あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part197
1 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2008/12/11(木) 04:24:19 ID:gA4f96Ap
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました Part195(実質196)
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1228937059/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ _ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
_
〃 ^ヽ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
J{ ハ从{_, ・クロス元が18禁作品でも、SSの内容が非18禁なら本スレでいいわよ、でも
ノルノー゚ノjし 内容が18禁ならエロパロ板ゼロ魔スレで投下してね?
/く{ {丈} }つ ・クロス元がTYPE-MOON作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
l く/_jlム! | ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
レ-ヘじフ〜l ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
. ,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
>1,メディルの人乙ー。
モシャスナイトひでぇw
最近は色々落ち着いてきたよね、テンプレも。
ベルセルクゼロとぜろろを筆頭てする投下を俺は待ち続けるぜ……。
>>1乙かれさま
そういえば、テンプレ説明している三人の内二人って、出番少ないよね
個人的にキュルケは常識人過ぎて使いにくい
じゃあ常に股ぐらに何かを入れてないと不安でしかたないキャラに改変だ
久しぶりにみたら闇の人きてたー
俺歓喜
応援してます。がんばってくださいね!
テンプレは
>>1だけ、と言いつつ
実質は
>>2までテンプレだよなw
前スレ最後楽しみだw
前スレ最後これは期待していいのかw
ロギア系能力者って精霊と間違えられそうだな
前スレ最後の人
wktkして全裸待機してます。
ジョゼフに召喚されるのは、因縁や能力の厭らしさからして黒髭か
教皇の所は、やはりガイモンさんだな
テファは、満場一致でフランキー
まとめwiki読み返してて思った事。
魔砲の人でなのはさんの変身が原作風味な描写だったらオスマン狂喜乱舞してただろーなw
さて、久しぶりに投下行きたいと思いますが大丈夫でしょうか?
予約がなければ、16:00スタートで第3話行きます。
待ってる人はいない気がしないでもないですがッ。
>18
「うお!まぶし」で周りからは見えないんじゃないか
それでは、第3話スタートします。
わたしは今、上空からヴェストリの広場の様子を窺っている。
上空と言っても浮いているわけじゃなくて、タバサの使い魔のシルフィードに乗っているのだ。
フィアースがヴェストリの広場に向かってしまったあと。
わたしはすぐに追いかけようとしたのだけど、そこでタバサがシルフィードの背中から見ようと提案してきた。
何かがあった時には駆けつけて決闘をやめさせないといけないし、その申し出はありがたかったのでシルフィードに乗せてもらったのだけれども。
「だけどわたし、あなたとそんなに親交があったとは思えないんだけど」
疑問をそのままタバサに投げかけてみる。
すると、小さな声で答えが返ってきた。
「さっきの授業の時、彼は立っていたのに傷一つ無かった」
「授業って、あのルイズが爆発させちゃった授業よね?」
キュルケの言葉にタバサは小さく頷く。
「立ったまま、爆風を受け流した」
「うそ!そんなことできるわけないじゃない」
まずい。
タバサの話から察するに、フィアースのレジストブロックを見られてしまったようだ。
「彼の技に、興味がある」
何かしらを瞳の奥に隠して、小さく、しかし力強くタバサがつぶやく。
丁度その時、視界の隅の方で何かが光った。
これは、昨日の。
「何、今の」
「わからない」
恐らくフィアースは、この決闘に丁度いいクラスに変更したのだろう。
何も話さないわたしの方に疑問の視線を向ける、キュルケとタバサ。
でも、言えるはずが無い。
「あ、始まるわよ!」
キュルケのその言葉で、二人の視線はとりあえず広場に移ってくれた。
◇◆◇
「諸君!決闘だ!」
生徒の少年に案内されて、ヴェストリの広場に着いた。
普段は閑静な中庭なのだろうが、噂を聞きつけた生徒とギーシュの煽りによりそこは半ばお祭り騒ぎだった。
「ギーシュの決闘相手が来たぞ!ルイズの平民だ!」
なるほど、めったに見ない取り合わせであることは想像に難くない。
こういった学院での生活では、格好の娯楽なのだろう。
「とりあえず、逃げずに来たことは、褒めてやろうじゃないか」
先ほどの声を聞き、やっとこちらに気がついたかのようにギーシュが振り返る。
挑発に乗る必要はない。俺は静かに相手を窺う。
その様子が気に食わなかったか、苛立ち混じりにギーシュが言葉を続ける。
「チッ……勝利条件は相手が戦闘不能になることだよ。負けた方は勝った方の言うことを聞くこと。
あぁそうだ。僕は寛大だから、平民の君でも勝てるように条件を付け加えてあげよう。僕のこの杖を落とせたら君の勝ちでいい」
その言葉に一つ頷く。
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」
「あぁ、構わない」
「そして僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って」
そこで一旦言葉を切り、手に持った薔薇の花を振った。
その花びらが一枚宙に舞うと、見る見るうちに甲冑を着込んだ女戦士へと変貌した。
「青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手しよう」
そうなると、エレメントやルイズの魔法のような遠隔攻撃は無いと見ていいか。
「分かった。ではこちらも準備をしよう……スタンドアップ・コード」
ARMを取り出してクラスチェンジを行う。
セットするクラスには、状況から鑑みて近接戦闘戦になると判断したことと、手元に武器がない状況を踏まえてウォーヘッドを選択。
スキルセットは、遠隔攻撃のために『戟闘』、唯一の防具を装備するために『アックスバトラー装備』。
そして物理攻撃戦なので、ダメージ軽減と回避強化のために『守備強化<DFE+25%>』と『回避集中<PRY+25%>』をセット。
こちらの行動を素早くするための『アクセラレイト』に加えて、相手の行動を阻害するために『ディセラレイト』。
さらに、もしもの時の保険として、緊急時に割り込んで行動する『レッドゾーン』をセットした。
少し大人気ないほどの準備かもしれないと思ったが、相手の実力は未知数だ。舐めてかかって痛手を負うよりはいいだろう。
「これでいい。相手となろう」
「そ、そんなこけおどしが通用するか!光っただけで何も変わってないじゃないか。行け、ワルキューレ!」
ギーシュの命令にワルキューレが素手で殴りかかってくる。
さぁ、構想が巧く行けばいいが。
先ずは回避に専念する。未知の相手と戦うには、相手の戦闘力を測るのが一番だ。
しばらくやってみた所感としては、余裕を残したままでも何とかできそうと言ったところか。
ワルキューレの動きは決して遅くないが、共に戦った仲間であるレヴィンとは比べるべくも無い。
ログナーのようにトリッキーな行動をしてくるわけでもないし、アイゼンのように力で圧してくるわけでも無い。
支援
それに、攻撃は単調だ。恐らく操っているギーシュが攻撃をする動きをイメージしきれていないのだろう。
殴りかかってくるワルキューレの攻撃をよく見て、かわし、捌き、受け流す。
「クッ……」
とはいえ、全体が金属でできているのであろう。捌こうにも巧く行かないこともあるし、その一撃は重い。
受け流し損ねた拳の重い衝撃を、歯を食いしばってやり過ごす。
「いつまでそうやって、逃げてばかりいるつもりだい?」
いつまで経っても当たり切らない攻撃に苛ついてきたか、ギーシュの挑発が聞こえる。
だがそれに付き合うつもりはない。俺は俺のペースでやらせてもらおう。
さらに数分そうしていただろうか?しばらく様子を見て、大体のところは分かった。
そろそろ仕掛けるか。
俺は次の攻撃に狙いを定めた。
そして、ワルキューレが拳を振るった、その直後。
ガゴン!と言う音と共に、攻撃を仕掛けたはずのワルキューレの方が弾き飛ばされる。
突如響いた金属的な音と弾き飛ばされたワルキューレの様子に、ギャラリーがどよめく。
「な、何が起こったんだ……?」
呆然とした声でギーシュが呟くのが聞こえた。
ウォーヘッドの技能である『ウェポンブロック』で受け流した物理攻撃の衝撃を、そのまま相手へと叩きつける『リタリエイション』。
その威力が思ったよりも大きかったのか相手の装甲が意外に柔らかかったのか、ワルキューレがべっこりと凹んでいる。
この様子では、もうそれほど速度も出せまい。
一旦間合いを外す。
もちろんワルキューレは追ってくるが、先ほどのスピードは微塵も見えない。
容易く距離をとることができた。
そして。
「ウェポンボルト!」
追いすがってくるワルキューレに、止めの一撃をお見舞いした。
◇◆◇
「な、なに、今の。タバサ、あなた見えた?」
「見えたけど、わからない」
キュルケとタバサが呆然としている。
わたしだって、どうやったかなんて分からなかった。
ギーシュのゴーレムを凹ませた技もよく分からないし、止めを刺した技も同じ。
大体、何で武器もなしに青銅のゴーレムを凹ませたり倒したりできるのよ!?
それに最後の一撃なんて、明らかにおかしかったわ。
雷のように青銅のゴーレムを切り裂く光なんて。
混乱したままぐるぐると考えをめぐらせていると、キュルケの焦ったような声が聞こえてきた。
「ちょっ、それはやりすぎよギーシュ!」
その声に再び意識を広場へ向けると、今度は武器を持ったワルキューレが六体現れていた。
その武器も、直剣、懐刀、槍、細剣、メイス、長柄の戦斧とさまざまだ。
「フィアース!ちょっとタバサ!見てないで降ろして!」
「大丈夫」
「何が大丈夫なのよ!?」
「本気、出してない。それに、何か探っている」
そう言われても、フィアースはわたしの使い魔なのよ!
さっきは巧く行っても、武器を持ったゴーレム相手なんてムリよ!
そう言い返そうと思ってタバサを見たら、彼女はフィアースの方を見ていた。
「大丈夫」
その不思議に力強い声に、わたしは何も言えなくなってしまった。
でも、これだけは言っておかないと。
「大事になる前には止めに入りたいんだから、その時はすぐに降ろしてよね」
「わかった」
◇◆◇
どうやら先ほどの一体は様子見だったようだ。
今度は武器を持ったのが六体……これはさすがに厳しいか。
だが、逆に言えば武器の動きはある程度限定されるし、ギーシュの言葉に間違いがなければ、あれは青銅。
幾多の戦いを共に潜り抜けたガントレット『アガートラームB/V』ならば、ほとんどダメージは通らないはずだ。
衝撃の重いメイスもあるが、あれにさえ注意しておけば何とかなるだろう。
それに、もう一つ。
俺の愛用しているポールアームに近い武器を持った個体がいる。
あれを奪うことができれば、あるいは。
「な、何を考えているか知らないけど、この状況で勝てるとでも思っているのかい?」
「戦いとは抗い続けること……まだ決着はついていない」
その言葉に、動揺よりも怒りが引き起こされたようだ。侮辱されたとでも受け取ったか。
「やれッ、ワルキューレ!」
支援
号令一下、今度は武装したワルキューレたちが襲い掛かってくる。
武器を持っている分、当然対処は先ほどよりも難しくなる。
攻撃方法も違うし、武器の形状も様々。なにより素手とは威力が段違いだ。
だが、俺にできることはさほど変わらない。
武器を手に入れるまでは、持ちこたえるしかできないのだ。
少しくらいの手傷は構っていられないな。
正面から振り下ろされた直剣を半身になってかわし、横なぎに振るわれた懐刀をガントレットで受け止め、跳ね除ける。
胴を突いてきた槍と細剣は、間合いを変えることで直撃を避ける。
そこを狙って振り下ろされるメイスは何とかバックステップでかわし、長柄のなぎ払いにガントレットを当てる。
「ぐッ」
重い。
俺は衝撃を殺しきれずに、弾かれるまま後退を余儀なくされた。
そしてまた直剣が、懐刀が振るわれる。
「はぁ、はぁ」
「よく持ってると思うけど、さすがに息が上がってきたようだね」
さすがに、一対多数は厳しい。
息もつかせぬよう、連続で振るわれる武器は、確かに脅威だ。
しかし、やはりギーシュ自身が戦い慣れていないためだろう。状況に合わせた攻撃をしきれていない。
頭に血が上っているか状況に酔いしれているのか、それぞれが順番に攻撃を仕掛けてくるだけだ。
惜しいな。
対象を取り囲んだ状態で連携を取ることは効果を上げる手っ取り早い方法の一つなのだが、それを思いつくことができないようだ。
……これは相手の未熟に助けられたか。
だが、だからと言って負けてやるつもりはない。
かわし、捌ききれなかった攻撃でできた手傷も、重症につながるものはないがどんどん体力を奪っていく。
もうそろそろ仕掛けないと、さすがに拙いか。
幸いこの順番なら、そろそろ件のポールアーム持ちのワルキューレの出番だ。
丁度いい。仕掛けるならば。
「ここだッ!」
先ほどと同じく『リタリエイション』でポールアームを持ったワルキューレの打撃を返す。
それによりワルキューレが行動不能になると同時に武器を奪取。
再び周囲からどよめきが上がる。
そして、目の前に並んでいる三体を『ウェポンスイング』でなぎ倒す。
ギーシュとの直線上にいない二体は置き去りに、ギーシュへと駆け寄る。
やけに体が軽い。アクセラレイトがよく効いているのだろうか?
「おおおおおおッ」
俺は勢いをそのままにあっけに取られているギーシュに肉薄し、気迫と共にポールアームを振るった。
◇◆◇
「危ないッ!」
やりすぎよフィアース!そんな刃物で切りつけるなんて!
支援
流石に危ないと思ったのか、タバサも止めに入るためにシルフィードを急降下させる。
でも、フィアースが速過ぎる。間に合わない!
「ディザームッ!」
その声と共に、ギーシュの薔薇の杖はフィアースの武器に絡め取られ、はじき飛ばされていた。
杖だけを狙ったのだろう。ギーシュ自身には、傷一つない。刃がかすめた前髪が少し落ちた程度みたい。
何それ、一体どんな離れ業よ。
「ま、まいった……」
一瞬の出来事に腰が抜けたのかストンと尻餅をつき、呆然としたギーシュの声と共に、観衆からどよめき混じりの歓声が上がった。
ヴェストリの広場に降り立ちはしたものの、現状を把握しきれず呆然とフィアースを見ている。
フィアースは今しがた決闘に勝利した相手のギーシュに、声をかけながら手を貸して引っ張り起こしていた。
……なんかムカついてきた。
「フィアース!」
思わず声が大きくなる。
その声に彼は一度こちらを振り向くと、わたしには聞こえなかったけどギーシュに向かってさらに何事かを話しかけた。
それに頷くのを見てから、こちらへ歩いてきた。
「何で勝手なことしたのよ!」
「すまない。だが、俺にも譲れないものがある。引けない時は闘う」
「譲れないもの、ってなんなのよ?」
その問いかけには、目を閉じて答えない。
あぁもう、イライラする。
そうこうしていると、コルベール先生が現れた。
「ミス・ヴァリエールとフィアース君、すまないが学院長がお呼びだ。学院長室まで来てもらえるか」
学院長先生が?なんだろう。
「ルイズ、どうする?」
「どうするも何も、行くしかないでしょ」
「では、付いて来なさい」
コルベール先生の先導に、不安ながらも付いていく。
一体何がどうなってるのよ……。
◇◆◇
コンコン。
「オールド・オスマン、コルベールです。ミス・ヴァリエールとその使い魔をつれて参りました」
「うむ、入りなさい」
部屋の中からの許可の返答を聞くと、コルベールは学院長室のドアを開けた。
ルイズは少し恐縮していたようだが、部屋に入る。それについて、俺もドアをくぐった。
「ミス・ロングビル。少し席を外してもらえるかな」
「はい、分かりました」
俺たちが教室に入ると、入れ替わりで緑色の髪をした女性が部屋を出た。秘書だろうか。
「わざわざすまんの、ミス・ヴァリエール」
「いえ」
短く返答をするルイズ。
「さて、おぬしらを呼び出した用件なのじゃが」
そこで一つ息を入れる。
「先ほどの決闘、見させてもらった」
ここからでは建物の影になって、直接は見えないはずだが?
俺の疑問の表情に、学院長は悪戯っぽい表情を浮かべて答えてくれた。
「なに、学院内のことならこの遠見の鏡を使えば問題ないわい。一部の地域は見られんようになっておるのが残念じゃがのぅ」
一部の地域?
「が、学院長先生!」
その声に少し顔を赤くして声を上げるルイズ。
……あぁ、なるほど。
「ご、ゴホン。それはともかくじゃ。まずは、おぬしに礼を言っておこう。よく穏便に終わらせてくれた」
俺に向かって、礼を述べる。
「いえ」
「じゃが」
まだ話は終わってない、とばかりに言葉を続ける老人。
「正直、どうやって勝ったのか皆目検討も付かん。ちょっとばかり、おぬしの話を聞かせてもらえんかのう?」
言葉と共に、俺に鋭い視線を向けてくる。
この老人、老いて見えても相当の実力者と見た。
目だけで見ると、ドアはコルベールが固めている。
なるほど。危険な輩であれば実力での排除も辞さない、ということか。
「ルイズ」
「えぇ、学院長先生なら心配しなくても大丈夫でしょう」
ルイズの許可も下りた。
「では、俺の話をしよう」
俺は、俺がファルガイアから召喚されたこと、その世界の技術でギーシュと戦ったこと、ルイズに仕えることに異論はないこと、この世界の平穏を乱すつもりはないことを語った。
支援
証明のついでにとスキルセットを『戟闘』から『退魔』へと変え、『ヒール』で傷を治したのには大層驚かれてしまったが。
「ふむ……なるほどのぅ。聞いただけでは信じられん話じゃが、あんなものを見せられては信じざるを得まい」
オスマン老が呟く。
「よし、あい分かった。とりあえずおぬしの言葉を信じよう」
「ありがとうございます」
礼を述べる。
「じゃが、その力はハルケギニアでは異端の物じゃから、他言無用にするのがよかろうて」
「はい、お心遣いありがとうございます、オールド・オスマン。それでは、わたしたちはこれで」
ルイズがそう言って部屋を辞そうとしたが、
「あぁ、ミス・ヴァリエール。すまんがもう少し彼と話をさせてもらえんかの?」
と、なぜか俺だけを引き止めた。
「え……あ、わ、分かりました。それでは、失礼します」
そう言うと、先に戻ってるわと俺に残してルイズは学院長室を出た。
コルベールが再びドアを閉める。
「さて、おぬしに残ってもらったのは、少し確認したいことがあったからじゃ」
「確認したいこと?」
さて、他に語ることは無かったと思うのだが。
「おぬしの左手のルーンを、少々調べさせてもらった」
左手の……あぁ、コルベールがスケッチしていたな。
「それが、何か?」
「先ほどの決闘の際、おぬしは武器を持ったとたんに動きが速くなったの?」
そう言われてみれば、確かにポールアームを奪ってからやけに体が軽かった。
アクセラレイトの影響だけではなかったのか。
「手持ちのスキルには、素早く次の行動に移るためのものもある。その効果かと思っていたのだが」
「ふむ……それでは、可能性の一つとして聞いてくれ」
そうして一拍置く。
「それは、ガンダールヴのルーン。曰く、始祖ブリミルの使い魔としてあらゆる武器を使いこなしその主を守ったという、伝説の使い魔のものじゃ」
伝説の使い魔の印?
「なぜそれが俺に?」
「分からぬ。じゃが、それがガンダールヴのルーンであることは、できる限り隠しておいてもらいたいのじゃ。できればミス・ヴァリエールにも、の」
「ルイズにも?」
「かの伝説は有名すぎるほどに有名なものですからな。嗅ぎつけた何者かが悪用しないとも限りませんゆえ」
なるほど。
「分かった。幸いこの格好であればそうそう見えることはないだろう」
いつも着けているわけではないが、愛用している防具は手を隠すのに丁度いい。
「うむ。無用なゴタゴタは無いに限るからの。よろしく頼むぞ。ミス・ヴァリエールを助けてやってくれ」
「あぁ」
そう返すと、俺は部屋を出た。
◇◆◇
引き止められたフィアースをその場で待っていても仕方がないから、わたしはいったん自室に戻ることにした。
戻ることにしたのだけど、部屋の前でキュルケとタバサが待ち構えていた。
「はぁい」
「何よ?」
「そんなに邪険にしないの。今回用事があるのはあたしじゃなくてタバサよ」
タバサが?
何の話かしら。う〜ん、嫌な予感しかしないわね。
「彼は?」
「フィアースなら学院長先生が話があるって、学院長室に残ってるわ」
「そう」
そこで一旦言葉を区切り、そしてわたしの目を見て問いかけてきた。
「彼は何者?」
あぁ、やっぱりそういう話になるわよね。
「戦い方を見ていたけど、全然分からなかった」
わたしも一緒に見てたけどね。
それはともかく、フィアースのやったことはハルケギニアではありえないことだったのはよく分かるつもり。
ドットとは言えメイジであるギーシュを相手に、平民は絶対に貴族には勝てないという常識を覆してしまったのだから。
だけど。
「そ、それを知って、あなたはどうするの?」
何とか誤魔化さなきゃ。
質問に質問で返すのはちょっとアレだと思うけど、フィアースのことをまともに話すわけにはいかないわ。学院長先生にも釘をさされたばかりだし。
わたしの問い返しにしばらく逡巡した後に、タバサは答えた。
「強くなりたい」
あ〜、この娘にはごまかしは効かないタイプっぽいわ。どうしよう。
「と、とりあえず、部屋の前で話し込むのも何だし、部屋に入りましょ」
二人を部屋に招き入れる。
もし話すにしても、こっちの方が誰かに聞かれる心配も多少は減らせるでしょうし。
とは言え、本当にフィアースのことを話してしまっても大丈夫なのかしら。
タバサは沈黙を保ったまま、わたしをじっと見ている。
うぅ、こういうのが一番やりづらいわ。
「さて……と言いたいところだけど、フィアースが戻ってからにしましょう。わたしじゃ説明し切れないだろうし」
その言葉に、タバサは頷いてくれた。
本当にフィアースのことを話してしまっても大丈夫かどうか、やはり不安がぬぐえなかったからだ。
それに、説明し切れないというのも本当だし。
わたしだって、まだ何がなんだかよく分かってないのに。
ああもう。一体どうしたらいいのよ、この状況!
支援
以上です。
やっぱり戦闘シーン巧く書けないわ・・・orz
支援ありがとうございました。
年内には次を出せるようにがんばります。
乙っしたー
フィアースの人乙です。
次回にwktk。
誰も知らんと思うけどオトメキカングレーテルから巫女志摩ユウを召喚
キス(場合によってはディープ。女子に限る)をすることで相手の魔法を
コピーするという能力は使い方次第では万能な気がする
しかし漏れなく百合の花が咲き乱れる展開になります
エックスメンから
大神からウシワカ召喚
ウシワカ イズ ヒア!
>>38 ルイズ覚醒前だとキュルケ、タバサ、アン様三択で覚醒後ならルイズ、テファ二択か…なんという百合の園ww
伝説の勇者の伝説からライナ召喚…駄目だ昼寝しかしないから話が進まないww
前スレの
>>796 カーツェルはいいキャラだけど相当闘神2の設定混ぜない限り
予想出来る展開になりそうで難しそうだな
闘神2からならシード君だしてスレ住人に悪事するかどうか選択してもらうとか面白そうだ
駄目だ、キスと聞くと真っ先にハプシエルが連想されるようになって来た orz
勇者王(声とか生き様的な意味で)な教授召還、
獣耳だらけになる学園、そこに光臨するツンデレマチ姉さんとか想像してたらハイタッチする教授&オスマンまで幻視しちまったぜHAHAHA
ハプシエルの代役は、メンヌヴィルに務めてもらうのはどうだろう。
なんつーかタバサがウゼェ
とりあえず決闘時でタバサにセリフがある時点でそのSSの作者の好みはタバサ>ルイズ
決闘後にタバサが被召喚キャラに絡み出したらタバサ>>>>その他
ビダーシャルどころかイザベラ様が出ないうちにデレ入ったら「タバサ=至高」
>ゼロの使い
魔法薬なんかでルイズの精神力が回復するわけ無いだろ
>>48 とってもレモンちゃんなトリップできる薬なら回復もありえる。
ガンバードからアッシュ召喚とか…
ゴルベール先生と気があいそうだし、ルイズとの契約もロリコンだから嬉々として受け入れそうだ。
>>48 ルイズの精神力を回復する為にルイズを罵ってコケにしたら
ヘイトだ原作蹂躙だ多数決だ言われたでござるの巻
使い魔が万能すぎて
後で文句言われそうだ罠
FFT的にシエスタを魔改造するとこうなります
シエスタ「貴族がなんだと言うのッ!
私たちは貴族の家畜じゃない!
私たちは人間よッ!
貴方達と同じ人間よッ!
私たちと貴方達の間にどんな差があるって言うの!
産まれた家が違うだけじゃないの!
ひもじい思いをしたことがある?
数か月も豆だけのスープで暮らしたことがあるの?
なぜあたし達が飢えなければならない?
それは貴方達貴族が奪うからだ!
生きる権利の全てを奪うからだッ!」
ギーシュ「同じ人間だと?フンッ、汚らわしい!
産まれた瞬間からおまえたちは俺たち貴族に尽くさねばならない!
産まれた瞬間からおまえたちは俺たち貴族の家畜なんだッ!」
シエスタ「誰が決めたの!?そんな理不尽な事誰が決めたの!?」
※以下割愛
>>53 シルフィードが聖石イベントでドラグナー化ですね、分かります。
コルベール研究室でサイトがギーシュを「やっつけろ(はあと)」発言ですね、分かります。
アニエスがサイトに「今さらお前を疑うものか!」発言ですn(以下略)
原作に影響のない身体的特徴の魔改造はOK?
例えばシエスタが貧乳だったりルイズが巨乳だったり
よそでお願いします
そろそろ金庸武侠小説からの召喚があってもいいとおもうんだ
>>57 金庸武侠小説はちょっと刺激が強い。まずはワンクッション置くんだ。
というわけで『拳神雷』レイ・シュンライを召喚するんだ。
武侠…アウトロースターしか浮かばないorz
そういえばゼロの武侠の人帰ってこないかな。
>58
タバサにおにんにんが生えているんですね、大好きです
馬鹿だなぁ、ワンクッション置くならGガンダムだろう・・・爆熱の人と師匠の人帰ってこないかな。
何だったらアレンビーでもシュバルツ兄さんでもいいのだが。
>>61 むしろルイズをはじめとする王家に連なる人間全員に生えてても…良いと、思わんかね?
誰か宇宙世紀のニュータイプを召喚してくれよ
>>62 あの流れでサヨナラバイバイした書き手の一人だから帰ってくるとしても別人としていつの間にかって感じじゃね?
>>57 ギーシュ「誰が決めたかだと?決まっているだろう。始祖が決めたのだ。
始祖ブリミルこそが、平民は貴族に奉仕する存在と決めたのだよ!」
シエスタ「だったら始祖なんて糞食らえよ!ブリミルの作った世界なんて
糞食らえだわ!」
というわけですね。
貴族は強力な魔法が使えるので、魔法の使えない平民とはなにかが根本的に違うという認識がまずあるが。
闇シエスタがモット伯を惨殺したりするのも魔改造か
69 :
狂蛇の使い魔:2008/12/18(木) 20:42:59 ID:ixPpe4sQ
予約等なければ20:50くらいから投下したいです
飛翔斬支援
その辺のノリは一歩間違うと
「俺が成功しないのはのは世の中のせいだ」
みたいな脳みその腐った主張になりかねんぞ
蛇支援。
話の構成上必要であれば魔改造でも問題はあるまいとは思うのだが…。
失礼、支援
74 :
狂蛇の使い魔:2008/12/18(木) 20:50:29 ID:ixPpe4sQ
では、投下します
第十七話
自室のベッドで寝息をたてていた浅倉は、部屋の入り口から近づいてくる、何者かの足音で目を覚ました。
音のする方へと目を向けると、そこには夕日に照らされたギーシュが立っていた。
ギーシュはベッドの上で寝ている浅倉を、いつになく真剣な目付きで見下ろしながら、口を開いた。
「聞いたよ。君がルイズを酷い目に遭わせたってね」
「……それがどうした?」
そんなことか、といった表情で、浅倉が再び目を閉じる。
「僕は薔薇だ。全ての女性を等しく愛するとともに、全ての女性を守る義務がある」
ギーシュが懐に手をのばす。
そして薔薇の造花を抜くと、その先を浅倉に向けた。
「もし、君がこれ以上、彼女や周りの女性たちを傷つけるのであれば……僕は君を許さない」
浅倉はハッと笑うと、ベッドから起き上がり、ギーシュを睨み付けた。
「今まで俺に散々にやられてきたのはどこのどいつだ? よくそんな口がきけるな」
「……確かに、僕は君に敵わなかった。でも、僕より力のない女性たちが君に虐げられるのを見過ごしてはおけない!」
確固たる信念を宿した目で、負けじと浅倉を睨み返しながら、ギーシュが言い放った。
ただ、シエスタ魔改造にはろくな作品が無い
ってのも過剰反応の原因の一つではある
またゴミSSかよみたいな
アドベント 支援
ベントイン!!
おお、ギーシュが立派だ支援
78 :
狂蛇の使い魔:2008/12/18(木) 20:52:50 ID:ixPpe4sQ
そのとき。
突然轟音が鳴り響くと、部屋全体が揺れた。
立っていたギーシュはバランスを崩し、床にしりもちをつく。
揺れが収まると、ギーシュは立ち上がりながら、悪態をついた。
「だー! もう! 人がせっかく格好よくキメてるっていうのに、なんなんだ!!」
「おやおや、邪魔して悪かったわね」
誰もいないはずの方向から、女の声で返事が返ってきた。
「うぇ!? だ、誰だ!」
二人が声のした方を振り向くと、開けっ放しの窓から、一人の緑髪の女性の姿が見えた。
その真横には、巨大なゴーレムの顔があった。
「フーケ!? 『土くれ』のフーケか!?」
捕まったはずでは、とギーシュが顔をしかめる。
「いつかの人形使いか……。お前の相手をしてもつまらん」
「誰もあんたの都合なんて聞いちゃいないよ! そんなに嫌なら、おとなしく潰されちまいな!!」
ゴーレムが拳を振り上げ、部屋に向かって叩きつけた。
窓や窓の周りの壁が吹き飛び、部屋の中がめちゃくちゃになる。
「面倒なやつだ……。おい、あの人形の顔を鉄に変えろ」
横で頭を抑えながらうずくまっているギーシュに、浅倉は上から指図した。
79 :
狂蛇の使い魔:2008/12/18(木) 20:53:33 ID:ixPpe4sQ
「き、君はこんな時に、なにを言って……」
「いいから早くしろ! 俺をイラつかせるな!」
上から怒鳴りつけられ、ギーシュは渋々と、部屋の外にいるゴーレムに向けて杖を振った。
薔薇の杖から花びらが舞い上がり、ゴーレムの顔を包む。
すると、土でできていたその顔が、錬金の魔法によって徐々に鉄へと変化していった。
「気でも狂ったのかしら? こんなことして、なにをするつもり?」
鉄で覆われたゴーレムの顔を見て、フーケはその意味不明な行動を嘲り笑った。
ゴーレムの顔が、まるで鏡のようにフーケの姿を映し出している。
「フン、馬鹿が……」
浅倉が、フーケにむかって不気味に微笑んだ。
笑っていたフーケの表情が、一瞬で曇る。
「何がおかし……っ!?」
フーケが浅倉に気をとられた、その瞬間。
鉄でできたゴーレムの顔から、突如紫色の大蛇が現れた。
「消えろ」
浅倉の言葉とともに、紫の大蛇は上下に鋭い牙のはえた口を大きく開くと、驚きで目を丸くしているフーケにむかって飛びかかった。
フーケが最後に見たものは、大蛇の口の中に広がる、一筋の光さえも入り込まないほどに深い暗闇であった。
瞬殺かよw
……ある意味一番酷い死に様じゃね?
81 :
狂蛇の使い魔:2008/12/18(木) 20:55:01 ID:ixPpe4sQ
術者を失ったゴーレムが元の土くれに戻り、ぼろぼろと崩れ落ちていく。
目の前の敵がいなくなったのを確認すると、浅倉は踵を返し、部屋の扉に向かって歩きだした。
「な、なんだ……? 一体なにがどうなって……?」
呆気にとられているギーシュ。
浅倉の命令で鉄に変えたゴーレムの顔から、いきなり紫の蛇が飛び出してきたと思えば、一瞬でフーケを一飲みにし、消えた。
突拍子もない出来事に、開いた口がふさがらない。
(まさか、写りこむものならどこからでも出てくるのか……!?)
これから先、写りこむものには気をつけよう。
ギーシュは心に堅く誓った。
「何をボサッとしてる。さっさといくぞ」
横で呆けているギーシュに、浅倉は手鏡とデルフリンガーを拾いあげながら言った。
はっとした表情で我にかえった彼が振り向くと、浅倉は顎で扉の方を差し示す。
ギーシュが扉を開くと、なにやら騒々しい物音が下の階から聞こえてきた。
確か、下の階には他の皆がいたはずだが。
「今度は楽しめるような奴がいればいいんだがな」
ニヤリ、と怪しく微笑みかける浅倉。
ギーシュはそれに苦笑いで返すと、階段を降りていく彼の背中を追った。
お、おマチさぁぁぁああああああん!!支援
83 :
狂蛇の使い魔:2008/12/18(木) 20:57:03 ID:ixPpe4sQ
活気に溢れる酒場であったはずの宿の一階は、一変して惨状を示していた。
テーブルは倒され、食事や飲み物があちこちに散乱している。
談笑していた客たちは、何が起こったのかわからぬまま、店の奥のテーブルの下に縮こまっていた。
店の入り口付近は、剣や弓で武装した荒々しい連中で埋めつくされている。
数にして百人はいそうな彼らは、いつでも攻撃が仕掛けられるように武器を構え、様子をうかがっていた。
そんな彼らと相対している、部屋の中央にある倒れたテーブル。
その中には、ルイズたち四人の姿があった。
「どうやら狙いは私たちのようね」
テーブルを背にしながら、キュルケが呟いた。
様子を見ようとテーブルの右端から顔を出すが、すかさず入り口の方から矢が放たれる。
キュルケは慌てて顔を引っ込めた。
「彼らはこの町の傭兵だ。我々の邪魔をしようと、何者かが雇ったんだろう」
冷静な顔で、ワルドが杖を構えた。
しかし、間合いが遠すぎるため魔法を唱えることができないでいる。
左右の二人の間には、不安げな表情でワルドに寄り添うルイズと、異常事態にも関わらず本に目を通しているタバサがいた。
84 :
狂蛇の使い魔:2008/12/18(木) 20:58:32 ID:ixPpe4sQ
「このままじゃ埒があかないけど、どうしましょう?」
キュルケがワルドにむかって問いかけた。
ワルドは顎に手を当て、うむ、と考えるような仕草を見せる。
「正面突破は諦めるしかなさそうだな。誰かが囮になって、その隙に……ん?」
ワルドが戦況を分析し、作戦を考案しているすぐ横を、紫色をした何かが物凄い勢いで通りすぎていった。
「ウオオオオオオオ!!」
四人が雄叫びのする方を振り向くと、彼らの目に、傭兵たちに向かって突っ込んでいく王蛇の姿が飛び込んできた。
両手を広げた王蛇は、飛んでくる矢を物ともせず、目の前の獲物目掛けて猛進していく。
そして、瞬く間に先頭に立っていた傭兵の元へとたどり着くと、彼の体を右足で思い切り蹴り飛ばした。
爪先が脇腹に直撃し、周りにいた傭兵たちを巻き込みながら吹き飛んでいく。
慌てた傭兵たちが武器を構えるよりも早く、王蛇は右手を振り上げると、彼らの体を打ち据えていった。
次々に繰り出される攻撃を避けられる者はおらず、王蛇の周りにいた傭兵たちは皆、鉄をも砕く拳の一撃を受け、沈んでいく。
戦いの流れが、一瞬にして王蛇の方に傾いた。
85 :
狂蛇の使い魔:2008/12/18(木) 20:59:36 ID:ixPpe4sQ
「……君たち、大丈夫かい?」
浅倉から預かったデルフリンガーを片手に、ギーシュがルイズたちに声をかけた。
しかし、返事は返ってこない。
その場にいた者は、俯いて読書に勤しむタバサを除いて全員、目の前で起きている光景に唖然としていた。
今まで攻撃を仕掛けてきていた傭兵たちが、一転して悲鳴をあげながら逃げ惑っている。
遁走していく彼らには、もはや戦う意思は見られなかった。
しかし、王蛇はなおも彼らを追いつめていく。
「ハハハハハハ! もっと俺を楽しませろォッ!!」
傭兵たちが恐怖に叫ぶ声と、拳がめり込む鈍い音が聞こえてくる中で、ただ一人、王蛇だけが歓喜に満ちた笑い声をあげていた。
「さ、さすがにこれはやりすぎじゃないの……?」
キュルケが目を見開いたまま、誰に言うのでもなく呟いた。
入り口の先には、少し前まで戦っていたはずの傭兵たちが転がっている。
その大部分はのびていたが、意識のある者は苦痛にうめいていた。
見かねたワルドが、王蛇を止めようとテーブルから身をのり出す。
しかし、ルイズは彼の袖を掴むと首を振り、必死に彼を引き止めた。
「ダメです、ワルド様! こうなったらもう、誰にも止められません!」
ルイズの説得に、ワルドは構えていた杖を降ろした。
王蛇の強さを身をもって知っていた彼は、顔に焦りの表情を浮かべながらも、黙って事の成り行きを見守ることしかできなかった。
(今の彼には、どんな言葉も届かない……)
夕闇の中で狂気に舞う王蛇の姿を、ルイズはどこか遠い目で見つめていた。
何と言うやりたい放題……
お、おマチさーーーーん!!??
支援
88 :
狂蛇の使い魔:2008/12/18(木) 21:02:27 ID:ixPpe4sQ
以上です。浅倉が本格的に暴れ始めましたね。
では、支援ありがとうございました!
狂蛇の人、乙。
しかしこの時点で死んじゃうおマチさんは幾らかいるけど、ちょっとあっけなさすぎじゃなかろーかw
>俯いて読書に勤しむタバサ
何気にタバサも黒くなってきてるよーな……
頼りになるのはキュルケとギーシュくらいだな
乙
モンスターは鏡っぽいもののあるところならどこからでも現れるからなw
異世界から現れるから他のライダーの怪人とかよりテロ的な意味じゃ一番怖い存在だ
てつをあたりならあっさり何とかするだろうけど
王蛇の人GJ!
コレだ、これを待ってました。朝倉が朝倉していてGJ
でもおマチさんが…合掌orz
次回に超wktk
そ、そーいや蒼の兄貴の人のテファはどうしてるんだろう…
おマチさんからに仕送りも途絶えて、食い盛りの児を抱えたテファはついに、自ら耳をそぎ落とし、己の最後の武器を売りの街へ(ry
テファのことまで言及してる作品はあんまりないな。
そこまで話が進んでいないってのもあるあろうけど。
キャラ改変がイヤなら原作を読めと言いたい。
度を過ぎた魔改造はいかんかもしれんが。
>>94 あんまりというのはどのレベルだ?
まとめWiki見る限り幾らでもあるように見えるが
毒吐きといい無茶を言いすぎな気がする
>>96 すまん、説明が足りなかった。
俺が知ってる読んでる範囲だとマジシャンザルイズと他二作品くらいしかテファがその後どうしているかを語ってる作品が無いような気がしたんで。
そんなに一杯あったのか……テファ好きとしえt恥ずかしいからちょっくらまとめwiki読み返してくらぁ。
ちなみに代表的なのだとどんなのがある?
王蛇の人乙です。
予約入っていますか?入っていないようでしたら
15分位に投下しようと思うのですが
二人が部屋に戻るとルイズの癇癪はさらに爆発する。
「キィィィ!何なのよ、何よあの女!自分がサラマンダー召喚したからっていい気になって!」
「まぁまぁ、そんなに怒りなさんな。こう見えても俺は色々できるしな。」
「なによ。所詮平民でしょ!それにあんたも、あんたよ!ツェルプストーなんかにデレデレしちゃって!このエロ犬!」
テンガロンハットを目深にかぶり我関せずを決め込む事にした早川。
「(やれやれ、触らぬ神に祟りなしってね。)」
「ケン。ほら。」
「何してるんだ?」
早川がルイズの方を向くと、何かを待ってるかのように立っている。
「着替えに決まってるでしょ?貴族は従者がいる時は自分で着替えないの。
ほら、さっさとしなさい!使い魔の仕事でしょ?」
それを聞いた早川の雰囲気が変わるのをルイズは感じた。
日本一の支援
実は早川健という男、キザで正義感の強い男だが強引で情け容赦ない男である。
飛鳥の仇を探す際、悪人とは言え、
ギリギリギリ
「飛鳥五郎という男を殺したのは貴様だな!?」
鞭で首を絞めながら問いかける。
「違う!」
バキッ!懇願する相手を無情にも殴ると、壁に思い切り叩きつけもう一度聞く。
「本当のことを言え!」
「し、知らん!」
バキッ!
更にねじ上げるズバット。
「貴様だなぁ!」
「ほ、ほ、本当に知らないんだ、信じてくれ!」
「嘘をつけぇ!」
バキッ!
↓
「ズバァァァット!アタァーーーック!」
「飛鳥の仇は、この街にはいなかったようだ。」
そんな男が奴隷扱いされようとして黙っているはずもない。
ルイズは悪寒が走り、とっさに
「ふ、ふ、普通の貴族はそ、そんな事を言うけど私は自分の事は自分でするんだから、か、か、感謝しなさいよね。」
と取り繕い、、そそくさと着替えを済ませる。
「(なんか、嫌な予感がしたわ。あっ朝食、、、)」
だがその支援、日本じゃあ二番目だ。
今更ですが愛しのシェフィ面白いです。早速続きが読みたくなります。
このジョゼフだったらその後、ガリアとかの一国の行動を左右出来るほどの財力を持つ大商人になれそうな気もしてくる…
この後朝食に向かうのだが、朝食のメニューが問題なのである。
自分の優位性を満たすためのメニュー。本来召喚されるべき者にだったら効果はあったのかも知れない。相手は早川である。
「さてと朝食に向かうわよ。そう言えばあんたの食事だけど、まさか人間が召喚されるなんて想定外だから用意出来ていないのよ。
悪いけど、厨房で何か貰ってくれる?」
「ああ、出来たご主人様でよかったぜ。さてと飯にしますか。」
うまく地雷を回避出来たルイズと早川は食事へと向かう。
「あんた食事済ませたら、授業があるからここで待ってなさいよ。」
二人は別れ、それぞれ食事を済ませる。
食堂では貴族の食事を出し終わりコック達が一息ついている。
話題は貴族に召喚された平民、早川の事だった。
「へー、シエスタ。貴族の嬢ちゃんに召喚された平民の男と会ったってのか?」
「ええ。ケン・ヒラカワさんって言うんですって。」
「そいつは災難な事だな。シエスタ、その男が困った事あったなら助けてやんな。これから貴族にこき使われるんだ。」
「そのつもりです。それにハンサムだったし。」
早川に抱きかかえられた事を思い出し、頬を赤らめるシエスタであった。
「厨房ここでいいのかい?」
入り口に立つ見慣れない男に厨房の人間の注目が集まる。
「あんたは、貴族に召喚されたケン・ヒラカワかい?どうしたんだ?」
「ちょいと飯でも分けて貰おうと思ってね。俺の分は無いんだってさ。」
「そいつは災難だったな。申し訳無いが俺らも食事を済ませちまって、もう無いんだ。」
申し訳無さそうにマルトーは頭を掻く。何か作ってやろうかと考えている所に、
「チッチッチ、気にしなさんな。ちょいと食材と厨房借りるぜ。」
「ああ、そいつは構わねえが、、、」
その言葉を聞き早川は、もの凄い速さで料理を作り上げていく。作業のスピードも手際も尋常じゃない。マルトーは唖然とした。
「こいつは並のコックじゃあ足元に及ばねぇ、、、」
何ィ? じゃあ、誰が日本一なんだ! 支援
支援
ヒラカワって誰だよw支援
出来上がった料理はフレンチ、中華、和食など見たような料理から、マルトーですらまったく見た事も無いような料理が出来上がっていた。
「ちょいと、作りすぎちまったみたいだな。よかったら、お礼も兼ねてどうだい?」
どれも旨い。見た目、味どれを取っても完璧だった。マルトーは驚愕した、
厨房の皆も味見程度の気持ちだったが、自分達が食事をした事すら忘れていた。
「う、うめえ」
「ケンさん、おいしいです。」
「そうかい?そいつは良かった。この程度ならいつでもどうぞ。」
マルトーは自分より旨い料理を作る早川にいつかギャフンと言わせようと誓った。食事の時間はあっという間に過ぎ、早川は席を立つと
「そろそろ行かないとな、ご主人様を待たせてるんでね。」
ふらりと帰っていく。
「ぜ、絶対来いよ!絶対だからな!今度は俺の作った料理も食ってくれ!」
振り向きもせず手をヒラヒラと振り早川は去っていった。
この一件をきっかけにマルトーは研究をかさね、学院の料理はさらに美味しくなる事になった。学院の人間はこの事は知らないが。
以上です。ヒラカワってwやっちまった。
お目汚し失礼しました。
乙です。
悪人に対して容赦なし通り越して非道なのは、心に復讐の風が吹いてるからだと信じたいw
乙。
てっきりマルトーに向かって「お前さんの料理、日本じゃあ二番目だ」ってやると思ってたんだがなぁww
乙です。
早川さんは素敵だなあ。
>>112 ニッポンじゃあ二番目でも、トリステインじゃあ3番目かも知れぬ。
>>113 な、何だと!? では一番と二番は誰だと言うのだ!?
>>53 FFTの貴族を見ると
ゼロ魔の貴族がかなりまともに見えるな
支援ありがとうございました。
一応、2番目のくだりは自分の才能を他人にひけらかすような輩と
戦うべき相手に対して使おうかと考えています。
あんまり、使ったら嫌な奴になるかなと迷いまして。
>>112 ご期待に答えられずすみません。
>>118 そういうことでしたら、お気になさらず。
乱発しても、何と言うか「日本一の安売り」みたいになってしまいますしね。
>>117 ライバック乙
そういえば、近々TVであるな
そういえば使い魔セガールはどうなったんですか
>>121 沈黙シリーズはハルケギニアでも有名なので、悪さをする奴が居なくなりました。
嘘です
vsワルド
クレジットカードで首スパッ
vs大艦隊
船に潜入して蹂躙
vs七万人
ガヴァメントと拳だけで充分です^q^
vsエルフ
殴り合い
『心と出会うRPG』テイルズ・オブ・ハーツ発売記念!
11:10頃、第二話を投下します
『生きる意味を知るRPG』テイルズオブジアビスより
アッシュ(ルーク・フォン・ファブレ)を召喚
追加の補足:ゼロ魔の魔法に多少改変を加えています
それほど大きい変化ではありませんが、気になる方は注意
一応、原作の原理に則っり、手を加えました
トリップが変わっていますが、これは忘れてしまったためです
申し訳ありません
>>116 ステプリなんかのも結構凄いのがいるな
少女集めて洗脳教育して暗殺も出来る娼婦育成してるのとか...
