アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ16

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1名無しさん@お腹いっぱい。
このスレはアニメキャラ・バトルロワイアル2ndの作品投下スレです。
基本的に、SSの投下のみをここで行ってください。

前スレ
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ15
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1207660456
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ14
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1205323883
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ13
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1204017211
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ12
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1202475356
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ11
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1199094345
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ10
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197690706
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ9
ttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1195822039
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ8
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1194537782
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ7
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1193746998/
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ5(実質6)
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1193324421/
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ4
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1192195953/
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1191637331/
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ2
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190647837/
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ1
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1190383751/
避難所
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd part0-1
ttp://anime2.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1187538018/l50


投下作品についての感想、雑談、議論その他モロモロは以下のしたらばにて行ってください。

アニメキャラ・バトルロワイアル・セカンド 専用掲示板(したらば)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9783/
感想雑談スレ(上記したらば内)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9783/1190297542/l50
予約専用スレ(同上)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9783/1190297091/l50

アニロワ2ndまとめwiki
http://www40.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/1.html
ツチダマ掲示板 (ID表示の議論スレ有り)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/6346/
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd毒吐きスレ・別館4 (ID非表示の毒吐きスレ)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1201093544/
※毒吐きスレ内での意見は、基本的に無視・スルーが鉄則。毒吐きでの話を他所へ持ち出さないように!


テンプレは>>2-8辺りに
2名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:02:48 ID:xVPinQLm
参加者リスト・(作中での基本支給品の『名簿』には作品別でなく50音順に記載されています)
1/7【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
●スバル・ナカジマ/●ティアナ・ランスター/●エリオ・モンディアル/●キャロ・ル・ルシエ/●八神はやて/○シャマル/●クアットロ
0/6【BACCANO バッカーノ!】
●アイザック・ディアン/●ミリア・ハーヴァント/●ジャグジー・スプロット/●ラッド・ルッソ/●チェスワフ・メイエル/●クレア・スタンフィールド
2/6【Fate/stay night】
●衛宮士郎/●イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/●ランサー/●間桐慎二/○ギルガメッシュ/○言峰綺礼
1/6【コードギアス 反逆のルルーシュ】
○ルルーシュ・ランペルージ/●枢木スザク/●カレン・シュタットフェルト/●ジェレミア・ゴットバルト/●ロイド・アスプルンド/●マオ
1/6【鋼の錬金術師】
●エドワード・エルリック/●アルフォンス・エルリック/●ロイ・マスタング/●リザ・ホークアイ/○スカー(傷の男)/●マース・ヒューズ
3/5【天元突破グレンラガン】
●シモン/○カミナ/●ヨーコ/○ニア/○ヴィラル
2/4【カウボーイビバップ】
○スパイク・スピーゲル/●ジェット・ブラック/●エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世/●ヴィシャス
2/4【らき☆すた】
●泉こなた/○柊かがみ/●柊つかさ/○小早川ゆたか
2/4【機動武闘伝Gガンダム】
○ドモン・カッシュ/○東方不敗/●シュバルツ・ブルーダー/●アレンビー・ビアズリー
1/4【金田一少年の事件簿】
●金田一一/●剣持勇/○明智健悟/●高遠遙一
3/4【金色のガッシュベル!!】
○ガッシュ・ベル/○高嶺清麿/●パルコ・フォルゴレ/○ビクトリーム
1/4【天空の城ラピュタ】
●パズー/○リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ/●ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ/●ドーラ
3/4【舞-HiME】
○鴇羽舞衣/●玖我なつき/○藤乃静留/○結城奈緒
1/3【R.O.D(シリーズ)】
●アニタ・キング/●読子・リードマン/○菫川ねねね
0/3【サイボーグクロちゃん】
●クロ/●ミー/●マタタビ
0/3【さよなら絶望先生】
●糸色望/●風浦可符香/●木津千里
1/3【ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
●神行太保・戴宗/●衝撃のアルベルト/●素晴らしきヒィッツカラルド
2/2【トライガン】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド
1/2【宇宙の騎士テッカマンブレード】
○Dボゥイ/●相羽シンヤ
1/2【王ドロボウJING】
○ジン/●キール
【残り26名】
3名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:03:34 ID:N2mz/bVP
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
 優勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 また、優勝の特典として「巨万の富」「不老不死」「死者の蘇生」などのありとあらゆる願いを叶えられるという話だが……?
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。主催者の手によってか何らかの細工が施されており、明らかに容量オーバーな物でも入るようになっている。四●元ディパック。
 「地図」 → MAPと、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。【舞台】に挙げられているのと同じ物。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。肝心の食料の内容は…書き手さんによってのお楽しみ。SS間で多少のブレが出ても構わないかと。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。ちなみにアイウエオ順で掲載。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。
【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。
【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。
【舞台】
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/f3/304c83c193c5ec4e35ed8990495f817f.jpg
【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24
4名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:03:44 ID:xVPinQLm
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
 優勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 また、優勝の特典として「巨万の富」「不老不死」「死者の蘇生」などのありとあらゆる願いを叶えられるという話だが……?
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。主催者の手によってか何らかの細工が施されており、明らかに容量オーバーな物でも入るようになっている。四●元ディパック。
 「地図」 → MAPと、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。【舞台】に挙げられているのと同じ物。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。肝心の食料の内容は…書き手さんによってのお楽しみ。SS間で多少のブレが出ても構わないかと。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。ちなみにアイウエオ順で掲載。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。
【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。
【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。
【舞台】
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/f3/304c83c193c5ec4e35ed8990495f817f.jpg
【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 日中:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24
5名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:03:58 ID:N2mz/bVP
【書き手の注意点】

トリップ必須。荒らしや騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付け、>>1の予約スレにトリップ付きで書き込んだ後投下をお願いします
無理して体を壊さない。
残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。

完結に向けて決してあきらめない
書き手の心得その1(心構え)

この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。

みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの仮投下スレにうpしてください。
自信がなかったら先に仮投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
本スレにUPされてない仮投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。

巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
叩かれても泣かない。
来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:04:31 ID:xVPinQLm
【書き手の注意点】

トリップ必須。荒らしや騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付け、>>1の予約スレにトリップ付きで書き込んだ後投下をお願いします
無理して体を壊さない。
残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。

完結に向けて決してあきらめない
書き手の心得その1(心構え)

この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。

みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの仮投下スレにうpしてください。
自信がなかったら先に仮投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
本スレにUPされてない仮投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。

巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
叩かれても泣かない。
来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:04:44 ID:N2mz/bVP
※※※※※※※※※※※※注意※※※※※※※※※※※※※※※

このバトルロワイアルという形で行われている企画みたいなもの(>>2-8)は
実際に2chで行われているバトルロワイアルとはまったく別のものです。
彼等の企画(以下したらばでの企画)に関してはアニメサロンに移転が決まっております。

彼等は2ch上で議論ができなかったために外部掲示板に逃げた逃亡組であり(※1)
いうなれば荒らしに相当します。
アニキャラ総合板で行われる正式なバトルロワイアルは現在このスレッド上で
討議中ですので奮ってご参加ください(※2)

ーーーーーーーーーーー(Q&A)ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここに投下された偽SSはどうしますか?

全て削除依頼を出してください。また、出していいという話し合いもついております
(4スレ目参照)

ここはSS企画を行うスレなのですか?

そういう話はありません。ただ、『何故か』バトルロワイアルはSS形式でなければならないという
固定概念にとらわれた妙な人たちはいますが、このスレの住人ではありません。
8名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:05:19 ID:N2mz/bVP
・GとかCというのは実在するのですか?

わかりません。
ただ、特にGに関しては、彼等がGの本拠地と言っているLeaf・Key板ですら、
Gといわれている人間のほとんどはしたらばの交流所から出た憶測でしかないという話です

したらばの行いがあまりにむごいために、反感を持つ人間が多いのは事実です。
したらばは、彼等にはむかった人間全てをGやCという一人の人間の単独犯にしたいようですが
結局はただの憶測であり、証拠が挙がっておりません。

はむかえば全てGとかCとかアンチと呼ばれます。気にしないようにしましょう
また、通称dionと呼ばれる、反・したらばバトルロワイアル陣営を全て敵視する変な人が
削除議論板などで暴れています。

彼等は2chの企画なのに2ch上で企画内容を話し合うのは荒らしという奇妙な論理で
削除依頼を出してきます。
ただ企画を行うのは2chであるので、2ch上で企画を話すのは当然のことです。
それを彼は許さないといきまいているのです。

彼等は2chでは必ず荒らしがでるから(Gが出るから)2chでは話せないといってますが
しかし、荒らされたというログは存在しません。
あるのはただの議論ログであり、彼等が荒らされたという間のログを見ても
話し合いが平穏に行われています。(彼等に対して「荒らされたときのログを出せ」と
何人かが要求してますが、なしのつぶてです。実在しないのだから出せないのでしょう)

つまり、したらばが言う「荒らされた」というのは、ただの被害妄想、いいがかりに過ぎないのです。
彼等の言う「荒らし」はいうなれば「Dionやその一派に歯向かった人間」の総称です。
まず気にしない事が一番です。が、たまに削除議論板で彼が暴れるのでたまに運営板などの
監視を行ってください。

現在、テンプレ議論が進行中です
9名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:05:39 ID:N2mz/bVP
ちなみに※1、※2はしたらばの管理人が付け加えたものですが、

>※1 これは議論スレがギャグの人に乗っ取られたためしたらばで話さざるをえなかったため。

とほざいてますが、そんなことはまず物理的にありえません。
彼等らギャグの人は一人だと仰っています。つまりこの話をそのまま通すと
書き手も住人もたくさんいる(彼等の言い分曰く)がいるのに
たった一人に乗っ取られたとそういうことになるわけです。

ありえるかどうかは、少し考えてみればわかることです。
(逆視点から見ると、『たった一人の住人?にボロボロにあらされるような企画』だと
 自分達が言ってるようなものですが・・・)


>※2 乱立しているキャプテンのお気に入りの作品ばかりを入れたロワの事。もちろん嘘なので
善良なロワ住人は騙されないようにして欲しい。

と叫んでいますが、そもそも自分から「善良な」と言い出す時点で

結論だけで言ってしまえば、ほんのわずかな、しかもあらされたというログすら出せないような
矮小な事実だけを針小棒大に騒ぎ立てて自分達の勝手気ままに動かしたいという意図だけしか
みえませんです。



以上警告テンプレ終了
10名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:06:56 ID:N2mz/bVP
書き手の心得その2(実際に書いてみる)

…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。

適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。

かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
人物背景はできるだけ把握しておく事。
過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。

一人称と三人称は区別してください。
ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。

フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)

経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。

キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。

キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
 本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。

『展開のための展開』はNG
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。

書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
 紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効。
 携帯からPCに変えるだけでも違います。
11名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:07:28 ID:xVPinQLm
【読み手の心得】

好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
荒らしは透明あぼーん推奨。
批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。

擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。

嫌な気分になったら、「ベリーメロン〜私の心を掴んだ良いメロン〜」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
 やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
 冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。

感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
 丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。

ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
【議論の時の心得】

このスレでは基本的に作品投下のみを行ってください。 作品についての感想、雑談、議論は基本的にしたらばへ。
作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。

『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
  強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』

これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
【禁止事項】

一度死亡が確定したキャラの復活
大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては議論スレで審議の対象。

時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。

話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。
12名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:07:34 ID:N2mz/bVP
【読み手の心得】

好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
荒らしは透明あぼーん推奨。
批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。

擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。

嫌な気分になったら、「ベリーメロン〜私の心を掴んだ良いメロン〜」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
 やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
 冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。

感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
 丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。

ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
【議論の時の心得】

このスレでは基本的に作品投下のみを行ってください。 作品についての感想、雑談、議論は基本的にしたらばへ。
作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。

『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
  強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』

これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
【禁止事項】

一度死亡が確定したキャラの復活
大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては議論スレで審議の対象。

時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。

話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

13名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:07:57 ID:N2mz/bVP
【NGについて】

修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
NG協議・議論は全てしたらばで行う。2chスレでは基本的に議論行わないでください。
協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』
NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。



上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×



批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。

書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。
【予約に関してのルール】(基本的にアニロワ1stと同様です)

したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行う
初トリップでの作品の投下の場合は予約必須
予約期間は基本的に三日。ですが、フラグ管理等が複雑化してくる中盤以降は五日程度に延びる予定です。
予約時間延長を申請する場合はその旨を雑談スレで報告
申請する権利を持つのは「過去に3作以上の作品が”採用された”」書き手
【主催者や能力制限、支給禁止アイテムなどについて】
まとめwikiを参照のこと
http://www40.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/1.html
14名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:08:57 ID:N2mz/bVP
現在、この企画には二名の粘着荒らしが確認されています。(通称・CとG)
その内の一人、Cの詳しい来歴などは以下を参照の事。
2chパロロワ事典@Wiki‐キャプテン
http://www11.atwiki.jp/row/pages/203.html



また、単発IDで「ふーん」「あっそう」「つまらない」「どうでもいい」などの1行煽りレスや、
他スレや外部の毒吐き掲示板からのコピペを延々と繰り返す粘着荒らしがGと呼ばれています。
これらの人物には構うだけ無駄ですので、レスなどはせずにスルーしておきましょう。



荒らしが出たら?                 → スルーしましょう
C・G本人や、C・Gっぽい人、を見かけたら?     → スルーしましょう
どうしてもそいつらにレスしたくなったら?     → 毒吐き若しくはC・G観測所に書き込みましょう
吊られるやつは荒らしと同レベル。スルーしましょう
吊られる奴を叩くのも吊られた奴と同レベル、スルーしましょう。
荒らしレス〜吊られレス、その一連のレス塊をまとめてスルーしましょう。


※専ブラの御利用を強く強くお奨めします。



関連リンク
アニロワ毒吐き所(ツチダマ掲示板)http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/6346/1188116040/l50
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd毒吐きスレ・別館4 (ID非表示の毒吐きスレ) ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1201093544/
C観測所 http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/4651/1170582458/l50
G観測所 http://tmp6.2ch.net/test/read.cgi/tubo/1184658777/l50
15名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:10:11 ID:N2mz/bVP
以上、テンプレ終わり。
>>7-9は荒らしのコピペをそのまま写してしまったので無視してください。
一息の間。未だゆたかは口を開こうともしない。
もはや、こちらの台詞など耳に入っていないのだろうか。それとも意識を失っているのか。
だが、未だフォーグラーは空へと飛び立つ事はない。


『私が…………何故、こんな事をしたのか……ですか?』


ついに、沈黙を保っていたゆたかの声がフォーグラーから発せられた。


「はい。ソレを私は知りたいのです」
『認められた……ような、気がしたからです』
「認め……られた?」
『……私の、役割ってなんなんでしょうか。
 だって戦う事も、考える事も、何かを作り出す事も私には出来ません。
 ずっと私の手の中にあったコアドリルも……私には応えてくれませんでした。
 凄く……辛いんです。凄く、苦しいんです。
 誰からも必要とされてない、守られているだけの無力な存在……そんなの……そんなの……耐えられません!』


ゆたかの言葉はつまり、明智達のグループの方針としての衝突であった。
彼らの集団は人間一人一人が独立して個々の役割(ロール)に専念し、好ましい状況を造り上げようとした。
当然、既に死亡したイリヤや士郎に関してもそれぞれの仕事があり、一つの共同体を結成していたのだ。

(これは……つまり、私の配分ミス、という事……なのでしょうね。
 自分に出来る事を自ら探し出して遂行する……簡単なようで非常に難しい行為です。
 彼女の中で二つの気持ちが鬩ぎ合っていた。"誰かに依存したい"という心、そして"自立して何かをやり遂げたい"という心。
 私達の彼女を守りたいと思う意志が……逆に彼女を傷付けていた……!)

ゆたかには何もなかった。
ゆたかは何も求められなかった。
それは小さく、か弱い彼女に遠慮し気遣っている部分があったのかもしれない。
が、それは同時に――ゆたかから可能性を奪ってしまう事でもあったのだ。

17名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:11:55 ID:xVPinQLm
 
18名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:11:56 ID:k4s0OnOB
19名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:12:15 ID:udElzyE6
『皆さんの優しさが……暖かい気持ちが……辛いんです。
 だって皆、凄く良い人だから……尊敬出来る、本当に凄い人ばかりだからっ!!
 私は…………皆さんを責める事なんて出来ません。出来る訳がありません。
 だっていらないのは、私だけなんですからっ!!』


重力が空間を支配する。
明智は理解した。
自らが自身に課した役割――ゆたかの説得、に失敗したという事を。


いや、それはこの場における明智の対応の問題ではなかった。
歯車はとうの昔から歪み切っていたのだ。
彼女を照らす太陽は、気がつけば暗い空の向こうに沈んでしまった。



「ゆたかさんっ!! 信じてください!! 私を、高嶺君を、菫川先生を!!
 あなたは強い人間だ! そんな風に自分を卑下する必要はこれっぽちもないんです!! だから――」
『その優しさが私には一番辛いんですっ!!!!』
「ゆたかさ――――ッ!!」


そして、世界が崩壊する。


黒色の廊下はバラバラと剥がれ落ち、超圧的な重力の海に沈んで行く。
周囲の土壁もまるで粘土細工のように拉げ陥没していく。
刑務所のコンクリートの床も、壁も何もかもが押し潰されていく。

ならば、この空間に人間が存在した場合はどうなるだろうか。

生き残る事など出来る筈がない。
もはや、人が人としてその生命を維持可能な段階など超越してしまっている。
矮小な虫すら残さない徹底的なまでの死の洪水が降り掛かる。

21名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:12:16 ID:JYUeMKk3
 
22名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:12:41 ID:YXFnD6NS
 
23名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:12:47 ID:awmmorwD
  
24名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:12:48 ID:ZeBny/oK
25名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:13:00 ID:v2Zhfine
26名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:13:00 ID:xVPinQLm
 
27名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:13:12 ID:k4s0OnOB
28名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:13:32 ID:ZeBny/oK
(願わくば――彼らの進む未来に……幸があらんことを)



眼を疑うような速度で襲来する、衝撃波のような重力の海に抱かれ――明智健悟の命は尽きた。
清麿を、ねねねを、そしてゆたかを救うために男は全力を賭した。

男の行動は確かに清麿達が脱出するための時間を稼ぎ、二人を生かす事に成功した。
彼の言葉は世界に絶望した少女に届いたのだろうか。
仲間を想う彼の気持ちに偽りはなく、清麿に託された願いが形を変え再度ゆたかの凍り付いた心を溶かす……そんな未来は来るのか。


彼は結局、螺旋王へと至る道を完全に解き明かす事は出来なかった。
しかし、その心は彼の仲間達に引き継がれ、決して消える事はないだろう。

最後まで明智は戦い続けた。その事実が揺らぐ事はないのだから。






明智健悟の耽美なるバトルロワイアル――これにて、閉幕。




【明智健悟@金田一少年の事件簿 死亡】


            ▽
            
30名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:13:42 ID:k4s0OnOB
 
31名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:13:59 ID:YXFnD6NS
   
32名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:14:09 ID:awmmorwD
 
刑務所上空。
ドリルで前方の物体を全て破壊した二人の乗るラガンは緑色の光をジェット噴射のようにしながら、脱出に成功していた。


「明智さん……ッ!!!!!」


清麿の持つ携帯電話は首輪の反応を察知し、それを光点として映し出す道具だ。
故に首輪をしていない人間を判別する事は出来ない。
同時に『首輪が破壊された場合』もその存在を感知する事は出来なくなる。

そして――明智健悟の首輪の反応は、今消滅した。

(馬鹿が……帰って来るんじゃなかったのか……?)

ねねねは操縦桿を握り締めながら、己の中に渦巻く不快な感情と戦っていた。

自分達を逃がすために犠牲になった明智がムカつく。
清麿が明智を救いに行こう!と言い出した時、そうしなかった自分がムカつく。
その場の状況を冷静に判断して『大人』な対応を取った自分に対して何よりも腹が立って仕方がない。

確かにその選択は大正解だったと言えるだろう。
間一髪だった。あと少しタイミングが潰れていたら、刑務所の崩壊に巻き込まれていた事だろう。
あそこで明智の所へ行ってた場合、100%間に合わなかった――確信出来る。

そして、もう一つの問題はゆたかだ。
廃墟と化した刑務所から出現した妙な黒点、大怪球フォーグラーに乗り込んでいる人間はアイツだけだ。
自暴自棄……清麿の言葉を借りれば、それで終わる。
『自分に出来る事をやれ』そう彼女に助言した自分が間違っていたのだろうか。……分からない。

が、今最も優先すべき問題と言えば、



「おい清麿」
「…………なんです」
「操縦、代われ」
「どうしてですか?」
「……エネルギー切れだ。ロボットが動かん」
「はぁっ!?」


全力を出し過ぎた故のロボットの墜落、である。

34名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:14:44 ID:xVPinQLm
 
35名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:14:45 ID:k4s0OnOB
 
36名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:15:06 ID:ZeBny/oK
37名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:15:24 ID:xVPinQLm
 
ゆたかが持っていた筈のコアドリルがこのマシンに刺さっていた……そして、私がソレを回したら動いた。それだけの話だ。
メーターを見る。螺旋を描いている。ゲージがもうない。
おそらく、このロボットは螺旋力を原動力にして動くように出来ているのだ。
一応自分も明智に言わせれば覚醒者、であるらしいし。


「ちょ、ちょっと待ってください!? え、だって俺は螺旋力には……!」
「根性だ、根性! なんなら今すぐ覚醒しろ!」
「む、無茶言わないでくだ――ああああああああああああっ!!」


一転、落下していくラガンの中でねねねは思う。

まぁ、とりあえずまたしても問題は山済みだ。
ゆたかも、明智の死も自分達は受け入れていかなければならない。
それ所か責任は重大過ぎるってもんだ。

フォーグラーが飛んで行っちまったって事は、アンチ・シズマ管はどうすればいいんだ?
螺旋力の解析やら、首輪の問題は?
そういえばスカーは何処に行った?

分からない事ばかりだ。先行きが不安にも程がある。
だが、

「おい清麿」
「な、なんですか今度は!? い、今は……!」
「――私の本を読め」
「はぁっ!?」

操縦桿にしがみ付いている清麿に、ようやく書き上がった本を読んで貰いたい――それだけは確かだ。
ああ、そうそう……一つ言い忘れてた。






あばよ明智。




            ▽

39名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:15:53 ID:YXFnD6NS
  
40名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:15:57 ID:ZeBny/oK
41名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:16:16 ID:xVPinQLm
 
42名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:16:24 ID:v2Zhfine
43名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:16:33 ID:ZeBny/oK
44名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:16:41 ID:k4s0OnOB
 
45名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:16:46 ID:awmmorwD
 
46名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:17:12 ID:YXFnD6NS
 
47名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:17:14 ID:RX33ub3A
 
48名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:17:26 ID:k4s0OnOB
 
星、とは晴れた夜空に光り輝く恒星の総称である。
小さな煌きであれ、少なくともその大きさは最も身近な恒星である太陽よりも勝っている者が多く在る。

星の色はより若い星であればあるほど白く、寿命が尽きつつ星は赤く見える。
一般的に前者を白色矮星、後者を赤色巨星と呼ぶ。    
つまり星の色は白から赤へと変わっていく事になる。
が、天かける夜空を漆黒の画板と想定するならば、少なくとも微かな光では我々の眼には付き難い。

この螺旋王の造りし世界にも一つだけ、"太陽に似た"エネルギー体が存在する。
そのあまりにも尊く、綺羅星のような輝きを放つ光球こそが、64のエリアに区切られた空間を見下ろす唯一の存在だった。

ほんの、数分前までは。


    
全長300m、総重量五百万tにも及ぶ超巨大ロボット。
その小さな衛星にすら匹敵する巨体を重力制御によって運用。
また、起動時には周囲数百メートルの大地を重力場によって崩壊させる。

初めから誰かが動かす事を螺旋王は念頭において、この地へ黒色の機械神を遣わしたのだろうか。
地下エレベーターへと至る鍵が、とあるか弱き少女に支給された小さなドリルであった事に意味はあったのだろうか。
今となっては誰にも分からない。いや、理解する必要すらないのかもしれない。

唯一つ残された者に突きつけられた残酷な現実。
それは悪魔の因果律によって導かれた少女は希望の象徴たる赤い機体ではなく、この黒き太陽を選択した事。
そのただ一点のみなのだから。


天才科学者フォーグラー博士によって造られた破壊と殺戮と略奪の化身。  
星と見間違うほどの規格外の大きさ。
中央に位置するマグマのように赤い眼。


地球を静止させる神如き機械――――大怪球フォーグラーが産声を上げた。


そうだ。一人の全てに絶望した少女の手によって起動される、そのほんの一瞬まで――


この地に、太陽は一つだけしかなかった。





「わたしは…………」


輝きを失った少女の手に希望はなく、絶望の螺旋だけがその心を取り囲む。
彼女が何を思うのか。その瞳は何を移すのか。


それを知りたいのは――――誰よりも彼女自身なのだから。




【???/大怪球フォーグラー メインルーム・上空/二日目/黎明】
            
50名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:18:07 ID:YXFnD6NS
  
51名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:18:16 ID:k4s0OnOB
 
52名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:18:36 ID:v2Zhfine
53名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:18:53 ID:awmmorwD
  
【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]:発熱(中)、疲労(大)、心労(極大)、絶望、螺旋力覚醒
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:何をして、何をしてはいけないのか分からない。
1:みんなに優しくされるのが辛い
2:自分が無力なことが辛い
3:生きているのが辛い
4:死ぬのは怖い

[備考]
※自分が螺旋力に覚醒したのではないかと疑っています。
※精神状態が著しく鬱屈した方向に向かったため、螺旋力を発揮することが出来ません。 
※状況を理解していなかったため、明智を殺してしまったことは気付いていません。よく状況を考えれば思い出す可能性も……?
※刑務所を中心とした半径数百メートルは崩壊。
※フォーグラーがどの方向へ飛んでいったのかは次の書き手の方にお任せします。


【大怪球フォーグラー@ジャイアントロボ-地球が静止した日-】
全長300m、総重量500万tにも及ぶ、超巨大ロボット。
重力場を制御し飛行する事によって移動する。

武装は中央の赤い眼から発射される重力レンズ砲と表面から発射される各種レーザーアームとアンチ・シズマ・フィールド。
アンチシズマフィールドは操縦者がONとOFFを切り替える事が可能。
が、このフォーグラーにはアンチ・シズマ管が一本も装填されていないため、エネルギー静止現象を起こす事は出来ない。
今回の起動は事前に十分なエネルギーが供給されていたため。
巨大ロボットの例に漏れず大幅なオートメーションが進んでいるため、簡単な操作で操作可能。
 

            ▽

55名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:19:14 ID:xVPinQLm
 
56名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:19:27 ID:ZeBny/oK
57名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:19:41 ID:k4s0OnOB
 
58名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:20:05 ID:k4s0OnOB
 
視界に光が灯った。


――生き、ている?


右手は動く。左手も足の指先も何もかもだ。
が、視界は未だ明けない。これはつまり暗い部屋の中に自身がいる、という事の裏付けなのかもしれない。
……部屋? どうして屋内にいるのだ?
おかしい。なぜなら自分はつい先程、地割れに巻き込まれた筈では――


「……グッ!! な……ここは……!?」


気絶していた少年――ルルーシュが意識を取り戻したのは、黴臭い平屋の床板の上だった。
身体の何処にも不備は感じられなかった。
確かに五体満足である。
せいぜい、もはや馴染みのモノとなった頭痛程度だろうか。
内側から来る痛み――ギアスを使った代償――と、何故か妙に痛む後頭部。……後頭部?

(俺は、あの後……刑務所が崩壊した後、どうなったんだ? 割れた地面に足を取られ、そして……?
 いや、それ以上にまずは状況の分析か。誰かの手によってここまで運ばれて来た事は明白。荷物は――くっ!?)

当然の如く、ルルーシュのデイパックは何処にも見当たらなかった。
自分を鹵獲した者が持っているのだろう。荷物の中には拳銃もあった筈だ。
こちらをどう扱うつもりにしろ、武器を没収しておくのはあまりにも自然な対処法である。

「ようやく、お目覚めか」
「な……貴様ッ!?」

キィ、と扉を軋ませながら、手にランタンを持った男が部屋へと入って来る。
室内が暖かい光で満たされる。辺り一面に埃が積もり、四隅には蜘蛛の巣が張っている。
明らかに放逐された廃屋である。だが、そんな周囲の状況など、ルルーシュにとっては問題ではなかった。
60名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:20:12 ID:v2Zhfine
61名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:20:23 ID:xVPinQLm
 
62名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:20:31 ID:k4s0OnOB
 
63名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:20:44 ID:YXFnD6NS
   
64名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:20:45 ID:RX33ub3A
 
65名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:20:54 ID:ZeBny/oK
66名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:20:59 ID:v2Zhfine
67名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:21:11 ID:xVPinQLm
 

「ヴィラル……か?」
「地面に足を取られ、後頭部を地面にぶつけ脳震盪によって気絶……まさか、あれほど容易く意識を失うとは。軟弱にも程がある」
「な、何故、俺を……!! しかも貴様はこの時間までに一人、参加者の首を上げなければいかん筈だ!!
 俺を助ける理由が何処にあるっ!?」

ルルーシュはそのあまりにも予想外な人物の登場に驚きを隠せない。
ヴィラル――白か黒かで分類すれば、明らかな黒。
螺旋王の命令を受けて、人間減らしに苦心する奴隷であった。

「貴様に、頼みたい事がある」
「なに…………?」

扉の所に立っていたヴィラルが民家の床板をミシ、ミシ、と軋ませながらルルーシュに接近して来る。
その右手には明らかに数度敵と打ち合った痕跡の残る鉈。
銀の光沢がルルーシュの首を断ち切らんとばかりにその存在を誇示する。


(なるほど……意識を無くしている時の奇襲、ではなく死に際の叫び声を聞くのがお望みと言う訳か……!
 やはり、人語を介するとはいえ、所詮は獣。その習性は酷く浅ましくも卑しい。
 ここまで……!? いや、待てギアスはどうだ……!? クッ、未だこの暗闇で目が慣れていない……だと!
 しかも奴は少なくとも『俺の眼になんらかの力がある』事は察している筈。
 ならば、視線など合わせる訳がない。これだけの密閉された空間ならば、眼を瞑っていても相手の位置は分かる。
 ギアスは…………通用しない!)


後ずさるにしても、背後にあるのは薄汚れた木の壁。
出口はヴィラルが入って来たドアだけだ。つまり、八方塞。
69名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:21:42 ID:ZeBny/oK
70名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:22:12 ID:k4s0OnOB
 
71名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:22:25 ID:xVPinQLm
 
(俺が……こんな所で? こんな場所で? 死ぬのか、俺は本当に……? スザク……俺はッ!!!)

脱出の経路までも、完全に断たれた訳である。
そう所謂、万事休す――――




「やめろ…………近寄るな……クソッ! クソッ! クソッ! 俺は……俺は……!! ナ、ナナリィィィイイイイイイイイイイイッ!!」




















「ルルーシュ・ランペルージ!! 頼む、俺にお前の力を貸して欲しい!!」


「……………………は?」


という、訳ではなかった。

73名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:22:51 ID:k4s0OnOB
 
74名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:22:54 ID:v2Zhfine
75名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:22:58 ID:ZeBny/oK
ヴィラルは突然、ルルーシュの眼の前まで接近し、なんと床板に額を擦り付けるかのような勢いで頭を下げたのだ。
そしてルルーシュのデイパックを取り出すとソレを彼に投げて渡す。
油断した所を……などという状況でもない。
清々しいまでに全身全霊の魂の篭もった動作である。
ヴィラルはルルーシュが何とも恥ずかしい断末魔の声を上げた事などまるで意に介さず、言葉を重ねる。


「シャマルが…………あの、傷の男に攫われた」
「言われてみれば……あの女はいない……のか」
「そうだ。俺達はどちらも人を殺めている。このままではシャマルは奴の仲間に尋問され殺されるだろう……ッ!!」
「そこで……俺に、か?」
「ああ、俺一人ではどう逆立ちした所で奴には歯が立たん……ッ、口惜しい話だがな」
「他の人間を襲う、という上司からの命令は……どうする?」


状況がある程度飲み込めて来たルルーシュは慎重に、それでも大胆にヴィラルの言葉を引き出す。
もちろん、要らない欲を出してヴィラルを激昂させるような轍だけは踏まないよう注意しながら、だ。


「聞いていたのか……だが、安心しろ。殺しは、しない。シャマルを救ってくれれば、見逃してもやる」
「ふっ、武人としての誇りよりも女を取るという事か」
「…………何とでも言え。今の俺にとって、シャマルの存在が全てだ。チミルフ様へ献上する首は傷の男――奴から貰う。それで、問題は無い」


眼前で悔しそうな表情を浮かべるヴィラルを見ながら、ルルーシュは思索を巡らせる。
傷の男は少なくともルルーシュを敵であると認識した筈。
位置情報がバレていた故、仕方がない行動だったとは思うが自身にとってもあの男は厄介な駒だ。
加えてこのヴィラルにはまだギアスが使用出来る――隙を見て、支配下に置くことは十分に可能だ。
また傷の男の仲間にシャマルとヴィラルを売り渡し、奴らのグループに潜り込むという手段も中々に有用かもしれない。

少なくとも、ここでこの提案を断るのは愚策……か? 下手に刺激すれば殺される訳であるし。


「分かった。ここは協力して――――」

77名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:23:33 ID:k4s0OnOB

78名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:23:49 ID:YXFnD6NS
 
79名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:23:54 ID:RX33ub3A
 
80名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:23:56 ID:awmmorwD
 
81名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:24:03 ID:ZeBny/oK
82名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:24:08 ID:k4s0OnOB
 
83名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:24:09 ID:xVPinQLm
 
ルルーシュがヴィラルの提案を受けいれようとした、その瞬間だった。
――清麿とねねねの乗るラガンがルルーシュとヴィラルのいた民家に突っ込んで来たのは。

凄まじい音と共に鉄の塊が草臥れた家の屋根を破壊。そしてそのまま急降下する。
着弾したのは――ルルーシュが寝かされていた部屋。
ラガンの頭部ハッチが開き、そして中から二人の男女が這い出してくる。


「――――――ッ!!!!! つぁ……何とか……着地できましたね」
「おい、こら高嶺! お前頭いいんだろ!? もうちょっと静かに運転しろって!」
「……む、無茶言わないでくださいよ。俺はロボットなんて動かすの初めてなんですよ?」
「それは私も同じだ」
「な…………に?」
「……おい、高嶺」
「どうしました、菫川せんせ――」




「「「「あ」」」」



そして、四人が互い同士を認識したのも全く、同じタイミングであった。

妹の、そして反逆のため元の世界へ返るためにはどのような犠牲も問わない黒の皇子、ルルーシュ・ランペルージ。
本人の知らない所でルルーシュの親友スザクを殺害し、今は愛のために生きる螺旋王の部下、ヴィラル。
明智の意志を引き継ぎ、新たな舵取り役として絶望に染まった少女を救い出す事に普請する魔本の持ち主、高嶺清麿。
螺旋王の作ったゲームをぶち壊す稀代のシナリオライターとしてそのペンを奮う小説家、菫川ねねね。


突如遭遇した、四人の行く末は、一体?



【C-6/民家/二日目/黎明】
85名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:24:34 ID:YXFnD6NS
   
86名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:24:39 ID:k4s0OnOB
 
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:肉体的疲労(大)、心労(小)、軽度の頭痛
[装備]:ベレッタM92(残弾13/15)@カウボーイビバップ、ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:支給品一式(-メモ)、メロン×10個 、ノートパソコン(バッテリー残り三時間)@現実、消防服
    予備マガジン(9mmパラベラム弾)x1、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿、ゼロの仮面@コードギアス反逆のルルーシュ
[思考]
基本:何を代償にしても生き残る。
1:――どうすればいいんだ!?
2:清麿との接触を含む、脱出に向けた行動を取る。
3:適当な相手に対してギアスの実験を試みる。
4:以下の実行。
  「情報を収集し、掌握」「戦力の拡充」「敵戦力の削減、削除」「参加者自体の間引き」
5:余裕があればショッピングモールかモノレールを調べる。
6:消防署で発見したナイトメア・フレーム(ラガン)のキーを探す

[備考]
※首輪は電波を遮断すれば機能しないと考えています。
※清麿メモの内容を把握しました。
※会場のループについて把握しました。
※第四回放送は聞き逃しました。
※ヴィラルが螺旋王の部下であることとシャマルが治癒能力者であることを知りました。
 その他の素性についてどこまで把握しているのかはわかりません。
※スカーの仲間に何かしらの情報収集方法と、広域索敵能力者がいるという仮説を立てました。
※ルルーシュが民家で何を見たのかは次の書き手の方、または皆さんの想像力にお任せします。


【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:全身に中ダメージ、疲労(大)、肋骨一本骨折、背中に打撲、
    激しい怒りと悲しみ、左肩・脇腹・額に傷跡(ほぼ完治)、螺旋力覚醒(本人は半信半疑)
[装備]:大鉈@現実、短剣×2
[道具]:支給品一式、モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン(あと4秒連射可能、ロケット弾は一発)、鉄の手枷@現実
    S&W M38(弾数5/5)、S&W M38の予備弾15発、短剣×4本、水鉄砲、エンフィールドNO.2(弾数0/6)、銀玉鉄砲(玉無し)、
    アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、タロットカード@金田一少年の事件簿、USBフラッシュメモリ@現実
[思考]
基本:シャマルと共に最後の二人になり、螺旋王を説得して二人で優勝する。
0:なんだ……このニンゲン共は?
1:シャマルを傷の男の手から救い出す。そのためにルルーシュから協力を得る(何よりも優先)
2:次回の放送までに、参加者を最低1人討ち取り、チミルフに献上する。(ヴィラルの希望はスカー)
3:クラールヴィントと魔鏡のかけらをどうにかして手に入れたい。
4:蛇女(静留)、クルクル(スザク)、ケンモチ(剣持)に味わわされた屈辱を晴らしたい。
5:スカーへの怒り

※なのは世界の魔法、機動六課メンバーについて正確な情報を簡単に理解しました。
※螺旋王の目的を『“一部の人間が持つ特殊な力”の研究』ではないかと考え始めました。
※本来は覚醒しないはずの螺旋力が覚醒しました。他参加者の覚醒とは様々な部分で異なる可能性があります。
※清麿に関しては声と後姿しか認識していません。悪感情は抱いてはいないようです。
※清麿の考察を聞きました。螺旋王への感情が変化している可能性があります。
※チミルフが夜でも活動していることに疑問を持っています。
※とりあえず、今はルルーシュを殺すつもりはありません。

[備考]
螺旋王による改造を受けています。
@睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
A身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
 人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。 単純に『実験のために、獣人の欠点を克服させてくれた』としか認識してない。

88名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:25:16 ID:YXFnD6NS
 
【チーム:戦術交渉部隊】(清麿、ねねね)
[共通思考]
1:一意団結して螺旋王の実験を破壊。そして自分達の脱出。
2:レーダー(携帯電話)を利用しても、他の参加者の行動の推測。危険人物の回避。
3:有益で安全だと判断できる参加者との接触。交渉。勧誘。
4:各種リスト等、収集した情報を組み合わせての考察。
5:首輪の解除方法の模索。及び、それが可能な参加者の捜索。
6:エド(少女)が情報を送信した手段を探り、それを利用しての全参加者に対する交渉。
7:各施設に立ち寄った参加者と、携帯電話で接触。交渉。勧誘。
8:『お宝』が隠されていそうな施設へと、人員を派遣。また、それに必要な螺旋力と螺旋に関するアイテムの確保。
9:とりあえずは警察署を次の候補として移動する。 

[考察内容]
《螺旋王の目的》
1:殺し合いを通じた参加者の螺旋力覚醒
《首輪》
1:螺旋力の覚醒により解除可能
2:ただし、解除時に螺旋王の元へ転移する可能性アリ
《その他》
1:舞台の端と端が繋がっていることを認識しました。


【高嶺清麿@金色のガッシュベル!!】
[状態]:右耳欠損(ガーゼで処置済)、強い決意
[装備]:コアドリル@天元突破グレンラガン、ラガン@天元突破グレンラガン、イングラムM10(9mmパラベラム弾22/32)@現実
[道具]:支給品一式x2(水ボトルの1/2消費、おにぎり4つ消費)、殺し合いについての考察をまとめたメモ、
    イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×5、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル!!、
    無限エネルギー装置@サイボーグクロちゃん、清麿の右耳
    首輪(エド/解体済み)、首輪(エリオ/解体済み)、首輪(アニタ)、首輪(キャロ)、清麿のネームシール、
    各種治療薬、各種治療器具、各種毒物、各種毒ガス原料、各種爆発物原料、使い捨て手術用メス×14
    COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損]
    鴇羽舞衣のマフラー@舞-HiME、M16アサルトライフル用予備弾x20(5.56mm NATO弾)
    M203グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2)
    参加者詳細名簿、詳細名簿+、 支給品リスト、考察メモ、警戒者リスト、ダイヤグラムのコピー、携帯電話@アニロワ2ndオリジナル
[思考]
基本-1:ゆたかを救い、螺旋王を打倒してゲームから脱出する
基本-2:戦術交渉部隊の新リーダーとして、あらゆる視野から問題の解決に当たる。
0:もしや、この……二人は?
1:大怪球及び、シズマシステムに関する調査、考察。
2:脱出方法の研究をする。(螺旋力、首輪、螺旋王、空間そのものについてなど包括的に)
3:周辺で起こっている殺し合いには、極力、関わらない。(有用な情報が得られそうな場合は例外)
4:研究に必要な情報収集。とくに螺旋力について知りたい。
5:螺旋王に挑むための仲間(ガッシュ等)を集める。その過程で出る犠牲者は極力減らしたい。
 [備考]
  ※首輪のネジを隠していたネームシールが剥がされ、またほんの少しだけネジが回っています。
  ※ラッドの言った『人間』というキーワードに何か引っかかるものがあるようです。
  ※明智の死体、及び荷物は刑務所の瓦礫の下。
  ※携帯電話のテキストメモ内に、二日目・黎明時点で明智が行った全考察がメモされています。
[清麿の考察]
※監視について
監視されていることは確実。方法は監視カメラのような原始的なものではなく、螺旋王の能力かオーバーテクノロジーによるもの。
参加者が監視に気づくかどうかは螺旋王にとって大事ではない。むしろそれを含め試されている可能性アリ。
※螺旋王の真の目的について
螺旋王の目的は、道楽ではない。趣旨は殺し合いではなく実験、もしくは別のなにか(各種仮説を参考)。
ゆえに、参加者の無為な死を望みはしない。首輪による爆破や、反抗分子への粛清も、よほどのことがない限りありえない。
【仮説@】【仮説A】【仮説B】をメモにまとめています。
※首輪について
螺旋状に編まれたケーブルは導火線。三つの謎の黒球は、どれか一つが爆弾。
また、清麿の理解が追いつく機械ではなくオーバーテクノロジーによるもの。
ネジを回すと、螺旋王のメッセージ付きで電流が流れる。しかし、死に至るレベルではない。
上記のことから、螺旋王にとって首輪は単なる拘束器具ではなく、参加者を試す道具の一つであると推測。
螺旋王からの遠隔爆破の危険性は(たとえこちらが大々的に反逆を企てたとしても)限りなく低い。
※螺旋力について
………………………アルェー?
  

【菫川ねねね@R.O.D(シリーズ)】
[状態]:本を書きたいという欲求、疲労(大)、螺旋力覚醒
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(一食分消費)、ボン太君のぬいぐるみ@らき☆すた、ジャン・ハボックの煙草(残り15本)@鋼の錬金術師
     『フルメタル・パニック!』全巻セット@らき☆すた(『戦うボーイ・ミーツ・ガール』はフォルゴレのサイン付き)
     『イリヤスフィール・フォン・アインツベルンに捧ぐ』@アニロワ2nd オリジナル
[思考]:
基本-1:螺旋王のシナリオ(実験)を破壊し、ハッピーエンドを迎えさせる。
基本-2:バシュタールの惨劇を起し、首輪や空間隠蔽を含む会場の全ての機能を停止させて脱出する。
1:こいつらは……
2:アンチシズマ管の持ち主、それとそれを改造できる能力者を探す。
3:柊かがみに出会ったら、「ポン太くんのぬいぐるみ」と「フルメタル・パニック全巻セット」を返却する。
4:センセーに会いに行きたい……けど、我慢する。
5:本が書きたい! 本を読んで貰いたい!
[備考]:
※読子を殺害したスカーの罪を許しました。が、わだかまりが全く無い訳でもありません。
※ラガンをフル稼働させたため、しばらく螺旋力が発揮できません


            ▽
            
91名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:25:41 ID:k4s0OnOB
 
92名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:25:52 ID:ZeBny/oK
93名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:26:00 ID:v2Zhfine
「…………やはり、いないか」

フォーグラーの浮上によって完全に沈没し、そして崩壊した刑務所の跡地にスカーはいた。
その肩には腹に当身を食らい、完全に気絶しているシャマルの姿があった。

(好機と見て仕掛けたが……明智達と合流出来ず仕舞いとは拙いな)

彼はあの一瞬、シャマルとヴィラルの両名に明らかな隙が出来た事を察知したのだ。
そして彼の立ち位置から近い方――つまりシャマルの捕獲に乗り出した。
一人で勝手にうろたえ、転倒したルルーシュ・ランペルージにトドメを差す事も考えはしたが、現状では螺旋力の情報を集める事を優先した訳だ。
加えて彼が持つ「ギアス」という特殊能力。そして頭脳は非常に有用である。

そしてシャマルは螺旋覚醒者である。
故に出来るだけ殺害するような真似は避けたい……のだが、

(ひとまず、何らかの手段で拘束しなければ……暴れられては厄介だ)

最悪のケースも当然考えられる。

(まずは奴らを探さねば。……携帯電話さえ無事ならば、迎えに来るか? それとも……)

螺旋王へと至る道、そのためには敵の情報を知る事が何よりも重要だ。
ヴィラル、そして新たに投入されたチミルフに対してルルーシュ・ランペルージにギアスを使用させるプラン、というのも中々効果的だろう。
この災害に……巻き込まれていなければの話ではあるが。


さぁ…………どうすればいい?



【B-7/刑務所跡/二日目/黎明】
95名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:26:23 ID:xVPinQLm
 
96名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:26:32 ID:k4s0OnOB
 
97名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:26:34 ID:awmmorwD
 
【スカー(傷の男)@鋼の錬金術師】
[状態]:疲労(中)、空腹、強い覚悟、螺旋力覚醒
[装備]:アヴァロン@Fate/stay night(回復に使用中)
[道具]:支給品一式x4(メモ一式使用、地図一枚損失)、ガジェットドローン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
    ワルサーWA2000用箱型弾倉x3、バルサミコ酢の大瓶(残り1/2)@らき☆すた、
    ゼオンのマント@金色のガッシュベル!!、魔鏡のかけら@金色のガッシュベル!!
    暗視スコープ、首輪(クロ)、単眼鏡、マース・ヒューズの肉片サンプル、シアン化ナトリウム
    ワルサーWA2000(3/6)@現実 、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[思考]
基本-1:明智達と協力して実験から脱出し、元の世界でまた国家錬金術師と戦う。
基本-2:螺旋力保有者の保護、その敵となりうる存在の抹殺。
0:ひとまず清麿達の安否を確認、そして接触しシャマルの使い道を尋ねる。シャマルがどうしても暴れるようならば殺す。
1:螺旋力保有者を守護する。
2:各施設にある『お宝』の調査と回収。
3:ギアスを使用したヴィラル、チミルフへの尋問について考える
4:螺旋王に対する見極め。これの如何によっては方針を優勝狙いに変える場合も……。
5:シャマルを拘束するロープか何かが欲しい

[備考]:
※言峰の言葉を受け入れ、覚悟を決めました。
※スカーの右腕は地脈の力を取り入れているため、魔力があるものとして扱われます。
※会場端のワープを認識。螺旋力についての知識、この世界の『空、星、太陽、月』に対して何らかの確証を持っています。
※清麿達がラガンで刑務所から飛び出したのを見ていません。


【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:疲労(中)、腹部にダメージ(中)、気絶、螺旋力覚醒(本人は半信半疑)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本1:守護騎士でもない、機動六課でもない、ただのシャマルとして生きる道を探す
基本2:1のための道が分かるまで、ヴィラルと共に最後の二人になり、螺旋王を説得して二人で優勝することを目指す。
1:???

※ゲイボルク@Fate/stay nightをハズレ支給品だと認識しています。また、宝具という名称を知りません。
※清麿に関しては声と後姿しか認識していません。悪感情は抱いてはいないようです。
※清麿の考察を聞きました。必ずしも他者を殺す必要がない可能性に思うことがあるようですが、優先順位はヴィラルが勝っています。

99名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:26:49 ID:RX33ub3A
 
100名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:26:59 ID:xVPinQLm
 
101名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:27:01 ID:ZeBny/oK
102名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:27:17 ID:k4s0OnOB
 
103名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:27:55 ID:v2Zhfine
104名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:28:18 ID:RX33ub3A
 
105名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 02:28:34 ID:ZeBny/oK
106名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 13:41:07 ID:pbro4TYJ
┃┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐┃
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┃│  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │  │┃
┃└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘┃


(開催用に開発された白地図)
107過去ログ議論2:2008/04/24(木) 13:41:35 ID:pbro4TYJ

207 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/17(月) 23:13:41 ID:si8yiggO
死んでも生き返ってはいけないというルールはないから
死んだら別フィールドににぶっ飛ばせばいいんじゃね

>>192 の世界で死んだら、>>203の世界に転生とか


208 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/17(月) 23:29:12 ID:YXM1jlhX
糸色望はA世界のバトルロワイアルに参加決定しますた
僕達は殺し合いをすると、3回書かされました
「へたれセイバー」に食われて死亡しました
A世界で糸色望が死亡しました
糸色望は他界しました
  ・
  ・
  ・
糸色望はB世界のバトルロワイアルに参加決定しますた
僕達は殺し合いをすると、3回書かされました
突如、「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」に鈍器で殴られて死亡しました
糸色望は他界しました
 ・
 ・
 ・
糸色望はC世界の…
108名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/24(木) 13:42:41 ID:pbro4TYJ
>>15は無視していただいて結構です。

勝手に荒らしとほざいてるだけですのでwww
109裏のひそひそ話:2008/04/24(木) 13:45:09 ID:JzENgKHr


2564 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/04/24(木) 12:16:37 ID:???0
チミルフも追加な

2565 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/04/24(木) 12:46:05 ID:???O
あの状況じゃ嫁>(超えられない壁)>>殺しだしなあ、公務王

地味フルはもう駄目な気がするしw
絶対優勝!血も涙もねえ!この外道!ってマーダーが欲しいなー
ルルはマーダーかは微妙だし、すでにそんな威厳ないしw
師匠は、…瀕死か。
ニコ兄はヴァッシュと会っちゃってるからなぁ
我様はちゃんとブレーキかけてくれる奴らと行動してるしなー

2566 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/04/24(木) 12:46:51 ID:???O
マーダー勝ち目ありません
ありがとうございました

2567 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/04/24(木) 13:03:17 ID:???O
このまま螺旋王と和解するまでに何人か死んで、真の最終決戦があるんですね、わかります。
四天王もいるし、なんとかならないかな
やっぱ撃破が楽そうなのは考察組だが…ゆーちゃん近い

2568 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/04/24(木) 13:12:22 ID:???O
どうでもいいけど、みんなから目をそらされまくるもやしを想像して笑った
いじめww

2569 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/04/24(木) 13:18:44 ID:???O
考察組と公務王&もやし組が協力するとしたら、ラガンの操縦は公務王がするんだろうか
カミナが知ったら怒りそうだ

2570 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/04/24(木) 13:34:29 ID:???O
ニアでもいいっちゃいいが、別に操縦したことはないしな
やっぱ公務王にお願いすることになるだろうな―……対主催になればだけど
嫁を軸に説得すれば何とかなりそうなんだよな、ジョーカークビになってるし
天から星が降りそうな夜の下に一つの邂逅がある。
ただしそこには人間は一人としていない。
ヒトでないものとヒトでないもの、そしてヒトだったものしかそこには存在しないのだ。

細波が聞こえてくるほどに海は近く、しかしそれ以外に一切音はない。
――――風は、冷たく吹き荒ぶ。
夜の海風というのは強くまた寒いものだ。
この場に相応しい空気をもたらすかのように、ただただ立ち竦む二者を打ち付け続けている。
不意に今までのものより強いものが、一迅。

波の音が、掻き消された。
無数の木の葉がさざめき、舞い散る。
少年の姿をした彼は、その一枚を頬に貼り付けたまま呆然と呟いた。

「ビクト、リーム……」

相対する異形は、

「おぬしが、おぬしが……、このような事をやったというのか?」

――――驚愕に染まったままだ。
ただ。ただただ、うわごとの様に少年の名を呟くのみ。

「ガッシュ……、こ、こいつは無関係なのだぁああああぁぁああ! これは、わたしとはッ、」

少年の耳にその言葉は届かない。
いや、届く届かない以前に、それどころではないのだ。
何故ならば、

「……違うのだろう? 違うといってくれビクトリーム!
 おぬしはこのような事をする男ではない! そうだろう!?」

ガッシュの知るビクトリームは、人殺しをするような性格はしていなかった。
押し付けがましく人の話を聴かないとはいえ、どこか愛嬌のある憎めない存在。
それがビクトリームだ。
彼はそれを“信じた”。そして、“信じたかった”。
それだけで今は精一杯だったのだ。
王の風格を持ち合わせるとはいえ、ガッシュは良くも悪くもあまりに純粋すぎる。
子供というイメージを具現化した存在であることは、否定しようのない事実なのだ。
「そうだ、ちッ、違うッ! わたしではない! わたしなはずがない!
 このわたしがこのような事をするはずがねぇだろうがぁッ……!
 何故にそんな事をしなくちゃならんのだボケェェェェェエエェエエェエエエッ!」

だから、その思いを迷う事無くぶつけることが出来る。
……泣きそうな顔で、躊躇いもなく。
ビクトリームの肩を掴んで、揺すりながら。

「……それは、キャンチョメの魔本、なのだ……。
 だとしたら、そこに倒れているのはきっとフォルゴレなのだ。
 フォルゴレはとっくに死んでしまったのだから、おぬしが殺せたはずはないのだ。
 今ここにおぬしがいたとしても、おかしくなんてないのだ。
 そうなのだろう、たまたま居ただけなのだろう、ビクトリーム!!」

「…………!」

真っ直ぐな、愚直とさえ言える信頼。
ビクトリームはそれを受けて得た感情は、

――――居心地の悪さだった。

元々の性格に加えて、コミュニケーションのなかった千年間。
ビクトリームにとって、これほどまでに信頼をぶつけられるのはほぼ初めての事。
それも理由さえ分からずに、ただただ『こんなことをするはずがない』とぶつけてこられる。

それこそがガッシュ・ベルの持つ王の気質であり、在り方なのではあるのだが……、当然ビクトリームには理解できるはずもない。
そもそもが敵対関係だったのだ。ガッシュ個人は嫌いではないとはいえ、しかしそこまで深い付き合いではない。
にもかかわらずここまで信頼されるというのは不気味ですらあった。

加えて間の悪いことに、ビクトリームはこの会場に来て信頼という言葉の意味を理解しつつあった。
それ故にその言葉が真実であるというのは何となく分かってしまう。
半端に分かる分、それは理解できないものよりなお強く心に食い込んでくるのだ。
もちろん嫌な気分ではないのだが、地に足が着かないような不安定な気持ち悪さが湧き上がるのは止めようもない。
それでも振りほどこうにも振りほどけないのは、相手が信頼しているゆえに、だ。

結果として。
ビクトリームは、ただ立ち尽くすことしか出来なかった。
そして、ガッシュはただ問うことしか出来なかった。


――――どれだけその均衡が続いただろうか。

シーソーが傾くのは、一瞬である。


「……おいガッシュー! どこに居やがるんだテメエはよ!!」


どこからともなく響く声。
聞き覚えのあるその声が、ビクトリームに一つの行動をもたらした。

「……グラサン・ジャック……!」
驚愕でも悲哀でもない曖昧な表情を浮かべた直後、

「ブルワァァアアアアァアアアアァ! スーパー・V・大回転ンンンンンンン!!」
「ビクトリーム!?」

一回転するほどに思い切り体を捻り、ガッシュを振りほどく。
逃走、その一言で表せる行動をビクトリームは選ばざるを得なかった。
――――背中にかかるガッシュの声も無視してただひたすら駆ける。駆ける。駆ける。

「ビクトリーム! ど、どこへ行くのだ!?」

振り返って、ガッシュに何か言ってやりたかった。
グラサン・ジャックにも同じくだ。

……だが、それ以上にここに居るのが怖かった。

只でさえ居づらいこの場に、罪悪感で顔を合わせたくない男が訪れた。
それだけで、ビクトリームがその選択を選ぶには十分過ぎたのだ。
声の聞こえる方向ではないどこかへ。
無意識のうちに元来た方向へ。
とにかくここを離れる為に。
――――それが最適解でないことを知る機会すらなかった彼にとっては、それ以外に取りうる手段など無かったのである。

「……オイ、お前、ガンメンモドキ……?」
「ビクトリームさん!?」

背中にかかる声はどちらも見知った人間の声だ。
だが、それでも。いや、それ故に一刻も早くここから離れたい。
……たとえ、そのどちらもが自分が探していたはずの存在だとしても。

月の下、彼はどこまでも駆けて行く。逃げていく。戻っていく。
誰一人居ない町の中を通って。
ドーム球場の傍らを通り過ぎ、海に飛び込み、泳いで。
潮に流されながらも、行く先がどこかも定めないまま。


「……何故だぁぁぁああああああ! 何故このわたしが逃げなくてはならんのだ!
 くぉぉおおぉお、止まれ止まるのだマイフット!
 道無き道を踵を鳴らしていくでないわぁぁぁああああああ!」


――――いつしか深い森の中を走っていることに気付いても、ビクトリームはその足を止めなかった。

◇ ◇ ◇


「クソッタレ、何処に行きやがったガンメンモドキ!」
「……ビクトリームさんは悪いヒトじゃないはずです。
 多分、いいえ、絶対にあそこにいらっしゃった方を殺してなんていないです」
「ウヌゥ……、わたしのせいなのか? 何故。何故逃げたのだビクトリーム!」
『……おそらく後ろめたさによるものと思われます。
 カミナとの別離は決裂のような形だったと聞き及んでいましたし、
 ガッシュの無条件の信頼も、時としてかえって重荷になることもありうるでしょうから』


――――四者四様の言葉を交わす一つの集団。
……その話題の内容はたった一人の魔物についてのものだった。
探してかれこれどれほど経ったろうか。
その間に出会ったものは一人としていない。

当然だ。
この辺りは戦線から遠く、また、彼らの探し人も海を渡って反対の地図の端にいるのだから。
ループの知識はあるとはいえ、そこまで思い当たらなくとも仕方ないと言えるだろう。
それ以上に、カミナが泳げないという理由も大きかったのだが。

では、探し始めた時の事をカミナの視点で思い返してみよう。

彼が見た光景は実に単純なものだ。
死体のそばで呆然と立ち竦むガッシュと、西に向かって闇に溶け消えゆくV字の後姿。
それだけだ。
そこからどうすべきかはまさしく即断。
探して一発ぶん殴ったあとにぶん殴らせる。それでおあいこにするために、とにかく探すことを決めた。
その意見はニアもガッシュも一致しており、ニアとの詳細な情報交換を行ないながらも辺りを調べてみることにしたのである。
ビクトリームが殺人をしたかどうかは誰も言い出す事はなかった。
それぞれがそれぞれの理由で、ビクトリームはそんな事をしないと思っていたからだ。
ついでに言うなら、死体の硬直などからクロスミラージュが死亡時間は随分前だと保証したのも根拠になっただろう。
たまたま死体を見つけたビクトリームにガッシュが鉢合わせた。それが当然のように彼らの間での結論となった。

