……何だ、このわざとらしい口調は?)
 いちいち『〜〜だぜ』だの『〜〜しな』だの、集団のリーダーにしては、変な違和感を感じる喋り方だ―――とユーゼス
は思った。
 まあ、アルビオンの訛(ナマ)りであるとか、荒くれ者は総じてこのような口調だとか言われてしまえば、それまでなの
だが。
「大使としての扱いを要求するわ。……そうじゃなかったら、一言だってアンタたちなんかに口を聞くもんですか」
「ふむ……。王党派と言ったな? 何しに行くんだ……って、聞いても答えてくれるようにも見えねえか。
 なら、貴族派につく気は―――」
「あるワケないでしょう! 死んでも嫌よ!!」
 ピシャリと言い放つルイズ。
 ……よく見ると、その身体は小さく震えていた。
(この年で、よくやるものだ……)
 コンバットスーツで武装した百戦錬磨の宇宙刑事とて、犯罪組織の拠点に乗り込むとなれば命がけだと言うのに……と、
ユーゼスは召喚されて初めてこの少女に対して感心の念を抱く。
 そんなルイズの様子を見ていた空賊の頭は、
「ふ―――はは、あははははははははっ!!」
 いきなり大声で笑い始めた。
「「「「「「?」」」」」」
 呆気に取られるルイズたち。
「はは……いや、失礼。まったく、トリステインの貴族たちは気ばかり強くって、どうしようもないな。
 まあ、どこぞの国の恥知らず共より、何百倍もマシだがね」
 そうして、また大声で笑いながら頭は立ち上がる。
 続いて黒髪を『取り外して』(髪はカツラであった)地毛の金髪をあらわにし、同じくヒゲも取り外す。更に眼帯も取り
外し、精悍な顔立ちの青年が現れた。
「失礼した。貴族に名乗らせるなら、まずはこちらから名乗らなくてはな」
 ニヤついた笑いは完全に消え去っている。それは周囲の空賊たちも同様であり、だらけた空気は一変して直立していた。
「私は、アルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官―――艦隊と言っても、もはやこの『イーグル』号しかないが―――
まあ、その肩書きよりは、こちらの方が通りが良いだろう」
 青年は、その若さに似合わぬ威厳を漂わせながら名乗りを上げる。
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
 ―――こればかりは6人全員、それぞれリアクションは違えど驚くしかなかった。
34名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:01:31 ID:PpeaJ6rO
紫煙
35ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:02:29 ID:pUTn318l
 その後、ルイズが持参した『水のルビー』と、ウェールズが持っていた『風のルビー』による虹の生成という『確認
作業』により、目の前にいるのが本物のウェールズであると確信したルイズたちは、すぐにアンリエッタから預かって
いた手紙をウェールズへと渡し、『ウェールズが持っている手紙』を回収すべくそのままアルビオンのニューカッスル城に
移動する。
 『大陸の底』から城に戻るという珍妙な帰還方法に、ルイズたちは驚くばかりであった。
 そして出迎えの兵士たちに黒色火薬の原料である硫黄(輸送船の積荷である)を大量に調達してきたことを告げると、
兵士たちはワッと歓喜の声を上げ、明日の正午の決戦に備え始める。
「これで王家の誇りと名誉を叛徒(ハント)どもに示しつつ、敗北することが出来るだろう」
「栄光ある敗北ですな! この老骨、武者震いがいたしますぞ!」
「してみると間一髪とは、まさにこのこと! 戦に間に合わぬとは、これ武人の恥だからな!」
 わっはっは、と笑い合うウェールズと兵士たち。
 その会話を聞いてルイズは顔をしかめ、ギーシュは仰天し、キュルケは彼女にしては珍しく沈痛な顔を見せ、タバサも
また眉をピクリと動かした。
 ちなみにワルドは無表情、ユーゼスは軽く溜息を吐いただけである。
 そして一向はウェールズの居室へと通され、アンリエッタの手紙を手渡された。
「これが、姫からいただいた手紙だ。この通り、確かに返却したぞ」
「……ありがとうございます」
 少し沈んだ表情で手紙を受け取ったルイズは、ウェールズに質問する。
「あの、殿下……。先ほど『栄光ある敗北』とおっしゃっていましたが、王軍に勝ち目は……ないのですか?」
「無いよ」
 一国の皇太子は、キッパリと断言した。
「三百と五万では、どう足掻いても勝ち目は無い。万に一つの可能性すらね」
「な……」
 絶句する魔法学院の生徒たち。特にルイズとギーシュのショックは大きいようだった。
「そ、それでよろしいのですか、殿下!?」
「む……、君は?」
「……ト、トリステイン王軍に仕(ツカ)えるグラモン元帥の四男、ギーシュ・ド・グラモンと申します。
 いえ、わたくしの名前などよりも―――ウェールズ殿下、あなたはまさか死ぬおつもりで……!?」
「当然だ。私は真っ先に死ぬつもりだよ。
 ……グラモン君、分かってくれとは言わないが……時に我々は『命』よりも、『誇り』や『名誉』を貫かねばならぬもの
なのだよ」
「う……」
 その言葉を聞いて、ギーシュは黙ってしまった。
 『命を惜しむな、名を惜しめ』とは、他でもない自分自身が、常日頃から父より言い含められてきた言葉である。
 名誉は命よりも大事―――とは、アルビオンやトリステインだけではなく、ハルケギニアの貴族全員(ごく一部に例外は
あるが)に共通している『根本』のようなものであった。
 そのことは『貴族として』のルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールも理解が出来る。……自分
だって、仮に戦争に参加したら、命を惜しまずに進もうとする……と、思う。確信を持って『進む』と断言しきれないの
が、少し情けないが。
 しかし、『少女として』のルイズは、それに異を唱えていた。
 思わず、衝動的に言葉が出てしまう。
「……殿下、トリステインに亡命なされませ! お願いでございます! わたしたちと共に、トリステインに―――」
「それは出来んよ」
 笑いながら、ウェールズはルイズの懇願を断わった。
「殿下、これはわたくしだけの願いではございませぬ! 姫さまの願いでございます! 姫さまの手紙には多分、末尾で
あなたに亡命をお勧めになっているはずですわ!」
「……ルイズ、やめなさい」
 苦しそうな様子でキュルケが声をかけ、ワルドが静かにルイズの方に手を置くが、なおもルイズは食い下がってウェー
ルズを説得しようとする。
「あの姫さまが、ご自分の愛した方を見捨てるわけが―――」
「そのようなことは、一行も書かれていない」
 しかしウェールズは、ゆっくりと首を振ってルイズの言葉を否定した。
「殿下!」
 どうしても納得がいかないルイズは、ウェールズに詰め寄った。
「……アンリエッタは王女だ。自分の意思を……国の大事に優先させるわけが、ない」
「…………っ」
 ルイズはその口調から、アンリエッタが書いた手紙の内容を知る。
 そしてウェールズの意志が、自分程度では動かせないことも。
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:03:22 ID:H6SPy/AK
ルイズ馬鹿だよな〜それを補うためのユーゼスなのだが

このスレのルイズは使い魔が持ってるものが足りなくなるみたいだ
37ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:04:30 ID:pUTn318l
 ウェールズはフッと微笑みながら、ルイズの肩を叩く。
「―――君は正直な女の子だな、ラ・ヴァリエール嬢。正直で、真っ直ぐで、良い目をしている。
 ……だが、そのように正直すぎては大使など務まらぬよ」
「殿下……」
「しかしながら、亡国への大使としては適任かも知れぬ。明日にも滅ぶであろう政府は、誰より正直だからね。何せ、名誉
以外に守るものが無いのだから」
 話題を転換するように、ウェールズは少々強引ではあるが『明るい材料』を提示した。
「……まあ、実を言うと『レコン・キスタ』側にも付け入る隙はある。
 最近、このアルビオンには正体不明の……何と言うか、『怪物』が出現していてね。この『怪物』が現れるのが、なぜか
『レコン・キスタ』が陣取っている地帯ばかりで、その対応に彼らは少々苦労している。
 とは言え、それにしてもこの戦力差を覆すほどではないが」
「……………」
 話を逸らしたかったのだが、気休めにもならなかったことに気付くウェールズ。
 一方、ユーゼスはウェールズが語ったその『怪物』について考えていた。
(……アインストのことか?)
 トリステインに現れたのだから、アルビオンに現れたとしても別に不思議ではない。
 だが、『レコン・キスタ』が陣取っている地帯ばかりに出現するとは……。
 思考に没頭し始めるユーゼスをよそに、沈痛な雰囲気がウェールズの居室を支配している。
 そして、そのしんみりとした空気を拭払(ショクフツ)するようにウェールズは手をパンパンと叩き、明るい声で言っ
た。
「さて、そろそろパーティの時間だ。君たちは我が王国が迎える最期の客だからね、是非とも出席してほしい。出される
料理の味については、私が保証するよ」
 ルイズは納得がいかない様子ではあったが、キュルケに連れられて部屋を後にした。ギーシュもまた釈然としない顔を
しているが、どうやら無理矢理に納得しようとしているらしい。タバサとユーゼスは、やはり無表情である。
 しかし、ワルドだけは残って、ウェールズと何か話をするようだった。
 ワルドは一礼し、消えゆく国の皇太子に願いを告げる。
「恐れながら、殿下にお願いしたい議がございます……」


「大使殿! このワインを試されなされ! お国の物より上等と思いますぞ!」
「何! いかん! そのような物をお出ししたのでは、アルビオンの恥と申すもの! この蜂蜜が塗られた鳥を食して
ごらんなさい! 美味くて頬が落ちますぞ!」
「は、はい、どうも……」
 困惑した様子で、ギーシュは勧められるままワインや料理を口に入れていく。
 ……自分にそれらを勧めた男たちは『アルビオン万歳!』と最後に怒鳴って去っていった。
 そのまま、しばらく何かを考え込むギーシュだったが、やがてクワッと目を見開くとワインをガブ飲みし始める。
 どうやら酒の力を借りて憂鬱な気分を吹き飛ばそうとしているらしいのだが、その飲みっぷりを見た周囲の人間がまた
騒ぎ立てるので、何だか余計にいたたまれなくなっているようだった。
 キュルケも男たちに酌をして回っているが、どうにもいつもの元気に影が見える。
 ルイズはこの独特の空気に耐えられないらしく、パーティ会場の外に出ていた。
 タバサも内心は読み取れないが、他の人間と会話などは行わず、黙々と料理をたいらげている。……何人かが彼女の顔を
見て『どこかで見たような』と言っていたが、何なのだろうか。
 ワルドだけは唯一、城の人間と談笑などをしていた。意外に胆(キモ)が太いと言うか、大物なのかも知れない。
 そして最後にユーゼスは、このパーティ会場にいる全員の様子を、隅で眺めていた。
(誇りと名誉、か……)
 どちらも自分とは縁の遠い言葉である。
 だが、そのような生き方や死に方も、あるのだろう。
 無理に理解する必要などはない。
 ただ、彼らが確かに存在し、戦い、そして散っていった―――それだけは『知って』いる。『記憶して』いる。感覚と
して『覚えて』いる。
 かつて自分が利用した『彼ら』のことを、自分は忘れない。
 そして、その『彼ら』の中にまた新たな人物が追加されることになるのだろう。
 直接に関わったわけではないので、印象はどうしても薄くなるが。
38ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:06:43 ID:pUTn318l
 ……そんなことを考えながら無表情にパーティを眺めていると、座の中央で歓談していたウェールズがこちらに向かって
歩いてきた。
 どうやらポツンと一人でいるので、興味を惹かれたらしい。
「ラ・ヴァリエール嬢の使い魔だね。……しかし、人が使い魔とは珍しい。トリステインは変わった国だな」
「ハルケギニア全体で見ても、珍しいらしいがな」
 ユーゼスは、敬語を使わなかった。
 それにウェールズは気分を害した風もなく、気さくに話しかける。
「気分でも悪いのかな?」
「いいや。……ここに来る前に負った傷が痛みはするが、それほど問題でもない」
「おや、それは大変だ。すぐに傷薬を用意させるから、治療に当たるといい」
「別に急がなくとも構わんよ」
 ユーゼスを気遣うウェールズだったが、ユーゼスはそれを右手を上げて断わった。
「どうやら、楽しんでくれてはいないようだね」
「賑やかな雰囲気は苦手なのでな。
 ……それに、お前たちの話を聞いていると、昔の知人を思い出す」
 もう会うことは出来ない、もしかすれば友と呼べたかも知れない男。
 彼もまた、この場にいる者たちと同じ心境だったのだろうか?
「ほう、興味深いな。どのような人物だったのだね、その君の『知人』とやらは?」
「そうだな……常に自らの美学を貫き、それに殉じた男……。
 『戦い』という行為に意義を見出し、自らが認めた相手に全てを託し、その相手と戦って散っていった。
 ……あるいは私とは、永久に分かりあうことが出来ない人間だったのかも知れない」
「……………」
 ウェールズは、黙ってユーゼスの話に耳を傾けている。
「その男はこうも言っていたよ。
 『戦いにおける勝者は、歴史の中で“衰退”という終止符を打たなければならず、若き息吹は敗者の中から培(ツチカ)
われていく。自分は無様な戦いをして勝者になるくらいならば、誇り高き敗者になりたい』……とな」
「―――そうか。……私はその人物の気持ちが、少しだけ分かるような気がするよ」
「死ぬことが怖くないのか?」
 ユーゼスが理解不能なのは、その思考であった。何せあの男―――トレーズ・クシュリナーダも、このウェールズ・
テューダーも、死を恐れている様子が見えない。
「私たちを案じてくれている……という訳ではなさそうだな。単純に疑問に思っているだけのようだ。
 ならば答えよう。―――怖い。
 死ぬことが怖くない人間なんて、いるわけがないだろう? 王族だろうが、貴族だろうが、平民だろうが、それは同じ
だと思うよ」
「ならば、なぜ死に急ぐ?」
「おいおい、私たちは別に死に急いでるわけじゃないよ。『生き急いでいる』と言ってもらいたいね。
 そして、なぜそうするかと問われたならば……守るものがあるからだ」
「ふむ」
「守るべきものの存在と大きさが、死の恐怖を忘れさせてくれる。
 ……エルフとの戦争によって間違いなく荒廃するであろう、民草と国土。そして王族としての……いや、自分自身の名誉
と誇りがな」
 遠くを見るような目で、ウェールズは語った。
「我らは勝てずとも、せめて勇気と名誉の片鱗は見せつけ、ハルケギニアの王族は弱腰ではないことを見せ付けねばならぬ
のだ」
「なぜだ?」
「内憂を払えなかった王家の、最後に課せられた義務とでも言えば良いかな。
 ……君の知人風に表現すれば、『敗者の中から芽吹く、若き息吹のため』とでも言うところか」
「……………」
 ユーゼスはその言葉を聞き、ウェールズの決心が固いことを悟った。
「ただ……もし、君がアンリエッタに会うことがあれば、こう伝えてくれたまえ。『ウェールズは勇敢に戦い、勇敢に死ん
でいった』と。それでもう、心残りはない」
「了解した……」
「―――出来れば君とは、もう少し早く出会っていたかったな。そして、君の知人とも話をしてみたかった」
 言って、ウェールズはユーゼスの前から去っていく。
 ……ユーゼスは何も言わず、ただその背中を見送っていた。
39ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:08:50 ID:pUTn318l
 相変わらず馬鹿騒ぎを続けるパーティ会場の空気に辟易してきたので、ユーゼスは寝室の場所を聞き、そこに向かうこと
にした。
 ……身も蓋もない言い方ではあるが、自分が『全力』を―――いや、そこまでせずともクロスゲート・パラダイム・シス
テムを駆使しさえすれば、この状況を覆すことは、十分に可能である。
 だが、ユーゼスにそれをする気は毛頭なかった。
(―――ハルケギニアの問題は、ハルケギニアの人間が解決するべきだ)
 『ただの人間としてのユーゼス・ゴッツォ』としてならば、協力しても良いとは思っている。
 だが、自分はウルトラマンのような救世主ではない。彼らとは違うのだ。
 たとえ他の星なり異次元なりから侵略者が襲ってきたとしても、超常の力を持つ者は迂闊に他の文明を救済するべきでは
ない……と考えているのである。
 また、中途半端に手助けすることによって『依存』が生じ、ハルケギニアの人間の進化が停滞してしまうのも、自分の
望むところではない。
 ……それでは、まるで自分がハルケギニアの支配者になったようではないか。
 今更、そんな俗(ゾク)なことに興味などは湧かないし、救世主呼ばわりされて悦に浸る趣味もない。
 昔の自分なら、それを何よりも切望したかもしれないが……そんなことに意味などないと気付いてからは、ウルトラマン
に対する憧れも随分と減少してしまった。
 自分はどうせなら、『人間』としてこの新たな人生を歩んでいきたいのである。
(……しかし考えてみると、ミス・タバサをアインストから助けたのは早計だったかも知れんな)
 まあ、さすがに異次元空間に引きずりこまれたのでは、仕方がないような気もするが。
 今までもそうだが、今後は余程のことがない限りクロスゲート・パラダイム・システムの使用は極力避けるべきだ、と
ユーゼスは改めて認識した。
 自分自身が慢心しないため、そして何よりも、このハルケギニアのためにも。
(まあ、この場にいる人間が生きようが死のうが、私にとって関わりがあるとも思えんしな……。忘れはせんが、思い出し
もせんような連中だ)
 ―――しかし、やはり根底にあるドライな思考は変わらないようであったが。
 そして会場の出口から出ようとすると、ぬっと横からワルドが現れる。
「……何か?」
「君に、言っておかねばならないことがある」
 感情を殺した声で、ワルドは告げた。
「明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる」
「…………は?」
 珍しく―――ユーゼス・ゴッツォにしては非常に珍しく、間抜けな声が出てしまった。
 ユーゼスは気を取り直し、一回だけ額を指で小突いてから、ワルドに質問する。
「……申し訳ありませんが、こんな時に、こんな場所で結婚式を挙げる意味と意図が、全く理解出来ません」
「是非とも僕たちの婚姻の媒酌(バイシャク)を、あの勇敢なウェールズ皇太子にお願いしたくなってね。皇太子も、
快(ココロヨ)く引き受けてくれた。決戦の前に、僕たちは式を挙げる」
 この男は馬鹿か、とユーゼスは思った。
 そんなことをしている余裕があるのなら、一刻も早くトリステインに戻った方がマシなような気がするのだが……。戦場
から脱出するのなら、早い方が良いに決まっているのだし。
 と言うか、式を挙げるにしても唐突すぎる。婚約者とは言え、再会して3日ほどしか経過していないと言うのに。
 何を焦っているのだろうか?
「……はあ、そうですか」
 しかし反対する理由などないので、取りあえず生返事を返しておいた。
「君も出席するかね?」
「ええ。御主人様を置いて逃げ出す使い魔は、使い魔ではありませんから」
「そうか。では、僕とルイズの婚姻を祝福してくれたまえよ?」
 ユーゼスは曖昧に頷き、そしてワルドは無表情のままで去っていく。
(あの男の様子……どこかで……)
 ワルドの様子に、妙な既視感を覚えるユーゼス。しかし、それに該当する人物が誰だったのかが、どうしても思い出せな
かった。
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:10:50 ID:H6SPy/AK
支援
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:10:56 ID:P2UC+RoN
支援
42ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:11:00 ID:pUTn318l
 寝室に行くため、ロウソクの燭台(ショクダイ)を片手に廊下を歩く。
 ―――歩いていると、その途中で窓から月を見て涙を流している少女がいた。
 少女は歩いてくる自分に気付くと、慌てたように濡れた目元を拭(ヌグ)う……が、またすぐに涙が溢れてくる。
「何を泣いている、御主人様」
「……うるさい、わね……」
 拭っても無意味だと判断したのか、ただ涙を流れるままにするルイズ。
 その手をユーゼスの方に伸ばそうとしていたが、しばし迷った後―――その手を引っ込めた。
(ここでコイツにすがりついたりしたら、何だか……ダメな気がする)
 何がダメなのかはよく分からないのだが、とにかく色々なものが崩れてしまいそうな予感がしたのである。
 ルイズは油断すれば自分の使い魔へと飛び込んでしまいそうな身体を抑えつつ、少しかすれた声でユーゼスに問いかけ
た。
「あの人たち……どうして、どうして死を選ぶの? ……分かんないわ、姫さまが逃げてって言ってるのに……、恋人が
逃げてって言ってるのに、どうしてウェールズ皇太子は死を選ぶのよ?」
 それにユーゼスは、ルイズの予想通りに感情を込めず回答する。
「『守るものがあるから』、だそうだが」
「……何よ、それ? 愛する人より大事なものが、この世にあるって言うの?」
「少なくとも、彼らにはあるのだろう」
 人の価値観など、それこそ人それぞれだからな、とユーゼスは言う。
 ―――その冷静な口調が、頭に来る。
 まるで自分よりこの使い魔の方が、ウェールズのことを理解しているようではないか。
「……わたし、説得する。もう一度、ウェールズさまを説得してみるわ」
「無駄だろう。あの男の意志は固い」
 ますますルイズの頭に血が上る。
 そして次の一言で、ついに我慢の限界がおとずれた。
「―――敗北の末にあるものを、あの男は知っているのだろう」
「!」
 またそれだ。
 自分が見た夢、そこに出て来た人物もそんなことを言っていた。
「っ、分かんない、全然分かんないわ!! 負けて、死んで、それで後に何が残るのよ!!?
 ……いいえ、残される人たちのことなんて、全然考えてないじゃない!! みんな、自分のことだけしか考えてなくっ
て、馬鹿で……!! あれじゃ、姫さま、が……!!」
 後半部分はもはや意味が通っていなかったが、言いたいことの概要はユーゼスにも分かった。
「なんで、なんで負けるって、死ぬって分かってるのに……!」
「……そうだな。私も理解が出来ないよ」
 実際のところ、『ウェールズの敗北論』と、『トレーズの敗者論』には食い違う点がそれなりにある。
 だが、共通している部分も確かにあった。
 敗北から、何かを見い出す。
 ユーゼスには、理解も共感も同意も出来ない考え方である。
 だが、それを尊重することは出来た。
 それに、他でもない自分自身も―――イングラム・プリスケンとガイアセイバーズに敗北し、得たものが確かにあった
のだから。
「だが、敗北が必定であろうとも、彼らは自分の意志で戦場に立とうとしている。それを曲げることは許されない」
「意志を曲げたって、生きているならそれで……!」
「お前にはないのか? 『死んでも曲げたくない意志』や『信念』が」
「……!!」
「もっとも、私はそんな立派な物を持ち合わせてはいないが……」
 いや、昔は持っていたような気もするな……などと自嘲する。
 ―――まだ、理想に胸を燃やしていた頃。友と一緒にあの青い星へと降り立ち、その美しい自然を―――
43ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:13:02 ID:pUTn318l
 柄にもなく回想などをするユーゼスだったが、先ほどの言葉にルイズも何か感じるものがあったらしく、俯(ウツム)い
てしまった。
 そして目を閉じたまま、キュッと唇を結んで沈黙する。
 ……しばらく黙ってそのままでいると、ルイズはいきなりハッと気付いたように顔を上げた。
「…………左腕、出して」
「?」
「いいから、早く」
 言われるがまま、左腕を出す。
 ルイズは軟膏(ナンコウ)の入った缶と真新しい包帯を取り出すと、ユーゼスの包帯を解き、薬を指ですくって彼の左腕
に軟膏を塗っていく。
「……さっき、お城の人に貰ったの。火傷の治療に効く魔法薬ですって。……やっぱり戦争してるんだから、薬だけはいっ
ぱいあるみたいね」
「……………」
 ユーゼスは、無言で軟膏を塗られていた。
 しかし、明日には結婚式を挙げるというのに、どうにもこんな調子ではサマになるまい。
「あまり落ち込むな、子爵と結婚するのだろう?」
「…………は?」
 間抜けな声を出して、ピタリとルイズの手が止まった。
「なに言ってるのアンタ。そりゃあワルドとは婚約者だけど、まだ結婚なんて出来ないでしょう。
 ……立派なメイジにはなれてないし、アンタのことだって、屈服させてないんだし……。
 ―――もしかして、慰めてくれてるつもり?」
 さっきまで泣いていたはずなのに、何だか嬉しそうな顔を見せるルイズ。
「?」
 しかし、今度はユーゼスが困惑した。
 確かに多少は慰めの意味を込めたつもりだったが、何だか会話がかみ合っていないような気がする。
(……まさか、明日に式を挙げるというのに、相手にそれを伝えていないわけはないだろうし……)
 結婚のことはサッパリ分からないが、結婚というものは段階を踏んでいくものだったような気がする。もしかして、自分
の知識が間違っているのだろうか?
 世間からずっと離れすぎていると、こういう時に不便である。
「……慰めとしては、あんまり良くなかったけど……でも、ありがとう、ユーゼス」
「……ああ」
「もう遅いし、わたしは部屋に行くわ。……それじゃ、お休みなさい」
「明日は早いだろうからな、ゆっくり休んでおけ」
「ええ」
 ユーゼスの包帯を巻き終え、廊下を歩いていくルイズ。
 この時、ユーゼスは『結婚式があるから明日の朝は早い』というニュアンスで言っていたのだが、ルイズは『アルビオン
を脱出するから明日の朝は早い』というニュアンスで聞いていた。
「……?」
 何だか妙な違和感を覚えつつ、取りあえず窓から2つの月を眺めてみる。
 ―――汚染されていない大気を通して目に映る青い月と赤い月は、美しかった。
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:13:37 ID:H6SPy/AK
支援
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:14:59 ID:WFlwVLVg
支援!
46ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:15:00 ID:pUTn318l
以上です。

……今回はワルドの正体バレで終わって、いざ決戦! ってトコで引いて終わりにしたかったんですが……。
さすがにそれだと長すぎるので、ここで止めときました。

さーて、次はググって得た付け焼き刃の知識を総動員して、さらに頭をヒネらにゃならんぞう……。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:15:26 ID:P2UC+RoN
援支
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:15:42 ID:H6SPy/AK
乙です
気になった点を一つ
>汚染されていない大気を通して目に映る青い月と赤い月は、美しかった。
戦場でこれはどうかな?
49ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:17:16 ID:pUTn318l
>>48
すいません、さすがに不謹慎でしたか。以後は気をつけたいと思います。
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:22:11 ID:KNdXAv8D
>>48
王城近辺ではまだ大規模戦闘はないので特におかしくはないだろう。
特に、魔法と剣での戦場なんだから、「汚染」はないだろう。
文の書き方がおかしいというなら別だが。
というか、「どうかな」の意味がよくわからん。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:22:50 ID:ENCl5ilA

不謹慎って何が?
戦場でもどこでも美しいものは美しいと思うのだが。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:23:42 ID:ENCl5ilA
>>50
比較が大気汚染の酷かった地球とかなんでしょ。
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:24:27 ID:mqeJJ3IC
>>51
同意。
戦場で見た○○が美しかった、みたいな作品もいっぱいある。
54ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/21(日) 22:25:54 ID:pUTn318l
肝心な言葉を忘れていたことに気付きました。申し訳ありません。

皆様、支援ありがとうございました。
55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:27:05 ID:PYTYXX7q
NGに入れましょう。

ID:H6SPy/AK
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:30:01 ID:rKYgZiC/
>>48
近代の戦場じゃあるまいし、
高威力エクスプロージョン以外に上空を汚染するまでの火力はないだろJK
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:31:27 ID:RkXwrR62
火薬を使っているし、炊事などで燃料を消費している大軍に包囲されているわけだから

戦争は最大の環境破壊≒空気が汚染されている

と思った
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:33:55 ID:Hx+41i9D
ラスボスの人乙です。
相変わらず面白い。そしてワルドKYww
次回に超wktk
59名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:38:34 ID:2QGdmhxL
予約など無ければ22:50ごろから投下させてください。
少年ガンガン連載「マテリアル・パズル」シリーズから不老不死の3人(ティトォ・アクア・プリセラ)を召喚する話です。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:41:50 ID:H6SPy/AK
>>57
そうそう、煙の発生源に包囲されているんだから、空気がきれいなわけがない。

>>59
星のたまごが異世界に消えたらグリ・ムリ・ア涙目ww
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:42:13 ID:535B/PzO
醜い人間のゴタゴタなんて関係無いと言わんかの様に
ただに自然は美しいっていう描写はその手の物語によくあるな。
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:45:35 ID:mqeJJ3IC
>>60
君のような、要らんコピペで板を荒らす輩は賢しらに語るな。うざい。
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:46:45 ID:+/I/5GHG
取り敢えず>3の時点で即効でNGしてたんでスルーしろ
前スレの埋め立て頼む
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:47:35 ID:kLcQKjgT
NGID:H6SPy/AK
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:50:04 ID:ENCl5ilA
そろそろか。支援体制に入る!
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:50:15 ID:2QGdmhxL
それでは投下させて頂きます。
時間軸としては「マテリアル・パズル」本編が始まるより前、ミカゼ少年が3人の魔法使いを訪ねる以前の時点で召喚されたことにしています。
これだと「MP」の世界はどうなるんだって感じですが
まあミカゼ少年と最強のお医者さん一家がなんとかしてくれると思います
67虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/21(日) 22:51:12 ID:2QGdmhxL
6000年前、大地の底から現れた大魔王デュデュマが世界を滅ぼした。
デュデュマにはいかなる文明の力もかなわず、人々はあきらめ、滅びを受け入れはじめていた。
これは大地の法則なのだと。
進みすぎた文明への、大地を汚し傷付けつづけた、自分たちへの報復なのだと。

「違う」
「大地は、そんなことでデュデュマを生み出さない」
「デュデュマが生み出されたのは……」

世界が滅びゆく中、人類が全ての希望をなくしてゆく中
それでも、デュデュマに立ち向かう者たちがいた。
彼らは文明の力を使わず、たいした武器も持たずにデュデュマに向かってゆく。
彼らはデュデュマに似た力を持っていた。
唯一デュデュマに対抗できる力。


それが 「魔法/マテリアル・パズル」。


彼ら「魔法」の使い手によって、デュデュマは倒された。
世界は滅んだが、人類は細々と生きながらえた。

そして、6000年後。
この大地のために、再びその力が必要になった。
その力を使う者、「魔法使い」達が……




『虚無の魔法使いと不老不死の3人』




ぼくはまた、この扉の前に立っている。
この扉の向こうには……

               ──────魔法使いティトォ


どんな時だって、あたし達は一緒だろ?

               ──────魔法使いアクア


たとえ、もしこの身体が別れる日が来ても
一度ひとつになった魂は、二度と離れることはないよ。

               ──────プリセラ


「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ」
ルイズは目をつむり、呪文を唱え、目の前の空間に向かって杖を振り下ろす。
すると、白く光る鏡のようなゲートが現れ……
直後に爆発した。
また失敗なの?とルイズはがっくりとする。
しかし、煙の中にもぞもぞと動く影を見とめ、ルイズは思わず身を乗り出した。
もうもうとした土煙が晴れると、そこには確かにルイズの召喚に応じた者が居たのだった。
68名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:52:24 ID:oiSivjJd
複数召喚は地雷の臭いがするぜ!
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:52:28 ID:ENCl5ilA
支援! テンション上がってきたぜ−!
70虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/21(日) 22:52:33 ID:2QGdmhxL
「あんた…誰?」
ルイズはその姿をまじまじと眺め、尋ねた。
ルイズは、フクロウやら、トカゲやら、はたまた幻獣やらとそういったものが呼び出されると信じていた。
しかしそこに居たのは、果たして小柄な人間であった。
ルイズの肩にも届かないくらいに背の低いその人間は、古びた青い服に身を包み、
目深に被ったフードが顔を隠していて、男か女か、若者か老人かも分からない。
突然現れたその青い服の人は、呆けたように、きょろきょろと周りを見渡している。
「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」
誰かがそういうと、ルイズと青い服の人の周りを取り囲み、事の成り行きを見守っていた少年少女達からどっと笑い声が上がる。
彼らは皆揃いの制服とマントを身に付けており、どうやら学生のようだ。
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!」
「間違いって、ルイズはいっつもそうじゃん!」
「さすがはゼロのルイズだ!」
生徒達から次々にからかいの言葉が投げかけられる。
ルイズは、ぶるぶると肩を震わせると、そのピンクがかったブロンドの髪をひるがえし、そばからの禿頭の男性に詰め寄った。
「ミスタ・コルベール!」
「なんだね、ミス・ヴァリエール」
「あの!もう一回召喚させてください!」
コルベールは目を伏せ、ふるふると首を振る。
「それはダメだ。二年生に進級する際に召喚される『使い魔』によって君たちの今後の属性が固定される。それにより専門課程へ進むことになる。一度呼び出した使い魔を変更することはできない。なぜなら、春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ」
「でも、あれ!平民です!」
ルイズが食い下がると、再び周りから笑いが漏れる。ルイズが人垣をきっと睨んでも、笑いは止まらなかった。
「これは伝統なんだ、例外は認められない。君は望むと望まざるとにかかわらず、彼と…いや、彼女か?まあ、どちらにせよ、契約しなければならない」
「そんな…」
ルイズはがっくりと肩を落とす。
「さて、では、儀式を続けなさい」
「えー、アレと?」
「そうだ、早く。次の授業が始まってしまうじゃないか。君は召喚にどれだけ時間をかけたと思ってるんだね?何回も何回も失敗して、やっと呼び出せたんだ。いいから早く契約したまえ」
そうだそうだ、と野次が飛ぶ。
ルイズはため息をつくと、青い服の男(女?)の前にしゃがみ込んだ。
「あんた、名前は?」
フードの中の顔をのぞこうと、ルイズは身体を低くする。
青い服の人は、おもむろにローブの下から何やら人の頭ほどの大きさの木の実を取り出すと、ルイズに向かって投げつけた。
ルイズの額を直撃した木の実は、ごいん、と鈍い音をさせながら、綺麗な放物線を描いて、青い服の人の手に戻った。
「まず、そっちが名乗んなよ」
青い服の人が、はじめて声を上げた。女の声であった。それもどうやら、かなり若いようだ。
「な、な、な、な…」
ルイズは痛みと驚きに目を白黒させていたが、やがて肩を震わせながら、叫んだ。
「ぶぶぶ、無礼者!平民が、貴族に!なんて無礼!」
青い服の少女は、つーんとそっぽを向いて、ルイズの怒りなどどこ吹く風だった。
「人にー、ものを尋ねるときはー、まず名乗るのがー、礼儀じゃないんですかー?」
わざわざ噛んで含めるような物言いをする少女に、ルイズはますます頭に来たが、なんとか心を落ち着け、返した。
「ルイズ。ルイズ・ド・ラ・ヴァリエール」
「あたしはアクア、大魔導士アクア。よろしくね」
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:53:06 ID:ENCl5ilA
>>68
大丈夫! 複数だけど一人だ
72虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/21(日) 22:53:39 ID:2QGdmhxL
「大魔導士?って、あんた。メイジだったの?」
ルイズが聞き返すと、間髪入れず、木の実が飛んできた。
ごいん、と鈍い音を響かせ、ルイズの額を痛めつけたあと、またアクアの手に戻っていった。
「まだあたしの話の途中だよ。ここ、どこよ。あんたたち、なに。なんであたしがこんなとこにいるのさ」
「こ、こ、こ、こ、こいつ!このガキ!」
ルイズが生意気なアクアに掴みかかろうとした瞬間、コルベールがそれを制し、ごほんと咳払いをした。
「ミス・ヴァリエール、『コントラクト・サーヴァント』を。早く」
ルイズは怒りに震えていたが、やがてアクアの方に向き直り、ずんずんと大股で近付いてきた。
アクアの前にしゃがみ込むと、顔を隠しているフードに手をかける。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
早口に呪文を唱え、強引にフードを取る。
(なによ、やっぱりガキじゃないの)
フードの中から現れたのは、大きくて目尻が吊り上がった目の、濃い栗色の髪をふたつ括りにした、ほんの小さな女の子の顔だった。
なにか言う暇も与えず、ルイズは強引に、その小さな唇に唇を押し当てた。
「ん」
ルイズがゆっくりと唇を離すと、アクアの顔がすぐ近くに見えた。
アクアは驚いたのか、大きな目をまんまるに見開いている。
そんな様子を見て、ルイズは顔を真っ赤にしてしまう。
まったく、このラ・ヴァリエールが。なんでこんな子供と、キキキ、キスなんか。
ううん、いいのよルイズ。相手は女の子だもの。それに、これは契約、数には入らないわ。
でも!ファーストキスだったのに。
そんなふうに言い訳を心の中でこね回しているうちに、ルイズは自分をみつめるアクアの瞳に気付く。
大きくて、吸い込まれそうな瞳。
でも、なにか違う。なにかおかしい。
その瞳は、まるでガラス玉をはめ込んだ、人形の瞳のようだった。
「…終わりました」
ルイズは照れを隠すように、こほん、と咳払いをする。
すぐさま、木の実が飛んできた。
何度も同じ手をくらうルイズではない。ルイズは木の実を顔の前で見事キャッチすると、アクアに恨みを込めて投げ返した。
ファーストキスの恨み。乙女の恨みである。
しかしアクアは木の実を蹴り返し、木の実はまたもやルイズの額を虐めるのであった。
「なにすんの、いきなり。言っとくけどね、あたしにそんな趣味はありませんからね……む」
アクアは眉根を寄せてぷりぷり怒っていたが、突然右手に走った痛みに、言葉を途切れさせた。
「いた!いたたた!なにこれ!」
アクアの攻撃にうずくまっていたルイズは、涙目のまま、アクアに言う。
「騒がないで。すぐ終わるわよ。『使い魔のルーン』が身体に刻まれているだけよ」
「なにそれ!勝手なことするんじゃないよ!いたた!」
しかし、痛みはすぐに消え去った。
アクアが右手を確認すると、ヘビがのたくったような、文字のようなものがくっきりと刻まれていた。
「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」
禿頭のコルベールが、アクアの右手に刻まれたルーンを覗き込みながら、嬉しそうに言った。
「ふむ。珍しいルーンだな。ちょっとメモさせてもらうよ」
そういってコルベールは、アクアの右手に刻まれたルーンをスケッチした。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:53:40 ID:jTrkP++/
>>68
確かこの三人は1つの体に三つの魂が宿っている状態だったはず。
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:54:05 ID:ENCl5ilA
よりによってアクアか支援。
・・・プリセラよりはマシだったのかなぁ。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:54:29 ID:H6SPy/AK
支援
どうせミカゼの村はほっといてもどうにかなるし、3人(星のたまごそのもの)が消えたら女神の目的も達成不可能なので問題ないな
76虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/21(日) 22:54:36 ID:2QGdmhxL
「相手がただの平民だから『契約』できたんだよ」
「そいつが高位の幻獣だったなら、『契約』なんかできないって」
生徒達の何人かから、声が上がる。
ルイズが睨みつける。
「バカにしないでよね!わたしだってたまにはうまくいくわよ!」
「ほんと、たまによね。ゼロのルイズ」
見事な巻き髪とそばかすを持った女の子が、ルイズをあざ笑った。
「ミスタ・コルベール!『洪水』のモンモランシーがわたしを侮辱しました!」
「誰が『洪水』ですって!わたしは『香水』のモンモランシーよ!」
「あんた小さい頃、洪水みたいなおねしょしてたって話じゃない。『洪水』のほうがお似合いよ!」
「よくも言ってくれたわね!ゼロのルイズ!ゼロのくせになによ!」
ルイズとモンモランシーがきゃあきゃあ言い合う横で、アクアは右手をかざしながら、
「ったく、ひとの身体にへんなもん刻んでくれちゃってさ」
とこぼしていた。
「こらこら、貴族は互いを尊重し合うものだ」
コルベールが、2人をなだめる。
「さてと、じゃあみんな教室に戻るぞ」
コルベールはそう言うときびすを返し、宙に浮いた。
アクアはぽかんと口を開けて、その様子を見つめた。
生徒達も次々と、宙に浮いた。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「あいつ、『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
「その子供、あんたの使い魔にお似合いよ!」
口々にそう言って、笑いながら飛びさってゆく。
投げかけられた侮辱に、ルイズは悔しくて、俯いてしまう。
「ねねね、見た、今の。飛んだよ、空。スゴーイ」
ルイズの気持ちなど微塵も気にかけずに、そんなふうに無邪気に言うアクアに、ルイズは力が抜けてしまった。
「あんた、なんなのよ」
「そりゃこっちのセリフだよ。あんたこそ、何さ。なんで飛ぶの」
「そりゃ飛ぶわよ。メイジが飛ばなくてどうすんの」
「メイジ?」
メイジ。ウィザード。ウィッチクラフト。魔術師。
「魔法使い?」
ルイズはなにを今更、といったふうにため息をつく。
「そうよ。ここはかの有名な、トリステイン魔法学院だもの。そして、わたしは二年生のルイズ・ヴァリエール。あんたを召喚した、ご主人様よ」
「召喚?魔法学院?」
アクアは目をぱちくりとさせた。
「え、じゃあ今の、みんな魔法使い?マジで?」
ぽりぽりと頬を掻く。
「やだなあ、そんなに魔法使いがいるなんて。ありがたみってもんがないじゃないさ」
「なに言ってんの?貴族の子息子女の集まりよ。ありがたがんなさいよ」
ハルケギニアにおいて、魔法の力を使えるものの多くは貴族である。
しかしそのことを知らないアクアには、ぴんと来なかった。
「で。ルイズは飛ばないわけ」
「うるさい」
ルイズはアクアをじろりと睨みつけた。
「あんたさっき、大魔導士とか言ってたわね。貴族には見えないけど、メイジなの?」
「まあね」
さらりと肯定した。
「あたしら、割と有名人なんだよ。ま、それも善し悪しだけどね。聞いたことない?」
一拍おいて、アクアは言った。
「不老不死の身体を持った、三人の魔法使い。その一人が、このあたしさ」
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:54:50 ID:oiSivjJd
>71
マジか! 安心したぜ支援だ!
78虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/21(日) 22:55:38 ID:2QGdmhxL
アルカナ大陸は「木の国」と呼ばれ、昔から木を育てそして絶やさぬよう、生活に使い続けてきた。
高度なメモリア文化も部分的にしか取り入れず、昔ながらの暮らしのまま自然と共に生きる国であった。
主食は米よりもパンとパスタ。
肉よりも、海の幸山の幸。
名物に森エビの包み焼きピザなどがある。

アルカナ大陸の片田舎に位置する、ミルネシア地方。
そのさらに辺境に、切り立った崖や底なし沼に囲まれ、とても人が足を踏み入れられない土地があった。
そんな断崖の上で、三人の魔法使いは暮らしていた。
その首にかけられた賞金を狙う者、不老不死の秘密を狙う者から逃れ、彼らはこのミルネシアにたどり着いたのだった。
そして彼らはミルネシアの天然結界の中で、下界との関わりを持たずに、50年以上も三人だけで暮らしていた。

あくる朝、アクアは顔を洗うために、近くの水場に桶を持っていった。
その途中、突然に彼女の前に、光る鏡のようなものが現れたのである。
50年以上も代わり映えのしない生活を送ってきたアクアは、その鏡に強く興味を引かれた。
とりあえず、石を投げ入れてみた。反応なし。ほほう。
木の枝を折って、突っ込んでみた。やはり反応なし。ふうむ。
右手をそっと差し入れてみた。それがいけなかった。
突然ものすごい力でアクアは鏡に引きずり込まれ、目の前が真っ暗になった。
鏡は、アクアを引きずり込むと、跡形もなくその姿を消してしまった。
そして次にアクアが目覚めたとき、彼女は魔法学院の生徒達に取り囲まれていたのである。


「信じられないなあ」
窓から空を見上げながら、アクアはひとりごちた。
トリステイン魔法学院の女子寮。ルイズの部屋であった。
高価そうな家具が十二畳ほどに並べられている。
彼女はルイズにここに連れてこられたのだった。
アクアが見上げる空はとっぷりと暮れて、大きな月が輝いていた。ふたつ。
ふたつの月だなんて、聞いたことがない。
ここはアルカナ大陸どころか、世界首都メモリアを擁するアクロア大陸ですらない。アクアの元いた世界とは全く別の場所のようだった。
「信じられないのはこっちよ。あんたは百年以上も生きている、不老不死のメイジで、おまけに別の世界から来たですって」
ルイズはじとっとした目をする。
「あんたねえ、わたしのこと、世間知らずの箱入り娘だと思ってるんでしょ」
ほんとのことなのに。若いくせに頭が固いんだね、とアクアはため息をつく。
「だいたいねえ、そんなこと言うんだったら、なにか証拠を見せなさいよ。そうじゃなきゃ、信用なんてできないわ」
ルイズは寮に戻る途中、アクアに『フライ』を使ってみせるよう言った。
しかしアクアは、「あたしの魔法は、そういうんじゃないから」などと言って、結局魔法らしきものは一度も使うことがなかった。
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:55:44 ID:H6SPy/AK
アクア暴発期待支援
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:57:00 ID:ENCl5ilA
MP世界の魔法はいわゆる魔法ッつーより悪魔の実みたいな特殊能力に近いんだよな支援。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:57:02 ID:oiSivjJd
>73
ぉk支援
82虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/21(日) 22:57:02 ID:2QGdmhxL
「見たいの?あたしの魔法」
「見たいかって……ええ、そうね。ぜひ見ておくべきだと思うの」
この得体の知れない使い魔の力を、把握する必要がある、とルイズは考えた。しかし。
「やだね」
と、アクアはばっさりと切り捨てた。あまりの返答に、ルイズはぽかんとした。
続いて、ふつふつと怒りが込み上がってくる。
こここ、この使い魔。生意気なばかりか、ご主人様の言うこと、ひとつも聞かないじゃないの!
ルイズは怒鳴りつけてやろうかと口を開くが、アクアに機先を制された。
「見せる?今?あんたにここで?いきなり人を喚び出して、奴隷にしようなんてやつには見せらんないね」
アクアの人形のような瞳が、ぎらりと危険な色に光る。
「どうしてもってんなら、それなりの覚悟はできてるんだろうねェ」
ずん、と部屋が重苦しい雰囲気に包まれる。
この小さな身体のどこから、これだけの威圧感が出るのだろう?
やばい。こいつ、やばい。
怖い、帰りたい。
って、どこへ!ここがわたしの部屋じゃないの!
学院に置いて、ルイズの暮らす部屋は、考えようによってはラ・ヴァリエールの領地も同然であり
貴族のプライドを大切にするルイズには、領地を捨てて逃げることなど許されないのであった。
う〜、とか、む〜、とかうなりながら睨み合っていたが、やがてアクアが折れた。
「ま、いいさ。あんたの使い魔、やってあげてもいいよ」
これにはルイズも驚いた。これまで話してみて、アクアという少女は自分の意に添わないことは頑として受け入れない、そんな人物だと思っていたからである。
「え、ホントに?」
「帰る方法、ないんでしょ。だったら行く当てもないしね」
「使い魔か主人、どちらかが死ぬまで契約は解かれないのよ?」
「別にいいよ、100年生きたんだ、もう何十年か待つくらい平気さね。それに、ここがあたしたちのいた世界と違うってんなら、逆に都合がいい」
「それって、あんたたちを狙う賞金稼ぎから逃げられるからってこと?」
「それもあるけどね」
それもある。しかし一番は、不死の身体を、その身に宿したものを大地から遠ざけられるということだ。
その本当の力を知り、恐るべき目的のために『それ』を狙う者から。
(もっとも、『奴』は、やがて他の方法を見つけ出すかもしれない)
(かつてドーマローラにしたように、『あれ』を実らせることに成功するかもしれない)
(いつかは元の世界に帰って、決着を付けなければならないだろうけど)
(とりあえずは、身を隠すのが一番だ。あたしたちを見つけられなかった100年の間、奴の目的は停滞している)
(今さら急に、事を起こすこともないだろう)
「でさあ、使い魔ってなにすんの?」
どうやらこの少女は、本当に使い魔の仕事をやってくれる気になったらしい。
ついさっきまでアクアにビビっていたのを隠すように、ルイズはこほんと咳払いすると、威厳が見えるように精一杯胸を反らせて、言った。
「まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力が与えられるわ。使い魔が見聞きしたことを、主人も知ることができるのよ」
「へえ」
「でも、あんたじゃ無理みたいね。わたし、なんにも見えないもん!」
「ついてないね」
「それから、主人の望むものを見つけてくるのよ。秘薬の材料のコケとか硫黄とかね。…あんた、そういうの探せる?」
「あー、無理無理。あたし薬剤の知識とかからっきし」
「でしょうね」
83虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/21(日) 22:58:04 ID:2QGdmhxL
ルイズはため息をつき、苛立たしげに言葉を続けた。
「そしてこれが一番なんだけど!」
使い魔は主人を守る存在である。その能力で、主人を守るのが一番の務めなのだ。
しかし、下手をすると10歳前後くらいにしか見えない小さなアクアに、それを求めるのは無茶だろうと思った。
メイジを自称してるけど、どんなもんだか!『フライ』すら使えない大魔導士様に、主人の護衛は務まらないに違いなかった。
「……洗濯、掃除、その他雑用」
「小間使いじゃん」
「あんたに任せられそうなのって、それくらいだもん」
ふわあ、とルイズはあくびをした。
「さてと、しゃべったら、眠くなっちゃったわ」
ルイズはもそもそを服を脱ぎ捨てると、薄いネグリジェを身に付けた。
やせっぽちな子だねえ、貴族の子女とか言ってたけど、いいもん食べてないんじゃないの。
と、ルイズに負けず劣らずやせっぽちなアクアは、そんな人のことを言えない感想を抱いていた。
「あたしはどこで寝ればいいの?」
部屋にベッドはひとつしかない。
女の子に「床で寝ろ」とも言えないルイズは、
「わたしのベッドに寝なさいな。広いし、構わないわ」
と言った。
その言葉にアクアも服を脱ぐと、ベッドにもぐりこもうとして、ルイズに止められた。
「ちょっと待った。あんた、汚いわよ」
「なんてこと言うの。女の子に」
「ホントのことじゃない!その服いつから洗ってないのよ!」
人里を離れ、人の目のない場所で三人だけで暮らしていると、どうしてもだらしなくなってしまうのだった。
「使用人の宿舎にお風呂あるから!身体洗ってきなさい!あと、服も!」
騒ぐルイズに、アクアは渋々と部屋を出ようとして、ルイズに呼び止められる。
「ああ、待って。ついでにそれも洗濯しといて」
と、先ほど脱ぎ捨てた下着を指差した。
「えー」
「えー、じゃないでしょ。これからあんたのこと養っていくのはわたしなんだから。寝床やご飯を用意してあげるのよ。それくらいの仕事はしなさい」
どうにも生意気なアクアに立場を分からせようと、ルイズは少しきつい口調で言った。
アクアはぶつくさ言いながらも、下着を拾って使用人宿舎の方へ向かっていった。
「アクア!ドア閉めてきなさいよ!」
アクアが開けっ放しにしたドアを閉めると、ルイズはベッドに潜り込む。
ルイズは今日何回目かの大きなため息をついた。
使い魔として呼ばれたのは、小さな女の子。しかも可愛げがないし、びっくりするほど生意気だ。
ほんと、先が思いやられるわ。
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:58:46 ID:ENCl5ilA
しかし考えてみると、三人とも剣使いそうにないし、今回もデルフ涙目っぽいな支援。
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:58:55 ID:H6SPy/AK
これ死んだら契約解除されるよな支援
86虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/21(日) 22:59:15 ID:2QGdmhxL
今回は以上です。
ゼロ魔1巻部分までは書き上がっているので、ぼちぼちと投下して行きたいと思います。
支援ありがとうございました。
87名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 22:59:53 ID:ENCl5ilA
乙!

>>85
あ、それもありそうだなぁ。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:01:15 ID:H6SPy/AK
乙でした
マテパは好きな作品なので期待しています。
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:04:02 ID:vRiA4HuC
>>88
コピペ荒らししといて普通にレスしてんじゃねぇよチンカス野郎
90名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:04:39 ID:P2UC+RoN
つまりそれぞれと契約する事に
アクア:ヴィンダールヴ
ティトォ:ミョズニトニルン
プリセラ:ガンダールヴ
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:07:49 ID:NuVxkLdV
>>H6SPy/AK

なんだ荒らしか
どういうつもりでコピペしたか知らんが……馬鹿なの?
いや失敬。違うな。馬鹿だな。
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:09:36 ID:ENCl5ilA
プリセラの場合おなかのあれが使い魔のルーンとか誤解されそうな気も。

で、語ることすら憚られるドルチルですね、わかります。
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:11:25 ID:H6SPy/AK
>>91
【ヲチ】GS美神極楽大作戦 リポートextra【叩き】板に話題を提供するため
94名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:11:36 ID:oiSivjJd
>86
乙です
文章安定してるし、テンポもいいので安心して読めます
元ネタ知らないけど読ませる地力があるのはいいですねー
最近じゃ谷マの人のがそうだったなぁ
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:12:26 ID:+vobTmte
スルーしてりゃいいのに
蒸し返してる馬鹿のが荒らしにみえる
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:16:06 ID:KNdXAv8D
同じくそう思う。
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:23:11 ID:2Li4O3sJ
もう俺には作品しか見えねェ―――

そういえばスポーツ漫画系はクロスオーバーとは相性悪そうだな
98名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:25:46 ID:cvn9OZgU
「翼君!」「ルイズ君!」
「「ツイン虚無シュート!!」」
キーパーゴーレム君取れなーい!!
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:26:36 ID:zgv26bx0
惚れ薬を飲んでボールを友達としてではなく恋人として見るようになる翼くんが見えました。
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:29:09 ID:KNdXAv8D
>>97
テニスの王子様があるではないか。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:29:25 ID:H6SPy/AK
ルーン補正でルイズが親しい友人に見えた翼が
「ボールは友達だよ」
と言いつつルイズをドリブルして宝物庫へドライブシュート
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:30:05 ID:AvqCPu8g
>>97
それでもダミアンなら、アクション映画みたいなことをしたダミアンならなんとかしてくれる
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:30:25 ID:sK595AY/
でも蹴るんだな
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:30:52 ID:oiSivjJd
>97
ボクシング(ジョー)と野球(アイアンリーガー)とサッカー(キャプ翼)があったはず
相撲もあったような
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:31:34 ID:AvqCPu8g
>>98
完全に食われてるじゃんかwwww
>>97が言ったのとは違う意味で相性が悪すぎるw

というか、翼世界が強すぎるのか。
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:31:47 ID:MBYXnviC
乙でしたー。
確か、使い間のルーンは『死ぬと解除される』わけで、三人は『死ぬ事で入れ替わる』……つまり、存在変換するたびに再契約する必要が発生するのかな?
107名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:32:05 ID:2Li4O3sJ
>>100
あれはスポーツ漫画じゃないよ、格闘技漫画だよ
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:34:19 ID:7Z/cIhb+
>>107
禿同
109名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:37:33 ID:2QGdmhxL
翼くんがドライブシュートでフーケを退治したのをきっかけに、トリステインで一大サッカーブームが巻き起こり
隣国ゲルマニアやアルビオンにも広がって、ガリア王ジョゼフ経由で砂漠のエルフの間にもサッカーブーム到来
物語のクライマックスではハルケギニア・ワールドカップ開催ですね、分かります
110名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:39:44 ID:0kHGu7Tg
シエスタのおじいちゃんは森崎ですね、わかります
111名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:40:56 ID:U0UzhrEi
分身とか瞬間移動とか人体ふっ飛ばす必殺技とか時間停止とかに加えてわけわからんオーラまで出るからな
普通に駆使して戦えると思うぞ
112名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:41:54 ID:0kHGu7Tg
ルイズの世界に、チャーリー小林が登場!

