あの作品のキャラがルイズに召喚されました part126
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?
そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part125
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1206724451/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ --------------------------------------------------------------------------------
__ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 `ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
--------------------------------------------------------------------------------
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
--------------------------------------------------------------------------------
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり
>>3 前段はもう意味ないような気がする。
例の荒らしも最後の方はクロス元他を説明してから荒らしてたし。
6 :
1:2008/04/01(火) 09:19:14 ID:Rb968qvz
>>2-3 テンプレじゃないものをいちいち張らないでも・・・
どうしても張りたいなら、せめて次スレに移行してるかどうかぐらい調べなよ。
ジョジョスレはとっくに次スレだよ。
一桁奪取成功
武安国召喚
● 「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃ ● ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘ よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃ おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃ (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃ どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃ たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃ ね・え・かたをっかしてよっ
┃ す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃ き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃ ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃ だからすぅきぃよっなんていわない
┃ のんのんのんどっこかへいったら
┃ ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん ・・・だぁって
┃ ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃ あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ
13 :
ゼロな提督12:2008/04/01(火) 15:33:27 ID:/zxIhN/f
「全く驚きだ。まさか目の前に『生存者』がいたとはな。これぞまさに『大いなる意思』
の導きということだろう」
目の前のエルフはヤンを見て『生存者』と呼ぶ。彼の口から語られた『聖地』の門を無
事に通過出来た二つの存在――30年前にヨハネス・シュトラウスが乗車していた装甲車
と、60年前にハルケギニアへ飛び去った飛行物体――とヤンを同じ世界から来たと気付
いたということ。
対するヤンは何もしゃべらない。目の前のエルフの所属も目的も分からない以上、不用
意に口を開けば更に交渉上のアドバンテージを取られる。いや、それ以前に戦闘となれば
この場にいる全員が危険にさらされる。
「まず最初に言っておこう。こちらには争う意思はない。少なくとも、お前達に害を為す
必要は、今のところはない」
そう言ってビダーシャルは、その場の全員を見渡す。
タバサはシルフィードの横で無表情なまま立っている。ルイズはハルケギニアの人間の
宿敵、そして竜と並んで絶対に争いたくない相手であるエルフを前に、緊張を隠せない。
例え一度会った相手だとしても、だ。デルフリンガーは少し鞘から飛び出した状態だ。い
ざとなったら使え、という事だろう。
「私が今夜来たのは、『聖地』の門から湧いた『悪魔』の足取りを追うためだ。なんとし
ても彼等の正体を知り、大災厄を防ぎたいのだ。そのため、彼等の情報が必要なのだ」
ヤンとしても、彼から聖地に関する更なる情報を得たい。前回は救助を呼べないという
事実に打ちひしがれ、十分に話を聞けなかった。情報交換という点でヤンとビダーシャル
の利害は一致する。
だが、果たして彼の目的は情報だけなのだろうか?もし『破壊の壷』と呼ばれたゼッフ
ル粒子発生装置のように、同盟や帝国の機械類が存在したら?その技術を手にしたいと望
んでいたら?万一、使用可能な状態の兵器だったら?
「お前に関する情報は予め入手しておいた。この魔法学院における儀式において、瀕死の
重傷をおったまま召喚されたそうだな。まさか『悪魔』と同じ世界から召喚されたとは、
そこの娘に感謝せねばならない」
そこの娘、と言われたルイズは言葉に詰まる。
ヤンも、覚悟を決める時だと認めざるを得なかった。
第十二話 門
「ヤンよ、油断すんなよ」
「大丈夫だよ。彼は本当に話し合いに来ただけだ」
ヤンは、僅かながらエルフへの警戒心を解く。その様子にビダーシャルも僅かに微笑み
を浮かべる。
『ルイズがヤンをサモン・サーヴァントで召喚した』ことを知っている。タバサに学院
への案内とヤンへの面会を依頼した。
これはつまり、ビダーシャルがハルケギニアにおいて相応の組織をバックに活動してい
る事を示している。その組織はタバサに関係がある組織だろう。また堂々と「客」と言っ
てルイズとヤンを連れてきた所を見ると、タバサもビダーシャルも、背後の組織を隠す気
はないようだ。それにまさか、ヤンという重要な情報源を口封じに殺すとも思えない。連
れ去るつもりなら既にやっている。捕らえた後『ギアス(誓約)』等の洗脳魔法でもかけ
ればいいのだから。
ならば、ここは目の前のエルフをある程度信用すべきだろう。
しえん
15 :
ゼロな提督12:2008/04/01(火) 15:35:52 ID:/zxIhN/f
ヤンは一歩前に進んだ。
「なら、まずは所属を教えて欲しい。君の出身と、ハルケギニアでの君の所属組織を」
聞かれたビダーシャルは少し驚いたように目を開き、そして自分の名前しか名乗ってい
なかった事を思い出した。
切れ長の目が視線をずらしてタバサを見る。タバサは小さく頷いた。
「失礼した。では改めて自己紹介しよう。
私はビダーシャル。エルフの中の「ネフテス」という部族の一員であり、「老評議会」
の議員を務めている。テュリューク統領より、シャタイーンの門の活性化を押さえるべく
ハルケギニアへ派遣された。
ハルケギニアでの所属だが、今の段階ではどこにも所属していない。ただ、タバサ殿の
故国であるガリアに協力を申し出ている最中だ」
そう言ってビダーシャルが再びタバサへ視線を送ると、ボソッと小さな声が漏れた。
「案内を命じられた」
それだけ言うと、再び押し黙ってしまった。
タバサがガリアから来ていた事や、ガリア王家と縁ある人物だとは、ルイズもヤンも初
耳だ。だからといって、今はそんな事に気をまわしている場合ではないが。
ただ、ガリア王家の意図はともかく、ビダーシャル個人としては敵対する気も隠し事を
する気も無い事を理解出来た。むしろガリア王家が、宿敵のはずのエルフに協力の姿勢を
示している事、ヤンが召喚されたのを知っている事、この二つが分かった事は大きな収穫
だろう。
「ヤン…」
ルイズは不安げにヤンを見上げる。
「大丈夫。安心してよさそうだよ」
ヤンは小さな主に、ちょっとぎこちない笑顔を向ける。
それにしても、『聖地』か・・・
ヤンは改めてハルケギニアにおける『聖地』を思い出してみる。
東にある砂漠の彼方、始祖ブリミルがハルケギニアに初めて降り立ったとされる伝説の
地域。エルフはこの地を「シャイターン(悪魔)の門」と呼び、封じている。以来、聖地
への道は閉ざされたままだ。
この「門」はハルケギニアと異世界、即ちヤンが住んでいた宇宙をつなぐものらしい。
現在でも「門」から色々飛び出していることをビダーシャルから聞いた。
ただし、ヤンの世界の人類は、既に宇宙進出を果たし、生活の場は宇宙に移っている。
そして「門」は星系間を航行している艦船等を召喚することがあるようで、その度にハル
ケギニアの大気に減速無しで突っ込んだ被召喚物が生み出す大爆発で半径10リーグほど
のクレーターを作っている。
「正直に言おう。『門』の活性化により生み出される嵐が、もはや精霊の力でも押さえき
れない程になった。その金属板を有していた物体が現れた時を筆頭に、かつて無いほどの
頻度で『門』が開いている。
連日のように『門』が強力な閃光を天へ放ったり、多数の小爆発を起こしているのだ」
ヤンは、改めてルイズの持つ黒こげの金属板を見る。ルイズは黙ってヤンに金属板を手
渡す。
彼はその板に描かれた同盟の国旗を、そして金属板のサイズや形状をじっくりと見てみ
る。そして、一つの事に思い至った。そのタイプの国旗が装着されていたはずの兵器を思
い出したのだ。
「スパルタニアンだ…」
その言葉は、ルイズにもタバサにもデルフリンガーにもビダーシャルにも、聞き覚えの
ない物だった。ただ一人、ヤンだけが事の重大さを、絶望的なまでの災厄が近付いている
事を思い知らされた。
しえーん
17 :
ゼロな提督12:2008/04/01(火) 15:39:04 ID:/zxIhN/f
スパルタニアンは、同盟の単座式戦闘艇のこと。小型高機動の接近格闘戦用機であり、
雷撃艇に似た機能も持つ。高速で宇宙空間を疾走する母艦から発進した時点で、既に母艦
以上の速度を出している。1秒で140発のウラン238弾を撃ち、中性子弾頭や水爆のミサ
イルを搭載している。
そんな物を召喚して、よく原型を留めた部品が残っていたものだと感心してしまう。
そして同時に、背筋に凄まじい悪寒が走る。
一体、『聖地』周辺の土・水・大気の汚染はどれ程の物か。いくら大地の精霊が残骸や
汚染土壌を地の底に封じ、風と水の精霊が放射性物質や劇毒物の拡散を押さえ込んでいる
としても、いくらなんでも限度がある。風向き次第で、トリステインで死の灰が降っても
不思議はない。
しかも、単座式戦闘艇ということは、パイロットがいると言う事だ。「門」の被害は、
死者はハルケギニアのみならず、同盟や帝国にも及んでいる。しかもそれが千年に渡り続
いている。
そして最近は、精霊の手に余るほどの頻度、ほぼ連日のように召喚をしているというの
だ。いや、頻度の活性化だけなら問題は少ない。聖地の大地がだんだん抉れていくだけの
こと。
だが今後、「門のサイズ」が活性化しないと言い切れるだろうか?
この金属板が貼られていたのはスパルタニアン、小型戦闘機だ。ヨハネスが乗車してい
たのは装甲車だ。では、もしも、全長1kmを超える戦艦や大型輸送船が飛び出してきた
ら…。
飛び出せたならまだ良い。爆発もせずに飛び出せたなら、あとは地上に落下するだけ。
運が良ければ、M8クラスの大地震や大津波が一発くるくらいで済むだろう。だがもし、
「門」が開ききる前に突っ込んでしまったらどうなるか?通りきる前に「門」が閉じたと
したら?
ローゼンリッターの斧は綺麗に切り裂かれた。ならば核融合炉も同じく切り裂かれるだ
ろう。
核融合は核分裂反応のような連鎖反応がなく、暴走が原理的に生じない。だが放射能の
危険性は炉心と燃料の三重水素(トリチウム)において依然として無視できない。そして
何より、考えたくないが、炉の内部は恒星と同じ状態なのだ。物質はプラズマ状態の極高
温で荒れ狂っている。
いや、これはサモン・サーヴァントのように『何かが召喚される』時の話だ。万が一、
召喚とは関係なく、ただ漫然と「門」が開いてしまったら・・・。
ヤンの深刻すぎる懸念と恐怖は、彼を見ているビダーシャルにも漂ってくるほどだ。
「どうやら、事態の重大さを理解してもらえたようだな」
ゆっくりと視線をエルフへ戻したヤンは、ぎこちなく頷いた。
「『聖地』について、もっと詳しく教えて欲しい」
「分かった。では代わりに『悪魔』達について教えて欲しい」
ビダーシャルも涼やかに頷いた。
こうして、二人は語り合い続けた。
それを周りで見ているルイズとタバサとシルフィード、ヤンの背のデルフリンガーも二
人の情報交換を邪魔せず、ほとんどじっと話を聞き入っていた。もっとも、口を挟みたく
ても挟めなかったろう。二人の話は、特にヤンの話は想像の範囲を超えているのだから。
よっしゃ提督の人キタコレ!!
支援支援っ
エルフと共闘ってのも珍しい支援
20 :
ゼロな提督12:2008/04/01(火) 15:43:15 ID:/zxIhN/f
ビダーシャルが語る聖地、シャタイーン、虚無。
「『四の悪魔揃いし時、真の悪魔の力は目覚めん。真の悪魔の力は、再び大災厄をもたら
すであろう』…我らの予言だ。力は持つ者によって光にも闇にも変わる。かつて我らの世
界を滅ぼしかけた力だ」
「四の悪魔…始祖ブリミルが持つという、伝説の『虚無』の系統。その使い手が4人揃う
時…ということかな?」
ヤンの推測にビダーシャルは「うむ」と呟く。
「六千年前の大災厄以来、かつて何度か、悪魔の力は揃いそうになった。その度に我らは
恐怖した。我らは大災厄をもたらした『シャタイーンの門』をそっとしておきたいのだ。
知を持つ者が触れざる場所にしておきたいのだ。それでこそ世界の安全は保たれる」
その言葉に、ようやくルイズとデルフリンガーが口を挟んだ。
「でも、エルフの世界が滅ぶからって、長年敵対してきたハルケギニアの私達に助けてく
れだなんて…」
「だよなー、ちょいとムシがよすぎねーか?」
その言葉を聞いたビダーシャルは少し眉をひそめた。そしてヤンも二人をたしなめる。
「いいかい、二人とも。例え敵同士だとしても、『相手の事なんかどうなってもいい』な
んて考えてはいけないよ。双方とも同じ人間…この場合は人間とエルフで少し違うかもし
れないけど。でも、見ての通り話の分かる存在だって分かったろう?」
注意されたルイズは「え〜?でも〜だってぇ〜」と納得出来ない様子だ。
「それと、彼の話だけど、滅ぶのはエルフだけじゃないよ。間違いなくハルケギニア、い
や、東方を含めた全てが、生きとし生けるもの全てが滅ぶ。これは、それだけの危機を含
んだ話なんだ」
ヤンの言葉はルイズには、いや、タバサにもデルフリンガーにも理解を超えた話だ。理
解出来ているのは、『聖地』の惨状を知るビダーシャルだけ。
だが、そのビダーシャルにしても、ヤンが語り始めた宇宙の物語は想像を絶していた。
『聖地』を知っていてすら、なお理解の範疇を大きく外れている。
当然の事だろう。地上で暮らす彼等に、真空とか無重力とか理解出来るはずがない。ヤ
ンが異界から召喚された事を知っている一同にとってすら、ヤンの正気を疑いたくなる話
だ。
話を聞き終えたビダーシャルが、ようやくなんとか質問する気になった。
「・・・つまり、ええと、君たちの船は音より遙かに速く飛んでいるというのか?風の精
霊が全く存在しない、『しんくう』とか言う世界を?あの星空の中を?」
切れ長の目は頷くヤンを見ていない。満天の星空を見上げている。
「そのままの速さで大気にぶつかったら、その瞬間に燃え、溶け、砕ける…『聖地』の嵐
はそれが原因だと、そう言うのだね?」
「はい」
ヤンは当然のように答えるが、ビダーシャル含め、その場の全員がポカンとしている。
ヤンも予想していた事だ。音より速く飛ぶ、というより音に速度があるという発想自体が
彼等にはないのだから。エルフの技術水準なら音が波であり速度を持つと知っているかも
知れない。だが大気にぶつかって燃えるなど、さすがに想像も付かない話なのはやむを得
ない。
そしてエルフは、さらに眉をひそめて話を続ける。
「そして、もし万が一、門が直接君の世界と繋がったら、空気が全てしんくうの中に吸い
出されてしまう、と?」
再び頷くヤン。
「そうです。これがサモン・サーヴァントなら、召喚の門に接触した物体のみを、こちら
の世界へ喚び寄せます。…そうだよね?二人とも」
ヤンは後ろで話を聞いているメイジの少女二人に確認する。かなり話に置いて行かれて
いた二人だが、睡魔と戦いつつも、ともかく頭を上下に振った。
ちなみに青い風竜は、既に熟睡して大イビキをかいている。
支援
22 :
ゼロな提督12:2008/04/01(火) 15:46:57 ID:/zxIhN/f
「…ということですので、だから気圧差の問題が生じないのです。『真空』とは空気も含
めて『何もない』ことですから、何も召喚の門に触れません。
ですが、もし直接に僕らの世界と繋がったら、そしてそれが宇宙空間だったら…まず門
を開いたメイジ本人が周囲の全てごと宇宙空間に吸い出されて、死にます。
それで門が閉じればいいですが、万一、聖地の門と同じく開きっぱなしになったりした
ら…底が抜けた樽と同じです」
真剣に語るヤンとは裏腹に、ビダーシャルは腕組みをして考え込んでしまう。嘘か真か
判断が付かず困っているのは明らかだ。デルフリンガーは既に聞く事自体を放棄してる。
ルイズとタバサは、何とか話についてこようと必死になって二人の会話に耳を澄ましてい
た。
ビダーシャルは散々思索を巡らした後にようやく、観念したような口調で考えを口にし
た。
「何とも想像を絶するというか…正直、荒唐無稽としか言いようのない話で、今この場で
お前の話を信じる事は難しい」
「でしょうね。私も信じてくれとは言いません。ただ、『門』がこれ以上活性化すれば、
本当に世界が滅ぶということだけ分かってくれれば十分です」
ビダーシャルは、どうにか理解出来る結論に落ち着いて、安心したように息を吐いた。
「うむ。その点を同意してもらえたなら、私も遠路はるばる来た甲斐があるというもの。
出来るなら、他の者達にも伝えて欲しい。『虚無に触れてはならない』と」
ここでタバサが、初めて自分から口を開いた。
「門の向こうへ、手紙を送れない?」
その言葉に、ヤンは諦め混じりで首を横に振った。
「だめだよ…。僕は魔法関連の本をいくらか読んだだけなので、魔法には詳しくない。で
も、『召喚』のゲートが開くという事は、門の向こうから何かが飛びだしてくる時だ、と
いうことなのは分かるよ。
つまり、こっちに向かって飛んでくる物を押し返した上で手紙を突っ込まなきゃならな
い、ということだよ。半径10リーグの大穴をあける物体を、ね。
しかも、宇宙のどこに門が繋がってるかも分からない。広大な星の海の中で手紙が届く
可能性なんて、ゼロと言っていいさ」
口にはしなかったが、通信機から信号を送るのも同じく無理、と考えている。宇宙のど
こに繋がるかも分からない門へ信号を送ったところで、その信号を拾う人が門へ突っ込も
うとしている『被召喚者』以外にいる可能性は低い。例え信号を拾っても、その内容は常
識からかけ離れている。どこかの暇な変人によるイタズラと考えるのがオチだろう。信じ
るはずがない。そもそも、そんな通信をしようとしている間に爆風で自分が死ぬから、結
局送れない。
信じたとしても、門は宇宙のどこにいつ開くかなんて分からない。開いた瞬間には回避
不能な状態になっている。警戒のしようがないのだ。
始祖ブリミルが残した遺産は、両世界にとって大いなる災厄の種となっているというこ
とだ。
ともかくだ、とビダーシャルは結論を語り出した。
「お前の話…ええと、自由惑星同盟と銀河帝国、イゼルローン要塞に皇帝ラインハルト…
だったな?その宇宙に広がりし蛮人達の物語、そしてお前の教えてくれた大災厄の姿。一
旦ネフテスに戻り老評議会で報告しようと思う。
正直、とても信じてはもらえないと思うが、な」
「構いませんよ。参考にくらいはなるでしょう」
ビダーシャルはヤンに一礼する。そして横を向き、暗い森の奥を見つめた。
「そこの者も、今聞いていた話を良く覚えていて欲しい。そして、出来る限り広く語って
欲しい」
とたんに茂みの奥からガサガサガサッ!と音がする。
支援
支援
25 :
ゼロな提督12:2008/04/01(火) 15:52:58 ID:/zxIhN/f
少々の静けさの後に闇の中から現れたのは、いつものようにロングビル。
ヤンも毎度の事に呆れ顔。
「いやはや、気付かれてたかい…さすがエルフだねぇ」
出てきたロングビルは、ヤンに呆れ顔をされても気にとめた様子はない。既に開き直っ
てる。
「やれやれ…また夜の散歩中に見つけたってわけかい?」
「ま、そういうわけさ。なにせ、夜にあんたを見つけると、ほぼ必ず面白い事が起きるん
だ。最近じゃ用が無くても、ついつい寮塔の周りをうろついちまうよ」
その言葉に、ルイズとデルフリンガーまで呆れてしまう。
そんな闖入者は気にせず、ビダーシャルとタバサはシルフィードに飛び乗った。
「では、異界からの来訪者よ、また会おう!」
そしてエルフは白み始めた空を貫いて、東へ去っていった。
後には、夜を徹して語り続けたヤンと、その話を聞き続けたルイズとロングビルが残っ
た。全員、睡眠不足の大あくびをしてしまう。
そんなわけで、話は後にしてとりあえずは学院に戻って少しでも休もうという事になっ
た。
無論、その日の授業中、ルイズは寝てばかり。散々教師に怒られた。
ヤンとロングビルも学院長室で勉強をしようとして、そのまま机に突っ伏して寝てしま
う。
それを横で見ているオスマンは、
「おーい、二人とも。起きなされ〜」
でも二人とも起きる様子はない。
「ロングビルや〜、仕事中じゃぞ〜」
緑の長い髪を机の上に広げたまま、すぅすぅと寝息を立てている。
「モートソグニル」
学院長の机の下から、小さなハツカネズミが現れた。ちゅうちゅうと鳴きながら、秘書
の足下へ走っていって、すぐ戻ってくる。そして学院長のローブを器用に登って肩に乗っ
た。
「なにっ!?今日は黒のレースじゃと…信じられん。これは、この目で確認せねばなるま
いて!」
と呟くや、オスマンは男の本能丸出しなニヤニヤ笑いをしだす。
すすぅ〜とロングビルに近寄り、体を屈めて、二人が本を広げている机の下に頭を突っ
込もうと
「ふんぬっ!」ドゴッ!「んぎゃっ!」
どうやら若さを持て余す老人の邪心が強すぎたらしい。本能で身の危険を察知したロン
グビルのヒールが白髪の頭にめり込んだ。
こうして3人とも、メイドのカミーユが昼食に呼びに来るまで、机を囲んでグッスリ眠
るのだった。
ヤンは、その日の午後にロングビルと共にオスマンへビダーシャルとの話を、出来る限
り分かりやすく報告した。また、夜はルイズと共にキュルケにも話してみた。
その結果は、言うまでもないが、「想像が付かない」「信じられない」等だった。
26 :
ゼロな提督12:2008/04/01(火) 15:55:07 ID:/zxIhN/f
ヤンは青息吐息で寝る事にした。
「なんでぇなんでぇ辛気くせぇなぁ。そんなにしょげかえるなよ」
デルフリンガーが励ましてくれるが、ヤンの表情は冴えないままだ。
「はぁ〜、困ったもんだよ…こんな重大な話なのに、誰にも信じてもらえないなんて」
上着を脱ぎながらぼやくヤンに、制服を脱ぎながらルイズが声をかける。
「そりゃ、しょうがないわよ。あのシュトラウスって人の手記を知ってる私や学院長です
ら、信じられないのよ?『始祖が残した虚無の力が世界を滅ぼす』なんて、このハルケギ
ニアでは誰も信じないわ。でも、これは別にあなたのせいじゃないから、気にしてもしょ
うがないわよ。
あ、これ、洗っておいてね。毎度毎度シエスタに頼んでないで、たまには自分でやりな
さいよ!」
と言ってヤンに投げてよこしたのはルイズのショーツ。
慰めの言葉と鞭打つセリフを同時に投げかけるのが、僕の主の魅力なんだろうか…なん
て複雑な心境を抱きつつ、ヤンはクローゼットから取り出した黒のネグリジェをルイズに
着せる。
ついでに、いい加減、僕に服を着させるのはやめてくれないかなぁ…これじゃ執事とい
うより保父さんだよ、とも思ったが。口にしたら殺されかねないので黙っておいた。
次の日の朝、未だにヤンはぼんやりしていた。
普段からぼんやりしているヤンだが、今朝はさらに輪をかけてぼんやりしている。
立ったまま寝ているんじゃなかろうか?というくらいの勢いなぼんやりっぷり。
「ちょっと…ぼーっとしてないで、ショーツ出してよ」
「・・・え?あ、ああ、そうだね。・・・うん。そうだよね」
ベッドの上のルイズに声をかけられ、ようやくヤンは我に返った。そして何かを自分に
言い聞かせるように「そうだな…うん、そうだよな」と呟きながら新しいショーツを取り
出す。
「よぉ、ヤンよ。さっきから何をブツブツ言ってンだ?」
デルフリンガーの問に、ヤンは答えるのを躊躇した。
ショーツを手にしたまま天井を見上げ、しばし考え込む。
「あのね、ヤン。とにかく着替えるわよ」
「ん?…うん、そうか、そうだね」
再び我に返って慌ててルイズに駆け寄りネグリジェを脱がせる。脱がせながらもヤンは
ぼんやりと考え事をしたままだ。裸のルイズに「ちょっと、シャキッとしなさいよ」と怒
られながら、ノロノロと動く。
ルイズに制服を着せながら、今度は「…だな。そうしよう」と、何か決心のような独り
言を言いだした。
「ねぇ。昨日のエルフの話、ずっと考えてるの?」
マントを纏いながら見上げるルイズに、ヤンはようやくまとまった答えをした。
「まあ、ね。聖地の門の件、やっぱりほっとくわけにはいかないなぁ…と思ってね。僕自
身のためにも、僕がいた宇宙のためにも、このハルケギニアのためにも。放置するには危
険すぎるんだ」
その言葉に、ルイズはどう答えたものか首を傾げてしまう。デルフリンガーがツバをカ
チカチ鳴らす。
「まぁ、なんだかわかんねーけど、『門』が危険なものだってことは間違いねーんだろ?
んで、お前はどうする気だよ『聖地』まで行くってのか?」
「はは、まさか。『聖地』に行ったってどうする事も出来ないよ。何しろハルケギニアよ
り文明の進んだエルフでも押さえ込めないんだ。知識を提供するだけなら、ビダーシャル
に伝えればいい。
まぁ…どっちにしても、信じてはもらえないから意味無いし」
「それじゃ、どうするつもりなの?」
ルイズに改めて問われ、ヤンは少し息を吸い、彼の出した結論を吐き出した。
「『虚無』を追う。そして、できれば『門』を塞ぎたい」
27 :
ゼロな提督12:2008/04/01(火) 15:58:25 ID:/zxIhN/f
デルフリンガーは彼の言葉を、そのままに理解した。
「ほっほー、そいつは大層なこったなぁ。大仕事になるぜぇ」
その言葉の意味、最初ルイズもそのままに理解しようとした。
だが、すぐに気付いた。
『門』を塞ぐ事は、彼が故郷に帰還する手がかりを自分で放棄するということ。
彼女のクリクリの目が、鳶色の瞳が彼を見上げる。透き通るような白い肌の頬に、一筋
の汗が流れる。
細い首からツバを飲み込む音がする。
沈黙の後、ルイズは覚悟を決めて口を開いた。
「・・・いいの?」
「うん」
ヤンは、迷いなく答えた。
「使い魔は主の系統を表し、決して偶然に、適当に選ばれるものじゃない…らしい。
なら、君が僕を召喚したのも、もしかしたら失敗じゃなく、ちゃんとした意味があるん
じゃないかな?」
「意味…?」
「うん。…まぁ、こじつけかも知れないけど。
ともかく、『聖地の門』は危険なんだ。このまま放置しても、ハルケギニア、エルフ、
帝国や同盟、『東方』も亞人も全て含めて、誰のためにもならないんだ。そして僕は、こ
の事実を知ってしまった。恐らく、ハルケギニアで一番『門』の危険性を理解している存
在だろうね。
なら、ビダーシャルの警告には反するかも知れないけど、『虚無』を調べてみようと思
う。そして出来るなら、『聖地』にある召喚ゲートを封鎖したいんだ。これ以上の被害を
出さないために」
ルイズは、真っ直ぐにヤンを見つめる。
デルフリンガーもヤンの真意にようやく気が付いた。
「なら、おめぇ…帰るのは諦めるってことか?」
「諦めたくはないけど…でも、結果として、そうなるかもね」
彼にとって絶望的なはずの言葉だが、彼の顔に絶望は無い。むしろ、強い決意が浮かん
でいる。
ルイズはヤンを見上げた。
自分の使い魔を、冴えない外見に似合わぬ知力と胆力を持つ男を。様々な知識を授けて
くれるグータラ執事を。
彼女は、小さな右手を差し出した。
「なら、主として協力するとしましょう!あたしだって、あのエルフの話は気になるし。
後の事は安心なさい。あんたみたいなオッサンの一人や二人、ヴァリエール家で老後の
面倒までみたげるわ」
ヤンも微笑んで右手を差し出す。
「それは嬉しいなぁ。是非お願いするよ。出来ればタルブのワインがあれば最高かな」
「それは自分で買いなさい」
「厳しいご主人様だねぇ」
そんな話をしつつも、二人は固く手を握り合っている。
第十二話 門 END
支援
29 :
ゼロな提督12:2008/04/01(火) 16:02:07 ID:/zxIhN/f
第十二話、以上で終了です
テンプレ無視のオリジナルストーリー、しかも戦闘シーンはゼロ。
果たしてこれでいいのか・・・という問には、こう答えます
「これでいいのだ!」
乙ー
面白ければ何も問題はなく、そして貴方のSSは面白い!
お疲れ様。
一応言っておく。
戦闘シーンがSSの全てじゃないんだぜ?
だから次も自信を持って書いて欲しい。
投下乙&GJです。
いいじゃないですか、戦わないガンダールブだって。
主を危険に曝さない一番の方法は、戦わずに勝つことで、ヤンはそれが出来るんですから。
戦闘シーンなんてただの一演出です。
バトル厨にはそれが判らんのです。
乙です。
戦闘シーンなんて読み手に刺激を与えるただの強烈なスパイスだよ。
それを必ず使わないといけないなんて事はない。
クロス物の存在意義は大きく分けて二つと思います。
・この世界観にこのキャラ持って来たらおもしれー
・このキャラにこのキャラを組み合わせたらおもしれー
この両方を満たす作品として面白いと思いますよ。乙。
>>29 投下乙です!いつも楽しみに読ませて貰ってますよ〜。
ヤンがもし直接剣を握って戦ったら、なんて光景を想像してしまったのだけど、
自衛隊員の格好をした福田総理並に似つかわしくなくて吹いてしまいましたw
以下、銀英伝の話禁止
/ \ ヽ
/ ,r'⌒ヽ、 \ ヽ
/  ̄ ̄ \ ゙l
/ \ ,l
/ \ ,l
(⌒`゙`¬ー-、、__ \ ,l
V レ' ;|:.:.:.:.://`゙`フ¬ー-、断断 \ ,l
/-、ヽ,:|:.:.:,/ /:.:.://.:,:ィ断断断断 \ _」
/'ヽ、ヾi ゙´.: /__;:;:-'"´ ,;|断断断断断 _V
,r'ゝ-`';:/ .:〈ニ=-=ニ二 ̄ヽレ',!断断断断 / ̄
,l::::;;;;;/ ' ,, ニ`ー-,、__\〉ィ,!ミミミ断断断断 /
,l';:::::/ ::. ::.,,\_ゞ;'> 〈;,!ミミマ7コ断断断断
彡:::::iヾ-'、::.. '';~ ,;:'彡州ミミジ/断断断断
,彡彡´l_、,.` .: ,;:'彡彡州ジ’/ 断断断
彡彡 ('ー、ヽ ..: ,;'彡彡シジ’ / 断断
彡彡 `ヾ:、゙、 ,..:'.:'"彡彡シジ’ /,!、
"彡彡;, ¨` , ; ;彡彡シジ’ / `゙`ーー─-、、_
"彡彡彡彡彡彡彡彡彡ジ / /
"彡彡彡彡彡彡彡ジ’ / /
"彡彡彡彡彡ジ ノ /
将軍 ダガ・コ・トワル [ Daga co Towal ] ( 西暦一世紀前半 〜 没年不明 )
皇帝カンリニヌスへの忠誠心が高く、ウプレカス反乱軍の捕虜になった際、
「帝国軍の暗号解読法を教えれば命は助ける」との申し出を拒否し殉死した。
投下、よろしい?
アア、オクレタウエニコノデキハアンマリ…マ、イイヤ
ヨケレバ10プンゴニ
支援
支援いたします。
アリガトウ。投下スルケド、あんま期待しないでね
あと提督の人乙
懐かしい夢を見た。
そう、あれは特攻兵器が空を覆いつくす前の、自分がまだただの少女だった時だ。
私には親はいなかった。あの情勢では親や兄弟を失うなど別にどこにでもある話だったし、
それに私にはたった一人の姉さんがいた。
姉さんは、腕利きのレイヴンだった。私はそのことを責めはしていなかったが…いつも危
険な任務を受ける姉さんをいつも心配していたし、その一方で誇りにも思っていた。
あまり二人きりになることはなかった。「お前は家を守ってくれ」それが姉さんとの約束だ
ったからだ。
そして、たまに二人で食事をする。わずかな時間だが、本当に楽しかった。
そう、それはもう戻ることのない記憶。戻ることの出来ない、過去の思い出。
窓から差し込む朝日と、鳥のさえずりに彼女が目を覚ましてみると…そこは見慣れたACの
コックピットではなく、白い天井だった。
「…まだあんな夢を見るのか、自分は」
とっくの昔に決別していははずなのに…ところどころ痛む身体に負担がかからないように、
ゆっくりと上体を起こしてみる。自分の体はベッドに寝かされていた。周りを見渡してみ
ると、木でできた棚に薬品がおかれており、それがいくつか並んでいる。タオルのかかっ
た仕切りと、大きな鏡。全体的に白で統一された部屋の状況からして、どうやら医務室の
ようだ。此処で寝ている自分しか部屋にはいないため、確認の仕様がないが。
ぼんやりした頭を覚ますため近くにあった濡れタオルで顔を拭く―――冷えた水が肌に当
たって心地よかった。
ベッドの上だが、ようやく調子を取り戻したレイヴン―――ジナイーダは、
さて、彼女がここに来る前、始まりであり、終わりでもあるアライアンスとバーテックス
の対立が引き分けで終わったときだった。
ジナイーダはジャック・Oの依頼―――サークシティ地下にある、二度にわたり大破壊を
生み出した元凶であるインターネサインに向かい、それを破壊してほしい―――という依
頼を受けたのである。
インターネサインに急行し、無事に依頼を達成させた彼女は、オペレーターの情報により
最下層で活動していた同じ依頼を受けたレイヴンが「あの男」だと知るや、戦いを―――
―言いがかりもいいところだが、対決した。結果は、激しい戦いでファシネイターは大破。
爆発する前も彼女は戦闘で自分は左目をやられ、数箇所の骨も折れていた。それ以前に全
身に傷を受けて、出血多量で意識も朦朧としていた。
そして、ファシネイターはゆっくりと力を失い――――。
「…爆発は確認していない。あの後、目の前に光が見え、そこで意識を失ったわけだ…も
しかすると、私は助けられたのか?」
何を馬鹿な、あの空間から助け出せる奴がいるというのか。だが、実際に自分は此処にい
る。天国ではなさそうだし、そもそもジナイーダはそんな存在を信じるほど宗教家でもな
い。あるとすれば地獄だけだろう。
しまった。上のやつ誤爆orz
懐かしい夢を見た。
そう、あれは特攻兵器が空を覆いつくす前の、自分がまだただの少女だった時だ。
私には親はいなかった。あの情勢では親や兄弟を失うなど別にどこにでもある話だったし、
それに私にはたった一人の姉さんがいた。
姉さんは、腕利きのレイヴンだった。私はそのことを責めはしていなかったが…いつも危
険な任務を受ける姉さんをいつも心配していたし、その一方で誇りにも思っていた。
あまり二人きりになることはなかった。「お前は家を守ってくれ」それが姉さんとの約束だ
ったからだ。
そして、たまに二人で食事をする。わずかな時間だが、本当に楽しかった。
そう、それはもう戻ることのない記憶。戻ることの出来ない、過去の思い出。
窓から差し込む朝日と、鳥のさえずりに彼女が目を覚ましてみると…そこは見慣れたACの
コックピットではなく、白い天井だった。
「…まだあんな夢を見るのか、自分は」
とっくの昔に決別していたはずなのに…ところどころ痛む身体に負担がかからないように、
ゆっくりと上体を起こしてみる。自分の体はベッドに寝かされていた。周りを見渡してみ
ると、木でできた棚に薬品がおかれており、それがいくつか並んでいる。タオルのかかっ
た仕切りと、大きな鏡。全体的に白で統一された部屋の状況からして、どうやら医務室の
ようだ。此処で寝ている自分しか部屋にはいないため、確認の仕様がないが。
ぼんやりした頭を覚ますため近くにあった濡れタオルで顔を拭く―――冷えた水が肌に当
たって心地よかった。
さて、彼女がここに来る前までの記憶をさかのぼれば、始まりであり、終わりでもあるアライアンスとバーテックスの対立が引き分けで終わったときだった。
ジナイーダはジャック・Oの依頼―――サークシティ地下にある、二度にわたり大破壊を
生み出した元凶であるインターネサインに向かい、それを破壊してほしい―――という依
頼を受けたのである。
インターネサインに急行し、無事に依頼を達成させた彼女は、オペレーターの情報により
最下層で活動していた同じ依頼を受けたレイヴンが「あの男」だと知るや、戦いを―――
―言いがかりもいいところだが、対決した。結果は、激しい戦いでファシネイターは大破。
爆発する前も彼女は戦闘で自分は左目をやられ、数箇所の骨も折れていた。それ以前に全
身に傷を受けて、出血多量で意識も朦朧としていた。
そして、ファシネイターはゆっくりと力を失い――――。
「…爆発は確認していない。あの後、目の前に光が見え、そこで意識を失ったわけだ…も
しかすると、私は助けられたのか?」
何を馬鹿な、あの空間から助け出せる奴がいるというのか。だが、実際に自分は此処にい
る。天国ではなさそうだし、そもそもジナイーダはそんな存在を信じるほど宗教家でもな
い。あるとすれば地獄だけだろう。
視線を落とすと、見えるのは白いベッドと自分の傷を覆う包帯。普段着を兼ねたダークブ
ルーのコートを兼ねたパイロットスーツは脱がされ、いかにも病人らしい白い着衣となっ
ていた。ここへ来る途中で脱がされたのだろうか。まあ、怪我人の治療には邪魔だったの
に加えてあんなにぼろぼろだったのだから、仕方がない。服から見える肌にはあちこちに
包帯が巻かれているが、なにか薬品を盛られたような跡はないようだ。
ふと、左目の部分をなぞる。破片が突き刺さっていたはずの左目は、今は視力こそまだ完
全ではないがあの状態から考えればほぼ完治しているといってもいい。
「傷が、消えている?馬鹿な、あれほど深々と刺さっていたというのに」
気が付いてみれば、手足およびに肋骨の骨折も、出血多量による貧血も起こっていない。
体は健康そのものだ。いくらなんでもこれはありえない。確かに強化人間の治癒力は常人
に比べるとはるかに高いが、骨折は薬品による治療と数日間の安静が必要であるし、眼球
の怪我は手術を要するほどひどかったはずだ。もしや自分は何日間も眠っていたのか?
ジナイーダが深い思考の波に沈んでいた、その時だった。いきなり部屋のドアが開き、中
からいかにも「メイドです!」と全身で表現した黒髪の少女が入ってきたのである。こち
らを見て驚いていたあたり、まだ眠っていると思ったからだろう。ノックをしなかったの
もそのためだ。
ジナイーダは思わず舌打ちをした。しまった、此処がどこかは知らないが医療設備がある
のだ。少なくとも人はいるはずだ…。だが気配に気が付かなかった。寝すぎだ、このふぬ
けが!と心の中で自分を叱咤する。
すぐさま臨戦態勢を取る。ジナイーダにとってはここの住人は自分を拉致した「第三者」
だ。目の前の女がメイド服を着ていようが。いつもスーツに備え付けてあるリボルバーに
手を伸ばす…が、服を脱がされているために、手持ちはほとんどない。
「あ、あの…私はここで使用人をしています平民のシエスタ…きゃあっ!」
おどおどしながらも律儀に挨拶をしようとしたシエスタだが、相手が悪かった。ジナイー
ダは床を蹴りシエスタとの距離をつめると一気に床に押し倒し、咄嗟に手に取ったタオル
を首に巻きつけ、力をこめる。少々呼吸が苦しくなる程度に。
「――――――!!」
一陣の黒い風が舞ったかと思うと、いきなり首を絞められた、それしかわからなかった。
シエスタは驚きと死の恐怖でピクリとも動くことが出来ない。
「いいか、私が言えといったこと以外喋るな。破ればこの首をヘシ折るぞ」
シエスタは―――うなずくことも出来なかった。
さて、部屋の中で命をかけた(片方の思い込みによる)やり取りが行われていた頃、コル
ベールがその部屋に向かって歩いていた。手にはジナイーダの服を持っている。
彼がジナイーダの医務室に向かっているのは、オスマンが彼女を連れてこいと命令したた
めである。
はっきりいって、今回の出来事は長いときを過ごしたオールド・オスマンですら体験した
ことのないものだった。ヴァリエール家の3女、落ちこぼれと言われている少女が使い魔
を二体、その片方は人間、もう片方はゴーレム。という内容だ。こんな召還など古今東西
前例がない。特に、コルベールの話ではゴーレムは非常に高い技術力をもってして生まれ
たものらしい。
オスマンはこの状況に対し、一緒に召還された平民に事情を聞いてからでも遅くはない、
と判断した。そこで、コルベールにその平民の様子を見て来いとの仰せが来たのだ。
コルベールとしては先にルイズの進級を優先させたいところであったが、オスマンが問答
無用で、「二人を呼び出してからじゃ!」などと命令したため、もうそろそろ起きたであろ
う彼女が眠っている医務室へと向かったのであった。
そのついでに、召還した少女の服を持ってきた。治療した際何か分かるかもしれないと持
って帰っていろいろ調べてみたが服の材質から内部に仕込んであった刃物や銃器にいたる
まで全く解明できなかった。
「あの少女は一体?」
コルベールは眠っているであろう少女に警戒しつつ医務室の扉を開けた。
そこにいたのは、ほぼ下着姿のジナイーダと、彼女にタオルで首を絞められて青い顔をし
て涙目でいるシエスタ、もれなくスカートがめくれ上がれ下着が丸見えという状態の、二
人がいました。
こちらを見る二人。助けてくれ、と涙目で訴えているシエスタ。新たな敵の発見に、警戒
するジナイーダ。
「は」とコルベールは声を上げるまもなく、彼は優先して排除する敵として認識したジナ
イーダに顔面回し蹴りをくらったのであった。
ラスト・レイヴン×ゼロ 第二話
塔の学生寮で、ルイズは自室で激怒していた。
せっかくサモン・サーバントで見事なゴーレムを召還したかと思ったら、変な平民まで現
れて、その結果、コントラクト・サーバントがお流れになってしまった。先生も儀式の結
果は留意として、その平民が目を覚ますまでお流れになってしまった。自分は何も出来な
いでいて、そのまま結局帰る羽目になってしまった。
あの後は散々だった。隣の部屋の宿敵にはからかわれるし、今日廊下ですれ違った他の生
徒たちには
「何嫌なもの見せてくれたんだ!ゼロのルイズ!」
と、馬鹿にされたのだ。自分はあんたらよりも凄い使い魔を召還したというのに!
この時ルイズに見えていたのは、大事なのはあのゴーレムと魔法の成功、そして使い魔の
儀式のみ。あの平民がどうなろうと知ったことではなかったし、それがトリスティンでは
普通のことであったからだ。
さて、自室で一日中うんぬん唸っていたルイズ。そこに部屋のドアがノックされる。いら
いらしながら相手が誰か尋ねてみると、やってきたのはオスマンの秘書のロングビルだっ
た。あわててドアを開けて用件を尋ねる。
「ミス・ヴァリエール。あなたの召還したゴーレムと平民の件について、オールド・オス
マンがあなたに話があるそうです」
――――来た!
ルイズは内心小躍りしながら、表面上は平静を装いつつ「はい、わかりました」と答える。
急いでマントを手に取るとオスマンのところへ向かうロングビルの後をついていく。
廊下を歩きながら、ルイズは胸が高鳴っているのを感じた。ああ、長かった。生まれてか
らずっと魔法が使えない貴族、ということで散々言われてきたが、それも今日で終わりだ。
あのゴーレムを使い魔に出来る。そうすれば自分は「ゼロ」ではなくなる!
オスマンの部屋は塔の最上階近く、宝物庫の上にある。長い階段を上り終えると、いかに
も豪勢な扉が目に入った。オスマンの部屋の扉だ。
「オールド・オスマン。ミス・ヴァリエールをつれてきました」
「ああ、入ってくれ」
扉を開けて、中に入る。豪勢な室内にいたのは、机でお気に入りの水パイプをふかしなが
ら座っているオスマン。その傍らにいるハゲ教師コルベール(なぜか顔面が赤く腫れてい
る。なぜだ?)。そして―――
「お前が私を呼び出したヴァリエールか」
紺色のコートを着た、あの平民――――召還した少女が、こちらを睨んでいた。
「…異世界か、とてもではないが信じられんな」
空には二つの月が昇り、生徒たちどころか教師ですら寝ているような時間であったが、オ
スマンの部屋の住人はまだまだ元気である。
その中の一人であるジナイーダは、オスマンの話を一通り聞いて、先ほどからの自分の憶
測が現実のものとなりつつあり―――それと共に頭痛がいっそうひどくなるのを感じてい
た。
ちなみにこの部屋いるのは机に座るオールド・オスマンと顔を腫らしたコルベール、ジナ
イーダの隣に不機嫌そうにしているルイズである。
退室してもいいとオスマンにいわれたロングビルも此処に残った。理由は彼女も土のメイ
ジとして、ジナイーダのACに興味があるからだそうだ。
彼らからの情報では、ここはハルケギニア。地理的に言うと欧州のような大陸だ。その仲
でハルケギニアは三国に分かれており、ガリア、ゲルマニア、トリスティンが事実上支配
している(ハルケギニアはその中では小国らしい)。
住人は貴族と平民の二つ。基本的に貴族とは魔法が使える連中のことで、通常はメイジ、
と呼ばれる。使えない残りの連中を平民という。
他には、東方の砂漠にいるエルフ。およびあちこちにいる翼人といった「亜人」がいるら
しい。先住魔法という独特の魔法を使うそうだ。ちなみに違いは、杖を使うか自然の精霊
と契約するかだそうだ。ジナイーダは半信半疑で聞いていたが。
話を戻そう。ジナイーダはトリスティン魔法学校の使い魔召還の儀式において彼女の愛機
と共に召還された。そこのピンク少女、ルイズによって。彼らメイジにとって、サモン・
サーバントはこの世界を作った始祖ブリミルによる神聖な儀式のため、呼ばれた使い魔と
は必ず契約しなければならない。ということだ。
だが、これは通常の場合。あの時はゴーレムと共にジナイーダも呼び出された。しかし、
彼女が重症を負っていたためにコルベールは治療を優先。ルイズはさっさとゴーレム…フ
ァシネイターと契約したかったらしいが、同時に二つの使い魔が召還され、さらに片方が
人間ということもあり、私の回復を待って話し合いをしよう。という結論になったそうだ。
「それは、我々にとっても同じです。メイジがおらずに生活が出来て、さらにあんなゴー
レムが多数いる世界など信じられませんな」
コルベールらにしても、メイジの手を借りずに生活したり建物を建造したりACを運用する
など考えもできない。
技術が魔法に固執しているハルケギニアでは生活器具を貴族が制作・加工し、それを平民
が使って食料を生産し、供給するのが普通だ。同時に貴族の力がその国の軍事力であるた
め、貴族中心の世界といってもいい。ジナイーダのいた「平民のみが生活する世界」とは、
次元が違うようだ
ACを使うジナイーダがメイジではなく平民であることも、彼らを驚かせた。もっともこの
世界がメイジ有利に働くと知ったならば彼女は自分をメイジで押し通すつもりでいたが、
その前に「魔法?そんなもの使えるはずがないだろう」と世界観の違いからうっかり喋っ
てしまったためばれてしまっていたのである。彼女は始終これを後悔していた。
ちなみに余計なこと…自分が強化人間であることは伏せておく。無駄に相手に情報を渡す
つもりはさらさらない。それに、特攻兵器のことを話したところで彼らにはわからないで
あろうから黙っていた。
技術屋として興味があるため、さらに質問をしようとするコルベールをオスマンが手で制
する。
「ま、別世界から来たんじゃからお互いの認識の違いもあるじゃろ。自己紹介はここまで
にして、使い魔契約の件について話がしたいんじゃが」
その言葉に今までうつむいていたルイズははっと顔を上げる。なんかややこしい話が続い
ていたが、自分が此処に来たのはそのためでもあるのだ。
ジナイーダははっきり言って使い魔など言語道断であった。レイヴンとは何者にも属さず、
何者にも縛られずに、自由に生きる傭兵であり―――彼女も、そのレイヴンだからだ。自
由を失った時点でそれは死を意味する。それを、無理やり召還して一生を共にする?ブリ
ミルの神聖な儀式?貴族様からみれば聞こえは良いがこれはれっきとした誘拐だ。
さらに、もし使い魔となればこのさっきから敵意を向けているルイズが主人となるという
ことである。話ではどうやら貴族の中でも高貴な一族の末女だそうだがこんな奴に従えば
何をされるかわかったものではない。これならキサラギのAMIDAの飼育係になったほう
がまだいいほうではないか!
しかし…断るには問題もあった。外にいる連中の実力がわからない以上、安易に活動する
のはためらわれる。前の世界でも経験していた傭兵家業をすればいい、と思っていたがフ
ァシネイターが相手の手に渡っているのが非常に痛かった。自分が強化人間であるとはい
え…魔法を使うメイジの実力を過小評価することは死に至る。おまけに戦力となりそうな
ものはACを除けばほとんどない。
さらに、衣食住の問題もある。部屋の問題は別にない、食事もあちらでのサバイバル経験
が生かされるではあろうが、地理条件が全くわからないうえ、外にはモンスターとやらが
いると考えれば、うかつな行動はとるべきではない。前の世界では自分はすでに死んでい
る。とはいえ生きるのを放棄したわけではない。
学園側、主にオスマンとコルベールも、彼女をできれば使い魔にしたがっていた。だが、
コルベールが技術屋としてファシネイターに興味を持っていたため、ゴーレムが使い魔に
なったら一人になってしまうジナイーダに同情したため、そしてルイズの進級のために使
い魔となる事を望んでいたことに対し、オスマンは放って置いたら平民がゴーレム、それ
も強力なのを操ったら貴族の秩序を乱しかねないと考えたからだ。王宮に知れたらそれこ
そ戦争好きの暇をもて余した連中が何が何でも捕まえようとするだろう。
その点、ここで保護すれば、トリスティンの貴族であるヴァリエール家の使い魔として保
護できる。手を出そうにも此処はトリスティン有数の学園だ。無理にでも行動を起こそう
ならそれはこの国の皇女とオスマン、そしてヴァリエール家を敵に回すことになる。
あ、そういえばこの少女の次女だったかな、確かアカデミーに所属していたような…と新
たな問題を思い出しそうになったが、これ以上問題を掘り起こすのはやめようと結論付け
た。ま、あとでどうにかなるじゃろ。
一番の問題であったのは、胡散臭そうな目でジナイーダを見ていたルイズだった。普段の
現状から他の二人に比べて格段に平民ということを見下している彼女は、この女の喋るこ
とを頭から否定していた。
しかし、一人ならどうにか丸め込んでやるものの(本人はそう思っている)、目の前にいる
は教師と学園長である。二人ともこの平民に同情しているみたいだ。そんな女など放って
おけばいいものを!
そのゴーレム…ファシネイターだっけ?と契約できれば御の字であるが、それをこの平民
が許すはずがない。オスマンもコルベールも平民を使い魔にする方向で動いている。これ
を否定するものなら自分は進級できなくなってしまう。
最終的には
ゴーレムを持つ平民を使い魔にする→ゴーレムを好きなように使える→ゴーレムも使い
魔!
と自分を無理やり納得させた。そうでもしなければやっていけない!
結局、ジナイーダがルイズの使い魔になることになってしまった。最も、ジナイーダは情
報を得るための時間を稼ぐための寝床さえ確保できれば、こんな理不尽な契約など反故に
するつもりでいたが。
「それでは、コントラクト・サーバントをしてください。」
「コントラクト・サーバント?」
何だそれは?書類上の手続きで終わりではないのか?
ジナイーダは、ここが自分のいた世界ではなく、ファンタジーであるということを認識し
ていたが、まだよく理解できていなかった。それが、この後の悲劇を生み出すこととなる。
少し混乱していると、ルイズがつかつかとこちらに近づいてきた。ジナイーダのほうが圧
倒的に背が高いため、上目遣いで見ている。
「頭、下げなさいよ」
ぼそり、とルイズがつぶやく。頭に?マークを浮かべながら顔が届く程度まで下げる。
と、ルイズが目の前に顔を近づけた。
「…感謝しなさいよね。本当は貴族とこんなことするなんて、一生ないんだから。」
なぜか顔をしかめている…ルイズは、なにやら呪文を唱えると、いきなり顔を、もっと近
づけて―――――
唇を、重ねた。
しばらく、沈黙が続く。
パァン!と軽快な音が響いた。ジナイーダが離れたルイズの頬を叩いたのだ。本気を出し
ていない女でもレイヴン、強化人間。叩かれたルイズは回転しつつ床に倒れこんだ。
「―――――い、痛い!何すんのよ!」
「……契約のためとはいえ、いきなりキスをするとはいい度胸だ。お前は私の話を聞いて
いなかったのか?」
すさまじい形相でルイズを睨みつけるジナイーダ。微妙に涙目である。いくらレイヴンと
いえども、やはり乙女。せっかくのファーストキスを取られたのは微妙にショックだった。
むしろグーで殴らなかっただけでも感謝するべきだ。
対する床に倒れたルイズ。こっちはもっと涙目である。はたかれたという心への衝撃もあ
るし、しかもむちゃくちゃ痛い。
「もう、なんであんたみたいなやつが私の使い魔なのよ!もう、知らない。知らない!」
先ほどの平手打ちで我慢が限界に着たのか、ルイズは勢いをつけて扉を開くと、大またで
自分の部屋へずんずんと進んでいる。背後からすさまじいオーラがにじみ出ている。
「どれどれ、儀式はうまくいきましたな、少しお手を拝見…う!?」
いきなり、そう突然に、コルベールはジナイーダに首をつかまれた。成人男性の体重など
ものともせず、少女がそのままゆっくりと上へ上げていく。
「……どうやら貴様はレディーへの対応も知らないようだな?私が平民だからか?話を聞
いてないなら、今此処でわからせてやる」
ぐっ、と首に力が入る。頚動脈を押さえ、呼吸できないようにしているあたり、シエスタ
のときより本気だ。というか、このまま殺すつもりだ。
ああ、すんごい怒ってます。視線で人を殺せます。でも、なんでこんな目にあうんでしょ
うか?私なにかしましたかー!?
さすがコルベール。どの平行世界でも勝手に呼ばれた人々に召還を進めた男であり、本当
に空気の読めない男であった。
助けてくれ、とコルベールが部屋にいる二人に視線を向ける。
オスマンは召還の担当はコルベールなんだから、わしゃ何も知らんぞい。すべてはお前の
責任じゃ。という顔で鼻毛を取っていた。責任転嫁である。
ロングビルは、残念ながら女であった。冷たい目で、むしろコルベールを少し敵意を含ん
だ目で見つめている。すべての女性を代表して貴様を許さない!と言っているような顔で。
あ、はげ頭が真っ白になってきた。
「…ふん。二度目はないと思え」
顔が真っ白になってきたあたりで、ようやく気が済んだのか、ジナイーダはコルベールの
首から手を離した。
どさりと身体が崩れ落ち、咳き込むコルベール。それを生ごみを見るような目で見つめる
ジナイーダ、いやもう一人いる。
机の上では相変わらずオスマンが鼻毛―――
「ふむ、かわったルーンじゃの。どれどれ」
オスマンが、勝手にルーンを確認しスケッチしていた。オールド・オスマン!それは私の
役割ですぞ!
「これに強制力はあるのか?」
「ン…普通なら精神的服従を促す効果があるんじゃが、お前さんのような「自我」が強い
者や高等な使い魔にはルーンの力が働かんのよ。今日の生徒にもドラゴンを召還した生徒
がおったが、彼女は実力で使い魔を従えておったしの。現に、お前さんは今までどおりの
ようじゃしな」
重要なことだが、オスマンはジナイーダに強制力が働かないと思っていたらしく、言わな
かったようだ。ルイズは逆に考えていたが。結果的にオスマンの作戦勝ちである。
「…なるべく前者のほうでありたいものだ」
あんな小娘が私よりも実力が上など…考えたくもない。これでもレイヴンとして最後まで
生き残ったほうなのだから。それなりの実力は持っているつもりである。
床では、コルベールがまだうめいていた。しかし誰も助けるものはいなかった。
騒動が終わった後、ルイズはというともうはるか向こうに行ってしまっていた。後を追お
うとした帰り際、オスマンはジナイーダを呼び止めた。今度は何だと彼女が振り返ると、
オスマンは笑顔でこう答えた。
「しかし、ミス・ジナイーダ。君は本当にいい尻をしとるのお。そんな味気ないパンティ
ーでは勿体ない。黒を履けばいいと思うんじゃが」
…………………………………
「ご忠告どうも、オールド・オスマン。これからの参考にさせていただく」
ジナイーダは信じられないスピードでオスマンに接近、顔面にドロップキックを食らわせ
た。直撃をうけたオスマンは吹っ飛び、窓ガラスに激突。血だらけの屍と化した。
このジジイ、さっきまでの雰囲気はどうした!ちょっとは自重しろ! By ロングビル
今日最後の仕事をし終えたジナイーダはまさかあの白鼠が手先だったとは…今後は注意す
べきだな、と舌打ちしながらルイズの後を追っていった。
だが、どうやってズボンの中を覗くことが出来たのか?それは、オスマンの使い魔のみが
知っている。
夜は、まだまだ終わらない。
2話投下終了いたしました。やっぱり出来はあんまりよくないな…。というか
前置きが長すぎた!はっきり言ってACがでてこないじゃないか!これじゃACの名を借りた単なる小説ではないか!反省する!