バンパイアハンターDの貴族なんてすごいなんてもんじゃないぜ
あの世界の貴族は、超能力と超科学を操るほぼ不死身の吸血鬼じゃねーかw
いや、だって吸血鬼だし
もはや語るまい。
第二話 鮮血とゼロ
「……えー、とりあえず、私がお話できることはこれくらいですかな」
頭が痛い。ローレライよ、俺の声に応えろ。俺ごと音譜帯を突き抜けろと約束した覚えはないぞ。
現実逃避をせねばならんとは情けないにもほどがある。異次元にでも迷い込んだような、ふざけた話を聞かされればこうもなるか。
「要するに……ここはオールドラントでない。魔法使いがいる。そいつらは貴族……」
「はい。そこまでご理解いただければ、事の進展が望めそうですな」
勝手に次の段階へ話を進めている。貴様らのペースに乗せられる俺の身にもなってくれ。
「何がご理解だ。貴様の話を信じるとは言ってないぞ」
「お言葉ですが、私の申し上げたことは全て事実ですぞ」
男が語った内容をまとめるとこうなる。
ハルケギニアと呼ばれる大陸があり、四つの国と一つの宗教国家によって世界が形成されている。
この屋敷は、男によると施設、トリステインという国の領土にあるらしい。
ハルケギニアは魔法なる特殊な力が発達していて、国家の営みや人々の生活には欠かせなくなっている。
魔法を使う者達はメイジと呼ばれている。メイジは例外なく貴族の血筋であり、その力を持って民を導き、国を治めている。
メイジは、戦時には戦場を駆け、軍人の先陣を切る騎士としての役目を使命とする。
俺が運び込まれた施設は、魔法の技術が拙い貴族の子息を、メイジと呼ばれるにふさわしい使い手に教育する学校だそうだ。
額面どおりに受け取るなら、ここはオールドラントではない。五つも国が存在する広大な大陸が未確認扱いになってるわけがない。
俺がオールドラントのどこかで生きているとしたら、この男はとんでもない法螺吹き野郎になる。
しかし、デマと断定するにしても話があさってのはるか先に飛びすぎだ。
俺に何らかの用事があっての作り話だと仮定しても、こんな手の込んだ御伽話じみた妄想をぶちまける奴は皆無だ。
この状況を論理で分析することは不可能。『ルーク』を失った七年前の事件が頭に浮かぶ。
非常識な経験が豊富というのも、案外悪いことばかりではないらしい。
ちょっとやそっとじゃ冷静さを失わない。ただわめくだけで、それが嫌で他人を妄信して、後手に回って振り回されることもない。
まともに思考が働けば、有用な記憶を引っ張り出せる。おかげで、この摩訶不思議な事態に説明をつけれる現象を思い出せた。
「信じてもらえないようでしたら、この私が学院内を案内いたします。そこで我々が真実を語っていることを証明いたしましょう」
「ありがたい申し出だな。悪いがそいつは後にしてくれ。俺も聞きたいことがある」
「分かりました。では、何なりとお聞きください」
「お前らの言う、魔法とは何だ。ここで見せてみろ」
――魔法――譜術が発達しているオールドラントで見慣れて聞き慣れない単語だ。
オールドラントで譜術を魔法と呼ぶ人間は少ない。あっても、例え話として使われる程度だろう。
フォニック言語の辞書に魔法は記されていない。ならば、これは未知なる力の可能性がある。
以前、ナタリアから聴いたことがあった。今まで見たことのない、不思議な力を使うパーティと戦ったと。
バチカルの闘技場に現れたというそいつらは、闘技場の主が別の時空から召喚したものらしい。
ナタリアが嘘を付くことはありえない。ならば、ここはオールドラントと異なる世界である線が浮上する。
お互いの道理がまるで通用しないのだから、その可能性が高い。
別次元に召喚されたと仮定すると、俺を治療したのは単なる善意からか。だったら、男は嘘を付いてないこともありえる。もちろん、その逆も。
事の発端や企みがあるかは情報が少なすぎて読めない。俺のペースで真実を明らかにするしかない。
最初は未知なる力の拝見だ。どんな結果が待つにせよ、俺を囲む壁にヒビくらい入るはずだ。
「魔法を使えば、私の言葉を受け入れてくださるのですか」
「さあな。そいつは魔法に聞いてくれ」
納得したのか、男は立ち上がって身の丈ほどもある木製の杖を掲げる。
「では、魔法を詠唱します。その場から動かずにお待ち下さい」
男は聞き覚えのない言葉で詠唱を始めた。魔法とやらは日常で使うのとは違う言語を使うらしい。
男の杖の先に、小さな炎が灯った。炎は徐々に大きくなり、熱気が俺の体に伝わる。
男の詠唱が終わるやいなや炎は爆発的な勢いを持って男の全身へと巡り、大蛇のごとくとぐろを巻いている。
「これは……第五音素(フィフスフォニム)か!?」
譜術なのか、これは。かすかに、音素の振動を感知できる。
なのに、音素が集約される光を確認できないのはどういうことだ。体内のフォンスロットを開いて音素を取り込んでいないのか。
こいつはどう表現したらいい。まるで、音素が体内から湧き出ているようだ。
「自己紹介をしておりませんでしたな。私は『炎蛇』のコルベール。見てのとおり、炎を操るメイジでございます。我が灼熱の大蛇、あなた様のご期待に沿うてくれましたかな」
俺に鎌首をもたげる大蛇からは何の音も響かない。
大蛇がこんがらがって余計にややこしくなりやがった、などという本音は隠そう。
臆面もなく俺の望みを叶えてた。少なくとも、真偽を問えば虚言が返ってくるわけではない。
魔法をオブラートに包まずに拝見できたことは僥倖と表現してもいいだろう。能力ってのは見せるだけで多くの情報を提供してくれる。
あちらがあっさり武器を披露したのは俺に誠意を示すフシがある。脅威を見せて俺の行動を制限する狙いもありえる。
それはまだ憶測の域を出ない。こいつらの希望通りに魔法の解析を優先した方が良い。
魔法の源は音素だ。これは間違いない。問題は特殊な現象を引き起こす過程にある。音を響かせぬベールの先に譜術にはない原理が眠っている。
こいつは、男だけの特別な技法なのか、普遍性のある技術なのか、その確認さえ取れれば針の穴くらいは光が差し込みそうだ。
「おい、貴様は魔法を使う者は例外なく貴族と言ったな。ならば、その魔法使いとやらはどれほどいる」
「我がトリステインでは、貴族の地位にある者は皆魔法を使いこなしますぞ。あなたもメイジの魔法によって召喚されたのですから」
「何だと……」
「言うなれば、魔法を意のままに操る者こそ、貴族と呼ばれるに相応しい資質を備えているのです」
魔法を扱う人間が貴族となりえるってわけか。例外はなさそうだ。
「だったら、魔法さえ使えれば誰でも貴族になれるのか。ずいぶんとお安い御身分だな」
「それは違いますぞ。平民にメイジは存在しません。メイジは貴族の血筋以外には生まれません」
魔法が親から子へ継承されるだと。譜術は、厳しいとはいえ、訓練さえ積めば誰でも使えるはずだ。
「魔法ってのは鍛錬を重ねれば誰でも使える代物じゃないのか」
「おっしゃるとおりです。私は数々の文献を拝見いたしましたが、ただの平民が魔法を発現させたという記録はございませんな」
譜術とはまったく異なる理だ。こいつを信じるなら、魔法は譜術と同種の能力ではないという根拠になる。
もう、最低限の情報は手に入れたに等しい。後は俺の眼と足で突合せばいい。包帯が取れたら学院とやらの隅々まで拝見させてもらおうか。
厄介事が一つ片付いたせいか、急激に視野が広がってゆく。そして、俺が最も優先して聞くべき問いがあることに、今さら気付いた。
ずいぶんと間抜けをやってたようだ。俺はこいつに人生を狂わされて、そしてこいつがヴァンとの争いの中心にあったてのにな。
「そうか……そろそろこの問答も終わりにしたい。次が最後の質問だ」
男は視線を俺から外した。どうも窓の外を見ている。
「そうですね。夜も更けてきました。こちらも待ち人がおりますので」
もう夜か、と無意識に首を動かしたら、驚嘆する光景が飛び込んできた。どうやら、最後ってのは遅すぎた。
夜空の先に月が見える。全てに決着を付けてくれる光の筋が夜空に消えてゆく。
ここはオールドラントではない。賭けてもいい。
なぜなら、オールドラントには二色の輝きを大地に注ぐ月はない。片方がレプリカでもない限り。
答えは大地にあるわけじゃなかった。二つの月が、ここはハルケギニアだと俺に告げている。
俺の胸の内にある世界を明かす必要はなくなった。これ以上話すことはない。
視線を戻すと、ずいぶんと穏やかになった俺の心とは対照的に、男が、確かコルベールと名乗ってたか、やたら真剣な顔で睨みつけている。
「……おそらく、私とあなたは同じことを考えていると思います」
急に妙なことを口走り始めた。まさか、こいつは預言を知っているのか。
「あなたが尋ねようとしているのは使い魔についてだろうと思われます。今からご説明いたしますが、お時間をいただけるでしょうか」
お開きには早すぎた。俺が異世界で寝転がってた根本的な原因が未解明なままでいい訳がない。
確か、召喚がどうのこうのって内容だったはずだ。異世界から戦士を呼び出すってのは、闘技場の主の専売特許ってわけでもないのか。
俺に何の用があって時空を超えさせたのかは知らんが、残念ながら異界の人間と仲良く遊ぶ時間はない。俺はもうすぐ音素乖離を起こして消える。
「ふん、こんな奴を召喚とは、ずいぶん物好きな貴族がいるもんだ」
「そう言わずに……。自分を卑下するとはあまり良い態度とはいえませんぞ」
初対面の人間相手にお説教とは、ずいぶんとお優しいことだ。何も知らない人間は楽でいらっしゃる。
「そいつはすまない。で、その召喚ってのは何なんだ。ご教授願いたい」
「はい。召喚とは……」
「そうか……、メイジに一生仕える使い魔を召喚する儀式の際、俺はここに呼び出されたのか」
「そうです。しかし、あなたを召喚した時は大騒ぎでしたよ。あなたの御召し物が真赤に染まっていましたから」
それで良く生き延びたものだ。俺の二つ名を『鮮血』から『不死身』にでも変えてしまおうか。残り僅かな人生を不釣合いな称号で過ごすのも悪くない。
「召喚される前は敵と切り合ってたからな」
コルベールの瞼が僅かに動いた。直前まで殺し合いをやってた人間を召喚したんだ。プラスの印象は持たんだろう。
「つかぬ事をお聞きしますが、あなたは軍属でしょうか」
「俺が譜……魔法を使うからか。そう思ってくれてかまわない。だが、なぜ、俺が魔法を扱うと思った」
「それは、あなたの枕元にある装飾品を調べたからです。中心に取り付けられた石に、魔法の詠唱を早める効果と精神力の消費を軽減する効果が確認されました」
俺はベッドの上部を見た。枕元、というかベッドの脇にある台の上に、俺が身に付けていた、ローレライ教団の詠師を加護する譜石が置かれていた。
あれには詠唱時間の短縮や譜術の負担を抑える効果がある。だから、俺をメイジと勘違いしたのか。そして、貴族とも。どれも正解とはなんとも気持ち悪い話だ。
「それで、ずいぶん遅れてしまいましたが、あなたのご氏名をお教え願いたい。出身地とお父上についてお話いただけると幸いなのですが……」
コルベールの顔がずいぶん神妙になる。俺の名前と出身地を聞くのは分からなくもない。だが、父上には何の意味がある。
そういえば、こいつは最初に俺の召喚を「少々厄介な事態」、と言っていた。言葉尻から察するに、貴族が何かの障害になってるのか。
「何を深刻になっている。俺が貴族だとまずいことでもあるのか?」
コルベールが腕を組んで悩み始める。俺の顔色を窺いながら次の態度を決めかねている。
「何を心配してるだか知らんが、俺の身分を気にする必要はないぞ」
コルベールは困惑しながら、こっちに視線を向けてきた。
「それは……どういう意味でしょうか」
「そのままの意味だ。どうせ、俺は死んだことになってるからな」
コルベールの体が大きく跳ねた。俺の格好を見れば、大体の推測も立つだろう。
「まさか……、あなたが傷だらけで召喚されたのは……」
「そうだ。多勢に無勢、よくもまぁ、あれだけの数を相手にしたもんだ。そこで俺は死んだはずだったんだがな」
コルベールが苦虫を食い潰したような顔になる。内心の苦悶を吐露せぬよう、口を塞いで頭を伏せている。
「気に病むことはない。お前らの手厚い看病のおかげで一命は取り留めた」
俺の墓がどこになるかを確かめたら、俺はすぐにでも学院を去ったほうがいい。ご好意を無下にして逝くのは寝覚めが悪い。
立つ鳥は跡を濁さないそうだからな。
「ですが……」
「もう終わったことだ。いちいち詮索するんじゃねぇよ」
コルベールは納得いかなそうに眉を顰めている。頭抱えても埒が明かないだろうに。
数分黙ったコルベールが大きく息を吐き出した。わだかまりを処理できんお人よしではなかったか。
「……あなたが逝去されたという話、信用してよろしいのですか」
「元々、瓦礫と共に朽ちてる身のはずだ。死体を上げるのも困難だろう」
ナタリア達が勝ったのなら、動力であるローレライを失ったエルドラントは崩壊しているはずだ。
そこから特定の人物を発見するなど、完全同位体の被験者でもない限り不可能だ。ましてや、レプリカにできる芸当じゃない。
だからこそ、あいつらは躍起になって俺を捜索してそうだ。再会できる手段などない事を知らずに。
そう思うと、心のどこかに痛みが走る。俺のために必死になることないんだよ。俺がオールドラントにいようと、一緒に過ごす時間はない。
「あなたのお言葉、疑うものがないと判断しますぞ。私が問うのは名だけにとどめましょう」
それより、今、すべきことに集中すべきだ。帰ることのない場所を心配しても意味がない。
俺の名前か。どう応えるべきだろうか。遠い昔に捨てた名か。過去を捨てた証の名か。
わざわざ迷うこともない。捨てたなど、俺が勝手に思い込んでいただけだ。
こいつだけはレプリカの言うとおりだ。誰が何を言おうと、俺は俺らしい。
「俺はルークだ。ルーク・フォン・ファブレ。お前らのご想像通り、貴族の生まれだ」
人生は旅だと詩人は詠った。俺は帰り支度を始めている。だったら、最期くらいは自分を取り戻す時間にしても罰は当たらない。
「やはりそうでしたか。ですが、今はこれ以上の追求もできませんので、本題に入ります」
今は、と来た。頃合を見計らって、根掘り葉掘り追求する魂胆か。あの世まで追っかけて来ることはありえないから、気にすることもないが。
「ミスタ・ルーク。あなたはこれから使い魔としての契約を行う儀式をお受けすることになります」
使い魔の儀式とやらは召喚のみで成立するものではないのか。しかるべき契約が必要なら、わざわざ死に掛けの人間を従えても相手は迷惑だろう。
俺は、かつてとはいえ、公爵家の子息。誠意なき誓いは結べない。
「断る。誰かに縛られるのは飽き飽きだ。俺は学院の見学が終わったら、ここを退散するぞ」
それに、拉致されて好き勝手に転がりまわされる経験は一度で十分だ。
「申し訳ありません。一度召喚された場合、使い魔を変えることはできないのです」
「何故だ。召喚の二度や三度ができないこともないだろう」
「できません。使い魔召喚の儀式は、召喚の魔法『サモン・サーヴァント』を第一段階とし、契約の魔法『コントラクト・サーヴァント』を行うことで初めてメイジの使い魔となるのです。
この二つの過程は切り離せるものではありません」
「要するに、召喚された時点で使い魔の契約は半分終わってるのか」
「おっしゃるとおりです。ですから、何人であろうと使い魔の契約を拒絶することは叶いません。一つの例外を除いては……」
「例外?何だ、それは。今すぐ言ってもらおうか」
コルベールの顔が曇る。どうやら、浮かれるような話になりそうもない。
「例外……いや、再び『サモン・サーヴァント』を唱える条件があるのです」
二度や三度があるらしい。もっとも、まともな方法でないとすでに伝わっている。
「それは使い魔の消失……、つまり使い魔が亡くなった場合でございます」
俺が驚きを感じたのは今の境遇があってこそだ。常識的に見れば、使い魔がいなくなれば新しいものを呼べるのは当然だろう。
この際、「なら心配することはない。俺はもうすぐ死ぬ」、と告白するか。俺を救った人間の努力を踏みにじることになっても。
それはできれば遠慮願いたい。俺が死んで悲しむ奴らは少ないほうがいい。今置かれた状況で最良の道を模索するしかない。
「一つ提案がある」
「何でしょう」
「突然の申し出だからな。心を準備する時間が欲しい。契約は後日にしてくれないか」
ここが異世界か、コルベールは真実を語っているか、それが証明されない限りは相手に合わせることはない。
何とか時間を稼いで、俺が死ねば使い魔召喚はやり直しだ。俺の最期は看取られたくないが、もう贅沢を言える状態じゃない。
コルベールは顎に指を触れさせ、暫し考え始めた。多少の手応えはありそうな匂いがある。
沈黙ごと夜の静けさに溶かされそうだ。ずいぶん長いこと難しい面をしている。
長々待たされて、やっとコルベールが考えをまとめた。伏せた目を俺に向ける。
やけに肩の力が入っているのが気になる。無理なんてことはあって欲しくない。
「なりません。『コントラクト・サーヴァント』は本日中に行います」
悪い冗談なら切り掛かりたい気分だ。不愉快極まりない別れ方をご所望してくれるとは。
「何故だ。こっちも事情は無視か。それとも、正体が掴めない人間の話など聞く耳持たないってわけか」
「ち、違いますぞ。我々にも相応の事情があるというだけで……」
そんなことなど承知している。だが、燃え尽きる寸前の蝋燭よりも炎を長く灯せるだろう。
「だったら、その事情ってのはなんだ。それほど急を要することなのか」
「はい。メイジは召喚された使い魔によって今後の属性を固定し、専門課程へと進みます。よって、使い魔がいない場合、魔法の系統が決定されないので、講義を受けることができません。
そのまま放置するわけにも行きませんから、使い魔の契約が結ばれないままであると最悪退学の処分が下る可能性もあります」
「講義は何時から始まる」
「すでに始まっています。春の使い魔召喚の儀式も講義の一環です。明日からは各系統の基本講義が始まります」
コルベールの話を鵜呑みにするなら、期限は明日の朝だ。
俺の音素乖離による消滅の時期はジェイドがおおよそを計算したもらしい。スピノザがそう言っていた。具体的に何時頃か、実際のところ不明だ。
今すぐかもしれない。運が良ければ数ヶ月くらい持つかもしれない。俺の鼓動が何時まで続くかは音素だけが知っている。
いっそのこと、恥も外聞もなく窓を叩き割って彼方へと飛び出そうか。俺の体が思うように動いてくれるなら。
目覚めた直後よりましになったとはいえ、本調子には程遠い。武器がなければ拳一個分叩き割るのがやっとだ。
八方塞だな。俺の意思ではどうにもならない。異世界くんだりまで引っ立てられて何一つ決められないとは。結局、俺は流されるだけの存在か。
流れに身を任せるのも案外悪い案じゃない。メイジと契約できようとそうでなかろうと即座に真相が明るみになる。
コルベールらが何を企んでようが、これから死ぬ人間に糞の価値もない。全て奴らの手の平から滑り落ちる。
本当に契約を結んで使い魔となったら、覚悟を決めるしかない。貴族の風上にも置けぬ屑と認める覚悟を。
俺が原因で誰かの居場所を奪うわけもいかないからな。あんな思いをばら撒くようなら、劣化オリジナル呼ばわりされても文句が言えない。
「いいだろう。メイジを呼んで来い。今すぐ契約してやろう」
同意した途端、コルベールは身長が縮んだと錯覚するほど肩を落とした。ベッドのシーツまで届くため息がそれまでの鬱憤を連想させる。
苦労したのはお互い様ってわけだ。
「では、私はあなたを召喚したメイジを呼びに行きましょう。所用がありますので、ここに戻ることはありませんから、お聞きしたいことがあれば今が最後の機会です」
「いらん世話だな。さっさとメイジってのを呼んで来い」
「そうですか。では、また明日お会いしましょう。今度は教師と使い魔という立場で」
そう言い残し、コルベールは振り返ることなく部屋を出て行った。
使い魔と教師か。また会う機会があれば喜んでやろうか。
苦笑していると、金属が軋む音が響く。どうやら、メイジ殿がご登場したようだ。
聖なる焔の燃え滓を召喚した悪趣味貴族がどんな御容姿をしているか、眼に収めさせてもらおう。
「あんた貴族なんだってね。よろしく。今日から私が主人よ」
メイジは女だった。身長から判断するに、年は俺より下。白のブラウスを着込んで黒いマントを羽織っている。
注視すべきは、頭髪と瞳だ。桃色がかったブロンドの髪と鳶色の瞳。ほんのりと赤みが浮き出る頬も大きな特徴だ。
何が別次元だ。ここはあの世じゃないのか。でなければこいつがいるわけがない。
「妖獣のアリエッタ!何故貴様がここにいる!」
ローレライ教団の六神将の一角。ヴァンとイオンに全てを捧げた“魔物”使いと対面するとは。
坂から転がり落ちるしかない運命には嫌気しか差さん。
「アンリエッタ?あんた何言ってんの。私姫様じゃないわよ」
否定された。待て。姫様とは何だ。アリエッタはライガの女王に育てられた。そこで得た魔物と会話し、従える能力を買われて六神将の一角を任された。
魔物にとっては確かに姫様だ。しかし、人間に姫扱いはされんだろう。
この小娘がアリエッタだというのは勘違いか。口調も態度もまるで違う。ここがオールドラントならレプリカの疑いもある。
時空の異なる世界だったら、ずいぶんと珍しい他人の空似だ。
「違うだと。お前はアリエッタではないの……か」
次は誤認を確認する意味を込めて言った。アリエッタではないなら、一体誰なんだ。
「だ・か・ら、アンリエッタは姫様の名前って言ってるでしょ!も〜、何よこいつ。目が腐ってんじゃないの。私の名前はルイズよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。間違えないでよね」
ア“ン”リエッタ……。どうやら本当にアリエッタではないようだ。俺の知り合いで初対面相手に、目が腐ってる、などと暴言を吐く屑はいないからな。
「ア“リ”エッタだ。俺が目なら、貴様は耳が腐ってるようだな」
皮肉を返してやったら、顔を真っ赤にして全身が弛緩している。恥を掻くくらいなら口を慎んだほうが得策だと知らないらしい。
「私の耳が腐ってるですって。ふざけんじゃないわよ!あんた私を誰だと思ってるのよ。舐めた口聞くと領地取り上げられるわよ」
随分と大層な身分のようだ。頭のほうも大層愉快でいらっしゃる。コルベールから何も聞かされてないのか。
「悪いが、取り上げる領地はこの国に存在しない。俺は異国の人間だ。残念だったな」
言われて急に萎縮したってことは、コルベールから俺の素性は伝わっている。
記憶の方も劣化が激しいようだ。ハルケギニアの貴族はアホでも務まるのか。
「う、うるさいわね。い、今のは言葉の綾よ。あや!私はあんたのご主人様。無駄口叩いたら許さないってこと!」
俺が貴族と知ってこれだけ尊大な態度が取れるとは、たいした傲慢ぶりだ。よほど甘やかされて育てられたってことか。
予測をはるかに上回る屑だ。地位があるだけで偉いと勘違いしてやがる。こいつの尻に敷かれるなど、本来はご遠慮願いたい。
召喚者を逃がさない魔法の優秀さに感謝して欲しいもんだ。
「無駄口が嫌なら、さっさと契約ってのを始めろ。俺は今日中に契約する約束しかしていないからな。日が変わったら別の奴を探してくれ」
今度はぐちぐちと何か喋りだした。口先だけで言っていて中身は判読できない。
少しからかっただけでこのムキになりようは親善大使殿といい勝負だ。あれと同レベルが主人とは、俺の人生は屈辱的に呪われてる。
部屋を埋め尽くさんほど呪詛を吐いて、やっとルイズって女は落ち着いた。大股で俺の下に歩み寄る。とうとうこいつの使い魔に成り下がる時が来た。
ルイズは右手に、コルベールの杖とは対照的に、タクトを思わせる細い杖を持っている。こいつがメイジなら、各人に合った杖を使っても不思議はない。
「あんた、ルークって言ったわよね。これから使い魔になるんだから、それに相応しい振る舞いをしなさい。いいわね」
口の減らない女だ。ここまで人をウザがらせる才能だけは褒めてやりたい。
「ご主人様のご機嫌を取ればいいんだろ。貴族として至らぬ部分がないならやってやろう」
ルイズの右手にある杖が悲鳴を上げながら震えている。堪え性はないな、こいつは。
「あんた……、後で覚えときなさいよ。たっく、何でこんな奴にあんなことを……」
それだけ言って、血管が浮き出て、ほのかに紅く染まる右手を掲げる。契約の魔法を唱える体勢に入ったらしい。
忍耐力は中々ある。頭の切り替えができん愚図は犯さなかった。
「我が名はルイズよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ」
魔法の詠唱は特殊な言語だけではないのか。折角なので、この魔法も分析してみる。
先ほどのコルベールの魔法と同じく、フォンスロットを開放した様子はない。音素の震動も微弱なものしか拾えない。
二人目のメイジの出現。魔法使いは出鱈目ではなかった。譜術に似て似つかぬ魔法は異端の奇跡ではない。
詠唱を終えたルイズは屈んで俺に顔を近づける。契約するにはその証が記される。それは俺の何処に刻まれるんだろうか。
ルイズは、何やら熱っぽさを伝えながら、俺の両の頬に指先を添えた。そのまま俺に体を預けながらもたれかかる。
妙だ。変だぞ、これは。機械的に主従の誓約を結ぶんじゃないのか。何か、別の方面が接近している。
ルイズは更に俺に迫る。もう、鼻先が触れるほど、二人の距離はない。包帯を巻いているだけの体に、ルイズのブラウスがゆっくりと沈んでゆく。
危機を感じるのが遅すぎた。これは俺の大事なものが奪われる儀式だ。俺がかけられた呪いは屈辱を味わう類じゃない。
俺の望む未来が何一つ叶わない呪いだ!
小刻みに震えるルイズの唇が俺のものと触れ合う。生まれて始めて、ここでない場所で、共に在りたい人との誓いの契りとなったはずの、ほのかに甘い刺激が俺の意識を溶かしていく。
最初の接吻はナタリアだと決めていた。それが今、理不尽にも破られた。
「な、な、何しやがる!」
急激に湧き上がる後悔だの、恥ずかしさだの、怒りだの、膨大な感情の勢いでルイズを突き飛ばした。
ルイズがでかい悲鳴を上げる。しかし、内からの衝撃が金切り声を吹き飛ばす。
座っているだけなのに、全力で戦ったように動悸が激しい。頭が真っ白になりそうだ。
冷静になろうにも全身が動かない。一つの罪悪感に支配されてどうにもならない。
俺はどうしたい。俺は何をしたい。ともかく、最優先にやることがある。
ナタリアに謝りたい。今すぐに。土下座でもなんでもいい。今しがた勃発した、ローレライを消すがごとく大所業を謝罪したい。
俺は悪くねぇ。俺は悪くねぇ。何にも知らなかったんだ。そうだ、あいつが、あいつが。
「落ち着けえぇぇぇぇぇ!」
俺の心で暴れる暴風を全て吹っ飛ばすために、思いっきり叫んだ。でなければ、頭がどうにかなっちまいそうだ。
「い、いきなり突き飛ばすって何様よ!私だってすっっごく恥ずかしかったんだからね!」
「何だ!今のは何だ!答えねえとこの場で叩っ斬るぞ!」
「使い魔の契約よ!使い魔にキキ、キ、キスしないと契約できないの!」
「ふ、ふざけるな!誰だそんなこと決めたのは!」
「知らないわよ!儀式に聞いてよ、そんなこと」
何が儀式だ。契約に接吻が必要なんて何処の屑が作ればこうなるんだ。
ハルケギニアってのは何だ。貴族も魔法も屑だらけってのか。
「よくもまあ、舐めた事してくれたな。俺は貴様の使い魔なんぞにならん。こんな屈辱を受けて従えるか!」
「舐めてなんかいないわよ!このド変態!私だってあんたが使い魔なんて願い下げなんだから」
「何を想像してやがる!この淫猥女!」
「な、なんですてぇぇぇぇ!よ、よくも言ってくれたわねぇぇ!」
怒りで全身が沸騰しそうだ。特にありったけの力を込めて握り締めている左手は火傷しそうなほど熱い。
こんな結果になるとは思っても見なかった。一時でも心を許した俺はオールドラント一の大馬鹿野郎だ。
契約直後の決裂など笑い話にもならない。これほど相性が最悪とは知らなかった。
今後の予定が決まった。さっさとこの学院を脱出して一人で果てることだ。
こんな屑女と一緒にいるどころか主従関係を結ぶなど、ファブレ家の子息に誓って死んでも認められん。
取っ組み合い寸前でルイズとにらみ合う。僅かな挙動だけで空気が爆発する。
大気を焼く音が耳を焦がす。一触即発の雰囲気の中、部屋の扉が唐突に開いた。
一つのことに集中しきった人間は別方面からのアクションに無意識に反応する。俺は条件反射で扉を開けた主を確かめた。同じく、ルイズも。
支援
一人の少女が立っている。カチューシャで髪を纏めて、目の下にそばかすを持つ年の近そうな少女。
エプロンのような物を着込んでいるから、あれはメイドか。メイドがこの修羅場に何の用があるんだ。
「え〜と、お取り込み中でした……か」
申し訳なさげに首を傾ける。作り笑顔は場を和まそうとしているのか。
激突寸前の現場を目撃して、それだけできればたいした度胸だ。
予想外の来訪者は焼き切れそうな空気に冷水を浴びせた。おかげで、随分と冷静さを取り戻せた。このメイドにはお礼を言うべきだろうか。
「取り込み中もいいとこよ!あんた誰よ!」
ルイズの煮えたぎった湯は限度を超えたらしい。メイド相手に怒鳴り散らしていいことなどないだろうに。
案の定、メイドが萎縮した。すぐにでも逃げ出しそうなほど怯えている。
「おいメイド。あの桃色娘は無視していい。この部屋に何か用なのか」
「桃色娘ですってぇぇぇ。何よ、このキツ目男!」
隣で火が激しく燃えることがこれほど鬱陶しいとは。さっさと沈黙させないと鬱陶しくてしょうがない。もう、容赦することもないだろう。
腹に力を注いで、強敵との退治と同じ心境にもって行く。そして、その全てを放出する。
「黙れ!」
神託の盾騎士団の六神将が戦闘時の殺気を放てば竜でもすくむ。小娘一人の火消しには勿体無いくらいだ。
「ひぇ、え……」
俺の威圧感に恐怖したのだろう。ルイズは目の焦点を合わせられず、その場に座り込んだ。当然、メイドも余波を受けている。
立ったままなのだから、会話ができないほどの影響はないはずだ
「横槍が入った。すまない。で、何か用でもあるのか」
「ははは、は、はい。わ、わ、私はコ、ミスタ・コルベールの命により、あなた方のお、お世話係りを勤めさせていただくシエスタとも、申します」
怯えの色は完全には消えていない。だが、説明に支障は出ない程度だ。
それより、メイドの発言が気になる。話の筋からするに、俺らの使用人となるようだが。
「世話係とは何だ。説明が欲しい」
シエスタという女はかしこまって続きを語り始める。
「え、え〜と、貴族が使い魔という前例のない事態が発生しました。そのため、本来なら人間の使い魔は下僕として扱われるらしいのですが、それができない。
なので、普段の生活のお世話をする付き人が必要となりました。学院の使用人の中から、わたしがその任に命じられました。明日から、私がミス・ヴァリエールとミスタ・ファブレの身の回りの雑務を受け持つことになります」
なるほど。貴族同士での主従とはいえ、貴族に生活の雑務を押し付けるわけにはいかないということか。
俺としては、その程度がたいした負担になることはない。ヴァンに誘拐されてから、家事は何でもこなせるようになった。使用人もメイドもいない部屋に放り込まれたからな。
俺が大丈夫だろうと、相手がそうとは限らない。貴族の扱いは難渋しやすい。
今になって理解したことがある。俺に探りを入れた理由はこれだろう。後々、面倒事にならないよう、事前に情報を入手して、対策を講じなければならなかった。
どうやら、俺も学院の連中も、お互いをかけらも信じていなかったってことか。まあ、当たり前のことだな。
「事情は分かった。他に伝言はあるか?」
「は、はい。あ、あります」
自分が原因とはいえ、会話するたびにビクつかれるのは、あまりよろしい気分にならない。注意もできないのは少々辛いな。
「ミスタ・ファブレがご就寝する際の寝巻きと明日以降のお召し物を預かっています。その物は、あなた方がご不在だったので、ミスタ・ヴァリエールのお部屋に置いておきました」
「そうか。おい、桃色娘。部屋に戻るそうだ。さっさと立ったらどうだ」
多少は手を抜いたとはいえ、ごく普通の貴族の娘にやりすぎたかもしれない。
こっちの心配に反して以外にも軽々起き上がったのを見ると、ルイズは思ったより肝が太い。
「あんたねぇ、勝手に段取り決めないでよ。主人は私なのよ」
「そいつはすまない。ではご主人様のご意向に従いましょうか」
双方、登った血が抜けた。今日は喧嘩に労力を割く体力はもうないだろう。俺も怪我人の分際で大騒ぎして大分疲れた。
「じゃあ命じるわ。シエスタとルーク。部屋に帰るわよ」
ルイズの部屋といっても、学院から与えられた寮だ。
貴族が住まう部屋に見合うように家具は値踏みしなくとも高価と分かる物が揃っている。
ファブレ家の屋敷にいた頃の俺の部屋より豪華かもしれない。下らん比較だ。
部屋に入って、最初にした事は寝る準備だ。窓から覗く煌々とした星の輝きは夜が随分更けていることを示している。
部屋に入って早々、着替え場所で揉めることになった。シエスタが、片方が外に出てもう片方が着替えればいい、と提案しなかったら、俺は明日、寝不足の元凶として恨まれていただろう。
だろうじゃない。現在進行形で安眠を妨害しているのだから、断定のほうが正しい。
そもそも、何でこんなくだらんことで紛糾しないといけないんだ。
「俺は下で寝る。女と同じベッドで眠る趣味はない」
「ですが、貴族を床で寝かせるわけにも……」
「こいつと同じベッドで寝る気はないわ。危険よ、こんな暴力男。メイドのあんたと寝るほうがよっぽどましだからね」
とまあ、こんな感じだ。俺の寝床などに心配する必要もないのに、シエスタは食い下がらない。
この学院の上の連中は何を考えている。俺を、至れり尽くせりでないと息ができない名ばかり貴族とでも思ってるのか。
俺のことは丁重に扱いたいようだが、丁重過ぎて逆に侮辱になっている。
「もういい。俺は床で寝る。くだらないことで体力を食いたくない」
有無を言わさず、俺はシーツの中へ滑り込んだ。強引に行動しないと、いつまで経っても埒が明かない。
「使い魔は床で這い蹲るのをご所望よ。シエスタだっけ。私達も寝たほうがいいんじゃない」
シエスタはしどろもどろでまだないか言いたそうだ。それもルイズの眼光で引っ込めさせられた。
ルイズはイラつきながら、シエスタはおどおど申し訳なさそうに、ベッドに入って寝る体勢になる。
数刻もしないうちに、両方とも安らかに寝息を立て始めた。
貴族のための部屋で女二人と仲良くおねんねか。俺には随分不釣合いな光景だ。
記憶の彼方に二人で仲良く横になったベッドがある。あの頃と比べればな。
あれから随分経った。何もかも変わっちまった。今じゃ、同じ大地に立つこともできなくなった。これからもずっとな。
平和そうにベッドで眠っている二人の少女を頭に浮かべる。
仮初の主人であるルイズと使用人のシエスタ。
俺がこいつらと一緒にいる日々はほとんどない。最悪、今夜で終わる。
俺もルイズも第一印象はかなり酷いことになった。関係改善は難しいはずだ。
むしろ、そっちのほうが好都合だ。俺はすぐにでも、ヴァン師匠が待つあの世へ旅立つ。
そんな男は好かれるべきではない。他人と絆を作るべきではない。悲しみを残すべきではない。
俺は孤独でいる。光は不要だ。どうせそこには帰れない。
俺はルイズに、たった一つだけ、叶えて欲しい願いができた。俺が死んだ時、墓標に投げかける言葉だ。
「死んでせいぜいした」
立つ鳥は跡を濁そう。誰の心にも濁りを残さないために。
投下終了です
アッシュかルークか、どちらを選択すべきか悩みましたが、原作の決意を無駄にしたくないのでルークとしました
次回以降の投下で、レプリカと混同しないようご注意ください
アッシュの心理を描くのにとんでもなく苦労しました
コルベール先生の魔法は、ジャンをかっこよくという圧力によるものです。俺は悪くねぇ(笑)
おかげでかなりの時間を食いましたよ
筆が早い皆さんが羨ましい(涙)
まだまだ、稚拙な文章しかかけない未熟者です
批評はガンガンしてください
毒吐きも良く見ますので、キツイ意見はそちらでお願いします
ちなみに、ハーツですが
DSが超振動で消滅したため、プレイ不可能です
何でこんな時に壊れるんだ・・・
以上
俺はかなり面白いとおもうよ
GJ!
楽しかったよ
これからも楽しみにしてます
おもしろいと思うよ。ただ発売記念とかプレイ状況なんていらないよ。
>>127 以前Dで書こうとしたけど、最強系にしか成らない上にコミュニケーションがほぼとれない上に
そもそも、使い魔の契約まで話をすすめる方法が思い浮かばなくて挫折した
あの人の作品のせんべい屋とか医者とか2次やりにくくてしかたがないw
文面が詰まってて読み難いので、改行してくれるようお願いします。
>>149 Dってそんなに強いのか?
アニメしか見てない・・・
手とデルフのやり取りは面白そうだが
>>151 菊池の作品でも特筆すべき最強主人公。>D
あれ以上の最強ッぷりというとそれこそライバック位しか思いつかないw
Dの貴族は超が付くほどのチートキャラ、それを倒せるD
Dは強い以上に美しいんだよ
覚悟のススメの散さまが言う「美しさは兵器」を地でいくのがDだからなあ……
Dなんか召喚しようものなら、ガンダールヴのルーンは左手に刻まれる。
そして、Dの左手はよく切り離される。
つまりルイズの使い魔は人面疽ということに……。
そういえば散さまは召喚されてたっけ。小ネタだけど。
ま、最強は区役所跡のお医者さんかな
最強の使い魔が世界を蹂躙する話がなぜか禁忌扱いだからなここは
作品が嫌いでたまらないとかじゃなくて
別にただ書いたのがそういう話だっただけなんだから
ちょっとは落ち着けと言うのにまったく
>>159 これはこれは大変な誤解ですなbyハドソン
唐突ではございますが2話目の投下を10分後から行いたいと思います
書くからには読者に読まれるようなものを書きたいだろう。
それにどこかに弱点が無いと主人公に感情移入がしづらいってクーンツも言ってるしね。
Dは確かに強すぎるけど、一応日光には弱いから少しは話も作れるかなあ…無理だな。
強いのか弱いのかよくわからん夜香とかどうだ。
十六夜の京也君とか八頭の大ちゃんくらいにしとけw
物語を感情移入するために読むのは小学生くらいだろ
>>151 美しすぎてコンピューターですら異常を起こす
抜き打ちでレーザーを叩っ切る
Dに切られると超回復力を持つ貴族でも傷の再生ができない
他にもあるが本編を読むとこれでも全然厨二臭くない。
時間きたので始めます 短めです
ゼロの使い魔様は根腐れしてやがる!!2話目
根腐博士一行がハルケギニアにやってきたその日の夜、
ルイズの部屋では博士一行とルイズによる情報交換が行われていた。
「ふーん、それじゃああんた達は異世界から来たって言うの?」
「オフコース!!まさにそのとぉーーーり!!」
「それで、そのゴミバケツがタイムマシーンとか言う時間を移動する機械?」
「そのぉとーーり!!」
目の前で体を高速回転させてビシリと指を突きつけくる愉快生物ども(根腐博士とその愉快な助手たち)を
半眼で見ながルイズは膝で寝息を立てるゾーリンちゃんを撫で一つため息をついて言い放った。
「馬鹿じゃないの・・・そんなのある訳・・・」
その言葉は続かず・・・
ゲシッと博士にルイズは蹴られて、ガッポンン!!とタイムマシンの中に落とされたのでした
「百聞は一見にしかず!!いってらっしゃーい」
「きゃあああああ!!」
次の日の朝、黒髪のメイドが洗濯をしていると急に空が暗くなった
「あら?雨か・・・し・・・ら」
グォングォンと空に浮かぶ謎の穴、そしてそこから聞こえてくる
「きゃああああああ!!」
悲鳴!!
「「きゃあああああ!?」」
その頃、博士一行は・・・
「うーん、朝はワインよりコーヒーに限るねA君」
「いやぁ、豪勢な食事ですねぇ博士」
「うん、美味しいですよ」
「あ、そこの恰幅のいい料理長さん、持ってるだけでで料理の味が抜群によくなる印鑑いかがです」
アルヴィースの食堂で堂々と食事をしていたりなんかしてたり
「あ、ああ!!あんtら達!!ないをあsdfghjkll;!!」
そこに怒り心頭で言葉も回らないルイズがやってきた。
大声でまくし立てるルイズを他所に博士達は今後の事について話し合う
「さて、せっかく魔法の国の学校に来たんだ、授業でも見ていくかね?」
「そうですね、たいして珍しくも無いですが」
「そうだね、よく見るしね ラスプーチンさんで」
「そこの黒髪のメイドさんお友達を紹介するだけで簡単に稼げる方法があるんだけど」
「え、本当ですか?是非」
「・・・話聞けよ・・・あと、シエスタ!!騙されないで!!」
「え、でもBさんが怪しくないよって」
「これでもかって言うほど怪しいわよ!!」
そうこうしている内にあっと言う間に授業の時間に、
ぞろぞろと引き連れてやって来たルイズを好奇の目で見る学友達、
授業が始まり、ミセス・シュヴルーズが使い魔の事に触れた時、小太りの男の子が
「おい!!ゼロのルイズ!!召喚できなかったからって平民引き連れてやってくるなよ!!」
と嘲笑し始めた。
「違うわよ!!かってにこいつらが来たのよ!!」
売り言葉に買い言葉、互いに罵りあう二人、そうこうしている内にシュヴルーズが錬金で二人の口に粘土を貼った。
「むがあぁ・・・」
ドゴオオオオオ!!
「ぐっはあああああ!?」
粘土を貼ったはずなのだが何故か巨大なゴーレムの腕が小太りの男の子を吹き飛ばす。
暫くの沈黙が教室を支配し・・・
「それでは錬金の実技をミス・ヴァリエールお願いします」
「「「「「無視するんかい!!」」」」」」
この時、学友達の心が一つ(気絶している小太り一人除く)になった。
その後、例によって爆発して教室の片付けをルイズは言い渡されるのであった
「博士・・・ぼく達あんまり活躍してませんね」
「んーいいんじゃない 別に」
続く
以上です 次回、最初の見せ場(生け贄)ギーシュ戦です
>>151 Dの美しさは、自我がない筈の殺戮兵器がフリーズし、異次元人や旧支配者の眷属さえ見蕩れて
致命的な(D相手には)隙をみせてしまうほど
強さも、レーザーだろうが歪曲空間だろうが切り捨てる
その上、過去にアカシック・レコードに干渉したこともある
『魔界都市』にしろ『辺境』にしろ、設定自体がチートの世界でチートキャラだから
二次創作なんて無理
小ネタで、ハートマン軍曹を召喚します!
けど18禁になるのでやっぱやめます
いい判断だ二等兵!
気に入った、家に来て妹をファック していいぞ
菊池秀幸の筆力だから許されるよーなもんだよな、あいつら。
>>174 逆に言えば筆力に自信があれば誰呼んだって大丈夫ってことさ
俺は無理だがw
そもそもDとキスなんかできるのか?
する前にあまりの美しさにルイズが失神するのでは?
秋せつらなんかだと顔を直視すると意識が飛んでキスどころでなくなるんだよな。
Dは、どうなるか知らんが。
焔の人乙
アッシュなら超振動で七万の軍勢も倒せるなwww
てゆーかヴァン師匠も召喚されてそうだ。
ティファニアとかに
主に妹や副官の胸的な意味で
つか七万に負けるような使い魔のほうが少数派だとおもうが。
SSの世界では七万はライダーの戦闘員、ゴジラの自衛隊、ウルトラマンの戦闘機
時代劇の出会えのお侍、北斗の拳のモヒカンみたいな数だけの噛ませ犬になっているのでは…
まあとにかく乙
一度に向かってくることのできる数はせいぜい5人
100対1だろうが7万対1だろうが何も変わりゃしねえぜ
某次郎かよ、お前はw
……某馬は4人だったか
地獄稽古をこなす沖一也なら大丈夫という事だな
チーターマンなら一度に2体しか敵が近寄れない、というのが小ネタにあったなあ
>>184 昔は独歩ちゃんに五分ってたり
紅葉に握力負けしたりしてたんだけどねぇ
>>181 バーゲンセールで商品を勝ち取れるのは前の方にいるやつらだけだもんな。
そういや、あずみも対多数戦においては無敵だな。
VS 柳生の手練30人
VS 浪人衆100人
etc、etc...
いずれも無傷で相手方を全滅させていたし。
>>181 その理屈は魔法のあるハルケギニアで通用するのかな?
>>186 あれは漫画を盛り上げる為の演出に協力してくれたんだよ。
>>184 相手が何人だろうと、一度に掛かってこれるのは○人
さて、○に入るのは?の件から、オーガネタなのかと思ったわけです。
>>190 しなけりゃしないで綺麗に捌きそうだから困る
捌くだけならまだしも、ラーニングしたり
実は本人も使えるけど、女子供の護身技と評したり
思いっきりぶん殴る方がスッキリするぜっっ!とか無茶言われそう
>>190 群がっているなら虚無以外は射線上に障害物があることになるから厳しいな。
でもよっぽど馬鹿じゃないかぎりアニメみたいに囲んで集中砲火。
>>190 味方に当たる可能性が高い状況で撃ってくるかな?
それに七万全員がメイジってわけでもないし
麻酔銃でどうにかなる程度だから
あれはオリバの筋肉と同じで、板垣が押さえ込んでくれるから効いただけだよ。
5人×14000回なんて作業、倒せる倒せない以前に途中でウンザリしていやんなるわ。
>180
うわーもうだめだー
という事やねw
<うわーもうだめだー
にとある仮面の人達を思い出した俺は…もうだめか?
魔法を弓矢と勘違いしている奴がいるのか
ギーシュが花びらを油に錬金することからもっと色々想像しようぜ
ガッツ石松は5人のチンピラに絡まれた時
そいつらを細い路地に誘い込み、1対5を5回繰り返して勝ってしまうという
小説や映画のような真似を本当にしてしまったらしい
5人相手に喧嘩した理由は「チャンピオンは誰の挑戦も受けなくてはならないって書いてたから」
当然、会長から大目玉を食らったが、以後その条文は削除されたとか
たこ八郎も凄かったらしい、ユラリと動いたと思ったら瞬時に三人のヤクザが倒れたとか
ありのままに(ry
5人のチンピラを相手にして1対5を5回していた
何を言っているか(ry
ガッツなら1対5を5回でもOK牧場
>>195 そのネタでよく忘れ去られがちだけど、彼、麻酔の分解早いですぜ
つか、麻酔銃は量を専門家が調節しないと死ぬというくらい微妙な手段。
シロサイ用の麻酔なんか打ち込まれたら、ふつーは死ぬ。
手術の時も専門のお医者さんがついてるくらいだもんなぁ>麻酔
バキキャラだったら花山……
従う姿は想像できんが、おマチさんの30mゴーレムをパンチで粉砕するところは想像できるなぁw
ルイズが呼んだ使い魔で最強って誰だろう
小ネタありならプロアクションリプレイがまさに神そのものなんだろうが……
複数の世界創造神であるモコナがおそらく最強だと思う
世界で始めて全身麻酔を成功させた華岡青州は適切な量を割り出すための人体実験を
繰り返した結果母を死なせ妻を盲目にしてしまってるからな
「ほい」プスリ「グー」なんて簡単で容易なものじゃない、とてつもなく危険で危ない
邪悪一歩手前なシロモンなのだな、麻酔とは
つうか7万人って軽く言うけどさ、そんなに傭兵とかって簡単に集められるものなのか?
戦乱の世ならともかく、どの国も(少なくとも表面的には)安定してるわけだし
>211
多分、殆どは平時は平民として仕事をし、乱世にはメイジの首でも取って
勝ち名乗りを上げようという連中なのかもしれん
三国志とか源平戦争みたいに公称七万、実数はその半分以下とか?
7000でも驚かない
俺としてはどこをどうやれば7万人の軍隊が剣を持った一人の少年に遅れをとるのか良く分からない
仕官の一人や二人殺されたって、軍隊の足は止まらないと思うのだけど
はっはっは、アニメ(ラノベ)だからね!
確かに7万はぶっとんでるな
5000でも十分だったはず
>>215 「花の慶次」では、勝ち戦にあるものは命を惜しむものだから、触れる者ことごとくを殺す死の壁と化した
慶次ほか十数騎の軍勢に大軍が怯んでおくれをとった、という描写があったからそれと同じ理屈じゃない?
「なんかよく判らないけどとてつもなく恐ろしい敵がいる」って噂流れれば
「正しい情報の伝播」能力を持たない集団ってのはケッコ簡単に崩壊するものですよ
たとえば10人が脅えれば50人がビビり、50人がビビれば100人が怖がる
100人が怖がれば1000人、一万人が逃げ出すでしょう
極端なこと言えば10人を脅えさせれば一万人を追い払える、ということです。
まして「状況が理解出来ない」が即座に死につながる戦場では「友軍の何人かが逃げ出した」は十分逃げるに足る理由となります
7万人の軍隊がイメージできなかったので
夏コミの入り口を一人で封鎖するシーンとして想像してみた
無理だ
でも七万も動員する必要ないよね
七万分の食事や野営設備を考えるとちょっと・・・
貧弱ぼうやが大軍相手に立ち回りできる程の左手の力に対して頭と右手がイマイチパッとしない。
別に封鎖する必要はない。入り口付近で機関銃乱射すれば、射程範囲外の入場者も逃げる。そりゃもー死にたくないから逃げる。
そう言うことなんじゃないかと思うよ。
・・・ヒラコー世界のオタクなら強行突破しかねないような気もするが。
七万の軍勢が殲滅すべき連合軍はどのくらいの勢力だったのでしょ
三万くらいなら一気に殲滅するために、たしかに七万は必要ですが
>>223 その理屈はおかしくないかね?
敵だって武器を持って殺る気MANMANなんだから
サイトが虎眼先生ぐらいの迫力だったらとまるかもしれんね
つかルーンのついた先生とか無理すぎる。ワルドが「俺、この戦争が終わったらルイズと結婚するんだ」って言い出しかねない
あー、別に最初から7万いた訳じゃないぞ。
アルビオンに攻め込んだトリステイン・ゲルマニア連合軍の数が6万、迎え撃つレコン・キスタ軍が4万数千。
ミョズニトニルンがアンドバリの指輪を使って水に洗脳毒を混ぜたんで6万の半数、3万が操り人形になり、元からのレコン・キスタ軍の4万とあわせて7万。
それが逃げようとする生き残りの3万を追撃してきた、ってのがあの時の状況な訳だ。
まあその辺はご都合主義だから仕方が無い
でもちょっと理由が説明不足過ぎる気もする
アンドバリで操ってるなら、死なんて怖くなさそうだし
>>223 それじゃ七万対一人の力関係がはじめから逆転してるだろ
あと冗談でもコミケで銃乱射とかやめてくれ
このスレに相応しいバロックは 『原作読め』 これだ。
ルイズ「7万の兵士なんて無理よ、みんな死ぬんだわ」
使い魔「無理ではない、あなたはフーケやワルドと戦ってきたではないか」
ルイズ「何か方法はあるっていうの?」
使い魔「アルビオンの兵士達はライン以上のメイジを倒されると、自動的に撤退措置をするように命令されています」
ルイズ「なるほど…蛇の頭を潰すのね」
…
ルイズ「やっぱりダメじゃない〜〜!」
使い魔「こうなったら奥の手を出すしかありませんな」
♪キュ〜ンキュ〜ン キュ〜ンキュ〜ン わたしの彼は〜パイロット〜
(*オチ2)
使い魔「歌ってくれますかな?、ルイズさん」
ルイズ「こ…この…バカ犬〜!…ちゃんとそばにいて〜〜…」
マクロスよりエキセドル召喚
>>223 > ・・・ヒラコー世界のオタクなら強行突破しかねないような気もするが。
むしろ強行突破後会場占拠しそうwww
関が原の徳川軍が7万くらいだな
コミケ会場にはパンツ一丁でマントを羽織った屈強な運営スタッフが300人いるんだぞ
ヒラコー作品からテクノ番長召喚…駄目だチートすぐるww
ワの人どころか5万を瞬殺しそうwルイズがww
>>225 別におかしくない。
ゼロ魔の(中世の)軍隊は今の軍隊ほど訓練されてないから、不利だと思ったりかなわないと思ったら割とあっさり逃げる。
ぶっちゃけ「死んでもここを守れ」なんて命令には従わない。
例外がないことはないが、そう言うのは大概一向一揆みたいな信仰で支えられた軍隊なんで、軍の主戦力である傭兵とか徴用された農民兵にはそんな士気の高さは期待すべくも無い。
要するに傭兵とか農民兵にとっては戦争ってのは他人事であって、自分には本来関係ないんだよ。
ナポレオンで言ってた「そうとも、お前達は強い。なぜなら奴らは国王のために戦う犬畜生であって、儂等は愛する祖国のために戦う自由の戦士だからだ!」というのは、
フランスの市民兵に「自分たちの国を守るための戦争」という意識があって、そのぶん士気が段違いに高かったって事なんだ。
だから「革命軍は世界最強!」だし、そうでない軍隊は脆いんだね。
>>229 ちょっと不謹慎だったかな、すまん。
でも力関係に関してはそんなもんだと思うよ。
メイジの魔法で捉えられず、マンティコアをけしかければ吹き飛ばされ、銃も矢も当たらず、近づいてきたと思ったときにはもう殴られて気絶している。
我々がどう取るかはともかく、ノボルは明らかにそう言う意図を持って演出していると思う。
>>234 この際その300人は脱出するトリステイン軍って立場になると思うんでノーカンでw
なんという分かりやすさ
238 :
デモゼロ:2008/12/19(金) 10:56:04 ID:Jh5TZwNZ
7万戦…そこまでプロット組んでないけれど、いつかは考えなきゃ駄目だなと思うと頭が痛い
一応、プロットが完全に完成している原作一巻分で一旦終了させるつもりとはいえ、いつかは考えなきゃなぁ
えと、投下予定は…ありません、よね?
11:10くらいに十一話を投下開始してもよろしいでしょうか?
ていうか、レコンキスタこそ聖地奪回のためなら始祖に与えられた王権を持つ王家を滅ぼすこともいとわない正義の革命軍だし、その上半分は洗脳で死をおそれないゾンビ兵だろう。
世界最強じゃないか。
デモゼロ支援
241 :
デモゼロ:2008/12/19(金) 11:09:12 ID:Jh5TZwNZ
それでは、第十一話、投下開始いたします
馬鹿力のルイズ、人狼の姿に変身した
美しい、桃色の毛並みをした人狼に変身した
夜空に浮かぶ二つの月に向かって
彼女は力の解放を喜ぶかのごとく、咆哮した
許さない
許さない許さない許さない!!
ルイズの中から湧き上がる、暴力衝動
両手で、デルフを握り緊める
ひぎぃ痛いもっと優しくぅ!とか気色悪い悲鳴が聞こえたが無視して、そのまま視界に入り込んだ一体に、デルフを叩き付けた
血飛沫と共に悲鳴をあげ、化け物が倒れる
……まだ
まだだ
モットモットモットモットタタカエタタカエタタカエタタカエタタカエ!!!!
タタカッテ、ソシテ………!!
化け物たちが、ルイズに、そして青年の姿となったモートソグニルに襲い掛かってくる
彼ら(彼女ら?)は、本能で理解したのだろう
この二人が、自分たちの絶対的な「敵」であるのだ、と
ずきり、肩が痛む
傷口を抑えながら、フーケは呆然と、目の前の光景を見つめていた
あの、たまにスカートの下に入り込んでオールド・オスマンに下着の色を報告していたあの鼠が…人間の姿に?
そして、ミス・ヴァリエールが人狼の姿に?
これは、一体どう言う事なのか
何が何だか…もう、わからない
「っうぅ……」
「…!ミス・ツェルプトー!」
タバサの治療を受けているキュルケが、小さく呻き声をあげた
何とか、出血だけでも止めようとしているのだろう
タバサはキュルケの治療に専念していて、他に気を配っている余裕はない
「………」
肩の痛みを堪え、フーケは杖を握りなおした
…あの化け物共はルイズとモートソグニルに狙いを定めたようではあるが…こちらに向かってくるとも、限らない
もし、またこちらに向かってきたら…その時は、自分がこの二人を護らなければ
それが…自分が危険な目にあわせてしまった、このキュルケという少女への、せめてもの償いだ
242 :
デモゼロ:2008/12/19(金) 11:09:53 ID:Jh5TZwNZ
切る
切る切る切る切る切る切る
近づいてくる化け物に、ルイズは片っ端から切りつける
左手の甲に刻まれたルーンは、眩く輝き、ルイズに力を与えてきた
「っしゃあ!いいぜ相棒、もっと心を震わせな!」
でも、できればもうちょい優しく握ってーとか小声で付け足しつつも、デルフリンガーが歓喜の声をあげてきていた
心を振るわせる、その意味は、よくわからないけれど
今の自分には…今までにないくらい、力が湧きあがってきている
この力があれば…化け物共と、戦える
痙攣して動かなくなった者と、シルフィードの背中に張り付いているのもあわせて…化け物は、九体ほど
二人で相手するには、少し多いか?
「………」
ルイズの視界に入り込んできたのは、大木
先ほど、モートソグニルは触手を使って、あれより細い木を引っこ抜いて投げつけていた
…自分、なら
今の自分の、力なら…
「…おい、相棒?」
化け物の攻撃をかわして、大木の傍へと跳んだルイズ
迷う事無く、大木に手をかけた
…っ重い
でも、持ち上げられないほどじゃない!
みし、みし、と大地が悲鳴をあげる
「っあぁぁああああ!!!」
「ッマジかよ!?」
ぼごぉっ!!
自分よりもはるかに大きな大木を、ルイズは両手で引っこ抜いた
……っどくん!
体内で、取り込んだ悪魔の種が…ガルムハンマーが、起動する
ルイズの右腕に、禍々しい紋章が浮かび上がった直後、めきめき、という音と共に腕が外骨格に覆われて巨大化した
さらに、さらに、湧き上がる力
巨大な大木を、軽々と振り回し、ルイズは化け物たちを薙ぎ払う!
体よりも太い大木を叩きつけられては、一溜まりもなかったのだろう
化け物たちは、成すすべなく薙ぎ払われていく
その大木から辛うじて逃れた者も、モートソグニルに睨みつけられると、恐怖におののくような悲鳴をあげて倒れていった
…シルフィードの背中に張り付いていた、タコのような化け物が立ち上がった
風竜の背中から飛び降り、ルイズとモートソグニルの前に着地する
後は、こいつだけだ
奇妙な声をあげてタコはうにゅるうにゅると、その腕だか脚だかを動かした
243 :
デモゼロ:2008/12/19(金) 11:10:29 ID:Jh5TZwNZ
…ぞくり
背筋を走り抜けた、悪寒
それを感じた直後、ルイズは横に跳んでいた
モートソグニルも危険を感じたのか、ルイズと反対方向に跳ぶ
刹那、先ほどまでルイズがいたそこを、見えない衝撃がは走りぬけた!
…ッズキリ
一瞬、体の内部で何かが暴れ出したような痛みが走った
悲鳴をあげそうになる痛みに、一瞬、思考が冷静になる
(っしまった!?)
背後には、キュルケたちがいたのに!?
何故、自分は避けてしまったのだ
これくらいの攻撃、耐え切れたはずなのに!
がりがり!と石が削れるような音に振り返ると、キュルケたちがいたはずの場所に…巨大な、土の壁が出現していた
「私たちには、構わないでください!」
壁の向こうから聞こえてきたのは、ロングビルの声
彼女が、土で壁を作りだしてくれたのか
これなら…遠慮なく、戦える!
「ルイズちゃん、無茶は駄目でちゅ!力を使いすぎちゃ駄目でちゅ!」
モートソグニルが、そう声をかけてきたが…ルイズには、そんな言葉を気にかける余裕はない
目の前の、この化け物を叩きのめす
ルイズは、それしか考えていなかった
タコは、再び先ほどと同じ攻撃を繰り出そうと、同じ動作に入ろうとする
…しかし
「きゅいぃー!!」
さっきはよくもやってくれたのねー!と言わんばかりに、シルフィードがタコに襲い掛かった
上空からの奇襲に反応が遅れたのか、タコはあっさりと、シルフィードに跳ね飛ばされる
跳ね飛ばされたタコに、モートソグニルの触手が伸びた
押さえつけるか、締め付けようとでもしているか
「…そのまま、抑えていて!」
倒す
そいつは、私が倒す!!
