【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 9【一般】

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1名無しさん@お腹いっぱい。
ここはローゼンメイデンの一般向けSS(小説)を投下するスレです。
SSを投下してくれる職人は神様です。文句があってもぐっとこらえ、笑顔でスルーしましょう。
18禁や虐待の要素のあるSSの投下は厳禁です。それらを投下したい場合は、エロパロ板なりの相応のスレに行きましょう。
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【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 6【一般】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1184419565/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 5【一般】
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1178641673/
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 4【一般】
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【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ【一般】
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1143018114/

関連スレ

Rozen Meiden ローゼンメイデン SS総合 8
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1164813753/

保管庫
http://rozen.s151.xrea.com/
http://www.geocities.jp/rozenmaiden_hokanko/
http://rinrin.saiin.net/~library/cgi-bin/1106116340/
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/02(木) 23:16:08 ID:HUQsRlk1
知らん間に消えとったので、1ヶ月ぶりに復活させてみた。
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/03(金) 22:57:14 ID:2zz/9qnO
みんな他へ流れちゃったかねぇ
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/04(土) 23:31:25 ID:1V6O4OhE
職人さんカムバーーーーック
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/06(月) 00:55:20 ID:FByPkuc6
1日1レス
保守age

みんな戻ってきてくれよぅ
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/07(火) 00:56:00 ID:C8BungnJ
作品を投稿できれば、それに越したことはないんだが…。
待つしかないのが読者だなぁ。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 00:19:32 ID:2jwCFtuC
ヤフオク
銀様の手描きイラスト、ものすごい値段で続行中!
http://page7.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/g71277067
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/08(水) 23:52:08 ID:6r60yVu/
ほいほいほいっと

保守保守
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/10(金) 00:07:18 ID:xdJ7ztHJ
ほーいほい
10ジュンのメガネの秘密:2008/10/10(金) 00:23:38 ID:+XgfbMk1
諸事情により撒いてないジュンの下宿先のアパート暮らしていた真紅はその日、ふとある事に気付いた。

「撒いた方のジュンはメガネをかけていたわ。どうして貴方はかけていないの?」
「………………。」

真紅の知る撒いた方のジュンはメガネを掛けていたが、今真紅の目の前にいる
撒いていない方のジュンはメガネを掛けていなかった。それが何かジュンの気に障ったのか
無言で真紅を睨み付けた。

「ご…ごめんなさい…。何か気に障ったのなら謝るわ…。」
「謝る必要は無いよ。それに…メガネならただかけていないだけで、今も持ってる。」

ジュンはただ単にメガネをかけていないだけで、メガネそのものは持っている様だった。

「じゃあどうしてメガネを掛けないの?」
「それには理由があるんだ。」

ジュンは服の中からメガネを取り出す。しかし、それはフチの部分が真紅のドレスの様に
真っ赤な物で、どう見ても普通のメガネでは無かった。

「違う…。私の知ってるジュンが持っていたメガネと全然違うわ。」
「違って当然。これは正確にはメガネじゃないんだ。」
「え? じゃあ一体何だと言うの?」
「………………。」

すると、ジュンはまたも真紅を静かに睨み付けた。

「本当に…知りたいのかい? もしかしたら…取り返しの付かない事になるかもしれないんだよ。」
「知りたいわ。これは一体何だと言うの? 教えて頂戴。」
「…………………。」

真紅はジュンの持つメガネの様な物が何なのか気になって気になって仕方が無かった。
それを悟ったジュンもまた、心を決めた。

「これは…ウルトラアイさ。」
「え…?」

真紅はジュンが言った言葉の意味が分からない。しかし、ジュンの顔は真剣だった。
11ジュンのメガネの秘密:2008/10/10(金) 00:24:17 ID:+XgfbMk1
「真紅…僕はね…ただの人間じゃないんだよ。M78星雲・光の国から来た恒点観測員340号…
ウルトラセブンなんだよ!」
「………………!!」

ジュンの告白に…真紅は愕然とした!

「い…一体何を言っていると言うの? 意味が分からないわ。」
「真紅が別の世界から来たドールである様に…僕もまた遠い宇宙の彼方から来た宇宙人なんだよ!」
「ジュ…ジュン…な…何を馬鹿な事言ってるの? う…宇宙人なんているはずが無いじゃない…。
テ…テレビの見すぎだわ…。」

真紅は信じられなかった。しかし…ジュンは真剣だった。

「この世界に来て間も無い真紅には分からないだろうが…この世界では宇宙人は既に公式的に
確認された存在なんだ。ディアーズって言ってね…数年前にこの星に漂着した宇宙人がいたんだ。
幸いディアーズは地球人に対し友好的で、大した問題は起こらなかったけど…全てが彼等の様に
友好的な者ばかりでは無い。むしろ大半の宇宙人は人知れず地球を制圧せんと暗躍しているんだ。
だからこそ…だからこそ僕はウルトラセブンとして地球を守る為に立ち上がったんだ!」
「じゅ…ジュン! い…今直ぐに病院に行きましょう! 今ならまだ間に合うわ!」

真紅は泣きそうな顔でジュンの手を引っ張るが、容易く振り払われてしまった。

「真紅…僕の言う事がまだ信じられないのかい?」
「当たり前じゃない! それに…ジュンが一体どうやってそんな恐ろしい宇宙人に勝てると言うの!?」

真紅はジュンが心配で心配で仕方が無かった。ジュンの辛い生い立ちが彼を現実から逃避させて
しまったのだと真紅は考えたのだ。しかし…それでもなおジュンの顔は真剣だった。

「ならば…証拠を見せよう。」

ジュンは、自身がウルトラアイと呼んだメガネを右手で掴み上げ、それを掛けた。

「デュワ!!」

するとどうだろうか! ジュンの頭部・胸部・肩部がまるで鎧の様な物に包まれて行き、
胴体や手足は真紅のドレスの様に真っ赤な物へ変異して行ったのである!

「デャー!」

そう! その姿こそまさしくウルトラセブン!
元ヒキコモリのしがない大学生・桜田ジュンは世を忍ぶ仮の姿!
その正体はM78星雲・光の国からやって来た恒点観測員340号ことウルトラセブンだったのである!
12ジュンのメガネの秘密:2008/10/10(金) 00:24:57 ID:+XgfbMk1
「じゅ…ジュン…ほ…本当に…本当に宇宙人だったの…?」
「そう。これが僕の本当の姿。ウルトラセブンだったんだ。今まで騙していて済まない…。」
「じゃ…じゃあ…どうして…どうしてあんな情けない男の振りをしていたと言うの?」
「その方が周囲に警戒されないからね。」

何と言う事か、彼は周囲に警戒されない様にあえて元ヒキコモリのしがない大学生を演じていたのである!

「今…この星…地球は狙われている。既に数々の宇宙人が地球人に成りすまし潜伏しているんだ。
例えば…僕が桜田ジュンとしてバイトに行っていた先の本屋の店長。彼もテンチョー星人と言う宇宙人だ。」

壮絶な事実が発覚! 店長は宇宙人…テンチョー星人だった!

だが…ここで屋根の上に上がっていた水銀燈が下りて来るのである。

「真紅〜どうしたの〜? ってそこの変な奴は一体誰〜?」

誰が相手であろうとも他人を見下しがちな水銀燈は、当然のごとくウルトラセブンに対しても
上から目線で近寄って来るが…

「騙されてはいけない! コイツは異次元人ヤプールの手下のドール星人だ!」

次の瞬間、ウルトラセブンは腕をL字に組んで放つ光線・ワイドショットを水銀燈へ撃ちこんだ!
ワイドショットを胸部に受けた水銀燈は、まるで特撮ヒーロー番組に出て来る怪獣の最期のごとく
忽ち木っ端微塵に吹き飛んでしまった。

「水銀燈!」
「危なかった。まさかヤプールまでもが活動を再開していたとは…。これは超獣が
送り込まれるのも時間の問題か?」

と、ここで今度は雪華綺晶までもが鏡の中から現れた。白薔薇のツルを伸ばし、真紅と
ウルトラセブンを雁字搦めにしようとしていたのだが…

「デァー!」

ウルトラセブンの額から放たれるエメリウム光線によって白薔薇は空しく焼かれてしまった。
それには思わず怯む雪華綺晶だが、ウルトラセブンは間髪入れず…

「デァー!」

今度は雪華綺晶へ向けアイスラッガーを投げ付け、直後…雪華綺晶の首が床に転がった。

長い戦いは終わった。そして…
13ジュンのメガネの秘密:2008/10/10(金) 00:25:32 ID:+XgfbMk1
「正体を知られてしまったからにはもうこの星にはいられない。僕はまた宇宙へ帰らねばならない。」

何か良く分からないが、ウルトラセブンはもう星に帰らなければならないらしい。
先の会話の時に言っていた事と矛盾するが…そこは気にしないでおこう。

「待って頂戴!」

そこで飛び立とうとしているウルトラセブンを真紅が呼び止めた。

「私も宇宙に連れて行って頂戴!」

何を考えたか…真紅はウルトラセブンと共に行く事を志願したのである。

「宇宙には…恐ろしい怪獣や宇宙人が沢山いるぞ。」
「覚悟は出来てるわ! 宇宙に入って見聞を広めるのもまた…アリスへの道よ!」
「そうか…。ならば行こう。この無限の大宇宙に。」

真紅の覚悟を悟ったウルトラセブンは、カプセル怪獣を収めるカプセルに真紅を収め、
宇宙の彼方へ飛び立った。

                 セブンセブンセブン セブンセブンセブン
                      遥かな星が 故郷だ
                  ウルトラセブン ファイターセブン
                   ウルトラセブン セブン セブン
                     進め 銀河の果てまでも
                    ウルトラアイで スパーク!

                        おわりw
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/11(土) 11:56:53 ID:we04GSGw
>>10-13
ワラタ&乙
15名無しさん@お腹いっぱい:2008/10/13(月) 19:28:33 ID:e3EMrC4E
こっちはセブンかw
乙でした
16全ては夢だったのさ:2008/10/15(水) 22:29:39 ID:+IKerXkh
その日、ジュンは何時もの様に机の上に置いたパソコンに向かっており、また真紅は
何気無く窓の外を眺めていた。

「ジュン…窓の外に変わった車が走ってるわ。」
「変わった車?」

真紅が指差した先に走っていたのは、一見すると今時珍しくなったマツダコスモスポーツの様では
あるが、見た事の無いマーキングがされており、明らかに普通の車とは違う雰囲気を放っていた。

「あれはMATの専用車。マットビハイクルだよ。」
「ジュン、それは一体何なの?」

ジュンの口から発せられた初めて聞く単語に、真紅は首を傾げる。

「MATは怪獣攻撃隊と言ってね、その名の通り怪獣と戦う為に結成された防衛チームなんだ。」
「ジュン…何を言っているの? 怪獣なんているはずないじゃない。私はジュンなんかより
ずっと長く生きているけど…そんな物は見た事無いわ。ジュンはTVの見すぎよ。」

真紅はジュンを鼻で笑うが…ジュンは悔しがる所かむしろ不敵な笑みを浮かべていた。

「それがね…結構出るらしいんだよ。真紅が暮らしていたって言う昔と違って…近頃は
環境破壊がどうこう騒がれてるからね。」
「環境破壊…。そうね…TVで見たけど、森林を伐採したり海に工場の排水を流したり…
排気ガスなんかで空気を汚したり…昔と違って随分世知辛い世の中になっているようね。
でもそれがどうかしたの?」
「どうかするさ。その環境破壊のせいで大昔から自然の中で守られて来た生態系が崩れて…
それまで何でも無かった生物が突然巨大怪獣化したり…太古から眠っていた古代怪獣が
蘇ったりしているんだ。その怪獣の脅威に立ち向かう為に結成されたのがあのMATなんだよ。」
「そ…そうなの…?」

真紅はまだ信じがたい顔をしていたが…ジュンは真剣だった。

「MATは元々怪獣と戦う為に作られた組織だけど、近頃は宇宙怪獣や星人なんかも
来る様になって…そういうのとも戦っているらしいよ。」
「そんな物まで…そのMATと言うのは凄いのね…。」
「でも…立場的にはそこまで強いワケじゃないみたいなんだ。こういうのは基本的に
縦社会で、横の繋がりが無いから怪獣迎撃時に自衛隊や警察と揉めたりするのはしばしばらしいし、
何より事あるごとに上層部から解散解散と脅されてるらしいよ。」
「そ…そう…凄いのか凄くないのか良く分からない組織なのね…。」
「これが大人の世界って奴なんだよ。」

ヒキコモリのくせに妙に落ち着き、そして詳しいジュンに真紅は逆に感心したくなったが…
そんな時に…それは起こった!

「ハッハッハッハッハッハッハッハッハ!」

突然部屋の隅から響いた謎の笑い声。明らかに桜田邸の住人の声では無い低い物だった。
17全ては夢だったのさ:2008/10/15(水) 22:30:30 ID:+IKerXkh
「誰だ!?」

ジュンと真紅が部屋の隅へふり向いた時…そこには全身タイツで、顔の部分だけが明らかに
人間とは違う変な特殊メイクが施された…まるで特撮ヒーロー番組に登場する星人の様な変な男だった。

「私は宇宙から地球侵略の為にやって来たドール星人だ。」
「せ…星人!?」
「大変! 宇宙人よ! 宇宙人は本当にいたのね! 信じられないわ!」

いざ実際に星人を目の当たりにすると、真紅もジュンも驚かざるを得ない。
そして二人が唖然とする中、ドール星人は堂々と真紅を掴み抱え上げたのだ。

「あ! 何をする!」
「まさかこの星に生きた人形がいるとは驚きだ。しかも普通の人形とは違う得体の知れない
不思議な力を感じる…。だがこれを利用しない手は無い。私はドール星人と言うその名の通り…
ドールを操る事が出来る。当初はその力で世界中の人形を操り、一斉蜂起させそのまま
地球を武力制圧する予定であったが…このドールの力を増幅させれば…もっと簡単に
制圧出来るだろう。ではさらばだ地球人の少年!」

ドール星人は真紅を抱き抱えたまま窓から外へ飛び降り走り始めた。
それに対しジュンも慌てて階段から玄関へ下り、ドール星人を追った。

「待てー! 真紅を返せー!」
「ジュン助けてー!」
「ハッハッハッハッハッハッ!」

真紅を抱き抱え、白昼堂々と街中の道路を走り回る星人の図はかなりシュールな光景だ。
ジュンは必死に真紅を追い駆けるが、ドール星人は真紅を抱き抱えた状態であるにも
中々の健脚を持ち、追い付けない。と…そこで…

「こちら郷! 星人発見! ○○△△地区にて小さな女の子を拉致して走っている星人を発見しました!」

オレンジ色の戦闘服と白いヘルメットに身を包んだ若い男がドール星人を追うべく現れたのだ。
彼こそMAT隊員郷秀樹。

「そこの君! ここは任せなさい!」
「え!?」

郷隊員はドール星人へ見る見る追い付いて行く。流石はMAT。物凄い運動能力である。
とは言え、ドール星人は真紅を人質にとっている故に銃撃は出来ない。それ故に格闘になった。
郷は瞬く間にドール星人を追い詰めて行く。こうなったら真紅を抱き抱えたまま戦わねば
ならぬドール星人はどうしても不利にならざるを得ない。
18全ては夢だったのさ:2008/10/15(水) 22:31:30 ID:+IKerXkh
「真紅を返せー!」

そこへやっと追い付いて来たジュン。真紅を助けるべくなりふり構わずドール星人へ突撃するが…
それが逆にドール星人へチャンスを与える結果となった。

「君! 危ないから下がるんだ!」

郷がジュンの危険な行為を止めるべく、ジュンを掴み止めたその直後………

「ハッハッハッハッハッ! 今の内だ! それー!」

ドール星人が真紅へ向けて手から不思議な光線を発した。するとどうだろうか。
真紅がみるみる内に巨大化して行くのだ。

「だわー!」

身長40メートル・体重数万トンのドール怪獣…真紅が誕生した!

「ハッハッハッ! やれっドール怪獣真紅よ! 街を破壊するのだ!」
「だわー! だわー!」

巨大なドール怪獣と化した真紅は家々を踏み潰し…街を破壊して行く。

「真紅やめろー! やめるんだー!」
「君! 危ないぞ!」

郷に止められながらも必死に叫ぶジュン。しかし今の真紅の耳にジュンの声は届かなかった。

もはや今の真紅は誇り高きローゼンメイデン第五ドールの真紅では無い。
悪のドール星人の侵略兵器…ドール怪獣真紅となってしまったのだ。

「真紅! 真紅ー!」
「ここは引き付ける! 君は今直ぐに逃げるんだ!」

郷は対怪獣用の特殊拳銃マットシュートを手に取り、真紅へ撃ち込んで行く。
真紅の身体の各部で爆発が巻き起こる。

「やめて! 真紅を撃たないで!」
「ここは危ないから逃げるんだ!」

真紅が撃たれる様を見たくないジュンは郷に撃たない様に哀願するが…
いずれにせよここが危険な場所である事は間違い無い。
19全ては夢だったのさ:2008/10/15(水) 22:32:16 ID:+IKerXkh
「だわー! だわー!」
「あ!」

真紅の巻き髪ウィップによって薙ぎ払われたビルが倒壊し、瓦礫がジュンと郷の二人へ降り注いだ。

      郷が命の危険に晒されたその時…郷は十字の光に包まれる中…ウルトラマンに変身した!

⌒`〃⌒ヽ、
: :: : \: :  、`ヽ、
、: :: : ヽ: :  ヽ、`丶、_                / `i
.`ヽ   ゛、: :  i:: ::   ̄`ヽ       ,.:::::´  ̄ ̄/ ノ、
、: :丶、  ヽ   l`i:: :: :: :: :: l    /::       / / `、
:: ヽ:: :: ::  iヽ、 :: ノ:: :: :: :: : l    /:: ::       / ,'   i
:: :: ヽ、  k´:: :: :: :: :: ::   ノ_,--'‐ i'⌒ヽ、 , '  '     |    ビシュゥゥゥゥゥ!
、::   \ `ゝ、:: ::    /;;;;l「ll /. 丶.  ) /      l 、
 \   ヽ、__ノ`ー--´;;;;;;;;;;;|!」l    ` ‐' / , -‐-、 ノ .:::`i
   ヽ、__ノ     ,ヘ;;;;;;;;;;;;;;;l`       /  ゙、__,ノ /_:::::::::::l
、_  _ノ、      ;'  ヽヽ;;;;;;;;;;i  , 、   /      , ' ノ´⌒`i_
  ̄   ヽ___ノ    ll ヽ;,ヽ i ヽ``' 、      '_/  ,-‐´  ̄`ヽ     シュワッチ!
        i;;;;`;、   ノ|l  ヽ;;;;;`、.`/`,'ニ,,ソ , '´  ̄) ノ、__ __ノ
         l;;;;;;;;;`、 li ,;;i i  ヽ;;;;;;;;;;;`;;ー,;; ´   ノ`‐i、(_  __)
        l;;;;;;;;;;,, | l;;;;l i   ヽ;;;;;;;r '´     ノ   '、____ )
        ゝ;;;;;;;;;;,,l i;;;;l i    )l;l(     /      `ー--‐'
         ` 、;;;;;;;;, ヽヽ___ノ =、ヽ _ /
            `ー- 、_ヽ((.:: ノ_,,..- '
                  ̄ ̄ ̄

                  ウルトラマンが…帰ってきた!

       説明しよう! MAT隊員郷秀樹はM78星雲光の国から来たウルトラマンだったのだ!

ウルトラマンは掌にジュンを乗せ、安全な場所まで運んだ。そこでジュンを下ろし…
なおも街を破壊し続ける真紅へ向かって行った。

「ジュワ!」
「だわー! だわー!」

帰ってきたウルトラマンの軽快な戦闘BGMが流れる中、ウルトラマンと真紅の格闘戦が始まる。

ウルトラマンはかつて魔神怪獣コダイゴンと言う怪獣と戦った事があった。
それはとある村の神社に祭られていた神将の像をグロテス星人と言う星人が
怪獣へ変えた代物だったのだが…今の真紅もまたそれと同じ様な物だと言えるだろう。

流石のウルトラマンも真紅の巻き髪ウィップのリーチの長さに苦戦を強いられるが、
ムチ状の武器を持つ怪獣との戦いはツインテール・グドン戦で経験済み。
巧みにムチをかわし、真紅の首下へウルトラチョップを叩き込んだ。
20全ては夢だったのさ:2008/10/15(水) 22:33:28 ID:+IKerXkh
ウルトラマンが左手首に装着した万能武器、ウルトラブレスレットによって強化された強力チョップ。
スペシウム光線にも耐える宇宙大怪獣ベムスターをも怯ませた強力な技だ!

「だっだわー!」

真紅も流石に苦しいのか、首を抑えて悶えてしまう。

一方ジュンは、逃げ惑う人々の波に逆らい真紅へ向かって走っていた。

「やめて! やめてくれー! 真紅を攻撃しないでくれー!」

ジュンは真紅が心配だった。真紅はただ星人に操られているだけなのに…真紅が傷付く所は見たくなかった。

一方、ウルトラマンは倒れた真紅へ向けてマウントポジションを取り、何度も殴り付ける。
だが…ここで帰ってきたウルトラマンの軽快な戦闘BGMが止まった…
巨大化したドール星人が加勢に入ったのだ!

ドール星人はウルトラマンを突き飛ばし、真紅と共にウルトラマンへ攻撃を開始した。

ドール星人が背後からウルトラマンを羽交い絞めにし、真紅がウルトラマンへ巻き髪ウィップや
絆パンチを撃ち込んで行く。ウルトラマンピンチ!

「真紅やめろー! やめるんだー!」

ジュンは必死に叫ぶが…真紅の耳に入らない。

そうしている内にウルトラマンのカラータイマーが赤に変わった。
宇宙では無敵を誇るウルトラマンも、地球上ではそのエネルギーを著しく消耗する。
その為、地球上では三分しか戦えなかったのだ。もはやウルトラマンは絶体絶命。しかし…

      ワンダバダンワンダバダンワンダバダンワンダバダンワンダバダン

「ウルトラマンを援護せよ!」

MATのテーマ曲が流れる中、現場へ到着したMATが攻撃を開始したのだ。
空ではマットアローがミサイルを矢継ぎ早に発射し、陸では隊員達がマットシュートや
マットバズーカで真紅・ドール星人を攻撃して行く。

「だわー! だわー!」

決して致命傷にならない攻撃であったが…ウルトラマン逆転のチャンスを作った。

帰ってきたウルトラマンの軽快なBGMが再度流れる中、ウルトラマンは自身を束縛していた
ドール星人を逆に投げ飛ばした。そしてチョップチョップ! チョップの連打をお見舞いし…
その顔面へ向け、腕を十字を組んで放つ必殺技…スペシウム光線の贈り物でトドメを刺した!

ドール星人は倒れた。しかし真紅は元には戻らない。もはや倒すしか無いのだ。
21全ては夢だったのさ:2008/10/15(水) 22:34:04 ID:+IKerXkh
「だわー! だわー!」
「ジュワ!」

再度始まるウルトラマンと真紅の壮絶な格闘戦! しかし司令塔であったドール星人を失って
浮き足立った真紅の足取りは重い。そこで出た! ウルトラマン必殺の流星キック!
真紅は大きく吹っ飛んだ。

「だわー! だわー!」

まだまだ倒れない真紅。掌から真っ赤な薔薇の花弁…ローズテイルを発射。
しかし、ウルトラマンも負けてはいない。ウルトラブレスレットが輝き、
巨大な盾となってローズテイルを弾き返した!

「ジュワッ!」

今度はウルトラブレスレットをカッター状にした投擲武器ウルトラスパークが炸裂!

ウルトラスパークは真紅の全身を駆け巡り…次の瞬間………

真紅はジュンの目の前で細切れになり…そして木っ端微塵に粉砕した…………。

「はっ!」

ジュンは気付くと…ベッドの上にいた。

「ゆ…夢オチかよ…。」

                     ちゃんちゃん
22だから夢なんだって:2008/10/16(木) 16:56:23 ID:htfXeykY
その日、ジュンと真紅は何時もの様に二人部屋にいた。しかしそれは翠星石にとっては面白くない。

「キー! どうしてですか!? どうして真紅ばっかりジュンに特別扱いされるですか!?
悔しいです! 翠星石の方が真紅よりずっと凄い事をどうして認めてくれないですか!?」

別に真紅とジュンとしては特に意識もしておらず、ただ部屋にいるだけだったのだが…
翠星石はそうは思わない。むしろ二人に嫉妬していた。

「こうなったらグレてやるですー!!」

嫉妬の怒りの余り、翠星石は桜田邸を飛び出した。

そして……翠星石は夜な夜な街に出ては、通りがかった人々を八つ当たりで襲う様になっていた。

「うわー! 通り魔宇宙人だー! 助けてくれー!」

今夜も翠星石に襲われた人々の悲鳴が響き渡る。「人形が命を持って動く」と言う発想が
出来ない人々は、翠星石を近頃流行りの通り魔系宇宙人だと認識していた。

「○○地区に星人出現! 全隊員は○○地区へ出動せよ!」

そこへ宇宙からの侵略から地球を守る為に結成された宇宙パトロール隊MACが出動した。
そしていち早く現場へ到着した「おゝとりゲン」隊員と翠星石の格闘戦が始まった。

「星人め! 大人しくお縄を頂戴しろ!」
「翠星石は人間なんかに捕まらないですー!」

やはりMACも翠星石を宇宙人の類と認識していた様子。翠星石はローゼンメイデン故の
軽やかな動きで翻弄するが、運動神経に関してはゲン隊員も負けてはいない。
常人離れした運動能力を駆使して徐々に翠星石を追い詰めて行く。

「ええい鬱陶しい人間ですー!」

翠星石は如雨露を使って周囲に水をばら撒いた。するとどうだろうか。
彼方此方から植物の蔓が延びて行き、ゲン隊員を雁字搦めにして行くのだ。

「うっ動けない!」
「さー今の内に逃げるですー。」

植物の蔓に絡まれ、身動きの取れないゲンを尻目に翠星石は悠々と去って行った。
23だから夢なんだって:2008/10/16(木) 16:57:06 ID:htfXeykY
翠星石を逃してしまったゲンの責任は重大だった。そしてMAC隊長のモロボシ・ダンから
特訓を命ぜられる。

その特訓とは縄抜けの特訓。縄に縛られた状態から道具を使わずに自力で抜け出す技を
会得しなければ、翠星石には勝てないのだ。

血の滲む特訓の末に…ゲンは縄抜けの技術を会得する!

その日の晩、翠星石はまたも街中に堂々と現れては通りがかった人を次々に襲うと言う
通り魔的犯行を繰り返していた。そこでやって来たのが特訓を経てまた一つ成長した
おゝとりゲン隊員。

「星人め! 今度は逃がさないぞ!」
「またあの鬱陶しい人間ですか!? でもあの時と同じ様にしてやるです!」

翠星石はまたも如雨露から水をばら撒き、そこから生えた植物の蔓でゲンを雁字搦めにした。
しかしどうだろうか。ゲンは縄抜けの応用によって巧みに蔓から脱出して行くのだ。

「もうその手は食わないぞ! 覚悟しろ星人!」
「うるさいです! どうして人間は皆翠星石の邪魔をするですか!?」

真紅とジュンが一緒にいるのが気に食わない事…それによって溜まったストレス発散の為に
やっていた通り魔的犯行も…MACによって妨害されてしまった。

「悔しいです悔しいです悔しいです! 真紅もジュンも他の人間も皆大嫌いです!!」

次の瞬間翠星石は身長40メートル。体重数万トンの巨大ドール怪獣と化した。
嫉妬に狂う翠星石の怒りは…彼女を巨大ドール怪獣へ変えてしまったのだ!

「ですー! ですー!」

翠星石は家々を踏み潰し、街を破壊して行く。もはや今の翠星石に理性など無かった。

「巨大化した星人を攻撃せよ!」

これに対しMAC隊員達が攻撃を加えて行き、翠星石の身体の彼方此方で爆発が起こるが
それも翠星石をますます怒らせるのみ。
24だから夢なんだって:2008/10/16(木) 16:58:14 ID:htfXeykY
「ですー! ですー!」

翠星石は如雨露を振り回し、次々にビルが倒壊して行く。

もうこれ以上見てはいられない。ゲン隊員は自身の手にはめられた指輪をかざし…叫んだ。

                 「レオォォォォォォォォォ!!」

       ゲンの指輪が光輝いたその時…ゲンはウルトラマンレオに変身した!


   /"V ̄"'' ̄ヽ          /|
 | ̄/  /  /   /ヽ         | ヽ
. |  |  |  .|   .|  ヽ        ヽ .ヽ
.(  .|  |  |   ヽ  \       ヽ ヽ
 ヽ ヾ :|  :|  ヽ ../" )      _,,,ゞ \_,,,
  \ ヽ:|  |_,,ー-  ∠,,_  −ヽ \/ /|
   ヽーー(___,,,/ /  ヽ" ム ;|  | / <,_
        \;;;;   /  /; // |  .//,,,--_ "ー-,,__,,,,
         \,_/   / / |\,| , プ/--,,_rー−−-"
            ゝ  ./  ヽ/, //ー;, /./-r,,    アイヤァァァァァァ!!
             |  / ○,|//\/ヽ__>  /  ヽ
            . | / ○ / \,,,/ _,,,/o/__  |
             V ○∠--,ーー'/0/ ̄ "'''V
              |ヽ ./ ⌒|ヽ/○/-ー=ー/
              "--,,◎,  ○/  (;;;|;;|;| ;/
                  ̄"'ー-'    "ー−"

              説明しよう! MAC隊員おゝとりゲンはただの人間では無い。
             今は亡き獅子座L77星出身の…ウルトラマンレオだったのだ!!


              宇宙にきらめくエメラルドー♪(エメラルドー♪)
               地球の最後が来ると言うー♪(来ると言うー♪)

ウルトラマンレオのテーマソングが流れる中、レオと翠星石の大格闘戦が始まった!

「ですー! ですー!」
「アイヤー!!」

巨大化しようとも翠星石はローゼンメイデンである。それ故に巨体からは想像も出来ぬ
軽やかな動きでレオを翻弄するが…レオも幾多の実戦・特訓を繰り返して身に付けた
空手・柔道・拳法の技を持って対抗して行く。
25だから夢なんだって:2008/10/16(木) 16:58:53 ID:htfXeykY
「ですー! ですー!」
「アイヤァー!!」

翠星石が如雨露でレオの頭を殴り付ければ、今度はレオの空手チョップが翠星石の脳天に打ち付けられる。
双方互角の戦いが繰り広げられていた。

「ですー! ですー!」

今度は翠星石が如雨露から水を周囲にばら撒いた。すると再び植物の蔓が延びて来る。
しかも今度は翠星石本人の巨大化に比例して巨大な蔓だった。

「アイァー!!」

植物の蔓に雁字搦めにされ、身動きの取れなくなるレオ。再度縄抜けの技による脱出を
試みるが…そこで翠星石は如雨露を振り上げレオを殴り付けた。

「ですー! ですー!」

レオが縄抜けの応用によって蔓から逃れられる事は翠星石も分かっている。
それ故に如雨露で殴り付け、脱出を阻止しようとしていたのだ。

「ですー! ですー!」

翠星石はなおもレオを如雨露で殴り付ける。ウルトラマンレオの赤い体が真紅を連想させ、
翠星石の怒りをますます増幅させるのだ。そしてレオのカラータイマーが赤に変わった。

獅子座L77星出身のウルトラマンレオは、地球上においては他のウルトラ戦士より
若干短い2分40秒しか活動出来ない。ウルトラマンレオピンチ!

「アイヤァァァァァ!!」

直後、ウルトラマンレオは縄抜けの技では無く、力で強引に蔓を引き千切って脱出した。
そして翠星石の首筋に強烈な手刀を叩き込んだ。

「でっですー!」

首を手で押さえて苦しむ翠星石。その隙にレオは天高く飛びあがった!

「アイヤァァァァァァァ!!」

直後、レオの脚が赤く燃え上がった! それこそレオの必殺技! レオキックだ!!

「ですぅぅぅぅぅ!!」

レオキックを顔面に受けた翠星石は…木っ端微塵に粉砕された………。


「うあああああああああ!!」

気が付くと…翠星石は鞄の中にいた。

「なんだ…夢ですか…。」

                   ちゃんちゃん
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 03:59:22 ID:naLBHm9P
>>25
真紅「長すぎてだるいわ。三行にまとめて頂戴」
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/17(金) 11:34:37 ID:zp36SJVs
>>26
翠星石がドール怪獣になる
ウルトラマンレオが登場して激戦の末倒される
でもそれは夢オチだった
28夢だったんだよ:2008/10/17(金) 23:09:20 ID:zp36SJVs
朝早くのコンビニに蒼星石の姿があった。ローゼンメイデンの連載されている雑誌、
ヤングジャンプを購入する為である。本来週刊誌であるヤングジャンプだが、月に一度、
ローゼンメイデンが掲載される回はこうして買って読んでいたのだ。しかし…

「今回も僕の出番が無いじゃないかぁぁぁぁ!!」

蒼星石は自分の出番が無い事に苛立ちを覚えていた。

「どうして僕の出番が無いんだ!? 僕は他のドールより人気無いの!?
PEACHI−PIT先生は僕の事が嫌いなの!?」

そもそも蒼星石の出番はコミックバーズ連載の頃から少なかった。ヤングジャンプに
連載が変われば蒼星石の出番もあるのかと期待していたのだが…実際は蒼星石の
あの字も見当たらない…

「うああああああああああああああああああああああああ!!」

蒼星石は切れた。そして買ったばかりのヤングジャンプをゴミ箱に投げ捨て、何処へ走り去ってしまった。

            それから蒼星石はどうしたのかと言うと…


「キャァァァァァァ!! 通り魔宇宙人よぉぉぉぉぉ!!」

夜の街に出没し…鋏を振り回して通行人を襲うと言う通り魔行為を繰り返していた。

「ドールが生きて一人でに動く」と言う発想の出来ない一般人は、蒼星石を
ドールとしてでは無く、通り魔宇宙人の類と認識していた。

警察では手に追えないこの一大事に、怪獣・宇宙人事件専門の特別捜査チーム「GUTS」に出動命令が下った。
そしてGUTS隊員マドカ=ダイゴが蒼星石と相対する。

「違う! 宇宙人じゃない! 人形が一人でに動いている!」

他の者が蒼星石を宇宙人と認識する中、ダイゴだけは蒼星石をドールだと見抜いていた。

「どうしてこんな事をするんだ!?」
「だってPEACHI−PIT先生が僕をローゼンメイデンの原作コミックに
登場させてくれないんだ! 僕は誇り高きローゼンメイデン第四ドールなのに…。
だから僕はこう言う事を始めたんだ! こうやって街で暴れて…PEACHI−PIT先生を
困らせてやるんだ!」

鋏で威嚇する蒼星石だが…それに対しダイゴは手に持っていた銃を下ろしていた。
29夢だったんだよ:2008/10/17(金) 23:10:11 ID:zp36SJVs
「もうやめよう。そんな事をしても君の出番が増えるワケじゃないんだ。」

ダイゴは優しく蒼星石に手を差し伸べた。

「出番が欲しいなら…PEACHI−PIT先生の所に直接文句を言いに行けば良いじゃないか。
ローゼンメイデンの登場人物の一人である君ならば、その権利があるはずだ。さあ行こう。
何なら自分が一緒に付いて行ってやる。こんな所で通り魔まがいな事をしていても…ダメなんだ。」
「そんな事したって無駄だよ! PEACHI−PIT先生は僕の事が嫌いなんだ!
もう僕の出番は無いんだよ! だから…みんな叩き壊す! 何もかも破壊してやる!!」

出番をもらえない苛立ちは頂点に達し、蒼星石は巨大化した。身長40メートル。体重数万トンの
ドール怪獣蒼星石と化したのだ。そして蒼星石は同じく巨大化した鋏を振り回し、ビルを薙ぎ倒して行く。

「マスター! マスター!」
「やめるんだ! 街を破壊してもPEACHI−PIT先生は君の出番を増やしてはくれないぞ!」

街を破壊して行く蒼星石をダイゴはやむを得なく銃撃するが…蒼星石は構わず街を破壊して行く。
蒼星石の理性は完全に失われ…ただの破壊者…ドール怪獣に堕ちてしまったのだ。

      如何なる理由があろうともこれ以上街を破壊させるワケにはいかない。
      ダイゴはスパークレンスを空にかざし…ウルトラマンティガに変身した!

     ::|     .丿ヽ
     ::|    /   |
     ::|  /ヽ   | ヽ    
     ::| 丿ヽ、ヽ、〈Y〉|ヽ、
     ::|-〈ヽ_)  V し_l_
     ::||ヾ||〈  ̄ヽ. |r'''''''i| |   シャキィィィィン!!
     ::|.|:::|| ヽ--イ |'ヽ-イ|/
     ::|.ヾ/::      |   ./     
     ::|  ';:::::┌===┐./    
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./            ドァァァァ!!
     ::|´〈ゝ:::::`---´:ト、___
     ::|ヽヽ ヽ:::::::::::::::::::::〉 `〉::(⌒ヽ
     ::| ::ヽヽ ヽ:::::::::::::::/ ,/:i<:ヽノノヽ
     ::| ヽ::ヽヽ_ヽ<◆>_,ノ,:||:ヽ:::ヽ )
     ::|ヽ ヽ::ゝー―ヽVノ―'./|::::ヾ:::::::〈

           説明しよう! GUTS隊員マドカ=ダイゴはスパークレンスを空に
        かざす事により…光の巨人ウルトラマンティガへ変身する事が出来るのだ!!
30夢だったんだよ:2008/10/17(金) 23:10:50 ID:zp36SJVs
「マスター! マスター!」

真夜中の市街地を舞台に蒼星石とウルトラマンティガの壮絶な格闘が始まる…かと思われたが…
いつもに比べ、ティガの技の冴えが感じられなかった。ティガは躊躇っていたなのだ。
蒼星石は怪獣では無い。誇り高きローゼンメイデンの第四ドール。街で通り魔的な事をしたのも
出番がもらえない事に拗ねただけ。だからこそ、何とかして蒼星石を救いたかった。

「マスター! マスター!」

鋏を振り回し、一心不乱に暴れ回る蒼星石を何とか取り押さえようするウルトラマンティガ。

「マスター! マスター!」

蒼星石はなおも鋏を振り回し、ウルトラマンティガの顔面に鋏を打ち付けて行くが、
そうなってもなおティガは蒼星石を大人しくさせようと必死に押さえ込む。
攻撃に関しても、蒼星石を倒す為では無く大人しくさせる為の最低限の打撃のみだった。

「マスター! マスター!」

蒼星石は叫びながら何度も鋏を振り回す。だが、その行動は何処か悲しげ。
蒼星石の口では言い現せない悲しみが伝わって来るかの様だった。

「マスター! マスター!」

蒼星石は何度も鋏を振り回すが、今度はティガに払い除けられた。
再度叩き付けようと振り上げるが…それもティガにかわされた。
それが蒼星石には面白くなく…気付くと子供の駄々っ子の様に…
鋏だけでは無く自身の手をグルグルと振り回していた………。

もうダメなのかもしれない。確かにローゼンメイデン第四ドールでありながら、
直ぐに退場してそのまま出番がもらえなかったと言う事は同情すべき事かもしれない。
だが、だからと言って罪の無い人を傷付けて良いはずがない。
そして蒼星石は…出番が貰えないと言うそれだけの為に…理性を失い
凶暴なドール怪獣に堕ちてしまった………

その直後、蒼星石の全身で爆発が起こった。他のGUTS隊員による援護射撃だった。

「街を壊してもダメなんだぞ! そんな事をしても…出番が増えるワケじゃないんだぞー!!」

蒼星石の動きが止まった。

今だ! ウルトラマンティガの両腕が輝き、光のエネルギーがチャージされて行く。

            ウルトラマンティガの必殺技! ゼペリオン光線!!

ウルトラマンティガのL字に組んだ腕から放たれる白色の光線が蒼星石を直撃し、
直後、蒼星石の全身は木っ端微塵に吹き飛んでいた………………

「うあああああああああああああ!!」

気が付くと蒼星石はnのフィールドを漂っていた。

「何だ…夢か…でも…僕の出番…またあると良いな〜。」

                    ちゃんちゃん
31名無しさん@お腹いっぱい:2008/10/18(土) 08:50:51 ID:i6clUVt9
泣いた
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/18(土) 11:56:56 ID:77jrNwlA
zp36SJVsは本当にウルトラマンが好きなんだなあw

ところでSS書いてみたいんだが初心者講座みたいなもんないかな?
どうも自分に文才がなさ過ぎて踏み切れない
33名無しさん@お腹いっぱい:2008/10/19(日) 07:31:24 ID:nCEp3HO9
情熱さえあれば技量は後からついてくるモノ
投下してくれればみんなが添削してくれるよ
34夢でも良いじゃないか:2008/10/19(日) 22:12:29 ID:uiKBwfAu
雛苺はここしばらく苺大福を食べていなかった。

「ヒナうにゅー食べたいの! うにゅー!」
「ごめんね雛苺…。苺大福…今何処の店も売り切れで…。」

苺大福を手に入れられなかった巴が申し訳無さそうに謝るも、雛苺は聞かない。
何時もならもっと聞き分け良く我慢出来るのだが…しばらく苺大福を食べていなかったと言う
半ば禁断症状に近い物が出てしまった今の雛苺には…通用しなかった。

「やー! ヒナうにゅー食べたいの! うにゅー! うにゅー!」

するとどうだろうか! 苺大福を食べられない辛さと、食べたいと言う欲望が
雛苺を巨大化させた。身長40メートル・体重数万トンのドール怪獣雛苺が誕生したのだ。

「うにゅー! うにゅー!」

雛苺は苺大福を求め、街を破壊して行く。もはや今の雛苺に理性は無い。
苺大福を求める…ドール怪獣と化してしまった…。

この未曾有の危機に立ち上がったのは宇宙科学警備隊「ZAT」である!

またZATは他の防衛組織と違いただ闇雲に攻撃するのでは無く、怪獣の特性をいち早く掴み、
その特性に合わせた奇想天外な作戦を擁して対抗する事に定評があった。

ZATがドール怪獣雛苺に対して行った作戦。それは「巨大苺大福作戦」であった!

ZAT独自の情報網により、雛苺が苺大福を好むと言う情報を入手した彼等は
早速巨大な苺大福(に似せたハリボテ)を用意し、それによって雛苺を市街地の外へ
誘い出し、一網打尽にすると言う作戦であった!

「うにゅー! うにゅー!」

ZATの思惑は当たった! ZATの誇る大型戦闘機スカイホエールに吊るされた巨大苺大福のハリボテに
吊られ、雛苺は一心不乱にスカイホエールを追い駆け始めた。そして雛苺を市街地の外へ誘い出す事に成功した。

作戦の第一段階は成功した。雛苺を市街地の外に誘い出す事が出来た以上、都市の被害を
気にせず戦う事が出来る。スカイホエールは雛苺に対しミサイル攻撃を仕掛けようとしたが…

「うにゅー! うにゅー!」

次の瞬間、雛苺の手から放たれた苺わだちがスカイホエールを雁字搦めにしてしまったでは無いか!
忽ち身動きが取れなくなり、墜落してしまうスカイホエール。
35夢でも良いじゃないか:2008/10/19(日) 22:13:21 ID:uiKBwfAu
だが…ここでスカイホエールを操縦していたZAT隊員「東光太郎」は…胸のバッジを輝かせ…
              ウルトラマンタロウへ変身した!

     ::|      / |.|     | ,|
     ::|    .イヽ |.|    ,|  ,|
     ::|.  /|。| ヽ|.| ヽ.  |  ,,|
     ::|.ヽ/ |。|  ....o |。ヽ|   ,|
     ::| 〈 ___  ___l   ,ノ
     ::| ヽ|┌--、ヽ|/,-┐| ,ノ
     ::|ゝ_|.\ヽ--イ.|ヽ-イ:|/         シャキィィィン!!
     ::|.ヾ/.::. '' ̄ ̄| ̄'''./  
     ::|  ';:::::┌===┐./
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./            ヤァァァァァァ!!
     ::||。|:::::::::::`---´:|____
     ::|:|。|:::::::::::::::::::::::::|。|。|。|`ヽ
     ::|。|。|:::::::::::::::::::::::|。|。|。|:::::::::ヽ
     ::|。|。ヽ____/。/。/。|::::::::::::)
     ::|。ヽ 。 .|(●)|。/。/。:|、 ::::::::〈

説明しよう! ZAT隊員東光太郎はM78星雲から来たウルトラマンタロウに変身する事が出来るのだ!

                   ウルトラマン NO.6♪
      ウルトラの父がいる♪ ウルトラの母がいる♪ そしてタロウがここにいる♪

ウルトラマンタロウの軽快なテーマソングが流れる中、ウルトラマンタロウのスワローキックが
雛苺を大きく蹴り飛ばした。ウルトラ兄弟6番目のタロウと、ローゼンメイデン第6ドールの雛苺…
同じ6と言う数字を持つ者同士の壮絶な格闘戦が始まった。

「うにゅー! うにゅー!」
「ヤァァァァァァ!!」

苺大福を求めてひたすらに腕や脚をジタバタさせながら攻撃して来る雛苺に
タロウは意外な苦戦を強いられる。雛苺の動きは戦う者としては、確かに
素人そのものだが…それだけに動きが掴めなかったのだ。

「うにゅー! うにゅー! うにゅー!」
「ヤァァァァァァァ!!」

タロウを跳ね飛ばした雛苺は、スカイホエールから落下した巨大苺大福目指して突撃するが…
そこで初めてただのハリボテに過ぎなかった事を知った。

「うにゅー! うにゅー!」

本物の苺大福と信じたのに…やっと苺大福を食べられると思ったのに…。ただのハリボテ。
裏切られた雛苺は切れて…ますます暴れ出した。
36夢でも良いじゃないか:2008/10/19(日) 22:14:20 ID:uiKBwfAu
「ヤァァァァァァァ!!」

事情はどうあれ、タロウは雛苺を止めなければならない。タロウは再び大きく跳び上がり、
空中で大回転。雛苺へスワローキックを叩き込んだ!

「うにゅー! うにゅー!」

スワローキックを受け苦しむ雛苺だが、負けじと苺わだちを発射し、タロウを雁字搦めにしようとする。
しかし、それに対しタロウは腕を逆L字状に組み…

                  「ストリウム…光線!!」

出た! ウルトラマンタロウの必殺技…ストリウム光線!

タロウの腕から発せられた眩い光線は苺わだちを焼き尽くしながら雛苺へ迫るが…
不思議な事にストリウム光線をもろに浴びても雛苺は木っ端微塵になる事は無かった。
それどころか…雛苺が元の大きさに縮んで行くのだ。

「ひ…雛苺ー!」

そこへ駆け寄って来たのは巴。その手には苺大福の入った袋が下げられていた。

「雛苺…見付けて来たよ。苺大福…。」
「わーい! うにゅーだー! ヒナ…トモエ大好きー!」

元に戻った今の雛苺にドール怪獣として暴れていた時の記憶は無かった。
そして全てが丸く収まった事を悟ったウルトラマンタロウは軽く頷き、何処へ飛び去った。

これがウルトラの母の教えだった。ただ闇雲に相手を倒せば良いわけではない。
時には相手を救ってやる事も大切だと言う事を…タロウは学んでいたのだ。

こうして世界の平和は守られた。ありがとうZAT。ありがとう東光太郎。ありがとうウルトラマンタロウ。

                  めでたしめでたし
37名無しさん@お腹いっぱい:2008/10/21(火) 02:28:26 ID:0hSfo0iK
おつんつん
雛が木っ端微塵にならなくて良かった良かった
38名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 23:09:38 ID:Bgy1x0eB
肌寒い秋の朝、60年間静かに眠り続けた女性が目を覚ました。
長い長い眠りから目覚めた彼女の体は、年老いて痩せ細り立つ事すらできない。
原因不明の眠り病、当時の医学ではこの奇病の原因が解らず、だれも彼女を目覚めさせる事が出来なかった。
皺だらけになった自分の細く青白い手を見ながら、彼女は自分の置かれた状況を理解した。
変わり果てた自分を取り囲む世界には、もう彼女の両親も彼女を知るも者もいない。
孤独の意識の中で今、ぼんやりと自分が眠ることになった過去の記憶を思い出し始めた。

雪華綺晶…小さい頃彼女はそんなドールに出会った。
彼女が少女だったずっと昔、少女を取り囲む世界は孤独だった。
当時は幸福とは言えない時代だった。それゆえ彼女の幼い心は、夢の中でで出会った人形に永遠に続く夢を望んだのだ。
雪華綺晶は楽しげに、そして嘲りを含んだ笑みを浮かべながら、泣きべそをかく彼女に一夜限りの夢を紡いだ。
彼女には幸福がもたらされた。美しい世界、素晴らしい物語、楽しい仲間達、現実で到底叶わない彼女の望みは実現した。
それは麻薬に等しい世界。
朝と共に去って行く夢の友達、未完に終わる素敵な物語。少女は朝を嫌い、永遠に醒めない夢を不思議な人形に強く望んだ。
彼女はそれに答える。しかし、雪華綺晶はいつか少女がこちらに戻ることを望んだときの為にと、彼女の意思で目覚める夢を紡いだのだ。
そして彼女は夢を見続けた。現実として生きた十数年より遥かに長く、虚構の人生を歩んだ。
夢の中の住人達との生活は彼女の人生其の物となった。
望めば永遠に続くだろう夢の虚構の中で、彼女はふと、何か忘れ物をしたような、そんななつかしい恋しさにとらわれ、今、目を醒ましたのだった。
彼女は夢の住人も、現実生活も、全てを失った。

次の朝、彼女は病院を抜け出した。
記憶を頼りに雪華綺晶に出会った自分の家に戻ろうと考えた。そこで眠れば、きっとまた彼女に会えるようなきがしたのだ。
しかし、彼女がそこに見たものはとっくに朽ち果てた廃屋だった。
呆然としながら年老いた彼女は一夜を過ごす。とめどなく涙が溢れ、取り返しのつかない過ちを、夢に逃避した自分の愚かさを悔やんだ。

朝、肌寒い冬の空気にふと目覚めると、そこには雪華綺晶が立っていた。
「あら、おひさしぶり。」
雪華綺晶が声をかける。
不思議そうに少女はあたりを見回す。そこは何もかもが昔のままの世界。
彼女の体からは年などは微塵も感じられない。全てが夢だったんだ…そう少女が思ったとき、彼女は青年と再会した。
雪華綺晶は少女に尋ねる。
「どう、あなたの夢は幸せでした?」
「いいえ、ちっとも。でも、今はとっても幸せな気分よ。大切なものがわかったから。あなたの夢はもういらないわ。」
そう答える少女を見つめて、雪華綺晶はせせら笑った。
「でも、夢の方はあなたを必要としているみたいだけど。」
彼女の言葉に少女は少し不安を覚える。
「それって…どういう事?」
「後ろを振り向いてごらんなさい、夢の住人があなたを迎えに来ているわよ。」
少女が恐怖を感じながら、ゆっくりと後ろを振り返ると、
朝の陽炎にゆらゆら揺らめきながら、彼女の背後には夢の住人達が音も無く立っていた。
「あなたはもう、逃げられないのよ」
こういい残して、雪華綺晶は消えた。
39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/21(火) 23:10:23 ID:Bgy1x0eB
はじめてきらきー書いてみた。
40夢か現実か:2008/10/22(水) 19:38:12 ID:Ck3fRfZt
nのフィールドでアリスゲームを制するべく今日も策を練っている雪華綺晶であったが…
そんな彼女もたまには遊びに行きたくなる物だ。

「でも…私はアストラルだから…物体に触れられない…。」

そこが雪華綺晶の悩みだった。そもそも雪華綺晶は他のローゼンメイデンと異なり、
アストラルの存在。それ故に物質世界に行った所で何も出来ない。
他のドールの様に、色んな物に触れて遊びまわる事は出来なかったのである。

「あ〜あ…つまんない…。」

仕方なく雪華綺晶はnのフィールドを空しく漂うのみであったが…そこで彼女は見た。

「あら…何かしら…?」

nのフィールドの空間中に突然扉が開いた。nのフィールドではそういう事は日常茶飯事の
様にも思えるが…これは少し様子が違った。

「あっ!」

その時だ。nのフィールドに突如開いた扉から未知のエネルギーが雪華綺晶へ放射され…

「きっ…きらきっきー!」 

なんと言う事だろうか。雪華綺晶が巨大化した。未知のエネルギーは雪華綺晶を身長40メートル、
体重数万トンの巨大ドール怪獣へ変え、なおかつ物理的な肉体まで与えていたのだ。

「きらきー! きらきー!」

強大な身体を得る事と引き換えに理性を失った雪華綺晶はnのフィールドを通り、
物質世界へと現れた。そして…手当たり次第に街を破壊し始めたのだ!

「根源的破滅招来体出現! XIGは出撃せよ!」

異空間から出現した雪華綺晶を人類側は、地球の破滅を願い様々な方法で地球を攻撃する謎の存在…
「根源的破滅招来体」の一種と認識していた。根源的破滅招来体はワームホールを通して
直接宇宙怪獣や破壊兵器等を送り込んで来る。それ故にnのフィールドを通ってこちらの世界へ
現れた雪華綺晶もまた人類にとっては根源的破滅招来体と同種の存在と見られても
可笑しな事では無かったし、実は雪華綺晶を巨大ドール怪獣へ変えたのも…彼等…
根源的破滅招来体の仕業であった。

「きらきー! きらきー!」
41夢か現実か:2008/10/22(水) 19:39:31 ID:Ck3fRfZt
街を破壊する雪華綺晶に立ち向かうのは根源的破滅招来体から地球を守るべく設立された
汎地球防衛機構のG.U.A.R.D.のエリート隊員によって構成される「XIG」
そして、雪華綺晶の侵攻を食い止めるべく、XIGに配備されている高性能戦闘機
XIGファイターが攻撃を仕掛けていた。

「きらきー! きらきー!」

雪華綺晶の上空周辺を飛び回りつつ、ミサイルやレーザー砲による攻撃を続けて行く
XIGファイター隊であったが…その中に一機のみ戦闘に参加しておらず、ただ周囲を
飛びまわっているだけの機があった。

高山我夢隊員の搭乗するXIGファイターEXである。高山我夢隊員は
XIGの中でも若干20歳の若手でありながら、17歳で量子物理学の博士号を取った天才児であり、
またXIGの各種航空機に使用されている反陽子浮揚メカニズム…「リパルサー・リフト」を
開発したのも彼であった。

我夢隊員のXIGにおける役割はアナライザー。それ故に戦闘には直接参加でず、戦闘対象の
分析等を担当する。そして自身の登場するXIGファイターEXで雪華綺晶の周囲を旋回しつつ
その分析を行っていたのだが、その結果我夢は雪華綺晶が通常の生物では無い事に気付く。

「これはただの怪獣じゃない! 人形だ! 人形が意志を持って動いているんだ!」

雪華綺晶の体の分子構成や熱量…その他の要素を分析した結果、我夢は雪華綺晶が
生物としての怪獣の類では無く、意志を持ったドールである結論を出した。

我夢は雪華綺晶に対し、ドールという点を踏まえた攻略法があると考え、
その分析を行っていたのだが…そこで雪華綺晶は掌から白薔薇の蔓を伸ばし、
XIGファイターへ攻撃を始めたのだ。

「きらきー! きらきー!」
「あ! 危ない!」

鋭いトゲの生えた白薔薇の蔓をムチの様に巧みに振り回す雪華綺晶にXIGは苦戦を強いられる。
その上、長く伸びた白薔薇の蔓によってビル等の建物が次々に薙ぎ倒されて行くのだ。

「このままでは街は滅茶苦茶にされてしまう…。」

もう悠長な事はしていられない。我夢は自身の搭乗するXIGファイターEXを
自動操縦へ切り替え…
42夢か現実か:2008/10/22(水) 19:40:23 ID:Ck3fRfZt
                     「ガイアー!!」

       我夢は…右手に持つエスプレンダーをかざし…ウルトラマンガイアに変身した!

     ::|    ,| ヽ
     ::|   ,ノヽ  || 
     ::|  /ヽ ヽ.|| ヽ    
     ::| /ヽ ヽ J.||しヽ、
     ::|-〈ヽ|_  .||   _l_       シャキィィィィィン!!
     ::||ヾ||〈  ̄`i ||/ ̄ i| | 
     ::|.|:::|| `--イ |ヽ-イ:|/
     ::|.ヾ/.::.    .|   ./      ドァァァァァァァ!!
     ::|  ';:::::┌===┐./     
     ::|,,__〉ヾ ヾ二ソ./    
     ::| |.|ゝ:::::::`---´:ト、_ 
     ::| .|.|::::::::::::::::::::::::::|.|  .|.|⌒`ヽ
     ::|  | |::::::::::::::::::::::ノ/  //i   ヽ
     ::|  .| 二二二二,./  .//|ヾ:::::::::)
     ::|  .ヽヽヽ▼/,//  //ノ|、、  ::::〈

    説明しよう! XIG隊員高山我夢は、根源的破滅招来体から地球と地球に住む全生命を
  守る為、地球そのものが与えた大地の赤い光の巨人…ウルトラマンガイアに変身する事が出来たのだ!

「きらきー! きらきー!」
「ドァァァァァ!!」

            ギリギリまでー頑張ってー♪ ギリギリまでー踏ん張ってー♪
              ピンチの ピンチの ピンチの連続 そんな時ー♪
                  ウルトラマンが 欲しいー♪

ウルトラマンガイアのテーマソングが流れる中、真昼の市街地を舞台とし
ドール怪獣雪華綺晶と光の巨人ウルトラマンガイアの壮絶な格闘戦が始まった!

「きらきー! きらきー!」
「ドゥァァァァァ!!」

白薔薇の蔓をムチの様に振り回し、あろう事かガイアの腕へ巻き付ける雪華綺晶。
しかしガイアはそれを逆に利用し、雪華綺晶を引き寄せ強力パンチを打ち込んだ。

「きらきー! きらきー!」
「ドゥァァァァァ!!」

ここまで肉薄されてしまってはもう白薔薇のムチは使えない。雪華綺晶も負けじと
ガイアへ蹴りをお見舞いし、双方一歩も退かぬ一大接戦!

「きらきー! きらきー!」

雪華綺晶の右目を覆う白薔薇が突如輝き…そこから熱線が放射された!
根源的破滅招来体は雪華綺晶を巨大ドール怪獣へ変えるのみならず、この様な力も与えていたのだ。
43夢か現実か:2008/10/22(水) 19:41:21 ID:Ck3fRfZt
超高熱の熱線は行く手に存在する物を焼き尽くしながらガイアへ迫る。
しかし、一方ガイアも両腕に光のエネルギーを集中させ…

「ドゥァァァァァァ!!」

ウルトラマンガイアの腕をL字に組む事によって放たれる光線「クァンタムストリーム」が放たれた。
雪華綺晶の白薔薇熱線とクァンタムストリームは空中でぶつかり合い、大爆発を起こした。

「きらきー!」
「ドァァァァァ!!」

大爆発の勢いは雪華綺晶・ガイアの双方を大きく後退させる程であった。

「きらきっきー!」

ここでウルトラマンガイアのテーマソングが止まった。そして雪華綺晶は再度駆け出した。
するとどうだろうか! 何とウルトラマンガイアに勢い良く抱き付き…そのまま姿を消した。
雪華綺晶はガイアをnのフィールドへ引き込んだのだ!

「ドァァ!?」

nのフィールドという未知の領域に困惑するウルトラマンガイア。
しかしその時だ。突如として彼方此方から多数のドールが飛来し、ガイアへ攻撃を仕掛けたでは無いか。

「ドァ! ドァァ! ドァァァ!」

雪華綺晶によって自在に操られた巨大なぬいぐるみが自身の被害を省みず、
次々にウルトラマンガイアへ体当たりを仕掛けて行く。

「ドァァァァァ!!」

負けじとガイアは再度クァンタムストリームを発射し、ぬいぐるみごと雪華綺晶を
焼き尽くそうとしたが…そこでnのフィールドの空間上に開いた扉によって光線は吸い込まれ、
しかもその光線が今度はガイアの背後に開いた扉から飛び出し、ガイアに命中していた。

「ドァァァ!」
「きらきっきー!」

自身の光線を受け、悶えるガイアと笑う雪華綺晶。
nのフィールドでは物質世界における物理法則は通用しない。
雪華綺晶はnのフィールドと言う地の利を生かし、ガイアを追い詰めていた。
44夢か現実か:2008/10/22(水) 19:42:25 ID:Ck3fRfZt
「きらきー! きらきー!」
「ドァ! ドァァァ! ドァァァ!」

nのフィールドを巧みに利用した雪華綺晶の攻撃により、ガイアは何も出来ずに
苦しめられ、ダメージを蓄積させて行く。そして…ついに胸のカラータイマーが赤になった。
ウルトラマンガイアのエネルギーが残り少ないのだ。

「きらきっきー!」

そこで雪華綺晶はnのフィールドを一時安定させ、自らガイアへ近寄る。
最後のトドメは自分の手で付けようと言う思惑なのだろう。
しかし…ウルトラマンガイアは諦めなかった。

「ドァァァァァァァ!!」
「きらき!?」

今度はウルトラマンガイアの方が雪華綺晶へ抱き付いたのだ。そして速攻でテレポート!
nのフィールドから元の物質世界へ帰還したのだ!

通常空間に戻ればこちらの物。再びウルトラマンガイアのテーマソングが流れ始める中、
ガイアは戸惑う雪華綺晶へ攻勢をかけた!

「ドァァ! ドァァァァ!! ドァァァァァ!!」
「きらき! きらき! きらきっきー!」

ガイアのパンチ、キック、チョップが次々に命中して行く。

「きらきー…。」

もはや雪華綺晶は虫の息だ。しかしガイアは容赦はしない。自身の頭部へエネルギーを集中させ…

「ドァァァァァァァァ!!」

         出た! ウルトラマンガイアの必殺技! フォトンエッジ!!

ウルトラマンガイアの頭部から放たれる強烈な光エネルギーはムチの様にしなりつつ
雪華綺晶の全身へ絡み付き…………

            直後…雪華綺晶は木っ端微塵に吹き飛んでいた………

「あ…。」

気付くと、雪華綺晶はnのフィールドを漂っていた。

「何だ…夢か…。そうだよね。私が物質的な身体を持って…しかも巨大化して…街で暴れたり
変な巨人と戦ったりなんてあり得ないもの…。」

とりあえず雪華綺晶は夢と認識していたが…本当に夢なのだろうか…。

                    もしかするならば………

                       おしまい
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/23(木) 20:10:08 ID:ilr7hDNJ
ウルトラマン好きの俺はあなたのSS大好きだww
46絶対超絶唯一水銀燈を独占して愛する男 ◆sssssss.cA :2008/10/27(月) 09:14:16 ID:RJhi0YTr BE:1273944285-BRZ(10000)
お前ら俺の銀ちゃんを汚すな殺すぞ
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/27(月) 17:26:50 ID:75iZCIBj
>>44
最高w次はライダーか戦隊で頼みます
48名無しさん@お腹いっぱい:2008/10/27(月) 18:53:19 ID:g9VM/5E8
戦隊モノは見てみたい
49名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/28(火) 02:37:22 ID:e6X0qBPi
なんだ、こんなクソスレはじめてみたぞw

http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1222685576/l50

ここの方が100倍面白い
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 07:40:20 ID:Vri6r/dK
その日、我らが仮面ライダーキバこと紅渡はいつものように部屋に篭ってバイオリン作りに励んでいた。
部屋はニスの原料を煮ている鍋から出る匂いで充満している。普通の人間なら即、鼻をつまんで逃げ出すだろう。
「渡〜!何か荷物届いてるわよ〜!」
と何か大きな鞄を両手で持ってきながら部屋に入ってきたのは自称渡の保護者、野村静香である。
ところが渡は目の前のバイオリン作りに夢中でまったく耳を貸さない。
「ちょっと渡、聞いてんの!?」
渡はいつもこうだ。と静香は溜息をつきながら思った。どうせこの鞄もバイオリンの材料か何かなんだろう。
たまにはバイオリン作り以外にも何かやってみればいいのに…。まるで母親のような考えだが保護者を自称する静香にとっては当然の考えだろう。
「ん〜なに?静香ちゃん」
ようやくこっちを向いた渡に静香は鞄を突き出した。
「はい!新しいバイオリンの材料でしょ?」
「何これ?僕知らないよ?」
「え?じゃあ何なのよコレ、いたずら?」
渡は見に覚えが無い鞄をじっと眺め始めた。ふと、彼の目が輝く。長い付き合いの静香はその理由を知っているので二度目の溜息をついた。
「この色…凄い。僕がずっと捜してた色だ…!」
渡は思わず鞄を手に取ってまじまじと鞄を眺めた。もうこうなったら止められない。
「ちょ、ちょっと渡!そんな得体の知れない鞄使うのやめなさいよ!」
静香が慌てて止めるも渡は鞄から目を逸らそうとしない。その時、電話のベルが大きく鳴り響いた。
渋々しながら鞄を下ろすと渡は受話器を手に取った。
「あ、はいもしもし」
『まきますか、まきませんか』
「え?」
静かだがはっきりと聞こえる声で相手は言った。渡は唐突な質問に何と答えていいのか解らない。
『まきますか、まきませんか』
「あ…じゃあえっとまきます」
元々人付き合いが苦手で押しに弱い渡はつい答えてしまった。と、その瞬間電話は戸惑う渡を余所にいきなり切れた。
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 07:40:59 ID:Vri6r/dK
「渡、何だったのさっきの電話?」
「う〜ん、わかんない」
気にはなるがまずはこの鞄の方が大事だ。渡は鞄に手を伸ばす。
すると突然、何もしていないのに鞄が開く。
「え?」
「何?」
呆気にとられる二人の目の前には「驚くほどの美少女がそこにいた!」
「ってキバット?何いきなり」
いきなり現れたキバットは何か興奮した様子で渡をまくしたてた。
「渡〜!お前コレがなんなのか解ってるのか?かの有名な天才人形師ローゼンの作りしローゼンメイデンだよ!」
「はあ?何、ローゼンメイデンって?」
「まあまあそれはネジを巻いてみれば解るって!」
「えっとコレかな?」
怪訝な顔をする静かを他所に渡るは言われるままに付属品のネジをその人形に巻いてみた。
「それにしても綺麗だなあ…まるで本物の人間みたいだ…」
吸い寄せられるように渡はローゼンメイデンと言われた人形を持ち上げその髪に触れてみた。
「わ、渡何やってんのよ!」
その一見危ない仕草に静香は思わず真っ赤になって叫んだ。
「だって静香ちゃん本当に凄いよこの人形」
そのまま頬にも手を伸ばす。柔らかい質感にまた感嘆の息を吐く。
瞬間、渡の頬に衝撃が走った。
「痛っ!?」
声を上げた後、自分が持ち上げた人形にビンタされた事に気が付く。
「まったく人間の男は想像以上に低俗極まりないのだわ」
目の前の人形が憮然とした顔で呟くのを渡はまじまじと見て…異変に気付いた。
「え…ええええええ〜〜〜!!??」
「うるさい」
「痛っ!?」
また頬を叩かれて思わず黙ってしまう。その様子を静香はポカンとして見ていた。
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 07:41:42 ID:Vri6r/dK
「つまり君はまぎれもない人形でローゼンメイデン第5ドールの「真紅よ」
「やっぱり俺様の読み通りだったか〜」
「それで真紅ちゃんはアリスゲームっていう戦いをしてるんだ」
「そうよ。姉妹同士戦い合って最後の一人を決めるゲーム…」
一通り説明を終えて三人+一匹は押し黙った。渡は最初の内は驚いてたがそもそも自分だって普通じゃない。
すんなりと状況を受け入れていた。
「ところであなたキバットバット二世の息子?」
「え?な、何で父ちゃんの事を?」
「やっぱりね」
「え?どういう事?」
訳が解らず渡は一人+一匹に問う。そんな渡を一瞥して真紅は話した。
「ねえあなた、さっき紅って言ってたわよね」
「う、うん」
「もしかして紅音也の息子?」
「と、父さんの事を知ってるの!!?」
ずっと知りたかった父の関係者かもしれない。そう思って渡は思わず身を乗り出して問う。
「近いわ」
「あ、ごめん」
「紅音也は前の私のミーディアムだわ」
「へ?」
「そして渡。今回はあなたが私のミーディアム。つまりこの真紅の下僕となるのだわ」
「え、えええええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!??」
立て続けに真紅から発せられた衝撃発言に渡はただ絶叫するしか無かった…。
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/29(水) 07:42:13 ID:Vri6r/dK
ちなみに異変はその日だけでは終わらなかった。その翌日、同じ鞄が幾人もの人物に届けられたのだ。
そして…

「わ〜いしぃずぅかぁ〜!よろしくなの〜!」
「ちょ、ちょっと雛苺落ち着いてよ!」

「へえ〜じゃあ、あなた本当に人形なのね蒼星石」
「はい恵さん…いえマスター。お願いします僕に力を貸して下さい」
「ん〜まず焼き魚定食を食べてから話しましょ。ほらほら冷めちゃうわよ」
「は、はい戴きます…」

「よっしゃ!ええで金糸雀!お前の演奏ジンジンきたで〜!」
「うふふ、当然かしら〜!健悟の演奏も素敵だったかしら」
「ほんまか?サンキュー!なあなあミーディアムっちゅうのになってもええけど代わりに俺とバンドやられんか?」
「ええ?カナがアイドルなんて…思わぬ所でビックチャンスかしら〜♪」

おのおのが邂逅を果たす中、ある一組の人間とドールに問題が起きていた。

「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「…翠星石と言ったな」
「ひっ…!な、なんですかぁ?」
「早く質問に答えなさい。自分が何者で何処から来たのか。そして何が目的なのか」
「・・・・「早く答えなさい!」
「ひいいいい!このボタン人間怖いですぅ〜!!」
「誰がボタン人間だ!俺は名護だぞ!その呼び方はやめなさい、不愉快だ!」
「ぎゃー!やめろ来るなですぅ〜!!」
「黙れ住居不法侵入者め!ボタンをよこしなさい!」
「いやああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

この二人が果たして無事に絆を結べるのかはまた次回
54これが夢なら苦労は無いな:2008/10/30(木) 23:32:16 ID:oRr7cH/O
その日…火山が突如として爆発し、火口から巨大な生物が出現した。

  ::|           jj;;;
  ::|          /|/人
  ::|        N' | | |
  ::|       l`!  | | |
  ::|      i`' / | | | |
  ::|      |γ⌒ヾ  l`ヽ、
  ::|        |::ヽ::.    ̄   |   キュワオオオオ!!
  ::|      lヽ、 、,,, )(、,,, ノ|\ヾ
  ::|      ノl:::、`(・)'W゙(・)´l  |
  ::|     ノ  ト:. ,-‐'/iヽー-イ  |
  ::|    ノ;;ゝ_./    | \ノ/ ヾ  
  ::|   l; ノト、_ ヾ  \l/_,イノノト、ヾ
  ::|   ヽ  l ノ \ ヽiノ/ | l  l  ノ
  ::|     ヽ__ノ\  \」/ ノヽ__ノ
  ::|-、,-、,- -‐´、  ヽ   i /   `,ー- 、,-、
  ::|_ノ  、_     `ー┴'    _,   ゝ、
  ::|    ニ  ̄`  ノ   ヽ ´ ̄ニニニ ヽ

                火山怪鳥バードン 出現!!