………ハイ、スミマセン。
ACって個性が出てるけど、あんまり会話がないから性格がオリキャラ化しやすいな…今後は注意して書きます。
「やりすぎたんだ、お前(作者)はな!」
どいつもこいつもいい加減にしやがれwww
乙ですた
>>29 >>戦闘シーンはゼロ
でも、しっかりお色気シーンはある。ならば良し、と言わざるをえない
こんばんは。次が出来たので投下してもいいでしょうか。
よければ10分後に。
待ってました
さぁこい。
投下人みなさん乙あんどかもんかもーん
ところで提督のヤンさん、真空の危険を教えるのに魚を例えてみてはどうだろう
「僕たちは空気という水の中でしか生きられない存在だ
そして『門』の向こう側にはその水が無いので水が全て流れ出してしまう
そして水が無くなった人間という魚がどうなるかは・・・・・・想像できるね?」
あとは実行に移すだけだった。
はずなのだが、『土くれ』のフーケは思わぬところで足止めを食らっていた。
双月の光を受けて浮かび上がった魔法学院の本塔。その五階には宝物庫が備えられている。
まさにその壁面に、フーケは重力を無視した形で垂直に立っていた。腕組みをしながら。
キュルケという生徒の素行を真似してみただけなのだが――コルベールは少し気のある素振りを見せてやっただけで見事なまでの女性への免疫の無さを発揮し、宝物庫にまつわる情報を好きなだけ教えてくれた。
それによれば強力な『固定化』の魔法が施してある宝物庫の壁は、唯一物理衝撃に弱く――フーケは荒事になるがゴーレムによって壁を破壊し、中にある宝を強奪しようと画策していた。
しかし今測量したところでは、いかんせん壁が厚すぎる。彼女のゴーレムでは、馬力が足りない。
「…………」
舌打ちをする。
盗みを中止するのは口惜しいが、無茶をした時のリスクとリターンが釣り合っていない気もする。
(奪えない、となるとさっさと消えてしまおうかねぇ……オスマンのセクハラにも、いい加減うんざりしてきたとこだし)
うっすらと後ろ向きな考えが芽生えたところで、しかしフーケは思い出したことがあった。学院に潜伏している、もう一つの目的についてである。
数週間前、ヴェストリの広場で起こった騒動。ムスタディオとかいう使い魔の男と、グラモン家のぼんぼんの小競り合い。
決闘ごっこの結果など正直どうでもいい。フーケが着目したのは、ムスタディオの用いていた杖だった。
あの氷の魔法は、ムスタディオの力による物ではない。
彼自身からはさほど強い力は感じないのだ。
恐らくあの杖は、増幅器の類ではないかとフーケは当たりをつけていた。
(だとしたら、とんでもない値打ち物さ)
ドット以下の力しか感じられないムスタディオが持つだけであれほどの威力を生むのだ。
ならば、トライアングルクラスの自分が持てばどうなる?
下手をすれば「破壊の杖」よりよほど価値があるかもしれないのだ。そんな宝物に手をつけず、何が『土くれ』か。
しかし今夜は、ひいては今は機会ではないようだった。
工作を打ち切って退散しようとしたフーケだったが、塔の下が騒がしいことに気付く。生徒達が集まって何かやっている。
(あれは……)
フードの隙間から見下ろす目が細まる。
その中に、先ほどまで思考を占めていた人物の姿を見とめたからだった。
「ブレイブストーリー/ゼロ」-16
◇
「大体あんた、金目で釣ろうとするってどういう了見よ。ヴァリエール家の名が泣くわね」
「かかかか金目ですって! そそそんなやましいこと考えてないわよ! そんな下劣な発想が出てくるあんたの品格を疑うわ!」
「あら、下劣な発想はどちらかしら? あたしのはあくまで、噛み付くことでしかやり取りできないあなたのかわいそうなコミュニケーション能力を考慮した上での推論で・す・け・ど?」
「な、なななななっななな!」
どもりまくっている。
魔シンガンの掃射のようだ、というのがムスタディオの感想だった。
「あああああああんただって、あんただって色気でムスタを誘惑したくせにっ! ななな何よあのプライドも何も捨てたいやらしい格好は! ヴァリエール歴代の当主がツェルプストーを毛嫌いするのが分かるわ! なんてはしたない! 品格を疑うわ!」
「……あら? 殿方を喜ばせるのは女の嗜みだと思うけれど? 持たざる者の僻みかしら?」
「何よそのじじじじじジェスチャーはっ!?」
にやりと笑うキュルケ。胸を押さえるルイズ。
そういう話はムスタディオとしては女性だけの時にやって欲しく、見ているこちらまで赤面してしまうのである。
ぎゃんぎゃんと喚きたてるルイズをキュルケが流し目で受け流し、傍らで不気味なほどの無関心さでタバサが本をめくる。
女三人寄れば姦しいとはこういうことか、とムスタディオはタバサよりさらに一歩引いた立ち位置で、双月が照らす学院本塔を見上げた。
――城下町の衣料店での騒動において、ムスタディオが最後に覚えているのはルイズが魔法をぶっぱなし、自分の目の前で炸裂する光景だった。
そこからは記憶が途絶える。付けば部屋でベッドに横になっていて、青筋を立てたルイズにキュルケとの仲を問い質されたのだった。
内容には触れずに「相談の交換条件に名前で呼ばさせられ、敬語を禁止された」とだけ白状したら「で、相談は何? ツェルプストーには話せて私にははばかるような内容なわけ?」と一も二もなくすごまれる。今日ようやく気付いたが、こういうのは拗ねの裏返しのようだ。
しかしまさか「ヴァリエール様の様子がおかしかったから相談していた仲」とは言えず、言葉に詰まる。何も言わずにいることさえ火に油を注ぐのか、ルイズはキュルケへの怒りを膨らませていき、
「やっぱり決闘しかないわ! あの子とは一度白黒つけなくっちゃいけないのよ!」
と一人でヒートアップして隣室のキュルケへと殴り込んでしまった。
あわや室内で決闘が始められようとしたところを居合わせたタバサが杖を取り上げてとりなし、誰にも被害が及びそうにない本塔の下の広場まで出てきた、というのが事の次第である。
それにしても、なんだろうこれは。
自分の金髪を撫でながら、ムスタディオは三人娘の様子を眺める。
「ジェスチャー? あら、ごめんなさい。そんなつもりはなかったのだけれど……でもルイズ、何かやましいことがあるからこんな何でもない仕草にも悪意を感じるのじゃなくって?」
「し、白々しいわよっ!」
最初は決闘のつもりだったのだろうが、今や泥の掛け合い、ただの口喧嘩と化している。
ルイズは魔法で競うつもりが満々だったのだが、キュルケが早々に揚げ足を取り、舌戦に転換してしまったのだった。
キュルケは表情を窺うにわざと摩り替えて楽しんでいるようだが、怒髪天をついているルイズは絶対に気付いていない。ヴァリエール様は性格が悪いのではなく、ちょっと単純なだけなのかもしれないなぁとけしからん方向へ考えを改めるムスタディオである。
万一のことを考えてブレイズガンを携行していたが、この分だと出番はなさそうである。どちらかが実力行使に出ても、キュルケがあしらうかタバサが止めに入るだろう。
そんなわけで、ムスタディオは蚊帳の外だった。こちらに来てから未だかつて、これほどのどかな夜を過ごしたことがあるだろうか。
などとしみじみしていると、ルイズの魔シンガンさながらのどもり声が本塔の壁に大きく反響した。
「な、ななななななにが女の嗜みよ! そんなのただの色ボケじゃない! なあに? ゲルマニアで男を漁りすぎて相手にされなくなったから、トリステインまで留学して来たんでしょ?」
「……言ってくれるわね、ヴァリエール……」
皮肉げだったキュルケの顔がこわばる。どうやら逆鱗に触れたようだった。
こういう展開ももはや観念していたムスタディオは、ため息をつきながらブレイズガンを構える。
「何よ、ホントのことでしょう?」
キュルケとルイズもまた同時に杖を構える。ムスタディオは二人に声をかけようとして、しかし出来なかった。
その時、言いようのない感覚に全身を圧迫されたからだった。
タバサがこちらを見ていた。剣呑な二人に見向きもせず。
タバサの視線。
キュルケには相談しなかったが、ムスタディオの気になる一つである。
ルイズほどではないが、たまにタバサも自分をじっと見ていることがある。
いつものようにタバサがこちらを見ている。
なのに、何だろう。
今日は何か頭蓋骨の裏側がちりちりする。夜闇が密になる錯覚がある。燐光が視界を掠める幻視すら覚える。
これと似た感覚を――ムスタディオは何度も味わったことがあった。
これは、そう。『奴ら』が現れる予兆だ。『奴ら』が聖石を取り出し、融合を果たす瞬間の感覚。
それか、あるいは。『奴ら』が適合者を見つけた時に、聖石が嬉々とするかのごとく瞬く瞬間の感覚。
わけもわからずブレイズガンをタバサに向けて問い質しそうになる。
それを押し留めたのは、響き渡った爆発音だった。
振り向くと杖を振り下ろした姿勢のルイズが肩で息をしている。魔法を発動したようだが、対象であるはずのキュルケは呆けたように立ち尽くしている。
ぱらぱらと何かが地面にこぼれる音の正体を目で探ると、本塔のかなり上の方の壁にヒビが入っていた。
どうやら失敗魔法が狙いが盛大にそれ、壁を破壊したようである。
キュルケが腹を抱えて笑い始める。
「ゼロ! ゼロのルイズ! あたしじゃなくて壁を爆発させてどうするの! しかもあんな上の階の! 器用ね!」
笑い続けるキュルケが、「手加減してあげるからちゃんと受け止めなさいよ!」と杖を持ち上げる。
「ば、バカにしないで!」と顔を真っ赤にしながら応戦の構えを取るルイズ。
ムスタディオが感じていた空気が弛緩する。決闘を止めようとブレイズガンを構え、口を開こうとして、しかし出来なかった。
背後に気配を感じ、振り向いた先には、塔と見まがうような巨躯があった。
それが土のメイジによるゴーレムであるなどとは、ムスタディオは知る由もない。
ゴーレムが丸太どころではない太さの腕を振りかぶる。ムスタディオはこの状況では成す術もないと瞬時に悟る。キュルケの悲鳴が上がる。
しかしゴーレムは四人には見向きもせず――本塔にその拳が突き刺さった。
◇
「ふん――なかなかどうして、帰属のボンボン共もたまには役に立ってくれるじゃないの!」
一人呟きながら、フーケはゴーレムが開けた穴から宝物庫に侵入した。
様々な宝物が安置してあるがどれも無視し、奥に走る。狙いは一つ。『破壊の杖』。
断続的に乾いた音と、ガラスが砕けるようなムスタディオの魔法の炸裂音が屋内に届く。悲鳴と怒鳴り声。他の魔法の音も聞こえるが、自分のゴーレムはあの程度で破壊されるようなやわな造りではない。
フーケは意に介さず捜索を続け――そして、目的の物へたどり着いた。
「……これは」
――その形状には見覚えがあった。
彼女は壁に『破壊の杖、確かに領収いたしました。フーケ』と刻みながら、外でゴーレムと戦っているだろう者達へ意識をやる。
ますますこのままとんずらするわけにはいかなくなった、と思った。
ゴーレムのあけた穴へ戻る頃には、戦闘音は止んでいる。
◇
ごおおお、と風を切る音が耳を覆いつくす。視界は上下さかしまで、地響きを響かせながら歩み去るゴーレムの姿が映っている。その背中や脚にはところどころ、ムスタディオによる氷が花開いていた。
腹筋トレーニングの要領で上を向く。ムスタディオは片足を風竜に咥えられ、宙吊りになっていた。その竜の上にはメイジ三人がしがみついている。
「タバサ様、ありがとうございます」
冷や汗をかきながら言うと、首のあたりに優雅に座るタバサが無言で頷いた。後の二人は身なり構わずといった体だ。
ゴーレムが出現した時、真っ先に動き始めたのはムスタディオだった。キュルケが取り乱し、ルイズが唖然とする中でブレイズガンをみだれ撃つ。追ってタバサと風竜が援護に入るが、いかんせん効き目が薄い。
そうこうしている内に背中を向けていたゴーレムが標的をこちらに見据え――激しい地団駄で踏み潰されそうになったところを間一髪拾い上げられたのだった。
「な、なんなのよあのゴーレム!」
ルイズが叫ぶ。
誰にでもないその問い掛けに応じたのはタバサだった。
「多分、『土くれ』のフーケ」
その言葉に皆が絶句する中、ムスタディオは別のことに戦慄していた。
――ゴーレムをねめつけるタバサの目が、異様な輝きをを放っていた。
件の感覚が背筋に押し付けられる。
風竜が地面に降り立った。硬直したままのムスタディオが放り出され、ルイズとキュルケが降り、しかしタバサは使い魔の首ったけにしがみついたままだった。
次の瞬間、風竜が翼を大きくはためかせて浮き上がった。
「ちょっとタバサ、何してるのよ!」
キュルケが舞い上がるスカートと髪を押さえつけながら鋭い問いを飛ばす。
「フーケを追う」
「やめなさい! もし本当にフーケだとしたら、まず先生達に――」
タバサはそれ以上キュルケの言葉に耳を貸さなかった。
ホバリングをしていた風竜が砲弾のように飛び出す。あっという間にゴーレムの歩き去った方向へ飛び、夜闇に吸い込まれて消えた。
◇
「きゅい! おねえさま大丈夫なの!? あんな大きなゴーレム相手じゃ、シルフィとおねえさまだけじゃ勝ち目が薄いのね!」
股下のシルフィードが悲鳴に近い声を上げたのを一瞥する。
タバサは段々と近くなってくるゴーレムへ目線を戻し、
「大丈夫、敵わない」
「ちっとも全然これっぽっちも大丈夫じゃないのね! 引き返すのだわ! まだあちらはシルフィ達を意に介して――」
「待って!」
旋回し、方向転換をはかるシルフィードの頭を叩きながら、タバサが珍しく声を荒げた。
「大丈夫、敵わなくても殺されはしない。人質として利用されるはず」
「なおさら良くないのね! まったくもういつの間におねえさまは心の病気におかされたのかしら! シルフィなさけない!」
「考えがある。やらなきゃいけないことがあるの」
だから追って、というタバサの声には懇願の響きが含まれている。
ほどなく、学院へ戻り始めていたシルフィードが方向転換をした。再びゴーレムの背中を追って空を翔る。
「……おねえさまは何を考えているの? シルフィにはちっとも分からないのね!」
「今は言えない。でも作戦がある。私がフーケに捕まったら、まずこれを持って逃げて」
そう言って、タバサは腰からポーチを外した。一つだけ中身を取り出して懐へ仕舞い、後はシルフィードに咥えさせる。
「それから、言った通りに行動して」
タバサは口の利けなくなったシルフィードの耳に口を寄せた。
――ゴーレムの背中が近づいてくる。
タバサがヤバい!支援
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました。
なんて切り方だ
乙
えーみじかーい
続き早めによろー
でも乙かれー
さーて、どちらがルカヴィ化するのやら……
ひょっとしてタバサはもう手遅れ?
69 :
小ネタ:2008/04/01(火) 18:42:27 ID:crQsCbrB
おとぎ奉りゼロ
失敗魔法で祠を破壊してしまったルイズは
うっかり朱雀に大事な物を奉ってしまった
そうそれは希望(おっぱい)である
ルイズは未来永劫おっぱいが貧しいままなのである
そして
アルビオンへの道中、謎の仮面男にサイトが電撃を受ける直前に今度は大事な婚約者を奉ってしまう
「うがぁさあsdf;lkじゃ」
「わけわかんない!」
「うう、愛しのルイズ・・・うう」
ちょうどキュルケのファイアボールの流れ弾に当たり打ち所が悪かったのかそのまま朱雀に啄ばまれる
ぐちょ ぐちょ ぶちぶちぶち(ワルドの腕が嘴で引きちぎられる音)
「うがああああああAAAAAAAAAAAA!!!」
ショック症状で死んでしまうワルド
もちろん本編からこれで退場である
>>1 このぐらいまで単純化できそうな気がする。
爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会
最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち
>>16 爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり
提督の人乙!
しかし、ことはトリステインだアルビオンだゲルマニアだのという「国」単位の問題ではなく、
文字通りハルケギニアが存在するあのせかいの生きとし生ける全ての生命の存亡をめぐる大問題
に発展しましたか。いかに政戦両略に長けたヤンとはいえ、いささか荷が重いような気が・・・
彼やその「主」であるルイズが、あの世界の危機をどう救うのか、目が離せません。
艦隊決戦をハイライトシーンにしたSSってどれくらいの比率あるのかな?
るるるはまじであれで終わりなのか?
74 :
燃料投下:2008/04/01(火) 19:13:18 ID:crQsCbrB
新世紀エヴァンゲリオンから碇ゲンドウが呼ばれたら
「ユイ?」
「何がユイ?よこのアホンダラさっさと行くわよほらついておいで」
「ッフ、貴様には失望した」
「なななななな、なんですって?!」
「トップを連れて来い、お前には用は無い帰れ」
「うううう、うるさーい!」
ゲンドウの足元でTNT換算でおよそ百グラムの爆発が起きた
そして弧を描いて地面に激突・・・しない
スタッ
「お前には失望した」
何故か空中三回転捻りをかますと着地する
オリンピックなら9.00レベルのウルトラEである
そして学院長室
「・・・ずいぶんで怪しい使い魔ですね」
「こらこら、呼んでおいて怪しいとか言っちゃ駄目だろうて」
「疎まれる事にはなれている、問題無い」
「ムキー!!!!なんてやな使い魔なのかしら!」
契約と共に刻まれた筈のルーンは顎髭の中にあるので誰も気が付かないまま
右手に癒着した気持ちの悪い胎児のようなものを一応ルーンという事にしてコルベールはスケッチをし始めるが
時折アダムと目が合い背中に鳥肌が立つ
「珍しいルーンですね(キモイ)」
「ああ・・・問題無い」
「気持ち悪いから手袋で隠した方がいいわ・・・」
続かない
投下のほう、よろしいでしょうか?
アダムゲンドウかよ!?
いったいどれだけのポテンシャルもってんだ!?
うわ、すまん、
支援いたす。
キュルケとの軽い悶着後。
ルイズはシャーリーを伴い、いざ朝餉におもむかんと食堂に行ったのだが。
(しまった……)
と、ルイズは無駄に豪華な朝食を前にしばし考えていた。
(この子の食事、どうしよう?)
普通使い魔の食事は学院が用意してくれるが、シャーリーは平民とはいえ、れっきとした人間である。
まさか他の使い魔連中と同じように扱うわけにいかぬ。
かといって、同じ席で同じものを食べさせるというわけにいかない。
貴族と平民は違うのだ。
ルイズはちらりと後ろに立っているシャーリーを見る。
ちょこんと横にひかえたシャーリー、ごく普通にしていた。
空腹でないわけではないだろうが、自分がルイズと同じ席で同じものを食べるなどという発想は最初からないようだ。
それがここハルケギニアでは普通なのだが。
もしもこれが、もっと別の時代の、別の時代の国の少年なんかであれば、自分もご相伴に預かれると思い込み、はしゃぎまわっていたかもしれぬが。
(後で、メイドにでも頼んでおけばいいかな?)
そう考えてから、始祖ブリミルへの感謝をささげた後、ルイズは朝食をとる。
朝食後、シャーリーの入れてくれたお茶を飲んで、ほっと息を吐いてから、
「ちょっと、あなた」
近くを通る黒髪のメイドに声をかけた。
「はい、なんでしょうか?」
メイドはルイズを振り返った後、シャーリーを見て、あらという顔をする。
もう顔を知っているのだろうか?
シャーリーを見ると、
「お洗濯の時に……」
なら、話は早い。
ルイズはふむとうなずき、
「ちょっと頼みたいんだけど――」
ルイズはシャーリーの食事をシエスタに頼むと、席を立ち上がった。
「シャーリー、あなた朝ごはんまだでしょ? 今のうちに食べてきなさい。終わったら教室にくるのよ。場所はそのメイドにでも聞いて。それから……」
と、ルイズはシャーリーの服装を見て、
「ついでにメイド服に着替えてきなさい」
「――はい」
メイド服、という言葉にシャーリーはかすかに反応したようだった。
(? まあいいわ)
「それじゃ、後よろしく」
そうシエスタに言って、ルイズはすたすたと食堂を出て行った。
「なんだ、シエスタその娘っこは?」
厨房に連れて行かれたシャーリーを出迎えたのは、コック長の怪訝そうな声だった。
「あの、この子はミス・ヴァリエールの……」
「おおう、平民の使い魔ってのは、この子か?」
コック長のマルトーはシャーリーを見ながら、
「まだ子供じゃねえか、こんな子を……。ったく、これだからメイジってやつらは……」
不機嫌そうに鼻を鳴らすマルトーに、シャーリーは脅えたように表情を暗くする。
それに気づいたマルトーはあわてたように振って、
「おっと、別にお前さんに怒ってるわけじゃあねえんだ。気にしねえでくれ。朝飯がまだ? そうか、簡単な賄いしかねえが、食ってきな」
「ありがとうございます」
シャーリーが礼を言うと、
「なぁに、いいってことよ」
マルトーは照れたように笑ってみせた。
「何か困ったことがあったら、俺でもいい、シエスタでもいい。いつでも相談しな」
「はい」
シャーリーは安心したように、かすかに微笑んだ。
簡素な食事をすませた後、シャーリーはシエスタにある部屋に案内される。
シエスタが他のメイドと一緒に使っている寝室。
「あらあら、かわいらしいこと」
シエスタは楽しそうに笑った。
部屋に設置された大きな鏡の中、メイド服に着替えたシャーリーが映っている。
「ちょうどサイズが合うのがあってよかったわ。ここではあなたくらいの年のメイドっていなかったから、服あるかなって思ってたんだけど」
シエスタはシャーリーの肩に手を置いて、鏡の中の小さなメイドを見る。
「……」
シャーリーは鏡をじっと見ている。
緊張したように表情は少ないが、嬉しそうな様子だった。
「それじゃ、ちょっと替えの服持ってくるわね」
「……」
シエスタが出て行った後も、シャーリーはしばしぼうっとしていたが、
「……」
おもむろに、くるりと体を回転させた。
スカートが、ふわりと舞う。
「………」
シャーリーはスカートを見下ろして、表情を一変させた。
花のような笑顔とは、このことであろうか。
さらに、もう一度。
じーん。
そんな擬音が聞こえてきそうな表情だった。
かすかに紅潮した頬が、少女の感動の強烈さを物語っているようだった。
シャーリーは何度もくるりと舞ったり、スカートの裾をつまんだりしていた。
すっかり夢中になっているところに、
「シャーリー、お待たせ……」
シエスタが予備のメイド服を手に戻ってきた。
「……」
鏡の前、裾をつまんでポーズをとっていたシャーリー。
立ち尽くすシエスタ。
THE WORLD
数秒経過。
そして、時は動き出す。
「……すみません。その、スカートがぶわっと……。こういうのに憧れてたので……」
「そ、そうなの」
シエスタは内心、
(そんなことが、あそこまで嬉しいなんて……)
暗い過去を背負っていそうだなあ。
照れまくるシャーリーを見て思った。
と、
ドンと、どこかで何かが爆発したような音が響いた。
「今の……」
驚くシャーリーに、
「多分ミス・ヴァリエールね……」
シエスタは苦笑した。
シャーリーが教えられた教室へと向かってみると、中はもうメッチャクチャだった。
教室の中で爆弾でも使用したかのような惨状。
ルイズはその中に一人で立ち、黙然としていた。
「あ、あの……」
何か近寄りがたい雰囲気ながら、シャーリーは思い切って声をかける。
「シャーリー」
ルイズは振り返らずに言った。
声が、ひどく硬い。
「はい」
「教室の中を片づけるの、手伝って」
「はい」
シャーリーはそれ以上何も言わず、掃除をはじめる。
器用な手つきで、ゴミを片づけ、床をはいていく。
しえん!
広い教室なのでそうそうすぐには終わらないが、それでもシャーリーは手早く掃除を行っていく。
「何も聞かないの?」
のろのろと机をふいたりしていたルイズは、やはりシャーリーの顔を見ずに言った。
「……」
「私、どんな魔法を使っても爆発させちゃうの……。今日もそれで、この有様」
と、ルイズは教室を見る。
「おかしいわよね。魔法の使えない貴族なんて。召喚魔法は、サモン・サーヴァントやコントラクト・サーヴァントが成功したのに…………」
「……」
「……そっか。あんたは、魔法のないとこからきたんだっけ?」
「はい」
「シャーリー」
かすかに震える声で、ルイズは言った。
「はい」
「しばらく、私のほう見ないでね」
小さな声でルイズは懇願した。
背中を向けたその表情はシャーリーには見えない。
ただ、その肩はかすかに震えていた。
「はい」
シャーリーは、静かにうなずいた。
「シャーリー」
またしばらくして、ルイズはシャーリーを呼んだ。
「はい」
「ありがとね……」
「……いいえ」
ようやく片づけが終わった頃、時刻はもう昼にさしかかっていた。
少しばかり目を赤くしたルイズは、シャーリーと一緒に食堂へやってきた。
そして、朝と同じく何事もなかったような顔で食事を取り始める。
シャーリーは朝と違ってメイド服なのでひかえている姿はまったく違和感がない。
食事も終盤に差し掛かる頃、デザートが配られ始める。
色々と種類があって好きなものを選べるようになっているらしく、メイドたちがそれぞれ学生たちに言われるものを配っていく。
「何をお取りしましょう?」
お茶を入れてから、シャーリーはルイズに尋ねる。
「クックベリーパイ持ってきて」
「はい。ただ今」
シャーリーはデザートを配っているメイドたちのほうへ歩いていく。
と、その途中で談笑している少年が、ポケットから小壜が落ちるのが見えた。
「あの、落とされましたよ?」
シャーリーは拾って少年に渡そうとする。
「あ、ああ。ありがとう」
少年は一瞬ぎくりとした顔になるが、すぐに何食わぬ顔で受け取った小壜を素早くポケットにしまいこむ。
が、まわりの仲間は目ざとくそれを見とがめて、
「おい、今のはモンモランシーの香水じゃないか?」
「ああ、そうだが――。しかし、誤解のないように言っておくけれど……」
少年は何やら弁解しようとするが仲間は怒涛の勢いで、
「あの鮮やかな紫は、モンモランシーが自分のためだけに特別に調合する香水だ。間違いない」
ちょっと小太りの男子が大声で言った。
鈍重そうな容姿のわりに、変なところに目がきくらしい。
「そうだ! ということはだ。お前は今モンモランシーと付き合っている、とこういうわけだな?」
他の連中も面白そうに囃し立てる。
「違う。だから、彼女の名誉のためにも言っておくが……」
少年はなおも言い募ろうとするが、もはや周囲は聞く耳持たない。
と、そこに一人の少女が青い顔で近づいてくる。
「ギーシュさま、やっぱり……ミス・モンモランシーと」
「いや、これは。その、誤解だ」
「その香水が何よりも証拠です」
「違うよ、ケティ僕の心の中にいるのは君だけ……」
ぱぁん。
小気味のいい音が響く。
少女の手のひらが、少年の頬を張ったのだ。
「さようなら!」
少女は泣き顔で叫び、走り出してしまった。
「邪魔よ!!」
八つ当たり気味に、シャーリーを突き飛ばして。
よろけるシャーリーだが、どうにか踏ん張って持ちこたえる。
だが、そこに金の巻き毛が特徴的な少女がずかずかと近づいてきた。
「邪魔よ、どきなさい!」
巻き毛はシャーリーを押しのけてギーシュの前に立ちはだかる。
「やっぱり、あの一年生に手を出してたのね……?」
「待ってくれ、モンモランシー……これはだね」
少年はきざだが必死な様子で花の浮くような台詞を並べるが、巻き毛は何も言わずにテーブルのワインをひっつかみ、少年の頭に洗礼を与えるがごとくふりかける。
「この、うそつき!」
一声叫んで巻き毛の少女は行ってしまった。
去り際に、浮気な交際相手に張り手の贈りものをして。
見事なまでの醜態をさらした後も、少年はハンカチで顔を拭きながら、
「彼女らは、薔薇の存在意義を理解していないようだ」
などと、ほざいていた。
シャーリーは動揺しながらも、そそくさとその場を離れようとする。
あまりお近づきにはならないほうがよさそうだと判断して。
「待ちたまえ」
「は、はい」
少年に呼び止められ、シャーリーはぎくりとして足を止める。
「君、君が軽率に壜を拾っておかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね」
「え……」
まさか、こんな風に言われるとは思わなかった。
「……も、申し訳ありません」
理不尽である。
だが、シャーリーのような少女に学生とはいえ魔法使いで貴族という相手に反抗できる術などあるわけもない。
謝るしかなかった。
がたん。
その様子を見ていたルイズは、顔をしかめて椅子から立ち上がった。
(しまった……)
しばらくは傲然とシャーリーを見ていた少年だが、いくらか冷静になると我がことが省みられるようになってきたのか、ばつの悪そうな顔になってくる。
そこに。
「ちょっとギーシュ、何言いがかりつけてるのよ!!」
ルイズが大声で怒鳴り、シャーリーをかばい少年――ギーシュの前に立ちふさがる。
「さっきから聞いてれば、二股かけたあんたが悪いんじゃないの! か弱いメイドに八つ当たりするなんて最低よ!!」
「う……!」
その言い様にムカッとくるギーシュだが、ルイズの後ろで青くなっているシャーリーを見ると、事実を素直に認めるしかない。
女好きで軽薄ともいえる性格ではあるものの、理不尽に暴力を振るうこと好む気性ではない。
相手が少女なら、なおさらだ。
「うっ。そ、その通りだ」
ギーシュは頭をさげた。
負けるが勝ち。
そんな言葉が彼の脳裏を走ったかどうかは定かではないが。
「さっきの暴言は海に流してくれたまえ」
ギーシュはシャーリーに向かって謝罪する。
「完璧に僕が悪かった。どうか、びっくりするぐらい許してくれ」
しかし、いつもの調子は出ずに、何ともおかしな言い回しをしてしまった。
「い、いいえ……」
シャーリーはそう答えるのが、精一杯だった。
横でそれをハラハラと見ていたメイドたちもほっとした様子だった。
二回分投下完了
支援いただき、ありがとうございます
投下乙です
シャーリーは可愛いですなw
>>82 投下乙です
ギーシュの対応がごく普通の少年っぽいのが妙に新鮮だ
まあ喧嘩売られてるわけじゃないんだからこうなるのが自然な展開なのは分かってるつもりだがw
>>74 どうせなら前スレの方に投下してほしかったな
いやこういう話、個人的には好きなんだけど
シャーリーよろしいですな。
>>73 るるるの人はやっぱり4/1だったようですたw
>>86 だよな
シィーナ・コウの人がまだ映像でしかでてないし
メイドの人gj
2話目投下します
どうぞー
支援仕る。
前回から引き続き、医務室にいるルイズとラプター。
「ふーん..それじゃあ、あんたはギラグールって言う竜人の戦士ってわけ?」
「単純に言ってそういうことだ」
冷静なようだが実のところラプターは混乱していた。
彼は自分の住む恐竜人類の世界と、哺乳人類の世界、
そしてバーチャル大陸を交差点とする多次元宇宙の存在は把握している。
だがいくらなんでも魔法が文明の基盤で、なおかつ科学どころか機械の概念すらない世界など聞いた事がない。
ややこしくなるのを避けるため(というか別の世界と言っても信じないだろう)こうした言い方をしている。
「悪いけど...とても信じられないわ。だってギラグールなんて今まで聞いた事無いもの」
「じゃあこの国との接触がまったくなかったか、お前が余程の世間知らずかどっちかだな」
「...何よその態度!あんたは私の使い魔で、私はあんたのご主人様なの!」
「誰もお前に従うなんて言ってないが」
「でも契約はしたのよ!だから少しぐらい敬う気になったらどうなの!?」
「へいへいマスター。これで満足か?」
「...もうそれで良いわよ」
「それで使い魔ってのは具体的に何をする物なんだ?」
「いいわ。それじゃ使い魔というのは...」
シャーリーの人GJ!
この鏡の前イベントが見たかったんです!
ギーシュの対応が普通でいいね。
まあ、元々女の子相手に決闘する性格じゃないしな。
95 :
燃料投下:2008/04/01(火) 21:28:41 ID:crQsCbrB
NARUTOからロック・リーじゃなくてナルトが呼ばれたら
「俺は火影を越えるんだってばYOH」
「ドベのルイズがまた失敗したぜ」
「ははは」
「風 の 偏 在」
「むむむ、なかなかやるようだけど 多重影分身x1000」
「う」「ず」「ま」「き」「なると連弾」
空中でフルボッコになるワルド
ボフン
「こいつ分身だってば?」
「ああ・・・そうみたい」
ボコ
「助けに来たわよオデコルイズ」
「ああ愛しの守鶴!どばどばミミズを腹いっぱい食べたのかい?」
「(うるせえ)」
「ああそうかいそうかい、じゃあ帰ったらとびっきりのジャイアントミールをあげようね」
「(ころすぞ)」
ルイズの話を要約するとこうだ。
使い魔の役目は主に3つあり、1つ目は主人の目となり耳となること(要するに感覚を共有することらしい)、
2つ目は主人の望む物を手に入れること、そして3つ目が主人を守る事。
「それで今俺が見てる物(ルイズの顔)が見えるのか?」
「駄目何も見えない...それで2つ目は秘薬の材料のコケや鉱石を手に入れることなんだけどできる?」
「種類や特徴の指定さえあればなんとかなるだろう」
もともとラプターは指定された恐竜を狩る任務についていた。それが鉱石などに変わった位だ。
「それで3つ目は主人を守る事なんだけど...」
「戦闘なら得意分野だ」
「..そう。ならいいんだけどね...」
即答して左腕のクローを振り上げたラプターに、思わず冷や汗をかくルイズだが、内心歓喜していた。
「(ひょっとして当たりを引いたのかも..?)」
2話目投下終了です。
とりあえず完結までこぎ着けたいと思っております。
予告から1/2の投下まで26分
2/2の投下まで約30分
…次はメモ帳あたりで一話全部書いてから、
できれば次の半分くらい話を書き終わってから投下してくれな
他の人の投下とかの迷惑になるから
解りました。
メモは見える所に置いておきます。
て、天然!?
???
つまり本物のメモ帳に書き上げた物を投下時に手打でテキスト化してるって事?
コピー 貼り付け
って知ってる?
エイプリルフールといえば餃子の王将!
4月馬鹿は午前中までクマー
>>恐竜惑星氏
次回以降
コンピュータ→全てのプログラム→アクセサリ→メモ帳と言うプログラムがありますので、
そこに全部書き込んでから 範囲を指定してコピー、投稿の際は貼り付けをしてください。
それを覚えてからもう一度お願いいたします。
「『物書き』は白い原稿用紙に地道にコツコツ
字を書き連ねていくから『物書き』とゆーんです」
と森江賢一も言っていたぞ。
つか、携帯から投下してんじゃね?
>>108 あと1レス60行くらいまでだから、細かく分割しなくてもいいんだよ
提督スケールでかくなったなー
期待以上だ。
恐竜惑星でも反物質燃料をつかっているから
最強兵器として宇宙艦が聖地に呼ばれたらすごいことになる。
いやぁ・・過去の自分を見ているようで
照れちゃうわー。コピペなど知らない・・そんな時期が(ry
唐突に、ルイズがハーメル、キュルケがライエル、タバサがサイザーを召喚というのを思い付いた。
フルートは乳エルフで
遅くなったけどジナの人乙っすー。
なんていうかギャグタッチだなや。面白かったです。
次も期待してますよー。
10分後から投下して宜しいでしょうか?
道は開いてますよ
待ってました
もちろん支援です
支援体制
もうこんな時間ですのでエイプリルフールは無しの方向でお願いします
.
「ねえ、タバサ……これって、あんまり言いたく――いや、訊きたくないんだけどさ」
「なに」
「ここ、どこ……?」
キュルケの、半ば脱力したような問いかけに、タバサはある意味、容赦ない答えを返す。
「わからない」
貴族派の追撃はやり過ごした、――とキュルケも思う。
浮遊大陸の真下に逃げ込んだ、彼女たちの駆るシルフィードを、追ってくる者は結局、誰もいなかったからだ。だが、タバサは慎重にも、さらに1リーグほど、大陸直下を飛行した上で、ようやく、地上に出る坑道掘削を実行に移した。
ギーシュの使い魔、ジャイアントモールのヴェルダンデの能力が、遺憾なく発揮されたのだ。
しかし、1時間ほど地下を進み、泥まみれになって、ようやく地上に出たとき、キュルケは半ば呆然としてしまった。
まあ、無理もないだろう。
命からがら、モグラの掘った穴に潜り込み、やっとの思いで太陽の下に這い出てみれば、そこは鬱蒼と茂った森の中であった。現在位置どころではない。街道や集落の見当も付かず、曇り空なので方角すらもよく分からない。
(これから……歩くの……この森の中を……!?)
まだ、払暁から一時間と経っていないにもかかわらず、もう身体はへとへとだ。眼前にベッドあれば、ものの数秒で爆睡できるだろう。
まあ、昨夜から夜通し空を飛びつづけて、一睡もしていないのだから、疲労が溜まっているのは、ある意味当然だとしても、この現状は、かなりキュルケの気力を萎えさせる。
(ってか、何であたし、アルビオンくんだりまで来て、こんな事してるの?)
そう思って振り返ると、――そこにいたのは、一人の少年。今回の事件の発端となった、ルイズ・ラ・ヴァリエールの使い魔の一人、ヒラガサイト。
だが、人一倍、元気で陽気で向こう見ずなはずの彼が、まるで別人のような沈痛な顔をしている。
「少し休みましょうタバサ。このまま闇雲に動いて、体力を無駄遣いするのは賢明じゃないわ」
キュルケがそう言うと、タバサもこっくりと頷いた。背後でギーシュが、あからさまにホッとしている気配が伝わってくる。だが、才人は変わらず、凝然と俯くだけだった。
(仕方……ないわよね)
キュルケは、そんな才人の様子に、ちくりと胸が痛んだ。
「それでも見つかったら、俺が全力を以って、お前らの盾になる。……それだけだ」
風見は、あの時、まるで表情一つ変えずに、そう言った。
だが、まさか風見が、自分の宣言どおりに『盾』となって、艦隊の弾幕から自分たちを逃がすために、あそこまでするなどと、誰が想像するだろうか。
(いや、……それは違う)
分かっていたはずだった。少なくとも風見は、自分が口にした事を翻すような男ではない、と。
そして、彼にその台詞を言わせたのは、キュルケだ。
もし、敵に見つかったら、どう責任を取るのかと、彼を追い詰めた。
まあ、風見からすれば、当然、その台詞は言わされた言葉でも何でもなく、『盾』となったのも、やぶれかぶれに取った行動では全然ないのだが、――それでも、当のキュルケからすれば話は別だ。後ろめたさがある限り、後味の悪さが拭えるわけはない。
そして、頭を冷やした今なら分かる。自分がどれだけ、無意味で愚劣な台詞を彼に言わせたのか。
そもそも、この手の作戦に危険は付き物だ。
責任もクソもない。誰がどんな腹案を練ったところで、一分の危険すらない、水も洩らさぬ計画など、出せるわけがないのだ。それを『どう責任を取る?』などと、それこそ責任転嫁もいいところではないか。
支援
.
キュルケは、男女関係こそ人一倍だらしないが、その実、プライドは恐ろしく高い。
(ゲルマニアのフォン・ツェルプストー家の娘ともあろう、このあたしが……!!)
思い出すと、自分がそんな発言をした事にも、風見にそんな発言をさせた事にも、耐えがたいほどの羞恥と怒りを覚える。
そして、それ以上に、純粋に風見の身を案じる才人に対し、罪の意識を覚えてしまう。
――それが、キュルケという少女だった。
「――で、タバサ。僕たちはこれからどうするんだい?」
ギーシュが、すっかり疲労しきった表情で尋ねる。彼はもう、自分がリーダーシップを取る気は、さらさら無いようだ。
そんなギーシュに、一瞥すら返さず、タバサは自らが背負う大き目のナップザックを下ろすと、がざがざと何かを取り出した。
それは、魔法学院図書館から無断拝借してきた、大判のアルビオン地図であった。
「取りあえず、あと一時間ほど休息を取ってから、移動する」
「移動って……場所も方角も分からないんだぜ。おまけに貴族派の軍が何処をうろついているかも知れない。そんな中を、てくてく歩くのかい?」
「おれが行くよ」
才人が立ち上がった。
「行くって、……どこへ?」
きょとんとした態で才人を見上げるギーシュに、彼は硬い視線で答える。
「元はと言えば、この話はルイズの奴が安請け合いした仕事だ。森を抜けて、最寄りの街道や村落の位置を聞き込みするくらいはやらなきゃ、……風見さんに申し訳がたたねえ」
しかし、そんな才人に、タバサは水をかける。
「あなたが行く必要は無い」
そう言われた才人が、反射的に血走った眼で振り返るが、当然タバサは意にも介さない。
「あなたにアルビオンの土地鑑は無い。別行動を取るのは危険過ぎる」
そう言いながら、タバサが意味ありげに、眼鏡越しの視線を地面に向ける。そこには、彼らが浮遊大陸の真下から抜けてきた『坑道』があった。
「きゅいきゅいっ!! シルフィを置いて先に行っちゃうなんて、お姉様ひどいのねっ!!」
そう言いながら、坑道から突如出現したのは、タバサと同じく青い髪をなびかせ、泥まみれになった――しかし何故か全裸の――妙齢の美女であった。
「なっ、なんだっ!? 誰!? この人いったい誰っ!?」
プレイボーイの自称に似合わず、ギーシュが顔を真っ赤にさせて目を逸らす。
一方、才人は、ギーシュと対照的に、イキナリ現れた美女に、眼が釘付けになった。
そして、そんな彼らにタバサは、呟くように告げる。
「偵察には行く。でも行くのはこの子」
「この子って……タバサ。この人、一体誰なの……?」
おそるおそる尋ねるキュルケに、タバサは言った。
「あらためて紹介する。わたしの使い魔シルフィード」
唖然とする一同を尻目に、裸女が、どこか誇らしげに鼻の頭を掻く。
「きゅいきゅいっ!!」
なぜか彼女は、自分の裸体が他者に凝視される事に、まったく抵抗は無いらしい。
「わたしが召喚したドラゴンが、韻竜だということは秘密にして欲しい」
そして、そう言ったタバサの口調は、普段と全く変わらないものだった。
.
それは一方的な――虐殺だった。
艦砲射撃によって破壊された城壁や石垣。それらは――皮肉な事に、彼ら寄せ手の貴族軍にとって、最も恐るべき“死の弾丸”と化し、彼ら自身に襲い掛かった。
死神の名は……V3。
大の男が四・五人がかりでようやく動かせるほどの巨大な瓦礫を、V3は軽々と持ち上げ、砲弾以上の速度でフネに投げまくったのだ。
いや、狙うのはフネだけではない。陸戦隊、竜騎士、トロール鬼たちなどによって編成される亜人部隊などにも、“死の弾丸”は平等に襲い掛かった。
超音速で飛来する、巨大な『石ころ』の威力や命中精度・射程距離は、ハルケギニア製の火砲の比ではなく、寄せ手の貴族派は、今その瞬間に於いて、ハルケギニアで最も不幸な集団であった事は間違いない。
そして、V3の周辺から、瓦礫があらかたなくなった頃には、艦隊を含めた貴族派の軍は、退却を余儀なくされていた。
「本日の偉大なる勝利に、乾杯!!」
音頭を取ったのは、ジェームズ1世。
ウェールズの父にしてテューダー王家の長。つまりアルビオンの現王である。
本来なら、ニューカッスルなどという辺境の城塞に、生涯、足を踏み入れる事も無く晩年を過ごすはずの老人であった。
だが、彼のかつての居城ハヴィランド宮殿は、レコン・キスタの手に落ちて久しい。
そして、現在の“王城”ニューカッスルでは、トリステインからの大使を歓迎するための、晩餐会の真っ最中であった。
――篭城中にもかかわらず、どこにこんな食糧の余裕があったのだろう。
戦に疎いルイズとて、そう思わずにはいられないほどの、豪華なパーティであった。
所狭しと豪華な料理が並んだ円卓が、ホール内に幾つも並べられ、ウィスキーやブランデーといった各種高級酒、いやデザートの類いさえも、そこにはあった。
話によると『イーグル』号は、V3が貴族派の部隊を退けた後、彼らの艦隊に追撃をかけて輜重船を襲撃し、大量の食糧確保に成功したとの事だそうだ。まさに天空のエキスパート・王立空軍の面目躍如といったところか。
(でも、だからって、そんな食糧をその日の内に、こんな形で食べ尽くしてしまうなんて……)
ルイズは、眼前の馳走を見ながら、本当に、これを食べていいのか、許しを得たい気分になった。
「大使殿、このワインをお試しなされ! お国のものよりも上等と思いますぞ!」
「なに! いかん! そのようなものをお出ししたのでは、アルビオンの恥というもの! この蜂蜜の塗られた鳥を食して御覧なさい! 旨くて頬が落ちますぞ!」
ルイズのもとにひっきりなしに現れ、酒や料理を勧めて、陽気に振舞う貴族たち。
だが、ルイズは、そんな彼らに愛想笑いを返すと、ウェールズの姿を捜した。
いつの間にか、ワルドの姿も見えなくなっている事も気になっていたが、それよりも、ウェールズが先だ。彼を捕まえ、あのカイゾーニンゲンの詳細を聞かねばならない。
――だが、その瞬間、喧騒に包まれていたパーティ会場は、たちまちにして静寂と緊張に覆われた、物音一つしない空間と化していた。
美しく着飾った貴族や貴婦人たちの人垣が、まるでモーゼの十戒のように、真っ二つに割れ、現れたのは……ルイズもよく知る『彼』と、同じ顔をした男だった。
(カザミ……!!)
貴婦人たちが息を飲んだのもむべなるかな、彼がその手にぶら下げていたのは、血まみれの生首であった。
.
「本日討ち取った貴族派の前線指揮官の首級です。スチュワート侯爵家のブラフォード、そう名乗っておりました」
彼の、その言葉を聞いて、ホール中がざわつく。
スチュワート侯爵家の嫡男ブラフォードといえば、アルビオンでも勇名を謳われた、名うての将星でありメイジであったからだ。
だが、宴席にしつらえた、簡易玉座に反り返った老王の機嫌は、あからさまであった。
「無礼者!! 使い魔ごときが、あてつけがましく戦果を誇ろうとてか!!」
「……」
「そもそも、貴様ごとき化物が、王に直接目通りする権利などあろうはずもない!! 誰の許しを得て、我が前に姿を現した!?」
ジェームズは、白い泡を吹きながら、眼前の男に、憎憎しげな罵声をぶつける。
しかも、――ルイズにとっては奇異な事に――周囲の貴族たちは、玉座の老人と同じく、文字通りの白い目線で彼を見ている。今日、直接戦ったのは、彼だというにもかかわらず、だ。
そしてそれは、いつの間にか王の傍らにいた、若き貴公子とて例外ではなかった。
「王の御前である、退がれV3」
風見は何も言わない。沈黙を守ったままだ。
そしてウェールズは、そんな風見を、じろりと射抜くような視線で睨みつけ、まさしく鉄鞭のような鋭い声を叩きつけた。
「――退がりませいっ!!」
風見が、うなだれるようにホールから姿を消し、さっきまでの喧騒が、ふたたび宴の場を包んだ頃、ルイズは確信した。
――あれは、やっぱり自分が知っている風見じゃない。
(いったい……これはどういう事なの……!?)
彼女が苦手とする、あの使い魔は――あんな侮蔑を吐き掛けられてなお、沈黙を守るような男ではない。いや、そもそも、あんな侮蔑を吐かせるような男ではない。それは、たとえ相手が国王であったとしても例外ではないはずだ。
少なくとも、あの“風見”は、プライドだけは百人前のルイズですら一睨みで黙らせるような、独特の緊張感を発していなかった事は分かる。何故なら、パーティホールを黙らせたのは、彼が纏う迫力ではなく、その手にぶら下げた血まみれの生首だったからだ。
「さあ皆の者、無粋な化物は去った。彼奴が残した、この汚らしい空気を拭うためにも、今宵は存分に酔い、踊り、騒ごうぞ!!」
先程までの狂態はどこへやら、ジェームズはむしろ媚びるように、宴席の参加者たちに微笑みかけ、そして、それに応えるように再び杯を傾け始める貴族たち。だがルイズには、そんな彼らの様子が、痛々しいばかりに異様なものに見えた。
彼女は眼をやると、ウェールズがいた。父王から距離を取り、供の者すらつけずに、人知れず、この会場から退出しようとしているようだ。
ルイズは王子の後を追った。
「殿下」
油の節約のためだろうか。灯りもまばらな薄暗い廊下でルイズに声をかけられ、ウェールズは、にこやかに振り返った。
「やあ、――これはヴァリエール嬢。何故こんなところに? 君は、あの晩餐の主賓なのだよ?」
しかし、ルイズには見えた。
ウェールズが振り返った瞬間、その優しげな表情の端に、むしろ沈鬱な気配の名残が、僅かにこびりついていた事を。
「殿下をお話があって参りました」
「今は疲れている。できれば後にして欲しいんだが」
政権が瓦解したとはいえ、王家の嫡子からそう言われては、いかにルイズといえど、何も言い返す事はできない。事実ウェールズの背中からは、根強い疲労の色が感じられたからだ。
だが、おそらく今を逃せば、もはやウェールズと二人で話し合える機会は今後永久に作れないという確信も、なぜかルイズにはあった。
そして、硬い視線を保ったまま無言で俯くルイズに、ウェールズは根負けしたように、
「よかろう、ついてきたまえ」
と言うと、その口元を緩めた。
提督の人も、もう一つの『左手』の人も、
事態が 混 沌 と し て ま い り ま し た、支援
.
ウェールズの簡素な私室には、先客がいた。
驚いた事にそれは、さっき、彼に宴席からの退出を命じられた風見志郎であった。
そして、自室にいた彼を、何ら訝しむ様子も無く、ウェールズはルイズを振り返ると、言った。
「改めて紹介しよう。我が従姉妹の使い魔にして、アルビオン王国の救世主――V3だ」
そこにいた“風見”は、ウェールズの陰から現れた少女に、ややギョッとしたようだったが、すぐに視線を落とし、ぺこりと礼をした。
「V3です」
ルイズは唖然としてしまった。
晩餐でも遠目にしか見えなかったが、差し向かいで見ると、彼女の使い魔との相似は凄まじいものがある。瓜二つどころではない。まさに本人そのものだ。
だが、それでも、この男と風見は別人だ。
向かい合った瞬間にルイズは自分の判断に確信を持った。
この男には、自分が知る風見志郎が発散していた、氷のごとき雰囲気が、皆無と言っていいほどにない。ここに佇む彼の眼差しは、むしろ人見知りの子供のような、落ち着かない光さえ感じられたからだ。
「こちらはトリステインからの使者、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢。……レディ、先程は見苦しいものをお目にかけた事を、正式にお詫びします」
その瞬間、自分が召喚した『彼』を侮辱されたような気がして、反射的にムッとしたルイズであったが、どうやらウェールズが言う『見苦しきもの』とは、眼前の“風見”のことでは無いらしい。
何故なら、ウェールズは、非常に済まなさそうな表情をして、“V3”に頭を下げたからだ。
「本当に申し訳ないV3。救国の英雄たる貴公を、他国の大使の眼前で侮辱するなど、あってはならない国家の醜態だ。父に代わって謝罪させてくれ」
「殿下……」
ルイズは呆然となった。
たとえ国王相手とはいえ、風見――いや、この“V3”が、他者の前で面罵されるのも、ルイズにとっては不快な眺めではあった。だがまさか、一国の王子たる彼が、一介の使い魔たる者に、頭を下げて詫びるなど、あっていい話ではない。
そして彼は、ルイズを振り返ると、さらに彼女の想像を絶した発言をする。
「……父は暗愚だ」
「でっ!?」
その台詞に対する、あまりの驚きに、ルイズは反射的に何かを言おうとするが、その言葉すらウェールズは遮った。
「たとえ、このV3がロンディニウムを奪還したとしても、……父が玉座におわす限り、貴族派の抵抗が止むことはないであろうな」
その言葉が、まさしく貴公子の本音であるということは、さすがのルイズにも分かった。それほどに彼の台詞は、どうしようもなく重い絶望感に覆われていたからだ。
だが、ルイズを黙らせたウェールズの絶望も、“V3”にとっては聞き慣れた愚痴でしかないらしい。彼は、むしろ優しげな光を眼に宿し、王子に言った。
「しかし殿下、それでも始祖はアルビオンを見捨ててはおりません。なぜなら、テューダー家には、殿下というお方がいらっしゃる。だからこそ、わたしとしても、この身を捧げて戦えるのです」
「済まぬ、V3……」
「殿下は陛下に代わって、我が主ティファニアの名誉を回復して下さった。ならば、わたしが主に代わって殿下の御下知に従うのは、むしろ当然のこと」
「いや、――我が父が、モード大公に為した非道を鑑みれば、そなたの合力をテューダー家が請うている事実こそが、まさしく恥知らずの極み。ティファニア殿の名誉回復ごときで、埋め合わせができるとは思っていない」
しえん
今日はブレイブストーリーとか左手とか、大物が大漁だー
めでたやめでたや
しえーん
.
なるほど……。
ルイズは、今更ながらに納得する思いだった。
彼らが話している内容は、ルイズにとってはよく分からないが、それでもこの白面の貴公子が、並々ならぬ誠実さと、国家を憂う愛国心の所有者である事は分かる。そして、暗愚と言い切ってなお、彼が、あの父王を深く愛している事も。
これほどの人物が嫡子として生存しているならば、宴席にいた貴族たちが、未だに王党派を裏切らないのも理解できる。そして、レコン・キスタが降伏勧告すらせずに、ニューカッスルを攻め陥とそうと躍起になる理由も。
……何より、アンリエッタが、心中深く彼を慕う理由さえも。
「殿下、質問をお許しください」
「なんだね?」
「そこの御方……V3殿のお力を以ってすれば、レコン・キスタは駆逐できる。殿下は左様に仰いました。それは、……本当ですか?」
その不躾すぎる問いに、ルイズは内心、恐れおののく思いだったが、それでもウェールズは、不快な顔一つせずに、困ったように微笑んだ。
「その問いに対する答え一つで、トリステインの出方が変わるという事かな? 大使殿?」
そう返されて答えに詰まるのは、むしろルイズであったが、……しかし、そんな少女に、ウェールズは寂しげに呟いた。
「勝算が全く無いとは言わないが、それでも……少ないな。『無い』というに等しい程に」
「殿下!!」
何を言うかと言わんばかりに“V3”が声を上げるが、ウェールズの戦況分析は冷静だった。
「ニューカッスルを包囲する貴族派は総勢五万。対する我が方は、多く見積もっても精々が三百。いかにこのV3が一騎当千の勇者とはいえ、この状況を覆すのは困難すぎる」
「ならば亡命なさって下さい!! トリステインは最大級の礼を以って殿下を歓迎いたします!!」
さすがにウェールズの眉間にも険が走る。
「言葉には気をつけたまえ、ラ・ヴァリエール嬢。その発言は、一介の大使が口にすべき権限を越えておろう?」
だがルイズもひるまない。
「いいえ、それはわたくしごときの浅慮ではありません。アンリエッタ姫殿下のご希望でございます」
そう言いながら、アンリエッタが記した手紙を取り出し、恭しく手渡す。
その所作一つ一つは、典礼に乗っ取った礼法に、何一つ反してはいない。
だが、彼女のその眼差しまでは、決して恭しいものではなかった。
「わたくしは、恐れ多くも姫さまを知っております。このルイズ・ラ・ヴァリエール、幼少のみぎりは、姫さまのお遊び相手も勤めさせて頂きました。そして姫さまが、あのようなお顔をお見せした時に、何を考えておられるかも、深く存じております」
「そなたがアンリエッタの何を存じているというのだ?」
「この御手紙の末尾には、必ずや記されているはずでございます。殿下の亡命へのお勧めが!!」
「……なぜ、そう思う?」
もはやウェールズの表情に、険は走っていない。
彼としても、この少女が、誠心誠意アンリエッタの意を汲み取ろうとしているのが分かるからだ。
「姫さまはこう仰いました。ウェールズ様のお手元にある手紙が、レコン・キスタの手に落ちれば、此度のゲルマニアとの婚儀が破談になる。ゆえに手紙を回収して参れと。――なれど、それを鵜呑みにするほど、わたくしも幼くはありませぬ」
「……」
「かつて姫さまが、殿下にお渡しした御手紙の内容を僭越しようとは思いません。なれど、たかが手紙一枚で破談になるほど、国家間の政略結婚は軽い物ではありません。ならば姫さまが、このわたくしをアルビオンへ送り出した理由は、ただ一つ」
ルイズはそこで、少し息を吸い込むと、
「それは――過去の御手紙の回収などではなく、むしろ、姫さまが新たに記した、この御手紙を殿下にお渡しする事であったはずなのです。おそらくは亡命のお勧めである、この御手紙を」
ウェールズは沈黙したままだ。“V3”に至っては、自分がこの場にいていいのかどうか、判断に困っているようにさえも見える。だが、もはやルイズに迷いは無かった。
「逆賊を前に、国を捨てて亡命するなどという事がどれほどの事か、わたくしごときには、窺い知れぬほどの屈辱だという事も分かります! なれど、なれどわたくしもアンリエッタ姫殿下の直臣として、申し上げねばなりません!!」
ルイズは、そこでキッとウェールズを睨むように見つめると、
「姫さまは、……どのような形であっても、殿下に生きていて欲しいのです。たとえ、御自分と結ばれる事が許されなかったとしても、それでも殿下に生きていて欲しいのです」
逆ダブル支援!
