あの作品のキャラがルイズに召喚されました part122
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。
(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part120(実質part121)
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1205336017/ まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/ 避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/ --------------------------------------------------------------------------------
_ ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
〃 ` ヽ . ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
l lf小从} l / ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,. ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
((/} )犬({つ' ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
/ '"/_jl〉` j, ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
ヽ_/ィヘ_)〜′ ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!
--------------------------------------------------------------------------------
_ ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
〃 ^ヽ ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
J{ ハ从{_, 本スレへの投下で問題ないわ。
ノルノー゚ノjし ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
/く{ {丈} }つ 本スレではなく避難所への投下をお願いね?
l く/_jlム! | ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
レ-ヘじフ〜l ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。
--------------------------------------------------------------------------------
,ィ =个=、 ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
〈_/´ ̄ `ヽ ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
{ {_jイ」/j」j〉 ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
ヽl| ゚ヮ゚ノj| ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
⊂j{不}lつ ・次スレは
>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
く7 {_}ハ> ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
‘ーrtァー’ ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。
● 「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃ ● ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘ よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃ おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃ (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃ どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃ たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃ ね・え・かたをっかしてよっ
┃ す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃ き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃ ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃ だからすぅきぃよっなんていわない
┃ のんのんのんどっこかへいったら
┃ ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん ・・・だぁって
┃ ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃ あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
実例を見た事が無いなら「Z武」で過去ログ検索するよろし
1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり
このぐらいまで単純化できそうな気がする。
爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会
最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち
>>16 爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり
乙>1
おみゃーさんそりゃほっほっだよ〜。
乙。
だが
>>2-4ってテンプレに入れなくてもいいんじゃかなろうか
>>1 なぎはらえー
_ ィ' __ Ο____
, ―――r/ L/ \ |l\:::ll ll:::/|
ト、 ,. ―┬' ャtァ- " ∠ / ネ// l l l lハ, |lニニニニニニニ!
ヽ,\_,,∠-―く __ z‐く リ尤V尤カ |ヽヽ|l/:::ll ll:::\|
ヽ, ←――‐X爻xxxY 乙 ≧/人 t ┐ノ h / ̄ ̄ ̄ ̄
\「 ̄ ̄| /入,,∨| (,_人 (えハ圦 ソ/∠__
__ 1ヽ !ヘ/ {___,/x.| (_|:::ノ iィ芥-ハ / ,. --―‐
)'ヘ/"リ1 /___/xx.ハ ( |Σ_ィ| . !!V::ソ/∠___
ヽ {7. /__lxXX∧ _≧_:::/λ >' ---- ――
| ', {__,,|X]]>ー‐┴ 7" 、<`丶ヽ
リ リ 、 | |]>' _ - 7// ∧ l \ ヽ \/
ノ、∧ く\ __,,7ー∠,,__ ,〃 :l /: ',|_\V -‐┬
>>1乙
専用スレ一覧とかのっけなくていいんだろうか。
10 :
1:2008/03/20(木) 00:11:59 ID:W+uqD76h
>>6 >>2-4は別に私が入れた訳じゃないです。
そしてテンプレでもないです。
新スレが立つ毎に毎回入れてる暇人氏がいるだけです。
>>1乙
でもさ、
>>3だけは有用な情報だと思う
特にさるさんの部分は
ID:1umKWns6ほどの馬鹿な暇人は存在しない
13 :
6:2008/03/20(木) 00:19:40 ID:ABKTSLRj
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
実例を見た事が無いなら「Z武」で過去ログ検索するよろし
1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり
ネクサス呼ぼうぜ
19 :
1:2008/03/20(木) 00:23:31 ID:W+uqD76h
>>ID:1umKWns6
お前の主観なんてどうでもいいから消えて。
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
実例を見た事が無いなら「Z武」で過去ログ検索するよろし
こっちはいらねえよ。
議論スレでいらないって結論出てるし。
>>18 PAR展開しただけでもの凄い殺戮劇になってしまいます。
プロアクションリプレイを展開したら惨劇にもなるわなぁ
前スレ
>>997 とんでも設定になってるけど二週間前から書いててごめんなさい。
あぁ、門閥貴族令嬢の使い魔として、「絶対の死地」へ同行させられる危機!
ヤン提督、あなたはこの窮地をどう切り抜けるおつもりなのか、是非ともお手並み拝見
させて頂きます。
前スレ埋まりましたな
>>1000ならかるまえんど後のアティ先生召還
……元ネタわかんねぇ
>>24 PARじゃなくてPR… orz
ちょっとノーマルでネクストに挑んでくる。
サモンナイト3だね
ミスった
かるまえんど→カルマエンド
ね
死のう
>>27 サモンナイト3の主人公アティ先生の事だろう……そういやゼロの教師の人、最近来てないな。
二度あることは三度ある。PAだよ正解は…! 俺の馬鹿!
前スレ999、おしかったな。
アティ先生はサモンナイト3の女主人公
既に一人喚ばれてるけどな。
>>29>>31 情報ありがとう
ところで鬼武者ネタはある?
それと人一人ぶら下がっても切れない頑丈なロープ持ってない?
>>32 〃  ̄ ヘ
くリ 7"バlキ〉>
トlミ| ゚ー゚ノlミ| <ある意味、ギーシュらしいわねw
/ミ/ノ水iつミ>
l (く/_jlム! |
レ-(_ハ_)〜l
>>998 >>ヤンならアンアンの無邪気を苦笑しても唾棄はしないと思うけどな
いや、無邪気に、死んできてネって意味の事、言われて苦笑できないと思う…
まぁさすがに第4の方法が、イゼルローン要塞攻略時の敵艦隊司令官の取り扱いみたいにはならないと思うが(w
>>37に同意だよ。
いくらそういう環境に育ってきたからと言っても想像力が無さ過ぎる。
これが考えに考え抜いた結果だとしたら・・・ルイズってアンアンの中で
「死んでも惜しくない人材」って言ってるようなもんだしな。
40 :
松下:2008/03/20(木) 01:55:16 ID:GjGwFtj6
スレ立て、そして提督閣下乙です。ううむやっぱり黒いなあアンリエッタ。
では、復活節(イースター)も近いので、二時から松下を投下です。
第二部のエピローグゆえちょっと短め。
無邪気だからルイズが死ぬなんて思ってないと思うけどな
なんとかしてくれる友人としか考えてなかったはず
けどルイズなら成功すると思った根拠はなんだろ
提督はアンアンの耳に入るような手柄を立ててない気もする
投下開始、冥土注意。
《一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば多くの実を結ぶ》
(新約聖書『ヨハネによる福音書』第十二章より)
アルビオン大陸へ侵攻したトリステイン軍は、謎の反乱とゲルマニアの裏切りに遭い、完全に崩壊した。
そしてゲルマニアの貴族、『ガンダールヴ』のダニエル・ヒトラーが放った魔弾によって、
松下・ルイズ・シエスタの三人は同時に胸を撃ち抜かれ、混沌と怒涛の渦巻く奈落の底へ、真っ逆さまに落下していった。
狂信者、第二使徒シエスタは、まだ松下の体を抱きかかえている。
目の前にはピンク色の髪をした貴族、第一使徒のルイズ・フランソワーズも一緒に堕ちていっている。
ついでに第八使徒の占い杖も。
シエスタは、ごふっ、と血反吐を吐いた。おお、私はまだ息がある、生きている。
たかが胸の肉がえぐれて肋骨が数本へし折れて、左肺に穴が開いただけだ。意識だってはっきりしている。
メシアと第一使徒の体が、あの銃弾の威力を弱めてくれたのか。だがメシアは、心臓を正確に貫かれているようだ。
彼の小さな体から、体温がどんどん失われていく。鼓動も脈拍も呼吸も、ない。
いや、メシアがただで死ぬはずはない。たとえ死んでも生き返るのがメシアだ。彼は自らそう語っていたではないか。
私が、使徒が、メシアの忠実なる『はした女』が、彼を信じないでどうするのだ。どんな時でも絶望は禁物だ!
たとえこれから落ちゆく先が、海の底でも冥土でも、地獄の底でも。
やがてシエスタの周りに、恐ろしげな光景が無数に現れ始めた。
降り注ぐ砲弾と鉄の雨、飛び散る肉片と血しぶき。爆発と火炎、おぞましい悪魔や亜人どもの哄笑。
必死に守るはずだったタルブやスカボローが破壊され蹂躙され、女子供まで虐殺される。
やがて、王都トリスタニアにも外国の兵隊が攻め込んで来た。ガリア、ゲルマニア、アルビオンが連合したのだ。
あの時タルブがアルビオンに焼き尽くされたのよりも、さらに徹底した破壊が行われる。
祖国はバラバラに分割されて滅亡し、女王陛下や枢機卿も断頭台に送られ、民衆の怒号の中で首を刎ねられる。
……人間が死ぬときは、それまでの人生が幻のように現れて見えるというが、これは一体何なのだ。
幻か、夢か、あるいは現実か。
続いて現れた光景は、冥土のようだ。空は黒雲に覆われ、言い知れぬ妖気が漂い、遠雷が轟いている。
無人の荒野、原野、岩山、深い夜の森、廃墟となった古代都市の遺跡。
大鴉や禿鷹や大蝙蝠が飛び回り、野犬が死人の骨を齧っている。
地面には蛇やヤモリや蟲が蠢き、人魂が浮かび、蛆のたかった骸骨たちが醜悪な怪物たちと輪舞している。
向こうに見えるのは、無数の死体が浮かぶ煮えたぎった川。暗い森の中で魔物に追われ、貪り食われる哀れな罪人。
さらに獄卒が彼らを切り刻み、燃える穴に頭から突っ込む。まさしく地獄だ。
見ていると、腕の中にいるはずのメシアがそこへ現われ、地獄の魔物どもを瞬く間に従えて地上へ登っていく。
《地獄も地上も一つの世界にしてしまうのだ!》
魔物どもは大地を突き破って地上に現れ、巨大な都市を襲い、占領する。
するとメシアに似た姿の子供たちが数人現れ、こちらも悪魔や魔物を従えてメシアと戦い始めた。
かと思えば七万人ものルイズが一斉に召喚呪文を唱え、七万通りの使い魔が召喚される奇怪な光景。
老若男女、人間も幻獣も亜人も動物も精霊も、何かの機械らしきものもいる。
彼らはてんでばらばらに動き回り、あるいはギーシュをぶちのめし、ゴーレムや悪い貴族と戦うのだった。
―――恐れるものか! あれらは皆、幻だ! 私とメシアを引き離し、地獄へ引きずり込もうとする、悪魔の罠だ!
この腕の中に聖なるメシアを掻き抱いている限り、悪魔どもは私をどうすることもできまい!
いや、メシアを狙っているのなら、このシエスタから先に殺せ! 殉教者として天国に入ってやる!
やがて猛烈な風が吹き、三人から衣服のように『肉体』をはぎとった。
霊魂のみの亡者となった三人は、さらに冥土の奥底へと落下していった。
《黎明の子、明星よ。お前は天から落ちた。諸々の国を倒した者よ、お前は斬られ、地に倒れた。
お前は以前に心のうちに言った、「私は天に昇り、私の王座を高く神の星の上におき、
北の果てなる集会の山に座し、雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう」と。
しかしお前は陰府(よみ)に落とされ、穴の奥底に入れられる》
(旧約聖書『イザヤ書』第十四章より)
「ん…………ふわぁあ〜………」
外から聞こえてくる子供たちの騒ぐ声と、差し込む鮮やかな陽光で、少女は目を覚ました。
長く繊細なブロンドの髪、それに合わせたかのような細い体。だが胸だけは異様に大きく、歪な印象を与える。
顔立ちからは15、6歳ほどに見えるが、神が造化の妙を集めて作ったかのような美貌のためか、確とした年齢は分からない。
欠伸を一つつき、ぐうっと伸びをすると、彼女は部屋の窓を開けた。
「テファ姉ちゃん!」「ティファニアお姉ちゃん!」「おはよう! よく眠れた?」「わーーっ」
次々に子供たちが駆け寄り、妖精のように美しい少女、ティファニア(テファ)に親しげに纏わりつく。
ここは森の中の小さな集落で、彼女は子供たちのアイドルらしかった。
ふと、一番小さな女の子が、何か言いたそうな顔でもじもじしているのに気づく。はにかみ屋の彼女はいつもこうなのだ。
「あら、どうしたの? エマ。何か私に言いたそうね」
「あ、あの……」
「ほら、怖くないわ。言ってごらん」
「森で、さっき、いちご摘みに行ったらね」
「うんうん」
「……ち、血まみれの、人が、倒れてたの。さ、三人」
テファは、さっと顔色を変えた。子供たちが騒ぎ出す。
「せんそーだ、せんそーだよ!」「アルビオンとトリステインと、ゲルマニアがせんそーしてたってさ!」
「アルビオン側が勝ったそうだから、そいつらよその国の連中だろ?」「なあエマ、どんな奴だった?」
エマは震えながら、見てきたことをありのまま話す。
「ええとね、お、女の人がふたり。テファお姉ちゃんぐらいの年のひとだったよ。
それとね、あたしより少し上ぐらいの、男の子もいたの! む、胸から血が出てたの、三人とも!」
テファは薄絹の上着を一枚羽織ると、窓から飛び出した。
「急いで案内して! まだ間に合うかも!」
自分の庭のように遊び慣れた森を、少女と子供たちは跳ねるように進んだ。
倒れていたのは、確かに三人。女子供までが戦争に巻き込まれるなんて、戦場に近づいて流れ弾でも浴びたのだろうか?
一人はピンク色の髪をした貴族らしき少女、一人は黒髪の平民らしき少女。
そしてもう一人は、テファの半分ほどしか生きていないであろう、小さな男の子だった。三人とも、おそらく外国人であろう。
「これは……すでに事切れている? ……いいえ、まだ何か、命の動きを感じるわ。
母さまが遺した、あの指輪があれば、肉体の損傷は治せるかも……みんな、この人たちを家に運んで!」
テファは男の子の体を抱き上げる。自分の目の前で、子供を見殺しにするなんて真似は決してできない。
ぐい、と身を起こした拍子に、テファの繊細な髪の間から、先の尖った耳が見えた。
支援
……どれぐらい時間が経っただろうか。
一週間、いや一か月も落ち続けていたようでもあるし、ほんの数十分かもしれない。
いずれにせよ、ここではあまり時間は意味をなさないだろう。
シエスタが目を覚ました時、そこは雪山のようだった。うつ伏していたのは、斜面に積もった雪の上。
周囲は猛吹雪で闇夜のように暗く、見通しはあまり利かない。胸の中には、冷たくなったメシア。
数メイル先には、ピンク頭と占い杖。その他に人影はなく、魔女のホウキもないようだ。
「……雪山、ですって? ここはまさか、アルビオンのどこか?」
胸の傷は、いつの間にか塞がっている。いや、死んで魂だけになったとしたら、傷口も消えるのだろうか?
身を起こす程度の力は残っている。目が闇に慣れてくると、シエスタはあたりを見回した。
どうやら、自分たちは底知れない断崖絶壁の縁近くにいるらしい。近くには高さ数十メイルはある巨石が林立している。
断崖の遥か彼方、深淵の中心部へと、轟々と音を立てて吹雪が吸い込まれていく。
目を凝らすと、そこには何か、途方もなく大きな山のようなものがあるらしい。その山の上の方は三つに分かれている。
シエスタはそれを見て、ブリミル教の寺院にある両手を広げたような『始祖像』を思い出した。
ああ、神よ、始祖よ! なぜ我らを見捨てて、このような場所に送り込んだのか!?
メシアは神の御子であり、ルイズは始祖ブリミルの転生、『虚無の担い手』ではないのか!?
ならば、ここから救い出して、彼らを生き返らせてみよ!!
やがて、ざくっ、ざくっ、と足音が聞こえてきた。二本足だ、人間だ。
ひょっとして悪魔か亜人か何かかも知れないが、何者かはいるようだ。そして、その者の声が聞こえた。
「……そこにおられるのは、メシアですか?」
メシアですか、だって? ああ、『千年王国』の生き残りか! この声は誰か、男性信者のようだ。
「そうよ! 私は第二使徒シエスタ、ここにメシアもおられるわ!!
ついでに第一使徒のミス・ルイズ・フランソワーズもね! あなたは誰?」
シエスタは湧き起こった力を振り絞り、喜んで叫ぶ。
だがその返事を聞いた男の声は、震えてかすれた。
「……おおおお、メシア! いずれここに来られるであろうことは聞かされていましたが、
何というところで、何という再会でしょう!! おお、おおお……」
彼は近づいて来ると、メシアの枕元にがっくりと膝をつき、顔を手で覆って嘆き悲しみ始めた。
聞いたことのない声、見たことのない男だった。変わった厚手の服を着ているし、水玉模様のネクタイをしているが、
マントを着けていないということは平民なのだろう。
涙に濡れた顔は、どうやらかなりの年寄りのようだ。
目がぎろりとしていて鼻が異様に長く、側頭部や後頭部に長めの白髪は残っているが、禿げあがった頭をしている。
よく見れば、その頭頂には、小さな角のようなものもあった。シエスタの警戒心が強まる。
「……あなたは、誰なの? 鬼? 悪魔?
いいえ、このメシアを知っているということは、『千年王国』の生き残りなのでしょう?」
「おおお、『千年王国』! 確かに、確かにそうです!
でも私は、生き残りじゃない! 私は死人なのです、第二使徒のシエスタさん!」
『自分は死人』。男は涙ながらに、そう叫んだ。
「……死人? つまり、亡者?」
「ええ、しかもかつてメシアを、松下一郎を裏切った、大罪人です!」
「う、裏切り者、ですって!?」
男は涙を拭くと、シエスタに顔を向け、真剣な表情で名乗った。
「ここは地獄の一番奥底、《反逆地獄(コキュトス)》の手前です。
神に逆らった罪人や巨人族が幽閉され、虚無の深淵の中で永久に、悲嘆と極寒に苦しめられる場所なのです。
そして私の名は《佐藤》。かつてメシアを裏切って死に至らしめたのち、悪魔に騙されて全てを失い、
20年以上も病苦と悔恨の人生を送らされた、世にも哀れな男です!」
ごおおぉ……ぉおおう、と吹雪が奈落へ吸い込まれる音が、激しさを増して響いた。
(第二部・完)
支援
まさか…さるさん?
50 :
松下:2008/03/20(木) 02:14:14 ID:GjGwFtj6
投下終了、支援感謝。
かつて松下を裏切った「ユダ」、ヤモリビト佐藤の登場で、ひとまず第二部の幕となります。
そして深淵の奥底に聳える、謎の「始祖像」とは何か?
北欧の創世神話では、虚無の深淵(ギンヌンガ・ガップ)から始祖の巨人が現れたといいますが。
では、次回は多分14巻が出る頃に、また。
乙です
ルイズがコルベニク
キュルケがタルヴォス
タバサがメイガス
ギーシュがスケィス
マリコルヌがゴレ
アンリエッタがイニス
コルベールがフィドヘル
モンモランシーがマハ
テファが蒼三騎士
ジョゼフがAIDA
ヴィットーリオがクビア
を召還したらどうなる?
異魔神打倒後の勇者アルスを召喚。
そして原作のエピローグ、太陽に照らされ山の稜線に立つアルスの横にピンクブロンドの髪をした嫁が一人……。
>>52 二人ほど、めっちゃ中の人的なんだけどw
後、蒼三騎士→三蒼騎士じゃなかった?
>>39 ルイズが危険だからワルドを護衛に…
だったら最初からワルドに親書でも持たせて行かせればいいじゃないって事だし。
アフォな子って事でOK?
>>54 俺の勘違いだった
んで、契約したこいつらはロストウェポンを使いこなせるんだろか?
むしろ八相が従うかなぁー
>>53 それだと既に完璧超人になっているから
まだ精神的に未熟な頃の方が扱い易いような
もしくはタルキン呼び出して
7万の軍勢相手にメガn(ry
>>52 別の組み合わせを連想した。単純に「復讐する者」でタバサ=タルヴォスでもいいけど、青髪眼鏡つながりでタバサ=コルベニク。
ジョゼフの召喚したAIDAに感染、母親の精神を取り込んでしまう。それを治す為に、スケィスの因子を持つギーシュに目をつける。
AIDAの暴走でモンモランシーを未帰還にしてしまうが、それを動機付けにギーシュを焚き付ける。とか
「僕の二つ名は『死の恐怖』。死の恐怖のギーシュだ。従って、死の恐怖の八相『スケィス』がお相手するよ」
っていうか、ルイズ見送ってるときにオスマンいるんだよなあ…。
なんかあの爺が吹き込んだのではないかとずっと思ってた俺。
つまり
タバサ『……来い再誕、コルベニク………っ』
ギーシュ『良いぜぇ……来い……来いよ……っ、僕はここにいる………っ、スケェェェェイス………っ』
こうですか、分かりません
現実問題として、アンアンが自分の独断で動かせる手ごまはルイズぐらいだからな。
ワルドに護衛を頼んだのは、まさしく「護衛」というか
「ルイズだけでは心配、だけど自分のわがままを聞いてくれる人はいない、
ルイズの婚約者であるワルドなら動くかも」
という思考でしかないと思われ。
ワルドが動く前提がルイズが動くことである以上、ワルドを単独で動かすという発想はないのだろう。
これ以上細かいことはSS作者に任せると。
最後は作者が以下略という結論にしかならない内容だし。
モノノ怪の薬売りとのクロスオーバーって想像する分には面白いんだが、退魔の剣を抜くのにごちゃごちゃあるし薬売り本人のスペックがよくわからないので形に出来ない
>>62 >>アンアンが自分の独断で動かせる手ごまはルイズぐらいだからな
というか、自分の手ごまだけですませる必要は全然ないような
”昔、アルビオンのウェールズ殿下に贈った恋文をなんとかしなくてはいけません。恋文はウェールズ殿下の手元にあります”
というのを、マザリーニにでも伝えれば、確かにゲルマニアとの同盟締結の為には避けて通れない問題なんだから、
人材なり、資金なり国として出すだろ
ようは”昔のラブレターを、知り合い以外に知られたくないわ”って事につきるのでは…
単純にアンアンの脳内がお花畑だったって事に尽きるよなぁ
つーか
『昔渡した手紙をこれと一緒に焼いてください』
って手紙でも出しときゃ十分のような…
マザリーニが枢機卿とはいえ魔法が使えないってのも信用しない一因って気がするなぁ。
どっちにしてもルイズに行かせた時点でそれが意図的なものであれなんであれ、やってることは相当に下衆な事って自覚がないのが一番痛い。
…12巻くらいでルイズの親父が「娘を道具のように見るなら王家に杖を向けざるを得ない」みたいなことを言ったけど、既にこの時そのレベルだったような気がする。
ヤンがうまいことアルビオン逝きを回避したら
それはそれで物語にならない気がする
合理的に判断すれば潜入ならプロにまかせりゃいい訳だし
トリステインにだって隠密部隊ぐらいあるだろう
ガリアの北花壇騎士団並みとはいわなくても
>>57 すまん、物語の面白みというものは無視で、ただアルスに嫁を作ってやりたかったんだ。
年上スキーということで、マチルダちゃんでも可。
>>69 それなら「ワルドだけに」行ってもらうとか
でも既に「汚染」されているので状況は…手紙も渡ってさらに悪くなるだけか
>>前スレ947
ゼロな提督の職人様、乙&GJでした!
本当にストーリーが丁寧に練られていて毎回楽しみで目が離せないです。
ヤンのアンリエッタに対する辛辣な印象や、
貴族的思考が染み付いているルイズへの複雑な気持ちはそのまま
彼がハルケギニア世界とは相容れぬイレギュラーな存在である事を如実に物語っている様に感じますなぁ。
こういうパラダイムの全く異なる異世界同士の
思想面でのすれ違いまで描かれているタイプのものは個人的にツボであります。
原作でも御主人様の無事を第一に考えていた才人君が
ルイズの掲げる自己犠牲的な『貴族の責務』と幾度か衝突してましたが、
ヤンの場合ではこの辺りがどう描かれるのかと期待してしまいますです。
>>71 単純にレコンキスタ潰滅させて、姫様がゲルマニアへとつがないようにする。
つまり原因を絶つのが一番じゃないか?
>>65 当時のアンリエッタはいろいろあって人間不信だったんでしょ。
だから幼馴染みのルイズとその婚約者に頼ったんだと思ってたが。
>>73 >単純にレコンキスタ潰滅させて
それを出来る軍事力が、その時点でのトリステインにないからこその、姫の「御輿入れ」
を前提としたゲルマニアとの同盟締結やんけ!前提条件がそもそも間違っている。
>>67 アルビオンが貴族派に追い詰められるまで、そんな事考え付かなかった
が正しい気がする
使い魔くん、乙でございます
松下一郎、同じ悪魔くんでもアニメ版の埋もれ木真吾くんとは違いすぎるので、はじめて原作を読んだ時は衝撃でした……
もし埋もれ木悪魔くんが呼ばれたら、やはり魔法陣で12使徒を呼び出すのかしら?
そうなると使い魔を12体も持ってるメイジと認識されるのですかね
アンリエッタって天然で無能で腹黒・・・
無茶苦茶性質悪い人間だな(;´Д`)
お姫様じゃなかったら絶対お近づきになりたくないタイプ
>>78 ある意味、「無能」を装いながら、陰謀でハルケギニア全体を裏から動かそうとしている
某ガリア王と同類かも(見た目と実態の乖離)。
違う、お姫様だからなお悪いんだ
権力持った阿呆は権力を持たない阿呆より最悪だぜ?
鳥の骨が過労で死ぬ日も近いな
まぁ単純に子供の発想だったんじゃないかな?自分の立場を知っているが理解してない納得出来てない姫なんだし後々だって支離滅裂
鳥の骨が教皇になってロマリアに戻らなかったのも、アンアンにトリステインを任せられないってのがあったんだろうな。
本当にアンアンが王女としてトリステインを導いていけるのなら安心して国に帰れただろうに………
もう少しマザリーニに報いてやれよ貴族達はよう。
そいやマザリーニっていくつだっけ?なんか40代とか聞いたような…?
歴史や古典に詳しいなら、アン王女に権力者必読の権謀術数の名著「韓非子」やマキャヴェッリの
「君主論」をご進講して差し上げろよ。>召喚された中で、比較的学のある使い魔たち
>>84 長ったらしく講釈する前にルイズに「姫様にむかって無礼よ!」で止められそう
門閥貴族って言っても、まだトリステインは宮廷貴族ではなく封建貴族だからなー
王の力は大して強くはないはず
まずは王権強化して封建貴族の封土を召し上げ宮廷貴族にしていかんと
つまりはマザリーニ路線だがな
そのためには国王自身の金と軍事力が必要だが
ルイズがタバサを助けに行こうとした時は色々と考えていたようなので、決して無能ではないようです。
ただし、為政者に必要な公私の別が緩いだけ、状況を見極める目と耳があるかどうか、が争点になるのでは?
>>85 御用学者という存在を一瞬で否定しつくす発言だな、それ。
中国古代の思想家は自分の論を君主に講義し、取り入れてもらうことで
成り立ってたのに。
手紙は取り返したけど、戦争。援軍も無いまま。
結局、何しに行ったんだ?
>>87 あれはウェールズ死亡後の覚醒モードだけど、根っこは悪くはないんだよな
国家と自分の区別がゆるいのは仕方がない、というより国家の概念があんまりなさそうだし
なにせ国の予算と自分の財産は同じだからな
感情と損得勘定の折り合いがつけられるかどうかってのがより重要
少なくとも失敗から学びとったり、タルブ侵攻時の対応考えると、フレーゲル男爵とかよりは万倍マシかと
ヴェストパーレ男爵夫人には負けるかもしれんが
うーん、個人的にアンアンが成長しだしたのってウェールズ二度目の死〜リッシュモンの裏切り発覚あたりからなんじゃないかと思ってる。
アルビオン行きをルイズに依頼したときは自分に都合のいい言葉しか耳に入れない典型的なダメお姫様だったんじゃないかと。
信頼できる人がいないとか言ってたのも偏見と思い込みと先入観による視野狭窄だったんじゃないかなー、とか思ってんだがどうだろ?
あんあん
もんもん
ペンウッド卿がなんとかしてくれる
では、姫様が成長しないまま女王になった世界があったとしたら……今とあまり変わらないような気がする。
ミスタ鳥の骨がポキリと折れそうだけど。
マ「アンリエッタ様!この書類は………教会特権の撤廃、国土の王権所有とし王家から徴税官を派遣して管理のみを貴族に委譲する……!?」
ア「マザリーニ、私頑張りましたわ………貴族たちにも、教会にも勝ちましたわ………もう一人でも大丈夫、これで安心してロマリアに帰れるでしょ……?」
マ「アンリエッタ様………貴方は………っ!」
崩れ落ちるアンリエッタを抱きかかえ、マザリーニは涙を流し続けた。
あまりに子供だった王女が彼の知らない間に立派に成長していたことに。そして、それが彼女との別れであることに。
マ「はっ、夢か………」
出発
ラインハルト軍団では誰も承諾しないだろうなあ
>>96 ドラえもんが一度未来に帰ったときの話を思い出した俺
あの話ののび太はかっこよかった
到着
もんもんもん
ゼロの提督で
アンアンの父親が実はトリューニヒトだったってオチだったらとても怖いな・・・
ガクガクブル(((゜д゜;)))
幻想水滸伝5のユーラムでちょっと妄想した。
覚醒(108星入)していないとギーシュと大差がないとかおもったけど。
つまり主登場人物の子供達の成長していく様子を表現したかったと言うことかな?
時期的に重なるかどうか微妙だが、二度目のウェールズを喪ったアンアンが
「ルイズの使い魔みたいな存在が欲しい」
とかで召喚の儀式→ロイエンタール出現
ものすごい今更なことなんだが
サイト=出会い系に登録するくらい女の子を求めてた
きゅいきゅい=お姉さん欲しい
フレイム=火竜にうんざりしてた
サンプルが少ないけど誰かに出会いたいと思ってるやつの前にしか召喚の鏡は現れないのでは?
>>106 つまり某ラノベみたく【ここではないどこかに行きたい】みたいなものかな?
はっ!でわハルケギニアという世界は幽霊で始祖ブリミルはその人型端末だったとか?
火竜って誰の旗艦だっけ?
>>84 つ論語読みの論語知らず。
手元にないと講義は無理じゃないかな。
>>108 ワーレン
ルッツの2Pカラーとか言った奴は元帥侮辱罪で銃殺刑
>108
ワーレン
ルイズに依頼するころのアンは王女の自覚がないうえに、人間不信になってるからお友達感覚でルイズに頼っただけ
悪意がない分たちが悪いし、受けてくれたルイズとの友情に自己陶酔してる感じ?
ルイズはルイズで戦場に行くと言うこともまったく理解してないで感極まってるだけ
こんなの見せ付けられたらヤンが不快を通り越して嫌悪感を持つのもしょうがないような…
孫子や戦争論みたいな書物書く奴、いなかったのかな
113 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/20(木) 13:54:50 ID:Mav2ZFTx
202 :名無しさん:2008/03/20(木) 11:43:49 ID:yrncohPw
>>200 ああ軍オタ(笑)のアレか。
そういやNTでAAで艦隊戦の図を描いてるゼロ魔クロスを投稿したアホもいたな。
提督は酷いヘイトシーズンになりそうだ。
しかしな、これ現代の価値観で過去を裁くようなものだろ。
ヤンは歴史学者を目指していたこと忘れてるんじゃないか作者。
203 :名無しさん:2008/03/20(木) 12:04:52 ID:s595x3m6
すぐヘイトヘイト言う……。
204 :名無しさん:2008/03/20(木) 12:27:37 ID:TSyDVE0U
軍事的に正しいというと、最近だと白眉はなのはクロスとは名ばかりのあれだな
本スレから叩き出されたから好き勝手やると某所で愚痴り
挙句の果てには読者のレベルが低いと言い放つ始末
205 :名無しさん:2008/03/20(木) 12:32:17 ID:xPSuWkd.
ヘイト認定屋はすぐに現代の価値観云々言うなw
自分の身も守れない、どころか自分の世話すら出来ないお嬢ちゃんを、
「友情」の名の下に戦場に送り込むのは過去も未来も関係無く唾棄すべき行為なんだがな。
それに対して公然と抵抗できるかどうかの違いだけで。
114 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/20(木) 13:55:41 ID:Mav2ZFTx
206 :名無しさん:2008/03/20(木) 12:38:19 ID:ukWCFjrU
幼馴染に頼ってるだけで
ここまで言われるアンアン哀れ
207 :名無しさん:2008/03/20(木) 12:38:27 ID:lWFkUILM
>>204 一瞬なんの事か解からなかったがあれか
そんな事まで言ってたのかよ
208 :名無しさん:2008/03/20(木) 13:08:14 ID:qihtQX2E
>>205 ようするにノボルは最低野郎ってこったな。
まぁ想像上の人物の行動だし、
多少無理があってもストーリーを動かさなきゃならなかったんだろうから、
ムキになんなよ。
これは自然な流れをつくれなかったノボルの力量不足だ。
209 :名無しさん:2008/03/20(木) 13:15:23 ID:NtWXGH6k
高名な貴族がどうにも出来なかったフーケをどうにかできたんだから、私の願いも叶えてくれるはず!
とかアン様思っちゃったんじゃね。
115 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/20(木) 13:58:15 ID:Mav2ZFTx
210 :名無しさん:2008/03/20(木) 13:16:51 ID:qihtQX2E
っつーかヘイターって、
娯楽小説(アニメ、漫画)に登場する想像上の人物を、
よくもまあ理論武装までして憎めるよな。
所詮原作者の都合で行動してんのに。
そこが気持ち悪くて仕方ない。
211 :名無しさん:2008/03/20(木) 13:30:45 ID:.vIx4so2
>>210 ヘイターが気持ち悪いのは同意するが、
お前さんは何が楽しくて娯楽小説を見ているんだ?
212 :名無しさん:2008/03/20(木) 13:34:56 ID:rrj/CYKQ
ダブスタってヘイターのやることだよね。
キャラが嫌いだの好きだのの前にノボルを最低だと思っているのならここにいるはすがないでしょ。
というわけでヘイターも
>>210もゼロ魔好きとしてはよろしくないなと思うね。
213 :名無しさん:2008/03/20(木) 13:43:08 ID:qihtQX2E
>>211 単純に頭をからっぽにして楽しむ為。
>>212 単なる皮肉だって真面目にとるなよw
214 :名無しさん:2008/03/20(木) 13:46:42 ID:yrncohPw
>>205 おいおいわざとずれたこと言ってるのかw
提督のヤンがどう思ってるかなんだがな。
読んでないなら提督の9話を読んでから言うこった。
おまいさんのアンアンをどうおもってるかなんぞ関係ないだろ。ヘイターさんよ。
215 :名無しさん:2008/03/20(木) 13:47:12 ID:TSyDVE0U
別に、矢吹以上ゆでたまご以下程度でいいとおもうんだけどなあ……現実に準拠して考えるなんて。
そんなこと言い出すと、そもそも最後にはゼロ魔世界自体成り立たない、ありえないとかになっちまう。
いちいち7そんなこと考えながら小説読むか? 普通読まんだろ。
娯楽に目を剥いて「ここがおかしい!」と叫んでみたり怒ってどうする。
そんなことやる暇があったら他に楽しめるものに目を向けたほうが健全だと思うぞ……
ただ、読んじまった、踏んじまったときはここのお世話になるけど。
ハルキゲニア六千年の停滞をどうにかしたいと思う奴いないかな
アンチスパイラルに敗北する以前or最終決戦の螺旋王ロージェノムとか
天元突破した老成シモンなんかが
まかり間違って召還された日にゃとてつもない事態になりそうな希ガス
>>112 ルネサンス前のヨーロッパに政治学や軍事学のまともな著作はないからな。
なくても不思議はないんじゃね?
>>109 べつにそのままじゃなくても「ヤン・ウェンリーの理解した内容についての講義」でいいんじゃない?
朱子学とか陽明学とかも、誰かが解釈した孔子の教えに基づく学派なんだから、ヤン流の講義で
問題ないはず。
5分後くらいから投下はじめます
>>118 出たな、トップクラスの不幸を背負う男。
進路クリアー、発進どうぞ!
支援準備いたします!
>>116 老成シモンが召還されたらされたで大革命が起きるんじゃないのか?
ハルキゲニアを民主主義かなにかで統一するって感じに
亜なりし彼の地へ支援!
ルイズの先導のもと、一行は狭い路地裏へと入っていく。
道にはゴミや汚物が散らばっており、悪臭が鼻をついた。
キュルケは嫌悪感を露骨に浮かべ、鼻をつまむ。
「ちょっとルイズ。ホントにこっちであってるんでしょうね?」
「うるさいわね。嫌ならついてこなければいいじゃない」
やがて、剣の形をした看板が見えてきた。
「あ、あった」
ルイズは嬉しそうに呟いた。どうやらそこが武器屋であるらしい。
一行は石段を上り、羽扉をあけ、店内へ足を踏み入れた。
店の奥でパイプをくわえた五十がらみの親父が入ってきたルイズたちに目を向ける。
昼間だというのに店内は薄暗かった。
壁や棚に所狭しと並べられた剣や槍がランプの光を反射している。
「……」
タバサはランプの下まで進み、そこでまた本を読み始めた。
「お〜、いろいろあるなあ」
パックは飾られている甲冑の内側に入り込み、感嘆の声を上げた。
「なんか陰気な店ねえ……」
キュルケは店内を見回して目を細める。
「旦那方、冷やかしなら帰ってくだせえ」
胡散臭げにこちらを見る店主にガッツは歩み寄った。
ルイズもその後に続く。
ガッツが目の前に迫り、ようやくその巨躯に気づいた店主は一瞬たじろいだ。
そしてガッツが背負っている大剣(というにはあまりにも馬鹿げた鉄の塊)に目がつく。
(なんじゃありゃあ……! 剣…なのか? 傭兵が伊達を気取って歩くにも大袈裟過ぎる!!)
ふと店主はガッツの隣に立つルイズを見る。
その首元の紐タイ留めには貴族であることを示す五芒星が刻まれていた。
(な〜るほど。この兄ちゃんはそこのお嬢ちゃんの従者で、格好つけるために無理やり持たせてるってわけか。貴族ってのはつくづく見栄っ張りでいけねえ)
店主はふんっ、と馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
「あ〜…それで、兄さんはどういった御用で?」
「この店ではこういった形式の矢はあつかってるか?」
「うん…? 随分短い矢だなこりゃ」
ガッツは鞄から矢を取り出すとそれを店主に見せる。
しばらくガッツの横で二人の会話を聞いていたルイズだったが、すぐに退屈になった。
武器のことに疎いルイズはガッツと店主がしている専門的な会話にはついていけなかったのだ。
ルイズはガッツの元を離れ、パックやキュルケに倣って品物を眺め始めた。
「けっ、貴族の娘っ子に見栄っ張り剣士、おまけにちび妖精!! 今日もろくな客がきやしねえ!!」
と、突然聞こえてきた声にルイズたちはキョロキョロと辺りを見回す。
しかし店内には店主を除いて、自分たち以外には誰もいない。
「なんだ今の声は?」
「こっちの方から聞こえてきたよ」
パックが指差す方向には乱雑に詰まれた剣があるだけだ。
パックは剣のほうへひらひらと近づいていく。
ルイズ、キュルケ、そしてタバサも興味を惹かれたのかじっとその様子を見守っている。
「剣があるだけで何もいないや」
「この店にゃあ幽霊でも居ついてんのか?」
冗談交じりにガッツは言った。
バサッ。
タバサの手から本が落ちる。
皆の視線がタバサに集中する。
タバサは本を拾い上げると何事もなかったように読書を再開した。本がさかさまだが。
支援
店主は困ったように頭を掻いた。
「いや、実はですね……」
「やれやれだ!! 揃いも揃って目が節穴らしいや!!」
「おぉッ!? も、もしかしてこの剣が喋ってる!?」
パックの目の前に乱雑に置かれた剣。そのうちの一本がカタカタと震えていた。
錆の浮いたボロボロの剣。なんとそれが声の主であるらしい。
「へえ、インテリジェンスソードなんて置いてるのね」
キュルケは感心したように声を出す。
インテリジェンスソード。ハルケギニアでは魔術によって魂を込められた剣のことを総じてそう呼ぶ。
「やかましいデル公!! てめえいい加減にしねえと貴族に頼んで溶かしちまうぞ!!」
「おぉ上等だ!! やれるもんならやってみやがれ!! 軟弱なクソッタレ剣士ばっかりの世の中に飽き飽きしてたところだ!!
今日はなかなかいい面構えの奴がやってきたと思ったらなんだいそのこけおどしのだんびらは! 扱えやしねえ武器をご大層に背負ってよぅ、まったくくだらねえや!!」
デル公と呼ばれた剣が激しく揺れる。
その剣の言葉を聞いて、
「あはは、随分な言われようだなガッツ!!」
パックは愉快そうに笑い、
「………」
ルイズとキュルケは不機嫌そうに黙りこくり、タバサもまた沈黙を保っていた。
「あんたねえ……」
ルイズが我慢できずに口を開いた時、ガッツが剣の元へと歩み寄った。
「なんだい、図星さされて頭に来たか?」
「随分とご大層な口をきく剣だな。さぞ多くの戦場で振るわれてきたんだろうな」
「そんなもん覚えちゃいねえや。あんまり多すぎてな!!」
ガッツはその剣を取る。
盲点だった。様々な人間には聞き込んでいたが、まさか意思を持つ剣があろうとは。
この剣が何年前に作られたのかは知らないが、そこらの町人に聞くより余程希望が持てる。
「ミッドランド、という国に聞き覚えは?」
「知らね」
しかしあっさりと否定された。
ガッツはため息をつくと剣を元の位置に戻す。
だが、その時―――
「おでれーた。おめ、『使い手』か」
剣を戻そうとしたガッツの手が止まった。
ガッツの左手―――鉄の義手には淡く『ガンダールヴ』のルーンが輝いている。
「お前…何を知ってる?」
「お? 何のことだ? それよりてめ、俺を買え」
どうするか。ガッツは思案した。
ドラゴンころしがある以上、はっきりいって新たな剣などは必要ない。
しかしどうやらこの剣は自身に宿った『ガンダールヴ』の力について何やら知っている様子だ。
今は少しでも多くの情報が欲しい。無論、『ガンダールヴ』の能力についても。
ガッツはちらりとルイズを見た。ガッツはこの世界の金など持ち合わせていない。
もしこの剣を買うならば、ルイズに頼るしかないのである。
ガッツの考えていることを察したルイズはやれやれと肩をすくめた。
タバサの反応が可愛くてキュンときたのは俺だけでいい支援
「わかったわよ。買ってあげるわ」
「ありがとよ」
素直に礼を述べる。
ルイズは得意げに笑うと店主のほうに向き直った。
「聞いての通りよ。あの剣をいただくわ。おいくら?」
「そいつはありがてえや。こっちも厄介払いが出来てせいせいするってもんです。あれだったら百でけっこうでさ」
「え゛っ!」
ルイズの顔が青く染まる。
「そ、そんなにするの?」
「お言葉ですが若奥様、あのサイズの剣になるとどんなに安くても二百が相場でさ。これでも破格の安さでございます、へえ」
ルイズの額に汗が流れた。
いや、足りる。足りるのだ。
今日持ってきたお金は百とちょっと。今ここでこの剣を買うことは出来る。
しかしここでこの剣を買ってしまうと―――『足りなくなってしまう』のだ。
「もしかして百エキューも払えないの? ルイズ」
ギクリ。ルイズの体が揺れた。
キュルケの顔ににんまりと笑みが浮かぶ。
「おっほっほ!! たった百エキューも払えないなんて!! 公爵家の名が泣くわよヴァリエール!!」
キュルケはポケットから金貨を取り出すと勢いよくカウンターの上に叩きつけた。
店主は金貨の数を慎重に数え上げる。
「へい、確かに。毎度!!」
店主は金貨を懐に納めると、ガッツに鞘を手渡した。
「どうしてもうるさかったら鞘に収めれば喋らなくなりますんで」
ガッツは頷いて鞘を受け取る。
パックが剣のつばをぽんぽんと叩いた。
「よろしくな、デルコー!!」
「デル公じゃねえ!! デルフリンガー様だ!!」
「オッケー。よろしくデルデル!!」
「うおぉ!? その呼び方はやめれ!!」
なるほど、騒がしいことこの上ない。
ガッツはデルフリンガーを鞘に収めた。
「ダーリン!! それは私からのプレゼントよ!! 私からの!! 私からのね!!! お〜ほっほっほ!!」
「うがががが……!!」
キュルケの高笑いとルイズの歯軋りが店内に響く。
デルフリンガーが黙っても騒がしいのは変わらない。
やれやれだ。ガッツは疲れた顔で天井を仰いだ。
デルデルは初めて目にした支援
武器屋を出て―――
ガッツは馬を預けていた駅の前に一人立っていた。
「ちょっと先に行ってて。そろそろ仕上がってるはずだから」
ルイズはそう言って武器屋を出てすぐに去っていき、パックもそれについていった。
キュルケとタバサは一足先にシルフィードに乗って学院に帰っていった。
先程まではデルフリンガーを抜いて『使い手』という言葉の意味を尋ねていたのだが、デルフの答えは「知らん」、「忘れた」の一点張りで埒があかなかった。
デルフリンガーを鞘に収めてから、無用な買い物をしたか、とガッツは若干後悔していた。
これではルイズに無駄な借りを作ってしまっただけである。
「お待たせ!」
そんなことを考えていたらルイズがやってきた。
その手には綺麗にラッピングされた包みを持っている。
パックは何やらニヒヒと笑いながら己の定位置であるガッツの鞄に潜り込んだ。
ガッツはそれについては特に詮索せず、馬にまたがる。
再び三時間の道のりを走り、魔法学院に帰り着くころには陽はとっぷりと暮れて既に夕食の時間に差しかかろうとしていた。
二人は一度ルイズの部屋に寄って荷物を置くと食堂へ向かう。
「あれ、ガッツ? どこに行くの?」
食堂を通りすぎたガッツをルイズは呼び止める。
「俺は厨房で食わせてもらう」
「な、何で? い、いいわよ別にこっちで食べても!」
ルイズは慌てた。
かつては確かに使い魔が貴族と同じ席で食事を取るのはいかがなものかと感じてはいたが、それは既に過去のこと。
『土くれ』のフーケの一件以来、ルイズにはガッツを下僕として扱う気などさらさら無くなっていた。
が、別にガッツもそんなこと微塵も気にしちゃいない。
「いや、ほら、ルイズ。ガッツが食堂に入っちゃうとさ……」
「あっ…」
パックに言われて気がついた。
そうなのだ。いくらフーケを捕らえたということで、学院で英雄扱いされても、生徒たちの中ではまだガッツのことを快く思っていない者が大半だった。
その感情は貴族を愚弄したガッツへの怒り、反感、あるいは恐怖―――と様々であったが、とにかくガッツが食堂に入ることはあまりよろしくない。
ルイズは何ともいえない気持ちで食堂に入っていった。
ちなみにパックはふつーに食堂で食べている。曰く、
「だってこっちのがうめーじゃん」
ということだそーだ。
ガッツが厨房に入るとわっ、と歓声が起こる。
ギーシュとの決闘、フーケ捕獲を経て、ガッツは学院で働く平民達からヒーロー扱いされていた。
特に厨房を仕切るマルトー親方はガッツに対して若干行きすぎといえるほど好意的に接していた。
それはシエスタも同様で、今日も彼女はニコニコしながらガッツが賄いのスープを食べるのを見つめていた。
「おいしいですか?」
「あぁ…」
正直、この現状はガッツからしたらうっとうしい限りだった。
元の世界に帰るまで、厄介ごとはごめんだとガッツは考えている。
そのため、このように目立つのは好ましくなかった。
「あれ?」
すると、シエスタが突然目を丸くした。
「ガッツさん、いつタルブの村に行ったんですか?」
「…?」
よくわからないことを言う。
そんな村、行ったどころか名前すら知らない。
ガッツがそう言うとシエスタは首をかしげた。
「あれぇ…? でも、あれえ…? だったら―――」
シエスタはガッツの腰元を指差す。
そこにかけられているのは、今日トリステイン城下町の武器屋で購入した一本の剣。
「その剣は、一体どこで手に入れたんですか?」
ピチョン―――
どこかから水の音が聞こえている。
冷たい石の壁に背を預け、『土くれ』のフーケは静かに目を閉じた。
チェルノボーグの監獄。トリステインで最も防備と監視が厳重な場所。
ルイズ達によって捕らえられたフーケは、魔法衛士隊に引き渡されるなりここに入れられた。
フーケは自嘲するように笑った。
「しかし、わたしも運が悪いねえ」
もともと失敗するような仕事ではなかった。
随分前に魔法学院に入り込んで念入りに下調べをした上で取り組んだ仕事だ。
警備の穴。教鞭をとる教師たちの質。
失敗する確率など微々たるものだった。
―――そのはずだった。
にもかかわらず、見事なまでに失敗し、今自分はここにいる。
失敗した要因は二つ。
魔法学院の生徒としては異質な程の手練のメイジの存在。
ゴーレムを破壊しうるほどのポテンシャルを持った『ゼロ』のルイズ、そしてその使い魔である―――『黒い剣士』の存在。
『黒い剣士』などは、召喚されたのは計画の決行直前だ。これを運が悪いと言わずしてなんと言おう。
ピチョン―――
そしてフーケはこれからの自分の処遇について思う。
散々トリステインの貴族達をおちょくるように盗みを働いてきた。
自分に対するこれまでの扱いから考えても、軽い刑罰であるとはとても思えない。
よくて島流し。悪ければ縛り首もありえるだろう。
「わたしもここで終わりかね……」
ぽつりと小さく呟く。
―――脳裏にたったひとりの家族の顔が浮かんだ。
ガツン!!