・・・いやなんでもない
113名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:44:15 ID:vRiA4HuC
>>93
チンケな使命感だ
114名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:45:29 ID:zgv26bx0
>>113
自演に見える
115名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:54:31 ID:MBYXnviC
サッカーといえば、最近はイナズマイレブンかな?
116名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:56:01 ID:4MQv+hED
>>110
顔面ブロックするシエスタが浮かんで吹いた
117名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 23:57:22 ID:AvqCPu8g
ジャンプ:マイスター
サンデー:GOLDEN★AGE
マガジン:エリアの騎士
チャンピオン:ANGEL VOICE
モーニング:GIANT KILLING
118名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 00:00:34 ID:lrxkngme
サッカーなら、漫画じゃないけど少林サッカーも相当だな。
チャウ・シンチーつながりでカンフーハッスルだと、最終的には手を軽く突き出すだけでフーケのゴーレムどころかヨルムンガンドすら消し飛ばしかねんし。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 00:02:26 ID:IbPV+7sx
石崎と間違えた… すまん
けどまぎらわしいよな、石崎と森崎は
120名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 00:16:07 ID:oi9ceqXq
wikiにあったあしたのジョーとゼロ魔クロスのように、超人スポーツがハルケギニア社会の大きなウェイトを占めている世界はどうだろう。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 00:18:25 ID:CR1ITeTY
アクアの人乙です。
アクアの暴走に超期待w
122名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 00:24:48 ID:3m7TZQOI
>>119
それだとシェスタの顔面が大変な事になる……
123名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 00:47:55 ID:yqKABzV9
>>122
ちょっとおっちょこちょいになって、
何かと顔にモノが当たるという珍妙なギャグ属性がつくとか?
124名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 00:57:03 ID:HLtk2Yg8
あれって割と味方のピンチに発動するものじゃないか?
125名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 01:12:21 ID:i1RiifxN
顔面でブロックしようとするからいけないんだ
シエスタならどの部分でブロックするのが一番か、賢明なスレ住人なら分かるであろう
126名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 01:13:20 ID:h8zb/i+w
跳ね返る方向が予測できない!
127名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 01:15:05 ID:CR1ITeTY
つまり尻でブロックするのですねわかります。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 01:24:58 ID:L7BYT0qW
>>120
あえてデュエルで
自分で書いて満足するしかねえ!
129名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 01:35:25 ID:i1RiifxN
キバって必殺技を使うと満月になるけどあれはなんで?
130名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 01:36:04 ID:h8zb/i+w
かっこいいだろ?
131装甲騎兵ゼロ:2008/12/22(月) 01:46:53 ID:zsMVP1d/
夜もふけてきたところにこんばんは

予約なければ1:50から投下したいのですが…大丈夫ですかね?
132装甲騎兵ゼロ:2008/12/22(月) 01:51:23 ID:zsMVP1d/
大丈夫そうなので、いかせていただきます



第3話「契機」

「なるほどのぅ。では使い魔として召喚したのはゴーレムでなく、それに乗っていた平民とな?」
夜も更けてきたトリステイン魔法学院の学院長室にて、コルベールから昼間の報告を受ける老人が一人。
この学院における最高責任者、オールド・オスマン学院長その人である。
「はい。そのゴーレム―彼はATといっていましたか、それの特徴や彼の服装等を調べていますが……」
あれからコルベールは、様々な文献からキリコとATに関する情報を探している。
さらにそこから得た情報から出した、コルベールなりの推論も書類には記載されていた。
一方でキリコに刻まれたルーンについても調べていたが、こちらはまだ「どこかでみたようなことがある」といった程度でしかない。
もう少し詳しくわかった時点で報告しようとコルベールは考えていた。
「うーむ……、こりゃまた謎だらけな使い魔が現れたもんじゃのぅ。」
コルベールから提出された、経過報告をまとめた書類に目を通していくオスマン。

やがて一通り読み終わったのか、書類を机に置くとコルベールに向き直る。
「しかし『異世界から来た』、と考えるのはちと早計すぎやせんかね?」、
「確かにそうかもしれません。が、可能性としてはあるのではないかということです。」
訝しい顔のオスマンに対し、コルベールはそう返した。
「ふむ、そうか……まぁなんじゃ、別に急ぐ必要もあるまい。職務に差し支えない程度に、引き続き調べておいてくれい。」
「はい。では失礼します。」
コルベールが部屋を出た後、オスマンは一人つぶやく。
「やれやれ、何もなければいいんじゃがのぅ……。」


学院長室からでたコルベールは自分の研究室へと足を運んだ。
その学院内で浮いた印象がある粗末な小屋の横に、雨風避けの布が掛けられたATが鎮座している。
キリコが去った後にあの場所からここまで移されたのだが、それは実に大変な作業だった。
まずレビテーションを試すもATの重量はコルベールの予想以上で、浮かすこともままならなかった。
そこでオスマンに頼み、わざわざ竜を用いた輸送で学院まで運び込んだのである(無論、輸送費用はコルベールの負担)。

そのATを眺め、コルベールはキリコが言っていたことを思い出してみる。
「(そういえば、彼はこれを『兵器』、自身を『兵士』といいましたか。……中から出てきたのは彼だけでしたが、となるとこれを一人で動かしていたと?)」
先刻は契約のこともあったので深くは考えなかったが、よくよく考えれば恐ろしいことだ。
今は足を前に投げ出した形で座っているが、直立すれば実に4メイル近くに達する高さになるだろう、鋼の人型。
そんなものを一人の兵士が操り、戦場を闊歩しているなどコルベールには想像も付かない
「(彼が異世界からきたのだとしたら、これもその世界に存在するのは確かなのでしょう……。)」
何故こんな兵器を生み出したのか。
これ以外にも同じような兵器があるのか。
一体どれだけの兵士が、キリコと同じような立場にいたのか。
そしてそられを生み出したであろう異世界の「戦争」とは、果たしてどういったものなのだろうか。

考えれば考えるだけ、別の疑問が生まれてくる。
だがその答えは、ハルケギニアの誰も持ってはいないだろう。異邦者であるキリコ唯一人を除いては。
「(……いずれ、話を聞くことがあるかもしれませんね……。)」
そうして頭の中の思案を打ち切ると、コルベールは自室へ戻っていった。
133装甲騎兵ゼロ:2008/12/22(月) 01:53:46 ID:zsMVP1d/
場所は替わって女子寮、ルイズの部屋。
キリコを連れ自室に戻ってきたルイズは、キリコがどこから来たのかを知るために話をしていた。
だが当然のことながら、彼女には「アストラギウス銀河」や「ギルガメス」といった名称などわかるはずもない。
それは「ハルケギニア」や「トリステイン」について聞かれたキリコにとっても同様だった。
「……つまり、アンタは別の世界からやってきたって言いたいわけ?」
「可能性としてはそれが一番高い。」
淡々とキリコは答えるが、ルイズは信じられないといった様子で頭を抱える。
「ありえないわよ。大体、ハルケギニアの生き物を呼び出すハズの『サモン・サーヴァント』で、どうして別の世界から呼び出されるのよ。」
「それがわかれば苦労しない。」
それだけ言うとキリコは黙ってしまった。
「あぁ〜、もういいわよっ!アンタの素性なんかわからなくたって、使い魔なことには変わらないわ。それよりも使い魔としての務めを教えないと。いいわね?」
キリコは答えない。それを了承と勝手に解釈したルイズは、三つある使い魔の務めを教えることにした。

まずは「感覚の共有」からだったが、いくら試してもルイズの眼には何も見えはしなかった。
「ちゃんと契約したハズなのに……なんでできないのよ〜!」
「……。」
次に「秘薬などを探させる」といったものだが、
「何にも知らないんじゃできるわけないわよねぇ……。」
「……。」
これに関しては先のやり取りから、互いに分かりきっていたことだった。
「じゃあ最後に……ってちょっと、アンタ聞いてるの?」
先ほどから視線すら向けず沈黙したままのキリコに、自分の話に耳を傾けているか確かめるルイズ。
「一応な。」
キリコはそう短く答える。

このようなキリコの態度がどうにも気に入らなかったルイズ。普段なら、先の返事で既に怒りを露にしているところだ。
だが今回は昼間の召喚と前述のやり取りで疲労が溜まり、すっかり怒る気力も失せていた。
「はぁぁ〜……とにかく、最後の一つ『主人を守る』だけでもやってもらうわよ?兵士だって言うならそれだけでもやってもらわなきゃ。」
一時の間をおいて、キリコが口を開く。
「期待はするな。」
「平民に大した期待なんかしないわよ……。あ、それと色々雑用もしてもらうから。掃除とか洗濯とか〜」
ルイズはその後も雑用についてあれこれ話していたが、キリコは殆ど聞き流していた。

「疲れたぁ……明日は授業だから、もう寝なきゃ。あ、アンタはそこよ。」
ルイズはネグリジェに着替えると、藁が敷いてある場所を指してキリコにそう告げる。
野ざらしよりはマシだと、心の中でそう自分を納得させて、キリコは横になる。
「(なんなのよコイツ……さっきから人の命令は無視するし、ロクに喋らないし、愛想もないし……。何考えてるかわかったもんじゃないわ。)」
先ほどからのキリコの態度に心中穏やかでないルイズだったが、それも疲労と眠気で容易にかき消されていった。
「じゃあ明日、ちゃんと起こしなさいよ。」
最後にそう言って、ルイズはランプの明かりを消した。すぐに闇が部屋を覆い、ルイズは深い眠りにつく。
「(……今はただ寝ておこう。)」
そうしてキリコも眼を閉じた。
キリコがハルケギニア来てからの長い長い初日は、ようやく終わりを迎えた。
134名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 01:55:57 ID:jZ0wHfbV
最低野郎支援
135装甲騎兵ゼロ:2008/12/22(月) 01:58:52 ID:zsMVP1d/
翌日。
日の出よりも早く目覚めたキリコは、昨日コルベールに任せたままのATが気になっていた。
「(あれから大きな騒ぎがないようなら、大丈夫だとは思うが。)」
いずれにしろ、預けているコルベールと接触する必要はあったので彼を探すことにする。
だが肝心の場所がわからない。
起こすついで、ルイズに聞こうと思ったが、あまり早い時間に起こしてもこの少女は文句をいうだろう。
「(……他を当たるか。)」
ついでに一応の仕事はしておこうと、洗濯物を適当なカゴにつめ、キリコは静かに部屋を後にした。

部屋をでたはいいが、特にこれといったあてもなく彷徨うキリコ。
そのうち広場にでても、肝心の目的地がわからないので立ち尽くしていたキリコに、一人の少女が声をかけた。
「あの……どうかされましたか?」
キリコが声のしたほうを振り向く。
するとそこには、大量に衣類の入ったかごをもつ、黒髪の少女がいた。
格好からして学院の生徒ではないことは明らかで、恐らく学院の貴族やらに当てられる召使だろうかとキリコは察する。
「コルベールという男の場所にいきたいんだが、場所が分からなくてな。」
「あ、それでしたら、私がご案内しましょうか?」
思わぬ助け舟であった。

「私はこの学院に仕えるメイドで、シエスタといいます。えーと……失礼ですがどちら様でしょうか?」
二人は並び歩いてコルベールのもとへ向かう途中、互いの自己紹介をしていた。
「キリコ・キュービィ。昨日ここに召喚された。」
「召喚……?あ、もしかしてミス・ヴァリエールがゴーレムと一緒に召喚された、平民の使い魔さんですか?」
「そうなるな。」
どうやらもう噂になっているらしい。今度はキリコが尋ねる。
「仕事があるように見えたが?」
「今日は少し時間に余裕がありますから、道案内くらい大丈夫です。」
笑顔でシエスタは返す。
「そうか。コルベールの部屋は外にあるのか?」
「部屋というか、研究室ですね。ミスタ・コルベールは変わり者って言われてて、自分の研究のためといって色々な実験をやっているらしいんです。
 けど自分の部屋だと周りから苦情がきてたみたいで、それでわざわざ専用の小屋を建てたんだとか。」
苦笑しながらシエスタはそう話す。
魔法中心のこの世界において、科学技術の発展は今ひとつなのだろうということを、キリコはそれとなく感じ取っていた。
「(ATをあんな目で見ていたのもそういうことか。)」

やがて研究室とやらが二人の視界に入ってきた。
「あの建物です。あれ、何かとなりにあるみたい……?」
「……。」
二人の目には、学院には似つかわしくない粗末な小屋と、その横に布で覆われてる大きな塊が映っていた。
「あれ、なんなんでしょうか?」
「たぶん俺のATだ。」
そういいながら二人はATの前に着いた。
キリコは布を剥いで自分が乗ってきた機体だと確認すると、慣れた手つきで機体各部のハッチを開けていく。
136装甲騎兵ゼロ:2008/12/22(月) 02:03:02 ID:zsMVP1d/
スコープドッグ・ターボカスタム。名機スコープドッグの数あるカスタムタイプの一つで、「タイプ20」とも呼ばれる高機動戦闘用の機体である。
最大の特徴は、脚部に内蔵されているジェットローラーダッシュ機構。これを作動させることにより、通常型の何倍もの機動性を得た。
しかし代償として、機体の操作性と安定性は最悪という代物になってしまった。
そのため一度は正式採用された同機だが、その半年後に生産中止・廃棄処分が決定。この間に500機近くが生産されたという。
また百年戦争後、廃棄処分を逃れた機体が闇ルートなどで出回っていたというが定かではない

現在のキリコが用いてるこの機体は、純粋にターボカスタムとして生産されたものではない。
ATのカスタムタイプは形式こそあれ、軍の制式ではなく改造プランの一種に留まっている場合が多いとされる。
そのため同じ形式の機体を作っても、使われたパーツや運用される状況によって差異が出ることも少なくない。
このターボカスタムも同様で、方面軍の一部が残された改造プランを参考に、通常仕様のスコープドッグをターボカスタムとして改造したものである。

キリコはそのターボカスタムの各部を見て回り、同時に軽いメンテナスも行っていく。
「(どうやら注意は聞いてたようだな。)」
機体のコックピット周りは調べられた形跡があったが、PR(ポリマーリンゲル)液、マッスルシリンダーなどには手がつけられていないことを確認する。
「どこにも問題はなしか。シエスタ、コルベールはいたか?」
キリコは自分がターボカスタムを見ている間、コルベールが近くにいないかシエスタに探せていた。
「いえ、いませんでした。ここにいるところをよく見るので、今日もここかと思ったんですけど……すみませんっ。」
「問題ない。むしろ手間が省けた。」
ミッションパックから個人用装備を取り出しながら、キリコは謝るシエスタにそういった。


「では、私はもういきますね。ミス・ヴァリエールの部屋の場所はわかりますか?」
キリコが持っていた分の洗濯物も、ついでだからとかごに詰め込みながらシエスタは言う。
聞かれたキリコが首を横に振ると、シエスタは簡単な地図を描くというので、キリコは手持ちのメモ用紙とペンを渡す。
「世話をかけるな。」
「いえ、そんな大したことじゃありませんよ。」
ややあって、ルイズの部屋までの道筋が書かれたメモがキリコに渡される。
「それの通りにいけば、ミス・ヴァリエールのお部屋に着きますので。それでは失礼しますね、キリコさん。」
洗濯物の入ったかごを抱え、足早に去っていくシエスタを見送り、キリコもメモを頼りに部屋へと戻っていった。
朝日は昇り、今日という日がまた始まる。



予告

日常とは繰り返しの連鎖。
昨日を省み、今日に浸かり、明日へと赴く。
いつしかそれは鎖となり、気づけば雁字搦めのこの身体。
動けぬならば楽になろう、辛さ苦しみ避けていこう。
だが忘れるな、それでも挑戦こそが人生なのだと。

次回「変動」
故に人は、挑むものを選ばない。
137装甲騎兵ゼロ:2008/12/22(月) 02:04:26 ID:zsMVP1d/
以上で終了です。支援、ありがとうございました。
それでは。
138名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 02:17:50 ID:CR1ITeTY
キリコの人乙です。
次回にwktk
139名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 02:22:39 ID:i1RiifxN
>>137
乙、最低野郎
140探偵物語次回予告:2008/12/22(月) 02:57:37 ID:tm0jXVvb
ご好評を頂いた探偵物語も残すところあとX回
そんな差し迫った状況の中、お馴染み下北沢を遠く離れて
べスパに乗ってやってきたのはなんと異世界ハルケギニア
釘宮理恵、いのくちゆか、堀江由衣、と、
豪華アイドル声優総出演でお送りする次回探偵物語
「工藤ちゃんがルイズに召喚されました」
べ、別に俺ぁアンタに見て欲しくなんかないんだからな
141名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 03:14:26 ID:g+n8KfJv
最低野郎の作者乙であります!
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 03:24:34 ID:0VVDr+bG
>>140
おおぅ、頭の中でBAD CITYが流れるぜww
本当に投下されるかどうか分からんけど、俺は靴下一枚で待ってるぜwww
143名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 03:42:00 ID:yqKABzV9
>>142
口にコーヒーを含むのを忘れちゃ駄目だ。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 03:43:53 ID:nNuroBqn
最低野郎の人はおもしろいがまだむせないな
145名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 08:33:34 ID:kzCDfA6k
>>37
>拭払(ショクフツ)
払拭の間違いかと思ってググったら実際にあるのな
意味は同じで払拭の方が一般的なだけか
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 08:43:03 ID:gfoHcONc
>>144
そりゃ学園内だけでOVA含めた全名前有り女キャラの数を越えるからな
なんにせよGJでした!
147名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 08:50:17 ID:d4GIgEso
顔を血で赤くぬらしながらワルドに覆いかぶさり
アダムのリンゴを貪っているルイズの姿とかを想像すると可愛くて仕方が無い
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 09:59:40 ID:0FHeDoBY
ジョゼフの死後シャルル派に追い詰められ、目に入る人間すべてが敵に見えておびえ続けるイザベラ様マジ可愛い
タバサは気遣って色々やってくれるんだけど、それすら罠に見えて錯乱寸前になっちゃうの
でも突っぱねるのも怖くて、必死に平成を取り繕うんだ……
終いには平民のメイドにすら媚を売るようになってしまい、虚ろな目をしながら見えない誰かに恐怖して、布団に包まって震えているイザベラ様
最後はタバサのウェンディ・アイシクルによって救済される、と
149名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 10:18:37 ID:lynZFUKN
また君かね
150名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 11:03:52 ID:EN/CXyFm
メモ用紙とペンだけでも技術格差ありそうだけどシエスタ華麗にスルー
コルベール相手だと違っただろうか
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 11:13:22 ID:DhjmLcEM
VPからレザード召還してルイズ…美しい…って状態にさせようぜ
ドMだからツンのルイズと相性いいと思うんだが
152名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 11:28:50 ID:lynZFUKN
いいぜ、>>151が投下する時は思う存分支援してやるよ
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 12:10:27 ID:UbiPFW9i
>>140
探偵物語次回予告完全再現してますなw
154名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 12:27:54 ID:0TQ/RZY0
>>46
亀ながら乙

>>140
吹いたw
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 12:37:18 ID:ZNet43aS
>>151
契約成立するまえに実験体にされるかとw
青い光に包まれながら絶妙な俯き加減の含み笑いに皆がドン引きなレザード
ギーシュをじっくりと甚振るレザード
ロングビルの証言を逆転裁判よろしく矛盾点を叩いて遊ぶレザード
決闘を望むワルドを扱き下ろしながら却下するレザード
ワルドが提案をするよりも早く傭兵とフーケを瞬殺するレザード
問答無用で空賊船を撃墜するレザード
遍在の詠唱を待たずに中魔法でオーバーKILLなレザード
156名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 12:53:07 ID:CR1ITeTY
>>155

よ…読みteeeeeee!
wktkが止まらないw
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 13:13:04 ID:bVpiDFv9
VPは良く知らんがイメージ的にレザードって
「変態のデパート」とか「変態フルコース」とか
そんな感じなのだが
158名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 13:17:41 ID:HLtk2Yg8
キャラを知っている人にしかウケなそうだな
159名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 13:18:20 ID:vJho3S6m
>>157
正解
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 14:00:50 ID:4YIkTDh3
レザードがでるとなると、ガリア王や教皇はロキとかオーディンとかをよびそうだ
ティファニアは…
ブラムスとか?〈全員人外〉
161名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 14:43:19 ID:t0/Ugdgp
問答無用で原作破壊な使い魔
モンスターコレクションから鏡蟲を召喚。

メイジの天敵だぜぇw
162名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 14:55:21 ID:CR1ITeTY
モンコレなら漫画版からコルボとかシンさんとかアンヘルとか“蝕”とか居るジャマイカ。
あとモンコレナイトとかw
163名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:02:46 ID:CR1ITeTY
前言撤回。コルボ呼んでメシ抜きにしようものならその辺の使い魔料理しかねんw
メシ抜きのたびにいなくなるきゅいきゅいやきゅるきゅるやモグラや蛙を幻視したww
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:15:49 ID:XgOIrgj6
誰かNARUTOのナルトを召喚してみたら?
165名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:28:23 ID:QYw0xxaX
初期の、子供ナルトなら支援する。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:28:28 ID:69MWP1hv
呼ぶならナルトよりリー君だろ
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:34:16 ID:4Loj2q3u
リー君は「美形に勝てない(勝つ話を許可してもらえない)」という恐ろしい制約があるんだぞ
それなのに召喚して主人公に仕様などと惨い事を……
168名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:34:44 ID:CR1ITeTY
ナルトはなぁーw
うずまきナルト連弾で瞬殺されるワルドとか影分身+螺旋丸で消し飛ぶ5万しか浮かばないwww
169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:39:22 ID:lynZFUKN
螺旋丸を何だと思ってるんだ
170名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:40:30 ID:LEXHOwoC
ピンク頭つながりでサクラ、という線もあるのでは。
適度に強いが、最強レベルではない。ただ第二部だと綱手ゆずりの怪力があるけど。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:42:20 ID:ac0KtwpP
ここは改心前の我愛羅をですね…
172名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:45:37 ID:HLtk2Yg8
ナルト召喚 → 影分身修行 → ワルド「ピコーン!」

>>170
回復術?もあるでよ
173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:46:26 ID:CR1ITeTY
>>171

ルイズ終了だなw
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:48:45 ID:LEXHOwoC
ここでよく有るのが、直前に死んだはずのキャラが生き返って召喚されるケース。
名言はされてませんが、おそらく、という意味でカカシ先生を。
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:52:57 ID:HLtk2Yg8
カカシ召喚 → 影分身修行 → ワルド「アハ!」
176名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 15:56:21 ID:/JLDCI0V
バトルものでは死者には困らないからな。
ワンピースやボーボボみたいにほとんど死なないのもあるが、犬夜叉なんか敵も味方も死にすぎの感がある。
177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 16:04:28 ID:QYw0xxaX
犬は長すぎたせい
178名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 16:05:31 ID:bVpiDFv9
死者に困らない・・・・・・・・・
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールがジーク・ヴァールハイトを召喚しました

ヤツならガチンコたった一人で七万防げる
倒しきるのは不可能だろうが
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 16:06:14 ID:CR1ITeTY
ボーボボ召喚…
ワキゲ真拳を習得してルイズ無双を幻視したww
180名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 16:06:22 ID:YF+75eyn
>>176
ベルセルクなんて進行上仕方ないとはいえ、容赦なく鷹の団皆殺しだからな。
ジュドー……(T^T)

今の仲間も現在進行形で死亡フラグ立ってるし。
頑張れ闇の獣!
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 16:24:29 ID:QKyTVoJh
死んだキャラつーとエクセルサーガの岩田君なんかどーだ?
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 16:26:29 ID:QKyTVoJh
すまんsage忘れた
183名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 16:41:15 ID:0OPsqOPe
虚無使いがペルソナに目覚めたらやっぱワイルドなんだろうか
すでに書かれているものだとルイズのペルソナは固定っぽいが
ルイズにコミュニティ築かせるのは難儀しそうだw
184名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 16:42:13 ID:8/gi1GXk
岩田君は、死んだのではなく『脳生き』状態だったというオチが付いたんですよね。
エクセルの忠誠心が、イルパラッツォではなくルイズに向かったなら、物凄い空回りしそうだなあ。
185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 16:44:40 ID:SKoNX6on
>>176
ボーボボをバトルもの扱いとは・・・あの雷影様が黙っていませんね・・・

てか不条理ギャグ畑のキャラは火石の爆発でも熱かったで済ませたり
自力で世界扉で帰っちゃいそうだから始末に終えない。


初代ガンダールヴは犠牲になったのだ・・・
やめろォ!
キーーー
186夢幻竜作者:2008/12/22(月) 17:03:30 ID:3U9ZiVn/
10分から二話連続投下はありですか?
大体18kbぐらいなのですが。
187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 17:07:20 ID:QYw0xxaX
断る










と見せかけて支援
188作者:2008/12/22(月) 17:11:28 ID:2SsEV/Ej
どーも作者です。
もう季節は冬!冬と言えば雪!雪といえば白!白と言えば……白と言えば……
何も進んでねーもう片方の原稿じゃーん!
お後が宜しいようで(よろしかねーよ……)。

ゼロの夢幻竜 第三十四話「告白」

さて時間はラティアスがレコン・キスタの夜営を襲う凡そ三時間ほど前まで遡る。ルイズは静寂に包まれた城の臨時医務室で蝋燭の明かりを頼りにある物を探していた。
昼間ラティアスが担ぎこまれた際、ここにならあるだろうと見当をつけた物である。しかし、目当ての物は棚や引き出しの中を幾ら探しても見つからない。
考えが甘かったのだろうか?もっとよく探してみようと手近な引き出しを開けようとした。その時である。

「何をしているんだい?」

驚きのあまりルイズは蝋燭の乗った台を落としかける。落ち着いて振り返ると、そこにはナイトガウン姿をしたウェールズが立っていた。
普段からも勇ましそうな外見をしているが、今着ている深紅のガウンはそれをより一層引き立てていた。突然の皇太子登場にルイズは慌てふためく。

「殿下!あの……私の使い魔ラティアスが戻ってきた時に応急処置が出来るようにと思いまして……使い魔の面倒は主人が見るものですから。殿下は何故こちらに?」

するとウェールズはラティアスが横たわっていたベッドを横目で見ながら何でもない様に答えた。

「いや、あれだけの大群を押し返し、わが軍に一縷の希望を齎した君の使い魔に会いたくなってね。それと夜の散歩も兼ねている。このところよく眠れない日が続いているものだから。」

そう。ウェールズは朝から晩餐の時までずっと自国民の為に、そして兵の為に働き続けていたのだ。会う時間は無かったと言って等しい。
それに自国の命運がどうなるかの瀬戸際という事もあり、この数日眠れている時間は一日二、三時間ほどに止まっていた。ウェールズは微笑みながらルイズが開けた引き出しを閉める。ルイズはその時、昼間訊ねた事をもう一度訊いてみた。

「殿下、御無礼を承知の上で、今一度申し上げたき事がございます。」
「構わぬ。何なりと申してみよ。」
「では……殿下は明日貴族派と戦い勇敢に散られるお覚悟。それは変わってはいないのですね?」
「勿論だ。私は先陣を切り真っ先に死ぬつもりだ。だがそれはただの名もなき死ではない。栄光という輝きを持つ名誉ある敗北なのだ。連中にはそれを意地でも見せ付けてやるつもりさ。」

救世主の降臨を謳うかのようにウェールズはルイズに告げた。暗く沈んだ表情のルイズはそれを正視する事も出来ない。ウェールズは同じ調子で続ける。

「君は民衆の事を心配しているのかい?大丈夫だよ。彼らは明日の朝一番に『イーグル号』でアルビオンを脱出させるよ。安心したまえ。
しかし、亡国の民を気にかけるとはラ・ヴァリエール嬢。アンリエッタが君を選んだ理由が手に取るように分かる。君は実に優しい……」
「残された民はどうなるのでしょうか?」

ルイズの真剣な声をした質問にウェールズは話すのを止めた。それからルイズは畳み掛ける様に質問をした。

「民は、殿下の事を敬愛し追従しようとした民は、残された後どうなるのでしょうか?
例えトリステインに避難して安らかなる明日を確約されてたとしても、その後彼らは一体誰を拠り所として祖国に戻る日々を思わなければならないのでしょうか?私は姫様を悪く言うつもりは毛頭もございません。
ですが、民が再び祖国の土を踏む時、その中心におわすのはやはり殿下であるべきだと思うのです。
その殿下が今度の戦で、その……お命を散らされるというのは……」

その勢いにウェールズは少々息を飲んだ。まさか一介の学生が王族に対してここまでの剣幕で物を言うとは思ってもいなかったのだろう。並みの学生では容易に出来はしまい。
ウェールズは少し考えた後苦しげに言葉を紡いだ。

189作者:2008/12/22(月) 17:12:53 ID:2SsEV/Ej
「確かに私としてはとても心苦しいところもある。しかしトリステインに辿り着いた民は私の戦死を聞いてただ打ちひしがれたままという訳にもいかない。
アンリエッタは上手く彼らを私無しでもやっていく事が出来るように采配を振るうだろう。私は彼女を信用している。心底ね。」
「姫様もまだ殿下の事を慕っておられます!勇敢なる為政者として、一人の若き女性として!残された者は……残された者達は、寂しさと悲しさを何時までも持たなくてはならないのでしょうか?!」

ルイズも一歩たりとて退くつもりはない。この国に着てからというもの、ずっと心の内に抱いていた思いの丈を吐露する。それは嘘偽りの無い、自分で考えた懸命の言であった。
ウェールズは少し俯き、目を合わせない様にしても尚気丈そうに話した。

「ラ・ヴァリエール嬢。人は……人という生き物は先立つ者への悲しさ、そしてその事によって齎される寂しさを携えたまま生きていく事は出来ない。そしてそうして生きてはいけないのだ。そんな風に生きる事は先立つ者を愚弄する事にもなりかねない。
それに今に至るまで王家に殉じた者は多くいる。ここで私が退く事は彼らを裏切る事に他ならないのだ。明日、私が戦死するという事はつまり、彼らの忠義に報いるという事なのだ。
それにアンリエッタの身を考えれば、余計に君が言わんとしている事を実行に移す訳にはいかないよ。」
「殿下、しかしっ!」
「私はアンリエッタを情に流され重婚の罪を犯そうとした者としたくはない。さあ話はこれで終わりにしよう。使い魔を心配する気持ちは私も分かるが、淑女が起きているにはもう十分遅い時間だ。そろそろ部屋に戻っては如何かな?」
ウェールズはもうそれ以上の談義は出来ないとばかりにルイズの肩をそっと掴んで出口に向かわせようとした。
だがその時、ウェールズの侍従パリーが昼間の格好のまま部屋に飛び込んできた。

「殿下!殿下!ここにおられましたか、殿下!実は今、大使様付きの騎士と申される方が城門前にいらっしゃっているのですが、お会いになられますか?」
「大使様付き?ラ・ヴァリエール嬢、思い当たる人はいるかね?」
「恐らく……私達の護衛に当たっていたワルド子爵の事だと思います。殿下、申し訳ありませんが先ず私がその者にお会いしても宜しいでしょうか?」
「良いだろう。パリー、大使様をそこへお連れしなさい。」
「かしこまりました。では大使様、どうぞこちらへ。」

パリーはルイズの手を恭しく取り廊下まで導いてから歩き出した。
ルイズとしては姫様が悲しむ顔は見たくない。やはり少々手荒かもしれないが、あれをするしか残された道は無いのだろうか?
あれこれと考えている内にルイズは城のホールに着いてしまっていた。
パリーは「ここで少々お待ち下さい。」と言ってホールを後にする。
一人ホールに残され、更に何もする事が無いルイズはその辺をぶらぶらと見てまわる。
『白の国』と言うだけあって城の天井、壁、床、更には調度品までもが眩しい白色で統一されていた。所々滴下血痕が乾いて残っていたりもする。
昼以降、与えられた自室と医務室からあまり出る事は無かったが、こうして見ると、やはり確実に城は崩壊へと進んでいるのだ。そして『アルビオン王家』という存在も。急いで何とかしなくては。
すると、ホール入り口の扉が開き、その向こう側からパリーとワルドが姿を現した。

「ワルド様!」

しかし叫んですぐ、ルイズはある異変に気付いた。キュルケ達がいないのである。遅れて姿を現すのかと気になってワルドの後ろを見るが誰もやって来そうな気配は無い。ルイズの反応を見たパリーは安心した様に言う。

「おお、やはり大使様がご存知の方でしたか!ささっ、どうぞこちらへ。」

それからワルドとルイズはホール脇の廊下を通り、城の奥にある小ぢんまりした会議室の様な部屋へ誘導される。
部屋に入って最初に話を切り出したのはワルドからだった。
190作者:2008/12/22(月) 17:14:05 ID:2SsEV/Ej
「遅れてすまない、ルイズ。君の友人達はスカボローの港で一休みしてからこちらに来るそうだ。私としてはなるべく早く来たかったんだが、どうしてもと言われてね。」
「船は……船はどうしたの?」
「無理を言って早目に出してもらった。おかげで風石の代金がかかってしまったよ。ところで私としては君が無事に着いて何よりだった。殿下から手紙はもう貰えたのかい?」
「え……ええ。」

ルイズはワルドを見つめながらえもいわれぬ感情を抱えていた。姫様は自分達に万が一の事が起きた時の為にワルドを護衛として付けた。しかし、当の本人はその任務を端折ってまで自分の元へやって来た。一体何が彼をそんな行動に駆り立てるというのだろうか?
しかもキュルケ達はスカボローの港で休んでいるらしいが、ルイズが見た限り、あそこはもう半分以上貴族派の兵士によって併合されている様な状態のはず。呑気に休めるものなのだろうか?
休むならニューカッスルに近い所で休む方がまだ得策という物である。しかしワルドはルイズの思案を他所に話を続ける。

「そうだったか。それなら良かった。ところで君の使い魔の姿が見えないが今何処にいるのかな?」
「ラティアスなら今……ちょっと別行動に移っているの。明日の昼前には戻ってくるはずよ。」
「別行動?何処かに向かったんだね?そうか。僕としては残念だな。折角僕達の晴舞台を見て欲しかったんだがね。」

晴舞台?ワルドは何の事を言っているのだろうか?

「あの……ワルド様。私まだあなたの言っている事がよく分からないんだけど……」
「ん?ああ、すまないね。君を放り出してしまって。時にルイズ。君と僕は婚約者同士だったね。」
「ええ。そうだけど、でもそれが何か?」
「王党派、貴族派両軍の決戦は明日にも始まるだろう。その前に……ここで皇太子殿下媒酌の下、結婚式を挙げないか?」

そのあまりの突飛な内容にルイズの頭は完全に固まってしまった。ワルドは一体何を言っているんだろう?確かに自分と彼は婚約者の間柄ではあるが、今の内容はいくら何でも冗談が過ぎているのではなかろうか?
それにルイズとて結婚に甘く淡い幻想を抱く乙女である。挙式なんて物はもっと穏やかな時に、それも親族や友人、知人と共に華やかに行なう物だと考えていた。
そんなルイズにワルドは宥めるように言う。

「君は今、何故こんな時にそんな事を?と思うかもしれない。しかし、本当の事を言えばこんな時だからこそなんだ。確かに僕は騎士隊の任に夢中になって自分の領地の経営も君も長いこと放ったままにしていた。
それを鑑みれば婚約者だなんて軽々しく言うのはおこがましい物だろうけど、今の僕には君が必要なんだ。この危機を二人で乗り越えた時、僕達はもっとお互いを必要とし合うだろうし、もっと離れたくないと思う様になるだろう。」

全ての言葉の半分程度しかルイズの耳には入らなかった。ルイズはワルドの方を「嘘でしょう?」という雰囲気で見つめながら平坦な口調でやっと一言発する。

「異常な状況下で芽生えて成長した愛は決して長続きしないわ。」
「ああ。人はそう言うかもしれないね。だが、僕らの間柄は別さ。僕は良き夫として君を幸せにするよ。ルイズ、僕を信じてくれ。」

信じてくれ。その一言が喉に刺さった魚の小骨の如く妙に引っかかるものだった。ワルドは……結婚後の幸せを信用するに値するのだろうか?
少なくとも八年前、いや、この旅が始まってすぐの頃はそうだった。でも今は?
『何か』を……それが何かは分からないがとにかく『何か』を焦っている様に見える。何なのだろうと考えながら、ルイズはワルドの言葉に答えた。

「ごめんなさい、ワルド。私まだ心の整理がつかないの。プロポーズは嬉しいけど、もう少しだけ返事を待ってくれないかしら。お願い。」

191作者:2008/12/22(月) 17:14:48 ID:2SsEV/Ej
ルイズの頼みにワルドは顎鬚を撫でながら暫く思案していたが、やがて納得した様に小さく頷いた。

「分かった。僕から話を切り出しておいて何だが返事は急がないよ。それまで僕はどこかの部屋で休むとしよう。一頻り落ち着いたらまた会いに来てくれ。」

そう言ってワルドは近くにいたパリーに部屋を案内するよう頼んだ。会議室にはルイズだけがただ一人取り残される。
ルイズは全くもって混乱していた。ここに来てからというもの、あまりに多くの事が立て続けに起き、碌に息吐く間もない時に起きたワルドからのプロポーズ。次第に不安感も湧き水の様に出て来た。
しかし、ルイズは自分自身に発破をかける。

「ワルド様は返事なら後でも良いって言っていたし、今は任務中だわ。第一ラティアスが必死の思いで頑張っている時に私が頑張らないでどうするのよ。ルイズ、しっかりしなきゃ。」

会議室はルイズの言葉を僅かに震わせるが、直ぐに元の静けさを取り戻した。ルイズは頭を振りながら元来た道を戻ろうとする。
すると、廊下に出た所で反対側からウェールズが穏やかな顔をして現れた。

「合流はお済みになられたかな?」
「はい。でもまだ……私の友人が来ていないそうなんです。ワルド様は彼らがスカボローで休むと言っていたのですが……」
「そうか。スカボローは今危ない状況だ。君さえ良ければ私が兵を数名派遣して様子を伺わせてみようか?」
「そんな!私共の為にその様な事をされなくても!」
「いや、私達にはそうする義務がある。君達に失礼な事があれば、その努力に報いる所が無ければ、アンリエッタに申し訳が立たなくなるからね。
安心したまえ。我が兵は勇猛果敢な者ばかりだ。きっと友人達を見つけ出してみせよう。
おっと、先ず彼らがどういった人達だという特徴を君から聞かねばなるまい。すまないが私と一緒に兵達の詰所まで来てくれたまえ。」

ウェールズはマントを翻し、暗い廊下まで早足で歩き出した。遅れじとルイズもその後を追う。詰所に向かう途中でルイズはひっそりと思った。
やっぱり……殿下は分かってらっしゃらない。亡国へ向けられた一介の大使にここまでの対応をするならば民衆の信奉の度合いはとてつもなく大きい物に違いない。
彼らが王と皇太子を失う事になれば心の中に大穴が開く事になろう。そしてそれはルイズ自身敬愛しているアンリエッタ王女も例外ではない。
複雑な心境を抱えたまま、ルイズはウェールズと共に兵の詰所へと急ぐのであった。
192作者:2008/12/22(月) 17:16:31 ID:2SsEV/Ej
二話目行きます。

ゼロの夢幻竜 第三十五話「救難」

東の空が白みかけている時、ラティアスは自分を追いかけ続ける四騎の竜騎士隊から必死に逃げていた。
貴族派の陣営を混乱させるという、ラティアス単騎による奇襲作戦自体は上手くいった。
しかし途中から思いもよらぬ反撃を受ける事になったのだ。

それは相手の被害が大分拡大し、そろそろルイズの待つニューカッスルへ悠々と戻ろうとしていた時の事。
ラティアスは突然に、パシャッという音と共に自分の体に液体状の『何か』が付着するのを感じた。不審に思いその部位を手で触ってみる。
そして『何か』が何なのか分かると、すぐさま触らなければ良かったと後悔する破目になった。
その『何か』とは闇の中で煌々と光る特殊な塗料であった。
それよりも明るい双月が下界を照らしているとはいえ、こんな物を付けられては不可視化で姿を消している意味が無い。
しかも塗料は奇襲の難を逃れたメイジ達によって次々に自分を目掛けて飛ばされる。
ラティアスは一瞬にして高速巡航形態になり、貴族派の夜営場から一目散に撤退し始める。
しかし空を哨戒していた竜騎士隊はその動きを見越していたらしく、ラティアスの前に広範囲に亘って展開した。
前後、上下、そして左右へ網の目の様に布かれたその包囲網は小鳥一匹逃げる隙すら見つからない。
かと言って、後退すれば夜営場にいるメイジ達の集中砲火を浴びる事になる。
敵中突破か集中砲火か。敵中突破の方がまだマシだ。
ラティアスは覚悟を決め、展開された陣の中央を見据えながらそこへ突入した。
竜騎士隊も空中に浮かぶ光に狙いをすまし、有りと有らゆる魔法攻撃を撃ち込む。
その瞬間、様々な魔法が重なった為に凄まじい爆発が起き、隊員達は暫くの間目印となる光を見失ってしまう。
だが夜目の利く隊員が、地上からそう大して高くない所でふらふらと飛ぶ光を見つけた。
気の早い隊員数名がそこに向けて追い討ちをかけるように魔法攻撃を放つ。
しかしラティアスとていつまでもやられたままでいるわけではない。
急激な方向転換をし、未だ出力が不安定とはいえ非常時の為に温存していたサイコキネシスを後方に向かって力の限りに放った。
その攻撃により、竜やマンティコア、グリフォン達は一気に姿勢制御が出来なくなり、次いで起こるえもいわれぬ不快感から跨る騎士達を振り落とそうと躍起になる。
間一髪でサイコキネシスを逃れた他の騎士達は、足止めを喰らった仲間を後方の部隊に任せることにして敵の追跡を再開する。
ラティアスはそれから敵を撹乱する為に木々が鬱蒼と生い茂る森の中を木に当たらない様に、または深そうな川の中に潜り光が外に漏れぬ様にして死に物狂いの疾走を続けた。
しかしながら相手も然る者。いい加減嫌になるほどその追跡はしつこかった。

193作者:2008/12/22(月) 17:17:14 ID:2SsEV/Ej
敵中突破をしてから、かれこれ三時間は経とうとしている。
ラティアスは体に受けた大量の攻撃と夜通しの作戦遂行の為完全にふらふらのくたくただった。
しかし油断をすればあっという間に敵の餌食になるだろう。
繰り返しの攻撃で数は最初の頃から大分減ってはいたが、それでも手錬れが追跡の任を預かっていたのか繰り返される攻撃はかなり強力である。
その時、丁度背中の部分を強烈な『ウィンディ・アイシクル』が掠める。
それが決定打だった。激痛を感じたラティアスはバランスを崩し、地上に数回バウンドしてからその場に停止する。
瞼をうっすら開けると、どこかを切ってしまったのか視界が薄赤く濁っていた。
その間に竜騎士達は地上に降り立ち、各々杖を構えてラティアスの出方を用心深く探る。
気付けば不可視化の効力が切れていた。
ラティアスは瞑目し、出撃前に主人の事を思い返す。自分の実力では最早ここまでなのだろうか?
その返事は上空から返された。

「ラティアスーッ!!」

誰だろうと思い首を擡げてみると、そこにはシルフィードに乗ったキュルケ、タバサ、モンモランシー、そしてギーシュがいた。
シルフィードの口にはギーシュのヴェルダンデことジャイアントモールもしっかりと咥えられている。
まるで夢を見ているかのような感覚だったが、顔も声も本人達に違いは無い。
一方、敵方の突然の支援に竜騎士達は半歩退くが、その正体がたかだか子供が四人と知るや否や若干の余裕を取り戻した。
隊員達は試しに彼らに向かって小手先程度の攻撃魔法を放ってみる。
だがシルフィードは巧みな動きでそれを易々と避け、代わりにキュルケ達を鮮やかに地上へ降ろしてやった。
それと同時にキュルケは全員に小さな声でてきぱきと指示を出す。

「モンモランシーはラティアスの治療を。私は右の方をお相手するわ。タバサは?」
「真ん中。」
「いいわ。それならギーシュは左の方をお願い。それと、あなたはさっき私が考えた動きの通りに動いてね。」
「いいとも。任せてくれたまえ。」

キュルケ達はそれぞれに杖を構えて戦闘態勢に移る。
その様子を見ていたラティアスは小さく掠れた声を出した。

「一個、借りですね。」
「あら、有り難う。そのうちいつか返して頂戴ね。」

まるで小唄を歌う様に軽く答えるキュルケ。すぐ側では駆けつけたモンモランシーが治癒の為の水魔法を詠唱し始めた。

「ここに秘薬は無いし精神力もどこまで持つか分からないけど、私頑張って最善を尽くすわ。あなたがいないとルイズが悲しむだろうし。」
「有り難う、御座います。ある程度治ったら私も加勢しますよ。」

194作者:2008/12/22(月) 17:17:47 ID:2SsEV/Ej
そう言ってラティアスは微かに笑う。それと同時に大規模な爆発が彼女らの前方で炸裂した。
先陣を切ったのはギーシュである。自分の杖から七体のワルキューレを繰り出して相手に向かわせた。
だが相手だって伊達にエリートの竜騎士をやっていない訳ではない。明らかに多勢に無勢なのにワルキューレを赤子の様に翻弄する。
そして一斉に取り囲もうとするそれらを、まるでビスケットを砕くかの如く魔法で粉砕する。
だがそれはギーシュにとって計算の内の動きであった。
粉砕されたワルキューレの破片は自然と騎士と竜の体に雨霰と降り注ぐ。
タイミングを逃す事無くギーシュは大量の薔薇の花弁を彼に吹き付け、次いで間髪入れずにある呪文を詠唱する。

「錬金!!」

次の瞬間、ワルキューレの破片も薔薇の花弁も異臭を放つ重油へと姿を変えた。
そこへ今度はキュルケが『フレイム・ボール』を撃ち込む。
拭き取る事もままならなかった騎士と竜の体は瞬く間に業火で包まれ炭化していく。
だがその間も他の騎士達は攻撃の手を緩める事はしない。
タバサの相手は強力な『エア・ストーム』を放ち、皆を吹き飛ばしてしまおうとする。
半瞬遅れてキュルケの相手は、杖の先から燃え盛る炎を出して相手を消し炭にしようとする。
それぞれは最初別々の攻撃の様にキュルケ達に向かって行ったが、急に合わさって巨大な熱の乱気流を生み出した。
しかしその様な芸当ならタバサにも出来ない事は無い。
タバサもまた氷雪混じりの『エア・ストーム』を作り出して抵抗するが、その際タバサは温度を下げるだけ下げた。
メイジとしての力量が相手と拮抗しているのならば、かかる負担を先ず軽減する必要がある。風の力が同じならば熱さを緩和してやらねばならない。
しかしなかなかに相手も手強く力の緩む気配は一向に見えない。助けが要る。
しかしキュルケが使えるのは火系統の魔法だけで、風はともかく水系統の魔法なぞ使えた事が無い。
その点に関してはギーシュも同じだ。
この場にいるメンバーで他にはただ一人モンモランシーだけが水系統の魔法を使えるが、今は額に汗してラティアスの治療に専念している。
それに詳しくは訊いていないが、通常の授業を見る限り彼女の力量は恐らくドットぐらいだろう。間も無く精神力を使い切って倒れるに違いない。
と、その時。突然タバサの『エア・ストーム』を後押しする様な強風が吹き荒れる。
見るとラティアスが滞空しながら念動力で周囲の気流を変化させていた。
風は一層強くなり、遂には相手方へ乱気流を押し返す。
その強さに、竜や騎士達は懸命に耐えはしたものの力が及ばず、あっという間に空中へ舞い上げられてしまう。
そしてそこへ最後の仕上げと言わんばかりに、キュルケが騎士達の浮かんでいる一点へ赤々と輝く火炎を放った。
暫くして風が治まり、大火傷を負って物も言えなくなった騎士達はそのまま地面に向かって落下し、ボクッという嫌な音を残して完全に沈黙した。
195作者:2008/12/22(月) 17:18:17 ID:2SsEV/Ej
水を打った様な沈黙が続いた後で、ギーシュが真っ先に歓声をあげた。

「や、やった!やったぞ!僕が、いや、僕らが竜騎士を倒した!」
「喜んでいる場合?愛しの彼女は気絶してるのよ?」

キュルケの一言ではっとしたギーシュはすぐにモンモランシーの元に駆けつける。
彼女は気絶こそしてはいたものの、外傷は何一つ負っていなかったので命に別状は無さそうだった。
ギーシュに抱きかかえられたモンモランシーはうっすらと目を開けて呟く。

「ギーシュ……どうしたのよ?」
「どうしたのって、君が心配だからに決まってるからじゃないか!」
「あんたってば……バカね。あたしはどこも怪我しちゃいないわ。ちょっとラティアスの治癒をしてて眠くなっちゃっただけよ。取り敢えず今は眠らせてくれないかしら?」

そう言うとモンモランシーは瞼を閉じ、やがて軽い寝息をたて始める。秘薬抜きでの治癒術は相当負担になった事だろう。
ギーシュはそう思いながら、黙って彼女を担ぎ上げてシルフィードのいる所まで連れて行った。
そんな二人を傍目にラティアスはキュルケに、何故ワルドがいないのかを質問していた。

「途中からグリフォンに乗って先にニューカッスルに向かった?」
「そうよ。変だと思わない?幾らそこに愛しの婚約者が待っているとしても、何で学生である私達を黙って放っていく必要があるのかしら?この国は仮にも内戦中なのよ。
途中から来た私やタバサはともかく、始めからこの任務に参加していギーシュやモンモランシーにもしもの事があったら、子爵にとって自身の進退問題に関わるわ。
それを犠牲にしてまでもニューカッスルに向かう理由って一体……」
「それを考えるのは後にしましょう。子爵さんも何か考えがあってそうしたんじゃないでしょうか?それにしても……これからどうします?
ここからそう遠くない所にスカボローっていう港がありますけど、そこで少しだけでも休みませんか?」

ラティアスの提案にキュルケは黙って頷く。但し事態が差し迫っているだけに休む時間に関しては、タバサが一時間だけといったのを採り上げる事にした。
そしてその事をギーシュ達に伝えようとすると、当の本人から別の質問をされた。

「なあ君達。僕のヴェルダンデを見なかったかい?さっきから探しているんだがどこにも見当たらないんだ。」

何で自分の使い魔ぐらいちゃんと見てないのよ!と、自分がルイズの使い魔である事も忘れてラティアスは怒鳴ろうとしたが、ヴェルダンデが何処に行ったのかという問いの答えはすぐ近くで見つかった。
最初に倒した竜騎士の遺骸からそう離れていない所に、直径にして一メイルぐらいの穴が開いていたからだ。
推測が間違っていなければヴェルダンデは恐らく穴を掘って何処かに向かったに違いない。
でも任務中の主人を放ったまま一体何処へ?
その時ラティアスは出発時にギーシュが話していたヴェルダンデの特徴を思い出した。
もしかしたら……いや、ひょっとすると……
ラティアスは頭を懸命に捻りながらギーシュに話しかけた。
196作者:2008/12/22(月) 17:18:53 ID:2SsEV/Ej
「あのう、ギーシュさん。ヴェルダンデの能力は確か貴重な鉱石や宝石をあなたの為に見つける。そうでしたよね?」
「ん?ああ、そうだよ。自慢じゃないがヴェルダンデは素晴らしく鼻が利くんでね。でもそれがどうかしたのかね?」
「あなたの命令無しに、しかもヴェルダンデにとって全然知らないこの土地で任務中にそんな行動に移るとは考え難い事です。
彼には何処か目的地があって、そこに向かう為にこの穴を掘ったんじゃないんでしょうか?」
「では訊くがヴェルダンデは一体何処に向かっているというんだね?」
「それは簡単です。逆に訊きますけどギーシュさん、この任務に出発する前、ヴェルダンデが最後に接触した宝石を身に付けている人物は誰ですか?」

それを聞いたギーシュはあっと小さく叫び、急いで穴の中に入って行く。
事情を把握し切れていないキュルケは穴に入りながらギーシュに質問した。

「ねえ、ギーシュ。何処へ行くのよ?港に行くんじゃなかったの?」
「僕のヴェルダンデがニューカッスルの場所を見つけたらしいんだ!
先程君達はこれから港に行くと言っていたが、貴族派の兵士が何処に潜んでいるか分からない以上このまま港に進むのは僕は拙いと思う。ラティアスみたいに、自分の姿を感知させない術を僕達の誰かが持っているというのなら話は別だがね。
地中ならば襲ってくる敵はいまい。おまけにヴェルダンデが穴を掘って進む速さは駿馬にも等しい。
安全にルイズと子爵に合流したいのなら僕のヴェルダンデを信用して欲しいところだが、どうかな?」

キュルケは考える。このままギーシュの使い魔の後を追った方が良いのだろうか?
しかしシルフィードはどうする?こんな小さな穴には入れないし姿を隠す事も出来ない。
そんな時タバサが短く発言する。

「ルイズは多分ニューカッスル。あなたはギーシュと同じルート。私はラティアスと同じルート。」

つまりは隊を空組と地中組に分けるという事である。
行き着く先は同じなのだから、どちらが先にルイズ達の元に着くにせよ最終的には合流できる。
但しタバサ、シルフィード、ラティアスの空組は敵の包囲網に引っかかる可能性が十分に高い。戦力が分かれるのも心配の一つだ。
しかし他に妙案が出て来ない今、ここでああだこうだと議論をやっている余裕は無い。
ぐずぐずしていれば敵の総攻撃が始まってしまう。

197作者:2008/12/22(月) 17:19:38 ID:2SsEV/Ej
「分かったわ。でもタバサ、気をつけてね。」

タバサはこくりと頷きシルフィードの背中に乗る。ラティアスも本調子ではない体に鞭打って空に舞い上がった。
するとタバサがラティアスにある物を差し出して話しかける。

「忘れ物。」

果たしてそれはデルフリンガーであった。ちょっと鞘から抜くなり一等怨めしそうな声が鍔の所から出る。

「相棒〜。ひでぇじゃねえかぁ。出発した時から俺っちの存在忘れてよぉ〜。挙句にほったらかしって……伝説、泣いちまうぜぇ。うっうー……」
「ご、ごめんね、デルフ。そんなに寂しがるなんて思わなかったから……本当にごめんなさい。」

しかしデルフは完全に拗ねたらしく、自分から鞘に収まって一言も口をきこうとはしなかった。
ラティアスはちょっぴりしょげた雰囲気でデルフを背中に背負い巡航形態に移る。
傷は完全に塞がってはいないために未だ所々痛むものの、後は御主人様の所へまっしぐらするのみ。
全員の用意が整ったのを確認したキュルケは景気付けと言わんばかりに叫んだ。

「それじゃあみんな、行くわよ!」

投下終了します。デルフ、忘れててごめんよ〜。
それにしても。まとめを時たま見る度にポケモン召喚系で長く執筆できてるなぁ、と実感するこの頃です。
今ではネタ帳を携帯し5巻辺りまでのプロットにも着手していまして……
あとアルビオン編が終わったら外伝を一、二話考えています。
外伝の主人公?勿論、あいつですよ。白の国の森に住まう胸革命な妖精さんに喚び出されたあ・い・つ。
おっと……ではでは、また近い内にIM@show!

198名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 17:25:25 ID:B+xcA3RI
タイトルをいれてくだちぃ
199夢幻竜作者:2008/12/22(月) 17:29:50 ID:3U9ZiVn/
すみません。子細あって今は携帯から。
出来る限り今度はいれます。
本当にすみませんでした。
200名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 17:56:14 ID:HLtk2Yg8
乙した
201鋼の使い魔(前書き) ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:09:41 ID:F2ffWT2r
作家を目指してなにが悪いんだこのやろう(何
さて、友人に飛行機械のデザインを頼んだ手前休むわけにもいかないのです。
18:15分から投下します。
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 18:12:17 ID:EhCsFome
タイトル入れないだけで途端に胡散臭くなって身構えてしまうのは何でだろうな……w
203鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:15:04 ID:F2ffWT2r
 王宮の内宮で幾人もの侍従に囲まれたアンリエッタは、夕方から始まる婚礼の儀に向けての支度に追われていた。
 年相応の性徴を遂げた身体に何日も前から設えた純白のドレスを身に纏い、腰掛に降りて髪を梳かせていた。
 今夕と翌朝の出立からウィンドボナの到着まで、人の眼の晒される間はこの白衣を身に着け、ゲルマニアでの婚礼では先方に合わせたドレスに着替えさせられるのだ。
 ノーブルパープルに黒と赤を配した、極めて醜悪な組み合わせ――伝統的トリステイン貴族の価値観でだが――を強要させられるのであった。
 既に視界に移るところに置かれて居ないその異装を、アンリエッタは完成までに幾度と袖を通して身体に覚えていた。
 (目上に渡す土産物のように、気に入られそうな布で包まれる…)
 身にかかる明らかな未来に、既に諦観すら飽きたアンリエッタだった。
 そのはずなのに、視線はいつの間にか指に填めている『風のルビー』へ流れた。一体自分は何を望んでいるのだろう。
思いつくただ一人の男は既に世を去り、自分をここから連れ去ってはくれないのに。
 既に髪は十分に梳かれ、そよ風が夜闇で染めた絹糸の髪を揺らすことだろう。暗く深く心を曇らせていたアンリエッタは、そのような事に気付きもせず、
ただ腰掛けに浅く座り込んで指先を眺めていた。
 傍に侍る侍従達は主の声を待ち、壁に沿って立っていた。外から声が掛からぬ限り、彼女らはアンリエッタに従わねばならないのだから。
 いつまでそうしていたかは定かではないが、部屋のドアを誰かがノックする。
 心持ち、急くような叩き方だった。
「……入りなさい」
 顔を上げたアンリエッタがドアへ向き、同じくドアが開かれて人が入ってきた。その者は内宮に数多居る侍従の一人であった。
いつか、侍従達の立ち話を聞いた時に、エレンと呼ばれていた娘だ。麦色の髪を短く揃えて、顔をなぜか青くしていた。
「どうしました?」
「は、はい…こ、これを、殿下にお渡しするように頼まれました」
 エレンはお仕着せのポケットから四つ折りにされた便箋を取り出し、そろそろとアンリエッタに手渡した。エレンは恐れ多いのだろう、
アンリエッタの指先に触れてしまわないかと恐々としている。
 渡されたアンリエッタは便箋を広げて、中に書かれていた文章へ目を通した。几帳面な字体が並んでいて、アンリエッタはその字に見覚えがあった。
 しかし、そこに書かれていた事実に、アンリエッタは重たく冷たい水に呑まれたかと錯覚するほど、静かに冷や汗を流した。
 その様子に傍の侍従達も異変を察知した。
「殿…下…?」
 アンリエッタの眼は便箋を広げて持つ手の先で、陽光を反射するルビーの光を捉えた。
 ふと、遠くて近いところから、懐かしい男の声が囁き、そして消えた。
 
 
 
 『タルブ戦役・二―紛糾―』
 
 
 
204鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:17:06 ID:F2ffWT2r
 慶事の頂きにあったはずのトリステイン王宮は、急転して大会議室への召集を始めとして俄にだが、色めき立っていた。
 会議室の巨卓に座を埋める高位高官達を前に、段を違えて座るマザリーニより事のあらましが伝えられる。
 ラ・ロシェールにおけるトリステイン艦隊の壊滅、それに平行して一方的に通告されたアルビオン側からの『宣戦布告』。
 目下アルビオン艦隊は二手に別れ、一方は南西に、もう一方は北西へ向かったという。
 
 マザリーニの説明に、大貴族大官僚達は驚き、一部の者は苦いものを含めて顔を歪めた。
 座の者達から炎の如き口論が湧きあがろうとした矢先、最上段の幕内から澄んだ鈴の音が鳴り、座は一旦静穏に返った。
 やがて幕内より出でたのは、トリステイン女王、マリアンヌである。彼女は置かれた玉座に座り、会議室を埋める臣下達を見下ろした。
 その眼は穏やかであったが、不測の事態に陥ったものにありがちな曇ったような眼差しを、臣下の中の幾人かが認めた。
 座の空気に耐えられないようにマリアンヌは口を開く。
「既に耳に入れていることでしょうが、ラ・ロシェーヌにてトリステイン艦隊の、その多くが撃沈し、加えて不可侵条約を結ぶはずだった
神聖アルビオン共和国側から『宣戦布告』の知らせを受け取りました」
「正直に申し上げれば私一人には荷が勝ちすぎる問題です。如何なる事態がラ・ロシェールで発生したのかは断定できかねます。が、現状として
アルビオンの艦隊が領内を闊歩しているのは事実。私は貴方達の判断と意見を求めます」
 続いてマザリーニはより詳細な報告を加えた――アルビオン艦隊の規模、今後の予想進路、トリステイン艦隊の残存兵力、等だ。
「現状としてアルビオン側へ抗議声明を送っていますが返答はなく、タルブ方面に向かっていると思われる一団へも文書を持たせた者を送り、反応を待っている状態です」
 最後にそう言って、彼は静かに席に戻った。
 
 座を埋めた者達は自らをトリステインの守護を担う人柱であると、少なからず自認する者たちである。互いに思う限り現状取りうる施策について激しい言葉が繰り返された。
 最も強硬な態度を示したのは国軍元帥のグラモン卿であった。
「急ぎタルブへ王軍を派遣してこれ以上の侵攻をけん制をせねばならぬ!相手方が万一タルブを抑えれば王都が危うくなるのだぞ!」
 対して高等法院長官リッシュモンは慎重策を挙げた。
「タルブ方面の一派は艦隊の駐留地点を模索しているだけやも知れませんぞ。ラ・ロシェールで留まるよりタルブに抜けたほうが
要らぬ誤解を生まぬと思っているのかもしれませぬ」
「第一グラモン卿、貴方は制空圏を取られたまま地上に陣を張るお積りか?先んじて対空陣地を作っているならともかく、
盆地と村しかないタルブで軍を拡げても最悪なぎ払われますぞ」
「なにを暢気なことを言っておるのだ!王土が蹂躙されておるのだぞ!王家を殺した犬共如きに我が物顔で家の中を歩かせて、
トリステインの名誉に関わる問題だ!行き違いで国の艦隊を壊滅させられて杖抜かぬでは諸国に侮られるではないか!」
 
 果たして巡る会議の中で、軍を動かして現状の艦隊運動に対応しその上で交渉に入ろうとする一派と、物理的な干渉を最小限に抑えて
アルビオン本国に対して艦隊の動きを抑えてもらうように働きかける一派に主張が分かれた。
 激流のように会議が進行する間、首座のマリアンヌはぼんやりと憂う顔をしていた。しかし、自ら発言し臣下の言葉を引き出すような振舞はついぞなく、静かに、
ただ緩やかに聞き役に徹していた。
 徐々に卓上の論戦が膠着してきた頃、小走りでマザリーニに一人の官吏が駆け寄り一枚の紙を渡した。マザリーニはそれに目を通すと、奥歯を深くかんで眉間を寄せた。
「諸侯各位。タルブに向かった一隊がタルブに降下を始めたとのことですぞ」
 席上の大貴族大官僚は一際にざわついた。
 しかしマリアンヌは変わらずぼんやりと憂いていた。
 
 
 
205鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:19:04 ID:F2ffWT2r
 タルブの村を囲む盆地は北東と南東の一角が開け、そこを街道が貫いている。
 今、北東の街道の上空を歪な艦隊が悠々と進んでいた。
 
 戦列艦等級において慣例的に5級と6級とを特にフリゲート艦と呼ぶのがハルケギニアの軍事学の通例であったが、今、タルブにやってきたフリゲート艦は、
艦の規模こそフリゲート艦らしかったが、船のシルエットはおそらく、トリステインの誰にも見覚えなきものであっただろう。
 その大きさは比較して、『レキシントン』の三分の一ほど。マスト配置などは一般的なありふれたものだったが、砲の配置が奇妙で、
前面に指折り数えるほどしか置かれて居ない。
 最大の外見的特異は船体の両舷側に連なれた不釣合いなほど大きなカッターボートである。
 タルブまで『レキシントン』が率いてきたフリゲート12隻は全て、タルブ降下上陸のために用意された艦艇なのだ。
 この特殊フリゲート艦『ルプラコーン』級は、アルビオンの標準型フリゲート艦をベースに多量の人員や物資を搭載して移動できるように改造されたものだ。
その代わり、艦艇としての攻撃力は殆どない。
 さらに艦隊が包むように、中心部にはずんぐりとした影を落す三隻の大型船が陣取っていた。
 アルビオン内乱以前に着工されたものの、内乱の折に工事が止まっていた船体を元にクロムウェル傘下の技術陣の指揮により完成された『輸送軍艦』なる艦種であった。
 『セントール』級と名づけられたこの奇想の船は軍艦にありながら武装が一切なく、人と荷物を運ぶ能力に特化した構造となっている。
 アルビオン軍は現在、ありとあらゆる場面において皇帝クロムウェルお抱えの技術陣による奇想の兵器機構が組み込まれているのだ。
 
 短艇で降ろされる兵士達を見守りつつ、『レキシントン』のボーウッドは指示を飛ばす。
「竜騎兵隊を離艦させろ。敵方に艦隊戦力が残っているとも限らない」
 指示が届くや『ルプラコーン』級1、4、8、12番艦から風竜が飛び上がり、艦隊を基点に周回して警戒を始めた。
 この他にも『レキシントン』に火竜騎兵2騎を待機させており、合計6騎の竜騎兵が参加していた。
「地上より伝達。部隊編成までまだしばらく掛かるとのこと」
「うむ。楔陣を形成して待機。地上部隊の準備が出来次第火竜を発艦させろ。風竜は引き続いて哨戒に当たるように」
 
 やがて一つの集団となったアルビオン軍地上部隊は進軍を始めた。『レキシントン』の信号士は懸命に命令信号を連れる艦艇へ飛ばすのであった。
 
 
 家から村まで降りていたシエスタは突如の鐘の音に驚いた。肩掛けに買い物荷物の入った袋を提げ、腰にはあの日以来肌身離さず持ち歩いている
『プリムスラーヴス』をベルトに挿している。
 鐘は時を告げる様子ではなく、どこか火事の時のように忙しなく鳴らされていた。
「領主様からの伝言だぞー!」
 村の男達が領主の屋敷の方向から声を張りながら走り、村の中心である寺院前広場で立ち止まって呼び掛けた。
「皆西の森に向かって逃げるんだ!アルビオンの兵隊がやってきたって!」
 男の一声にそれを聞いた村人はあるものはざわつき、あるものはきょとんとして要領を得ない様子だった。
「王族殺しのアルビオン人がわんさかやってくるんだ!早く逃げろって領主様が!」
 領主の指示とあればそれに従うしかないのであるが、アルビオンが攻めてくると言われても、村の人々はピンと来ない。
 どうするべきか逡巡していると、遠い北東の空が影っているのがわずかに見えた。
「あ……」
 広場で遊んでいた子供の一人が空を指差す。
 それは山のように巨大な船。その両脇に小魚のように船を並べて、北東の街道側からゆっくりとこちらに向かって進んでいた。
 認めた大人たちはたちまちパニックになり、皆思い思いに家族を連れて西の森へ逃げ出して行った。
 シエスタも急いで家に戻るため、健脚をしならせて広場を飛び出した。
 
206鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:21:09 ID:F2ffWT2r
 編成が整い、揚々と進軍するアルビオン上陸部隊。その中核になる少数の騎兵の中に、ワルドがいた。
 どろりとした目がまっすぐタルブを向いている。
 不意に、一陣の風が吹いて帽子が飛んだ。ワルドは造作もなく杖を抜いて風を操り、飛んでいく帽子を手元に引き寄せた。
 帽子が落ちて髪が風になびく。嘗てはグレーだった髪が混じりのない白髪に変わっていた。
「…ふふ」
 今のワルドにあるのは抑えがたい戦いへの欲求だった。既に義手による狂気に侵されたワルドの精神は事実と夢想の境界線を越えて、
彼の脳裏の理想郷へとひた走っていた。
「……隊長」
 脇にならぶ傭兵がワルドを呼ぶ。現在のワルドの肩書きは『神聖アルビオン共和国トリステイン解放軍 上陸部隊隊長』だ。
「首尾は如何にするつもりで」
「はぁ…村と城を落せ…」
 ワルドは曖昧に答えた。
「はぁ。諒解しました」
「歯向かう者は…殺せ。遮るものは全て焼け。背を向けて逃げる者も追いかけて殺してしまえ…」
 不気味なものを感じた傭兵はそれ以上聞かずに列の中に戻っていった。
 
 
 
「アストン伯は手勢を率いてタルブ防衛にでるとのこと」
 寄せられた報告に会議は再び騒然となっていた。
「アストン伯の手駒など、精々100かそこらか。時間稼ぎにもならぬだろう」
 ヴァリエール公は渋い顔でそう言った。
 グラモン卿が立ち上がり拳を振り上げる。
「陛下!やはりここは王軍を率いてタルブに入りアルビオンと戦うべきですぞ」
 呼ばれたマリアンヌはグラモン卿の声に驚く。
 対抗するようにリッシュモンも立ち上がった。
「いいえ陛下!ここはどうかアルビオン側の誠意ある対応を待つべきです」
 両者並び立ち、上座のマリアンヌは困惑していた。その視線は下に控えているマザリーニに向かう。
 視線を認めたマザリーニは見据えた目でマリアンヌを見返す。
「陛下。ご決断を。この度は国難にありまして、拙が決めるには余りに重きことですので」
 淡々とした物言いにますますマリアンヌは困惑し、目を泳がせて空を漂わせた。集まる視線を反らしたい衝動が何とか口を吐いて言葉を続けさせた。
「…そ、そうです。ゲルマニアは今回の件について何か言ってはおらぬのですか。妃に迎える娘の国が難じているのですから」
 会議に列する諸侯の一人が文書をめくり、マリアンヌに応えた。
「ゲルマニアはこの度のアルビオン侵攻に際し『我が国はアルビオンの暴挙に際し、三国間の友好を願う立場から遺憾の意を表明する。
尚、トリステインとの軍事協約に基づき援護軍隊を現在編成中である。トリステインには我が国の参上まで侵攻せしアルビオンを食い止められたし』
との文書が届いております」
 それを聞いてぎりり、とヴァリエール公が歯を噛む。
(ゲルマニアめ、わが国が蹂躙されるのを黙って見ている腹だな…)
 
 ゲルマニアにとって神聖アルビオン共和国の掲げる『始祖の権威を傘に堕落した王政を打倒する』なる大義名分は、自国が巻き込まれる懸念が薄い。
あくまでトリステインが落ちれば防衛上の問題であるという見方である。であれば、現在のトリステイン・アルビオン間の対等の立場より、アルビオンに征服された後、
ゲルマニアがトリステインを解放するという名目で勢力下に飲み込むことの方が収支としては儲けが出る…。
 
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 18:21:56 ID:HLtk2Yg8
何だか知らんがとにかく支援
208鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:23:16 ID:F2ffWT2r
「陛下、いかがなされますのか」
 マザリーニがマリアンヌに念を押した。なおもマリアンヌはおろおろとして会議の諸侯を見る。
 諸侯はその目を余さずマリアンヌに注いでいた。
 ややあって、玉座のマリアンヌは目を伏せ、浴びせられる視線から逃げた。
「……ゲルマニアを待ちましょう。それまではアルビオンからの返答に対応するための準備をしなさい。アストン伯には、領主屋敷に戻るように伝文を…」
「陛下!」
 グラモン卿が声を上げるのを振り切ってマリアンヌは続ける。
「諸侯の皆、此度は国のために論議を成してありがとう。私はアンリエッタとともに内宮で待つとします」
 マリアンヌが席を立って幕内へ隠れようとした、その時。
 どん、と内宮に通じる出入り口から音を立てて会議室に白い影が飛び込む。
 アンリエッタが花嫁らしからぬ息を上げて姿を現した。
 
 
 
 タルブ領主アストン伯は手勢80人を率いてタルブの村北東に陣取り、進軍するアルビオンの大軍を見た。
「伯。村の者は皆西の森へ避難したとのことです」
「そうか。…向こう方へ伝書を持たせたものは帰ってきたか」
「いえ……」
 部下は言葉を濁すが、アストン伯は強いて聞かなかった。
「陛下への直訴も返答が無い。どうしたものかな」
「伯、上空の戦艦が動きます!」
 部下の一人が空に浮かぶ船を指した。『レキシントン』の前面に備えられた艦砲が空気を割って煙を吐き出す。
「砲撃が来るぞ!拡散しろ!」
 アストン伯の声に応じて手勢の兵士が小集団に分かれて隘路一杯に拡散する。
 発射された砲弾は地面に着弾すると、炎を上げて広く地面を焼いた。
 アルビオンの新兵器『火竜弾』である。
 かわせたか、と汗を拭うアストン伯だったが、そもそも砲撃の着弾は自分たちを飛び越えて後方にある。
「へたくそめ…なんだあれは?!」
 毒吐いたアストン伯が目をむいた。着弾によって発生した火災は消える事無く轟々と燃え続けているのである。
 アストン伯らは炎の壁によって後退すら出来ぬ状態に陥った。
 それを確認したアルビオン上陸部隊から、気勢を上げて騎兵隊がこちらへ突撃する。
 アストン伯は押し迫るアルビオン軍を前に、確実に近づく死を感じ取った…。
 
 
 
209鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:25:05 ID:F2ffWT2r
 突然現れたアンリエッタは白装束のまま、しかし息を切らし、顔には憤りを乗せていた。
「お母様、マザリーニ。アルビオンが侵攻を始めたと聞きました」
 面食らったままのマリアンヌ。はたとして居住まいを直して玉座に戻り娘に応えた。
「いえ、まだアルビオンの侵略と断定されたわけではありませんよ。私は会議の拝聴で彼らと停船交渉をしつつ、アルビオン本国にも呼びかけを行うことにしました。
万一あれば、ゲルマニアも援軍の用意があるとのこと」
 おっとりとしてマリアンヌは娘を落ち着かせようと話す。下座で並ぶ諸侯は汗を浮かべ、ある者は憂鬱そうに、ある者は忸怩とした顔で俯いていた。
 アンリエッタは母を無視して振り返る。
「マザリーニ。我が国の空軍艦隊が壊滅されたというのは事実ですか」
「事実、でございます」
「アルビオンの艦隊は現在タルブで何をやっているのか把握できていますか」
「はい。目下タルブ盆地に向けて兵士を降ろし占領の企てと行動を進めている模様」
「領主はどうしていますか」
「手勢を率いて集落の防衛に出たと報告にあります」
「そうですか…」
 まくし立てるように聞くアンリエッタと、それに応えるマザリーニ。間に挟まれたマリアンヌは呆然と置かれていた。
 アンリエッタは母に振り向き、静かに問うた。
「お母様。私はアルビオンの王族殺し共が、始めから企てて今動いている様に思えるのですが」
 どこか冷たい目で自分を見る娘に、マリアンヌは気付かない。
「そのような事、あの者達に出来るものですか。あの者達は王族殺しの罪に憂いて条約の打診もしてきた輩ですよ。
今尚、始祖から続く王国に踏み込み罪を重ねる愚を冒さぬと私は考えています」
 ざわり、と諸侯が騒ぐ。
「今回の事件も、些細な行き違いから起こった不幸なのです。だからお前がそう困ることはないのですよ」
 優しくマリアンヌはアンリエッタを諭す。
 しかしアンリエッタには、母の言葉が虚しく聞こえた。
 彼女は指のルビーに手を重ね、しばしの間、目を瞑った。
 脳裏に優しく笑いかける男の姿が浮かぶ。心に冷たいものと暖かいものとが入り混じるように流れ込む気がした。
(義務を果さぬとは、こういうことなのね…)
 
「アン…?」
 どうしたの、と言いたげな母。そして目を開けたアンリエッタの目に、『覚悟』が篭っていた。
「陛下」
 『母』ではなく、『王』としてマリアンヌを呼んだのだ。
「…なんでしょうか」
 マリアンヌは様子のおかしい娘に釈然としないながらも答えた。
「王族の義務とはなんでしょうか。貴族の、統治する者の義務とは。
…私は考えます。それは己の血肉をすり減らしても、己の足元に寄り添う民草を守る事ではないでしょうか。私達王族はトリステイン数百万の民を治める義務を、
歴代の王から受け継いできました。我々が始祖の時代より培ってきたのは、伝説となりし始祖に連なるから、という事実だけではありません。
国を治め、民を育てていくという義務と意思であると、私は考えます。
…であるなら、今、タルブを蹂躙しようとしているアルビオンの無法者に対し、我々がやるべきことは、それほど難しいことでしょうか。
ここに歴々たる諸侯を集めさせるほどの」
「……はぁ」
 朗々となにやら話し始めた娘に、生返事を返したマリアンヌ。次の瞬間。
 
210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 18:26:41 ID:gfoHcONc
支援
211鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:27:24 ID:F2ffWT2r
 パァン!
 
 乾いた破裂音が空を切った。
「「「!!」」」
 会議に出席する諸侯に電撃が走った。
 玉座に座るマリアンヌにアンリエッタが平手打ちを強かに張ったのだ。
「……ぇ?」
 状況が理解できないマリアンヌに対し、振り返ったアンリエッタの眼下には卓に着いた諸侯が並ぶ。
「トリステイン王女アンリエッタの名において、マリアンヌ女王の身を拘束する。誰か、陛下をお連れせよ」
 凛として聞かせるアンリエッタの声だった。だが、一連のやり取りに驚き、一瞬何者も動く事ができなかった。
「誰かいないのか!」
 檄が飛び、始めて控えていた衛兵が飛び込んでマリアンヌを抑え、部屋の外へと連れ出していった。
「ぇ?な、なんですかこれは…?」
 曳かれるように退室するマリアンヌは困惑のまま自室へ連れられていくのだった。
 
 唖然とした諸侯の視線が集まる中、純白のドレスに身を包んだままのアンリエッタが立つ。
「諸侯各位。女王陛下に成り代わって命ずる。至急王軍を編成し、タルブを占領するアルビオン軍を制圧する」
 おおぉ!とどよめく諸侯。
「出立に当たっては私が直接指揮を執ります。集められる兵を集めてタルブの防衛に努めるのです」
 アンリエッタの声にグラモン卿が応えた。
「承知仕りまして御座いますぞ!早速駐屯基地に戻りまして兵の招集と編成に取り掛からせていただきます。では!」
 そういってグラモン卿含め武官が会議室から飛び出していく。
「財務、法務の各位は緊急の出兵に掛かる費用並びにタルブの防衛後に必要になるだろう施策について協議を始めなさい。
財務官は加えて壊滅した艦隊再建に掛かる費用の見積もりもお願いします」
「し、承知致しました…」
 リッシュモンを始めとした文官もアンリエッタの迫力に逃げるように会議室を出て行く。
「残る諸侯各位には、今後の施策上で必要となるだろう事柄について提言を求めます。ただしあなた方だけではなく、サロンに残ってらっしゃるだろう各貴族にも
求めますので、この場は解散とします」
 そう言われては残るわけにも行かず、残された大貴族の歴々はそれぞれに叩頭して会議室を出て行った。
 最後に残ったヴァリエール公はどこか嬉しげに、恭しく叩頭して退席した。
 
 大会議室はマザリーニとアンリエッタを残してがらんとして、先ほどまでの喧騒が嘘のようだった。
「…お見事にございますな。殿下」
「覚悟を決めたまでです。王家としての義務について」
 ふぅ、と少し瞠目するアンリエッタ。
 …やってしまった。いや、やらなければいけなかった。本当なら、アルビオンが落ちる前に。ウェールズが逝く前に…。
「…マザリーニ。軍の編成まで時間が掛かります。それまでアストン伯の手勢では持たないでしょう。おそらくタルブに入る頃にはタルブの全領が
アルビオンの手の中に入っていると考えなければなりません。最悪、諸侯軍も収集することを考えましょう」
「それには及びませんぞ、殿下」
 どこか不敵な顔でマザリーニは答えた。
「なぜですか?」
「不詳このマザリーニ。殿下の婚約を通した際、ゲルマニアより招きよせた一団が御座います。『彼女ら』には第一報が入った時点で
タルブでアルビオン軍を抑えるように伝えております」
 
212鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:29:06 ID:F2ffWT2r
 タルブ村の北東出入り口で、錬金で作った土塁に身を隠すアストン伯以下部下達。
 炎の中を撤退できた者は伯を含めて30程度。このままでは身を捨てても村は、領地は落とされてしまう。
 目の前に近づいてくるアルビオン軍は『火竜弾』の炎が消えない為、彼らの進軍も遅延を余儀なくされているようだった。
「伯。ここは脱出して王都へお逃げください」
「馬鹿者。領地を捨てた貴族なぞ誰が振り返るか。私はここで戦う」
 気炎を吐いて見せたところでアストン伯自身も、この場を切り抜ける事はできないだろうと覚悟を決めざるを得なかった。
 
 
 タルブ南東部、そこは王都へと続く街道が引かれている。そこを家屋かと錯覚するほどの巨大な6台の馬車が進んでいた。
 馬車を曳く馬も巨大である。厚い毛皮を着込んだ重種馬に見えるが、黒々とした毛並みはわずかに塩の香りが漂う。南洋の大亀に匹敵する巨大さであった。
 しかし、それにも増して見るものが最も目を引かれるのは、この巨大馬の足が八つある点だ。連なる鎖が揺れるように八本の足が動いて巨大な馬車を曳いていた。
 そして馬車が止まると、六台の馬車からぞろぞろと人が降りてくる。その数、200。その悉くが背中に銃を背負い、ベルトに剣を挿していた。
 立ち並ぶ者達の前に、一人が立った。きらきらと陽光が反射する不可思議な銀色のコートを着け、目深に被った帽子で顔は判別できない。
背に負った長身銃に加え、腰には二振りの剣に二丁の短銃が下がっている。
「全体、整列」
 足並ぶ音が揃った。
「ご依頼の通り、我々はこの村の防衛に入る。バッカス、シェリー、ドロシー、エリーは私と共に村に入り領主の部隊と合流して正面を押さえる。
フォックス、ガーランドは丘に上がって準備が出来次第砲撃に入れ。以上だ」
「「「イエス・シスター・アニエス」」」
 号令と共に動き始める人員たち。その陣頭に立って動くコートの人間――アニエスは、遠く上空に見える巨大な艦影を睨んだ。
 
 
 
 マザリーニが聞かせた傭兵団の仔細にアンリエッタは少し疑わしげに聞く。
「その者達は使えるのですか」
「ゲルマニアは寄り集めの国、内乱が絶えませぬ。そこでは名のある傭兵団もいくつか、存在しておりましてな。
…『銀狼旅団』の者達ならば、同数のメイジ部隊とも引けを取らぬ者達であると、私は自負しております」
「…聞きます。その者達を国内に寄せた事を知っているのは」
「私を含め、極少数。陛下には通しておりませぬ」
「…そうですか」
 踝を返してアンリエッタは出て行こうとして、立ち止まった。
「マザリーニ。貴方も私と共にタルブ行きを命じます。よいですね」
「御意に御座います、殿下」
 そしてそのまま、アンリエッタは会議室を出て行くのだった。
213鋼の使い魔(後書き) ◆qtfp0iDgnk :2008/12/22(月) 18:30:35 ID:F2ffWT2r
投下終了。
なんということだ。長い上にギュス様とルイズがいない。
いえいえ、話として必要なのです。「サガフロンティア2」的な意味で。
214名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 18:32:15 ID:cwSqmcL0
覚醒アンアンktkr
どう転ぶのか楽しみです。
215名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:19:20 ID:rhbFA/K5
覚醒はしたがやってることは親押し込めと
野蛮扱いしてたゲルマニアの皇帝がやったことと大差ないのが困る

まあ王族の最大の敵は身内ともいうけど
216名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:24:54 ID:rc2yFOHq
鋼の人乙。



話は変わるが、ルイズの能力ではなく人格とかの精神面を評価できる(“してあげる”、ではなく)キャラはいねえかなぁ………

「魔法が使えない」という能力主義的な理由で侮られ、母親にも厳しくあたられるのを見るのは正直言って辛いものがあるぜ。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:31:29 ID:fErwIX9G
……ちょっと君、彼女の人格を評価してやってくれんか。どこをどう褒めればいいんだ?
218名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:36:25 ID:F2ySrmXp
十二国記の陽子は?
陽子はどん底で全てを恨んだことがあるから、
努力しつづけるルイズを評価できそうだ。
219日本一の使い魔 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/22(月) 19:36:56 ID:VtTEgvP5
作者の皆様、読者の皆様乙です。
予約入っていますか?今回は流れ上短くなってしまいましたが、
7話完成しましたので投下したいと思うのですが。
220名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:37:39 ID:0xcXdzNH
>>217
不正とかそういうのは見過ごせない誠実なとこかな
逆を言えば融通が利かない、他人から煙たがれる性格なんだが
(その辺はあの一家に共通してるところだな)
真面目な話あまり人から好かれる性格とは言いがたい
221名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:38:39 ID:SkDSruv5
>>217
あれだけ侮辱されても、めげずに魔法の勉強をする諦めの悪さは評価したいな俺は。
同じ状況なら、結構心が折れる奴はいると思うぞ。
222名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:39:22 ID:rhbFA/K5
努力はするし私利にもあんまり興味は無いだろうが回りがまるで見えてないからな
将来えらい地位についても石田三成みたいに周囲から思いっきり煙たがられそう
223名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:39:52 ID:FP5hckUM
あの状況で心が折れないからこそ絶望を溜め込んでくれる
虚無のルイズの名のままに暴れさせたいよ。今宵皆殺し
224日本一の使い魔 7話 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/22(月) 19:43:20 ID:VtTEgvP5
どなたもいらっしゃらないようですので、投下します。

決闘騒ぎは貴族の子弟たちにっとって意外な形で幕を下ろした。

「なんだったんだアレは?」
「あいつレビテーション もフライも使わないで、火の塔から飛び降りたよ
な?」

キュルケとタバサも何が起きたのか話をしていた。
「ねえタバサ、あれってケンよね?」
「あの人は、さすらいのヒーロー快傑スバット。そう名乗った。」
「魔法も使わずにアレって反則なんじゃ、、、」
「魔法、、、『お約束』、、、」

学院長室でもオスマンとコルベールが、あれやこれやと話をしていた。
「なんじゃったんじゃアレは?」
「私にも何がなんだか、、、」
「あまり触れてはいかん気がするしのう。」
「それにしても、遠見の鏡はどうしたんじゃ?」
「それについても解らないのですが、遠見の鏡はそうせざるを得なかったとし
か。」
「ふむ、謎じゃのぅ。しかも彼がガンダールヴであるという確証は得られなかっ
たしのう。もし、アレがガンダールヴのルーンの効果による物とすれば、動きに
どこかしらの不慣れが出るものと思うが、しかしアレはさも当たり前のように振
舞っておったし、あの赤い服が何か関係があるのかのう。」
「いずれにしても、調査は必要と言う事でしょうか、、、」
「あの服、どこかで見た事あるような気がするのじゃが、、、」
 
225名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:43:36 ID:37bszFfN
その経歴があるから白ルイズにも黒ルイズにも桃ルイズにもなれる
僕は黒が好きですけどね
226日本一の使い魔 7話 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/22(月) 19:44:29 ID:VtTEgvP5
 
噂話の中心、早川はと言うと、自分の体の変調について考えていた。
「(いくらズバットスーツを着ているとは言え、あの人形を吹き飛ばすつもりで
ズバットの鞭を振るったし、本気とは言えない威力で放ったズバットアタックで
人があそこまで吹き飛ぶとは。しかも妙に気持ちが高ぶった。何だったん
だ?)」

---ズバットスーツ---
早川健の親友である飛鳥五郎が、設計・開発した宇宙探検用強化スーツ
そのスーツをベースに早川が亡き飛鳥の意思を継ぎ完成させた強化服。
通常の何倍もの怪力を生み、防御能力もかなり高い。
10トンの重量に耐える特殊スチール製の鎖を引きちぎり、実験でズバットスーツ
を鉄の棒で殴れば鉄の棒がひん曲がる程の防御力を持った強化服。
--------------------

早川が部屋に戻ると、そこにはルイズが仁王立ちで睨んでいた。
「色々と言いたい事あるけど、アレは何?」
「なんの事でしょ?」
自分の正体が周りにバレているにも関わらず、とぼける早川。キレるルイズ。
早川は踵を返し、部屋の外に

ハヤカワはにげだした
しかしまわりこまれてしまった

「あんたが、ギーシュのゴーレムにボコボコにされちゃったと思ったらいなくて、
いきなりあの『ずばっかー』に乗って現れたと思ったら変な服着てて、
あっと言う間にやっつけちゃって、、、」
言葉につまるルイズ、見ると泣いている。
観念した早川は、ズバットスーツ、ズバッカー、そして亡き親友について語る。
「飛鳥五郎という親友がいた。優秀な学者だった。飛鳥が宇宙、、、宇宙ってい
うのは空のずっとずっと上の場所さ。その宇宙を探検する為に設計した身体を強
化する服、そして乗り物。そいつを俺が完成させた。」
「ねぇ、親友だったって喧嘩でもしたの?」
「死んじまったのさ。ウジ虫に殺されちまった。俺は飛鳥を殺した奴に復讐を誓
った。飛鳥が残したズバットスーツ、ズバッカー、俺はあいつと一緒にあいつを
殺した奴に復讐する為犯人を捜している。」
キザで明るく、何でも器用にこなし、皮肉屋で、でも憎めない自分の使い魔の影
の部分、笑顔の裏が垣間見えた。そして一つの考えが浮かんだが、慌てて自分の
中で否定した。

 ・
 ・
 ・

ドアノブに手をかけ早川は外に向かおうとする。ルイズは自分の使い魔がどこか
に行ってしまうと思い慌てて追いかけようとする。
早川はニコっと笑い、テンガロンハットを投げルイズの頭に被せる。
「ちょっと小腹が空いたんで厨房にでも行ってきますかね。何かいるかい?」
そう言うと手をヒラヒラさせて出て行った。
 
227日本一の使い魔 7話 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/22(月) 19:46:44 ID:VtTEgvP5
 
早川が厨房に到着する。料理長のマルトーは顔を輝かせ、
「見ていたぞ〜、カッコ良かったぞ〜、我等の鞭! 」
「ヒュンと飛んで、ズバ、ズバ、ズバっと鞭を振るって、こうやって」
他の給仕に聞く所によると、マルトーは貴族や魔法が大嫌いらしい。
それでこの興奮である。まるでテレビの前のチビっ子のように。
「マルトーさんよ、ちょいと小腹が空いたもんで」
早川が言い切る前にマルトーは更に顔を輝かせ、
「俺の作った飯を我等が鞭は食いに来てくれたってのか。」

貴族の夕食よりも豪華な食事が並んだという。
しきりにマルトーがこっちを見ている。苦笑いを浮かべて食事をしていると、
シエスタがやって来た。
「ケンさん、あの時は逃げちゃったりしてすみませんでした。」
「気にしなさんな。怖かっただろ?だがもう安心だ。」
逃げた事を気にし、うつむくシエスタの頭をなでて微笑む。
「はい、ケンさんが守ってくれるので安心です。ありがとうございました。」
頬を染めるシエスタに手を広げ肩をすくめる。マルトーがニヤニヤとこっちを見
ている。一通り食事を済ませ、ルイズの分にと取り分けて貰った食事を手にし立
ち上がる
「ごちそうさん。さてと、帰るとしますか。」
立ち去る早川に向かい、マルトーが慌てて尋ねる。
「もう帰っちまうのか?お、俺の料理はうまかったか?」
早川は振り向かずに
「泣き虫のご主人様を待たせてるんでね。マルトーの旦那、あんたの料理の腕、
日本じゃ、、、」
立てた2本指の中指を曲げ、
「1番かもな、うまかったぜ。じゃあな。」
 
 
 
228名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:47:12 ID:rc2yFOHq
支援



>>217
決してあきらめない不屈の意思と、何だかんだいって優しいところ。(デレの部分?)

ぶっちゃけルイズのツンデレのツン部分は周りがああだから形成されたってなもあると思う。
無論自然天然の産まれついてのツンデレの素質はあっただろうが。
229日本一の使い魔 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/22(月) 19:47:24 ID:VtTEgvP5
以上です。

お目汚し失礼しました。
230名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:51:51 ID:vJho3S6m
乙!
最近ケレン味たっぷりのヒーローに飢えてると実感するわw
231名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:53:27 ID:yX8E/XHW
>>216
努力が苦にならないというか努力を努力と感じない位、磨耗しきっているせいで、
学業成績(実技除く)は最優秀。誇り高いらしいのに加えて可愛らしくもあるらしいのだが………神の視点でもそうは思えないのに、ちいねえさま以外の知的生命体がそういう風に認識するのはとてつもない難事だと思う。
というかそろそろ誇り高い貴族としての片鱗を見せて下さい、ノボル先生。
232名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 19:54:11 ID:CR1ITeTY
ズバットの人乙です。
そりゃバレバレだわなw
次回にwktk
233名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:01:56 ID:H5gt+Xdz
で、V3とアオレンジャイとビッグワンに変身するのはいつに?
234日本一の使い魔 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/22(月) 20:05:15 ID:VtTEgvP5
ご声援ありがとうございます。
次回は戦闘シーンを盛り込もうと思っています。

>>233
ズバットスーツの意味が無いwww
235名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:11:19 ID:/qFrgSy9
日本一の人、乙です。
あれでバレない訳、ないだろうとw
さて、次はどんな騒ぎを引き起こしてくれるのか、楽しみ
236名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:15:57 ID:UZsDJWWP
ズバットお疲れ様でした。
原作見たこと無いのでビジュアルが浮かばないのが口惜しいですが


そういや負けフラグコンビなギーシュとワルドで思ったのですが
今まで投下された中で一番悲惨な目にあった二人はどの作品って何でしょうなw
237名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:16:18 ID:HLtk2Yg8
オーバーボディっぽい感じとか、あと二回の変身を残しているとか
238名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:19:37 ID:H5gt+Xdz
>>234
いや、でも同じ人だしw
239名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:21:39 ID:0OPsqOPe
>>可愛らしくもあるらしいのだが………神の視点でもそうは思えない
何でゼロ魔読んでるんだ?
240名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:22:59 ID:AqJSGOJq
虚無の闇のギーシュは中々悲惨だぜ
241名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:26:06 ID:HLtk2Yg8
>>239
十中八九マリコルヌの成長目当てだろうな。

>>236
ググればOPっぽいのが出てくるよ。
242名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:30:34 ID:0xcXdzNH
>>239
個性的なヒロインだと好き嫌いが人によって激しいように思う今日この頃
自分は脇役(ギーシュとかタバサとか)目当てで読んでるが
243名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:30:50 ID:MPHQd6Kx
ここのスレでのギーシュやワルドが悲惨な話を見ていると、壁にめり込ませたくらいは可愛いものだったと気づいた
244名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:31:16 ID:ie+mie1d
現代人が馬鹿な原始人を蹂躙して俺tueeeする話を楽しんでる
貴族云々はどうでもいいです
245名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:33:07 ID:q4lz+XF3
>236
ズバットの名乗りのシーンを見れば遠見の鏡がなぜああしなければいけなかったか解る
なぜならズバットだから、それが理解とか納得とかを超越して解る
246名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:33:30 ID:8JhFRYJ9
>>244
君が読んでる「ゼロの使い魔」は一般に流通してる作品とは別の物のようだな。
247名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:33:43 ID:Y1S3B0ov
>236
ギーシュは意外と勝率がやられ役三人衆
(ギーシュ・ワルド・おマチさん 場合によってはモット伯も入れて四天王)の中では一番勝率高いんだぜ


248名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:40:16 ID:56V3OB4B
まあ残りの面子は負けた=死って場合が多いからな
249名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:41:12 ID:jmPikWLJ
日本一の人に乙の言葉を送るついでに
、、、となってる部分を………なり・・・・・・にしたがいいかなと言ってみる
250名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:50:30 ID:HLtk2Yg8
このスレでは見たことないけど、。。。。って人も居るよね。
251名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 20:59:04 ID:wRBWYdHz
「。。。」を変換すると「…」だからかな
252名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:02:27 ID:HLtk2Yg8
あぁ、変換忘れか、なるほどー
253名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:03:02 ID:hBC8tG1z
ウンコ・フキタクナー・ル・ブラン・ド・ハ・エリエール
254日本一の使い魔 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/22(月) 21:04:23 ID:VtTEgvP5
>>238
いっそ宮内洋スペシャルにしちゃうとかw

>>236
zubat でググれば吉です。

>>245
自分が話を考えている内の8割が登場シーンですw
255名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:05:16 ID:+jRW882f
・・・はwiki的には止めて欲しい表示がおかしくなるから
…だと普通の2バイト文字として扱われるか問題ないんだがら
256日本一の使い魔 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/22(月) 21:07:44 ID:VtTEgvP5
>>249 >>255
アドバイスありがとうございます。

使うとすれば
3点リーダー『…』ってのがいいんでしょうか?
257名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:13:31 ID:ln5FYvi5
サモン豊作
258名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:15:24 ID:+jRW882f
>>256
特にこだわりがないのなら『…』使っておけばまず問題ないです
259名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:17:43 ID:jmPikWLJ
>>256
それが一番無難かと
260日本一の使い魔 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/22(月) 21:18:02 ID:VtTEgvP5
>>258
わかりました。
ありがとうございます。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:20:32 ID:PnovDtij
書き手が出しゃばりすぎで良いことなんて一つも無いぞ
読み手から書き方教わるとか笑い話にもならんわ
262名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:25:13 ID:VtTEgvP5
>>261
すみません。自重し精進します。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:29:02 ID:xNLg13gm
書き方と言うよりwikiの仕様の問題なんだから、知らなかったら知らなかったでその位見守ってやればいいじゃない
264名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:30:25 ID:Xs01l3Bt
>>236
ウチ、Zバットのレコードあるんだ・・・
裏面は5年3組魔法組
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:32:58 ID:HLtk2Yg8
>>263
、、、は、wikiの使用と関係無いんじゃね?
266名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:40:36 ID:0OPsqOPe
最近ピリピリし過ぎだ
もっと心に余裕を持とう
267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:54:06 ID:Rj7gBuwI
投下いいですか?1分後に投下します。
268名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:55:23 ID:Rj7gBuwI
ゼロで使い魔

一巻
ルイズ使い魔召喚、『未来の』ルイズ(三巻、始祖の祈祷書入手直前)が召喚される
ルイズ、自分と契約 未来のルイズ、使い魔に
正史における決闘イベント、買い物イベント、夜這いイベント、消滅

他は正史とほぼ変わらず

二巻
正史と変わらずアルビオンへ
ワルド、途中で区別がつかなくなり両方のルイズに求婚(この時点ではまだ気付かず)
結婚式場にて判明。ルイズ、どちらを選ぶかワルドに迫る
ワルド『今の』ルイズを選ぶ 『未来の』ルイズ怒り魔法使用→暴発。
衝撃でワルド気絶二人のルイズ呆れてそのまま帰る
ウェールズ、ワルドを不憫に思い起こす
ワルド、任務に従いウェールズを殺すも寝起きで加減に失敗、ウェールズミンチに
マクスウェル、ウェールズの蘇生に失敗(アンリエッタ誘拐イベント消滅)

三巻
始祖の祈祷書入手直前 召喚の鏡出現 『今の』ルイズ過去に召喚され
『未来の』ルイズ、正しく一人のルイズに
(使い魔契約は自分との為解除されず。正しくゼロで使い魔に)
アルビオン奇襲 竜の羽衣を入手していないので戦場へは行けず
同刻、ルイズ、偶然虚無を会得 試し打ちで学院半壊→ルイズ退学へ


アルビオンと戦争開始 ルイズ汚名返上を狙い戦場へ









あとがき

これはシナリオ進行を作ったものの文才の無さから本編作成を断念したものです。故に続きません。
(誰か代わりに書いてくれないものか)


作成理由・誰も書いたことの無いような物を作ろう、がそもそもの動機。必要以上に独自設定をいれず、
且、物語に出来るだけ矛盾が出来ないようにした結果こうなりました(三巻までしかないのも半分はそれが理由です)


独自設定・この物語の独自設定として使い魔契約は主従の内どちらかが死亡した場合に解除されるとしています(原作では主が死亡した時に契約が解除されると明言されていなかったはず)
しかしルイズの場合『自分との契約』という想定外の事態になった為三巻の召喚後、『主であり使い魔』という状態になっていて、以降何らかの方法でこれを解除しない限りは新しい契約が出来ません

最後に・こんな物を此処まで読んでくださった貴方に感謝の念を捧げます
269名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:56:03 ID:fErwIX9G
NGした
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:56:58 ID:wxjHfvyj
敢えて、「ナメてんのか?」て言いたくなった
271名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:57:27 ID:xd3LJH44
>>268
IFスレへ行ってください
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:57:33 ID:dIc9E3dW
用事も済んだところで次の話題に移ろうか
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 21:59:00 ID:p4nyDaEF
>>260『ライトノベル作法研究所』の『第二研究室「基本的な文章作法」』を参考にしては?
274名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:01:46 ID:umuF5a4B
275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:02:57 ID:wRBWYdHz
「このキャラを召喚したら面白そうだ」ってのは今までに無数にあったが、
逆に「このキャラを召喚したらつまらなそうだ」ってのは……あれ、改めて考えてみるとないもんだな。
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:05:56 ID:72x2vwQu
>>273
基本的だけど、改めて見ると確かにな、って感じだわな。
参考にして俺も続き書くわ。
277名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:06:26 ID:4YZYDxqP
ズバットスーツって肉体強化してんだったっけ。
何かで、アレ着て無いほうが強いけど復讐のために着てるっていう話を見かけた記憶もあるんだが。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:06:40 ID:rhbFA/K5
>夜這いイベント

ガングロ中国人を筆頭にした濃いグラップラーどもが
寝ているサイトの枕元にワラワラ集まってくるのですね
279ZERO BOY’S ◆wJ.vylSmpU :2008/12/22(月) 22:07:32 ID:cwEYzm+T
お久しぶりです。
第3話投下OKですか?
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:11:10 ID:XgOIrgj6
ううううううううううううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
とある魔術の使い魔と主の続きが見てぇーーーーーーーーーーーー!!!!!
281名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:13:30 ID:XgOIrgj6
あ、後ゼロと斬鉄剣の続きも見たいっすね〜〜〜〜〜〜〜〜!
282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:14:03 ID:QtKu/ilC
黙ってsageろ屑。
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:15:10 ID:HLtk2Yg8
>>279
おkです。

>>278
それサイトが刃牙世界に召喚されちゃってる
284ZERO BOY’S@ ◆wJ.vylSmpU :2008/12/22(月) 22:16:11 ID:cwEYzm+T
「ZERO BOY’Sサーヴァントセレクション 第3話」

 トリステイン魔法学院の食堂は広く、余裕で100人以上座れる面積がある。
「うわあ! 凄い広いね、ルイズ姉様!」
「……ゆず、こんなに広い食堂見た事が無いです……」
「ここはアルヴィーズの食堂って言ってね、貴族しか入れない館よ。平民は入れないけど、アキミ達は私の使い魔だから特別よ」
「ルイズお姉ちゃん、アルヴィーズって何ですか……?」
「小人の名前よ。周りに小人の像がたくさん並んでるでしょ? あれ夜になると踊るらしいわよ」
「そうなんだ……。ボク達の学校にも何とかっていう昔お家のお仕事をしながら勉強してた偉い人の像があって、それが夜になると歩くって噂があったんだけど、おんなじなのかなあ?」
「……ちょっと違う気がするけど……」
「ルイズお姉ちゃん達はここでご飯を食べるんですけど、ゆず達どこで食べればいいんですか?」
「……あ、うっかりしてたわ。そうね……ねえ、ちょっといいかしら?」
 ルイズは食器類の準備をしていた1人のメイドに声をかけた。
「あ、はい。何でしょうか、ミス・ヴァリエール?」
「昨日ミスタ・コルベールからアキミとユズ……私の使い魔の分の食事については連絡があったと思ったけど、食べる場所については連絡し忘れてたの。とりあえず今朝の朝食は厨房で食べられるように頼んでもらえないかしら?」
「あ、はい。ちょっとマルトーさんに聞いてみますね」
 そう言って駆け出していったメイドは、しばらくしてOKの返事を貰って戻ってきた。
「ごめんね、アキミ、ユズ。今日の夕食までには一緒の席で食べられるようにしてもらうからね」
「……あ、ありがとうございます……」
「それじゃルイズ姉様、ごはんの後でね!」
「えっと、ミス・アキミ、ミス・ユズですね。私シエスタっていいます。よろしくお願いします。さあ、こっちですよ」
285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:16:42 ID:HLtk2Yg8
支援
286ZERO BOY’SA ◆wJ.vylSmpU :2008/12/22(月) 22:18:41 ID:cwEYzm+T
 昼食を終えた秋巳達はルイズと合流し教室に向かう。
 教室に入って着席するのとほぼ同時に、中年女性が大きな扉から入ってきた。
「皆さん、春の使い魔召還は大成功のようですね? ……あらあら、可愛らしい使い魔ですね、ミス・ヴァリエール」
 中年女性・シュヴルーズは、秋巳とゆずを見るなりそう言って目を細めにこやかに微笑んだ。
「ゼロのルイズ! いくら召喚できなかったからって平民の子供さらってくるなよ!」
「違うわ! ちゃんと召還したんだもの!」
「嘘は吐くなよゼロのルイズ、どうせ失敗したんだろう!」
 この台詞をはいた太った少年が言い終えると、教室は笑いの渦に包まれた。
「うるさい! 風邪っぴきのマルコメミソ!」
「何だそりゃ!? 僕は風上のマリコルヌだ!」
「はいはい、そこまで! それ以上騒ぐならその口に魔法をかけますよ、ミス・ヴァリエール、ミスタ・マリーアントワネット!」
「マリコルヌです、ミセス・シュヴルーズ!!」
「では授業を始めます」
 秋巳もゆずも熱心に授業を聞いていた。秋巳達の世界でも有名な地水火風の4元素、そして伝説の属性・虚無……。各種魔法に関する講義を真剣に聞きノートに取っている。
 シュヴルーズは下手な生徒達より熱心に授業を聞いている使い魔達に好感の視線を向けた。
「……それでは実際に錬金を実践してもらいましょう。ミス・ヴァリエール」
 途端に教室内がざわつき始める。
「ミセス・シュヴルーズ、それはやめてください!」
「無謀です!」
「はい、静かに! ミス・ヴァリエールの使い魔を見習いなさい。1人はまだ小さいのに一生懸命授業を受けています。あなた達も負けてはいけませんよ」
「でもミセス・シュヴルーズ!」
「さあミス・ヴァリエール、この土を錬金してごらんなさい」
「はい! やります!」
「よろしい、ではこちらへ」
 2人がそう言っている間にも、机の下や教室の外に避難する者が続出した。
「みんなどうしたんだろ?」
「さっきのシュヴルーズ先生がやった時は、何でもありませんでしたよね……?」
 訝しげに秋巳・ゆずが周囲を見渡した次の瞬間、
 ――カッ
「うわあ!」
「きゃあっ……」
 突然の出来事に2人とも何もできなかった。
 土煙が収まった後で周囲を見回すと、教室内は滅茶苦茶になっていた。
「ケホケホ……、ちょっと失敗したみたいね」
「何がちょっとだ!」
「だから言ったんだ、ゼロのルイズにやらせるといつもこうだ!」
「成功率ゼロのルイズ!」
 まさに非難轟々。
 ルイズ達3人は意識を取り戻したシュヴルーズに片付けを命じられ、その教室での授業は中止となった。
287ZERO BOY’SB ◆wJ.vylSmpU :2008/12/22(月) 22:21:21 ID:cwEYzm+T
 ルイズ達が滅茶苦茶になった教室の片付けを終えたのは、丁度昼休みの前であった。
 場所は変わって再びアルヴィーズの食堂。
 厨房で食事を貰った2人はルイズの元に向かう途中、1人の少年に衝突した。
「ご、ごめんなさい……。ゆず、よそ見しちゃってて……」
「大丈夫かい? 気をつけるんだよ」
 少年はゆずの頭を撫でると歩いていってしまった。ゆずもルイズの所に急ごうとした時、
「あら? これ何かしら?」
 その声に振り向くと、金髪縦ロールの少女が小瓶を手にした小瓶を首を傾げつつ眺め回していた。
「あ、それ……」
「あなたの? はい、もう落としちゃ駄目よ」
「……その、違うんです。さっきぶつかっちゃったあのお兄さんので……」
「ギーシュのなの? それじゃお姉さんが届けてあげるわ」
「う、ううん……、ギーシュお兄さんが落としちゃったのゆずがぶつかっちゃったせいだから、ゆずが届けます……」
「あら、偉いわね。それじゃあね、ユズちゃん」
 少女と別れ、ゆずはギーシュの方に歩いていく。
「なあギーシュ、お前今は誰と付き合っているんだ?」
「誰が恋人なんだ、ギーシュ?」
「付き合う? はは……、僕には特定の女性はいないよ。僕という薔薇とは多くの多くの女性を楽しませるために咲くのだから」
「……あ、あの、ギーシュお兄さん……、これ、落とし物なの……」
 ゆずは背伸びして小瓶がギーシュの視界に入るようにして声をかけたが、ギーシュは小瓶をちらりと見ただけで無視して会話を続けようとする。
「お? その香水はもしやモンモランシーの香水じゃないのか?」
 男子の1人が小瓶をひょいとゆずの手から取り去ってしまう。
「そうだ! その紫色はモンモランシーが自分のためだけに調合している香水だっ!」
「そいつをギーシュが落としたって事は、つまりお前は今モンモランシーと付き合っているんだな?」
「違う。いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが――」
「ギーシュ様……、やはりミス・モンモランシーと……」
 ギーシュが何か言いかけた時、それを遮るように栗色の髪の少女が声をかけてきた。
 その少女は瞳から涙を溢れさせていた。
「ああ、誤解だよケティ。いいかい、僕の心に住んでいるのは君だけ――」
「だよ」と言いかけたところでギーシュの言葉はケティの平手打ちに遮られた。ケティはそのまま足早に立ち去ってしまう。
「ふう……、薔薇の存在の意味をあのレディー達は理解していないようだ。……待ちたまえ、そこの君」
「……え、えっと、な、何ですか?」
「君が軽率に香水の瓶を拾うからレディーの名誉が傷ついた。どうし――」
「てくれる」と言おうとしたギーシュの言葉は、今度は頭上から浴びせられたワインに遮られた。
「だ、誰だ……」
 振り返ると、そこには先程の金髪縦ロールの少女がいた。
「ギーシュ、その香水を拾ったのは私よ。ぶつかっただけなのに責任を感じてわざわざ届けに来たユズを責めるなんて、見下げはてた男ね。おまけに二股ですって?」
「モ、モンモランシー、違うんだ……。こ、これは、何というか……」
「ユズに文句があるなら私が聞くわよ。もっとも、2度と話なんかしたくないけど。……最低!!」
 ギーシュ、ゆず、周囲の見物人(ルイズ・秋巳含む)……、その全員が立ち去っていくモンモランシーを呆然と眺めていた。
288名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:22:06 ID:HLtk2Yg8
支援
289ZERO BOY’S ◆wJ.vylSmpU :2008/12/22(月) 22:24:29 ID:cwEYzm+T
以上投下終了です。
随分間が空いてしまい、書き逃げの疑いもかけてしまったようで申し訳ございませんでした。

……困ったな、ちょっとウケ狙いでシエスタも男の娘にしたがってる自分がいるぞ。
290名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:25:38 ID:HLtk2Yg8
乙した
291名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:30:19 ID:CR1ITeTY
乙です。
シエスタが男の娘…だと…
見たいような絶対に見たくないようなw
次回にwktk
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:30:20 ID:MPHQd6Kx
乙です〜
問題ない、自分がそう書きたいと願うのなら、そう描けばいいとおもう
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:32:15 ID:rDM9Q315
男の娘は「俺は男だ!!」という一線を守っている方が可愛いと思うんだ。
それでいてヘタレた所があると更にポイント高し。

という訳で瑞穂ちゃん召喚と言うのはどうだろう?
圧倒的なハイスペックに反して、男の子としての瑞穂ちゃんは相当なヘタレ。
でもお姉さまとしての瑞穂ちゃんはどこに出しても恥ずかしくない完璧超人だぜ!!
そしてふと我に返って膝をつく姿の可愛い事と言ったらッ!!
294名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:33:29 ID:XgOIrgj6
そういえば、D.Gray-manのキャラが誰一人出ていませんね・・・・
295名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:36:59 ID:ln5FYvi5
>ID:XgOIrgj6
もうおまえ黙ってろ
296名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:37:11 ID:HLtk2Yg8
>>294
sageろって言われたよな?
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:38:26 ID:xAKNHc/8
ピリピリしすぎワロタw
・・・喧嘩?は止めようぜ
298名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:38:47 ID:ie+mie1d
だが断る
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:41:56 ID:6Aw0j5j5
久々にスレ見たら空気悪すぎるだろww
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:43:56 ID:XAw+L8OR
ここが殺伐としてんのは前からだろ
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:44:19 ID:KGW2afMR
揉め事起こしてスレの雰囲気悪くするのは止そうぜ
q(゚д゚ )↓sage↓がスレのルールなんだから守った上での書き込みをしようぜ
302名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:45:02 ID:HslDcJzR
殺伐としてなきゃ面白くない
303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:45:06 ID:KhlTlN6d
相変わらずガソリンみたいな連中だな、お前ら

にしても、ZERO BOY’Sの人も久々だな。乙でした。
男の娘でも私は一向に構わんッッ
304名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:46:12 ID:rZY0z7/m
ところでカオスヒーローの人って改定版執筆中なんだろ?
まだなのかな
305名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:46:50 ID:9kTik5cG
印象操作してるのは単発が多いね
306名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:47:52 ID:HLtk2Yg8
>>304
たぶん、まだだから投下されてないんじゃね?
たぶんね。
307名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:50:24 ID:wxjHfvyj
>>305
頻繁に再接続を繰り返してると言うのかよ
ないと言い切れないけどな・・・
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:52:01 ID:Bgh/fh4E
サマナー系ならネミッサ召喚(憑依)とか見たいが
309名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:57:50 ID:HslDcJzR
HL2の博士呼んだらどうなるんだろう。
宝物庫には『破壊の剣』としてエクスカリバールが……とか
310名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 22:59:21 ID:xd3LJH44
>>302
そんな物言いだから器量が小さいのさ
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:01:54 ID:h8zb/i+w
私の伝説が聞きたいか?
そうあれは12世紀のある夏の日、いや秋だったかもしれない、やはり13世紀の事だ
312名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:02:20 ID:ie+mie1d
理想郷にゼロ魔専用板ができてるな
ただ投下するだけならあっちのがいい
ようやく規制解除された……
つーわけで、23:15から投下します。
314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:04:09 ID:CR1ITeTY
>>308

とりあえずどの属性になるかが問題だな
多分常時ルイズかシエスタに憑くことになると思うが。
315名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:04:34 ID:wxjHfvyj
>>312
だがお前に関係ない

支援
316名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:06:41 ID:xd3LJH44
>>311
うぜええええ
317名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:10:13 ID:CR1ITeTY
支援
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:11:19 ID:lynZFUKN
>>311
一生刺さってろ
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:12:46 ID:f1DU5aSx
320名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:14:53 ID:0xcXdzNH
なにこの昭和の香りがするエロ画像はw
 
 早朝。辺りはまだ薄暗く、太陽は東の山から顔を出し切っていない。
 空には霞のような雲がかかり、空気は冷え切っている。
 朝靄が立ち込める魔法学院の中庭に、少女の姿があった。
 少女の出で立ちは、乗馬用のブーツとキュロットを穿き、丈夫な布地で織られた旅用の外套というものだ。
 キュロットは、足捌きがしやすいようピッタリと足に密着しており、更には股ズレを防ぐため膝や股の部分が補強されている。
 頭には乗馬用の帽子を被り、左右の手にはそれぞれ旅行カバンと60サント程の馬上鞭を持っている。
 誰がどう見ても完璧なまでの旅装であった。
 少女は首筋辺りで括ってあるピンクの髪を揺らし、朝露に濡れた芝生を踏みしめてゆく。
 表情こそ落ち着いてはいるが、少女の足取りは速く、時間を気にしている様子であった。
 少女は人目を気にしているのか、植え込みの裏側に隠れるようにして移動している。
 早朝とはいえ、人目が完全にないというわけではない。生徒達はともかく、使用人たちならば起きていても不思議ではないのだ。
 なるべく慎重に、それでいて早足に少女は進んでいく。
 男子寮の前を通り抜けようとした時、突如として、静謐な朝の空気を押しのける音が耳に届いた。
 それに素早く反応すると、少女は身を低くして植え込みの陰に隠れる。
 少女は植え込みの隙間から男子寮を見上げると、3階の部屋の窓が開いているのを見つけた。
 パジャマ姿でナイトキャップを被った金髪の少年が、ベランダに姿を現す。
 少年は手すりに手を掛けて身を乗り出すと、肺腑一杯に朝の空気を取り込み、それを一気に吐き出した。

「このギーシュ・ド・グラモン!
 たくさんのメイジの中において、 ひときわ大きく輝く大メイジになってみせるぞ!」

 そう叫ぶと同時、小鳥たちが一斉に飛び立つ。
 ギーシュの雄叫びは、空へ吸い込まれるようあたり一面にこだました。

「うむ。今日も良い1日になりそうだ」

 満足げに頷くと、少年は晴れ晴れとした顔で部屋の中へと引っ込んでいった。
 後には何も残らない。ただ、静かな朝が続いていくだけだ。

「あいつ…… 毎朝あんなことしてたの?」

 級友の意外な行動を目撃したルイズは、植え込みから顔を出すと、男子寮を見上げながら呆気にとられた表情でそう呟いた。




            未来の大魔女候補2人 〜Judy & Louise〜

              第12話‐前編‐ 『ルイズと覆面』




 誰にも出会わずに厩舎から馬を連れ出したルイズは、学院の正門前で出発の準備を進めていた。
 既に太陽は東の山から姿を表しているが、朝靄はいまだに晴れずにいる。
 ルイズは馬の背中に毛布を敷くとその上に革製の鞍を載せ、腹帯で胴に固定する。鞍には金属製の鐙がついており、その高さも調節する。
 手慣れたもので、ルイズは淀みのない動きで荷物を鞍へとくくりつけ、出発の準備を完了させた。乗馬はルイズにとって誇れるモノの一つである。

「……ジュディには黙って出てきちゃったけど、書き置きもしたし大丈夫よね?」

 ルイズは誰にも言わずに此処まで来ていた。本当ならば、一言かけてからにしたかったのだが、事情が事情なので何も言わずに出てきたのであった。
 一応書き置きはしておいたのだが、それでも何か引っかかりを覚え、ルイズは座りが悪く感じる。
 ジュディが帰るための手がかりは未だに何も掴めていないのだ。この状況で遠出をするのは、責任を放棄しているように思えてくる。
 取り敢えずの手段は講じたのだが、その結果はまだ出ていない。

「ブフゥルルゥン……」

 思考の迷宮に入ろうとするルイズに『出発はまだか?』と、言わんばかりに馬が鼻を鳴らす。
 考えても栓のないことだと、ルイズは頭を振って迷いを振り払った。今出来る事をやるしかないのだと、そう自分に言い聞かせる。
 鼻先を擦りつけてくる馬の顔を撫でてやってから、ルイズは鐙に軽く足を掛け、身軽に鞍に跨った。そして、手綱を取り具合を確かめる。
 軽く息を吸い込んでから、ルイズは行く先を見据えた。
 街道は霧で霞み、視界は悪い。更には、石畳は朝露に濡れ、滑りやすくなっているようだ。慎重に馬を走らさなければ、転倒は容易だろう。
 ルイズはそう考えながら、軽く馬の腹を蹴ると、出発の合図を送る。

「さあ、出発よ!」
「待ちたまえ」

 その矢先、後ろからルイズを呼び止める声が飛んできた。
 ルイズは咄嗟に手綱を引いて馬を止めると、素早くそちらへと振り向く。
 すると、ルイズの双眸は、正門を潜りぬけて此方へと進んでくる人影を捉えた。

「誰っ!?」

 緊張の色を帯びた硬い声でルイズは誰何する。
 誰にも目撃されないよう、態々出発を早朝にしたのだ。それなのに、見つかってしまっては元も子もない。
 どうやって誤魔化そうかと考えながら、ルイズは心が波立つのを感じる。
 しかし、いくら眼を凝らしても、朝靄のお陰でその人物の姿は朧げにしか確認できない。
 判ることといえば、男性で、ルイズよりも随分と背が高く、黒のマントと鍔広の帽子を被っている事くらいだ。
 近づいてくる男は一旦立ち止まると、落ち着いた声で再度呼び掛けてきた。

「そう警戒する事はない。僕は、君に付き添うように言われてきたのだよ」
「……姫殿下から?」

 ルイズの脳裏に浮かぶのは、敬愛する王女の姿。彼女ならば、ルイズのために人員を割く位の事は容易いだろう。
 きっと自分を心配しての配慮だろうと考えるが、その一方で信用されていないようにも思い、ルイズは気落ちする。
 そんなルイズの心中を知ってか知らずか、男はあくまで穏やかな口調を崩さない。

「そうだ。君を守るよう命じられてきた。
 ……そちらへ行っても構わないかな?」
 男はそう言うと、ルイズの返事も聞かずに、落ち着いた足取りで歩行を再開した。
 ルイズは男の声をどこかで聞いた事があるように感じたが、警戒は解かずに固い面持ちで男が近づくのを待つ。
 2人を隔てる距離が縮まるにつれ、徐々に男の姿が露になってくる。

「貴方は……?」

 男の顔が明確になると、ルイズは息をのんだ。
 黒無地のマントに、飾りもそっけもない鍔広の帽子。腰には細身の杖を下げ、無駄のない引き締まった体つきをしている。
 丈夫そうなブーツを履いた2本の足で地面を確りと踏みしめ、上体は全く揺らいでいない。
 そして、何よりも特徴的なのは、目元を隠す覆面であった。
 覆面の男は、人差し指で帽子を軽く持ち上げてみせる。

「僕の名前は…… フランシス。マスク・ド・フランシスだ」

 白い歯を光らせ、自信に満ちた声でそう名乗った。
 あまりにも突拍子もない光景に、ルイズは目が点になり、頭の中が真っ白になる。
 口を金魚のようにパクパクさせてから息を呑みこむと、オウム返しに問い返す。

「ま、ますく・ど・ふらんしす?」
「そうだ。まあ長ければ、略して覆面と呼んでくれたまえ」
「は、はぁ……」

 ルイズは馬に跨ったまま、呆然とした顔で男を見下ろす。
 男はその不躾な態度に気にした様子もなく、つるりとした顎を撫でてニヒルに笑うと、おもむろに口笛を吹いた。
 甲高い口笛が空へと吸い込まれるように響き、そして消えていく。数瞬の静寂の後、翼がはためく音が近づいてきた。見上げると、巨大な影が飛来してくる。
 影は男の傍らに降り立った。その正体は、鷲の翼と上半身、そして獅子の下半身をもつ幻獣『グリフォン』だ。
 男はグリフォンの首周りを撫でながらルイズに向き直る。

「紹介しよう。これが僕の使い魔さ」

 グリフォンは、ルイズに挨拶をするように一声嘶いた。
 馬が怯えたように後ずさる。グリフォンは馬よりも大きく、その鋭い爪や嘴は容易に肉を引き裂くことだろう。
 優れた飛翔能力と遠くまで見通す視覚。そして、猛禽特有の鉤形に曲がった嘴と鋭い爪を持つグリフォンは、空の生態系の頂上を成す一つであり、力の象徴でもある。
 そのような強大な脅威が目の前に現われて、ただの馬が平気でいられるはずもない。馬は必死に距離を取ろうと暴れまわる。

「こっ、こら! 大人しくしなさい!」

 暴れる馬を必死で御そうとするルイズであったが、恐怖に駆られた馬は一向に静まらない。

「少し乱暴だが、仕方がないか……」

 男は他人事のようにそう言うと、ゆったりとした仕草で腰から下げた杖を手に取った。
 杖は細身であるが金属製の丈夫な物で、表面についた細かな傷から相当使いこまれたものだという事が分かる。
 それをレイピアのように構えると、暴れる馬に狙いを定めてルーンの詠唱を行う。
 瞬く間にルーンは完成され、杖を突き出す動作と同時に魔法を解き放つ。
 その瞬間、ピタリと馬の動きが止まった。決して大人しくなったわけではない。何かに拘束され、動きたくても動けないようだ。

「その馬には悪いが、動きを止めさせてもらった」
「風のスペル…… 『拘束』?」
「その通り。なかなかの慧眼だ」

 ルイズの呟きに、男は杖を戻しながら感心したように頷く。
 『拘束』とは、不可視の風のロープで対象の動きを縛る魔法である。
 その魔法を騎乗しているルイズに影響を与えずに、暴れる馬だけに効果を発揮させるのには、優れた技量を要求される。
 ならば、いとも簡単にその妙技を成功させたこの男の技量は、如何ほどのものなのか見当もつかない。

「やはり貴方は……」
 ルイズの中で1つの人物が浮かび上がる。
 その人物とは、彼女が憧れていた青年。彼は若くして子爵の位を相続し、卓越した魔法の才能を備えていた青年。
 この10年間、碌に会う機会に恵まれなかったが、それでも婚約者であったし、思い人であった。聞いた話では、魔法衛士隊に入隊したという。
 母に叱られ池のほとりで泣いていた幼い自分を、優しく慰めてくれた事をルイズは思い出す。
 抑えきれない感情がルイズを突き動かそうとするが、男は首を横に振り、視線を遮るように掌を前に突き出すと、有無を言わさぬ声でそれを制した。

「それは違う。ここにいるのは覆面という男だ」
「けれど、貴方はワ……」

 男は語調を強め、それ以上の追及を拒む。

「それ以上は駄目だ。僕は君と出会ったことはないし、君も僕と出会ったことはない」
「しかし……」
「わかってくれないか?
 僕がここにいるのは命令だからだ。任務の遂行を第一に考えなければならない」
「…………」

 覆面に隠された男の瞳は、悲しげな光を宿していた。それに気がついたルイズは、なにも言えなくなってしまう。
 その瞳からは、強い意志と覚悟が読み取れ、そう易々とその態度を翻しはしないだろうという事がルイズにも分かった。それ故に、ルイズは沈黙するしかないのだ。
 押し黙るルイズを見て、覆面は優しげな声で言い聞かせる。

「いいね? 姫殿下から承った大切な任務だ。それを忘れないでほしい」
「……わかりました」

 ルイズはどうにかして声を絞り出す。彼女は今更ながらに気がついてしまった。いや、再認識したという方が適切か。
 2人の間にある距離は、子供と大人の間にあるそれと同じだ。その途方もない隔たりを埋めるのは、容易ではないだろう。
 時間だけが問題ではない。彼の横に立つためには、経験、覚悟、その他にも様々な要素がルイズには足りていないのだ。
 それに気がついてしまったルイズは、項垂れるしかない。

「ありがとう…… ルイズ」
「……はい」

 自分の感情をどうにか抑え込むルイズに、覆面は短い言葉で感謝する。

「では、そろそろ出発しようか。僕は空から警戒をする。速度は君に合わせよう」

 覆面はグリフォンに跨ると、馬を拘束していた魔法を解除する。
 そして合図を送ると、グリフォンは羽ばたき、宙へと舞い上がった。
 羽ばたきで生じた旋風が霧を舞い散らし、ルイズの肌を打つ。冷たい風に打たれて、ルイズは気を引き締めた。

「では出撃だ!」

 覆面は、杖を引き抜き掲げると、号令を発した。ルイズはそれに従い、馬に合図を送り走らせる。
 その動きに合わせて覆面は、馬の視界に入らぬようグリフォンの位置を調節すると、周囲の警戒を行う。
 朝の風を切って街道を駆けていく。
 肌で朝の冷たい空気を感じながら、ルイズは目的地であるアルビオンへと思いを馳せる。遥かな白の国には、何が待ち受けているだろうか?
 そう考えると、ルイズは改めて気を引き締めた。



 中編へ続く
325未来の大魔女候補2人 第12話 ◆kjjFwxYIok :2008/12/22(月) 23:23:31 ID:Ny9f2kpI
 前編投下終了。

 ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵は急病のため代役を起用いたしました。
 それにしても、マスク・ド・フランシス…… 一体何者でしょうか?
 謎に包まれまくっています。正体不明です。はたして、敵か味方か乞うご期待!