姫の目的は手紙の回収ではなく、亡命か
確かにそれはあったろうな〜
ただ、手紙が発見される以上の外交上の大騒ぎになる事は間違いないだろうなぁ
.
「なるほど、どうやら本当のようだな」
風見志郎が、シェフィールドを振り返った。
男女の額には、青い古代文字で同じルーンが刻まれている。傍目に見て、それはかなり異様な眺めであったが、二人は全く気にしていないようだ。
彼らが、検分していたのは、本日、独断でニューカッスルへ攻め寄せ、見事に返り討ちにあったスチュワート侯爵家の軍団、その死体やフネの残骸であった。
「これは、明らかに改造人間クラスのパワーにやられた傷だ」
その風見の声は、むしろ嬉しげな気配さえ含んでいた。
「嬉しいのか?」
白い半仮面――を外したワルドは、死者に冥福を祈るでもなく、むしろ実験の結果を見る科学者のような態度の二人に、当然の反感を抱いていた。
「仮にも味方の戦死者だぞ。その態度は、人として不遜だと思わんのか」
その言葉に、シェフィールドはむしろ、せせら笑うように口元を歪ませたが、――だが、女と対照的に、風見は表情を改めた。
「すまない。そういうつもりはなかった」
「気持ちの悪い奴らだね、全く」
風見とシェフィールドが立ち去ってから、ワルドに酒瓶を投げ渡したのは、フーケだった。
「あんたは知っているのかい? あいつらの事を」
そう言いながらフーケは、ワルドにしなだれかかる。
酔態を見せているが、ワルドは気付いていた。この女盗賊が、その実、少しも酔っていない事を。
「そんなサービスなどしても、俺が奴らに関して知っている事など僅かしかないぞ」
むしろ苦笑しながらワルドは瓶をラッパ飲みする。
そして、そんなワルドの苦笑に合わせるように、フーケも頬を緩ませる。余計な酔態を演じて見せなくとも、情報は聞かせてやる。ワルドがそう言っている事に、彼女も気付いたのだ。
「お前は魔法学院に潜り込んでいたのだったな、『土くれ』?」
「ああ、そこには、使い魔として召喚された、もう一人の風見志郎がいたのさ」
「ガンダールヴ、だな?」
「なんだい、詳しいじゃないか?」
「俺が知っているのは、いまハルケギニアのあちこちで、“虚無”の使い魔のルーンをその身に刻んだ、異様な者たちが動き始めているという事だけさ。さっきの風見と一緒にいた、シェフィールドとかいう女も、その連中の一人さ」
そこまで聞いて、フーケの目がきらりと光った。
「奴らが使い魔なら、その主は誰なんだい? おそらくその主こそが、レコン・キスタを含む、全ての火種の総元締のはずだよね……?」
「それを聞いてどうする……!?」
ワルドは、女の目を真っ直ぐに見つめた。
返答次第では生かして返さないとでも言いそうな空気だが、……そんなことに物怖じするフーケではなかった。
「その返事は、つまり、知ってるってことかい?」
ワルドは、その言葉に反応しなかった。
この女は、自身の感情にあからさま過ぎる。盗賊なんぞやっている割には、育ちが良かった証拠だ。――だが、手を組むには手頃かもしれない。あのシェフィールドとかいう謎の女を相手に回して騙し合うには、相棒はいた方がいいに決まっている。
ワルドは、そう思い、右手を差し出した。
「それは分からん。だが……分かった情報は教え合う、というのはどうだ?」
133 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/01(火) 23:11:34 ID:H7Ym6Dqu
基本的に姫は賢くないから
でもそこがいいビッチ萌え
ルイズが輝いている支援。風見かわいそう支援。
.
魔法衛士隊・平隊士時代に、百人の女を落としたという伝説を持つワルドの笑みであったが、フーケは、むしろ冷笑すら浮かべて酒をあおると、
「憶えておいた方がいいよ」
と、彼の耳元に口を寄せ、囁いた。
「あんた……自分で思ってるより二枚ほど、嘘が下手だってね」
怒りと羞恥で、顔が真っ青になるワルドだったが、そんな彼が差し出した右手を、逆にフーケは、がっちりと握り締めた。
「気に入ったよ、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵」
娼婦のように流し目を送りながら、フーケは、ぺろりと舌を出し、色っぽく唇を舐めた。
「マチルダ・オブ・サウスゴータ。自分からこの名を名乗ったのは、貴族を捨ててからはあんたが二人目だよ。これからもよろしくね?」
ワルドは反射的に眉間に皺を寄せたが、……やがて、その視線から硬いものが抜けた。
――気の強い女も、悪くはないか?
何より、ここにルイズはいないのだ。自分を装う必要は無い。
「――ワルドだ。俺と組んだ事は、後悔はさせん」
薄暗い部屋の中、二人の男が眼を見つめ合わせた。
だが、『二人の男』などという言葉で、彼らを括るのはいささか失礼であったかも知れない。彼らは――青年と少年という年齢の相違はともあれ――第三者が息を飲むほどの美貌を有していたからだ。
特に青年の方は、神々しいと呼分に相応しいほどの美と高貴さを、その身に纏っていた。
「ジュリオ」
「はい、聖下」
「シロウから連絡が入った」
「では、アルビオンに?」
「うむ、到着したようだ。これから行動を開始すると言っている」
そう言って、聖下と呼ばれた青年は微笑んだ。
それは、見るもの全てをひざまずかせるほどの、荘厳さと慈愛を含んだ笑顔であった。
今回はここまでです。
え、テファの出番は?
風見志郎が多すぎる
「俺が風見志郎だ」
「私が風見志郎だ」
以下略
乙
続きが気になってしかたないじゃないか!
Spirits版の風見志郎、NEXT版の風見志郎……第三の風見志郎はどの風見志郎なんだ?!
疑問はさておき作者さん乙!
で、どうして風見志郎がこんなに沢山いるんだ・・・
もちろんそこは「待て、次号!」ということだな
それにしても、本日はなんて豊作なんだ。とても全部には乙できんほどだ
とりあえずイチロー、ジロー、サブロー、でどうか?
>>141 残りはすがや みつる版と山田ゴロ版でどうか?
色んな作品が佳境に入ってきて大変な事になってるな
そんな中シャーリーは清涼剤だわw
乙でした。しかし、4人の風見か。彼等が戦うシーンがあるとしたら悲しいな。
>>141 KIKAIDER00のV3もいるんだろう
意表をついてヒーロー戦記の風見志郎。
どう見てもズバットです、本当にありがとうございました。
デビルマンで同種ネタ見たいな
ガンダールブ 永井原作版デビルマン
ヴィンダールブ テレビアニメ版デビルマン
ミョズニトニルン バイオレンスジャック版デビルマン
記すことさえはばかれる 映画版(ry
>>146 とりあえずミョズ風見は一番弱いって事に…昭和特撮は今で言う「厨スペック」の塊だし
154 :
大使い魔17:2008/04/01(火) 23:32:42 ID:iFdfb8v6
大作の後で気が引けるけど、投下予約。
40分に投下する。
>>151 デビルマンレディーは…あれのアニメ版は病気に近いから無理か
アルビオン軍が総ビースト化なんかされたら勝ち目が…永井的には「アリ」か
>>151 お前は何を言ってるんだ
映画版なんてありませんよ?
157 :
大使い魔17:2008/04/01(火) 23:40:25 ID:iFdfb8v6
だがだん♪ だがだんだがだん♪
「大使い魔ー、ワーンセブーン!!」
オゥオオー オゥオオー 彼こそは〜
オゥオオー オゥオオー 大使い魔〜ワンセブ〜ン
燃える真っ赤な太陽
ギラリ輝く装甲
見よ! 右手の虚無のルーン
風の唸りか雄叫びか〜
イザベラ企画の大殺戮
立て! 要塞ワンセブン
防げる者は他になし
オゥオゥオゥ オゥオオー オゥオオー 彼こそは〜
オゥオオー オゥオオー 大使い魔〜ワンセブ〜ン
第三話 「トリスタニア・買い物狂想曲(カプリッチオ)」(斥候ロボット登場)
ノコギリロボット撃破から二日後、アカデミーの面々が残骸回収のために学院を訪れた。
「妙だな……」
「ええ。粉々になったかのようにカモフラージュしてあるけど、所々持ち去られた部位があるわ」
「エレオノール、誰が持ち去ったと思う?」
同僚の問いかけに、エレオノールは視線を(要塞形態で待機中の)ワンセブンがいる場所に移しながら答えた。
「愚問ね。妹が召喚したあのロボット以外考えられないわ」
「だよなー」
「ワンセブン、金髪メガネのおっかなさそーなネーチャンがこっちを睨んでいる」
「……電子頭脳と動力炉の残骸を、こっちが回収したことに気付いたものと思われる」
ロボターとワンセブンの会話を訝しく思ったルイズが、会話に割り込んだ。
「ワンセブン、ロボター、あの時残骸回収って、資材調達以外の目的があったの?」
「……イエス。アカデミーが科学技術を入手するのを阻止するためでもあった」
二日前、ノコギリロボットを撃破した直後、ワンセブンは残骸の一部を回収し始めた。
召喚した日の夜に、超生産能力の存在と、それの活用に必要なだけの資材を紛失していた事を聞かされたルイズは、目の前で行われていた残骸回収を単なる資材調達だと思っていた。
しかし、ルイズとの契約の影響で「アカデミー」の存在と活動内容を知っていたワンセブンは、巨大ロボットを作る技術が彼らの手に渡るの防ぐ事も兼ねて、残骸回収を行ったのであった。
「ボクたち以外のロボットがこの世界にいただけでも大変なのに、アカデミーみたいな発狂集団がロボットを作れるようになったらもっと大変」
「確かにそうね。アカデミーなんかがアレみたいなのを作れるようになったら、大変な事になるわね」
「『発狂集団』? 『なんかが』? 誰のことを言ってるの?」
「「え?」」
ルイズとロボターが振り向くと、そこには青筋を立てまくったエレオノールがいた。
「エ、エレオノール姉さま、いつの間にーーー!?」
「ギャーー、出たーー!!」
ドゴ!
「ぐえっ!」
エレオノールは掌底でロボターをぶっ飛ばし、次に両手でルイズの頬を思いっきり引っ張り始めた。
「くぉの、おちび、おちび、おちび! ちぃびルイズー!!」
「ひだだ! でえざば! あだだだだ! ひぎぃ〜〜〜!!」
その光景を見て怒ったワンセブンは、即座に戦闘形態へと変形した。
ミヨンミヨンミヨン、ヨヨヨヨヨ、キュピーン! バギィィィィン!!
バゴーン!
「へげふあっ!」
エレオノールを蹴り飛ばし、ワンセブンは一喝した。
「その汚い手でこれ以上ルイズちゃんをいじめるな!」
かなり手加減したとはいえ、身長50メイル、体重数百トンの巨体に蹴られた衝撃は凄まじく、エレオノールは血の泡を吹きながら気絶した。
それを見たほかのアカデミーの職員たちは、エレオノールを水魔法で治療し、数人がかりで抱えてその場を去った。
怒りが収まらなかったワンセブンは、数時間後に彼らが帰るまで不機嫌であった。
158 :
大使い魔17:2008/04/01(火) 23:43:04 ID:iFdfb8v6
残骸を回収し、ゴーレムとガーゴイルが引く重機動馬車に乗ったアカデミーの職員たちが帰還する途中、ワンセブンに蹴られたダメージが残っているエレオノールが忌々しげにうめいた。
「あぁのおちびぃっ! あんなトンデモないのを召喚するなんて!!」
「落ち着けよ、エレオノール」
「これが落ち着いていられますか!」
「気持ちは分かるが、あのロボットはあんたの妹さんを守るために、あんたを蹴っただけなんだから」
怒り狂うエレオノールを、同僚たちが必死でなだめていた。
「……にしても、あのロボットを造ったのは誰かしら?」
「ここ最近出没するようになった怪ロボットの類と出所が同じだと思うがな」
「案外、造ったのは人間じゃないのかもしれないわよ……。今までの怪ロボットとは明らかに毛色が違うもの」
物思いにふけるエレオノールは、側にあった本を手に取った。
その本の題名は、「物言わぬ異邦人たち〜ロボット入門書〜」であった。
夜、ワンセブン内部のサロン内。
「あたたた……。なんて凶暴な女なんだ……」
「知っていると思うけど、あの人は昔からああなのよ……」
何故か他の生徒の使い魔たちがたむろしているサロン内で、掌底でへこんだ腹部をさするロボターを見ながら、ルイズはワンセブンが淹れてくれた紅茶を飲んでいた。
両頬には、力の限り爪を立てられた痕が痛々しく残っていた。
「……あれ? ワンセブン、どこで茶葉を手に入れたの?」
「シエスタや厨房の人たちが他の食材と一緒にわけてくれた」
「でも量的には微々たるもの。金属の類はこの間の残骸回収で当面は大丈夫だけど、食材の方は近いうちに調達しないと」
ロボターの呟きに反応したルイズは、こう提案した。
「だったら今度の虚無の曜日に買い物に行きましょう」
「いいの?」
「ワンセブンの超生産能力を、これ以上宝の持ち腐れにするわけにはいかないでしょ」
外では、要塞ワンセブンの甲板でシルフィードやクヴァーシルなどの、空を飛べる使い魔たちがくつろいでいた。
「何故かこの人の近くにいると落ち着くのね〜」
「ホ〜〜……」
支援
160 :
大使い魔17:2008/04/01(火) 23:44:48 ID:iFdfb8v6
そして虚無の曜日。
今回の買い物はかなりの量になるため、ワンセブンの提案で買い物慣れしているシエスタが同伴する事となった。
飛行ワンセブンで、20分もしない内にトリスタニアに到着した
「あっという間でしたね」
「そうね……」
「二人とも甘〜い。その気になればワンセブンはもっと速く飛べるんだよ」
「あれ以上の速さで飛ぶのはちょっと……」
「私も遠慮させてもらうわ」
明らかに不満そうな声で「えー!?」と言うロボターを尻目にルイズとシエスタは城下町へと向かった。
ワンセブンはデカ過ぎるため、要塞形態で門の近くで待機する事となった。
ロボターが引く荷馬車に乗って市場に来たルイズとシエスタは、荷馬車から降りて一軒の露店へと足を運んだ。
「らっしゃい。……って貴族様が何用で?」
「ここの商品を買いに来たに決まっているでしょ」
「ええ!?」
「何で驚くのよ」
店主とルイズの会話に吹き出しそうになるのを堪えながら、シエスタは店先に並んでいる野菜の値段を聞いた。
「……で、このガーリックがが10個で7スゥ。キャベツは一玉10スゥだよ」
「結構値上がりしてますね」
「その分中身がぎっしり詰まっているよ」
「今シエスタが値段を聞いた奴、一種類10エキュー分ずつ買うわ」
ルイズのその一言に、市場が騒然となったが、店主の方は狂喜していた。
それから、獣肉、魚介類、乳製品などを次々と大量に買い込み、そのたびにロボターの荷馬車に買った食材が積まれていった。
一通り買い終わった後、ロボターは荷馬車に積んだ食材をワンセブンに格納するため一旦門の近くへと戻っていった。
その間、ルイズとシエスタは集合場所である、噴水前の広場で休憩することとなった。
約一時間後、食材の格納を終えたロボターは数分で到着。
荷馬車には、こじんまりとした箱が二つ置かれていた。
「ロボター、その箱は?」
「ワンセブンが二人のために作ったお弁当。とにかく開けてみて」
ロボターに促された二人が箱を開けると……。
「わー、おスシだー」
「シエスタちゃん、寿司のこと知ってるの!?」
「はい。曽祖父が、故郷の料理だといって教えてくれたんです」
「……ロボター」
「うん、結構重要な情報だね」
「お二人ともどうしたんですか?」
シリアスな空気を漂わせながらヒソヒソ耳打ちし合う二人を見て、キョトンとするシエスタであった。
一方門の方では、ワンセブンの姿を一目見ようと、町の人たちが殺到していた。
そこに、いきなり怪ロボットが飛来してきた。
怪ロボットが城門目掛けて直進している事に気付いたワンセブンは、変形、迎撃に出た。
ミヨンミヨンミヨン、ヨヨヨヨヨ、キュピーン! バギィィィィン!!
161 :
大使い魔17:2008/04/01(火) 23:48:38 ID:iFdfb8v6
ガリアのとある実験施設
「よーしよし。感度良好」
「ハスラー、斥候ロボットでワンセブンを倒せるか?」
「難しいだろうな。城壁を背に戦うか、取っ組み合いにでも持ち込まない限りグラビトンでオシャカだ」
「そうか」
「まぁ、今回の目的はワンセブンを倒す事ではなく、奴のルーンの確認だ。ルーンさえ確認できればいいんだからな」
モニターには、斥候ロボットを通じてワンセブンが突撃する姿が映し出されていた。
ワンセブンの寿司を食べ終えた直後、門の方が騒がしくなったコトに気付いたルイズとシエスタは、ロボターが引く荷馬車で門まで急行した。
案の定、ワンセブンが怪ロボットと戦っていた。
幾ら攻撃を受けても突貫を繰り返す斥候ロボットに、ワンセブンは決定打を打てないでいた。
距離が近すぎてミサイルパンチは使えず、門と城壁の近くなのでグラビトンはもちろん、ナイキ級ミサイルも使うわけには行かない。
「ワンセブンさん、どうしてグラビトンを使わないのでしょう?」
「今、ワンセブンは城壁のすぐ近くで戦っているのよ。もしあそこでグラビトンをつかったら、爆風で城壁が吹き飛ぶわよ!」
「そうなったらボクたちだけでなく、ほかの人たちまで一緒に瓦礫の下敷きになっちゃうよ」
「……!」
ワンセブンは考えた。
グラビトンを使わず、いかに斥候ロボットを倒すかを。
飛行能力を有している以上、投げ飛ばしてもすぐに再接近されかねない。
ならば――。
「叩き壊してから投げ飛ばす!」
背中の翼を展開して戦闘飛行形態になったワンセブンは、斥候ロボットの肩を掴み上昇。
斥候ロボットが飛行ブースターを起動したところを見計らい、周囲を飛び回りながら殴り始めた。
「銀河ハリケーン!」
前後左右から繰り出される鉄拳を浴びる内に、斥候ロボットは装甲が徐々に悲鳴を上げ、遂に顔面に直撃した最後の一撃で大破した。
ワンセブンは大破した斥候ロボットを掴んだまま強行着地し、次に回転しながら投げ飛ばした。
「大車輪投げぇっ!」
遥か十数リーグ先まで投げ飛ばされた斥候ロボットは地面に叩きつけられ、爆発した。
再びガリアのとある実験施設
「うーむ、そう来たか……」
斥候ロボットからの映像送信が途絶えたモニターから視界を外してから、シェフィールドは唸った。
「ハスラーさん、ルーンの確認は出来たかな?」
室内に、青い髪の高貴な美丈夫が入ってきた。
彼こそは自らに貼られた『無能王』なる蔑称を隠れ蓑にする希代の『名将王』、ガリア国王ジョゼフ一世である。
「陛下!」
「こりゃ王様、ちょうど良かった……、と言いたい所だが、まあ見てくれ」
ハスラーがキーボードを操作すると、モニターに画像が映し出された。
斥候ロボットが送ってきた映像の中から特定の部位を切り出したものである。
「ルーン自体は右手についているのが確認できた。が、どれもこれも肝心のルーンの形状が一部しか映っていない上に、斥候ロボットの影や破片に隠れているのが多いんだ」
ハスラーは説明を続ける。
「時間はかかるが、映っている部分を現像して、継ぎ接ぎすればある程度は分かるぞ」
「そうか……。ならそうしてくれ」
予想通りに行かなかったせいか、ジョゼフは少し悔しそうだった。
「陛下、これからいかが致しますか?」
「……しばらく泳がせた方がいいな。まだロボットの数が充分じゃない以上、無駄遣いは出来ん」
「王様の意見に賛成だ。一体造るだけで何万エキューもするからな」
162 :
大使い魔17:2008/04/01(火) 23:51:47 ID:iFdfb8v6
あれから、エレオノール率いるアカデミーの回収部隊が斥候ロボットの残骸の回収を始めたため、電子頭脳と動力炉の残骸はアカデミーの手に渡ってしまった。
ノコギリロボットの残骸からは発見できなかった部位を見つけたことで、エレオノールはルイズを問い詰めようとしたが、ワンセブンに再び蹴られて失神。
その隙にルイズ、シエスタ、荷馬車を引いているロボターを回収し、ワンセブンは飛行形態になって帰路を飛んでいた。
「デンシズノーとドーリョクロを回収されるなんて……」
「彼らは怪ロボットが来た時点で前もって準備していたようだな」
「ワンセブンの強さを利用した、ってことね」
「あの女をもう一度蹴れたのが不幸中の幸いか……」
心なしか行きの時よりも短時間で、飛行ワンセブンは学院に到着した。
一方、アカデミーの医務室
「ちぃーびぃールゥーイィーズゥ――――!!!」
またもワンセブンに蹴られた挙句、今度は更に城壁に叩きつけられたため全身打撲で数日間の安静を言い渡された、ミイラ女状態のエレオノールの絶叫がアカデミーに響き渡った。
戦いの、戦いの、野辺に咲く
骸骨色をした彼岸花
鋼鉄の足音が
荒野に響いて
ミサイル飛んで
全てを焼き尽くす〜
大地を揺るがし
世界を震わす
ヴィンダールヴの
戦う鼓動
ルイズを賭け〜た〜、戦い〜の〜
これが最初の激突だ〜
ワンセブ〜ン、ワンセブ〜ン、ルイズ〜の〜、ワンセブン〜
163 :
大使い魔17:2008/04/01(火) 23:54:39 ID:iFdfb8v6
投下終了。
今回出てきた斥候ロボットも、石ノ森先生の画集にあった未採用ラフが元ネタ。
前回のノコギリロボット共々、ラフ上の名前が判明してなかったのでこっちで勝手に名前をつけました。
ちょwww
銀河ハリケーンと大車輪投げってキカイダーの技w
乙
でもエレオノールの不幸っぷりがルイズちょっと冷たくない?
電・ジ・エンドォォォォ乙。
乙!
さすがいき遅れ(と書いてエレオノールと読む)だ、17に蹴られてもなんともないぜ
ってうわなにをするやめ(r
168 :
中の人:2008/04/02(水) 01:38:15 ID:NN2iW1tU
↑自称17歳が17に蹴られた、ってわけか。
>>70 そういう展開やるかどうかは作者次第だ
規約や注意事項、マナーじゃないんだから書く必要無い
鬱陶しい
ウザい
失せろ
>>170 おまえの方が鬱陶しい、ウザい、失せろ
っていうか毒吐き逝け
>>172 釣られるな!こういう時はスルーの魔法だ!
>>170-173 おっぱいの話がしたいなら素直にそう言えばいいのに…
キュルケ級のおっぱいはロマンだが シエスタ級が実用的だろうし、ルイズのつるぺたも捨てがたい。
要するにタバサに勝るものはないってことだ。
>>174 その論には反論出来ないぜ同志。
ただおっぱいにはそれ相応の顔を持つ美人が必要だ。
要はアン様とシエスタ最高って事。
>>175 脂肪の大きい奴にしか萌えれないお前に宣戦布告するぜ!
まあ、待て。
二つを兼ね合わせて、ルイズの乳がでかくなれば良いんじゃね?
貧乳はステ−タス、そんな言葉が適用されるのは
十代までだ!
同志召喚とか
立てトリステインの労働者
>>178 馬鹿野郎!むしろ20からが本当の戦いだ!!
皆どんだけおっぱい好きなんだw勿論俺も好きだがw
しかしこうして見ていると、ここは野郎共の巣窟なのかと思ってしまうなぁ。
タバサ(のおっぱい)も好きなのだがテファ(におっぱい)も大好きだ
そんな俺はどんな道を歩めばいいのだろう
おっぱい…ポリフォニカ(ぶるぅ)のルーファとか?…大きいよ、確か絵師も同じだし
ただ問題は「2巻ぐらいじゃ設定良く分からないんだよ」って事と
見た目から確実に「ガリア関係者?」と思われる事
その他にも作品の基本設定的にクリアしなければいけない事が本当に多いんだよな〜
>>183 右の手にテファのおっぱい、左の手にタバサのちっぱいを抱く勇者の道を歩むのです。
だから私はおマチさんのおっぱいとイザベラさまのちっぱいでにゃんにゃんしてますね。
アニエスの筋肉で若干固くなったおっぱいを揉みしだくのが俺の夢
もうおっぱいからはなれなさい
じゃあ、俺はホモだからマルコリヌの腹でも揉むか
じゃあ尻。
ルイズかタバサの尻は安産型。撫で心地はタバサのほうが上。
>>187 でぶ専ホモとかどんだけマニアックなんだw
じゃあ、俺ギーシュ掘ってくる
タバサと一緒にカップル風呂の露天に入りたいなぁ!
髪を洗うタバサの丸まった背中からお尻のラインを見ながら焼酎飲みたいなぁ!
シャンプーしてるタバサの尾てい骨から背骨のラインを指でつつっ、てやりたいなぁ!
きゃぁっ、とかひゃんっ、ていうのかなぁ!
聞いて見たいなぁ!
>>191 きっとあれだぜ。声は出すまいと我慢しつつも
『……ッ!!』って身震いするんだぜ
その後恨めしそうにこっちを見るんだ、きっと。たまらんね
そこまでいくと怖い((゚Д゚ll))
おまいらみんなエロパロ板へ行け。
196 :
173:2008/04/02(水) 14:54:57 ID:nrC+TjDw
なぜおっぱいの話にwww
スルーの魔法を唱えると愛と希望が飛び出すのだなw
>>197 愛と希望?
愛欲と脂肪ぢゃないの?
貧乳も巨乳も関係ない!
おっぱいに貴賤はないとおっぱい子爵も言っておられる!
貴賎は無いが価値観の差は大きいな
200 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/02(水) 15:21:05 ID:kYmaZN9K
遅スレですが。ワンセブンの人乙ですぅ〜♪
なぜかおっぱいの話なので? 超生産能力でブラジャーをww
でもって、「ハルケギニアにブラジャーを広めたロボ」「よせあげブラ
を製造した漢(ロボ)」「ある意味、勇者」「ハルケギニア女性に希
望を与えた天使」「ハルケギニアの半分の男性に幻を、もう半分に絶望をもたらす悪魔」
「貧乳の味方」「巨乳の敵」「才能の無駄遣い」「何しに召喚されたんだお前は」etc... と^^
>>198 >愛欲と脂肪
誰が上手い事をwと思ったのだけどあまりにも上手過ぎて感動したw
202 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/02(水) 15:27:00 ID:kYmaZN9K
追記。「薔薇乙女も使い魔」の人、ごめんなさい;
kYmaZN9K氏。
まずはsageなされ。
変態紳士たる者、おっぱいに優劣をつけるなど絶対にやってはならぬことである
ああ。おっぱいに貴賎なしだ…
大きなおっぱいでも、小さなおっぱいでも、おっぱいを構成する愛に多寡も貴賎もない。
キュルケのおっぱいが「ロール・ユー!」できる歳になっても、私は変わらずエルザとにゃんにゃんするさ。
いつだっけかおっぱい談義でレス100行ったこと無かったか?
エレオノールさんは女装趣味の男性でしょ?
だって虚に…あれ誰かき(ry
むむむ胸なんてただの脂肪じゃないっ!!!
貧乳の母を嫁に持つ家の父は真面目に言いました。
「大きい乳が好きな奴はとどのつまり精神的に母親からの乳離れが出来ていないのさ。乳は母性の象徴だし、赤ん坊が初めて口にするのも、乳だしな。」
テファ級のおっぱい好きな私はどうすれば……
>>210 正常です
ただし、変態紳士であればの話だが
タバサの胸こそ至高なり
紳士達の愛と欲望で、スレが温まってまいりました。
そろそろ良いんでない?
オッパイチョイスのセンスで
その後の人生は 大きく左右されます
まるで左右のオッパイのように
タバサ好きは 中途半端 好みとしては 中途半端
なくてもいいけど、ちょっとはあったほうが… そんなの 微妙すぎ〜
ルイズ好きは 卑屈すぎます 自分に自信が無い証拠です
オッパイは 決して怖くナーイ 勇気をもってくださーい
テファ好きは でかけりゃいいって もんじゃないことを肝に
銘じておいてください 女性の敵ですよー!
いろんなオッパイ 見てきたけれど 最後に私が言いたいことは
女の人を胸で判断するのは よくない事ですよー! ララララ……
夢が詰まっているが故に膨らんでるおっぱいも
希望が凝縮されているが故に張り詰めてるちっぱいも
どっちもいとおしくて何が悪い!
>>209さん
漢はその脂肪に浪漫を求める生き物なんです!!
ぶううううううるあああああああ!!!
こォの物語は! おっぱいマニアの! おっぱいマニアによォる!
おっぱいがいっぱいであァァァるっ!!!
音速丸召喚か〜…でも個人的には「パクマンさん」を喚びたいな〜
とりあえずテファがセクハラされまくるのは確実っぽい
そして「メガネ&学者キャラ」なエレオノールにボッコボコにされる…うん、確実だ
>>217 シエスタ「ダメですよ音速丸!おっぱいは一日三回までって言ってるでしょ!」
正確にはおっぱいがいっぱいアニメであ〜る!!だな
尻好きな俺にはついて行けません
インテリジェンスおっぱいの話とか無いかなあ
222 :
174:2008/04/02(水) 19:13:14 ID:kfrFrCYT
今日は紳士が多いなw
オッパイが好きなのは分かった俺も好きだし
だけどいい加減自重した方がいいんじゃないか?
おまえら、おっぱい自重しるwww
マチルダの美乳が一番だろ・・・常識的に考えて。
いや、「俺はボインちゃんが好きなんだ」と某ロボットアニメでも言われてる
つまり彼を召喚すべきだろう
ガンダー:アニメ版ハ○ト
ミョズ:漫画版ハヤ○
>>227 記すことすら憚られるのは新の○ヤトか?真とかネオはかっこいいがインパクトに難がある。
そーいえば『三人』のはやては、キュルケやシエスタの乳を揉んでなかったなあ。
まあ待て、皆落ち着くんだ
おっぱいの話をすればするほど、ルイズの立場が無くなって超萌える
もう鼻血が出るかもしれない
皆もそんなルイズを想像して鼻血を噴くんだ、そうすれば落ち着くであろう
テファがおっぱい大きくて自分の乳揉みながら、気にする様子を見て(ry
予約無ければ五分後から投下します。
支援なのー! 支援支援しえーん!
ガッツが厨房に入ると途端に湧き上がる歓声。
学院で働く平民たちにとって英雄といっても差し支えないガッツへの喝采とそれに混じる貴族への罵声、特にマルトー親方のソレはトリステイン魔法学院の廊下によく響く。
石造りの冷たい廊下にじっと立ち尽くし、拳を強く握りしめながら―――ギーシュ・ド・グラモンは黙ってそれを聞いていた。
翌日。
午前の授業が終わった昼休み、麗らかな日差しが心地良く降り注ぐ中庭で、しかしギーシュは汗だくになりながらステップを踏んでいた。
ギーシュの目の前には自らが錬成したワルキューレが立っている。ギーシュはそのワルキューレの手をとっていた。
ダンスだ。いや、それはあまりにも稚拙でたどたどしく、とてもダンスと呼べる代物ではなかったが―――どうやらギーシュは必死にワルキューレとワルツを踊ろうとしているらしかった。
だが、あまりにも無様である。まずステップからして全然合っていないし、お互いがお互いを抱きしめようとしてぶつかりあう始末だ。貴族の踊るダンスとしては非常に見苦しいことこの上ない。
そのうちにワルキューレの足にひっかかり、ギーシュは盛大にすっころんだ。
「あはははは! ほんとによくやるなギーシュ!!」
その様子をおかしそうに見つめていたふとっちょの少年はギーシュが転ぶのを見て遂に吹き出した。
「うるさいな、マリコルヌ。茶化すだけならどこかへ行ってくれ」
顔についた土を拭いながらギーシュははき捨て、立ち上がる。
「しかしギーシュ。あの『黒い悪魔』との決闘に負けてからずっとそうやってワルキューレと踊っているけれど、僕は心配になってしまうよ。君がついにくるってしまったかとね」
マリコルヌと呼ばれたふとっちょの少年は、そう言うとおどけたように肩をすくめた。
「おあいにくさま。僕は極めて正常であり、真剣だよ。ふざけているように見えるかもしれないがこの訓練にはちゃんと意味がある。むやみやたらにワルキューレに剣を振らせるよりこちらのほうが上達への近道であるはずだ!!」
「そうかぁ?」
自信満々に胸を張るギーシュに、マリコルヌは呆れたように声を出した。
少なくとも、マリコルヌにはギーシュのやっていることが有意義なことであるとはとても思えない。
仮に、ワルキューレと見事にワルツを踊れるようになったとして、それでどうやってあの『黒い悪魔』に雪辱を果たすというのだ?
「見たまえ、黒い悪魔!! 必殺、『青銅のワルツ』!!!!」
そう言ってワルキューレの手を取り、黒い悪魔の前で突然くるくる踊りだすギーシュ。
ずばーん。ぎゃー。
その情景を頭に浮かべてマリコルヌは思わず吹き出してしまった。
マリコルヌが笑っていると、ワルキューレが形を崩し、土へと還った。
見るとギーシュは何故か薔薇を加えたままタオルで汗を拭き始めている。
なんともふざけた姿だが、いつものことなのでマリコルヌはさして気にしない。どうやら今日の分のトレーニングは終わりのようだった。
ギーシュが汚れた顔を拭き、髪を整えるのをなんとなしに見ていると、さくっ、と草を踏む音が聞こえた。マリコルヌが振り返ると、そこには黒髪のメイドが立っていた。
「あっ」
声を出したのはマリコルヌとメイドと同時だった。
このそばかすの入った愛嬌のある顔立ちをしたメイドには見覚えがある。
あのギーシュと『黒い悪魔』の決闘の日、引き金となったのが確かこの娘だったはずだ。
名前は知らない。さして興味がなかったからだ。
そのメイドは怯えたように肩を縮こませると、こそこそと中庭を横切ろうとした。
無理もない。このメイドにとって後ろにいるギーシュは恐怖の対象だろうから。
「挨拶もなしで行くとはいいご身分だな!」
鋭い声に、マリコルヌは驚いてギーシュの方を振り返った。
メイドはびくりと肩を震わせて立ち止まる。
ギーシュの顔には激しい怒りが表れていた。
それを見たマリコルヌは面食らってしまった。ギーシュがこんな顔を、平民とはいえ女の子に向けるなど見たことがなかったからだ。
「お、おいおいギーシュ。自分の存在意義を『女の子を幸せにするため』などと言い切る君らしくないじゃないか。あの時の事で怒ってるんならそれはどうかと思うぞ。あの時は誰がどー見たって君が悪い」
そう言ってマリコルヌはギーシュをたしなめようとした。
ギーシュの言葉に怯えるメイドが余りにも哀れだったからだ。
だが、ギーシュの怒りはおさまらないようだった。
「ふん! この女をモンモランシーやケティ、それに他のレディ達と同列に扱えと? 冗談じゃない! それは彼女たちへの侮辱ですらある!! 彼女達は自らの家名を背負う『覚悟』があるし、貴族としての在り方を貫く『誇り』も持っている!!」
ギーシュは先程まで口に咥えていた薔薇の造花を掲げた。
「貴族というものは美しいだけでなく、その身に大なり小なり『牙』を持つ。それこそこの棘を持つ薔薇のように……そうでなければ家名を守ることも、誇りを貫くことも難しい。僕はそんな彼女たちをこそ幸せにするために生きているのであり……」
ギーシュは黒髪のメイド―――シエスタを鋭く睨む。
「こそこそと貴族の陰口を叩く君たちのような者たちのために生きているのでは、断じて無い」
シエスタの顔が青ざめた。肩が震え、思わず手で口を覆う。
陰口、おそらくは厨房での皆のやり取りのことだろう。
聞かれていたのか。シエスタは心臓を握りつぶされる思いだった。
貴族の悪口を言っていたことが知られたというのなら、どんな仕打ちを受けても文句はいえない。
とは言っても、貴族の悪口を大声で言っていたのはマルトー親方をはじめとする荒っぽいコック連中であり、シエスタは彼らの様子を苦笑交じりに見ていただけだ。
だが彼らを止めようとはしなかった。
何故なら、ガッツがギーシュを打ちのめしたその姿、平民が貴族を下したというその事実に―――確かに自分も胸がすく思いでいたのだから。
それが、ギーシュには気に入らない。
そもそも貴族が平民に対し高圧的な態度を取るのは何故か。数多ある理由の中で一つ例を挙げるならば。
貴族は『守る者』であり平民は『守られる者』である、ということが一因として挙げられる。
もちろん例外は存在する。平民でありながら剣を取り、戦場で武勲を重ね、遂には貴族に成り上がった者など、帝政ゲルマニアなどでは珍しくない話だ。
しかし多くの平民は有事の際安全な場所に避難し、貴族は杖を取りこれを全力で守る。
そう、貴族は平民に対し『絶対的な力』を持つと同時にその力を自国の平和の維持に注ぐからこそ貴族が平民に対し高圧的な態度を取ることが『許される』のだ。
もちろん貴族の全てがいざ戦という時に勇猛果敢に杖を振るうわけではない。
だが少なくともここトリステインにおいて、戦が始まればギーシュの実家であるグラモン家はいの一番に出陣するし、ギーシュ自身もそれを誇りとし、いざという時は戦場に赴く覚悟は出来ている。
そんなギーシュだからこそ、貴族の覚悟と苦労を知らず、ただ不平不満をさえずりあまつさえ貴族の失態を陰で笑うシエスタ達を許すことは出来なかった。
ギーシュは黙ったまま、冷たい視線をシエスタにぶつけている。
文字通り刺すようなその視線に、シエスタの顔は青を通りこして白くなっていった。
「も、もうしわけ………」
たまらずシエスタが口を開きかけたその時、また草を踏む音が聞こえた。
シエスタが来たときとは違う、重い足音。
現れた人物にマリコルヌは怯え、ギーシュは苦虫を噛み潰したような顔になる。
振り返ったシエスタの目の前には『黒い悪魔』ことガッツが立っていた。
「ガッツさん!」
シエスタの顔に笑顔が戻る。
「よう、親方が探してたぜ」
ガッツの言葉にシエスタはいっけない、と口に手を当てた。
どうやら何かしらの用事の途中だったらしい。
ガッツはシエスタの後ろにいる二人に目をやった。
ふとっちょの少年に見覚えはないが、薔薇を手に持った金髪の方には見覚えがある。
名前は失念してしまったが、決闘騒ぎの相手だったはずだ。
と、ガッツはそこでおもしろくなさそうなギーシュの顔と、そんなギーシュにシエスタが怯えた様子であることに気がついた。
おいおいまた厄介事かとガッツは眉をひそめる。
シエスタはいつの間にかガッツの後ろに回りこみ、ガッツとギーシュが向かい合う形になっていた。
ガッツのマントにしがみ付き、ふるふると震えるシエスタを一瞥してギーシュは踵を返す。
「そういうところが気に入らないんだよ」
最後にギーシュが言い放った一言がシエスタの胸を貫いた。
ギーシュの姿は校舎の中に消え、マリコルヌは慌ててそれを追っていった。
あとには何が何やらといった感じのガッツと目に涙を浮かべて立ち尽くすシエスタが残される。
シエスタはしばらくそのまま顔を伏せて立ち尽くしていた。
ガッツはどうしたもんかと首を捻る。無視して行ってもいいのだが、一応シエスタにはメシを恵んでもらった借りがある。
だが慰めるにしても状況がさっぱりわからないし、何より性に合わない。
少し経って、やがてシエスタがぽつりぽつりと呟き始めた。
シエスタから事情を説明されて、ガッツはなるほどと思う。
ガッツは食事を厨房でとる。その時にマルトーを始め厨房の連中が貴族の悪口を叫んでいるのも当然耳にした。
ギーシュがそれを聞いていたとしたら、腹を立てるのもまあわからなくもない。
わからなくもないが……
「私が悪いんです。ガッツさんがギーシュさんに決闘で勝って、まるで自分のことみたいにはしゃいで、平民でも貴族に勝てるんだって浮かれて……挨拶するのも忘れちゃって……」
シエスタがずずっ、と鼻をすする。
「ガッツさんが勝ったからって、私が偉くなったわけじゃないんですよね。ひどい勘違い。私、調子に乗ってた……さっき、それに気づかされちゃいました」
そう言って顔を上げたシエスタだが、笑顔と泣き顔が混ざったような顔をしている。
無理をしているのが一目でわかった。
ガッツにはシエスタの心情は理解できない。ガッツは全てを己の剣で勝ち取って生きてきた人間だ。剣を持つことも出来ず、貴族の庇護の下でしか生きる術を知らぬシエスタの気持ちなど理解できようはずもない。
故に同情も出来ず、適切な慰めの言葉も浮かばなかった。
だから、とりあえず思ったことを言ってやった。
「あんたも牙を持てばいいだろう」
シエスタはキョトンとしてガッツを見る。それから慌てて首を振った。
「む、無理無理! 無理です! 私そんな剣なんか持てないです!!」
「別に剣に限った話じゃない。武器ってのは色々ある」
そんなこと言われても自分がそんな武器を持っているとも扱えるとも思えない。
何より自分が貴族に楯突くという発想自体が恐ろしくて仕方がない。
またシエスタは俯く。
「私は、ガッツさんみたいに強くないです……」
私には、無理だ。
その顔には自嘲の笑みが浮かんでいた。
ガッツの口からため息がひとつ漏れた。
「だったら、ずっとうずくまっていればいい」
ガツンと頭を殴られたような気がして、シエスタは顔を上げる。
ガッツはもうシエスタのそばを離れ歩き出していた。程なくしてガッツの姿も校舎の中に消える。
シエスタはしばらく呆然とそこに立ち尽くしていた。
どういう偶然か。
その夜、ガッツが剣を振ろうと裏庭に出ると先客がいた。
双月の下で金髪の少年が青銅の戦乙女と不器用なダンスを踊っている。
胸のポケットにはきらりと月の光を反射する薔薇の造花。
間違いなくギーシュ・ド・グラモンだ。
もう既に何度も転んでいるのだろう、その顔には泥がつき、ズボンは草の汁で所々緑に染まっている。と、観察している間にもギーシュは盛大にワルキューレとぶつかり、草原に転がった。
「うぐぅ…だめだ、また動きが引っ張られた。僕は右、ワルキューレは左……」
ぶつぶつと言いながら立ち上がる。その途中でガッツに気がついた。
「うわぁッ!」
「よう」
ギーシュは驚いて跳ね起き、ガッツはわりと気軽に声をかけた。
「ななな、何の用だ!!」
「別にお前に用はねえよ。俺は剣を振りにきただけ……」
「は、そうか! あのメイドに何か吹き込まれたな!! たまたま外に出る僕を見て闇討ちに来たってわけだ!! ハッ! まったく汚い、卑怯極まりないな!! 君たちは!!」
「聞けよ」
ガッツの呆れた声に、ギーシュはまったく耳を貸す様子が無い。
ギーシュは胸のポケットにしまっていた薔薇の造花を取り出し、大きく振った。
そこから散った花びらが青銅のゴーレムと化す。
その数は7体。この間の決闘の時と異なり、ギーシュに錬金可能なワルキューレを総動員しての総攻撃だ。
「この間の僕と同じと思うな! 行けッ!! ワルキューレ!!」
問答無用とばかりにまだドラゴンころしを抜いてさえいないガッツにワルキューレが一斉に襲い掛かる。
「まあ、ちょうどいい」
ガッツはため息をつきながらも、不敵に笑った。
「もともと剣を振りに来たんだしな」
呟いてドラゴンころしの柄を握る。ガンダールヴのルーンが鉄の左手で鈍く輝いた。
あっという間にただの鉄屑と化したワルキューレの残骸に囲まれ、ギーシュはガタガタと足を震わせていた。
その視線の先にはそんなギーシュなどどこ吹く風で黙々と剣を振り続けるガッツの姿がある。
ガッツがドラゴンころしを振るたびに、空気を切り裂く轟音がギーシュの肌を叩いた。
「ぼ、僕をどうするつもりだ」
「……別にどうもしねーよ」
「へっ?」
しばし剣を振るのをやめて、ガッツはギーシュに向き直る。
「俺はただ剣を振りにきただけだ。お前が勝手に襲ってきたんだろが」
しばらくポカンとしていたギーシュだったが、ガッツの言葉の意味が頭に浸透するとその額に汗を浮かべ慌てて頭を下げた。
「す、すまない。どうも勘違いしてしまったようだ。つい、あのメイドが君をけしかけたのかと……はは、は……で、では失礼する!」
気まずさに耐えかねてギーシュは踵を返した。
ギクシャクと去っていくその後姿を見て、ガッツは口を開く。
偶然にもここではちあい、たまたま話題にも上った。
だからまあ、言っておくことにした。
「随分と御大層な説教をなさったみたいだが……」
ぴたりとギーシュの足が止まる。
「その場で怒らないで、後でかよわい女の子に当たるなんざ、勇敢なる貴族様にしちゃどうかと思うぜ」
あざ笑うかのようなガッツの声。ギーシュに反論は出来なかった。
そう。ギーシュが陰口を叩かれたということで激昂したならば、それを耳にした時点で厨房に踏み込めばいい。
だがギーシュはいかなる理由からかそれをせず、あろうことかその後無力な少女に当たり散らすという真似をしでかした。これはちょっと無様に過ぎる。
顔が熱い。きっと鏡を見たら怒りと恥で真っ赤に染まっているに違いない。
耐え切れず、ギーシュは駆け出した。ガッツの顔を見ることは出来なかった。
ガシャン!
シエスタの手から滑り落ちた皿が床に落ちて盛大に砕け散った。
厨房中の視線がシエスタに集中する。
「す、すいません……」
シエスタが頭を下げると皆ため息をつきながらそれぞれの作業を再開した。
皿を割るのはもう三枚目だ。
破片を拾うためにしゃがみ込む。
『だったら、ずっとうずくまっていればいい』
ガッツの言葉がふと頭に浮かび、シエスタはたまらない気持ちになる。
シエスタが破片を拾い集めようと手を伸ばすと、ひょいとそれを手伝う手があった。
顔を上げると、茶色がかった赤髪を後ろで束ねた、シエスタの同僚であるアイリだった。
人懐っこい笑みが特徴的で、いかにも田舎娘という雰囲気がその身から出ており、仕事仲間からは愛されている。シエスタにとっても特に仲がいい同僚の一人だった。
「どうしたのシエスタ? 今日は何か調子悪そうだよ?」
「ううん、何でもないの。心配してくれてありがとう」
心配そうにシエスタの顔を覗き込んでくるアイリに、シエスタは笑う。
そんなシエスタを見てアイリは眉をひそめた。誰がどう見たって無理をしているのがばればれなのである。
「何か悩み事があったら話してね。無理はしないで」
「うん、ありがとう」
こちらを気遣うように言ってくるアイリに、シエスタは申し訳ない気持ちで一杯だった。
厨房の片づけも終わりに差し掛かり、これをもってシエスタの一日の仕事が終わる。
明日の朝もまた早い。今日はもうとにかく寝てしまおう。
最後まで厨房に残っていたシエスタは、最後に倉庫の鍵がしっかりと閉まっているのを確認して、重い足取りで出口へと向かった。
「やっほ」
「ひぇッ!?」
ドアを開けたところで突然現れた人影にシエスタは思わず小さな悲鳴を漏らしてしまった。
人影の正体は、そんなシエスタを楽しげに見つめるアイリだった。
すでにメイド服は脱いで、ラフな私服に着替えている。
その手には一本のワインと二つのグラスが握られている。
「マルトー親方が帳簿をごまかして卸してくれたんだ」
きょとんとするシエスタに、アイリはにかっ、と笑った。
「ちょっと付き合いなさいよ、シエスタ」
「ひゃ…!」
ぐい、と首に腕が回される。
断る間もなくシエスタはアイリの部屋へ連行されたのであった。
あっさりとアイリが持ってきたワインは空になり、シエスタはぐでんぐでんに酔っ払っていた。
シエスタも既にメイド服からボタンで前止めするタイプのシャツに麻のズボンという寝巻きに着替えている。
そのシャツのボタンは一番上が外され、アルコールで桃色に染まった胸がその谷間をわずかに覗かせており、アイリはそれを何やら不機嫌な顔で睨みつけていた。
「たしかにぃ〜、わたしがわるいとおもいますよぉ〜? でもぉ〜、だからってぇ〜、あそこまでいうこと、ヒック、ないじゃ、ヒック、ないですかぁ〜」
「うん、そうだねえ〜、そうだねぇ〜」
シエスタは二本目のワインの封を切り、自らのグラスにどばどばと注いだ。
そのワインはマルトー親方にもらった物ではなく、アイリの私物だ。
元々元気がないシエスタの慰めになればと酒を提供したアイリではあったが、シエスタがここまで深酒するとは思っておらず、ただ苦笑いを浮かべるのみだ。
「それに、ガッツさんまで……」
―――うずくまっていればいい
「確かにその通りですけどぉ……」
そう、確かにその通りだ。
貴族に反抗する度胸は無い、でも尻尾を振るのは気に入らないでは通らない。
貴族に牙をつきたてるか、従順に尻尾を振るかのどちらかを必ず選択しなければならないのだ。
酒に酔ってぼう、とした頭で考える。
そもそも、自分がこんなことを考えているのが驚きだった。
以前までの、あの決闘より前の自分は、貴族にかしずくことをごく当たり前に受け入れていた。なぜならそれまでそう思うことは当然で、疑うことすらなかったのだから。
だけど、平民でありながら貴族を圧倒するガッツの姿を見て、また今日のギーシュとのやり取りを経て、シエスタの価値観は少し変化を見せていた。
武器を持ち自らの足で立つか、平伏し誰かの庇護の下うずくまるかを選択するのは、結局のところ自分だ。
そういう時代だから―――などと、その理由を周りに求めるのは全て言い訳にすぎない。
シエスタはそれを自覚した。
だから、例え弱い自分だとしても―――自らの意思で『ずっとうずくまる』ことを選択するのは抵抗がある。
何だかわからないもやもやがシエスタの胸中にあった。
ふぅ、ととろんとした目でため息をつく。
「私にも、武器があったらなぁ……」
ピクッ、とアイリの耳が動いた。
ゴゴゴゴゴゴ――――
ただならぬ気配を纏い、シエスタを睨みつける。
「ど、どうしたのアイリ?」
そんなアイリの様子に若干酔いも醒めてシエスタは後ずさる。
しかし侍女用の寮の部屋は決して広くはない。すぐに壁に背が当たる。
「武器が……無いぃ……?」
アイリの目がギラリと光る。その目はまるで羊を狙う獰猛な狼のようだ。
シエスタは混乱していた。
何? 私何か言ったっけ? いつ? いつ地雷踏んじゃった?
酔いと焦りでよく回らない頭をフル回転させて考える。が、答えは出ない。頭の回転に合わせて目まで回ってきた。
「こぉんなに立派な武器をつけといて……」
アイリが狼よろしくその身を屈ませる。
シエスタは思わず身構えた。
「武器がないとぬかすかぁ〜〜〜!!!!」
アイリはシエスタに飛び掛り、その胸を正面から思いっきり鷲?みにした。
「ひぁあッ!!」
「ほらぁ! どうじゃあ! おりゃあ!! こんちくしょうがぁ!!」
半ば憎しみを込めてアイリはシエスタの胸をもみしだく。
「あ、はぅ…ぅん」
もにゅんもにゅんと豊かに形を変えるシエスタの胸に、もめばもむほどアイリの怒りは増していくようだった。
怒り泣き笑いという奇妙な表情を浮かべながらシエスタの胸をもみ続けるアイリの胸はとても慎ましいもので、つまるところ彼女も随分酔っているらしかった。
アイリの部屋からほうほうの体で抜け出したシエスタは、酔い覚ましに少し散歩をすることにした。
寮を出て、月明かりの下を歩く。熱く火照った頬に冷たい風が心地よかった。
しばらく歩いていくと生徒のための女子寮が見えてくる。女子寮の周りを一周したらちょうどよい頃合いになるだろうとシエスタは歩き出した。
壁沿いに歩き、角に着いたところで曲がろうとすると―――
「あぁ、モンモランシー! 蒼い月光で照らされた君はまるで月に住む女神のようだ! あぁ、だからモンモランシー! その窓を開けて君の姿をこの目に宿す栄誉を僕にくれまいかっ!! モォンモランシー!!!」
聞き覚えのある声が聞こえてきて、シエスタは慌てて角に隠れた。
恐る恐る様子を伺うと、ギーシュがまるでオペラを演じているように声高に叫んでいるのが目に入った。
視線から察するに、どうやら二階か三階かの窓に向かって叫んでいるようだ。
なおも叫び続けるギーシュを観察していると、やがて三階の窓が開き金髪の髪を縦ロールに纏めた少女が顔を出した。
その少女の顔には見覚えがある。あの決闘騒ぎの原因となった香水の持ち主が彼女だったはずだ。
ドラゴンしえん
「あぁ、モンモランシー!!」
ようやく顔を出してくれた想い人に、ギーシュの顔が喜びに彩られる。
モンモランシーは笑顔でその手に持っていた花瓶から花を抜くと、そのままひっくり返した。
零れた水がギーシュの笑顔に直撃する。
「おぅふッ! 目が、目がぁ!!」
「夜中に馬鹿みたいな大声で人の名前を連呼しないでちょうだい。まったく、恥ずかしいったらありゃしない」
そう言い捨ててモンモランシーはぴしゃりと窓を閉めた。
ギーシュはがっくりとうなだれてしまう。
まずいところを見てしまったかもしれないと、シエスタは踵を返した。
パキリ―――
はぅ、と思わず声が漏れる。小枝を踏んでしまった。小さな小さなその音も、静かな月夜にはよく響く。
「誰だ!!」
気づかれた。
ずんずんとギーシュがこちらに近づいてきているのがわかる。
こうなっては逃げられない。
シエスタは覚悟を決めて角から飛び出した。
「お前……!」
シエスタの姿を見たギーシュは驚きに目を見開き、それから苦虫を噛み潰したような顔になった。
「見たのか…?」
シエスタはぶんぶんと首を振る。これでは見たと言っているようなものだ。
ギーシュの前髪からぽとりと滴が落ちる。
ギーシュの中で怒りと恥ずかしさがない交ぜになって、ギーシュはその感情を持て余していた。
感情的に怒鳴り散らしたいところではあるが、ガッツの言葉が重く肩にのしかかってそれはためらわれる。
だが、ギーシュはとにかく見られた恥ずかしさをどうにかしたかった。だから、これ見よがしに肩をすくめてやった。
「まったく…盗み聞きとは、いい趣味だな」
シエスタは固く目を閉じてギーシュに言われるがままになっていた。
まったく今日は運が悪い。あぁ神様、私はそこまで悪いことをしたのでしょうか。
ギーシュはシエスタが無抵抗なのをいいことにネチネチと責め立てる。
しょうがない。だって不可抗力とはいえ、盗み見ていたのは事実なのだから。
そう思ってシエスタはぐっと耐えた。そしたら頭がズキリと痛んだ。どうやらアルコールはまだ十分抜けていないらしい。当然だ。ほんの十分前までワインを浴びるように飲んでいた。
早く帰って寝たかった。中途半端に歩いたのがよくなかったのか、足元がふらふらしてきた。散歩に出る前よりも酔いが回ってきている気がする。
ちらりと目をあけてギーシュを見る。愛する少女からの不興を買って濡れ鼠な金髪は、偉そうに腕を組んでご説教ときたもんだ。
……ちょっとしつこすぎやしないか。
なんだかイライラしてきた。刺すような頭痛がその苛立ちを助長する。
悪いのは本当に私か? ただのこいつの自業自得ではないのか?