フーケは立ち上がると石壁を拳で叩いた。
死ぬわけにはいかない。
わたしがいなくなったら誰があの子を守るというのだ―――!
唇をかみ締め、改めて牢獄を見回す。
石造りの壁、粗末な木のベッド。木の机。与えられた食器も全てが木製。
だめだ。脱獄する手立てはない。
得意の錬金も杖を取り上げられては使えない。
杖のないメイジのなんと無力なことか!!
フーケはぶんぶんと頭をふった。
血が上り、茹った頭ではいくら考えても妙案は浮かばない。
時間はまだある。冷静になれ。
フーケは自分にそう言い聞かせる。
どんな手を使ってでもここから脱走してみせる。
そう、どんな手を使ってでも―――!
コツン―――
「ッ!!」
水の音に混じって、足音が聞こえた。
フーケは牢の入り口を凝視して耳を澄ます。
コツン―――コツン―――
やはり、聞こえる。
牢番ではない。足音にはがしゃがしゃと拍車の音が混じっている。
牢番であるなら、足音に拍車の音が混じるはずがない。
「誰だい?」
鉄格子の向こう。現れたのは長身の黒マント。
顔には表情のない白仮面。
マントからは魔法の杖が突き出ている。
怪しさを絵に描いたような人物だった。
牢番は一体何をしていたのだ?
「君に選択を与えよう。マチルダ・オブ・サウスゴータ」
年若く、力強い男の声。
フーケの顔が蒼白になる。
何故その名を知っている。かつてアルビオン王家により奪われたその名を。
いまや誰も知るはずがないその名を。
「我々に協力し、無能なアルビオン王家を打倒するか」
男の手が杖にかかる。
「ここでこのまま死ぬか」
それは選択の名を借りたあきらかな強制。
拒否すれば殺す。男から発せられる静かな殺気がそう告げていた。
「どうしてわたしを?」
「力が要る。我々の至高目的はハルケギニアを統一し、『聖地』を奪い返すことだ。そのためには一人でも多くの優秀なメイジが必要なのだ」
馬鹿を言っている。
トリステイン王国、帝政ゲルマニア、アルビオン王国、ガリア王国……争いの絶えないこれらの国をひとつにまとめる? 一体どうやって?
ましてや『聖地』を奪い返すなどと、夢物語もいいとこだ。
聖地を守るエルフには、人間がどう足掻いたって勝てはしない。
『それがわかっているから私たちはエルフを受け入れることが出来ないんだろう』?
フーケは、笑った。
「答えを聞こうか。『土くれ』」
まあいいさ。わたしもここで死ぬわけにはいかない。
あんた達の馬鹿げた妄想がどうなるか見させてもらうのも、まあ悪くはないしね。
フーケは男に向かって手を差し出した。
「喜んで協力させてもらうわ。あなたたち…ええと」
白い仮面の男はフーケが差し出した手を優雅にとる。
仮面の奥で、男はきっと笑っていた。
「レコン・キスタ。それが我々の名だ」
またちょっと短いですが投下終了。
モチベーションを保つために多少短くても投下の間隔を縮めていこうかな、と。
それではまた近いうちに。
タルブの村に何が?謎が謎を呼び次に続きますか。
流れから言ってゼロ戦は出ないと思っていたが・・・これは興味深い。
乙です。
まさかこんなに早く続きが読めるとは思わなかったから、嬉しいですわ。
お久しぶりです。第9話が仕上がりましたので、予約無ければ5分後くらいに投下しますね。
(それにしても、まさかこのタイミングで、しかも同じ場面で幽霊ネタが使われてしまうとは…
まさにオカルト、シンクロニシティ)
横島待ってました!
タバサって幽霊嫌いでしたっけ?
おキヌちゃんに遭ったらどういう反応になるか楽しみ。
第9珠 〜霊剣デルフリンガー〜
そして、虚無の曜日を迎える。
ルイズと横島は、トリステインの城下町である、ブルドンネ街へ向かう馬上の人となっていた。
馬の足並みこそ揃っていたが、二人の表情はそれはもう対照的だ。
むっつりとしているルイズと、この世の春が来たかというような雰囲気の横島。
こんな事になった原因は、昨日の夕方に届いた手紙にある。
その手紙には、エレオノールの学院到着予定日が「虚無の曜日」(つまり今日の事だ)の夜である事と、「今回の訪問は私的なものである」という事が記されていた。
また、ヴァリエール公爵家の花押が描かれている書類も同封されていた。
学院へ届け出る欠席届けに添える為の書類だ。
アカデミーを長く空けておくわけにもいかないので、授業を休んで付き合うように、との事だった。
アカデミーの研究員として来訪するのでないならば、とりあえずではあるが、横島が強制連行されたり、解剖調査されたりするような事態にはならない。
ようするに、ここ2・3日のルイズの悩みは杞憂であったという事であり、これだけならば、ルイズもこれほど不機嫌になったりはしなかっただろう。
使い魔が人であった事を黙っていた事やら、その使い魔がもうどうしようもない無礼者であるという事やら、問題が全く無いわけではないが…
その使い魔の力で自分の妹が良くなるというのであれば、いくらエレオノールであっても多少の事は多目に見てもらえるはず、と思えるからだ。
ただ、その使い魔とは横島のことだ。彼が起こす問題が、多少どころでは無いであろう事は、ルイズには容易に想像できた。
自らの使い魔が起こすであろう問題を思い浮かべ、さらに沈んでいくルイズに横島は声をかける。
「なー ルイズちゃんのお姉さんってくらいだから凄い美人さんなんだろ?
でもまだ独身なんだよな? しかも二人とも。
昨日からずっと考えてたんだけど、やっぱり、病気が治らないと結婚できないとか、結婚するのは妹の病気を治してからとか、そんな理由なんか?」
「姉さまは知らないけど、ちい姉さまの方はそうね…」
「そっかー じゃあ… 俺がその病気を治してやれば…
『おお、よくぞ娘の身体を治してくれた。褒美を取らす。何か望みのものはあるかな?』
『お父様! そういう事でしたら、是非私を横島様の妻にしてください』
『おお、そうか。横島とやら、君に娘の事を任せたいと思う。やってくれるかね?』
なんて展開も!? うわ、俺どうしよう?」
ほら、この通り。
昨晩、今回の件の説明をされた横島は、もうほとんどこんな調子だ。
「それはないから安心して頂戴。というか身の程知らずも大概にしなさい。
もう何度も言ってるけど、ヴァリエール家は由緒正しき公爵家なのよ。
いくら何でも、貴族でもないあんたなんかせいぜい掛かりつけの医者が良いところよ」
病気の人はヴァリエール家の娘で、横島を調査に来るのもヴァリエール家の娘。
今回の話の概要を聞いた横島は、病気の治療にいつになく乗り気になっていた。
あんなに消極的だった自らの使い魔が、手のひらを返した事を不思議に思ったルイズが、話を聞いてみると…
「美人の人が困ってるなら、それを助けねーのは男としておわっとる」と真面目な顔で答えられたのだ。
この1週間の行動を見ている限り、それだけの理由でも納得出来るのだったが…
「それにしても、あんたってば節操ないわよね。
ミス・ロングビルのところにも入り浸ってるって聞いたわよ。
というか、あの人もよくあんたなんかと仲良くやれるわよね。
本当、不思議だわ」
「そりゃーもう、分かる人は分かるとか? こう、黙っていても溢れ出す俺のオーラってやつ?」
「あんたの場合、むしろ黙っといた方がマシなんじゃない?」
あんまりにもあんまりなルイズの言いようだったが、全くもって真実だったので、横島は苦笑でごまかす事しか出来なかった。
そんなこんなで3時間。途中で立派な馬車にすれ違った以外は、特に変わった事も無くブルドンネ街へとたどり着いた二人。
馬を預け、ルイズの先導に従って武器屋へ向かう。道中、綺麗な女性を見かける度に声をかける横島を適度にしばいている内に、ルイズの憂鬱な気分も少しは晴れていった。
そして、剣の形をした銅の看板が下がっている店を見つけると、その店へと入っていった。
「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさあ。お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありませんや」
店に入ってきた二人を見た、五十がらみの親父が声をかけてきた。おそらく店主だろう。
(大体そんな事を言う奴に限って、何かやってんだよなー)
そんな事を思いながら店内を見回してみる横島。
ルイズが「客よ」と言ったり、親父がそれにふざけた調子で返していたりするが、横島は何かに感づいたらしい。
店の一角で乱雑に積み上げられている剣の山へ向かって歩いていった。
「あ、お客様? そっちにあるのはあんまりお勧めできるような代物じゃ…」
親父がそう言うのも構わずに、剣の山の前で立ち止まる横島。
「や、やっぱりかー なーんか霊感に引っかかると思ったが、こりゃ何か憑いてやがんぞ。
親父、ここにある剣のうち何か曰くつきの物とかねーか?
人を何十人も斬っただとか、持った奴が殺人鬼になっちまうだとか」
親父の方へ振り返り、そう問う横島。
「はぁ? あんた一体何言ってるの?」
「そんな曰くつきの物があったら、むしろ目玉にしますぜ」
「おでれーた。坊主、俺の事が分かんのか」
返って来た返事は3つ。
ルイズのバカにしたような声、親父の心外そうな声、そして横島の後ろ、つまり剣の山から聞こえてきた、驚いたかのような声。
「え? 今の声は誰?」
「はぁ… これでこの商談もパーか」
「一般人の目はごまかせても、このGS横島忠夫の目はごまかせん!!」
今度はルイズが驚く番。親父は諦めきったような声を出し、横島は何故か得意そうだ。
「剣なんかについてる霊は、人を斬りたくてしょうがねーっていう危険極まりない奴に決まってんだ。
いわゆる悪霊って奴だな」
「あんた何言ってるのよ。剣がしゃべるくらい、そんなに珍しくはないでしょ?
ただのインテリジェンスソードじゃない」
「いやー お客さん中々分かってるね。そいつは確かに呪われてるよ。何せそいつを置くようになってから、ウチの店の売り上げががくんと落ちたからなー」
「俺を悪霊なんかと一緒にするなっつーの。つうかなんだ、てめー良くみれば『使い手』か? 使い手に悪霊呼ばわりされるなんて、六千年生きてきて初めてだね」
しゃべる剣なんか珍しくない、という二人の話に、横島も少し考え直してみたようだ。
悪霊候補である剣のたわごとには耳を貸す気はないようだが。
「へ? 俺の方だとしゃべる剣なんて大概は危険物なんすけど、こっちだとそんな事は全然無いんすか?」
この疑問に、インテリジェンスソードについて説明するルイズ。
売り上げが落ちたーとか笑ってる店主も、ただこの剣の口癖が悪くて商談がパーになったり客足が遠のいたりしているだけだという。別に呪いでも何でもない。
「はぁ。じゃあこの剣って別に魔剣でも妖刀でもなく、ただのしゃべる面白いボロ剣だって事っすか」
「おいこら、坊主! このデルフリンガー様を捕まえて、ただのボロ剣扱いはねーだろ。使い手だからって、言っていい事と悪い事があるんだかんな」
「ほほー てめー剣の癖に生意気な事言ってやがんな。あんま態度悪いと、溶かしちまうぞ?」
愛すべきおバカに支援
さあ、今こそ霊力を高めるために煩悩全開だ!
剣ごときに楯突かれた横島は、コメカミをぴくつかせるとその手に文珠を作り出し、【溶】の字を込めている。
「使い手の癖に、俺を溶かすっちゅうのか?
そんな変な珠っころなんかで溶けるわけねーんだ、やれるもんならやってみろ!」
「い、言ったなこのヤロー! 後悔したってもうおせーかんな」
そう言って歩き出した横島を止めたのは、ルイズだった。
「ちょっとヨコシマ、何勝手な事言ってるのよ。
まだ文珠はそれ1個しか作れてないんでしょ?
万が一には治療に使うんだから、そんな下らない事に使っちゃダメ」
そう言われてしまうと、横島としても諦めるしかない。
生意気な剣に制裁を加える事なんかより、未だ見ぬ美女と仲良くなるほうがずっと大事なわけで。
「けっ。命拾い… 剣だから剣拾いちゅうのか?」
「んな事知らねーよ。まぁいい。おめ、俺を買え。損はさせねー」
じーっとデルフリンガーと名乗ったボロ剣を手に取って観察する横島。
ややあって…
「よく見りゃ、錆びてはいるが頑丈そうだし、なかなかいい剣じゃねーか」
「よく分かってるじゃねーか。いや、使い手っちゃそう言うもんだったか?」
「使い手ってのが何を指してんのか知らねーけど、武器の状態が手に取るように分かるってのは確かだな」
「おめ、手に取るようにっちゅうか、手に取ってるじゃねーか」
「こ、言葉の綾だ! んな事に突っ込むんじゃねー」
「はいはい、剣と漫才なんかしてもしょうがないでしょ。みっともないからやめなさい。
それで、あんたはその剣がいいの?
私の従者として使う剣なんだから、もっとしゃべらなくて綺麗なのがいいんだけど」
「ちょっとしゃべって見た目がボロっちいくらい、別にいいじゃないっすか。
そんな事より、こいつがしっかりした魂を持っていて、十分な霊気を感じられるって事の方がずっと大きいっすよ。
これなら十分使えそうっすからねー」
今度はルイズが諦める番だった。
何せ、本来の目的は横島のハンズ・オブ・グローリー等の使用を節約する為である。
いくら見栄えが良く、頑丈で切れ味も良い物があったとしても、横島がダメだと思うのであれば意味がない。
仕方なくルイズが親父に代金を支払うと、「うるさい時は鞘に収めれば黙りますんで」と鞘も一緒に渡された。
武器屋を後にした二人と一本は、昼食を済ませた後に衣料品店へ寄った。
従者としての格好を横島にさせるためだ。
(ちなみに、昼食はルイズが高級料理店、横島はルイズを送り届けた後に、平民相手の大衆食堂にてとった。
ケチで有名な美神でさえ、仕事先での食事は横島も同じ店であった事を思い出し、今さらながらに平民の扱いの悪さに涙を流していたのは、ほんのささいな事だ)
「今晩には姉さまがやって来るわ。
昨晩も言ったけど、とっても厳しい人なの。
いくら使い魔でも、いいえ、使い魔だからこそ、礼儀がなってなかったら凄く怒るわ」
そう言いながら、店員に横島のサイズを測らせるルイズ。
それと同時に、服が仕上がるまでの間に着せておけるような物が無いかどうかも尋ねている。
多少古くても、今横島が着ている珍妙な格好よりはよっぽどましだろう。
結論から言うと、運良く劇団関係者に知り合いがいるとの事で、当分使う予定の無い衣装を貸してもらえる事になった。
サイズが多少合わないかもしれないが、この際仕方がない。
ルイズ達は、劇場へ立ち寄ってから学院へ帰ったのだった。
学院へ戻ったルイズ達は、自室にて最後の打ち合わせをしていた。
横島はすでに、借りてきた衣装に着替えている。
(ちなみに着替える際は、事情を話した上で衛兵の詰め所を借りている。
自室で横島が着替えるのを、ルイズが嫌がった為だ。
というか横島だってそれは遠慮願いたいと思っている)
そうして夕食の時間が迫った頃、エレオノールが到着する、とルイズに知らせが入った。
緊張を隠せないルイズと、美人なお姉さんを期待して顔を輝かせている横島。
出迎えをするのが礼儀であり、二人は寮の玄関へと向かう。
たどり着いた二人に見えたのは、こちらへ向かってゆっくりと進んでくる、二頭立ての立派なブルームスタイルの馬車である。
「金ってあるところにはあるんだなぁ…」
「だからいつも言ってるじゃない。ヴァリエール家は超一流の名門なのよ。
馬車だって、いつでも最高級の物を準備させるわ。
あんたもそれに恥じないように、しゃきっとしなさい。お願いだから」
そんな事を言っても… と横島は思った。何せ、彼がこういう上流階級と付き合う場面は、必ず美神の付き添いであったのだ。
彼一人でボロを出さずに済むかというと… それはとても自信が無い。
だが、自信が無くても、やらなきゃならない。
何せ、もう馬車はすぐそこまで来ているからだ。
馬車がとまり、先に到着していた従者の一人が扉をあけて頭を下げる。
それをぼーっと見ていた横島だったが、横から突っつかれた為、慌ててその従者を見習って頭を下げる。
「姉さま、長旅お疲れ様でした」
「ありがとう、ルイズ。さあ、あなたの部屋へ案内して頂戴」
その間中、横島は顔を下げっぱなしでいた。
わずかな会話や従者達の緊張の度合いから、ルイズの言う以上に厳しい人であると思った事も一因だが…
やはり、ロングビルにあって彼女に無いものを見つけてしまったのが最大の原因だろう。
地面に落ちたエレオノールの影を見ただけで、彼女の胸がどちらかと言えば控えめでありそうだと思った横島は…
危険をおかして飛び掛るつもりにはならなかったのだ。
「ヨコシマ。今日は姉さまと一緒に部屋で夕食を食べるわ。
厨房に行って、食事を持って来るように伝えなさい。
あんたも適当に食事を済ませてから戻ってきなさい」
そうルイズから声をかけられて、ようやく顔をあげる横島。
ルイズの隣に立っている、ブロンドの女性も視界に入る。
ルイズにどことなく似た顔立ちで、文句なしに美人判定だ。
ただ、胸は控えめな上に、少々キツめな印象も受ける。
何故か、こちらを睨みつけているような様子でもあり…
横島の中では、即座に「危険度ランク:美神隊長」との分析がなされた。
「返事は?」
「は、はいっ」
慌てて返事をする横島だったが、ルイズの方も心なし慌てているように感じるのは気のせいではないだろう。
何故なら隣でエレオノールが「いかにも不機嫌です」と言わんばかりに顔をしかめつつあったのだ。
「俺、まだ何にも悪い事しちゃいねーよな?」と首をかしげながらも、即座にその場を退散するしかない横島だった。
虚無を担う女、文珠を使う男 #6b13d
今回の投下はここまでとなります。
支援ありがとうございました。
幽霊状態のおキヌちゃんにあったら…
うーん、どうなんでしょ、自分のタバサ像だと、やっぱり目に見えて物まで持てるおキヌちゃんはそこまでの恐怖の対象にはならないのかな…
でも壁抜けとかしてる最中の生首状態だとやっぱり気絶するかも。
ああー、しまった、トリップ出してしまった…
今後、トリップこっちに変更します(汗
乙ー。
横島らしい横島で、見てるこっちも安心ですね。
147 :
ゼロウォーズ:2008/03/20(木) 16:44:30 ID:e1PFlRNj
16:50ぐらいに投下しても良いですか?
148 :
ゼロウォーズ:2008/03/20(木) 16:50:36 ID:e1PFlRNj
反応が無いので投下します
夢を見たんだ…
敵に囲まれている夢を……
俺は今、ルイズの服を洗濯している。
ここにたどり着くのに、様々な事があった。
迷子になったり、道を尋ねようと適当な奴に話し掛ければ、
「平民の分際で、その態度は何だ!」とか言われたり、(なんだよ、こいつ等?)
挙句の果てには、「噂のミス・ヴァリエールの使い魔さんですか?」 と、メイドさんに聞かれる始末。
(メイドさんに聞かれる事は、問題じゃない……だが、『噂の』って何?)
もう疲れた。(さっき寝たばっかなのに……)
第3話 来訪者と貴族とメイド
俺は洗濯を適当に切り上げ、ルイズを起こしに向かった。
このルイズという少女、寝ているときだけはとても静かだ。(騒ぐ奴なんて居ないよな……)
「おい!ルイズ起きろ」
「………………」
ルイズは起きない。兵真はいろいろ考えたが、結論 ほっとく事にした。
そして兵真は二度寝をする為に床に寝転んだ。
30分後
突然、ルイズ部屋の扉が開き、そこには赤い髪の女性と赤い生物が居た。
「ルイズ、いつまで寝てるのよ!」
「うーん……キ…キュルケ?な……何で部屋に入ってきてるのよ!」
「登校時間とっくに過ぎてるから先生から呼んで来いって言われたのよ」
この時、ルイズの思考回路がようやく回り始めた。
「私の使い魔は?」
「アレのことかしら」
キュルケは、床で寝ている兵真の事を指差した。
ルイズは、ベットから跳ね起き、兵真を踏みつけた。
「ねえ……なんで起こさなかったの?」
「うぅっっ…ね…寝てたから…」
「そう…それで起こさなかったの……明日から、ちゃんと起こしなさいよ!!」
ルイズは、とどめに兵真の横腹を蹴った。
「ご…ごめん……ん?おい赤毛の人。隣の奴何?」
兵真は、流れを変えるために赤い髪の女性(キュルケ)に話し掛けた。
「私『キュルケ』って名前があるのよ。そう呼んで、使い魔クン。私の隣に居るのは、私の使い魔サラマンダーよ。
じゃ、私達は行くけど、早く支度してきなさいよ」
そう言って、キュルケは扉を閉めた。
ルイズは、手早く支度した。(本当なら「服とって」とかやりたかったのに……)
ルイズは、どうやらクラスの人気者のようだ(違う意味で)。教室に入ると、色んな声がルイズに向けられる。
「ゼロのルイズが来たぜ!」
「使い魔召喚できなかったからってそこらへん歩いてた平民連れてくるなよ!」
等など……聞いていて、他の奴もバカだと証明してくれる実に良いセリフだ。
こんな安っぽい挑発に乗っているルイズ、教室に偉そうな奴も来た……そろそろ止めるか……
と、思った時『偉そうな奴』が止めた。
「そこ、うるさいですよ」
皆、各々の席に座った。俺はとりあえず、ルイズの隣で立っていた。
自慢じゃないが俺は、飽きっぽい。したがって『授業』というものが嫌いだ。
今日は、{練金}と言う物をがテーマらしい。だが…俺は違う事を考えていた。
(サモン・サーヴァント=ゲート開放・そしてコントラクトサーヴァント=ナイツ
だから、俺を呼び出したルイズ=ゲートマスターっと思っていたが何か違う……
じゃあ誰が、ゲートマスターだ?)
俺は、ルイズに話し掛けた。
「ルイズ、使い魔ってお前みたいな奴は、全員持っているのか?」
「ちょっ、今授業中よ。後にして」
「頼む。答えてくれ」
「もー!多分」
適当に答えるルイズ、がそんなやり取りを教師は見逃さなかった。
「ミス・ヴァリエール、何を話しているんですか?貴方には{練金}をやってもらいます」
キュルケが即座に反応した。
「止めといた方がいいと思いますけど……」
兵真が反応した。
「良いじゃないか。誰がやってもさ。結果なんてどうせ皆同じだろ?」
「違うわよ!あの子は、特別なの!!」
「???意味がわかんねぇ」
キュルケと兵真がそんなことを横で話していると、ルイズは教壇に向かっていった。
「やります!」
兵真以外の生徒は、机の下に身を隠しながら、ルイズ説得しようとしている。
兵真は、ドラマで見た《銀行強盗を説得する光景》を思い浮かべていると、キュルケが話し掛けてきた。
「使い魔クン、怪我したくなかったら隠れなさい!」
(何なんだよ?それに、『使い魔クン』なんて名前じゃねえよ)
「早くしなさい!」
俺は、忠告どうり身を隠した。わずか数秒後……何かが爆発した。
キュルケを始めとするその他の連中曰く
魔法の成功率、ほとんどゼロ。そこからルイズの二つ名は“ゼロ”となったらしい。
その後、授業は中止となった。教師は気絶し、俺とルイズは掃除をさせられた。
(ルイズが散らかしたのに、何で俺まで?)
そして、昼食。色んな事があり、俺のストレスは限界ギリギリだ。
食堂に入ると、ルイズは俺に「あんたのはそれだから」とか言ってきた。
ポツンと皿の上にパンが有るだけだった。(マジ?マジなの?)
俺は、ルイズから色んな話を聞いた。
例えば…ルイズ達の事を、メイジと呼んでいる事や、魔法の事などだ。
こんな時、事件が起きた。喧嘩だ。
喧嘩の内容はこんな感じだ。
金髪少年(ギーシュと言う名前らしい)の二股が、
メイドさん(『噂の』とか言ってくれた奴。名前はたしかシエスタ)
によってバレ、逆ギレと言う内容だ。
朝、シエスタは俺を助けてくれたので、俺はシエスタの味方についた。
「金髪、お前が悪い」
ギーシュは何かに気づき薔薇を向ける。
「ルイズの使い魔か…まさかそのメイドを庇うつもりかい?」
「だから何?だいたい、二股なんてバカがやる事だ。バカはバカらしく過ごしてろよ!」
こんな、挑発に乗ってくるとは、やはりバカだ。
「このギーシュ・ド・グラモン! 君に、決闘を申し込む!ヴェストリの広場で待っている!」
と言い残し立ち去った。
「だめ…殺される……」
シエスタが怯えきった表情で言う。
「シエスタ安心しな。俺は、【ナイツ】だ…」
そして俺は、ヴェストリの広場に案内してもらった。
154 :
ゼロウォーズ :2008/03/20(木) 16:55:18 ID:e1PFlRNj
以上です。有難う御座いました。
文珠の人乙。
>チキの提督
ギーシュイベント回避ネタは多いけど、アルビオン潜入回避ネタは少ないな
姉妹スレのロハン&プチャラティ召喚ネタだったか?
マザリーニがことが終わった後、
「んなもん似たような内容の手紙、わざとゲルマニア中にばらまきゃよかったのに」
と心の中で突っ込む話があった。
こんな感じか
「レコンキスタの連中は皇帝陛下とアンリエッタ王女の婚儀を妨害するため、ウェールズと王女が実質夫婦だったという欺瞞情報を流すらしいぞ」
「確かもう子供も三人いるとか…」
「いやいやラグドリアン湖で王女と愛を誓ったのはガリア王弟だよ。なんせあの湖のガリア側は彼の領地だからな。
ジョゼフ王は腹黒王女のガリア王家乗っ取りの野望を防ぐ為、泣く泣く弟を殺したんだよ。
実はトリスティン魔法学校に亡命留学しているシャルルの娘は王女の隠し子らしい」
「実はトリスティンにいる王女は影武者だよ。本物の王女。つまりアルビオン王弟の娘は今もアルビオンのどこかに隠れているのさ。なんでもとんでもない胸らしい」
とかいう怪情報が乱れ飛ぶ中、いざ”本物”の手紙がゲルマニアに送られても
「なんだまた例の怪文書か」
で終わり。
SSの考察やりすぎると書き手が引くから程々にしてくれ。
>>156 欺瞞情報の内容に噴いたw
ストレス溜まってんな枢機卿www
>チキの提督
多重クロスですね わかります><
ゼノサーガのキャラは誰も召喚されてないんか。
ジギーあたりは良さげだと思ったんだけどな……モモとルイズは髪の色同じ感じだし、
身体的特徴も似たような感じで。性格は違うけど。
どっかの討ち手の世界では中の人的にコンビだし。
自分も一応長編書いてる最中で、作中では頑張って手紙のためにアルビオンにえっちらおっちら行かせるつもりだけど………
正直本当に任務を達成する必要はないと思うんだよね。
同盟を結ぶための政略結婚なんだから浮気してようとしてまいと関係ない、結婚=同盟が目的なんだから。
むしろ、貴族王族なら床上手な愛人を別に作るのは当たり前だし。
任務失敗、ってのも一つの選択肢とやってみる。
いやほんと、お前等、マジで言わせてくれ
ゼロな提督で熱くなるのは良いが、もちつけ!
作者が書きにくくてしょうがなくなるって言ってんじゃねーか!
特に156!そんな良いネタ軽々と書くんじゃねぇ!作者がホントにそれ考えてたらどーすんだ!
いい加減、他の話をしろっての!
>チキの提督
混じってる混じってるw
ともかく、文殊横島とゼロウォーズさん、お疲れーさま
というわけで、他の話をしよう
諸君、私はひんぬーがすきだ
ルイズの、えぐれるようなひんぬーがすきだ
貧しい胸などどうでも良い。
服を脱ぎかけで躊躇い、上目遣いに「もう少しあった方が良かった?」とタバサが呟いたら悶死する。
提督読んで後悔した(あんなところで止められたら続きが気になって仕方がない。続きが投下されてから纏めて読むべきだったの意)
みんなそれよりもネクサスの話をしようぜ!
いく
悪魔城ドラキュラから月下の夜奏曲のアルカード召喚
あれ?太陽平気だったかな?
確かエンディングで青空の下で平然としていた記憶があるけど
いくぱ
皆様こんばんは
14話の推敲が終わりましたので、進路グリーンなら40分頃から投下したいと思います
>>162 (・ω・)人(・ω・)ナカーマ
自分はイザベラ様を横に並べて二人が互いをライバルとして意識しつつも協力プレイしてくれたら言うことはありません
しえーん。
173 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/20(木) 18:39:14 ID:SZ+yG4Zg
支援ありがとうございます、投下開始させていただきます
イザベラ管理人第14話:貴族というモノ・後編
「け、決闘!?」
オリヴァンがその言葉の意味を理解するまでの数瞬の間に、イザベラが突きつけたフォークは腸詰を突き刺してイザベラの口に運んでいた。
決闘…貴族同士が誇りを賭けて行う闘争である。
ハルケギニアで決闘といえば、魔法戦を指していると思って問題ない。
もちろん誇りを賭けた戦いだ、命のやり取りでもある。
すなわち、イザベラはオリヴァンを死地に送り出そうとしているのだ。
「そ、そんな、王女殿下、僕はドットなんですよ!ラインのあいつらに勝てるわけがない!」
オリヴァンの主張はもっともであろう。勝てないからこそ、彼はこうなっている。
もちろん、そんなことなどイザベラはわかっている。
「安心しな、ちゃんと策はある。要は、戦力の問題さ」
イザベラは楽しくて仕方ないといった笑顔だ…この場で楽しんでいるのは彼女だけだが。
耕介はもう完全にイザベラに任せることにし、食事をしている。
(何かあれば頼ってくれるだろうし)
最近のイザベラは耕介を信頼してくれている。
言うなれば、耕介と御架月の関係に近くなってきている。イザベラが耕介に何も言わないということは、必要ないということなのだろう。
「せ、戦力って言われても…ドットの僕が…あ、そうか、そこの騎士が僕に手を貸してくれるってことですね!」
耕介の存在を思い出し、陰鬱だったオリヴァンの顔が一気に明るくほころぶ。
だが、その喜びは一瞬にして突き崩されることとなった。
「はぁ?何言ってんだい、あんたが戦うに決まってるだろ。あたしとコースケは立会人。あたしが提供してやるのは…これさ」
そう言って、イザベラは肩に留まっていたフクロウが首から下げていた、フクロウ自身ほどもある袋をテーブルの上に置いた。
テーブルと触れ合った時の硬い音とボコボコと袋が歪に膨れ上がっているのを見る限り、手のひらサイズの硬い何かが数個入っているようだ。
「な、なんですかこれ…?」
オリヴァンの不安げな顔な顔に向かって、今度はナイフを突きつけてイザベラは得意満面に言い放った。
「それが秘策その1さ!」
なにやらよくわからないが、オリヴァンとアネットが『おぉー』と拍手をする。
その反応に満足したのか、うんうんと頷くイザベラ。次いで、耕介に意味ありげな視線を送ってくる。
直感的に理解した。あれは悪戯っ子のアイコンタクトだ。
さざなみ寮の、耕介の魂の兄妹にしておふざけ大好き歌姫椎名ゆうひと悪戯盛りの陣内美緒がタチの悪い悪戯を共同で仕掛ける際の目配せに通じるものを感じた。
この場合どうするべきか、耕介は若干考え…るまでもなかった。
「その1って、その2があるのか?」
耕介の言葉にイザベラは非常に満足そうな笑顔だ、どうやら正解だったらしい。
「ああ、と言っても、その2はこの屋敷にあるんだがね」
この場でイザベラの考えを理解できた者など誰もいなかった。
夕暮れ時、学院の授業が終わり、彼らは帰路へついていた…が、校門前でとある人物に呼び止められた。
クラスのリーダー格にして、オリヴァンに過激な友情を強いていたアルベール少年は怒りと困惑を同時に抱いていた。
「オリヴァン…お前、本気で言ってるのか?」
彼の反応は無理もない。呼び止めた人物とは、彼ら曰く”友人”である…
「ほ、ほほ本気だとも!アルベール君、け…決闘だ!」
オリヴァンだったからだ。
顔は蒼白、体はブルブルと震えて、腰も引けている。完全に怯えている。
それでも、その目は今の言葉が本気だと告げていた。
情けない限りだが…それでも、闘争の意思を見せていた。
「…何のつもりだ?」
その様に、アルベールの怒りが燃え上がる。
ストレス発散のためのデブ人形ごときが誇り高き貴族で力あるラインメイジである彼と同じ舞台に立とうというのだ。
これが侮辱以外のなんだというのか?
支援
そいや
タバサ関係の流れに吹いた
支援
「オリヴァン君、気でも狂ったのか?」
「おいおい、ドットメイジの君がラインのアルベールに勝てるわけないだろ!」
「わかったか?だったら、俺たちこれから居酒屋に行くんだ、お前も来いよ、な、財布君?ギャハハハ!」
アルベールの取り巻きたちがオリヴァンを囲んで口汚く罵りながら嘲笑する。
だが、オリヴァンは目を逸らさなかった。
冷や汗をたらして、今にも泣き喚きそうに顔を歪めて…それでもアルベールを睨みつけ続ける。
その目がどうしようもなくアルベールを苛立たせる。
貴族の面汚しごときに苛立たせられること自体が屈辱だ。
「驚いたな、オリヴァン君。でもわかってるのか?決闘ってのは、貴族同士が行う誇りを賭けた戦いだ。君に貴族の誇りなんてあったのか?」
凶悪な怒りに支配され…結果としてアルベールは笑顔になった。朗らかさなど感じられようはずもない、禍々しい笑顔だが。
オリヴァンはそう言われても、言葉を返すことはなかった。いや、正確には返せなかった。
内気で気弱な彼にはもう喋ることなどできなかった。ここで言い返せるのならば、オリヴァンはこうはならなかった。
事実、オリヴァンは逃げ出したかった。今すぐに自分の砦に引きこもって、空想の中で遊んでいたかった。
でも悲しいかな、彼は思ってしまったのだ。悔しいと。自分が情けないと。
彼は貴族であり…そして、男だったのだ。空想の中に生きる勇者のようになりたいと夢見る、いつまで経っても子どもっぽさの抜けない男。
だから、戦わなければならなくなった…怖くても、戦えなければ勇者になどなれないのだから。
「………わかった。やろうじゃないか、オリヴァン。場所はどこだ?ここでやるか?」
そして、アルベールもまた、貴族であり男だ。彼もオリヴァンも根本には同じものを持っている。
だからこそアルベールは許せない。勇者になるのは誇り高き貴族であるべきだ。断じて、こんな誇りの欠片もない肉塊ではないはずだ!
アルベールは燃え上がる怒りで気づいていない。その苛立ちこそが、彼がオリヴァンに誇りがあることを認めてしまった証拠であることに…。
「い、1時間後に、サン・フォーリアン寺院まで来てくれ」
早口でオリヴァンは言い切った。そうでもしなければ倒れてしまいそうだからだ。
「わかったよ。そっちから仕掛けてきたんだ、逃げるなよ?」
そう言ってアルベールたちは去っていったが…オリヴァンは最後までアルベールを睨み続けた。
目を逸らした瞬間に、逃げ出してしまうことがわかっていたから。
「さぁ、これらを使って、あんたはどうする?」
殿下はそう言って、挑発的に僕を見つめた。
僕に決闘しろなんてたきつけておきながら、それ以外に具体的なことは何も言ってくれなかった。
「あんたは悔しいから泣いたんだろ?だったら、その悔しさを戦うことに向けろ!」
そんなこと言われたって、勝てるのなら最初からそうしている!
勝てないってわかってるから、僕はこうやって逃げるしかなかったんだ!
「あんたには今選択肢がある。もちろん戦わないって選択肢だってあるさ。でも、戦うための選択肢だってある」
殿下は力があるからそんなことが言えるんだ!
あれ…でも、この人は、魔法の才能が全然ないから無能王女と呼ばれてるんじゃなかったっけ…。
「悔しいと思うなら、勝ちたいと思うなら、勝つにはどうするか考えな。自分と相手の実力差、手札の違い、想定しうる状況…全部利用して、有利な状況を作れ」
僕と同じ落ちこぼれのはずなのに…殿下は何にも物怖じしない。
その目が放ってる光は…王女という地位にいるからなのかな…。
「あんたが好きな物語の勇者たちは、勝てる奴にしか挑まなかったのかい?違うだろ、単純に戦っても勝てない相手にも挑んだ、だから奴らは勇者って呼ばれてるんだ」
勇者…そう、僕は勇者になりたかった。どんな強大な敵にも怖じずに戦い続ける、勇敢なる者に…。
アルベールと取り巻きたちがサン・フォーリアン寺院にやってきた時、オリヴァンは既に待っていた。
だが、他にも二つの人影があった。片方は小柄で長髪、もう片方は学院でも長身の部類に入るアルベールよりも頭一つ分は高い。
(まさか、代理を立てようってのか…?)
今日になって突然オリヴァンが決闘を挑んでくるなど、不自然極まりない。何らかのきっかけがあったはずだ。
例えば、傭兵メイジあたりを雇って、代理に立てたとしたなら納得できる。
しかし、そんな考えは人影の正体に気づいた時吹き飛んだ。
「お、王女殿下!?」
その人影は、このガリアを治める無能王ジョゼフの娘イザベラその人であった。
あの鮮やかな青い髪を間違えられようはずもない。
「あんたがアルベールかい。安心しな、あたしとこの男は単なる立会人だ。手も口も出さないよ」
まさか、あのオリヴァンと残酷なことで有名なあの無能王女に何らかの繋がりがあったのか?
だとしたら、アルベールは…いや、彼の家門そのものが今危機にさらされていることになる。
そんなアルベールの考えを読み取ったかのようにイザベラは付け加えた。
「それと、この決闘の結果が双方の家になんらの利益も損害ももたらさないことを確約する。書類でも作るかい?」
「い、いえ、王女殿下のお言葉を疑うわけがありません…。しかし、何故王女殿下がこのような場に…?」
王女がここまで言うのだ、本当に単なる立会人なのかもしれない。それでも何故彼女がここにいるのかはわからないままだ。
「まぁ、ちょっとした縁があってね。不思議なことじゃないだろ?ド・ロナル家はあんたの家と同じく名門なんだから」
確かにド・ロナル家と王女に縁があるのは当然だろう。だが、オリヴァン自身と王女に縁があるというのは…どうにも腑に落ちない。
だが、今更どうこう言っても仕方ないだろう。今はオリヴァンの思い上がりを叩き潰すことに集中すべきだ。
当のオリヴァンは…やはり震えていた。だが、その目は先ほどと同じく明確に闘争の意志を宿している。
そして、今はその姿にも意志が表れていた。
「本当に…本気みたいだな、オリヴァン」
オリヴァンは学院の制服の上からマントを羽織っていた。
裏地に金糸でマンティコアの紋が織り込まれているそれは…間違いなくド・ロナル家の戦装束。
不退転の意思を表す何よりの証拠。
「あ、アルベール君…ぼ、僕は、貴族として…君に挑む」
声も体と同じように震えている。やはり腰も引けている。
それでもオリヴァンは自分の意志で杖を抜いた。
「おいおい、そんなへっぴり腰で貴族だなんてよく言えたもんだな!」
「今ならまだ謝れば許してもらえるかもしれないぞ?ギャハハハハ!」
取り巻きたちが下品な笑い声をあげて野次を飛ばし…彼らは即座に後悔させられた。
「黙りな!貴族同士の決闘に野次を入れるなんて、あんたらには貴族の自覚がないのか!」
イザベラの怒号と鋭い眼光には、上に立つ者としての威厳があった。
取り巻きたちの誰よりも小柄で…だが、誰よりも大きく見える。
これが本当にあの無能で知られる王女なのか?
だが、アルベールだけはイザベラの怒号にも反応を見せなかった。
ただ、無言のままに杖を抜く。
彼はもう怒りを抑え切れなかった。
(貴族として…だと?今までされるがままに卑屈に振舞ってきたお前が?ふざけるな!)
アルベールの家は元帥を輩出したこともある有名な武門だ。
故に、彼にとって貴族としての証明とは力そのもの。力あるからこそ平民を護り、そして平民たちから奉仕される。
貴族のくせに力がないということはすなわち罪悪だとさえ思っている。
では、今目の前に立ち塞がるオリヴァンという少年はどうか?
オリヴァンはド・ロナル家という、貴族の中でもさらに選ばれた家に生まれていながら未だにドットでも下位。
そんなオリヴァンはアルベールにとってまさしく罪悪そのもの。
今までは罪人らしく卑屈に小さくなっていたから、”遊んでやる”ことはあっても、排除することはなかった。
だが、罪人のくせにアルベールをこれほど侮辱するとは…もはや彼が裁判官となり、この罪人を断罪してやらねばならない。
「さぁ、双方とも用意はいいね?このコインが地面に落ちた時が始まりだ」
立会人の王女―彼にとってはこの王女も罪人だ―がコインを取り出し…数瞬迷ってから後ろで控える男にそれを手渡した。
なにやらばつの悪そうな顔だが、まぁ今は関係のないことだ。
聴覚に神経を集中させ、落下と同時に詠唱を開始できるようにしておく。
「えっと、じゃあいくよ」
男が親指の上に乗せたコインを上にまっすぐ撃ち出す。
アーッ
コインは数秒上昇し、すぐさま落下を開始…キーンという高い音と共に母なる大地へと帰り着いた。
「ぼ、坊ちゃま、決闘なんてあぶのうございます!」
父上の書斎に忍び込んで持ち出してきたド・ロナル家に代々伝わる戦装束のマントを羽織る。
アネットが僕にすがり付いてくるけど、振り払った。
「坊ちゃま…本当に…行かれるのですね…」
思えば、このアネットというメイドは、どうして僕の心配なんてしてるんだろう。
単なる使用人としての義理立てかと思っていたけど…それだけじゃない気もする。
「坊ちゃま…アネットはこのお屋敷でお帰りをお待ちしております。ですから、必ず無事にお戻りくださいませ…」
どうやら本気で心配してくれているみたいだけど、僕はどうしても行かなくちゃいけない。
僕なんかじゃ勇者にはなれないけど…なりたいって思ったことは事実だから。
奇しくも、オリヴァンとアルベールが選んだ魔法は同じ、エアハンマーであった。
だが、風のラインであるアルベールと、風のドットであるオリヴァン…威力においても速度においてもアルベールが負けるわけがない。
「うわぁ!」
案の定、オリヴァンのエアハンマーはかき消され、空気の塊をもろに浴びたオリヴァンは吹き飛ばされた。
だが、まだまだ始まったばかりだ。先ほどのエアハンマーはある程度相殺され、大したダメージにはなっていない。
今度はエアカッターを詠唱、狙うは足だ。杖を狙えばあっさりと勝てるだろうが…それだけではこの怒りが収まるはずもない。
(じわじわいたぶってやる!)
詠唱完了と同時に風の刃を解き放つ…が、オリヴァンはアルベールの口元に注意していたらしく、無様に地面を転がってエアカッターを避けた。
「小賢しい!」
避けられたことで、アルベールの怒りがさらに燃え上がる。
再びエアハンマーを詠唱、空気の塊を解き放つ。
だが、再びオリヴァンもエアハンマーを詠唱していたらしい、空気の塊同士がぶつかり合い…やはり、アルベールのエアハンマーが勝利する。
「無駄なんだよぉ!」
アルベールは続けざまにエアハンマーを詠唱し…オリヴァンにぶつかった先ほどのエアハンマーが初手よりも威力を発揮していないことに気づいた。
(な、なんで…まぁいい、俺の勝利は揺るがない、このまま押し切る!)
アルベールはもう少し考えるべきであった。
そう、おかしいのだ。アルベールの最初のエアハンマーがあの程度の威力にまで減じさせられたことを疑問に思うべきだった。
オリヴァンを支えているのはわずかばかりの意地や願い。それらが全て混ざり、勇気と名づけられるものへと昇華されている。
だが、その勇気が、負けたくないという思いが、オリヴァンの魔法の威力を引き上げていた。
それでもアルベールの魔法とは比べるべくもないが…決着を引き延ばすことはできた。
アルベールの怒りも魔法の威力を引き上げられたかもしれないが…彼は慢心していた。
オリヴァンごときにはまかり間違っても負けるわけがないと確信していた。
その慢心が、彼を停滞させていた。
オリヴァンにとって、それは薄氷を踏むような戦いだった。
エアハンマーはスピードと範囲的に避けることは難しいからこちらもなんとかエアハンマーをあわせ、相殺する。
エアカッターは多少詠唱が長いのと、線の攻撃なので、アルベールの口元に注意し、回避に専念する。
ラインスペルを撃たれては対処する術などほとんどないので、エアハンマーを小刻みに撃つ事で細かい魔法の撃ちあいにもつれ込ませる。
そうすることでアルベールが逆上し、集中力を乱すのと待つ。
これが作戦を成功させるための絶対条件。彼にとって果てしなく遠い勝利への道の前半部分だ。
そして、今のところは成功していると言える。
避けそこなってエアカッターをいくつか食らい、相殺し切れなかったエアハンマーを浴びもしたが、オリヴァンは未だに立っているのだ。
アルベールの表情も焦れてきているのがわかる。
すぐに決着がつくだろうと思っていた戦いが長引いているのだ、プライドの高い彼にとっては何よりの屈辱。
だが、そろそろオリヴァンも厳しい。体のダメージだけではない。精神力が尽きかけている。
何より、最後の一手のために精神力を少し温存しておかねばならない。
となると、エアハンマーでも撃てて後2発というところ。
「ぐ…!」
アルベールのエアハンマーにこちらのエアハンマーをぶつけ、相殺するが…オリヴァンの集中力も乱れてきているせいか、最初よりもダメージが大きい。
「ここまでよくやった、オリヴァン!でも、次で終わりにしてやる!」
オリヴァンが吹き飛んだのを見て、アルベールが狂的な笑みと共に言い放つ。
さぁ…最後の一手を打つ時だ!
アルベールは焦っていた。
彼は最初から今までずっと優勢なままだ。自身は傷一つついていないのに、オリヴァンは既に満身創痍。
だが、決着がつかない。オリヴァンが細かく魔法を撃ってくるせいで、こちらもそれに合わせなければならないせいだ。
エアハンマーの利点は面の攻撃であること、精神力の消費が少なめであること、速度が速いことなどがある。
だが、威力自体は大したものではない。
スクウェアクラスともなれば、一撃で骨を砕くほどの威力を出せるが、ドットやライン程度では決定的な一撃にはなりえない。
けれども、無視することができるほどでもない。
アルベールはオリヴァンの狙いがある程度読めていた。ドットスペルの撃ち合いにもつれ込ませることで、こちらの疲弊とミスを誘っているのだろう。
なるほど、実力で劣るオリヴァンが勝とうと思うなら妥当な策だろう。
だが、それはオリヴァンがそれまで耐え続けられなければならない。
そして、そんなことは不可能なのだ。オリヴァンは今吹き飛ばされた。
それは、アルベールにラインスペルを唱える隙を与えたことを意味するのだから。
詠唱するのは風の二乗、ブラスト。エアハンマーよりも巨大で圧縮された風の一撃は確実にオリヴァンを捉え、戦闘不能にするだろう。
アルベールの詠唱が完成しかけた時…吹き飛ばされ、倒れ伏したオリヴァンが杖を振った。ありえない、吹き飛ばされながら詠唱したとでもいうのか?
その時、視界の端で、生え放題の雑草の中から現れたモノがあった。
「な、何!?」
咄嗟にそちらへ視線を向け…アルベールは凍りついた。
そこにいたのは、オリヴァンだ。傷一つないオリヴァンがこちらへ駆けてくる。
(まさか、偏在!?ありえない、なんでスクウェアスペルをあいつが!)
だが、実際にもう一人のオリヴァンはこちらへ突進してきている。草を踏み潰しているから、幻覚の類でもない。
混乱したまま、アルベールは急遽狙いを傷のないオリヴァンに向け、解き放った。
強力に圧縮された空気の塊が直撃がもう一人のオリヴァンを吹き飛ばし、寺院の壁をぶち抜いていく。
視界の端で傷だらけのオリヴァンがもう一度杖を振るのが見えた。今度こそ魔法が飛んでくる!
自分でも信じられない速度で詠唱を完了させ、エアシールドを展開…だが、何も起こらない。
アルベールが傷だらけのオリヴァンを訝しげに見つめていると…違和感を感じた。
それは…手の中の感触がなくなったせいだった。
「…え?」
自分の杖が浮いていた。杖は独りでに動き、オリヴァンの方へ向かっていく。
まさか、コモンスペルの<<念力>>か?だが、あれはアルベールが握り締めていた杖を奪えるほどの力はないはずだ。
しかしいずれにせよ…杖が奪われたことだけが事実として存在している。
上体だけを起こしてゼィゼィと荒い呼吸で…それでもオリヴァンは晴れやかに宣言した。
「つ…杖を…奪った……ぼ、僕の……勝ちだよ…」
そう…アルベールは敗れたのだ。
貴族の決闘において、杖を奪うというのは最も華麗な勝ち方とされている。
もっとも、今のオリヴァンを見て華麗などという単語を思い浮かべられる者などいないだろうが。
「いったい…何が…」
アルベールには何が起こったのかサッパリわからない。
最後に出てきたもう一人のオリヴァンはなんだ?何故杖が勝手に飛んでいった?