 今回書いてたら、2つ目のシーンが長くなり過ぎました。
 前後編にするとバランスが悪いので、3つに分けます。


 題名考えるの面倒くせぇなぁ……
326名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:24:41 ID:0xcXdzNH
投下乙
マスク・ド・フランシス……敵で無い事を祈る、いやマジでw
327名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:31:14 ID:VsApd1EW
マスク・ド・フランシス……一体何者ナンダ
328名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:34:36 ID:15HBQ/9P
いまさらですが、マテリアル・パズルは大好きな作品なので、書いてくれる人がいて嬉しいです。
ところで、sageって何なんですか?
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:38:34 ID:mDwnfl3M
マッスルー 
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:39:20 ID:l9ExBIrg
  iー‐ ´  /     |  | l   | |           l  l | l 丶   ヽ   {
  ` ー‐ ァ /    |  | | l!         /  ハ| l   |     ゙, い
.       / /  l   ! j| | l/!         / /  ′ `、  |     l 、ニ=-
       ′ l  l   }〃 八 { ヽi  |    /,/ /  、__) ハ      !  ` ッ'
       l  l!   ! イ /ィ┬ぇミ、 ヽ l    //j/ _ .ィi坏 ̄》ム     厂 ̄
      ! 八 丶. 乂八弋ヒc_圦、 ヾ  〃 ´r=弋ヒcツ  ゙// 〉  } /   仮面の男・・・一体何者なんだ・・・
.     ヽ(  \  ヽ、ミ二二二二≫ \{ r≪二二二二彡'゙ /   ノ '´
          ゙t-xニニ-   _      | ヽ     _  、_ノ ィ チ
             ヽYー‐  ´      |       ` ー‐一 /ノ
             ゙!、           |            /´
              !ハ      /\__j__/ ̄\     /L
           /! lヘ   <_ ,.=====、 _>     /l 「`ヽ
           f{ j小l丶   / ゙Y´ ̄ ̄`Y ヽ   , j |ノ  ハ
             八  } \'、 ∧  Y´ ̄`Y  ∧ //!'{  / /{
          ハ ヽ{   `ヽl、\ノ    し ´ ,レ /   {ン , {
          } \ \   「l\      /「[   / / !
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:39:52 ID:fErwIX9G
本体は乗り物酔いしやすかったりするんだろうか
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:40:19 ID:yWsZdLFF
ルイズがGMKゴジラの心臓を召喚と言う電波が来た…
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:43:45 ID:IKJEtNWo
>>328
半年ROMれ
334名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:43:49 ID:HLtk2Yg8
>>300
容量使うSSスレでAAなんて使うなよ……
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:53:11 ID:rCiOOUoe
以前のロボ談義で思ったがブレブレのライガットとデルフィング召喚なら行けそうな気がする

本編のデルフィングは発掘後の戦闘で破損した外装変えただけでメインフレーム手付かず
強力だが連続稼働時間短く数時間の休眠期間必要とかなり使いやすそうだ



惜しむらくは知名度が......
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/22(月) 23:54:03 ID:/34dhcTw
>>332
ハルケギニアを滅ぼす気か
337小ネタ:2008/12/22(月) 23:58:31 ID:rPCgnZD6
モニターとレバーと計器に囲まれたコクピットの中で、才人は軽く息をついた。
今となってはその正体を知るものもいない、アルビオンの虚無の使い手が召喚した
“名を記すことも憚られる使い魔”。
鈍く輝く使い魔のルーンを胸に刻み、自らを「破壊大帝」と名乗る銀色の悪魔が
アルビオンを滅ぼし、ハルケギニア全土に死と恐怖を振り撒き始めてから三ヶ月。
現在ガンダールブの才人、ヴィンダールブのジュリオ、ミョズニトニルンの
シェフィールドの三人は、ハルケギニア諸国連合が結成したメガトロン討伐軍の
主力として、タルブ村南東の丘陵地帯に展開していた。
才人の右翼には、赤と黒のボディカラーも禍々しい恐竜型ロボットがいる。
鋭い牙と手足の鉤爪、そして背中に装備された左右一対のカウンターサイズが
一層悪役風味を引き立てる。
それは惑星Ziの主力兵器ゾイドの中でも、抜群の俊敏性と格闘戦能力を持つ
EZ−027レブラプターと呼ばれる機体だった。
兵器といっても野生の闘争本能を持つレブラプターの性能を100%発揮させる
ことができるのはやはりヴィンダールブということで、パイロットはロマリア教皇
聖エイジス三十二世の使い魔であるジュリオ・チェザーレが勤めている。
そして才人の左翼には、右手に長剣、左手に盾を持った鋼鉄の青鬼。
それは惑星アーストで発掘された機甲兵と呼ばれる兵器の中の一体で、個体名は
ザウエルという。
見た目はロボットだが、ミョズニトニルンのシェフィールドと最も相性が良かった
ところからすると、魔法で動くゴーレムに近いのかも知れない。
これらの機動兵器はサハラの砂漠から回収され、ロマリア法王庁奥深くに死蔵されて
いたものの中からガンダールヴの能力によって戦闘に耐えると判断され、固定化の
解除と再装備が施されたものだ。
唐突にアラームが鳴り響く、センサーが高速で接近する飛行物体を捕えたのだ。
ハルケギニアの生物には有り得ない速度、メガトロンに間違いない。
両手に握ったコントロールレバーを通じて、才人の頭の中に機体のコンディションが
ダイレクトに流れ込んで来る。
20ミリチェーンガン:連続射撃17秒分
75ミリ速射砲:残弾32発
地対地ミサイル:全6発
動力系・駆動系ともに問題無し
そういえば正規の燃料の代用にタルブ村名物のブドウ酒を、樽ごと機体側面のバルジに
取り付けたんだったと、その時の騒動を思い出した才人は小さく笑い、次の瞬間
気合いを入れた。
「ショータイムだ、酔っ払うんじゃねーぞガンヘッド!」
338名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 00:00:44 ID:dZImPwSI
アクマイザー3のザビタンとか召喚したら如何だろうか?
変わるんだら〜、戻るんだら〜・・・・・色々要素はありそうだが
339名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 00:52:40 ID:eLrSSANf
かなり長い間こなかったんで教えてください
リリカルなのはのリンディが召喚された話ってwikiから消えてる?
340名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 00:56:43 ID:KyIu1wbx
この気持ちなんて言えば良いのだろう。
341名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 00:59:34 ID:Ecd6mR4R
せっかくだからルイズにサンタクロースでも召喚させてはどうだろう
342ゼロの魔王伝:2008/12/23(火) 01:03:27 ID:HRM2IgoK
こんばんは、誰か投下予定の方がいらっしゃらないようでしたら、十分後を目処に投下します。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:11:40 ID:Ecd6mR4R
よろしおます
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:13:49 ID:VE3cqjyu
寝る前に支援
345ゼロの魔王伝:2008/12/23(火) 01:14:38 ID:HRM2IgoK
 ゼロの魔王伝――3

 ある人影が歩みさった後の世界はたちまちの内に色褪せて輝きを失っていた。人影がそこに在る瞬間のみ輝いていた世界は、それゆえに美の神の加護を失った時、荒廃に身を任せて灰色に煙る事を選んでいた。
 こつり、と先程まで弄んでいたタバサと言う名の少女を怯えさせる為にわざと立てていた足音は既に無い。
 地平線の彼方に沈み、暗闇の手に委ねられた世界の中で、その男――幻十の影だけが白々と月輪を浮かべる月の様に、投げ落とされた硬質の床の上で輝いていた。
 風になびく黒衣の裾は折り畳まれた悪魔の翼の様に映り、頬に触れる風も、瞳に映される世界も、そのまま時が止まれば良いと切に願ったことだろう。
 その美しすぎる男に見つめられたままで居たいと、触れていたいと。
 だが、それを幻十は嘲りと共に一笑に伏すだろう。自らを崇め奉る者達に対してさえ慈悲の心を持たず、骨の髄を越え魂の一片まで利用し尽して捨てる事を由とする精神の持ち主であった。
 タバサの処女血をたっぷりと吸った魔糸はすでに小指の先ほどの糸玉にまとめてポケットにしまい込み、その美影身から処女の甘く清らかな血の匂いが香る事はない。
 もし、この男が血を吸う鬼――吸血鬼であったとしても誰がこの邪悪にして美しき魔人の求めを拒否できようか。
 誰もが望み、血のみならず生命のみならず魂までも喉と共に差し出して、美魔人の唇から禍々しく覗いた乱杭歯が、己の肌を突き破る瞬間を夢見心地で待つだろう。
 この世に在り得ぬ美しさに相応しく、この世ならぬ恐怖をその精神に宿した魔人。それが浪蘭幻十と言う名の青年であった。
 やがて、かつて幻十がこのハルケギニアという世界に召喚された始まりの場所に辿り着く。
 警護の騎士達も控えている筈の侍従達も人払いが成された王の間で、幻十は自らをこの世界へと招いた張本人と相対した。
 タバサの髪とよく似た色合いの青い髪に、美貌と呼んで差し支えない成熟した顔立ちに見事な体躯。古の裸像のモデルとして匠達が選びそうなほどに逞しさと美貌が調和していた。
 玉座に腰かけたガリア王ジョゼフは傍らに一人の美女を従えていた。トリステインやロマニア、ガリア、ゲルマニアといった周辺諸国の人々達とは異なる、異国の風の匂いを薫らせる顔立ちであった。
 幻十の魔貌の効果を知る為に、美女は視線をずらして、床を絢爛と飾りながら埋める絨毯の一点を見つめていた。
 ある夜の、化生の者達が最も力に満ちて、跋扈する時刻――逢魔が時に、ジョゼフに召喚されながらも契約を拒んだ幻十に変わり、改めて行われた使い魔召喚によって呼び出された東方生まれの女であった。
 ジョゼフに与えられた名をシェフィールドという。契約によって刻まれたルーンは額に輝き、虚無の系統の身が持つ特別な使い魔の内の一種“神の頭脳ミョズニトニルン”となっている。

「終わったのか?」

 ジョゼフが愉快気に幻十に問うた。タバサを殺してはならぬと告げてはいないが、殺せとも命じていない。
 はたしてジョゼフの鬼謀略を巡らす非凡な頭脳と、憎悪と愛情とが混ざり合って腐臭を発しながら醸造した狂気を持ってしても理解し得ぬこの魔青年が、どのような判断を下したのかジョゼフをしても興味が尽きえぬ。

「ああ」

 にこり、と幼い弟妹をあやす様な笑みを浮かべ幻十とが答える。どんなへそ曲がりも一目で魅了されて生涯を幻十の奴隷として捧げるだろう。
 幻十は浮かべた笑みを取り払って音もなく歩き、ジョゼフの三メイルほど前で止まる。
 歩む間揺れるインバネスの裾、ふわりふわりと動く髪。歩む度に映り変る美貌の千面変化に、ジョゼフは恍惚と酔いしれた。
 これまで味わってきたいかなる美酒も及ばぬこれ以上ない悦楽の酩酊であった。シンに美しい者はいかなる形であれ存在するだけで、自分以外のすべての者達を狂わせる。
 傍らを見れば幻十を視界に納めていない筈のシェフィールドでさえ、頬を紅に染めていた。たとえ見つめておらずとも、過去に見たその姿が瞼に焼き付き、焼きついた姿は脳裏に蘇って魂を灼熱させる。
346ゼロの魔王伝:2008/12/23(火) 01:15:44 ID:HRM2IgoK

「ここの人間にしては中々面白い。あちらへ戻った時の手駒にするのも一興だ」
「ほうほう、そうか。おれの姪はお前の気に入ったか。はっはっは、これまであいつに死地を巡らせた甲斐があったというものだな!」
「ところでレコンキスタとかいったか、あれはどのような具合だい?」
「ん? ああ、あれか。予定通りでな、まったく詰まらん限りだ。おれの掌から片足を零す程度の事さえできておらんよ。アルビオンの王家はな」
「ぼくとしては予定通りに進んでもらって構わないがね。君が望む世界の破滅の光景、それはぼくにとっても望みを果たす役に立つかもしれないのだから」
「超人、今の人類の次に来る進化した存在か。なかなか面白い話だが、おれには興味の無い話だ。もっとも、おれの望みとお前の望みが重なったのは不幸中の幸いだ。全くこれ以上ないほどのな!!」
「それは長畳。ではそちらの計画は好きなように、ただし失敗の無いように進めたまえ。ぼくはしばらく手駒探しに出掛ける」
「そうか、それは素敵だ。さぞや多くの屍が生まれるだろう。流れ出た血は大地を赤く染めるだろうな。屍の山、血の河、軍や国がそれを成した事はあるだろう。だが個人でそれを生む者がかつていただろうかな?」

 玉座に背を向けて王の間を辞さんとしていた幻十が足を止め、三日月の様な笑みを片側の頬に浮かべる。だが静かに降り注ぎ地上の万物を優しく照らす月ではなかった。
 夜空よりも黒く虚空を切り取る暗黒に染まった三日月を思わせる禍々しい笑みを、幻十は浮かべていた。

「屍の山、血の河……その程度であの街の王は務まらないよ、ジョゼフ。“この門をくぐる者すべての希望を捨てよ”、あの街は全ての悪徳と絶望と恐怖が蠢く街だ。人間の善を食らい、希望を踏みにじり、命が空気よりも軽い場所なのだ。
 この浪蘭幻十の行く道に立ち塞がる者はすべて屍と変わり果てるがいい。落とされた首でこのぼくを呪う歌を歌うがいい。それこそがぼくに相応しい。
 地獄の責め手達もおびえ震える呪詛を吐くがいい。空を覆い尽くす憎悪と怨嗟の歌こそがぼくに相応しい。
 ぼくの行く手を塞ぐもの全てに呪いをこのぼく自ら与えよう。魔王と呼ぶなら呼べ、悪魔と恐れるなら恐れるがいい。それこそがぼくに相応しい。……少し長く喋りすぎたな。ではおやすみ」

 締め括る言葉こそ平凡なれども、垣間見せた人間のものではあり得ぬ狂気の発露に、ジョゼフは瞳を見開いて凍らせた。
 恐怖にか?   その通りだ。
 喜びにか?   その通りだ。
 美しいからか? その通りだ。
 邪悪だからか? その通りだ。 
 絶望にか?   その通りだ。
 希望にか?   その通りだ。

「ふ、ふふふふ、あはははははは!! ああ、シャルル、シャルル、おれの愛すべき弟よ! 憎んでも憎み足りぬ弟よ! おれのこの手で命を落とした哀れな弟よ! おれのこの胸に埋められぬ虚無の穴を穿った我が無二の弟よ!!
 おれは、おれが、おれの、心が震えているぞ!? お前の妻の心を壊し、お前の娘を死地に送り、国を動かし、一つの王家を潰そうとし、民草に血を流させても尚ぴくりともしなかった、この、おれの、心が!!
 おれは、おれは………………………………あははははははははは!!!!」

 地に投げかけられた影の様にジョゼフの傍らに侍るシェフィールドの瞳は、敬愛する主の狂態に、怯えとも喜びともつかぬ曖昧な光を浮かべながら、いつまでも続くようなジョゼフの狂笑を見つめ続けていた。
 真の“美”とは人を狂わせる。一度狂った者がさらに狂ったならば、その先に待つ変化は果たして如何なるものであろうか。
 巡り回った狂気の果てに正気に至るのか? それとも更なる異形の心を手にするのか?
 ジョゼフとタバサ。
 心のどこかを壊し凍らせた二人の魂が、今宵確かにカチリと歯車の噛み合う音を立てて動き始めた。噛み合う歯車は果たして人の心が本来持つ正常な形をしていただろうか。
 それはどこか歪み、その歪みを徐々に広げて心の均衡を歪めて狂わせ、破滅をもたらす異形の歯車でないと誰が言えよう。
 動き出した歯車がやがて止まる時、そこ待つモノが、希望の光か絶望の闇であえうかは、神ならぬ人間には誰であっても分からぬ事だったろう。いや、例え神なる方にも悪魔なる者にも分かるまい。
 この魔人“達”を向かい入れたハルケギニアの命運は。
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:16:26 ID:Ecd6mR4R
支援・支援ソワーズ・ル・支援・ド・ラ・ヴァ支援ル
348ゼロの魔王伝:2008/12/23(火) 01:16:58 ID:HRM2IgoK
 同刻、トリステイン魔法学院学生寮のとある一室。
 使い魔召喚の儀式を執り行ってより、自らが呼び出した使い魔を一目見た者達全てから羨望と嫉みと妬みと憎悪と殺意がブレンドし、互いを高め合って凶器とかした視線を片時も欠かさず浴びて、すっかり精神的に消耗し尽した部屋の主が寝入っていた。
 貴族の子弟のみが勉学の機会を与えられるこの学院に相応しく、例え学生寮の部屋であっても、平民の身分ではよほどの富豪でなければ生涯縁を持たずに過ごす様な調度品ばかりが部屋を飾っていた。
 使い魔の異様な外見にも、この数日で多少なりとも耐性ができたのか、それとも部屋の主が感じていた疲労がその異様さを上回るほど凄絶なものであったのか、普段なら夜が明けても眠りに着けぬほど緊張しているのに、今夜は健やかな眠りについていた。
 時折遠く森の彼方から運ばれてきた虫や森の獣たちの鳴き声や息遣い、夜露に濡れる新緑の草を揺らす風の調べだけがかすかに聞こえている。
 夜の眠りにつく人間以外の夜に生きる者達の静かな合唱の様だ。雄々しく体と心を揺さぶる力強さよりも、すべてが混然となって溶け合うような心地よさと、波間に揺れているような静けさばかりがあった。
 わずかに開いたカーテンの隙間から差し込む淡やかな紅と蒼の双月の光に、部屋の主である少女の使い魔の顔が照らし出されていた。窓際に寄せた椅子に腰掛け、夜闇を写し取ったような黒衣を身に纏って頬杖を突いている。
 その果ての無い宇宙の彼方の様な虚を穿った黒い瞳も、ぬばたまの闇から紡いだ繊糸の様な髪も、その肢体をくるんだ衣服も全てが黒く、漆黒の合間から覗く肌のみが月光さえも恥じ入るような美しさに自ら輝いていた。
 使い魔の視線が自らの主の寝顔に向けられた。まだ十代半ばと青春の謳歌を許容される年頃の少女の目元には、ここ数日の睡眠不足と精神的疲労からうっすらと隈が浮かびあがり、体調不調を主張していた。
 見つめる事数秒、等しい時間だけ見つめれば、天空に座する月さえも羞恥に赤らむのではと思わせる魔瞳が、再び窓の外の夜景に映された。
 広大な草原の中にぽつんと建つトリステイン魔法学院は、他国の留学生を招く事もあり、トリステインの威信をかけて建立された広大な建築物だ。
 院内の調度品や拵えなど貴族の目の届く範囲は全て一流の職人と最高の材料、優れたメイジ達による魔法の恩恵を受けている。
 だがその威容も、果てしなく広がる夜空と雄大な大地の只中に在る事を、感じる事が出来たなら、ひどくちっぽけな、虚栄に満ちた小間細工の様なものに見えてしまう。
 たかが数千年の歴史を閲した程度の人間が、なけなしの誇りと自尊心を、同じ人間を相手に満足させる為に建てた、賎しい心根の産物。
 というのはいささか毒が強いかもしれぬが、少なくとも今、夜の歌に耳を傾けている使い魔にはさほど感銘を与える事が出来なかったのは確かだったろう。
 使い魔の瞳は飽きる事無く夜の風景を見つめていた。左肩に寄せた優美な弧月を描く長剣の柄に巻かれた油を塗った蔦が、主の横顔に身惚れていた。柄尻に巻かれた高分子ザイルの解れた紐も、黒塗りの鞘もまた。
 やや右斜め前に被った鍔広の旅人帽の奥から夜の彼方を見つめる瞳には、いかなる感情の色も浮かんではいなかった。人間の持つ喜怒哀楽、憎悪、慈愛、嫉妬、友愛、僻み、労わり……あらゆる感情を濁りとして取り除いたように澄み切っている。
 いっそ人間とは異なる精神構造を持った別種の生き物の様な瞳であった。時に赤に染まる事のある瞳は、ただただ、古えから続く悠久の夜の静寂を讃える様に窓の外に向けられていた。
 同じ部屋の中に居る桃色の髪の少女の事などまるで意に介していないとでも告げる様に。
349ゼロの魔王伝:2008/12/23(火) 01:18:48 ID:HRM2IgoK

 同刻、浮遊大陸白の国アルビオン。
 王党派と改革派とに分かれて戦火が大地を覆うこの大陸でも、今だ戦の喧騒が及ばぬ地はあった。戦略的に価値の無い僻地、戦闘行為によって失われた場合、戦後の統治に支障を来す重要な拠点や都市など。
 鬱蒼と生い茂る緑の連なりの奥にひっそりとたたずむ小さな村は、その前者であった。
 村の外の者で村の存在を知る者は数少なく、また村に住む者もほとんどが十になるかどうかという幼い子供達ばかりであったし、アルビオンを席巻する血染めの戦煙も、この地には無縁の代物だった。
 ほんの数日前までは。今その村は奇跡の村と周辺の住人達から呼ばれている。いつの頃からか、その村の真ん中に小さな、しかしハルケギニアのどこを見渡しても損zないしない奇妙な形の病院が開院されてからは。
 誰がその病院の評判を最初に口にしたのかは分からない。だが、その途方もない所業の噂は尾鰭を着けて遼原の火のように広がり、興味本位の者達や一縷の望みをかけてその病院の門戸を叩く者達が姿を見せたのは、噂の広がりとほぼ等しかった。
 そして、その病院の門戸を叩き、その治療を受けた者達がわずかに語った治療の結果の一例をここに挙げよう。
 とある樵が語るに曰く――誤って斧で斬り落とした指が、一撫でされるとくっついた。
 子供が全身に火傷を負い、あと一月も保たぬと告げられた母親が語るに曰く――見るも無残に焼けただれた我が子の体が、半日もたたずに生まれたての赤子の様に艶やかな肌になっていたという。
 戦場で負った古傷が元で失明寸前になってしまった古兵が語るに曰く――院長と名乗る男の指が自分の眼球を掴みだし、痛みを感じるよりも早く空っぽになった眼下に指が差し込まれると、まるで嘘のように世界が見えるようになっていたという。
 地面を舐める様にして俯き、絶望と諦感の影を重く背負いながらも、掌に残った一握の砂の様な希望を決して手放さぬ人々がその病院の門を叩く時、そこには必ず美しい人影が待っているという。
 その院の長たる美しい医師は、如何なる絶望の淵に追いやられようとも生を諦めぬ者達の最後の希望となって死の影を追い払い、生を与えるという。
 ずっと昔に司祭がいなくなり、その後管理するものとてなく荒れ果てていた村の教会を改装した病院の院内は、ハルケギニアにどこを見渡しても他では見られぬ不可思議な場所だった。
 外から見れば二、三十人も詰め込めば限界の筈の院内はまるで数千坪もある広大な施設の様に広がり、天上に設けられた水晶と黄金で造られた豪奢なシャンデリアからは、昼夜を問わず淡い光が降り注いでいる。
 一切の病魔の跋扈を許さぬ清浄な光は、しかし傷つき病み衰えた者達にとって無二の癒しとなって降り注ぎ、その輝きで疲れ果てた患者達の心と体を慰めていた。
 ふと気づけば、耳には心地よく心を弛緩させる旋律が聞こえ、この狭隘な筈の院内の何処で天上世界の楽士たちが演奏会を開いているのかと思うほど洗練され、聞く者の心を慰める癒しの音楽が絶える事無く流れている。
 やはりこの病院独特の衣服、白で統一されたワンピースやタイツ、ナースキャップを被った見目麗しい男女の看護師達が絶えずたった一室の診察室と治療室、手術室、そして待合室を行き交っている。
 無償の慈愛の笑みを浮かべて初めて病院を訪れたものや、待合室で静かに座って待つ者達にさりげなく声をかけては、患者たちの顔から不安の影を取り払い、ハルケギニアの医療情勢では到底考えられぬ光景が広がっていた。
 その中でもとりわけ病院を訪れた者達の目を引き、驚きとわずかな恐怖に目を見開いた患者達に積極的に話しかけ、たちまちの内に心安らかなものを浮かばせている看護師がいた。
 大地を照らす太陽の様な黄金の髪をさらさらと零しながら、絵画に描かれた聖母の様な笑みを浮かべ、澄み切った湖の水面に映った紺碧の空の様な瞳には、どんな絶望の暗雲にも屈さぬ強さと凛々しさがあった。
 道端に咲く一輪の花の様な可憐さに似合わぬ看護服の胸元を押し上げる豊満な乳房と、思わず目を引く神秘的なまでの美貌が見事に調和し、作り物めくまでに美しい少女であった。
350ゼロの魔王伝:2008/12/23(火) 01:20:28 ID:HRM2IgoK
だが、その少女を前にした患者達が思わず息を呑むのは、その金の髪から左右に突き出た耳の先端が告げる、少女の出自故であろう。
ハルケギニアの人間達にとって最大の天敵エルフ。はるかな過去に人間から聖地を奪った不倶戴天の怨敵たる種族。目の前の少女が少なくともそのエルフの血を引くものである事を、その耳が語っている。
悪鬼羅刹の権化の如く語られるエルフを前にして身を強張らせる者達も、そのエルフの少女の笑みと、ささいな他意もない純粋ないたわりの言葉や慈しみが滲む挙措を前に、恐怖を忘れるのには時間はかからなかった。
疲れの影をおくびにも出さず、絶えず患者達の間を歩き回り、声をかけて励まし、泣く子をあやしては笑顔に変え――それは、間違って地上に生まれ落ちた天使の様に美しく、優しい姿であった。
ちりん、ちりん、と来院者を告げる小さな鈴が鳴り、そのエルフの少女看護師が入口に目を向けた。
厚い楡の木の扉を押し開いて姿を見せたのは白い人影であった。白い化粧に覆われた厳冬の世界さえも黒ずんで見えるほどの純白のケープを纏い、黒メノウを溶かして加工しても万分の一も及ばぬ輝きを秘めた黒髪を白い布生地の上に流していた。
二十代頃と見える顔立ちは、エルフの少女がただの風景の一部になり変ってしまうほどに美しい。そう、ただ美しいとさえ言えばいい。感じればいい。表す言葉も感情も、何もかもが美しいの一言に尽きる。
その男の美貌を前に人命を蝕む病魔さえ己の醜さを恥じらうのか、彼の姿を見た患者達の幾割かは、ただそれだけ傷病が完治した事さえある。
エルフの少女は、かつて自分が召喚した使い魔たるその男に向けて、無限の畏怖と果てしない畏敬の眼差しを注いだ。

「患者の皆さんがお待ちです、院長」

 突如小さな僻村に姿を現した白衣の医師は、少女の一部の隙もない病院のスタッフとしての水準を満たした姿をどう判断したのか、声をかける事もなく少女の脇を通って院長を呆然と見つめる患者達に慈父の笑みを浮かべた。
 今この場に居るのは彼にとって愛すべき患者達であった。
 いつかどこかで、院長の医師としての姿勢をこう、評した者がいた。
“患者には生を、それ以外の者には死を”。
 ほんの数分前、病院の金品や薬品を狙って村に押し入ってきた野盗二十三名全てを腑わけし、健常な臓器の選別を終えたばかりの院長は、血の匂いも赤い染みも一つとしてその純白を汚させる事無く、患者達の前に立ち、一人目の患者の名を告げた。
 その姿は地上に堕ちた哀れな迷える子羊達を余す事無く救わんとする聖者の如く神々しく、無限の慈愛に満ちていた。
 そう、患者達に対してのみ、この院長は究極的な味方となり庇護者となり守護者となり、それ以外のすべてにとって冥府からの使いよりも恐ろしい、死と恐怖と絶望の権化となる。だがハルケギニアの人々はまだそれを知らぬ。
 院長から敵とみなされた者達の中で、生きている者は誰一人としていなかったからだ。


終了。パワーバランスとろうとしたらこんなんなりました。ゼロ魔のキャラとのバランスは逆にグダグダに……。ちょっと、頭冷やしてきます。
351名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:21:10 ID:vc7uTi8r
支援……もはや、美影身大戦と称するべきか。
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:23:51 ID:Ecd6mR4R
くわぁ、乙。
文章密度がやけに濃ゆいぜ!
353名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:25:02 ID:mAqj0sC+
ギャアアアアアアアア、センセイキター!!!
もうハルケギニアオワタ
354名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:31:18 ID:BSnvMXRS
>>341
三択老師とブラックサンタと嫉妬戦隊サンタVにサンタマン、ゾンビサンタサンタガンダムとかおるけどどれがいいんだ
355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:37:27 ID:7HjlpO5Y
俺、ドラゴンボール・エボリューションが公開したら悟空召喚を書くんだ
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:38:33 ID:JnMK9CBY
医者とせんべい屋まで召還されたのか。
357名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:47:41 ID:WOnVGi6Z
魔王の人乙です。
医者とせんべい屋キターーーーーッ!!
てかナーステファ…だと…GJ!
次回に超wktk。
358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:52:10 ID:mhyGZZlv
>>335
あれ地味に原子炉つんでるから壊れたらえらいことになるがな
359名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:56:16 ID://Yd5IeM
>>337
レブラプター、ザウエル、ガンヘッドでメガトロンに挑むとか無謀な希ガスw
360名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 01:56:42 ID:suQZoZ3f
>>356-357
いや、ルイズが召喚したのは、ヴァンパイアハンター『D』だ。
361名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 02:21:47 ID:Q6gfSOOf
>360
だよね。あーびっくりした。
これで「記すことすら」が外谷さんだったら笑うかも
362名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 02:27:31 ID:35PAOfOi
魔王の人乙
ガリア→浪蘭幻十
トリス→D
アルビ→メフィスト
と来たらロマリアはやっぱりせんべい屋だろうか。
363名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 02:41:41 ID:kZCJgo9A
ええい、ドクターモヒカン! ドクターモヒカンはいずこ!
364名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 02:44:23 ID:aWJhHCLV
>>362
医者 せんべい屋 D 幻十、周りにとって最悪なのは幻十だろうけど
ガチでやりあったら、 せんべい(中のモノ含む)>=D>医者>>幻十だろ
なんにせよコイツらでSS書ける人は凄いと思う
次回が楽しみです 支援
365谷まゼロ:2008/12/23(火) 02:51:19 ID:NZEOhSpS
よろしかったら、2時55分くらいから八話投下させていただきたいと思います。
366谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 02:55:06 ID:NZEOhSpS
谷が巻き起こした大騒動から一夜明けた。
ルイズと谷は、早朝からずっと誰もいない教室に居る。
学院も休日となる虚無の曜日でもないのに、この日の学院は授業を執り行っていなかった。
原因は、肝心の生徒の治療がまだ完全に済んでいないからである。
実際は、昨日のうちにほとんど処置が済んだようなものであったが、大事をとって今日一日休校となったのだ。
どこか後ろめたさを感じざるを得ない責任の所在を、心のなかでひた隠しにしながら、
ルイズは谷を元の世界に帰す方法を探すことに一日を費やそうと決めていた。

今も、使い魔関連の本を学院中からかき集め、教室に備え付けられている長机に山のように積み、
少しづつ切り崩すかのように、本に書かれている内容を漁っていた。
何か解決の糸口が見つかればと思ってのことである。
だが、どこをどう読んでも、求めている答えらしきものは皆無であった。
ルイズは焦りを覚えていた。
それは谷と、元の世界に帰す方法を見つけ出すと約束したからである。
隣で、谷がルイズを凝視していることも、ルイズの焦燥感を増長させている。

谷は、この世界の文字を読むことが出来ない。
だから当然として、書物での調査となると、何もできないのが現状である。
何もできないことに対してではあるが、谷も内心穏やかではなかった。

「ねぇ……そうじっと見られてると調べ難いんだけど」

そう言われると、谷はルイズから視線を外し机に目を落とした。
どこか落ち込んでいるようにも見えた。いや、実際落ち込んでいるのだとルイズわかった。

谷は、自分の無力さに、どうしようもないほどのもどかしさを感じていたのだ。
考えれば考えるほど焦りやイラ立ちが膨らんでいく、
気を紛らわすためでもあったが、谷は今自分が何かしていないと暴走してしまうような感覚に襲われ、
そして何もかも全てを壊してしまいたくなるような、そんな衝動とひたすら戦っていた。

こっちの本は文字が違ってオレには読めねェし……ここに居ても俺に出来ることねェじゃねえかっ!
っクソっ!!!!クソっ!ああクソっ!オレは、オレは!!!島さん!島さんに会いたいっ……!!

「っうああああああああああ!!!島さあああああああああああああああん!!」

「ちょっと!!あっ!?あ、暴れないで!!机が割れるわよっ!っていうか割れた!!」

駄々をこねる子供の如く、握りこぶしを机に何度も叩きつけた。
普通の人間であれば、騒音をまき散らすだけで済んだあったはずだが、
谷にかかれば、重厚な拵えの机でもあっても、まるでふ菓子を砕くかのように容易に粉砕される。
一通り目の前のあるものを全て壊すと、ぐったりと肩を落とし谷はうなだれた。
相変わらずの馬鹿馬鹿力であった。
ここの教室に来る前も、鉄の柵をまるで飴細工のように、ぐにゃぐにゃに曲げていた。
どこからこんな力が沸いているのかルイズには不思議でなかった。
367谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 02:58:03 ID:NZEOhSpS
このことに関連したのかは不明であるが、ふとルイズはあることに気がついた。
谷と会ってから三日目ではあるが、とあることを谷に尋ねるのを失念していた。
些細なことではあったが、思い返せば最初に聞くであろうことである。
今まで、何故そのことを聞かなかったか、ルイズ自身もよくわからない。
だが、一度気が付いてしまえば、興味心が後押しをして、聞かずにはいられないほどになってしまっていた。

何故谷は仮面をつけているのか?それは抱いて至極当然の疑問であった。

だがルイズには、これについて本人に聞いていいのかどうかわからない。
もしかしたら、とんでもない理由があるのかもしれないし、
やむ負えない理由であるのならば、聞くこと自体が禁忌のようにルイズには思えた。
仮面の下の素顔についても気になっていた。どんな顔をしているのか、考えれば考えるほど興味が沸く。
もしかしてカッコよかったりしたらなどと、好き勝手に想像を膨らませていた。
気になって作業に集中できないルイズは思い切って谷に尋ねてみた。

「タニって……なんで仮面をつけてるの?」

それは谷と相対した人間全てが、投げかけるであろう質問であった。
だが、谷が居た世界では、それを聞く者は少なかった。というよりも何故か一人も居なかった。
周りの人間は谷を変な人間だと思っていたし、
本人に聞いてみたところで、答える筈がないとわかっているからかもしれない。
谷は、基本的に他人に興味を持てない。自分に害なす相手であれば排除するのみである。
勿論例外として、島さんが中心に存在する。
だが、それを除けば、誰かの意のままに動くということはしない谷であった。

だから、極々当たり前のことのように谷は沈黙を貫き通した。
ルイズはため息をついた。元々答えるような奴ではないと思った上での質問であったが、
気になる度合いを考えれば、少し落胆を感じざるを得なかった。
ルイズは半ば諦め気分で、本を読む作業に戻った。

本に書かれている使い魔についての情報を調べるほど、今の谷との関係が異質であることが浮き彫りになっていく。
何故なら、ルイズは谷と『コントラクト・サーヴァント』を未だ行っていないからだ。
契約を行っていないということは、呼び出しただけに過ぎず、使い魔と呼んでいいのかすら定かではない関係である。
だが、ルイズは今更谷と契約しようという気は、さらさら持ち合わせていなかった。
それは、谷が自分の使い魔として不満があるからというわけではない、
もし、契約が出来てしまったら……それは谷の首に取り返しのつかない鎖が繋がれ、
谷を自分に縛って捕えてしまう気がしたのだった。
ルイズは本当に心から、谷を元の世界に送り返してあげたいと考えていた。

ルイズは、谷が情緒不安定になるほど島さんに固執していることに対して、谷を女々しいとは思わなかった。
ギーシュとの決闘で、谷の中での島さんの存在の大きさは嫌というほどルイズは理解できているからだ。

だからこそよ……シマサンのいる世界にタニを帰してあげなきゃ。
368谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 03:00:14 ID:NZEOhSpS
胸の奥にさらなる決意を刻み、ルイズは再び本を読み漁る作業に戻る。
今日は休みで誰も教室に来ないはずであった。
だからこそルイズは、この場所で調べ物をしようと思ったのだった。
誰かが谷にちょっかいを出して、また大騒ぎになったりでもしたら大変だからである。
だが、思わぬ訪問者が現れた。その訪問者はコツコツと靴音を鳴らしながらルイズと谷に近づいた。
ルイズはその靴音で、誰かが自分たちに近づいて来ていることを悟った。
振り向いたルイズは、訪問者の顔を確かめた。
その視線の先にいたのはミス・ロングビルであった。

「あなたは、確か学院長の秘書の……」
「ロングビルです。ミス・ヴァリエール」

ロングビルは、礼儀正しくルイズに向って頭を下げた。
ルイズも軽く頭を下げ応じたものの、何故ロングビルが自分のところへやってきたのか皆目見当がつかなかった。

「なにか用ですか?」
「ええ、そうなのです。お話したいことがありまして、少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」

ルイズは首を傾げたが、肯定の意を口にした。
だが、ロングビルの視線はルイズではなく谷に向けられていた。

「え?用事っていうのはタニになんですか?」
「ええ、そうです。よろしかったらでいいのですが……」

ルイズは谷をチラリと見た。
何故、秘書であるミス・ロングビルが谷に用があるのかまったくわからない、
もしかしたら、谷がしでかした件について何かしらの追及があるのではとルイズは考えた。
しかしどんな理由であるにしろ、谷が素直に人の話を聞くとは思えなかった。

「すこし、教室の外までタニさんをお借りしてもよろしいでしょうか?」
「わたしは、いいですけど……その」

ルイズは谷をチラリと見た。
自分がいくら言い聞かせても、従わないはずだとルイズは思っていた。
だがそんなルイズの予想を反し、谷は無言で席を立って、教室の出口に向って行った。
去り際にルイズに軽く会釈してロングビルは谷の後を追った。
二人の姿が完全に見えなくなると、ルイズは開かれた本に目を戻した。
だが、胸がもやもやしていて、調べ物どころではなかった。ルイズは、ぶっきらぼうに本を勢いよく閉じた。
どこか小気味良い音が誰もいない教室に響く。

なんなのよ……アイツ。なんでついて行っちゃったのよ。

頬を膨らませて、膨れ面になったルイズは機嫌を損ねていた。

しばらくして谷は何事もなくルイズの下に帰ってきた。
だが、ルイズがロングビルと何を話してきたのかを聞いても谷は答えなかった。
369谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 03:02:26 ID:NZEOhSpS
そして谷とロングビルの密談後、何事も進展なく夜を迎えた。ルイズと谷は自室に戻って寝床に入っていた。
しかし異変はそこで起きた。谷はルイズが寝静まったのを確認すると、そろりとルイズの部屋から出て行ったのだ。
ベッドに横になり、寝たふりをしていたルイズが頭から被っていた毛布を払いのけ、起き上った。
訝しげにルイズが呟く。

「こんな夜遅くにどこに行ったのよ……」
「そうねぇ、これは怪しいわ」

闇の中から突然、声が響いて来たことにルイズは飛び上るほど驚いた。
目をこすり、よくよく見てみれば闇の中に赤々としたシルエットが浮かびあがっていた。

「キ、キュルケ……!?あんた何してんのよ?なんでここにいるの!?」
「いやね。ちょっとタニタニに夜這いでもしかけようと思ってね……まあジョーダンよ冗談、そんな怖い顔しないでくれる?」

ジロリと疑いの目を自分に向けてくるルイズを見ると、からかう気は失せてしまった。
キュルケは未だ開いたままの部屋の大穴を使ってルイズの部屋に入り込んだのだ。
ヴェストリの広場の修繕が優先されているため、ルイズの部屋の壁の修理は後回しになったのだった。
ルイズはキュルケの姿を見た。もう本来の就寝時間をとうに過ぎているというのに、
キュルケは学生服を身に纏っている。

「……何をしようっていうの?」
「決まってるじゃない、タニタニを追うのよ。あなたも気になるでしょ」

キュルケの言う通り、谷が何のためにこんな夜更けに出かけたのか気にはなる。
ルイズは跳ねるようにベッドから降り、急いで着替えて谷の後を追うべく、キュルケと伴って部屋を後にした。
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 03:04:20 ID:EseSVYc+
同撃支援
371谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 03:05:14 ID:NZEOhSpS
谷は闇に包まれた学院の廊下を静かに歩いていた。
すると、柱の陰から谷の到来を待ちわびていたかのように姿を現した人物がいた。
日中、谷と話をしたロングビルであった。

遠くから、谷とロングビルが落ち合うその瞬間を、谷に気づかれない間隔を保ちながら、
尾行していたルイズとキュルケは目にした。意外な組み合わせにキュルケが驚きの声を上げた。

「え……?あれって学院長の秘書じゃないの?なんだってタニタニとこんな密会みたいなことしてるわけ?
 だってタニタニはあたしたち以外に知り合いなんていないはずじゃなかったかしら?」

キュルケの疑問にルイズが答えた。
「……昼間に、ミス・ロングビルは、タニに用事があるとかなんかで、
 わたし抜きで、タニと何か話をしたのよ。多分その時……」

「あらん。もしかしてこれってタニタニがあの女の誘惑に負けて、真夜中に目を盗んでの逢い引きとかじゃないの?
 そして秘書と使い魔の垣根を越えて、とろけるような甘いひと時を共に恋のランデブーと決めこもうと……」

そこまで言うとキュルケはしかめ面になり、立てた人差し指をクルクルと回し始めた。
自分の言っていることがに、現実味の欠片も感じられず、喋ってるのが馬鹿馬鹿しくなったのだった。

「……まあそれは、絶対ないわね」
「……ないわよ、何言ってんのよバカじゃないの?」

嫉妬深く疑り深いルイズでさえ断言できることであった。
つまらないわね、とキュルケは呟いた。
谷が島さん以外の他の女に対して特別な感情を持つ筈がなかった。
そのことをルイズとキュルケは嫌というほど思い知っていた。
だからこそ、次の疑問にぶつかった。
何故、谷はロングビルと一緒にいるのだろうか?
おそらく、ロングビルが谷を呼び出したであろうことは容易に想像できる。
だとしたならば、問題は、なぜその必要があったかである。
ルイズとキュルケは共に考えを巡らせ、答えを手繰り寄せようとしていた。

「タニタニが動いてるってことは、何かシマサンに関係してるってことよねえ?」
「ええ……っていうかそれ以外動かないわ、絶対に」
「だったらもしかして、シマサンを餌にして呼び出したってことになるのかしら?」
「ミス・ロングビルがシマサンのことを知ってるとは思えないけど……いや、タニが勝手に口走った可能性はあるわね」
「タニタニはすぐにシマサン、シマサンだしねえ。少し誘導尋問すれば、とりあえずタニとシマサンに関係はわかるはずよね」

谷の求めているものを餌にしてロングビルが谷を動かしたことは予想がついた。
そしてそれは、どう考えても相手を出し抜いて利用するための方法であった。
つまりロングビルは、谷を利用して何かをしようとしているのだとルイズとキュルケは理解できた。

「なんかいい予感はしないんだけど……今すぐ出ていって止めるべきよ!」
「待ちなさいルイズ。そうしたら真相は闇の中よ。タニタニなら大丈夫だと思うからしばらく黙ってみてましょうよ」

そう言うキュルケの意見に対して渋々ではあるがルイズは同意した。
ルイズとキュルケは、本塔の廊下を、密やかに並んで歩く谷とロングビルを追った。
372名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 03:05:53 ID:EseSVYc+
ナンパな精密支援
373谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 03:07:58 ID:NZEOhSpS

「おいっ!本当に元の世界に帰れる道具があるんだろうなっ」
「ええ、勿論です。しかしそのためには、あなたのお力添えが必要なのです」

谷とロングビルの間でそのような会話がなされたのは昼間のことであった。
ロングビルこと、大怪盗『土くれ』のフーケは、谷を利用し『破壊の杖』を盗み出すために、谷に対して探りを入れたのだった。
その時は、まずは少しの情報が手に入ればいいというぐらいの計画であったが、
フーケにとっては嬉しい誤算が起きた。
何か困ってる様子なので自分に何か手伝えることがあったら言って欲しい、と谷に言葉を投げかけたところ、
谷が自分の境遇に関して何から何まで話したのであった。
話の内容は、フーケにとっては絵空事に聞こえた。
別の世界から来ただの、元の世界に帰りたいのでその方法を探しているなど、
そんな話は、この世界の住人であるフーケの理解の範疇を超えていた。だが、言ってる内容が意味不明だとしても、
これは使えると判断したフーケは、谷の眼前に餌を吊るした。
フーケは宝物庫に眠る宝が、もしかして谷の願いを叶えるものかもしれないと嘘をついたのだ。
何としてでも元の世界に帰りたい谷は、フーケが吊るした嘘にすぐさま飛びついた。
今現在、谷自身が、元の世界に戻るために出来ることが何もなく、焦燥感を抱いていたことも要因としてはあっただろう。
ともかくも、谷はフーケであるロングビルの術中にはまったのだった。

そして今、タニは学院に居る皆が寝静まる深夜、フーケに連れられて宝物庫に訪れたのであった。

「ここか?」
「ええ、そうです。ですが……扉の鍵が紛失したせいで誰も中に入ることができなくなっております。
 固定化の魔法がかかっていますので、並大抵の魔法は通用しません。可能性があるとしたら強い物理攻撃での破壊です。
 このことは、学院長に事情を話して許可は取ってあります。ですので壊してしまっても何も問題ありません。
 もともと、開かずになってしまってから中の物が取り出せなくなって困っていましたから気になさらずにどうぞ」

鍵が紛失したということも、学院長に許可を取っているなどということも、とんでもない大嘘であった。
そもそも、公認ならばこんな深夜に人目を盗んでやるわけがないじゃないの、とフーケは内心谷を嘲笑っていた。
フーケは谷に促すように、すっと手の平を上に向け、見るからに頑丈そうな宝物庫の扉に向って手を差しだした。
半ば怪訝そうな視線を谷はロングビルに送ったが、可能性という餌の前にその疑いは雲散霧消した。
拳を大きく振りかぶった。谷の想像を遥かに超えた馬鹿力の出番であった。
谷は、いつもコンクリートの壁をブチ破る要領で、拳を放った。
劈くような轟音が辺りに響く。谷の拳と接触した宝物庫の扉が奏でる衝撃音であった。
ビリビリと空気まで震えるほど、辺り一帯が谷の拳が撃ちつけられた衝撃で揺れた。
それほどの破壊力を持った拳であった。
だが、いつものように、対象が粉々になっているというわけではなかった。
目の前の扉は、へこむどころか、傷一つ付いていなかった。
374名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 03:09:44 ID:EseSVYc+
蟹の中身だけ支援してやった
375谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 03:11:16 ID:NZEOhSpS
それを見たロングビルはため息をついた。顔には失望の色が表れている。

なんだい……この程度なのね。まあ学院の中で一番固いであろう宝物庫が相手じゃ無理もない話かしら。
学院の壁を破ったからって、到底無理だったってことね。よくよく考えてみれば当然よね、私何を考えてたのかしら……。
元から可能性なんて、これっぽっちも……。……ん?

「……っやがって」

「へ?」

「壁のくせに!ナメたまね しやがってェ!!!」

突然壁に対して、怒りだした谷に、ロングビルの思考は疑問符に埋め尽くされた。
そして谷が次に何をするのか見当もつかなかった。
谷は、一度勢いをつけるため一歩大きく後ろに退いた。
今度は拳で殴るためではなく、蹴りをを放とうと足を持ち上げた。
ロングビル顔には、自嘲の笑みが表れていた。
いくら自慢の拳が歯が立たなかったからといって、蹴りでどうにかなるはずがないと決めつけていたのだった。
しかし、そんなことは谷とって、何も関係なかった。自分の人生の光を取り戻すために彼は必死なのだ。
髪を逆立ってしまうほど勢いよく体を捻り、凄まじい体躯をもってして、全力全開の蹴りは放たれた。

再び響く轟音。しかし先ほどとは比較にならない。
まさしく破壊が奏でる音が、視界が揺らぐほどの振動とともに、辺りを駆け抜ける。

谷の蹴りによって一変した光景は壮観であった。扉は見る影もなくバラバラに砕け散った。
谷を自分の企みのために利用したフーケでさえ感嘆の声を思わず呟いてしまったほどである。

「……す、凄いわ……私の城でも壊せる巨大ゴーレムでも無理だって思ってた宝物庫を破るなんて……!」

いったい何者かしら……?この仮面男、普通だとは思ってなかったけど、これほどだなんて……!

ありえない光景に意識も目も奪われていたフーケであった。驚きのあまり、うっかり素の性格が言葉に表れていた。
だが、すぐに本来の目的を思い出し、頭を振って気を取り直した。
谷が急かすように、宝物庫内を指さしてフーケに言った。

「おい、開いたぞ。早く持ってこい」

声をかけられて、ロングビルは谷が居たことを思い出した。

「……え、ええ。わかりました。タニさんはこちらでお待ち下さい。すぐに持って参りますので」
376名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 03:11:50 ID:EseSVYc+
間に合ってしまったな!“支援”が!
377谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 03:13:08 ID:NZEOhSpS
そう言ってロングビルはそそくさと、今まで堅固に宝を守ってきたであろう扉の残骸を飛び越え、宝物庫の中に入っていった。
宝物庫内は数々の宝物が所狭しと並べられていた。しかしロングビルの狙いは『破壊の杖』ただ一つ。
壁にかけられている『破壊の杖』はどう見ても魔法の杖に見えなかった。
見たことがないような金属、そして作りをしていた。だがロングビルにとっては興味はなかった。
価値のある宝であればいいのだった。
ロングビルは、『破壊の杖』を壁から取り外し、近くにある布掴み取って覆い隠して脇に抱えた。

後ろから様子を見にきた谷が近付いてきた。
ニッコリと笑顔を谷に向けロングビルは言った。

「見つかりましたよ。しかしもっと広い所でないと、これは使えないのです。私について来て下さい」

谷は黙ってうなづいた。どこか逸る気持ちを抑えているかのようであった。
宝物庫から去ろうと、一歩踏み出した時に、ふと思い出したように、
ロングビルは、『破壊の杖』がかけられていた壁に目をやった。

そして今は何もない壁に向って杖を振った。すると、壁に文字が刻まれた。
ハルケギニアの文字がわからない谷は、書かれた内容が読めなかった。
谷は文字に向って指をさしてロングビルに尋ねた。

「なんだこれ?」
「ええ、これはですね……」

まるで聖母を思わせるような柔らかな笑みを顔に浮かべ、ロングビルは言った。

「ここから物を持ち出すときには、こうやって記録をするのが学院の規則なのです。管理のためですね」

とりあえず聞いたものの、谷とってはどうでも良いことであった。

「本当に、それでオレは元の世界に戻れるんだろうな」
「ええ、それは間違いなく。どうか信頼なさってください」
「オレはオマエを疑い始めてるんだからな」
「フフフ……心配性ですね、でも大丈夫ですわよ。……ちゃんと『送ってあげます』から」

378名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 03:13:39 ID:EseSVYc+
ボクも支援で
379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 03:15:18 ID:D+7Hl3Vb
じゃあ俺も支援
380谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 03:15:22 ID:NZEOhSpS

谷とフーケが宝物庫を去ってから幾ばくか時を置いてルイズとキュルケがやってきた。
追跡がバレないように、出来る限り遠くにいたため二人が宝物庫で何をしていたかわからなかった。
だが、二度にわたる轟音は確かに二人の耳に届いた。
そしてそれが、谷によって為されたことは容易に予想がついた。
最初は、ちょっとした野次馬根性ほどの興味が行動の発端であったが、途轍もないことに起こっているのではないかと、
嫌な予感が再び二人の脳裏をよぎる。
そしてその予感は、宝物庫の扉の前に足を運んだ瞬間、的中してしまったことを二人に知らせた。
キュルケが口をポカンと開け、信じられない光景、破壊された宝物庫の入口に向って言葉を漏らした。

「ちょっと!さっきの凄い音って宝物庫の扉を破る音だったの!?ウソでしょ!?いくらタニタニだからって……!」

有り得ない。二人の感想は一致した。
学院の宝物庫は、他の場所の壁とは異なり、対盗賊用に特に丈夫に作られている。
そして魔法の類は、並のメイジが束になっても効かないはずであった。
ルイズとキュルケは谷が宝物庫の扉を破ったことを理解した。

呆然と立ち尽くしているキュルケの横を通り過ぎ、ルイズが宝物庫の中に歩を進めた。
勿論、学院の生徒であるルイズが宝物庫に入るのは初めてのことである。
だから、全てならまだしも、たったひとつ宝物庫内から何か盗まれていたとしても、ルイズはそれを知ることはできない。
だが、暗闇の中でもはっきりとわかる、壁に書かれた文字を見つけたルイズの目は、驚きによって見開かれた。

「ち、ちょっとこれ!え?……これってもしかして!!キュルケ来て!早く!」

扉の壊れ具合に意識を奪われていたキュルケは、ルイズの呼び声に尋常ではない焦りが混じっているのを感じた。
すぐさま宝物庫内のルイズの下に向った。ルイズの視線は宝物庫の壁に釘付けとなっていた。
何を見ているのかしらと、抱いて当然の疑問からキュルケは壁に目をやった。
目線の先の壁には、はっきりと、こう文字が刻まれていた。

『破壊の杖、確かに了承しました。土くれのフーケ』

その文字を目にしたキュルケは驚愕した。
381名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 03:16:38 ID:EseSVYc+
俺が支援だ!俺が支援だ!!支援が俺だ!!!
382谷まゼロ八話:2008/12/23(火) 03:17:31 ID:NZEOhSpS
「こ、これって!犯行声明じゃないの!?しかも土くれのフーケっていったら
 確かこの国を、騒がしてる大怪盗じゃないの!?これってもしかして!!」

もしかしてではなく、それもう確実と言っていいほどの事実であった。
今夜、学院の宝物庫に盗賊のフーケが押し入り、宝物を掻っ攫っていった事実。
そして、谷がその犯行に利用されたであろうことも。

「つまり……ミス・ロングビルが土くれのフーケだっていうの!?そんな!」
「フーケは、タニのバカ力を利用して宝物庫を壊させたのよ……それ以外考えられないわ」
「でも……二人はどこ行ったの!?」

キュルケは爪を噛んで、苦悶の表情で呟いた。

「っつ……目的は達成したっていうことは……次は事実を知る者の後始末じゃない!」

後始末。それは谷のことであった。
『破壊の杖』を手に入れたフーケにとって、谷さえ居なくなれば誰も真相を知ることができないと思っていた。
そして、その為には谷の死が絶対不可欠になる。
フーケは今まさに谷を、自らが用意した処刑場に連れて行こうとしている真っ最中であった。
谷に危機が迫っているのは明らかだった。
衝撃の事実に焦り覚えながらも、気を落ち着かせるようにルイズがブツブツと呟き始めた。

「でも、でも……タニならきっと……きっと大丈夫、だ、大丈夫よ」

それは今起こっている現実から目を逸らそうとする行為かもしれなかった。
そんなルイズの行為に、じれったさを感じざるをえないキュルケが、ルイズの胸倉を掴んで迫った。

「秘書のロングビルだったフーケは、昨日のタニとギーシュとの決闘のことも知ってるのよ!?
 だったら、当然そのタニをどうにかする手段は考えてるはずよ!!それがどういうことかわかってるの!?」

「そ、そんな……そんなこと言われても、わたしどうすればいいの?」
「追いかけてフーケを止めるのよ!それしかないでしょう!?」

ルイズには甚だ疑問に思っていることがあった。
魔法を使えない自分がどうやって、止めることができるのだろうかと。
だが、一つだけはっきりしていることがあった。

タニを見捨てるわけにはいかないわ……だってタニはわたしの使い魔だもの。

使い魔を見捨てるメイジはメイジではない。
胸に秘めた確固たる信条がルイズを奮い立たせた。

ルイズとキュルケは、夜の学院を力の限り駆けた。
383名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 03:18:11 ID:EseSVYc+
居酒屋支援ンンン!
384谷まゼロ:2008/12/23(火) 03:19:04 ID:NZEOhSpS
投下終了です。こんな深夜に支援してくださった方、本当にアリガトウございました!

谷扱い難い!
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 03:19:40 ID:EseSVYc+
お疲れ様でした!
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 04:00:15 ID:WtycJXtU
    ∧∧ 
    (*‘ω‘)
 〜(,,,ι,J
387名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 04:27:12 ID:fN2zNq+I
乙でした

とりあえず遠くへ逝くフーケの魂の平安をお祈りします
388名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 04:42:59 ID:mPjZgC66
仮面の人乙です
おマチさん、きっと死にはしないけどさぞ遠くに飛ぶんだろうなー
389名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 05:38:43 ID:VxE1w3/B
宇宙の果てのどこかにいる ご親切な御方よ
神聖で美しく そして慈悲溢れる御方よ
私は心より訴えます どうか私にPart197のdatをお授けください
390名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 05:47:15 ID:XOQxJqjw
>>389
Janeでよければいいけど。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 06:58:27 ID:VxE1w3/B
当方ギコナビなので、Janeであれば願ったりであります。
ありがとうございます。
392名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 07:23:27 ID:hGkZKS5D
>>389
http://www2.uploda.org/uporg1876480.zip.html

>>390じゃないがあげといた
ぱすはメール欄のお約束だぜ
393名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 07:24:16 ID:XOQxJqjw
うpローダーに詳しくないんでもし落とせなかったら他のところにします

ttp://77c.org/d.php?f=nk5412.zip
394名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 08:33:08 ID:Xqfihei/
魔王伝GJなんだが、せんべい屋にキスってルーンが刻まれてるとなると、止めないとルイズ死ぬよな?w
395名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 08:34:40 ID:9lxyUf6p
>>337
『どの』メガトロンを相手にしているのかもちょっと気になる
空を飛べるメガトロンってどのシリーズにいたっけ。映画版とアニメイテッドとギャラクシーフォースのは飛べたはずだが…
そういえば初代も普通に飛べたっけ?
396名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 08:46:51 ID:XOQxJqjw
>>395
たしかデストロンはみんな飛べたはず。
サイバトロンはなぜか基本的に飛べないって設定だったような。
397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 09:00:30 ID:HCd7PG9A
「ロボ形態でなら」飛べないキャラの方が少ないぞ
トランスフォーマーは
398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 09:20:41 ID:Xq1lIVvE
初代のデストロンはロボ形態ならみんな飛べる(メガトロン様とかは変形すると飛べない)。
初代のサイバトロンは基本的にロボ形態では飛べない。
飛行機とか翼竜とかに変形する奴は変形すれば飛べる。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 09:48:55 ID:TSnwhsHg
誰か、D.Gray-manのアレンでやってみてよ!!
400名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 09:52:25 ID:2cWKewBR
      r;ァ'N;:::::::::::::,ィ/      >::::::::::ヽ
.      〃  ヽル1'´        ∠:::::::::::::::::i
       i′  ___, - ,. = -一   ̄l:::::::::::::::l
.      ! , -==、´r'          l::::::/,ニ.ヽ
      l        _,, -‐''二ゝ  l::::l f゙ヽ |、 ここはお前の日記帳じゃねえんだ
        レー-- 、ヽヾニ-ァ,ニ;=、_   !:::l ) } ト
       ヾ¨'7"ry、`   ー゙='ニ,,,`    }::ヽ(ノ  チラシの裏にでも書いてろ
:ーゝヽ、     !´ " ̄ 'l,;;;;,,,.、       ,i:::::::ミ
::::::::::::::::ヽ.-‐ ト、 r'_{   __)`ニゝ、  ,,iリ::::::::ミ
::::::::::::::::::::Vi/l:::V'´;ッ`ニ´ー-ッ-,、:::::`"::::::::::::::;゙ ,  な!
:::::::::::::::::::::::::N. ゙、::::ヾ,.`二ニ´∠,,.i::::::::::::::::::::///
:::::::::::::::::::::::::::::l ヽ;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /
::::::::::::::::::::::::::::::! :|.\;::::::::::::::::::::::::::::::/ /
401名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 09:54:35 ID:9lxyUf6p
>>396-398
おおっと、そうだったっけ。大分忘れてるなぁ…。
サイバトロンの方が航空戦力少ないから苦労してる、というのは覚えてたんだけど。
402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 09:55:53 ID:co6MvAgP
>>399
まずsageろ


>>400
いいたいことは良くわかるがAAはよせ
403名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:00:39 ID:M3q/YWL9
谷仮面の人乙です。
破壊の杖って、あいつの愛刀かな?