大体さっきの少女に対する態度と自分への態度のこの違いは何なのか。
ふとっちょの少年が中庭で言っていた言葉を思い出す。
―――自分の存在意義を『女の子を幸せにするため』などと言い切る君らしくない
ということはなんですか? 私は女の子として見られていないということですか。そうですか。それはちょっと、こう、なんというか、あんまりなんじゃないですか?
確かに私は平民です。平民だけど、女の子なんです。それだけは胸を張って言えるんです。
「ふん、またこのことを言いふらして笑えばいいさ。卑怯で姑息な君たちらしく、ね」
シエスタはカッ、と目を開けた。
カチンときた。もう限界だ。今の言葉には我慢できない。堪忍袋の緒が爆発した。
大体私は悪口なんて言ってないって言ってるでしょうが―――!!(言ってない)
怒りとアルコールがない交ぜになって血流に溶け出し、シエスタの脳髄を直撃する。
つまり、どうもシエスタは未だに激しく酔っているらしかった。
「私と決闘しなさい! ギーシュ・ド・グラモン!!」
ビシィ! とシエスタは真っ直ぐギーシュを見据え、人差し指を突きつける。
シエスタの脳裏に再びガッツの言葉が甦る。
武器をとれないなら、うずくまっていればいい。
確かにその通りだと思う。
自分はそうやって生きていくしかないのだということもわかってる。
だけど、目の前のこの人の前でうずくまるっていうのは―――なんか、いや。
ギーシュは自分を呼び捨てにし、なおかつ不敵に指差す目の前の平民でありメイドである少女をぽかんと見つめていた。
その様はまさに豆鉄砲を食らった鳩の如し。
止まった時が再び動き出すには少々の時間が必要だった。
先に我に返ったのはシエスタだった。
背筋を冷たいものが走りぬける。酔いが一気に吹っ飛んだ。目の前のギーシュを指差す自分の手が信じられない。
な、何を、何をやっているの、わたし。こ、ころ、ころ、殺されちゃう。
ぶわっ、と音を立てて汗が滝のように流れ出した。
何とかしなきゃ。今からでも遅くない。土下座でもすれば許してもらえないだろうか。
いや、だめだ。やっぱりもう遅すぎる。謝ったって、聞き入れてもらえるはずがない。
やがてギーシュも我に返り、にやりと笑った。
「いい度胸じゃないか、君……」
「は、はう、はうはう……!!」
な、なんとか、なんとかしなきゃ。私死んじゃったら村の家族が困っちゃう。死んじゃだめ。わたし死ねない。
でも、でもでも、どうしたらいいのかまったくわからない。
焦りと怒りと後悔とアルコールでぐちゃぐちゃになったシエスタの頭はそれでも必死に回転して助かる術を検索する。脳みその回転に合わせてシエスタの目もぐるぐる回りだす。
『別に剣に限った話じゃない。武器ってのは色々ある』
ぶ、武器。私の、武器。そんな、そんなの、あるの? あるわけない。あるわけないよ。
―――こぉんなに立派な武器をつけといて……!!
瞬間、シエスタの頭の中がどかーんと弾けた。
シエスタ暴走支援w
ギーシュへっぽこすぐるwwwしえん
ふらふらとその指が寝巻きのシャツのボタンに伸びる。
「ギーシュ様は、『女の子を幸せにするために生きている』んですよね」
ギーシュはただならぬ様子のシエスタに狼狽しながらも頷いた。
「……そうだ。それが僕に与えられた使命だ。生きる意味と言っていい」
「だったら、ギーシュ様にとって私は女の子じゃない……ってことですよね?」
「君は一体何を、ををををを!?」
シエスタの指がボタンをひとつ外した。襟元のボタンは元々ついていなかった。つまり上から二つ目のボタンが外されて、酔いと熱で桃色に染まった胸の、その見事な谷間があらわになる。
その谷間はじっとりと汗ばんでおり、ギーシュはごくりと唾を飲みこんだ。
シエスタの表情は伏せられていてよく見えない。ふぅ、ふぅ、という息遣いだけが聞こえてきて、それがまたギーシュをドギマギさせた。
「私が女の子でないのなら、この私の胸にある二つのこれはギーシュ様にとって馬の尻も同じ……であるならば、今私がこれを放り出したとしてもギーシュ様にはなんてことはないはず……」
「は、あぅ、おう」
聞こえているのかいないのか。ギーシュはその背中に脂汗をびっしり浮かべてシエスタを見つめていた。
「もし、ギーシュ様が私の『コレ』から目をそらすようなことがあれば、それは私が女の子だってギーシュ様が認めたことになります。つまり、ギーシュ様はその生き様に嘘をついていたことになる」
ボタンがまたひとつ外される。戒めを解かれたたわわな果実がぶるんと弾む。
見る角度を変えれば丘の頂まで見えてしまいそうな扇情的なその姿。
ギーシュの鼻から熱い血が迸る。
「勝負です。決闘です。ギーシュ様が目をそらしたら私の勝ち。そらさなければギーシュ様の勝ち。簡単です。楽勝でしょう? だって、ギーシュ様にとって私は女の子じゃないんだから」
「ひゃ、ひゃあぁ……」
もうギーシュはまともに受け答えする余裕もないのか、声なく呻いて後ずさった。
女の子のために生きる、などと言っていても、ギーシュはこの手のことにまったく疎い。
だが、もちろん性欲は人並みにあるし、今のこの状況は客観的に見れば願ったり叶ったりであるはずだ。
なのに、今すぐにでも逃げ出したいこの恥ずかしさはどうしたことだ!
ギーシュは思わず自分の頬を両手で覆う。熱い。間違いなく真っ赤だ。
シエスタが顔を上げる。こちらも真っ赤だ。しかも涙目だ。
―――勝負ッ!!!!
シエスタの指が四つ目のボタンにかかる。そのボタンが外れれば、もうそのシャツにシエスタの豊かな胸を押し留める力はない。
どくん、どくん。耳を突く心臓の音はシエスタのものか、ギーシュのものか。
シエスタは恥ずかしさの余り固く目を閉じて。
ギーシュは怯えた子犬のように震えて。
ボタンがゆっくりと外される―――
「うわぁ〜!! わかった、わかったよ! 僕の負けだ! 君は立派な女の子だよ!!」
「武器」の意味を誤解釈したシエスタが一年後ガチムチのマッソォになって帰ってくるんだ。
大胸筋プレスでゴーレム圧殺支援!
ベルセルクだのにここまでへたれなギーシュとは支援www
ギーシュは目を瞑り、かぶりを振ってシエスタを制止した。
だくだくとギーシュの鼻から迸る血流が彼の限界を物語っていた。
「今までのことについてはこの通り謝罪する! 悪かった、悪かったよ!」
頭を下げるギーシュをシエスタは目を丸くして見つめていた。
シエスタは貫き通したのだ。恐ろしい貴族を相手に、女の子としての意地を。
「やったぁ!!」
喜びの余り、両手を掲げて飛び跳ねる。
第四のボタンが外れかけていたところにそんなことをしたもんだから、最後の防波堤があっさり決壊した。
ギーシュの目の前にシエスタの武器<おっぱい>がばるるん、と惜しげもなく晒される。
また飛び跳ねたもんだから、その弾力を鮮明にイメージできるほど見事にソレ<おっぱい>は弾んだ。
―――パァンッ!!!!
ギーシュの顔面の穴という穴から血が吹き出し、ギーシュはそのまま仰向けに昏倒した。
「きゃあ! ギ、ギーシュ様!!」
慌ててシエスタは零れ落ちた武器<おっぱい>を片手で隠しながらギーシュに駆け寄る。
「はぁうッ!!」
数瞬後に意識を取り戻したギーシュがそんなシエスタの姿を見て再びゴトリと頭を落とすのも、無理からぬことであった。
そんな二人を頭上から刺す様に睨み付ける視線が一つ。
「この泥棒猫……」
幽鬼のように佇んで、『香水』のモンモランシーはそう呟いたのだった。
その頃―――
「ガッツはどこに行ったのよぅ」
ルイズは自室のベッドに座り込み、町で買った包みを抱え、頬を膨らませておりました。
以上、投下終了。
この話を書き上げてここに来てみればおっぱいの流れになっててふいた。
さいこー、君さいこー
良い話で笑える話ってのはなかなか書けるもんじゃないぜ
なんというシンクロニシティ乙
_ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい! おっぱい!
⊂彡
GJでした!
モンモンとシエスタで修羅場のヨカーン。
だがおっぱいよりも何よりも最後のルイズに萌えた。
製作中はまったくおっぱい論議のことなんて意図していなかったのだろうが、
本当にすっげえシンクロww
それはともかく、ベルゼルグの方、乙でしたー!!
なんつーか、ガッツとは無関係なところでみんな暴走しているw
なんとゆータイムリー乙&GJw
乙です。
様式美を感じる見事なお話だったな〜。
次も楽しみにしとります。
ちょっとテスト
鷲掴み
投下乙です。
ギーシュとシエスタのカップリング(絡み)もなかなかいいなw
それと、『この私の胸にある二つのこれはギーシュ様にとって馬の尻も同じ』が一瞬、
『この私の胸にある二つのこれはギーシュ様にとって馬の尻穴も同じ』に見えて
「何を言ってるダァー!分からん!」と本気で困惑したw
そうきたかシエスタ……
そしてなんというチェリーのギーシュww
不貞腐れるルイズが哀愁を誘うw
あれ?ちゃんと出るな。
何でか本文中で鷲?みになってました。
申し訳ない。
>>259 ひょっとして、てへんに國の方使ったんじゃないか?
確かそっちの方は普通には使えないはず
○掴む
×?む
おっぱいの神は存在するんだね!
>>260 あ〜、それだ。間違いない。
わざわざレスさんくす。
263 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/02(水) 20:36:41 ID:nrC+TjDw
チチガミさま・・・
ベルセルクの人乙です
PSP版スターオーシャン2買ってきたらプリシスの中の人が釘宮だったw
SO2ものはクロードがあったね、最近更新ないみたいだけどwktkしてます
そういや、お前らのおぱい談義を見てて、
『女の人の胸には何が詰まっているかわかるか。』
「乳腺……ですか?」
『違う。夢と希望だ。』
「夢と希望!?」
『そして当然先から出る。』
「出ちゃっていいんですか!?夢と希望なのに!?」
『では、男の夢と希望はどこに詰まっているかわかるか。』
「ええと……女の人が胸だから……」
『……股間だ。』
「いやああああ!!やっぱり!!」
『そして当然先からry』
「お父さん!お父さんどうしちゃったんですか!!」
こんな漫画があったのを思い出した。
おぱいの話は、空気リセットの為のリーサルウェポンなんだから、あまり安売りしすぎない方が良い。
個人的に、そろそろスレチな話になっているような気がするよ。
268 :
263:2008/04/02(水) 20:50:49 ID:nrC+TjDw
スマンsage忘れた
ベルセルク乙
なんというおっぱい神のいたづら
久々に覗いてみたらここに来るきっかけとなったベルセルがっ!
シリアスメインの中にこういうのが混じってるのもベルセルクらしくてイイ!
おっぱいはベルセルクから切り離すべきじゃない大切な要素だよね、うん。
ベルセルクの職人さん乙!
今日はやけにおっぱい談義が弾むなと思っていたのだが、不思議な事もあるものだ・・・
素敵だ
やはりおっぱいは
素晴らしい
>>274 アンビッチはいいとして、サイト?は何を着ているんだ
278 :
ゼロの武侠:2008/04/02(水) 22:04:31 ID:0T43N5ge
間が空きましたけど10分から投下しますo
女物の下着っぽいな、あと2コマ目の黒髪ロングの娘は誰だろ?
…………しっかし、ここにンなモン貼っていいのか?w
支援支援
>>274 レコンキスタ兵がドムに見えた
ガンダム繋がりで思い出したがランバ・ラル召喚はまだないな
お嬢様の世話ならセイラさんで経験済みだからルイズもうまく手なずけそうだ
っと
>>277にレスしようとしたらやっちまったorz
ゴメンなさい、支援します
>>279 魅惑の妖精亭?のジェシカ?
ところで妖精亭で雍正帝が出てきた俺。
誰だよ一体。
支援ー
285 :
ゼロの武侠:2008/04/02(水) 22:09:23 ID:0T43N5ge
ざわめく生徒達の中、梁師範とルイズの間にだけ静寂が訪れた。
未だ残心を保つ梁師範に困惑を隠しきれず彼女は立ち尽くす。
それは彼女が知るハルケギニアの如何なる力とは異なる未知の業。
「これは一体何の騒ぎですか!?」
言葉を失った彼女の背後で喧ましい声が響く。
二つに割れていく生徒の人垣、そこから現れたのはコルベール先生だった。
慌しく問い質す彼にルイズの喉も震えるばかりだった。
周囲から聞こえてくる生徒の声に耳を傾ければ、
つらつらと不名誉な事実が並べ立てられる。
『ルイズが学院内で失敗魔法で暴れ回っていた』
『そのせいで生徒達にも多くの怪我人が出た』
『どこかにぶつけたのか、メイジの象徴である杖を折った』
苦情とも言うべき声に頭を痛めながらコルベールは彼女に向き直る。
ルイズを見つめるその眼は明らかに失望の色に染まっていた。
見れば、彼女の使い魔にもルーンは刻まれていない。
杖を失い、使い魔とも契約が結べず、学院で騒ぎを起こしたのだ。
その処遇は既に彼の心中で決まっていた。
「残念ですミス・ヴァリエール」
視線を落として語るコルベールの表情に、ルイズの顔色が蒼白に変わる。
この儀式に失敗すれば留年するぐらいの覚悟はあった。
だけど彼の態度は、それ以上の処罰を告げようとしていた。
「……そんな」
嫌々と拒むように彼女は首を振るう。
だがコルベールは溜息を零しながら彼女を見据える。
彼女は決して優秀な生徒ではなかった。
だが欠点を克服しようと誰よりも勉強熱心であった。
その彼女にこのような過酷な仕打ちなどしたくはない。
しかし厳格な規則なくして我が儘な貴族の子弟達を纏める事は不可能。
「この件は貴方の実家に報告させて頂き、その上で退学の手続きを取ります」
愕然とする彼女の横では事態についていけない梁が置き去りにされていた。
だが退学という言葉は穏やかではない。
魔法と剄、同じ物ではないにしても本質は近い筈だ。
梁でさえ剄を使い続ければ体力の消耗で立つ事さえままならない。
あれほどまでに連続して爆発を引き起こすには相当の修練がいっただろう。
それが全て水泡と消え、彼の価値観で言うなら破門にも等しい処罰を受けるのだ。
もし自分がそうなったなら、どうするかさえ思い当たらない。
286 :
ゼロの武侠:2008/04/02(水) 22:10:23 ID:0T43N5ge
しゃーねえな、と梁は頭を掻きながら、
今も涙が零れ落ちそうなルイズの前へと歩み出る。
目の前で泣かれちゃ何とかしたくなってしまう。
つくづく思うのだが女という生き物は、本能で男を利用する術を知っているのではないだろうか。
「ちょっと待てよ。非があるのは確かだが退学はやりすぎじゃねえのか」
「君は、確かミス・ヴァリエールの使い魔の……」
誰一人として彼女の退学に反対しない中、彼だけが声を上げていた。
それが使い魔としてのものなのか、彼の性格によるものかは判らない。
だが彼女の弁護をした所で退学の決定は覆らない。
諭すようにコルベールは彼に告げた。
「しかし彼女が学院で騒動を起こした以上、責任を取る必要があります」
「だからって退学なんて大袈裟だぜ。
校舎のガラスを割って回るなんざ学生の内は良くある事だろうが」
「そんな話、聞いた事ありません!」
とても援護とも思えぬ弁明にコルベールが声を荒げる。
お坊ちゃま、お嬢様が通う魔法学院と梁の知る学校のイメージはかなり離れていた。
それにもめげず彼は懸命にルイズを庇う。
「学院で暴れる原因になったのは俺が校舎に逃げ込んだからだ。
使い魔の責任は主の責任になるんだろ? もし暴れだしたら大変だからな」
「……確かにそうですが」
まあルイズが暴れていたのは前からだが、それを話す必要はない。
柄の悪い梁の風貌だけに、その言葉には幾らかの真実味が感じられた。
ルイズが騒動を起こした理由があったとしても、まだ彼女には不利な事実がある。
「杖を失くし、使い魔との契約も出来ていないとなると……」
「なら使い魔がいりゃあ問題ねえんだな」
そう言うと梁は笑みを浮かべながらルイズの肩をぽんと叩いた。
その気安い態度に腹を立たせながらもルイズは彼の言動に気を配る。
皆の注目が集まった瞬間、梁師範は口を開いた。
「俺がこいつの使い魔だ。文句は言わさねえぜ」
287 :
ゼロの武侠:2008/04/02(水) 22:11:56 ID:0T43N5ge
夜の帳が落ち、魔法の明かりが室内を照らす。
その薄明かりの中、ルイズはベッドに腰を下ろして溜息をついた。
「どうしてこんな事になっちゃったのよ……」
「それは俺が聞きてえよ」
勢いとはいえ何であんな事言ってしまったのかと、
部屋の片隅で梁師範は頭を抱えてそう答えた。
まさか部屋まで同じで、つきっきりで面倒見る羽目になるとは思わなかったのだ。
その甲斐もあってルイズの退学は取り消されたのだから、
仕方がないといえば仕方がない。
まあここに長居するつもりはない。
折を見てとっととアフリカに帰らせてもらおう。
その頃にはこんな騒動も忘れているだろう。
第一、ルイズは大きな勘違いをしている。
召喚魔法というのがどういうものかは知らないが、
たまたま飛行機が墜落しただけで使い魔にされてはたまらない。
彼女ならもう一回召喚を行なえばちゃんとした使い魔を呼び出せる筈だ。
要は、それまでの繋ぎをしてりゃあいいだけだ。
そう自分を納得させる梁師範にルイズが疑惑の声を投げ掛ける。
「大体アンタ何の役に立つのよ?」
挑発とも受け取れる言葉を耳にした梁師範の眉が跳ね上がる。
しかし続けて浮かべたのは不敵な笑み。
真っ向からルイズと向かい合いながら彼は自分の袖を捲くった。
鍛え上げられた二の腕からは力強さを越えた何かさえ感じさせる。
「俺の実力を見てえのか……いいだろう、見せてやるぜ」
その言葉を聞き終わる前に、彼はルイズの前から姿を消した。
目にも止まらぬ高速移動を終えた彼の手には長尺の棒が握られていた。
その手の内で風を切りながら旋回する得物。
彼の動きは鍛え上げられた兵士の槍捌きさえも凌駕する。
そして彼女の目の前で梁師範の棒が地面を捉えた。
288 :
ゼロの武侠:2008/04/02(水) 22:13:02 ID:0T43N5ge
「ターちゃん流掃除術!
ヂェーンさんの食い散らかした後も、あっという間に清掃完了!
他にもターちゃん流洗濯術、肩揉み術、耕作術、まだまだあるぜ!」
「小間使いかアンタは!」
鼻歌交じりに手にした箒を振るう梁師範にルイズのツッコミが入る。
そのような事はメイドにでもやらせておけばいい。
上がりかけた梁の評価は瞬時にして底値を割り込んだ。
絶望に俯くルイズの耳にドアをノックする音が響いた。
のろのろと扉に手を掛けて開いた先にはコルベール先生の顔。
「……ミス・ヴァリエール。少しよろしいですかな?」
「あ、はい。何でしょうか?」
エプロンに三角巾、そしてハタキを手に楽しげに掃除を続ける梁師範の不気味な姿に、
顔を引き攣らせながらもコルベールは用件を伝えた。
「無くした杖の代わりを作る触媒を送ってもらうのに、貴方の実家に報告したのですか」
「じ、実家に報告……」
「勿論、今回の騒動の事も報告させて貰いました」
「そ、それで?」
「貴方の学院での生活態度を見る意味も兼ねて、
使い魔のお披露目会に貴方のお姉さんが来られるそうです」
その一言にぴしりとルイズは凍りついた。
用は済んだとばかりにコルベールが立ち去った後、
一人蚊帳の外にいた梁師範が彼女に語りかける。
「なんだ、良かったじゃねえか。家族と会えるんだろ?」
ハッハッハッと陽気に笑う彼をルイズがジト目で睨む。
その殺意さえ滲ませた迫力に梁師範は言葉を失った。
困惑する彼の前で、ルイズはポツリと呟いた。
「……退学の方がまだマシだったかも」
それは浮気の現場をヂェーンさんに見つかったターちゃんの姿とどことなく重なって見えた。
何をそこまで恐れているのか、考えてふと梁師範は思い当たった。
ああ、そういえば来るのは『こいつ』の家族か。
だったらマトモである筈が無いと梁師範は心の底から納得したのであった。
289 :
ゼロの武侠:2008/04/02(水) 22:13:57 ID:0T43N5ge
以上、投下終了です。
乙っす!
って菷かよ
>274
使い魔ヤプーか。
ゼロの使い魔の二次創作でもぶっち切りの「黒さ」を誇る同人誌だっけ?
乙!
しかし駄目だ……
武侠と聞くと三国時代唯一、単身で飛行能力を持つ武将を思い出してしまうwww
>>292 ルイズがサイトとシエスタに足舐めさせたりするやつですね
流れをd斬って……
『R2』放映開始が目前なので、ルルーシュ召喚を想像してみた。
が…………ワルドの代わりに牢屋におマチ姐さんを勧誘に来て、ノリノリで
人
\(○)/ 「我等は……“黒の騎士団”!」
てやってるゼロさんしか思い浮かばなかったorz。
時々上がるレンズマンから誰かを召喚するネタを本気で考えた
だがコッパゲの禿が治ることに気づき中止
つまり黒の騎士団の目的は世界統一、実際はルルーシュの「ナナリーの為の世界を作る」で
レコンキスタ撃滅後ガリア、ロマリアも征服し「聖地」を手に入れナナリーを迎え入れようとする
それを阻止しようとするのはロマリアのヴィンダールブ「スザク」と言う訳ですね
ルルーシュにガンダールヴは似合わん気がするからミョズかヴィンでよくね?
んで、スザクにランスロット代わりのガンダールヴ。
あれ、これだと1期での二人と変わらんような。
スザクは素で化物だから、ガンダールヴだとマジにどうしようもなくなりそうなのがアレだな。
小説版の独白によるとミリ単位の動きを正確にこなせて、ランスロットの速度も『自分の反応にわりとついてくる』程度。
>295.297.298.299
なんたる僥倖!!
実はルルーシュ召喚物を書き溜めてます。
予約なければ35分から投下しますがよろしいか?!
>>300 どんだけタイミングいいんだよ
ある意味すごいな
>>300 待ってました!!
ワルドとギーシュ、果たしてどちらが「色」で呼ばれるようになるのか
多分ワルドなんだろうな〜…モット伯と言う可能性もあり?
今日はシンクロにシティが凄いことになってんなぁw
これは支援せざるを得ない
>ガンダールヴスザク
これに対抗するには、『ナイトメア・オブ・ナナリー』のマッチョゼロさんを呼ぶしかッ
>>300 全力で支援!
305 :
300:2008/04/02(水) 23:33:49 ID:F/5KSK+6
本当に自分もびっくりしてる…
実はギアス二期始まったら投下しようと考えてました。
かなり書き溜めてあるんで結構続くかも…
オレンジは…どうでしょう…wwww
>>304 あのゼロはありえないw
初見であんなにびびったのはいい思い出w
「あんた誰…?」
ゲルマニアとガリアに挟まれた小国トリステイン。そのトリステイン魔法学院の春のサモンサーヴァントの儀式。
そこの一生徒ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの15回目の召喚呪文の果てに呼ばれたのは一人の長身の男だった。
「おい、ゼロのルイズが人間を呼び出したぞ…!」
「マントもないし平民じゃないのか?!」
「ルイズが平民を召喚したぞ!」
「うるさい!うるさいうるさいうるさい!」
生徒たち、本人も含め騒がしい喧騒の中、担当教師コルベールは一人厳しい目をしていた。
「みなさん!授業は終わりにします!ミスヴァリエールは残り、皆さん公舎に戻りなさい!」
コルベールの緊張した声にうながされ、通常の事態でないことを悟った生徒はひとしきり笑いながら去っていく。
「ルイズ!お前は歩いてこいよ!」
「おいおい、使い魔におんぶしてもらえばいいじゃないか!」
「違いない!ははは!」
「うるさーい!」
生徒たちと言い合っているルイズを無視しコルベールは男の近くに近寄った。
身長は1.8メイルくらい、方膝をついて座っている男の足元には大きなかばんらしきものが転がっている。
コルベールが男に対し質問をしようとした時
「gかqじうiu893jqvi。:dz。ヴぉ?!」
男は口を開いた。
「言葉が通じないのか…めずらしいな…」
コルベールは顔に手を当てて考え込ん
「使い間の平民とも意思疎通が出来ないなんて…」
いつの間にかそばに来ていたルイズが口を開く。
(この生徒はこらえ性がない…人一倍の努力は認めるのだが…)
コルベールはやれやれ…、といった感じに
「ミスヴァリエール、春の使い魔召喚の儀式が伝統のある神聖な儀式だということは、君ならわかるだろう?
契約は絶対だ。おそらく契約をすればルーンが刻まれ話せるようになる」
「は!はい!」
「落ち着きたまえ。さ、早く済ましてしまいなさい」
「…はい…」
顔では平静を装っているが緊張を隠せないコルベールを感じ取り、しぶしぶルイズは歩いていった。
「感謝しなさい! ──我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
顔を無理やり持ち上げ、男に思考の余地も与えない素早やさで済ましたのを確認し、
「さ、契約も済んだことですし急いで学園長の判断を仰ぎましょう。君は先に戻っていなさい。」
がっくりと肩を落としているルイズを公舎にかえし男を見る。
すると手を押さえ苦しそうな表情を向けている。
「ルーンが刻まれている証です、安心してください。」
「……おい、ここはどこだ!お前たちはなにものだ!」
男は第一声をあげた。怒っているよう、言葉には焦りと恐怖が滲んでいる。
ここまでは予定通り。コルベールは落ち着いて諭す。
「トリステイン魔法学院です。あなたはの春のサモンサーヴァントの儀式によって召喚されました。私は担当教諭のコルベールです。」
「トリステイン?聞いたことがない…どういうことだ!」
「待ちなさい」
コルベールは言葉を遮る。彼を知る生徒なら彼は苛立っているのか?と思うような口調である。
「質問は交互に、次は私の番です。あなたはどこから来ましたか?そして名前は?」
しかし男は答えない。何か手のひらに収まる、小さい複雑な形をした「何か」を握り締めてつぶやいている。
「携帯が…圏外…?ブリタニアの軍用製が圏外?くそ!まさか…いや…」
「落ち着きなさい。どうやら場所を変えて冷静に落ち着いて話し合う必要があるようですね。ついてきなさい」
コルベールは刺激させないように、わざとすぐさま振り向き歩いていく。下手に近寄って抵抗されると面倒だからだ。
「お、おい!待て!」
コルベールはこの時、杖を手に握り締めていた。
to be continued
全力で支援
投下終了!
短い構成でアニメのギアスみたくテンポよく続きます!
よろしくお願いします!
313 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/02(水) 23:52:55 ID:Naf3zRff
GJの予感
乙です
そう言えば竜の羽衣って…まさか零戦は出ないって事には
確かコードギアスって火薬無し、レシプロエンジン無しの世界設定だから
やっぱランスロットかガウェインなのかな
乙っしたー
>タルブにある機体
ここはあえて無頼かグラスゴーで
他の方のSSと比べて文の量は少ないです
一応短く区切ってるのでまだまだあるのですが…
話の流れから区切りのいいとこまで載せた方がいいでのしょうか…?
投下するのは初めてなんで…
投下しちゃいなyo
318 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/03(木) 00:08:21 ID:3zwfgYyI
一度に投下する量をもう少し増やしても別にバチはあたらないさ。
わかりました!
それではきりのいいとこまで!
sage進行すら出来ぬ者
人それをage荒らしと呼ぶ
ブリタニアの少年ルルーシュはなぞの少女から特殊な力を手に入れた
ギアス
いかなる相手にでも一度だけ命令を下せる絶対遵守の力
ルルーシュはこのギアスを頼りにブリタニア帝国の破壊を決意する
母の敵を討ち、妹ナナリーが幸せに暮らせる世界を作るために
その先に待つのが父、ブリタニア皇帝だと知りながら・・・
少なくともそれがルルーシュの願いであった
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
不意打ちだった
全てのことが、あまりにも突然すぎた。
だが、もしかしたら既にこのとき先行の命運は必然として約束されていたのかもしれない。
ルルーシュがこの世界に召喚されてから次の日、分かった事は
人間の営みは例え魔法という力があろうとも変わらない、おとぎの世界などない
ということだった。
学園祭の準備の後、黒の騎士団に行こうとしていた時に光る世界に吸い込まれた時から二日がたった。
召喚された瞬間、周りに自分よりも年上の人間はいなく、言語も不明。年長者と思しき人間は一人。
この状況からゼロということがばれたのではないということをルルーシュは悟ったが…
携帯の電波状況を見ても俄かには信じられなかった。
ルルーシュは召喚された日にルイズ、コルベール教諭、オールドオスマン学園長と話し合い自分の状況を知った。
状況はこうだ。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、貴族の三女、ナナリーと体系は同じだが性格は逆。
サモンサーヴァントの儀式によって彼女により召喚、追記(帰るすべを現在研究)。
学園祭の準備の後、黒の騎士団に行こうとしていた時に召喚。
ハルケギニア大陸のトリステイン王国、エリア11と同じ気候、爵位制度があり中世ヨーロッパと同じ風土、科学の発展度合いも同じ。魔法が存在する。
(まさか異世界に飛ばされたとは…非科学的なギアスの能力を使うがまさかこんなことが起こるとは考えても見なかったぞCC!
こちらの契約はキスだったがな…///)
話し合いの結果、ルルーシュは異世界の学生ということで落ち着いている。
(もっともルイズの馬鹿は最後まで信じようとはしなかったがな…)
現在コルベール教諭が帰還手段を探しているがいつになるか不明、生活の保障はある。
しかし何とかして帰らなければならない。
黒の騎士団に混乱が生じる前に、しかし向こうの世界と時間の進み方が同じとも限らないのだ。
(ギアスの能力はまだ試してはいなが、むやみな使用は控えたほうがいい。この世界になれていない、ましてや学園関係者はだめだ。
状況を知るだけなら聞くだけで充分…)
しかし、ギアスという非科学的な力を持つルルーシュ。
彼は落ち着いてこれだけ情報を整理したのだ。大成果と考えても差し支えないだろう。
今日からルイズとともに行動を始める。
がしかし
「あんた今日これやっておきなさい」
「…何だこれは」
「見てわかんない?洗濯よ。せーんーたーく!」
「朝食は粗末なもので扱いは召使?貴様!人間を…!」
「き、貴族様に逆らってんじゃないわよ!コッパゲと学園長の前じゃ尻尾振って!じゃぁね!終わったら部屋の前で待ってなさい!あと赤い髪の女にあったら無視しなさい!」
そしてあわただしく去っていった…
(くそ…手順も何も知らないのにいきなり…なんて横柄な奴だ!
朝は粗末な飯で床で食べされ…階級制度はブリタニアの差別以上か?!しかし争いを起こして目立つわけにもいかない…!
しかも下着まであるじゃないか!まったく…恥じらいというものがないのか!)
「あのー…どうかなされましたか?」
振り向くと黒髪のメイド服を着た女性がいた。
「あ、あぁ…貴族様に洗濯を頼まれてね」
「あ!あなた、もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう平民の…」
(平民!?この女も貴族なのか?)
「あぁ。ルルーシュだ、よろしく」
「そうなんですか!私はあなたと同じ平民のシエスタっていいます!ここでご奉仕させていただいてるんです」
メイド、シエスタはニコニコと笑いながら答える。
「すまないが、シエスタ・・・さん。洗濯はどこでしたらよいのでしょうか?」
「そんなよそよそしくしゃべらなくてもいいです。平民同士いっしょにがんばりましょう!」
(元気な奴だ…だがやっとまともな人に合った気がする…)
「あぁ、すまないシエスタ。どこで洗濯をしたらいいかな…?」
「はい!そうです!えーと下の井戸場でできますけど…えぇと…それは女性の方が…」
洗濯物に目をむけ赤くなるシエスタを見てルルーシュはふと見る。
ショーツが籠から落ちそうになっていた…
「こ!これはルイズの奴が無理やりやれと……すまない…頼めるかな…?」
「えぇ!…後でお部屋に届けておきます!」
「すまない…この恩は必ず」
「いえ、困った時はお互い様です!」
シエスタが小走り気味に去って行ったのを確認し
(くそ!第一印象が最悪だ!これでは変態じゃないか!だがこの世界にもまともな女はいる…)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ルイズの言うとおり部屋で待っていると…
「あんた!洗濯を黒髪のメイドに頼んだでしょ!?」
「ふん、結果的に洗濯は完了する、文句はないだろう」
「私はあんたに頼んだんだからあんたがやりなさいよ!」
「ふぅ…仕事の仕方も教えず、命令ばかりするルイズ。すまなかったな」
「うーーーー!あんたご飯抜き!」
(…まったく…!自分の意に沿わないだけでこれか…まったく…こんなのが貴族を名乗るとは…)
その時不意に隣の部屋のドアが開き
「ちょっとー!ルイズ!痴話げんかならよそでやってくれないかしら?」
「ツェルプストー!あんたは関係ないわよ!」
赤い髪の女が出てきた、身長は1.7mほど
「あら?あなたはもしかしてルイズが召喚した平民の男?」
「えぇ。ルルーシュといいます。」
「私はキュルケっていうの、そしてこの子が私の使い魔、フレイムよ」
女、キュルケの背後から現れたのは尻尾に火が点いた巨大なトカゲらしき生物だ!
「火竜山脈のサラマンダー、好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」
「す、すごいですね」
いくら非科学的な力を持つとはいえ、さすがに見たこともない、種類も分からない生物を目の当たりにし狼狽する。
それを見てキュルケが、今度は小馬鹿にし答える
「そんなに怯えなくてもいいわよ?おとなしい子だからね。だけどあなた……結構いいルックスしてるじゃない。惜しいわねぇ。あんた平民じゃなかったら人気者になれたかもよ?」
「…また、平民、か…」
気づかないような声でつぶやいたその時
「私を無視して話し進めてんじゃないわよ!ツェルプストー!あんたはさっさと行きなさい!」
「おおこわ!お子様ルイズには早い話だったかしらー」
「きー!」
「おい。お前も授業にいかなくていいのか?」
適当に話の腰を折りルイズにいうと
「ため口使うな!それにあんたに言われなくてもわかってるわよ!私は行って来るけどあんたは昼飯抜きだからね!おとなしくしてなさい!」
「おい!朝言っていたことと!待て!」
「ふん!ドアの前で反省してなさい!」
「あなた。ルイズに飽きたら私のとこにきなさいな。世話はしてあげるわよ?」
「おい!」
(まったく…駆け足で行く位なら雑談などするな…)
暇をだされ、あきれるルルーシュ。
「こんなことで…本当に帰れるのか?!」
思わず独り言をいった。
to be continued
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは憂鬱な日々が始まることを自覚していた。
自分が召還した男ルルーシュ・ランペルージとの日々についてだ。
短慮な言動が目立つルイズだが、生まれはさすがのヴァリエール家。落ち着いて考えた結果、ルルーシュには何かがあると感じている。
召還した彼はかなりの長身で美形。それ以外はただの普通。それだけだと思ってはいたが学園長との会談で一変した。
物怖じしない性格、頭の回転は優秀、異世界から来たというが…交渉術はいっぱしのもの。飲み込みが早くこれからの生活、帰還への研究を取り付けた。
しかし自分と二人だけになると尊大な態度をとり、鋭い目を向けてくる。
あれは口だけで人を手玉に取るタイプだ。
異世界の平民とはいうが…彼には何かがある。
今日は彼が起きるより早く目を覚まし、着替えも済ませておいた。
主失格とはいえ、下手をすれば「こちらが食われる」と心の奥が警告をしたからだ。
おそらくは有能である彼を無理にでも使い魔にするか、それとも早々に使い間としての契約を無視し、元いた世界?へと帰ってもらうか。
どうせ平民を召喚したなどという前代未聞の話もすぐに広まる…魔法使いとしての人生は立たれたも同然…アカデミーにでも行こうか…
授業中に考えをめぐらせこれからのことを考えている時
「…ず。ルイズ!」
「…何よツェルプストー…」
「あんた。当てられてるわよ…」
学園に爆音が響き渡った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ルイズに暇を出されルルーシュは学園を探索し始めた。先ずは自分の力の確認である。
庭らしき広場を歩き、初老の造園職人と思しき人物、格好からして貴族とは
当てはまらないことを確認する
ルルーシュの左目、その瞳に奇妙なマークが浮かんでいた
その紅い羽ばたいた鳥のようなマークが光を放つ
そうして静かに命じた
【貴様の名前を言え!】
キーーーーーーーーーーーーーーーン
「名前は…ボルドーといいやす…」
ボルドーの目に羽ばたいた鳥が飛び込んだように男の目にも紅い光がやどり、ボルドーの意識を朦朧とさせる
よし!と心の中でガッツポーズ。念のためもう一度試してみる。
【貴様の年を言え!】
キーーーーーーーーーーーーーーーン
「はぁ…あんたぁ…ここの学園の貴族の生徒さんですかのー…わしの年は…」
最後まで答えを聞かず背を向ける。問題はないようだ、一人に対して一回のみ使用可能
その本質も変わってないと分かった、この分ならギアスにかかっている最中の記憶の欠落も以前と同じくあるだろう。
やはり無駄うちも出来ない上、使用する人物には注意を払っていかなければならない。
そのとき向こうからかごを持ったメイド、シエスタが歩いてくるのが見える。
GJ!支援
「ルルーシュさんですか?使い魔の皆さんは今は一緒に皆さん授業ですよ?」
「それがルイズに暇を出されて昼も抜かれてしまったんだ…」
「そうなんですか…何か困ったことがあったら言ってください。同じ平民同士がんばりましょう!お昼ごちそうしますよ!」
「すまない…ありがとう」
まともな人間は平民なのかこの国家は!?
ルルーシュはギアスの考えを一先ずおいておきシエスタについていった。
今はギアスを使い世界を変えるなんて使命などではなく、自分自身の衣食住のほうが重要。ギアスはあくまでも非常の備えなのだ。
ルルーシュがシエスタに連れて来られたのは、食堂の裏にある厨房だった。
厨房の椅子に座らされたルルーシュにシエスタはシチューを持ってきてくれた。
「余り物で作ったシチューなんですけど…」
「ありがとう。ご馳走になるよシエスタ」
期待はしていなかったがその味は現代のものよりとてもおいしく感じた。
「おいしい…」
「ありがとうございます!きっとコック長も喜びます。ところでルルーシュさんはどちらで生まれたのですか?」
「あ、あぁ。トリステインから遠いところさ」
「そうなんですか…いきなり使い魔なんかに…あ!すいません!そのヴァリエール様をけなすのではなく…」
「いいんだシエスタ。あんな横柄なやつ。貴族としても格が知れてる」
「そんな…ヴァリエール様は私たち平民にも優しく接してくださいますしとても努力家なんですよ?ちょっと魔法が使えないようなんですが…」
「ふむ…そうなのか…」
ルルーシュはここでシエスタの意見を聞きルイズに関する考えを改めようかと考えた…
朝、黒髪のメイドと言った時点で少なくともルイズはシエスタのことを知らない。
となると、この人望は自然とルイズに向けられているものなのだろうと。
魔法を使い自分に命令させないのかとも考えたが、どうしてもともと使えないのかと…
ルルーシュはこのあたりで思考を打ち切りシエスタに向き合う。
「シエスタありがとう。ルイズも慕われていると知れば喜ぶさ。ところで今朝から君に頼りっきりになっているね。
この穴埋めとして何か俺に手伝えることがないかな?」
「そんな…あ!ならルルーシュさんデザートを運ぶのを手伝っていただけますか?」
「そんなことならお安いごようさ!」
貴族は昼食が終わり、その後庭でお茶を飲みながら思い思いにくつろぐ。
「こちらはデザートになります。」
内心はうんざりはしていたが…この男、ルルーシュ・ランペルージは微塵も顔に出さずに仕事をこなす。
ひとつひとつのテーブルにデザートを出しながらふと見ると、年のころは12、3だろうか。二人の男子生徒がなにやら白熱しながらボードゲームをしている。
見覚えのある、駒、ボード…
「シエスタ。あそこの生徒がしているボードゲームは…なんだい?」
「あぁ。あれはチェスですよ。ルルーシュさん知らないんですか?」
ルルーシュにとってはいい驚きだった。
「チェスにはキング、クイーン、ビショップ…」
シエスタが説明してくれている内容は、自分が知るものとまったく一緒だったからだ。
(チェスは紀元前からあったとされるが…人間が作り、発達させていく物は異世界でも同じなのか?まぁいい…退屈しのぎにはなりそうだ…)
ルルーシュは、ルイズの部屋で、この世界の文字が理解できないことは悟った。
自ら本を読むことも出来ず、帰還までは退屈することになりそうだと考えていたからだ。
「ありがとう。シエスタ」
にこやかに答え、幼い貴族の生徒のもとにデザートを持ち歩いていく。
瞬間、こまの配置を見る。
戦略も何もない幼い配置。手前の生徒がやや不利なようだ。
「お茶をお持ちいたしました」
「あぁ。置いといてくれたまえ」
「かしこまりました」
頭を下げた瞬間、聞こえるか聞こえないかぎりぎりの声で、尚且つ耳元で
「ルークd4、ポーンg5」
今指す手、そのあとの手、二度連続でつぶやいた。勘が鋭ければわかるだろうが…あんな程度の低いレベルの子供だ。わかろうとわかるまいとどうでもいい…
ある種の嫌がらせの後ルルーシュは再びデザートを置き始めた。
そして向こうのほうから、この時間に似つかわしくない大声が聞こえる。
金色の巻髪に薔薇をシャツに刺した勘違い貴族がいた。
周りの友人が彼を取り巻き冷やかしている。
to be continued
今日はその4で終了ですー
昼休みに似合わない喧騒がおきている。
金色の巻髪に薔薇をシャツに刺した勘違い貴族がいた。
シエスタが絡まれている。
まったく。どいつもこいつも…少し気だるそうにルルーシュは近寄る。
この男、時と場合によるが弱い者を見捨てるような真似はしないのである。
「君が軽率に…」
「申し訳ありません!申し訳ありません!」
「貴族として君にしつけなければならないな」
サディスティックな笑みを浮かべ杖を出す男。
ルルーシュが少し小走り気味に駆け寄る。その時!
「ギーシュ!あんたみっともない真似はやめなさい!」
ルイズが飛び出してきた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ひとまず駆けつけるのをやめ静観する。
「あんた自分が二股かけているのに八つ当たり?!しかも貴族の権威を振りかざし…お里がしれるわね」
「ふん!ゼロのルイズに説教されるとは!言っておくがこれは君には関係のないことだ。君も貴族の端くれなら魔法が使えるようになってから言いたまえ」
どっと周りから笑いが起きる。
ルイズは顔を真っ赤にしてうつむく。おそらく自分の一番苦手とする、一番の痛手とするところをつかれたのであろう。
…ここまでか。とルルーシュは近寄りシエスタとルイズの前に出て男に近寄る。
「な、何だね君は…あぁ…君はルイズに召喚された平民の男じゃないか…ど、どうしたのかね?」
ルルーシュは180cm近くありギーシュより頭ひとつ分高い。威圧感としては完璧だ。
「だまれ!!!」
はっきりとした大声であたりも静かになる。
「弱いものを一方的に攻めるのが貴族のやり方か!お前…まさかそれが貴族の特権とでも考えているのか?!」
「ど、どうやら君は貴族に対しての…」
「貴族、貴族、貴族…お前は、貴族というものを自分自身が語ることで一番の笑いものになっていることの自覚もないようだな?!
この場では!ルイズのみが貴族を語れる!」
無論、ある種の高揚である。ついつい言い過ぎてしまうもの…
それになんだかんだで本名ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。神聖ブリタニア帝国、第11皇子・第17皇位継承者である。権威とプライドを自身の存在は自覚している。
目の前の男は権威とプライドのみにすがっている。それも許せない。
「い、いいだろう!君に礼儀というものを教えてやる、決闘だ!」
杖を抜いたギーシュにルイズははっとし、あわてて声をかけようとするも
「ふん、いいだろう、少なくとも俺は負ける気は無いがな」
ルルーシュ・ランペルージこの男、度胸だけは一人前である。
「ヴェストリの広場で待つ!仕事が終わったらきたまえ!」
そうして大股で歩いていくギーシュ。
「る、ルルーシュさん殺されちゃう…」
逃げていくシエスタ。そして近寄るルイズ。
「…あんた、あやまってきなさい。正直うれしかったわ。でも今はあなたがあやまる番。一緒に言ってあげるから」
「だが断る!」
「な!?」
「一度言ったことは貫き通せ!ましてや自分に非がないと信じているならばなおさらだ。やり遂げる決意が必要だ。安心しろ。勝てない喧嘩はしない」
「…あらそう。まぁ助けがほしかったらいつでも言いなさい。私も行くわ」
「ふん。勝手にしろ」
歩き分かれる二人、ルイズに近寄る朝の赤毛の女キュルケ
「ちょっとー!大丈夫なのあんた?あいてはあんなのでもギーシュよ?やっぱりルルーシュより強いにきまってるわ!?」
「さぁ?でもあいつが大丈夫って言ってるんだから」
そしてルルーシュは一旦仕事にもっどった…が見知らぬ貴族に話しかけられた。
「さっきの御礼をしようとしたんだけどさ…だけど君はまさかギーシュ先輩に喧嘩を吹っかけるとわねー」
先ほどのチェスの生徒である。
「まぁ死なない程度にがんばりな。あの人はああいう人なんだ。あとこれはお礼だよ。じゃあな」
ニコニコ笑いながら金貨一枚を投げてよこす態度、年下にもかかわらず金貨をよこす。この金貨はどのくらいの価値が平民にあるのか。
この国は…貴族は…一人ルルーシュは、昔感じた「何か」を確信していた。
シエスタは逃げた。
キュルケはこれから起きる事にわくわくしていた。
ルイズはルルーシュが口先だけではないかどうかを、この騒動で見極めようとした。
ギーシュはあせっていた。本当はメイド、シエスタのお尻を杖で叩き「全く君は…どうしてくれるんだね?さ、行きたまえ…」
くらいで収めようとしたのがとんでもないことになったからだ。しかし適度に痛めつけて「君の言うことにも一理ある…云々」くらいで収めようと考えていた。
が、結果。すべての人間の思惑が外れることになる。
決闘がこれから始まるという瞬間、突如として現れたゴーレムが二人を殴りつけ、痛めつけ、その場にいた誰もがあっけに取られる襲撃を受けたためだ。
その後、コルベール教諭が登場、あっけない幕切れだったのだ。
これは、広場に行く前にルルーシュがその場に偶然通りがかった、年齢的に見て間違いなく教諭と思われる人物に
【全力で決闘をやめさせろ!】
キーーーーーーーーーーーーーーーン
ギアスを使ったからだ。その教師が行使した魔力が強すぎたのは唯一の計算外だったが…
そしてルルーシュとギーシュは半日気を失い保健室で水の治療を受けることになる。
禁止されている決闘を教師が止めに入り、罰を与え喧嘩両成敗とした。
このような顛末とあいなった。
全力w
支援
「…くっ…ここは…」
「あっ気がつかれましたか?!今ヴァリエール様をお呼びします!」
…
…
「気がついた?まぁ結局どこかの先生が助けてくれたけど…まぁ実際こんなものよ」
「ルイズ。それはこの学園の機能が正常に働いたからだ。これは想定内だよ…」
「まーた強がりばっかいって…まぁギーシュにもいい薬になったでしょ」
「ふん、俺は正論を言ったまでだがな…隣で聞き耳を立てているギーシュ君。先に言っておく。すまなかったな」
ルルーシュはいきなり声をかけた。瞬間布団が揺れる。
「おおかたシエスタの胸でも杖で叩き、場を和ませるつもりだったんだろう?そこにルイズが登場」
もう一度布団が揺れる。ルイズはあきれた顔をして興味なさそうに窓の向こうを見る。
「ルイズに貴族のあり方を説かれ引っ込みがつかなくなった、だがしかし……………君は幼い反論しか出来なかった。それは?」
「…そうだ……僕の行いに思い当たる節があったからだ……」
「そう…時として権力はひがまれ、恨まれる場合がある。本人に自覚があろうとなかろうと。例えそれが軽いいたずらであろうと…自分の権威を自覚しなくとも…」
権威。自分の母親が暗殺され妹が歩けなくなり目が見えなくなった。ルルーシュの言葉に真剣みが増す。
「だが君を看病してくれたのはルイズではなくシエスタだ。…君はこの後?」
そしてギーシュはおもむろに布団から起き上がり
「あぁ…わかっている。シエスタ君。すまなかった。冗談とはいえか弱き女性をいたずらに怯えさせてしまった
ギーシュ・ド・グラモン、これは恥と刻んだ。申し訳なかった…」
頭を下げた。
「そ、そんな…ギーシュ様結構です…」
「その、あつかましいお願いだが君と親友になりたい。そして僕が貴族らしからぬ行いをした時、今度は君が殴ってくれ!君とは対等な付き合いがしたい!」
「あらギーシュ。そんなのに目覚めたの?」
突如乱入したキュルケがちゃちゃを入れる。
病室がにぎやかになってきた。
「キュルケ…いまはいいところなんだから…」
「あらルイズ?あんたいたの?小さくて見えなかったわ」
「きー!」
「君たち…静かにしたまえ。シエスタが怯えているじゃないか」
「あらあなた?あのメイド?シエスタって言うの。あぁ私のこともかしこまらなくていいから。ね?ルイズ?」
「そうそう。私もいいわよ。別にかしこまらなくても。赤毛のこの女は呼び捨てでいいわ」
「そんな…みなさん…ありがとうございます…」
シエスタは何故か目に涙を浮かべ笑っている。
感謝を肯定と受け取ったギーシュは
「あぁ…ルルーシュ君、君とも友達になりたいんだ」
「ふん、おまけのように言われてもな。ギーシュ」
「はは!その調子だ!」
「あ!あの!」
突如シエスタが声を上げ
「ルルーシュさん!…そのあの時は逃げてすいませんでした…」
部屋が静かになりルルーシュの言葉に一同の注目が集まる。
「いいんだシエスタ…」
そして、穏やかな言葉の後に続いたのは
「だが。次は自分の力で困難を乗り越えるんだ。例え相手は貴族だろうとだ。言いなりだけの人生なんて、ただ生きているだけの命なんて、緩やかな死と同じだ」
この後
ルイズは(この男は何者なのか…執事くらいなら務まりそうか)と考えた、口だけだと思うが心の奥は警戒しているもやもやがいまだ消えない
キュルケは惚れた。ルルーシュはしばらく外で寝る姿が目撃されている。
ギーシュはびんたを食らった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
場所は変わり、学園長室。
「まぁ今回のことは両者痛みわけじゃ…」
「お騒がせして申し訳ありませんでした…」
学園長室に呼ばれたルイズとルルーシュの二人、事の顛末を説明し謝罪に訪れている。
ルルーシュは後ろで直立不動の姿勢をとっている。
(こにじじい…本性を出していないな…)
「君の使い魔は異世界から召喚された人間じゃ。あまりことを荒立ててくれるな…」
「申し訳ありません…」
「そして君はガンダールブかもしれぬ」
「ガンダールブ?」
「ガンダールブといえばあらゆる武器を使いこなした始祖ブリミルの使い魔。ルルーシュ君は異世界から来たといっているがおそらく…」
「…その学園長はルルーシュが異世界からきたと信じているのですか?」
「うむ、わしにも心当たりがある」
「心当たり?!」
瞬間後ろのルルーシュが声を上げる。
「この前はそのようなことを一度も…」
「うむ…ふがいないが忘れておったのじゃ…ガンダールブ…武器…と聞いて思い出してのぅ…」
オスマンの昔話が始まる。
「『破壊の杖』というものがあってのぅ……今から数十年前の話じゃ。数十年前、森を散策していた私は、ワイバーンに襲われた。
そこを救ってくれたのが、『破壊の杖』の持ち主じゃ。彼は、一本の『破壊の杖』で、ワイバーンを吹き飛ばすと、ばったりと倒れおった。
怪我をしていたのじゃ。私は彼を学院に運び込み、手厚く看護した。しかし……」
「死んだと…」
「うむ。その時持っていた彼の武器は墓標にし、もう一本は今も保管してあるが…作りかたも…使い方もわからぬ…おそらくこの世界にないものと考えてよい。」
話は続く
支援!11
「わしの恩人はガンダールブ、だからあの武器が使えた、『ここはどこだ。元の世界に帰りたい』とも言っていたからおそらく異世界の住人。そう考えるのが普通じゃ…」
ルルーシュはその後、どんな会話が行われたのか覚えていない。少なくとも「武器」に関する会話がなかったことだけは覚えている。
そしてその夜
完全に人払いを済ませサイレントもかけてオスマンとコルベールが話し合っている
「して、これが今回の顛末かのぅ」
「はい、誰がゴーレムを作り出したのかは不明です」
「まぁよい…二人が怪我を負い、治療をうけとるからのぅ…探しても誰も名乗り出ん…一応土系統の教師に注意を払うのじゃ…」
「はっ」
「そして…?」
「はい、生徒ミス・ヴァリエールの使い魔の少年のルーンはやはり学園長のおっしゃる通りガンダールブのものでした」
「厄介なことになってきたのう…他言厳守、口外はまかりならん」
「御意」
「あのー…ルルーシュとか言う男。君の目から見てどうじゃ?彼はまぁ魔力もなく、ただの平民ということはわかっとる…」
「は、特に問題はなく日常を過ごしております」
「…炎蛇」
「は!」
瞬間すべてが凍りつく。オスマンの目がコルベールを貫く。
殺されはしない。しかし生きた心地が全くしない。背中を汗が伝う。
「貴様…炎蛇の目から見ていかに写る」
「彼は何かあるかと…」
「推測もかまわん…貴様が思っていることを正直に話せ…つまらんことを言わせるな…」
大丈夫…自分は学園でもかなりの地位…オスマンならばこんなことで…殺すことはないだろう
だが、もしかしたら、もしかしたら次に瞬きをした瞬間、自分の目は、自分の胴を見ているのかもしれない。
コルベールの頭に何故かその光景がまじまじと思い起こされる。昔、散々自分が見てきた…
「僭越ながら…彼は何か…「力」を持っていると考えております…そして…」
おそらく彼は、人を殺したことがあります
to be continued
終了です。
長々お付き合いいただきありがとうございました!
乙!!これは期待
リアルタイムGJ
乙
果たしてゴーレムを作ったのは誰なのか、謎なのが気になりますね
1:シュヴルーズ 凄く無難、どうせ出番少ないし
2:名無しの教諭(土メイジ) これも無難
3:ロングビル 正直「あの段階で切り札使ってどうする」と後で後悔しそう
>>337 乙!
これからも全力で応援しなければならないギアスを受けたぜ!
投下、よろしいでしょうか?
進路クリアでしたら、0:55から投下を開始したいと思います。
支援
おお、待ってました!
道は開いてます
支援
>>340 >3:ロングビル 正直「あの段階で切り札使ってどうする」と後で後悔しそう
それを逆手にとって、フーケにはギアスが効かなかったことから、ルルーシュが
フーケ=ロングビルであるとの推理の一因にするとか。
アルビオンからの撤退は、長く苦しい道のりとなった。
雨の如く降り注ぐ弓矢は、アルビオンを救済した聖女を称える賛辞であり、
林の如く突き出される剣は、キスを求めて恭しく差し出された手の甲だった。
当然といえば当然の話なのだが、気が付けばルイズは、救国の聖女という事になっていた。
もはや風前の灯火も同然だったアルビオン王家は、再び息を吹き返した。
この功績は一体誰に帰すのだろう?