まずはビクトリームが向かった方角である西に向かったが、しかし見つからない。
まさか泳いでまで逃げるとは想定していなかった為、行き違いになったかもしれないと辺りを虱潰しに探すことにしたが、いつまで経っても梨のつぶてだ。
果たして、いつしか彼らは水族館の近くまでやって来る次第となった。

「……こんだけ探していねえってことは、もしかしたら全然違う方向に行っちまったのかもしれねぇな……」
『その可能性は高いですね。考えられる可能性としては、海を泳いで渡ったか、あるいは北の方角に向かったかですが……』

長時間の捜索のためにイライラ気味ではあるが、カミナのそれはむしろ気遣うような声色でのものだった。
理由は単純。
先刻からずっと鳴り響く轟音である。

遠くとは分かっていながらも戦慄せざるを得ないそれに、ビクトリームが巻き込まれてはいないだろうか。
それをカミナは心配しているのだ。
更に言うなら、ここから見えるほどの巨大な炎と、時折それに照らし出される何かが余計に不安を煽っていた。
……ここは、港湾。
遮るものがない為に、対岸の光景も丸見えなのである。

そんな現実味の無い争いを前に、クロスミラージュは一つ諦めの念を吐く。

『……おそらくあの辺りはほぼ廃墟と化しているでしょう。それは線路も例外なくです。
 これでモノレールによる移動はほぼ不可能になりました。
 元々F-5の駅でMr.ドモンと再開する事は難しいと考えていましたが、デパートに向かうには再度移動手段を考えなくてはいけないですね』

そんな嘆息にしかし、カミナは平然と思いついたままのことを言う。

「あん? あのガンメンモドキを見つけた後の事か?」
『……はい。ここは3方を海に囲まれた場所ですし、カミナは泳ぐことが出来ません。
 デパートに向かうためには、まずは北部に向かって観覧車の側を迂回し……』
「だぁーッ、面倒くせぇないちいち! 素直にエキから延びるあの道を通っちまえばいいだろうが!」

そう言ってカミナが指差した先にある物は、モノレールの線路だった。
なるほど、確かにモノレールが来なければ通る事はできるだろう。
この状況でモノレールが動いているとは考えづらいし、よしんば動いていたとしてもダイヤグラムでいつどの辺りを通るのかを把握していれば問題ないだろう。
……だが。
『モノレールの高架は確かに通路になりますが……、
 しかし、あの破壊規模ではD-4駅にも被害が及んでいる可能性があります。
 その場合は我々が高架から降りる手段が無い為、引き返すことになるでしょう。
 ここからでは博物館に隠れて確認できないために断言は出来ませんが……」

見たところ、一見博物館までは被害が出ていないように見えるので一応破壊はされていないとはクロスミラージュも思う。
だがしかし、それはあくまで『今のところ』でしかない。
あの付近でずっと交戦を続けている未確認巨大生命体がいつ巻き込んでもおかしくはないのだ。
できる限りあの近辺には近づきたくない所である。
特に高架で近づいた場合は逃げ場がない。
途中に降りる場所もないため、そうなった場合は引き返す以外に手段はないのだ。

その旨をカミナに伝えると、しかし彼はニヤリと笑って受け流した。

「ヘ、だったらエキで降りずに途中で降りちまえばいいじゃねえかよ」
『そんな無茶な、高架から飛び降りても無意味に怪我をするだけです。
 ……遠回りでも今後を考えるとよりリスクの低い、』
「だったらどうしたよ、無理を通して道理を蹴っ飛ばしちまえばいい!
 おいクロミラ、あそこの下を見てみろよ。丁度いい足場があるじゃねえか」

カミナが指差したその先にある建物。
それは地図にある施設の一つ――――、

『……発電所、ですか』

「おうよ! あそこの近くまで行って、あそこに飛び移っちまえばすむだろ。
 ガッシュ、ニア! お前らもそのくらい平気でできんだろ?」

「ウヌ!」
「はい!」

魔物の子であるガッシュ。見た目に反し運動神経のいいニア。
そしてカミナ自身も生身でガンメンに立ち向かえる程の強さを持つ男である。
山登りしたくらいでヒィヒィいうようなもやしっ子とは縁遠い面子である以上、行軍に問題は全く無い。

「よぅしいい返事だ! 後はさっさとガンメンモドキを探し出して、全員でドモンのところに向かっちまえばいい!
 そんじゃあ行くぜ!」

そう言いきり背中を翻すカミナ。
何度見ても変わらないいつも通りのその態度を見て、何とも彼らしい、とクロスミラージュは思う。
彼の荒っぽさは、時として人を惹きつける魅力があるのだろう。
……考えてみれば、彼にだいぶ感化されてきたように思う。
これほどまでに自分が喋るなどとはティアナと居た時にはあまり無かったことだ。
彼女の運命を思い出し、少し複雑な気分になったが――――、
しかし、クロスミラージュは思考を切り替え、ビクトリームらしき反応を探すことにした。
同時、カミナの声が響き渡る。


「……さっさと出て来いガンメンモドキィィィイイイイイィィィ!!
 テメェの食いたがってるメロンがここにあんだからよぉッ!!」


――――返答は、対岸から響く轟音しか存在しなかった。
まあ要するに、ここにはビクトリームは居ない。
ただその事実を確認することになっただけだ。
さすがに探し疲れてきたのか、カミナすらガクリと肩を落とす。

「……ビクトリームは、私たちを信頼してはくれなかったのだろうか……」

ぽつりと、ガッシュが呟きをもらす。
それが真実ならば彼にとってショックは大きいだろう。
……いい加減、夜も遅い。
だいぶ疲れがたまっているためか、それはガッシュらしくはない諦め混じりの言葉だった。

「――――違います!」

……それを否定する声は、女のもの。
ニアは自分がビクトリームから聞いたカミナへの感情を根拠に全員を叱咤激励する。
……彼を信じ続けよう、と。

「ビクトリームさんは、私がお父様……、螺旋王の娘だということを知った後も変わらず接してくれました。
 ……ですから、絶対にこちらへ戻ってきます。
 あの方は心根は優しい方です。必ず戻ってきて、アニキさんと仲直りしてくれます!」

「……そうだな。テメェが信じてやらなきゃ戻ってくるものも戻らねぇ」

パン、とカミナは両手で頬を打ち、落としていた肩をいからせながらぐっと拳を握り締めた。
そのままニアの背中を思い切り叩いて告げる。

「いい心意気だぞニア! さすがシモンが見込んだことだけはある!
 いいぜ、お前も大グレン団の一員としてこのカミナ様が認めてやる!」

その言葉に何を見出したのか。
痛がりながらもニアは満面の笑みを浮かばせて、得心したとばかりに力強く頷いた。

「……はいっ!」


直後。
カミナたちの背後から、誰もいなかったはずの場所から。
聞いただけで萎縮するような声色の言葉が放たれた。

「……確かにいい心意気ではないか。螺旋の王女というのも満更ではない」

……カミナ。ガッシュ。ニア。
三者全員が戦慄を覚え、ゆっくりと同時に振り向いていく。

「好奇心に従って来てみれば。
 ……ワシもたまには童心に帰ってみるものだな。
 貴様らにはもっと情報を吐いてもらうこととしよう」

――――そこに居たのは、絶望の象徴。
全身から覇気を漂わせながら、その怪物はただ告げる。



「……なあ、青二才?」


◇ ◇ ◇


――――きっかけは実に些細なものだった。

怒涛のチミルフと名乗った獣との戦い。
それを終えて東方不敗が気づいた時には、すでにシャマルという癒しの術の使い手は姿を晦ましていた。
結果、新たな回復手段を模索しなければならなくなった訳だが、しかし闇雲に探し回っても効率は悪い。
ならば、どうすべきか。

治療を急かしたせいかどうかは分からないが、東方不敗は自身の体調が存外優れていないことを理解している。
……特に腹の傷が、だ。
痛みこそ殆ど感じないものの、呼吸の乱れなどからして感じている以上に厄介な傷のようだ。
放置しておけばまずい事は重々理解している。
……それがシャマルの意図的なものであるかどうかは分からない。
治療を中断させたのは自分であるのだし、先に痛みだけを取り除いて後から全体を持ち直させる算段だったかもしれないからだ。
だが、何にせよ自分の傷は未だに内出血が続いていないであろう事と、その割に痛みは感じていないことは事実である。
これは好機でもあり、また、まずい状況であるとも言えよう。
戦闘に痛みを感じずに臨める事は有りがたいが、さりとて放っておく訳にもいかないのだから。
あまりに激しい動きをした場合、更に悪化することも考えうる。

と、そこで思い当たったのが各所施設の存在だ。
先程は煮え切らない感情に任せてぶん投げてしまったが、思うにあの顔面機械は何かの利用価値があったかもしれない。
そもそもあんなものが消防署にあること事態が不自然というものだろう。
だとすれば、あれは支給品同様螺旋王が殺し合いの為に用意した道具と考えればしっくり来る。
要するに、他の参加者の誰かの持ち物ということだ。

ならば。
あのような機械も存在するならば。
もしかしたら自分の機体――――、マスターガンダムがどこかに隠されていてもおかしくはない。
そして、マスターガンダムはDG細胞の産物である。

……つまり、だ。
マスターガンダムを構成するDG細胞を利用すれば、傷の修復も行なえるかもしれない。
一度は感染を跳ね除けた体、DG細胞の修復力を制御することとて不可能ではないと考える。
では、どこに向かうか。
どこにならば、マスターガンダムを隠し得るか。
それを考慮した時、最初に目指したのは――――古墳だった。

施設巡りをすると決めた後、消防署の近隣に存在するものを確かめると、映画館、病院、刑務所、古墳、学校が考えられた。
――――まずその中から選択肢で消去されたのは病院。
あまりにも向かう人物が多いだろうと予測される施設である為、もう碌なものは残っていないだろう。
次いで、映画館。
あそこはおそらくまだ激戦区。今から向かっても再度争いに巻き込まれることだろう。
一応以前訪れた時は大して調べては居ないのだが、衛宮士郎という若造の仲間が陣取っていたということを考えると望みは薄い。
学校も以前訪れたことがあるため割愛。

……となると、選択肢は刑務所と古墳の二つ。
この時点で消去法は使えなくなった。
だとすれば、行き先を決定するのは積極的な理由だ。

東方不敗が古墳を選んだ理由は非常にシンプル。
……単に、禁止エリアに囲まれることが確定したからというだけだ。
いずれ進入が難しくなる地点を先に調べておこうと思い、古墳を選んだのである。

――――そして、古墳の近くまでたどり着いた時。
彼は目を疑う光景を見ることとなる。


それは、Vだった。
Vの字だった。
……いや、それだけならばいい。
もちろん気になるといえば気になるが、この会場では何が起こってもおかしくないのだし気にした方が時間の無駄だ。

問題は、Vの字が突如空中から出現したということなのだ。

さしもの東方不敗もこれには驚いた。
その隙にVの字はどこかに姿を消してしまっていたが、Vそのものは特に重要だとも思えなかったので捨て置く。
とりあえずVが現れた付近を調べてみることにし、接近した。

近づいてみて手を伸ばした時、東方不敗の予想通りちょうどVの字が現れた辺りで自分の手が消えるという現象が起こった。
だが、手の感覚がなくなったわけではない。
そこでその現象が何か、東方不敗は得心する。
更にそれを確かめるべく首ごと前へ踏み込んだとき、想定通りの事実が彼を出迎えた。

――――海が、そこにあったのだ。
森の中に居たはずなのに、どこかに転送されたかのように。
今の今まで、周囲は一面の森でしかなかったのに。

会場がループしている。
東方不敗はそれを直感的に理解した。
……だが、実際にはループではなく単に見知らぬどこかに飛ばされただけかもしれない。
それを確かめる必要があるだろう。
方法は簡単だ、地図を見れば古墳の反対側付近には水族館などの施設がある。
それがあることを確認すればいい。
その通りにした。

結果。
東方不敗の予測は証明された。
見事その先には水族館があり、そしておまけというには豪華すぎる副賞までついてさえくれたのだ。



「……さっさと出て来いガンメンモドキィィィイイイイイィィィ!!
 テメェの食いたがってるメロンがここにあんだからよぉッ!!」


……若々しい男の尋ね人の声が響いてくる。
気配を消して接近し、話を聞けばなんと。

「ビクトリームさんは、私がお父様……、螺旋王の娘だということを知った後も変わらず接してくれました」


……そう、螺旋王の娘を名乗る少女がいるではないか。
自称とはいえ、放って置くにはあまりにも惜しい。
螺旋王とののつながりに何か期待できるかもしれず、また、何らかの情報を握っている可能性もある。

故に東方不敗は歩み出ることにした。
これは儲けものだ。
少女を確保すれば、螺旋王に近づく為に何か収穫を得ることが出来るかもしれないと。
邪魔になるようなら始末するが、とりあえずはやはり情報だ。

東方不敗は問いかける。
――――ニヤリと笑いを浮かべ、威風堂々と。


「……確かにいい心意気ではないか。螺旋の王女というのも満更ではない。
 好奇心に従って来てみれば。……ワシもたまには童心に帰ってみるものだな。
 貴様らにはもっと情報を吐いてもらうこととしよう。
 ……なあ、青二才?」
全員が即座に身構える中、不意に一番背の高い男と、彼の持つ板から声が響いた。

「やいやいやいやい誰だよジジイ、何のつもりだ、あん?」
『……何者です? 目的は?』

トランシーバーのようなものだろうか?
少し奇妙に思うも、あまり興味はない。
必要なものを得る為に、さっさと話を進めることにする。

「フン、……東方不敗マスターアジアというしがない武術家よ。
 貴様らこそ礼儀がなっていないな、人に名前を尋ねる時は自分から名乗るのが道理だろう」

皮肉で返す。……と、思いもよらない反応が男から返ってきた。

「……トウホウフハイ? まさか、ドモンの師匠か!?」
「む……、ドモンの知り合いか?」

おうよと答える男。思ったよりスムーズに交渉できそうだ。
それを証明するかのように各々の自己紹介が始まる。
……存外単純な集団のようだ。手玉に取りやすいかもしれない。

「ウヌ……、ガッシュ・ベルなのだ」
「ニア・テッペリンです」
「覚えとけ、生まれと育ちはジーハ村、グレン団がリーダーカミナ様たぁ俺の事だ!」

三者三様の挨拶を耳に入れながらも東方不敗の笑みは崩れない。
そんな彼に、カミナと名乗った男の持つ板が問いかける。

『……クロスミラージュです。Mr.東方不敗。……急に接触してくるとは、貴方の目的はなんですか?
 そして、貴方はゲームに乗っているのですか?』

その口ぶりから、この板切れが交渉相手であると東方不敗は即座に理解する。
……他の人間は大して頭が良さそうには思えない。
さて、どう出るべきか。

ここで喧嘩腰になるならば、得られる情報も得られなくなる。
……多少は下手に出るべきだろう。
知るべき情報を握られたまま殺してしまっては元も子もないのだから。
答えるべき情報と答えざるべき情報を即座に整理し、口に出していく。

「……情報が欲しくてな。貴様らの持つ情報をワシにも分けてもらいたい。
 何、ドモンの師であるワシならば有効利用できるだろう。
 知っている事はあるか?」

口ぶりとは裏腹に東方不敗は大して期待はしていない。
今までのやり取りからして判断した結果だ。
念のため聞いておくことに越したことはないというのと、ニアが螺旋王の娘ということから何か得られるかもしれないと思っての駄目元程度のものだ。


『……我々の知っていることは多くありません。この会場が実はループしているということ。そして……』

……そんな事か、と落胆する。
つい先刻であれば有用な情報であったろうが、今となっては既知の事でしかない。
情報が得られないならば、螺旋王との繋がりにニア以外を皆殺しに――――、


『…………螺旋王の力の一端。この会場に我々を集めた方法に関する考察くらいのものです』
「……なに」
……自分の『異なる星の人々を集めた』という仮説。
それには色々と無理がある上に、自分自身でも半信半疑な代物だ。
考察とはいえこの交渉の場で切ったカードという事は、少なくともそれなりの根拠があることだろう。
……ならば、ある一面では螺旋王に通ずる真実である可能性は高い。
聞く価値はある、と判断する。

「ふむ。……それはどのような物か言ってみるといい。
 ワシとしても是非聞いておきたいところだ」

しかし、そうは問屋が卸さない。

『……でしたら、そちらの握っている情報も開示してください。
 我々がそれを聞いた後でしたらこちらの考察をお伝えします』

……当然といえば当然だ。
何しろ、情報だけ搾り出されてとんずらされたのではたまらない。
こちらから申し出た交渉でもあるため、先に情報を開示するのも筋というものだろう。
どうせニア以外は殺すのだ、喋っても大して影響はあるまい。
現に、カミナもガッシュもニアも、全員が既に頭に疑問符を浮かべている。
それなりに話の通じるのは板切れを通じて話している人間くらいのものだろう。
上手く考えたものだ、と思う。
この方法ならば自分の身を安全な所においたままで他の参加者と交流できる。


「ふむ、……道理だな。あいわかった」

……とりあえず、敵意を持たれずに情報交換できる空気は作り出せた。
後はこちらの情報を話した後、情報を引き出してニア以外を始末すればいい。
一応は、、話す情報は真実を話しておく。
下手に即席の偽の情報を流して気付かれるよりは、真実味のあるそちらの方が信憑性が増すだろう。

故に、開示する。
自身の持つ螺旋遺伝子の実験に関する考察を。
何らかの要因で覚醒するであろう、その力について。


「……このような所だな。他に何かあるか?」

『……成程。確かに、螺旋王の言葉を考えれば充分ありえますが……』

好感触と判断。
……ならば、後一押しだ。
何か与えられる情報はあっただろうか。
考え――――、一つ思い当たる。
大したものではないとは思うが、それでも単純に数は武器になる。
情報であっても同じくだ。
……一押し、それさえあればいい。
「……ならば、おまけ程度にもう一つの情報を教えてやろう。
 地図上にある消防署にな、赤い不細工なカラクリ人形が鎮座していたぞ。
 役に立つかどうかは分からんが、螺旋王の置いたものに違いなかろう。
 詳しく調べれば何かの意味が……、」

と、唐突にその言葉は遮られる。

「おいジジイ! も、もしかしてその人形ってよ、このくらいの大きさで、顔に手足の生えた奴か!?」

――――焦ったような、喜んだようなカミナの言葉。
それまでやることを持て余して貧乏ゆすりをしていた姿との豹変振りはおかしいくらいである。
当たりを引いた。
……何でも言ってみるものだ。何が役に立つのかは分からない。
東方不敗はこの齢になってもなお新鮮に実感するその事実に、苦笑しながらも肯定の言葉を告げる。
……敢えて、自分が投げ飛ばしたということは口にせずに。

「その通りよ。……まあ、消防署の北の方のどこかに吹き飛ばされてしまっておったがな。
 役に立つならばそれにこしたことはなかろう」

ラガン。
そんな名前を呟いて明後日の方向――――消防署とは全く関係ない方向を向くカミナ。
次いでその名詞の意味を理解し、花開くように期待の表情を浮かべるニア。
それを感じたからかどうなのか、クロスミラージュは前置きなしに話し始める。
……一押しが、効いた様である。

『……分かりました。では、こちらもお伝えしましょう。
 文明レベルの問題で、考察を伝えられる相手が居なかったのも事実ですからいい機会ではあるでしょう』


……そしてクロスミラージュは話し出す。
多元世界の概念を。
時間軸の異なる参加者たちの境遇を。
知り合い同士とはいえ、違う世界から招かれた可能性を。


「…………」

東方不敗は、ただ無言で返す。
その沈黙の内にどれだけの思考が展開されているのかは本人以外には分かる由もない。

『荒唐無稽ではあるでしょうが、現状を考慮すると矛盾を解消するにはこれが最適な能力と考えられます。
 可能性としても、わたしの世界では平行世界観の移動方法は確立されている事を考慮すれば0ではないかと』

「……いや、そうか。……むぅ、……確かに」

……確かに、荒唐無稽ではある。
だが東方不敗は十分ありうると判断した。

相羽シンヤやDボゥイの様な、能力は図抜けているのに技術がそこそこどまりなアンバランスな人間。
衛宮士郎やシャマルの持つ魔法としか呼べない能力。
ヴィラルやチミルフと言った異形。
そのどれもが、自分の知る世界とは違う――――、違和感としか呼べない何かを持ち合わせていた。
自分の考えた宇宙人仮説。
それで納得できる点も多くあるが、しかし宇宙人とは自分と同じ世界に存在するものである。
物理法則まで異なるわけではないのだ。
……ならば、自分の世界の物理法則で説明できない事象はむしろ他の世界の法則によるものと考えた方が自然かもしれない。
どちらにせよ荒唐無稽なことは変わらないのだから、より矛盾の少ない説のほうが信憑性はあるだろう。

……そして何より、一番の証拠はドモンの取った言動の不可解さだった。
自分を師として敬愛するあの態度。
しこりのように残っていたその奇妙さは、しかし多元世界という解を代入すればすんなり溶けるのだ。
要するに、あのドモンは自分と対立する前か、……その後か。
いつか和解するという可能性を実現させた世界のドモンであるならば、矛盾はない。

……ならば、あのドモンは何処から来たドモンなのだろう。
あの戦いは茶番だったのだろうか。流派東方不敗の奥義を継承したというあの喜びは何の意味があったのか。

……分からない。全てが螺旋王の手の上なのだろうか。

だが、ただ一ついえるのは――――、少なくともドモンが、石破天驚拳を修める世界もあるということだ。
……つまり、あのドモンは自分の知らぬ先を行くドモンであるのかもしれない。

……ならば。
それを見極められるのは、ある意味喜ばしいことではないだろうか。
病に侵された自分が決して見極めることが出来なかったはずの弟子の大成した姿。
考えてみれば、それは叶わぬ望みが叶うということだ。

そして、そもそもの多元世界を渡るという螺旋王の力。
……このことがどういうことを意味するかはおいおい考えるとしても、しかし有益な事は間違いないだろう。
多元世界。ありとあらゆる可能性。
それを自由に使う事ができるなら――――、


それを思い浮かべようとして、しかし東方不敗は頭を振った。

「……しばし、考える必要がある、か」

あくまで可能性の域だ。
これを確定させるには情報が足りなさ過ぎる。
無論、十分すぎる収穫ではあるのだが。

「……さて、と」

これはどう考えても相手の取って置きの情報だ。
ならば、これ以上の情報は粘っても得られないことだろう。
要するに。
要するに、だ。

「……そうそう、最期に一つ貴様らに伝えておくべき情報があってな」



ラガンとやらの話題で盛り上がり、ガッシュも交えて和やかに談笑するニアとカミナに、東方不敗もゆっくりと笑みを向ける。
……ただのそれだけで空気が一変した。
何処までも冷たく。
何処までも鋭利に。


「……ワシは殺し合いに乗っている。まあ、取るに足りない情報だろう?
 これから死に行く貴様らにとってはな」
「……ジジイ……っ!」

切り替えはその場の誰よりも早く。
――――カミナは、即座に立ち塞がった。
……ニアの前に。

いい目ではあるな、と東方不敗は思う。
自分が何をしたいのか、その為に何をすべきか。
それを直感的に理解し、躊躇いなく行動に移すことが出来る。

だがそれは若さによる強さだ。
真っ直ぐで硬いが――――、折れるときはあっけなく、そして脆い。

そんな代物で出来た楯で少女を守ろうとするならば、対策はただ一つ。

「フン……。安心せい、螺旋王の娘ならば利用価値はある。
 貴様らを殺そうともこの娘だけは生かしてやろう」

挑発し――――、正面から叩き潰す。

「……ざけんなよオイ! んな事させるかよ……ッ!!
 俺を誰だと思ってやがる!
 このカミナ様を甘く見るんじゃねえ!」

……よもや、力の差を弁えていない訳ではないだろう。
それでもただひたすら愚直にぶつかろうとしている理由は単純だ。
勇気でもない。
無謀でもない。

――――青さだ。

故に、それをあらゆる方向から打ち据える。
自分自身がいかに強大かをアピールし、その殻を叩き割ってしまえば済むことだ。

「クク、……楯になろうとは愚かなことだな。
 実に都合がいい、ワシもこの場に来てから赤い髪の小娘一人しか殺しておらんでな。
 ……そろそろ本気で動きたいと思っていたところだ青二才。
 貴様が肩慣らしの相手になってくれるのか?」

挑発に加え、具体的な殺人の示唆。
これはカミナを萎縮させる為だ。
どんなに鍛えようとも、偶然殺してしまう場合にはともかく、人が誰かを殺そうと思って殺すには覚悟がいる。
……その覚悟を、空気のようにこなせる事を見せつける。 
そして、肩慣らしの言葉。
その程度に扱ってやれば、青二才の若造ならまず憤る。
たとえ表面上変わっておらずとも、確実に心の中に波紋ができているはずだ。
後は生かすも殺すも思いのまま。
殺すとは言ったが、生かしておいてもニアへの脅迫に使えるだろう。
怒りに身を任せ、まともな判断力を失うがいい。

……それが東方不敗の見通しだった、のだが。


「……赤い髪の、女?」
――――想定外ではあった。
カミナの反応は予想外のものだった。東方不敗にとってよい意味での。
驚愕。
その一文字で表せるその表情は、東方不敗にとっては意味する所を読み取るのは容易いことだった。
見れば、ニアの顔も似たような色に染まっている。
単純にして明確な縁故だ。
――――なんという偶然。なんという好機。

口の端を歪に。これ以上ない程、歪に。


「……赤く、長い髪を束ねた小娘よ」

「……やめろ」

――――その声は、どこまでも弱々しく。

「あちこちを露出させた服と髑髏の髪飾りをつけていてな、こいつ――――この布で腹を刺し貫いてくれたわ」」

「やめろ……!」

その声は、何処までも悲壮に溢れ。

「名前はそう、何と呼ばれていたか――――」

「やめろっつってんだろ……ッ!」

その声はどこまでも怒りに満ち。

「ヨーコ、……だったか。なあ、聞き覚えはあるか? 青二才」

「やめろぉおぉぉおぉおおおおおおおぉおおおおおぉおおおおぉおおッ!!」


何より、無力な自分への後悔が止め処なく湧き続けていた。


自身の怪我も忘れ。
ニアの事すら忘れ。
カミナは吠え――――、剣を手にとって一直線に東方不敗に向かって斬りかかる。


『カミ……、』

自分を制止する声すらどうでもいい。
――――ただ、カミナは目の前の男を叩き切りたかった。
それが男の思う壺だと、分かりすぎるほど分かりながらも、なお。

しかし、カミナの動きよりなお早く東方不敗の手が動く。

カミナの全身に衝撃が走った。


――――天の光は全て星と言ったのは誰だったか。

……仰向けで飛んでいるのかもしれない。
それだけを理解して、カミナはもう一人怒りに打ち震える必要はなくなった。
◇ ◇ ◇


「カミナ、何を一人で先走っているのだ!
 勝てるものも勝てなくなるぞ!!」

……何故ならば、彼には仲間が居るのだから。

「……ガッシュ?」

気付けばそこはガッシュの腕の中だった。
仰向けに飛んでいるのではなく、小脇に抱えて横から掻っ攫われたのだ、
見れば東方不敗は先ほどから全く動いていない。
一人突進したカミナを無理矢理静止させる為にそんな行為に及んだのだろう。

『カミナ、ここは一人でどうにかできる局面ではありません!』

懐から響くクロスミラージュの声。

「ヨーコさんは、私にとっても仲間です……。
 私だって、大グレン団の一員です!」

ぐっと拳を握り、力強く頷くニア。

呆けた様な顔でそれを見回した後、顔を一瞬くしゃくしゃに歪める。
――――誰もが気のせいかと思うような間に表情を元に戻し、カミナは苦笑をあらためて作り出す。

「……ああ、そうだよな。
 俺にはお前達がいる。そして、ヨーコだって俺の大切な仲間だ。
 行くぜ野郎ども! 大グレン団、目の前のジジイをぶっ倒すぞ!!」

鬨の声が上がる。
ガッシュから飛び降りたカミナは剣を抜き放ち、背に皆の声を受けながら口上を張り上げる。

「行くぜジジイ……。
 いざここで会ったからにゃあ、俺は逃げねぇ、退かねぇ、振り向かねぇ!
 テメエがヨーコの仇だって言うなら尚更だ、覚悟しやがれ!
 あいつが生きていても、……本当に死んじまったとしても、それを語ったテメエを許す道理なんてどこにもねぇんだ!」

相対する東方不敗はただ悠然と。
流水よりなお緩やかな動きで構えを作る。

「ほう、ワシを殺せるものならやってみるがいい青二才が。
 敵討ちを諦め尻尾を振って逃げ帰るなら見逃してやってもいいのだぞ?
 ワシが興味あるのはそこの娘のみ。貴様など路傍の石ころほどの価値もないわッ!!」

カミナはしかし一歩も退かない。
――――己が信念を、吠える。叫ぶ。轟かせる。
「殺しゃしねぇ……、殺しゃしねえよ。
 俺はこの殺し合いなんざに乗らねえと決めた、だったらそれを貫き通す!
 それが俺の意地だ!
 テメェがヨーコを本当に殺したんだってんなら、アイツの墓の前で100万回土下座させてやらぁ!」

「青い、青いぞ若造がぁッ!!
 さあ、来てみせるがいい己が憎悪を剣に乗せて!」


――――戦いの始まりを告げるベルが鳴る。


カミナは既に手に慣れてしまった魔本を取り出しながら、一つの考えを展開させる。
自分らしくないとは分かっていながらも。
――――ヨーコの事は本当かどうかは分からない。
だが、少なくとも目の前の男が彼女に相対したのは事実だろう。
そして、その実力の桁外れさも、痛いほどに分かる。

目的はニアだ。
……たとえ自分の無力さゆえにこぼした人が居たとしても、彼女だけは、守り抜かなくてはならない。
絶対に、絶対にだ。
頭のどこかがそれを強く強く告げている。

カミナの信条はとても青いものだ。
仲間を絶対に信頼し、自分自身が信じたことも貫き通す。
だがしかし、傍らに居るニアは自らもまた力になろうとしているのだ。

……そこに矛盾が生じる。
彼女が戦いを望むなら、自分もそれを信じるべきではないのか。
彼女の戦う意思を無視してでも、逃げろと言うべきではないのか。

絶対に守り抜くためには、ニアに逃げて欲しい。
だが、ただ逃げろと言ってもニアはまず逃げないだろう。
これまでの会話で充分分かっていたし、自分の弟分の大切な人間なら、そうであるのがむしろ当然だ。

……その心意気はカミナにとって嬉しいことでもあり、同時に辛いことでもある。
東方不敗ほどの実力者と相対するならば、彼女の存在はむしろ逃げて欲しいのだから。

故に、カミナは悩む。
不得手と分かっていながらも脳髄を働かせて。

……その果てに、解決の為の一手として、一つの案をカミナは告げる。

「……ニア! お前は早くあのガンメンモドキを探して来い!」

「あ、アニキさん!?」

戸惑うニアを尻目に、魔本を捲りながらカミナは彼女にどうすべきかを伝えていく。

「お前もアイツの本が読めたんだろ?
 だったらさっさと探して来い、四人で戦ったほうが勝ちやすいだろうがよ!」

……もちろん、ビクトリームとの合流などは期待していない。
あくまでもここからニアを逃がす為の方便だ。
負けるつもりはないがとにかく自分たちで時間を稼ぎ、彼女を遠くに逃がせればそれでいい。
「で、でも……!」

それに感づいているのか、純粋に戦力が心配なのか。
当然のようにニアは不安げな目でカミナを見つめる。
……その時間さえ惜しいと言うのに。

だから、カミナは思い切り怒鳴る。

「俺を誰だと思ってやがる! 泣く子が余計に喚く大グレン団の鬼リーダー、カミナ様だろが!
 余計な心配してんじゃねえ、
 さっさと行けぇえええええぇぇええぇぇぇぇえぇえッ!!」

「――――!」

……今にも泣きそうな表情をわずかに見せた後、俯いたニアは……、
即座に後ろを向いて脱兎のごとくあらぬ方向へと駆け出していく。

振り向きもせず音だけで確認するカミナ。
ガッシュと目を合わせてニヤリと笑い会った後、いまだ構えを崩さない東方不敗にようやく向き直る。
自信の表れか舐められているのか、今のやり取りの間にも彼は全く攻撃を加えようとはしていなかった。

『……見逃してしまっていいのですか』

クロスミラージュの問い掛けに、しかし東方不敗は嗤ってそれを一蹴する。

「このワシが小娘一人見つけられんと思うのか?
 いまあ奴を捕らえるより優先すべき事は、その近くに飛び回る羽虫どもを駆除することよ。
 さあ、茶番は終わりだ。
 ……来るがいい青二才ッ!!」


……ベルは鳴り終わり、幕が開く。
戦いの舞台はこうして整った。

これより始まるのは――――、男が己の意地をかけた死合である。


「……ラウザルク!!」

カミナが手にした本に浮かび上がった呪文を口にした瞬間、ガッシュの体が光を纏う。
最早字が読めることにカミナが驚くことはない。
そういうものだと理解しているからだ。

そのままガッシュは一息に東方不敗に接近。
左右のラッシュを繰り出しながら、必殺の時を作ろうとする。

「ムゥ!?」

――――東方不敗が顔を歪める。
焦りや苦渋というほどではないが、確実に厄介だとは思っているのだろう。

技は未熟。間合いの読み方や位置取りも良いとは言えない。
……だが、単純に速い。力強い。
それもそのはずだ。ラウザルクは身体強化呪文。
只でさえ人より強靭な魔物の体を更に数段押し上げる効果を持つ。
たとえ技術が未熟でも、そのパワーとスピードは人の及ぶ範疇にない。
……しかし、それを乗り越えるのが人間だ。
たとえ体躯に及ばぬ熊であろうと獅子であろうと、技を以って仕留める存在こそが人間だ。
交差の一瞬で無数の連撃を打ち合い離脱。

「くぅ……っ」
「せぁあああぁああああっ!!」

単純極まりない左右の連打を繰り出したガッシュに対し、
東方不敗はフェイントと力の強弱、放つタイミングの緩急などを芸術的なまでに調節した舞踊を披露。
流れるようにガッシュの攻撃を全て受け流しながら、確実に自身の一撃を入れていく。
結果として現れる光景は、一方的に弾き飛ばされるガッシュの姿だ。

……しかし、そこで終わるならば一流の武術止まりでしかない。
自身の攻撃で吹き飛ばされるガッシュに更に追いつき追い越し、

「シィィィイイイイイイィイィイッ!」

――――流派東方不敗、背転脚。

金色の矮躯を一撃で粉砕する。

……いや、しようとした。

「らぁぁああああぁ、俺を忘れてんじゃねえソードぉ!」

「ちぃっ……」

カミナの剣による一撃。
片手に本を、片手に剣をという魔物のパートナーの戦法としては型破りすぎる代物だが、それをこなしてしまうのがカミナという男。
それを防ぐ為に蹴撃を中断せざるを得なかったのだ。
指の二本で刃を受け止め、思い切り引く。

「……っとぉ!」

だがそれでもカミナは剣を掴み続ける。結果、バランスを崩して前のめりになった。
……好機とみて東方不敗は距離を詰めようとした。
が、ふと背中に手を回し、握る。

「な、背中に目が生えておるのか!?」

掴んだものは、ガッシュ・ベルの腕。
吹き飛ばされた後、建物を蹴った反動を利用して背後に迫ったそれを気配と空気の流れから読み取り、対処したまでだ。

……やはり存外、厄介だ。
東方不敗はそう分析する。
身体能力だけが取り得なガッシュ。
心意気や躊躇いのなさ、即座の判断力は買うが、常人の域を出ていないカミナ。
片方だけなら全く問題はないが、連携されるとなると制限がかかった上に疲弊したこの身では反応が遅れる。
……故に、勝負は長引かせない。
これからの一連の攻防で決着をつけることを確定させ、その為に行動する。


掴んだままのガッシュの腕。それに力を込め、

「ウヌ!? ぬうぅぅぁああぁぁあああああああぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁ……」

――――思い切り上空へと放り投げる。


何をするのだぁぁあぁぁ……、と、残響音のような声と共に、遥か上空へ。
ここから確認すれば、ガッシュは豆粒のような大きさにしか見えていない。

つまり、わずかな時間とはいえ1対1の状況になったわけだ。
こうなれば後は単純。
すぐ側で体勢を立て直した小煩い青二才をどうにかすればいい。


「おらおらおらおらぁ、アトミックファイヤーブレードッ!!」

――――その場のインスピレーションですよと言わんばかりの適当な技名を、カミナは突きと共に繰り出すものの。

「ふ……ッ!」
「オイ、マジかよ!」

その刃をスウェーバックだけでやり過ごし、容易く体に手刀を叩き込む。

「ぐぅっ……」

どうにか刀身で受け止めるカミナ。
しかし、その一撃はあっさりとなんでも切れる剣を二つに叩き折り止まらない。
減衰した一撃はカミナの胴体に到達すると肋骨2本を二つに割り、その勢いのままカミナをまっすぐ突き飛ばした。
――――十数メートルほど飛ばされた先、いつしか辿り着いていた砂浜に幾度かバウンドしてようやくカミナは静止する。


「……フン。ようやく力量の差を思い知ったか? 青二才」

――――東方不敗は、無傷。
あれだけの交戦を、二人がかりで行なってさえこの様だ。
……むしろよくやったと言えるだろう。

カミナは口端に笑みを浮かべるのを東方不敗は見届けた。
……やり遂げた、と言う笑みを。
それを、東方不敗はニアを逃がしきれたことへの安堵だと推察する。

――――事実、それは成し遂げられた。
少なくともこれから自分はニアを探す必要があるだろう。
時間稼ぎの目論見はまんまと成功された。
敵対するとはいえ、殺すのは惜しいと東方不敗は思う。

真っ直ぐな気性とそれを貫き通せる意地。
青いところはあるが、ドモンに通ずる所も感じられた。
――――流派東方不敗を伝授してやりたいとすら思わされる。
まあ、現状と恨まれた事実を考えればそんなのは夢物語だ。
月明かりの下、尻餅をついて倒れたままのカミナの体を見据えつつ東方不敗は悠然と立つ。

最初はニアへの脅迫に生かしておこうかとも思ったが、しかし情が移ればそれだけ面倒なことになるだろう。
……ここは、殺しておいた方が後腐れがなくて良い。

だから、その通りにする。……ほんの少しの情けも込めて。

「さて、遺言くらいは聞いてやろう。何か伝えたいことはあるか?
 このワシに啖呵を吐いたその度胸に免じてひとつくらいはいうことを聞いてやらんでもないぞ?」

その言葉を受けて、果たしてカミナは何事かを呟いた。

「――――」

「む? 何と?」

……小さくて聞こえなかった。
何を言ったのかと再度問い、耳を澄ましてみればようやくその言葉が耳に届く。


「……テメエが倒れてろ、クソジジイ」


「――――な、」

気付く。
……カミナの手にある奇妙な本、その輝きに。

先ほどの身体強化呪文とは比べ物にならない力の密度に。

天を仰ぐ。

「ガッシュ、お前の出番だ!
 お前ならこのクソジジイをぶちのめせる。お前ならできる、俺はそう信じた!
 お前を信じる俺を信じろ、そしてお前を信じるお前を信じろ!
 いくぜダチ公……!」


――――そこには、強大な緑色の光を迸らせる魔物の子供が居た。
星々が散りばめられた夜の空。
そこから悠然と降臨するは王者の威風。
風が、強く強く吹き荒れた。

全ては布石。
ガッシュが飛び道具をこれまで使わなかったのも、カミナが自ら立ち回って注意を引かせたのもこの瞬間に通じている。
……尤も、特に考えずに直感にしたがってそうしていたのは事実ではあるが。
――――カミナの声が、亡びの時を呼び寄せる。


「……バオウ、」


東方不敗は直感する。
何もかもをも食らい尽くす雷の竜の姿を幻視することで。
この技は食らってはいけないと。
絶対に出させてはいけないと。
それを全身が告げている。

防ぐに能わず。
もたらす破壊は甚大に過ぎ、ヒトの身にて耐える術はなし。

避けるに能わず。
如何なる場所に逃げようと、その竜は何処までも追い続け、巨体を以ってヒトを磨り潰す。

壊すに能わず。
立ち向かうは愚かとしか呼べず、ヒトはただただ蹂躙されるのみ。


……その元凶は遠く。
当然だ。
遠距離攻撃手段の可能性を見損じ、遠くに投げ放ったのは誰でもない自分なのだから。
今から流派東方不敗のいかなる技を繰り出そうとも届くには時間がなさ過ぎる。


――――そして、ソレは告げられた。


「ザケルガァァァアアアァァァアァアアアアァアアアッ!!」







――――風が、吹き止んだ。

何もない。
たったの一つを除いて、そこにはもう存在しない。
……何がないのか? 存在しないのか?

答えは単純。たったの一語。


『変わったもの』は、何もない。

……カミナの肩に刺さった、奇妙な短剣を別として。

カミナは倒れたままで。
ガッシュは宙に居たままで。

東方不敗は、そこに威風堂々と立ったままで。


状況は、何一つ変わっていない。


「……嘘だろ、オイ」

――――ただ呆然とカミナが呟くと同時。
ガッシュは術の反動で気を失ったまま、あっけなく地面に落下した。


◇ ◇ ◇


『契約――――、魔法そのものをキャンセルするデバイス!?
 そんな、こんなものがあるなんて――――』

地面に尻餅をついたままのカミナの方から声が聞こえてくる。

だが、東方不敗にとっては些事に過ぎない。
今はとりあえず危機を脱出したことを喜び、しかしそれに溺れず次にするべきことを考えねばならない。
世の中は結果で動く。
過程を考えても意味のないことに捕らわれても仕方ない。

……そう。何故自分が全くの無事なのかは、東方不敗には分からない。
ただ、彼は自分の直感を信じて行動し、結果として生き延びた。それだけだ。



――――まさに死の呪文が告げられようとしたその瞬間東方不敗が取ったのは、カミナへの対処だった。

今までの戦法を推察するに、カミナの持つ本が何らかの影響をガッシュに与えている事は確実と推測。
故に、届かないガッシュをどうにかして呪文を防ぐより、カミナさえ何とかすればいいと考えた。

確実ではないが、それしかあれを放たせないための術がないのならば全力で事を成すまでである。
判断は刹那、行動は瞬間。
わずか一言が告げられるまでの間に、カミナに対してできる事を直感から導き出す。
――――そう、それは直感だった。
東方不敗という武術を極めた人間の頂点が、数多の戦闘の経験から導き出した現状を打破する術。
それを成す為に必要な道具を彼は手に取っていた。
何故それを選んだのか、考えはない。理由もない。
……ただ、『それ』ならば現状を打破できると戦士の勘が告げていた。
たとえその仕組みが理解できなくとも、あの呪文を無と化せるのだと。

だから、東方不敗はソレに賭けた。
摩訶不思議なその道具に。何より、自分自身の勘に、命の全てを。


彼が自らを託したその道具は、こう謳われた神秘の結晶。
 
破戒すべき全ての符、と。


ルールブレイカー。
ありとあらゆる契約を、魔術的な強化や生命を破戒し無と化す宝具である。
それは異なる世界のものとて例外ではない。

一瞬で手に取ったそれを、東方不敗は即座にカミナに投げつける。
……とにかく刺さればいいと、狙いを定めはしなかった為に刺さった場所は肩になったが、効果は即座に現れた。

カミナからガッシュに流れ込む心の力。
それが一瞬にて断ち切られ、結果、バオウ・ザケルガも形を保てず霧散した。
破戒すべき全ての符は、ガッシュとカミナの契約を強制破棄したのである。


当然、東方不敗はそれを知る由もない。
考えることすらしない。

何故ならば、今すべき事は他にある。
落下し、うずくまるガッシュに近寄っていく。

既に術の弊害による気絶からは冷めているのか、東方不敗の接近に慌て、何かないかとデイパックに手を突っ込んだ所を捕縛する。
下手な支給品でまた厄介なことになられてはたまらない。

「……そのまま動くでないぞ。
 鞄から手を抜いた時点で、何を持っていようが、何も持っていなかろうがあそこの青二才が死に至る事になる」

口元を歪めながらそう告げてみせれば、ガッシュはウヌ、と呟き泣きそうな顔で動きを止めた。
何が起こったかも理解できない状況で、いきなり窮地に立たされたにもかかわらず反応がそれだけなら大したものだ。
今の自分の立場を知っているが故に、危険な行動を取らない賢さは持っているようである。
――――実に人質にはもってこいだ。
言葉通りに置物のように動かないガッシュを脇に抱え、あらためてカミナに向き直る。

「……理解できたか? 青二才。
 まずはその本を捨ててこちらに来るのだ。さもないとどうなるかは……分かっているな?」

……殺すにせよ殺さないにせよ、とにかくは本からカミナを引き剥がす。

「クソ……ッ」
悪態を突き、憤りながらもカミナは言うとおりにすることしか出来ない。
……それが、彼の青さだ。
良くも悪くも一直線にしか進めない。
だからこそ皆の上に立ち導く時は強く輝き皆を惹きつけるが、逆に守勢に立たされれば脆いのだ。
これまでの彼の人生の殆どはジーハ村という狭い交友関係の場所にあり、故にこういう駆け引きは殆ど縁がなかった。
何かあっても、全て彼自身の責任となったからだ。

だから、仲間が窮地に立たされ、それが自分の行動一つで左右される場合、彼の取れることなど――――言いなりになるしかない。
たとえそれが自身の気持ちに反することになってもだ。
あまりにも危うい生き方。それをここに来てカミナは実感せざるを得なかった。
悔しく、また、情けない。
けれど、ガッシュの命を考えればこうするしか道はない。

魔本をその場に捨て、両手を挙げながら一歩、二歩。
砂浜の上を無防備に進んでいく。

10mほどで歩くのを止め、東方不敗と向かい合う。

「……これでいいだろ、ガッシュを離しやがれ」

東方不敗がクックと笑いを漏らす。

……癇に障る。それ以上に悔しくてたまらない。
目の前にいるのはヨーコの仇かもしれないのだから。

しかし、その感情を泣きそうな顔をしたガッシュを見て押さえつける。

後悔はない。これでいいのだ。
仲間を守る。カミナは皆の兄貴分でありリーダーなのだから。

……だから、カミナは絶望する。

「……成程、確かにこれでいい。
 人質は一人で充分だ。あの小娘の思い入れが強いのは貴様の方だろう、青二才。
 ……もう、この子供は用済みという訳だ」
「……っ! カミ、ナ……」

東方不敗の浮かべた悦の表情は、その自負すら叩き潰したのだから。
――――ガッシュを、殺す。
危険性を利便性を考慮し、躊躇いなく東方不敗はその決断を下した。

「テメェ……ッ!! くそ……くそぉ……っ」

無力。無力。無力。無力。無力。
理不尽にも敵のなすがままにされ、反撃すら出来ない。
何が俺を誰だと思ってやがる、だろう。
結局何も出来はしない。

いつしか、カミナは泣いていた。
東方不敗への憤怒を露にしながらも、何も出来ない自身があまりにも悔しかった。
ここまでの挫折感を味わったのは初めてだった。
「フン、貴様にはまだ生きていてもらうぞ。
 ワシの走狗として情報を集めてもらうとしようか」

がくり、とその言葉を聞いて地面に膝をつく。
ただただ、悔しかった。
悔しいの一文字しか心になかった。

カミナ一人ではガッシュを救う事は出来はしない。
仲間を守ることすら貫けない。


――――そう、だからこそ、仲間がいる。


「――――アニキさん! ガッシュさん……!」

「……な、」

背後から聞こえた声に、カミナは驚きを隠せなかった。


◇ ◇ ◇


――――嘘だと分かっていた。
いや、嘘というより方便だろう。自分をここから逃がす為の。

嫌だった。
何も出来ないのは。そして、むざむざ退くのは。

逃げない、退かない、振り返らない。
それこそが大グレン団の心意気だ。
シモンが受け継いでいたそれを、カミナは強く見せ付けてくれた。

カミナは自分を認めてくれた。
ならば自分も大グレン団だ。
そして、それを誇りたかった。

だから、最初こそ言うことを聞こうと思ったけど、引き返す。
……自分も力になりたいと、その想いだけを心に宿して。


「――――アニキさん! ガッシュさん……!」
「……ニア?」


見ればガッシュが東方不敗の脇に抱えられ、カミナは涙に濡れて膝をついている。
何とかしなければならない。
自分にできる事は何か、それを即座に見つけ出す。
カミナの背後に落ちている本。
一度ビクトリームのときに経験がある。
あれを使いたい。
使って、皆を救い出す!
絶対にこの場を切り抜けてみせる!

……自分も意地を貫ける、大グレン団の一員なのだから――――!

その想いが迸る。
ニアの全身から光が漏れ出し、緑に染まる。
体躯は一瞬で活性化し、ニアの走りを加速させた。

運動を止めずに地面から本を掻っ攫い、開く。
求めるはこの場を切り抜ける方法。
想いの力は確かにそれを導き、答えた。

本に浮かび上がるその呪文の名前を強く強く口にする。
必要なのは強力な一撃ではない。
ガッシュが東方不敗を振りほどくことさえできればいい。
シンプルイズベスト。
単純ゆえに出が早く、体勢を崩さざるをえない攻撃を解き放つ――――!


「ザケ――――、」



――――暗転。

最後に見た光景は、東方不敗の片腕から延びる布切れが自分の手を打ち据え、体ごと吹き飛ばす光景だった。
本が、手から零れ落ちてゆく。
◇ ◇ ◇


「……甘いわ。この東方不敗が貴様が素直に逃げ出したと思い込んだとでも考えたか?
 青二才、貴様に似てよい気質はしておるが――――、意地だけでは何も得られんということがこれでよく分かったろう?」

希望は蹂躙される。
たった一人の手によって。

東方不敗は布切れ――――、マスタークロスを翻す。

東方不敗がマスタークロスを今まで使わなかったのはこの為だ。
まさしく先ほどのカミナとガッシュがラウザルクで戦ったのと同じ理由。
飛び道具がないと思い込ませ、ニアの油断を誘う。
本当に逃げたなら探せばよし、隠れて機を窺うのならその瞬間に打ち据えればよし。

殺してはいない。怪我も手が痺れるくらいの者だ。
色々と利用価値があるのだ、気絶させるに留めてある。


……全ての手は潰えた。
カミナの表情は雄弁にそれを物語っている。

……泣き笑いだった。

逃がしたかった。それも叶わない。
逃げずに立ち向かった。それは嬉しい。

……カミナには、もうその二つの感情しか残っていなかった。
故に、隠すものは何もなく素直にそれが出てきていた。
他の感情は何もかも、深い深い挫折に落ち込み奈落へと消えていった。

「……フン」

こうなってはもう用はない。
中々の骨を持つ男だっただけに惜しいとは思うが、必要なのはニアだけだ。

辺りを見渡す。

倒れ、動かないニア。
体を震わせながらも言いつけを守って固まったままのガッシュ。
泣き笑いのまま、地面に手をついてこちらを見上げるだけのカミナ。

最早この三人の誰もが戦いの意思を放棄した。

――――そして立ち続けるのは東方不敗ただ一人。
これが結末だ。
それを認め、東方不敗は笑った。
高々と、高々と。

「ク、クク、ワハハハハハハハハ……!!
 中々に面白かったぞ貴様ら!
 しかしこれで仕舞いだ、敬意を表してこのワシの最大の技で葬ってやろう!」
140名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:37:57 ID:1zF4S460
ガッシュを小脇に抱えたまま、東方不敗はゆらりと体を動かし一つの構えを形作っていく。
当る先は勿論カミナ。
無防備なその体を見据え、己が精神を集中させていく。

「……東方不敗が最終奥義」

これぞ狼の群をただ一撃で薙ぎ払ったとされる究極の一撃なり。

「……石破ぁっ!」

眼前の敵に全てを注ぎ込む。
もたらされる結果は実に単純。


「天……ッ! 驚……ッ!」



「グラサン・ジャックになぁにさらしてくれとるのだこのおさげマニアがぁあぁああぁあああぁあああああ!」

「――――!」

あまりにもらしくない、第三者の割り込みへの不注意。
中途半端に気に入ったカミナに意識を向けるあまり後方への警戒を怠ったが故に、既にソレに背後数メートルまで接近することを許していた。

「ブルァァアアアァアアァァアアッ!!」

……そう、まさしく――――東方不敗の間合いに。

錐揉みを加えながら体ごと東方不敗にぶつかろうと勢いを減じさせないビクトリームの突撃。
東方不敗は即座に判断を下す。
戦う意思を失ったカミナよりも、この邪魔者を排除する方が優先事項であると。
腕に溜めたその一撃をスライドさせ、そのままビクトリームの方へと突き出してゆく。

――――カミナは、これから起こることを理解し、それを防ごうと大声を出す。
……せめて、自分に東方不敗の注意を向かせようと。
ビクトリームだけでも助かって欲しいと。


「逃げろッ、ガンメンモド、」


無駄。



「拳――――――――――――――――!!」



ビクトリームの首から下が全て破砕した。
142名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:38:47 ID:1zF4S460
否、それは粉砕。
わずか数瞬前にビクトリームだったものが、微塵よりなお小さく細かい単位まで分解されていく。


何が起こったか理解できないという表情のビクトリームの頭部の真下から、ゆっくりと首輪が地面に落ちていった。


「――――ビクトリー、」


……名前を呼んで、理解した。
ああ、俺はコイツの事は……ちったぁ気に入ってたのかもな、と。
そして、……もう下らねえド付き合いもできねぇんだな、と。


「ビクトリィィィィィイィイイィィイィィムッ!!」

ガッシュの絶叫がカミナを現実に引き戻す。

見れば、東方不敗がビクトリームのにじり寄ってきた背後を向いている隙に、ガッシュはデイパックの中で握り続けていたそれを東方不敗に突き刺していた。

「……何故だぁぁぁぁぁぁぁああぁあああ!!」
「ク……!」」

――――巨大なドリルを、自分を掴む腕に。
力が緩み、ガッシュは東方不敗を振りほどく。
地面に転げ落ちながらも、しかしガッシュは吠えるのをやめようとしない。
優しい王として。
仲間を殺した理由を、問うために。

「何故だ! 何故、ビクトリームを殺したのだ!! 答えろ、答えるのだッ!!」

……その事実が、ようやくカミナの頭の中に浸透していく。
乖離していた現実が。
ごとりとビクトリームの頭だけが地面に落ちる光景が。
腕から開放された瞬間、反撃を防ぐ為にマスタークロスでガッシュが吹き飛ばされる瞬間が。
ビクトリームのデイパックからこぼれた本が、ゆっくりと燃えていく様が。


「テメェェエェエエエェエエエエエェッ!!」


――――その一瞬で、カミナの全身が緑の光に包まれる。
それはその場にいた全員が目を疑うほどの煌きとなり、力を堂々と誇示していた。

ガッシュを打ち据える東方不敗も。
布の一撃を耐え、しかし押し切られるガッシュも。
いつしか気絶から醒め、ビクトリームの体が消滅しているのを目の当たりにしたニアも。
何より、カミナの懐で直にその光に触れたクロスミラージュも。


『カミナ――――』

……クロスミラージュのボディに螺旋の力が充満していく。
そして理解。
これならば、自分を動かせるに違いないと。
144名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:39:09 ID:1zF4S460
「いくぜ……ダチ公! あのジジイをぶちのめしてやる!!
 なあクロスミラージュ! ここで退いたら男じゃねえ!」

肩のルールブレイカーを引き抜き叫ぶ。
クロスミラージュを手に取った瞬間、カミナの体に幾つもの赤いくろがねが浮かび上がり、装着されていく。
バリアジャケット。
それによって顕現するは紅蓮羅顔。
彼が相棒と認めた男との合体によって生まれ出でる巨人、その写し身である。

その手にあるは二丁の拳銃、しかして拳銃でないものだ。
クロスミラージュのダガーモード。
通常ならそこから生成されるはずの刃は、今は螺旋の形状を為していた。
天をも突くドリルの形へと、螺旋の力は刃を進化させたのだ。

『「ギガ……」』

カミナとクロスミラージュは同時に叫び、射線を東方不敗へ。
カートリッジロード。
最後に一つだけ残っていた薬莢が排出され、宙に舞う。
左の銃口から、まるでブーメランのような光弾が射出され、東方不敗を縫い止めんとする。

『「ドリル……ッ!!」』

――――だが、それは無意味と化す。

遅い。
ただ単純に遅い。

初動が遅い、溜めが遅い、狙いが遅い、呼吸が遅い。
ありとあらゆる動作が遅すぎる。

「流派東方不敗が奥義……!」

東方不敗マスターアジア。
彼にとって、彼らが児戯を繰り出すまでの間などまさしく遊ぶ暇さえあるものだ。
初撃のブーメランが彼のその身に弾かれた。
何故ならば既に東方不敗は行動を終えている。

「超級覇王ッ……」

肩に腕に巨大なドリルを刺したままでありながら、全身から迸る衝撃が近づくもの全てを無力化する。


「電影弾――――!」

突撃。
あらゆるものを弾き飛ばしながら、今だ初撃の体勢から動かないカミナを蹂躙し、駆逐する――――。



そのはず、だった。
146名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:40:13 ID:1zF4S460
「…………ッ!!」

意に反して体が急に停止する。
それも、銃口をこちらに向けたカミナの直前で。

……見れば、全身にいつしか鎖が絡みついていた。
黄金の輝きを持つ鎖が。
全身に力を込めてさえびくともしない。
超級覇王電影弾を持ってしてさえ、東方不敗の鍛え抜かれた肉体を以ってさえ傷一つ付けられない。

その鎖の名は天の鎖、エルキドゥ。
かの英雄王ギルガメッシュが乖離剣以上に信頼する、神をも縛る宝具である。

振り向く。
最早意識も定かでない頭だけのVの字が東方不敗に密着。
そこから延びる天の鎖は、東方不敗の全身に絡み付いて完全なる拘束を果たしていた。



◇ ◇ ◇



――――何故か、そうしなければいけない気がしたのだ。
ただ、会って謝りたかったのかもしれない。
一度は逃げ出したとはいえ、それでも帰ってきたのはそのためだった。
理由も分からない感情で退いた彼は、しかし。

――――絶対に退かない男の顔を思い出した。

理由の分からない感情で、その男に向かい合うことを選び直したのだ。


……結局まともに会話をする事は叶わなかったが、しかし選んだ行動に後悔はない。
だが、ただ一言、その男に言ってやりたいことが残っていた。

「…………………、」

――――――――伝わっただろうか。
最早自身の耳には何一つ聞こえない。
口を動かしたと、その筋肉の動きが分かるだけだ。

それでもいい、と思った。

目の前の男は、泣きながら。
それでも歯を食いしばって、力強く頷いたのだから。

……自分たちに向けられたドリルに自ら体を突っ込ませる。
この男を失わせたくない、そう思ってしまったのだ。

――――それを最後に、ビクトリームの視界は緑の光に染まる。
148名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:41:46 ID:1zF4S460
永遠に。



◇ ◇ ◇



最後の瞬間に、Vの字は口をわずかに動かした。
声は聞こえない。
おそらくその余力さえなかったのだろう。

……だが、カミナには伝わった。
読唇術の心得など当然なかったが、それでも何と言っているのかは充分すぎるほどに。


「パートナーとは――――」

こういうものなのだろう? と。

それきり、ビクトリームは東方不敗ごと自身の体を前に突き出した。

何のためにそんな事をしたのか、理由は痛いほどに分かる。
更に言うなら、これは最後の足掻きだ。
ここでそれをしなくても、ビクトリームは助からない。
それでも、しかしそれでもカミナはそれを叶えたくなかった。
道理など、蹴っ飛ばしてやりたかった。
キャッカンテキな判断などごめんだった。