地球産怪獣の中でも最強と名高いバードンの強さは圧倒的だった。
市街地に突如出現した食葉怪獣ケムジラと激しい死闘を繰り広げていたウルトラマンタロウの体を
鋭いクチバシで何度も突き刺し倒すのみならず、タロウを苦しめる程の強さを持った
ケムジラさえもあっさりと捕食してしまった!

「キュワオオオオ!!」

タロウとケムジラを一蹴したバードンは飛び立ち、今度は街の人々を襲い始めた。
住宅を踏み潰し、ビルを薙ぎ倒す。さらにバードンは逃げ惑う人間さえ捕食してしまうのだ。
ウルトラマンタロウが倒れた今、もはやバードンを止められる者は誰もいないのか!?

だが、そこで湖で水浴びに興じるバードンの上空に一機の大型航空機が飛来した。
ZATのスカイホエールである。

「トリモチ作戦を開始する!」

ZATはバードンの動きを封じる為、トリモチをバードンへ投下した。しかし、水浴びによって
体の濡れたバードンにトリモチが思う様にくっ付かない。

今度は手近な病院へ迫るバードン。しかもそれは有栖川病院。そう、めぐの入院している病院だ。
もはや万事休すか? そう思われた時…奇跡は起こった。
55これが夢なら苦労は無いな:2008/10/30(木) 23:33:15 ID:oRr7cH/O
「た…大変! めぐが! めぐが危ない!」
                         _
                        ,'´r==ミ、    そこまでよ鳥のバケモノ!
                  ,_ _ _   卯,iリノ)))〉∩______   
                /   `."-|l〉l.゚ ー゚ノl/彡    ヽ
               '"'⌒`~"'" ''|!/'i)卯i⊂彡 '''"ー"``  
                       ''y /x lヽ   この水銀燈がジャンクにしてあげるわぁ!
                      l†/しソ†|
                      lノ   レ

              ローゼンメイデン第一ドール水銀燈 登場!

さらに水銀燈のめぐを守りたいと言う強い想いが奇跡を呼び、ローザミスティカの力が
増幅され、身長40メートル・体重数万トンの巨大ローゼンメイデンへパワーアップしていたのだ!

「おっ! 水銀燈だ!」

巨大化した水銀燈の姿に、地上に展開していたZAT隊員達も思わず声を上げる。

水銀燈はバードンを病院から遠ざけるべく蹴り飛ばし、果敢に挑む。

「キュワオオオオ!!」

バードンは咆哮を上げ再び飛び上がろうとするが、そこへ水銀燈がバードンの脚を掴み引っ張る。

バードン飛び上がろうとする飛び上がろうとする!

水銀燈バードンの脚を引っ張る脚を引っ張る!

「キュワオオオオ!!」

水銀燈が鬱陶しくなったのか、バードンは一度地上に降りて翼で水銀燈を叩き転がした!
凄まじいパワー。バードンは甲高い咆哮を上げながら何度も水銀燈へ翼を叩き付ける。

しかし水銀燈も負けてはいない! 逆にバードンを蹴り飛ばしつつ体勢を立て直し、
自身の翼から漆黒の羽をバードンへ発射した! 炎を纏って燃え上がる羽は
次々にバードンへ命中して行く……が……倒れない! バードン倒れない!
なんと言うタフネス! なんと言うバードン!
56これが夢なら苦労は無いな:2008/10/30(木) 23:33:55 ID:oRr7cH/O
「キュワオオオオ!!」

今度はバードンが口から火炎を吐いた! 猛高熱の火炎には流石の水銀燈も思わず下がる。
しかしバードンは口から火炎を吐くのを止めない! それどころか火炎を吐きながら
水銀燈へ接近する! 接近する! するとどうだろうか!!

           从
           从从   ゴォォォォォォ!! 
          从从从
           ,',´r==ミ、
            卯,iリノ。))〉  あ…ああああああああぁぁぁぁ
       /`-|l〉l* 々゚ノlノ\ 
       レ´V|!/'i)卯iいVヽ!

水銀燈の頭に火が付いた!
水銀燈の頭が燃える燃える! バードンの火炎によって水銀燈の頭が燃えて行く!

「キュワオオオオ!!」

頭が燃えてのた打ち回る水銀燈へバードンの容赦の無い攻撃が続く。
頭に付いた炎を消すべく湖へ飛び込む水銀燈だが、それでもバードンは容赦しない!

「キュワオオオオ!!」

湖から上がろうとする水銀燈を何度も何度も蹴り付ける!
もがく! 苦しみもがく水銀燈! もがく! もがく!

「キュワオオオオ!!」

それでも何とか湖から上がった水銀燈だが…直後、バードンの鋭いクチバシが
水銀燈の体へ突き立てられた! 突き刺す! 突き刺す! バードンは一切容赦せず
苦しむ水銀燈の体へ次々クチバシを突き刺して行く! 突き刺して行く!

「ああ…水銀燈ー!!」

バードンと水銀燈の戦いを見守っていたZATの隊員の悲痛な叫びが響き渡る中…
水銀燈は…ついに動かなくなった…。

「キュワオオオオオ!!」

水銀燈を踏み付け、足蹴にしたバードンの歓喜の咆哮が響き渡った。

「水銀燈が…死んだ…。」

動かなくなった水銀燈を尻目に…バードンはその場を飛び去った。

でもこの後さらに水銀燈は何故かウルトラの母の気まぐれで命を救われた上に夢オチだったと言う
壮絶なオチが待っていたりするのだが…本当に夢なら誰も苦労はしないと思う。

                     ちゃんちゃん
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/30(木) 23:34:48 ID:oRr7cH/O
水銀燈は他のドールズと違ってウルトラマンじゃなくてバードンと戦わせると最初から決めていた。
何故ならば、水銀燈はウルトラ兄弟のゾフィーに激しく通じる所があったから。

水銀燈
ローゼンメイデンドールズの長女
設定の面で凄い持ち上げっぷり
アニメ1期で火達磨

ゾフィー
ウルトラ兄弟の長男
設定の面で凄い持ち上げっぷり
バードンの火炎でバーニングヘッド

>>47
戦隊とライダーはちょっと専門外スマソ
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/10/31(金) 08:42:44 ID:s9C0uVJ/
不覚にも頭が燃える銀様のかわいい表情に萌えたw
乙!また続編書いてくれ
59夢だったら怖杉だろ:2008/11/05(水) 23:46:56 ID:ss2QDjUo
ローゼンメイデン第二ドール金糸雀は薄暗い部屋で一人TVと向かい合っていた。
TVに映されていたのは、他のローゼンメイデンのドールズとウルトラ兄弟との戦いの映像。

「だわー! だわー!」
「ジュワッ!」

TV画面に帰ってきたウルトラマンのウルトラスパークによって細切れにされる真紅の姿が映し出される。
他にもウルトラマンレオのレオキックで頭蹴り砕かれる翠星石や、ティガのゼペリオン光線で
吹飛ばされる蒼星石。ガイアのフォトンエッジで木っ端微塵に吹き飛ぶ雪華綺晶。
タロウのストリウム光線で木っ端微塵にはならなかったけど、苺大福貰ったらあっさりと
戦意を喪失した雛苺。バードンの火炎で頭を燃やされる水銀燈などなど…
ドールズの敗北ぶりが画面に映像として映し出されていた。

「まったく誇り高いローゼンメイデンともあろう者がなんと言う体たらくかしら〜。
ここはいっちょローゼンメイデン一の策士、金糸雀の実力を見せる時かしら〜。」

姉妹達の不甲斐い姿を見て、金糸雀はついに自身が立ち上がる時だと確信した。そして…

「手始めにこのローゼンメイデン一の頭脳派金糸雀が科学特捜隊をぶっ潰してやるかしら〜!」

何と言う事であろうか! 金糸雀は科学特捜隊の破壊を宣言していたのだ!

金糸雀が手始めに行った事。それはまず桜田邸に忍び込む事だった。
そしてジュンの部屋にこっそりと不法侵入した金糸雀はジュンのパソコンを勝手に立ち上げ、
インターネット上の掲示板にこの様な書き込みをしたのである。

『これから科学特捜隊の極東支部に爆弾を仕掛けて吹飛ばしてやるかしら〜。』

ネット上にちょっとイタズラで犯罪予告っぽい文章を書き込んだだけで逮捕されるご時世である。
この金糸雀の書き込みは速攻で通報され、桜田邸に警察が駆け付け強制捜査が始まった。

「作戦成功かしら〜。じゃ…今の内に科学特捜隊へ行くかしら〜。」

これが金糸雀の作戦だった。まず桜田ジュンのパソコンで科学特捜隊の破壊を予告し、
それを見た警察や世間が桜田邸に注目している隙に金糸雀が科学特捜隊に潜入し、
破壊すると言う実に壮大な作戦だったのだ。

そして金糸雀は悠々と科学特捜隊基地へやって来た。勿論ネット上における科特隊基地破壊予告の
書き込みの真犯人が金糸雀である事を夢にも思わない皆は、金糸雀を単なる通行人としか認識しない。

「さてさて…早速科特隊基地に爆弾を仕掛けるかしら〜。」

科特隊基地内に堂々と忍び込んだ金糸雀はこの日の為に用意した手製の爆弾を仕掛けていたのだが…
60夢だったら怖杉だろ:2008/11/05(水) 23:47:54 ID:ss2QDjUo
「そこで一体何をしている!?」
「あっ! しまった見付かってしまったかしら!」

ついに科特隊に発見されてしまった。しかも科特隊極東支部の中でも特に優秀と評判のハヤタ隊員である。

「でももう遅いかしら〜。このボタンを押せばカナのし掛けた爆弾が爆発するかしら〜。」
「何!? 爆弾!?」

金糸雀は爆弾の起爆スイッチを押した。するとどうだろうか…

                 パンパンパンパンパンパンパンパン!!

激しい破裂音が響き渡り、火花が迸る…だけ。

「あれ? 可笑しいかしら。科特隊基地が吹き飛ばないかしら。」
「爆弾って…どう見てもただの花火じゃないか…。」

金糸雀は詰めを誤った。確かに金糸雀はローゼンメイデン一の策士・頭脳派を自称していても
実際は大した事は無い。何しろ唐辛子を猛毒と称して苺大福に混ぜていた程の女である。(ドラマCDより)
故に科特隊基地を爆破すると豪語しながらも、実際用意した爆弾は子供用花火に毛が生えた程度の
代物だったのである。これはもはやハヤタ隊員も呆れる他無い。

「凄いかしら! これだけやってもビクともしない科特隊基地は何て凄いのかしら!」
「お嬢ちゃん〜大人をからかっちゃいけないよ。」

しかし、やはり金糸雀としては悔しい。少なくとも金糸雀にとっては完璧な作戦だった。
それがあっさりと破られてしまったのだから。金糸雀は悔しくて悔しくて…
身長40メートル・体重数万トンの巨大ドール怪獣金糸雀となっていた。

「かしらー! かしらー! こうなったらカナがこの手で科特隊をぶっ潰してやるかしらー!」

ドール怪獣金糸雀は巨大化した勢いで科特隊基地を破壊するべく暴れ始める。
もはやローゼンメイデン一の策士もクソも無いが、科特隊基地を破壊すると言う目的の
為ならばもはや手段は選んでいられなかったのだ。

「怪獣出現! 直ちに攻撃せよ!」

科特隊極東支部のムラマツキャップの号令により、科特隊の隊員達が戦闘態勢に入る。
61夢だったら怖杉だろ:2008/11/05(水) 23:48:40 ID:ss2QDjUo
イデ隊員が科特隊専用特殊戦闘機ビートルで金糸雀を空中から攻撃し、陸ではアラシ隊員が
スパイダーショットで金糸雀を狙い撃つ。そしてハヤタ隊員はと言うと、物陰に隠れ…

         ハヤタはベータカプセルを空にかざし、ウルトラマンに変身した。

               ,ヘ                 _,ハ = 、
              / `ヽ            __ -t __- '´  ヽ,
             /|!   」       _,.-=' ,.-=' / ノノ'´ ⌒´
__          _,,_ト|! r フ [!|____ ノ⌒ '⌒'   /_,. '´
\ゝ---ニ=て r'⌒ハ l__   イ⌒入 _ ̄      _,. '´
 ヽ,__, ゝ\ニ---┴┴"∠  '´    `ヽ   _,. '´ シュワッチ!
     ヽ_____  ⌒)ノ__ 彡    } _,. '´
           ̄   'vc\ ヽ__ノ-‐ '´

      説明しよう! 科特隊員のハヤタ隊員はM78星雲からやって来た光の巨人
            ウルトラマンに変身する事が出来たのだ!

「あ! ウルトラマンだ!」
「ウルトラマーン! 頑張ってー!」

ウルトラマンの登場に皆は安堵の表情となり、フジ・アキコ隊員がウルトラマンに声援を送る。

「かしらー! かしらー!」
「ジュワッ!」

ウルトラマンと金糸雀の壮絶な格闘戦が始まった。
金糸雀がバイオリンを奏で音波攻撃をすれば、ウルトラマンは金糸雀の頭を掴み首投げでお返し。
両者一歩も引かぬ互角の勝負が繰り広げられていた。

そうだ。策士・頭脳派としては本人が言う程大した事は無い金糸雀であるが、
直接戦闘に関してはこれが中々強かったりしたのだ。

そしてウルトラマンは一気に勝負を決めるべく、腕を十字に組んだ。

              、;:';:,ッ_
.             `;:,)`'(、:';、
            "'//゙;':`
     ,ヘ   、,ッ/ ./
   _(li ) ゞ n'",./   
  (´,_/_ ̄`ヽ'、l、=     
  / /   ゾヽ._,!       ジュワッ!!
.  l l   /
  l l   〈
. ( (.  |           
  ヽ, |  |

     出た! 腕を十字を組んで放たれるウルトラマンの必殺スペシウム光線が今放たれた!
62夢だったら怖杉だろ:2008/11/05(水) 23:50:09 ID:ss2QDjUo
「それを待っていたかしら!」

しかし、それを予め見計らっていたかのごとく、金糸雀は手に持っていたパラソルを正面にかざした。
するとどうだろうか。スペシウム光線がパラソルに受け流されて行くのだ。

スペシウム光線を使った事によりエネルギーを大きく消耗したウルトラマンのカラータイマーが赤く点滅する。
地球上では太陽エネルギーを大きく消耗する為、ウルトラマンは3分までしか戦えなかったのだ。

「ウルトラマンの必殺スペシウム光線敗れたりかしらー! 自慢の必殺技が通じなくて
ウルトラマンもさぞかしショックに違い無いかしらー! 泣け! わめけかしらー!」

金糸雀はウルトラマンが動揺している隙を突いて一気に畳み掛けようと考えていたのだが…

「ジュワッ!」
「え!? あれ!? 反応無しかしら!?」

ウルトラマンは全くと言って良い程動揺してはいなかった。まるで構わずに再び
金糸雀へ攻撃を開始していたのである。

そもそもウルトラマンは地球に来る以前から宇宙で様々な怪獣や宇宙人と戦って来た
百戦錬磨の戦士。それ故に既に自身のスペシウム光線が通じない相手もいる事も知っていた。
だからこそ、金糸雀にスペシウム光線を防がれてしまおうとも一切動揺しなかったのだ。

「ジュワッ!!」

ウルトラマンは金糸雀のパラソルを掴み、奪い取った。

「あ! カナのパラソル返してかしらー!」

金糸雀のパラソルは単なる傘では無く、生命線と言うべき重要な物である。
それ故に金糸雀は動揺し、慌ててウルトラマンから取り返そうとするがウルトラマンは返さない。

ウルトラマンもまた見抜いていたのだ。パラソルが金糸雀の重要な武器である事を。

それからウルトラマンはパラソルを持ったまま金糸雀から逃げ回るのかと思われたが…

「ジュワッ!」
「え!? 返してくれるのかしら?」

一体何を考えているのか今度は掌を返し、金糸雀にパラソルを返してしまった。
だが、いずれにせよパラソルが戻って来た事は金糸雀にとって嬉しい事だ。

「やったー! パラソル返してもらったかしらー!」

嬉しさのあまり金糸雀は浮かれ、その場でピョンピョンと跳ね回る。
だが、金糸雀は気付いていなかった。ウルトラマンが再び腕を十字に組み、
スペシウム光線の体勢を取って金糸雀を狙い澄ましていた事を…
63夢だったら怖杉だろ:2008/11/05(水) 23:51:01 ID:ss2QDjUo
そう。これがウルトラマンの狙い。あえてパラソルを返し、浮かれた所を一網打尽にする作戦。
そして…

         ヽr'._ r`γヽ./.゚;・.,'
         //`Y. ,,‘ .゚;・.,'`ヽ
         i | ノi ノ_';;;∵\@
         ヽ>,/! ヾ(i.゚'Д;;。;∵ がじらぁぁぁぁぁぁ!
          `ー -(kOi∞iミつ
              (,,( ),,)
              / じ'ノ'
            "'//゙;':`
     ,ヘ   、,ッ/ ./
   _(li ) ゞ n'",./
  (´,_/_ ̄`ヽ'、l、=   ジュワッ!!
  / /   ゾヽ._,!   
.  l l   /  
  l l   〈     
. ( (.  |   
  ヽ, |  |

再度放たれたウルトラマンの必殺スペシウム光線がついに金糸雀に命中!
今度はパラソルで受け流す事も出来ず、金糸雀は木っ端微塵に吹き飛ぶのであった!

金糸雀が木っ端微塵に吹き飛んだ事を確認したウルトラマンは…

               ,ヘ                 _,ハ = 、
              / `ヽ            __ -t __- '´  ヽ,
             /|!   」       _,.-=' ,.-=' / ノノ'´ ⌒´
__          _,,_ト|! r フ [!|____ ノ⌒ '⌒'   /_,. '´
\ゝ---ニ=て r'⌒ハ l__   イ⌒入 _ ̄      _,. '´
 ヽ,__, ゝ\ニ---┴┴"∠  '´    `ヽ   _,. '´ ジュワッ!!
     ヽ_____  ⌒)ノ__ 彡    } _,. '´
           ̄   'vc\ ヽ__ノ-‐ '´  

…と、空の彼方へ飛び去った。

                      ちゃんちゃん
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/05(水) 23:53:40 ID:ss2QDjUo
キムネタはやるか否かに関して随分悩んだ。
何しろちょっとキム関連の話題を出しただけでキムアンチが出現して荒らすからね。
キムに大した思い入れは無いけど、だからと言って特別アンチでも無い自分としては
随分悩んだけど、やると決めたからにはAAもふんだんに使わせてもらったw
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/06(木) 00:19:46 ID:LJw+Cq9y
おまいがカナとヒナ大好きで、他のドールをどの程度に思ってるのかよく分かった
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/06(木) 22:54:18 ID:cDABS+Bj
>>38
きらきー面白かったっす!!
また描いてくれ!
67夢と思ったら現実だった:2008/11/08(土) 00:47:25 ID://Z59cv/
nのフィールドの奥深く…空間に浮かんだ鏡からラプラスの魔は外界の様子を見ていた。

「まったく…誇り高きローゼンメイデンともあろう者が堕ちたものですね…。」

鏡にはローゼンメイデンのドールズがウルトラ兄弟と対決し、無残に敗れて行く様が映し出される。
真紅は帰ってきたウルトラマンのウルトラブレスレットによって無残に切り刻まれた。
翠星石はレオのレオキックで頭を粉砕。蒼星石はティガのゼペリオン光線で木っ端微塵。
雛苺はタロウのストリウム光線で粉砕はされなかったが、苺大福貰ったらあっさり戦意喪失。
雪華綺晶はガイアのフォトンエッジによって粉砕。水銀燈に至ってはウルトラマンでは無く
バードンと言う怪獣に頭を燃やされる始末。

そしてローゼンメイデン第二ドールの金糸雀は初代ウルトラマンのスペシウム光線で粉砕された。

「まったく何たる様…。これでアリスを目指そうと言うのだから…トリビュアル。
しかし…この落とし前は付けてもらわなければならないでしょうね…。」

ラプラスの魔は立ち上がった。全滅したローゼンメイデンのドールズに代わり
ウルトラ兄弟を打倒する事を決意したのだ!

「ダメだよ! ウルトラ兄弟は強敵だよ!」
「くんくん!?」

そこへ現れたのはあの名探偵犬くんくん。説明しよう。くんくんとラプラスの魔は
実は知り合いだったのである!

「止めないで下さいくんくん! 世の中には例え困難だと分かっていてもやらなければ
ならない事だってあるのです!」
「別に止めやしないよ。いや…むしろ僕にも協力させて欲しいんだ。」
「なんですと!?」

何と言う事だろうか! くんくんがラプラスの魔に協力を申し出たのだ。
これにはラプラスの魔も思わず男泣き。

「そうですか! ありがとう! やっぱり持つべきものは友達ですね!」
「別に泣く必要は無いよ。君と僕の仲じゃないか。」

ラプラスの魔とくんくんは手に手を取ってウルトラ兄弟打倒の為に立ち上がった!

間も無くして、巨大化したラプラスの魔とくんくんがそれぞれ東京に出現し、
手当たり次第の破壊を始めた。ラプラスの魔はタップダンスを思わせるフットワークで
住宅を踏み潰し、手に持つステッキを振り回してビルを薙ぎ倒す。
そしてくんくんもまたラプラスの魔に合わせてビルを次々に破壊して行った。
68夢と思ったら現実だった:2008/11/08(土) 00:48:48 ID://Z59cv/
「東京に怪獣出現! CREW GUYSは出動願います!」

この未曾有の危機に地球防衛組織「CREW GUYS」に出動要請が下った。
そしてたまたま近くをパトロール中だったGUYS隊員ヒビノ・ミライが
いち早く現場に到着するのだが…街は酷い惨状だった。

「トリビュアル!」
「くんくーん!」

巨大化したラプラスの魔とくんくんはなおも街を破壊し続けて行く。
もうこれ以上見てはいられない。

ミライは自身の左腕にメビウスブレスを装着し、そこから発した赤い光がメビウスの輪を描いた。

                   「メビウゥゥゥゥス!!」

     ::|     .ノ ヽ
     ::|    /:ヽ  |ヽ
     ::|  / ヽ::ヽ | )ヽ、    
     ::| /ヽ、  )::)|(:( ヽ    シャキィィィィィン!!
     ::|-〉__ゝ (::( | ):) ノl_
     ::|\〈 〈  ̄ ヽ |r'''''''i| ノ    
     ::|:::::ヽ ヽ--イ |'ヽ-イ|/      ジェアッ!!
     ::|.ヾ:::::〉     |   ./   
     ::|  ';:: ┌===┐./       
     ::|.___〉ヾ ヾ二ソ./
     ::|》:::::::ゝ:::`---´:ト、____
     ::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::《:(⌒ヽ
     ::| ̄ ̄ ̄ ̄\/ ̄ ̄ ̄ ̄/:::ヽ ヽ
     ::|⌒ヽ     |    ノ⌒/|ヽ:::ヽ )
     ::|〉ヽ:::ヽ ,-<>-、/::/ 〈:::| ヽ:::::〈

説明しよう! CREW GUYS隊員ヒビノ・ミライ隊員は…実は宇宙の彼方にある
M78星雲光の国から地球に派遣された宇宙警備隊のルーキー。ウルトラマンメビウスだったのだ!

「ジェァ!」
「トリビュアル!」

市街地のど真ん中でウルトラマンメビウスとラプラスが組み合った。
そしてメビウスがラプラスへチョップを叩き込もうとしたが…
そこで突如としてくんくんが加勢に入り、メビウスを突き飛ばした。

「ジェァァ!」
「くんくーん!」

そう。相手はラプラスの魔だけでは無い。くんくんも同時に相手にしなければならないのだ。
メビウスは早くも窮地に立たされる。
69夢と思ったら現実だった:2008/11/08(土) 00:49:32 ID://Z59cv/
「ジェア!」
「トリビュアル!」
「くんくーん!」

ラプラスの魔と共にメビウスを攻撃するくんくん。しかしそのくんくんの姿を嘆く声があった。

「くんくんもう止めて! どうしてこんな事するの!? どうして怪獣になって
ウルトラマンメビウスを攻撃するの!? くんくんやめて! やめてよぉ!」

それは毎週楽しみに名探偵犬くんくんを視聴していた日本中のくんくんのファン達。
彼等は悲しかった。くんくんが悪に堕ち、怪獣となって都市を破壊し、ウルトラマンを
攻撃する姿など…見たくは無かった。

「やめて! やめてよ! そんな悪いくんくんなんて…大嫌いだぁぁぁ!!」

                 その時…奇跡が起こった!

     ::|    / | |
     ::|   ./,.| |、
     ::|.  ./|=|  ̄ ヽ.
     ::|. / |=|  o  |=ヽ
     ::|__〈 ___  ___l   ズゥゥゥゥゥゥン
     ::|、ヽ|.|┌--、ヽ|/,-┐| 
     ::|.|''''|.\ヽ--イ.|ヽ-イ:|  
     ::|.ヾ |.::. .. ̄ ̄| ̄ /      
     ::|  ';:::::┌===┐./   デャァァァァァ!!
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./        
     ::||ロ|ロ|  `---´:|____
     ::|:|ロ|ロ|_____/ロ|ロ|ロ,|`ヽ
     ::| |ロ|旦旦旦旦旦/ロ/ロ|旦,ヽ
     ::|ロヽ 旦旦旦旦旦./ロ,/|::旦旦)
     ::|ヾ旦旦旦旦旦旦,,,/::::|、 旦旦|


           ウルトラセブン登場! しかし…少し様子が違う。

そう。これは厳密にはウルトラセブンでは無い。悪に堕ちたくんくんに対する子供達の
想いが一つとなり、ウルトラセブンの人形に乗り移って誕生した妄想ウルトラセブンである!

その昔、暴走族に怪我を負わされた子供の暴走族に対する憎しみがウルトラセブンの人形に
乗り移り、妄想ウルトラセブンとなってウルトラマン80と戦った事があった。

しかし今は違う。悪に堕ち、怪獣となったくんくんにこれ以上罪を重ねて欲しく無いと
くんくんの大好きな子供達の強い想いが一つとなって誕生した…正義の妄想ウルトラセブンなのである!
70夢と思ったら現実だった:2008/11/08(土) 00:50:53 ID://Z59cv/
「デャァァァァァ!!」
「くんくーん!」

妄想ウルトラセブンはくんくんへ向けて鉄拳制裁をお見舞いした!
これには流石のくんくんも吹っ飛び、メビウスを攻撃する所の騒ぎでは無くなった。
妄想ウルトラセブンがくんくんを標的としている以上、くんくんも妄想ウルトラセブンを
倒さねばメビウスを攻撃する事は出来ない!

妄想ウルトラセブンの登場によって流れが変わった。くんくんと引き離された事によって
ラプラスの魔はわずかに浮き足立ち、メビウスが体勢を立て直すチャンスを与えたのだ。

「ジェア!!」
「トリビュアル!」

メビウスの脳天唐竹割がラプラスの魔の脳天に炸裂し、流石のラプラスの頭を押さえて悶える。
だがメビウスの攻撃は終わらない。次々に強力チョップをラプラスの魔目掛けて打ち込んで行く!

「トリビュアル!!」

しかしラプラスの魔も負けてはいられない。手に持つステッキを振り回し、メビウスへ反撃を開始した。
それに対し、メビウスも左腕に装着されたメビウスブレスから光の剣メビュームブレードを伸ばし、
ラプラスの魔のステッキを受け止める!

「ジェアッ!」
「トリビュアル!」
「デァァァァ!」
「くんくーん!」

市街地を舞台に剣撃を繰り広げるウルトラマンメビウスとラプラスの魔。
激しく組み合い、打撃の打ち合いを繰り広げる妄想ウルトラセブンとくんくん。
その激しい激闘の最中、突如として空中が裂け、何者かが姿を現した。

「ばらすぃー! ばらすぃー!」

何と言う事か、薔薇水晶までもが出現した!
本家ローゼンメイデンのドールズが全滅した今、例えローゼンの弟子槐の作った
擬似ローゼンメイデンであろうとも、繰り上がり的にアリスの資格が与えられるのでは?
と考えた薔薇水晶は、ウルトラマンメビウスを打倒する事によってポイントを稼ごうとしていたのだ。
71夢と思ったら現実だった:2008/11/08(土) 00:53:19 ID://Z59cv/
「ばらすぃー! ばらすぃー!」

薔薇水晶は水晶の塊をミサイルの様に発射し、メビウスを狙う。
しかしラプラスの魔の相手に一杯一杯のメビウスに薔薇水晶まで相手にする余裕は無い。

「ミライ君が危ない!」
「そこまでだ人形野郎! 俺達が相手に立ってやる!」

CREW GUYSの誇る特殊戦闘機ガンフェニックスが薔薇水晶へ攻撃を仕掛けた。
戦っているのはウルトラマンメビウスだけでは無い。地球防衛の要であり人類の盾である
CREW GUYSが総力を上げてメビウスを支援し、薔薇水晶を倒すつもりであった。

「ばらすぃー! ばらすぃー!」

ガンフェニックスが宙を飛び回り、ビーム砲を薔薇水晶へ命中させて行く。
薔薇水晶も水晶の塊をミサイルの様に発射し迎撃するが、ガンフェニックスは
その水晶ミサイルの雨をかいくぐり、再びビーム砲を薔薇水晶へ撃ち込む。

「ばらすぃー! ばらすぃー!」

ガンフェニックスのビーム砲の直撃によって薔薇水晶の全身で爆発が起こり、
薔薇水晶は手足をバタバタとさせながら悶える。

「ばらすぃー! ばらすぃー!」

ビーム砲の直撃に耐えながらもガンフェニックスを撃ち落とすべく水晶ミサイルを
次々発射して行くが、ガンフェニックスはさらなる攻撃に入っていた。

「アンチドールミサイルセット完了! 何時でも行けます!」
「GIG! アンチドールミサイル発射!」

七度に渡るローゼンメイデンドールズの襲来。それに対し人類は何の備えもしない程馬鹿では無かった。
人類もローゼンメイデンドールズを研究し、その結果としてアンチドールミサイルを開発した。
だが、これが果たして本当にドール怪獣に効き目があるか否かは分からない。

ガンフェニックスから発射されたアンチドールミサイルは空を切り、薔薇水晶のどてっ腹に突き刺さった!
そして次の瞬間…薔薇水晶は全く良い所を見せる事無く木っ端微塵に粉砕されていた…。
結局何の為に出て来たんだコイツ?
72夢と思ったら現実だった:2008/11/08(土) 00:54:54 ID://Z59cv/
一方、ウルトラマンメビウス対ラプラスの魔。妄想ウルトラセブン対くんくん。
この二つの激戦も終局に近付きつつあった。

「デァァァァ!!」
「くんくーん!」

妄想ウルトラセブンはくんくんをドロップキックで蹴り倒しつつ距離を取ると共に、
頭に輝くアイスラッガーを自身の正面空中に制止させ…

「デァァァァ!!」

出た! 妄想ウルトラセブンの念力によってアイスラッガーを発射するウルトラノック戦法!

次の瞬間、空気との摩擦によって光を放つ程にまで加速されたアイスラッガーは…
くんくんの身体を一刀両断していた……………。

そしてメビウスもまた、ステッキを振り回し迫り来るラプラスの魔に対しメビュームブレードで
ステッキを受け止めつつ押し返すと共に自身の左腕に装着されたメビウスブレスをかざした。

メビウスブレスからメビウスの輪のごとき赤き光が発せられ、メビウスの両腕にエネルギーが
集束されて行く。そして腕を十字に交差されたその時…

「ジェァァ!」

出た! ウルトラマンメビウスの必殺光線! メビュームシュート!!

「トリビュアル! トリビュアル! トリビュアル!」

メビュームシュートの直撃を受けたラプラスの魔の巨体が大きく押し流されて行く。
十万度を超える高熱のスペシウムエネルギーがラプラスの魔の身体を焼き、細胞を破壊し…
次の瞬間、ラプラスの魔は木っ端微塵に吹き飛んでいた。

戦いは終わった。ウルトラマンメビウスは何処へと飛び去り、妄想ウルトラセブンもまた
くんくんを倒すと言う目的を完遂し、何処へとも無く姿を消した。

                      ちゃんちゃん
73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 00:56:15 ID://Z59cv/
ラプラスの魔・くんくん・薔薇水晶を同時に消化
次回あたり最終回になる予定
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 00:57:08 ID:7CIAWKAj
大好きなカナとヒナは木っ端微塵にしないのに
他のドールは躊躇なく木っ端微塵にしたり八つ裂きにしたりする
おまいがどういう人種かよく分かるわ
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 01:10:04 ID://Z59cv/
>>74
いや、金も普通にスペシウムで木っ端微塵にしてるんだけど。
ちゃんとAA付きでw
76名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 01:14:51 ID:yg9qgZ0E
じゃあヒナは?
77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 01:19:24 ID://Z59cv/
>>76
ウルトラの母の教え。
それでも納得出来ないなら、次回のお話の中で解答を出す予定。
78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/08(土) 01:29:24 ID:yg9qgZ0E
セブンと帰ってきたウルトラマンとレオの初めしか記憶に無い
79でもそれは夢やない現実や:2008/11/09(日) 01:25:58 ID:97lV5YAC
nのフィールドの奥深くから…何処からとも無く何者かがすすり泣く声が響いていた。

「うおおおおお…ラプラス…お前までやられてしまったのか…。」

ローゼンは悲しみに暮れた。その昔、アリスを求めnのフィールドに閉じこもったローゼン。
不老不死となっていた彼は未だ老いる事は無かったが、代わりに一人ぼっちだった。
だが、それはnのフィールドに閉じこもったからでは無い。それ以前から、不老不死となる以前から、
一人の人間として人間社会に暮らしていた時から彼は一人だった。

如何なる時代においても人は彼を変人扱いし、誰一人として彼の考えを理解する者はいなかった。
究極の少女アリスの姿をドールに求め、七体のローゼンメイデンを作り出したのはそこが理由である。

しかし、そんな彼にも例外的に理解者…友と呼べる者がいた。ラプラスの魔である。
類は友を呼ぶ。ラプラスの魔もまた何を考えているのか分からない変人的な要素を持った存在。
だからこそ逆にローゼンと気が合い、ローゼンにとって掛け替えの無い同志だった。

だが…ローゼンが手塩にかけて作り上げたローゼンメイデンのドールズのみならず…
ラプラスの魔さえもウルトラ兄弟の前に敗れ去ってしまった…。

第五ドール真紅は帰ってきたウルトラマンのウルトラブレスレットによって細切れにされ、
第三ドール翠星石はレオのレオキックによって頭を粉砕され、第四ドール蒼星石はティガの
ゼペリオン光線によって木っ端微塵。第六ドール雛苺はタロウのストリウム光線によって
やられはしなかったが、苺大福貰ったらあっさりと戦意喪失。第七ドール雪華綺晶は
ガイアのフォトンエッジによって粉砕。第一ドール水銀燈に至ってはウルトラマンでは無く
バードンと言う怪獣に頭を燃やされてしまう体たらく。第二ドール金糸雀は初代ウルトラマンの
スペシウム光線によって吹飛ばされ…

ラプラスの魔もまたウルトラマンメビウスのメビュームシュートによって消し飛ばされた…。

「うぉぉぉぉぉ! 分かる! 分かるぞ! お前達の憎しみと無念がぁぁぁ!」

ローゼンの悲痛な叫び声がnのフィールドに響き渡る。そして彼はある物を一箇所に集めていた。
それはウルトラ兄弟に敗れたドールズの残骸。

ローゼンはウルトラ兄弟を心の底から憎んだ。七体のローゼンメイデンドールズを全滅させ、
アリスゲームを成立出来なくさせるのみならず、ラプラスの魔の命さえ奪ったウルトラ兄弟を
何としても倒すと決意していた。

「娘達よ…今から私が新たなドールとして新生させよう。ウルトラ兄弟も倒せる程の
強く美しいドールに生まれ変わらせてやる。」
80でもそれは夢やない現実や:2008/11/09(日) 01:27:03 ID:97lV5YAC
ローゼンはドールズの残骸を一つに集め、ウルトラ兄弟を倒せる新たなドールを
作り出すつもりだった。しかし…良く考えて見て欲しい。そもそも雛苺は
タロウに敗れはしたが、他のドールズと違って木っ端微塵にされてはいない。
そして水銀燈もバードンに頭を燃やされた程度で五体がしっかり揃っている。
だと言うのに…何故か雛苺と水銀燈まで他のドールと同じ位に木っ端微塵な残骸と化していたのだ。
これは由々しき事態である。

これに関してあえて推測するとするならば、こう言う事だろう。
かつてウルトラ兄弟と戦った怪獣の中に暴君怪獣タイラントと言うのがいた。
コイツはウルトラ兄弟に敗れた怪獣の怨念が一つとなって誕生した怪獣で、
身体の各部に様々な怪獣の要素をそれぞれ備えた形状を持っていた。

そのタイラントの頭部を構成するのが津波怪獣シーゴラス。夫婦関係にある
竜巻怪獣シーモンスと共に東京に出現し、帰ってきたウルトラマンと戦った怪獣である。
だが、シーゴラスは決して帰ってきたウルトラマンに殺されてはいない。
元来大人しい性質で、産卵の近い妻のシーモンスを守る為に暴れていただけの事。
そして最後もシーモンス共々に殺されはせず、海を渡って南の島へ帰った。

なのに何故かシーゴラスはウルトラ兄弟を憎む怪獣の怨念の一つとなって
タイラントの頭部となってしまった。実に不思議な話である。

恐らく、雛苺と水銀燈もまたこのシーゴラスと同じ理論が働いたと見るべきだろう。

そして、ローゼンの集めたドールズの残骸の中には何故か薔薇水晶の残骸も見られた。

「分かる。分かるぞ。ウルトラ兄弟では無くたかが人間の作った兵器に敗れたお前の無念が…。
今となっては弟子の槐が私への反逆の為に作ったドールであろうが関係無い。
お前もまたウルトラ兄弟打倒を目指す同志だ。お前も娘達同様に私がこれから
作る新たなドールに組み込んであげよう…。」

薔薇水晶はウルトラ兄弟とは戦うまでも無く、人類の作ったアンチドールミサイルに敗れ去った。
その強い無念をローゼンは感じ取り、新たなドールの材料の一つとする事に決めていた。

こうして、七体のローゼンメイデンドールズと薔薇水晶の残骸からウルトラ兄弟を倒せる
新たなドールの制作を開始したローゼンだが、それにはやはり時間がかかる。故にローゼンは
新ドール完成までの時間稼ぎとウルトラ兄弟の戦力データ取りを兼ねて、二体のドールを
送り込む事を決めた。

その二体のドールとはブーさんとピエロ。ブーさんは原作漫画版で、ピエロはアニメ版で
それぞれジュンを襲撃したぬいぐるみである。ローゼンはこの二体に自身の持つマエストロの
力を与え、ドール怪獣を超えるドール怪獣。ドール超獣へパワーアップさせた。

「行け! ドール超獣ブーさんとピエロよ! ウルトラ兄弟を倒すのだ!」

間も無くして、ブーさんとピエロの二体のドール超獣がnのフィールドを通って日本に出現した。
ブーさんは東京を、ピエロは大阪を襲撃し破壊の限りを尽くし始めた。
81でもそれは夢やない現実や:2008/11/09(日) 01:28:31 ID:97lV5YAC
ブーさんは包丁を振り回してビルを次々に切り崩し、ピエロは刃物の様に鋭いカードを
投げ付け大阪城を切り刻む。しかし、この未曾有の事体に何もしない程人類は無力では無かった。

                超獣攻撃隊TAC と スーパーGUTS

人類を守る二つの盾が出動した。超獣攻撃隊TACは東京、スーパーGUTSは大阪へ急行。
ローゼンの送り込んだ二大ドール超獣を相手取った大激戦が始まろうとしていた。

TACが東京に到着した時。それはもう酷い有様だった。
ドール超獣ブーさんによって東京のビル街は焦土と化し、あろう事かTACにまで襲い掛かったのだ。
両手に持つ包丁を振り回してTACへ迫るブーさん。もうこれ以上ドール超獣の暴挙を許しては
いられない。TACは総力を上げてブーさんを攻撃。そして…

TAC隊員の一人、北斗星司は両腕の指にそれぞれ装備された指輪、ウルトラリングを合わせた。

 _j: :  ト、    ∨  `ー―、
/´ ヽ---、:\   ∨_,.ィ´¨ ̄ヽヽ
|  f´   \.\  /     ノ 1              r‐.
|  {: : : : :  ゝ‐'´      / リ            /| |
}、: . .\: : : :  /: :.     /_ソ /         _,..r―‐'! !_|_    シャキィィィィン!!
 |: : :.、.\: : :.〈.: : :ゝ==='ィ´  /        f^ヽ    リ:f`¨ヽ.
ゝヽ: : :ヽ. ヽ: : :/ ̄ ̄´   /        / 、ヽ   !/::/   ソ!
: : :∨: : : ゝ=アイ: : : : : : : .,イ‐、        {、  ヽヽ  /l:::!  //|
\: :\_r、_/⌒ヽ:_:_,.-イ´  `¨ヽ     テ==、. ヽ、/ O /イ |
  \: : : : : :ゝ、_ノ/: : . . .     !ゝ、__,.! |l´ヽ\ヽ∨/ _,.=、 ェ <  ヤァァァァァ!!
   \_:,.、_:_ノ-、: : : : :     /::l  ヽ:::!::::| ゝ、_`ヽヽ∨,.ィ´  ノ /ヽ.
          `¨ヽ: :. .. .   /::/   |:::|::::レ!  ¨¨´`j ハゝ…'//::/ 〉、_
             \_: :_ノ::/    |:::!::、::|     | |   ̄'_/:ソ/  ヽ-、
               `¨ー'__   ノ:::|::::!::、 f、____j |...__  /:::/|ヽ ィ、‐´____`}
                   ヽ.__/:::∧:::!、::ゝ、弋二フ//:::/ ト、ノ: r‐´______}
                   ∨、: : : :、::::!、:ヽ`ー‐‐'://::/ / t_: :`¨  __ノ
                    ヽ.ヽ:. '´、:::| |:::|  /:::://::/ /   ゝ、_f二フ
                     \\ }:::Ll:::j-く:::ゝ'::/ /
                      \ヽ':::::::r´¨`\::/
                       ` ̄¨ゝ=‐<¨

説明しよう! 超獣攻撃隊TAC隊員の北斗星司はウルトラリングを合わせる事によって
宇宙の彼方、M78星雲光の国から遥々銀河連峰を越えてやって来たウルトラマンエースに
変身する事が出来たのだ!

「ヤァァァァァァ!!」

東京を舞台にウルトラマンエースとブーさんの死闘が始まった!
82でもそれは夢やない現実や:2008/11/09(日) 01:30:07 ID:97lV5YAC
一方、スーパーGUTSが大阪に到着した時。それはもう酷い有様だった。
ドール超獣ピエロによって大阪の街は焦土と化し、あろう事かスーパーGUTSにまで襲い掛かったのだ。
カードを手裏剣のごとく投げ付けスーパーGUTSへ迫るピエロ。もうこれ以上ドール超獣の暴挙を許しては
いられない。スーパーGUTSは総力を上げてピエロを攻撃。そして…

スーパーGUTS隊員の一人、アスカ=シン隊員はリーフラッシャーを空にかざし、輝かせた!

     ::|       _
     ::|   /. ̄ /.| 
     ::|.  /ゝ  |./,|ヽ
     ::|. /  \ |ヽ|/.ヽ
     ::|-〈  __  ヽV  _`l_
     ::||ヾ||〈  ̄ヽ .|/ ̄ i| |    シャキィィィィィン!!
     ::|.|:::|| `--イ |ゝ-イ:|/
     ::|.ヾ/.::.    |  ./   
     ::|  ';:::::┌===┐./     ドァァァァァァ!!
     ::|,,__〉ヾ ヾ二ソ./   
     ::| |.|ゝ:::::::`---´:ト、_ 
     ::| .|.|:::::::::::::_:::::::::::|.|  .|.|⌒`ヽ
     ::|  |.|:::::::::ノ ,ヽ:::::ノ/  //i  ヽ
     ::|  .|.|::::::丶|/::::://  .//|ヾ:::::::::)
     ::|  .ヽヽ::::::::::::://  //ノ|、、  ::::〈

説明しよう! スーパーGUTS隊員のアスカ=シン隊員は、彼が火星で出会った光。
ウルトラマンダイナに変身する事が出来たのだ。

「ドァァァァァァァ!!」

大阪を舞台にウルトラマンダイナとピエロの死闘が始まった!

一方、東京では包丁を振り回すブーさんの猛攻にエースは苦戦を強いられていた。
しかし、ウルトラマンエースもまた光線技のデパートと呼ばれる程にまで技のレパートリーが広く、
特に斬撃系光線にかけてはウルトラ兄弟の中でも随一。

「ヤァァァァァァ!!」

額から放つパンチレーザーでブーさんを怯ませ、間髪入れずにバーチカルギロチン発射!
幾多の超獣を両断した盾向きに伸びた三日月状の光線の前には、さしものブーさんといえども
一刀両断されざるを得なかった!
83でもそれは夢やない現実や:2008/11/09(日) 01:31:11 ID:97lV5YAC
その頃、ダイナもまたピエロの次々発射する切断カードに苦戦を強いられていた。
しかし、ダイナとて負けてはいられない。バリアでカードを防ぐと共に腕を十字に組み…

「ドァァァァァァァァ!!」

出た! 必殺ソルジェント光線! 幾多のスフィア合成獣を消し飛ばした威力の前には
さしものピエロも木っ端微塵に粉砕されざるを得なかった。

TACとウルトラマンエース。そしてスーパーGUTSとウルトラマンダイナの活躍により
ブーさんとピエロは倒され、日本壊滅の危機は回避されたのである!

勿論ローゼンはnのフィールドを通してその光景を見ていたのだが…

「おのれウルトラ兄弟! だが…おかげで良いデータが取れた。これで完成する!
ウルトラ兄弟をも倒せる究極のドール…。その名も…アリス!」

ローゼンのウルトラ兄弟を憎む強い意志が…ついに究極の少女アリスを完成させた。
そしてローゼンの命を受け、アリスが出撃する。

ウルトラ兄弟と、地球に住む全ての人類の運命や如何に!

                      つづく!
84名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 01:32:14 ID:97lV5YAC
前回「次回が最終回」とか言っておきながら結局続いて申し訳ない
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/09(日) 04:00:01 ID:dTax73y/

期待してます
頑張ってね
86夢と思ったら大間違いだ:2008/11/10(月) 01:00:27 ID:Wilp4zX6
ウルトラ兄弟にドールズとラプラスの魔を殺されたローゼンは、ドールズの残骸と
ウルトラ兄弟への憎しみを材料としてついに究極の少女…アリスを完成させた!

「ついにアリスが完成した! 強さと美しさを兼ね備えた穢れ無き究極の少女…アリス!」

アリス…それはまるで混沌としたこの世界に舞い降りた天使…いや女神の様でさえあった。
その全身から眩い輝きを放つその姿は、まさに究極の少女と呼ぶに相応しい。

「だが皮肉な物だ。私がどんなに求めても…何百年待とうとも手に入らなかったアリスが…
ドールズとラプラスの魔をウルトラ兄弟に殺された途端にあっという間に手に入ってしまったのだから…。
これはもう皮肉以外の何だと言うのだ…。」

ローゼンは喜んで良いのか、悲しんで良いのか分からなかった。
確かにアリスが手に入った事は嬉しい。だが、それに至るまでには払った尊い犠牲があった事も事実。
ドールズがいずれ失われる事はアリスゲームが開始された時点で覚悟していたが、それでもドールズの
全員がローゼンが手塩にかけて作り上げた渾身の作品である事は変わらない。

今やアリスの一部となった薔薇水晶もまた、ローゼンが直接作った物では無いにせよ
ローゼンが師として技術を授けた弟子の槐が持てる力の全てを尽くして作った物と言う時点で
ローゼンとの関係を持っている事もまた事実。

何より…ローゼンにとって最大の友であり理解者であり…同志であったラプラスの魔を
失った事が…余りにも辛く…悲しい事だった。

「だからこそ私はウルトラ兄弟に復讐する! アリスよ…やってくれるな?」
「はい…お父様。」

もしかするならば、このアリスもまたローゼンが求めた本来の究極の少女アリスとは
異なる物になっているのかもしれない。薔薇水晶の残骸の一部が組み込まれ、
またローゼンのウルトラ兄弟に対する憎しみが込められて作られたアリスは
究極の少女であると同時に、対ウルトラ兄弟用の戦闘マシーンでもあったからだ。
しかし、今となってはもはやそれはどうでも良い事。今のローゼンにとって
ウルトラ兄弟の打倒こそが急務であり、その後の事はゆっくり時間をかけて
アリスを調整し、本来自分が求めた姿へ変えて行こうと考えていたのである。
87夢と思ったら大間違いだ:2008/11/10(月) 01:01:28 ID:Wilp4zX6
「このまま直ぐにウルトラ兄弟を倒しに行かせたい所だが、やはり事は慎重に
運ばねばならない。と言う事で…一つテストをしよう。」

ローゼンがアリスに課したテスト。確かにローゼンは究極の少女アリスを完成させた。
しかし、それでも本当に究極と言える力を持っているのかテストしなければならない。
そして、ローゼンはアリスのテストの相手としてある者を用意していた。

     ::|  /  ○ |..|
     ::| / ,,_   、|..|、  _  
     ::|<    ̄\|o|/ ̄,i、
     ::|/ヽ___ V __|
     ::||ヾ|::《 ̄ ヽ`Y/ ̄i| |
     ::|.|:::| ゝ--イ ||ヽ-イ:|/
     ::|.ヾ/o.    ||   ./   
     ::|  ';:::::┌===┐./    フゥゥゥゥゥゥ!!
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./      
     ::| :::〈   `---´ト ___
     ::| ヽ:::ヽ      /::/ /::/|⌒`ヽ
     ::|::ヽヽ:::ヽ    /::/ /::/. |:::::::::::ヽ
     ::|ヽ::ヽヽ:::ヽ  /::/ /::/.  |ヾ:::::::::)
     ::|  /:::::(:::(●):::):::::丶  |、  ::::〈  

          ウルトラマンエース登場! しかし…少し様子が違う…

「ハッハッハッ! 見たか! この私…ローゼンのマエストロとしての力を持ってすれば
ウルトラマンの一人や二人…作り出す事など造作な事では無いのだ!」

そう。これは厳密には本物のウルトラマンエースでは無い。だが本物と同等の能力を持っている。
ローゼンが作り出したもう一人のウルトラマンエース。その名もエースドール!

かつて異次元人ヤプールが、ウルトラマンエース打倒の為に作り上げたエースキラーの
テストの為に、本物のエースと同等の力を持つエースロボットと言うロボットを
作り上げた事があった。それと同じ様に、ローゼンもまたウルトラマンエースと同等の
力を持つドール…エースドールを作り上げ、アリスのテストの相手としたのだ!

「戦えぇぇ!!」
「フゥゥゥゥゥ!!」

ローゼンの声がnのフィールドに響き渡り、エースドールが両腕をゆっくりと横向きに
振り上げ、L字状に組んだ。ウルトラマンエースの最も得意とする光線技。
メタリウム光線…それと全く同様の光線をアリスへ向けて発射した。

しかし…ドールメタリウム光線とも言うべき光線を真っ向から受けながらも
アリスは平然としているでは無いか。
88夢と思ったら大間違いだ:2008/11/10(月) 01:02:49 ID:Wilp4zX6
「今度は私の番ね。」

アリスは微笑みながら軽く手を振った。するとどうだろう。そこから放たれた光り輝くの
薔薇の花弁がエースドールの身体を切り裂いて行くのである。

それはもはや凄惨とも言える戦いであった。アリスは各ドールズの持つ能力の全てを
兼ね備え、その上それぞれの能力において各ドールズを遥かに凌駕する。
ウルトラマンエースと同等の力を持つ様に作られたとされるエースドールを
赤子扱いしている事がそれを証明していた。

「これでお終い。」

今度はアリスの背からまるで天使の様に白く輝く翼が大きく広げられ…そこから放たれた
光がエースドールを木っ端微塵に吹飛ばしていた…………。

「テスト終了! 素晴らしい! 実に素晴らしいぞアリス!」
「ありがとうございますお父様。」

ローゼンは感激していた。アリスの極限とも言える高い完成度と、それを作り上げた自分自身に。

「これならば勝てる! ウルトラ兄弟を全滅させる事が出来るぞ!」
「はいお父様。私も頑張ります。」

ローゼンとアリスは共に肩を並べ、nのフィールドの彼方に見える地球を見つめた。
ドールズとラプラスの魔を殺した仇であるウルトラ兄弟と、ローゼンの考えを否定し
追いやった愚かなる人類へ復讐するのだと言う強い意志の込められた強い瞳で…。

                  やっぱりつづく
89名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/10(月) 01:03:48 ID:Wilp4zX6
もうちょっとだけ続くんじゃ(亀仙人風に)
90実は正夢と言うオチ:2008/11/12(水) 23:57:31 ID:HoMbJ3hc
ローゼンはついにアリスを完成させた。そしてアリスは飛び立つ。
目的はローゼンメイデンドールズ及びラプラスの魔を殺害したウルトラ兄弟の抹殺だ!

                    しかし…

     ::|     /ヽ
     ::|    イヽ .ト、
     ::|.  /   |.| ヽ.
     ::|. /     |.|  ヽ
     ::|-〈  __   ||  `l_
     ::||ヾ||〈  ̄`i ||r‐'''''i| |
     ::|.|:::|| `--イ |ゝ-イ:|/
     ::|.ヾ/.::.    |  ./       ジュワッ!!
     ::|  ';:::::┌===┐./       
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./
     ::| 。 ゝ::::::::`---´:ト。
     ::|:ヽ 。ヽ:::::::::::::::::ノ 。 `|:⌒`。
     ::|:::ヽ 。ヾ::::::/  。  ノ:::i   `。
     ::|:::::::| 。 |:::|  。 /:::::::|ヾ:::::::::)
     ::|::::::::| . 。 (●) 。 |:::::::::::|、  ::::〈

ゾフィー登場! ウルトラ兄弟長男にして宇宙警備隊長のゾフィーは
各ウルトラ戦士の中でもナンバーワンの実力者として名高い強豪だ!
ローゼンメイデンドールズに例えるならば、第一ドールにして最凶の水銀燈と言う所だ。

ゾフィーはアリスに戦いを挑むつもりらしかった。
他のウルトラ戦士とは違い、地球に駐屯せずに宇宙から地球を狙う怪獣や
星人の侵攻を阻止するのが彼の務めなのである。

実際、過去に冥王星宙域で星人の円盤群と遭遇し、危機に陥った地球の
亜光速試験船を救出したりと様々な実績があった。
91実は正夢と言うオチ:2008/11/12(水) 23:58:23 ID:HoMbJ3hc
人類の感知しない領域で、ゾフィーとアリスの一騎討ちが今始まった!

     ::|     从
     ::|     从从 
     ::|    从从从
     ::|.  /   |.| ヽ.
     ::|. /     |.|  ;::)     
     ::|-〈 ,_;:;:;ノ  ||  `l_
     ::||ヾ||〈  ̄`i || _;:;::;:;)
     ::|.|:::|| `--イ |ゝ-イ:|/    
     ::|.ヾ/.::.    |  .;::)  
     ::|  ';:::::┌=┃┃./   
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./
     ::| 。 ゝ::::::::`---´:ト。
     ::|:ヽ 。ヽ:::::::::::::::::ノ 。 `|:⌒`
     ::|:::ヽ 。ヾ::::::/  。  ノ:::i   `。
     ::|:::::::| 。 |:::|  。 /:::::::|ヾ:::::::::)
     ::|::::::::| . 。 (●) 。 |:::::::::::|、  ::::〈

ゾフィーは必殺M87光線を出す間も無くアリスの猛攻に敗れてしまった。

設定の面で「実力ナンバーワン」とされているゾフィーであるが、それだけに
敵の強さの引き立て役にされやすく、こうして負ける事はもはや日常茶飯事だった。
ローゼンメイデンに例えるならば、設定だけ持ち上げられている為に酷い目に
あいやすい水銀燈と言う所だろうか。

ゾフィーの得意技であり、ウルトラ兄弟の持つ各光線技の中でも最強と名高い
M87光線を命中させる事が出来れば、あるいはアリスに勝つ事も出来たのかもしれないが、
残念ながらそれは叶わなかった…

ウルトラ兄弟最強と名高いゾフィーが敗れた。これは由々しき事態である。
なんと言うアリス。なんと言うローゼン。

ゾフィーを倒したアリスは地球へ向かう。
ローゼンメイデンドールズとラプラスの魔を殺害した張本人である
ウルトラ兄弟を全滅させる為に…

果たして地球はどうなるのか?
地球に住む全ての者とウルトラ兄弟の運命や如何に…

                       つづく
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/12(水) 23:59:13 ID:HoMbJ3hc
無理矢理に近い引き伸ばしスマソ
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/15(土) 15:32:30 ID:fCU4ok6P
気にするな。
どんなに引き伸ばしてもいいし期待してるから、話は完結させて。
94やっぱり夢じゃなかったんだ:2008/11/20(木) 10:30:37 ID:ly0UJuAd
それは突然起こった。つい先程まで雲一つ無い晴天だったと言うのに、突如としてどす黒い雨雲に
覆われ…空が割れた。

科学的には空間上にワームホールが発生すると言う現象が起こるのだが、正確には
ワームホールの類とは違う。

これは…物質世界とnのフィールドを繋げる扉だった。

日本各地に出現したnのフィールドへの扉。人々は誰もが何か良く無い事が起こる事を予感し、恐怖した。
そして…その予感は的中した!

「だわー! だわー!」
「ですー! ですー!」
「うにゅー! うにゅー!」
「きらきー! きらきー!」
「マスター! マスター!」
「ジャンクー! ジャンクー!」
「かしらー! かしらー!」
「ばらすぃー! ばらすぃー!」

真紅・翠星石・雛苺・雪華綺晶・蒼星石・水銀燈・金糸雀・薔薇水晶の総勢八体の
巨大ドール怪獣がnのフィールドから次々に出現し、日本各地の都市の破壊を開始したのだ!

かつてウルトラ兄弟と人類の結成した防衛組織の活躍で一度敗れ去ったはずの八体のドール達が蘇った。
彼女達はローゼンの手によって残骸を一つに集められ、究極の少女アリスとして再生したはずだ。
だが、紛れも無く彼女達はそこにいる。これは夢幻では無く、間違い無くそこに存在していたのだ。

「だわー! だわー!」
「ですー! ですー!」
「うにゅー! うにゅー!」
「きらきー! きらきー!」
「マスター! マスター!」
「ジャンクー! ジャンクー!」
「かしらー! かしらー!」
「ばらすぃー! ばらすぃー!」

八大ドール怪獣軍団は日本各地に散って手当たり次第の破壊を行う。だが、人類も何もしない程
愚かな生き物では無い。未曾有の危機に陥った日本を救う為、人類の盾となる者達が立ち上がった!
95やっぱり夢じゃなかったんだ:2008/11/20(木) 10:31:42 ID:ly0UJuAd
科学特捜隊・ウルトラ警備隊・怪獣攻撃隊MAT・超獣攻撃隊TAC・宇宙科学警備隊ZAT・
宇宙パトロール隊MAC・GUTS・スーパーGUTS・XIG・CREW GUYS出動!!

歴代ウルトラ戦士達と共闘し、地球を守った歴戦の勇士達。
世界観や時系列なんて知ったこっちゃ無いと言わんばかりの総力戦であった!

科学特捜隊のジェットビートルが… ウルトラ警備隊のウルトラホークが…
怪獣攻撃隊MATのマットアローが… 超獣攻撃隊TACのタックアローが…
宇宙科学警備隊ZATのスカイホエールが… 宇宙パトロール隊MACのマッキーが…
GUTSのガッツウィングが… スーパーGUTSのガッツイーグルが…
XIGのXIGファイターが…CREW GUYSのガンフェニックスが…
日本各地で暴れるローゼンメイデンドールズ迎撃の為に発進する!
今や日本の運命は彼等の手にかかっているのだ。

その頃、富士山麓では第一ドール水銀燈が我が物顔で飛び回っていた。

「ジャンクー! ジャンクー!」

水銀燈は背から生える漆黒の羽を飛ばし、彼方此方を破壊していた。人間の民家のみならず、
富士山そのものや木々さえ切り崩し、焼き払う徹底的な破壊だった。防衛隊の迎撃部隊は
まだ到着してはおらず、人々は逃げ惑うばかり。だが、その中にあって逃げない者の姿もあった。

彼の名は藤宮博也。他の者達が散り散りになって逃げ惑う中、藤宮だけは一人
憎しみの目で水銀燈を見上げていた。

「これ以上地球が傷付けられているのを黙って見ているワケにはいかん。」

藤宮の腕に装着されたアグレイターが青き光を発した。

                   「アグルゥゥゥゥゥ!!」


     ::|      /..|
     ::|    ,,,,ノ  |:|
     ::|  /  ヽ |::| ヽ
     ::|  /ヽ__|.|:::||__ヽ      
     ::|-〈  __   .Y   ._`l_
     ::||ヾ||〈  ̄`.i,.|./ ̄.,|| |
     ::|.|:::|| 丶一-' |´ー.イ|/     ジェァァァァ!
     ::|.ヾ/.::.    .|   ./   
     ::|  ';:::::┌===┐./     
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./      
     ::| |.|ゝ:::::::`---´:ト、_ 
     ::| .|.|::::::::::::::_::::::::::|.|  .|.|⌒`ヽ
     ::|  |.|:::::::::/]ヽ:::::ノ/  //i   ヽ
     ::|  .|.|:::::丶V/::://  .//|ヾ:::::::::)
     ::|  .ヽヽ::::::::::::://  //ノ|、、  ::::〈

                 ウルトラマンアグル登場!