めき、めき…と、ルイズの体の筋肉が、さらに肥大化していく
それは、まるで肉体の限界を突破したような…体のリミッターを解除したような、そんな変化
出せる力の全てを出し…ルイズは、デルフを構える
左手のルーンは、これ以上ないくらいに眩く輝き続けていた
「いいぜいいぜぇ!!相棒、やっちまえぇえええ!!」
「っやぁぁああああああ!!!」
デルフと共に叫びながら…ルイズは、デルフを大きく振り上げた
錆びた刀身についた化け物の血が、月光に反射して輝く
ルイズの、今だせる限り最大限の力の篭った一撃は…モートソグニルに押さえつけられていたタコの体に、容赦なく突き刺さった
おぞましい絶叫をあげ……タコの化け物は、動かなくなる
いや、ぴく、ぴく、と微かに痙攣しているから、死んではいないのだろう
気絶した、と言う所か
勝った
自分は、勝ったのだ
全身に湧き上がる喜び
それを隠そうともせず、ルイズは再び、天の二つの月に向かって、高らかと吼えたのだった
244 :
デモゼロ:2008/12/19(金) 11:12:33 ID:Jh5TZwNZ
非常に短くて申し訳ありませんが、以上で第十一話終了です
ガンダールヴ+「超肉体限定解除」+ガルムハンマーとかイサー相手に正直やりすぎな気がした
上の議論と合わせると、素が結構強いキャラ+ガンダールヴならば
無双やっても文句言われなそうと思った
そしてデモゼロ乙
だいたいのキャラがサイトより強いだろうからな
ルイズに何か付加される場合は虚無アリだし
原作でサイトが七万を足止めではなく殲滅していたら
対七万。
この瞬間だけ、世界のルールが「ゼロの使い魔→ブライ八玉の勇士伝説」だったとか。
使い魔が死亡して物語が終了するSSってあまり見かけないなぁ。
別スレのバオー犬の話はそれに近い感じだけど・・・。
ギーシュとの決闘で死なせると後味が悪くなるし、召喚時に死なせてもあれだし、対七万の軍勢まで話を進めるのも大変
持病持ちのキャラを召喚すれば問題無い
例)クルーゼ レイ ステラ 等
死んで終わりっつか死んでからが本番みたいなのはここ的にはどうなんだろな
ブギーポップのエンブリオとか
七万の軍勢なら無難に殺せるが、そこまでいかずに
アルビオン辺りで詰まる場合が多いような
何か上手いことやってテンポ上げていくといいんだろうが
素で七万の軍勢を蹂躙可能なキャラもたまにいるな
>>253 ちょっと違うけど、サイトが死んでからが本番な話があったはず
>>257 それなんてすごいよマサルさん描いてた人の別作品の最終回
ゼロ魔側無視してひたすら俺の好きなキャラtueeeeeeeee!!俺設定最強!!
みたいなゼロ魔別に好きじゃないだろって思えちゃうのが蹂躙だと思う
7万殲滅しようがゼロ魔側のキャラがちゃんと立ってればそれは蹂躙じゃないよ
要はバランスの問題だよ
>死んでから本番…
FFVIIダージュオブケルベロスの蒼きアスールとか?
ワの人が倒したと思ったら獣モードで復活→べちっ
てな感じで
先手を取ってレコンキスタ四万に
Tウィルスとかネクロノミコン・エクスモルテスの朗読とか
その辺流せばいいんだよ!
そしてハルケギニアはゾンビの大陸に
死んだと思ったら召喚されたってのは最近だとブラスレイターか
まとめで見た奴だと東方不敗もその一人か
夏ぐらいから色々読んでたけど、意外とKOS-MOSいないのね
もっこす含めネタにされるかとおもったが
そこの区域で盛り上がっている7万人の踊りエネルギーを一つに集めるんだっ!
こうですね、わかりm(ry
正直テンプレ展開だって原作からすればとんでもなく端折ったりしてるんだから、その事でああだこうだというのは筋違いに思える
そこまで重視するべきものなのか? SSを書く上で指針となる事は間違いないが、だからといって足枷にする必要はどこにもないだろう
一方的なクロスというのはあくまで設定の押しつけやキャラの改悪などで、原作のストーリーを追うか否かは自由だと思うんだよねえ
たとえばルイズが周囲にいる生物の生命エネルギーを吸い続けるヴィクターみたいな状態になってしまったら、犠牲者を出す前に学院を去ると俺は考える。犠牲者を出しかねない状況で居座り続けるのはらしくない
>>261 それならスティーブ・ロジャースとかトニー・スターク呼ぶべきじゃね?
まあジェームズ・ハウレットで十分かもしれんが
チェーンソーとショットガン持ったあいつでも可
>>261 ゾンビってったらフランク・ウエストだろ
>>248 このスレでブライの名前が出るとは思わなかったぜ。
ワルドが王子殺してクーク怒らせて包囲軍壊滅とかありそうだな。
普段は動物とお話出来るほどのメルヘン少年なのに。
死んでから本番ってのはやはりケースが限られそうだな
>>261 そしてついに鼻と肌を整形する前の赤い革ジャンを着たアメリカの超有名ミュージシャンがネバーランドからやってくるんですね?
>>269 お子様「を」手の届くところに置かないでください
ルイズがサタンの足の爪を召喚!
あっさり懐柔されたオスマンの魔の手が迫る時
ゴーレムを駆る覆面全裸の女性が!
ってとこまで不意に映像が浮かんだけど、どうしたらいい?
>>264 テンプレ展開をなぞれとか重視しろなんて誰が言ってるんだ?
七万だとかアルビオンがどうとかってのは、話がそのくらいまで進む作品が少ないとか
それ自体について話しているだけで、誰も原作から外れていくことについての是非は問うていないだろ。
三行目からは、その通りだと思う。
状況によっていくらでも変わる、というか変わらない方が不自然だと思う。
山岡士郎が召喚されたら、人が歩き回る床にスープとパンが置いてあることに激昂するだろうし、
マルトーさんが飲ませてくれたワインについても「旅をさせちゃいけない」とか言うだろう。
>>268 カルネだったら、召喚時の爆発で死亡 → ノトーリアス・B・I・Gの最強コンボ!ルイズが餌食に!
と思いきや、たまたまキスが成功しちゃって無敵のスタンド能力を得たルイズが大暴れ!
レコンキスタを喰らい尽くす!
>>276 「それはごもっともだけどオレの考えは違った。
そんなに面白く書けない。
SSに出来ないと思ったからネタ振りに乗ろうと。
脳内会議に掛けたら全員、それでいくとなった」
冗談はさておき、まさか姉妹スレで投下されているのか!?
>>275 クロスSS史上最も不幸なルイズを目指して、最後のほうで頓挫してたSSがあったのを思い出した
ちょっと完成させて来る
>>277 ノトーリアス単体は無いがカルネ召喚ならあったよ。
しかしサイトでああなんだから例の狂四郎がガンダ補正かかったら本気で7万皆殺しにできそうだ。
>>279 ありがとう!
VVVだけで本田圭を連想しちゃったけど、6まで続いてるんだから東京Vシュランだよな。
>>278 たぶん、ルイズ以外は巨乳しか居ない世界なんだろうな、期待するぜ!
>>256 ペルソナのテレビが召還される話でしたっけ?
普通にガンダになったサイトが最終決戦で胸に紋章浮かんじゃってカタストロフ
→時間逆行して平行世界の地球の自分の肉体を奪う形になる
→召還の儀でルイズがテレビ召還
→既に時間逆行サイトは自力でハルキゲニアに来ていて学院にいる
みたいな感じだったっけ?
すなわちサイトの死からスタート。みたいな。
召喚のゲートが水中に開いたらどうなるんでしょ
>>282 エアカーテンみたいな魔法障壁、人呼んでプロミス(お約束)バリアが張ってあるのでだいぜうぶ
>>271 ダダと聞いたらやっぱし三面怪人のほうがな。
めちゃくちゃ怖い顔の亜人の使い魔を召喚してビビりまくるルイズ、
だが、テレポートや壁ぬけができると分かって当たりだと喜んだのもつかの間、
戦ってみたらギーシュにも勝てない弱さでルイズ涙目
>>267 水壁
地獄流し×2
これで無傷で7万戦終了
全然関係ないがCCさくらだったら適当にカード使っても七万相手に双方無傷で終わりそうだよね。
スノウで雪攻め、ウォーティーで水攻め、ラビリンスで足止め、ミストで敵の装備腐食、
イリュージョンでトリップ、ライトで目くらまし、ダークで視界を奪ったりできそうで
ハルヶギニアの魔導師の立場を保つのが難しくてクロスさせられねぇ。
めっちゃ良い子の小学生ってのが問題だな。本気の悪意にゃ慣れてないっぽいし。
戦争で、マジ殺しにかかってくる敵のメイジを、いつまでもあしらっていられるかどうか。
うっかり何人か殺しちゃって、壊れるか歪むかする鬱展開のがありえそう。そもそも
貴族に隷属する平民って社会をそのまま飲み込むのも難しいだろうし、下手すれば
言いくるめられて革命軍の旗印にでもされかねないんじゃないかなあ。
召喚の爆風でカード無くすとか縛りがあればなんとかなるんじゃない?
一応小ネタに本だけ召喚ならあるけど
藤崎竜版封神演技から一度に70万人以上操った妲己召喚
ハルケギニア自体がとんでもないことになりそう
ていうか、魔法があるのに大規模な会戦をしてるわけ?
このスレでサイトが死ぬところから始まるっていうと「ヘルミーナとルイズ」だな。
あれは相当インパクトが強かった。
亀だが、死んでから本番キャラ
つシーモア(FF])
つ皇帝(FFU)
つ味野(足洗邸)
なんというチートwww
>>293 他は知らないけどラスボス状態の皇帝は弱すぎでしょうw
>>294 大丈夫。ハルケギニアにブラッドソードは無いからw多分w
ジャンプ史上初の人肉食いやらかしたヒロインか
>>293 ジェクト、ブラスカ、アーロンのFFX-ZERO!
>>289 純真なロリがだんだん虚ろなレイプ目になっていくのをねっちりと描写するのが楽しいんじゃないか
>>298 このドSめ(ホメ言葉)
そしてナカーマ
死んでから本番・・・・・・・・・ストレイボウ?
「地獄でオレに詫び続けろォ!」
あと浦飯幽助も死んでからが本番だな
・・・・・・まったくの余談だが漫画「ラブZ」なんて誰が知ってるんだ
ここは変態が多いインターネットですね
>>289 月華の剣士の響みたいにやさぐれて行きそうだな。
>>301 シエスタが魔族大隔世するんですね、分かります
虚無の闇の人ちょっと質問
04で
比べて、自分はよちよち歩きの赤子のようなものだ。もし使えたとしても数発でマジックポイントが切れ、威力も一段下の
ヒャダイン程度しか発揮されまい。
ってあるけど『ヒャダイン』なんて呪文あったっけ?
ドラクエゲームの3567しかやってないからわからん
死んでから本番って、人間憑依型のウルトラマンのほとんどじゃんか。
姉妹スレのノートリアスBIGもだな
真っ先に郷さんが浮かんだ俺
>>305 3と4である。
ヒャド ・ヒャダルコ・ヒャダイン・マヒャドね。
>>305 3にはあるぞ。
当時のヒャド系はヒャド、ヒャダルコ、ヒャダイン、マヒャドだった。
まぁバグでヒャダインとマヒャドの順番が入れ替わってたから覚える頃には大して使えない呪文に成り下がってたんだが。
いや、俺が言いたいのは死んで生き返ってパワーアップとかそういうんじゃなくて
ほんとに死んで居なくなる奴のことだったんだけどな
>>305 「ダイの大冒険」でまだ駆け出しの勇者だったダイがハドラーとの
最初の戦いで「竜の紋章」の力を発揮してヒャダインを使ってるのね
ヒャダルコまでしか使えない当時のポップが驚いてたのですよー
みんなありがとう
そうか3にあったっけか・・・
ちょっともう一回一人旅してくるわ
初期からヒャダインやバギクロスが使える、その割には呪文方面が成長しなかったなー。>ダイ
結局そこから先使えるようになったのはライデインくらいで、ギガデインも最後の最後になるまで使えなかったし。
4ではブライが通常通りのレベルで覚えたんでそこそこ使ったが、やっぱりマヒャドと入れ替わりで覚えてくれてたほうがなんぼか役に立った覚えが。
5以降消えてしまったことも含めて、悲劇の呪文だな。呪文名の響きは好きなんだが>ヒャダイン
316 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/19(金) 18:02:23 ID:uP3rt09i
アーチ?
sageてるんだぁろーかー
カモン!!
そういえばUの頃「ザキ系は使えば使うほど敵のザキ系も効き易くなる」って噂が流れたなぁ
だから未だにザキ系は一回も使った事がないしクリフトは馬車から出した事がない
アレってやっぱデマだったんだろうなぁ
○スラックがルイズに召喚されました。
人にシネシネ言ってる奴は敵を作りやすいってこと
>>311 小ネタのバーニーとか
姉妹スレのドラゴンズドリームみたいなの?
そういえば黒蟻のやつは使い魔が既に死んでるぜ
325 :
ナイトメイジ:2008/12/19(金) 18:30:56 ID:Jplm9fq/
35分頃から投下させてください
シエーン
シエンの呪文を唱えた!
328 :
ナイトメイジ:2008/12/19(金) 18:37:34 ID:Jplm9fq/
ルイズが絶望と悲嘆に暮れ、頭を抱えて床に跪き、おまけにごろごろ転がって、やけ食いもちょっとばかりした何日か後のこと。
この日もルイズは自室で始祖の祈祷書を広げて
「うーん、うーん」
唸っていた。
別に何回も見ていれば読めるページが増加してくれるんじゃないかと期待しているわけではない。
とゆーか、それはもう済ませて無駄だとわかった。
では、何をしているかというと詔を作ろうとしているのだ。
トリステインの王室には結婚式の際、1人の巫女を選出し、その巫女に始祖の祈祷書を手に詔を唱えさせるという伝統がある。
そのため今の時期、祈祷書は誰にでも貸してよいというものではない。
そこでルイズを巫女に指名した上で、彼女に祈祷書を貸与したのである。
さて、この祈祷書、ルイズ以外の誰が見ても白紙である。
なら詔はどうするかというと、選出された巫女、すなわちルイズが作らなければならない。
そういうわけでルイズは失意のどん底に一度はたたき込まれた精神状態の中で祝いの詔を考えているわけである。
「ぬーーうぐぐぐぐぐ」
と言っても、そんなもの簡単に作れるものではない。
勉学において優秀なルイズはハルケギニアでも有名な詩をいくつも諳んじることができる。
だが、残念ながらルイズのクリエイティブな才能は詩歌を作ると言う方向性においては全く発揮されなかった。
「ねー、ベル。なんかいいのない?」
「そうねー」
全く気のない返事である。
「どうもこうピンと来ないのよね」
「そうねー」
「うまく表現できないのよ」
「そうねー」
ルイズは首を捻ってベッドの上を見る。
ベルはさっきからそこに寝っ転がって全く同じ調子で同じ返事を繰り返していた。
「ねえ、人の話聞いてる?」
「そうねー」
「ところで、この前モンモランシーのカエルの伴奏でキュルケのサラマンダーと学院長のネズミがダンスを披露したんですって」
「そうねー」
「全然聞いて無いじゃないの!」
手近にあった鞄を思い切りぶん投げるが、ベルは寝返りであっさりよける
「危ないわね」
「主人の話はしっかり聞きなさいよ」
「聞いてるわよ。で、なに?」
「あーんーたーわー」
今度はベルに爆発を一発お見舞いするが、それもまた回避されてしまう。
もう一発はベッドのクッションが木っ端微塵になりそうなのでやめた。
「罰よ!何か詔が思いつきそうなこと言いなさい」
「どんなことよ、それ」
「うーん、じゃあ、私が知らない詩を教えてよ。ベルは遠いとこからきたんでしょ。そこの詩で良いわよ」
やる気になったのか、考え始めている。
珍しい。
「四大系統に関する感謝の詩がいいわね」
「そうねー」
また、気のない返事が出てきた。
長引きそうなのでルイズは手を叩いてベルの意識を引き戻す。
「じゃあ、何でも良いわ。とにかく一つずつ行くから。まずは水に関する詩ね」
手を叩くリズムを早くして急す。
10回ほど叩くと首を捻っていたベルがようやく答えた。
「古池や蛙飛びこむ水の音」
確かに詩だ。
詩には違いない。
「あんた、モンモランシーと仲良かったっけ?」
「べつに」
まあ、そういうものなのだろう。
「じゃあ次、土ね」
「朝露や撫でて涼しき瓜の土」
329 :
ナイトメイジ:2008/12/19(金) 18:38:46 ID:Jplm9fq/
なんかまた短いのを答えてきた。
「じゃあ、火」
「文ならぬいろはもかきて火中哉」
「風!」
「やれ打つな蝿が手をする足をする」
「えっと……」
なんというか、かわされたというか、はぐらかされたというか、すかされたというか。
とにかく予想外なのが出てきた。
「馬鹿にされた気がするわね」
「たぶん気のせいね」
たぶん、である。
「それって詩?」
「分類としては詩ね」
「韻、ふんでないじゃない」
「韻律ならあるでしょ」
「……」
とりあえず黙ってみる。
「変な詩ね。もっと言葉を美しく飾るのが詩ってものでしょ」
「変で良いじゃない。知らない詩がいいと言ったのはルイズよ」
「……」
どう言えばいいかわからなくなってきた。
「だいたい、そんなのどこで聞いてきたのよ」
「試験があったのよ」
期末とか、中間とか、抜き打ちとか、模試とかとはベルは決して言わない。
どっかの学園に潜入する時にはこういう事も押さえておかないといけないのだ。
最悪、下がる男には勝っておかなければならない。
「火といえば……」
そこにシエスタが口を挟んでくる。
この日も今までなにも言わなかったので気付いていなかったが、洗濯したルイズとベルの服を籠に詰めて持ってきていたのだ。
「お芋の用意できそうですよ」
「そう、後はルイズを待つだけね」
「楽しみですね」
「楽しみね。赤外線」
やたらニコニコ笑顔を振りまく2人にルイズもまた笑顔を見せる。
ただし、オーク鬼も裸足で逃げ出しそうな代物ではあったが。
「ふーたーりーとーもー」
おまけに湯気のごとくオーラみたいなものも立ち上ぼらせているし。
「でてってよーーーっ!」
いつ唱えたのかわからないが魔法は失敗する。
5回ほど連続で爆破音が起こり、部屋にはもうもうとした煙が充満品しなにも見えない。
いつの間にか開いた窓から煙が抜ける頃には、ベルもシエスタもどこかに逃げた後だった。
籠を抱えて後ろを振り返るシエスタはルイズの部屋から立ち上る煙を見てほっと一息ついた。
とにかくびっくりした。
ベルに教えられて部屋の窓から飛び下りたはいいが、なんで爆発を起こすほどルイズが怒ってしまったのかさっぱりわからなかったのだ。
でも、怒らせてしまったことには変わりない。
次からはもっと気をつけようと決心したシエスタは籠を抱えなおして次の洗濯物を取りに行こうとした。
「シエスタ」
女子寮の出入り口から声がする。
走っていくと、ベルが扉の段差に腰をかけて待っていた。
「用意はできてる?」
「はい。いつでも出発できますよ」
「じゃあ今から行きましょう」
「今からですか?」
「そう。今から」
急な話たが、できないことはない。
少し同僚に説明しないといけないだろうけど。
「でも、ミス・ヴァリエールは良いんですか?」
「そうね……じゃ、言ってきてちょうだい。でかけるって」
330 :
ナイトメイジ:2008/12/19(金) 18:40:11 ID:Jplm9fq/
さっき爆裂させたすぐ後だ。
実のところちょっと怖い。
「では、言ってきますね」
シエスタはぱたぱた足音を立てて、さっき上ったばかりの階段をもう一度上っていく。
その足音を聞きながらベルはどことも知れない場所に顔を向けた。
「そこの、青い髪のメイジさん。あなたも一緒にどう?」
2人を追い出したルイズは再び机に向かう。
──これで静かになった
とはいえ、静かになったところでひょいひょい良い詩が浮かんでくる者ではない。
状況としては最初に戻ったも同然でルイズはまたもや額に青筋の一つくらい立てそうになりながらうんうん唸り始めた。
「あの、ミス・ヴァリエール……」
扉が少しだけ開いて、シエスタの声が聞こえてきた。
煮詰まりまくった集中をしているルイズはそちらに顔を向ける余裕もない。
白紙の祈祷書を睨みつけたまま。
「なに?」
とだけ答えた。
「ベル……………………………ブに行くんです。あ、タル……………………な…………で、………リエールはどうします?」
頭の中が詔で一杯になっているルイズにはシエスタの言っていることが全部頭に入らない。
どうするかと聞いているようだが、とにかく今は邪魔されたくない。
なのでルイズは適当に答えることにした。
「いいわー」
「わかりました。そう伝えますね」
扉の留め金がカチリと音を立て、足音が少しずつ遠ざかっていく。
それが消えても良いフレーズは一つも浮かんでこなかった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今回はここまでです
キャラメイクが終わったらオープニングです
まだ終わってませんけど
ついでにベルのアカデミックな一面を出してみました
携帯だと更新されないんで取り敢えず支援
アニメ版エデボからヤヌエスのどたばたコンビ、ゴルドーとウィロッグ召還とか考えたけどアルビオンにたどり着くのに三年かかってしまうため断念
ヨルン召還すれば自動的に変身女神も来るうえ運命を司っているという難点がガガ
ベル様の人乙です。
俳句かよwwwしかもつながりナシwwww
次回にwktk。
アニメ版ヱデボならあの兄妹を召喚すればいいんジャマイカ。
素直に従うかは別としてw
ベル様乙!ていうか、芭蕉乙ww
投下予約です。19時45分ぐらいから失礼いたします。
・・・そろそろオリジナル設定入れるので、最近の議論見てて不安ではありますが・・・
生暖かい目でよろしくおねがいいたします。
『煮詰まる』って、もうすぐ答えが出る状態でしたよね。
投下開始いたします
―――
「くっ、流石にグリフォンは速いなっ!ちっとも追いつけない!」
ギーシュが思いっきり馬を走らせるけど、グリフォンについていくのがやっとだ。
「え、あ、う、あ、む、無茶、しな、く、て、いいか、らっ!?」
そして、ボクは、そのギーシュにしがみつくのがやっとだったんだ……
「もう少し飛ばすよっ!このままじゃ見失うっ!」
「え、う、う、うわぁぁぁっ!?」
……馬よりチョコボの方が、捕まるところが多くてよかったなぁ……羽とか……
―ゼロの黒魔道士―
〜第十九幕〜 幸運の帯虹
普通、トリステイン学院から、ラ・ローシェルっていう港町へは馬で3日かかるらしいんだ……
でも、グリフォンはとっても速いし、ギーシュも馬を宿場町で何回も乗り換えたし、
(ものすっごく馬は疲れてた……ゆっくり、休んでほしいなぁ……)
ここの街道は昼間はモンスターとかが現れないみたいだし、
(安全な旅でよかった、と思うんだ)
ラ・ローシェルの町並みがうっすら見えたのはまだお日さまが地平線にかからないくらいのときだったんだ……
うーん、急ぐ理由は分かるけど……
「い、いたたた――ビビ君、君、腰とか痛くないかい?」
「ぜ、全身が痛いよ……」
……馬でここまで急ぐことないと思うなぁ……
グリフォンはずっと前を飛び続けていた。
さっきの宿場町で休憩したときに、ワルドおじさんが言っていたのは、
「この分なら、今夜はラ・ローシェルで一泊し、明朝の船だな」
っていう予定らしい。
(ボクとギーシュは疲れててちゃんと聞けなかった気もするけど……)
そのとき、ルイズおねえちゃんは「今夜の船は無理なの?」って言ってたけど、
夜は危ないから船は出ないって……岩とかに、ぶつかるから、かなぁ?
……それにしても、ルイズおねえちゃん、張り切ってるなぁ……
「まったく、ワルド子爵ももう少しペースを落としてくれてm……あんなところに灯g危ないっ!?」ザザッ ザシュッ
突然、ギーシュが馬を止めたんだ。(おかげでギーシュに頭をぶつけちゃった)
「え?ど、どうしたの?」
「しゅ、しゅ、襲撃だっ!!」
「え!?」
馬の目の前に、火矢が刺さっていた……
「ど、どういうこと!?」
「おそらく、追剥の類だろうね――ほら、またきたっ!?」
火矢が何本も、何本も、雨みたいになってボクたちに降り注ぐ!
慌てて馬から降りて避けるボクたち。
「く、くそっ追剥にしては手際がいいなっ!?」
岩陰に隠れるボクたち……そういえば、グリフォンに乗っているルイズおねえちゃんたちは?
まさか、だけど……今の火矢で……
「お、おい、ビビ君、どうするつもりだい?」
「……矢だと、グリフォンに届くかもしれないよね?」
「そ、そりゃね?――ま、まさか、ビビ君!?」
「……ギーシュは、『錬金』で身を守ってて!」
デルフを鞘から出して、(ギーシュに作ってもらったんだ。パカッて縦に割れて開く鞘……これなら、ボクでも何とかなるよね?)
岩陰からそっと向こうを見る。
間違いなく、火矢は向こうから飛んできた。
「よぉ、相棒!危険な目万歳だな!おれっちの出番だっ!」
「あんまり、万歳って思わないけど……行くよ!」
「び、ビビ君?本気かい?ワルド子爵ならきっとだいじょうb」
「ルイズおねえちゃんを危ない目に合わせるかもしれない敵は、放っておけないから!」
岩陰から、ボクは一気に跳びだした。
思いっきり、走る!相手は火矢を打ち込んできている。
ということは、魔法で攻撃しようとしても、
詠唱しようとしている間に攻撃されちゃったりする可能性が高い。
岩陰から魔法を打ってもいいけど、向こうの火矢はもちろん、こっちの魔法も狙いがつけられない。
だから、まずは敵陣に飛び込んで、相手の飛び道具を全部壊す!
それから距離をとって魔法で攻撃するなり、
あるいはそのまま敵陣でデルフで全部なぎ払うだけ。
ギーシュとの特訓のお陰か、戦い方の使い分けが冷静にできるようになってきている、と思うんだ。
「よーっしゃ、相棒ぉっ!見せ付けてやんぜぇぇっ!!」
「うんっ!」
何本もの火矢が飛んでくる、相手の居場所はもう分かった。
「えいっ!」キィンッ
火矢をデルフで叩き落しながら前へ、前へと走る。
敵は岩に囲まれた藪の中、間違いはない。
「お、敵さんじれて出てきやがったぜ!」
距離が近くなると相手は火矢を打つのをやめて、藪の中から敵が姿を現したんだ。
相手は……4人、みんな剣や斧を抜いている。
受けてたつつもりだ!
「デルフ、行くよっ!」
「いつでも来いやぁっ!!」
敵の中で1番体の大きな人に狙いを定める。1人ずつ、確実に、だ。
「とりゃぁっ!!」ギィィンッ
「ぬんっ!」
デルフには、何の魔力もこめないで、かついだ肩から一気に振り下ろす。
相手はそれを重そうな剣でガッチリと受け止める。ここまでは予想どおりだ。
「せいっ!」ダットトトンッ
「な!?」
デルフを止めたその剣を駆け上り、空へ。
「おほっ!相棒、この高さは新記録じゃねぇか?」
「暗雲に迷える光よ……」
一瞬の空白、狙いはシンプルだったんだ。
肉弾戦と思わせてから、魔法による全体攻撃……
詠唱を唱える時間も十分、
「このガキッ!なンつー飛びっぷりだァ!?」
「プププ、オデが殺る!オデが殺る!アハ!」
「落ちてきたとこを狙うヨォ!」
敵が斧や剣を持って狙いをつける、この動きも予想どおり。
……だったんだけど……
「『ファイア・ボール』!!」ボゥッ
「あだづづづあぢぢぢぢぢ!?」
「え!?」
……突然、敵の1人が炎に包まれちゃったんだ……
「ち!新手か!!」
「オデ、ドラゴン見るの久しぶり、アハ!」
「ちょっとちょっと、相手が増えるなんてアタシゃ聞いてないヨォ〜?」
火の玉が飛んできたほう、に落ちながら頭を向けると……
「ビビちゃ〜ん、怪我ない〜?」
「きゅい〜♪」
……見覚えがあるドラゴンと、その上に乗るおねえちゃんたちがいたんだ……
「キュルケおねえt」ドサッ「あたっ!?」
……驚きすぎて着地失敗……うーん、この戦法はもうちょっと考えなきゃダメだなぁ……
「抵抗しなければ、殺さない」
タバサおねえちゃんが短く、用件だけを伝える。
「くっ、お前ぇらっ!こりゃ無理だ!武器棄てとけ!!」
拍子抜けするほどアッサリ、敵は武器をガチャガチャとその場に投げ捨てる……
え、えーと、勝った……のかなぁ……?
って、いうか……なんでここにシルフィードやキュルケおねえちゃん達がいるの!?
「――ちょ、ちょっと、ビビ!?大丈夫!?あとついでにギーシュも!!」
そうこうしていると、ルイズおねえちゃんとワルドおじさんがグリフォンに乗って降りてきたんだ。
良かった、無事だったんだ……
「い、いや、ついでかい、僕は――まぁ、隠れていただけだし、しょうがないか」
傭兵達を錬金で作ったロープで縛りながらギーシュが文句を言う。
「いやいや、君達の姿が確認できなくなったから、ルイズが戻ろうと言ってn」
「あらぁ!ダンディーな殿方!」
……キュルケおねえちゃん、いつもだけど、元気だなぁ……
「キュルケ!?なんであんたがここにいんのよっ!?」
「あらあらあら、昨日、自分の部屋で散々大声出してたのはどなたかしら?」
「あ、あんたまさか――また!?」
「またって、人聞き悪いわねぇ〜、2回目よ?盗聴『は』」
「『は』!?他に何かあるの!?」
……元気、だなぁ、ホント……
「ルイズ、その――ご学友、かな?」
「学友!?冗談じゃないわ!ただの同級s」
「ルイズの同級生のキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーと申しますの!以後お見知り置きを、いえ、むしろそれ以上になりません?貴方、“微熱”にご興味は?」
「ちょ、ちょっとキュルケ!?」
ワルドおじさんがちょっと困った顔をする。
「こ、これは丁寧にどうも。僕はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドだ。ふむ――残念だが、婚約者が誤解すると、困るんでね」
そう言ってルイズおねえちゃんを抱き寄せる……あ、ルイズおねえちゃん顔真っ赤になった……
「あら、ルイズの婚約者?ざーんねん!あ、でも、ルイズに飽きたときにはお申し付けくださいませ、私はいつでもお待ちしておりますわよ?」
「は、ハハハ……えーと、そちらの君は?」
「タバサ」
……タバサおねえちゃんの挨拶って、いつもすぐ終わるなぁ……分かりやすくていいけど……
「そ、そうか、よ、よろしく……あぁ、ギーシュ君、やつらの目的は?」
……さっきまで敵だったヤツらの尋問をしてたらしいギーシュに、ワルドおじさんが聞く。
「やはり、ただの物取りだそうです!」
……物取り?うーん、そうなのか、なぁ……?
「よし、それならばもう捨ておいても大丈夫だろう!急がねば!ラ・ローシェルまではもう近い!」
……あれ?もう行くの?
「あ、あの、ワルド子爵?僕達の馬は、その――」
あ、そういえば……さっきの騒ぎで……逃げちゃった……?
「しかし、グリフォンには乗りきらんしな――」
「あら?シルフィードに乗ればいいじゃない!」
「おぉ、この風龍は君の使い魔かね?」
「私の」
……タバサおねえちゃんが、いつになく強く主張する……
「そ、そうかね――まぁ、渡りに船ならぬ風龍というわけだ!それでは、急ぐぞ、諸君!日没前にラ・ローシェルに辿り着く!」
「ビビちゃ〜ん、もっと中の方乗っていいわよ〜♪」
……結局、こうなるのかぁ……
「へぇ、意外に乗り心地がいいんだねぇ」
「出発」
「きゅい〜♪」
「う、うわぁぁっ!?」
た、高い所はやっぱり怖いなぁ……
「ほら、ビビちゃん、あれ見て!」
……出発して間もなく、キュルケおねえちゃんが空を指さしたんだ。
「『幸運の帯虹』」
「こんな時間に見るのは初めてだなぁ、これは任務もぶz……しまった!?」
「あら、任務内容はまぁ、知ってるけど……ややこしいし、聞かなかったことにするわ、貸しよ、ギーシュ」
「そ、そうかい――ビビ君、大丈夫かい?」
……空におっきく広がる虹を見てると、ちょっと気分がまぎれるかなぁ、と思ったけど、
やっぱり全然だった。
……『幸運の帯虹』っていうけれど……
色々、不安になるのは、なんでだろう?
……何か、見落としているような……
「あ」
「あら、どうしたの?ビビちゃん?」
「……忘れてた」
ピコン
ATE ―おいてけぼり―
「あ〜、ちきしょ〜!」
その剣は、地面に突き刺さっていた。
「ちきしょー!おれっちを置いていくな〜!そしておれっちの出番つか見せ場奪うな〜!!」
その剣が、鞘におさまるのは、それから10分ほど後だった。
ピコン
ATE ―オーディション番号142から145―
青龍が2度目の離陸をしてから半刻ほど、
4人の傭兵は両手両足縛られたまま放置され、
日もほぼ落ちており、いくらか冷静にもなってくる。
「うぅ、まだヒリヒリしやがらァ――バッガの兄ィ、なンだってアッサリ捕まっちまたンですかィ?」
「ギジュー、お前そんなんだからバカって言われんだよっ!戦力差考えろ!メイジはともかく、龍まで出ちゃお手上げだろが!」
「プププ!ホンド、ギジューはマヌケだなぁ、アハ!」
「てめ、ブワジッ!後でてめェはぶン殴るっ!この縄解けたらぶン殴るっ!」
「つか、早く縄解いてヨォ!アタシゃ帰りたいヨォ!」
「ブワジの次はてめェだ、このオカマ言葉のリノ助ッ!キンキンキンキンうるせェってのっ!」
「なっ!アタシャね、オカマじゃなくて乙女だっつーのヨォ!この脳みそトカゲ野郎っ!」
冷静になってくる、とはいえ、仕事が失敗した後は大抵こんなもんだ。
口喧嘩にはじまり、殴り合いに発展し、飲んだくれて、そのまま雑魚寝して、次の朝から別の仕事を探す。
これがこのチームのいつものパターンだ。
ただ残念なことに、今は手足が縛られていて、酒も無いので口げんかは終わる気配を見せなかった。
「だぁまれっ!お前ぇらちったぁ頭冷やせこのバカ野郎どもっ!」
仕方なく、リーダーのバッガモナンが場をおさめる。
いい加減町にでも帰らないと、夜になれば街道とはいえ獣が出るだろう。
全く、この仕事はハズレもいいところだ。
『所詮、魔法学院の子供メイジとそのお供』だと?あの馬に乗った貴族のガキ1人ならなんとかなったろうが、
とんがり帽子のガキは4人がかりでやっと倒せるかぐらいだった、とバッガモナンは分析する。
仮にも剣だの斧だので食ってる身だ。
武器を交えりゃ相手の力量も自ずと分かろうというもんだ。
そんなやつ相手にしているときに龍に乗った新手、しかも2人だ。
戦うだけバカバカしいというもんだ。
金も大事だが、それを使う我が身はもっと大事。
バッガモナンは自分の判断を冷静に分析し、ある程度の満足をしていた。
しかし、今回の依頼は何なのだ?足止めにしても様子がおかしい。
第一、『グリフォンの連中は無視』というのもおかしな指示だ。
グリフォンに乗ってたのもメイジ、しかもコイツは最上級クラスの腕ききと見えた。
そんなヤツらが加勢する可能性があり、その存在を知っておきながら、無視とはどういうことなのだ?
バッガモナンの頭がフル回転する。
「戦力はイマイチ、しかし不意への対応は冷静、戦力の見極めも上々――悪くないチームだねぇ、一応合格点、かな?」
ギジューとリノがバッガモナンにどちらが悪いかの裁定を求め、バッガモナンがそれをワザと聞き逃していると、
線の細い男が不意に現れた。音や影もなく、である。
銀髪とあいまって幽霊のように薄気味悪いヤツだ、と前々から思っていた。
今回の仕事、その前金を手渡し、指示を出したのはこの男だ。
「――てめぇか、依頼主さんよぉ……どういうこった!?今回の仕事は何もかもおかしいじゃねぇか!」
バッガモナンが、吼える。
仕事が失敗した鬱憤を全て吐き出すように、吼える。
「フフフ、まず訂正から。今回の脚本家は僕じゃなくてねぇ――実に雑なスジだったろ?その件については深く謝罪しよう!」
ムカつくぐらい嫌味ったらしい笑みとお辞儀、
不機嫌なところに嫌悪感がさらに重なる。
「あぁ?てめェもその脚本に乗っただけってか?ざけンじゃねェよっ!」
「そぉヨォ!アタシ達をなめるんじゃないヨォ!」
「プププ、オデ達なめたヤツ、いつもあの世逝き、アハ!」
部下3人もキレている。当然だ。元はといえばこいつの依頼があって――
「――謝罪はしたろう?いいから口は閉じたまえ、脇役諸君。主役より目立つんじゃないよ」
笑みを消し、銀髪の男がガンを飛ばす。
瞬間、冷気が、鋭く身を貫くような冷気が顔から体から服を通り抜け刺さる。
傭兵達は黙った。
ギジューは目を点にして冷や汗をダラダラと流している。
ブワジの顔からはいつものニタニタ笑いも消え去った。
リノに至っては失禁までしている。
こいつは――危ない。
強い弱いじゃない、危ない、とバッガモナンは判断する。
4人がかりでこいつに挑んだとして、何分持つ?
いや、秒か?ロープで縛られていて良かったと安堵してしまう。
誰か、部下の誰か1人でもこいつに殴りかかっていたら、
全員が死んでいただろう。それも罵声の1つも言い終わらぬ内にだ。
それ程の残忍さを今のガンから感じ取ってしまった。
故にこいつは危ない。
「――安心したまえ、別の仕事を持ってきてやったんだ」
再び顔に笑顔を浮かべなおし、男が懐から紙切れを取り出す。
「――仕事、だと?」
油断はできない。間違ったことを口走った時点で自分の首は胴から離れてしまいかねない。
「そう、君達はオーディションに合格したんだ!だから、時期こそ未定だが、僕の劇場に案内しようと思ってねぇ」
そんな心情を無視したまま、男は優雅に身振り手振りを交えつつ『僕の劇場』という部分を強調した。
「この紙に書かれた場所に行き、『4Aのポーン行き』と言われた、と言えばいい。舞台がはじまるまでの賃金と身柄は保証しよう」
前髪をかきあげつつ、男が言葉を続ける。額に巻かれた布の奥が仄かに光った気がした。
「というわけで、この紙を持ちたまえ――おっと、これは失敬、両手が縛られていたようだね」
男が右手をサッと振ると、バッガモナンの両手がいとも簡単に自由になった。
一体、何をした?ナイフを持っているでもない、杖を持っていた風でもない、こいつはマジに何なんだ?
「なるべく早く行きたまえ、明日に始まってもおかしくない舞台だし――何より『虹』が出てきたようだ」
両手首を訝しげにさするバッガモナンに、男――クジャが天を仰ぎながらそう忠告をする。
それに倣い、視線を上空に向けると、そこには幅の広い帯状の虹が出ていた。
「あ、あ、あぁ……『幸運の帯虹』だろ?それが、どうかしたか?」
クジャはその返答に妙な笑みを浮かべる。
クジャの目には見えていた。
その『虹』がいわゆる太陽光と水分の衝突によって生じた光の絵画などではないものだと。
その証拠に、『虹』の色と色が互いを憎みあい、潰し合ったかのような斑模様をわずかながら描いていることを。
「いや――今回は『不幸の』だろうね。急いだほうがいいよ、君達も――僕もだ」
クジャは来たときと同じく、音も影もなくその場から消え去った。
バッガモナンの見ている目の前で。
まるで、最初から存在そのものが無かったかのように、忽然と。
あっけに取られているバッガモナンの手には、ガリアのとある村の名前が書かれた紙切れが残っていた。
――
投下完了。
傭兵達の名前は9じゃないけど、FFシリーズからお借りしてます。あ、別にトカゲじゃないんで。
お目汚し失礼いたしました。
crysisからノーマッド中尉
クローク起動
「き、消えた!」
そして首を掴み
マキシマム・ストレングス
ベル様の人と黒魔導師の人乙です
ナイトメイジの方、黒魔道士の方、乙です。
良いですなあ、こう、若いと言いますか、フレッシュな主人公と言うのは。読んでて華々しさみたいなのがありますしw
私なんて、外見は若いですけど中身は枯れた爺さんですからねぇ……ww
さて、他に予約の方がおられなければ、20:45から第14話の投下を行います。
支援
ユーゼス・ゴッツォが、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドに完膚なきまでに叩きのめされたのと、ほぼ同時
刻。
マチルダ・オブ・サウスゴータは顔を洗うために水を汲もうとして、シュウ・シラカワと鉢合わせていた。
「おはようございます、ミス・マチルダ」
「……おはよう、えーと……そう言えば何て呼べばいいんだい?」
「お好きなようにお呼びになって結構ですよ。呼び捨てでも一向に構いません」
「それじゃ、シュウ。……アンタ、本当にティファニアをどうこうするつもりはないんだね?」
「それについては、信用していただくしかありませんが……」
この二人は、昨日からこのような調子であった。
どうにかしてシュウの腹の内を探ろうとするマチルダと、そのマチルダの追求をのらりくらりと躱(カワ)すシュウ。
会話は平行線を描き続けている。
「……使い魔として召喚されたってのに、使い魔としての契約を拒否するって時点で、信用が出来ないんだよ」
「『普通の動物や幻獣などならともかく、人間を使い魔にするわけにはいかない』と、ティファニアも納得していることで
す。
……それに、私は『束縛』というものを何よりも嫌っていますからね。お互いの意見が一致したまでですよ」
ふん、と息巻きながら、マチルダは井戸から水を汲み上げ、桶に移す。
「アンタの出身地―――ラ・ギアス……だったっけ? そこには帰らなくていいのかい?」
「帰ろうと思えば、いつでも帰ることが出来ますからね。情勢も一時期に比べればかなり落ち着いていますし、今は無理に
戻る必要もないでしょう。
それに、このハルケギニアは……なかなかに、良い所ですから」
「『良い所』ぉ?」
マチルダも見せてもらって度肝を抜かれたが、あのネオ・グランゾンのような兵器を製造するような技術を有し、更に
『かくれみの』などという、その姿を完璧に隠蔽する『ハルケギニアとは異なる魔法技術』を持つ場所と比べて、ハルケギ
ニアが『良い所』とは、どういうことだろうか。
「ええ。ほとんど開発が進んでいませんから空気は清浄ですし、過ごしやすい。……そして精霊は存在するようですが、
それに反する邪神や怨霊、亡霊の類が渦を巻いているわけでもない。つまり余計な手間がかからない。
この要因だけで『環境』としては、かなり優れていると言えます」
「……邪神に、怨霊に、亡霊? なんでアンタがそんなことを気にするのさ?」
「同質のモノに心当たりがありましてね。……まさかとは思いますが、私やネオ・グランゾンの中にその残滓が残っていた
場合、共鳴を起こす危険性もありますから」
(一体何なんだい、コイツ……?)
話を聞けば聞くほど……得体が知れなくなると言うか、底が見えなくなってくる。
「何よりも、このハルケギニアには『私を知っている人間』がほとんど存在しません。わずらわしい柵(シガラミ)から
開放されるこの世界は、まさにバカンスに最適です」
「バカンスって……」
(……もっとも、ユーゼス・ゴッツォやアインストが存在する世界が『平穏無事』で終わるとは、とても思えません
が……)
呆れるマチルダの顔を眺めつつ、内心では今後のことを予測するシュウ。
最近このアルビオンで度々出現しているアインストを(ウエストウッド村の近辺に出現した個体のみではあるが)、彼は
何度か始末していた。
ネオ・グランゾンにかかれば、雑兵のアインスト程度などチリにも等しいが、それにしても気になることがある。
(人間サイズのアインストとは……。私が得ている情報とは食い違いがありますね)
『実際に見る』のはハルケギニアに来てからが初めてだが、『通常の』アインストのサイズは最低でも20メートル弱ほど
のはずである。
(アインストの亜種……ということでしょうか。ここは『エンドレス・フロンティア』についての調査を進めてみた方が
良さそうですか)
興味深くはあったが『シュウ・シラカワ』との接点はほぼゼロのため、把握が出来なかった世界……そこにもまた、アイ
ンストが存在したはずである。
(―――いずれにせよ、この世界もまた一筋縄では行かないようですね)
シュウは思考を切り上げ、あらためてマチルダを見て―――そして、薄く微笑んだ。
「な、何だい、人の顔をニヤけながらジロジロ見たりして」
「……いえ、その髪を見ていると、ある人物を思い出しましてね。髪の色合いは微妙に異なるのですが」
「私の髪が?」
思わず自分の髪をつまんで、目の前に運ぶマチルダ。
「?」
この緑色の髪が、誰を連想させると言うのだろうか。
「……昔の女か何かかい?」
「残念ながら、不正解です。
―――さて、少しばかり研究に打ち込みたいので、部屋に閉じこもらせていただきますよ」
「研究だって?」
マチルダは自分の予想が外れたことに少しばかり悔しさを覚えつつ、ここで初めてシュウがその手に持つ青い水晶のよう
な物に注目した。
「……何だい、その水晶みたいなの?」
(って、聞いてばっかりだね、私は……)
―――この男に対して自分はほとんど質問しかしていないことに、今更ながら気付く。
しかしシュウはそんな質問だらけのマチルダに気分を害した風もなく、それに答えた。
「ここ最近、アルビオン各地で発生している鉱物です。妙なエネルギー反応がありましてね、詳しく調査してみようかと」
「……まあ、良いけどさ」
何だかよく分からない話である。
まあ、いつまでもここにいてシュウと話をしていても仕方があるまい。
そもそも自分は、ここに水を汲みに来たのである。
―――それに、物陰から妙な視線でこちらをチラチラと窺っている『長い金髪の誰か』に、事情を説明しておかなくては
ならないようだし。
「私もそろそろトリステインに戻らなきゃならないし、そうそうここに顔を出せるってワケでもないからね。
一応、任せるよ?」
「絶対に、とは言い切れませんがね。私も留守にすることは多いですから」
「…………妙な所で現実的だね、アンタ」
「出来もしないことを『出来る』と言い切るよりは、マシだと思いますが」
ふう、と溜息を吐くと、マチルダは水の入った桶から手で水をすくい、バシャバシャと顔を洗った。
そして顔を洗っている間にシュウがいなくなっていることを確認する。
(さてと……)
トリステインに戻る前の下準備として、まずは―――
―――おそらく本人にその自覚はないのだろうが、少し恨めしそうな目で自分を見ているハーフエルフの少女の、見当
外れにも程がある誤解を解いておかなくては。
「見てたわよ? ギッタギッタにやられてたじゃないの」
「しかし、君も災難だったなぁ。よりによって魔法衛士隊の隊長に因縁をつけられるとは……」
『女神の杵』亭の一階の酒場で、ユーゼスとギーシュとキュルケ、そしてルイズとタバサはテーブルを囲んでいた。
一応ゴロツキ対策で念のため、ということで全員が杖や武器を持って来ている。
ちなみに、ワルドは一人で二階に上がっていた。
ワルドとの決闘もどきの後、ルイズは全て自分で代金を支払ってユーゼスに水の秘薬を購入し、その外傷を完治させてい
た。
「まあ、私の実力不足が最大の原因ではあるが。……やはり、ある程度の戦闘訓練はしておいた方が良いのだろうか?」
「付け焼き刃だと、かえって危ない」
さすがに身に染みて自分の弱さを痛感したのか、思いつくまま自分の訓練の開始を提案するユーゼスだったが、タバサに
ポツリと忠告されてしまう。
「……はあ」
ルイズは溜息を吐いた。
―――ユーゼスに対してバツが悪くて、気まずいのである。
まさか自分の婚約者が、あんなことをするとは思っていなかった。加えて、あの時に言った『頭脳の面で言えば本当に
尊敬が出来る人』という発言も、今から考えれば顔から火が出そうだ。
まあ幸いにして、その発言については追求されていないし、離れた場所から見ていたキュルケたちにも聞かれなかった
ようだが。
何よりルイズの気が重いのは、決闘もどきを止められなかったルイズに対しても、実際に痛めつけたワルドに対しても、
この使い魔は文句の一つも言わないことである。
(……どうしてなのよ……)
何だかユーゼスに負い目を作ってしまったようで、自分から積極的に会話が出来ないルイズであった。
そして、『そろそろ本格的にワインや料理を注文しましょうか』とキュルケが手を上げて店員を呼ぼうとしたその時、
「―――いたぞ、アイツらだ!!」
「相手はメイジだ、油断するな!」
いきなり玄関からゾロゾロと傭兵がなだれ込み、襲いかかって来た。
「!」「……」
「何?」「え!?」「ちょ、ちょっと!?」
驚く5人だったが、最も素早く対応したのはキュルケとタバサである。
まず、キュルケがテーブルの上に乗っていた皿やグラスを一気に払い落とす。
すかさずタバサが『錬金』を使って床と一体化した岩のテーブルの脚を砂に変えて根元から折る(風系統のタバサは土
系統の『錬金』が苦手であったが、石を砂にする程度のことは軽くこなせた)。
更にキュルケがそれを『念力』で横たわらせて盾にする。
テキパキと行動する2人に、他の3人は呆気(アッケ)に取られていたが、キュルケに叱咤されて慌ててテーブルの盾に
身を隠した。
「さすがだな」
「褒めても何にも出ないわよ? それに残念だけど、あなたはあたしの好みじゃないし」
「それは何よりだ」
「……どういう意味よ?」
ユーゼスは自分のタイプではないが、こうまでハッキリ言われてしまうとキュルケも腹が立つ。
実はこのラ・ロシェールに向かう道中、『ヴァリエールの恋人を寝取るのはツェルプストーの宿命』などと息巻きながら
キュルケはワルドにもモーションをかけていたのだが、ワルドの目を見て妙な違和感を覚えたので、その熱も急激に冷めて
しまっていた。
ワルドの瞳の奥の光が、冷たかったのである。
キュルケとしては、もっと情熱的な、互いに燃え合うような恋に身を焦がしていたいのだ。
その基準に照らし合わせてみると、ワルドは『あれならユーゼスの方がまだマシ』だと判断されていた。
……もっとも、先程キュルケ自身が言っていたように、そのユーゼスもキュルケの趣味からは大きく外れているのだが。
知的な感じも悪くはないが、何だかこの男は……『燃え尽きてしまった後』のような印象を受けてしまう。
(どこかにあたしに相応(フサワ)しい、情熱的な男はいないのかしらね……)
「矢を放て! 決して魔法の射程内に入るんじゃないぞ!!」
「……っと。いけない、いけない」
そこまで考えて、そんなことを考えている場合ではないことを思い出す。
どうも相手の傭兵はメイジとの戦いに慣れているらしく、牽制に放った魔法からこちらの射程を見極め、矢で攻撃して
きた。
迂闊に盾代わりのテーブルから出て反撃しようものなら、即座に全身を串刺しにされてしまうだろう。
「ど、どうするんだね?」
「どうするって……そりゃ、何とかして突破して、脱出しないと」
「だから、その方法をどうするかと聞いているんじゃないか!?」
うろたえるルイズとギーシュを横目に、ユーゼスとキュルケとタバサはこの傭兵たちについて話し合っていた。
「……明らかに狙いを我々に定めているな」
「同感ね。対メイジ用の戦術を使ってるし、最初に『アイツらだ』とか言ってたし」
「数も多い。慎重さや容赦のなさからして、おそらく手錬(テダ)れ。突破するのは難しい」
周囲を見てみると、自分たちとは関係のない店員や客まで巻き添えを食っている。
「あなたの意見が聞きたい」
タバサの言葉に反応して、他の3人もユーゼスをジッと見つめてきた。
「…………そう過大な期待されても困るのだが」
何しろ自分はメイジでも超人でも神でもない、ただの人間である。
(……『ただの人間』、か)
と、そんな思考をした自分自身に、少し驚いた。
かつて、あれだけ人間を否定していた自分が、まさかこんな考え方をするようになるとは。
(この短期間で、ハルケギニアに毒されたか?)
と言うより、人間に接しすぎたのだろうか。
……思えば、自分は極端に他人との接触を断ち切った人生を送ってきた。
それがいきなり頻繁に他人と接するようになったので、その影響を受け過ぎたのかも知れない。
喜ぶべきか、嫌悪するべきか―――などと思考の海に沈みかけていると、
「大丈夫か、みんな!」
「ワルド!」
騒ぎを聞きつけたのか、二階からワルドが降りて来た。
ワルドもまたテーブルの盾に潜り込み、相談に加わる。
「……良いか諸君。このような任務では、半数が目的地に辿り着けば成功とされる」
「? ……申し訳ありませんが、質問してよろしいでしょうか」
「―――何かね、使い魔君? 事態は見ての通り切迫しているのだから、手短に頼むよ」
指示を出そうとしたところで、いきなりその出鼻をくじかれたので、ワルドは不機嫌そうにユーゼスに発言を許可した。
「……半数と言いますか、極端な話、最終的には御主人様だけが目的地に着けば良いのではないですか?」
出発する前に任務の詳細をルイズから聞かされていたが、この任務はアルビオンにいるウェールズ皇太子とやらと面会
し、トリステインの命運を左右するという触れ込みの手紙を回収し、更にアンリエッタから渡された手紙をウェールズに
渡すことが目的らしい。
ならば、まずそれだけ果たすことを考えるべきだろう。
そしてその場合、優先するべきはルイズの安全のみである。
アンリエッタから直接に任務を頼まれたのはルイズなのだし、アンリエッタの手紙を持っているのもルイズだ。
―――ユーゼスやワルドも含めた上での他のメンバーの重要度は、言っては何だがルイズに比べれば、かなり低い。
何しろ、ただの『護衛』なのだから。
「つまり、僕たちで捨て駒になって、ルイズだけを守り通す……ということかい?」
だが、そのユーゼスの提案に強く反応したのも、またルイズであった。
「ユーゼス! わたしにあなたたちを盾やオトリにしろって言うの!?」
「その通りだ。国の存亡と、たかが4人か5人程度の命。単純な比較だと思うがな」
「っ……!」
正論である。
正論ではある、が……。
「…………ユーゼス、ちょっと良いかしら?」
「何だ?」
ちょいちょい、と手招きしてユーゼスを近寄らせるルイズ。伏せている上に密集していたので動きにくかったが、どう
にか移動する。
そして手を伸ばせば振れられる距離まで近付くとルイズはニッコリと微笑んで、
パァァアアン!!