アルベールが信じられない現実に思考を漂白されていた時、オリヴァンが杖の下あたりを引っ張るのが見えた。
すると、衣擦れの音と共に…
「ま、また、オリヴァンが!?」
3人目のオリヴァンが現れたのだ。
傷だらけのオリヴァンが3人目からアルベールの杖を受け取り、ルーンを唱えると、3人目は徐々に小さくなり…やがて、小さな人形の姿となった。
「ハァハァ…スキルニルっていう…血を垂らすと…ゲホ!その血の持ち主の姿形や能力を…コピーするガーゴイルだよ…」
スキルニル…その名を持つマジックアイテムは知識としてだけならアルベールも知っていた。
だが、メイジをコピーしても魔法が使えない上に作るのにコストがかかりすぎる、加えて作動させている間精神力を食い続けることもあり、戦闘に使われることはなかった代物だ。
それをこんな形で使うとは…。
「でも、なんで見えなく…あ…ド・ロナル家の家宝『不可視のマント』か!」
「うん…スキルニルにかぶせておいたんだよ…」
ド・ロナル家には先祖が妖精に捕えられた姫を救うために神から授けられたという触れ込みの家宝がある。
伝説の真偽はさておくとしても、この秘宝が周囲の風景を映し出し、その下に隠れた者を誰にも見えなくさせる効果があることは疑いようがない。
「アルベール君は…風のラインの中でも上位だから…マントをかぶせたスキルニルの動きを察知されないようにするのに苦労したよ…」
そう、オリヴァンが魔法の撃ちあいにもつれ込ませたのは、ミスを誘うためなどではない。
オリヴァンに集中させ、焦れさせ、詠唱の長いスペルを唱えるのを待っていたのだ。
そこで草むらに置いたスキルニルを起動させて不意をつき、意識が逸れたところをマントをかぶせたスキルニルで杖を狙う。
風の流れでマントをかぶせたスキルニルの動きを察知されても、走る音に気づかれてもこの策は失敗していた。
まさしく薄氷を踏む戦い…だが、オリヴァンはそれをやってのけたのだ。
「………俺の負けだ……」
純粋な魔法の勝負ではアルベールは勝っていた。だが、オリヴァンは知略を駆使して、決闘に勝った。
魔法も知略も、いずれも力だ。だからアルベールは負けを認めた。力の信奉者であるが故に、認めるしかなかった。
「勝負あり…だね。勝者はオリヴァンだ。アルベール、あんたが負けた理由…わかるね?」
アルベールが自ら負けを認めたことを確認し、イザベラが立会人として宣言した。
そして、イザベラのアルベールへの問いかけの答えは…彼には痛いほどにわかっていた。
「俺の…慢心…です」
オリヴァンはまともにやっては勝てないとわかっているから、全力で勝つために策を練った。
一方のアルベールは、自身の勝利を疑わず、それどころか怒りに任せてオリヴァンをいたぶろうとした。
その結果が、これだ。力でもって負けたのだ、言い訳のしようなどあるはずもない。
だが、ここにいるのは当事者とイザベラたちだけではなかった。
「お、お待ちください殿下!ガーゴイルを使うなんて決闘にあるまじき卑怯ではありませんか!騙し討ちですよ!」
アルベールの取り巻きたちが納得いかないと食って掛かってきたのだ。
「やめろ!」
それを止めたのは…アルベールであった。
「お前たちは土メイジのゴーレムも卑怯と罵る気か?オリヴァンはマジックアイテムを巧く使って、戦術を成功させた。それだけだ」
オリヴァンが驚いたような視線をアルベールに向けている。彼にかばわれるとは思わなかったのだろう。
だが、この言葉はかばう意図などなかった。アルベールの全くの本心だ。
彼は武門を継ぐ者として育てられた。故に、力を信奉している。そしてその力の中には戦術や戦略とて含まれている。
オリヴァンは自分にできることを組み合わせて戦術を編み出し、アルベールを打倒した。力の信奉者として、それを認めなければならないのだ。
でなければ…
「俺はオリヴァンに負けた。これは事実だ」
アルベールは貴族ではいられない。
取り巻きたちはアルベールに制され、納得いかなげではあったが、矛を収めた。
そして、アルベールは未だに尻餅をついたままのオリヴァンに近づき、手を差し伸べた。
「あ…ごめん」
オリヴァンはその手の意味を理解し、杖を返した。
アルベールは杖を受け取ると、その切っ先をオリヴァンに向けて呪文を詠唱する。
それは…水のスペルであるヒーリングであった。
「俺は専門じゃないから気休め程度にしかならない。ここからなら俺の家の方が近い。治療だけ受けていけ」
オリヴァンが驚いてもごもごと御礼を言うが、アルベールは無視してイザベラに振り向いた。
「殿下に立会人を務めていただけて光栄の極みです。ありがとうございました」
深々とお辞儀をするアルベールを見て、オリヴァンも慌ててイザベラに頭を下げた。
「いい戦いだったよ。アルベール、あんたの魔法の腕前は確かなもんだ。そしてオリヴァン、あんたの貴族の誇りと知略、見せてもらったよ。あんたたちの将来、楽しみにさせてもらう」
それだけを言って、イザベラはレビテーションでスキルニルを回収すると、長身の騎士と共に去っていった。取り巻きたちもアルベールが追い払った。
後にはアルベールとオリヴァンだけが残った。
「行くぞ」
アルベールはオリヴァンに手を差し伸べる。
「え、う、うん」
オリヴァンがその手をとると、一気に持ち上げられ、アルベールが肩を貸してくれた。
「ありがとう、アルベール君」
「フン、もっと体重を落とせ、重い」
レビテーションをかけた方が早いし楽であったろうが…アルベールはそうしなかった。
魔法で物のように運ぶのは、この”友人”を侮辱することになると考えたのかもしれない。
「なぁ、イザベラ、良かったのか?オリヴァン君の怪我治さなくて」
行きと同じく、適当に捕まえた粗末な馬車の中で耕介は口を開いた。
オリヴァンは重傷でこそないものの、裂傷や打撲を数え切れないほどに負っていた。
御架月ならそれを治してやることもできたが…。
「いいんだよ、死ぬわけじゃなし。オリヴァンにとっちゃ名誉の負傷さ。それに、あの二人にはこの方が良かったろ」
アルベールはオリヴァンを貴族として認めた。ならば、あの場は彼に任せるべきだ。
「まぁそれもそうか。そういえば、あのド・ロナル夫人、依頼が達成されたのに全然嬉しそうじゃなかったのはなんでだ?」
耕介とイザベラはド・ロナル邸に寄り、明日からオリヴァンが学院にいくだろうと報告したのだ。
だが、それを聞いた夫人の卑屈で引きつった笑顔はどう控えめに見ても嬉しそうではなかった。
「ハ、当たり前だろ。子どもの躾に王女の手を煩わせたんだ、社交界のいい笑いものさ」
イザベラは立会人としてあの場にいたのだ、必ず”何故あの場にいたのか”がどこかしらに漏れるだろう。
そうなれば、ド・ロナル家が子どもの躾もできないと笑いものにされることは必至だ。
もちろんイザベラも他家の教育に首を突っ込んだありがた迷惑な王女として噂されるだろうが…今更悪名が一つ二つ増えたところで気にするほどのことでもない。
「ま、夫人には釘を刺しといたから、オリヴァンが何か言われることはないだろうけどね」
イザベラの言葉に驚き、訝しげにするド・ロナル夫人の寒々しい笑顔を思い出し、イザベラはニヤリと笑う。
イザベラはド・ロナル夫人に報告した際、こう言っておいたのだ。
『ド・ロナル夫人、オリヴァン君は将来が楽しみだね。彼のような勇気と誇りを兼ね備えた貴族がいるなら、ド・ロナル家も安泰だ。あたしが褒めていたって伝えておくれ』
『お、オホホ…殿下にお褒めいただけるとは、恐悦ですわ…』
その時のド・ロナル夫人の笑顔が語っていた。
この無能王女は何を言っているのだ、社交辞令にしても人を見る目がなさ過ぎるのではないか…と。
王女の言葉だ、ド・ロナル夫人は大っぴらにオリヴァンを叱り付けることはできなくなる…それを狙ってのことではあったが、オリヴァンの将来が楽しみだ、というのはイザベラの本心であった。
オリヴァンはあのまま努力し続ければ、魔法の腕はともかく、策略に優れた武官になれるかもしれない。
もちろん、途中で潰れることだってありえる。その場合は、それまでの男だったということだろう。青田買いとはそんなものだ。
はじめは単なる気まぐれではあったが、オリヴァンとアルベールという意外な収穫にイザベラは満足していた。
そして、そんな自分を耕介が頑張る子どもを見守る親のような視線で見ていることに気づいた。
「なんだい、コースケ。気持ち悪いね」
なんとなく耕介の視線の理由に思い当たる気がしたイザベラは顔をしかめた。
「気持ち悪いは酷いな。単に、イザベラも変わったなぁって思ってただけだよ」
やはり…イザベラの思った通りであるらしい。
羞恥でわずかに頬が赤くなるが、このままでは悔しいのでイザベラは反撃することにした。
「フン、いったい何のことだか。あたしは前と変わっちゃいないよ。あぁ、字もわからないボンクラを召喚したから、世話焼きにはなったかもね?」
「実を言うと、オリヴァンが経緯を話してる時、イザベラがいつ爆発するか気が気でなかったんだ。でも、イザベラはきちんと最後まで彼の話を聞いて、自信が持てるように考えてあげてた。優しくなったよ」
イザベラの反撃などそよとも気にせず、耕介は得意攻撃に出た。彼にそんな自覚はないが。
「く…!いきなり何言ってんだい、あんたは。あたしは将来使えるかどうか計っただけさ」
先ほどよりも顔に血が上っているのがわかる。
まったく、この男はどうしていつもこうなのか、と詮無い悪態をつきたくなる。
「オリヴァン君はイザベラと似てる感じがしたから、イザベラの期待通りになってくれるよ。自信もついただろうしな」
「この美しいイザベラ様のどこがあのデブと似てるってんだい、寝言は寝てから言いな!」
追撃を加えてくる耕介にせめてもの反撃をしつつ、イザベラは真っ赤になった顔を対面の耕介に見られないように窓の外を向いた。
それでも耕介がいかにも『全部わかってるよ』みたいな顔で笑い声をもらしているのがわかって、とてつもなく気に入らない。
いったいどうやってこのバカをへこませてやろうかと考えるイザベラと、終始満面の笑顔の耕介を乗せて、馬車はプチ・トロワを目指していった。
イザベラがオリヴァンに感じたものは、有体に言うなら同属嫌悪と言えるものだ。
自分の無能さを呪い、自己嫌悪に押し潰され、周囲の誰も信用できない。
イザベラは他者に当り散らす棘の鎧を着ていたが、オリヴァンは卑屈に生きることで自己を守っていたという違いはあれど、二人は自分を信じられないという意味で同じであった。
自分を信じるとは、難しいことだ。過多は問題だが、寡少では動くこともできなくなる。
オリヴァンに必要なのは力ではなく、自分を信じられる何らかの理由だ…イザベラにはそれがわかっていたから、あんな手段に出たのだ。
イザベラも自分を信じられたわけではない。今まさに信じるための理由を作っているところなのだから。
ただ、彼女の場合は耕介を信じることが自分を信じることと似た力を持っていた。オリヴァンにとっては、アネットが耕介に当たる存在になれるだろう。
自己嫌悪は止まらず、始祖の皮肉さに泣きたくなることもいまだにある。
けれど、イザベラもオリヴァンもまだこれからだ。
進み続ければ…きっと、何かの道が見える。今はそう信じて歩き出すのだ。
二人がプチ・トロワについてエルザの襲撃を受けていた頃、リュティス魔法学院と並んで有数の歴史と格式を誇るトリステイン魔法学院では舞踏会が開かれていた。
フリッグの舞踏会と呼ばれるこの宴は、毎年春に開催される生徒や教師の親睦を深めるためのものであるが…今回はもう一つ意味が付加されていた。
秘宝『破壊の杖』を盗み出し学院を震撼させた怪盗『土くれのフーケ』を捕えた生徒たちを労う意味も兼ねているのだ。
つまりはこの舞踏会の主賓であるフーケ捕縛の功労者の一人であるタバサは、派手さはないものの艶やかで品のいい黒のパーティドレスに身を包み…ただひたすら料理と格闘していた。
ダンスの申し込みに来た男たちなど一顧だにしないその徹底ぶりはさすがとしか言いようがない。
そんなタバサを心配して、キュルケは適当な男どもを見繕って踊らせようとしたのだが…まさしく暖簾に腕押し、糠に釘。
「タバサ、貴方本当に料理以外に興味ないのねぇ…。それで楽しんでるのならこれでもいいのかしら…」
キュルケの言葉にタバサはわずかに頷いた気がするが、それが本当に首肯だったのか、単に料理を物色するために視線を動かした結果なのかも判然としない。
その様子に、キュルケは呆れと共にタバサらしいとも思う。
この寡黙な少女が誰か男と踊っている姿など想像もできない。
しかし、それでは恋に生きる”微熱”のキュルケとしては面白くないのである。
「ねぇタバサ、貴方気になる男性って本当に誰もいないの?そうねぇ…貴方なら年上の優しそうな紳士と踊っている姿が絵になるかしら」
キュルケは反応を期待していたわけではなかった。タバサがこの手の話題に全く関心を持たないのは友誼を結んだ頃からわかっていたことだ。
だが、今回だけは違った。驚くべきことに反応があったのだ。
鶏肉の香草焼きにフォークを突き刺し、口元に運ぼうとしていたタバサがビクッと一度震え、そのまま停止していた。
しかも微細でわかりづらいが、頬にも血が上っている気がする。
それを確認したキュルケの反応は劇的であった。
「タバサ、貴方気になる人がいるのね!誰、誰なの!学院の誰か?年上となると、3年生かしら?でもタバサに釣り合うような男がいたかしら?」
予想外のタバサの反応に気を良くしたキュルケは高速で脳内に収められた『トリステイン学院イイ男リスト(ツナギを着た男は入っていない)』を検索していく。
しかし、タバサと関係があり、かつ惹かれるような男となると該当者が見つからない。
いいや、自分の知らない間に知り合っている可能性だってある、となると検索範囲を広げて…などとキュルケはぶつぶつと漏らしながら思考する。
いつの間にかタバサがいなくなっていることに気づくのはもうしばし後のことである。
支援
学院きっての劣等生”ゼロ”のルイズに召喚された数奇な運命の持ち主”ゼロの使い魔”サイトは主との初めてのダンスを終え、バルコニーにいた。
ルイズは料理をとりにテーブルへ向かっている。
先ほどの楽しくて照れくさい時間を思い出すだけで頬が火照ってくるのがわかった。
「全く、おめーさんは大した使い魔さ。主のダンスのお相手と務める使い魔なんて初めてだ!」
「う、うるさいなぁデルフ。恥ずかしいんだから蒸し返すなっての!」
相棒のインテリジェンスソード・デルフリンガーのからかいにいちいちむきになって言い返す様はまさしく思春期の少年だ。
だが、彼こそが土のトライアングルメイジフーケの操る30mという規格外のゴーレムを撃破した最大の功労者なのだ。
そんな彼の袖を引っ張る者がいた。
「あれ…タバサ?どうしたんだ?」
先ほどまでひたすら料理と格闘していたタバサであった。
彼女はいつも通りの無表情に無感動な瞳で…いや、瞳だけがいつもとは違う光を放っていたかもしれない。
「貴方は、『破壊の杖』を使う時、『これは俺の世界の武器だ』と言っていた。いったいどこから召喚されたの?」
何故なら、彼女は彼に聞かなければならないことがあったから。
「え…どこからって…ハルケギニアとは別の世界?星?まぁ全然違うとこからなんだけど…信じてくれねぇよなぁ…」
事実、彼は異世界から召喚されたのだが…それを信用してくれたのは、主であるルイズ(先ほど『信用する』と言ってくれたばかりだが)だけであった。
だが、タバサだけは違う。彼女には既に異世界から来た者に心当たりがあるのだから。
「ニホンという国は知っている?」
「え…日本を知ってるのか!?」
タバサの口から出た思いもよらぬ言葉にサイトは目をむいて驚いた。
そしてタバサも驚いていた。耕介とサイト…顔立ちにいくつか共通点はあると思っていたが、本当に同じ国から召喚されていたとは。
「ウミナリという地名は知っている?」
「うみなり…それは知らない。でも、日本にありそうな地名だ。なぁ、なんで日本のこと知ってるんだ?俺はそこから来たんだよ!」
こちらの世界に突然呼び出されて、帰れる手がかりがあったかと思えばその人物は死んでおり空振り…サイトは自分が思う以上に落胆していた。
だからこそ、全く予想もしていなかった人物から故郷のことを聞かされた彼の驚きは計り知れない。
彼女の肩を掴んで押し迫ってしまったのは無理からぬことであろう。
「知り合いに、日本から召喚された人がいる。その人も帰る方法を探している」
タバサの言葉を聞いたサイトの喜びはいかほどであったろうか。
この世界に一人で放り出されたと思っていたが…自分と同じ境遇の存在がいたのだ!
「俺一人じゃなかったのか…!なぁ、頼む、その人と会わせてくれないか?一生のお願いだ!」
「元よりそのつもり。でも、時間がほしい。彼はガリアにいるから簡単にはいかない。貴方の主の許可も必要」
「ガリア…別の国なのか…ルイズが許可してくれるかなぁ…」
別の国にいるとなると、そうほいほいと行って帰ってくるというわけにはいかない。
数日は学院を離れる必要があるだろう。そうなるとルイズの許可を得ないわけにはいかない。
だが、なんとかせねばなるまい。この異世界に同郷の者がいるのだ、どうしても会いたかった。
しかし、その前に彼は目の前の災厄を回避すべきであった。
「ここここここのバカ犬…なななな何をしていいいるのかしら…?」
「げ…!」
サイトが振り向くと…そこには、料理の乗った皿を左手に、フォークを右手に持ち、背後に『ゴゴゴゴゴゴ』という書き文字を背負って俯くルイズがいた。
表情は見えない…だが、だいたいの察しはつくというものである。
「い、いやあのこれはですねゴシュジンサマ…」
さて、客観的に今のサイトの状況を書き出してみよう。
まず、タバサの肩を掴んでいる。タバサに押し迫っている。二人の顔の距離は実は吐息が触れそうなほど近い。サイトがタバサを襲おうとしている、と思われても不思議では…いや、必然とさえ言えるだろう。
「も…問答無用ーーーー!」
ルイズはドレスにも関わらず華麗に右足を高く跳ね上げ、誰もが見惚れるほどの滑らかさで上半身を回転させ、勢いよく右足を振り下ろし…左手に持った皿を凄まじい速度で投擲した。
「ト、トルネード投hがはぁ!」
皿は狙い過たずサイトの顔面に直撃し、熱々の料理ごと叩きつけられ、彼はバルコニーの柵に激突した。
「ピ……ピンクだった……」
彼の遺言が何を示すのかは定かではない。
以上で投下終了になります、支援ありがとうございました!
耕介とアネットが空気だったけど、これ以上絡ませる妄想を展開できませんでしたorz
>>174 作家とは妄想を形にする仕事であります故に!
乙ー。どうも一話見逃したみたいだ、まとめに行って来る。
そして作者さんは避難所で良いから二人の協力プレイを文章化する作業に戻るんだ。
書き忘れていました
オリヴァンVSアルベールのところで魔法名に<<>>がついていませんが、>>が多すぎて『書き込めねーよ』とJaneさんに怒られてしまったからです(´・ω・`)
>>190 (・ω・)ゞサーイエッサー!
まて、
>>191 できれば原田知世…もといエルザも忘れないでくれ!
さざなみの方乙です
番外編期待してますね
さざなみ氏乙
イザベラが本編でエルザが番外編か?
どっちも好きなのでエルザにも出番をあげてくださいw
>>192 エルザにも近々活躍してもらう予定でございます、少々お待ちをば!
協力プレイ中に乱入してきて3人でコンボとか!
というわけで執筆に戻りまする、コテつきで長々と申し訳ありません、これからも変態紳士見習いとして頑張ります
>>189 おお、ここにきて才人登場。
才人と耕介の絡みに期待。
ところで、括弧に使うなら<<>>よりも《》の方が良くない?
多分
>>55-111 あたりへの遅レス
1:アルビオンの王宮は2年前までは王家が占有していた。
2:王党派の敗北が決定的になったのは4月の会戦において。
3:それ以前はまだ王党派の勝ち目が(少しは)あったと推測される。
4:アンリエッタの馬車移動時間を考慮すると、「敗色濃厚」
くらいの時期にゲルマニア皇帝との縁談旅行を行った模様。
5:魔法学院に行幸した時点で、王家は権力をまったく持っていない状況。
6:しかも、魔法衛視隊の隊長の事すらアンリエッタは知らなかった。
少なくとも信頼できるかどうかは知らなかった。(馬車での移動中マザリーニに確認している)
7:つまり手駒はまったく無かったといえる。
8:魔法学院での歓迎の式典でルイズに目を留める。
9:恋文についてはマザリーニにすら相談できなかった模様。
結論:アンリエッタは使う事が可能な手駒全てを出して奪取を図った。
あの時点では「これが精一杯」
というか王女ならもっと努力して手駒作っとけよorz
つまり、王女はもともと政略結婚用の駒でしかなかったということだ
それを無理に政治の表舞台に出したのが問題だと
あと、ゼロ魔本編でも「ルイズがフーケを捉えた」と知った上で学院に行ってる
使える駒かどうかはともかく、最初から「あたしのために死んで!」なのだろう
>>197 当時のアンリエッタには「手駒を作る」という発想自体なかったんでしょ。
(やや悪い意味で)お姫様思考なわけだし。
>>117 >>ルネサンス前のヨーロッパに政治学や軍事学のまともな著作はないからな。
ウ、ウェゲティウスはどうした
いんや、馬車での移動中はルイズのことなど気にも留めていなかった。
「そういやそんな名前あったかな?」程度。
よって、学院に行く事はマザリーニに「決められた」ことでしかない模様。
マザリーニに強く言われてはじめて「どうしよう、あの手紙!?」
となって、そういやルイズなら信頼できるかも!?
となった。
ただし。
夜中にルイズの部屋に行く時点では頼む気満々(w
フォローすると任務の危険性、その危険によってルイズが死ぬ可能性について
想像する配慮が欠如していた天然のように読める(w
>>168 黙示録のマルスとかもいい気が。
BADENDのシーンではドラキュラの記憶が戻っても青空の下に普通にいたし。
だ、駄目だこの王女……。
教育がなってない……(ガクリ)。
もう手紙奪取のためにデルタとレンジャーとナイトストーカーズ呼んじゃえよ
それは1時間で終了する作戦のはずだった―とか言いながら。
この時の駄目王女っぷりがあるからこの後の成長があるわけで…成長したよな?
まあ上の人間が優秀だと現場視点の物語が作りにくいってのはあるから仕方ないと言えば仕方ないw
>>204 七万を相手に満身創痍の才人。
そこにヘリボーン降下してくるゴードンとシュガート
才人「援軍は…?」
ゴードン&シュガート「俺達だ!」
こうですね、解ります。
サイトじゃなくて真一郎(とらハ1の主人公、ロリ顔ショタ)が召喚されてるんじゃないかと思ってた俺がいる。
まあさすがにそりゃないわな。
その他読み直して気づいたこと
トリスティンはここ数十年外征をしていない。
つまり攻め込まれる一方!?(だめじゃん)
10年にランスの戦でワルド父死亡、つまり攻め込まれたもしくは内戦があった。
祖父フィリップ3世の世にはもっと調子良かったようだ。
レコンキスタの戦列艦は60+タルブで失った分。
別件だが
聖地が奪われてから数百年らしい。
始祖の祈祷書にもエルフに奪われた聖地を奪還せよとあるので
何度も取ったり取られたりしていると思われる。
>>206 何故かそこに現れたA10とB52とF15EとB2が7万をフルボッコして帰って行くわけですね
数十年前てカリンさんが現役時代でもダメだったのか
アルビオン行き時点でレコン・キスタ潰しちゃうのは俺TUEEE展開でまずいかな?
「面倒くさいなぁ。要は、そいつらを潰せばいいんだろう?」
弧門呼ぼうぜ
>>211 それはそれでいいんじゃないかな
そんなのも読んでみたいと自分は思う
おっしゃ、やってみる。
(これ以後アルビオン行きでレコンキスタフルボッコ系が増える悪寒)
面白けりゃなんでもいい、というのが絶対ルールでしょ
でも、いきなりレコン・キスタ壊滅してるのは賛否両論呼びそうだ
>>211 アニメの第一期ってそんな感じじゃなかった?
ああ、悪い
タルブ戦まではやってたな、レコン・キスタ
よし、クレイトスを呼ぶんだ!七万だろうが聖地だろうが一人で制圧してくれるぜ
……でもそんな無双呼んでも一巻時点のルイズに御せると思えない。
というか1・2巻だとどいつもこいつも突っ込みどころ満載な行動しかしてないのは気のせいか?
なんか一生懸命ウルトラマン呼ぼうとしてるのがいるようだ……
陸遜:「全く以て恐ろしい男です」と言いながら火矢を大軍を焼き殺す。
>>クレイトスさん
キュルケとにゃんにゃんイベントを起こすも失望のため息を食らうんですね!
よくわかります!
もう面倒だからクラスター積んだB52呼んじゃえよ
面制圧ならガチな強さだぞ
>>222 B52ならルイズが召喚するよりタルブにある方がらしいような。
で、シエスタが妙にアメリカンなキャラに。
>>211 馬鹿正直に原作の展開をなぞるものばっかで飽き飽きしてたところだ。
>>218 特権階級意識に凝り固まったルイズたちが、サイトとの関わりの中で成長していくって筋だからじゃね?
長編にする目算も無く、その場限りの使い捨てキャラだったからでしょ。
>>223 そして才人がユタ州を馬鹿にすると怒り出す
怒首領蜂(どどんぱち)より、最終鬼畜兵器・緋蜂
「死ぬがよい」
ジョゼフがロンゲーナ大佐を使い魔にしていて
ヨルムンガントの代わりに火蜂を投入するんですね
わかります
>>229 怒首領蜂(無印)なら火蜂だ
緋蜂は大往生
首領パッチともうしたか
シゲキックスが食べたくなった。
235 :
チキの人:2008/03/20(木) 21:47:10 ID:EdnJYKfp
10分後くらいから投下しても宜しいでしょうか?
今回投下する話の次から、ほのぼのにシリアスを加え……るのは無理そうです。
でも少しずつ、原作みたいに熱血な展開を。
236 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 21:49:42 ID:Ljh4hxqQ
じゃあチキの人が終わったら僕投下しまーす。
ってことで支援。
支援仕る
ゼロの軌跡さんへ
感想タイムは開けてから投下お願いしますね。
支援!
支援
部屋が元通りになってから二日。
ベッドが増えた事以外は、特に何事も無く過ぎて行った。
今日は虚無の曜日で授業はお休み、チキと街に行く約束をしている。道中は馬車を使って移動することを考えている。
もちろん私が馬を捌く。ルイズのお姉ちゃん格好良い! というチキの言葉が思い浮かんだ。
学生なので制服を着て出発する。チキは私とは違って服装も自由なんだけども、
「このお洋服はね、ガトー様が夜なべして編んでくれたの」
と言って、私が用意させた服を着るのをやんわりと断った。フリフリで装飾がいっぱいのワンピースはタバサに上げた。すっごい気にいってた。
そうそう、二日の間にチキに友達が増えた。
タバサの知り合いのシルフィという名前の少女らしい、私はまだ会った事が無いけどとても可愛いんだとか。
ギーシュとマリコルヌは決闘の結果、ギーシュが勝利した。ワルキューレに蹂躙されたマリコルヌは何故か嬉しそうな顔をして現在も眠っている。
制服を着た私とチキは、馬車のある小屋に向かっていた。朝も早いから人もまだらだけど全てが使用人だ。
キュルケとタバサはいないな……? 私は周りを見回す。楽しそうだからという理由で二人きりの休日を邪魔されるわけには行かない。
このチキとおてて繋いで、トリステインの城下町を巡る。美味しいパイのある喫茶店も調べておいた。演劇の見れる劇場もチェックした。夕方に噴水の出る公園もリサーチした。
そんな完璧な休日をあんなゲルマニアの女に邪魔されるわけには……。
「んなっ、な、なによ!」
晴れの日だって言うのに突然辺りが暗くなった、上を見ると巨大な竜が高度を下げて来ている。
コレは確か……タバサの使い魔の風竜?
「はーいルイズ、キュルケさんが二人の邪魔をしに来たわよー♪」
「……呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん」
唖然とする私をよそに風竜は華麗に着地した後、二人がわざわざフライを使って降りてきた。
くっ、魔法が使えない私の前でなんてえげつない行為!
「馬車で行くより、やっぱり竜の方が早いわよ二人とも」
「……サラマンダーより、はやーい」
にやりとムカつく笑みを浮かべるキュルケと、さっきから聞いてはいけない言葉を連呼している気がするタバサ。
そして何より、風竜に興味深そうな視線を向けているチキの姿が何とも言えない。
ここは“ルイズのおねえちゃん”として馬車の素晴らしさを語らなければ。
「ねえ、」
「この子に乗って行こうよ、みんなの方がきっと楽しいよ」
「はい」
きょとんとした表情をするチキに、何でもないよと心で泣いて、私は風竜の上に乗せて貰った。
トリステインの城下町は今日も人で溢れていた。
チキは多少気圧されたような仕草をとったけど、ここは私のテリトリー、来た事は何度かしかないけど、どこぞの留学生に比べれば知識は上よ。
だいじょうぶ、私が絶対に守ってみせるからね。
「そういえば、美味しいデザートの店があるらしいわね」
こちらに意味深な視線を向けるキュルケ……知らないわよそんな店、クックベリーパイが名物の店しか調べてないもの。
「あ、でも」
「じゃあ、そのお店にみんなで行く?」
「そうね、そうしましょうか」
「……合点承知の助」
チキの何気ない意見で皆がまとまる……文句なんて、言えるはずも無かった。
キュルケが紹介したお店は木造のオシャレな作りのカフェテラスだ、だけどあまりお客が入っていないように見える、てか一人もいない。私が首を傾げると、タバサが貸切にしたと呟いたので納得した。
私達も相当早く出たのにいつの間にそんなことを? タバサってもしかして意外と街に抜け出してるとか?
いや、キュルケじゃあるまいし。
室内と外で食べるか迷ったものの、今日は陽射しが気持ち良いからとの理由で外になる。丸いテーブルを中心にしてチキ、私、タバサ、キュルケの順に座った。
メニューを読めないチキの代わりに私が同じものを注文しようとした所、タバサの杖が私の眼前に迫った。
「……チキは私と同じものにする」
え? 何を言ってるのよタバサ、チキは私と同じクックベリーパイを食べるに決まっているじゃないの。
という意図を込めた視線で、タバサを睨みつけた。
「チキは私と同じものにするんだもんねー?」
「えと、うーん、私は何でも良いんだけどなあ」
「だから、私と同じものにするんだから」
「……違う、私と同じの」
しかしこんなにタバサが食い下がるなんて、意外だ。
まさか何か弱みでも握られているんじゃないよね? ここでチキの機嫌を取らなかったら殺されるとか?
「チキ、ストロベリーのタルトにしましょう」
「クックベリーパイだって」
「ブリミルショートケーキにする?」
なんじゃそのキュルケのやつは、始祖の名を語ったケーキなんて私もワクワクしてくるじゃないか……あーでも、クックベリーパイもここで食べないとしばらくお預けだからなあ。
うーん。
「じゃあ、タバサのにするよ」
しまった、私が考え込んでいる間にタバサに抜け駆けをされてしまった。くー、キュルケめぇ……私を惑わすなんてぇ!
と、怒りに燃えている間にそのキュルケがウェイトレスを呼んでメニューを注文した。
キュルケの心遣いでメニューにティーセットが加わったが、特に異論は無い。が、次々に行動を決められてしまうのはいかんともしがたい。
パートナーであるチキ楽しんでもらう為に二人の休日を企画したのに、私はまだ良い所見せてない。馬はタバサに、店はキュルケに持って行かれてしまった。
私に、私に何ができる。喜んでもらう為にはどうしたら良い?
「お待たせしましたー」
なんて思っている間にメニューが届いた。
一口かじる。美味しい、コレはなかなか美味じゃないか。
チキにも少しあげようかな……もう一口食べてからにしよう。
「チキ、ちょっと分けてあげるわ」
「わー、ありがとうキュルケー」
チキにケーキを差し出すキュルケに意味深な視線を向けられた。
私だって今渡そうと思ってたんだから! 勘違いしないでよね!
「チ……」
「ふぅ、コレだけもらえば良いかなぁ」
私の言葉が宙を迷って、元の場所に戻る。飲み込むたびに心苦しさが倍増したけど、ルイズは強い子なのでだいじょうぶ。
きょとんとしたチキにどうしたのと聞かれたけど、美味しくて涙が出たと嘘をついた。
「さてと、そろそろ行きましょうか」
皆が食べ終わった所でキュルケに声をかけられた。どこに? と視線で問うと。
「良い所よ」
との答え。
特に意見を言う気力もないし、タバサもチキもキュルケに同意したのでぞろぞろと四人揃って動き出す。
城下町にはいくらか裏道も存在する。
暗くて人通りの少ない道がほとんどだけど、真っ当な商売をしていない人間は存在しない。私の友人である王女様を中心にした王家がきちんと監視をしていらっしゃるから。
……そう聞いてはいたんだけど、チキの隣に歩く私も不安になる。慣れているのかタバサやキュルケはどんどん先に進むんだけど、どう考えても表の人間じゃないよねって人が多い。
が、その不安になってるのは私だけで、チキはちょっと楽しそう、何故。
「ここよ」
やっと到着した……と思って、キュルケの指さした先を見ると、
「ん? 武器屋?」
「そうよ、チキにプレゼントしてあげようかと思って」
んな!? そうか、プレゼント作戦があったのか! ふふっ、キュルケも甘いわね、チキの好みは完全に理解していてよ。
せいぜいテケトーな物を差し出してやんわりと断られれば良いんだわ!
そんな意気込みをしながら前を歩く二人に続き店の中に入る。
商品を売る気があるのかどうかは分からないが、乱雑に置かれた剣や槍。さすがに錆び付いてはいないようだけど、もっと良い店なら沢山あるだろうに。
店の主人は突然の貴族の来訪に驚いたみたいだけど、タバサが客だと呟くと安心したように腰を降ろした。
「んんー、チキに似合う剣ねえ」
「私、武器なんて要らないよ……?」
「いいのよ、こういうのは持ってるだけで、チキならインパクト大だから」
私が探している横で、キュルケが適当にとても実用的じゃ無さそうな、レイピアなんかを手にとっている。タバサはタバサでえらい真剣な面持ちで、とにかく軽そうなフルーレの剣先を指で弾いたりしてる。
二人ともチキが使えるであろう物を選んでるな……甘い、甘すぎる。
私はあえてチキが受け取ったら絶対に喜ぶであろう剣を選んでみせる!
「主人、この店でエレガントでゴージャスで一番大きな剣はどれ?」
「少々お待ちください、貴族様」
「ルイズ……あんたって子は」
私が訴えかけるとキュルケは呆れたように首を振り、チキに小型のナイフを渡したりしている。ふん、そんなちっちゃいのはダメダメよ。
私がそんな風に鼻を鳴らして待っていると、主人がやたら大きな剣を抱えて戻って来た。確かに豪華な装飾はエレガントでゴージャスだ。
「主人、値段は?」
「2500エキューってところでさ」
トリステインの奥地に家が建つー♪ あはは、あははは……
「って、高いじゃないの!」
「最近は物騒になってきましたからね、土くれのフーケとかいう怪盗が貴族の屋敷を荒らしまわってるそうですし身を守る物は必要ですぜ……それに、良い剣に値段は関係なし、一生ものだと思えば安いもんでさ」
ううむ……確かに、一生に一本使えるならその値段でも……うん? 考え込む私の横で、チキが不機嫌そうな顔をして剣を睨んでいた。
え、もしかしてこういう剣は気に食わないとか?
「これ、ダメだよ、ルイズのおねえちゃん」
「ダメって?」
「折れちゃう、たぶん私が本気で叩いたら壊れちゃう」
あはは、まさか。
そんな剣を2500エキューで売ったら、とんだぼったくりじゃないの。
「エア・ハンマー」
私が笑いながらチキの頭を撫でていると、タバサが急に呪文を唱えた。もちろん家の中だから軽い物だけど、ちょうど剣を直撃する形になる。
その剣は根元から場きっと折れ、唖然とした私を中心に、キュルケがおかしそうに笑い、チキはやっぱりと呟き、タバサは当然と鼻を鳴らした。
いや、確かにぼったくりだったかもしれないけど、タバサのやった行動はかなりまずいんじゃないの?
ううむ、考えろ考えるんだルイズ。マリコルヌに責任転嫁したみたいにこの状況を誤魔化してみろ! 衝撃で固まっている主人が解凍する前に。
「ねえ、主人?」
「何しやがる! 魔法を使うなんて卑怯だぞ!」
「私コレでも公爵家に連なる者なんだけど?」
「は?」
「どんな人間を騙そうとしていたのか、もう一度その頭で考えてみなさい」
私が思いっきり心の中で謝罪しながら睨みつけると、全身を震え上げた後に奥の部屋に引っ込んだ、がちゃがちゃと金属の擦り上げる音と一緒に何かがこちらに飛んできた。
「……なにこの古ぼけた剣」
キュルケが手に取り、鞘から剣を抜いた。
「バーッケラッタ!」
「んな!?」
すると突然、中年の男性の声が店内に響く。しかしタバサは、私の台詞を取られたと呟き、苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
「いやぁー、さっきの話は聞いてましたぜ、公爵家のお嬢さん。オレの魅力がわからねえ店主には飽き飽きしていた所だ、オレを連れて行けよ、少なくても折れちまった剣よりかは役に立つぜ」
誰より何よりチキが驚いていた。怖がって腰の辺りに抱きついてきたのを、僥倖僥倖とニヤニヤしてみる。
私が見たのも久しぶりになるけど、これはインテリジェンスソードと言う、別段珍しいわけでもないけどお目にかかる事は少ない剣。
別名は知性を持った剣で、特徴は今の通り人語を発すること。
「ねえ、勘違いしてるみたいだけど。公爵家のお嬢さんはそこのピンク髪よ」
「へ? 違うのか、こりゃーうっかりだ!」
タバサがまた、やられた! という表情をした。
無機物と何張り合っとりますかね、彼女は。
インテリジェンスソードは器用に自分の身体を跳ねさせて、私の所に飛んできた。しかしさっきと違って柄の部分が飛び出しているわけだから、危険極まりない。
私は思わずチキに覆いかぶさり、全身の力を使って抱きしめた。
「うきゃ!?」
「だいじょうぶチキ、私が守ってあげるわ!」
がたがたと震えながら、衝撃を待つもののなかなかやって来ない。
しばらく時間が経った後で、困り果てたような声が背中越しに響いた。
「お嬢さんはとんだ怖がりだ、まあ、いいけどよ」
振り向くと剣は床に突き刺さり、鎬の部分を動かすようにして笑っている。
ちょっと恥ずかしくなったので、こほんと咳払いを一つ。
「このように、いざとなればこうしてチキを守ることが出来るんだから、剣なんて必要ないわよね!」
「そりゃねーよお嬢! オレは一生ついて行くぜ!」
「ええい! 寄るな、笑うな、喋るな!」
…………あれ?
タバサが可愛いのは知ってたけど、ルイズってこんなに可愛かったっけ?支援
結局、このデルフことインテリジェンスソードを買い取る。
騙そうとした事は、このデルフの代金を無料にすることによって許す。
そして剣は私の物となり、チキはキュルケからレイピアを貰っていた。
「マルスのおにいちゃんが使ってたから私でも使えそう」
との理由らしい。
……疲れた、今日は帰ってすぐに寝よう。
〜〜〜〜〜
投下終了です。明らかにペース配分をミスしましたorz
支援も感想も感謝です。マルスのお兄ちゃんの疑いが晴れる事は無いでしょう。
格好良いマルスさんは、スマブラで見るのが良いです……本編orz
GJ&乙でした。
どのキャラも言動がホントに微笑ましくて良いなあw
乙ですた。
すかし幼女にプレゼントだっつうて武器屋に連れて行くのキュルケさんどーよそこらへん
せめておもちゃ屋。何故かおもちゃの剣に囲まれてさびしく売られているデルフつうのが見たい。
>>おもちゃの剣に囲まれてさびしく売られているデルフ
ぐっじょぶ!
ちきに間違って買われるデルフリンガー想像して吹いた(w
チキかわいいよ、チキ!
ルイズもお姉ちゃんとしていいとこ見せようとしてるせいかかわいいよ!
嫉妬前面に出ない分かわいいよ! さすがチキだよ!