だが、そうしなければビクトリームの意気に答えてやることなど出来はしない。
ガッシュやニアを守りきることも出来はしない。

だから。
カミナは泣き叫びながら、それでも全力でクロスミラージュの引き鉄を押し込んだ。

『「ファイヤー……ッ、」』

クロスミラージュに込められた最後のカートリッジ3つが全て排出される。
周囲に無数に光球が浮いたと同時、それら全てがクロスミラージュ先端に集い巨大なドリルを形成した。

高町なのはがティアナに撃ち込んだ収束クロスファイヤーシュート。
その応用を、ポイントブランクショットで叩き込む。
かつてない高出力を由来とし、クロスミラージュはまるでレイジングハートの様に極太の光の柱を射出した。


『「シュート――――――――」』




消えていく。消えていく。

天まで届くドリルが、その先にあるもの全てを掻き消していく。

東方不敗も、天の鎖も、ビクトリームの頭も何もかも。
今だ放出され続け、天まで届く螺旋の柱。
ふと、クロスミラージュはカミナが何かを呟いたことに気付いたが、しかしその記録を抹消することにした。
その言葉は自分が受け取るべきものではないのだから。



「……あばよ、ダチ公」





【ニア@天元突破グレンラガン 螺旋力覚醒】
【ビクトリーム@金色のガッシュベル!! 螺旋力覚醒】


【ビクトリーム@金色のガッシュベル!! 死亡】


◇ ◇ ◇


――――以上、一連の事象及び自分の得た情報、特に東方不敗より情報交換で得た彼の考察と、
カミナが自分を使用可能だったという事実を元に、ある仮説を提示する。

すなわち、螺旋力とは何か、という事だ。

まず第一に言えるのは、魔力とは螺旋力の関係についてである。
魔力によって運用される自分が魔力を持たないカミナによって使用可能であった以上、少なくとも相互に関連性がある事は間違いないだろう。

さて、魔力が螺旋力によって代用可能なら、それらの関係性は何だろう?
魔力が螺旋力を生み出しているか、螺旋力が魔力を生み出しているか、
その2パターンが考えられる。

ここで、自分は後者を推したい。
魔力とは、螺旋力が何らかの変質を遂げたものである、ということだ。
この事は、魔力をもつ人間はごく限られた存在でしかないという事実に対し、
螺旋力はカミナや東方不敗を含め、本来魔力を持たない人間にも発現しうる遍在性からの推測である。

……東方不敗によるならば、たとえ誰であろうとも螺旋力は窮地に立たされれば発揮しうるものという考察がある。
以下、螺旋力は誰もが本来持ちうるが、発揮される機会はそれこそ殺し合いのような特殊な状況下のみという前提で話を進めよう。

カミナが螺旋力を用いて自身を使った際、その体力の消費は魔力使用時よりも遥かに大きいものだった。
ここから、螺旋力と魔力の関係は、原油とガソリンの様なものではないかと考えたのだ。

螺旋力を持っていたとしても、不純物が多すぎて魔法を運用するには効率が悪すぎる。
そこで、何かしらの変質作用を施すことで精製し、魔法を使うのに最適化されたのが魔力という訳である。

この『何かしらの変質作用』を生まれつき持つ人間こそが、魔法使いとなり得るのである。
つまり、魔法使いや魔術師の素質とは、その作用をもたらす回路――――“魔術回路”とでも言うべきものが生来どれだけ備わっているかによって決定されるのだ。


これを踏まえて、螺旋力とは何か、を考えてみよう。
151名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:43:17 ID:1zF4S460
まず、魔力とは精神力、あるいはそれに順ずるものである。
その上で、ガッシュ・ベルのような魔物を考慮すると、その正体が見えてくる。
彼らは魔力を持っているが、単体ではその力を発動させることは叶わない。
術を発動させるのには、『心の力』こそが必要なのである。
心の力が彼らを経由することで術という形になるのだ。

まさしく、螺旋力が魔術回路を通ることで魔法や魔術になるのと同じ様にである。

……つまり、螺旋力とは心――――、意思を動かす原動力そのものではないだろうか?
生命が生き延びようとする本能そのものと言えるかもしれない。

生命体の定義とは、自己保存と自己複製の2つを持ち合わせている事だ。
加えて、重要になる要素がもう一つ。

――――進化、である。

自己保存にしても自己複製にしても、それらは生命が自身の要素をできる限り長く保たせる為の指向性である。
だがこれだけでは、いずれ来るかもしれない環境の激変に耐えられないならば、滅んでしまうのは必定といえるだろう。
その為に、生命は進化するのだ。
いかなる壁が目の前に迫ろうとも、それを穿ち突き破るために。

生き延びようとする意思は、進化を求めることに他ならない。

即ち螺旋力とは進化を求め、進化を促し、進化に導かれる力であり、
またその意思によって生み出され、意思を生み出している力でもある。
生き延びようとするための意思そのものこそ――――螺旋力だというのが自分の結論である。


これを拡大解釈するならば、更にいくつかの仮説が提示できる。

まず、生命の存在する環境内のネットワークそのものが螺旋力を持ちうる可能性についてである。
一部の魔導士の使う合体魔法。
これらは、異なる個体の魔力であっても、意思を同調させれば一つの力になり得ることの証となる。
ここで、あらゆる生命に共通する自己保存と自己複製の本能を思い出してみよう。
即ち、意思の根底にある本能が全ての生命に共通な以上、魔力、ひいては螺旋力は一つの指向性を持って環境上に展開されている可能性があるのだ。
つまり、――――同じ世界に存在するありとあらゆる生命体の生み出した、潜在的な螺旋力の奔流。
世界に散らばる生命種そのものによって生み出される、惑星規模のエネルギー。
――――“地脈”とでも呼称できるだろうか。
そのようなものが存在する可能性がある。
この“地脈”を用いた魔法形態も、多元世界のどこかにあるかもしれない。

第二の仮説としては、自分のような機械やプログラム生命体、人造生命体が螺旋力を持ちうる可能性についてである。
これらに関しては、限りなくノーに近いということが出来るだろう。
そもそも螺旋力の由来からして生命活動が必須なのであるのだから。
……だが、しかし可能性は0ではない。
自己保存と自己複製。
これらを備え、更に進化し向上しようとする意思を持ち得るほどに高度な技術で生み出された存在ならば、螺旋力は備わりうるだろう。
――――現在、機動六課で唯一生き残っているはずのシャマル女史を想定。
彼女ほど高度に組み上げられたプログラムなら、螺旋力を発現する事は可能と判断する。
現状がどうであるかは別としても、もし彼女が覚醒したならば仮説を補強する材料となるだろう。


――――以上が、自分自身が現状のデータから導き出した考察である。
荒唐無稽とはいえ、これらが内包する可能性は非常に多様であると言えるだろう。
……明智健悟の様な、考察を最大限に運用可能な参加者との接触を望む次第である。
153名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:45:04 ID:1zF4S460
◇ ◇ ◇


静寂が訪れるまでどれだけ立ったろうか。

――――カミナは地面に手を着いて、子供の様に泣いていた。
小さな村に押し込められて、世界を知ることのなかった彼にとっては初めてに近い挫折。
そして、ビクトリームを死なせてしまったことへの後悔と悲しみ。
ヨーコが死んだと聞かされた事への絶望。
東方不敗への激しい怒り。
それらを一度に味わわされ、ただ慟哭するしかできなかった。

友を失ったガッシュも手を握り締め、海の方を向いて動かない。
クロスミラージュも、早く移動すべきと分かっていながら敢えて声をかけることはしなかった。

夜明けは遠く、月と星は煌々と。
位置を変えながらも今だ輝き続けている。


いつか目指すと誓ったそれを見ようともせず、風に打ち付けられるまま。

――――ただ、カミナは哭く。

その光景はいつか見た誰かに重なるようで、ニアは傍らに寄り続け、カミナの体にゆっくりと手を添える。
ぴくりと震えるも、しかしカミナは動かない。


――――そのまま、たった一言だけをニアに伝えた。


「……ありがとうな」


いずれ彼は立ち上がる。
信じようとも信じなくとも、それは確かな事実だ。
何故なら、彼はリーダーなのだから。

……だから誰しもそれを待つ。
待って、彼が自分たちを導いてくれるその時までただ耐え忍ぶのだ。



――――夜明けは遠く、しかし確かに近づいている。




【E-1南部/海岸付近/二日目/黎明】
155名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:45:28 ID:QDRY5JWX
 
【カミナ@天元突破グレンラガン】
[状態]:精神力消耗(中)、疲労(特大)、全身に青痣、左右1本ずつ肋骨骨折、左肩に大きな裂傷と刺突痕(激しく動かすと激痛が走る)、
    頭にタンコブ、ずぶ濡れ、激しい慟哭、強い決意、螺旋力増大中
[装備]:クロスミラージュ@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ0/4:0/4)
    折れたなんでも切れる剣@サイボーグクロちゃん、
    バリアジャケット
    【カミナ式ファッション"グラサン・ジャックモデル"】   
    アイザックのカウボーイ風ハット@BACCANO! -バッカーノ!-、アンディの衣装(靴、中着、上下白のカウボーイ)@カウボーイビバップ
[道具]:支給品一式(食料なし)、ベリーなメロン1個(ビクトリームへの手土産)@金色のガッシュベル!!
    ガッシュの魔本@金色のガッシュベル!!、ルールブレイカー@Fate/stay night
[思考]基本:殺し合いには意地でも乗らない。絶対に螺旋王を倒してみせる。
0:畜生……っ!!
1:ビクトリーム……。
2:ニアは……なぜだか嘘を言ってるとは思えねぇ! コイツは俺が守ってみせる!
3:チミルフだと? 丁度いい、螺旋王倒す前にけりつけたら!
4:ショウボウショの北にラガンがあるんだな……? シャクだが、行かねぇワケにはな……。
5:グレン……もしかしたら、あそこ(E-6)に? 
6:もう一回白目野郎(ヒィッツカラルド)と出会ったら今度こそぶっ倒す!
7:ドモンはどこに居やがるんだよ。
8:……線路からハツデンショに飛び降りちまえば、ぶっ壊れた駅になんざ行く必要はねえ!

[備考]
※E-6にグレンがあるのではと思っています。
※ビクトリームへの怒りは色んな意味で冷めました。
※文字が読めないため、名簿や地図の確認は不可能だと思われます。
※ゴーカートの動かし方をだいたい覚えました。
※ゲイボルクの効果にまるで気づいていません。
※シモンの死に対しては半信半疑の状態ですが、覚悟はできました。死を受け入れられる状態です。
※ヨーコの死に対しては、死亡の可能性をうっすら信じています。
※拡声器の声の主(八神はやて)、および機動六課メンバーに関しては
 警戒しつつも自分の目で見てみるまで最終結論は出さない、というスタンスになりました。
※第二放送についてはヨーコの名が呼ばれたことしか記憶していません。
※溺れた際、一度心肺機能が完全に停止しています。首輪になんらかの変化が起こった可能性があります。
 禁止エリアに反応していませんが、本人は気付いていません。
※会場のループを認識しました。
※ドモン、クロスミラージュ、ガッシュの現時点までの経緯を把握しました。
 しかしドモンが積極的にファイトを挑むつもりだということは聞かされていません。
※クロスミラージュからティアナについて多数の情報を得ました。
※ガッシュの本を読むことが出来ました。
 しかし、ルールブレイカーの効果で契約が破棄されています。再契約できるかは不明です。
※ニアと詳細な情報交換をしました。夢のおかげか、何故だか全面的に信用しています。
※螺旋王に挑む決意が湧き上がっています。
※ロニー・スキアートとの会話は殆ど覚えていません。
※カミナのバリアジャケットは、グレンラガンにそっくりな鎧です。
※東方不敗の螺旋力に関する仮説を聴きましたが、理解できていません。
※東方不敗からラガンの所在について聞きました。
※東方不敗に対する激しい怒りを覚えました。
※螺旋力覚醒
157名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:46:16 ID:1zF4S460
【クロスミラージュの思考】
0:カミナを気遣ってしばし黙っている。
1:東方不敗が再度こちらに来ないうちに早めに移動する。彼の吹き飛ばされた南部には行きたくない。
2:ドモンはとっくに移動したと判断。モノレールの線路でD-4駅方面(発電所)に行き、北部からデパート方面に向かいつつ捜索。
3:明智と合流してカートリッジの補給や情報交換をしたい。
4:東方不敗を最優先で警戒する。

※ルールブレイカーの効果に気付きました。
※『螺旋王は多元宇宙に干渉する力を持っている可能性がある』と考察しました。
※各放送内容を記録しています。
※シモンについて多数の情報を得ました。
※カミナの首輪が禁止エリアに反応していないことを記録しています。
※東方不敗から螺旋力に関する考察を聞きました。
※螺旋力が『生命に進化を促し、また、生命が進化を求める意思によって発生する力』であると考察しました。


【ニア@天元突破グレンラガン】
[状態]:精神的疲労(大)、全身打撲(中)、両手に痺れ、ギアス?、右頬にモミジ、
    下着姿にルルーシュの学生服の上着、ずぶ濡れ、強い悲しみ、螺旋力覚醒
[装備]:釘バット
[道具]:支給品一式
[思考]基本:シモンのアニキさんについていき、お父様を止める。
0:……アニキさん。
1:ビクトリームさん、私は……。
2:カミナを元気付けたい。
3:出来ればシータを止めたい。
4:ルルーシュと一緒に脱出に向けて動く。
5:ルルーシュを探す。
6:マタタビを殺してしまった事に対する強烈な自己嫌悪。
7:東方不敗を最優先で警戒する。

[備考]
※テッペリン攻略前から呼ばれています。髪はショート。ダイグレンの調理主任の時期です。
※カミナに関して、だいぶ曲解した知識を与えられています。しかし本人に会ったので知識と現実の乖離に気付きました。
※ギアス『毒についての記憶を全て忘れろ』のせいで、ありとあらゆる毒物に対する知識・概念が欠損しています。有効期間は未定。
 気絶中に解除された可能性があります。
※ルルーシュは完全に信頼。スパイク、ジンにもそこそこ。カレンには若干苦手な感情。
※ビクトリームの魔本を読めましたが、シータへの苛立ちが共通した思いとなったためです。
 今後も読めるかは不明です。
※会場のループを認識しました。
※ロニーの夢は見ていません。
※ガッシュの魔本に反応しました。
※カミナ、クロスミラージュと詳細な情報を交換しました。
※東方不敗の螺旋力に関する仮説を聴きましたが、理解できていません。
※東方不敗からラガンの所在について聞きました。

※螺旋力覚醒
【ガッシュ・ベル@金色のガッシュベル!!】
[状態]:おでこに少々擦り傷、全身ぼろぼろ、全身打撲(中)、肉体疲労(大)、精神疲労(中)、頭にタンコブ、ずぶ濡れ、強い決意 深い後悔、螺旋力増加中
[装備]:バルカン300@金色のガッシュベル!!
    リボルバー・ナックル(右手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ4/6、予備カートリッジ数12発)
    【カミナ式ファッション"グラサン・ジャックモデル"】
    アンディの衣装(手袋)@カウボーイビバップ、アイザックのカウボーイ風の服@BACCANO! -バッカーノ!-、マオのバイザー@コードギアス 反逆のルルーシュ
[思考]
基本:やさしい王様を目指す者として、螺旋王を王座から引きずり落とす。 絶対に螺旋王を倒してみせる。
0:すまないのだ、ビクトリーム……。
1:カミナ達と戦う。
2:ドモンを探しつつデパート跡を調べに行く。
3:なんとしてでも高嶺清麿と再会する。
4:ジンとドモンと明智を捜す。銀髪の男(ビシャス)は警戒。
5:東方不敗を最優先で警戒する。

[備考]
※剣持、アレンビー、キール、ミリア、カミナと情報交換済み
※ガッシュのバリアジャケットは漫画版最終話「ガッシュからの手紙」で登場した王位継承時の衣装です。
 いわゆる王様っぽい衣装です。
※螺旋王に挑む決意が湧き上がっています。
※ロニー・スキアートとの会話は殆ど覚えていません。
※第四回放送はブリを追いかけていたので聞き逃しました。
※東方不敗の螺旋力に関する仮説を聴きましたが、理解できていません。
※東方不敗からラガンの所在について聞きました。
※螺旋力覚醒

[持ち物]:支給品一式×8
[全国駅弁食べ歩きセット][お茶][サンドイッチセット])をカミナと2人で半分消費。
【武器】
巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING、ジンの仕込みナイフ@王ドロボウJING、
東風のステッキ(残弾率40%)@カウボーイビバップ、ライダーダガー@Fate/stay night、
鉄扇子@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-、スペツナズナイフ×2
【特殊な道具】
テッカマンブレードのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード、ドミノのバック×2(量は半分)@カウボーイビバップ
アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、砕けた賢者の石×4@鋼の錬金術師、アイザックの首輪
ロージェノムのコアドリル×5@天元突破グレンラガン
【通常の道具】
剣持のライター、豪華客船に関する資料、安全メット、スコップ、注射器と各種薬剤、拡声器
【その他】
アイザックのパンツ、アイザックの掘り当てたガラクタ(未識別)×1〜6、血塗れの制服(可符香)
ブリ@金色のガッシュベル!!(鮮度:螺旋力覚醒)


※カミナ達のすぐそばにビクトリームのデイパック
(支給品一式、CDラジカセ(『チチをもげ』のCD入り)、ランダム不明支給品x1、 キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!!)
 が落ちています。
※ビクトリームの魔本@金色のガッシュベル!!は焼失しました。


【ロージェノムのコアドリル@天元突破グレンラガン】
ロージェノムが周囲に従える6人の女性の本当の姿。最初からドリル形態で6つ全てを支給。
これら6つがスピンオンすることで、彼専用ガンメンのラゼンガンを起動させることが出来る。
ちなみにこれは多元宇宙のどこかのロージェノムのもので、主催者のロージェノムの持ち物ではない。
奪われた側のロージェノムはラゼンガンを起動させることは出来ないが、
そもそも素で強いし体一つでグレンラガンと殴り合っても無問題だろう、多分。
160名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:48:24 ID:1zF4S460
◇ ◇ ◇


「――――ク、ハハハハハハハハハハハ……!」


高笑いが鳴り響く。
――――東方不敗のそれに間違いない。

ここはテーマパークのすぐ側の海岸。
ずぶ濡れなのは、どうにかそこまで泳ぎついた事の証だ。

「ワッハッハッハッハッハッハッハ!! あの青二才、いや、カミナめ、やりおるわ!
 ハッハハハハハハハハハハ! ハハハハハハハハ!!」

愉快だった。
実に愉快だった。

何せ、あの男は宣言通り敢えて自分を殺さなかったのだから。
殺し合いなど乗らないと言い切った意地。
伴侶を殺され、友を失ってもなお貫き通すその気質。
青さもここまでくれば実に面白いというものだ。

「――――気に入った! 気に入ったぞカミナよ!
 機会さえあるならば流派東方不敗を伝授してやりたいくらいだ!
 ワハハハハハハハハハハハハハハ!!」

ドリルを放たれたあの瞬間、東方不敗は死さえも覚悟した。
それほどの一撃をこの身に浴びて怪我一つ負っていないとは、意図してそうした以外に考えられない。

クロスミラージュの非殺傷設定。
カミナは己の意地にかけて、東方不敗を仇と分かっていてもそれを解除しなかったのである。

もちろん東方不敗にそんな事は分からない。
分からないが――――、

「……愛用の布やワシの服を消し飛ばしておいて、ワシだけを生かすとは奇妙な技だが――――、な」

……その事実は雄弁にカミナの意思を物語っていた。

舐められた訳でないのはこれまでのやり取りで十分分かっている。
それ故に、カミナの気性はとてつもなく心地よいものに感じられた。

あれほどの一撃ならば、鎖に捕らわれて無防備になった自分自身を殺すことさえできたかもしれないのに、だ。

……尤も、実際にはいくら非殺傷設定とはいえ東方不敗がこれほどまでに平然としていられるのは普通には考えられない。
気絶一つすらせずにここまで辿り着いたのは、東方不敗の運と、何より力量によるものに他ならないだろう。

東方不敗は月の下、その身一つで高々と笑う。
手には、金色に光る鎖をぶら下げて。


――――今にも目の前にドリルが迫るその瞬間、東方不敗は己を絡め取る鎖を握り、抗いの意思を発揮した。
その直後のことだ。
自身の体が緑の光に包まれたかと思うと鎖が東方不敗の意思のままに動き、Vの字をした異形の頭をドリルに対する盾にしたのである。
162名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:49:24 ID:1zF4S460
……東方不敗は覚えている。
Dボゥイの体に浮かび上がった螺旋の力と、それを注ぐことで光を放った剣の事を。
その時と同じことが起こったのだ。

既に生命活動を停止し消え去ろうとしているビクトリームに天の鎖を制する力はなく、支配権を奪い取った。
そこに螺旋の力を流し込み、ビクトリームの頭が完全にこの世界から消失するまでの間、直撃を防ぎきったのである。

理解する。
自分自身も、螺旋の力に目覚めたことを。
そして、この鎖はとても強力な武器なのであると。
意のままに動き、そしてまた、あの一撃で傷一つ負わないほどに頑強なのだから。

また、もう一つ。
東方不敗の肩に刺さったままのドリルも、あの攻撃に耐え抜いた。
丈夫な武器を持っておくに越したことはない。

愛用の布を失って、途轍もない疲労を背負ったとはいえ収穫は豊作だった。
――――故に、笑う。
自身の手にした力を喜び、その心地よさに浸るために。


……とはいえ、流石にしばらくはまともに動けないだろう。
体を回復させ、治療する必要がある。
これからどこに向かえばそれは成し遂げられるだろうか。
失ってしまったとはいえ、地図は大体を記憶している。

考え、思い当たった所は――――、

「フム、空港に向かうか」

空港とは、多くの人が出入りするが故にそれなりの設備が整っている。
もちろんその中には薬や医療器具も含まれているだろう。
これから旅立とうとする人への商品もあるし、気分を悪くした人のために簡易な病室もある。
休憩場所としても薬の補給にももってこいだろう。
薬は空輸されることも多いため、コンテナなどに収められている可能性もある。

また、移動手段の確保にも役立つだろう。
東方不敗はこの辺りが戦場からだいぶ離れていることをその鍛え抜かれた感覚で察知していた。
体を休めるには非常に都合がいいが、その分戦線に向かうのは手間になるはずだ。
空港という性質上、様々な乗り物が置かれていると推測。
それこそラッドに与えたようなフラップターも手に入るかもしれない。

他にも何かが隠されている可能性も、十分あるのだ。

……そこまで考え、近場が禁止エリアになることを思い出す。
早めに向かったほうがいいだろう。


「クク。実に面白いな、螺旋王。貴様が求めるこの力――――悪くはない」
164名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:50:23 ID:1zF4S460
呟き、そしてまた別の誰かに告げる。


「……さて、ワシはしばし体を癒す。
 しばし戦線から離れるが――――、その間に殺されるでないぞ?
 貴様はワシが見込んだ男なのだからな」


どこまでも、どこまでも。
人間の頂点に位置する男の高笑いは響き渡っていく。




【F-1/テーマパーク付近/二日目/黎明】

【東方不敗@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:疲労(特大)全身にダメージと火傷(大)、右肩に貫通傷、両腕に多少の痺れ(戦闘に支障なし)、ずぶ濡れ、螺旋力覚醒
    腹部に無視できぬ大ダメージ(皮膚の傷は塞ってますが、内出血しています。放置すると危険です) 、裸一貫
[装備]:天の鎖(エルキドゥ)@Fate/stay night
[道具]:ロージェノムのコアドリル×1@天元突破グレンラガン
[思考]:
基本方針:ゲームに乗り、優勝して現世へ帰り地球人類抹殺を果たす。
0:……しばし、体を休めるとしよう。
1:F-2が禁止エリアになる前に早めに空港に向かい、休憩場所や衣服、各種治療薬、移動手段を探す。
2:その後、ゆっくり傷を癒す (シャマルの捜索も含む)。
3:マスターガンダムを探し、可能ならDG細胞により治療を行なう。
4:優勝の邪魔になるものは排除する。
5:ロージェノムと接触し、その力を見極める(その足がかりとしてチミルフ、ヴィラル、ニアの捜索) 。
6:いずれ衝撃のアルベルト、チミルフと決着をつける。
7:ドモンと正真正銘の真剣勝負がしたい。
8:しかし、ここに居るドモンが本当に自分の知るドモンか疑問。
9:休息などを終えたら、古墳もしくは会場の真ん中へ向かう。

[備考]
※螺旋王は宇宙人で、このフィールドに集められているの異なる星々の人間という仮説を立てました。本人も半信半疑。
※クロスミラージュの多元宇宙説を知りました。ドモンが別世界の住人である可能性を懸念しています。
※ニアが螺旋王に通じていると思っています。
※クロスミラージュがトランシーバーのようなもので、遠隔地から声を飛ばしているものと思っています。
※会場のループを認識しました。
※螺旋遺伝子とは、『なんらかの要因』で覚醒する力だと思っています。 『なんらかの要因』は火事場の馬鹿力であると推測しました。
 Dボゥイのパワーアップを螺旋遺伝子によるものだと結論付けました。
※自分自身が螺旋力に覚醒したこと、及び、魔力の代用としての螺旋力の運用に気付きました。
※マスターガンダムがどこかに隠されているのではないかと考えています。
※カミナを非常に気に入ったようです。


※東方不敗の衣服、支給品一式、及びマスタークロス@機動武闘伝Gガンダムはギガドリルファイヤーシュートにより消滅しました。
※レガートの金属糸@トライガンは破れたデイパックから海に落下して流されました。
166名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:52:10 ID:1zF4S460
167名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:53:02 ID:QDRY5JWX
 
168盟友 1/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 14:53:35 ID:wex1/CTE
 着替えと食事を終え、かがみはシガレットケースから葉巻を一つ取り出した。
 ランタンで葉巻に火をつけ、口に咥える。

――未成年の喫煙は体に悪いって言うけど、私にはもう関係ないわよね。

 自嘲し、静かに紫煙を吸い込む。
 初めての喫煙だが、咽ることもなく吸うことが出来た。
 ラッド・ルッソの記憶の恩恵だと、かがみは誰に言われずとも理解していた。

――最悪な気分。でも、アンタが言ったのはこういうことよね。

 ラッド・ルッソの記憶を使っていることを考えると、かがみの体に震えが走る。
 無意識の内に、かがみにはラッド・ルッソの力を使うことへの忌避が植え込まれていた。
 それでも、かがみはあえてラッド・ルッソの記憶を引き出す。


 『力に二度と飲み込まれるな、みごとあの力を制した姿をワシに見せつけてみせろ』


 自虐的な笑みを浮かべ、かがみは顔を伏せる。
 力に対する恐怖が、友を失った悲しみがある。それでも、かがみは立ち止まれない。
 それはとっくの前に、覚悟していたことだ。

――大丈夫、絶対に取り戻すから。

 この別離とて、かがみが螺旋王を『食う』までのしばしのお別れでしかない。
 柊かがみは、いずれ全てを取り戻す。
 それは、絶対的な約束だ。

――でも、少し疲れてるんだから休憩ぐらいさせなさいよね。

 傷の痛みには既に慣れ、すぐに完治する。
 それでも、まだこの喪失感だけは慣れることが出来ない。

――この痛みに慣れたら、私はもっと成長したってことでいいのかな?

 問いかけるように、覇気のない目でかがみは顔を上げる。
 視線の先には、威風堂々とした男がまるで彫像のように立ち尽くしていた。
 葉巻が全部灰になるまで、ずっとその男を目に焼き付けておこう。
 そう決め、かがみは改めて葉巻を口にした。

 傷つくごとに、かがみはそれを強さに換えて生き残ってきた。
 そして目の前の男のことも、かがみは己の強さへと換えて生きていくだろう。
 けれども、今は疲れきった少女に一時の安らぎを――

169名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:53:35 ID:1zF4S460
170盟友 2/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 14:54:33 ID:wex1/CTE
 ■


 決着から言ってしまうと、ダブルノックアウトだった。
 ウルフウッドの渾身のストレートに対し、ヴァッシュが反撃のクロスカウンター。
 しかし両者共に疲労が蓄積していたこともあり、互いの拳は互いの顔面に食い込むことになったのである。

「……おのれ、トンガリ」
「……痛いぞ、ウルフウッド」

 怨嗟の言葉を吐き、共に崩れ落ちるようにアスファルトの上に仰向けで転がる。
 殴り合いながらも落ちてきたアスファルトの上に移動するあたり、二人にはまだ余裕が伺えた。
 とはいえ疲労していのは事実のようで、底の抜けた天井から星空を仰ぎながら二人は息を整える。

「……」
「……」
「…………」
「…………」
「………………ぐぅ」
「寝んな!」

 安らかそうな寝息に、ウルフウッドは即座に突っ込みを入れた。
 突込みを入れられた方のヴァッシュは、片手を上げて起きていることを主張する。

「まったく、本当に相変わらずな奴やな」
「そういう君は、なんだかピリピリしすぎじゃないか」

 核心に触れる言葉に、ウルフウッドは沈黙で答える。
 苛立ちの原因を話したところで、ウルフウッドには何のプラスにもならない。
 それどころか目の前の男に知られた場合、それこそマイナスが大盤振る舞いでやってくることをよく知っている。

「……まあいいけどさ、ところでウルフウッド」
「なんや、言っとくが話題によっては黙秘権使わせてもらうからな」
「それは困るな……ええと、ちょっとした確認なんだけど」

 ヴァッシュは一度言葉を止め、目を細める。
 なんとなく、ウルフウッドには確認の内容が予想できた。
171名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:55:01 ID:1zF4S460
172盟友 3/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 14:55:43 ID:wex1/CTE
「生きてるんだよな」
「……?見ての通りや。それともワイが偽者かなんかに見えるんか」

 ウルフウッドはなぜ殺し合いに乗ったかを聞いてくると思っていたため、拍子抜けな答えを返した。
 その答えにヴァッシュはいいやと呟き、少し嬉しそうに笑った。
 死人が生き返ったことを、きっと本心から喜んでいるのだろう。
 そして当の生き返った死人は、ヴァッシュとは正反対の感情を抱いていた。

――阿呆、お前が嬉しくてもワイは嬉しくなんかないわ。
――死んだっちゅうのに、殺し合いのために無理やり働かされとるんやぞ。
――ワイがどんだけイラついて、惨めな気分になったのか分かっとんのか。

 下火になった怒りが、また燻り出してきたのをウルフッドは自覚した。
 そんなウルフウッドの感情を知ってか知らずか、ヴァッシュは身体を起こして近くの壁に近寄る。

「なんや、もう行くんか」
「ああ、静留さんのことも気になるしね」
「……ワイ、肋骨折とるし誰かさんのおかげでボロボロなんやけど」
「奇遇だね、僕も誰かさんのおかげでボロボロさ」

 ヴァッシュは皮肉を皮肉で返し、瓦礫とむき出しの配管をつたって手早く壁を登り始めた。
 このまま下水に留まってもしかたないため、ウルフウッドも続いて立ち上がる。

――本当に相変わらずやな。
――今日も明日も、人のためってか。
――勘弁してや。
――ワイが、ホンマに惨めやないか。

 ヴァッシュは死別する以前と同じように、ウルフウッドと接する。
 そのことが、ウルフウッドにはたまらなく苦しかった。

――ワイは、お前が大嫌いな殺し合いに乗っとるんやぞ。
――お前と旅してた男の本性なんぞ、所詮はこんなもんなんや。

 ヴァッシュと共にいると、どうしても共に旅をしていた時を思い出す。
 死の危険があったし、騙しているという葛藤もあった。
 それでも、あの旅はとても楽しいものだった。
 
――ハンッ!何を、今更!

 どこからか、死ねと囁かれ気がした。

173名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:55:44 ID:QDRY5JWX
 
174名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:56:01 ID:rYSBq8jc
支援
175名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:56:27 ID:1zF4S460
176盟友 4/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 14:56:39 ID:wex1/CTE
 ■


 拾った日本刀を持ち主の頭上に突き立て、簡易の墓標とした。
 駄賃代わりの防弾ジャケットとデイパックは既に徴収済みで、これで了承のない一方的なビジネスは終了となった。

「俺が着たら呪われそうだし、ルルーシュにでも着せてやるかね」

 血がべったりと付着した防弾ジャケットをデイパックに納め、スパイクは改めて周囲を見渡す。
 周辺は、瓦礫だらけの荒野となっていた。
 映画館を含め周囲の建物は全て倒壊しており、アスファルトの一部には大きな穴が空いている。

「……鉄板が怪獣、大穴で人間台風って所か」

 宇宙船サイズの爬虫類が暴れまわれば、当然こうなるのだろう。
 そして、それに人間台風というエッセンスが加わってさらに被害が拡大したのか。
 スパイクはそこで想像を打ち切った。今は、真実などどうでもいいことだ。

「まずは生存者の確認で……この場合は、卸売り市場に行った方がいいのか?」

 スパイクがジン達との合流地点としたのは、目の前の倒壊した映画館だ。
 そして映画館に何らかの理由で近づけない場合、合流地点は卸売り市場へと変更するという話になっている。
 だが映画館は既に目印としては機能しておらず、加えて――

「怪獣の進行方向って、思いっきりあいつらの通るルートだよな……」

 怪獣が過ぎ去った方向を眺めながら、スパイクはジン達の不運に同情する。
 ジンはかなり機転が利くし、ドモンの身体能力もあって深刻な事態ではないだろう。
 しかし、合流が遅れるのは間違いあるまい。

「ええと、まずは生存者の確認、と」

 問題を先送りにし、スパイクは声を張り上げるために大きく息を吸い込む。
 さてなんと言おうかと考えたところで、スパイクの耳に声が届いた。

177名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:57:05 ID:QDRY5JWX
  
178盟友 5/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 14:57:43 ID:wex1/CTE
「ところでトンガリ、お前の決着はついたんか?」
「うっ!」
「なんやその返事は、まだついてへんのか?」
「いや、ついたにはついたんだけど……」
「だけど?」
「気絶させて捕まえた直後になぜか『ココ』にいて……もうけっこう経つから、たぶん逃げられた」
「同情したる、この阿呆」
「いや僕悪くないでしょ!……あ、そうだ!」
「今度はなんやねん」
「メリルとミリィたちがさ、地下水掘ってるんだ」
「……何やっとんねん、ホンマに」
「ひょっとしたら、もう掘り当ててるかもね」
「でもお前がアイツを取り逃がしたせいで、うかうか安心できへんな」
「…………」
「すまん、ちと言いすぎた。謝るからそのなんとも言えん顔やめろや」


 その楽しげな会話は、大穴の方から聞こえた。
 しばしの硬直の後、スパイクは吸い込んだ息をそのまま吐き出す。
 さて今度はなんと声をかけるか考えながら、思わず呟いた。

「……うまいこと言ったつもりは無かったんだけどな」

 ■

 ヴァッシュとウルフウッドがちょうど大穴から這い上がったところに、コートを着た男――スパイクが近寄って来る。
 見知らぬ男の接近にウルフウッドは警戒を強めたが、ヴァッシュが親しげに声をかけたためすぐに緩めた。

「や、スパイクさん。さっきぶり」
「スパイクでいいぜ、賞金首。ブルース・リーの名言は役に立ったか?」
「お前か!このド阿呆にいらんこと吹き込んでくれたのは!」

 ヴァッシュが銃をぶん投げて清姫に特攻をかけることになった原因に、ウルフウッドは思わず突っ込みを入れる。
 当のスパイクはまさかヴァッシュがそんな行動に出たとは想像出来るはずもなく、困ったように首の後ろに手を回した。

「酷い言われようだなおい。ところで、お前さんは?」
「……ニコラス・D・ウルフウッド、牧師や」
「牧師ね……俺はスパイク・スピーゲル、賞金稼ぎだ」

 一瞬の間は、おそらく牧師らしくない格好に戸惑ったのだろう。
 ウルフウッドはこれまでの経験からそう判断し、特に気にも留めなかった。
 これで一通り自己紹介が終わったと判断し、スパイクが口を開く。

「さてと。ちょいと殺風景だが座る場所には困らないし、軽く情報交換したいんだが」
179名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:57:50 ID:rYSBq8jc
 
180盟友 6/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 14:58:51 ID:wex1/CTE
 とりあえず同意するようにウルフウッドは軽く頷き――心の中で頭を抱えた。
 スパイクがこの殺し合いに乗っていないのは明白であり、ウルフウッドの嗅覚がこの賞金稼ぎが相当な腕前だと知らせている。
 もしも戦闘となった時、自身の怪我の状況と装備を考えると圧倒的に不利なのは間違いない。

――さらに言うなら、ワイが殺し合いに乗っとるのを知っとる奴がおるし!

 スパイクに悟られぬように、チラリと横目でヴァッシュを見る。
 視線に気がついたヴァッシュは、予想外にも安心しろといった感じのジェスチャーを返した。

――……何考えとんねん、コイツは。

 ■

 そしてウルフウッドの不安をよそに、情報交換が始まった。
 とはいえ何時誰が来るとも分からない場所のため、『軽く』の言葉通りにそれぞれが持っている有力な情報を交換し合うだけだ。

 まずは提案者のスパイク。
 仲間を集めているという目的を話し、ヴァッシュの人柄を信じてか最終的な合流場所が図書館であることも明かした。
 どんな仲間がいるかについては、手早く名前だけで済ませる。
 危険人物については赤目に褐色肌で額に×字の傷がある男、東方不敗という老人という二名。
 前者はウルフウッドが、後者はヴァッシュがそれぞれ遭遇していたためすんなりと進んだ。

 次にヴァッシュ。
 ヴァッシュは戦いを止めるということは決めていたが、具体的な考えはなかった。
 そのため、スパイクが仲間に誘ったらあっさりと了承した。
 危険人物については現在も清姫に乗って暴れているだろう藤野静留、自分勝手でどう動くか分からないギルガメッシュの二名。
 ビシャスの名前も出したが、スパイクが既にビシャスが死亡していることを話したため除外。
 二回目の放送を聞き逃したと言ったときは笑ってやろうかと思ったが、自分も聞き逃していたことを思い出し止めておいた。
 結局、ウルフウッドの名前は出さなかった。

 最後にウルフウッド。
 目的は適当にでっち上げ、殺し合いには乗っていないが襲われたら容赦する気はないということにした。
 危険人物については恨みを込めて柊かがみ、衝撃のアルベルトの名を挙げる。
 偶然にもヴァッシュがギルガメッシュという人物を経由して同様の話を聞いていたらしく、めでたく危険人物確定となった。
 最後に危険人物ではないが、要注意人物として言峰綺麗。こちらも若干の恨みを込めている。

 以上で、ウルフウッドが肝を冷やした情報交換は終了となった。
181名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:58:53 ID:rYSBq8jc
 
182名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 14:59:21 ID:1zF4S460
183盟友 7/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 14:59:35 ID:wex1/CTE
 ■

 これまでの情報を交換し合った後は、これからどうするかである。
 ウルフウッドとしては出来るだけ早くこの場を離れたかっが、適当な理由を口にする前にスパイクが口を開いた。

「ああすまん。さっき聞き忘れたんだが、鴇羽舞衣と小早川ゆたか、あとテッククリスタルっていうのに聞き覚えはあるか?」
「いや、ワイは知らんな」
「残念ながら僕も……けど」

 ヴァッシュは自信がなさそうに頬を掻きながら、続けた。

「けど、なんだ?」
「下水道に落ちる時にチラッと見ただけなんだけど……後から来た怪獣の方に、女の子が乗ってた」

 よくあのタイミングで見ることが出来たなと思いつつ、ウルフウッドは二人の会話を聞いていた。
 要約するとスパイクが探している女の子の特徴が、ヴァッシュの見た女の子と酷似しているという話である。
 話が終わるとスパイクは片手を顔に当て、天を仰いだ。

「……これはまたきついな」
「どんな関係なんや」
「いや、頼まれただけさ。煙草と交換でな」

 スパイクは姿勢を元に戻すと、おもむろに複数のデイパックから荷物を取り出し整理を始める。
 話の流れから、おそらく怪獣のところに行く準備なのだろう。

――煙草と交換で命を張るっちゅうのは、割に合ってないんとちゃうか?

「とこで、お前さんたちはどうする?出来れば手伝って欲しいんだが」
「悪いがパスさせてもらうわ。今の状態やと足手まといやからな」
「僕は……」

 キッパリと断るウルフウッドに対し、ヴァッシュは煮え切らない返事を返す。
 ヴァッシュ・ザ・スタンピードらしくない言動に、ウルフウッドは眉をひそめた。
 ヴァッシュとの付き合いの短いスパイクはそんな違和感に気づけるはずもなく、話を続ける。

「まあ、ほとんど自殺行為な訳だしな。俺も確認を取るだけにするつもりだ」

 特に二人を責めることもなく、スパイクは整理したデイパックをそれぞれ一つずつ二人に渡した。
 ウルフウッドが渡されたデイパックを検めると、食料などの一式にアゾット剣、コルトガバメイトが入っていた。
 ヴァッシュの方のデイパックも同じようなもので、さっそく軍用ナイフとワルサーP99を取り出し調子を確かめている。
184盟友 8/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:00:38 ID:wex1/CTE
「ええんか?」
「ああ。その代わりと言ったらなんだが、先に卸売り市場か図書館に行って待っててくれないか」
「……なんや、番人代わりかい」
「どのみち、アンタは身体を休ませなきゃいけないだろ?」
 
 そのついでで構わないと、スパイクは続ける。
 体調不良を理由にした身としては、ぐうの音もでない。
 さてお人よしはどう出るかと見を向けると、ヴァッシュは真剣な表情で考え込んでいた。

「どうした、トンガリ」
「……いや」

 歯切れの悪い声に、とうとうスパイクまで眉根をよせる。
 ウルフウッドは目の前の男が何を悩んでいるかと考え――すぐに思い至った。

 そして思い至った瞬間に、ウルフウッドはヴァッシュのこめかみに銃口を突きつけていた。

「なっ、おい!」
「動くんやない!間違って引き金を引いてしまうかもしれんで!」

 突然の事態にスパイクは反応が遅れ、ウルフウッドの恫喝により機先を制された。
 銃口を突きつけられている方のヴァッシュは、無言。
 ただ、少し寂しそうな顔を浮かべていた。

「なあ、トンガリ。お前、ワイとシズルって嬢ちゃんを天秤にかけとったな」
「……」
「今更、お前の生き方に何を言ってもしゃあないちゅうことは分かり切っとる。
 どうせ、どっちを選ぶなんて出来へんかったんやろ」
「……」
「そんでどっちも上手いことする方法が思いつかんくて、ウジウジ悩んどった」
「……」
「違うか、腰抜け」
「……違う」

 ようやく、ヴァッシュが口を開いた。
 悲しいような、苦しいような、その他に色々と混ざった表情を浮かべ、口を開く。


「また、お前と一緒に共戦(たたか)いたいと思ったんだ」


 馬鹿にするように口を歪めたつもりだが、うまくやれた自信はなかった。
 正直に言うと、嬉しかった。また一緒に馬鹿な旅が出来ると思うと、心が躍る。
 そして――また、どこかから死ねと聞こえた。
 まったくその通りだ、こんな救いようのない自分はさっさと死んだほうがいい。

「キモいわ、ボケ」

 ウルフウッドの拳が、ヴァッシュの顔面に突き刺さった。

185名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:00:54 ID:rYSBq8jc
  
186盟友 9/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:01:45 ID:wex1/CTE
 ■


 ひょっとしたらと、ウルフウッドは夢想する。
 この馬鹿げたゲームが始まった時にあの人よしのように行動していれば、心の底から笑い合えたかもしれない。
 メリルやミリィのいる、あの砂だらけの星に帰る気になっていたのかもしれない。

「……都合よすぎやな」

 自嘲し、ウルフウッドは瓦礫の山の間隙を歩く。
 もう既に、ウルフウッドは選んでしまったのだ。
 女子供だろうと容赦はしない、自分の手でこのゲームを終わらせるのだと。

――じゃあ、なんでワイはトンガリを撃たんかった?

 今度は自問し、月を見上げる。
 そもそも、ヴァッシュに銃を突きつけたのが不可解だ。
 あのまま円満に終わるとは思えなかったが、もう少しタイミングというものがあっただろうに。
 ヴァッシュを殴り飛ばした後は、一目散にその場を逃げ出した。
 追っ手は、今のところない。来るとしたら、ヴァッシュかスパイクか、もしくはその両方か。
 無性に、煙草が欲しくなった。

――結局、ワイの決意はあの馬鹿を撃てんぐらい弱いもんなんか。

 答えは、出ない。
 そしてまた、あざ笑うように死ねと聞こえた。

 死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね
 しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、しね、
 シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ、シネ

「やかましいわボケ!!」

 間断なく聞こえる声に、ウルフウッドは思わず叫ぶ。

――疲れが溜まってんのか、幻聴が激しくなってきたわ。

 一先ず、ウルフウッドは休める場所を探すことにした。
 こんな状態では、ある程度以上の実力を持つ者と出会った場合に勝つことは難しい。
 追っ手のことも考えウルフウッドは歩みを速めようとし――いい加減、聞きなれた声に引き止められた。

「急に大声を出さないでよ、ビックリしたじゃない」
「………………迂闊やぞ、ウルフウッド」
187名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:02:14 ID:rYSBq8jc
 
188名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:02:39 ID:1zF4S460
189盟友 10/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:02:41 ID:wex1/CTE
 ウルフウッドは気配に気づかなかった事に舌打ちし、ため息をつきながら声を掛けられた方を向く。
 予想通りに、柊かがみがそこにいた。
 今度の装いは見覚えのある眼帯と、黒を基調としたゴシックロリータ風の衣裳だ。
 ウルフウッドの正直な今の気分を一言で表すと、いい加減にウザイ。

「……見なかったことにして行ってええか?」
「あら、さっきと違って落ち着いてるわね。何かいい事でもあったの?」

 いいえ最悪です、化け物の相手をしているとお人よしが追いかけてきそうなんではよ行かせろやボケ。
 心中で罵詈雑言を吐きながら、ウルフウッドは顔をできるだけフレンドリーにする。
 近くに禁止エリアがないことは、先ほどの情報交換のついでに確認してある。
 つまり目の前の少女を殺す手段がウルフウッドにはなく、交戦するだけ弾と労力の無駄だと判断したのだ。

「顔が引きつってて、キモいわよ」
「あーはいはい、学習能力のないお子様はこれやから」
「……アンタ、別に『衝撃』に釣られてって訳じゃなさそうね。そっちの怪獣の方でも何かあったの?」

 尋ねながら、かがみはてじっくりと間合いを詰めてくる。
 ウルフウッドはかがみの言葉の意味が分からず、首を傾げる。
 『衝撃』という言葉の意味もそうだが、ヴァッシュの話では怪獣−−清姫が出現した時に、柊かがみは居なかったはずだ。

「アンタが来た方向から考えると、怪獣を知らない訳じゃないでしょ?
 ……そっか、そっちでもこっちの衝撃に匹敵する何かがあったっていうなら辻褄は合うわね」
「脳内解決はやめれ、嫌われるぞ」

――それにしても、動きが随分前とは違う。
――素人臭さが抜けとる……何があった?

 ウルフウッドの疑問を他所に、かがみは戦闘の構えを取る。
 頭部へのダメージを警戒してか、ヴァルセーレの剣を顔面の前方にかざし盾代わりとした。
 その姿を見て、ウルフウッドは先ほどの思考を振り払う。

――心臓とか足とか、まるで無防備やんけ。

 自分は相手の力量を見誤るほど疲れているのだと考え、ウルフウッドは早々に終わらせることにした。
 即興でプランを練る。弾を一発足に撃ち込み、体勢が崩れたところで延髄に短剣を突き刺す。
 いくら化け物であろうと、人の形をしている以上は神経伝達系は同じであろうと考えてのことだ。

「なあ、嬢ちゃん」
「何、今更命乞いでもするの?」
「その眼帯を嬢ちゃんがつけとるってことは、あの髭オヤジはくたばったんか?」
190名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:02:52 ID:rYSBq8jc
 
191盟友 11/18  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:03:33 ID:wex1/CTE
 ウルフウッドの言葉に、一瞬かがみが硬直する。
 その隙をウルフウッドが見逃すはずもなく、即座に懐からコルトガバメイトを取り出し発砲。
 銃弾は正確にかがみの膝の皿に突き進み――見えない壁に、弾かれた。

「っ!こいつは!」

 その光景に、ウルフウッドは見覚えがあった。
 シータという少女を狙い撃った時と、まったく同じ現象だ。
 驚愕するウフルウッドに対し、かがみがうっすらと笑う。

――初めっから、これが狙いか!

 自身の考えた通り、ウルフウッドは相手の力量を見誤るほど疲れていたのだ。
 即座にウルフウッドはアゾット剣を取り出そうとしたが、その瞬間に驚くほどの速さでかがみが間合いを詰めてきた。

――速いっちゅーても、まだカマイタチの嬢ちゃんより遅い!

 シータの高速攻撃と比べれば、かがみのそれはまだウルフウッドが反応出来る範囲のものだ。
 少なくともヴァルセーレの剣がウルフウッドの身体に食い込むまでには、銃口をかがみに密着させて撃つことができる。

――ああ糞!この餓鬼が!

 これでも銃弾が弾かれたら、絶対に銃が暴発するなと考えながらウルフウッドはかがみの顎の下に銃口を引っ付ける。
 かがみが驚きの顔を浮かべたが、どうやらこのまま剣を振り切るつもりのようだ。
 引き金を引くのと、剣を振り下ろすのではどちらが早いか。答えは決まっている。
 ウルフウッドは躊躇なく引き金を引こうとし――

 なぜか、よく知っているお人よしの姿が脳裏に走った。

 そしてそれは、ウルフウッドに引き金を引かせるのを遅らせ致命的な隙となる。
 かがみの剣が、ウルフウッドの頭部に迫る。
 そして――銃声が響いた。


 かがみの持つヴァルセーレの剣が、手のひらから零れ――ウルフウッドの持つコルトガバメイトが、音を立てて転がった。

192名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:04:10 ID:rYSBq8jc
  
193名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:04:40 ID:QDRY5JWX
 
194名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:04:57 ID:rYSBq8jc
  
195盟友 12/17  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:05:08 ID:wex1/CTE
「……っ誰!仲間!」

 かがみが穴の空いた手の平を庇いながら、反対の手で剣を拾い大きく距離を取った。
 視線は、第三者が撃ったと思わしき銃弾が飛んできた方向。
 ウルフウッドはそこにいるのが誰なのか、予想がついた。
 これほどの精密射撃、ウルフウッドが知る限り一人しかいない。

「いや」

 闇夜から、赤いコートを着た金髪の男が現れる。
 正確にかがみの手とウルフウッドの銃を打ち抜いた証拠に、手に持ったワルサーP99からは硝煙が立ち上っていた。
 男――ヴァッシュ・ザ・スタンピードは万感の思いを込め、言った。


「友達さ」


 ■


 スパイク・スピーゲルは、無性に煙草が吸いたかった。
 ウルフウッドというチンピラ風の男が、ただの牧師ではないことは一目で分かっていた。
 それでもヴァッシュと自然に掛け合う姿を見て、信用できると思ったのだ。

「……もうちょいと、慎重になるべきだったな」

 ある決着がついたことで気が抜けていたのか、ひょっとしたら浮かれていたのかもしれない。
 スパイクはウルフウッドに、図書館で仲間と合流すると話してしまった。
 もしウルフウッドにその気があれば、次の襲撃先に図書館を選ぶ可能性がある。

――カレンを守れず、この上ルルーシュを守れなかったら本当に呪われるな。

 ウルフウッドの追跡は、ヴァッシュに任せた。
 やり取りを見た限り、ヴァッシュが説得すればウルフウッドは応じそうな雰囲気があったからだ。
 ヴァッシュを送り出すときに一悶着があったが、どうにか出発させ――

「それで、俺はついでにシズルって奴も確保しないといけなくなった訳だ」

 鴇羽舞衣のついでに、とするには些か規模がでかいような気がする。
 確実に、様子見だけで終わる用事ではなくなったのだ。
 しかしヴァッシュを安心させるため、他に手が思いつかなかった以上はしかたがない。
 進行方向にはジンとドモンもいるし、手伝ってもらってもいいかもしれない。
196名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:05:21 ID:QDRY5JWX
   
197名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:05:51 ID:rYSBq8jc
 
198盟友 13/17  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:05:54 ID:wex1/CTE
――まあ、危険が超危険になっただけか。

 考えて見れば、簡単なことだ。
 いつもの賞金稼ぎと同じように、殺さないように捕まえればいい。
 賞金首は鴇羽舞衣と藤野静留、賞金は煙草と……

「これが終わったら、ちゃんと酒の一杯ぐらい奢れよ」

 交わした約束を思い出し、スパイクは賞金首を追って駆け出した。


 ■


 ウルフウッドが『泥』に侵食さらた、本当に偶然だった。

 『泥』の正体は『この世全ての悪』、……冬木の大聖杯に存在する、究極の呪いだ。
 清姫が小聖杯を飲み込んだ時点から、『泥』の侵食は始まっていた。
 HiMEという想いを物質化する能力の影響か、それとも螺旋力の影響か。
 微小ながらも、清姫の中で冬木の大聖杯と繋がる門が開いたのだ。
 少しずつ、深く、静かに『泥』は清姫の体内を巡っていた。
 そして『泥』が巡る清姫の身体の上を駆け回っていたのが、ウルフウッドだ。
 もちろん、それだけで『泥』がウルフウッドに入り込むことは出来ない。

 しかし、ウルフウッドはかのアーサー王の剣を清姫の外皮に打ち込んでいた。

 その一撃は清姫の外皮に確かに傷を作り――その傷から、『泥』は溢れて出していのである。
 そしてそれは、誰に気づかれることもなくウルフウッドに触れた。
 即座に『それ』の影響が出なかったのは、おそらく螺旋王の設けた制限のおかげだろう。
 だが、時間をかけて『それ』はゆっくりとウルフッドを蝕む。

 ゆっくりと、ゆっくりと。

 ウルフウッドに、けっして消えない汚れを塗りつけている。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:06:19 ID:rYSBq8jc
 
200盟友 14/17  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:06:40 ID:wex1/CTE
【B-5南部/瓦礫の山/2日目/深夜――黎明直前】

【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:不死者、黒を基調としてゴスロリ服、髪留め無し、やや自暴自棄
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
    クラールヴィント@リリカルなのはStrikerS、ヴァルセーレの剣@金色のガッシュベル
    ぼろぼろのつかさのスカーフ@らき☆すた、穴の開いたシルバーケープ(使用できるか不明)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、
[道具]:
デイバッグ×14(支給品一式×14[うち一つ食料なし、食料×5 消費/水入りペットボトル×2消費])、
 【武器】
    超電導ライフル@天元突破グレンラガン(超電導ライフル専用弾0/5)、巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING
    包丁、シュバルツのブーメラン@機動武闘伝Gガンダム、王の財宝@Fate/stay night、ミロク@舞-HiME
 【特殊な道具】
  フラップター@天空の城ラピュタ、雷泥のローラースケート@トライガン、
  テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード、オドラデクエンジン@王ドロボウJING
  緑色の鉱石@天元突破グレンラガン、全てを見通す眼の書@R.O.D(シリーズ)、サングラス@カウボーイビバップ
  アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、マオのヘッドホン@コードギアス 反逆のルルーシュ
  ヴァッシュの手配書@トライガン、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル、赤絵の具@王ドロボウJING、
  黄金の鎧@Fate/stay night(半壊)、シェスカの全蔵書(数冊程度)@鋼の錬金術師、
  首輪(つかさ)、首輪(シンヤ)、首輪(パズー)、首輪(クアットロ)
 【通常の道具】
  シガレットケースと葉巻(葉巻-1本)、ボイスレコーダー、大量の貴金属アクセサリ、防水性の紙×10、暗視双眼鏡、  
 【その他】
  奈緒が集めてきた本数冊 (『 原作版・バトルロワイアル』、『今日の献立一〇〇〇種』、『八つ墓村』、『君は僕を知っている』)
  がらくた×3、柊かがみの靴、破れたチャイナ服、ずたずたの番長ルック(吐瀉物まみれ、殆ど裸)、ガンメンの設計図まとめ、   
    壊れたローラーブーツ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
201盟友 15/17  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:07:33 ID:wex1/CTE
[思考]
 基本−1:アルベルトの言葉通りに二度と力に呑まれず、己の道を違えない。
 基本−2:螺旋王を『喰って』願いを叶えた後、BF団員となるためにアルベルトの世界に向かう。
1:……友達?こいつに?
2:螺旋王を『食って』、全てを取り戻す。
3:ウルフウッドを倒して、千里の敵を討つ。
4:ヴァッシュを警戒。
5:ラッド・ルッソの知識を小出しにし、慣れる。
[備考]:
 ※ボイスレコーダーには、なつきによるドモン(チェス)への伝言が記録されています。
 ※会場端のワープを認識。
 ※奈緒からギルガメッシュの持つ情報を手に入れました。
 ※繰り返しのフルボッコで心身ともに、大分慣れました。
 ※ラッド・ルッソを喰って、彼の知識、経験、その他全てを吸収しました。 フラップターの操縦も可能です。
 ※ラッドが螺旋力に覚醒していた為、今のところ螺旋力が増大しています。
 ※ラッドの知識により、不死者の再生力への制限に思い当たりました。
 ※本人の意思とは無関係にギルガメッシュ、Dボゥイ、舞衣に強い殺意を抱いています。
 ※『自分が死なない』に類する台詞を聞いたとき、非常に強い殺意が湧き上がります。抑え切れない可能性があります。
 ※小早川ゆたかとの再会に不安を抱いています。
 ※ヴァルセーレの剣にはガッシュ本編までの魔物の力に加え、奈緒のエレメントの力、アルベルトの衝撃の力が蓄えられています。
 ※かがみのバリアジャケットは『ラッドのアルカトラズスタイル(青い囚人服+義手状の鋼鉄製左篭手)』です。
   2ndフォームは『黒を基調としたゴシックロリータ風の衣裳です』 その下に最後の予備の服を着用しています。
 ※ラッドの力を使用することにトラウマを感じています。

 ※螺旋力覚醒
202名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:07:37 ID:rYSBq8jc
 
203名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:07:37 ID:1zF4S460
204盟友 16/17  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:08:33 ID:wex1/CTE
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン】
[状態]:疲労(大)、全身打撲、頬に青あざ
[装備]:ワルサーP99(残弾8/16)@カウボーイビバップ、軍用ナイフ@現実
[道具]:支給品一式×2
[思考]
 基本方針:殺し合いを止める。
1:ウルフウッドを説得する。
2:目の前の少女も説得する。
3:1〜2が終わったら、スパイクの応援に行く。
4:スパイクたちとチームを組む。
5:全部が終わったら、スパイクに酒を奢る。
[備考]
※隠し銃に弾丸は入っていません。どこかで補充しない限り使用不能です。
※ギルガメッシュと情報を交換。衝撃のアルベルトとその連れを警戒しています。
※スパイクと情報交換を行いました。ブルース・リーの魂が胸に刻まれています。

※第二放送を聞き逃しました。が、情報交換で補完したため備考欄から外します。

【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン】
[状態]:疲れによる認識力判断力の欠如、情緒不安定、全身に浅い裂傷(治療済み)、肋骨骨折、全身打撲、頭部裂傷、貧血気味
     軽いイライラ、聖杯の泥
[装備]:アゾット剣@Fate/stay night
[道具]:支給品一式
[思考]
 基本思考:ゲームに乗る……?
1:ほれ見ぃ、追いつかれた。
2:売られた喧嘩は買う。
3:ヴァッシュに関した鬱屈した感情
4:自分の手でゲームを終わらせる。 女子供にも容赦はしない。迷いも……ない。
5:タバコが欲しい。
6:言峰に対して――――?
[備考]
※迷いは完全に断ち切りました。ゆえに、ヴァッシュ・ザ・スタンピードへの鬱屈した感情が強まっています。
が、ヴァッシュ・ザ・スタンピードに出会って――
※シータを槍(ストラーダ)、鎌鼬(ルフトメッサー )、高速移動の使い手と認識しました。
※言峰の言葉により感情の波が一定していません。躁鬱的な傾向が見られます。