谷仮面の人の作品が面白かったので。
思わず谷仮面の完全版とエアマスターを全部読破してしまった。
次はハチワンダイバーだ!
404名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:17:11 ID:WOnVGi6Z
Dグレのアレン召喚…難しいな。アレンの性格上人にクラウン=クラウンを向けるか?
かといって伯爵呼ぶと避難所で済むか…
405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:19:03 ID:WOnVGi6Z
スマソ誤爆
避難所で済むか…難しいな。
です
406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:19:55 ID:TSnwhsHg
ナルト「影分身の術!!」
407名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:22:32 ID:s0hpOEQS
ああ冬休みだな…
408名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:24:15 ID:WOnVGi6Z
>>406

sageれないならとりあえずROMれ。
409名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:32:00 ID:TSnwhsHg
んもう、冷たいお人・・・・
410名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:36:44 ID:TSnwhsHg
そういえば、結構出てないキャラ多いよね。
ナルト、アレン、ボーボボ、
後、ファイヤーエムブレムで、アイクとかロイ
411名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:38:18 ID:uvptzHmq
SAGA2からちちおや召喚

どんな目にあっても「わたしは ふじみだ!」で済ませそうだな
412名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:38:41 ID:eBvq435c
そうか、冬休みかあ……
413名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:42:05 ID:uvptzHmq
そうだ、冬休みだ、クリスマスも近い

しっと団召喚物の降臨も近いな
414名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:45:27 ID:xXvVsnJj
アベーック…
415名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:46:14 ID:WOnVGi6Z
>>411

SAGA2の父親か…
ワルド戦でワルドもろとも自爆→タルブ戦でゼロ戦に乗って登場
を幻視した。
416名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:46:29 ID:OIH3FR0+
身勝手な男達に振り回される女性の事は考えられないのか!
417名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:48:43 ID:WOnVGi6Z
>>413

三択老師も捨てがたいww
418名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:53:14 ID:uvptzHmq
>>416
身勝手な女に振り回される男の身になってみろとオルステッドとビュウがそっちをみつめている
419名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:58:54 ID:n7eaDfmo
>>410
文章でボーボボのハジケっぷりを表現するのは、写真では料理の味も匂いも伝えられないようなものだろう。
ゼロ魔ほどクロスオーバーに向いている作品もそうはないが、やはり向き不向きはあるよな。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 10:59:49 ID:BV2lmzz7
ゼロ魔世界だったら……。


マリコルヌ「……降臨祭とはそもそも何であるか、ギムリ!」
ギムリ「はっ、元々は始祖ブリミルがこのハルケギニアにご降臨なされた日を、新たな年の到来と共に祝う、我らブリミル教徒のおごそかなる宗教儀式であります!!(注・独自設定です。ホントかどうかは分かりません)」
マリコルヌ「その通りである! ……その神聖なはずの日に、何か勘違いしたカップルどもが恋愛ゴッコをやらかす風習が蔓延している!!
 ……与えねばなるまい……。カップル共に天罰を!!」


……俺はSSで頭を悩ませなきゃいけないはずなのに、何を書いているのだろう……。
421名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:01:55 ID:uvptzHmq
>>420
答は簡単だ。

しっと団召喚でSSを書くために頭を悩ませろという始祖からの啓示だよ。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:07:22 ID:BV2lmzz7
>>421
ちょっと書きたくなっちまったじゃねーかw 書かないけどww
423名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:07:52 ID:m3oYkRGo
自分も書いてみようと一念発起してみたが・・・
召喚されたキャラが強すぎると単なる無双になったり、個性が強いとゼロ魔のキャラを食ったりして難しいな・・・。

改めて職人の皆様には頭が下がる思いだ。
424名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:09:59 ID:eBvq435c
無双が嫌なら理由つければいいだけだぜ
例えば今はまだ大人しくしていたいとか、ギーシュとの決闘ではなく単なる練習試合扱いにするとかさ
無双は無双で楽しいと思うけどね
425名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:11:21 ID:Tm8qjCRM
ボーボボなら首領パッチの方がよいな。

誰かビックリマンのバカラ軍曹を呼んでくれ。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:16:08 ID:bhjYO6dR
セガールあたりは、無双を楽しむキャラだしな。
427名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:16:36 ID:7HjlpO5Y
無双が嫌ならクロスキャラを弱くするかゼロ魔側を強くすればいいじゃない
ワルキューレのパンチ一発で派手にぶっ飛んで血を吐く勇次郎や悟空とか
428名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:21:28 ID:iD76fnrc
ゼロの魔王伝だが急に幻十が雑魚っぽく思えてきたのは俺だけだろうかw
だって菊池作品でも最強なあの連中が敵になるんだぞ……?
429名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:21:33 ID:6DxP/Uia
>>427
改変するともの凄く怒る声のでかい人がいる
しかし一方でヘイトだ蹂躙だと怒る声のでかい人もいる
430名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:22:29 ID:B8g+kCer
ハチワンダイバー召喚してジョゼフと戦略で勝負
将棋に置き換えた展開にすれば新鮮味がありそう

トリステイン側 ガリア側
王将>アンアン ジョゼフ
飛車>サイト  シェフィールド
角 >ルイズ タバサ
金 >コッパゲ 白蛇
銀 >アニエス カステルモール
桂馬>鳥の骨 クロムウェル
香車>ウェールズ 地下水
歩 >ギーシュ ワルド
431名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:24:07 ID:VxE1w3/B
>>392-393
どうも有り難うございました。
432名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:25:16 ID:eBvq435c
歩 >ギーシュ ワルド
泣いた

個人的にはヘイトだの蹂躙だの騒ぐ子は単なる荒らしか、馬鹿なかまってちゃんだから気にしない方がいいと思ってるなあ
433名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:38:03 ID:HwstcGnN
>432
遍在やワルキューレで似たようなのがごろごろ出せるって事だろ
それに、歩のない将棋は負け将棋っていうしさ
434名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:38:20 ID:7HjlpO5Y
>>429
じゃあ、どないせいと
435名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:41:02 ID:OfbPhhcM
嫉妬団召喚を考えてみた

召喚→契約
[少女の唇を巡って泥沼の戦い、後に手辺り次第に女子襲撃]

部屋でのやりとり
[し、少女が惜しげなく肌を晒すだと!?お、俺に代われ!!で戦い再び]

対ギーシュ
[嫉妬の心は父心、押せば命の泉湧く!]
以下略

書くの大変だな……
436名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:41:17 ID:bhjYO6dR
>>434
バカは無視する。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:43:41 ID:BV2lmzz7
>>435
むしろキュルケはその情熱に……惹かれはせずに、引くだろうなぁ。
438名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:44:12 ID:7HjlpO5Y
>>436
気にせず自分の書きたいように書いたほうがいいわけね
439名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:44:14 ID:6DxP/Uia
>>434
要するに荒らしって事さ
440名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:50:30 ID:niZ9IcwX
>421
大丈夫だ。短編でだがしっとマスクマリコルヌはすでに存在している。

しかしゼロ魔本編でのマルコメのはっちゃけぶりを見るとマジでしっとマスク化もありうるよなw
441名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 11:51:28 ID:B5pl6cv4
まとめ小ネタにしっと団ものあるよ
って言わない方がいい流れかしら?
442名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 12:17:05 ID:8Uplp2Xs
言った所で何の意味も無い流れだと思うのよ
443名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 12:56:25 ID:ezJGb9Vx
あの世界に変態仮面でも召還したらそれこそマルコメが覚醒するかもな
444名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:00:31 ID:PuA28L8N
左手・しっとマスク&しっと団一統
右手・三択老師
記す事憚られる・変態仮面

こうですかわかりません
残り1つはなんだ?
445名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:06:41 ID:ezJGb9Vx
>>444
神の頭脳・パピヨン じゃね?
446名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:17:07 ID:HwstcGnN
>445
ただしルーンは尻にある
447名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:23:10 ID:7ttrhing
しっと団の文字を目にする機会が増えると、クリスマスという感じがする俺はもう駄目かもしれん。
448名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:28:24 ID:1qsFQUZ3
>>446
もっこりした股間の紳士に決まってんだろ
449名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:38:55 ID:GZBq+Wp5
人型ホムだけど章印が無いってのに習って、
使い魔だけどルーンが無いってのはダメですか。
450名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:40:51 ID:3lnqbsO5
>444-445
なんというまったくあたらしいゼロ魔レイプ
451名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:42:22 ID:bhjYO6dR
>>444
ほかのやつらも、十分以上に記す事が憚られると思うがな。
452名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:47:38 ID:ezJGb9Vx
ガンダールブは武器を持つとパワーアップするのではなく
下着を被るとパワーアップする性質になるな
453名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:49:23 ID:4OpYpXAT
不死でそこそこ戦えて知識が有って零戦と少なからずゆかりのある人物……

喜一郎か……
454名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:51:54 ID:VqI0e9DZ
喜一郎?
確かマクロスフロンティアで演歌歌っていたゼントラン歌手だったな。
性は徳川だったか。
455名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 13:53:10 ID:271Zaima
ダンジョンメーカーのアレン君召喚を読み返してキュルケ×ショタの図式でズキュゥンときた俺はもう駄目かもしれん
456名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 14:21:44 ID:k/pjm3Ai
>>454
ルイズ「私の歌を聞け!」
457名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 14:36:06 ID:ezJGb9Vx
ぼえ〜
458名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 14:43:04 ID:eBvq435c
こうしてトリスティン魔法学院は滅びたのである
459名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 14:55:37 ID:8Uplp2Xs
そしてよがあけた
460名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 14:58:33 ID:p7JQCzAe
きのうはおたのしみでしたね
461名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 15:05:58 ID:HwstcGnN
カラオケ、夜通しで歌ってたな
462名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 15:16:35 ID:CYY7sTTo
何だこの流れ
463名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 15:25:17 ID:EseSVYc+
とここでネタばらし
すぐさま462を呆れさせる為だけに作られた流れだと教えられる
これにはターゲットも苦笑い
464名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 16:04:27 ID:TSnwhsHg
[ブラじゃないよ!大胸筋強制サポーターだよ!!」
465名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 16:05:45 ID:VqI0e9DZ
むう、そんなこと言われるともっとながびかせないといけない気分になるな。

466名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 16:16:23 ID:vpeE9FLt
>>463
楠田「さぁ〜!わたしたちも召喚されてみましょ〜!」

という風につなげればいいのか?
467名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 16:20:35 ID:EseSVYc+
アルフとかバズ・ライトイヤーとか所ジョージが召喚されるSSをしれっと投下すれば良い
468名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 16:28:56 ID:fjvLkKiG
「さあ、呼ばれるザマスよ」
「でガンス」
「ふんがー」
「うるさーい!」

などという野沢雅子(白石冬実でも可)ボイスが聞こえてきた
加藤英美理ボイスはNGワード
469名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 16:30:38 ID:ZI5FPbzL
実在の人物は禁止
…と思ったがそういや所ジョージはCGアニメ化されてたっけか。
470名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:02:57 ID:ZRy/8VU7
谷の人キター!!
状況描写がとても丁寧なので、読んでいく内に物語に
グイグイ引き込まれていってしまいますねぇ。
それにしてもおマチさん・・・合唱(-人-)
471名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:15:29 ID:iUanqdOv
谷の人、乙。

この後、どうなるんですかね?
もし例によってオスマンの部屋に集まるシーンになったら谷が回りの教師から糾弾されるでしょうが、谷は気にしなさそうですし。
ルイズはボロボロになりそうですけどねw


逆にこの後すぐに、フーケとのバトルシーン。
つまり、即刻フーケのウソが谷にばれたら・・・・・

ぶん殴られてそのまま、レコンキスタの本部まで飛んでいたりしてw
・・・で、そのままレコンキスタの仲間入り。
アルビオン編で再対決とか!?

どっちにしても面白そうw
472名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:43:44 ID:WwhY2aI8
正しい考えがある、という考えの正しさは保障されていない
473名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:44:43 ID:WwhY2aI8
誤爆した
474名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:50:25 ID:v9x/84BH
実在の人物がダメならセガールもダメか
色んな意味で
475名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:51:56 ID:8Uplp2Xs
ケイシー・ライバックなら架空の人物だから問題ない
476名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:54:35 ID:fXi68Nz+
ガンダールブ→セガール
ヴィンダールブ→ローマ教皇
ミョズニトニルン→プーチン

サーセン
477名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:54:46 ID:NGHuI7BY
          _人人人人人人人人人人人人人人人_
         >      ごらんの有様だよ!!!  <
           ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^
_______  _____  _______    ___  _____  _______
ヽ、     _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、   ノ    | _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ  、  |
  ヽ  r ´           ヽ、ノ     'r ´           ヽ、ノ
   ´/==─-      -─==ヽ   /==─-      -─==ヽ
   /   /   /! i、 iヽ、 ヽ  ヽ / / /,人|  iヽヽ、   ヽ,  、i
  ノ / /   /__,.!/ ヽ|、!__ヽ ヽヽ i ( ! / iゝ、ヽ、! /_ルヽ、  、 ヽ
/ / /| /(ヒ_]     ヒ_ン i、 Vヽ! ヽ\i (ヒ_]     ヒ_ン ) イヽ、ヽ、_` 、
 ̄/ /iヽ,! '"   ,___,  "' i ヽ|     /ii""  ,___,   "" レ\ ヽ ヽ、
  '´i | |  !    ヽ _ン    ,' |     / 人.   ヽ _ン    | |´/ヽ! ̄
   |/| | ||ヽ、       ,イ|| |    // レヽ、       ,イ| |'V` '
    '"  ''  `ー--一 ´'"  ''   ´    ル` ー--─ ´ レ" |
478名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:55:33 ID:NGHuI7BY
うへ、俺も吊られ誤爆した……
479名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 17:58:25 ID:WwhY2aI8
ごらんの有様だよ!
480名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:00:03 ID:yuxou6cF
魔法少女アイ召喚か……w
481名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:00:39 ID:ezJGb9Vx
>>478
お前はIDからしてNGだな
482虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/23(火) 18:02:01 ID:Wz+0gpdh
夕飯どきの18:10分頃から投下させてください。
483名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:02:19 ID:NGHuI7BY
/(^o^)\
484ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:05:18 ID:BV2lmzz7
それでは、パズルの方の10〜15分後に予約いたします。
485名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:08:43 ID:EseSVYc+
>>474
セガールって実在するんだ……

>>476
2行目は仲間割れするな、宗教上の理由から
486虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/23(火) 18:10:40 ID:Wz+0gpdh
シエスタは、学院に勤めるメイドである。
故郷の村を出て、奉公をしている。
カチューシャでまとめた黒髪とそばかすが可愛らしい女性だ。
晩餐の片付けと、朝食の仕込みを終えたシエスタは、寝る前に少し風に当たろうと、学院の広場を散歩していた。
そんなとき、下着姿で、洗濯物を抱えて学院の渡り廊下をふらふら歩いている女の子を見つけた。
こんな時間に、何をしているんだろう?
シエスタはその子を呼び止めた。
「こんばんは。あなた、こんな時間に何をしているの?」
その声に、栗色の長い髪をふたつ括りにした少女が振り返る。
どうして魔法学院に子供がいるんだろう?と思ったシエスタは、昼に聞いた噂を思い出した。
「あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう…」
「知ってんの?」
「うん。なんでも、召喚の魔法で平民の子供を呼んでしまったって。噂になってるのよ」
シエスタは子供をあやすように、優しく笑った。
「あんたも魔法使い?」
アクアは尋ねた。
「ううん、わたしは平民よ。この学園にご奉公させて頂いてるの。シエスタと言います」
「そっか。あたしはアクア、よろしく」
「アクアちゃん、ね。素敵な名前」
シエスタはまた笑った。
「アクアちゃんは、何をしてるの?」
「部屋追い出されちゃったんだよ。風呂入ってこいって。あと、洗濯もしろだってさ」
「まあ、だったら私たちの宿舎にいらっしゃいな。サウナ風呂があるの、身体を洗ってあげるわ」
シエスタはアクアから洗濯物を取り上げる。
「洗濯もね、わたしが明日一緒にやっておくね」
「ありがと」
「どういたしまして。さ、こっちよ」
シエスタは、使用人の宿舎に向かって歩き出した。


ルイズは鳥のさえずりの声で目を覚ました。
カーテンの隙間から、お日様の光が漏れている。
ぼんやりした頭で部屋の中を見回す。いつもとなんら変わらない部屋である。
しかし、それでは駄目なのだった。
「あんのバカ、どこほっつき歩いてんのよ!」
昨日召喚したばかりの使い魔は、結局一晩中戻ってこなかったようだ。
主人の面倒を見るのも使い魔の役目でしょうに、と文句を言いながら、手早く身支度を整え、部屋を出る。
すると、大あくびしながらこちらに向かってくるアクアとはち合わせた。
「おはよ、ルイズ。いい天気だねえ」
極めて呑気にいうアクアに、ルイズは怒鳴りつけた。
「一晩中どこ行ってたの!」
「風呂入ってこいってあんたが言ったんじゃん。そしたらさ、眠くなっちゃったから向こうのメイドんとこに泊めてもらってきたの。シエスタっていうんだけど」
「使い魔ってのは主人のそばに控えるものなの!勝手にあちこち動き回らないで!」
487虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/23(火) 18:11:51 ID:Wz+0gpdh
そうしてやいのやいの騒いでいると、ルイズの部屋の隣の扉が開いて、中から燃えるような赤い髪の女の子が現れた。
ルイズより背が高く、グラマラスで魅力的な美人さんだ。大人っぽい雰囲気は、ルイズと対称的であった。
彼女はルイズを見ると、にやっと笑った。
「おはよう、ルイズ」
ルイズは顔をしかめると、嫌そうに挨拶を返した。
「おはよう、キュルケ」
「ルイズ、ずいぶん可愛らしい使い魔を召喚したのね!」
おっほっほ、とキュルケは笑う。
「『サモン・サーヴァント』で子供を呼んじゃうなんて、あなたらしいわ。さすがはゼロのルイズ」
ルイズの白い頬に、さっと朱がさした。
「うるさいわね」
「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発成功」
「あっそ」
「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねえー。フレイム!」
キュルケは、勝ち誇った声で使い魔を呼んだ。キュルケの部屋からのっそりと、真っ赤で巨大なトカゲが現れた。むんとした熱気が、あたりを満たす。
「これって、サラマンダー?」
ルイズが悔しそうに尋ねた。
「そうよー。火トカゲよー。見て?この尻尾。ここまで鮮やかで大きい火の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ?ブランドものよー。好事家に見せたら値段なんか付かないわよ?」
「そりゃよかったわね」
ルイズは苦々しげに言った。
「すっげー。こんなのはじめて見たよ。触っていい?わ、体があっつい!」
対称的にアクアは目をきらきらさせながら、フレイムに夢中になっていた。
アクアは動物好きなのだった。
アクアが撫でると、サラマンダーは気持ち良さそうに身をすり寄せた。
「あら、驚いた。フレイムがあたし以外にこんなに懐くなんて」
「アクア!ツェルプストーの使い魔なんかとじゃれないで!」
不機嫌そうに言うルイズ。
「あら、いいじゃない。どうお嬢ちゃん、素敵でしょ?『微熱』の二つ名を持つわたしにぴったり」
得意げにキュルケは言う。
「あなた、アクアって言うのね。あたしはキュルケ、微熱のキュルケよ」
アクアはキュルケの方を振り返ったが、またすぐフレイムの方に興味を移してしまった。
そんなアクアにふっと笑うと、
「じゃあねルイズ、お先に失礼」
炎のような赤髪をかきあげ、颯爽とキュルケは去っていった。
ちょこちょこと、大柄な体に似合わない可愛い動きで、サラマンダーがその後を追う。
キュルケがいなくなると、ルイズは拳を握りしめた。
「くやしー!なんなのあの女!なんであのバカ女がサラマンダーで、わたしがあんたなのよ!」
「あんたほんとに失礼だね。友達できないよ」
「うるさい!メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言われてるくらいよ!わたしの使い魔が子供ってどゆこと!」
「へん、あたしから見りゃあんたのがよっぽどガキだね。癇癪ばっかり起こしてさ」
「ななな、なんですってー!」
ぎゃあぎゃあ言い合いながら、2人は食堂へ向かったのであった。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:12:19 ID:EseSVYc+
支援
489名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:12:33 ID:BV2lmzz7
支援
490虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/23(火) 18:13:18 ID:Wz+0gpdh
豪華な装飾に彩られた『アルヴィーズの食堂』の様子にアクアが驚いていると、ルイズは得意げに語り出した。
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ。メイジはほぼ全員が貴族なの。『貴族は魔法を持ってその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を、存分に受けるのよ。だから食堂も、貴族の食卓にふさわしいものでないといけないの」
「ふうん」
その後も食堂を飾り立てるアルヴィーズの小人像たちの仕掛けなどを滔々と話し続けながら、ルイズは自分の席の前にやってきた。
「椅子を」
「うん?」
「気が利かないわね、椅子を引いて頂戴」
「はあ?やだよ」
「いいから!あんた使い魔でしょ」
「使い魔は召使いじゃありませーんー。洗濯ならやってやっただろ。もう十分働きましたー」
実際は洗濯もシエスタに任せたのだが、それは黙っておいた。
ルイズはこめかみを押さえて怒りを飲み込む。
まあ、いいわ。これくらいのことは予想できてたもの。
ルイズが椅子を引き出して座ると、アクアもその隣に腰かけた。
テーブルの上には豪勢な食事が並んでいた。鳥のロースト、パイ、ワインなど、朝食とは思えないボリュームだ。
「すごい料理だね。朝っぱらからこんなに食べられんの?」
アクアがびっくりしたように言う。
今だ!タイミングを見計らって、ルイズは床に置かれた皿をびし!と指差した。
貴族でないアクアに、同じテーブルで食事をさせるわけにはいかない。豪勢な料理を前に、床でみすぼらしい食事をさせることで、立場の違いをはっきりさせようと考えたのだ。
いざアクアに宣告を下そうとすると、ふいにアクアは席を立ってしまった。
「悪いけど、あたしはいいや。メイドの寄宿舎でまかないもらっちゃったからねえ、これ以上なんか食べたら腹がパンクしちまうよ」
ぽかんとするルイズを尻目に、ローブの袖から棒付きの飴を取り出し、ぱくんとくわえる。
「…その飴は?」
「シエスタにもらったの。ところでさ、床に皿があるね」
ルイズが用意した皿を横目に見ながら、アクアが言った。
「そうね、皿ね」
「あんなとこに置いといたら、誰か蹴っ飛ばしちゃうよ。貴族の食卓とやらには、皿が落ちてるもんなのかしら」
そんなことを言いながら、アクアは食堂を出て行ってしまった。
目論見がはずれ、ルイズは悔しさで地団駄を踏んだ。


朝食のあと、ルイズは中庭の日なたですやすやと昼寝しているアクアを見つけ、襟首を引っ掴むと教室へ引き摺っていった。
使い魔召喚後の初日は、教室で使い魔をお披露目するのが習わしだからである。
魔法学院の教室は、円形の講義室で、講義を行う魔法使いの先生が、一番下の段に位置し、階段のように席が続いている。
ルイズとアクアが教室に入っていくと、先に教室にやってきていた生徒たちが一斉に振り向いた。
そしてくすくすと笑い始める。先ほどのキュルケもいた。周りを男子が取り囲んでいた。あのルックスとボディは、男子生徒を惹き付けてやまないようであった。
キュルケは取り巻きの男子どもに、まるで女王のように祭り上げられている。
アクアとルイズは同時に「け!」と吐き捨てた。
皆、さまざまな使い魔を連れていた。
キュルケのサラマンダーをはじめ、フクロウやヘビ、カラス、目玉お化けのバグベアー、蛸人魚のスキュアなど、ひとつとして同じ使い魔はいなかった。
ルイズが席に着くと、アクアもその隣に座る。
アクアは興味津々と言ったように、他の使い魔たちを眺めていた。
491名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:14:29 ID:ceYIUXrE
実在するならシュワちゃんはダメなん?
トータルリコールなゼロの使い魔とか書いたら面白そうだと思ってるんだが
火星を救いに行くはずがハルケギニアに行ってしまうシュワちゃん
ラストアクションヒーローな使い魔
492名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:15:05 ID:BV2lmzz7
支援
493虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/23(火) 18:16:12 ID:Wz+0gpdh
やがて扉が開いて、先生が入ってきた。
長い黒髪に漆黒のマントを羽織った、男性の教師、ミスタ・ギトーであった。
その不気味さと冷たい雰囲気から、生徒に人気のない教師である。
「では授業を始める。わたしの二つ名は『疾風』。疾風のギトーである」
ギトーは鋭い目付きで、油断なく教室を見渡す。
「さて、春の使い魔召喚は成功のようだな。実にさまざまな使い魔を見ることができる。もっとも、中には変わった使い魔を召喚した生徒もいたようだが」
ギトーがルイズを見ながら、嫌味ったらしい声で言うと、教室中がどっと笑いに包まれた。
「ゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺歩いてた子供を連れてくるなよ!」
ルイズは立ち上がった。長い、ブロンドの髪を揺らして、可愛らしく澄んだ声で怒鳴る。
「違うわ!ちゃんと召喚したもの!この子が来ちゃっただけよ!」
「嘘付くな!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」
「ミスタ・ギトー!侮辱されました!かぜっぴきのマリコルヌがわたしを侮辱したわ!」
「かぜっぴきだと?僕は風上のマリコルヌだ!風邪なんか引いてないぞ!」
「あんたのガラガラ声は、まるで風邪でも引いてるみたいなのよ!」
マリコルヌと呼ばれた男子生徒が立ち上がり、ルイズを睨みつける。
ギトーがその手に持った杖を振ると、突風が巻き起こり、ルイズとマリコルヌは風に吹き飛ばされ、後ろの机にしたたか背中を打ち付けた。
「ミス・ヴァリエール。ミスタ・マリコルヌ。みっともない口論はやめたまえ。貴族にあるまじき行為である」
教室中がしいんと静まる。
自分から水を向けておいて、ひどい言い草だった。こういうところも彼が好かれない一因であった。
ルイズとマリコルヌが背中をさすりながら着席すると、ギトーは言葉を続ける。
「わたしの二つ名『疾風』が示すように、『風』系統の魔法を、これから一年、諸君らに講義することになる。さて、魔法の四大系統はご存知かな?ミス・ツェルプストー」
「はい、ミスタ・ギトー。『火』『水』『土』『風』の四つですわ。それに今は失われた『虚無』の系統を合わせ、全部で五つの系統があると言われています」
ギトーは頷いた。
「では、最強の系統は知っているかね?ミス・ツェルプストー」
「『虚無』じゃないんですか?」
「伝説の話をしているわけではない。現実的な答えを聞いているんだ」
いちいち引っかかる物言いをするギトーに、キュルケはちょっとかちんと来た。
「『火』に決まってますわ、ミスタ・ギトー」
「ほほう、どうしてそう思うね?」
「全てを燃やし尽くせるのは、炎と情熱。そうじゃありませんこと?」
「残念ながらそうではない」
ギトーは指揮棒のように持っていた杖を振りながら、言い放った。
「諸君、最強の属性、それは『風』である。『風』が最強たる所以を教えよう。簡単だ。『風』は全てを薙ぎ払う。『火』『水』『土』、いずれも『風』の前では立つことすらできない。残念ながら試したことはないが、『虚無』さえ吹き飛ばすだろう。それが『風』だ」
ギトーが得意そうに演説をぶつ中、キュルケや『風』以外の系統を操る生徒たちは実に不満そうだった。
そんな様子を見ながら、アクアはこぼす。
「まったく、見ちゃいらんないね。結局は身びいきじゃないのさ」
未だ四大系統に目覚めていないルイズも、この騒ぎにはあまり関心がなかった。
494名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:17:36 ID:EseSVYc+
支援
495虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/23(火) 18:17:51 ID:Wz+0gpdh
ヒートアップするキュルケとギトーを尻目に、アクアに声をかける。
「アンタはさ、『一番強い魔法』ってどんなだと思う?」
それは、何の気なしの、他愛のない質問であった。
しかしアクアは少し考えると、
「一番強い魔法、それは『存在魔法』」
きわめて真面目な口調で言った。
「魔力、マテリアル・パワーは何にだってある、この世のものなら。木にも、草にも、花にも、水にも、火にも。石にも、鉄にも、紙にも、アメ玉にも、人間にも」
アクアの様子の変化に、ルイズは思わずアクアの方を向いた。
「生き物の場合、霊気、オーラとも言うけどね。そして、あたしたちの生まれしこの大地も、魔力を持っているんだ」
そう語るアクアは、どこか遠くを見ているような目で。
「大地は、あたしたちを生み、その存在を許している。だからあたしらはこうやって生きていられるんだよ」
「……それが、一番の魔法?変なの」
そんなふうに喋っていると、ギトー先生に見咎められた。
「ミス・ヴァリエール!」
「は、はい!」
「授業中の私語は慎みたまえ。それとも、なにかね。私の授業はそんなに退屈かね」
「い、いえ、そんな……すみません」
いやみなギトーに、ルイズはすっかり縮こまってしまう。
「ふん、では、私が『風』が最強たる所以を証明してみせよう。試しに、君の得意な系統の魔法をこの私にぶつけてきたまえ」
ルイズはぎょっとした。いきなり、この先生はなにを言うのだろうと思った。
そして、教室中がざわめき出した。
「先生」
「なにかね」
「危険です、やめてください」
生徒たちが揃って頷く。
「先生はルイズを見るのは始めてですよね?」
「トライアングルメイジのミスタ・ギトーが『ゼロ』の相手だなんて!大人げないです!」
「お願いですから、ミスタ・ギトー!ルイズに魔法を使わせないでください」
生徒たちの言葉に、ギトーは彼らがルイズを庇っているのだと勘ぐった。
しかし授業態度の不真面目な生徒には、きついお仕置きが必要なのである。
『風』の呪文をもって、ルイズの魔法とプライドを散り散りに吹き飛ばしてしまう心づもりであった。
「いいから、ミス・ヴァリエール。授業への熱意が足りない君には、身を以て『風』の力を知ってもらわねばなるまい。」
小振りな杖をくるくる回して、ギトーはルイズを挑発する。
「さあ、遠慮はいらない、本気で来たまえ。それとも、君の腰に下げているのは、爪楊枝なのかね」
ここまで挑発されては、元々プライドの高いルイズのこと、黙ってはいられない。
「やります」
ルイズは緊張した顔つきで、腰に差した杖を抜き、ルーンを唱えはじめた。『火』系統の魔法、『ファイヤーボール』の呪文である。
ルイズの詠唱が始まると同時に、生徒たちはルイズからなるべく離れるべく、席を立つ。
なにが始まるのか、とルイズを見ていたアクアも、キュルケに抱きかかえられて強制的に避難させられた。
ルイズは目を閉じ、ギトーに向け杖を振り下ろす。
その瞬間、ルイズの目の前の空間が爆発した。
爆風をモロに受け、ルイズは壁に叩き付けられた。
爆発によってルイズの机が粉々に吹っ飛び、その破片がギトーの頭を直撃した。ギトーは気絶した。
生徒たちは悲鳴を上げ、驚いた使い魔たちは暴れ出した。
「だから言ったのに!ルイズにやらせるなって!」
「もう!ヴァリエールは退学にしてくれよ!」
「俺のラッキーが蛇に喰われた!ラッキーが!」
大騒ぎの教室の中、ルイズはむくりと立ち上がる。
煤で真っ黒になった服はあちこち破れていて、見るも無惨な有様だった。
頬に着いた煤を、ハンカチで拭き取りながら、淡々とした声で言った。
「ちょっと失敗したみたいね」
そのルイズの一言に、教室中から大ブーイングが巻き起こったのだった。
496名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:18:47 ID:EseSVYc+
支援
497虚無のパズル ◆taPEIAkisc :2008/12/23(火) 18:19:52 ID:Wz+0gpdh
以上です。
どうでもいい話ですが、ガンガン本誌で『マテリアル・パズル ゼロクロイツ』の連載が始まったので
ちょっとタイトル付けに悩むことになりました。『ゼロ』とか使えないから。

支援ありがとうございました。

498名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:20:48 ID:EseSVYc+
499ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:22:54 ID:BV2lmzz7
パズルの方、乙でした。
最初の授業にギトー先生を持ってくるとは、新しいですな。

それでは、18:35から投下を行います。
500名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:23:45 ID:ouIIdvQF
>>453
腕のみの状態からあっというまに元に戻る再生力はある意味ホラーだな
501名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:30:04 ID:Q6gfSOOf
パズルの人乙。原作にちょっと興味出てきたので読んでみようかな。

ところでチラ裏的だが、朝から本棚を整理して昔のマンガを読み返して、
「ルイズが「宇宙英雄物語」のサブヒロイン、アゼルを召喚」というネタを思いついた。
生粋の魔女でありながら、宇宙英雄の後日談ではあの世界のマナが乏しくなっため
難儀している様が描かれていたけど、ハルケギニアに来れば魔法使い放題?
スクウェアまでいかなくてもトライアングルクラスのメイジに互角に戦えると思う。
ただ、ウシチチ娘であるがゆえに、ルイズとの相性が最悪であろうことは、
咲美との仲を見れば明らかなのが問題か。ちなみにミョズニトニルン。
同時に、ジョゼフがヴィンダールヴとして「エンジェルリンクス」の美鳳を、
教皇はガンダールヴとして「アウトロースター」の鈴鹿さんを呼ぶという、
伊東岳彦ワールド。いや、アゼルじゃなくてパッフィー@リューナイトでも
いいんだけど、あの人一応王女様だしなぁ。
502ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:35:00 ID:BV2lmzz7
(…………うん、落ち着きましょう)
 すう、と息を大きく吸って、はあ、と吐き出すルイズ。
 それだけのことに、何故かけっこうなエネルギーを使った気がした。
(……とりあえずは、状況の整理ね)
 まず、今朝早くにワルドが部屋にやって来て、叩き起こされた。ちょっとムッとした。
 次に、いきなり『今からウェールズ皇太子に君と僕の結婚式をうんぬんかんぬん』と言われた。何を言ってるのか分から
なかった。
 そして、『君の使い魔君も賛成してくれたよ』と言われた。後であの馬鹿を怒鳴りつけたあと、説教して乗馬用の鞭で
叩いてやろうと思った。
 チンプンカンプンのまま軽い朝食を食べていたら、ツェルプストーやギーシュから『おめでとう』と言われた。あの馬鹿
使い魔からは何も言われなかった。軽く殺意が芽生えた。
 お城の中の礼拝堂までワルドに少し強引に連れて行かれて、そこで新婦の冠を頭に乗せられた。綺麗だったけど、今の
こんな状況で、そんなものをかぶる気にはなれなかった。
 あれよあれよと言う間に学生用の黒いマントを外されて、花嫁用の白いマントを羽織(ハオ)わされた。やっぱり、そん
な気分じゃない。
 そして今、わたしは始祖ブリミルの像の前に立っている正装したウェールズさまの前で、ワルドの横に立って―――
(…………………………落ち着きましょう)
 チラリと視線を動かすと、参列客としてキュルケとタバサ、ギーシュとユーゼスがいる。
 彼らはどうも、今のこの状況に疑問を抱いていないらしい。……全員の頭を、平手でハタきたくなってきた。特にユー
ゼスは念入りに。
 混乱したままで突っ立っていると、いつの間にか式が始まってしまった。
「新郎、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして
妻とすることを誓いますか」
「誓います」
(いや、ちょっと待って……落ち着くのよ、ルイズ)
 もはや何度目か分からない心の呟きである。
(……なまじ途中経過を考えたりするから、混乱したりするのよ)
 この場合、最も重要なのは『結果としての現在の状況』と、『その状況に対してどう対応するか』だ。
 ルイズは高速で思考を開始する。
 まず、現在の状況。
 結婚式の真っ最中。新郎はワルド。新婦はわたし。もうすぐわたしの誓いの言葉。
 そして、その状況に対してどう対応するか。
(…………どうしよう)
 何もかもがいきなりすぎて、考えが上手くまとまらないが―――とにかく、自分はワルドと結婚する。
 結婚しそうになっている。
 ワケの分からないまま、強引に結婚させられそうになってしまっている。
(ワルドと、結婚……)
 今よりも幼い頃は、ぼんやりとそのイメージを抱いているだけだった。単純な憧れ、と言ってもいい。
 だが10年の時を経た今、いざこうして結婚に踏み切って……踏み切らされてみると……。
(……ワルドと、結婚)
 色々とあったせいで、彼に抱いていた憧れは再会した当初に比べれば随分と目減りしてしまったが、それでも消えて
しまってはいない。
 彼のことは嫌いではない。少なくとも、昔は好きだった。
 今も、好き……なのだと、思う。
(それは、『今すぐ結婚しても良い』と思えるほど?)
 自問する。そして、思い出す。
 昨晩、使い魔に言ったばかりではないか。
 ―――『……立派なメイジにはなれてないし、アンタのことだって、屈服させてないんだし……』―――
 そう。
 一人前のメイジにもなっていないし、あの常に涼しい顔をしている使い魔のハナだって明かしていない。
 それに―――何だか、ワルドに抱いている気持ちは、結婚とは、違う気がする。
 だから……。
「新婦、ラ・ヴァリエール家公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。汝は始祖ブリミル
の名において、この者を敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか」
 だから、わたしはこう言うのだ。
「いいえ、誓えません」
503名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:36:51 ID:4TT6NIzG
支援
504ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:37:02 ID:BV2lmzz7
 礼拝堂がざわめく。
 ウェールズとワルドは目を何度か瞬(マバタ)かせて、
「し、新婦?」
「……ルイズ?」
 と、新婦だったはずの少女に問いかけた。
 その少女―――ルイズは毅然とした表情と態度で、それに答える。
「ごめんなさい、ワルド。わたし、あなたとは結婚出来ない」
「む……。新婦は、この結婚を望まぬのか?」
「そのとおりでございます。お二方には大変失礼をいたすことになりますが、わたくしはこの結婚を望みません」
 ワルドの顔が紅潮する。ウェールズは、うーむと首を傾げてそんなワルドに宣告する。
「子爵、誠にお気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続けるわけにはいかぬ」
「待て、待ってくれ、ルイズ。そりゃあ、いきなりだったのは謝る。しかし……」
「……憧れだったわ、ワルド。もしかしたら恋だったかもしれない。でも、今は違うの」
「ルイズ!」
 口調を荒げ、ルイズの肩を強く掴むワルド。その痛みに、ルイズは顔をしかめた。
 ……ワルドの顔は険しくつり上がり、瞳には冷たい光が宿っている。
「世界だ、ルイズ。僕は世界を手に入れる! そのためには君が、君の能力が、君の力が必要なんだ!!」
 今までとはガラリと雰囲気を変えたワルドに詰め寄られ、ルイズは恐怖を感じながらもキッパリと告げた。
「……いらないわ、世界なんて」
「いつか、君に言ったことを忘れたか!? 君は始祖ブリミルに劣らぬ、優秀なメイジに―――」
 さすがに見苦しく感じたのか、ウェールズがワルドをいさめようとする。
「子爵……、君はフラれたのだ。いさぎよく……」
「黙っておれ!」
 ウェールズの手を跳ね除け(ハネノケ)、なおもワルドはルイズに迫る。
「ルイズ! 君の才能が、僕には必要なんだ!!」
「……わたし、そんな才能のあるメイジじゃないわ」
「だから何度も言っている! 自分で気付いていないだけなんだよ、ルイズ!!」
 そんな光景が繰り広げられて、さすがにキュルケたちも立ち上がり始める。タバサも視線を向けた。
 ―――ユーゼスだけは、ただ冷静にワルドの様子を眺めている。
「……そう。あなたが必要で愛しているのは、何の根拠もなくわたしにあるってあなたが思い込んでる、『わたしの魔法
の才能』なのね」
 悲しそうに、ルイズは言う。
「…………そんな理由で結婚しようだなんて、こんな侮辱はないわ。ええ、あのラ・ロシェールの時も比較にならないくら
い!!」
 叫びながらルイズは暴れ出し、ワルドの手から逃れようともがく。
 ウェールズが、今度はワルドの肩に手を置いてルイズから引き離そうとする。が、今度は強く身体を突き飛ばされてし
まった。
「うぬ、なんたる無礼! なんたる侮辱! 子爵、今すぐにラ・ヴァリエール嬢から手を離したまえ! さもなくば、我が
魔法の刃が君を切り裂くぞ!!」
 ウェールズの言葉に効果があったのか、ワルドはすっとルイズの手を離す。
 そして優しい……優しすぎて作り物にしか見えない笑顔を浮かべて言った。
「こうまで僕が言っても駄目なのかい? 僕のルイズ」
「……『僕のルイズ』? 誰が、いつ、あなたのものになったのよ?」
 怒りを込めて返答される。それを聞いて、ワルドは天を仰いだ。
「やれやれ。この旅で君の気持ちを掴むために、随分と努力したんだが……」
 そして、ギロリとユーゼスを睨んで舌打ちする。
「仕方がない。まずは最優先の目的を果たそう」
「え?」
 ルイズが困惑の声を上げた瞬間、ワルドは素晴らしい速度と手際で杖を抜き、詠唱を完成させ、青白く光る魔法の刃で
ウェールズの心臓を貫いた。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:37:05 ID:co6MvAgP
>>501
まぁこっちでやれよ

ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1227584310/


そしてラスボス支援
506名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:37:21 ID:Wz+0gpdh
支援
507名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:38:01 ID:NGHuI7BY
>>501
この時期に都合良く宇宙英雄を読み直してるとか、お前は俺かw
俺もこの間読み直してたんだが、ホルト召喚が面白そうだなと思った。
『世界にショクを』といってノボルワールドのマスタリングを勝手に始める迷惑な展開で。


と、ラスボス来てた!
支援
508名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:39:07 ID:BV2lmzz7
「き、貴様……、『レコン・キスタ』……」
 ウェールズの口と胸から大量の血が流れ、床に倒れ込む。
「ワルド……!! あなた!!」
 バッ、とワルドから飛びすさるルイズ。
「ルイズ、下がってなさい!」
 すぐさま椅子を飛び越え、キュルケが火球を放つ。
 だが、ワルドはすぐさまウェールズの身体から風の刃を抜き放ち、火球を迎撃した。
 その間にルイズはギーシュたちと合流し、ワルドと向き合う。
 ルイズ、ギーシュ、キュルケ、タバサ、そしてようやく立ち上がったユーゼス。
 そして彼らと対峙したワルドは演説でもするようにして、ルイズたちに自分の目的を語り始めた。
「……この旅における、僕の目的は3つあった。
 1つはルイズ、君を手に入れること。……しかし、これは果たせないようだね。
 2つ目の目的は……ルイズのポケットに入っている、トリステインとゲルマニアの同盟を瓦解させるという手紙の入手。
 そして3つ目、たった今達成したが、そこで倒れているウェールズ皇太子の命だ」
「貴族派だったのね! ワルド!!」
「そうとも」
 怒鳴りながらのルイズの問いに、ワルドは平然と答える。
「魔法衛士隊の隊長の……トリステインに忠誠を誓ったはずのあなたが……どうしてだ!?」
「我々『レコン・キスタ』はハルケギニアの将来を憂い、国境を越えてつながった貴族の連盟さ。我々にそのような『国家
の縛り』はないのだよ、ギーシュ君」
「……!!」
 ギーシュは怒りに身を震わせながら、ワルドの言葉を聞く。
「道中で、やたらとルイズの気を引こうとしてたのは……」
「ルイズの心を、僕に傾かせるためだ。……どうやら、ことごとく逆効果だったようだがね」
「ラ・ロシェールまでの道のりで襲ってきた夜盗や、宿で襲ってきた傭兵たちを手配したのも……!」
「……颯爽と活躍して、ルイズに僕の実力を印象づけるために仕込んだのだが……どうにも上手くいかなかったな」
「アンタ……!!」
 珍しく、明確な怒りを露わにするキュルケ。
「……そう、全てはハルケギニア統一のため。そして、ハルケギニアは我々の手で1つになり―――始祖ブリミルの光臨せ
し『聖地』を取り戻すのだ」
「何が……、何が、あなたをそんな風に変えてしまったの? ワルド……」
「変わった、か。それは僕のセリフだよ、ルイズ。君がここまで『強く』なっているとは思わなかった。おかげで僕の計画
はメチャクチャだ。……やはり、そこの使い魔君のせいかな?」
 言って、ワルドは再びギロリとユーゼスに視線を移す。
 ……視線を向けられたユーゼスは、ワルドに対して率直に、
(若いな……)
 そんな感想を抱いていた。
509ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:39:50 ID:BV2lmzz7
申し訳ありません、ageてしまいました。
510ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:41:55 ID:BV2lmzz7
 ユーゼスは、ワルドを見て思う。
(……ここで下手に正体を明かすよりは、正体を隠したままで去り際にウェールズを暗殺でもすれば良かっただろうに)
 そうすれば、獅子身中の虫としてトリステインに潜み続けることも出来たはずだ。
 ……おそらく彼のシナリオでは、ここで自分たちを全滅させた後、自分1人だけがトリステインに戻ることになっているの
だろう。
 そもそも、彼は焦りすぎていた。
 ルイズの心を掴もうとするにしても、自分を比較対象にするのではなく、もっと適役がいそうなものだ。
 大体、本当にルイズの力『だけ』が欲しいのなら、禁制の水の秘薬なり何なりを使って操れば良いではないか。
 それをしなかったのは、この男のプライドのためだろうか。
 ―――と、ここで、アルビオン行きの船に乗る直前に感じた、『ワルドが誰に似ていたのか』の『誰か』に思い当たる。
 過去の……若い頃の自分だ。
 戦闘・権謀術数タイプと頭脳・研究タイプと、人間としての種類は異なっている。
 だが妙に自信たっぷりで、無駄にプライドが高く、自分の行動が成功すると大した根拠もなく確信しており、内心では
腹黒いことを考え、成功する保証もないのに物事を焦って強引に運び、糾弾されても悪びれもしない、なまじ優秀だから
失敗してもほとんど気落ちしない―――と、かなり共通点があった。
(……………)
 何ともまあ、因果な世界である。
 立場が違っていれば、『先達』として色々とアドバイスも出来たのだろうが……そういう訳にはいかないようだ。
 第一、アドバイスなどしても聞き入れはしないだろう。自分もそうだったのだし。
「まあ、良い。言うことを聞かぬ小鳥は、首を捻(ヒネ)るしかないのだからね……」
 ワルドは杖を構える。魔法の攻撃が来るのか、と全員が身構えるが……。
「さすがにこの人数相手では、僕も本気を出さざるを得ない。
 では、何故……風の魔法が最強と呼ばれるのか、その所以(ユエン)を教育いたそう」
「!」
 『何の魔法が繰り出されるのか』を察したタバサが即座に風の刃を放つが、それを回避してワルドは詠唱を行う。
「ユビキタス・デル・ウィンデ……」
「あれは、確かミスタ・ギトーが使おうとしていた……!?」
 驚いている間に、詠唱は完了してしまった。
 そして、ワルドの身体が5人に分身する。
「な……!?」
(……まるでバルタン星人だな)
 その外見を知ったら、間違いなくワルドが怒りそうな引き合いをユーゼスは思い浮かべた。
「風の『偏在(ユビキタス)』……。風は偏在する。風の吹く所、何処(イズコ)となくさまよい現れ、その距離は意志の
力に比例する」
 ワルドの分身たちは懐(フトコロ)から白い仮面を取り出し、顔につける。
「……あ、あの仮面の男も……!」
「そう、それも僕だ」
 そのセリフにピクリとユーゼスが反応したが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「これら1つ1つは、それぞれに意志と力を持っている。
 ―――さあ、少年少女諸君。せいぜい抵抗してくれたまえよ?」
 言うや否や、5人のワルドがそれぞれ個別に襲い掛かってくる。
 かくして、戦いが幕を開けたのだった。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:43:42 ID:a0e5glH7
それも私だwww 支援
512名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:43:53 ID:EseSVYc+
フォッフォッフォッフォッフォッフォッ(宇宙忍者語で支援)
513ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:44:00 ID:BV2lmzz7
 同じ属性のメイジ同士の戦いは、クラスと戦い方、そしてその時の状況が物を言う。
 例えば同属性のラインメイジ同士が戦った場合、一方は一点集中型の攻撃が得意、対するもう一方は面制圧のような広
範囲にわたる攻撃が得意だとして、さてどちらが勝つだろうか。
 ……これはハッキリ言って『正解のない問い』であり、強いて言うなら正解の1つは『状況による』である。
 一点集中型が一撃で勝負を決するかも知れないし、逆に広範囲型が攻撃の隙を突いて仕留めるかも知れない。
 そのメイジの性格や気性もあるだろうし、精神力の総量にも若干の差があるだろう。
 要するに―――実際に戦ってみなければ、分からないのだ。
「!」
「ほう、よくやるものだ……!」
 『ウィンド・ブレイク』、『エア・ハンマー』、『エア・カッター』、『エア・ニードル』。
 ことごとく同じ魔法がぶつかり、相殺される。
 ……いくら同じ属性同士とは言え、ここまで攻撃が噛み合うことは通常あり得ない。
(遊ばれている……)
 タバサは、ワルドの行動をそう分析していた。
 それ以外に、わざわざ自分の攻撃に合わせてくる理由が思い当たらない。
 つまり完全に格下と見られているということであり―――そこに、つけ入る隙がある。
「………」
 立ち止まりながらの魔法の撃ち合いではラチが明かないと判断し、ワルドの周囲をぐるりと回転するようにして走り出す。
 そして呪文の詠唱を開始するが、
「次は『エア・ストーム』か!」
 あっさりと次の手を見破られた。このあたりは流石(サスガ)と言うべきか。
 杖を構え、下手に動くなどという愚は犯さずにピタリと狙いをつけるワルド。
 そしてタバサはそんなワルドに構わず、
「……!」
 呪文の詠唱を中断し、旋回も止めて、一気にワルドへと接近した。
「何!?」
 虚を突かれたワルドもまた、『エア・ストーム』の詠唱を途中で中断してしまう。
(速い……!)
 ただ走っているだけだというのに、この青髪の少女のスピードはかなりのものだった。どう見ても戦闘に向いているよう
には見えないが、どこかで訓練でも受けたのだろうか。 
 ワルドは後方へと飛び、距離を取る。無論、迎撃のための呪文の詠唱も忘れない。
 放つ呪文は、
(『ライトニング・クラウド』……)
 ワルドの杖からバチバチと火花が散り、そして閃光とけたたましい音が炸裂し、稲妻が走る。
 バリィイイイイインッ!!
 その威力は分かっていた。まともに受ければ死んでしまう魔法だ。
 一昨日には実際に目にしたし、それ以前から知識として知っている。
 ―――だから、そんな魔法への対策など、タバサは使い魔を召喚する前から考案済みである。
514ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:46:00 ID:BV2lmzz7
 ワルドは、青髪の少女が叫び声を上げ、醜く焦げる情景を想像した。……あまり想像したくもなかったのだが、この魔法
はそういう魔法なのだから仕方がない。
 しかし、想像していたような叫び声は聞こえない。
 肉が焦げる臭いもしない。
 どういうことだ、と目を凝らしてみると……。
「……水!?」
 『ウォーター・シールド』。その名の通り『水の盾』を発生させる、単純なコモンスペル。
 火系統以外のメイジならば、ほとんど誰でも使える魔法。
 そんなものに、殺傷に長けた『ライトニング・クラウド』は止められていた。
「………」
 タバサは『ウォーター・シールド』を解除し、更に『フライ』を使って高速でワルドに接近した。
 バシャリと水のカタマリが飛散して髪や服が濡れるが、気にせず進む。
 ……ハルケギニアにおいて、『電気』はほとんど研究されていない。
 それは逆に言うと、ごく少数ではあるが研究はされているということである。
 タバサが常日頃から読みあさっている本の中には、1冊だけだがその電気について記されていた本もあった。
 それには“『ライトニング・クラウド』も電気の一つの形である”と書かれており、また“海水などは電気を通しやすい
が、真水は電気を通しにくい”とも書かれていた。
 どうやら水というものは、不純物が少なければ少ないほど電気を通しにくくなるという性質があるらしい。
 タバサは、それを利用したのである。
「くっ!」
 空を飛びながら接近するタバサに向かって、ワルドは刃の杖を突き出す。何せ自分から接近してくれるのだから、これ
ほど狙いやすい相手はいない。
 だがタバサは急激に軌道を修正して、その結果、
 ビッ!
 杖がタバサの左肩を抉(エグ)り、赤い血が噴き出した。
 通常、人間は痛みを感じれば少なからず動揺し、隙が生まれる。ワルドはそこを突いてタバサを更に攻撃するつもりだっ
たのだが―――
(な……全く怯(ヒル)まない!?)
 目の前の少女は本当に人間なのか、と驚愕する。
 この戦い方は、自分の身体を『使い捨ての消耗品』のように捉えなければ出来ることではない。
 言葉で言うのは簡単だが、人間―――動物は基本的に、自分の身を守ることを最優先に行動するものだ。
「………」
 ワルドが呆気にとられている間に、タバサは詠唱を完了した。
 繰り出す魔法は『ブレイド』。魔法の刃が、ワルドの身体を貫通する。
「が……!」
 刺し貫かれながら、ワルドはタバサの顔を見た。
 ……まるで、人形だ。
 痛みに歪む様子も、戦いに対する恐怖や高揚も、勝利に対する喜びすらも見えない。
「貴様、何者……」
 タバサは答えない。
 答える必要など、ない。
 そしてワルドの身体は消えていく。どうやら自分が相手をしていたのは『偏在』で作られた分身だったらしい。
 それが完全に消えたことを確認すると、タバサはやはり無表情に、自分の左肩へと『治癒』をかけ始めたのであった。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:47:53 ID:Wz+0gpdh
いまさらだけど結婚式にキュルケ以下学校のメンバーがみんないるって珍しいよね支援
516名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:48:20 ID:EseSVYc+
ゴムだから効かない(雷語で支援という意味)
517ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:48:31 ID:BV2lmzz7
「……さて。私の意見になるが、火系統は、非常に使い勝手が悪い」
「はあ?」
 ラ・ロシェールへと出発する前日、ユーゼスの研究室にてキュルケは彼の意見を聞いていた。
「……ちょっと聞き捨てならないわね。火は、四系統の中でも攻撃力は最強よ?」
「『単純な攻撃力』はな。しかし火は四系統の中で、最も『物理的な力』が弱いのだ」
「ぶつりてき?」
 そこから説明しなければ駄目か、とユーゼスは改めて説明する。
「土や水は確固たる『質量』があるし、風にも『押し出す力』があるが、火は単体では『力』がない。火事になって家が
『燃え尽きた』ことはあっても、『家が吹き飛んだ』ことはないだろう。火事の原因が爆発にある場合は別としてな」
「…………むう」
「と言うか、他の系統との相性がおしなべて悪い。
 水は言うまでもないが、土も炭化させるまで焼き尽くして崩すか融解させるしかなく、風が相手では……お前が実際に
体験したように霧散させられるか、周囲を真空にされて炎そのものを掻き消されるかだ」
「じゃ、じゃあ、どうしろってのよ!?」
 火の有用性や応用方法を聞きに来たのに、最初から『火は駄目な系統です』と言われてしまって焦るキュルケ。
 そんな彼女に、ユーゼスは平然と答えた。
「火を『空気の燃焼』として考えるから、そこで行き詰まるのだ。『熱のカタマリ』と考えろ」


 放った火球は、予想通りに掻き消される。
 何せこれで通算3度目である。分かりきっていたことだが、やはりムカつく光景だ。
 出来れば力押しで、火系統の優秀さをこの風のスクウェアメイジに見せ付けたかったのだが……仕方がない。
(重視するのは『火の勢い』じゃなくて、『熱』……)
 キュルケは意識を集中し、杖の先端に火球を生成する。
 自身の系統を象徴するような赤い髪がざわめき、彼女から強い魔力が迸(ホトバシ)っていることを窺わせる。
 火球はゆっくりと膨れ上がり、1メイルの大きさにまでなった時点で膨張を止めた。
 しかし、キュルケは火球に魔力を注ぐことを止めない。
「フッ……、火球の威力を上げているのかね?」
 馬鹿にしたような口調で、ワルドが問いかける。
 どれだけ威力を上げようとも、対象が『火』である以上は『風』の優位は揺るがない。
 まあ、せいぜい足掻くのを見物するか―――と、ワルドはキュルケが火球の『熱量』を上げていくのを見続けていた。
 そして1分ほど経過し、キュルケの頬を一筋の汗が流れた所で、
「行け!!」
 今のキュルケが作ることの出来る限界まで熱された火球が、ワルドへと放たれた。
 だが。
(……遅い。狙いも外れている)
 素人でも避けられるスピードで、しかも明らかに高めに撃ち出されていた。
 あれなら、わざわざ掻き消すまでもなく外れるだろう。
「やれやれ……」
 正直、拍子抜けである。
 落胆を隠そうともせず、ワルドは魔法の詠唱を開始した。キュルケは自分の攻撃が大きく外れたことに業を煮やしたの
か、身を低くかがめながら杖を片手に突っ込んでくる。
 ちょうど先ほど放った火球を追いかけるような、しかし一定の距離を保つような速度だ。
(……ツェルプストー家も、この程度か)
 真正面から向かって来るキュルケへと『エア・ニードル』を放つ。
 風の槍はそのまま前進し、数秒後には鮮血を撒き散らして横たわる女の死体が―――
「っ、何!?」
 ワルドの予想を裏切り、キュルケは『エア・ニードル』を最小限の動きで回避した。
(何故だ!?)
 驚愕しながらも『エア・ニードル』を連発するワルド。さすがに近付いて来るにしたがってキュルケの回避動作も大きく
なるが、しかし確実にキュルケはワルドの攻撃を回避していく。
(私の狙いは、それほど甘くはないはず……。感覚を狂わせる魔法が使われた形跡もない……まさか、撃ち出した後に
エア・ニードルの『狙いがズラされている』のか!?)
518ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:50:36 ID:BV2lmzz7
 あり得ない。
 キュルケが行ったことと言えば、無意味に高温で速度も遅く、狙いも『人間1人分ほども外れている』火球を放った程度の
はず。
「!」
 バッ、とその火球を睨む。
 異常なほど熱された火球は、キュルケに先行するようにして上方を飛んでいる。
「……子爵様はご存知かしら? 『熱』でも『風』は起こるのよ?」
 聞こえてきた声に、ワルドは目を見開いてキュルケを見た。
 空気を通して伝わってくる強力な熱によって顔には汗が浮き、赤い髪はその汗で額に張り付いており、そして張り付いて
いない髪は風になびいている。
 ―――熱対流、という現象がある。
 熱されて軽くなった流体が上方に動き、逆に冷たい流体が下方に動く、というものだ。
 この場合の『流体』とは『空気』のことである。
 ……無論、少々の風が吹こうとも、風魔法の『エア・ニードル』はそこまで狙いをズラしたりはしない。せいぜい胸を
狙った攻撃が、肩や頭に当たる程度の狂いである。
 だが、キュルケにはそれで十分だった。
 それだけの誤差が生じていれば、動体視力と身のこなしで回避は可能だ。少し危なくはあるが。
「ええい!!」
 ワルドが『エア・ニードル』の照準を巨大な火球に向けるが、時すでに遅し。
「……!」
 さすがにあんな熱量の物が目の前で爆散してしまってはキュルケもタダでは済まないので、火球を消滅させる。直後に
『エア・ニードル』が通り過ぎて、残った火の粉や熱を拡散させていった。
 そして気が付けば、ワルドとキュルケは手を伸ばせば届く位置にいる。
「くっ!」
 即座にワルドは杖を突き出し、キュルケを攻撃した。
 それをキュルケは身をひねって回避し、更に一歩を踏み込んでワルドの鳩尾(ミゾオチ)にヒザを叩き込む。
「が……ほっ!」
 ラ・ロシェールにて、ワルドの攻撃の際の動きは見ていた。
 軍人としてとても完成されている、素晴らしい動きであった。
 だが、ツェルプストー家は軍人の家系。すなわち、
「……あなたたちが使う動きなんてね、赤ん坊の頃から見慣れてるのよ」
 言いながら、呼吸困難に陥(オチイ)るワルドの胸に杖を突きつけるキュルケ。
「少しばかり情熱が足りなかったわね、子爵様」
 ワルドは右手を上げて彼女を制止させようとするが、キュルケは構わずに炎をワルドにぶつけた。
「―――あら、消えちゃった。分身だったみたいね」
 額を流れる汗を右手で拭(ヌグ)い、左手で髪をかき上げる。
「ま、そんなのであたしの相手が務まると思ったら大間違いってことよ!!」
 勝ち誇って笑い声を上げるキュルケ。
 普通であれば嫌味に見える光景だが、むしろそれが彼女の鮮烈さを際立たせていた。
 ―――人を惹きつける華々しさ、凄絶なまでの猛々しさ、そして燃え盛る炎を連想させる熱さ。
 キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーという女性は、これらの要素を全て合わせ
持っている。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:52:36 ID:etiro6/h
支援
520ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g :2008/12/23(火) 18:52:42 ID:BV2lmzz7
 ドガァァアアアアン!!
 ギーシュの得意な『錬金』で作られた、青銅のゴーレムが吹き飛ばされた。
「う、うう……」
(何で僕は、こんなところで魔法衛士隊の隊長と戦ってるんだろう……)
 心中で疑問を投げかけてみても、答えてくれる者は誰もいない。
 答えてくれそう(だと勝手にギーシュが思い込んでいる)な人物であるユーゼスも、ワルドとの戦闘の真っ最中だ。
(僕はどうやって勝てば……いや、どうやって生き延びればいいんだ!?)
 実力的には、完全に負けている。
 経験的には、圧倒的に劣っている。
 メイジのクラスでは、完膚なきまでに先を行かれている。
 つまり勝てる要素どころか、生き残る要素すら見当たらない。
(ど、どうしよう……)
 考えたって、悩んだって、分からない。
 そもそも、そんなに簡単に解決方法が見えるのなら、苦労しない。
 ドゴッ!!
「ぐぁっ!?」
 『エア・ハンマー』で殴られた。痛い。
「……どうやら2体ほどやられてしまったようだからね。もう少し君をいたぶっても良かったのだが、手早く終わりにさせて
もらうよ」
「う、うううぅぅうぅぅ……!!」
 カツカツと足音を響かせながら、ワルドがこちらに向かって来る。
 怖い。
 這いつくばりながら、バラの造花の杖を握るギーシュ。
 だがその造花の花びらは、今の『エア・ハンマー』の衝撃でかなり散ってしまっていた。まるでワルドの行く道を
彩(イロド)る花道のようだ。
 ―――今までの思い出が、雪崩(ナダレ)のように蘇る。
(父上、母上、兄さんたち、レイナール、ギムリ、マリコルヌ……ああ、そう言えばモンモランシーとはケンカ別れした
ままだった……)
 こんなことならモンモランシーにとっとと謝っておけば良かった、と後悔してももう遅い。
(結局、この前に払った300エキューも無駄になったなぁ……)
 ユーゼスに300エキュー返せ、と叫びたくなったが、死にそうな状態で金は役に立たない。
 思えば、ラ・ロシェールの宿屋でのユーゼスの話の内容も……。
「……あれ?」
 ふと思い出す。
『精神力の総量を増やすことがそう簡単に出来ない以上、その使い方を考えるべきだが……』
 問題なのは、使い方。
 ならば武器を持たせよう、とギーシュは提案したが、
『根本的な“改善”になっていないな。それに、持つ武器はせいぜい剣や槍だろう? 接近して拳をぶつける今と、あまり
差が無い』
 と、ギリギリ及第点に届かない採点結果であった。
『……ゴーレムにこだわる必要もないと思うがな。例えば、トラップのようにその花びらを配置して……』
 ワルドは、自分の造花の花びらを踏みながら、こちらに歩いてきている。
「!!」
 慌てて『錬金』を唱える。ワルドが踏んでいた花びらはそれに反応し、その姿を鋭い青銅の刃に変えた。
521名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:54:54 ID:C4+9Iw4U
支援するのも私だ。
522名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:55:27 ID:EseSVYc+
支援
523名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 18:56:56 ID:equqPJz/
頭とナントカは使いよう 支援^^
524名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:00:22 ID:KXQCgROb
支援? さるに引っかかったか?
525名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:01:06 ID:KXQCgROb
443 名前:ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g 投稿日: 2008/12/23(火) 18:55:54 ID:ecgf/Hv.
すいません、さるさん食らってしまいました。どなたか代理をお願いします。