>>249 こらこらwww
まあ普通の私服で女子に間違われる主人公だがw
チキの人乙
一部のひとにこれまたトラウマな台詞をw
フレイムカワイソス
253 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:23:47 ID:Ljh4hxqQ
そろそろいいですかね。
あと五分位したら投下しますねー。
チキの方乙です
そして支援
軌跡支援
256 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:29:26 ID:Ljh4hxqQ
ゼロの軌跡
第十話 蝕、繋がる世界
「ヴァリエール様、レンちゃん。ようこそ、タルブ村へ!」
「久しぶり、シエスタ。元気そうで嬉しいわ」
「紅茶とデザートが楽しみで飛んできたのよ」
「今日は村を挙げて歓迎しますから。覚悟しておいてくださいね」
タルブ村に着いたルイズとレンはシエスタの歓迎を受けた。
覚悟?と首を捻る二人だったが、それを問う間もなく腕を引かれ彼女の家へと押し込まれる。村人の歓声が、二人の後ろで閉じた扉をこじ開けんばかりに揺るがした。
「来たぞ、われら平民の救世主!」
「ミス・ヴァリエール!気高くも偉大な公爵令嬢!」
「ミス・レン!可愛らしくも異才の天才戦士!」
「新しい貴族。平民を守る女神の来訪だ!」
「村の人達に一体何て伝えたのよ、シエスタ」
「いえ、私のせいだけではないんですよ。だけ、では…」
恰幅のよい女性がいきなり抱きついてくるのをかわすことも出来ず、ルイズは右腕にレンは左腕にそれぞれかき抱かれた。二人よりも遥かに豊満な胸。濃厚な木と草の香りが立ち込める。
ひとしきり揉みくちゃにされながらもどうにか解放されたルイズとレンの周りにはたちまち人垣が出来る。口々に褒め称える村人への対応に苦慮しながら、後でシエスタを問い詰めようと固く決意する二人だった。
遠いところを旅されてお疲れだから、とシエスタのとりなしの甲斐あってかやっと落ち着くことの出来たルイズとレン。客間へとあがり、淹れてもらったお茶を飲みながら話を聞くことにした。
「で、シエスタ。どんな英雄譚を村中にばら撒いたのかしら?レンは何匹のドラゴン相手に大立ち回りをやってのけたことになってるの?」
「そんな人聞きの悪いことを言わないで、レンちゃん。あの、ルイズ様もそんな目で見ないでください。
ありのままを話しただけですよ。他の貴族が徒党を組む中で彼らに喧嘩を売って、平民の私を助けてくれたんだって」
悪びれずに答えるシエスタ。思わず頭を抱えるルイズ。一人優雅にカップを傾けるレン。
「それにしたってあの熱狂振りはねぇ…。なんでも私は気高くて偉大な公爵令嬢らしいじゃない」
「レンは天才戦士なんですって。まあ間違いじゃないけどね」
「そうですよ、ルイズ様ももっと堂々と振舞ってください」
ゼロであることを認めたとはいえ、ルイズから劣等感が完全に払拭されたわけでは無論なかった。
最後まで一人で彼らに立ち向かえたのならばまだしも、レンに助けてもらったと認めているルイズは素直にその賛辞を受けることが出来なかった。しかも、肝心の決闘は全てレン一人の実力ではないか。
そう考えるとやはり自分はその賞賛に値しない。ルイズは懊悩する。
結果、行き場のない戸惑いは糾弾にその姿を変えて矛先をシエスタに向けた。
「それだけでああも歓迎されるとは思えないけど。大方、覚えのない善行を二、三十創りあげたでしょう。今なら正直に話せば許してあげるわよ」
「そんなことしてないですって。本当ですよ。ヴァリエール様。
もう一つの理由は、あれです。ヴァリエール様とレンちゃんが町や村を周って平民の力になってるっていうじゃないですか。その話を何人もの旅の方が触れ回ってるらしくて。うちの村にも来て熱く語っていましたよ」
支援しますよ
258 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:30:23 ID:Ljh4hxqQ
その答えにルイズは目を見開き、レンはカップを持つ手を止めた。
二人ともそこまで評判になることをやっていたという自覚はなかったのだ。
メイジではなくとも立派な貴族としての、その自らの修行の一環としてそれを行っていたのだし、
レンはといえばその理由の多くを、帰還の手がかりを探すことが占めていた。無論のこと、ルイズとの旅は楽しかったし、行く先々で感謝されるのには確かに喜びを感じてはいたが。
「あのね、シエスタ。私別にそんなつもりでいたわけじゃ…」
「なら更に素晴らしいじゃないですか!意図しての人気取りでなく、その自らの望む姿にかくあろうとした、無為から生まれた行為だなんて。流石はヴァリエール様です。これはみんなに伝えないと!」
「…もう何を言っても駄目みたいよ、ルイズ」
早速新たなルイズ伝を広めようと立ち上がったシエスタを押し留める。
尾ひれ背びれをつけないよう厳重に釘を刺し、給仕のために下に降りていくシエスタを見送る二人。
「大丈夫かしら…」
「レンはシエスタが大騒ぎする方にナサロークの皮三枚賭けるわ」
「私も同じ方にペレグリンの羽五枚」
賭けにならないじゃない、とレンが口を尖らせた時、階下の拍手と喝采が床を震わせた。
「なんていうか…」
「良くも悪くも田舎よねぇ…」
夕食までの時間を釣りや散策でのんびり過ごしたルイズとレンを待っていたのは、シエスタが腕によりをかけた料理だった。
ヨシェナヴェという奇妙な語感のそれは名前と同じく二人の舌には馴染みのないものであったが、美食を食べなれているルイズをも存分に満足させた。
が、久方ぶりの村の宴がそのまま大人しく終わりを迎えるはずもなく。
「なるほど。覚悟、ね」
思わずレンは一人ごちる。
皿に大盛りにされた具もなくなり鍋の底が見え始めた頃には、場は惨状を呈していた。
周りに赤い顔をしていない人間は一人もいないし、既に足元には酔いつぶれた男たちで立錐の余地もない。
誰も彼もが相手を選ばずに踊り狂い、歓声と嬌声は途切れずに広間を飛び交う。誰かが歌を口ずさめばたちまちソロはデュエットになり、コーラスへとその場の人間を巻き込み広がっていく。
主人も客も上座も下座も貴族も平民もなく手を鳴らし足を打ちつけ、笑顔で開かれた口は決して閉じることはない。
その喧騒の中でも一際大きく響くのはグラスが打ち鳴らされる音。乾杯の声は一瞬たりとも途切れてはいなかった。
レンは年齢を理由に差し出される酒を断ることも出来たが、ルイズはそうもいかず。一杯飲み干せば二杯の酒が、二杯を空にすれば五杯のグラスが、息つく暇もなく更に多くのワインが注がれた。
シエスタにいたっては完全に出来上がって、先ほどから少佐もかくやという演説をぶちかましていた。
「私はレンちゃんが好きだ。私はレンちゃんが好きだ。私はレンちゃんが大好きだ」
酒と料理で熱く火照ったレンの身を貫く悪寒、首に冷たく氷の柱。夜のシエスタには気をつけろと囁く本能に従い、倒れる寸前のルイズを引き摺って外に出る。
その背中に突き刺さる、シエスタの恐ろしいまでにうららかな宣誓。
「我が家の名物特製ヤムィナヴェ、行きますよー!」
魔女の釜はまだまだその蓋を開けたばかりのようだった。
259 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:31:05 ID:Ljh4hxqQ
「有難う、レン。助かったわ」
「ルイズがまたアンロックでも唱えるのはいただけないからよ」
涼しい風が二人を優しく撫でる。回った酒も心地いい冷気に醒めていくようだった。
そういえば数日前にもこうやってレンと歩いたことをルイズは思い出す。
その時はレンが少しだけ、その外見に相応しい少女らしさを垣間見せた気がする。
もしかすると今夜も彼女の話を聞けないだろうか。
「ねぇ、レン」
「なあに、ルイズ」
「その…、元の世界にはやっぱり帰りたいのよね」
直接的に聞くことも躊躇われ、かといって話の接ぎ穂にも困り、ルイズは今まで隠してきた自分の願望交じりの言葉を吐き出してしまう。
今のルイズにとって、レンはかけがえのない親友でもあり盟友でもある。少なくともルイズはそう思っていた。レンがルイズのことをどう思っているかは未だ確たる答えを得てはいなかったが。
これを聞いてしまうと、ルイズは自分の心が覗かれてしまうような気がしていたのだ。
「どうかしらね。よくわからないわ」
返ってきた声は冷静で、以前見せた緩みはなかった。
レンなりに先日の失態を、勿論ルイズは失態などとは思っていないが、気にしているのかもしれなかった。
「トリステインでの暮らしも悪くないし、リベールに戻って何かするわけではないのだけど」
レンの答えはそこで途切れる。
否定で終わったその言葉の続きが気になったが、ルイズにそれを問うことは出来なかった。
会話がとまり、不自然な沈黙から目をそらす様に向けた視線の先。村の外れ、一角だけ不自然に整理された木立がルイズの目を引いた。
そこにまるで祀られているかのように、石碑が置かれていた。
「あれ、なにかしら?タルブ村の守り神か何「…ッ!!」」
ルイズの言葉に視線をそちらに向けた時、レンのつぶらな瞳は大きく見開かれた。
そしてレンはルイズの言葉を聞かずに石碑に向かって走り出した。
260 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:31:36 ID:Ljh4hxqQ
間違いない。あれだ、あの石碑だ。
アンカー。アーティファクトによって作られた揺らぐ虚構世界の中で、庭園と星層を繋ぎとめていたそれ。
あれこそが、トリステインを含むこの世界とリベールを含むあちらの世界を結ぶ鎖。
遂に見つけた、元の世界に帰るための通行証。
レンは脇目もふらずに石碑に走り寄る。
「ちょっと、レン。どうしたのよ」
「ティータ、クローゼ。聞こえる?レンはここよ。オリビエ、アガット、ジン。誰か返事をして」
ルイズの声も耳には入らないのか、闇に佇む石碑に向かってレンは必死に呼びかける。
「シェラザード、ミュラー、ユリア、リシャール、ケビン、リース」
それでも石碑は何の反応も見せなかった。
それをわかっていながらも、レンは叫ばずにはいられなかった。
「…エステル!ヨシュア!」
かそけきその祈りが女神に届いたのか、その名前こそに込められていたものがあったのか。
石碑は青い輝きと共に、佇む人影をを映し出した。
中空に描き出されるスクリーンにはエステルとヨシュアの姿があった。
場所はどこかの湖畔だろうか。雲一つない青空の下、釣り糸をたれるエステルと少し離れて火を熾すヨシュア。
しかし、姿は見えども声はせず。届けられるのは映像だけで、魚の跳ねる音はおろか、火の爆ぜる音も二人の声一つすら聞こえてはこなかった。
「あの人がエステル…」
「ねぇ、エステル!こっちを向いて!」
叫べども叫べども、声は辺りの闇に吸い込まれるばかり。
石碑が青い光を失い、次第に朧げになっていくその姿に耐え切れず、遂にレンは悲鳴のように彼女にすがった。
「助けて!レンを助けて!エステルッ!!」
その時、エステルが振り向いた。
無邪気なその顔には驚愕が彩られ、レンに手を伸ばす。
レンもその短い腕を、あらんかぎりに伸べる。
しかし、その手は繋がることなく、石碑が光を失うと同時にエステルとヨシュアの姿も溶けるように消えていった。
伸ばしたその腕を力なく下ろし、レンは膝をついた。
ルイズもまた、言葉もなく立ち尽くすばかりだった。
このままではいけないと、一歩踏み出したルイズにレンは一言、彼女を拒絶した。
「来ないで。…しばらく一人にしておいて」
261 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:33:13 ID:Ljh4hxqQ
続いて11話投下します。大丈夫とは思いますが、さるさん食らったら代理お願いします。
262 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:33:38 ID:Ljh4hxqQ
ゼロの軌跡
第十一話 絆の在り処
次の日、レンは何事もなかったかのように朝の食卓についていた。
昨日の今日で彼女が平然と食事を平らげる様子を見て、ルイズは恐ろしくも悲しく感じた。
あの、いつものようにシエスタにお茶のおかわりを求める、それすらもきっと執行者『レン』としての顔なのだろう。
昨夜のレンの叫びがルイズの脳裏に甦る。口先でなんと言おうと、間違いなくレンは帰還を望んでいる。エステルの元に。
だというのに、ルイズに出来ることは何一つとしてなかった。
「レンちゃんは今日どうするの?」
「そうね、近くの森を<パテル=マテル>とお散歩しようかと思うわ」
「ルイズ様はどうしますか?」
いつの間にか名前で呼ばれていることにも気にならず、ルイズは生返事を返して席を立った。昨日の酒も抜けきってはいないし、なによりレンと一緒にいられる自信が今はなかった。
部屋に戻って横になっても、騙し絵のように思考が輪をなして休むことも出来なかった。目を閉じても冴え冴えと浮かぶ昨夜の情景。
そのうちに意識を保つことにも疲れ、ルイズは眠りに沈んでいった。
昼食の準備が出来たとシエスタに起こされたのが昼過ぎ。軽くて消化のいいものを作りましたからどうぞ、と乞われ眠い目を擦りながら席に着くとそこにレンの姿は無かった。
「レンちゃんならお弁当を持ってまた出かけていきましたよ。<パテル=マテル>も一緒です」
「…気を使わせたかしら」
「はい、何かおっしゃいましたか?」
なんでもないわ、このスープおいしいわね、とルイズは誤魔化してスプーンを持つ手を動かした。
「それよりさっきからルイズって呼んでるけど…」
「あ、も、申し訳ございません。昨日の宴会の際にそうお呼びしてよいと仰っていただいたもので。やっぱり失礼ですよね」
「そんなことないわ。これからもそう呼んで頂戴、シエスタ」
そんな記憶は丸ごと頭から抜け落ちていたルイズだったが、彼女にそう呼ばれることは嫌ではなく、同年代の親しい友人が出来たようで嬉しささえ感じた。
その答えに破顔するシエスタ。
そして、レンと話せない鬱屈を晴らすかのように、ルイズはシエスタとずっと話し込んだ。
支援
ジャパニーズYA☆MI☆NA☆BEと申したか
265 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:34:23 ID:Ljh4hxqQ
「従姉妹が酒場で働いてるんですよ。ルイズ様も行きませんか?あまり女性向けの店とは言えないんですが」
「そういう所は行ったことがないから楽しみだわ。シエスタの休暇が終わる前に行きましょうか」
「店長さんがすごく変な人なんですよ。悪い方じゃないんですけど…」
「オールド・オスマンってどこらへんが偉大なメイジなのかいまいちわからないわよね」
「よく使い魔の鼠が女性の周りをうろつくので破瓜のメイドのみんなも困ってるんです。ルイズ様、なんとか
出来ませんか」
「あのスケベジジイったら。もうちょっと脅かされた方がよかったのかしらね」
「それでね、そのおじいさんったら幼馴染が作った料理が忘れられないから作ってくれ、なんて言うのよ」
「あはは、オウガ退治の次はレシピ探しですか。貴族修行も大変ですね」
「あちこち走り回る羽目になったわ。そのおかげで色んな人に会えたけど」
話の種も尽きてもルイズはレンの事を話そうとはしなかった。
そのことに薄々気づいていたシエスタだったが、彼女はルイズのためにも、踏み込むことを決めた。
「ルイズ様とレンちゃんはこれからも旅を続けられるのですか?」
「…レンのことは?」
「レンちゃん本人からある程度のことは聞いています。ゼムリア大陸のリベール、おそらくは別世界であるところから来たと」
「レンはなんでもないように振舞っているけど、きっと帰りたがっているわ。昨日その手がかりを見つけたけれど、殆ど得るものもないままに終わってしまった」
「あの石碑のことでしょうか。今朝レンちゃんにも聞かれたのですが、生憎私は何も知りません。ずいぶんと昔からあるものみたいですが」
他の人があれについて話してるのを聞いたこともないですね。とシエスタは語尾をしぼませて申し訳なさそうに言った。
それを聞いてルイズはレンの気持ちを思って顔を伏せた。
そんなルイズを見たシエスタから優しく言葉を掛けられる。
「それでも、レンちゃんを召喚したのがルイズ様で本当に良かったと思っています」
「どういうこと、シエスタ?」
「ルイズ様は気づいていらっしゃらないと思いますけど、他の誰かといるときとルイズ様がいるときとではレンちゃんの様子が違うんですよ。なんというか、落ち着いているような安心できるような、そんな感じです」
目を丸くするルイズ。シエスタは微笑んでそのまま話し続けた。
「あの年頃の少女がどうして人殺しに長けているのか、どうして鉄のゴーレムを連れているのかは私は知りません。また、そうなるまでにどんな苦しみがあったのかも。
元いた世界から切り離されて見知らぬ人の中で一人ぼっち。それはきっととても辛いことです。でも、レンちゃんはルイズ様の存在を救いとして、またそれを必要としている。
ルイズ様がレンちゃんを召喚したのはただの偶然であったのかも知れません。けれど、レンちゃんと出会ってルイズ様は変わられました。貴族として、良い方向へ。
なら、きっとレンちゃんもルイズ様と一緒にいる中で生まれ変われると思うんです。今よりずっと幸せな生活が送れるように。
他人との絆があって、初めて人間は立って歩くことが出来る。人と人が出会うということはきっと、そういうことではないでしょうか」
おじいさんの受け売りなんですけどね。そう言ってシエスタは照れたように舌を出した。
ルイズは何も言わずに立ち上がった。
レンを迎えにいこう。
「もうすぐお夕食の時間ですから、仲良く帰ってきてくださいね」
シエスタに見送られて、ルイズは歩き出した。
266 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:34:56 ID:Ljh4hxqQ
向かったのは昨日歩いた村の外れ。やはりそこにレンと<パテル=マテル>の姿はあった。
ルイズが近づくと<パテル=マテル>が反応して蒸気を噴出す。しかし、それに気づいていないはずもないだろうに、レンは石碑の前に座り込んで振り向こうとはしなかった。
ルイズはその様子に一瞬躊躇ったが意を決して声をかけた。
「レン」
「…」
答えはなかった。それでもルイズは語りかけた。
ルイズはこれまでレンに多く助けてもらった。レンの存在があったからこそ自分の望む貴族として生きようと決意できたのだし、他の貴族と決闘になったときもレンの助勢があった。
旅をしている時も数多くの難問にぶつかったがいつだってレンがそばにいてくれた。ある時はその力を、またある時はその知恵を。レンがいなかったら今の自分はない。
ならば今こそ、自分はレンの力になろう。
「また旅を始めましょう。今度はレンが帰るための手がかりを探す為に」
「ルイズ…」
思わず立ち上がって振り向いたレン。驚きか喜びか、その顔は泣いているようにさえ見えた。
「でもまた駄目かもしれないわ」
「なら何度でも探せばいい。タルブ村にあったんですもの。他のところにもあるかもしれないわ。トリステインが駄目ならゲルマニアでもアルビオンでもガリアでも。
それでもないなら東へ向かいましょう。聖地ロバ・アル・カリイエ。エルフなんてレンと<パテル=マテル>なら物の数じゃないわよ」
「でも…」
ここで諦めてはシエスタに向ける顔がない。
ルイズは微笑んで言葉を続けた。ルイズを励ましてくれたシエスタのように。
「ほんの少しの間だったけれど、確かに世界は繋がった。エステルはレンに手を伸ばしてくれた。
レンとエステルの絆は決して切れてなんていない。希望を捨てない限り、レンは誰かと一緒にいられる。
だから、私たちも歩き出しましょう」
二人はお互いの手をとって、シエスタの待つ家へと歩き出した。
翌日、たっぷりと寝坊したルイズとレンが遅めの朝食を摂りに下へようとした時、けたたましい音を断ててシエスタが階段を上ってくる音が聞こえた。
いつもメイド然とした歩き方をするシエスタには似つかわしくないその様子に、二人は何か凶報を感じ取る。顔を真っ青にしたシエスタが話すのを聞いて、その予感が当たったことを知った。
「一体どうしたの、シエスタ」
「アルビオンが、レコン・キスタの軍が攻めて来たんです!」
タルブ村での短い休暇はこうして終わりを告げた。
267 :
ゼロの軌跡:2008/03/20(木) 22:40:30 ID:Ljh4hxqQ
投下終了です。支援感謝です。空気読めない子ですみません。
>>265 ×破瓜→○他
なんという誤字。エロエロですね。流石メイド。俺はえろくない。
おつきあいいただきありがとうございました。
そんなハカな!
投下おつかれさまです。
おまたせして申し訳ないですな支援です。
投下お疲れ様でした〜〜〜
初物のメイドを喰いまくる鬼畜オスマンの陵辱学園物じゃないのか?
残念!
乙!
乙!
よりにもよって破瓜とはw
乙!
その単語が一発変換で出るとはw
他で書いてるSSの内容が知りたくなるw
これこれ、それを聞くのは酷というものだぞ
生暖かく見守ってあげなさい
投下乙!
だが、破瓜で台無しなんだぜw
>>271 『疾風』のギトー先生の位置に『鬼畜』のイトー先生がいるんですね? 分かります。
つーか、「破瓜」って「はか」って読むんじゃないの?
どう考えても「他」の変換ミスじゃないよね?
「ほか」と「はか」だろ?
まあ、確かにタイプミスで変換ミスではないけど。
携帯なんじゃねと言ってみる
まぁ、そもそも「破瓜」とは、女子16歳を指す言葉で……
と空気読めない発言をしてみる
視界良好であれば、五分後にSS投下します。
ヴァルキリープロファイルとのクロスです。
途中で送ってしまった
VIS 9999。投下どーぞ
期待支援
インフレゲームのインフレキャラ支援
期待支援
ギーシュ「戦乙女でヴァルキリーとな? ついに僕の時代が!」
モンモン「ゼロって書いてるでしょ、諦めなさい」
支援。
ちょっと行数が長すぎたので、調整してきます。
終了したらまた報告します。
申し訳ない。
戦乙女ヴァルキリーかと思って期待してしまった
支援開始。
>>290 一瞬何が違うんだと思ったらエロゲの方かwww
調整完了。
今度こそ五分後に投稿します。
先程も言いましたが、ヴァルキリープロファイルとのクロスです。
さっきレイピアという単語を見てその次にヴァルキリーときたもんだから、
例のコピペを思い出してしまったのは俺だけでいい
ヴァルキリーフロハイル
とうとうウェールズ様も活躍できる機会が与えられるんですね支援
>>290 ナニそのエロゲ。
それはともかく誰が来るかな〜、支援支援
支援の先を逝く者たちよ!
ヴァルキリーと言ったらやっぱり……駄目だVFやYFは「バルキリー」だった
>>286 真のインフレゲームは「日本一」の作品だと思うが…もちろん「岐阜」にある奴
でもヴァルキリー召喚って事はミョルはやっぱり「変態メガネ」なんだろうな
……改めて考えてみるとエロゲ出身者結構いるなぁ
つい最近でもとらハやら痕やら
濡れ場突入はまぁたぶんないだろうが……
>>296 セガガガのことかーっ!?
ゼロの戦乙女
プロローグ
光陰矢のごとしとはよく言ったもので、ラグナロクでレナスがロキを滅ぼしてからもう二十年が経つ。
一度はロキの終末の炎によって荒廃したアスガルドも、レナスの創造の力により元の美しい姿を取り戻し
て久しい。
しかし、新しい世界の創造主となったレナスは、未だに多くの問題を抱えていた。
ラグナロクが終わり、多くのエインフェリアがその役目を終えてミッドガルドに転生していく中、過去
に頑なに神界転送を拒み続けたアリューゼやメルティーナなど、一部のエインフェリアは転生を拒んで今
もなおレナスの内に存在している。
また、旧世界においてアース神族の主神であったオーディーンが、ロキに破れたことを理由に主神の座
を退いた。代わって新たな主神の座についたレナスだが、彼女は同時に一つの幽体を三つの精神が共有す
る戦乙女ヴァルキリーでもあり、残った姉妹たちの精神をどうするのかという問題もあった。
他にもロキに従ったヴァン神族に対する処遇や、人間界で暗躍している不死者の王ブラムス、今もなお
何処かでレナスを狙っているであろうレザード・ヴァレスなど、レナスが抱えている問題は挙げればきり
が無い。元々第六級神に過ぎないレナスは、創造主という新たな己の地位を持て余しているのが現状なの
だ。
プラチナとしての記憶を取り戻したレナスは、主神としての日々で擦り減った己の心を、鈴蘭の草原で
癒すことを日課にしており、その日も夜風に揺れる鈴蘭に囲まれながら、実体化して独りルシオを想って
いた。
冷徹な戦乙女として厳正に魂を選定するレナスにプラチナの影を見出し、ロキの姦計に乗せられ水鏡の
間の水鏡を無断使用するという大罪を犯した青年は、ドラゴンオーブを盗んだロキによって全ての罪を被
せられ殺されてしまった。その彼も、レナスによって再び魂を創造され、既にミッドガルドに転生してい
るはずだった。
彼がくれたイヤリングは今もなおレナスの耳を飾っており、レナスはこの片方だけのイヤリングをあら
ゆるアーティファクトよりも大切にしていた。
(ルシオ)
心の中でそっと彼の名を呟くだけで、レナスの心には十年経った今でも変
わらぬ思慕が沸き起こる。鈴蘭の草原に来るとプラチナとしての感情が強く
なり、ルシオが恋しくなってしまう。それでも、レナスは彼を転生させたこ
とを悔いてはいない。
神と人では寿命も住むべき世界も違うし、そもそも人間の精神は、神々と
違って永遠の命に耐えられるようにはできていない。そのことをよく理解し
ているレナスは、転生したルシオが新たな伴侶を得て幸せになってくれれば
それでいいと思っている。それだけでもレナスは幸せなのだ。
「……あら?」
ふと物思いから覚めたレナスは、自分の目の前に光り輝く鏡のようなもの
が浮いているのに気が付いた。
夜の暗闇の中に輝くそれはどこか幻想的で、レナスは興味を惹かれ手を伸
ばす。
「何かしら」
鏡の表面に触れた瞬間、強い力にレナスは引かれる。
武装する間も無く鏡の中に引きずり込まれ、成す術も無くレナスの姿は鏡
の向こうに消えた。
誰もいなくなり沈黙を取り戻した草原で、鈴蘭が静かに夜風に揺れていた。
支援
>>297 それはどうかな?
湖畔にて
変態メガネ「ウェールズ王子、彼は『不死者』となったのです!!」
アン「イヤァァァァーー」
注訳:ヴァルプロでは不死者になると倒されても消滅するだけで魂が残りません
ふられストーカーがレナスのスキルニルを作ってにゃんにゃんしようと襲いかかってくるんですね
把握しましたb
元ネタ知らないけど
支援
流れはレナスか支援
ゼロの戦乙女
第一話
レナスが突如現れた鏡に飲み込まれる少し前、アスガルドの神々が認識していない人間界──ハルケギニアで、使い魔召喚の儀式が行われていた。
舞台となるのは国境をゲルマニアとガリアに挟まれた小国であるトリステイン。そのトリステイン魔法学院で、緩く波打った桃色のブロンドを背中ほどにまで伸ばしている少女が、何度も何度も杖を振っては爆発音を響かせている。
「おい、ゼロのルイズがまた失敗したぞ」
「サモンサーヴァントまで失敗するなんて、ゼロの面目躍如よね〜。名は体を現すって感じ?」
「……十三回目」
既に召喚を終え、契約まで済ませた生徒たちが、ルイズが爆発が起こす度に思い思いに騒ぎ立てる。
また一つ杖を振り下ろして爆発を起こしたルイズは、観客の声に顔を真っ赤にして怒鳴った。
「五月蝿い! 集中できないじゃない! 特にツェルプストー!」
名指しされた、赤毛の長髪に小麦色の肌を持ったグラマラスな少女がやれやれと手を掲げてぼやく。
「そんなこと言ったって、あんたの順番になってからもう一時間も経ったじゃない。つき合わされてる私たちの身にもなってちょうだいよ」
「次こそ成功させてみせるわよ! 見てなさい、絶対アンタより凄い使い魔を呼び出してみせるんだから!」
噛み付くように赤毛の少女に言い返した少女は、掌の汗をローブで拭い、改めて杖を構える。その表情は真剣だが、心なしか焦りが窺える。見た目が可憐な美少女なだけに、失敗を重ねて追い詰められた姿は哀れを誘う。
(大丈夫、絶対できる。自分の才能を信じるのよ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!)
誰も励ましてくれないので、心の中で自分を励ましてルイズは杖を振り上げた。
「宇宙の果ての何処かにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに答えなさい!」
ゼロの戦乙女
第一話
レナスが突如現れた鏡に飲み込まれる少し前、アスガルドの神々が認識していない人間界──ハルケギニアで、使い魔召喚の儀式が行われていた。
舞台となるのは国境をゲルマニアとガリアに挟まれた小国であるトリステイン。そのトリステイン魔法学院で、緩く波打った桃色のブロンドを背中ほどにまで伸ばしている少女が、何度も何度も杖を振っては爆発音を響かせている。
「おい、ゼロのルイズがまた失敗したぞ」
「サモンサーヴァントまで失敗するなんて、ゼロの面目躍如よね〜。名は体を現すって感じ?」
「……十三回目」
既に召喚を終え、契約まで済ませた生徒たちが、ルイズが爆発が起こす度に思い思いに騒ぎ立てる。
また一つ杖を振り下ろして爆発を起こしたルイズは、観客の声に顔を真っ赤にして怒鳴った。
「五月蝿い! 集中できないじゃない! 特にツェルプストー!」
名指しされた、赤毛の長髪に小麦色の肌を持ったグラマラスな少女がやれやれと手を掲げてぼやく。
「そんなこと言ったって、あんたの順番になってからもう一時間も経ったじゃない。つき合わされてる私たちの身にもなってちょうだいよ」
「次こそ成功させてみせるわよ! 見てなさい、絶対アンタより凄い使い魔を呼び出してみせるんだから!」
噛み付くように赤毛の少女に言い返した少女は、掌の汗をローブで拭い、改めて杖を構える。その表情は真剣だが、心なしか焦りが窺える。見た目が可憐な美少女なだけに、失敗を重ねて追い詰められた姿は哀れを誘う。
(大丈夫、絶対できる。自分の才能を信じるのよ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!)
誰も励ましてくれないので、心の中で自分を励ましてルイズは杖を振り上げた。
「宇宙の果ての何処かにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに答えなさい!」
今までとは違い、十四回目のサモンサーヴァントは、長い詠唱で行われた。
不必要に華美な詠唱は、失敗を重ねている事実を鑑みると、勢いばかりが先行していると言わざるを得ない。だがそれ故に、成功を願うルイズの気持ちを代弁している。
杖を振り下ろした瞬間、一際大きな音と共に、ルイズの眼の前で今までで一番大きい爆発が起こる。
「また失敗かよ!」
爆発が起こり野次が上がるが、ルイズはその言葉が聞こえていないかのように爆発で出来た煙を凝視していた。
いや、実際に聞いていないのだ。振り下ろした杖に、今までとは違う確かな手応えがあったのだから。
(お願い、来て、私の使い魔! ゼロと言われるのはもう嫌なの!)
手に汗握るルイズを焦らすように、ゆっくりと煙が晴れていく。
幻獣ならば言うことはないが、最悪小動物でもよかった。とにかく、ちゃんとした使い魔ならば、ルイズは何が来ようと文句をつけるつもりはなかった。
しかしそんな願いとは裏腹に、煙が消えたルイズの眼前には、幻獣でも動物でもなく、平民の格好をした銀髪の女性が、突然の事態に混乱しているのか、眼を白黒させて座り込んでいるだけだった。
支援
312 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/21(金) 00:10:17 ID:Q4s8jHnw
<302
知ってる人が要るとわとは思わなかった。
支援
戦乙女の皆さんって回復、白兵戦、錬金、ジェムで各種魔法と殆ど無敵な能力だな
炙られても、石像に殴られても余裕だし
あの「不遇な黒い長女」は出るのかな?
「へ、平民……? そんな」
呆然とした表情でルイズが呟く。
無理もない。他の生徒たちはあっさりと召喚に成功し、中にはドラゴンやサラマン
ダーといった強力な幻獣を召喚させている生徒だっているのに、
自分は十三回も失敗した挙句、幻獣でも動物でもなく、よりにもよって前代未聞の、
何の役にも立たなさそうな平民を召喚してしまったのだ。その
落胆は筆舌に尽くし難い。
「嘘でしょ……? こんなに、こんなに頑張ったのに、どうして平民なのよ……」
ゼロと揶揄されながら、ヴァリエール家の三女として誇れる結果を出せるように、
誰よりも真剣に準備して召喚に望んだのに、小動物すら召喚で
きなかった。
ルイズは泣きそうになりながら己が召喚した平民を見つめる。
青色を基調にした上衣と、裾に装飾が施された長スカートは結構上質な生地ででき
ているようだ。整った顔立ちは貴族のルイズが見ても美しいと思えるものだったが、
杖を持っている様子がない以上ただの平民に過ぎない。召喚されたのがメイジだった
らメイジだったで色々と問題だったが、少なくともここまでコンプレックスを刺激
されずとも済んだだろう。
追い討ちをかけるように、群衆から野次が飛ぶ。
「ルイズが平民を召喚したぞ!」
「さすがはゼロのルイズね!」
「……おめでとう」
かなり凹んだ。特に拍手までした三人目の言葉に凹んだ。
本人は純粋に労っているつもりなのかもしれないが、ルイズにしてみれば無表情
で、しかも本を読みながらおざなりにやられても嫌味にしか聞こえない。
一縷の望みをかけて、ルイズは儀式の監督をしていた教師に頼み込む。
「ミスタ・コルベール! やり直させてください! 平民を使い魔にする
なんて、聞いたことがありません!」
ローブを着た、禿げ上がった頭の中年男性は一瞬同情的な目でルイズを
見つめるが、真剣な表情で首を横に振る。
今日は投下ラッシュでオレパッピー。
しかし、さざなみの人のキュルケとチキの人のタバサは自重しろwww
あれ?ヴァルプロの人書きながら投下してんの?さる食らった?
新作の主役がまたしてもレナスでアーリィ様カワイソス支援。
「それは許可できない。春の使い魔召喚の儀式が伝統のある神聖な儀式だということ
は、勤勉な君ならよく知っているだろう。自分の意に添わない使い魔が出たからって
例外は認められないんだ」
「た、確かにそれはそうですけど……」
言い返す言葉が見つからずに、ルイズは唇を噛み締めた。
コルベールの言葉は一々もっともで、言われるまでも無くルイズはそのことをよく
理解していた。
それでもやり直したかった。立派な使い魔を召喚して、自分をゼロと馬鹿にする人
間を見返してやりたかった。そして何よりも、大切な家名にこれ以上泥を塗りたくな
かった。
落ち込むルイズを見かねたか、コルベールが励ましの言葉をかける。
「安心しなさい。慰めにもならないかもしれないが、一応召喚はできたんだ。君がゼ
ロでないことは証明されたじゃないか」
指摘されて、ルイズは初めてその事実に気が付く。
どういうわけかどんなに簡単な魔法でもルイズが唱えると全て爆発になってしまい
、ルイズは一度も魔法を成功させたことがない。それ故『ゼロ』という不名誉な二つ
名がつけられていたのだが、確かにもうゼロじゃない。『イチ』だ。イチのルイズだ。
(……全然嬉しくないわよ!)
思わずへなへなとその場に崩れ落ちるように膝をつく。その拍子に自分が呼び出し
た平民と眼が合い、フツフツと怒りが湧き上がる。
(全部コイツのせいだわ。何で出てくんのよ)
八つ当たり気味に理不尽な怒りをルイズが抱いているとも知らず、武装していなか
ったためにただの平民と思われているレナスは、真夜中の鈴蘭の草原から、燦々と太
陽が眩しい見知らぬ中庭らしき場所に飛ばされたことに困惑していた。
自分があの不思議な鏡を潜り抜けたことは理解している。だが、何故夜だったのが
昼に変わっているのか、レナスにはさっぱり分からない。今いる場所が何処なのかさ
え分からない。
「……アンタ、誰」
気が付けば目の前にへたり込んでいる、桃色の髪を持った少女が口をへの字にして
レナスを睨みつけていた。
しかしレナスにはルイズの心情など分かるはずもない。状況を理解するために、中
腰になり目線を合わせ、目の前のルイズにコンタクトを試みる。
「人間よ。ここはどこだ?」
レナスの口から漏れた意味不明の言葉の羅列に、ルイズは思わず目を丸くする。
「何言ってるの? 分からないわ」
「ふむ……お前たちの言葉は分かるのだが……こちらの言葉が通じていないのか?」
ルイズはレナスの言葉が分からないことに動揺していた。
サモンサーヴァントで召喚された使い魔は、その時点である程度精神的な改造を施
されている。そのため、どんなに遠くから召喚された使い魔でも、喋れるのなら言葉
が通じないということはないはずなのだ。
「ミス・ヴァリエール。一応サモンサーヴァントは成功したのだから、早くコントラ
クトサーヴァントを行いなさい。そうすれば言葉が通じるようになるはずです」
困惑する二人にこれでは埒があかないと思ったのか、コルベールがルイズに告げる。
コルベールもルイズと同じ疑問を感じたのか、やや表情が硬い。
「はっ、はい! ──我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァ
リエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」
レナスの頬に手を添え、ルイズは唇を窄めて顔を寄せる。
そのような行為をされる理由が分からず、レナスは眉を顰めた。
何か葛藤があるのかフルフルと睫毛を震わせるルイズを見て、ようやくレナスはあ
る程度の合点がいく。
(接吻することで、私と何かの契約をしようとしているのか? ホムンクルスと融合
して完全ではなくなったとはいえ、神に対して、同意も得ずに契約だと?)
憤った瞬間、レナスの脳裏にある種のトラウマが過ぎる。
嘗てレザード・ヴァレスの塔で、レナスとそっくりのホムンクルスたちを見たが、
その光景は今もなおレナスの記憶に悪い意味で焼きついている。そして、今レナスが
抱いている感情は、間違いなくその時と同じ『怒り』だ。
しかし、レナスがルイズを振り払うことはなかった。
ルイズの右耳に、見覚えのあるイヤリングが揺れているのを見つけたのだ。レナス
はそのイヤリングが何なのかよく知っている。何故なら、同じ物が今もレナスの左耳
を飾っているのだから。
(あれは、ルシオがくれたイヤリングの片割れ。転生したルシオに託した想いの証。
何故この人間が付けているの?)
イヤリングを見たためにプラチナの思考が強く出たレナスは、一瞬我を忘れてルイ
ズの顔を見つめた。
呆然とするレナスに唇に、僅かに頬を染めたルイズの唇がそっと合わされる。
「うぅっ……!?」
ルイズが離れた途端、左手の甲に走る激痛にレナスはうめく。
平民を使い魔にしたと勘違いしているルイズは、素っ気無い態度でレナスの頭を叩
く。
「使い魔のルーンを刻んでいるだけよ。我慢しなさい」
相変わらず導入部のルイズとコッパゲは糞だな
そろそろアーリィ様もぐれるよなここまで来ると軽いいじめだなw
新作発表されたのかと驚きつつも支援。
神族通り越して神なのにね、罰当たりだね。支援
痛みを堪えながら、レナスは気安げに頭を叩かれたことにきょとんとし、呆気に取
られた顔をしてルイズを見つめる。もしフレイが今のレナスを見れば、その情けなさ
に頭を抱えるに違いない。
「ふむ。珍しいルーンですね……」
横では禿げ上がった頭の中年教師が興味深げな様子で、手に持った羊皮紙に何かを
スケッチしている。
レナスが己の左手に目を落とすと、見慣れぬ文字が刻まれていた。
「これは……ルーン文字?」
幸いルーン文字ならば、失われたルーンでなければ大体は知識として持っている。
レナスは刻まれているルーンを読み取り、首を傾げる。
(……ガンダールヴ?)
その言葉が何を意味するのかは分からないが、何かの契約の証であることは間違い
ない。面倒事になるのを予感してため息を付いたレナスは、ちらりとルイズを盗み見る。
(それに、ルシオとこの人間についての関係も調べないと。どうしてイヤリングを持
っているのか。……あのイヤリングは転生したルシオのもとにあるはずなのに)
プラチナとしての感情を掻き乱されたレナスは、少々混乱しながらも今後の考えを
纏めた。
とりあえず、ここがどこなのか、そして結ばれた契約が何なのか早急に把握する必
要がある。右も左も分からない以上、レナスにとっては業腹だが、何らかの契約者で
あろうルイズに従うしかないだろう。
「それじゃあ、ミス・ヴァリエールの儀式も無事済んだことだし、今日の授業は終了
だ。これにて解散!」
言い出したコルベールを始めとして、見物していた生徒たちが次々に『フライ』の
魔法を唱え、使い魔を従え思い思いに飛んでいく。
中には飛び去り際に「お前は歩いて行けよ、ゼロのルイズ!」と暴言を投げかける
者もいた。
「……私たちも行くわよ。ついてきなさい、事情を説明してあげるから」
向こうから説明してくれるというのなら是非はない。暴言を投げかける生徒に律儀
に怒鳴り返しながら歩いていくルイズを追いかけて、レナスも見慣れぬ地を歩き出した。
□ □ □
使い魔となったレナスを従えて部屋に戻ったルイズは、ベッドに腰掛けると己の使
い魔を見つめた。
「とりあえず最初に自己紹介しとくわね。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・
ド・ラ・ヴァリエール。で、アンタの名前は?」
「……レナスだ」
レナスは無表情を崩さずに簡潔に名乗る。
「さっそくだが、ここが何処なのか聞かせて欲しい。正直今の状況が掴めない」
平民らしき使い魔を召喚したのを認めたくないのか、ルイズはまだ不満そうな顔を
している。
しかし、質問をされて腹を括ったようで、足を組んでレナスの質問に答えた。
「ここはトリステイン魔法学院にある女子寮よ。あなたはサモンサーヴァントってい
う使い魔召喚の儀式で召喚されて、私の使い魔になったの。左手に刻まれたルーンが
その証」
「私を使い魔として召喚しただと?」
レナスは信じられぬ思いでまじまじとルイズを見つめた。仮にも新たな世界の創造
主である自分を使い魔として召喚するなど、聞いたことも無い。それに、人間に使役
されるなど、神々にとっては屈辱も同然だ。
「ええ、そうよ。本当は幻獣がよかったんだけど、この際アンタでも文句は言わない
わ。召喚できただけでも御の字だもの」
「私よりも幻獣を召喚したかったか?」
暗に幻獣よりも格下に見なされていることに気付き、レナスはムッとする。幻獣の
中でもトップクラスの実力を持つであろうブラッドヴェインやフェンリルをエインフ
ェリアと共に屠ってきたレナスは、少なからず矜持を傷付けられ、苛立つ。
そんなレナスの思いにも気付かず、ルイズはきょとんとした顔をした。
神だけどレナスの普段着は質素だから支援
「当たり前じゃない。誰も好き好んで平民を召喚したりなんかしないわよ。私だって
できるなら、ドラゴンやマンティコアを召喚したかったわ」
本気で残念そうなルイズを見て、レナスはようやく理解した。
(この少女は、私が神だということに気付いていないのか)
レナスは何だか馬鹿らしくなって、自分から神だと言い出すことを止めた。
そもそも今のルイズの様子では、言っても信じてもらえないだろう。ならば無用な
行為に時間を割くべきではない。
さらに言うなら、レナスはトリステイン魔法学院などという施設の存在を今まで全
く聞いたことがなかったため、事態を把握するまでは正体をばらすことで余計な騒動
を起こしたくなかった。
「とにかく話に戻るわよ。で、使い魔に求められる役割なんだけど」
気を取り直してルイズが解説を再会する。
「一つは感覚の共有よ。私たちメイジは使い魔と契約すると、その使い魔の視界を借
りることができるようになるわ」
「今も見えるのか?」
何気なくレナスが尋ねると、ルイズは暗い顔をする。
「……できないみたい。私は『ゼロ』だもの」
『ゼロ』の意味を尋ねようとしたレナスは、召喚当時ルイズが『ゼロ』と呼ばれる
と顔を真っ赤にさせていたのを思い出し、口を噤む。大方蔑称なのだろう。触らぬ神
に祟りなし、藪を突付いて蛇を出す必要はない。
咳払いを一つして、気を取り直したルイズは説明を続ける。
「もう一つは、秘薬や薬草、鉱石などの調達。そして最も重要なのが、主人となった
メイジの身を守ることなんだけど」
言葉を止め、ルイズはじろじろとレナスの服装を眺める。何処からどう見ても、ル
イズにはレナスが平民、それも荒事専門の傭兵などではなく、少々見目のいい村娘に
しか見えない。
「……まあ、アンタにはどれも無理だと思うから、とりあえずは身の回りの世話をし
てくれればそれでいいわ」
言っているうちに自分で情けなくなってきたのか、ルイズの眉がハの字に下がった。
「よくよく考えてみると本当に役に立たないわね。メイドの真似事しかさせられない
なんて、使い魔の意味ないじゃない」
レナスは言い返したかったが敢えて黙っていた。
ルイズの誤解を解くつもりはない。不本意にも、同意なしに契約を結ばれ、無理矢
理使い魔にさせられたのだ。これくらいの意趣返しをしても罰は当たらないだろう。
「それで、今日はどうすればいい?」
厳かにレナスが尋ねると、ルイズは疲れたのか足を崩して思案する。
「そうね、今は特に頼みたい用はないから、夕食の時間までは好きにしてていいわよ。
学院を探検するのもいいし、ここにいても構わない。好きにしなさい」
自由時間を与えられたということで、レナスは学院の地理を把握しておくことにした。
今はとにかく少しでも情報が必要だ。
「なら……少し辺りを散策してこよう」
「私は明日の授業の予習してるから。日が沈んだら戻ってきなさいよ」
そう言ってルイズは机に向かう。勤勉そうなその様子に少しだけ感心しながら、レ
ナスは何気なさを装ってルイズに問い掛ける。
「一つ聞いてもいいか? その右耳のイヤリングは誰から貰った?」
振り返ったルイズはきょとんとすると、自分の耳のイヤリングを触れる。
「これのこと? もとから私のよ。物心つく前にはもうつけてたもの。今じゃ外して
ると逆に不安になるのよね。それがどうかした?」
「いや、少し気になっただけだ」
「そう? じゃあ、迷子にならないようにね」
ルイズが机に向き直るのを見て、レナスは部屋を出た。
余計な人間に声をかけられないように、自分にアストラライズをかけて霊体化する。
アストラライズとは、対象物のマテリアルをアストラルに変換し、霊体化する技術
である。人間は本来マテリアル(物質)、アストラル(幽体)、メンタル(精神)の三つで
構成されているが、神は魂と同等の存在なのでマテリアルが無く、アストラルとメン
タルの二つで構成されている。そのため、マテリアライズやアストラライズを行うこ
とで、自由に実体化したり霊体化したりできるのだ。ぶっちゃけ幽霊と大して変わり
が無い。
霊体化したレナスは目の前のドアをすり抜け、散策がてら適当に生徒たちの観察を
始めるのだった。
シェーン!カム(ry
触るもなにもお前が神だろ
と突っ込んでみる。
新作はDSので主人公が妙に老けてるのだっけ?買わないけど
タバサ失神フラグ支援
大丈夫、戦乙女ヴァルキリー2ならメインヒロインはアーリィっぽいのだ
……ワルキューレっぽいのに人気とられなきゃいいが
タバサ失禁フラグ支援
以上、プロローグと第一話投下終了です。
まごついてしまって申し訳なかったです。
文字数ばかり気にしてたら60行128文字の規定に引っかかりましたorz
支援ありがとうございました。
追記として、一部二重投稿になってしまいました。
重ね重ねすまんです。
霊体化…………タバサ逃げてーッ支援
調整しつつ投下されてたのね。
乙乙〜。
本気の神召喚って今まであったっけ?
なにはともあれ乙
ニーベルンヴァレスティで浄化されるのかギーシュ・・・
剣はグランスリヴァイバーか咎人の剣辺りでオーバーキルか
投下乙です
神召喚のTUeeee系と見せかけてのこの展開は素敵だ
340 :
Hな使い魔:2008/03/21(金) 00:42:27 ID:ObgiKrVQ
夜分遅くに失礼します。小ネタ投下したいのですがよろしいでしょうか?
予約等なければ、10分後に投下したいと思います。
作品は東方Project、キャラは氷精チルノです。
つ アマ公(大神)
つ大十字九郎(デモンベイン)
つクトゥグア(クトゥルフ神話)
つ魔王マーラ(真・女神転生U?)
ぱっと出せるのはこれぐらい?
乙
タバサはやくにげて〜!
あたいってあ最強ね! と見せかけてナインブレイカー支援
乙、PS2でマンドラゴラ殺してフリーズしたこともあるので期待です
レナスが居るところには時をかけてでも現れる至上最強の変態で錬金術も嗜む魔術師にも期待
乙ー
「私ぁ、カミサマだぁよ」と分かった後のルイズの行動が楽しみだ
>>340投下支援
うろ覚えなんですがガンダルーブってオーディン系に関係してた気が・・・ヴァルハラの戦士だっけか?
>>340 チルノか…一応スペックは高い方なんだよな
二次の印象強くてHな面ばかり強調されてるけど
「花映塚2(?)」みたいなのが出たらケロ神様を氷漬けにして〜
虚無の使い魔の名前は北欧神話の精霊からですねー
たぶん(ぁ
よく考えたらレナスが「私は神だ!」とか言い出したら
世界違うんだから邪神扱いされたあげく
下手すりゃルイズが魔女狩りくらって
散々輪姦されたあげく見せしめに火あぶりとかなりませんかね
なんつーかこの世界の貴族は腐った奴が多いからなあ……
頭がパーフェクパーフェクフリーズ支援
氷支援
関係ないけど奥様は魔女だと男は魔法使いで女は魔女。
>>338 小ネタでグローランサの疫病神マリア様
氷精といえば雪女を召喚させたいのう、ぬらりひょんの孫の
そして支援
>>345 来るのは確実ですよ、それとも「既に来ている」のかも(ジョゼフに召喚されて)
でも変態メガネが来たら…ルイズはかなりヤバイな
「愛しのヴァルキリー」にあんな事やこんな事やらせる訳だから「死ぬよりも酷い目」は確実
不死者化されて各種拷問用生物で……寒気がするぜ
358 :
Hな使い魔:2008/03/21(金) 00:58:23 ID:ObgiKrVQ
自分で10分後と言っておきながら投下遅れましたorz
投下開始します。
ちょwwwHってwwwwまさかwww
支援
360 :
Hな使い魔:2008/03/21(金) 01:00:45 ID:ObgiKrVQ
「宇宙の(ry」
もうもうと立ち込める白煙の中から現れたのは、妖精でした。
「あたいは氷精チルノ!」
氷精?氷の精かしら?背中に生えてる羽みたいなものが氷みたいだから、きっとそうね。
苦節十数年、このルイズついにアタリを引きました。
今までゼロゼロと蔑んできた連中は地べたに這いつくばってごめんなさいと言うがいいわ。
チルノ?Hだろ?
H!H!
Hを召喚するとは流石ゼロのルイズ!
チルノっ、チルノっ、チルノちゃーん!
外野の反応は様々だ。おい、今ゼロとか言った奴後で校舎裏に来い。
361 :
Hな使い魔:2008/03/21(金) 01:02:36 ID:ObgiKrVQ
先生たちが何か騒いでいるけど、何かあったのかしら?
あの方向はさっき私をバカにした奴を失敗魔法で吹っ飛ばしてみた方向だけど…
後ろから仕掛けたから、気付かれないわよね。
そんなことはどうでもいいとして、安心したらお腹が空いたわ。今日のお昼は何かしら?
そういえば妖精って何食べるんだろ?
さすがに他の使い魔に与えるようなものという訳にはいかないだろうし…
普通のご飯でいいのかしら。後でメイドに頼んでみましょう。
授業が終わって部屋に戻る時、通りすがりのメイドが畏まってお礼を言ってきた。
なんでも、チルノのおかげで食品の日持ちがよくなって、経費が減ったとか。
後でコック長が正式にお礼を言いに来るとか言ってたけど、面倒だし断ったわ。
別に私がやった訳じゃないしね。
他にも果物のシャーベットを作ったりしてるみたいだから、平民には受けがいいみたいね。
べっ、別に今日出たデザートのシャーベットが美味しかったから言ってる訳じゃないんだからねっ!
コック長がパット長に見えた
支援
>>362 一瞬PADが目に写ったのは種のない手品ですね
ちょっと来客らしい、こんな真夜中に誰だろう見てきますね
364 :
Hな使い魔:2008/03/21(金) 01:08:51 ID:ObgiKrVQ
その後もチルノは使い魔として本当によく働いたわ。
ちょっと頭が足りないところもあるけど、ギーシュのゴーレムを弾幕?とかいうので蹴散らしたり、
色々あって実は裏切り者だと判明したワルド様を風の偏在含めてはたき落としたり。
そうそう、アルビオンで私が虚無の担い手だということもわかったんだっけ。
…何かちょっとはしょりすぎたような気もするけど、別にいいわよね。誰が困る訳でもなし。
今の私たちは、祖国を救った英雄として「ゆにっと」というものを組んで各地を回っている。
チルノ曰く、「みんなのアイドルになれる仕事」らしい。そういうものなんだ。
一番のヒット曲は「おてんば☆ラヴガール」。
雑務を任せているシエスタによると、毎日飛ぶように売れて売り上げも上々らしい。
私たちの名声はトリステインのみならずゲルマニア、果てはガリアやロマリアにも広まっている。
エルフにまで広まってるとか聞いたけど、本当かしら?
順風満帆、すべて世は事もなし。
さぁ、今日もステージが私たちを待っているわ!行くわよ、チルノ!
「「あたい(私)ってば最強ね!」」
365 :
Hな使い魔:2008/03/21(金) 01:14:09 ID:ObgiKrVQ
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。
ちなみにチルノの脳内には、幻想郷に帰るという選択肢はハナからありません。
だってHですもの。
それでは名無しさんの次回作をお楽しみにー。
そんな訳で失礼します。
乙!&GJ
夜遅くで申し訳ないのですが、五分後に第二話、第三話を投下します。
今回はきっちり調整を済ませたのでスムーズに行くかと思います。
Hの人乙。
ヴァルプロの人、かかってこいやーっ!
ACのナインボールが来るのかと思った…
ヴァルプロの方、投下ペース速いですね。
自分も見習いたいですが、なかなかまとめるということができなくて。
支援支援
ゼロの戦乙女
第二話
廊下を挟んでルイズの向かい側に自室があるキュルケは、己が召喚
したサラマンダーにとても満足していた。
火竜山脈に住むサラマンダーの中でも一際大きく立派で、尻尾など
は見たことがない珍しい形状をしている。売るつもりなど無いが、好
事家に売ればおそらく値段はつけられないだろう。
「フレイム〜」
ベッドに寝転がりながら機嫌のいい明るい声で使い魔を呼ぶと、オ
レンジ色の大きなトカゲに似た幻獣がベッドの傍に近寄ってくる。
「……格好いい」
キュルケに呼ばれて使い魔を見にきていた青い短髪の少女──タバ
サが、ベッドの上に腰掛けて本を読みながら、片目でちらりとフレイ
ムを見て無表情に感想を漏らす。
「でしょ? タバサの風竜には及ばないけど、あたしの属性にぴった
りの使い魔だと思わない?」
「……思う」
傍から見ればお前ら本当に友達かと突っ込みたくなるようなやり取
りだが、これが彼女たちの普通だった。
お互いの生活に過度に干渉しない程度の気遣いは持っているし、話
を聞く態度で一々文句をつけるほど子どもでもないから、結構これで
上手くやっていけている。
レナスが扉をすり抜けてきたのはそんな時だった。
ベッドの前で控えている使い魔に興味深そうな視線を送る。ベッド
にはキュルケとタバサがいるが、霊体化しているレナスは二人を気に
せずに堂々とフレイムを観察する。
『炎の幻獣? 見ない種類だな。新種か?』
霊体化していれば声も聞こえなくなるので、レナスは遠慮なく声を
出す。
突然の侵入者に、フレイムが慌てて振り向いた。
「フレイム?」
「……どうしたの?」
人間であるキュルケとタバサには霊体化しているレナスの姿は見え
ない。
フレイムをレナスは珍しそうにしげしげと眺める。
『霊体化した私が見えるのか? お前にしか見えないのか、使い魔な
らば誰でも見ることができるのか、実に興味深いな』
「フレイム? 何を見てるの?」
使い魔の尋常ならない雰囲気を察したか、キュルケが真剣な表情に
なる。
Hの人乙
戦乙女支援
作成段階からカウント系の機能がしっかりしてるフリーのテキストエディタ使っとけ
行・文字数の制約にはそれが一番手っ取り早い
「……使い魔が何もいないところを見るのは何かがいる証拠」
本を読んでいたタバサは、本に栞を挟むと立て掛けていた身体に不
釣合いな大きな杖を取り、気配を探り始めた。
心なしか顔色が青い。
「もしかして、幽霊かしら?」
何もない空間に威嚇しているフレイムを見て、キュルケがピンとき
たように言うと、目に見えてタバサの目が泳ぎ出し、挙動不審になった。
(あっちゃー、そういえばこの子、お化けが苦手なんだっけ)
キュルケは杖を抜き放ちながら、普段の落ち着きが嘘のように動揺
しているタバサを己の後ろに追いやる。
『驚かせてしまったか。だが人間には見えていないようだな。……な
らば気にするほどのことでもない』
そう一人で合点したレナスはすぐに出ていこうとしたのだが、少し
茶目っ気を起こしてタバサの背後に回る。
動きに合わせてフレイムが頭を巡らし、タバサに向き直った。
「……移動した? こっち?」
動揺したタバサはフレイムの視線から逃れるため、ベッドの上を這
いずって壁際に移動する。
レナスはアイテム生成で『ウサギの足』を創り出し、移動している
途中のタバサの肩の上に実体化させ、マイペースに壁をすり抜けてい
った。
不意に肩に重みを感じたタバサが、四つん這いのまま肩に置かれた
ウサギの足をきょとんとした表情で見る。
「タバサ……それ、何?」
続いて、慄いて乾いた声で問い掛けるキュルケにぽかんとしたまま
顔を向ける。
ようやく事態を把握したタバサは、杖も本も放り投げてウサギの足
を振り払い、声無き絶叫を上げてベッドから転げ落ちた。
「ちょっ、大丈夫!?」
慌てて声をかけるキュルケに、タバサは腰が抜けたのか四つん這い
のまま反対側の部屋の隅に高速で這いずっていく。
「ああ、もう、何なのよ」
キュルケはベッドの上に落ちたウサギの足を拾うと、まじまじと見
た。
「何よ……よく見たらただの作り物のアクセサリーじゃない」
呆れたように息を吐くキュルケの傍に、レナスがいなくなって緊張
を緩めたフレイムが、のそのそと寄ってくる。
「タバサ、幽霊じゃなくて、ただの悪戯みたいよ?」
鼻先を摺り寄せてくる己の使い魔を撫でながら、キュルケがタバサ
に声をかける。
我と共に生きるは冷厳なる勇者、支援!