※コルトガバメント(残弾:2/7発)@現実が近くに転がっています。

※第三回放送を聞き逃しました。が、情報交換により補完しました。備考欄から外します。

【聖杯の泥@Fate/stay night】
 第三回聖杯戦争で敗れたサーヴァントが、聖杯の中で『この世全ての悪』として具現し聖杯を汚した。
 泥はそのサーヴァントの一部が流れ出たようなもの。人に触れると、心のありようにより若干現象が異なる。
 士郎の場合だと濃硫酸かけられたみたいに溶かされ、言峰の場合だと泥が心臓代わりになったりなど。
 ただしウルフウッドの場合は泥に触れた総量が少なく、『死ね』という囁きが聞こえるのみです。
205名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:09:02 ID:rYSBq8jc
 
206盟友 16/17  ◆1sC7CjNPu2 :2008/04/26(土) 15:09:51 ID:wex1/CTE
【C-5南西/道路/二日目/深夜――黎明直前】

【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
[状態]:疲労(小)、心労(中)、全身打撲、胸部打撲、右手打撲(全て治療済)、左肩にナイフの刺突痕、左大腿部に斬撃痕(移動に支障なし)
[装備]:デザートイーグル(残弾3/8、予備マガジン×2)、ジェリコ941改(残弾7/16)@カウボーイビバップ
[道具]:支給品一式×4(内一つの食料:アンパン×5、メモ×2欠損)ブタモグラの極上チャーシュー(残り500g程)、スコップ、ライター、
    ブラッディアイ(残量100%)@カウボーイビバップ、太陽石&風水羅盤@カウボーイビバップ、
    ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書@トライガン、防弾チョッキ(耐久力減少、血糊付着)@現実
日出処の戦士の剣@王ドロボウJING、UZI(9mmパラベラム弾・弾数0)@現実
レーダー(破損)@アニロワオリジナル、 ウォンのチョコ詰め合わせ@機動武闘伝Gガンダム、
    高遠遙一の奇術道具一式@金田一少年の事件簿、水上オートバイ、薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等)
[思考]
1:さーて、ジン達は無事かね……
2:うまくやってくれよ、ヴァッシュ……
3:カミナを探しつつ、映画館及び卸売り市場付近でジン達と合流。その後、図書館を目指す。
4:ルルーシュと合流した場合、警戒しつつも守りきる。
5:小早川ゆたか・鴇羽舞衣を探す。テッククリスタルの入手。対処法は状況次第。
6:全部が終わったら、ヴァッシュに酒を奢らせる。
[備考]
※ルルーシュが催眠能力の持ち主で、それを使ってマタタビを殺したのではないか、と考え始めています。
 (周囲を納得させられる根拠がないため、今のところはジン以外には話すつもりはありません)
※清麿メモの内容について把握しました。
※ドモンと情報交換しました。会場のループについても認識しています。
※Dボゥイと出会った参加者の情報、Dボゥイのこれまでの顛末、ラダムについての情報を入手しました。
※ヴァッシュと情報交換を行いました。
※ウルフウッドと情報交換を行いました。

【その他】
※C-5の大穴近くにビシャスの日本刀@カウボーイビバップを墓標とした墓があります。遺体は埋めていません。
※ヴァッシュが所持していたナイヴズの銃@トライガン(外部は破損、使用に問題なし)(残弾3/6)、
ウルフウッドが所持していたエクスカリバー@Fate/stay night、
 デリンジャー(残弾2/2)@トライガン、デリンジャーの予備銃弾7、
 ムラサーミァ(血糊で切れ味を喪失)&コチーテ@BACCANO バッカーノ!、はC-5の大穴付近に放置(潰された可能性アリ)。
207名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:10:08 ID:1zF4S460
208名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 15:12:00 ID:QDRY5JWX
 
209名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/26(土) 21:54:07 ID:gVx6uJAm
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じゃあ参加作品でも考えるか






210名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 19:23:45 ID:zyW7Xie/
保守
211名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/11(日) 00:33:01 ID:Dx0S3YEb
保守
212今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:18:42 ID:C/V28/Sb
「ふんもっ、ふ!」

 気合の言葉と共に、Dボゥイは瓦礫を畳替えしの要領でひっくり返す。
 瓦礫はバタンと大きく倒れ、人の気配のない瓦礫の山に音を響かせた。

「……当たり、だな」

 確認するように呟いたDボゥイの視線の先には、まだ所々に細かい瓦礫が残っている一枚のシャッターがあった。
 重厚な金属で出来たそれは、シャッターというよりは隔壁と呼んだ方が適切かもしれない。
 シャッターはその先が地下へと続くかのように横倒しに設けられており、その大きさは大柄な成人男性が入るに十分なものだ。
 シェルターか、もしくは地下施設への昇降口と見て間違いないだろう。

――問題は、この先に何があるかだ。

 これが何の変哲もないシェルターの入り口などではないという確信が、Dボゥイにはあった。
 Dボゥイの見た限り、会場の町並みは西暦2000年初頭辺りの造りになっている。
 だというのに目の前のシャッターは町並みから推測できる技術より、数世代先の造りになっているのだ。
 つまりは、後付で設置されたもの。

――普通に考えるなら、螺旋王が何らかの理由で取り付けたものということだ。
――だとしたら、いったい何のために?
――何かがある、それは間違いないのだが……

 想像だけなら、いくつもの可能性がある。
 例えば、この先に螺旋王にとって見られてはマズイもの――この会場の、不可思議な仕掛けに関わるものがある可能性だ。
 もしもこれがそうならば、螺旋王に対して痛烈なカウンターになる。

――だがその場合、通路の奥に入っただけで首輪を爆破される可能性もある。

 歯噛みし、Dボゥイは少なからぬ焦燥を自覚する。
 時刻は既に黎明、ブラッディアイの効果もとうに尽きていた。
 現在DボゥイがいるのはE-6エリア、ちょうどデパートがあった付近だ。
 スパイクの助言により病院を裏口から出たDボゥイは、次にスパイクの助言に従わず南の方向へ向かった。
 以前に舞衣から聞いた話で、彼女が映画館付近には近寄らないだろうと予測が出来からだ。
 だとしたら、スパイクの言う危険人物と鉢合わせする可能性も十分にある。
 舞衣のエレメントに、危険人物の持つ銃機関銃。
 どちらが勝るかは分からないが、舞衣の生命が危険なことに変わりはない。

――結局誰にも出くわさず、杞憂で終わったがな。
213今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:19:51 ID:C/V28/Sb
 しばらくして無駄足を踏んだことを薄々と察し始めた時に、四回目となる放送が流れた。
 舞衣やゆたかの名前が呼ばれなかったことに安堵し――ラッド・ルッソの名が挙がり、Dボゥイは胸にポッカリと穴が空いた感じがした。
 シンヤの時と同じような感覚か、それ以上か。
 憎しみの対象がこうもあっさりと消え去った事に、納得できるわけがない。
 だが放送に偽りがないであろうことは間違いなく、ただ虚しさが残る。

「……何をやっているんだ、俺は」

 シンヤとの決着も付けれず、仇も取れず、守りたいものは彼の手から離れていく。
 テッカマンとなってしまってからも経験したことのない無力感が、Dボゥイを襲った。

――それでも俺は、膝を折るわけにはいかなかった。

 だから歩き続けた。そして偶然に、このシャッターを見つけた。
 瓦礫の隙間から見えたシャッターの違和感に気づき、夢中になって瓦礫をどかしたのはある種の現実逃避だったかもしれない。
 藁にもすがる人間の気持ちはこんなものなのだろうかと、Dボゥイは自嘲する。

――さて、そろそろ行くか。

 これ以上の逡巡は、本当に時間の無駄となる。
 最悪の想像も、あくまで想像でしかない。
 安易だとは知りつつもDボゥイはそう結論付け、シャッターを開けるため細かい瓦礫を除去しようと一歩目を踏み出し――。


 ガシュンと、『まるでシャッターの操作パネルを踏み潰したような音』が聞こえた。


「………………………………………………む」
214今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:20:55 ID:C/V28/Sb
 彼にしては珍しく、分かっているが認めたくないといった感じの空気が流れた。
 恐る恐る足元を見てみると、Dボゥイの足が瓦礫の破片を踏んでいる。
 それはいい、足が接地する時に感触があったことで知っている。
 問題はDボゥイの体重で押された瓦礫の破片が、さらにその下の『なんらかの操作パネル』にめり込んでいたことだ。
 段々と、Dボゥイの額に脂汗が浮かぶ。

『ガー……ラ…ンリョ…ク……ガーガー……かくに……』
「む?」

 不意にパネルから途切れ途切れに電子音声が発せられ、Dボゥイは『操作パネルらしきもの』から足を離す。
 ……やはり壊れたか。そうDボゥイが今更考えたところで、『操作パネルらしきもの』がバチバチと音を立てボンと爆発した。
 同時に、シャッターが静かにその口を開く。

「むぅ」

 困り顔で、Dボゥイは開いたシャッターの奥を覗き込む。
 その先には地下深くに続くであろう螺旋階段が設置されており、その終着は月明かりでも照らすことは出来ていない。

「……まあいい」

 結果オーライだということにした。
 Dボゥイはデイパックからランタンを取り出し、釈然としない顔で螺旋階段を下る。
 全身がシャッター奥に入ったところで、首輪が何の反応もしないことを確認する。
 安堵のため息をつき、Dボゥイは暗闇の奥へと足を進めた。

215今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:21:57 ID:C/V28/Sb
 ■

 起こるべくして起きた偶然を、必然と呼ぶ。
 機械仕掛けの神、デウス・エクス・マキナは二度目の降臨を果たしていた。
 ……あるいはスバル・ナカジマの誰かを救いたいという願いに、Dボゥイはまた助けられたと言うべきか。

 かつてと呼べるほど過去ではない時間に、デパート周辺では災害級の破壊が起きた。
 その威力は螺旋王の想定したもの以上で――シャッターが、耐え切れるはずのものではなかったのだ。
 辛うじて概観は正常のものであったが、その内部のシステムには様々な障害が起きていた。
 例えば、螺旋状の鍵と螺旋力がなければ開かないシャッターにそれらを誤認させるほどに。
 ひょっとしたら、スバル・ナカジマの乖離剣・エアと螺旋力にシャッターは反応していたかもしれない。
 そしてDボゥイの行いがトドメとなり、扉は開いた。

 言ってしまえば、誰かがシャッターに触れた時点でシャッターはすぐに開くような状態だったのだ。
 誰かがシャッターを見つけた時点で、shut――閉じるを意味するシャッターの役目は終わっていた。
 ただ、それだけのこと。

216今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:22:53 ID:C/V28/Sb
 ■


 もう随分と長い間、彼は暗闇の中で慟哭していた。

 目が覚めた当初は、いつの間にか見知らぬケージの中に連れさらわれたことに動揺していただけだった。
 だが小一時間もしない内に、彼は怒り狂うことになる。
 彼に外界の状況を知るすべはない――だが、彼の生来の野生が告げてきたのだ。


 キャロ・ル・ルシエ――彼が生まれる前から傍にいた、大切な主が死んだと。


――憎い!

 彼――キャロ・ル・ルシエの使役竜である『白銀の飛竜』フリードリヒは、激しい怒りと憎しみに吼えた。
 まだ短い生涯に覚えがないほどの、憎悪。
 それは主を殺した下手人に対し、主を守れなかった仲間たちに対し――何も出来ずにいる、自分自身に向けられた。

――憎い!憎い!憎い!

 フリードリヒはケージを破ろうと火を吐き、爪や牙を突き立てた。
 だが当然のように抵抗は予想されており、フリードリヒを閉じ込めるケージには引っかき傷おろか焼け跡すら残らない。
 フリードリヒ本来の実力も抑えられているようで、思ったとおりに発揮しない自分に歯噛みすらした。
 それでも、フリードは内から引き起こされる衝動に押され愚行を止めない。

――憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!

 度重なる行為で、彼の体はボロボロになっていった。
 また身体が疲労すると同時に、フリードリヒの精神も疲労していく。
 時が経つごとに、一度は憎しみを向けた仲間たちが消えていくのをフリードリヒは感じていた。
 無力。その事実が、フリードリヒの心を削る。

――憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!憎い!

 そして、ついに彼の身体は意思に反して動かなくなった。
 それでも最後の抵抗とばかりに、フリードリヒは慟哭を響かせる。
 慟哭し、慟哭し、慟哭し――唐突に、暗闇は光にかき消された。

「……誰かいるのか!」

 久方ぶりの、人の声。
 何者かと確認しようと、フリードリヒは光に目が慣れてきたところでその赤い目をゆっくりと開く。
 憎しみに彩られた目と、同じく憎しみに彩られた目が交錯した。

217今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:23:56 ID:C/V28/Sb
 ■


「……まさか、コイツがここにあるとはな」

 Dボゥイは宇宙開発機構・スペースナイツの保有する宇宙船、ブルーアース号のメインパイロット席でため息をついた。
 地下へと続く螺旋階段の先にあったものは、ブルーアース号は始めとする起動兵器群の格納庫だった。
 もっとも機動兵器群とは言ったものの、その内訳はカオスだったが。
 バイクや小型の戦闘機、果てにはカエルの頭を模したロボットまで置いてあり思わず呆れたものだ。

――極めつけは、生きたドラゴンといった所か。

 チラリと、Dボゥイはメインパイロット席の前方にあるナビゲーター席を見る。
 そこには起動兵器群の中、異彩を放っていたケージの中にいた子竜がうずくまっていた。
 ケージに掛かっていたネームプレートを信じるなら、フリードリヒという名前らしい。

――まったく、俺はどうかしてる。
――いくら俺やバルザックと同じような目をしていたからって、連れまわす理由にはならないだろうに。

 連れて行けとすがるような瞳に負け、外からは簡単に開く仕組みのケージを空けたのが間違いだったか。
 今のところ妙に懐いてくるおかげで害にはなっていないが、変に動かれてはたまったものではない。
 もっとも怪我が痛むせいがあまり動けないのは、フリードリヒを治療したDボゥイがよく知っている。
 そこでフリードはDボゥイの視線に気づいたのか、どうかしたかと尋ねるような瞳を向けてくる。
 なんでもないと軽く首を振り、Dボゥイは視線をメインパイロット席のパネルに移す。
 
――しかし、改めてここが常識の範囲外の世界だと実感するな。

 ゆたかが持っていたコアドリルのようなアイテム、素晴らしきヒィッツカラルドや東方不敗のような見知らぬ体術。
 舞衣のエレメントや、スパイクから渡されたブラッディアイという薬品。

――どれもこれも、俺の理解の範疇を超えている。

 ではこれらを集め、戦わせている螺旋王は何者かと考え――Dボゥイは、考えるのを止めた。
 決定的な情報がない今、螺旋王のことは考えるだけ無駄だ。
 圧倒的な力を持つこと。そして、いずれ殺すこと。
 そもそも舞衣やゆたかの悲劇、シンヤの死亡などの大本の原因は螺旋王だ。
 今は螺旋王より優先すべきことがあるが、恨みを晴らさぬ理由などDボゥイにはない。
218今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:24:54 ID:C/V28/Sb
――とにかく、今は舞衣とゆたかのことだ。

 ブルーアース号は大気圏内外での活動が可能――つまり、航空機としての側面も持つ。
 さらに垂直離着陸も可能で、簡易のベース基地としては最適とも言える。
 燃料が約二時間程に限られてはいるが、ブルーアース号の速力を考えればこの会場は十分に狭い。

――後は、目的地。

 少しの熟考の後、Dボゥイは通信機能を立ち上げる。
 既にスペースナイツへの通信は試し、失敗に終わっていた。
 しかし、この会場内にはこの格納庫と同じような施設が複数存在する可能性がると考えたのだ。

――もし他に同じような施設がなかったとしたら、それはこの施設を見つけた者の独壇場を許すことになる。
――螺旋王がそれこそを見たいという事は、おそらくない

 放送の内容もそうだが、もし虐殺を見たいというなら配下の人間を送り込んだことに疑問が生じる。
 ……もっとも、そのチミルフとかいう配下を殺すために送り込んだとしたら話は違ってくるのだが。
 チラリと浮かんだ考えを隅に除け、Dボゥイは通信を試みる。
 そして幸運というべきか、そう時間も立たないうちに手ごたえがあった。

「……よし。聞こえているか、応答を頼む」

 モニターの向こうの相手が殺し合いに乗っていないことを祈りつつ、Dボゥイはまだ不鮮明な通信に向けて言葉を発する。
 応答は、すぐに返ってきた。


『Dボゥイ、さん』

219今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:25:51 ID:C/V28/Sb
 ■


 小早川ゆたかは、柔らかな革張りの椅子の上で満天の星空を見上げていた。
 前面の四つのモニター全てに夜空を映し、ちょっとしたプラネタリウム気分を味わっていたのだ。

――なんでだろう。
――こんなに綺麗なのに、ぜんぜん綺麗じゃない。

 矛盾した感想を述べ、ゆたかは煌びやかに映る星座や星々に興味を失い適当にパネルを操作してモニターを暗闇に戻した。
 アンチシズマ管はストロベリージュースからまたメロンジュースに変わり、淡い光でゆたかを照らしている。

――みんな、死んじゃったかな。

 朦朧とした頭で、ゆたかは刑務所にいた面々を思い浮かべる。
 いくらゆたかとて、大怪球が浮上すれば刑務所がどうなったかなど想像がつく。
 いまいち実感が湧かないが、おそらく間違いはないだろう。

――ああ、でも、どうでもいいか。

 何もかもが、どうでもよかった。
 生きるのが辛い、死ぬのが怖い、人に干渉されるのが辛い。
 だから、小早川ゆたかは考えることを止めることにした。

――私は何もしない、この子と一緒にただプカプカ浮かんでいるだけ……

 そこまで考えて、不意にゆたかの口から欠伸が出てきた。
 同時に、眠気がゆたかを襲う。
特に抵抗する理由もないためあっさりと白旗を挙げ、ゆたかは眠りの国に赴こうとした。

『ピピッ!ピピッ!』
「……むぅ」

 今まさに瞳を閉じようとした時に響いた電子音に、ゆたかは思わず頬を膨らませる。
 ふとパネルの一つを見ると、ボタンの一つが赤く点滅していた。
 少しの沈黙のあと、ゆたかはあっさりとボタンを押す。
 何が起ころうが、どうでもいい。そんな破滅的な思考だった。

『――聞こえて――応と――頼む――』
「……え?」

 聞こえてきた声に、一瞬でゆたかの眠気が吹き飛んだ。
 暖かく、懐かしい声。間違えようなどあるはずがなかった。
 それだけに嬉しくて――怖い。

「Dボゥイ、さん……」
『――ゆたか!ゆたかなのか!』
220今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:27:03 ID:C/V28/Sb
 途切れ途切れだった音声が明瞭になるのと同時に、正面のモニターにDボゥイの姿が映った。
 Dボゥイの方にも映像が行っているようで、ゆたかの姿を認めてホッとしたような表情を浮かべている。
 鼓動が早鐘のように、ドグンと鳴った。

『無事でよかった、君は今どこに――』
「――――嫌!」

 半ばパニックになって、ゆたかは叫んでいた。
 圧倒的な恐怖が、あっという間にゆたかの心を支配する。
 ゆたかは普段かれでは想像出来ない速さでパネルに齧りつき、通信をシャットアウトしようと試す。

『ゆたか!?いったいどうしたんだ!』
「……ごめんなさい、私のことは放っておいて下さい!」
『ゆた――』

 声が途絶え、程なくしてモニターが再び暗闇に戻る。
 完全に通信が遮断されたことを確認すると、ゆたかは震える手足を押さえるように丸まって椅子に横になる。
 いつの間にか、冷や汗がびっしょりと溢れていた。


――『私には信じるコトが出来ます! 何も力がなくてもDボゥイさんを信じるコトは出来る!』


「嫌ぁ!」
221今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:29:00 ID:C/V28/Sb
 かつてシンヤを目の前にして放った言葉が耳元でリフレインし、ゆたかは思わず耳を塞ぐ。
 Dボゥイを前にして、ゆたかが覚えた圧倒的な恐怖――それには、羞恥心が混じっていた。
 彼の姿を見れば分かる。いくらボロボロになろうと、DボゥイはDボゥイのままゆたかを助けようと奮起していたのだろう。
 だが――自分は、いったい何をしている?
 Dボゥイを目の前にしただけで、自分の矮小さを思い知らされるような気がした。

「……やだ……見ないで……」

 本当に、何もかもがどうでもよかったはずだった。
 しかし、気がついてしまった。
 今のゆたかを知れば、Dボゥイはゆたかのことをどう思う?
 優しい彼のことだ、責めることはしないだろう。
だがきっと心のどこかで落胆し、それでもゆたかを守ろうとする。

――そんなの、耐えられない!

 それは明智にブチ撒けた、誰にも必要とされずただ無力な存在そのものだ。
 ゆたかは、恐怖した。
 Dボゥイはきっと、ゆたかを助けにくる。
 ゆたかを誰にも必要とされず、ただ無力な存在にするために。

――Dボゥイさん、お願いです。どうか私に構わないで下さい。
――私は一人でいいですから……一人が、いいんですから。

 寒気がして、頭痛がする。
 寝てしまいたいのに、眠気が訪れる気配はない。
 凍える身体を強く抱きしめ、ゆたかは恐怖におびえ続けていた。

222今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:30:02 ID:C/V28/Sb
 ■


「ゆたか!答えてくれゆたか!……くそっ!」

 いくら呼びかけても反応しないモニターに対し、Dボゥイは思わず舌打ちする。
 モニター越しとはいえ、五体満足な彼女の姿を認めたときは心の底から嬉しいと思えた。
 だが、彼女はまるで拒絶するように通信を打ち切ってしまった。

――君は、俺を信じてくれると言ってくれたじゃないか……

 また、守れなかったのか。そんな自責の念がDボゥイの胸に浮かぶ。
 シンヤに連れ去られ別れてからおおよそ半日、その間に心優しかった少女になにがあったのか。

「……いや、だけどまだゆたかは生きている」

 守れなかった事、彼女の心に傷をつけてしまったであろう事を、Dボゥイは静かに認めた。
 だが、これ以上は許さない。許されない。
 癒すことは、Dボゥイには出来ない。ただ出来るのは、取りこぼさないために守ることだけだ。

――ゆたかが居たのは……発電所か。

 それほど注視はしていなかったが、Dボゥイはゆたかの後方に緑に光る幾つもの円柱状のカプセルがあったのを覚えている。
 それがいったい何なのかは確証が持てなかったが、何らかのエネルギー装置だとは推測が出来た。
 もしも本当にエネルギー装置だとしたら、あれだけ大量にあるのは発電所だと見て間違いないだろう。

――急がなくては。

 ブルーアース号を発進させるため、Dボゥイは操縦席を立ち後方の出入り口へと向かう。
 格納庫は様々なメカを置くために広大な広さを誇っていたが、肝心の発進口は一つしか用意されていなかった。
 その発進口は隔壁に閉鎖されており、一度ブルーアース号から降りて手動で隔壁を空ける必要があるのだ。

「キュル!」
「む?」

 振り向くと、フリードリヒが連れて行けと言わんばかりに翼を広げていた。
 Dボゥイは少し考え、無視して先を急ごうとする。
 隔壁を開けるだけで、すぐに戻ってくる予定だ。連れて行くだけ時間の無駄になる。
 そう判断してフリードリヒに背を向け――反射的に、前へ飛んだ。
 次の瞬間に、それまでDボゥイが立っていた場所を火炎が過ぎる。
223今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:31:16 ID:C/V28/Sb
「っ!」

 思わぬ攻撃に、Dボゥイは体勢を整えながらフリードリヒを睨みつける。
 たった今Dボゥイに向けて火炎を発射したフリードリヒもまた、鋭く睨みつけてくる。
 威嚇のつもりだったのか、第二弾の発射はない。

「……どういうつもりだ」
「キュル!」

 Dボゥイの問いに、フリードリヒは怒気を交えた声を返す。
 ……なんとなくだが、Dボゥイはフリードリヒの心中を察することが出来た。
 空回りする怒りに、何も出来ない無力感。つい先ほど、Dボゥイ自身が味わったものだ。

――同類憐れむ、か。

 Dボゥイは自身がこの小竜を連れ出した理由が、やっと理解出来た。
 同情。つまりは、そういうことだ。
 ため息をつき、ジャンパーの胸元を開く。

「大人しくしていろよ」
「キュクルー!」

 近づき、ジャンパーの中にフリードリヒを納める。
 フリードリヒは居心地が悪そうに顔を歪ませたが、Dボゥイが両手を自由にするにはそれしかないと理解し諦めた。
 あまり贅沢を言える立場でもないことも、分かっているのだろう。
 フリードリヒの頭を軽く撫で、Dボゥイは改めて船外に出ようとする。
 そして――唐突に、立ちくらみが起きた。

「キュウ!」
「…………っ!」

 続いて襲ってきた頭痛に思わず膝を突き、前のめりに倒れそうになる。
 だが胸元にフリードリヒがいることを思い出し、手を突っ張って四つん這いの体勢で耐えた。

――……ブラディアイの副作用か?いや、それにしては遅すぎる。

 数十秒か、それとも数分か。しばらくして、頭痛は鳴りを潜めた。
 Dボゥイはゆっくりと立ち上がり、手を握ったり開いたりして調子を確かめる。

「キュクルー?」
「……大丈夫だ、問題ない」

 心配そうに見上げるフリードに、安心させるように呟く。
 一過性のものだったようで、既に体調は倒れる前のものに戻っていた。
 ここに来て疲労が噴出したのかとも思ったが、そうではないらしい。

「――大丈夫だ、問題ない」

 もう一度同じ言葉を呟き、Dボゥイは船外を目指す。
 理由が分からないし、実害もない。つまりは問題の先送りだ。
 しかたのないことかもしれない。

 いずれDボゥイに降りかかる肉体崩壊の危険性など、告げてくれる者は誰もいないのだから。

224今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:32:25 ID:C/V28/Sb
 ■


 ダンッ、と壁を拳で叩いた音が格納庫に響く。
 格納庫の唯一の発射口のすぐ横で、Dボゥイが隔壁操作用のパネルに拳を叩きつけたのだ。

「螺旋王、……どこまで俺を怒らせる!」

 Dボゥイが怒り狂っている理由は、隔壁を空けようとした時に表示された情報が原因だった。
 唐突に発射口から出た先の滑走路の見取り図が表示され、その出口はD-5エリアのど真ん中となっていたのだ。
 そこは既に、禁止エリアに指定されていた。
 さらに見取り図を見ると平行に進む滑走路は段々と縦方向にカーブし、滑走路を出る時は垂直に飛び出すしかなくなっている。
 急激な加速で禁止エリアを飛び出すことは、ほぼ困難と言っていい。

――さらに滑走路はリニアカタパルトに設定することが可能だと……螺旋王は、俺たちを宇宙に放り出す気か!

 リニアカタパルトとは本来、電圧により速度の調整を行えるものだ。
 だが目の前のそれは、ブルーアース号を宇宙に押し出すのに十分すぎる設定で固定されていた。
 宇宙に飛び出すのが早いか、首輪が爆破するのが早いか。どちらかは予想も出来ないが、Dボゥイにはどちらも願い下げであった。

「キュル!」
「……そうだな、ぬか喜びに嘆いている暇はない」

 胸元で聞こえたフリードリヒの渇を入れるように鳴き声に、Dボゥイは気を取り直す。
 ブルーアース号を使うことは、自殺行為となる。だが、それは首輪があってこそのことだ。
 首元にある、もう慣れてしまった異物に触れる。

――ゆたかと舞衣をどうにかしてからでもいい、この首輪の解除方法を見つけなくては。

 やるべきことがまた一つ増えた気がしたが、面倒だという気はしない。
 少なくとも、今回のものは希望に繋がるものだと確信出来るものだからだ。

225今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:33:49 ID:C/V28/Sb
 ■


 爆心地のすぐそばに空いた穴から、ブルンブルンと排気音が聞こえ始める。
 次第にその音は大きななり、ピークを迎えると同時に穴からバイクが飛び出してきた。
 バイクの上に跨るのは、Dボゥイだ。

――発電所まで行くには、南西に通って高速道路を利用するルートに北の映画館を通るルートか……
――くそっ、どちらも時間がかかり過ぎる……ん?

 一度バイクを止め、胸元を見る。
 フリードリヒは懸命に北の方向――Dボゥイがやって来た、病院の方に誘導しようとしている。

「……分かった」

 Dボゥイはバイクを巧みに操り、瓦礫の山を駆け抜ける。
 ゆたかの居場所を発電所と推測はしたが、確信があるわけではない。
 ここは一度フリードリヒに任せて、それで駄目ならば発電所に向かうことにしたのだ。
 舞衣と遭遇する確率は少なくなるかもしれないが、今は手がかりのある方を優先するしかなかった。
 病院近辺の情報を思い出しながら、Dボゥイはふと気がついた。

――そういえば、まだタバコを手に入れてなかったな

226今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:35:11 ID:C/V28/Sb
【E-6/デパート跡近く/二日目/黎明】

【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:一部内臓損傷、背中に傷(炎による止血済み・応急処置済)、激しい怒り
    左肩から背中の中心までに裂傷・右肩に刺し傷・背中一面に深い擦り傷(全て傷跡のみ)
    ブラッディアイ使用による副作用(詳しい症状は不明)肉体崩壊(進行率1%)
[装備]:フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、バイク(ドゥカティ)@舞-HiME
[道具]:デイバック、支給品一式、ブラッディアイ(残量90%)@カウボーイビバップ
[思考]
基本:小早川ゆたかを保護する。
1-A:舞衣が過ちを犯す前に止める。だが……
1-B:ゆたかと合流し、守る。
2:ゆたかを保護するため、発電所に急ぐ。
3:テッククリスタルをなんとしても手に入れる。
4:極力戦闘は避けたいが、襲い掛かってくる人間に対しては容赦しない。
5:煙草を探す
6:首輪を外す手段を模索する
[備考]
※殺し合いに乗っている連中はラダム同然だと考えています。
※情報交換によって、機動六課、クロ達、リザの仲間達の情報を得ました。
※青い男(ランサー)と東洋人(戴宗)を、子供の遺体を集めている極悪な殺人鬼と認識しています。
※恐らくテッククリスタルはどちらを使ってもテックセットが可能です。またその事を認識しています。
※ペガスが支給品として支給されているのではと思っています。
※包帯を使って応急処置を施しました。
※ラッドに対する深い憎しみが刻まれました。
※螺旋力覚醒。但し本人は螺旋力に目覚めた事実に気づいていません。
※ラダムに対する憎しみを再認識しました
※スパイクと出会った参加者の情報を交換しました。会場のループについても認識しています。
※ブラッディアイは使えば使うほど効果時間が減少し、中毒症状も進行します。
※肉体崩壊が始まりました、本人はまだ気づいていません。
※フリードリヒに対して同属意識。

【デパート付近、地下の施設】
人型の機動兵器以外の機動兵器が収納されている。
ブルーアース号、ドゥカティ以外にも沢山あります。
また出入り口はDボゥイが入ってきた一つだけです。
機体によっては、リニアカタパルトで宇宙にまで飛び出る加速度を得ることが可能です。

【フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
キャロ・ル・ルシエの使役竜。『白銀の飛竜』の異名を持つ。
知能は高いですが、自傷行為のため現在自立行動は不可能。
また会場の制限を受けているため、火炎は本来のものより抑えられています
現在の小竜の姿は仮のもので、本来は人を一人二人乗せて飛べるほどの大きさです。
ただしそれにはキャロの「竜魂召喚」の魔法が必要です。

【ブルーアース号@宇宙の騎士テッカマンブレード】
大気圏内外活動可能、垂直離着陸可能なスペーツナイツの宇宙船。
番組当初は非武装だったが、中盤でレーザー・カノン、終盤でフェルミオン砲をそれぞれ追加された。
格納庫にあるのはレーザー・カノンを追加されたタイプ。
また、燃料は二時間程に抑えられています。

227今はまだ飛べない翼  ◆1sC7CjNPu2 :2008/05/12(月) 02:36:12 ID:C/V28/Sb
 ■


 身体を縮込めて震える少女の元に、ピピピッと電子音が届く。
 再びの通信かと少女は不安を積もらせるが、予想に反してすぐに電子音は鳴り止んだ。
 ホッとする間もなく、モニターに人間の模式図が浮かぶ。
 キョトンとする少女を尻目に、モニターに文字が浮かぶ。

『解析終了』

 モニターの人間の模式図に、赤い色が宿る。
 何か、嫌な予感がした。
 様々な文字と数字がモニターに浮かぶ。

『組織崩壊の可能性、大。
 原因は身体改造の副作用と推測。
 治療法、不明』

 ドクドクと、心音が聞こえる。
 頭が痛い。きっと夢だ。なんで今更。
 ……Dボゥイ、さん。


【???/大怪球フォーグラー メインルーム・上空/二日目/黎明】

【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]:発熱(中)、寒気、頭痛、疲労(大)、心労(極大)、絶望、恐怖、螺旋力覚醒
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:何をすればいいのか、何をしてはいけないのか分からない
1:……何、これ。
2:Dボゥイが助けにくること(誰にも必要とされずただ無力な存在になること)への恐怖
3:Dボゥイを目の前にしての羞恥(劣等感、コンプレックスなど)
4:できるだけ何も考えないようにする
5:みんなに優しくされるのが辛い
6:自分が無力なことが辛い
7:生きているのが辛い
8:死ぬのは怖い

[備考]
※自分が螺旋力に覚醒したのではないかと疑っています。
※精神状態が著しく鬱屈した方向に向かったため、螺旋力を発揮することが出来ません。 
※状況を理解していなかったため、明智を殺してしまったことは気付いていません。よく状況を考えれば思い出す可能性も……?
 →刑務所にいた面々(明智、清麿、ねねね)は死亡したと考えています。ただし朦朧とした頭で考えただけので実感がありません。
※刑務所を中心とした半径数百メートルは崩壊。
※フォーグラーがどの方向へ飛んでいったのかは次の書き手の方にお任せします。
※Dボゥイの肉体崩壊の可能性に気がつきました。

【大怪球フォーグラー@ジャイアントロボ-地球が静止した日-】
全長300m、総重量500万tにも及ぶ、超巨大ロボット。
重力場を制御し飛行する事によって移動する。

武装は中央の赤い眼から発射される重力レンズ砲と表面から発射される各種レーザーアームとアンチ・シズマ・フィールド。
アンチシズマフィールドは操縦者がONとOFFを切り替える事が可能。
が、このフォーグラーにはアンチ・シズマ管が一本も装填されていないため、エネルギー静止現象を起こす事は出来ない。
今回の起動は事前に十分なエネルギーが供給されていたため。
巨大ロボットの例に漏れず大幅なオートメーションが進んでいるため、簡単な手順で操作可能。
228よせあつめブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:41:38 ID:mQP+k8Ql
『C-5-南部-ヒューマノイド・ホーセス』

あらゆる物を疑ってかかること、それが重要だ。
情報なんてしょせんは情報。自分の目を見開いて、耳をかっぽじって聞き、そして自分の脳を使って考えること。
すべてを疑いつくした後に、やっと何かを信じられるんだ。そう、信じるために疑うんだ。
俺はそーゆーのが好きなんだよ……しかし、しかしだ。
これは一体何の冗談だ? これって前にもあったよな?
急に周りの世界がパーっと変わっちまって、気がついたら見たことも無い光景が広がってる。
いわゆる神隠しってヤツを俺はすでに一回やってるんだ。
昨日は、確かリードマンに付き合わされて、川沿いを歩いたんだよな。
で、ラーメン屋に行って温泉入って襲われてチャーシュー食って、ようやく事の重大さに気がついたんだったな。
じゃあそれからの俺は、どうだった?
消防車でぶらりと散策して、焼肉食って……いやいや、もっと大事なことがあっただろ。
仲間の死を乗り越えながらも、昔の因縁にケリをつけたじゃねえか。
そいで腕利きの奴らと取引して、この異世界から脱出する算段を立てているはずだったんだ。 

「――GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOONNNNNNNNNNNNNNNNNNNN!!! 」
  
だったよな?
あそこで大暴れしてるドラゴンと八岐大蛇は、一種のアトラクションだよな?
ようやくこの状況に順応し始めたってのに、今度はあれを相手にしろってのか。
あんなの最初はいなかったよな。あんな馬鹿でかい物を見逃すはずがない。
なぁ誰か教えてくれ。こいつはまさか――また別の世界に飛ばされたってことなのか?
違うよな? 俺の脳みそはまだヨーグルトになっちゃいないよな?
周りの景色が全く変わっちゃいない。これはまやかしだ。落ち着け。
さぁ目を閉じろ。瞑想するんだ。今、リーの概念で動かなくてどうする。
丹田に気を集め腹式呼吸によって雑念を吐き出せ。
俺はスパイク・スピーゲル、心の師はブルース・リー、嫌いなものはガキと動物と跳ねっ返りの女。
考えるな、感じろ。あらゆる物を柔軟に取り入れる『水』になるんだ。
よし、さぁ目を開けるんだスパイク。大丈夫。今度こそお前の目には、真実が映っているはずだ。 

「――ふぅ、危なかった。ありがとう兵隊さん。ここまで来れば大丈夫……あれ? 」

……大丈夫じゃ、ねぇ。
不思議な不思議な妖精さんがもう2匹増えちまった。
こりゃなんだ。目を一回閉じるごとに2匹プラスされるってのか。笑えない手品だぜ。とんだパレードだ。
どっからどうやって現れたんだ?
それに首輪をつけたこの女(同属か? )はともかく、後ろのオモチャはなんだ。
モノシステムを使った最新機器にも、時代遅れの骨董品にも見えねぇ。
こいつはいわゆる『異世界モノ』ってやつなのか?

「始めまして、シータといいます。こっちは私の兵隊さん。空も飛べるんですよ」

……最近のガキは大層なオモチャを持ってんだな。つまりそいつに乗ってここまで来たと。
へぇ、中々どうして不公平じゃねぇか。
か弱い少女にはお抱え運転手つきで、貧乏賞金稼ぎにはシケモクの恵みすらくれないのかい。
っつーことはあのファンタスティックな怪物たちは、俺と同じ立場か、それとも誰かの用心棒か。
あの名簿の82名は、全員が人とは限らないってことか? まぁ……猫もいたしな。
そういやヴァッシュ・ザ・スタンピードが言ってた藤乃静留の蛇ってのはまさかあれの事か?
話に聞いていたよりずっとデカイんだが……まさか、な。
229よせあつめブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:42:33 ID:mQP+k8Ql
■  ■  ■

『B-5-南部-タイフーン・ファンク』

薄々はわかってたさ。
それほど長い付き合いではないけれど、僕は僕なりにアイツのことを知っている。
馴れ馴れしいほど親しみを押し付けてくるくせに、一瞬でドライになる。
だけどアイツがドライに入る時。それはアイツが自分に目を背ける時。
本音を押し殺して、勝手に限界を作って、現実主義を気取ってこっちに見せつけてくる。
こっちが悲しくなるくらい、アイツは虚ろなフリをするんだ。

「友達? あんたコイツの仲間ってこと? ……へぇ〜なんか意外」
「コラぁトンガリぃ! なんやその『助けに来たよ』的な顔は! 救いのヒーローにでもなったつもりかい、こんアホンダラァ! 」

HAHAHA怒ってる怒ってる。でもそれでいいんだぜウルフウッド。それが本来のお前だ。
ガサツに振舞って罵声を浴びせて激昂するほうがよく似合ってる。やっぱり熱い男なんだよ。
嬉しいな。
またこうして馬鹿騒ぎができることが、僕には夢のようだ。
これまで100年間、やれるだけのことをやってきた。
それでも救えなかった時の悔しさを、僕は全部覚えている。お前が死んでしまった時の僕は、本当に項垂れていたよ。
神様。ああ神様。お願いです。
僕の知ってるアイツが一度死んでいることを、今だけ忘れさせてください。
僕はニコラス・D・ウルフウッドと――共闘(たたか)いたいんだ!!

「おいトンガリ。コイツの相手な、お前に任せるわ」

……あれ?

「コイツん名は柊かがみ。ただのイモくっさいガキしか見えへんけどな、騙されんな。
 どんだけ銃弾食らわせても刀でぶった切ってやっても死なん"不死身人間"やで。
 それもグレイ……GUN−HOーGUNSのナインライブズみたく種も仕掛けもあらへん。
 何をやっても体が再生してまうんや。正直、ロストジュライの力を使ても始末できるかどうかもわからん。
 雷泥……あの侍と遣り合った時にかました大砲ならヤれるかもしれんが、お前はあれ使いとぉないんやろ?
 結論。俺にはとても始末に負えんからパスさせてもらうわ」

え、え、え。

「信じられへん、と言いたそうな顔しとるな。せやけどホンマや。
 おそらくコイツを殺す手立ては2つ。
 1つはこいつの体の再生が始まる前に完膚無きまま消滅させること。頭部も心臓もまとめて全部な。
 もう1つは禁止エリアや。螺旋王が言うっとったの覚えとるか? 禁止エリアに入ると俺らは粛清を受ける。
 つまりこの"実験≠フルールに当てはめてヤれっちゅうことやな……が、今の状況では厳しい」

いや、そうじゃなくて。

「禁止エリアはこっから大分離れとる。おまけに今のこいつには銃弾はまるっきし効かん。さっき見とったやろ?
 こっちは一応種も仕掛けもあるんやろけど、原理がわからん。とにかくタマを文字通り弾いてしまうねん」
「で、どうするの? あんたそれでもこいつに加勢する? 1対2でやっても手間は変わらないと思うけど」
「茶々入れんなやアホ。誰が好んで"解説君≠キるか。こっちはもうボロボロやぞ。
 え〜バッター、ニコラス・D・ウルフウッドに代わりましてぇ〜人間台風〜ヴァッシュ・ザ・スタンピードぉ〜〜」

あ、右手を挙げてこっちに近づいてくる。タッチしろっていう選手交代のサインかな。
いや頼ってくれるのは嬉しいけどさ。でもちょっとそれはないんじゃない?
あのさ、僕さ、すごく期待してたんだよね。ニコラス・D・ウルフウッドくぅーん。
君と僕の絶妙なコンビネーションでさぁーあの女の子をさぁー説得するっていう作戦がさぁー。
ぜーーーーーーーーーーーんぶパーじゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
230よせあつめブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:44:53 ID:mQP+k8Ql

「……トンガリ? 」

やっぱりだめだ。
ああ神様。どうやらコイツには説教が必要みたいです。

■  ■  ■

『B-5-南部→北部-Black Egg And I』

……ハァ、ハァ……きっつー。
ちょっと走ったくらいでこんなに息があがるなんて。
薄々は気づいてたけど不死者になっても疲れるのね。ちょっと意外。
だってそうでしょ。世の不死身キャラはたいてい完璧超人ばっか。
そりゃ油断して死ぬオチが多いけどさ、基本はHurry!hurry!叫んで暴れまくる無敵キャラなわけで。
『不死身なはずのあいつがまさかの死亡確認!』ってのが言わば最高の見せ場。
その名場面はさ、そいつがチートキャラであればあるほど良いに決まってる。
――不死身キャラクターが息切れするっていう設定はあまり聞かない。
でもそんな事を話したら、アイツらはこぞって言い返してくるんだろう。
『わかってないなぁかがみん、だがそれがいいんじゃないか』とか『でもあたしは息切れもアリだと思う〜』とか。
……友達、か。
あのツンツン頭と関西弁が何をどうやったら知り合いになれるんだろう。
衝撃のアルベルトとパートナーを組んでいた私が、人のことを言える筋合いはないけどね。
でも『説教だ! 』とかわめきながら、ツンツン頭が関西弁男の手を引っ張って逃げ出したときは驚いた。
ツンツンどころかデレデレじゃん。その手の話にもってくつもりはないけどさー……ぶっちゃけキモい。
ああ問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。あんたら国籍すら違うんじゃないのかと。
そんなに仲良くなれるシチュエーションでもあったのかと。杯でも交わしてんのかと。

「止まれ! 不死身の柊かがみ!! 」

……どこかで聞いたことのある声かと思って振り向いたけど、気のせいだった。
見るからに暑苦しそうな男だ。なんかわけのわからないこと叫んでるわね。
多分、後ろでこそこそしてる――結城奈緒に色々吹き込まれたんだろうけど。
ま、いっか。
あんた達を相手にしてる暇はない。私はあのツンツン頭と関西弁男を逃すわけにはいかないんだから。
さっき2人が卸売り市場の中に入っていったのはわかってる。それほど遠い距離じゃない。

「お前はあの謎のガンダムについて何か知っていることはないか! もしそうなら話だけでも聞いてくれ! 」

? ガンダムって何のこ……“思ってた以上に”随分と大きいわね。あれ。
あんな物を用意して、螺旋王は私たちに何をさせようと考えているのかしら。
不死の酒といい次から次へと何でも出てくるわよね……誰かあれに乗ってるのかしら?

「や、やめなよ。こんな奴に構ってる時間はあたしたちには無いんだし、関わらない方がアンタのためだよ」

残念ね。せっかく話してあげようかなって少し思ったのに。
あの黒い大きな球が何のために存在する物なのか、教えてあげても良かったんだけどね。
あの黒い球体は、おそらく“大怪球フォーグラー”。
アルベルトが私に話してくれた地球静止作戦。幻夜というエージェントが考えた、大規模なテロ行為。
その作戦の中核を成すのが、あのフォーグラなのだー……私も直接見たわけではないので確証はないけど。
でももしあれが本物なら、いずれ回収したいわね。BF団としては大事なものだろうし。

「お前はこの状況に何とも思っていないのか!! 今は己の私利私欲のためだけに動くべきではない。
 貴様も螺旋王討伐が目的ならば、俺たちは私怨を捨てて互いに協力すべきだ!」

ま、いっか。地球静止作戦はアルベルトもあんまり乗り気じゃなかったみたいだし。
最終的に螺旋王を食べてしまえば、あの大怪球の制御システムの知識も得られそうだ。
今は後回しにしよう。それより今は――
231よせあつめブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:45:37 ID:mQP+k8Ql

「お前のことは奈緒から全て聞いている! だからこそあえて問いているのだぞ!?
 仲間の死を越えてなお、お前が優先するものはなんだ!奴――衝撃のアルベルトの仇討ちか! 」

――――半分、当たり。

■  ■  ■

『C-5→B-5-上空-ラピュタ・ジャズ』

良いことの後には必ず悪いことがきます。世の中ってバランスが取れてますよね。
最初は兵隊さんに乗って、卸売り市場へひとっ飛びするつもりだったんです。
兵隊さんの飛行スピードなら、禁止エリアだって突っ切ることも可能ですから。
でも、まさかあんな近くで巨大な怪獣さんたちが暴れているなんて……。
もう少しで兵隊さんが破壊されてしまうところでした。すっごく危なかったです。
このままだと禁止エリアに停滞せざるをえなかったので、海沿いを遠回りをして進みました。

「言峰綺礼……お前の言う神父には、まだ会っちゃいねえな」

でも今度は着陸の瞬間をスパイクさんに見られてしまって……これじゃ奇襲どころではありません。
ストラーダのように一瞬で近づくことが出来ない『兵隊さんならではの作戦』を立てないといけませんね。
そしてこれからは誰かと遭遇してしまった時のために、もう少しよく考えるべき、と考えました。
例えばスパイクさん。
まだ色々とお話していないのですけれど、私の目標を話したとして、あの方は協力してくれるでしょうか?
ルルーシュさんたちのように価値観の不一致で済ませれる程度の問題なのですが、あの人はとっても強い人です。
充分に利用価値があります。私のために動いてくれるのなら実に頼もしい。
みすみす手放すのも勿体無い話です。
海に突き落としてあげたはずのニアが生きている以上、私と仲が悪い人をこれ以上増やすのは大変です。
だって彼女が誰かと徒党を組んで、よってたかって私をいじめてきたら。
それこそ『数の暴力』で責められたとしたら、余計な気苦労も増えてしまいます。
一応、言峰神父からもう一度令呪をいただいて全員殺せば済む話なんですけれど。みなさん意外と強いんですよね。

「だがアジア系で妙な訛りの牧師なら知ってるぜ。おそらくエドを殺したのはそいつ、ニコラス・D・ウルフウッドだ」

だから、私以外の人にも協力してもらって、憎むべき相手を殺してもらおうと思うんです! 
何という偶然。何という幸運。やっぱり神様はいるんだわ。
ロボットの兵隊さんに、カウボーイのおじさま!
どうして神様はこんなにも私に優しくしてくれるのでしょう。
そうです。これは天罰なんです。
神様の名の下に使えるはずの牧師が人を殺してしまったら、報いを受けるのは当たり前です。
――え? 怪獣の側に人がいないか聞かれなかったっかって?
さぁ、どうでしょうか。見ていたとしても、スパイクさんには話しませんよ。
彼には一刻も早く、私のために動いてもらいたかったから。

「シータ、このまま卸売り市場に乗りこんじまおう。ウルフウッドは北へ向かった。ここで休んでるかもしれない」

くすくす。ようやくエドの敵を討てるかもしれません。
ごめんねエド。待っててね。今、兵隊さんに乗った私たちがそっちに向かって飛んでるから。
着いたら必ずお参りしてあげるね。ウルフウッド牧師がいたら、一緒に謝らせて、エドの目の前で復讐するからね。
くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす。
ウルフウッド牧師、出ておいで〜♪ 出ないと目玉をほじくるぞ〜……♪
232よせあつめブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:46:38 ID:mQP+k8Ql
■  ■  ■

『“B-5-卸売り市場”-@-Waltz for Wolfwood』

「ウルフウッド、君ちょっとここに正座! さぁ言いなさい、何があったんだ」

なんやかんやでまたここかい。3歩進んで4歩下がるって感じやな。
あーキモいキモい。今更ここで何を聞くっちゅうねん。
愛と平和についてか? 主義の違いについてか? 俺が生きとる理由か? 知るかボケ。
いきなりここに呼ばれて人殺しただけや。どうせ聞いてもいつもと全く変わらんぞ。
大体な、こんなやりとり今まで何べんお前と繰り返したかちゃんと覚えとるんか?
ワイが誰かを屠ってお前がケチつけて水掛け論して喧嘩して飲んで笑って……もうオチまで見えてもうたぞ。

「少なくともあの女の子の恨みを買うような事は、したんだな? 」

はい正解よくできました。わかっとるやないけトンガリ。
俺の目をじっと見てみ。お前と俺の付き合いや。察しれるよな?
……やっぱこの世界でも変わらんのやなぁ。相変わらず人の心に土足で上がりこんでずけずけ抜かしよるか。
ま、伊達に長く生きとらんわな。あがいてあがいてあがき続けることが、お前の戦いやもんなぁ。
何があっても綺麗ごとしか言わん。綺麗ごとで生き抜こうとしとる。
お前が何年生きとるか知らんけど、信念をずっと貫いとるスタンスには呆れの言葉しか出てきぃへん。
うらやましいでホンマに。
師匠を殺さずに倒したあの時、忘れたくても忘れれんわ。
確かに、俺は満足しとった。
人は人を殺さずに争いを終わらせることができるんだ。こんな俺でもやればできるやないけ! ってな。
でも、後悔もしとった。
勇気を振り絞った代償が命やなんてあんまりやないか。あいつらが帰りを待っとる。俺はまだ死にとない! ってな。
俺の人生はあの時、終わってもうたんや。
簡単には死ねんお前には、この気持ちは一生わからんやろな。
それでもお前は言い返すんやろ。『でも君は生き返った! またやり直せばいいじゃないか! 』とか。

「――その通りよツンツン頭。そいつは私の友達を撃ち殺したの。私“も”めちゃくちゃフルボッコにされたわ」

アホ。だったら俺はなんやねん。ポーカーの手札かい。
『ブタだから捨ててやり直しだ。なに、次はきっといい手札がくるさ! 』か?
ええ加減にせぇよ! ゲームと一緒にすなホンマに!
俺のあの1回目の人生は、2回目を差し出されるくらい安っぽい人生だったんか!
毎日毎日葛藤し続けて生きてきた俺の生き様は、やり直しのチャンスを与えられてしまうくらい格下かい!
主よ! 神は人の前では皆平等やろが! こんなサービスを期待して俺は不殺を貫いたんやないぞ!
確かに俺は死にとぉなかった! 体中の力が抜けていくあの時、悔しくて悔しくてしょうがなかった!
もし今度生き返ったら、トンガリやあの保険屋の娘たちとのどかな暮らしを……とも思っとった!
けどそれは全部不可能な話やと思っとったからや! 最後の最後にちょっとばかし覚めない夢、見とっただけやぞ!

「――そして俺と彼女の仲間、エドをこの場所で惨殺したそうだ。おそらく他にもやってるんじゃないか? 」
「スパイクさん! 」
「事情が変わった。今の俺は賞金稼ぎじゃないぜ。ウルフウッド・被害者友の会のメンバーだ」
「ウルフウッド! 逃げ……おい! 」

人は必ず最後に死ぬ。
その終わりを知ってるからこそ、人は頑張れる。
1回こっきりの人生とわかっとったから、俺はあん時全てを覚悟して腹をくくれたんや。
ありえへん妄想を描いて現実を認めたくない自分が、俺の中にはおった。
だから、志半ばで死んだ事を受けられる自分も、俺の中にはおった。
自分の本音を何にするのかは本人の問題。ウルフウッドの気持ちはウルフウッドが決めなあかん。
突き立てた牙も突き立てれへんかった牙も自分のうちや。

「何ボーっとしてるんだウルフウッド! しっかりしろこの野郎ぉ! 」
233よせあつめブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:47:23 ID:mQP+k8Ql
だから、俺はここで見境なく暴れまくった。
やり場のない怒りに、身を任せた。その結果がこれや。
冷めた目をして見下す男と女と何かよくわからんデカ物が合計4人、仇討ち目的で俺らを取り囲んどる。
主よ。
どや? 2回目もつまらん人生送ってるで? スマンがもう1回手札切りなおしてくれるか。
……なんてな。言ってみただけや。
今さらそんなサービスくれるんやったら、休むことなく俺に『死ね死ね』言わんわな。
ホンマさっきから何回言うねん。もうええ加減慣れたぞ。

■ ■ ■

『“B-5-卸売り市場”-A- LIVE in Blackmarket』

両手を思いっきり広げて、地面にくっつける。おでこは擦り付けるように下げるのがコツだ。
猫背にしてお尻を高くあげればもう最高。体を震わせるとなおいいぞ!
強烈な視線を感じるけど気づかないフリ気づかないフリ。とにかく全力で頭を下げるんだ。
スパイクさんは悪い人じゃない。ああは言ってるけど、良識のある人だ。

「……土下座して何になる、ヴァッシュ・ザ・スタンピード」
「そやでトンガリ。らしくない真似はやめろや」

ひいいトーンが低いよスパイクさん。やっぱり怒ってる。顔は見えないけど怒ってる。
ウルフウッドめ、お前のためを思ってやってるんじゃないか!
まさかよりによってスパイクさんの仲間を殺しちゃってたなんて。なんて運が悪いんだよお前は!
いや、殺したことを正当化しているわけじゃないぞ。僕だって本当はお前を叱りたくてしょうがないんだ。
でもさ、ここで僕が相手をしないとあの人たちマジでお前を殺しにかかるのかもしれないんだぞ!?
この世がラブ・アンド・ピースなら、みんな手を取り合うべきだ。誰も死ぬべきじゃない。
それ以前に争いなんてするべきじゃないんだよ!

「俺はお前たちに全部情報を話しちまった。だからこれ以上他の仲間を危険に晒すわけにはいかないんだ」
「スパイクさん、こちらの眼鏡の方も黒ずくめの方の仲間なんですか? 」
「……こっちはヴァッシュ・ザ・スタンピード。ただの人間じゃない。元賞金600億の男だ」

やめてやめてスパイクさんやめて。そこの女の子、怖がってるじゃナイデスカ。
そりゃ懸賞金は事実だけど、僕はいたってどこにでもいる普通の男なんです。

「で、よってたかって俺らを殺すっちゅうんか? 両手に花こさえてのぉ。いい気なもんや」
「まずはお前が先だウルフウッド。殺したことに対して自責の念は、無いんだよな」
「フン。おどれは害虫始末するときに一々あやまっとんのかい」
「そうさ、俺は優しい男なんだ。だからごめんな害虫くん」

やめてやめてスパイクさんやめて。らしくないよあなたのキャラじゃないよ。ウルフウッドキレかかってるよ。
あなたはもうちょっとクールで渋い方がイイデス。っていうかお願いします。
どうしよう。何とかしなきゃ。何とか時間をかけてゆっくりと皆と和解を……そうだ!

「スパイクさん、僕と勝負していただけませんかっ!? 」
「勝負して何になる。お前の賞金になんざ、興味はないぜ」
「お金じゃありません。賭ける物は、ここにいるお馬鹿なウルフウッドの命です!!
 知っての通り、僕は誰にも死んでほしくありません! ウルフウッドを含め、ここにいる全員にです!
 どんな事情があれ、この場に僕がいる限り、僕はあなた達を止めます! この程度の修羅場なら慣れていますから!」
「……お前を殺せば、誰も俺たちを止めるやつがいなくなるから、か。割りに合わないんじゃないのか? 」

……スパイクさんから殺気が消えた? 困惑しているのかな? でもいいや。迷ってくれているのなら、狙い通り!
少しでも彼らが悩んで時間を稼いでくれるのなら、どんな下手な言い訳だってついてやるさ!
さて、今のうちに何か上手い妥協案を探し――
234よせあつめブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:47:45 ID:mQP+k8Ql

「良いわよ、賛成。あんたを殺せば私は気兼ねなくウルフウッドとさっきの続きができる」
「このロボットの兵隊さん、私が命令すれば容赦なくあなたに襲い掛かるんですけど……」
「……と、いうわけだヴァッシュ。慣れてんだろ、せいぜい頑張れよ」

あ、あれ?
やるの? マジで?

「良かったなぁトンガリ〜ほんなら俺は遠くで見守っとるでぇ〜」
「待てよウルフウッド。賞品を逃がすわけないだろ。こっちで大人しくしてろ。
 妙な素振りを見せたらヴァッシュの頭が吹き飛ぶことになるぜ」
「別にええでぇ〜せやけどあんまりトンガリにかまけとるとなぁ〜害虫がこの娘を食ってまうぞぉ〜」

え、え、ちょっと。
ウルフウッド、お前いつの間にシータちゃんの喉下に剣突き立てちゃってんの! 
わわわスパイクさん、落ち着いて落ち着いて!

「ウルフウッド、その剣を降ろしてもらおうか」
「どうせ死ぬんなら、ここらでもう1人くらい殺っとかんと死ぬに死ねんなぁ。
 ハッ! しれっとしとるけどよう言うわ……もう一丁持っとるくせに。さっさと俺とトンガリの両方に銃向けんかい」

どうなっちゃってるの?
えと、ウルフウッドはシータちゃんを人質に取ってるから動けない。
で、シータちゃんは剣を喉下に押し付けられて喋れないから、ロボットは動かない。
スパイクさんはウルフウッドと僕に2重の威嚇をしてるわけだから、勿論動けるはずがない。ってことは――

「一番手は私ね。3対1ってのもこっちが悪者みたいだから、ちょっと安心」

……不死身の柊かがみ、か。
ウルフウッドが言っていたタチの悪い相手だ。
どこまで不死身なのか、その定義はなんなのかはわからない。銃弾も効かないんだっけ。
よっぽどのことが無いと戦闘不能にはならないだろうなぁ。

「で、あんたの勝ちはどうするの?」
「君を100回ダウンさせたら、でどうかな?」
「ダメ、200回」

本当のところはすっごく好都合なんだけどね!

235ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:48:49 ID:mQP+k8Ql
■ ■ ■

『“B-5-卸売り市場”-B-N.L.(Norman's Land) Rush-』

というわけで、ゲームの始まりだ。
ここからは俺、スパイク・スピーゲルがなるべく俺なりの解説を加えて、状況を説明させてもらおう。
いずれあいつ等と対峙する事を考えると、思わぬ収穫があるかもしれないからな。

左、ヴァッシュ・ザ・スタンピード。
身長はおよそ180cm、体重は40……いや、軽すぎるな。筋肉のつき方が尋常じゃない。
上半身も下半身も締まりに締まって、余分なところが全てそぎ落とされている。
相当の鍛錬と修行を積んできた証拠だ。
小刻みに踏むステップ、リラックスしたような構えを見る限り、我流のようだが隙が見当たらない。
相当の場数と経験を積んでいる証拠だ。
これほど完成された腕利きを、俺は見たことがない。
それなのにどうしたものか、奴の体からはステロイド系の人工的な香りが全くしない。
右、不死身の柊かがみ(自称)。
身長は約160cm、体重は……野暮だな。
見たところ服装以外は特に目立った特徴は見られず、その辺にいる少女と変わらない。
構えは悪くないが、素人臭さが抜けていないな。戦闘に入れば、否応なしに我流で戦わざるえないだろう。
問題は、“不死身”という事実か。
俺は不死身じゃないから、アイツの手の内が全くわからないが、フカシでは無さそうだ。
両目を見ればわかる。『何としてでも勝つ』という意思がはっきり読み取れる。
あの雰囲気はそこらのガキが粋がって得られるものじゃない。
ま、左が年月を重ねて醸造されたウィスキーだとすると、右は差し詰め何種類もの安酒を混ぜ合わせたカクテルだな。
――お手並み拝見といこうか。

「私はね! この場所に! 呼ばれてから! 不死身になったの! それまでは! ただの! 女の子だった!
 最初にここで出会った人、誰かわかる!? このスカーフの持ち主なんだけど! 
 双子の妹よ。殺されてた! あたし、その時『不死の酒』を見つけたのよ。無我夢中で飲んだわ」
「……妹さんのお墓は立ててあげたのかい」
「後で! 戻ったら! グチャグチャに! されてたわ! 首だけ持ってったけど! それも! 失くしちゃった! 」
「短い間に、ズイブンと穏やかじゃない人生を送ってきたんだね」
「どう!? 少しは! 同情してくれるかしら! でもね、そんな私にも! できたのよ! 友達が!
 きっちりしててね! 不死身になった! あたしの事を! 受け止めて! くれる子だった! 」
「その子を殺したのが、ウルフウッドか」
「ハァ、ハァ……ええ。ゴキブリを始末するように、私たちに一発づつ。でも私は死ねなかった。
 だからウルフウッドは私に乱暴してきたの。何度も何度も叩き潰された。
 不死身とはいえ女の子なのよ? ……女の子にとって顔と体がどんなに大切か、わかるでしょ! 」

……こりゃ予想以上の泥試合になりそうだ。
人間台風はひたすら不死身の攻撃をかわしてすたこら逃げるだけ。
駄目だな。拉致があかない。北風と太陽の童話を思い出すぜ。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードは少しでもウルフウッドの寿命が長引かせるのが狙いだからな。
このままだと、82人中、俺たちだけが生き残るまで続くぞ。やっぱり意地でも一番手を譲るべきじゃなかったか。
だが俺が今すぐヴァッシュとウルフウッドの頭を打ち抜く、ってわけにもいかないんだよなぁ。
さすが600億$$だぜ。『俺とシータとウルフウッドの素振りも同時に』気にしてやがる。
妙な真似をしちまったら、それこそ弾丸の無駄になるな。

「あたしが! こんな思いをしてるのに! あんな! 人間のクズが! 何とも! ないなんて!不公平じゃない!
 放っておけば! 犠牲者は! もっと増える! あたしのように! 傷つく子は! もっと出てくる! そんなの! ごめんよ! 」
「……だからさぁ」
236ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:49:36 ID:mQP+k8Ql

不死身も不死身だぜ。
攻撃の手は休めないし、格闘センスも悪くないが荒削りすぎる。剣術は完全に素人の振り方だ。
だが、何よりも引っかかかるのは奴自身も手加減をしているという点だ。
一体全体どういうつもりだ? 本気を出さなければ勝てない相手だってのはわかってるはずなのにな。
だが出さない。本気を出そうとしない。ギリギリのところで力をセーブしている。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードへの殺意はあるのに、あと一歩踏み出そうとしない。
ヴァッシュの奥の手を警戒しているというより、『自分が本気を出すこと』を恐れている。
何故だ? 不死身人間が持つ、不死身以上の切り札ってなんだ?

「きゃあっ!? 」
「そうゆー生きていい奴とかそうでない奴とか、そうゆーのを勝手に決めつけちゃだめだ。ハタクぞ」

おっ、1ダウン。
いや、向こうがヴァッシュの銃撃を剣でガードして勝手に尻餅ついただけか。
……不死身の人間が頭を庇う必要あんのか? いや、自分の体が傷つくのが嫌なだけか。女は顔が命だしな。

■ ■ ■

『C-5-中央部-The BLack EGG and YOU-』

「大丈夫か! 傷は浅いぞ!」

あたしが目を覚ましたとき、あいつがいた。
赤いハチマキなびかせて、熱風とともにやってきた。
金ぴかと声が似てるようで微妙に違う男、ドモン・カッシュ。
凄く、暑苦しくて、正直住む世界が違う気がする。最初はそう思っていた。
金ぴかの仲間ってことで事情を説明して、刑務所に向かう途中まではね。
偶然にもあの不死身の柊かがみに遭遇したときのことよ。
かなりビビッたわ。
だってアイツの相棒である衝撃のアルベルトが死んだってのにさ。澄ました顔してんだもん。
泣いた感じもなかったしさ、なんつーか薄情ってやつ?
あ、いやいやアイツのことなんてどうでもいいんだ。
今は別のことを話したかったのよ。
『お前はあの謎のガンダムについて何か知っていることはないか! 』
そうそう、ガンダム。ドモン・カッシュが学校でも叫んでた謎のフレーズ。
そりゃ聞きたくもなるわよ。そう連呼されたら気になってしょうがないじゃない。
……聞くべきじゃなかったのかもしれない、と後悔したのはその15分後だ。

「ガンダムは、正真正銘俺たちの世界では無くてはならないものだ。良くも悪くも、な」

信じられない。金ぴかの言ってたことがマジで現実味を帯びてきた。
昨日何の気なしに学校で読んだ本に書かれていたこと――ガンダム。
あんな御伽噺のような話が存在していたのだ。それも、別の世界で。
本当の意味でアタシとドモンは住む世界が違っていたのだ。
しかも、ドモンは既に金ぴかたちと博物館で別のガンダムを見つけてしまったらしい。
マジで!? あんなのがあと何体この場所に隠されているっていうの? 
もうチャイルドとかオーファンで太刀打ちできるレベルじゃないんじゃ……なんとかしなきゃマズイ。

「おそらくはあの黒い球体もガンダムの一種。誰かが俺たちより一足先に、見つけてしまったんだろう。
 今すぐにでも搭乗者と接触を図るべきだ。俺たちのように正しき心を持つ者が乗っていなかったとしたらだ。
 ――ガンダムはただの兵器と何ら変わりはない! その時はキング・オブ・ハートの名にかけて、破壊させてもらう! 」
237ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:49:58 ID:mQP+k8Ql

でももっとなんとかしなきゃマズイのはこの男だ。
金ぴかと正反対の熱血一直線。あの金ぴかが良く一緒にいられたもんだ、と感心したくなるくらいの正反対ぶり。
そもそも破壊するとかどうやって? 他のガンダムは博物館にあるんでしょ? 生身でやれるわけないし。
でもこいつはこのままだと間違いなく刑務所へ行く。そして多分アタシも連れてかれる。
『お前と合流し刑務所に向かうと伝えた』とかすごい勢いで語ってきてる。正直しんどい。
第一、アタシまだアンタから完全に治療をしてもらってないんですけど……最初に言ってたこと忘れてない?

■ ■ ■

『“B-5-卸売り市場”-C-コメンタリィ・ブレイン・スクラッチ-』

試合ってのは実に奥が深い。
体、リーチ、筋肉のつき方、性格、リング、天候。あらゆる要素が折り合わさって勝敗がつく。
かつて俺の心の師は言った。
『私は格闘技をやっているのではない。私が私自身を表現するための手段として修練をつんでいるのだ』
彼にとっては、それはあくまで物事の本質をつかむ為の手がかりに過ぎなかったのだ。
自分の行動がジークンドーと呼ばれることすら手放しで喜ばなかったという。
俺は今、師の言葉をつくづく痛感している。
数分前に俺が泥試合と切り捨てたこのカードが、いよいよ現実味を帯びてきたからだ。

「まだ続けるのかい。この程度じゃ僕は死なないぜ」
「ならアンタが死ぬまで続けるわよ」

そもそもきっかけは些末なことだった。
剣を振り回していた不死身が、バッグに剣を入れて、代わりにコルトガバメントを取り出し2発撃った。
ウルフウッド曰く、自分が落とした物らしい。つまり奥の手として隠し持っていたわけだ。
だが拳銃使いに素人が拳銃で戦おうなんざ、10年早い。
その場にいる誰もが、そう思っていただろう。
しかし奴だけは事情が違った。
撃った弾をよければ、その弾が後ろにいる『俺たち』に当たってしまうから、と奴は言った。
銃弾で弾くこともできるけど、ここで弾を無駄遣いすれば『俺』との対戦時に困るから、と言った。
早い話――ヴァッシュ・ザ・スタンピードはあえてガバメントの銃弾を受けた。
誰も殺させない、という答えを聞いたとき、俺は間違った解釈をしていた。
あの恐ろしい視線は、俺たちを威嚇するための物ではなかった。
やつにとっては、俺もシータも不死身の柊かがみも救いの対象だった。
2、3度話を聞いていたものだから、俺はすっかり奴のことを知ったつもりでいた。
しかしこいつは、本物だ……本物なんだが。

「トンガリ、何をちんたらやっとんねん! 適当にボコッてさっさと199回ダウンさせろや! 」
「わかってるさ。でも銃が効かないんだからね。殴ってもあんまり意味がないんじゃない?
 足止めにはなるけど、ノックアウトして始めて1カウントなんだろ? これは骨が折れるなぁ〜♪ 」
「……やっぱお前最初っから時間稼ぎしか頭にないんかいアホ! ホンマ相変わらずカラッポな頭しとるなぁ!! 」
「君がいいアイディア思いつかないのに僕が思いつくわけないでしょアホ! 誰も死なないようにするにはこれしかないよ。
 スパイクさん、シータちゃん、君に気を配りながら、逃げまくるのすっごく難しいんだよ! ……あー喋ちゃった」
「とっくにバレとるわ! ほんなら俺とお前の2on3でやったほうがよっぽどマシやったないけ! 」
「スパイクさん僕たちより銃持ってるし、お前もボロボロでパニッシャーもないんだからどうせ役に立たないよ!」
「なんや、俺はパニッシャーがなかったらただの牧師かい! ほんならお前は賞金稼ぎよりも弱い人外やな! 」
「ああそうですよ。どうせ僕は賞金稼ぎに背後を取られる、女の子もやっつけられないヘボ台風ですよーだ! 」
238ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:50:25 ID:mQP+k8Ql
なんだか話がこんがらがってきた。
一応、無効試合として状況を整理してみよう。
ウルフウッドがシータに剣を突きつけている。その相殺として俺がウルフウッドに銃を突きつけている。
その前方でヴァッシュが陣取り、俺たちに危害が及ばないようにしている。銃の弾は充分にあるが温存中。ただし誰も殺さない。
その更に前方で不死身の柊かがみがヴァッシュに銃を突きつけている。
ウルフウッド曰く銃弾はおそらく残りはゼロ。不死身の柊かがみにヴァッシュを殺せるはずもない。
三竦みとはちょっと違うが、これ以上の進展は望めないだろう。
俺が非情になってヴァッシュとウルフウッドを撃つのが一番いいんだろうが、シータを巻き込みかねないしな。
ガキと動物と跳ねっ返りの女は嫌いだが、何の罪もない奴を殺すのは、俺の性に合わない。

「おお? なんやねん嬢ちゃ……!? 」

とか何とか考えていたらシータが右手で不死身の方を指しだした。
言葉を話せないようにされてるから、俺は指された方向を見るしか手が無いんだ……が!?
まさか……冗談だろ?
ヴァッシュ・ザ・スタンピードが、ダウンした。
奴の体には刃物が数本刺さっている。出血も激しい。

「これで私の……勝ちね!」

更に柊かがみが手に持っていた剣に体重を乗せてヴァッシュの体に深々と突き刺す。
その威力は、女であろうと痛恨の一撃に違いない。
なんだ。何があった。そもそも奴はどうやってヴァッシュの体に刺したんだ?
俺がシータとウルフウッドを見ている隙に、決定的な一瞬があったっていうのか。
この観客2人はそれほど信じられないものを見たっていうのか!?
……何がなんだかわからないが、全ては終わっちまったらしい。

■ ■ ■

『B-5-卸売り市場→上空-グッド・ラック・スター・ウーマン-』

最初は気のせいだと思っていた。
アルベルトが死んだ後、憂鬱な気分で葉巻を吸った後。
私は、たまりにたまったディバッグの中身を全部整理し直した。
大事なもの、武器になるもの、使えないもの、なんだかよくわからないもの。
次々と出てくる道具の山は、おもちゃ箱をひっくり返しているような気分だった。
その時だった。
私がディバッグから取り出していないものが、いつの間にか自分の足元にあったことに気がついたのだ。
取り出すには重すぎる、“あの”英雄王ギルガメッシュの黄金の鎧。
別に必要ってわけでもなかったけど、捨てる理由も見つからなかったから、とっておいた無用の長物。
それがいつの間にか外に出ていた。
拾おうとしてもやっぱり重い。取り出すことに気づかないはずがなかった。
その謎の答え。あたしにはもうわかっている。
念じると現れる謎の穴。その穴からは、ディバッグに入ってるものが任意で射出される。
物が空間から弾丸のように自在に飛び出す、不思議な現象だった。

(衝撃の……この力、あんたが貸してくれたの? )

原理はまったくわからなかったが、そう思うようにした。
ギルガメッシュもこの力を使っていたのを、私は覚えている。
つまり、彼に勝利したアルベルト。アルベルトを倒してしまった私、という風に受け継がれていく力だと納得した。
空間とバッグの間を繋ぐ門(ゲート)のようなもの。
この世界には、アタシの知らない魔法やシステムが沢山存在しているから。
深く考えたってわかるはずもな――

「こんボケがっ! 」
239ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:51:01 ID:mQP+k8Ql
……やば、一発もらっちゃった。
蹴ったのは勿論ウルフウッド。シータとかいう女の子を片手で抱えたまま、飛び蹴りを私のアゴに喰らわせた。
私の体は吹っ飛ばされて、手に持っていた剣も手放してしまった。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードに深く刺したままだったので、私の体につられて抜けなかったようだ。

「その娘を離してやれウルフウッド。この場で今すぐお前の命を奪おうとするやつなんざ、そこの女以外にいないさ」

スパイクとかいうもじゃもじゃ頭とシータがヴァッシュ・ザ・スタンピードにかけよって心配している。
ウルフウッドは、呆然として立ち尽くしていた。
少女を解放したということは、人質がいても私が容赦なく襲い掛かってくることを予測していたのだろうか。
それとも、友達が私なんかに敗北するはずがないと、信じ込んでいたのか。でも、おそらくそいつはもう助からない。
私が持ちうる限りの刀と、持っていた剣を全力でコイツにブッ刺してやったのだから。
でも馬鹿な男よね。拳銃で防ぐなり避けるなりすれば良かったのに、後ろのアイツらのために盾になったんだから。

「酷い怪我!! スパイクさん! 」
「いや、意識はある。問題は突き刺さった刃物の束だ」
「なんとかならないんですか!? 」
「……“これぐらい”じゃ死なない自信があったんだろう。傷だらけの体がそれを物語っている。
 拳銃を使わなかったのも、こいつが今までに潜り抜けた“修羅場”とやらで培ってきた……勝負勘のせいだろうな」

……生きてんの? これだけ叩き込んでやったというのに。
まさかこいつも不死者……は、無いか。出血が戻ってない。
でもあの体中の傷は何なのだろう。ダブダブの赤いコートを着込んでいた理由は、その傷を隠すためだったのだろうか。
誰も死なせないと叫んでいたけれど、刻まれた傷はその代償なのだろうか。
とはいえ、コイツはしばらく戦闘不能。シータがロボットに乗せようとしてるけど、果たして何分もつのやら。

「シータ、とりあえず安全なところまで運んでやってくれ!」
「わかりました! お願い兵隊さん! 」

……ちょっと何よ。あのロボット空も飛べるのね。私にはフラップターがあるけど、便利そう。
ま、これで不死身の柊かがみは晴れて賭けに勝ちましたので、ブツを戴かせてもらいます。
ニコラス・D・ウルフウッドも少しは思い知ったかしら。
あんたの自称お友達が、私の手によって無残にも戦闘不能にされたわよ。
あんたが私にやった恨み、じっくり味わいなさい。

「……お前の勝ちだ、不死身の柊かがみ。良かったな」

スパイクが相変わらずの寝ぼけ顔でアタシに近づいてくる。
何よ? もしかして加勢させてくれってこと? でも駄目よ。
この賭けはアタシとヴァッシュ・ザ・スタンピードの勝負。
アンタがアタシと一緒に戦わなかった時点で優先権は私にあるんだから。

「ええ、ウルフウッド復讐の権利はアタシがGET。文句無いわよね? 」
「ああ。いや、今日は実にいい日だ」
「……アンタの出番は無いわ。そこで黙って見てなさいよ」
「いや、それがそうもいかないんだ。アイツも賭けに勝っちまったんでね」
「だから黙って見てろって言ってん……え? 」
「ニコラス・D・ウルフウッドもヴァッシュ・ザ・スタンピードが負けるほうに賭けてたんだそうだ。
 ところがBETを出しすぎたんで配当金が足りないんだよ。
 ディーラーの俺としては、どうにかして、アイツに全額分のもうけを支払ってやりたい」

ディ……ディーラー? そんな話は聞いてないわよ。
どうして? ウルフウッドも勝ち? BET? 配当金? 不足分?
言ってる意味がわからない。ウルフウッドは賭けなんてしてないじゃない。
それってどういう――
240ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:54:53 ID:mQP+k8Ql

「だから不足分の金額を、お前の命で埋めさせてくれ」 
 
スパイクの顔つきが、変わった。
その表情は嫌悪とか敵意とかじゃない。明確な……殺意?
ええと……つまりこういう事か。


――こいつは寝返った、と。


■ ■ ■


『???-???-Digging My Geranium-』


…………何処だ……ここは……?


何も見えないし、真っ暗だ。
いや違う。
見えているけど、周りが暗い。
暗いのに見えてるんだ。どうし――

『まだ、夢を見ているのか』

君は! どうして!!

『言ったはずだ。君の信念は立派だが幼稚で傲慢だと。
 本当にギリギリの場所では、そんなものなぞクソの役にも立たない。世界はそれ以外のもので動いている。
 あれほど思い知らせてやったというのに、君はまるでわかっていない。
 僕を殺しておきながら、君は相変わらず馬鹿なことをやっている。反省の色がない』
 
やめてくれ。

『だが、それでいい。そのままそうやって偽善を振りまき続けてくれ。
 君が自分の主義を貫けば貫くほど、“僕を殺した事実に見て見ぬフリをして聖者を気取る”、という矛盾が大きくなる。
 君はあの時、選んで折れたんだ。折れてしまった以上、もう主義を語る資格なんざ存在しないんだ』

わかってる……わかってるんだ。

『いいやわかってない。わかったと言い聞かせているだけなのさ。
 今のヴァッシュ・ザ・スタンピードは我々と同類。“殺し”で解決させてしまう男だったんだよ。
 哀れだね。綺麗事と痩せ我慢で己を蝕み続けるなんて。
 君が長い間作り上げてきた愚かな幻想に巻き込まれ死んでいった者たちは、今の君を真っ直ぐに見ているのかな?
 君の愛と平和がどれだけ欺瞞だったかを知らずに、“この地”で死んだ者たちは、昔の君を知ったらどう思うかな? 』
241ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:55:45 ID:mQP+k8Ql
……あ、あ、あああぁ……!?
レム! ウルフウッド! 先生! ランサーさん! クロ! クアットロさん!
戴宗さん、ドーラさん、シロウ君、イリヤちゃん……みんな………………!!

『君が悪いんだぞ?』

やめてくれ! わかってるんだ、それでも……

『続けるのか』

違う! 続けなきゃいけないんだ。
約束したんだ。命の灯を1つでも多く助けるって。
絶対に立ち止まらないって俺は誓ったんだ。
救えなかったとしても、救うことを諦めてはいけないんだ!

『それでも、何一つ終わりにしないと足掻き続けるのか。みっともないほど』

ああ、そうさ! それでも、それでも僕は諦めきれないんだ!
だって……だってあの時も、あの時もあの時もあの時も!
死んでいったみんなは……
僕の目の前で……生きていたみんなは……






優しかったんだ……







■ ■ ■
242ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:57:41 ID:mQP+k8Ql

『“B-5-卸売り市場”-D-Rush-』

「冗談キツイわよ。何なのアンタたち」

率直な意見を1つ、言った。
人をのけ者にしておきながら、勝手に盛り上がっているコイツらに。
やれ自分が守る、やれ自分が殺す、やれ自分が守る、やれ自分が殺す。

「事情が変わった。今の俺はウルフウッド・被害者友の会のメンバーじゃない。
 ウルフウッド・被害者友の会メンバー兼、不死身の柊かがみ被害者友の会メンバーだ」

全く意味がわからない。
こいつらはどこまであたしの同志で、どこまで敵なのか。
でも、さっきより話はシンプルだ。
ウルフウッドは私とこのスパイクに狙われていて、私はスパイクに狙われている。
つまり私は、スパイクを気にしながらウルフウッドを殺すだけだ。

「今のままだと、何をやっても私は殺せないわよ」

念のため、奴らに事実を再確認させるために私は宣言する。
アルベルトに話していた可能性について、考えていたから。
禁止エリアに入れば、死ぬ。首輪の爆発によって、不死者は死ぬ。
それは即ち、首と胴体が離れれば終わりということだ。
それだけのダメージを与えられれば、の話だが、油断はできない。
奴らにそれを気づかせてはいけない。
あくまで『禁止エリアに入らせなければ私は死ねない』と思い込ませなければ。

「拳銃でもダメなのか」
「不死身とは別のネタを使っとる。その服に銃弾は効かん」
「そいつは気の利いた服だな」

……やっぱり不安だわ。
今の会話を聞く限り、こいつらは私を殺すことに諦めかけているとは思えない。
この服に打つ手が無い、とならば次に思いつくのは『服が無い部分を狙う』ことだろう。
私がウルフウッドから蹴りを一発アゴにもらったことは、スパイクだって見ている。
もう剣はこの手に無い。あのツンツン頭に刺さったままだ。
奴らが何を考えていようとも、私の危機レベルは変わらない。

「あんたが何をやってもどうせ時間の無駄だから。ウルフウッドを殺す邪魔をしないで」
「大人しく指くわえて見てろってか。やめとけよ。妙な自信を一回つけちまうと、ガキは周りが見えなくなるもんだ」
「言ってなさいよ!! 」

私はヴァッシュを仕留めた『門』の力を使って、所持していた大量の貴金属アクセサリを撒き散らす。
擦れあう金属音とひしめきあう金属の破片がウルフウッドとスパイクの視界を奪っていく。
案の定、奴らは腕を交差し目を隠す。私はその隙を突き、シルバーケープで闇に紛れた。
穴が開いた時はどうしたかと思ったけど、特に異常なく使えるみたい。
あくまでシルバーケープの秘密を隠すための、布石だったけれど、まずは一安心ね。
しばらくは身を隠して、落ち着いてじっくりと追い詰めてやろう。
うかつに近づいて、感づかれたら――なっ!?
243ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:59:13 ID:mQP+k8Ql
「おぉぉうらったあぁあ!!」

……ウルフウッドが持ってた剣でケープを大きく切り裂いた。
当然、私の姿はあらわになり、完全に無防備。
無防備は現在も進行中。スパイクが続けて私に素手で急接近してくる。
でも、私にはパンチは効かな――ちょっ!?

「短い隠れん坊だったな」

信じられない。てっきり拳を使うものだとばかり思っていたのに。
スパイクは一気にアタシとの距離をつめて……えと、これなんだっけ。
確か、香港映画なんかでよく見る、合気道みたいなヤツ。名前は忘れちゃったけど、とにかくの腕をつかんで投げ飛ばす技。
無意識な状態でやられると、この手の技は簡単に視界がひっくり返る。
当然、私には受身を取れる技術もなく、しこたま頭を地面に打ち付けられた。
でも何で居場所がこうも簡単にバレたのだろう。

「おう、少しは頭冴えたか? 」
「な、大丈夫じゃなかったろ。見えているつもりでも、意外と見えないもんなんだぜ」

どういうこと?
見えないはずが見えているの間違いなんじゃ……あ。
真っ二つに切り裂かれたケープの穴が開いたほうを観察してみる。
微妙に……本当によくみないとわからない微妙な違いだが、カモフラージュされている風景に若干のズレが見える。
実際小さな穴だったし、身を隠す上では支障は全く無かったはずだった。
だがその穴を隠すために、私は穴の周りの布を手で握りこむことによって穴を塞いでいたのだ。
そこに生じる微妙な迷彩の歪みを、あの2人は感じ取ったのだろうか?

「よく気づいたな」
「こんなの適当にやっとりゃ何とかなるわい。どうせ殺れるんなら、直接俺をやりたいはずやからな」
「勝手に向こうから近づいてくれるってわけか……ん? その赤いクリスタル、ちょっと見せてくれないか」
「なんや、恋人の落し物かい」
「今のドサクサで一緒に出てきたんだろう。……どうしてこいつがこれを持ってるんだ? ま、慰謝料代わりにもらっとくか」

偶然だったようだ。迷彩の歪みのことも、私の単なる思い込みだったのかもしれない。
というかあいつらはケープのことなんて最初から頭にない。ただ、本能に任せて暴れただけだったみたい。
けどこれではっきりした。
油断するしないの問題じゃない。
やっぱりこいつらは恐ろしい。経験も慣れも勝負勘も向こうが上。ちょっとした事で一気に形成をひっくり返される。
こいつら私が全力を出さないと遣り合えるレベルじゃない、『ラッド』を……使うしかないのだろうか。
そんな事を考えつつ、私はローラーブレードを吐いて、高速移動であいつらから距離をとった。

「なんや怖じ気ついたんかい」
「休憩だそうだ」
「……なら、俺らは本番と行こか!」
「初めてお前と意見が合ったな」

……あの2人、私をほったらかして勝手に始めちゃった。
何よあの動き。怪我でフラフラだったんじゃないの!? 
スパイクはウルフウッドに紙一重で正拳をかすらせてるし、ウルフウッドはスパイクの体すれすれのところに切りかかってる。
パッと見だれでもできそうな動きなんだけど、その難しさを『ラッド』の“経験”が感じとっている。
不死と魔法の障壁のアドバンテージがなかったら、『ラッド』をフルスロットルに使って、初めて対等に戦えるかどうかだ。
考えてみれば、スパイクは拳銃を一回もウルフウッドに抜いてないし、ウルフウッドは拳銃を持ってない。
この時点ですら、まだ2人は全力全開ではないのだ。
244ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 12:59:37 ID:mQP+k8Ql
「こんダボ!カス!モジャモジャ!! 一体おどれはどっちの味方やねん!」
「言ったはずだぜ。俺はどっちの味方でもあり敵でもある……あとは成り行きだ」
「あのトンガリに義理でも感じとるんか!」
「アイツのような男の代理人も、たまには悪くない。お前を許すつもりは全くないがな! 」

悔しい。悔しくてしょうがない。この上なく置いてきぼりにされている自分が憎らしい。
でも“今”の私ではこいつらに絶対に勝てない。
首を破壊されない限り負けはしないのだが、それが私の心をより一層惨めにする。
落ち着いて。『ラッド』の力を易々に出せばまた私は私でなくなるんだ。
焦って突っ込めばそれこそ犬死になってしまう。それでは駄目。アルベルトに申し訳が立たない。
私はもっともっと強くならなければ、いけない! ひとまず退散して、状況を立て直さないと……。


――BANG!


「抜け駆けはルール違反だぜ」
「何やホンマに逃げるつもりやったんかい」

スパイクがポケットにしまっていた拳銃で、いつの間にか私に向かって撃っていた。
弾丸は私の頬をかすめたらしい。
2人から完全に距離を取るために、後ずさりした瞬間を狙っていたとしか思えないような一発。
これも、偶然だろうか。いつでもお前を狙っているという警告か。
でも、頭部を狙ったのは偶然? 本当に警告だけ?
まさか、私のように不死者の能力制限の可能性に気づいたんじゃ……。


「何だ!? 」
「……真っ赤っ赤や」

――その時だった。
私の不安をよそに、あの2人は明後日の方向を向いた。
2人ともキツネに摘まれたような顔をして、動きを止めてしまった。
私もあいつらと同じ方向を見た。
突然の衝撃音と共に、己の存在を私たち主張する“それ”は赤かった。
わかり安く言うと、“赤が刺さって”た。
赤外線センサーのような真っ直ぐで細い線が、あたし達から少し離れたところで天井から床に伸びている。
しかも1本だけではない。2、3、4、5……赤い柱はどんどん増えてゆく。
そして――ここの天井と地面を次々に破壊していった。
ひょっとして、あの赤い柱は……空から差し込んでいる破壊光線ってこと?

「逃げるか」

スパイクかウルフウッドのどっちかが呟いた言葉に、私も反応した。
ディバッグを漁り、ラッドが操縦していたという飛行船フラップターを取り出す。
こんなこともあろうかと、ちゃんとディバッグに回収しておいて良かった!

「あ、おどれ卑怯やぞォ! 待てやこんボケぇ……!」

ウルフウッドの罵声も無視して、フラップターは猛スピードで卸売り市場を翔る。
ここを突っ切れば入り口を抜ける。天井の瓦礫からは、逃れられる。
ともかくこのビームの雨から一刻も早く脱出しないと私も無事ですまない。
銃弾と比べるまでもないが、この破壊力はヤバイ。
地面が抉り削られ、天井が穴ぼこチーズのように瓦解し始めている。
もし魔力の防護服にも通用するような威力だったとしたら!
245ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:00:27 ID:mQP+k8Ql



――兵隊さん見て、人がゴミのようだわ。



……私は、その声を聞いた気がした。
周りには誰もいなかったけど、私には確かに“あの女”の言葉を聞こえたのだ。
もしあれが事実だったとしたら、私はなんて馬鹿なことをしてしまったんだろうと後悔したい。
あんな事をこっそり耳打ちして、煽らなければこんな目に合わずにすんだのだ。
でも、もしあんな事を言わなかったら、私は今頃あいつらに……。

「はっ!?」

遅かった。
遂に年貢の納め時が来たらしい。
あらゆる物をなぎ払う赤い雨が、とうとうフラップターを捕らえてしまった。
私は幸い直撃を免れたが、フラップターはもうダメだった。
じきに爆発するすることを考えれば、乗り捨てるという結論に至るのは当然のこと。
爆発に巻き込まれて、私が無事に済んだ経験はまだなかったら。

「でも……その矢先にこれかい」

飛び降りてから、ほぼ数秒。
爆走する私の上に、瓦礫の山が降ってきた。
幸い頭が潰されることはなかったが、体は完全に埋まってしまった。
抜け出すにはしばらく時間がかかるだろう。
早く脱出しないと、あの赤い雨がやってくる。
マズイ、早く何とかしないと……!



【B-5/卸売り市場内の瓦礫の山/2日目/早朝】
【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:不死者、髪留め無し、やや自暴自棄 、螺旋力覚醒(ラッドの分もプラス)
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
    クラールヴィント@リリカルなのはStrikerS、ぼろぼろのつかさのスカーフ@らき☆すた、
    雷泥のローラースケート@トライガン、バリアジャケット
[道具]: デイバッグ×14(支給品一式×14[うち一つ食料なし、食料×5 消費/水入りペットボトル×2消費])、
 【武器】
  超電導ライフル@天元突破グレンラガン(超電導ライフル専用弾0/5)、
  王の財宝@Fate/stay night、シュバルツのブーメラン@機動武闘伝Gガンダム、
 【特殊な道具】
  オドラデクエンジン@王ドロボウJING、緑色の鉱石@天元突破グレンラガン、全てを見通す眼の書@R.O.D(シリーズ)、
  サングラス@カウボーイビバップ、アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION
  マオのヘッドホン@コードギアス 反逆のルルーシュ、ヴァッシュの手配書@トライガン、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル
  赤絵の具@王ドロボウJING、黄金の鎧@Fate/stay night(半壊)、シェスカの全蔵書(数冊程度)@鋼の錬金術師、
  首輪(つかさ)、首輪(シンヤ)、首輪(パズー)、首輪(クアットロ)
 【通常の道具】
   シガレットケースと葉巻(葉巻-1本)、ボイスレコーダー、、防水性の紙×10、暗視双眼鏡、  
 【その他】
  奈緒が集めてきた本数冊 (『 原作版・バトルロワイアル』、『今日の献立一〇〇〇種』、『八つ墓村』、『君は僕を知っている』)
  がらくた×3、柊かがみの靴、破れたチャイナ服、ずたずたの番長ルック(吐瀉物まみれ、殆ど裸)、ガンメンの設計図まとめ、   
  壊れたローラーブーツ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
246ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:01:56 ID:mQP+k8Ql
[思考]
 基本−1:アルベルトの言葉通りに二度と力に呑まれず、己の道を違えない。
 基本−2:螺旋王を『喰って』願いを叶えた後、BF団員となるためにアルベルトの世界に向かう。
1:レーザーの雨から逃げたいけど動けない。抜け出すにも時間がかかりそう。
2:螺旋王を『食って』、全てを取り戻す。
3:ラッドを完全に使いこなす、もしくはそれに匹敵する戦力を手に入れてからウルフウッド(千里の敵)を倒す。
4:ヴァッシュ、スパイク、シータに敵対意識。
5:ラッド・ルッソの知識を小出しにし、慣れる。
[備考]:
 ※ボイスレコーダーには、なつきによるドモン(チェス)への伝言が記録されています。
 ※会場端のワープを認識。
 ※奈緒からギルガメッシュの持つ情報を手に入れました。
 ※ラッド・ルッソを喰って、彼の知識、フラップターの操縦、経験、その他全てを吸収しましたが、
  使用することにトラウマを感じています。(痛覚は繰り返しのフルボッコで心身ともに、大分慣れました)。
 ※ラッドの知識により、不死者の再生力への制限に思い当たりました。
 ※本人の意思とは無関係にギルガメッシュ、Dボゥイ、舞衣に強い殺意を抱いています。
 ※『自分が死なない』に類する台詞を聞いたとき、非常に強い殺意が湧き上がります。抑え切れない可能性があります。
 ※小早川ゆたかとの再会に不安を抱いています。
 ※かがみのバリアジャケットは『ラッドのアルカトラズスタイル(青い囚人服+義手状の鋼鉄製左篭手)』です。
  2ndフォームは『黒を基調としたゴシックロリータ風の衣裳です』 その下に最後の予備の服を着用しています。
 ※王の財宝@Fate/stay nightは、空間からバッグの中身を飛び出させる能力(ギルとアルベルトに関係あり?)、と認識。
 ※今回は刃物系の道具は全てヴァッシュに射出してしまったようです。
  (ヴァルセーレの剣は結果としてヴァッシュに突き刺さったままになりました)
 ※シータのロボットは飛行機能持ちであることを確認(レーザービーム機能については不明)。
 ※フラップター@天空の城ラピュタはレーザービームを受けて完全に破壊されました。


■  ■  ■

『C-5-中央部-You Make Me Cool』

あの黒い球体は依然その不気味な雰囲気を漂わせて、未だ東に鎮座している。
距離が離れすぎているために、あそこで何をしているのかがわからない。
今すぐこの足で現地に向かい、調べてやりたい。なんなら手合わせしてみたい。
しかし、時には自重しなければならないことを、俺は思い出させられた。
言峰綺麗の言葉は、この地に立っている俺に冷静さを保たせてくれる。
俺の最終目的はみなで螺旋王をヒートエンドすること。
そのために、俺は自分とソリの合わない奴にも呼びかけて同盟を結んだ。
その1人が英雄王ギルガメッシュ。思い出すだけでも腹立たしい。
ジンの気遣いで別行動をとることにはなったが、実はまだ奴の呪縛に悩まされている。

「ドモン・カッシュ、アタシのこと忘れてないわよね。もうちょっとスピード落としてよ! 」

俺の背中に乗っかって注文をつけている女、ナオ。
ギルガメッシュが臣下と謳った人物なので、彼女も有能なのだろう。
しかし……王が王なら家臣も家臣か。
気絶していたところを助けるまではよかったが、俺がギルガメッシュの仲間と知ると、いきなり態度が大きくなった。
やれ面倒くさいだの、危険は避けろだの、もっと優しく扱えだの、後ろ向きな発言が目立つ。
それなりに負傷をしているとはいえ、その不遜っぷりには少々辟易する。
だが皮肉にも、こいつの存在は俺の無鉄砲な行動を諌める鞘になっている。
怪我をしている彼女に無理強いをして、危険な目に合わせてしまったら、ジンたちに申し訳が立たなくなる。
特にギルガメッシュとの戦闘は避けられないだろう。
本音を言えば願ったり叶ったりなのだが、そこを奴に付込まれて見下されるのは癪だ。
今の俺ならばこの程度の試練は、耐えられる。
周りの状況を汲み取らず、一方的な振る舞いをすれば、どうなるかを俺は知っていた。
俺がパートナーのレイン・ミカムラに引き起こさせてしまったすれ違い。
あのような悲劇を、俺がもう一度繰り返してはいけない。
俺はいつの間にか言峰の言葉で、あの事件を思い出すようになっていたのだ。
だから不死身の柊かがみが逃げたあとも、俺は追いかけてガンダム・ファイト申し込まなかった。
247ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:02:32 ID:mQP+k8Ql
「今から刑務所に行くって言ったって、刑務所は跡形もないんだよ!? 」
「だからこそ助けを求めているやもしれんだろう!! 」
「どうみても手遅れだよ! つか刑務所にいた奴らが、あの球体の乗ってるかもしんないじゃん! 」
「ガンダムは基本1人乗りだ! 」
「あれがガンダムじゃないって可能性は!? 」
「わからん!! 」
「じゃあ博物館に戻って金ぴかと合流したら!? 」
「今から向かっても入り違いになるだろう! 」
「わかんないじゃん! じゃ、あんた1人で行って。犬死はゴメンだよ」
「それはできん!! 」

しかし、今度は一歩も動けなくなってしまった。
当然行動的な問題ではなく、指針的な問題でだ。
あっちが立てば、こっちが立たず。
いたずらに時間が過ぎていくのを、黙って見ている自分に、イラついていた。

――その時だった。

「……何よあれ」

何気なく辺りを見渡していた結城奈緒の声が上擦った。
俺もつられて同じ方角に首を向ける。
地獄絵図という表現がぴったりだった。
飛来する戦闘機が真下の建物に、無差別にレーザービームを射出している。
赤い光が闇の中で際どく輝き、破壊音のオーケストラを喧しく奏でている。
このままでは、いずれあの建物は崩壊するだろう。

「…………決まりだな」
「え、ちょっと!? 」

自然と、足が動いた。
わかってはいた。
自分がどれほどらしくない決断をしたことは。
俺は遠くの火事より近くの焚火を選んだのだ。
しかし原因不明で完全に崩壊した施設と、明らかに何者かから襲撃を受けて崩壊しつつある施設。
より人を多く救えるとしたら、どちらだろうか。
ひたすらそう言い聞かせる自分がいた。
冷徹な判断を下せるようになった事に目を瞑る自分がいた。

『――だからお前はアホなのだァァァァァァ!!!』


師匠に笑われたような、気がした。

248ろくでなしとブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:03:49 ID:mQP+k8Ql
【C-5中央部/道端/2日目/早朝】
【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:全身に打撲、背中に中ダメージ、すり傷無数、疲労(中)、明鏡止水の境地
[装備]:カリバーン@Fate/stay night
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:己を鍛え上げつつ他の参加者と共にバトルロワイアルを阻止し、師匠を説得した後螺旋王をヒートエンド
0:目の前で崩壊寸前の卸売り市場へ、人命救助に行く。
1:カミナたちを探しながら、刑務所に向かう……だが何だあの物体は!
2:積極的に、他の参加者にファイトを申し込む(目的を忘れない程度に戦う)
3:ゲームに乗っている人間は(基本的に拳で)説き伏せ、弱者は保護し、場合によっては稽古をつける
4:傷の男(スカー)を止める。
5:一通り会場を回って双剣の男(士郎)と銃使いの女(なつき)と合流する。
6:言峰に武道家として親近感。しかし、人間としては警戒。
7:東方不敗を説得する。
[備考]:
※本編終了後からの参戦。
※ゲイボルクの効果にまるで気づいていません。
※ループについて認識しました。
※カミナ、クロスミラージュ、奈緒のこれまでの経緯を把握しました。
※第三放送は奈緒と情報交換したので知っています。
※清麿メモについて把握しました。
※螺旋力覚醒

【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:気絶、疲労(特大)、右手打撲、左手に亀裂骨折、力が入らない、全身に打撲、顔面が腫れ上がっている、
    左頬骨骨折、鼻骨骨折、更に更にかがみにトラウマ 、ドモンにおんぶされている
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考]
 基本方針:とりあえず死なないように行動。
 0:半ば強引にドモンと行動を共にさせられているので、やな感じ。
 1:刑務所へ向かう予定だが、黒い球体の正体がわからないので、いつ行こうかちょっと迷ってる。
 2:柊かがみ(inラッド)に非常に恐怖。
 3:静留の動きには警戒しておく。
 4:何故、自分はチャイルドが使えないのか疑問。

[備考]:
 ※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。
 ※ドモンと情報交換済み。ガンダムについての情報をドモンから得ました。
 ※第2、4回放送はドモンと情報交換したので知っています。
 ※奈緒のバリアジャケットは《破絃の尖晶石》ジュリエット・ナオ・チャン@舞-乙HiME。飛行可能。
 ※不死者についての知識を得ています。
 ※ヴァルセーレの剣で攻撃を受けたため、両手の利きが悪くなっています。回復時期は未定です。
249陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:05:06 ID:mQP+k8Ql
■  ■  ■

『“B-5-卸売り市場”-E-Forever Broke−』

……右に首を傾けてみる。瓦礫の山。
180度反転させて左をみる。瓦礫の山。
首を少しあげて前方を見てみる。瓦礫の山。
もう少し上げて、自分の体を見てみる。五体満足。
力を抜いて大の字の状態に体を戻す。
深呼吸をしてみる。肺はやられてないようだ。
右手を見る。拳銃の所持を確認。左手を見る……あ。

「片方をどっかで落っことしまったな……カートリッジごと。愛銃が残ってるだけましか」

嵐のような、出来事だった。
次から次へとわけもわからず降り注ぐ赤い光線のスコール。
俺もウルフウッドも不死身の柊かがみも、即座に逃げることを選んだ。
逃げるほど、恐怖していたわけでもないのに。
レーザーの雨なら、俺はエドの一件で経験済みだ。
あの2人も、レーザーとまではいかなくても似たような襲撃なら慣れっこ。特に片方は不死身だ。
しかし体が動いたということは、俺たちは鼻が利いたんだろう。
これからもっと恐ろしい災害がここに降ってくるのだ、と。
人間台風を目の当たりにした警報機も、計測不能を起こすような天変地異が。
もっとも、この市場はじきに崩壊しそうだから、非難することには変わらないんだがな。
問題は人名救助だ。
赤い雨が鳴りを潜め、不死身の柊かがみが生死不明である今、俺が気にかける行方不明者はただ一人。
ニコラス・D・ウルフウッド。
正直、助ける義理は無い。図らずとも俺の仲間を殺した男だ。
だが――ヴァッシュ・ザ・スタンピードの顔が、俺の心を鈍らせる。
実に変な話だ。
たった数時間しか共にしていない男に、この俺の心を絆されかけているのだから。
なぜだろうな。
宿敵・ビシャスという因縁に決着をつけたからか?
奴が死んだ以上、俺の中の覚めない夢は、あいつ――ジュリアだけのはずだった。
だがそこにちゃっかり入り込んで、空いた席にどかっと座ってきたのがヴァッシュだ。
まだ組織に殺される前の、足を洗ってジュリア生きると羨望していたころの俺に、目覚まし時計を鳴らしやがった。
奴のラブアンドピースに少しづつ浸っていく自分がいる。
ニコラス・D・ウルフウッドを救出してみないか、と。
この瓦礫の山から奴を見つけようとする時点で、お手上げなんだがな……ん?

「救急車のおでましだ」
250陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:05:26 ID:mQP+k8Ql
ぽっかり開いた天井の穴を、目を細めてみる。
土色にまぶされた鳥のようなフォルムを、俺はよく覚えている。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードを搬送するために、その場を去ったはずのロボットだ。
戻ってきたということは、あのナイチンゲールは俺の仲間と遭遇して上手くやってくれたのだろう。
彼女がここに戻ってきたということは、とりあえずヴァッシュの命の保証は大丈夫、ということだ。
彼女は最初に聞くところによれば、ウルフウッドに出会うまではエドたちといたらしい。
その後、逃亡の果てにロボットと出会ったらしい。よくここまで生きていたものだ。
……本当のことを言えば、ウルフウッドの前例もあるので、警戒を完全に怠るのはどうかとも思った。
しかし事態が事態だったので顔見知りの名前を挙げるくらいは、と妥協した。

「スパイクさん! 大丈夫ですか」
「感謝するぜシータ、こっちは無事だ。それより頼みがある。ウルフウッドを探してほしい」
「……ウルフウッド牧師をですか」
「別に奴を助けるためじゃない。助けた後どうするかは、それからじっくり考えればいいさ」
「あの……もう一人の方は」
「あいつは不死身だ。ここが禁止エリアにならない限りしばらくは死なないさ」

俺はシータに背を向けると、近場にあった瓦礫を適当にどかし始めた。
セメントで固められた建造物の破片は、持ちどころこそ多いが、うっかり手を滑らせて怪我をしやすい。
剥き出しになったボルトや針金も厄介で、素手で運ぶには余りにも危険だ。
そして、意外と重い。
持ち上げようにも、足腰の疲労も相まって、バランスが上手く取れない。
耐え切れなくなった俺は、声を上げながら、障害物を明後日の方向へ投げ飛ばした。

「…………は? 」

俺は、テレビにはそれほど興味が無い。
だから何万人という観客のいるステージで起こる大魔術の中継番組を見ても、鵜呑みにはしない。
どちらかといえば、ギャンブル寄りな思考だが、イカサマを見破るのは得意だ。
しかし、それでもわからない。
何をどうやったら、俺の投げた障害物がそのまま俺の左腕を持っていくんだ?
この左腕から噴出す赤い血糊は、モノホンなのか?
なぁ誰か種と仕掛け教えてくれよ。このままじゃ俺は一生勘違いしたままだ。
目の前にいるお姫様のお供が、殺すつもりで俺にレーザービームを放ったってよ。

「くすくす。もうちょっとだったのに」

片腕が殺られたのは、おそらく偶然だ。
体の疲れで頭がフラフラしてなかったら、あの瓦礫を投げ飛ばす時にバランスを崩していなかった。
上半身をひねりながら、無理な体勢で投げた拍子に転んでいなかったら、問答無用でお陀仏になっていただろう。
また、らしくないヘマを俺はしちまったのか。
スパイに情報を送るなんざやってはいけないタブーの、初歩中の初歩だぜ。
いつからだ。いつからこんな腑抜けになった。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードに会ってからか……いや、ここに来てからだな。明らかに出遅れてた。

「ヴァッシュ・ザ・スタンピードはどうした」
「“これ”と“これ”を見ても、わかりませんか? 」

シータが勿体ぶった口調で、ディバッグからブツを2つ取り出して見せびらかす。
わからないはずがない。それを“持ってこれた”ということは、“そういうこと”だ。


――だからガキと女と動物は嫌いなんだよ。

251陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:05:59 ID:mQP+k8Ql
■  ■  ■


『B-5-道端-Adieu』

……主よ、あなたには冗談が通じないのですね。
やられたわ。やられてもうた。俺というブタ、ホンマに捨て札されてしもた!
やるなぁ〜あんの絶妙なタイミングで天の雷降らせるか。
ビックリしたわ〜今の俺、めっちゃオイシイやん。
不死身の柊かがみはどっかに埋まって、ほなさいなら。
モジャモジャはロボットに乗ってきた嬢ちゃんとイザコザ起こして腕吹っ飛ばされおった。
嬢ちゃんもモジャモジャのことで頭が一杯やし。
みんな、俺が隠れとることには気づいとらん。つまり、俺は晴れて自由の身。
しかもな、俺こっそりモジャモジャの落としよった拳銃拾ってもうたんや。
いやーついとるなー……ケッ。

「じゃ、俺はここらでお暇させてもらうわ」

体についた汚れを払いながら、こっそりと歩を進める。
どうせこの施設は間も無く崩壊するし、あの2人に肩入れするような義理もないのだから。
行き先はもう決まっている。
親切な賞金稼ぎが教えてくれた“仲間”の拠点、図書館だ。
あそこにいけば、ひとまず休息はできるし、自分を介抱してくれるお人好しがいるかもしれない。
事情を問いただされたら『わからない、忘れた、思い出せない』を連呼すればいい。
他人のフリ三拍子を並べて適当に言い繕えば、相手は疑いこそすれ敵意は出すまい。

『――“これ”と“これ”を見ても、わかりませんか? 』

……確かに意外やった。
何をどうしたんかはわからんが、意表をつかされた。
嬢ちゃんが、あのトンガリを誑し込んだとは。
思えば最初に再開したときから、何かが変わっていた。
相変わらず誰かに守られとるか弱いウサギのような目をしていた。
しかし何故最初に俺と遭遇したときに使ったカマイタチを全く使わなかったのか。
ロボットという更に上物の力を手に入れたから?
いや、それは無い。ロボットは操縦者さえ黙らせてしまえばお釈迦。
昔から巨大ロボットの弱点は、それを操縦するリモコンと相場は決まっている。
リモコンに厳重な装備をつけることに、不必要という概念は入らないはずだ。
使えなくなったのか、それとも使わなくてもいい事情があったのか。
だが、それらは所詮“経験不足”という言葉で片付けられる。

「……なぁ。ホンマに死ぬまで言い続けるんか」

『死ね死ね』と響く体のノイズに、俺は独り言を吐く。
ここまで連続で言われ続けると、意外と慣れてくるものだ。
最初は誰かが自分にこっそり陰口を叩いてるものだと思っていた。
しかし、こうして1人になった今でも、所構わず聞こえてくるのだ。
俺はこれを主が与えた奇跡――いわば“聖痕”と解釈した。
つまり、主は俺に死んでほしいのだ。
単なる思いつきかどうかはさておいて、主は敬愛なる信仰者ニコラス・D・ウルフウッドを甦らせた。
しかし、それは間違っていた。
聖職者は単なる暴徒と化し、怒りに任せて残虐の限りを尽くしてしまったからだ。
せっかくやり直しのチャンスを与えたのに、結果は主の裏目に出てしまったのだ。
困った主は、やむ終えず自分の過ちを“無かったこと”にしようとした。
しかし直接この手で下してしまえば、それは自分の非を認めることになる。
悩んだ末に主が選んだ手段とは――
252陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:06:27 ID:mQP+k8Ql
「俺が自殺するように仕向けるってとこか」

何度も何度も窮地に追い詰めるが、決して直接死には繋がらない。
ニコラス・D・ウルフウッドが少しでも不快に思うことをひたすら与え続ける。
実に強引なやり方だ。
そのためには、誰がどうなってもいいというのか。

「やれるもんならやってみぃ」

どう考えても不可思議。どう考えてもこじつけ。
しかし、そうでなければこの”声”に説明がつかない。
苦楽を共にした盟友への思いを、消化しきれない。
ひたすら怒りが募るこの現状に納得がいかない。

(トンガリィ……お前はなぁ……やっぱり、笑顔のほうが……似合っとったでぇ! )

いつの間にか、俺はみっともなく泣いていた。
前歯で下唇を噛み閉め、声は押し殺す。
出してしまえば、誰かに自分の居場所を気づかせてしまう。
そして、こんな姿を誰にも見せたくはなかった。
あのトンチンカンな男のために、泣いている自分など、見られたくはなかった。
でも泣かないわけにはいかなかった。
これも主が自分に差し向けた嫌がらせだとすれば、泣ける余裕なんて、これがおそらく最後だろう。

(カラッポなんて言うて……悪かった)

スマンなトンガリ。けど絶対に死なんぞ俺は。
何が何でも生き残ったる。どんな手を使っても生き残ったる。
このまま無かったことにされてたまるかい。
主よ、おどれはこっからもっと思い知ることになるんや。
俺を甦らせたっちゅーことが、どれほど過失やったかをな。
どんだけ卑怯なこともやる。殺れるチャンスでは容赦なく殺るで。仲間なんぞ利用してポイや。
お前が少しでも不快に感じて俺を殺したら、そこで俺の勝ち。


外道はくたばるまで外道味やで。分かっとるんかクソが。
せやけど怖がることないで?
俺は、何一つ見限らんっちゅう男やないんやから。




【B-5/道端/2日目/早朝】
【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン】
[状態]:疲れによる認識力判断力の欠如、情緒不安定、全身に浅い裂傷(治療済み)、肋骨骨折、全身打撲、頭部裂傷、貧血気味
     軽いイライラ、聖杯の泥
[装備]:アゾット剣@Fate/stay night、デザートイーグル(残弾:8/8発)@現実(予備マガジン×1)
[道具]:支給品一式
[思考]
 基本思考:自分を甦らせたことを“無し”にしようとする神に復讐する。(@絶対に死なないA外道の道をあえて進む)
1:どこかに移動して休息をしたい(図書館も視野に入っている)。タバコが欲しい。
2:売られた喧嘩は買うが、自分の生存を最優先。他者は適当に利用して適当に裏切る。
3:神への復讐の一環として、殺人も続行。女子供にも容赦はしない。迷いもない。  
4:自分の手でゲームを終わらせたいが、無謀なことはしない。
5:ヴァッシュに対して深い悲しみ
6:言峰に対して――――?
253陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:06:51 ID:mQP+k8Ql
[備考]
※迷いは完全に断ち切りました。
※ヴァッシュ・ザ・スタンピードへの思いは――。
※シータを槍(ストラーダ)、鎌鼬(ルフトメッサー )、高速移動、ロボットの使い手と認識しました。
※言峰の言葉により感情の波が一定していません。躁鬱的な傾向が見られます。
※シータのロボットは飛行、レーザービーム機能持ちであることを確認。

■  ■  ■

『???-???-ヘブンズ・ゲイトウェイ・シャッフル』


…………何処なんだ……ここは……?

進めない。行く先に、何があるのか……くそっ。
何も見えないし、真っ暗だ。
いや違う。
今度ははっきりと見えているけど、視界がぼやけているんだ。
一体ここはどこなんだろうう――

「あ! ヴァッシュさん、目が覚めましたか? 」

……シータちゃん?
どうして君が? ウルフウッドは? スパイクさんは? 不死身の柊かがみは?
みんなはどうし……そうだ。
僕は不死身の柊かがみからすたこら逃げて時間を稼いでいたんだ。
でも彼女がみんなを狙おうとしたから、慌てて僕が盾になったんだっけ。
やっぱり銃で弾いておけば良かったかなぁ。すっげぇ痛いのなんの。
でもスパイクさんもマジだったし、せっかくもらった銃だったから弾は大事にしたかったんだよね。
あの銃の弾丸なら、なんとか急所を外せば我慢できると思ってたからさ。
……と、待てよ。
じゃあなんで他にも痛い箇所があるんだ?

「良かった。そんなに剣が刺さってたから、もう駄目だと思ってました」

剣……ああそうか! 思い出したよ。
それからが大変だったんだ。不死身の柊かがみはその後、今度は刃物を飛ばしてきたんだよ
あれはビックリしたなぁ。何も無いところからいきなり刃物が飛び出すんだもの。
一番重そうな刀から、何発か撃って優先して弾いたけど、距離が近すぎたせいか全部刺さっちゃったんだよね。
でも変だな。刺さったとはいえ、銃弾の時よりも急所は外れていたはずなんだけど……気絶しちゃってたのか?

「やっぱりアナタも不死身ですね。私の予想通りです」

いやいやそんな照れるなぁ。
だがごめんよ。僕のタフネスは誰にも知られてはいけないトップ・シークレットなのさ。
それに話したところできっと君は信じないだろう。僕がプラントの自立種なんてことは、ね。

「せっかくで悪いんですが、もう1仕事してもらいますから」

フフ、しょうがないなぁ。そんなにカワイイお顔でおねだりされたら……あれー?
そういえばシータちゃんはどこ?
声はするんだけど、姿が見えない。
ちょっと目を擦って……やっぱりいない。
僕はシータちゃんのロボットに担がれているけど、シータちゃんはロボットに搭乗していない。
僕たちよりちょっと離れた場所で手を振っている。
うーん、どうして――――
254陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:07:51 ID:mQP+k8Ql



“この界隈は現在、進入禁止エリアと定められている。速やかに移動を開始し、当該エリア外へと退避せよ”



■  ■  ■

『A-3←→A-4-禁止エリアの境目-スピーク・ライク・ア・プリンセス』


“ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”


くすくす。私、考えちゃいました。
『兵隊さんならではの作戦』。
用意するもの、私の言うことを聞くロボットさんと禁止エリア。
まず、殺したい人をロボットさんに禁止エリアまで運ばせます。
あとは簡単。ロボットさんが殺したい人を押さえつけて1分間待つだけで出来上がり!
手間もかからず、手も汚れません。鰯のパイ包みよりも簡単ですよ。
唯一問題があるとしたら、準備でしょうか。
ロボットさんより強い人は、ほどほどに痛めて下ごしらえをしないといけません。
記念すべき一回目はヴァッシュ・ザ・スタンピードさんにやってもらうことにしました。
体中に疲労がたまっていそうで、剣が沢山突き刺さっています。死に体です。うってつけです。

「シータちゃーーーーーーーーーーん、離してーーーーーーーーーー!! 話せばわかるーーーーーーーー!!」

くすくす。ごめんなさいヴァッシュさん。あなたには恨みはありませんし、むしろ感謝しています。
あなたが1人で奮闘してくれたからこそ、私はこうして無事でいられるんです。
でも、ごめんなさい。
だって、思いついちゃったんですもの。不死身の人間でも殺せるかもしれない方法。
螺旋王のおじ様は、禁止エリアを設けました。でもそれが本物かどうかは私には半信半疑でした。
でも、これが本当のことだったら、あの人も同じ手で殺すことができます。
不死身の柊かがみ。
私、最初に卸売り市場で彼女と遭遇したとき、どこかでお会いしたような気がしてたんです。
でも、思い出したのは彼女が先でした。彼女、最初に私たちがウルフウッドさんとあなたを取り囲むんでいる時に耳打ちしたんです。

『この切り裂き魔。忘れたとは言わせないわよ? あとで思い知らせてやるわ』

彼女は私がうっかりストラーダで殺してしまった女の子だったんです。
その時は顔を見てなかったのですが、柊かがみは忘れていなかったのです。私の顔は無事だったんですから。
私は目の前が真っ青になりました。いつ皆さんの前で全てを暴露されるのか怖くて震えていました。
せっかくあなた達に矛先が向かっていたはずなのに……何も出来ない無力な女の子のフリをしていたのに!
255陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:08:40 ID:mQP+k8Ql

「ダメだよーーーーーーーーーーーーこんなことしちゃダメだーーーーーーーーーーーーーー!!」
『残り10秒だ』
「アッーーー!! やめてとめてぇーーーーーーーヘルプミーーーーーーーーヘルプミーーーーーーーーーーー!!」
『9、8、7、6、5、……』

だから私は逃げました。うまい口実をつけて、ヴァッシュさんを連れて逃げました。
でも私が逃げたところで、柊かがみがスパイクさんとウルフウッド牧師に私の素性を話していたとしたら、結局お終いです。
その時……偶然この“殺し方”を思いつきました。
この殺し方が上手くいけば、柊かがみは始末できる!
他の2人も、ロボットさんが痛めつけたあと運べば、出来るはず。
だからヴァッシュさん。あなたは実験台になってもらいます。
私の優勝のために死んでくださ…………

『4…………………………………………』

……何ですって!
そんな、どうして!? 確かに禁止エリアに入ってるはず。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードの首輪は間違いなくカウントをしていたはずなのに!
一体何が起こってるというの!?