代理行ってくる
526名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:01:51 ID:KXQCgROb
 ザクッ!
「ぐっ!?」
 しかし、足を貫きはしなかった。足の側面、踝(クルブシ)のやや足先よりの部分を切っただけである。
「くっ……、やってくれるな、坊や……!」
「あ、あわわわわ……」
 ワルドから物凄い形相で睨まれたので、ギーシュはガクガクと震えながら後ずさった。
(え、え、ええーと、他には、何て言ってたんだっけ……!?)
 とにかく大急ぎで、記憶の泉をザブザブ漁り始める。
『それは貴族の戦い方ではない、か。しかし人型のゴーレムにこだわっていては……。そうだ、いっそのこと“獣型”と
いうのはどうだ?』
(って、相手はグリフォン隊の隊長、獣相手のエキスパートだぁぁああああああ!!)
 大体、自分は人型のゴーレムしか作ったことがない。ぶっつけ本番で上手くいくとも思えない。
『優美さに欠ける? 随分と下らんことを……いちいち怒るな、取りあえずお前がゴーレムの形にこだわりたいのは分かっ
た。それでは……』
「…………うう」
 通用するのかなぁ、と不安になる。
 しかし、やらないと確実に死んでしまう。
 なのでギーシュは、バラの造花を振るった。
「む……!」
 ワルドが身構える。
 バラの花びらは踏まないように、気をつけながら歩いた。そもそも、もうバラの花びらが散乱した辺りは通りすぎてい
る。
 だが油断をするわけにはいかない、先ほどのようなトラップが待ち構えている可能性もある。
 と、思っていたのだが。
「……?」
 自分の眼前には、何も出てこない。特に身体に痛みもない。
(不発か?)
 精神が酷く乱れている場合には集中が出来ないので、このようなことはよくある。
 所詮は学生か、とワルドは杖を振りかぶってギーシュに攻撃を仕掛けようとする。
「行け、ワルキューレ!!」
「何!?」
 しまった、後方にある花びらに『錬金』をかけていたのか、とワルドは急いで振り向いた。
「……!?」
 だが、ゴーレムの姿は見えない。
 ブラフか、と思って再びギーシュの方を向こうとして、
 ドスッ!
「ぬ……!」
 脚に、鋭い痛み。刺されたのだと理解するまで1秒ほど要した。
 まさかこの学生の言葉は全て偽りで、本当はワルキューレなど出しておらず、先ほどと同じように青銅の剣で刺されたの
では……と、刺された箇所に目をやると、
「……ゴーレム!?」
 ギーシュのゴーレム、槍を持ったワルキューレがそこにいた。
 だが、小さい。
「な……!!?」
 よく見渡してみると、先ほど散らした花びらの数だけ、女性の姿をかたどった青銅のゴーレムが存在している。
 ただし、30〜40サントほどの大きさで。
527名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:02:24 ID:z7L3YBBy
私も支援だ
528ラスボスだった使い魔(代理):2008/12/23(火) 19:02:33 ID:KXQCgROb
『ゴーレムのサイズを小さくしてみろ』
『……いや、それだと力も落ちるし、戦力としては大幅ダウンになるんだが』
『使用する精神力が抑えられるのだから、数は揃えられるだろう。人海戦術を使いたい時には向いているのではないか?』
『いや、だから大きさと単体の戦力が伴(トモナ)っていないとだね!?』
 あの時は『何を言ってるんだコイツ』と思ったが、どうやら成功したようだ。
 ワラワラと群がる小型のワルキューレたちに、ワルドは面食らっている。
(小型のワルキューレ、というのも名前として味気がないな……そうだ、『プチ・ワルキューレ』という名前にしよう!
ついでに大型のは『グラン・ワルキューレ』で!)
 浮かれるギーシュ。
 プチ・ワルキューレたちは、ザクザクとワルドの身体を刃で突き刺していく。
 だが。
 ビュゴォォオオオオオッッ!!
「ああっ!?」
 ワルドの身体にまとわりつくようにして発生した旋風によって、全て薙ぎ払われてしまった。
「本当に……やって……くれるね、ギーシュ・ド・グラモン君……。道理で振り向いてもゴーレムの姿が見えないわけ
だ……。何せ、視界に映らないほど小さかったのだからね……。しかし、たかがドット程度にここまで傷を負わされるな
ど、思ってもみなかったよ……!!」
「あ、いや、その、えっと」
 血まみれの姿の敵から怒気や殺気を向けられたので、ギーシュはしどろもどろになる。
 もはや打つ手は尽きた。
 今更、少しばかり大型のワルキューレを作ったところで、この男に通用するとは思えない。
 またユーゼスの言葉が頭をよぎる。
『……まったく、わがままな男だな。トラップは駄目、形状変化も駄目、サイズ変更も駄目。では何をしろと言うのだ』
『いや、だからワルキューレが今の姿と大きさを維持したままでだね……!』
(うぐぉぉぉぉおおおおおおおお〜!!)
 今度こそ、ユーゼスによってもたらされた本当に最後のアイディアを思い出す。
(つ、通用してくれ……!)
 祈るように、造花を振るった。
 花びらが一枚舞って、青銅の戦乙女が現れた。
 ……大きさは人間大。武器は剣を持っているが、それ以外に取り立てて目立った点はない。
 ワルキューレは、ゆっくりと歩を進めてワルドに向かう。
「フン、最後の悪あがきか」
 ガシャン、ガシャンと歩いてくるワルキューレを、ワルドは『ウィンド・ブレイク』を使って吹き飛ばそうとする。
 ビュゴォウッ!!
「や、やった!」
「何だと!?」
 しかし、ワルキューレは多少は身体を動かしたものの、吹き飛ばされはしなかった。
「どういうことだ!? 最初に吹き飛ばしたものとは違うのか!?」
 驚愕している間にも、ワルキューレはゆっくりと歩み寄ってくる。
 そしてある程度の距離まで近付いた時点で、
「よ、よし、ワルキューレ! 『ディスタント・クラッシャー』だ!!」
「!?」
 またバラの造花を振るギーシュと、どんな攻撃が来るのかと身構えるワルド。
 しかしワルキューレは両腕をこちらに突き出すだけで、特にアクションは起こさない。
 一体何なのだ、といい加減にこの少年の相手が嫌になってきたワルドだったが、そんなことを思った次の瞬間、
 ドゴォオオッッ!!
「ご…………ハッ!」
 左腕が彼の胸を貫かんとでもするように、物凄い勢いで飛んで来た。
529ラスボスだった使い魔(代理):2008/12/23(火) 19:03:28 ID:KXQCgROb
 口から血が吹き出る。
 ベキベキ、と肋(アバラ)が折れ砕けていく音がする。
 ……よく見てみると、飛んで来た腕は完全にゴーレムと離れているわけではなく、鎖で繋がれている。
 そしてその腕の断面は、
(空洞では、ない……!?)
 中身に隙間が、それほど存在していない。土や粘土などの柔らかい物質ならばともかく、青銅のような金属製のゴーレム
の場合、これではまともに動けるはずがない。
(……やたらと遅く動いていたのは、それでか……!)
 『ウィンド・ブレイク』で吹き飛ばせなかった理由も、これで合点がいった。ただ単純に、重かったのである。
 一方、そんな奇襲に成功したギーシュはと言うと、
(せ、成功した……!)
 ジャラジャラと鎖を巻き戻させながら、ぶはあ、と盛大に息を吐いていた。
 形を維持したいのならばワルキューレの装甲を厚くするか薄くするかしろ、と言われたことを思い出し、ならばと思いっ
きり厚くしてほとんど隙間すら無くなってしまったことに気付いた時には、もう生きた心地がしなかった。
 そして、彼の知人とやらが操っていた『ゴーレムやガーゴイルのような物』(としかユーゼスは説明してくれなかった)
の武装、『ディスタント・クラッシャー』を模した攻撃。
 ユーゼスが説明した、その仕組みは単純だ。
 ワルキューレが、肘から先を切り離す。
 すかさず長めの鎖を『錬金』で製作して、2つの切断面を繋ぐ。
 それと同時に、切り離した腕の切断面に爆発物を『錬金』する。
 あとは『着火』で火を付けるだけ。
 なお、腕の切断面は真っ平らではなく筒状にしておかなければ、真っ直ぐ飛ばないので注意すること。
 ……何より重要なのは、これらの行程は一瞬以内の時間で行わなければならない点である。ボヤボヤしていると、切り離
した腕が地面に落ちてしまうからだ。
 これだけの行程を瞬時に行うのはいくら何でも無理なので、ギーシュはワルキューレを作る際、腕に切れ目を入れ、ワル
キューレの中にあらかじめ鎖を仕込み、更に火薬も仕込んでいた。
「よ、よぉし……!」
 そして、今発射したのは左腕。
 武器を持った右腕は、まだ残っている。
 ワルキューレはその右腕をワルドに向けて、
「がっ、ま……!」
 敵が右手を突き出してきたが、呼吸困難なために何を言っているのかよく分からないので、構わずに発射した。
 ドシュッッ!!!
 ワルドの身体が両断され、その身体が消えていく。
「ふ、ふはぁ〜〜……」
 思わずその場にへたり込むギーシュ。
 辛く険しい戦いだったが、この戦いを一言で表現するならば、
「セ、セコい……」
 これであろう。
 何しろ、有効な攻撃は全て『相手の油断や不意を突く攻撃』であったし、『正面からまともに打ち破った』要素など皆無
である。
「今度は、もっと堂々とした戦いをしたいなぁ……」
 でも無理かなぁ、などと呟くギーシュであった。
530ラスボスだった使い魔(代理):2008/12/23(火) 19:04:48 ID:KXQCgROb
446 :ラスボスだった使い魔 ◆nFvNZMla0g:2008/12/23(火) 19:02:00 ID:ecgf/Hv.
 以上です。
 ……いや、もう、何て言いますかね。中途半端なところで終わったってのは分かってるんですけどね、もうこの時点で
30KBを超えてるんですよね。
 この上、更にユーゼス編と一応のエピローグまで足してしまうと初の40KB超えという大台に乗ってしまうので、ここで
一度、区切っておきます……。

 ……取りあえずは、この付け焼き刃の科学知識はそれほど的外れではないことを祈ります……。

 それでは皆様、支援ありがとうございました。

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代理投下終了

すまん>526の名前欄、変えるの忘れてた
531名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:09:21 ID:TSnwhsHg
誰か、ナルトでやってくみてくれ!頼む!!
532名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:11:03 ID:igbLi4TZ
乙ー
533名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:13:18 ID:z7L3YBBy
>>531
メール欄にsageって入れてください
534名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:13:35 ID:iD76fnrc
投下乙
ギーシュやタバサがワルドに勝ったSSは読んだことあるけど
(ギーシュの方は大体ジョセフ・ジョースター並みの奇策というかせこい手を使ってるんだが)
意外とキュルケが勝った例は少ない気がする
風とでは相性が悪い事を本編で証明されてるからかね
535名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:15:05 ID:oogOFYEo
>>531
____      ______             ________
|書き込む| 名前:|         | E-mail(省略可): |sage           |
 ̄ ̄ ̄ ̄       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
536日本一の使い魔 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/23(火) 19:19:04 ID:z7L3YBBy
ラスボスの方乙です。

8話が完成しましたので、19:20ごろから投下を開始したいのですが、
537日本一の使い魔8話 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/23(火) 19:20:53 ID:z7L3YBBy
ルイズは夕食はここで取ると言って、早川が持ってきた食事を食べだした。
「食堂には行かなくてもいいんで?」
「いいの!せっかく使い魔がご主人様の為に気を利かせたのに、それに応えるのが主人の務めでしょ?」
「そーいうもんかね」
「俺はちょっと夜風にでも当たってくるかな」
テンガロンハットを被りギターを担ぎ、ふらりと外へ向かう。

ヴェストリの広場、あまり学院の中に詳しくない早川は自然とここに向かった。
木の幹にもたれかかると、ギターを弾きだす。

赤い夕日に 燃えあがる♪
君と誓った 地平線♪
ああ 「きゅいー!」

早川が一本のギターでツインギターの音色を奏で歌っていると、
「きゅいきゅい(綺麗な歌なのね。一緒に歌うのね。でもそれ程上手って訳じゃないのね)」
「ゲロゲロ(もっと聴きたいな)」
と風竜やらカエル、モグラなど色んな使い魔と思われる動物がやって来た。
ニコリと笑う早川。夜の路上ライブは奇妙な観客と盛り上がる。

 
538名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:21:03 ID:4OpYpXAT
支援
539日本一の使い魔8話 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/23(火) 19:21:39 ID:z7L3YBBy
早川は満足し部屋へ帰ろうとすると、一匹のサラマンダーがこちらへ来いとばかりに袖を引っ張る。確かフレイムって名前だったな。
「なんだい?俺を呼んでいるのか?」
「(確か、ここはキュルケの部屋じゃなかったか)」
部屋の中は暗く、フレイムの尻尾に灯る火だけが光源となる。
「扉を閉めて頂けるかしら?」
「何の用だい?」
「いいから、扉を閉めて欲しいの。話はそれから」
扉をしめると、キュルケはパチンと指をならしランプに明かりを灯す。
ベットには悩ましげなベビードールを着たキュルケが座り悩ましげな目線で早川を捕らえる。
「ほぉー、こいつは」
「あなたは、あたしをはしたない女だと
「そんな格好だと、風邪を引いちまうぜ。どうやら部屋を間違えたようだ、邪魔したな」
懐からタバコを取り出し、一本咥え火を付ける。
「フレイムさんよ、火ー借りるぜ、じゃあな」
「もー!ダーリンってばぁー!」
そんな声を無視して部屋を出ると、ルイズと鉢合わせとなる。声をかけようとす
る早川をルイズは鬼の様な形相でこちらを睨み杖を突きつけ、
「ケン?ツェルプストーの部屋で何をしてたのかしら?」
年頃のルイズは思春期に付き物の、あられもない想像をしながら早川に尋ねる。
「何って、部屋を間違ってね。ついでにフレイムに火を借りたって訳さ」
タバコを吸い込み杖めがけ煙を輪にし吹き付ける。
「ツェルプストーとなんかとは口きいたらダメなんだからね!」
部屋に帰りヴァリエール家とツェルプストー家の因縁が長々と語られる。
要はツェルプストーの人間がヴァリエールの人間を寝取ったりで、中が悪いって話なのだが。
そろそろ就寝の時間になり二人は寝ようとした所
「明日虚無の曜日だから、街に買い物に行くわよ。だから早く起こしてね。」
虚無の曜日と言う物は日曜日のようらしい。街ではどうやら荷物持ちでもさせようという腹だろう。
540名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:22:43 ID:dgsXVmf3
ちっちっち、でもその支援は、日本で2番目だ
541日本一の使い魔8話 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/23(火) 19:23:15 ID:z7L3YBBy
翌朝
「もう朝よ!使い魔が主人より遅く起きるってどういう事?」
早川は自分で起きれるなら普段もと思ったが口するのは止める。
二人は準備を済ませ、馬を借りようとするのだがルイズはどうしてもズバッカーで街まで行くと言って聞かない。
仕方なく、エンジンに火を付けると光源を感じ、この世界は太陽も二つあるのかと思ったが違うらしい。
嬉々とした顔でコルベールがやって来る。
コルベールという教師は魔法を使わず、馬よりも早く走りおまけに空も飛べるこ
の乗り物に興味を持ち、色々と聞いてくる。コルベールの質問攻めにあい時間が
取られ、次第にルイズの機嫌が悪くなる。しかも相手は教師なので言う訳にもい
かずイライラが溜まるのが早川には手に取るように解った。
「コルベールの旦那。レディを待たせてるんで、また後でな。」
名残惜しそうにするコルベールを尻目に二人は街へと出かける。
 
「余計な時間を食ったわ。急ぎましょう!」
「あの先生悪い人じゃないんだろ?そんなに言うなよ。さてと行きますか。」
「フライトスイッチ!オーーーーーーーン!」
「ねぇ、叫ばないといけない訳?」


キュルケはルイズの部屋をノックする。目的はもちろんルイズではない。
「ダーリーン。あなたのキュルケが来たわよー」
部屋からは返事が無い。
「いないのかしら……」
校則で禁じられている『アンロック』を唱え中に入る。
外からは早川の声が、
「フライトスイッチ!オーーーーーーーン!」
二人が出かける事を知ったキュルケは、急いで親友タバサの元へと向かいノックする。扉を開けたタバサはどこかへ出かけるようだ。
「あなた、珍しいわね。虚無の曜日はいつも本を読んでるんじゃなかったの?」
タバサは簡潔に
「ルイズとケンが街に行く。」
「どうしてタバサが?」
「ケンという使い魔気になる。」
「ふーん……そう。ついでに私も乗せてってよ。」
 
 
542日本一の使い魔8話 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/23(火) 19:24:32 ID:z7L3YBBy
ルイズ達は街外れにズバッカーを停め、店を巡っていた。
初めて見る街並みに早川はキョロキョロしていると、懐かしい物が目に入る。
「へぇー。紙芝居なんて、こっちにもあるんだな。」
「何?ケンの所もあったの?」
「ああ、ところでアレは何をやってるんだ?」
「あれは、勇者に助けられる囚われのお姫様の話よ。ケンの所は?」
「そうだな、仮面ライダーV3とか、ジャッカー電撃隊ってヒーロー物だな。」
子供が夢中で紙芝居を見ている。その光景を微笑ましく見ていた。しかし、平穏は破られる。

「おいコラ!どこ見て歩いてんだぁ、人にぶつかっておいて何だその態度。」
バキッ、ドカッと気の弱そうな男をゴロツキが殴る。
「す、すいません。」
「あーあー、骨が折れちゃったかもなー。」
「そ、そ、そんな……」
「あんまりふざけてると俺のボウガンが黙っちゃいねーぞ!」
そういうといかにもと言う見た目のゴロツキは、紙芝居を見ている子供が手にしていたリンゴめがけボウガンを放ち自慢げに顎髭をなでる。
その様子を見ていたルイズは杖を構え
「あのゴロツキ許さない。子供に向かってあんな事して。」
早川は子供の所へ行き怪我が無いかを確かめ、無事であった為安堵する。
その様子にゴロツキは
「なんだてめえ!」
と決まり文句を吐く。
「早川健。お前のようなウジ虫を退治して歩いている男さ。お前さんのボウガンの腕、大したもんだな」
「ハッハッハ、俺よりボウガンを上手く扱える奴なんて、いやしねえ」
「大した腕だが、見た所日本じゃ二番目のボウガン使い。」
早川は指を二本たてる。
「なんだと俺より上手い奴がいるってのか?誰だ!?」
「フッフッフッ、チッチッチッチッチッ」
指を振り、テンガロンハットのつばを上げ自分を指差す。
「なら、やってみろ!」
ゴロツキはボウガンを手渡すが、早川は拒否する。子供の持っているリンゴから
矢を抜きギターを弾く。矢は男の方へ飛び髭を落とす。
「や、やるじゃねぇか。だが、俺に歯向かった事をあの世で後悔するんだな!お前らやっちまえ!」
と言うと、ゴロツキの手下が現れ早川をボコボコにする。
「はっはっは、前にも俺に歯向かった学者だっけか?ブチ殺してやったよ」
ルイズはゴロツキに向かって
「ちょっ、アンタそれ死亡フラグ……」
ルイズに視線を向けたゴロツキが早川を見ると
「い、いねえ!どこ行ったんだ?
543名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:25:14 ID:Brdf7HyI
しーえん
544日本一の使い魔8話 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/23(火) 19:25:55 ID:z7L3YBBy
 
遠くからエンジン音が響く
「フライトスイッチ!オーーーーーーーン!」
ズバッカーが空を飛ぶと、紙芝居屋の親父が歌う。
ベン、ベベンベベン♪ベン、ベベンベベン♪
タタタタータタ♪タタタタータタッターン♪
ズバッカーから飛び立ったズバットは民家の屋根に着地する。

「ハッハッハッハッハッ。」
「ズバッと参上!」紙芝居屋の親父が絵を捲るとズバットの左顔が
「ズバッと解決!」右顔が
「人呼んで、さすらいのヒーローーー!快傑ズバァァァーーット!!」
ズバットの正面が描かれた紙を前後させる親父。
唖然とするゴロツキ達、額に手を当てるルイズ、テンションMAXの子供達。

「善良な市民に暴力を振るい、あまつさえ罪も無い子供に手を出すとは言語道断!」
ズバットは鞭を振るい手下達に天地投げをかます。
逃げようとするゴロツキに飛び降り、ブン殴る。
「お前が殺したと言う学者、飛鳥五郎と言う名前か!?」
「し、しらねえ。」
更にぶん殴る。
「2月2日、飛鳥五郎と言う男を殺したのは、お前かー!?」
「し、しらねえよ。本当だ!」
逃げようとするゴロツキの首に鞭を巻き付け投げ飛ばす。
壁に叩きつけ数回殴る。蹴る。
「嘘をつけー!」
また殴る。
「ほ、本当だ。2月2日俺は魅惑の妖精亭で呑んでた」
「ズバァァーット・アタァーーーーーック!」
雄叫びを上げ高速ひねり前宙をしゴロツキの顔面を蹴り飛ばす。
「飛鳥……お前を殺した男はこいつじゃ無かった」

衛兵が駆けつけると『Z』の文字をモチーフにした赤いマーク、
そして日本語で『この者、暴力殺人犯人!』と書かれたカードが置かれていた。

紙芝居の親父が言う。
「ちびっ子の皆さん。ズバットの真似は絶対にしないで下さい。マネをするととても危険です」
545名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:26:27 ID:dgsXVmf3
ヒーロー物紙芝居、ぜひ見たいので支援w
546日本一の使い魔 ◆HP5Bl9FFh6 :2008/12/23(火) 19:26:52 ID:z7L3YBBy
以上です。お目汚し失礼しました。
また、支援を頂いた皆様ありがとうございます。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:30:48 ID:igbLi4TZ
紙芝居の親父何者だ
548名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:31:30 ID:Brdf7HyI
乙〜
紙芝居屋の親父ワラタ
549名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:33:07 ID:ZI5FPbzL
…もしかしてこの正体不明のヒーロー、周りに誰もいない(見ていない)状況では変身できないのでは…
550名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:36:08 ID:dgsXVmf3
乙です。
紙芝居屋の親父、只者ではないな!
いずれ、ズバット紙芝居をやるに違いないw
551名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:39:22 ID:p7JQCzAe
パズルの人乙
いきなりギトー戦とは珍しい、けど爆発でやられるのは痛快ですなw

そしてラスボスの人乙
「それも私だ」とか「が・・・ま・・・」とかロケットパンチとかニヤニヤさせられまくりんぐwww
残りは二体、ルイズとユーゼスは如何戦うのか、次回も激しく期待
…でもユーゼスの勝ち方が全く思いつかないのはどうしたもんだろうw
552名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 19:43:17 ID:etiro6/h
日本一の人乙
毎回どういう仕掛けをするのか楽しみになってきたw

ラスボスの人も乙
「それも私だ」がワルドからでてくるとはw
553名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 20:06:17 ID:n7eaDfmo
ラスボスの人乙

ワルド=バルタン星人

初代ワルド 「セイメイ、ワカラナイ、セイメイトハナニカ」
二代目ワルド 「さあ、宇宙船の仲間を指揮して地球に出発だ!」
三代目ワルド 「……」

違和感無さ過ぎ。
554名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 20:07:39 ID:9IG9Z84D
日本一乙!!
紙芝居の親父は何者なんだよwwwww
ルイズもだんだんツッコミの才能を出し始めてきたな。
早川に学者の言葉はNGだなwww
555名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 20:09:27 ID:M3q/YWL9
ズバットの人乙です。
前回の遠見の鏡も笑ったけど
今回もツッコミ所のオンパレードで笑ってしまった。

殴る蹴るの暴行を加えた上に
2月2日って。こっちの世界じゃ暦が違うよ早川さんw
556名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 20:11:36 ID:hSvHNVCq
鏡の次は紙芝居かwww
>ズバットの正面が描かれた紙を前後させる親父。
とか紙芝居屋ノリノリすぎ乙w
557名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 20:21:49 ID:igbLi4TZ
しかしラスボスのギーシュはディスタント・クラッシャーか
よもや東方先生も異界の魔法使いのひよっこに自分の技が真似られるとは思いもすまい
558名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 20:29:47 ID:4bXil2eC
発想をもってドットがスクェアを倒すというのは痛快ではあるね。
559名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 20:33:56 ID:8qWCNAor
日本一の人、乙です。
今回も笑わせてもらいましたw

それにしても怪傑ズバット……いったい何者なんだ……
560名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 20:35:04 ID:dbyxfnjg
ふと月光仮面召還されたら変身状態だけ知れ渡ってたりするのだろうか、とか思ってしまった(OP的な意味で)
561名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 20:46:05 ID:WOnVGi6Z
アクアの人乙です。
爆発で吹っ飛ぶのがギトーとは珍しい。
次回にwktk。

ラスボスの人GJ
うおおっ、なんという劇場版。そしてギーシュがワルドに勝つとは…GJ!
次回に超wktk。

ズバットの人GJ!
何者だ紙芝居のオヤジww
次回に超wktk。
562名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 21:13:17 ID:+A1dZtGR
ズバットの人、乙!
>「嘘をつけー!」
ひでえwww 原作のままだけど、やっぱひでえwww

紙芝居屋の親父、何者だ……




>>560
月光仮面のおじさんは、OP的には

「この世の悪に敢然と戦い挑んで去ってゆく」んだぜ。
去らないで戦えと小一時間。
563名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 21:42:29 ID:YQIJacQB
>紙芝居屋の親父

V3なら間違いなく立花藤兵衛なんだが…
ホントに誰なんだかw
564名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 21:49:45 ID:B8g+kCer
>432
亀だが
歩 >ギーシュ ワルド
ワルドは敵陣に最初からいるので【と金】って事で一つ
手駒に戻った後はわりと簡単に倒される辺り歩っぽいなと
あとは>433のイメージ
桂馬はトリッキーな絡め手(裏取引、洗脳)で攻めるキャラを
香車は特攻ウェールズ、鉄砲玉地下水で選んでみた
問題は、これをどうやって料理すれば面白いのか皆目見当がつかない事だw
565名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 21:56:30 ID:W7JDhBXd
ズバットの方乙
後半はジョセフの人形劇と教皇の世界扉が大活躍の予感!
566名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:00:13 ID:WwhY2aI8
なんとかルイズにサングラスを掛けさせたいんだけどなんか題材ねえかなあ
567名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:04:22 ID:igbLi4TZ
>>566
天下一武道会の審判のおっちゃんを召喚
そしてレコンキスタの間者だったワルドの使い魔・天津飯が放つ太陽拳から目を守るためにルイズが咄嗟にとった行動とは!
と言う感じでどう?
568名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:11:10 ID:Ygbitwae
>>566
マダオを召喚するんだ
569名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:12:18 ID:dbyxfnjg
>>566
グラサン"が"使い魔

銀魂よりマダオ召還とか?
570名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:19:40 ID:n7eaDfmo
グラサンが似合う……ジャック・シンドーを召喚とか
571名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:22:07 ID:fXi68Nz+
そして豪州産ウルトラマンが大活躍ですね、わかります
572名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:22:31 ID:Cuf2ND69
名指しがたきものを召喚してシュルズベリィ博士になるんですね、わかります。
573名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:23:33 ID:W7JDhBXd
>>566
理想郷のエリオ召喚でかけてたぞ、原作未来のエリオのオリ娘のデバイスがグラサン型で娘を死なせたルイズが形見にかけてた
574名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:23:35 ID:etiro6/h
戸愚呂弟を呼んでもしょうがないか
575名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:24:11 ID:fVjyy+w6
グラサンが似合うって言うと、ケータイ捜査官7の滝本になってしまうww
…誰か、召喚してくれないかなぁ
576名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:25:38 ID:TSnwhsHg
新八「志村新八。見参!!」
ルイズ「誰?このメガネ?」
577名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:26:20 ID:igbLi4TZ
>>574
弟召喚をやってみようと思ったけど序盤でギーシュが死ぬから止めといた
筋肉操作無しでも人間の頭蓋骨を指ピンで吹っ飛ばせるから・・・
578名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:26:25 ID:vpeE9FLt
なぜムスカ大佐の名前が出ないのかと
579名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:27:47 ID:Y+fRuFvQ
ブラクラのダッチでいいよ
580名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:28:46 ID:CYY7sTTo
>>578
シャア大佐とふたりで2000万ロリコンパワーズだ!!
581名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:31:49 ID:83fU0Xi+
OVAキカイダーのサブローさんが居るだろうが
グラサンといえば初代ハカイダーだろ?
582名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:31:52 ID:TSnwhsHg
銀「新八は、あれだよ、え〜となんだっけ?もういいや。」
新「うぉぉぉぉぉぉ〜い!!何ですか銀さん!いくらなんでもその適当な感じむかつくんですけど。」
神「うるさいアル。だメガネ!」
新「え、ちょっと・・・」
583名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:33:48 ID:HYf4p6hJ
ラスボスの人乙
硫黄だったかが重宝される世界で、爆発物の錬金って高度なんじゃないかとも思ったがまいっかw
584名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:34:03 ID:D6Nbk1mL
>>580
ワルドもいれて3人で6000万炉裏パワーだな
585名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:35:54 ID:iV+mqIa0
そろそろジョインジョイントキィが召喚されてもいいはずだ。
586名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:36:34 ID:83fU0Xi+
>>584
そこでさらにウルトラマンアグルの藤宮を入れて1億2000万炉裏パワーだ!
587名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:36:42 ID:iD76fnrc
>>585
小ネタで召喚されてるよ
588名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:37:42 ID:WwhY2aI8
「アルビオンはかつて天空にあり!世界を支配した、恐怖の帝国だったのだ!」
(レコンキスタから奪還した市街で略奪する兵士たちを見て)「馬鹿どもにはちょうど良い目暗ましだ」
「ここから先は虚無の担い手しか入れない聖域なのだ」
「ははは、見ろ、人がゴミのようだ!」
「目が〜目があ〜〜」

ってルイズが言う話になるわけだ、が…これは……ありだな
589名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:39:11 ID:83fU0Xi+
コルベールの渾身の一撃!!
ムスカは失明した!!


なのか?↑
590名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:40:28 ID:83fU0Xi+
ムスカじゃなくてルイズか
ヘタこいたよ・・・・orz
591名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:41:42 ID:tQ3UehSp
>>585
触られたらビクンビクンです
592名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:41:47 ID:83fU0Xi+
そういえば、だれもルイズに初代騎士ガンダムを召喚させんのは何故だろうか?
ゼロガンダムやら武者ガンダムやら来てるのに
593名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:43:18 ID:TSnwhsHg
銀「しんぱちぃ!! お前は絶対に主人公にはなれないタイプだな。うん。」
新「そ〜やって何で人のことをそう悲観した感じで見てるんですか?」
銀「え〜〜だって、銀さんは、ずっと、おまえのことをメガネで判別してたから。」
神「そ〜アル!新八はメガネじゃないの?」
新「神楽ちゃん。どうして疑問形?しかも語尾、素になってるし・・・」
銀「そ〜ゆ〜こった。だからおまえは、どこかの異世界に飛ばされてもけっして主人公になれないんだよ?」
新「いや、だからどうして疑問形?ぶん殴りますよ。銀さん。」
594名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:44:21 ID:E61+wq73
久々に戻ってきたら「さあう゛んといろいろ」が何処にも見当たらないんだけど消えたり消したりしてないよね?
595名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:46:55 ID:3PEVfGrn
聖マッスルー召喚
596名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:48:21 ID:83fU0Xi+
一発ギャグネタ!!
衝撃!!小島よ○おが召喚されたようです!!


というのは如何だろ?
597名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:48:52 ID:xm2ylwkU
蓬莱と女犯坊の人
どっちの聖マッスルだよ
598名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:51:49 ID:X5iytE19
>>594
某サイトに移転しただけだよ。
599名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:52:58 ID:dbyxfnjg
グラサンの使い魔は既に召還されているんだよな
戦術魔法士レイオット・スタインバーグとかが

グラサンと言うかバイザーだけど劇場版ナデシコのアキトとか
……アキトより北辰召還が見てみたいと思ったのは何故だろう?
事有る毎に問題起したりタバサに対して舌なめずりしたり「ふゥははははッ!例え鎧で身を纏おうとも心の弱さは護れんのだ!!」とか叫んでる姿が自動再生されてしまった

ルイズの髪の色にも反応しそうだよな、ラピスと同じ桃色だし
600名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:53:24 ID:83fU0Xi+
ロックマンXからZEROを召喚
良いお兄さんになりそうだな、というかどっちもツンデレだし
601名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:55:13 ID:Ecd6mR4R
例の星型グラサンでひとつ
602名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:55:46 ID:83fU0Xi+
ターミネーター3の序盤?
603名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:57:48 ID:VsX3AqE0
>>599
たぶんあの蜥蜴男が反応すんのは髪じゃなくて金目だと思うぞ
炉利じゃなくて妖精フェチみたいな、クルーゾー中尉みたいな
604名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 22:59:01 ID:etiro6/h
グラサンで思い出したがフェイスレス司令
フランシーヌのいない世界なんてどうでもいいんだよーんとゾナハ病ばらまき
605名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:03:26 ID:rF9XozXV
>>604
エレオノールに凄過ぎる違いがww
606名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:07:06 ID:CYY7sTTo
>>604
本編終了後ならルイズの良いお兄さんになれそうだが………
コルベールは白金のもたらす技術に狂喜しそうだな。
607名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:08:13 ID:470dbeUC
グラサンと聞いて最速の兄貴が浮かんだ。
既に召喚されてますがw
608名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:10:37 ID:TSnwhsHg
銀「さあ新八!突っ込め。」
新「どんだけぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
神「次、誰が召喚されるアルカ?」
新「どんだけぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
銀「そればっかりは銀さんにもわからないからな。」
新「どんだけぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
神「そうアルカ。じゃあ次マダオが召喚されてもアルカ?」
銀「いや、それはないと思う。」
新「どんだけぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
マダオ「え、それちょっとひどくない?俺、一日一日必死で生き抜いてるのに!」
銀「え、だってお前、何おまえ、飛ばされても平気なの?」
マダオ「おうよ!!俺の生きざまを見せてやろうか?」
神「え〜〜嫌アル!マダオの生きざまなんてどうせろくでもないアルから。」
新「どんだけぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
マダオ「う、うるせぇ!お、お前らよりは人生まっとうに生きてるぞ俺は。」
銀「ゴミを漁ることをか?」
マダオ「そうだ。それは俺の唯一心安らげる時か、て違げぇ〜〜〜〜よ!いくらなんでもそこまでやってねえぞ。」
新「僕に突っ込めって言っといて無視ですか。銀さん。」
神「あ。いたんアルカ、新八。」
銀「今まで、気がつかなったぜ。」
新「みんな、八つ裂きにしますよ。」
609名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:12:40 ID:etiro6/h
>>606
いや、絶対また良からぬこと企むよw
白金も自分を溶かして死のうと思ってた時は色々悟ってた感じなのに
何か思いついたらディーンになってあんなだし
610名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:13:10 ID:m3oYkRGo
>>600
ゼロに限らず、ロックマンXの世界は基本的にロボットが人間を傷つけられないから
二巻以降の展開に大幅な修正が必要とされるだろうな
611名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:13:54 ID:HYf4p6hJ
書いてみたんだが一話なのに50KB近いんだよね。これって多いのかな。
あ、投下予告ではないから投下する人は気にせずどうぞ。
612名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:18:07 ID:83fU0Xi+
>>610
ロクゼロは4終了後ならイレギュラーと判断した人間は殺せると思うぞ?
バイルも体はああだが一応人間の分類に入るしな

無印のロックマンが苦悩の末ワイリーを殺害してしまった未来から
ロックマンをルイズが召喚するという電波を受信した
戦うことを頑なに拒むロックをどうするかになるかね?
613名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:18:45 ID:DWmIz3P4
>>610
イレギュラー状態のZEROを召喚すればOK。
タルブにはワイリーマシーンがあったりします。
シエスタはWの子孫。
614名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:20:59 ID:esdfMbQC
>>610
オールドロボットのエックスとゼロとか、イレギュラーだと出来るんじゃね?
オールドでも無理ならゼロウイルス覚醒ZERO召喚とか…チートでカオス過ぎるな
23:30から投下します。

>>611
その分量だと、wikiに登録される時、確実に1ページじゃ収まらないから、前後編に分ける方が無難ですね。
616名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:21:15 ID:470dbeUC
スクールデイズから伊藤まk(以下略)を召喚とか…もちろんルーンの場所は胸で。
617名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:21:45 ID:83fU0Xi+
むしろEXE版のフォルテ召喚した方があっさりしてるか?
人間に恨みを抱いている奴だし
まあ確実にルイズの言うことは聞かんと思うけど
618名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:22:35 ID:esdfMbQC
他のスレで保守ageしたからageのままだった…('A`)ゴメン
619名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:23:22 ID:83fU0Xi+
エックスも最終的には人を殺しかねん鬱ぽっさをかもし出してるからねぇ
ゼロは元々から戦闘用だし
アクセルは如何だか分からんけど
620名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:24:32 ID:SUFgMlIn
>>614
オールドにロボット3原則って適用されてるのかな?
621名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:24:35 ID:HYf4p6hJ
>>615
なるほど、助言に感謝。そして支援。
622名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:25:54 ID:SUFgMlIn
とかいて思ったんだが、元々ワイリーナンバーズのゼロなら3原則とか関係ないか?
623名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:26:40 ID:83fU0Xi+
>>620
基本はそうだけど違法改造とか
そういうのを考慮してないタイプのロボットは三原則はないらしい
ロックマンも戦いの合間合間で何度かワイリーを撃ち殺そうとした時もあった
624名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:27:46 ID:83fU0Xi+
本来のゼロならともかくイレギュラーハンターとしてのゼロの場合は
三原則に”従ってる”感じだと思うよ?
625名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:29:21 ID:esdfMbQC
>>620
確かエックスは悩んだ結果次第では3原則破るぜ、みたいな設定だったかと

たぶんアクセルは新世代型なだけでレプリロイドだから無理じゃないだろうか




            未来の大魔女候補2人 〜Judy & Louise〜

            第12話‐中編‐ 『ジュディと宝の地図』




 ルイズが魔法学院を発ってから数時間が経った。
 けれど、彼女の姿が見えない事を気にする者は殆どおらず、日常は滞りなく過ぎていく。
 暖かな日差しが降り注ぎ、朝露に濡れていた庭は既に乾き、穏やかに吹く風が草木を優しく揺らす。
 時刻は昼。学院の生徒とその使い魔達の食事時間だ。
 火と風の塔の間にある中庭、ヴェストリの広場では、使い魔達が与えられた餌を食べていた。
 既に食事を終えているモノから、まだ食べているモノまで様々だ。
 使い魔達が思い思いに屯する中庭の片隅で、サイトは如雨露を片手に樹に水やりをしていた。
 サイトはさぼっているわけではなく、この水やりも彼の仕事の一つである。如雨露に入っている水はただの水ではなく、液体の肥料を混ぜ合わした特別製だ。

「ああ、平和だ。何時までもこんな時間が続けばいいのに……」
「まったくだぁねぇ」

 気の抜けた独り言に相槌を打つのは、すっかりサイトの背中が定位置となったデルフリンガーであった。
 丈夫な革製のベルトで吊るされた鞘に収められたデルフリンガーは、少しだけ刀身を覗かせている。完全に鞘に仕舞われると、話すことが出来ないからだ。

「このまま時間が止まればいいのに。そうしたら借金も帳消し……」
「現実逃避はいけねぇなぁ坊主。しっかり耳を揃えて、あの貴族の娘っ子に叩き返すとか言ってたじゃねぇか」
「それもこれも全部お前のせいだ」

 忌々しげにサイトは、背中のデルフリンガーをジト目で見る。

「理不尽なこと言ってんじゃねぇよ。テメェが俺を買ったんだろうが」
「いいじゃねぇか愚痴ぐらい……
 せっかくの貯金がパーだ。しかも、再来月の給料が入らないと足んねぇ」
「いいじゃねぇか、そのお陰で俺っちと会えたんだからよぅ」
「気持ち悪い事言うなよ。縁起でもない」
「つれないねぇ。剣の師匠に向かってなんて口のきき方だい」
「剣に剣術を教わるなんて、ヘンテコな話だ。全く……」

 サイトはブツブツと愚痴を零す。
 高慢ちきな貴族の少女に借金をしているのも、剣術の師匠が剣だということも、何もかもがサイトは気に食わない。
 そもそも、こんな所にいる事自体が気に食わないのだ。だがそれは、周りの人々や環境が気に入らないという意味ではない。
 上司であるマルトーは厳しい人だが、それは面倒見の良さの表れであるし、同僚たちとも上手くやっていけている。それに何より、シエスタが可愛い。
 確かに貴族の傲慢さや気位の高さには辟易しているサイトだが、全員がそうではない事を知っている。
 自分にこの仕事を紹介してくれたロングビルは、元がつくとはいえ貴族であるし、変わり者だが自分を1人の人間として扱ってくれるコルベールは尊敬の念を抱いている。探せば生徒の中にも、そういう変わり種はいるだろう。
 聞いた話でしかないが、平民を家畜か何かと同じように扱う貴族など、珍しくないのだそうだ。
 それを考えると、自分は比較的恵まれた環境にいるのだと、サイトは漠然と感じていた。不満はあっても、文句など言えるはずもない。
 ならば、何が気に食わないのかというと、居るはずのない場所にいるという現実、そして、もがいても足掻いてもどうにもならない歯がゆい現状にサイトは苛立っているのだ。
 気がつくと、如雨露の中は空っぽになっていた。サイトの前の地面には、小さな水たまりが出来ている。
 無駄口を叩いていた所為で、全て同じ所に撒いてしまったようだ。これでは水撒きになっていない。デルフリンガーが咎めるように金具を鳴らす。

「ほらみろ。ぶつくさ言ってるからだ」
「あちゃー、やっちまった……」

 サイトは顔に手を当ててぼやく。ただでさえ仕事は多いのに、増やしていては世話はない。
 どうしようかと考え、とりあえず爪先で水溜りを広げていると、背後から元気の良い声が聞こえてきた。

「サイトく〜ん! 向こうの使い魔さんたちに、ご飯あげてきたよ!」
627名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:31:06 ID:rF9XozXV
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 サイトが振り向くと、桶を引きずるようにしてジュディが駆け寄ってくるのが見えた。
 ジュディはサイトの傍まで来ると、桶の中身を見せて空だという事を証明する。

「ああ、ありがとう。おかげで助かったよ。けど、大変じゃなかったか?」
「ううん、ダイジョウブ。使い魔さんたち、みんないい子だから平気だよ」
「そっか……
 じゃあ、何で俺の時だけ突撃してくるんだか」
「好かれてるんだよ、きっと」
「んなわけないと思うけどな……」

 自分が餌やりをした時の光景を思い出し、サイトは身震いをした。
 餌桶に一斉に群がる使い魔達。餌を取り合い、サイトを巻き込む使い魔達。
 後に残るのは、食い荒らされ、散乱した餌と空っぽの餌桶、ついでにボロ雑巾となり果てたサイト。それらは、サイトにとって軽いトラウマだ。
 しかも最近では、サイト=餌の図式が成り立っているようで、サイトの姿を見るや否や突撃をしてくるモノまでいる始末だ。
 そんな訳だから、サイトは出来るだけ餌やりはしたくないというのが本音である。
 しかし、使用人の中でも下っ端のサイトには拒否権などあるはずもなく、ジュディが手伝ってくれる時ぐらいしか餌やりを免れる事はないのであった。

「それにしても、変わった樹ね。顔がついてるよ?」
「ああ、何時からあるのか知らないけど、親方が言うには学院の守り神みたいなもんなんだってさ。
 ……にしても、冴えねぇ顔してんな。まるで埴輪みたいだ。 ……土偶か?」

 2人は揃って、目前の樹を見上げた。
 その樹には、3つの幹がある。それらの幹は上部で融合しており、例えるならば、逆さまにした玉ねぎが3つの支柱で支えられているようだ。
 3つの幹に支えられて、宙ぶらりんになっている部分は大きく肥大化し、顔のような模様がある。
 しかもその下には、ご丁寧にも小さな手足がついている様に見え、生い茂っている長く大きな葉っぱは、まるで髪の毛のようだ。

「ハニワ? ドグウ?」
「まあ、気にするだけ無駄か。ファンタジーだし」

 オウム返しに訊ねるジュディを無視して、サイトは自己完結で納得する。
 何のことか分からないジュディは不満顔だが、サイトは全く気にしていないようだ。
 自分勝手なサイトを見て、ジュディはムッとした顔になる。

「もうっ! 無視してないでちゃんと答えてよ!」
「ああ、ごめんごめん。
 えー、埴輪も土偶も土を固めて出来た人形で、あー、俺が生まれた国で大昔に作られた物だな。
 なにが違うんだっけな? ……まあ、いっか」

 サイトは、なけなしの知識で何とか説明を捻りだす。
 彼自身、自分の説明に自信が持てなかったが、そう間違ってはいないはずだと考え、それ以上の思考は捨て置く。

「サイト君が生まれた所ってどんな所?
 前から思ってたんだけど、なんだか他の人とは少し感じが違うよね?」
「あーっと…… 言っていいのかな?」

 故郷に興味を示すジュディを見て、サイトはどうしようかと考える。
 別段隠す必要はないのだが、信じてもらえるかは疑問であった。
 話したところで、『あり得ない』と一笑に付されるのは想像に難くない。それに、サイト自身も未だに信じ切れていないので、話すのは少し躊躇ってしまう。

「言いにくい事だったら、聞かないよ?」
「……いや、いいよ。話す。
 1人で悩んでるのも馬鹿らしいし、聞いてくれるとありがたいかな」

 サイトは苦笑いを浮かべた。
 年下の女の子に気を遣われるなど、情けないにもほどがある。
 胸の奥に溜まった鬱屈とした空気を吐き出してから背筋を伸ばすと、サイトはジュディの瞳を覗き込む。
 その真剣な様子につられて、ジュディも神妙な顔で畏まる。
「実は俺、いせ……」
「あー! いたいた! こんな所に居たのね、ジュディ」

 意を決して話し始めようとした矢先、後ろからの大声で中断された。ジュディの視線がサイトから外される。
 出鼻を挫かれたサイトは、ノロノロとした動きでジュディの視線を追う。
 その視線の先には、胸元を大きく開けた背の高い赤毛の美女と、自分の身長程もある長い杖を携えた小柄な蒼髪の少女という、ちぐはぐな2人組が居た。
 赤毛の美女がジュディに向かって手を振っている。褐色の肌が陽の光に映え、少女とは思えない色香が滲み出ていた。

「昨日は悪かったわね、追い返しちゃって。タバサの所に泊ったんだって?」
「うん、タバサさん。昨日はありがとう。断られたらどうしようかと思ってたから、すごく助かったよ」
「大したことはない」

 3人は、サイトの存在など気にも留めずに談笑を始た。ジュディですら、意識の隅に追いやっているようだ。
 一抹の寂しさを感じるが、サイトは指を咥えて見ているしかない。とりあえず、デルフリンガーを鞘に収める。

「ううん、ちゃんとお礼は言わなくちゃ。それに、本も貸してもらったしね」
「本? 何を借りたの?」
「イーヴァルディの勇者っていう本よ。
 タバサさんの部屋って本がいっぱいあるんだよ。わたし、ビックリしちゃった」

 ジュディは楽しげに昨晩の出来事を話している。話から察するに、タバサと呼ばれた少女の部屋は、色気のあるモノではないようだ。
 その姦しい様子をぼんやりと眺めながら、サイトは如何しようかと考える。別段彼は、相手が貴族だから物怖じしているという訳ではない。
 貴族とか平民とかいう以前に、女の子の会話に割って入る度胸など、サイトは持ち合わせていないのだ。空気が読めないだとか、お調子者だとか言われる彼でも、躊躇うことだってある。
 サイトに出来る事といえば、話に耳を欹てることくらいしかない。

「ああ、なるほど。手軽に読めるから、ジュディにはピッタリかしらね。
 でも意外ね? そんな本を持ってるなんて。てっきり、硬い内容の本ばかり読んでるものだと思ってたわ」
「気まぐれで持っていただけ。別に返さなくても良い……」

 タバサと呼ばれた蒼髪の少女が、素っ気なく簡素に答える。
 その淡々とした口調と、全く変わらない表情とで、まるで人形の様だとサイトは感じた。
 だが、キュルケは気にしていないようである。

「早くに食堂を抜け出したと思ったら、こんな所で何してたの?」

 キュルケの言う通り、ジュディは昼休みになって直ぐにサイトの元へとやって来て、使い魔たちへの餌やりを買って出たのである。
 そのお陰でサイトの仕事は幾分楽になったが、ジュディにしてみれば昼休みを潰す行為だという事にハタと気がついた。
 チラリと横目でジュディを見やるが、彼女はそんな事は気にしていないようで、溌溂とした笑顔を見せている。もっとも、ジュディ自らが進んでやったことなので、負い目を感じる必要などないのだが。

「えっとね、サイト君のお手伝い。使い魔さん達にご飯あげてたの」

 そう言うと、ジュディがサイトに向き直る。それにつられて、自然と2人の視線もサイトへと集まり、彼は軽く会釈した。
 美少女2人に見つめられ、サイトは少しむず痒く感じる。何か言うべきなのだが、なにも思い浮かばず、無難に「どうも……」と言う。
 キュルケは今気がついたと言う様に、軽く口元を押さえながらキョトンとした表情を浮かべているが、タバサには反応らしい反応は見られない。
 しかし、それも束の間。さして興味も引かれなかったようで、直ぐに視線はジュディの方へと向き直った。
 視線が外され、サイトは少しだけホッとしたが、直ぐに自己嫌悪に陥る。

『何が「どうも……」だ。俺のアホ!
 もう少し気の利いた事でも言えば良いのに、「どうも……」だってよ! 無個性にもほどがあるっつーの!』

 頭を掻き毟りながら身悶えるサイトを無視して、3人は続ける。見て見ぬふりというのも、時には気遣いとなるのだ。

「ふーん、物好きねぇ。それはそうと、ルイズ知らない? 朝から見てないのよね」
「わたしも何処に行ったのか知らないんだけど、朝、部屋に戻ったらこんなのが置いてあったの」

 キュルケは話題を打ち切ると、キョロキョロと辺りを見まわしながらジュディに訊ねる。
 だが、キュルケの期待とは裏腹に、ジュディは首を横に振ると、ポケットから1枚の紙切れを取り出した。4つ折りの便箋のようだ。
 それをキュルケに手渡す。
「ん? どれどれ……」

 キュルケは便箋を開くと、そこに書いてある文字を読み上げる。

「『旅に出ます、探さないで下さい。1週間ほどで帰ると思います。心配しないで下さい。追伸:誰にも言わないでね』
 ……なによこれ? 置き手紙?」

 読み終えると、キュルケは軽く眉を顰めて怪訝な顔をする。ジュディも困り顔で頷く。

「そうなの。ドコに行っちゃったのかしら?」
「この事、誰かに話した?」
「うん。学院長先生に話したら、外出届は出てるから心配する必要はないって言われたの……」

 ジュディは心配げに肩を落として暗い顔をしている。

「大丈夫だって、子供じゃないんだから一々心配する事ないわ。ルイズも心配するなって言ってるし、大した事ないわよ。きっと」
「……うん」

 一応は頷いたものの、納得は出来ていない様子だ。
 益々肩を落としてしまったジュディを見て、如何にかしようと思うサイトであったが、どんな言葉を掛けたらよいのか分からず、手を拱く。
 場にいる者は誰もが押し黙り、沈黙が下りる。

「あっ! そ、そうだわ! ほら、これ!」

 何かを思い出し、キュルケが慌てて懐を弄り羊皮紙の束を取り出した。
 その中の1つをジュディの目の前で広げてみせる。

「ほら、これでも見て元気を出しなさいな。昨日、追い返したお詫びよ」

 キュルケは多少強引に、その羊皮紙をしょんぼりと項垂れるジュディの手に持たせた。
 ジュディはボンヤリとした目でそれを眺め、サイトは横手から覗き見をする。

「なんだこれ?」

 ジュディの代わりにサイトが頓狂な声を上げる。その羊皮紙には、簡略的な地形が書かれていた。
 一見すると唯の地図のようだが、お世辞にも精度が良いとは言えない。
 素人が引いたとしか思えない線は歪で、縮尺も合っているとは思えず、地形の名前も極めて抽象的なモノであった。
 キュルケは勿体つけるように軽く笑う。

「聞いて驚きなさい。それはね、宝の地図よ」

 それを聞くと、サイトは食い入るようにして、改めて地図を覗きこんだ。

「マジ!」
「……宝の、地図?」
「ふふん。そう、宝の地図なのよ!」

 多少なりとも興味を示したジュディを見て、キュルケは得意げに胸を反らして笑う。
 眼を皿のようにしてサイトがその地図を眺めると、所々に何かを示す記号が描かれているのが見て取れた。
 矢印や謎の動物の絵、そして宝箱が描かれている。
 なるほど、確かにキュルケの言うとおり、これは宝の地図なのだろう。
 しかし、サイトには気になる点が1つあった。それは、宝箱の横に添えられたドクロマークである。この存在が、この地図を数段胡散臭く見せている。
 10人が見れば10人とも、この地図は偽物だと答えるだろう。
 期待していたサイトだが、一転して、さも胡散臭そうな目をキュルケに向け、地図を指差して訊ねる。

「これ、本物?」
「失礼ね、貴方。きっと本物よ」
「きっと?」
 歯切れの悪い不確かな物言いに、サイトは益々疑念を深める。
 だが、キュルケは悪びれなく肩を竦めると、ジュディの手から地図を取り上げた。そして、まだ開かれていない地図と合わせて説明を始める。

「これらの地図はね、あたしが魔法屋や雑貨屋を回って掻き集めてきたものなのよ」
「はぁ…… 滅茶苦茶怪しいじゃん。どうせ偽物なんじゃないの?」
「そりゃね、この殆どはクズでしょうけどね、もしかしたら本物があるかもしれないじゃない。
 そう言う訳だからジュディ、宝探しに行かない?」

 否定的な意見のサイトに口を尖らせて反論してから、キュルケはクルリとジュディに向き直った。
 急な提案に、ジュディは目をパチクリさせる。

「宝探しに……?」
「どう、一攫千金を目指してみない? それにきっと、後々お金が必要になってくるわよ?」
「どうして?」

 思い当たる節がないのか、ジュディは小首を傾げて聞き返す。
 するとキュルケは、ジュディに顔を近づけると、息を潜めてヒソヒソと小声で囁くように続ける。とは言っても、間近にいるサイトには丸聞こえなのだが。

「……ジュディが何処から来たのかあたしには分からないけど、東方の向こう側だっていう話じゃない。だったらきっとお金は必要になるわね。
 学院長が助けてくれるとは言っても、おんぶに抱っこじゃ居心地悪いでしょう?
 その為にも、宝探しに行かない? 本当は、ルイズも誘うつもりだったけど、居ないならしょうがないわね」
「……うん。でも、授業があるんじゃないの?」
「大丈夫、大丈夫。少しぐらいどうにでもなるわよ。それに、ジュディに必要なことだって言ったら、二つ返事で許可してくれるって」

 ジュディの心配を、キュルケは陽気に笑い飛ばす。宝探しに行くのは、彼女の中では既に決定事項のようだ。
 しかし、それでもジュディは浮かない顔でルイズの心配をする。

「……そうかな? でも、行ってる途中でルイズさんが帰ってきたらどうしよう」
「んもう。そんなの気にする必要はないわ。ルイズだって勝手に出て行ったんだから、少しぐらい心配させてやりましょ」
「う〜ん……」
「ああもうっ! 急用だか何だか知らないけど、構うことなんてないわよ!
 そうでしょう? ルイズが好き勝手にやってるなら、ジュディも好き勝手して気を揉む必要なんてないわ!」

 煮え切らない態度のジュディにヤキモキしながらも、キュルケはジュディに発破をかける。
 口を挟もうかとも思ったサイトだが、横を見るとタバサが本を広げて事が済むのを待っているのが目に入った。気になる事もあるが、今は下手に口出しをしない方が無難なようだ。
 1つ溜息を吐くと、サイトはタバサに倣って事なかれ主義で行こうと決めた。気になることはあるが、それは後でいいだろう。
 悩むジュディに対し、強気の態度で押し通そうとするキュルケという構図を、傍に寄ってきた大型ネズミの背中を撫でながらサイトは見守る。

「宝探し…… それは、男のロマン。そうは思わないかね、君?」
「あん?」
「…………」

 唐突に聞こえてきた場違いな声に怪訝な顔つきでサイトが振り向くと、薔薇の花を口に咥えた金髪の少年が妙ちきりんなポーズを決めていた。タバサは振り向きもせず、だんまりを決め込んでいる。
 少年はサイトが振り向いたのを見計らい、フッと鼻で軽く笑うと、白い歯をこれ見よがしに光らせる。
 見る見るうちに気が萎えていくのを感じるサイトだが、その少年に見覚えがある事に気がついた。どうにかして記憶を掘り起こす。

「たしか…… 二股掛けてたヤツだったよな?」
「っぐ…… それは忘れてくれ」

 2人の少女を毒牙にかけていた少年だという事を、サイトは思い出した。
 痛いところを突かれたのか、少年は言葉を詰まらせるが、ポーズは崩さない。
 そんな事には頓着せずに、サイトは少年の名前を記憶の中から捻りだす。

「確か名前は…… ギュウニュウ・ト・グラタン、だっけ?」
「ギーシュ! ギーシュ・ド・グラモンだ! 貴族の名前を間違えるなど、失敬だな君は」

 ギーシュと名乗った少年は、咥えていた薔薇を手に取ると、それをサイトの鼻先に突きつけながら叫ぶ。
 突きつけられた薔薇を片手で逸らし、サイトは臆すことなく言い返す。
 彼の中にある少年のイメージは、ワイン塗れでみっともなく気絶している姿で固定されているので、恐怖など抱くはずもない。
632名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/23(火) 23:40:52 ID:HYf4p6hJ
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「んで、その二股貴族様が何の用だよ?」
「違うと言ってるだろう! 大体僕はモンモランシー一筋で、ケティとの関係はもう解消した!」
「はーん…… あっそ。で、宝探しが何だって?」
「ぅん、むぅ……?」

 力強くそう言い放つギーシュに冷めた視線を向けながら、サイトはおざなりに聞き返す。
 全く動じないサイトを見て、逆にギーシュが鼻白んでしまい、言葉を詰まらせた。
 サイトは相手がひるんだのを見計らい、追い払うように手を振る。

「用がないんならあっちけよ、こっちは忙しいんだから」
「ぬあっ! なんだその無礼な態度は!
 温厚な僕だから許してやるが、他の奴なら手打ちになってるぞ! もう少し態度を改めたまえ!」

 ギーシュは顔を真っ赤にして憤り、体を震わせる。
 しかし、サイトはどこ吹く風で、鼻を摺り寄せてくる大型鼠とじゃれ合う。

「なんだよお前? まだ餌が欲しいのかよ。この、いやしんぼめ」
「聞きたまえっ!」
「ああもうっ、ごちゃごちゃと五月蝿いっ!」

 無視するサイトに憤慨し、大声で叫ぶギーシュだが、それは更なる怒声でかき消された。
 見ると、腕組みをしたキュルケが苛立った眼つきでギーシュを射竦めている。どうやら、ジュディとの話は一段落したようだ。
 ジュディはどこか釈然としない顔をしているが、何も言わずにそっとキュルケの傍を離れると、タバサの横にしゃがみ込む。サイトもとばっちりを受けないよう、そちらへと向かう。
 怒り心頭のギーシュであったが、キュルケの剣幕を目の当たりにすると、借りてきた猫のように大人しくなった。
 キュルケはギーシュに人差し指をつきつけると、丁寧な物腰で問いかける。よく見ると、目には物騒な光が宿っており、それに気づいたサイトは口をつぐんで無関係を装う。

「ねえ、ギーシュ? 今は大切な話をしているの。お願いだから、騒ぐのは余所でやってくれないかしら?」
「い、いや僕はあの使用人に……」
「ね え、聞 こ え な か っ た の ?」