それは勿論、異形の使い魔を従えた一人の少女。
我が身の危険も省みず、トリステインから訪れた、最後の大使。
では、我々は、一体彼女にどうやって応えればいいのだろうか。
祝宴? 受勲? いや、そんなものでは足りない。
内乱で領主を失った封土を与え、アルビオン貴族として迎えようではないか。
爵位はどうする。伯爵? いっそ公爵に? いやいや、まだそれでも国を救うという大業に報いたとはいえない。
そう、この献身に応え得る報酬はただ一つ。
褒め称える側としては、極めて都合が良い事に、ルイズは若く美しい乙女であり、
更に言えば、他国とはいえ、伝統と格式と威勢を誇る公爵家の娘。
そして、救われた格好のアルビオン王国には、ちょうど歳の釣り合いが取れそうな、未婚の皇太子が存在した。
当たり前のように導き出される結論。
アルビオン救国の聖女を、未来の国王妃として、迎え入れようではないか。
無論、提案した側は、こんな良い話が断られる筈がないと、心の底から信じていた。
内々にこの話がルイズへと伝えられた時の事を、キュルケは後にこう語っている。
“中々の見物でしたわ、あれ”
最高級の白磁のような肌が、白から青、そして赤く染まる色彩の変化を見届ける前に、
凶報を告げる使者は去ったものの、ルイズは頭を抱えた。
結論から言えば、当人同士の都合やその他諸々を一切無視したこの計画は、話がウェールズにも伝わった時点で、
内々のうちに叩き潰される事になるのだが、この一件は、思いの外ルイズに大きな衝撃を与える事になる。
話の内容が、ではない。
まあ、勿論アンリエッタに対する申し訳なさとか、いきなり断ったりしたらウェールズに対して失礼に当たるのではないかとか、
考えなかったわけではない。
考えなかったわけではないが、衝撃を受けた一番の理由は、
この婚約話の裏側にある、ナイトの力をアルビオンに留め置きたいという思惑が、
あまりにもあからさまだったからだ。
覚悟はしていた。
だが、まさかこんなにも早く、こんな形で迫られるとは思っていなかった。
ルイズは己の覚悟の甘さを心の中で笑う。
自分はこれからずっと人の好意の裏を疑って生きなければならない。
だが、それがどうした。
わたしは、あの光の中で、覚悟を決めたはずだ。
こんな事で、絶対にわたしは追い詰められたりはしない。
絶対に、絶対に、わたしはナイトをただの力なんて考えるようには、ならないんだから!
見た目どう見ても教諭っつーことは相当老けてんだなフーケw
とはいえ、流石に憂鬱になった。
短い時間の間に、様々な祝宴やら行事やらに引っ張り回された挙句、珍獣扱いされていた所為もあって、
肉体的にも精神的にも疲れきっていたことも、悪い方向に作用した。
そんなわけで、トリスタニアへと報告へ向かうためにシルフィードの背に乗るルイズは、
口からエクトプラズムが漂いだしていても不思議ではないほど憔悴していた。
「大丈夫なのかね、あれ」
見かねたギーシュが、キュルケに耳打ちをする。
ちなみに、当初、ルイズは再び王立空軍の旗艦となった『ロイヤル・ソヴリン』号に乗って、帰途に着くはずであったのだが、
流石にそれは勘弁してください傍から見たらアルビオン唆してトリステインに攻め入ってるようにしか見えませんと、
土下座せんばかりの勢いで断り、何とか計画を取り消してもらっていた。
だが、見送りの一つもないまま帰しては、アルビオンの沽券に関わるということもあり、折衷案として、
因縁深い『イーグル』号に乗り、ラ・ロシェールの街までウェールズ直々に送り届ける、という形に落ち着き、現在に至る。
ナイトは、流石にシルフィードには乗りきらないので、直下をぴたりと離れずに疾走している。
ルイズはナイトの背面装甲に乗ってトリスタニアまで行くつもりだったのだが、
掴む取っ手さえない高速移動体に長時間座っていられるはずもなく、あえなく断念した。
気のない返事をギーシュに返しながら、まあ、仕方がないわよ、とキュルケは思う。
ナイトの力は、個人が抱え込むには強力すぎる。
例えば、何かのきっかけで、ルイズがトリスタニアの住民を皆殺しにしたいと願えば、
そして、真実それがルイズの願いであるならば、ナイトはそれを躊躇うことなく聞き届けるだろう。
それでなくともナイトの力は、あまりにも直接的に人の運命を容易く捻じ曲げてしまう。
ニューカッスル城攻防戦での活躍を、世人はアルビオンの危機を救ったと言うが、こういう言い方もできるのだ。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、たった三百人を救うために一万人以上殺した、と。
キュルケは、ルイズの選択を間違っているとは思わなかったし、
クロムウェルが何をしていたのか明らかになった今となっては、
あのまま放置しておけば、もっと酷い事になっていただろうとも思う。
だが、問題はそういう事ではない。
ルイズの決断一つで、死ぬはずのなかった数千人が死に、
一つの国の未来を全く違う方向に変えてしまった、いや、変えてしまえる事だ。
これから先、何事か起こる度に、ルイズは苦しむ事になるだろう。
それは、力で解決できることならば、およそどんなことでも思い通りになってしまうという苦しみだ。
手に掛けた命の数に戦慄き、その手で救えなかった命の重さに、後悔で身を焼く日も来るだろう。
だが、それでも力を振るわずに済ませる事は出来ない。
何故なら、“ナイトの力をもってすれば、国を救うことさえ出来る”のだから。
そんな苦しみは、トリステインという国にでも放り投げてしまえば良いだろうに、きっと、ルイズはそうしない。
ルイズは、そんな理由で、使い魔を放り出したりはしない。
このままでは、ルイズの人生は冷え冷えとしたものになる。
それを思うと、キュルケは、心の奥底で、説明のし様がない衝動に駆られるのを感じた。
目の前で特徴的な桃色がかったブロンドが揺れる。
頼りないその背中を、そっと抱きしめた。
びくりと震える耳元に、そっと囁く。
「ねえ、ルイズ。こうしていると暖かいでしょ?
忘れちゃダメよ、暖かいって感じる貴方がいる事を」
だから、忘れないで、貴方が人間だって事を。
「頑張って、頑張って、それでも耐えられないくらい辛くなったら、ナイトと一緒に逃げてしまいなさい。
その時は、あたしが匿ってあげるわ」
ルイズの肩が、小さく震える。
泣いているかもしれない顔を、覗き込まない分別くらいは、キュルケだって持ち合わせている。
小さな、本当に小さな呟き。
「……ダメ。キュルケに迷惑掛けちゃう」
予想通りの答え。
強く、強く抱きしめる。
「馬鹿ね。あなたがあたしを頼ってくるなんて、よっぽどの事に決まってるじゃない。
そんな時に手を差し伸べないほど、あたしは無慈悲な女じゃなくってよ?」
「……うん」
全くもって、とキュルケは思う。
あたしの周りは、ちいちゃな女の子に限って、重いものを背負ってるのね。
がばちょと腕を広げて、タバサも一緒に抱きしめた。
「タバサもそうよ。
困ったことがあった時は、あたしがいる事を思い出してね?」
どんな時も表情を変えないキュルケの一番の友人は、やはりこの時も眉一つ動かすことはなかった。
だが、キュルケの言葉にポツリと答えを返す。
「覚えておく」
その答えに、キュルケは大きな笑顔を浮かべる。
蚊帳の外に置かれた格好のギーシュは、そんな心温まる光景を、ぼーって眺めていた。
タバサの髪の色に、ニューカッスル城で出会った美女の面影を思い出す。
“……結局、彼女はなんだったんだろうなぁ。名前くらい聞いておけばよかった”
ルイズと合流して、暫くして気が付いたら姿を消していたのだ。
惜しいことをしたなぁ、と、ギーシュは思う。
そんなギーシュの思いを見透かしたように、シルフィードがきゅきゅいと一声鳴いた。
トリスタニアは、もう目と鼻の先にある。
支援
ルイズからの報告を受けた後、アンリエッタはすぐさまマザリーニとの会見を設ける手はずを整えた。
そして今、マザリーニの執務室には、ただ冷え冷えとした沈黙だけがたゆたっていた。
室内にいるのは、マザリーニと、アンリエッタだけ。
つねに傍で控えている秘書官も今だけは席を外している。
「知っていたのですね、マザリーニ枢機卿」
椅子に座るアンリエッタに、机を挟んで相対する形のマザリーニは、沈黙したまま答えようとしない。
「わたくしのウェールズ様への想いも、あの恋文のことも、全て!」
ゆっくりと重々しくマザリーニは口を開く。
固まりきっていた空気が、それだけのことでマザリーニの側に流れ出したようだった。
「勿論、全て存じ上げておりました。
存じ上げた上で、殿下のご婚約の話を進めたのですから」
何か問題が? と言わんばかりの答えに、アンリエッタは思わず鼻白む。
だが、確かにその通りなのだ。何も問題はない。
彼女自身、ルイズに向かって、好きな相手と結婚するなんて、物心ついた時から諦めているといっている。
王族にとって、恋と結婚は所詮別物なのだ。
だが、ならば手紙の文言は問題にはならないというのだろうか?
あの一言に込めた気持ちは、国という巨大なシステムを揺るがすことさえ出来ないのだろうか。
搾り出すように、呟く。
「……なら、あの手紙は。
手紙の中で、わたくしはウェールズ様を愛するとブリミルの名の下に誓いました。
それも知っていたというのですか?」
「ええ」
勿論、と事もなくマザリーニは首肯した。
「そのことについては、先方と対策を協議済みでした。
隠すからこそ、弱みになるのです。
その存在を周知してしまえば、ああいったものは弱み足り得ません」
もっとも、至極繊細な民衆の心を、無用に騒がせないための手は打っておく必要はありますが、と枢機卿は続ける。
ならば、全部無駄だったのだろうか?
あの悩みぬいた日々も、眠れぬ夜も、ルイズに密使を頼んだことも。
その思考を読んだように、マザリーニは言葉を繋いだ。
「いいえ、無駄ではありません、殿下。
決して、無駄などでは。
少なくとも、殿下が遣わしたラ・ヴァリエール嬢は、
ウェールズ殿下の命どころか、アルビオン王国の命脈を救いました」
支援
畏れながらも、殿下の事は、おしめをされていることから存じ上げておりますが、
この度、初めて出し抜かれましたな、とマザリーニは呟く。
その顔に、微笑みめいた表情が浮かぶのを、アンリエッタは呆然とした思いで見つめていた。
そういえば、この男は昔はこうではなかったはずだ。
もっと昔は幸せそうな表情をしていたはずだ。
何時からだろうか、この男が険しい表情しか浮かべなくなったのは。
何時からだろうか、この男が鶏の骨と揶揄されるほどやせ細ってしまったのは。
前王である、父が死んでからだ。
ただ一人で国という重荷を背負う苦行が、枢機卿をこうまで変えてしまった。
「……恨んでいただいても、構わないのですよ?
アルビオンは救われ、レコン・キスタの脅威が去ったとしても、
ゲルマニアに殿下がお輿入れする事には変わりがありませぬ」
マザリーニは、クロムウェルによるレコン・キスタの蜂起が、
半ば以上あるマジックアイテムに力に頼るものだと知ったときから、何者かの関与を確信していた。
一介の司教に、そのようなアイテムを手に入れるツテも、知識も存在するはずがない。
誰も彼もが、危機は去ったとただ浮かれるばかりだが、
むしろ、目につかない形となったことで、脅威は高まったのかもしれないとすらマザリーニは考えていた。
そんな時に、婚約を破棄し、自ら孤立するわけにはいかない。
トリステインのような小国ならば、尚更。
執務室を再び沈黙が支配する頃、マザリーニがポツリと言った。
「それで殿下が楽になるのでしたら、この老骨を存分にお恨みください」
恨む?
確かに、身の不幸を、全てマザリーニの所為にしてしまえれば、楽になれるだろう。
だが、そうする資格が自分にはあるのだろうか。
目の前にいるのは、誰よりも不幸な一人の男。
背負う重みに押し潰されそうになっている事に気づいてすらいない。
果たして、自分には、その男の重荷を一つ増やすだけの資格があるのだろうか?
「わたくしは……」
今、自分は何を言おうとしているのだろうか?
>ゼロのコードギアスの人
なんかガンダールブについて勘違いしてないか?
俺の気のせいならいいんだけど。
「貴方を許しますわ。マザリーニ枢機卿」
驚愕に、マザリーニの目が見開かれる。
これで出し抜いたのは二度目ね、と心の中の冷静な自分が呟いている。
「政に興味の持てぬ母、何も知ろうとしなかったわたくしに代わり、よくぞこの国を支えてくれました」
「殿下……」
息を一つ吸い込む。
マザリーニを恨んではいない。その言葉に嘘はない。
だが、この一言は、彼を縛る呪詛になる。
「国王代理として、最後の命を下します。
トリステインを守りなさい。
この国と、この国に拠って生きる全ての民を守りなさい、マザリーニ枢機卿」
「誓って、その言葉の通りに」
机を立ったマザリーニが、膝に床をつき頭を垂れる。
アンリエッタは、椅子から立ち上がり、その誓いを受け入れた証に、マザリーニの肩に杖を置く。
誓いは為された。彼はその生涯をトリステインという国に捧げるだろう。
例えそれが、心休まる日の来ない暗い路だとしても、彼は歩き続けるだろう。
今、この日の誓いを胸に、もはや、重荷を重荷だと思うことすらない。
アンリエッタは、その事を思い、満足の吐息をもらした。
それより数日の後。
鮮やかな初夏の日差しの下、魔法学院傍の平原には、爽やかな風が渡る。
そんな今にも初々しいカップルがキャッキャウフフしていそうな風景の中に、
闇色の昆虫がでんと居座っている。似合わないことこの上ない。
光を吸い込むような、艶のない黒い背面装甲の上に一人の少女が丸まって眠っていた。
桃色がかったブロンドという特徴的な色の髪が緩やかに波打ち、同年代の少女と比べても、かなり小さな、
もとい慎ましやかな胸元が、小さく上下している。
その胸にかき抱くようにして抱きしめているのは、古色蒼然とした一冊の本。
大理石を磨き上げたような指には、澄み切った湖を映しこんだような蒼い宝玉が光る。
再び、風が吹く。
かすかに、だか、確かに革の装丁が光を発した。
かくして、虚無《ゼロ》のルイズの伝説が始まる。
歴史的補項
アンリエッタ・ド・トリステイン
ゲルマニア皇帝アルブレヒト三世の元に嫁ぐ。
良くも悪くも開放的なゲルマニアの気性に影響されて、眠れるナニかが開花したのか、
瞬く間にアルブレヒト三世を尻に敷くことに成功。
双子の男子を含む、三人の子に恵まれ、皇妃としての責務を全うする。
誰も予想しなかったことだが、家庭的にはそれなりに幸せだったようだ。
幾らでも表向きの政治に口出しできる立場であったが、
自らの政治的センスのなさを自覚していたのか、その生涯にわたり政治的な影響力を行使することはなかった。
ウェールズ・テューダー
クロムウェルによる内乱を鎮圧した後も、反乱や暴動が続発するアルビオンの平定の為に東奔西走する。
彼の獅子奮迅の活躍のより、アルビオンがようやく一応の平穏を得た直後に、今度は父王ジェームズ一世が崩御。
アルビオン王となる。
アンリエッタと、その第二王子の暗殺未遂事件に端を発するガリア戦役、いわゆる虚無戦争では、
ロマリア・アルビオン・トリステイン・ゲルマニアの神聖四ヶ国連合の総司令官として、勝利に多大な貢献をする。
一般的には、美しい森の妖精との悲恋物語の主人公のモデルとして知られるが、
後世のその優しいイメージとは裏腹に、長く戦場に身を置いていたためか、在位中は騎士王などと呼ばれていた。
ギーシュ・ド・グラモン
魔法学院卒業後、陸軍に入隊。
ガリア戦役での活躍を経て、最終的には元帥位に昇る。
彼と、彼の兄たちの活躍を以って、武門としてのグラモン家は完成したとされる。
銃兵とメイジの有機的な連携による火力の集中をもっとも得意としていた。
その功績を称えられ、退役後、準男爵位を賜る。
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー
魔法学院在学中、ある事件をきっかけに、教師であったジャン・コルベールを親密になる。
卒業後に結婚。
彼の良き妻、良きパートナーにして、一番弟子、そして最大の理解者となる。
コルベールの死後、彼の遺作となった探検船「東方」号に乗り、東方へと出発。
この前代未聞の大冒険が成功した事により、ツェルプストー家は東方交易の窓口として莫大な利益を上げた。
これを基に、キュルケは後のツェルプストー財閥の基盤を築くにいたる。
トリステインとゲルマニアの併合の機運高まる頃、彼女とルイズの友情は、
相当に美化された形で、巷間に流布していたが、その事に触れられる度に、なんとも言えない表情をしていたという。
シエスタ
魔法学院退職後、タルブの村へと戻る。
その後、数年の時を掛けて、祖父の残した手稿を纏めなおし、
更に自らの見聞を加え、大著『ハルケギニアの動物誌』を記す。
明らかに時代を超越した解剖学に基づく生物分類と、細密なスケッチは様々な分野で大反響を起こし、
当初、一部の好事家のための珍本扱いであった本書は、粗悪な海賊版や贋物、
果ては二匹目の泥鰌を当て込んだ類似品まで生み出した。
この一大ムーブメントが、やがてハルケギニアに博物学という概念を生み出すこととなる。
ちなみに、ノワールの詳細な身体的特徴が今に伝わっているのは、最初の治療の際に、
彼女が記録していたからであることは、意外に知られていない。
ジャン・コルベール
蒸気機関の発明者にして、飛行機械のパイオニア。内燃機関の概念も提唱している。
存命中に発明、考案した発明品は多岐に渡り、
その幾つかはハルケギニアの社会構造を一変させるほどのインパクトを持っていた。
晩年は、妻であるキュルケのサポートのもと、メイジを必要としない飛行機械の発明に心血を注ぐも、
その第一歩である『東方』号の完成直前に病死した。
草稿などで、内燃機関を用いた完全無魔法の飛行機械の可能性に言及しているなど、
その先見性は同時代人の追随を許さず、一部では異世界からの訪問者であるなどとも言われているが、
それならば『東方』号の完成に、あれだけの時間を必要とするはずがない。
ともかくも、時代を変えた一人である事は間違いなく、彼の死後実現した『東方』号の冒険により、
ハルケギニアに、いわゆる大航空時代が訪れた一事からも、その事がうかがえる。
タバサ(シャルロット・エレーヌ・オルレアン)
魔法学院卒業後、本格的にガリアの特殊部隊『北花壇騎士団』の一員としての活動を開始する。
優秀なエージェントとして、様々な謀略や陰謀に加担し、これを成功させ、
この頃から、コードネームである『雪風』は、社会の裏側で恐怖をもって語られることとなる。
ガリア戦役中も、それは変わらなかったのだが、人質同然の扱いであった母が行方不明になると同時に出奔。
キュルケを頼り、ゲルマニアに身を寄せる。
それ以降は、ガリア攻勢の最右翼として、様々な作戦に従事。
当初こそ中々信用されなかったものの、単独行動を任せられる強力なメイジとして、重宝されていたようだ。
戦後、唯一残ったガリア王家の直系であることから、新生ガリア王国の王位に推されたが、これを固辞。
使い魔のシルフィードと共に姿を消す。
その美貌と、数奇な運命、謎めいた後半生から、叙事詩や御伽噺のヒロインとして、
彼女の名は広く人口に膾炙することとなる。
彼女は、物語の中の英雄として、後の世に語られる存在となったのだ。
しえん
フーケ(マチルダ・オブ・サウスゴーダ)
ガリア戦役中、多大な功績があったとして、ウェールズによりサウスゴーダ太守に封じられる。
家名の再興を果たしたものの、前歴がやや不明瞭な事もあって、
偽者であるとか、ウェールズの愛人であるなどと言われていたようだ。
社交界での陰口は兎も角、領民達からは、領地の福利厚生に心を砕き、
特に戦災による孤児の保護に力を入れた、中々の名領主として慕われた。
マザリーニ
アンリエッタがゲルマニアに嫁いだ後も、宰相としてトリステインをゲルマニアの併合から守り続けた。
トリステインの国力は、ゲルマニアに比べると明らかに劣るものの、
ゲルマニアには本質的に連邦国家群であるという弱点があり、トリテインを併合すると、
二番手三番手の地方は、ゲルマニア国内での発言力が自動的に一つ下がるため、併合を忌避する風潮が強かった。
マザリーニはこれを利用して、併合派を牽制し、決してゲルマニアの意思を統一させないという方法で、これを成し遂げた。
とはいえ、相変わらずトリステイン国民からの人気は低く、アンリエッタをゲルマニアに売った売国奴として、
以後百年以上にわたり、主要なフィクションの悪役の座を占め続ることになる。
アンリエッタの第二王子が、トリステインの王位につくと、かねてより進めていた仕事の引継ぎなどを終えて引退。
その直後に、精根尽き果てるようにして死去。老衰であったと伝えられている。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
アンリエッタの結婚式のために、始祖の祈祷書を預けられたことをきっかけに、虚無の属性に目覚める。
その事が判明した直後に、何故か落ち込んだらしい。
学院在籍中も、様々な事件に巻き込まれながら、何とか卒業。
卒業後は、アンリエッタ付きの女官として、ゲルマニアに赴く。
これは、双子の男児を出産したばかりのアンリエッタと、将来トリステイン王となるはずの第二王子を守るために、
マザリーニが手配したものであったようだ。
かの地にて、キュルケと共に暗殺を未然に防ぎ、その裏にガリア王国の蠢動がある事を突き止めることに成功。
これが後の神聖四ヶ国連合による、ガリア侵攻――ガリア戦役の最初の引き金となった。
ガリア戦役時は、ガリアと協力関係にあるエルフの精霊魔術への最後の切り札として、
前線を文字通りの意味で飛び回り、多くの兵を救った。
戦後は、再びアンリエッタの女官として、静かな日々を送ったようだ。
この時期のルイズをさして、『皇妃閣下の私的エージェント』であったとする言説は、
フィクション、ノンフィクション、ノンフィクションと称する出所の怪しげな手記、その他諸々枚挙に暇がないが、
前述の通りアンリエッタは政治的な関わりを避ける傾向にあり、どれも信憑性が薄いと断言せざるを得ない。
だが、そういった無責任な流言が然もありなんと思わせるほど、
様々な逸話に彩られた、まさに波乱万丈な人生を送った人物であり、
彼女こそが、我々が知る最後の『伝説』の中の人物であったといえるだろう。
なお、その生涯の最期まで、傍らには異形の使い魔の姿があったという。
あとがき
ご支援、ありがとうございました。
これにてゼロの黒騎士完結でございます。
拙作に最後までお付き合いいただき、感謝に堪えません。
当初の構想では、十話くらいで昨年の十二月末までには完結させるつもりでしたが、
あれよあれよと伸びて、危うく想定の倍ほど書いてしまうところでした。
まさか、アルビオン編をここまで書く事になるとは……。
改めてSSを書く難しさを実感した次第です。
最後になりましたが、SS投下の際、支援しくれた方、感想を書いてくれた方、応援してくれた方、
絵を投下したくれた方、皆様のおかげで、よろよろと遅い歩みながらも完結に漕ぎ着けることが出来ました。
作品外で語るは野暮と思い、今まで黙殺する形になってしまっていた事を、心よりお詫び申し上げます。
実を言えば、その一つ一つが小躍りするほど嬉しかったです。本当に、本当にありがとうございました。
それではまた、ご縁があればどこかでお会いしましょう。
乙でした。
また新しいSSを書かれる事を期待して待ってます。
お疲れ様〜
綺麗に纏めたなーGJ
お疲れ様でした!!
誤字がけっこうあったが一気に完結はお見事。
お疲れ様〜。
大儀でござった。
エピローグの列伝はいいですね。私もいつか真似しよう。
お疲れっした〜。
ところで十二国記かなんかで、王族が民の事を知らなければならない。知らなかったは話にならない。
みたいな感じの台詞無かったっけ?
ゼロの使い魔みるといっつもこの台詞が頭に浮かぶ。
黒騎士GJ
>>368 あったな。
たしか祥瓊だったか。
王である父親の悪政を何も知らずに安穏と過ごしてたら謀反起こされて地位を失ったんだっけ。
で、謀反起こしたヤツにそんなことを言われてた希ガス。
371 :
これは?:2008/04/03(木) 01:48:34 ID:OBHNxYCJ
最終回で「フライ・バイ」したJ9チーム(銀河旋風ブライガー)が、鏡に突入して
召喚っていうのは?
衣食住と報酬を約束すれば、結構役立ちそうな面子と思うが・・・
>>370 慎みをもての人に言われたんじゃなかったっけ?
>>372 あんまり読み返すってことしないからうろ覚えなんだw
でも水戸黄門やる王もどうかと思うんだw
こんな時間に人はいないか?
まぁ、いてもいなくても投下させてもらいます。
戦う司書シリーズからモッカニアの本を召喚です。
「ミスタ・コルベール! 召喚のやり直しをさせてください!」
「駄目です。ミス・ヴァリエール。使い魔召喚の儀式は神聖なものです。それがどんな『もの』であろうと、呼び出してしまった以上は契約しなくてはなりません」
春の使い魔召喚の儀式。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン。ド・ラ・ヴァリエールは自身の召喚の結果を不服として、担当教諭のコルベールにやり直しを要求するが、コルベールはというと「伝統・神聖」の一点張りで取り付く島もない。
必死に食い下がるルイズとそれを諭すコルベールのやり取りに、呼び出したばかりの使い魔に夢中だったほかの生徒たちもにわかに注目しだした。
ルイズとコルベールを囲むように人だかりができ始めていた。
「なぁ、マリコルヌ。何の騒ぎだい? またゼロのルイズが何かやらかしたのか?」
ルイズたちを囲む輪の中にいたマリコルヌ・ド・グランプレに、級友のギーシュ・ド・グラモンが声をかける。
「あぁ、ギーシュ。傑作だ。さすがはゼロのルイズだぜ。実にふさわしい使い魔を召喚したもんだよ」
そういって笑い出すマリコルヌに、ギーシュは怪訝な顔であたりを見渡す。
「なぁ、マリコルヌ。そのゼロのルイズが呼び出した使い魔てのはどこにいるんだ?」
もう一度あたりを見渡してみるが、どこにもそれらしきものはいない。
「ひょっとして、何も呼び出せなかったから使い魔も『ゼロ』ってオチかい? それはちょっと引っ掛け問題としてもフェアじゃないと思うな。『召喚した』て言ったじゃないか」
「いやいや、ちゃんと呼び出してるんだよ。ギーシュ。あそこをよく見てみろよ」
笑いをこらえながらマリコルヌが指差す。
しかし、指し示された場所を見ても、草原の中にぽっかりと直径1メートルほどの円状に草の禿げた、むき出しになった地面があるだけだ。
草が禿げているのはルイズの爆発による影響だろう。
コルベールが禿げているのは何による影響だろう?
「なぁ、マリコルヌ。僕の目が悪くなったのかな? やっぱり何もいないように見えるんだが…」
「よく見てみろって、草の禿げた真ん中だよ。なんと言っても相手はあのゼロだからね。常識的な使い魔を探しても見つけられないさ」
「真ん中ねぇ…」
もう一度目を凝らして見る。
「真ん中には…石ころがあるな」「そうだね、ギーシュ」
もう一度見る。
「手のひらサイズってところだな」「そんなとこだな、ギーシュ」
さらに見る。
「板状だな」「板状さ、ギーシュ」
さらにもう一度見る。
「ほんのり半透明だな」「半透明さ、ギーシュ」
しつこく見る。
「ひょっとして、アレかい?」「アレさ! ギーシュ!」
二人は顔を見合わせると、
「ギャハハハハハハ!」
と馬鹿笑いした。
ギーシュとマリコルヌのやり取りを、ルイズは憮然とした表情で見ていた。
「ミスタ・コルベール。あの二人が私を侮辱しました。ちょっとレビテーションかけてもいいですか?」
完全に据わった目で言うルイズ。
「だ、駄目です! ミス・ヴァリエール。クラスメイトとは仲良くしなくてはいけません!」
「なら、先生があの二人をもやし祭りにして下さい」
「学院の教育方針として、体罰は禁じられてますので…」
「なら注意するなりなんなりして下さい!」
ルイズの剣幕に、コルベールは「ひっ」と小さく悲鳴を上げてギーシュたちに注意に向かう。
「二人とも、貴族たるもの『ぎゃはは』などとはしたなく笑うものではありません!」
「そこかよ…」
注意を終えて帰ってくるコルベール。
ジト目で向かえるルイズ。
「先生。私、将来子供ができたら留学させようと思います…」
「それはいいですね。若いうちから見聞を広げるのはいいことです。私もいつか他の国で教鞭を振るって見たいものです」
「そうしてくださると留学させないで済むので助かります」
しえんする
「さぁ! もう、いい加減覚悟を決めてブチュッとやっちゃいなさい! ミス・ヴァリエール!」
コルベールが会話は終わりだといわんばかりに高らかに言う。
ルイズもあきらめて、ぶつくさ言いながらも、召喚された石のそばに歩いていく。
「なによ! いつも新しい技術がどうとか、『火は破壊だけのものだなんて古い考えにとらわれてはいけない!』だとか言ってるくせに、
こういうときは伝統伝統って、きっと自分の中でそういった矛盾を抱えてるから、知らないうちにストレスになって禿げるのよ!」
「何か言いましたか…ミス・ヴァリエール…」
「何も言ってませんっ!!」
ルイズは大きくため息をつくと、自分の足元にある『それ』を見る。
手のひらサイズで板状の、少し透明な石ころ。
悔しいがギーシュやマリコルヌの言う通りではある。
せめて土にまみれていたりすれば、爆発のせいで地中の石がむき出しになっただけだとか主張して、もう一度召喚させてもらうという策もあるのだが…。
綺麗な円形に禿げた草原。爆発で抉れた地面の中心にポツリと置かれた石ころ。
さすがにこれを地面から出てきたものだと主張するのは無理があるか…。
「はぁ〜〜〜〜…」
もう一度、露骨に大きくため息をつく。
そして、しゃがみ込んで石を見る。
どこからどう見ても石だ。
「ミスタ・コルベール! 石です!」
「見ればわかります」
「石と契約するなんて聞いたことがありません! それに石には意思がないからこの石にはそもそも私と契約する意思があるとは言えない訳で、契約する意思のないものに無理やり契約をさせるのは非道と思います!」
「確かに石と契約するなんて聞いたこともありませんが、そもそも石を召喚するなんてことも聞いたことありません。とにかく使い魔は、サモンサーヴァントによって召喚されたものと契約すると決まっています。石を召喚してしまった以上、石と契約するしかないでしょう。
それに、石に意志がないなんてどうして言えるのです? 意志を表現する手段がないだけで意思はあるかもしれませんよ?そして、サモン・サーヴァントに応じた時点で使い魔になる意志はある、と私は考えます。
そうでないと、ドラゴンのような本来凶暴な生物が、いきなり呼び出されてコントラクト・サーヴァントに素直に応じるはずがありませんからね」
ルイズのよくわからない理屈は、コルベールのわかるようなわからないような屁理屈によって潰されてしまった。
(考えろ…考えるのよ…ルイズ! 姫様と遊んでいたときに、厨房にあったイチゴを二人で全部食べて従者を怒らせてしまったときも、逆切れと誤魔化しで何とかしたじゃない!)
ルイズは最後の足掻きをしようと知恵をめぐらすが、
「まぁ、あなたにも言いたい事はいろいろあるでしょうが、一つだけ理解していただきたい。私があなたにその石との契約を勧めるのはあなたのためを思ってのことということです。
召喚が失敗してしまったのなら召喚のやり直しはできますが、召喚してしまった以上再度召喚することは認められません。それを踏まえたうえで契約しないと言うのであれば、今回の召喚の儀は失敗とせざるを得ません。
召喚の儀が失敗となれば進級を認めるわけにもいきません。石ころを召喚してしまった時点で失敗・留年としてしまうこともできますが、それはしません。つまり、あなたに契約か留年かの選択の余地を差し上げようと私は言っているのですよ」
それはコルベールの言葉によって結実することなく霧散してしまった。
(留年…そんなことになったら…)
ルイズはもし自分が留年ということになった場合、家族たちがどう反応するかを考えてみる。
まず浮かんだのは、長姉であるエレオノールの神経質そうな顔だった。
ルイズの留年を知らされたエレオノールは、
「使い魔と契約できないし、魔法もろくに使えるようにならないで留年。そういうことでいいわね、チビルイズ」
と言って、ルイズの頬を抓るだろう。
「ご、ごめんなひゃい。お姉ひゃま」
いつものようにルイズが謝ると、エレオノールは言うだろう。
「何を謝っているのかしら? このおチビ」
「え、あの…魔法が…学院を…その…」
「何度言えばわかるのかしら? 貴族は魔法をもってその精神とするのよ。それで、チビルイズは謝れば立派な貴族になれるのかしら?」
「えと、あの…その」
ルイズはそう言われて情けなく口ごもるだけしかできない自分がありありと想像できていやになってくる。
「過ぎたことはもういいわ。ねぇ、あなたはどうすれば立派な貴族になれるのかを聞きたいの。来年の春には使い魔と契約できるのかしら?
もう一年学院に通えば進歩するのかしら? そもそもチビルイズは一年間学院にいてどれだけ成長できたのかしら?」
この後もネチネチとエレオノールの説教は続くだろう。途中「学院に一年長くとどまると言うことは、結婚が一年遅れると言うことでもあるのよ」などと自分で言っておいて、
「誰が嫁き遅れよ!」なんて言ってルイズにあたるのだろう。
いやだ、いや過ぎる…。
そもそも留年と言うことになって一番落ち込んでるのはルイズなのだ。
そんなときはやさしく慰めてもらいたい。
「やさしく」と言うことで次に思いついたのが、次姉のカトレアの顔だった。
(ちい姉さまならやさしく慰めてくれるに違いないわ)
でも駄目だと、ルイズは頭の中で打ち消す。やさしさと言うのは時に厳しさよりも残酷なことがあるのだ。
きっとカトレアはルイズの頭を胸に抱き寄せて優しく慰めてくれるだろう。そしてこう言うに違いない。
「ねぇルイズ。貴族にとって魔法がすべてと言うわけじゃないわ。私だって家の中に閉じこもってばかりで魔法なんてほとんど使う機会がないわ。
でも動物たちもいるし、毎日とても楽しいの。ルイズもお家にいてくれたらもっと楽しくなると思うわ。
お家でも魔法の練習はできるし、ふとした拍子に突然使えるようになるかもしれないわよ」
あぁ、想像出来てしまう。
きっとカトレアは純粋なやさしさから、何の嫌味もなく、本心でルイズを慰めてくれるのだろう。
魔法の使えないルイズを受け入れてくれるだろう。
だがそのやさしさを受け入れることは、魔法を使えない自分を受け入れてしまうことと同義なのだ。
それは駄目だ。エレオノールの説教よりもある意味でダメージは大きい。
(それならお父様は?)
父親も厳格な人物できっとルイズをきっときつく叱るだろう。
だが妻には頭が上がらなかったりと、少し甘い部分もあるのだ。きっと一通り叱った後こう言うだろう。
「まぁ、留年は残念だが、頑張った結果だろう。駄目だったならまた一年頑張ってみればいいさ」
と、最後にはニコニコ笑ってルイズの頭の上に大きな手を乗せ慰めてくれる、ような気がする。
そして笑いながらこう言うだろう。
「しかし、卒業がいつになるかわからないからな。今のうちから縁談を進めておかないとエレオノールのように…ゲフンゲフン。どうもワルド子爵も軍務で忙しいようだし、
スーシェ男爵もなかなか悪くない男だと思うが、会ってみるだけどうだ?」
そこからはなし崩し的に次々と縁談を持ち込んできて、いつの間にやら結婚している自分が想像できる。
二十七になっていまだに結婚していないエレオノールのこともあり、その手の話には過敏なのだ。
駄目だ。ダメージは少ないだろうがとても納得できるものではない。
ルイズの妄想はついに最悪の結末にたどり着く。
母親が、烈風のカリンがじきじきに説教するのだ。
その時母は、なぜか甲冑に身を包み、マンティコアにまたがっている。
そして巨大な竜巻を作りながら言い放つのだ。
「ルイズ。構えなさい」
駄目だ! 駄目だ! もう説教ですらない。
「ミス・ヴァリエール? いい加減現実に戻ってください」
コルベールの声にルイズはハッと我に返る。
「先生! 私契約します! させて下さい!」
ルイズには、家族に留年を報告するということよりも最悪の事態というものが存在しないように思えていた。
(もうこの際、石でいいじゃない! 石ってことは土系統よ! 系統もわかってこれで晴れてゼロ脱出に違いないわ!)
ネガティブも行き着くところまで行けば、逆にどんな些細なことでもポジティブになれるらしい。
「よい返事です。では、早いとこ契約してください」
コルベールに促され、ルイズは再びしゃがみ込み、石を拾い上げようとする。
「えっ…」
ルイズの指が石に触れた瞬間――ルイズの目の前に突然一人の少年が現れた。少年はしゃがみ込み地面に目を向けている。
(何を見てるのかしら? じゃなくて! なに? どこから出てきたの?)
突然現れた少年に驚き、思わずあたりを見渡すルイズだが、そこで異変がこの少年だけでないことに気付く。
ルイズの目に映るのは魔法学院の演習場ではなかった。見たことのない町並みがルイズの目の前にひろがっていたのだ。
ここはどこなのか。そしてなぜ自分はここにいるのかという驚きが沸いてくるが、その驚きを感じる前に更なる驚きがルイズを襲う。
ルイズはそこにいなかった。
どことも知れぬ町並みを見ているし、音も聞こえる。どこかから空腹を誘うようなにおいも感じる。
だが、ルイズの体はそこにはなく、まるで感覚だけがその場の空気に溶け込んでいるかのようだった。
「なっ? えっ!?」
ルイズは驚いて、思わず石から手を離してしまう。
すると、目の前に広がる景色は魔法学院の演習場に戻っていた。
先程まで見ていた景色はかけらもない。
「ミスタ・コルベール! この石、なんか変です!」
「そうですか。ただの石じゃなくてよかったですね。では、授業時間も無限ではありませんので早くコントラクト・サーヴァントをして下さい」
ルイズが、今体験したことをコルベールに説明しようとするが、コルベールはまたルイズがなんとかサモン・サーヴァントのやり直しをしようとあがいているのだと判断し、まるで取り合わない。
仕方なくルイズはもう一度石に触れてみる。
すると、やはりルイズの五感はどこか知らない場所に飛ばされる。
それは予想されていたことなので、先程のような驚きはない。思わず石から手を離してしまうこともない。
ルイズは、今度は注意深く辺りを見回してみる。
やはりまるで見たことのない景色。なぜか馬がついてない馬車が走っていたりと、ルイズの理解の及ばないような物もある。
そしてルイズが空を見上げると、今まで見たどんなものよりもルイズの常識と相容れないものがそこにあった。
そこには一つの月が燦然と輝いていた。
(な、な、なんで月が一つしかないのよ〜っ!?)
ルイズの、ハルケギニアの常識では月は二つあるのが当たり前であり、二つの月が重なるスヴェルの月夜でも小さい月の方が前に出るので、完全に一つしか月が見えないなんてことはありえない。
(一体、ここはどこなの? そもそもあの石は何なのよ!?)
ルイズがそう思った瞬間だった。
突然、目の前の景色が変わる。石を離したときのように、魔法学院に戻ったわけではない。ルイズの知らない、また別の景色が展開される。
次から次へと景色が、場面が変わっていく。
場面が移り変わるごとに、少しずつ情報が蓄積されていく。
先程ルイズが抱いた疑問。その答えを探すかのように、その答えにかかわる場面を次々と体験していく。
こと細けぇww 支援
支援
「…エール!? ミス・ヴァリエール!? どうしたのです!?」
ルイズが石から手を離すと、目の前には心配そうにルイズの顔を覗き込むコルベールがいた。
「………大丈夫です。契約します」
ルイズは心ここにあらずといった様子でつぶやくとハンカチを取り出し、ハンカチ越しに石を持った。
ルイズは、目の前の石が一体何なのかすでに理解していた。これと契約することがどういう結果をもたらすのかはまるでわからないが、普通の平凡な使い魔と契約するよりは良いかもしれないと思い始めていた。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔となせ…」
呟く様に呪文を唱えると、ルイズはそっと石に口づけをする。
コルベールとルイズ以外の生徒たちが、フライの魔法を使い校舎へと戻っていく。
フライの魔法だけでなく、すべての魔法が使えないルイズには、ゆっくりと己の足で歩いていくしかない。
ルイズは立ち止まると、ハンカチに包まれた石を改めて見る。
それはルイズたちが住む世界とは別の世界で『本』と呼ばれる物。人が死に、その魂が地中で化石化したものである。
『本』に触れると、その魂の持ち主の人生のすべてを読み取り、追体験することができる。
ルイズが『本』に触れることで見た景色は、人が死ねば『本』になるのが当たり前の世界に生きた、ある男の人生だった。
ルイズの指が『本』に軽く触れる。そしてすぐ離す。
この『本』の魂の持ち主。その姿を確認しただけだ。
「…よろしくね。モッカニア」
その『本』に記された魂の持ち主。その名をモッカニア=フルールという。
ここまで一話分です。
二話も書きあがってるので続けて投下
寝ようと思ってたのに眠れないぜ
続きが気になって支援!
支援
夜。
天には二つの月が輝いている。
ルイズは夕食を済ませると、ワインを飲みながら歓談するクラスメイトたちを尻目に、早々に部屋に戻り閉じこもってしまった。
基本的にルイズには友達が少ない。いや、いないといってしまっても差し支えない。
なので、夕食後の歓談の輪に入らないのは特に珍しいことではない。
ただ、夕食後もしばらくは席を立たず仏頂面のままワインを飲んでから部屋に戻る、というのが普段のルイズのパターンである。
話し相手がいないからといってすぐに部屋に戻ってしまうと、まるでそこから逃げてるような気がして、プライドの高いルイズには許せないのだ。
しかし、今夜は夕食を食べ終わるとそそくさと部屋に戻ってしまった。
そんな、普段とは違うルイズの行動に気づいたのは、寮で隣室であるキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーだけであったが、そんな彼女も数多いる恋人のうちの一人に声をかけられると、そんな些細なことはすぐに忘れてしまった。
ルイズはベッドに腰掛け、ぼうっとしていた。
ルイズが早々に部屋に戻ったのは、自分の契約した使い魔、モッカニアの『本』を読み進めるためであった。
モッカニアの『本』を一通り読み、さらに気になった部分を読み返したりしているうちに、すっかり夜も更けてしまった。
今は、分厚い本を読破した後のような達成感と虚脱感がルイズの心を占めている。
このまま布団をかぶって目を閉じてしまいたい気もする。読書後の興奮でなかなか眠れない気もするが、案外すぐに眠りに落ちるかもしれない。
しかしルイズはその誘惑を打ち消し、読了したばかりの『本』によって得られた情報の整理を試みる。
この『本』の舞台となる世界は、ルイズの住むハルケギニアとはまるで違う。
まず、月が一つしかない。
世界の成り立ちも違う。この世界の歴史にブリミルの名前などまるで出てこない。世界を創った『始まりと終わりの管理者』。『始まりと終わりの管理者』から世界の管理を任された三柱の神。『楽園時代』。
どれもルイズが慣れ親しんできた神話や、始祖ブリミルの物語とは相容れない。
その世界では、ハルケギニアよりはるかに技術が発達していた。飛行機、ラジオ、シネマ。どれもルイズには夢想すらしたこともないようなものが、魔法でもなんでもなく道具の延長として存在している。
魔法もハルケギニアで使われている系統魔法とは異なる魔法が存在する。エルフが使う先住の魔法ともおそらく違うだろう。
しかし何より、人が死ぬと魂が『本』になるということが一番の違いだろう。その『本』を読むことでその人生をすべて知ることができる。
そして全ての『本』が収められる神立バントーラ図書館。その『本』を管理する武装司書。
……実に荒唐無稽だ。
ルイズが今まで読んできたどんな物語も、ここまで突飛なものはなかった。
これが普通の本に書かれていたなら、作者の想像力に拍手喝采を送っていただろう。
だが、そんな世界が記されているのは普通の本ではなく、『本』。記された『本』自体が荒唐無稽な内容を裏付ける証拠だ。
信じざるを得ない。認めざるを得ない。確かに、ルイズが住む世界とはまるで違う世界がどこかに存在するのだろう。
そして、そんな世界で生きたモッカニア。
モッカニアは武装司書だった。
武装司書はあちら側の世界で最もなるのが難しいと言われる職業だ。桁外れの戦闘能力と歴史学者も顔負けの頭脳が求められる。
武装司書の頂点であるバンドーラ図書館館長代行は、すなわち世界最強の称号でもある。モッカニアはその館長代行に匹敵する戦闘能力を持つ、最強の一翼を担う存在であった。
「って言ってももう死んでるのよね……」
ポツリ、呟くルイズ。
どんな最強の能力を持っていても『本』になってまで使えるわけではない。『本』はあくまで『本』だ。
どれほど優れた体術を身につけていようがそれを振るう肉体がない。どんな強力な魔法を習得していようとそれを行使することは出来ない。
結局『本』は、ルイズにモッカニアの生涯分の知識を与えてはくれたが、使い魔として役に立つということはありえない。
「全く、もう! 生きたモッカニアが来てくれたら間違いなく最強の使い魔だったのに!」
モッカニアの魔法。恐ろしいと言うよりもおぞましいと言ったほうがよいだろう。
少なくとも、建物や洞窟など閉じられた空間でモッカニアに敵うような存在はハルケギニアにはいないのではないか?
モッカニアが今この場にいたとして、全力でその魔力を開放したら…。学院に住む全ての生き物が夜が明けるのを待たずに骨だけになってるだろう。いや、骨も残らない。
「生きてるモッカニアが来てくれたら! そしたら……」
そしたら?
そしたらどうなっていただろう?
そしたら自分はどうしただろうか?
ルイズは部屋の片隅に目を向ける。そこには場違いな藁の山がある。
もしも部屋に置いておけるようなサイズの使い魔を召喚したら、その寝床にしようと思い用意しておいたものだ。
ただの平民にしか見えない男が召喚されて、その平民のためにきちんとした寝床を用意してやるだろうか?
モッカニアに藁の上で寝ろと命じ、モッカニアを怒らせ、モッカニアの魔法の餌食に……。
「そ、そんなこと、あ、ありえないわ! 私がそんな酷いことするわけないじゃない!」
脳裏に浮かんだ自分の姿を振り払うように、首を振るルイズ。
流石にそんなことはしない……と思う。学院に奉職する平民たちと同じぐらいの待遇は与える……んじゃないかな。
しかし相手は異世界から来たのだ。まずまともな会話は成立しないだろう。頭のいかれた平民としか思えないモッカニアに対し、まともな扱いをするだろうか?
それどころか、モッカニアの人生の最後の4年間は、ある出来事を契機に実際に心を病んでしまっているのだ。
そんな状態のモッカニアを自分はどう扱うのだろうか?
「見た目が平民なのよね……。それが問題よね。一目見てすぐ有能だって判ればちゃんとした待遇を用意するのに……」
そう言うとルイズは、ふと何かに気がついたかのように硬直した。
しばしの硬直の後、ベッドに倒れるように寝転がる。
そして布団に顔を押し付け、
「あは、あははあは…あは…」
乾ききった笑いがルイズの口から漏れる。
「な、何を言ってるのかしら、私。自分が、ゼ、ゼロ、ゼロのくせに、の、能力があれば、まともに扱ってやるだなんて、どれだけ、は、恥知らずなのよ……」
ルイズは暫く布団に顔を沈めた体勢のまま動かずにいた。
時々しゃくりあげるような声が聞こえてきたが、暫くするとその音も消えた。
「…………」
布団から顔を上げると、うつろな目で部屋の一点を見るとはなく見つめていたが、
「今日はいろいろありすぎて疲れてるから、変なことばかり考えてしまうのね。早く寝ましょう」
そう自分に言い聞かせるように呟くと、着替えもせずに布団にもぐりこんだ。
指を鳴らし、部屋の明かりを消す。
早く眠りに落ちてしまおうと目を閉じるが、やはりいろいろなことが胸に去来し、なかなか眠れそうにない。
暗闇の中ぼんやりと天井を見つめる。
(もし、もっと早く召喚の儀式をしてれば、モッカニアは死ななくて済んだのかしら……)
ふと、そんなことが頭をよぎったが、
(それこそ考えるだけ無駄ね。昨日死んだのか、千年前に死んだのか。知りようがないもの。そんなことより早く眠らなきゃ……)
思い直すと、きつく目を閉じ、今度こそ眠りに落ちていった。
その夜、ルイズはモッカニアの夢を見た。
以上です
二話は短い…
一話とまとめてしまおうかと思ったけど話の区切り的にやっぱ二話で
原作1巻までしか読んでないのですが面白いです
ここからどうなるのか予想できない
これでやっと眠れる 投下乙でした!
GJ
ルルーシュ>>乙です
素直な感想としては、ルルーシュの性格が若干斜め下ってる様な・・・・
393 :
392:2008/04/03(木) 02:56:28 ID:tIDWvTvU
書き忘れました、追記
しかし、ルルーシュはギーシュの声を聴いて何も思わなかったのだろうか?
支援ありがとうございました
作品的にもあまり有名どころじゃないし、『本』とか説明しにくいこともあってちょいと試行錯誤しながら書いてます。
あまり解説的になりすぎてもアレだと思ったので、戦う司書〜側の設定については小出しにしていくかんじで
>>390 もちろんのこと一巻意向の展開のねたばれが今後出てきますのでお気をつけを。特に3巻。
1巻読んで面白いと思ったなら、ぜひ2巻3巻と読みすすめてみてくださいな。
私的な話ですが3巻が一番好き
乙です!原作知りませんが先がムチャクチャ楽しみな作品が投下されて狂気乱舞です
続き全裸正座角度90度で待ってます
モッカニアもいいけどシリーズ最高の萌えキャラ ウィンケニーさんも出て欲しいのう
黒蟻さん、…(三点リーダ)と思しき箇所が& と表示されているのは携帯電話から読んでいる私だけ?
Jane Doe Style
Firefox2
IE7
で三点リーダになってます
携帯でも、iモードなら問題無いが
2chブラウザのW2chだと3点リーダの表示が
… になるんだよね・・・
まあ、仕様と思ってあきらめてるw
基本的にはJDSユーザーだしね
うはw 半角で入れたら3点リーダになったよ
… (半角)と表示される
連投すまそ
ルルーシュ編読んで思った。
これはタバサフラグだと!
遅くなったけど黒騎士の人GJでした。
おつかれさまー。
あとウェールズの森の妖精との悲恋物語のモデルってところ、テファとなんかあるんかなあと妄想しました。
やっぱりこー、おっぱいか…。
黒蟻の人GJ!!!!
大好きな作品なので頑張って続けて下さい。
黒騎士の職人さん乙でした!後日談がまた感慨深くて良かったです。(モンモンやマリコルのその後もちょっと気になったり…)
クロス作品は知らないけど、文章が気に入った>黒蟻の人
続き期待してます。
ちょっと聞きたいんだけど、今度上映されるヒットマンて前に此処に出てたヒットマンと同じ?
>>406 wikiによるとゲームが原作らしいけど、かなり内容がかけ離れてそうな気がする
遅レスですが、黒騎士の人、乙でした!
黒蟻の今後の展開に期待。
ところで、「ゼロのエルクゥ」では、耕一が呼ばれているわけですが、もし千鶴ルートで耕一に
倒されて川に落ち、そのまま死ぬはずだった柳川をルイズが召喚してたら、どうなってたんだろ。
ルーンの服従作用で「鬼」がある程度コントロールされたため、ルイズに密かに感謝……とか?
普段はあくまで「平民の使い魔」として通し、絶体絶命の時(アルビオンでのワルド戦か、
あるいは対7万人戦か)に、二度と使わないと誓った鬼の力を解き放つとか……
タイトルだけ見て
FF11のアンティカだと思った
私なんか、軍隊アリ召喚かと思った
>>408 ところで、そのネタは面白い!
是非書いてくれ
アンティカは意思疎通できないから厳しそうだな
414 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/03(木) 14:13:39 ID:xQPqM+VB
TODのスタンをディムロスと出会う前に召喚したらどうなるだろうか
>>414 むしろ飛行竜から脱出した直後に召喚されて爆発ry
下手したらエイリアンと同じ人類敗北フラグだな
寿命が短いけど繁殖率がとんでもないよ、アンティカは
魔法が使えたり、武器も扱えるし
417 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/03(木) 14:21:12 ID:xQPqM+VB
>>415 その状態だと既にディムロスを習得しているので
デルフと設定がかぶってめんどくさい自体になってしまうと思った
AMIDAとかEDFの虫クラスのヤバさだな
やけに絶賛されてる作品があると思ったらルルーシュかよ
やはり厨が増えたんだな
マァそんな目くじらたてないで、老害さん
絶賛されてるか?
全俺が泣いた!……って事かな
それじゃ絶望だろw
>>419-422 まったく、またスルーの魔法を使って欲しいのか?懲りない連中だ
しょうがない、俺が唱えてやろう
「私にはテファの核乳が素晴らしいとは思えない。あんなのに顔を埋めたら死んでしまうじゃないか!
キュルケでも垂れてしまうから、将来の楽しみが減る。
やはりシエスタのおっきなおっぱいが一番じゃないのか?
いやまて、しかし、やはりタバサの微乳も捨てがたいな。
よし、ここは間を取ってモンモンだ!」
とりあえず使い魔は犬か猫で肉球をぷにぷにするのが最高だ。
まで読んだ。
またその流れか
まあ待て
モンモンがあのドリルヘアーで何をしているのか知っているか?
ここだけの話だが、パイ○リの練習を髪の毛でしているのだ
あのさほど大きくない胸を寄せて、一生懸命だ
その意味が分かるか!
あんまり連日やると流石の変態紳士の妄想パワー(MP)も枯渇するからほどほどにな。
ああカトレアさんのベッドになりたい。
毎日毎日、いつもいつも彼女の重みを感じ、受け止めるんだ。
彼女が苦しんでいるときも少しでも早く落ち着けるように精一杯柔らかく抱くんだ。
そんで彼女が落ち着いたら、その汗のにおいをたっぷり吸込むんだ………
いや、それならパジャマも捨てがたい。
いやいや、枕になれば髪の香りを一杯に吸込め、さらに彼女がうつぶせになった時に………
髪コキすればいいじゃない
一応一言。
連日この流れだと、正直やってる事が荒らしと大差なくなってくるぞ。
あんまり大きいと逆効果なので
薄い胸とコスチュームで挟んだ方が
背徳感が強いとだけ言っておく。
>424
失敬だな君は。よく見たまえ、422-423は明確には該当していないだろう?
むしろ、蒸し返してるの君の方だろう。まったく、これだから平民は(ry
…あぁ、手のひらにちょっと余るくらいが好ましいね。
誤植してしまった。ちょっと頭冷やされてくる。
おっぱい。
>>430 同感。
正直、そろそろいい加減にして欲しい。
この光景を見て、ルイズが変態、de変態、der変態、変態大人って
言いながらレビテーションをかける姿が見えたが、
これでは伊織だな。
一瞬エロパロ板に来たのかと思ってワロタw
>>435 いや、それ以前に虚無魔法と爆発魔法で皆殺しにされるのがオチであろう。
次スレのテンプレでオッパイ紳士は荒らしですと追加されてもおかしくないな
忠告を無視してマジで荒らしなのか?
オリジナルシナリオ後の武者ガンダムMkUを召喚
そういえばダーク・シュナイダー召喚ってありそうで無いな、と流れを変えるべく話題を振ってみる
アレをどうやって御せっつーんだよ
まさにゼロ魔蹂躙・ゼロ魔レイプになるだろ
>D.S
逃げてー、キュルケとアンアン逃げてー!
>>441 原作レイプどころかホントにしそうだしな。
キュルケとかフーケとか。
一緒にヨーコも来てるとか
ルーシェ状態で召喚されて本当に物語の最後の最後でしか封印が解けないとか。
>>443 やつならやるな・・・確実に。
DSじゃなく、ガラとかならどうだろう・・・
ガラならマルトーさんと一緒に伝説のラーメンを探す話になるな
サイトって初期プロットでは発明少年だったらしいが、
ナディアのジャンなんてどうだ?
ハゲと良いコンビニなりそうだが。
でも、自動洗濯板を発明しました→シルクの下着ぼろぼろ→折檻のコンボは目に見えるようだが。
ここで何故か貂蝉(恋姫無双版)召喚という悪夢を思いついた
ギーシュとワルドの危険がピンチだ!
>>449 サイトも一緒に召喚されててやっぱり奥には外史コンビがとか想像しちまった
シャナとのSSが意外と無いな
>>438 ここのテンプレは避難所で議論して可決されたものじゃないと正当扱いされないぞ
>>451 一本、しかも二話+おまけで止まってるだけだし、確かに
>>453 ヘカテーと勘違いしてるところで終わっているアレだよね?
あれが進めば吉田一美と勘違いとか起きるんだろうな
いっそのこと書こうかな・・・
>>451 まあ、キャラ的に相性が致命的なレベルで悪すぎるからだろうな。
シャナとルイズの戦力差が結構洒落にならないくらい大きい上、シャナの方に基本的に
従う理由が無い+従うような性格じゃないから主従関係が破綻しやすいし。
>>455 難しいもんだな
ルイスが広島カープの前田に一言
「こっ、このバカ犬ーっ!!!!」
では三千院家のご令嬢を召k(ry…………スマン、言ってみたくなっただけなんだ。
技術者なら彼!