ユーゼスの頬を、盛大に引っぱたいた。
「……いきなり何をする?」
少し口の中が切れてしまい、血の味が広がっている。
ルイズは怒りを隠そうともせずに、ユーゼスに語り始めた。
「良いこと、ユーゼス? 人間って言うのはね、正論だけで動く生き物じゃないの」
「………」
「理屈だけ並べて、何でも自分の思い通りに動くと思ったら、大間違いなんだから。そんなに自分の指示通りに動くヤツが
欲しかったらね、意思のないガーゴイルでも使ってなさい」
「………」
「……………」
黙ってルイズの言葉を聞くユーゼス。他のメンバーも―――なぜかタバサはより真面目に―――ルイズの言葉に耳を傾け
ていた。
「分かった? ……分かったなら返事!」
「……了解した、御主人様」
「よろしい。それじゃ『全員で』この場を切り抜ける方法を考えなさい、今すぐに」
それには簡単に頷けなかった。
何しろ、かなり難しい注文だ。
―――たった今、この場において即席で考え付いたものだけしか、考えの持ち合わせがない。
(と言うか、私は戦術家でも軍師でもないのだが……)
どうも自分が意図していた立ち位置と違ってきているな、などと思いつつ、ユーゼスは各員に自分の考えを披露するの
だった。
情熱的な男っつーといまシエスタを送っていってるのとか
エルフと良い関係きずけそうなのとかアレか
そんなワケで支援
身を低くしながら、可能な限り全速力で走り出す。
先頭を行くのはワルド、続いてキュルケとタバサ、その後ろにルイズとギーシュとユーゼス―――そして後方の3人の周囲
には、7体のワルキューレがバリケードを作るように配置されていた。
合計13の人影は、密集しながら進んでいく。
「しかしまあ、えらく単純な手だね」
「……だから、私に戦術や知略や策謀などを期待するなと言っている」
ユーゼスの提案は、いたってシンプルな物であった。
まず、ギーシュ以外のメイジが『そこそこの魔法』で総攻撃して包囲網の一角を崩す。これにはルイズの爆発の連続で
怯ませた隙に、キュルケの炎をワルドとタバサの風に乗せて撃ち出す、という方法が取られた。
あとは、その一角に向かって一点突破を仕掛ける。戦闘能力の高い3人は自力で自分の防御を行い、戦闘能力の低い3人は
ワルキューレを盾代わりにして進む。
なお、万が一にも途中で怪我人や死人が出た場合、それを無視して進み続けることを言い含めていた。
当然ながらルイズは猛反対、ギーシュは閉口、キュルケも良い顔はしなかったが、ワルドは賛成し、タバサも『妥当』と
同意したので、『取りあえずそれでいこう』という方向で進んでいる。
「それにしても……まあ、何だか変わったわねぇ」
「何?」
走りながら、キュルケはチラッと後ろを振り向いて感慨深げに呟く。
「ルイズよ、ルイズ。ついこの間までは、もうちょっと子供っぽかった……って言うか、あんなにしっかりした考えはして
なかったって言うか……」
「………」
確かに、とタバサは思った。
根本は変わっていない。感情的なところは相変わらずだし、『ゼロ』のコンプレックスも見え隠れはしている。
だがキュルケの言う通り、考え方に一本スジが通るようになっていた。
昔であれば『自分だけを生き残らせることを最優先とする』などと言われたら、目に涙くらいは浮かべそうなものだった
のだが。
あの使い魔の影響かとも考えるが、それにしても変化が急激すぎるような気がする。
……まるで、この短期間に何年か分の人生経験をまとめて積んできたような……。
(………そんなことは出来ない)
自分で自分の考えを否定する。時間を短縮するマジックアイテムなど作ることは不可能だし、仮にあったとしても精神
年齢だけが上がっているのはおかしい。
それに、そんな経験をどこで経ると言うのだろうか。
まあ、他人の人生をそのまま追経験する、などということでも出来るのであれば話は別だが、それこそそんな話は聞いた
こともない。
「桟橋(サンバシ)が見えたぞ!」
「………」
ワルドの叫びで、思考が現実に返る。
見れば、確かに巨大な樹の枝に横づけする形で、船がぶら下がっていた。
「急げ!」
『アルビオン・スカボロー港』と書かれた鉄のプレートが貼ってある階段に駆け込む一同。
そしてそのまま息を切らしながら階段を駆け上っていく。
と、そこで、
「……!」
タバサは、何者かが風を切りながら高速でこちらに近付いてくるのを感知した。
風のトライアングルメイジである彼女は、空気の流れに敏感なのだ。
そして、確認を取るために同じく風のメイジ、しかもスクウェアであるワルドの方を見るが、
「?」
彼は真っ直ぐに階段を上り続けており、何かに気付いた様子がなかった。
一瞬、接近は自分の気のせいかとも思ったが、確かにすぐ近くまで『何者か』が近付いている感じがする。
(どういうこと?)
トライアングルの自分が気付いていて、スクウェアのワルドが気付かない―――なんてことがある訳はない。
とにかく、警戒しておかなくては……と身構えつつも踊り場に出た途端、
ドガァァアアアアアン!!
「ぐっ!」「うわぁぁあああ!?」
ワルキューレ3体と、ユーゼスとギーシュが吹き飛ばされた。
支援
操り主であるギーシュが攻撃されたので、自然とワルキューレ全ての動きが止まる。
「ユーゼス! ギーシュ!」
何が起こったのかはよく分からなかったが、とにかく攻撃されたのは間違いない―――と、ルイズは周囲を確認するため
に足を止め―――
「っ、構うな、進め!」「止まってはいけない、ルイズ!」
「あ……!」
―――足を止めようとしたら、ユーゼスに叫ばれ、ワルドに強引に腕を引っ張られ、止まることが出来なかった。
「ワルド、でもユーゼスたちが…!」
「行くぞ、ルイズ!」
ワルキューレの護衛がいなくなったために無防備になるルイズだったが、すかさずワルドが隣に付いてルイズを守る。
そして事前の打ち合わせ通り『襲われたユーゼスとギーシュに構わずに』進み続けた。
「止まって、止まりなさいワルド!! 私は……!!」
「使い魔君の気持ちと覚悟を、無駄にしてはいけない! 悪いがここは彼らに任せて、僕たちはアルビオンに行くぞ!」
セリフの中にギーシュが含まれていなかったが、ともかく『任務遂行が第一』なのは間違いない。
「……、〜〜〜〜!!」
わずかな逡巡と葛藤の後、歯ぎしりしながらルイズは前へと進んでいく。
後ろ髪を猛烈に引っ張られる思いだったが、ここは―――
「……はあ。それじゃ、あたしに任せておきなさいな」
「え?」
任務遂行が最優先、と強引に自分に言い聞かせようとしていたら、キュルケが溜息と共に立ち止まった。
そしてユーゼスに向かって杖を振り上げて攻撃しようとしていた白い仮面の男に、ファイヤーボールを放つ。
しかし、その火球は風によって掻き消された。
「ああもう、また風系統!?」
先日の焼き直しのように自分の攻撃が無効化されたので、思わず舌打ちするキュルケ。
「……ちょうどいいわ、そいつから聞いた『アレ』を、アンタで試してあげる!」
アルビオンに向かう前夜、ユーゼスから聞いた『火』と『風』の関係を思い出しながら、キュルケは火球を作り始めた。
そのまま敵がどの方向に動いても対応が出来るように狙いを定めていると、スッと隣にタバサが現れる。
「タバサ? どうしてあなたまで?」
「多分、あなたと同じ」
杖を構え、仮面の男に向かって呪文の詠唱を開始するタバサ。
キュルケは微笑を浮かべると、タバサと合わせるようにして火球の温度を上げていく。
「―――――」
さすがに旗色が悪いと見たのか、仮面の男は一度ユーゼスたちから距離を取った。
その間に、ギーシュは止まっていたワルキューレを再起動させ、ユーゼスは吹き飛ばされた拍子に落としてしまった剣を
拾おうとする。
だが。
「……! 構えて!」
「!?」
少し遠くに剣が飛ばされてしまったため、急いでその場所に向かおうとしたところで、切迫したタバサの声が聞こえてき
た。
(唐突に『構えろ』と言われてもな……!)
剣には手が届かない。どのような危機が迫っているのかは知らないが、鞭では防げまい。ならば最後の一つを使うしか
ないだろう。
背中に背負っていはいたが、背中に手を伸ばして抜き放つなどやりにくいことこの上ないので、鞘に入れたまま『それ』
を構える。
直後、
バリィイイイイインッ!!
稲妻がユーゼスを襲った。
衝撃と威力で、鞘が砕け散る。
「うおっ!? な、なんだなんだ!?」
いきなり電撃を浴びせられたので、仰天するデルフリンガー。今までずっと鞘に入れられっぱなしだったので、状況の
把握が出来ていないようだ。
「……ぐ……ぅ……」
ユーゼスは痛みに呻(ウメ)いており、その顔にはビッシリと汗が浮かんでいる。
見ると、左腕が大火傷を通り越して、軽く炭化していた。
(『ライトニング・クラウド』……)
ユーゼスを攻撃した魔法の名称に、タバサが思い当たる。
しかし、今は敵の魔法について、いちいち考えている場合ではない。
キュルケとタバサは即座に詠唱と攻撃準備を終了させると、二人同時に魔法を放った。
「―――――」
白仮面の男はそれを見てすぐに階段から飛び降り、地面へと落下する。
一瞬後、白仮面のいた位置を高温の火球と風の刃が通り過ぎ、目標を見失った攻撃は大樹の壁に盛大に穴を開けた。
「逃がしちゃったか……」
「あの男を倒すことは、最優先じゃない。それより―――」
「だ、大丈夫かい!?」
重傷を負ったユーゼスの元に駆け寄る3人。
……あらためてその怪我を見たキュルケが、苦い顔をした。
「これは……ちょっと酷すぎるわね」
「応急手当をする」
タバサがルーンを唱えて、ユーゼスの左腕に『治癒』をかける。
「ぎ……、っ、っっ!!」
「ギーシュ、ワルキューレを使ってそいつを押さえてて!」
「わ、分かった」
痛んだ細胞が動き始めたので、激烈な痛みがユーゼスを苦しめる。本人が意図せずとも、生物的な機能として痛みから
逃れようとユーゼスが身をよじるが、キュルケの素早い指示によってそれは最小限に食い止められた。
そしてしばらくタバサは『治癒』をかけ続けていたが、
「……ごめんなさい、わたしの精神力ではここまで」
『軽い炭化』が『大火傷』にランクダウンしたあたりで、彼女の精神力が切れた。気絶するわけにはいかないので、ギリ
ギリの所で『治癒』を切り上げる。
「カハッ! ハア、ハア、ハア……!!」
荒く息を吐くユーゼスに、ギーシュは心配そうに、だが意外そうに声をかける。
「み、見るからに痛そうだが……しかし、よく生きてたな。さっきの魔法は『ライトニング・クラウド』だろう? 確か、
まともに受けたら命がないと教わったような気がするんだが」
「それは間違いないはず」
ギーシュの意見にタバサが同意した。
キュルケはデルフリンガーを拾い上げると、まじまじと観察し始める。
「この剣が、『ライトニング・クラウド』の威力を軽減したみたいね……。……アンタ、金属じゃないの?」
ハルケギニアの人間にとって『電気』の概念は一般的ではないが、授業で得た知識として『ライトニング・クラウド』は
鉄などの金属では防げない、とキュルケは覚えていた。
「んー、知らん。忘れた」
「何よ、それ?」
「しょうがねぇだろ、自分でも覚えてねえくらい長くインテリジェンスソードやってんだ。
いや、しかし、剣としての……存在意義? みたいなのに悩んでたら、いきなり剣として使われるとはなぁ」
厳密に言うと『剣』じゃなくて『盾代わり』じゃないかね、とギーシュは言おうとしたが、何だかヤケにデルフリンガー
が嬉しそうだったので、言うのを止めておいた。
支援
これくらい格好良くて迫力ある戦闘シーンをかけるようになりたいなぁ
と、いきなりユーゼスが立ち上がって剣を拾い、前に進もうとする。
「ちょ、ちょっと、どこに行こうってのよ!?」
「一旦町に戻って、ちゃんとした手当てを受けた方が……」
「―――御主人様たちを追う。まだ間に合う可能性もゼロではない」
「その怪我で!?」
ギーシュに言われて、ユーゼスは自分の傷の具合を確認した。そして冷静な口調で言う。
「……この程度なら、問題はない。私は全身にこれよりも酷い怪我を負ったことがある」
「「「……………」」」
この男は一体どのような人生を送ってきたのだろう、と3人は同時に思った。
それからすぐに思考を戻して、ユーゼスの体調を気遣い始める。
「いや、100歩譲って追うのは良いが、せめてゆっくり行くべきだよ」
「そうよ、無理をして途中で倒れられても困るし」
「……何か、運ぶためのものがあれば……」
担架でもあればそれにユーゼスを乗せ、ワルキューレにでも持たせて移動するのだが、そんな便利なものが都合よくある
はずもない。
『錬金』で作ろうかとも考えたが、土系統のギーシュはどちらかと言うと金属が専門で、しかも既にワルキューレを7体
出しているので精神力は限界に近かったし、タバサも前述の通り精神力が限界寸前、キュルケに至っては火系統以外がほと
んどからっきし、という状態である。
悩む3人だったが、それに構わずユーゼスは進もうとしていた。
(あの仮面の男……)
自分に『ライトニング・クラウド』を見舞った相手は、まず間違いなく昨日『金の酒樽亭』で自分とシュウ・シラカワ
との会話を窺っていた男である。
そして必要以上にルイズへと実力をアピールしようとした、朝のワルドの態度も少しばかり気になる。
とにかく確信らしいものはなかったが、ユーゼスはワルドに対して妙な予感を覚えていた。
誰なのかは今ひとつ思い出せないのだが、とにかく彼は自分の知っている誰かにタイプが似ているような気がするのであ
る。
と言うか、キュルケとタバサが残ると思っていたから、自分は早々にリタイア宣言をしたのだが……。
一方キュルケたちは、おぼつかない足取りで歩き続けるユーゼスにかける言葉を探していた。
しかし理屈でこの男を納得させるのは困難だ、と頭を悩ませていると、
「フゴ!」
「おお、ヴェルダンデ!」
先程キュルケとタバサが空けた大穴から、ギーシュの使い魔のジャイアントモールであるヴェルダンデが顔を出した。
「ごめんよ、ヴェルダンデ! 急いでいたとは言え、君を置いて行ってしまって……。この樹を登って来たのかい?」
「フゴフゴ」
「樹を登ったって……器用なモグラね」
呆れたような感心したような声を漏らすキュルケ。
「そうだ! ユーゼス、ヴェルダンデに背負ってもらったらどうだね?」
「……む」
悪くない提案に思えた。
『問題はない』と強がってはみたが、実際のところはいつ倒れてしまってもおかしくない状態である―――と自分の容態
を分析していたユーゼスにとって、この申し出はありがたい。
「……では、その言葉に甘えさせてもらおう」
「うむ。では頼むよ、ヴェルダンデ」
「フゴフゴ」
そうしてジャイアントモールの背に横たわるという少しばかり間抜けな格好で、ユーゼスはギーシュとキュルケとタバサ
と一緒にルイズたちの後を追った。
「ユーゼス……。ツェルプストー、タバサ、ギーシュ……」
ルイズは意気消沈しながら、遠ざかっていくラ・ロシェールの灯を眺めていた。
……結局、彼らは自分たちに追いついてこなかった。
無事だろうか?
怪我などしていないだろうか?
生きて……いるのだろうか?
心配すれば、キリがない。
「ルイズ……」
そんな彼女を心配してか、ワルドが歩み寄ってルイズの肩に手を伸ばしたその時、
「ああ、いたいた! ルイズー! ワルド子爵ー!」
「だぁ〜! 何でこの僕が風竜の口に咥えられなきゃいけないのかね!?」
「定員オーバー。
……ちゃんと噛み砕かないように気をつけさせるから、安心して」
「いや、そういう問題じゃなくてだね!?」
「フゴフゴ」
「……ミス・タバサ、もう少し穏やかに、飛んで……。ぐっ、傷と酔いが……」
置いて来てしまったメンバーが、青い風竜―――タバサの使い魔のシルフィードに乗って飛行する船に追いついてきた。
「みんな……!!」
ルイズの顔がパッと明るくなり、彼らのいる方へと走っていく。
ワルドの手は、空を切った。
見ると、ルイズは風竜から船へと乗り移るキュルケたちに手を貸し、そしてユーゼスの左腕を見て顔を青くしている。
「……ええい、どうしてこうも……!」
―――彼の悪態は、幸いにして誰にも聞かれることはなかった。
支援
…ワルド、うん、頑張れ
支援
以上です。
……しかし前にも書きましたが、なんでこう私の書く話ってのは無駄に長いんでしょうかねぇ……。
もっとコンパクトにまとめようと思えば、まとめられるような気はするんですが……。
皆さんには私の変な凝り性に付き合わせてしまって、申し訳ありません。
……しかも、凝った割には後で読み返したときにかなりアレな間違いを見つけてギャア、とかよくありますし……。
それでは、支援ありがとうございました。
>342
メンテナンスをどうするかが問題だな
あれは無印のOPムービーが格好良すぎる
ゼロ魔世界の登場人物を大事に描きたいという気持ちが伝わってくる。
もちろん、スパロボ世界との良い意味でのクロスオーバーを成し遂げたいという
意欲も。応援しないわけがない。次回も待ってます。
乙でした
長さに関しては読み手としては全く気にならないし、むしろ楽しめてるから問題ないですよ
ラスボスの人乙です。
自分のペースでやればいいと思いますよ。
ルイズの成長と次回にwktk
乙でした〜!
丁寧な描写、惚れ惚れします
いつもさらっと流す描写書いてばかりの自分が恥ずかしい…
今金曜ロードショーに出演してる人、召還できる人いない?
>>360 11回投下してもまだ決闘すら到達していない私が通りますね。
長くても面白ければぜんぜん問題ないと思いますよ。
まず彼を押さえつけてキスをするのが無理
あのスーパーコックを押さえつけるなんて無理だろうし
>>236 遅レスな上、スレとはあまり関係ないのだが
初期のフランス革命軍って負けまくってなかったっけ?
それに、革命軍って徴用された農民兵がメインだったような
金曜ロードショー見てないけど、スーパーコックならセガールか…?
あれはリアルでもスタント不要のスーパーヒューマンだから危険すぎるぞ
ラスボスの人、乙です。
いやはや、ユーゼス苦労人。でも、カッコいい。
ワルドは、今のイライラが後で爆発しない事を祈りたい。
で、ルイズが大人だ〜。
無理せず自分のペースでがんばってください。続き楽しみにしてます。
それで…毒の爪の使い魔20話後半が書きあがったんですが、投下宜しいでしょうか?
ああいや、投下宣言はしてないか・・・通りすがり?
内容的に鳥付きでレスしただけじゃね?
ブレス4からユンナを召喚!
したら誰かが神に改造されるんでやめときます
>>372 私の場合、その場で思い付いたことをゴチャッと盛り込んじゃうんですよねぇ。
ともあれ、人物の内面描写などで手本にさせてもらっている毒の爪の方、支援です。
既に予約があるのでしょうか?なら、その方の15分ほど後にでも。
>>378 ありませんので、宜しければ投下どうぞー
では、お言葉に甘えて…投下開始します。
魔法で灯された火を中心として巻き起こった、凄まじい爆音と爆風が草原を蹂躙した。
コルベールはマントで身体を覆い、地面に伏せてそれらをやり過ごす。
やがて、爆音も爆風も収まった時、コルベールは身を起こした。
今、彼の眼前に広がっているのは先程までの草原ではない。
炎…、炎…、炎…、
天すら焦がさんとするかのような巨大な炎が、大地を…草原だった所を蹂躙している。
そう…それは火事など生易しく見える、炎の洪水。
その凄まじさに「地獄があると言うのならば、こういう物なのだろう」と、見る人は考えるかもしれない。
コルベールは寂しげであり、悲しげな表情を浮かべる。
火、土、水。火と土と水が一つずつ。
『コンデンセイション』で空気中の大量の水蒸気を水に戻し、
『錬金』で戻した水を油、空気中に残っている水蒸気を気化油に変え、
最後に油の中心部分に小さな火を発生させる事で点火。
炎は一瞬で小さな油の池を燃え上がらせ、気化油に引火…大爆発を巻き起こす。
『獄炎』……それはコルベールが最も忌み嫌う攻撃呪文。
名の通りの炎の牢獄はそこに居た者、在った物、…それら一切の存在を焼き尽くし、抹消する。
後には骨の欠片は勿論、灰すら残らない。
その暴力的な威力は『火』系統が破壊のみをもたらす系統であると、暗示しているかのようだ。
それは常に『火』を平和利用しようと考えるコルベールには辛い物があった。
「…悪人にも、善人にもなりきれなかったな。ジャンガ君…」
コルベールは勢いを増して燃え盛る炎を、冷ややかな…しかし、悲しみを宿した目で見据えた。
できる事ならば殺したくはなかった…。しかし、自分も死ぬ事は許されない。
コルベールは静かに眼を閉じた。
瞼の裏に浮かぶのは燃え盛る村。何の咎無く、住む人々諸共焼き尽くされた村。
どれだけの年月が経とうと、決して色あせることのない罪深い記憶。
自分には生きて世の人に尽くす”義務”がある。
そして、今の自分は教師だ。生徒を守る”義務”もある。
のうのうと生きる事は許されない。だが、軽々しく死ぬ事も許されない。
ただ、人に尽くす事が今の自分の全てだった。
「…傲慢だな、私も」
小さく呟き、静かに目を開けた。
――炎を掻き分け、絶叫と共に自分に飛び掛る影。
その光景にコルベールが目を見開くのと、彼の胸が切り裂かれたのは、ほぼ同時だった。
支援
しからば支援
血の糸を引きながらコルベールは大きく吹き飛ばされ、城壁に背中から衝突した。
ごぼっ、と口から血の塊を吐き出す。
胸の傷も深い。どうみても致命傷にあたるだろう。
コルベールはゆっくりとした動作で何とか顔を上げる。
目の前には炎から飛び出した影がいた。
身に付けたコートや帽子からは煙が立ち昇り、所々が微妙に黒ずんでいる。
影は肩を上下に激しく動かし、荒い呼吸を整えているようだった。
「ハァ…、ハァ…、ハァ…」
暫く荒く息を吐いていたが、やがて落ち着いたのか、深く深呼吸を一つする。
壁を背を預けるようにして倒れているコルベールを見下ろしながら、影は口を開く。
「…俺の勝ちだな」
「…よく、無事だったね…ジャンガ君」
コルベールの言葉にジャンガは爪でコートを指し示す。
「このコートはな…ただのコートじゃねェ。
俺が前に居た世界のボルクって所の技術で、耐熱・防火用の特殊コーティングを施した防護服だ。
最新の物を使ってるからな、手榴弾の爆発程度は防げる。
まァ……流石に今のテメェの起こした爆発には死ぬかと思ったが…、何とか生還できたゼ」
ジャンガの説明は、コルベールですら難解だった。
だが、彼のコートが熱や爆発を防ぐ力がある、と言う事は理解できた。
「なるほど……君の世界の技術は凄い物だ…」
「フン…」
軽く鼻を鳴らし、ジャンガはマフラーを手に取る。
多少煤けている様ではあったが、特に酷い焦げ後などは見当たらない。
前にルイズに少し吹き飛ばされた事に懲りた彼は、以前適当に捕まえたメイジに、
無理矢理マフラーに『固定化』を掛けさせていたのだ。
「ハッ…まァ、たまにはメイジも役に立つか」
そう呟き、マフラーを放すとコルベールを見据える。
胸は自分が無我夢中で振り上げた爪で大きく切り裂かれている。
毒は出していなかったが、致命傷である事に変わりない。
「終わりだな……テメェもよ」
「…そのようだな…」
死に掛けているというのにも関わらず、コルベールは穏やかな表情を浮かべている。
それがジャンガには苛立たしかった。
「何でそんなに余裕なんだ…テメェはよ?」
コルベールは穏やかだった表情に悲しげな色を浮かべる。
「別に余裕ではない…。ただ…」
「ただ?」
「…心残りがあるだけだ」
「心残り?」
「詳しく聞きたいのかね…?」
「…興味はある」
言葉だけを聞けば、ただの興味本位と取られるだろう。
だが、ジャンガの目はただの興味本位でないのを、コルベールは理解した。
コルベールは静かに深呼吸をする。
385 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/19(金) 21:37:16 ID:c1QhmRlf
やはりキャラクターが深いですな支援
支援
>>370 初期に負けまくったのは革命で首切りまくったせいで優秀な士官が死んだり亡命したりしたせいだよ(士官の大半は貴族)。
それと徴用された農民兵も確かにいたけど、少なくとも他国には「市民兵」はいなかった。
それはそれとして毒の爪支援。
くたばりなはぁー支援
ageてしまいました、申し訳ありません。
支援だ
「私は嘗て…大きな罪を犯した…」
「ハァ?善良と能天気を掛け合わせたのが服着てるような、テメェが?」
怪訝な顔をするジャンガの問い掛けに、静かに頷く。
「アカデミー実験小隊……知っているかね?」
「ああ…図書館とかを覗かせてもらうようになってから、この世界に興味も出ててたからな。
確か…王立直属の魔法研究機関『アカデミー』がメイジだけで作った部隊。
戦いにかこつけて、攻撃魔法の人体実験やら、範囲魔法によって起こる被害の実験なんかをしてたんだってな。
…で、それがどうした?」
「なら…ダングルテールの虐殺も知っているだろう」
ああ、そういう事か…、合点がいったジャンガは小さく鼻を鳴らす。
その様子に、コルベールは話を続ける。
「私は嘗て…アカデミー実験小隊の隊長を勤めていた。
そして…、ダングルテールを焼き払い…罪無き多くの人々の命を奪った。…二十年ほど前の事だ」
「…何でそんなことした?」
一呼吸置き、コルベールは続ける。
「…命令だった。疫病が発生し、焼かねば被害が広がる。だから焼き尽くせと…そう告げられた。…仕方なく焼いた」
「それのどこが罪深いんだ?命令に従っただけじゃねェか…」
コルベールは深く息を吐いた。
「…その命令は偽りだった…」
「偽り?」
「”新教徒狩り”…それがあの村を焼き払わせた本当の目的…。
一人の匿われた新教徒を殺すための…命令だったのだ…」
始祖ブリミルを信仰する宗教『ブリミル教』。
貴族を中心に広く信仰されているブリミル教は強い影響力を持つが、
長い年月の間に貴族との癒着や、始祖の祈祷書の内容をいいように解釈して平民から搾取するなどの腐敗が進んでいる。
そんな状況を変えようと、始祖の祈祷書の内容を正しく解釈し、腐敗した寺院の改革を目指す、
ロマリアの一司教から始まった運動『実践教義』。その信者が『新教徒』と呼ばれており、
その活動を快く思わない『寺院』によって二十年ほど前に行われた弾圧が”新教徒狩り”だった。
「…フン」
ジャンガは忌々しそうに鼻を鳴らす。
「私は真実を知り…悔いた…。罪の意識にさいなまれた…。
例え…命令であろうとも…、罪無き人々を焼いていいわけが無い…。
だから私は軍をやめた。そして…炎をけっして、破壊の為には……命を奪う事には使うまいと…誓った」
「それで、ここで教師をしながら研究、研究。…あの”愉快なヘビくん”ってのを作ったりして、
火の平和利用を考えていたと…?…ご苦労なこったな。その火で、今しがた殺し合いをしていたばかりだがよ…」
「確かにな…」
ジャンガの皮肉にコルベールは自嘲気味に笑った。
「私は研究に打ち込み、火の平和利用を考えてきた…。
一人でも多くの人間に尽くす事……それが”贖罪”だと考えた。
いや…”贖罪”などとは傲慢だな。…これは”義務”なのだ。
あの…大きな罪を犯した私にとって、生きて人に尽くす事は…”義務”なのだ」
支援
クロノアで火事といえば機動戦車ビスカーシュ支援
ジャンガは帽子を押さえ、ため息を一つ吐いた。
「…それで?テメェは満足か?罪の意識が薄らぐか?……だとしたら、テメェは大した卑怯者だ!」
ジャンガは叫んだ。
「贖罪?義務?ちゃんちゃら可笑しいな!…何をしようがテメェが犯罪者で人殺しなのは変わらねェ…。
罪の意識があるんだったら、とっとと死んで詫びればいいじゃねェかよ!?
それが何だ…”死を選ぶ事すら許されない”…だって?キキキ……死ぬのが嫌だって事に対する言い訳にしか聞こえねェな〜?」
ジャンガは亀裂のような笑みを浮かべながらコルベールの顔を覗き見る。
「テメェは結局…何だかんだ理由をつけて、大変な事をしたって事実から逃げたいだけなんだよ。
本心を偽って、現実から目を背けて、それで平穏に暮らして生きたいだけなんだよ」
コルベールは答えない…、ただ真っ直ぐにジャンガを見つめている。
ジャンガは舌打ちをする。
「テメェ…さっき炎の中の俺に”悪人にも、善人にもなりきれなかったな”って言ったよな?…そっくり返してやるゼ。
ちょっと”闇”を経験しただけで軍を抜け…、くだらねェ…実りもしねェ研究をダラダラ続けてる…。
テメェこそ…悪人にも、善人にもなりきれてねェ。
一度闇に堕ちた奴は、二度と日の当たる所には戻れないんだよ」
「…そうだな……そうかもしれない」
コルベールはそう呟いた。
ジャンガは忌々しい物を見るように、目を吊り上げ、歯を噛み締める。
何だコイツは?
真っ白でも真っ黒でもない、中途半端な存在。
大勢の人間を命令だからと燃やしておきながら、騙されたからと逃げ出し、
他人の為にと御託を並べ、理解されもしない研究を続けて人に尽くそうとする臆病者。
…何だよ、”アイツ”なんかよりもそっくりな奴がいるじゃないか…。
ほら、よく知ってる奴だよ…。
(…そうだよ……”俺”にそっくりなんだよ…)
ありとあらゆるものを裏切った自分に…
辛い現実から逃げ続けた自分に…
死にたいと願いながら寸前で逃げた自分に…
コイツは…あまりに似すぎてる…
噛み締めた歯がギリギリと音を立てる。
支援
支援
支援
支援? さる来たか?
支援
ジャンガの様子に気が付いたか否か…、コルベールが声を掛ける。
「ジャンガ君…」
「チッ……なんだ?」
「私を殺した事を後悔してくれるかね?」
「…はァッ?」
突然何を言い出すんだコイツは?
ジャンガは呆然とコルベールを見つめる。
「何を言い出すかと思えば…ふざけた事言ってるんじゃねェよ!
何で俺が……テメェを殺した事、後悔するんだよ!?バカバカしいゼ!」
「”一度闇に堕ちた者は戻れない”……君はそう言ったな?確かに”罪”というのはそういう物だろう…。
罪は一生消えない物だ…、どれだけ人に尽くそうと…、研究を進めようと…、決して消えない」
「それだけ解っていながら……テメェは何で生き続けるんだよ?」
「死を選ぶ事すら…私にとっては傲慢だからだ…」
「…チッ」
「ただ一人…」
「あン?」
「ただ一人……いるかもしれない」
「誰がだよ?」
「私を裁く事の出来る…唯一の人間が…」
静寂が訪れる。
燃え盛る炎の音と、ときたま吹く風の音だけが辺りに響いた。
コルベールは顔を上げた。
ジャンガを真っ直ぐに見据える。
「さきほどの質問の意味を答えよう…。…君は、今悩んでいる。
このまま進むか、戻るかで…」
「…ッ!?」
図星だった。
「私が”自分の死について後悔するか”と君に尋ねたのはそういう事だ。
私の死を後悔してくれるのであれば……君はまだ、戻る事が出来る…」
「ざけんじゃねェ……大体、前提が違うんだよ…。
俺は好きでこの道を歩んでるんだ!他人を蔑み、傷付け、殺し、奪い、裏切ってきたんだ!
これからもそうやっていくゼ!俺は悪党だからな!毒の爪のジャン――」
「だが……君はミス・ヴァリエールを助けてくれたではないか?」
「何?俺がいつあのガキを助けたってんだ?」
「フーケの討伐の時だ…」
「あれは…ただの気まぐれだ」
「君は…気まぐれで人を助けるような者が…純粋な悪人、悪党だと言うのかね…?」
コルベールの言葉にジャンガは黙る。
「それに、あの日の祝賀祭……失礼ながら見ていたよ。
君とミス・ヴァリエールの…ダンスをね…」
「…暇な奴だ」
「ははは……本当ならば、私もミス・ロングビルと踊りたかったのだがね…。
…残念ながら、それは無理になったが…」
コルベールは笑い、そして咳き込んだ。
「…やはり君も悪人にはなりきれていない。いや…寧ろ、正しい道を歩もうとしているように見える…」
「何が正しい道なのかは…そいつ次第だ。勝手に他人の進む道を決めようとすんじゃねェ…」
「そうだな……それこそ傲慢だ…。
だが……私は君には…今、歩みだそうとしている道を歩んでもらいたい…。
そう…これも、私の”義務”だと思うのだ…」
「本当に傲慢な奴だ」
「まったくだな…」
力なく笑うコルベール。
しかし、瞳の輝きは未だ力強い。
「それでも…ジャンガ君……私は思うのだよ」
「…何だ?」
「例え…闇に堕ちても……罪を犯そうとも……、きっかけ一つで…人は…変われるのだと…」
やっぱジャンガは外道だろ支援
綺麗なジャンガも見たいような・・・見たくないような
鮮血のコルベールの死に様を思い出してほろり支援
コルベールの言葉にジャンガは空を見上げる。燃え上がる炎に照らされ、暗い夜空が僅かに赤く染まっている。
きっかけ一つで変われる……安っぽい、陳腐な言葉だ。
だが…それを否定しきれていない自分が居る事にも気付く。
ジャンガは目を閉じた。
思い返されるのは”向こう”での日々。
桃色髪の亜人の少女には毎日振り回され…それでも充実していた。
金色の死神とのコンビは、利用する為とはいえ…悪くはなかった。
次いで浮かんだのは”こちら”での日々。
見た目の雰囲気は似ているも、中身はまるで似てない生意気な桃色髪のガキ。
記憶の改変で結果的に懐いたメイド。
”向こう”のあのガキに似た人形娘。
それらとの毎日は……正直に言えば、悪くなかった。
「…はァ」
ジャンガは情けないと思った。
甘ったるい、日常に染まりかけていた自分自身に。
そして、それを認識しても受け入れている自分自身に。
「もう……昔の毒の爪は…何処にもいないじゃねェかよ…」
爆音が轟いた。
目を見開き、正門の方角へと目を向ける。
恐らく、向こうの戦いはまだ続いているのだろう。
ジャンガは向かおうとし…足を止め、コルベールを見下ろす。
首を上げるのが疲れるのか、俯いている。
しゃがみ込み、コルベールの顔を覗き込む。
「おい…何か、あいつ等に伝える事があるんだったら、聞いとくゼ?」
コルベールは答えない。俯いたままだ。
その様子にジャンガは怪訝な顔をする。
「おいッ?」
呼びかける。
答えない。
「おいッ!」
叫んだ。
それでも答えない
「……」
コルベールの目は閉じていた。
その顔は何処までも安らかである。
ジャンガは静かに立ち上がった。
そして空に浮かぶ月を見上げる。
え…?マジで死ぬの!?支援
MtLに続いてこっちでもコルベール死亡……?
塔から棒を抜いては積み、抜いては積みを繰り返し
倒壊させた者の負け支援
どちらでも美味しいからいいけどね支援
「何故だよ…」
二つの月が揺らめく。
何か冷たい物が頬を伝わる。
解っていた事のはずだ……こうなるのは…。
それでも…何故か、どうしようもなく悲しい…。
「何故だよ…」
ジャンガの呟きにデルフリンガーは声を掛けようとしたが、止めた。
話しかけるべきでないと判断したのだ。
そんなデルフリンガーの気遣いなど、今のジャンガにはどうでもよかった。
「何故……お前のような奴が…死んで……、俺みたいな奴が…生き残るんだよ…?
何で……お前は…俺を憎まなかったんだよ…?」
ジャンガの呟きはコルベールに向けられた物であり、同時に嘗ての相棒に向けられた物でもあった。
「神なんかいやしねェ…。いたとしても…相当性格が悪いゼ…。
俺に…まだ、生き地獄を味合わせようと言うんだからよ…」
あの月で、自分は悪党として死ねたはずだった。
なのに…ここへ召喚された。そして生かされた。
「死にたいんだったら、勝手にそうすりゃいいよな…。
でもよ……俺は普通に死にたくねェんだ…。
悪党として最低で……最悪で……無様な死に様を晒したいんだ…。
そうじゃなきゃ…俺は死んじゃいけねェんだよ…」
勿論…それは自分の勝手な理屈だという事は解っている。
コルベールを見下ろす。
この男に言ったように、自分は死ぬのが怖い。
だから…向こうでも、あのガキに殺されそうになった時、無様に命乞いをした…。
死にたいのに、死ぬのが怖い……矛盾した思いが自分の心を締め付ける。
情けない…本当に情けない…。
「俺は……いつまで苦しみ続ければいいんだろうな……バッツ?」
涙を流しながら、ジャンガは嘗ての相棒の名を口にした。
支援
死神ラッシュは必殺技としてはダサすぎ支援
以上で投下終了です。
前回の投下時に支援はあったものの、何もコメントが無かったので、
何か失礼をしたのか…心配でした(汗)
で、とりあえず一言。…コルベールすまん。
いや、最初のプロットを組んだ段階では、コルベール出る予定じゃなかったんですよ。
それが、プロットを汲みなおす際に、どうもこういう展開しかなくて…。
コルベールは好きですよ!?いや、本当に!
それでは、今回はこれで。アディオース!
乙でしたー
鮮血といいMtLといい毒の爪といい、なして輝いてるコルベールは死んでしまうん?
乙。
>>413 輝くから死ぬんじゃない、死ぬから輝くんだ。
>>411 乙でしたー。
たまたま読んでる人がいなかっただけだと思います。
>>411 乙でした
前半コメしそびれたけど、後半やたら気になってましたよ
ああ、コルベールかっこよく死んだか
毒の爪の方、乙でした。
ぐぁぁぁぁああああ、少なくとも今の私じゃ、この領域には到達できねえぇぇえええ。
ま、ただコピーして、それで自分の納得出来るものが書けるのかって言えば、そうでもないんですけど。
ともあれ、勉強させていただきました。
コルベールは何だかんだ言って、けっこうヘビーなキャラですよね。扱いに苦労する面もありますし。
それに上手く決着をつけるとは、さすがです。
>>413 消える寸前の蝋燭はより激しく燃えるとか魂が漏れだした光を頭が反射してるとか言われてなかったか?
あ、そういえば一つ補足し忘れたことが。
ジャンガのコートが耐熱、防火コーティングをしてあると言うオリジナル設定は、
ナムカプでジャンガに属性防御で熱耐性があることからきてます。
予約が無いなら三話目を10時30分ごろに投下させて頂きたいのですがいいですか?
気のせいかもしれないですけど、私が投下するとその後に投下ラッシュが起こる可能性が高くないですか支援
>>422 とうとう作者が因果率を操る事ができるようになったか・・・
時間なんで始めます
ゼロの使い魔様は根腐れしてやがる!!3話目
「ご・・・誤解なんだ!!二人とも!!」
いきなりの大声で自分の無実を力説するのは ミスターかませ とか、ヤム○ャの系譜とか
色々と言われることの多い男、ギーシュ・ド・グラモン
彼が何故こんなにあせっているのかと言うと、話はちょっと前に遡る
アルヴィースの大食堂、ここでギーシュと友人たちが年頃特有の恋話に華を咲かせていた時の事だった
ふいにギーシュのポケットから香水の瓶が落ちた
それをたまたまシエスタが拾い、持ち主に返そうとした。
だがギーシュはそれを受け取らなかった、いや受け取れなかったのだ この場では、
理由は彼が香水をプレゼントされたモンモランシーの他に1年生のケティと言う女の子に浮気をし、
あまつさえ、その二人がすぐそばにいると言う状態 なんとかして最悪の事態は避けたい その時!!
「えー もみ消し、もみ消しぃ〜もみ消し屋はいらんかねぇ」
食堂内なのに何故か船でやってくる謎の海賊と謎の怪僧のコンビ
「あなたの人生をけつまずかせる物事をーあなたになりかわってもみ消しー」
「君、君」
「へい らっしゃい」
「まるで今の僕の状況のためにあるようなステキなお仕事だねぇ」
「おそれいりやす」
そしてギーシュはシエスタの手の中の香水瓶を指差し、
「こいつのもみ消しをお願いしたいのだが」
「へい 浮気の証拠隠滅 一丁」
「「それでは」」
男たちが仕事人の顔になり・・・そして
謎の怪僧がニギニギと香水瓶を握りつぶした
そして海に帰っていった(食堂だったはずなのだが)
「で、ギーシュ・・・浮気してたんだって(怒)」
「酷いです・・・ギーシュ様(泣)」
ギ・ギ・ギとギーシュが後ろを振り向くとそこにはモンモランシーとケティが・・・
そして話は冒頭の
「ご・・・誤解なんだ!!二人とも!!」に戻る
「「あれだけ大声で浮気、浮気言っておいて誤解も何もあるかぁ!!」」
「ぎゃああああ!!」
モンモランシーの水魔法が津波となってギーシュを襲う、
フライの魔法で飛翔したケティが全身に炎を纏いギーシュ目掛けて突撃する
「ぎゃああああ!!」
ついでにギーシュのもてぶりに嫉妬したマルコリヌが風魔法で自らを弾丸に突進してきた
「このやろお 羨ましいだろうが 破局道!!」
「てめぇ!!マルコメ!!破局の文字がちがああ!!」
こうして一つの悪は滅びた だが人は同じ過ちを繰り返す
「ぐううう、このギーシュが死すとも 必ずや第2、第3のギーシュが貴様らの目の前に・・・」
それはそれとして・・・
人の悩みに答えまSHOW!!
「はい、今日もショウタイムの時間となりました お馴染み司会は私、ベンジャミン軸盆」
「・・・アシスタント・・・ミス・ハシバミ」
スポットライトを浴びて登場する一振りの剣
「今回の悩みもちかけ人はこちら 煩すぎて武器として殆ど使われないインテリジェンスソード デルフリンガー君」
「え、ええ?俺っちなんでこんな所に?」
「彼がマトモに使われるにはどうしたらいいか 三人のスペシャリストがアンサー!!」
さらにその奥に三人の影にスポットライトが当たる
「そして、こちらがお答え頂く三人でーす」
左から、ルイズ、助手B、謎の怪僧
まずはルイズ嬢の答え
「んー、とりあえず喋らなければいいんじゃない?」
「それじゃあインテリジェンスソードじゃねぇだろ」
ドカーーーン
次に助手Bの答え
「今、使い手にめぐり合えない不幸はねぇ とりあえず印鑑かえればいいよ」
「いやいや、俺、武器だって・・・どうやって印鑑もつんだよ?」
最後、謎の怪僧の答え
「草花を愛でるのです」
「だから・・・俺・・・武器・・・」
「・・・」
「・・・」
ニギニギ
「はい!!また次回!!」
「・・・番組ではお悩みもちこみ人・・・募集中」
「ちょ、待って、もしかして俺様の出番ってこれだけかぁ!!待ってーー!!」
続く
支援してやがる!
三話目 終了です
次回 VSフーケ戦 破壊の○○ 登場 です デルフ君はこれ以降 登場する予定は・・・
あるから安心です
乙したー
根腐れの方、乙です。
良いテンポで話が進んでますなw
投下乙
何してんだラスプーチンとキャプテンキッドw
怪僧といわれても手足がでっかくなっちゃうあの人ぐらいしか思い浮かばねえ
博士乙です。
しかし、ワーヒーのキャラでデルフを使いこなせる人か・・・ジャンヌ様か?
騎士剣持ってるキャラだしね(ガリアン並みの蛇腹剣だが)
他に刃物持ってるのは忍者刀持ちのハンゾウ(正宗)&フウマ(村雨)のコンビに斧を持ってるエリックくらいか
(ワーヒー2キャラでは)
もみ消し屋思い出して思いっきり吹いたわw
つーか何気にモンモンがエーギルヘブリング、ケティが爆裂究極拳を使ってるぞw
>>371 ライバックは、両手を顔の前でクネクネさせはじめた
知らない人間が見ると盆踊りをしているようにしか見えない。
その奇妙な動きに一瞬忘我状態になったルイズであったが、すぐに気を取り直しライバックに掴み掛かろうとした
その瞬間、ライバックはルイズの手首をねじりあげ、それを支点としてルイズを回転させ地面に叩きつけた。
俯せになったままピクピクしているルイズの後ろから、ライバックはネックハンギングをしかける
10秒後にルイズの首骨は粉砕された。
ライバックは一言
ライバック「俺はキッチンで負けたことがないんだ」
誰も、ここはキッチンじゃないよ、という突っ込みを入れることができなかった。
完
こうですね、わかります
>>440 と書いてみたが、リョフは2に出てたかな?
切り裂きジャックとかも有りじゃないか?
よろしい。
では、八つ裂きジャックを召喚だ。
そして起こる七つ裂き殺人事件。
切り裂きジャックっつーと術聖マーリンとこの血統の生き残りか
>>441 調べてみたらリョフとジャックは2JETからだった……
BF2のMEC兵はまだですか。
ワーヒーか・・・
エリック使いだったのはいい思い出
そういやぁ魔女モーガンの血統のところの小娘が呼ばれた話も続きが来ないな
>>420 そういえば、以外とナムカプとか無フロとかとのクロスって無いな
やはり弾薬の問題か…
>>449 ナムカプ自体クロスじゃねーか、何が言いたいのだね君は
セガールの小ネタマダー?
>451
セガールと聞いて、何故かアンソニーを呼ぶ声が聞こえた。
>>452 そんなセガサターン初期のCMなんて誰も知らん
>>450 ゼロ魔とのクロス、ということだろうスレ的に考えて。
リュウが召喚されているSSあるから、一応、ナムカプとのクロスといえるんでは。
なに、シャオムウ以外は認めないだって?
ゴールドライタンって錬金の魔法で砂になったりしないかな?
決闘でギーシュ大勝利
>>448 『東の龍王』ぐらい生きてる長老にしてみれば小娘かもしれないけど・・・
でも大抵の古血からしてみれば、黒蛇は小娘じゃ無いような気がするぞ
雑君のひと乙。
ゲージ満タン超必で止めを刺して断末魔の絶叫多重演奏を楽しんでいた俺はアメフト使い。
「ジィザァ〜ス、ジィザァ〜ス、ジィザァ〜ス、ジジジジジジジジジジジジジジジジィザァ〜ス」
TOAの、なんだっけ、ブタザルみたいなあだ名付けられたマスコットキャラクター
あれ召喚すればルイズは溺愛するとみた
戦闘能力皆無だが
>>459 よう知らんけど山火事起こせる危険な動物じゃないの?
>>455 その理屈だと、東方不敗が呼ばれた作品はスパロボのクロスということになるぞ。
>461
公式側がクロスとかやってる場合はちと難しい
零児や小牟、沙耶とかのオリジナルキャラが呼ばれたか、明確にナムカプ世界から呼ばれたと描写されている場合のみじゃないの、ナムカプとのクロスと言えるのは。
ティンダロスの猟犬を召喚
思う存分「この馬鹿犬ぅ!」と……無理か。
犬なら星矢の白銀聖闘士、地獄の番犬座(ケルベロス)のダンテを。
「この馬鹿犬! あんたなんか88の星座でもないくせに何で聖闘士ヅラしてんのよっ!!」
「キャインキャインッ!」(ハートブレイクされた悲鳴)
・・いや、聖闘士で犬なら猟犬座(ハウンド)のアルテリオンとかもいるんだけどね?
犬も良いけど、豚なんてどうかな?
>>463 真祖な
>>464 だよな、オリジナル以外の参加キャラ読んでナムカプとのクロスって言い方はどうもおかしい
>>468 ナムカプのオリジナルキャラでなくとも、ナムカプの設定で連れてくりゃナムカプとのクロスになるんでないの?
そんな細かいことはどうでもいいんだよ
>>459 それはチーグルだな
戦闘力皆無とは随分と侮ってくれる
チーグルはソーサラーリングの力により・・・
人の言語を操れる
射程距離の長い炎を吐ける
大岩を砕く体当たりができる
空を飛べる(僅かではあるが、大人一人を浮かせることも可能)
そして何より・・・どれほど酷い扱いを受けても、ご主人様への忠誠心が揺らぐことはない
ルーク「こいつって結構優秀なんだ」
ティア「だって、かわいいし」
>>467 豚王ことポーキー召喚ですね、わかります。
「あのお方のテーマ」を流しながら歩くルイズ。
チンクルスゲー
>>473 3ラストのポーキーは……因果応報という言葉に当てはめるのは気の毒だと思うんだ
無限だと駄狐とスパンking召喚したら凄いことになるな……
ルイズなら声ネタで遊び安そうだし
弾はコルベール頼みで良いんじゃないか?
補充までに時間かかるとかで
カスタム隷奴派の俺にはイリュージョンなどどうでもいい。
比良坂先生………
強くて召喚されたことに腹もたてずひたすら従順なキャラはいないものか
>>478 教皇のトコには邪神像が召還されるとかな
モッコス様…だと?
そしてテファに召喚される牛乳姫orぽんこつ(乳的な意味で)
猫又娘だとどこからともなくスパンkingに叩かれに来そうでな……その際に弾薬購入も有りか?
>>482 ダニー・ザ・ドッグ
レオンを召喚したら面白いかな?
>・・いや、聖闘士で犬なら猟犬座(ハウンド)のアルテリオンとかもいるんだけどね?
「アステリオン」
ムゲフロ勢はほんのちょこっとだけラスボスの人も出してたけどな。
……本当に、ほんのちょこっとだけだったが。
>>487 あのマッハ2の速度で動けるのが自慢だったけど、
後付でマッハ2が白銀の最低ラインにされて涙目のアステリオンか
人間がマッハで動いたら、肉が吹っ飛ぶことを克己館長は教えてくれました
じゃあマッハパンチの元祖くにおくんを召喚するということで
>>491 以下の技を覚えれば世界最強を名乗れるぜw
にとろあたっく、まっはたたき、じぶんぎょらい、やまだのじゅつ(じぶんぎょらいで十分w)
尚、リキがまっはぱんち。くにお君はまっはきっく。
おまえ・・マッハパンチといえば塩漬けに食い殺された克巳がいるじゃねえか・・
>494
食われはしたが、殺されてはいなかったような?
ルイズが塩漬けを召喚したなら、即座に襲われ……ないな。多分、熟してないと判断されるだろうし。
この話定期的に出るな
きゃんきゃん喚いてうぜーからバカみたいに蹴っ飛ばす→グラップラー程頑丈じゃないので即死
こうなるだろうな
全ての男をを魅了するおっぱいの話題とどっちが定期的かね?
>>465 亀だかもし原作通りかつ原作が俺の想像通りだとしたら
避難所逝きじゃ済まないレベルになると思うぞ 大歓迎過ぎるが
弱すぎもせず強すぎも……しないいいキャラなんだけどなぁ 101匹わんこ
>>497 塩漬けとサイトで対応が同じな訳ないだろうJK
だれがどう見たって人間に見えないしな
ピクルを喚んでも少し身体の大きい浮浪者程度の認識じゃね?
>>500 見かけは全裸のでかい人間だし
少なくともメイジには見えないだろう
最初はピクルにちょっとたじろぐけど直ぐに上の立場でいようとするはず
>>495 喰うのやめて、腕をお供えにして立ち去ったじゃないか。
いやあ、カツミンは頑張った。
聖闘士なら初歩の初歩だがなあ、音速。
…バキは作中描画でバケモノじみて見えるが、スクウェアクラスには普通に負けると思うよ。
バキと戦う相手は弱体化してくれるからスクウェアも実質トライアングルまで落ちます
浮かされたら終わりだよな
あ、ツンデレ海王ならフッて息とばすも手が有るか
あの人投げナイフとか凶器を常時携帯してるぜ
>>504 勇次郎がワルドに負ける姿が想像できません
奴らの"武"はッ!!!!
天変地異を起こすレベルだぞッ!!!!!!!!
湾岸でミサイルの雨を潜ったと自負してた人役になりそうだな>ワルド
浮かされるで暗琉天破思い出した
勇次郎を喚んだら決闘で圧倒的な強さの勇次郎を見ても怖じ気づくことなく
負けを絶対に認めないかっこいいギーシュにしてだな
勇次郎のオーラに当てられてワルキューレで自分を殴りだすギーシュ
もういっそのことギーシュを主人公に(ry
モンモンは勇次郎にNTRるわけだな
>>514 近頃流行りのギーシュ憑依ですねわかります
真面目な話勇次郎呼んだら
蹂躙物というより最近のオーガの強さの描写がアレすぎて
むしろ一回りしてギャグ物になってしまうと思う
他の方の予約がなければ、12:10より投下させていただきます
勇次郎が召喚されたらコルベールが本能的に危険と判断して攻撃するかな?
勇次郎、消し炭となってしまうのか!?