部屋の隅でキュルケの様子を震えながら窺っていたタバサは、キュ
ルケの言葉を聞くや否や、自分の杖とベッドに投げ出した本を持って
足早に部屋から出ようとした。
「何よ、もう帰るの?」
不満そうに言うキュルケに、タバサはドアに手をかけたまま振り返
り、何やらおどろおどろしい雰囲気で言った。
「……犯人、探して仕返しする」
キュルケとタバサの間の空気が凍り、二人の間に気まずい沈黙が流
れる。
「そ、そう……。気を付けてね」
無表情でもやる気満々なのが窺えて、キュルケは苦笑いした。
数刻後、犯人を見つけられずに肩を落として戻ってきたタバサを、
キュルケがあの手この手で慰める破目になったのは言うまでもない。
市宴
支援
日が沈んだので実体化して部屋に戻ると、レナスはルイズによって
そのまま食堂に連れていかれた。
通称「アルヴィーズの食堂」と呼ばれるトリステイン魔法学院の食
堂は、ヴァルハラの豪華絢爛な建物に見慣れているレナスの目を持っ
てしても、遜色ないと思えるものだった。
テーブルには灯りとしてなのか、いくつもの蝋燭が均等に並べられ、
揺らめいた光が幻想的な光景を作り出している。また、所々に花が飾
られ、見る者を目を楽しませている。
そして何よりも、晩餐に相応しい豪勢な料理の数々がテーブルに並
べられていた。
「見事なものね」
「でしょ? トリステインの貴族は、この魔法学院で魔法だけでなく
貴族に相応しい教養も身につけるの。この食堂もそのためのものなの
よ」
得意げなルイズの説明を聞いて、レナスは素直に感嘆した。
神々は本来食事を必要としないが、嗜好品としての需要は存在して
おり、現にヴァルハラでも祝勝会などが開かれた時には、酒や料理が
振舞われ、神々にとって数少ない娯楽の一つになっていた。
それはレナスにとっても例外ではなく、プラチナの記憶を取り戻し
た分、他の神々よりも食に対する欲求は強く、期待は否応無しに高ま
っていく。
そんなレナスを他所に、テーブルの合間を縫って、どこか得意げに
ルイズは歩いていき、空いている椅子の前で立ち止まってレナスを見
る。
椅子を引いて欲しいのだと理解したレナスが渋々椅子を引いてやる
と、ルイズは満足そうに優雅な動作で椅子に腰掛けた。
続いてレナスが隣に座ろうとするのを、素早くルイズが押し留める。
「この椅子に座っていいのは貴族だけなの。アンタはこっち」
指し示された指に合わせて視線を下げると、床の上に申し訳程度に
豆が浮いた塩スープと、古くなってかちかちに硬くなったパンが置い
てあった。
まるでプラチナとして生きた時代を再現したかのような献立に、レ
ナスの表情が曇る。
困った顔で己の食事とルイズの食事を交互に見るレナスを見て、ル
イズがこっそり拳を握った。
(召喚したての使い魔にはしつけが肝心。まずは食生活で主従関係を
きっちり思い知らせるのよ)
「……この扱いの差は何だ?」
感情を押さえて尋ねるレナスに、ルイズは当然のような顔を取り繕
って答える。
「そりゃ、私が貴族なのに対して、アンタが平民で使い魔だからよ。
本来なら使い魔はここに入れないんだから、入れてあげただけ感謝し
なさいよね」
尊大な態度で言うルイズは、レナスがきちんと主従関係を認めれば、
きちんそれなりのことはしてやるつもりだった。
(ほら、ご主人さまにすがりなさい! そうしたら恵んであげないで
もないんだからね!)
レナスは微妙に期待の篭ったルイズの視線を敢えて無視した。
「……そういえば、今の私の立場は平民の使い魔だったな。食べられ
るものが出るだけマシということか」
ルイズを他所にレナスはため息をつくと、スープとパンの皿を持っ
て立ち上がる。
当てが外れたルイズは、きょとんとしてレナスを見上げた。
「食べないの?」
「ここでは食べにくい。外で食べてくるから、何かあったら呼べ」
「えっ!? ちょっと、待ちなさいよ──!」
何やら憤慨して騒ぐルイズを尻目に、レナスはルイズを置いて外に
出る。
外では夜空に星が煌き、それなりに落ち着いて食事ができそうだっ
た。
食堂の傍に座り込み、夜空を見上げながら硬いパンを齧る。
「そういえば、ここまで貧相な食事をするのは、プラチナだった頃以
来か……」
懐かしい記憶が甦り、レナスは感慨に耽った。
プラチナだった頃は家が貧乏で、ろくに食事をさせてもらえなかっ
た。
同じコリアンドル村に住んでいたルシオの家も同様で、ある日ルシオ
の妹が人買いに売られていったのを、レナスはおぼろげな記憶で覚え
ていた。
十四歳で神界に招致されてしまったので、ここまで貧しい食事はそ
れから取ったことがない。
戦乙女である今は無理に食事をする必要などないのだが、レナスは
何故かそうする気にはなれず、黙々と食事を続ける。献立は貧相でも、
彼女なりに懐かしい味を楽しんでいたのかもしれない。
そう考えると、具が豆しかない塩スープも何故か美味しく感じられ
た。
「……悪くはないわ」
レナスの表情が緩む。
量が少ないので、久しぶりの食事は呆気なく終わった。
暇を持て余して夜空を眺めていると、横合いから声をかけられる。
「あの、こんな所で何してるんですか?」
振り向くと、メイド服を着た短い黒髪の少女が、不思議そうな顔で
レナスを見下ろしていた。
おそらく平民だろう。まだ少女のようだが、貴族並みに恵まれた愛
らしい容姿とメイド服の上からでも分かる胸の膨らみが、将来への期
待を感じさせる。
レナスが口を開く前に、少女はレナスの横に置かれた空の食器に気
付いた。
「ああ、お食事をなさっていたんですね」
何か言う前に納得されたために会話が終わってしまったが、少女は
立ち去る様子がなく、興味深そうにレナスを見つめている。
「私はこの魔法学院でご奉公させていただいているシエスタといいま
す。もしかして、ミス・ヴァリエールが召喚した平民の使い魔って、
あなたですか?」
おずおずと問い掛けてくる少女に、レナスは目を向けた。
どうやら、ルイズが平民の使い魔を召喚したという噂は、もうメイ
ドの耳にも入るほど広まっているらしい。
「……本当は平民ではないのだけれど」
プラチナの感情を引きずったまま、苦々しい顔で暗に肯定したレナ
スを、シエスタは興味深そうに見る。
「そうなんですか? じゃあ、使い魔さんはどんな人なんですか?」
ここでレナスは戯れを起こした。
この純朴そうな少女に、自分の正体を明かしてみたらどうなるだろ
うと、悪戯心を起こしたのだ。
「神よ」
シエスタは一瞬きょとんとしたあと、わあ、と喚声を上げる。
「神様なんですか!? 凄い!」
あっさりと信じたシエスタが意外で、かえってレナスの方が面食ら
ってしまった。
普通は自分のことを神だと豪語する人間は、その殆どが気違いだと
相場が決まっているものだ。実際に神であるレナスがそんなことを考
えるのは間違いかもしれないが、実際にプラチナだった頃はそう考え
ていたことを覚えている。
「信じるの?」
目を瞬いて思わず零した言葉に、シエスタは少し考え込むとにっこ
りと笑う。
「だって、召喚されたのが平民であるよりかは神様だった方がミス・
ヴァリエールだって嬉しいと思いますから」
レナスは驚いてまじまじと目の前の少女を見詰めた。
どうやらこのシエスタという少女は、純朴そうな外見だけでなく、
珍しいくらい思いやりに溢れた心の持ち主らしい。
戦乙女ヴァルキリーとして多くの人間の魂に接し、今もなおそのう
ちに個性的な二人のエインフェリアを抱えているレナスは、目の前の
少女に好感を抱いた。
「ありがとう。信じてくれたあなたに、何か礼をしたいわ」
淡い笑みを浮かべるレナスに、シエスタは慌てて胸の前で両手を振
る。
「いえ、私は何もしていませんし、お気遣いなく」
素朴で純真、さらには無欲な態度に、レナスのシエスタに対する好
感度が鰻上りに上昇した。
さらに笑みを深め、シエスタの手を握る。
「そんなこと言わずに、ぜひ受け取って。そうね、これなんてどう?」
手持ちのアーティファクトから『黄金の鶏』を選び、マテリアライ
ズをかける。
その際にレナスの背中に現れた光の翼に、シエスタは息を飲んだ。
「綺麗……」
陶然とするシエスタに、マテリアライズを終えたレナスは光の翼を
消し、黄金の鶏を手渡す。
生命を感じさせる重みに、シエスタは慌てて黄金の鶏を抱えた。
「きゃっ……金色の……鶏?」
黄金の鶏はシエスタに抱きかかえられても鳴きもせず、暴れもせず
に大人しく腕の中に収まっている。
「それは黄金の鶏という生きたアーティファクトよ。しっかり世話を
すれば毎日『金の卵』を産んでくれる」
「こ、こんな貴重そうなものいただけません!」
なおも辞退しようとするシエスタに、レナスをゆっくりと首を横に
振る。
「あなたに貰って欲しいのよ」
シエスタは困りきった顔でレナスと己が抱える黄金の鶏を代わる代
わる見比べ、恐る恐る言った。
「い、いいんですか? 本当にこんなの貰っちゃって」
動揺のあまり恐縮するシエスタに、レナスは穏やかな気持ちで微笑
んだ。
「ええ。可愛がってやって」
シエスタは頬を真っ赤に紅潮させて叫ぶ。
「ありがとうございます、使い魔さん! 大切にしますね! ……あ
の、お名前を窺ってもよろしいですか!?」
自分を召喚したルイズとは違う、素直で奥ゆかしいシエスタの態度
に、レナスは好意的に己の本名を告げた。
「レナス・ヴァルキュリアよ」
「ではヴァルキュリアさまとお呼びしますね! 本当にありがとうご
ざいました!」
シエスタは尊敬の眼差しでレナスを見つめてお辞儀すると、黄金の
鶏を抱え、興奮冷め遣らぬ面持ちで食堂脇の厨房へ小走りに駆けてい
った。
その後ろ姿が完全に見えなくなってから、レナスもそろそろルイズ
がいる食堂に戻ろうかと思い、食器を持って立ち上がる。
「たまにはこういうのも、悪くはないかもしれない」
呟いたその声は、どこか楽しげだった。
レナス太っ腹 支援
シエスタにいきなり金持ちフラグが
太っ腹すぎるwww
第二話終了、最初タイトルに「第二話1/3」をつけ忘れましたorz
あと、一回目の2/3の最初は場が転換してます。「□ □ □」を入れて
区別するのをおくのを忘れてました。
第三話に続きます。
猫って偶に何もないトコ見てるよね!
支援
ゼロの戦乙女
第三話
夕食が終わり、ルイズが寝静まったのを見計らって、レナスは学院
を飛び出した。
学院全体を遥かに見下ろせる高みにまで飛翔すると、全く見覚えの
ない地形が見渡せる。
そしてレナスの頭上には、大きな赤と小さな青の二つの月が輝いて
いた。
「聞き慣れぬ地名……二つの月……やはり、この世界はミッドガルド
ではないのか?」
彼女の呟きを聞くものは誰もいない。
少なくとも人間では。
「──そうみたいねぇ。ラグナロクが終わったのに、今度は異世界だ
なんて。退屈しなくて済みそうだけど」
「俺としては、戦えればそれでいいんだけどよ」
「アリューゼ……メルティーナ?」
何時の間にか、目を見開くレナスの目の前には二人の人間がいた。
いや、人間というには語弊があるだろう。何故なら、彼ら死んだ人
間の魂なのだから。
「やっぱ転生を拒否しといて正解だったわね。異世界の魔法かー、私
も覚えられるかしら?」
杖を持った女性の霊体──メルティーナが、興味深げに見慣れない
二つの月を眺める。
メルティーナは太股にまで届こうかという長さの、ダークブロンド
の髪が美しい女性だ。勝気そうな瞳は猫のように好奇心で輝き、シル
クの襟がついた袖のない単衣と民族衣装風のミニスカートという、か
なり肌が露わになった服装をしている。その代わりにシルクの長手袋と、太股までのタイツをつけているのだが、それでも太股や二の腕が
剥き出しになっているため、もし某魔法学院の学院長が彼女を見たら、
必ずセクハラしたくなるような魅力を醸し出している。
「もっとも、ヴァルキリーがあの嬢ちゃんの使い魔じゃあ、当分戦え
そうにないけどな」
つまらなさそうに鼻を鳴らすアリューゼは、華奢なメルティーナと
は対照的に、鍛え上げられた肉体を持つ大男だった。
青色のアーマーとガントレットで武装し、背中に背丈ほどもある巨
大な剣を背負っている。精悍な厳つい顔と、左目にかするようについ
た古傷が歴戦の凄みを感じさせる男だ。
彼の剣の腕は生前から凄腕の傭兵としてミッドガルド中に鳴り響い
ており、その剣腕は死してエインフェリアとなった今も全く衰えてい
ない。
彼らはレナスが最も信頼し、ラグナロクが終わった今も、転生させ
ずにエインフェリアとして残している人間たちだった。
レナスの内から見たルイズのことを思い出したか、メルティーナが
可笑しそうにニヤニヤする。
「それにしてもあのルイズって子、ヴァルキリーのことを本気でただ
の平民だと思ってたわねぇ。傍から見てて笑っちゃいそうだったわよ」
使い魔にされた屈辱を思い出したか、レナスは驚いていた表情を消
してむっつり顔になる。
プラチナとしての記憶が解放されてから、妙に感情豊かになったレ
ナスにクスクスと笑いながらも、メルティーナは表情を真剣なものに
戻す。
「……で、どうなの? 使い魔契約は破棄できそう?」
メルティーナはどこか心配そうな顔でレナスの左手を見つめるが、
レナスは首を横に振る。
「どうだろうな。できるだろうが、今すぐには無理だろう。まずはこ
のルーンを調べてみなければどうとも言えん」
つまらなさそうにしていたアリューゼも、レナスの左手に視線を飛
ばしてため息をついた。
「破棄できなきゃこっちが困るぜ。異世界に来たのは別に構わねぇが、
俺がエインフェリアになったのは戦うためなんだからよ」
子どものお守りなんてごめんだぜ、と肩を竦めるアリューゼに、メ
ルティーナは呆れたような顔をした。
「ラグナロクが終わって随分経つのに、相変わらずの戦闘狂ねぇ、あ
んた」
「知識狂のお前が人のこと言えるかよ。ラグナロクから二十年間、飽
きもせずに魔術の研究ばっかしやがって」
負けじと言い返すアリューゼに、メルティーナは鼻で笑う。
支援
「当たり前よ。レザードに遅れを取ったままで済ませやしないわ」
結局、戦いと研究の違いはあれど、一つの事柄に狂っている点で二
人は似たもの同士だった。
二人のやり取りを、レナスは穏やかな表情で見守る。
嘗てアーリィに破れ、アストラルボディから精神のみが弾き飛ばさ
れた時、自分が助けを求めたのはこの二人だった。
それから続く三人の絆は、異世界に移動した今でも変わらない。
レナスは少しでも恩を返せたらいいと思い、これからを二人の意思
に委ねることにした。
「メルティーナ、アリューゼ。お前達はこの世界でしたいことはあるか?」
突然の質問に二人は面食らいながらも、思い思いに答える。
「私はやっぱり研究がしたいわ。まずはこの世界の魔法を調べて、で
きるなら使ってみたいわね。うまくやれば既存の魔法と組み合わせて
新しい魔法を編み出せるかもしれないし。ここは魔法学院らしいから、
私にはうってつけね」
「さっきも言ったが、俺は戦いだな。戦場に立てるなら言うことはね
えが、チャンスが来るまでは腕が鈍らないよう適当にやるさ。その代
わり、何かあったら必ず俺を使えよ、ヴァルキリー」
二人の意見を聞いたレナスは重々しく頷く。
「……そうか。では当面はそのようにしよう。その間、私はこの世界
を脱出する術を考えておく。ビフレストのように世界を繋ぐ場所がこ
の世界にもあればいいのだが」
深刻そうに呟くレナスに、メルティーナもまた腕を組んで考え込む。
「そうねぇ。永遠にここに留まっているわけにもいかないし、いつま
でもヴァルハラを放っておくわけにもいかないものね」
アリューゼがこきこきと首を鳴らしながらしかめっ面になった。
「ヴァルハラ側に見つけてもらうのを待つのが一番手っ取り早そうだ
がな」
同じく渋面になったレナスが困りきった様子で空を仰ぐ。
「だが、向こうに任せきりにしておくわけにもいかない。幸い、マス
ターとなった人間の証言で、私がこの世界の魔法によって召喚された
ことは分かっている。他の方法も探してはみるが、今はメルティーナ
の研究に頼るのがもっとも近道だろう。すまんな、メルティーナ。迷
惑をかけそうだ」
神妙な様子でメルティーナに小さく頭を下げるレナスに、メルティ
ーナは気の強そうな外見とは裏腹に、レナスを慈しむような微笑みを
浮かべる。
「私の趣味とも一致してるんだから、気にしないで。それよりも、明
日からは私たちも外に出ていい? 霊体でもいいから歩き回ってみた
いのよ」
断る理由のないレナスは快諾する。
戦乙女支援
「構わない。だが、この世界の使い魔は霊体が見えるようだ。それに
だけ気をつけてくれ」
メルティーナは再び好奇心に目を輝かせた。
「使い魔か〜。私もそのうちこの世界の生き物で使い魔を作ってみよ
うかしら?」
女二人が姦しい話をしていると、蚊帳の外に置かれていたアリュー
ゼがレナスに提案する。
「おい、この世界にも不死者はいるんだろ? なら腕試しに討伐に行
ってみねぇか?」
アリューゼらしい提案に、メルティーナも頷く。
「そうね、私もこの世界で魔法がどこまで通用するのか知りたいし。
私はアリューゼの意見に賛成よ、ヴァルキリー」
やる気になった二人の頼もしいエインフェリアに、レナスは微笑み
を浮かべた。
「そうだな。では、精神集中をして狩り出すとしようか」
「そうこなくっちゃ!」
「へっ、腕が鳴るぜ」
メルティーナとアリューゼの魂を内に戻し、レナスは目を瞑って精
神集中を開始した。
その夜、不死者ではないが、王都から遠く離れた村に被害を与えて
いたオーク鬼の群れが、謎の三人組に討伐されたという。
□ □ □
朝起きると、見慣れない平民が部屋の床で毛布に包まって寝ていた。
「……ああ、昨日使い魔を召喚したんだっけ」
寝ぼけ眼を擦りながらベッドから上体を起こし、伸びをする。
使い魔は長い銀髪を中ほどから三つ編みにした状態のまま、着替え
もしないで寝たようだった。
事実は全く違うのだが、勿論ルイズはそんなことは知らない。
レナスの寝顔を見ていたルイズは、彼女が平民にしてはかなりの器
量好しであることに気付いた。
滑らかな光沢を放つ銀髪はとても長いのに櫛を通す必要なんてなさ
そうなくらい真っ直ぐだし、普段は無表情なので分かり辛いが、顔立
ちも女神像のように清楚で神秘的な造形だ。
身長もすらりと高く、それでいて高すぎるというほどでもない。体
型だってキュルケほどの凹凸はないが、出るところは出ていて、引っ
込むべきところはきちんと引っ込んでいる。
全体的に見るとバランスがとても良く、欠点がどこにも見つからな
かった。
「……さっさと置きなさいよ!」
見ているうちに嫉妬混じりの理不尽な怒りが込み上げてきたルイズ
は、八つ当たり気味にレナスから毛布を剥ぎ取る。
レナスは何事もなかったかのように目を開け、ルイズに視線を向け
た。
「どうした、ルイズ」
「へ?」
てっきり吃驚して慌てふためくか、眠りを妨げられたことに憤慨し
て突っ掛かってくるかと思い、それにかこつけてお仕置きする気満々
だったルイズはきょとんとした。
「何よ、起きてたの?」
不満そうに自分を睨みつけるルイズに、レナスは上体を起こして身
体を解しながら答える。
「寝ていたに決まっているだろう。お前の性格は昨日の時点で大体把
握した。今更叩き起こされたくらいではいちいち驚かん」
無理矢理起こされても怒りもせず、不機嫌にもならずに冷静さを崩
さないレナスだが、寝起きで虫の居所が悪いルイズはかえって腹が立
ったらしく、ジト目でレナスを睨む。
「むー……昨日もそうだけど、その口調どうにかならないの? 仮に
もご主人さまに向かって『お前』とか何様よ。敬語を使いなさい、敬
語を」
「断る」
にべもなかった。
拒否されるにしても、ここまであっさりばっさり切られると思って
いなかったルイズは反射的に声を荒げる。
「何でよ! アンタ私の使い魔でしょ!?」
「一方的に契約しただけで、私の同意を得ていないだろう。逃げ出さ
ないだけありがたく思え」
レナスは素っ気無く言って、立ち上がり、窓に歩み寄ってカーテン
を開ける。
朝日が窓から差し込み、少しだけ部屋が明るく、暖かくなった。
しかし、それでも活火山の溶岩並みに顔を赤黒くしたルイズの心を
宥めることはできなかった。
「アンタ、今日は朝ご飯抜き!」
かくてお仕置きを言い渡されるが、昨日のような不意打ちでなけれ
ばレナスの心にはダメージを与えられない。
案の定「そうか」とあっさり返される。
「……まあ、アンタの躾は後にするわ。服、着替えさせて。下着も含
めて着替えはそこにあるから」
疲れたような顔のルイズが指差す先に視線を向けると、確かにミッ
ドガルドでもよくあるようなクローゼットや衣装棚があった。
それを確認して、ルイズに視線を戻す。
「私が着替えさせるのか?」
さすがに呆れて問い掛けるレナスに、ルイズが怒鳴る。
「貴族は使用人がいる場合は自分で着替えないの! つべこべ言わず
にさっさとする!」
レナスはため息をつき、幼い子どもにするようにルイズの頭を一撫
でした。
「やれやれ、手がかかる子だ」
子ども扱いされたことになおも騒ぐルイズを無視し、レナスは昨日
のルイズの格好を思い出して、クローゼットからマントとプリーツス
カートを、衣装棚から白いプリーツスカートと下着を取り出す。
「脱がせるぞ」
一応断りを入れてから、ルイズのネグリジェを脱がせ、下着を取り
替える。未だに膨れっ面のルイズから細かい指示を聞きながら制服を
着せ、最後にマントを着せて金具で固定する。
ルイズは部屋の姿見で制服が着崩れていないか、マントに皺が寄っ
ていないか確認すると、満足そうに笑った。
「初めてにしては中々じゃない。褒めてあげるわ」
こんなことでルイズに褒められても全く嬉しくないレナスは、心中
を押し隠して無表情で佇む。
「じゃあ、朝食に行くわ」
ルイズは杖を腰に差すと、レナスを連れ立って部屋を出る。
「あら、ルイズじゃない」
「げっ、ツェルプストー」
自分達と同じように、向かい側の部屋から出てきたキュルケがルイ
ズを見つけて不敵な笑みを浮かべる。
対するルイズは顔を顰め、「朝から嫌な奴に出会っちゃったわ……」
などと小さく呟く。
キュルケはルイズの横に佇んで二人のやり取りを眺めていたレナス
に目を向け、ルイズに一度ちらりと意味ありげな視線を向けると気安
げに話しかけた。
「こんにちは使い魔さん。お名前はなんていうのかしら?」
教えようか教えまいか僅かに逡巡するレナスを見て、ルイズの眦が
釣り上がる。
「レナス、ツェルプストーなんかに答える必要はないわよ!」
猫のように毛を逆立ててキュルケを威嚇するルイズは、キュルケを
意識するあまり思い切り墓穴を掘った。
「ああ、レナスっていうのね。ルイズ、教えたくないなら名前で読ん
じゃ駄目じゃない!」
「あっはっはっは!」と腹に手を当てて大笑いするキュルケに、ル
イズは恥ずかしさからか顔を真っ赤にして反論する。
「ちちちち違うわよ! あああんたがちゃんと気付くか試しただけな
んだから!」
誰がどうみても無理のある取り繕い方をするルイズに、キュルケは
生暖かい眼差しを送った。
「はいはい、そういうことにしといてあげるわ。でもね、ルイズ。ど
うせ使い魔にするんなら、こういうのの方がいいわよ? フレイム!」
キュルケの呼びかけに、彼女の部屋からのっそりした歩みで使い魔
が出てくる。
「サラマンダー?」
思わず声を上げたルイズの目に、露骨に羨望の眼差しが浮かんでい
るのを見つけてしまったレナスは、殊勝にも見なかったふりをした。
レナスと同じようにルイズの目に浮かぶ感情を敏感に察したキュル
ケは、にんまり笑ってフレイムの尻尾を指し示す。
「そうよ? ほら見てこの尻尾。ここまで鮮やかで大きな炎の尻尾は、
間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ? その中でも群れを束ねるボ
スだったに違いないわ。しかも、私の属性ともピッタリよ!」
ふぬぬ、と悔しげに歯を噛み締めるルイズを他所に、レナスはゆっ
くりとフレイムに歩み寄った。
ルイズが間にいたのでレナスの姿が分からなかったフレイムは、見
覚えのある姿に硬直する。
予想外の事態に固まるフレイムの背を、レナスは優しい手付きで撫
でた。
レナスに敵意がないことが伝わったのか、フレイムはしばらくする
と安心し、身体の力を抜いて撫でられるに任せ始める。
「立派な幻獣だな。サラマンダーというのか」
己の使い魔を撫でるレナスに、キュルケはにっこり笑う。
「あら、あなた、サラマンダーを見るのは初めて?」
平民姿のレナスを見ても露骨に態度を変えない、歳に似合わぬ大人
びた物腰のキュルケに、レナスも微笑を返す。
「ああ。貴重なものを見せてもらった。礼を言う」
二人の間に穏やかなムードが漂うのを敏感に察して、ルイズが爆発
した。
「ちょっと! 何ツェルプストーと和やかに会話してんのよ! アン
タはさっさと昨日の洗濯物を洗濯しに行きなさい!」
「……先に朝食を取るのではないのか?」
「アンタは朝ご飯抜きって言ったでしょ!」
八つ当たり気味に洗濯を命じるルイズに、キュルケがしゃしゃり出
た。
「レナス、よかったら私の朝食を分けてあげましょうか?」
「人の使い魔を餌付けしようとするなーー!」
朝から騒がしい二人に、レナスはこめかみを押さえてため息をついた。
さっさと見切りをつけることにして部屋に戻り、ルイズが脱ぎ散ら
かした洗濯物を纏め、それらを抱えて外に出る。
ただし、窓から。
二階分の距離を苦もなく着地したレナスは、今もまだ言い合いをし
ているであろうルイズとキュルケを置いて、洗濯を任せられる唯一の
知り合いであるシエスタを探す。
無論、自分でやる気など端からなかった。
支援
以上、第三話終了です。
番号振り分かり辛いですね、すみません……。
次から投稿順に1から振っていくことにします。
今はまだ原作をに近いストーリーで進んでますが、段々原作と
似ているようでも中身が別物になっていきます。
ギーシュ戦とか、ギーシュ戦とか、ギーシュ戦とか。
一日で一財産できて、もうメイド辞めてたりして
乙
金の卵ってどれくらいの価値があるんだろ
シエスタなら売らずに持ってそうだけど
あとギーシュ逃げてギーシュ
乙です
ギーシュ、レナスにフルボッコにされるかアリューゼにミンチにされるかメルに実験動物にされるか・・・嗚呼恐ろしい
404 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/21(金) 02:14:13 ID:UMhp1z8L
401それは無いと思う。
シエスタの性格上レナスに恩返ししようとすると思う。
シエスタさんは平民ですから、
生きたアーティファクト→生き物→生き物が産んだもの
→食す
みたいな連想が働きます(ぁ
>>401 ルイズの実家以上の金持ちになったりして
ヴァルプロの人乙乙乙乙〜。
あ。何かひでえの思いついた。
使い魔召喚→何で平民なのよ!→悶々→限界
→そんな使い魔は存在しない。あなたの想像の(ry
乙
しかし金の卵なんて平民のシエスタが売りさばくのはちとやばくないか?
乙!
しかしレナスかぁ。
レナスが召喚されたとなると、もしかすると彼がエインフェリアに・・・
金の卵って殻だけ金なの?
中味も金なら1年もすれば相当な金持ちになれそう
グラム3500円で、普通の卵は60g程度だから金なら500gぐらいにはなる?
そうすると1日150万円超の収入で、1年で6億円以上かな?
金の卵さえあればニート生活し放題じゃないっすか\(^o^)/
オービタルフレームジェフティをボロボロの状態で召還したら
金の卵か…
生んだ数が不満で何度もリセット押した人間がここに。
原子配列変換で生命の腕輪にしたのはいい思い出。
金の卵という単語が出て金玉ネタが出てないあたり皆品があるな
>>405 シエスタさんなにしたはるんですかwww
レナスの人、適当にギーシュ戦とかやってtueeee展開やったら消えそうだね
悪いけど
>>417 そういうのは避難所の毒吐きで言ってくれ
Hと言うとハスラーワンな同士が多くて吹いたww
金の卵・・・きんのたまご・・・きんたまご・・・きんたま・・・金玉!!
,_,..,ィヽ,、 |
/;;::r‐〜-ミ、 | ウ ェ ル カ ム
4~/へi::::::;/,ヘミ7 | W E L C O M E !
'-l|<>|:::::|<フ1|i' ノ ( よ う こ そ )
l! '" |::::l、~`リ へ
/`ー、 ハー;";::i:::ヾイl! ,r'~`ヽ、 \
,.ィ" ri l i ト、 1:|`丶:;;;:イ' ill!7、 、 y; ヽ、_` ー―――――
,. -‐''" 、 くゝソノリ~i | - 、 , -‐'7ハ ヾニト- ~` ー- 、_
, ィ ´ ,ゝ、_ `r' l | 、レ // `テ三..ノく _ ` ヽ、
/ , -' ,、 `、_) l,i, i // (/ ...,,;;;;:` 、 ヽ
;' '" ノ ;;;;:::: i ! : // .....:::::;;イ、_、_\ _ _ノ
l ..,, __,ィ"-‐´ ̄`i::::: ゙゙゙= ...,,,,,. l | ,// - = ""::;; :/ ` '''' '"
ヾ :;;;,, ,i l,// ,,..," / _,,.....,_
,. -- .,_ \ :;,. ;' V ;! `; /;: ノ ,.ィ'"XXXXヽ
/XXX;iXXミ;:-,、 ヾ '" ''' /./! ヾ / ,. - '"XXXXXXXX;i!
,!XXXXi!XXXXX;`iー;,、 i 、. / ;:::゙i ;: , | ,. r'"XXXXXXi!XXXXXX:l!
|XXXXX;|XXXXX;|::::::::|`ヽ、 ,! ,': : :| ,.レ"::::|XXXXXXX|XXXXXXX;l!
!XXXXX;|XXXXX:|:::::::::i ` ;! : : i! / !:::::::::|XXXXXXX|!XXXXXXX|
XXXXXx|XXXXX;!:::::::::::! `. /:: | '" l:::::::::::|XXXXXXX|XXXXXXX |
XXXXXx!XXXXxリ:::::::::::! |:: | i:::::::::::ゞXXXXXツ1XXXXXXX|
XXXXX/ \XXソ::::::::::/ i!:: ノ i!::::::::::::ゞXX:/ lXXXXXXX|
XXXX:/ `ヾ::;;;;;:ツ ヾ;::: ; ノ ヾ:;;:::::::ゝ'" ヾXXXXX |
XXX/ `ヽ 、 _ゝく _,,. -`''" i!XXXXX:|
XXX7 `'''''''''''" `'''''''''''´ |XXXXX !
XXX| |XXXXX|
421 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/21(金) 02:54:05 ID:ENur6yVd
>「それにしてもあのルイズって子、ヴァルキリーのことを本気でただ
>の平民だと思ってたわねぇ。傍から見てて笑っちゃいそうだったわよ」
ひでえw
まだ続きがあってね。
>使い魔にされた屈辱を思い出したか、レナスは驚いていた表情を消
>してむっつり顔になる。
>「一方的に契約しただけで、私の同意を得ていないだろう。逃げ出さ
>ないだけありがたく思え」
ヘイト補正ばっちり入ってるのになに言ってるの擁護乙。
>無論、自分でやる気など端からなかった。
見下しモードもばっちり完備。
なんてことはないキャラを利用した作者の解釈が透けとります。
でもってやっぱ次はテンプレ展開なギーシュ狩りでFAな件について。
─┼─┐─┼─ / ,. _\ | / /
│ │─┼─ /| _,.イ,,.ィ' ‐────‐‐‐ゝ;。
>>420───
│ | │ | | | イン // | \
/ / | \
/ | 丶
. . / .;∵|:・. \
∴・|∵'
,'`》'´⌒`彡
ノ,ィ∝ノノ))))) -=ニ_-この変態!
( ( ゝ(l!゚(フノ|l 三-
∠ニニニニニニ[i⊂^!、 yソ __.- ―
'´ ,く '/".rヽ -二. ―
!,ン''"´'-'
・・・ついノリでやってしまったOTL
今日一日
>>420よりも、お下品な事を書き込む奴はいない。
俺の120ガバスにかけて。
金の卵というと、大胸筋矯正サポーターを思い出す
アングラなものかと思ってたら某有名メーカーのCMに抜擢されててクソワロタ
戦乙女乙。
金の卵のステータスアップ効果はまさに黄金だったなぁ。
やっぱり食べるんだろうかw
>>413 ダメージドジェフティか……身長が15mぐらいだから
フーケのゴーレムもちょっとした大型OF戦といった具合で普通に戦えそうだな。
サブエネルギー∞だからサブウェポンがあれば完全に敵なしだが。
たしか使える武装は
ブレード・ダッシュ・バースト・ゼロシフト
の4つだったような…
>>426 ああそうか、二週目以降サブ全装備ONとかできるんだけど
物語上では使用可能装備はダッシュ、バースト、ブレード、グラブ、ゼロシフトだけだったな。
となると乗ってるディンゴと戦闘支援ユニットであるエイダも一緒に召喚されることになるんだろうか。
むしろ、捕らえたフーケを、免罪と引き換えに仲間に引き入れて、彼女の巨大ゴーレム
練成能力を味方側戦力につけた方が簡単なんとちゃう?と身も蓋もないことを言ってみる。
えっと確か
通常ジェフティ・・・ゼロシフト以外の全ての武装
進化ジェフティ・・・全武装+ウィスプビット
壊れジェフティ・・・ゼロシフト以外のサブウェポン+ショットが御陀仏、但しエネルギー∞
全裸ジェフティ・・・ショット復活、弱いショットならバリアに遮られる、掴んだらそのまま頂きます?
よく考えたらたった一機でゼロ魔世界の軍事バランスをひっくり返す機体だ
まさしく、コレを手に入れたものが
人類最高の権力を手に入れるっていう仕組み……だなぁ
そもそも15mという全長で空間を圧縮し、その反動で
亜光速移動をすることが出来るっていう時点でゼロ魔にはオーバースペックだな
ゼロ戦一機ですら戦況を左右できるんだから
軍事バランスどころの話じゃないと思うw
でも…
ジェフティクラスのC型(有人)OFを沢山持ってるはずなのに
なんで対ジェフティに無人機ばかり投入したんだろうバフラムは…
いっそのことアヌビスVSジェフティの戦いをゼロ魔世界でやれと電波を受信した…
どうすれば良いと思う?
もしルイズが召喚したのがユーフロジーヌだったら。
ちょっと天然ボケだけど、使い魔契約はスムーズに行く……かなぁ。いかないか。
新しい“お父さま”になるルイズ、真面目にやってるのにドタバタになるユーフロジーヌ。
っても、書いたとて避難所向けかな?ってかマイナーすぎ?
>>433 二機が戦っている所を二機とも召喚すればいい
契約しようと思ったら、二機とも戦い始めて足元に居るだろうルイズ達は死ぬだろうがw
ちょっと書いてみた。召喚シーンだけ小ネタとして投下してもいい?
>>437 OK
こちらの準備は整っている。
全力で支援させてもらおう。
ほんの少し、一時間で書きました的な出来だけど、いきます。
光が眩しい。
ユーフロジーヌは、瞼の上から感じるそれを感じ取り、目を覚ました。
正確に言えば、突然の衝撃で目を覚ましたのだが、まぁこの際細かいことは良いだろう。
ユーフロジーヌは、まるで生まれて初めて日光浴をするような気分だった。
ゆっくり覚醒へともってゆく間、周りがざわついているのが聞こえてくる。ここは外なのだろうとユーフロジーヌは想像する。それも、地べたに倒れているのだと分かってきた。
本来なら、うやうやしく控えた従僕<ミニストリアーレ>たちがいるはずである。しかし、それらはどうやら居ないように思われる。もっとも近しく仕えてくれていたアルマXが起こしたのでないあたり、それは容易に想像がついた。
「死んでるの……?」
すぐそばで少女であるらしい声がする。いきなり、なんと無礼なと言ってみたくなったが、突然くちびるを開いては体に障る。そもそも瞼もこうしてゆっくり開けなければ、あまり慌てて開いては 瞼 が 破 れ て しまう。
そうして、ユーフロジーヌはそろりそろりと瞼を開き、体の具合を確かめるようにして起き上がってみた。上半身をゆっくり、そうっとそうっと起こした。つもりだった。
「あだっ」
そう、“つもり”だったのだ。
体は思いのほか勢いよく起き上がり、何かに額をぶつけてしまった。凹んでなければいいのだけれど。
「いきなり起き上がるんじゃないわよ!」
額を押さえ、涙目になった少女がこちらに叫んでいた。
ユーフロジーヌは、安堵した。
あの少女が無事なのだから、自分の頭も問題ないだろう。
もし、自分が砕けているとすれば、彼女の頭などぐちゃぐちゃになってしまっているはずである。
ユーフロジーヌは、少々、力が強い。
「ここは?」
ユーフロジーヌが口を開いた。
芝生の上に寝転がっているのは見ればわかったが、どうやらお父さまの研究室ではないらしい。見ればわかる。
「ここはトリステイン魔法学院です。お嬢さん」
眼鏡をかけた男性が声をかけてきた。その姿を見止め、ユーフロジーヌは問いかけた。
「あなたが新しいお父さま?」
かの男性は驚きの表情を見せる。どうやら違うらしい。
よくよく見渡してみれば、若い少年少女たちがあたりを取り囲んでいる。さっき頭をぶつけた彼女も、そうした周囲の者達と同じ服装で、同じ年恰好であった。
そこで一歩おくれて“魔法学院”という言葉を反芻する。
決してユーフロジーヌの頭の回転が遅いわけではない。ただ、起きたばかりで頭が上手く働いていないのだ。
もしかしたら、ブドウ糖が足りないのかもしれない。起きてから食事をするまでは血糖値が上がらないものなのだ。だから頭の回転が悪くなるのも仕方ないに違いない。
一旦、そう結論づけてから、自分の体に血液なんて残ってないなとあえて気づいてみた。
ああ、突っ込み役が欲しいわ。アルマX。
「あなたは、わたしの使い魔として、呼び出されたのよ。でも、あなた何処の人……?」
桃色がかったブロンド髪。その少女の特徴だ。あとは声がとても可愛らしい。とにかく、その子が言うには私は小間使いにされるということだろう。まぁ貧乏なお父さまもいらっしゃったから出来るだろう。ちょっと時々物を壊してしまうこともあるだろうけれど。
「ええ、分かったわ」
「……? ああ、うん」
会話が成り立たないのはアルマXがいないからだ。そうに違いない。
「平民ってわけでもなさそうだけど……貴族にしてはボロだし」
後半はぼそぼろと言ったのだが、ユーフロジーヌは耳がとても良い。ついでに目も壊れやすいことを除けば、良い部類であったし、体の質も元が良いから当然良い。ちょっと縫い目だらけだけれど。
ユーフロジーヌは、ボロを纏っていた。
着た当初は、とても良い素材を使ったすばらしいドレスだったのだが、時間というのは残酷である。
少しユーフロジーヌが眠りすぎたせいで、衣服がぼろぼろになってしまったのだ。たった百年程度のことだというのに、時間というのは残酷である。もっとも、ユーフロジーヌはその具体的な時間経過を知りはしないが。
「まぁ、いいわ……。死体を呼んだかって大騒ぎしちゃって疲れたし……契約しちゃいましょ」
「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」
この子はルイズというらしい。
そんなことを考えたら、ユーフロジーヌは口づけをされてしまった。
「最近の子って大胆なのね」
ユーフロジーヌは暢気に感想を述べた。
すると、ルイズは険しい目つきでこちらを見た。
「うぐっ……あなた臭いわよ……」
そういって口を拭うルイズ。
ゾンビが臭いのは当たり前である。
継ぎはぎの縫い目だらけになったその体。その手術痕がそれまで美しいと羨望の的であったユーフロジーヌを化け物と呼ばしめるようになったのは、十四の時。それ以来、継ぎはぎこそすれど、ずっと変わらぬその蒼白の技術の結晶。
あるゾンビ少女は、思いもよらぬ災難に巻き込まれたらしい。
召喚のところだけでしたので、以上です。
過去ログひとっつも読んでなさそうな方ですね
>443
話としては面白そうなんですけどね。
初めて投下するときには「タイトル」と「元ネタ」と「召喚キャラ」くらいは出しましょうよ。
444 :
443:2008/03/21(金) 08:22:35 ID:ASeLWfSj
>>443 それか。書いたつもりになってた。申し訳ない。
臭いがやりたかっただけで、>一発ネタ等でばらすと面白くない のつもりでした。
行数ひっかかったときやらかしたらしい。
タイトルは考えてませんでした。
あるゾンビ少女の災難から、あるゾンビ少女の思いがけぬ災難です。
申し訳ないついでにもう一本、美味しい所だけを書いた単発をやりたいのですが許可はいただけますでしょうか?
本来、そっちを落としに来たはずだったのです。15kbほどなので二度に分けて落とそうかと考えているのですが。
825 844
提督こないかな
パエッタでいいなら
>>448 あんなもんを連日投下って、どんな野生のプロなんだw
ニートでも無理じゃ
でもビッテンフェルトかオーベルシュタインなら来て欲しいな
世の中にはろくに小説も書かずに漫画の原作とか文庫化で食いつないでるエロゲデブもいるんだぜ?
お前が佐藤大輔が嫌いなのはわかったから俺と一緒に皇国スレ帰ろうか…
前スレでギルティギアのテスタメントを召喚したいみたいな意見があったが…
ギルティのキャラはみんな化け物じみてるから扱い難しそうだよな
魔法の理論化に成功した世界だし
俺もテスタで妄想してみたが俺Tueee展開にならない様にするのが大変だし
何より人間嫌いのテスタが素直に使い魔になるとは思えないし
ルーンの影響でジャスティスの指揮下からルイズの指揮下に上書きされた、みたいな展開もあるかも知れないが…
アルビオンやらとドンパチしている場面を見て
「やはりどの世界でも人間は愚かだ」って思って協力してくれないだろうなあ
>>453 そうだね。
比較的真面目に働いてくれそうなのはカイかガチか、或いはジョニーくらいかなぁ?
遊びで髭とか。正義だと終わるし…
>>420 ギーシュ戦直前で止まっている、『召喚!変態仮面!』を思い出してしまった
続き読みてーなぁ……
チップは?
目指せ大統領とは言うものの、大統領が何なのか今ひとつ理解していない忍者。
……そういやγブレード以外の技は純粋な体術なんだよな。
そもそも俺TUEEEEのなにがいけないのかわからない。クロスSSでも原作でも俺TUEEEE主人公で楽しいのはいっぱいあるけどな。
クロスSSは荒れそうだから名前ださないけど原作ならラグナロクかな。戦闘描写がすごいのと一人称でのキャラの語りと人間ドラマ、ギャグがおもしろいから俺TUEEEEは全く気にならない。
そういえばふと思ったんだがラグナロクが使えるノルンってそのまんま「虚無魔法が影響を与えて事象を発生させる原子より細かい物」そのものなんだよな。
エクスプロージョンとかノルンを使った破壊にすごい似てるし。
パクリとは思わないけど、この設定の酷似でおもしろいネタが書けそう。
俺TUEEEEが駄目って訳じゃないよ。
ちゃんとキャラの特徴を掴んだ上で、ちゃんと話を作ってればね。
問題は、俺TUEEEEの話が、作者の自己投影的で自己満足な話になりやすい、って事。
TUEEEなキャラに大暴れさせて原作キャラの見せ場を奪ったりチャラい説教かましたりして。
それで話が面白ければまだ救いはあるけど、つまらないことの方が多いから。
まあ、世の中には良い俺TUEEEEと悪い俺TUEEEEがあるゆえ。
爽快感だのカオスさを演出するボーボボみたいなのがいい例ですかな?
やたら高ランクだの、かっこつけた厨二くさい都合よすぎるキャラが悪い例と
自分は記憶しております。
そういえば、良い意味での俺TUEEEEEEEな宵闇の使い魔はもう続きは来ないんじゃろうか…
強いのが悪いんじゃなくて、
なんでもかんでも主人公の望み通りになるのがつまらないんだろう。
戦いという戦いを全て楽勝しているのに、
世界情勢が何故か悪い方向に悪い方向に流れていって
気が付いたら/(^o^)\ナンテコッタイみたいな話は面白いかも。
TUEEEって言葉自体が馬鹿にした言葉だろ
強い描写がちゃんとバランス取れたシナリオになってるのはTUEEEじゃない
表現が稚拙でボキャブラリーが貧困な子が何でもかんでもTUEEETUEEE言ってみたり
煽りたいだけの奴が故意にTUEEE連呼して馬鹿にしてるだけだから鵜呑みにするない
そこで俺YOEEEですよ
>>463 やわらか戦車の事かーっ!?
あれは面白かった
ルイズの使い魔が倒せない
気がついたら いつも香水 落としてる
そして使い魔に 拾われてる
相手によっては 香水スルーするけど代わりに メイドが拾っている
とぼけてみたりもするけど すぐにKY共 騒ぎ出すよ
何回やっても 何回やっても 決闘フラグ
避けれないよ あの腹黒 わざと拾ってんじゃねえの?
僕のじゃ ないって言ってんだから 少しは察して下さい
言い訳 なんかも 試してみたけどモンモン相手じゃ意味がない!
だから つぎはフラグ潰すために
僕は 香水だけは ちゃんと管理しておく
そして僕は またヴェストリに来ている
使い魔の実力 見せるために
序盤だけは ちょっと押したりもするけど 多分最初だけだと 思うよ?
貴族の 威厳があれば 他の平民 怖くはないけど
何回やっても 何回やっても ガンダールヴ
倒せないよ あの使い魔 能力(ガンダールヴ)なくても強くね?
どっちに しても 相手は伝説 こっちはただのメイジです
7体 同時も 試してみるけど チートな相手じゃ 意味がない!
だから次は瞬殺避けるため 薔薇の花びら 後に 何枚か取っておく
ニコ厨はかえれ
>>465 能力(ガンダールヴ)なくても強くね?
がツボに入ったwwwww
ギーシュが瞬殺はテンプレというが
本当に殺害されるパターンも見てみたい
>>461 つまり「90式戦車はブリキ缶だぜ!」ですね
アーカードの旦那とかじゃん。
愛野狩人の弱さも捨てがたい。
姉妹スレだとけっこう死んでるな
殺しそうなのは…
浅倉威とかか?