ショット・ウェポン@聖戦士ダンバイン
専門はロボティクスだけど、中世ぐらいの技術レベルを数年で半導体素子を作れるレベルまで引き上げた実績もある。
シャナやルイズは召喚より3姉妹スレにして…、
って落ちたんだよな。
460 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/03(木) 18:53:06 ID:O828mNYS
ここはやはり、カトキ氏召喚で全員リファインしてもらおう
>>457 ルイズからもらったわずかなお小遣いをもとにハルケギニア全土を支配する巨大企業を打ち立てる物語ですね。
>>461 ゼロ魔世界には企業とか経済学とかって概念無いだろうから、ある程度基盤ができたら後は切り取り放題だな。
>>458 奴はジョゼフに召喚された方が好き放題できそうだ
タルブ村には最終決戦で大破したビルバインが置いてあって、シエスタはショウの子孫とか
ガン×ソードより
『不死身のヴァン』をヨロイ用の衛星ごと召喚
「えーと、名前何だっけ?」
「ルイズよ、ル・イ・ズ!!」
「なんでアンタはミス・ロングビルはすぐに覚えてご主人様の名前を覚えきれないのよ!」
「そのぅ・・・ごめんなさい」
そして ガリアには奴が・・・
折檻常習者のルイズと聞いてふと思ったんだが、
ルイズをチワワみたく怒り過ぎで失神する位ブチキレさせまくりんぐな使い魔でいうなら誰が適任なんだろうか?
>>464 女子トイレを平気で覗いちゃう彼ですね? わかります!
>>465 口が上手くて相手をからかうのが趣味みたいな奴だと、誰を呼んでも割と簡単にそーなる気もする。
ぱっと思い浮かんだのがFateの変態神父&サドマゾシスターという時点で終ってるよーな気はするが。
NWの魔王リオンを召喚しようと言うネタ考えてたんだが、
以前、魔王側に全くメリットがないということで断念したんだが……
でかいメリットあるじゃん、ハルキゲニア。
小ネタの投下、OKでしょうか?
「ギャグマンガ日和」より、ラーメンの精召喚ものです
>>466 女子トイレはジョシュアだよ!
ヴァンはタキシードを着た味オンチの方!!
(あの味覚障害はやっぱり改造の後遺症かな?)
使い魔はメイジにとって重要な問題である。
メイジの実力を測るには、その使い魔を見るのがもっとも良いという言葉さえある。
実力者となれば、ドラゴンとかグリフォンという素敵な幻獣を召喚したりする。
逆に、程度の低いメイジはやはり相応の使い魔を召喚することになるのだ。
使い魔は、メイジにとって一生の問題といってもいい。
ガリア王国の姫であるイザベラも、そんな一生の問題となる儀式に挑もうとしていた。
使い魔を召喚するサモン・サーヴァント。
本日、従妹シャルロットがいるトリステイン魔法学院でサモン・サーヴァントが行われるという。
ならば、同日に自分も同じようにやってやろうと、イザベラは考えた。
無論いけすかない従妹への対抗意識からである。
プチ・トロワの中庭で、後ろに多くの侍女を控えさせ、イザベラは呪文を唱える。
そして、杖をふった先に出現したもの。
「……なんだい、こりゃ?」
それは、カップラーメンの容器だった。
湯気がホカホカ昇っているところを見るとお湯が注がれているのだろう。
もう食べられる頃合なのかもしれない。
しかし、ハルケギニアの人間がカップラーメンなどわかろうはずがない。
くすくすと忍び笑いをもらしそうな侍女たちに殺意を覚えながら、イザベラはカップラーメンに近づく。
あいつらには後々死すら生ぬるい罰を与えてやることにする。
(落ちつけ。もしかするとすごいマジックアイテムなのかもしんないし、あるいはこういう生き物なのかもしれないじゃないのさ!)
もちろん、そんなわけはない。
現実は非常である。
イザベラは警戒しながら、ぺろりとカップのふたをはがしてみる。
中には、何故か小さな子供の顔がぎちぎちにつまっていた。
「あ、あのう……ラーメンの精なんですけど……」
子供は微妙にむかつく笑みを浮かべながら、ずりずりとせり出してきた。
その時。
ぶちり。
イザベラの中で、決定的な何が切れた。
「こんな、使い魔……いらああーーーーん!!!」
それはまさに、魂の咆哮だった。
怒りにまかせ、イザベラはカップごと子供を踏み潰した。
心の隅で、
――こいつ始末して、次いこ、次!
と、思いながら。
「みぎゃああああああああああああ!!!」
凄まじい悲鳴に、侍女たちは耳を押さえた。
「……つまり。人間界の平和を守るために妖精の国とやらからきて、そのラーメンとかいうものにギッチギチに詰まっていたと?」
イザベラは不機嫌そのもので、自称・ラーメンの精である少年を睨む。
「はい。そして、笑顔でフレンドリーな挨拶をしたらいきなり、思っくそ踏みつけられ、こうしてメイドの皆さんにお手数をかけながら現在に至るというわけです……」
イザベラに踏まれたラーメンの精はその後、どうにか命は助けてもらい、踏まれた時に噴き出た地を侍女たちにふいてもらったり、血止め薬を塗ってもらったりしていた。
「ふーん……。で、なんでそのラーメンとかいうものの中から出てきたわけ?」
イザベラはカップラーメンの残骸を横目に見てたずねる。
「それは僕がラーメンの精だからです。ニキビの精ならニキビから。頭皮の精なら頭皮から。ついでにラノベの精ならラノベを通して人間界にくるわけです」
「(ろくな精がいないじゃないか……。つうか、ラノベってなに?)……もっと、こうポピュラーな……風の精とか、水の精とか、森の精とかいないのかい?」
「森の精なら知り合いに一人いましたけど……。女王が怒って男子トイレの精にしてしまいました。悪く言うと左遷です」
ちなみに、その原因はラーメンの精の密告(チクリ)であったりする。
「何があった、妖精の国で!? つうか、なに!? そういうのってチェンジ可能なの!?」
「そいつもう死にたいって言ってました」
自分が原因作った割には、気の毒そうにラーメンの精は言った。
「死にたがってるの!? まあ……気持ちはわかるけどさ」
「……あのう、イザベラ様? 契約の続きをなさらなくってよろしいのですか?」
侍女の一人が言うと、
「お前、私にこいつを使い魔にしろと?」
イザベラは、憎しみだけで人を殺せるような視線を返した。
「ひい!! ……あ、いえ、あの……申し訳ありません……」
蒼白になって下がる侍女。
ラーメンの精はのんきなもので、どこから出したのか、変なデザインの杖らしきものを出してきて、イザベラに渡す。
「ああ、そうだ。忘れるとこだった。はい、どうぞお嬢さん」
「姫様といいな! ……で、なにこれ? メイジの……杖?」
首をひねるイザベラ。
「ガンダールヴです」
「が、ガンダールヴ!? あの、始祖ブリミルの使い魔の!? 杖じゃないのかい!?」
「いえ、魔法のステッキです。名前がガンダールヴです。あ、ブリミルさんとは関係ないですよ」
「関係ないんだ……(つうかさんづけかよ。気安いな、おい)」
「はい。偶然の一致です」
「やな偶然だね……」
イザベラは気味悪そうに杖を見て、
「で、これがなに?」
「これであなたが魔法少女となって平和を守るんです!!」
「……なんじゃ、そりゃ」
するとラーメンの精は居住まいをただし、
「妖精の女王様はおっしゃいました」
――今、人間界はすさんでいます。死んだ魚のような目をした、蛆虫のような屑どもが増えています。そんな人間界を救うため、妖精のみなさん、出動してください。
「……と」
(えらい言われようだね……)
ぼろくそな言い様に、イザベラは怒るよりもあきれ果ててしまう。
が、胡散臭いが仮にも精霊が、自分に頼みごとをしているのだ。
悪い気はしない。
「し、しかしなんだ? わざわざやってきたってことは、私にしかできないことなんだろ? まあ、せっかく頼ってきたってのなら……」
イザベラはもったいぶるが、ラーメンの精はあせった顔で、
「え…? いえ、あの、適当にきたらここだったんですけど……」
「誰でもいいのかよ、おい……」
ずーん、とイザベラのテンションが下がる。
「一気にやる気失せた……。つうか、むしろ殺意がわいてきた……」
「まあ、そう言わずに……」
やばげな雰囲気を察知してかラーメンの精はイザベラをなだめるように、
「今、人間界は荒んでいるんです。お願いです、魔法少女ラー・メン子となって一緒に平和を守ってください」
「ら、ラー・メン子!? なんじゃ、そのふざけた名前は!? さらにやる気が失せたわ!? 名前くらいちゃんとしたの考えろ!?」
「いや、これも決まりでして」
「なんだい。そりゃ……で、これどうやって使うんだい?」
イザベラは不機嫌ながら魔法のステッキ・ガンダールヴを弄りながらたずねる。
「おやりになるのですか!?」
侍女たちが、やめとけよという顔で言ったが、
「ちょっとだけな……」
魔法少女というものに若干興味を抱いたイザベラは軽く言った。
「やり方は、もうご存知のはずですよ。そのガンダールヴを手にした時、あなたの心に言葉が浮かんだはずです。それを唱えてください」
「なるほどね……ようし!」
何となく説得力のあるラーメンの精の台詞に、イザベラはうなずく。
そして、ステッキを一閃。
「ビューティー・プリティー! ソサエティーーー!!」
高々と詠唱される呪文。
でも、杖は無反応だった。
「ぜんぜん違います……」
ラーメンの精はさめた声でつっこんだ。
数秒後。
「ぜんぜん違います……」
「に……二回も言うな!! なにが違うってんだい!? 言われた通りにしたのに!!」
イザベラは顔を真っ赤にしてラーメンの精につめよる。
「びゅ…ビュ〜ティ〜・プリティ〜〜……」
ついに、侍女たちから失笑が漏れる。
「今笑ったやつ!! ギロチンにかけるぞ、こらーーーーー!!」
「正解は、どさんこラーメンパワー・メークアップです」
「ふうん……………………。変な呪文……」
「あ、ところで気になられてるとは思いますが……。アニメとかで、女の子が返信するとき、一瞬裸になったりしますよね?」
「いや、知らん……。そもそもアニメってなによ」
「そのへんはお気になさらないでください」
「いや、だから……」
「裸になるのは、あなたのご親族……」
「ええ!? 父上が!? いや、ひょっとしてあの、ガーゴイル娘!?」
あのガーゴイルが公開ストリップ?
そいつは素敵に愉快だな、とイザベラはにやつく。
「……の身近な人。たとえば、友達とか、クラスメートとか」
「……って、本人じゃないのかい!?」
「……の」
「さらに、の!? もはや限りなく赤の他人じゃないのさ!?」
「恋人とか、婚約者とか……。あと、宿命のライバルとか、義理の妹とかお兄さんとか、しつこく付け狙ってるストーカーとかが裸になります」
「前半はともかく、後半はもう意味わからん……。というか、どういう原理でそうなるんだよ!?」
「魔法ってのは不思議なんです」
「不思議すぎるだろ!? つうかメイジなめんな!!」
ここは魔法使いの貴族が平民を支配するハルケギニア。
ここは魔法大国ガリア。
「でも、まあ私が裸になるんじゃないなら…。別にいいか」
我侭姫らしい意見と共に、イザベラは再びステッキを握り、
「どさんこラーメンパワーーーー!!・メーック、アッーーーープ!!」
呪文を唱えた。
その瞬間、遠いトリステインの地で。
王城の中。
多くの人が政務にはげむ場所で。
その男の衣服が前触れもなく、爆ぜた。
魔法衛士隊「グリフォン隊」隊長、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドは突如として全裸をさらすことになったのである。
(俺が……。俺が何をしたっていうんだ……)
爆ぜた衣服の残骸が、妙に悲しかった。
一方、ガリアのプチ・ドロワでは。
「ほ、本当に変身した…」
「いや、でも……」
侍女たちから、驚きの声が漏れていたが、
(このみすぼらしい人なに?)
イザベラは豪奢な青いドレスから、変な色で変なしみのついたトレーナー、下はパジャマのズボンにフォームチェンジしていた。
どう見ても、お姫様というスタイルでは、なかった。
「ちょっと、妖精……。失敗したぞ、変身。私、何か間違ってたか?」
半ば錯乱しかけるイザベラに、
「ブラヴォー!! ……お、おお、ブラヴォーーーー!!」
ラーメンの精は某戦車の暗示の幽波紋を持つフランス人のような勢いで賞賛と拍手を繰り出す。
「ブラヴォー!? 失敗だろ、こんなん!! 拍手すんな! 笑うな!!」
「失敗じゃないですよ、見事なまでの変身です! ヒュー! セクシー! 鼻血が……!」
パチパチパチパチ。
パチパチパチパチ。
「鼻血はもとから出てるだろうが!! 恐ろしいほどセクシーじゃないだろ、コレは! 拍手をやめろ!!」
「なんでこの服シミついてんの!? 何コレ!? お古!?」
「あ、それ……。先代のラー・メン子さんが液こぼしちゃって……」
「やっぱお古か!? 何の液だよ!?」
「なんか変な液を……」
イザベラの詰問に、ラーメンの精は口ごもった。
「なんだよ、変な液って!? それに、ほら! 下、なにコレ!?」
「なにって、パジャマのズボンですけど?」
「わかっとるわ! なんでパジャマなんだよ!? かわいいスカートとかは!?」
「そうなんでもかんでも支給してもらえると思ったら、大間違いですよ?」
「チクショーーーー!!!」
半泣きで叫ぶイザベラ。
だが、変化したのは服だけではなかった。
「あの、イザベラ様? 一番つっこむべき所が、頭の上にありますけど……」
「え? 頭の上……ホゲャアッ!!」
驚くのも無理はなかった。
イザベラの頭には、一本ピンクをしたストローほどの太さの、触手のようなものがはえていたのだ。
「何勝手に変なもんはやしとんじゃ妖精、こらーーーーーーーーー!!! なんじゃい、これは!?」
「始祖のオルゴールがなにか?」
ハッとするイザベラ。
「始祖!? 始祖ってまさか」
「いえ、ブリミルさんとは一切関係ありません」
「また偶然の一致!? つうかこれのどこがオルゴール!?」
「いや、僕に聞かれても」
「このヤローーー!!」
ぶち切れるイザベラにかまうことなく、ラーメンの精は説明を続けた。
「その始祖のオルゴールから色んな魔法アイテムが出てくるんです」
「こっから!? 細いぞ、これ!!」
「まず試しに魔法の絨毯を出してください」
「ここから絨毯を!? どうやって出すんだよ?」
「絨毯をイメージしつつ、しぼり出してください」
「だからどうやってしぼり出すんだよ!?」
「根性でどうにかしてください」
ラーメンの精の答えは、極めて無責任だった。
「えええいい、もうヤケだ!! 絨毯でもなんでも出したるわい!! ウオーーーーーーー!!」
イザベラはとても一国の姫とは思えぬような声で絶叫する。
「はぁはぁ………出た?」
しばらくしてからラーメンの精にたずねるものの、
「いえ、むかつくほどにまったく」
「なんで私がむかつかれるんだよ……。どええーーーい! チクショーーー!! ウオドリャーーーーーーーー!!!」
それから、どれくらい吼えたことであろうか。
「あ、出てきましたよ!」
ラーメンの精霊が叫んだ。
「マジで!?」
触手がふくれあがり、何か太いものがびくびくと出てくるようだった。
「それ、もう少し! がんばって!? ピクシー! オ・レ! ピクシー! オ・レ!」
「あいたたたたたた…。けっこう痛い…! まだか、おい! まだか!?」
イザベラは足を踏ん張り、顔を真っ赤にして絨毯を搾り出す。
「ほら、メイドさんたちも手伝って?」
ラーメンの精に言われ、侍女たちもやむをえずみんなで先端から出てきた絨毯を引っ張る。
「痛ーーーーーーーーーーーー!! そんな、無理に引っ張るなーーー!!?」
イザベラは悲鳴を上げるが、日頃の恨みとばかりに侍女たちはヨイショヨイショと絨毯を引っ張る。
人間やはり日頃の行いが大切である。
そして、ついに!
ずっぽーーーん!!
絨毯は見事外界へ躍り出た。
魔法の絨毯というわりは、ひどく安物っぽく、かつこれもお古くさかったが。
侍女たちは転がった絨毯を触り、また自分たちの手を見て目を見て顔をしかめた。
「うわっ…。なんか、これ、じっとりしてる……」
そうつぶやいたのは、誰だったのか。
確かに、何か変なにおいの液が絨毯にはついているようだった。
「ああ、それは脳漿です」
ラーメンは精はなんでもないように言った。
「脳しょうってなに!?」
「蜘蛛膜下腔、脳室および脊髄の中心管を満たしている液体です。脳室脈絡叢で生成され、主に脳や脊髄を保護する役目を果たします。髄液とも言いますね」
「はあ……」
ラーメンの精の説明、侍女たちにはさっぱりわからない。
「ああーー。痛かった……。まったく、道具を出すのにいちいちあんな思いするなんて、冗談じゃないよ……」
イザベラは頭を押さえながら、ふらふらと立ち上がる。
「大丈夫です。慣れてくれると知らないうちに勝手にずるずる出てきたりしますからね」
笑顔で答えるラーメンの精。
「いや、それも困るよ……」
「では、魔法少女の仕事ですが……」
ラーメンの精はこほんと咳払い。
「ベタだけど、世界を混乱させる悪党を倒すとか、そんなんかい?」
「いえ、それは勇者とかの仕事です」
至極あっさり否定した。
「ああ、そう……。じゃ、魔法少女って何するんだい?」
「困ってる人を地道に助けるのが、魔法少女の仕事です」
「…………うわあ」
地味だ、とイザベラは思った。
※続かない※
これにて投下完了です
ギャグマンガ日和ネタ乙ですwww
ラーメン乙w
イザベラがんばれ、超がんばれw
>>470 はっはっは、分かってて言ってるに決まってるじゃないかアッミーゴ。
ちなみにあのじいさんたちは四人一まとめでテファのところに出てきたりすると面白いんじゃないかち思うが、どーじゃろ。
>>475 ギャグマンガwwww読んでて腹筋が痙攣しますたw
ギャグ日和乙www
R.O.D OVAを見返していたんだが
読子って紙さえあれば空も飛べるし飛び道具も防いでるな・・・
銃弾を紙で受け止めるのだから並はんかな魔法は効かないだろ
ファイアボールなら燃えると思うが、耐火紙だったら防げる
おまけに耐水紙もあったり
衝撃を加えると爆発する特殊加工の紙も支給されていた
紙の調達がネックだが
学院の図書館なら本はいっぱいあるだろうな
しかし工業化されていないにも関わらず
図書館があるというのだから活版印刷くらいはありそうだな
教会があるくらいだから印刷技術はそれなりに発達していそう
しかし知識階級がそれほど居ないっぽいので
貴族くらいしか本は持っていないのではないだろうか
それと商人くらいか
アフリカの部族の古の本も楽々読んでいたし
それにルーンによる翻訳効果が加わったら読めない本は無さそう
漫画版は黒歴史
魔法の絨毯をだすトコで興奮したオレは・・・もうダメかもわからんね。
>>468 wktk
まぁ、世界結界が無くてプラーナとり放題というだけで十分すぎるかw
ルーンもヘッタクレも無く文字は何でも読める、未知の物でも一旦そのまま記憶して
前後関係から解読してしまうため、事実上読めない文字はない
それが読子・リードマン、読獣(どけもの)だ
ラーメン乙
でも誤字がちょろちょろあるんで次は投稿前にもうちょい見直そうぜ
ラーメン乙
原作知らないのに読める、しかも笑えるって・・・
つか、どんな原作なんだよ!?
暗号解読員ってレベルjy・・・
>>483のプラーナがプラーガに見えた俺は、
ちょっとスペインに行ってくる。
>>476 今まとめで確認してきた・・・たしかに有りますね(^_^;)
ヴァンどころか結社メンバーも来てるとは・・・
>>464 ヴァンがルイズに唇の「純潔」を渡すとは思えない。
そういやダンも衛星が飛んでる限りはメンテ・補給いらずのロボだったな。
>>481 マジレスすると別に印刷技術の普及と図書館の存在にはさほどの因果関係はない。
本を集めれば図書館になるわけで、本そのものが少なくてもそれを集めて図書館作ることは可能。
アレキサンドリアの大図書館とか、そこまで行かなくてもあちこちの修道院にある図書館とか、中世でもそういう例はある。
これが平民でも利用出来る図書館があちこちにあるようだと話は別だけど、学院とか特殊な場所にしかないからね、今んとこ。
ただ、時代的にも活版印刷技術やあるいは魔法で写本する技術はあるんでないかと思う(魔法で写本出来る場合は活版印刷が普及しない可能性も高い)。
例としてはシエスタの買ってた艶本が55スゥ。
一般人向けのエロ本だから当然紙の質も悪いだろうけど、それでも平民の一年の生活費(120エキュー)の1/22ほど、たぶん一月の生活費の半分くらいか。
高いながらしがないメイドであるシエスタにもどうにか手が出せるんだから、人力による写本だけでどうにかなるレベルでは無いと思う。
問題はむしろ紙ではなく羊皮紙でも読子の能力が発動するのかって事だが・・・原作小説は1巻だけなんでもう実例が出てるかもしれないが、
OVA見る限りだとあいつは「本」が好きだから紙使いな訳で、そうすると羊皮紙でも全然オッケー!っぽくはあるなw
でもTVみたいに図書館の本で戦ったりしたらたぶん洒落にならない額(億単位)の被害が出るぞ(爆)。
当然稀覯本も多いだろうし、そもそも紙とか羊皮紙とか高級品だし。
>>481 マジレスすると、銅を極めて平坦(圧延加工等)できる技術があれば、
大量の印刷は簡単に出来る。
早い話が、蝋で銅版に文字や絵を書いて、酸をかけて
蝋で書いた部分以外のをへこませ、これを版木にすれば良い。
あとはローラー方式でインクをつけて紙を取り付けて
圧力かけてればはい出来上がり。
二回も言うな
リアル中世の文化=ハルケギニアの文化と考えてるやつ多いよな
1回しか言っていないし。
内容も違うでしょ。魔法でどうにかではなく技術上可能なものを提示している。
>>493 そうだね。部分にもよるが産業革命以後の技術も多分にある世界で、
中世の暗黒時代と一緒に考えられるとちと齟齬が大きくなる。
まあ一応剣と魔法のファンタジーなんだから
でもゼロ使は緻密に設計されたリアルな空想世界を楽しむ小説じゃないけどなw
>>495 >中世の暗黒時代
この認識からして既に(ry
>>491 そのあたりは土系統の魔法で簡単に作れそう。
そういう意味でも、印刷技術の発展は早かったんだろうな。
>>497 なんか間違ってるか?
愚昧なキリスト教狂信者のせいで文明がローマ時代から大きく後退した時代なんだが。
>>484 考古学者が血涙流して羨望しそうな能力だな
何故か考察するやつはファンタジー世界と現実をごちゃ混ぜにするやつが多いよな
>>499 宗教とかは話がややこしくなるからおっぱいについて語ろうぜ
MMRを召喚してハルケギニアの謎を解明してもらわないとなw
>>499 むしろ、ヨーロッパの文化が大きく花開いたのは十字軍遠征に伴って、
中東との交流が盛んに行われた12〜14世紀ぐらいなんだが―――
むしろハルケギニアのおっぱいの謎を解明してもらいたい。
>ショット・ウェポン@聖戦士ダンバイン
これはこれで面白そうだなあ。
ゼロ魔の世界で巨大ロボット物!
誰か書いてみない?
荒れてるわけでもないのにまたそっち?
>>501 まぁ、現実を完全に無視するやつもおかしいけどね。
現実の中世に魔法というファクターを加えて、
ハルケギニアっぽい世界を作る方法を考えるのが正しい意味での考察だ。
魔法というファクターを無視して、いきなり現代の世界観をあてはめるやつもおかしい。
マジでオーラバトラー物をやろうとすると、虚無の使い手って全員ヘビーなトラウマ持ちだから、間違いなくハイパー化するんじゃないかと思う。w
アンアン「敵が小さく見えるって事は、わたしが勝つって事だぁ!」
・・・あれ?
失礼、虚無の使い手じゃなくても結構いますね、ハイパー化しそうな人。
>ルネサンス(仏: Renaissance 直訳すると「再生」)とは、
>一義的には、14世紀 - 16世紀にイタリアを中心に西欧で興った
>古典古代の文化を復興しようとする歴史的・文化的諸運動を指す。
>また、これらが興った時代(14世紀 - 16世紀)を指すこともある。
>大航海時代(だいこうかいじだい)とは15世紀中ごろから17世紀中ごろまで
>続いたヨーロッパ人によるインド・アジア大陸・アメリカ大陸などへの
>海外進出をいう。
ゼロ魔世界は作者の初期構想では16世紀〜19世紀だそうです。
オーラバトラーだと
竜等の幻獣が「材料」に…
装甲材から神経系まで幅広く使える
巨大な昆虫系の生物が居ない気がするのが問題だね。
志村〜〜〜
中世じゃなくてルネッサンス終盤以降だよ〜〜〜
またずいぶんと幅があるな>16世紀〜19世紀
>>513 中世末期から産業革命直前まで地域差があるということで…
産業革命が起こったイギリスと
その頃のロシアの辺境みたいな感じ
>>508 魔法?現実に存在しないから無視だ無視
ようは中世の世界観を当てはめればいいだけだろ
いいから黙って俺の持論を聞きやがれ
正直こんなやつしか見たことない
フランス革命とかあのあたりのイベントは起こっていないけど、
魔法という力がある以上現実を直接あてはめるのは難しい分野だしな。
ゲームキャラはあり何だろうか。
こんなやつ
10+/1 天下無双
な人
>>509 ジョゼフ 「いい夢を見させてもらった……シャルル。」
才人 「テメェはその怨念で何を手に入れた!」
黒騎士ワルド 「ガンダールヴよ、力と狡猾さだ!」
才人 「テファ! 浄化を!!」
そして後に残されたデルフが語り部として彼らの物語を残すんですね
>>481 活版印刷のはるか前からアレキサンドリアの大図書館とかあったわけで。
江戸では貸し本屋とかも商売として成り立っていたわけで。
>>516 たまにそういうのも見かけるが、それを基準にしちゃあいかんよ。
魔法という力が貴族にあるからルソーみたいな人民主権の思想も発達しにくいし、そもそも貴族に逆らおうって気も起こりにくいだろう。
平民が貴族の魔法と互角以上に戦える武器(銃)を得られる位にまで文明が発達しないと革命は起こりそうにないねぇ。
一方で魔法があるせいか技術の発達自体もやたら遅いから、下手すると後1000年がとこは起こらないかも。
お前らこれ以上は考察スレでやらないか?
>>518 今日そいつにフルボッコにされてきたよ
江戸時代の貸し本屋の場合は識字率が妙に高かったって事情もあるね。
西洋だとたしか18〜19世紀あたりでようやく一般的になった商売らしいぞ。
ちなみにうちの近所では15年位前まで現役で存在した。漫画専門だったけどw>貸本屋
>>524 それ以前に、平民は貴族におんぶにだっこだから。
大工や医者や農民(一部作業のみ)なんていう、重要な仕事を
貴族のほうがずっとうまく出来るって世界だから。
>>519 タバサが錯乱した母親に射殺されて、怒りのキュルケは母親を撃った後袋叩きにされて爆散するんだな。
ひでぇ、ひでぇ展開だよ富野さん(爆)。
>>519 ワルド適役だなぁw
ゼロ魔もダンバインも同じ異世界召喚モノなので案外相性は良さそうな気がする
>>466-467 なるほど、Fateというのはよく判らないのだけど(スマソ…)、パタリロ殿下ならナットクだなぁw
マジレスすると、定期的に地球の文明が召喚ついでに伝わってきてるので
かなーり歪んだ進歩してるのがハルケギニア
>>519 ルイズパパ「これはあってはならん!あってはならん事である!我が思いを守れ!」
と核を防いで消滅。
こうですか?判りません!
ビルバインよりダンバイン
ダンバインよりナナジンや桜花王派
>>518 実は俺も遥か前にそいつ召喚しちゃろと思ったが
如何せんそいつ自身のキャラが、セリフも少ないから立ってるんだか立ってないんだかようわからん、
もしそれでも召喚するなら、多分歴代ごちゃ混ぜなキャラになるぞ。
>>531 相性はいいんだが、相性が良すぎて完全にオーラバトラー成分に飲み込まれる気がするw
>>524 魔術師オーフェン最終巻で新型拳銃が登場して、
「魔術より長射程・高精度の銃が誕生した」って書かれていた。
一つの時代の終わりを語るように。
>>533 やばい!サイトの鈴木君化がおこるwww
>>535 そこがある意味一番の問題だな
下手すると物凄いゼロ魔蹂躙が行われそうだし。
>>536 魔法による絶対的な優位性が崩れても、部分的な優位性は残り続ける。
高性能の銃があるとしても、
高性能の銃を持った平民よりは、高性能の銃を持った貴族の方が強くなる。
銃に杖を仕込んでしまえば完ぺきだ。
ただし、そのクラスの技術が完成すれば、貴族の優位性はかなり揺らぐことになるので、
ゲルマニアのように能力のある平民を認める形になると思われる。
そのまま数百年たてば、貴族の血も広まっていくんじゃないかね。
>>537 ルイズパパ「貴様がルイズを誑かしたのか!」
サイト「それは違います!思い込まないでください!」
こうですね?判ります。
めんどくさいから富野御大本人を召喚でいいや
>>536 しかしここで一つ問題がある。
その銃をもってしてもキースを倒せるかどうかは未知数であり、ホーロー鍋を貫けるわけではないということだ。
しかしそれほどまでの精度の銃が作れるというということは技術的なブレイクスルーは近いということでもある。
よって、それはこういう結論になる。
誰しもそうだが、貴族は就職しないとならない。嘘だが。
うひょー
ネタ振っといて言うのもなんだが、富野節が好きなのが多いスレでつねw
正直MSやオーラバトラーが出なくてもいいから、
富野キャラっぽい台詞を吐くゼロ魔二次創作を読んでみたいものだw
>>540 ゼロ魔世界だと単なる事実だったりするのがあれだなw
海兵隊召喚
セルフサービス
548 :
銃器の進化:2008/04/03(木) 22:13:18 ID:6k/xcjB/
ライフリング刻んだ銃身に、薬莢付き銃弾の後装銃なんてのが出来たら、貴族もかなり
ヤバいかも知れんな。
その後、
ボルトアクション銃(マウザーGew98並)→自動小銃(M1ガーランド並)→
小口径高速弾使用突撃銃(M16並)
と進化し、合わせて戦術も変化して大貴族の没落と銃を扱う平民階級の地位向上
につながるかもしれん。
えっと、ネタとして書いてみたんですが、投下しても良いでしょうか?
1レスか2レス程で終わる程度の物なんで…よろしければ教えて下さい
まあ一応元ネタを
出来れば作品名も
>534
やっぱり……
(吉川+横山)/2+SSQ
で行こうかと思ったがキツイか
thx
>>548 それでも土メイジは塹壕掘りにトーチカ設営に大活躍!
それには火薬の進歩と薬莢・弾頭に使う金属の精製・技術が不可欠だがな
えっと、PAPUWAのサービス召還なんですが、どちらかと言うと言動は南国版です
作品名は・・・思い浮かばないので、無題で orz
おお、末っ子召喚か
カモーン
>>546 どこの海兵隊だ?言ってみな?
DooooooooooooMGuy君も海兵隊なんだぜ?
>>554 そういえばパプワ君キャラはまだいなかったな。
支援します。
>>497 なんか間違ってるか?
愚昧なおっぱい狂信者のせいで文明がローマ時代から大きく後退した時代なんだが。
顔の造形や魅力で現すならば、ギーシュなど足元にすら及ばない
毎日コートを着て、長い金色の髪で右目を隠しているなど普通の人とは違った所すら男性を引き立てるスパイスだ
名前はサービスと言っていたが、誰もの予想を遥かに上回るぐらいに強い
気高く、強く、美しいと言う三つの点について文句は無い
だが、私ことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと使い魔としての契約がまだなされていないのである
特例中の特例として進級が許され、授業に出たとしても、サービスと名乗った男性が居るわけでは無い
私の言う事なんか一切聞かないだけで無く、気が付いたらギーシュと決闘して『眼魔砲』とか言う技で7体のワルキューレを一度に破壊したり
フーケのゴーレムをワルキューレのように破壊したり、授業で疾風のギトーを蹴り飛ばしたり
コルベール先生よりも4歳年上の男性なのに、何故それだけ若々しくて綺麗なのかと騒がれたり
だが、そんなサービスももう死んでしまったに違いない
幾ら強くとも、スクウェアのワルドが偏在を利用して4方向から魔法の集中砲火を叩き込んだのだ
如何にサービスが強くとも、4方向から不意打ちでスクウェアスペルを浴びせられて生きていられるわけが無い
現在サービスが居た辺りの周囲には魔法によって破壊された床やその下の地面から舞い上げられた土煙が舞い上がり、その姿が見えない
だが、ライトニング・クラウドや氷の槍、エア・ニードルにエア・カッターをサービスの姿が見えなくなってから少なくとも三度は放っている
それでようやく気が済んだのか、偏在を使うのを止めたワルドがゆっくりと私に向かって歩を進めるのを見ていた時、僅かにはれた砂埃に人のシルエットが見えた
それは攻撃の中心地に立ち、右手に電気と氷が渦巻く50サント程の球を右手で担いでいる無傷のサービスであり、ついサービスを指差してしまう
私が何を指さしているのか解らずに其方に目を向けたワルドが、サービスの姿を見て混乱し取り乱す
「僕の魔法を、あんなにアッサリと抱えていると言うのか・・・」
「では、かえすぞ」
まるで物を投げるかのように50サント程の球体が投げられ、地面に当たると同時に電気と氷と風が圧縮された球が破裂する
防御の魔法すら無意味と破壊した衝撃がワルドを壁に叩き付けるのを見て、私はようやくサービスが何をしたのかが理解出来た
サービスはワルド魔法の殆どを受け止め、右手で担いでいたのだろう
だがその全てをどうにか出来るわけも無く、余波が周囲を破壊してあれだけの土煙が生まれる事になった
しかしながら、ワルドが放った魔法の大半を腕一本で簡単に担ぐなど、誰が真似を出来ると言うのだろうか
「さて、悪い子にはオシオキだ」
「・・・やめてくれないか! 僕は26なんだッ!?」
私が冷静にサービスが何をしたのかを考えている間にサービスはワルドから杖を取り上げると、まるで親が子供をしかるようにオシリを右掌で何度も叩いている
部屋中に響き渡る程に巨大な音で何度も何度もオシリを叩かれるワルドは、怒りと恥辱で既に涙目になりなっているのだが、かなり痛そうにしている
ワルドに暗殺されかけたウェールズ皇太子やその側近の者達が失笑しながら、ワルドとサービスの姿を見ているのだが
私としては憧れていたワルドが姫様を裏切った事に対する怒りは確かにあるのだが、流石にワルドが少しだけ・・・本当に少しだけ可哀想に思えてしまう
200回程サービスにオシリを叩かれたワルドが杖を掴んでから悪態を付いて逃げて行くが、涙目でオシリを抑えていた為に迫力は欠片も無かった
そんなワルドを少しだけ可愛く思って見ていた私の隣で、次はどうイジメてやろうかと言う表情をサービスがしていたような気がするが気のせいだと思いたい
何はともあれ、サービスが居ればそれだけで大抵の事がどうにかなりそうな反面、気紛れなサービスをどうやって動かすのかが私の最大の仕事に違い無い
正直、弱くても良いのでもっと扱い易い普通の平民が使い魔になった方が楽だったのかもしれないと心の中で思っておこうと思う
>>548 いや、貴族のアドバンテージは揺るがんだろ
錬金でお手軽にガンバレル型の核爆弾が作れるんだぜ
支援はします。 が、無題だとまとめWikiへの登録に不都合が―――
562 :
559:2008/04/03(木) 22:25:59 ID:SyMDzX81
1レスで大丈夫でしたね(汗
拙い文章で申し訳ありません。
ごめんなさい、皆さん。そしてサービス様 orz
>>560 平民はころされるだけだったのが互いに殺し合えるようになるんだからかなりの進歩だよ
>>548 水面に向けて30°ほどの角度を付けて5.56ミリ弾を撃ち込むと弾丸は砕けるらしい。
つまり水の障壁とか作られたら弾丸なんて…。
どこから撃たれるかいつ撃たれるか分からないんだから有効じゃない?
24時間360度発動なんか出来ないだろうし
>>559 乙〜
って、ワルドw
尻叩かれるワルドって初めてだろうか
さぞ屈辱であろうw
>>564 水面と、水で作られた膜を一緒にするな。
もちろん、厚さとそれを維持する力次第では防げるだろうけど―――
シャボン玉だって言ってしまえば水の膜だぞ?
銃弾を防ぐには、それなりに厚くて強力に維持された水の障壁を作る必要があるが、
そんなもの用意するぐらいなら、錬金で盾を作った方が早いと思うのだが。
19世紀初めに、イギリスで熱風高炉製鉄法が確立された。製鉄が溶鉱炉で行われるようになり、
鉄の生産量は大幅に増加することになるが、問題があった。というのは、
当時溶鉱炉の内部の温度を正確に測る温度計がなく、溶解した鉄がどんんな色になるかをもとに、その温度を推定したのである。
この温度を予測するのにプランクの式が出てくるんだが
あの世界に万有引力の法則とかケプラーの法則ってあるのだろうか・・・
戦艦飛ばすくらいだから天文学はある程度発達しているだろうけど
同時に魔法も発達するとは誰も考えないのな
むしろそちらの方にリソースが突っ込まれるはずなんだが
トリスティンは知らんが
ゲルマニアみたいな工業先進国はありそうだ
以外にガリアのほうが進んでそうだが
ここで趣向を変えて
ルイズの失敗魔法が爆発というのをまじめに考察してみる
火の場合 プラズマ
水の場合 水蒸気爆発じゃね
土の場合 ナトリウムとかリチウムが水分と反応して爆発じゃね
風の場合 圧縮された空気がプラズマ化してどかん
全部それっぽい説明が付いた
やったね
素粒子持ち出さなくてもよかねーか
実のところ、始祖の祈祷書の記述って素粒子論を意識してるよな
まさか魔法とは、意思による確率への干渉か
科学と魔法
後のバイドである
宮崎がゼロ魔を書いたら
富野がゼロ魔を書いたら
庵野がゼロ魔を書いたら
良い具合に妄想が止まらないが激しくスレ違いだな
>>569 ケプラーはいくらなんでも・・・・
あ、でも望遠鏡あるしな。
すいませ〜〜ん、進路ようそろ?
予約無ければ投下したいのですが。
素粒子爆発ってのもよくわからん。
原子核反応や核融合反応が起こってるんなら一発で学園全部が
吹き飛ぶだろうしルイズは放射能でとっくに御陀仏してるだろうし。
そこらへんは不思議エネルギーで解決ですよ
スパイシードロップの出番と聞いて
そろそろ考察に行くべきでは・・・
魔法なんだから科学で説明できなくてもいいじゃないか
柳田理化雄じゃあるまいし
583 :
白き使い魔の追憶 ◆2/Boqkol/Q :2008/04/03(木) 22:56:37 ID:9sDgAq7H
>>577 すみませんが、今から投下します。
短めの小ネタなのでこちらを先にさせてください。
クロス元発表は最後に取っておきたいので後程。
ルイズの死後に使い魔の一人称で進む話なので、そういうのが嫌いな人はご注意を。
おいおいそれは不味いのでわ
あと下げろ話と投下はそれからだ
>516
そう言う奴の事を「(卓ゲ板的用法の)リアルリアリティ厨」と言うんだ。
あの手の馬鹿は「はいはいリアルリアル」とでもあしらっとけ。
それはそうとメアド欄に半角小文字でsageと入れておけ支援
とりあえず小ネタの方から投下した方が良いのかな
>>583 順番抜かし&ageかよ。荒らしか子供か?
>>583 流石に幾らなんでもそれは無いだろ。
それ以前にここはsage進行だ。
つーか、そう言う注意書きが必要な内容だと言うのなら、悪い事は言わないから
始めから避難所に行った方が無難だよ。
ハルケギニアの人類は、
自ら創り出した兵器を宇宙に棄てた
時を遡り、我々の前に現れた“それ”を―
バイドと呼んでいる
―入隊マニュアルより抜粋
魔法でも剣でもコスモドラグゥーンだろうと個人の武具は使い方と使い手次第でしょ
戦争とか革命は指揮官次第かと思いますよ
つまり何が言いたいかと言うと 提督さん来ないかな〜て事です
僕はシロ。
ルイズちゃんの使い魔。
僕はいつも楽しくて、嬉しくて、幸せだった。
ルイズちゃんが大好きだった。
ずっと一緒にいられると思った。
どうしてかな。
何でかな。
ルイズちゃんがいなくなった。
僕はいつも寂しくて、悲しくて、不幸だった。
ルイズちゃんに会いたかった。
とっても会いたかった。
どこ? どこ? どこ? どこ? どこにいるの?
シロって呼んで。頭を撫でて。
「シロ、シロ。もう一緒に遊べなくなったわね。
一緒に食事も食べれなくなったし、頭も撫でてあげられないわ。
でもね、傍にいるわよ。いつでも会えるわ。
今もこれからもずっと変わらないわ」
それは僕を呼ぶとても懐かしい声。
僕はシロ。ルイズちゃんに会えた。
目をつむるとね、ルイズちゃんの事考えるとね、いつでも会えるんだ。
遠くて近いとこにいたんだね。
まぶたの裏で僕らは変わらない。
僕らはあの時のまま。
僕はシロ。
ルイズちゃんに、いつでも会える。
以上投下終了です。
「いつでも会える」から「シロ」召還でした。
>>577さんの投下宣言に焦って、
sage忘れてしまった事・乱筆深くお詫び致します。
あれ?いぬかみさんは・・・・?
>>596 一言。
何の為に投下予告があるか、よく考えてみましょう。
先に投下予告しているのだから、いぬかみの人が先に投下するべきでしょ。
とりあえず投下乙&支援
あ〜〜なんか勢いそがれてしまいましたが、投下しても良いでしょうか?
小ネタの方って事は中の人同一?
あーあ いぬかみの人怒って投下無期限延期しちゃった
どうしてくれるんだ
気にせずどうぞ恐らく進路はオールグリーン
今から支援体制に入る!
ありがとうございます、では投下します。第13話です。
実質12話な13話です。
ラグドリアンのエピソードッすよ。
啓太は、落ち込んでいた。
「ふ、ふふふふふ! 俺は、俺はもうだめだぁ(暗)」
「応援に来たぜ!」「遅くなってすまん!」「おい、すり鉢が足りんぞ!」
「まて、すぐに作ってくる!」「じゃあおれはすりこぎ作ってくるよ!」
「お、俺にはもうナニも無い! ナニも…(涙)」
「テラマイシンが足りないぞ!」「オオバコのすりおろしまだか!?」
「ニガヨモギの粉末化、終わったぜ!」「赤ニンニクの加熱終わったぜ!」
「啓太様、邪魔だからちょっとこっちに座っててください。」
「何よこのアサガオのタネ! 赤いやつじゃないと使えないわ!」
「ヒルデを5グラム、ダイオーを0.1グラム、ジギタリスを0.2グラム。」
「ゆっくり落ち着いて!」「大丈夫、私これをもう30回もやってるのよ。」
「ううう、夢も希望も消え果た。俺はこれからどうすればいいんだ!」
薬草クラブの部室と化した調剤実習室。
薬草調合で殺気立っている部員達をよそに、啓太はただ落ち込んでいた。
「ちょっと、なにいじけてんの?」
炎の髪に褐色の肌、豊満な肢体。啓太のこの地のガールフレンド、
キュルケが心配そうに覗き込んでいる。啓太は帰ってきてから始めて顔を上げた。
「キュルケ! キュルケ! 助けてくれ! 俺は! 俺は!」
「なんだかわからないけど、私でよければ。」
ルイズやともはねのいつもどおりな抗議を振り払い、キュルケの部屋に向かう。
20分後。
ペ イ ッ
啓太は部屋から放り出された。
「サイテーね。」
キュルケが、薬草の調合に戻っていった。啓太を一顧だにせず。
啓太は、ますます落ち込んだ。
啓太は歴史が得意である。小学生の時には三国志や孫子を原書で読んでいた。
三国志シリーズだけでなく信長の野望や太閤立志伝、さらには大戦略や
提督の決断、大航海時代等を修行に耐えた褒美として与えられ、
歴史が好きになるように巧妙に誘導されたのだ。
人類の歴史とは戦争の歴史であり、犬神を指揮するに役に立つからだ。
さらに中国語の習得は仙界での修行中、修行仲間と話すのにも役に立つ。
これらが得意になるよう巧妙に仕向けられたのだが、それ自体は気にしていない。
その歴史の勉強の中で、一つの重要な真理を啓太は理解していた。
『人類の歴史は分業の歴史である』というものだ。
判断を下し統率するボス、戦うオス、育てるメス、そして成長し学ぶ子供。
これらの猿の群れにも当てはまる分業は、時が経ち、文明が進歩するに従って
複雑さを増し、分業がより細かくなっていった。
火の番の長、偵察の長、狩の長、薬草の長、武器作りの長。
分業現には実的な利点がある。
例えば狩をする男達各人が弓矢作りを行っている場合と、弓矢作りが
最も得意な男に専従で作ってもらうのでは出来が違う。才能のあるなしに加えて、
繰り返し弓矢作りを行うことで反復練習になり、より効率的に熟練出来るのだ。
さらには、鏃を作るもの、矢羽を作るもの、矢柄を作るもの、紐を作るもの、
これらを組み立てるもの、弓を作るもの、と細分化すればさらに高効率になる。
薬草の探索、判別、採取、乾燥等の保存、粉末化や薬液抽出などの前加工、
さらには数百種のポーション調合を経験して初めて一人前といわれる薬剤師。
しかし、数種の薬草を探して集めるだけなら、素人を即日に使えるように出来る。
1種の薬草を粉にするだけならば、教えることはほとんど無い。
1種の秘薬を繰り返し調合するだけなら、調合実習時間は数百分の一となる。
近代の工業化、大量生産による効率化に伴う生産価格低下には、
分業の局限化と、専門化による行程ごとの技術力の向上が背景にあった。
さらには、各個人が自分の役割をしっかり理解し、自分の役目を言われなくても
実行できる意識革命もあるだろうか。この段になると、一人の統括者が
簡単な指示を出しさえすれば、あとは勝手に高品質の商品が出来上がるのである。
啓太は、大量生産の基本理念をハルケギニアにもたらしたのである。
よって、緊急体制がとられた薬草クラブの秘薬調合は、
ともはねが秘薬の種類と目標量を伝達するだけで問題なく機能したのだ。
啓太が、ナゼか焦燥も露に帰ってきても。
そのままどっぷり落ち込んでいても。
何も問題なく調合は進んでいった。
いけ、現に投下はできるのだ。支援
っていうか、兵隊を殺すのは銃弾じゃなくて砲弾、とくに榴弾だよね。
大砲がすでに存在しているんだから、炸裂弾が登場し、かつ大量生産が
可能になった時点でメイジ=軍の主力の時代は終わると思う。
ともはね待ち支援
翌日のユル曜日。
ヴァリエール公爵から、明日、エオーの夕刻に姫との謁見がかなう旨、
知らせが来た。すでに学院にも話を通し、クラブ員は授業返上で
秘薬作成一色である。新規入部を希望するものが殺到していたが、
今からではさすがに“今回の”献上の謁見には連れて行けないと断わられた。
人数は各秘薬調合担当を中心に30名ほど限定だったのだ。
しかしいずれ順番が回ってくる。希望者は納得して殺到していた。
薬草クラブは、彼らをも労働力に加えて増産を行った。
そんな折、タバサが言い出した。
「ケータを気分転換に連れて行く。」
いいかげん邪魔物(者ではなく物)扱いされていた啓太は、
ともはねやルイズを除いた全員から承諾を得てタバサが家にお持ち帰りした。
なぜかキュルケも付いて来る。
「タバサの家って興味あるわ。」
だそうである。学院からシルフィードの背に乗って飛ぶこと2時間ほどで
ラグドリアン湖の上空に差し掛かる。ガリアとトリスティンの国境だ。
面積600平方キロメートルほど、トリスティンの国土の1%弱に及ぶ。
「わあ、きれい! みてみて、ダーリン。ラグドリアン湖よ。」
キュルケは上機嫌だ。
「ああ…きれい、だな。」
啓太は暗い声で答えた。キュルケが慰める。
「まだテンションが低いわねぇ。少しは元気出しなさいよ。
アレがダメでもケータは充分有能だし魅力的よ?」
サイテーとかいって止めを刺したのにこの言いようである。
啓太はあまり浮上できなかった。そこに、タバサがポツリともらした。
「変。」
「どうしたの、タバサ?」
「水が、増えてる。」
タバサが杖を向ける先には、水没した村が見える。
「あそこまで水が増えるなんて、ありえない。」
※4巻P181にて、2年弱前から水がゆっくりと増えている、
とあるのでこの時点でもかなり増えているはずである。
>>608 それやったら物語終わっちゃうだろこのニセ蔵が!!
ラグドリアン湖のガリア側に渡ってタバサの家に向けて降下する。
古い、立派な作りの大名邸である。門に刻まれた紋章を見て、キュルケは
「う!」と息を呑んだ。ガリア王家の紋章だ。
だが、なぜかその紋章にはバッテンの傷がついていた。
「王家の紋章に不名誉印? 地位を剥奪されてる王族ってこと!? 」
玄関前の馬周りに着陸すると、老僕が一人だけ迎えに出てきた。
そう。立派な王族の家なのに一人だけ。地位剥奪を象徴しているかのようだ。
「これはシャルロットお嬢様。 急なお帰りで。」
コクリとタバサがうなずくと、シルフィードを見て厩のほうを指で促す。
タバサは、無言のまま屋敷に入った。
「シャルロット? 偽名ってこと!? これは、相当深い訳がありそうね。」
キュルケが、深刻な顔で呟く。啓太が少し頼りない表情ながらも聞いてきた。
「ん〜〜、どういう、こと、なんだ?」
「自分から聞くなんて。少しは空の旅が気分転換になったのかしら?」
キュルケは、タバサが母に会っている間に執事から事情を話してもらった。
当然それは横にいた啓太も聞くことになる。
本名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン。タバサとはおそらく
狂わされた母が人形をシャルロット本人と思い込んだために名乗り始めた偽名。
王家直系で優秀なスクウェアメイジだったオルレアン公シャルルの娘。
無能王ジョゼフによって5年前父が謀殺されタバサ本人も謀殺されそうに
なったが母がかばって毒料理を食べ狂った。以来狂ったまま。
厄介払い的にトリスティン魔法学院に追いやられた。
北花壇騎士として危険な任務中の死を目的として呼び戻される。
オルレアン派貴族の反発を多少は恐れているらしい。
あまりに深刻な話に落ち込んで居られなくなったのか、啓太はかなり
しゃっきりしてきた。アレについてはとりあえず脇に置く事にしたようだ。
どれだけ自分が酷い状況にあろうと、啓太は心の底から助けを求めるものに
手を差し伸べてきた。それが、自覚していない啓太の原動力なのだ。
(無論、自分の欲望にも素直だが)
ゲロしゃぶ作品支援
いけ〜!支援。
下痢便支援
いつもの流れに戻ったな
だから支援します
支援
啓太は、狂った母の元から戻ってきたタバサを、そっと抱きしめてやった。
「ごめん。勝手に話聞き出しちまった。ほっとけなったんだ。許してくれ。」
やさしく、背を撫ぜながら話す。
「つらかったんだな。だが、もう、一人で抱え込むな。お前には仲間が居る。
俺やキュルケだけじゃない。薬草クラブのみんな。トリスティン魔法学院の
知り合いたち。そして、オルレアン公を慕っていた多くの廷臣たち。
お前の重荷の全部を受け止めてくれる人は少ないかもしれない。
でも、一部なら喜んで一緒に背負ってくれる人が一杯いる。
共に同じ道を歩いてくれる人も。友達を作るんだ。
一人の人間は、どんなに有能でも出来ることはほんの少しだ。でも。
多くの人達が。様々な力をもった人達が心を一つにすれば。
力を合わせれば。強い神様とだって戦えるんだ。
だから。一人でがんばりすぎるな。友達を、仲間を頼れ。
その代わり、友達や仲間が困っていたら、全力で助けてやれ。損得抜きでな。
人の持つ力ってのは。その人を助けたいと思う仲間たちの
持ってる全ての力が。すなわちその人の力なんだ。」
“シャルロット”の目から、涙があふれ出た。
何年ぶりかの、涙。
タバサは、このひと時だけ、復讐者タバサの仮面を脱ぎ捨て、
幼い少女、シャルロットとして、ただただ、泣いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一段落して、啓太はタバサの母を診察した。
「魔法、だな。五行水術の強い気配を感じる。」
「すごい。初見で魔法と見抜いた人は初めて。」
「診察結果は毒を盛られた日の話とも一致する。間違いなく魔法の薬だな。
となると、あの薬じゃあダメだな。なにか、魔法の中和薬みたいな物が、
それも強力なものがいるな。出来れば、真水に近い性質のものが良い。
心当たり、無いか?」
タバサとキュルケが顔を見合わせる。
「強力な水の魔法薬?」
「ああ、俺はまだこっちの魔法薬には詳しくないが、それを上乗せさせれば
あるいは治療できる可能性があるかもしれない。」
「ある。」
ラグドリアン湖に近い場所で生まれ育ったのだ。当然、タバサは知っていた。
「ラグドリアン湖に住むという、水の精霊。その涙。強い水の秘薬の
原料として裏の市場で売買されている。」
「随分と都合のいい話だな。まあいい。早速手に入れよう。」
糞尿支援
>>572 大槻教授が召還されたら全てプラズマで説明出来ます
なんだかんだと相談しながらラグドリアン湖のほとりに来た啓太達は、
農夫から水の精霊を何とかしてくれと依頼されたりもした。
が。
「う〜〜ん、どうやって会えば良いのかな? まず会えなきゃ交渉も出来ない。」
啓太が腕組みをする。
「タバサは水の精霊と交渉できないのか? 確か風・風・水の属性だったろ?」
「ごめん。」
「ま、しょうがない。行き当たりばったりでも良いからやってみるか。」
そういうと、さっさと周囲の森にむけて走っていく。
「あの…風の結界で湖の中に…(それに韻龍のシルフィードに頼むって手も)」
方法を思いついたタバサがおずおずと声をかけた時には、
すでに啓太は森の中である。
しばらくして、カエルを十数匹探し出して来た啓太は印を組み、呪文を唱えた。
「初めに大極あり。大極分かれて陰陽となり、陰陽渦巻きて四相を生じ、
四相交わりて八卦を生じ、八卦万華を現す。我、大道の流れに則りて願わん。
地をつかさどる神仙、蛙の守護者、白山名君の名において。眷属たる蛙よ、
汝ら水にもぐりて水の精霊をこれなる岸辺に呼ばわん事を。」
蛙たちは、おとなしく啓太の前に整列している。
啓太は、蛙たちに破裂しない程度に膨大な量の霊力を注ぎ込む。
「クエッ」「ボエッ」「クエッ」「ゲコッ」「クエッ」「クエッ」「ゲコッ」
蛙たちが、一斉に湖に向かって跳ねだす。
「…!?」「何をしたの、ケータ?」
キュルケとタバサに聞かれ、啓太ははっとした。杖を使っていない。
「ありゃ、しまったな。つい仲のいい二人だからって気を抜いちまった。」
「…」「…」無言で先を促す二人である。
「ま、ご想像の通りさ。俺はどっちかというとこっちで先住魔法って言われる
分野の道士だ。杖は基本的に必要ない。けど、内緒にしておいてくれ。
こっちじゃ警戒されるからな。使い魔ならともかく。」
「う〜〜ん、まあ、ロバ・アル・カイリエから無理矢理召喚されたんだし
4大系統のメイジじゃないのも納得だけど。それで、あんなに強かったのね。」
キュルケが納得する。4大系統魔法は基本的に先住魔法に勝てないのだ。
「まあそう言わないでくれ。俺たちの地域ではいろんな魔法体系がある。
そのうちの複数を修行する奴も少なく無い。こっちみたいに4大系統と
先住魔法、どうも自然契約系らしいけど、その二つしかないってほうが
俺に取っちゃあ変なんだ。どうしてこんなに発展して無いのかな?」
1神教地域だからであろうが、それを知る者はここにはいない。
その後、啓太達は無事水の精霊と交渉し、アンドバリの指輪を
取り戻す使命を背負う代わりに支援を取り付けた。
その第1歩として水の精霊の涙を少しばかりと、
アンドリバの指輪が近くにあると反応する指輪を手に入れたのである。
ラグドリアン湖の水は、現時点をもって増えないことになった。
指輪が取り戻された暁には戻されるという契約である。
その帰り。啓太達が、深刻な顔で腕を組んで歩いている。
「クロムウェルが26回月が交差する前の晩にアンドバリの指輪を盗んだ。」
「聞き間違いじゃなければアルビオンの反乱軍、レコンキスタの総司令官よ。」
「その指輪は古い水の魔法で心を操り、偽りの命を与える。厄介な宝だな。
何千年も続いた王家を倒そうなんて計画があっさり成功しそうになってる、
となればどう考えてもその指輪で人心を操ってるとしか考えられねえ。」
「どうするの?」
心配そうに聞くタバサの頭を、安心させるようにぽんぽんと叩く。
「大丈夫。なんとかするさ。期限が決められてるわけじゃないし、
達成できなかったら死ぬわけでもない。条件はかなり良いぜ?」
啓太達は、これ以上水が増えないよう、水の精霊の怒りをある程度
緩和した、とのお触れをシャルロットの名で出させるよう指示すると、
シルフィードで学院に戻った。
帰り道、シルフィードの上で、啓太はアルビオンとレコンキスタについて
二人から知る限りの情報を引き出した。そして、学院に帰ってからも
何人もの人たちから情報を引き出していったのである。
「あ、あら、随分と元気になって帰ってきたのね!」
調剤実習室に戻ったとき。ルイズが、こめかみに青筋浮かべて出迎えた。
「自宅ご招待、親に紹介してもらって公認されたの、ケータ?」
なんだかよくわからないが、とにかく負けた〜〜〜!!