    説明しよう。藤宮博也は地球そのものが与えた海の青き光の巨人、ウルトラマンアグルに
    変身する事が出来たのだ。
96やっぱり夢じゃなかったんだ:2008/11/20(木) 10:33:13 ID:ly0UJuAd
「ジェァ!」
「ジャンクー! ジャンクー!」

アグルは飛び立ち、上空を我が物顔で飛びまわる水銀燈を追撃した。
瞬く間に始まるアグルと水銀燈の大空中戦。40メートルを超える巨大物体が超音速で大空を
飛び回り、数万トンの超重量物同士が激しくぶつかり合う。

それはもはや信じられない光景であった。航空力学的に飛行する事等不可能な巨大物体同士が、
戦闘機顔負けの超音速かつ急加速急旋回急制動を繰り返しながら激しい空中戦を行う。

「ジェァ!」
「ジャンクー! ジャンクー!」

大空での超音速空中戦を繰り広げながら、水銀燈は燃える刃物と化した羽を矢継ぎ早に発射し、
負けじとアグルもまた光のエネルギーを連続発射して行く。双方の実力はまさに互角だった。

「ジェァ!」
「ジャンクー! ジャンクー!」

そこでアグルと水銀燈双方が空中で激しくぶつかり合い、互いに絡み合いながら地面へ落下した。
物凄い轟音と共に大地が揺れる。そして、それぞれ起き上がったアグルと水銀燈は再度にらみ合う。
空中戦の次は地上戦が始まるのだ。

「ジャンクー! ジャンクー!」
「ジェァァ!」

水銀燈は翼の中から一本の剣を取り出した。アニメ版で使用された水銀燈の武器の一つだ。
それに対しアグルもまた光のエネルギーを右腕に集中し、光の剣アグルセイバーを発した。

「ジェァ!」
「ジャンクー!」

アグルと水銀燈。双方横に歩きながら互いに攻撃の機を伺う。これから始まる壮絶な斬撃戦が
熾烈を極める事は誰にも想像は難くなかった。

先に動いたのは水銀燈。超高速で振り下ろされる剣撃をアグルはアグルセイバーで払いつつ
突き返す。だが、それも水銀燈に回避され、再度水銀燈の剣撃がアグルを襲う。

地上での戦いにおいてもアグルと水銀燈の戦いは互角だった。
97やっぱり夢じゃなかったんだ:2008/11/20(木) 10:34:38 ID:ly0UJuAd
「ジャンクー!」

剣撃でもアグルを倒せない事に苛立ちを覚えたのか、水銀燈は背に生える漆黒の翼を伸ばし
竜を形作った。アニメ版にのみ登場し、原作者にはイマイチ受けが良くないが
ハッタリと威力は凄まじいと思われる必殺技である!

「ジェァ!」

決まった! 水銀燈の作り出した翼の竜の開かれた大口がアグルを捉え、噛み付いた!
しかもそれだけに終わらず。激しく振り回し始めたのだ。水銀燈の身体そのものが
大きく回転し、巨大に展開された翼の竜がアグルを振り回しながら噛み潰そうとする。

だが…水銀燈が並では無い様に、アグルもまた並では無かった。

「ジェァァ!」

アグルは右手から発したアグルセイバーで水銀燈の翼を切り落し、翼の竜から脱出した。
そして間髪入れず自身の光のエネルギーを両腕へ集中させ、水銀燈に狙いを付ける。

「ジェァァァァァァァ!!」

出た! アグル必殺のフォトンストリーム!
アグルの両腕から発せられた巨大な光の弾丸は、翼で防御する水銀燈の翼を焼き払いながら
水銀燈へ迫り…直後…水銀燈は木っ端微塵に粉砕された。

ウルトラマンアグルの勝利。誰もがそう思った時…信じられない事態が起こるのである。

「ジャンクー! ジャンクー!」
「ジャンクー! ジャンクー!」
「ジャンクー! ジャンクー!」
「ジェ…ジェァァ!?」

何と言う事か。倒したはずの水銀燈がアグルの前に現れたのだ。しかも一体のみならず…何体もいる。

そう。ローゼンはただドールズを蘇らせただけでは無かった。完成させたアリスとは別に、
アリスの露払いとするべくローゼンメイデンドールズの量産も行っていたのだ。
98やっぱり夢じゃなかったんだ:2008/11/20(木) 10:35:59 ID:ly0UJuAd
「ジャンクー! ジャンクー!」
「ジャンクー! ジャンクー!」
「ジャンクー! ジャンクー!」
「ジャンクー! ジャンクー!」
「ジェァ! ジュァ! ドゥァァァ!!」

水銀燈軍団はアグルを取り囲み、一斉攻撃が始まった。量産型とは言え、先のアグルとの
激闘を見て分かる通り…その力はオリジナルと寸分違わない。忽ちアグルは危機に陥る。

たった一体を相手にするだけでも精一杯だったと言うのに…一度に何体も相手に出来るはずも無い。
そして、アグルの胸のカラータイマーが赤に変わり、点滅を始めた。エネルギーが残り少ないのだ。

もはや絶体絶命。その時だった。突如として地割れが生じ、地面の中から何者かが現れた。

                /ヽ
               /:::::i: ヽ
             /:::::::::( ::: ヽ
           /~/ :::::::::::::::ヽ::: ヽ
          /~:::::_,,..:::::;;;;;:::::::::::::: > ギャオオオオ!!
          ヽ..ノ、..,,,ノ●);  :::::: ヽ
          /..,,::  :::::: :::::,-、::  ヽ
         Uii ii  ::::::::::::ノノニ )):;;;;::: >
         ‐-.,___,,...-イ/ :::::::;;;;;::::::: ヽ
          //     ヽ),,...-‐::;;;;;;;;;;;;;::: ヽ
          ((.,.ww, ノ/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::  U
          < ヽニニイ..,,:::;;;;;;;;;;;<;;;;;;;;;;;;:::::   >
         く  :::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;<;;;;;;;;;<;;;;;;;;;;::::    >

                 髑髏怪獣レッドキング出現!

ただでさえ量産されたローゼンメイデンドールズの日本各都市同時襲撃で大変だと言うのに…
さらに怪獣の脅威にまで晒されてしまえば…もはやどうにもならない。人々は誰もが絶望したが…

レッドキングが襲い掛かった相手はアグルでは無く、水銀燈だった…………

                     つづく
99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/25(火) 19:25:20 ID:vZ1SIZYt
以前ここに投下した自作SSを、保管していた場所があぼーんしますた。
どっか保管に都合の良いケータイ小説サイトはないでしょうか?
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/29(土) 21:03:37 ID:kBRRGMPT
フォトンストリームはガイアの超必殺技。アグルのはアグルストリームとフォトンスクリューだべ。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/14(日) 00:37:18 ID:9aKCFyug
スマソが>>56にこれを追加したいw
                 ぐ^7
           ,.、   , r、 ヽハ、                         人ノ゙ ⌒ヽ彡ミ)ミ彡)''"
           Vヘ /lぐ_ヽ、_V>-、__ _             ,,..、;;:〜''"゙゙ /;:" 从 ミ彡ミ彡)ミ彡,,)
         __V 'く,/ー-‐…ァ'~`゚'rn)´_vーゝ   _,,..、;;:〜-:''"゙⌒゙      /".,".    ヽ    彡"
         `…-、)ノヽ、ノシ| `ー/l!ト、'ヽ、 :゙:゙          \":; ..  '"゙      ミ彡)彡'
           r'^く _,ノヽハヽンノ,/  l `ー-'   , , `゙"''〜-、:;;,_    \;::       ),,ノ彡〜''"
         ,-ァヽ,イ),イ ノ^ヽハヽl  jl             ⌒`゙"''〜-、,,彡⌒''〜''"
        ,ぐ_(、>ヽ!//,ノノ'ヽlノヽ.ノリ                   从
  _    ぐ、l `V<_〉V//>'^ヽ)イ_,)ノ                   从从
,-く^ヽ`ヽ、  `Vヽ,.ヘ/三|//,〉ーく∧:.j」                   从从从
ヽ、\ヽヽヽ  `lヽ'´‐-/,/´ヘ∧:.Vハ/                    ,',´r==ミ、
  `ー,ヽ,ヾヾ\_,ノ…-7 /:ヽ.ヽVハ:〉j                       卯,iリノ。))〉
   !、 `ー…-' ,…/,_く.ヽ:.Vハ:.〉'/                  /`-|l〉l* 々゚ノlノ\ 
    `ー-.、  (  j,/`ヽVハ:,〉'_/                   レ´V|!/'i)卯iいVヽ!
       `…-V   ハ:〉´,-く                      ''y /x lヽ
       |ヽ,<    ノー'  ハ                      l†/しソ†|
       l V    /、    |                      lノ   レ
       V 〉-…'´  l  _,,」 ←火山怪鳥バードン
        V/     _,>~ 'くー、
        レ'      ̄'ー―…'ー`

>>100
事前に色々確認して作ったつもりだったのに…ミスっていたとは…スマソ
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/30(火) 08:54:50 ID:823AC17i
ほしゅ
103名無しさん@お腹いっぱい。:2009/01/25(日) 11:06:30 ID:hNr/e4Rx
終了?
104名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/01(日) 11:55:02 ID:kcO/gur2
書き手さんカムバック!
105名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/01(日) 15:17:42 ID:v9mtiklr
SSその他の重要データが入ったPCがおじゃんになってしまった
復旧するのに少々の金と時間がかかる。だから外部に残しておけとあれほど
みんなそんなちょっとした都合があって来れないだけだろう
106名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/04(水) 21:28:24 ID:NpP9DNUY
エロパロから拾ってきた(こっちはエロ無し)
ttp://s2.muryo-de.etowns.net/~shotatozi/kituenniban.html
107名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 15:04:42 ID:jpe2YfiP
雛苺「ジュンのぱそこん壊しちゃったの…どうしよう」

ニュッ

雪華綺晶「こんにちは、桃薔薇のお姉さま」

雛苺「うわ! きゅ、急にぱそこんから出て驚かさないで欲しいの…そうだ!」

雪華綺晶「?」

雛苺「あのね、雪華綺晶にお願いがあるの」

雪華綺晶「なんでしょうか? 私に出来ることがあるなら」

雛苺「それはね…」
108名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 15:06:48 ID:jpe2YfiP
ジュン「さぁ〜って今日も通販♪通販♪ あ、あれ? 電源が…」

ヴィィィーーーン

雪華綺晶「始めまして。私はパソコンの精 WINDOWS KIRA☆ です」

ジュン「うわっ!? な、なんだお前…」

雪華綺晶「いつも大事に使ってくれてありがとうざいます。
     今日はあなたに恩返しがしたくて、ここに出てきたのです」

ジュン「パ、パソコンが喋るなんて馬鹿なことがあるか!」

雪華綺晶「あなたの周りの人形も喋ってるじゃありませんか」

ジュン「それもそうだな」

雪華綺晶(理解早ッ!)
109名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 15:08:00 ID:jpe2YfiP
ジュン「で、恩返しって何をしてくれるんだ」

雪華綺晶「…命令してくだされば、あなたの代わりにパソコンを操作して差し上げますわ」

ジュン「はぁ? 音声操作ってことか?」

雪華綺晶「そうです」

ジュン「じゃ、通販サイt…」

雪華綺晶「売り切れです」

ジュン「早っ! …ってまだ何を買うのかも言ってないぞ!」

雪華綺晶「 売 り 切 れ で す 」

ジュン「…」
110名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 15:17:38 ID:jpe2YfiP
ジュン「ちぇ、じゃあニコニコ動画で面白い動画見せてよ」

雪華綺晶「ニコ動ですか。今は初音ミクが旬ですね」

ジュン「…(もう、ミクのブームなんて過ぎ去ってるよ!)」

雪華綺晶「面白そうなのがありました」

ジュン「おっ! 何々?」

雪華綺晶「レッツゴー! 陰陽師」

ジュン「…(これも今更なネタだなあ…)」

雪華綺晶「ドーマン! セーマン! ドーマン!セーマン!」

ジュン「お前が歌うのかよ!」
111名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 15:47:41 ID:jpe2YfiP
雪華綺晶「みんなのヒーロー 陰・陽・師! 成仏しろよ …ふぅ、如何でした?」

ジュン(…すごく満足気だし)

ジュン「もうニコニコはいいよ。えっちなサイト見せて、えっちな」

雪華綺晶「え…」

ジュン「何だよ。さっきみたいにお前が歌うみたいにすればいいだろ」

雪華綺晶「でも…」

ジュン「僕に恩返しするって言うのは嘘なのか?」

雪華綺晶「わかり…ました」

シュルシュル…

ジュン「…」ゴクリ…
112名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 15:49:35 ID:jpe2YfiP
のり「ただいまー」

ジュン「げっ! ねえちゃん!?」

ガチャッ

のり「遅くなってごめんねー。今ご飯の準b…ジュ、ジュン君…」

ジュン「ち、違うんだ。これは…」

のり「…ジュン君ってロリコンだったのね…」

ジュン「ち、違う…」

のり「…真紅ちゃん達に手を出さないうちにお姉ちゃんが矯正してあげるから…」

ジュン「ね、姉ちゃん…?」

のり「…」

バキバキバキゴガァグギィズギャァッッ!!

ジュン「ぎゃぁああああああああああああああ…」
113名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/06(金) 15:52:48 ID:jpe2YfiP



雛苺「うゆーまた、ぱそこん壊しちゃったの…」

バサッ バサッ

水銀燈「あ〜ら、ご機嫌如何? おチビさぁん」

雛苺「あっ、水銀燈…そうだ!」



                          おわり
114名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 10:42:06 ID:2dtD8cfC
>>107
乙。OSきらきーたんか
115名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/08(日) 13:06:48 ID:0HsjjYju
6スレ以降のまとめどっかにねぇんですかあ?
116名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 09:20:44 ID:LG/9YQiO
カナたんが大活躍するSSキボン
117名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 21:10:18 ID:oWfGzqMJ
こないだ見たら、まとめ自体が死んでたぞ
118名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 22:47:30 ID:egSgW+QQ
>>113
面白かったよ。ユッキー可愛いよユッキー。
>>117
まとめのアドレス変わってる。詳しくはエロパロ版へ行け。
119名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/09(月) 23:30:48 ID:ZhQYjnkd
6スレ目以降のまとめ無いとかどういうことなのジュン!
私は早く6スレ目以降の良作たちを堪能したいのだわ!
120名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/14(土) 12:00:07 ID:gwRIYR7p
なければ作ればいいじゃない
121名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/15(日) 18:01:56 ID:32xnVIIf
私信
前スレ390さん、Gmail please
122名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/16(月) 18:40:48 ID:QQxMknoC
おおおおお、進んでいるのか
いち読者として期待
123名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/20(金) 20:28:18 ID:lXyJCcpF
>>121
390です。訳あってメールアドレスを変更してるんですが届いてませんか?
124水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/25(水) 23:15:50 ID:2QV/RAWl
(ここは・・・)

(憶えているわ お父様の工房 わたしたちが生まれた場所・・・)

ローゼン「水銀燈、起きているかい?」

金糸雀「お父様、この方が?」

(・・・金糸雀 そう、もう起きられるのね・・・)

「そう、君の・・・だよ みんなご挨拶なさい」

翠星石・蒼星石「はじめまして」

真紅「・・・はじめまして」

(みんなも・・・)

雛苺「お父様、この方も『アリス』となる方なのですか?」

ローゼン「いいや、違う」

(え?)

ローゼン「彼女はアリスにはならない。なってはいけない」

(・・・うそ・・・)

ローゼン「なぜなら、彼女は―」
125水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/25(水) 23:32:49 ID:2QV/RAWl
―廃教会―

水銀燈「・・・また、あの夢」

ヒュゴォォォォ

水銀燈「最近、またよく見るようになったわね。忌々しい・・・」

バタン バタン

(真紅「お父様の失敗作の癖に、お姉さま面するんじゃないのだわ! このジャンク!」)

水銀燈「・・・ふん。目が冴えちゃったわぁ。月も綺麗だし、夜の街でも眺めにいきましょうか」

バサ バサササ



バダン!!!

蒼星石「水銀燈!」
126水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/25(水) 23:48:48 ID:2QV/RAWl
水銀燈「あらぁ? ノックもせずにごあいさつねぇ」

蒼星石「黙れ!お前、性懲りもなくまた翠星石に・・・」

クスクス

蒼星石「! こ、この・・・!」

水銀燈「ふふ、ごめんなさぁい。あの子、ほんっとうにわかりやすいわねぇ」

蒼星石「今度はいったい何を吹き込んだんだ!!」

水銀燈「吹き込むなんて、人聞きが悪いわねぇ。 一般論よぉ?」

ジャキンッ! 

水銀燈「あらぁ、乱暴ねぇ」

蒼星石「そうやって、どれだけ僕たちを引っかき回せば気が済むんだ!」

水銀燈「私は言うべきことを言ったまでよぉ? あの子、この間ジュン君におイタしたでしょう?

蒼星石「それだって、元はお前がそそのかしたんじゃないか!」

水銀燈「わたしは『ジュン君の気を惹きたいのなら、積極的にならなきゃダメ』って言っただけよぉ」
127水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 00:08:19 ID:2rx2nv11
水銀燈「そうしたらあの子、あなたたちに黙って裏でこそこそ出し抜こうとしたわよねぇ」

水銀燈「ジュンの心の樹を弱らせて、献身的な介抱を演じてみせて」

蒼星石「全部お前のせいじゃないか!」

水銀燈「あの子もそう思ってたみたいだから言ってやったわ。『やるんなら堂々とやれ』って」

バサ バサササ

水銀燈「『ジュン君に好かれたい、けれど誰にも嫌われたくない』」

水銀燈「『かといって両方かなえるために茨の道を歩く気もなく、お手軽に済ませようとする』」

水銀燈「『そんないやらしい根性だから、あんな姑息な手を使うことになるのよ』ってねぇ」

ジャジャッキキン!!!

水銀燈「あらあら。ほんとうにお行儀が悪いんだから」

蒼星石「言い方ってものがあるだろう!」

蒼星石「あの子は、自分のローザミスティカを抜き取ってジュンの心の樹の根元に埋めようとしたんだぞ!!」

バサ バサ バササササササ

水銀燈「やらせてあげればよかったじゃなぁい。いい薬よぉ」

蒼星石「待…待てっ!」

バサササササササ

水銀燈「『お花もあまり大事にしすぎると、ちょっとしたことですぐ枯れるようになる』」

水銀燈「あなたたちが言ってたことだったわよねぇ?」

ヒュゴォォォォォ




蒼星石「く…」
128水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 00:24:38 ID:2rx2nv11
水銀燈「…月が綺麗」

ヒュオオオオオ

水銀燈(「街の灯りも…」)

ビュヒュウウウウウ

(蒼星石「全部お前のせいじゃないか!」 )
(翠星石「翠星石は悪くないですぅ!みんな水銀燈が悪いんですぅ!」)

水銀燈(人のせいにするのもいいけれど―)

水銀燈(いつか必ず、誰のせいにもできない事が起こる)

ヒュヒュヒュ フォォォォォ

水銀燈(その時までに、ほんのちょっとでも強くなっておきなさい)



水銀燈「…体が冷えちゃったわぁ そろそろ帰って寝ちゃいましょう」
129水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 00:35:39 ID:2rx2nv11
―ジュンの家―
ジュン「…zzz」
翠星石「…くー…くー…」


カタン


水銀燈(…まぁ、涙でぐちゃぐちゃの顔をぬぐいもせずに)

水銀燈(ジュンのパジャマまでぐちゅぐちゅにしちゃってまぁ)

水銀燈(あの分だと、寝るまでにだいぶジュンに手間をかけさせたようねぇ)

翠星石「すー…すー…」
ジュン「?…」




ジュン「…気のせいか」
翠星石「ん…ジュン…?」

ジュン「ん、大丈夫だよ。どこにも行かないよ」
翠星石「…ありがとですぅ」


バサ バサササササ 

水銀燈(ジュン、ありがとうね)
130水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 00:58:56 ID:YdyyO8e5
とりあえず寝る。
続き書くかどうかは起きてから決める。
131水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 19:57:54 ID:02dnQeAo
(…ここは…また、いつもの夢?)

ローゼン「目が覚めたかい」

(お父様…)

金糸雀「お父様 私は何をすればよろしいですか」

ローゼン「そうだね、みんなを連れて外で遊んでおいで」

金糸雀「わかりました」

パタン トトトト

ローゼン「…かわいい私の娘たち」

ローゼン「けれど まだ『心』を持たない」

(…こころ?)

ローゼン「人がなぜ『心』を持つのか そもそも『心』とは何なのか」

ローゼン「私は なにもわからないまま お前たちに『心』を持たせようと大それた事を考えている」

(…お父様?)

ローゼン「私はそのために お前を造った」

ローゼン「お前は『???』になるんだ」

(…私が?そんな…)

ローゼン「きっとお前には 辛い想いをさせると思う」

ローゼン「けれど信じておくれ 私は本当に 本当にお前たちのことを…」
132水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 20:06:34 ID:02dnQeAo
―廃教会―

水銀燈「…やっぱり、夢」

ヒュォォォ ビュルルル

水銀燈(いつものとは、すこし違っていたようだけど)

水銀燈(なんだか、どんどん鮮明になっていくようだわぁ)

水銀燈(なのに 肝心なところがわからない お父様の顔も 言葉も)

水銀燈(何なのよぉ このもどかしさは…)

「あぁ、イラつくわねぇ…」

バダンッ!!

ジュン「水銀燈っ!」
133水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 20:15:39 ID:02dnQeAo
ジュン「やっぱり…やっぱりお前かっ!」

水銀燈「…こんな朝っぱらから、今度はなによぉ レディの寝起きを襲おうだなんて」

ジュン「黙れっ!! 」

水銀燈「黙るのはそっちよぉ たった一人でいきがっちゃって、人間ごときが…」

水銀燈「…って、真紅はいないのぉ?翠星石は?」

ジュン「とぼけるな! お前の仕業だろう!」

ビシュシュシュ

ジュン「わっぷ!?」

水銀燈「目を潰されなかっただけありがたく思いなさぁい」

ジュン「ほまへ、ほまへばんが…」




水銀燈「…ねぇ、ほんとうにいったいなんなのよぉ??」
134水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 20:24:04 ID:02dnQeAo
水銀燈「…これは、いったいどういうことなのぉ?」

ジュン「ボクが知るもんか…! 今朝になったら、みんな倒れていたんだ」

ジュン「真紅も翠星石も、雛苺も。それだけじゃない」

ジュン「電話して聞いてみたら蒼星石も、金糸雀も…」

水銀燈「それで、わたしだけが無事だったからぁ?」

ジュン「どう考えたって、それしかないじゃないか!」

スッ スススス

ジュン「! 真紅に触るなっ!」

バシュッ!

ジュン「うぇっ」

水銀燈「…ローザミスティカは、体の中にはないようねぇ…」
135水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 20:34:38 ID:02dnQeAo
ジュン「ぐ…よくもぬけぬけと…」

水銀燈「…ねぇ、頭をすこし冷やしたらぁ?」

水銀燈「もしもわたしがみんなのローザミスティカを抜き取ったんなら、今頃この街にはいないわよぉ」

水銀燈「ましてやこうやってここに来る理由なんてほんとに無いわぁ」

ジュン「それは…ボクをごまかそうとして…」

水銀燈「あなたをごまかす必要なんてどこにあるのぉ? わたしを止めるために何かできるのぉ?」

ジュン「…」

水銀燈「うふふ。そこまでしょげなくてもいいわよぉ …もう少し詳しい話を聞かせてくれるぅ?」

ジュン「…なんだって?」

水銀燈「わたしがみんなのローザミスティカを探すって言ってるのよぉ」
136水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 20:52:13 ID:02dnQeAo
ジュン「…嘘だ!」

水銀燈「嘘じゃないわよぉ」ニコッ

ジュン「…そうだ、探すって言ってローザミスティカをひとり占めする気だろう!」

水銀燈「あら、わたしが盗ったんじゃないってことは信じてくれたのぉ?」

ジュン「そ、それは…」

水銀燈「まぁ、わたしがもらっちゃってもいいんだけれどねぇ」

ジュン「! やっぱり、お前!!」

クスクスクス

水銀燈「まぁ、お聞きなさい。…たまには紅茶でもいれてあげるからぁ」

ジュン「…お前が?」

カチャ カチャ カタン 

水銀燈「…わたしたちは永い永い間、アリスゲームをほんとうに恨みっこなしでやってきたわぁ」

水銀燈「潰しあい、騙しあい、それこそありとあらゆる手段を使ってねぇ」

コト コポポポポ

水銀燈「けれどそれは、わたしたち姉妹の間だけでの話よぉ」

ジュン「…どういう意味?」

水銀燈「砂糖とミルクはいるぅ?」

ジュン「…一杯ずつ」
137水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 21:16:08 ID:02dnQeAo
水銀燈「もしも、わたしたちと何のかかわりも無い第三者が、わたしの妹たちを狙ったとしたらぁ…」

コク コク コク  カタン

水銀燈「わたしはそいつらを迷わず叩き潰すわ かけがえのない妹たちを守るために」

ジュン「…」

水銀燈「ふふっ、難しかったかしらぁ?」

ジュン「…そんなのおかしいよ」

水銀燈「なぜぇ?」

ジュン「そんなに大事な妹たちと、なんで争いあうんだい?」

クスクスクス

水銀燈「おかわりいるぅ?」

ジュン「…いらない」

水銀燈「すねないでよぉ 可笑しかっただけなんだからぁ」

ジュン「何がだよ」

水銀燈「人間たちだって、姉妹でも兄弟でも、親子でも殺しあってるじゃなぁい」

ジュン「え? そ…それは違うよ」

水銀燈「一緒よぉ」

コポコポコポ

水銀燈「いえ…むしろ、血のつながりがあるからなお憎らしくなるのかもしれないわねぇ」

ジュン「…」

水銀燈「でも、憎しみも争いもすべて含めて―」

水銀燈「それらはわたしたち姉妹の『絆』なのよぉ」

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「それらを土足で侵そうとする輩には、姉として一切容赦はしないわ」




ジュン「…わかったよ」
138水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/26(木) 21:37:06 ID:02dnQeAo
水銀燈「うふふ ようやく素直になったわねぇ」

ジュン「…お前の言葉は信用できないけれど」

ジュン「お前が『わたしの妹たちを守る』って言ったときの、あの顔」

水銀燈「顔?」

ジュン「あの顔は、嘘じゃないと思う」

ジュン「…のりが本気で怒ったときの顔と似てたから」



(ローゼン「お前は『???』になるのだ」)



ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「…あ、ありがとうねぇ、信じてくれて」

水銀燈「とりあえず、心当たりをあたってみるわぁ」

ジュン「あるのか?!」

水銀燈「えぇ。とりあえず、こういう悪戯をしそうな末っ子に聞いてみるわぁ」

水銀燈「けれどあの子の仕業ならアリスゲームのうちだから、ローザミスティカはもらっちゃうかもねぇ」

ジュン「水銀燈!」

???「その必要はありません」

水銀燈「…お前は!」



ラプラスの魔「雪華綺晶も機能停止中。アリスゲームは一時中断です」
139水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/27(金) 23:23:56 ID:8tIhOkny
ジュン「ラプラスの魔が現実世界に…!」
水銀燈「そうなのぉ。 お前の仕業とはねぇ…!」


ラプラスの魔「おふたりとも誤解してらっしゃる」

ラプラスの魔「私は、ゲームの中断のお知らせと再開の方法を伝えに来たのです」

ラプラスの魔「とりあえずこれをご覧なさい」パチン


ジュン「…なにこれ、水晶球?いや、丸い水槽?」
水銀燈「真ん中に浮かんでるのは…土くれ? これが何だというのよぉ?」



ラプラスの魔「これが、あなたの妹たちのローザミスティカです」


ジュン「な…?!」
水銀燈「ふ、ふざけないでぇ! こんなものが…!」

ラプラスの魔「生命と精神の結晶、ローザミスティカ。偉大なるローゼンの、もっとも貴重な発明品」

ラプラスの魔「しかし神ならぬ人の手により造られたものである以上、寿命というものが存在するのです」

ラプラスの魔「今はまだかろうじて機能していますが、このままではいずれ土に還るでしょう」

ジュン「ちょっと待て! お前の言うことが本当なんだったら…」
水銀燈「なぜわたしのローザミスティカは無事なのよぉ。おためごかしも大概になさいよぉ…!」

ラプラスの魔「単純なことですよ。そういう仕組みなのです」

水銀燈「・・・どういう意味ぃ?」

ラプラスの魔「ローゼンメイデンの結晶は寿命が近づくと、あなたに組み込まれているもの以外の機能を一時的に停止させて永らえるのです」



ジュン「なん…だって…?」
水銀燈「…どういう…ことなのぉ…?」



ラプラスの魔「あなたは特別な存在なのですよ、水銀燈」
140水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/27(金) 23:45:34 ID:8tIhOkny
ヒュルルルル ビュゴォォォ

ラプラスの魔「…私の説明は以上です」

ジュン「水銀燈に、そんな役割が…」

ラプラスの魔「何か質問はございませんか?」

水銀燈「…ふ、ふざけるんじゃないわよぉ!」
水銀燈「そもそも、なんでお前がそんなことを知っているのぉ?!」
水銀燈「そして、なぜそれをわざわざ教えるのぉ?!」

ラプラスの魔「あなたのお父様との約定です」
ラプラスの魔「いや、取引と言うべきでしょうか」

ジュン「取引・・・?」

ラプラスの魔「私も『結晶』を持っているのですよ」

水銀燈「な…なんですってぇ?! それじゃぁお前は…?!」

ラプラスの魔「私はローゼンの作品ではございません」

ラプラスの魔「ローゼンはしがない自動人形だった私に、知恵の結晶を与えてくれたのです」

ラプラスの魔「あなたたち姉妹に言伝をする役割と引き換えにね」

ジュン「…おまえの結晶には、寿命は来ないのか?」

ラプラスの魔「私は自身の結晶なら修復することはできます」

ジュン「なら、みんなの結晶も…!」

ラプラスの魔「知恵の結晶は小手先で治せますが、生命と精神の結晶は無理です」

ラプラスの魔「いかな錬金術であろうと、無から生命は造れないのです」

ジュン「…それじゃあ」

ラプラスの魔「いま申し上げた方法しかございません」
ラプラスの魔「その土くれと化した結晶を取り込んだときがはじまりです」
ラプラスの魔「ご自身の覚悟はもちろん、周りの方々ともよく相談することをお勧めしますよ」

ラプラスの魔「それではごきげんよう 幸運を祈ります」

水銀燈「ま、待ちなさいよぉ! 待って…」


フシュルルルル


ジュン「…」

水銀燈「…これって、いったい…どういうことなのよぉ…」
141水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/28(土) 00:23:33 ID:cfA1G7WV
―有栖川大学病院―

巴「そんなことが…」

みつ「…」

柴崎「にわかには信じがたい話だのぉ」

ジュン「確かに、そうです」

ジュン「でも、ほかには何の手がかりも無いんです」

水銀燈「…」



(ラプラスの魔「時とともに衰え、朽ちていく結晶」)

(ラプラスの魔「水銀燈にはその結晶を修復する機能が備わっています」)

(ラプラスの魔「貴女の腹部パーツは欠けているのではありません」)

(ラプラスの魔「その部位こそ、結晶の修復が行われる御座なのです」)



めぐ「それじゃあ、ここにローザミスティカを収めればいいの?」ガバッ

水銀燈「や、やめてよぉめぐ!」

ジュン「…そうはいかないんだ」


(ラプラスの魔「結晶を再生するためには、膨大な生命と精神のエネルギーが必要になります」)

(ラプラスの魔「しかも、それはひとりの人間から与えられなくてはならないのです」)

(ラプラスの魔「必要量を短時間で集めようとすると確実に死に至ります」)

(ラプラスの魔「そして、量だけではなく質の問題もあります」)

(ラプラスの魔「弱った体、荒んだ心からは結晶の成長を阻害する不純なエネルギーしか採取できないのです」)


ジュン「つまり、ひとりのパートナーが長期間にわたって水銀燈にエネルギーを少しずつ与えていかなくてはならないんだ」

のり「それって、もしかして…」

みつ「…入籍??」
142水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/28(土) 00:37:48 ID:cfA1G7WV
ジュン「…そ、それだけじゃない」

(ラプラスの魔「パートナーとして選ばれた人間は、まず水銀燈と特殊な契約を交わします」)

(ラプラスの魔「これは通常の契約とは異なり、任意に解除することができません」)

(ラプラスの魔「契約が終了するのは結晶が完成するか、いずれかの死・消滅によってのみです」)

めぐ「死がふたりをわかつまで…ロマンティックが止まらないわ」

水銀燈「めぐぅ…」

ジュン「そ、それから…」

(ラプラスの魔「契約が成立したら、結晶を腹部に定着させる作業に移ります」)

(ラプラスの魔「この作業がもっとも契約者のエネルギーを消費します」)

(ラプラスの魔「契約者は水銀燈に密着して、結晶が定着するまでエネルギーを与え続けなければいけません」)

みつ「しょ、初夜よ! まちがいないわ!!」

ジュン「(言うと思った…)」
143水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/28(土) 00:53:12 ID:cfA1G7WV
(ラプラスの魔「結晶が定着すると、水銀燈の能力はすべて結晶の再生に向けられるようになります」)

(ラプラスの魔「戦闘はおろか、普通に動くのも難しいくらいになるでしょう」)

(ラプラスの魔「その状態の水銀燈に、契約者が継続的にエネルギーを分け与えていかなくてはなりません」)

(ラプラスの魔「修復中のの結晶はエネルギーの補給が断たれると急速に劣化するのです」)

(ラプラスの魔「1日3回から5回は必要になります」)

めぐ「期間はどれくらいになるの?」

ジュン「契約者によって個人差があるっていってたけど…短くても3ヶ月、長いと半年だって」

ジュン「長すぎても母体がもたない、とも言っていた」

ジュン「そして、結晶が完成すると…」

(ラプラスの魔「完成した結晶は、ふたたび7つに割れて排出されます」)

(ラプラスの魔「このときは契約者のエネルギーは必要としませんが、母体には多大な負担がかかるでしょう」)

みつ「出産よ! 女体の奇跡よ!!」

ジュン「(まったくもう…)」
144水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/28(土) 21:45:09 ID:hhnHAVKn
ジュン「(でも、あながち間違ってはいないんだ ラプラスの魔が言っていた)」

ジュン「(ローゼンは結晶に『心』を与えるために、生命の誕生を意識してなぞるようにしたと つまり…)」

ジュン「そして、肝心なことがひとつ」

めぐ「…予想はできるけど」

ジュン「たぶん、それ正解だよ」



ジュン「契約者は男性であることが絶対条件なんだ」



みつ「ジュン君、おめでとう!」

ジュン「…いや覚悟はしてましたけど」

めぐ「仕方ないわよ。柴崎さんはお年だし、他にこんなことを引き受けてくれる人なんていないわ」

巴「ひどい言い方だけど、ジュン君はいま学校にも仕事にも行ってないんだし」

ジュン「ほんとにひどいよ」

みつ「のりさんにも大変なことをお願いすることになるけど…」

のり「気になさらないでください、みんなのためですもの」

柴崎「ふたりのお世話、金銭的なことなどはできるだけお手伝いさせてもらうよ」

めぐ「水銀燈、あなたはどうなの?」




水銀燈「…気持ちだけ受け取っておくわぁ」
145水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/02/28(土) 22:02:48 ID:2OztxJmi
めぐ「…なに言ってるの、水銀燈?」

水銀燈「みなさんの申し出はほんとにありがたいのだけれど」

水銀燈「やはりこれは、わたしたち姉妹の問題」

水銀燈「他人の手をわずらわすものではないわぁ」

ジュン「…む、無茶だよ水銀燈」

水銀燈「あなたもお気楽にその気にならないでぇ」

水銀燈「あなたなんかのエネルギーで結晶を修復したら、お父様に顔向けできないわぁ」

めぐ「…水銀燈!」

バサ バサササササ

水銀燈「…しばらく、ひとりにさせてちょうだぁい」

バサ バサバサバサササ 
146名無しさん@お腹いっぱい。:2009/02/28(土) 22:47:47 ID:vlyT7u6P
>>145
面白い…!
しばらくぶりに傑作の予感。
147水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 07:13:51 ID:33DL4TDT
>>146
ども。まとめられるかわかりませんが完走目指してがんばります。


ジュン「水銀燈…」

みつ「…仕方ないわ。マリッジブルー…いえマタニティブルーかしら」

めぐ「あとで私が、彼女と話をしてみます。それよりもジュン君」

ジュン「はい」

めぐ「改めて聞くけど、本当にまかせて大丈夫?」

ジュン「…」

柴崎「君を軽んじるわけではないが、話を聞いただけでもなまなかなことではなさそうじゃぞ」

みつ「たぶん、母体…水銀燈の体調や精神状態も管理しなきゃならないんだろうしね」

ジュン「…」



ジュン「正直に言うと、怖いです」
148水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 07:14:26 ID:33DL4TDT
巴「ジュン君…」

ジュン「うまくいくのかどうか、ボクにできるのか」

ジュン「水銀燈の気持ちはどうなのか」

ジュン「なにひとつ自信なんて無いです」

のり「…ジュン」

ジュン「やらなきゃならないってことはわかるし、やりたいとも思うんだけど」

ジュン「逃げ出したいって気持ちもどこかにあります」

みつ「正直すぎるわよ」

ジュン「だから…」

ガバ

ジュン「どうか、みなさんの力を貸してください!」

のり「ジュン。それはあなたひとりがすることではないわ」

のり「わたしからもお願いします。なにとぞ、どうか」

めぐ「ジュン君、それでいいのよ」

めぐ「あまりに安請け合いするようだったらなにか言ってやろうと思ったけど」

めぐ「『逃げだしたい』なんて言ったあなたなら、きっと水銀燈がひとりになりたくなった気持ちもわかるだろうから」

ジュン「めぐさん…」

めぐ「水銀燈はきっと説得してみせる」

巴「私たちも、身の回りの世話くらいなら交代してやるわ」

のり「みなさん、くれぐれもよろしくおねがいします」

柴崎「水臭いことを言いなさるな。私たちは、あの子達に結び付けられた家族のようなものじゃないか」




ジュン「…ほんとうに、ありがとうございます」
149水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 19:39:41 ID:/W/spNeG
―公園―

キィコ キィコ

水銀燈「…」

カァ カァ

水銀燈「(もう夕暮れ…)」

キィコ キィコ

母親「みんなー、もう帰るわよー」

子供「えー、やだぁ。まだ遊ぶんだもん」


水銀燈「(…親子…)」


母親「そんなこと言ってると晩ごはんのハンバーグ、ママが食べちゃうぞ〜」

子供「えーっ?やだぁ〜」


(雛苺「きょうは、はなまるハンバーグの日なの!」)


母親「だったら、いっしょに帰りましょ?」

子供「はーい」


カァ カァ 

キィコ キィコ



(「いつか必ず、誰のせいにもできない事が起こる」)


水銀燈「…やらなきゃ」

水銀燈「泣き言なんて言ってられない」

水銀燈「私が、みんなを助けてみせる」



バサ バサバサバササササ
150名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/01(日) 19:43:35 ID:Ak5pOhjX
水銀燈&蒼星石 対 真紅&翠星石

水銀燈「(ん〜…、真紅の捨て牌見る限りは上の三色なんだけど…でもここ数順…)」
翠星石「ちょっと、水銀燈っ なにしてるですかっ さっさと捨てやがれですぅ!」
水銀燈「っ、るっさいわねぇ…今切るわよぉっ(ピシッ!)、リーチ!」(カランカラン!)
紅、翠、蒼「!」

蒼星石に目配せをする水銀燈…

蒼星石「(オーケー…じゃあ僕も…)(ピシッ!)…、リーチ!」(カランカラン!)
翠・紅「っ!」
水銀燈「くすくす…うふふふふ…モタモタしてるとあがっちゃうわよぉ…?」
真紅「ふんっ…、リーチしたからってあがれるとは限らないのだわ」

しかし真紅ムダヅモ… 手は進まずイーシャンテン

真紅「くっ…(ピシ)」
翠星石「(ツモ切りですか…明らかに劣勢ですよ…真紅)」

形勢はわかってもツモが悪ければどうしようもない…
それを表すかのように翠星石のツモもムダに終わる…
こちらも手は進まずリャンシャンテン

翠星石「(うぅぅ〜っ)(ピシ)」

苦しい、厳しい展開の真紅&翠星石ペア
そして水銀燈のツモ番…

水銀燈「くすくす…あぁら、ざんねぇん…(ビシィッ!)」(強打)

水銀燈、一発ならず!

翠星石「(おどろかすなですぅ、まったく…)」
真紅「(まあ、所詮そんなものよ)」

しかし安心したのもつかの間、蒼星石のツモ番…

蒼星石「ん!…」
水銀燈「んん?」

水銀燈をチラッと見た後、蒼星石 宣言―――。

蒼星石「カンっ!(バララ…)」
銀、紅、翠「!!!!」

ここで蒼星石、後方支援の暗カン!
暗カンのカタチを卓に示しリンシャンツモへ――――。

水銀燈「(乗る、乗るのぉ?ドラが!新ドラが!)」
翠星石「(の、乗るなぁ〜〜〜 ですぅ〜〜!!)」
真紅「(い、いくらなんでも…そんな都合のいいことが…(汗))」
151水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 20:06:55 ID:/W/spNeG
―廃教会―

バサササササ ストッ

水銀燈「(…すっかり遅くなっちゃったわぁ。もう、真っ暗)」

ギギギィ

水銀燈「(おなかもすいちゃったけどぉ… いいわ、寝てしまいましょう)」

コツ コツ

水銀燈「…今日はもう、めぐのところに行く気がしないわぁ」

ガチャリ

めぐ「そう言うだろうと思ったわ」

水銀燈「なっ…?!」

めぐ「立派なベッドねぇ」ボフンボフン

めぐ「ダブルベッド並みの大きさで、あとこれって…天蓋っていうのかしら?」

めぐ「お姫様のベッドみたい。ロマンチックねぇ〜」

水銀燈「…何しに来たのよぉ」

めぐ「別にぃ」ボフンボフン

水銀燈「…看護婦が巡回に来るわよぉ」

めぐ「抜かりはないわ」
152水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 20:07:32 ID:/W/spNeG
―有栖川大学病院―

看護婦「検温の時間ですよ」

???「…」

看護婦「柿崎さん、お布団にくるまってないで…」

ブン ガチャン!

看護婦「きゃっ?!」

???「…もう誰も来ないでぇ!」

看護婦「…し、仕方ないわね…」

コツコツコツ バタン 




???「…ううう…」



のり「バレたらどうしよう…こわいよ…」
153水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 20:20:48 ID:/W/spNeG
―廃教会―

水銀燈「…無茶するわねぇ」

めぐ「認めるけど、あなたに言われるのは心外ね」

ゴロンゴロン

めぐ「未婚の母になろうって言うんだから」

水銀燈「…そういう話じゃないわよぉ」

めぐ「だってそうじゃない。ひとりでやれるって保証でもあるの?」

水銀燈「…」

めぐ「誰かにすがるってことが、そんなに嫌なの?」

ゴロン

めぐ「…嫌でしょうね。よくわかるわ」

水銀燈「…」

めぐ「私は生まれたころから、ずっと誰かの世話になって生きてきた」

めぐ「今でもそう」

ゴロンゴロン

めぐ「誰の手も借りたくないけど、誰かの手がないと生きられない」

めぐ「…本当に嫌になるよね」

ゴロンゴロン
154水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 20:30:21 ID:/W/spNeG
めぐ「それでも結局は―」

ガバッ

めぐ「どっかで開き直っちゃうしかないんだよね」

めぐ「なにひとつ思うがままにならないまま、それでも生きていこうと思ったらさ」

水銀燈「…」

コツ コツ コツ

ポフン

水銀燈「そんなの、わかってるわよぉ」

めぐ「…」

水銀燈「ずっと覚悟も積み重ねてきたわぁ。それでも…」

めぐ「…それでも?」
 
水銀燈「…怖いのよぉ」

めぐ「何が怖いの?」

めぐ「人にすがること? 力を失うこと? それとも、死ぬかもしれないこと?」

水銀燈「…わからないわぁ」
155水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 20:41:28 ID:/W/spNeG
水銀燈「…怖いことがいっぱいありすぎて、考えがまとまらないのよぉ…」

めぐ「ジュンくんもそう言ってたわ。怖いって」

水銀燈「…ジュンが?」

めぐ「もう少ししたら、彼、ここに来るわよ」

水銀燈「?!」

めぐ「怖いことがいっぱいあるっていうんなら、全部吐き出してぶつけてみたら?」

めぐ「それで愛想をつかされるんなら、はなっからうまくいくはずないんだから」

水銀燈「ちょ、ちょっと、そんなぁ…」

めぐ「それじゃ、私は帰るわね」

めぐ「あと、最後に」

ギュッ

水銀燈「め…めぐぅ?」

めぐ「たとえ結果がどうなろうと」

めぐ「私はずっと、あなたの味方」

水銀燈「…」

めぐ「もしもうまくいかなかったなら」

めぐ「あなたと一緒に死んであげる」




水銀燈「…馬鹿なこと、言わないでよぉ」

水銀燈「わたしがしくじるはずないじゃなぁい」

めぐ「…そうね。きっと、大丈夫だよね」

めぐ「じゃあね…」
156水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 20:56:42 ID:/W/spNeG
コツン コツン コツン

ギギギィ

ジュン「…めぐさん?」

コツ コツ コツ

ジュン「(夜の教会…ううう、おっかないよ…)」

水銀燈「めぐなら帰ったわよぉ」

ジュン「うひゃぁあっ?!」

ドスンバタン バリン!

水銀燈「…んもう、床に大穴あけてくれちゃってぇ…お馬鹿さぁん」

ジュン「い、いきなり声なんかかけてくるからだろ!」

水銀燈「ほんっとうにヘタレもいいところねぇ」

水銀燈「…まぁ、とりあえずお茶でも飲んでいきなさぁい」

ゴソゴソ

ジュン「…これ」

ジュン「お弁当と、ホットカルピス」

水銀燈「…そ、そんなものでご機嫌取りぃ?つくづく」

ぐきゅるるる

ジュン「…ぷ」

ドガス

ジュン「ぐぇ」

水銀燈「…せっかくだからいただくわぁ」
157水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 21:10:13 ID:/W/spNeG
モム モム 

水銀燈「(これが噂の『はなまるハンバーグ』…)」

クミ クミ 

水銀燈「(暖かいグレイヴィと濃厚な黄身の取り合わせが絶妙だわぁ)」

ムニュ ハム ペロ

ジュン「おいしそうに食べるなぁ」

ゴスッ

ジュン「ぶっ」

水銀燈「…まぁ食えなくはなかったわぁ」

水銀燈「ところで、今度は何の用?」

ジュン「何のって…」

水銀燈「例の件の話なら、もう済んだはずよぉ」

ジュン「…」

水銀燈「あなたは真紅たちの契約者かもしれないけれど」

水銀燈「こんなことにまで首を突っ込む必要はないはずよねぇ」

水銀燈「善人面して中途半端に手を出されても、迷惑なのよぉ」

ジュン「…」

水銀燈「…なんとか言ったらどうなn」

ジュン「なにをそんなに意固地になってるんだよ?」

158水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 21:18:41 ID:/W/spNeG
水銀燈「…何ですってぇ?」

ジュン「なんで、そんなにつまらない意地を張っているんだって」

ビシッ

ジュン「ぐっ」

水銀燈「あまりさえずると、ほんとうに目玉をえぐりだすわよ」

ジュン「へへ…」ニヤリ

ジュン「図星を突かれてムカついたな?」

ボグッ

ジュン「むっ… へっ、こんなもんかよ」

水銀燈「悪いことは言わないから、そろそろおやめなさい」ニコリ
水銀燈「本当に殺されたいの?」

ジュン「いつもの猫なで声はどうしたんだよ?」

ガス

水銀燈「…や・め・ろと言ってるでしょう…?!」

ジュン「いいや、やめないねっ! 何を意地になってるのか当ててやるよ!」

159水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 21:26:24 ID:/W/spNeG
水銀燈「お黙りなさいっ!」

グボ

ジュン「怖いんだろ!」

ベキ

ジュン「姉貴面して、ずっと突っ張ってきたから!」

ボグ ドス ガギ

水銀燈「黙れぇっ! 黙れ黙れだまれぇっ!!」

ジュン「誰かに頼っちゃったら、もう二度と突っ張れなくなっちゃいそうなんだろ!!」

水銀燈「…わかったようなクチをきくなぁぁぁっッ!!!」

ポグッ

水銀燈「?!」

ジュン「いいかげんにしろよ! その高慢ちきな姉貴面!」



水銀燈「…わたしの顔を…」



水銀燈「よくも…!」

160水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 21:34:23 ID:/W/spNeG
ジュン「真紅たちだって、おまえなんかに助けてもらいたいだなんて思うもんか!」

ボグ ボグ ボグ

水銀燈「だ・ま・れぇぇぇぇッ!!!」

ジュン「大当たりだろ!」

ペシッ

水銀燈「!! この、2度も…!」

ジュン「何度でもやってやるよ!!」

ポム パチ ペシ

水銀燈「このぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

グシャ ドボ ゴキ


ジュン「どうしたどうした!それで終わりかよ!このジャンク!」

水銀燈「それを! その言葉を! 言・っ・た・な・ぁあああああああっ!!!」




めぐ「…派手にやってるわねぇ、ここまで聞こえてくるわ」
のり「ジュン、頑張るのよ…!」
161水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 21:43:35 ID:/W/spNeG
水銀燈「…ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…」

ジュン「…へ、へへ、もう終わりかよ…」

水銀燈「…もう原形もとどめてない顔で、まだ強がるのぉ?」

ジュン「…思ったほどじゃなかった…手加減したんだろ?」

水銀燈「…」

ジュン「そうでなかったら、もう2〜3回は死んでるはず…」

水銀燈「そっちだって…手加減したんでしょお? 弱いくせにぃ」

ジュン「女の子は殴れないよ。ところで…」

水銀燈「何よぉ」

ジュン「水銀燈の怖いことって、結局何?」



水銀燈「…忘れちゃったわぁ」
162水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 21:53:07 ID:/W/spNeG
水銀燈「わたしからも聞きたいことがあるわぁ」

ジュン「何?」

水銀燈「何で、こんなことをしようと思ったのぉ? わたしに殺されるとは思わなかったのぉ?」

ジュン「…ちょっと前、のりと本気でケンカしたことがあるんだ」

水銀燈「のりとぉ?」

ジュン「さっき水銀燈に言ったのは、そのとき言ったり言われたりしたことなんだ」

ジュン「『わたしだって普通の女の子みたいに遊びたい』『あなたの世話なんかもういや』」

ジュン「『おれだって世話なんかしてほしくない』『姉貴面してえらそうに、いちいちムカつくんだよ』」

水銀燈「…」

ジュン「そうやって取っ組み合いのケンカして、全部本音を吐き出して…」

ジュン「そのあとは、すこしだけ素直に甘えられるようになった気がしたから」

ジュン「水銀燈も言ってただろ?」

水銀燈「何ぃ?」

ジュン「『憎しみも争いもすべて含めて、わたしたちの絆』って」

水銀燈「…」
163水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 22:05:12 ID:/W/spNeG
ジュン「…水銀燈」

水銀燈「…なぁに?」

ジュン「ボクは、真紅たちを助けたい」

水銀燈「…」

ジュン「そして、できれば君のことも助けたいんだ」

ジュン「みんなの姉さんとしてずっと頑張ってきた君のことも」

ジュン「…迷惑じゃなければ」

水銀燈「…」

水銀燈「とりあえず、顔くらい冷やしてちょうだぁい。そんな顔で言われても締まらないわぁ」



ジャーーー

ジュン「あちち…」

水銀燈「薬は後ろの戸棚に入ってるから、勝手にやってちょうだぁい」

ジュン「手当てくらいしてくれないのかよ…」

コツ コツ コツ

水銀燈「大暴れしたせいで、埃やらあなたの血やら汗やらでベトベトになっちゃったわぁ」

水銀燈「綺麗にしてこなくちゃ、ねぇ」

バタン
164水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 22:14:01 ID:/W/spNeG
ジュン「綺麗に?…きれいに、って…」

水銀燈「あなたはそこで待ってなさぁい」

ジュン「え…あ、はい」

コツ コツ コツ

ガチャン バタン

シャー----…

ジュン(シャワーの音…これって…これって…)

ジュン(落ち着け俺、そうだ、素数を数えるんだ)

ジュン(1、2、3、5、7、えーと…)

水銀燈「ジュン、聞こえるぅ?」

ジュン「じ、じゅういちっ?!」

水銀燈「…あなたも綺麗になさぁい。臭いのも汚いのもイヤよぉ」

ジュン「は、はいっ!」

水銀燈「シャワー室は突き当たりの右。終わったら、階段をのぼって一番奥の部屋に来なさぁい」
165水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 22:24:31 ID:/W/spNeG
コツ コツ コツ

ジュン(…行っちゃった)

ジュン(シャワー…浴びないと…)

ギシ ドタ ギシ バタン

ガチャン ドテ

ジュン(ううー… 足がとっからまっちゃいそうだよぉ)

ジュン(とりあえず服脱がないと…ってあれ?)

ジュン「顔…治ってる… あの薬?」


シャーーーーーー



ジュン(うう…どうしようどうしよう)

ジュン(あんなこと言っちゃったけど…ボクこんなの…)

ジュン(いやいやいや、相手は人形!そうただの人形!おかしくも恥ずかしくないっ!)

水銀燈「…ねぇ、まだぁー?」

ジュン(…あ…鼻血…)
166水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 22:33:34 ID:/W/spNeG
ギシ ギシ ギシ


ガダン ギィィィ


バタン


水銀燈「遅かったわねぇ」

ジュン(…すごいベッド…)

水銀燈「よく効く薬でしょお? お父様の贈り物なのよぉ」

ジュン(黒の、薄っぺらいキャミソールが…ランプの明かりに透けてる…)

水銀燈「あの顔じゃあ、ムードもなにもあったもんじゃないからねぇ…って聞いてるのぉ?」

ジュン「ひ…ひゃい…」

水銀燈「まったくもう…こっちにいらっしゃぁい」

ギシ ギシ ギシ

水銀燈「しっかりしてよぉ。わたしだって…はじめてなんだから…」

ジュン「…」

ギシッ

水銀燈「…ちょっと待ってぇ」
167水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 22:40:02 ID:/W/spNeG
水銀燈「あなた、臭うわよぉ」

ジュン「え?…あ、服か」

水銀燈「どうにかならないのぉ?」

ジュン「だって、着替えなんて持ってきてないし…」

水銀燈「じゃあ、脱いじゃってよぉ」

ジュン「へ?!」

ジュン「そそそそそそんなこここととと」

水銀燈「なによぉ、じゃあこれでいいでしょお?」

カチャリ フッ

水銀燈「これなら、何も見えないでしょお?」

ジュン「そそそそういうことじゃじゃなくて」

水銀燈「だから何よぉ」




ジュン「ボ、ボクひとりだけハダカになんてなれないよ!」 
168水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 22:45:16 ID:/W/spNeG
水銀燈「……」

ジュン(…?)

ジュン(あばばばばばぼぼぼぼくはなんてことを口走ってぇぇぇぇ)



水銀燈「…それもそうねぇ」



ジュン「…ふぇっ!?」



シュル シュル スル スル

パサリ



水銀燈「いいわよぉ」

ジュン()ガクガクガクガク

水銀燈「ねぇ…」



めぐ「静かになったわね…」
のり「ジュン、男になるのよ!!」
169水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 22:53:30 ID:/W/spNeG
水銀燈「ジュン…」

ボウッ

ジュン「うわ、明かりをつけないでっ!…って、それは?!」

水銀燈「そう、みんなのローザミスティカよぉ。ほとんど土になっちゃってるけど」

水銀燈「今から、これをわたしの中にとりこむわぁ」

ジュン「そ、そんなことをしたら…!」

水銀燈「だから、あなたはここに来たんでしょ? しっかりしなさいよぉ!!」

水銀燈「あなたがそんなんじゃ、わたしだって…」

ジュン「…」

ジュン「わかったよ。ごめん」

スル スル バサリ

水銀燈「な、なにもいきなり脱がなくったっていいでしょお?!」ガバッ

ジュン「…水銀燈」

ギシッ 

水銀燈「ジュン…」

ジュン「そ、それじゃ、はじめようか…」
170水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 23:06:18 ID:/W/spNeG
水銀燈「い、いくわよぉ…」

ブウン 

水銀燈「…ンッ?! く、くぅぅ…っ…」

ジュン「?!」

水銀燈「く、く…うううッ…ああっ…」

ジュン「水銀燈!け、契約を…っ!(ええい、ヤケクソ!)」

チュッ

水銀燈「んっ…」

水銀燈「く…」

水銀燈「…ふう」

ジュン「…だ、大丈夫?」


水銀燈「ん…」


水銀燈「楽に、なったわぁ…」
171水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 23:13:12 ID:/W/spNeG
ジュン「…意外と、あっけなかったね」

水銀燈「…これで終わりなのぉ?」

ジュン「あ、そうだ。おなか、おなかどうなってる?」

水銀燈「ん…」

サスサス

水銀燈「変わらないみたいだけどぉ?」

ジュン「そうなの?」サスサス

水銀燈「ジュ、ジュン?!いやぁ、やめ…」

ドクン

「?!」

ドクン ドクン ドクン 

ジュン「う…あぁぁ?!」

ドクン ドクン ドク ドク ドク ドク

水銀燈「あ…熱いっ!」

ドク ドク ドク ドドドドドド

ジュン「あああぁぁっ?!(つ、冷たい…ッ!)」
172水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 23:20:07 ID:/W/spNeG
ドドドドドド

水銀燈「い、いやぁぁっ! 燃え…焼けるっ!」

ドドドドドド

ジュン「くぅぅああああ!!(こ、凍るっ…!)」

ドドドッ! ドドドッ! ドドドッ!

水銀燈「熱いよぉっ! イヤ… 助けてぇっ!!」

ジュン「んぐぅぅぅっ!!(胸が… 内臓がえぐられていくみたい…!)」

ビュゴゴゴゴゴ

ジュン「(なんの音…? ?! 黒い羽が、部屋中に…?!)」

水銀燈「いやぁ、翼が… 翼が壊れていく…!」
173水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 23:31:35 ID:/W/spNeG
ジュン「(う…あぁ…気が、気が遠くなる…)」

水銀燈「いやぁぁぁぁっ! うぁぁぁぁあっ!」


ビュゴウ!


ジュン「…」

水銀燈「…」

ジュン「お、おさまったのか…?」


ズキン


水銀燈「んっ!?」

ズキン ズキン ズキン

ジュン「なんだ、頭が…!」

水銀燈「頭が…割れる…!!」

ズキン ズキン ズキン ズキ ズキ ズキ

ジュン「う、うわぁぁぁ?!(イタイ、イタイヨォッ!)」

水銀燈「いや、いやぁああああ!(ク、ナンダコノイタミ?!)」

ズキズキズキズキズキ

ジュン「(?! い、今のは…なに?!)(コワレチャウ!! イヤァアアアア!)」

水銀燈「(なんなのこれ…なんなのよぉ!)(コ、ココロガ…ハジケル…!)」

(ローゼン「わたしは、お前たちのことを…」)

ジュン「(こ…これは?! そうか! 水銀燈の記憶と感覚が…!)」

(のり「あんたなんか、生まれてこなければよかったのよ!」)

水銀燈「(これは…ジュンの心が、痛みが、わたしの頭に流れ込んでくるっ…!!)」
174水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 23:40:00 ID:/W/spNeG
ジュン「うああああ、あああああ?!(コノママジャ…ジャンクニナッチャウ…!)」
水銀燈「ひい、ひぃ、ひぎいぃぃ!(ノウミソガ…ニエタギル…!)」

(ジュン「お父さん、お母さん… お姉ちゃん…」)
(ジュン「みんな、ボクのこといらないの? ジャマなの…?」)

(ローゼン「どうか悲しまないでおくれ…これでよかったのだから…」)
(水銀燈「いや、いや、お父様が死んじゃうっ!」)

ドドドドドド
ズキズキズキズキ

(ジュンが…死んじゃう…!)
(水銀燈が…壊れちゃう…!)

ズズズズズズズ
ドドドドドドド

(お願い…私はどうなってもいいから…)
(ボクはどうなってもいいから…)



(どうか…)
175水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/01(日) 23:55:11 ID:/W/spNeG
(ローゼン「彼女はアリスにはならない。なってはいけない」)


(ローゼン「なぜなら、彼女はおまえ達の母親になるべく造られたからだ」)


(真紅「母親…?」)


(ローゼン「惜しみなき愛をみんなに注ぎ その身を賭けた厳しさでみんなを導き」)


(ローゼン「みんなの『心』をはぐくむ 究極の母親になるために」)




(ローゼン「水銀燈。おまえは―」)
176水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 00:08:31 ID:XN00ozvF
チュン チュン

ジュン「ん…」

チチチチ

ジュン「朝か… あれ? 水銀燈?」

ジュン「水銀燈?!」

ガバッ バタバタ



めでたし天の后 天使たちの女王

めでたし世に光を生みだした根よ 門よ


水銀燈「…」


すべての人にまさって美しく

栄光あるおとめよ お喜びください


水銀燈「…」


めでたし ああ いとも美しいお方よ

わたしたちのために御子に祈ってください


水銀燈「…アァメン」

ジュン「なんだ、ここにいたのか」

水銀燈「おはよう、ジュン」

ジュン「…水銀燈?」
177水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 00:16:44 ID:XN00ozvF
水銀燈「どうしたの?」

ジュン「ん…いや、どうしたのかな、って…」

ジュン「なんだか…ずいぶん…変わったような…///」

クスッ

水銀燈「思い出したのよ、お父様の言葉を」

ジュン「…ローゼンの?」

水銀燈「ええ。ずいぶん永い間、思い出せなかったお父様の言葉」

水銀燈「昨日、あなたと契約を交わしたでしょう?」

ジュン「う、うん」

水銀燈「あなたとわたしの心が激しく混ざり合って…」

ジュン「…」

水銀燈「あなたの心が、私に教えてくれた。私の記憶を読み取ったあなたの心が。見て」

ジュン「…聖母像?」

水銀燈「ええ。これがお父様の言葉」





(ローゼン「水銀燈、おまえは『マリア』になるのだ」)
178水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 19:47:06 ID:iU3ld0b1
ジュン「『マリア』…」

水銀燈「ええ。…見て」

スルスルスル

ジュン「お…おなかが!」

ジュン「ふくらんでる…」

ジュン「この中に…」

水銀燈「みんながいる。感じるのよ、ぬくもりを」

ジュン「みんなが…」

サワッ

水銀燈「やん、くすぐったい」

ジュン「ご、ごめん」
179水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 20:22:40 ID:172Dkt0R
水銀燈「でもね…見て」

クルッ

ジュン「え、あれ?…翼が!」

水銀燈「壊れちゃった。それに…」

グルン ベチッ!

ジュン「いてっ!? なにすんだよ!」

水銀燈「…いまの、おもいっきり殴ったのよ」

ジュン「え?」

水銀燈「鼻血も出ないなんて、くやしいわね」

水銀燈「さっき試してみたら、剣も出せなかったし鏡にも入れなかった」

水銀燈「だからたぶん…」

ギュッ

ジュン「…えっ??」

ググググ

ジュン「…い、痛いよ」

水銀燈「…やっぱりダメね、力を奪えない」
180水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 20:31:37 ID:172Dkt0R
水銀燈「いまの私は、ほんとうにただのお人形」

ジュン「…」

水銀燈「こうなるってことは知っていた。だから後悔はしてない」

水銀燈「してないけど…」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「…いまさらだけど、ほんとにいいの?」

ギュッ

ジュン「もちろんさ、うちに来なよ。のりも待ってる」

水銀燈「いろいろ迷惑かけるわよ?」

ジュン「真紅たち3人の面倒だって見たんだ。なんとでもなるよ」

水銀燈「…わがままも言うし、イライラすることだってきっとあるわ」

ジュン「そのときはまた、ケンカしようよ。あのときに比べれば軽いもんさ」

水銀燈「…」

ギュウウッ

水銀燈「…それじゃ、さっそくだけど…」
181水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 20:41:17 ID:172Dkt0R
ジュン「なぁに?」

水銀燈「…ちょうだい」

ジュン「…なにを?」

水銀燈「さっきやってみせたでしょう? 今のわたしは、あなたから力を奪うことができないの」

水銀燈「…だから、あなたのほうからちょうだい。 …ラプラスの魔が言ってたとおりに」

ジュン「え…」

ジュン「…い、今?」

水銀燈「んもう、じれったいわねぇ。早くぅ…」

ジュン「わ、わかったよ」



チュ



水銀燈「…ん…」

水銀燈「…ぷぅ、もういいわぁ」

水銀燈「って、なぁにニヤニヤしてるのよぉ。いやらしいわねぇ」

ジュン「そ、そうじゃないよ。ほら、口調が…」

水銀燈「え?」

ジュン「いつもの猫なで声になってる」

ジュン「さっきまでもかわいかったけど…やっぱりそっちのほうがらしくていいや」

水銀燈「…」

ペチッ

ジュン「いてっ!」

水銀燈「もう、お馬鹿さんなんだからぁ」
182水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 20:59:12 ID:172Dkt0R
ガチャガチャ

ジュン「ねぇ、このティーセットも持っていくの?」

水銀燈「丁寧に扱ってちょうだい! そのウェッジウッドはお気に入りなのよぉ!」

ジュン「この、昨日着てたキャミソールは?」

水銀燈「それシバリスよぉ、とっておきの勝負用! なに雑巾みたいにくるくる巻きにしてるのぉ!!」

ジュン「しょうがないじゃん、カバンももうぎゅうぎゅうづめだよ」

水銀燈「…昨日はそれ見てドキドキしてたくせにぃ…」

ジュン「ただの服にドキドキなんかしないよ。…君が着てたからだよ」

水銀燈「…んもう、お馬鹿さぁん」
183水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 21:06:51 ID:172Dkt0R
ジュン「用意はできた?」

水銀燈「いいわよぉ」

ジュン「…なにそのかっこ? いつもの服は?」

水銀燈「これでいいのよぉ」

ジュン「(蛍光色のワンピ−ス…リカちゃん人形みたい)」

ジュン「いつもの服は?」

水銀燈「あれは、もういらないわぁ。お手入れに手間がかかりすぎちゃうもの」

水銀燈「アンティークだから、みつに頼めばお金にしてもらえるしねぇ」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「じゃあ、行きましょうか」

ジュン「荷物、持つよ。歩き疲れたらおぶるから言って」

水銀燈「ふふ、そこまで心配しなくても大丈夫よぉ」
184水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 21:18:03 ID:172Dkt0R
テク テク

トコ トコ

水銀燈「…ねぇ、ジュン」

ジュン「なんだい?」

水銀燈「あなたのおかげで、お父様のいろんなことを思い出すことができたわぁ」

水銀燈「でも、まだわからないことがいっぱいあるのぉ」

ジュン「…?」

水銀燈「わたしが『マリア』となるべく作られたのなら、なぜアリスゲームに参加したのかしらぁ?」

水銀燈「お父様の消息も顔も、結局わからなかったしぃ…」

水銀燈「…なにか、心当たりはなぁい?」

ジュン「…」

ジュン「ごめん、よくわからないや」

水銀燈「そう…残念ねぇ」

水銀燈「わたしはあなたのこと、結構おぼえているんだけどぉ」

水銀燈「小学3年生までおねしょしてたとかぁ…」

ジュン「?!ちょ、それ!!」

水銀燈「真紅たちに教えてやれるのが楽しみだわぁ〜」

ジュン「こらこらこらぁー!」






ジュン(…ごめん、水銀燈)

ジュン(ボクにはまだ、言えないよ…)
185水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/02(月) 21:30:27 ID:172Dkt0R
テク テク

トコ トコ

ジュン「もうすぐ、家だよ」

水銀燈「…ねぇ、ジュン」

ジュン「なに?」

水銀燈「ぜいたくはしない。わがままも、なるべく言わない」

ジュン「うん」

水銀燈「だから…お願いがあるのよぉ」

ジュン「言ってみなよ」

水銀燈「…はなまるハンバーグ、また作ってもらえるぅ?」

ジュン「日曜と水曜ははなまるの日なんだ」

水銀燈「土曜の7時からは、くんくん観てもいい?」

ジュン「真紅たちも観てたから、別にいいよ」

水銀燈「ヤクルトも、できれば飲みたいわぁ…」

ジュン「毎日ヤクルトおばさんが届けてくれてるよ」

水銀燈「…」

ジュン「他には、何かないの?」



水銀燈「…そんなによくしてもらっちゃって、ほんとにいいの?」

ジュン「(いじましい願い事ばっかりで泣けてくるよ…)」
186名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/03(火) 00:32:46 ID:vjje1lW1
ブラボー ブラボー

187水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/03(火) 22:03:43 ID:8HQMgNEq
・まだまだ続きます。長々とすみません。いまは折り返し点あたりです。
もし長すぎるとかでいったん切ったほうが、終わらせたほうがいいっていう場合は言ってください。




ジュン「着いたよ」

水銀燈「…歩いて来たのは初めてだわぁ」

水銀燈「まぁこんなに歩くこと自体、ずいぶん無かったわけだけど」

ジュン「疲れなかった?」

水銀燈「ふふ、大丈夫よぉ」

ガチャリ

ジュン「ただいまー」

のり「…おかえりなさーい」

ジュン「どこにいるの?」

のり「お料理作ってるのー、いいからあがってもらってー」

水銀燈「…おじゃまします」

水銀燈「(…いいにおい…)」



ジュン「ここか…ってうわぁ」

水銀燈「あららぁ、すごいわぁ」

のり「へへー、張り切っちゃった」

ジュン「…のり、水銀燈はたぶんこんなには食べられないよ」

のり「みんなも来るのよ〜 今日はパーティよ!」

水銀燈「…みんな?」
188水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/03(火) 22:15:49 ID:8HQMgNEq
のり「あ。う〜ん、めぐちゃんは来られないの」

水銀燈「…そうよねぇ」

のり「でも、伝言はもらってきたわ」

水銀燈「伝言?」

のり「『甘えられるときに甘えていい人にしっかり甘えることができるのも、品格のうちだとわたしは思う』だって」

水銀燈「…」

のり「あ、ジュンにもあるのよ」

ジュン「なんだって?」

のり「こっちに来て」

ジュン「?」

トコ トコ トコ

バチン!!