 反論しようとするギーシュに、キュルケは底冷えする様な冷たい声で凄む。
 気押されるギーシュだが、なんとか踏みとどまり必死に説得を試みるのだが、完全に腰が引けている。
 その姿を情けないと思いつつも、関わり合いになりたくないサイトは、ただ傍観するのみだ。そもそも、手を差し伸べる道理など無いので薄情というなかれ。

「ええと、そうじゃなくて…… そう! 宝探し、宝探しなんていう言葉が聞こえてきたもんだから、気になってね」
「なに? 貴方、宝探しに興味があるの?」
「はい! あります! 男のロマンです!」
「へえ……」

 キュルケは視線を柔らかくすると、値踏みするような目つきでギーシュを見つめる。
 その間、ギーシュは冷や汗を垂らして、直立不動の姿勢で微動だにしない。
 張りつめた空気に、サイトも自然と唾を呑みこみ成り行きを見守る。
 顎に手を当てて黙考していたキュルケは、何かを思いつき、表情を綻ばせて意地悪そうな笑みを浮かべた。
 ギーシュの顔色が一気に悪くなる。

「ふふ、なに固くなってるの? 気楽にいきましょうよ?」
「あ、ああ……」

 キュルケは親しげにギーシュの肩を軽く叩く。
 肩すかしを食らったギーシュは、拍子抜けをした表情でぎこちなく頷いた。冷や汗が伝った跡が、彼の体験した恐怖を生々しく伝えている。

「そうよねー 宝探しといったら普通はワクワクするものよねー」
「そうさ! 男なら宝探しにロマンを感じざるを得ない!」

 拳を固く握りしめて、ギーシュはそう力説する。先程までの態度が嘘のようだ。サイトは呆れを通り越して感心してしまう。
 キュルケはウンウンと頷くと、笑みを崩さないままクルリとジュディに向き直った。そして、その笑顔のままに告げる。
「ほら、普通は心わき踊るものよ。難しいことは考えないで、宝探しを楽しみましょ?
 それに、学院の中に閉じこもってても、手掛かりなんて見つかりっこないんだしさ。ね、行きましょ?」
「う、うん……」
「よっし!」

 躊躇いがちに頷くジュディを見て、キュルケがガッツポーズを取る。
 体の好い出汁にされたギーシュは、釈然としない顔をしていたが、ジュディの存在に気がつくと軽く片眉を吊り上げた。

「おや? 確か君は……」

 ジュディを見て何か思う所があったのか、ギーシュは佇まいを整えると、芝居がかった仕草でお辞儀をする。

「はじめまして、小さなレディ。僕の名前はギーシュ・ド・グラモン。以後お見知り置きを……」

 そして、ごく自然な仕草で薔薇の造花を差し出す。だが、ジュディはポカンとした顔で、ギーシュの顔と薔薇の造花とを交互に見つめるのみだ。
 同じ様に、サイトとキュルケは冷やかな視線をギーシュへと注ぐ。この出来事に、さすがのタバサも本から顔を上げると、ギーシュを凝視する。

「ギーシュ…… アンタ、女の子なら誰でも良いの?」
「流石に引くわー」
「ロリ、コン……?」

 キュルケはジュディを背中に庇い、サイトは顔を顰めて仰け反り、何かを確かめるようにタバサは指差して呟く。

「ちがぁーーうっ!」

 ギーシュは声を張り上げて否定するが、疑いの目は消えない。

「ただ僕はね! その子が学院長のお孫さんだと聞いたから礼を尽くしたからであって! そんな、下心なんて、一っ欠片もないんだよぉうっ!」
「学院長の孫ぉ? そんなこと誰が言ったのよ? 馬鹿らしい」
「学院長先生は、わたしのオジイチャンじゃないよ?」

 ギーシュの言に、キュルケは怪訝な顔で眉根を寄せ、ジュディは小首を傾げる。
 それを聞くと、顔を真っ赤にしていたギーシュはキョトンとした顔になり、目を泳がせた後、バツの悪さを誤魔化すように咳払いをした。

「なんだ違うのか。まあ、噂なんて当てにならないよな……
 他にも、東方から来たとか、ミスタ・コルベールの隠し子だとか言われてるけど、流石に胡散臭いよな。
 それはともかく、今後ともよろしく」
「…………」

 肩を竦めてあっさりと納得すると、ギーシュはジュディに手を差し出した。
 その隣では、何故かキュルケが言い表しようのない複雑な表情をしている。

「うん、わたしジュディ。ヨロシクネ、ギーシュ君」

 ジュディは差し出された手を握ると、にっこりと微笑んだ。穏やかな空気が場に満ちる。
 丁度その時、午後の授業が始まる予鈴が響いた。キュルケは軽く本塔を見上げる。

「あら、もうこんな時間? ならこれで解散ね。詳しい話は夕方にでもしましょうか」
「あ、あのさっ」

 これで話しは終わりだと言うように手を打ち合わせるキュルケに、サイトは慌てて待ったをかけた。どうしても言いたい事があったからだ。

「……なに?」

 キュルケは、一瞬眉をひそめてから聞き返す。
 その仕草には、軽い拒絶が含まれていたが、サイトは物おじせずに口を開いた。

「宝探しなんだけど、俺も連れて行ってくれない?」
 サイトには目的がある。借金を返すことも重要だが、それは目的への通過点でしかない。
 そして、その目的のためには金がいる。そのため、今のサイトは貪欲であった。
 宝の地図が本物だと信じているわけではないが、小銭でも稼げれば恩の字だ。それに、気になる事もある。

「おいおい、何を言っているのかね?
 そんな事をしたら、分けま…… ゲフンッ
 平民なんて足手纏いになるだけなんだから、連れて行けるわけがないだろう?」

 当然、ギーシュはいい顔はせず、にべもなく突っぱねる。

「……いいわよ」
「やった!」
「ほら、キュルケも駄目だっ…… って、なにぃ!?
 正気かい? こんな礼儀も知らないような平民を連れていくなんて!」

 あっさりと許可を下したキュルケに、ギーシュは大げさに驚き、目を剥いて正気を疑う。

「いいじゃない、雑用ぐらいには役に立つわよ。
 それともギーシュ、貴方がする? まさか、レディに雑用なんてさせないわよね?」
「まあ、そう言う事なら連れて行ってもいいが……」

 事も無げにそう言い放つキュルケに気押されて、ギーシュは渋々と頷くが、サイトに釘を刺しておくことは忘れない。

「せいぜい足を引っ張らないことだな、平民君」
「平民なんて呼ぶんじゃねぇ。俺には平賀サイトっていう名前があるんだ」

 平民と呼ばれて、サイトはムッとした顔になる。

「ヒラガサイト? 変な名前だな?」

 ギーシュはサイトの名を繰り返し呟くと、不思議な顔をする。名前の響きが珍しいようだ。

「続けて呼ぶんじゃねぇよ。サイトが名前だ」

 生意気な口をきくサイトが癇に障ったようで、ギーシュは眉間に皺を寄せて睨みつける。
 それに負けじと、サイトも挑戦的な目つきで睨み返す。空気が張りつめ、一触即発の雰囲気が辺りに満ちる。

「はいはい、お喋りはそこまでよ。さっさと外出許可を貰いに行きましょ」

 だが、キュルケは手を打ち鳴らしてその空気を払う。そして、宥めるようにギーシュの肩に軽く手を置いた。

「はあ? 授業はどうするんだよ! 無断欠席なんて……
 って、痛い痛い! ちょっ、やめっ! 肩がっ! 骨がっ!」

 ギーシュの意見を黙殺すると、キュルケはジュディに視線をやり、気軽な口調で言い放つ。

「ジュディのも貰ってきてあげるから、ジュディは授業に出てなさい。さぼっちゃダメよ?」

 そう言うと、キュルケはギーシュの奥襟を掴み踵を返して去っていく。
 ふと気になり、サイトが横目で隣りを見やると、そこに居たはずのタバサの姿はなくなっていた。
 視線を戻すと、何時の間にかキュルケの隣を足音も立てずに歩いている。

「こ、こらっ、聞きたまえ。後、引きずるのも止めてくれ!」

 ギーシュの必死の懇願は、聞き届けられることない。そのままキュルケに引きずられていく。
 その3人の背中を見送ると、中庭にはサイトとジュディだけが取り残された。
 嵐が過ぎ去ったあとの様に、場には奇妙な沈黙が下り、口を開くのが躊躇われる。
 何となく気まずい雰囲気を感じながらも、サイトはジュディに話しかけた。
 
「あっと…… なあジュディ? 時間がある時でいいから、また今度話さないか?」
「いいけど、どうしたの?」

 改まった態度でそんな事を言うサイトを、ジュディは不思議そうな顔で見つめる。
 気まずいと感じたのは、どうやら自分だけだったようだ。とたんに、サイトは気恥ずかしくなり、鼻の頭を掻きながら言い直す。

「いや、その…… 今日はいろいろ邪魔が入って話せなかったけど、俺が来た所の事を聞いてほしいんだ。
 それに……」

 サイトが先を続けようとした瞬間、再び鐘が鳴った。午後の授業の開始を告げる鐘だ。
 
「あっ…… ゴメンネ、サイト君。わたしも、もう行かなきゃ」
「あ、ああ。いや、お礼を言うのはこっちだよ。手伝ってくれて、あんがと」
「うん、じゃあね!」

 サイトは引き留めては悪いと判断し、お礼を言ってからジュディを送り出す。
 ジュディは元気良く返事をしてから手を振ると、そのまま駆けていった。

「ま、今度話せばいっか……」

 小さくなっていくジュディの背中を眺めながら、サイトはひとりごちた。大体の見当をつけて東の空を見上げる。
 暫くそのまま佇んでから、サイトは呆けていた気分を引き締めた。辺りを見渡すと、食事を終えた使い魔たちは呑気に昼寝を始めている。
 サイトは足元の餌桶を持ち上げ、憂鬱に溜息を吐いた。
 まだ幾らでも仕事は残っているのだ。サボれば後々に響いてくる。

「よしっ! やるか!」

 サイトは両頬を叩いて気合を入れると、水場を目指して走りだした。



 後編へ続く

 中編投下完了。

 ギーシュ登場。宝探し編開始。
 シーンが一つしかないのに、中編が一番長いとかないわw

 この題名なら、ジュディをシーンの主人公にしなきゃだよなぁ……
 書き上げて題名付けた後に気がついた。
638名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:17:03 ID:wZpQ8Yba
「そうだな、仮面ライダーV3とか、ジャッカー電撃隊ってヒーロー物だな。」
それも私だと言いたいんですね。

蛇足
作法としては句点は括弧でとじる際には使わないのが吉。
639名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:21:04 ID:VudiaRs8
投下予定の人いますか?
いなかったら>>341のネタでみじかいのやるつもりですけど
640名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:22:35 ID:vbAJs/mH
この気持ちなんて言えばいいんだろう。
641名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:24:12 ID:y/0oLMOI
>>639
残念ながら、今年は中止なんです……ほんと残念
642名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:24:49 ID:y/0oLMOI
冗談なので気にしないで投下してくださいねw
643名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:26:39 ID:UuAx0q/B
>作法としては句点は括弧でとじる際には使わないのが吉。
だから、句点つけてもつけなくてもどっちでも正解なんだってばー
644名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:33:59 ID:6L/e7YDK
でも句点ついてると気持ち悪いよな
645名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:34:10 ID:vbAJs/mH
646名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:36:53 ID:ORWRhdDV
またですか
647超小ネタ:2008/12/24(水) 00:46:43 ID:VudiaRs8
それじゃあ投下します
即興なのですごく短いです
       「サンタの使い魔」
 煙の中から出てきたのは白いひげを胸のあたりまで伸ばし真っ赤な冬物の服を着た、一人の老人だった。どうせ失
敗するだろうと思って野次を飛ばしていた生徒たちも、このおかしな格好をした老人に驚き野次を飛ばすのも忘れて
注目していた。
「あなたが私の使い魔なの?」
 人間の使い魔など聞いた事もないが、状況からいってこの老人以外にありえない。落第がかかっているのだからこ
のさい平民でもいい。と、半ば投げやりにルイズが問うと、
「使い魔?何のことじゃ?」
 老人は不思議そうに聞き返してきた。
「ちょっと、それじゃあ困るのよ。私の進級がかかってるんだから…」
「そんなことより、ここはどこじゃ?わしは早く帰らんといかんのじゃが」
 言葉を途中で遮られた上、自分の進級をそんなことなどと言われ、ルイズはいらだってきた。
(なによ。こっちだってアンタみたいな平民は願い下げだってのに、このヴァリエール家の貴族である私の使い魔に
 してあげるって言ってるのに、その態度は何よ!)
「ちょっと!アンタ、私が貴族だってわかって…」
 の、と言いかけたのだが、ルイズを無視して老人がなにかやりはじめた。
648名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 00:57:15 ID:l1S95mv1
終わりか?オチ無し?
649名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:02:48 ID:Yj2tto9T
>>648
オチが無いのがオチと推測
650名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:04:45 ID:R3juSBK9
うわーん!執筆用のノートPC壊れた−!
651名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:05:09 ID:jOQXQqWQ
買え。
652名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:05:43 ID:vbAJs/mH
>>即興なので

書いてるんじゃね?今w
653名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:10:35 ID:vScd1f6X
改変コピペってみた

 煙の中から出てきたのは目の所に炎のような模様を描いた白いマスクを被り真っ赤なパンツを履いた、上半身裸の
怪人だった。どうせ失敗するだろうと思って野次を飛ばしていた生徒たちも、このおかしな格好をした怪人に驚き野
次を飛ばすのも忘れて 注目していた。
「あなたが私の使い魔なの?」
 人間の使い魔など聞いた事もないが、状況からいってこの怪人以外にありえない。落第がかかっているのだからこ
のさい平民でもいい。と、半ば投げやりにルイズが問うと、
「使い魔?何のことだ?」
 怪人は不思議そうに聞き返してきた。
「ちょっと、それじゃあ困るのよ。私の進級がかかってるんだから…」
「そんなことより、ここはどこだ? わしは早く帰らんといかんのだが」
 言葉を途中で遮られた上、自分の進級をそんなことなどと言われ、ルイズはいらだってきた。
(なによ。こっちだってアンタみたいな平民は願い下げだってのに、このヴァリエール家の貴族である私の使い魔に
 してあげるって言ってるのに、その態度は何よ!)
「ちょっと!アンタ、私が貴族だってわかって…」
 の、と言いかけたのだが、ルイズを無視して怪人がなにやらパンツを脱ぎはじめた。
654名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:14:08 ID:gpJ14THW
>>652
投下までの時間はなんだったんだw
サンタと言えばアウターゾーンの話は良かったな、この前まかでみ最終回で似た展開があって吹いたが。
655名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:18:04 ID:cCI08PIo
>>638
定期的に出るよな、こういう奴
656超小ネタ:2008/12/24(水) 01:18:39 ID:VudiaRs8
「ヌヌヌ……、トニー一号!二号!わしのところへはよう来い」
 老人は独り言をつぶやいているようだった。
(な、なによこの平民、もうボケてるの?っもう!こんなのを使い魔にしたらますますバカにされるわ!っ、
 ツェルプストーのやつ、あんなにいやらしく笑っちゃって!こんなのだったら失敗したほうがましだったわ)
 はじめは呆気にとられていた生徒たちも、どうやらザエロのルイズがボケた平民を召喚したらしいとわかると
また騒ぎはじめた。
「おい、ゼロのルイズ!そんなボケたじいさんを召喚してどうするつもりだ?」
「いくら使い魔を召喚できる見込みが無いからって、そんな平民を連れてくるなよ!」
 口々にからかわれ、ルイズは唇をかんで下を向いていた。また、監督役のコルベールも、続けさせるべきか迷っていた。
しかし、突如として老人のまわりに魔力が集まりだした。
(あの老人、まさか使い魔を召喚するつもりか?!だとすると彼はメイジ?だがそうなると、まずいことになるぞ…)
 コルベールが悩む間にも、魔力はどんどん集まってくる。さすがに生徒たちも異変に気づきはじめた。
「あのじいさん、なにするつもりだ?」
 誰かの発した言葉は、その場にいた全員の心を代弁していた。
(なに…?まだなにかあるっていうの?いい加減勘弁して!)
 これ以上、自分がバカにされる要素を増やさないでくれ、と思い、老人の方に目をやると、そこには角の生えた馬のような生き物がいた。
「うそ…、使い魔を召喚した?ってことは、あなたメイジなの?」
「なんのことじゃ。わしはメイジなんぞになった覚えはないし、こやつらは使い魔ではのうて相棒じゃ!」
 ついついこぼれてしまったつぶやきに対して、先ほどまでこちらを無視していた(ルイズはそう思った)老人が少々怒ったように言い返してきた。
「さあて。世界中の子供たちがわしをまっとる。はよう行くぞ!一号!二号!」
 老人は言うが早いか、その馬のような生き物に乗ってどこかへ飛んでいってしまった。あまりのことに、ルイズや生徒たちはもとより、コルベールまでもが
呆然として彼が飛んでいった方を見つめていた





 その後、使い魔召喚の儀に失敗したとして、ルイズの留年が決まった。




「……ふう。あらかた配ったのう。残すは日本だけじゃ」
 そして、とある家に入った時、
「ム、この子はあの娘と同じ気配がする。不思議じゃのう…」
 そう言って手乗りサイズのトラのヌイグルミを枕元にそっと置くと、次の家へ去っていった。その家には、「逢坂」という表札がかかっていたそうだ。


    メリークリスマス!
657超小ネタ:2008/12/24(水) 01:20:14 ID:VudiaRs8
文才ないうえおそくてすいませんでした
以上で投下終了です
658名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:24:55 ID:vbAJs/mH
本当に今書いていただと・・・恐ろしい子!
659名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:28:27 ID:KI32F990
エックスメンのスコットを召喚してギーシュが決闘でバイザーを壊す展開なんてどうだろうか
660谷まゼロ:2008/12/24(水) 01:42:05 ID:OxZdSK3e
予約がないようでしたら、1時45分から9話を投下させていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:44:38 ID:ZkycFDHo
支援するでござる
662谷まゼロ九話:2008/12/24(水) 01:45:44 ID:OxZdSK3e
そこは学院の敷地内の、豊かな草原が広がる場所であった。
谷とフーケが居る場所から見ると、学院の本塔が遠くに見える。
フーケの思惑があったのか、それとも単なる運命の悪戯か、
今谷が立っているその場所は、奇しくもルイズの『サモン・サーヴァント』によって、
谷が、このハルケギニアの世界に呼び出された場所であった。

谷の胸は高揚感に溢れていた。フーケの言葉を信用し、
もうすぐ元の世界に帰ることができると考えていたのだった。
だがそれは、叶わぬ夢であった。全てはフーケの罠であるからだ。
フーケは、この世界のことを谷が何も知らないのをいいことに、好き放題嘘をついていた。
そして今もまた、谷を欺いている。

「ここに立ってればいいんだな?」

谷がフーケにそう言った。
「ええ、もうしばらく動かないで下さいね」

谷の質問に答えながら、ここに来るまでの道中拾った木の枝を使い、
フーケは谷を中心として、地面に大きく円を描いていた。
地面を引っ掻く音が、星の光が降り注ぐ闇夜に静かに響く。
グルリと谷の周囲を一周し、線の端と線の端を繋ぎあわせた。
円を描き終わり完成させると、木の枝を放り捨て、フーケは円の外に移動した。

「……これって魔法陣とかいうのか?」
「ええ、まあそのようなものです」

真実の欠片も存在しない、純度100%の嘘であった。
書かれた円には何の意味もなく、全ては谷を闇に葬るための下準備に過ぎない。
安全圏にいるフーケは、円の中にいる谷に向って朗らかに喋りかけた。

「では、送還魔法を唱えます。絶対にその場を動かないで下さいね、失敗したら困りますから」
「ああ」

フーケは自分の杖を取り出し、ブツブツと魔法の詠唱をし始めた。
それは当然として、谷を地球に帰す魔法を唱えるためものではない。
詠唱を完成させると、フーケは谷が立っている場所の『地面』に向って杖を振った。

それは、まさに一瞬であった。フーケのメイジとしての腕前の高さを如実にあらわすかのような、
鮮やかな手口であったと言わざるを得ない。

フーケが杖を振った瞬間、突如谷の足もとの地面が隆起したのだ。
すぐさま谷が異変に気がつくが、時はすでに遅きを失していた。
隆起した地面が割れ、地面の奥底から凄まじいほどの質量を持った、巨大な腕の形をした土の塊が、
握りこぶしを作り、常軌を逸した速度で下から突き上げるように谷を撃ち上げた。
フーケは、そこらにある下手な城よりも大きい、巨大ゴーレムの腕だけを作りだし、
それを操り、持てる限りの力を込め、谷を殴り飛ばしたのだ。
加えて、さらに攻撃力を増すように、フーケはインパクトの瞬間、土の塊である握りこぶしを鉄に変えていた。
それは、まさに人間相手に向ける破壊力ではなかった。普通の人間ならば即死するほどであった。

ミス・ロングビルとして、勤勉な秘書の皮を被っていたフーケはその本性を露わにしたのだ。
フーケが高笑いと共に、空に向って嬉しげに叫んだ。
663谷まゼロ九話:2008/12/24(水) 01:48:03 ID:OxZdSK3e
「あの世なら愛しのあのコときっと会えるわよ!!何十年後になるかわからないけどねっ!!感謝しなさい!
 ハーッハッハッハッハ!あんたのおかげで手に入った『破壊の杖』は大事にしといてあげる!」

その視線の先には、空向かって放たれた打ち上げ花火のように、空高く上昇する谷の姿があった。
猛烈な風が吹き荒れる嵐の日の風見鶏の如く、なす術なく、空中でぐるぐると体を回転させている。
谷は飛べるところの限界まで高く空を飛ぶと、次は地面に向って落下し始めた。

思わず耳を塞ぎたくなるような、何かが潰れるような鈍い音が辺りに響いた。
谷は身動き一つ見せずに、落ちる勢いに逆らわず地面に叩きつけられたのだ。
誰もがその光景を目にすれば谷の死を確信するだろう。
その所業をなしたフーケ自身もそうだった。自分のゴーレムに対して絶大なる自負があったのも理由にある。
今まで、様々な場面で敵を蹴散らし、あらゆる建造物を破壊し、活路を開いてきたのだ。
人間一人破壊できないはずがない、とフーケは考えていた。

谷が地面に落ちる瞬間を見ていたのはフーケだけではなかった。
それは、必死にこの惨劇を回避しようと駆けていたルイズとキュルケであった。
しかし一歩遅かった。二人が現場にたどり着いたときには、谷はすでに空に向って打ちあげられていたのだ。
ルイズが膝から地面に崩れ落ちる。ルイズとキュルケもいくら谷であっても、あれではひとたまりもないを考えていたのだ。
わなわなと肩を震わせ、ルイズが大粒の涙を流しながら呟いた。

「タニが……タニが死んじゃった……ぇぐっ、……ぅうっっわたしのせいよ。
 わたしっ、自分の使い魔を死なせちゃった。わたしなんかが呼び出したりなんかしたから……」

絶望の淵に突き落とされ、むせび泣くルイズの背にキュルケがそっと手を置いた。
そのキュルケの顔には明らかに憤怒の色が表れていた。下唇を血がにじむほど噛み、
キュルケの真っ赤な髪が燃えているかのように逆立ち揺らめいている。
遠くに小さく見えるフーケの姿が見える方角に目を据えて、キュルケはルイズの耳元で囁いた。

「ルイズ……!泣くのは後にしなさい……!タニタニの。タニの仇は誰が取るの!?
 ……あたしはやるわよ!!!あなたはどうするの!?そこでメソメソ泣いてるの!?」

キュルケの言葉でルイズはハッとした。そうだ、その通りだとルイズは思った。このままでは谷が浮かばれない。
すぐさま自分の杖を取り出し、力の限り握りしめた。杖を持つ手は小刻みに震えている。
膝に手をつき、力強く立ち上がる。涙を拭った眼には燃えあがる闘志が宿っていた。

タニ……!わたし勝てるかどうかわからないし、死ぬかもしれない……。
でも……!精一杯戦うから!お願い、空の上からでもいいから見守ってて!わたしに力を貸して!

谷の仇を討つ決意を固めたルイズとキュルケは、地面を力強く蹴りフーケの下に駆けた。
664谷まゼロ九話:2008/12/24(水) 01:50:33 ID:OxZdSK3e
目的を全て達成した、フーケは満足げな表情を顔に浮かべていた。
フーケは心に余裕ができたためか、改めて谷について考えてみた。

別の世界から来たと意味不明なことを口走る使い魔。
めちゃくちゃなやり方とはいえ、メイジを一網打尽にし倒した使い魔。
そして、今まで誰も破ることができなかった宝物庫の扉を破壊した使い魔。

……おそらくまともに戦えば、勝敗はたゆたっていたであろうとフーケは結論付けた。
しかし、それはもう終わった話であるとフーケは考え、当の相手はすでに始末したのだからと安心しきっていた。
そして新たなる疑問が沸いた。
何故あれほどまでの馬鹿力が、あの使い魔に備わっていたのだろうかという疑問である。
フーケは顎に手を当て、谷のどこら辺にその可能性があるか考えた。
すると、案外簡単にその答えが出た。
あの嫌でも目につく白い仮面が怪しいと目星をつけたのだ。

もしかして、あの仮面、実はとんでもないマジックアイテムで、
アレをつけてるからこその馬鹿力だった……まあ、考えられるわね。
……ということは、ほっとく由はないわね。
盗賊が目の前のお宝をみすみす見逃すなんて真似はできるはずがないわ。

フーケは、意地の悪そうな笑みを浮かべた。そして仮面を拝借しようと、
地面に転がって、ピクリとも動かない谷に近づくため、歩を進めた。
だが、谷のところまで数歩という距離に差し掛かった時だった。
突然前触れもなく、血塗れの谷が弾かれたように地面から跳ね起きたのだ。

「っっっぬあっった!!?きゃあああああああああ゛!!!!」

色気を醸す大人の女性が、発するとは思えないほどに幼さを感じさせる、絹を裂くような悲鳴を上げたのはフーケであった。
死体と認識していたものが、いきなり起きあがったのだから驚いて当然。
心臓が口から飛び出してしまうほど、フーケは度肝を抜かれていた。
フーケは、その場に尻もちをつき、動けなくなってしまっていた。
全身の汗腺から汗が噴き出す。動悸が治まらない。

だが、谷は上体を起こしたのものの、それは一瞬の出来事であった。
次の瞬間には、糸が切れた操り人形のようにバタリと地面に倒れ、そのままピクリとも動かなくなった。

「っハァ!……ん……ぐっ。ハァハァ!ハァ……ハぁあ!お、驚かせるんじゃないわよ!まったく!」

肩で息をしていたフーケは、気を静めるために一度大きく深呼吸した。
落着きを取り戻すと、スカートについた汚れを手で払い、フーケは立ち上がって、倒れて動かない谷を見下ろした。
今度こそ死んだのだとフーケは安心していた。フーケの顔に安堵の笑みが零れる。
だがフーケは、このときにもっと深く考えるべきであった。
普通の人間ならば、鉄の塊になったゴーレムの拳で殴られた時点で、
その体はバラバラになって四散していはずだったと。
そして、殴られて死ぬのは当然のこと、谷は高層ビルの高さほどまで宙に飛ばされたのだ。
普通の人間ならば、殴られずとも、その高さから落とされただけで絶命するに違いない。
なのにもかかわらず、谷は人の形を保ち、そして一度起きあがろうとしたのだ。
フーケはその点を考慮し、行動するべきであった。

フーケは認めたくなかったのかもしれない。認めてしまえば恐怖の権化と相対しなければならないからだ。
そんなはずはないと、心の奥底で言い聞かせていた。
だが、危機をすぐさま感じ取り、逃げださなかったことのツケはすぐそこまでやってきていた。
665谷まゼロ九話:2008/12/24(水) 01:53:02 ID:OxZdSK3e
「……っっテェ!!」

誰かの呻き声が聞こえた。その声を耳にしたフーケの顔がみるみる内に蒼白になっていく。

「ゴホっ!!!ガハっ!!痛ってェ!!……ゴホっゴホ!!スゲェ痛っってェ!!」

谷が、のたうち回りながら苦しそうに胸を押さえて叫んでいたのだ。
痛いで済むはずがないじゃない!!と叫ぼうとした。だが言葉が口から出てこない。
パクパクと魚のように口を開け閉めさせているだけであった。
恐怖が、決壊した川の激流の如くフーケに襲いかかる。足が震えて動かない。

谷は地面に手をつき、よろめきながらも、おもむろに立ち上がった。
体中から流血し、血は止めどなく地面に滴っており、誰の目から見ても、とても無事とは言い難い有様であった。
しかし、谷は立ち上がったのだ。
苦しんでいる谷の表情が見えていたならば、フーケもここまで恐怖を感じなかったのかもしれない。
だが、谷の仮面は表情を覆い隠し、ひたすらに谷の不死身さを増長させる手助けをしている。

「あっ……あ」
「血が止まらねェ……!クソっ痛てェ!!ぐっ、コノヤロ……」

顔を上げた谷の目がフーケを捕えた。
仮面をつけた顔は、とてつもないほどの威圧感があった。
まさしくそれは鬼神の如く怒りを露わにしていた。
凄まじい力で握りつぶすかのように相手を威圧し、
そして壮絶なほどまでの畏怖を感じざるを得ない低さの声で、谷は言った。

「……テメェ、俺をダマしやがったな……!許さねェ!絶対許さねェ!期待させるだけさせやがって!!!」
「ひッ……!」

谷はもうすぐ島さんと会えるのだと、期待していたのだ。
その期待が裏切られたのだから、谷がフーケを許すはずがない。

谷は、おぼつかない足取りでフーケに向って歩き始めた。
フーケは、錯乱していた。その場から逃げ出すことさえ頭に浮かんでこなかった。
忙しなく辺りを見回し、どうにかして目の前の化け物に対抗する術をさがした。
慌てて、脇に抱えていた『破壊の杖』の存在を思い出し、
包んでいた布を、半ば破り捨てるようにして『破壊の杖』を取り出した。
盗み出す前から、『破壊の杖』と呼ばれているぐらいだから、何か対象物に破壊をもたらすのだろうと考えていた。
フーケは『破壊の杖』を、赤ん坊をあやすときに使う、玩具のガラガラのように、必死に上下に振るが、何も起きない。
とりあえず何でもいいから、それらしいことを叫びながら、ブンブンと振り回すが何も起きない。
本人は、ふざけているつもりは全くなく、真剣そのものであった。
しかし、フーケのその姿は、誰がどう見ても滑稽としか言いようがなかった。
フーケはどうやっても使えない『破壊の杖』を、悪態をつきながら八つ当たりするかのように地面に叩きつけた。

くそっ!!!何か……!!早くどうにかしないと殺される!!!
666谷まゼロ九話:2008/12/24(水) 01:54:55 ID:OxZdSK3e
フーケは自分の人生の中で一番の焦りを覚えていた。
一歩一歩、谷はフーケにゆっくりと歩み寄る。そして確実に。
それは死神によって、身の丈以上もある鎌の刃を首に当てられているかのような感覚であった。
力も入れず、ただほんの少し刃を引くだけで、その者の命は断たれる。

フーケは自分がとんでもない勘違いをしていたことを実感した。
縋るように辺りを見回す。半ば諦めが心の中に占めていたが、とあるものを目にした瞬間、
突然目の前が明るくなった気がした。

「タニ……!生きてたの……!よかったっ……っ!」

フーケの目線の先には、谷の生存を目にし、驚き立ち尽くしているルイズが居たのだ。
使い魔の主人であるルイズ。学院の秘書であったフーケはそれを知っていた。
これしかない、と切羽詰まったフーケはルイズに向って襲いかかる様にして迫った。
谷の姿にに目を奪われていたルイズは、フーケの接近に気が付けなかった。
ルイズの首に手が回され、身動きが取れないように、フーケによって拘束された。
必死さがにじみ出るほど焦っているフーケは、歩み寄る谷に向って叫んだ。

「そこのバケモノ!!この主人の命が惜しかったら近寄るんじゃないよ!!!」

「え?」
「……え?」

素っ頓狂な声を上げたのはルイズと近くまで来ていたキュルケであった。
先ほどまで怒気を漲らせ、フーケを打倒さんとしていた者たちとは思えないほど、間の抜けた声であった。
張りつめた空気が一瞬にして弛んだ。
どうにも、この状況が呑み込めないフーケはルイズに向って言った。

「……は?何この反応?何か私がおかしいこと言った!?あんたも!自分の命が惜しかったら、
 あの使い魔に、私への攻撃を止めるように命令するのよ!早くなさい!!」
667名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 01:55:54 ID:y/0oLMOI
支援
668谷まゼロ九話:2008/12/24(水) 01:56:40 ID:OxZdSK3e
ルイズとキュルケは思わず笑いそうになった。
フーケの焦り様を見たルイズとキュルケは、すでに、この場の危機は去ってしまったのだと理解した。
まるで、朝食をテーブルの上に並べ終えた母親が、
部屋で寝ている子供に呼びかけるような気楽さでルイズは谷に向って叫んだ。

「タニー!わたしの命令聞いてくれるーー?」

歩くことをやめない谷は即答した。

「聞かねェ!!!」

ルイズはニヤニヤしたまま続けた。

「タニー!わたしの命が惜しい?」

再び谷は即答した。

「惜しくねェ!!!」

ここまで来ると逆に清々しいと感じてしまうルイズは谷に向ってにこやかに尋ねた。

「タニー!わたしの名前、なんていうか知ってるかしら?」

「知らねェ!!!!」

出会ってから三日目になるが、未だにルイズの名前すら知らない谷であった。
谷は島さん以外の女性の名前を呼んだことがない。
当然、ルイズの名前など興味の範囲外である。
そのやり取りを見ていたフーケはとてもではないが、その関係が信じられなかった。驚き入った声を上げる。

「なっ……そんなバカな!使い魔は主人を守るものでしょう!?
 なのに!主人に、まるで眼中にないってどういうことよ!!!」

フーケは理解した。今自分の腕のなかに居る人間は、迫りくる化け物を止めるための人質にならない。
危機を逃れる術が断たれ、絶望に打ちのめされたフーケは、よろめいて倒れそうになった。
ルイズは誇ることでもないし、逆にメイジであるならば恥入るべきことであったのにもかかわらず、
胸を張って、自慢話をしたかのようにホクホクとした心境であった。
これこそが谷なのだと、こうでなければ谷ではないと、ルイズは確信する。

「どう?タニにとってわたしは人質としての価値はないの。
 諦めて、思う存分タニに殴り飛ばされなさい!土くれのフーケ!」

高揚感を胸に、高らかにルイズはそう言った。
669谷まゼロ九話:2008/12/24(水) 01:58:59 ID:OxZdSK3e
後は谷がフーケを殴り飛ばすの待つだけであるとルイズは思っていた。
だが、次の谷の発言は、上機嫌のルイズの心情を一変させるほど、驚愕する内容であった。
谷が首に血管を浮き上がらせ、目一杯の力を込めて叫んだ。

「許さねェ!!!ダマしやがって、絶対に許さねェ!!!オマエ『ら』まとめてぶっ飛ばしてやるからな!!!」

谷の言葉に、ルイズは目を見開いて驚いた。
自分がフーケと一緒くたにされていると気がついたのだ。

「ちょ、ちょちょちょっと!!!なんでわたしまで含まれてんのよ!?わたしはあんたをダマしてないわよ!」

ルイズが吠えて弁明するが、谷の耳には届かない。
谷は無言のまま、ズンズンと足音を鳴らしながら、ルイズとフーケまでの距離を詰めてくる。
このままでは自分もろとも殴り飛ばされてしまう。なんとしてでも回避しなければ。
パニックになったルイズはフーケのに目をやった。しかしフーケは凍りついて固まっていた。
縋るように、この場で唯一正気であろうキュルケに向ってルイズは叫んだ。

「キュルケーーーーーー!!!」

呼ばれたキュルケは何故か地面に体育座りをして、ルイズたちの様子を眺めていた。
キュルケは何気ない態度で、ルイズに応える。

「助けたくっても無理なのよ。あたしの魔法じゃあ、あなたごと燃やしちゃうもの。他に当たってくれる?」
「っな!このっキュルケーー!!なに傍観決め込んでるのよ!!そこをなんとかして助けなさいよ!!」

キュルケは笑顔でルイズに向ってヒラヒラと、手を振った。それを見たルイズは、頭の血管が切れるかと思った。
谷を止められるわけがないし、自分が標的にされても困る。
キュルケには見ているだけしかできなかったのだった。とりあえず、死にはしないだろうと思っていた。
凍りついて固まっていたフーケが、消え入りそうな声で言った。

「あ、あんなのに殴られでもしたら、絶対死ぬわ……!そ、そんなの嫌よ」
「そんなのわたしだって同じよ!!!バカじゃないの!?離しなさいよ!なんでわたしがタニに殴られなきゃいけないのよ!?」
「なっ!?元はと言えばあんたが、ちゃんと自分の使い魔を飼いならしてないせいでしょ!?」
「はあ!?何言ってんの!?あんたがタニを騙して利用したのが全ての原因でしょ!?」

ルイズとフーケとの間で醜い言い争いが行われていた。
だが、本人たちの意思とは無関係に、最大の危機は、そこまで近づいていた。
670名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 02:00:23 ID:y/0oLMOI
支援
671谷まゼロ九話:2008/12/24(水) 02:01:31 ID:OxZdSK3e
谷は大きく体を捻り、存分に恨みを込めた拳を後ろに向って振りかぶった。
ギリギリと、不吉な音を奏でている。

その様子を、眼前まで迫るまで気付かなかったルイズとフーケは、
全身の血の気が凄まじい速度で引いていった。
この状況を打開するために、慌ててルイズが叫んだ。

「ちょ、ちょっとあんた!『フライ』で空を飛べるんでしょ!?飛んで逃げるのよ!」

ルイズに言われて、フーケは自分が魔法を使えることを思い出した。
なんで今の今まで忘れていたのだろうと、自己嫌悪に陥りそうになった。だが今はそんな暇はない。
フーケはルイズを放りだし、すぐさま魔法を唱え、杖を振った。
次の瞬間ふわりと、フーケの足が地面から離れた。
これで、凶悪なまでの危機から足抜けができるのだと、安心感がフーケの胸の奥で広がっていく。
しかし、その安堵もつかのまであった。
飛びあがろうとしたフーケの足首を、ルイズががっしりと掴んだのだ。
必死の形相のルイズが叫んだ。

「ちょっと何で一人だけ逃げるのよ!わたしも一緒に連れていきなさいよ!」
「いやっ何言ってるのよ!あんた敵でしょ!?ていうか、いきなり掴まれたら……!バランスが……!あっ!?」

フーケは突然足首を掴まれたため、重心がずれ、バランスを失った。
ルイズは体が引っ張られ、倒れそうになっても掴んだ足首を決して離さなかった。
ここに残されては、谷に殴り飛ばされるだけであるから、ルイズも必死なのだった。
フーケは、空高く飛びあがり、この場から逃亡することは叶わなかった。フーケの体は旋回して着陸する飛行機のごとく、
ルイズを軸にして螺旋を描きながら落下し、最後には地面に叩き付けられるであろう状況に陥った。
だが、地面に衝突することはなかった。
なぜなら、落下の軌道上に、込められるだけの力を拳に込め、振りかぶっている谷が立っていたからである。
まさしくそれは偶然の産物であった、しかしそれは最初で最後のルイズと谷の共同作業と言えた。

谷は、自分に向って落ちてくるフーケに向って思いっきり拳を振りぬいた。
フーケは、自分の視界が谷の拳で埋まるところまで意識があった。

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

その日、盗賊土くれのフーケは、夜空に光輝く星たちの仲間入りを果たした。
672谷まゼロ:2008/12/24(水) 02:02:29 ID:OxZdSK3e
投下終了です。支援アリガトウございました。
673名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 02:03:35 ID:y/0oLMOI
乙した
674名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 02:04:09 ID:ZkycFDHo
乙です!




(ノД`)ウゥ・・・  フーケの墓→┏┛[(゚-゚)v]┗┓iii~~  Ω\ζ°) チーン
675Fatal Fuly Mark of the Zero:2008/12/24(水) 02:24:21 ID:2QGO/bm9
お疲れ様です。
予約ありませんでしたら、十数分後かに軽く投下してよかですか
676名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 02:25:23 ID:KMebdnDI
>>598
移転・・・だと・・・!?
某サイト・・・り?
677Fatal Fuly Mark of the Zero:2008/12/24(水) 02:46:27 ID:2QGO/bm9
前方空いてそうなんで、行きます。


「品評会?」

 晩の食堂で、ロックはルイズが先に発した言葉にオウム返しをした。
 時が経つのは早いもので、ロックが呼び出されてより既に一月という時間が経過している。
 独自の食事を取る二人の姿と、その隣でキュルケがちょっかいを入れているのには、最近にもなると見向きもしない者ばかりとなっていた。
 ちなみに、今日のルイズとロックの夕食はビーフカップという、かつてロックの養父から人伝に聞いた料理である。確か、別称は牛丼というらしいが。

「そうよ。春に二年が呼び出した使い魔の格をつける会ってこと」

 ここには箸というものは無いし、また、あった所で使えないルイズはスプーンでタレに漬け込まれた肉と玉葱、そして染みた米を口にしながら答えた。
 唐突すぎる発言に、ロックはどう返したものかと考える。一口、ビーフカップを口に運んだ。ああ、結構いけるじゃないか。これは現実逃避に近い行動だったが。
 気を取り直した彼は、隣でいまだ大人しく食堂で配される料理に口をつけているキュルケを警戒しながら、ルイズに言った。

「どういう形でだよ」
「姫殿下の前で、その使い魔ならではのものを示すっていう寸法になるわね」
「……頭痛くなってきた」

 そんな見世物に参加させられる事を思うと、自然憂鬱にもなる。
 しかし、そんなロックの言葉を意にも介さず、ルイズはビーフカップの味に舌鼓を打ち、頬を緩ませていた。

「単純過ぎてどうかと思ったけど、美味しいじゃない」

 複雑な気分のロックだが、実際これからの事を考えると自分に何が出来るのかが不安になってくる。隠し芸など自分には無いのに……。
 食べかけのビーフカップを前に、ロックは思案に耽った。

(他の使い魔は動物とかそんなのばっかりなのに、どうすんだよ!)

 頭を抱えたロックに現れた隙を、隣にいたキュルケは見逃しはしなかった。

「あら、ダーリン。そんな困った顔もキュートだから、あたしまで困っちゃうわー」
「うわわわわわ! や、やめろよキュルケ!」

 食事中だとはいえ油断するべきでは無かったと思う前に、キュルケが腕に組み付いていた。
 そして、ロックの残している料理を目に、口をあーんと開いて言う。

「たまにはダーリンのお手製の料理を食べてみたいわ。ね? あーん」
「ええ!?」
「ちょっと……ツェルプストー」
678Fatal Fuly Mark of the Zero:2008/12/24(水) 02:48:58 ID:2QGO/bm9
 あまりの展開にロックもルイズも続く言葉が出ない。
 困惑するロックに、苛立ちを隠しもしないルイズ。ある意味で一触即発な状況でまず行動を起こしたのは、ルイズだった。
 ロックが身動きも出来ない間に、己のカップから一口を掬い出し……

「あーーっ!」
「…………」
「タ、タバサ?」

 ルイズがキュルケの口に突き出したスプーンは、それこそ喉まで突かんばかり勢いだった。しかし、それを口で受け止めたのは気にも留めていなかった存在。

「うん」

 もぐもぐと口にした物を嚥下して、ただ一言だけ呟き、自分の食事に手をつけ始めたのは、キュルケの隣に座っていたタバサという少女であった。
 彼女はキュルケの友人であり、学院においてはルイズとはまた違った意味で異端の者だ。貴族達の通うこの場では、きわめて自己主張の少ないタバサの存在は希少といえる。まともに付き合いがあるのはキュルケだけという始末だ。
 そんな彼女が、このような乱痴気騒ぎに介入する理由が分からないと、ルイズは驚きを一周させて冷静になり、首を捻る。
 キュルケだけは理解しているようだが。

「危なかったわ。まさかヴァリエールに食事の席でやられるところだったもの。かばってくれてありがと、タバサ」
「別に。食べ物を粗末にしたらいけないと思っただけ」

 交わされた言葉に、ルイズが思い切り顔をしかめる。無意識の行動だったが、確かにあの勢いでは……

「運が良かったわね。ツェルプストー。いえ、運が悪かったのかしら。ロックの料理を末期に味わって逝ければよかったのに」
「物騒な発言はよしてもらいたいわ。こんな野蛮な女の使い魔なんてやめて、あたしの所で楽しまない? ダーリン」
「……あー」

 どうコメントしたものか、ロックには分からない。男所帯では絶対にありえなかった光景に絶句するのみだ。
 少し慣れたと思ったら、大きな波が身体を攫うようにやってくる。
 彼はただ、喉の奥から小さく、絞り上げるような声を上げる事しかできなかった。

「飯の時くらい、静かにしようぜ……」

     ※
679Fatal Fuly Mark of the Zero:2008/12/24(水) 02:55:11 ID:2QGO/bm9
 さて、そんなこんなで時は過ぎ、品評会まで間もなくといった頃合のことである。
 姫殿下のご行幸を前に、どうロックをアピールするべきか頭を悩ませていたルイズは、彼の今までの行動に思いを巡らせていた。ギトーを倒し、暴漢を退け――家事一般が上手。
 いや、まてまて、最後のは何かちょっと違う。ルイズは自分で自分の頭を叩いた。

「何やってんだか」

 考え事をしている間のルイズの奇行に、肩を竦めてロックが言う。
 現在、中庭で作戦会議と称した席が二人の間で行われていた。青々と茂った芝生にあぐらをかき、呆れ顔のロックは仁王立ちするルイズの言葉の続きをまつばかりだ。
 喧々囂々とやり取りした数日間があったが、品評会における有用な情報は二人の間に一切生まれなかった。既に当日を迎えた今、手遅れという言葉しか浮かんでこないのだが、ルイズが今も考えているようでは、それに従うしかあるまい。
 諦観の意識がロックを支配している。

「何かないの!?」
「いや、何って言われてもだなぁ……」
「特技の一つや二つ!」
「そりゃ人間生きてりゃあるだろうけどさ」
「言って見なさい!」
「料理」
「却下」
「どうしろってんだ……」

 これもまた、この数日間で繰り返されたやり取りの一つである。胸を張っていえる特技を潰されては、どうしろというのだ。ロックは精神的な疲れによって押し潰されそうになっていた。
 使い魔の品評である。ありきたりなものでは到底歯が立たない。そう考えるルイズであるが、そもそも人間の使い魔というのが規格外という意識がすっぽりと抜けていた。
 しかし、こういう煮詰まった時にこそ、天啓というものがやってくる。かつて放った彼の烈風拳、そして、暴漢を退けた技の一つであるライジングタックル。
 考えてみれば、あれを使ってなんとかできないものか……。
 そこで、ルイズは地面に転がっていた木の枝を一つ拾い、こう言った。

「今からこれをあんたに全力で投げるわ」
「は?」
「ちょっと太いから、痛いわよ。でも、絶対に避けちゃ駄目」
「おかしい。おかしいぞルイズそれ」
「みなまで言わせるつもり? 避けずに何とかしなさいってこと」
「はぁ……」

 溜息を吐いたロックは、改めてルイズの手に握られた木の枝に目をやった。彼女の言葉どおり、確かに太いし、折れた部分が尖っていて、まともに当たればかなり痛いだろう。
 腕で受け止めれば問題はないだろうが、そんな安易な発想ではルイズの逆鱗に触れるのは火を見るより明らかだった。
 どうしたものか、と考えていると、ふと思い浮かんだ光景があった。テリーとの旅の際、曲芸を披露して路銀を稼いだ記憶。
 なるほど、とロックは頷いてこう返した。

「じゃ、やってみろよ」

 挑戦的な笑みがロックの顔に浮かんでいた。
 我が意を得たりとばかりにルイズが大きく振りかぶる。
 そのフォームは一流の野球選手のそれに引けを取らぬなどと下らない事を考えている間に、ロックの目の前に凄まじい回転を帯びた木の枝が放り投げられた。

「ふっ」

 ロックは小さく息を吐き、腕を掲げる。その腕が木の枝を絡め、回転を殺したかと思った瞬間、ルイズはその目を疑う光景を目にした。

「せやぁっ!」

 刹那の内に身体を縦に回転させたロックが、木の枝を真っ二つに、その踵で蹴り落としたのだ。瞬きでもすれば見失ってしまう程の速度である。何の危なげもなく着地したロックは、よし、と一声を上げた。
 予想を超えたロックの芸に、ルイズはしかめていた顔に薄い笑みを張り付かせる。これは、いける、と。

「ロック! ぶっつけ本番みたいなもんだけど、打ち合わせよ! メニューを組むから!」

 そんな彼女の言葉に、特別な異論を挟む事無くロックは安堵の表情で言う。

「こういうので良いなら、いくらでもやるさ」

 安堵は安堵だが、実際は諦めである事に、本人ですら気付いていなかった。
680Fatal Fuly Mark of the Zero:2008/12/24(水) 02:57:13 ID:2QGO/bm9
以上です。
おやすみなさい。
681名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 03:16:36 ID:sOHAyzK2
>>676
http://www35.atwiki.jp/anozero/pages/3661.html
ここ参照の事あるよー
682名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 03:17:08 ID:0DRM3uhO
ロックの人乙
格ゲーの技は大道芸と紙一重だからなぁw
レイジングストームとか先住魔法に見られてしまうんだろうか?

そして谷の人乙
下手したら死ぬかと思ったら星になったおマチさんにクソ吹いたwww
そのままアルビオンに帰省ですね、分かります
683毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:16:32 ID:p4QWy3Se
おはようございます。
毒の爪の使い魔の第21話が書きあがりました。
予定その他が無ければ、7:20から投下します。
684名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 07:17:20 ID:NQVGpULk
支援、支援だ
685名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 07:18:13 ID:7JE9kZ/J
おk、支援
686毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:20:35 ID:p4QWy3Se
では、投下開始します。

――トリステイン魔法学院:正門前――



「のーっほほほほほほほほ!!!」
幻術を用い、花のような姿へ変身したジョーカーは高らかに笑う。
そして、パチンと右手の指を鳴らす。
途端、ジョーカーの身体が青い光のカーテンのような物に覆われたかと思うと、
身体に付いていた傷が、絵の具で塗りつぶされるように次々と消えていった。
その光景にギーシュ達は目を丸くする。『水』の『治癒』とは到底比べ物にならない回復力だ。
驚く彼等の様子にジョーカーは、左手の人差し指を立てながら笑う。
「のほほほほ、これ位できて当たり前ですよ。あとは…」
もう一度右手の指を鳴らす。
今度はタバサの身体が青い光に覆われる。
「どうですか、シャルロットさん?精神力…大分補充できたはずですが?」
確かに…消費したはずの精神力が戻っているのが解る。
タバサは驚愕の表情でジョーカーを見る。メイジの精神力を自在に出来るなど…聞いた事が無い。
目の前の幻獣の力にただただ驚くばかりだ。

ジョーカーはそんなタバサの様子に、ただ笑うのみ。
「それでは、ちゃっちゃと終わらせるとしましょうか。シャルロットさん、いいですネ?」
「……」
タバサは無言のまま杖を構えなおす。
それに満足したのか、ジョーカーは楽しそうな声を上げる。
「さてさて、それでは行きますよ〜〜♪」
ジョーカーの目が赤く輝いた瞬間、顔面から巨大な炎球が放たれた。
トライアングルクラス並の炎球はキュルケへと一直線に突き進む。
飛んでくる炎球を寸での所でかわす。
炎球は背後の地面に命中し、生えている草を地面ごと焼き焦がした。
凄まじい火力だ。まともに浴びれば、ひとたまりも無いだろう。

軽く冷や汗を流すキュルケはジョーカーを睨む。
相手は変わらない笑みを浮かべている。
「どうですか?このキュートな『フラワージョーカー』の姿となった、ワタクシのキュートなパワー?
そんじょそこらのメイジなど、束になっても適わない素晴らし〜い力とは思いませんか?」
ジョーカーの自慢を、キュルケは鼻で笑い飛ばす。
「何がキュートな力よ?ただ炎を飛ばしているだけじゃないの。
大体、フラワーですって?あなた…一度鏡を見た方がいいんじゃないの?」
「どういう意味ですか?」
僅かに表情を曇らせ、聞き返すジョーカーにキュルケは言った。

「あなたの今の姿……”花”と言うより、どう見ても”蛇”にしか見えないわよ?」

――キュルケのその言葉にジョーカーは彫像のように固まった。
687毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:23:08 ID:p4QWy3Se
キュルケの意見には、その場に居た者の殆どが同意し、頷いた。
確かにフラワージョーカーとなったジョーカーの頭部は顔の周りが花びらのように変化し、
真正面から見た感じはヒマワリを連想させる。…だが、それはあくまでも”頭部に限った事”である。
実際は頭部の後ろに大小様々な大きさの、ボールのような胴体が連なっており、
全体で見ると、花とは程遠い姿だったりするのだ。
そう、それは彼女の言うとおり”蛇”と言い表すのが相応しいだろう。

…そして、この事は少なからず、ジョーカー自身気にしている事だったりする。

当然、ジョーカー再び大激怒。
「ムッキイイイイィィィィィ〜〜〜!!!、アナタ……言ってはいけない事を言ってしまいましたネ!!?
も〜う、容赦しませんよーーー!ギッタンギッタンのメッタメッタのボッコボコにして差し上げましょ〜〜〜う!!!」

ジョーカーの目が真っ赤に染まる。
それは炎を生み出すべく高まった魔力による物か?はたまた怒りによる物か?
どちらなのか定かではないが…、魔力が高まり、炎球が生み出されようとしているのは事実だ。

キュルケは考えた。
あれだけの炎球だ…生半な威力の炎では逆に吸収され、相手の炎を巨大化させる羽目になってしまう。
更に、今し方あいつが見せた系統呪文を上回る『治癒』。
攻撃が当たったとしても、多少のダメージは直ぐに全快され、意味を成さないだろう。
自身の使える最大級の炎の呪文ならば、あるいは押し切れるだろうが…消費する精神力が尋常ではない。
使えば精神力は殆ど限界に来てしまうだろう。
キュルケはギーシュとモンモランシーの方を見る。
ギーシュは見た目にも深手なのが解る。
モンモランシーの方はまだ大丈夫のようだが、直接の戦力としては当てに出来ない。

…となれば、やはり無駄撃ちは出来ない。
相手はあの幻獣だけではない…、タバサもいるのだ。
両方を相手にしながら”あれ”を当てるのは、至難の業だ。
今はまだ使えない。一撃で決められる…確実に当てられる状況でなければ…。
688名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 07:23:59 ID:Hh6eWvYf
あぁっ、なんてことを…支援
689名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 07:24:55 ID:7JE9kZ/J
支援
690名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 07:26:03 ID:7JE9kZ/J
支援だ
691毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:26:54 ID:p4QWy3Se
「お喰らいなさ〜〜い!」
叫びながらジョーカーは顔面から炎球を放つ。
先程と違い、三つの炎球がキュルケに向かう。
避けるべく、その場を飛び退く。
と、風を切る音が聞こえ、彼女の顔の傍を氷の槍が通り過ぎる。
振り返ると、タバサが杖を振り、自分へと氷の矢<ウィンディ・アイシクル>を放つのが見えた。
咄嗟に『ファイヤー・ウォール』を詠唱する。
幾筋もの炎が立ち上り、文字通りの壁となる。
氷の矢は次々と溶けるが、溶け切れなかった何本かが飛んで来た。
「くっ!?」
咄嗟に身を翻すが、避けきれない。腕や脇腹を氷の矢が掠める。
服が破れ、覗いた肌に赤い線が浮かぶ。
タバサは相変わらずの無表情だ。無表情のまま、再び杖を振る。
巨大な氷の槍が生み出され、キュルケへと飛ぶ。
身を引き、寸でのところでかわす。――突然、身体が吹き飛ばされた。

「あぐっ!?」
地面に叩きつけられ、激痛に全身が蝕まれる。
自分を吹き飛ばした物の正体を確かめるべく、首を動かす。
そこに在ったのはデコピンをする様な仕草で、人差し指を突き出している巨大な左手。
「のほほ、油断大敵ですネ〜♪」
後ろから、あの幻獣の声がした。
痛みを堪え、キュルケは立ち上がり、周囲を見回す。

後ろの少し離れた所にジョーカー。――いつでも攻撃できると言わんばかりに余裕――

その傍らに右手。――治癒担当といったところか?――

目の前には左手。――こちらは攻撃担当のようだ――

右前方にはタバサ。――既に呪文の詠唱が終わっているらしく、無数の氷の矢が周囲を踊っている――

…状況は正直悪い。
二対一でも厄介だが、あの幻獣の手が独自に動けるのでは、四対一と何ら変わり無い。
これでは隙を見つける以前に、ルーンを唱える暇すらない。
キュルケに焦りが生まれる。
692名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 07:28:48 ID:7JE9kZ/J
支援
693毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:29:17 ID:p4QWy3Se
唐突にタバサが杖を振った。無数の氷の矢がキュルケを襲う。
その場を飛び退き、地面を転がった。無様な姿だが、四の五の言ってはいられない。
氷の矢が次々と地面に突き刺さる。
氷の矢が尽きた事を確認し、キュルケは立ち上がる。
と、休む間も無く、ジョーカーの放った火球が迫る。
咄嗟にその場を飛び退く。――その背中に衝撃。
吹き飛ばされ、地面に倒れる。
確認するまでも無い……あの左手だろう。

(やっぱり……キツイわね)
キュルケは立ち上がりながら、状況が最悪な事を再確認する。
タバサとジョーカーと両手……どれかを何とかすれば、まだ勝機も有るのだろうが…。
ジョーカーは”あれ”以外は効果は薄そうだし、タバサは論外。

ならば――

「その手よ!」
キュルケは『ファイヤーボール』を左手に向かって放つ。
左手は一瞬で炎に包まれ、燃え尽きた。
(いけるわ)
間髪居れずキュルケは素早く呪文を唱え、もう一発今度は右手に向かって放った。
右手も左手同様、一瞬で燃え尽きた。
「どう?これで『治癒』は使えないわよ」
キュルケはジョーカーに言い放つ。
しかし、当の本人は平然としている。
と、ジョーカーの周囲に異変が起こる。
子供が描くような、小さな星や欠けた月が何も無い空間に現れ、一点に集まるようにして消える。
現れては集まって消え、集まって消え。
暫くそれが繰り返されると、白い手袋のような右手が現れた。
キュルケが驚く間も無く、同じようにして左手も現れた。

「のほほ、どんどん壊してくださって結構ですよ〜?幾らでも直せますのでネ」
ジョーカーは、さも可笑しいといった表情で笑う。
対してキュルケは唖然とするしかなかった。
――こうもアッサリと再生されるとは思ってもいなかったのだ。
(非常識にもほどがあるでしょ…)
そう思うのも無理は無い。破壊された手を簡単に元に戻すなど、誰が想像できようか?
しかし、現実は無情だ。…これで手を壊す方法も無駄と解った。
694毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:32:18 ID:p4QWy3Se
「さてさて…万策尽きちゃいましたか〜?それではそろそろ、お終いにしましょうかネ」
ジョーカーの目が赤く輝く。
向こうではタバサもまた、巨大な氷の槍を作り出している。
いい加減、体力も限界だ。これ以上避け続けるのは無理だ。
かと言って、これ以上の精神力の消費も痛い。
まさに絶体絶命……さて、どうするべきか?キュルケは悩む。
しかし、悠長に悩んでもいられない。

「これでフィナーレですよ〜!」
叫び、ジョーカーは顔面から炎球を放とうとする。
「あたっ!?」
短い悲鳴を上げ、ジョーカーの顔が明後日の方を向く。
一拍置き、放たれた炎球が地面を砕き、焼き払う。
ジョーカーは頬に感じた痛みに顔を顰めつつ、振り返る。
そこには青銅のゴーレムが浮かんでいた。
「あなた……まだゴーレムを作れたんですか?」
「…誰も”十体で全部”…とは、言っていないだろ…?」
忌々しそうな表情のジョーカーに、苦しそうにしながらも、ギーシュは笑みを作って答えた。
モンモランシーの『治癒』で全快とまでは行かずとも、
”何とか我慢できる”位にまで怪我が塞がったギーシュは残っている精神力でワルキューレを作ったのだ。
ワルキューレを突き飛ばそうと左手が飛ぶが、ワルキューレは素早く飛び退き、攻撃をかわす。
ジョーカーは目を赤く輝かせながら、ギーシュへ顔を向ける。
半死人であろうと、ほおっておいたのは間違いだった。
「キッチリ、片付けておくべきですネ!」
叫びながら炎球を放つ。
それをモンモランシーが精神力をありったけ使った、分厚い水の壁で押し止める。
大量の水が一瞬で水蒸気に変わり、煙幕のように立ち込める。
間髪居れずモンモランシーは一抱えほどもある水球を作りだし、水蒸気の向こうのジョーカーめがけて飛ばした。

凝縮されていない水球は命中と同時に破裂し、ジョーカーの顔面を濡らす。
「うわっぷ!?何ですか!?」
突然水をかけられ、ジョーカーはうろたえる。
ギーシュはその一瞬の隙を見逃さない。更に三体のワルキューレを作りだす。
全部で十四体…それが今のギーシュが作り出せるワルキューレの総数だ。
四体のワルキューレは瞬く間にジョーカーとの距離を詰める。
ここまでは先程と同じだ。だが、その先が違った。