三日が、過ぎた。
ジョゼフは自分の部屋で、ぼんやりとしたままだった。
ヴェルサルテイルを離れる準備はほとんどできており、落ち着く先も決めた。
いよいよ明日は、予定通り出発する日なのである。
後悔など、片もない。
だが、長い間住み慣れた場所を離れるというのは、どうして寂しさの残るものだった。
良い思い出はほとんどなかったけれど、それでも、やはりここはジョゼフにとっては生家であり、故郷なのだ。
(本当なら、いるべきではなかったのかもしれんがな……)
ジョゼフは自重して、手のひらを見つめてみた。
剣術などで使い込まれ、いくつもの胼胝ができている。
今日まで、そして、おそらくこの先も、魔法というものをつかむことのできない手だった。
ただひとつの例外をのぞいては。
握り拳を作ると、三日前のことが思い出された。
弟の顔を殴りつけた感触が、まざまざと甦ってきた。
手の甲に、ずきりと痛みが走ったようだった。
その痛みは、肉体の表面ではなく、奥底のほうから感じられた。
信じられないという顔で、自分を見上げる弟の顔が浮かんで、消える。
たまらないものが、ジョゼフの顔を痛苦で歪ませた。
弟への暴行は両親に、ことに母親からヒステリックな叱責を受けたが、今となってはどんなことを言われたのか覚えていない。
弟を殴ったのは、あれが初めてだった。
幼い頃は何度も喧嘩をしたことはあったが、手を上げたことなど一度たりともなかった。
無邪気な子供時代が過ぎ去る頃には、喧嘩らしい喧嘩さえしなくなった。
喧嘩をしたって、結果は見えている。
ガリアの誇る麒麟児であるシャルルと、無能王子のジョゼフの差はどうしようなく開いていたからだ。
(俺と、あいつは……本当に仲が良かったのだろうか)
幼い頃はまだしも、それ以降の二人の関係はどうだったのだろう。
今となっては、ひどく嘘臭くも思えてくるのだ。
生の感情のぶつかり合いというものが、あったのか。
(けれど、思いこみなら、思いこみで、良かったのにな……)
何か、小さい頃から大事にしていた宝物を、自分から投げ捨ててしまったような気がする。
(しかし、シャルルよ……お前が悪いんだ。お前が……)
自分のもっとも大事なものに、唾を吐きかけるような真似をするから……。
だからこそ、弟を殴ったのだ。
ある意味では、この世のもっとも愛していた弟を。
しかし、今から思えば、ジョゼフはシャルルを愛すると同時に憎んでいたのかもしれない。
愛と憎しみは表裏一体である。
この言葉は、誰のものだっただろうか。
それが全てに当てはまるかはわからないが、あるいは今の自分にも通じるものがあるのだろうか。
「ジョゼフ様」
後ろで、シェフィールドの声がした。
心配そうな顔をした少女が、ジョゼフを見ている。
彼女の、そんな顔は見たくはなかった。
シェフィールドには、いつも朗らかに笑っていてほしい。
「心配いらない」
ジョゼフは笑い、握った拳を開いた。
「シャルルのやつも大したことないそうで、父上も大目に見てくれるとさ。母上は、まあ、怒りぱなしだったがな」
「あの、そうではなくて……」
「どうした? 何かあったのか?」
シェフィールドの何か言いたそうな顔に、ジョゼフは不安になった。
ジョゼフの専属であることや、その生まれもあって、シェフィールドはあまり他のメイドと折り合いが良くない。
もしかすると、ジョゼフとシャルルの問題で、とばっちりを受けたのかもしれぬ。
シャルルを神輿にしている連中はヴェルサルテイルどころか、ガリアのあちこちにいる。
それに、シャルルは平民たちからも人気は高い。
社交界の令嬢や貴婦人たちのみならず、城のメイドたちからも<白面の貴公子>として大人気なのだ。
自分たちの愛するシャルルを殴りつけた無能な愚兄。
その愛人と見なされている蛮族のメイドという立場は、この状況では決して安全なものではない。
むしろ、相当に悪いと言い切れる。
考え違いをした連中が、ジョゼフが駄目ならとシェフィールドに意趣返しをしないとも限らない。
「いえ、私のことではなくて……」
支援
そう言って、シェフィールドはジョゼフを見つめてくる。
悲しみと、戸惑いを交えた視線が送られてきた。
一瞬だけれど、ジョゼフは心の底まで見透かされるような錯覚を覚えた。
だが、それは決して不快なものではない。
むしろ春の日差しのように柔らかく暖かで、安心を感じさせる。
「嫌なものだな」
ジョゼフは、自分がひどく情けない顔をしているのを自覚しながら、また笑った。
「肉親を殴るというのは……」
きっと、見られたようなものではないに違いない。
しかし先ほどかぶろうとしていた、やせ我慢の仮面がとっくに砕けてしまっている。
「…………」
シェフィールドは何も言わず、自分の両手でジョゼフの手を覆った。
じんじんと痛む拳が、柔らかな温度に包まれていく。
痛みが和らぎ、消えていくような気がした。
「ありがとうな、シェフィ」
「あっ」
ジョゼフが笑うと、シェフィールドはその黒い瞳を思い切り見開いた。
「やっと、笑ってくれましたね」
シェフィールドの表情が、ぱあっと明るくなった。
気のせいか、部屋中が明るく照らされたような気がした。
「ここしばらく、ずっと笑ってくれなかったから……」
「そうかな、笑ってなかったか? そんなことはないと思うけどなあ……」
ジョゼフはひどく照れくさくなり、少し口調を速めて言った。
「さっきだって、笑っいてただろう?」
「……そうですけど、でも、ああいうのは何だか、違うような気がして……」
「違うかな」
「はい、笑っているけど、でも、哀しくて泣いてるみたいでした」
シェフィールドの言葉に、ジョゼフはドキリとした。
「ハッキリと言うな……」
「あ、すみません。ご主人様にこんなこと……」
シェフィールドはわたわたとして、謝りだす。
「いや、いいよ。そのほうが、良かった」
ジョゼフは感謝と親愛をこめて、シェフィールドの頭を撫でた。
(まったく、本当に俺ってやつは……)
シェフィールドの喜ぶ顔を見たいと張り切ってみたり、がんばってみたところで、結局は彼女に助けられている。
彼女を幸せにしてあげたいのに、彼女から<幸せ>をもらってばかりだ。
(度し難いよな。こんなところまで無能では……)
魔法に関しては、正直なところもうどうでもいい。
そんな常識はずれのことを考え出している自分がいることを、ジョゼフは苦笑するばかりだった。
<昨日>まであれほど焦がれていたはずなのに、<今日>はもう大した価値を感じなくなっている。
使えるのなら、それに越したことがないはずだ。
もしもシャルルのような才能があったら、シェフィールドにもっともっとたくさんのことをしてやれるのに。
そのへんを思うと、やっぱり残念だし、悔しかった。
だが、根幹の部分では、
(だから、どうだというのだ?)
どこかで、見切りをつけているような気がする。
まったく、おかしなものだった。
あんなに欲しかったのに。
どれだけ夢想し、羨んで、妬んで、そしていじけていたかわからない。
それが、まあ何ということだろう。
ずっと欲しかったはずのものは、今ではすっかりと色あせて、メッキも剥がれ落ちている。
(他愛無いものだ……)
ジョゼフは、またも自分自身に苦笑した。
しかし、この時愛しい少女に微細な異変が起こっていたことを、ジョゼフは気づいてはいなかった。
シェフィールド本人もまるでわかっていなかったのだから、無理もないことだが。
シャルルは、無表情な顔で椅子に座っていた。
兄に殴られた顔は、入念な水魔法の治癒によって綺麗に治っている。
確かに手ひどく殴られはしたが、一発だけのことで、歯や骨にも異常はなかったのだ。
別にたいそうなことをしなくても、自然に治っているようなものだったのである。
けれど、その顔は暗く澱みきっており、本人だけでなく部屋全体もおかしな空気に満ちているようだった。
死人のような顔色のまま、殴られた箇所を何度も撫でさすっている様子は、尋常な様子ではない。
それはある種の妖気といっても過言ではなかった。
部屋には使用人の運んだ食事が置かれているが、まるで手をつけられていなかった。
あの一件があってから、シャルルはほとんど食事らしい食事をとっていない。
まわりには、何でもない、ちょっと疲れているだけだと言っているが、とてもそんな生易しいものではなかった。
幼い頃、悪さをした罰として、父から鞭を受けたことがあったが、まともに顔を殴られるなど、初めての経験だった。
殴られた経験と同様に、兄からあんな怒りの形相を向けられたことなどなかった。
少なくともシャルルに対し、ジョゼフがあれほどの怒りを見せた顔など、一度たりともなかったのである。
兄の体は、あんな大きかったのか。
まだ背丈が小さかった頃に見上げていた父の体、それよりもはるかに巨大で恐ろしく見えた。
あの太い腕と、石のような拳で思い切り殴られたのだ。
たったの一発だけだが、それで十分すぎるほどであった。
あの拳は、シャルルの中にぽっかりと穴をあけてしまった。
目には見えないその穴から、ずっと大事にしてきた色んな物がぼろぼろと抜けて落ちていく。
それは、いくら拾い集めようとしても、抜け落ちた途端、春風に晒された雪のように虚しく溶けて消えてしまうのだ。
どこかで何かが狂ったに違いない。
シャルルは、そう思っていた。
ほんの、少し前まで確かにあったものが、今は失われている。
どんな魔法を使っても、それを取り戻すことはかなわない。
この穴は何だ。
そこにあったものは、どこに消えてしまったものか。
考えれば考えるほどに心は焦れて、ある種の破壊衝動に似たものが湧き上がってくる。
そんなシャルルの様子に、城の人間たちは同情的だった。
そうはいっても、いずれも実のあることなど話していない。
大体が、他人の噂話などというものが実のないものなのだが、
「おかわいそうに……。シャルル様、あんなに落ちこんでしまわれて……」
「ジョゼフ様に殴れたのが、よほどにこたえたのでしょうねえ」
「魔法ならともかく、平民や蛮人のような、下賎な暴力を受けるなど……」
「でも、なんで魔法で防ぐか逃げるか、されなかったのか」
「きっと、わざと殴られたのですわ。お優しいかただから」
己の偏見と憶測で、好き勝手なことを言っているにすぎなかった。
そんな戯言など当のシャルル本人にとっては、毛先ほどの意味もない。
不愉快で、有害なだけだった。
もしも目の前でそんなことを言われていたら、
「お前らに何がわかる!!」
と、怒鳴り散らしていたかもしれない。
シャルルが考えていることは、
(なぜ、兄はあんな風になってしまったのか?)
この一つのみであった。
常に自分と共に歩いていた兄が、今進んで自分から離れようとしている。
それも、ずっと遠くに。
単に城を出るというだけなら、シャルルとてそれほど狼狽しなかったろう。
しかし、兄の態度から、明らかに自分への<基準>というものが違っていることがわかった。
幼い頃から、振り向けば自分を見てくれた兄の目は、今はもう違う何かを見ている。
兄の想いというものは、シャルルから別の人間に移ってしまったのだ。
そこには、もうかつてのような繋がりは感じられない。
気がつかないうちに、目に見えない何が、同じく目に見えないものによって切断されていたのだ。
だからこそ、そのことを兄に注意したのだ。
(それなのに……)
ジョゼフが返してきたものは、拳だった。
大切な兄弟の絆は、ちぎれて腐れ果ててしまった。
その原因は、考えるまでもない。
あの、薄気味の悪い蛮族の娘である。
「やっぱり、ちゃんと話しておかなくちゃ駄目だよな……」
ぼそりでつぶやくと、シャルルは実体のない幽鬼のように、部屋もなく部屋を出た。
城内のある部屋を目指して、廊下を早足で歩いていった。
支援
何だか、ひどく眠たかった。
体が変だった。
(あれれ……?)
シェフィールドは、頭がぼんやりとしていることに気がついた。
別に、ついさっきまでは全然普通であったはずなのだが、急にぼうっとなってきたのだ。
サウナ風呂でのぼせた時の感触に良く似ているが、普通にしている時に、何故こうなるのか。
まったくもって不思議だったが、深く考える前にウトウトと眠りの落ちる前のようになっていく。
思考があやふやで、まとまりがなくなっていくるのだ。
ヨロヨロと廊下を歩きながらも、シェフィールドの目は前の状況を確認することもできなくなっている。
まるで酔っ払いのように千鳥足になっていた。
思考が、変だった。
こんちには。
ありがとう。
さようなら。
お城の中での礼儀作法。
お掃除、お洗濯。
アン・ドゥ・トロワ。
美味しい紅茶の入れ方。
お料理。
おなべにフライパン。スプーン、フォーク。
甘い。
柔らかい。
美味しい。
ご主人様、ジョゼフ様。
嬉しい。
暖かい。
好き、大好き。
瞼の下にジョゼフの笑顔が浮かんだ時、シェフィールドは右肩に鈍い痛みと衝撃をおぼえた。
いつの間にか壁にぶつかっていたのである。
「はれ……」
その小さな衝撃で、シェフィールドはぺたんと床に座りこんでしまう。
立ち上がろうとしても足がうまく動いてくれない。
何だか、体が震えているようで、指先にも、うまく力が入らない。
世の中が、ぐらりぐらりと右へ左へと揺れているのである。
視界の定まらない目は、自分の目の前にたった人物のことも、認識してはくれなかった。
「何やってる……。まあ、なんでもいいか」
その暗い声に、シェフィールドは冷や水を浴びせかけられたような気分になり、驚いて前を見た。
自分の主とよく似た少年が、ゾッとするような冷たい目でこちらを睨んでいる。
知っている。
シャルルという、主の弟であり、この国の王子だった。
「お前のせいだ……!」
シャルルは強い憎悪をこめてシェフィールドに言った。
「お前さえいなければ、兄さんは変にならなかったんだ」
ブツブツとつぶやきながら、シャルルは一歩ずつシェフィールドに近づいてくる。
「僕は、注意したんだ。あいつは悪いやつだって、兄さんを変にするんだって。なのに……」
シェフィールドは本能的に恐怖を感じた。
目の前の少年は、普通ではない。
まるで戦か、敵に呪いをかけるまじない師のような、危険な匂いを放っているのである。
「なのに、兄さんは僕を殴った……! あの兄さんが僕を殴ったんだよ!!!」
シャルルは杖を突きつけ、血を吐くような叫びをあげた。
憎悪のこもった声であった。
「何かも、みんなお前が悪い……!!」
シェフィールドは恐怖のために、声も出ない。
いや、恐怖のせいばかりではない、すでに肉体そのものが通常の状態ではなかったのである。
「お前は、ここにいちゃいけない存在なんだ。だから、消えろ!!」
シャルルは呪文を詠唱し、突き出した杖を振った。
すると、シェフィールドの頭上に小さな雲のようなものが現れた。
支援
シェフィールドは急激に目の前が暗くなった。
「あっ……」
と、叫ぶ間もなく、シェフィールドはころんと床に転がった。
(ご主人様、ジョゼフ様……)
意識を失う直後、シェフィールドは小さくジョゼフの名を呼んだ。
「兄さん、まだ起きてる……」
なかなか寝付けず、一人軽めのワインで晩酌をしていたジョゼフはその声を聞いてグラスを置いた。
何だか胸騒ぎのようなを感じていたのかもしれぬ。
「シャルルか?」
「うん、そうだよ」
「鍵はかかっていない」
そう言い切る前に、部屋のドアが開かれ、シャルルが入ってきた。
「兄さん、大事な話があるんだ。少し付き合ってくれない?」
シャルルは以前の狂乱が嘘であったように、落ちついた様子で淡々と言った。
何事だ、と少し不審なものを感じたが、殴りつけてしまったという罪悪感もあり、ジョゼフはうなずいた。
「ここじゃ、何だから……」
そのように言って、シャルルはジョゼフを祭典などに使われる礼拝堂へと連れて行った。
普段はあまり人の出入りのない場所である。
シャルルが杖を振ると、礼拝堂のあちこちに灯りがつく。
その時、ジョゼフはあっと声を上げた。
壇の前に、誰かが倒れていたからである。
それが誰かすぐにわかった。
「シェフィ!!」
ジョゼフはすぐさまシェフィールドのもとへ駆けつける。
見たところ、外傷などはない。
どうも深い眠りに陥っているらしい。
通常の眠りではなく、おそらく魔法の眠りだ。
「まさか、シャルル、お前か!?」
「ああ、僕が運んだ。魔法で眠らせてね」
シャルルはすっすっと、まるですべるようにジョゼフに近づく。
「何もしちゃいない。指一本触れてないよ。始祖に誓ってもいい。運ぶ時もレビテーションを使ったんだよ」
触りたくもないからね、とシャルルは兄の顔を見つめながら、恋人にでも囁きかけるみたいに言った。
「どういうつもりだ……」
ジョゼフはシェフィールドの無事を確認してから、弟と対峙する。
シャルルは笑ったままだ。
その瞳はまっすぐジョゼフに向けられているのだけれど、どこか見当の違ったほうへと向けられているように思えた。
まるで、狂人の眼である。
「兄さん……城を出て行くとか、そんな馬鹿なことはやめてよ」
シャルルは美顔に似合わぬ、気味の悪い笑顔を浮かべながら、一歩ずつ兄に近づいていく。
「その話か」
またか、とジョゼフはうんざりとしたが、弟の異常さにできるだけ声音を穏やかにした。
「やめる気はない。もう決めたことだからな」
兄の答えに、弟は秀麗な顔をぴくぴくとひくつかせる。
幾人の乙女の心を奪った神童の顔は、不吉な影を帯びて不気味な様相となっている。
シャルルは血走った視線を、シェフィールドへと向けた。
「ここを血で汚すのは嫌だけど、どうしても出て行くっていうなら、この娘を殺すよ?」
「貴様……」
ジョゼフは、その言葉がただの脅しではないことを肌で感じた。
「どういうつもりだ……」
「そう怒らないでよ。兄さんが、ただおかしなことをやめてくれれば、それでいいんだ。そうすれば、その子も……」
「誰かに、何か言われたというわけじゃないよな……?」
自分でもそれはないだろうと思いながら、ジョゼフはあえて尋ねた。
「もちろんだよ。これは、僕の考えからやったことだ」
「俺がここを去るのが、何故いけない」
「何故? 何故だって?」
シャルルは怪鳥のいななくような笑い声をあげた。
「兄さん、僕らはいつも一緒だったじゃないか。それなのに、何で離れるんだよ?」
「……」
「ずっと、兄弟で仲良くやってきたんじゃないか。それを、どうして? どうしてだよ!?」
シャルルは親にすがるように幼子のような表情でジョゼフに叫ぶ。
「どうしてだと――」
弟の必死とは逆に、ジョゼフはカッと熱くなりかけていた頭が冷めていくのを実感した。
どくどくとうるさかった心臓の鼓動も、平常時へと戻りつつある。
「……お前は、俺がここでの生活に満足していると思ったのか?」
「何だって……?」
「次の王に指名されたお前は、その肩にたくさんのものを背負わされたのかもしれん。だが……いや、やめよう」
ジョゼフは、首を振った。
「シャルル、これからは違う道を歩むんだ。いいや、始めから俺たちは違う道を歩いていた。俺は、俺の。お前は、お前のな」
「どういうことなの……?」
「お前だって、ようくわかっているだろう?」
ジョゼフはひどく優しい眼差しで弟を見た。
「その年でスクウェアになろうというお前と、コモン一つ満足に使えない俺が、同じ道にいるわけがないじゃないか」
「兄さん」
シャルルは動揺したのか、声を低くした。
「正直なところな、俺はお前をどれだけ羨んだかわからない。本当だ」
そう言って、ジョゼフは礼拝堂の天井を見た。
幼い頃、ここはどことなく、恐ろしく感じたものだ。
「だから、何か一つでもお前に勝ちたくって色々とやってみたものさ。いつか、みんなを見返してやろうとな」
昔のことを思い出しながら、ジョゼフは笑った。
「しかしなあ、やっぱり人間には器というか、そういうものがあるのだよ」
「……」
「俺はそれを認めたくなかったんだな。だが、ついに認める時がきたんだ。情けないし、悲しいことだがな」
シャルルは睨むような目つきのまま、黙って兄の言葉を聞いている。
「俺は凡人以下だ、メイジとしてはな。だから、分不相応なものを求めることはやめた。それだけだ」
「それが、それが、ここを出て行くことと関係あるの?」
「あるさ。そもそも……魔法を使えん人間が、王族だの貴族だのといっていること自体がおかしいんだぜ、本来は」
そう言ってから、ジョゼフは笑ってみせた。
からりとした、湿り気のない笑顔であった。
「やめてよ、そんなの…。兄さんは、いつかすごいことができるはずだよ! だから、そんな風に言わないでよ!」
「すごいことか。そいつはなんだ? お前のように四大魔法を操ることか?」
ジョゼフは肩をすくめた。
「それとも、伝説の虚無の力でも手にすることか? どっちにしろ、無理だな。夢だよ」
「兄さん! やめて……」
「だから、俺は俺に見合った場所へいくことにした。だからなあ……お前はお前でがんばれ」
そう言って、ジョゼフはシェフィールドを抱き上げようとする。
「やめてって、言ってるだろう!!」
狂ったような叫びがあがる。
ジョゼフが殺気を感じて振り返ると、シャルルは杖をジョゼフたちに向けている。
弟の全身は、ぶるぶると震えていた。
「行かせない。行かせるもんか……!」
「シャルル、お前は、何故そこまで……」
ジョゼフは弟の言動が理解しきれず、思わず声を荒くした。
すると、シャルルはいったん息をぐっと殺してから、
「兄さんに勝つために、ぼくがどれだけ努力してきたと思ってるんだ!!」
恐ろしい叫びをあげた。
「な、なに?」
思いもかけない弟の叫びに、ジョゼフは驚いて目を見張る。
「ぼくのほうが優秀だと証明するために、ぼくが見えない場所でどれだけ頑張ってきたと思ってるんだ!!」
その声は、血を吐くどころか、臓腑を残らず吐き出すような凄まじいものであった。
ジョゼフは、何も言えずに、黙って弟の言葉を聞いていた。
「ぼくにとって、兄さんは一番で。兄さんにとっても、ぼくが一番で……。ずっと、ずっとそうだったなのに……!!」
ジョゼフは、弟の姿がひどく小さく、幼いものに見えた。
天才だ、神童だと称えられ、謳われた少年は、その年齢よりもずっと幼かったのかもしれない。
しかしその秀でた才能ゆえに、まわりも、もしかすると本人も気づいていないままになっていたのか。
「なのに、今、今兄さんが離れたら、降りちゃったら、それが全部無駄になるんじゃないか……!!」
「いいや、無駄にはならんさ」
「気休めを言わないでよ!!」
つまりシャルルはお兄さんの太いモノで穴をあけられてしまったのですね
支援
シャルルはついにわんわんと、子供のように泣き始めた。
ジョゼフは驚きながら、同時にひどく腹がたった。
甘えるな! そう怒鳴りつけてやりたかった。
努力なら、自分だってやってきたのだ。
呪文を何百回、何千回も唱え、書物は一文字一文字が暗記できるほどに読み返した。
精神力を高めるための瞑想や修練だって、幾度繰り返したことか。
だが、その努力はいずれも、まったくの徒労に終わったのだ。
どれだけやっても実らない努力や修行など、ただの苦痛でしかない。
それを人は、無駄骨というのだ。
その苦しみに加え、無能王子という蔑みを受け続けてきた。
シャルルという存在が横にいたおかげで、その苦しみがどれだけ大きかったか、お前ほうこそわかっているのか。
けれど、泣いているシャルルの姿を見ていると、その怒りも萎んでいってしまう。
ジョゼフは頭を押さえて、ため息をつく。
「俺はお前のことを、気持ちをわかってやれてなかった。それは、謝るよ。俺のほうが兄貴なのにな……」
「兄さんも、父上も母上も、知らないんだろうね……ぼくがどれだけ」
ぶつぶつとつぶやきながら、シャルルは顔を伏せて泣き続けている。
かまわず、ジョゼフはハッキリと宣言した。
「だがなシャルル……。俺はお前の求めに応える気はない。いや、できないんだ」
「なんで……どうして……どうして?」
シャルルは涙でぐしゃぐしゃになった顔をあげた。
眠っているシェフィールドを見ながら、ジョゼフは言う。
「俺の人生は、生きながら死んでいたようなものだった。自分自身で気がつかないうちに殺していた」
ジョゼフは自嘲の笑みを浮かべる。
自分の無能を呪い、弟を羨み、世間を上目遣いに睨みながらすごしてきたように思う。
思えば、恥の多い生き方であった。
「生きた屍だった俺に、シェフィは本当に大事なことを教えてくれた。俺の人生に命を与えくれたのは、彼女なんだ」
そう言ってから、ジョゼフはシャルルを見た。
歩けばすぐそこにいる距離なのに、二人の間にはどうしようもなく深く、大きな谷があるようだった。
空を飛んでも、谷間を土砂で埋めようとしても、それは無駄なことなのである。
「だから、俺の命は、俺の人生はシェフィのものだ。お前にくれてやるわけにはいかない」
兄の言葉に、シャルルはがっくりとうなだれた。
互いに、無言の時が過ぎた。
しばらくしてから、
「ごめん……」
シャルルは小さな声で、言った。
「いいさ」
ジョゼフは微笑を返し、そっとシェフィールドを抱き上げた。
しかしシェフィールドの顔に触れた時、ジョゼフはハッと息を呑む。
シェフィールドの顔は紅潮し、その尋常ではない熱を持っていたのである。
「シェフィ…? シェフィ!!」
ジョゼフの叫び声が、礼拝堂に響き渡った。
投下終了。次で最終回になります。
支援のかた、感謝いたします。
しゅらしゅしゅしゅ支援
シェフィの人乙です
まとめwikiから爆熱の使い魔がなくなってるけど
削除されちゃったの?
しえn……出遅れた
狂気が心地よい
支援遅れた…
病んでる、シャルルが病んでるよ
そしてシェフィは病んでるよ、別の意味で
これはすごい、くるっているw
アンアンやルイズもアレなあたりこの世界の王家の血が混じってる人は全員頭がどっか病んでるのかねw
乙でした〜
素晴らしきヤンデレww
乙、シャルル立ち直るかな?
しかし、本当に城を出ちゃうとイザベラ様の出番が…
乙ー。
シャルルのヤンデレ具合にときめいてしまっている俺…まさか、これが濃い? もとい、恋?
>>536 マジレスすると、ヨーロッパの貴族とかは近親婚を繰り返した挙句に、こー、色々とあったそうだ。
>>539 日本でも大昔は近親婚ありだったそうですな
まあ、そんなこと言ったら
派遣やら過労死やら自殺大国やらの社会問題を抱えた現代日本も
未来の人から見れば病んでるように見えるのかもしれんがな
ジンバブエだの何だのに比べれば
戦争で死なず生水の危険もないだけでまだまだましなんだろうけどね
平和が当然のようにあるってのはありがたいことですよ
543 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/20(土) 12:57:38 ID:egyszZCB
シェフィの人さん乙です。
前回のシャルルの病み具合が黒猫のグリードかと思ったけど、流石に殺すところまでは行かなかったか。
これでシェフィを殺してたら、凄い展開になってたろうな。
イザベラって、本編でも外伝でもちょこっとしか出てないのにすごい人気だよな。
幸せになってほしいって人が多いのだろうか、それともいじめたいのか
シャルル……10巻の83ページあたりで、そういうことが書いてあるが、コイツがまさかそうだとは……w
扱いやすいから>イザベラ
アフリカだか中東だかから帰ってきた日本人の話で
日本は平和で金も水も食い物もあって設備も整ってるのに、それでも人が死んでいくことがショックだったと
以前なんかで読んだなあ
人って脆いのか頑丈なのかよう分からん
神視点から見るからおかしいように見えても
本人たちには『神視点から見たときに、どうすれば一番いいか』
なんてわからんもんだろうよ
イザベラ様は大好きなんだよ
だから物凄く苛めたい
女王になったタバサは何も言わないし、イザベラは何もされていないのだけど、それでも怯えて部屋のすみで震えるイザベラ様が見たい
メイドたちに当り散らしても、反抗的な目(実はそう思っているだけ)で見られてしまい、ヒステリックに喚く姿が見たい
レイプ目でイヒイヒと笑いながら、ただ一人部屋に閉じこもってる姿とか可愛すぎる
>>552 変態め
だが気持ちはわかる
姉妹スレの短編でチョコラータ召喚したイザベラとか可愛いよな
もっとイザベラ様を!一心不乱にイザベラ様を!
>>552 > イザベラ様は大好きなんだよ
> だから物凄く苛めたい
ナカーマ
でもさ、原作で万が一もしかしてイザベラ様が苛められてたら……ここではその鬱憤を晴らすがごとく大活躍しそうだ
誰か最新版の全イザベラ様入場書いてよ。
最近の作品のイザベラ様含有量がよく分からない。
作者の皆様乙です。
予約は入っていますか?
無ければ5分後位に投下しようと思うのですが。
チョコラータとイザベラの話は秀作だったな
つかチョコ先生の話はルイズのヤツも面白かった
>>518 ルイズ「マ・ワ・シ・受ケ……見事な……」
それでは投下します。
トリステイン魔法学院のとある教室。
「ここで私達は授業を受けるのよ。あんたは使い魔なんだから後ろで見てなさいよ。」
「はいはい。そう言えば、こっちに来た時にいた竜とか訳の分からんのはどこに?」
「教室に入りきれないのとかは外にいるわ。中庭とかにいるんじゃない?」
「へーそうかい。」
二人がそんなやり取りをしていると。
「はーいケン。ルイズの子守りは順調?」
ルイズを挑発するような事を言いつつキュルケが教室に入ってきた。
それを投げキスで返す早川。キュルケの一言と早川の態度に、グレートコング
もといルイズは
「ちょっと!何で私が子供なのよ!言って見なさいよ!ケンも!」
二人は目を合わせると、
「うちのご主人様は、ああ仰っておりますがね、どう致しましょ?」
「ケンったら私に言わせるの。ズルイわねぇ。ねぇルイズ、本当に言っていいの?」
意味深な言い方をと目線のキュルケに、何が言いたいのか気付くルイズ。
「む、む、胸の事を言ってるんでしょ!?何よこの乳牛!まだこれからなんだから!ちゃんと大きくなるんだから!きっと、、、」
「(俺はそんな意味で言ったんじゃないんがね。)」
関わると面倒だと、我関せずを決めテンガロンハットを目深にかぶる。
「それにしちゃ見事な平原ね。」
勝ち誇るキュルケ。次の言葉が見つからないルイズ。
そんな時つぶやくように声がする。
「貧乳は正義、、、」
我関せずを決め込んでいた早川は、初対面の声の主に向かい
「えーっと、どちらさんで?」
「タバサ、、、」
「俺はケン・ハヤカワ。私立探偵をやってる。」
「探偵、、、じっちゃんの名にk」
「おっと、それ以上は言っちゃいけませんぜ。」
と人差し指を振りながら早川は答える。
「(そう言えば、オサムと同じ位なんだろうが何か影を背負っているな。)」
と何かをタバサに何かを感じると、自分を探しているだろうオサムを思い出す。
OK支援だ
好きなキャラほど苛めたくなるよな!
というかジョゼフという後ろ盾を失ったイザベラ様の明日はどっちなんだろう
支援
「皆さん、授業を始めますよ。」
教師だろうと思われる女性が授業の開始を告げる。
生徒たちは席につくと早川は教室の後ろへ行き壁にもたれかかる。
周りを見回し呟く。
「やれやれ、奴さん達と一緒だとはねぇ。」
授業が始まると
「皆さん、春の使い魔召喚は成功したみたいですね。シュヴルーズ、こうして春の新学期に、
様々な使い魔たちを拝見するのがとても楽しみなのですよ。」
そう言いながら使い魔達を見回すと視線が早川で留まる。
「まあ、とても変わった使い魔を召喚した方がいらっしゃるみたいですね。」教師と生徒の注目があつまると、
生徒達はルイズに嘲笑を浴びせる。
その中の生徒が、
「ゼロのルイズ!召喚出来ないからって、そこらの平民雇うなよ!いくら払ったんだ?」
「なっ、何よ!風っぴきのマルコロヌ!ちゃんと成功したんだから!
あんたなんかより、よーっぽどマシなんだから!」
「僕は風上のマリコルヌだ!間違うなよゼロのルイズ!」
そのやり取りを聞いていた早川は、人差し指を振りながら
「ご主人様、そいつはいけないねぇ。そこのマルコメヌってとっちゃん坊やの事わからないのかい?
低学年の男子は好きな女の子苛めるって知らないのかい?」
「そ、そうなの?あっ!」
早川が助け舟を出してくれた事を察すると、
「あら、コロコロヌごめんね。あんたじゃ物足りないわ。気持ちだけ貰っておくわ。子供は趣味じゃないの。」
「マリコルヌ。ゼロのルイズに振られて残念だったな。」
周りから笑いが起こった所で、
「皆さんそろそろ授業を始めますよ。」
そう言い生徒達を静める。
「さて自己紹介から致しますわね。私の二つ名は赤土。赤土のシュヴルーズです。これから二年生の皆さんに
『土』系統の魔法を教えます。ところで魔法の四大系統はご存知ですね?」
「『火』『水』『土』『風』の四つです!」
生徒の答えにシュヴルーズは満足しうなずいた。
「今は失われた系統魔法である『虚無』を合わせて、全部で五つの系統があることは、皆さんも知ってのとおりです。
その五つの系統の中で『土』はもっとも重要なポジションを占めていると私は考えます。これは私が
土系統のメイジだからと言う訳では無く、生活に関わってくる多くの事を土系統の魔法で行っているからです。」
そう言うとシュヴルーズは小石を取り出し杖を振る、すると小石は金色の金属に変わる。その様子にキュルケが身を乗り出し、
「今日は皆さんに、『錬金』の魔法をおさらいしてもらいます。」
「ゴールドですか?ミセス・シュヴルーズ!」
「いいえ、これは真鍮ですわ、ミス・ツェルプストー。ゴールドが『錬金』できるのはスクウェアクラスです。
私は、トライアングルですからコールドは『錬金』できませんわ。」
「さて今日はこの『錬金』を、そうですね、ミス・ヴァリエールにやって頂きましょうか。」
そう言うと教室がざわめく。
席を立つキュルケ
「せ、せん、先生!それは危険です!」
「危険? どうしてですか?」
「先生はルイズを教えるのは初めてですよね?」
「ええ。ですが彼女が努力家ということは聞いています。気にしないでやってごらんなさい。
得手不得手は誰に出もあるのですから失敗を恐れていてはいけません。」
「ルイズ、やめて。」
「やります!」
「ミス・ヴァリエール。この石をどのような金属に錬金したいのか、強く心に思い浮かべるのですよ。」
ルイズが杖を振る。
起こる爆発に教室は騒然となった。早川は、まさかここに地獄竜がと考えていると、生徒達からの反応で
ルイズが原因だと分かる。
支援
うーん、某所でのカッコいいイザベラ様による
ガリア改革物を読んでるせいか
いじめたいとは思わないな・・・
ルイズによる爆破でシュヴルーズは失神、教室は大破。授業は中断となりルイズに片付けが言いつけられた。
無言でルイズと早川は破片を片付けていると、ふいにルイズが呟く。
「何で私が、ゼロのルイズって呼ばれるか解ったでしょ?魔法を唱えれば必ず爆発が起きるの。
貴族なのに魔法が使えないのよ!何度も何度もどんなに練習しても、雨の日も風の日も沢山練習したわ!なのに、なのに、」
お互いが無言になる。ルイズは諦めたように
「私なんて、世間からは認められないの!魔法が使えない貴族なんていちゃいけないのよ!
あんたも、こんな主人でがっかりしたでしょ!もう好きな所に勝手に行きなさいよ!無理して付き合う必要ないわ。」
パチン!
「何でも世間のせいにすんじゃない!君が負けているのは、魔法の使えない貴族を認めない世間じゃなく、
これからの自分を諦めている君自身だ!
なぜ可能性を捨てる?魔法がこれからも使えないなんて誰が決めたんだ!
失敗もするだろう、だが決まってもいない事に諦めたら、今までの自分は何なんだ?
自分を呼んだ人間がこんな負け犬だったとはな。」
ルイズの頬に涙が伝う。
自分が頬を叩かれた事、自分の為に怒ってくれている事。
今までそんな事あっただろうか、、、
家族は、、、級友は、、、周りからは哀れみと、無責任な励まし。
自分の使い魔の気持ちにルイズは気付く。
使い魔の気持ちに応える為に、、、
「何よ!私、負けないんだから!主人に手を上げた事後悔させてやるんだから!それと、、、(ありがと)、、、」
早川はルイズの頭をなでニッコリと微笑むと、涙の跡を隠す為にテンガロンハットを目深に被せる。
「ちゃっちゃと片付けますか。」
うを!連載来てたのか支援する
片付けを済ませると昼食の時間になっていたので食事へと向かう。
二人は席に着き昼食を進めていると、奥が騒がしくなった事に気付く。
何事かとそこにいた生徒に話を聞くと、
ギーシュと呼ばれる生徒達が話をしている所へ、落し物の小瓶を拾ったメイドが持ち主を尋ねると、その小瓶はギーシュがモンモラシーから贈られた香水が入った小瓶だとわかる。すると、ケティと言う1年生がギーシュをひっぱたき、
更にその様子を見ていたモンモラシーが
「嘘つき」
とギーシュをひっぱたく。用は浮気がばれたとの事なのだ。ここまでは自業自得で済む話なのだが、ここから先の事で騒がしくなっているらしい。
騒ぎの方に耳を傾けると
「君が軽率に瓶を拾ったおかげで、可憐なるレディ達を傷つけてしまったよ!どう責任を取るつもりだね!!」
と無様な八つ当たりをしている。
八つ当たりを受けている方を見ると目に涙を貯め、怯えた様子で震えていた。
早川にはその人物を知っていた。世話になったシエスタである。
正義感の強い早川はシエスタでなくとも同じ行動を取っていたのだが、
騒ぎの中心に向かうと、
「よせよ!ガキ大将。女の子をいじめると、ママにお尻をペンペンされますよ。」
早川の言葉に一瞬の静寂が訪れる。さらに追い討ちをかけるように。
「第一、おまえさんが浮気なんて真似するから自業自得じゃないか。」
「そのとおりだギーシュ!お前が悪い!ママにお尻をペンペンされるぞ。」
友人たちがドッと笑いが起こり、ギーシュの顔に赤味が差す。
「さっきから聞いていると、君は貴族に対する礼儀というものを知らないようだな」
「お前さんのような悪い馬の骨に対する礼儀なんて知りませんがね。」
さらにギーシュの顔に赤みが差し、鬼のような形相となる。
自分の非を認めないギーシュに向かってさらに早川は、
「こんな顔だがね。にらめっこでもするかい?」
周りの笑い声は更に大きくなる。
「よかろう、君に礼儀を教えてやろう。決闘だ!ヴェストリの広場で待っている」
ギーシュはクルリと体を翻し、去っていった。
シエスタがぶるぶる震えながら早川を見つめている。
「ケンさん、あなた……」
シエスタは涙を滲ませた言った。
「あなた……殺されちゃう……、貴族の人を本気で怒らせたら……」
シエスタは走って逃げてしまった。
以上です。
お目汚し失礼しました。それと支援ありがとうございます。
乙した
ああ、ドットだけにドッと笑いが起こるのか……とか思ってしまった俺は疲れてるのかもしれん
ドット疲れてると続かないだけ、まだ大丈夫だよ
さあ疲れてるんだったらドットと休むんだよ
イザベラの使い魔ネタはあるけど、アンリエッタやウェールズの使い魔ネタは見かけないな
>576
アン様や皇太子を虚無の使い手とするのは難しいのではないかと
歪みに歪みまくってジョゼフすら裸足で逃げ出すようなアン様や皇太子は見てみたい気もするけど
姉妹スレでアンリエッタが康一を呼ぶ奴があるくらいか?
ルイズと使い魔に、手紙を返して貰って来いって命令を下すのを躊躇するアンアン
それに対してあの厭らしい顔で「それがいいんじゃあないか…」と言うのか
>>577 イザベラだって虚無じゃないし、普通に使い魔でいいじゃないか
皇太子が死んだあと指輪で蘇らされても使い魔を続けるような忠心深いのが見たいな
アン様水だから、水クリーチャーっぽい使い魔なら違和感少ないかな
クトゥルーとか
何かしら妙だと気付いたら調査して、原因が分かったらウェールズを解放しようとするような忠心の方が好き
もちろん信じ続けるって忠心も良いけどね
>581
再生ウェールズがラグドリアン湖にアンアンを呼び出すイベントで、アンアンが恋煩いをこじらせてすっかりインスマンスの民と化して居るところを想像したぞ。
「アン、リエッタ……?」
「げしょげしょごぷくぷくぽぉ、しゃげげー」(生きて帰って来て下さったのですね、ウェールズ様)
「…………(洗脳解除)」
指輪の力から解放イベントは必須だな
突然殺されてしまった皇太子とちゃんと最期のお別れが出来る泣かせ所だ
忠臣に「今まで良く仕えてくれた」みたいなの好きなんだよ
>>583 再生ウェールズって、なんか怪人か怪獣みたいだな。
>585
平たく言えばゾンビだし、似たようなものでしょう。
その内に改造ウェールズとか、複製ウェールズとか、ウェールズMK-Uとか出るのかなぁ。
改造ウェールズ2世に期待
スーパーウェールズ
ウェールズU
ウェールズVer.2
ウェールズ・改
じゃあ俺は妄想ウェールズで。
……あれ、アンアンは脳内で常時やってそうじゃね?
悪魔の毒々ウェールズとか、ウェールズinNYとか、ウェールズVSプレデターとか
ウェールズRXだろjk
改式とかスーパーとかでもよい。
ただし、一番のお勧めはウェールズエクセリオンだ。
ウェールズ・テューダー(スティーブン・ゼガール)
595 :
虚無と金の卵:2008/12/20(土) 17:19:56 ID:tvWb9LF5
予約無ければ「虚無と金の卵」、17:30に投下させて頂きます。
「貴方が落としたのは、このスティーブン・セガールのウェールズ王子ですか?
それともこのチャック・ノリスのウェールズ王子ですか?
それともこのジャン・クロード・ヴァンダムのウェールズ王子ですか?」
>>596 オーウェン・ウィルソンでお願いします。
>>569 えーと、とりあえず、ジョゼフは暗殺されてイザベラ様はシャルル夫妻に預けられる所からのスタートです
後は以下のタイトルを検索して下さい。
つ「 醜い蒼髪の姫君(ゼロの使い魔)」
まあ、人によっては拒絶反応を示すかもしれませんが私はこんな運命に堂々と立ち向かう話が好きなので・・・
ぐは!連載来てたのか支援する
>>589 ウェールズ・テューダードリルエディション〜漢の浪漫[ユメ]よ、永遠に〜
ウェールズ・テューダーver.ka(過渡期)
こんなのも有りそうな
>ウェールズ・テューダードリルエディション〜漢の浪漫[ユメ]よ、永遠に〜
>ウェールズ・テューダーver.ka(過渡期)
やめろ!その■■■■を呼んじゃだめだ
>>598>>600 ありがとう、検索してみるぜ!
投下なら30分からだから、まだ大丈夫なはず
と言いつつ支援
ちゃぷり、とルイズは湯を弄ぶ。
峡谷に沈み行く夕日は、壮大だった。
その夕日が湯に照り返し、ルイズの周囲はどれも赤く染まっている。
空にたなびく雲が無ければ、もしかしたらアルビオンが目に映るかも知れない。
だがルイズは、アルビオンの方向を見つめる気にはなれなかった。
ただ、景色を塗りつぶしていく夕日を見つめていた。
「まさか、こんなところで風呂に入れるとは思わなかったわ」
「そうだな。落ち着いてこんな風に景色を楽しめるとは思わなかった」
サイトに案内されてルイズがやってきたのは、ラ・ロシェールへ向かう街道からやや外れた場所にある小屋だった。
小屋、というよりも、隠れ家に近い。
山間の隙間の死角を上手く利用した場所に建てられた小屋だった。
半分は岩壁に埋まっている。恐らくは、天然の岩を練金で削りだした空間に建てたのであろう。
街道からは完全な死角になっている。ルイズは場所を示されても、実際に辿り着くまで全く気付かなかった。
また、生活の火や煙が出ても、上手く誤魔化すための工夫が凝らされている。
風竜やグリフォンに乗ったメイジが付近を立ち寄ったとすれば発見されるだろうが、
少なくとも盗賊程度ならば十分に身を隠せそうではあった。
そんな、身を潜めることを重視しているような場所だ。
居住性は悪かろうとルイズは思っていたが、それは良い意味で裏切られた。
第一に、新しかった。
風雨にさらされて、さほど日が経っていなさそうであり、使い込んだ形跡もない。
街の安宿のように、最低限の生活用品と、水と食料だけが確保されていた。
第二に、風呂があったのだ。
とはいえ、トリステイン魔法学院にあるような、大理石で囲まれた大浴場とは全く違う。
恐らく風呂と言われなければ、ルイズは風呂とは気付かなかっただろう。
実際それはバスタブなどではなく、大人数が利用する厨房にあるような、大きな古釜が外に据え付けられていた。
所謂、五右衛門風呂であったが、無論、ルイズはそんなものなど知らない。
絶景を見ながら入る風呂も案外悪くはないと思う程度だった。
ウフコックの方は、最初ルイズが風呂に入る間は離れているつもりだった。
ルイズがおもむろに服を脱ぎ出したところでウフコックは「俺は小屋で待ってよう」と慌てて出て行こうとした。
だがルイズがウフコックのズボンのサスペンダーを摘まんで引き留めていた。
結局ウフコックは困り顔で観念し、風呂桶に付けられた木の手すりに腰掛けて、湯で軽く体を拭っていた。
流石にネズミの体では、湯船に浸かることはできないようだった。
「ところで……君はやはり、人使いが荒いと思う……」
「あら、それなりに金は払ってるんだから、恨まれる筋合いはないわ」
サイトに風呂の支度をさせた後は、食事の用意と馬の手入れを申しつけていた。
特に、学院からあてがわれた馬を潰すわけにはいかない。
サイトは、「あんたの使い魔や使用人になったら、もっと酷ぇ目にあってるんだろうな」などと
軽口を叩きながらも、淡々と仕事をこなしていた。
「……まあ、おかげてやっと一心地付けたな」
「本当ね。サイトの話は半信半疑だったけど、意外と悪くないじゃない」
「そうだな。料理も案外悪くなさそうだ。支度している臭いでわかる」
「ま、随分旅慣れてるみたいだしね」
ルイズは頷きながら、湯を手ですくい、軽く顔を拭う。
ルイズが十分に落ち着いているのを見て取り、ウフコックは口を開いた。
>>599 アジア系ならチャウ・シンチーが制作・脚本・監督・主演で!支援
「良かった」
「何が?」
「今日の君はずっと気落ちしていたようが、やっと元気が出てきた」
「……心配、かけちゃったみたいね」
ルイズが、ばしゃり、と湯をすくって顔を拭う。
「でも、大丈夫。もう焦って飛び出したりなんてしないわ」
すっきりとした声で、ルイズは答えた。
そのルイズの決意に、ウフコックはゆっくりと言葉を返す。
「……君が何に対して怒りや悲しみを感じているのか、俺はわからない。
ただ、ひどい悲しみを感じると言うことは、君にとって大事な何かが、痛ましいことになったのだろうと推測するだけで」
ウフコックはつぶらな瞳でルイズを見つめる。
「だが、大切なものが君の心にあるのならば、激情に身を任せてはならないと思う。
感情を殺せと言っているわけではない。自分の進路を進むためにこそ、そうした感情を燃焼させるべきだと思う。
……だから、少しずつで良い。悲しみや怒りと向かい合うんだ」
「……難しいこと、さらっと言ってくれるじゃない」
ルイズは、ウフコックと目を合わせるのが気恥ずかしいらしく、湯に沈んでぶくぶくと息を吐いた。
「ま、つまりは前向きになろうということだ。くよくよしている姿が君に似合うとは思えないし」
ルイズは、ウフコックの方をちらりと見る。
夕日の光を浴びて黄金色に輝くネズミは、まるで精霊のように儚く見えるのに、
所作や言葉の一つ一つが、渋くて、ユーモラスで、そこに確かな存在感を感じさせる。
そのギャップにルイズは微笑みを零した。
「……ん? 俺の格好が変か?」
「ふふ、そんなことは無いわ。普段より素敵よ」
「ふむ? 賛辞ならありがたく受け取ろう」
まあ仕方ない、とばかりにウフコックは頷く。
「ところで、ウフコック。ワルド子爵……って、姫様の話に出てきたのを覚えている?」
「ああ」
ウフコックは頷いて、ややあってから言葉を続けた。
「……そして確か、道中に出会った男を、ワルドと呼んでいたな」
「そうよ。彼のことは知り合いだってサイトに説明したわね。嘘ではないけど正確ではなかったわ」
「というと?」
「婚約者だったの」
重々しくルイズが呟き、ウフコックは驚いた声を出す。
「君に婚約者が? それは初耳だ」
「婚約者と言っても十年以上会っていないのよ」
「つまり、婚約していても、交際は無かった?」
「……そうね。十年前はよく世話になってたけど。彼にとっては子供のお守りくらいの感覚だったと思うわ。
私も、現実的な結婚相手って見ていたわけじゃなかったし。
だから、男の人って言うよりも……頼りになる、大人の人って感じだったわ」
支援
そう言って、ルイズは溜息を付く。
「で、十年ぶりに見たときには、レコン・キスタに入って国を裏切ってたってわけ」
「……それで、君は思い悩んでいたのか……」
「そうよ。……で、このままだと、またサイトがワルドと戦うことになると思う」
「……ああ、そうなるだろう。彼の意志は、固そうだ」
「でもワルドの状況が何であれ、私は私の仕事をしなきゃいけないわ。
むしろ彼が私の仕事に気付けば、きっと邪魔しにくるだろうし。だから彼は、敵のはずなの。
……でも、簡単には、割り切れないのよ」
「……ルイズ……」
「自分がどうすべきか、どう向き合うべきか、絶対に答えを出してみせるわ。
でもそのためには……もうちょっとだけ、考えていたいのよ」
美しい自然、心地よい湯、それらは快い時間を与えてくれる。
そしてつかの間の休息の中で、心の平静を得ることはできた。
だが決定的な回答をもたらしてはくれない。それは常に、外ではなく内にある。
ルイズ自身が己の心を潜り、掴み取らねばならないものだった。
湯から上がり、ルイズとウフコックは小屋に戻った。
既にサイトが馬の世話と食事の支度を済ませ、手持ちぶたさに待っていたところだった。
デルフリンガーは監視を兼ねるためか、小屋の入り口付近に抜き身のまま立てかけられていた。
「ずいぶんと長湯だな。ま、このあたりは冷え込むから、そうした方が良いんだけどな」
「……風呂は、まあ、思ったほどひどくは無かったわよ」
「そりゃ光栄だ」
軽口を叩きながら、机に深皿を出した。
鍋料理らしい。山菜や、山鹿の肉を煮たものが深皿によそわれている。
塩気の強い香りがルイズの鼻孔を刺激していた。
「……へぇ。美味しいじゃない」
「ヨシェナベだ。トリステインの田舎の村で教わった」
「素朴な香りだな」 ウフコックが鼻をひくつかせながら言った。
「田舎料理だからな。お前も食うか?」
「いや、俺はこれで十分だ」
ウフコックには、生の野菜と豆、水が与えられていて、それらを頬張っていた。
ネズミとしての生態のためか、あまり濃い味の料理は口にしていなかった。
また、ネズミがそうそう多い量を取る必要もない。
すぐに食事を済ませてルイズから離れ、ウフコックはデルフリンガーの側に来ていた。
「なあ、デルフリンガー。一つ質問しても良いだろうか?」
「おう? なんでぇ?」
「ぶしつけな質問かもしれないが……君は、一体どのくらい剣として生きてきたんだ?」
「珍しい質問するヤツだな、おめぇ」
「そうか? インテリジェンスソードと話すのは初めてで、興味があるんだ」
デルフリンガーは訝しげな声でウフコックに答える。
素直に興味をもたれたことに、くすぐったさを感じているようだった。
「ま、俺が生きてるのかどうかは微妙なとこだが……何百年か何千年かなんて忘れちまったよ」
「何千年……とても信じられない」
「多分だぜ。使われずに蔵に置きっぱなしになってたときもありゃ、武器屋の棚で寝てた時間もあるし。
時間の感覚ってのが人間や生き物と同じなのかも、俺にゃわからねぇ」
「……だがそうだとしても、長く生きていることには違いないだろう。俺なんて十年も生きていないのに」
ウフコックが素直に感嘆を示す。
「ネズミでそれだけ生きてりゃ長寿も良いところじゃねぇか。
それに長生きすりゃ良いってもんでもないぜ。……って、武器の俺が言うのも何だけどよ」
「……辛いことや、大変なこともあったのか?」
静かな声でウフコックは尋ねる。ウフコックの目は、妙に真剣だった。
だがデルフリンガーは敢えて気付かぬふりをして、気楽な調子で答えた。
「ま、無ぇとはいわねえがよ。生きてりゃあ嬉しいことも楽しいこともあるもんさ」
「……意にそぐわない使い方をされたことは?」
「……んー、なんつーかなぁ……」
デルフリンガーは鍔をかちゃかちゃと鳴らし、困ったような声を出した。
「俺は剣であって、それ以上でもそれ以下でもねぇのさ。俺の使い道なんて、俺を握る奴の考えるこった。
誰かを守のも、誰かを斃すのも、俺を握る奴の仕事だ。悩むのは俺の仕事じゃねぇんだ。
そもそも、気楽に生きるのが俺のモットーでな」
「割り切りが良いんだな。……俺は悩みを捨てきれない。相棒には口うるさく要求してしまっている」
「良いんじゃねえか? 俺みたいなナマクラの話なんざ参考になりゃしねぇよ」
あっけらかんとした声のデルフリンガー。だが、続く言葉は、真摯な響きを伴っていた。
「ま、でも、相棒に求めるものが無いわけじゃない。
武器をもって戦うヤツなんてロクな死に方しやしねぇからな。だから、できれば幸せに生きてほしいもんさ。
お前さんも、見たところ相当な業物だ。思うところは、あるんだろう?」
「……俺が武器だと、わかるのか?」
「少なくとも、ただのネズミじゃねえってことくらいはわかるぜ。何せ俺は、伝説の……」
そう言いかけたところで、デルフリンガーの柄ににゅっと手が伸びてくる。
サイトの手だった。
「デルフ、そろそろ仕事だ。外の見張りに行くぞ」
気付けばサイトとルイズは食事を終えていた。おもむろにサイトはデルフリンガーを肩にひっさげる。
「ちょ、相棒! せっかく俺が格好付けてるときにそりゃあないぜ!」
「ん? そうだったのか? まあ、話す機会なんていつでもあるだろ」
「くそっ、おめぇは何てひでぇ使い手なんだ!」
デルフリンガーがありったけの悪態を付くが、当然それに抗う術など無い。
一人と一振りは、そのまま小屋の外へと出て行った。
「もしかして、話しているところ邪魔しちゃった?」
ルイズが、やや心配げな顔でウフコックに話しかける。
「ああ……いや、構わない。彼らは何処へ?」
「そのへんを見回ってくるって言ってたわ。ベッドは使って良いって」
ルイズはそう言って、部屋に据え付けられた木のベッドに腰掛けた。
普段寮で使っているものとは比べものにならないほど硬いが、それでも野宿よりは遙かに楽で、何より危険が少ない。
ルイズは安心を感じつつも、溜息を吐いた。
「何故かしら。サイトと話してると緊張するの。……別に、怖いってわわけじゃないだけど……。
だから、会話が続かなくて困ったわ」
「……ふむ、君の周囲には居なさそうなタイプだな。ギーシュやマリコルヌとも違う」
「……何か比較対象が間違えてる気がするけど、そうね。全然違うわ」
そう言った後、ルイズはあくびをかみ殺した。
思えば、ルイズは昨日もろくに寝ていなかった。風呂と食事で、随分と落ち着いてきたらしい。
「……なんだか、今日は凄く疲れたわ……」
「仕方ないことだ。気にせず、ゆっくり休むと良い」
そう言って、ウフコックはベッドの枕の方へ移動した。手招きし、ルイズが寝てくれるよう促す。
「側に居るから、安心するんだ」
「うん……ありがとう……」
そしてルイズは旅装を解いて、小屋に据え付けられたベッドに身を寄せてすぐに寝付いた。
夜鳥の声だけがほんの僅かに響いてきただけで、静かな夜だった。
ルイズは、夢を見なかった。
陽が昇る前にルイズ達は目が覚めていた。
サイトも外で仮眠を取っていたようだが、ルイズが起きた気配を察して目を覚ましていた。
朝食もサイトが用意した。
サイトは、「朝の早い内に出発しておこう」と提案した。
ルイズもそれに文句は無かった。幾らアルビオン行きの船が着くのが二日後とはいえ、道中は何があるかわからない。
二人と一匹は、朝食として白湯と黒パンだけを摂り、手短に旅支度を調えることに専念した。
サイトは自分の馬に乗り、ルイズが跨る馬を先導して街道を歩き出した。
朝の内は、人の気配は全く無かった。
このまま何事もなければ、日差しが高くなる頃には、ラ・ロシェールに入れるはずであった。
既に町の輪郭がルイズの目に届いている。
やっと一段落付く――そう思ったところで、サイトが慌てて馬首を横に並べる。
ルイズを抱きかかえ、慌てて馬から飛び降りた。
「なっ、何するのよ!」
「頭を下げろ!」
何なのよもう――という怒りも、すぐに驚きに変わった。
ルイズは、十分に休息を取れた感謝したくなった。
もしこれが昨日であれば、更にみっともなく取り乱していたかもしれない。
殺意のこもった矢が降り注ぐのを見て、ルイズはそう思った。
「多分、山賊だ。あるいはレコン・キスタが雇ったかもしれない」
サイトがルイズを守るように立ち、最小限の動きで矢を弾き返す。
大分離れているところに、矢をつがえた男、そして剣や斧を持った男達の一団が見えた。
弓矢が効かなかったと見るや、悪罵を叫びながらルイズ達に近づいてくる。
「ワルドかしら……」
「わからねぇよ。全然別の奴かもしれない。敵なんて一杯いるさ」
矢を難なく剣で打ち払いながら、サイトが冷静に答える。
「距離が遠いな……あいつら、こっちに貴族が居ることにまだ気付いてないぜ。
なあ、ルイズっつったっけ。魔法で驚かせちゃくれねぇか?」
デルフリンガーが気楽な調子で聞いた。思わぬ申し出にルイズが挙動不審になる。
「な、な、何よ、私に頼る気?」
「良いじゃねえかよ。まあ俺と相棒で相手できなくはねぇが、メイジが居るってわかったらきっと尻尾を巻いて逃げるぜ。
荒事は避けるに越したことはねぇさ」
デルフリンガーの言うことは正論だった。
少なくとも、何の咎もない貴族に襲いかかろうとする平民など、メイジから魔法で返り討ちされたところで、
問答無用で役人に斬られたところで、文句は言えない。
そんなことはこの国では常識であり、デルフリンガーの案は、トラブルを避けるためには賢明な策と言えた。
「つ、使えないわ」
焦ったような声で、ルイズは言葉を返した。
「なんだよケチな娘っ子だな。精神力が切れてんのか? フライとか念力とか簡単なので良い。
簡単な魔法を見せてやるだけで良いんだぜ?」
「だっ、だから使えないって言ってるでしょ!」
「……なんで?」 不思議そうにデルフリンガーが尋ねた。
「デルフ、さっさと行くぞ」
「相棒、油断は禁物だぜ」
「火薬も火打ち石もある。それにデルフ、昨日の戦いでたらふく食っただろう。いざってときは任せるからな。
ルイズ達は隠れてろ」
「そっちこそ一人でどうする気よ!」
「魔法が使えないんだろう、無理すんな」
サイトはそれだけを言い残し、一目散に傭兵の一団へ走る。
気付いたときには既にぶつかりあっていた。蛮声と剣戟のぶつかりあう音が他人事のように響く。
「凄まじいな」
ぽつり、とウフコックが呟く。
「どういうこと?」
「彼は、戦うこと、殺してしまうことに倦怠感すら感じている。それでも戦いを止められないでいる。……依存に近い。
敵の方は、その日その日の暮らしにも酷い困難さと屈辱を感じている、そんな惨めさに満ちた臭いだ。
……どちらも、酷く痛ましい」
金の酒樽亭。
その煌びやかな名前に反して、ラ・ロシェールでは場末も良いところの酒場だった。
この時期、そこにたむろしている傭兵は、仕事に飢えていた。
アルビオンを目指した傭兵――と言えば聞こえは良いが、腕利きは既に王党派か貴族派のどちらかに雇われている。
仕事にありつけず、ハイエナのように戦乱の残り滓の仕事を得るだけの連中でしかない。
突然現れた、仮面を被った貴族が依頼を持ち出した時点で、十人近くが話に興味を持った。
多額の報酬に加えて前金で半分が出る、という話を聞いてさらに十人近くが集まる。
だが、男の素性もろくに知らずに仕事を受け入れたことを、この傭兵は既に後悔していた。
今、トリステイン方面からの街道を向かって来ている連中を仕留めてこい――男は言っていた。
ついでに、物取りの振りして街道を混乱させて来い――とも、男は言っていた。
暴れてくるだけの簡単な仕事だ――男はそう結論付けた。
男達も単純にそう思った。危ない橋ではあるが、治安の乱れた今こそが稼ぎどきだった。
それに戦乱の中にあっては、安い仕事に信じられない額を出す馬鹿な貴族も時折出てくる。
仮面の男も、きっとそうした類だろう――その短慮と油断の報いが彼らに降り注がれていた。
ただの平民のはずの男、同じ傭兵であろう男に、今や半数以上が倒されていた。
ある者は斬られ、ある者は骨を折られ、ある者は剣の柄で殴られて悶絶している。
呻き声が聞こえ、倒れた仲間の体が震えている――まだ生きている。
そして得られる二点の推測。
一つ――敵は、相手を殺さずに戦闘不能にできるほどの、異常な腕の持ち主であること。
一つ――敗北の先には尋問が待っていること。
「くそ、こうなったらあの男の仲間だけでも仕留めて逃げるぞ」
仮面の貴族から仕事を請け負った人数は、つまるところ多すぎた。
その際、役割分担で、二人が貧乏くじを引くことになった。
敵に援軍や仲間が居た場合に備え、岩陰などの死角に身を潜めて警戒する役目を追わされる。
敵を仕留めるチャンスが無い以上、給金が減るのは必須だ。
仕事仲間に文句を心の中で幾度も呟きながらも、仕事に徹した。
それが幸運だったと気付きつつあった。
怪我を負うことも無く事態を見つめることができた。少なくとも、今の所は。
「な、なぁ……ありゃ貴族じゃないか?」
もう一人の傭兵が不安げに呟く。
「うるせぇ。それともお前、あの金を諦められんのかよ?」
「で、でもよぉ……」
「よく見ろ、魔法も使っちゃいねぇしビビってる。青い顔してらあ。今がチャンスだ」
男はきりきりと弓を引き絞り、馬に跨った少女を狙い付ける。
少女が思わずこちらを見た。眼があった。
目が眩むほどの報酬と、貴族だろうと構うものかという自棄が、弓矢を引き絞る腕の緊張を解かせた。
それでも、狙いは十分だった。
当然そんな見え見えの殺意など、ウフコックは気付いていた。
だが、問題はその回避であった。
「気をつけろ、ルイズ。弓矢で狙っている敵がいる……。俺が『盾』になるから、目を合わせるな。
矢を弾くのは造作もないが、下手に動くと逆に危ない。任せて、じっとしているんだ」
ルイズは、自分にも危険が迫っていることを自覚し、さっと血の気が引いていくのを感じた。
そして周囲に敵と、敵か味方かあやふやな人間しか居ない状況で、目を合わせるな、という行為自体が困難だった。
幾ら盗人を捕まえた功績があるとはいえ、ルイズは戦場に出たこともない15際の少女だ。
突然始まった命のやりとりの空気に当てられないはずが無い。
ルイズは恐怖に抗えず、振り返った。
殺意と焦り、汗と土、顔を見られた恐怖に塗れた男の表情。それはすぐにルイズの視界に入った。
2,30メイルは離れているのに、弦から離された指先、男のあごから滴る緊張の汗、自分を射るように見つめる男の眼を、
ルイズは確かに目撃した。
タイミングはともかくとして、狙いは十分だったらしい。自分の胸元へ当たる――ルイズは確信した。
「くっ!」
ウフコックの焦った声。瞬間的に堅牢な篭手にターンし、ルイズの右手を強制的に動かす。
だが、矢と篭手がぶつかる一瞬前に、ルイズの視界に火の球が落ちてくる。
矢は、燃え尽きて跡形も無くなっていた。
「ファイアボール?」
「……おお、間に合ってくれたか」
ウフコックの安堵したような声。
何かが羽ばたく音がルイズ達の頭に響き、そして暢気な声が降ってくる。
「さて、一丁上がりっと」
「キュルケ! タバサ! どうして?」
ばさり、ばさりと音を立てながら、キュルケとタバサを乗せたシルフィードが、ルイズの側にやってくる。
風竜に乗ったメイジ二人を見て不利と悟ったか、逃げ出す余力の残っている傭兵達は、既に逃げ出していた。
キュルケ達は深追いはせずにシルフィードから降り、立ち話するような気楽さでルイズに話しかけてきた。
「そりゃ、朝に気付いたら貴方たちが馬に乗って遠くに出かけちゃってるじゃないの。
しかもアルビオンの方角へ。そんな面白そうなこと、放っておくと思う?」
「遊びじゃないのよ!」
「あーら。せっかく助けてあげたってのにご挨拶ね」
「ぐ……。あ、ありがとう。助かったわ」
複雑な表情を浮かべつつルイズは礼を述べ、キュルケは満足げに微笑んだ。
615 :
虚無と金の卵:2008/12/20(土) 17:55:27 ID:tvWb9LF5
トニー・ジャーのウェールズ王子は閃光に速さで勝てるのではないでしょうか。素敵。
というわけで投下完了です。支援ありがとうございました。
ええと、お風呂シーン書きたかったんだ。許してくれ。
GJ
このサイトとルイズはいいのう
617 :
598:2008/12/20(土) 18:03:54 ID:i1DtMyZF
618 :
598:2008/12/20(土) 18:09:11 ID:i1DtMyZF
GJ!!