ジュン「うわっぷ?!」

水銀燈「?!」

のり「『わたしの大事な人を奪っていったジュン君へ』って」

のり「一発かましてから言ってやってって頼まれたの」

のり「『絶対幸せになりなさい』って」

ジュン「え…?」




のり「『あなたが幸せにならなかったら、水銀燈は絶対幸せを感じないに決まってる』だって」
189水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/03(火) 22:32:02 ID:8HQMgNEq
水銀燈「(…めぐ)」

のり「水銀燈、だから遠慮なんかしないでね」

のり「自分の家だと思って、ゆーっくりしていってね」

のり「あなたの妹たちも、そうしてったんだから」

水銀燈「…」




水銀燈「…ジュン、荷物を取ってちょうだい」

ジュン「え?…うん」

カチャリ

のり「うわぁ、すごーい!」

水銀燈「お父様の贈り物、かつての契約者たちの形見。いずれ劣らぬ名品たち」

ジュン「…」

水銀燈「のり…さん、お願いがあります」

のり「なぁに?」

水銀燈「どうか、これらをお納めになってください。お金になるはずです」

ジュン「! 水銀燈、それは…!」

ジュン「(キミはそれらを守るために、本当に文字通り泥水をすすってきたんじゃないか!)」

のり「…」

水銀燈「お気持ちは、ほんとうにほんとうに嬉しいし、正しく理解してるつもりです」

水銀燈「だから、たぶんこんなことを求めてなんかいないということも」

ジュン「…」

水銀燈「でも… どうしても、どうしてもわたしの気が済まないんです」

水銀燈「どうか、わたしを助けると思って、お受け取りになってください」

のり「…わかったわ」

ジュン「(の、のり!)」

のり「(大丈夫よ。こころえてる)」

のり「ありがたくいただくわ。そのかわり…」

のり「もらった分はおもてなしさせてもらうからねっ!」

水銀燈「…ありがとうございます」
190水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/03(火) 22:51:51 ID:8HQMgNEq
のり「よーし、もうひとがんばりするぞー!」

のり「ジュン、水銀燈をお部屋に案内してあげて〜」

ジュン「わかったよ」



ジュン「キミの部屋はここ。ベッドはこれを使って、小さいけど」

水銀燈「…素敵なお姉さんねぇ」

ジュン「うっとうしいこともあるけどね」

水銀燈「…あの子たちも、こんなによくしてもらってたの?」

ジュン「キミよりよほど行儀が悪かったよ」

水銀燈「まぁ」

サワサワ

水銀燈「…しつけなおさなくちゃねぇ」

ジュン「…結晶がおかしくならない程度にしてよ」

ピンポーン

ジュン「…来たかな」

トトトト

ガチャン

ジュン「あぁ、いらっしゃい」

みつ「じゅんじゅーん」
巴「ジュン君…」

「お・め・で・と!」


ドスボスドカバキゴスゴスゴス


ジュン「きゅう」
191水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/03(火) 22:59:58 ID:8HQMgNEq
柴崎「まぁまぁ、その辺にしてあげなされ」

ジュン「…な ん で?」

巴「…バカ」

みつ「水銀燈の純潔を奪った男への祝福よ!」

ト ト ト ト

水銀燈「…みんな」

みつ「きゃあ! キュートっ!」

巴「体、大丈夫なの?」

水銀燈「…ええ」

のり「いらっしゃーい! 準備はできてるわー」

みつ「おじゃましまーす」

柴崎「遠慮なく」

水銀燈「ほらぁ、ジュン。しっかりなさいよぉ」

ジュン「あいたた…」

みつ「(あらら? ほんとにいい雰囲気…)」

巴「(…バカぁ)」
192水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/04(水) 09:55:15 ID:fX8UPGKg
シャー----

カチャ カチャ

のり「無理しないでね」

水銀燈「大丈夫です …片づけくらい、手伝わせてください」

(みつ「会社が休みのときは遊びにくるからね〜」)
(巴「…ジュン君、水銀燈、がんばってね」)
(柴崎「嬉しいのぉ、ほんとうに孫ができるかのようじゃわい」)

のり「…水銀燈」

水銀燈「…はい?」

のり「ジュンのこと、よろしくね」

水銀燈「…」

のり「王様みたいに育っちゃったから、気遣いなんてできないと思うし」

のり「口ばっかり達者で、いざって時には逃げ出しかねないとんだヘタレだけど」

水銀燈「…」

のり「あなたたちを助けたい、って気持ちだけはウソじゃないと思うから」

水銀燈「…ええ」

ジャブジャブ

カチャン

のり「…あとそれから」

のり「もうちょっと、いつもの話し方してくれると嬉しいな」

水銀燈「…え?」

のり「なんか、他人行儀すぎちゃって」

水銀燈「…だって、お世話になる身だし…」

のり「だから、そういうのは無しでいこうよ。もらうものはもらったんだからさ」

のり「あなたのことは、ジュンのお嫁さんだと思ってるの」

水銀燈「え…そんなんじゃ…」

のり「なら、わたしの妹も同然でしょ?」

水銀燈「…妹?」
193水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/04(水) 10:03:22 ID:fX8UPGKg
のり「…あ、ゴメンね。そっちのほうがずっと年上なのに、気悪くしたかな」

水銀燈「…いえ…」

カチャン カチャン

水銀燈「の、のりぃ」

のり「…なぁに?」

水銀燈「…わたし」

水銀燈「前からずっと、一度でいいから」

水銀燈「『妹』に、なってみたかったのぉ…」

のり「…ふふふっ」

水銀燈「わ、笑わないでよぉ」

のり「年下の姉でいいの?」

水銀燈「う、うん…」




のり「よろしくね、銀ちゃん」

水銀燈「…えぇ、お姉さまぁ」
194水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/05(木) 09:58:51 ID:wcAGjfbS
のり「ありがとう、銀ちゃん。もうお休みなさい」

水銀燈「えぇ、お姉さま」

トン トン トン 

ガチャ

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「zzz…」

水銀燈「(あら、もう寝ちゃったのぉ?)」

水銀燈「(…一日わたしの荷物の片づけして、持って運んでじゃ、疲れて当然よねぇ)」

水銀燈「(おやすみ、ジュン)」

トコ トコ 

ガチャ パタ

水銀燈「(わたしも疲れたわぁ)」

水銀燈「(いろんなことがありすぎて…)」

ゴソゴソ パタン

水銀燈「…あったかいわぁ」

水銀燈「(隙間風の入らない部屋って、やっぱりいいわねぇ)」

水銀燈「(…)」

モゾモゾ

水銀燈「(…)」

ゴソゴソ

水銀燈「(目がさえちゃったのかしらぁ?)」

水銀燈「(疲れてるのに、眠れない…)」

モゾモゾ

(ジュン「ん、大丈夫だよ。どこにも行かないよ」)
(翠星石「…ありがとですぅ」)

水銀燈「(…)」


トコ トコ トコ

ガチャリ キィ

パタン

ジュン「…ん…」
195水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/05(木) 10:09:40 ID:wcAGjfbS
ギシ ゴソ ゴソ

モフン

ジュン「…ん、ぐぅ…」

水銀燈「(…ちょっと汗臭いわねぇ、もう)」

ジュン「…ん…」

水銀燈「(…おまけに暑苦しいわぁ)」

水銀燈「(こんなのの、どこがいいのかしらぁ)」

サワッ

水銀燈「(! …髪を…)」

サワ サワ サワ

水銀燈「(…起こしちゃったかしら?)」


ジュン「…翠星石…ダメっていったろ…」

水銀燈「!」

ジュン「寝てる間に入ってきたら…」

サワ サワ サワ

ジュン「…しょうがないなぁ…」

水銀燈「(…)」

ギュッ

水銀燈「(…ジュン)」

水銀燈「(いつも妹たちに向けられている、そのやさしさ)」

水銀燈「(いまはちょっとだけ、わたしにもわけてちょうだい…)」

サワ サワ サワ

水銀燈「…くー…」

ジュン「ん…」

ジュン「…ん?」
196水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/05(木) 10:20:36 ID:wcAGjfbS
水銀燈「…くぅ…すぅ…」

ジュン「う!?(水銀燈?!)」

水銀燈「…ん…」

ジュン「(…起こさずにすんだかな)」

ジュン「(…って、なんで水銀燈まで…)」

水銀燈「…ん…」

水銀燈「…お父様…」

ジュン「…」

キュッ 

サワ サワ サワ

ジュン「(…水銀燈)」

ジュン「(ボクが、戦う。みんなを守る)」

水銀燈「…くぅ…」




ジュン「(あの悲劇を、もう絶対に繰り返したりはしない)」
197水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/05(木) 23:44:12 ID:nj9X89Po
チチチ

ジュン「ん…」

チュン チュン

ジュン「ふわぁ…もう朝か」

トン トン トン

のり「おはよう、ジュン。コーヒー入ってるわよー」

ジュン「あんがと」

水銀燈「あらぁ、お早いお目覚めねぇ」

コク コク カタン

ジュン「…誰かさんがベッドにもぐりこんできたおかげだよ」

水銀燈「?!ななななななにを言ってるのぉ!?」

のり「あらー…お邪魔だったかしら?」

水銀燈「やだ、お姉さまったらぁ!」

ジュン「」ブバッ!

のり「あらら、もったいない」

ジュン「お…お姉さまぁ?!」

のり「そうよー。だって水銀燈はジュンのお嫁さんでしょ?」

ジュン「だ、だから違うって! そういうあれじゃ…」

水銀燈「あら、違うのぉ? つれないわねぇ」クスクス

ジュン「す、水銀燈までなんてこと…!」

のり「にぎやかねぇ〜 なんだかほっとするわ」

のり「真紅たちがいた生活に慣れちゃってたから…」

ジュン「(のり!)」

水銀燈「…」

のり「(…あちゃー)」




水銀燈「…お姉さま」

のり「な、なぁに?」

水銀燈「あの子達はいま、どこにいるのかしら」
198水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/05(木) 23:53:02 ID:nj9X89Po
ジュン「…ボクの部屋にいるよ」

水銀燈「そう…」

カチャ カチャ カチャ

のり「(ううー、気まずいよう)」

ジュン「ごちそうさま」

水銀燈「お姉さま、片付けはわたしがしますから」

のり「う、うん、お願い」

のり「行ってきまーすっ!」

バタン バタバタバタ

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「お姉さまには、悪いことしちゃったわね」

ジュン「え?」

水銀燈「余計な気を使わせてしまって。別に、気にすることじゃないのに」

ジュン「…」

シャ----

水銀燈「ジュン」

ジュン「な、なんだい?」

水銀燈「あの子達に会わせて貰っていい?」
199水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/06(金) 00:04:37 ID:xEU/57ET
トン トン トン

キィ バタン

ジュン「…ここだよ」

カチャリ パタン

コト コト

水銀燈「…真紅、翠星石」

ジュン「ふたりはうちにいる」

ジュン「ヒナは巴が、蒼星石は柴崎さんのところ、カナはみつさんのところにそれぞれいる」

水銀燈「…ジュン、櫛をもらえるかしら」

ジュン「…ドール用のブラシなら」

シュル シュル シュル

ジュン「(…あれからずっと髪をくしけずってる)」

ジュン「(いつか、どこかで見たような顔で)」

ジュン「(あの顔は、そう―)」



(のり「あなたはいらない子なんかじゃない。バカなことを言ったお姉ちゃんを許して…」)


ジュン「…水銀燈」

水銀燈「なあに?」

ジュン「お願いがあるんだ」




ジュン「ボクに戦い方を教えて」
200水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/06(金) 00:23:09 ID:xEU/57ET
水銀燈「お断りよ」

ジュン「…なぜ?」

水銀燈「足手まといになるから」

ジュン「君だって、いまは力を失って…」

水銀燈「それでもよ」

シュル シュル シュル

水銀燈「わたしたちは、生まれてからずっと戦い続けてきた」

水銀燈「姉妹との間でだけじゃない。人形が命を持つことを許せないやつら、お父様の技術を狙う連中、心を欲しがる狂った人形」

水銀燈「そういう連中と永きに渡ってやりあって積み重ねてきた戦闘の経験が、わたしにはある」

水銀燈「あなたが出てきても、たぶんかえって邪魔になるだけよ」

シュル シュル シュル

ジュン「…君は力がなくても、戦えるんだろ?」

ジュン「なら、その方法をボクに教えてくれればいい」

水銀燈「そう簡単に身につくとでも思ってるの? はっ、バカにされたものねぇ!」

ジュン「まさか、いまだに『ジュンを巻きこめない』なんて思ってるんじゃないだろうな?」

水銀燈「…」

ジュン「水銀燈。こういう言い方はあれだけど、ボクだって男なんだ」

水銀燈「…いっちょまえの口をきくのは、生えそろってからにしたらぁ?」

ジュン「んなっ?!」

水銀燈「おやすみ。真紅、翠星石…」

カチャン パタン




水銀燈「…条件があるわ」
201水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/06(金) 00:31:48 ID:xEU/57ET
ジュン「なんだい?」

水銀燈「あなたは、わたしを守りたいと思ってるんでしょう?」

ジュン「…」

水銀燈「でも、戦いにおいてはそれは禁忌よ」

ジュン「…え?」

水銀燈「とにかく、自分だけが生き残ることを考えて」

水銀燈「そうしてくれれば、少なくとも邪魔にはならない」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「わたしは、戦いとなったらあなたに守ってもらうつもりなんてないしあなたを守る気もない」

水銀燈「わたしは自分の身は自分で守るつもり。あなたも戦うというならその覚悟だけは持って」

ジュン「…」



ジュン「わかったよ」

水銀燈「…ほんとかしら。まぁいいわ」

水銀燈「それじゃあ、まずは…」
202水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/06(金) 00:42:09 ID:xEU/57ET
ジュン「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ…」

水銀燈「はい、次はスクワット100回よぉ」

ジュン「い、いま腕立て100回終わったばっかりなのに…」

水銀燈「いいからやりなさぁい」

ジュン「…はい」

ワッセ ワッセ ワッセ

水銀燈「…まずは最低限の体力と、運動能力を身につけてもらうわぁ」

水銀燈「いくら理論だけ教えても、それを実践できる能力がなければ無意味よぉ」

水銀燈「ここでへばったら、もうなにひとつあなたには期待しないからそのつもりでねぇ」

ジュン「…やってやる、やってやるよ!」

水銀燈「(…急にどうしちゃったのかしら?)」

水銀燈「(…少し舞い上がってるのかもしれないわねぇ。まぁ少ししごいてやれば音を上げるでしょう)」

水銀燈「はぁい、もっとペースをあげるぅ! 日が沈んじゃうわよぉ!」

ジュン「ぬがー!」



ジュン「(やるしかない、やるしかないんだ…!)」

ジュン「(もう2度と、あんな思いを水銀燈たちにさせないためには…!!)」
203水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/06(金) 00:52:20 ID:xEU/57ET
ジュン「…ど、どうだ…やったぞ…(腕立て、スクワット、腹筋100回ずつ…死にそう…)」

水銀燈「ここからが本番よぉ、バットを持って表にでなさぁい(意外と頑張るわねぇ)」



ジュン「木の枝に…糸?」

水銀燈「5円玉よぉ」

カチ カチ カチ

水銀燈「このメトロノームの音に合わせて、連続で5円玉を打ちなさぁい」

水銀燈「最初だから10回でいいわよぉ」

ジュン「よ、よぉし…」

水銀燈「…はじめっ!」


ヒョロン ドテ


ジュン「あいてて…」

水銀燈「なんてへっぴり腰なのよぉ、もう」

水銀燈「とりあえず失敗したからスクワット10回よぉ」

ジュン「(も…もう、立てない…)」

水銀燈「…もうあきらめたらぁ?」

ジュン「…まだ…まだぁ!」
204水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/06(金) 01:00:47 ID:xEU/57ET
水銀燈「…今日はこのへんにしときましょう」

ジュン「まだ…まだ…」

水銀燈「(たいした根性ねぇ。一回も成功はしなかったけど、ついに音も上げなかった)」

水銀燈「ねぇ、ジュン」

ジュン「な、なんだよ…」

水銀燈「いったい、どうしたっていうのよぉ?」

ジュン「…」

水銀燈「ちょっと頑張りすぎじゃなぁい?」

ジュン「…なんてことなかったよ」

水銀燈「…何か、隠してるんじゃないでしょうねぇ?」

ジュン「…別に」

水銀燈「…まぁいいわぁ。せいぜいどこまでやれるか見せてもらうわぁ」

水銀燈「あと、今日の分のエネルギーもちょうだいねぇ」

ジュン「(あ、忘れてた…)」チュウウウウ




水銀燈「…んもう、重たいわねぇ。気絶するくらいくれなくってもいいのに」
205水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/06(金) 21:05:39 ID:qHwCr+dA
水銀燈「よっ、こい、しょっと…」

ドテ

水銀燈「まったくもう。なにをこんなに張り切っちゃってるんだか」

水銀燈「ジュン?ジューン!」

ジュン「」シーン

水銀燈「…こりゃダメだわぁ」

水銀燈「とりあえず、汗だけでも流しておかなくちゃ」

ズルズル

水銀燈「はいはい、脱いで脱いで」

ジュン「…」

ヌギヌギ

水銀燈「なまっちろい体ねぇ、たくもう。生えそろってもないくせに…」

水銀燈「…」

ツンツン

水銀燈(いやん、かわいいのぉ)
206水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/06(金) 21:15:25 ID:qHwCr+dA
シャーーーーー

ジュン「…」

水銀燈「とりあえず、そのままシャワー浴びてなさぁい。洗濯してあげるからぁ」

ンゴー ンゴー

水銀燈「やれやれ。ほんとにいったいどうしちゃったのかしらぁ」

水銀燈(…わたしの記憶を読んだせい?)

ンゴーーーーー

水銀燈(まぁ、頑張ってくれるのはいいんだけどねぇ)

水銀燈(おかげで、わたしもフヌケにならなくて済みそうだしぃ)

ンゴ ンゴ ンゴ

水銀燈(お姉さまもジュンも、あんまりよくしてくれるもんだから)

水銀燈(心がとろけてしまいそうだったわぁ)

シャーーーーー

水銀燈(戦うことを思い出させてくれたのには、礼を言わなきゃかもねぇ)

水銀燈(まぁ、明日どうなってるか次第だけど)

ンゴゴゴゴゴゴ

水銀燈「…ついでに晩ごはんも作っちゃいましょう。お姉さまに連絡しないと」




ジュン「…あれ?わっぷ」

ジュン(なんでボク、ハダカでねっころがってシャワー浴びてるの…?)
207水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 01:20:44 ID:IBaokNrJ
ジュン(まぁいいや…考えるのももう疲れた)

ジュン(…うう…体がガタピシする…)

フキフキ

ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「あら、起きたのねぇ。ご飯出来てるわよぉ」

ジュン「…いらない、もう寝る」

水銀燈「食べておかないともたないわよぉ」

ジュン「…大丈夫」

バタン トン トン トン

水銀燈「あと、寝る前に体をほぐしておきなさぁい!」

パタン ドサッ

ジュン「…」

ジュン「…ぐー…」




水銀燈「まったくもう。…明日になって泣き言言い出したら承知しないんだからぁ」

ガチャリ

のり「ただいまー」
208水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 01:29:03 ID:IBaokNrJ
水銀燈「おかえりなさい、お姉さま」

のり「うわー、おいしそう! 銀ちゃん、ありがとうね」

水銀燈「ふふ、ジュンに聞かせてあげたいわ」

のり「ジュンは?」

水銀燈「寝ちゃったわぁ」

のり「もう?」

水銀燈「…ねぇ、お姉さまぁ。ジュンって、何かあったのぉ?」

のり「?」



のり「…そう、そんなことが…」

水銀燈「気持ちは嬉しいんだけど、あんまり張り切り過ぎられてもねぇ」

のり「…でも、それはきっといいことよ」

水銀燈「そうなのぉ?」

のり「だって、あの子がそんなに一生懸命になるのなんてほんとうに久しぶりだもの」

のり「無理させない程度に、銀ちゃんが見てやってくれる?」

水銀燈「…まぁ、そう言うんならやってみるわぁ」

のり「よろしくね」




のり「(ジュン…)」
209水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 08:04:22 ID:GwN1Rmu1
−翌朝−

のり「ごちそうさまー♪」

カチャカチャ

のり「ごめんねー、朝ごはんまで作ってもらっちゃって」

水銀燈「お世話になってる身ですものぉ、これくらいはさせてちょうだい」

のり「んもう、それは無しって言ったでしょ?」

水銀燈「ふふふ」

のり「…ジュン、遅いわね」

のり「片づけするから、起こしてきてくれる?」

水銀燈「えぇ(まぁだいたい察しはつくけどぉ)」




ジュン「…体が…動かない…」

水銀燈「ジュン。朝よぉ」

ジュン「す、水銀燈…」

水銀燈「…んもぅ、言わないことじゃなかったでしょう?」

水銀燈「ほら、とりあえず起きてスープだけでも飲みなさぁい」グイッ

ジュン「いだだだだだだ」

水銀燈「(これでちょっとはこりたかしらぁ)」

ジュン「…おいしい」コク コク

水銀燈「あら、ありがと」

ジュン「…昨日はごめんな」

水銀燈「何よぉ?」

ジュン「せっかく晩ご飯作ってくれたのに」
210水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 08:14:04 ID:GwN1Rmu1
水銀燈「…別にいいわよぉ。残った分は朝ごはんに使っちゃったからぁ」

ジュン「そっか」

コク コク コク

ジュン「ごちそうさま」

水銀燈「じゃあ、身支度を整えてらっしゃぁい。今日もやるわよぉ」

ジュン「うん…ちょっと待ってて」

水銀燈「(あらぁ? …目論見が狂っちゃったわねぇ。)」

水銀燈「(ちょっとでも迷ったら、ダメ出ししてやろうと思ってたのにぃ)」

水銀燈「(まったく間をおかずに「やる」って言われちゃったわぁ)」

水銀燈「(意地を張っちゃって、まぁ)」

のり「銀ちゃーん、大丈夫そう?」

水銀燈「大丈夫よぉー、今着替えてるところよぉー」

のり「ありがとー! 行ってきまーす!」
211水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 08:26:04 ID:GwN1Rmu1
ジュン「…用意できたよ」

水銀燈「そう、それじゃあ昨日の繰り返しよぉ。腹筋、腕立て、スクワット100セットずつ」

ジュン「うん」

ジュン「…うぐぐぐぐg」

水銀燈「(…もう、どこまで突っ張る気かしらぁ?)」



ジュン「…うぅ、ふぅ…終わったよ」

水銀燈「(昨日の倍以上時間がかかったけど、やりぬいちゃったわぁ)」

ジュン「じゃぁ、次は五円玉打ちだね…」

ヨロ ヨロ

水銀燈「(…まったく)」

ジュン「水銀燈、メトロノーム」

水銀燈「?あ、いいわよぉ」

カチ カチ カチ

ヒョロン ドテ

ジュン「…」ワッセワッセ

ヒョロン カチ ヒュルン スカッ

ジュン「…」ヨイショヨイショ

ヒョロン カチ ヒュルン ドテ

ジュン「…」イチニ イチニ

水銀燈「…」




水銀燈「…あぁ、もう! わかったわよぉ!!」
212水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 08:34:08 ID:GwN1Rmu1
ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「ほら、ちょっとこっち来なさい!」

ジュン「え?」

水銀燈「そこ座って! ひざ伸ばして!」

ジュン「…こう?」

水銀燈「息大きく吸って…吐いて、力抜いてぇ」

グイッ

ジュン「あだだだだ!?」

水銀燈「ちょっとくらいガマンなさい!」

ググッググッググ

ジュン「あでででで!!」

水銀燈「腕も出して! 腰も回す!」

ジュン「うががががが!」




水銀燈「…どう?」

ジュン「…どうって、体中ねじまげられてガタガタだよ」

水銀燈「憎まれ口たたいてないで、立ってごらんなさぁい」

ジュン「…」

グッ 

ジュン「あれ?」

水銀燈「多少は楽になったでしょう?」

ジュン「…ほんとだ、水銀燈ってすごいな」

水銀燈「まったく、もう…」

水銀燈「ちゃんと教えてあげるから、よく聞きなさぁい」
213名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/08(日) 10:06:27 ID:6o1XtKoa
ワッフルワッフル
214水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 18:32:46 ID:t7UnkYpG
水銀燈「そう、立ち位置はそこ。全身の力を抜いてぇ」

水銀燈「…それじゃ、もう一回打ってみなさぁい。一回でいいわよぉ」

ジュン「わかったよ。よいしょ!」

カチーン!

水銀燈「…軽くでいいのよぉ。横から軽く、コツンと叩けばいいのよぉ」

ジュン「…そうなの?」

コツン クルクルクル

水銀燈「そう、それでいいのよぉ。そうすれば、軌道も予測しやすいでしょう?」

ジュン「…そうだけど、これで練習になるの? 力もいれずに、打ちやすいように叩いても…」

水銀燈「なら、やってみなさぁい」

カチ カチ カチ

ジュン「よっ、はっ、せっ!」

カチン カチン カチン スカッ

ジュン「さ、三回続いた!」

水銀燈「そのくらいで喜んでどうするの。失敗したからスクワット10回よぉ」

ジュン「はーい」

ワッセ ワッセ ワッセ…

水銀燈「はい、ストップ」
215水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 20:03:36 ID:IL7q0YRU
水銀燈「姿勢が右にずれてるわよぉ」

ジュン「…あ、ほんとだ」

水銀燈「ジュン、さっきの空振りのこと覚えてるぅ?」

水銀燈「右から振ったか左から振ったか、振り遅れたのか早く振りすぎたのか」

ジュン「え? えっと…たしか、右から振って振り遅れたんだと思う」

水銀燈「そう、ついでに言えばかなり下側のほうを振ってたわねぇ」

ジュン「でも、それがいったい?」

水銀燈「答えから言うと、ジュン。あなたには力むと右に体がよれるクセがあるのよぉ」

ジュン「え?…そんな」

水銀燈「ウソだと思うんなら、もう一回スクワットしてごらんなさい。ただし、目はつぶってねぇ」

ジュン「…」ワッセ ワッセ ワッセ

水銀燈「はい、目を開けてぇ。どう?」

ジュン「…あれれ」

水銀燈「わかったでしょぉ?」
216水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 20:14:10 ID:IL7q0YRU
水銀燈「体はよれているのに、意識ではまっすぐだと思いこんじゃってる」

水銀燈「だからズレが生まれて、思うとおりに当てられなくなるのよぉ」

ジュン「…」

水銀燈「人間の体だって、使ってるうちにずれてきたりゆがんできたりする」

水銀燈「だから、ほんとに正確に動かそうと思ったら調整する必要があるのよぉ。私たちと同じように」

ジュン「…そうか、いまやってたことは…」

水銀燈「そう、意識のとおりに体が動くかどうかの調整と試運転よぉ」

ジュン「最初のスクワット・腹筋・腕立ては、いわば暖気運転ってこと?」

水銀燈「そのとおりよぉ。飲みこみが早いわねぇ」

水銀燈「だから慣れるまでは、軽く打ちこんで調整なさい」

水銀燈「そして空振ったら何で外したかをよく考えて、10回体を動かすうちに微調整するのよぉ」

水銀燈「とにかく、自分の体にとことん意識を向けてみなさぁい」

ジュン「…意識を」

水銀燈「さぁ、再開よぉ」

ジュン「よーし!」
217水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 20:36:55 ID:IL7q0YRU
ジュン「あ、その前に」

水銀燈「え?…んむっ!?」

チュウウウウウ

ジュン「今日は忘れないうちに…ぶっ!」ベシン

水銀燈「い、いきなりなんてずるいわよぉ! か、開始よっ!」



のり「…ただいまー」

水銀燈「おかえりなさぁーい、ご飯できてるわよぉ」

カチン カチン カチン

のり「…何の音?」

カチン カチン カチン

のり「…ジュン?」

カチン カチン カチン

のり「銀ちゃん、ジュン何してるの?」

水銀燈「あぁ、あれはねぇ…」



(水銀燈「暗くなってきたし、今日はそろそろおしまいにするわよぉ」)

(ジュン「居間の電気つけて、カーテン開けておいてよ。もうすこし頑張る」)

(ジュン「なんか、もうちょっとで出来そうな気がするんだ」)

(水銀燈「…それじゃ、勝手になさぁい」)



水銀燈「…っていうわけなのよぉ」

のり「ふーん…」

カチン カチン カチン

水銀燈「いくらなんでも、2日目でできるわけないんだけどねぇ」

のり「…でも…」

のり「なんか、さっきからずいぶん続いてない?」

カチン カチン カチン

水銀燈「え…?」
218水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 20:43:54 ID:IL7q0YRU
ジュン「(も、もうだめだ…)」

ジュン「(頭がボーっとする…)」

カチン カチン カチン

ジュン「(手も…しびれて…足も…)」

ジュン「(ボク…なんでこんなことやってるんだっけ?)」

カチン カチン カチン

水銀燈「ジュン? …ジュン!! もういいわよぉ!」

ジュン「…え?」

水銀燈「…合格よ、だからもういいのよぉ!」

ジュン「…へへ」ニヤリ 

ドテッ

ジュン「…ぐー」

のり「…この子ったら」

水銀燈「(気づいただけで20回以上続いてた…)」

水銀燈「…もしかしたら、素質あるのかもねぇ」

のり「…銀ちゃん、足のほうもって」

水銀燈「はぁい」




のり「(ジュン…すごいよ、あなたすごいよ)」
のり「(わたし… わたし、もしかして…)」
219水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 21:08:32 ID:P3zjWNLG
水銀燈「とりあえず、体洗って着替えさせなくちゃねぇ」

のり「わたしもやるわ」

水銀燈「帰ってきたばかりだからいいわよぉ。晩ご飯たべてぇ」

のり「…お願い、やらせて」

水銀燈「…わかったわぁ」

ンショ ンショ 

ドサ

ヌギ ヌギ

水銀燈「シャワー暖めるわよぉ」

のり「あ、ちょっと待って。銀ちゃん、動かないで…」

水銀燈「…なぁに?」

のり「髪の毛。切れちゃったら大変」

シュルシュル キュッ

のり「いいわよー」

水銀燈「…あ、ありがとねぇ」
220水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 21:49:37 ID:P3zjWNLG
シャーーーー

ゴシゴシシゴシ

のり「こうやって洗ってあげるのなんて、ほんとにひさしぶり」

水銀燈「頭はわたしがやるわぁ」

ワシャワシャワシャ

水銀燈「ほんとに、よく頑張ったわねぇ。ちょっと見直したわぁ」

のり「…銀ちゃん」

水銀燈「…どうしたのぉ?」

のり「…わたしね、ジュンをずぅっと甘やかしてきたの」

水銀燈「…」

のり「ジュン、寂しがりやだから、親がそばにいないことをほんとうに悲しんでて…」

のり「だからっていうんじゃないけど、あんまり厳しいことも言わずに、好きなようにさせてきちゃった」

水銀燈「…お姉さま」

のり「学校に行かなくなって、家に引きこもるようになっても、ずっと…」

のり「でも、真紅たちやあなたが来てくれて、ジュンは変わった」

ゴシ ゴシ

のり「みんなを、あなたを守るために、努力を惜しまないようになった」

のり「相手を思いやるようになったし、気を使うようになった」

のり「苦しむことも傷つくことも、いとわないようになった」

のり「だから、ほんとうにあなたがたには感謝したいのよ。いくらしてもし足りないくらい」

のり「…でもね…」

ワシャ ワシャ

のり「…もしかしたら、わたしがジュンをダメにしちゃってたのかな、って思っちゃって…」

水銀燈「…お姉さま…」

のり「ぐずっ…へへへ、わ、わたしって…ダメなお姉ちゃんだね…ひぐっ」

シャーーーーー
221水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 22:08:22 ID:P3zjWNLG
のり「んしょ、んしょ」

水銀燈「よいしょ、っと」

ボフン

のり「ジュン、おやすみ」

水銀燈「わたしも、もう寝るわぁ」

のり「うん、わたしもご飯食べてすぐ寝ちゃう」

のり「…変なこと言っちゃって、ごめんね」

水銀燈「…いいえ」

のり「おやすみ、銀ちゃん」

トン トン トン

水銀燈「…」




のり「…くー…」

トコ トコ トコ

のり「すー… すー…」

モゾ モゾ ゴソ ゴソ

のり「…ん…」

のり「ん…あれ? え?!」

水銀燈「こんばんわぁ、お姉さま」

のり「ぎっ銀ちゃん?!」

水銀燈「寝つけないからお邪魔するわぁ。お布団もあったかくていいわねぇ」
222水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/08(日) 22:16:46 ID:P3zjWNLG
のり「べ、別にいいけど…カバンで寝なくていいの?」

水銀燈「おなかがふくらんじゃったせいか、カバンだときついのよぉ」

のり「…そうなんだ」

水銀燈「背中が寒いわぁ…失礼するわねぇ」

モゾモゾ

ギュウ

のり「あら、あらららぁ」

水銀燈「あったかいわぁ」

のり「銀ちゃんって…大胆ねぇ」

スリスリ 

水銀燈「ねぇ、お姉さま」

のり「…なぁに?」

水銀燈「ジュンのこと」

のり「…」

水銀燈「ジュンはお姉さまの言うとおり、私たちのことを真剣に守ろうとしてくれてるんだと思う」

水銀燈「けれどねぇ…」

ギュウ

水銀燈「その想いの源になっているのは、やっぱりお姉さまへの想いのような気がするのよぉ」

のり「…わたしへの?」
223水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/10(火) 21:03:28 ID:YMuHlCcj
水銀燈「ええ…ジュンは言っていたわ」

水銀燈「『みんなの姉さんとしてずっと頑張ってきた君のことを助けたい』ってねぇ」

のり「ジュンが、そんなことを…」

水銀燈「たぶん…姉さまにされてきたこと、いつか返したいと思ってきたことをいまわたしにしてくれている」

水銀燈「わたしにはそう思えるのよぉ。だから、あそこまで頑張れるんだって」

のり「…」

水銀燈「お姉さま。あなたは、ジュンをダメにしたんじゃない」

水銀燈「ジュンの中に、いつか飛び立つための力を育て続けてきた」

水銀燈「わたしたちは、その力を解き放つきっかけになっただけ。そう思ってる」

のり「…」

ギュゥゥゥ

水銀燈「…ん、ちょっと苦しいわよぉ、お姉さまぁ」

のり「銀ちゃん…ありがとうね」
224水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/10(火) 21:12:39 ID:YMuHlCcj
チュン チュン チュン

ジュン「…あたたた」

チチチチチ

ジュン「…いつの間にか寝ちゃってたんだ」

ジュン「…おなか減った」

トン トン トン

ジュン「あててて…おはよ」

のり「おはよー」

水銀燈「あらぁ、今日は自分で起きてこれたのねぇ」

ジュン「…水銀燈? 髪型…」

水銀燈「…あ、これぇ? お姉さまに結ってもらったのよぉ」

ジュン「(…か、かわいい…)」

水銀燈「ふふ、どーぉ? 似合うぅ?…んむっ!?」

ンチュウウウウ

のり「あら、大胆」

ドゲシ

水銀燈「んななななななな何すんのよぉっ!!! いきなりやるなって言ったでしょぉ?!」

ジュン「…いいじゃん、今更」

水銀燈「ふざけんじゃないわよぉ! とっととご飯食べなさぁいっ!!」

のり「(…ニヤニヤが隠せてないわよー…)」
225水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/10(火) 21:24:20 ID:YMuHlCcj
【二週間後】

カチン カチン カチン カチン

水銀燈「(ほとんど失敗しないようになってきたわねぇ、午前中で終わっちゃうようになっちゃったわぁ)」

カチン カチン カチン カチン

水銀燈「(そろそろイタズラしてみようかしらぁ)」

カチン カチン カチン ヒュッ チン!

ジュン「えっ!?」

水銀燈「はぁい失敗。腹筋10回ねぇ」

ジュン「い、今のはずるいよ! 小石を当てるなんて…!」

水銀燈「あらぁ? 相手が普通の動きしかしないとでも思ってるのぉ?」

ジュン「う…」

水銀燈「もうひとつ言うと、攻撃は目の前からしかこないとも限らないわよぉ」

水銀燈「さぁ、ちゃきちゃきやんなさぁい」

ジュン「…ちぇ」ヨイショ ヨイショ ヨイショ

水銀燈「さ、ここらでお昼にしましょうか」

ジュン「うん。あ、そうだ」

ボコッ

水銀燈「いつまでも不意打ちばっかり食らうと思ってるのぉ?」

ジュン「あいたた…」

水銀燈「お・ば・か・さぁん」チュッ

ジュン「んむっ」

チュウウウウ




水銀燈「ぷぅ、…ふふふっ」

ジュン「…へへへ」
226水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/10(火) 21:35:38 ID:YMuHlCcj
ジュン「水銀燈、これ」

水銀燈「あらぁ? 何かしら…」

ガサガサガサ

水銀燈「…これ…」

ジュン「君のドレス。マタニティ仕様にしてみたんだ」

ジュン「今度、めぐのところに行くんだろ?」

(のり「めぐちゃんに、きちんとお礼を言わなくちゃね。銀ちゃんと私たちを引き合わせてくれたことに」)

ジュン「…お、怒った?」

水銀燈「…さぁん」

ジュン「えっ?」

ボカッ!

ジュン「わっぷ?!」

水銀燈「お馬鹿さぁん!」

ボカ ボカ ボカ

水銀燈「お馬鹿さん! お馬鹿さん! 馬鹿ぁ!!」

水銀燈「お金にしてって言ったじゃなぁい!」

水銀燈「だれもオシャレしたいだなんて言ってないわよぉ!!」

水銀燈「言ってないのにぃ…」

ポコ ポコ ポコ

ジュン「…水銀燈は、綺麗なほうがいいよ」

ジュン「そのほうが、僕らも嬉しいんだ」



ジュン「…泣いてるの?」

水銀燈「ぐずっ…見ないでよぉ」
227水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/10(火) 23:11:19 ID:ERhM4VeH
【1ヵ月後】

カチン カチン カチン

水銀燈「…」

カチン カチン カチン

水銀燈「」シュッ

ジュン「せいっ!」

キキン!!

水銀燈「ふふ、お見事」

水銀燈「(半身になってわたしを視界におさめ、小石ごと五円玉をたたく。まぁまぁねぇ)」

ジュン「へへ。どうだい」

水銀燈「わたしに背中を向けたままできたら100点あげるわよぉ」

ジュン「…それはいくらなんでも無理」

水銀燈「(このぶんだと、出来るようになっちゃいそうだけどねぇ)」

水銀燈「…ねぇ」

ジュン「ん」

チュウウウウ

のり「あらら。慣れてきた感じ…」

ドサッ

巴「ジュ…ジュン君…」

ジュン「か、柏葉!?」

水銀燈「あらぁ、いらっしゃぁい」

ジュン「な、なぜ?!」

水銀燈「お姉さまに、だれか武術の心得がある人を連れてきてってお願いしてたんだけど…」

のり「(…ちょっとマズかったかなー)」

巴「…」キュッ シュルル ガバ

ジュン「(…無言で防具つけてるのが怖すぎる…)」
228名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/11(水) 22:05:54 ID:ONuz/qoG
保守
229水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/12(木) 10:51:10 ID:nHhtMKc9
>>213
亀ですんません、完走目指してがんばります。

>>228
保守どもっす。


巴「…ジュン君も、防具つけて竹刀持って」
 
水銀燈「『本気で打ちこむから覚悟決めろ』って意味よぉ、頑張ってねぇ〜」

ジュン「(マジッスカ)」

水銀燈「はじめっ!」

ヒュババババッ!!

巴「いぇぁあああああああー!!」

ジュン「うわぁあああああー?!」

ビシバシドスベシボグ

水銀燈「んもう、いきなり気迫負けしてどうするのよぉ…」

水銀燈「ジューン! とりあえず落ち着きなさぁーい!」

ジュン「(そんなこと言われても速すぎるよ!)」

水銀燈「腕が糸、竹刀の先が五円玉よぉ!」

ジュン「(…え?)」

巴「しゃっ!」

ジュン「(こ、こうか?!)」

ビシッ!

巴「えっ?!」

水銀燈「そうよぉ、落ち着いていきなさぁい!」
230水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/12(木) 11:02:17 ID:nHhtMKc9
巴「しゅっ! しゃっ! ひゅうっ!」

ジュン「うわっ、とっ、せっ!」

ビシッ バシッ パシッ!

巴「(す、すごい…ジュン君…)」

水銀燈「今よジュン! 小石打ち!」

ジュン「(え…こう?!)」

パァン!!

巴「…うそ…」

水銀燈「ふふっ、まずまずといったところかしらねぇ」

巴「…もう一本!」

ジュン「お、おぅっ!」



ジュン「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…」

巴「はぁ、はぁ、はぁ…」

水銀燈「(人間相手だとやっぱり違うわねぇ。できれば実戦がいいんだけれど)」

ジュン「か、柏葉…」

巴「な、なぁに?」

ジュン「柏葉って、すごいな。全然歯が立たない」

巴「…嫌味? 小手3回も取っておいて」

ジュン「いや、そんなつもりじゃ…」

巴「…明日も来るわ。このままじゃ、私の気が収まらない」
231水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/12(木) 11:16:43 ID:nHhtMKc9
【翌日】

巴「たのもーぅ!!」

ジュン「…なんか違うような…」

水銀燈「(思った以上にいい訓練になりそうねぇ)」

巴「今日は一本も取らせないからっ!」

ジュン「(…タスケテ…)」

ビシバシパンボススパパパパ




ジュン「…ほんとに一本も取れなかった…」

水銀燈「あららぁ、ボッコボコねぇ」

巴「どうだーっ!」

巴「(…後半、ほんとギリギリだった…)」

巴「(ほんとにひと月くらいしかやってないの? ジュン君…)」

水銀燈「ほらぁ、いつもでもへばってないで礼くらいなさい」

ジュン「うう…あ、ありがとうございました」

巴「(…ずるいよ)」

巴「(水銀燈もずるいし、ジュンはもっとずるい)」

巴「じゃあ、わたしはこれで」

ジュン「…あ、柏葉」

巴「なに?」

ジュン「…今日もありがとう」




巴「(…男の子って、ほんとにずるいよ…)」
232名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/12(木) 21:20:17 ID:SiXivkN1
保守
233水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/13(金) 18:55:28 ID:3whr6Xrm
>>232 保守どもです。

のり「あれ、巴ちゃんは?」

ジュン「帰ったよ」

のり「そうなの… ご飯食べてもらおうと思ってたのに、残念」

ジュン「お風呂入ってくるよ」

水銀燈「いってらっしゃぁい」



ジュン「ごちそうさまー」

水銀燈「ジュン、寝る前に体ほぐしておくのよぉ」

ジュン「はーい」

トン トン トン

のり「銀ちゃんももう休んで。今日はわたしがやるから」

水銀燈「ありがとう、お姉さま」

水銀燈「…」

トン トン トン
234水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/13(金) 18:57:06 ID:3whr6Xrm
ジュン「…ぐー」

ガチャリ

水銀燈「まぁ、やっぱり」

ジュン「zzz…」

水銀燈「まったく、もう」

ユサユサ

水銀燈「ジュン! ジュンってば!」

ジュン「む… ぐー…」

水銀燈「…んもう、仕方ないわねぇ。 よいしょっ」

ゴロン

水銀燈「今回だけよぉ」

グイ グイ グイッ

ジュン「んー…」

ギュ ギュ ギュッ 

水銀燈「(…ちょっと筋肉ついてきたかしら)」
235水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/13(金) 19:04:49 ID:3whr6Xrm
ジュン「すー…くー…」

水銀燈「んもう、ぐっすり寝ちゃって」

グ グ ググッ

水銀燈「…手だけじゃ無理ねぇ。よいしょ…っとと」

フミ フミ フミ

水銀燈「(…案外、大きな背中ねぇ。 まだまだ、体が大きくなるのかもねぇ)」

ジュン「ん…」

水銀燈「(あんまり大きくなりすぎても困るけど。それにしても)」

フミ フミ フミ

水銀燈「うらやましいわぁ」

ジュン「…何が?」

水銀燈「わぁっ?!」

ドッスン

ジュン「ぐぇ」
236水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/13(金) 19:16:56 ID:3whr6Xrm
水銀燈「お、起きてたんなら一言言いなさいよぉ!」

ジュン「…いま目が覚めたんだ、驚かせてごめん。 マッサージありがとう」

水銀燈「ほんとにもう」

ジュン「ねぇ…」

ゴロン

ジュン「うらやましいって、何が?」

水銀燈「…どうでもいいでしょぉ?」

ジュン「聞かせてよ。明日からまじめにストレッチやるから」

水銀燈「それは言おうが言うまいがやらなきゃダメ!」

ジュン「ちぇ」ゴロン

水銀燈「…んもう」

ギシッ ギュッ

ジュン「あ…そこ…気持ちいい」

水銀燈「ちょっとは筋肉ついてきたみたいね」

ジュン「ほんと?! へへっ」

水銀燈「…そんなに嬉しいのぉ?」

ジュン「うん。…ずっとチビとかもやしっことか言われてたから」

ジュン「いっそ、ウェイトトレーニングもしてみようかな」

水銀燈「それはダメ」

ジュン「えー? 何で?」

水銀燈「力に頼りすぎるようになっちゃうからよ」

水銀燈「どんなに力をつけても、かなわない相手や状況ってのはあるでしょう?」

ジュン「…うん」

水銀燈「力をつけるのはいいけど、やみくもに筋肉をつけるものじゃないわ。使うための体を仕上げなさい」

ジュン「わかったよ」

水銀燈「(それに…)」



水銀燈「(マッチョすぎるのは好みじゃないのよぉ)」グニグニ

ジュン「…い、痛いよ?」
237水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/13(金) 19:26:12 ID:3whr6Xrm
水銀燈「息を吸って…吐いて、力抜いて」

ジュン「すぅーーーー、ふぅぅー…」

水銀燈「よっ」グイ

ペギキ

ジュン「あうぅ」

水銀燈「痛かったぁ?」

ジュン「んー…痛きもちいい」

水銀燈「ふふっ」

グッ グッ

ジュン「水銀燈って、なんでもできるんだね」

水銀燈「まぁ、永年生きてきたからねぇ」

ジュン「うらやましいなぁ」

水銀燈「…わたしが?」

グッ グッ グッ

ジュン「うん。気楽にあこがれるものじゃないってのはわかるけど」

ジュン「それでも、君らは強いし、きれいだし、賢いし…」

水銀燈「…」

ジュン「いろんなことができて、年もとらない」

ジュン「大変なのはわかるけど、やっぱりうらやましい」



水銀燈「…あなたはなにもわかってない」
238水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/13(金) 20:40:49 ID:i6cQCmxV
ジュン「ぼくが?」

水銀燈「えぇ、そうよ。わたしたちからすれば、むしろあなたたちのほうがうらやま…あ」

水銀燈「(…いっけなぁい)」

ジュン「ぼくたちのほうが?」ニヤニヤ

グリッ

ジュン「あだだだだ?!」

水銀燈「わたしをハメようとするなんて悪い子ねぇ」グリグリグリ

ジュン「うががが! こ、降参!」

水銀燈「ほんとに、もう」

キュッ キュッ キュッ

水銀燈「…わたしたちは『体を鍛える』ってことが出来ないから」

ジュン「鍛える?」

水銀燈「ええ。人間は、強くなるためには大変な思いをして鍛錬しなければいけない」

水銀燈「けれど逆に言えば、大変な思いをすれば強くなったり美しくなったり、ごほうびがあるってことでしょう?」

ジュン「…」

水銀燈「わたしたちは、どんなに辛い目にあってもはやく体が痛むだけ」

水銀燈「生きる辛さは変わらないのにね」

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「この体はお父様からいただいた無二のものだから、わたしたちの誇りではあるんだけれど」
239水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/13(金) 23:05:26 ID:D2N/4nYX
ジュン「でも、心は成長するんだろ?」

水銀燈「そうありたいとは思ってるんだけど」

水銀燈「雛苺を見てたり、真紅と仲直りできない自分のことを考えると不安になってくるわ」

ジュン「…」

ギュ ギュ ギュ

水銀燈「まぁ、最初から強く美しい体を持ってるって考えればいいのかもしれないわねぇ」

ジュン「そうだよ。…それに」

ギュ ギュ ギュ

ジュン「君たちは、年をとらないじゃないか」

水銀燈「…」

グイ グイ グイ

ギュッ ギュッ グッ

水銀燈「…」

ジュン「…」

グ グ グッ

キュ キュ キュッ

水銀燈「…それを一番、うらやましいと思ってるのよ」

ジュン「…」

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「…ぐー」

水銀燈「(…まったく、もう)」
240水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/13(金) 23:21:20 ID:D2N/4nYX
【翌週】

巴「こんにちはー」

のり「いらっしゃーい。いつもありがとうね」

巴「いえ…ジュン君は?」

のり「お庭で稽古してるわよー」



水銀燈「来たみたいねぇ…じゃあ、教えたことは理解できたぁ?」

ジュン「…たぶん」

水銀燈「頼りないわねぇ。まぁいいわ、せいぜい頑張ってみなさぁい」

巴「ジュン君、水銀燈、こんにちは」

ジュン「あ、どうも…え?」

水銀燈「…家からその格好で来たのぉ?」

巴「今日は荷物を余分に持ってきたから。それじゃ、早速だけど…」

ジュン「あ、うん。着替えてくる」




水銀燈「それでは…はじめっ!」

ジュン「せやあああああっ!」

巴「(えっ?!)い、いやぁぁぁぁあっ!」

(水銀燈「まず、気迫でのまれないことよ」)
(水銀燈「気迫負けしたら、相当戦力差があっても苦戦させられる」)
(水銀燈「一切動じない自信がないなら、こちらも気勢を上げていきなさい」)
241水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 09:28:57 ID:W5lv7Phb
ジュン「せっ! はっ! やぁっ!」

巴「くっ! うっ! このっ!」

(水銀燈「気勢を上げても、のぼせちゃったらダメよ」)
(水銀燈「あくまで冷静に。相手をよく見なさい」)
(水銀燈「体、顔、動き…いろんなことを教えてくれるはずよ」)

巴「…しゃっ!」

ジュン「…はっ!」

ガシイッ

(水銀燈「隙あらば、力勝負に持ち込みなさい。技の勝負ではあなたはまだ勝てない」)
(水銀燈「いくらチビでももやしっ子でも、男なんだから力はあなたのほうがある」)
(水銀燈「自分の得意な勝負にいかにして持ちこむかを考えるのよ」)

ジュン「えぇーいっ!」
巴「…くっ?!(いけない、押し切られる!)」ダッ


水銀燈「そこよ!」

ジュン「はぁっ!!」

ドスッ

巴「うぁっ?!」

ドテッ

ジュン「か、柏葉!」
242水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 09:40:25 ID:W5lv7Phb
水銀燈「ジュン! ダメよ!!」

ジュン「…えっ?」

水銀燈「助け起こそうとしたんでしょう?」

ジュン「…そう、だけど…」

水銀燈「巴に恥をかかせる気?」

巴「…水銀燈の言うとおりよ」

ムクッ

ジュン「柏葉…」

巴「見事な突き一本だった」

ビュッ!

巴「さぁ、もう一本!」

ジュン「…おぅっ!」

水銀燈「(…ありがとうね、巴)」



ジュン「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…ま、負けた」

巴「はぁ、はぁ…今回はなんとか勝ち越せたけど…」

巴「(男の子って、ずるいなぁ。ほんっとに…)」

のり「みんなお疲れさまー。お風呂わけてるわよー」

ジュン「はーい」

のり「巴ちゃんも入っていきなさーい、今日は晩ご飯食べてってねー」

巴「はい。…すみません、のりさん」

のり「なぁに?」

巴「今日は、泊まっていってもいいですか?」

ジュン「…えぇっ?!」
243水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 10:10:10 ID:W5lv7Phb
巴「明日は休みだし、それにもうすこしやってみたいことがあるんです」

のり「いいわよー、わたしか銀ちゃんと相部屋になるけど」

巴「はい、お願いします」

ジュン「…ちょ、ちょっと…」

水銀燈「先風呂もらうわよぉ。…巴、一緒に入るぅ?」

巴「…はい」

ジュン「(いいのかよ、ほんとうに…)」




巴「わぁ、ほんとうにふくらんでる」

水銀燈「ふふ、雛苺もここにいるのよぉ」

巴「すごい…あ、背中流します」

ザァッ

水銀燈「…ありがとうねぇ」

巴「何が?」

水銀燈「妹と、ジュンがお世話になって」

巴「いえ… 私のほうこそ、ありがとうございました」

水銀燈「なぁに?」

巴「今日のお稽古で、ジュン君を止めてくれて」

水銀燈「…私も、背中流してあげるわぁ」

ゴシ ゴシ ゴシ

水銀燈「…さっきの話だけどぉ」

巴「…」

水銀燈「…全力で戦って負けた相手に情けをかけられるってことほど、切ないものはないわぁ」

巴「…わかります」

水銀燈「戦うのなら、恨みっこなしでやりあいたいものねぇ」

巴「…アリスゲームのように?」
244水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 18:19:17 ID:GJP9pRl0
水銀燈「…えぇ。そうよ」

シュ シュ シュ

巴「結晶が修復されてみんながよみがえったら、またゲームを始めるんですか?」

水銀燈「…」

巴「流しますね」

ザァッ

水銀燈「…それを聞きに来たの?」

巴「…」

水銀燈「湯船、もらうわ」

巴「…わたしも」

チャポン

水銀燈「…もちろん、再開するわ。恨みっこなしでね」

巴「…もう、あなたはアリスを目指す必要はないんでしょう?」

水銀燈「スキあらばなってもいいと思ってるけどね。究極の少女なんてロマンチックじゃなぁい?」

巴「…ふざけないでください」

水銀燈「ふざけてなんかないわ」

チャポ

水銀燈「…わたしは、まだ『マリア』になる覚悟を固めきったわけじゃないもの」
245水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 18:30:58 ID:GJP9pRl0
巴「…え?」

水銀燈「あの子たちが、わたしを『母親』と認めると思う?」

巴「…それは…」

水銀燈「それにアリスゲームをやめたからって、わたしたちが戦わずにすむわけじゃないもの」

巴「…」

水銀燈「いずれにせよ、これからも戦わなければならない。だからジュンも戦おうとしてくれてる」

水銀燈「ならば、常に戦える自分たちでいたいと思うのよ」

巴「…水銀燈」

水銀燈「あなたたちには、ほんとうにお世話になってる。そのことは忘れていない」

水銀燈「けれど、あんまりお世話になりすぎてしまうと、いざというとき戦えない自分になってしまいそうな気がする」

ザバッ

水銀燈「そして、勝てる戦いに負けて、助けられる命を取りこぼしてしまうかもしれない」

水銀燈「わたしはそれがとても怖いの」

巴「…」

水銀燈「長話になっちゃったわね。さぁ、上がりましょう。のりが待ってるわ」
246水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 18:45:09 ID:GJP9pRl0
水銀燈「お待たせぇ」

ジュン「待ちくたびれたよ。おなかペコペコ」

水銀燈「うわぁ、今日は豪華ねぇ」

のり「巴ちゃんのさしいれよー」

巴「ミートローフ作ってみたんです。お口に合うといいけど…」

ジュン「うまいよ、最高!」

のり「こら、ジュン! みんなそろってから食べなさい!」

巴「…うふふっ」



ジュン「ごちそうさまー」

巴「あ、片付け手伝います」

水銀燈「わたしもやるわぁ。あ、ジュン!」

ジュン「『体ほぐしておきなさい』だろ?」

ジュン「また、水銀燈がやってよ。そのほうが気持ちいいもん」

水銀燈「だぁめ。今はとっても忙しいのよぉ!」

(ねこ警部「なにっ! これはいったいどういうことだ!?」)
(ドロボウキャット「ネコのくせに、警察のイヌになるようなやつにはわからんよ」)

水銀燈「(あぁっ、正義のピンチ! くんくん早く登場してぇっ!)」

ジュン「…テレビ見たいだけじゃないか」

水銀燈「なんか言ったかしらぁ?」ニヤー

ジュン「なんにもー」スタコラサッサ
247水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 18:58:07 ID:GJP9pRl0
ガチャン バタン

ジュン「…ちぇ、ケチ」ゴロン

ウンショ ウンショ ウンショ



のり「もういいわ、みんなお疲れさま」

巴「はい」

水銀燈「はぁい」トタタタタ



ジュン「よいせ、よいせ…」

ジュン「…もういいや」

ジュン「…ぐー…」

トン トン トン 

ガチャリ



(くんくん「小さな小さな事柄も、積み重ねればかならず真理に到達する!」)

水銀燈「あぁっ素敵! あなたこそ正義よぉ!」

のり「(…こんな子だったっけ?)」



ギシッ 

グイ グイ グイ

ジュン「(…ん?)」
248水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 19:05:37 ID:GJP9pRl0
グッ グッ グッ

ジュン「(なんだ、水銀燈。 結局やってくれるんだ)」

グッ グッ グッ

ジュン「(…気持ちいい〜)」

グイ グイ グイ

ジュン「…ねぇ、背中鳴らして」ゴロン

ググ  グググッ  ペキッ

ジュン「あふっ」

巴「あ、痛かった?」

ジュン「ううん、痛きもちいい…」

ジュン「う、うわぁぁぁぁぁ?!」



(くんくん「正義は僕が守る! よい子のみんな、また来週!」)

水銀燈「あぁ…夢のような時間だったわぁ…」
249水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 19:19:57 ID:GJP9pRl0
ジュン「とととと、巴っ?!」

巴「あれ? ふふふっ」

ジュン「な、なに笑ってるんだよ!」

巴「はじめて『巴』って呼んでくれた」ニコニコ

ジュン「か、勘弁してくれよ…」ガバッ

巴「足もやってあげるよ? 部活でよくやるから」

ジュン「いいってば!」

巴「いいからいいから…」

キュ キュ キュ

ジュン「(あ、気持ちいい… って俺落ち着け)」

巴「…迷惑じゃなかった?」

ジュン「え? な、なにが?」

巴「何度も押しかけてきて」

ジュン「…いや、とてもありがたかったよ。 すごく助かった」

巴「そう?」

ジュン「相手してくれるたびに、新しいことがわかるような、身につくような気がして…」

ジュン「つきあってくれて、ほんとにありがとう」

巴「そう…」

クニ クニ クニ

ジュン「ふひゃっ?!」

巴「あ、くすぐったかった?」

ジュン「いや、大丈夫!(足の指の間…気持ちいい…)」
250水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 19:30:03 ID:GJP9pRl0
クニ クニ クニ

巴「ほんとのこと言うとね、悔しかったんだ」

ジュン「悔しい?」

巴「うん。 ジュン君って、鍛え始めてから1ヶ月ちょっとなんでしょ?」

ジュン「あ、ああ」

巴「私はいちおう子供のころからずーっとやってるのよ」

巴「だのに、あっというまに追いつかれて、もう追い越されそう」

ジュン「そんな…」

巴「ううん、あなたはほんとに強くなった。だから悔しいって思ったの。 …男の子って、ずるいなぁって」

ジュン「…それは違うよ。 ボクは実力じゃまだまだ巴にはかなわない」

ジュン「どうにか勝負になったのは、水銀燈のおかげだよ」

巴「…それも、ずるいなぁって」

ジュン「…どういう事?」

巴「だって… 水銀燈って、強くて綺麗で年もとらない究極の少女でしょ」

巴「私じゃ勝負になりっこない」

ジュン「え? そ、それって…」

巴「…くやしいなぁ」

クニ クニ クニ

ガチャン

水銀燈「お馬鹿さんねぇ」
251水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 19:41:22 ID:GJP9pRl0
ジュン「す、水銀燈!」

巴「…聞いちゃったの?」

水銀燈「えぇ。…馬鹿なこと言ってるわねぇって」

トコ トコ ギシッ

水銀燈「しょうがないわねぇ、わたしは頭をやってあげるわぁ」

グニ グニ グニ

ジュン「(あ、頭の皮…これも気持ちいいかも)」

巴「…そんなに馬鹿なことだった?」

水銀燈「ええ。 お馬鹿も馬鹿、大馬鹿さんよぉ」

グニ グニ グニ

巴「…いつまでも出会ったころのまま綺麗な姿の少女なんて、漫画やゲームの女の子みたいなものじゃない」

巴「現実にいられたら、勝ち目なんてないよ」

クニ クニ クニ

水銀燈「…わたしたちは、漫画やゲームのキャラクターと一緒なのよ」

巴「え?」

水銀燈「人間と同じ時間を歩めないってこと。 出会って、お互い成長しあって、年をとって寄り添いあって、っていう」

水銀燈「それはつまり、同じ世界で生きられないってこと」

ジュン「水銀燈…」

グニ グニ グニ
252水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 19:49:35 ID:GJP9pRl0
水銀燈「わたしたちとあなたたちは、たまさか同じ時代にかろうじて一緒になったってだけ」

水銀燈「もう何年かすれば、いやおうなしに別れが来る。そういうものよ」

巴「そんな…」

水銀燈「そうなのよ」

グニ グニ グニ

水銀燈「…だから、柴崎ご夫妻を見てるとほんとうにほんとうにうらやましいって思うのよ」

水銀燈「たったひとりのパートナーと寄り添いあって、思い出にひたって生きていけるなんて…」

ジュン「…」

水銀燈「ジュン、メガネ外して」

ジュン「? …うん」

カチャン

水銀燈「目、つぶって」

ジュン「えっ?!」

巴「ええぇっ!?」
253水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 19:58:29 ID:GJP9pRl0
水銀燈「…何にもしやしないわよぉ。 ほらほら目つぶって」

ジュン「あ、うん」

クリ クリ クリ

水銀燈「ほら、これもイイでしょぉ? いつもメガネかけてるから」

ジュン「あ…うん(まぶたの上から目をマッサージ…イイ…)」

水銀燈「…巴。 たぶん、わたしとあなたとじゃ最初っから勝負にならないわ」

水銀燈「わたしはどうせすぐにただの思い出になる身だもの。ジュンと同じ時代を生きられるあなたとは違う」

水銀燈「だからせいぜい、良くも悪くもみんなの心にひっかかってやろうと思ってるんだけどねぇ」ケラケラ

巴「…水銀燈」

水銀燈「…もう、銀ちゃんでいいわよぉ」クリクリクリ

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「君の言ってることは、ちょっと違う」

水銀燈「え?」

ジュン「間違ってないけど、足りない部分があると思う」
254水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/14(土) 20:12:05 ID:GJP9pRl0
水銀燈「どういう意味よぉ」

ジュン「同じ時代を生きられないっていうのはそのとおりだと思う」

ジュン「でもそれは、君たちだけじゃない」

巴「ジュン君…」

ジュン「たとえば、ボクやのりや巴は、柴崎さんと同じ時代は歩けない。いずれ、別れが来る」

水銀燈「…」

ジュン「ボクたちだって、明日生きていられるって保証なんてない。キミらだってそうだろう?」

水銀燈「…えぇ、そうね」

ジュン「でもボクらはここで出会って、縁があっていまいっしょにいるだろう」

ジュン「永遠の関係じゃないけれど、ボクはこれで充分だと思うよ」

水銀燈「…なにそれ。わたしを口説いてるのぉ?」

ジュン「ちちちち違うよっ!! ボクはただ…」

巴「送る時間や住む世界が違っても、家族にはなれるかもしれないってこと?」

水銀燈「…くっさいわねぇ」

ジュン「…」

クニ クニ クニ

ムニ ムニ ムニ

水銀燈「もう寝るわぁ、お休みぃ」

ガチャン バタン

巴「…わたしも寝るね」

ジュン「あ、あぁ」

巴「明日は、ちょっと早く起きて」

ジュン「…うん」
255水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/15(日) 22:59:45 ID:yhyUCqI3
ガチャン バタン

水銀燈「…まったくもう。わかったようなクチ聞いてくれちゃって…」

ゴソゴソ

水銀燈「(言いたい事はわかるし、少し嬉しいけど。でも…)」

水銀燈「(やっぱり、甘すぎるわ)」

コンコン

水銀燈「だぁれ?」

巴「…わたし。ここで寝てもいい?」

水銀燈「…勝手になさぁい」

ガチャ パタン

巴「よいしょ」

モゾモゾ

水銀燈「…」

巴「…怒ってる?」

水銀燈「別にぃ」

巴「…やっぱり怒ってるんだ」

水銀燈「…ふんっ」

ゴロン

水銀燈「たいした覚悟もないくせに『家族になる』だなんて軽々しく言うもんじゃないわぁ」

巴「…」

水銀燈「まぁ、あんな甘ちゃんとつきあうのも結晶が修復されるまでの辛抱よぉ」

巴「…やっぱり、巻き込みたくないって思ってる?」

水銀燈「…まったくもう。あなたもジュンも、どうしてこう…」
256水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/15(日) 23:12:43 ID:yhyUCqI3
水銀燈「…あぁもう、思ってるわ。当たり前じゃない」

巴「…」

水銀燈「この時代この国に生まれたあなたたちは、とても幸運なのよ」

水銀燈「だって、だれひとり殺さないまま一生を終えられるかもしれないんだから」

巴「!」

水銀燈「わたしとともに生きるっていうことは、その幸運を捨てるかもしれないってことなのよ」

巴「…あなたは、人を殺したことがあるの…?!」

水銀燈「ないわよ」

グルッ

水銀燈「血肉の通った人間は」

巴「…」

水銀燈「…まだ、ね」

巴「」ブルブルッ

水銀燈「…わたしが怖い?」

巴「…こ、怖い」

巴「(忘れてた…この子は『水銀燈』なんだ…)」
257水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/15(日) 23:21:48 ID:yhyUCqI3
水銀燈「心配しなくても、好き好んで人を手にかける気はないわ」

水銀燈「お父様からも止められてる」

巴「…そ、そう」

水銀燈「けれど」

ゴソッ

水銀燈「好む好まざるに関わらず『その時』ってのは唐突にやってくる」

水銀燈「その時になれば、わたしはためらいも迷いもしない」

巴「…」

水銀燈「それが、わたしたちが生きる世界なのよ」

水銀燈「あなたたちが来るべきところじゃない」

水銀燈「…来ないでほしい」

巴「…」

巴「ねぇ、水銀…銀ちゃん」

水銀燈「なぁに?」

巴「あなたが、こっちに来るわけにはいかないの?」

水銀燈「無理よ。 どうせすぐに、立ち去らなきゃいけなくなるだけ」

巴「…でも、いまあなたは少なくともアリスゲームはしなくていいんでしょう?」
258水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/15(日) 23:32:50 ID:yhyUCqI3
水銀燈「…まぁ、そうだけど。 このおなかが引っこむまではねぇ」

サスサス

巴「じゃあ、ちょっとだけでいい。こっちの世界に来て。戦わなくてもいい世界へ」

水銀燈「…嫌よ」

巴「なぜ?」

水銀燈「戻れなくなる」

巴「…戻るときには、私たちも一緒に行く。そして戦って、すぐ帰る」

水銀燈「ピクニックじゃないのよ」

巴「わかってる。でも…ほんとうに、どうにもならないの?」

水銀燈「…」

巴「少しだけでいい、おなかにみんながいる間だけ、私たちと一緒に生きていって」

水銀燈「…なぜ、そこまで?」

巴「…」

巴「強いて言うなら…」

サスサス

水銀燈「ひゃんっ?!」

巴「…おなかのみんなのために」
259水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/15(日) 23:40:34 ID:yhyUCqI3
水銀燈「…みんなの?」

巴「うん。…『お母さん』がそんなひとりぼっちじゃ、絶対ダメだよ」



(「ああ…もうイヤ…あなたたちさえ、あなたたちさえいなければ…)



巴「水銀燈??」

水銀燈「…え? ふ、ふん、もう寝るわぁ」

グルッ

巴「水銀燈…」

水銀燈「…巴」

巴「…なに?」

水銀燈「…もし明日目が覚めても、戦わずにすむようだったら」

水銀燈「そのときだけは、あなたたちと一緒の世界にいてあげる」

巴「…ほんとう?」

水銀燈「…2回も言わないわぁ」

巴「…あした、いい日になるといいね…」

水銀燈「…おやすみ、巴」
260水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/16(月) 21:44:50 ID:sx8XBCxK
チュン チュン チチチチ

巴「…ジュン君?」

ジュン「…んあ、もう朝…ってまだ薄暗いじゃん」

巴「さ、早く早く。これに着替えて」

モソモソ

ジュン「ん、これって…柔道着?」




巴「それじゃ、しゅっぱーつ!」

ジュン「うー…眠いよ、寒いよ…」

巴「走ればあったかくなるよ」

ジュン「…はいはい」

ワッセ ワッセ ワッセ

ジュン「(…朝の空気って、胸がきれいになるような気がする)」

ジュン「けっこう気持ちいいね」

巴「でしょう? この時間のランニングって、好きなんだ」

ワッセ ワッセ ワッセ

ジュン「昨日の晩、水銀燈と何話したの?」

巴「ふふー。内緒」

ジュン「ちぇ」

ワッセ ワッセ ワッセ

ジュン「…どこまで走るの?」

巴「あとちょっと。…ほら、見えてきた」

ジュン「…陸橋?」
261水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/16(月) 22:02:51 ID:sx8XBCxK
巴「ここのてっぺんまで、全力疾走!」

ジュン「えー?!」

巴「負けたほうがジュースおごりだよー!」

シュタタタタタ

ジュン「ず、ずるいよー!」



巴「はぁ、はぁ、はぁ… Maxコーヒーね♪」

ジュン「ひぃ、ひぃ… はーいはい」

巴「ほら、間に合った」

ジュン「? …うわぁ…」

巴「きれいでしょう」

ジュン「日の出…」

巴「ふふふ」



巴「イヤなこと、考え切れないことがあると、ここに来ることにしてるんだ」

ジュン「…やっぱり、何かあったの?」

巴「…うん。 考え切れないことのほうね」

ジュン「…そうなんだ」

巴「考えても考えても、どうにもならなくなったとき。思いっきり走って、朝日を浴びるの」

巴「そうすると、頭の中を一回リセットできるような気がして」

ジュン「…」

巴「もう一回、なんとかしてみようかなって気持ちになれる」

ジュン「…そっか」



巴「さ、帰ろう。コーヒー忘れないでね」

ジュン「…うん」
262水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/16(月) 22:14:38 ID:sx8XBCxK
チャリン チャリン

ピッ ガシャン ピッ ガシャン

ジュン「はい、これ」

巴「ふふ、ごちそうさま」

ジュン「うわー、甘ーい」

巴「寒いときに体動かしたあとにはちょうどいいんだよ」

ジュン「そういうものかな」コク コク 

巴「そういうもの」コク コク



(水銀燈「好む好まざるに関わらず『その時』ってのは唐突にやってくる」)



巴「(お願い… 神様がもしいるのなら)」

巴「(せめて きょう一日だけでいい)」

巴「(『その時』が来るのを どうか延ばしてください)」


ジュン「ただいまー」

のり「おかえりなさーい」

水銀燈「おかえりぃ。ご飯できてるわよぉ」



巴「(神様、ありがとう)」
263水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/16(月) 22:26:17 ID:sx8XBCxK
ジュン「ごちそうさまー」

巴「あ、片付けしますね」

水銀燈「ジュン、休んだら準備運動しておきなさぁい」

水銀燈「どうやら今日は、巴が柔道を教えてくれるようだからぁ」

巴「ふふっ、ひさしぶりだからうまくできるかどうかわからないけど」

のり「…お昼ご飯も、いっぱい作っておかなっくっちゃいけないようね〜」




水銀燈「(『その時』は、いつか必ずやってくる)」

水銀燈「(そうなれば、私は迷いもためらいもしない)」

水銀燈「(けれど…)」

水銀燈「(今だけ、このひとときだけは)」

水銀燈「(姉であることも 母であることも忘れて)」

水銀燈「(みんなと同じ時間を 過ごしていたい…)」



水銀燈「…今だけは」

ジュン「…なにか言った?」

水銀燈「いいえ、何も。 さぁ、始めるわよぉ!」
264水銀燈はドールたちのお母さんです:2009/03/16(月) 22:28:01 ID:sx8XBCxK
とりあえず一区切り。 
機会があったら伏線の回収します。


読んでくれた人、保守してくれた人、とりあえず感謝。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/19(木) 00:25:23 ID:nOkjuh9l
真「ジング!」皆「ハハハ」
銀「ズイギンドウ!」皆「ハハハ」
蒼「ゾウゼイゼギ!」皆「ハハハ」
翠「ズイゼイゼギ!」皆「ハハハ」
雛「ビナイヂゴ!」皆「ハハハ」
金「ガ」皆「さっさと帰ろー」金「いや、ちょっ」皆「荷物持ったー?」金「まだ持っ」皆「よし帰ろー」
J「帰りにゲーセンでも寄っていこうぜ」金「待っ」皆「賛成!」 金「雛苺だけでも待つかしら!」雛「黙れよビッチ」
うん すまない
266名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/21(土) 21:36:18 ID:qp1cCJWM
保守
267水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 21:38:14 ID:ZR/+Dm6x
巴「せやぁっ!」

ブォン!