一体が顔面に拳を叩き込んだ。

怯んだジョーカーに別の一体が真下からアッパーを繰り出し、真上へ打ち上げる。

打ち上げられたジョーカーを残る二体が全力で殴り付けた。

悲鳴を上げる間も無く、ジョーカーは地面に叩き付けられた。

反動で大量の土砂が宙に巻き上げられる。
695毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:35:09 ID:p4QWy3Se
「はは……どんなもんだい…」
ギーシュは土埃を見据えながら言い、力尽きたように地面に突っ伏す。
それに呼応するようにワルキューレも消滅した。

「やるじゃない…」
キュルケは気絶したギーシュと寄り添うモンモランシーを見つめながら、小さく微笑んだ。
戦力外と考えていた二人の活躍に素直に賞賛する。
「私も…彼女を止めなきゃね」
そう呟き、キュルケはタバサに向き直る。
タバサは既に二本の氷の槍を作り出していた。どちらも大きさから威力は容易に想像できる。
表情を伺う。変わらない無表情…、その目にやはり迷いは無い。

キュルケは小さく深呼吸をし、杖を構えた。
タバサも杖を掲げる。氷の槍が絡みつくように、杖の先端を回る。
杖を振り下ろせば、氷の槍はキュルケを貫かんと襲い掛かるだろう。
キュルケは無駄と知りつつ、タバサに向かって口を開いた。
「タバサ…最後に聞くわ。…どうしてもやるの?」
タバサは答えない。それが何よりの答えだった。
杖を振り下ろし、氷の槍を飛ばす。
キュルケは素早く呪文を唱えた。火球が杖の先端に現れ、氷の槍に向かって飛ぶ。
火球が氷の槍を飲み込み、溶かし尽くす。

と、立ち込める水蒸気を突き破り、もう一本の氷の槍が飛んだ。

「キュルケ!?」
ルイズの悲鳴のような声が上がった。
「…くっ…」
脇腹が熱い。見れば、そこに氷の槍は突き刺さっていた。
急所は辛うじて守ったが…避け切れなかった。血が傷口と口から溢れる。
地面に方膝をつき、荒く息を吐く。と、目の前に人の両足が見えた。
顔を上げると、親友の顔がそこにあった。

「…流石ね…。大した威力だわ…」
額に汗を浮かべながらも、軽口をたたく友人をタバサは静かに見下ろす。
その目を見て彼女は静かに唇を噛む。
――友人は少しも自分を恨んでいないのだ。
自分の勝手な都合で殺されようとしているのにも拘らずだ。
こんな目で見られては、自分の中のある種の決意も揺らいでしまいそうだ。
”何をしているの?早く止めを刺しなさいよ”
ガーゴイルを通じてミョズニトニルンの声が響く。
タバサは目を閉じた。
瞼の裏に浮かぶのは、友人との日々…、そして…母の笑顔。

目を見開き、タバサは杖を掲げて呪文を唱える。
何本もの氷の矢が現れる。杖を振り下ろせば、氷の矢は目の前の友人を串刺しにするだろう。
しかし…振り下ろせない。
何故振り下ろせない?もう、自分は覚悟を決めたのだ。今更、友人に情けをかけてどうなる?
そもそも、もう自分は友人などと呼ぶ資格は無いのに…。
「…っ!」
より一層強く唇を噛みしめる。
…自分は失いたくないのだろうか?この友人を?
696毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:38:07 ID:p4QWy3Se
「のほほほほーーー!!!チャンスです!!!」
突然聞こえてきたその声に、タバサとキュルケは同時に顔を向ける。
土煙を払い除け、ギーシュがノックダウンしたとばかり思っていたジョーカーが姿を現す。
瞬く間も無く、ジョーカーの目が赤く輝き、炎球が飛んだ。
凄まじい速さで飛ぶ炎球に、タバサは対応しきれなかった。

視界一杯に炎球が広がった、次の瞬間――

「危ない、タバサ!」

叫びながらキュルケが彼女に飛びつく。
炎球が着弾し、爆発が巻き起こった。

爆発により生じた爆風に煽られ、タバサは目を閉じた。
爆風が収まり目を開けると、自分を庇うように覆い被さっている友人が目に入った。
友人がゆっくりと身体を持ち上げ、自分を見つめる。
「大丈夫…?」
タバサは静かに頷いた。
そう、とキュルケは呟き――呻き声を上げ、顔を顰めた。
どうしたのかと思い、タバサは僅かに身体を起こし――目を見開いた。

友人のマントと制服の背中の部分、ブーツは無残にも焼け焦げており、
剥き出しの背中と両足に酷い火傷を負っていた。
「どうして…?」
友人を見つめながら、タバサは呆然と呟く。
解らなかった……何故自分を、こんな傷を負ってまで助けたのか。
タバサの呟きにキュルケは笑みを浮かべる。

「そんなの……あなたが私の大切な…親友だからに決まっているでしょ…」

タバサの目が大きく見開かれ、次いで涙を溢れさせた。
自分は彼女を切捨て、本気で殺そうとしたのに…、その彼女は身を挺して自分を庇ったのだ…。
その理由は”親友だから”……彼女は最後まで自分を切り捨てなかったのだ。
タバサは泣いた…、泣くしかなかった…。
697毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:41:09 ID:p4QWy3Se
”どうしたの?泣いたりなんかして。まだお前の仕事は終わってないよ?”
「そうそう、早く済ませちゃいましょうネ」
ミョズニトニルンとジョーカーの声が聞こえる。
キュルケはジョーカーを睨み付ける。
「あなた……仮にも…この子は味方…じゃないのよ…。なんで…あんな……」
キュルケの言葉にジョーカーは不思議そうな表情をする。
「はて?どう言う意味で?」
その様子に一層怒りを掻き立てられる。
「味方を巻き込むような攻撃を……なんでしたのよ…?この子…死んだかもしれないじゃ…ない…」
キュルケの言葉に顎(?)に手を沿え、ジョーカーは考え込む。
そして、目の形を変えてニヤリとした表情を作る。
「別にいいじゃないですか?」
ジョーカーは特に悩むでもなく、そう言った。
「なん…ですって…?」
キュルケは呆然とする。

ジョーカーは続けた。
「事情を知っておられるのであれば、ご理解いただけるはずですがネ?
そもそもシャルロットさんは、任務中の死亡を望まれてこうして使われているのですよ?
ですから、こちらとしてはあまりシャルロットさんの生死は関係ないんですよネ。
今のように任務成功が確実ならば、一緒に吹き飛ばしても何ら問題はありません。何しろ…」
そこで一拍置き、ジョーカーは口を開く。

「――駒の替えなんて幾らでも有りますしネ……のほほほほほほ♪」

キュルケは脳が沸騰するかと思った。それほどの怒りを目の前の幻獣とガーゴイルの操る者に感じたのだ。
――こいつらはタバサをただの消耗品としか見ていない。こんな奴等に…この子は今まで苦しめられたのか?
今直ぐにでも焼き尽くしてやりたい……激しい怒りが彼女に身体の痛みを忘れさせる。

タバサもジョーカーの言葉に再度唇を噛み締めた…。
その時だった。



「なんだ…?もう終わってんじゃねェか…」



その場の全員の視線が一斉に向く。

そこにはジャンガが立っていた。
698毒の爪の使い魔:2008/12/24(水) 07:44:33 ID:p4QWy3Se
以上で投下終了です。

フラワージョーカーって、蛇に見えますよね……俺だけでしょうか?(汗)

とりあえず、キュルケとタバサの友情の深さを俺なりに表現してみました。
キュルケって意外と母性溢れる感じがするんだよね…。

では、また。アデュー!
699名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 09:10:43 ID:m51bkcYp
700名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 10:06:46 ID:kkFwaTVG
乙。いや俺も花にはみえねぇよこの糞ピエロと思ったし。
701名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 11:50:11 ID:6L/e7YDK
乙っした
だよな、あれはどう見ても花じゃなくて変なうねうねした奴だ
702名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 13:15:24 ID:0C3DvWfw
過疎だ
みんな今ごろイチャイチャやってるんだろうな
703名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 13:20:06 ID:bmXh8Vv/
心配するな
一人さびしくしているのはお前一人じゃない
704名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 13:22:14 ID:W11GBhBg
俺は仕事だ、寂しく感じる暇もない

若いのが「今日デートなんすよ」だとさ
事故れ
705名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 13:24:37 ID:bmXh8Vv/
目の前でいちゃいちゃしているのを見ると
石を投げつけたくなるな・・・・
今日は嫉妬仮面の日か・・・・
706名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 13:25:18 ID:RHR7FC3D
俺は既婚の先輩達に囲まれて仕事中……

あー早く嫉妬マスク来ないかなぁ
707名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 13:26:42 ID:nzIGL7G4
急にレス増えたw
708名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 13:29:19 ID:bmXh8Vv/
しかたないだろう・・・
だれだってこの孤独を吐く場所は欲しいさ

まあゼロつかスレじゃなくてもいいがww
709名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 13:41:23 ID:J8UZizQk
はっはっは、みんなサビしくて惨めだなぁ
俺なんか今日は三人とかけもちさっ


PS3とX360とPC−FXだけどネ・・・・・
倉庫のバーチャボーイも引っ張り出そうかな・・・・・・
710名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 14:30:49 ID:6/PUMSPt
谷の人乙!更新が早いので嬉しい限りですw
星になったおマチさんに合掌…
711名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 14:42:43 ID:K4ltbqWB
避難所404?
712名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 14:50:50 ID:6L/e7YDK
普通に見られる
713名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 15:09:02 ID:Zzf6GyJM
くそぉ、遂にイヴだ……我らが希望マリコルヌ様はまだか!?
714名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 15:12:48 ID:07nSXVq+
マリコルヌとはうまい酒が飲める
715名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 15:17:00 ID:on2lkZw8
原作は7万まで読んでないからわからないが、アニメだと一瞬春が来t…いやなんでもない
716ゼロの魔王伝:2008/12/24(水) 15:18:53 ID:PBaVN6nD
こんにちはー、魔王伝4話目を、十分後位に投下したいのですが、問題ないでしょうか?
序盤の原作のストーリーをいくらか省いています。
717名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 15:20:19 ID:J8UZizQk
のーぷろぶれむにしてもーまんたいなのですよ

このイヴの孤独を和らげてくれる投下を支援するのでするー
718名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 15:20:35 ID:Hh6eWvYf
支援
719ゼロの魔王伝:2008/12/24(水) 15:30:57 ID:PBaVN6nD
ゼロの魔王伝――4

 いかにして彼らはハルケギニアに召喚されたか――吸血鬼ハンターの場合。

 西暦120XX年。南部“辺境”にて。
 稲光が月を覆い隠した分厚い雲を白々と染めては切り裂き、夜雨の中を飛ぶ飛行獣や無人戦闘爆撃機を貫き、轟く雷鳴は地に伏した妖獣や邪妖精たちの体をびりびりと震わせていた。
 時折天に走る雷竜に照らされて、緩やかな丘陵地帯に立つ古城のシルエットが照らし出される。一万数百年以上前にあった人類の中世時代、西欧で建造された当時の城郭を模したと思しい建築物であった。
 違いがあるとするならば、城を構成するのは全て自己再生機能を持った人造の模擬石であり、鉄鋲が幾つも打たれた鉄扉は、時に質量無限トンとなり、加えられる負荷を四次元方向にずらしていかなる圧力にも耐える空間操作技術の加護を受けていた事。
 また、静止衛星軌道まで射程に収める光学兵器群や大地の奥底を人間の血脈の様に縦横に走るレイ・ラインを応用した地殻変動・気象操作兵器や、電子集合体である不死の殺戮兵士達を万単位で備えていたことだろう。
 そして何よりも城の主が人間ではない事こそが、もっとも大きな違いであったに違いない。
二十世紀末、どこかの誰かが押した核ミサイルのスイッチによって地球環境は荒廃し尽し、避難シェルターに身を寄せ合ったわずかな人間たちのみが生き残った時代。
地上には核の放射能で誕生した汚らわしいミュータント達が跋扈し、宇宙の彼方から押し寄せたエイリアン達との闘争の歴史を紡ぎ、そして人類に変わり数千年の長きに渡ってある者達が地上の覇者となった世界。
 伝説にその姿をとどめるだけだった筈の夜の覇王種“吸血鬼”達が、自らを貴族と名乗り、その超魔術と超科学、そして種族的特性――不老不死、超知覚、吸血行為による他種の同種化、単純な生物としての能力値を持って人類を隷属化した惑星。
 しかし、今や再び人類が吸血貴族達から地上の覇権を取り戻していた。それでも尚、辺境各地にはびこるかつての支配者たちの恐怖を払拭すべく、人間達は貴族と呼ばれた吸血鬼達を執拗に刈り続け、それはある人種達を生む事になる。
 人間の限界を超えた超人を持ってしても尚滅ぼせぬ貴族、その貴族を滅ぼす超人を超えた超人――吸血鬼ハンターを。
 燭台に灯された青い蝋燭の炎のみが明かりとなった世界で城の主と、近隣の住人から主の討伐を依頼された吸血鬼ハンターとの死闘が、いままさに幕を下ろさんとしていた。
 ハンターの足を止めるべく放たれた改造妖獣たちやサイボーグ・マン、無人戦車などからなる刺客達は全て骸となり、血やオイルを流しながら城のあちこちに無残に転がっている。
 城の主は二メートル超の巨躯の、若い銀髪の青年の容貌を持っていた。貴族ならではの赤く爛々と輝く瞳には、今や濃密な滅びの光が浮かんでいる。
右手には空間断絶機能を持っていかなる物質も空間ごと切り裂く超科学の産物たる大剣が握られていた。
重く閉ざした扉を開き、姿を見せたハンターの正面からの一撃を受けた時、その刃は風の様に何の抵抗も見せる事無く切り裂かれ、今は床に突き刺さっている。
左手の薬指にはめていた黄金の指輪は、内蔵された反応炉のエネルギーを一千万度の熱量を持った金色の光線に変えてハンターを襲ったが、ハンターが掲げた左手の掌に吸い込まれ、夜の闇にも輝く白い肌を赤熱する事もなく無力化された。
 その指輪も今は肩から先を切り落とされて、たちまちの内に灰と化した左腕と共に床に転がっている。通常、貴族の備える再生能力は、たとえ五体を微塵に粉砕され、脳漿をぶちまけられ、四肢を寸断されてもほどなくして復活する機能を持つ。
 だが、目の前のハンターの振るった一刀を前にその再生能力は一向に機能せず、脳髄を沸騰させるがごとき苦痛が洪水のように絶えず流れこんでくる。
720名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 15:31:20 ID:OxZdSK3e
支援
721名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 15:31:36 ID:7hiaUdFi
支援
722ゼロの魔王伝:2008/12/24(水) 15:32:01 ID:PBaVN6nD

「ぐおぉぉおお!」
 
 野の獣も怯え震える吸血の魔王の咆哮は、しかし眼前に迫る自らの滅びに対しての恐怖で満たされていた。貴族の瞳の中のハンターが飛んだ。
 七メートルの距離を一瞬でゼロにする神速。下弦の月を白刃が描いた時、とっさに頭上に振り上げた大剣はさらに根元から切り落とされ、貴族の頭頂から腹腔までを情け容赦なく割った。
 ハンターはこれまでもこうして貴族を狩り続けてきたのだ。見る見るうちに灰へと変わり、滅びて行く貴族が最後の力を振り絞り、自分に滅びの運命を与えた刃を思い切り握りしめた。
 ぽとぽとと、芋虫の様に五つの指が落ちるのよりもわずかに早く、千人力を誇る貴族の握力に耐えかねた刃が微塵に砕けて、窓から差し込んできた稲光を反射させながら舞い散る。
 その最後の瞬間、貴族の口元に刻まれた笑み。ハンターが初めて声らしきものを発した。依頼を受け、この城の城門をくぐってから初めて出す声であった。
 ハンター一人の人影しかないのに、奇妙な事に声は二人分あった。

「いかんな。こやつの滅びと城の自壊がリンクしとる。まもなく半径百キロ圏内が原子炉の暴発に巻き込まれるぞい。後にはペンペン草一つ残らんわ。圏内の生命がすべて死に絶える」
「時間は?」
「ざっと一分。逃げるも止めるも厳しい時間じゃて。さてどうする?」
「……」

 沈黙のままハンターが背後を振り返り、城の地下に設けられた百基の原子炉へと足を向けた。

「止めるつもりか? 逃げる方が楽じゃが」
「圏内に依頼人の村も含まれている。報酬を受け取る前に死なれるわけにもゆくまい」
「ま、それもそうじゃな」

 きっかり三十秒後、地下のマグマ層に設けられていた動力室に辿り着き、転送装置から足を踏み出して、ハンターは動力炉の前に立った。半径十メートルほどのドーム状の一室だ。
 その中央に高さ一メートル、直径も同じく一メートルほどの円柱がぽつんと突き出ている。誰が想像し得ようか、百を超す原子炉がこの円柱の中にすべて収められているなどと。
 原子炉を内蔵した円柱以外他には何もなく、構造材そのものが発光しているのか動力室は銀色の光で満たされていた。
 ハンターが一歩を踏み出す。動力室の管理を司るコンピュータが照合するデータが無い侵入者に対して排除行動に出た。室内に散布してあるミリサイズの浮遊攻撃衛星に攻撃を命じ、ミクロンミサイルやナノ口径レーザービームが一斉にハンターに群がる。
 掲げられたハンターの左掌に横一文字の黒い亀裂が走るや、まるで生物の口の様に開いてぽっかりと開き、その内側に歪な歯の並びと赤い小さな舌が覗く。
 まっすぐに伸びていたレーザーもミサイルも衛星も、ハンターの左手に開いた口に吸引され、瞬く間にその数をゼロに変えた。

「それ急げ。残り二十秒」

 揶揄する様な声と共にハンターが歩みを再開し、コンピュータの敷いた防御壁と衝突した。空間を歪ませ、分子サイズまで分解してランダムに転移させる空間歪曲の防御壁であった。
 ハンターは先ほど貴族によって半ばから刀身を砕かれた長剣を、背の鞘から抜き放ち、雷光と見間違えるほどの一突きを見舞った。
 空間に刀身が突き刺さるという非現実的な現象は、確かにハンターの手によって現実のものとなり、折れた刀身に貫かれた歪曲場は人間の可聴領域を超えた断末魔の悲鳴を上げて切り裂かれた。
 突き刺した刀身をねじり、一気に上方に斬りあげるのと同時に行く手を阻んでいた歪曲空間の消失をハンターは悟っていた。
 王が道を行くがごとくあらゆる障害は障害足り得ず、ハンターは容易く動力炉の制御盤の前に辿り着いた。銀に鈍く光る断面以外には何もない制御盤の上に左手の掌を押しつける。再び聞こえる老人めいた言葉遣いのあの声。

「よっしゃ、これで万事オッケーじゃ。あとは悠々とあの村に戻って報酬を受け取ればこの件は終いじゃ。……が、これも罠らしいの。この動力炉の停止と同時に転送機が機能停止しとるわい。このままじゃとマグマの中を永劫に彷徨う事になるの」
「そうか」
「前に火山に落っこちた貴族を見た事があったが、あれは酷かった。肌が焼け肉が燃え骨が溶けるのと、貴族の再生能力で治り続けるのがほぼ同じ速度で行われてなぁ。
滅びるに滅べず、治るに治せず、救助された後もしばらく精神を病んどったわい。お前もそうなるかの? 狂った方が幸せな事もあるか、ほっほっほ」
723名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 15:32:26 ID:kkFwaTVG
美しすぎて見えない支援
724ゼロの魔王伝:2008/12/24(水) 15:33:13 ID:PBaVN6nD
 絶体絶命の窮地をどうとらえているのか、二人の声には焦る様子も諦めた調子もなかった。この程度の事は、これまで幾度となく経験してきたのかもしれなかった。
 そして、動力炉からのエネルギー供給が断たれ、見る見るうちに分子結合を崩壊させた動力室の隙間から灼熱のマグマが雪崩れ込むのと、何の前触れもなく現われた鏡に、ハンターが呑みまれるのは、わずかに後者の方が早かった。
 かくして、辺境最強の吸血鬼ハンターと謳われた美しき魔人は、その姿を辺境から消す事となった。その事実を確認したとある吸血鬼の王が、マジで? と固まっていたかどうかは定かではない。


 トリステイン魔法学院。双月の輝きがひとしお増す時刻。夜半であるというのに、いくつかの人影が中庭にあった。
 緩やかに波打った桃色の髪を持った未成熟な印象を受ける少女と、正反対にプリミティブな色香を纏った豊満な四肢を持ち、褐色の肌と燃え盛る炎を連想させる髪を持った少女。
 それに目の覚めるような瑠璃色とも見える青い髪に赤縁の眼鏡をかけた一番小柄な少女。全員が魔法学院の生徒である。
 さらにそこに異物が二つあった。旅人帽を目深にかぶり、胸元に揺れる神秘的な青を湛えたペンダント以外はすべて漆黒で整えた衣装の青年である。
 少女達は順に、ルイズ、キュルケ、タバサという名であった。青年はその三人の内、ルイズが呼び出した使い魔である。
 昼ごろに、剣士らしい青年の新しい剣を買うためにルイズは買い物に出かけ(青年の背にあった長剣は半ばから折れていた)、ひと振りの剣を買ったのだが、キュルケもまたこの青年の為に剣を求めていた。
 両者が贈ろうとした剣のどちらがこの青年に相応しいか、という議論に発展し、ルイズとキュルケはそれを魔法の勝負で決めるべくこのような夜更けに、学院の中庭に出ていた。
 二人の喧しい剣幕もどうでも好さげな青年が無言で見守る中、ロープで吊るした薪をどちらが先に地面に落とすかで勝負を行い、キュルケの魔法がいち早くロープを斬り落とした時に、異変が起きた。
 突如、天に角突くような巨大な土の巨人“ゴーレム”が出現して、学院の塔の壁をその巨大な拳で殴りつけはじめたのだ。
 タバサが危険と判断し、待機させていた使い魔のシルフィードを口笛で呼び寄せ、キュルケとルイズを乗せて上空に退避する中、青年が地面に放置されていたボロ剣――ルイズの買った剣だ――を拾い上げるや、一陣の黒い疾風となって駆けた。
 それまでの動きの過程がすっぱりと抜けたように、ルイズは青年が地面を蹴ってゴーレムの腰辺りまで跳躍し、さらにその巨体を蹴って舞い上がるのを見た。
 なんて軽やかに、早く、そして優雅でさえあるのか。ルイズにはその青年の背に目には見えない翼が生えているように思えた。
 風を巻き、刃に巻いた風さえも切り裂く凄絶な一刀が天から地へと振り下ろされた。圧倒的な質量をもって構成された土巨人の右肩口から入った刃毀れだらけの刃は、しかし鍛冶の神が戦の神の為の打ち上げた一振りの業物の如き切れ味を発揮した。
 それを振るう剣士もまた、神々の戦士として戦乙女に選ばれるべき技量を誇っていたといえよう。
 目の前に立ちふさがった三十メイル近いゴーレムの体を蹴って舞い上がり、そのゴーレムの右肩へと叩きつける様に浴びせた無造作な一刀。
 刹那の時よりも短い時間煌めいた剣光が通り過ぎるや、ずるりと音を立てて巨木の幹よりも太いゴーレムの音が落ちた。
 重々しい音を立てて崩れ始める土の塊を背に、右手に一振りのボロ刀を持った人影が、ゆるやかに天から舞い降りる。
 草を踏む音一つなく降り立ち、軽く曲げた膝を伸ばして隻腕に変わったゴーレムを見上げる。世界を朧に照らす月光の中に、闇が人型を成したような青年であった。
 風を孕み、開いた蝙蝠の翼の如く広がっていたロングコートの裾が、闇の帳の様にゆるゆると青年の体に纏わりつく。
 宝石の輝きも、星の煌めきも、月明かりさえも吸い込み閉じ込めてしまうような黒瞳は無情の色を浮かべて生命無き土巨人を見上げていた。
 月と星の光が求める抱擁から青年を隠すように鍔の広い旅人帽の下で、青年の表情はこの世界に来てから一度たりとて変わった事はない。
 身を焼く陽光の下に在っても、その身に宿す闇の遺伝子が活発化する夜の最中に在っても、常に変わらず死仮面の様に冷たく、美しく在るだけであった。
 その左手には淡く淡く、目を凝らさなければ映らぬほど、かすかにしか光らぬルーン――神秘文字が刻まれていた。
725ゼロの魔王伝:2008/12/24(水) 15:34:39 ID:PBaVN6nD
 カタカタ、と青年の右手に握られた錆だらけ、刃毀れだらけのナマクラ刀の鍔が音を立てて鳴いた。わずかに沿った片刃の刀身を持った長剣である。どれだけの年月を野ざらしのまま過ごしたのかと思うほど、見るも無残な姿だ。

「しかし、あれだね。相棒はちーっとも心を震わさんのね。おりゃ、これでも長く剣をやっちゃいるが、こんな心は初めてだね」

 大地の産物たる鉱物から鍛造された剣が言葉を語る不思議も、このハルケギニアの世界では知れ渡った知識の一つにすぎない。魔法の技を持って知恵と意思を与えられた剣“インテリジェンスソード”の一振りで、銘をデルフリンガーという。
 どこかしわがれた様なからから声でデルフリンガーは、剣である自分さえも陶然としてしまうほどに美しい、今代の使い手を評した。

「ほっほっほ、泣いて命乞いをする幼子の心の臓を貫いて首を刎ねる男じゃ。今さら土の木偶なんぞ前にしても心なぞ動くものか」

 とデルフリンガーに答えたのは、耳にした者が思わず顔を顰めてしまうようなひどい皺涸れ声だった。何百年も生き続け、老い続けた老人を思わせる。
 耳に心地よしとはお世辞にもいえぬ声は、青年の精神の在り様の酷薄さを皮肉気に告げた。その声はデルフリンガーを握る右手とは逆の左手から聞こえていた。
 手の甲でかすかに光輝くルーンとは別に掌から、そのなんて無残な、と憐れんでしまうような声は聞こえているのだ。左右の手に自分以外の意思ある者を宿した青年は、両者の声に応える事はなかった。
 青年は右手に握った長剣と左手の老人の評価を気にした風もなく、残った左拳を振り上げるゴーレムの姿を見つめていた。まるで、そこに立つ者が何の障害にもならぬと、いや意識する価値さえ無いと告げる様に。
 ただ一人、弧剣のみを頼りに巨大なゴーレムと対峙する青年の孤高の背に、背後に退避した少女達の中の一人が、青年の名を叫んでいた。
 その背中があまりにも寂しいから。
      あまりにも悲しいから。
      あまりにも孤独だから。
      あまりにも…………。

「Dーーー!!」

 誰も気付かないような一瞬だけ、Dと呼ばれた青年が自分の名を呼んだ桃色ブロンドの少女を振り返った。ゴーレムに対して向けるのと等しく北の彼方の海に浮かぶ氷塊のような冷たさを浮かべる瞳には、しかしどこかに、冷たさ以外の何かが宿っていた。
 迫りくるゴーレムの巨拳を振り返ったDは、右半身をずらして避ける。その巨体故に頬を打つ風も剛体の強さを持つ。頬の顔を引き剥がしてゆきそうな風に、瞬き一つせずにDは、切っ先を地に向けていたデルフリンガーを無造作に振り上げた。
 Dの右手が天を指した時、斬り飛ばされたゴーレムの五指が勢いよく飛んで地面にめり込む。旅人帽の下でDの黒瞳は変わらず、命あるもの全てを雪の中に閉じ込めてしまう厳冬の様な厳しさを浮かべていた。
 ゴーレムの切り飛ばされた五指の断面、そして同じく斬りおとされた右肩の断面は覗きこんだ者の顔を映すほどに鮮やかで、磨き抜かれた鏡のようであった。
 そして、その断面とDの姿をタバサだけが、射殺すように凝と見つめていた。浪蘭幻十――かの魔人と対峙しうるもう一人の魔人を。
 タバサはゴーレムと切り結ぶDの姿を見つめながら、幻十の邪悪さを思い知ったとある日の事を思い出していた。
726ゼロの魔王伝:2008/12/24(水) 15:36:47 ID:PBaVN6nD

 吸血鬼ハンターがハルケギニア大陸に召喚され、浪蘭幻十がタバサと出会ってより数日後、つまり魔法学院でゴーレムが暴れるよりも数日前の事である。
 今日もトリステイン魔法学院に届けられた密書によって、北花壇騎士団七号としての任務を言い渡されたタバサは、ガリア王国の辺鄙な村を訪ねる事となった。
 直接任務を言い渡す北花壇騎士団の長たるガリア王国第一王女イザベラは、いとこに当たるタバサに対して常につらく当たっていたが、先日体調不良を理由に床に伏せてタバサと面会する事はなかった。
 今回もそうなるかと思ったが、呼び出されたタバサの前に姿を現してその健在を告げていた。ただし、明らかにこれまでのイザベラの様子とは異なる。
 常にタバサを見下ろしながら、奥底に恐怖を塗り込めていた瞳は、タバサの事を見ようともせずにあらぬ方を見ては、ぽうとして焦点をぼやかしている。タバサその現象の理由を即座に悟った。
 トリステイン魔法学院でも同様の現象が、生徒・教師、老若男女を問わずこの数日で広がっていたからだ。イザベラの瞳は美しさに心奪われた者の瞳であった。
 いつもはタバサに対して様々な嫌味や嫌がらせをねちねちとぶつけるイザベラも、そんな事をする気力もわかないのか、時折切なげな溜息を零し、頬を桃色に染めてはゲント様、ゲント様、と呟いて夢想の世界に翼を広げていた。
 まあ、タバサとしてもイザベラと同じ空間に居る事はあまり歓迎したい事でもないし、嫌味をぶつけられても無感情を装う事は出来るが、かといって精神衛生上よろしいわけでもない。
 比較的正気を保っていた侍女の一人から任務の内容を記した密書を受け取るや、タバサは早々にシルフィードに跨った。
 なお、本来の歴史においてタバサは今回の任務の内容を事前に知らされるのだが、当のイザベラがあんな調子の為、呼び寄せてから告げる事になった。
 今度の任務の内容が、ガリアの首都リュティスから遠く離れたサビエラ村に現れた妖魔吸血鬼の討伐である事を確かめたタバサは、かすかに眉を寄せた。
 吸血鬼。読んで字の如く血を吸う鬼である。血を吸った人間を一人、屍食鬼として自分の意のままに操る事が出来て、先住魔法と呼ばれるエルフや亜人特有の魔法を使いこなす。
 魔法の力や身体能力は他の亜人に一歩譲るが、何より恐ろしいのは普通の人間と区別がつかず、疑心暗鬼に囚われた人々が混乱する中、次々と血を吸って犠牲者を増やす狡猾さに在る。
 かつてはたった一体の吸血鬼の為に一つの村や町が滅びた事もあるのだ。その吸血鬼が現れたサビエラ村には、すでに火のトライアングルメイジが派遣されていたが、そのメイジも死体へと変わり、タバサの出番と相成ったのである。
 呼び出されたプチ・トロワの蔵書から吸血鬼に関する書物を持ち出して、シルフィードの背びれにもたれながら読み、サビエラ村までの時間を潰した。
 その間中、シルフィードは立て板に水を流すように吸血鬼の恐ろしさについて口を酸っぱくして語ったが、タバサは無言であった。
 しかし、サビエラの村を訪れた時、タバサは既に任務を終えたも同然であった。なぜならば、いかなる偶然かその村には手駒を捜すとジョゼフに告げ、王宮から姿を消していた
 幻十の魔影があり、サビエラ村の住人は全て既に息絶えていたからだ。
 そして朱に染まった村でタバサは自分の叔父が呼び出した者の恐ろしさを、今一度思い知らされることになるのだった。


終了。ちょっと短いでしょうか? お目汚し失礼しました。
727名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 15:44:23 ID:J8UZizQk
お疲れ様でした

そういえば突然ですがバーガンディ伯爵ってどんな人だったんでしょう
わかっている事といえばハルケギニアでトップクラスの忍耐力を持っているということくらいだが
728デモゼロ:2008/12/24(水) 15:56:34 ID:7hiaUdFi
乙でした〜
えと、10分後くらいに第十二話投下してもよろしいでしょうか?
729名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 16:02:55 ID:NQVGpULk
支援するよ
730デモゼロ:2008/12/24(水) 16:06:37 ID:7hiaUdFi
ありがとうございます、短いですが、投下開始させていただきます


 馬鹿力のルイズ、獣人の姿になって、化け物をやっつけた
 二つの月の下、勝利の雄叫びあげるルイズ

 …何故、こんな姿になったのか
 この姿は、一体、どう言う事なのか?
 ルイズは、この力を正体をまだ知らない


 勝利の快楽に酔っていたルイズ
 が、ふと、正気に戻る

 …そうだ、キュルケは?
 慌てて、キュルケたちの元へと駆けるルイズ
 ……途中の、ロングビルが作った壁?
 そんなもの、ひょい、と跳び越していけばいい
 ずん!と目の前に現れた獣人の姿のルイズに、タバサがやや警戒したように杖を向けようとしたが
 それを、そっと押し止めたのは、キュルケ
「ルイ、ズ」
 じっと、ルイズを見つめてくるキュルケ
 途惑っているようだが、しかし、確信を秘めた眼差しで、じっとじっと、見つめてくる
「ルイズ、でしょ?あんたがその姿になったところ…ちゃんと、この目で見たんだから、ね」
 優しく、そう言われて

 …ルイズは、ようやく、己の姿を自覚する
 小柄な少女の面影は、今の自分にはない
 今、ここにいるのは、桃色の毛並みをしていると言う、世にも珍しい獣人

「わ……た、し?」
 私は、貴族だ、メイジだ、人間だ
 なのに、何故?
 何故、こんな姿に?
 途惑うルイズ、自分のこの姿が
 そして、この姿で振るった力が、途端に恐ろしくなった

 怖い
 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
 自分自身が恐ろしい、だなんて、生まれて初めての経験だ
 嫌だ、この姿が嫌だ
 私は、人間なんだ……!

「ぁ……」
 ゆっくりと、体が縮んでいく
 体を覆っていた毛が、体の中に引っ込んでいくような感覚
 ひゅう、と夜風が体を撫でていく、その感触が酷く冷たい
 己の手を見ると…あの伸びていた爪は、すっかり元に戻っていて
 ぺとぺと
 顔を触ると、これもまた、元通り
「もど……った……?」

 …あぁ、あぁ
 人間に、戻れた
 その事実に、ルイズは安堵する

731デモゼロ:2008/12/24(水) 16:08:00 ID:7hiaUdFi
「ちゅ、大丈夫でちゅか?」
 ひょこり
 壁の向こうから、モートソグニルがこちらを覗いてきた
 モートソグニル、の、はずだ
 鼠の姿には戻らず、青年の姿もままだけれども…
「………ちゅ!?」
 と
 突然、モートソグニルが、頬を真っ赤に染め上げた
 慌てて、背中を向けてくる
 ………?
 どう言う事か?
「あ、えぇと、その…ミス・ヴァリエール」
 モートソグニルの様子に、首をかしげたルイズに
 ロングビルが、声を駆けてきた
「寒く……ないのですか?」
「え?」
 ……ぶるるっ
 言われた瞬間、寒さを感じた
 っくちん、小さくくしゃみをする
 そうだ、体を覆っていた毛皮が消えてしまったのだ、寒いはずである
「………え?」
 待て、ちょっと待て
 自分は、福を着ていたはずだ
 なのに、何故寒い?
 いや、もうわかっているはずだ
 自分は、あの獣人の姿になった時……体が膨張したせいで

 …服が、破けたじゃあないか

「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
 自覚した、その瞬間
 ルイズは、モートソグニルが背中を向けた理由に、気づいた
「っい、いやぁあああああああ!!??」
 夢中で、夢中で、杖を握り、詠唱する!!
「っちょ!?ル、ルイズちゃんやめてー!しっかり見たわけじゃないから爆破するのはやめてでちゅー!!」

 …ずどごぉん!!!
 真夜中の森の中、豪快な、豪快な爆発音が響き渡ったのだった

732デモゼロ:2008/12/24(水) 16:08:45 ID:7hiaUdFi
 キュルケから借りたマントを羽織るルイズ
 …うぅ、さ、寒い
「な、相棒。あの人狼っぽい獣人の姿でいた方が寒くないんじゃねぇか?」
「い、嫌よ。第一、また変身できるかどうかわからないし…」
 …それに、元に戻れるかどうかも、わからない
 ぞくり、背筋を駆け抜ける、悪寒
 …もし、もしだ
 あの姿になって、元に戻れなくなったら…?
 嫌だ、そんなの、嫌だ
 確かに、あの姿でいると、全身に今まで以上の力が湧いてきた
 化け物を倒せるくらいの力が、自分には身についた
 でも……でも
(私は…貴族、なのよ)
 確かに、凄い力だとは思う
 でも…魔法とは、全く関係ない
 魔法は、使えないままなのだ
「…ルイズ、大丈夫?」
「キュルケ…」
 沈むルイズに、心配そうに声を駆けてきたキュルケ
 その肩には、傷痕が残されたままだ
 この傷痕だって…完全に、治療されたものではない
 早く、魔法学院に戻って、本格的に治療されるべきだ
「大丈夫。大丈夫よ。あなたは、自分の怪我のことを、考えていて」
 そうだ、大丈夫
 自分に言い聞かせるように、ルイズはキュルケに言った

 大丈夫、だ
 …確かに、自分は獣人の姿になったけれど、心まで獣になった訳ではなかった…はず、だから
 私は、まだ私のまま
 私は、私を失ったりは、しない


「大丈夫ですか?その…モートソグニル」
「…お手間かけたでちゅ」
 ルイズの爆発魔法で吹き飛ばされたモートソグニル
 …化け物を倒した時は無傷だったはずなのに、今は煤だらけである
 奇跡的に、ダメージは少なかったようだ
「モートソグニル…なのですよね?」
「はい、そうでちゅ。モートソグニルでちゅ」
 ロングビルに向き直るモートソグニル
 どうにも、彼と話していて、ロングビルは奇妙な感覚を抱かざるを得ない
 …これが、本当にあの、モートソグニルなのか?
 姿が変わるのを目の前で見ても、やはり、信じられない
 ロングビルと同じ気持ちなのだろう
 シルフィードが怪我をしていないか見ていたタバサも…何時の間にか、モートソグニルをじっと見ている
「ただの鼠では、なかったのですね」
「昔は、ただの鼠だったでちゅよ。ただ、色々あって…」
 やや、言いにくそうに言葉を濁すモートソグニル
 ちゅ、と一声あげて、立ち上がった
「…とりあえず、この人たちを助けないとでちゅ」
「人……?」
 モートソグニルが、向かったのは

 …先ほどまで、自分たちを襲ってきていた化け物の元
733名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 16:09:33 ID:pACSxwPY
支援
734デモゼロ:2008/12/24(水) 16:10:20 ID:7hiaUdFi
 ぴく、ぴく…と、時折痙攣している様子を見ると、皆死んではいない
 ただ、気絶しているだけのようだ
 その化け物たちに、モートソグニルは足早に近づいていく
「ま、まだ止めを刺していないのですから、危険です!」
「ちゅちゅ、大丈夫でちゅよ。早く、この人達を解放してあげないと」
 そう言いながら、モートソグニルは化け物の傍らにしゃがみこんだ
 す、とモートソグニルは、化け物の傷口に手をかざす
 何を、しようと言うのか
 怪訝に思いながら、ロングビルはその様子を見つめ…


 直後、信じられない光景が、うつしだされた


 化け物の体が、縮んでいく
 そして、その体が…人間の姿へと、変化したのだ
 ころり
 傷口から、転がり出た、石
 いや、あれは…


「…悪魔の種!?」
 元化け物の体から転がり出たそれを見て、ルイズは思わず叫んだ
 確かに、あれは悪魔の種だ
 …ルイズの中に吸収された内の、小さなほう
 それが、どうして…化け物の、体から!?
 モートソグニルは、次々と化け物の傍に屈んで手をかざし…その度、化け物は人間の姿へと変わり、悪魔の種が転がり出る
 これは、どう言う事なのか?
 きゅう、と体を包むマントを握り緊めるルイズ
 ……っどくん
 体を走る、奇妙な感覚
(欲し……い?)
 欲しい
 あの、悪魔の種が…欲しい
 何故、そんな事を思うのか?
 わからなくて、ただ、混乱する

 喰ラエ

「…………!!」
 何だ
 この声は、何なのだ?
 頭に響く、この声は…
「ルイズ…ルイズ、どうしたの?」
 キュルケが声を駆けてくるのに答える余裕もなく、ルイズは頭を抱えた
 何だ
 一体、何なのだ?

735デモゼロ:2008/12/24(水) 16:11:32 ID:7hiaUdFi
 戦エ
 戦ッテ、ソシテ喰ラエ
 ソシテ、強クナレ

「ぁ……」
 …あぁ、この声は
 頭に響く、この声は

 …間違いなく、自分のものじゃあないか
 自覚した瞬間、感じた恐怖
 自分が変わっていってしまう
 その恐怖に、ルイズは己の小さな体を抱き締めて、震えた


 化け物に…カルトロップになってしまっていた人々を元に戻していきながら、モートソグニルは悩む
 どうしよう
 どう、説明してあげればいいのだろう?
 どう伝えれば…不安がらせずに、怖がらせずにすむのだろう?
 怯えたように縮こまっているルイズを見つめながら、モートソグニルは小さくため息をついたのだった
736名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 16:11:42 ID:pACSxwPY
支援する
737デモゼロ:2008/12/24(水) 16:12:23 ID:7hiaUdFi
以上で、投下終了です
支援してくださった方、ありがとうございました!
738名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 16:25:57 ID:NQVGpULk
デモゼロさん乙
ルイズが人間に喰らいついてむしゃむしゃしてるシーンを想像してしまった。ルイズ可愛いよルイズ

そして今日がイヴであることにこのスレを見て気づいた。そういえば明日はクリスマスなのね
カップルがねたましいと思える人はまだ正常だと思う。俺は心の底からどうでもいいから……
739名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 16:59:29 ID:Hh6eWvYf
俺も。てかこの歳になるとどうでもよくなるんだよな。
てか俺にはルイズとタバサとシエスタとテファがいるから正直どうでもいい。
740名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:13:38 ID:SoNdup9Q
種で小ネタを書いてみた。

キラとルイズしか登場しないので、心配無いとは思うがそれでも嫌な人はNGかけて欲しい

反応無しorOKが出れば5分投下します。
741小ネタ:2008/12/24(水) 17:19:47 ID:SoNdup9Q
ここトリステイン魔法学院に、一人の少女がいる。
名をルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。二つ名は『ゼロ』。理由は魔法の成功確率なのだが……
ルイズは今日、使い魔を呼び出す事に成功し、自分の部屋に連れて来たのだが…ルイズ自身この使い魔を気に入ってはいなかった。
気に入らない理由は上げれば限が無い。だが、一つ挙げるとするならば………それは、妙な平民だからだ。
平民の名は…キラ・ヤマト。彼の話では、親友と戦い、気が付いたらここにいたとの事。
挙句…この少年は、ルイズいやハルケギニアの誰もが理解できない話をする。
例えば…地球・プラント・宇宙など…ルイズはとりあえず地名みたいな気がするので、そう考えてみるが、後がわからない。
C・EやMSそしてOS等など……彼が話している事が理解できない。
だが、ルイズを悩ませる問題点はもっと別の所にあった。
742小ネタ:2008/12/24(水) 17:20:55 ID:SoNdup9Q
………ルイズの部屋 時刻は夜

「ねえ…お願いだ!僕を…僕は元の場所へ返らなくちゃ行けないんだ!だから…だから!」
ルイズに懸命に懇願するキラ。
「無理」
そんな、お願いをあっさりと却下するルイズ。
「何故だ!?そんな…何故なんだ!?」
「だって、私そんな方法知らないもん。それに…アンタは私の使い魔なの!わかった!」
念を押す様に言うルイズ。
「僕は…どうして…こんなところへ…来てしまったんだろう…」
キラは何故か遠くを見る。
「そんなこと私に聞かないでよ!私も諦めたのだから、アンタも諦めなさい!」
一度呼び出した者を使い魔にするのは伝統であり、そして主に一生仕えるのが運命。
だからこそルイズは諦めが着いていたのだが、キラは違った。
「卑怯だ!あなた達は!」
強い口調で反抗するキラ。
「ちょ…アンタいきなり何よ!!」
キラの『卑怯だ』発言にイラッとくるルイズ。だがキラは、そんなルイズの心情を察せずさらに反抗する。
「いきなり連れてきて、使い魔は僕だけだって言うんでしょ!」
「もう一回言うけど…アンタは私の使い魔なの!」
「やりたくない…やらせないで」
ルイズも我慢の限界に達した。
「黙って私に従いなさい!わかった!返事は!」
「わかったよ…」
ルイズは次に使い魔がやることを説明した。
「主人の目となり耳となる能力が与えられるの…でも、無理みたいね」
一人で説明し、一人で納得するルイズ。
「そうなんだ…ごめんね…」
何故か謝ってしまうキラ。
「次に、主人の望む物を持ってくるのよ。例えば…薬とかなんだけど…これも無理ね」
「あ…ごめん」
再び謝ってしまうキラ。
「これが重要なんだけど、主である私を守る事…は出来ないわよね?」
「もう…僕は…」
「もういいわ…掃除と洗濯。わかった?」
ルイズはキラに問う。しかしキラの答えは、何とも判断しにくいかいとうだった。
「僕は…守りたい世界があるんだーーー!」
しばしの沈黙
「雑務を頼まれたぐらいで…一体何?世界ってそんな大げさな事なの?」
ルイズの疑問はもっともなのだが、キラは何も答えない。
「まあ…いいか。明日、朝起こしてね」
ルイズは着替え、ベッドに入り明かりを消し、そのまま眠ろうとしていた。
「…僕…僕は…そんな事したくないのにぃぃ!!!」
キラの叫びが虚しくトリステイン魔法学院に響きわたる。
眠ろうとしていたルイズが、キラに蹴りをいれる。
「うるさいのよ!!!さっさと寝なさい!!!」
ルイズは眠りに着いた。
743名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:21:33 ID:LIy/dvZC
嫉妬以前に仕事がほしいです・・・
744小ネタ:2008/12/24(水) 17:23:41 ID:SoNdup9Q
投下終わり。

ガンダムスレ行けとか言われそうだけど、あそこ旧シャアだから悪いね
745名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:24:13 ID:lVnwXlDD
>>744
二度と来るな
746名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:32:28 ID:QnM3ZGms
だからなんでガンダムネタをここでやるんですか?
確かに旧シャアじゃ拒否られるかもしれないが、ならこっちなら良いのか?

せめて避難所に行くとか荒れるのを回避する気はないのか?
747名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:32:43 ID:/9Kz1rHQ
>>745
お前もな
748名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:35:44 ID:J8UZizQk
種かぁ・・・・・・まあ今夜はクリスマスイヴだ!
というワケで♪おいでかもんかもんかもん 暗い目をしてー
749名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:36:39 ID:KMebdnDI
結局なんでやっちゃいけないかっつーと助長になるから、そういった物が次々に増えたら質は落ち人が減る、
もっと推敲し、何を描きたいか、何を伝えたいのか
さらにはどう引き付けどう笑わせ、どう締め括るか

その辺をよく考え、その上で投下する、此処は劇場だと思えば良いよ、劇場で幼稚園のお遊戯は見に来ない、見に来るのはもっと奥の深いモノだ。
750名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:37:40 ID:0C3DvWfw
>>747
それを言うならお前もな
751名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:38:16 ID:SoNdup9Q
>>746

>>740のコピペ

心配無いとは思うがそれでも嫌な人はNGかけて欲しい

こうは書いたのだが、もうこんな事は止める
752名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:43:25 ID:NQVGpULk
嫌ならNGしとけよ……
まあタイトルを入れず、それを投下前に名前欄に入れなかったのは手落ちだと思うがね
753名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:45:19 ID:6L/e7YDK
>>750
じゃあお前も
754名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:46:10 ID:x9SbKWaW
スレ違いに嫌な人はNGしろとか心配ないと思うとか無効
書くな、以上
755名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:47:07 ID:TH6TDtIJ
今のスレの空気…この時間帯…
カレーの人が来る予感。
756名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:47:52 ID:ORWRhdDV
>>745>>747>>750>>753
じゃあここは俺が
757名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:48:35 ID:SoNdup9Q
>>752
NGかけたくても、かけれないよな。
俺のミスだ。ごめん。マジで反省してる
758名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:53:14 ID:6L/e7YDK
>>756
どうぞどうぞ

>>757
スレ違いの時点でNG推奨しようがどうしようがアウトに決まってるだろうに
大体種はもう旧シャアだ
759名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 17:55:46 ID:GKut+D0v
どなたかルイズとキュルケのレズ画像を頂けないでしょうか?
760名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:11:02 ID:LVqaSubJ
先ほどからスレ違いスレ違いと鬼の首を取ったように騒いでいる人がいるようだけど、
ガンダムやヘルシングは専用スレがあって、そちへの投稿が推奨されてはいるものの、
中にはこのスレより後に出来たスレもあるってことで、最終的にどちらに投稿するかは
作者の裁量に委ねられているんじゃなかった?
このスレより先に存在していたジョジョスレにもそれが当てはまるかどうかは別として、
このスレの趣旨としてはゼロ魔クロスSS全般を包摂する場所であって、決して排除する
ためのものではないと理解していたんだが、騒いでいる人は新規のお客様なのかな?

だから、ID:SoNdup9Qの作品に嫌悪感を抱いたのならばスレ違いとして排撃するんじゃなく、
つまらない駄作であることを根拠に叩くなりスルーするなりすればいいと思うよ?
761名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:12:27 ID:RHR7FC3D
>>755
カレーの人というと頭が西瓜でスライムにすら敗れる自称魔王の事か?

黒いコートを着てバズーカを担いだモテナイ男のメサイアを一緒に連れて来てくれると嬉しいんだが……
762名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:15:05 ID:y/0oLMOI
>>751
前置きすれば何でも有りってことか?
763名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:22:02 ID:y/0oLMOI
>>760
投下した奴が『ガンダムスレ行けとか言われそうだけど、あそこ旧シャアだから悪いね』
なんて言っちゃったからだろうなw
これは、該当スレがありゃ行きますよってこったろ?

つまらない駄作だから『スレ違いだ!』って排撃されてるんだろうなw
764名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:28:18 ID:PmGA7Y9C
>>760
叩くのをここでやらせるな。毒吐き行きだろ。
765名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:29:17 ID:x9SbKWaW
>>760
2ch自体のルールである板違いに対して

>中にはこのスレより後に出来たスレもあるってことで、最終的にどちらに投稿するかは
>作者の裁量に委ねられているんじゃなかった?

スレのルールがそれを破る方向に設定されていると言うのかい?
どちらのまとめに乗せるかを投稿者の任意にする、ならわかるけど
766名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:32:11 ID:gPggrE+d
>>765
板違いっつー事で言えば、種ネタも
旧シャアでは板違いなんだが。
767名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:37:35 ID:EfkMin+C
NG要請してるのに、タイトルを書かない
話がつまらんし、文章力も低い
レス付く前から勝手に反応を妄想して感じ悪い対応
768名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:38:26 ID:KMebdnDI
作品云々は決められたルールに則ってやってくれれば何でも良いかな。
ただ作品の質に関してや叩かれたくないので嫌ならNG云々ではなく、その可能性があるならテンプレートに載ってる通り避難所への投稿が推奨される
避難所で書けばこの様に場が荒れる事が無く他作者の妨げにもなり難いの

叩かれても自分が好きだから書くって言う少し曲がった考えがまかり通っちゃうと後に響くってのも重要な問題、現にそれで一度か二度荒れてるんじゃなかったカナ?
結局何が悪い事の最初になるかわからないからその分厳しくなっちゃうんだわ
769名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:39:09 ID:KYbqi4BL
あまり下らん事でスレを浪費しないように
770名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:39:32 ID:x9SbKWaW
>>766
もう2008年が終わりかけですよ
771名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:41:23 ID:moynoaZP
いつまでやってんのよ
噛み付くほどの作品じゃないだろ
772名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:42:18 ID:y/0oLMOI
>>770
ちょっと気になったから軽くググってみたり、旧シャア板を覘いてみたんだけどさ
劇場版の制作が進行中だから、旧シャアじゃダメ〜って話っぽいけど、違うのか?
773名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:45:16 ID:L+2t+QA8
俺には待っている人がいる。
出っ歯のサンタが。さてと続き書こうかな。

774名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:47:21 ID:jBYBBmdu
ガンダムのスレもここより古いんだぞ
ただ向こうは偶々こっちの流れに合わせてSSを投下した人がいたこともあるけど基本的にはネタスレでSSスレでは無い
とりあえず先方のスレのことを知らないんだったら黙ってるのが吉
知りもしないのに無理して仕切ろうとするとろくな事にはならんよ
775名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:53:47 ID:y/0oLMOI
なんか毎回言う人が出てくるけど『基本的にはネタスレでSSスレでは無い』ってのがよく分からん。
別にSSの投下が禁止されてるわけじゃないだろう?
776名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:53:55 ID:x9SbKWaW
>>772
旧シャアの看板
>放送終了1年以内に直接的な続編が放送されるか、制作が発表された作品は引き続きシャア専用板で
種死もう何年前?、2年か3年かたってると思うが
777名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:54:55 ID:y/0oLMOI
>>776
劇場版とかの制作は関係無いってことなのか?
778名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 18:58:51 ID:x9SbKWaW
>1年以内に
779名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:00:33 ID:QKeDFlvy
おかげで種シリーズは微妙な扱いみたいだな。
というかそろそろやめにしないか。
荒らしにつきあうのも容量の無駄だし。
780名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:01:56 ID:7JE9kZ/J
そろそろ次スレ立ててくる
781名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:02:11 ID:3zUXwj4H
つかスレ立ての時期やないか
782名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:03:53 ID:7JE9kZ/J
ERROR!
ERROR:新このホストでは、しばらくスレッドが立てられません。
またの機会にどうぞ。。。


弾かれた。 誰か頼む
783名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:06:09 ID:y/0oLMOI
>>778
おぉ〜、見逃してたぜ。
wikipediaを見てきたけど、旧シャアで良さそうだな。

> 放送期間 2002年10月5日 - 2003年9月27日
> 2006年5月にはサンライズ公式サイトにおいて『劇場版 機動戦士ガンダムSEED(仮称)』の制作発表が行われた。

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E5%8B%95%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0SEED
784誰か:2008/12/24(水) 19:07:23 ID:y/0oLMOI
ご指名されちゃあ、やらないわけにはいかないぜ
785名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:12:29 ID:y/0oLMOI
                _,. --- 、─-- .,
            ,. -イ          ヽー 、
           /   レ /,.  ,ィ   /    } ヽ
              /   iゞァ' _,.ノ  / , / /i   ヽ
          〈     !、 ',. - 、∠,. ノ. - 、'' /|   /
          ヽ   ! {   .},.- 、{   }' i  /    立てねぇ豚は
        ,. -'" ヽ /  ,`ー'´〃 ヾヽー'  ト、/
       i    / i  (ゝ.,_,ィr--- く_ァ' )  ! iヽ       ただの豚さ
      /´  ,. ´ ̄`ヽ/,>    ̄ ̄     / ' ノ`ヽ_
  ,. - '"   / 、 `ヽ.  l_)________,. '",. '"    `ヽ,
./,. --‐  /  、 \  Y-'  `ー '"   / / /       ',
    / ,/ 、__ \ ヽノ \__ ,. - '7   |          ',
    i {   フ>-'"\     ,. - '/   |           ヽ
    ゝ \___ノ i 〉  `ー-‐'  /    /            i

次スレ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1230113457/l50
786名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:15:00 ID:Djz59QrP
>>785
誰かさん乙
787名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:17:11 ID:jBYBBmdu
>775
その作品関係の雑談スレならあるからそこへに行けって事だぞ
無茶を言うにも程がある
788名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:23:16 ID:LVqaSubJ
>>774>>787が何を言っているのかいまいちよく分からんのだが……?
どなたか賢い人に解説したもらいたいぜ。
789名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:30:06 ID:htB4U9D5
よく分からないなら気にしない事だ
ちゃんと分かっても気にしない事だ
790名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:33:57 ID:2f1QG4Q1
SSスレじゃないけど該当ネタで雑談してるスレがあるからそこへSS投下しに行け
と言うのは見当違いなバカな発言で真性にも程がある
おk?
判らないのは一般人レベルを大幅に下回る知能としか思えんな

ピザ喰いたいって人に同じイタリアンだからとスパゲッティ喰わせようとするようなもんだ
791名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:35:22 ID:y/0oLMOI
SS投下もしてるスレじゃん
792名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:36:42 ID:y/0oLMOI
>>787
雑談スレじゃなくて、タイトルがクロス先以外は同じでSS投下もされてるスレだろ?
793名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:38:33 ID:NQVGpULk
議論も毒も避難所ですよ
無自覚に荒らすのは最悪の部類、スレの害虫になる前に自覚を持ちましょう
794名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:38:46 ID:qWUFHOpl
小ネタ程度でこの騒ぎ
息を潜めてたのが湧き出たのかな

下らんことで言い争ってスレの雰囲気を悪くしてくれたよ
人間って喧嘩が好きだねぇ
795名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:40:28 ID:EfkMin+C
単発ですか?
796名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:45:08 ID:y/0oLMOI
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797名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:46:13 ID:y/0oLMOI
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798名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:47:50 ID:y/0oLMOI
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.    \|::::::::',.   ,、--.、        .,、-‐- 、 `   ゙、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;';;;;;';;;;;;;;|   お姫様の埋メメタァで人間に戻るって話あるじゃない
.     \::::;;',.  " f´`iヽ       " f´ `! ヽ    ゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;ヾ;;;;;;;;';;;|;;/
        l ヽ   ヽツ  l       ヽツ      .|;;/"~"ヾ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ;;;;;;;|'"
        ',  ',      /               ,ツ/ヽ |;;;;;;;;;ヾ;;;;;;;;;;;|;;;;;/
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799名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:49:07 ID:y/0oLMOI
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800名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:52:51 ID:y/0oLMOI
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:::::::::: .  从::::::     ,,ヽヽヽ、  ヽ、 ( ) ノ  ノ''/^|   ヾ  <
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::从:/::::::::::::::/::::::::::::::::::::':i:i:::::\::::::::::::::`''';;llllll|llllll;;''   '/::::::::::::ミ   '|| ヽ
::::从:::::::::::::::::从/::::::::::::::::::':':l::;;;;;\;;:::::::::::::::::;;;;;;;;;,   _/:::|:::::::::ト    .∧、∧、∧、∧、∧、
::::::从::::::::::::::::::И/|::::::::::::::::::::::;;;;;l;;||lll|--,'''''''''、 '''''''''-'''|::::i|l::::::::从 . : :┌´
::::/::::/::::::::::::::::::://::i::::::::::::::::::::;;;;;;|,,||ll|. λ || λ |lノ'| |/:i从:::::::从...::::<
::(:::イ::|::::::::::::::::::i:/从:::::::::::::::::::;;;;;;;;;l||l|λ^',::V;;|/::;λ/|ノ'':::::::::::从::::::::<   だまれ豚野朗!!!!!
:::::::::::从::::::::::::::从:|l:|N:::::;:::;;:;:;;;;;;;;;;;;;|lll||.ヾ;;::::::|:::::;;ノ ||l|:::::::::::::::|:|:::::::::::<
:::::::、wv\|ヽ:::::::|;;;|;;从;i;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ll|> | V^V^l/ト'//:::::::::::|::从::::::::/|:ム
        ~~''''::;;|;;;;从从|;;;;;;;;;;;;;;;;ヾミミ^-^-^ 彡'/::::::i:::/|/::::::::从::::::::∨^ ∨^ ∨^ ∨^ ∨^
             '''--;;;l;l;;;;;;;;;;;;;;;;;^w,,≡≡;w^::::::::ノノ:::::::::::从ゝ--;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::
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801名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/24(水) 19:56:16 ID:htB4U9D5
すっごいコワモテのうさぎさんに見えた
802名無しさん@お腹いっぱい。
                                 ||\
   _ ∧ ,,-'/                      .|| ヽ
  \/ | |`''、                        | |  |
    |   ̄`  |                       | |  |
  <ニニ!   (ニ>                    |`'´   |
    ヽ_─ ,,-´                      |`    .|
     |_/     iヽ         /|         | |   |
      | |      | .|        | ,|         | |   |
    _|_|       .| | /ニニニニヽ| |         | |   !
   ///|ヽ\     |  |!二二二 |  |    /.   | |   |
   ||_|__j \\, ー-,、|  |ニニニニニ|  |,,-‐‐//    | |   |
   ヽ'!_| ヽ  /    / |  `'''''''''''´  |ヽ    ヽ    .| |   |
   (--) ヽ_|_,,,、、 .|  .|      .|  |     |    | |  |
    \   !j,,-‐jj | _ |_ ,----、_.|__  |    |    | |  |
      ─'´`'-_|<__| | |. ○ .| |_>|_,,,‐´  ∠ ̄'''-、
            \  |`'''''''''´|   /\ヽム--‐(/三|  |
           </i`! | ` ̄ ̄ | |´ヽ>  ||__    >三 | |
          _,,,-- ! ヽニニニニニ/ ||`'''─,,,,,、''''''''' | | ノ |
        =ニ,,,,,,,,,,,,j \`ー-‐´ / !!,,,--‐‐ ''''  |ニニ,,丿
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             / ノ  ` ´ !!  \       |/
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