毎回毎回ギーシュじゃ可哀想だから
たまにはマリコルヌあたりと決闘させようぜ。
「僕の前でメイドといちゃいちゃして当てつけのつもりか? 決闘だ!」とか。
>>474 確か、マリコルヌと決闘してる作品もあったと思う
>>474 その状況のぽっちゃりさんはギャグ補正で無敵だぞ
まあどんなに俺TUEEEEEでもギャグキャラの理不尽さには勝てんわな
俺TUEEEEEキャラを召喚する
↓
作品全体のバランスが著しく崩れる
↓
じゃあ、敵も強くしてしまうか?
↓
従来のキャラの出番が大きく減少する
↓
だったら皆強くしてしまおう
↓
作 品 崩 壊
やはりバランスというのは大切なんだな
面白いは正義
481 :
チキの人:2008/03/21(金) 13:49:06 ID:yVsBjILq
チキを召喚するにおいて俺TUEEE! な展開にならないように。
頑張れギーシュ、アリューゼにお前の顔も見飽きたぜ! っていわれないように。
と言うわけで第六話、『デルフ自重』編を5分後くらいから投下しても良いでしょうか?
いまだに爆裂やるいとらを名作だ名作だと持ち上げる層がいるあたり、
やっぱ俺Tueeeeeeは需要がなるんじゃねえの?
ま、自演乙の可能性には目をつむっての話だがな。
483 :
チキの人:2008/03/21(金) 13:58:06 ID:yVsBjILq
「アーッ! もっと優しく握ってくれやお嬢!」
「うるさいわね! あんたの方こそもっと軽くなれないの、インテリジェンスソードは無理をすれば道理が引っ込むんでしょ!」
「これでも気合入れて軽くしてんだ、振り上げられないのはお嬢が悪い」
ルイズです。
夕日に染まる広場でデルフを振り上げようと四苦八苦しとるとです。
ルイズです。
あーもう、何でこんなに重いのよ剣って! 杖と同じくらい軽くなれないの。これだから平民が使う武器っていうのは野蛮なのよ。
しかし、重い。剣先が地上から50サントくらいしか上がってない。このままじゃあ、右手にデルフで左手に杖、我ら魔を断つ二刀流という掛け声は夢のまた夢だ。
何故こんな事になっているかというと、本日マリコルヌが授業に復帰したことが関係している。
“それでもボクはやってない”と、シエスタ事件の冤罪を主張したのだ。
周りの生徒達も、非はあるかも知れないがギーシュの行いは異常という結論に達し、困ったそのギーシュが私に決闘を申し込んだのである。
ゼロのルイズの策略によって僕とマリコルヌの名誉が傷ついた、決闘をしてどちらが本当に悪かったか決めようじゃないか。
こうして、私&チキとギーシュ&マリコルヌの決闘が授業中に開始された。
結果の方は言うまでも無い、レイピアはアーマー系に強いんだよ、という謎の言葉を発したチキが鬼神のような動きで八体のワルキューレを薙ぎ倒した後、ギーシュに参ったと言わせた。
マリコルヌは私のファイアーボールの魔法の失敗により、宝物庫のある塔まで吹っ飛ばされた。モンモランシーによれば、また救護室は彼の物ね。とのこと。
話はまだ終わらない、私の魔法の近くにいた(ギーシュも巻き込まれて吹っ飛んだ)チキがルイズのお姉ちゃんのボルカノンは危険、これは人に対して使う物じゃないからデルフを使うべきだよ。との魔法禁止令を出されてしまった。
「はぁ……しかし重いわ」
「だがよ、お嬢。そんな使い魔の言う事を」
柄を握る力を強くする。
「いい、チキの事を使い魔って言ったら、キュルケに溶かさせるわよ」
「あい」
チーキのためーなーらエンヤコーラ! もう一つおまーけーにエンヤコーラ!
もう一度デルフを振り上げる、今度はさっきよりも剣先が地面から離れた。
まだまだ、今は両手にデルフを持っているけど、いつかは片手でこれを振り回せるようになるんだから。
そのためには努力を惜しまない、明日に向かって振るべし! 振るべし!
「相変わらず無理してるわね、ルイズ」
四苦八苦してると後ろからキュルケの声をかかった。
振り返るとやれやれと言わんばかりの表情をしつつ、面白い物を見るかのようにデルフに視線を送った。
「重いわよ、重すぎるわよこの剣、キュルケどうにかならない?」
「私やタバサや果てにはチキまで振り上げた剣をどうして持ち上げられないのよ、力無さ過ぎなんじゃないの」
だって、剣なんて振るう機会なんて無かったし。
唇を突き出して拗ねてみるけど、デルフに可愛くないと呟かれた。
くそぉ、この剣いつか完璧に使いこなせるようになって、汚れ仕事ばっかりやらせてやる。
「それにしても、あんなに魔法に拘ってたルイズが、チキの一言で剣を使い始めるなんてどういう風の吹き回し?」
「んあ?」
デルフを振り上げる最中だったので思わず変な声を上げてしまった。
「半年以上ゼロのルイズって蔑まれてても、諦めなかった魔法に対するこだわりを捨てたのはどうしてって事、まあ、私もマリコ……マリコリュヌ? だっけ、彼みたいな目に合うのは勘弁だけどね」
うん、とりあえずマリコルヌだから。
「まー、うーん、キュルケなら話してもいいか」
少し前にチキを助けてくれたし、プレゼントもしてくれたし。
何より、キュルケがいなかったらチキは殺されてたかもしれないしね。
ミスタ・コルベールはサモン・サーヴァントの試験を神聖な物と言っていたけど、それは建前に過ぎない。
気に入らない使い魔を殺す主人というのは実在するし、それを特に何も思わない奴もいる。
「私はもう、魔法で後悔したくないんだ」
もし、使い魔を殺す事を厭わない相手だったら。
もし、タバサやキュルケが気が付いてくれなかったら。
私は、自分の魔法の失敗の爆発音で大切なパートナーが襲われたことすら気が付かなかったのだ。
「ふぅん、なんかメイジにあるまじき発言ね」
「私もそう思う」
キュルケも私も笑いを堪えながら、その後も会話を続けた。
484 :
チキの人:2008/03/21(金) 13:59:22 ID:yVsBjILq
Side チキ
わたしは恵まれた状況にあると思う。
ルイズのおねえちゃんは優しくしてくれるし、キュルケもタバサもいい人だ。
この世界に来た時に近くにいたミスタコルベールという人も、時折世話を焼いてくれる。
ロングビルもたまに目が怖いけど、優しい。オールドオスマン……たぶん、あの人はわたしと同じマムクートだと思う。
竜石を捨てたマムクートは、代わりに様々な能力を得る。
チェイニーは変身能力を、ガトー様は膨大な魔力を。オールドオスマンもガトー様と同じような能力を持っていると推測できる。
わたしは前にルイズのおねえちゃんに説明した通り、二つの竜石を身体に含んでいる。だけど、実はそれらだけじゃない。
マムクートが捨てた竜石は、人の世界で取引されているのだ。
わたしは別にいらないと言ったんだけど、ジェイガンは私に様々な種類の竜石を持たせた。部隊が一時撤退するとなれば、私がしんがりを務めた。
魔道士がいれば魔竜に、氷竜がいれば火竜に……そして逃げる時には飛竜に変身して。
マルスのおにいちゃんは優しかったけど、他の軍人の人は怖かった。
大きな力を持っているからわたしを兵器みたいに……ううん、あの戦争はもう終わった事だから。今はこの世界で幸せに過ごしてるんだから。
ルイズのおねえちゃんもキュルケやタバサ、少なくてもこの学院にいる生徒では敵わないほどの力を持っている。今はまだそれを発動させてないみたいだけど、行使出来るようになればどうなるか。
トリステインだけじゃなく、このハルケギニアという世界は戦いに溢れてる。少なくても人が人に魔法(魔道書とは違う種類みたい)を遠慮なく放てる状況っていうのは異常だ。
わたしはルイズのおねえちゃんとは違って、この世界がわたしのいた世界ではないことは分かっている。今のところは上手く誤魔化しているけど、勘が強いキュルケやタバサは薄々気が付いているかもしれない。
ルイズのおねえちゃんはわたしを守ってくれると言うけど、平気。
そうじゃなくて、優しくしてくれるルイズのおねえちゃんをわたしが絶対に守ってみせる。
デルフと一緒に剣の修行に出たおねえちゃんを見送った後、大きすぎて宿舎に入れない使い魔が滞在している場所へと向かう。
485 :
チキの人:2008/03/21(金) 13:59:43 ID:yVsBjILq
この世界の竜は、わたしみたいなマムクートとは違って竜石を使って変身するわけじゃない……みたい。韻竜っていうみたいだけど、ちょっとわからない。
風竜のシルフィはその韻竜っていう、この世界の一般的に言われる竜とは違った存在みたい。
子どもっぽくていつもタバサに叱られてばっかりの女の子、わたしみたいに人の姿になることもできて、ちょっとパオラに似ている。
だけど、ルイズのおねえちゃんには秘密。
「きゅーい(おはようございますなの、チキちゃん)」
「もう夕方だよ、シルフィ」
竜の姿をしている時には人語を発することは禁止されているので、鳴き声だけでお話をする。同族のよしみなのか、不思議と言葉が理解できるから平気だ。
「(初めて会った時は、おはようございますなの、これ、常識なの)」
今日もタバサと一緒にどこかへ飛んで、さっき帰って来たところみたい。
行き先はもちろん秘密、上手く聞けば答えてくれるだろうけど、そんな事すればタバサに本気で怒られると思う。
「(ねえねえ、今日は見せてくれないの? チキちゃんの竜の姿)」
「飛竜以外の姿はちょっと大きいから……」
「(いいなぁ、私ももっと大きくなってお姉さまを助けるの!)」
神竜の時はシルフィの三倍くらい大きい。いくら夜になると途端に警護が甘くなる学院とはいっても、目撃者は出てくるはず。むしろ、出てくれなきゃルイズのおねえちゃんが危ない。
「シルフィは喋ってない? チキ」
「うん、きちんと言いつけを守ってるよ」
「えへー、撫で撫でして欲しいのー」
油断大敵、タバサが戻ってきて安心したシルフィは思わず人語を発した。
周りを見ても人影は全くない……というか、元々人が来辛い場所なんだけど。
召喚しておいて放っておくって言うのはいまいち理解できないんだけどなあ。
「チキ、お仕置き、きりのブレス」
「そんな事したらシルフィが死んじゃうよ」
タバサの秘密を知ってしまったと言うことで、変わりにわたしの秘密もタバサには打ち明けてある。韻竜とは違うけど、シルフィみたいな竜の姿になれる。火のブレスとは違うきりのブレスと言うのを吐くことが出来る。と。
「(でも、いつかは見せて欲しいの、チキちゃんの竜の姿)」
シルフィの言葉に苦笑いしながら、できればずっとそんな日が来ないで欲しいと思うのだった。
少なくても今は、人として生活できているんだから。
ジェイガンの呪い絶好調発動中。
まさか全部タイトルを入れ忘れるなんて……投下終了です。
支援や感想いつもありがとうございます。感謝感謝です。
東方から呼んだら最強だ、RX呼んだら最強だ、あのロボットは最強だと、
雑談を見てたら俺TUEEでも受け入れられると思いそうだが。
ただ頭に置いておかないといけないのは、東方キャラTUEE言ってる奴は東方以外のキャラが最強だったら文句言うし、
RXTUEE言ってる奴も以下同文。
自分の好きなキャラだったら俺TUEEしててもストーリーに活かせてるって思い込むもんだ。
チキの人乙
素でタイトルと見間違えておりましたw
>>487 お前が東方厨でRX厨なのはわかったから少し黙ってろ
チキの人乙です。
ルイズ、すっかりただの姉バカになってるなぁ。
チキの力を知ったとき、果たして平静でいられるのか。少々不安ですなぁ。
チキの人乙
ところでいつもとは逆にギーシュがルイズの使い魔をなぶり殺しにした作品はあるんだろうか
まいど負けっぱなしとはいえ一応ギーシュはゼロの使い魔を殺すつもりなんだよな?
仮にもヴァリエール家の使い魔たる者を殺した後はどう落とし前つけるつもりだったんだろうか
何でもかんでも俺TUEEEE言うなというが、
強い力を持ちながら俺TUEEEに見せない作品なんて
片手の指でも余るくらいに稀少なんだがな。
戦闘描写を極力排したサイヤとか、
とにかく下ネタのインパクトの方が強烈なご立派とか、
とっさに思いつかないなあ。
>>491 逆に問いたい
あの時点でのギーシュがそんなことまで考えが及んでいると思うか?
>>491 ニュースを見てたら分かるだろ。
オヤジ狩りやホームレス狩りをして、まさか死ぬとは思わなかったとか、
ふざけてプロレスごっこしてただけです、とか言いながらクラスメイトを苛め殺したとか。
本人は痛め付けるだけで終わらせるつもりでも実際は、ってことだな。
>>492 煉獄の虚神はサイト、ルイズ、タバサ辺りを主役にしてるからTueeeに見えないな。
グレンは単体でレコンキスタの航空勢力を一掃したりしてるけど。
>>491 それを理解したからサイトに降伏勧告したんじゃん。
サイトがギーシュに剣を向けた時点で落とし前は関係あるまい。
平民が貴族に牙を剥いたんだ、あの世界じゃ親類縁者皆殺しにしてくださいと言う様なもんだろ。
………親類縁者までは言いすぎか。
おおう、なんか日本語変だった。
まあ口答えした平民が拳を振るって来たのに謝罪すれば許すと言ったギーシュはむしろ「優しい」部類に入ると思うよ。
>491
ルイズキングダムのギーシュはルイズの使い魔を大量虐殺した「鮮血」のギーシュの二つ名を頂いてるぞ?
>>446 だから元ネタ教えろユーフロジーヌだけじゃ分からん
>>469 戦車に対して120mm数発でトップアタックはオーバーキルだぜ外人部隊。
「仕掛人 藤枝梅安」読んで梅安先生が召還されたらで考えてみたんだけど、
ギーシュもフーケもワルドも"仕掛"で絶命してしまうと思われるのでボツった。
梅安やパトレイバーの後藤さんのような昼行灯キャラはよく合いそうだ
今までの作品では提督が近いかな
たまには決闘回避しちゃう頭脳派がいても面白いとおもた
そういうキュラのコルベールとの絡みも見たいし
キュラ…
サモンナイト2からキュラー召喚
あ、だめだこいつじゃ決闘回避しようと思わないな
こんなゼロ魔は嫌だ。
(魔法が使えないので)家の恥だと幽閉されているルイズ。
こんにちは、予約もないようですので
投下させていただきたいと思います
使い魔はじめました―第五話―
トリステイン魔法学院の食堂に辿り着いたサララとチョコは言葉を失っていた
長いテーブルが三つ並んでおり、百人は優に座れそうだ
それぞれのテーブルに幾つも蝋燭が立てられ、花が飾られ、
フルーツの乗った籠が並んでいる
幾度か訪れたことのある王城の中と並ぶくらい、あるいは
それ以上に豪華な施設に、ただただ目を丸くする一人と一匹
その様子を見たルイズが、鳶色の目を輝かせながら自慢げに語りだす
「魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃあないのよ。
貴族たるべく教育を存分に受けるのよ。
だから食堂も、貴族の食卓に相応しいものでなければならないの」
「ふーん……ねえじゃあさあ」
この食堂は貴族のもの、という趣旨の言葉を聞いたチョコが疑問を口にする
「ぼくたちのご飯はどーするのさ?」
「あ」
ルイズは食堂の入り口で頭を抱えた
一応魔法使い崩れとはいえ、彼女は平民であり、ましてや使い魔である
本来なら、使い魔は外の宿舎か床で食事を取らせるのだが、
そもそもサララの食事の手配すら忘れていた
忘れていた、というよりは出来なかった、というほうが正しいのだが
「……どうしよう」
「えー!お腹空いたよー!ご飯ご飯ー!」
にゃあにゃあと騒ぎ立てるチョコと、いざとなったら
『あの鍋』に石ころでも投げ込もうと考えているサララ
そして頭を抱えたままのルイズの下に一人のメイドが駆け寄ってきた
「あの……どうかなさいましたか?」
「あ、え、ええと、あなた!」
閃いた!というような顔をしてルイズは、びしっと音がせんばかりに
そこにやってきたメイド―シエスタ―を指さした
「ちょっとした手違いで、私の使い魔の食事の用意が出来てないの!
し、仕方ないから、何か適当に食べさせてやってちょうだい!」
「は、はい、分かりました」
いきなりそう言われてびっくりしたものの、食事が出来ずに困っているのが
今朝会ったサララだと分かると、シエスタは一人と一匹を厨房へ案内した
「マルトーさん」
「おう、シエスタじゃねえか。……何だ、そのちっこいのは」
丸々と太った男性にじろり、と睨まれてサララとチョコは思わず身震いする
「こちらはサララさんと、それから飼い猫のチョコさんです。
ほら、使い魔召喚の儀式で召喚されてしまったって言う……」
「おお、デカい鍋と一緒に召喚されたって噂のあいつらか。
で、その貴族様の使い魔が何の用だ?」
何処か不機嫌そうに問いかけるマルトー
どうやら、彼はあまり貴族が好きではないようだ、とサララは考える
「実は、ミス・ヴァリエール……彼女を召喚した貴族の方が、
彼女に食事を用意するように、とおっしゃられて……」
「何ぃ?」
再びじろり、と睨みつけてくるマルトーだったが、やがてくるり、と背を向けた
「仕方ねえな。賄いのシチューがあっただろ。あれでも食べさせてやれ」
「ぼくにはお肉だけちょうだいね。熱いの嫌いだから」
ワガママを言う飼い猫を目線で嗜めた後、サララはほっと一息つく
そして、今はまだあまり好かれてないらしいマルトーとも
いつかは仲良くなりたいな、と思うのだった
無論、人に嫌われるのがあまり好きではないというサララ自身の性分ゆえに、だが、
こんな所で料理長をやっているし、服装も綺麗だし、
きっと結構な収入があるから、あわよくば常連さんに……という
商売人ならではの打算も、ほんの少しだけ入っている
おいしいシチューを存分に味わった後で、
サララは何か手伝うことはないか、とシエスタに問いかけた
世の中はギブアンドテイクである
「今は特にありませんが……では、昼食の後で、
デザートを配るのを手伝ってくださいませんか?」
その言葉に了解の意を示し、マルトーにも丁重に礼を言うと厨房を出た
「ちゃんと食事はとれた?」
幸いにも厨房から出てすぐ、ルイズと合流できた
「これから何処行くの?」
「勿論授業よ。といっても、今日のは復習程度の簡単なものだけどね」
チョコの問いにルイズが答えた通り、次に辿り着いた場所は広々とした部屋だった
「うわぁーひろーい。ここで勉強するんだ?」
「ええ、そうよ」
階段状に机と椅子が並んでおり、一番下の段には黒板と変わった机がある
多分、あそこで教師が授業をするのだろう、とサララは予想した
学校というものには馴染みがないが、何かの書物でこういう風な教室を見た気がする
二人と一匹が入っていくと、教室の生徒達が一斉に振り向き、
くすくすと小さな笑い声を立て始めた
「何なんだよもう、感じ悪いなあ……」
チョコが不満を漏らす中で、サララは辺りを見回した
皆、様々な使い魔を連れていた
キュルケのサラマンダーは椅子の下で眠り込んでいる
少しぽっちゃりした生徒の肩にはフクロウが乗っていた
窓からは巨大な蛇が頭を覗かせていたし、カラスも、
チョコと同じような猫もいた
六本足のトカゲもいたし、目玉のオバケに蛸の人魚もいた
見慣れない生物達にサララは目をぱちくりさせる
もし、あれらと戦うことになったとして勝てるだろうか、
元居た場所と違って彼らは喋ってくれなさそうであるから、
交渉をするのも難しいだろうなあ、とため息をつく
戦って勝てそうなら戦う、駄目なら逃げるか、交渉
ダンジョンで鍛えた戦略も通じなさそうで肩を落とす
「ほら、椅子を引きなさいよ、気がきかないわねえ」
ルイズにそう言われて、慌てて椅子をひいた
そして、自分もその隣の椅子に座ろうとする
「おい、ゼロのルイズ!使い魔を椅子に座らせるのかよ!」
フクロウを肩に止めた少年が、ニヤニヤと笑いながら声をかけてきた
「うるさいわね!でもあんたのフクロウはそこでいいんじゃない?
やわらかくて、さぞ居心地がいいでしょうよ、風邪っぴきのマリコルヌ!」
ちょっと気が大きくなっているルイズが少年に言い返した
「風邪っぴきじゃない!僕は『風上』だ!」
ぎゃあぎゃあと言い合いを始めた二人をサララはおろおろとしながら見る
扉の開く音がして見やれば、紫のローブに身を包んだふくよかな女性が入ってきた
ローブと揃いの色の帽子を被り、手には小ぶりな杖を持っている
彼女は言い争いをしている二人を見るとため息をつき、呪文を唱えた
立ち上がり言い争っていた二人は、糸が切れた操り人形のようにすとん、と席につく
「ケンカはおよしなさいな。さて、皆さん。春の使い魔召喚の儀式は
成功したようですわね。こうやって様々な使い魔を見るのが、このシュヴルーズの
楽しみですのよ。……中には、少し多めに召喚なさった方もいるようですが」
サララとチョコを見たシュヴルーズのとぼけた声に、クラス中が笑う
「ゼロのルイズ!召喚できなかったからって、その辺の子供と猫を連れてくるなよ!」
「違うわ!ちゃんと召喚したもの!」
「そうだそうだ!」
ルイズに同調してチョコも抗議する
「嘘つ……むぐ」
さらにからかおうとした生徒の口に、赤土の粘土が貼り付く
「およしなさい、と言っているでしょう。さあ、授業を始めますよ」
シュヴルーズが杖を振ると机の上に石ころが幾つか現れる
サララは始められた授業を興味深く聞いていた
ダンジョンにおける『熱』『冷』『雷』の法則はこちらに存在しないようだが、
魔法の四大元素が『火』『水』『土』『風』であることは変わらなさそうだ
さらにこの世界には、失われた系統である『虚無』が存在するそうである
シュヴルーズの言葉によれば、『土』は建物を建てるのにも、
金属を加工するのにもかかせない系統であるらしい
自分の知る限りでは、魔法は攻撃や治癒、身体能力の一時的向上などに使われるが
この世界では生活自体に密接に関わっているんだな、と感心しきりである
「今から皆さんには、『土』系統の魔法の基本である『錬金』の魔法を
覚えてもらいます。一年生の時点でできるようになった方もいるでしょうが、
何事も基本は大事です。では、手本を見せますね」
シュヴルーズは石ころに向かって小ぶりな杖を振り上げた
そして短くルーンを呟くと石ころが光りだした
その光がおさまったあと、石ころはピカピカひかる金属に変わっていた
「ゴゴ、ゴールドですか、ミセス・シュヴルーズ!」
キュルケが興奮した様子で身を乗り出した
「違います。ただの真鍮ですわ。ゴールドを錬金できるのは
『スクウェア』クラスのメイジだけです。私はただの……」
もったいぶった咳をして、シュヴルーズは続けた
「『トライアングル』ですから」
「ね、ルイズ」
チョコが、ちょいちょい、とルイズの腕をつついた
「なによ。授業中よ」
「スクウェアとかトライアングルって、どういうこと?」
「系統を足せる数のことよ。それでメイジのレベルが決まるの」
「え?どういうこと?」
ルイズは小さい声でチョコに説明し出す
サララもそれに耳を傾けた
「『火』『土』のように二つの系統を足せるのがラインメイジ、
『土』『土』『火』のように三つの系統を足せるのが、
シュヴルーズ先生みたいなトライアングルメイジ」
「同じ系統を足してどうすんのさ?」
「その系統がより強力になるのよ」
異世界だと、やはり魔法も随分と違うらしい、とサララは説明を聞きながら頷く
「で、ルイズは幾つ足せるの?」
チョコの問いに、ルイズは押し黙ってしまった
そんな風に喋っているのを見咎められ、錬金の実践を求められた
途端、教室の中がにわかに騒がしくなる
「先生!危険ですのでやめてください!」
キュルケが立ち上がり進言するが、シュヴルーズはそれを却下する
ルイズは緊張した面持ちで机の前へと向かった
生徒達は、慌てて椅子の下に隠れ出している
「え?何?何なの?」
事情が分からずサララとチョコはうろたえながら辺りを見回すばかりである
ルイズはルーンを唱え終わり、杖を振りおろす
その瞬間、石ころは机ごと爆発を起こした
爆風をモロに受け、ルイズとシュヴルーズが黒板に叩きつけられる
爆発に驚いた使い魔達が暴れ出し教室の中は阿鼻叫喚の地獄絵図である
「だから彼女にやらせるな、と言ったじゃない!」
キュルケがフレイムを落ち着かせようと必死になりながら叫ぶ
「あー!俺のラッキーが蛇に食われたー!!」
使い魔のカラスを飲み込まれた様子の生徒が慌てている
カラスって不幸を呼びそうな生き物なのに、ラッキーってつけるのは
随分無茶なネーミングだな、などと爆音にふらつき
まともな思考のできていないサララはその叫びを聞きながら考える
煤で真っ黒になり、ボロボロになったルイズは
大騒ぎになっている教室を意に介した風もない
取り出したハンカチで顔を拭きながら、淡々とした声で言った
「ちょっと失敗みたいね」
その言葉に生徒達が猛然と反撃した
「何処がちょっとだ!!」
「ちょっとじゃないだろ、ゼロのルイズ!」
「いつだって、成功の確率ゼロじゃないかよ!」
サララはやっと、どうしてルイズが『ゼロのルイズ』と呼ばれているか理解した
自分と同じ『魔法の使えない』魔女だからなのだ、と
支援
以上で投下完了です
自分の書くルイズは使い魔に優しすぎますね……
あと、『我らの○○』イベント前なのでマルトーさんがツンです
決闘イベントも今の所発生予定はありませんし
さて、いかにして彼をデレさせるかが思案のしどころです
それでは、支援ありがとうございました
乙。
>デレ
そんなときこそ「スキヤキ」の出番でしょう!
はじめました氏に乙&GJを。
何をどうやってサララ&チョコがゼロ魔キャラ達とつながりを深めていくのか、今後に期待したい。
遅レスですが、チキの方 はじめましたの方投下乙です。
516 :
名無し:2008/03/21(金) 18:19:29 ID:Dtb9r5Mt
はじめまして。皆さんが書かれている面白いSSを見て小ネタを思いつきましたので、投下いたします。
かなり火葬ですが。
517 :
レッドサン・ゼロ・メイジ:2008/03/21(金) 18:22:49 ID:Dtb9r5Mt
――あの日々を想起し、一言で言うのならば、私たちはあまりに幼かった、と言えるのではないだろうか。
ほんの20年前までハルキゲニアは貴族制の王国が分立し、相互に戦争を繰り返し、あるいはまとまってエルフとの小競り合いを繰り返していた。
それは、ひとえに「魔法」という中途半端に万能な力を貴族たちが独占し、文明の根幹を握っていたからにほかならない。
だが、彼らが来てからそれは恐ろしいスピードで変化していった。
トリステイン王国で試みられた立憲君主制と民主共和政の樹立、そして高度産業革命に付随する様々な改革。
これは連邦国家となったアルビオン王国、ついで帝政ゲルマニアに波及した。
この波は魔法先進国であるガリア王国をも飲み込み、彼らが建造した中央大陸ハイウェイで東方からエルフ合衆国からも押し寄せ、ついにはロマリア連合皇国までこの恩恵を受けることになった。
そして、ルネサンスと呼ばれる啓蒙思想の発展は、ハルキゲニア連邦政府の誕生と、この世界をゆるやかに統合する地球連合の誕生へと突き進むことになるのだ。
この間に繰り広げられた激動の時代は、私と、その仲間たちがよく知っている。
なぜなら、私たちは良くも悪くもその中心の近くに位置したのだから。
はじめました氏へ乙とGJを
>>516 sageろ
519 :
レッドサン・ゼロ・メイジ:2008/03/21(金) 18:26:19 ID:Dtb9r5Mt
20余年の時を経て思い返せば本当にいくつもの出来事が私たちを変えていったのだと実感できる。
今や大陸全土に電気網や通信網、鉄道や舗装された幹線道路網は張り巡らされ、
超音速で数千キロ離れた国同士を結ぶ旅客機が飛びまわり、
地には新幹線のような高速鉄道や自動車が一家に一台という勢いで普及。家庭を見るならば洗濯機や冷蔵庫に代表されるダイニングキッチン、蛍光灯、冷暖房設備がいかに便利なことか。
平民や貴族を問わずに行われる義務教育や、これを支える基本的人権の思想は、国家の一体化と人類の協和を促進。
その集大成があの双月にアンリエッタ船長やギ―シュ・ド・グラモン飛行士たちが立てたハルキゲニアと全ての国の旗にはあった。
人は、あそこまで行ける。その感動が私たちにそう実感させたのは記憶に新しい。
私は、それを見てふと思い立った。
とりあえずsageを… 支援?
521 :
レッドサン・ゼロ・メイジ:2008/03/21(金) 18:27:30 ID:Dtb9r5Mt
あまりにも激しく変化し、そして実現された「日本による平和(パクス・ニッポニア)」に生きる私は、その成立を最も間近で見た人間だ。
特に、あの統一戦争と呼ばれる一連の紛争について、私は当事者だったのだから。
ならば独断と偏見に満ちたものでも、血に染まったあの戦場を経験し、生き残り、そしてその原因にして結果だった私には、見聞きし、感じたことを後世に残すのが私の務めではないだろうか。と。
傲慢にすぎるかもしれない。
私は自分がそれほどいい人間だとは思わないし、夫や友人たちが言うような優しい人間ではないとも思う。それゆえ、この手記は大変に不愉快に思われる人がいるかもしれない。
記すにあたって公平を期し、当時の関係者や友人たち、かつて敵だった人々にも意見を求め、可能な限りの修正を加えた。
読者諸君においてはこれを資料としてではなく、一人の女性と、その周囲の目から見たあの戦争とその後の風景として読んでいただくことを願いたい。
age荒らしの発生を確認
これより叩きモードへ移行する
523 :
レッドサン・ゼロ・メイジ:2008/03/21(金) 18:28:56 ID:Dtb9r5Mt
(謝辞)
執筆にあたり、
ハルキゲニア連邦大統領 テファニア・テューダー
同 首相 イザベラ・ド・ガリア
連邦アカデミー校長 シャルロット・エレーヌ・オルレアン
同 主任教授 ジャン・コルベール
炎竜グループ 総帥 キュルケ・フォン・ツェプルストー
連邦宇宙局長 ギ―シュ・ド・グラモン
連邦国防軍参謀総長 ジャン・ジャック・ワルド元帥
駐日連邦大使 ウェールズ・テューダー
同 公使 アンリエッタ・ド・トリステイン
エルフ合衆国統領 カエサリア・アウグストゥス・ゲオルギウス
同 外相 ポンペイア・ビザンティヌス・クラッスス
同 国防相 ビダーシャル・ルミア・コンスタンティヌス
(中略)
524 :
レッドサン・ゼロ・メイジ:2008/03/21(金) 18:29:29 ID:Dtb9r5Mt
彼らに特に大きな感謝を延べ、
そして、ハルキゲニア連邦・日本合衆国、エルフ合衆国、東方、和の国で出版にかかわり、協力してくれたすべての人々と父と母、二人の姉、そして読者諸君に感謝する。
そして、私の愛する夫にも。
ハルキゲニア連邦 外務大臣 ルイズ・フランソワーズ・平賀
統一暦 0014年12月12日
日本標準暦 西暦2057(黎明36)年12月12日
なお、敬称は省き、旧姓を使用した。
――「統一戦争回顧録」(講談・トリスタニア出版)序文より抜粋
日本列島を召喚。
C・ブロンソンと三船敏郎のレッドサンだと思ってたのに
テンプレ読んでくりゃれ?
527 :
名無し:2008/03/21(金) 18:30:29 ID:Dtb9r5Mt
投下終了です。本当にお粗末さまでした。
まかり間違ってもテンプレの投稿規約すら読まん馬鹿者のwiki登録は無し
その点だけは異論無いな?諸君
他の扱いはどうであれ
こういうのを邪気眼と言う、知らなかった者は覚えておこう
支援
えんさつこくりゅうは?
これはひどい
>>528 確かにこれは酷い。登録されないようにしたほうがいいな。
533 :
名無し:2008/03/21(金) 18:40:42 ID:Dtb9r5Mt
>528様
本当に失礼しました。
問題あるようなら削除願います。
未だage続けるって事は荒らしだなこりゃ
支援支援
メール欄には半角英小文字でsageと入力するのがここのルール。
優しいなぁ
そんなときは
>>1嫁とか半年ROMれ
と突き放すのも手だぜ
>>537 優しいなお前。抱いてくれ(鯖折り的な意味で)
>>539 「抱擁」と書いて「ベア・ハッグ」と読むアレか?
542 :
チキの人:2008/03/21(金) 19:41:08 ID:zMJLtzvq
ヴァルプロと言えば、一番最初のダンジョンがクリアできなかった。
カタツムリが進むくらいの物語スピードですが、投下だけは早くしないと……
と、書きながら思ったのです。このルイズ、ツンとデレ分が少ない。
そんなルイズはルイズ足るのだろうかと思いつつ、投下しても宜しいでしょうか
家紋
もーまんたい
>>542 >>446とかでも思ったけど、
投下前に必要なのは確認であって許可じゃないと思うよ。
せいぜい他に誰か投下予定があるなら控える、ってだけで。
なのでGOGO!!
チキ支援
あとカシム死ね。
幼女にまで当たるのはむしろやりすぎ。せれもまた彼女の一面ということでいいのでは?
548 :
チキの人:2008/03/21(金) 19:45:53 ID:zMJLtzvq
「あ〜っ!」
「筋肉痛の発症が早いのは若い証拠よルイズ、あと運動不足」
「水の、水のメイジを呼んで頂戴キュルケ、一生、一生のお願いよぉ」
「いくらあんたが一度始めると周りが見えないメイジだからって、五時間も剣を振る運動したらこうなるって、理解できないとは思わなかったわ」
そうなのである。
私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは慣れない筋肉の酷使を続けた結果、デルフを振り上げた瞬間にその勢いのまま倒れた。
今の私はデルフを上段に構えたまま、指を動かすことすらかなわない。
当然起き上がることなど不可能である。
見下ろすキュルケは呆れた表情のまま、私を魔法で持ち上げた。抵抗することもできないので風の流れに身を任せていると、見慣れぬ竜がタバサの風竜と飛んでいる姿が見えた。
遠目なのでよくは分からないが、大人の三倍くらいの大きさで、巨大な羽と細い体躯が特徴だ。
タバサの風竜に比べれば小さいけど……もしかしてここの生徒の使い魔? 私自身も全ての使い魔を把握してるわけじゃないから分からないけど。
「キュルケー」
「たまに飛んでるのを見るわ、でも、クラスの誰かの使い魔じゃないわね」
私が弱弱しく訴えかけると、貸し一つでキュルケが答えてくれた。
タバサは誰の使い魔かは知ってるみたいだけど口を割らない。ただ一つ言えるのはあまり正体を詮索しない方が良いとの事。
「へぇー、ああいう使い魔も良いなあ……」
「浮気かしら、ダメなルイズ」
「違うわよ、チキはパートナー。ああいうのがいたら、移動が楽でしょ」
あんな竜に乗ってどこまでも遠くチキと二人で……ヴァリエールの領地に着いたらちいねえさまにチキを紹介して。
ああでもエレオノール姉様には会わせない様にしよう、ただでさえ婚期が遅れているのに、チキを見せたら喜び勇んで研究に没頭しそう。
私がパートナーだって言っても、使い魔としか見てくれなさそうだし。
「そういえばルイズ、最近夜はお早いみたいね」
「チキがいるからね、お姉ちゃんが早く寝ればチキも早く寝付くと思って」
唐突に何を言い出すのだキュルケは。
私にはあんたみたいに恋人もいないし、そういう相手を作る気もない。夜が早かろうが遅かろうが良いじゃないの。
そんな事を考えていると、キュルケは意味深な笑みを浮かべて私に言った。
「あの竜を見るのは大抵、コトが終わった後なのよねぇ」
なんだ自慢か。
ここで文句を言って、後は自分で帰りなさいとか言われても困ってしまうので、だんまりで押し通してみる。
キュルケも私が反応を返さないのが不満らしく 不機嫌そうな表情のまま宿舎に入ろうかとした。
すると唐突に地面が揺れる。
「な、地震!?」
私の体は浮いてしまってるのでどれくらいの揺れかは分からない。
ただ、このキュルケの慌て様はちょっと面白かった。
もしかしてゲルマニアは地震が少ないとか? ようし、今度ベッドの下に爆発魔法を発動して驚かせてやろう。
「ルイズ、アレ!」
「んあー?」
キュルケの指さした先には……ゴ、ゴーレムがっ!
今日戦ったギーシュのワルキューレなんてもんじゃない、巨大ゴーレムと呼称できるほどの大きさを持つゴーレムが宝物庫の壁を殴りつけている。
「ど、どうするのよキュルケ!」
「どうするって、あんた、何で土メイジの魔法が建築や工事に向いてるか考えればすぐに分かるでしょう!」
滅多な魔法や攻撃じゃ破壊できないからです、はい。
って、事は? 何か。
「もしかして逃げるの?」
「当たり前でしょ、まだこっちには気が付いてないみたいだし」
「い、嫌よ! 例え筋肉痛が酷くなろうとも、敵に背中を見せられるかっ!」
身体が浮き上がったと思うと、どさっ、と私の体が宝物庫近くの草むらに落とされた。
魔法による見事な跳躍だった。
「あ、あ、あーっ! このー! はくじょーものー!」
いくら叫んだって何メイルもある宿舎には聞こえない。
さすが微熱のキュルケ、彼女の言葉通り友情も熱しやすく冷めやすいなんて。
これだからゲルマニアの女は!
いや、ある意味私の意志は尊重してるけどね!
「あ、デルフ……なんとか、何とかしなさい」
「オレは武器だぜ、使い手も無しに動けるか」
「くそっ、この、役立たず!」
上段に構えたデルフと言い争いをしていると、ゴーレムの肩の上に立つローブを纏ったメイジと目が合った……気がした。
だって、もう仕事は終わってるはずなのにゴーレムは私の方を見ているんだもの、どう考えても狙われているとしか思えないじゃない。
「デルフ! 踏み潰されて死ぬわよ!」
「あー、なんかもう何千年も生きてるからどうでもいいや」
「私はまだー! 十六年しか生きてないのよっ! いやー、たーすーけーてーチーキー!」
声を上げて叫ぶも、ゴーレムの足はぐんぐんと迫ってくる。
あんなになって守ってあげると言っていたチキに、助けを求めてしまうなんてお姉ちゃん失格だ……。
と、そんな風に思ったのは、足が眼前にまで迫ったから。
走馬灯ってやつかも知れない……いや、違うか。
その時目に捉えられないほどのスピードで、黒い陰がゴーレムにぶつかった。
片足でバランスの悪いゴーレムはそのまま倒れるかと思ったけど、何とか持ち直した。
その際に私の数十センチ横に足を着地させたので肝をつぶしたんだけど。
「あー、デルフ、助かった?」
「絶体絶命のピンチは変わらねーよお嬢」
確かに、ゴーレムに体当たりしたと思われる竜は、その身体をホバリングさせたまま様子を伺っている。
たぶん、私を助けようにもゴーレムの足が近すぎるのだ。
本当にダメかもと思った時、視界の端に十サントほどのタバサの風竜が見えた。あー、この茶色の竜は随分と高速で飛んできたのね……なんてありがたいの。
しっかし、このデルフを上段に構えたまま倒れてる私って格好悪いなあ。こんな所は絶対チキには見られたくないよ。
「あー、デルフ、私の声を大きくできる魔法とかってない?」
「おう、さっき踏み潰されそうになった際に思い出したぜ」
……なんか壊れかけのオルゴールは叩いて直せるってやつみたいね。それ。
だけどそんな神様に都合の良い出来事を利用しない手はない!
「じゃあ、行くわよ! ……ドロボー! ドロボーが出たぞー!」
学院を超えて、トリステインの城下町にも届きそうなくらいの大音量。
寝てる人には申し訳ないけど、これも私が助かる為よ。
怪盗は目撃者を少なくしようとして私を殺そうとしたわけだから、誰かに見られるリスクが上がった今、逃げるしかないはず。
私の思惑通り怪盗はフライを使ってゴーレムから飛び降り、何かを脇に抱えたまま逃げ出した。その背中を見送り何となく安心する、良かった。
「だがよお嬢、これ、崩れちまうんじゃねえか?」
「あは、あははは……」
確かに術者の精神力が途切れれば、ゴーレムは固定化でもしてない限り土や石に帰るよね。
事実、ゴーレムはゆらゆらと動いて今にも崩れそう。
「いやー、たすけてー!」
私が叫んだ所、さっきの竜が体を咥えて飛び上がった。
ふわりと気絶しない程度のスピードで空中に静止する。
ガラガラと崩れ落ちる土や石の塊を空から見て、私は今度こそ助かったのだと気付いた。
ただ、叫んだり咥えられたりした際も、筋肉痛が身体を締め付ける。
それにさっきから何があるわけじゃないけど、竜に咥えられているという状況は恐怖感抜群だ。
そんなことを考えていると、やがて風竜に乗ったタバサが到着。
呆れ返った様にも見える無表情のまま、大きな杖を振るうと、竜の口が開いて私の体がふわりと浮いた。
ああ、唾やらでちょっと汚れて空気がちゅめたいし、鼻がムズムズする!
「へっくしっ!」
ちょうどタバサの前に移動してきた時、豪快にくしゃみをした。
当然手を口の前に置く余裕はなかったので、唾やら鼻水が眼鏡と髪に飛び散った。
……何だか、ちょっと寒さが厳しくなったなあ。
「タバサ……ごめん」
「いい、永遠の借しにしてあげる」
え、それ許してくれないってことですかタバサさん?
「ねえ、ちょ……」
「ごめん」
風竜の背中に身体が横たわった瞬間、大きな杖が頭に直撃する。
ああ、これが永遠の貸しの一部なのか……勘弁してよ、タバサぁ。
なんて考えながら見える景色が黒ずんでいった。
sien
支援
552 :
チキの人:2008/03/21(金) 19:50:52 ID:zMJLtzvq
>>545 確認、了解です。
というわけで投下終了。ここで少しでも新参な自分が頑張って、
過去に書いていた方が続きを書けるような雰囲気になりますように。
負けてらんねーな、みたいなの希望……です
乙です。
唾と鼻水まみれのタバサか…それは、悪くない。
いや――いい!
ルイズがかわいそう(w
でもそれもまたよし!
つか竜石無駄遣いして大丈夫なのか!?
555 :
LFO:2008/03/21(金) 20:00:04 ID:yX557EKC
5分から投下しますが予約は誰も入っていませんか?
無ければ投下したいと思います。
ゴーゴーファイブ
チキの方乙です。
そして支援
558 :
LFO:2008/03/21(金) 20:05:11 ID:yX557EKC
では投下します。
寮塔に程近い場所に水汲み場がある。
メイド達が毎朝定時に行なう洗濯はいつもそこで行われていた。
しかも生徒全員分となると、交代制にしなければ上手く回る事は無い。
洗濯をしにやって来たミーとシエスタは、列の後ろで大人しく自分の順番を待つ。
その間もミーはシエスタと同じメイド達から常に注目されていた。
人間の、それも平民の子供が使い魔として召喚されたという事実は、噂好きな者達の口によって広まっていったと思われる。
しかもそれは、昨晩ミーが厨房に貴族と一緒にやって来たという事実によって勢いに拍車がかかった状態になっていた。
メイド達はミーに優しい口調で自己紹介したり握手を求める。
そうされるのを嫌がるという人は少ないだろうし、事実ミーの表情も、始めは知らない人に囲まれておどおどしていたが、数分もすると部屋を出る時より幾分か和らいだ感じがした。
その様子を見てシエスタもやっと破顔出来た。
そしてやっと自分達の番になり、二人は洗濯を始める。
が、当然の事ながらミーはこの世界における具体的な洗濯の方法を知らない。
いや、元の世界でもそれは同じ事だったろう。
洗濯はシエスタと同じ様な役職の者がやってくれている、一切の服なんて、気付いたらいつの間にかクローゼットの中に収まっているという感覚を持っていれば尚更の事だった。
そこでシエスタが手取り足取り教える事になった。
気候的には未だ春になって直ぐの時期なため水がかなり冷たい。
あっという間にミーの小さな手が真っ赤になり、上手く動かなくなってしまう。
そんな彼女の手をシエスタは時折優しく呼気で温めてやる。
何度か、代わりにやってあげようか?と言ってみるものの、ミーは頑として、ミーがやると言って聞かない。
どうして?と訊くとメイドさんと二人でやりなさいって言われたから、と答えた。
そこでシエスタはミーの頑なな姿勢の意味が分かった。
恐らく自分は何もせず、シエスタが全部やる事になるのに後ろめたい物を感じているのだろう。
とは言え道具は洗濯板と石鹸しかない為に、時間も手間もかなりかかる物になる。
また強く擦ったりすれば忽ち生地が痛んでしまう。
そうなれば主人であるルイズに叱られる事は必至だろう。
シエスタは洗濯に手馴れているので、自分の分を次々に片付けていくが、一方のミーは小さな物を選んでかなりゆっくりとした調子で進めていた。
この分では終わるのが昼間になりそうだと思ったシエスタはミーの手に自分の手をそっと添えた。
これなら手伝っているだけだし、ミーの感情を害する事も無いだろうと考えた末の行動だった。
案の定、ミーは何も言わずにシエスタの手の動きに合わせてきた。
二人の周りで時間はゆっくりと流れていく。
結果かなり遅くなってしまったが、洗濯は和やかな空気の中で終わった。
洗濯物を干しきった時には既に山の稜線から朝日が昇りきっていた。
しかしルイズに言われた通り、翩翻と翻る洗濯物には染み一つ無い。
「綺麗になったねぇ〜。さてと!そろそろ朝食にしましょうか?」
「うん!」
シエスタに手を引かれてミーはとことこと可愛らしい足取りで厨房へと向かった。
Louise and Little Familiar’s Order 「Terror of the whip sound」
「おう、シエスタ。今戻ったのか?大分遅かったなぁ?」
厨房に入ると、コック長のマルトーがフライパンを振りながら威勢の良い声でシエスタを迎える。
朝食時の山場とも言える時間は過ぎていたが、厨房の中は未だ戦場の様に多くのコック、そして使用人達が行き交っていた。
マルトーは直ぐにシエスタの背後で隠れる様に立っているミーにも声をかける。
「おっ?昨日のお嬢ちゃんじゃないか。そう言やあ、昨日ここに来た貴族は朝ごはんをここで貰う様に言ってたな、確か?」
「ええ。自分もそうして欲しいと言われました。」
「ったく!貴族の奴らはこっちに面倒事しかよこさねえ!大体、使い魔の飯くらい自分達でどうにかしろってんだ、まったく……
おっと嬢ちゃん、恐がらなくても良いぞ。おじさんを含めてここにいる皆は嬢ちゃんの味方だからな!」
豪快に笑うマルトーはミーにとって多少なりと好印象だったらしい。
彼女の顔から零れる様な笑みが出て来たのを見て、マルトーはまるで教師の様な口調で続けた。
支援支援!