という思いで一杯のルイズである。
「え、い、いや、別にそんな…」
ここで言いよどんでしまう啓太である。母親にあったのは確かだ。
「ふ、ふふふふ! そう、そうなの…随分と元気になって帰ってきたけど、
ヨロシクやってきたのね。まさか、二人一緒にやってきたの!?」
「い、いや! そんな事はしていない! 断じてしていないぞ!」
「不潔! 不潔だわ! ケータの馬鹿馬鹿馬鹿!!!」
ルイズが、泣きながら逃げていった。さらに男子からの視線も痛い。
「なんでここまで元気になったのか、しっかり説明してもらえるかな?」
「こんな忙しいときに両手に花でデートしてくるなんて。」
「ひどいっす!」「女日照りの俺たちへのあてつけっすか!?」
「言いだしっぺなのに逃げるなんてずるいっすよ!」「そうそう!」
「というか、二人一緒ってのは畜生にも劣りますよ!」
視線だけでなく口まで出してくる。
それは、啓太の忠実な犬神であるともはねまで一緒であった。
「啓太様、どうでも良いですけど、秘薬に霊力上乗せするの早くしてください。」
「そうですそうです!」「もうこんなに準備出来てるんですよ!」
「働かざるもの食うべからず!」「きりきり働きましょう!」
啓太の株はたった24時間で。
「なんか、あっという間に権威が暴落したみたいね。」
キュルケが、ポンと啓太の肩を叩いた。
アンリエッタ姫とトリスティン魔法学院生達との謁見は滞りなく進んでいた。
「見事なものですね。そなたらの忠誠、嬉しく思いますよ。」
様々な薬草の数々、ガソリンや土のチョコといった魔法を補助する秘薬、
いずれもハルケギニアでは初めてお目見えしたものだ。
デムリ財務卿の見立てでは、今日献上されたものだけで1万エキュを超えるかも、
とのことである。学生達が個人で作ったにしてはたいした額である。
要望どおり、献上する学生達一人一人にちょっとずつ声をかけてやると、
それだけで彼らは感激に咽ぶ。権力や欲得ではなく、純粋に高貴な姫に
謁見できるのが嬉しいようだ。親や家系のちょっとした事を思い出して
口に出すと、しがない自分達の事を覚えていてくれていた、と感激してくれる。
貴族の家系図や過去の業績を暗記するのはつまらない授業だと思っていたが、
こうしてみると勉強していて良かった、とアンリエッタは思った。
何より。ルイズ、ギーシュ、モンモランシー。
彼らを初めとする門閥貴族の子と権力欲抜きで関係を持てたのは、
宮廷で孤立無援のアンリエッタにとっては実にありがたい。
「今夜はささやかな内輪の立食パーティーを開きます。
堅苦しくならないよう、お年を召した方々は抜きで楽しみましょう。」
「「「「おお〜〜〜!!!!」」」」」
生徒達から一斉にどよめきが上がる。
渋い顔のリッシュモン高等法院長がごねたが、啓太がひどく遠まわしに
「姫様と次世代を担う名門貴族の子弟が親交を深めると困ることでも?
まさか王女を孤立させていいように操ろうなどとたくらんでいるのでは?」
と言った所、マザリーニやデムリ財務卿達はリッシュモンをたしなめた。
リッシュモンは、そんな意図での発言ではないと大慌てで弁護する。
アンリエッタは感嘆の目で啓太を見ると、立食パーティの準備を命じた。
信用できるものが一人も宮廷にいない。何とかしなければいけない。せめて、
小さい頃遊び相手として伺候していたルイズとだけでも旧交を暖めておきたい。
さもないと。
マザリーニが打診してきた、おぞましい話を、
アンリエッタは唯々諾々と受けるしかなくなってしまう。
それは、避けられるなら避けたいのである。
うるさい廷臣たちを締め出した立食パーティーで、アンリエッタは大いに
魔法学院生と親交を持った。他国から留学しているシャルロットとキュルケと
知り合えたことも大きかった。さらに、ケータというロバ・アル・カイリエ
から召喚されたという奇妙な男の事も。
「姫様、出来ますれば、学院に軍事教練の教官として、優秀な魔法戦士を
派遣していただけませんか? 見てください彼らを。領民を守るために
モンスターと戦い、戦場には率先して向かわなければならない名門貴族の
子供達が、ここまで大きくなったというのに体一つ出来ていない。
優美といえば聞こえは良いですが、ひ弱と表裏一体です。
私が稽古をつけていますが、やはり東方流ではこちらの流儀と合いません。
戦争が近いというのに平民の護衛兵の後ろから魔法を撃つしか出来ないのでは、
戦力とはとても呼べません。それに、兵士は短期間の訓練で何とかなっても、
指揮を取る人間を育て上げるには時間がかかります。とても、かかります。
ぜひともトリスタニア中の魔法学院に軍事訓練の授業を義務付け、
教官として軍の現役士官を送り込むべきです。」
※トリスティン魔法学院は一学年90人を3クラスに分け、3学年で270人。
トリスタニアの人口がガリアの10%、150万人でメイジが9%として
13万5千人がメイジ。寿命が50年として同学年のメイジ人口は2700人。
同規模の学校が30校ある計算。人口密度が高く倍の300万人なら60校。
これらが全て自宅教育とは考えがたい。よって、国の名を冠した魔法学院ほどの
権威は無いものの普通の魔法学校は沢山あるという設定で書いております。
支援
スカトロ支援
航空支援
立食パーティも終わり、王宮に泊まる事になり興奮している生徒達。
その中で、もっとも良い部屋をあてがわれたルイズは、啓太とともはねと共に
帳簿付けをしていた。啓太の教える複式簿記は、難しいく奥深く革新的だった。
単式帳簿ではどうにもつかみづらかった経営の実態というものが良くわかる。
「う〜〜ん、半月後には今回の倍の秘薬を献上するのよね?」
「ああ、それで討伐令を出してもらう。1割は口利きしてもらった公爵に
進呈するから、2.2倍必要だ。」
「新規入会者が随分増えましたから計算上では充分作れますよ〜〜〜」
ともはねが、元気よく片手を挙げてうけあう。
「3倍でも楽勝だ。けど、問題は資金繰りだ。」
「やっぱりだいぶ分け前を落とさないとダメね。」
「危険地帯での薬草採取の護衛してる武闘員は、領地確保のための
分け前減額だから反対はしないだろう。秘薬の分け前を目的にしてる子は、
新しい秘薬の担当に任命すれば謁見で前に出られるから反対しない。」
「問題は建築員ですかね?」
ともはねが、ちょこんと首をかしげて聞く。ツインテールが揺れる。
「そっちはしばらくは大丈夫だ。多分、な。」
一昨日ご褒美をやったばかりである。それに、メイドの覗きで大方満足している。
「なんで?」
「薬草クラブのメイン目的にあんまり貢献して無いからさ。」
「そっか。」
納得するルイズに、ごまかせたようだな、と啓太がほっとしたとき。
コンコン・コココン!
ドアが、不規則にノックされた。
ルイズが、驚愕の表情と共にドアにダッシュする。
大き目のフードつきマントに身を包んだ、怪しげな人物が入ってきた。
その人物は素早くドアに鍵をかけると、魔法で部屋を調べ、壁を調べて回る。
「覗き穴や聞き耳を立てる伝声管なんかは全部無効化してありますよ。
王宮なんて魔窟に来てその程度の用心もしないほど無謀じゃないです。」
ビクリ、とその人物は硬直し、それからおもむろにフードを取り、顔を見せた。
「姫殿下!」「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」
ルイズが、ため息のようにもらした。先ほどまで、パーティーのホストだった、
アンリエッタ姫であった。ともはねが目を真ん丸くして見ている。
「姫様の遊び相手を勤めていたってのはほんとだったのか。」
啓太が、低く呟く。
「姫殿下、いけません(中略)こんな夜中に(後略)」「そんな他人行儀な(略」
「もったいないお言葉で(略」「略)枢機卿も母上も、あの友達面をして
よってくる欲の皮の突っ張った宮廷貴族たちも居ないのですよ!(中略)
あなたにまで、そんあよそよそしい態度を取られたら私死んでしまいますわ!」
ルイズとアンリエッタは、大いに思い出を語り、友情を確かめ合っているようだ。
啓太もともはねも蚊帳の外だ。二人は、帳簿をまとめると部屋を出ようとした。
「ルイズ、俺たちは邪魔みたいだから部屋に戻ってるよ。じゃあ明日の朝!」
ガチャガチャ。
ドアに鍵がかかっていて出られない。
「う…も、申し訳ございませぬアンリエッタ姫殿下、鍵を開けて頂きたく。」
「いいえ、ケータ殿。出来ればあなたも居ていただけませんか?」
啓太は、来たか! と心中で快哉を叫んだ。
以上で今回の分は終了です。
次かその次には艦隊決戦に持っていける・・・といいなあ。
リアルタイムGJ!
時に。
支援ありがとうございました。
と申し上げたいのですが、HgyH/jES 以外の方に対してのみ述べさせていただきます。
お疲れさま〜
今回も笑わせていただきました。
下痢作者乙
投下乙で〜す
いぬかみさん最高です^^
律儀に反応しちゃう所が作者の釣られやすいアホな面を露呈していてかわいい^^
これからもがんばってください^^
毒吐き行ってこいハゲ
私は褒めているだけですよ?^^
暴言を吐くなら毒吐きに言ってくださいね^^;
あからさまですね^^^^
まあ私が文句言われるいわれはなんですけどね^^
厨房なアホ作者さんもちゃんと支援してますからね^^b
ワシのスルーは百八式まであるぞ!
それはスルーといいません^^
さて、そろそろIDも変わりますから明日も
支援がんばりますね^^
みんなエドスレも見てくださいね^^
↓以後何事も無かったかのような流れ
ID:HgyH/jES あぼーん推奨
今まで召喚されたので体積的に一番デカイのってなんじゃろか。
あまり関係ないけど、人の嫌がることをわざわざして悦に入る人って、幼児性が高いんだって。
それはともかくとして、ヤマグチノボル作品の別のから召喚というのはないのかな。
ルイズをヒロインとして終わらせた剣だろ
>>647 何だろ…パッと思いつくのはティガレックスかな…
ちなみに、キングサイズのティガは全長2200mくらいだけど、マーラ様とどっちがデカいんだろ?
粘着の荒らしが相手なら、おっぱいの話を使わざるを得ない!
他にあったかな…
>>648 真辺リカを…………エロパロ板逝き決定orz
>>653 少なくともこのスレではもう止めてくれ。
幾らなんでも頻度が多すぎる。
小ネタの伝承族じゃないか?
661 :
651:2008/04/04(金) 00:11:22 ID:C+gR0UcW
何言ってんだ俺は。
2200mは…ありえないっ…! そんなモンスターが画面に収まる訳がないっ…!!
ふむ、話題には度々挙げられるイデとかユニクロンとかはないのな、意外と。
「ゼロのルイズがイデとかいうのを召喚したぞ!」
「て、天才発明家の僕にかかれば、こ、こんな状況だって乗り越えられる!」
「誰だこのオッサン!」
元ネタ知らないから見てないけどグレンラガンってなんか凄いデカイって聞いた事ある
皆様こんばんは
進路グリーンでしたら20分頃から17話投下させていただきたいと思います
>>663 天元突破は銀河と同じくらいと公式で書いてた気がします
>>663 比べるだけ無駄だな
大きさ云々じゃなくて規模が違うもん
銀河投げるんだぜww
イザベラ管理人第17話:家族というモノ・中編
「きゅい…眠いのね…」
「シルフィード、無理させて悪いな」
地平線の向こうから日が昇るのが見える。
耕介は一人、シルフィードに乗ってプチ・トロワを目指している。
夜通し飛んでいるシルフィードは眠たげだが、耕介たっての願いということで頑張ってくれている。
後で何か労ってやらねば…そう考える耕介の脳裏に、数時間前のことが蘇る。
『コースケ、なるべく早く戻ってきてくれ…』
そう書かれた手紙の封には、確かにイザベラからの手紙であることを示す花押が押されていた。
手紙には、他に何も書かれていないので、理由を推し量ることはできない。
だが、イザベラがそう書いた気持ちをある程度推測することはできた。
(あのプライドの高いイザベラが、その日のうちに戻ってくれなんて…)
イザベラが王族としてプライドが高いことは誰の目にも明らかであろう。
また、極端に意地っ張りでもある。自己防衛のために、他者よりも自身を上に置こうとするのが理由だ。要は弱みを見せたがらない。
そんなイザベラが、自分で耕介に与えた任務を達成する前にこんな手紙をよこしてくるとは。
しかも、命令ではなく、お願いだ。間違いなく、何かがあったのだ。
あの契約前の泣き崩れたイザベラを知る耕介にはわかる。
何か、彼女が普段押し隠している不安を決壊させるようなことが起こったのだ。
今すぐに彼女のそばに駆けつけなければならない。
「タバサ!」
耕介が顔を上げた時、そこにはシルフィードに体を伏せさせるタバサの姿があった。
「コースケ、乗って」
おそらく、手紙を運んできたガーゴイルと耕介の様子から大まかに察してくれたのだろう。
御架月を引っ掴んで、短くタバサに礼を述べてシルフィードに飛び乗る。
「ねぇ、いったい何があったの!?」
一人取り残されているキュルケが声を上げるが、耕介自身にも詳細がわかっていない。
だが、何故だか急がなければならないと直感が告げている。
「ごめん、キュルケ、説明してる時間がないんだ!行かなきゃならない!」
シルフィードも耕介の焦りを感じてくれたのだろう、翼を羽ばたかせ、急速に夜空へと舞い上がっていく。
後には、最後まで疑問顔のキュルケと、沈痛な面持ちでシルフィードの飛び去った方角を見つめるタバサのみが残された。
朝露にけぶる空気を引き裂いて、静寂に沈むプチ・トロワの前庭に降り立つ巨大な影があった。
こんな早朝に誰かが来るという連絡などない。
侵入者に気づいた衛士が数人、何事かと駆けつけてきた。
「竜…竜騎士か?止まれ!何者だ!…って、貴方は…!し、失礼しました!」
影は青い鱗が鮮やかな風竜…シルフィードであった。
シルフィードから人影が飛び降りる、それはイザベラの懐刀と噂される耕介だ。
その姿を認めた衛士たちは槍を引き、慌てて敬礼をする。
「騒がせてすまない!イザベラ様はいる?」
「は、まだ起床されてはおられないはずですが」
衛士の言葉に、耕介は自分が間に合ったことを知った。
「今度は…間に合ったか…」
耕介の言葉の意味を図りかねて衛士が訝しげな視線を向けてくるが、耕介は気づかなかった。
シルフィードに礼を述べて次には飛びっきりのご馳走で歓待することを約束し、主に下へ行かせる。
普段のイザベラならば、もう1,2時間もすれば起きてくるだろう。
さすがにシルフィードの背では眠るわけにもいかなかったので眠気が襲ってくるが、今はまだ耐えなければならない。
まずは厨房に行くことにした。
支援
厨房で眠気覚ましに濃く入れた紅茶を飲み、メイドの一人にイザベラが起きたら知らせてもらうよう頼む。
次に色々と食材を取り出し、自分とイザベラの分の朝食を作ることにする。
最近のイザベラの食事は本人の希望もあって、耕介が作っているのだ。耕介が任務などでいない際は今でもマルコーが作っているが。
突然現れた耕介に、マルコーは最初こそ驚いていたが、その表情から何かを察してくれたのか、すぐに厨房の一部を明け渡してくれた。
イザベラがどうしてあんな手紙を書くに至ったのか、様々に憶測を立てることはできる。
だが、情報が少なすぎる現状でいくら邪推したところで意味はない。
しかし、何もしないでいるとどうしてもそのことを考えてしまう。
故に、無理を言って朝食作りをさせてもらっている。彼にとって料理とは無心になる手段でもあるのだ。
やがて概ね完成した頃、折り良くメイドからイザベラが起床したと連絡がきた。
できた朝食をカートに載せて、耕介は扉をノックした。
「入りな」
イザベラの許可が出た。その声は普段通りのようだが…ほんのわずかに違う色も混ざっている気がする。
まぁ、直接イザベラの顔を見れば良い話だ、耕介は扉を開けて部屋に踏み入った。
イザベラは起きてからベッドを出ていないらしく、ネグリジェのままで上体だけを起こして俯いていた。
「そこに置いておきな、勝手に食べる」
やはり、無理して普段通り振舞おうとしているだけであったようだ。
垣間見えるその表情は、耕介から見れば憔悴しきっている。
おそらく精神的なものだろう。
「自分の分も持ってきたんだけど、一緒に食べたらダメかな?」
「え…!」
イザベラは入ってきたのがメイドだと思い込んでいたのだろう。
耕介の声を聞いて弾かれたように顔を上げた。
イザベラの顔を染めていたのは驚きで…同時に、涙が一粒だけぽろりとこぼれた。
(また無茶して…)
イザベラはまた我慢していたのだろう。
彼女はいつも我慢しているように耕介は思う。
イザベラの過去について、耕介はあまり突っ込んだことは聞いていない。
だが、このプチ・トロワにいて使用人たちと仲良くなっていれば、自然と噂話として耳に入る。
普段はそんなものは気にも留めないが、契約の日にイザベラがぶちまけた本音と考え合わせるに、おそらく噂話のほとんどは正しいのだろう。
だが、噂話は所詮噂話。そこには彼女が”どうしてそうするか”が語られない。
イザベラの内面をある程度知った耕介は、イザベラがどうして今まで冷酷で傲慢といわれるような行動をとり続けてきたのかがわかる。
「な、なんであんたがここに…」
イザベラは状況が飲み込めず、呆然としたままだ。
まさしく鳩が豆鉄砲を食らったような顔…という奴だ。
耕介は自然な動作でハンカチを取り出してイザベラの頬を拭ってやる。
そうしてもやはりイザベラは耕介を見つめたまま。
そんなイザベラに耕介は悪戯心が刺激されてしまった。
大仰な仕草で執事のように一礼をして片膝をつく。
「我が姫のお呼びとあらば、例え地の果て、地獄の果てまでも参上仕りま…いて!」
本人は格好良く決めたかったのだろうが、格好はラフなシャツにズボンの上にエプロンまでつけているし、頭を下げた時にベッドの淵に頭をぶつけるし。
「ぷ…ふふ…あははは!何してんだい、コースケ!あんた、いつから芸人になった!」
「しまらないなぁ…」
「あははははは!ったく、あんたが騎士の真似事なんて無理だよ!あははははは!」
打った部分をさすりながら、苦笑顔の耕介が立ち上がる。
驚きで思考が漂白されていたイザベラは、先ほどまでの陰鬱な気分も忘れて笑い転げるのだった。
支援
酸欠になるほどに笑い転げたイザベラは、耕介が持ってきた紅茶を飲んでやっと一息ついた。
「ふぅ…くくく…で、コースケ、ここにいるってことはもう水の精霊退治は終わったのかい?」
「終わってはいないけど、目処はついたよ。あのままでいけば、特に危険もなく終わるはずだ」
「そうかい、ならいい。で、あんたがここに来たってことは…届いたんだね」
そう言ったイザベラの顔が一瞬だけ、痛みを感じたように歪んだ。
イザベラは、半ばこうなることがわかっていたのだ。
『なるべく』などと書いたが、耕介ならばよほどのことがない限り、全速で戻ってきてくれると。
タバサを助けるために行かせたのに、その途中で戻ってきてくれなんて頼むとは…我ながらなんと情けないことか。
そして、あれだけ不安だったのに、耕介がそばにいると思うだけで心が晴れていくのを感じる。
自分の現金さに嫌気が差すが…今の彼女にとって、これから会わねばならない人物のことを思うと…耕介がいることを深く深く安堵してしまう。
「ああ、急いで戻ってきた。何があったんだ?」
耕介はイザベラが自己嫌悪を感じていることを読み取ったが、まずは事の詳細を尋ねることにした。
無根拠な励ましなど、彼女は嫌がるだろうから。
イザベラはしばし言いあぐねているのか沈黙していたが、ゆっくりと話し始めた。
「………昨日…突然、父上から出頭命令がきた。表向きは北花壇騎士団絡みの報告要請だったけど…本来ならあたしが出るようなことじゃない。書類で済む。事実、今まではそうしてた」
要は、父親からの呼び出しらしい。
普通ならば、特に問題になるようなことではないだろう。
だが、この親娘は違う。
イザベラは父の話をしたがらないし…この2ヶ月、ほとんどずっとイザベラのそばにいた耕介が会った事がない。
つまり、全く交流がないのだ。
その父から突然不自然な出頭要請が来たのだ、不安に思うのも仕方がないだろう。
だが、それだけではない。それだけなら、イザベラはあんなにも不安げにはしないだろう。
「多分…あたしが、シャルロットに与える任務を減らしてるのを不審がってるんだ。水の精霊退治の任務も、業を煮やした父上が直接シャルロットに命じたものだし…」
イザベラは、父の命に背いている…それを父に質されることを不安がっている。
けれど、やはりそれだけではないように耕介は思う。
今までは、彼女が自分から話してもいいと思うまで待つつもりだった。
だが、今回はこちらから聞かねばならないだろう。
「なぁ、イザベラ。そのお父さんは、どんな人なんだ?どうしてそんなに怖がってるんだ?」
耕介の言葉に、イザベラは一度だけ自嘲の笑みを浮かべてため息をついた。
今回ばかりは誤魔化されてくれないと観念したのだろう。
イザベラとて気づいていたのだ。耕介は決して疑問に思っていても、余計なことは聞いてこない。
それに甘えて、今まで自分のことを話さなかった。
唯一の例外は、あの契約直前の夜の出来事だけだ。
あの時、具体的になんと言ったか細部まで覚えているわけではない。
だが、耕介が疑問に思うには充分だったはずだ。
けれど耕介は何も聞かずそばにいてくれた。だから、今更であっても、イザベラは自分の恐れを話すことにした。
きっと、自分がとても弱くて脆い存在だと知っても…耕介ならば変わらずそばに在ってくれるはずだ。
「父上は…魔法が全く使えない。あたしは少しは扱えるけど、父上は本当に完全に使えないんだ。コモンマジックすら使えない」
イザベラはポツリポツリと話し始めた。
爽やかな朝の日差しが部屋を照らすが…部屋の中に漂う陰鬱さに負け、くすんでいるようにすら感じる。
支援
「でも、父上は努力してたんだ。魔法はダメだったけど、頭は良かったから。父上にチェスで戦える人なんて、叔父上…シャルロットの父親くらいしかいなかった。
魔法以外は完璧だったんだ。でも…やっぱり王宮じゃ、認められなかった。貴族は魔法ありきだから。コモンマジックさえ使えない父上はいつも軽んじられてた。多分、僻みも入ってたんだと思う。
それに対して、叔父上は凄かった。王族の血筋に相応しい魔法の天才って奴だ。
ガリア始まって以来の天才とさえ謳われてて、頭も父上と同じくらい良くて、人格も善人で。神は二物を与えずって言うけど、ありゃ嘘さ。叔父上は二物も三物も与えられてた。
そんな叔父上と生まれた時から比べられ続けた父上の気持ち…あたしはわかるよ。あたしも、シャルロットとずっと比べられてたから。
でも、父上と叔父上は仲は良かったんだ。あたしが小さい頃、何度もラグドリアン湖のオルレアン領へ遊びにいったし、シャルロットの家族もプチ・トロワに遊びに来てた。
あたしだって、シャルロットとよく遊んだもんさ。魔法も教えてもらった。あたしの方が二つ年上なのにね。
家庭教師はいつもあたしとシャルロットを比べてため息ついてたから大嫌いだったけど、シャルロットに教えてもらうのは不思議と嫌じゃなかった。」
幼い頃の幸せな思い出を語るイザベラは、薄っすらと笑顔を浮かべている。
幸せそうな笑顔だ。そのかすかな笑顔だけが、彼女の幸福な時代に繋がっている気がする。
「でも…7年前…突然、父上は変わられた。原因は、母上の病死だ。
いや、兆候はあったのかもしれない。単に、今まで続けてきた我慢が限界に達したのかもしれない。もしくは、あたしに魔法の才能がないことがわかったせいかもしれない。
父上は苛立ちを周囲にぶつけるようになって、叔父上も遠ざけるようになった。
お爺様が病床に臥せって、父上か叔父上が国王になる時期が来てたから、ほとんどの臣下は叔父上を誉めそやして取り入ろうとして、それもまた父上の気に障ったんだろう。
それから、父上は遊戯に傾倒するようになった。政治にも興味を示さなくなって、一人遊びばかり。宮中はますます叔父上を国王に推す動きが強くなった。
そして3年前…突然、父上は叔父上を暗殺した。王位を簒奪したんだ。お爺様が亡くなられる直前、父上と叔父上を呼び出していたから、多分、叔父上を国王にするって言われたんだと思う。
そこからの父上の行動は素早かった。叔母上とシャルロットを毒で狂わそうとし、叔父上に心酔してた重臣連中は皆殺しにした。そうして、また父上は一人遊びに傾倒し…冷酷で残忍な愚王になった。」
イザベラの声は、平坦になっていた。全く感情を含まない声…だが、耕介には泣き声のようにも聞こえる。
突然、イザベラが自嘲するように乾いた笑い声をあげた
「その間、あたしはどうしてたか、わかるかい?ずっと…無視されてた。父上を励まそうとしたり、諌めようとしたり、役に立ちたくて魔法の勉強も、政治についてだって勉強した。
公の場じゃ、父上はそれなりに親娘として振舞ってくれたよ。でも、それが終わると…父上はもうあたしに視線を向けさえしてくれない。どれだけ頑張っても、どんな言葉をかけても、父上は無視した。
それでも、父上に振り向いてほしくて、何か役職に就かせてくれと頼み込んだ。最初は無視されてたけど、あまりにもしつこかったからうざったくなったんだろうね。北花壇騎士団なんて、表に出られない役職を与えられて、それから音沙汰なしさ。
父上があたしに、国王としてではなく、父上として声をかけてくださったのは、一度だけだ。シャルロットを、北花壇騎士7号に任命した時。『お前に一任する、殺せ』ってね…。その時の父上の目が忘れられない。まるで昆虫に見つめられてるみたいだった。
そして、わかったんだ…あたしは父上にとって、チェスの駒ほどにも価値がなくなったんだって。劣化コピーがシャルロットをどうするか眺めてるだけなんだって。
あたしがシャルロットを殺せなかったのはそのせいもある。父上と同じ道を辿ったら…欠片程度しかないあたしへの興味すらもなくなってしまうんじゃないかって」
イザベラは、ジョゼフの意図を理解していた。幼い頃からジョゼフと同じ道を辿り続けた実の娘が、その意図を理解せぬはずがない。
そう、理解できぬわけがない。もはやジョゼフが彼女への興味を失っていると。欠片程度しか残っていない…とは言ったが、その興味は結局はシャルロットをどうするかのみだとも理解している。
SIEN
幼き日の、厳格だったけれど優しい父を覚えている。無能と謗られるジョゼフを愛してくれた母を慈しみ、イザベラを愛してくれていた。初めて魔法が使えた時など、三日間も宴を開いてくれた。そんな父が大好きだった。
シャルルと政治について激論を交わす父を覚えている。互いにこの国のことを考えていたから、衝突することだってあった。そんな父を尊敬していた。
今はもう、何もない。母は病死し、父はイザベラへの愛を失った。興味を失った。無能王と呼ばれ、イザベラが尊敬していた有能な政治家としての姿など見る影もない。
始祖に愛され、誰からも好かれる優しい叔父も、毒矢を受けて死んだ。噂を信じるなら、父自らが射たらしい。イザベラのことを、シャルロットと同じように分け隔てなく愛してくれた叔母も、シャルロットをかばって心を狂わせた。
後に遺されたのは、残骸だけだ。幼き日に共に在った、愛すべき従妹であった人形。そして、その人形をどう壊すかということでしか父の興味を惹けぬ無能な劣化コピー。
けれど、彼女は人形と…人形だと思い込もうとしたシャルロットと、再び人間として接するようになった。
そう、イザベラは唯一の父の興味を惹けるモノを、自ら手放したのだ。
そして、手に入れたのは、新たな心の拠り所たる使い魔と、愛しい従妹。
この結果は、予期していた。父の興味を完全に失うことをわかっていた。
それでも、歩き出すと決めたはずだったのに…。他の方法で、父との絆を取り戻す努力をすると決めたはずなのに…。
「こうなることはわかってたはずだった…。だのに、あたしはいざその時が来たら、こうして震えて、立ち竦んで…覚悟なんてできてなかった。その挙句、シャルロットを助けに行かせたあんたを無理やり呼び戻して…あっ…」
イザベラの言葉が自傷のためのものになりかけた時、突然それは遮られた。
それまでずっと沈黙のままイザベラの告白を聞いていた耕介に抱き寄せられたから。
「ごめん。どんな言葉なら、イザベラの寂しさを埋めてやれるのか、わからない。けど、イザベラ。泣いていいんだ。顔を見られたくないなら、こうしてれば見えないから。だから、泣いていいんだ」
耕介に、イザベラの悲しみを理解することはできない。彼女の悲しみは彼女だけのものだ。それを他人が軽々しくわかったなどと言えるわけがない。
けれど、彼女が悲しんでいることはわかる。そして、我慢していることもわかる。
なら、せめて、我慢せずにいいように…耕介にはそれしかできないから。
イザベラは耕介のシャツを握り締め、しばらくじっとしていたが…やがて嗚咽を漏らし始めた。
「どうして…どうして…父上はあたしを無視するの…どれだけ頑張っても、何をしても…うぁぁ…!」
今まで押し込めていた7年分の悲しみ全てをぶちまけるように、イザベラは泣き続けた。
かつて温かさを失った時に凍りついた涙が、新たに手に入れた温かさに触れることで溶け出したように…幼子のように泣き続けた。
耕介は、そんなイザベラの背を撫で…こんなことしかできない自分と、イザベラという少女をここまで歪ませた全てに苛立つしかなかった。
リュティスの外れに位置し、しかし全ての中心となるガリア王が君臨するヴェルサルテイル宮殿はグラン・トロワ。
王の私室に繋がる扉の前で、イザベラは恐れを抑え込むように胸に手を当て、深呼吸をしていた。
扉の脇に立つ衛兵はイザベラの噂を恐れているのだろう、こちらへ視線を向けさえしない。
それをいいことに、耕介はイザベラの頭を一度だけ撫で、小声で囁いた。
「大丈夫だ」
耕介の突然の行動にイザベラは一瞬キョトンとし…すぐに淡い笑顔を浮かべて頷いた。
先刻からの彼女の姿を見た者は、おそらく誰もが口を揃えてこう言うだろう。
王女に瓜二つだね、と。
それほどにイザベラは今、普段とはかけ離れていた。
不安げに揺れる瞳、自信なさげな挙措。そのいずれもが、彼女の隠し切れぬ不安を現している。
普段は虚勢と意地に隠されて決して表に出ない、一番奥底にいるイザベラはこんな少女なのかもしれない。
イザベラはゆっくりと息を吐くと、キッと顔を上げ、普段の強気な態度を少なくとも表面上は取り戻した。
コンコンと一応のノックをする。
案の定返事はない。わかっていたことだ、ノックは単なる形式に過ぎない。
イザベラは扉を開け、部屋へと踏み入った。耕介もその後に続く。
さすがは王の寝所というべきか、その部屋には豪華な調度ばかりがある。
天蓋つきの優に4人は並んで眠れそうな巨大なベッド、宝石に彩られた王錫、おそらくは煌びやかな礼装が納められているであろう衣装棚。
支援ですたい
部屋自体の大きさも、イザベラの寝所をしのぐが…部屋の中ほどに緞子が引かれており、実際のその向こう側は窺い知れない。
さて、こうして部屋を見回してみても…部屋の主たるガリア王ジョゼフの姿はない。
となると、あの豪奢な緞子の向こう側となるのだろうが…耕介の推測はあたったらしく、イザベラは緞子へ呼びかけた。
「国王陛下…ガリア北花壇騎士団団長イザベラ、仰せによりただ今まかりこしました」
イザベラが声をかけ…しかし、反応はやはりない。
イザベラにとって、永遠にも似た…実際には3分程度の時間が過ぎ、その男はドレスをまとった貴婦人を伴って緞子の向こうから両手を広げながら現れた。
「おぉ、誇り高き我らが騎士団長よ!待ちかねていたぞ!」
耕介は一瞬、我が目を疑った。
その男は、美しかった。耕介に迫る長身、体は王族にしては珍しく鍛えられ、偉丈夫と言っていい。
イザベラやタバサの縁者に相応しく美しい青い髪に、青い美髯。寝室にいるからであろう、それなりにラフな格好でも、その品格は欠片も失われてはいない。
その表情は喜色満面、全てが楽しくて仕方がないと語っているようだ。その笑顔は稚気さえも感じさせる。
とてもではないが、17歳の娘がいるようには見えない。
だが、耕介が目を疑ったのは、それらが原因ではない。
どうしようもない違和感と、デジャヴだ。
パッと見では、この王は気さくで善良なように見える。だが、その笑顔が、大仰な仕草が、全て違和感を伴う。
そして感じるこのデジャヴ…おぞましいほどの嫌悪感。
「最近は富に活躍しているそうじゃないか!任命した余も、とても鼻が高いよ!」
ジョゼフはイザベラの後ろに控える耕介には目もくれない。実際、視界の中にすら入っていないのだろう。
耕介の脳裏に、白くて清潔で、しかし機械にまみれて、とある少女を雁字搦めにしていた病室の記憶が過ぎる。
電撃的に耕介は思い出した。
HGS患者…超能力者を、兵器として調整しようとしていた組織の手先であるあの女科学者。
HGS患者の中には強力な読心能力を持つ者もいる。
それに対抗するため、擬似思念発生装置とかいう装置を常に身につけ、常に柔和な笑顔を浮かべ、常に善意を振りまくあの女。
表情にも、瞳にも、完璧な善意が宿っていた。心の底から相手のことを考えていた。”そういう仮面”をつけた女だった。
初対面の時は完膚なきまでに騙されていた。何故違和感をもったのか、自分でもわからないが…彼女と会うたびに違和感が加速していった。
結果として、女の組織には武装警察の手が入り壊滅、少女たちは解放され、今はそれぞれの道を歩んでいる。
目の前のこの男からは、その女科学者に感じた違和感と同じものを感じるのだ。
今すぐにイザベラの手をとり、このおぞましい男から引き離したい衝動に駆られる。
「お、お褒めに与り光栄の極みです、陛下…それでは、報告を始めさせていただきます」
だが、耕介は全力でもってその衝動を押さえねばならなかった。
何故なら、耕介はイザベラの父ではないのだ。
何があろうと、イザベラの父はこのおぞましい男であり…イザベラを最も理想的な意味で救済できる存在も、この男でしかありえない。
いったい、自分に何ができるというのか?この男のイザベラの扱いについて糾弾するか?そんなものに何の意味がある?部外者の言葉で解決するような問題なら、ここまでこじれてはいないはずだ。
意味がないだけならばいい。耕介の糾弾によってこの男が機嫌を悪くし、イザベラとの仲がより一層遠ざかったら?耕介が無礼討ちにされる可能性だって高い。マイナス要素しか思いつかない。
右手を皮膚が白くなるほどに強く握り締め、押し黙る以外に耕介が取れる選択肢はなかった。
イザベラの細々とした騎士団業務の報告に、ジョゼフはいちいち大仰に驚いたり、その手腕を誉めそやしたりした。
単純に言葉面だけ見れば、微笑ましい光景かもしれない。
だが、耕介は気づいていた。
ジョゼフは登場した時から、ずっと国王としてしかイザベラに言葉をかけていない。
ただの一度さえも名前で呼ばず、役職名で呼んでいるのがいい例だ。
耕介にとって…そしてイザベラにとっても拷問のような時間が過ぎていく。
「そうかそうか、北花壇騎士団はこのまま君に任せるのが最も良いようだ、この調子でこれからも余に尽くしてくれ!」
ジョゼフは椅子に座り、貴婦人に酌をさせながらまたイザベラを…いや、北花壇騎士団団長を誉めそやす。
そのことを、ずっとジョゼフを観察していた耕介だけは気づいた。
一瞬だけ、彼の完璧な笑顔の口元が痙攣したように動いたのを。
支援
「で、少しばかり君に問いたいことがあるんだよ、団長殿!余が君に与えたプレゼントを覚えているかね?」
ジョゼフのその言葉に、イザベラは哀れなほどにビクリと背筋を震わせた。
耕介にも理解できた。ジョゼフはこのために彼女を呼んだのだ。
「は…はい…陛下…」
イザベラの消え入りそうな声に、ジョゼフは心底嬉しげに何度も頷いた。
「そうかそうか、君のように聡明で有能な団長が余の与えたプレゼントを忘れるはずもないな!はっはっは、愚問の極みだったな!」
ジョゼフの笑い声と、それに同調するような控えめな貴婦人の忍び笑いだけが豪奢な王の閨に響く。
そのジョゼフの笑い声は、貴婦人の忍び笑いを置き去りに、ピタリと止まった。
「なら、君はもう余が与えた人形で遊ぶ気はない、ということかな?」
特に何が変わったというわけではなかった。
ジョゼフは変わらず笑顔だし、声にも特段変化はない。
だが、社交界で必要不可欠である場の雰囲気を読む能力に長けた貴婦人の忍び笑いが止まった。
イザベラがガタガタと震えている。両手がドレスの裾を白くなるほどに強く握り締めている。
もう限界だ。耕介がイザベラに一歩近寄ろうとした時。
「は、はい、陛下。シャルロットは…人形では、ありません」
イザベラの声は震えていた。泣いているようでさえあった。けれど、イザベラはそう言い切った。
「そうか、残念だ、本当に残念だよ、団長殿!余の贈り物はお気に召さなかったらしい!君に贈ったものを今更返せというのも無粋だが、あれは余のお気に入りなんだ!だから…返してもらうよ」
自らのプレゼントが不評であったことを大仰に嘆き…しかし、最後だけは感情の欠落した声であった。
その欠落だけはジョゼフの本心であったように耕介は思う。
そして、人形を返せということは…イザベラの管轄からシャルロットを外すという意味だろう。
「お、お待ちください父上!シャルロットにはなんの咎もありません!シャルロットが今までに立てた武功は比類なきものです、どうかお許しを!」
その意味を理解したイザベラは必死にジョゼフに言い募る。
だが、返ってきた答えはにべもないものだった。
「下がれ、北花壇騎士団団長イザベラ。もう用はない」
それが…この日、初めて父が娘の名を呼んだ瞬間であった。
イザベラはスイッチを切られた機械のように勢いをなくし、沈黙した。
耕介は頭の血管が切れる音を聞いた。
無論、幻聴だ。そんなことがあるわけがない。
フィクションの中で、あまりの怒りに血管が切れたという演出がある。
そんなものは所詮フィクションであり、実際にはありえない…耕介はそう思っていた。
だが、違った。怒りとは、血に混ざるのだ。マグマのように煮え滾った怒りが混入した血液が、怒涛のように脳を駆け巡るのだ。
そんな燃え滾る血液に、血管などという脆弱なものが耐えられるわけがない。
結果、あまりの怒りに血管が切れるのだ。まさか、この身で体験することになろうとは思いもしなかったが。
いや待て、この音は幻聴だったのではないか?待て待て、思考が迷走している。
本筋に戻せ、いったい何故自分はこんなにも激怒している?あぁ、思い出した、そうだ、このいけ好かない髭野郎を叩き潰すんだ。
しかしただ叩き潰すだけでよいのか?否否否、すぐに殺してはならぬ、あのおぞましい笑顔を浮かべる顔を原型がなくなるほどに殴り潰し、悲鳴を上げさせ、謝罪させるのだ。
謝罪?いったい誰に?それは―――――
「コースケ…」
耕介の、握り締めすぎて内出血さえしている右手をイザベラが両手で包み込んでいた。
その弱々しい声を聞き、俯いて泣き出しそうになっている顔を見て…耕介は10年近く前に己を支配していた懐かしい衝動を押し留めることに成功した。
退出するイザベラについて、耕介も部屋を出た。
ジョゼフが得意げに貴婦人に自慢の人形について解説している声が聞こえる。
耕介はこの重厚で無慈悲な扉越しに洸牙を叩き込みたくなる衝動を必死に抑えた。
イザベラが悄然と立ち去り、しばらくして貴婦人…彼の愛人であるモリエール夫人も手洗いに退出した。
この部屋の…いや、宮殿、ひいては国の主である王ジョゼフはテーブルに載せていた人形を手に取った。
それはフードをかぶった怪しげな人間の人形。
無能王と呼ばれ、一人遊びの果てに狂ったとさえ言われる王は、その風聞が正しいものであると自ら証明してみせた。
すなわち、人形に話しかけたのだ。
「あぁ、我が愛しのミューズよ!どうだ、先ほどのあの男!余には凡庸な剣士にしか見えぬが、どうだ、君の仲間だったかね!」
あたかもその人形が受け答えをするかのようにジョゼフはひとしきり声をかけると、耳元に寄せた。
「ほうほう、やはりただの人間かね!そうだなそうだ、一国に二人も”虚無の使い魔”が現れるわけがない!ならばあれは何者なのだろうな!」
しばらく黙考していたジョゼフだったが、今度は狂的な笑い声を上げ始めた。
「フハハハハ!そうだな、余の可愛いミューズ!お前さえいてくれるのならば、余の勝利は揺ぎ無い!それに、わからぬのならば、試せば良いのだ!フハハハハハハハハハ!」
その笑い声を気にする者は、グラン・トロワには誰もいない。
ハルケギニアにそのことわざは存在しないが、グラン・トロワに住む者たちは事実として理解している。
すなわち―――”触らぬ神に祟りなし”
気まぐれな神に触れようなどと考える愚か者はこの宮殿では生きてはいけぬのだ。
以上で投下終了になります、支援ありがとうございました。
自分でもムカつくジョゼフを目指したのですが、ちょっとやりすぎたかもしれません、目の前にいたらぶん殴りそうです
乗り遅れた!支援
リアルタイムGJ
続きにも期待w
GJ!
実に見事なムカつくジョゼフw
数あるゼロ使クロスの中でもイザベラに感情移入しているせいもあるけど、
一番悪役しているジョゼフかもしれない
>>663 天元突破の方は公式設定で5×10の25乗mという数値が確定したそうです
いろんな人が懐古になるのもわかるな
いくらなんでも酷すぎる
やっぱり悪役はこのくらい尖ってくれないと
最近は実はいい奴なんです要素とかヘタレチキンな要素とか無理矢理入れ込むのが多いからなぁ
乙です。悪役の父王の個性が強い分、イザベラが引き立つ!
そういえばイザベラがめちゃくちゃ尖ってる作品はあまり見かけないな。
やっぱり皆女性キャラには弱いのか?
ぶっちゃけイザベラが出てくるまで話が進まない奴が大半だし
ツンデレ枠はヴァリエール長女と三女で一杯だと思うんだけどね
キュルケだってルイズにはツンデレじゃないか
>689
いや、俺が言った尖ってるってのは、超悪役ってこと。
決してツンデレとかのことを言ったわけじゃない。
尖ってる=ツンデレ
思考が偏り過ぎだろw
漢気溢れる悪役もいいが、こいつがどんな最期を遂げるのかそのカタルシスがたまらない悪役が少ないのは残念だ
なんというか、妙な人情味入れようとした結果一気に小物臭くなる悪役の多いこと多いこと
>>692 よく訓練された紳士ではあるw
まあ、その分だけ社会不適合者になったとも言えるけど。
だってイザベラを大きく扱ってるのは大体根は優しいツンデレ扱いじゃないか
このジョゼフ、実はツンデレという説はどうだろう
心の中では(シャルロット殺せっていったじゃんこの馬鹿デコ!別に一人だけ更正しちゃったのが寂しいってわけじゃないんだからネ!)とかツンツンしてる
>>695 諦めて認めろw
てか本当に気を付けないとリアルに他人から指摘される時が来るかもしれんぞw
使い魔くん外典のイザベラ様は最高にイイ性格してたけどな。
>679
GJ!
これは良い無能王とイザベラ。
ところでジョゼフに死んだシャルルの魂と会わせたら(鬼の手なりタイムマシンなりで)どんな反応するだろね?
>>700 >以前、某まとめwikiにて愛読していたものです。急に削除されてしまったため、やむを得ず元のスレッドから再構成して、読めるようにしようと試みた次第です。
>
>作者様がログを削除された経緯は不明ですが、このまま埋もれさせるには惜しい傑作と、一ファンとして惜しむが故に、あえてこのSS著者様の意向には背いても、ここに載せさせて頂きます。
これは酷い
さざなみ寮生の人GJ!
「打ち殺したくなる悪役」
はこうでないと!!
さざなみ寮生の人GJ!
「打ち殺したくなる悪役」
はこうでないと!!
ミスったorz
705 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/04(金) 03:09:21 ID:A2DW6r4E
相沢祐一を召還しようぜ
エイジに対するゴステロ、ミライに対するヒルカワのように、絞め殺したくなる悪役がいるからこそヒーローが光り輝くのです。
40分から投下させていただくっ!
道は開いている、というより誰もいない支援
03『その手に掴むもの』
――フーケを追ってたどり着いた白の国、そこで待ち受けていたのはかつての思い人との死闘であった。
「ルイズ、僕は手入れたぞ!力を!世界を変える力!もう二度と大切ものを奪わせない為の力だ!」
「そんな……ワルド様、なんで、なんで……」
「ルイズ来てくれ、僕に君を守らせてくれ。そうでなければなんの為に力を得たのか分からない」
呆然としたルイズの前に立ちふさがったのはアナスタシアだった。普段の柔和な顔からは想像もつかないほど厳しい目をして、アナスタシアはワルドを睨み据えていた。
「貴方……その右腕は一体どうしたの?」
「君は、そうか君がルイズの使い魔か!聞いていたよ、愛しのルイズが人を召喚したと!さて君は一体何かな?ガンダールブかい?ヴィンダールブかい?
それともミョズニトニルンかい?ははは、どうでもいいか!いくら伝説の使い魔だろうと僕には勝てない、ルイズを守れるのは力を持った僕だけなんだから!」
笑いながらワルドは手を広げる、既に正気ではないことはルイズにも分かった、分かってしまった。
その事が尚更ルイズを傷つける、正気を失う程に目の前の初恋の相手が力に魅入られていることに衝撃を受けていた。
同時にそんなになってもまだゼロである自分に妄執にも似た思いを抱き続けていることが信じられず、信じられないが故に恐ろしかった。
「貴方の目的は何?」
そんなワルドにアナスタシアは問いかける。
にいと唇を歪めながらワルド返した。
「全てさ、生憎と欲張りでね。もう二度と大事なものを横取りされたくなんかないし、欲しいものは全部手に入れる」
「じゃあ聞くわワルド、貴方はなんで私なんかを」
ルイズの問いにワルドは悔いるように空を見上げた、黒い雲に覆われたアルビオンの空には生憎と彼が望むものを見いだすことは出来なかった。
「小さい頃の約束を果たしに、と言いたいところだけどね。初めては力が欲しかったから、かな?」
「嘘、私に力なんて……」
「いいや君には力がある、僕にはそれがよくわかるよ。伝説の虚無の力は間違いなく君に宿っている」
ーーこの人はこれほどの力を得たと言うのに、なんで私みたいなちっぽけな存在のことを気にかけるのだろう?
それがルイズの偽らざる思いであった、生まれてからずっと貴族たらんと虚勢を張り続けてきたルイズの心の奥底に根を張った一つの真実だった。
だがそれはルイズにとってそれはけして認められない、認めてはいけない真実である。もし本当に自分が無価値なら、どうがんばってもゼロでしかないのならいつか大切な人達にすら見限られてしまうかもしれない。
それはルイズにとって死ぬより恐ろしい、故にルイズはまるで死神に追い立てられるように必死で努力を続けてきたのだ、誰よりも貴族たらんと、誰よりもメイジたらんと。
だから今更信じられない、こんなゼロを打算なしで受け入れてくれるなんてルイズには到底信用できない。
「だがそれも今はどうでもいい!」
「――!?」
「力など関係なく、僕は君が欲しいんだルイズ、共に征こう! この世の果てまで二人で」
狂ったようにワルドは吼える、いや事実狂っているのかもしれない。
大きすぎる力は人の心を捻じ曲げる故に。
そしてその力の源たる剣と同化し異形のものとなったワルドの右手は解放を待ちわびたようにぶるりと打ち震える。
「共に、喪ったすべてを取り戻しに!」
ワルドの声に反応して破壊の右手が光を放つ、目前の敵全てを凪ぎ払う絶対なる力がワルドの右手に集っていく。
「ワル……」
ルイズは大切な相手に向かって呼びかけようとしたが、それが果たす暇さえなく銀の極光がほとぼしった。
ルイズのすぐ脇、ルイズを守るようにデルフリンガーを構えるアナスタシアに向かって。
「やはり貴様が最後の壁か!ガンダールヴ!」
放たれた光は止まっていた、アナスタシアが手にした紫の剣が食らいつくようにして何もかも消し去る光を押し留めていた。
「貴方が何に絶望し、その結果何を求めようとそれは貴方の勝手よ」
ルイズは見た、アナスタシアの傍らに居たルシエドが輝きと共に剣へと変じるのを。
アナスタシアの頬に一筋の雫が伝うのを。
――ルイズだけは見ることが出来た。
「けれどそれにルイズちゃんを引きずり込むのは許せない、大き過ぎる力は周りの人を不幸にするだけだから」
「ふんっ、貴様に言われる筋合いはないっ!ルイズに与えられた力で偉そうに……」
「ガンダールヴとか言う伝説のこと?」
ワルドの言葉にアナスタシアは普段付けている左手の手袋を脱ぎ捨てる。
「バカなっ!」
ワルドの声は震えていた、無理もないそこには何もなかったのだから。
白い手袋の下にはただ透けるように白いしみ一つないアナスタシアの華奢な左手があるばかりだった。
「それではその力は一体……」
「これは仲間の力、わたしの大切な友達の力! 欲望のガーディアンの剣! 魔剣ルシエド!」
「――ガーディアンブレードだと!?」
驚愕と共にワルドは言う、ルイズ僕の可愛いルイズ、君は一体何を召喚したんだい?
「ワルド、アナスタシア一体何の話をしているのっ!? ガーディアンブレードって……」
「ルイズ、僕の右手と同化した命ある金属は元はガーディアンブレードと呼ばれる一振りの剣だったんだ。それこそが絶対たる力の正体、かつてファルガイアと呼ばれる異世界すら滅ぼしかけた究極の兵器さ!」
「ファルガイア、それって……」
ルイズは絶句する、アナスタシアの語ったファルガイアと言う世界の物語。何もかもを滅ぼすガーディアンブレードと言う剣と、その世界に降りた焔の災厄、その世界を救ったと言う剣の聖女。
そしてガーディアンブレードを操るアナスタシア。
すべてのピースが嫌な音を立てて組み合わさり、ルイズは蒼白な顔でアナスタシアを見た。
「貴様は、貴様は……」
「わたしはただのアナスタシアよ」
その響きはどこまでも悲しく、そして切なかった。まるで二度と取り戻せない大切な思い出を思い返すようにアナスタシアは言葉を紡ぐ。
「剣の聖女でも伝説の使い魔でもない、ただのルイズちゃんの友達のアナスタシア・ルン・ヴァレリア」
アナスタシアは右手にデルフリンガーを、左手に謎の剣を構えてルイズを守ろうとするかようにワルドの前に立ちはだかる。
素人くさい構えと恐怖に震える腕、きっと人を殺したことすらないのだろうことは一目で分かる。
戦士の気迫はあるものの全身隙だらけ、と言うか隙でない部分を探す方が難しい。だと言うのにワルドは悪寒が止まらなかった。
「わたしは、力なんて欲しくなかった」
「なんだお前、何を言っている!?」
「英雄になんてなりたくなかった、死にたくなんてなかったの!」
アナスタシアの切な叫びをワルドはけして理解出来ない。
ワルドの狂おしいまでの渇望をアナスタシアは理解出来ない。
自分の命すら捨ててまで叶えたい野望の為に力を求める者と、誰よりも生きたいと願った故に結果として自らに死を齎すほど巨大過ぎる力を得てしまった者。
――二人の道はけして重ならない。
「ただのアナスタシアとして、ファルガイアで生きていきたかった! けどだからルイズちゃんまでそんな風にはさせない、望まない力に振り回させたりなんか絶対にしない!」
「アナ……スタシア…………」
ルイズの声に混じったある感情にワルドは気づいた、気づいてしまえば冷静ではいられなかった。
ルイズにとってアナスタシアはもはや家族なのだと、もしその家族を奪えばルイズはけしてワルドを許しはしまい。
とうの昔に自分は振られていたのだ、それに気づけなかった、いや気付こうとしなかった自分はなんと言う道化だと内心で自嘲し、そして高々と右手を掲げる。
「ルイズ、君まで僕を置いていくのか……」
なんと醜い台詞、醜い嫉妬。
そう分かっていてもワルドに自分の手を止めることは出来なかった。
「――!? ルイズちゃ……」
銀の光がルイズに向かって殺到する。
・・・
刹那、ワルドは駆け出していた。
● ● ●
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ」
才人は怒っていた、猛烈に怒り狂っていた。その理由は目の前にある惨状だ。
その光景を才人が知る表現で表すならゲームや映画で出てくるレーザー兵器をぶっ放されたみたいな感じだった、焼け焦げ抉れた地面と跡形もなく倒壊した家屋、子供たちを庇って重症を負ったマチルダ。
もはや昨日までの平穏が跡形もないウエストウッドの村の光景。
付け根から取れたマチルダの腕を必死で繋ごうとするテファニアの姿を見た時、才人は初めて本当の意味でこの世界が異世界だと意識したのだ。
魔法と言う理が支配する、あまりにも不平等で無慈悲な世界。
才人は許せなかった。
見知った相手がこんなに理不尽に傷つくことも、
それを助ける手段が自分には何もないことも、
こんな非道を行った相手がそれを知りもせずのうのうとしているであろうことも、
だからだろう、マチルダがいずこかから手に入れてきた『破壊の杖』を使い方も分からず持ち出したのは。
「おおおおおおおおおぉぉ」
激情に駆られるままに才人は走る、不思議と普段の何倍もの速度で走れたし疲れも感じなかった。
ただ自分の不甲斐なさが許せなかった。
何をしたいのか、何をすべきなのか。分からないまま才人は走った。
走って、走って、地面に抉られた破壊の跡を辿って行った先で才人が見たものは、
「ルイズゥゥゥ」
異形の右手の男と
「ワルド様!」
その男から少女を守る一人の女性の姿。
――コイツだ、才人は確信した。
男が右手を振るう、何もかもを壊してしまう銀の光が放たれる。
庇うように立ちふさがった女性の姿が、右腕を失くしたマチルダと重なる。
「やめろぉぉぉぉおぉお」
そして次の瞬間には才人は引き金を引き絞っていた。
『破壊の杖』それがいかなる破壊力を持ったものか知りもせず、ただ青年の凶行を止めなければと言う一心で。
才人の呼びかけに『破壊の杖』は応えた、才人の左手の輝きを何倍にもしたような光がその砲塔に宿り、一瞬の溜めと共に破壊の力が放たれる。
才人は知らない。
今自分が放とうとしている輝きが一定範囲の空間に作用し、そこにある物質を別の空間と入れ替えることであらゆるものを消し飛ばすARMと呼ばれる兵器だと言うことを。
自らの左手に宿ったルーンの力と同じように、使い手の精神状態によって何倍にも威力を増す精神感応兵器だと言うことを。
使う資質がないのにあらゆる武器を扱う使い魔の力で無理やりに起動させた為、その命中精度に信頼性も何もあったものではないと言うことを。
『破壊の杖』
聖地の門より流れ着いたこの兵器の本来の名前をアークスマッシャーと言う。
投下以上です。
次回最終話「銀の左手破壊の右手」
皆様もう少しだけお付き合いくださいませ。
乙です!
>>715 いつも楽しませてもらっています
しかしアークスマッシャーですか…相転移兵器でしたっけ、かなりの破壊の杖が出てきましたが
かなり凶悪な部類に入りますね、次回最終回ということですので楽しみにしています。
才人が紫のオーラをまとって声が甲高くなっているんですが。
フォークスソウルからキース召還したら…
異界航行能力とフォークスのIDを喰らい己の力にする能力さらにオカルト雑誌の記者
恐ろしいほどのチートキャラになると思うんだ
弱点は……借金と締め切り?
ところでグレンラガンまぢで銀河よりでかいの?