ジュン「くっ!」

ドサッ!

水銀燈「一本! それまで!」

ジュン「あいてて…」

巴「ごめんなさい、大丈夫?」

水銀燈「受け身くらいちゃんととりなさいよぉ」

ジュン「平気だよ。…もう一本!」



のり「そろそろお昼にするわよー」

巴「はーい、いま行きまーす」

ジュン「はぁ、はぁ…」

水銀燈「きれいに投げられまくったわねぇ」
268水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 21:43:49 ID:ZR/+Dm6x
巴「いただきます」

ジュン「いただきまふ」モグモグ

水銀燈「こらっ、ジュン! 行儀悪いわよぉ!」

ジュン「…はーい」

巴「ふふふ」

ジュン「(最近、のりが二人いるみたいになってきたよ…)」

ジュン「それにしても…」

巴「なあに?」

ジュン「巴って、スポーツ万能なんだな」

巴「やだ、おおげさねぇ。小学生のころ、柔道少年団に通ってただけよ」
269水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 21:58:07 ID:ZR/+Dm6x
水銀燈「その割には、いい動きだったけどねぇ」

巴「あ、雛苺にもちょっとだけ教えてたから」

ジュン「雛苺にも…?」



(雛苺「ジュン登りー!」)

(ジュン「おっ、今日も来たな」)

(雛苺「んしょんしょんしょ…」)

(ジュン「よーし、もうすこしでてっぺんだぞ」)

(雛苺「よいしょ」)

(ジュン「ん… 疲れたのか?」)

(雛苺「…いっくのー!」ガシッ)

(ジュン「ぐえっ?!」)

(雛苺「苺スリーパーなのー!!」)

(ジュン「!!!!!(ちょ…チョーク?!)」)

(翠星石「おっとせですぅ! おっとせですぅ!」)



ジュン「…なぁ、巴」

巴「なに?」

ジュン「もしかして、プロレス技とかも教えた?」

巴「!! ななな、なんのことっ?! 知らないっ! そんなの知らないっ!」



ジュン「(…柔道はいいのに、なんでプロレスは恥ずかしいんだろ…)」
270水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 22:08:18 ID:ZR/+Dm6x
巴「それじゃ、おじゃましました」

のり「いつも、ありがとうね」

水銀燈「それじゃあねぇ」

ジュン「おやすみ、巴」

ガチャン バタン

水銀燈「…わたしたちも寝ましょうか」

ジュン「そうだね」

のり「おやすみ、ジュン」

トン トン トン

ジュン「ぷぁー、今日も疲れたぁ」

水銀燈「ふふっ。 …ねぇ」

ジュン「あ、うん」

水銀燈「…ん」チュッ


チュウウウウウ



ドクン

水銀燈「…あっ」
271水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 22:14:05 ID:ZR/+Dm6x
ドクン

水銀燈「あ…」

ジュン「…水銀燈?」

ドクン ドクン

水銀燈「あ… あ…」ポロッ

ジュン「! ど、どうしたの?! どこか痛いの?!」

水銀燈「…違うの」ポロポロ

ジュン「な、なんなの?」

水銀燈「…ふくらんだの」

ジュン「えっ??」

水銀燈「結晶が、脈打って、大きくなった」

ジュン「…ほんと?」

水銀燈「感じたのよ。みんなの息吹を」

ジュン「…そうなんだ…」

水銀燈「みんな…生きてる…」

サワッ

水銀燈「ここにいる…」
272水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 22:18:00 ID:ZR/+Dm6x
ジュン「…さわっていい?」

水銀燈「うん。さわってあげて」

サワ サワ

ジュン「…みんな」ピト

水銀燈「あ…」

トクン トクン トクン

ジュン「…わかる。わかるよ」

水銀燈「…そうでしょ?」

ジュン「あたたかい… 脈打ってる… 生きてる、みんな生きてる!」

バタバタバタ

ジュン「のりー!!」

のり「…ふあぁ??」
273水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 22:32:50 ID:ZR/+Dm6x
ジュン「ほら、ほら!」

のり「…ほんとだ…!」

ジュン「でしょ、でしょ!? すごいよ、水銀燈!」

水銀燈「…ありがとう…」ポロポロ

のり「よかった、よかったわ…」ポロポロ

ジュン「もう、なんでみんな泣くんだよ…」グスッ

水銀燈「(…お父様、ありがとう)」



水銀燈「(わたしをこういうふうに造ってくれて、ほんとうにありがとう)」
274水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 22:39:09 ID:ZR/+Dm6x
【???】

(♪London Bridge is falling down,)

(Falling down, Falling down.)

(♪London Bridge is falling down,)

(My fair lady.)



(ふふ… みんな、よく寝てる)

(わたしのかわいい、6人の妹たち… あら?)

(…どこへ行ったのかしら?)

(もう、しょうがないわねぇ)


クスン


(…どこ? 出てらっしゃあい)


グス グス


(…どこに行ったの?)


コワイノ
275水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 22:42:59 ID:ZR/+Dm6x
(…あら、ここにいたのねぇ)


イヤ イヤ コワイ


(…どうしたのよぉ?)


ゴメンナサイ オコラナイデ


(…怒ってなんかないわよぉ)


モウ イタズラシナイ オコラナイデ


(いたずら? …あぁ、あのことね)


ゴメンナサイ ゴメンナサイ


(…もう、いいのよぉ。さぁ、帰ってみんなと寝ましょう)
276水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 22:49:23 ID:ZR/+Dm6x
イヤ イヤ オネエサマタチ キットオコッテル


(大丈夫よぉ、みんなよく寝てるわ)


ホントニ?


(ええ。だから、こっちに来なさい。ね?)


…ウン


(そう、いい子ね。よいしょ、っと)ギュッ


…ネェ


(なぁに?)


…オウタウタッテ


(ふふ、いいわよぉ。ゆっくりお休みね)

(♪London Bridge is falling down,)


…オカアサマ…


(おっ、お母様!?)

(あ、でも、そうか…)

(あらためて言われると、恥ずかしいわねぇ)クネクネ
277水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/26(木) 22:57:21 ID:ZR/+Dm6x
チチチ

水銀燈「…」

チュン チュン

ジュン「水銀燈??」

水銀燈「ん…」

ジュン「ご飯できてるよー」

水銀燈「…あ、いっけなぁい」

トトトト

水銀燈「…ごめんなさぁい」

ジュン「めずらしいね、水銀燈が寝坊するなんて」

のり「ふふ、可愛いところもあるってことね」

水銀燈「ごめんね、お姉さま。 …変な夢見ちゃって」

のり「夢?」

水銀燈「うん。 …よく覚えてないんだけれど」
278水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/27(金) 09:10:09 ID:ThzKMHjX
ジュン「…ローゼンの記憶?」

水銀燈「ううん、違う。けど…」

(…オカアサマ…)

水銀燈「悪い夢じゃなかったわねぇ」ニヤニヤ

のり「ふふ。 んじゃ、行ってくるね」

ジュン「いってらっしゃい」

水銀燈「わたしの番だったのに、ごめんなさいね」

のり「いいのよー、んじゃね!」

バタバタバタ

水銀燈「…ごめんね、ジュンも」

ジュン「いいんだよ、さ、食べちゃって。今日も頑張るから」
279水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/27(金) 09:16:50 ID:ThzKMHjX
カチン カチン カチン

水銀燈「」ビュッ

ゴツッ

ジュン「あいてっ!」

水銀燈「はい失敗。 腕立て10回ねぇ」

ウンショ ウンショ ウンショ

ジュン「…やっぱり無理だよ、後ろ向きじゃ」

水銀燈「無理だと思ってもやんなさぁい」

ジュン「…はぁい」

カチン カチン カチン

ゴツッ

ワッセ ワッセ…

水銀燈「(必死にやりなさい。それが、いつかあなたを救うかもしれないんだから)」
280水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/28(土) 19:13:00 ID:xYisJTyJ
水銀燈「はぁい、今日はここまでよぉ」

ジュン「疲れた、頭コブだらけ…」

水銀燈「若いんだから大丈夫よぉ」

ジュン「…そりゃ水銀燈と比べたら…」

グシャ

ジュン「きゅう」

ガチャン

のり「ただいまー♪」

水銀燈「おかえりなさぁい」

のり「ジュン君は?」

水銀燈「いま寝てるわよぉ、今日もがんばってたわぁ」

のり「そうなんだ。あ、ご飯つくるねー」

水銀燈「あ、今日はわたしにやらせて。朝はやらせちゃったから…」

のり「じゃあ、一緒に作りましょ♪」



ジュン「」ピクピク
281水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/28(土) 19:20:23 ID:xYisJTyJ
トントントントン

のり「ねぇ、銀ちゃん。おねがいがあるんだけど…」

水銀燈「なぁに?」

のり「来週の日曜日、友達と遊びに行くことになったの」

水銀燈「ふふっ、そんなことぉ? 気にせずいってらっしゃぁい」

のり「…いいの?」

水銀燈「大丈夫よぉ。ジュンもいるんだし」

ジュン「」ピクピク

のり「…大丈夫かな…」

トントントントン

水銀燈「そんなに心配? それなら、みつさんにお願いすればいいじゃなぁい」

のり「そ、それは悪いよ。わたしが遊びに行きたいだけなのに…」

水銀燈「遠慮するものじゃないわぁ。…お姉さまだって、わたしにそう言ったでしょう?」

のり「でも…」

トントントントン
282水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/28(土) 19:32:46 ID:xYisJTyJ
水銀燈「お姉さまには息抜きが必要よぉ。きっとみんなだってそう思ってるわ」

のり「そうかな…」

水銀燈「ふふ、それならこういうのはどう? …携帯貸してもらえるぅ?」

のり「え? いいけど…」

ピポパピプ 

プルルル 

(みつ「あら…のりちゃん?」)ピッ

水銀燈「あ、みつさん? わたし、水銀燈よぉ」

(みつ「え…え? きゃーっ!! 銀ちゃーん?!」)
283水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/28(土) 19:34:51 ID:xYisJTyJ
水銀燈「(…耳がキンキンするわぁ)夜分にごめんなさいねぇ、お願いがあるんだけど」

(みつ「なに、なーに?! 何でも言ってぇ!!」)

水銀燈「…来週の日曜日、のりにお休みをプレゼントしたいのよぉ。だから…」

(みつ「え? そんなこと? …日曜日にそっちに行けばいいのね?! おっやすい御用よー!」)

水銀燈「…よ、よろしく頼むわぁ」

(みつ「あ、そうだ! 柴崎さんたちにも声かけてみるわねー! そんじゃーね!!」)ブチッ

水銀燈「…大丈夫そうよぉ(ちょっと不安だけど…)」

のり「…いいの?」

水銀燈「えぇ。どうせそのうちやろうと思ってたことだし、いい機会だわぁ」

のり「…ありがとうね、銀ちゃん」



みつ「うっふふふー♪ 銀ちゃんには何着てもらおうかな〜♪」
284水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/28(土) 19:58:05 ID:xYisJTyJ
のり「おやすみー。 …ジュン君どうしようか?」

水銀燈「よく寝てるみたいだし、毛布かけてほっときましょうよぉ」

ジュン「」ピクピク

のり「(なんか尋常じゃない雰囲気だけど…)」

水銀燈「おやすみぃ」

トン トン トン

ガチャリ パタン

水銀燈「ふぅ、今日も疲れたわぁ」

カチャ

水銀燈「…おやすみなさい、お父様」

パタン

水銀燈「…」



グスン グスン

(…誰か泣いてる?)
285水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/28(土) 20:05:27 ID:xYisJTyJ
グスン グスン

(あの子は… 昨日の?)

グスン グスン

(…どうしたのぉ?)

! パタパタパタ

(あららぁ、逃げなくてもいいのにぃ…)

イヤ、イヤ、コナイデ

(ダメよ、だってあなた泣いてるじゃない)

イヤ、イヤ…

(ほうら、つかまえた)

キャ…

(さぁ、何で泣いてたのか言ってごらんなさい)
286水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/28(土) 20:15:09 ID:xYisJTyJ


(どうしたのよぉ。 怒らないから…きゃ?!)

バカ バカ オカアサマノバカ

(な、なによぉいきなり…)

イツモ イツモ オネエサマタチバカリ カマッテ

(…え?)

オトウサマモ オカアサマモ ワタシノコト ズットズット ホウッテオイテ

ワタシダケ ズット ヒトリボッチ

(…どういうこと?)

ミンナキライ オトウサマモ オカアサマモ オネエサマタチモ

(…あなた、まさか…)

…ワタシ オネエサマニナリタイ

(…)

ソウシタラ カワイガッテモラエル オトウサマニモ オカアサマニモ

(そういうこと、だったのね…)ギュッ

キャッ?!

(そんなこと、しなくていいのよ。いまから、いっぱいいっぱい可愛がってあげるから)

…ウソ。 ダッテ、オネエサマタチガ…

(みんなぐっすり寝てるから大丈夫。いままでかまってあげられなかった分、たっぷり可愛がってあげる)

…ホント? ホントニ?

(ええ、ほんとよ。 あなたは、かわいい末っ子なんだから…)



(…雪華綺晶)
287水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/29(日) 19:53:02 ID:TlmETkGr
チュン チュン

水銀燈「ん… 朝ね」

チチチチ

水銀燈「…今日は寝坊しないですんだわぁ。 着替えなくっちゃ」

ヌギ ヌギ

水銀燈(…雪華綺晶)

スル スル

水銀燈(意識して、ひとりぼっちにさせたわけじゃなかったけど)

シュル シュル キュッ

水銀燈(…何が何でも見つけ出して話を聞いてやろうともしなかったわね)

(ワタシダケ ズット ヒトリボッチ)

(私はこの時を待っていた。 お姉さまたちがそろうこの時を…)

水銀燈「(…どっちが本当なの? それとも、どっちも本当?)」

ガチャン トトトト

水銀燈「おはよう、みんな」

ジュン「おはよ」

のり「おはよう、銀ちゃん」
288水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/29(日) 20:05:49 ID:TlmETkGr
【日曜日】

のり「それじゃ、行ってくるね」

ジュン「行ってらっしゃーい」

水銀燈「…楽しんできてねぇ」

のり「うん。 …ありがとうね」

水銀燈「ふふ、いいのよぉ」

のり「みっちゃんさん、柴崎さんたちによろしくね」

バタン トトトト

ジュン「行っちゃったね」

水銀燈「…えぇ」フラリ

ジュン「…大丈夫?」

水銀燈「大丈夫よぉ、ちょっと眠たいだけ…」

ジュン「どうかしたの…」

水銀燈「うん…」



水銀燈「(どうしよう、話しちゃっていいのかしらぁ)」
289水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/29(日) 20:15:11 ID:TlmETkGr
ジュン「もしかして、結晶の具合でも悪いのかい?」

水銀燈「ん… 平気よぉ。 昨日の夜、寝つけなかっただけ」

ジュン「…このあいだ言ってた、変な夢ってやつ?」

水銀燈「(…なんでジュンって、ときどきものすごく鋭くなるのぉ…?)」

ジュン「いったい、どんな夢なんだい?」

水銀燈「…」
290水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/29(日) 20:22:57 ID:TlmETkGr
水銀燈「…妹が、寝ついてくれない夢」

ジュン「…妹って?」

水銀燈「誰かは決まってないんだけど、いつもひとりだけいないのよぉ」

ジュン「そうなんだ」

水銀燈「(…ジュンはたぶん、雪華綺晶にはいい感情を抱いていないでしょうね…)」

水銀燈「わたしはその子をいつも探すの。見つからないってことはないんだけど…」

水銀燈「あちこち探し回っちゃうせいか、夢なのに疲れちゃうのよぉ」

ジュン「ふーん…」

水銀燈「いったいどういうことなのかしらぁ。心当たりあるぅ?」

ジュン「…ごめん、わからないや(これは本当にわからないなぁ…)」

ブロロロロ ガチャン

ジュン「あ、着いたかな」
291水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/29(日) 20:44:40 ID:TlmETkGr
ピンポーン

ジュン「いらっしゃい」

みつ「じゅんじゅーん♪ 来てあげたわよー!」

柴崎「おお。元気そうじゃな」

水銀燈「…こんにちは」

マツ「お邪魔しますね」

ジュン「あ、マツさん! 起きられるんですか?」

マツ「おかげさんでねぇ。 家事くらいはできますよ」

水銀燈「…」

みつ「それじゃさっそく、わたしはお家のお掃除やるわねー!」

マツ「わたしはご飯をつくりますね」

柴崎「わしは庭の掃除をやろうかの」

水銀燈「…」
292水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/29(日) 20:52:27 ID:TlmETkGr
みつ「よーっし、やるわよー!」

ジュン「あ、みっちゃんさん。 ボクも手伝います」

トトトト

柴崎「わしらもとりかかろうか。ばあさん、無理はしないでな」

マツ「大丈夫ですよ。 ゆっくりしますから」

水銀燈「…あの」

柴崎「何かね?」

水銀燈「わたし… 柴崎さんたちに謝らなくてはいけない。 蒼星石のこと…」

柴崎「…いいんじゃよ。 おまえさんはもう、十分に償ってる」

水銀燈「あの子をよみがえらせたのはお父様。 わたしは何も…」

マツ「いま、あの子はあなたのおなかの中にいるんでしょう?」

水銀燈「…」

柴崎「償いが足りないと思うなら、その子を元気に産んでおくれ」

マツ「そう。 それが何よりよ」

水銀燈「…ありがとうございます」



水銀燈「(ああ、やっぱりうらやましい…)」
293水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/29(日) 21:09:47 ID:TlmETkGr
マツ「無理はしないでね」

水銀燈「すみません。 …おばあさまこそ、無理はなさらないで下さいね」

マツ「ええ、辛かったら休むわ。 心配しないで」

トントントントン

水銀燈「…おばあさま」

マツ「なにかしら?」

水銀燈「おふたりは結婚して、何年くらいになるんですか?」

マツ「そうねぇ… もうすぐ金婚式よ」

水銀燈「…50年…」

トントントントン

マツ「ただ、なんとなくふたりで生きてきただけなのだけどね」

水銀燈「…いえ、素晴らしいことです」

カチャ ボッ

水銀燈「…わたしも、おふたりのようになりたい」

マツ「…なれるわ。 きっと…いえ」

カチャカチャ

マツ「意外と、もうなってるのかもしれないわね」

水銀燈「え… そんなこと…」

マツ「ジュン君はいい子でしょう?」

水銀燈「…///」ポッ



みつ「ふんふんふーん♪ これでだいたい終わったわねー♪」

ジュン「…みっちゃんさん、その大荷物はなに?」

みつ「ふふふふふー。 とーってもいいものよ〜〜〜」
294水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/29(日) 21:18:44 ID:TlmETkGr
柴崎「ごちそうさま」

ジュン「ごちそうさまでした。 …とてもおいしかったです」

マツ「ありがとうね」

水銀燈「あ、片付けはわたしがしますわ。おばあさまはお休みになってください」

ジュン「水銀燈も休みなよ。片付けはボクがするから」

水銀燈「…いいの?」

ジュン「大丈夫だよ。…みんな、ゆっくり休んでください」

柴崎「それではお言葉に甘えて、一息つこうかの」

マツ「お庭のお花でも見せていただこうかしら」

水銀燈「わたしも、お供しますわ」



みつ「(ああん銀ちゃん… あんな一面もあるなんて…)」
295水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/29(日) 21:26:41 ID:TlmETkGr
マツ「まあ、素敵なお庭ねぇ」

水銀燈「…おじいさまのおかげです」

柴崎「ほほ、たいした事はしとりゃせんよ」

マツ「あのからたちの苗は…」

水銀燈「はい。 めぐからの贈り物です」

マツ「いいわね。 春になったら、きっと綺麗な花が咲くわ」

柴崎「トゲには気をつけんといかんがの。 昔は、ドロボウよけにあれで生垣を組んだものじゃわい」

マツ「まぁ、あなたったら。 また昔の話ばかり…」

柴崎「おっと、すまんすまん」

水銀燈「いえ…(ほんとうに、ほんとうに素敵… うらやましいわ…)」



水銀燈「…おふたりに、お伺いしたいことがあるんです」
296水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 07:07:42 ID:L9t9s799
柴崎「何かね?」

水銀燈「…子供のこと、なんですけれど」

マツ「…子供?」



みつ「ふんふんふふーん♪」

ジュン「…ボクの部屋に、なに持ちこんで組み立ててるんですか?」

みつ「とっても素敵なものよ〜♪」



柴崎「子供…かね?」

水銀燈「はい。 …目を離すと、すぐにいなくなってしまう。探すといるのだけど…」

柴崎「ふむ…」

水銀燈「いったいなんで、あんなことをするのか…」

マツ「…ふふふ。 それはね、簡単なことよ」
297水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 07:13:55 ID:L9t9s799
水銀燈「…簡単?」

マツ「あなたの気を引きたいのよ。自分ひとりにね…」

水銀燈「わたしの…?」

マツ「そう。その子を探している間、あなたはその子のことだけ考えていたでしょう?」

水銀燈「…ええ」

マツ「ひとりでいなくなって、あなたにさがしてもらって見つけてもらえば、その間だけはあなたをひとりじめできる」

柴崎「そういえば一樹も、ちょっと大きくなってからそうなったことがあったのぉ」

マツ「あの時は大変でしたねぇ」

水銀燈「…そのときは、いったいどうされたのですか?」

柴崎「おぶり紐を持ち出して、ずっとおぶりっぱなしじゃったよ」

マツ「いなくなってから構おうとするから大変なのよ。いなくなる前から構ってあげなくちゃね」

水銀燈「いなくなる前から…」
298水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 07:21:56 ID:L9t9s799
柴崎「では、そろそろとりかかるとしようか」

マツ「私はお洗濯でもしますわね」

水銀燈「…ありがとうございました」

柴崎「あぁ、忘れとった。 草笛さんがお前さんに、午後からなにか用があるようじゃよ」

水銀燈「…みつさんが?」


みつ「よーっし、準備オッケー♪」

ジュン「ボクの部屋が… フォトスタジオみたいに…」

ガチャン

水銀燈「みつ…さん? 御用って…」

ジュン「あ…」

水銀燈「…」ポカーン
299水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 07:29:35 ID:L9t9s799
みつ「きゃーっ! 銀っちゃーん!」

ガバッ

水銀燈「!!」

みつ「待ってたのよ〜〜〜!!」スリスリスリスリ

ジュン「(固まってる…)」

みつ「あのね、あのね、お願いがあるの!!」

カチャン パカッ

ジュン「うわぁ、すごい! …これ、全部ドール用の服なの?」

みつ「もっちろんよー! 水銀燈用にサイズもきっちり合わせたし、ちゃんとおなかもゆったりにしてあるのよ!」

水銀燈「…な、なんなの??」

みつ「ね、ね、着てみてくれる? 写真撮らせてほしいの!」

水銀燈「…はぁっ?!」
300水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 07:38:59 ID:L9t9s799
ジュン「…水銀燈は知らないんだっけ。たまに真紅たちもみっちゃんさん家で…」

みつ「そうなの! 新作のモデルになってもらってたのよ〜 ね、お・ね・が・い♪」

水銀燈「…ふんっ。 お断りよぉ」

みつ「えー…?!」

水銀燈「わたしは誇り高きローゼンメイデン第一ドール、水銀燈よぉ?」

ジュン「(ひさしぶりに聞いたフレーズだなぁ)」

水銀燈「なんでそんな安っぽい服を着て、あまつさえ写真なんかに残されなきゃならないのぉ?」

みつ「…」

水銀燈「そんなことしたら、お父様に顔向けできないわぁ」

みつ「そうなの…ゴメンね…」パタン

水銀燈「…ええっ?!」

みつ「ごめんなさい… 私なんかの服じゃ、やっぱりあなたには似合わないよね…」スゴスゴ

水銀燈「(な、なに簡単にあきらめてるのよぉぉぉ!!)」
301水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 07:48:32 ID:L9t9s799
ジュン「みっちゃんさん、ごめん。せっかく持ってきてもらったのに」

みつ「ううん、いいの。こっちこそ迷惑かけちゃってごめんね…」

水銀燈「あ… あ…」

スゴスゴ パタン

ジュン「あーあ。もったいない」

水銀燈「…」

ジュン「いいの? 下手したら、あのまま帰っちゃうよ?」

水銀燈「そ、そう思うんなら、あなたも止めなさいよ!」

ジュン「なんて言って止めればいい? きみは嫌がってるみたいだし」

水銀燈「…いいから早く行ってきなさぁーいっ!!」

ジュン「はいはい」

パタン

ジュン「…もう少し、じらしてみます?」ニヤニヤ

みつ「うーん、絵に描いたようなツンデレーションね〜 最高♪」ニコニコ

ジュン「最近わかってきました。 水銀燈って不幸慣れしすぎてるから、本当に嬉しくなるとああなるって」

みつ「失うことに慣れちゃったってわけね。 …ちょっとかわいそうなことしたかな…」

ジュン「面白いからもうすこし見てましょうよ」



水銀燈「(まだなのぉ…? ジュン… みつ…)」
302水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 08:00:40 ID:L9t9s799
水銀燈「(もう、みつったら…なんであんなに大喜びで薦めてきたのに、簡単にあきらめちゃうのよぉ)」

みつ「…」

水銀燈「(ジュンもジュンよぉ。 もう少し、気を利かせてくれたっていいのにぃ…)」

ジュン「…」

水銀燈「(…違うわね、悪いのは…わたし。 素直になれなかったわたし…)」

水銀燈「(わたしっていつもそう… なんでこんな時に限って素直になれないのよぉ)」

ジュン「…あ、涙目になってきた…」

みつ「…ちょっとやりすぎたかな、そろそろ…」

ガチャン

水銀燈「! な、何よぉ…」

みつ「…銀ちゃん、ごめんね」

ジュン「とりあえず呼び戻してきたよ」

みつ「嫌なのはわかってるんだけど… どうしても、ダメ?」

水銀燈「…」

みつ「一生のお願い。 …ね?」

ジュン「水銀燈、ボクからも頼むよ。みっちゃんさんにはいろいろお世話になってるから…」

水銀燈「ふ、ふんっ。 しょうがないわねえ、一回だけよぉ?」

みつ「…ありがとうね。 じゃあ早速だけど、これに着替えてくれる?」

水銀燈「まったくもう。すぐに済ませるのよぉ」

ジュン「(スキップしてる水銀燈なんて初めて見た…)」
303名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/30(月) 21:21:55 ID:t+i+LmWg
>>302
ああ、水銀燈がカワイイ…!

幸せそうで涙が。
304水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 22:41:46 ID:FsIdy6XS
>>302
おもいっきりデレさせてみますた。
もうすぐ激ツンのパートに入るので…


のり「ただいまー」

ジュン「おかえり、晩御飯できてるよ」

水銀燈「おかえりなさぁい」

のり「?! きゃー! どうしたの、かわいいっ!!」

水銀燈「ふふぅん。 みつがねぇ、どうしてももらってほしいっていうもんだからねぇ」

のり「みっちゃんさんが?」

水銀燈「えぇ。 …まぁ迷惑なんだけれど、掃除もしてもらったことだし、仕方なくねぇ」

のり「…ふーん」ニヤニヤ

ジュン「(…わかりやすいよなぁ)さ、食べよ食べよ」


みつ「おじゃましてまーす」

柴崎「おお、お帰りなさい」

マツ「おつかれさま」

のり「…みなさん、今日はほんとうにありがとうございました」

みつ「そりゃ、銀ちゃんのお願いだもの! 頼んでくれて嬉しかったわ♪」

水銀燈「ふふっ、ありがとうねぇ」

のり「(…ありがとね、銀ちゃん)」
305水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 22:52:17 ID:FsIdy6XS
【翌日】

のり「それじゃ、いってきまーす」

ジュン「いってらっしゃい」

水銀燈「ふあぁ…いってらっしゃぁい(あの子ったら、昨日も寝かせてくれなかった…)」

ジュン「…大丈夫? また、例の夢?」

水銀燈「ええ… 悪いけど、今日は一人でやっててくれる?」

ジュン「うん。 ゆっくり休んでてよ」

水銀燈「ありがとうねぇ」



(マツ「いなくなってから構おうとするから大変なのよ。いなくなる前から構ってあげなくちゃね」



水銀燈「(いなくなる前に、ねぇ)」サワサワ



カチン カチン カチン

ジュン「やっ、とっ、せっ!」

カチン カチン カチン

…♪London Bridge is falling down,

ジュン「…?」

…Falling down, Falling down.

ジュン「…歌??」
306水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 23:01:33 ID:FsIdy6XS
水銀燈「…♪London Bridge is falling down, My fair lady.」サスサス

ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「…やだ、見てたのぉ? サボっちゃダメよぉ」

ジュン「おなかのみんなに、歌ってあげてたの?」

水銀燈「えぇ。 …恥ずかしいわねぇ」

ジュン「ううん… もっと歌ってよ」

水銀燈「えっ?」

ジュン「ボクも聞きたい」

水銀燈「な、なに言ってるのよぉ!」

ジュン「お願い」

水銀燈「…しょ、しょうがないわねぇ」



…♪London Bridge is falling down,Falling down, Falling down…



ジュン「…♪ロンドン橋落ちた、さあどうしよう」
307水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 23:11:46 ID:FsIdy6XS
水銀燈「…日本語だと、そういう歌詞なの?」

ジュン「うん。子供のころ、歌いながら遊んだ。…こう、ふたりで橋を作って…」

水銀燈「ふふ、わたしたちもしたわ。下をくぐって歩くのね」

ジュン「歌が終わると、橋が落ちるんだ。父さんと母さんが、いつも橋をやってくれていた」

水銀燈「わたしたちは、姉妹ではいちばん背の高いわたしとお父様が橋役をよくしていたわ」

ジュン「橋が落ちたら下にいる子は負けなんだけど、抱いてもらえるのが嬉しくて…」

水銀燈「ふふっ、わかるわ。わざと遅く歩いたりするの」

ジュン「あと、たまにボクが橋をやったりするんだけど…」

水銀燈「そうそう。金糸雀と雛苺が橋をやったときなんかもう大変」

ジュン「…ローゼン、くぐれたの?」

水銀燈「無理よぉ。 あのふたり、わざとくぐらせないようにしてお父様に抱きつきっぱなし」

ジュン「ははっ、ボクがのりとやってたのと一緒だ」

水銀燈「まぁ。 …ふふふふっ」



ジュン「…そうだ、ちょっと待ってて」

パタパタパタ
308水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 23:22:31 ID:FsIdy6XS
ジュン「…持ってきたよ」

水銀燈「…絵本?」

ジュン「うん、雛苺に読んであげたことがあるんだ」

水銀燈「ふふっ。 …じゃあ、ジュン。あなたが読んで」

ジュン「…ボクが?」

水銀燈「ええ。 きっとみんな、喜ぶわ」

ジュン「…うん、それじゃ…『100万年も しなない ねこが いました』」



水銀燈「(…幸せ。 怖いくらいに)」

水銀燈「(…このまま、時間が止まってしまえばいいのに)」
309水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 23:36:40 ID:FsIdy6XS
【その夜】

(ふふ、みんな、よく寝てる…)

…オカアサマ

(…あら、雪華綺晶。きょうはここにいたのね)

…ダッコシテ

(ふふ、はいはい)

…オカアサマ

(なあに?)

ゴホン ヨンデクレル?

(いいわよ。 …何がいい?)

ハイ、コレ

(ふふっ、用意がいいわねぇ)



(…『100万年も しなない ねこが いました  りっぱな とらねこでした』)

…オカアサマ

(なあに?)

オヒル ゴホンヨンデクレタカタ ダレ?

(…ジュンのこと?)

オカアサマノ イイヒト?

(なっ… そんなんじゃ… いえ、でも…)

ドナタ?

(…なんて説明したらいいのやら)
310水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/30(月) 23:46:38 ID:FsIdy6XS
(…まぁいいわ。雪華綺晶、よく聞きなさい)

ハイ

(あの人はね、あなたのお父様よ)

??? オトウサマ?

(ええ、そう。 ジュンお父様)

??? オトウサマッテ イッパイイルノ?

(わたしたちを作ってくださったのは、偉大なローゼンお父様)

(そして、いまあなたに命を与えてくれているのが、ジュンお父様)

ソウナノ???

(そう。 どっちも、大切な人)

…ソウナンダ

(お父様の言うことをよく聞かなきゃダメよ)

ワカッタワ 

(そう、いい子ね) 

…ワタシ オトウサマノオイイツケハ チャントマモッタノヨ

(…そうなの?)

ガンバッテ ガンバッテ マモッタノヨ

(…そう、あなたはいい子。よくがんばったわ)

ヒトリボッチデ ズットズット オリコウニシテタノヨ ダカラ ダカラ…

(わかってる、もうひとりにしない。 …よくがんばったわね、えらいわ)

…ヤクソクヨ オカアサマ

(ええ。 あなたとわたしの大切なお約束ね)
311水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 00:00:58 ID:FsIdy6XS
【翌朝】

水銀燈「…おはよぉ」

ジュン「昨日は寝れた?」

水銀燈「…あんまり(結局、あれからずっと話しこんじゃったわぁ)」

ジュン「…一回、ちゃんと調べてみようか」

水銀燈「んー… でも、たぶんもう大丈夫よぉ」

ジュン「そうなのかい?」

水銀燈「ねぇ?」サスサス

ジュン「???」

水銀燈「ふふ、今日もお歌歌ってあげるからねぇ」




???「ケケケ… あのふくれた腹… あの中に…」
312水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 00:11:24 ID:jWBd7y5M
とりあえず寝る〜
313水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 11:23:58 ID:f2djh1r/
【3ヶ月目】

ジュン「いやぁっ!」ブンッ

巴「くっ!」ダンッ

水銀燈「一本、それまで!」

巴「あーん、負けちゃった… もう、ジュン君には勝てないかも」

ジュン「そんな…」

巴「さすがに組み合いになったら、男の子には勝てないよ」

ジュン「…巴のおかげだよ」

水銀燈「(ありがとうね巴。あなたのおかげで、ジュンは最低限の体と動きを得た)」

???(…)

水銀燈「(けれど… まだ、あなたたちは知らない)」

???(…ケヒヒ)

水銀燈「(実戦というものを、あなたたちは知らない)」



???(あせるな… 慎重になれ… ひとりになるのを待つんだ…)
314水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 11:30:13 ID:f2djh1r/
巴「それじゃ、わたしはこれで」

ジュン「いつもありがとう」

水銀燈「また来てねぇ」

バタン

ジュン「ボクらも一休みしようよ」

水銀燈「ええ。…ん」

チュウウウウ

ジュン「…おなか、だいぶ大きくなってきたね」

水銀燈「ふふ、恥ずかしいわぁ」

ジュン「そんなことないよ。 …すごく綺麗だよ」

水銀燈「んもう、何言ってるの…」

???(ククク…)

ジュン「水銀燈?」

水銀燈「…何でもないわぁ。 休憩が終わったら、勉強の時間よぉ」

ジュン「べ、勉強?」

水銀燈「ええそうよぉ。 筆記用具準備してねぇ」



水銀燈「(何者か知らないけどいやらしいわねぇ… コソコソと覗き見るなんて…)」
315水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 11:40:26 ID:f2djh1r/
水銀燈「それじゃ、勉強開始よぉ」

ジュン「…ちぇ、これじゃ学校にいるのと変わんないよ」

水銀燈「ウダウダ言わない。さぁ、わたしが書くものをよく見てぇ」

ジュン「はいはい…」  

カリカリカリ…

ジュン「!」

水銀燈「お勉強中は静かにねぇ」

ジュン「あ… うん、わかった」

カリカリカリ

水銀燈「ねぇジュン。 今度、みつのところに行くんだって?」

ジュン「あ…あー、うん。 ドールドレスの見立てを手伝うんだ」

水銀燈「いつ行くのぉ?」

ジュン「きみの都合でいいよ」

水銀燈「わたしは家に残るわぁ。 なんだか、最近また疲れちゃって…」

ジュン「そうなんだ。じゃあ、今度の土曜日でいい?」

水銀燈「ええ。 のりはその日は…」

ジュン「午前中だけ出かけるって。 お昼前にはもどるから大丈夫だよ」

水銀燈「そう。ゆっくり行ってくるといいわぁ」



???「ヒヒヒ… 土曜だな…」
316水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 11:47:54 ID:f2djh1r/
【土曜日】

ジュン「…それじゃ、行ってくるよ」

水銀燈「行ってらっしゃあい」

ジュン「水銀燈」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「…ほんとうに、気をつけてね」

水銀燈「ふふっ。 大丈夫よぉ」

ジュン「なるべく早く戻るよ」

水銀燈「戻るときには連絡してねぇ」

ガチャン

ジュン「お待たせしました、みつさん」

みつ「はーい。 それじゃ、レッツゴー!」

ブロロロロ

水銀燈「…行っちゃったわね」


???(ケヒヒヒヒ… 行ったな…)


水銀燈「さてと、それじゃちゃっちゃっと済ませちゃいましょう」

パタパタ

水銀燈「…『お客様』をおもてなしする準備をしなくちゃあ、ねぇ…」
317水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 12:02:46 ID:f2djh1r/
みつ「ふんふーん♪ じゅんじゅんとおでかけってのも素敵ねー♪」

ジュン「…」

みつ「でも銀ちゃんをひとりにして、ほんとによかったの?」

ジュン「みっちゃんさん、そこのホームセンターで止めてくれませんか」

みつ「えっ? ここ? いいけど…」

ブルルルル キキッ

ジュン「みっちゃんさん、これからするボクの話を落ち着いて聞いてください…!」



ウィイイーーーン

水銀燈「ふん、ふん♪」

ピンポーン

水銀燈「…あら? お客様?? お掃除の途中なのに…」

カチッ

水銀燈「でも、わたしが応対するわけにもいかないし。どうしたものかしらねぇ」

パタパタパタ

水銀燈「…あれ? 誰もいない…?」

ガチャン

水銀燈「いたずらかしらぁ。 …? この箱…」

ゴソッ

水銀燈「中身は…人形? 趣味の悪い人形ねぇ」

ゴソゴソ

水銀燈「Goodguy-Doll? …アメリカ的センスって、どうにも肌が合わないわねぇ」

ガサッ

水銀燈「まぁ外に置きっぱなしにするのもあれだし、中に置いておきましょうか」

パタ パタ

水銀燈「それにしてもブサイクな人形ねぇ… 雛苺に見せてやったら一日笑ってるでしょうねぇ」



???(このアマ… あとで泣き面かかせてやる…)
318水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 12:15:03 ID:f2djh1r/
水銀燈「ふう、重かった」

ゴトン

水銀燈「さて、お昼でも作りましょうか。ご飯余ってるから…チャーハンなんかいいわねぇ」

カチ ボッ

シャーーーー

水銀燈「♪ふん、ふん…」

シャワシャワシャワ

???「…」



ジュン「これと、これ。あとこれも…」

みつ「こ、これも買うの?!」

ジュン「水銀燈が、絶対必要だって…!」



水銀燈「…♪London Bridge is falling down…」

シャワシャワシャワ

???「Hi, I'm Chucky.」

水銀燈「…?」カチッ

パタ パタ

水銀燈「誰か…しゃべった?」

???「 and I'm your friend to the end.」

水銀燈「…誰?」

パタ パタ

水銀燈「? 箱が… 開いてる?!」

???「Hidey-ho! Ha Ha Ha ! 」

シャッ!

水銀燈「う、上っ!?」

チャッキー「…ひははははははっ!!」

水銀燈「きゃああああああああっ!!」

バゴォン!!!
319水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 12:26:11 ID:f2djh1r/
チャッキー「ひげぇっ?!」

水銀燈「…なんて生娘みたいな悲鳴を、わたしがあげるとでも思ったのぉ?」

チャッキー「(このアマ…フライパンで俺を張り飛ばしやがった…!)」

水銀燈「あら。 …動かないほうがいいわよぉ」

チャッキー「しゃあっ!」シュッ

シュッドスッ!

チャッキー「うぎゃあ!!(な…包丁?!)」

水銀燈「もう一本いっとくぅ?」

チャッキー「こ、この…!」

水銀燈「こっちにこないでねぇ。汚いからなるべく触りたくないのよぉ」

チャッキー「…ギギギギッ!」ズボッ!

水銀燈「(あら、引き抜いたわね… 痛みは感じていないの?)」

チャッキー「くたばりやがれぇぇぇっ!」

水銀燈「お断りよ」

シュッザクッ!!

チャッキー「ひげぇっ!?」

水銀燈「…もう観念したら?」

チャッキー「お…俺の腕がぁ!!(包丁ごと切り飛ばされて…!)」

水銀燈「そろそろ聞かせてもらおうかしら。…いったい、誰の差し金?」

チャッキー「(は、話がちがうじゃねーか… 力を失ってるんじゃなかったのかよ!)」
320水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 12:36:29 ID:f2djh1r/
みつ「飛ばすわよぉ!」

ジュン「急いでください!!」

ブルルルッブロロロロ

ジュン「(水銀燈…無理はしないで!)」


【回想・前日晩】

ジュン「…ちぇ、これじゃ学校にいるのと変わんないよ」

水銀燈「ウダウダ言わない。さぁ、わたしが書くものをよく見てぇ」

ジュン「はいはい…」  

カリカリカリ…

水銀燈(ジュン、落ち着いて読みなさい。 わたし、今狙われてるみたい)

ジュン「!」

水銀燈「お勉強中は静かにねぇ」

ジュン「あ… うん、わかった」

カリカリカリ

ジュン(狙われてるって、誰に!?)

水銀燈(わからない。 ひと月くらい前から、ずっとこっちの様子を伺ってる)

水銀燈(たぶん、わたしがひとりになるのを待ってるんだと思う)

ジュン(ど、どうしよう)

水銀燈(わたしに考えがある。 誘い出しましょう)

ジュン(誘うって?)

水銀燈(適当な理由をつけて外出して、わたしを家にひとりにして)

ジュン(そんなことをしたら!)
321水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 12:54:21 ID:f2djh1r/
水銀燈(もちろん、誘い出したら指輪で合図を送るから、すぐに戻ってくるのよ。はさみうちにするの)

ジュン(…はさみうちに…)

水銀燈(あなたにも頑張ってもらうわよ。覚悟を決めてね)

ジュン(…わかったよ。)


【回想終わり】

みつ「合図は、もう来てるの?!」

ジュン「はい、さっきから指輪が熱くなってます!!」

みつ「よーし、赤信号なんてへっちゃらよー!!」

キキキキキ パパパパー

ジュン「うわわわわわっ!?」



チャッキー「さ、差し金ってなんだよ…?!」

水銀燈「とぼける気? …まぁいいわぁ」

シャリ シャリ

水銀燈「…あなたは傀儡? それとも生き人形?」

チャッキー「ど、どういう意味だ!」

水銀燈「わたしはいちおう自動人形だから、確かめたいのよ」

シャリ シャリ

水銀燈「傀儡や生き人形って、どこまで解体すれば行動できなくなるのかって」

チャッキー「ひ…!」

バタン!

ジュン「水銀燈っ!」

水銀燈「ジュ…ジュン?!(ば、馬鹿っ! 声を上げたら…!!)」

チャッキー「(…チャンスか!?)」シュバッ!

水銀燈「そ、そっちに行くなっ!!」

シュッドスッ!

チャッキー「ぐがっ! …へへへへへ」

水銀燈「(?! し、しまった!)」

チャッキー「愛してるぜベイビー。 プレゼントありがとうよ」ズボッ
322水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 13:04:23 ID:f2djh1r/
シュタタタタタタ

チャッキー「Hi, I'm Chucky ! Wanna play ? 」

ジュン「う、うわぁっ?! こ、このっ!」

シャッ ザシュッ!

ジュン「…え?」

チャッキー「へへへ、いいねぇこの感触」

ジュン「ち、血が…」ヘタッ

水銀燈「ジュ、ジュン!!」

チャッキー「おっと、動くんじゃねぇぞ」グイッ

水銀燈「く…」

チャッキー「へへへ… 人間のガキは、どこまで解体しても生きてられるんだろうな?」

ズルッ ズルッ 

ジュン「う… あぁ…」

水銀燈「(ジュン…しっかりして! そんなのかすり傷じゃない!)」

チャッキー「おっと、そこのレディも、ドアの後ろで変なこと考えるんじゃねーぞ?」

みつ「(く…)」

チャッキー「内臓ぶちまけるのにコンマ1秒もいらねえからな…」
323水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 13:16:24 ID:f2djh1r/
水銀燈「…なにが望み?」

チャッキー「決まってるじゃねえか。てめえの腹の中の結晶よぉ」

ジュン「あ… う…(ダメだ、水銀燈… くそ、こ、声が出ない…)」

水銀燈「わかったわ。…その人に手は出さないで」

チャッキー「お前しだいだな。 …包丁をこっちに投げな」

シュッ カラン

チャッキー「ヒヒ…女は素直が一番だねぇ。…こっちに来な。ゆっくりとな」

トン トン トン

チャッキー「そうだ… 腹を出しな」

水銀燈「…」

シュル シュル シュル

チャッキー「この中に… ヒヒヒヒ…」

みつ「(水銀燈…!)」

チャッキー「それじゃ、遠慮なくかっさばいていただくとするか。…だが、その前に」

ガブッ!

水銀燈「くっ!」

ジュン「?!」

チャッキー「くひひ… 俺の腕をちょん切りやがった仕返しをさせてもらうぜ…!」
324水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 13:23:33 ID:f2djh1r/
ミシ ミシ ミシ

水銀燈「う… く…!」

ジュン「す、水銀燈!!」

チャッキー「おっと動くなよ?」グイッ

ジュン「う…!」

水銀燈「ジュン、動かないで! わたしは、平気だから…」

ミシ ミシ ピシッ

チャッキー「ひひひ、お高くとまりやがって。 …腕を噛み砕かれても、すましていられるかね?」

ピシ ピシ ピシッ

チャッキー「さあ、泣き顔おがんでやるぜ…!」

水銀燈「…やってごらんなさい。 泣くのは貴様よ…!」

チャッキー「いいねぇ、その強がり! さぁ、いい声だしな!!」

ジュン「水銀燈っ!!」

グシャバキッ!



チャッキー「ひぎゃああああああああ?!」
325水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 13:31:42 ID:f2djh1r/
チャッキー「ひぎ、ひあ、ひがあ?!」

ジュン「くっ!」

バタバタバタ

ジュン「い、いったい何が…?!」

水銀燈「…わたしの腕はおいしかったぁ?」

チャッキー「ひ…ひは…」

水銀燈「お父様が丹精こめてつくりあげた至高の芸術作品よ」

ジュン「(あの人形の… あの人形の口の中から…!)」

水銀燈「先を折り割り曲げた五寸釘を添えてみたんだけど、お口に合ったかしらねぇ」

チャッキー「ぐひゃぁ〜〜〜!!」ヒュンヒュン

水銀燈「あらあら、もっと食べたいのぉ? それなら、どうぞ…」

スチャ

水銀燈「召・し・上・が・れっ!!」

ドズ

チャッキー「ぐぼああああああっ!」

水銀燈「食事中は静かになさいよぉ。…落ち着きがないから目から食べさせる羽目になるのよ」

ジュン「(折れた自分の腕を…!!!)」
326水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 13:44:56 ID:f2djh1r/
チャッキー「ぐ…ひぎ…」ピクピク

水銀燈「…もう何も聞こうとは思わないわぁ。ジュン、みつ、買ってきたもの持ってきてくれる?」

ジュン「あ、ああ」

みつ「こ、これ?」ドサッ

水銀燈「…バラバラに解体するだけでは足りないのよ。粉々にして、さらに灰にしないとねぇ」

ジュン「え…」

水銀燈「こいつはたぶん『生き人形』なのよ。 そうしないと、何回でも復活するの」

ジュン「『生き人形』?」

水銀燈「人の魂…強い感情が宿った人形。 執念だったり憎悪だったりするんだけどね」

みつ「…こ、怖い」

水銀燈「だから、欠片も残らないくらいに処分しないと…」クラッ

ジュン「水銀燈!」

水銀燈「く… (意識が… 遠く…)」パタン
327水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 13:49:13 ID:f2djh1r/
みつ「いけない!」

チャッキー「ぐががががっ!」

シュバッ!

ジュン「こ、このぉっ!」ビュンバキッ!

チャッキー「ぐべっ?!」

ジュン「壊れろ、壊れろぉぉぉ!」ボグッ ベギ

チャッキー「が…が… がぁぁぁっ!!」

ベキッ

ジュン「うあっ!」

みつ「じゅ、じゅんじゅん!!」

チャッキー「ぐべ… ぶえ…(食ってやる… 食ってやるっ!!)」

ジュン「やめろおおおおっ!!」

チャッキー「ぐがわぁっ!!」
328水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 13:54:46 ID:f2djh1r/
みつ「あ… あれ?」

ジュン「な、なんだ? あの人形…」

チャッキー「うっがっがっが…?!(なぜだ?! なぜ動けない?!) 」


ユルサナイ


チャッキー「(な?! 誰だ!!)」


オカアサマト オトウサマヲ イジメルナ


チャッキー「(は…腹の中?!)」


キエテナクナレ


チャッキー「ひ? …ひぎぃあああぁああぁああ!!」

ジュン「な! あ、あれは!!」

のり「白い茨が…水銀燈のおなかから!」

ミシミシゴキゴキグシャッムシッ

チャッキー「げ…げへ…」ガチャン
329名無しさん@お腹いっぱい。:2009/03/31(火) 20:36:46 ID:CN6jdnCm
ちょ、超展開?!
330水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 20:58:47 ID:T+2IYI75
みつ「な、何が起こったの…?」

ジュン「…わからない、だけど…」

チャッキー「…ひ…ひ…」ヒクヒク

ジュン「とどめを…」ガチャッ

チャッキー「ひ…ひ…」

ブン グシャッ

チャッキー「ひぐ」

ジュン「…ハンマーとノミで粉々にして、焼却炉で焼いてしまわないと」

みつ「…手早くやんないと。お隣さんから苦情が来ちゃう」

ジュン「…はい」



水銀燈「…ん…」ムクッ

ガシャッ

水銀燈「(わたしの腕…)」

水銀燈「あいつは… ジュンたちが始末したの?」
331水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 21:03:26 ID:T+2IYI75
ゴォォォォ
パチ パチ

ジュン「…」

みつ「…じゅんじゅん、こっちはもういいから、あの子を…」

ジュン「…はい」

フラ フラ

みつ「じゅんじゅん…」



ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「ここにいるわよ。 …あいつは始末したの?」

ジュン「…今、焼いてるところ」

水銀燈「そう。 …腕、治してもらえる?」

ジュン「…うん」

ヨロ ヨロ
332水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 21:12:37 ID:T+2IYI75
水銀燈「…うっ」

ジュン「い、痛かった?」

水銀燈「平気よ」

ジュン「(…真紅の時と違って折り砕かれてるから、そう簡単には治せそうにないよ…)」

水銀燈「…ジュン」

ジュン「な… 何?」

水銀燈「あなたが戦いたいと言ってきたときに、わたしが最初に言ったこと覚えてる?」

ジュン「…うん」

(「自分の身を守ることだけ考えて」)

水銀燈「守れなかったわね」

ジュン「…」

水銀燈「ねぇ、ジュン」

ギシッ

水銀燈「もう一度言うけど、もうやめにしない?」

ジュン「…えっ?」

水銀燈「あなたが無理に戦う必要なんてないってこと」

ジュン「そ、そんな…!」

水銀燈「あなたには、このマエストロ級の指先がある。戦ってもらわなくても、十分助けてもらえるわ」

ジュン「ぼ、ぼくは…」

水銀燈「がんばってくれるのはわかるけど、やっぱりあなたは優しいし甘い」

水銀燈「それが生きるようなことをすればいいんじゃない?」

ジュン「…」



ジュン「(水銀燈… ボクは、ボクはっ…!!)」
333水銀燈がドールたちのお母さんになるようです:2009/03/31(火) 21:20:29 ID:T+2IYI75
ジュン「…とりあえず、応急処置はしたよ」

水銀燈「ありがとう」

ジュン「ちょっと、風に当たってくる」

水銀燈「わたしの言ったこと、考えてね」

ジュン「…」



水銀燈「(…我ながら、ひどいことを言ったわね)」

水銀燈「(守ろうとした者に守られ、さらに情けをかけられ気遣われる。 …男のプライドを最も傷つける事ね)」

水銀燈「(…きっとジュンは、殴られたほうがはるかにマシだったと思ってるでしょうね)」



ジュン「…」


水銀燈「(でもね、ジュン。本当に戦うんだったら、その屈辱を乗り越えて)」

水銀燈「(本当の戦いというのはそういうもの。 一番の敵は、自分の弱さ)」

水銀燈「(生き人形なんかより、よほど手ごわい相手。 今度こそ勇気を奮い起こして立ち向かいなさい)」



ジュン「…うぅ…」ヘタリ

ジュン「くっ…うう…あぁぁ… ボクは、ボクは…!」
334水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/01(水) 18:53:20 ID:+4LWft+P
のり「ただいまー… あれ?」

シーン

のり「靴がいっぱい… 誰?」

トン トン トン

ガチャッ

のり「銀ちゃん? …あら? えっ!?」

みつ「…おかえり、のりちゃん」

ジュン「…」

のり「な、なに?! どうしたの、このお部屋!」

水銀燈「わたしが説明するわ」

のり「ぎ…銀ちゃん!! 腕…!!」

水銀燈「ジュン、みつさん、灰を集めて冷やしておいて」

みつ「…わかったわ」

水銀燈「なるべく広い場所でばらまくから…」
335水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/01(水) 19:02:28 ID:+4LWft+P
のり「そ、そうだったの…」

水銀燈「ごめんなさい、黙っていて」

のり「…いいえ…」

水銀燈「…ジュンにも、ひどいことをしたわ」

のり「…」

水銀燈「半分は本音だけれど」

のり「…本音?」

水銀燈「ええ… あなたたち姉弟は、戦いを知らないままでもよかったんじゃないかって」

のり「…そんな…」

水銀燈「戦いを知らずに育ったあなたたちのもとで、わたしの妹たちは安らいでいた」

のり「…」

水銀燈「あなたたちが妹たちの心のよりどころになってくれるなら、血みどろになるのはわたしが引き受ければいいって」

のり「…だ、ダメよ!」ガバッ!

水銀燈「!?」

のり「お願い、そんなこと言わないで…!」

水銀燈「の…のり?」

のり「だって、だって… あなたは『お母さん』なんだもの!!」
336水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/01(水) 21:37:21 ID:/Jo4jlsx
水銀燈「…『お母さん』…」

のり「そ…そうよ!」ポロッ

水銀燈「…のり!?」

のり「…みんなの…お…お母さんが… そんな…そんなこと言っちゃ…」ポロポロ

水銀燈「…」

のり「えぐっ…ぜ、絶対、ダメだよう…ぐずっ」

水銀燈「…わかったわ。 ごめんなさい」

キュッ

水銀燈「…『お姉さま』」

のり「…銀ちゃん」



みつ「…水銀燈、大丈夫?」

水銀燈「ええ、近くに海か川はある?」
337水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/01(水) 21:41:37 ID:/Jo4jlsx
のり「…大丈夫なの?」

水銀燈「すぐ戻るわ、大丈夫」

みつ「それじゃ、案内するわ」

ブルルルルルル

のり「…」



トントン 

のり「…ジュン君」

シーン

のり「…ジュン君?」ガチャ

ジュン「…」

のり「…ケガ、大丈夫?」

ジュン「…かすり傷だよ」
338水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/01(水) 21:54:05 ID:/Jo4jlsx
のり「…よかったわ」

ジュン「よかった?」

のり「みんな、大きなケガじゃなくて…」

ジュン「水銀燈は重症だよ」

のり「…それでも、みんな生きてて…」

ジュン「うるさい!!」

バァン!!

のり「ジュ…ジュン君?!」

ジュン「ボクは… ボクは… 水銀燈を守れなかったんだぞ?!」

ジュン「こんなかすり傷でへたりこんで…何もできなかった!!」

ジュン「『みんなを守る』って言っておきながらこのザマなんだ!!」

のり「ジュン君、落ち着いて! …自分を責めないで!」

ジュン「うるさいって言ってるだろ!! のりも水銀燈もなんで…」

のり「…ジュン君…?」

ジュン「なんでそんなに… ボクを責めないんだよ…!!」
339水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/01(水) 22:03:44 ID:/Jo4jlsx
のり「…それは…」

ジュン「そんなに優しくするってことは… そんなに頼りないってことかよ…!!」

のり「ち、違うよ! そうじゃないよ…!」

ジュン「違わないだろ!!」

(「ジュンは、殴られたほうがマシと思ってるでしょうね」)

ジュン「ボクはヘタレだよ! 自分の言葉も守れない最低野郎だ!!」

(「お願い、そんなこと言わないで… あなたは『お母さん』なんだもの…」)

ジュン「役立たずは役立たずらしく、部屋の中でおとなしくしておけばよかったんだ!!」

(「ジュン…すごいよ、あなたすごいよ…」)

パァン!