■  ■  ■

『A-4-禁止エリア-終わらない唄』

いよお……兄弟……つながれ……そして決めてくれ。
おたくのご主人様が、俺を殺そうとしている。
いや、それは別にいいんだ。
だけどよ、お姫様が殺し合いってのもシュールだぜ。民衆には見せられない。
俺は信じてる。
そっちは何年歩いてる? 俺は150年歩いた。
頼むぜ……もう一度、チャンスをくれないか。
言いつけを破れ、とまでは言わないさ。
全身の力を込めて僕を地面に押さえつけている、君の両腕を離してくれるだけでいい。
俺がおかしな事を始めたら、容赦なく殺していい。
話がしたいんだ。君のお姫様と。

「…………そんな! どうしたの兵隊さん!? 」
「君の兵隊とコンタクトをとってみた。何を考えているのかは、よくわからなかったけど。僕に猶予をくれたよ」
「あなたも不死身だというの? 」
「さあね」

……要領は同じだった。
自立型のプラントである僕が、同胞とコンタクトを取る方法。
仮死状態にはなるけど、4分はいける。動けないんだけどね。
完全にバクチだったけど、禁止エリアってのは死者を殺さないらしい。
これを使えば、僕にとって禁止エリアはチェックメイトに成り得ないわけだ。
もっとも、いざ外に出るとなると誰かに助けてもらわないといけないんだが……だから、伝える限りのことをしよう。
やれるだけのことをするんだ。
そうさ。僕はいつだって、ラブ・アンドピース。彼女の心を解きほぐしてやるんだ!!
256陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:09:15 ID:mQP+k8Ql
「シータちゃん。僕を殺さなければならない理由があるんだね。
 でも、それは間違ってる。そうまでして何の為に生きるっていうんだ」
「あなたに何がわかるって言うんですか! 私は、例えどんなことをしてでもやらなければいけないことが……」
「じゃあ仕切り直せよ。死なせるな裏切るな幸せをつかめ、夢を語れ!! 未来への切符は……いつも、白紙なんだ」
「……ヴァッシュさん、私にも仕切り直せるんですか? 」 
「ああ、その通りだ。君には殺しは似合わないよ」

……どうやら話してもわからない相手じゃなさそうだ。
良かった。こうやって少しづつ少しづつ時間をかけて説得していけば、いけそうだ
そろそろ一分だから、またここで仮死状態にならなきゃいけない。
でもこれあんまりやりすぎると、体力の消耗で僕のほうがへばっちまいそうだ。
あと2、3回の説得で済ませるには、ロボット君に眠ってもらうしかないか。

「…………くすくす」

痛。なんか投げつけられたぞ? これは……?
弾は入ってない。シータちゃん、どうしてこれを――

「でもね、あなたは色々と期待し過ぎなんですよヴァッシュさん! 何も持たずにこの世に生まれてきたくせに! 」
 
……まだ10秒前じゃないよね。
これはひょっとするとひょっとしたら……

「どうして禁止エリアでも死なないのかはわからないけど、その傷だらけの体を見れば、あなたは所詮凡人。
 そこに転がってる玉無しの銃がお似合いなんですよ。
 私のようにラピュタの血統なんて高潔なもの、あなたは持っていないでしょう!?
 けど安心してください。私がみんなを殺して優勝すれば、螺旋王のおじ様の力でみんなを生き返らせれるんですから! 」

いつかわかってくれるなんて、悠長にはできなさそうだ。 
君が僕を助けてくれなかったら、僕は消される側にいた。だから望みはあると思ってたんだけどね。

「ヴァッシュさん! そう考えればあなたの言うとおりですね! 未来の切符はいつも白紙です! 
だって私が全部消去するんですから! みんなまとめて白紙に戻してあげますよアハハハハハハハハ……ハ? 」

……お腹を押さえて大笑いするシータちゃんを尻目に、僕は足元にある“僕の銃”を拾った。
そしてまた仮死状態。ロボットくんとの共鳴だ。ごめんな。ちょっと我慢してもらうぜ
おそらくシータちゃんが僕に投げつけたものだろう。置き土産のつもりだったのだろうか。
どうして彼女がこれを持っていたのかはわからない。でも、彼女の目を覚ますのにはちょうどいいかな。

「……きゃああ!? ヴァッシュさんの、う、腕が!? 」
「シータちゃん! いや、シータ! ありがとう! 君が投げてくれた銃は、僕にとっちゃ最高の切符だ!」
「何よ! その大砲であたしを殺そうって言うの!? やれるものならやってみなさいな! 」
「僕だって本気を出せばシータなんか全く相手にならないんだよ!
ロボットくんから逃げて、君の鳩尾に一発かますくらい、10秒もいらないんだ!
 でも僕は君を殺さない! どうしてかわかるかい! 」
「私のことなんか、いつでも殺せるからでしょう! もういいです。兵隊さん、お願い! 」

もう遅いよシータ。わずかだけどエネルギーはたまった。
時間もまだ50秒以上ある。
ロボットくんにAAを一発お見舞いしたら、すかさず君の所まで踏み込んで、しばらく寝てもら
257陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:10:00 ID:mQP+k8Ql


――うぐっ!?


こ、この感覚は……まるで全身の力が……抜けていく……
なんだ!? 何が……起こったん、だ? 急激に多量の力を、使った、から……制御が……?
こんな……ときに……どうし、て……まるで……僕のエネルギーが……吸い取られ……る……ような……
動…………けない……おいこら……ヴァッシュ・ザ・スタンピード……寝てる場合じゃないぞ…………
ロボット……くんと……シータ……を……なんと……か……しないと……もう、一度……もう一度だ…………立ち……上が……

くそ…………駄目…………か……






「ヴァッシュ・ザ・スタンピードを焼き払えぇぇーーーーーーー!! 」





(情け無……え……)



258陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:10:27 ID:mQP+k8Ql
■  ■  ■


【“B-5-卸売り市場”-F-Don't be such a“Spokey Dokey”】

どっかのブルースマンが、ブルースの定義を聞かれてこう言ったそうだ。
“ブルースってのは、どうにもならない困り事を言うのさ”、と。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードの愛と平和は、リュシータ・トエル・ウル・ラピュタの心には届かなかった。
彼女の兵隊はレーザービームで奴の体を肩から又にかけて真っ二つにし、また同時に奴の首輪も爆発したらしい。
首輪の爆発がタイムオーバーのせいなのか、レーザーのせいなのかはわからないが、彼女が殺したことには変わりない。
シータは相変わらず自慢げに戦利品、ヴァッシュの生首と奴の体に刺さっていた剣の一本を持ってこっちを見下している。
人間の死体は数多く見てきたが、久々に気分が悪くなってきた。
だらりとぶら下ったヴァッシュの表情は文字通り空ろだった。
笑ったり、泣いたり、落ち込んだりと、何かと感情豊かだった奴の顔とは思えないほどだ。
絶望に打ちひしがれたとか、諦めずに前を見続けたとか、そういう意思がすっぽり抜けたような気味の悪さだ。

「何が望みだ」
「あなたはさっさと死んだほうがいいですよ。どうせ私の望むものは、あなたには出せません」
「そんなにベラベラ喋って、後で泣きをみても知らないぜ」
「ご心配なく、なぜなら」
「「どうせ、あなたはここで死ぬんですから」って言いたいのか? ボキャブラリーのない台詞だぜ」

あららタイミングまでぴったりハモっちまった。
顔を真っ赤にしてる内は、まだ垢抜けたとは言えねぇな。

「ふ、不死身の柊かがみは私のことで何か言ってましたか? 」
「腐るには早過ぎたとよ」
「……聞いたところで、教えてくれるわけないですよね」

とはいえ、あの厄介なロボットの戦闘能力を俺は直接見たわけじゃない。
うかうかしてっと、今度は右腕を持ってかれちまうだろう。
鋼鉄の義手をつけていたジェットを笑ってた俺が、いざジェットの立場になってみると……それなりに思うところがある。
目の前のじゃじゃ馬を黙らせたら、今後の生活を考えないとな。
義手をつけるのも、意外と悪くないかもしれない



ま、なるようになるか。





【B-5南西/卸売り市場/二日目/早朝】
【スパイク・スピーゲル@カウボーイビバップ】
[状態]:疲労(大)、心労(大)、左腕から手の先が欠損(止血の応急手当はしましたが、再び出血する可能性があります)
    左肩にナイフの刺突痕、左大腿部に斬撃痕(移動に支障なし)
[装備]:ジェリコ941改(残弾7/16)@カウボーイビバップ
[道具]:支給品一式×4(内一つの食料:アンパン×5、メモ×2欠損)ブタモグラの極上チャーシュー(残り500g程)
    スコップ、ライター、ブラッディアイ(残量100%)@カウボーイビバップ、太陽石&風水羅盤@カウボーイビバップ、
    ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書@トライガン、防弾チョッキ(耐久力減少、血糊付着)@現実
    日出処の戦士の剣@王ドロボウJING、UZI(9mmパラベラム弾・弾数0)@現実、レーダー(破損)@アニロワオリジナル
    ウォンのチョコ詰め合わせ@機動武闘伝Gガンダム、高遠遙一の奇術道具一式@金田一少年の事件簿、
    水上オートバイ、薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等)
    テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
259陸でなしと寄せ集めブルース ◆hNG3vL8qjA :2008/05/13(火) 13:10:52 ID:mQP+k8Ql
[思考]
1:シータに対処
2:ウルフウッドを探す(見つけたあとどうするかは保留)
3:カミナを探しつつ、映画館及び卸売り市場付近でジン達と合流。その後、図書館を目指す。
4:ルルーシュと合流した場合、警戒しつつも守りきる。
5:小早川ゆたか・鴇羽舞衣を探す。テッククリスタルは入手したが、かがみが持ってたことに疑問。対処法は状況次第。
6:全部が終わったら死んだ仲間たちの墓を立てて、そこに酒をかける。
[備考]
※ルルーシュが催眠能力の持ち主で、それを使ってマタタビを殺したのではないか、と考え始めています。
 (周囲を納得させられる根拠がないため、今のところはジン以外には話すつもりはありません)
※清麿メモの内容について把握しました。 会場のループについても認識しています。
※ドモン、Dボゥイ(これまでの顛末とラダムも含む)、ヴァッシュ、ウルフウッドと情報交換を行いました。
※カグツチと清姫は見ていますが、静留が近くにいるかどうかについては半信半疑です。
※シータの情報は『ウルフウッドに襲われるまで』と『ロボットに出会ってから』の間が抜けています。
※シータのロボットは飛行、レーザービーム機能持ちであることを確認。

【シータ@天空の城ラピュタ】
[状態]:疲労(大)、倫理観及び道徳観念の崩壊(判断力は失わず)、右肩に痺れ(動かす分には問題無し)
    頬に切り傷、おさげ喪失、右頬にモミジ
[装備]:ラピュタのロボット兵@天空の城ラピュタ、ヴァルセーレの剣@金色のガッシュベル、ヴァッシュの生首
機体状況:無傷、多少の汚れ、※ヴァッシュとのコンタクトで影響があるのかは不明
[道具]:支給品一式 ×6(食糧:食パン六枚切り三斤、ミネラルウォーター500ml2本)、
    ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS(待機状態)、びしょ濡れのかがみの制服、暗視スコープ、
    音楽CD(自殺交響曲「楽園」@R.O.Dシリーズ)、巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING、ミロク@舞-HiME、
    ワルサーP99(残弾8/16)@カウボーイビバップ、軍用ナイフ@現実、包丁@現実
[思考]
基本:自分の外見を利用して、邪魔者は手段を念入りに選んだ上で始末する。優勝して自分の大切な人たちを、自分の価値観に合わせて生き返らせる。
0:スパイク、ウルフウッド、かがみの始末。禁止エリア殺法も視野に入れる。
1:言峰を捜索。保護してもらうと同時に新たに令呪を貰う。
2:途中見かけた人間はロボット兵に殺させる。
3:気に入った人間はとりあえず生かす。ゲームの最後に殺した上で、生き返らせる。
4:恩人の言峰は一番最後に殺してあげる。
5:使えそうな人間は抱きこむ。その際には口でも体でも何でも用いて篭絡する。

[備考]
※マオがつかさを埋葬したものだと、多少疑いつつも信じています。
※マオをラピュタの王族かもしれないと思っています。
※バリアジャケットは現状解除されています。防御力皆無のバリアジャケットなら令呪が無くても展開できるかもしれません。
※バリアジャケットのモデルはカリオスト○の城のク○リスの白いドレスです。
 夜間迷彩モードを作成しました。モデルは魔○の宅○便のキ○の服です。
※言峰から言伝でストラーダの性能の説明を受けています。
 ストラーダ使用による体への負担は少しはあるようですが、今のところは大丈夫のようです。
※エドがパソコンで何をやっていたのかは正確には把握してません。
※かがみを一度殺してしまった事実を、スパイクとウルフウッドが知っていると誤解しています。
※会場のループを認識しました。
※シータがごみ屋敷から北上中に静留と舞衣の姿を確認したかどうかはわかりません。
※ヴァルセーレの剣にはガッシュ本編までの魔物の力、奈緒のエレメントの力、アルベルトの衝撃の力、
 ヴァッシュのAA(もしくはプラントとしての)エネルギーが蓄えられています。
※ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃(残弾0/6)@トライガンはヴァッシュの遺体(A-3とA-4の境目)の側に放置されています。
※大量の貴金属アクセサリ、コルトガバメント(残弾:0/7発)、真っ二つのシルバーケープが近くに放置されています。
※シルバーケープが使い物にならなくなったかどうかは不明です。
※卸売り市場は時間が立てば完全に崩壊するようです。



【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン 死亡】
260空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:03:42 ID:5lIWRW7u
悠然と夜闇の中でもなお真黒く強く輝く陽の巨星。
其の威光は星々の煌きを掻き消し地の上に等しく圧を遣わす。
この閉ざされた箱庭に於いて、それを目にせぬ者は無し。
ヒトであろうとも、ヒトでなかろうとも。

「何だ……、何だというのだ、あれは……!」

黒金が鎚にて数多が塵芥を葬りし猛き英士は、地にて遥か天蓋を仰ぎ見る。

「あのような物までも……ニンゲンが使いこなすというのか!?
 ならば、この俺の体一つではどうしようもないではないか……!」

悟るは己が力の限りと宿業と。
はたまた――――、

「……何故、我らを造り出したのだ、螺旋王……ッ!」

咆える。吠える。吼える。
何処までも何処までも響く声に応える者はおらず、誰よりも逞しき矮躯にて憤りを隠しもせずに。
然して、其の矛先を決して違えずに。

「……ならば、御覧に入れて見せようぞ……!
 この俺の……、否、獣人全ての誇りに賭けて!」

叫ぶ。疾駆する。跳躍する。
闇を穿ち突き進む。
其の足に迷いは無く、嘆きもなく。

「……王よッ!! 今此処に怒涛のチミルフは宣言する!
 これまで俺は確かにニンゲンどもを舐めていた!
 この場に来る前に聞かせて頂いた『あれら』の所在、わざわざ使うまでも無いとタカを括っていた!
 だが――――、」

最早彼の者に油断は無く、慢心も無し。
ニンゲンを、その力を認め、然しなお己の誇りを知らしめる為に。
自らの生全てへの感謝を、造物主に伝える為に。

「俺は、貴方から賜った全てを振るう事を此処に誓おう!
 そしてこの怒涛のチミルフは、今こそ貴様らニンゲンを敵と認める!
 これより俺は、俺の得て来た力を惜しげもなく貴様らを叩き潰す為に用いよう!
 覚悟し、剋目するがいいッ!! そして抗い立ち向かえ!
 俺がこの手でその悉くを蹂躙してみせるのだから!」

黒き暗き陽光の中、武人は只唯弛まない。
道程の行き着く先は故に一所。
己が全てを捧ぐに足る王より耳に伝えられし、彼がチカラの眠りし其の墓地へ。


◇ ◇ ◇


「……フン、螺旋王の用意した箱舟といった所か」

ギルガメッシュは誰もいない瓦礫の中で一人呟いた。
そう、そこにいるのは彼だけだ。
遥か天に揺蕩う黒の太陽を、王の王は見定めるように睨み続けている。
261名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:04:17 ID:NJ62hleW
262空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:04:46 ID:5lIWRW7u
「蛇。一時なりとはいえ我が臣下だった貴様の殉じた道、成程、それなりのものだったと見える」

それだけを口にしながら足下に転がる死体を一瞥だけした後、再度彼は空を仰ぎ見る。

「……だが、彼の王の居地まで至らねば貴様は所詮そこまでの存在だ。
 これから我の進む先にある天を貫く道から振り落とされるとは、見据える先を誤ったな」

死体の握っていた宝石を弄びながら呟き、それきり彼は死体に関する興味を一切失った。
彼の関心のあるのは常に未来であり、自分の進むべき先のみである。
それこそが王の在り様であり、既に物言わぬ抜け殻に感慨を持つなど全くの無駄でしかない。

黒い太陽の闊歩する天蓋に向かい合いながら、ギルガメッシュは考える。
……アレには、何の意味があるのかと。

殺し合いをするにはあまりに過ぎるその力。
たとえ今だ目立った動きを見せていなかろうと、あらゆる財を集めし王の眼力はそこに秘められた真実を見抜くことを容易く可能とする。 

「……雑種共に無限の動力を供給する源泉。そしてそれを封ずる為の栓、か。
 全くけしからんな。
 ……力とは、王のみが自在に使うに能うモノだ。ならばアレは我の物であるに相違無いというのに。
 雑種如きが振り回すには過ぎた玩具よ、早々に取り戻さねばなるまい」

あまりにも傲慢ながら、しかし彼はそれを当然の判断として気にも留めない。
空に浮かぶ大怪球は幸か不幸か彼の持つべき財として認められ、ひとまずの破壊を逃れたと言える。
己が財に対しては、英雄王はいきなり乖離剣を持ち出し叩き潰すなどという蛮行はまず行なうまい。
むしろ、同じ潰すにしてもいかに上手く使い潰すかを考えるのがこの男であろう。

……そう、黒い太陽の意義を考えねばなるまい。
殺し合いに使うのではないならば何が目的なのか。
それこそ、螺旋王の目的たる螺旋の力に何か関係するに違いない。
だが、現状アレは螺旋の力の覚醒そのものには関与はしていないのだ。
ならば回答は一つ。

「……この世界を発ち、彼の男の居城に至る術。
 その手段でありながら、同時に螺旋の力の選別に用いる、と見るべきか」

あの黒い太陽はこの世界を抜け得る手段の一つであり、それを行なう過程において螺旋の力の成長を促しつつ、不要な者を切り捨てる算段なのだろう。
いずれにせよ、まずは黒い太陽を手中に収めねば検討はできないのであるが。

と、そこまで考えた時。


「戻ったよ、ギルガメッシュ。いやいや、辺りがぼろぼろだったから中々まともなのが見つからなくてね。
 さて、とりあえずこっちの用事は終わったけど、すぐにあっちに向かうかい?
 それともやっぱりデパートに向かうかな?」


両腕に簡素な衣服を着た少女を抱えながら、王ドロボウが帰還した。

263名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:05:12 ID:NJ62hleW
264空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:05:52 ID:5lIWRW7u
◇ ◇ ◇


しばし時間は遡る。

博物館から出た彼らを出迎えたのは黒い太陽の闊歩する凍てついた廃墟だった。
刑務所のあった辺りが崩壊してまともな形状をとどめていないその光景は、デパートに向かわんとするジンとギルガメッシュに行く先を再考させるには充分だったのだ。

刑務所にいたはずの人間や奈緒、ドモンはどうなったのか。
それを見極める必要があるだろうし、彼らの持つ情報を失うには惜しい。
施設の道具はなくならなくても、人間の命はそうではないのだ。
あれだけの規模の破壊、自分たち以外にも確実にそれを目の当たりにした参加者がいるはずである。
仮に刑務所の人間が生き延びたとして、目ざとく集まって来る殺し合いに乗った参加者に殺されては元も子もない。
そもそも、助かったとしても怪我で長くないという可能性もある。
ならば、そちらに向かって情報だけでも搾り取った方が有益というものだ。

そしてもう一つの違和感が、彼らの目にする景色の中に確かに存在していた。
正確に言うならば『しなかった』が正しくはあるのだが。
二匹の怪獣による破壊の爪痕、それは確かに其処此処に刻まれているにもかかわらず最早轟音や炎の一つすら見えはしない。
戦いの終結をこれ以上なく明確にしながら、静寂はただただ彼らの周りに満ちていた。

そんな最中、ジンが見つけたのが二人の少女だった。
一人は気絶、一人は死体。
どちらにせよ動かぬ彼女たちを目の当たりにするだけで、王達は即座に事態を理解する。
そして決断も速やかに。

あれだけの破壊をもたらす竜使いたち。
加えて、己が首輪を燃やし完全に束縛より解き放たれたその姿。
二人の王は、単純な興味とそれ以上の打算で以って生き延びた少女を確保することを合意した。

とはいえ両者の意見の一致はそこで一時終了となる。
さっさとその場を去ろうとする英雄王に対し、王ドロボウが物申す。
紳士で気障なジンとしては、生まれたままの姿になっていた少女に着せる服くらいは与えてあげるべきではないかと告げるのは当然のことだろう。
寛大な心を見せるのが王だと言われれば、ギルガメッシュもそれに頷かざるを得なかった。
ついでに周囲の探索も兼ねて、ジンは少女の目覚めを待ちつつ服を探しに行く。

――――尤も、破壊されつくした周囲でまともな服が見つかるはずもなく。
映画館の方まで足を伸ばしたものの、見つかったのはでっかい大穴、そして簡単な墓と幾つかのアイテムだけ。
待ち合わせたスパイクもいないので卸売り市場のほうに行ったと判断するも、あまりギルガメッシュを待たせれば碌な事にはならないだろうとその場でターン。
墓に刺さっていた剣を除いてドロボウらしくそれらを頂いた後、しばし探し回れど着せられそうなものは無しのつぶて。
仕方ないのでようやく見つけた1枚のシーツを服らしい形に纏わせて、帰還した次第という訳である。


◇ ◇ ◇


遠く遠く、戦の足音はただ遠く。
昏き闇と緑の織り成す深層の奥に在る物は、生きとし生けるものに眠ること許さぬ寝所。

断ち割られ、斬り割られ、分かち割られ。
十の傑が一人に頭を蓋を崩落されしその場は月の光に照らされる。
旧き墳墓。
はやヒトは近づかず、不敗の名を持つヒトの極みも立ち去り久しい。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:06:06 ID:NJ62hleW
266空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:06:53 ID:5lIWRW7u
煌々たる天の光の一つも届かぬ闇の奥に辿り着きしは獣の勇士。
彼の者は己が座に舞い戻り、地の底よりニンゲンに威足る巨躯の封を解いて同胞の誇りを知らしめる。

黒き太陽が地の底に眠るならば。

ソレを穿つ勇士の化身も地に眠る。


「……螺旋王ッ! 俺に力を与えてくれたことを感謝しよう!
 そして、その力を更なる高みに引き上げてくれたこともだ!
 見るがいい、……ニンゲンども!」

“入れ”た。


「……これが、我ら獣人の力だッ!!」


瞬間、眩き光が辺りを満たす。
地の底に封ぜられし鉄の覇者。
強く剛く、力の限りに振るうは豪拳。
眠りから醒めたからには寝所の役目は既に失せ、在りし建物は其処に無い。

墳墓の全ては只の一撃で破砕。
舞い散る欠片は一つ一つで建物にも等しく、伴う風は嵐も越える。

赤き巨神が舞い降りる。

地が割れ、森が割れ、山が割れ。
家が割れ、道が割れ、空を突く。


嗚呼、その名は大紅蓮。


大顔山を制して自らの信ずる道を進み作り出す、男達の集いし夢の跡。
山を越えて雲を衝く。
偉大なりし雄姿は黒き太陽に勝るとも劣らない。
然してその先端に起つは彼らに非ず。

白き虎、猛き虎。
嘗て異なる世界にて、月を目指すと語った男を屠りしその姿は実に威風堂々と。
輝く槍をその手に掴み、黒き太陽に刃を向ける。


「……さあ、ここからが本番だニンゲン!
 このビャコウとダイガンザンが、貴様らの死を以って我らの生きる意味を証明してくれよう!!」


遠吠えは、何処までも。
箱庭にいる生者全てに確たる存在を刻み込む。

全ての蹂躙される者に哀れみを。

――――成す術など、在りはしないのだから。

267名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:07:49 ID:NJ62hleW
268空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:07:53 ID:5lIWRW7u
◇ ◇ ◇


「……何だか凄いことになってるね。怪獣達の宴の後は太陽と巨人の争いか」

――――星をも盗む流石の王ドロボウも、そう呟くだけでやっとだった。

真東より立ち上がる赤い巨人。
その大きさは大怪球にも匹敵し、ただ立ち上がるだけで周囲のあらゆるものを破壊する始末だ。
もはや人間が一人でどうこうできるレベルではない。
刑務所に向かうのには危険すぎる。
しばし刑務所方面からは手を引き、当初の予定通り施設を巡るべきだと考える。
それも東側ではない方角だ。あれだけの大きさ、怪獣同士の殴り合いよりひどいことになるのは明々白々。
何処まで被害が及ぶか分からず、万一巻き込まれてはたまったものではない。
お姫様抱っこの態勢で抱きかかえている少女の話も聞きたいし、安全な場所へ行きたいものである。
とりあえず、西へ。
どんな施設があるか考えると発電所の辺りがいいだろうか。

即座に思考を展開させ、少女を座席に横たわらせながらジン自身も消防車に乗り込む。
後は気難しい同行者の機嫌を取って、兎にも角にも逃げ出すだけだ。

「ギルガ――――、」

しかしその算段は破綻する。
当然だ。
英雄王に退くという選択などありえない。

言葉を途中を止め、ジンは彼の姿を見る。
黒猫姿がいまいち場にそぐわないとはいえ、その背中から王気は迸り、止まらない。

右手にあるのは乖離剣。
赤い光を満たしたまま、螺旋はゆっくりと蠢き続けている。
ぐるぐると、ぐるぐると。


「――――王ドロボウ、それが貴様の王道か?」

黄金の王は振り向かず、問う。

「そうだね、欲しい物は盗みつつ、逃げるべき時にはとんずらさ。
 何事も引き際が肝心。特に今は仕込みの時期で、あまり表立って動く訳には行かないのさ。
 輝くものは目立つんだし、人目につかないうちにドロボウらしくこそこそと、ね」

返答に王はどちらもにやりと口端を歪める。
自身の王道を告げる言葉に迷いは無く、応えるまでのタイムラグも無に等しい。
故に際立つのはジンのその在り様だ。
それに満足しつつ、しかしギルガメッシュは決してソレを認めない。

「フン、……ならば見るがいい。貴様の進む道は、真の王者の通る道に塗り潰されるものでしかないと」

そう、王の道はただ一つ。
王の王が、自身以外の王道を許すことはないのだから。
だからこそ彼は見せ付ける。
彼の選んだ、在り様を。
王が王であるというその証拠を。
269空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:08:54 ID:5lIWRW7u
「ク、ハハ、ハハハハハハハハハ……ッ!」

轟、と風が集い始めた。
螺旋の剣が光を放つ。
赤く、紅く。
周囲の空間そのものが歪むように。

ジンは本能と直感と理性と体と、ありとあらゆるもので理解する。
……ギルガメッシュが何をやろうとしているのかを。

「ちょっと待ったギルガメッシュ、会場を破壊するのは――――、」

それだけは止めねばならない。
会場にはまだ大量の人間がいる以上、ここでその崩壊に彼らを巻き込むわけにはいかないのだ。
うっすら冷や汗をかくジンに、しかし英雄王は彼の言葉を否定する。

「心配する必要はなかろう王ドロボウ。
 忌々しいことに、この場でエアを使おうとまだ会場を破壊する事は出来ん」

どういうことだろうか。
疑問に思い、言動の裏について思索する。
考えてみれば、そも先刻の『財を集めてから会場を破壊する』という言葉に反しているのだ。
もしや何らかの考えがあるのかもしれないと思い至り、ジンはそれを口にする。

「どういうことかな? 詳しく説明してくれると助かるけど」

今だ赤光を、風を集め続け、静かに唸りを上げる乖離剣。
既に二者も担い手を葬った死神を平然と操りながら、ギルガメッシュは兼ねてよりの考察を根拠に一切合財を切り捨てる。

「貴様とあの走狗が言っていたろう? 会場はループしていると。
 あの時も言ったがな、会場のループという措置は周囲の結界に触れさせないためのものだ。
 同時におそらくその結界は、内部からの脱出を防ぐ為にそれなりの防御力を持っていることだろう。
 この実験場はな、
 参加者を地図の対面に転送する『転移結界』、
 螺旋力覚醒の促進や外部からの遮断を行い、参加者の力を制限しつつ脱出を防ぐ『防護結界』、
 そして、それらの外側――――、この箱庭そのものの外枠、実験場という名の『世界の殻』。
 これら3つの壁を破壊し初めて脱出できるように出来ている。そこまでは分かるな?」

ここまでは博物館に入る前に告げた考えだ。
しかしよくよく吟味すれば、この世界に崩壊をもたらす要素は一つしかない。

「……成程ね。つまり、『世界の殻』を砕きさえしなければこの会場は壊れないということか」

納得とばかりにジンが頷いて見せれば、相変わらず赤の巨人を見据えたままのギルガメッシュが苦笑するのが背中越しに感じられる。
それが、自身が認めるに相応しい切れる男に出会えたことの喜びと、それすらも敵視しようとする己の性癖に向けたものなのか。
はたまた別のものなのかは、本人以外には分からない。

尤も、たとえどのような感情を抱いていたとしても英雄王のなすべき事は動きはしないのだが。

「その通りだ。
 我の目的は、あの木偶に加えて『転移結界』と『防護結界』の破壊でな。
 貴様が心配するまでもなく、いかにエアでも力を制限された状況では『防護結界』を貫くのがせいぜいといったところだろう。
 少なくとも空間を制するエアならば転移結界を破壊するのは容易い事だ。
 ……さて、これ以上の御託は必要か?」
270名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:08:57 ID:NJ62hleW
271空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:09:55 ID:5lIWRW7u
……本音を言うならば、あるに決まっている。
あの螺旋の剣から放たれる力がどれ程のものかは分からないが、ろくな物ではないだろう。
周囲にいる誰かを巻き込む可能性だって充分だ。
……だが、そんな事を言ってもこの男は聞きはしない。下手に突けば更なる惨事をもたらす可能性もある。
ならば、とりあえずは小より大。
一発撃って気が済むのならば、被害は最小限に済ませられるはずだ。
故に、ジンは気が進まないながらもそれをおくびにも出さずに決断を下す。

「ノープロブレム。
 ……制限を無くせるのならそれに越したことはないしね。お手並み拝見といくよ。
 ギルガメッシュの王道とはどんなものか、この目にとどめておく事にしよう」

この天災を相手に、どうにかできるのは“藪を突かない”事くらいだ。
……願わくば、誰も巻き込まないよう。

「――――フン」

王ドロボウの見届けを背に、ギルガメッシュは掌の中の存在に力を込める。

「クク、出番だエア。……見るがいい、都合のいい事に的が出ているぞ。
 あの様な不細工な木偶人形に存在を許可した覚えはあるまい?
 なに、不満はあろうがお前を振るう理由は充分だ」

夜の闇に生まれ出でた赤の巨人。
ギルガメッシュたちなど虫ケラ同然と、こちらなど全く意識していないソレにあからさまな怒りを示しながら。
そして、どれだけ体躯の差があろうと、平伏すべきは彼奴であると傲岸不遜な態度はそのままに。
全てを掻き消すべく更なる紅の光が一点に集い凝集していく。

「今宵お前を使うのは的を薙ぎ払う為ではなく、王を名乗る者に王とは何かを知らしめる為なのだから。
 ……そして、身の程知らずに教えてやるとしよう」

周囲の景色が歪んでいく。
眼前にあるモノ全てを切り裂かんとする、空間を統べかつて天と地を分かったノウブル・ファンタズム。
知識と魔法と水を象徴する神、エア。その力は豊穣と死をも司る。
今こそその化身は正しき担い手に渡り、ようやく歓喜の表情を露にしつつあった。

「この世に獣が闊歩できる余地は無し、全ては等しく我の玩具であると――――」
272名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:09:57 ID:zvVLdXk5
273名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:10:38 ID:zvVLdXk5
274空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:10:57 ID:5lIWRW7u
空間そのものが震え、軋んだ。
余波を浴びただけで人ならば動くことも能わない。
ぎしぎしと、ぎしぎしと。
存在する万のモノが悲鳴を挙げている。


「…………天地乖離す、」

告げる。
終末を。

三つの円柱が吼えるのは、原初の記憶。
命が生れ落ちることすら許さないハジマリの世界。


「開闢の星――――――――!」


紅の光が“居る”事をひとしなみに禁じていく。



◇ ◇ ◇


始まるは滅びの宴。
新世界の創造とは旧世界の破壊に他ならない。

博物館の南東から放たれた一閃は、まず眼前のモノレールの線路を紙きれよりなお容易く消し飛ばした。
大地を割りながら突き進み、海に触れた途端、水蒸気爆発が発生。
上空数百メートルまで舞い上がる勢いの大量の水塊はしかし、わずか数十cm動いただけで完全に『無くなった』。
蒸発したのではなく、分子原子、素粒子のレベルで世界から消え失せる。

それも瞬くよりなお短い時間のこと。
陸に舞い戻った極光は、ロムスカ・パロ・ウルラピュタの名残を粉微塵よりなお細かく砕き割った。

『幼き戦士エリオ・モンディアルと義手義足の少年を殺した外道、ここに討つ』

――――二人の戦士が仇を討ち、悲しみとともに記した言葉も。

『最後の瞬間まで戦い続けた、幼き戦士エリオ・モンディアルに勝利の栄光を』

砂上の楼閣のように崩れ去る。

消えていく。消えていく。
想いも勇気も嘆きも悲哀も悔しさも、全て、全て。

総合病院を構築する全ての要素が剥離し、光の中に溶けていく。
奇しくも同じ力によって命を落としたアニタ・キングは、完全なる“乖離剣”によって今度こそページ一枚、一行、一文字たりとも痕跡を残しはしなかった。
エドワード・エルリックは分解されたまま、二度と再構築されることはない。
勇者エリオ・モンディアルであろうと、彼を殺したムスカと同じ命運を辿るのは等しく同じ。
相羽シンヤの死体も無念と兄への想いを道連れに、この世にいたという証拠を全て抹消されていく。

275名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:11:26 ID:zvVLdXk5
276名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:11:55 ID:NJ62hleW
277空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:12:04 ID:5lIWRW7u
――――まだまだ終わるものかよ。
この程度で終わるものか。
創造の、螺旋の剣の力は止まる事はない。

数多の人の想いの残滓如きで止まりは、しない。


◇ ◇ ◇




「……病院が、光っ――――!?」




素晴らしき屍をも喪わせながら。
今まさに飛び発たんとする紅蓮の巨人が光に飲み込まれ、掻き消える。
旧き墳墓など当に跡形もなし。

夜の闇に、僅かに染み渡った声は誰のものだったか。
二つ名の通りまさしく怒涛の勢いで蹂躙されるが彼の定め。

星の記憶、死の国の原点は獣人であろうが生命の終わりを告げるに躊躇いはない。


◇ ◇ ◇


高笑いが響き渡る。
紅蓮の巨人はもういない。
立ち続けるはただ一人。
王はただただ、笑う。嗤う。

「ワハハハハハハハハハハハハハハハッ! ハ、この程度か獣、なんとも手応えがないではないか!
 ハァハハハハハハハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

夜の闇に風が吹く。
威風と暴風の螺旋は、今だ留まり止まない。

ひとしきり哂い続け――――、そして終わればすぐにまた哂う。
と、不意に耳に届く声がする。

「――――」

この音は誰のモノだったろうか。
彼が王として対するに相応しい、盗人の王のものだったろうか。
告げられた内容を嚥下し、咀嚼。
……如何なる意味か、状況にそぐわない。

言葉の意味を問いただそうと振り向き、その光景を見る。
278名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:12:13 ID:zvVLdXk5
279名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:12:35 ID:zvVLdXk5
280名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:13:25 ID:zvVLdXk5
281空の上のおもちゃ(前編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:13:33 ID:5lIWRW7u
既にそこには誰もおらず、目に入るは一つの色のみ。


紅の幕が眼前に。


迫る。迫る。見慣れた光が自身を包む。
紛う事なき己が剣のその力に。

その光景の中に英雄王は、一つの事実を確信し、染まっていった。
螺旋の王の力の一端に忌々しげな表情を浮かべながら。



「――――貴様、よもやそこま、ガ――――!!!???」



◇ ◇ ◇


――――何の事はない。
ダイグレンを掻き消した後、地図の端にあたる場所に触れた瞬間に、天地乖離す開闢の星が対面に転移しただけだ。
エアの空間介入の力は『転移結界』を容易く破った後、『防護結界』まで突き進むはず。
ギルガメッシュの見積もりならばそうなる筈だっただけで、事はそう単純に行かなかったというだけの話。

まあ、伝聞情報のみに頼って実際どういう現象が起こっているかを確認しなかったギルがメッシュの油断が招いた事態と言えるだろう。
神の視点を持つものならば、二度に渡る乖離剣の暴発を持ってさえ会場の結界を破ることが適わなかったことは知っている。
ならば、そこに何らかの仕掛け――――、高出力攻撃への対策が施されている事に思い当たるのは難しいことではない。
それだけだ。

地図の端に至った後、亡びの具現は会場を一周せんと目先のモノレール駅を抹消する。
流石に二つの建物を葬り減衰したとはいえ、世界を切り裂く一撃に矮小な小屋を砕くなど造作もないことだ。
指向性に些かの揺るぎもなく禁止エリアに突っ込み、今度は灯台にぶち当たってその機能を停止させる。
消滅させるには至らなかったものの建材の悉くを露出させ、なおその力は前へ前へ。
ゆっくりとぐらりと倒壊する灯台を尻目に、紅の光は英雄王の下へと帰還する。


そして主を呑み込んだ。


282名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:13:48 ID:NJ62hleW
283名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:13:57 ID:zvVLdXk5
284空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:14:39 ID:5lIWRW7u
◇ ◇ ◇


がたごとがたごと、滅びを尻目に消防車は行くよ。
行くはひとまず賑やか市場。
催し物は殺し愛。
仲間がお待ちのお祭り知らず、王ドロボウは道を往く。

「……D、ボゥイ……」

どうにかこうにか亡びから逃げ出し一息つく頃、ようやくにして見知らぬ少女が目を覚ます。
ゆっくりと瞼を開け、体を起こしてしばし呆けたまま動かない彼女に向かい、ジンはとりあえずの口上を告げることにした。

「ようやくお姫様のお目覚めみたいだね。恋する乙女は王子様のキスがなくても彼を想うだけで夢の世界にサヨナラできる。
 さて、物語の結末はハッピーエンドかな?」

びくりと震え、ようやく辺りを見回す余裕を得る少女。
それでも事態を把握できていないのか多少間の抜けた口調ではあったが、どうにかこうにか現状への疑問を搾り出す。

「ここは……。あなた、誰?」

「俺はジン。このパーティの主催役を盗もうと企むしがないドロボウでございます。
 ……と、話をする前に一ついいかな?」

飄々とした、今までに会った事のないタイプの少年だ。
よく分からないままペースに乗せられてしまい、少女はただただ頷くだけしかできない。
少なくとも敵意は見られないし、悪い人間ではないのだろう。

「……? う、うん」

「とりあえずコイツを握ってくれるかな、あ、あまり力は込めない様に」

言われるままに手渡された剣を握ってみる。
と、その豪奢な剣が不意に輝いた。
まるで少女の持つ何かに反応したかのように。

「あ……え?」

螺旋力の有無。
ドモンに感じたそれを少女から嗅ぎ取って、試しにギルガメッシュの言う『宝具』を持たせてみればまさしくビンゴ。
今はドモンがいない以上、たとえ施設に隠された何かを見つけても螺旋の力を未だ持たないジンにはどうしようもなく、その意味で彼女は役に立ちそうだ。
乖離剣にご執心の英雄王からもう一つの螺旋の剣も頂戴してきたことだし準備は万端。
尤も、それ以上に興味深い情報を彼女は握っている可能性があるのだが。

「……やっぱりね。君もドモンと同じで螺旋の力の持ち主という訳か。
 ちょうど良かった、他の施設にもに博物館と同じ鍵がかけられていたなら俺には開ける事が出来ないし。
 さてさて、積もる話もあるだろうけどひとまずすべきは自己紹介からだね。
 ……それじゃあご拝聴を。そして、君の方も知っていることを話してくれたらありがたいかな。
 その、首輪のこととかね」

そして少女は思い出す。思い出していく。
記憶の靄の向こうから、彼女の出会ってきた全てが蘇ってくる。
285名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:14:56 ID:zvVLdXk5
286名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:15:23 ID:zvVLdXk5
287空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:15:41 ID:5lIWRW7u
何を思い出せばいいのか。
何をこれから成せばいいのか。

気がつけば、いつの間にか頭の中に響くラダムの声はなく、燃やせという脅迫じみた衝動も沸いてこない。

だからこそ――――、少女はただ迷う。
ずっと自分でないものに押し潰されそうだった心の重石がなくなったためか妙な浮遊感があり、行く先が見えてこない。
確かなものはただ一つ、大切だと気付いた一人の男の姿のみ。

ただ会いたいという想いを込めて、少女はドロボウに自らを綴る。
力になってくれるのではないかという淡い期待を込めて。


「……あたしは――――」



【C-5西部/路上(消防車内)/二日目/早朝】

【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:全身にダメージ(包帯と湿布で処置)、左足と額を負傷(縫合済)
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING×2(1個は刃先が少し磨り減っている)
[道具]:支給品一式(食料、水半日分消費)、支給品一式
    予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん、清麿メモ 、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿、
    ゲイボルク@Fate/stay night、短剣 、瀬戸焼の文鎮@サイボーグクロちゃんx4
    ナイヴズの銃@トライガン(外部は破損、使用に問題なし)(残弾3/6)、偽・螺旋剣@Fate/stay night
    デリンジャー(残弾2/2)@トライガン、デリンジャーの予備銃弾7、ムラサーミァ(血糊で切れ味を喪失)&コチーテ@BACCANO バッカーノ!、
    [思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
0:さてさて、首輪についても怪獣についても、色々面白そうな話が聞けそうだね。
1:とりあえず卸売り市場に向かってスパイクを捜索、騒ぎが収まったらのデパートの方へ。
2:ガッシュ、技術者を探し、清麿の研究に協力する。
3:ニアに疑心暗鬼。
4:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
5:マタタビ殺害事件の真相について考える。
6:ギルガメッシュを脱出者の有利になるよううまく誘導する。
[備考]
※清麿メモを通じて清麿の考察を知りました。
※スパイクからルルーシュの能力に関する仮説を聞きました。何か起こるまで他言するつもりはありません。
※スパイクからルルーシュ=ゼロという事を聞きました。今の所、他言するつもりはありません。
※ルルーシュがマタタビ殺害事件の黒幕かどうかについては、あくまで可能性の一つだというスタンスです。
※ドモンと情報交換しました。会場のループについても認識しています。

288空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:16:41 ID:5lIWRW7u
【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:背中にダメージ、全身に擦り傷、顔面各所に引っ掻き傷、シーツを体に巻きつけただけの服、首輪なし
[装備]:薄手のシーツ、 エクスカリバー@Fate/stay night
[道具]:なし
[思考]:
0:……Dボゥイ、会長さん……。
1:静留の死を悼む。
2:Dボゥイに会いたい。
[備考]
※HiMEの能力の一切を失いました。現状ただの女の子です。
※静留がHiMEだったと知っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※小早川ゆたかについては、“ゆたか”という名前と、“自分より年下である”という認識しかもっていません。
※ギアスの効果は切れた模様です。
※螺旋力覚醒

◇ ◇ ◇


月明かりの下。
最早ヒトガタ足り得ぬ巨躯の残骸の上で獣の雄姿が哭き叫ぶ。

「――――螺旋王ッ! これが、……これほどの力を持つものがニンゲンだというのか!?」

胸から下を全て喪いし大紅蓮は最早がらくたに過ぎず、無残に無様に崩れ続ける。
あっさりと、実にあっさりと。
咄嗟の勘にて高く高く跳躍してみれば命ばかりは永らえたものの、然して事実は彼がチカラを奪い去り往く。
最早残るは踏み躙られし夢の跡。

「ならば! ……我等とは、獣人とはまさしく彼奴らの奴隷なのか!?
 答えてもらいたい! この怒涛のチミルフは、何故ここに居るのだ……ッ!!」

返答は無く、ただ木霊が彼が身を慰め包むのみ。
己と主との絆たる巨大なチカラを零した勇士は、只唯天を見つめ成す術も無く時の移ろいに身を委ねる。



【D-8/古墳跡、ダイグレン残骸の艦橋上/二日目/早朝】
【怒涛のチミルフ@天元突破グレンラガン】
[状態]:全身に肉体的疲労とダメージ(小)、激しい驚愕、自身の存在価値への疑問、ビャコウ搭乗中
[装備]:愛用の巨大ハンマー@天元突破グレンラガン(支給品扱い)、ビャコウ@天元突破グレンラガン
[道具]:デイパック、支給品一式、(未確認の支給品が0〜2個ありますが、まだ調べてません)
[思考]
基本:獣人以外は全員皆殺し。
0:……ニンゲンとは、一体何なのだ……ッ!
1:黒い太陽の方へ向かう。
2:次の放送後にもう一度ヴィラルと接触する。
3:ヴィラルが1人も人間の討ち首を持ってこれなかったら、シャマルの首を差し出させるかもしれない。
4:夜なのに行動が出来ることについては余り考えていない(夜行性の獣人もいるため)。
5:ニンゲンの力について考え直す。
289空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:17:41 ID:5lIWRW7u
[備考]
※ヴィラルには違う世界の存在について話していません。同じ世界のチミルフのフリをしています。
※シャマルがヴィラルを手玉に取っていないか疑っています。
※チミルフがヴィラルと同じように螺旋王から改造(人間に近い状態や、識字能力)を受けているのかはわかりません。
※ダイグレンを螺旋王の手によって改修されたダイガンザンだと思っています。
※螺旋王から、会場にある施設の幾つかについて知識を得ているようです。


【ダイグレン@天元突破グレンラガン】
チミルフの旗艦であるダイガンザンを奪取したグレン団が、自分達用にカスタムした移動要塞型ガンメン。
旗艦というだけあってとにかく大きく、ガンメン数十体は軽く収容可能。
また、ただでさえ火力や耐久力にも優れる上に、リーロンの手によって耐水加工やダイガンテンのトビダマを搭載などの改造が加えられており、水陸空のあらゆる環境で運用可能になっている。

……のだが、天地乖離す開闢の星によって艦橋を除く殆どの部位が消滅。大破と呼ぶのすら生温い。
もうまともに動かすことは叶わないだろう。


【ビャコウ@天元突破グレンラガン】
チミルフ専用カスタムガンメンで、本編ではカミナの死因となる一撃を放ったという曰くつきの機体。
名前の由来は白虎。
主な武装はビーム刃を放つ槍で、
ビーム刃による貫通突撃アルカイドグレイヴと、ビームを刃から直接打ち出すコンデムブレイズという
近距離遠距離それぞれに対応した必殺技を併せ持つ。
必殺技を披露する機会すら与えられなかったシトマンドラwithシュザックに比べて随分優遇されている気がする。



◇ ◇ ◇


「……ふむ、中々に良い仕事だぞ具足。我の財とするには如何せん地味に過ぎるが、心掛けは悪くない。
 たまには貴様のような変り種を宝物庫に加えてみるのも風流というものか」

『……貴方はマスターが命を張って交渉した方ですから。
 マスターの仲間と会ってもらうまでは死んでもらうわけには参りません』


――――黄金色に染まる天。
雲がまるで収穫期の麦畑の様に明々と染まる夜明けの中、遥か地上を見下ろしながら黄金の王は誰かへと呟く。
その身に纏っていた黒い衣装は既にない。
暁の光とともに、夜の闇へと千切れ消えた。
上半身のみ己が肉体を全天全地に曝し、腰より下には黄金の鎧を。
御足に具現するは、昴の名を冠した少女の忘れ形見だ。


天地乖離す開闢の星、減衰しながら帰還したその一撃を前にして、ギルガメッシュが取った行動は実に単純。
再度乖離剣の一撃を放つ事で相殺を狙ったのである。
目論見通りにある程度までは上手くいったのだが、衝撃まで消えた訳ではない。
遥か上空に吹っ飛ばされ、尚且つ黒猫スーツを失ってしまうという痛手を被った。
彼方まで飛ばされて更なる余波の斬撃で傷つくかと考えたその瞬間、彼の体を魔力の衣が包み込み、エアの残滓を防ぎぎった。
その正体こそがマッハキャリバーだったという訳だ。

「戯けが。この我が誓いを違えると思うか?
 ……しかし、成程な。ようやく螺旋の王の脚本が見えてきたぞ」
290名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:18:09 ID:W2BSWYFu
291空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:18:57 ID:5lIWRW7u
――――黄金色の草原に浮かぶ黒の太陽と同じ目線を飛びながら、ギルガメッシュは世界を見渡す。
ようやく彼の目に、この殺し合いの全貌が見えてきた。

会場を包む転移の結界。
その理屈の正体は、初めは空間転移かと思っていたがそうではない。

「……確率変動、か」

触れた物や現象の『そこにある』確率を変動させる。
それがギルガメッシュの考えた『転移結界』の正体だ。
単なる空間転移では空間を統べるエアの一撃に耐えられるはずがない。
ならば、一見転移のように見える現象の内実は、まったく別のものだろう。

地図の端と端で起こった現象は、
片方の地図の端に参加者や高出力の攻撃が触れたとき、
『触れた存在の、今いる場所での存在確率を0にする』
『触れた存在の、地図の対面における存在確率を100にする』
を同時に行なうことで、擬似的に転移を発生させているとギルガメッシュは考える。

また、上空の高度制限も、
『触れた物体や現象が、それ以上の位置まで上昇する確率を0にする』
事で行われているならば彼自身が今まで観測した現象に矛盾が発生しない。

更に言うなら、彼自身の観測していない二度のエアの攻撃で会場そのものに影響が出ていないのも、確率変動結界が会場の四方だけでなく上空にも展開されている証拠だろう。
この会場から抜けるためには単に高出力の攻撃を結界に加えればいいという訳ではない。
何らかの手段――――、エネルギー静止現象や、転移結界を発生させている原因そのものの破壊などにより会場のループを消失させる。
その上で防護結界と世界の殻を破壊することで、ようやく脱出できるのだろう。


それを鑑みて天を見る。

ギルガメッシュが見据えるのは、今まさに地平の彼方へ消えようとする月だ。
奇しくも傷の男が抱いた疑問と同様のものをギルガメッシュは内心抱く。
今まさに入れ替わろうとし、同時に天に居ることを認めようとしない太陽と月。
その不自然さに気付き、ギルガメッシュは兼ねてより箱庭と見ていた会場の構造に確信を抱いた。

「天を衝く、地より突き立ったドリル。……まさしくこの箱庭はその形状をしている」

ドリル状の世界の内部に、ドーム型の防護結界が張り巡らされ、更にその内側に直方体状の転移結界が存在する。
そうまでして念入りに参加者を逃がさないように囲った上で、殺し合いによって螺旋力を促進。

その後、参加者をどう扱うか。
その答えにつながる光景がギルガメッシュの目の前にある。

「……おそらく今晩か。あの月がドリルの先端に触れた瞬間に、この世界は消滅。
 それまで生き延び、螺旋の力を蓄えたものたちを回収するのが貴様の目論見か、螺旋王」
 

――――太陽が、透けていた。
それだけではない、天の星々もよくよく見れば光の向こうに暗闇が見えている。
殺し合いの開始当初に比べ、少しずつ確実に、誰にも気付かれず進行していた世界の崩壊は、ここに来てようやく目に見える形になり始めていた。
しかし、月だけは未だその光に衰えが見られない。
292名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:19:33 ID:zvVLdXk5
293名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:19:47 ID:W2BSWYFu
294空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:19:57 ID:5lIWRW7u
ギルガメッシュは考える。
この世界を構築する柱が、あの月にあるのではないかと。
そして、月がこの世界の先端、天元に到達し、世界の外に抜け出すことで箱庭の消滅がもたらされるのではないかと。

「……陳腐な脚本よな。趣向を凝らす余地というものが全く無い。
 螺旋王の感性、その低さが伺えるというものだ。だが――――、」

それだけでは説明がつかないのが、黒い太陽の存在だ。
あれは明らかに『結界を越える為』の乗り物である。
……そう、エネルギーの停止をもたらす炉心であるあれならば、たとえ確率変動結界であろうと越え、防護結界に一撃を入れるために近づくことも可能だろう。
大人しく世界の消滅を待つにはどう考えてもそぐわない。

……ならば、そんなモノが存在する意図は一つしかない。


「物を語るのは王ではない。詩人であり、綴り手であり、語り手である者達だ。
 王自らが綴る物語など駄作としかならん。螺旋王、貴様の脚本はあくまで次善のものでしかないのだろう?
 王とは人の上に立ち人を使う者であり、旗下の優れた能を持つ輩を適所に送るもの」

そう、ならば。

「……ならば、居るはずだ。
 螺旋の物語を任せるに足る、螺旋王の思惑すらも超えうる綴り手が。
 貴様の想定通り、『想定という名の天蓋すら貫く』物語の、な」

螺旋の王は、決して時間切れによる殺し合いの終了を求めているわけではない。
欲しているのはただ一つ。
彼の思惑すらも超えて、螺旋の力を開花させ天元すら突破しうる者だ。

おそらく会場に隠されている様々な財はその為にあるもの。
もしかしたら、あの黒い太陽が破壊されたときに備えての代用品も、発電所などに偽装されて存在しているのかもしれない。

そしてまた、あの“月”に何かがある事は確かだ。
月にある何かさえ壊せば脱出できるのかもしれないし、あるいは螺旋王の目的に関する秘密が隠れている可能性もある。
勝負は次に月が昇る時。
月を目指し、辿り着いた時に何が起こるのか。


……そこまで思い至った時、不意に彼の耳に一つの名詞が飛び込んできた。

『……菫川ねねね女史』

――――物語の綴り手たる者の名前が。
この場において呟かれるは間違いなく螺旋王の所在に至る鍵となり得るもの。
英雄王の眼力はそれを逃すはずもない。

「ほう、心当たりがあるか具足。成程、刑務所に居た者達の仲間と見える。
 ……なれば、早々に会う必要があるか。
 我の物語を綴らせるに相応か否か、見極めてやるとしよう」


呟き、ギルガメッシュは右手に抱く螺旋の剣を振りかざす。
見据えるは天元。
それに届かせるかのように、しかし尚且つ無造作に赤い光を集わせ、チカラを放つ真名を口にする。
295名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:20:34 ID:zvVLdXk5
296空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:20:58 ID:5lIWRW7u
「……エア、穿て」

天地乖離す開闢の星には至らずとも、しかし充分すぎるほどに強い光が天を衝く。
……しかし。

「フン……」

予測通りにその光は途中で掻き消える。
確率そのものを0にされているからか、制限を加えられているからか。
月に届くどころか空を越えることすら出来はしない。

黄金色の草原の中でそれを見届けたのち、ゆっくりとゆっくりと、ギルガメッシュの体が落ちていく。
同じ高さに居た黒い太陽が次第に視界の上へと消えていく。

「デパートで待つ、か。王ドロボウ」

これから成すべきことを考えながら、ギルガメッシュは重力に身を任せて空に一時の別れを躊躇いなく告げた。
落ちた先に何があろうと心配はしない。
バリアジャケットとサーヴァントの技能があれば落下の衝撃など大した問題ではなく、誰が待ち受けようと切り捨てればいいだけなのだから。

月と、太陽と、雲と、黒い太陽と。
天の光はすべて敵。
そんな事を呟いて、ギルガメッシュは戦場へと帰還していく。



と、忘れていた事を思い出すように、不意に黄金の王は自らの財に当然の如く要求する。

「……ああ、それと具足。
 貴様が魔力から編み出したこの衣装ではあるが、この服は然るべき時のみ用いると決めていてな。
 我が先刻まで着ていた独創性溢れる猫の意匠の服、あの似姿に切り替えよ」


『…………Yes,King』



【?-?/上空/二日目/早朝】
297名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:21:51 ID:W2BSWYFu
298空の上のおもちゃ(後編) ◆wYjszMXgAo :2008/05/13(火) 19:21:52 ID:5lIWRW7u
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:疲労(大)、全身に裂傷(中)、身体の各部に打撲、 慢心、ただし油断はない、落下中
[装備]:乖離剣エア@Fate/stay night、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、黒猫型バリアジャケット
[道具]:支給品一式、クロちゃんマスク(大人用)@サイボーグクロちゃん
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。月を目指す。【天の鎖】の入手。【王の財宝】の再入手。
0:……綴り手、ねねね、か。果たして我の眼に適うか?
1:菫川ねねねを捜索、『王の物語』を綴らせる。
2:デパートでジンと待ち合わせる。
3:“螺旋王へ至る道”を模索。最終的にはアルベルトに逆襲を果たす。
4:頭脳派の生存者を配下に加える。
5:異世界の情報、宝具、またはそれに順ずる道具を集める(エレメントに興味)。
6:“螺旋の力に目覚めた少女”に興味。
7:目障りな雑種は叩き切る(特にドモンに不快感)
8:全ての財を手に入れた後、会場をエアの接触射撃で破壊する。
9:次に月が昇った時、そこに辿り着くべく動く。

【備考】
※螺旋状のアイテムである偽・螺旋剣に何か価値を見出したようですが、エアを手に入れたのでもう割とどうでもいいようです。
※ヴァッシュ、静留の所有品について把握しています。それらから何かのアイデアを思いつく可能性があります。
※ヴァッシュたちと情報交換しました。
※ジンたちと情報交換しました。会場のループについて認識済み。
※クロちゃんスーツ(大人用)@サイボーグクロちゃんは引き裂かれて消滅しました。
※ギルガメッシュのバリアジャケットは、1stがネイキッドギル状態、2ndがクロちゃんスーツ(大人用)@サイボーグクロちゃんです。強敵に会った時にのみネイキッドのバリアジャケットを展開しようと考えています。
※会場は『世界の殻』『防護結界』『転移結界』の三層構造になっていると推測しました。
※『転移結界』の正体は確率変動を発生させる結界であると推測しました。
※会場の形状は天の方向に伸びるドリル状であり、ドーム状の防護結界がその内部を覆っていると推測しました。
※月に何かがあると推測しました。
※ギルガメッシュが吹き飛ばされている方向は不明です。次の書き手さんにお任せします。