すでに戦いに倦んでるほどの戦闘経験があるこのサイトは地球出身じゃないのだろうか
かなり前からハルケギニアに来てたのかもしれん
佐々木さんやオスマンの恩人みたいなケースかな?
621 :
569:2008/12/20(土) 18:51:18 ID:/LQ8L254
>>618 556としたのはアンカミスで、本来は566だったので問題無いです。
というか、汲み取って頂いた形になりますね、ありがとうございます。
魔法が直撃しても傷一つつきそうにない体のキャラっているかな?
まっさきに浮かんだのは、東西南北中央不敗スーパーアジアだった。
次がオーガ。
真っ先に浮かんだのが鉄のフォルゴレ
次がリズナ・ランフビット
リズナとかぶるけどハニー
>>623 ドモンの攻撃でダメージ受けてるじゃん
オーガも麻酔銃の弾が身体に通ってるし
>>624 フォルゴレはザケルで黒焦げですが
フォルゴレはそんな、火の玉でも雷でも傷一つ無いような人外じゃないぞ。
単に何を喰らっても死なないだけで。
不死身さなら異能者だろう
ネタに(ry
RPGの敵キャラには魔法きかない奴多いな
オーガは頑丈だけど攻撃を避けたり
米軍と戦った時は建物の死角から攻撃してたりで結構考えてはいる
オーガとかはイメージだけで、別に本当に鋼の肉体ってわけじゃないからな。
ダイ大の親衛騎団とか、ミストバーンならマジで傷付かん。
ハドラー本人やバーン(老人)は意外とかすり傷くらいは付きそうだ。
8マンだと、鋼のくせに傷どころか今にも死にそうになるなw炎限定で。
ワイルドアームズ4のチェーンソーの人
魔法なら何でも弾いたはず、ついでに空も飛べるぜ
ここはFE蒼炎の魔(防)王キルロイ様で
ヤムチャ様なら傷つかない上に死んでくれるはず
エトナ様とかは結構平気そうだ。
>>624 >>626 ワルド「カッタートルネードっ!!」
ルイズ「きゃああああ!! ファルゴレェェェェっ!!
……鉄のーファルゴーレ(ファルゴレ復活)
無敵ーファルゴーレ(ファルゴレ、ルイズと一緒に手を振る)」
ワルド「ちょwwまwww、今みじん切りになっただろ!!」
こうですか? 分かりません!!
>>622 傷ついても挫けそうにないのなら覚悟さんとか
ファルゴレじゃなくフォルゴレや……
某■■■■も良いかもなどシリアス展開でよりイロモノにナイフでさされたりしなければ爆発に巻き込まれようが踏まれようがアフロになって生きてる
後は某ヒーロー漫画の悪の組織の戦闘員ジャッキーとか?
B級ヒーローの必殺技受けても平気でお魚喰わえたどら猫追っかけてく耐久性は流石過ぎる
>>626 確かにオーガに麻酔は効いたけど早く目覚めたぞ
次が効くかはわからん
それ以前に当てられるかどうか
>>636 ルイズはイリュージョン特化するわけですね、わかります。
乳をもいでいくフォルゴレにルイズの面相が鬼神になるのが容易に想像できる
超サイヤ人なら気を込めてたら無傷なんじゃね?
>>622 ロボライダーとかバイオライダーとか
>>637 腕一つなくしても「仔細なし」ですますからなぁ>覚悟
ルイズ「キュルケあの馬鹿来なかった!?」
キュルケ「(恍惚とした表情で)私の胸を揉んで行ったわ・・・」
「エクスプロージョン!エクスプロージョン!(ry」
スゥゥゥゥゥウウウ
「(こいつ・・・息継ぎしている・・・・・)」
覚悟なら「零」さえ着てりゃそれこそ傷一つないな。
虚無は例外として。
>魔法が直撃しても傷一つつきそうにない体のキャラっているかな?
ギリメカラ。
何故かルイズと契約した途端に魔本が現れる清麿召喚な電波が…
面白そうな気はするがルイズとしては屈辱と言うか陵辱されたようなモンだよな、コレ……
>647
あれに魔法を使ったらダメだ
ギリメカラって物理反射じゃなかったけ
流れを切ってスマソ。
最遊記からの召喚はこのスレ的にアリなのか?
悟空道の悟空なら大概の攻撃は効かない希ガス
テトラカーンとマカラカーンを覚えたモーショボーを召喚!
一方そのころライドウは涙目になりながら迷子になったモーショボーを探していた
>>651 とりあえず書いてみるんだ
あと作品叩かれたりスルーされたりしても泣かない
バルンガには一切の攻撃が通用しないぞ。
まあハルケギニアではたいして育たないかもしれんが。
ハルケギニアが魔法の使えない地球の中世と同じになるかも。
あれは虚無でも吸い込んで栄養にしかねんw
一方さんなら大丈夫だろう
虚無はわからないけど
ハッカーズだと、ソロネやメルキゼデクやバアルあたりが魔法反射スキル持ち
>>652 下手すると4系統に近い真似を生身で出来るじゃないか!
ルイズが宗派変えしないと仏契できないようだが
流れブッタ切って申し訳ないのですが、
SS中に歌詞を書きたいんですが歌ってどれ位まで書いておkなんですか?
悟空ならマチャアキ悟空を希望
魔法どころか攻撃すら効かないギーグ
JASRACに怒られないくらいまで
>>664 難しいなぁ。すぐ怒るでしょあの人たち。
バッカーノの連中は不死身だな
ゴーレムに踏まれても全然平気だし老化もしない
タナロットは不死だな、カッタートルネードくらっても服は破けるだろうが肌に傷がつくとは思えんし
668 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/20(土) 20:57:28 ID:aXzXAJfz
ポピーザぱフォーマーの太陽の人(パピィだたか?)
ならギャグキャラ補正で死んでもすぐ生き返るぜ。
七万の軍勢にもテーマソングと共に突っ込んでいく
>>668 あのほんのりグロテスクなシュールさにはルイズやタバサが号泣しかねん。
問題はタクトが居ないと癇癪起して暴れそうな所か? >タナ朗
寧ろハプが爆破される為だけに顕れそうな……ドMだし
あと作者?がりでDナイト状態のシャノンも割と不死身だよな
力場と軽装干渉能力による再生とPシステムによる予知が有るし竜機神顕現状態だと手に負えない
後はポリの精霊系か?
神曲が無きゃ発狂して暴走するけど
足洗邸の魔神達。
全員チートの塊www
>>631 ハドラー最終段階は超魔生物化してるから魔法効かないぞ
虚無メイジがソウルイーターのエクスカリバーを召喚したとして
ルイズ…1日経過しないうちに吐血
教皇…スゲェっ!! この力さえあればエルフを皆殺しに出来る!!
守って欲しい1000の誓約がなんぼのもんじゃい!!
エルフを死滅させる事が出来る代償としては安すぎるくらいだぜ、いゃったぁぁぁぁっ!!
明日から毎日聖地に出かけてエルフ殺しまくってやるぜ!!
と、この二人については容易に想像できるんだが、残りの二人の場合だとどうなんだろう?
……そういやコイツも殺しても死ななそうだなw
魔法が直撃しても傷一つつきそうにない体のキャラじゃなくて
装備品がすごいとか能力かなんかでそもそも直撃しないとか直撃しても再生ってのが多くないかなんか
ワルドのエアニードルなら貫けないものはないんじゃね?
リアルで固めたオリバさんの腹筋
ギーシュ「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!」
魔法が直撃しても傷つきそうも無いヤツなら
オーフェンのミストドラゴンだな
多分ゼロの使い魔の世界の魔法じゃ傷一つつけられない
本人の性格とか行動で忘れられてるかもしれんが、
アクマがこんにちわの人の人修羅ならマサカドゥス持ちだから
メギド(万能)系以外物理攻撃も含めて全部無効か反射できるはずだ。
よく知らないが、怪獣とかスーパーマンとかなら魔法直撃でも無傷じゃね?
と思ったが、スーパーマンは魔法に弱いんだったっけか。
魔法が直撃しても死なない…ゴジラならきっとけろっとしてるだろうな
にしこり
爆裂ハンターの主人公が魔法吸収体質で完全無効だった様な
あの世界も魔法使い=貴族だったっけか
宇宙空間に生身で出てもピンピンしてるようなやつなら心当たりあるけど
>>679 あの犀が召喚されたら、行き成り砲弾ぶっ放した後で、神の鎚を使いました『完』てなりそうな気がして仕方が無い。
>>684 漫画の本編終了後だと、妻の姉に子供を二人生ませてたから、何人か孕ませそうだなw
クロムウェル「EDAJIMAがあと二人いたら、レコンキスタは負けていた」
魔法無効化といえば『ドロヘドロ』のカイマンもだが、
あの作品の「魔法使い」の魔法とメイジの魔法は原理が異なるから無理だな。
「すすめ!パイレーツ」の村田や、「ラブ・ネゴシエイター」のジム・リードなら、どんな強力な魔法食らって死んでも平気だよ。
絵描き職人の方、使い魔全員集合ワルド涙目のイザベラ様バージョン描いてくれんかな
「去れ。お前を見ていると、自分を見ているようでイヤになる」
「ああ?なんだってえ」
振りむいたジョセフの目の前には鬼太郎、管理人、生物、魔王竜、ワイバーン、便器男、雪だるま
イザベラ様本人は気さく、臨獣ホーク拳使い
>宇宙空間に生身で出てもピンピンしてるようなやつ
さっきジェイソンX見たばかりだよ
流れが不死身のようだが
不死身といえばたった一つの命を捨てて生まれ変わったやらねばならないキャシャーン
虚数領域に片足突っ込んだか何かで当人が納得するか余程のことしないと消滅しない
ゼノサーガのテスタメントとか・・・
ルイス=バージルが召還・・・動かし辛そうだ、まだアルベドとかのほうが・・・
何でマガジンで連載していた魔法ファンタジー物が出て来ていないのかと小一時間
ΩΩΩ<な、なんだってー
ルイズ、これは!?
ルイズ「第五の系統だよ!」
>>692 カロッゾ・ロナという人物がいてだな
でもさすがに魔法相手じゃきついか
愛撫じゃなかったか
>>691 移転した夜点の人ではプレシアさんの弟子になってデバイス使って水の精霊フルボッコしてたなあ
魔法無効化といえば明日香の人戻ってこんかな?
ルイズに明日香ならイザベラに一也だろ
死んでも平気といえば、3×3EYESの八雲だが。
いや、アレは死なないのか? もしくはもう死んでるのか。魂ないし。
メガテンの葛葉キョウジとかは、ワルドの身体を乗っ取るくらいはしそうだ。
アスカといえばエヴァのアスカ召喚されたらどうなるんだろうなw
シンジは他スレで召喚されてたけど
>>701 肉体を錬金できるとして、心臓を石にされたら危ないな
攻撃が通じないって意味の不死なら指輪物語の騎士団の亡霊とかか
指輪だと、そのままガンダルフとか呼んだらどうなるかな?
実際、あの爺さんは魔法使うより剣ぶん回した方が強いイメージがあるがw
706 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/20(土) 22:53:53 ID:aXzXAJfz
>671
友人が足洗邸のキャラを召喚される日を夢見てました。
味野さん召喚タバサ気絶とか、タバサにアメちゃんあげるとか
「ハシバミ草?ワシ地獄の飯食ったから味わからん」とかオレも夢見てます。
スペランカー先生なら何やっても死ぬけど大丈夫。
でも先生が敵の攻撃で死ぬところだけは想像できない。
大ジャンプして攻撃避けたら死ぬけど。
抜作先生やパッパラ隊のとびかげなら何されても平気。
FFT獅子戦争の追加アイテムはチートだらけで賢者の指輪ってのがあったな。
全属性魔法吸収HP回復だからハルケギニアだと相当酷いことになりそう。
自動復活&自動回復のブレイブスーツ、グランドアーマーと併用したら死なないし。
リボンとか香水とか宝物庫に何がドキドキ状態だな。
コルベールの爆炎なら勇次郎どこらかほとんどのキャラは死ぬだろうな
土に潜るはなしな
>>705 仮面被ったワルドにやられて一番下に落ちて死んだと思ったら、
結婚式のシーンに乱入してきて、灰色から白になったとか訳の分からないことを言い出すのか
>>709 忘れてた。賢者の指輪は全属性強化もあった。おマチさん無双展開ができる。
>>690 他はわかるけど、ワイバーンて、どんなキャラだっけ? マジレンジャー?
>>710 「マチさん、この男の専門は決して教育だの発明だのというものではない」
「人呼んで、猛毒コルベール」
>>710 どこぞの「さあ 回復してやろう!」な若本だったら
「何だ その哀れな術は・・・」とか言いそうだな
716 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/20(土) 23:07:59 ID:aXzXAJfz
ハリポタ召喚「あれ!?ハーマイオニー」
学園長とギトーにも同じような反応。何てこった
>>716 そりゃハリポタがゼロ魔を参考にしてるからな
マジでっ!?(ホロのAA略)
>>685 宇宙空間大丈夫……
ナイトウィザードのウィザード全員だなw
あと、絶対にルイズは超公ちゃんを召喚してはいけないと思う
>>715 「魔法なんざ使ってんじゃねえ!」
な穴子。
アイテムとかも禁止します。詠唱0でカウンターもらいます。
……理不尽。
「ゼロの使い魔、スパイダーマッ!!!」
どう考えても逆だと思うが。
お久しぶり……と言っても一週間も経ってないんですが、現在続きを書いてます。
リアルが忙しくて、土日ぐらいしか書く暇がない……orz
まあそれはともかくとして続きなんですが、早々にリュカの嫁が明らかになります。
で、そこで皆さんに質問なんですが、嫁が出る以上は避難所に投下した方が良いでしょうか?
私自身はそういうことには無頓着なんですが、どうやらビアンカ派とフローラ派は険悪らしいと聞いたんで……
本スレの炎上を防ぐためにも、そうした方が良いような気がするので、ここで皆さんに聞いてみようかと。
……私の本心としては、本スレに投下したいんですけどね。
725 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/20(土) 23:20:54 ID:aXzXAJfz
>717
>722
逆だな 、ゼロ魔がハリポタを参考にして
ハリポタがネギを参考にして
ネギがゼロ魔を参考にしたんだよな
>>724 色んな意見が出るでしょうし、今はいない人もいますので、
作者さんがそうした方が良い気がするのなら、そうしてください。
>>724 俺はフローラ信者だが、流石に他人の2次創作にまで文句は言う奴は居ないだろう
流石に追加嫁のデボラとかだと少々複雑な心境ではあるけど
ベラとかルドマンだったら避難所で
ネタ的にも避難所の方がいいと思うけど?
もうね、他人にどうしたらいいか聞くなんてのはどんな結果がでようと荒れかねないから止めてくれと
複数ヒロイン制って恐ろしいな…まだ争いを止めないなんて……
俺は別にどっちでもいいが、以前も似たようなケースで大騒動が起きたような。
ハーマイオニーは原作初期では出っ歯のガリブスなんでハリーがルイズを誤認する事はまず無い
(途中で整形魔法使って超かわいくなる)
どうでもいいがルドマンを選んでハッピーエンドになったSSを読んだ覚えがあるきがする
>>724 自身でさえ荒れそうだと思うのなら
避難所が無難じゃないでしょうか
書き上がったわけでも無いの上に、
忙しくて書く暇が無い人が、
そんなことを聞きにくることに驚きましたw
>>714 ダンカンとかサンチョとかミルドラースとかじゃなきゃ良いんじゃね
でもこの手の質問はしないで取り敢えず投下して、文句出てから考えりゃいい
>>724 別にそこまで気にする必要ないんじゃないかと
というか前回のラストの会話の口調で誰かわかっちゃったし
736 :
734:2008/12/20(土) 23:32:34 ID:vAExr98I
おっと
>>724だった(ノ∀`)
なんてこったい
ところでお前らこんなに居たのか
>>734 いや先に考えろよw
荒れる前なら対処出来るだろw
本スレに投下した後に「○○派の方は申し訳ありません」って一言添えればいいだけのような気もするがなぁ。
皆さん、意見ありがとうございます。
実は現在、2話はほぼ出来上がってる状態で、あとは推敲のみです。
とりあえず一晩置いて考えて、どちらに投下するか決めますね。
…というかこんなところでまで二次創作に向かってグダグダ言うような奴はどこに投下してもケチつけに来るから、気にするだけ無駄かと
レスは書き捨て2chは痰壷、歩く姿はカリフラワー
オリキャラ(三人目の子どもとか)を出さなきゃ問題ないと思うんだがな、俺は。
DS版の追加妻でも、原作DQ5DSならまったくかまわないとも。
原作に無いオリジナル要素が強いと、読む気無くすが。
立てばトロール座ればオーク歩く姿はホブゴブリン
>>737 別にそこまで気遣う問題でもないとは思うが、この対処は最も悪い形だな
>>739 作者も危惧していると前置きしてから聞いてるし、
反対意見まであったのに本スレ投下なんてしたら本当に荒れるぞ
>>744 良くゴブリンの親玉にされるけど、ホブゴブリンってお手伝い妖精なんだぜ・・・
まあこの場合、時期的に聞いたのが不味かったな。
このレベルなら、しれっとやってれば何も問題はなかったはず。
立てば爆発 座ればボカン 歩く姿はユナボマー
こんなところで意見なんて聞いても割れるに決まってるんだから聞くだけ無駄だよ
むしろ対立を煽ることになるから絶対にやるべきじゃない
>>735 事前に対処できるならした方が良いと思うけどな。
まぁ、さすがにこの程度なら投下しても荒れやしなかったと思う。
ネタでビアンカがどーとかルドマンがどーとか言う奴はいたかもしれんけどw
今回の対処が最悪ってのは同意
こんなもん荒らしたい奴に口実くれてやってるだけだからなw
>>745>>746>>748>>750>>751 本気でごめんなさい。これで荒れるとはまったく予想してませんでした。
ほとぼりが冷めるまで投下は自粛して、今は続きを書き溜めるだけにとどめておきます…orz
さてその頃には、何話まで書き上がってるやら(;´・ω・)
明日には醒めてるさ
ていうかね職人はただ黙って投下する
それだけ
期待しているだけに、ちょっと残念だな。
頑張れ、超頑張れ。一週間もすれば誰もかれも、いい感じに忘れてるって
とここでネタばらし
>>724-753は、完全催眠による幻視でした
これにはスレ住人もビックリ
>>755 そんな、美味しい肉じゃがの食べ方じゃあるまいし……
人の噂も七十五日って言うけどさ、これは短いのか長いのか
>>759 当時の平均寿命から考えていくべきだと思います!
嘘つきは肉棒の交わり
>>758 エロパロとか見ると分かるんだけどさ、横柄な態度を取る職人って大抵文章が低レベルだったりするんだぜ。
日本人は遠慮と謙遜が6割だから、
>>755の言うことは間違っては無いと思うよ
横柄というか、自己主張の激しい職人だな
その手の議論は、いらぬ言い合いを生むからそこらへんでやめといたほうがいい。
誰かー投下してくれー!誰でもいいから投下して
この空気を一蹴してくれぇー!全力で支援するから!するから!
>>765 横柄な態度の受け手もね
まぁネットであっても社会通念は一緒だよね
本来、事前の相談なんてのは極めて当たり前のことなんだけどね。
相談した場所と時期が悪かったんだろうね。
今後は作家チャットとか活用するといいんではなかろうか。
アドレスで大体分かりますが落ち着きました
お前ら服を脱げ
みんなで相撲を取るぞ
黒中尉
差別じゃねぇ区別だ
こんばんわ。いままでここのスレでは読むだけだったのですが一念発起して書いてみました。
それほど長くはありませんが、投下してもよいでしょうか?
元ネタは、魔王伝の浪蘭幻十です。
ほいきた支援
最近 こんばんは より こんばんわ の方が良く見かける気がするんだけどどうなってんだ
支援!
こんばんは、楠田恵里子です
「は」だな
>>781 「は」だな、そう言われちゃったらどう考えても「は」だわ
>元ネタは、魔王伝の浪蘭幻十です。
また難度高そうな所から持ってくるなあ
支援
785 :
ゼロの魔王伝:2008/12/21(日) 00:31:02 ID:pxRHz3gu
では投下します。
ゼロの魔王伝1
煌々と灯された魔法の明かりがゆらゆらと揺れる夜だった。
深い紫の色合いを混ぜた闇の天蓋には、白い星の光が幾万も輝き夜に生きる者達の影を地に投げかけていた。
蒼と赤とに輝く双月の美しい静夜。
ある者は思った。こんな夜はなにかいい事があるに違いない。
またある者は思った。こんな夜はなにか良くない事が起きるに違いない。
月の美しさが夜に潜む魔性を目覚めさせるのか。人の心を揺さぶり、奥底に眠る狂気の肩を揺するのか。月達は己らの美しさを誇るばかりで答える事はない。
固く閉ざした寝室の扉越しに、地を駆ける野の獣の遠吠えが風に乗って聞こえるような、そんな夜であった。
ハルケギニアと呼ばれる大陸の、ガリアと呼ばれる王国の宮殿。草葉の陰に隠れた虫たちの鳴き声も、風に揺れて楚々と奏でられる花弁の歌も、ざわざわと月明かりに照らされた蠢く木々のしなりも、すべてが静寂に閉じ込められていた。
ナニカがそこに来たからだ。あるいは、来てしまったと言うべきか。
許される限りの贅を尽くした壮麗な宮殿の玉座で、青い髪の美丈夫が呆、と立ち尽くしていた。
三十をいくつか数えた頃と見える顔立ちは、幾年月を経た古々しい歴史という名の因子を持った者のみが持つ気品をたたえ、煌々と灯された燭台の明かりに照り映える青い髪は、晴れ渡った空の青を写し取ったように美しい。
彫の深い顔立ちに、意志の底が見通せず、深い霧の彼方を見通そうとするような徒労感に襲われる瞳。整えられた口髭も、男の美貌と称するに何ら抵抗の無い顔立ちに雄の匂いを付け加える装飾品として機能していた。
びょうびょうと鳴く夜風が途絶え、時折じじ、と灯された明かりの炎が揺れる音だけが異様に大きく部屋の中に響いた。重くのしかかる沈黙を破ったのは、男が握っていた杖を落とした時だった。
からん、と乾いた硬質の音が一つ。男の足もとに落ちた杖はころころと少しだけ転がり、止まった。あるいは恍惚と蕩けていたのかもしれない。意思も命もない無機物である杖が。
男――ガリア王ジョゼフは、張り付いた様に動かぬ喉から、言葉を知らぬ野人の様な声をかすかに絞り出した。
お、おお、おう、と。それ自体はなんら意味を成さぬ音の羅列に過ぎない。だが、ソレはジョゼフにとって途方もない意味を持った感情の表現だった。
暗い湖の底に太い鎖で何重にも絡めとられたように動かなくなった心が、今、確かに動いている。慄いている。震えている。おお、おお、と紛れもない感嘆の呻き声を挙げ、驚愕に啜り泣いている。
死んだはずの心が、渇ききったはずの魂が、こうも蠢いている。胎動している。脈動している。ジョゼフは己の心に起きた変化を理解していた。
無理もない。戯れにと思い行ったコモン・サーヴァント――使い魔の召喚で呼び出した存在が、よもやかようなモノでは。
ジョゼフの視線の先では、踝まで届く黒い長衣を身にまとった人型の闇が立っていた。ジョゼフの口から零れ出る言葉にならぬ声が、影自身に対する魂からの讃歌である事を聞きとった闇は、静かに微笑んだ。
自らの美を信仰する者に対して、多少は報わんとする心をこの闇は持っていた。一文字に閉ざされていた唇がゆるゆると、その効果の絶大さを正しく理解し、見せつける為に吊り上がる。
唇に触れた風は悶え震えながら地に堕ちた。
闇を照らした燭台の明かりは闇のあまりの美しさに自らの醜さを恥じて消えていった。
そしてジョゼフは、闇の見せた微笑が己に向けられたものであると悟り、あまりの衝撃に揺さぶられた脳が、それ以上の視認の停止を命じた。
正気のまま見つめるにはあまりにも美しすぎる。これはこの世に在ってはならぬ。在る筈の無い美であった。
世界の全てが音を失い、色を失い、正気を失い、狂うほどに美しく。しかしてそれを嘲り笑う魔性の者どもさえも怯え震えるような、邪悪な心の持ち主である事がありありと浮かんだ笑み。
邪悪だから美しいのか。美しいから邪悪なのか。ジョゼフは薄れゆく意識の中、答えの出ぬ問いを、闇に投げかけた。闇は微笑を浮かべたまま、やがてジョゼフへと歩み寄っていった。
支援
787 :
ゼロの魔王伝:2008/12/21(日) 00:32:15 ID:pxRHz3gu
麗らかな午後の日差しが装麗かつ広大な宮殿を照らし出し、その威容と積み重ねた歴史の重さを黒い影と共に浮き彫りにしていた、とある日の事。
白のブラウスに黒のスカート、白のタイツとマントに、人の身の丈を悠に越える古木の枝を、申し訳程度に整えた様な杖を持った小柄な少女が歩いていた。
赤縁の眼鏡の眼鏡を駆けた瞳も髪も揃って青い。まだ女の匂いを醸し出すには早い青い果実のような肢体は、しかしそれ故に噛み締めた時の味を想起せずにはおれぬ魅惑を滲ませていた。
神に愛された人形職人が技巧の粋を凝らして整えた様な顔立ちは、将来に花開く典雅な美貌を約束していたが、まるで魂を吹き込むのを忘れられたように何処か冷たい影を帯びている。
だが、見る者が見ればその髪や瞳の色から、少女の血統がこのガリアで最も由緒正しく尊いものである事に、そして服装からして異国トリステインに在る魔法学院の生徒である事に気付くだろう。
タバサという名前の少女は、このガリアからトリステイン魔法学院への留学生であった。そしてもう一つ、いや二つ、学院の友達にも知らせずにいる顔がある。この宮殿に居る時の顔は、ガリア王国の暗部を司る北花壇騎士団七号のタバサ。
まだ二十歳にもならぬ身の上ながら、数年前に降りかかったとある事情故に、正規の訓練を受けた騎士達でも手に負いかねぬ危険な荒事や、表ざたには出来ぬ国の根暗い事態に対処する為に存在する、公的には存在していない騎士団の一員なのだ。
その血統故に持っていた稀有な才能と、命がけの戦闘で培った経験、そして何よりも目的を遂行する為の精神力が、タバサをこれまでのあらゆる死地から生還させてきた。
タバサが宮殿に召し上げられたのは、無論七号としての任務を告げられるためなのだが、これまでタバサに与えられてきた、死ぬ事を望まれているような危険なものではなかった。
いや、本当にそうなのかタバサには判断がつかなかった。
タバサの上役であるガリア王国第一王女イザベラが、通常はタバサに対して任務の内容を告げるのだが、今回はなにやら体調が思わしく無く床に伏せているとかで、侍女の一人が代わりに任務の内容を告げてきた。
曰く“とある者の実力を見極める事”。
相手が何者なのか、それこそ人間なのか、亜人なのか、メイジなのか、オーク鬼なのか、ミノタウロスなのかさえ分からない。
あまりにも漠然としながらも単純明快な指示の内容は、いよいよ自分を始末しようと決めたのだろうか、という疑惑の念をタバサの胸に植え付けていた。
余人には知らせられぬとある事情によって、タバサはジョゼフに命を握られているに等しい状況に在る。
ジョゼフのきまぐれによっては今日明日、いつ自分の寝首を掻かれるか分からぬ日々は、常人ならとうに心を病んでいたかもしれぬが、過去のある日から心の一部を凍らせたタバサは、正気を保っていた。
ある意味では、すでに心の一部が壊れてしまったからかもしれない。
目的を果たすまでは死ねない。この一念がタバサの心を縛り付け、束縛し、臓腑にまで絡みついた見えない鎖で己の爪と牙を研ぎ、タバサはいつか来る時を待ち続けている。
一般的にドット、ライン、トライアングル、スクウェアと称されるメイジのランクにおいて、タバサはトライアングルの位階に在る。
メイジとしての知識と技量を研究や技術の向上の為に使う学者タイプではない、血飛沫の舞う実戦で磨かれた血濡れの刃とでもいうべき実践型だ。
仮に同じトライアングルクラスの正規の軍人でも、おいそれと敗北するつもりはない。
自分が連れてきた使い魔を預けている厩舎には立ち寄らず、タバサの足は目的地を目指して動き続けた。指定された場所は使われなくなって久しい、宮殿の外れにある鍛練場だった。
かつてエルフに奪われた東方の聖地を奪い返すべく、ハルケギニアの人間達が武力を持って成さんとしていた時代に、自分達の力を高める場として設けられた場だ。
もっとも、エルフと人間のメイジとの間に厳然と存在する力という現実を散々に思い知らされてからは、貴族の誇りを賭けて“人間同士”で戦い合う決闘場となり、やがてそのような気骨と矜持を持った貴族が廃れるや、記憶と記録の片隅に追いやられてしまった。
直径五十メイル、ドーム状の天井までは三十メイルほどもある鍛練場は、『固定化』の魔法によって長の風月も耐え忍んでいたが、人が絶えて久しい年月がこびり付かせたわびしさは拭い難かった。
かつては多くの貴族達がエルフとの聖戦に、自分達の名誉と誇りを駆けて血を流した場所は、今やその記憶の残滓をわずかに残し、その無常さを浮き彫りにした墓所の様な空間に成り果てていた。
支援
支援
支援
791 :
ゼロの魔王伝:2008/12/21(日) 00:33:56 ID:pxRHz3gu
差し込む午後の陽光が作る闇の中に、そのまま溶け入ってしまいそうな人影が一つ立っている事にタバサは気付いた。我知らず杖を握る右手に力が籠る。
闇の奥に隠れた者の顔を余人に知られぬ為に太陽が嫉妬したのか、陽光の生む影に隠れ、顔を窺い知る事は出来なかった。ちょうどタバサが、闇の中の相手が背負った陽光を真正面から見つめる位置に在る。立ち位置は最初から不利になったわけだ。
タバサは判別できる部分を見つめた。首からつま先まで全て黒一色で統一された服装だ。黒いインバネスにスラックスも靴も黒。なのにわずかにのぞく手首から先や首回りの肌は、夜闇に浮かぶ月さえも色あせて見えるほどに輝いていた。
星も月も、その輝きを届かせる事の出来ない真の闇の中に在っても、この人影だけはその存在だけで輝いているかもしれない。あるいは、その闇さえも飲み込むより暗く黒い影の人型となるか。
タバサは、急激に熱を帯びる自分の体を意識していた。緊張している? いや、それもあるがこれはもっと別の何か。すでに何かの魔法をかけられた? 目の前の人影が気付かぬように行使したディテクトマジックに反応はない。
ならば、単なる生理現象だろうか。しかし、一体何に反応し、どうなっているというのか。ぬるりとした汗が、左手の掌に浮かんでいる事に気づき、タバサはそっとスカートに掌を押し付けて拭った。
「北花壇騎士団七号」
タバサという偽りの名さえも告げず、タバサは相手の反応を待った。影の奥で闇が微笑する様な気配がした。ぞくりと、タバサの背筋をなにかが駆けのぼった。
それは絶体絶命の危機に置いて、タバサの命を救ってきた第六感の発する最大級の警告であったかもしれない。あるいは生命の喪失とは異なる、もっと別の危機を感じ取ったからかもしれなかった。
少なくとも目の前の存在は、これまでタバサが対峙してきたどのようなものとも異なる未知の何かだった。
「君かい?」
影の奥から聞こえた声がタバサの耳を打った。若い男の声だった。まだ二十歳を超えて数年を数えた程度であろう。だが、その声の孕む響きは一体、なんだろうか? タバサの両の耳孔から忍び入った音の波が、妖しく響きながらタバサの体内を蝕んでいた。
ただの声だ。数えても数秒にも満たぬ時の間に紡がれた音だ。だが、それが天井世界の楽士がつま弾いた歌の様に、タバサの心を揺さぶっていた。
ただ恍惚と砕けんとする心をつなぎ止め、タバサは人影の次の言葉を待つ。美しい声は、しかし、どこか人間とは思えぬ冷たい何かを孕んでいた。それ聞きとれた事が、タバサの体に、戦闘の態勢を取らせていた。
軽く両の爪先を浮かべ、瞬時に左右前後どちらにでも動けるよう重心を微調整し、構えた杖と意識を重ねるようにして精神を、研ぎ澄まされた刃の様に尖らせる。
タバサがこれまで自分と同等ないしはそれ以上の敵と戦う際に行ってきた、精神集中であった。
友好的とさえとれる人影の言葉の何処に危うさを感じ取ったか、タバサの骨肉に沁み込んだ戦いの記憶は、今立っている場所が命懸けの戦場であると判断していた。
くくっ、と戦場跡に晒された骸の間を通ってきた風の様な声が聞こえた。人影の漏らした笑い声であった。それは明らかに侮蔑の響きを含んでいたが、それに怒りを感じる心も余裕もタバサになかった。
自分が既に腰まで冥府に繋がる暗い穴に陥ってしまった事を無意識の内に悟っていのかもしれない。
人影が、口を開いた。風の動きで分かった。まるで万年を待ち焦がれた思い人に巡り合えた様に、恍惚と蕩けている。
「ジョゼフに――」
「……」
「君と遊ぶように頼まれてね。ただし、遊び方はぼくの好きにしていいそうだ」
「……」
「生憎とぼくは一人っ子で妹がいなくてね。兄弟みたいな幼馴染は居たんだが、どんな風に遊んだらいいのか、勝手が良くて分からなくて困っていたんだが」
「……」
「君を見て、ぼくの生まれ育った場所風に遊ぶ事に決めたよ。<新宿>流にね」
「……」
「そうそう、まだ名乗っていなかったな。ぼくは浪蘭幻十だ」
「ロウランゲント……」
「では、綾取りでもして遊ぼうか」
にい、と影の奥で幻十が笑う。日の光の中に差し出された左手の指先に、きらきらと輝くなにかが、纏わりついていた。細さ千分の一ミクロン、チタンS9に錬金加工を施した魔糸であった。
眼に映せぬ魔性の糸が、ゆっくりと風に遊びながら、タバサの全身を何重にも囲んでいる事を、幻十だけが知っていた。
終了。最初なので短めですがここまでです。お目汚し失礼しました。
もしや携帯から投下か?支援
乙!
すでにタバサ終了のお知らせになってるんだが。
乙!読みごたえあった
タバサに壮絶な死亡フラグが立ってる……回避してくれ〜!
つか、それよりももっそい丁寧で細かい描写に見惚れて(読み惚れて?)しまったんだが。
俺もあれくらい書けるようになりたい。ボキャ貧な自分が悲しいぜ。
魔王の人乙です。
原作は知らないけどまさか菊地作品? だったらタバサオワタとしか…イ`タバサ
次回にwktk
菊池というと妖怪グルメしか読んだことないな。
富手夫召喚ネタでもかいてみようか。
ハルケギニアにおいてクトゥルフに匹敵する究極の食材ってなんだろう?
……エルフ?いや、韻竜?
いいえ、虚無です。
レッツカニバル。
>シュウにビビるのも、貧弱なのも
呼び出された虚無の使い魔の中で主人公が一番小物というのも珍しい
>>800 マテwww
他にあるだろwオーク鬼とかグリフォンとかマンティコアとか吸血鬼とかw
ストレンジ・プラスからオズ先生とドロシー(レオ様付き)召喚…腕はいいからカトレアの病気を治せるかも…ギーシュやワルドを調教したり、アレな方向に逝くたびにルイズに宥められる姿が見えるのはなんでなんだぜw
「アイテムなんぞ使ってんじゃねぇ」はシェフィールドの存在を全否定してるなw
>>804 アイテムだけじゃ無いでしょ、その人。
魔法も回復も後退も許してくれない。
そのうえ強いし。
何故か「こいよベネット、銃なんか捨ててかかってこい!」を思い出した
一体何が始まるんです?
素晴らしいことだよ……
ド
ワ
オ
一応、作品を書いたのですが人いますか?
ヘイヘイいるぜいるぜ。
では投下します。
「ケン!なにやってるの!?勝手に決闘の約束なんてして、平民のあんたが貴
族に勝てるわけないでしょ?前に貴族と平民の関係を教えたでしょ?聞いてな
かったの!?」
「聞いてたさ。だが、俺が勝てないなんて一言も聞いちゃいないがね。」
「あんただって平民でしょ!下手したら死んじゃうのよ!謝れば許して貰える
かも知れないから、謝っちゃいなさい!」
早川は指を立て横に振る。
「チッチッチッ、生憎と悪くもないのに下げる頭なんて持っちゃいませんが
ね。」
早川はそう言うと近くにいた生徒にヴェストリの広場がどこにあるのか尋ねる。
「もう知らないんだから、、、」
『風』と『火』の塔の間の中間にあるヴェストリの広場。そこには噂を聞きつ
けた生徒達で賑わっていた。学院という特性上あまり娯楽と言う物に乏しく、
退屈を持て余していた生徒達にとって今回の一件は暇つぶしには丁度良かった。
と言っても集まった生徒達の殆どが、ギーシュがどのように生意気な平民を痛
めつけるかを楽しみにしていた。
その殆どに当てはまらない生徒と言うのが、この二人で
「ねぇ、タバサ。止めなくていいのかしら?あなたが決闘なんて見に来ような
んて、よく思ったわよね?」
「興味がある、、、」
「空を飛んでいた、、、」
「まぁいざとなったら、私達が助けてあげましょ。何か、ケンって憎めない所
あるのよねー。中々いい男だし。」
しえん
ギーシュを始め生徒達は生意気な使い魔の到着を待ち構えていた。
そこにギターの音色が、
「大層なご登場だね、平民君。待ちかねたよ。やはり君は人を馬鹿にするのが
上手らしいね。」
そう言うとギーシュは薔薇の花に見立てた杖を振る。そこには、錬金で出来た
墓石が現れた。
その様子に早川は素直に関心する。
「ほぉー、魔法ってのは便利なもんだね。」
しかし、関心こそすれ恐れる様子は無い。ギーシュは更に
「君の墓石だが味気ないから、これを供えてあげるよ。」
と錬金によって薔薇を一輪作り出し墓石に置く。
ニヤリと笑う早川。
「大した彫金の腕だな。だが、見た所日本じゃ二番目。」
と2本指を立てる。日本と聞きなれないが、自分より上がいると言いたい事は
解ったギーシュは、
「じゃあ、一番は誰だ!?」
「ヒュー♪チッチッチッチッチ。」
口笛を吹き、立てた2本指を5回左右に振り、微笑みながら親指で自分を指す。
「君が?じゃあやってみるがいいさ。」
「そうかい?じゃあナイフはお持ちで?」
ギーシュは錬金でナイフを作ると早川に渡す。ナイフを受け取ると、墓石の前
に立ち、数回ナイフを振るう。
すると墓石には、薔薇の園に赤子を抱いた女性の絵が見事に彫られていた。
「こいつは薔薇の聖母子って絵なんですがね、薔薇は女性であって所詮男は子
供。おいたが過ぎると棘で怪我しますよって洒落ですよ。」
そう言うと、絵の出来に関心する声とギーシュを笑う声が起こりだす。
「それと、こいつはお近づきの印ですよ。」
とナイフを渡すが、ナイフの先にはハートの形に切り取った布が刺さっている。
早川がパチンと指を鳴らすと、ギーシュのズボンがずり落ちる。下着のお尻の
部分がハートの形に切り取られている。
周囲に爆笑の渦が起き、ギーシュは自分がどんな状態なのかに気付く。
「君は、よっぽど痛い目を見ないと判らないらしいね。」
かろうじて冷静さを保ったギーシュは、薔薇の花を振ると花びらが一枚舞い落
ちる。
「僕はメイジだ。よって魔法で戦う。文句はないよね?」
すると花びらは甲冑を着た女戦士の人形へと姿を変える。その様を見ても早川
は、
「アー、ハン。」
と肩をすくめ両手を広げる。
「僕は、ギーシュ・ド・グラモン。青銅のギーシュさ。君への制裁はこのワル
キューレが務めさせてもらうよ!」
ギーシュの声と共にワルキューレが猛然と殴りかかる。早川はサッと交わしな
がら持っていたギターでワルキューレの頭を殴る。バランスを崩したワルキ
ューレは派手な音を立て転げた。
自分の当てが外れたギーシュは更に薔薇の花を振ると、更に花びらが舞い、剣
や槍を持ったワルキューレが現れる。
一方、ここは学院の図書室。コルベールは一冊の本のとあるページを見て驚愕
した。そもそもコルベールは、早川の左手に現れた見慣れないルーンが気にな
り授業の合間をぬって、どのようなルーンかを調べていた。本当ならば、儀式
の日に見た空を飛ぶ乗り物を調べたいのだが、
「大変ですぞ!これは学院長に知らせなければ。」
トリステイン魔法学院の学院長室は本塔の最上階に位置し、そこには年齢は10
0歳とも300歳とも言われる、オールド・オスマンが重厚なつくりの机に肘を突
いて暇を持て余していた。
「オールド・オスマン。あなたのお仕事はどうされたんです?書類のサインも
学院長の仕事じゃありません事?」
オスマンが秘書の席を見ると、書類の束を整理しながらミス・ロングビルが渋
い顔をしている。
「そんな渋い顔をしたら、せっかくの美人が台無しじゃて。それにわしは考え
事をしておったのじゃ。」
オスマンは席を立つと、思いつめたように窓の外を眺める。
「おっ、今日は黒か。」
とニヤけると、低いトーンの声がする。
「考え事ってスカートの中の事ですか?」
「わ、わかった、わかったから離してやってくれんか。」
オスマンは顔を伏せ悲しそうな顔で呟く、そしてロングビルの机の下から、小
さなハツカネズミがふわふわと宙に浮き、オスマンの肩まで届けられた。
オスマンが席につくと羽で出来たペンが重厚な机に突き刺さる。
「次は当てますよ。」
「はい、、、」
威厳なんてまったく感じられない。
コンコン、とノックの音が響く。
「コルベールです。学院長に相談があって参りました。」
「入りなさい。」
学院長室に入ったコルベールは一冊の本を見せ用件を話し出す。
その本の開かれたページを見て、
「これが、どうしたのかね?こんな古い本など見せよって。」
「学院長、これと同じルーンがある生徒が召喚した使い魔に、、、」
オスマンはロングビルに退室を促すと
「して、ある生徒と使い魔とは?」
「生徒とはミス・ヴァリエールで、使い魔とは人間、平民です。」
「まさかの、ガンダールヴと同じじゃとのお」
沈黙が部屋を包むが、すぐにその沈黙はノックの音により破られる。
「どなたじゃな?」
「ロングビルです。ヴェストリの広場で決闘騒ぎが起きています。騒ぎを気に
する教師達からは『眠りの鐘』の使用許可を求める声が。」
「相手は誰じゃ?」
「ギーシュ・ド・グラモンとミス・ヴァリエールが呼び出した使い魔です。」
「放っておきなさい。子供の喧嘩に秘宝を使うとは。ちょっと見てみるとする
かの。」
そう言うと、マジックアイテム『遠見の鏡』を覗き込んだ。
覗き込んだ先には一体のゴーレムに羽交い絞めにされ、ボコボコにされている
使い魔がいた。それを止めようと主人であるルイズが涙を流し懇願している。
「ギーシュ!もう止めて!勝負は付いてるじゃないの!」
「そうかも知れないが、まだ君の使い魔から僕に対する侘びを聞いていないか
ら勝負は終わってないのさ。ゼロのルイズ。」
「ボコボコじゃのう。」
「ボコボコですね。」
「眠りの鐘、使うかのう。」
「学院長!ミス・ヴァリエールの使い魔が!」
そこにいるはずの使い魔がいない。
覗き見ている先でも早川がいない事に気付いている。
広場の隅からエンジン音が鳴り響き
「フライトスイッチ、オーーーーーン!!」
奇怪な乗り物が空を飛ぶと、遠見の鏡から音が。
ベン、ベベンベベン♪ベン、ベベンベベン♪
タタタタータタ♪タタタタータタッターン♪
遠見の鏡を覗き込むオスマンもコルベールもロングビルも状況が理解出来ない。
だが状況は刻々と進む。空を飛ぶ乗り物から赤に統一された上下のピタリとし
た服、黒いブーツ、奇妙な赤い兜を被った人間が飛び出すと、火の塔のてっぺ
んに着地し高らかに笑う。
「ハッハッハッハッハッ。」
「ズバッと参上!」遠見の鏡が左顔を映す。
「ズバッと解決!」右顔を映す。
「人呼んで、さすらいのヒーローーー!快傑ズバァァァーーット!!」
遠見の鏡が正面を捉えアップを映し前後にシェイクすると音楽が流れ出す。
もはや3人共理解不能だが、3人ともツッコんではいけないような気がした。
「タァーッ!」
掛け声と共に飛び立ちワルキューレの中心にすると手にしている鞭を数回振る
う。7体のワルキューレはなます切りになり崩れ落ちる。
ズバットは呆然とするギーシュに向かい怒鳴る。
「己の欲望の赴くまま2人の女性を弄び、あまつさえその罪を善良なメイドに擦り付けるとは言語道断!」
ギーシュは口をパクパクさせている。むしろ、この場にいる全員。学院長室の
3人とも現実について来れない。
ズバットは一片の容赦なくギーシュを殴り、蹴り、鞭で首を絞め投げ飛ばす。
投げ飛ばされズバットから離れる事が出来たギーシュは降参しようとする。
「ま、ま、まいっ」
「うるさい!」
問答無用にズバットは鞭でひっぱたくと空中高く飛び上がる。
「ズバァァーット・アタァーーーーーック!」
雄叫びを上げ高速ひねり前宙をしギーシュの顔面を蹴り飛ばす。
かなたに消えて行くギーシュ。
慌てて、生徒達がギーシュの元に駆け寄ると、
吹っ飛んだギーシュの胸には『Z』の文字をモチーフにした赤いマーク、
そして日本語で『この者、恐喝破廉恥犯人!』と書かれたカードが置かれていた。
生徒達が見回しても辺りにズバットの姿は無かった。
遠見の鏡からは
「ちびっ子の皆さん。ズバットの真似は絶対にしないで下さい。マネをするととても危険です」
と男の声が流れたのは言うまでも無い。
お目汚し失礼しました。投下は以上です。
支援頂いた方、ありがとうございます。
ぬう、戻ってきたら終わってた……
なるほど、鏡であの構図を再現するとはw
GJ
次回にwktk
武器を持っていたはずのワルキューレが早川建を羽交い締めにしてボコボコに?