560 :
LFO:2008/03/21(金) 20:06:29 ID:yX557EKC
「そうそう!そうやって笑う事が大事なんだ。どんなに苦しくて辛くたって夜寝る前にでも一日一回笑えりゃ大抵の事は乗り切れるもんさ。それに笑うってのは体にも良さそうだしな。
色々な事をあーだこーだと考えすぎるのが一番良くないんだぞ。」
その間にもミーの前にはパンやシチュー、サラダが出て来る。
それは元いた世界、自分の家で食べているのと殆ど遜色無い量だった。
「さ、嬢ちゃん。俺たち厨房の面々が作った賄い朝食だ。今日はおかわりを幾らでも受け付けるからどんどん食べてくれ!」
しかし、ミーにとってそれは正に御馳走の様な物であった。
今朝は洗濯仕事があったという事で、余計にお腹が減っていた事もあり、手を付け始めると皿は見る見るうちに空になっていった。
シチューなんか3回はおかわりをしたぐらいだ。
そしてその間はマルトーにとっても至福の時とも言えた。
自分達が作った料理を文句一つ言わず残さずに食べてくれるなぞ、料理人冥利に尽きるという物だ。
「どうだ?美味しいか?」
「うんっ!」
「そうかそうか。それなら良いんだ。しかし、やっぱり子供は元気に飯喰って笑って遊ぶのが仕事みたいなもんだからなぁ。
それにしてもシエスタ、この嬢ちゃんこれから毎日三食ともここで喰う事になってるのか?」
「まだこの子の主人、ミス・ヴァリエールには確認を取っていないのですが恐らくは……何しろアルヴィーズの食堂には貴族以外は入れない事になっていますから……」
シエスタがそう言うと、マルトーはふん、と鼻息を荒くした。
「そんなこったろうと思ってたよ!なあ、嬢ちゃん。これから朝昼晩の三回、御飯が食べたくなった時はここへ来るんだぞ。主人の貴族様が何と言おうと構わずここに来い。
そしたら美味しい物一杯食べさせてやるからな!」
「うんっ!ありがとう、おじさん!」
それからまたミーの口元に絶え間無くスプーンが運ばれていく。
その側に居たシエスタは口元が汚れていると言って、近くにあったナプキンでミーの口を拭いた。
それは見ていて微笑ましい光景だった。
マルトーもシエスタも、そして他の料理人や使用人達も、その内ミーがここ、厨房のマスコットになるかもしれないと思えてくる。
そして最後に二切れのパイがお菓子として出て来る。
それを一口口に入れると、とても甘く美味しかった。
「美味しい!」
「そう?良かった!これはね、クックベリーパイっていうのよ。貴族の方々の中でも特別気に入ってるっていう方が多いの。
いつもは滅多には出さないんだけど今日は偶々出す日だったし、ちょっと作りすぎて余っちゃったのよ……貴族様には冷めた物なんて出せないからね。」
シエスタも味を知っているのか、幾分物欲しそうな顔をしてパイを見つめる。
やがて二切れの内の片方を食べたミーは、暫く残った一切れのパイを見ながらシエスタに訊いた。
「これ部屋まで持って行って良い?」
「え?ええ、良いわよ。お部屋で食べたいの?」
シエスタからの質問にミーは首を軽く振って答える
「ううん。御主人様にあげるの。だってこんなに美味しいんだもん!」
561 :
LFO:2008/03/21(金) 20:08:31 ID:yX557EKC
さて食事を終え、一通り乾いた洗濯物を畳んでミーはシエスタと共にルイズの部屋に向かう。
扉を開けると、しっかり換気されていたらしく、窓から入った新緑の匂いが部屋の中に満ちていた。
窓を開けっ放しにするのは流石に無用心とも思えたが、しっかり換気するにはそれしか方法が無かった。
シエスタは仕事がまだあるらしく、面倒を見てあげられないのを残念そうにして部屋を後にする。
一時的にせよシエスタと別れるのは嫌だったが、部屋に残ったミーは段々と嬉しい気持ちになってきた。
まあ寝覚めは悪かったし洗濯も大変だったが、それでもそれに見合うものを得たのだ。
それと……『笑えば大抵の事は乗り切れる。』いい事を聞いた。
そう思えば少しは頑張れそうな気もしてくる。
父親も母親もいないこの世界、そして自身が好きなポケモンもいない世界でずっと生きていく事になったとしても。
そう思いつつ椅子に座っていると、突然扉がすっと開いた。
そこに立っていたのは無表情のルイズだった。
ミーの心にさっと暗い何かが射すが、マルトーに言われた事を思い出し努めて笑顔でいるようにした。
ルイズは部屋の中に入ると、椅子に座ったまま動こうともせず、ただ笑顔を浮かべているミーをさっと一瞥し、続いてテーブルの上に置かれている畳まれた衣類に目線を移した。
その目の動きに対しミーは慌てて報告をする。
「洗濯しておきました、御主人様!」
「そう。」
感謝の言葉が出るわけでも無く、無味乾燥な声のトーンでルイズはミーの言葉を受け流す。
それから鼻をひくつかせたルイズにミーは慌てて話しかけた。
「あ、あと、換気もきちんとしておきました、御主人様!」
「そう。」
相変わらず変わる事の無い静かで抑揚無き声。
その場を重苦しい空気が支配し始める。
するとルイズは部屋の内鍵を閉め、更に表情一つ変える事無く部屋の壁に面した机の引き出しから一つの物を取り出す。
それは一本の鞭だった。革製の、それも乗馬等に使われる本格的な物だ。
ミーはそれが何なのかを知らない。
だがルイズが鞭で床を思いっきり叩いた時、ミーは全てを把握した。
御主人様はあれで自分を叩くのだと。
そう思ったミーの顔から一瞬で笑顔が消えた。
「御主人様!ミーは言われた事をやりました!お願いです、許して下さ……」
しかしルイズは反論なぞ認めないとばかりに鞭をもう一振りし、声を震わせて叫んだ。
「許す訳無いでしょっ!しておきました、しておきましたって何よ、その態度!時間は沢山あったんだから私が戻ってくるまでに出来てて当たり前なのよ!使い魔なんだから当然の事なのよ!
そんなにやけた顔して威張ったような調子で言う事じゃないのよ!私を起こしもしなかったくせに!それに!それが出来てなかった時の御仕置きとベッドの粗相の御仕置きは別よ!」
その剣幕は凄まじいの一言に尽きた。
形の良い眉は吊り上がったまま。
両目は思い切り見開かれ、唇はこれ以上固く出来ないほどに真一文字に結ばれている。
あまりの恐怖感に声も出せなくなったミーは転がる様に椅子から落ち、壁に向かって後退りをした。
ルイズは彼女に対し獲物を追い詰めた猛禽類の如く、ゆっくりとした動作で近付きながら怒鳴った。
「逃げるんじゃないわよ!そこに這い蹲ってお尻をこっちに向けなさい!大体何様のつもりなのよ?!部屋に入った時からへらへら笑って!……こっちはそんな気分じゃないのに馬鹿にしてるの?!
いい?!あんたは御主人様のベッドを、それも貴族のベッドを汚したのよ。犬だってそんな事しやしないわ!あんたなんて犬以下よ!……だから御仕置きをするのよ……躾をするのよっ!」
そして舌の根が乾ききらない内に、鞭は威勢の良い音と共に空中を舞った。
その手つきに未練だとか未酌だとかいった物は無い。
尻っぺたを直撃した最初の一撃の激痛にミーは絶叫してしまう。
その声は寮塔のたっぷり一階分をカバーするほどだった。
しかしルイズの手が休まる事は無い。
ミーが気絶してしまいそうだとか、体の彼方此方が傷や痣だらけになりそうだとかそんな事はお構い無しだ。
そんな調子で3回目にさしかかろうとした時だった。
扉の外から声がかかった。
562 :
LFO:2008/03/21(金) 20:11:09 ID:yX557EKC
「ルイズ。そろそろ授業の時間よ。さっきの朝食みたいにまた遅れるわよ?って言うか、さっきの悲鳴は何なのよ?」
「五月蝿い!邪魔しないで!ツェルプストーの癖に余計な口出しするんじゃないわよ!授業はきちんと時間までに行くわ!今使い魔に躾をしてるのよ!」
ルイズはそうぶっきらぼうに答え、再び鞭を振り上げる。
しかし、その時『アン・ロック』の魔法が唱えられたか、部屋の扉が突然に開き、外の廊下からキュルケとタバサが入って来た。
中の様子を一目見たキュルケは、ルイズに向かって杖を一振りする。
すると、いきなりルイズの手から鞭が離れた。
そしてそれはそのまま床に落とされ、滑る様にして部屋の奥へと飛ばされる。
いきなりの出来事にルイズは血走った目を戸口に立ち二人に向け、烈火の如き怒りを顕にした。
「何するのよ!!」
その言葉に対して、キュルケの後ろにいたタバサが手にしている本から目を離す事も無く言った。
「逆効果」
「な、何ですって?!もう一度言ってごらんなさいよ!」
しかしタバサは相変わらずの無反応。
その続きを彼女の前にいるキュルケが引き取った。
「もう一度言う必要も無いわ。いい、ルイズ?あなたのやってるのは躾じゃないわ。それともう一つ。あなた勘違いしてるわ。「甘やかす」のと「必要に応じて甘えさせる」のは全然違うのよ?」
「黙りなさい!あんたみたいなお熱な色ボケが男を騙すのとは訳が違うのよ!これは私の使い魔なのよ!どうしようが私の勝手でしょ!
立派な使い魔にさせるって決心したけど、あんたやあのメイドみたいな接し方をやってたら、きっと直ぐに図に乗り始めて駄目になるわ!そうならない保証でもあるの?!」
「……よくも言ってくれたわね。あたしは最小限の忠告をしているのよ。少なくとも、この子が先々あなたの様にならない為によ!」
流石のキュルケも、お熱な色ボケと言われて黙ったままでいるほど温厚ではない。
それから彼女はテーブルの上の皿に乗った一切れのクックベリーパイを手にし、ルイズに詰め寄った。
支援支援
564 :
LFO:2008/03/21(金) 20:12:28 ID:yX557EKC
「これあなたがこの子のために持ってきたの?」
「は?そんな事あるわけ無いでしょ。確かに私の好きな物だけど……」
そこまで言ってルイズはハッとなった。
昨日の晩、ミーは厨房で食事を取ったとの事。
そして今日の朝食時に彼女の姿はアルヴィーズの食堂には無かった。そもそもあそこは貴族以外入る事が出来ない。
だとすれば、今朝仕事を終えた後にまた厨房へ行ったのだろう。
そこでこのパイを出されたと言うのなら……
「ねえ、これあんたが持ってきたの?」
ミーは何も言わない。ただ上下に頭を僅かばかり振るだけだった。
今朝出ていたであろうこのパイをルイズは食べていなかった。いや正確には食べられなかった。
寝坊をし、食堂にいつもより遅く行った事がその原因だった。
食べ損なった事でルイズは余計にがっかりしてしまった。
美味しい事で人気のクックベリーパイは、乗せられている銀のトレーから無くなるのも早いものだ。
気になったルイズは更に訊ねる。
「何で持ってきたの?」
「……だって……だって、美味しかったから……御主人様が喜ぶと思ったから……だから……」
それ以上は声にならないらしく、ミーはただただ泣くだけだ。
その様子を見たキュルケは、後はルイズ次第とばかりにタバサを連れ立って部屋を出て行く。
そしてその去り際にそっと言った。
「ルイズ、あなたに怒鳴られたり叩かれたりしてもその子はそんな事が出来るのよ。あなたを喜ばせようとしてね。
なら、それに最大限答えてあげるのがあなたの役目じゃなくって?少なくとも私はそう思うわ。」
静かに扉が閉まる。
ルイズはそれから暫くただ黙ったままミーの前に立っていたが、いきなりすっとしゃがみこんだ。
彼女のスカートとニーソックスの間や短い袖から伸びる腕には、赤く腫れた鞭の痕が残っている。
ルイズはそれに触れた後、そっとミーを抱き締めた。
そしてなかなか素直になれない彼女がやっとの事で言葉を紡いだ。
「薬……授業が終わったら友達の所から持って来るわ……」
日本だったら虐待で新聞に載るな。支援。
どう見ても児童虐待、中世世界観とは言え犯罪一歩手前ってか人間のクズ一歩手前ですありがとうございます支援
567 :
LFO:2008/03/21(金) 20:18:07 ID:yX557EKC
投下終了します。最後のシーンは捻り出すの苦労しました。まあ、ウチのは俺Yoeee!になるのでどうしようもなかったのですが。
次くらいで‘力’が何なのか描こうと思います(‘手の甲にルーンが’とは書きましたが、刻まれたのがどちらかというのを明確にしてなかったので)。
ではまた近い内にお会いしましょう。
前回投下ミスがあった事をお詫びします。すみませんでした。
まとめwikiにて補完してあります。
虐待だwこのルイズ外道也
ふと思ったんだが、このルイズはお母様からこんな教育を受けていたのだろうか?
…うん、虐待されて育ってしまった子供は己の子供を虐待する確立あがるって言うしな
こういう設定のルイズなんだと言われれば文句はないけど、相対的にキュルケがかなりいい人に見える。
投下乙です。
まぁ、ルイズの場合、姉と母親が厳しかったからなぁ・・・
厳しく育てられた女性ほど子供を虐待しやすいって説もあるし・・・
まぁそれでも明らかに人間失格だけどな!
最後はおためごかしか
ルイズ外道也
チキの次にLFOを読むとルイズが鬼畜母のように見えるけど、
ここから関係改善するフラグも十分に立ってるのがまた。
なんだかんだで続きを楽しみにしてますよ。
しかし原作でもサイトに似たようなことをしてるからねー
ギャグ分を抽出しちゃうと酷いことになるなw
こういうルイズは屈辱と絶望のどん底に突き落としたくなるyo
自分の劣等感が歪んだ形で出ちゃったんでしょう。張春華なんて使用人殺していますし、人権思想なんてたかだか数百年前にはありませんでした。
我々の国にも子を殺す親はいますし、決して他人事じゃない。気をつけましょう。
すげぇな。所詮作り物ってわかっててもマジで殺したいって思ったわ。やっぱりルイズ生きる価値ねぇな。
春休みだから投下数は増えそうだ
最近嫌われてるけど強いキャラ召喚も悪くない
強い=ガキ大将じゃないからな
結局は職人さんたちの腕次第だからキャラの強さだけで判断したくない
強いキャラBEST10を考えたりすれば、誰でも好きな作品が何個か混ざってるはずだよな
>>574 特に序盤が酷いよなー。
改めて読み返すとルイズは酷い女だったんだと思ってしまう。
例えばルイズがギルティギアのソルを召喚してガンダールヴのルーンを刻んだとする
戦闘時はルーン発動で常時ドラゴンインストール状態
ギア細胞の暴走を押さえるべく全力で戦える時間はごく僅か、とか
やっぱり強い力ってのは何かしらの制約があると格好よく見える気がするんだよな
中2思考的に
境遇を考えればルイズにも同情できるけどなー。
ただ幼い子をいじめるのは許せん。
結局ルイズがしていることは、彼女の育ってきた環境を考えると当然とも言える。
しかしキュルケという、我々の考え方に比較的近いキャラクターが存在することでトリステインが思想的な後進国に見え、ルイズが人権思想すらない野蛮人に見えてしまう。
何が言いたいのかというと、ルイズがヘイトっぽく見えてももう少しだけ温かい目で見てあげて、と。
何でもかんでも俺TUEEで括るなとか言ってる奴がいるけど、
まあ当の作者なんだろうが、
どれだけ強さを持ってようが、それを上手くオブラートに包んでしまえば楽しめるんだよ。
俺TUEEってのは単にキャラが強いってことじゃなくて、
「このキャラ凄げえだろ!」って書き手の意識がダダ漏れになってるもののことなんだよ。
LFO作者のルイズしねばいいのに
原作のルイズとSSのルイズを同一視するのって馬鹿じゃねーの?
そういやエロゲーとかだと、ヒロインに元カレがいるってだけでビッチ扱いされたりするけど
キュルケはあまりそういう言われ方されないな。
某王女というシャレにならんキャラがいるからかね?w
>>586 キュルケは尻軽がキャラとして確定してるからいいんじゃないか、とか思ってた
ビッチっぽいキャラは実際ビッチでもかまわないわけだ。
なんか書いていて半分くらいしかSSに使えてねえなあ、
没の割合が多いなあ、と思う今日この頃。
まああれだ。
読者の予想とか雑談とかをどんどん取り入れる執筆スタイルだから
予定から外れて書くものがずれていく事が多いんだよな。
それはそれで楽しいのだが没原稿の山がかわいそうでかわいそうで。
そういう時はボツ投稿同士を組み合わせて新しい原稿を…
チキの人、LFOの人、乙でございます。
>>570 そもそもキュルケが悪く描かれる作品は少ないよな。
若干狂った感じに描かれたり、被害者A的な位置に置かれてる作品は見た事有るけど、
悪人キュルケはまだ見た事ない。(俺が見てないだけかも知れんが)
>>589 プロットの段階で削れれば作業早くなるぞ
出し抜けに聞いて悪いのだが。
このスレに黄算哲こと荒山徹先生のファンっている?
>>592 何だかんだ言って、やっぱり巨乳はそれだけでいけない魔法使いということでここはひとつ。
初期登場ステータスがビッチ全開で本編中ほとんど超低空飛行でも
最終的に成長して大偉人みたいなパターンならそれもアリだろ
流石に例が極端だが方向性としてはそんな感じなのに
初期状態のビッチやヘイトっぽい側面要素の存在すら許さんって
一体何様?としか言いようの無い短絡思考のオンパレードってドウヨ?
ご助言感謝です。
アルビオン行きでレコンキスタ壊滅、とは行かないまでも大打撃系に
変更したため、破壊の杖事件のプロットそのものが没になりました(w
なんとか出来ないか検討中です(w
いやまあ、本来書きたかった戦記部分に移れるのでグッジョブなんですが。
数多くのギャグプロットが軒並み没です(w
>>594 ・「魔法の起源は朝鮮にあり。始祖ブリミルは韓人にござる。」
・始祖の祈祷書の捏造を嬉々として語る実は朝鮮人オールド・オスマン。
・ハルケギニアを襲う朝鮮妖術の嵐。大武仏やらゾンビ数千体やら。
・実はノッカラノウムされていたアンリエッタ。
・実は柳生新陰流の達人だったカトレア姉さまの薔薇剣。
・ルイズとサイトが百合剣。
こういうのを期待している人間もいるぜ。
そういえば春だもんな変なのが沸いてきても相手にしないように気をつけないと
LFOの人乙
しかしぶち殺したいほど嫌なルイズだ・・・
筆力の高い人が書くとこういう展開は本当に堪える
>>596 初期状態のビッチやヘイトっぽい側面要素だけを書いて、
使い魔が大活躍するところだけ書いて、
後は放置ってのが容易に想像できるからな。
これまで投下されたSSの中で、最終的に成長した所まで話を進めてるものは数少ない。
LFO支援!!
ギャグ抜きで鞭を振るうとこうなるんですね。
しかし、いくらカリンママやエレオノールでも5歳児には鞭で叩かないでしょ。
自分の使い魔がかわいくてかわいくて仕方がないってご主人ばかりの中で、
ただ一人だけ自分の使い魔を道具扱いし怒り狂いムチを振るうルイズ。
その相手は柔らかい肌しか持たない人間の小さな女の子。
これはインパクトでかいわ。
今晩は、もうちょっとしたらSSを投下します。
紫煙
これは……いくらなんでもやりすぎだね。
これでやり直そうよ。
つ[タイムベント]
つ[ハイパーゼクター]
つ[タイムマシン]
どれを使うかは作者氏に任せます。
>606
だが、断る。
それはそうと支援
支援
>容易に想像できるからな。
そう言ってその想像を超える可能性も見定めようとする事も無く
芽すら許さん発狂叩きが非常に多い事が問題
本当に内容を叩くなら、向上無く続きが放り出された時
もしくは最低エンドに達した時にするべきだ
もしくはsage進行すら守れないとかの本当に救いようの無い事が
初めから一目瞭然な代物(直近例
>>517〜)
まだ静観すべき時点での火病発症が多過ぎる
LFOのルイズのやり方、鞭で叩くだけ叩いて後からやさしくするって
やくざの手法だろ。引くわ、このルイズ
では投下、今回は忠勝が中心です。
幸村がゴーレムの腕に叩き潰される少し前。
酒場の1階は修羅場と化していた。
玄関から現れた傭兵の一隊が、酒を飲んでいたワルド達を襲ったのである。
一同は大理石で作られたテーブルの足を折り、それを盾にして矢から身を守っていた。
「しええぇっ!い、いいか若造!わしの前後左右と、ついでに頭上も守るのじゃ!!」
「どれか1つぐらい自分で何とかしてくれ!」
浴びせ掛けられる矢の攻撃をテーブルで防ぎながら、ギーシュと氏政は言い合っている。
こんな状況でも口喧嘩する2人はある意味大したものである。
「キュルケ殿、あいつ等キュルケ殿との戦い方に慣れているぞ」
「そうね、ちょっとマズイかも」
利家の言う通り、傭兵達はメイジとの戦いに手馴れているようだった。
先ず、1度、2度の応酬で魔法の射程を見極め、その 範囲外から矢を射かけてくる。
そして立ち上がり、魔法を唱えようとした所へすかさず矢を放ってくるのだ。
「連中は我々に魔法を使わせ、精神力が切れた所に突撃するつもりだな」
ワルドは髭を弄りながら言った。
「さて、どうしたものか……」
「ええい忠勝は何をしておる!!何故来んのじゃ!!」
氏政がタバサに向かって喚き散らす。
タバサは本から目を離さず、「分からない」と呟いた。
実は、忠勝もフーケのゴーレムには気づいていた。
「!!」グオオォン!プルル!!
切り立った崖の上からゴーレムを見つけた忠勝は右手を真っ直ぐ伸ばす。
すると、地面に亀裂が走り、轟音と共に巨大な槍が飛び出してきた。
いや、槍というよりはドリルに近い代物である。
『機巧槍 黒王』……
あらゆる物質を貫き通す鋼鉄の巨大槍。
本田忠勝しか扱えず、止まろうとしたトンボが真っ二つどころか粉々になった槍である。
投下中にできることはただ淡々と支援するだけだ。
いけ、ホンダム!
支援。
>>586 そりゃあ
エロゲの主人公 = カッコイイor何故かモテル 理想の俺
エロゲのヒロイン = 理想の彼女
だから、理想の彼女に元彼が居てはいけないんだよ
寝取られ系も自分が寝取る側が大半で、寝取られるのは殆ど無いしね
「……!」ガシィン!!
忠勝は黒王を握ると、フーケのゴーレム目掛けて飛び立った。
黒王の穂先をゴーレムに向け、忠勝は上空から急降下する。
ビュオオオオオォォ!!!
だが突如竜巻が起こり、空中の忠勝に襲い掛かってきた。
「!!??」ギギ、ボシュルル!!
衝撃により、忠勝はバランスを失って岩の壁面に激突する。
忠勝は竜巻が飛んできた方に目を向けた。すると……
仮面を被った3人の男がこちらを見ていた。
一方、酒場ではキュルケ達が身動き取れずにいた。
キュルケ以外にも他の貴族の客達がカウンターの下で隠れて震えている。
しかし店の主人はたまったものではない。
いきなり自分の店を滅茶苦茶にされてしまい、遂に我慢の限界に達してしまった。
「お前等わしの店が何をし……」
店の主人が立ち上がって叫ぼうとした。丁度その時であった。
「ぐあああぁぁぁぁぁっ!!」
「ほげぇっ!!」
天井を突き破って男が落ちてきた。
店の主人は落ちてきた男の下敷きになり、短い悲鳴を上げて地面に倒れた。
「ユキムラ?ユキムラじゃない!?」
「あだだ……これは一体、何の騒ぎにござるか?」
そう、落ちてきたのは2階でゴーレムの腕に叩き伏せられた幸村だった。
彼はそのまま床を突き抜け、1階まで落ちてきたのである。
幸村も頑丈だねぇ。支援。
支援
一足遅れて、ルイズが2階から降りてきた。
「ルイズ!良かった、無事だったんだね」
ワルドが安堵の息を漏らした。
と、ルイズは今しがた天井から落ちてきたであろう幸村を見つけた。
「おおルイズ殿!ご無事で何よりであります!」
「生きていたのね……馬鹿、潰されちゃったかと思ったじゃない!」
ルイズはピンピンしている幸村を見て怒鳴る。
だが、心の内では生きていて安心していた。
「いいか諸君」
と、忠勝を除く全員が揃ったのを確認したワルドが低い声で言った。
「このような任務は半数が目的地に辿り着ければ成功とされる」
こんな状況でも本を読んでいたタバサが、本を閉じてワルドの方を向いた。自分、キュルケ、ギーシュを指差して「囮」と呟いた。
それからタバサはワルドとルイズを指して「桟橋へ」と言った。
「時間は?」
「今すぐ」
ワルドが尋ねると、タバサは短くそう言った。
「聞いての通りだ、裏口へ向かうぞ」
「で、でも……」
ルイズはまだ訳が分からないという顔をしている。
するとキュルケがその赤い髪をかきあげながら言った。
「いいから早く行きなさい。勘違いしないでよルイズ、あなたの為に囮になるわけじゃないから」
タバサもルイズ達を見て「言って」と促した。
「じゃあおっぱじめますか。ギーシュ、ちょっと頼みたいんだけど」
傭兵達の動きをテーブルの影から見ながら、キュルケは振り返ってギーシュに命令……
しようとした。
「あら?」
ギーシュと、氏政の姿がいつの間にか消えていた。
ギーシュ遁走?支援。
投稿中に他の作品のことを話題にするのは上品じゃないよ。支援。
>>606 TPDDと妙な味のプリンも作れる時空転移装置も追加よろしく
ワルドはぴったりとドアに身を寄せ、向こうの様子を探っている。
「誰もいないようだな」
ドアを開け、3人はラ・ロシェールの街へと躍り出た。
「桟橋はこっちだ」
ワルドが先頭を行き、ルイズが続く。幸村が殿を務める。
「待つのじゃ!」
その筈だったが、さらに幸村の後ろから年老いた声がした。
「氏政殿、囮を受け持ったのではなかったか!?」
現れたのは、残る筈だった北条氏政。
「や、やぁ」
その背後からさらにギーシュが顔をだす。
「何で付いて来たのよ。自分達の役目分かってる?」
「僕は止めたんだよ?だけどウジマサが勝手に……」
「お主等だけに手柄を渡してたまるか!わしが手柄をたてるんじゃぁ〜!」
「仕方ない、彼等も連れて行こう。桟橋へ急ぐぞ」
結局、ギーシュと氏政も連れて行くことにした。
月が照らす中、5つの影法師が遠く、低く延びた。
その頃、忠勝は仮面を被った3人の謎の男と対峙していた。
「……………」オオオォォォン…
「「「……………」」」
双方一言も喋らず、お互いに出方を伺う。
先に動いたのは男達だった。
それぞれが呪文を唱え、杖を忠勝に向けて振るうと、その杖から風の刃……「エア・カッター」が放たれる。
「!!」キュィーン!!
素早く攻撃を察知した忠勝は「起動形態」から「防御形態」に移行。
盾を肩に装着し、風の刃を防いだ。
攻撃を防がれた仮面の男達は飛び上がる。
上空から2人が青白く光った杖を振り上げ、忠勝に向かって振り下ろした。
黒王を振り上げ、その杖を防ぐ。
忠勝の槍と、仮面の男達の杖がぶつかり合い、火花が飛び散った。
おお・・・BASARAのゲーム映像で忠勝と3人のワルドの対決が頭に浮かぶ・・・支援だ!
だが鍔迫り合いの最中、残った1人が呪文「ウィンド・ブレイク」を完成させてそれを放った。
杖を振り下ろしていた2人はすぐさま飛び退く。
「!?……」ウィィー!ギュルギュルギュル!!
至近距離で受けた忠勝の巨体は吹き飛び、岩の壁面に激突した。
土埃が巻き上がり、岩がボロボロと崩れ落ちていく。
仮面の3人は杖を降ろさず、警戒しながら近づいて行った。
と、土埃の中から忠勝が凄まじい速さで飛び出してきた。
突撃する騎馬兵のように黒王を構え、高速で突進して行く。
そのあまりのスピードに1人は反応が遅れて避ける事が出来なかった。
仮面の男に忠勝の槍が直撃し、消滅する。
残った2人が舌打ちすると、杖から竜巻を放った。
忠勝は再び「起動形態」に変形し、そのまま空中に飛び立った。
しかし、放たれた竜巻は蛇のように伸び、飛んでいる忠勝を追尾する。
忠勝は追いかけてくる竜巻を体を回転させて躱す。
だがそれでも駄目であった。一度避けたものの、再び方向を変えて向かってくるのだ。
「……!…!!」ガガ、コオォォォォ!!
忠勝は高速で飛んでくる竜巻を何度も飛行しながら左右、上下にと避け続ける。
ところが、次に見た光景に目を見開いた。
今まで2つだった竜巻が分裂し、一気に8つに増え、速度がさらに上がったのである。
負けじと忠勝もバーニアを噴射させて距離を取ろうとする。
しかし1つの竜巻が忠勝の背中に命中した。その衝撃で忠勝の動きが遅れる。
その隙に残り7つが一斉にぶち当たった。
竜巻はまるで蜘蛛の糸のように絡め取り、忠勝の体を覆い隠して上空で爆発した。
しばらくして風が晴れ、忠勝が落下していくのが仮面の男の目に入る。
忠勝を倒したと考えた2人は杖を下ろし、傭兵達が囲っている酒場に目を向ける。
だがあと少しで地面に激突するという時
忠勝の背中が光り輝いた。
翔べ!ホンダム
支援
自分達の背後から突如聞こえた爆音に、仮面の男は振り返った。
見ると、倒したと思った忠勝が「起動形態」となって迫ってきている。
いや、よく見ると肩には盾が装着されており、「防御形態」にもなっているではないか。
「…!?…」グオオオォォ!?
忠勝自身、自分の体の変化に戸惑っていた。
本来、体に負担をかけ過ぎないように形態変化は1つしか出来ない。
今の自分は2つの形態を同時に展開していた。
しかし、体に痛みがあったり、動きに問題は出ていない。
自分の背中が眩く光った事が関係しているのかと忠勝は考えた。
「…!……」ルオォォン!!
だが忠勝はその疑問を考えるのを止め、自分の敵を睨みつけた。
今やるべきはあの2人を倒し、自分の主の元に駆けつける事だ。
仮面の男は突進してくる忠勝に向かって呪文を唱える。空気の鉄槌「エア・ハンマー」だ。
エア・ハンマーは命中した。が、防御形態の忠勝は気にも止めず、さらにスピードを上げる。
次に忠勝は中腰になり、肩の盾でタックルした。
「「ぐほぉっ!!」」
あまりの速さに避けきれず、2人の男は衝撃で空中に舞い上がった。
だが忠勝の攻撃はまだ終わらない。さらに背中から長い筒状の物が飛び出す。
そしてフライの呪文で態勢を立て直そうとした2人の眼前に向けられる。それは大砲の砲身であった。
「攻撃形態」
背中から大砲を取り出し、遠距離の敵に砲撃を行う攻撃に特化した形態である。
これで忠勝は3つの形態を同時に展開した事になった。
支援するでござる
ああああああ、ホンダムが本当に最強に・・・・これでファンネルまで出しちゃったら・・・・
とにかく支援だ!
ここで忠勝TUEEEEE!!とは読めなかった、支援!
「!!!」ガシャン!!キュイイーッ!!
忠勝は吹き飛んだ仮面の男に対し、砲弾を発射した。
至近距離で発射された砲弾は外れることなく2人に直撃し、高熱の火炎と爆風によって四散した。
「……………」ドスン…プルルル
背中の光がどんどん弱くなり、消えていく。
すると、自分の意志とは関係なく通常形態に戻ってしまった。
敵を倒した忠勝は、酒場の方を見る。
何時の間にか巨大なゴーレムの姿は無くなっていた。
忠勝は槍を握り締め、主の元へと急行した。
投下終了です。
よく考えたら忠勝ってロボットがハルケギニアで一番問題になる燃料の心配がないような気が…
それはまぁ置いといて、次回はキュルケと、フーケ戦の時に噛ませ犬になっちゃった利家でお送りします!
ホンダム自身が知らない機能があるというのか?
つまり、成長する機動兵器?
支援
スーパー忠勝タイム乙!
上でTUEEEなんて安易な言葉使ってしまったけど貴方のSS嫌いじゃないんだ、これが。
>>631 大儀でござった。
利家の汚名返上なるか?
次回もこのスレッドにスイッチ・オン!
>632
ネタバレすると、タバサと契約した時のルーンの力。
召喚された生き物が特殊な能力を持つ事があるっていうのを利用したんです。
忠勝乙
>>635 あぁ、なるほど!
見抜けなかった、このリハクの目を以てしても!
投下乙そしてGJでした
忠勝強いよ忠勝さすがは僕らのホンダム!
>>570 キュルケが隣の部屋じゃなければ、更に欝な展開になってたんだろーな
日に日に表情から明るさを失っていくミー
シエスタがミーの服の隙間から見える痣に気づいて、服を脱がせたら
ミーの身体は鞭の跡だらけだった……とか
乙!
こんなシーンを想像してしまった
戦 国 最 強
本田忠勝
起動!!!
閃 光
ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド
推参!!!
乙!
ワルド5人衆が「戦国最強連隊、五本槍!」と名乗る姿が浮かんで困るw
贅沢を言えば折角ワな人が三人いるんだからジェットストリー・・・・・・・ ゲフンゲッフン
ワルドA「俺を踏み台にしたぁ〜!? 」
死神部隊と聞いて
>>594 柳生一族出身のスーパー陰陽師とか
デレデレでラヴラヴな家光×友矩とか
朝鮮がショッカーも真っ青な変態王国になってる作家なんて知りません
>>570 せめて薬持ってくるとか言う前にごめんなさいの一言でも言えよと
虚空に突っ込み入れたのは私だ
フラッシュ
ミラクル
ストロング
盛り上がってるとこで申し訳ないけど一ヶ月と11日ぶりに投下予約ゥゥ!
良さそうなら2305に逝きます
支援させてくれい!
WELCOME!
>>567 もしミーを召喚したのがギーシュだったら……
召喚当日
ギーシュ「いくら平民とはいえ女の子を床に寝させるわけにはいかないか。
仕方ないから今日はこのベッドに寝たまえ。
僕はソファで寝よう。」
ミー 「……ありがとう、ギーシュお兄ちゃん。」
ギーシュ「か、可愛い……
馬鹿な!? 僕にはそんな趣味など無いはずだ!!」
数日後
ギーシュ「ああ、なんて可愛いらしいんだ、僕のミー!!」
モンモン・ケティ「「このペド野郎が!!」」
そしてギーシュの二つ名は『青銅』から『ロリ』になり、女性達や友人からも見放されました。
しかし二人は仲の良い兄と妹のように仲睦まじく幸せだったそうです。
という展開には無理があるかw
妹萌えという概念をハルケギニアに広めた先駆者として歴史に名が残るかもよ>「ロリ」のギーシュ
level-11 「想い」
『女神の杵』、ラ・ロシェールで一等と言う宿
一歩足を踏み入れると広がるのは中々豪華な酒場
流石に貴族を客に取るだけあって豪華なことこの上ない
勿論、そこが貴族たちに気に入られたのだろうが
また、気に入られた理由は他にもある
女神の杵宿はハルケギニアでもかなり珍しいらしい巨大な一枚岩の中にあり、床やテーブルは勿論、削り出された岩で出来ている
鏡の如く光を反射するように磨かれたテーブルはチーフたちの姿を映していた
反射した光を視界に捉えながら入り口、窓、二階への階段、カウンターの隣にある裏口への扉に視線をやる
理由は勿論、敵の襲撃に際してどう行動するかの判断材料にするため
「へぇ、中々良い作りじゃない」
宿内を見渡すチーフをよそに、キュルケはハルケギニアでも結構珍しい岩作りの宿を見て感嘆の声を漏らす
それを発端に3人は内装の話をし始める
「装飾が疎ら」「統一感が無い」「二流品だね」などと酷評、先ほどまでの評価とは裏返っていた
子供と言えど貴族と言うものは対面を気にするので仕方が無いのかもしれない
そこへ、乗船の交渉へ行っていたワルドとルイズが現れる
「あら、どこへ行ってたの?」
ワルドは羽帽子を近くのテーブルに置きながら、椅子に座る
その表情から見るに、結果はあまり芳しくなかったようだ
「乗る船を捜してたんだが、どうやら出発は明後日にならないと駄目な様だ」
「急ぎの任務なのに……」
口と尖らせるルイズを見て、キュルケは疑問を口にする
「あたしアルビオンに行ったこと無いんだけど、どうしてすぐに出せないの?」
「明日の夜は『スヴェルの月夜』さ、その翌日の朝にアルビオンが最もラ・ロシェールに近づくんだ」
「へぇ〜、その時が一番効率がいいから明後日と言うわけね」
「そう言う事だね」
言いながらワルドは懐から鍵束を取り出し、テーブルの上に置く
「部屋を取っておいたが、一部屋に3人は厳しいかな?」
キュルケ・タバサ・モンモランシーを見てワルドが聞いてくる
3人は、正確には2人だが問題ないと言った
「それじゃあ、ギーシュとチーフが相部屋」
「そして、僕とルイズが同室だ」
「え、ちょ、ちょっと待って!」
予想もしていなかったと声を上げるのはルイズ
『使い魔は常に主人と共に在るべき』と常々思っている
同じ考えを持つメイジはたくさん居る、それを裏付けるようにメイジは召喚した使い魔を常に傍に置いている者が多い
「だ、だめよ! 私達結婚してないじゃない! それに……」
チーフを横目で見つめる、それに答えるようにチーフは口を開く
「ルイズとは同室が好ましい」
護衛の関係上、安全ではない場所で離れるのは出来るだけ避けたい
守るにしても逃げるにしても、すぐに近くに居なければ意味がない
駆けつけている間に死を招くこともあるが故にこれだけは譲れなかった
「ワルド、大事な話ってなに?」
先ほどの部屋割りの提案、チーフと同室がいいと言ったルイズは
『とても真剣な話があるんだ、二人っきりで話したい』
と真剣な表情で言われ、渋々その提案を呑みワルドと同室に相成った
この決定にチーフは何も言わなかった、不服そうな感じだったけど
ギーシュと同室になっていたが、その部屋で寝ることは無いと思う
私とワルドの部屋の前で一晩中立ち続けるだろうから、後で一言言っておかなくちゃ
「ねぇ、ワルドったら」
女神の杵で一番上等な部屋、室内は一般の宿と比べかなり広く複数人入っても広々していると感じられる
部屋に置かれた調度品も質の高い物ばかり、その中で一際目を引くのは天蓋付きのベッド
見るからに豪華なレースの飾りが付いたベッドに座るルイズは問いかけた
それを聞いていたワルドはワインのコルクを開け、一つの椅子を引いた
「こっちに腰掛けて、一杯やらないかい?」
屈託の無い笑みを浮かべたワルドは二つのグラスを並べてワインを注いだ
返事で答えず、ルイズは椅子に腰掛ける
先ほどと同じような笑みを浮かべてワインを手渡すワルド、それを受け取るルイズ
「二人に」
その言葉に戸惑いながらもグラスを軽くあわせた
「ルイズ、姫殿下から預かった手紙はきちんと持っているかい?」
手紙が入っているポケットを押さえて頷く
思い出せば手紙を書き綴っているアンリエッタの表情は憂いを帯びた悲しそうな
それでいて、少しだけ熱を持った瞳で書き認めていた
あの表情は王女としてではなく、恋する──
「──イズ、ルイズ?」
「あ、ええ。 ちゃんと持ってるわ」
「心配なのかい? 無事アルビオンのウェールズ皇太子に会えるかどうか、手紙を取り返せるのか」
身の安全が心配かと言われれば、別にそうでもない
いまや疑うことの出来ないチーフの力を信じている、ただ守られているだけなのは我慢できないけど
ワルドだって居るし、失敗なんて事態を想像することが出来ない
「………」
「大丈夫さ、きっと上手く行くよ。 僕が居るし、君の使い魔だって居る」
「それに他の4人もそこそこ出来るんだろう? 並みのメイジが来たってすぐに撃退出来るさ」
ワルドは自信満々で『何も危険なことは無い』と言い放った
「……そうね、皆居るしきっと大丈夫よね」
「ああ、ルイズを必ずウェールス皇太子のもとに送り届けよう」
「貴方は昔から頼もしかったもの、全員無事に戻ってこれるわよね」
ワルドはにっこりと笑う、ルイズも釣られて笑った
「ワルド、これが話したいことじゃないわよね?」
「ああ、これからが君と二人で話したかったことだ……」
ワルドは一呼吸、ルイズを見つめる瞳に炎が宿る
「ルイズ、この任務が終わったら僕と結婚しよう」
「ワ、ワルド、本気だったの?」
「勿論さ、ラ・ロシェールへの道中で言っただろう?」
「で、でも。 わたしまだ……」
「ルイズ、君はもう子供じゃない。 自分の意思を持って自分の事を決めれる歳だろう? きっとお父上だって認めてくださる」
「ワルド……」
「僕は君を何年もほったらかしにしてきた、これはどう考えても僕が悪い、謝るよ」
「婚約者と言えた義理じゃない事も分かってる、でも僕には君が必要なんだ、ルイズ」
「待ってワルド……私はまだ、ちゃんとしたメイジじゃないの。 いつも失敗ばかりして、まともな魔法は一度しか使えていないの」
「私ね、立派なメイジになりたいの。 いつか皆に認めてもらいたいの、ただ口先だけじゃないメイジになりたいの」
「私は貴方のような立派なメイジに相応しくないと思うの、だから……」
「……違う、違うんだルイズ」
「え?」
「君はもう立派なメイジだ、それも並の奴らとは違うんだよ」
「まさか、そんなわけ……」
「君は他人にはない特別な力を持っているんだ、今はまだその使い方が分からないだけなんだよ」
「買いかぶりすぎよ、私にそんな力……」
「いや、君は特別なんだ。 その証拠が君の使い魔だ」
「チーフのこと?」
浮かんだのは常に身を持って守ってくれる使い魔
その巨躯で自分を包み込んでくれる、頼もしいチーフ
「そうだ、彼が武器を握った時に浮き上がった左手にルーンはね、とても特別な物なんだよ」
「特別……?」
「ああそうだ、あれは伝説の使い魔のルーンなんだよ」
「伝説の使い魔?」
「そう、あれは『ガンダールヴ』、始祖ブリミルが用いたと言われる伝説の使い魔の印さ」
語るワルドの瞳には力強い光を放っている
始祖ブリミルといえば、誰もが知る偉大なメイジ
従えていた使い魔はいずれも強大な力を持っていたと言われている
「そんな、信じられないわ」
「確かに、信じられないかもしれないが、彼が伝説の使い魔であり、君の使い魔と言う現実なんだよ」
「さっき君が言っていたように、今は立派なメイジではないかもしれない、だがいずれは歴史に名を残すような偉大なメイジになるに違いない」
「きっと、誰もが君の名を偉大な、素晴らしいメイジとして知る日が来る、僕はそう予感している」
「……ごめんなさい、ワルド。 私、なんて答えればいいのか分からない」
「……わかった、今返事をくれとは言わないよ」
ワルドは背もたれに背を預け、ワインを呷る
「任務中にこんな話をしてすまない、でも僕は本気なんだ。 それだけは覚えておいてくれ」
ルイズはそれを聞いて頷く、その真剣な瞳を前に頷く事しか出来なかった
支援
以上で投下終了です、かなり短かった・・・次は長くなる予定(次投稿間隔ではなく内容的な意味で)
乙〜
乙。
俺YOEEEといえばDTBの銀とか召喚したらどうなんだべ?
俺YOEEEってレベルじゃねーかな、潜伏か調査くらいしかできねぇwしかも水場のみ
バイオライダー呼ぼうぜ
もうあいつ一人でいいんじゃないかな
チーフの人乙です。
そういやあぶデカからタカ&ユージはまだ召喚されてないな。
ギーシュは間違いなくトオルポジションになるだろうけどw
>>614 あるよ。最近は。
幼馴染から電話がきたと思ったら、
見知らぬオジさんに調教されてる真っ最中、
しかも幼馴染がことこまかに実況してくれるときた。
>>664 (*´Д`)'`ァ'`ァ'`ァ'`ァハァハァ八ァ八ァノヽァノヽァノヽァノ \ァ/ \ァ/ \ァ
買ってくるのでタイトルを教(ry
>>665エロゲ厨自重
>>644 まてまて
リハクの目は節穴じゃねぇかwww
「帰るぞ
>>549。ハン板…徹板のもとに」
スレ住人全員が荒山ファンである
なまあたたかく心地よい世界であるところの徹板でもない限り、
荒山ネタ(朝鮮・柳生・妖術・特撮・男色の混在)は刺激が強すぎる。
自重すれ。
某○級生の続編では幼馴染がすでにやっちまってたことが発覚してDVD叩き割るやつまで出る始末
支援
670 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/21(金) 23:49:05 ID:MtNZ8I85
お・り・が・みのキャラを召還するルイズとか見てみたいなぁ。
魔王鈴蘭召還とかみーこ様召還とかドクター召還とか沙穂召還とか…
本当に文才が欲しい。何度自分で書こうと思って挫折したことか
>>664 NTRマジ苦手だから、そんな状況聞くだけで鬱になるわ……。
ところでヤンって陸戦の指揮って執れるの?
流れ星銀牙の犬っ子を呼んで
ヴィンダールヴ
674 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 00:05:07 ID:8fdWjPj7
>>672 古代中国の戦史まで知ってるような人ですからね。
ちょっと経験を積めば間違いなくできるようになるだろうし、経験を積まなくても、
作戦の立案は間違いなくできるだろうな。
675 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 00:06:46 ID:qVR9XKjj
さげろ!
>>672 とれるんじゃね
銀英伝世界の戦闘は規模が違うだけで、古代中国とかと同じ感覚でやれるもんらしいし
普通なら魔法戦の知識がなくて一回くらいボロ負けすることもあるだろうが
ヤンは主役補正が凄いからな、無様な戦いにはならんだろう
>>670 ルイズがE0召喚して学院が関東機関化するとか
聖地にアウター勢揃いor神器(使ったら死ぬ)沢山とか
リップルラップル召喚で契約時に制御に失敗してドラゴン大暴れとか
ウィル子召喚双方涙目とか
ルイーゼ社長召喚ルイズ大歓喜とか
すまぬ
>>677 逆に、魔法戦の常識に囚われてる連中の盲点突いたりして
原作からしてヤンはそういう戦い方が十八番だし
>>673 言う事聞かなくても犬呼ばわりも出来んなw
「そのとおりですが何か?」な状態だから
>>672 どのランクかが問題だと思う。
最前線は無理だろうねぇ。
命令の伝達に苦労しそうだな。
>>673 ガリア王が赤カブトを召喚。
使い魔特典で知力が大幅にうpです、はい。
ジョセフ「どないせーちゅうねん……」
7万人にはハルケギニア中の犬で軍団作って立ち向かうのかw
>>683 鏡を使ったモールスが一番手軽かな?
ゴーレムをどれくらい遠距離で使えるか知らんが、小さいゴーレムを連絡用に使うとか―――
手のひら大のゴーレムが命令を紙に書きます。
命令を受け取ったら、次の紙をセットしてください。
687 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 00:24:54 ID:qVR9XKjj
>>683 オスマンが使ってた鏡の魔法と飛ぶ使い魔で代用
てか作戦とかの伝達って逐次なんですかね?
腕木通信という手もあるぞ
設置が大変そうだけど
>>チキの人 亀だが投下乙。
誰も突っ込まないから言っておきますね。
第六話でボルガノンがボルカノンになってます
速さ20の司祭に持たせると敵司祭でもウォーム持ちとかなら倒せるからいいですよね。
LFOを読んでると世界名作劇場を思い出す
ふと思ったんだがメイドガイってルイズが召還するのにぴったりな存在ではなかろうか?
お仕置き的に
692 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 00:35:14 ID:d0cheyA0
>>678 トビノフスキー召還dead endとか
ドクター召還でギーシュにモテモテ回路を内蔵とか
ほむら召還でルイズ歓喜するも従ってくれなくて涙目とか
マリーチ召還で新宗教立ち上げとか
夢はふくらむけど肝心の文章が…
>>687 随時連絡が取れればかなり柔軟な戦闘ができるであろうが、
ゼロ魔の世界はあまり攻撃の射程も部隊の機動性もないから、
そこまで気にしなくてもいいとは思う。
極端な話、個人でも部隊でも、そのユニットが壊滅する前に、
隣のユニットの救援を受けられる程度の通信速度があれば問題ないわけで。
そもそも、戦場全体を見て命令を下すような人が、大雑把な命令さえしておけば、
あとは現場の判断で何とかしてくれるし、その程度は臨機応変に動けるように、
下士官とかそういう人がいるわけですよ。
軍がピラミッド状の組織体制になっているのは理由があるのだよ。
まぁ、ヤンが工夫して、高速機動部隊や大火力の砲戦部隊などを作った場合は、
それに応じて命令伝達の方法を見直す必要があると思うが。
つまり、プチネウスみたいなゴーレムがたくさん
命令書持って走り回ってるんですね。わかります。
てかヤンって現状レコン・キスタ側の立場の人間と誤解されてなかったっけ。
流れ星時代なのかWEED世代なのかそれが問題だ
>>696 ゼロ魔世界の常識以上の科学力を有する国家の将って認識じゃないの?
ところで帝国側から呼ばれたら誰が当たり障り無いか?