※会場端のワープは、人間以外にも大出力攻撃を転移させる模様です。
※D-6総合病院は天地乖離す開闢の星により跡形もなく消滅しました。
※D-8古墳はダイグレン起動により崩壊後、天地乖離す開闢の星により跡形もなく消滅しました。
※ダイグレン@天元突破グレンラガンは艦橋部を除いて天地乖離す開闢の星により殆どが消滅しました。
※D-1モノレール駅は天地乖離す開闢の星により大部分が消滅、原形を留めていません。
※D-2灯台は天地乖離す開闢の星により一部が消滅、その後崩落した模様です。
※エリオ、エド、アニタ、シンヤ、ムスカ、ヒィッツカラルドの死体は消滅しました。
299名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/13(火) 19:22:12 ID:zvVLdXk5
300名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/14(水) 22:58:47 ID:zq7PvBzj





















さて、話し合い継続しますかwwwww
301名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/17(土) 23:28:33 ID:5GS+EHE9
んだ
302代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:26:32 ID:NoegvR9v
――これは、運命という濁流に飲み込まれ、それでも尚立ち続ける男達の物語である。


潮の香り混じりに吹いていた風はいつの間にか止んでいた。
すぐ近くに海岸を望むその場には大きな喧騒もなく、それが逆に夜明け前の薄明かりにそよぐ風の流れを強く意識させる。
小さく、しかし強く響いていた男達の慟哭の声も今はもう聞こえてこない。
風が運び去ったか草花が受け止め土へと還したか。どれだけ耳をそば立てたところでうちひしがれた敗者の嘆きは存在しなかった。
代わりに響くのは、それとは全く別の異質な音。
極上の果汁をすすり上げ。
瑞々しい果肉に歯を突き立てる。
野性動物が立てるようなその音は、敢えて文字にするならばがつがつと聞こえた。


クロスミラージュはカミナがメロンを貪り食らうのをただ黙って見守ることしかできなかった。
少し前までのうなだれた態度はかなぐり捨て、どっかとあぐらをかいた姿勢でひたすらにメロンを咀嚼し続けている。
あまりにも突然に起こった行動の変化にクロスミラージュは混乱し、下手なことも言えず沈黙する。
表情から感情を窺うことはできない。顔を丸ごと球体の中に突っ込んで食べているからだ。
乱暴に撒き散らされた汁が飛び、その内のいくらかが自分の身に降りかかる。土臭い地面に転げ落ちたままそのような扱いを受けても、クロスミラージュは文句一つ言うことができなかった。

皮も実も種もお構いなしに口にしているせいか、時々カミナが苦しそうにむせる。
注意しようにも不純物を吐き出してすぐにメロンの蹂躙へと戻ってしまうためクロスミラージュやはり沈黙を続けるしかない。
侵攻は決して速いとは言えない。カミナの姿は自棄になっているようにも、全てを忘れようとしているようにも見える。
人ならぬ身のクロスミラージュはこのような理屈の見えない行動に掛ける言葉を持ち合わせていなかった。
とはいえ仮に自分が人間であったとしても今は黙っておくべかも知れないと思い、同時にそのような発想に至った自分に驚いた。
仲間の追悼のため別行動中のガッシュ達が戻ってくる気配はない。故に戸惑いを隠すためには思索を続けるしかなかった。
そのような感情の動き自体が今までの自分にはないものだと、クロスミラージュは気が付かない。

カミナの行動を説明しようとするならばいくつかの言葉を並べれば事足りるだろう。
追悼。逃避。ヤケ。そんなところになるか。
それほど的を外れた分析ではないはずだ。それはそう思うのだが。
そんな単純な言葉で表せてしまう程度のものなのだろうか。カミナの行いの意味は。
自分自身納得していないことをクロスミラージュは認識する。だからと言って他に適切な解説ができるわけではないのだが。
幾つかの感情の複合。あるいは全く別の――。どれも程ほどに合っているように思え、等しく説得力を持たない。
沈黙を――続けるしかない。

クロスミラージュは理屈ばかりで肝心なときに力になれない己の無力さを嘆いたが、そのような複雑な感情を抱くようになったのがつい最近のことだとまでは認識しなかった。
進化とも言うべきAIの発達にクロスミラージュは未だ気が付つくことはない。
自身の成長に無自覚なこともまた、あるいは人間らしさなのかも知れなかった。

やがて、顔中が口だと言うかのようだったカミナの激しい動きが止まる。
揺れ動いていたカミナの全身がピタリと静まり、つられるようにクロスミラージュも機械の体を強張らせる。
ほぼ薄皮だけとなったメロンの残り滓からカミナがゆっくりと顔を上げる。露になった顔が予想外の感情を見せていたら、果たして自分は――。

「ベリーメロン……つったか」

誇り高いVの魔物が愛した果実の中から舞い戻った汁まみれのカミナの顔は。

「うめぇじゃねぇか」

クロスミラージュの懸念をよそに、嫌なことをすべて洗い流したかのようにとてもさっぱりと前だけを見ていた。


303名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/20(火) 01:27:35 ID:VaDzdj65
  
304代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:30:56 ID:NoegvR9v
友人だという金髪の男の死体を前にガッシュが何故泣かずにいられるのか、ニアは不思議で仕方がなかった。
泣いてしまえばいいのに、と思う。
悲しくない筈がない。背中越しとはいえガッシュの固く握り締められた拳を見れば、幾ら鈍いニアにでもそれくらいは分かる。
なのに何故、涙を流すことも肩を震わせることもしないのだろう。
静かにたたずむガッシュに合わせるかのように周囲は無音である。自然が立てる音に限れば、の話ではあるが。

ニアとガッシュ、それに男の死体が存在する空間一帯を満たしていたのは一曲の歌だった。
ガッシュの足元に置かれたラジカセから流れてくるものだ。ニア達を守って死んでいったビクトリームの遺品であり、そこから流れ出る歌を歌っているのがもう動くことのない金髪の男だという。鉄のフォルゴレ、という名前を教えてもらった。
ニアは歌についてどうこう言えるような知識も経験もない。歌われている歌詞の意味も良く分からない。
それでも、フォルゴレなる人物がこの歌を本当に楽しんで作り歌ったのだろうということは感じ取ることが出来た。
聞く人を楽しませ、そして歌っている本人もが誰より楽しんでいる。肩の力を抜いて笑える歌。漠然とそんな感想を持った。
ビクトリームが死に、さらにこれ程の歌を歌える人物までもが死んでしまったということを想うだけで、ニアはこんなにも胸が苦しい。
なのに、何故ガッシュは泣かずにいられるのだろうか。
不思議でたまらないが、巨木のように真っ直ぐ伸ばされたガッシュの背中を見るとただ黙ることしかできない。

もし悲しみを堪えているというのなら遠慮なく叩きつけてくれればいいのに。
かつて自分がシモンにされたように。
この場にきてドーラにされたように。
辛さを乗り越えるための協力ならいくらでも頑張るのに。
どうしてガッシュは一人で立っているのだろう。
やがて、歌が終わった。足元の機械がカチリと無機質な音を立てる。
暗かった道路はいつの間にか明るく照らされていた。

「フォルゴレ」

再び光を取り戻した世界の中、陽光を浴びるガッシュが小さく呟いた。

「行ってくるのだ」

分厚い黄色の本を抱え振り返った少年の瞳には、やはり太陽のように強い輝きしか見ることはできなかった。



305代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:32:15 ID:NoegvR9v
「ヌオオオオオォォォ!落ちるっ!落ちるのだ!!」
「諦めんじゃねぇ、ガッシュ!男ならたとえつま先一本でもしがみついて見せろ!ってうおお俺も!?」
モノレールの線路上を怪我の治療もそこそこにわあわあと騒ぎながら進んでいく二人の男。その後を少し遅れて歩きながら、ニアは不思議ですねと呟いた。
「男って一体なんですか?」
『はい?』
唐突に発せられた疑問の文脈を把握しきれずクロスミラージュはニアの白い手の中で頓狂な音を発した。
「どうしてあんなに辛いことがあったのにお二人は何も言わないんでしょうか?
私が辛いときにはドーラおばさまにいっぱい慰めていただきました。なのにあの人たちは……」
『ああ……そういうことですか』

ニアは顔を上げて前を歩くガッシュとカミナを見る。大手を振って歩く二人は少し前のことなど忘れてしまったかのように楽しげだ。
「ガッシュさんは勝手に一人になったのに、カミナさんは全然気にしていないみたいです。
……まるで喋らなくてもお互いの考えてることが分かるみたい。
クロスミラージュさんにはどういうことか分かりますか?」
『私にも説明できるほどはっきりしたことは分かりません』
申し訳なさげに明滅するクロスーミラージュ。答えの得られないニアは落胆と不思議さが入り混じった表情で首を傾げた。

「やっぱり直接聞いた方がいいのかしら」
『それに関してはあまり意味のない行動かと思います』
「どうしてですか?」
強風に煽られる髪を押さえながらニアが再び疑問を向ける。クロスミラージュは迷いのないはっきりした声で答えた。
『答えが容易に想像可能だからです。例えばカミナならその疑問にこう答えるでしょう。「それが男だ!」と』
「答えになっていません」
はぐらかされたような気分になってニアが不満げに頬を膨らませる。男だから大丈夫、ではどういう理屈なのかさっぱり分からない。
『私もそう思います。ですが、彼らにとってはその答えで十分なようです。
理屈など、まるで存在しないにも関わらず』

答えるクロスミラージュの声には若干苦笑が混じっているように思えた。疑問の多い性質のニアは納得しない。トコトコと危なげない足取りで線路の上を歩きながら続ける。
「それで納得できるものなんですか?」
『無理を通して道理を蹴っ飛ばす、とよくカミナは言います。
思うに、カミナ達にとって男とは日常の行動、考え方から生き方まで人生のあらゆる場面に影響を与える非常に範囲の広い意味を持つ言葉でありながら、それ以上細分化して説明する必要のない言葉なのでしょう。
あるいは、説明しようとするその行為事態が非常に無粋なものとして映るのかも知れません』
「つまり、どういうことですか?」
クロスミラージュの言葉は難解すぎるためニアは困惑顔になる。
306代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:33:02 ID:NoegvR9v
『つまりカミナ達ではあなたの満足するような答えを返せないということです』
身もふたもない言葉にニアの肩が落ちる。問題が解決しないのであれば次に同じようなことが起こっても自分は役に立たないままだ。
ニアの落胆ぶりを心配してか、続いてあげられたクロスミラージュの言葉はどこか気遣うような柔らかさが込められていた。

『そう悲観したものではありません』
「ですが……私では皆さんを励ますこともできません」
『焦ってはいけません、ニア。
カミナ達の生き方は男という言葉に強く規定されていると私は言いました。
ならば逆に彼らの行動をつぶさに観察すれば、男というものがどいういうことか自ずと分かってくるでしょう』
「アニキさんたちを……見守るのですか」
前を向くと自然とカミナ達の背中が目に入る。シモンが言っていた。シモンがとてもとても尊敬していた人物の背中。
『彼らの生き様の一つ一つを目に焼き付けて……私が言えたことではありませんが』
シモンが追い、そして追いきれなかった男の背中。本当ならいる筈のない人。
それが目の前にあり、これからも一緒にいることができる。
『いかがですか、ニア?』
「それは……とても楽しいことのような気がします!」
クロスミラージュの声に、ニアは爛漫とした笑顔でそう答えた。

「おい何やってンだお前ら!くっちゃべってねぇで早くしろ!」
「おおおおお!思った以上に高いのだ!」
気が付けば目当ての発電所の上にまできていた。声を荒げるカミナに謝りながら小走りに追いつく。
晴れ渡った空の下、変わらない獰猛な笑顔がそこにあった。
「へっ!びびったかぁ、ガッシュ?だがなぁ、退かねぇ逃げねぇ止まらねぇ!それが俺たちグレン団だ!お前もここまで来ちまったからにはしっかり腹ァくくってもらうぜ」
「ウ、ウヌゥ。分かっているのだ」
それでも怯え気味のガッシュと、それを小突いて遊ぶカミナ。
二人はこれまであったことを決して忘れず、その上でひたすらに前進を続けようとしている。
大きく腕を広げるカミナを見ながら、ニアはもう一度小さく笑顔を作った。

「見ろよあのでっけぇ建てモン、今から何が待ってるかワクワクすっだろうが?きっとそこいらのガンメンじゃ及びもしねぇようなすっげぇもんが――」
307代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:33:37 ID:NoegvR9v


「――何にもありゃしねぇなぁ」
空振りに終わった部屋の探索を終え、カミナがもう何度目になるか分からないセリフをため息混じり漏らす。
発電所の中にあるものはニアにとっては珍しい物ばかりなのだが、カミナの気に入るものはないようだ。
クロスミラージュの説明によるとこの建物は色々な機械やらを動かすためのエネルギーを作るところで、それはそれは凄いシステムらしい。そう言われてもニアには何が凄いのかもう一つ理解できなかったのだが。

「……これは、一体なんですか?」
「あぁ?ガラクタだろんなもん。とっとと捨てちまえよ、ったく」
期待の分だけ落胆も大きいのか、カミナが投げやりな声をよこす。
少し迷ったが、ニアは好奇心に従い今出た部屋で見つけたそれを持っていくことに決めた。
「カミナ、凄いモンとはいつ見つかるのだ」
「うるせぇよ!すぐだすぐ!」
キラキラと目を輝かせるガッシュに乱暴な声を返す。どうしてか、ばつが悪そうに足を速めた。
あれ程期待させるような言い方をしたのだ。ニアにとっても凄いものとやらがどんなものなのかは非常に気になるところである。
「アニキさん、私も早く知りたいです。凄いモンって何ですか?」
「何だよおめぇもか……。まぁ待ってな。気合がありゃなんとかならぁ。時には耐えることだって――」
『待ってくださいカミナ!異常な魔力反応を感知しました!』
カミナの元に戻されていたクロスミラージュが不意に大声を挙げた。
今までにない緊迫した声にニア達の間に緊張が走る。
308名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/20(火) 01:34:00 ID:5cu7M93n
309代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:34:03 ID:NoegvR9v
「あぁ!?どういこったクロミラ!分かるように言え!」
『南東の方角にかつてない程の魔力量を感知しました……!これ程離れていても検知できるというの異常という他ありません』
「そいつは危ねぇのか!?」
『直接の危険はないと思われます。ですが何が起こるか分かりません、警戒してください!』
警戒と言われてもどうして良いか分からず、それはガッシュも同様のようだった。ただ不安気にキョロキョロと首を振っている。一方カミナは――。
カミナは取り乱すことも慌てることもなく、ただじっと窓の外を見ていた。
しばらくして、クロスミラージュの言う危険が顕になる。
それは窓から臨める静かな市街地を徹底的に破壊する暴力の波が降り注ぐ。
真っ赤で、とても嫌な感じのするその光はかすかに見える灯台を丸ごと飲み込み、さらに眼前に果てしなく続いていく。
吸い込まれそうになるその蠱惑的な光は、そのまま消えることなくそこに居座るかのように思えた。

「アニキさん」
今にも消えそうな声しか出せない。小さな体が震えるのを感じた。
「ん?」
「不安ではないのですか?」
「クロミラが直接の危険はねぇって言ってんだ。なら、それを信じろ」
揺らぎのない真っ直ぐな目でそう言われ、ニアは不思議なくらいすっと気持ちが軽くなるのを感じた。
言うとおり、ニア達にとっては何事もなく赤い光は消えていく。
ずん、と灯台が倒壊する音を最後に発電所に静寂が戻った。
「ウヌゥ……凄まじいのだ。あんな凄い技は見たことがないのだ」
『常識外れの魔力量です。
それこそカミナの言うガンメンクラスの機動兵器でもないと対処は不可能かと……』
ガッシュが冷や汗を流しクロスミラージュが声を落とす。圧倒的な力を見せられて一同の士気が下がるのは避けられないかに思えた。
しかし、グレン団の鬼リーダーにとってはそんなものは威嚇にもならない。

「へ、面白れぇじゃねぇか。ジジイやヴィラルをとっちめるにはちょうどいいぜ」
怖気づくことも強がることもなく、心の底からの言葉を光が消えた方向にぶつけるカミナ。
ガッシュの尊敬の眼差しもクロスミラージュの呆れる声もどこ吹く風と言わんばかりだ。
空を貫かんばかりにそそり立つカミナの背中に視線を注ぎながらニアは、ニアは――。

「敵が凄ぇもん持ってるってんなら奪っちまえばいい。それだけだ、行こうぜ」
ああ、男とはこういう人のことを言うのですね。そう思った。
310代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:34:43 ID:NoegvR9v
【C-2/発電所内/二日目/早朝】

【カミナ@天元突破グレンラガン】
[状態]:精神力消耗(小)、疲労(特大)、全身に青痣、左右1本ずつ肋骨骨折、左肩に大きな裂傷と刺突痕(簡単な処置済み)、
    頭にタンコブ、、強い決意、螺旋力増大中
[装備]:クロスミラージュ@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ0/4:0/4)
    折れたなんでも切れる剣@サイボーグクロちゃん、
    バリアジャケット
    【カミナ式ファッション"グラサン・ジャックモデル"】   
    アイザックのカウボーイ風ハット@BACCANO! -バッカーノ!-、アンディの衣装(靴、中着、上下白のカウボーイ)@カウボーイビバップ
[道具]:支給品一式(食料なし)、ルールブレイカー@Fate/stay night
[思考]基本:殺し合いには意地でも乗らない。絶対に螺旋王を倒してみせる。
1:さぁて、どこに行こうかねっと。
2:ニアは……なぜだか嘘を言ってるとは思えねぇ! コイツは俺が守ってみせる!
3:チミルフだと? 丁度いい、螺旋王倒す前にけりつけたら!
4:ショウボウショの北にラガンがあるんだな……? シャクだが、行かねぇワケにはな……。
5:グレン……もしかしたら、あそこ(E-6)に? 
6:もう一回白目野郎(ヒィッツカラルド)と出会ったら今度こそぶっ倒す!
7:ドモンはどこに居やがるんだよ。


[備考]
※文字が読めないため、名簿や地図の確認は不可能だと思われます。
※ゴーカートの動かし方をだいたい覚えました。
※ゲイボルクの効果にまるで気づいていません。
※シモンの死に対しては半信半疑の状態ですが、覚悟はできました。
※ヨーコの死に対しては、死亡の可能性をうっすら信じています。
※拡声器の声の主(八神はやて)、および機動六課メンバーに関しては
 警戒しつつも自分の目で見てみるまで最終結論は出さない、というスタンスになりました。
※第二放送についてはヨーコの名が呼ばれたことしか記憶していません。
※溺れた際、一度心肺機能が完全に停止しています。首輪になんらかの変化が起こった可能性があります。
 禁止エリアに反応していませんが、本人は気付いていません。
※会場のループを認識しました。
※ドモン、クロスミラージュ、ガッシュの現時点までの経緯を把握しました。
 しかしドモンが積極的にファイトを挑むつもりだということは聞かされていません。
※クロスミラージュからティアナについて多数の情報を得ました。
※ガッシュの本を読むことが出来ました。
 しかし、ルールブレイカーの効果で契約が破棄されています。再契約できるかは不明です。
※ニアと詳細な情報交換をしました。夢のおかげか、何故だか全面的に信用しています。
※螺旋王に挑む決意が湧き上がっています。
※ロニー・スキアートとの会話は殆ど覚えていません。
※カミナのバリアジャケットは、グレンラガンにそっくりな鎧です。
※東方不敗の螺旋力に関する仮説を聴きましたが、理解できていません。


【クロスミラージュの思考】
1:ドモンはとっくに移動したと判断。北部からデパート方面に向かいつつ捜索。
3:明智と合流してカートリッジの補給や情報交換をしたい。
4:東方不敗を最優先で警戒する。

※ルールブレイカーの効果に気付きました。
※『螺旋王は多元宇宙に干渉する力を持っている可能性がある』と考察しました。
※各放送内容を記録しています。
※シモンについて多数の情報を得ました。
※カミナの首輪が禁止エリアに反応していないことを記録しています。
※東方不敗から螺旋力に関する考察を聞きました。
※螺旋力が『生命に進化を促し、また、生命が進化を求める意思によって発生する力』であると考察しました。
311名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/20(火) 01:35:10 ID:5cu7M93n
312代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:36:53 ID:NoegvR9v
【ニア@天元突破グレンラガン】
[状態]:精神的疲労(中)、全身打撲(中)、両手に痺れ、ギアス?、 下着姿にルルーシュの学生服の上着、螺旋力覚醒 、自己嫌悪(マタタビに関して)
[装備]:釘バット、ガッシュの魔本@金色のガッシュベル!!
[道具]:支給品一式 、X装置
[思考]基本:シモンのアニキさんについていき、お父様を止める。
1:出来ればシータを止めたい。
2:ルルーシュを探す。
3:ルルーシュと一緒に脱出に向けて動く。
4:東方不敗を警戒。

[備考]
※テッペリン攻略前から呼ばれています。髪はショート。ダイグレンの調理主任の時期です。
※ギアス『毒についての記憶を全て忘れろ』のせいで、ありとあらゆる毒物に対する知識・概念が欠損しています。有効期間は未定。 気絶中に解除された可能性があります。
※ルルーシュは完全に信頼。スパイク、ジンにもそこそこ。カレンには若干苦手な感情。
※会場のループを認識しました。
※ロニーの夢は見ていません。
※ガッシュの魔本に反応しました。
※カミナ、クロスミラージュと詳細な情報を交換しました。
※東方不敗の螺旋力に関する仮説を聴きましたが、理解できていません。
※東方不敗からラガンの所在について聞きました。

※螺旋力覚醒


【ガッシュ・ベル@金色のガッシュベル!!】
[状態]:おでこに少々擦り傷、全身ぼろぼろ、全身打撲(中)、肉体疲労(大)、精神疲労(小)、頭にタンコブ、強い決意 深い後悔、螺旋力増加中
[装備]:バルカン300@金色のガッシュベル!! キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!!
    リボルバー・ナックル(右手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ4/6、予備カートリッジ数12発)
    【カミナ式ファッション"グラサン・ジャックモデル"】
    アンディの衣装(手袋)@カウボーイビバップ、アイザックのカウボーイ風の服@BACCANO! -バッカーノ!-、マオのバイザー@コードギアス 反逆のルルーシュ
[思考]
基本:やさしい王様を目指す者として、螺旋王を王座から引きずり落とす。 絶対に螺旋王を倒してみせる。
1:カミナ達とともに戦う。
2:ドモンを探しつつデパート跡を調べに行く。
3:なんとしてでも高嶺清麿と再会する。
4:ジンとドモンと明智を捜す。銀髪の男(ビシャス)は警戒。
5:東方不敗を警戒。
313代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:37:32 ID:NoegvR9v
[備考]
※剣持、アレンビー、キール、ミリア、カミナと情報交換済み
※ガッシュのバリアジャケットは漫画版最終話「ガッシュからの手紙」で登場した王位継承時の衣装です。
 いわゆる王様っぽい衣装です。
※螺旋王に挑む決意が湧き上がっています。
※ロニー・スキアートとの会話は殆ど覚えていません。
※第四回放送はブリを追いかけていたので聞き逃しました。
※東方不敗の螺旋力に関する仮説を聴きましたが、理解できていません。
※東方不敗からラガンの所在について聞きました。
※螺旋力覚醒

[持ち物]:支給品一式×9
[全国駅弁食べ歩きセット][お茶][サンドイッチセット])をカミナと2人で半分消費。
【武器】
巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING、ジンの仕込みナイフ@王ドロボウJING、
東風のステッキ(残弾率40%)@カウボーイビバップ、ライダーダガー@Fate/stay night、
鉄扇子@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-、スペツナズナイフ×2
【特殊な道具】
テッカマンブレードのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード、ドミノのバック×2(量は半分)@カウボーイビバップ
アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、砕けた賢者の石×4@鋼の錬金術師、アイザックの首輪
ロージェノムのコアドリル×5@天元突破グレンラガン
【通常の道具】
剣持のライター、豪華客船に関する資料、安全メット、スコップ、注射器と各種薬剤、拡声器、CDラジカセ(『チチをもげ』のCD入り)
【その他】
アイザックのパンツ、アイザックの掘り当てたガラクタ(未識別)×1〜6、血塗れの制服(可符香)
ブリ@金色のガッシュベル!!(鮮度:螺旋力覚醒) 、ランダム不明支給品x1(ガッシュ確認済み)


314名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/20(火) 01:37:52 ID:5cu7M93n
315代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:37:58 ID:NoegvR9v
休息と怪我の治療を終えた東方不敗がいかにも怪しげに鍵のかけられた扉をぶち抜いたのはある意味では当然のことと言えた。
幾つか似たような扉があったが皆同じ場所に続いていたらしい。入った先の部屋には大きめのモニターとそれを操作する装置のようなものが置かれていた。

『螺旋力を確認しました。システムを起動します』
囁くような低いトーンの女の音声とともにモニターに明かりが灯る。
音声と文字とで説明されたところに拠るとその部屋はつまり武器を授けてくれると言うらしい。
来るときに見かけたコンテナ。何事かと思ったがあれの中に入っている様々な物を与えてくれると、この機械はそう言っているのだ。
但し、選べるコンテナは一つだけ。一つ選んだら、それ以外のコンテナの中身は灰燼と化すという。

何たる遊戯。何たる場違いか。東方不敗が最初に思ったのはそのようなことだった。
先着の一名だけに圧倒的な力をわざわざ選択肢を用意してまで与えるというのはいかにもゲームのようで、生存者も残り僅かとなった現状には相応しくない。
相応しくない。そう、まさにその言葉の通りなのだろう。
機械は来訪者の不服をあらかじめ予想するかのようにデパート、刑務所、古墳、ショッピングモールといった施設の名を挙げ、そこならもっと良いものが手に入るかも知れないなどと煽動的なことを言った。
狙いは他の人間との接触率の増加。武装の奪い合い。あるいはそれを用いたさらなる闘争、と言ったところか。
例えるならこの場所は時間に取り残された空間。今はもうその価値を失った部屋。もっと早くに来訪者が現われることを想定し用意されたのだろう。
デパートが消滅するほどの闘いが巻き起こされている今となってはただただ空気の違う悪趣味なセットでしかない。

親切なことにコンテナの中身の一覧が表示された。東方不敗はつまらなそうな瞳でそれに目をと通す。
316代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:38:25 ID:NoegvR9v

ガンダムシュピーゲル
ノーベルガンダム
マンダラガンダム
マーメイドガンダムプロトタイプ
デスバーディ

東方不敗の知った名もいくつか混じっている。マスターガンダムの名があれば迷わず選んでいたものを。

ブラックオックス
モンスター
オーサムコサム
ヘビビンガー
ランスロット
紅蓮二式

様々な名前が次々とランダムに表示されていく。

ジークフリート
ハンマーヘッド
エンキ
キングキタン
コーラルP
メカアーチャー
Gin・Rei
維新竜・暁
ウラエヌス

表示されるどの名前にも興味を引くものはない。
しかし、そのまま捨て置こうかと歩き出したとき遂に東方不敗の眼力に適うに値する名前がモニターに表示された。
ギラリと目を輝かせ、お下げの一振りで迷うことなくそれを選択する。
そのコンテナが解放されたことを確認し東方不敗は一目散に部屋を飛び出した。

かくして、最強の人類の手に最強の武装がもたらされた。


朝焼けにけぶる町を走駆する一つの影があった。
圧倒的な速度で走るそれは人間のものとは思えない程に早い。
適当に調達した衣装を身に纏っただけの老人がそれをしていると言われても信じるものはいないだろう。
事実、そうではない。まともな人間が数十キロの速度で移動できる道理などない。
それを可能にするのは自然界では人間以外の動物。
例えば馬。鍛えに鍛え上げられた駿馬だけが目にも留まらぬ疾走を可能にするのだ。
そう――東方不敗の唯一にして最強の愛馬、風雲再起であればこそ可能な技なのである。

「はぁぁははは!!良くぞ現われた風雲再起!我が足となって戦えぇえええ!!」

愛馬の上に直立不動。東方不敗の気勢と風雲再起の嘶きが止むことはない。
317代理投下 happily ever after ◇10fcvoEbko:2008/05/20(火) 01:38:48 ID:NoegvR9v
【F-3/道路/二日目/早朝】

【東方不敗@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージと火傷(処置済み)、右肩に貫通傷、螺旋力覚醒
    腹部に無視できぬ大ダメージ(皮膚の傷は塞ってますが、内出血しています。簡単な処置しかされていません) 、適当に調達した衣装(詳細は不明)
[装備]:風雲再起(健康)
天の鎖(エルキドゥ)@Fate/stay night
[道具]:ロージェノムのコアドリル×1@天元突破グレンラガン
[思考]:
基本方針:ゲームに乗り、優勝して現世へ帰り地球人類抹殺を果たす。
1:会場の真ん中へ向かう。
2:優勝の邪魔になるものは排除する
3:マスターガンダムを探し、可能ならDG細胞により治療を行なう。
4:シャマルを捜索し根本的な治療を行う
5:ロージェノムと接触し、その力を見極める(その足がかりとしてチミルフ、ヴィラル、ニアの捜索) 。
6:いずれ衝撃のアルベルト、チミルフと決着をつける。
7:ドモンと正真正銘の真剣勝負がしたい。
8:しかし、ここに居るドモンが本当に自分の知るドモンか疑問。


[備考]
※螺旋王は宇宙人で、このフィールドに集められているの異なる星々の人間という仮説を立てました。本人も半信半疑。
※クロスミラージュの多元宇宙説を知りました。ドモンが別世界の住人である可能性を懸念しています。
※ニアが螺旋王に通じていると思っています。
※クロスミラージュがトランシーバーのようなもので、遠隔地から声を飛ばしているものと思っています。
※会場のループを認識しました。
※螺旋遺伝子とは、『なんらかの要因』で覚醒する力だと思っています。 『なんらかの要因』は火事場の馬鹿力であると推測しました。
 Dボゥイのパワーアップを螺旋遺伝子によるものだと結論付けました。
※自分自身が螺旋力に覚醒したこと、及び、魔力の代用としての螺旋力の運用に気付きました。
※マスターガンダムがどこかに隠されているのではないかと考えています。
※カミナを非常に気に入ったようです。
318名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/21(水) 01:13:26 ID:MBgtgzuL


























さてと。
319名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/28(水) 15:51:47 ID:Nf4dZ8xb
 
320Fate/ School Collaboration:2008/05/30(金) 23:51:11 ID:OYclbT//
3話

伊藤誠と桂言葉は言峰教会に向かい歩き続けていた。
その道中、伊藤誠はあることを問いかけた。

「ところでさ、言葉」
「なんですか?」
「この厄介ごとの全容は教会についてからでいいんだけどさ。これだけは教えてくれ。どうして俺のピンチがわかったんだ?
俺は言葉が召喚したのに驚いて逃げたんだけど。」
「ふふ、私は誠君の事なら直感で分かるんですよ。だから心の赴くままに走ったらすぐに着いちゃいました」
「そうなんだ」
「はい。でも相手のマスターがそれほど強くなくて助かりました。もし実戦派だったら私の方が負けちゃってたかも」
「いや、言葉は強いよ。多分俺よりも強い」
「いえ、そんな事は」

と笑いながら歩いていると教会へとたどり着く。
そこで言葉は表情を引き締めなおした。

「ここからは少しまじめな話になるので……誠君も真剣に構えてください」
「ああ。大丈夫だ」
「はい。では」

言葉が扉を開くと、二人を待ちかねていたように一人の男が立っていた。

「こんな遅くにお客さんか」
「はい、サーヴァントを召喚したので一応の挨拶に来ました。それと彼は私の友達で同じくマスターの……」
「伊藤誠です」
「そうか。君達がマスターか。ところで桂の娘。アサシンを召喚したのは確認したが、面白い者を召喚したな」
「ええ、普通にアサシンを召喚しても良かったんですけど………『魔法少女』ですので。『魔術少女』とは違う所を見せました」
「そうか。名に負けぬ面白い事をしてくれる」
「はい。それで誠君は聖杯戦争についてまだ良く知らないらしいので、出来ればルールを教えてあげてください」
「いいだろう。では伊藤誠。一度しか言わぬから、よく聞くがいい」
「あっ、ああ」

こうして言峰は伊藤誠に対し、聖杯戦争のルールを説明していく。



(中略)


「それで……俺はライダーを使って他のサーヴァントかマスターを倒せばいいのか」
「その通りだ………では問おう。お前はライダーのマスターとして、この聖杯戦争を戦い抜くと誓うのか」
「当たり前だ。言葉だって参加してるのに逃げられるわけ無いだろ。願い事とかはまだ分からないけど、それは戦ってる途中で
見つかると思う。今は前だけを向いて戦う。それが俺の答えだ」
「ふむ。いい答えだ。なら行くがいい。自身の信じた道を、ただまっすぐにな」
「ああ」
321Fate/ School Collaboration:2008/05/30(金) 23:51:36 ID:OYclbT//
誠は言峰との会話を終えて、教会を後にしようとする。
言葉もそれについていくが、途中で足を止めて、言峰へと声を掛ける。

「一つだけ聞いても良いでしょうか?」
「なんだ」
「現在サーヴァントは私たち以外に何体召喚されましたか」
「そんな事か。結論から言えば既に七体全てが召喚された、最初にかなり早い時期にバーサーカーが召喚されたが他は昨日と今日に
集中している。昨日にキャスターとアーチャーが召喚され、その翌日にアサシンとライダーが召喚された。その後すぐにランサーが
召喚され、つい先ほどセイバーの召喚を確認した。つまり現在全てのサーヴァントがこの冬木の地に集結していると考えれば良い」
「そうですか。ありがとうございます。それでは」
「ああ、ではな」

確認を終えると言葉は誠を追って教会を出ていく。
そして二人で家へと歩き続ける。

「今日は誠君を家まで送ってあげますね」
「いや、いいよ。言葉だって家の人が心配するだろ」
「聖杯戦争の間だけは門限が解禁されてるから大丈夫です」
「でも……」

言葉の提案に断りを入れようとした時だ。
不意に一人の少女の声が二人の耳に届いた。

「ふーん、シロウを待ってたら別のマスターが来ちゃった」
「えっ?」

思わず間の抜けた声で誠が聞き返すが、少女は意に返していなかった。

「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。隣が私のサーヴァントのバーサーカーよ」

イリヤと名乗る少女の横に立っていたのは真紅のコートに身を包む、眼鏡を掛けた長身の男だった。
その男は一歩前へ進み出ると、静かに話し出した。

「始めまして。私はアーカード。君たちの相手をするものだバーサーカーという名では呼ばないでほしい。
マスターにもそういったはずだが」
「うふ、ごめんなさいアーカード」
「なに、別に構わないさ。それよりも……マスター。オーダーを、オーダーを唱えろ」
「そうね。せっかくだし、あのマスター二人をやっつけちゃいなさい」
「承諾だ!」

アーカードは一歩前へと踏み出し、二挺の拳銃を構える。
アーカードの宝具である、454カスールカスタムオートとジャッカルだ。
それを抜くと照準を二人に合わせる。
322Fate/ School Collaboration:2008/05/30(金) 23:52:15 ID:OYclbT//
「準備はいいかな。さあ、狩りを始めよう!」
「アサシン!戦闘準備!誠君は私かアサシンの後ろに!」
「あっああ」
「ほう、吸血鬼とは面白い者と戦えるようだ」

伊藤誠はすぐさまに桂言葉の背後に姿を消し、アサシンと桂言葉で迎撃体勢を整える。


BANG! BANG! BANG!

銃声と共に強大な威力を秘めた銃弾が二人を襲う。

「ふっ、その程度か」

しかしアサシンはその銃弾を全て払い落とし、一気にダッシュで間をつめる。
そしてそのまま――――――――――――

「遅いな」

――――――――――――瞬時でアーカードの首を切り落とした。

「呆気ないですね。アサシン、そのマスターから令呪を奪ってください。少女ですので手荒な真似はしないでください」
「承知した」

アサシンはイリヤの方へ一歩近づいていく。
しかし、背後から一つの声が響いた。

「くくく、ハハハハハハハハハ!!私の首を飛ばしたぐらいで勝敗を決したつもりか。甘い!甘すぎるぞ!!それでも侍か!!」
「なっ、がっ!!」

アサシンは振り返ると、そこには先ほどと変わらない元通りの姿のアーカードがいた。
そのまま腕を一息に振りぬき、アサシンの側頭部を横殴りに殴り飛ばす。

「くっ、なるほど、さすが異国の化け物。首を撥ねたぐらいでは死なぬか」
「化け物?フフフ面白い事を言う。ならお前は狗だな。チェックメイトだ!」

アーカードはトドメとばかりにアサシンに向けて銃口を向ける。
しかしそこで、意外な攻撃が入った。

「私が居るんですよっ!!」

桂言葉だった。
言葉の不意討ちの居あい抜きでアーカードの腕を切断し、アサシンを窮地から救い出す。

「どうですか。ただの人間と思って油断しない方が……うっ!」

言葉が刀を鞘に戻そうとした一瞬の隙。
そこをついてアーカードの残った左手での裏拳。それが言葉の腹部に決まり、思わず言葉もその場に倒れこむ。

「弱い!弱すぎる!!あまりに弱いではないか。私を失望させるなよヒューマン!これでは私がサーヴァントとなった意味が無い」
「ふっ、ふざけるなよ。アーカードオオオオオォォォォォォォォォォッッッッッッッ」
323Fate/ School Collaboration:2008/05/30(金) 23:52:46 ID:OYclbT//
伊藤誠は激昂した。
桂言葉に手を挙げた男に、伊藤誠は激昂し、全力で走り出す。

「仇だああああぁぁぁぁぁっっっ!」

誠は全身全霊を止めた右のこぶしをアーカードの顔面にたたきつけた。
しかし、それはアーカードの眼鏡を割るが本体へのダメージには至らない。

「奢るなよ小僧!!!」

アーカードは伊藤誠の顔面を殴り飛ばす。
そのまま壁にぶつかり、壁を破壊したまま倒れこむ。

「終わりだ」

アーカードは右腕を再生させ、再びジャッカルを構えると、最初に向かってきたアサシンに対し、トドメの銃口を向ける。

「これで終わりだ。本当にな」
「………無念だ」

勝負は決したかのように見えた。
しかし、まだだ。
先ほどのアーカードの眼鏡を割った際に急速に強化した拳。そして数刻前のライダーの召喚。
この二つの要因による急激な魔力の開放。それが伊藤誠に想像以上の変化を与えていた。
伊藤誠の本来の力。
それが左の目を覚醒させる。
本来の魔力属性。伊藤誠の不器用なまでいびつな魔術回路。それは唯の一つにのみ特化した唯一無二の魔術だった。

 これが……俺の魔術。やるしか………無いな。

誠は意を決し立ち上がる。

「ちょっと待てよっ!」
「ほう、あれで立ち上がるか。素晴らしい狗だ」
「ふざけるなよ………アーカード!お前は……立ち去れ!」

伊藤誠は赤く光った左目でアーカードをにらみつけ、命令を下す。
するとアーカードの目は薄く赤く光り、ゆっくりと背を向ける。

「分かった。立ち去ろう」

アーカードは嘘のように背を向けてその場を離れていく。
324Fate/ School Collaboration:2008/05/30(金) 23:53:18 ID:OYclbT//
「………へえ、それがお兄ちゃんの魔術ね。凄いわ。だけど……次は負けないんだから」
「ああ、次は俺も負けない」
「ふん。じゃあね」

イリヤは何かに気付いたのか、誠に声を掛けてから立ち去っていく。
そして伊藤誠と桂言葉とアサシンのみがその場には残る。

「誠君。さっきのは?」
「ああ、それは俺の……うっ」

言いかけて止まる。
誠は先ほどの打撃のショックと、急な魔術行使による精神疲労が重なり、急激な眩暈に襲われる。

「ぐっ、あっ………」

そのまま地面へと倒れこむ。
伊藤誠はそのまま頭痛に苦しみながら意識が沈んでいった。






325Fate/ School Collaboration:2008/05/30(金) 23:53:49 ID:OYclbT//
幕間

アーチャーはソファーに座りながら考え込んでいた。
目の前には先ほどアーチャーが敷いたバスタオルの上で横たわるマスター遠坂凛の姿があった。
アーチャーは当初、恐怖のあまりに水たまりを作り出す凛に少々の呆れを持ったが、すぐに考えを吹き飛ばし、屋敷へと担ぎ、
床を汚さぬようにバスタオルを敷き、その上へと凛を横に寝かせた。
そして今は、その凛を前にアーチャーは考えを巡らせていた。
本来考えるべきことは、今日対峙したアサシンとそのマスターの方が大事なのだが、現状の凛への対応。
これが非常にアーチャーを悩ませている。

 どうするべきだろうか。衣服を脱がすわけにもいかんが、かといって目覚めた凛の着ている服が染みの付いたスカートと
 ショーツではあまりにも惨めだ。しかし………それは私が着替えさせても同じ事か。第一に凛の着替えの所在など把握しきれて
 居ない現状ではどうにもしようがない。やはりここは凛が早期に目覚めるのを期待するしかないか。

何とかアーチャーは自身で凛への対応を決めた。
すると、すぐに凛は意識を覚醒させていった。

「んっ、ここは……?」
「君の家だ。凛。君はアサシンのマスターに敗北し気を失った所を私が運んできた」
「そ、そう。…………えっ!?私…………アーチャー。ちょっと地下の方に行っててくれない」
「承知した」

凛の様子を察したのか、アーチャーは言葉少なく、地下のほうへと消えていった。
アーチャーの気配が無くなったのを確認してから、凛はスカートをめくり中を確認する。
当然嫌な臭いが漂って、凛を鼻腔をくすぐった。

「ううっ、私……怖かったからってそんな…………」

スカートの中の下着は既に黄ばんでいた。
当然スカートの後ろの部分も黄色の染みが残っている。
まだ半乾きで地味に嫌な感触までする。

「シャワー浴びないと」

凛はシャワーを浴びに浴室へと向かう。
汚した服は洗濯機に入れ、染み抜き用の特殊洗剤を入れてスイッチを押す。
そして美しい肢体を露わにしたまま、汚れた体を清めていく。

「桂言葉……アサシンのマスター。だけど………アサシンなのにあれは一体………どうして佐々木小次郎がアサシン?
どういうこと?………………まあいいわ。次は、次こそは……覚悟しなさい。絶対に勝ってやるんだから」

遠坂凛は強気を崩さずに、復讐を誓う。
その瞳は明らかに狂気をまとっているように見えた。

326Fate/ School Collaboration:2008/05/30(金) 23:54:41 ID:OYclbT//
第三話 狂戦士の登場 /幕間 失意少女

投下完了しました。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/30(金) 23:59:37 ID:Dr7RI/0b
>>326
はぁ?何スレ違いな物投下してるんだよ
328Fate/ School Collaboration:2008/05/31(土) 00:00:39 ID:OYclbT//
って悪い悪い。
誤爆した。
329名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/31(土) 00:01:41 ID:Dr7RI/0b
>>328
悪い悪いじゃないよこのリア厨が
330名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/31(土) 00:01:43 ID:A76VdaqP
>>328
心底、お前バカだな。
自分で自分のためだけの糞スレ立てといて、そことここと間違うとかどういう脳ミソしてんだ?
ありえんミスだろ。
ブックマークすらしとらんのか。
331名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/31(土) 00:05:26 ID:h4wFlWQm
>>328

一応したらばにも事情を説明しておくことを勧める
>>1にアドレスがあるから分かるでしょ?
332名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/31(土) 00:07:02 ID://4ebDmM
>>330
心底、お前分かってないな。
自分で自分を満足させるためだけの糞SS書いてる奴が、そんな気が利いた事すると思うか?
逆にありえんだろ。
こいつがブックマークとか。
333名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/31(土) 00:15:19 ID:gfb5sGUJ
>>332
専ブラもなしに、ブックマークすらせずに2chをうろつこうなんて
また随分と面倒なことするんだな……。
334名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/31(土) 00:19:07 ID://4ebDmM
>>333
まぁFateとスクイズクロスさせちゃうような人間だし・・・
335名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/31(土) 01:19:41 ID:jMESxNwK
立てたスレはオセロになってるけどな
腹いせに荒らしにきたんだろ
336名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/31(土) 02:41:06 ID:HRdiPEj2
最新話キターーー!!
って思った俺涙目……orz
337名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/02(月) 15:54:53 ID:Av60pi6E
>>333
遅レスだが、その作者は最初、同じ作品を理想郷に投下してる。その時の批判や忠告を荒らしと自分勝手に断定したため、荒らしまで集まってきた。結果管理人に作品ごと削除。
ここからが凄いんだが、
作品が削除されたのは自分(作者)に責任は一切ないとして、ほとんど同じ(最初に3行説明追加)作品を再び投下
→当然猛烈に批判される。→作者切れる・hijiriとかいう勘違いの擁護者登場→批判激化
→作者逆切れの果てに削除後逃走・hijiri擁護してやったのにと逆切れ→2chにスレ立て作品投下→やっぱり批判続出→hijiri登場・作者逃走
→アニロワに誤爆という名の故意での投下

こんな変なのが今でも日本にいるのです……
338Fate/ School Collaboration:2008/06/02(月) 23:46:40 ID:6XAoEzVD
4話

「うっ、ここは?」
「誠君!?大丈夫ですか}

寝苦しそうにしながらも目覚める誠に言葉の優しい声が聞こえる。
その声に目覚めると、言葉が優しそうに微笑む。

「あのさ。ここは一体?」
「誠君の家ですよ。あれから誠君は気を失っちゃって。それで私が家まで運んであげました」
「そうか。ありがと、いてっ!」

体を起こそうとするが、頭痛が襲い起き上がれない。

「大丈夫ですか?今は安静にしてください」
「ああ」

言葉に従い誠は再びベッドで横になる。
すると、アサシンが誠へと声を掛けた。

「一つ聞きたいのだが、昨日見せた魔術。あれは何だ」
「魔術?アサシン?私のマスターが何かしたのですか?」
「ああ、面白い物だったぞ。突然目が赤く光ったかと思えば命令一つでバーサーカーを撤退させた、面白い術だ」
「マスター?それは一体」

アサシンに続きライダーも誠に確認を取る。
言葉もそれは気になっていたのか、二人を止めずに思わず聞き入ってしまっている。
すると誠は静かに真相を口にする。

「実は………あれはギアスだよ。俺の唯一の魔術で、親父に教えてもらった。親父の血縁者は皆何かしらのギアスの素質は
持ってるらしいんだけど、俺のは特殊でさ。俺が目を見て命令すると逆らえないんだ。令呪の命令より優先される絶対遵守の
ギアス。これが俺の魔術だ。それで昨日は退けたんだ。まあ封印してから五年ぐらい使ってなかったけど。」
「ギアス………だから私を呼び出せたのですね。同じ魔眼の持ち主なら道理だ」
「えっ!?」
「いえ、忘れてください」
「ああ」

急にライダーが独り言を言ったので聞き返したが、あっさりと跳ね返す。
誠も無理な追及は好まないので、無理には突っ込まず、話を続ける。

「だけど………一人には一回しか使えないし、使えば凄く魔力を消費する。昨日は体力不良もあって気を失ったけど、健康な状態でも
一日に三度発動させたら気を失うと思う。乱用は出来ない」
「誠君。そのギアスですけど、相手の目を見なければ発動しないんですか?」

次は言葉が誠に質問をする。
すると誠は一呼吸を置いてから答える。

「無理だよ、昔は色々と町の人で練習したし、教えても貰ったから間違いは無い」
「そうですか。ありがとうございます」

誠の返答に言葉は満足したようだった。
そして次は誠から言葉に提案した。
339Fate/ School Collaboration:2008/06/02(月) 23:47:01 ID:6XAoEzVD
「なあ。提案なんだけどさ。しばらく一緒に手を組まないか」
「えっ!?」
「いやさ。俺は戦い抜くつもりだけどさ。出来れば言葉とは戦いたくは無いから。それに俺一人じゃやっぱり不安だから……」
「もっ、もちろん構いません。アサシンもいいわね!」
「構わない。マスターに従うさ」
「アサシンもいいって言いました。誠君は私が守りますっ!」
「いや、守るって……俺は『共に戦う』つもりだ。ライダーもいいよな」
「構いません」
「ほら。だから守るとかじゃなくてさ。一緒に戦おうぜ。なっ」
「………分かりました。では一緒に」
「ああ」

言葉と誠は共に手を取り合う。
そしてそこでふと誠は時間に気付く。

「そういえば言葉。時間は?」
「えっ?まだ8時前ですが」
「8時前っ!急がないと遅刻するぞ」
「あっ」
「急ぐぞ!」
「はっ、はい。あっ、私は制服………誠君先に行ってください。私は走って家に帰って制服とって来ます」
「ああ、急げよっ!」
「はい!」

誠の一言で学校を思い出すと、急いで言葉は制服を取りに家へと戻る。
そして誠は制服に着替え、学校へと行く準備をする。

「マスター。私はどうしたら?」
「ああ、霊体になって付いてきてくれたらいい。実体化は学校では止めろよ。目立つから」
「はい」

こうして誠は駆け足で家を出ると、学校へと走り出した。
340Fate/ School Collaboration:2008/06/02(月) 23:47:33 ID:6XAoEzVD
幕間


凛は怯えていた。
相手はあの日本刀を持ったマスター。
強く早く、自分の魔術を切り裂き襲ってくる。

怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、

その感情が凛を支配する。
凛は必死で抵抗を試みるが、言葉は一切の容赦なく凛を倒す。

 ひっ!

声にならない悲鳴をあげて倒れこむ。
そんな凛へと言葉は刀を振り上げる。
切り裂かんとばかりに。

 いっ、いや、いや、いや

しかし言葉は躊躇無く刀を振り下ろす。

「いやあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

ガバッと悲鳴を上げながら上体を起こす。
あたりを見回すと、そこは自分の部屋で現在の自分の居場所は自室のベッドの上だと分かる。

「夢?はあ、助かったぁ」

先ほどの恐怖が現実でない事を知り安堵する。
しかし、凛は起き上がろうとして嫌な感覚に気付く。

 んっ!何これ?お尻が…………冷たい!?」

「まさかっ!」

焦ってシーツをめくるが、凛のネグリジェとベッドはぐっしょりと濡れていた。
先ほどの夢の恐怖で寝たまま漏らしてしまったのだ。

「そんな。私……おねしょ?嘘でしょ。うっ、うう」

思わずすすり泣いてしまう。
昨日の言葉に刻まれた恐怖は一度ならず二度までも下着を濡らしてしまったのだ。

「私……戦えるの………………………って何してるの私。まだ誰も知らないんだから、シーツは裏庭に干せば良いんだし、まずは
シャワーを浴びなきゃ。綺麗にして後始末して学校よっ!」

無理にでも空元気を出して、凛は濡れた服を脱ぎだした。
脱いだ下着に染みが出来ていたのは泣きたいが、必死でこらえて凛は気を取り直す。

「頑張れ私!」

その元気はどこか物悲しさがあった。
341Fate/ School Collaboration:2008/06/02(月) 23:48:16 ID:6XAoEzVD
幕間


イリヤスフィールとアーカードは自室で作戦を考えていた。
対策。あの伊藤誠の使った魔術についてだ。

「じゃあアーカードは昨日の事は覚えてないの?」
「その通り。私は気が付いたら城に戻っていた。あのアサシンにトドメを刺そうとした瞬間までの記憶しか私には無い」
「そう。じゃああれは……………まさかギアス」
「ギアス。面白い魔術だ」
「いえ、あれは魔術より魔法に近いわ」
「魔法?それでマスターは知っているのか?」
「ええ。せっかくだから全てを教えてあげるわ。最初にこの地に着いたのは主に、間桐、遠坂、アインツベルンの三家だけど、
実はその時は沢渡止という男も一緒に魔術をやっていたの。だけどこいつは魔術の一極集中を極める為にあらゆる女性に妊娠させて、
その娘や孫にも妊娠させて血を濃くする事で魔術強化に努めたクレイジーよ。当然他の三家とは早々に離縁してしまったわ。だけどね。
その時にやっていた魔術が………ギアスなのよ」
「ほう。それでそのギアスとは一体どういうものだ?」
「私も正確には知らないわ。ただ………沢渡止の血を引く物は全てギアスの素質があって、そのギアスの特性はその一部分のみに
置いてはあらゆる魔術を凌駕する魔法に昇華されていると聞いてる。だからきっと昨日のも………そうね。恐らく催眠術の類のはずね。
もしくは擬似令呪の強引に執行する呪いの術。どっちにしてもサーヴァントを一瞬で操るんだからかなり厄介ね」
「魔法を操る者。面白いな。次こそは仕留めてやろう」

イリヤから情報を貰うとアーカードは早速とばかりに歩き出す。
しかしそれをイリヤは押し止める。

「待って。まだ早いわ」
「ではどうする」
「まずは………やっぱりシロウにも挨拶をしたいわ。サーヴァントも召喚したはずだから、そのサーヴァントにも人目会いたいわ」
「なるほど。では今宵に衛宮宅に押し入るのか」
「いいえ。周囲で待機したら充分よ。どうせ夜の見回りか何かに行くだろうし」
「そうか。ではそうするとしよう」

その言葉を最後にアーカードは霊体へと戻る。

「ふふふ。楽しみ。…………お兄ちゃん」

イリヤは無邪気な笑みを浮かべていた。
まだ見ぬ士郎を思うその表情は夢見る少女のようであった。
342Fate/ School Collaboration:2008/06/02(月) 23:50:11 ID:6XAoEzVD
四話 覚醒する魔術 / 幕間 悲壮な朝 /幕間 イリヤの考察

以上の投下完了です。
本スレが将棋スレに変わっていたので最近投下がないこのssスレを間借りしています。

http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1212143760/l50

上記にて一話と二話のみ掲載されています。
343名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:04:07 ID:zyIXeB9p
えーと、あえて一つだけ問うけど……馬鹿?
344名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:05:15 ID:38goZvIC
わざわざ聞かなくても分かるだろう。
馬鹿だ。
345名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:13:58 ID:2QvprOxa
>>338-342
シネ
346名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:17:44 ID:y3rEWf2/
>>342
スレ違いな投下勝手にして荒らすなよ、豚
死ね
347名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:20:23 ID:PFCy7br8
ゴミクズ投下すんじゃねーよ
死ねよ荒らし
348名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:24:32 ID:JKDR0r11
>>342
久しぶりの更新だと思って見てみたら、間借りって……
スレッドのタイトルも読めないほど阿呆なのか?
お前が自己満足でssを書くのは、全く構わないけど場所くらいわきまえろよ。

この文の意味が理解できないくらい頭悪いんなら、この先の人生辛いから死んだ方がいいよ
ほんとに
349名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:27:14 ID:Di0uP+BQ
>>320-348
スレ違いの話題は当該スレでお願いします。
誘導>http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1212143760/l50
350名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:27:41 ID:KmsbU2Fx
このスレで普通に死ねとか言われるとは相当だな
その前に、何でそのスレでやらないんだよ
351hijiri ◆jiMuEdiitM :2008/06/03(火) 00:34:25 ID:SJ6jU0h9
あなたがたの暴虐無人な妨害活動のせいなんですから
あなたがたも灼眼氏を批判するだけでなく
間接的にこのスレに迷惑を掛けたことを少しは反省したほうがいいですよ
灼眼氏も事後承諾ではなく事前に許可をとったほうが良かったのは事実でしょうけど
352名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:35:56 ID:KmsbU2Fx
>>351
いや、許可も何もすれ違いだから。許可される訳ないでしょ
真面目に考えてください
353名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:36:05 ID:5Jecc64O
354名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:37:03 ID:38goZvIC
>>351
お前も迷惑なんだぞ?分かってるか?
355名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:37:34 ID:KmsbU2Fx
>>353
了解
>>351
迷惑かけるからそっち行きましょう。お願いだから
356名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 00:44:48 ID:Di0uP+BQ
>>354も迷惑です。完全スルーでお願いします。
スルー出来ないなら、専ブラ入れる等してローカルあぼーんして下さい。
以降、荒らしに構う人間も荒らしとして処理します。
御意見はこちらで→http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1212143760/l50

ここまでで 糸冬 了
357名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 01:42:26 ID:WzZQwGc7
さあみんな、毒吐きスレに帰って

    -=           ,. -- 、
  -=≡          ,' , '⌒,ノ
    -=.      __ i/  ´
  -=-      (__)r'    もやしの芽について語ろうぜ!
  -=≡     ( ヽノ
   -=      ノ>ノ 
  -=      レレ
358名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 03:16:19 ID:74BiPVtx
>>320-348
リアルなキチガ○ってのは恐ろしいな
ついでに文章構成だが、小学生からやり直せ
ゴミはゴミ箱へちゃんと捨てなさいって教わらなかったか?
359愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:30:11 ID:sO/i9QSV
菫川ねねね。
高嶺清麿。
ヴィラル。
ルルーシュ・ランペルージ。

図らずも作り上げられた四竦みの構図。
誰もが予想だにしない遭遇を迎えたことに呆気に取られる中、最速で行動を起こしたのは鮫の牙を持つ獣人だった。

ヴィラルは己を騎士と誇る武人である。
この殺し合いのゲームに放り込まれてからの戦績こそ芳しくないが、駆け抜けた戦場の数で言えば参加者の中でも決して見劣りする側ではない。
人類掃討軍の幹部に名を連ねる実力には咄嗟の戦況判断の妙も含まれる。
その体に染み付いた実力が、突発的な事態において最善と判断される行動を選んだ。

即ち――頭を垂れていた身を起こし、手にした鉈を振り上げて、招かれざる乱入者に襲い掛かったのだ。

この瞬間のヴィラルの動きに、清麿とねねねの二人が反応することは叶わなかった。
それほどまでに迷いのない身のこなし、直接戦闘力に劣る人間では太刀打ちできない。
峰を返した鉈の一撃が咄嗟に頭を庇った清麿の肩を打ち据えてラガンから叩き落し、同時に鋭い獣爪がねねねの首を押さえてシートに組み伏せる。

男を打ち倒し、女を人質にすることに躊躇いはなかった。
元よりヴィラルの美学に、”人間”の女を利用することを卑怯と断じる考えはない。
一瞬、脳裏に浮かんだシャマルのことで胸中に軋む思いを得たが、瞬き一つで躊躇を殺し、鉈を握り直すとねねねの首にそれを宛がう。

「――動くな! この女の命が惜しければ、武器を捨てて床に伏せていろ!」

獣人の咆哮に肩を抑えた清麿が口惜しげに顔を歪め、両手を掲げると無手であることを示してから床に伏せる。
もっとも、その眼光は痛みさえ感じさせないほどに鋭く、一分の隙を見出そうとでもいうように油断なく光を放っている。
それは女の同じことで、左手で髪を掴まれた女はシートに顔を押し付けられながらも、心は屈するまいと誇示するように首を傾け、半眼でヴィラルを睨み付けていた。
      
気骨のある連中だ、と内心で感心しながら、しかし表出した感情は獰猛な猛り。
このゲームの参加者は、武器を失わせれば安心などというレベルの連中ではない。
それこそあの老人のように素手でこちらを圧倒。
あるいは忌まわしき蛇女のように何もない空間から武器を呼び出すことも念頭に入れなくてはならない。

「ふ……ふはははははははは! よくやったぞ、ヴィラル! 見事な状況判断だ。咄嗟の状況で事実上、二人を無力化したことは賞賛に値する」

警戒心を新たにするヴィラルの前、この場で最も反応の遅れた男が笑声を挙げる。
誰であろう、ルルーシュ・ランペルージである。
痩身を揺らすルルーシュは床に伏せた清麿から安全な距離を保ちつつ、ラガンに搭乗しているヴィラルに歩み寄る。

「こちらは女、か。人質選択に躊躇がなかったのも高評価だ」
「支給品はまとめてこっちにあるもののようだ。検めてくれ」
「任せておけ」

嬉々としてデイパックの中身を確認し始めるルルーシュ。
その脳裏には重要な物が入っているかもしれない荷物をあっさりと明け渡すヴィラルへの侮蔑と、扱い易い駒を手に入れたことへの優越感が垣間見えた。

その一方で、ルルーシュの抱く黒い思惑を欠片も察せぬほどヴィラルも愚かではない。
清麿とねねねの行動に注意を払いつつ、彼の内心を支配しているのは思わぬところから転がり込んだ、幸運に対する歓喜である。

(少々小ぶりだが、このコックピットといい、間違いない。この機体はガンメン! 機体認証を必要としない旧式のようだが、すでに鍵も納まっている)

巡り巡ってこの機体が、自分の下を訪れたことは天啓に他ならない。
小型故にマシンパワーに不安が残るものの、ガンメンを入手すれば都の騎士たる自分の戦略は圧倒的な広がりをみせる。
それこそ、如何な実力を持つ人間相手でも遅れを取りはしない。

ルルーシュ・ランペルージの協力を得ても、あの傷の男に勝てるかどうかわからないという不安感が、ラガンを入手したことで排斥されていく。
代わりに湧き上がるのは今も窮地に追いやられている愛しい女――シャマルを救い出すことができるという歓喜に似た激情だった。
360愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:33:23 ID:sO/i9QSV
                   ▽

さて、そうした思惑を抱くヴィラルの背後で臨検作業に従事するルルーシュだが、こちらもヴィラルが考えるほど浅はかな思考で動いてはいない。
無論、ヴィラルを賞賛した行為に嘘はない。
突然に飛び込んできた武装していると思しき二人に対し、先制攻撃でこれを打破した彼の行動は実に正しい。
交渉の余地さえ見せずに武力でもってこれを制圧するという行為は、自身がこれまで幾度となく晒されてきた窮地を思い出されて胸が痛む思いもあったのだが。

(この場において白カブトのことを思い出すなどと、つまらないことを。だが、こうしている間にも黒の騎士団の状況が危ぶまれる。主催者がゼロの正体を知っているとすれば、守ろうと必死になっている仮面の正体すら、滑稽なものでしかないのか?)