まあズバットだしいいか
日本一乙!!
ツッコミたいのに、ゆでと似たような空気のせいか、ツッコミいれられんwww
鏡でTVの演出を再現するとは恐れ入った
作者もいろんな意味で日本一かもしれんwwww
日本一乙!!!
『飛鳥を殺したのはお前かぁぁぁ!!!』
『し、知らん! 俺じゃない!』
『嘘をつけぇぇぇ!!!』
が無い所だけがちょっと寂しかったです!
生放送乙です。
日本一の人、乙です。
朝っぱらから爆笑させてもらいました。
井上ワープとかそんなチャチなものじゃ断じてねぇ……もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。
日本一の人、乙です。
鏡のシーンで、曲から全部思い浮かべてしまい、爆笑!
いつルイズは、このノリについていけるようになるのかww
頑張れルイズ、君の使い魔は日本一
おはようございます 第4話 前編を9時45分ほどから投下してもよろしいでしょうか?
おk
支援
支援
さすがズバット!
とんでもない破壊力だぜ!
(主に常識への)
失礼、支援Z!
それでは 時間なので始めさせて頂きます
ゼロの使い魔様は根腐れしてやがる!!4話目 前編
「土くれを捕まえようと言うものはだれもおらんのかぁ!!」
冒頭から大声を出して怒っているのは魔法学院の最高責任者 オールド・オスマン
その怒気にあてられても萎縮するばかりで教師陣は自ら動こうと言う気概のある者はいなかった
「・・・まったく・・・情けないわい」
職員室にはオールド・オスマンのため息がやけに響いた
話は前日の夜までに遡る
その日、ルイズは魔法の練習を本塔近くで練習していた
「いやぁ、がんばるねぇ」
「ふん、とぉうぜんよ!!」
そこに現れたのはみなさんご存知、根腐博士 手には何かを持っていた。
「・・・それ何?」
「かき氷、がんばっているルイズ君、ご褒美にプレィゼントォ!!」
「ふ・ふん・・・貰ってあげない事も無いんだからね」
まるでツンデレの鏡のごとくそっぽをむきながらも受け取るルイズ
そしてルイズは貰ったかき氷を一口食べて・・・
「ぶほふっふぉふぉお!!」
盛大に噴出した。
「く・・・臭・・・海のオヤジの口臭・・・」
「ありゃあ・・・やっぱりまだ駄目だったか・・・エリック氷」
その後、怒りで我を忘れたルイズが爆発を乱発、本塔にひびが入ったり、
土くれのフーケのゴーレムが本塔を破壊したり、
学園の宝物の一つを盗まれたり、タバサがエリック氷を無表情で完食したりで今に至る
「まったく!!どいつもこいつも嘆かわしいわい!!」
教師陣の不甲斐無さにぶつぶつと文句を言うオールド・オスマン その時、ひとつの杖があがった
「私が行きます!!」
ルイズが手をあげた瞬間にドアが開き、更に上がる二つの杖、職員実の様子を覗いていたキュルケとタバサも杖を掲げる
教師陣は生徒が危ない、生意気な とか言うがオールド・オスマンの一喝で押し黙った
そこにミス・ロングビルが土くれのフーケの情報を持って現れた
「ふむ、まったく情けない教師陣じゃわい、生徒の方がよっぽど貴族らしいわ」
ロングビルのお尻を撫でながら渋く決めるオスマン
「セクハラです!!」
そしてオスマンの腕を持ち上げて思いっきりぶん投げるミス・ロングビル
「セクハラです!!」
さらにぶん投げるロングビル
「ちょ・・・ちょっと待って」
「セクハラです!!」
投げられて空中で浮いてるオスマンを捕まえて背負い投げるロングビル
「ご・・はぁ!?」
「セ・ク・ハ・ラです!!」
必殺投げの間合いでオスマンをぶん投げるロングビル
「そ・・・それでは諸君、後は頼んだぞ・・・がくっ」
「「「杖にかけて!!」」」
支援しまっせ。
こうして、ルイズ、キュルケ、タバサ、案内役のミス・ロングビル そして、
「いやぁ、ピクニック日和だねぇ」
「本当ですね博士」
「あんたら!!遊びに行くんじゃないわよ!!」
観光気分の博士ご一行は馬車に乗って土くれのフーケのアジトへと向かう
「ところで・・・盗まれた秘宝なんだけど どんなモノなんですか?」
「ミスタ・Cはご存知ないんでしたね、名前を破壊の・・・と言って」
そうこうしている内に一行は森の奥のフーケのアジトと思われる山小屋に辿り着いた
「あそこに秘宝があるのね」
「念の為に私は小屋の周辺を警戒してきます」
ミス・ロングビルと別れ、ルイズ一行はそっと山小屋に近づく
もちろん、みんなお揃いのほっかむりと軽快なステップでの抜き足、差し足はお約束だ
「誰もいないみたい」
「じゃあとっとと中に入って秘宝を取り戻しましょう」
そうして山小屋の中に入った一行が見たモノは・・・
ルイズがそれを目の前に呟く
「こ・・・これが・・・学園の秘宝『破壊のヒト』なの・・・」
続く
4話目 前編 終了です
次回、破壊のヒトの正体が明らかになります
……まさか名前の語尾が最初は『ズ』だったのにいつの間にか『ス』になっちゃったあのヒト?
あんまりつまらない内容で引っ張られるとネタバラししたくなるなw
>>835 そういえば根腐博士のようにタイムマシンを持ってる、もしくは時間移動能力を持ってるのが召喚されて
元々の争いの根源を断つという展開はありなんだろうか?
ジョゼフに『君は実は虚無の使い手なんだよ』と教えにいくとか
>>838 パタリロよんで事態をさらにややこしくするとかw
>>838 その場合は「修正力」が働くのでは?
「すれ違いが続いて目的の相手に会えない」とか
「バッカでー ンなワケ無いに決まってるジャン」と言われるとか
これは・・・・・・ひさびさに1000いくかな?
残り120kb位か
>>839 そういえばタイムワープどころか時止めまで出来てた記憶が……
ある意味最強だなw
>>840 そういうのもありかな
自分としてはジョゼフを説得した後に召喚儀式間近の学院に戻ってくると
「やあ、虚無のルイズ。」
「おはよう、虚無のルイズ。 今日の儀式を楽しみにしてるよ。」
「いったい何が召喚されるんだろ? 韻龍クラスとか。」
「馬鹿だなぁ。 ガリアの賢帝ジョゼフが言ってただろ?
虚無の使い魔は人間が召喚されるんだぜ。」
「しかしジョゼフ王の弟のシャルルも馬鹿だなぁ。 虚無の使い手であるジョゼフ王に謀反をおこすだなんて。」
「結局謀反は失敗して死亡、奥方は毒を煽り、娘は消息不明だとか。」
ルイズ 『……どうしよう、もし、もしも普通の使い魔なんか召喚しちゃったらきっと皆から馬鹿にされる!
だけど人間を召喚したらきっと周りの連中は今まで以上に私に過大な期待を寄せるようになってしまうわ。
私は普通の魔法が使えるだけでいいのよ! いっそ平民に生まれればよかった!!』
ルイズとタバサの為に良かれと思ってしたら余計酷い目に遭わせてしまった使い魔でしたとか
>842
うわあ、時間改変モノの王道ネタだけど、実際に起きかねないのが怖いな。
そのケースだとルイズはとっくに虚無を使えるようになってるだろうから、使い魔とかどうでもいいかも。
ただ、無茶苦茶タカビーな性格になってそうだ。
何で読みにくい半角カタカナ使うん?
あと少しで100円ライターの神様が降りてきそうなんだ……
そうなったら俺は元大日本帝国陸軍特殊歩兵部隊所属の生体陸戦兵器を呼ぶぜ。
>667、670
亀レスだが、「まかでみ」ならファルチェが一番ルイズに合ってる気がする。
迷宮倉庫の話の最後、タナロットの攻撃を受けて機能停止する直前に召喚。
ルイズの魔法詠唱を的確に魔導機杖形態でサポートしつつ、ふだんは美少女
亜人(に見える)形態で、使い魔兼従者としてルイズに仕えるとか。
デルフも精霊アイテム化でまさかの人間形態になれたり(渋い中年の剣士か、
軽いノリの爺さんなのか)。問題は、主に胸の面で主人のコンプレックスを
刺激しまくりなところか。
>>838 漫画版エデボのヨルンが数日位の時間逆行出来たな
数日だけだから対した影響力無いけどワルド終了のお知らせって事も可能だな
まあ漫画版だと他に力場破壊のゼロフィールドとか色々厨スペックの上に今なら死と開脚……もとい開闢の女神も付いてきそうな状態だけど
>>846 「超兵器ガ壱号」ですか?
「ヤア、無事ダッタカチビ」
「心配シタンダゼチビ」
手塚治虫の百物語のスダマを呼んだら
ジョセフもいろいろあって満足して死にそう
グラビモスのひとまだだろうか・・・
>>846 超力超神ヤソマガツですねわかります!<歩兵じゃねぇ
それはそうと、ルイズが召喚に失敗して逆にクロス対象の世界に引きずり込まれるのは此処じゃなくてIFスレ向きだよな?
後でハルケギニアに帰ってくることが確定してても。
>>852 過去そういう作品が投下されてるんだしココで別にいいんでない?
>>842 >>843 原作では、シャルルは王位に対する執着は無かったはずだ。
謀反を起こすとしたら、むしろ兄弟の価値観や考え方に違いが生じた場合だな。
>>852 IFスレはクロスは禁止なんで、関連スレは避難所ぐらいしかないのでは。
>>853 あ、ちなみに「ゼロとオタ少女」 召喚されるはずだったのは泉こなた
作品は「らき☆すた」です
10話も20話も向こう側で話が続くならあれかもしれんが、それでも避難所ならOKじゃないかな
俺としては読んでみたい
なるほどなー。わかりました。避難所でヤろうぜ!ということで。
とはいえ今はまだアイデアがぽっと沸いて出てきただけなのでしっかりと内容を練ってきます。
頑張って書きますよー。
ただ今より、投下のほうよろしいでしょうか?
OK支援だぜ!
ヤンデレ支援
犬マユゲでいこうから石塚と愉快な仲間達召喚…ギーシュがスティッキィフィンガーズにバラバラにされたり(でも死なない)ワルドが事あるごとにフルボッコにされる(やはり死なない)のを幻視したw
暗い……。
寒い石室の中。
ご主人様は、もう起きてくださらない。
もう、話しかけてくださらない。
私の頭を撫でてくださらない。
かなしい。
とても、寂しい。
涙ばかり出てくる。
でも、私のために泣いてくれる人はいない。
誰も、いない。
ひとりは、キライ。
ひとりは、キライ。
きらきらとした光の中に引っ張りこまれたら、不思議な人がいた。
見たこともない服。
青い髪、青い瞳。
不思議な顔だちをした人だった。
でも、どうしてだろ?
私と、似てると思った。
そのかたは、新しいご主人様。
でも、<ご主人様>と呼ぶと嫌がるから、名前で呼ぶ。
ジョゼフ様。
色んなことを知ってて、優しい。
でも寂しそうな人。
だけど、私と一緒だと嬉しそうにしてくれる。
それがすごく嬉しい。
綺麗なお花。
胸の焼印。
私とジョゼフ様をつなぐ絆。
夢の中。
誰かが泣いている?
泣いているのは、昔の私?
そうじゃなかった。
泣いているのは、小さな子供。
青い髪、青い瞳。
ジョゼフ様とそっくり。
その子供は、泣いてばかりいる。
魔法が使えないって、泣いている。
背丈も年も違うのに、何故だかジョゼフ様と同じに見えた。
だから、ぎゅっと抱きしめる。
そしたら、子供は笑ってくれた。
ジョゼフ様とそっくりの顔で。
嬉しいな。
ジョゼフ様……。
好き。
大好き。
しあわせ……。
○
あの夜から、シェフィールドはほとんど眠ったままだった。
何日も高い熱が続き、肉体がどんどん衰弱していく。
何ともひどい状態であった。
その病は、現代でいえばさしずめ流感――インフルエンザであろうか……。
ヴェルサルテイルには腕の良い水メイジは何人もいる。
それらの尻を叩くようにして診察させたが、いずれも難しい顔をするばかりだった。
「はっきり申し上げて、かなり危険な状態です。もしも、家族がいるのなら連絡してやったほうがいいかもしれません」
失礼しました。支援
このようなことまで言う始末である。
当初患者が平民であるから、まともに診る気がないのかと思ったが、そうではないようだった。
「そんなにひどい病なのか……?」
ジョゼフはそれこそ、病人のように顔を真っ青にしてたずねた。
「水魔法で治すとか、治せるとかいう以前に、患者の肉体が病に負けそうなのです。そうなれば、我々の魔法では……」
「どういうことだ!? 彼女はそんなにも体が弱かったのか!?」
ジョゼフは目の前が真っ暗になりそうだった。
信じられなかった、というより信じたくなかった。
そうだとすれば、それに気づいてやれず、ご主人様などと呼ばれて悦に浸っていた自分はなんと馬鹿者なのか。
「治す方法は、方法はないのか!?」
ジョゼフは医師につかみかかるようして叫ぶ。
「体力のあるなし、ではないのです。何と言えばいいのか、彼女の体の中に、病に抗う力が著しく低いのですよ」
「……」
ジョゼフは、医師の言うことが理解できたのか、手を離した。
現代医学で言えば、さしずめ免疫応答が異常に低い、とでもいっただろう。
例えばニューギニアの奥地などで、旅行者が持ちこんだ流感が原因で多くの死者が出ることがある。
ウィルスへの免疫がないために、である。
シェフィールドの場合も、まさにそれであった。
この場合は、彼女のほうが来訪者であるため、ハルケギニアという土地の、風土病にやられたとすべきであろうか。
「……できるだけ、彼女についていてあげたほうがよろしいでしょう」
医師はそう言って、離れていく。
ジョゼフはへたりこみたくなるような気持ちを無理やりに抑えこみ、シェフィールドのもとへ向かった。
途中で、幾度も足がもつれて転びそうになった。
ベッドの上で、シェフィールドは苦しそうな息をしながら眠っていた。
ジョゼフは、臓腑がえぐられるように苦しかった。
(何故だ。どうして……どうして、シェフィが……!!)
神でもいい、運命にでもいい。
あらん限り呪いの言葉を吐きつけてやりたかった。
ベッドの脇に椅子に座りこみ、ジョゼフは祈るような格好でうつむいていた。
もしも、願いがかなうのなら。
古い流行り歌の文句ではないが、これほどまでそれを想ったことはない。
できることなら、代わってやりたかった。
「死ぬな、シェフィ……。俺たちは、まだ、まだこれからじゃないか……」
涙が止まらなかった。
食いしばった歯の隙間から、うめき声が漏れていく。
苦痛であった。
涙など、どれだけ流したかわからない。
魔法が使えぬ無能者、暗愚の王子。
そんな言葉を受けた後、何度泣いたか数え切れない。
しかし、今の苦しみに比べれば。そんなものが一体どれほどのものか。
心から愛する者が死にかけているのに、何もできない。
このまま魂は天に、肉体は土に還っていくのを見守っているしかないのか。
(いやだ、そんなのはいやだ……)
もしも、自分の命と引き換えにシェフィールドが救えるのなら、今すぐにでも死んでもいい。
やれというなら、自分の心臓を抉り出してくれてやる。
しかし、どれほど強く願ってみても、それは意味をなさぬ。
「……ん」
かすかに、シェフィールドが声をあげたようだった。
顔を上げると、シェフィールドがその手を宙に向かってあげている。
その様子は、弱々しくも、必死で、何かを捜し求めるかのようであった。
ジョゼフはギュッと、その手を握ってやる。
すると、シェフィールドがゆっくりと眼を開けた。
「ご主人様は――元気ないですか?」
少女の優しさをたたえた黒い瞳でジョゼフを見た。
シェフィールドはとても小さな声で、けれど柔らかい微笑を浮かべて言った。
本当ならば、このわずかな言葉を話すことすら苦しいであろうに。
「ああ」
ジョゼフは泣きそうな顔の上、無理やり笑みを浮かべた。
「シェフィが、病気だからな……」
それ以上は何も言うことができなかった。
何か口にすれば、そのまま号泣してしまうかもしれない。
シェフィールドは微笑んだまま、ジョゼフの顔に触れた。
まるで何かを、ゆっくりと確認でもしているようだった。
「シェフィ、すまない。俺のせいだ。ごめんな……」
ジョゼフは詫びることしかできなかった。
もっと彼女のことを気遣ってやるべきであったのだ。
こんなことは、よく考えてみればわかりそうなものである。
シェフィールドは、遠い遠い土地の人間なのだ。
何かのきっかけで病にかかってしまうことは十分にありえた。
このハルケギニアの中でさえ、旅先で水や食べ物があわず体を壊すなどざらではないか。
「……泣いている」
「え?」
シェフィールドの言うとおり、抑えていたはずの涙がジョゼフの瞳から溢れ出していた。
とどめなく流れる涙が、少女の指先を濡らしていった。
「嬉しいな」
本当に嬉しそうに、シェフィールドは笑った。
「なんだよ」
ジョゼフは拗ねたような声をあげた。
自分の命が危ないのに、何故そんな風に笑えるのだ。
「……だって、あの時は誰も泣いてくれなかったから。生きてた時も、ひとりだったから」
そう、シェフィールドは言った。
この少女は、どれだけの間、その華奢な体でどれだけの孤独や悲しみに耐えてきたのだろうか。
「もういい。しゃべればしゃべるだけ、体力を削る。今は……」
シェフィールドが何か言いかけるのを、ジョゼフは止めた。
どうしても、まともな言葉になりそうになかった。
「シェフィ、シェフィ……」
ジョゼフは何度も少女の名前を呼び、涙を流した。
シェフィールドは何も言わずに、ジョゼフの手を握り返す。
散り行く前の花のような美しさだった。
今にも消え失せてしまいそう弱々しさであった。
「頼む。シェフィ……俺のものなんかでなくっていいんだ。俺の全て、何かも全部お前にやる……」
小さな手にすがりつくように、ジョゼフは泣きむせぶ。
「だから、俺を一人にしないでくれ……」
シェフィールドは微笑んだまま、やはり泣いていた。
そして、泣いたまま瞳を閉じた。
それとほぼ同時、であったろうか。
急に瞳がチカチカとするのを感じ、ジョゼフは顔を上げた。
すると、どうであろう。
シェフィールドの胸元のあたりがうっすらと光っているのだ。
(なんだ……?)
シェフィールドの胸。
(あれは、確か……)
覚えが、あった。
あって当たり前である。
コントラクト・サーヴァントをした時、使い魔のルーンが刻まれた場所は、彼女の胸であった。
その奇妙な光は、まるでジョゼフに何かを語りかけているようであった。
導かれるように、ジョゼフはシェフィールドの胸に触れた。
その瞬間である。
ゴオッと、ものすごい風の音にも似た轟音が響いたような気がした。
驚いて片手で頭を押さえるが、耳鳴りのようなものがキンキンと頭というよりも体中に響くのである。
思わずジョゼフは両膝を床についてしまった。
その時、ジョゼフの記憶の中から、二つの情報が無理やりに掘り出された。
――土のルビー
――始祖の香炉
この二つである。
それはどちらも、始祖の時代から伝わるとされるガリア王家の秘宝であった。
(何故こんな時に、こんなものが……)
今はシェフィールドが大変なことになっているというのに、こんなわけのわからないことを……。
そう思うのだが、その情報はしつこくジョゼフで喰らいついて離れない。
無理に引き剥がそうとすればするほど、それはへばりつき、ジョゼフの心を刺激し続けるのだ。
(くそっ、何がどうなってる!?)
ついには狂人のようになって頭を掻き毟りそうになった時である。
さらに二つの情報が、流れこんできた。
そのうちの一つはジョゼフの今まで、まったく知りえなかったものであった。
虚無の魔法。
そして、
活性。
(バカな……? 虚無だと?)
活性。まるで聞いたことのない魔法である。
傷や病を治癒するための水魔法は存在するが、それらも即効の効果があるものはそう多くはない。
大体において、水の秘薬とセットでなければその効果を十分に発揮しえないものばかり。
そもそも、そのように想定されて構築された魔法なのである。
しかし、突如送りこまれてきた情報によると。
<活性>、それはこの世界における万物の根源をなす力、その中でもプラスの属性を持つ『陽』の力を用いるもの。
(こんなこと、俺は知らない……。ついに、頭がどうかなかったのか……?)
苦悩のあまり、妄想に頭を侵されてしまったのだろうか。
ジョゼフは何度も首を振った。
シェフィールドを見ると、いつの間にかまた眠ってしまったようだ。
(シェフィ……)
普通に考えれば、こんなものを単なる妄想であろう。
だが、今のジョゼフはこの奇妙な現象を信じてみたくなった。
神の啓示か妄想か、それはわからぬ。
けれども、もしもこれが何か大いなるものの啓示であるのなら、
(俺はそれに賭けてみたい……)
刻まれたルーンから発せられた光。
それを信じてみたかったのだ。
ジョゼフはそっとシェフィールドに口づけをして、大きな音を出さないように部屋を辞する。
もはや、青年の眼には何も目に映らなかった。
途中で出会った顔見知りの貴族も、弟のシャルルも、完全に無視してジョゼフは進む。
目指すのは、父の執務室であった。
「ジョゼフ、何事だ。ノックもせずに……」
いきなり入ってきた息子を、ガリア王は驚いて咎めたが、ジョゼフの耳に入らない。
「おい、これ!」
王は息子を止めようと肩をつかみかけるが、ジョゼフは父の手を邪険に振り払い、机を引っ掻き回し始めた。
それから、あるものを引っ張り出すと、手早く自分の指にはめる。
茶色の宝石が輝く指輪、土のルビーと呼ばれる宝物である。
「父上、少しの間お借りします。間違っても城外に持ち出すつもりなどございませんので、どうぞお許しのほどを……」
ジョゼフの奇矯な行動に、城の人間は騒いでいるが、それらは雑音にもならぬ。
土のルビーをはめたジョゼフは、次に城の宝物庫へと急いだ。
厳重に封じられた倉庫を開け放ち、値段すらつけられない宝を乱暴にかきわけて、古びた香炉を取り出した。
始祖の香炉である。
ジョゼフは香炉を両手でつかみ、じっと見続けた。
知りえぬはずの情報によれば、これこそ偉大なる始祖の力が、虚無の呪文が封じられたもの。
これを使い、呪文を得ることができるのなら、ジョゼフは伝説の<虚無>の担い手ということなのか。
しかし、ジョゼフにとってそれが是であるか非であるかは、意味を持たない。
今望むのは、ただ心から愛する女を救いたい。
それのみなのである。
伝説や始祖のことなど、本質的にはどうでもいいことだった。
シェフィールドの命を助けることができれば、それでいいのだ。
始祖であろうが、あのエルフたちであろうが、関係の話だった。
(一度きりでいい、メイジでなくなってもいい)
ジョゼフはギュッと香炉を握り締める。
いや、もとからメイジなんかじゃなかった。
魔法の使えないメイジなど、メイジではないのだ。
しかし、もしもできるのなら……。
この先魔法など永遠に使えなくてもいい。
自分の命など、いらない。
フンダラダッター支援
支援!
魂が望みなら持っていけ。
血肉が欲しいのなら、血の一滴、肉のひとかけらまでくれてやる。
(名誉も、栄光も、何もいらん……。だから、俺に魔法を使わせてくれ。シェフィの命を救える魔法を!!)
ジョゼフがシェフィールドの部屋に戻った時、数人の医師メイジが集まっていた。
みんな杖や秘薬の入った薬壜を手にしている。
シェフィールドは、途切れ途切れの息をしているだけだった。
素人目にも、かなり危険な状態であることがわかった。
「ジョゼフ様、お気の毒ですが、おそらく今夜が……」
「少し、どいててくれ」
ジョゼフは医師たちの言葉を最後まで聞かず、シェフィールドのベッドまで歩み寄った。
(うまく、いってくれ)
そうつぶやきながら、ジョゼフはシェフィールドに杖を向けた。
「な、何をなさるつもりです!?」
医師たちは目を丸くした。
ジョゼフが魔法を使えないことは、彼らもよく知っている。
失敗魔法が、どんな結果を生み出すのかも。
気の弱い者たちは、あわてて部屋から逃げ出していく。
誰もが、失敗魔法によって引き起こされる爆発で吹っ飛ばされる少女の姿を思い浮かべたに違いない。
しかし、ジョゼフはかまわず、呪文を詠唱しだした。
部屋を出なかった医師たちも、その異様な気迫に、身動きを取れなくなっていた。
長い呪文を唱え終わると、ジョゼフはすっと杖を振った。
すると、杖の先に小さな光が灯った。
その蛍のような光は、無数に数を増やしていき、シェフィールドの体を包みこんでいく。
「こ、これは、何事……」
医師たちは息を呑んで状況を見守っていた。
小さな光は、まるで生き物のように次々とシェフィールドの中へと飛びこんでいった。
そして、光が吸いこまれていく度に、シェフィールドの呼吸が穏やかになっていくのだ。
全ての光がシェフィールドの中を消えた時、部屋の中はしんと静まり返っているだけだった。
ただ、シェフィールドの顔に精気が蘇っていること、ジョゼフがぐったりと床にへたりこんでいることを除いては。
「おい」
顔を伏せたまま、ジョゼフは医師たちに言った。
「このことは、他言無用だぞ」
疲労に満ちた声であるのに、そこには先ほど以上の、凄まじい迫力があった。
医師たちにできたのは、ただ首を縦に振ることだけだった。
その翌日、シェフィールドは昨日までの病状が嘘のように持ち直した。
まだ体は本調子というわけにはいかないが、少なくとも生きるの、死ぬのということはなくなったのだ。
「もう、平気ですよ」
シェフィールドはそう言って起きようとしたが、
「病気は治りかけの時が一番肝心なんだ。おとなしく寝ていろ!」
ジョゼフは普段は、少なくともシェフィールドに対してはまず出さないようなきつい声で言った。
それは、必死さの表れでもあった。
主人にそう言いつけられては、メイドのシェフィールドとしては命令を聞くしかない。
ただもう、ベッドの中で安静にしているしかなかった。
そんなシェフィールドに、ジョゼフはそばであれこれと世話を焼いていた。
こういったことは、常識的にはまず考えられないことだった。
一般的に考えて、主人がメイドに、それも一国の王子がやるようなことはではない。
けれど、世間の常識とか、他人の視線などというものは、ジョゼフにとってはどうでもいいことだった。
シェフィールドもやはり嬉しいのか、子供のような顔でジョゼフのことを見つめていた。
その顔から、笑顔が消えることはなかった。
「なあ、シェフィ」
果物の皮をナイフで器用にむきながら、ジョゼフは言った。
「はい♪」
「前にも話したが、将来の夢とか、そんなものはないのか? 例えば、したいこととかな」
生きている間のな、とジョゼフは念を押す。
「んーーーとですね……」
シェフィールドは天井を見上げながら、真剣な顔で考えこむ。
じょりじょり、とナイフの音が響く。
それから、ちょっとはにかんだ。
「私、ジョゼフ様のお側にいて、二人で美味しいもの食べて、ずっと一緒にいられたら、それ以上の夢なんて思いつきません」
その答えに、ジョゼフはピタリと手を止める。
「それじゃ、駄目ですか」
シェフィールドはジョゼフを見上げて尋ねた。
「ダメじゃあないが……」
ジョゼフは赤面しながら、誤魔化すように皮むきを再開させる。
「よかった」
シェフィールドはほっとした顔で笑う。
「もっといいこと思いついたら、また言いますね」
「あ、ああ」
ジョゼフは苦笑した。
(やっぱり、かなわないな……)
自分とシェフィールドでは、器が違うようだ。
しかし、それが奇妙に心地良いような気もする。
それは凡庸だけれど、とても大切なものなのだろう。
ひどく、晴れ晴れとした気分であった。
暗く冷たい、牢獄からようやく解放されたような気持ちであった。
外では、花壇の花が緩やかに揺れていた。
シェフィールドの体調が回復すると、ジョゼフはかねてからの予定通り、ヴェルサルテイルを出ていった。
ほんのわずかの従者と、シェフィールドだけを連れて。
見送る者はほとんどいない、ひっそりとしたものであった。
「兄さん……」
シャルルは、ひどく情けない顔で兄の出発に立ち会っていた。
その顔は、国中はおろか、近隣諸国からも賞賛される麒麟児とはとても思えなかった。
「ひどいツラだな。出発の門出だぜ? もっといい顔をしてくれたっていいじゃないのか?」
弟の顔に、ジョゼフは思わず苦笑した。
「兄さん、ごめんよ、でも、ぼくは……」
シャルルはうつむきながら、そう告げる。
「何を言ってるのかわからんが、気にするな。俺は気にしない」
「……うん」
「じゃあ、達者でな」
弟の肩を軽く叩いて、ジョゼフは馬車に乗りこんでいった。
馬車の中に、先に乗っていたシェフィールドの顔が見えた。
後ろめたさから、シャルルはつい顔を背けてしまう。
「いい王様になれよ」
場所から顔を出して、ジョゼフはそう笑いかけた。
「兄さん」
どんどん離れていく馬車を見つめながら、シャルルはまたつぶやいていた。
何故か、もう二度と兄とは会えないような気がした。
馬車がすっかりと見えなくなった後も、シャルルは立ち尽くしたままだった。
周りの人間が、何か話しかけても、ただそのままだった。
ぽつねんと、迷子の子供のように立っていた。
「これよ」
ようやくシャルルが顔を上げたのは、父王に声をかけられた時であった。
「こんなところでいつまでぼけっとしている?」
「父上……」
「次の王になる男が、何という顔をしている」
「……」
「そろそろ、お前にも縁談の話がきておる。ははは、それも山というほどな。花嫁選びは大変だの」
父の言葉にも、シャルルの表情は虚ろなままだった。
「父上、兄さんは……」
「いい加減にしておけ。いつまでも兄にへばりついてどうするか」
「はい……」
「ジョゼフも、自分の伴侶を見つけたのだ。お前も、見つけねばな」
「彼女は、平民ですよ」
「今さら、何をぬかすか」
王は笑った。
このままだとシャルルが本編のジョゼフみたいになりそうだ支援
父王がいい味出してるなぁ…支援
支援
「そんなことだから、愛想を尽かされるのだ。わしとて、言えた義理ではないがのう」
そう言って、王は空を見上げる。
「お前はどちらかというと、母親似だと思っていたが、変なところも似たものよな」
「母上に……?」
「あれは、昨日もジョゼフのことについて、ぶつぶつ言っておったよ。よほど気に入らんのだろうな」
「どうして、母上は……」
「別に、あれと離れるのが寂しいわけではない。ただ、出来の悪いバカ息子が女と一緒にどこかへ行くのが気にいらんのだ」
シャルルは黙ってしまった。
意味が、わからない。
「理屈ではないよ。人というのは、そういうわけのわからんところがあるものさ。ことに、女はな? お前も気をつけろ」
「……わかりません」
「ま、いいわい」
王は笑い、馬車の向かった方向へと眼を向ける。
「あの娘には、感謝せねばならんな。もしも、もしもあの娘がおらなんだら、この国は将来どうなっておったことか……」
感慨深げにつぶやく父の横顔を、シャルルはまだ納得いかぬという顔で見つめていた。
それから、一年もたたぬうちに、僻地で半ば隠棲していたジョゼフはシェフィールドと共に姿を消した。
シャルルは人手も金も使って必死に捜索したが、ついに見つけることはできなかった。
ジョゼフが消えた後、住まいと使っていた屋敷の部屋に、
「後は高見の見物」
そう記された紙片だけが残されていた。
誘拐説や暗殺説も流れたが、真実は闇の中である。
ただ、人々は、ジョゼフ王子は平民のメイドと駆け落ちしたのだと、噂しあった。
それから、年月は流れ。
舞台は変わり、トリステインにて。
「これは師匠じゃあないですかい!」
「なんだ、マルトーか」
ミッシェルが久方ぶりに弟子と会ったのは、トリステインの城下町の往来であった。
故郷であるガリアを離れ、アルビオンにいったり、ゲルマニアにいったりと諸国を転々としていたが……。
結局ミッシェルが腰を落ちつけたのは、ガリアにも負けぬ古い歴史を持つこの小国である。
マルトーは、この国に来て最初にとった弟子であった。
すでに年相応の貫禄を身につけたマルトーは、今では魔法学院でコック長として大成していると聞く。
「どうだ、調子は」
「相変わらずですよ。どうですか、そのへんで」
マルトーは酒を飲む仕草をしてみせた。
「ま、いいだろう」
二人は近くの酒屋で昔話に花を咲かせたが、そのうちに話は自らの近況などに移る。
ことにマルトーは、魔法学院での愚痴をこぼした。
貴族やメイジが好きではない、むしろ嫌いな男なので、不満はいくつもあるのだろう。
「それにしても、それだけ嫌いな連中の下でよく包丁が振るえるな」
あんまりしつこいので、ミッシェルがちょっとからかうように言ってやると、
「そりゃあねえ」
マルトーは悪戯を咎められた子供のように頭を掻いた。
「給金がいいってのもあるが、やっぱり学院長のお人柄にね……」
「オールド・オスマンか、なかなかに面白い人らしいな」
「普段はとぼけてなさるが、あれでね。人傑のお人ですよ」
「ふふふ」
マルトーが貴族を褒めるのは珍しい。
「面白いといったらね、また面白い人と知り合いましたよ」
「やっぱりメイジかい?」
「ええ、何でもタルブとかいう村で、お医者代わりとして暮らしてるそうですが……」
「タルブか。いい葡萄ができるところらしいな」
「そう、そこですよ。いや、生き字引とはああいう人を言うんでしょうね。怖いくらいに学がある」
「それで、どう面白いんだ?」
「うまくは、言えないんですが……。他のメイジと違って気取ってないのがいいですよ」
「ほほう」
「メイジってのは、貴族にしろ流れ者にしろ、俺たち平民を見下してやがるのばかりですからね」
マルトーはそう言って杯を呷る。
「ま、ご本人は、能無で本の虫だったから色々憶えたと、ご謙遜なさってるが……ありゃ、ただものじゃありませんよ」
「ただもんじゃない?」
「もしかすると、どこかの王族の、ご落胤かもしれませんね。顔つきも男前の上、隠しきれない品がある」
「ふふふ……」
おかしな笑いかたをする師匠に、マルトーは不思議そうな顔をした。
「なんです、師匠」
「いや、俺の生まれ故郷にな、昔、平民のメイドと駆け落ちした王子様がいたのを思い出してな……」
「へえ。そんな人がいたんですか?」
マルトーは信じられないという顔をした。
「まさか、その面白い人というのは、名前をジョゼフというじゃないよな?」
「いや、ジョルジュというそうですよ。家名は、ラトゥールというんで」
「やっぱり、別人か……」
ミッシェルは苦笑した。
あのジョゼフ王子がどうなったのか、ミッシェルの知るところではない。
けれども、このハルケギニアのどこかで、あの黒髪のメイドと暮らしているのは間違いないだろう。
多分自分の顔などおぼえてはいないだろうが、また、あの男に会って見たい気がした。
その頃、トリステイン魔法学院では、メイドの少女が、おかしな服を着た少年と話していた。
少女の名前は、シエスタという。
使い魔として召喚されてしまったこの少年は、その態度の悪さもあってか、<ご主人様>の不興を買ってばかりらしい。
「ところで、それがサイトさんのルーンなんですね?」
話の中、少女は少年の左手に刻まれたルーンに目を落とす。
「ああ……勝手にこんなのつけられて、冗談じゃねえよ」
少年はぶつくさ不満をこぼしているが、
(あら…?)
少女はそのルーンに、妙な既視感をおぼえていた。
どこかで、同じようなものを見た記憶がある。
(あ、そうだ……。ミスタ・ラトゥールの奥さん……)
シエスタはその人と、サウナ風呂で一緒になったことが何度もある。
サウナ風呂は村の共同のものなのだから、別におかしくもないのだが。
東方の生まれだというその女性は、少女と同じ黒髪と黒い瞳をしていた。
その時に見た夫人の乳房には、これと同じようなものが確かにあった。
まだ小さかったシエスタが、これはなぁに、と尋ねたところ、夫人はニッコリとして、
「私と、旦那様を結ぶ絆」
そう答えた。
ラトゥール夫人は、今もタルブの村に家族と一緒に住んでいる。
夫と、上から三人の娘に、末の男の子。
偶然だろうが、男の子の名前はルイといい、目の前にいる少年の主人が男であれば同じ名前になる。
少女は、自分の幼馴染でもある、夫人の娘たちのことを思い出した。
広いおでこがチャームポイントの、勝気なイザベラ。
母親そっくりなのんき者のジョゼフィーヌ。
歌がとってもうまいけど、ちょっと堅物ポーリーヌ。
そして最後に、まだ子供だけれど、ものすごく頭が良くって勉強好きのルイ。
今度まとまった休暇がもらえたら、一度村に帰りたい。
(できれば、サイトさんも、連れて行きたいな……)
そうシエスタは思ったけれど、あの美人姉妹をサイトに会わせると思うと、ちょっと不安だった。
これで投下も全て終了です。
支援のかた、感想くださったかた、ありがとうございました!
投下乙です
ジョゼフ達は幸せそうだけど、シャルル一家はどうなったんだろ?
投下乙でしたー
このほのぼの具合がなんとも言えず…ええのぅ!実にええのぅ!
名作のぃよかん!
いいはなしだなー
原作にルイズがゼロ戦の上で詠唱するシーンがありましたが、
それに引けを取らない盛り上がりっぷりw
シエスタと絡めてくるのも上手いと思いました。
作者様の次回作に期待…期待してもいいですか
クソッこんなの書きやがって…GJが止まらないじゃないかウワァァァァン(ToT)GJ!!
シェフィ可愛いよシェフィ
GJ!!
乙でした。
虚無の担い手が一人、勝手にゲームを抜けて幸せを謳歌してますなあ。
うん、良い。
素晴らしい名作の完結に拍手!
名作……ッ、これは名作ッ!
この時期にこういう話で中編っていうと「ヘルミーナとルイズ」を思い出すんだけど、もしかして同じ作者さん?
兎も角!GJ!GJ!GJ!
投下乙です。
ジョゼフの使ったたった一つの本当の魔法、それは彼の愛でしたw
恥ずかしいセリフ禁s(ry
>>880 ガリアがビックリするほどディストピアになってたりしてなw
でもまあ、ガリアから目と鼻の先の隣国の片田舎でジョゼフ一家が平和に暮らしているんだし、
シャルル一家もガリアもそれなりに平穏なんだろうと思いたい。
889 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/21(日) 14:18:56 ID:awOEBK5G
ええはなしやのぉ〜♪ ええはなしやのに・・・“果物の皮をナイフでじょりじょり、 ”が、気になって;
>>888 ジョゼフが消息不明になってからは常に不機嫌で
笑わない国王として国民や家族から恐れられてそうな感じが……
それでシャルロットはタバサと名前を変えて学院に家出してるとかw
GJでした!
しかしアルビオン行きが起こらないだろうから、サイトとルイズの仲が深まるのか不安だw
なんというほのぼのエンド
このジョゼフは間違いなく幸せ者
GJです。
きれいな話で楽しめました。
いつかこんな話書きたいです。
そしてみんな、いつまでも幸せに暮らしましたとさ どっとはらい
そんな感じのお話
お疲れ様でした
GJ
>>891 サイトおっかないご主人様にとうとうぶち切れて遁走
↓
ルートによりテファルート・シエスタルートなど他ヒロインルートに
↓
ルイズ、さらに捻くれてヤンデレ化
↓
Niceboat
こうなるんじゃね?
GJでした^^
おがき作品大好きだから、楽しかった。
お疲れ様でした。
>>895 なんかもう「NICE BOAT」は一般名詞化したみたいですね(笑)
今更な気がするけど、タイトルの元ネタは「愛しのベティ」から?
真面目な話、才人が他の女を選んだらルイズはどうするんだろ?
@自殺
A無理心中
B女をヌッコロす
C才人ヌッコロして私だけのもの
まあぶっちゃけ「Nice boat」でしょうね
丸っこい「ナニか」を抱きかかえて
「うふふ・・・これでもうまこT・・・・もといサイトはわたしだけのもの・・・・
もうはなさない・・・・ずぅっと・・・・・セカイの終わりまで・・・・・」
>>899 Dサイトを逆レイーポして自分のものにする。
>>899 どうしてもそこで「振り向いてもらうために努力する」って言う選択をしなさそうなんだよな、ルイズって
シェフィの人超GJ!っした!
愛しのシェフィの人GJです!!
こう、読んでるうちにジョゼフさえも好きになってしまう。
良い作品でした。
亀だけどシェフィの人乙です。
いい物見させていただきました。
>903
努力しまくってるだろ、むしろシエスタとかより努力頻度は高いぞ
斜め上で空回りしてることが多いだけで
>>903>>907 恋愛関係だと斜め上で空回りなのはヴァリエール家の伝統なんじゃね?
(カトレアは例外だが)
シェフィの人乙&GJでした。
元ネタについてうろ覚えなので、
「病気だとか死ぬだとか言っても、一時的に埴輪に戻るだけなんじゃ?」
と思ってしまったKYは私ですorz
って言うか、前話ラストでシェフィが倒れたのを、「イザベラ様を御懐妊?」
と早とちりしたアホです。
こんにちはー
ようやく17話完成しましたー50分くらいから投下よろしいですかー?
駄目といったらどうする?
長女・・・そもそも相手にあわせる・相手のために努力するというという発想が無い
次女・・・単に縁がない
三女・・・努力はするが周りが見えてないのであらぬ方向に突っ走る
それでははじめさせていただきます
使い魔はじめました―第17話―
翌朝。ルイズとサララは朝もやの中佇んでいた。
ルイズの額には、血管が青白く浮き出ている。
「遅いわね……! 何をしてるのよギーシュは!」
その声に明らかに怒りを含ませながらルイズは呟いた。
きっともうすぐ来ますよ、とサララはとりなしつつ、ため息をついた。
約束の時間は過ぎているのだが、ギーシュは待ち合わせ場所へ来ない。
「ああもう、姫様から承った大事な任務だっていうのに、
何をしているのかしらあいつったら!」
頬を膨らませてブーブーと文句をこぼす。
「彼なら来ないよ」
「何ですって!」
朝もやの中から聞こえた声に、ルイズは不機嫌さを隠さずに返した。
現れたのは一人の長身の貴族だった。羽帽子を被っている。
ルイズの顔がさあっと青ざめ、ついで瞬時にりんごのように赤く染まる。
「わ、ワルドさま……」
「久しぶりだな! ルイズ、僕のルイズ!」
ワルドと呼ばれた彼は、人なつっこい笑みを浮かべるとルイズに駆け寄り抱え上げた。
「相変わらず君は羽のように軽いね!」
「……お恥ずかしいですわ」
普段とは違って、随分としおらしい様子をしている。サララとチョコは目を丸くした。
「あ、えっと、紹介しますから降ろしてくださいな、子爵様」
一人と一匹の視線に気がついて、ルイズは照れくさそうに微笑む。
「ええと……私の使い魔、いえ、パートナーのサララと、そのパートナーのチョコです」
「姫殿下から話は伺っているよ。はじめまして。
僕の名はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。
魔法衛士隊、グリフォン隊で、子爵だ」
気さくな感じで、ワルドはサララに近寄った。
「今回の任務に、君たちと同行するよう姫殿下から命じられてね。
君たちだけではやはり心もとないし、かといって、
多くの人員を動かすわけにもいかない。そこで僕が選ばれたのさ」
それは心強いです、ありがとうございます、と答えながらもサララは首を傾げた。
「おや、何か聞きたいようだね。……ああ、ルイズと僕の関係かい?
幼馴染でね、親が決めた婚約者同士なのさ」
ルイズさんはまだこんなに若いのに? と驚いた。
「貴族の女子の結婚は早いのよ。……一部に例外もあるけど」
最後の方はぼそりと呟いた。どうやら心当たりがあるらしい。
「はは、そういうことさ。……え、ミスタ・グラモンが来ない理由かい?
……この任務を遂行するには少しばかり、その……、口が軽そうだと思ってね。
僕の一存で断りを入れたんだ。まずかったかな?」
少し考え込む。……特に問題はないと思うと伝えた。
「そうかい。それならよかった。さて、では出発しようか」
「あ、それじゃあサララに馬を出さないと……」
「大丈夫だよ、一緒に乗って行こう。羽のように軽い女の子二人増えても、
僕のグリフォンは飛んでいけるよ」
口笛を吹くと、朝もやの中から立派なグリフォンが現れた。
鷲の頭と上半身に、獅子の下半身がついた幻獣である。立派な羽も生えている。
ワルドはひらりとグリフォンに跨ると、ルイズに手招きした。
もじもじしながらも、ルイズはワルドに抱きかかえられグリフォンに跨った。
「さて、次は君の番だよ」
サララはそう言われ急いで近寄った。しかし、はた、と足を止めワルドを見上げる。
「……どうかしたのかな?」
人のよさそうな彼の笑顔の横に、うっすらと白いモヤが見えた気がしたのだ。
ダンジョンの中、体か精神に異常をきたしているときに見えるモヤ。
まばたきしたら消えてしまいそうな薄さで、それが存在しているように見えた。
「ちょ、ちょっとサララ! なんでワルド様の顔を見つめてるのよ!」
何を勘違いしたのか、ルイズが顔を真赤にしながら叫ぶ。
少し、顔色が悪そうに見えたので、と慌ててごまかした。
「ふむ? 今朝はちょっと冷え込んだからかもしれないね」
ワルドはそう答えると、ひょいとサララを抱えて座らせる。
「ちょっと、ボクを忘れないでよね!」
チョコがひらりとサララの膝に乗るのを確認すると、手綱を握った。
「では諸君、出発だ!」
グリフォンは助走をつけると、勢いよく空へ飛び立った。
<br>
ルイズ達が出発して数時間後。太陽は高々と真上にあった。
「さて……彼女らは大丈夫かのう」
学院長室でオスマン氏は書類を処理する合間にぽつりと独りごちた。
アンリエッタからルイズ達に与えられた任務を聞き、当初は不安であったものの、
サララの実力を思い返して、大丈夫だろうと納得した。
しかし、魔法の使えぬ少女二人とドットメイジの旅路は、
やはり心配になってしまうのである。
「ミス・ロングビルにでも護衛を頼むべきだったかのう」
そんな風にして悩んでいた時、ドアがけたたましく叩かれた。
「入りなさい」
オスマン氏が答えると、一人の少年が転がるように飛び込んできた。
「失礼いたします、オールド・オスマン!」
少年を見て、オスマン氏は思わず叫んだ。
「ミスタ・グラモン? 君は確か王女殿下の任務に出たはずでは!」
面喰らったのも無理はない。そこにいたのは、ギーシュだったのだから。
「ああ、姫殿下の任務のことをご存知なのですね。実は……」
ギーシュは、自分が何故ここにいるのかを説明した。
任務に出るため荷物をまとめ、いざ部屋を出ようとした時。
王女殿下からの使者を名乗る人物が彼の部屋を訪れたのだ。
何事か、と扉を開いた瞬間、『眠りの雲』と思しき魔法によって
意識を奪われて今まで眠っていたのだという。
「ああ……、まさか姫殿下の任務が、誰かにバレていたなんて……!
裏切り者がいるとは! きっとアルビオン貴族の暗躍です! 」
意気消沈するギーシュを、オスマン氏は慰める。
「ミスタ・グラモン。既に杖は振られたのじゃ。
今さら嘆いてもどうしようもあるまい。
我々に出来ることは、ただ待つことだけじゃて」
そう告げながら、オスマン氏は空の向こうを祈るような気持ちで見つめた。
支援準備よろし。
<br>
オスマン氏の心配は、ラ・ロシェールに着くまでは取り越し苦労だった。
背後でイチャイチャしている二人に、サララとチョコが
うんざりした以外、彼らの旅に特に支障はなかった。
出発した日の夜には、既にラ・ロシェールに到着していた。
彼女らは『女神の杵』亭という街で一番上等な宿をとった。
貴族相手の宿だけあって、テーブルは顔が映りこむほどピカピカだ。
こんな上等な宿に泊まったことのないサララは、そわそわしている。
「んもー、みっともないわね。ちょっと落ち着きなさいよ」
そんなサララを見て呆れたようにルイズは息をついた。
流石に、一日グリフォンに乗りっぱなしだったのでクタクタである。
そこに、『桟橋』へ交渉に行っていたワルドが戻ってきた。
困ったような顔をして席につく。
「アルビオンへ渡る船は、明後日にならないと出ないそうだ」
「急ぎの任務なのに……」
ルイズは口を尖らせる。サララとチョコはほっとした。
どうやら、明日は早起きせずにすみそうだ。
しかし疑問が湧き上がり、サララはそれについて尋ねた。
「え? 何で明後日まで出ないのかって? 明日はスヴェルの月夜……、
二つの月が重なる日だ。その翌朝がアルビオンが最も、ここに近づくんだよ」
「近づくって、そんな大陸が動いてるわけじゃあるまいし、意味わかんない」
チョコの言葉をもっともだと思いつつも、きっと風とかが関係してるんだろうな、と
サララは動かない頭でぼんやりと考えをめぐらせた。
風の調子がいいと船や竜は早く進める。季節によって風も違う。
明後日はよい風が噴く日なのに違いないんだろうと自己完結した。
「さて、じゃあ今日はもう寝ようか。部屋はとってくれたんだろう?」
「ええ、私とサララが相部屋で、ワルド様がお一人」
ルイズが渡した鍵を、ワルドが微笑みながら受け取る。
「ありがとう。いくら婚約者とは言っても、結婚前に同じ部屋に寝ては、
君の母上に八つ裂きにされてしまいかねないからね」
ははは、と笑って告げた後で、ワルドは真剣な眼差しでルイズを見つめた。
「しかし……二人でしたい、大事な話がある。
寝る前に少し、僕の部屋へ来てくれないか?」
その目の奥に不気味な光があったことに、疲れていたサララも
顔を真赤にしていたルイズも気づくことはなかった。
<br>
「ねえ、サララ。あのワルドって人なーんか妙じゃない?」
チョコがベッドの脇に置かれた籠の中であくびをしながら尋ねた。
猫をベッドに入れないでください、と宿の人に言われたためだ。
「何ていうか……紳士すぎるよね。優しすぎる」
悪いことじゃないのに何故心配するのか、と答える。
「サララったら、そういうとこお人よしなんだから。
うーん、でもボクもどこがおかしいとは言えないんだよなー。
普通、こういうお仕事の時って、何か邪魔が入ったりするじゃない?
でも今回は、ぜんぜん、なーんにもないんだもん」
その言い草に、サララは苦笑いをこぼす。
要は、折角意気込んで出てきたのにドキドキ感がなくてつまらない、と言いたいらしい。
妙なところで自分に似てるなあと思いながら、その頭を撫でる。
確かに、普段の仕事であれば盗賊に襲われたり、モンスターに襲われたり、
必要なアイテムが見つからなかったり、と一筋縄ではいかない。
でもまあ、たまにはこんな風にのんびりした仕事があってもいいだろう。
そう答えを返したが、やはりまだ不満そうだった。
「……疲れてるからこんなこと考えちゃうんだろうね。
ふぁ……おやすみ、サララ」
しかし眠気に負けたのか、大きなあくびを一つすると、そのまま寝息を立て始めた。
サララは、ワルドの部屋に出かけたルイズを待とうかと思ったが、
あまりに疲れていたため、早々に寝ることにした。
ここは山の中だが、港町だと聞いている。きっと見たこともない商品が
たくさん売られているに違いない。許可をもらえたら、
街の中を見て回ろう……そう考えながら、サララは眠りに落ちていった。
以上で投下終了です
>>911 えーっと今回は支援してくださる方がいたので投下しましたが、
駄目って言われたら機会を見計らいます
なんかごめんなさい
やっぱブランク空くと物語を進めるのがしんどいです……
でもまあ、頑張って進めたいと思います
さて、今日は冬至なので柚子買ってきます
ギーシュもキュルケもタバサもついてきてないのは珍しいな
というかオスマン、祈ってる暇があったらすぐに手を打てよw
サララの人乙です。
お待ちしておりましたm(__)m
次回にwktk
サララの方 お疲れ様です
こんばんわ 朝の続きを17:00から投下してもいいですか
00が始まったので投下を開始します
ゼロの使い魔様は根腐れしてやがる!!4話目 後編
「こ・・・これが学園の秘宝・・・破壊のヒトって・・・」
ルイズ一行の目の前に鎮座するは学園の秘宝中の秘宝『破壊のヒト』
「・・・ってそのまんま人間じゃないのよぉ!!」
ルイズが大声で叫ぶのも無理は無い
その姿、筋肉隆々とし、徹底的に鍛え上げられたモノだと素人でもわかる
「なかなかいい男じゃない」
彫の深い、丹精に整ったバタ臭い顔立ち そしてよく似合う赤で染め上げられた衣装
「・・・眉毛・・・太い 聞いた特徴と一致している」
伸ばした金髪よりも激しく主張する黒色のふと眉毛
「「「これが『破壊のヒト』なの」」」
破壊のヒトと呼ばれた謎の青年は状況をよく理解してないのかにこやかに手を振っていた
「と、とりあえず回収して一旦体制を・・・」
ルイズが喋り終わらないうちに巨大な地響きが一行を襲う
一行が山小屋から飛び出た瞬間に巨大な土のゴーレムの腕が山小屋をなぎ払った
「あ、危なかったわ」
安心したのも束の間、ゆっくりとゴーレムが狙いを定めて、助手Dに狙いを定めた
「う・・・うわあああ!!」
ゴーレムの巨碗がもの凄い速度で振り下ろされた!! 思わず何かを盾にする助手D!!