ジュン「!?」



のり「ジュン君の、ジュン君のバカっ!!」
340水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/01(水) 22:10:40 ID:/Jo4jlsx
ジュン「のりが… ボクを殴った…?!」

のり「バカバカバカっ!! ジュン君のバカっ!」ポカポカポカ

ジュン「わ、わっぷ?!」

のり「あんなにがんばってたじゃないっ! 一生懸命だったじゃないっ!!」ポロポロ

ジュン「の、のり…?」

のり「なんで『もっと強くなって今度こそ守る』って言わないの!?」

ジュン「…無理だよ! ボクは…」

のり「そんなこと言わないでっ!! あんなに…あんなにがんばってたのに…すごかったのに…」

ジュン「…のり…」

のり「ぐずっ…えぐっ…ひっぐ」

ジュン「…」



のり「…うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

ジュン「…姉さん…」
341水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/01(水) 22:25:29 ID:/Jo4jlsx
【河川敷】

みつ「…この辺でいい?」

水銀燈「…ええ」

バタン

水銀燈「灰を貸して」

みつ「…はい」

パラ パラ パラ


―主よ


みつ「…水銀燈?」


―永遠の安息をかれらに与え 絶えざる光をかれらの上に照らしたまえ


みつ「…かれらの安らかに憩わんことを」

水銀燈「…アァメン」



みつ「…祈ったのは、儀式か何か?」

水銀燈「そんな大げさなものじゃないわ。 …礼よ」

みつ「礼?」

水銀燈「…こいつのおかげで、わたしは自信を持ったから」

みつ「自信?」

水銀燈「ジュン達と暮らしていても、戦える自分にいつでも戻れるんだっていうね」

みつ「…水銀燈」

水銀燈「多少なまってたけれどねぇ」
342名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/02(木) 05:03:12 ID:UTmO432e
支援∞
343水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/02(木) 21:02:38 ID:14YHVXtL
みつ「それじゃ、帰りましょう」

水銀燈「ええ…」

バタン ブルルルルル

水銀燈「みつ…」

みつ「なあに?」

水銀燈「ごめんなさい、ちょっと眠らせて…」

みつ「…いいわよ、着いたら起こすから」

水銀燈「…ありがと…」

ブォォォォォ

みつ(おだやかな寝顔…)

みつ(真紅は彼女のことをこう言っていた。…『冷酷非情な最凶ドール』と)

みつ(あの生き人形との戦いっぷりを見る限り、それはまさしくその通りなのだけれど)

ブロォォォォォ

344水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/02(木) 21:03:34 ID:14YHVXtL
みつ(柴崎夫婦に礼を尽くして接し、おなかの妹たちにやさしく語りかけ…)

みつ(綺麗な服を前にはしゃぎ、手にかけた敵の冥福を静かに祈る)

みつ「…おっと、いけない」

キキッ

みつ「起きなかったかな… よかった、よく寝てる」

水銀燈「…くー…」

みつ「…かわいい寝顔」

ブルルルル…

みつ(その姿はむしろ、あの言葉にふさわしい)

みつ(『強く気高く美しい、薔薇乙女の中で最もアリスに近い存在』)

みつ(…カナが彼女を評した言葉)

パパー

みつ「あちゃ、またやっちゃった」

ブォン ブロロロロロ

みつ(…どっちが本当の貴女なの?)
345水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/02(木) 21:13:06 ID:14YHVXtL
ブォォォォ

みつ(もしも… 普段のおだやかな姿が彼女の本質だとしたら)

みつ(七姉妹の長女として、厳しい戦いにのぞむためあえて冷酷非情に振舞うようになったのだとしたら)

みつ(それは、なんて哀しいことなんだろうか)

ブルルルルル

みつ「…もうすぐ着くわね」

みつ(私には、彼女を戦いから遠ざける力も覚悟もないけれど)

みつ(…ならば、彼女の戦いでささくれだった心をせめて…)

キキッ

水銀燈「ん…」

みつ「あ、起きた? いま着いたよー」

水銀燈「…ありがとう」
346水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/02(木) 21:19:14 ID:14YHVXtL
みつ「ね、銀ちゃん。 今度はちゃんと、本当に遊びに来てね」

水銀燈「…いいの?」

みつ「あったり前よー! もちろん、じゅんじゅんやのりと一緒にね! いっぱいご馳走作って待ってるわよー!」

水銀燈「…金糸雀が言ってたわ。『みっちゃんの料理は家庭料理の枠を超えてるかしら』って」

みつ「えっへん! その通りよー!」

水銀燈「…ぜひ、ごちそうになるわ。…『みっちゃん』」

みつ「服もいっぱい用意しとくわよ〜♪」

水銀燈「…ふ、ふんっ! 余計なお世話よぉ!」

みつ「(…ごちそうよりも、服のほうが嬉しいみたいね…)」
347水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/02(木) 21:31:42 ID:14YHVXtL
みつ「それじゃ、またね」

水銀燈「送ってくれてありがとうねぇ」

ブロロロロロ

水銀燈「…すっかり夜になっちゃったわぁ」

ガチャン

水銀燈「…ただいま」

シーン

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「…おかえり」

水銀燈「お姉様は?」

ジュン「…寝ちゃったよ(泣き疲れて…)」

水銀燈「そう… なんか食べる?」

ジュン「いや、もう食べたから」

水銀燈「そうなの… じゃ、お風呂もらって休むわね」

ジュン「…うん。 あ、水銀燈」

水銀燈「なあに?」

ジュン「傷口、濡らさないでね」

水銀燈「…わかったわ。シャワーだけ浴びるから」



シャーーーー

水銀燈「(思ったよりも、落ちこんでないわねぇ…)」
 
キュッ

水銀燈「(案外たくましいのかしら。 それとも…)」

フキフキ

水銀燈「(お姉様が、何か言ってくれたのかしらねぇ)」

ジュン「…おやすみ、水銀燈」

水銀燈「お休み… ジュン」
348水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/05(日) 09:16:25 ID:R1oPRqQN
(…みんな、よく寝てる。 無事でよかった…)



(…雪華綺晶? あの子は…どこ?)



(どこに行ったの? どこ?)



(おかしい… どこにもいない。 いつもならすぐに見つかるのに…)



(…どこ?! どこなの…! まさか、まさか…!)

…オ…カア…サマ…?

(! ここにいたのね。 よかった、よかったわ…)キュッ

オカアサマ…

(…いったい、どうしたの?)

オケガ…ダイジョウブ?

(これ? …大丈夫よ。 ただのかすり傷よ)

ヨカッタ…

(…雪華綺晶? 雪華綺晶!!)
349水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/05(日) 16:18:04 ID:pZ6bCNGP
ダイジョウブ… トッテモネムタイダケ…

(ああ、雪華綺晶… ごめんね、お母さんのせいで…)

チガウノ… オカアサマノセイジャナイ…

(ごめんなさい、ごめんなさい…)

オカアサマ… ナ…カ…ナイ…デ…

(…雪華綺晶!)






…クゥ…スゥ…


(…よかった、ほんとうに眠っただけみたい…)

クゥ…クゥ…

(みんなといっしょに、おねむしましょうね…)

ン… スゥ…
350水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/05(日) 16:51:38 ID:pZ6bCNGP
【翌朝 AM4:30】

ジュン「…」ムクッ

ソロ ソロ

ジュン「…」

ソロ ソロ

のり「ん…」

パタン

のり「…ジュン君??」



ジュン「いちに、いちに…」ワッセ ワッセ

(巴「考えきれないことがあると、ここに来ることにしてるんだ」)

ジュン「考え切れないこと…か」ワッセ ワッセ

(巴「考えても考えても、どうにもならなくなったとき。思いっきり走って、朝日を浴びるの」)

ジュン「…」ワッセ ワッセ

(水銀燈「がんばってくれるのはわかるけど、やっぱりあなたは優しいし甘い」)

(のり「なんで『もっと強くなって今度こそ守る』って言わないの!?」)




ジュン「ふぅ、ふぅ… 間に合った」

ツンツン

ジュン「ん?」

巴「おはよう、ジュン君」
351水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/05(日) 16:56:53 ID:pZ6bCNGP
ジュン「あ、来てたんだ… また、何かあったの?」

巴「ううん。 最近、毎日走ってるんだ。もう一回、体を鍛えなおそうと思って」

ジュン「そうなんだ…」

巴「ジュン君こそ、なにかあったの?」

ジュン「…何も」

巴「…また、内緒なの?」

ジュン「…」

巴「はい」

ジュン「…缶コーヒー?」

巴「いつかのお返し」
352水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/05(日) 17:17:52 ID:pZ6bCNGP
ジュン「サンキュ」カシュ

巴「ふふ」カシュッ

コク コク コク

ジュン「…甘い」

巴「エネルギーになるよ」

ジュン「エネルギー?」

巴「うん」

コク コク コク

巴「眠るのも食べるのも考えるのも、みんなエネルギー使うでしょ?」

ジュン「…ああ」

巴「だから、とりあえず甘いものとっておけば元気だけは出るよ」

ジュン「太るよ」

巴「だから走るの!」

クスクス

ジュン「へへ、巴が怒った」

巴「…ふふ、ジュン君が笑った」
353水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/05(日) 18:46:32 ID:y4jse2L0
巴「あ… 見て」

ジュン「ん? …あ、日の出」

巴「…綺麗」

ジュン「ああ…」

チュン チュン
チチチチ

巴「…リセットできた?」

ジュン「うん。…巴、ありがとう」

巴「ふふ、何にもしてないよ」

ジュン「でも、ありがとう」

巴「…今は内緒でいいけど、そのうち話してね。 水銀燈のことも…」

ジュン「…ああ。必ず話すよ」



ジュン「(…いずれ、話さなくちゃいけないから…)」
354水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 08:36:13 ID:mDrkdTnQ
ガチャ

ジュン「ただいま」

のり「…あ、おかえり。どこ行ってたの?」

ジュン「ちょっと走ってきた。 ご飯食べるよ」

のり「そう…」



水銀燈「あら、おかえりぃ」

ジュン「ただいま」モグモグパクパク

水銀燈「…って、行儀悪いわねぇ」

ジュン「ごべん」ゴクゴクゴク

のり「…ジュン君?」

ジュン「ぷぅ、ごちそうさま」

水銀燈「(どうしたのかしら)」

355水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 08:38:59 ID:mDrkdTnQ
ジュン「(まずは、しっかり食べておこう。 食欲ないけど…)」

(巴「眠るのも食べるのも考えるのも、みんなエネルギー使うでしょ?」 )

ジュン「(そして、今一番大事なことは…)

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「水銀燈」

水銀燈「な、なぁに?」

ジュン「…腕。 見せてもらっていい?」

水銀燈「え… あ、いいわよぉ。 お願い」

ジュン「のり、片付け頼むよ」

のり「あ、はーい」

ジュン「(いまは、できることをひとつひとつやるだけ。 それしかないんだ)」



のり「…」

カチャンカチャン

のり「…よかった」ポロッ
356水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 08:52:30 ID:mDrkdTnQ
クイ クイ

ジュン「痛くない?」

水銀燈「…大丈夫よ」

ジュン「…痛いんだね」

シュッ シュッ

ジュン「…ごめん」

水銀燈「え? …んっ」

チュウウウウ

水銀燈「ん…」

ジュン「ボクのエネルギーは結晶の再生に向けられるから、きみの傷の治療にはあまり効果がないけど…」

水銀燈「…でも、多少は痛みがやわらぐわぁ」

ジュン「…本格的な修復には、めぐの力を借りないといけない」

水銀燈「そうね」

ジュン「水銀燈、これ…」

水銀燈「え… 釘のこと?」

ジュン「自分で仕込んだの?」

水銀燈「そうよ、両手足の4箇所に。武器を失ったときの用心にね…」

ジュン「…抜くよ。傷の治りが遅くなるから」

水銀燈「…」

ジュン「そのかわり、ボクが武器を作るから」
357水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 09:13:03 ID:mDrkdTnQ
水銀燈「あなたが?」

ジュン「リクエストはある?」

水銀燈「…どんなものでも、一通り扱える自信はあるわ」

ジュン「なるべく軽くてかさばらないのを選ぶよ」

水銀燈「あと、射程が長いほうがいいわ。おなかがこうだから、あまり組み打ちはしたくない」

ジュン「了解」

シュルシュル キュッ

ジュン「とりあえず、終わったよ」

水銀燈「…ありがとう」

のり「それじゃ、行ってくるねー」

ジュン「行ってらっしゃーい」

バタン

水銀燈「…ジュン」

ジュン「なあに?」

水銀燈「わたしの荷物を持ってきてくれる?」
358水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 09:20:06 ID:mDrkdTnQ
ヨイショ ヨイショ

ジュン「はい」

水銀燈「ありがとうね」

カチャリ パタン

ゴソゴソ

水銀燈「…これと、これ」

ジュン「十字架と…本?」

水銀燈「あなたにあげるわ」

ジュン「なんなの?」チャリ

水銀燈「危ないわよ」

スッ

ジュン「す、水銀燈?」

水銀燈「十字架を握っている手に力をこめて。握力ではなく、生命力を」

ジュン「ど、どうやるの?」

水銀燈「いつもわたしに口でしてくれてる、あの感覚よ」

ジュン「え…(こ、こうか?)」

ブォン

ジュン「うわっ?!」

水銀燈「『ダモクレスの剣』よ。心して使いなさい」

ジュン「(十字架が…剣に…!)」
359水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 09:28:51 ID:mDrkdTnQ
ジュン「な、なんで?」

水銀燈「それは人間専用の武器。わたしには使えない」

ジュン「いや、そうじゃなくて… 君、ボクに戦うのをやめないかって」

水銀燈「どうせ、やめる気なんて無いんでしょう?」

ジュン「…」

水銀燈「それから、これ」カチャリ

ジュン「(…錠前つきの本なんて初めて見るよ…)」

パラパラパラ

ジュン「…読めない」

水銀燈「これは、わたしの備忘録」

ペラッ

水銀燈「生まれてきてからいままでの、すべてを綴ってある。 無論、戦いの記録も」

ジュン「え…」

水銀燈「今日から、肉体の鍛錬はあなたにまかせるから好きにやって」

パタン

水銀燈「わたしの数百年に及ぶ戦闘経験、すべてあなたに教えてあげる」
360水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 09:35:13 ID:mDrkdTnQ
ジュン「…え!」

水銀燈「生き人形から軍隊まで、ありとあらゆる相手との戦い方をね」

ジュン「い、いいのか?」

水銀燈「時間が無いのよ」

ジュン「…」

水銀燈「また襲われるかもしれないし。 それに結晶の修復が完成したら…」

(ラプラスの魔「母体には多大な負担がかかるでしょう」)

水銀燈「無事でいられる保証なんて無い。 だから、もしわたしに万一があったら…」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「あなたが、あの子たちを導いてあげて」

ジュン「ぼくが…」
361水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 09:44:21 ID:mDrkdTnQ
水銀燈「みんなを助けたい、って言ってたでしょう?」

ジュン「…うん」

水銀燈「なら、助けたあとのことも頼むわよ。甦らせてあとは知らない、じゃ困るわ」

ジュン「…」

水銀燈「怖気づいた?」

ジュン「違う。…その、ボクでいいの?」

水銀燈「いまさら何よぉ。 …『お父様』」

ジュン「おっ、お父様っ?!」

水銀燈「だってそうじゃない。 あなたはこの子たちの父親になるのよ?」

ジュン「…」

水銀燈「よろしく頼むわね?」

ジュン「…水銀燈、そこまで言うんなら」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「ボクに黙ってたことがあるだろう?」

水銀燈「!」
362水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 10:23:42 ID:JlZLRwDc
ジュン「目覚めてるんだね? 白薔薇が…」

水銀燈「…ええ、そうよ」

ジュン「なんで、ボクに言ってくれなかったんだ?」

水銀燈「…あなたは、この子のことを警戒してるんじゃないかと思って」

ジュン「そりゃそうだよ。みんなをあんな目にあわせたやつじゃないか」

水銀燈「それはそうだけど」クスッ

ジュン「…なに?」ムッ

水銀燈「わたしに人のことが言えると思う?」

ジュン「…あ」

水銀燈「あ、納得したわねぇ?」クスクス

ジュン「…ちぇ」

水銀燈「大丈夫よ。 …根拠はないけど、わかるから」

ジュン「なんでだよ」

水銀燈「わたしたち、つながってるのよ?」

ジュン「…まったく、もう」



ジュン「『お母さん』にはかなわないよ」

水銀燈「ふふっ、よろしくねぇ。 …『お父様』」
363水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 10:31:20 ID:JlZLRwDc
【???】

ゴォォォォ

???「…やはりな」

ゴ ゴ ゴ

???「いちばん恐れるべきは『御子』じゃわい」

ゴゴゴゴゴ…

???「ほかの姉妹は再生中身動きひとつ取れんのに、目覚めなおかつ力さえ使いよるとは」

ゴォォォォォ

???「これで『聖母』が目覚め、『御子』と組むことになったら…」

ゴ ゴ ゴ ゴ

???「じゃが幸い『聖母』は覚醒せず、かつ弱っておる。結晶の再生を待って、カタをつけるとするかのぉ」

ブシュウウウウ

???「『生命と精神の結晶』をこの手にするためには、わずかなズレも許されん。慎重にならんとの…」

…ゴ ゴ ゴ ゴ
364水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 10:48:17 ID:JlZLRwDc
【ジュンの家】

水銀燈「…このとき、総司令官は左翼の一隊を見捨てる決断を下した。より深く敵を誘い、殲滅するために…」

ジュン「ねぇ、水銀燈。 …戦い方を学ぶのに、戦争の勉強なんてする必要あるの?」

水銀燈「当たり前じゃない。 戦うということを考えたら、最終的にはみんなここに行き着くのよ」

ジュン「そうなのか?」

水銀燈「…一対一で戦えるのなんて、スポーツの試合くらいのもの」

水銀燈「実戦では、かならず複数同士の戦いになるはず。一対多、多対一、多対多…街角であれ、戦場であれね」

ジュン「…」

水銀燈「それに、目の前の敵と戦うだけが『戦い』じゃない」

水銀燈「最初にいかにして有利な状況を作るか、戦った後どうやって戦いを終わらせて仲直りするか…そういうことを考えると、結局は戦争学に行き着く」

ジュン「仲直り?」

水銀燈「そう。その場での戦いが終わっても、永遠につけねらわれることになったら厄介でしょう」

水銀燈「だから、いかにして後腐れなく終わらせるかっていうのが大事。わたしたちが人間とともに生きていくにはね…」

ジュン「そうなんだ」

水銀燈「それがかなわないなら、非情に徹して相手の存在ごと消してしまうこともある」

水銀燈「残酷だと思うかもしれないけど、その見極めを誤ればこちらが『人類の敵』とみなされて消されてしまうことにもなるのよ」

ジュン「…」
365水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 11:00:04 ID:JlZLRwDc
水銀燈「わたしたちは『アリスゲーム』を通じて、そういう戦い方…生き残り方を考えてきたのかもしれないわね」

ジュン「…水銀燈は、人を殺したことはあるのか?」

水銀燈「…ない、ということにしておいてちょうだい」

ジュン「…わかったよ。もう聞かない」

カリカリカリ

ジュン「きみたちは、実際に戦争に巻きこまれたこともあるのか?」

水銀燈「巻きこまれたこともあるし、軍隊に狙われたこともある」

水銀燈「お父様の技術は、その存在を知ればどの時代どの国の為政者も血眼になって捜し求めたわ」

ジュン「そういうときはどうするんだい?」

水銀燈「ひたすら逃げる」

ジュン「…そうなのか?」

水銀燈「軍を相手にするってことは、その国を相手にするってことだもの」

水銀燈「下手に事を構えれば『国の敵』『人類の敵』と容易にみなされてしまう」

ジュン「…」

水銀燈「ひたすら逃げてあきらめてくれるのを待ったり、時間を稼いで後方から工作してその国に政変を起こさせたり」

ジュン「…そんなことまでするんだ。きみは、ほんとうに何でもできるんだな…」

水銀燈「やってたのはわたしじゃないわ」

ジュン「え?」

水銀燈「こういう駆け引きは、ほとんど金糸雀が一手に引き受けていた」
366水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 11:08:21 ID:JlZLRwDc
ジュン「え?」

水銀燈「わたしたちが姉妹で組んで戦うとき、指揮はあの子が執ることになってる」

ジュン「…あのカナが?」

水銀燈「あの子はわたしたち薔薇姉妹の中で、最高の演算能力を持っているのよ」

ジュン「…あのドジっ子が…」

水銀燈「あの子がふだんドジをよく踏むのは、考えることが多すぎるからよ」

水銀燈「単純なことでも全力で考えてしまう。…公道をF1マシンで走らせるようなもの」

ジュン「そうなんだ…」

水銀燈「でも、いざ大勢力と事を構えることになったらあの子ほど頼りになる存在はいない」

水銀燈「政治的な駆け引き、戦闘の指揮、実際の戦力としてもね」
367水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 11:22:04 ID:JlZLRwDc
ジュン「戦力? カナって、そんなに強いとは思えないけど…」

水銀燈「あなたはアリスゲームでの戦いしか見てないからよ」

カリカリカリ

水銀燈「一対一、一対多では確かにあの子はさして強くない」

水銀燈「多対多の集団戦で、味方の援護を受けた状態でこそあの子の真価は発揮される」

ジュン「…真価?」

水銀燈「薔薇乙女の中で、遠距離戦最強を誇る火力。あの子がその気になれば、町ひとつ消し飛ばすことなんてたやすい」

ジュン「!!」

水銀燈「それをするためにはわたしたちの力も必要だし、そもそもあの子はそういうことを好まないけれどね」 

水銀燈「いえ…そういう子だから、お父様はあれだけの力を持たせたのかもしれない」

ジュン「…すごい…」

水銀燈「あの子は、薔薇乙女の切り札的存在。わたしたち姉妹が一人も欠けることなく生き延びてこれたのは彼女の力によるところが大きいのよ」
368水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 11:39:07 ID:JlZLRwDc
ジュン「きみたちって、すごいんだな…」

水銀燈「ついでに言うと、翠星石と蒼星石は格闘戦向け」

ジュン「…蒼星石はわかるけど翠星石も?」

水銀燈「本来はそう。あの子も戦いは好まないけど… 雛苺は近距離での破壊力が優れている」

ジュン「破壊力?」

水銀燈「要するにパワーがあるってことよ。すばやい相手と戦うよりも大きな物を壊したり動かしたりするのが得意」

ジュン「そうなんだ…」

水銀燈「そのくせあの性格だから、力を持たせておくと危なっかしくてしょうがないのよねぇ」

ジュン「(あんまり想像したくないな…)」

水銀燈「そして、わたしと真紅が全距離戦向け。どんな戦局にも対応できるよう造ってある」

ジュン「それってつまり…」

水銀燈「そう。 …なんだかんだ言って、わたしたちってちゃんと姉妹そろって戦うことを前提にして造ってあるのよねぇ」
369水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/06(月) 14:24:46 ID:c0GaiMSG
ジュン「…そうだったんだ…」

水銀燈「…妹たちのローザミスティカを奪えば、能力を奪うこともできるけど」

ジュン「…」

水銀燈「力を奪ったからといって、それを使いこなせるとは限らない。 わたしが『庭師の鋏』を手にしたって、蒼星石ほどには扱えないもの」

ジュン「…そうだよ、きっとそうだ」

水銀燈「ジュン?」

ジュン「きみたちはきっと、もともと力を合わせるようにできているんだよ」

水銀燈「…でも、お父様は…」

ジュン「きっと、なにか考えがあったりするんだと思うよ」

水銀燈「…どうなのかしらねぇ」




ジュン「(いいぞ… うまくすれば、アリスゲームを終わらせられるかもしれない)」

カリカリカリ

ジュン「(戦うことも、『あのこと』を教えることもなく…)」
370名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/06(月) 19:32:58 ID:kzsracyJ
なんか、当初とズイブン予想の違う展開になってきたな。。。
371水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/07(火) 14:55:40 ID:jRchByVa
【有栖川大学病院】

バチィン!!!

めぐ「…あぁ、スッとした」

ジュン「…ごめん」ヒリヒリ

水銀燈「わたしはもういいのにねぇ」

めぐ「…私の気が済まなかったから。 傷、見せて」

シュル シュル

めぐ「言ってたほど、ひどくはないね」

水銀燈「ジュンのおかげよ」

ジュン「…ボクの『せい』だよ」

めぐ「いつまでも卑屈にならないで。もう、私の気も済んだから」

ジュン「…」

めぐ「水銀燈、指輪を…」

水銀燈「無理はしないでね」



パァア



めぐ「さ、ジュン君。今のうちに…」

ジュン「…ああ」カチャカチャ
372水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/07(火) 15:05:42 ID:jRchByVa
ジュン「…とりあえず、いいと思う」

めぐ「…お疲れ様」

水銀燈「めぐ、大丈夫?」

めぐ「…ちょうどいい運動よ」

ジュン「ボク、ちょっと風に当たってくるよ」

ガチャン パタン

めぐ「…変わったね」

水銀燈「…わたし? それともジュン?」

めぐ「両方よ」

ナデ ナデ

水銀燈「…大きくなったでしょう」

めぐ「不思議ね」

ナデ ナデ

めぐ「あなたが私のところから去って、ジュン君のところで幸せになって…」

水銀燈「…」

めぐ「もっと、死ぬほど悔しくなるかと思ってた」

ナデ ナデ

めぐ「…少なくとも、こんなに幸せな気持ちになるとは思ってなかった」

水銀燈「…幸せなの?」

めぐ「せつなくもあるけど、ね」
373水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/07(火) 16:25:39 ID:25qT6cPr
ナデ ナデ

めぐ「なんか、いい夫婦になっちゃってるんだもの」

水銀燈「…そうかしら」

めぐ「『あなた』『おまえ』って呼び合ってるんじゃないの?」

水銀燈「ま、まっさかぁ(まぁ似たようなもんだけど…)」

めぐ「ふふ。…一人娘をお嫁さんに出した親の気分」

キュッ

水銀燈「…めぐ」

めぐ「『予定日』なんて、わかるの?」

水銀燈「ラプラスの魔が言ってたとおりなら、そろそろ来てもおかしくないんだけれど…」
374水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/07(火) 16:40:38 ID:W8nm47pB
めぐ「…怪我のせい?」

水銀燈「わからない」

ナデ ナデ

水銀燈「まぁ、ゆっくり構えることにするわ」

めぐ「ふふっ」

水銀燈「…何よぉ」

めぐ「もっと続いてほしい、なんて思ってるんじゃないの?」

水銀燈「…ふんっ」

クスクス

めぐ「…はやく、妹たちに会えるといいね。もちろん、無事に7人そろって」

水銀燈「ええ。…頑張るわ」
375名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/07(火) 17:37:47 ID:E4ObZ32h
【翌週・ジュンの家】

(ジュン「君の武器ができたよ。使ってみて」)

水銀燈「…ほんとに使えるのかしら。それに…」

(ジュン「これなら、痛みを感じる相手なら力がなくても威力を発揮するはず」)

水銀燈「なんか、いかにもって感じが嫌ねぇ。…試す機会があればいいけど」

(ジュン「…念のため言うけど、ボクを実験台にしないでくれよ」)

水銀燈「手加減するって言ったのに…」



ギシッ 

???「フヒ…フヒヒ…」
376水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/08(水) 07:42:40 ID:yQh/Lhn4
ギシ ギシ

???「見つけたぞ… 間違いない…」

カチャ ゴソ

???「ずっと狙っていた…」



???「ようじょの下着…」



ヒュンビシッ!!

変質者「ふぎゃっ!?」

ヒュルルルルル ドッスン

水銀燈「…まぁまぁかしら」



(水銀燈「…鞭?」)

(ジュン「使ったことある?」)

(水銀燈「最近、バイトで少し」)

(ジュン「…」)

(水銀燈「冗談よぉ」)
377水銀燈がドールたちの母親になるようです:2009/04/08(水) 07:48:44 ID:yQh/Lhn4
変質者「フ…フヒ…」ヒクヒク

水銀燈「お仕置きの時間よぉ」

ヒュンビシッ! ヒュンバシッ!

変質者「あひぃん! いいっ!」

(ジュン「柄にはナイフが仕込んである。いざというとき使って」)

水銀燈「…生爪はがしてやろうかしら」

ジュン「す、水銀燈っ! 大丈夫?! って…」

水銀燈「何よぉ、その間は」

ジュン「…似合いすぎ」

ヒュンピシッ!

ジュン「あひぃん!」
378名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/12(日) 03:10:14 ID:MtmVslmU
オレちゃんと見てるからな
379名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/12(日) 13:05:09 ID:BeqyDfPb
オレもオレも。
桜田ぁ、オマエは一人じゃないぞっ!
380名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/13(月) 22:27:55 ID:Ovw5QdrV
ジュン「水銀燈!好きっ!(押し倒す)」
水銀燈「えっ・・いやっ!」
ぬぷっ
ジュン「あぁ・・もう止まらないよ・・」
ぐちゃっぬぷっぐちょっ
水銀燈「やっ・・・・やめ・・てっ・・あはぁっ」
ジュン「気持ち良い・・締め付けられるよ・・」
ぱんぱんぱんぱんぱん
水銀燈「ああっ・・気持ち・・良い・・!」
しゅっしゅっしゅっしゅっ
ジュン「はぁっはぁっ次は・・手こきしてよっ」
水銀燈「なめてあげるわぁ・・んっ・・」
ぺろっ しこしこしこ
ジュン「気持ち良いよ・・!」
381名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/13(月) 23:45:55 ID:tHGqChxH
>>380
嵐か?

違うのなら>>1をよく読んでから出直してきて欲しい。
エロパロ板がキミを待っている。
382名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/18(土) 15:54:46 ID:9oVZgoUj
「アリスゲームが終わったら」を待ち続けます
383名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/19(日) 14:42:58 ID:q9RbN7ol
>>382
言いたいことは判るが、どう見たって大作なんだからまる一年ぐらいは待ってやれよ。
384名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/25(土) 17:14:14 ID:amJgi0NE
hasu
385名無しさん@お腹いっぱい。:2009/04/26(日) 10:14:26 ID:lmqvu234
金糸雀の不人気の秘密

1) 全然ストーリーに絡んでいない(相手にすらされていない)
2) 桜田家に侵入した他はお弁当や見張り交代等の軽い行動に終始
3) 出番が多い5巻のストーリー性のなさ
4) 満を持して話した「薔薇乙女の誇り」が打ち切りで尻すぼみに終わる
5) 第2ドールという一見意味ありげな設定を物語中で全く生かせていない
6) イメージカラーからして趣味の悪い黄色
7) 他ドールより特に端麗なわけでもない平凡な容姿
8) 辛うじて定着した語尾も疑問系で汎用性が低い
9) 一般的な名前でインパクトがない
10) 至言というには程遠い「楽してズルしていただきかしら!」
11) YJに移籍後、生き残ってはいるものの実質消息不明であること
12) 水銀燈の次に作られた割に低性能なので水銀燈ファンから目の仇にされている
13) そもそも雛苺とキャラが被っている
14) その上、不人気ポジションには真紅がいるので実質居場所がない
386名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/05(火) 22:22:18 ID:CMLjKWQ/
保守
387名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/10(日) 10:33:53 ID:4B2GqqcX
388名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/10(日) 17:31:38 ID:q0mejO4e
ところでお前ら的にこれ↓はどうなの?

オリエ○ト工業がローゼンラブドール発売? 第一弾は水○燈にそっくり
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/news7/1241596875/


さすがに球体関節ではないようだが…
389名無しさん@お腹いっぱい。:2009/05/30(土) 10:25:30 ID:gtbvJiZG
390名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/05(金) 20:37:10 ID:mrzCNWrI
もし、アニメ三期があるとして、このスレ的には
『トロイメントの続き』と『原作設定の一からの新作(今のハガレンみたいに)』

ドッチの方が再び盛り上がるだろうな?
まあ、原作設定だと間違いなく『蒼星石』『水銀燈』あたりの声優は変更になるだろうが。
391名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/06(土) 22:05:52 ID:ompajch/
『このスレ的に』というのがよくわからんが。
ただ、今のローゼンSSというのは、アニメ版が大きな基盤になっているんじゃないの?
アニメでローゼンの設定を知り、原作に手を出し、SSを書き始めたという人が大半なはず
なにせバーズはUMA雑誌だったそうだから
392名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/07(日) 19:44:06 ID:Ay2pTaWn
いや、このスレの設定はアニメが元で、アニメ終わってからもう長いだろ?(原作が続いている以上、過疎化はアニメ終了が原因だろ?やっぱ。)
もし、かつてみたいにまたここが賑わう可能性が有るとしたら、ローゼンの再アニメ化しかないじゃないか。
(原作の次巻が出なくて長いハルヒの2期が放送されたっていうことにローゼン再アニメ化の可能性を見た)

ただ、YJに移った以上、アニメになったら原作設定になる可能性が有る(高い)と思うんだが、
そうなったら上述の理由から人気キャラの声優変更の可能性が有る。
そうなると、原作設定でアニメになったら、またかつてのようにココが賑わうこともないのだろうか・・・と思ってな。
>>391はアニメになるとしたらドッチが良いと思う?
393名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/22(月) 21:10:37 ID:7SAoWyl9
書き手いないけど支援
394名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 19:01:38 ID:HY0Smtzs
前スレ落ちてたのに今まで気づけずにいたとは…
不覚
395名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 20:16:39 ID:awq38gez
前スレ……?
396名無しさん@お腹いっぱい。:2009/06/23(火) 20:22:08 ID:awq38gez
ああ、SS総合のことか
ところでSSスレとSS総合はどう違うんだ?
SSスレ(こちら)はエログロ禁止らしいが、SS総合は何でもありなの?
397名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/01(水) 22:05:25 ID:+c3hixyk
「アリスゲームが終わったら」はまだか……
もう人がいないぞ
398名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/05(日) 07:52:52 ID:0dG8V9V3
399名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/07(火) 17:07:21 ID:DscATKos
まったり待ってます
400名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 03:52:50 ID:WKKnjbt+
よしおれにまかせろ
俺「ぎーんちゃん」
水銀燈「…」
俺「ぎーんちゃん!」
水銀燈「…」
俺「ぎーんちゃんってば!」
水銀燈「うっさい殺すわよ」
俺「ショボーン」
続く
401名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/09(木) 04:22:38 ID:WKKnjbt+
うーん、やっぱりあげなきゃ書き手も来んだろう
保守と誰か来ること願ってあげるね
402名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 14:47:12 ID:X1vXYmyr
403名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:51:21 ID:jlsEan9j
金「今日もいっぱい真紅たちの写真をしっかりこっそり撮っちゃうかしら〜」
翠「な〜にしてるですか、カナリア」
金「ひっ、な、何にもしてないかしら、写真なんか撮ってないかしら」
翠「これは何ですか。これでまたよからぬことを企ててたですね」
金「これはみっちゃんのデジカメかしら」
翠「デジカメ?あっ、真紅の顔が出てきたです。
  カナリア、今すぐ使い方を教えるです。さもないと全部ばらすですよ」
金「ひいぃっ」
404名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:52:02 ID:jlsEan9j
蒼「今日は翠星石のマカロンが食べられるのかあ、楽しみだなあ」
パシャッ
紅「今回は私のお菓子作りの腕の上達ぶりをとくと見せてあげるわ」
パシャッ
苺「ひなも上手に作れるようになったのよ」
パシャッ
紅「ん、翠星石あなたさっきから何をしているの」
翠「今日はこのチビカナのデジカメでみんなを撮ってやるです。
  いい写真がいっぱいです」
苺「うわあ、翠星石かっこいいのぉ」
蒼「お菓子作りに、カメラマンに大忙しだね。
  あれ、そういえばジュン君は?」
苺「ジュンはお勉強ばっかりでちっとも遊んでくれないのよ」
翠「せっかく翠星石が丹誠込めてお菓子を作ってやってるのに。
  しゃぁねえなあです。部屋から叩き出してくるです」
405名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:53:21 ID:jlsEan9j
パシャッ
眼鏡「うわっ、なんだよいきなり」
翠「今日は特別に翠星石がマカロンを焼いてやったです。
  勉強ばっかりじゃむさむさになるから、早く食べにこいです」
眼鏡「またお茶煎れ係か」

一同「いただきまーす」
蒼「やっぱり翠星石の作るマカロンはおいしいね」
紅「あら、私のだってひけをとらないわ」
眼鏡「真紅のってこれだろ、すぐに分かるよ」
紅「このセンスが分かるなんて、さすが私の家来ね。
  くんくんの顔の形に仕上げたのがうまくいったようね」
眼鏡「くんくん?ナスの間違いだろ。
   ジャムもはみ出してて血まみれじゃないか」
紅「なんですって!」
苺「また始まったの」
蒼「二人は仲がよろしいことで」
パシャッ
眼鏡「コラーッ!こんなとこ撮るなー!」
406名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:54:41 ID:jlsEan9j
眼鏡「ゆったりとした午後のお茶もいいもんだな」
紅「あなたは毎日ゆったりしてるじゃないの」
眼鏡「うるさいなあ」
翠「さぁて、片付けも終わったです。
  あれ?テーブルの上に置いておいたカメラ知らないですか」
蒼「ああ、カメラならカナリアが持って帰ったよ」
翠「なななな、なんですとおおお!こんなくつろいでる場合じゃないです!」
苺「翠星石いっちゃったの」
紅「相変わらずかしましい子ね」

金「さぁて、今日もみっちゃんにたくさん写真を見せてあげられるかしら。
  あら?みんなの写真は最初の方だけでけっこうブレてるのが多いかしら。
  最後の方はうまく撮れてるけど人間の男の子ばっかり。
  あっ、鏡が!」
翠「カナリア、見てしまいましたね。カメラをぶっ壊してやるです。
  今日の写真は全部なかったことにするです!」
金「はわわわ、最初にしてはき、きれいに撮れてたし、問題ないかしら。」
翠「いいからよこせです、おら、おら!」
金「うまく撮れた画像だけ残してプリントアウトすればいいかしら〜」
翠「プリン・タルト?」
金「プリントアウト。選んだ画像を印刷して写真としても楽しめるのよ」
翠「さっさとそのプリン・タルトでうまくやるです」
金「プリントアウトだってば」
翠「早くするです!」
金「ひいぃっ」
407名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:55:43 ID:jlsEan9j
翠「今日の写真をカナリヤにプリントアウトしてもらったですよ〜。
  はい、これ真紅」
紅「私のエプロン姿も板に付いてきたようね」
翠「これが雛苺の」
蒼「雛苺は本当においしそうに食べてるねえ」
翠「蒼星石のもあるですよ、ほら」
蒼「わあ、ありがとう」
翠「そしてこれがチビ人間のです」
眼鏡「ありがとう…って何で僕だけ真紅とケンカしてるときの顔なんだよ」
翠「せっかく撮ってやったです、感謝しやがれです」
苺「あっ、翠星石もう一枚持ってるの」
翠「こっ、これはカナリヤが撮ってくれた翠星石の写真です」
蒼「見てみたいなあ」
翠「ダメです。
  こんなしっとりとした美麗な立ち姿、みんなに見せるのはもったいないです」
紅「あら残念」
408名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 17:56:42 ID:jlsEan9j
病人「私、ここに入院してから写真、撮ったことないの。
   一回天使さんとの写真を写真館で撮ってもらいたい。
   そうすれば私がいなくなっても、天使さんに覚えていてもらえるでしょ」
銀「ばかじゃないの。無理矢理契約させられた腐れ縁な上に、
  こんなわがままな人間、早く忘れたいわ。
  ま、この美しい私の引き立て役にはなれるかしら」
病人「うふふ」

みつ「へぇ、今日は翠星石ちゃんがカメラマンで、
   カナは一枚も撮ってないんだ」
金「そうよ。次回は翠星石もばっちり激写かしら」

翠「やっぱりこういう真剣な横顔が一番かっこいいです」
409名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:23:43 ID:UUral7f5
久々の良作ss乙だ
しかしジュンを眼鏡と略してるのは珍しいなw

続きゆっくりでも良いから頼む
410名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/11(土) 18:30:53 ID:X1vXYmyr
うわぁ、ヒナにマカロンだぁ〜。
翠星石って私的にスコーン(イギリス・スコットランド)のイメージがないんだよな。むしろ大陸側。バームクーヘンとか。
マカロンはもちろん七色(八色)用意しているんだよな?
411名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/14(火) 03:08:52 ID:jSNkDsbh
俺「飯、食べないのか」
銀「…」水銀燈は窓に腰掛け外を眺めながら俺を無視した。チラリともこちらを向いてくれない。
俺「置いとくよ。一人の方が落ち着くか。」
俺は隣の部屋に写ろうとした。
銀「契約さえしなかったら…こんな薄汚い部屋…」水銀燈はぼそりと呟いた。
俺「っく…」
サラリと辛いことを言ってくれるもんだ。
俺「…あ、朝また片付けに来るからね…良かったら食べて。」
俺は戸を閉めた。
翌日。
隣の部屋に入ると手付かずの夕食と開けたままの窓。水銀燈の姿は無い。
俺「勿体無ぇなぁ」
一人呟きながら平らげた。朝飯作る手間が省けた。
もう戻ってこないのだろうか。とりあえず俺は不用心だが窓の鍵だけはあけておいた。
412名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 02:40:50 ID:iGymhztR
すまんがつまらん
413名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/15(水) 12:40:36 ID:twbmEaaW
スレ違いと言わざるをえない
414名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/20(月) 13:57:38 ID:t1b0N1ng
415名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 18:35:37 ID:tFTIKgwu
以前別のスレに寄せたものを修正して貼ろうと思います
保守ということでご容赦ください
416名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 18:36:31 ID:tFTIKgwu
犬「それじゃあ来週も、よろし〜くんくん!」
眼鏡&紅「ふぅ」
眼鏡「それにしてもくんくんはほんと鼻がきくよなあ。
   ま、犬の嗅覚は人間の比じゃないからな」
紅「くんくんの事件に対する嗅覚と洞察力はすばらしいものだわ」
眼鏡「くんくんほどの鼻を持っていたら、
   食べ物の匂いなんかもぼくたちの何倍も楽しめるんだろうなあ」
紅「そうね。紅茶の香りにもきっと理解があるはずだわ。
  ああ、くんくん。一緒にお茶の時間を楽しみたいわ」
翠「くんくんが好きなのは翠星石の作ったスコーンの匂いに違いないです。
  あの焼きたてのふわっとした匂いにくんくんもうっとりなのです」
417名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 18:37:34 ID:tFTIKgwu
紅「スコーンなんて紅茶の副え物じゃないの。
  くんくんは紅茶の香りが1番好きに決まっているのだわ」
翠「なぁ〜にをほざいてるですか。
  紅茶こそスコーンの家来みたいなもんです。
  だぁ〜いたい、真紅が自分で紅茶を煎れてるとこなんか見た事ないのです」
紅「うっ」
苺「ひなは苺の甘酸っぱい匂いが大好きなの!」
雀「カナはみっちゃんの作ったお砂糖たっぷりの卵焼きの香りがいいかしら!」
眼鏡「お前、またきてたのか」
雀「うう、いつもサブキャラ扱いかしら」
紅「とにかく、紅茶よ!」
翠「スコーンです!」
苺「苺が1番なの!」
雀「卵焼きかしら!」
眼鏡「はぁ、まったく。くだらないことでもめるなよなあ」
418名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 18:38:24 ID:tFTIKgwu
蒼「こんにちは。と、この雰囲気は…ま、またきます」
翠「逃がさんです。蒼星石はどんな食べ物の匂いが1番好きですかね」
蒼「(うっ、目が…)ぼ、僕は翠星石の…」
翠「翠星石の!」
蒼「翠星石の煎れてくれたほうじ茶の香りかなあ」
翠「ほうじ茶ぁ?はぁ、まったく気の利かない妹です」
紅「ふぅ、お茶の一種ということで紅茶に1票入ったわね」
翠「はぁ?」
眼鏡「もうくんくん関係なくなってきたな」
419名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 18:39:17 ID:tFTIKgwu
紅「ん、この黒い羽は」
一同「水銀燈!」
銀「あ〜ら、お馬鹿さんたちがお揃いで何をしてるのかしら」
翠「ええい、この際誰でもいいのです。スコーンと紅茶、匂いが好きな方をとっとと選びやがれです」
銀「はぁ?私はそうねぇ、病院の匂いが好きかしら」
紅「病院?水銀燈、あなたやっぱり病んで…」
銀「なっ、馬鹿にしないでちょうだい。まったく調子が狂ってしまったじゃないの。
  今日はもうおいとまするわ。じゃあねぇ。」
眼鏡「あいつは何しにきたんだ」
420名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 18:40:13 ID:tFTIKgwu
のり「ただいまぁー。あら、みんなどうしたの?」
眼鏡「またいつもの小競り合いだよ」
のり「あらあら、またケンカしちゃったの?」
翠「のりは紅茶とスコーンとどっちの匂いがいいですぅ?
  当然!翠星石が真心込めて作ったスコーンに決まってるですよねえ?」
のり「えええ、えええっと…」
ピンポーン
のり「あっ、お客さん。行かなくっちゃ」
翠「ちっ」

巴「こんばんは。これ親戚が送ってきたのでおすそわけです」
のり「まあ、いつもありがとう」
眼鏡「ん?いいのかこんな高い物、それもこんなにたくさん」
のり「早速お料理しましょうねえ、巴ちゃんもせっかくだから食べていってね」
巴「それじゃあ、お言葉に甘えて」
眼鏡「今度は手ぶらで来いよな」
巴「うふふ」
421名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/22(水) 18:41:42 ID:tFTIKgwu
苺「あっ、巴ー!」
巴「雛苺、元気だった?」
苺「うん。巴は苺の匂い好き?」
巴「えっ?そうねえ、今日私が持ってきた物も、とてもいい香りがするのよ」
紅「む、この香りは何かしら」
翠「ごくり。うまそうな匂いが鼻腔をくすぐるのです」
のり「みんなー。こっちへいらっしゃーい」
苺「わぁ。おいしそうなのー。いただきますなのー」
のり「蒼星石ちゃんも金糸雀ちゃんも食べていってねー」
蒼「こっ、これは」
雀「いただきますかしらー」
紅「翠星石、一時休戦よ」
翠「真紅がそこまで言うならしゃあねぇです」
紅「あら、とてもおいしいわ」
翠「この匂い、翠星石のスコーンに次いですんばらしいです。
  ちょいと人間!おかわりを持ってくるです」
紅「ジュン!こっちもよ」
眼鏡「この悪魔人形どもめ。さっきまで紅茶やらスコーンやらで言い合ってたくせに。
   まあでも、この匂いはやっぱり最高だよなあ、マツタケ」

ここまで
422名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/24(金) 01:07:23 ID:iRw6JWGe
糞キム死ね
423名無しさん@お腹いっぱい。:2009/07/28(火) 12:37:38 ID:8YFsZ9sd
保守あげ
424名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/02(日) 00:08:29 ID:+26TOny1
425名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/08(土) 01:01:39 ID:cV1aj06E
誰か投下を
426名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/11(火) 11:29:15 ID:ur+SC/5q
こんなスレがあったとは
427名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 01:43:44 ID:Ozvuj1gZ
今、書いている。完成したら、うpする。
428名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 08:46:55 ID:hf0fd7dz
読者はいるぞ
429名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 08:58:36 ID:2DdohDTc
一応毎日チェックしてる
430名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/12(水) 23:04:34 ID:R/5ql10O
このスレに気づかず別スレに書いてしまっているんだが…
一応投下
ttp://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1249861397/
途中からグロ注意で、しかも俺の友の作品です
431名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/13(木) 10:24:44 ID:ov8ULpFO
すごい長編の予感
432名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:24:04 ID:Ujre+Qgi
紅「ジュン、その飲み物はなにかしら?」

ジ「ああ、これか? これは午後の紅茶っていうジュースだ」

紅「紅茶?」

ジ「飲むか?」

紅「ば、馬鹿いわないで頂戴! 私がそんなもの飲むわけないでしょう!?」

ジ「そうかい」

紅「そんなことよりジュン、紅茶を入れて頂戴」

ジ「へーい」
433名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:28:36 ID:Ujre+Qgi
紅「やっぱり紅茶は本物に限るわね」

翠「ああっ! それは午後の紅茶ですね!」

ジ「ああ」

翠「コップを持ってきやがれですぅチビ人間」

ジ「あいあい、っていうかチビ人間って呼ぶのやめろ性悪人形」

翠「なら性悪人形って呼ぶのやめやがれですぅジュ・ン」

ジ「なっ…」
434名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:31:03 ID:Ujre+Qgi
翠「うーーん、やっぱり午後の紅茶ですね」

紅「そんなに美味しいの?」

翠「そうですよ。のりが買い込むくらいですから」

紅「ふーん…」

翠「真紅も飲みますか?」

紅「わ、私は別に…」
435名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:33:14 ID:Ujre+Qgi
紅(どうしよう…すごく興味があるなんていえない…)

紅(とりあえずどうやって飲もう…)

紅(はっ! みんなが寝ているときに飲みましょう!)
436名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:36:20 ID:Ujre+Qgi
深夜

紅(皆寝てるわよね…)

ガチャ 紅(ドアは台があるから楽だわ)

紅(慎重に…慎重に…)

紅(よし! やっと冷蔵庫前についたわ!)

紅(ついに…ついに!)



の(うーーん…トイレ…)
437名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:38:51 ID:Ujre+Qgi
紅(…)ゴクゴク「! これは…」

紅(なかなかおいしいわ。このクリーミーさがくせになるわね)



の(喉…かわいた…)
438名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:41:17 ID:Ujre+Qgi
の(ん…誰かいる? 

はっ! 

まさか! ドロボー!?)

の「きゃああああああああああああ助けてええ! ドロボーよぉ!」

紅「えっ?」
439名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:46:25 ID:Ujre+Qgi
ジ「で? つまり…」

翠「のりは真紅をドロボーと勘違いしたと」

雛「で…その真紅は午後の紅茶が飲みたいが為に深夜に冷蔵庫に忍び込んだの?」

紅・の「はい…」

ジ「真紅、今度からはちゃんと飲みたいって言うんだぞ?」

紅「くっ…下僕が命令するなんて…」

ジ「いいから」

紅「ご…ごめんなさい」
440名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:49:57 ID:Ujre+Qgi
ジ「で? どうだった? 午後の紅茶は」

紅「なかなか美味しかったのだわ」

ジ「ふーん、紅茶好きをうならせるなんて、お姉ちゃんの目は鋭いのかね」
441名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 05:51:24 ID:Ujre+Qgi
葉「…」

蒼「…」

葉「…」

蒼「…」

葉(よし!) トン

蒼「チェックメイト」トン

葉「う、嘘!」
442名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 06:00:59 ID:Ujre+Qgi
雪「きらきーの化学実験室〜」

薔「おー」パチパチ

雪「まずはコーラとメントスを用意します」

薔「wktk」

雪「ここで問題です。コーラにメントスを入れたらどうなるでしょう」

薔「?」
443名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 06:05:28 ID:Ujre+Qgi
雪「百聞は一見にしかずです、実際にやってみましょう」

薔「wktk」

雪「3…2…1!」ドバッ

ぶしゃああああああああああああ

薔「ひいっ!?」

雪「正解は、コーラが噴出す、でしたー」
444名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 06:09:26 ID:Ujre+Qgi
薔「」ガタガタブルブル

雪(…やりすぎちゃったかな…)

薔「」ガバッ

雪「ひいっ!?」

薔「おねおねおねおねえちゃちゃちゃぁん…」

雪「!」(そ…そんなつぶらな目で見つめられると…)
445名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 06:14:01 ID:Ujre+Qgi
薔「こ…こわいよ…」

雪「だ、大丈夫よ! あ、あなたは私が守るから!
さっきのはほんとにごめんなさい!」

薔「ほんと…?」

雪「ほ、ほんとよ!」

薔「…」
446名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 06:17:45 ID:Ujre+Qgi
雪「ほ、ほら! そろそろ行くわよ!」

薔「どこに…?」

雪「かぜの向くまま気の向くままよ。
私達の旅はまだ始まったばかりなんだから」

薔「ふふっ」

雪「なに?」

薔「お姉さまとの旅も楽しいものになりそうですね」

雪「ちょっ、ちょっと! どういうことそれ!?」

薔「それじゃ先行っちゃいますよー」

雪「コラァァ! 待ちなさい! どういうことか説明しなさいばかあああ!」

終 
447名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 10:23:03 ID:pvn9W8cY
この二人良いな
乙乙
448名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/14(金) 21:30:39 ID:YwqQkhOV
おお、久々の投下乙です
真紅かわいいよ真紅
>>430も期待せざるを得ない
449薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:17:51 ID:XBwdl7KC
【薔薇乙女達の決着】 

>>427っす。
※4月下旬に某所に投下した奴の「完全版」です。
※序章+全7章と長いので、3日に分けてうpします。
450薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:21:27 ID:XBwdl7KC
【序章】
 ――4月5日、
23時59分。

 僕は桜田ジュン。明日から、中学3年生だ。
……僕は、ずっと引きこもりだった。
自分との戦いから、逃げていたんだ。

 僕は……変わることができたんだ。
真紅たちの……おかげなんだ。

 今でも、思い出すことができる。
こうやって、寝る前にも――。

 ……2ヶ月ほど前の話だ。
451薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:23:11 ID:XBwdl7KC
【第1章 決意】
 ――2月28日、
15時48分。


ジュン「ただいま。寒かったー……。」

真紅「おかえり、ジュン。お疲れ様。」

ジュン「疲れた……金曜は、5限までなんだけど……」

翠星石「でも、明日は土曜日だから、ゆっくりしやがれですぅ。」

ジュン「そうだな……」


 ……ここで、会話が途絶える。
半年前なら……もう少し、会話が続いていたんだけど……
たまに金糸雀が遊びに来ても……何かが足りないんだ。
452薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:24:13 ID:XBwdl7KC
ジュン「もう……半年経つんだな……」

翠「え?」

ジュン「アイツらが動かなくなってから、半年だ……」

真紅「そうね……本当に早いものだわ。
   ……残暑の厳しいころだったわね」

翠「ああ……もう、半年ですか……」


 少し静かなリビングにも……慣れてしまいそうだった。
のり姉ちゃんは相変わらず気丈にふるまって、なんとか場を盛り上げようとするけど……
やっぱり、何かが足りない。決定的な、何かが。

 『祈り続けていれば、いつか取り戻せる』
この言葉を信じて……僕はここ半年、暇さえあればあの二人のことを思い続けてきた。
姉ちゃんも真紅も、翠星石も、金糸雀たちも、そうしてきただろう。
453薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:25:57 ID:XBwdl7KC
 だけど……本当に、祈り続けていたら、叶うのか……?
そう思うことが、日を追うごとに多くなってきていた。

 ……僕は、全部で7……いや、8体いたドールのうち
7体が倒れ、そのうち4体がまた起きたのを目の当たりにした。
半年前に倒れたきりなのは、雛苺や蒼星石だけではなかった。

 ――薔薇水晶。
アイツは……エンジュの願い、「ローゼンを超えるドール」という使命を
一手に引き受けた、悲劇の少女だった。

 望みのために……姉とも呼べる存在をすべて、なぎ倒してきた。
そして、一度は真紅をも倒し、6つのローザミスティカを手に入れた。
――エンジュの野望とともに……音を立てて、その体は崩れ、消えた……
454薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:27:11 ID:XBwdl7KC
 半年前の僕は……真紅たちを傷つけられ……本当に薔薇水晶すら、
憎んでいた。でも今は、そうは思わない。
あの使命……薔薇水晶自身の願いじゃなかったからだ。

 ……別に、エンジュのドールである必要も無かったのではないか?
誰かのもとで、幸せな人形としてすごしていくこともできたのではないか?
……僕はそう思うようになってきた。

 そのエンジュはというと……店をたたみ、いまだに姿を現さないらしい……。
愛娘同然の薔薇水晶を失って……そのショックは、大きかったに違いない。
455薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:29:33 ID:XBwdl7KC
 ――エンジュが悪いのかといわれると、そうではないんだ。
ローゼンメイデンを作り上げた、ローゼンでもない。
すべての元凶は――白崎……いや、ラプラス。
いつも僕らの目の前に現れては、すべてを知ったようなことを言う、アイツだ。

 あの眼はいたずらを企むような眼じゃない。
もっと大きな……何かを企む眼だ。

 ラプラスは……半年前、雛苺と蒼星石のローザミスティカを手にしたまま、
nのフィールドを走り抜けていった。
一緒にいた少女は……誰だろうか?
いずれにしても、僕らは……ラプラスを、許すことは無い。
ラプラスを……倒そう。真紅たちと、一緒に。
456薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:31:58 ID:XBwdl7KC
 ――16時18分。
ジュン「真紅、翠星石。話が……あるんだ。」

真紅「何?ジュン。」

翠「どしたんですか?急に改まって……」

ジュン「できたら、金糸雀も呼んできてくれないか」

翠「まかせろですぅ。ちょっと呼んでくるですよ。」


 ――2分後。
真紅「何?話って……」

ジュン「僕……決めたんだ。」

真紅「……?」

ジュン「……倒す。」
457薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:34:42 ID:XBwdl7KC
真紅「誰を……?」

ジュン「ラプラスの魔……だ。」

真紅「!!」


 リビングは、すごい静寂に包まれた。
――無理も無い。あまりにも唐突なことだったから……


真紅「……無茶を言わないで頂戴?
    どこにいるのかさえ、分からないというのに……!」

ジュン「分からないけど……nのフィールドの中にいることは、確かだ!」
458薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 15:36:36 ID:XBwdl7KC
真紅「nのフィールドは広大だわ!
   あんなに広い場所で、たった一羽のウサギを……!?」

ジュン「時間はある。明日は土曜だし……僕はnのフィールドの端から端まで
    ラプラスを探すことになったとしても……探し出してやるんだ。」

ジュン「雛苺や蒼星石、……薔薇水晶の日常を……取り戻すために。」

真紅「……雛苺や蒼星石ならともかく……薔薇水晶は……」

ジュン「あれは……ラプラスのせいだ。エンジュと薔薇水晶自身は……何もしていないじゃないか」

真紅「ジュン……分かったわ。
   でも、今日は疲れてるんじゃなくって?」

ジュン「……意外と、笑った顔がかわいいんだよ。まぁ、それはともかく……
    3つの大切な日常を取り戻すためなら……僕の体力なんて惜しくないんだ。」
459薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:02:36 ID:XBwdl7KC
真紅「……いい子ね。」

ジュン「……僕と、nのフィールドに行こう。」

真紅「ええ。私は構わないわ。あとは、あの子達を待つだけね。」

ジュン「……ありがとな。」


 それから5分ほど経って、翠星石が帰ってきた。
――金糸雀を連れて。


翠「ただいまーですぅ。」

金糸雀「ごきげんよう……かしら……」
460薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:10:24 ID:XBwdl7KC
 金糸雀――小柄だけど、僕の家の居候組3人よりも年上の「お姉さん」だ。
出逢ったころ、あの水銀燈のすぐ下の妹とは思えなかったっけ。
半年前……コイツは、翠星石たちを守るため、必死に戦ったと、翠星石から聞いた。

 そして……最愛の妹・雛苺を失ったこと……そのショックは、僕らよりも大きかったはずだ。
半年前から、コイツのテンションは下がったままだ。


翠「ところで、話ってなんですぅ?」

カナ「話……なにかしら……?」

真紅「落ち着いて聞いて頂戴。ジュン?」

ジュン「ああ……僕は……」


 ――さっきの決意を、21分かけて翠星石と金糸雀に明かした……
461薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:15:34 ID:XBwdl7KC
翠「そう……ですか。」

カナ「……次の時代まで待てばいいかしら」

ジュン「それじゃ……だめなんだよ」


 『次の時代まで待つこと』。確実な方法だ。
真紅たちドールズなら、不可能ではない。
――けど、僕らは生きていられないし……また『むなしい繰り返し』をすることになる。

 それに……正確にはローゼンメイデンではない薔薇水晶が、助からない。
エンジュも、ラプラスから解放されれば……変わってくれるかもしれない。
薔薇水晶のすべてを知っているのは――エンジュ、ただ一人だ。
462名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 16:19:22 ID:bnv+CmTy
ほんとばらしーは悲劇だよなぁ
そしてこのssみてるとやっぱりラプラスは何かありそうだな
支援
463薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:22:17 ID:XBwdl7KC
真紅「……ジュンは、薔薇水晶も助けようとしているの」

カナ「薔薇水晶……多分、あの子は本当はいい子かしら。
   本当の薔薇乙女じゃなかったけど……妹と戦うのは心が痛んだから……」

翠「エンジュのなすがままだったですからねぇ。それに……そのエンジュも……」

カナ「――わかったかしら。カナも……行くから。」

翠「翠星石も行くですぅ。チビチビにゃあ散々迷惑かけちまったですから。」

カナ「……みっちゃんがいないと、30分しか動けない。
   だから、みっちゃんにも話を通すかしら。」

ジュン「ありがとな、みんな。じゃあ、鏡からみっちゃんさんの家に行こうか……」
464薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:27:35 ID:XBwdl7KC
 ――16時40分。
薔薇野マンション220号室、草笛家。

みつ「……話は分かったわ。でも……みっちゃんはもう、カナちゃんを失いたくないよ。」

カナ「だいじょうぶかしら!!カナなら勝つかしら!!」

ジュン「みっちゃんさんの力が……必要なんだ。」


 この人の名前は、草笛みつ。金糸雀の契約者だ。
金糸雀だけじゃなく、みんなのことを狂おしいほど愛している――ってことは、
翠星石たちからも、金糸雀からも聞いている。

 みっちゃんさんにとっても、ドールは大事な家族だ。
半年前、あの戦いの後、アイツが帰ってくるまでは、
すごく落ち込んでいたようだ。
465薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:33:34 ID:XBwdl7KC
みつ「――カナちゃんが行くなら、みっちゃんも行く。明日とあさっても休みだし、有給もあるから。」

真紅「ありがとう、みっちゃんさん。」

翠「ありがとですぅ。こんど、スコーンをたらふくご馳走するですぅ。」

ジュン「ありが……とう。」

みつ「みっちゃん、がんばるからね。」


 2月28日、16時49分。
僕、真紅、翠星石、みっちゃんさん、金糸雀の5人は……
みっちゃんさんの部屋の姿見から、広いnのフィールドへ出発した。
466薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:39:30 ID:XBwdl7KC
 ここに来るのも久しぶりだ。だけど……扉の位置とか、不思議と覚えてる。
9ヶ月くらい前だったか?真紅が来たばかりのころだ。
ここで、昔の自分を見たっけな。その後、3日ほど寝込んだな。
そんな昔の自分に、決着をつける。これも、今回の目的のひとつだ。

 ただ、半年前と違うところがふたつある。
ひとつは半分近くの扉に傷がついていること。
そしてもうひとつは……ところどころに這っている、白い茨の存在だ。


ジュン「なんだ?この白い茨は。」

翠「これ……見覚えあるですぅ。」

真紅「……これは……あの子も、起きていたのね」

カナ「もう長いこと見てないかしら?」
467薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:44:07 ID:XBwdl7KC
みつ「……みんな、この茨に心当たりがあるみたい。」

ジュン「なあお前ら、これは……なんなんだ?」

真紅「……雪華綺晶の茨だわ。」

みつ「き、きら……?」

ジュン「きら……きしょう……?」

翠「そうですぅ。雪華綺晶は……翠星石たちの、末の妹ですぅ。」

カナ「第7ドール……かしら。」
468薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:46:27 ID:XBwdl7KC
みつ「第7ってことは、雛ちゃんの妹……?!」

ジュン「第7って……本当にいたのか!じゃあ薔薇水晶は第8……」

真紅「そういうわけではないわ。あの子は――」

ジュン「……わかってるよ……けど……」

ジュン「……そんなこと、言うなよ。」

真紅「……ごめんなさい……」


 雪華綺晶――ローゼンメイデン、真の第7ドールらしい。
その姿を見ることは、ドールズでもめったにないようだ。

 雛苺の妹とはいっても、背丈は水銀燈を凌ぐ高さという。
どんなヤツなんだろうか?
……やっぱり、一筋縄ではいかないんだろうな。
469薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 16:48:26 ID:XBwdl7KC
 とりあえず僕らは、茨に沿って進んでみることにした。
すると……金糸雀が、茨は巨大なクモの巣状になっていることに気づいたんだ。


 ――16時53分。ここにきて4分しか経っていないようだ。
といっても、これは真紅の懐中時計が指してる時刻だ。
僕には4分どころか、20分は過ぎたように思える。
nのフィールドは夢の世界のようなものだから、現実の時の流れとは
滅多にがっちりとかち合わないらしい。


カナ「たぶん……この茨の巣、その真ん中に雪華綺晶はいるかしら!!」

みつ「その、雪華綺晶って子、ラプラスとやらについて何か知ってるのかな!?」

真紅「その可能性は十分にありえるわ。逢って損は無いはずよ。」

翠「ただ……アイツは、本当に何を考えているかわからんですぅ。」

真紅「そのとおり。あの子は……実体を持たないドール。」
470薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:00:20 ID:XBwdl7KC
ジュン「……オバケ?」

翠「あながち間違っちゃいねえですぅ。」

ジュン「……もしかしたら、ラプラスの魔の手に染まってるかもしれないな……。
    アイツに悪い心を植えつけられたら……」

カナ「それもありえるかしら……」

ジュン「だとしたら、まずいじゃないか!早く逢いに行かないと!!」

真紅「ええ。急ぎましょう。」


なんだか……クモの巣にひっかかりに行っているような気分だ。
真紅の時計にして、6分ほど歩いただろうか。その中心部にたどりついた。
そこには……一人の女の子が這いつくばっていたんだ。

                                        【第2章に続く】
471薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:06:08 ID:XBwdl7KC
【第2章 雪華綺晶】

 ――真紅の時計で、16時59分。
茨の巣の中央に這っていた、身の丈1mほどの
白い服、白い肌、白い髪の少女と出逢った。
右目には、白い薔薇が咲き誇っていた。
濁った金色の瞳は……どこを見ているんだろう。
それに……どこかで見たことがあるぞ。


真紅「……目覚めていたのね、雪華綺晶」

雪「……あなたは……だぁれ……?」

翠「眠りすぎて頭がいかれちまったですか?」

カナ「みんなあなたのお姉ちゃんかしら!!」

雪「……黄薔薇の……?」

カナ「そ……そうかしら!」

雪「……緑と、赤……」


 この女の子こそが、ローゼンメイデン、最後の一体。
第7ドール・雪華綺晶だったんだ。
472薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:10:45 ID:XBwdl7KC
翠「……お前、そんなにチンタラしゃべるやつだったですか?」

真紅「そんなことはないはずだわ……」

ジュン「本当は……どんな感じなんだ?」

翠「〜ですわぁ、とか、〜ですぅとか……敬語っぽいですぅ?」

カナ「顔色もわるいかしら……」


 どうやら、雪華綺晶の様子が、いつもと違うらしい。
どうしたんだろうか……
473薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:15:18 ID:XBwdl7KC
みつ「あ、そうだ。あれを聞かなきゃ……」

ジュン「うん。……えっと……雪華綺晶。」

雪「……あなたは?」

ジュン「僕は桜田ジュン。真紅と翠星石の契約者だ。」

みつ「あ……草苗みつっていいます……
   カナち……金糸雀の契約者やってます。」

雪「そぅ……それじゃあ……ローザミスティカ……ちょうだい……?」

ジュン「なん……だと……?」

真紅「やはり、様子がおかしいわ。何かにとり憑かれてるようね……」


 悪いほうへと予想が当たっていっている。
――核心に迫ってみよう。
474薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:20:48 ID:XBwdl7KC
ジュン「……なぁお前、『ラプラス』について何か知らないか?」

雪「ラプラス様……?」

ジュン「!!」


間違いない。ラプラスの魔に取り憑かれて……心を奪われてるみたいだ。
これはただごとではないぞ……


ジュン「ラプラスは……どこにいるんだ?」

雪「……そぉろそろ……あらわれる……
  ローザミスティカを……2つ……」

みつ「!?」
475薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:25:26 ID:XBwdl7KC
――17時11分。
雪「さぁ、もぉすぐ……」

真紅「……姿を現しなさい、ラプラス!」

翠「逃げたら……丸焼きにしちゃるですぅ!!」

カナ「カナたちは逃げも隠れもしないかしら!!」


 真紅たちが、ラプラスを恐れていない。
半年前までは……ラプラスが現れただけで、憔悴しきっていたというのに。

僕が、真紅たちの成長に感心した、まさにその時だった。
476薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:31:40 ID:XBwdl7KC
 パンパンパン!