いつの間にそんなにでかくなったんだよ
>719
誰を召喚するかじゃない、誰を召喚して何をさせるか――それが問題だ。
ラガン(人の身長サイズ)>グレンラガン(一般的なスーパーロボットサイズ)>アークグレンラガン(月サイズ)
>超銀河グレンラガン(銀河サイズ)>天元突破グレンラガン(宇宙サイズ)
月サイズなのはカテドラル・テラ(超銀河グレンラガンの変形前)だからアークグレンラガンはまだ数キロ程度じゃないの?
で、超銀河が惑星サイズ、天元突破が銀河サイズと。
>>719 アークグレンラガンがトップをねらえのエルトリウムぐらい、
超銀河が月ぐらい、天元突破が測定不能(銀河以上?)
大体こんな感じ。
カテドラルテラは月に偽装させていたのだから、相応のサイズはあると思っていたが……それ程でもないのか?
超銀河グレンラガンのときは、対峙していたアンチスパイラルの兵器が惑星を手で投げるシーンがあったなぁ。
天元突破グレンラガンは銀河系を『足場』にして戦ってたし……
もしグレンラガン系キャラが召喚されると……後半でアンチスパイラルメッセンジャー化したワルドが敵として現れそうだ。
皆さん、こんにちは。最近まで専ブラ使ってここで投下していた者です。
続きを投下したいのですが、訳あって今パソコンがない環境にいます。
携帯からの投下だと容量等も含め避難所経由で投下した方が良いでしょうか?
>>724 お帰りになられてから投下されてはいかがでしょうか。
ちょっと前に技術レベルの話題があったが、
ゲヘナAnのリプレイ読んでたら、巻末資料に
「技術の発展を停滞させるために人間に魔法を与えた邪霊」
ってのが出てきてたんだよな。
……ブリミルも実は……。
>>724 パソコンを直してから投稿、マジおすすめ。
携帯投稿はデメリットしかない。
>>726 魔法が技術の中に組み込まれるだけだと思うが、常考
729 :
726:2008/04/04(金) 11:02:51 ID:8Z9xNBwr
>728
「魔法技術があるから、機械技術の発展が我々の世界に比べて緩やかである
(道具がなければ魔法を使えばいいじゃない)」
って言い古されたことを、
それが人間に敵対的な勢力の陰謀だって設定の
世界があったから絡めたら面白い話できんかなとか
ちょっと思っただけで。
そうマジレスされると、その、なんだ。困る。
>>726 ああ、あやつか。
人類に蒸気機関を発明させないために魔法を与えることにした邪霊。
人類の進歩を止めるためにサンタクロースを与えた王とか
732 :
要するに:2008/04/04(金) 11:12:46 ID:fvQKhOX/
クラーク三法則
その3.充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。
サー=アーサー=チャールズ=クラーク(1917.12.16〜2008.3.19)
俺たちはとんでもない間違いを犯していたんだ……。
技術が発達しないのは、貴族たちを裏から支配しているゴルゴムの仕業だったんだよ!
始祖ブリミルより六千年――これが真実だと仮定しても、地球側の最古の文明から四千年とも五千年とも言われているのだから、産業革命がこれから起こったところでおかしくは無いと思う。
ただ、トリステインは魔法至上主義が強すぎて、技術を発展させようとしても『魔法があるから』と変人扱いされるコルベール先生がいます……
もしかしてマザリーニ枢機卿は、ガリアの能力あるものを取り立てる制度を、トリステインに取り込みたいと思って婚礼を進めようとしたのかも?
螺旋力を抑えるために魔法技術を作った疑似的な世界ってのは考えた。
虚無の力は螺旋力で、ブリミルはロージェノムみたいな元螺旋の戦士、聖地には螺旋力の兵器が眠ってて、エルフはそれを守るため作られた獣人的なイキモノ。
>>734 アンリエッタの婚礼相手はゲルマニアの皇帝。
ガリアはジョゼフが王様やってる国。
タバサの国だな。
とうとうゲルマニアとガリアを間違えるやつまで出てきたか
ハルゲニアといいシェスタといい何で間違えようのない単語を間違えるやつが多いのやら
国の立場を間違えるのはありえないが、後半の間違いは読み違えてただけだろうに。
ちょっと確認させてくれ。
トリステインの新学期って日本と同じ春だっけ?
春の使い魔試験が二年になってからの初めての授業なら、新学期は春なんじゃないか?
ゼロ魔のせいで入試の世界史や生物のテストで、ハルケギニアとハルキゲニアを間違えて点を落とす奴とかいたのかなw
>>741 授業を聞かない→とりあえず教科書でもみとくか→ハルケギニアwwwwwテラルイズwwww
→テストで堂々とハルケギニア
とかいう流れならあるかもしれないな
バカボンの歌のせいで、太陽が西から昇って東に沈むと
テストで書いた奴なら知ってるが。
>>741 オリヴァー=クロムウェルのことを、清教徒(ピューリタン)革命の指導者ではなく、
レコンキスタ(史実上では、スペインからのイスラム勢力駆逐によるキリスト教化)
の指導者と間違えて減点になった奴はいるかもな(ヘタしたら、入試の世界史問題で
間違えて、不合格になった阿呆もいるかも)。
ブリミルはルドラサウム世界の出身で、魔人や魔王を傷つけられる術を求めて、異世界であるハルケギニアに来訪
そこでルドラサウム世界のルールに縛られない系統魔法を開発
だがプランナーはハルケギニアにエルフを送り込み、ブリミルの帰還を妨害
というのは妄想したことがある
で、なにがやりたいかというとだ
ブリミルはJAPAN人で、ブリミルの子孫である貴族には帝の威光が効くってことにした上で、帝謙信ちゃん召喚
>>745 書いてくれ。避難所投下スレで待ってるよ。
マジレスするとJAPAN人の子孫ってだけだと帝の威光効くか微妙
>>746 書けるものなら書いてるのだが
文才無さ過ぎて俺には無理なんだ
具体的にいうとSS書こうとしたら、気がつくと2時間メモ帳とにらめっこしていただけだったというレベル
スマソ
ややこしい話だが、あいつらあれでも日本人って言うらしいぜw>JAPAN人
>>744 レコンキスタをレコン・キスタと書いて減点食らったりとかなー。
でも「アオイのエンブレム」のついた薬入れには土下座しちゃう
752 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/04(金) 12:33:01 ID:qo5DkGGw
754 :
753:2008/04/04(金) 12:36:11 ID:eKbbYaU7
ハルケギニアならぬ『ハルキ』ゲニアの始祖ブリミルは角川春樹w
今、何となくGoogleで検索しようとしたら
「ハルキゲニア ルイズ」っていう検索候補が出て乾いた笑いを上げてしまった。
やっぱり勘違い(というか、誤読)してる奴多いのか。
クロス書くのって結構むずいな。
今書こうと思ってるんだが最後どうやって終わらせようとか、最初以外は全然
思いつかない。
小島よしお「はい!オッパッピー!」
ルイズ「……」
>>757 今モニター前で「ギクッ」とか思った作者がゼロ魔本編のツンデレ人数くらいいたと思う
>>757 アイディアは突然ひらめくものだから、気長に一年位じっくりネタ集めし続けてたら
ある日それらが全て繋がって良い感じのラストを突然思いついたりするかも。
ギクッ。
予定がないなら、5分後に投下を始めたいと思います。
もしかしたらさるさんにひっかかるかもなので、その時は避難所の代理スレに行きます。
うっす、支援いたす!
毒電波にて支援
支援
sien
トリステイン魔法学院、学院長室は、中央本塔の最上階にある。
学院長であるオスマンは、がっしりとした造りの執務机に腰掛け、白くはなっているが美髭と呼んで差し支えない見事な長髭をさすりながら、
『朝っぱらからそのハゲ頭に似合わぬ真面目くさった顔をしやがってからにわしの朝はミス・ロングビルの魅惑の三角地帯を拝まんと始まらんのじゃあ』
という内心を押し殺して自らの使い魔であるハツカネズミをそっと秘書机の下に送り込みつつ、目の前の一人の教師に相対していた。
「して、こんな朝早くから何用じゃ、ミスタ」
「昨日の、春の使い魔召喚の儀に関してなのですが」
机を挟んでオスマンの前に立っているのは、コルベールだった。
「一人、人間……いや、亜人の青年を召喚した者がおります」
「ふむ。確かに珍しい事ではあるが……それだけでこんな朝っぱらから押しかけてきたわけではあるまい?」
「これを」
コルベールは、手に持っていたスケッチブックと古ぼけた本を机に広げ、それぞれ栞を挟んであるページを開いた。
「これは……!」
オスマン老人の顔が引き締められる。
「青年の左手の甲にこのルーンが現れました。また、召喚された折、私ですら気圧されるほどの迫力を放ち、次いで学園までの道を召喚者を抱えたまま30秒ほどで走り抜け、その途中『フライ』で飛行する生徒達の高さまでジャンプで跳び上がる、といった行為を見せています」
「……なんじゃそれは。神の左手にしても無茶苦茶じゃな」
同じルーンを示した、スケッチと、古本―――『始祖ブリミルの使い魔たち』を見るその目が、鋭い光を湛える。
それは奇しくも、耕一達の世界に存在する『ルーン文字』と全く同じ形をしていた。アルファベットに直せば、それは―――gundalfr、と読める。
「神の左手ガンダールヴ。あらゆる武器を使いこなし、魔法を唱える始祖を護る神の盾」
本に書かれた説明書きを、無感情に朗読するオスマン。
「召喚者の名は」
「ミス・ヴァリエール。ルイズ・フランソワ―ズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです」
名を聞いて、暫し目を瞑る。
「……公爵の娘か」
「実際に相対した者としましては、伝説の再来、と素直に喜ぶ事は出来かねますな。あの迫力を持ってなお、それを『子供のしつけ』と言っていました。本気の殺気を向けられたら対処する自信がありません」
「伝説なんぞ、会わずとも存在するだけで厄介じゃわい」
自身が三百年生きたとも言われる十分伝説級の人物である事を棚に上げて、オスマンは机の上に置いてあったキセルを口に含む。
ぽこぽこ、と水が気泡を湛える音が、暫しの間部屋に響いた。
「いかが致しますか。王室に連絡を?」
「ばかもん。結論を急ぐでないわ。よしんばその青年が本当にガンダールヴであったとしても、王室なんぞに報告する必要はないがの」
「な、なぜですか?」
「さっき言ったじゃろう。伝説なんちゅーもんは、存在するだけで厄介なんじゃよ」
「はあ……」
意図を測りかねてコルベールが気のない返事をした、その時。
ずがーん。
と、学園中に炸裂音が響き渡った。2年生の教室塔から発せられたその音と振動は、本塔の学院長室にも届き、それを揺らした。
「何事じゃ?」
「……おそらく、ミス・ヴァリエールです」
「なんじゃと?」
「彼女は、その……魔法があまり上手ではなく、魔法を使おうとすると爆発してしまうのです」
「ふぅむ。爆発とな?」
「はい。火、水、土、風、そしてコモンマジックに至るまで、使おうとすると全て爆発してしまうらしいのです。『サモン・サーヴァント』と『コントラクト・サーヴァント』は成功したのをこの目で見届けたのですが」
「……魔法の失敗が爆発とは、果て面妖じゃな。身の丈に合わぬ呪文を使おうとすれば精神力が足らずに気を失うかそもそも認識すらされずに何も起こらず、詠唱が不完全であればそれこそ何も起こらぬはずじゃが」
「言われてみれば、そうですね」
「ま、そういう奴もおるかもしれんの。それで、その魔法を使えぬ落ちこぼれの使い魔が、始祖の従えた伝説の使い魔であると、そういうわけじゃな?」
「そういう事になりますか……」
「さて、不可思議じゃな」
オスマンは再びキセルを口に含み、ぽう、と煙を吐き出した。
「とりあえず判断は保留としよう。事実は伏せ、ミスタは出来る限り彼らの観察を行い、気が付いた事は報告するように」
「わかりました」
「うむ」
コルベールが一礼して去っていくと、ビリビリと振動していた建物が、ようやく静けさを取り戻した。
「興味深いお話でしたわね」
秘書席でずっと我関せずと書き物をしていた女性が、穏やかに切り出した。
「うむ。わかっておるとは思うが、他言無用じゃぞ、ミス・ロングビル」
「はい。可愛い生徒をアカデミーに解剖されでもしたら、たまりませんものね」
ロングビルと呼ばれたその女性は、簡素に結わえてあるその草色の髪を揺らし、ころころと笑う。
「カッカッカ。しかねんの」
「ところでオールド・オスマン」
「なんじゃね、ミス・ロングビル」
「このネズミは、このまま窓から投げ捨ててしまってよろしいですね?」
ロングビルはそう言って、机の下から、簡素なバネ仕掛けのネズミ捕りの中で、チーズのかけらを咥えてバタバタともがいているハツカネズミを取り出した。
「おお、おお! モートソグニル、可愛い我が使い魔や、しくじったか! 可哀想に!」
「オラァ!」
「あーれーっ! モートソグニルやーっ! ゆーきゃんふらーいっ!」
学院長室は、今日も平和であった。
その日のルイズのクラスの授業は、空いている教室に移動して行う事となった。
ルイズは罰として教室の後片付けを命じられたが、授業中の事故として、それ以上のお咎めはなしとなった。
『土』属性のメイジであれば小一時間と掛からず終わる上に修繕までしてみせるであろうその作業も、メイジなら誰でも使える共通魔法とも言うべきコモンマジックの『浮遊』や『念力』すら使えないルイズが行うのでは、ほぼ手作業である。
一日作業は見ておくべき教室の惨状だったが、彼女の使い魔たる耕一は、エルクゥたる膂力を遺憾なく発揮した。
「……あんたの力って、改めてとんでもないわね」
「お褒めに与り光栄で」
教室の端まで吹き飛んでいた教卓を片手でひょいっと持ち上げて運んできた耕一に、ルイズは呆れたように呟いた。
単純に重い物を運ぶ、というだけなら、トン単位にでもならない限り、エルクゥの身体能力にとっては児戯に等しい。
人を狩る鬼の力を土木作業なんかに使うのはどうかとも思うが、そんな悩みはこの一年でとっくに割り切っていた。あるものなら使って人の役に立てばいいだろう、と。
今では、押しも押されぬアルバイト先でのエースだ。いや、しばらくバイトには出れないであろうから、だった、と言うのが正しいか。
「……はぁ」
力仕事は耕一に任せ、机などについた爆発のススを拭いていたルイズの手は、止まりがちであった。
「……あんまり気にするなって。先生も言ってただろ? 失敗は成功の母ってね」
「……ずっと失敗しかない私はどうなるのよ」
押し殺したように呟く様子に、だいぶ重症だなあ、と頭を掻く耕一。
「『サモン・サーヴァント』と『コントラクト・サーヴァント』には成功したから、今度こそ出来るかもって思ってたのに……」
「魔法成功確率ゼロ……あのあだ名は、そういう意味だったんだな」
「……そうよ」
「ま、その二つは確実に成功してるんだ。当事者である俺が言うんだから間違いない。他の魔法もだんだん出来るようになるさ」
キッ、とルイズが目を剥いて耕一を睨みつけた。
「簡単に言わないでよっ! 魔法の事を何にも知らないくせにっ!」
「……そう言われると、その通りだから何も言えないけどね。でもま、ゼロじゃないのは確実だと、このルーンが出てきた時の俺の痛みに免じて認めてやってくれよ。結構痛かったんだぞ、あれ」
「ふんっ……」
鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまったルイズに、落ち着くのを待つしかないか、と耕一は肩をすくめ、無言で作業に戻った。
ルイズはしばらく俯いたままだったが、やがて顔を上げ、
「……まぁ」
「ん?」
「……かばってくれたのは……ありがと」
蚊の鳴くような声でそれだけ言うと、雑巾を洗ってくると言って教室から走り去っていってしまった。
「はは。なんだか、野良猫が少しだけ撫でさせてくれたような感じだな。―――っし! 頑張りますかっ」
苦笑しつつも和んでやる気の出た耕一の奮戦により、なんとか昼休みの前には片付けを終わらせる事が出来たのであった。
いつも思うのだけど猫おいておけば良いんじゃないかな
支援
「やれやれ、なんとか昼メシには間に合ったか」
「…………」
先生への報告を終え、食堂へ向かう最中、ルイズは口を開かなかった。
まだ機嫌が悪いんだろうか、と耕一もそれ以上は喋りかけないが、その実は……。
―――ヴァリエール公爵家の三女ともあろう私が、ちょっとぐらいかばってもらえたからってこんな正体不明のヤツにお礼なんて、お礼なんてっ……!
……ただ恥ずかしがっているだけであった。
「それじゃ、また厨房で食ってくるな」
「…………」
無反応のルイズに苦笑しながら、耕一は食堂の裏手に回る。そこには、ちょうどゴミを捨てに出ていたシエスタがいた。
「あ、コーイチさん。お昼ですか?」
「うん、またご馳走になりにきたよ」
「はい、わかりました。どうぞ」
勝手知ったる3回目。端のテーブルに腰かけ、出てきた賄い料理をいただく。
「どうもマルトーさん、ごちそうさま。今日も美味しかったです」
「おう。いつでも来いよ!」
膨れた腹を一撫でして、ちょうど通りがかったマルトーに一礼して退出。
まだ2日目だが、人間関係は悪くない。一から人と触れ合うなんて、母さんが死んで大学に入ったばかりの頃以来だな、と、耕一は少し懐かしくなった。
「さて、昼からも授業に出なきゃいけないのかね。出来ればコルベールさんか校長先生と話したいんだけどな……」
食堂の入り口でルイズを待つ間、これからの方策を練る思索の時間があった。
「……もし、ルイズの言う通り、そんな方法はないとか言われたらどうしよ」
ぞっとしない想像だが、しておかなくてはならなかった。
諦めるという道はない。この身は、常に楓と共にあると誓ったのだ。何を置いても戻らなければならない。
……とはいえ、いざ何かを置いていかなくてはならなくなった時、基本的にお人好しの耕一がそれに背を向けられるか、というと、耕一自身もあまり自信はなかったが。
これまでも、最優先で教師に話を聞くべきなのに、ルイズに付き合ったりしているし。
「あてもなく旅に出るのは最終手段として……」
なんとか、大人連中の協力を取り付けたいところだ。
しかし、例え善意溢れる人達だったとしても、異邦人で立場も弱い自分のあてもない頼みを熱心に探してくれるわけもない。
本気で探してもらうには、相応の代価を払わなくてはならないだろう。そして、一介の大学生でしかなかった耕一が持てる代価は、ただ一つ。
支援いたすっ
「……交渉の材料が、この力しかないってのがなぁ」
右手を見つめて、一人ごちる。
現在の事態を先に進めるには、何にせよエルクゥの力を振るうしかない。
割り切ってはいるし、それが都合のいい借り物でもなく、耕一自身の意志によって得た力だと言う事も理解しているし、実際アルバイトの肉体労働でも大活躍させているのだが、やはりこう、釈然としないものは残るのだった。
「祖父さんなら、もう少しスマートにやったんだろうか」
一代で鶴来屋を立ち上げた祖父、柏木耕平。
自分が生まれた頃には既に故人となっていたから話だけしか知らないが、彼も鬼を制御した雄のエルクゥの一人らしい。
おそらくその興業史には、召喚されたばかりの頃耕一がやったような、鬼氣によって人を威圧する、みたいな行動も織り交ぜていたんだろう、と推測していた。
まっすぐ脅しに使っては、『社会での影響力を持つ』というその目的に添わなくなってしまうから、あくまでもさりげなく、交渉を有利にする程度、だろうが。
「……ま、何とかするしかないよな」
何とか出来なければ楓ちゃんに会えなくなるかもしれないのだ。うまくやるしかなかった。
「…………」
思索が一段楽して、耕一の横を幾人もの生徒たちが通り過ぎていっても、ルイズは現れなかった。
「……ルイズちゃん、遅いな」
昨夜も朝も、こんなに時間は掛からなかったと思うんだけど。
昼食はメニューが違ってとりわけ時間が掛かる……とは、厨房を見る限り思えなかった。
入り口を覗き込んで、中の様子を窺ってみる。
「うーん、あのピンクの髪かな」
2年生の食卓である真ん中のテーブルには、それらしき桃色の髪が見える。
隣には背の高い、赤い髪の女性がいる。確か、キュルケと言ったか。彼女と何がしかを話しているらしかった。
「友達と話してるのか。うーん、どうしようかな」
まだ時間があるようだったら、一言断って、先生に話をしに行ってみようか。
「……そうだな、そうするか」
拙速は巧遅に如かず。まぁルイズに従っている時点で既に拙遅なのかもしれないが、大人の協力を取り付けるための処世術と言う事にしておく。
耕一は食堂に入り、ルイズに近寄っていく。
その途中。
「なあギーシュ! お前、今は誰と付きあっているんだよ!」
「誰が恋人なんだ? ギーシュ!」
「付きあう、か。僕にそのような特定の女性がいてはいけないのだ。薔薇は多くの人を楽しませる為に咲くのだからね」
そんな会話が聞こえてきて、耕一は身体中が痒くなる感覚に襲われた。
っすたい援支
プレイボーイをキザに気取ったナルシストなんて、現代日本じゃ芸能界でもまずお目にかかれない人格だ。さすがファンタジー世界。
輝くような金髪のクセっ毛、確かに整った目鼻立ち、ドレープが親の仇のごとく付いた飾りシャツに、手に持った薔薇―――と、そのシャツと薔薇には見覚えがあった。
さっきの授業で、ルイズをからかっていた一人だ。隣には、反論したらあわあわと泡を食っていた小太りの男子もいる。そう、確かにあの時も、彼はギーシュと呼ばれていた。
ああいう人種に関わるとロクな事がない、と現代で培った人を見る眼で察知し、そそくさとルイズの所に向かおうとする耕一だったが、運命は彼を見放さなかった。
耕一が視線を外そうとした時、ぽとり、と、ギーシュ少年の懐から、小さな小瓶が落ちるのを見つけてしまった。
本人も友人も、小瓶に気付かずお喋りに興じている。やれやれ、と肩をすくめながら、ころころと転がってきたそれを拾い上げた。
「はい、これ、落としたよ」
ギーシュに向かって差し出す。
しかし、ギーシュはそれをさっと視線で一瞥しただけで、すぐに視線を外してしまった。顔は向けてすらいない。
「どうしたんだ? 君のじゃないのか?」
「……ああ、そうだ。それは僕のじゃない」
どこか潜めた声で、視線をキョロキョロさせながら、ギーシュは言う。
その様子に、耕一は察知した。これを持っている事が、視線の先にいる誰かに知られたらまずいんだな、と。
「うーん、そうなのか。確かに君の懐から落ちたのを見たんだけどな」
本気で困らせるつもりもないが、クラスメートの女の子にあんな態度を取るような男には少し意趣返ししてもバチは当たらないよな、などと自分を正当化しつつ言って、それを目線の高さまで掲げ、光に透かしてみる。
背の高い耕一の目線の高さは、おそらく食堂中の全員に見える事だろう。中には紫色の液体が入っていて、ゆらゆらと揺れていた。
ギーシュは、それを下げろそれを! と必死に目で訴えかけてくるが、丁重に気付かないフリをした。
「それじゃあ、これは先生にでも届けておくよ。呼び止めてごめんな」
「あ、ちょ、ちょっと待ちたま」
ギーシュが慌てた様子で言う前に、バン! と甲高い音が食堂に響いた。
それは、豪奢な巻き髪の少女が、立ち上がりつつ両手でテーブルを思いっきりぶっ叩いた音だった。
そのまま無言で、つかつかと耕一達のところに歩いてくる少女の周囲には、青白いオーラのようなものが幻視出来たであろう。
「ふーん。そう。これ、あなたのものじゃないんだ?」
「ああ、モンモランシー。今日も美しいね。君の宝石のような髪が、陽に照らされて輝いているよ」
耕一の手から小瓶をひったくり、ギーシュの目の前に突きつける少女。その鬼気迫る声(となりに本物の鬼がいるのだから、まさに文字通りだ)に、隣の太っちょ男子などは震え上がっている。
ギーシュは芝居がかった仕草で少女を誉めそやすが、それを見た100人中100人は、それを言い逃れと断ずるであろう。事実、その額には冷や汗が一筋伝っていた。
「紫の香水をあげた意味、あなたならわかっているんでしょう? ギーシュ」
「ああ、そんな顔をしないでおくれ、我が宝石たる『香水』のモンモランシー。そんな怒りの表情で、薔薇のようなその顔を曇らせないでおくれよ」
「それを、自分のものじゃない、というのね? そう……あなたの気持ち、よーーーっくわかった、わっ!」
「ご、誤解だモンモランぴぎぃっ!?」
モンモランシー、と呼ばれた巻き髪の少女は、ギーシュの並べ立てるおべっかを丸無視して自らの言葉を紡ぐと、テーブルにあったワインの瓶を引っ掴み、バットのようにギーシュの側頭を一撃の元にしばき倒した。
ゴキーンという鈍い音と、ガシャーンという甲高い音が同時に響き渡り、ギーシュはひっくり返って昏倒し、ガラスの破片とワインの海に沈んだ。
「さようなら。残念だわ」
そして、足音を響かせ、肩をいからせて、モンモランシーは食堂を出ていってしまった。
呆然とする耕一とギーシュの友人達。
ギーシュ本人は、頭からワインの染み込んだ絨毯に突っ伏していてピクピクと数回引きつるような痙攣を起こした後、むくりと立ち上がり、
「……やれやれ。キレイな薔薇にはトゲがあるものだね」
そう大仰に頭を振って、ワインに濡れて真っ赤になった頭を、どこからか取り出したハンカチで拭き出した。
……あのルイズといいこのギーシュといい、なんで吉本新喜劇みたいなオチをつけたがるんだ、と耕一は思わずズッコケたくなった。なんだ、この世界の貴族は、何かチョンボをやらかしたらオチをつけて周囲をズッコケさせなきゃいけない決まりでもあるのか。
だが、騒動はそれでは終わらなかった。
別のテーブルに座っていた、茶色のマントを羽織った少女が、弱々しくギーシュ達に近寄ってきて、
「ギーシュさま……」
その栗色の髪をふるふると震わせ、涙を流し始めてしまう。
「やはり、ミス・モンモランシと……」
「誤解だよケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは、あの清浄なる森の中での君の笑顔だけなんぷべらっ!?」
ばちーん! といい音がした。
先程モンモランシーに対していたのと変わらぬ調子で美辞を並べるギーシュの頬を、ケティと呼ばれた少女は思いっきり振りかぶった平手でしばき倒した。
ぐちゃっ、と、濡れた音を立てて、再びワインの海に沈むギーシュ。
「その香水があなたの懐から落ちるところ、私も見ておりました! さようなら!」
涙を止めないまま、ケティは走り去っていった。
「だ、大丈夫かギーシュ?」
太っちょ男子が、崩れ落ちているギーシュを足の先で突っつきながら心配した声を上げる。
ギーシュは、まるで幽鬼のように、ゆらり、と立ち上がると、大仰に頭を振り、肩をすくませた。
「……どうやらあのレディ達は、薔薇の存在の意味を理解していないようだね」
この期に及んでプレイボーイを気取るつもりらしい。
愛憎の修羅場を特等席で見させられてお腹いっぱいの耕一は、ため息と共に肩を落とし、ルイズの元に向かおうと踵を返した。
「待ちたまえ」
「……何か用かい?」
呼び止められて、仕方なく振り向く。
ギーシュは、モンモランシーに殴り飛ばされるまで座っていた椅子に優雅に座って回転し、すちゃっ! と器用に足を組んで、薔薇を構え、
「君が軽率に、香水の壜など拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついたではないか。どうしてくれるんだね」
びしぃっ! と、耕一に薔薇の先を突きつけた。
MOTTMOTT支援
「…………意味がよくわからないんだが」
本気で意味がわからず、眉をひそめてそう聞き返すしかなかった。
ギーシュは、これだから学のない平民は、とやはり大仰な仕草で頭を抱えるフリをした。
「まったく、僕が知らないフリをした時に事情を察し、話を合わせて壜を目に付かないところにしまうぐらいの機微を持ってから学院に奉公したまえ。レディたちの涙は、君の不甲斐なさのせいだぞ」
ものすごい言い草だった。周囲の友人連中も、ぽかんとしている。
―――ああ、つまり、八つ当たりなのか。
耕一は、ギーシュの顔が(頬に出来た大きな紅葉は別として)赤くなっているのに気付いて、そう思った。
「……いや、どう考えても二股をかけてたお前のせいだろうが」
「な、なに?」
子供の八つ当たりぐらいは受け止めてやるが、さすがに二股男の八つ当たりを受ける気にはなれなかった。
「たまたまバレただけで、俺が香水を拾ったのはただのきっかけだろう。もっと言うなら、二股とは言え恋人に貰ったプレゼントを、気付かずに落とすようなところに仕舞っておいた上に、誠実に対処せず誤魔化して切り抜けようとするような奴のせいだな」
「な、な、き、貴様っ! 貴族を侮辱するかっ!?」
「阿呆。侮辱してるのはお前だ。お前。貴族扱いされたいなら貴族らしい事をしてからにしろ。それとも、ここでいう貴族ってのは、二股がバレたら必死に誤魔化そうとして女の子を泣かすような奴の事を言うのか?」
耕一が言い捨てると、ギーシュの顔が真っ赤になった。食堂内が騒ぎに気付いて騒然となってくる。
反論が浮かばないのか、耕一を睨み付けていたギーシュが、何かに気付いたように口を開く。
「……君、どこかで見た事があると思ったら、思い出したぞ。さっきの授業にいた、ゼロのルイズの使い魔だな」
「ま、そういう事になってるね」
「ふん。学院への奉公人ですらない平民に、貴族への礼儀を説いても無駄だったか」
「二股がバレたら必死に誤魔化そうとして女の子を泣かした後に他人に八つ当たりするような子供に対する礼儀ってのがあったら、是非教えてくれ。俺には、張り倒して躾るぐらいしか浮かばないんだ」
ギーシュの顔が、剣呑に歪んだ。
「……よかろう。君に礼儀を教えてやろう。ちょうどいい腹ごなしだ」
ギーシュは、右手を覆っていた白い手袋を外すと、持っていた薔薇と共に耕一に投げつけて、大きく宣言した。
「決闘だ!」
支援
以上です。規制は大丈夫だったようです。ありがとうございました。
楽しんでいただければ幸い。
乙
ワルキューレ大丈夫かねぇ。
gj
>>745 糞つまらんだろ、常考。
お前、あれか?
度々来てはしつこく「謙信ちゃん、謙信ちゃん」言ってる例のアフォか?
エルクゥの人、乙!
ギーシュは気持ちいいほどフルボッコされるんだろうなw
ふと思ったんだが、フーケやウェールズ、コルベール、他先生達って使い魔いないの?
そろそろギーシュが可哀想になってきた乙w
あ、エルクゥの人乙です。
789 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/04(金) 14:57:08 ID:XMw7cy4v
「デコトラの鷹」から飛田鷹一朗とデコトラを召喚したって言う
SSって書いてもいい?
>>743 逆だから「あ、タイヘーン」と合いの手が入ってるんだぞ
と、そこで言えないとな
元祖も神アニメだけど、バカボンと言われると平成版のタリラリランロックンロールの方思い出深いなぁ
なぁ
>>593って絵本の本文丸写しで、女の子の名前をルイズに変えただけだろ
こういうのマズくないのか?
元ネタ知らんから面白いのかどうかわかんなかったけど
そうなん?
>>793 それが本当なら救い様がないですね
割り込み 丸写し 痛すぎる
痛いこ痛いこ飛んでけー
作品以前に書き手が駄目なのはスルーしておこうよ。
誰も指摘しないなら、お前等<ノ丶`Д´>ノ マンセーするだろwww
この際烈火の炎のキャラ召還させようぜw
果報は寝て待て。
ちょっと違うか…
801 :
燃料投下:2008/04/04(金) 18:43:08 ID:kinpg3B+
華麗なる食卓
「お前 カレー好きか?」
「カレー?何それ」
すべておいしいカレーを食わせる事で解決
「決闘だ!」
「何故キッチンが置いてあるんだい?」
「貴族だから得意の魔法を使うんだろ?だったらこっちはコックだから得意の料理で勝負を付けるに決まってるじゃないか」
「そ、そんなの卑怯だぞ!」
「じゃあ魔法で料理作ってみろ」
「ぐぬぬ」
ワルド
「使い魔の実力、見てみたくてね勝負しようじゃないか」
「・・・いいだろう」
「ルイズ、なんでここに?」
「ワルドが決闘するから立ち会えって・・・」
「(あの野郎)」
「風の偏在!」
おおっとワルドが分身して料理を分業して凄いスピードで作っている
「ぼ、僕の負けだ・・・何故だ!最高級の素材を使ったのに!」
「人数だけ揃えても勝てるわけないでしょ・・・」
「アホ」
「ガーン orz」
失われたナルニア国から大いなる獅子アスランを召喚するのじゃ
>>802 間違えてSEEDから自爆直後のアスランが召喚されました
うまいことやって女性陣とウハウハなんですね。
わかります
では聖痕のジョカから聖痕王アス=ランになった
……フーギで
間違えてヅラが召喚されました
>>803 自爆の余波で頭頂部が月代(さかやき)のようになっているんですね。
そして、「王権同盟」の締結と時を同じくして、コッパゲとの「毛根同盟」がなると。分かります。
>>805 フーギ「使い魔なんぞ嫌だ兄貴にならなってやるぞ」
ルイズ「ふざけんじゃないわよー!!」
フーギ「助けてほしい?なら呼べ。『お兄さん』と」
ルイズ「……お…お兄さん……」
フーギ「フフフ……」
ギーシュ「あ!なんかフーギのパワーが上がってる!」
新聖痕のジョカだったかなフーギが変態だったのは
>>808 タバサとテファにお兄ちゃんって呼ばれてみてぇ……
ハーメルンのヴァイオリン弾きのオル・ゴールをアルビオン側が召喚
>>802 ルイズとの相性の良さならネズミの騎士リーピチープですよ!
>>811 何をどう間違えたのかトムとジェリーのジェリーが召喚されました。
>>813 それはあれだ、だれかこんな事言った記憶がある
つ「虚無とジェリー」
誰が上手いこといえt
>>814 ギーシュやワルドとかクロムウェルの身体が強化されてそうですねww
鉄板にプレスされても大丈夫なくらいw
ライダー系や戦隊系召喚とかはたまにいうやついるけど誰も宇宙刑事召喚は言わないな・・・
仮面ライダーと戦隊モノはシリーズ化していたし、
しかもライダーは昭和モノは一応繋がっていたから
それ繋がりでファンが増えていったけど、
宇宙刑事から始まったメタルヒーローモノは一応ひとくくりにされているけど、
宇宙刑事とレスキューチームシリーズぐらいしか繋がりがないから
ファンが単体で完結しちゃうんじゃないかな。
宇宙刑事はギャバンしか知らないけど、基地が無いとコンバットスーツ装着できないはずだから
召喚されないんじゃないか?
超次元高速機ドルギラン、というか電子星獣ドルを召喚する。
オプションとしてギャバン隊長が付いてくる。
これで、強過ぎるということ以外は問題なし。
マクー空間がハルケギニアにつながっているとか
草加雅人とかをな
まとめ見てアティが召喚されているのを発見したのに更新途絶してた…orz
召喚術の設定とかもおいしいけど、タコヤキ絡みの話とかを期待していただけに残念だ。
そして戦乙女の人、レナスが偽名を名乗るのならゲーム中に名乗っていたメリルでいいのでは?
宇宙刑事で何故か思い出したが、シャンゼリオンの続きまだかなぁ……
あの異常に軽いノリが大好きなんだ
824 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/04(金) 20:50:05 ID:q8UaQvvr
トップをねらえ!ノリコとカズミ(最終決戦後)を召喚
努力と根性で螺旋族を超える。
>>820 でも「宇宙刑事として」装備を「私的に」使うギャバン達は考えたくない
と言う事で装備無くても強い宇宙刑事の「宇宙刑事アラン」を召喚すると言うのは?
虚無繋がりでFF5のエクスデス召喚。
ここはいっそ超星神シリーズからですね……
だめだポチ呼ばわりされるブレやん(@超星艦隊)の姿した想像できない
マトリックスからネオ・・・
「あなたがモーフィアス?」
「違う、時間が無い、ここに青と赤の錠剤がある 略」
そういやエクスデスって枝なんだよね
植物生命体とかは属性的にどれになるんだろうか
>>831 風か土かどっちかだろうな
四元素的には土、五行的には木行で風
>>826 アレって虚無じゃなくて無じゃなかったっけ?
それよりも個人的にはベルセルクの敵側の陣営から人が呼ばれて欲しい。
グリフィスとか新生鷹の団幹部とか。ただ、ゾッドが来たら血の海が出来そうだなw
しかし、幹部はグルンとロクスくらいしか呼べないよな。他は謎すぎるから。
>>834 素直に使い魔やってくれるとは思えんよ。
>>833 風水火土+虚無というのは四元素+エーテルというイメージだから土かな。
>>831 正確にはムーアの森の木の一本に負の念が宿って誕生した。
だからトゲに化けたりネオじゃない方のラスボス仕様の姿の大部分が木。
疲れた
ホウ砂と洗濯のり買ってきた
これと水混ぜればいいんだよな
絶対部屋に入るなよ
トライガンの世界から誰かこないかな
>>838 スライムを召喚すると言ってるのだな
ならばバスタードに出てきた服のみを溶かすスライムを希望する
おおー、エクスデスにもそんな設定があったのか。
ついでにバッツの続きを希望しておいてみる。
………ハーレムパーティー、いいなぁ。
そして全裸になるコルベール
843 :
838:2008/04/04(金) 21:49:50 ID:40sC3Poy
ヤバイ
尿道が痛くなった上に張り紙しておいたのに妹が入ってきた
> ID:40sC3Poy
一度書き込んでいるスレタイを確認してくれ。
いっそワイルド7から飛葉大陸警視長を、愛車のホンダ・ドリームCB750FOURごと召喚
しようぜ。弾丸やガソリンはコルベール以下協力者が錬成してくれそうだから問題なさ
げだし、移動にも後部座席にルイズとかを乗せられるから便利そうだし。
>>808-809 わかった、うまく入れられそうなら啓太が妹数人作る展開にしてみる。
↑違う
う〜む
>>799で書いた烈火のキャラを召喚するSS誰が何を召喚するかを考えたが俺の文才では書けね\(^o^)/
ところで今まで気になってたんだがSSって何の略なんだ?
>848
親衛隊
>>848 射撃が下手でも、演説が上手ければ入れる。
ここは野沢那智声のサイコガンを持つタフガイを
虚無の使い手であるルイズが、虚無に似た属性の魔法を使う
「自称」美少女を召喚するのはどうだろう?
>>848 サイドストーリー
ショートショート
スペシャルシーン
スーパースターマン
好きなように解釈しておk
ゴッド・オブ・ウォーからクレイトスさんを。
ただでさえゴッドなのがガンダールヴ効果で100ヒットコンボも余裕で達成。
問題はギーシュの生存率が限りなくゼロに近くなる事だが。
>>852 死んだはずの宇宙海賊なら小ネタでもう来てるぜ
バスタードのキャラ、誰か召喚しないかなぁ…
だが、主天使(ドミニオン)を瞬殺した時のルーシェ(ルシフェル)なんてもん出された日には…w
>>857 見逃してたw
サンクス
でも、長編も見たいな…
書きたいけど宇宙海賊の独特の台詞回しが難しそうだ。
美的センスゼロの使い魔
すごい好きなんだけど続き書いてくれないかな・・・・・・
>>851 少佐、何やってんですか。
ヘルスレに帰りますよ。
>>848 死者蘇生
スタースクリーム
試行錯誤
しゅらしゅしゅしゅ
さぁ選べ
>>855 と言うか、予想される内容的に避難所行き確定だな。
だって、キュルケとガチでギシアンするだろうし。
燭台とかガッタンガッタン揺らして。
SSはセガサターンの略に決まってるだろ。
そういえばネバーエンディングストーリーの主人公って
虚無からファンタージェンを守るんだよね。
最初はキョムって名前の敵だと思ってたのは秘密。
個人的にはSSよりFF(ファンフィクション)の方が意味が通ると思うけどね。
日本じゃSSと呼ぶ方がポピュラーだが。何故だ?
なのは厨、あるいはとらハ厨にとってはサウンドステージ
>>868 元はショートストーリーとかショートショートとかサイドストーリーとかの略で、
本編で語られない幕間劇みたいなのを短編で書くものをSSと読んでいたはず。
それがいつしか二次創作小説全般を指す語に転化したんじゃないかな。
SSっつったら生活指導委員会だろ!
>>868 FFだとファイナルファンタジーと被るからじゃないかな。
語感的な差別化は大事。
セガサターンの略称は、表記上はともかく普通に会話する分には使わんし。第一セガ、シェア争いに負けたしな
ソードストライクが出た俺は連ザのやりすぎ
S水銀燈
S新鋭隊
つまり党員たる俺の事。
SS・・・・最初に思い出した言葉が 左藤、鈴木
どっかで水鏡が召喚されてた気がするが…。
確かNTだったっけ?
何呼ぶにしろ、ラスボスは森光蘭だろうなぁ…。
いぬかみの人はそろそろ文章が洗練されてきてもいいころなんだが
一向に文章力が上昇しないのはどういう訳だ?上昇志向がないだけか
いぬかみ非難すると必死な人がわくよ
よしっ!みんな野球やろうぜ!!
俺三塁塁審やるわ!
MÅR から誰も呼ばれてないけど何故だろ?
ÅRMとゼロ魔世界の魔法とか中世っぽい世界観とか良く似てるから合わせ易いと思うんだが
>>877 単純に君に読解力がないだけではないのだろうか
>>881 あまり世界観が近いと、逆にクロスする楽しみが減るんじゃないかな、たぶん
特撮とかロボットがよく呼ばれるのも、ギャップが書いてて楽しいんじゃない?
マーはあれだ。
ドロシーは俺の姉
読んでて死にそうになるからさ
>>884 お前俺のことお義兄さんって呼んでもいいぜ
>>877 気持ちはわかるがそういう書き方は避難所で。
推敲をもう少し丁寧にして欲しい、とかそのへんで。
>>887 宇津帆島在住の学生乙(笑。
しかし蓬莱学園世界の住人だとうっかりゼロ魔世界に存在していても違和感が無いような気がする(笑。
90年動乱の時に月光洞から空洞世界へ残った生徒の一部が何故か6000年前のハルケギニアに行ってしまったとか。
その場合応石の立場はどうなるかとか。
しかしわかりやすいなあ
粘着してる発現がどれも単発IDだ。
繋ぎなおしてマルチポストしていた手口がまるで同じ。
でもって先日は何度も見抜かれたので同じIDでひたすら毒吐き。
一人だけ粘着してるのが丸わかり。
それと、好きの対義語は嫌いではなく無関心ね。
誰も読んでくれない、無反応、支援もなく乙すら無いのが一番へこむ。
読んでもらうのが第一の目的だから。メタくそにこき下ろされるのはまだいいほう。
内容についてとにかく読んでくれる程度には感心持って居るってことだから。
さらに。敵さえも味方にする、ってのは、内応などで敵を寝返らせる、
ってだけでなくて、自分に敵対している連中ですらうまく利用するという意味を含む。
毒吐き支援でも支援は支援、ありがたい限りだとほくそえんでるかもよ?
毒吐き支援がありがたいならがんばって支援するって奴増えるんじゃないかねw
辞書的でない定義を堂々と押し付けるのは辞めましょう
>>890 応石はすでに独自の意思を持ってるわけだから精霊みたいなものじゃないかな?
ただ、傷石が来てたらこわいな
要するにおっぱいの話がしたいんだろ
タバサのちっぱいはもらってくわ
非難されると単発ID乙(笑)
いつもこれだよ
>>891 630 名前:いぬかみっな使い魔 投稿日:2008/04/03(木) 23:44:34 ID:spQ10/kd
時に。
支援ありがとうございました。
と申し上げたいのですが、HgyH/jES 以外の方に対してのみ述べさせていただきます。
こういうのは”ほくそえむ”と言わない。
899 :
ちょい疑問:2008/04/05(土) 01:34:53 ID:cORNkx8n
ハルケギニアでの、錬金ってどのていどのことができるのかな?セラミックやカーボンファイバー
ジュラルミンやチタニウム合金その他を、見本を元に作れたりするのだろうか?
もしトリステインの土系統メイジの実力がその程度あれば、ロボットや高性能兵器を召喚するハードル
がかなり低くなるのだが・・・<一応原作は一通り読んでるけど、詳しくページを引くのが苦手で・・・
>詳しい人、お願い!
青銅という合金が作れて、ジュラルミンが作れないわけがない。
ただ、ドットでできるかどうかは、作者次第じゃねーの?
902 :
追記:2008/04/05(土) 01:41:03 ID:cORNkx8n
ついでに、ニトロセルロース・ニトログリセリン系の無煙火薬とか、いわゆるプラスチック
(ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリ塩化ビニル系)も錬成できたりする
んだろうか?
>>899 ゼロ魔のパーフェクトブックだか何だかに
コルベール先生がゼロ戦の装甲を指して、今の我々には作れないとか言ってたな
>>897 毒吐きがあるのにそこでやらないんだからロクな扱いされなくても仕方がないと思うな
>>852 ツンデレルイズも堪らず惚れる三枚目のイイ男か、俺も是非読んでみたいなw
でもただでさえ強力なサイコガンがルーン効果で強化されたりなんかしたらハルケギニアごと吹っ飛ぶんじゃないのかw
>>897 図星を指されると人間は怒るの。
だから言葉遣いを考えるの。
それが嫌なら避難所行けってば。
>>902 まず化学式を教える必要がありそうだが…。まぁ結構勘でガソリン錬金したりしてるしできるかも試練。
そこまでいくとされ竜の世界になってしまいそうだが。
召喚するとしたら咒式用の弾丸がネックだよなぁ。前衛系なら何とかなりそうだが。
いぬかみって「おもしろい」「つまらない」で語られてたか?
作者ウザい、イメージワロス、俺設定ktkr、くらいしか見てねえ
内容に関しては無関心、書き手の言動には興味津々、ってとこじゃね?
何でそれを毒吐きスレで言わないの?
>>910がどんなに説得力のある言葉を吐いたとしても、それを発する場所を選ばなければ誰も耳を貸してくれないよ。
他人の言動を正そうとして、自分がルール違反していたらどうしようもないでしょう?
荒らしに反応する奴も荒らしという言葉を知ってるかい?
そろそろかわいそうな毒吐き人も満腹するくらいには相手してあげただろうし、
毒吐きスレに、移動しようぜ?
な?
本スレはやはり厨房の溜まり場か
ここまで腐ってしまったらもう元には戻せないな
480K超えたから次スレ作ってくる
>>902 ルイズたちの履いてるニーソをどう捉えるかによる
あれが綿あるいは絹とゴムだけで出来てると考えるならプラスチックは無理かもしれないし
もしナイロンやウレタン、ポリエステルが使われてると考えるならプラスチックの練成が可能ということになる
個人的には化繊やガーターベルト無しにあのぴっちりとしたオーバーニーを維持するのは難しいと考えるが
無論ニーソや絶対領域にそのような考察は無粋であると考えるのもまた自由だ
あの素晴らしきニーソに秘められた謎はかくも遠大かつ深遠であ(ry
つまり、ニーソは魔法の産物なんだよ!!
つまりニーソは男心を惑わすマジックアイテムであるとそういうことですな
わかります
>>920 これほど説得力に溢れた書き込みははじめて見たぜ。
次スレ乙です。
次スレ乙。
召喚シーンのみで終わっている話を、別の人間が続き書くのは不味いかな?
>>924 個人的にはアリだと思う。
召喚シーンや序盤だけ書いて後は放ったらかしにしてる人とかも結構居るけど、
読み手としてはその続きの話も読んでみたいというのが正直な気持ちだからね。
でもどうせなら最初から召喚シーン込みの話を自分で書いてしまえば良いんじゃないかとも思う。
ちゃんと承諾とれよ?
承諾取れてても九割九分荒れるだろうけどな。
>>924 幾つか前の本スレにも、同じ事を言っている人が居た。
その時、結局どんな感じに話の落とし所がついたかは覚えていないが
個人的に一言。 やめておいた方が無難だよ。
今クロスワード解いてたんだ。
横のキーを三つ解いたら、縦三文字の所に「メイジ」って言葉ができた。
そのキーは「大正の前」だったよ。
ああ、私が思い浮かべたのとは違っていたさ。気をつけないといけないなあ…。
つか召還シーンだけなんだったら、無理に他人の続きにしなくて自分で一から書けばいいだけじゃねえの?
同じキャラが駄目って訳じゃないんだから
オーフェンなんて何人も呼ばれてるし、書けばいいだろ。面白いは正義だ。
ところでニーソは何歳まで許されるのだろうか?
ロングビルのニーソとかは有りなのか?
>>924 一応は新作って建前にしておいて、召喚シーンを極簡潔に流せば、
続きじゃないけど実質続き、みたいな感じにはできるんでね?
俺は許容範囲だ。
たしか23だったろう?
召喚シーンだけの奴を引き継ぐ、という場合よりは、
最初から書いたほうが良いだろうな。
後の伏線を考えると最初の服装や持ち物からきちんと計算して描写したほうがいい。
ポップなんかは冒険終了後に召喚されてダイを探す旅をしていたが、
その時防寒用のマントの一つもつけていないから平民てのは異常。
親父が騎士でお袋が神官だったんだから「一応貴族だけど?」
くらいは頭のいいポップが言っても当然。
そこで召喚したルイズが最初から涙目。俺ならそういう展開にする(w
ダイも親父が竜騎士でお袋が王女だってことくらいちゃんと言えよ(w
作者設定忘れてるとしか思えん!
>>931 十代の、それもほっそりした美しくも儚き少女にしか認められない
ロングビルさんはガーダーベルト一択、ストッキングなぞ邪道
>>933 「ドラゴンの騎士」はそういう種族なんだから、人間の身分・階級とは関係ないと思うが。
ダイが母親がお姫様なんてこと気にかけてるとは思えないし。
埋めと言う事で、一つ汚い妄想を垂れ流させて貰うわ。
俺達から見て、おマチさんにニーソが似合う似合わないは人それぞれ。
で、ここからが問題だ。
恐らくおマチさんは、ニーソを履いたら若干頬を染めつつ『こ、こんな恥ずかしいモノ履かせて何が…云々』とか思う筈だ。
そ れ が い い
本人が、何か似合わないだろうな…とか思ってるのを、適当に理由つけて何とか着させる。
それによって生じる、羞恥心にも似た違和感こそが 正 義 だ 。
ニーソは舐めるものではなく撫でさするものだよ。
>>936 父親と和解した後、母親の事を大事に思うようになっているから、
それを無視して平民だといわせるのはさすがに、と思うよ?
それと、騎士の息子なら貴族、貴族は丁重に扱う。
戦いでぼろぼろになったのをいきなり召喚した、となれば、
ルイズもコルベールも丁重に扱うしかない。
それを無理やり平民と勘違いさせてんじゃあ、原作を知らない上に構成力が無いかと。
そもそも、ダイやポップなら野宿に慣れてるから、ルイズの「衣食住を保障」
なんてヘタレな保護なんぞ必要としないよ?
しかも国一つ崩壊させる魔法が使える人たちですよ?
>>941 原作読め。
ポップの親父は元騎士だ。引退したけど騎士だ。
そして、鍛冶はハルケギニアにおいて貴族の仕事だ。
錬金魔術師が剣を作るんだよ。レキシントン号の大砲も国中の錬金魔術師
動員して鋳造したものだ。
どっちにせよ貴族が親だ。
騎士なんてどこに書いているんだよ?
ルイズ「あんた貴族?」
ポップ「あん? 親父はカール王国の騎士だったぜ。いまは引退して鍛冶屋をしてる。」
ルイズ「元騎士で鍛冶屋!? あんたメイジなの?」
ポップ「メイジなんて下級のいいかたすんな。俺様は大魔道師さ!」
マトリフの弟子を誇りに思ってるポップならこう答えるだろうね。
すまん、素でマアムとの親と間違えていた。
>>944 なにを勘違いしているのかわかった。
カールの騎士なのはポップの父親じゃなくて別キャラの父親だぞ。
しょうがないのでポップのほうは「大魔道師で杖とマントは装備していて当然」
な状況で無理やり平民と間違えさせるなんて強引過ぎる、と改定します。
ダイのほうはそのまんまでOKだな。王子様だ、王子様。
って、ポップは王子様付きの大魔道師か。
しかもお師匠様は王様。やっぱアバンの使徒はすげえな。
『ダイの大冒険』15巻P94のロン・ベルクの台詞を抜粋
>「かつてはベンガーナ王宮随一の鍛冶屋だったくせに、
>いばってばかりいる腰抜け大臣をブン殴ってやめちまって…」
ドラクエで思い出したが、ローレシアの王子はハルケギニアじゃ平民扱いか
勇者ロトの血筋は経年劣化が激しいから困る
竜王やシドーが弱いってのもあるのかもよ?
ローレシア王子は魔力が全部、腕力になってるんだろ
多分
>>949 物理法則も社会制度も違うんだから経年劣化ってのは筋が違うだろ。
第一、ボス戦になればローレシアの王子が主戦力なんだし、
ロトの血筋のうち最も攻撃的な部分を受け継いだとも言えるぞ。
>>934 …ルイズって、儚いか…?
おっぱいが、という回答は予想できるので却下な。
よく考えたらダイは『亡国の王子』なわけで。
確か母親の出身国ってバランのせいで滅亡してたよな?原因は王様自身だけど。
あとダイ大から呼ぶならラーハルトかヒムを…ごめんラーハルトは無理だ。
>>949 ドラクエモンスターズのコミックだと、一切の魔力を持たず「破壊神を破壊した男」として
世界中に恐れられているらしいけどね。
ポップの場合はメイジという言葉がもといた世界で
どういう意味か次第じゃないかな。
たしか魔法使い、っていう意味程度でそれ以上でもなんでないみたいだから
別にどうこう言わない気がする。
ダイの場合は一般の人間とは感覚がズレてるから何とも。
心優しいモンスターたちに囲まれてのんきに育った純粋培養だからな。
父、母については誇りには思っているだろうけど、
父が世界を守る使命を神から命じられた戦士、
母が滅びた国の王女、
ということの人間社会での意味を理解しているかは微妙なんでは。
正直あの世界でも勇者の戦後の再就職は面倒なのでは。
あのアバンですら前のハドラー戦以後はフリーの家庭教師を
やるしかなかったっぽいし。
これ以上はスレどころか板違いだな。
>>955 家庭教師をやるしかなかったのかどうかは疑問だな
あれは後世の育成とかアバンの使徒になりうる人間を探すとかが目的だと思うんだ
騎士としても学者としても食っていけそうな人だし
一番劣化してるのは緑の人だよな。
さあ埋めだ
500kbなら小ネタでドクオ召喚を書く
500kbじゃないけどAAネタ思いついたんで埋めがわりに投下
あるドクオは賭に出た。
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一酸化炭素が充満して死に至る前に
ピンク髪のツンデレ少女が接吻をして
自分を犬にしてくれる事に、生死を賭したのだ
ルイズ「いらんので召喚しません」
960死亡
鬼w
>>960 最近は硫化水素がトレンドだぞ。
練炭は古い。
関係無いけどさヤッターマンって公道を平気で
あの熊ロボに取り付いて移動しているけど
道路交通法違反だよな
ナンバープレート無いし
しかもそのまま海に出ているから船舶免許も持ってないと駄目だろ
ついでにいえば運転していない車両とか船舶って違法じゃないの?
自動運転するにしても運転手が免許持ってなければ逮捕されるだろ
どうでもいい話だが
サイトが元の世界に戻るならばゼロ戦は
航空法に基づいてえーと
航空従事者免許だかをサイトは取得していなければならず
ゼロ戦も型式証明とか国籍を持っていないと駄目で
さらに無線を使うのならば無線の資格も取ってないと違法
帰るのはいいけど
色んな法律を破りまくって
学生でも現行犯逮捕されるんじゃないか
おまけに失踪していたとあっては厳しい取調べがあると思う
ついでに燃料もコルベール氏の密造航空燃料なのだから
脱税?
空とぶ蛇君が付いたままなら銃刀法違反で・・・ってデルフは登録出来るのか?
さらにルイズが一緒に居た場合は密入国でヤバイ
これはサイトが結婚して日本国籍を取るしか無いだろうね
>>965 薔薇乙女の使い魔読んでて思ったよ。
日本とハルケギニアが交流するようになったら
銃刀が改正されて銃刀杖法になるんじゃないかって。
高校は失踪してるから退学扱いになってるだろうし
高校中退で重犯罪者か
マジで帰らなかったほうがよかったんじゃないかサイト
>>965 別に日本国内でそれらのことをやったわけじゃないから、日本の法律で裁かれることはないぞ。
日本人がハワイに行って銃を撃っても合法なのと同じだ。
ルイズに関してはまぁその通りだな。
国籍が存在しないというか、日本とトリステインに国交が存在しないからややこしいことになるが。
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おい、この不気味なものはなんだ!?