シュルルル・・・スッポン・・・
「・・・!?」
助手Dが盾にしたモノ、それはお馴染みゴミバケツじゃなくてタイムマシーン
ゴワン・・・ゴワン・・・ゴワン・・・ゴワン・・・
タイムマシーンに飲み込まれたゴーレムが向かった先は・・・
〜過去(2話参照)〜
ドゴオオオオオ!!
「ぐっはあああああ!?」
粘土を貼ったはずなのだが何故か巨大なゴーレムの腕が小太りの男の子を吹き飛ばす。
暫くの沈黙が教室を支配し・・・
「それでは錬金の実技をミス・ヴァリエールお願いします」
「「「「「無視するんかい!!」」」」」」
〜現在に戻る〜
「皆さん 大丈夫ですか?」
茂みから現れるロングビル そして助手Dに手を置いて・・・
「そのまま動くな!!杖を捨てな!!」
鮮やかな流れで助手Dを人質に取った
「な、ミス・ロングビルなんで?」
その後、聞いてもいない事を延々と喋るフーケこと、ロングビル
「・・・と言う訳で、破壊のヒトの使い方を知る為におびき寄せたのさ さぁ、破壊のヒトをこっちに渡しな」
しぶしぶと言われた通りに破壊のヒトをフーケに引き渡すルイズ一行
そして助手Dの命に変えられぬと破壊のヒトを引き渡した
ボグゥ
「うっ・・・」
バタン・・・
「あ・・・あーっ・・・」
「そうよね・・・普通そうなるわよね」
「・・・迂闊すぎ」
破壊のヒトと呼ばれていた青年にフーケは当身をあてられて気絶してしまった
「そうか・・・ロングビルがフーケだったとは・・・」
学院長室で残念そうに呟く
「それよりも・・・」
ルイズが気になっているのは
「あれ、破壊のヒトって・・・いったい誰なんですか?」
指差す先には金髪で赤い服の黒まゆげが
「うむ、あれはわしの若い頃の事じゃ・・・」
100年ほど前、ある森でワイバーンの群れに襲われたオスマンを助けたのは
白いボロボロの服を纏った男と、赤い服を纏った男の二人組みだった
見事な連携プレイで二人がワイバーンの群れを蹴散らして行く
「フォース離脱ぅ!!」
「ぎゃああ!!リュウてめぇ!!」
主に白い服の男が赤い服の男をぶん投げてぶつけると言う奇怪極まりない方法で・・・
その時、ワイバーンのブレスがオスマン目掛けて飛んできた
「バリアー!!行け ケン!!」
「ぎゃああ!!」
リュウと呼ばれた男がオスマンに目掛けて飛んできたブレスにケンと呼ばれた男をぶつけてブレスをかき消した
「こうしてワイバーンの群れは退治されたのじゃが、リュウと呼ばれた男はいつの間にかいなくなっておっての」
昔を懐かしむオールド・オスマンの視線は遠くを見つめていた
「後には倒れたワイバーンの群れと頭にでかいタンコブ作って血を流して倒れていた彼が残されておった」
話を聞いているルイズたちの口は塞がらない
「だからわしは彼に固定化の呪文を掛けて学院の秘宝として補完したんじゃ」
「「「いや!!おかしいだろ!!その発想!!」」」
三人娘の絶叫が学院中に響いたのだった
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・
「ありゃ?」
「どうしたんですか?博士?」
「うーん どうやらまだ番組の尺があるみたいだぞ?」
「え、マズイですよ」
「ええい すぐにルイズ君を呼ぶんだ」
「いや、もう時間でフリッグの舞踏会に出てますって」
「どどど、どうするんだよ」
「ええい、こうなったらあれだ、あれを使うぞ」
「博士、アレって?」
「うむ、私 軸盆の自信作・・・なんだけど時間なんで また今度」
「「「「ええーー」」」」
続く
4話目 後半 投下終了
雑君版だから何が現れても不思議じゃない たとえゲーセンおわらえのリュウとケンが来ても不思議じゃない
ネタを予測した人を裏切るのが楽しくてしょうがない
根腐れの方、乙でしたー!
元ネタ知らん私でも爆笑させていただきました!
てっきりギガスだと思ってたのにw
雑君のゲーメスト漫画はリュウとカイ(ドルアーガの塔のヒロイン)が鬼畜だったなぁwww
なぜか戦闘ヘリと、それに積まれたスピーカーとワルキューレの騎行のレコードを召喚
で?
>>930 ノノノノノ
( ○○)・・・で?
(||||)
地獄の黙示録ネタは古いぞ
朝嗅ぐナパームのにおいは最高だぜ
ヘリとレコード召喚したところでロマリアのホモ以外誰もそれがなんなのか全く理解出来無いだろ
そういう乗り物系はタルブ村に置いておけば良いんじゃないか?
んじゃブンドルに代打をたのもう
936 :
ゼロの魔王伝:2008/12/21(日) 18:53:50 ID:pxRHz3gu
こんにちは、投下予定の方がいらっしゃらなければ19:00頃から投下します。
なにか問題ありましたらお知らせください。
937 :
ゼロの魔王伝:2008/12/21(日) 19:02:35 ID:pxRHz3gu
ゼロの魔王伝――2
眼鏡のレンズ越しに、差し込む陽光に煌めく目に見えぬ何かを見つけ、タバサが熱い泥濘のように溶けかかっていた思考を引き締めた。『雪風』の二つ名に相応しい氷の刃の様に、冷たく鋭利な思考を取り戻した。
ロウランゲントと名乗った顔の見えぬ青年の左手に纏わりつく煌めき。天の河を形作る星達の煌めきさえも色褪せて見えるのは、煌めきそのものよりもそれを纏う幻十の繊指の美しさの故であった。
指の関節に寄る皺も、骨と腱と肉を覆う肌も、かすかに桃色を刷いた爪も、すべて人間の指とおなじ部分によって構成されている。
だというのに思わず目を向けてしまうその美しさはどうした事か。老若男女誰しもに刻まれている指関節の皺もあるというのに、無限の宇宙に渦を巻く星雲の様に自ら輝いてさえいる。
黒闇の衣から覗く肌を見よう。大地の奥深くで長い時と共に輝きを封じ込められた宝石さえも、ただの石ころの様に見劣ってしまうのはなぜだ。
影の奥からタバサを見つめる瞳もまた相応に美しいのか。
タバサはあらぬ妄想に囚われんとしていた自分の心を戒めるべく、瞼を瞬かせて魔法を行使するのに必要とされる精神力を、器に満と満たした水のイメージにして浮かべる。
自分に扱える魔法にそれぞれ個別に消費量を定め、今は目一杯に在る水を、魔法を行使する度に減らして行き、冷静に自分の魔法行使の制限を見極める為のイメージ。
タバサの曇りの無いガラス玉を嵌めこんだ様な瞳に戦意の焔が青く燃えて揺れていた。
幻十の手に杖はない。通常、いやメイジと呼ばれる者達にとって魔法の行使の触媒となる杖は、必ず身に帯びていなければならない必須の道具だ。
タバサが携えている大ぶりのものから服の袖に隠しておけるような小振りなものまで、大小、形状に捕らわれず幾種類もの杖が存在しているが、少なくとも幻十の両手は空であるとタバサは判断した。
自分を殺す為の刺客であるならば、相応の実力者が選ばれる筈。ましてやこの男はガリア王ジョゼフを、呼び捨てにしていた。ジョゼフとの関わりもただの主従や傭兵、暗殺者などといったものとは異なるのだろう。
(メイジ殺し?)
メイジ殺しとは、平民との絶対の壁である魔法を行使するメイジを、魔法を用いずに屠る技量の持ち主達の事だ。
タバサはこれまで相対した経験はないが、風聞では正面から対峙する様な事はなく、暗殺・奇襲、また対峙する様な事があっても、相手の不意を突くような搦め手・奇手・暗器の類を用いて戦闘になる前に殺す者が多い。
ならば目に見えぬ何かを武器とするらしい幻十もまた、メイジ殺しと呼ばれる者達の同類なのかもしれない。
深い闇の底で裁縫されたような漆黒の衣を纏い、陽光の描いた影の中にその美貌を潜めた幻十は、淡く微笑を浮かべたままタバサの挙動を見守っていた。
その瞳には油断と侮蔑と自分の優位を信じて疑わぬ者の傲慢が詰まっている。それも無理からぬことであったろう。今や幻十の指先がほんの一ミリ動くだけ、タバサの華奢な体を八つ裂き、両断、あるいは千以上のパーツにも切断できるのだから。
幻十の瞳には、すでに四肢を両断され、首を落とされて血だまりの中でぼうと自分を見上げているタバサの生首さえ見えていた。
だからだろう。せめて先手を譲ろうなどと言う<新宿>の住人らしからぬ提案をしたのは。
「始める前に言っておこう。ぼくは君を殺すなとは言われていない。この意味がわかるね?」
「……っ」
「では、君から来たまえ。先手はお譲りしよう」
勝機があるならば初手と考え、どうやってそれを成すか苦慮していたタバサにとっては、これ以上ない提案であったろう。幻十の言葉が虚空に消えるよりも早く、タバサの前方の空間に幾本ものきらめきが槍の形になって現れる。
この決闘場――いや、タバサにとっては処刑場――に入る前から悟られぬように口内で詠唱していた呪文を唱え終え、即座に発動した生への希望をつなぐ氷の殺意達。
使い手の途絶えて久しい“虚無”の系統を含め、火・土・水・風の五系統の内、風と水を得意とするタバサが、戦闘においてもっとも多用する氷の槍“ウィンディ・アイシクル”であった。
全て同じサイズで形成された氷の刃は、長さ六十サント(≒センチ)ほど。形状や大小に差が無いのは、それだけタバサの技量が優れている事を表していた。
幻十の瞳にもかすかに感嘆の影が揺れた。彼が過ごした<新宿>ではありふれた光景の一つに過ぎないが、ここが<新宿>ではない事、またこれまで見て来たメイジ達と比較しても優れているタバサの技量を認めた為であろう。
938 :
ゼロの魔王伝:2008/12/21(日) 19:03:42 ID:pxRHz3gu
風切る音さえも冷たく氷の槍は無慈悲に幻十の胸を目掛けて疾走した。これ以上目の前の存在を許せば、自分の命のみならず魂さえ奪われると悟ったタバサの無意識の行為か。
明確な殺意を意識してはいなかったはずなのに、いざ魔法を発動するとかつてないほど濃密な殺意が沸いたタバサの心を反映したのか。
立ち尽くす木偶人形を貫くように容易く、タバサの不可視の殺意を乗せた氷槍は幻十の胸を、黒いシャツごと貫く筈であった。
それが、指で触れればたちまち血の球を浮かべるほど鋭い切っ先を、布地にわずかに食い込ませた所で停止している。
まるで自分が触れた相手の美しさを悟り、自らの存在意義を放棄したように。この人を傷付ける位なら、存在などしたくないと告げる様に氷の槍はぴたりと空中に縫い止められていた。
“どうして”、当たり前の疑惑が胸に湧きおこるよりも早く、氷の槍の一つを手に取った幻十が、手の中の氷塊を弄びながらタバサを見つめる。
「見事、と褒めておこう。わずかな躊躇いもない殺意だ。でも、それではぼくを殺せない。残念だったね」
つっと愛しい女の柔肌を愛撫する様に幻十の指が氷の槍の表面を撫でた。その指の、どこか淫らささえ感じられる動きに、タバサの体が中から疼いた。
それは、決してタバサが認める事はないだろうが、幻十の指に触れられた氷の槍へと抱いた羨望と嫉妬であった。
指と共に瞳を向けていた氷槍から再びタバサへと、見つめる者の魂を吸い込む、果ての無い虚無の様な瞳が、タバサの矮躯を射抜いた。
ずくり、と磨き抜かれた鋼の刃で心臓を抉られる錯覚にタバサがかすかに震えた。そのまま死ねたらどんなに良かっただろう。これ以上の恐怖も絶望も感じずに済むのに。
薄く、血の紅を刷いた幻十の唇の笑みが深くなった。口元を歪め吊り上がる唇の両端。
その美貌で国を傾かせる美女が、凡百の女と映る美貌は、しかし、生まれたばかりの無垢な赤子も、人生を謳歌しきり枯れ果てた老人もはっきりと分かるほどに邪悪であった。
美しいものを天使と呼ぶのならばまさしく天使の微笑。
美しいものを悪魔と呼ぶのならばまさしく悪魔の微笑。
浪蘭幻十――はたして天使か悪魔か。少なくとも、人間の微笑ではなかった。美しすぎるが故に。邪悪であり過ぎるが故に。
ぴし、とかすかな音を立てて幻十の手の中の氷槍が真ん中から輪切りにされ、床に落ちて微塵に砕けた。それに続き、空中で停止していた残る氷槍も同じ運命をたどり、重力に従って床に堕ちるや無残に砕け散る。
タバサは見た。床に落ちる寸前、氷の槍の切断された断面を。
見つめるタバサの瞳を寸分の狂いもなく映し出したその断面は、磨き抜かれた鏡の様であった。猛獣の膂力を持った剣士が、世に二振りとない名刀を持って斬りつけたように一切の凹凸が見られない断面。
この顔の見えぬ魔青年の武器が、なにか名状しがたいほどに鋭い刃の様なもの、加えて十数本にも及ぶ氷の槍を一度に切断する事も、同時複数攻撃が可能な事、加えて目には映らぬなにかであるという事。
分かった事はそれだけ。そして、タバサの勝機がほぼ潰えたという動かし難い事実であった。ゆるゆると自分の影の中から絶望の手がいくつにも枝分かれして伸び、自分の心に絡み付くのを、タバサは感じていた。
ひゅっと風を切る音が聞こえたのは、ひとえにタバサが風系統を得意とするメイジであったからだろう。
何か、眼前の魔青年が仕掛けてくる。とっさに杖を盾にする位置に構え、身を強張らせるタバサの、その左の二の腕がすっと切り裂かれていた。
「え……?」
切られた感触はなかった。それこそ風が肌を撫でる感触さえもなかった。なのに、今白いシャツをゆっくりと赤に染めながら、鮮血は吹き出している。鋭すぎる切断は痛みをかすかに伝えるのみ。
「余所見をする余裕があるのかい? しなくても同じだがね」
憫笑とも取れる幻十の声がタバサの耳に届いた時、さらに鮮血と共に刻まれる一文字。縦に横に斜めに、一筋一筋、規則正しくタバサのか細い腕に、しなやかな太ももに、ほっそりとした首筋に、血が滲む。
十を数える間もなくタバサの染み一つない、二つ名の様な肌に刻まれる悪意の証。流れ出る血と共に体力を消失しつつも、タバサは邪魔をしてくる痛みを捩じ伏せて魔法の詠唱を終えた。
幻十の心臓めがけて突き出された杖の先に蟠った空気が、巨人の振るう鉄鎚の如く放たれる。
939 :
ゼロの魔王伝:2008/12/21(日) 19:05:25 ID:pxRHz3gu
“エア・ハンマー”。ほぼ視認不可の空気の鎚だ。風系統以外のメイジでは察知困難な魔法の一撃。
乾坤一擲の意を込めた。エア・ハンマーは、しかし虚しく幻十の数メイル手前で縦に両断され、さらに微塵に裁断されてわずかなそよ風になって消えた。
幻十が魔法を行使した気配はない。ならば、なにかのマジックアイテムを持っているのだろうか? いぶかしむタバサに、幻十が答えた。
「糸とりで、といっても君には分かるまい」
それは幻十の周囲に張り巡らせた細さ千分の一ミクロンの魔糸が織りなす、不可視の斬撃結界、触れるもの全てを斬り裂かずにはおかぬ砦の名であった。
かつて幻十の宿敵も、幻十と同じ妖糸を持って用いた防御の技である。もとより一メートルのコンクリートや、戦車の重装甲も薄紙の如く切り裂く魔糸に幻十の技が加わった時、風の塊さえも切り裂く尋常ならざる不可視の刃と変わる。
「ほら、足を斬るよ」
「っ!?」
とたんに、左足の太ももに走る新たな痛み。すでに白いタイツをゆっくりと濡らす鮮血が新たに濡れ、力を失った左足はがくりと折れる。
杖を頼りに体を支え、踏ん張ろうとするタバサを嘲笑う悪意の声が聞こえた。いかなる人間がこのような邪悪を体現した声を出せるというのか、タバサはその声を聞くたびに体の中から力が消えて行くのを感じ取っていた。
「次は右足」
「あ……っ」
「ようやく声を出したか。我慢強い子だ。その分、漏れ出た悲鳴は甘美だがね。次は左腕だよ」
「っ……くぅ」
「右腕、左首筋、右脇腹、背中、額、鼻筋、喉、右足首……」
「あ、あぅ……くっ……」
幻十の声がタバサの体の部位を告げる度に、新たな傷と血飛沫とタバサの苦悶の声が零れ出る。幼い少女を苛む事に快楽を覚える者ならば、すでに幾度も絶頂に達するほどに酸にして鼻なる無残な光景が繰り広げられた。
杖にすがる力さえ失い、タバサが自分の流した血溜まりを落とした。ぱしゃりと水音を立てて床を濡らしていた自分の血に右頬を打たせた。流れ出た血は冷たかった。
まるで自分の心の様だと、心のどこかでぼんやりとタバサは思った。全身からの流血は、傷があまりにも鋭すぎるが故に僅かなものであったが、無数に刻まれた数が少ない出血量を上回っていた。
うつ伏せになるように倒れ込んだせいで、シャツもスカートもタバサの青い髪も処女雪のような肌も赤く濡れてしまった。ひどく冷たい。体も心も。この冷たさに埋もれたまま自分は死ぬのだろうか?
こつり、と碌に機能していない耳に音が聞こえた。こつり、こつり、と黒靴が自分の目の前で止まった。タバサはなんとか意識を繋ぎながら、せめて自分を殺す相手の眼を見ようと足掻いたが、すでに見上げる力さえ無いのか、かすかにみじろぐだけ。
天上世界の住人が地を這う虫けらを蔑むように、幻十の声がタバサの死に瀕した体に降り注いだ。
「ジョゼフから聞いたよ。君は復讐者だと。父を殺され母の心を奪われ家を奪われ、名を偽り、命を死地に晒し、笑う事も忘れ、父母を手に掛けた叔父に傅く屈辱に耐えて復讐の牙を研ぐ知恵ある獣だとね」
「……」
それがどうかしたか、劫火の如く燃え盛る怒りと共にタバサは吐き捨てた。無論、言葉になる事もなく朦朧としたタバサの意識の中で消えてしまう。
「復讐を果たせぬまま死にたくはあるまい? ぼくの靴を舐めるんだ。そうすれば命だけは助けてあげる。どうだい? 命を拾うにはあまりにも安い代償だろう?」
「……」
すっと、タバサの口元に伸ばされる幻十の靴。タバサはかすかな逡巡を見せ、残った力でかすかに唇を開いた。淡い桃色の花の花弁を切り取ったような唇が震えながら開き、ま白い歯の並びの間から、赤い小さな舌が覗いた。
震えながら伸ばされるタバサの首。わずか数センチ先に在る幻十の靴までが、途方もない長旅の様に思えた。
タバサの唇が幻十の靴に触れる寸前、かすかにとがり、そこからぷっと血の混じった唾を吐いた。べちゃりと、靴の黒に赤が混じった。ふっと自分の口元が動くのをタバサは感じた。
940 :
ゼロの魔王伝:2008/12/21(日) 19:07:03 ID:pxRHz3gu
最後の足掻きに満足し笑んだタバサの体が、目に見えない何か――魔糸によって持ち上げられ、人形繰りに操られる壊れた人形のように宙に浮いた。
百八十サント前後の幻十の目線に合わせる様に吊りあげられて、タバサの足がぷらんと三十サント近く浮かぶ。
タバサの爪先やマントの端から赤い血の球がぽつ、ぽつ、と床に落ちて弾ける。両手を広げ、ゴルゴダの丘の上で磔刑に処された聖人の如く、タバサは束縛された。
ひどく重たい瞼をかろうじて開き、タバサは幻十の顔を見ようとした。焦点を結ばぬ瞳は白霧の彼方の人の様に、幻十の姿を朧なものにしていた。
「いい眼だ。憎悪も、絶望も、恐怖も、何もかもが申し分ない。後は復讐を果たす運と実力があるかどうか、だね」
「……」
すっと伸ばされた幻十の両腕が、優しくタバサの頬を挟んだ。傷つけてはならぬものを扱うような手つきであった。慰撫する様にタバサの頬を慈しみながら撫でる幻十の手。
それに恍惚と蕩けるだけの力はすでにタバサになかった。沈めば二度と浮き上がってこれぬ闇に落ちようとするタバサの耳に、幻十の声が鮮明に聞こえた。
「受け取りたまえ。浪蘭幻十の祝福を。<新宿>の王になり損ねた男の祝福を」
やがて、自分に近づいてきた幻十の唇が自分のそれに重ねられ、閉じる事も出来ずにいた歯をこじ開けて小さな蛇の様な肉片が侵入してきた時、タバサは自分の魂が鎖に縛られる音を聞いた。
どっぷりと太陽が地平線の彼方に沈むころ、主人の遅い帰りを待つとある使い魔は、きゅい〜、と大きな体に似合わぬ可愛らしい鳴き声を漏らしていた。
眼にも鮮やかな青い鱗につぶらな瞳。人など比較にならぬ巨体は、しかし彼女の愁族からすればまだまだ子供に過ぎない。風を捕まえて雄々しく天に羽ばたく翼に、巨躯のバランスを保つ長い尻尾。
風竜の幼生体、名をシルフィードと言う。風の妖精の名前を与えられたこの風竜こそがタバサの使い魔であった。トリステイン魔法学院で春に行われた使い魔召喚の儀式でタバサに呼び出された幻獣だ。
「きゅい〜。……きゅい!? おねえっ」
そのシルフィードがつぶらな瞳に求めていた主人の姿を認めるや、たちまち狼狽して泣き喚いた。と、タバサが杖を振るや小さな風の塊がシルフィードの顎をしたたかに打って言葉の続きを封じた。
だが、シルフィードの驚きも無理はあるまい。夕日の紅に照らされるタバサの姿のなんたる無残さよ。
シャツの生地にもはや白い個所を見つける事は出来ず、か細い両足を覆うタイツも赤に染まって歩くたびにぐじゅりと濡れた音を立てていそうだ。もとより白かったタバサの頬はより一層青白く変わり、まるで臨終の床に伏した病人の様だ。
だがシルフィードの心配をよそに、しっかりとした足取りで自分の使い魔の所まで歩いてきたタバサは、有無を言わさずシルフィードの背に跨り、飛んで、と小さく命じた。
「きゅ、きゅい〜〜」
「飛びながら話す」
「きゅい……」
あくまでもタバサの身を案じるシルフィードの心に、暖かいものを感じながら、タバサはそれでもこの場から飛び立つ事を己の使い魔に命じた。
ふわり、とシルフィードの大きな体に似合わぬ軽やかな音と共に風竜の体が舞い上がり、宮殿の空へと飛びあがった。
上空数百メイルに飛びあがり、余人の目も耳もない事を確かめるやシルフィードが口を開いた。
「お姉さまどうしたのね、その傷は!? 早く手当てしないと大変なのね!! お姉さまが死んじゃったら、シルフィードは困るのね。さびしくって死んでしまうのね!! きゅいきゅい!」
「血は止まっている。傷ももう塞がっているから大丈夫」
「きゅい!? だってそんなに血塗れなのね! それでどうして平気なんて言えるのね!!!」
941 :
ゼロの魔王伝:2008/12/21(日) 19:08:29 ID:pxRHz3gu
事実、幻十によって刻まれた傷はその一つ一つを幻十の指がなぞるや、何事もなかったようにピタリと塞がったばかりか、流血や痛みさえも消えたのだ。神業、魔技の領域にまで到達した幻十の技量と魔糸なればこその現象であった。
シルフィードの青い背びれに身を預け、ぐったりと脱力したタバサへ向けて首を捻り、シルフィードが振りかえり、それでも納得しない様子でぺちゃくちゃと喋り続ける。
時折、元は人語を解さなかった獣などが使い魔契約の儀式によってある程度の知性などを得て喋りはじめる例はある。だがシルフィードは契約以前から人語を解する高度な知能を持った幻獣であった。
今は絶滅したとされる韻竜と呼ばれる極めて希少な古代種であった。その存在が明らかになれば、国の抱える研究機関にいらぬ介入を受けかねぬ存在であるが故に、タバサは普段、シルフィードに言葉を話すのを禁じている。
ぴーちくぱーちくと喋り続けるシルフィードの声は、いささか今のタバサには耳障りだった。
口うるさい妹の様なこの幼竜が、自分に対する好意から喋っているのは分かるが、多量の出血を強いられ、魂を奪われかねぬ魔性の美を前にした精神的な衝撃が、タバサの心をかつてないほど憔悴させていた。
これほどまでに疲れ切ったのは、父の死を告げられた時、そして自分の代わりに母が毒を飲んで心を壊してしまった時以来だった。
ぼんやりとシルフィードの声を聞き流しながら、タバサは別れ際に幻十の告げた言葉を思い出していた。
――ぼくはジョゼフの召喚した使い魔だ。ジョゼフは虚無の系統。虚無に対抗するには虚無。かつて無能王と呼ばれ、四系統の魔法を扱えなかったジョゼフが伝説の虚無だった。
ブリミルとやらの血族、そして四系統の魔法を扱えぬ無能者。もし、きみに心当たりの人物がいるのなら、そして復讐を望むのなら、その者を利用する事だ――
幻十の言葉を信じるならばジョゼフの使い魔たる彼が、なぜそうの様な事を告げるのかタバサには理解できなかったが、あの言葉が事実であるならば確かに自分の復讐にとって有益な情報であるのは確かだった。
そして、四系統の魔法が使えず、メイジの始祖ブリミルの系譜に連なる者。その心当たりがタバサにはあった。そして、その使い魔も。
本当に幻十の言う事が真実ならば自分は彼女さえも復讐を果たす為に利用するのだろうか?
答えの出ぬ問いを胸の内に抱えたまま、タバサは日が沈み、世界を覆い始めた闇の帳を見つめながら自分の唇をなぞっていた。初めて男に触れられた唇を。何度も、何度も。ゆっくりと、その感触を忘れぬように。
終了。前よりちょっぴり長めです。そしてタバサ好きの方ごめんなさい。とりあえず死亡フラグは回避できました。
魔王の人乙です。
次回にwktk
なんという菊池ワールド
<新宿>の人間に対抗できるのはもう<新宿>のあの二人くらいしかいねえな!
魔王の人乙
せんべい屋か医者か刑事を誰か召喚するんだ!
魔王の人乙
ルイズが誰を召喚したかだな。
普通にサイト召喚してたら、幻十にはとうてい太刀打ちできない……。
皆さんこんばんわ。
では、先週に引き続き、ウルトラ5番目の使い魔の水の精霊編の続きをいってみたいと思います。
投下開始予定時刻は20:00です。よろしくお願いします。
おk、事前支援
第27話
悪魔の忘れ形見
怪獣兵器 スコーピス
宇宙海獣 レイキュバス 登場!
「これがラグドリアン湖か、広いなー」
あの惚れ薬のどさくさから一晩が過ぎ、夜通し馬を駆けさせたルイズ、才人、ギーシュ、モンモランシー、
ギムリ、レイナールの一行は、目的地のラグドリアン湖の東岸にまでやってきていた。
時刻は地球時間で言えばおよそ午前10時過ぎくらい、一旦街に寄って食料を買い込み、馬に揺られながら
朝食をとりつつ来たために、けっこう遅くなってしまった。
陽光を浴びて、湖畔はダイヤの破片をばらまいたように輝き、馬に揺られ続けた疲れもいっぺんに吹き飛ぶ
ようだった。が、一行が景色に見とれる中で、唯一余裕のないギーシュがせわしげに言ってきた。
「のんきなことを言ってないで、ここに水の精霊がいるんだろ」
いつもだったら旅行気分で幼子のようにはしゃぐのだろうが、さすがに今回ばかりは別のようだ。
ただ、それも裏を返せばギーシュの使い魔に対する愛情が本物だということにもなるので、焦るなと忠告は
しても、誰もいらだつようなことはなかった。
だが、湖に着いたというのに、モンモランシーは景色を見るばかりで、水の精霊を呼ぶ儀式とやらを始める
気配はいっこうになく。やがて独り言のようにつぶやいた。
「……やっぱり、ちょっと湖の様子がおかしいわね」
「おかしいって?」
モンモランシーの言葉に才人やギーシュなど、ここに来るのが初めてのものは不思議な顔をした。
「今あなたが言ったとおりの意味、広い、広すぎるのよ。数年前来たときは、湖岸はもっと先だったはず。
見て、あそこから出てる尖塔、きっと教会の屋根よ。ここら一帯水没したってことね」
よく見てみれば、湖の底に家の影らしきものが見え隠れしている。才人は温暖化による水面上昇が
ここにも、とか思ったが、当然ハルケギニアにそんなものはない。冗談である。
彼女は水の様子を探ってみると言って、湖水に手をつけて瞑想しはじめたが、意味のわからない才人は
ルイズに説明を求めた。
「なあ、あれ何してるんだ?」
「水の精霊の意識を感じ取ってるのよ。メイジは自分の持つ系統の物質に対して敏感になれるのよ。
彼女は『水』系統の使い手だからね」
「はーん」
彼女はしばらくしてから立ち上がり、首をかしげた。
「どうやら、水の精霊は怒ってるみたいね」
「怒ってる? なんで」
「そこまではわからないわ。でも、交渉は難しくなりそうね……」
皆の顔が一斉に暗くなった。
それでも、水の精霊の涙がどうしても必要なことには変わりない。ギーシュが学院に居られるかどうかの
瀬戸際の上に、やり直しの効かないワンチャンス、いやがうえでもためらいがくる。
支援だ
「どうする、あきらめるか?」
「……いや! ぼくのヴェルダンデの命がかかってるんだ、主人であるぼくがしっかりしなくてどうする!
モンモランシー、頼む! 水の精霊を呼んでくれ」
覚悟を確かめるつもりでギーシュに鎌をかけてみた才人は、こいつにもこんな面があるんだなあと、
正直感心していた。
また、モンモランシーもそんなギーシュの一面に唖然としていたが、惚れた男のピンチなら女が助けなくて
どうすると覚悟を決め、とにかく水の精霊を呼び出すことにした。
その方法は、彼女の使い魔のカエルのロビンを使い、湖底の奥底に眠っている水の精霊にまずは
来訪者のことを報告することから始まる。
「いいことロビン、あなた達の古い親友と連絡がとりたいの、盟約の一人がやってきたと伝えてちょうだい」
彼女は、自分の血を盟約の印として一滴ロビンに垂らすと、湖の中へと放った。
「これで……向こうが覚えていれば来てくれるはずよ……あれ? ルイズ、あんたなに青ざめた顔してんのよ」
まるで幽霊でも見たかのように真っ青な顔をしているルイズに、モンモランシーは具合でも悪いのかと、
額に手を当てようとしたが、ルイズはびくっと飛び上がって、瞬時に20歩分ほど後退して言った。
「カ、カカ、カエル触った手を、ちちち、近づけないでちょうだい!」
「はぁ? ……ん、もしかしてルイズあなた、カエルが怖いの?」
「そそそ、そんなこと、ななな、ないこともないけど……いいじゃない! 誰だって苦手なものの一つや二つあるでしょう!!」
今度は顔を真っ赤にして怒鳴るルイズに、全員の爆笑がラグドリアンの湖畔に響き渡った。
人は見かけによらないというか、バルタン星人にスペシウム、キングジョーにライトンR30、ベムスターに
エネルギー爆弾、サーペント星人に塩、そしてルイズにカエル。意外なところに弱点があるものだ。
「あんたたち笑いすぎよ!!」
キレたルイズの渾身の大爆発が、一行ごと湖畔と森を揺さぶった。
一方そのころ、西岸ではキュルケとタバサを乗せたシルフィードが、任務の目的地であるラグドリアン湖の北西へ
向けて風のように飛んでいた。
旧オルレアン公領から北東へ、トリステイン国境と接するラグドリアン湖の西岸を、命令に記された場所に
向かってシルフィードは飛んだ。鳥を追い越し、水面にはねる魚を見下ろし、その穏やかな旅路は自然と眠気を
誘うものでもあった、この平和な光景の先に、王軍でも解決できない難題が待ち構えているとは信じがたいものがある。
あくびをかみ殺しながら、キュルケはこんなときでもしゃがんで本を読みふけっているタバサに、今回の任務の
内容を確認してみた。
「ふわ……ねえタバサ、今回の任務ってやつなんだけどさ、もう一度聞いておいていい?」
「……『ラグドリアン湖北西にて、原因不明の森林の立ち枯れと急激な砂漠化が始まっている。その原因を究明し、
原因を排除せよ』もうすぐ着くはず」
振り返りもせずに、事務的にタバサは答えた。
「砂漠化っていったって、気候はこのとおり穏やか、森林も青々と生命力に溢れて平和そのものじゃない。
そのイザベラって姫さん、寝ぼけてるんじゃないの? この先だってほら…………うっそ!?」
シルフィードの進む先を見て、キュルケは思わず息を呑んだ。
ラグドリアン湖の西岸に渡って延々と続いていた森林地帯や、青々とした作物を生らせていた畑が、ある一線を
境にまるでまったく違う風景画を切り取ってつなげたように、黄色い砂ばかりの砂漠に変わっているではないか。
これは……と、イザベラの書簡が正しかったことをキュルケも納得せずにはいられなかった。
砂漠は現在半径3リーグほどに渡って落ち着いているが、こんなものがあったのでは付近に住む猟師も農民も漁民も
とても落ち着いて仕事などできないだろう。しかも書簡に追加されていた情報によれば、この砂漠は一週間前に
突然現れており、それからほんの1日で半径2リーグにまで拡大し日を追うごとに広がっているという、
これにより近辺の農業は大打撃を受けて、国境際という地理的条件もあり、早急な解決が望まれるということだった。
しかもそれだけではない。最初に調査に赴いた学者やメイジの調査団が、流砂にでも飲まれたのか、いくつも
行方不明となっているという。これは確かにタバサに回ってきそうな仕事だった。
「こいつは……確かに砂漠だわね。タバサ、ここに来るまで半信半疑だったけど、あなた一人でこれを
どうにかできると思う?」
「……やれ、と言われれば内容を問わずにやり遂げるのが、わたしの使命……」
タバサは、以前火竜山脈で怪獣を倒したせいで、それなら今度は砂漠くらいどうにかできるだろうと思ったなと、
イザベラの心の中を読んだ。シルフィードも同じことを感じ取っているらしく、きゅい、きゅいと不愉快そうに
鳴いている。
ただし、馬鹿姫の目論見はどうあれ、今回の任務は一筋縄ではいかない仕事だ。
砂漠化を防ぐなら水を撒くのが一番手っ取り早いだろうが、下手に大掛かりな魔法を使って周囲の畑や人家を
破壊してはまずい、言うなら簡単だが、かつてトリステイン城の火災を消し止める際にタバサとアンリエッタが使った
疑似トライアングルスペルでも、その威力は城を覆いつくすまでで、効力は一時的なものだった。
それに砂漠には保水力がほとんどないし、本気で半径3リーグの広さを潤そうとするならスクウェアクラスが
何百人もいるだろう、現実的に考えて不可能だ。
「で、どうしようか? このままぐるぐる回っててもらちが開かないわよ」
「とりあえず、下りて調べてみる」
「まあ、妥当な線だわね」
とにかく、最初にやることはそれしかないだろう。調査隊が消息を絶ったのは砂漠の中だったというし、
もしかしたらここを砂漠にしたなにかが潜んでいるのかもしれない。調べ事は得意ではないが、ぜいたくは言って
いられない。こういう時土系統のメイジがいてくれたならと一瞬思ってみたが、土系統の使い手の知り合いの
間抜け面が浮かんでそれを取り消した。
しかし、着陸しようと高度を落としたシルフィードの目の前で砂漠が地響きを立てて揺れ動き始めた。
「タバサ!!」
「上昇、急いで!」
きゅいと一声鳴いてシルフィードは翼を大きく羽ばたかせて急上昇に入った。
その一瞬後、彼女達が着陸しようとしていた砂漠の砂丘が、まるで風船が割れるかのように内側から
はじけとび、砂煙の中に巨大な影がせりあがってきた。
「あれは!? 怪獣!!」
それは全身土色をした、とてつもない大きさの甲虫だった。
しかもただでかいだけの虫ではない。つりあがった目は赤く爛々と光り、口には鋭い牙が無数に生えている。
さらに、背中からはサソリのような長く、先端に巨大なとげのついた尾が生えている。
「こりゃ、どう見ても菜食主義者には見えないわね」
「調査隊をやったのも、多分こいつ……」
「ええ、ペルスランの言っていた。1週間前に降ってきた星っていうのは奴のことね……見て、体の半分と羽根が
焼け焦げてる」
その怪獣は、体の左半分にひどいダメージを受けていた。本来は飛べるのだろうが、これではまともに動くことも
かなわないだろう。
だが、動けないまでも、その怪獣は自分の周りを飛び回るシルフィードを認めるや、凶悪な顎を開いて、口から
赤黒く光る毒々しい光線を撃ち出して来た!!
「危ない!」
間一髪、ぎりぎりのところでこれをかわしたが、外れた光線はそのまま飛んでその先の森に着弾し、すると
どうだ、青々と茂っていた森が瞬く間に枯れて砂に変わっていく!
「あいつが、森を砂漠にした犯人ね。こりゃ、今は動けなくても、ほっておいたらそのうちトリステイン、いえハルケギニア中
が砂漠に変えられちゃうわよ!」
その光線の信じられないような凶悪さを見てキュルケは思わず叫んだ。
これまでベロクロンをはじめとして、数々の怪獣、超獣、凶悪宇宙人を見てきたが、こいつはそいつらとは根本から
違う。内に秘めた邪悪さは超獣の持っていた『侵略』という概念すら外れた、ただ破壊と荒廃のみをもたらす悪魔の
使いのようにすら感じられる。
「さて、どうしようかタバサ……やる?」
「……攻撃する」
「あ、やっぱりそういうことになるわけね」
なんのことはなしに言ってのけたタバサに、キュルケはやっぱりといった表情を見せたが、止めはしなかった。
どのみちこのままぼんやりと眺めていただけでは事態は変わらないし、タバサの立場上「だめでした」とは絶対に言えない。
第一止めたところでタバサが聞き入れるとは思えない。
「でも、あの光線を浴びたらひとたまりもないわよ、いくらあなたの風竜でも大丈夫?」
「なんとかする」
タバサにしては抽象的な答えだった。けれど、それもやむを得ない場合があろう。風竜は確かにハルケギニアで
最速を誇る生き物だが、かつてトリステインの竜騎士隊がベロクロンの前に全滅したように当たるときは当たる、
かといってそれが彼女の意思を揺らすものではないが。
キュルケは杖を取り出すと楽しそうに笑った。
上戸www
「じゃ……久々に二人でやろうか」
「……うん」
タバサは自分も杖を構えシルフィードを降下させていった。
『フレイム・ボール!!』
『ジャベリン!!』
戦いが、始まった!
また、時を同じくして、同じ湖の一角で大変なことが起きていると知るよしも無く、ルイズ達はようやく水の精霊を
呼び出すことに成功していた。
それは、水が意思を持っているかのように湖面から盛り上がって、スライムのように不定形に変形し、
モンモランシーが呼びかけると、彼女の姿を模した氷の彫刻のような姿に変わって落ちついた。
「これが水の精霊……液状生命体ってやつか」
才人は水の精霊の姿を見て、そう判断した。
全身を液体で構成した生命体は、液体大怪獣コスモリキッドやアメーバ怪獣アメーザのように地球でも
いくつか例がある。言えば怒らせるだろうから、才人はそこのところは伏せておいたが、この水の精霊という
やつは、それとは対照的に陽光を透明な体に輝かせて、美しくきらめいていた。
「水の精霊よ、お願いがあるの、あなたの体の一部を、ほんの少しだけわけてもらいたいの」
だが、やはり水の精霊の答えは冷たかった。
「断る、単なる者よ」
やはり、とモンモランシー達は肩を落とした。
だが、水の精霊が湖面に戻ろうとしたとき、ギーシュが意を決したように水辺にまで出て、湖水に頭を
浸るくらいまで下げて頼み込んだ。
「待ってくれ水の精霊! ぼくの友達が助かるためにはどうしてもあなたの一部が必要なんだ。そのためなら、
ぼくはどんなことだってする。だから、お願いだ!」
精霊は、しばらく湖面にとどまったままじっとギーシュの姿を見守っていたが、やがて再び元の姿に戻ると言った。
「わかった。単なる者よ、お前の体内を流れる液体の流れは嘘を言っていない。我は湖の水を通してそれを
知った。願いを聞いてやろう」
「本当か! ありがとう!」
「ただし、お前はどんなことでもすると言ったな。ならばひとつ条件がある。我は今、いくつかの悩みを抱えている。
そのひとつを解決してもらおう。ここより北の湖岸の地底に、最近不法な侵入者が居座って大地を荒らし、
それが湖にも影響を及ぼしている。そいつを退治してくるがいい。されば、我は我の一部を礼に進呈することを約束する」
それを聞いて、ギーシュは喜んだが、才人はその侵入者とは何者かと精霊に聞いてみた。
「我を悩ますのものは、太陽が7回巡る前に空のかなたよりここに降りてきて、森を枯らし、生き物を殺し、
大地を死なせる、巨大な悪意の塊のような怪物だ」
「て、ことは宇宙怪獣か……?」
「なんでもいい! とにかくそいつを倒せばいいんだな。だったらやってやろうじゃないか!」
こうして、一行は水の精霊の涙を手に入れるための交換条件として、謎の敵を倒すことになった。
が、そのとき水の精霊の体がぶるりと震え、一行は何事かと身構えた。
「どうやら、北西岸でそやつと何者かが戦い始めたようだ……」
「ええっ、もしかしてガリア軍か!?」
「違う……湖面に映った様子をここに映し出そう。見るがいい」
水の精霊が手を一振りすると、湖面が揺らめき、そこにまるでテレビ画面のようにはるか北西の岸での戦いの
様子が映し出され、暴れまわる巨大な怪獣と、それと戦っている者達を見て皆は仰天した。
「あれは……まさかシルフィード!? てことは乗ってるのは」
「あの赤い髪はキュルケだろ!」
「タバサもいるぞ、なんであの二人が怪獣と!?」
才人、レイナール、ギムリはそれぞれ見慣れたシルエットを見て、なんで!? と思ったが、二人が炎と氷の魔法を
駆使して戦っているのを見て、ただ偶然居合わせただけではないということだけは悟った。
「まずいわね。あの怪獣相当な強さよ、このままじゃ遠からずやられちゃうわ」
モンモランシーの言うとおり、シルフィードは高速で飛んで怪獣の吐き出してくる光線や光弾を避け続けているが、
怪獣のほうも半身に傷を負っているにもかかわらずにほとんど二人からはダメージを受けていない。
するとそのときギーシュが高らかに宣言した。
「助けに行こう! 友を見捨てては騎士の恥、どうせ戦いに行くはずだったんだ。二人を見殺しにはできない!」
「ギーシュ……」
きりっと構えて、凛々しく言ったギーシュの姿に、正直才人達はさっきまでとの変わりように度肝を抜かれていた。
特に、モンモランシーなどは顔を紅く染めてギーシュの顔を見つめている。
しかし、たった一人冷めた視線で成り行きを見守っていたルイズが言った。
「でも、ここからタバサ達が戦っている場所までは相当な距離があるわよ。湖岸を回りこんでいたら、馬でも
とても間に合わないわ」
「うっ!」
それは盲点だった。いくら気合を入れたところで、タバサ達のいるところはこの東岸からは影も見えないかなた、
いくら急いだところで何時間もかかってしまう。
だが、それを聞いた水の精霊が手を湖にかざすと、湖面の上をまるで動く歩道のように北西へと続く水流の道が現れた。
「戦いに急ぐというのならこれに乗るがいい。沈まぬように凝結させた水を高速で北西に流している。この上をさらに
馬で駆ければ片時もせぬうちに着けるだろう」
それはまさに、ハルケギニアの人々が恐れる水の精霊の先住魔法の人知を超えた力のなせる技であった。
「よし、急ごう! 才人、ギムリ、レイナール、WEKC出動だ!」
「おう!」
一行は馬に乗り込み、タバサ達の待つ北西岸へと湖面の上の道に乗り出していった。
そしてそのころ、次空を超えた世界、地球でも勇者達が戦いを繰り広げていた。
今日も、ガンウィンガーでパトロール中のリュウとミライの元に怪獣出現の報が届いてくる。
〔リュウ隊長、東京N地区に空間のゆがみが発生しています。同時に強い生命反応を検知、怪獣が出てくるようです!〕
「なんだと! ヤプールの攻撃か」
〔いえ、ヤプールの異次元ゲートとは違うようです。どこか別の宇宙につながるワームホールのような……〕
「わかった、後はこっちで確かめる。いくぞミライ!」
「GIG!」
ミライがGUYSの復唱を力強く答え、ガンウィンガーは進路を変えて東京N地区へ向かった。
そうするとガンウィンガーは速い速い、あっという間に東京N地区に到着、街の上空に浮かんでいるブラックホールの
ようなワームホールを発見した。
〔ワームホール拡大、怪獣が出てきます!〕
一瞬、ワームホールが大きく口を開け、そこから吐き出されるように巨大な生物が飛び出してきて、街中に墜落した。
「出てきたぞ! まるででっかいカニみたいなやつだ」
「リュウさん、あれは尻尾があるからエビじゃありませんか?」
「いや、ハサミもあるぞ、ならザリガニだ!」
「そうか、あれがザリガニなんですか!」
現れた怪獣は、まさに全身土色をした巨大なザリガニだった。
右のハサミは自分の身の丈ほどもある巨大さで、飛び出た目は真っ赤な色をしている。
怪獣は、現れてしばらく「ここはどこだ?」とでもいうふうに、周辺をキョロキョロと見回していたが、やがて狂ったように
巨大なハサミを振り回してビルを破壊し始めた。
「やろう! 好きにさせるか! 食らえ、ウィングレットブラスター!」
ガンウィンガーから発射された強力なビームが怪獣を直撃する。しかし怪獣の強固な殻に防がれてあまり効いていない。
「ちっ! フェニックスネスト。ガンローダー、ガンブースターただちに出撃。こいつは一筋縄じゃいきそうもねえぞ」
〔GIG〕
怪獣の強さを見て、リュウは迷わず総力戦を決断した。
「リュウさん。僕がいきます!」
ミライはメビウスに変身して戦おうとした。だが、リュウはそれを押しとどめた。
「ミライ、それにはおよばねえ。あんな奴くらい、GUYSの力だけで倒してやる。新生GUYSの強さ、お前に見せてやる」
『地球は、人類自らの手で守り抜いてこそ価値がある』、まだそれをやりとげるには人類の力は弱いが、いつかは
本当にそれをなしとげる。それがリュウの信念だ。
そして同時にそれは、ウルトラマンに頼るのではなく、同じ場所に立って、いっしょに平和のために戦うということになる。
ミライはそれをくみとって変身するのをやめた。今はウルトラマンメビウスとしてではなく、GUYS隊員、ヒビノ・ミライとして
戦うのが、リュウの気持ちに報いるただひとつの方法だ。
「ミライ、後ろから回り込むぞ!」
「GIG!」
怪獣は、口から火炎弾をガンウィンガーに向けて連発してくる。
リュウはそれをかわすと、ウィングレットブラスターを怪獣の顔面に叩き込む。
その光景を、GUYS総監サコミズ・シンゴはフェニックスネストのモニターごしに頼もしそうに見ていた。
そう、すべてはあのときから……
ガイガレードとの戦いの後、地球に降り立ったメビウスとヒカリは、再び地球人ヒビノ・ミライとセリザワ・カズヤの姿に
なって、リュウやサコミズら懐かしい人たちと再会を果たしていた。
だが、フェニックスネストの作戦室で、二人から語られた話は彼らを驚かせるのに充分だった。
「ウルトラマンAが行方不明!? それに異次元人ヤプールが復活するだと!!」
その話を聞かされたリュウは怒りに震えた。ようやくエンペラ星人の脅威もやみ、怪獣の出現も少なくなって
きているというのに、また平和を乱そうというのかと。
そして、二人がやってきた目的が、その現場が太陽系近海であることと、ヤプールとの交戦数が多く、
もっとも異次元研究の進んだ地球の力を借りるためだということを聞かされて、今度はどんと胸を叩いて
力強く言った。
「まかせておけ! ウルトラマンAには月で助けられた借りがある。喜んで、お前の兄さんの捜索に協力
させてもらうぜ」
「リュウさん! ありがとうございます」
リュウの頼もしい言葉に、ミライは満面の笑みを表して喜びを表現した。
エースだけではない、地球人はこれまでウルトラの兄弟達に返しきれないほどの恩を受けてきている。
今回は、地球人がウルトラマンを助けられるまたとない機会だ。第一、恩返しをするのに遠慮をする必要など
どこにもない。
だが、事は隊長一人の独断で決められることではない、リュウはそれまで黙って話を聞いていたサコミズに
許可を得るために、姿勢を正して話しかけた。
「総監、GUYS JAPANはこれよりウルトラマンAの救助と、対ヤプール殲滅のための対策活動に入りたい
と思います。許可をいただけますか?」
するとサコミズは、自らいれたコーヒーのカップをテーブルに置くと、自然体の表情ながらどこかしら
暖かみを感じられる顔をリュウに向けて言った。
「今のGUYSの隊長は、リュウ、君だ。君の好きなようにやればいいさ。ミライ、セリザワさん、君達はGUYSの
復帰隊員として身分を確定しておこう。ただし、君達がウルトラマンだということはすでに知られたことだから、
一般に不安を招くといけないから、このことはフェニックスネスト内だけの秘密ということで、しばらくは通したい
と思う」
それだけ言うと、サコミズは再びカップをとり、コーヒーを口に運んだ。
「ようしミライ、そうと決まれば善は急げだ。カナタの奴もお前がまた来たと聞けばよろこぶぜ!」
「はい、またよろしくお願いしますリュウさん」
リュウとミライはまたいっしょに戦えることを喜び合うと、一礼して作戦室を出て行った。多分、これから
フェニックスネストをまわって、新人隊員のハルザキ・カナタや、整備班長のアライソに挨拶しにいくのだろう。
残されたサコミズとセリザワは、テーブルを向かい合わせて、静かに語り合った。
「リュウも、また見ないあいだにたくましくなってきたな」
「君にとってはアーマードダークネスの事件以来か、当然だよ、彼もまた夢のために毎日を戦い続けている。
他のGUYSの仲間達といっしょに、離れていても、みんなの心は常に一つだ」
「そうだな……しかし、今度の事件は今までとは違った感じがする」
「どういうことだい?」
「ヤプールが復活を狙っているのは、我々が地球に来る直前の怪獣の襲撃からも、確証はないが確信に近い。
しかし、奴が真っ先に復讐の標的にするとしたら、この地球であるはずなのに、地球は平和そのものだ。
静か過ぎるのが逆に不気味だ」
セリザワの言葉にサコミズは眉をしかめたが、コーヒーに注いだミルクをスプーンでゆっくりとかき混ぜながら
自分なりの仮説を披露してみせた。
「ヤプールもばかではない。以前奴は不完全なまま復活し、中途半端なまま異次元ゲートを封鎖されてしまっている。
もし完全な状態で超獣軍団を送り込まれていたらどうなっていたか、そのときの教訓を取り入れたんじゃないかな?」
「嵐の前の静けさ、というわけだな」
「ああ、だが、嵐に備えて対策を打つことは出来る。それに、表立って動かなくても何か痕跡を残すことはあるだろう。
ヤプールの仕業としぼればそれも見つけやすくなる。どのみち、彼らならどんな障害でも必ず乗り越えていけるさ。
コーヒー、おかわりはどうかな?」
「いただこう」
GUYSの元隊長二人は、自分達の時代が移りつつあるのを感じながら、部屋に満ちる芳醇な香りを楽しんでいた。
「総監、横浜で謎の反応をキャッチしました。ただちに調査に出動します!」
さっそく事件の気配をかぎつけたリュウは、ミライを横浜に向けて出動させた。
だが、その一方で、ヤプールはハルケギニアのどこかで今日も超獣を作り続けている。
そのことを、この世界で知る者は、いまだいない。
続く
今週は以上です。支援どうもありがとうございました。
それから、23話から同時進行で続いた地球側でのストーリーも、とりあえずここでしばらくは休憩に入ります。
本当は、地球側でも次々と起こる事件にGUYSの面々やメビウスやヒカリ、さらに光の国ではウルトラ兄弟達も
立ち上がっていくのですが、さすがにそこまではスレ違いで脱線しすぎになるので自重します。
さて、来週はおそらく今年最後の投稿になると思います。
ラグドリアン湖に出現したスコーピスに、果たしてルイズ達は勝てるのか、ヴェルダンデは元の姿に戻れるのか。
そして水の精霊から語られる衝撃の事実とは?
乙でしたー
肉の塊に刻まれるか
肉と皮を剥がされて最小限の臓器と筋肉だけが残った人形にされるか
もっと酷い目にあわされるか
歯が立たないだろサイトじゃ
というか<新宿>の連中はその辺の雑魚でもスクウェア並の奴がゴロゴロいるぞ
Aの人乙
スコーピオって聞き慣れない名前だったんで調べたらコスモスの怪獣なのね
それはそうと水の精霊編が終わると次はアルビオン編に行くのかな?
タルブのアレとルイズが虚無に目覚めたらどうなるか楽しみだ