 ――手袋越しに拍手をする音だ。
間違いない。ついに……ラプラスが、現われたんだ。

ラプラス「ご無沙汰しております、みなさま……今日はどのようなご用件」

真紅「あなたを倒しに来たわ!!」

翠「借りたもんはともかく、ぶん取ったもん返しやがれですぅ!!」

カナ「全身怪奇複雑骨折の覚悟は、できてるかしら!?」


 ラプラスが言い終わる前に、真紅たちが啖呵を切った。
思わず、圧倒されてしまった。
ここからは……僕たちもがんばらなければ。


みつ「カナちゃんたちを悲しませたら、みっちゃんたちが許さないわ!」

ジュン「雛苺や蒼星石……薔薇水晶。みんなのかたきをとるんだ……!!」

ラプラス「ん、トリビァル……過ぎたものを再び……?」

ジュン「……!!」
477薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:37:16 ID:XBwdl7KC
 この挑発に乗ってはいけないんだ。こいつは……こういうやつなんだ……
真紅たちが冷静になっているのに、ここで僕が落ち着かなくては……!


ラプラス「――どうしてもというのなら。
     ……おあつらえ向きの場所をご用意いたしましょうか。」

真紅「どこだってかまわないわ。あなたを倒すためなら!!」


 そうだ。場所が変わろうが変わるまいが、あいつを倒すことが先決だ。
いったい……どこを戦いの場所に選ぶのか……?
ラプラスは、30秒ほど歩いて、目の前のドアを見据え……
……ドアノブをひねった。

ギィ……ッ

ラプラス「さぁ、ここです。」

ジュン「ここは……。」

真紅「……どうして、ここを……!?」
478薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:41:50 ID:XBwdl7KC
 ドアには、5桁の部屋番号が記されていた――82633。
nのフィールドでは、この番号が、何番目の世界という標となる……
ということは、ここは「第82633世界」……ずいぶん前に訪れた、
雛苺の世界ということになる。


真紅「ここは……」

翠「チビチビの……」

カナ「雛苺の……」

みつ「ヒナちゃんの……」

ジュン「雛苺の世界……なんだよな。」


 そこは……色を失い、廃墟となったデパートのような、そんな感じの場所だった。

 明るい色を基調としたじゅうたんや天井、ぬいぐるみやおもちゃの家、豚の貯金箱……
おもちゃ売り場のような、童話の世界のような、そんな場所だったはず。
だけど、そこは……180度違う空気を漂わせていた。

 最大にして唯一の原因は――雛苺がローザミスティカを奪われたことだ。
479薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 17:46:20 ID:XBwdl7KC
ジュン「……お前ら……ここで戦うってことは。」

真紅「大丈夫よ。あの子がまた動き出せば……元に、戻るから。」

ジュン「そ……そうか。」

翠「……翠星石たちが、元に戻してあげるんですよ。」

ジュン「うん。分かってる。」


 雛苺、待ってろよ。すぐにローザミスティカを取り返して、
この世界に色を戻して……動けるようにしてやるからな。
もうちょっとだけ……安心して眠っていてくれ。


真紅「あなたがこないなら、私たちから行くわ!!
    ローズ・テイル!!!」

ラプラス「!!」

 真紅の繰り出した薔薇の尾(ローズ・テイル)の1片目が、ラプラスを襲った瞬間。
僕たちの戦いが、始まったんだ。


                                        【第3章に続く】
480薔薇乙女達の決着:2009/08/18(火) 18:00:24 ID:XBwdl7KC
今日はここまでです。
次回は第3章から投下しますよ。

>>462
ありがとう。
ばらしーは父親思いのいい子なんだぜ。
481名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 18:31:05 ID:bnv+CmTy
乙乙
アニメの続編として十二分に見れる
続き期待してる
482名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/18(火) 19:48:57 ID:Tbad6sxS
乙ー。
どっかで読んだアレの続きか。うさぎ狩面白いよー。

細かいことかもしれないけど、みっちゃんは金糸雀のこと「カナちゃん」とは呼ばない希ガス
483薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:09:29 ID:zz/+J4VP
【第3章 白兎】
 ――17時25分。
第82633世界。

真紅「ああああああ!!」

ラプラス「……!」

翠「チビチビ、ごめんですぅ、ちょっと世界をいじらせてもらうですよ。
 世界樹の枝よ、健やかに……伸びるですぅ……!!」

ジュン「っ……頼んだ!!」

 目の前を、ローズ・テイルと世界樹の枝が交錯し、すごい速さでラプラスを追いながら
突き進んでゆく。僕が祈れば祈るほど……その速さと勢いを増してゆくんだ。

みつ「行くよ、カナちゃん……いや、カナ!!」
484薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:16:12 ID:zz/+J4VP
カナ「……その呼び方、久々かしらー!」

みつ「こうしてまた、あなたのすぐ近くで、みっちゃんも頑張れる……
   半年、ずっと沈んでたけど、もうくよくよするのはおしまいよ!
   ねぇ、カナ!!」

カナ「みっちゃん……!よーし!!」

カナ「第1楽章……『攻撃のワルツ』!」

みつ「作曲カナ、そして私の力を……伴奏に!」

ラプラス「ふっ、こしゃくな」


 金糸雀のヴァイオリンから奏でられた音の波が、
みっちゃんさんの『伴奏』によってその姿を現し、
竜巻のようになってラプラスを追いかけていった。
485薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:18:44 ID:zz/+J4VP
ラプラス「……ふんっ」
ヂィー……ッ


 だけど……ラプラスは、竜巻に追いつかれるかというところで、
この世界の中にファスナーを開けて……その中の空間で、竜巻をやりすごしたんだ。
これはラプラスのよく使う手段……長い戦いになりそうだ。


カナ「くっ、やるかしら!お次はこれ、『うなだれ兵士のマーチ』!!」

みつ「マーチを……カーニバルにするよ!」


 決まったテンポで響いてくる低音に力を乗せ、大きな地響きに変えて
ラプラスの足元を狂わせた。
そこに……真紅たちの『二重奏』が襲い掛かったんだ。
486薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:23:35 ID:zz/+J4VP
みつ「決まったかな……!?」

ジュン「ど、どうなった……ん!?
    ド、ドアだ……」

真紅「……あのドアから、逃げるつもりのようね!」

翠「も、もたもたしてるひまはないですぅ!!この世界は、翠星石たちが元に戻すんですから、
  とっととラプラスを追うですよ!!」

ラプラス「……はぁ……はぁ……はぁ……!」
ギィッ


 僕たちの目の前に、2枚目の扉が現われ、ラプラスがまたノブを回した。
第……何世界なんだろう。部屋番号の書かれていたようなプレートは、傷だらけで読めない。
まるで、鋏で切り刻まれているみたいだ。
どっちにしても、僕は今まで行ったことが無い世界だ。
487薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:32:13 ID:zz/+J4VP
 戦いが始まって、もうだいぶ経つ。真紅の懐中時計は、17時31分を指してる。
この世界でおよそ6分。あの時計は今、5倍遅く進んでいるから……30分は暴れたことになる。
……ラプラスも、体力をかなり使っている。


真紅「……ここは……懐かしいわね。」

翠「翠星石も、何度か訪れたことがあるですぅ。」

カナ「カナもかしら。あんまり来たことは無かったけど……」

ジュン「し、知ってるのか!?」


 どうやら、真紅たちはここに来たことがあるらしい。


真紅「ここは……蒼星石の世界。ずっと昔に、ここで蒼星石と戦ったことがあるわ。」

ジュン「そうだったのか……ここも、ずいぶんと色が……」

真紅「――昔からここは、こんな風にがらんどうな感じだったわ。」

カナ「蒼星石は……なんでもかんでもかかえこみすぎかしら!!だから色が……」

翠「しゃーねーですよ……」
488薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:38:17 ID:zz/+J4VP
 ――蒼星石も……ローザミスティカを奪われ、眠り続けている。
それ以前も、水銀燈たちと戦って、幾度と無く倒れてきた……

 そのたび、この世界が廃れてきたんだろうか……
蒼星石。待っていろよ。必ず、また動けるようにしてあげるからな。
――しかし……この世界にいると、なんとなく切なくなる。
ただ、教科書で見たような柱が、ずっと連なってる。


真紅「さあ、立ち話はここまでにして……ラプラス!!」

ラプラス「!?」

バキィッ!!

 真紅の左ストレートが……ラプラスのアバラに炸裂した。
アイツは……少しふらつく程度で……
体格が倍近く大きい分、ダメージが少ないのか……?

 そこへ、さっきの左ストレートよりも
もっと速いスピードで、翠星石の操る世界樹の枝が突っ込んできた。
これは……いける!!
489薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:44:01 ID:zz/+J4VP
翠「世界樹の枝よ……もっともっと、健やかにのびゆくですぅー!!!」

カナ「第3楽章・『終わらないカノン』!世界樹に乗せて……終わりなく伸びるかしら!!」

翠「そして……つらぬくですぅ!!」

ズドドドドド……

 世界樹の枝はすごい速さで、空気の渦を出しながらラプラスのもとへ伸びていった。
誰もが……勝利を確信した、その時だった。


ラプラス「……遅い。」
ヂィーッ……

翠「!!!」

カナ「……これでも……」

みつ「遅いっていうの……?」
490薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:49:24 ID:zz/+J4VP
 またしても……世界樹の枝はファスナーに飲み込まれてしまった……
それに……僕の体力がもつか、どうか……

 誰か……助けてくれよ。誰でもいい……
僕たちに力……貸してくれ……ください……。

 あきらめかけた、その時だった。


「懐かしい部屋ぁ……。」

シュタタタタタッ

 突如、黒い羽がラプラスの足元に突き刺さる。
この羽の使い手……
491薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:53:25 ID:zz/+J4VP
ラプラス「ん?……特別ゲストですか?」

「あらぁ……苦戦中ぅ?めずらしいわねぇ。」

ジュン「だ、だれだ……まさか!?」

「真紅たちには借りだらけだしぃ……あの兎、私も許せないのよぉ……
 この私を、騙してくれたからねえ!!」


 黒い羽をダーツの矢のようにして、ラプラスの足元360度を
埋め尽くしながら現われたのは……ローゼンメイデン、第1ドール。
――水銀燈だった。


ラプラス「水銀燈……?!」

銀「ひさしぶりねぇ、みんなぁ。胸騒ぎがするから来てみたら……」
492薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 17:56:14 ID:zz/+J4VP
真紅「す……水銀燈!来てくれたのね!!」

銀「あたりまえじゃなぁい……救世主なんてガラじゃないけどぉ。
  ……いままで、ごめんなさいねぇ。」


 アリスゲームに、超がつくほど積極的だった水銀燈が、なぜ……?
この疑問は、次の水銀燈の言葉が解決してくれたんだ。


銀「理由も無く、あなたたち妹や契約者たちを、傷つけちゃったからねぇ……」

ジュン「理由って、あっただろ?アリスになって、ローゼンに逢うっていう……」

銀「アリスゲームが……あの兎のまやかしって知ったからよ。
  今まで戦ってきた、正当な理由がないじゃない……。
  これじゃぁ、雛苺も蒼星石もうかばれないわねぇ……。」
493薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:00:13 ID:zz/+J4VP
カナ「本当に水銀燈……かしら……?」

銀「偽りのアリスゲームで、蒼星石におイタかましちゃったし……
  ……私が責任、持たなきゃねぇ?」

翠「……いいから、今はラプラスを倒すことだけ考えるですぅ。」

銀「……わかったわ。」

みつ(この戦いが終わったらまさちゅーせっつ……!)

みつ「……たくさん『まさちゅーせっつ』してもし足りないくらいの日常を……取り戻す!」

カナ「あっ……またラプラスが、逃げ出すかしら!」

真紅「追うのよ!追い詰めるのよ!!」

銀「ラプラス……あんたを、ジャンクに……してやるわ!!」


 ラプラスは……3枚目のドアを開こうとしていた。

                                        【第4章に続く】
494薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:06:41 ID:zz/+J4VP
【第4章 第67982世界】
 ――17時57分。
nのフィールドに入って、ずいぶんと時間が経った。
かつての敵だった水銀燈の活躍で、最悪の幕切れは回避できたが、
ラプラスとの戦いも、第3ラウンドに突入しようとしている。
6対1。相手の、190cm近い背丈を除けば、けして不利ではないはずだ……。

ラプラス「……と……とんだ邪魔が……」
ギィッ……

 3枚目のドアが開かれた。
次の戦いの舞台は……?
『67982』……第67982世界ということだな……
いったい、誰の世界だろう……。

真紅「ねえ、ジュン?この世界……覚えてなくて?」

ジュン「えっ……ここは……。」
495薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:12:52 ID:zz/+J4VP
ジュン「まさか。」

真紅「そのまさかよ。」


 真紅に言われて気がついた。
ここは……僕の世界だ。最初に訪れた10ヶ月前とは、雰囲気が大きく違う。
パソコンの山が消えているし……どことなく、明るいんだ。

 パソコンの山があった場所には……ネガティブに言えば墓標のように、
ポジティブに言えばモニュメントのように……クレヨンと鋏が立っている。
そして花のように、水晶があちこちから飛び出している……。

 昔、僕はここで、真紅と共に、水銀燈と過去の僕の記憶、2つの敵と戦ったんだっけ。
そして今……僕はここで、そのどちらもを味方につけ、ラプラスと戦うんだ。


真紅「……ジュン。ここで……決着をつけるのだわ。がんばって頂戴!」

ジュン「分かってるさ。僕の力を……もっと使ってくれ。
    ここを、最終決戦の場にする……ぞ。」

翠「チビ人間……大きくなりやがって……ですぅ。」
496薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:18:33 ID:zz/+J4VP
みつ「カナも……みっちゃんの力をたくさん使って。
   あの煮え切らない兎を倒してやって!」

カナ「まかせるかしら! ……最終楽章の楽譜を今、書き上げたかしら!!」

銀(めぐ……もう少しだけ……力をちょうだい!)


 それぞれが意気込む中、かなり息を切らせながらも、
いつものように余裕を見せたがるウサギもそこにいた……。


ラプラス「さて……お望みどおり、決着をつけましょうか。
     ローザミスティカをふたつ持つ私に、勝てるのならば!」
497薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:24:56 ID:zz/+J4VP
ジュン「……え?」

真紅「……あなたのローザミスティカは……ゼロ個よ。」

ラプラス「なぜ?どうしてです……?」

翠「簡単なことですぅ。ローザミスティカの中のチビチビと蒼星石が……
  お前を敵にしてるからですぅ!」

銀「あんたの力になんか、なりたくないってことよぉ♪」

カナ「あと、薔薇水晶と雪華綺晶もかしらぁ!!」


 ――この瞬間、ラプラスの顔から、余裕の色が消えた。
僕の目に、完全に真紅たちを潰そうとするような眼光が突き刺さる……
ヤツの右腕が、高く振りかぶられた。
498薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:30:29 ID:zz/+J4VP
ラプラス「ちょこざいな……ふんっ!」

ジュン「真紅っ!!パンチがくるぞ!!」

真紅「あああ!!!」

みつ「真紅ちゃんも……パンチを!!」

ジュン「うおおおおおおお!!!」


バキィ……ッ!!


ラプラス「ぐ……があっ……ゴフッ」


 真紅の右ストレートが、ラプラスの顔を捕らえた……!
あのパンチは……僕も前に見たことがある。
499薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:37:08 ID:zz/+J4VP
銀「あれは……昔、私もあれでやられたわねぇ。
  味方の数と、想いの……絆の強さだけ、威力が増すわ!」

翠「『絆パンチ』ってやつですぅ……!」

ジュン「や……やった……もう少しだ!」

真紅「はあっ……はあっ……」

翠「せ、世界樹よ……健やかに爽やかに伸びて……
  ……みんなに、力を与えるですぅ!!」


 なぁ……、ローゼンさんとやらよ……
見ているんですか?……これでも、まだ騙されて、考えを曲げずに……
この中から一人にしか逢う気は無いんですか……。
「アリス」って……なんなんですか……?
500薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:42:22 ID:zz/+J4VP
 ……何かが、強い赤い光を放ってる……
これは、真紅の人工精霊、『ホーリエ』か……


ジュン「……おい、真紅……ホーリエが……!」

真紅「……ホーリエがいつもに増して光ってる……」

ホーリエ{チカチカッ……カッ!!}

翠「スィドリームもですぅ。……チビカナのピチカートも、そして
  水銀燈のメイメイも……ですぅ……」

メイメイ{カッ……!}
ピチカート{カッ……!}
スィドリーム{カッ……!}


 他の人工精霊も、すごい光を放ってる……
こんなに強く光ってるところは……見たことが無い。
501薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:48:21 ID:zz/+J4VP
真紅「……ホーリエ!ラプラスを……向こうにおびきよせて頂戴!」

銀「メイメイ!……ホーリエに追いついて!」

カナ「ピチカート……ラプラスが来たら……おもいっきり光るかしら!」

翠「目潰し作戦ですか……スィドリーム!もっと、命の水を湧かせるですぅ!」


 それぞれの人工精霊も……戦おうとしてるんだ……。


みつ「す……すごいわ……みんな……」

ジュン「……最後の攻撃は……僕の力をたくさん使って構わないから……
    ……『アレ』でケリをつけるんだ……!」

翠「『アレ』……ついに、使うですか。」

真紅「……わかったわ。」
502薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 18:54:25 ID:zz/+J4VP
  『アレ』というのは……僕と真紅が以前、童話の世界に飛び込んだ時……
『ジャバウォック』っていう、夢を見すぎた竜に浴びせた必殺技なんだ……。

 僕はその時、限界まで、真紅に力を送った。
その後……目が覚めたら、かなりの時間が経ってたっけ……。
でも……そんなのなんて、僕たちが失ってきた日常の大きさに比べれば……
……たいしたことないんだ。


真紅「……ジュン、持ってて頂戴。」

ジュン「ああ。」
パシッ


 ……真紅から、懐中時計を預かった。
何度と無く戦ってきたが、これを身から離すことは滅多に無かった。
……これを僕に預けたってことは……、
アイツに出せる最大の本気が出る時なんだろう……。
時計は、18時19分を指している……。
503薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 19:00:42 ID:zz/+J4VP
カナ「今まで失ってきた幸せを……取り戻す時が来たかしら!」

みつ「『交響曲』を……カナと!翠星石ちゃん、真紅ちゃん、水銀燈ちゃんと!!」

ジュン「そして……雛苺、蒼星石、薔薇水晶、雪華綺晶と……奏でるんだ!!」

銀「『彼方からの鎮魂歌』……金糸雀、いい題名でしょ?」

カナ「ナイスネーミングかしら!」

銀「……ラプラス、あんたにささげるわ。」
ゴォッ……!!


 水銀燈の翼が開き……両翼は、2頭の竜の姿に変わっていった……。


カナ「……。」

真紅「……ジュン。」

ジュン「……真紅。翠星石。」

翠「おう、ですぅ!」


 金糸雀がヴァイオリンを構え……僕と真紅と翠星石は呼吸を合わせた。
504薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 19:06:13 ID:zz/+J4VP
カナ「……最終楽章。『彼方からの鎮魂歌』……」

 ……♪ ……♪
  ……♪ ……♪

 そして……金糸雀による演奏が始まった時……僕は力を、
……力の限り、指輪にとりこまれないギリギリの力を、真紅に送ったんだ。
体の節々が……痛く、熱い……!


ジュン「うおおおおおお……!!」

翠「いっけえええ……!スィドリームゥゥ!!
  世界樹の幹を、アイツに……!!!」

真紅「……『薔薇の竜』よ、優雅に翔んで……吼えて頂戴!!」

水銀燈「うううあああああああ!!!」ダッ


 2頭の竜を携えた水銀燈が、『薔薇の竜』と同じ速さで世界樹の枝の上を、翔ぶ。
さらに、ヴァイオリンの音波が、竜巻へ、そして4頭目の竜へと姿を変え、
追い風となって水銀燈の速度を高める。

 そして、金糸雀も浮かび上がり、ヴァイオリンを操ったまま、ラプラスの元へ飛んでゆく……。
4体のドールと4体の竜の、同時攻撃だ……。
505薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 19:13:13 ID:zz/+J4VP
ジュン「うおおおおおおお!!!!」

みつ「ああああああああああ!!!!」

真紅「…… ……!!」

翠「…… ……!!」

カナ「…… ……!!」

 ……♪ ……♪
  ……♪ ……♪

 切なくも力強い旋律が響く中、僕たちはすごい光景を目にした。
突然、水銀燈のスピードが一気に上がった気がして……
……まるで、ワープしているような感覚に陥ったんだ。
水銀燈とか……金糸雀……ラプラスの、残像まで見える……
506薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 19:19:10 ID:zz/+J4VP
――同じころ、
有栖川大学病院、316号室。

めぐ(指輪が……熱い……!!
    そんなに……苦しんでいるの?
      私の、黒い天使さん……!!)

めぐ(私の天使さんに、もっと力を……!!
        もう死にたいなんて言わない……この戦いが終わったら……
                               ……手術……受けるから……!)

めぐ(お願い……ジャバ……ウォック……!!)

めぐ(ジャバウォック……!!)


 ……4体の竜が、うろたえるラプラスのもとに突っ込もうとした
その瞬間のことだった。時の流れが、少し、いや、明らかに10倍以上遅くなった気がした。
轟っと、一陣の強い追い風が吹いてきたんだ……黒い、竜みたいな……。
……!?


ラプラス「……っ!はあっ……!!竜が……4体!?」

『5体だ。』
507薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 19:25:30 ID:zz/+J4VP
ラプラス「ごっ……!?」

カナ「…… ……」

水銀燈「……あんたは……!?」

ジュン「あ……あいつは……!!」

翠「お、お前は!!」

真紅「ジャバウォック……」

ジャバウォック『……懐かしい技だ。もう、寂しくない……』


 『薔薇の竜』を喰らわせた相手……黒い竜・ジャバウォックが、
金糸雀の後ろから現れたんだ。
あの時……塵と化したはず……なのに、なぜ……?
508薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 19:30:15 ID:zz/+J4VP
ジャバウォック『……ありがとよ……きみたち……』

ジャバウォック『……めぐという少女の指輪が、ここへ導いてくれた……。』

水銀燈「……めぐ……!?」

ジャバウォック『……力になろう。あのウサギを、潰すのだろう……?』

水銀燈「……ええ……アイツだけは……
     ……くびり殺してやる……ずいぶん前に、そう決めた……。」

ジャバウォック『……私の背中に、乗れ……。』

水銀燈「よし……行くわよ……!!」
509薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 19:35:09 ID:zz/+J4VP
 水銀燈は、ラプラスに突進するそのスピードを増しながら、
世界樹の幹からジャバウォックの背に飛び移った。
――5体の竜が、吼える……!


ジャバウォック『グオオオオオ……!!』

水銀燈「ジャンクに……なりなさい!!!」

ラプラス「…… ……!!」

ゴォッ……!!


みつ(す……水銀燈ちゃんの、右ストレート……)

ジュン(き……きず……)

ジュン(絆……)


ドゴォォォッ……!!
510薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:00:54 ID:zz/+J4VP
 ――同じころ。
9秒前の白。


「ねぇ、雛苺……」

「……蒼星石……なの?」

蒼「うん……。 よく、自分の姿を思い描いてごらん……?」

雛「……えーと……うーとね……こう?」

蒼「うん、バッチリだよ。……僕たちの帰りを……待ってる人がいるみたいだね。」

雛「……はやく……おうちにかえるのよ……!」

蒼「もうすぐ……つくからね。それまで……ちょっとお話しようか。
  ……第0世界……現実世界では、まともにお話をしてなかったもんね。」
511薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:06:38 ID:zz/+J4VP
雛「うゆ……?」

蒼「僕はね……僕自身の願いを、……持っていなかったんだ。」

雛「ねがい?」

蒼「うん。……お父様の願いこそが、僕の願いだと……思い込んできたからね。
  でも……それが、間違いだったんだ。」

雛「そう……なの?」

蒼「お父様はね……ラプラスの魔に……騙されてたんだ。
   本当のお父様なら……僕たちにあんなこと、させないに決まってるんだ……」

雛「うゆ……」

蒼「『戦わせることでアリスを決める』という方法だけを……
   ラプラスはお父様に試させたんだ……」
512薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:13:08 ID:zz/+J4VP
雛「……ほんとうは……ほかにもあるってことなの?」

蒼「……そうだよ。」

雛「……うゆ。そう……だったの。」

蒼「アリスかどうか……お父様が決めるんじゃない。僕たち……ローゼンメイデンの、
  ドールズたちが、傷つけあって……ローザミスティカを集めて……決める。そう思ってたんだ。
  でもね……。
  身の回りの、誰もが認めてくれて初めて……アリスというものになれる。」

雛「……アリスゲームは……?」

蒼「あれも……一応、手段の一つさ。でも……
  ……誰かと殺しあって一番なんて、むなしいじゃないか。
  それに……今頃気づくなんてね……。」

雛「うん。誰かが傷ついたら……幸せなんかじゃ、ないの。」

蒼「そのとおりだよ。……きみは……この時代で、いっきに大きくなったんだね。
  姉として……うれしいなぁ。」
513薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:18:02 ID:zz/+J4VP
雛「えへへ……ヒナは……この時代はねぇ……幸せだったよ。」

蒼「ふむ……どうしてだい?」

雛「ヒナはね……トモエが起こしてくれてから……いろんなものに出逢えたのよ。
  真紅や翠星石ぃ、蒼星石ぃ、水銀燈ぉ、金糸雀、薔薇水晶、たぶんもう起きてる雪華綺晶も……
  ジュン、のり、みつ……猫さんもそう。くんくんもそうなのよ。

  いきものだけじゃないの。うにゅーとか……はなまるハンバーグも、そうなの。
  コモドオオトカゲさんも……ぜーんぶがね、ヒナの……たからものなの!」

蒼「……そうか……グスッ……きみは、純粋なんだね。うらやましいよ……。」

雛「蒼星石にも……たからもの、あったの?」

蒼「うん。僕も……今まで見てきたものが、全部が、かけがえの無いたからもの……
  たった今、そうなんだってわかったよ。君のおかげでね。
  ……ありがとう、雛苺。」

雛「どういたしましてなの。あ、蒼星石、笑うの、じょうずになったのー!」

蒼「あはは……うれしいよ♪」
514薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:24:59 ID:zz/+J4VP
ヒューン……

雛「うゆ!?今、なんか通ったの!」


「……あなたたちは……つよい……」


蒼「ん……!?」

雛「……あー!薔薇水晶なのー!!」

蒼「君は確か……!」

薔薇「……ありがとう……蒼星石……雛苺……」

薔薇「……さっきの話……聞かせて……もらいました……」

蒼「!?」

雛「!!」
515薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:30:59 ID:zz/+J4VP
薔薇「……私を……呼んでくれて……いる……
   そんな人がいる……。」

薔薇「……すこしずつ、すこしずつで……いいから……
    こんどは……恩返し、したい……!」

雛「……うん!そのとおりなの!!
  さすが、ヒナのいもおとなの!!」

薔薇「……いも……おと……?」

蒼「雛苺……君の言うとおりだね。……いも"う"と、だけどね。」

薔薇「でも……私は……第7ドールじゃ……ない……」

蒼「大丈夫だよ。方法はどうであれ、アリスゲームを戦ったんだ。
  君は、立派な末妹だよ。」

薔薇「え……」
516薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:36:39 ID:zz/+J4VP
雛「だいじょうぶ!雪華綺晶も、いも"う"とが出来て喜んでるのよ!!」

薔薇「きら……きしょう……。聞いたことが……ある……。」

薔薇「……私は……雪華綺晶を……もとに作られた……。」

蒼「じゃあ、まさしく姉妹だね。……うん。大丈夫。
  細かいことは、気にしないで……!」

薔薇「……7?……8……?」

蒼「……二人で仲良く、今までどおり第7ドールを名乗るといいと思うよ。
  名前なんて、肩書きなんて便宜上のものなんだ。」

薔薇「…… ……!」
517薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:43:00 ID:zz/+J4VP
蒼「さあ……もうすぐ、帰るところが見えるよ。」

雛「……あー!ジュンのおうちなの!」

薔薇「……私は……薔薇屋敷……。
   私のかけらが……光ってる……。」

蒼「タイミングよく……飛び込むんだよ。」

雛「うぃ、わかったの!」

薔薇「…… ……!」

蒼「……今度は……みんなで、幸せになろう。
  そして……最高の時代にしよう!」

雛「なのー♪」
518薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:49:20 ID:zz/+J4VP
蒼「じゃあ、……また逢おう、薔薇水晶。」

雛「ヒナとうにゅー食べるのよー♪」

薔薇「……はい……!」

蒼(……もう誰も悲しませたりは……しない。
  ……運命を、変えてみせよう。
  今までごめん、みんな……特に……
  翠星石。)


 『9秒前の白』のことは、蒼星石が話してくれたんだけど……、
僕たちの戦いが終わるころ……。
三つの意識が、来るべき瞬間に向け、
それぞれのあるべき場所へと、戻っていったんだそうだ……。


                                        【第5章に続く】
519薔薇乙女達の決着:2009/08/19(水) 20:51:14 ID:zz/+J4VP
今日はここまでです。
次回は、第5章から投下しますよ。

>>482-483
乙どうもです。
「カナ」……だったな……。
520名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/19(水) 22:45:27 ID:MglUhEdK
おつー。あんらこれまだ派手だごど
ノベル版も取り込んでいるのか
521薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 21:58:57 ID:fas/88hE
>>520
乙どうもです。ありがとうございます。
あの龍が出てくるSSってあんまり無いじゃないですか。
だからちょいと活躍させよー、と思って……
真紅のノベル限定の技「薔薇の竜」も魅力的でして。

今日は5章からラストまで行きます。
522薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:00:02 ID:fas/88hE
【第5章 決着】
 ――第67982世界。


 ……あ……ここは……
そうか……僕の世界……。
少し、眠ってしまったのか。
時計は、19時52分を指してる……ああ、1時間半、眠ったのか……。
いや、その5倍くらい寝た気がする……。


真紅「……よくやったわ、ジュン。ありがとう。」

銀「ラプラスはねぇ……意識の海に沈めてやったわぁ。死なせはしてないから、
  浮かび上がってこれたら奴隷にでもしてやるわぁ。」

ジャバウォック『……ふっ、自分が言うのもなんだが……
         アイツは、とてつもなく寂しいヤツだった……だから、命は助けた……』
523薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:06:44 ID:fas/88hE
銀「さっきも言ってたけど、めぐが……?」

ジャバウォック『……天使さんの力になりたい、と言っていたぞ。』

銀(……めぐったら……)

ジュン「え?お前が天使……?」

銀「ちょっ……何を……」

真紅「竜を5頭も従えた、立派な天使のようだったわ、水銀燈。」

銀「……真紅ぅぅぅ……」

ジュン「ハハハ……やれやれ……」


 ……僕が最後に見た光景は、確か5体の竜が水銀燈を後押しして……
アイツの右ストレートがラプラスに直撃して……すごい音と光がした。
それで……うーん、後が思い出せないや。
524薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:14:32 ID:fas/88hE
 でも、どうやら戦いは僕たちの完全勝利で終わったみたいだ。
その証拠に、水銀燈がラプラスのシルクハットをひらひらさせている……。
それに、その横で、翠星石が美しく輝く二つのかけらを手にしている。
――『ローザミスティカ』だ。


カナ「おはよ……じゃない……今は夜かしら。」

翠「……ローザミスティカ、しっかりと取り返したですぅ。」

ジュン「そ……そうか……いてててて、寝起きだから、体の節々が……」

みつ「うーん……よく寝た……」

ジュン「い、いやいや……信じられないかもしれないけど……、
    ……僕たち、1時間半しか眠ってないんだ。」

みつ「そ、そうなの!?7時間半くらい寝ちゃったかと思った……」

翠「世界樹よ、大きくなったチビ人間たちに、力を与えてやってくれですぅ。」
525薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:20:29 ID:fas/88hE
真紅(……それにしても、水銀燈の絆パンチ……すごかったのだわ……。)

真紅「……さ、あの子のところへ行きましょう。」

ジュン「雪華綺晶のところだな。」

ジャバウォック『……しばしの別れだな。また、夢で逢おう……』

ジュン「また、逢おうぜ……!」




 ――20時09分。
僕たちは……ジャバウォックと別れ、色の戻りつつある第82633世界を横目に、
微笑みを浮かべながら、nのフィールド、その中心部へ戻ってきた。
――生気を取り戻した雪華綺晶が、まるで朝目覚めた時のように、
僕たちをじっと見つめていたんだ。
526薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:27:26 ID:fas/88hE
雪「……ここは……夢だったのかしら……?」

真紅「ごきげんよう、雪華綺晶。」

雪「あ……紅薔薇のお姉さま。わ……私は」

翠「悪い夢からは、さめたですか?」

カナ「目が綺麗になってるかしら!」

銀「あらぁ、雪華綺晶ぉ……おひさしぶりねぇ。」

雪「黒薔薇のお姉さま……それに、黄薔薇の、緑薔薇のお姉さままで……」


 すべての邪気が晴れたかのような表情を浮かべて微笑んでいる、
雪華綺晶と再会した。……ふむ、他のドールは、そうやって呼ぶのか……
こいつも、個性が強そうだな……まだ2回しか逢ってないけど、なんとなく分かるんだ。
527薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:30:13 ID:fas/88hE
ジュン「……具合はどうなんだ?」

翠「……元にもどっとるですぅ。」

カナ「ふぅ、これで一安心かしら♪」

みつ「……かわいい〜!!」

雪「みなさま……ありがとうございます。感謝してもしきれません……!
  あの光……見ておりました。」


 なんだ、笑ったらかわいいじゃん。たしかに……どこぞの華族みたいだなぁ……。
あ、……でも……コイツたしかオバケだったような。


ジュン「……たしか、コイツは……!」

真紅「その辺は大丈夫。ちゃんと出てこられるわ。だけど……
    どうするの?雪華綺晶。行くのか行かないのか、決めて頂戴?」
528薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:36:17 ID:fas/88hE
ジュン「僕の家でよければ……いいぞ。」

雪「……私は……操られていたことを……もうすこしだけ、自省したいので……
  ここに……いさせてください……。」

真紅「……そう。分かったわ。たまには、現実世界にも遊びに来るといいわ。」

雪「しかし……私の体は……」

翠「……エンジュという人形師がいるですぅ。ラプラスの呪縛から解かれたアイツなら……
  アイツなら……作ってくれるはずですよ。」

雪「彼なら……7ヶ月前に私と出逢っていますから……。
  その時に、私をモデルにして薔薇水晶を作ると言っていました……。」

真紅「そう!……それなら、話は早いのだわ。」


 なるほど……そういうことがあったのか……
たしかに、それなら顔もきくし、話は早いな。
529薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:42:24 ID:fas/88hE
雪「はい……あ、あと、ひとつだけお聞きしたいのですが……。」

真紅「何?」

雪「……その、薔薇水晶は……?」

ジュン「……。」

翠「……薔薇……水晶は……。」

銀「それ以上は言わない。……あの子は大丈夫よぉ。
  とにかく……今夜にでも、エンジュのもとへ行くといいわ。」

雪「そう……しましょうか……本当に、ありがとうございます……」


 ――20時28分。
nのフィールドに入って、もう3時間半以上経った。
530薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:48:06 ID:fas/88hE
真紅「それじゃあ、戻りましょうか。もうすっかり遅くなってしまったのだわ。」

銀「さぁて……めぐのところにでも、行ってくるわぁ。」

カナ「みっちゃんと晩御飯にするかしらー!」

みつ「今日の晩御飯は玉子焼きよー!」

翠「突っ込んだら……負けな気がするせりふですぅ……」

ジュン「帰ったら……あいつらに『お帰り』を言わないとな。」

真紅「もうそろそろ……二人が帰ってくるころね。」

翠「やっと……逢えるですね。」

ジュン「そうだな。ちゃんと、出迎えてやらないと。」

銀「……やっぱり、ジュンの所に先に寄るわぁ。」


 そして、鏡から出ると同時に……僕のお腹が鳴った。
もうそろそろ……8時半だ。
炊飯器のアラームが鳴ってる。姉ちゃんが、夕飯を作ってるんだ。


                                        【第6章に続く】
531薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 22:54:07 ID:fas/88hE
【第6章 再会】
 ――20時32分。
僕の部屋。

 僕らは、鏡を出るとすぐに、雛苺と蒼星石のカバンを取り出し、
そのふたを開けた。二人とも……穏やかな顔で眠っているようだった。
――もう、半年になるのか。


ジュン「……これで、いいんだな。」

真紅「ええ。翠星石、ローザミスティカを。」

翠「はいですぅ。」

銀「いよいよねぇ。」
532薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:00:55 ID:fas/88hE
 カバンの中に寝ている二人の胸の辺り、人間で言うところの心臓の辺りに、
翠星石の放ったローザミスティカが、ゆっくり収まっていった。
半年の空白を埋めるように、2つのローザミスティカの、桃色のまばゆい光が、
キラキラと僕の部屋を包み込んだ。


ジュン「……じゃあ、真紅は雛苺の、翠星石は蒼星石のぜんまいを巻いてくれ。」

真紅「ええ。雛苺……もうとっくにクリスマスは過ぎて、年も明けてしまったわ。」

翠「がってんですぅ。蒼星石ぃ……寝すぎですよ……。」


キリキリキリキリ……
キリキリキリキリ……

 2つのぜんまいが、ゆっくりと、やさしく巻かれていった。

 僕はただ……じっと、見ていた。
水銀燈の眼には……早くも涙が浮かんでいた。
運命とはいえ、自分が今までしてきたことを、悔いるかのように……。
533薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:07:00 ID:fas/88hE
 30秒ほど経っただろうか。光が、白く、もっとまばゆい光となり……
やがて、光は弱くなっていった。

 僕の眼の眩みがおさまるころ、そこには……
シルクハットをかぶり、勇ましい表情で、どこか少年のような雰囲気をかもし出す、
オッドアイの薔薇乙女・第4ドールと……
ピンクを基調としたかわいらしい服を身にまとい、大きなリボンをつけ、
ぬいぐるみを抱く、黄緑の眼の薔薇乙女・第6ドールが……
……僕たちの前に立っていたんだ。昔と、同じように。

 ――蒼星石と、雛苺だ。


蒼「……み……みんな……!」

雛「……逢いたかったの……ただいまなのー!」
534薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:12:29 ID:fas/88hE
 この瞬間、もう……だれも涙を隠せなかった。
……無我夢中で、駆け出し、抱きしめあった。


翠「蒼星石ぃぃぃ……!チビチビぃぃぃ!!
  翠星石も逢いたかったですよぉー―!!!」

真紅「おかえりなさい、雛苺……蒼星石……!!」

ジュン「うおおおおおお!!
    おかえり、おまえらぁあああああ!!!」

銀「……い……今まで……本当にごめんなさいねぇ……!
  わ……私……!!」

バタム
のり「雛ちゃんと……蒼星石ちゃんなのね!?そうなのよね!?夢じゃないんだよね!?」


 大急ぎで階段を駆け上がってきた姉ちゃんは……本当にうれしそうだった。
だれも……声にならない声で、二人の帰りを、祝ったんだ。
535薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:19:48 ID:fas/88hE
蒼「今日は……何月、何日なんだい?」

ジュン「2月……28日だ。もうすぐ、本格的な春がやってくるぞ。」

蒼「僕は……この日を絶対に忘れないよ!」

雛「うゆっ……うぐ……ヒ、ヒナも、なのよー!」

のり「さあさあ……、今日の晩御飯は……久々に、はなまるハンバーグよぅ!!」

雛「うわーい!やったなのー!!」

ジュン「しかも、ダブルだぞ!」

蒼「わぁー、ダブルかぁー!」
536薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:26:07 ID:fas/88hE
のり「水銀燈ちゃんも、どうぞ!」

銀「え……ええっ……!?」

のり「みんなのお姉ちゃんなんでしょう?大歓迎よぅ!」

銀「うっううう……ありがとぉ……ありがとぉ……!」

ジュン「そんなに泣くなってぇ……」

銀「な……なによぉー。あんただって『うおおおおー!』とか言ってたじゃないの……!」

ジュン「い……痛いとこつくなぁ。」

真紅「ふふふ……♪」
537薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:31:02 ID:fas/88hE
 ――20時44分。
薔薇野マンション220号室 草笛みつ宅。

みつ「カナ……今頃、ジュンジュンたち、あの子達に……逢えてるんだよね……!?」

カナ「うん!……カナ……とっても……うれしいかしら゛〜!!!」

みつ「歓喜のまさちゅ〜せっちゅ〜〜!!」

カナ「うぎゃああああ……!!」


 こうして……僕らの最後の戦いは……幕を閉じたんだ。
ローゼンさんも……見ているだろうか。
見てくれているに違いない。
538薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:36:04 ID:fas/88hE
 ――20時30分。
ドールハウス・Enju Doll。

エンジュ「薔薇水晶……薔薇水晶……」

雪「……エンジュ様?」

エンジュ「……き……雪華綺晶か……!?
     眼が……ずいぶん澄んでいるな……」

雪「ええ♪……エンジュ様も、元気になられたようで……」

エンジュ「なんだか……夕方に頭がスッキリして……悪夢から覚めたような気分だ。
      だが……薔薇水晶は……」

雪「私を視てください……あの子はきっと……」

エンジュ「だが……薔薇水晶は……半年前、私の腕の中で消えていった……
      ……その子しかない……」

雪「……エンジュ様……。」
539薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:42:33 ID:fas/88hE
ピカーッ……


雪「……あら?洗面所の鏡が……光って……」

エンジュ「行こう。」


 これは僕がエンジュ……さんから聞いた話……
僕たちがこっちへ帰ってきた、20時30分ごろのことだった。
まるで……僕たちの戦いが終わったのを祝福するかのように……
洗面所の鏡、つまり、この店からのnのフィールドへの出入り口が、
光りだしたらしいんだ……

 エンジュさんが鏡の前に着いたとき……目の前にいたのは……

ダダダッ……
エンジュ「……はっ!!」

エンジュ「こ……これは……夢なのか!?」

雪「夢なのですか……!?」
540薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:48:27 ID:fas/88hE
「……うー……こ……ここは……」

エンジュ「……薔薇……水晶……?
     私は、夢を視ているのか……?!」

雪「……薔薇水晶ですか……!?」

薔薇「……おとうさま?……雪華綺晶?」

エンジュ「薔薇水晶……うおお……!!!」

雪「薔薇水晶……!!!」

薔薇「……みんな……くすん」

エンジュ「ど……どうしたんだ!?」

薔薇「……目が覚めたら……ば……ば……薔薇屋敷の……中で……
   気を……失ってて」
541薔薇乙女達の決着:2009/08/20(木) 23:55:39 ID:fas/88hE
エンジュ「じゃあ……あれは……お前が壊れていったのは……
      夢だったのか……?」

薔薇「夢じゃ……ないです……
    たしかに……私……こわれちゃった……
    ……けど……なんだか……なおったみたい……」

エンジュ「夢じゃなかったのか……だとすれば……どうしてだ……?」

雪「……赤薔薇のお姉さまたちが、ラプラスを討った瞬間の光が、
  ……あなたを組み上げたのでしょう……。」

雪「あるいは、あの、ジュンという少年の、ひたむきで繊細な思いが、
  あなたに届いたのでしょう……。」

薔薇「あの時、真紅たちが……みんなが、呼んでくれた……。
   でも、私……真紅たちに……ひどく……」

雪「大丈夫です。あなたのお姉さまは、みんな無事ですから。
  今から、すこしずつ、すこしずつ、借りを返していけばよいのですから……」

薔薇「……うん……すこしずつ……すこしずつ……
   がんばる……から……」


 3人はぐっと抱き合って、しばらくの間、
再会できた感動を、涙を流しながら分かち合ったそうだ……。
542薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:00:09 ID:rdpDxPcC
エンジュ「よかった……明日から、店をまた始めようか……。」

薔薇「……おとうさま……さっそく……おねがい……きいてくれますか……?」

エンジュ「なんだい……?」

薔薇「き……雪華綺晶の……からだ、つくってあげて……?
   ……その、おさんぽとか……したいから……」

エンジュ「……私に任せたまえ。これでも、一時は師匠・ローゼンを目指したんだからな。」

雪「ありがとうございます……!」

エンジュ「けっこう……大振りだな。背丈が1mはある……時間はかかるけど、
      ……必ず作り上げるからな。」

雪「はい……♪」


                                        【第7章に続く】
543薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:06:14 ID:rdpDxPcC
【第7章 光明】
 ――3月2日。15時48分。
この日は、まだ2月の余韻が残っているかのように寒く、
ちらちらと小雪が舞っていた。

 僕はエンジュさんの店で、小さく笑う薔薇水晶に逢った。
僕が3年生に上がるころには、雪華綺晶の体も出来上がるそうだ。


ジュン「よう、薔薇水晶!」

薔薇「ジュン……!」

ジュン「また逢えて、うれしいよ。」

薔薇「わ……私も……です……」

ジュン「ハハハ。ぜんぜん変わってないな。」

エンジュ「わが子をまた見せられる……これほどの喜びはない。
     そうだ、ジュンくん。」

ジュン「はい?」
544薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:12:23 ID:rdpDxPcC
エンジュ「君の裁縫の腕前は、ずいぶん前に草笛さんからうかがっていた。
     すばらしいものだ。だから、繊細なあの子たちを救えたのかもしれないな……。」

ジュン「は、はぁ……」

エンジュ「学校にも復帰したようだが……どうだ。中学を卒業したら、
     ここに、ドールの服を作るアルバイトに来ないか?
     君になら、すばらしいものを作れるだろう。」

ジュン「ありがとうございます。」

エンジュ「4月には、雪華綺晶もこの店に顔を出せると思う。
      その時は、改めてよろしく頼む。」

ジュン「はい!」

……カランカラ〜ン♪
エンジュ「……しかし、半年前よりもうんとたくましくなった。
     まさしく、あれは何かをやり遂げた男の顔だ……。
     師匠……この町には、すばらしいマエストロがいましたよ……。」

薔薇「すばらしい……マエストロ……。」
545薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:18:13 ID:rdpDxPcC
 ――16時16分。
エンジュさんと薔薇水晶との再会を終えた僕は、
道すがら苺大福を買い、それを手に柏葉の家を訪れた。
昼過ぎから、ここに雛苺が遊びに行っていることを、翠星石から聞いていた。
雪雲から、日が差してきている。


ピンポーン♪
ジュン「こんちはー……桜田ですけどー……」

巴「あ、桜田君……!」

ジュン「よう、柏葉。」

巴「あの子なら、今階段を降りてきてるわよ。
  あ、来た来た。」
546薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:25:04 ID:rdpDxPcC
ドダダダダ……ピョンッ
雛「ジューン!!遊びに来たのー!?」

ジュン「おう、チビ苺。ほれ、いいもの買って来たぞ。」

雛「あっ!うわーい、うにゅーなのー!!」

ジュン「21個入りだぞ。」

巴「……寒いし、上がりましょうか。」

ジュン「そうだな。」


 器用にも僕の頭の上でくるくる回る雛苺を見て、
柏葉は小さく笑っていた。その頬には、涙が乾いた跡がうっすらと残っていた。
よく見ると、雛苺の頬にも同じように涙の跡があった。
互いに、再会を心から喜んだんだな……。
547薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:30:48 ID:rdpDxPcC
ジュン「……ここに入るのも、久しぶりだな……。」

巴「そうだね……もう、10ヶ月前になるのかな。」

ジュン「すべてが始まった日だったな……。」

巴「ええ。……今、夢を見てるんじゃ、ないんだよね。」

ジュン「ああ。」

巴「ありがとう、桜田君。本当に……ありがとう……!
  ……ありがとう……うぅ……!!」

ジュン「……泣くなって……。ほら、柏葉、お前も苺大福食べなよ。」

雛「トモエもうにゅーたべるの!」

巴「うん……!」


 本当に、よかった。これでよかったんだ……。
――僕は、柏葉と雛苺と7個ずつ苺大福を食べ、
そのあと、お絵かきやかくれんぼを楽しんだ。
548薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:37:27 ID:rdpDxPcC
 柏葉曰く、どうやら、雛苺は柏葉家に快く迎え入れてもらえたようで、
柏葉のお父さんがえらくアイツのことを気に入ってしまったらしい。
 ――再び真紅の家来になったアイツだけど、前と同じように、ここにも
ちょくちょく遊びに行くことに決めたみたいだ。

 帰るころには雪も止み、時計の針は18時を指していた。


巴「じゃ、また明日学校で逢いましょう。」

ジュン「おう。またな。」

雛「トモエー!また遊ぶのよ!!」

巴「うん、いいわよ♪」

雛「ばいばいなのー!」


 柏葉に別れを告げて、『蒼星石にも逢いに行こう』と
頭の上に載ってる雛苺と、決めた。
その道すがら、僕は雛苺に聞いてみる。
549薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:39:34 ID:rdpDxPcC
ジュン「……これで、よかったのか?」

雛「あのね、ヒナ、前とおんなじように、みんながいるジュンのお家で、
  たくさん、たーくさん遊びたいの。
  それに、契約しないとトモエに逢えないわけじゃないの。
  ヒナ、ちゃんとわかってるのよ!」

ジュン「……そうか。みんな喜ぶぞ。
     ……これからも、よろしくな。」

雛「なのー♪ジュン、だいすきー♪」


 ――18時04分。
柴崎時計店。


ガラガラッ
ジュン「こんばんはー……」

雛「こんばんはーなのー!」
550薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:40:34 ID:rdpDxPcC
ダダッ
蒼「あっ、やっぱりジュンくんだ。雛苺もいるね。マスター!!」

元治「……おお、久しぶりじゃな。ちょっと背が伸びたかな?」

ジュン「ええ、まぁ……153ってところですかね……。」

元治「どことなく大人びておる。
   おお、雛苺か。久しぶりじゃのう。」

雛「うぃー!」

蒼「……本当にありがとう、ジュンくん。」

元治「おお。ありがとよ、ジュンくん。何から何まで、本当にありがとよ……」

ジュン「いえいえ……」


 蒼星石たちと別れ、その後僕たちは『あと一ヶ所だけ寄っていく』ことにした。
551薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 00:41:14 ID:rdpDxPcC
 ――時計店から程近い旧礼拝堂を訪れ、ドアを開く。
ここを訪れるのも久しぶりだ。
月光が、薔薇窓から差し込んできて、幻想的な雰囲気をかもし出している……。

 その光が差すところに、長椅子が1脚だけ置いてある。
そこには、以前と変わらない様子で、アイツが座っていた。


銀「あら……いらっしゃい。」

ジュン「よう、水銀燈。」

雛「すいぎんとーなのー!!」


 ただ、半年前と違うのは、やはり水銀燈の目が澄んでいたことに尽きるだろう。
目つきも、どことなく穏やかだ。
552薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 02:00:00 ID:rdpDxPcC
ジュン「よほど、ここが気に入ってるんだなー……」

銀「誰も住まないみたいだし、私が使ってもいいでしょ?」

ジュン(誰もこんなところには住まないと思うけどなー……)

雛「すめばみやこ、なの!」

銀「雛苺にしては、いいこと言うじゃない……」

雛「えっへんなの!」


 ……こないだまでは、絶対に見られなかった光景だ。
それが今、目の前に広がっている……。
553薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 02:04:03 ID:rdpDxPcC
ジュン「……それで、柿崎さんの調子は、どうなんだ?」

銀「最近の医療技術で、手術を受けるみたい……10日には、アメリカに行くわ。
  ……精一杯生きるって言ってたわぁ。」

ジュン「そうか……それは、よかった。」

銀「移植はしなくていいみたいよ。”あの心臓を治してみせる”って、
  向こうの医者が言ってたわぁ。
  ……それに。」

ジュン「何だ?」

銀「めぐが、あんたに逢いたいって言ってたわよぉ。落ち着いたら、逢ってあげなさい?」

ジュン「ああ。」

雛「ヒナもヒナもー!」

銀「いいわよ。あなたなら、めぐの心を癒してやれるかもね。」

雛「うわーい!!」

ジュン「ハハハ……」


 僕と雛苺は時間も忘れて、今までの溝を埋めるように、
水銀燈との談笑にふけった……。
結局、家に帰りつくころには、時計の針は20時を指していた。
554薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 02:10:22 ID:rdpDxPcC
 ――それから35日後の今、4月6日、7時32分。


ジュン「ごちそうさま。」

のり「はぁい。あ、ありがとうねぇ、翠星石ちゃん♪」

翠「当然ですぅ。元気な朝は、翠星石のスコーンから!」

真紅「……翠星石。」

翠「なんですか?」

真紅「……あの……その……」

ジュン(おい……真紅の顔が、真っ赤だぞ……)

雛(うゆ……)
555薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 02:17:09 ID:rdpDxPcC
真紅「……今度、スコーンの作り方を教えなさい……よろしくて?」

のり(あらあら……真紅ちゃんったら、気が動転しちゃってる……)

翠「まったく……しゃーねーなーですぅ♪この翠星石にかかれば、
  真紅でも、ものの何時間かでスコーン・フリークに仕立て上げてやるですぅ!!」

真紅「……"でも"?」

翠「こ……こまけーことはきにすんな、ですぅ!」

雛「翠星石ぃー、ヒナにも教えて欲しいなのー♪」

翠「ま、ま、ま、まかせんしゃいですぅー!!」

ジュン「……やれやれ……。」
556薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 02:30:22 ID:rdpDxPcC
 ――そんなこんなで、幸せな日々を取り戻すことができた。
あれだけ弱かった僕が、あそこまで頑張れたのも……
真紅たち8体のドールや、柏葉たち……みんなのおかげだ。
本当に、感謝しても感謝しきれない。

 今まで助けてもらった分を、どれだけ返していけるか分からないけど……
柿崎さんと同じように、僕も精一杯日々を生きていこうと思う。
今日から……中学3年生だ。
中学生最後の一年を、悔いの無いものにしたい。

 さあ、次の角を曲がれば、もうすぐ学校だ。
――あ、空を誰かが飛んでる……。
二人いるな、アイツらは……
557薔薇乙女達の決着:2009/08/21(金) 02:36:39 ID:rdpDxPcC
フワフワ……
カナ「〜♪」

ジュン「おーい、金糸雀ー!!」

カナ「ジューン!頑張ってくるかしらー!!」

ジュン「おーう!!」

スイーッ……
雪「……うふふ」

ジュン「雪華綺晶ォー!お前、身体……!!」

雪「はい……エンジュ様に、作ってもらいました……♪
  あ、お姉さま待って……!」

ジュン「……ふっ」


 桜吹雪の中を、金糸雀と雪華綺晶は追いかけっこしてるみたいだ。
……お、誰かが走ってくる……柏葉だな。


巴「桜田くーん!おはよう!」

ジュン「よう!」


 ……今日は始業式だけだから、早く帰られるな。
帰ったら、真紅たちに紅茶を淹れてやろう。
                       
                          【薔薇乙女達の決着 完】
558427:2009/08/21(金) 02:56:55 ID:rdpDxPcC
 ……以上で、約53KBにわたった「薔薇乙女達の決着」、完結です。
「トロイメント12話から半年後のサクセスストーリー」を目指す形で、
この話の1バージョン前を書いたのが4月下旬。今度は各章の一部を改めました。
そして第4〜5章のジャバウォックのくだりと第7章は、完全書下ろしです。

読んでくださった方々、ありがとうございました。
……寝る前には火の元、戸締りの確認を。グッナイ!
559名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/21(金) 08:45:52 ID:69wIIE51
原作では書かれないであろうハッピーエンドを見れて良かったよ
大作ありがとう、乙!
560名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/22(土) 21:59:15 ID:1FLv+Jbr
ハッピーエンドいいなあ。やっぱり全員揃っているのがいいね。
乙でした。
561薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 13:25:24 ID:uUm1zxOf
薔薇水晶「お父様…?」

槐「薔薇水晶は俺の物薔薇水晶は俺の物…」ブツブツ

薔「?」

槐「薔薇水晶は俺の物薔薇水晶は俺の物…だから!」

薔「?」

槐「お前を力づくでも奪ってやる!」シャキーン

薔「!? お、お父様!?」

槐「オラオラオラオラオラオラオラ…」

薔(これは…とにかく、逃げなくては…)
562薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 13:28:23 ID:uUm1zxOf
槐「逃げても無駄だ!」

薔「あっ!」

槐「ふふふっ…もう逃げられないぞ…!」

薔「…ここ…まで…なの?」

槐「行くぜ!」

薔「ん!」



薔「!」ガバッ「…夢…」ハアハア
563薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 13:31:56 ID:uUm1zxOf
薔「はあ…ふう…」

薔「…」キョロキョロ

雪「う〜ん、う〜ん…」

薔「お、お姉さま!?」

雪「水銀燈姉さま…もう…食べられません…
むぐっ、無理矢理口にケーキを押し込むのはやめてください…」

薔「…」
564薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 13:33:23 ID:uUm1zxOf
-?

ローゼン「そういやもうそろそろお盆だな」

槐「ドイツ人がお盆を気にするなよ…」

ロ「し、失礼な! お、お前は娘に会いたくないのか!?」

槐「別にそうとは言ってないが…」

ロ「なら即出発だ! 待ってろよ! 私のかわいい娘達!」

槐「やれやれ…」
565薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 13:38:36 ID:uUm1zxOf
-桜田家

真紅「アリスゲームが終わってからもう2週間ね…」

紅(思えば色々あった…もう姉妹が倒れる姿は見たくない…)

紅(そういえばお父様はあのあと…旅に出たと言ったわね…
どこに…?)

紅(ふっ、過去を振り返るなんて私らしくないわね)
566薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 13:48:29 ID:uUm1zxOf
翠星石「のり、何作ってるですか?」

のり「これ? これは精霊馬(しょうりょううま)っていってね
亡くなった人のこの世とあの世を結ぶ乗り物なのよ」

雛苺「あの世?」

の「ああ、まず、お盆っていうのはいつかは知っているでしょう」

翠「あったりめぇです。ちょうどこの時期のことです」
567薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 13:55:58 ID:uUm1zxOf
の「日本にはね、お盆には祖先が子孫に幽霊となって会いに来る
という行事があるのよ」

翠「ふーん。祖先も大変ですねぇ」

雛「でもなんだかロマンチックなの」

の「でもいつかは帰らなきゃいけないじゃない?
だからこの精霊馬を作って帰ってもらうの」

翠「でも、作ってどうするですか?」

の「作ったら船に乗せて川に流すのよ」

雛「わかったのー! ヒナも作るの!」

の「ありかとう、でもたくさんはいらないのよぉ」
568薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:02:02 ID:uUm1zxOf
-数日後

翠「突然ですけど、今度の日曜日に肝試しを開催します!」

紅「本当に突然ね…」

蒼「場所は翠星石と2人で決めたよ
たしかこの近くに有名な心霊スポットがあったはず」

雛「ヒナ知ってるの、あの廃病院でしょ?」

金「怖いかしら…」
569薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:07:59 ID:uUm1zxOf
翠「おやぁ〜? チビカナ、おじけずきやがったですか〜?
次女のくせに子どもですねぇ〜」

金「うっ」

蒼「まあまあ」

紅「…」ガタガタ

雛「真紅ガタガタ震えてるのー」

紅「い、いいえ、ちちちがががうのののよひひひないいいちご
こここれれれはむむむしゃしゃしゃぶるるいよ」

金「震えすぎかしら〜」
570薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:12:41 ID:uUm1zxOf
翠「とにかく! 来週の日曜日まで覚悟しておけですよ!」

金・紅・雛「はーい」



?・?・?「…」ニヤリ
571薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:16:14 ID:uUm1zxOf
の「ジュンくぅぅぅぅぅぅん」

ジ「ん? なんだ?」

の「ちょっと手伝って欲しいことがあるんだけどなぁ…」

ジ「言ってみろよ、聞くだけなら聞く」

の「真紅ちゃんたちが肝試しするって言うのよぉ
だからその手伝いをしようと思って…」

ジ「ふ〜ん、で?」

の「ジュン君、手伝って!」

ジ「ええ!?」
572薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:19:45 ID:uUm1zxOf
の「だって頼りになるのはジュン君しかいないし…」

ジ「あのなあ…肝試しを盛り上げるといっても
何をすればいいんだ? それを決めてくれ」

の「う〜〜ん…」

ジ「まあwi○iで調べてみるけどさ…」

の「えっ!? まさかジュン君…」

ジ「やらないとは言ってないだろ?」

の「」パアアアア
573薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:25:29 ID:uUm1zxOf
薔「聞きましたかお姉さま」

雪「ええ、でもどうするの? まさか肝試しに参加したいっていう
んじゃあ…?」

薔「はい!」

雪「じゃあまず真紅姉さまに許可取ってきなさい」

薔「はーい…」
574薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:29:32 ID:uUm1zxOf
-日曜日・夜

紅「ここね…」

銀「ねえどうして私まで連れてきたのよ」

翠「保護者代わりです」

蒼「そんなことより、不気味だね…」

金「この病院確か…医療ミスで有名になった…」

紅「医療ミス?」
575薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:34:41 ID:uUm1zxOf
金「ここの医師はやぶ医者で、手術ではよく患者が大変なことに
なっていたとか…ちなみにみっちゃんから聞いたかしら」

銀「つまり、その患者の亡霊がさまよっている可能性があるわけね…」

翠「な、なんだか…帰りたくなってきたです…」

蒼「大丈夫、僕がいるから」

翠「蒼星石…!」

銀「そういえばこの病院にはもう1つ逸話があったような…」

紅「何?」
576薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:41:28 ID:uUm1zxOf
銀「昔この病院には心臓病をわずらっていた少女がいてね
ものすごく生に執着していたみたいで、心臓病を治す為に
父親から金を強奪まがいのことまでして
心臓移植手術を受けたらしいのよ…
その子にまだ早いらしかったんだけどね」

雛「ヒナこわいの…」

銀「でも、さっき金糸雀が言ったように手術をしたのは
やぶ医者でね、結局治らずに…」

紅「かわいそう…」

銀「で、その子の霊は今も成仏できずに病院にとどまっている…」
577薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 14:45:47 ID:uUm1zxOf
金・翠・蒼・紅・雛「…」ガタガタ

銀(まあ結局は怖がらせる為の作り話なんだけどね)

蒼「どうしよう…僕まで帰りたくなってきた…」

金「カナもかしら…」

銀「ほら! こんなところで怖がってないで! そろそろ
肝試しを始めましょう!」
578427:2009/08/23(日) 14:58:42 ID:dW6JLonb
真紅の武者震い支援
579薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:01:01 ID:uUm1zxOf
の「ジュン君! ちゃんと言われたとおりにやってよ!」

ジ「ハーイ」



薔「ほんとに幽霊でそうなところですね…」

雪「そう…そういえば、真紅姉さまに許可は取った?」

薔「あっ…忘れてた…」

雪「…え?」
580薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:08:20 ID:uUm1zxOf
銀「さあ行くわよ!」

金「ひいいい! 暗い!」

紅「一応懐中電灯は持ってきてるのだわ」

蒼「それにしても不気味だね…」

銀「ん? 道が二つに分かれているわね…
みんな、ここからは2手に分かれて行動しない?」

翠「そうしたほうがよさそうですね」

金「でもなにで決めるのかしら?」

紅「ちょうどさいころがあるからさいころで決めましょう」
581薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:12:50 ID:uUm1zxOf
銀「つまり…左の道へ行くのは金糸雀、翠星石、雛苺
右の道へ行くのは私、蒼星石、真紅。これでいいのかしら?」

金「異論はないかしらー」

翠「同感ですぅー」

蒼「僕も」

紅「私も」

雛「ヒナもー」

銀「それじゃ、検討を祈る」
582薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:17:02 ID:uUm1zxOf
-右の道

翠「うう…不気味ですね…」

金「大丈夫かしら、カナたちがついてるかしら」

雛「そうなのー!」

翠(だから心配なんですけどね…まあここは翠星石が
しっかりしなくちゃ…)
583薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:19:35 ID:uUm1zxOf
-左の道

銀「それにしてもなんか臭いわねぇ」

蒼「どうやら臓器が腐った臭いだね」

紅「うう…」



ジ「足跡が…そろそろか」

の(ジュン君うまくやってよ!)
584薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:24:54 ID:uUm1zxOf
カチッ

<デロデロデロ…

蒼「ひいっ! なんか音楽が聞こえない!?」

銀「空耳じゃないの?」

紅「いいえ水銀燈…確かに聞こえるわ…」

ジ(えーと次は…)

ピタッ

蒼「ひやあっ! な、なななななななななんか頭についた!」

ジ(ほれほれ)

ピタッ

銀「いやぁ!」

ピタッ

紅「ひゃあ!」
585薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:30:07 ID:uUm1zxOf
ジ(ひゃっほーい☆ そしてそろそろ…)

<イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

蒼「ぎゃああああああああああああああああああああ!」

銀「きゃあ!」

紅「な、なんなの!? もしかしたら他のドールに…」

ジ(僕がやるのはここまでだな…あとは姉ちゃんが…)

蒼「あ、あ…あーひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」

銀「蒼星石が壊れた!」

紅「ちょっ、ちょっとそんなことより…前」

銀「…………!」
586427:2009/08/23(日) 15:35:10 ID:dW6JLonb
蒼い子大丈夫か!!支援
587薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:36:29 ID:uUm1zxOf
-右の道

ぎゃああああああああああああああああああああ…

翠「!? い、今のは…蒼星石!?」

金「確かに蒼星石の声だったかしら…」

翠「蒼星石! 待ってて! 私が助けに行くから!」

雛「翠星石落ち着くの!」

翠「これで落ち着いていられるか! ですぅ!」
588薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:40:24 ID:uUm1zxOf
金「…わかったかしら…翠星石は蒼星石のところへ
行くかしら…」

翠「んなこたぁわかってるですぅ!」

雛「お気をつけていってらっしゃいなの」

金「…2人だけ…かしら」

雛「怖いけど…勘張るの!」

金「…そうね!」
589薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 15:43:49 ID:uUm1zxOf
雪「…もうそろそろお姉さま方にあってもいい頃…」

薔「あとどれくらい歩けば…辿り着けますか…?」

雪「さあ…でも歩かないよりマシでしょう」

薔「でも…ん?」

雪「どうしたの?」

薔「今だれかの足跡が…」
590薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:00:14 ID:uUm1zxOf
雪「ほんと? ということは確実に近くに
お姉さま方がいる可能性があるわね」

薔「本当ですか!?」

雪「でも油断しない方がいいわ…不審者の可能性もあるし」

薔「…はい」
591薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:12:57 ID:uUm1zxOf
金「ん? 足跡が聞こえる…」

雛「近くに誰かいるの?」

金「たぶんそうね…でも不審者の可能性もあるから
気をつけましょう」



雪「順調に近づいているみたいね」

薔「でももし不審者だったら…?」

雪「そのときのために戦闘準備くらいはしておいたほうがいいかもね」
592薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:17:58 ID:uUm1zxOf
金「ん? あれは…きらきーにばらしー!?」

雪「カ、カナ姉さまにヒナ姉さま!」

雛「どうしてこんなところに!?」

雪「2人で肝試しをしていたら偶然…」

薔「いえ! 嘘です! ほんとはお姉さま方の肝試しに…」

雪「わー! わー!」 
593薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:21:40 ID:uUm1zxOf
雛「実はさっき蒼星石の悲鳴が聞こえたの」

薔「え? 蒼姉さまの?」

金「そうかしら。すぐにでも合流するかしら」

薔「どうしますお姉さま!?」

雪「…合流しましょう! もしかしたら大変なことになってる
かもしれないし」

金「じゃあ即出発かしらー!」
594薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:25:40 ID:uUm1zxOf
-左の道

銀「…! これは…」

紅「ものすごい大きい幽霊…」

銀「ふっ! もう幽霊には慣れたわ! 呪えるのなら
呪ってみなさい!」

蒼「あははははははは」

翠「蒼星石ー! 大丈夫ですかーー!」

紅「翠星石? どうしてここに?」

翠「蒼星石の悲鳴が聞こえたから来たんですぅ」
595薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:29:31 ID:uUm1zxOf
蒼「あはははははは…」

翠「大丈夫ですか蒼星石!」

紅「無駄よ。目がイッてるわ」

翠「そ、そんな…! こ、こんなことをしたのは誰です!?」

紅「目の前の幽霊」

翠「ふふっ…そういうこと…なら! 蒼星石の恨み! 晴らすまで!」
596薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:34:55 ID:uUm1zxOf
の(えっ?)