漏れそうになる弱音を噛み殺しながら、ルルーシュは探索の手を緩めない。
デイパックの中から銃や食料といった見慣れた支給品を確認しつつ、その彼が最も目を惹かれたのは、シート上に落ちていた小型の機械だった。
拾い上げ、その機械の意味するところを掴んだ瞬間、ルルーシュの表情が喜悦に歪む。

「なるほど、そういうことか。これでお前達は我々の動向を掴んでいたというわけだ」
「ルルーシュ、それは?」
「レーダーだ。どうやら参加者の名前と、現在位置が表示されるらしい。範囲からして同エリアということのようだが……お前が菫川ねねね。そしてそちらの男が高嶺清麿というわけだ。――どちらも日本人のようだな」

ならば使い道もあるかもしれない、とルルーシュは考える。
日本人である以上、ゼロの名前は大なり小なり効果を発揮するはずだ。
黒の騎士団の名に好感を覚えないイレヴンは、エリア11にはほぼ存在しない。
問題は素性すら明らかでない二人に対し、ゼロの名を利用してまでの交渉価値があるかどうか。
この場まで生き残ってきた以上、この二人がレーダーを有効的に利用しつつ、激戦区から距離をおいて行動してきたことは間違いない。
また、このレーダーの存在により、この二人と傷の男との繋がりも明らかだ。
ヴィラルとシャマルの二人を尾行していた際、視界に入っていなかったはずのルルーシュの位置を的確に掴んでいたのは、まさしくこのレーダーの恩恵だろう。
ともなれば、この二人がここを訪れた理由は――。
      
「メッセンジャーの可能性もある、か」
「……? どういうことだ?」
「簡単なことだよ、ヴィラル。そして君は君にとってもいい判断をしたかもしれない。そこの高嶺清麿、幾つかこちらの質問に答えてもらおう」

黙ってルルーシュに発言権を譲るヴィラル。
その傍らで悠然と清麿を見下ろし、ルルーシュは高慢さを隠さずに提案という名の脅迫を執行する。
清麿は悔しげに喉を鳴らしてから、

「……くそっ、断れるはずないんだろ。好きにしろよ」
「――っ!? スザ……いや、何でもない。では聞こう。お前達がここへ訪れた理由はなんだ。武装した機体があれば、俺達程度ならどうにでもなると思ったか?」

一瞬、口ごもるルルーシュに訝しげな視線を向けて、清麿は違うと首を振る。

「この場所に突っ込んだのははっきり言って偶然だ。俺もねねね先生も、このロボットの操縦に慣れてなかった。奇跡的に着陸した場所にあんたらがいた……それだけだ」
「――どうやら嘘ではないようだな。では、続けて聞こう。お前達のこれまでの動向と、今後の指標だ。これまで生存してきた以上、何らかの目的意識があるはずだ。虚言は許されない。嘘と判断した場合、こちらの女性がどうなるか――聡明そうな君ならば、わかるはずだ」

憤怒を露にしながらも、根底にあるのは理知的な輝きだ。
そういう目をする人間は、土壇場においても冷静な思考が働いている。
そういう意味では自分と同じタイプの人間だ。
当然、人質の意味も価値も、同類であることも理解しているはず。
必要以上の言葉を用いずとも、清麿は口を開くのにかかる時間は長くはなかった。

清麿から語られた情報は大きく分類すれば以下の通り。
――主催者がこの殺し合いを開催した目論見。
――螺旋力という未知なる力の存在。
――参加者達は異世界から集められた存在であるということ。
――対主催として活動する清麿達が、脱出に関する幾つかの布石を持つこと。
361愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:35:42 ID:sO/i9QSV
荒唐無稽な仮説の展開に冗句の可能性さえ疑ったが、語る清麿の双眸は真剣なまま。
組み伏せられたねねねも一切の口を挟まず、この件に関しての二人の見解は少なくとも一致を見ているということだ。
ともなれば、混乱目的を念頭に入れつつも考察しなければならない。
あらゆる可能性を模索することが、最善の手を打つために必要な思考実験であるからだ。
        
まず、主催者がこの殺し合いを開催した目論見。
これは螺旋力という未知の力が関与しているという話だ。
そもそも、この螺旋力というものの定義が曖昧だ。彼らの語る内容からすれば、生きるや守るといった火事場の馬鹿力的なものが物理的に干渉するエネルギーのことらしい。
――馬鹿げている。これこそ、一考の価値にすら価しまい。しかし、特殊な能力でいえば自身の持つギアスがある。他者に命令を遵守させるこの異能も、もとを正せば螺旋力に連なるびっくり能力にカテゴライズされて然るべきものだ。
故に、可能性の段階として脳裏に留めておくことは必要だろう。
第一、それが目的として集められたというのならば、よほど自分には縁のなさそうな能力だ。
火事場の馬鹿力が必要とされる場面に陥ることなど、ルルーシュにとってはその時点で敗北に近い。自分のキャラではないのだ。
そういう窮地で目覚める真の力というようなものは、肉体派のスザクにこそ相応しい。――しんみりしてしまう。

続いて議題に上がるのが、参加者達がどこから集められたのか、ということだ。
これも一笑に付しておしまいとしておきたい内容だった。
異世界? パラレルワールド? 地球と異なるファンタジー世界? 
そんなものの存在は有史以来、小説家や空想家の脳内以外で確認された例がない。却下だ。それも大却下。考慮にすら値しない。
と、バトルロワイアルの開始直後のルルーシュならば考えただろうが、今のルルーシュには幾つかの疑問点から、それを笑い飛ばすことができないのだった。

まず、異世界からの参戦者という内容の生き証人として、眼前にいるヴィラルという存在がある。
彼は顔や体形こそ人間と大差ないが、巨大な口に並ぶのは鮫に似た鋭さを持つ牙の群れであるし、暴力的に発達した腕には獣爪と獣の体毛が生えている。
思えばルルーシュはこれまでにも喋る猫であったり、アルファベットの形をした謎の生命体にも遭遇していた。
猫はあまりにもナチュラルに存在していたことや、ゼロの正体を隠匿しなければなどと気を回していたことが理由で失念していた。
Vの形をした生き物に関しては、その姿形よりも忌まわしい声が先立ち、まるで考慮の外であった。

(なるほど。今にして思えば、彼らの考察に辿り着く情報は俺にももたらされていたか。その場しのぎに焦るあまり、違和感を無視するとは何たる未熟! だが、懺悔など後で幾らでもできる。大事なのはこの情報を得て、未来にどうするかだ!)

異世界から集められた存在、その可能性を心に留めた時点で、ルルーシュは先ほどまで思考していたゼロの名を利用した交渉が使えぬ可能性に思い至る。
そもそも、傷の男がギアスについて何らかの情報を得ていた時点で、彼と繋がりのあるこの二人が自分に関する情報を持っていることは間違いない。
その証拠として、先ほどからこちらを睨み付ける清麿という少年は、ヴィラルの動向に気を払う一方で、ルルーシュと決して目を合わせないのだ。
362愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:38:56 ID:sO/i9QSV
(ギアスの情報が漏れている……か。必殺にも確実な交渉にも用いられる手段だからこそ、警戒されるのは当然だが、こうも手当たり次第に知られているとなると事だ。
 有害な可能性があるというだけで敵対視されかねない。少なくとも、俺ならば不穏分子は躊躇わず処分するからな)

自分の立場の悪さを把握し、うんざりしながらため息を漏らす。
もっとも、能力を知られれば致命的というのは、正体を知られれば致命的であったランペルージとしての人生とそう大差があるわけでもない。分の悪い生き方は慣れている。

それらの思考に区切りをつけて、最後にルルーシュが考えるのは脱出の可能性。
具体的な方法論には触れなかったものの、清麿達の対主催グループがこの会場を突破する幾つかの可能性を保持していることは事実のようだ。

ルルーシュの目的としては、生きてナナリーの下へ帰ることが大原則。

そのために現実的な方策として、参加者を謀略で葬り、優勝を狙うという考えがあった。
だが、一方で確実に脱出できるのであれば、そちらに乗るのも吝かではない。もともと、ここでの戦いで得られるものはルルーシュにはほとんどない。
あるのは奪われたものばかりで、大切な親友をもすでに失っている。四回目の放送を聞き逃した彼は知らないが、従順な手駒であったカレンさえすでにいないのだ。
もっと余裕のある状況であれば、めぼしい支給品を持ち帰り、自身の能力を発揮すべき本来の戦場を優位に進めるという考えも芽生えたかもしれない。
それこそ『約束された勝利の剣』を持ち帰り、自分の国を手に入れるENDもありだったろう。

しかし、この場のルルーシュはそれなりにこの戦場の恐ろしさを体感してきた。
そして、余裕をもって自身の未来を選択できる状況でないことは理解している。
その上、彼は彼なりの方法で主催者に対抗できるかもしれないグループを形成しつつあったのだ。
こちらの情報と合わせて大軍団を結成し、主催者に挑む剣となるか。

――必要あるまい、というのがルルーシュの結論であった。

高嶺清麿――名前に聞き覚えのある人物だと思えば、それは中途で遭遇していたジンの口から語られた彼の仲間の名だ。
荒唐無稽な説も序説に近いものを山荘で聞いていた。おそらくはその発展形が、先の説に繋がったのだろう。
して問題となるのは、彼とジンとの関係性だ。
ジンと清麿は継続的に連絡を取り合えていた仲か――NO。
ならば山荘を出発した後、ジンは清麿と遭遇しているか――NO。
そしてこの後、清麿と手を組むのような状況があったとして、清麿とジンを遭遇させるべきだろうか――NOだ。

(何故なら――どういう理由か、この二人はギアスの力を知っている。おそらくだがジンは知らない。もしもジンが俺と出会った時点でギアスの効果を知っていたのなら、ニアによるマタタビの殺害、その時点で何らかの言及があったはずだからだ)

逆を言えば、清麿とジンが再び合流した段階で、ニアの信用と間引きのためのマタタビの殺害の容疑者に、ルルーシュの名が刻まれることになる。
それはあの場にいたスパイクをも敵に回すことになる見逃せぬ汚点――ならば。

(ここで始末すべき、か。少なくとも男は必要ない。しかし……)

「ルルーシュ、先ほどからどうして黙っている! 時間がないんだぞ! こうしている間にもシャマルが……!」

思考を最終段階に持ち込んだルルーシュの横、我に走り空気の読めない獣人が焦燥感も露に怒鳴っている。
無能な愚物は人も獣も変わらない、などと考えながら、ルルーシュは首を振った。

「なに。今、大体の考えをまとめたところだ。とりあえず、この二人を拘束することにする。手伝ってもらうぞ、ヴィラル」
363愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:41:19 ID:sO/i9QSV
                  ▽

手早くねねねを拘束するヴィラルに対し、ルルーシュによる清麿の拘束はやや時間を要した。
単純に腕力と、拘束するための道具が本来の用途から外れていたため。
なお、拘束にはデイパック内にあったマフラーを利用している。
デイパックの中身も簡易に改め、四つの一塊を中心に置き、ルルーシュは勿体ぶった態度でヴィラルに向き直った。

「さて、まず最初に話しておくべきは、この二人があの傷の男の仲間であるという点だ」
「なに!?」

拘束に一段落がつき、肩で息をするルルーシュは髪をかき上げると、怪訝な表情のヴィラルにそう告げる。
その効果たるや劇的で、一抹の疑惑など一瞬の内に消え去り、ヴィラルの視線に残るのは激しい憎悪と憤怒の感情のみだ。

「つまり彼らには人質として価値があるということになる、わかるな?」
「しかし、奴が素直にこちらに従うかどうか……」
「人質というのは、二人以上いる場合には見せしめという特典が発生するんだよ。
 傷の男がただの殺し屋ではなく、脱出あるいは別の目的を彼らに見出している以上、効果は確実に望めるはずだ」

さらに付け加えるように、ルルーシュはデイパックからそれを取り出す。

「まさか、これは?」
「そう、解体された首輪だ。我々の首に嵌まっているものと相違ないらしい。
 ということは、彼らは首輪の解除を可能とする情報を持っているということだ。
 一つならば破損を疑うが、複数となれば確実。だが、未だに彼らの首には首輪が残っている。
 ――これらはおそらく、首輪を外せる別の協力者の存在。あるいは外すのに必要な要因が別に存在していることの証拠。
 可能性としては後者、首輪はおそらく死者のものだろう」

語りながら相手の表情を窺う。歪む形相は図星を突かれている証拠か。
女の方は完璧な無表情を保っているものの、少年の方はまだ若い。
隠そう、という意思が見え隠れする表情では、交渉術の鍛錬不足が感じ取れた。
おおよそ、その悔恨が覗ける表情から確信が得られた。

「首輪の解除方法について、彼らから聞き出せる確証が足りない。もっとも、構造自体はこの解除された首輪があればようと知れる。首輪に限っては彼らと俺達の情報の差はなくなったと考えていい。ならば、我々がすべきことは簡単だ」
「――それは?」
「決まっているだろう? ヴィラル、君との契約を果たすことだ。君の望み、君が取り返したいと心から望む、彼女の奪還だよ」

獣人の瞳が見開かれ、それから広がる好意的な感情の波を見て、ルルーシュもまた友好的な微笑を浮かべてみせる。

「安心しろ。現状、俺達は運命共同体だ。うまくやってみせるさ」
(堕ちたな。これで今後、こいつは俺に逆らえまい。もちろん、あのシャマルとかいう女を取り戻すまでの制限つきだが……それならばギアスをかけるチャンスなど幾らでもある。付き合ってもらうぞ、俺の目的――ナナリーの下へ帰るために)

情報戦、白兵戦、そして総力戦――ありとあらゆる分野において、強力無比な支給品がここに集っている。
もはやこれは、天がルルーシュ・ランペルージに王座を奪えと断言しているに等しい状況。
消防署で確認した無骨なナイトメアも掌握。
本心をいえば黒の騎士団の旗印に相応しい、もっと優雅で、ボタン一つで雑兵を蹴散らせるような機体が望ましかったが致し方ない。

今の自分には、巡りすぎるほどの天運が味方しているのだから。

(散々使い倒して、ボロ雑巾のように捨ててやる――!)
364愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:46:36 ID:sO/i9QSV
                    ▽

やはり、ルルーシュという男に協力を仰いだのは正解だった。
シャマルを救い出すことを最優先するという言葉に、ヴィラルは己の幸運を誇る。
小型とはいえガンメンの入手、付け加えて優秀なブレーン。さらには傷の男との交渉材料として使える人質二名。

(やれるぞ、シャマル! 待っていろ。今すぐ、お前の明日がお前を迎えに行く!)

そうとなれば一秒でも時間が惜しい。こうしている間にも、彼女がどんな苦行に晒されているかわかったものではない。
傷の男はその行動に反して思慮深い面も持ち合わせていたため、仲間が見当たらないとなれば早まった行為は留まる可能性が高い。
だとしても、安心などできるはずもない状況だった。

気付けばすでに時刻はとうに夜明けを迎えている。
人間の首を一つ持ち帰るというチミルフとの約束も果たせていない。
望ましきは傷の男だが、最悪、横の女か不屈を双眸に宿す少年の首を落とすことになるだろう。

もはやヴィラルにとって、姑息などという言葉で己の道を穢すことに躊躇いはない。
天秤の片側に乗るのがシャマルであるという点だけで、比肩するものは螺旋王の勅命以外には存在しえなかった。

(待っていろ。俺は力を手に入れた。お前を守り、お前と共に勝ち抜くための力を。このガンメンで、すぐにお前の下へ――)

「ならばすぐに移動だ。早急にシャマルを――」
「ああ、そのためにも拘束した二人をその機体に……なんだ!?」

方針は決定。互いの意思を確認し、まとめたデイパックを二つ、適当にラガンのシートに放り込んで、さあこれからというところで襲いくる振動。
デジャヴな展開に顔を青くするルルーシュは、まさかまた地割れが起きるのではと冷や汗を掻きながら地面を見回す。

「まさか、また割れるのか!? くそ、あんな無様な真似は二度と……!」
「違うぞ……これは、外だ!」

後ずさり、尻餅をつくルルーシュを尻目に、ラガンを操作したヴィラルが廃屋の外に出る。その際、捻った鍵から螺旋状のエネルギーゲージが溜まるのを、シートに拘束されていたねねねだけが目にしていた。

荒れ狂う暴風の余波を受けながら外に出たヴィラルは、その眼前で起きた光景に言葉を完全に喪失する。

それははるか見上げるほどに巨大な威容――その名も誉れ高きダイガンザン!
螺旋王四天王である、怒涛のチミルフが螺旋王より賜った、人類掃討のための旗印、移動する要塞、獣人達の誇る圧倒的な力の具現――!

そのダイガンザンが、見るも無残により暴力的な赤き螺旋の前に消失していく。
圧倒的な暴風の威力たるや、咄嗟の跳躍を見せたダイガンザンの外郭を一瞬の内に剥ぎ取り、破壊の余波を内部にまで浸透、巨大な体内を食い破るように蹂躙した。

突然の出現を見せた獣人達の最大の力が、一瞬の内に葬られるのは出来の悪い悪夢だ。
操縦していたのはダイガンザンの持ち主たるチミルフだろうか。人間の抹殺という、自分と同じくする指令を螺旋王から言い渡された彼は、その本気を見せ付けんとダイガンザンを起動し――暴威の前に崩落したというのか。

あの様子では、如何にチミルフとて無事には済むまい。
共に幾度も戦場を駆けた、頼りになる上官――その実力と強靭さを知っていてなお、その無事を信じることができないほどに圧倒的な力だった。

「あの、黒い太陽がそれをしたのか……?」

振動に誘き出されたヴィラルは、その本質を誤った。
彼の目に映ったのは、ダイガンザンと距離を開けて、正面から向き合っていた強大な漆黒の球体。ダイガンザンをも一撃で屠った、究極の武装のみ。

故にダイガンザンを打ち破った真の暴威の持ち主には欠片も気を払われず、その人物がループしてきた暴威に翻弄されて宙を舞ったことなど思考の埒外。

――ただ、ヴィラルの心を捉えて放さなかったのは、その球体の威容。
――漆黒の太陽に確かに存在する、巨大な目の存在。
              
365愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:47:19 ID:sO/i9QSV
――あれは、ガンメンだ。それも、今の自分が乗っているちんけなものではなく、圧倒的で強大で、それこそシャマルを奪った憎き男など容易く葬れる力を持つガンメン。

――あれこそが、ガンメンだ!

そう思った瞬間、ラガンのブーストが起動していた。
高速で宙を舞う機体、一瞬の間に頭部ハッチがコックピットを覆い隠し、搭乗者を衝撃とダメージから守るための盾となる。

「おい、何を! ――ヴィラル!?」

背後で誰かが名を呼んだことさえ、今のヴィラルには些事でしかない。
悩んでいた時間の何と馬鹿らしい。心を砕いた時間の何と無駄なことか。

――アレだ。あの力さえあれば、シャマルを救うことも、参加者を皆殺しにすることも、どちらも容易に実行することができる。

チミルフの配下についた獣人は、誰もがダイガンザンの力に憧れを抱く。
それはある意味、少年が巨大なロボットなどに抱く無条件の憧憬のようなものに近い。
ダイガンザンの威容を知る獣人は、悉くがその力の前にひれ伏す他にない。
ヴィラルすら、その例外ではなかった。

そのダイガンザンを、あの黒い太陽は一撃の下に葬ったのだ。
ダイガンザンへの憧憬は、そのままそれを打ち破った力への崇拝に変わる。
力への信仰は最も単純で、最もこの場に適した、彼にとって最も必要なもの。

黒い太陽をこの手に、そして、シャマルの下へ――!

あの黒球を入手することこそ、この場において全てを打開する鍵。
ガンメンを操縦するパイロットを八つ裂きにし、チミルフの仇も同様に討つ。

(行くぞ、シャマル! お前の明日が、黒き太陽の力を借りて! お前の下に、俺の手で夜明けをもたらしてやる! 待っていろ! 待っていろ!!)


                  ▽


我を忘れ、牙を剥き出し、凶悪な形相の一片に子供のような無邪気ささえ貼り付けた不思議な獣人。
――菫川ねねねはそんなヴィラルの傍らで、拘束されたまま思考を巡らせていた。

(さて。あたしはどーするべきなのかねえ)

ルルーシュ・ランペルージとの交渉という名の情報搾取は清麿が担当。そのため、あの場でねねねが言葉を発した機会は一度としてない。
状況は最悪。未だ明智を失った傷の癒えない清麿を残し(自分も多少そうだが)、人質とされた自分の無力さも苛立たしい。
だが、この場で彼女が一番憤りを覚えていたのは、まだ書き途中の読者未定の作品を、あの廃屋に残してきてしまったことだ。

書きたい文字、想い、物語が湯水のように湧いてくる。
だというのに、文字を綴る手は拘束されている。語る口は開かぬが吉。
清麿との距離もどんどん開き、立場はさしずめ囚われのお姫様か。

まったく、らしくない。
そんな役回りは高校生だった頃に、置き忘れてきたものだと思っていたのだが。

(あー、くそ、最悪だ。まるであの頃から、一歩も進んじゃいないみたいじゃないか)

躍起になって隣の男が目指しているのは、どうやら刑務所を粉砕したフォーグラーらしい。あの破壊力を目にして、挑むというのはあまりにも考えなし。だが、打倒するのが目的というわけでもなさそうだ。

(横の奴がうまくやる、あるいはチャンスを窺うしかないのか。くそ、ここまで安穏としてきたツケが一気に回ってきてる気分。さて、どうなる――?)

身を縮め、さらにヴィラルの意識から遠ざかる微かな努力をしつつ、菫川ねねねは考える。多少イレギュラーの加わったプロットを変更しつつ、物語をハッピーエンドへ導くための伏線と、その解消法を――。
                
366愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:49:57 ID:sO/i9QSV
【C-7/消防署付近/二日目/早朝】

【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:全身に中ダメージ、疲労(大)、肋骨一本骨折、背中に打撲、
    激しい歓喜(我と痛みを忘れています)、左肩・脇腹・額に傷跡(ほぼ完治)、螺旋力覚醒(本人は半信半疑)
[装備]:大鉈@現実、短剣×2 コアドリル@天元突破グレンラガン、ラガン@天元突破グレンラガン
[道具]:支給品一式、モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン(あと4秒連射可能、ロケット弾は一発)、
    鉄の手枷@現実 S&W M38(弾数5/5)、S&W M38の予備弾15発、短剣×4本、水鉄砲、エンフィールドNO.2(弾数0/6)、銀玉鉄砲(玉無し)、
    アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、タロットカード@金田一少年の事件簿、USBフラッシュメモリ@現実  
    イングラムM10(9mmパラベラム弾22/32)@現実  支給品一式x2(水ボトルの1/2消費、おにぎり4つ消費)、殺し合いについての考察をまとめたメモ、
    イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×5、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル!!、 無限エネルギー装置@サイボーグクロちゃん、清麿の右耳
    首輪(エド/解体済み)、首輪(エリオ/解体済み)、首輪(アニタ)、首輪(キャロ)、清麿のネームシール、各種治療薬、各種治療器具、各種毒物、各種毒ガス原料、各種爆発物原料、使い捨て手術用メス×14
    COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損]、M16アサルトライフル用予備弾x20(5.56mmNATO弾)
    M203グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2)
     [思考]
基本:シャマルと共に最後の二人になり、螺旋王を説得して二人で優勝する。
0:あの黒い太陽のガンメンを入手! パイロットを引きずり出し、この手に!
1:シャマルを傷の男の手から救い出す。そのためにルルーシュから協力を得る(ほぼ協力は取り付けたが、失念しています)
2:チミルフ様の仇! 全ての獣人達の夢の城の破壊は許されない蛮行だ! ダイガンザン大好きだったのに!
3:クラールヴィントと魔鏡のかけらをどうにかして手に入れたい。
4:蛇女(静留)、クルクル(スザク)、ケンモチ(剣持)に味わわされた屈辱を晴らしたい。
5:スカーへの怒り

※なのは世界の魔法、機動六課メンバーについて正確な情報を簡単に理解しました。
※螺旋王の目的を『“一部の人間が持つ特殊な力”の研究』ではないかと考え始めました。
※本来は覚醒しないはずの螺旋力が覚醒しました。他参加者の覚醒とは様々な部分で異なる可能性があります。
※清麿に関しては声と後姿しか認識していません。悪感情は抱いてはいないようです。
※清麿の考察を聞きました。螺旋王への感情が変化している可能性があります。
※チミルフが夜でも活動していることに疑問を持っています。
※とりあえず、今はルルーシュを殺すつもりはありません。
※フォーグラーをガンメンだと思い、入手するために操縦者を殺すつもりです。
※ダイガンザン(ダイグレン)を落としたのがフォーグラーだと思っています。相殺したエアについては目に入っていません。
※チミルフが死亡したと思っています。万が一、生きていたとしてもすぐに献上する首は用意できると考えているようです。(人質のねねねや清麿等)

[備考]
螺旋王による改造を受けています。
@睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
A身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
 人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。 単純に『実験のために、獣人の欠点を克服させてくれた』としか認識してない。

367愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:52:41 ID:sO/i9QSV
【菫川ねねね@R.O.D(シリーズ)】
[状態]:本を書きたいという欲求、疲労(大)、手足の拘束中(猿轡は嵌められていません)、螺旋力覚醒
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:
基本-1:螺旋王のシナリオ(実験)を破壊し、ハッピーエンドを迎えさせる。
基本-2:バシュタールの惨劇を起し、首輪や空間隠蔽を含む会場の全ての機能を停止させて脱出する。
1:ヴィラルの目的はわからないが……人質なんてゴメンだ。どうにか逃げないと。
2:清麿、あるいはスカーなどの対主催陣営と合流。
3:アンチシズマ管の持ち主、それとそれを改造できる能力者を探す。
4:センセーに会いに行きたい……けど、我慢する。
5:本が書きたい! 本を読んで貰いたい!
[備考]:
※読子を殺害したスカーの罪を許しました。が、わだかまりが全く無い訳でもありません。
※ラガンをフル稼働させたため、しばらく螺旋力が発揮できません
              
                ▽

「あ、あの馬鹿――っ!!」

こちらの呼びかけの一切を無視し、止める間もなく遠ざかっていくラガンを見ながら、ルルーシュは湧き上がる激情のままに罵倒する。

「ふざけるな! まだ何の指示も出していない段階で勝手な真似を! そもそも、俺の協力を仰いだのは貴様の方だろう!」

肺活量のままに感情を吐露しても、急速に遠ざかる存在にはもはや届かない。
何より、ヴィラルを乗せた機体の進行先にあるのは、途方もなく巨大な球体だ。
あれが先ほどの地震、付け加えて位置関係から地割れの原因に違いあるまい。

あれほど強大なものを使いこなす存在がいるとなれば、ますますルルーシュの単独での優勝は難しいものとなる。
そのための手駒が何としても必要だというのに……。

「それを、あの獣は……! 所詮は獣人。人と交わっていても、本能という野卑な感情に従って動く下劣な存在に過ぎないということか」

指示に従わないのであれば、それは無能にも劣る足手纏いだ。
もともと螺旋王と繋がりがある、そして弱味に付け込めるという点を見込んでの協力関係――ここでそれを断ったとして、どんな影響が出るか。

(そもそも、すでに参加者の大半が失われた状況で、俺の手駒に加えられる人材が多くない。
 螺旋王に近付くための繋がり、何よりシャマルという女の有する回復能力も魅力的だ。ここで切るのはあまりにも惜しい)

最悪なのは飛び立ったナイトメアに持たせた支給品の数々だ。
わざわざ強力な武装やらといった自衛の手段に長けたものばかり満載したバックを持ち去られてしまった。
無限の容量を持つデイパックの重さが変わらないとわかっていながら、気持ち重そうなのを体力のある内にと優先したのが裏目に出た。
手元に残ったのはヴィラルに見せるのが惜しいと密かに回収した、各種データ類の書き込まれた名簿やレーダーの役割を果たす携帯電話――逃げの一手しか決められない。

かといって、物惜しさに飛び出して黒い太陽の射程に入るのは願い下げだ。
ここでヴィラルの帰還を待つか――しかし、本当に奴が生還する可能性をどれほど信じられる? 
何より、ここを今、傷の男に襲撃されでもしたら。

(ならば、俺に選べる手段はさして多くない)

振り向き、その左目に手を翳す。
遮られた視界の中、赤い鳥が羽ばたいている――。

(ギアス。高嶺清麿――せいぜい、俺の有効的な駒になってもらうぞ!)

368愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:55:06 ID:sO/i9QSV
一方で、唐突な状況の変化についていけないのは清麿も一緒であった。
ねねねが連れ去られた状況は痛恨に等しい。だが、それがイレギュラーなのはどうやらルルーシュにとっても同じことのようだ。ならばそこに付け入る隙がある。

ラガンとねねねが連れ去られたものの、デイパックは放置されたままだ。あるいは口八丁手八丁で眼前の魔人と交渉し、二人を追うこともできるかもしれない。

何より、拘束され、自由と命を握られた状況で清麿に希望を失わせないのは、事実上、彼の未来すら縛っているこの拘束なのだ。

汗水を垂らして、懸命に手足を縛りつけたルルーシュ・ランペルージの功績。
――それが、どうにか頑張れば解けそうに、緩い。

最初は何かの罠かと疑ったが、リスキーな引っ掛けの割に狙いが読めない。
どうやら握力が足りていなかったらしい。その疲労の発露が、清麿に希望を抱かせる。

魔人の目を見ず、交渉に持ち込む。
あるいは時間を稼いで拘束を外し、実力行使に出る。

(こんなところで終わるわけにはいかない。俺に後を託してくれた、明智さんのためにも――!)

悄然と肩を落とし、しかし妙に自信ありげな笑みを作ったルルーシュが向かってくる。

――さあ、ここがいわゆる、正念場。

              
【C-6/民家/二日目/早朝】


【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:肉体的疲労(大)、心労(中)、軽度の頭痛 、後頭部にたんこぶ
[装備]:ベレッタM92(残弾13/15)@カウボーイビバップ、ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュ
[道具]:支給品一式(-メモ)、メロン×10個 、ノートパソコン(バッテリー残り三時間)@現実、消防服  
    予備マガジン(9mmパラベラム弾)x1、毒入りカプセル×1@金田一少年の事件簿、ゼロの仮面@コードギアス反逆のルルーシュ  
    支給品一式(一食分消費)、ボン太君のぬいぐるみ@らき☆すた、ジャン・ハボックの煙草(残り15本)@鋼の錬金術師
     『フルメタル・パニック!』全巻セット@らき☆すた(『戦うボーイ・ミーツ・ガール』はフォルゴレのサイン付き)
     『イリヤスフィール・フォン・アインツベルンに捧ぐ』@アニロワ2nd オリジナル
    参加者詳細名簿、詳細名簿+、 支給品リスト、考察メモ、警戒者リスト、ダイヤグラムのコピー、携帯電話@アニロワ2ndオリジナル

[思考]
基本:何を代償にしても生き残る。
1:清麿にギアスをかけ、生き残るための駒とする。
2:清麿から情報を入手し、脱出に向けた方策を練る。
3:適当な相手に対してギアスの実験を試みる。
4:以下の実行。
  「情報を収集し、掌握」「戦力の拡充」「敵戦力の削減、削除」「参加者自体の間引き」
5:余裕があればショッピングモールかモノレールを調べる。

[備考]
※首輪は電波を遮断すれば機能しないと考えています。
※清麿メモの内容を把握しました。
※会場のループについて把握しました。
※第四回放送は聞き逃しました。
※ヴィラルが螺旋王の部下であることとシャマルが治癒能力者であることを知りました。
 その他の素性についてどこまで把握しているのかはわかりません。
※ギアスの制限は主に一度に使用する人数が問題なのではないか、と想像しています。
※ルルーシュが民家で何を見たのかは次の書き手の方、または皆さんの想像力にお任せします。
※ヴィラルとシャマルを救うまでの協力関係を結びました。が、それも悩み中です。
※清麿から主催者の目的、参加者が異世界から集められた、螺旋力の存在などの重要事項を聞き出しました。ほぼ、考察が清麿と同程度に到達しています。
※回収した参加者詳細名簿、詳細名簿+、支給品リスト、考察メモ、警戒者リスト、ダイヤグラムのコピーなど、自身にとって不利益な情報が記されたものは内容を把握次第、焼き捨てるつもりでいます。
369愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:55:35 ID:sO/i9QSV

【高嶺清麿@金色のガッシュベル!!】
[状態]:右耳欠損(ガーゼで処置済)、手足を拘束中(猿轡は嵌まっていません、おまけにやや緩いです、気合いで抜けられる?)強い決意
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本-1:ゆたかを救い、螺旋王を打倒してゲームから脱出する
基本-2:戦術交渉部隊の新リーダーとして、あらゆる視野から問題の解決に当たる。
0:眼前のルルーシュに、交渉か実力で対処。
1:連れ去られたねねね、スカーとの合流。
2:大怪球及び、シズマシステムに関する調査、考察。
3:脱出方法の研究をする。(螺旋力、首輪、螺旋王、空間そのものについてなど包括的に)
4:周辺で起こっている殺し合いには、極力、関わらない。(有用な情報が得られそうな場合は例外)
5:研究に必要な情報収集。とくに螺旋力について知りたい。
6:螺旋王に挑むための仲間(ガッシュ等)を集める。その過程で出る犠牲者は極力減らしたい。
 [備考]
  ※首輪のネジを隠していたネームシールが剥がされ、またほんの少しだけネジが回っています。
  ※ラッドの言った『人間』というキーワードに何か引っかかるものがあるようです。
  ※明智の死体、及び荷物は刑務所の瓦礫の下。
  ※携帯電話のテキストメモ内に、二日目・黎明時点で明智が行った全考察がメモされています。

                
[清麿の考察]
※監視について
監視されていることは確実。方法は監視カメラのような原始的なものではなく、螺旋王の能力かオーバーテクノロジーによるもの。
参加者が監視に気づくかどうかは螺旋王にとって大事ではない。むしろそれを含め試されている可能性アリ。
※螺旋王の真の目的について
螺旋王の目的は、道楽ではない。趣旨は殺し合いではなく実験、もしくは別のなにか(各種仮説を参考)。
ゆえに、参加者の無為な死を望みはしない。首輪による爆破や、反抗分子への粛清も、よほどのことがない限りありえない。
【仮説@】【仮説A】【仮説B】をメモにまとめています。
※首輪について
螺旋状に編まれたケーブルは導火線。三つの謎の黒球は、どれか一つが爆弾。
また、清麿の理解が追いつく機械ではなくオーバーテクノロジーによるもの。
ネジを回すと、螺旋王のメッセージ付きで電流が流れる。しかし、死に至るレベルではない。
上記のことから、螺旋王にとって首輪は単なる拘束器具ではなく、参加者を試す道具の一つであると推測。
螺旋王からの遠隔爆破の危険性は(たとえこちらが大々的に反逆を企てたとしても)限りなく低い。
※螺旋力について
………………………アルェー?
370名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 18:55:40 ID:LGxJgwIe
   
371愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:56:04 ID:sO/i9QSV
                  ▽


「ふむ……どうやら、誰もいないか」

高空の風をその身に受けながら、周囲を見回し呟いたのは傷の男――スカーだった。

今、彼の姿は墜落したフォーグラーの中にある。
刑務所を破壊して飛び立ったフォーグラー。存在だけは聞いていたスカーは、その強大な機体の搭乗者が組したものの誰かである可能性に賭け、移動スピードが圧倒的に異なるそれを追ってきたのだ。

もっとも、その移動にかかる時間の差が、彼の命を救ったといってもいい。

フォーグラーの正面に唐突に出現した、巨大な船のような機体。あわや正面衝突になるかと思いきや、その機体を真横からの真紅の暴風が打ち滅ぼしたのだ。
その後にはフォーグラーが足元を砲撃し、さらには船を撃墜したものより小規模な紅の螺旋がフォーグラーに直撃――外壁を破壊し、その身を地へと叩き落した。

再びの浮上を懸念しながらも、外壁を伝って内部に侵入したスカー。
見上げるほどの巨体を誇るフォーグラーであったが、その内側は意外なほどの簡素な造りだ。おおよそ必要最小限の移動を目的とした通路。それ以外は駆動と制御系の機械が大部分を占めているらしく、最も重要と思われる場所に到達するのにそう時間はかからなかった。

「侵入されることを考えていないのか。設計者は相当な粗忽者か、あるいは自信家といったところだな」

見てきたような見解を述べ、スカーは最も破壊の酷い壁を見る。赤の破壊が衝突したのはまさしくここだったのだろう。分厚いはずの障壁は見るも無残に砕き引き裂かれ、数十メートルもの高さから眼下を覗くことができる。
万が一踏み外せば、人間の矮躯などとても無事では済むまい。

もしもこの時、スカーがフォーグラーへの侵入より、フォーグラー周囲の探索を優先していれば、球体の傍らで安らかに眠る男と少女を見つけることができただろう。
しかし、彼にとって重要なのはフォーグラーの内部であり、その中に目的としていた存在が見つからなかった時点で、その重要性も大分薄れている。

(どうするべきか……この球体から離れ、明智達との合流を目指すか。しかし、これが刑務所より飛び出したことは間違いない。ならば、奴らが目的とするのもまたここかもしれん)

安易にこの場を離れるという選択も選べない。もとより、再びこの球体が起動することも念頭に入れておかなければならない。
だとすれば、先ほどまでこのフォーグラーを操縦していた存在、あるいはその存在が操縦に利用していた空間があるはずだが――。

見晴らしのよい風景を眼下に納めたまま、スカーは静かに黙考する。
やるべきこと。採るべき選択。時間と目的、それらの狭間に揺れながら。

遠く、東の空から偽りの太陽ではない、本物の太陽が昇ってきている。
放送が――近い。

               
372愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:56:50 ID:sO/i9QSV
                 ▽

スカーが冷たい早朝の風を浴びる傍ら、彼女の意識は静かに覚醒していた。

目覚めて最初に彼女を襲ったのは、腹部を中心とした鈍痛だ。
思わず声も出ぬほどの痛みが、結果的に彼女の隠密行動に一役を買っていた。

薄目を開け、自分を抱え込んでいる男の姿を確認する。
腕の太さや硬さ。色合いや肌触りから予想がついていたものの、そこにいたのは共に優勝を誓い合った大切な存在ではなかった。

はっきりと、シャマルは自分が落胆しているのを自覚する。
目覚めた瞬間、傍らにいるのはこれまでずっとヴィラルだった。
思えば、チミルフと東方不敗の戦闘時を除けば、それこそ片時も離れなかった相手である。彼の目覚めの傍にいるのは、そして自分の目覚めの傍にいるのは、互いの存在であるとどこかしらで思い込んでいたのかもしれない。

だとすれば、たった二日間で何という体たらくだろう。
そのことを不快にも情けないとも思っていない自分が、一番の人でなしだと思う。

そう思ってしまえば、続いて彼女の脳裏を支配したのは愛しい男のことである。
ヴィラルは――?

少なくとも、肩にシャマルを担ぐ男の反対の肩に担がれていないのは確かだ。
そしてあの戦闘の最中、地割れによって生じた隙の中で当て身を受け、失神した自分の醜態を思い出す。だが、状況を鑑みればあのままヴィラルとこの傷の男が再戦を果たしたとは考え難い。

おそらくは傷の男はシャマルを人質に取り、ヴィラルとは逸れている。

なればこそ、未だシャマルにも利用価値を見出し、こうして同道させているのだろう。
次なる遭遇があった時、あの心優しく誇り高い獣人を殺害するために。

あっさりと人質に下っただけでなく、この身はさらに男の足手纏いになろうというのか。
――すでに嫌っていたはずの自分に、さらに嫌える部分があることに驚きだ。

自嘲的な感情の芽生えを実感しながら、しかしシャマルの胸中を支配したのは悪感情を上回るほどの決意。

――ならば、ヴィラルと傷の男が出会う前に、傷の男は私が殺す。

自分は彼に助けられてばかりいる。そう真正面から言えば、優しい彼は穏やかに、あるいは激しく否定してくれるだろう。救われているのは俺も同じだ、と。
違うのだ。彼と自分とでは、全然まるで少しも同じでないのだ。

確かにシャマルには、傷を癒すことのできる力がある。
それによって、ヴィラルの負傷を幾らか軽減してあげることはできた。

だが、ヴィラルがシャマルにしてくれたのは、魔法という便利な力さえ届かないはずの心の傷のケアだ。それは誰にでもできることではなく、少なくともシャマルには到底及びつかない奇跡――ヴィラルはそれを、何度自分に見せてくれたことだろうか。


――守る。救う。助けになる。目の前の男を殺すことで、それが叶うのだ。


373愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:57:45 ID:sO/i9QSV
体中の力を抜き、未だ気絶したままを装うシャマル。
担ぐ男はその様子に気付かないらしく、しかし恐ろしいほどの急勾配を女性一人抱えたままの身で踏破。

瞼の裏に暗闇が差したのは、どうやら建物の中に入ったからか。
金属の床を叩く靴音と、稼動する機械の作動音――それらは妙に懐かしい。

薄く狭い視界の中、映し出される空間は懐かしき機動六課の母艦にも似ている。
とはいえ技術も歴史も圧倒的に異なるそれを見間違えたのは、郷愁という名の名残が最後に発した断末魔だったのかもしれない。

シャマルを担いだまま、スカーは遂に最上階の最深部へと到達する。
風が吹き込んでくるのを感じる中、シャマルの身は床の上にゆっくりと横たえられた。
どうやら意識の喪失を疑っていないスカーは、しばし周囲を検分するつもりらしい。

朱と青の二色が混ざり合う空、外壁に開いた大穴からは世界を見渡すことができる。

――スカーは気付かない。
機械文明に疎い生活をしてきた彼は、この複雑怪奇な黒い太陽のコックピット。操縦桿の役割をするのが、この空間だと気付けない。

――シャマルは気付いている。
医療班の人員とはいえ、十年近いキャリアで幾つもの艦を、世界を、文明を渡り歩いてきた。ここが、この機械の要であるとわかる。

――スカーは気付けない。
間近に迫った放送に意識を集中し、思索の海に沈む状況下で、背後で遅々として活動を再開している彼女の存在に気付けない。

――シャマルは気付かない。
間近に迫った放送も、この場を目指して飛んできている愛しい男のことも、黒い太陽の核に触れることに手一杯で気付かない。


震える白い手が、かつて絶望の底に沈んだ少女の意を汲んだ装置に触れる。
かくて黒い太陽は再び稼動する。

その中心に絶望ではなく、狂えるほどの恋情を据えて――。
                     

374愛ある暴走 ◆2PGjCBHFlk :2008/06/03(火) 18:58:08 ID:sO/i9QSV
【???/大怪球フォーグラー メインルーム・上空/二日目/早朝】

【スカー(傷の男)@鋼の錬金術師】
[状態]:疲労(中)、空腹、強い覚悟、螺旋力覚醒
[装備]:アヴァロン@Fate/stay night(回復に使用中)
[道具]:支給品一式x4(メモ一式使用、地図一枚損失)、ガジェットドローン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
    ワルサーWA2000用箱型弾倉x2、バルサミコ酢の大瓶(残り1/2)@らき☆すた、
    ゼオンのマント@金色のガッシュベル!!、魔鏡のかけら@金色のガッシュベル!!
    暗視スコープ、首輪(クロ)、単眼鏡、マース・ヒューズの肉片サンプル、シアン化ナトリウム
    ワルサーWA2000(4/6)@現実 、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[思考]
基本-1:明智達と協力して実験から脱出し、元の世界でまた国家錬金術師と戦う。
基本-2:螺旋力保有者の保護、その敵となりうる存在の抹殺。
0:フォーグラー内で清麿達の合流を待つか、探しに出るか……。
1:螺旋力保有者を守護する。
2:各施設にある『お宝』の調査と回収。
3:ギアスを使用したヴィラル、チミルフへの尋問について考える
4:螺旋王に対する見極め。これの如何によっては方針を優勝狙いに変える場合も……。
5:シャマルを拘束するロープか何かが欲しい


[備考]:
※言峰の言葉を受け入れ、覚悟を決めました。
※スカーの右腕は地脈の力を取り入れているため、魔力があるものとして扱われます。
※会場端のワープを認識。螺旋力についての知識、この世界の『空、星、太陽、月』に対して何らかの確証を持っています。
※清麿達がラガンで刑務所から飛び出したのを見ていません。


【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:疲労(中)、腹部にダメージ(中)、螺旋力覚醒(本人は半信半疑)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本1:守護騎士でもない、機動六課でもない、ただのシャマルとして生きる道を探す
基本2:1のための道が分かるまで、ヴィラルと共に最後の二人になり、螺旋王を説得して二人で優勝することを目指す。
1:フォーグラーを操作し、眼前のスカーを排除する。
2:ヴィラルと合流、協力して参加者を排除する。邪魔するもの、攻撃するものはフォーグラーで躊躇なく殲滅。
3:クラールヴィントと魔鏡のかけらを手に入れたい。
4:優勝した後に螺旋王を殺す?
5:他者を殺害する決意はある。しかし――――。


※ゲイボルク@Fate/stay nightをハズレ支給品だと認識しています。また、宝具という名称を知りません。
※清麿に関しては声と後姿しか認識していません。悪感情は抱いてはいないようです。
※清麿の考察を聞きました。必ずしも他者を殺す必要がない可能性に思うことがあるようですが、優先順位はヴィラルが勝っています。
375名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/03(火) 23:21:14 ID:9qdqUvq2
376”削除”依頼だしておいたw:2008/06/04(水) 20:34:34 ID:1KCc8MB/















さて話を組み立てますか
377名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/07(土) 19:23:54 ID:/T++d+xK

378第五回放送 ◆wYjszMXgAo :2008/06/14(土) 00:11:05 ID:2q1n7RwM
――――生き延びた者達よ、聞くといい。
ようやく前の放送から六時間――――。
たったこれだけの間にどれ程の波乱と万丈が満ち溢れていたか、その全貌を知るものは少ないだろう。
戦いの最中、この狭い箱庭にどれ程の傷跡が残ったか。
私の用意したものであろうとなかろうと、いずれも私の予想を超える力をお前たちは身に抱いていたようだな。
だが、お前たちの力はここで打ち止めになるのか?
私に更なる驚きを与えてくれるのか?

それを私は誰よりも期して待つこととしようか。

最早準備は整った。
今よりこの実験場は、本格的に螺旋の力同士が鬩ぎ合う混沌の坩堝と化す。
その最中に遥か天元に届く者が現れるか否か。
――――それが、全ての明暗を分けることとなるだろう。

それでは死者の発表に移る。
流石この激戦を生き延びたものたちだ、その最期はいずれも華々しいものだったぞ。
各々の命の輝きを目の当たりにしたものは、それを心に秘めて更に自らを切磋琢磨させ彼方へと邁進するがいい。


言峰綺礼
ビシャス
明智健悟
ビクトリーム
藤乃静留
衝撃のアルベルト
ヴァッシュ・ザ・スタンピード


続いて禁止エリアを発表しよう。


B-7
G-3
F-6


以上だ。

……さて、次の放送までお前達は互いを競い、磨き上げるといい。
私達も無為に時間を過ごすわけではない。成すべきことを成さねばならないのだから。
生命の歴史とは闘争の歴史であり、その全てが己を進化させ、より高みへと高みへと――――、
そう、時として階段を降りようとも、星々を越えてなお歩み続ける指向性を抱いている。
それは私であろうと等しく同じだ。
お前たちと同じく……、私は私の戦いを果たすこととしよう。

そして、その為に。
……お前たちが真なる螺旋力に目覚めることを、私は切望する。

さあ、己が生命を賭けて血潮を滾らせ、闘争に身を躍らせろ。
生きることこそ、生き延びることこそ即ち戦いなのだから。
379名無しさん@お腹いっぱい。:2008/06/16(月) 02:16:17 ID:LjITpBxT
なにこれまだやってたのか?
380名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/26(火) 23:48:08 ID:HqZlHR4x
いつまでも残ってて何か目障り

みんな埋めようよ
381名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 11:23:11 ID:00LsO/cM
なんで40kbも残ってて放置されているんだろう。
382名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/17(月) 21:03:47 ID:+z3jxTes
放置状態?
383名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 08:38:01 ID:eGyYc5wd
                          _. - ._             _
                      /. -−- \             l `i   __
                         //      ヽ          } ´ ̄ ´ '´ う
                     |{      /\  ____  j     /
      ( ヽ              '.l.   ___/    ヽ´  ー-=ニ.¨`7     r '
   r──’ `ヽ            .ゞ ' ´         '.       `丶、  /
 (´_ ̄       ヽ         /             |       \  \/
 ‘ー⊂.         \      /  ,    l  |    |、        ヽ‐-,ヽ
      ̄ ̄\     \.     /  /     !  ∧   ||ヽ__|     ∨ `
          \     \  /  /     | / '   ||'´ヽ l      l. ',
            \     \l  '    |  ,ィ´′ ∨ ハ. |   Nヽ.   |、 i
              \     \l.    |  /|/     / /       ',   |、ヽ!
                \     ヽ、.  | i       ∨    三三 ハ.  ! \
                  \.   /\ | | xィ彡        ・{ l. ∧ /
                /\ /   }'ヽ! "´       ,、_,   l |∨ ∨
                  / /   /   \     ‘7´  )   .ノ |     l
               {      /    ',\    、__,. ' ,/  |    /
                 \   /      ', ヽ----r ' ´ |   |  ./
                 | ー ´         ',  ',   ヽ    |   |  /

















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         {ヽ.__ム: : : {-ヘ ー ' {.:.:.:.:.:.>、   {       ',ヽ: : : : : |
        ヽ.ー―ヘ: : :|-/ヽ   〉ーく /ヽ  ヽ/⌒    | ',: : : : |
         }ー―ヘ : |/ ,/ /.:.:.:.:.:| {: : :}  {        }ヽ.} : : : |
384名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 08:39:17 ID:eGyYc5wd
                           ,,==二==、、
                          /       ヾヽ
                                   ヾヽ
                       _. .─:─-、_     l l
              ,-‐: :  ̄: : `:‐´: : : : : : : : : : : :ヽ    | /
            /:_:_: : ‐: : : : : : : : /: : : : : : : : : :`:ヽ.」/
          -´‐´´  /: : : : : : : /: : /: /: : : : : :, : : : : : : : :ヽ
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             /: : :/: : : : /: /-´┤、/: : : :// l: :l: : : : : : 、: : : :ヽ
                / // : : : : /: :/:/  l: /l : : : / ┤A: : : : : : :l: : : : :l
           '´  l : : : : /: /l/、__|/ l : : :/  l l l`:、: : : : :V: : : :l
                 l: : : : :l: :/l |T::::::::ト l: : l   l:l ヽ: : : : : : ヽ: : :l
              l: : : /:/: :l l lo::::::l  V:/  テ'ミ=、」、: : : l: : l: : l
                l: : :/ l/.: :l  辷り  V   b:::::::::://〉: : :ト: : l: /    
               l: /  l l: :l     、 `  辷:::り/ /ヘ: ::ハ: l/
  ( ̄\        V    l:/: 、    ,、,、__     . l:ハ: :ノ: ヽl
   \_ `‐、,‐             l/: : :`>、_ `─ '     ,/:/: : l/: : :l`
( ̄ ̄` ‐' ,/ , \        l: : : : //: :`>,‐-─,<:´: :/: : : ハ: : : l
  ̄ ⊃ , ‐,`    l_      /: : : : :/- '´,-'    l, ヽ: /: : : :ハ: : : :l
. r ´, ‐、 ィ     l , ヽ    l : : : :/  /_  /  /: : : :く: : l: : : ヽ
.`‐´    フT  //、   /l: : : /  /   >´ /: : : :/==ヽ: : : :ヽ
     /  冫' //,l  /  l: : イ  /  /  /: : : : /彡彡=l : : : :      _, -――‐-、   /\ ____
      ̄ ̄ ̄>―`ヽ/'´ ̄       `丶、
       '" ̄_: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : :.\
        /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
       /::::: /::::::/::::::: :|::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::\::::::: ヽ  
      ∨:::::: /::::::/::`ヽ/|::::∧::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::: ∧
      ∧//::::::/:::::::::::/  |:::l  ',:::::::::::::::::ヽ::::::::::::::∨j∠|______
      //∨:::: /::::::ト、/  :|:::l  ヽ:-―-:::::l::::::::::::::::Vヽ ヽ   \
       , ' ::::::l:::;イ レ'心  l:::|    \::::::::::::|::::::: l:::::::| ∧人_, /
       l::::::/|/::j  {ヘ:::|  ヾ|   ヽ--\ :::::|::::::: | ::: |  |::::::| ヽ/
       |:: ∧!: リ  Vヒj     行テ乏ア :::|::::::: |:::::,′ |::::::|_ノ
          ; 八    ,   {ヘ;;:::// ヾ|::::: ∧:/  ノ :::::|
          /::::::ヽ 、  __  ゞ少  ⌒!::/⌒)7:l::::::l:::|
         / :::::: /7\ `ー`__ ,、__, ,_ / ‐<:::ノ::|:::::::l::|
      ::::::::::/ レ'/ >ーr (  \´>'´(_, -く:::ノ|::|::::::::l:|
      :::::: / /'//{  /ヽ  ¨  (__ r‐<:八:! :::::::l|
     i:::::: ノ {V/  >'´/:::\     `ー ノシ |::::::::::|
       |' ∧l{ /-='´:::::::::::/ヽ、_    , イヾ  |::::::::::|
      |:: /  ン≠'´::::::::::::::::::::::人_∧  /〉 ││::::::::|
     //:/::::::::_:::,斗ァ‐'´( \ 三三 / 人│::::::::|
    / /:;イ::::: /| `ー'´ \ ヽ  ヾ彡'´     }! ::::::::|
385名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 08:41:12 ID:eGyYc5wd
386名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 08:42:22 ID:eGyYc5wd
387名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 08:45:26 ID:eGyYc5wd
388名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 08:46:20 ID:eGyYc5wd
389名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 08:47:25 ID:eGyYc5wd
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390名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 08:49:37 ID:eGyYc5wd
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391名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 08:50:26 ID:eGyYc5wd
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396名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 09:17:02 ID:eGyYc5wd
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397名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 09:22:12 ID:eGyYc5wd









































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 ' 、`'‐'ゝ ̄i i:::::::::::  `<`i 、                                                    /">::::::::::::::、--// , っ
 ⊂ニ-‐'‐-、 `‐      | \                                                // /:::       ` /-'"/-_っ
        ``''''''''i''''‐.、 / ノ) ||、                  ,.へ、                         /‖ゝ |;;;;;;; ─---、.._._二三っ
            i、  / )〉 || \           /   ィ,.‐'''|''' 、i、    \               /  ‖((  |   /       `
             i / =彳  ||   \       /    / i,. '''` 、 | l、    | i             /   ‖ \| /
            i、ヽ、   ‖:::::::   ヽ、、   ‖||   〈 i、    ノll l    || i       /⌒⌒   ::::::::|| /' /
             i、∧、 ‖ 、::::::::::   ヽ、ヽ  ‖ ||   i`' ヽヽ、_ , ' ノiィ   ‖ i     / ‖   ::::::::::::,. | レ/ /
             V ∧V/::::::::::`ヽ、:::::: ヽ、 ヽ_|へ ヽ  `ヽ、 '  丶  /   ‖ へ、,. /  ‖ ::::::::, ‐ヘ"   |/ |/
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398名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 09:23:44 ID:eGyYc5wd
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                            ゼロ「その名も、超合集国!」




















































399名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 09:27:28 ID:eGyYc5wd
     /  -− `´ィ´¨`                           ヽ   
    /   i::::::::::` /::::::::::::::::::ヾ、                         ヽ    
   /    l:::::::彳´  ̄ --::::::::::ヽヽ、                       ヽ  
  /    |::::::::/        `¨| V         :::               、   
  l     |:::::::l          |           ::                \  
  i     l::::::l          /          ヽ::::                \  
  ヽ    i::::|   l       |           v:::                 \  
   \   ヽ¨´、  \_     |           :\:::                 \
    }丶   丶     `¨ - _i           ::: ヽ、       :          丶ミ 
   ノ      iヽ     -、_ \         :::   `l      :::::             丶-、 
 /        | i      |  `ヽ \       :::::::   |      :::::::                ¨\
〈     ×   ニ=|     i     \     ::::::::   i ×    ::::::::                  \
 \     *  | |    彡`--- ____ ヽ   ::::::    /      ::://       :::           ヽ  
  \  ×  ゚へ{ /     ´ ̄て¨) ̄  } x :::::    /  /    l  ヽ、    ∠こ⌒ヽ、        /
   l    /`l |〈 、        ゚、__ノ  ×    / * /     ∧_┌´     ,___>  、       i
  しイ l´`v l | | l\       O ¨¨´|  ::   /   /    ::  :::::::::::   :く      }   ,ヘ ヽ/
/   |ヽ V | トヘ ヽ=-         ヽ :::   {   /    /::::  ::::::::   ::: ` -−´⌒   く Vヽ\  
     |  `l`´レ  |  、       _...  \::   Y /×    /::::::  ::::::::::   ::::          〉  〉 `\__ 
     ト、 へ/ヽ_∠--, \_ -− ´\ _ 」    V   ゙  く::::::::::   :::::::::  ::::        /  /::::::
    r| ヽ\ \| 丶―i:::::::::::::::::::::::::::::/`´  | / 彡     _`二ヽ     :::::::::::::::       ヽ/:::::::::::::: 
    | |  v \ ヽ  \ ,ヘ、__-ィ´/ \/       / ∠、  `l:::::::               ::::::::::::: 
    | l  |/  \ ゝ `l ヘ/  / / /        /     〉  ヽ:::::::::::::::::             ::::::::::::
   〈 | ヽ ヽ   ヽ   | /  /  /         ∧ヘ-−−´    ヽ ::::::::::::::::::::::::::
400名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 09:29:20 ID:eGyYc5wd
埋め立て
401名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 09:31:37 ID:eGyYc5wd
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402名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 09:33:20 ID:eGyYc5wd
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403名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 10:07:21 ID:eGyYc5wd
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404名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 10:08:31 ID:eGyYc5wd
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405名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 10:11:43 ID:eGyYc5wd
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406名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 10:12:34 ID:eGyYc5wd
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407名無しさん@お腹いっぱい。:2008/11/26(水) 10:23:44 ID:eGyYc5wd
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