翠「世界樹の力を貸してもらうですよ!」

の(ちょっ、ちょっと…)

翠「さあ! 殺っちゃえですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

の(うわあああああああああああああああああああああ!)

銀「星になっちゃった…」

紅「あの子も成仏できてよかったんじゃないかしら?」

ジ(ね、ねえちゃああああああああああああああああん!)
597薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:39:55 ID:uUm1zxOf
蒼「ん…あれ? 僕…」

翠「蒼星石、大丈夫ですか?」

蒼「ああ」

金「なんかすごい音がしたけど、大丈夫かしら〜?」

雛「何があったの〜?」

銀「翠星石が巨大な幽霊をやっつけちゃったのよ」
598薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:44:31 ID:uUm1zxOf
紅「それよりどうしたのきらきーとばらしー」

雪「2人で肝試しをしていたら偶然…」

薔「だからそれは」

雪(シッ!)

薔(ひぃっ!)

紅「(そういうことね…)まあ、そういうことにしておくわ」
599薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 16:55:24 ID:uUm1zxOf
ジ「おい! 大丈夫か!?」

の「…ん…あ…ジュ…ン君」

ジ「立てるか?」

の「うん…」



?「ん? あの子ども…」

?「どうした?」
600薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:00:35 ID:uUm1zxOf
銀「じゃあそろそろ帰りましょうか」

紅「それならここで解散しましょう」

?「待ちなさい!」

雪「?」

翠「はっ! この声は…!」

ロ「やあ!」

紅「お、お父様!?」
601薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:07:44 ID:uUm1zxOf
ロ「ああ! みんな! 仲良くしてたか?」

銀「も、もちろんですお父様!」

紅「でもなんで…?」

ロ「お盆だからね、たまには娘に顔を見せなきゃね」



槐「ここだけの話…ごにょごにょ」

薔「そういうことですか…でも…いいです
また…会えたから…」

槐「ふっ…、成長したな…薔薇水晶」
602薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:13:11 ID:uUm1zxOf
槐「今まで俺がいなきゃ何も出来なかったお前が
ここまで成長するとはな、流石だ」

薔「はい…」



の「あら、この人だれかしら?」

紅「のり…なんでここに?」

の「あははは…実はジュン君と肝試しを盛り上げる為に
いろいろやってたんだ。さっきの大きい幽霊は私」

翠「のり…ごめんなさいです」
603薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:17:35 ID:uUm1zxOf
紅「ついでに言うとこの人が私達のお父様よ」

の「あら、こんばんわ」

ロ「こんばんわ。いつも私の娘達がお世話になっているようで…」

の「あなたが気に病むことはないわ、あの子たちのおかげで
毎日が楽しいから」

ロ「それはよかった。迷惑ばかりかけてはいないかと心配して
いたが…」
604薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:21:14 ID:uUm1zxOf
の「記念に写真を撮りましょう! 一応みっちゃんから
デジカメを借りているのよ」

ロ「えっ? それはちょっと…」

ジ「いいじゃないですか」

紅「そうですよ」

槐「まあ入るか」

薔「はい…」

ロ「しょうがない、入るか」
605薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:23:52 ID:uUm1zxOf
の「確か自動シャッターは…これね」

紅「早く早く!」

銀「10・9・8」

の「今いくわ」

翠「7・6」

全員「5・4・3・2・1! ハイ! チーズ!」

パシャ
606薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:29:04 ID:uUm1zxOf
の「ん? あれ? ねえ! この写真見て!」

翠「さっきの集合写真じゃねえですか」

の「いい? 左上から

        ジュン君、           私
水銀燈ちゃん、翠星石ちゃん、蒼星石ちゃん、きらきーちゃん、ばらしーちゃん
    カナちゃん、     真紅ちゃん    ヒナちゃん

ここにいる人物の中で写真に写ってないのは…」 

銀金翠蒼紅雛雪「お父様!?」
607薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:34:24 ID:uUm1zxOf
銀「いや! 翠星石と蒼星石の後ろにかすかに
人の顔が映っているわ!」

金「えっ? つまり…」

ロ「ああ! 急用を思い出した! じゃあな! 私の娘達!」

槐「じゃあな、薔薇水晶!」

紅「あっ! 待ってください!」

蒼「あ…あははは…」バタリ

翠「蒼星石! しっかりするですぅ!」
608薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:39:29 ID:uUm1zxOf
-帰宅後

紅「まさかね…」

雛「うゆ…」

翠「こうしちゃおれんです! のり! きゅうりかなすは
ないですか!?」

の「あるけど…どうしたの?」

翠「精霊馬を作るです! せめて楽に帰れるように!
それが私達に出来る最大限の配慮です!」

終わり
609薔薇乙女のちょっと不思議な夏休み:2009/08/23(日) 17:44:02 ID:uUm1zxOf
自分の過去作品
ttp://rozen.sync2ch.cc/2ch/test/read.cgi/news4vip/1247918118)の
続編を目指す気で書きました
意味不明なところは上のを見れば解決するかも?

読んでくださった人、ありがとうございます
では〜
610名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 17:59:12 ID:0FMDYhsE
乙です〜

ところでここはパロ作品はおkですか?
611名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 18:14:52 ID:c5si/JL9
平和なのは見てて安心できるな
乙乙

>>610
俺は別に大丈夫だとは思うけど
612名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 19:21:11 ID:0FMDYhsE
>>611トン
それじゃあ俺も書かせていただきます
613星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/23(日) 19:36:11 ID:0FMDYhsE
スネーク「こちらスネーク。これより敵地へと潜入する」

ロイ「了解。くれぐれも敵兵に見つからないように注意してくれ」

俺の名はスネーク。いや、コードネームといった所か。
俺はかの英雄王『ディリータ・ハイラル』の抹殺の任務を受けている。
奴も俺と同じ英雄と呼ばれている…俺はそれがずっと気に喰わなかった。
だから奴の暗殺の依頼が来た時には死ぬほど喜んださ。

英雄は一人で十分だ。

俺はそう思っている。何故なら、英雄が二人いれば厄介な事になるからだ…その理由は単純明快。
英雄として讃えてくれる民の数が分散されてしまう。俺はプライドが高い。それは納得いかない。

よって、俺は意地でもこの任務を成功させる。誰にも止めさせはしないぜ!
614星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/23(日) 19:52:12 ID:0FMDYhsE
しかし、奴の住まうゼルテニア城内を移動してた矢先、奇妙な鞄を発見したのだ。
それも、広大な芝生の広がる庭にポツンと置いてある。

これは罠か?しかし、俺の好奇心が自然と鞄の方へ足を向かせていた。

俺は直感で感じていた。これは、唯ならぬ物であるに違いないと。理由は知らん。
そして素早く鞄を引っ掴むと、もといた茂みに身を隠した。よかった、どうやら誰にも…

敵兵「てっ、敵襲だ!」

しまった。この特殊な戦闘スーツでは目立ち過ぎたか。俺は鞄を取りに行ったからではなくカモフラージュ率の低さで発見されてしまった事にした。
だって、見え透いた罠に自分から掛かったとか恥ずかしいじゃないか。ん?
この俺の渋い黒の特殊スーツは、しかしカモフラージュの為だけに脱ぐ気は無い。

取り敢えず俺は麻酔銃に改造したMK22を敵兵に命中させ、すぐにその場を去った。

しばらくすると、敵兵の声を聞きつけた増援部隊が姿を現した。

別敵兵「ど、どうした?」

しかし、何故この城の兵士達は皆重装備をしてるのか。重くて動きが鈍くなるだろう。
それがプレート入りの防弾チョッキならまだ話は解るが、何故鉄の鎧や兜なんだ?真面目にする気はあるのか?
615星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/23(日) 20:05:57 ID:0FMDYhsE
おまけにマントを着け、腰には剣を差してある。コスプレ集団か、こいつらは。
俺は増援も拘束と麻酔で無力化し、いよいよ城内へ…とその前に。

この鞄が気になって仕方がない。これでは任務遂行に異常をきたすと判断した俺は、罠かもしれないと解っていながらも鞄の蓋に手をかけた。

敵兵「だ、誰だ貴様は!」

またか。いい所で邪魔が入る。さっさと麻酔銃で眠らせて、また増援に備えようとしたその時だった。

しまった。増援部隊が戻って来ないのを不審がった上層部がさらなる増援を送り込んで来てたのか。
俺は既に周りを騎士のコスプレ集団に囲まれていた。逃げ場のない、四面楚歌だ。俺は死を覚悟した、その時だった。

「ポヨーーー」

俺は何者かに助けられていたのだ。そいつは空から突然やってきた。信じられないが、星型の小さな飛行物体に乗っていたのだ。凄い科学技術だ。
しかし、俺がもっと驚いたそれは、その搭乗しているパイロットらしき人…いや、未確認生命体だったのだ。

そいつは一言で言えば、ピンク色のボールだった。しかし、こいつには手足が生えており、何やら解らぬ鳴き声を発すとこから、生物だと認識した。
616星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/23(日) 20:27:45 ID:0FMDYhsE
スネーク「そして今、俺はそいつと空の散歩中って訳だ。どうだ、事態を把握できたか?」

ロイ「無理」

フッ、どうやらロイは俺が無事に帰還できると知って照れ隠ししてるんだろう。ハハッ、こやつめ!

ロイは俺の相棒だ。何時何処でどんな状況で会ったか忘れたがとにかく相棒だ。
そして今こうしてロイと連絡が取れるのは、この携帯無線機のお陰だ。技術の進歩は素晴らしい!

「ポヨポーヨ」

なになに?ピンクの球体がなんか鳴きやがったぞ?まあいいや。シカトしよう。

とにかく、この鞄を無事に自軍基地へ持って帰れば、爆弾処理班が安全確実に開けてくれるだろう。

ああ、欲求を持て余す!今ここで開けたい!開けても爺さんになって最後のミッションを受ける羽目になるなんて事は無いだろう。
よ、よし!開けるぞ…!

「ポヨーーー!」ズオオオォォォォ

ああーー!なんだこいつはぁぁぁ!俺の鞄を吸い込んで口の中に入れやがったぁぁぁ!
シカトしたからキレてんの?力抜けよ。

つーか吐き出せゴルァァァァァ!
617星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/23(日) 20:39:10 ID:0FMDYhsE
おっと足がすべったぁ!と称して、ローキックをピンクの球体にブチ込んだ。
しまった!力加減を間違えたか、奴を飛行物体の上から蹴り落としてしまったぞ!
しかも俺は操縦ができない。どうする、スネーク!?

「ポヨポヨーー」

ああ、もううるさい!今切羽詰まってんだよってうわああああああああ!
なんだこいつーーー!空飛んでるよーーー!あんな小さい手をパタパタ動かして!

もしや、これは新型のメタルギアじゃないのか?

説明しよう!メタルギアとは、簡単に言えばロボットである。

こいつはいいもんを発見したぞ!こいつもついでに持ち帰れば、その功績を称えられて暗殺失敗の件は帳消しだぜヒャッホウ!
とそうこうしてる内に自軍基地が見えてきたぞ。もういいぞ降ろせ。おいって!早く乗って操縦しろ!う、うわああああああああ!!



相棒ロイは窓からUFO的なのが滑走路に墜落する所を目撃した。しかし見て見ぬフリをした。
ついでに未確認飛行生物らしきのも見た。和んだ。
618星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/23(日) 20:53:31 ID:0FMDYhsE
スネークは激怒した。必ず、かの見捨てられたロイに復讐すると決意した。

くそあのロイ野郎。目撃してたのは何故かお前だけだってのに俺をシカトしやがったな。許せん。絶交だベジッタレ!

てな訳で俺は医療施設のベッドに寝ていた。しかし、欲求を持て余す。あの鞄はあの新型メタルギアの胃の中に入ったままだってのに、あの野郎どっか飛び去って行きやがった。
おかげで鞄の欲求も解消されず、功績も称えられず、上官に頭をペコペコ下げて任務失敗を告げねばならぬ。許せん。そして、欲求を持て余す!

俺はついに耐えきれなくなり、夜に医療施設から抜け出した。なに、隠密行動に慣れてる俺に取ってこんなの昼飯前だぜ。え、朝飯?食ったけど何?
とにかく俺の次なる任務は決定した。あの新型メタルギアから鞄の奪取だ。俺は俄然燃えてきた。欲求を持て余す!

そして、奴には既に発信機を取り付けてある。奴の居場所はすぐに分かるぜ。ええと…

…ま  た  か。  ゼルテニア城。何あいつディリータ王の持ち物だったの?まあいいやついでに暗殺もしてやんよ。

さあ今宵はショータイムだぜ!よい子は30cm離れて俺の活躍をその目にしかと焼き付けるんだな!
619名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 20:56:17 ID:0FMDYhsE
まだ続きます。
これは悪魔でローゼンメイデンのSSです。
620名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/23(日) 21:08:22 ID:0FMDYhsE
別作にローゼンメイデンがメインのSSがありますので、
こちらも併せて読んで頂ければ幸いです。
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1250307524
621名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 12:38:59 ID:a1+aQcSA
二次創作での人気

水銀燈>真紅>翠星石>蒼星石>雪華綺晶>雛苺>薔薇水晶>金糸雀
622星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 19:13:36 ID:B4pQE1/R
もし、彼のしている事が本当ならば、僕は迷い無く全力でそれを阻止する。



僕の名はラムザ・ベオルブ、異端者だ。
悪行を企てた教会に反抗した為、この烙印を押される事になったが、後悔はしていない。
僕はいつも自分が正しいと思う道を突き進んで来たからだ。
だから今回の件も、必ずそれを止めてみせる。抵抗してみせる。

僕がその噂を小耳に挟んだのは、ほんの数日前の事だった。
僕は信じられなかった。

何故だ。何故君は、また先人の犯した過ちを繰り返そうとしているんだ。
その噂の正体ーーー国王が新たな戦争を起こそうとしている。

国王ディリータは僕の親友だ。今はこうして身分に差があるものの、昔は僕も彼も一般人だった。
だから、僕には彼の事がよく分かる。彼はそんな事をするような人間じゃない。

僕はその真偽を確かめる為、国王の居るゼルテニア城へと向かった。
僕は異端者だが、偽名を使えば国王に面会する事が出来る。何故なら、僕と彼は今でも親友同士だからだ。
623 ◆1IpdltObcE :2009/08/24(月) 20:11:50 ID:B4pQE1/R
衛兵「止まれ、何者だ!」

ラムザ「僕の名はアホ毛だ。国王との面会の許可を承りに来た!」

衛兵「ハッ!これは失礼しました、アホ毛殿!すぐに国王に取り次ぐように致します!」

僕はゼルテニア城の門を通され、待合室で小一時間程待たされた。
暫くすると、金色の甲冑と紅いマントに身を包んだ、僕の親友にして英雄王ディリータが姿を見せた。

ディリータ「一体何の用だ?異端者とあろう者が、堂々と城下町を突き進んでまで話がしたい事があるのか?」

ラムザ「単刀直入に言うよ、ディリータ。君は、戦争を起こそうとしているのか?」

ディリータ「…!」

衛兵「なっ!国王に対して、何という無礼な口を!」

ディリータ「うるさい、黙れ」

衛兵「しっ、しかし!」

ディリータ「…二言は無いぞ」

衛兵「しっ、失礼致しました!」

ここでディリータは一息置くと、僕に向き直ってこう言った。

ディリータ「…その件についてだが…紛れもない真実だ」

ラムザ「な、何だってぇーーー!?」

ディリータ「おい、アレを持ってこい」

元ニート衛兵「はっ!」

ラムザ「何故なんだ…?一体何の目的でこんな事を…?」
624星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 20:26:13 ID:B4pQE1/R
ディリータ「ラム…アホ毛、お前はローゼンメイデンというのを知っているか…?」

ラムザ「質問を質問で返すな。」

ディリータは僕の言葉が聞こえなかったかの様に話を続けた。

ディリータ「ローゼンメイデンって云うのは…俗に言う人形だ」

ラムザ「それがどうした。」

ディリータ「しかも只の人形じゃない…意志を持ち、動き、喋るんだ」

ラムザ「それは魔法がかかっているだけだろ。」

ディリータ「そして…俺はそいつを手に入れたんだ。便所に落ちてたのさ。」

ラムザ「なんとまあ。」

元ニート衛兵「国王様!アレを連れて参りました!」

ディリータ「よし、お前は下がって休…もっと働け。アホ毛、今からそいつを見せてやるよ。」

ラムザ「だが断る」

ディリータは衛兵から受け取った鞄をテーブルの上に置くと、僕に自慢げに中を開いて見せて来やがった。

そこには…黒い翼の生えた気味の悪い人形が入っていた。そして、君の趣味には付いていけないと思った。

ディリータ「こいつが戦争勃発の引き金だ。」

ラムザ「死ね」
625星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 20:45:53 ID:B4pQE1/R
ディリータはその後、アリスゲームとやらについて語っていた。僕は興味がなかったので全部スルーした。
でまあ、そろそろ夕方だし帰ろうと思った所である異変に気が付いた。

さっきまで横になっていた筈の人形が独りでに立っていやがる…!

人形「あんただぁれ?何さっきからこっちをガン見してんのよ?」

ラムザ「なにこれきもい」

ディリータ「…えーであるからにして、俺はこいつのミーディアムなんだ」

人形「…私を貶すとはいい度胸ねぇ…ジャンクにしてやろうかしらぁ?」

ラムザ「おい国王、これ魔法で操ってんのか?それとも自動なの?」

ディリータ「…だがしかし時は平成二十年位、のりピーが不祥事を起こし…」

ラムザ「ダメだこいつ。早く何とかしないと!」

人形「はぁ…何か調子狂っちゃったわぁ。」

ラムザ「そういやお前何なのさっきから?」

水銀燈「私は第一ドールの水銀燈よぉ。そのアホ毛頭に叩き込んでおく事ねぇ」

ディリータ「…しかし、奴は生きていた。その時の台詞は地球は青…」

ラムザ「もう僕帰るわ。じゃあな国王と水銀刀。」

水銀燈「あんたさっきからワザとねぇ!待ちなさい!」

そして僕はゼルテニア城を後にした。
626星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 21:01:18 ID:B4pQE1/R
でまあそのまま野営所に直帰するのもアレなので、手ごろな酒場に寄ってみた。

店主「へいらっしゃい!坊ちゃん、何を飲むかい?」

ラムザ「いや僕成人してるし坊ちゃんとかやめて。あとミルクを頼むわ。」

店主「へいおまち!」

ラムザ「早いな。まだ一秒も経ってないだろう。」

店主「常連客のいつも飲む奴くらいは頭に入ってるぜ!」

はあ、僕が常連だとバレていたか。まずいな。異端者として色々とまずい気がするわ。このミルクもまずいわ。何故か苦いし。

ふとミルク瓶を置くと、狭くて汚いテーブルの上にアンケート用紙的なのが置いてあるのが目に止まった。

ラムザ「ハゲ店主、これ何?」

店主「何それ……知らん……怖…」

店主の様子を見た限り、ここの物ではないらしい。誰かが置いていったのか?
その紙をよく見ると、異国の文字で何か書かれてる。何これ読めん。

店主「ああそれまきますかまきませんかって書いてあるぞ」

ラムザ「何でお前が読めるんだよ」

店主「お前細かい事気にしてたらハゲるぞ?」

既にツルピカのお前に言われたくねぇと内心思いつつ、この紙に書かれた言葉の意味を探った。

まきますか まきませんか だと?
627名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 21:14:27 ID:agarqPie
便所w
しかしこいつらがミーディアムになったら凄そうだな
628星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 21:15:29 ID:B4pQE1/R
僕はピンときた。『魔来ますか 魔来ませんか』これだ。
いつの時代も魔が来ては勇者とかいうめでたい奴らが何とかしていたものだ。ま、僕もかつては勇者だった訳だが。
まあ取り敢えずいつか魔が来ることは確実だろ常識的に考えて。僕は色鉛筆で『まきますか』と多分書かれている方に丸をした。色鉛筆は簡単に消せないんだぜ。

そしてまあとうとうみんなの待つ野営所へ帰ってきた訳だ。

女性「遅いぞラムザ。どんだけ心配したと思っているんだ!」

ラムザ「すまない、道中魔物の群に襲われてしまってな…。」

女性「だから単独行動はあれほど止めろと言った筈だ!今後からは私たちも同行させて貰うぞ!」

ラムザ「それじゃ目立つからって話だった筈だ。それに、僕に勝てるような奴はいない。この通り、今回も無傷だからな」

女性「して、偵察の報告は…?」

ラムザ「ああ、まあ、ドンマイだったわ。寝る。」

僕は疲れた体を簡易ベッドの上に倒すと、そのまま深い眠りに着いた。



と見せかけて起きていた。

ラムザ「くそ…ディリータの人形やっぱ羨ましいぜ…!」

僕の嫉妬心が眠りを妨げていたのだ。何とかしなくては!
とここで、何とも都合のいい展開が。
629星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 21:53:04 ID:B4pQE1/R
僕は辺りを見渡した。よし、僕の仲間達はみんな地ベタでおねんねだ。これはチャーンス!
僕はそろそろと近づいた。大木の根本に転がっているあの鞄と同一の物に向かって。
これで僕も水銀刀ゲットだぜ!磨皿タウンにさよならバイバイしながら鞄の蓋に手を掛けたっ!僕の心臓が炸裂寸前だぜヒャッホォォォォォウ!!






期待外れだった。即捨てた。



何だあの地味な人形は。何だあの顔は。何だあのデコは。何だあのヘンテコな服は。
もしかして教会に反発して神を冒涜したケ…ツケが来た訳ですかそうですか。へぇー、そうなんだ。もう20へぇ位行くんじゃね?あぁおめでとうありがとう。
もう何か死にたくなってきたわ。だって生きてても仕方無いじゃん?人間って。実際つらい事ばっかじゃん?割に合わねぇよベジッタレ。
だってさ、他の動物は子孫残す為に生きてるけど人間とかもう十分じゃん?てか僕もう生きてる価値無くね?意味無くね?無駄だよ無駄。無駄は省いて省エネしようぜ。
てかさ、この地球自体無駄なんだよ。何上で生き物飼っちゃってんのって感じ。ふざけんな。飼われ代払えよ。つーかもう太陽に衝突でもして消えて無くなればいいんだ。そうだろパトラッシュ?
630星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 22:18:37 ID:B4pQE1/R
スネーク「イヤッホォォォォォォォォォウ!」

ちょっと調子乗り気味の英雄、スネーク。夜の町を半壊状態の星型マシンで走行中だぜ!
目適地はゼルテニア城!標的は国王と新型メタルギア!そして狙うはあの鞄の奪取だ!欲望を持て余す!

そんな訳で俺はゼルテニア城下町を疾走していたのである。
ふと横をチラ見すると、道路のド真ん中に鞄がボロボロの状態で投げ捨ててあったのだ…!

ウホッ、いい鞄…!

そしてその鞄は俺の見ている前で蓋を開き始めたのだ…!



ブス「やらないかしら」



すねーくは にげだした!
しかし、まわりこまれてしまった!

ブス「待つかしら人間ー!カナと契約するかしらー!」

スネーク「仮名と契約?冗談は顔だけにしてくれ!」

そしてまあ夜の町を星型マシンで逃げ回るスネークと傘で何か追っかけてくるブスは目立ちすぎて人目につき、不審者扱いされた挙げ句、城から兵士が派遣されてきた。

兵士「そこの不審者!止まれ!止まりなさい!」

スネーク「お前は止まれと言われて止まった奴を見た事があるのか?」

兵士「んだとゴルァ!」

ブス「早く契約するかしらー!じゃないと…アッー!」
631星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 22:34:10 ID:B4pQE1/R
スネーク「ムッ!このままでは仮名の身が危なさそうだ!」

でUターンしようとした矢先、誰かが無線機に掛けてきやがった。

ロイ『おいスネーク』

スネーク「今それ所じゃねーよ裏切り者!」

ロイ『今日の件はマジ悪かったって!もう真面目にそう思ってる!だから許せ!』

スネーク「あぁん?」

ロイ『もうホントに墜落したスネーク見た後すぐにウンコしたくなってさ、我慢出来なかったんだぜ!2トン出たし!』

スネーク「ああはいはいそうですか!で、何の用だ?」

ロイ『いや何かさ、誰からか手紙が来たんだけどさ…ちょっとウンコしてくる』

スネーク「幸運を」

スネークは激しく無線を切ると、兵士に補導されかけてる仮名のもとへ助けに向かった。

スネーク「おい仮名!今助けてやるから後で焼き肉奢れ!」

ブス「助けてかしらぁ〜〜!」

兵士「大人しく降伏しろ!さもないとその綺…とにかく顔に傷が付くことになるぞ!」

スネーク「喰らえっ!俺の愛用麻酔銃MK22だ!」

麻酔弾は兵士の兜の隙間から脳に到達して死に至った。

スネーク「無事か仮名?焼き肉奢れ。」

ブス「とっとと契約しやがれかしら。」
632星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 22:54:09 ID:B4pQE1/R
我が輩は生物である。名前はもうある。
我が輩は見ての通り、ピンクの球体をしている。その為、なかなか他の人間共から人間扱いされない事が多々あるのだ。
まあそんなとき我が輩はとある名案を思いついたのだ。人助けすれば認められるんじゃね的な。大体そんな感じ。

でまあ、おっさんが何か困ってたからワープスターとかいう乗り物に乗って助けに行った訳よ。そしたらさあ、あいつ何て言ったと思う?もう想像の域を遙かに越えていたぞ。






何も言わなかった。



つまりシカトされた訳よ我が輩は。何なのあいつ。早速恩を仇で返しに来やがった。上等じゃねぇか。ならこっちにも考えがあるってもんよ。
あいつが大切そーにしてた鞄を吸い込んでやった訳よ。ざまあみろそして死ね。
そしたらあのジジィなんか逆ギレして我が輩を蹴飛ばしやがった訳よ。でもこっちは自力で空飛べるから。ハハッワロス。
でまああいつの死に逝く様をしかと見届けてやろうと思って見てた訳よ。そして墜落しやがった。ここまではよかった。
そしたらあいつ、まだ息がありやがった。何だあの化け物は?人間じゃねぇだろ?なあ、君もそう思うだろ?



幼児「人の事言えないと思うのよ。」
633星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/24(月) 23:18:41 ID:B4pQE1/R
我が輩「ポヨ…ポヨポヨ!?」

なん・・・だと・・・我が輩の言葉が分かるというのか!?

幼児「そんなの普通なの」

我が輩「ペヨ…!」

お主…やるな!

幼児「うゆ?おすし?」

我が輩「ポヨ。ポヨポヨポーヨ?」

そう言えば自己紹介がまだだったな。我が輩の名はカービィだ。して、君は?

雛苺「雛苺っていうのよ。よろしくねカーくん!」

カービィ「ポヨ…!?」

カーくん…!?何だそれは?

雛苺「そうだ!カーくん、ヒナとけいやくしてほしいの!」

カービィ「ポヨヨーン」

やなこった

雛苺「えっ…?どうしてダメなの?」

カービィ「ポヨペヨパヨピヨ。」

我が輩とあろうものが人間と契約?何の契約か知らんがバカバカし過ぎて反吐が出る。

雛苺「うぅ…カーくんひどいのー!」

カービィ「ペヨ。ポヨ。」

他を当たれ。あばよ。

そう言い残し、ピンクボールは夜空へと飛び立った。

雛苺「あっ、待つなのー!置いてかないでー!」
634名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 23:20:54 ID:B5/rvbl6
星のカービーとメタルギアとFFTのクロスか
635名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/24(月) 23:21:56 ID:agarqPie
このカービィ黒いw
他のドールは誰と契約するのか気になる
636星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/25(火) 23:15:49 ID:y8oEW7kH
全く、人間というものはどうして愚か者ばかりなのだろうか。自分の事しか考えない、いわゆる自己中ばかりなのだ。

今夜は満月だった。月明かりが空を飛んでいる我が輩の体を照らしている。嗚呼、月見団子が食べたい。
眼下に広がるはゼルテニア城の城壁と堀、そして近くの城下町。我が輩は城から飛び立つ時にいつもこの景色を見ているのだ。いい加減飽きた。

我が輩が城へ訪れる訳は、その果樹園にある。たわわに実った果実の味ときたらもうね、超美味い。筆舌に尽くし難いよまったく。
まあ無断で喰ってる訳だから兵士が攻撃してくる時があるんだよなあ。そんときゃ持ち前のコピー能力を駆使して追い払っている。我が輩のお食事タイムは誰にも邪魔はさせぬ。

まあ今回城に降り立った訳は、あのおっさんから強奪した鞄が内心気になって、まあおっさんの妨害が無さそうな場所って事だけどね。まあ果実もついでで喰ったけど。
我が輩は鞄の中には超絶品フランス料理のフルコースとかそっち系を期待してた訳よ。まあ、普通の奴なら当然の事だろう。しかし、我が輩は騙されたのだ。

中には小さい人間ーーーガキが入っていたのだ。しかもネジ付き。ウケ狙いかよ。え?ゼンマイ?
637星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/25(火) 23:42:39 ID:y8oEW7kH
でまあ我が輩は親切にもネジ巻いてやったのよ。ほら人間に認められるチャンスだと思って。この我が輩がギャグに付き合うという寛大な心を持って接すればほら認められそうじゃん?
で、ネジ巻ききったら、カタカタ音立てながら空中浮遊というリアクション芸をしてくれたよ。つまんなかったけど一応笑うフリはしてやったさ。何せ我が輩は寛大だからな。
で何かネジ巻いたのお前かみたいな事言ってきたから欧米かってツッコミ役を演じきった訳よ。そしたらあのガキもう大喜び。拍手喝采。は無かった。

でまあ笑いの後はトークだろって事で我が輩が愚痴を語りだしてあげたという訳だ。今の話をどう思う?






メタナイト「すごく・・・つまらないです・・・」

だろ?我が輩の話は誰にでもためになる………



って誰だお前ーーーーーー!いつから我が輩の目の前を飛んでいやがるーーー!

メタナイト「久しぶりぶりだな、星の戦士よ。」

いや人の話聞けよタコ。貴様の耳はフシアナか?

メタナイト「お前と会うのは約二日ぶりぶりだな…お前も随分変わったな。」

いや変わってないから。二日でなかなか変われるもんじゃないよ。ってそっちじゃねぇ。お前何しに来た?
638星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/26(水) 00:02:17 ID:4mIBc8t2
雛苺「ベリーベル!カーくんをつれもどすのよ!」



メタナイト「私はちょっと人形をゲッツして調子乗って空飛び回っているだけだ。何ら異常は無い。」

うん、お前自体が異常の塊だから。ドンマイ。で、人形って何?喰えんの?

メタナイト「この私にふさわしい、二本の剣を携える騎士である。」

うわ何かうさんくせぇ……お前騙されたんじゃね?クーリングオフしてこいよ。

メタナイト「そうだ、私が直々にお前に決闘を申し込ませてあげようではないか。」

いきなり何ですか。ついに狂ってしまいましたか。南無阿弥陀仏…

メタナイト「決闘の日時はそのうちだ。それまでに己の肉体の鍛錬をしっかりしておく事だな。さらばだ。」

お前は脳味噌の鍛錬を頑張って下さい。じゃああば…え?サラダ?

…ん?何だこのでかい蛍は?喰えんの?
…え?雛苺がよだれでベタついた鞄でおねんねしたくないから契約のついでに綺麗にしろ?……雛苺?



……うまそう!OKOK任せとけ!
おっしゃこの我が輩がもれなくどーんと契約してやるぞー!待ってろよガキー!






そして、まあ各自色々あって、夜が明けた。
639星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/27(木) 17:04:28 ID:XuiJ0clQ
ラムザ「……あー、いい朝だな。ちょっとトイレ行ってくるわ。」

女性「ラムザ!ごまかそうたってそうは行かないぞ!貴公はまたゼルテニア城へ行くつもりだろう?今度は我々も…」

ラムザ「もちつけ、アグリアス。あなたはもう十分に戦ってくれた。だから今回の件は、僕一人で何とかする。」

セイバー「駄目だ!そのような事はこの私が許さんぞ!この身、貴公に預けると言った筈だ。」

ラムザ「…分かった。ならみんなでここを出発しよう。今すぐに支度してくれ」

セイバー「ようやく分かってくれたか。皆の者!今すぐ出発の準備をするんだ!」

ラムザ「やれやれだぜ」

こうしてラムザ率いる小隊は野営所を後にして、英雄王ディリータの居るゼルテニア城へと向かった。



ラムザ(もう戦争とかどうでもいい…あいつの水銀刀を力ずくで奪ってやる!)






ディリータ「…なあ」

水銀燈「…なによ?」

ディリータ「…戦争の準備は整った。後はお前の好きなタイミングで戦争を勃発させてやろう」

水銀燈「ふふ…これはいいミーディアムと契約したわぁ…!」

ディリータ「…俺は、この命にかえてもお前をアリスにしてみせる。」
640星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/27(木) 17:19:12 ID:XuiJ0clQ
水銀燈「あら、嬉しい事言ってくれるじゃないの。」

ディリータ「…死んだ妹と…王女に誓って…」

水銀燈「………」

水銀燈「…ありがとう。きっと期待に応えてみせるわ」






ラムザ「皆、今日は城下町の酒場で昼食をとるぞ。」

セイバー「ムッ、さては貴公、我々が酔った隙に抜け駆けするつもりではなかろうな?」

ラムザ「ギクッ!ちょ、アグリアスさん、冗談きついぜ。ほらほら酒場に入るぞ!」



店主「へいらっしゃい!どんどん注文していってくれ!」

ラムザ「じゃあミルクを頼もうか。」

セイバー「ビールを瓶三本頼む。」

店主「へいおまち!」

ラムザ「苦っ!おいハゲ店主、今日のはあんま苦すぎね?」

店主「おう、そうか?まあ今日は調子いいからな!」

ラムザ「……???」

セイバー「…おいハゲ!ビール追加持ってこーい!ヒィーーック」

ラムザ「……つー事でハゲ店主、後は任せた」

店主「おうよ!へい嬢ちゃん!もっと飲めよ!」
641星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/27(木) 17:34:38 ID:XuiJ0clQ
スネーク「…あんな所でなにしてやがる…?」

金糸雀「…きっとタンスの角に足の小指をぶつけたかしら。やるなら今がチャンスかしら!」

スネークとブスのコンビは、ゼルテニア城への潜入中である。目的は、国王の抹殺及び新型メタルギアから鞄の奪取である。
そして早速チャンスが回ってきていた。新型メタルギアを中庭の茂みの中に発見したのだ。何故か奴はうずくまっており、今なら拘束して鞄の在処を聞き出す事は簡単だろう。
まあこの時、スネークは新型メタルギアの言葉が理解できない事をすっかり忘れていた。
スネークは城壁から様子を伺っている。よし、敵兵は近くにいないようだ。行くぜ!





我が輩は生物である。名前はもうある。
昨日はホント散々な目にあった。この世に神なんて居ないのではないかと疑いたくなる位に。
メタナイト郷と再会した後、でかい蛍から耳寄りでナイスな情報を聞かされ、我が輩はついそそのかされてしまったのだ。
あのチビとの契約の儀式の後で気づいたのだ。我が輩がまんまと騙されていたという事に。
とっとと契約を済ませて、我が輩はあのガキに雛苺とやらを差し出すように述べた。するとあいつはこう言ったのだ。
642星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/27(木) 17:48:54 ID:XuiJ0clQ
雛苺「うゆ?ヒナはあたしなのよー」

その瞬間我が輩は全てを悟った。そう言えばこのガキ、自己紹介の時そんな風に言ってたな。すっかり忘れていた、というより我が輩に付けられた称号に戸惑って意識出来ていなかったか。
くそっ、騙された騙された!悔しいのう悔しいのう!なーにが雛苺だよ!人間にうまそうな名前付けてんじゃねーぞゴルァ!あーそう言えばドロップとかいうキャラが…何、こっちの話だ。

とにかく我が輩は激怒した。もうお前を喰ってやる。そう言うと、あのガキはビビってこんな事を言ってくれた。

雛苺「いやーーーー!ベリーベル、助けてーーーー!」

ベリーベル……ベリー…!うほっktkr!と思ったのもつかの間、それはさっきのでか蛍の事だった。もう名前で食べ物を判断するのはやめようと思った。
でそのでか蛍はこう言った。あんま雛苺をいじめてっとその腕輪から力がもぎ取られて粕になるぞと。……腕輪……だと……?



今我が輩が落ち込んでいるのはそういう訳である。詳しい事情は…察して下さい。



スネーク「…今日は帰るか」

金糸雀「…それが良策かしら」
643星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/27(木) 18:10:04 ID:XuiJ0clQ
そして、スネークとブスが星型マシンに乗って帰投しようとしたその時だった。

金糸雀「あー!英雄王の暗殺を忘れてるかしら!」

スネーク「しまった、そうだったな!あいつ、存在感もデコも薄いからな。お前と同じだな」

金糸雀「しっ、失礼かしら!カナこそローゼンメイデン一の策士かしら!」

スネーク「はいはい、仮名こそ老前名電一の作詞な。ほら行くぞ。城内に侵入だ」

でスネークが城壁を伝って行こうとした時、無線に連絡が入った。

ロイ『おい、スネーク。』

スネーク「何だ?敵地の新たな情報か?」

ロイ『んなもんねぇよタコ。ほら、昨夜の手紙なんだけどさ、どうやら送り主はソコロフらしい。ほら、あの意味不明な爺さんだよ。』

スネーク「…つまり、何かもっと大切な知らせか…!?」

ロイ『ああ…そうに違いない。文面は暗号みたいになっているんだ。そいつの解読に苦戦中なんだが…』

スネーク「何と書かれているんだ?」

ロイ『まきますか、まきませんか、って書いてある。一体どういう事なんだよコレ?』

スネーク「軍事機密を握るソコロフからの手紙…受け取り先はロイ…そうか分かったぞ!」
644星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/27(木) 18:24:03 ID:XuiJ0clQ
ロイ『何っ!?本当か?お前のヘボい脳味噌でも解読できるもんなんだな!で、内容は?』

スネーク「なあに、簡単な事だ。お前にまきますか、まきませんかと問いかけてるとしたらアレの事しかないだろう。」



スネーク「……そう、ウンコだ。」

ロイ『…!!成る程!お前は天才か!ああ、確かにウンコだとしっくりくるぜ!で、答えはどっちなんだ?』

スネーク「……おい、お前、漢だろ?漢なら巻かないでどうすんだゴルァァァァ!!」

ロイ『オーケェーイ!まきますにマッキーペンで要チェックや!さて、ちょっと朝の三度目のウンコしてくるわ』

スネーク「幸運を」

スネークは激しく無線を切ると、ブスに向き直ってこう言った。

スネーク「…お前、バイオリンが弾けたよな?」

金糸雀「カナの演奏は世界一かしら!」

スネーク「じゃあしばらくここで弾き続けてくれ。俺がいいと言うまでやめるなよ?」

金糸雀「了解かしら!カナの素晴らしい音色に酔いしれろかしらー!」

そしてブスが目を瞑って演奏を始めると、スネークは放置して城壁を登り始めた。
バイオリンの音を聞きつけた兵士が不審に思ってブスのいる中庭に集まってきてそれから…察して下さい。
645星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/27(木) 18:38:03 ID:XuiJ0clQ
ディリータ「…何事だ?」

衛兵「ハッ!城内に汚い鼠が一匹入り込んだようです!」

衛兵2「失礼します!たった今、鼠を捕らえました!いかがなさいますか?」

ディリータ「…牢にブチ込んでおけ」

衛兵2「ハッ!」

水銀燈「待って!…これは他のドールの気配だわ…私に会わせてくれるぅ?」

衛兵「…ハッ!ではここへ連れて参ります!おい働け!」

元ニート衛兵「ハッ!ただ今!」

ディリータ「…いとも容易くこの城に忍び込まれていたとはな。…ただ者ではないな…」

水銀燈「…一体誰なのかしらぁ…?」



その頃スネークは窓から城内への侵入に成功していた。

スネーク「…よし、ダンボールで身を隠しながら王室を目指すぞ。」

スネーク「ムッ!あれは仮名!……なんか罪悪感が……」



スネーク「湧いてこない」

スネーク「王室は最上階か…骨が折れるな」

スネークはダンボールと麻酔銃MK22を駆使して国王のもとへと突き進んだ。
646星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/27(木) 18:57:46 ID:XuiJ0clQ
メタナイトは背中の翼を二三回羽ばたかせ、そのまま滑空しながらどこかの森丘へと着陸した。

メタナイト「…待たせたな。」

少年…?「マスター、相手の返事はどうだったんですか?」

メタナイト「奴は承諾した。これでお前は奴のドールと堂々と戦える訳だ。」

少年…?「マスター…!ありがとうございます!それで、日時は?」

メタナイト「そのうちだ」

少年…?「………」

メタナイト「…何、焦りは禁物だ。今すぐ戦いたいのは分かるが、今は体や技の鍛錬に勤しむ事だ。」

少年…?「…はい、分かりました。」

メタナイト「…いい返事だ。この誇り高き騎士の後継にふさわしい…立派な騎士になるんだぞ!」

少年…?「はいっ、マスター!僕はどこまでもあなたの背中を追い続けます!」

メタナイト「よし、早速これから稽古を始めるとしよう。さあ、剣を抜け。」

少年…?「全力でやらせて貰います…!レンピカ!」

メタナイト「さあ来いっ!」

ここはあきれかえるほど平和な国、プププランド。その森丘に、庭師の鋏とマスターソードが打ち合う音が鳴り響いていた。



デブ「……うー、うるさいぞーーーい!おいワドルディ、黙らせてくるぞい!」
647星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/27(木) 19:17:51 ID:XuiJ0clQ
やかましく喚き立てているのは、このプププランドの国王、デデデ大王である。
ある時はカービィの敵、またある時はカービィのライバル、またある時はカービィの味方など、カービィとは犬猿の中といった所か。
ワドルディと呼ばれたのは、デデデ大王に仕える可愛そうなキャラである。見た目はカービィみたいに丸く、致命的に弱い。だが、カービィに負けじと頑張ってる気がする。

勅命を受けたワドルディはしぶしぶと城から出て、森丘へと様子を見に行った。



メタナイト「…なかなかやるじゃないか。こんなに緊迫した戦いは、久しぶりぶりだ。」

少年…?「お誉め頂きありがとうございます。でも僕の本当の力はこんなものじゃありません。」

メタナイト「ほう…!まだ本気を出していなかったという事か!大した奴だ。」

少年…?「以前僕が話したように、僕はマスターの力を吸い取る事でさらにパワーアップできるんです。」

少年…?「マスターの力は凄まじく思える…試しに吸い取らせて貰っていいですか?」

メタナイト「いいだろう。根こそぎ持っていけ!



ワドルディは茂みの中から二人の様子を窺っていた。
648星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/28(金) 21:42:15 ID:pzulgbJg
こいつはどうしたものか。あのクールな事で有名なーーーかどうかは知らんがーーーメタナイト卿が人形とーーーしかもあれは女の子のーーーと遊んでいる。
いや…バカな、そんな事はある筈が無い。有り得ない。拙者は夢でも見ているのであろうか?そうだ、きっとそうに違いないのだ。頬を試しに抓ってみる。……痛ッ

あーーーてすてす………メタナイト卿に酷似したーーー仮面をつけて翼を広げて剣を持っているコスプレ野郎を早く黙らせなくてはな。
しかし、さっきまでの戯れの様子を見る限り、このコスプレ、なかなかやりおる。ザコ一番手の拙者が果たして敵う相手だろうか?不安だ。
それに、あの人形、能力はソード、もしくはカッターの使い手とみた。それに対して拙者はスカだ。ムム、これでは人形に勝のでさえ難しいな。

説明しよう!能力にソード、カッターとあるのは簡単に言えば剣と刃である。

……話し合いをしてみるか?いや、無駄な事だ。斬り捨てられてそのままこの世にララバイだ。……おや? ドールの ようすが…
おめでとう! ドールは 真ドールに しんかした!



少女「うおおおおお!燃え尽きるほどにヒート!」

メタナイト「なにィィィィィィッ!」
649名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/29(土) 19:53:14 ID:tjk0dqrp
蒼星石の体は凄まじいオーラに包まれ、そこから驚くほどのパワーがメタナイト卿に伝わってきた。

蒼星石「では行きます!覚悟して下さいッ!」

メタナイト「ちょ待って!こいつは完全に予想外・・・アッーーーーーー!」

蒼星石は高速でメタナイト卿の横を通り過ぎると、メタナイト卿の仮面が真二つに引き裂かれていた。…速すぎて見えなかったが、あの鋏をすれ違い様に振るっていたのか!
拙者は完全に諦めて、この場を去った。あの娘…もしやカービィより強いのではないか…?あの銀河最強の戦士とうたわれた、カービィよりもっ…!

メタナイト「……予想外デス」

蒼星石「マスター!大丈夫ですか?お怪我は…」

メタナイト「ええーぃ、私に構うなぁ!騎士たるもの、敗者は虚しく去るのみ!」

こうしてメタナイトはどっか飛んでった。
650名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/30(日) 23:45:09 ID:nVdHDzrf
支援なんだぜ。
カービィとローゼンのコラボ絵を思い出したりした。
651星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/31(月) 11:48:25 ID:Vr9NYxgJ
ラムザ「僕の名はアホ毛だ。国王との面会の許可を承りに来た!」

衛兵「アホ毛殿、しかしながらただ今緊急自体が発生しておりまして…」

ラムザ「うっせーしゃべんな!とっとと城門を開放しやがれ!」

僕はもう我慢の限界だった。それもこれも全て、国王ディリータのせいだ。
あの時、戦争企画の噂を聞かなければ。あの時、ディリータの人形に心奪われなければ。あの時、鞄の中身が粗悪品でなければ!僕はこんな目に合ってないだろう。
僕の人生の歯車は、奴が狂わしたも同然だ。お陰で、一度精神が死にかけた。魔法で治して貰ったから良いものの、奴が僕をここまで陥れたという罪は消えないぞ!

だからディリータ、君には償いをして貰おう。その術は、僕に人形ーーー水銀燈を譲り渡すのみ!

?「あれは何と無様な人間の姿ですぅ!滑稽過ぎて笑い死にしそうですぅ!」

?「…まさかまだ生きていたとはな!相変わらずの甘ちゃんだなぁ、あぁ?」

突如笑い声が聞こえて来た方へ顔を向ける。笑い声は城門の上から聞こえてくる。
しかし、笑い声の主は見つからない。だがしばらくすると、謎の二人が姿を現した。

ラムザ「おっ、お前は…!」



ラムザ「誰だっけ」
652星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/31(月) 12:14:13 ID:Vr9NYxgJ
しばしの沈黙。衛兵はどこからともなく現れた二人組の片方ーーー翠色の服を着た少女に目を奪われている。なにせ、それは人形だったからだ。
その衛兵の隣に突っ立っている赤黒くゴツゴツした鎧を身に纏った男は、目を血走らせながら憎悪を込めた表情でラムザを見下ろしている。

一方のラムザは、首を上に向けてるのが疲れたのか、正面に目を向けた状態で小指で鼻糞をほじっている。
そして突然その不審者によって沈黙が破られた。

?「…ふ、フンッ!お前のアホ毛頭にはとんだド腐れ脳しか入ってねーようだな!俺の名はアルガスだ!よく覚えときやがれ!」

ラムザ「あ、もう忘れた」

?「キィーーッ!なんかあの人間、超ムカつくです!おいクズ人間、やっちゃっていいですか?」

アルガス「どうやら俺たちの恐ろしさを分からせる必要がありそうだな!行くぞっ、翠星石!」

翠星石「はいですぅ!スィドリーム!」

うわっ、なんかキレて襲いかかってきたよ。おっかねぇ奴等だなぁ。つーか煽り耐性低過ぎるだろあの二人。まあいい、ちょうど準備運動をしようと思ってた所だ!

ラムザ「バッチコイヤァーーーー!」

衛兵「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃキコモリ!」
653星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/31(月) 12:46:09 ID:Vr9NYxgJ
ここゼルテニア城門前で、禿し…激しい戦闘の火蓋が切って落とされた。
あの二人は無謀にも城門上の足場から飛び降りた。アルガスは高低差無視のお陰かクールに着地し、
人形の方は器用にも木を生えさせて、そこから伝って降りるという技を見せつけた。

説明しよう!高低差無視とは、そのままの意味である!

ラムザ「やんのかオルアァァァァァ!」

僕は腰から聖剣エクスカリバーを引き抜き、ヘイスト状態でアルガスに斬りかかった。

説明しよう!聖剣エクスカリバーとは剣であり、ヘイストとは早送りである!

アルガス「遅いっ!暗の剣!」

アルガスは腰のヘボい剣を抜き様にその場で振り被った。するとラムザの上空から紅き光が灯された後、地面から剣が突き出してラムザの体を貫いた。

ラムザ「ぐほっ!ああっ、いい!ハアハア」

翠星石「世界樹のパワーを思い知りやがれですー!」

今度は人形が手にしたジョウロで地に水を注ぐと、そこから木が生えだして僕の体に絡みつき、縛っていく。

ラムザ「ウホッ!こっ、この感じ…最高にハイって奴だァーーーーーー!」

僕は不快感的な奴の余りに叫び声を上げた。するとどうだろうか、僕に力が湧いて来るッ!
654星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/31(月) 13:04:06 ID:Vr9NYxgJ
急に聞こえてきた叫び声に俺とした事がちょっとビビった。
俺の名はスネーク。今ゼルテニア城最上階へと辿り着いた所だ。しかし、ここで思わぬアクシデンツッが発生してしまった。
俺は通路のド真ん中で段ボールに身を隠していたのだが、ちょっとビクついたせいで近づいてきた新たなコスプレ兵どもに怪しまれたのだ!

兵士A「おい、なんだこの箱は?」

兵士B「ああ、これ異国の箱らしいぜ。全部紙でできてるとか。」

修道女「はうー!かぁいいよーっ!おっ持ち帰りぃーーー!」

兵士A「えっ何お前こんなの欲しいの?ハハッワロス。」

兵士B「マジで?じゃあ俺ら先行っとくから。」

修道女「うん、またねー!」

こいつはマズイ事になった。白のローブに身を包んだ女が俺のダンボに興味津々じゃねーか!クソッ、ここまできてこれかよ!
こうなったらやむを得ん、国王暗殺を諦めて、ここから脱出するしかない!俺はMK22のグリップに手をかけた。すると、予想外の展開が!

修道女「…久しぶりね、スネーク。」

スネーク「お前は…エヴァか?エヴァなのかッ?」

なんとそいつは修道女に扮したかつての仲間、エヴァだったのだ。
655星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/31(月) 14:41:12 ID:Vr9NYxgJ
エヴァ「ちょっと登場人物が多すぎな気がするけれど、私はすぐ消えるからよく聞いて。」

スネーク「おまっ…こんな所で何してんだ?コスプレごっこか?」

エヴァ「…国王は強いわ。ヘッドショットを狙っても一撃で倒せないくらいにね。つーかチートよ。以上。行って死んでこい。」

スネーク「忠告、ありがとうな。だが、俺はここで諦める訳にはいかねぇ。何としても奴を仕止めるんだ!」

そしてエヴァがコスプレの後を追ってどっか行った後、俺は再び動き出した。一歩一歩、慎重に。王室は目の前だっ…!……とその時!

ロイ『よう、スネーク。』

無線に通信が入ったのだ。またこいつか。カレーと間違えてウンコ喰ってろ。

スネーク「…今それ所じゃねぇってのは百も承知の上なんだろうな?」

ロイ『それがさー、ほら見ろよこの鞄!これってお前の探してた奴なんじゃね?』

スネークは思わず目を見開いた。最近の無線機はカメラで映像も映せるというちょっとテクった奴なんだが、今それの画面に映っているのは…

なんと、ロイの汚い顔面と例のあの取られた鞄ではないか!

スネーク「てめぇーっ!あいつから取り返したんだったらさっさと言えやボケが!」
656星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/08/31(月) 15:17:48 ID:Vr9NYxgJ
あいつとは、新型メタルギアの事である。
ロイはスネークの言葉をシカトしつつ、喜々とした汚ねぇ面でしゃべり続ける。

ロイ『実はこいつの中身、俺見ちまったんだよ!何が入ってたと思う?なあ?なあ?』

スネーク「ぐぅっ…欲望を持て余す!とっとと返しやがれ!お前にはあいつをくれてやる!」

あいつとは、金糸雀の事である。
しかしロイは鞄に手をかけて蓋を開け始めたのだ!

ロイ『…な?びっくりしただろ?ただの人形だぜハッハッハ!下らん!』

スネーク「Oh……!」

そこに映っているのはかの仮名みたいな酷い物ではなかった。
真っ赤なドレスに身を包んだ精巧な造りをした人形が入っていたのだ。スネークは欲求を持て余す。あの人形が欲しいぜ!

ロイ『おっ?なんかネジがあるぞ?…ちょっとウンコしてくる』

スネーク「幸運を」

スネークは激しく無線を切ると、今進んできた道と反対方向に足を向けた。今すぐ取り返してやる!
どうやらスネークには金糸雀も同じ造りの鞄にいた事は頭の中から消えていたらしい。いや、認めたくなかったから消したという所か。
とにかくロイが新メタルギアから奪取した鞄こそが俺の物と思い込んでいた。重症だ。
657名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/01(火) 21:43:52 ID:/rG+b19K
期待
658名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/02(水) 11:05:02 ID:5opu4tft
ワロスwwwwwww
659名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/05(土) 17:35:18 ID:O5fi8Bln
>>620と同じ作者なの?
印象が全然違う
660星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/09/06(日) 11:33:25 ID:YxMBPuDX
スネークはスピード重視で敵の目も気にせず走り続ける!もちろん敵に発見され、すぐに包囲されてしまった。

スネーク「ええい、そこをどけぃコスプレ共!」

兵士「貴様っ!あの時の侵入者だな!構わん、殺せっ!」

スネーク「ムウッ、多勢に無勢!こいつはヤバい!」

いよいよスネークが天国への切符を手にする時が来たと思ったその時、

「攻撃のワルツ!」

だか何だか知らない技名的なかけ声と共に、バイオリンの音色とその波動が床下から伝わり、瞬く間に兵士達を蹴散らしてしまった。ついでにスネークもモロ巻き込まれた。

スネーク「ゴフアアァァッ!」

流石のタフガイ、これしきの事ではまだ死なないようだ。上に吹っ飛ばされ、天井に激突した後、残った足場へと叩き付けられたスネーク。
そして床に開いた大穴から、何故か発生してる上昇気流に乗った、日傘を手にした何者かが姿を現したのだ!

金糸雀「スネちゃん!ご機嫌いかがかしら〜?」

スネーク「おお、仮名か!何か知らんけど助かった様な助かって無い様な感じだぞ!」

金糸雀「この策士に掛かれば、牢からの脱走なんて屁でも無かったかしら!」

あ、そういえば仮名を放置プレイしてたんだった。
661名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 11:39:06 ID:BqJoQh5y
保守。
662名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 11:45:11 ID:vHtCMPhk
「アリスゲームが終わったら」予告編投下から一年経過
未だ音沙汰なし
エロパロ板の「水晶の星空」の人と共同で書いてるらしいけど、そちらもだいぶ前から話がストップしてる
663名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/12(土) 13:57:19 ID:S2VgXkze
あれは一年じゃ無理そうだ
664名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/13(日) 23:16:01 ID:pRliKbt2
前作はそれはそれは壮大だった
665名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/15(火) 18:37:28 ID:10tYthTJ
スネちゃんで吹いたwww
666名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/20(日) 12:25:46 ID:TM2KJyWg
キムが出てくるとローゼンSSはつまらなくなる
667星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/09/20(日) 22:48:01 ID:YUqAIEHT
騎士道精神。

それは、決して敵に背中を向けてはならぬと云う事。多分。だが、私はその精神に反する行動を取ってしまったのだ。…こうなれば騎士失格だ。ニートだ。
私は愚かだった。あの少年ーーーいや人形を、見くびっていたのだ。所詮はガラクタだとナメきっていた自分が恥と思える。
私は戦いを続けるべきだったのだ。例え、勝敗が目に見えている戦いであっても。しかし、私はそれを放棄した。恐れていたのだ、彼の力を。フッ、情けんな。

しかし、あんなに強い奴だったとは…驚きだ。んん、まあ、仕方無いよなー、あんなのとタイジしたら誰だって逃げ出すよな。うん、しょうがない。


そんなこんなでゼルテニア城に向かって空中散歩している騎士は仮面を着けたごく普通の球体生物
強いて違うところをあげるとすれば顔がブサイクってとこかナーー
名前はメタナイト
そんなわけで通り道にある城下町の酒場にやってきたのだ

ふと見るとイスに一人の球体生物が座っていた

ウホッ!星の戦士…



カービィ「ポポヨ」
なんか用か?

メタナイト「生憎だが、私も久しぶりぶりに呑みたい気分でな」

カービィ「ペッ」
勝手にしろ
668星のメタルタクティクス 薔薇戦争:2009/09/22(火) 13:22:58 ID:WxMLPxUm
店主「へいらっしゃい!何を飲むかい?」

メタナイト「ミルクを頼む」

店主「うっ…ふぅ、へいおまち!」

私は隣に座る星の戦士を見やる。…左手にどでかい薔薇の…指輪?が付いている。フム、成る程。呑みたい気持ちも分かる。
私は出されたミルクを仰いだ。…苦ッ

カービィ「ウィー、ヒック」
悪いが、決闘はキャンセルだ

メタナイト「…そうか。まあ、貴様の気持ちも分からなくはない」

メタナイト「だが駄目だ」

カービィ「ンダトゴルァ」
…何故だ?

メタナイト「敵に背を向けるなど、騎士道精神に反するだろう!貴様は奇しくも星の戦士!逃げる事は許されんのだ!」

カービィ「ウルセッ、チビ」
お前は逃げた癖にか?

メタナイト「ッ、何故それを?」

カービィ「グップェェ」
お前が呑みに来るときゃ大抵そうだったからな

メタナイト「…フン、だが駄目だ。決闘は明日!あの小僧も連れてこい!さらばだ星の戦士よ!」

カービィ「ブペッ?」
えっ、サラダ?
669名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/24(木) 19:30:42 ID:IC7B5NJA
この間カービィとローゼンのAAを見た
670名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/27(日) 09:30:08 ID:y5cvG8FB
保守
671名無しさん@お腹いっぱい。:2009/09/30(水) 23:12:30 ID:G91ZK78y
支援
672決着!ローズテイル百連発:2009/10/02(金) 22:51:46 ID:hj+VKd++
(雪華綺晶の身体に一枚の薔薇の花弁が落ちる)
雪華綺晶「何? 今の…。」
(さらに何枚もの花弁が次々雪華綺晶に落ちてくる)
雪華綺晶「薔薇の花弁?」
(今度はまるで大雨のごとく大量の花弁が雪華綺晶のみならず辺り一面に降り注いで行く)
翠星石「薔薇の花弁があんなに!」
雪華綺晶「これは…どういう事?」
真紅「そんなの決まっているでしょう?」
雪華綺晶「この声は……真紅?」
真紅「いい!? よく聞きなさい! これからその薔薇の花弁で、貴女にトドメを刺してあげる!
   見なさい! 貴女の倒したドール達を! これこそ能あるタカは薔薇を隠す!」
(辺り一面に倒れているドールの残骸の中から薔薇の花弁が次々に現れ飛び上がって行く)
雪華綺晶「貴女馬鹿なの!?」
(雪華綺晶、白薔薇の嵐で薔薇の花弁を吹飛ばそうとする)
水銀燈「そうは行かないわよぉ!」
(水銀燈の翼の羽ばたきによって逆に白薔薇が吹飛ばされる)
雪華綺晶「わああー!」
水銀燈「行きなさい! 真紅ー!」
真紅「行くわ! ローズテイル!! 百連発ー!!」
(どう見ても百どころか万単位ありそうな数の薔薇の花弁が次々に雪華綺晶に襲い掛かりその全身に打ち付けられて行く)
雪華綺晶「え!? あ!? ええ!?」
真紅「行きなさい! お腹よ! 背中よ! 脚よぉ!!」
(大量の薔薇の花弁が雪華綺晶の腹・背・脚に撃ち当てられその身体が持ち上げられて行く)
雪華綺晶「こんな物で…こんな物で私をぉぉぉ!!」
真紅「来なさい! 皆!」
(大量の薔薇の花弁が真紅の下に戻り、一つの巨大な薔薇の花を形成して行く)
雪華綺晶「何をする気!? やめて! やめて! やめてぇぇぇ!!」
(巨大な薔薇の花弁が真紅を乗せて雪華綺晶目掛け飛んで行き、雪華綺晶を吹飛ばす)
真紅「よぉぉしトドメよ! ローゼンメイデン第五ドール真紅の名の下に! 絆パァァァァァンチィィィィ!!」
(真紅の絆パンチが雪華綺晶の顔面に打ちつけられる)
JUM「やったぁ!!」
673名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/04(日) 23:45:42 ID:KX7Hfg6P
顔はやめてー
674名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/07(水) 23:38:47 ID:D1JovNbM
675名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/10(土) 01:31:02 ID:5H0Iynyu
誰か投下して
676名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 13:31:41 ID:/Sy+x9g2
>>675
カービィのが終わってないんじゃね?
677名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 18:12:13 ID:QR2rzCDl
割り込みはOKの筈
だから誰か
678名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/11(日) 20:20:31 ID:jCqiiGV8
自分で書いてみるってのはどうかな?
679名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/14(水) 22:22:07 ID:SMYZsafv
いろいろ未完
680名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/16(金) 22:36:19 ID:4DQsbhG5
最近ローゼン見初めてクロス小説も見始めたんだがからくりサーカスとのクロス
ないのに一番驚いた。
一番からめやすそうなだけに驚いた。
681名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/17(土) 14:16:42 ID:7PLqyDF9
後継スレ

【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 10【一般】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1255756428/
682名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/17(土) 18:51:53 ID:ZULBVRF8
埋める?
683名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/17(土) 21:49:17 ID:P65H+YHw
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684名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/18(日) 10:26:48 ID:tHPZ3IyA
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685名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/18(日) 17:52:54 ID:GzxyzmhB
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            i i i))ハ i 笊ハ从 /笊心ヽ) ////((〈
            i i i( /从} ヒツ ヽ′ヒツ /(笏)//ノ.ハ
            i i i 《〈ト}ゝ.''  _   '' .ィ爪//厂V/ ハ
            i i i 〔二ユ i'⌒Yr笏Y⌒i〔二ユ′ V/ ハ
            i i i {ニノ::ヽ.ノゞrrヘ.ノ:::{ニコ    V/ ハ
            / / /  >ヘ::::::::::く._从._ノ::::::::`弓厂`ヽ V/ ハ
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埋め。
686名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/18(日) 17:54:08 ID:GzxyzmhB
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      |                  |
      `ー=========一´

埋め。
687名無しさん@お腹いっぱい。:2009/10/18(日) 17:54:52 ID:GzxyzmhB
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         「 ̄\|\_;/ ∧マエエエエフく :_|:__;>|   .  ´/⌒¨¨´
        |f⌒ヽハx__/_/エム,> ̄ ̄ ̄ _,x〜'レ ´ /
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埋め。
688名無しさん@お腹いっぱい。
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          /xぅfぅe / \I  /´d  d、j{¨¨¨’
          〃 {人 Yねミx,乂 /ねミx、}  jハ
            乂(( 人V.:り     ヒ:り从  ノ}ミぅ
.           うー=彡ぅー==≡=ぇ:.,,_メ-=彡辷う
.           う '´          rf/¨'ーヾ=う
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