一番衝突少なそうなのはキルヒアイスだと思うが。
敗戦直後のファーレンハイトとか。
…いや、貧乏貴族の出だし、とことんルイズにむかつくかもしれん。
原作の展開でキルヒアイスの死体が消えたら、話変わりそうだしなあ。
むしろ、衝突があった方が面白そうだから、
ロイエンタールかオーベルシュタインの方がいいのかも。
援軍方面ならシェーンコップとか。それこそ完品のバトルアックス持ちで。
>>474 一応ギーシュとマリコルヌ(+ルイズの使い魔)が決闘して「結果的に」ギーシュが勝ったのもあるよ
さらに決闘無し(でも使い魔に一撃喰らった)な奴もあるし
>>670 マスラヲが終わって情報出尽くしたらヒデオ&ウィル子召喚を書いてみたいな。
ウィル子の能力なら武器弾薬燃料なんでも生成できるし。
ヒデオの知名度は銀河を超えてるから、ちょっと通信機を作成して送信すれば
ハルゲキニア発展途上文明を監視してるであろうグレイともコンタクトできそうだ。
疾風ウォルフも相性よさそうではあるが
フォン・メルカッツもよさそう
古代においても、「視覚」という光学知覚(約30万km/s)による意思伝達方法なら、
かがり火・煙(ほぼ日中限定だが)・凧(風があり視界がある時限定だが)・火矢と
数多くあったことが、各国の文献資料で明らかになっている。
音声(約340m/s)なら、それこそ銅鑼・太鼓・鐘・法螺貝といろいろ使われた。また
いわゆる「軍楽隊」の任務として、単なる士気鼓舞・戦意高揚のみならず、音楽による
指揮内容の伝達というものがあった(オスマントルコの場合)ことを忘れてはならない。
>>702 なんか久々にとあるコールをしたくなるような事を言うな
スレチだが
素朴な疑問なんだがゼロ魔の世界に戦術 戦略 云々の概念あるのかな?物量任せの人海戦術が主流みたいだしルイズパパの考え方もそれだし
708 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 01:43:39 ID:d0cheyA0
>>703 やべぇ、その日を楽しみに待ってるよ。
マジで楽しみにしてるから頼んだ。
>>707 「戦国時代に戦術 戦略 云々の概念あるのかな?」と言うのとほぼ同義だぞ、それ
>>698 流れ星世代がいいなあ…
顧厨乙って言われそうだけど、あのころの方が渋くてかっこいい漢が多かった。
草世代ならジェロムがいいな。
>>707 まぁ日本でも戦国時代ぐらいまでは結局戦いになったら物量が物を言うって所が合ったからな
それまでの駆け引きはあれどもな
人海戦術をひっくり返せるだけの大きな何かがないと中々その辺の思想は変わらない
カポニエールに落として機銃掃射で無問題
>>707 物量任せの人海戦術がメインって事はまともな戦略が存在するって事だよ。
多少の技術力の差、兵士の練度、攻めと守りの優位性。
それら全部が圧倒的物量があれば覆せるものだからなぁ。
300人の相手に7万で攻めてくる世界だしな
>>709 詳しく知りませが三國志の時代も戦国時代も現代と然程変わらないと聞いた事あるのですが・・・・・・・・・
>>711 納得。まぁミリタリーな話は本筋ではないですもんね
遅いレスだけど、ヤンは陸戦の指揮はとれると思う…というか、これいうたらアレだけど、銀英伝の戦術とか戦略は宇宙空間なのに二次元平面のものなので、な…。
宇宙と地上は違うとかいうことは考えなくてもいいと思う…よ。
>>707 まぁ、数量差があっても、相手側に付け入る隙がなけりゃ逆転は極めて困難ってとこだな。
一例として、桶狭間の合戦なんて、2万の大軍にわずか3・4千の織田軍が勝てたとかいう
のも、
1.今川方が、数の優位に奢り、油断しきっていたため。
2.主戦力を、織田側の随所の砦攻めに回していたため、義元の本隊自体は手薄だったため。
3.そして何より、(以下、織田側/今川川で記述)
(1)土地勘があった/なかったか、あっても希薄だった
(2)切迫感(負ければ後がない)濃い/比較的薄い(比較したら大国ゆえに)
という要素があればこそ、武器性能や兵員の技量にさほど差があるは考えられない戦闘で
少ない側が多い側に勝てたといえる(これ以上の議論は板違いと思えるのでやめときます)。
>>718 スパルタじゃあ仕方が無いな
いや、史実でも無双だからなぁ…
おそろしか
まあ、大航海時代のヨーロッパなんかは鬼のように強くて
100倍の敵にも余裕で勝ってたなんて話も聞くがな
それを考えると魔法によって戦力の質が大きく変わる世界では
一般的な軍事常識が通用しない部分もあるかもな
歴史上最大のあれって言ったら赤壁だよな。
百万が五万(だったっけ?)に敗れるカタルシス。
中国では史実はてきとーにしてるみたいだから、あんまりそこら気にしても…。
というか赤壁の戦いが何処で行われたのか解らないと某小説で書いてあって、なんか逆に納得した俺。
とりあえずLFOの屑作者は氏んだほうがいいと思った
回線切ってチラシの裏でやれ
実際は、火計での被害よりも慣れない南の気候で疫病が蔓延して撤退したんだっけ?
そそ様も内政基盤をきっちりしようと再度攻めようとしなかったっていうのもあったみたい。
赤壁でめぼしい武将が討ち取られていないことからもわかる。
数にしても百万は眉唾でせいぜい半分程度だろって説もあると聞いた気がする。
ロマンがあるから百万だったと信じてはいるが。
ここがチラシの裏じゃないのか
こーきん「今私を笑った奴ぁ誰だ!」
というか、現代でも戦闘は数だぞ。
戦術や戦略というものは、敵をかく乱して各個撃破するためのものなんだから。
要するに、100の軍隊を10の軍隊10個に分断して、50の軍隊で順番に撃破するためのもの。
敵よりたくさんの兵をそろえたのなら、力押しでせん滅するのが正しい。
戦術とか戦略というとかっこいいけど、しょせんは小細工でしかない。
力押しの正攻法こそが、小細工にとっては天敵なんだからな。
数も大事だけど、物資も大事だしなあ
腹が減っては戦も昼寝も出来ん
封鎖作戦をすべきだってルイズのとっつあんも言ってたし
兵法の賢しきこと、
ただ進み押し潰し殺すべき也ってことか
>>729 魔法の壁とか、産業革命の壁とかがあると小細工とか言ってられんよ
>>726 スルーの魔法が使えないおちこぼれリアルメイジの歴史がまたひとつ…
自分はこういうルイズも面白くてアリだと思うけどな、なんつっても二次創作なんだす
確かに数が多すぎると補給面で頭痛の種ができるな。
>>733 安価ミス?
>>732 まぁ、冷戦初期の戦闘機と冷戦末期の戦闘機のキルレキシオは1:1000だと聞いたことがあるが―――
それだって、敵の1000ばいの数をぶつければ勝てるわけで。
弓矢と槍しか持たない原住民の部隊が、機銃を持つ宗主国の部隊を押し切った例だってないわけじゃない。
結局、100発100中の砲が一門あるより、100発1中の砲が100門あった方が絶対に使いやすいわけで。
キリのいいところまで書くとまたさるさんに引っかかりそうなので、半分ほどで投下したいと思います。
5分後に始めますー。
しえーん。
「はは。見たか? 驚いて目を剥いてたぞ」
「ぜーっ、ぜーっ、ぜーっ……うう、そんなの、見てる余裕なんかあるわけないじゃない……はぁ、はぁ、はぁっ……」
目的地らしき石の壁に囲まれた建物に到着したのでルイズを下ろすと、ルイズはそのまま地面にへたりこんでしまった。
荒い息をつきながら反論する口も、どこか勢いがない。
エルクゥの驚異的な動体視力ならともかく、時速100キロ超で駆け抜けていく人の表情なんて、通常の人間に観察できるわけもないのだが……。
「……ねえ。あなた、もしかして、亜人なの?」
「あじん?」
息を整えながら、ルイズはそんな疑問を口にした。
なんかさっきも聞いたような言葉だな、と耕一は首をひねった。
「人の形をしてるけど、人じゃない種族よ。エルフとか、翼人とか、獣人とか、オーク鬼とか。あんな非常識なスピードで走ったり、『フライ』で飛んでる人のところまでジャンプだけで跳んだりなんて真似、メイジでもできないもの」
よどみなく解説を返す様子に、馬鹿にされてたわりには、結構頭いいんじゃないのかなこの子。などと場違いな感想を頭に浮かべつつ。
「ふぅむ……」
ひとつ唸って、考える。
亜人。人の亜種。
ニュアンス的には間違いではないかもしれない。『鬼』という生き物も、そのカテゴリーに入るようだし。
―――それに、まあ、この身が純粋なホモ=サピエンスだ、とは、お世辞にも言えないからなぁ。
いや、魔法使いが純粋なホモ=サピエンスと言えるかどうかはわからないけど。
事件の直後はちょっとその辺哲学的な意味で悩んだりもしたのだが、耕一よりはるか昔にエルクゥとして目覚めていた楓に心体共に慰められて、今ではそんな悩みもあったなぁ、程度のものだった。
貴方は貴方です。
愛する者からのその絶対の承認は、人をとても強くする。鬼を飼いならせるほどに、だ。
>>734 ゼロ魔世界の農業生産力がどの程度なのかよくわからんから難しいな
現実世界の中世ヨーロッパだと、フランス首都のパリでさえ人口10万前後だったというし
そして支援
ID:igyqvRQk
厨二の黒歴史がまた1ページ……w
しえん
「まあ、厳密には違いそうだけど、そう思ってくれていいんじゃないかな」
「……そう、なの?」
答えを返すと、ルイズはどこかぼんやりした表情を浮かべた。
もしかしたらすごい使い魔を引き当てたのかもしれないという劣等生の期待と、得体の知れない力を振るう亜人に対する畏怖とが入り混じった、微妙な心境を表していた。
「と聞かれてもね……こっちの世界の生態系なんて俺にはわからないし、どうにも」
「……こっちの、世界?」
「ああ。たぶん、俺はこの世界の人間じゃないから」
……しかしそれは、すぐに不機嫌な表情にとって変わってしまった。
「……なによ、それ」
「俺が住んでいたところじゃ、魔法なんて架空の存在だったんだよ」
「意味がわからないわ。ハルケギニアの人間じゃないって事?」
「うーん、この星というか、いや、星が違っても魔法なんか使えないか……この次元というか……ともかく、こことはまったく違うところ、というか……」
「…………」
首をひねりながら言葉を搾り出す耕一に、ルイズの眼が、どこかアレな人を見るようなソレに変わっていく。
一般相対性理論すらまったく知らない耕一には、次元やら空間やらを、ゲーム用語以上の言葉で語る事は出来なかった。
……まあ、よしんば、真の統一場理論が完成していて耕一がそれを朗々と語れたとしても、
それがこの世界でも通用するものなのか、そしてルイズが納得してくれるのかどうかは、まったくの別問題であるが……。
「……まあ、とにかく、俺はその『亜人』のようなもので、すごく遠いところから来たと思ってくれればいい。だから、魔法も含めて、この辺の事は何もわからないんだ。その、はるけ? なんたらって言うのも、全然聞いた事がない」
「……ふぅん」
今のところは、それで納得してもらうのが妥当だろう。
ルイズは胡散臭げな視線だったが、それ以上追及する気はなさそうだった。
「あー、それで、ちょっと聞きたい……っていうか、さっきコルベールさんに言いそびれた事なんだけど」
「なぁに?」
塩粒ほどだった『フライ』で帰ってくる組が豆粒ほどに近付いてくるのを見やりながら、ルイズは、ぱんぱん、とスカートの砂を払いつつ立ち上がった。
ショックからはとりあえず立ち直ったらしい。変な話を聞かされて機嫌がナナメに傾いて、ショックどころの話じゃなくなった、というのも小さくない要因だったが。
>>741 その労力を支援に使え。
支援態勢、ガンホー!!
「俺を元の場所に送り帰してくれないか?」
「へ?」
ルイズは、きょとん、と耕一を見つめた。
「いや、たぶんその、『サモン・サーヴァント』の魔法だと思うんだけど、変な鏡みたいなのが目の前に出てきてさ。 それに吸い込まれかけてどう引っぱっても抜けられなかったから、近くにいた家族にすぐ戻るって言って鏡に飛び込んだらあそこに居た、というわけなもんで……」
「だ、ダメよ!」
できれば早く帰りたいんだけど、と続ける前に、ルイズが叫んだ。
「あ、あんたは私の使い魔として召喚されて、もう契約したのよ。さっきも、やり直しのできない神聖な儀式って言ってたでしょ?」
「……契約ってのは、お互いに同意があって成立するもんなんだけどね。まあ、そういう様子だったから言いそびれたんだけどね」
一応、空気は読めるほうだと自負している。この場合まったくありがたくなかったが。
「だ、だからよ。使い魔は主人を守るもの。ご主人様を置いてどこかに行っちゃうなんて許さないわ」
精一杯威厳があるように胸を張り、傲慢な言葉を口にしても……それが、せっかく召喚成功したのに逃げられでもしたらまた馬鹿にされる、という劣等感に満ちた震える声では、効果は半分以下だった。
同い年ぐらいの少年であれば売り言葉に買い言葉で有耶無耶になったかもしれないが、幸か不幸か、耕一は一応、少女の虚勢や我侭を受け入れてやるぐらいの、青年と呼べるメンタリティは持っていた。
「……ね、君、家族はいるかい?」
「い、いるわよ。それがどうしたの?」
「どんな人がいるんだい? 聞かせて欲しいな」
「な、なによ、気持ち悪いわね。……両親と、姉様が二人いるけど」
「そうなんだ。その中で一番好きな人は?」
「……なんでそんな事答えなくちゃいけないのよ」
病弱ながらとても優しかった下の姉を思い浮かべながら、ルイズは不審がる。
支援
「『今からお前とそいつを永遠に会えなくしてやる』」
「っ!?」
「『お前は今から見知らぬ土地でどこかの誰かに一生奉仕しろ。お前の一番好きなそいつは、お前に二度と会えない』」
「…………っ!」
少し迫力を込めた声色に、想像してしまったのだろう、ルイズの顔が蒼白になっていく。
「そう命令されたら、どうする?」
「ど、どうするって……そんな」
そんな横暴な命令聞けるわけないじゃない、と言おうとして、ルイズははっと口に手を当てた。
うん。気付いたか。やっぱり頭がいいし、いい子だな。と、耕一は頷く。
「そう。今君が言った事だよ」
「で、でも、平民は貴族に奉仕するのを喜ぶべきで」
「家族を好きな事に、好きな人と離れ離れになる悲しみに、貴族だの平民だのが関係あると思うのかい?」
「あ、あるわよっ! 平民なんて何よりも貴族への奉仕を喜びにすべきで、自分の悲しみなんて二の次でしょう!」
「じゃあ、貴族より偉い王様が君に命令しよう。『お前ごときの悲しみなんて二の次でくだらない事だ。王への奉仕に喜べ』」
「〜〜〜っ! ヴァ、ヴァリエール公爵家の名誉にかけて、姫殿下の命は果たしてみせるわ!」
目尻に涙を浮かべて、声をあげるルイズ。
耕一は少し後悔した。このルイズという少女、予想以上に意地っぱりだった。こいつは梓以上だ。
自分で気付いてすら反発するタイプか……根はいい子っぽいんだけどな。よっぽど深く掘らないと根は見えなさそうだ。
「……とまあ、そういう事を言われると、今ルイズちゃんが感じているような心境になるわけだよ。ごめんな、変な事言って」
「べ、別に変な事なんて言ってないわ。下の者は上の者に従う。当然の事よ」
……とはいえ、ルイズの根を包む土であるこれまでの言葉は、ここの社会では真っ当な常識なのだろう、とも思った。
それを異邦人である耕一が取り除けてしまったら、ルイズは社会に溶け込めなくなってしまわないだろうか。
鬼の血を引く柏木の者が、いかに人間社会に溶け込む事に尽力しているか。祖父や叔父、親父に、遥か昔のご先祖様、代々の表裏に至る努力を千鶴や楓から聞いている耕一は、ついそんな事を考えてしまった。
いっそ、そんな事に気付かない少年ならば、まっすぐにルイズの根まで掘り起こしてしまうのかもしれなかったが。
支援
「それに……そもそも無理なのよ」
「何が?」
「あんたを……召喚したものを、元の場所に戻す魔法なんてないもの」
「…………マジで?」
「マジよ」
それは予想外だった。いくら神聖な儀式と言っても、緊急の手段ぐらいはあってしかるべきじゃないのだろうか。
「それは、君が使えない、というだけ……じゃないよな」
「ええ。そんなのがあるなんて、先生だって知らないと思うわ」
「マジか……」
「マジよ」
彼女が嘘を言っているようには見えない。
……うーむ。あのコルベールさんの態度からして、生徒には隠されているだけ、という線もない気がしないではないけど。
呼べるなら戻せるだろう、と楽観的だった考えが覆されて、耕一もさすがに焦り始めた。
「わかった? あんたは私の使い魔をするしかないの」
「……うーむ」
悩み出す耕一に、有利に立ったと思ったのか、少女の虚勢が貴族の矜持に変わり、ルイズの言葉に余裕が出てくる。
逃げるのは簡単だろうが、剣と魔法のファンタジー世界に逃げてどうするというアテがあるわけでもない。
自然は多そうだし、身体能力を駆使すれば狩猟採集で生きていけるかもしれないが……それでは逃げる意味がないし、野良エルクゥとか洒落にもならない。
「……ぬー」
……とにかく、彼女より知識のある人に話を聞かなければ。
元の世界への送還魔法なんて本当に存在せず、まったくのイレギュラーで呼び出されたのか。それとも何らかの関わりはあるのか。
「はぁ」
とりあえずのところは、彼女についていって、機会を見つけて責任者に掛けあってみるしかないか。学院というぐらいなら、校長先生ぐらいはいるだろう。
『平民風情がこの校長に向かって軽々しく口を利くなど無礼者め』などと無礼討ちされそうになったら、その時にはエルクゥ全開で逃げ出せばいい。
当面の方針をそう結論付けて、耕一は、ごめんよ楓ちゃん、ちょっとすぐには戻れなさそうだ、と空に向かって懺悔をすると、ひとつため息をついた。
「わかったよ。帰るのを諦めるつもりはないけど、手がかりが見つかるまでは君に従おう」
「……態度が気に入らないけど、まあいいわ。ゆっくり上下関係を思い知らせてあげるから」
「王様にそう言われて心から忠誠を誓えるなら、そうするといい。子曰く、天下は恐怖でなく仁徳にて治めるべし、ってね」
「……ふん。もうその手は喰わないんだから」
物騒な事を口走るルイズに苦笑しながら、お手柔らかに、と握手を求めると、見事に無視されてしまった。
代わりに、手の甲を差し出される。一瞬意味がわからなかったが、昔見た演劇を思い出して、もう1回嘆息。
そして、膝をつき、せいぜい精一杯恭しく、その甲に口付けた。
「そうそう、あんた、君とかルイズちゃんとか呼ぶのやめてよね。ご主人様に向かって馴れ馴れしいわよ」
「ふむ。じゃあ……ミス・ヴァリエール?」
「……あんたに言われると、なんかムズムズするわね」
「ルイズ?」
「気安く呼ばないで」
「じゃあ、ルイズちゃんで」
「……うー。なんか納得いかないけど、それが一番マシな気がするわ」
そんな会話をしている内に、他の生徒たちが次々と到着して、門をくぐっていく。
「はあ。私たちも教室に行くわよ。えっと……カシワギコーイチ?」
「耕一、でいいよ。柏木が苗字で、耕一が名前だ」
「そう。まあ……ありがと。あんたのおかげで授業に間に合ったわ。あのまま歩いてたら、きっと間に合わなかったもの」
それだけ言うと、ぷいっと踵を返して、門に向かって歩き出してしまう。
ルイズちゃんの方はこれで様子を見て、とりあえずコルベールさんと話してみるか……と、これから取るべき手段を考えつつ、耕一は少しだけ微笑ましい気分でルイズの後についていった。
以上です。楽しんでいただければ幸い。
支援ありがとうございました。
乙〜
乙。
頑固なルイズを見てると何故か安心してくるw
乙
乙!
乙!
>「『今からお前とそいつを永遠に会えなくしてやる』」
>「『お前は今から見知らぬ土地でどこかの誰かに一生奉仕しろ。お前の一番好きなそいつは、お前に二度と会えない』」
改めて言葉に出されると本当にぞっとしない話よのぅ。
真っ向から本人に突きつけたのってコレが初めてな気がするぜ
北朝鮮の拉致の様だ
『今からお前とそいつを永遠に会えなくしてやる』
『お前は今から見知らぬ土地で将軍様に一生奉仕しろ。お前の一番好きなそいつは、お前に二度と会えない』
乙です
面白いSSは原作に興味を持ってしまうから困る
エルクゥの職人さん乙!耕一の例え話の切り出し方が上手いなぁと思ったら
それに対するルイズの強引な返しが実にルイズらしくて吹きますたw
乙です。
さすが耕一、小さい娘の相手は慣れてるなあ
これから初音ちゃん相手みたく
ルイズへセクハラ三昧なのだろうか
乙です!
う〜ん 手慣れてるなぁw
おつー>エルクゥのひと
しかし、こうしてあらためて書かれてみると、
召喚者に無条件に服従する(=洗脳)って効果は
或る意味、被召喚者にとって救いなのかもしれんな。
まともな精神だったら、こんな悪夢みたいな状況にそうそう耐えられんぞ。
まあ、逆にいえば、だからこそ、そういう効果が付与されたのかもしれんが。
(力ある存在が一方的に呼び出されて戻れないとなったら、
怒りの矛先は真っ先に召喚者に向かうだろうし)
「狂気こそが救い」とでもいうことなのかね。
そう思うと、随分と綱渡りな儀式だよな。使い魔召喚って。
この効果なしだったら、危険すぎて昇級試験如きに使う儀式にはならんかっただろうし。
変な言い方だが、そういう意味では原作でも今回でもルイズって幸運なのかもな。
エルクゥ氏乙&GJっした。
耕介といいチキといいサララといい耕一といい温厚な人物が呼び出される話は見てて和むから好きだ。今後に期待してます。
エルクゥ氏乙&GJ
エルクゥ氏おつー
例えばルイズが、別の身分社会の、例えばゲルマニアの皇帝なんかに呼び出されて同じこと言われた場合従えるかは甚だ疑問ですね。
>>719 最近今川義元が愚将であったというのは否定されてるぞ?桶狭間で酒宴なんてしてない。
織田信長が奇襲かけて勝ったのは確かだが。
後の創作で勝手にイメージを作られてしまった故の悲劇。
みなさんおはようございました
ウルトラマンシリーズからウルトラマン達が超人化した原因である
人工太陽プラズマスパークを召還したら?
>>767 間違いなくウルトラマンキングが取り返しにやってくるだろうな
あれがないと光の国は滅ぶ
というか、イーヴィルティガの群れが出現するようなものだぞ
真の東海一の弓取りだからなー。
桶狭間の二万は明らかに多すぎってのが最近の通説らしいが
>エルクゥの人
ついついエルルウの人と読みたく…
秘薬集めとか戦闘時の治療には役立ってくれそうだな
宝物庫にあるのは「破壊のキノコ」か「破壊のガチャピン」か…
破壊のキノコ…?
赤い帽子と青いつなぎのMr.テレビゲームですか?
>>707 戦争のために政略結婚を考えたり、国同士の関係とパワーバランスを考えたりする行動の
全てが「戦略」だよ。
支援
でっかくなるキノコ食ったガチャピン(中の人付き)か。
七万も鎧袖一触、エルフも裸足で逃げ出すなwww
ツンデレが性格反転茸食べるとどうなるんだろう?
それはもうでれでれになるのですよ!
ヤンデレになる
ごめん言ってみただけ
普段デレ、二人きりでツン。
……ルイズが自分のサディスト振りを隠したい場合に発生しそうだ。無論デレはカモフラージュ。
人前では周囲も疎ましく思うほどのバカップルだが
二人きりになると途端に冷たくなる
世間でおしどり夫婦と言われてたけど実はアレだった芸能人夫妻とか
舞台を降りるとお互い一言も口をきかない漫才の名コンビみたいなもんか
性格反転キノコか・・・
タバサママにあげたら一時的に正気に戻ったりしてw
ガチャピンと聞くと最近見た某同人誌の傭兵なガチャピンを思い出してしまいました・・・orz
782 :
チキの人:2008/03/22(土) 09:35:36 ID:NhqWJlK7
投下予約は入っていないでしょうか、それで無ければ第八話、投下します。
支援砲撃、開始!
弾種、キャンデー!
ッテーー!!
ふと気がつくと、私の手を握りながらチキが眠っている。
暑いくらいの陽射しで徐々に意識が覚醒して来る、それと同時に昨日の出来事を思いだして背中がぞっとした。
タバサの顔に鼻水を……!
いや、そっちじゃない。
と、心の中で彼女に突っ込まれた気がして辺りを見回す。
うん、普通の自分の部屋だ。筋肉の痛みもないし健康状態は良好。
これならすぐに起き上がっても大丈夫そうと思うけど……。
チキの寝顔可愛い、可愛すぎる。
ルイズのお姉ちゃんとしてあるまじき、私が先に寝て早く起きる生活をしてたから、寝顔を見るのは初めてだ。
運んできてくれたのはタバサかキュルケか。
どっちでも良いんだけど、チキにうまい事話してくれたかなあ?
デルフをいっぱい振ってたら、筋肉痛になって動けなくなった。
それだけならまだしも、キュルケの謀略によってゴーレムの近くに飛ばされ、肝を冷やす事態に陥ったなんて。
あんな頭悪そうな姿、チキに見られてたら……だめ、だめよ。
きちんと誤魔化さなくちゃね、
「ん……ぅ、んー?」
と、考えている所に身動ぎをするチキ。
このまま起きるかな? 背筋が無駄に緊張した所で、
「んぁ、あ、おねー……ルイズのおねえちゃんだ」
まだ寝ぼけてると見える。
しばらく右を見て左を見て、そして繋がれた手を見て。
チキはがばっといった勢いで私に抱きついてきた。
「ルイズのおねえちゃん! よかったよぉ!」
「え?」
「周りの人が皆寝ているのに、ルイズのおねえちゃんは泥棒に立ち向かって。動けなくなるまで戦ったんだってね!」
違う違う。その泥棒に立ち向かう前に、筋肉痛で動けなかった。
と、口の寸前まで、“ち”まで出た所でごまかそうとしたのを思い出す。
「……あー、誰から聞いたの、それ」
キュルケか、はたまたタバサか。
しかし、私が聞いてみると途端にチキは困ったような表情を浮かべる。
何か、真実は知ってるんだけど、言ったらお姉ちゃん傷ついちゃうね!
そんな声が聞こえる。被害妄想かな?
「シ……シ……シルエスタ」
「シルエスタ?」
確かにトリステインの城下町で、そういった名前の舞台俳優のポスターを見た気がするけど。
私が首を傾げていると、チキは大げさに手を顔の前で振った。
「シ、シエスタだよ、シエスタ」
ああ、あの変わった使用人の。
前まで学院に務めている使用人と変わらないと思ってたけど、なかなかに度胸があるし腕っ節も強いし。
何よりチキを怖がらない、それだけで好感が持てる。
しかし、ゴーレムが現れたのに逃げずに私の姿を確認するなんて。
すぐに逃げたキュルケとは大違いね、まったく。
「でも、昨日の朝にシエスタはこの学院を辞めちゃったんだ」
「昨日の朝?」
あれ? 昨日の夜にゴーレムに殺されかけたんだから。
いやいや、この体調の戻り具合と今の発言から察するに。
もしかして一日中眠りこけていたとか! 筋肉痛で?
「そうなの……ま、シエスタなら他の所でもやっていけるでしょう」
仮に彼女が事実を知ってるとして、鉢合わせをした時に憐憫の表情でも浮かべられたら……いけない、筋肉痛で倒れたなんて事がチキにバレる。
シエスタには悪いけど、このままフェードアウトしてもらわなくちゃ。
「うん、ところでルイズのおねえちゃん、デルフはどうしたの?」
「デルフ?」
どうも静かだと思ったら部屋の何処にもデルフの姿が無い。
そういえばあいつも事実を知ってるのよね。
「えと、デルフ……は」
考えるんだルイズ。
どうにかしてシエスタを亡き者にしたみたいに。
そうだ。
「うぅ!?」
「お、おねえちゃん、どうしたの」
「デルフはね、私がゴーレムに立ち向かった際に、うぅ、折れて! 最期に剣としての仕事が良かったぜお嬢って! おのれゴーレムめ!」
泣いたフリをしながらデルフの死を悼む。
あいつは良い奴だった、もし目の前に現れたらへし折ってくれる。
しかし悲しきかなチキの目は、どうしてそんな嘘をつくんだろう、私はすべて知ってるのに、ごまかしたほうが良いのかな?
いけない、さっきから被害妄想が過ぎる、チキに嘘をついているからか?
「そっかぁ、だからタバサのお部屋にあったんだね」
「タバサの?」
確か、タバサにぶん殴られて永遠の借しだって。
てことは、ここに運んで来てくれたのはタバサなのか、また一つ借しが。
膝と手をついて四つん這いになって、私は一生タバサの犬ですって宣言したい。
「でも、タバサはすごいね、折れたデルフを直しちゃうんだね」
「はは、すごいね……」
あー、こりゃ青い髪の彼女に頭が上がらないわ。
とてもとても顔を拝見できない、もういっそ忘れたいくらい。
そしてチキの無邪気な驚きが心に痛いなあ、あと一日くらい休めないかな。
「そういえば、チキ、声は聞こえなかった?」
デルフの最期の……もとい、魔法によって私の声が学院中に響いた夜。
当然チキにもその声が聞こえてるはず、あの声はなぁに? なんて聞かれてしまえば自分にマイナスになるのは確実。
「うん、聞こえたよ。でもアレは、学院の皆に危険を知らせるためにしたって」
わー、誰がそんな都合よく解釈してくれたんだろう。シエスタ?
やっぱりあの子には消えてもらうしか、少なくとも目に見える範囲で。
しかし、もう今の話の範囲でゴーレムに立ち向かったけど、デルフをへし折られて自身は動けなくなり、挙句の果てに助けを求めたって考えられない?
妙にチキが私の言葉を好意的に解釈しているような……気がする。
「まあ、いいや」
変に口を開いてボロを出すよりも、チキの素直な心に感謝しよう。
虚無の曜日ではないので、当然のように授業はある。
休んだ方がいいんじゃないかな、とチキは言ってくれたけど。
あいにく体調はすこぶる良かったので、気が引けた。
どうにも暑いと思ったら、私が目を覚ましたのは昼過ぎだったらしい。
食堂で食事を採った後、チキを連れて教室に入る。
まだ大多数の生徒は警戒感を持っていているのが癪だけど、口にするのは憚られた。
チキも自分が原因で喧嘩なんてされたくないだろうしね。
ただ、キュルケとタバサの姿が無い、どうしたんだろう?
疑問に思うけど、ボロは出したくないのでそのまま一緒に席に着いた。
「はい、皆さんごきげんよう」
ミセス・シュヴルーズの授業が始まる、ただ若干元気がないな。
なんとなく声に張りが無いし、やつれてる気がする。
「今日の授業は土……いえ、風に関する授業を」
風? それはミスタ・ギトーの分担じゃなくて?
あの、なんか陰気で風に自信持ってる先生よりはマシか。
と、思い直して授業に臨む。
ただ、多くの生徒より私のパートナーのほうが真面目に取り組んでるって。
魔法学院の生徒としてそんな態度で良いの?
クラスメート達を見ながらそう思う、私のチキはこんなにノートも取って、しかも可愛らしいのよ?
ぽっかりと周りが開いた席で、私はそんな事を考えていた。
「そういえば今日はフリッグの舞踏会ですね」
授業も少し退屈になっていた頃、ミセス・シュヴルーズが雑談の種を蒔いた。
ここの所の騒ぎで忘れていたけど、そんな行事もあったっけ……。
特に興味も無いなあ、チキがドレスを着て私と一緒に踊ってくれるんなら参加しなくもないんだけど。
「一昨日の晩盗まれた破壊の杖も無事に戻り、開催できてよかったですね」
そうなんだ、戻って来たんだ……。
私が眠りこけてる間に誰かが取り戻してくれたのかな。
もしかしたら今いないキュルケとタバサだったりして、それで二人は授業をサボることを許されたとか。
うーん、無茶だけど納得はできる理由かも、キュルケがいないのはいつものことだけど。
「やはり今日の舞踏会の主役は、ミス・ツェルプストーと、ミス・タバサですね。爵位を与えられるほどの活躍をした……」
しかし、ミセス・シュルヴーズはさっきから自慢してばっかりだなあ。
よほど怪盗が捕まったことが嬉しかったのか、教えている生徒が活躍したのが良かったのか。
ただ、キュルケたちが自慢してるんなら喜んで聞くんだけども。
ああでも二人であのゴーレムを打ち破ったのか、私とは大違いだ。
チキも私じゃなくって、あの二人の内どっちかが主人だったら肩身の狭い思いもせずに済んだのかな?
いかんいかん、思考がマイナスの方に向かってる。
「ねえ、チキ」
「うーん?」
雑談に花が咲いてしまっているので、すっかり手持ち無沙汰になってたチキに声をかける。
「もっと魔法が使えるお姉ちゃんの方が格好良かった?」
「ううん」
意外にも即答だった。
あまりに早い答えに思わず、チキは優しいからそう答えるに決まってる。
何を聞いているのだ私はと反省してしまうほどに。
「私は、ルイズのおねえちゃんの使い魔で、良かったと思うよ」
「そう……」
たぶん、紛れも無い本音だと思う。
そうなんだけど、違う。このままじゃダメ。
チキは使い魔だと言った。
でも、私はチキをパートナーだと思ってる。使い魔じゃない。
私はチキを使役したりなんかしない。
先の事は分からないけど、一緒にいたい。
そう、私とちいねえさまのような関係になりたいのだ。
ちいねえさまは身体は弱いけど、トライアングルクラスの魔法が使える。
お父様やお母さま、エレオノール姉様だけじゃなく、動物にも慕われて、温和で綺麗でスタイルも良くて。
私なんてちんちくりんで、魔法も使えなくて、口も悪いし。
「だめ、ダメよチキ……」
「る、ルイズのおねえちゃん、授業中だよ」
「いけないわ! やっぱりね! お姉ちゃんはスクウェアメイジになるまで旅に出るわ!」
支援!
789 :
チキの人:2008/03/22(土) 09:48:18 ID:NhqWJlK7
投下終了です。
シエスタorz ですが。たぶん、ま、まだ出る機会は……
コイツは嫌な展開だ・・・
791 :
549:2008/03/22(土) 10:14:29 ID:C+ge85FZ
チキの人、投下乙でした。
見せ場をまるっきりカットした英断に拍手(w
これでほのぼの路線(?)続けられますね。
>>789GJ!
シエスタはモット伯かね?仮にそうだとしてもほのぼの路線で何とかなる
と信じつつ次回を待ってますー。
だがほのぼのレイプ
チキの方乙です
シエスタがwwでもキュルケが暗躍して戻ってくるんだろうなぁ〜チキへのポイント稼ぎ&ルイズへの嫌がらせで
ゼロの世界って黒人ていないのかな?
ハルケギニアの南方にいるんじゃないかな?
ゲルマニアも色黒な人がいるし、そっち方面からの混血だったりするのかもしれん。
女神転生ifから教師オオツキを召喚
フーケに負けて自分を改造
ワルドに負けて自分を改造
タルブ戦で負けて自分を改造
そして七万人戦
そこには既に元の姿がわからない程に魔改造が施された改造教師オオツキの姿が!
「お前達が、この街道を通ってもいい科学的根拠はないのだ!」
でもたぶんやっぱり負ける。
虚無魔法がプラズマで説明できると申すか
誰もいないようなので、小ネタをば投下させていただきます
せまる七万の大軍勢を目前にしながら、ルイズは考えていた。
どんなピンチにもいかなる強大な敵にも打ち勝つ、絶対無敵の英雄。
それはおとぎ話や空想の世界には実にありがちな存在だ。
男の子はそんな存在に憧れて英雄ごっこをし、女の子はそんな英雄に助けられるヒロインになれたらと夢想する。
しかし、そう長くはない時間の中で、子供はそれがあくまで空想の中の存在であることを知る。
英雄と呼ばれている人間も、その実は傷つけば血を流し、命を落とせばそのまま土に還る、そんな当たり前の人間でしかないことに気づく。
それでも、そんな英雄の伝説や神話が語り継がれるのは、はかない現世でのせめてもの慰みなのかもしれない。
(そんな風に思っていた時期が、私にもありました)
ルイズはため息をつく。
こんなことがあればいいな、こんな英雄がいてくれたら。
人は誰でもそんなことを思う時がある。
でも? もしも、そんな空想だけの存在が、実在するとすれば、人ははたして素直に喜べるのだろうか?
やったあ、ラッキー!! で、すむものだろうか?
否。断じて否である、と今のルイズは断言できる。
不気味な怪物のようにせまってくる敵軍を見ながら、ルイズは初めてあいつに出会った時のこと、サモン・サーヴァントの儀式を思い出す。
最初は絶望した。
何故なら、そいつはどう見ても死体だったからだ。
何らかの処置がされているのか、ボロボロに腐っているということはなかったが、顔はもはや生前の様子すらわからない骸骨となっていた。
その格好や全身に施されている黄金の装飾からして、どうも生前はメイジのように思われた。
もしかすると王族かもしれぬ。
だが、死体ではどうしようもない。
それでも、規則は規則ということで、ルイズは泣く泣く死体に契約のキスをした。
胸に使い魔にルーンが刻まれると同時に、死体だと思っていたそれはむくりと起き上がった。
「お化け?」
「幽霊?」
そんな声がこだましたのをおぼえている。
驚く中、そいつはマントをなびかせ、高笑いと共に空高く飛び去っていき、そのままどこかへ消えてしまった。
あのおかしな骸骨を使い魔にしなくてラッキーだったのか、使い魔に逃げられたのを悲しむべきか、正直微妙だった。
多分二度と会うことはない、と思っていたのだが、そいつは思わぬ時に戻ってきた。
土くれのフーケが、学院を襲った時である。
使い魔召喚にすら失敗した今、ここで名誉を挽回するしかないとルイズは無謀にも巨大なゴーレムに向かっていった。
あわやつぶされそうなになった時、あの使い魔が高笑いと共にやってきたのだ。
使い魔は縦横無尽にそれを飛び回り、その銀色の杖でゴーレムを破壊した上、フーケを捕らえた。
フーケの正体ことミス・ロングビルはよほどショックだったのか、すっかりダメな人になっていたそうだ。
その代わり、寛大な措置とかで、死刑は免れたらしい。
その後も、アルビオン、タルブの村、とルイズがピンチになった時には、使い魔はどこからともなく飛んできて、悪を蹴散らしていった。
まさにおとぎ話の英雄が実在化したようだ。
顔が骸骨というのはどうにもいただけないが。
そこでルイズは思考を迫る軍勢に戻した。
ここまでは、確実にやられるどころか、勝負にすらなるまい。
しかし。
「いつものやつね」
いつの間にか自分の周辺を飛び回っている金色に輝くコウモリに、ルイズはため息をつく。
あの使い魔の現れる前兆。
そして、当然のように使い魔は高笑いと共にやってきた。
銀の杖を手に、黒いマントをなびかせて。
そして、やっぱり当然のように敵軍に向かっていくが、ルイズは心配などしない。
あいつはフーケのゴーレムに踏み潰されようが、ワルドの魔法を食らおうが、戦艦の砲撃が直撃しようが、何事もなく復活し、恐怖する敵をなぎ倒したのだから。
今も、敵兵たちは阿鼻叫喚の騒ぎになっている。
何をやっても通じず、疲れさえ欠片も見せない使い魔に、それはもうボコボコにされていくのが遠目にもよく見える。
あ、大砲の弾を受けて墜落した。
一瞬敵は沸いたようだが、歓声はすぐにそれ以上の悲鳴となる。
使い魔は何事もなかったように復活し、また敵に向かっていたのだから。
もはやルイズにさえトラウマになりつつある、おなじみの台詞を叫んで。
「黄金バットは無敵だ!!」
支援です
ググッてみたら漫画版の画像を見つけた
なるほどこれはトラウマになるのも当然w
神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。
神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。
神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。
そして最後にもう一人……。
それは記すことさえはばかれる神の心臓。何者にも敗れぬ神の杖。不死の体と無敵の力、いかなる時にもいかなる場所にも、我を救いに現れる。
以上で投下終了です
この分は若干おまけ的でありますが……
支援してくださったかた、感謝です
蝙蝠だけが知っているッ
ルイズ「コウモリさん コウモリさん」
歌詞を見た限りマッハで空とぶのな金色のアレが
809 :
黄金バット!:2008/03/22(土) 15:27:26 ID:1DFaxRuG
なんと懐かしいものを!おっさんホイホイもええとこやんけ!(私が住んでいた辺境地域
では、小学生時代に何度も再放送していた)
わが幼少時の懐かしきヒーローを思い起こさせてくださったことに感謝しつつ、小ネタに
終わらせず、是非とも長編をお願いいたします!!>ID:oRiIP0CFさま
次は月光仮面か力道山を(無理)。
少女椿のワンダー正光とかw
小ネタ乙、再放送見たことあるな。
で、その黄金バットのオマージュがワッハマン
のらくろとかどうだ?猛犬連隊を武装含め丸ごと召喚。
だから動物呼ぶのは普通だって。
人間呼び出すのがあの世界の常識からして異常なんだって。
犬呼び出してもルイズも喜びそうなんだが。
二足歩行したり人の言葉しゃべったりするぐらいなら、
驚いたとしても優れた使い魔だとして自慢できるぐらいじゃない。
さすがに紙芝居で見てたっていう人はいないか
ここにおるぞ
昭和末期だと普通に紙芝居も巡業してたし
>>817 最後の紙芝居師というドキュメンタリーを思い出した。
咽頭癌の手術で声が出なくなる前に録音した自分の声で紙芝居巡業してる人の話
仮面をつけた三人の部下を持ち、更に「ブキ96」なる乗り物に乗った使い魔の影響で
「そんなことでくじけるような 風呂の入り方はしてません!」
とか言っちゃうルイズ…
獣耳ついてたりしたら亜人として喜ばれるのかな?
単なる変態と思われることはない?
紙芝居がありなら、児童文学からの参加もありかな?
犬が好きなルイズの為にねじめ正一のピーコポンチャンからピーコ(ポンチャン)を召喚したりとかね。
あの侘しい結末の後にハルケギニアに流れ着いたピーコ(ポンチャン)に第3の飼い主現る!てな具合に
ルイズが新しい飼い主になったのはいいが、待遇が悪くて最後はやっぱりルイズの所からも逃げ出すというオチなんだが…。
>>821 昔話や夏目漱石からの召喚もあったからなぁ。
同人媒体でなきゃなんでも良いんじゃね?
「あなただったのね、いつもクックベリーを持ってきてくれたのは」とか
『百万回死んだ使い魔』とかうっかり想像しちゃって涙腺がエラいことになったw
>>823 ごん狐を思い浮かべた。
涙腺エラいことになるのは同じ
蝙蝠にはアニメも白黒実写映画もあるからな
創作物なら固い事言いっこなしで良いのは事実だが
その流れで紙芝居OKって発想はおかしい
視界良好であれば五分後に第四話を投下したいのですが、
よろしいでしょうか?
視界良好。よーそろ。
第四話
幸運なことに、シエスタは厨房の裏庭の水場でちょうど洗濯をしているところだった。
「シエスタ」
声をかけると、顔を上げたシエスタがレナスの姿を見つけ、慌てて泡だらけの手を濯ぎ、立ち上がってお辞儀する。
「おはようございます、ヴァルキュリアさま!」
「洗濯を頼みたいのだが……一緒に頼めるか?」
「ヴァルキュリアさまのお召し物をですか!? よ、喜んで!」
「神様に衣服の洗濯を頼まれた!」と妙な舞い上がり方をするシエスタに、レナスは微かに苦笑して訂正する。舞い上がっているせいか、レナスの口調が昨日と違うことにも気にならないようだ。
「私ではない。ルイズの洗濯物だ」
早とちりに気付いたシエスタは、顔を真っ赤にする。
「そ、そうですか、では洗濯物をこちらへ」
「感謝する」
洗濯物を渡して、言いつけられた仕事を終えたレナスは、これからどう時間を潰そうかと歩きながら考え始め、その背にシエスタが声をかける。
「あの、ヴァルキュリアさま」
レナスが振り返ると、シエスタはおずおずと切り出す。
「昨日くださった黄金の鶏が、卵を四つも産んだんです。料理長のマルトーさんが私たちのまかないに出してくれるそうなので、洗濯が終わったあとでよろしければご一緒しませんか?」
売れば一生遊んで暮らせる財産が築けるだろうに、売るよりもまず食べることを考えるシエスタが微笑ましく、レナスは笑った。
「喜んで馳走になろう」
「はい! じゃあすぐに終わらせちゃいますね!」
シエスタは余程嬉しかったのか、あっという間に大量の洗濯物を洗い終えてしまった。
さすがはプロのメイド、仕事が早い。
洗濯に使った道具を片付けながら、シエスタは昨日から気になっていたことを何気なくレナスに尋ねる。
「ところで、ヴァルキュリアさまは神様としてどんなお仕事をなさる方なんですか?」
言葉を並べずに、レナスは力を行使することで示す。背中から光の翼が勢いよく飛び出し、光の羽が幻想的に舞い踊る。
エーテルストライク支援
それと共に、レナスとシエスタを挟むようにアリューゼとメルティーナがマテリアライズされて実体化した。
予想外の出番を与えられた二人は、不思議そうな顔でレナスとシエスタを代わる代わる見比べる。
「おいおい、どういう風の吹き回しだ?」
「あら? 珍しいわね、戦闘でもないのに私たちを呼び出して実体化させるなんて」
「ど、どなたですかーー!?」
突然現れた二人に度肝を抜かれ、シエスタが声を裏返らせて絶叫し、思わず尻餅をつく。
レナスはシエスタに手を貸して起き上がらせ、きょとんとしているメルティーナと、戦いの場に呼び出されたわけではないので仏頂面になるアリューゼをちらりと見やり、説明する。
「戦乙女ヴァルキリーとして、彼らのような死者の魂を英雄として選定し、神界に送るのが私の仕事だ。今はそれと同時に、神界の創造主になっている」
「神様の世界を作った方だったんですか!?」
地位の高さに驚いたシエスタが、両手を振り回して絶叫した。
殆ど崇拝の念に近い尊敬の眼差しで見つめられ、キラキラしたシエスタの眼差しにレナスの顔が微かに赤くなる。
昨日のうちに、レナスの内でシエスタとのやり取りを見ていたメルティーナが前に出て名乗った。
「私はメルティーナ。今はヴァルキリーのエインフェリアをしてるわ。ついでにこいつはアリューゼよ」
「おいコラ。ついでだからって適当な紹介の仕方すんじゃねえ」
杜撰な扱いにアリューゼが文句を言ったが、メルティーナは澄ました顔で無視した。
理知的な魅力に溢れたメルティーナに、シエスタはぽーっと顔を赤くしていたが、メルティーナが手に持っている杖に気付いて目を見張る。
「メルティーナさまはメイジなんですか?」
「一応そういうことになるのかしら。でも、私の故郷ではメイジではなく魔術師と呼ばれていたし、貴族の出身でもないから畏まる必要はないわ」
「魔術師? もしかして、お二方は『ロバ・アル・カリイエ』のご出身なんですか?」
「……ええ、そうよ」
シエスタの言うロバ・アル・カリイエがどの場所を指すのか、メルティーナには分からなかったが、ここは話を合わせておいた方がいいと判断して頷く。
異世界から来たことを簡単に知られるわけにはいかないし、自分からわざわざ騒動の種を蒔く必要はない。
支援します
支援
「そうなんですか……」
二人を未知の領域である『東の世界』の人間だと思い込み、感心するシエスタだったが、心の中でレナスの説明を反芻していると、見逃せない事実に気がつく。
「え? ということは、メルティーナさんとアリューゼさんは──」
心なしか青い顔で自分達の顔を見つめるシエスタに、メルティーナはニヤリと笑った。
「私たちは死者よ。ヴァルキリーの選定を受けて英雄──エインフェリアに選ばれたの。ちなみに生前は、アリューゼは傭兵、私は魔術研究者として生きていたわ」
シエスタはぽかんとした表情でメルティーナを見つめる。
目の前にいる彼らが死者だなんてシエスタには信じられない。二人とも顔の血色はいいし半透明でもなく、シエスタの目にはどこからどう見ても生きている人間にしか見えない。
聞けば聞くほど、シエスタはこうして三人と一緒にいるのが場違いなんじゃないかと思えてくる。レナスたちはこんな所で自分みたいな平民と一緒にいるのではなく、貴族のように誰かに傅かれている方が似合っているのではないかという気さえする。
どうしようもない劣等感を感じて、シエスタは惹かれていながらも光を嫌うかのように、レナスたち三人から目を逸らした。
支援
お前は吹かれっぱなしの草か支援
何故か60行未満でもエラーを喰らったので3/8は3分割です。
以下続き↓
「ヴァルキュリアさまは神様、お二人は英雄、それに比べて私は……」
力なく呟いて項垂れるシエスタの脳裏に、ハルケギニアの人間ならば身分に限らず知られている有名な童話が過ぎった。
『イーヴァルディの勇者』。
平民の身で有りながら、始祖ブリミルの加護を受けて竜や悪魔、怪物といった強敵と戦ったとされるイーヴァルディの物語は、平民が主人公ということで、貴族だけでなく平民の間でも親しまれている。
平民は虐げられる身分だ。貴族の気分一つでその命すら左右される。こうして魔法学院でメイドとして働いているシエスタも、そこまで極端ではなくとも、理不尽な目に遭ったことは一度や二度ではない。
シエスタには目の前の三人が眩しく思えて仕方なかった。誰も恐れずに、自由に生きてみたいと心の底から願った。でも、平民の身分では叶えられるはずがないことをシエスタは知っていた。
黙ってシエスタの嘆きを聞いていたレナスが口を開く。
文字数でエラー掛かってない?
4096bytesで制限掛かってるから2000字くらいで制限掛かる計算なんだけど
黄金バットが来てるwww
あれってたしか微塵に砕かれようと
かけらも残さず消滅させられようと
宇宙の果てに放逐されようと
「なぜなら黄金バットだからだ」
で一切理由の説明なく復活するどうしようもない無敵のヒーローだったよなw
リロードしてなかった
戦乙女さんごめんちゃい
支援
ファイナリティブラスト支援。
素晴らしいぞこの力!! 支援。
お前の顔も見飽きたぜ、支援
支援せざるをえない
セレスティアルスター支援
本当に食べたのかw
支援 ニーベルンヴァレスティ
投稿してたPC中がフリーズ起こしましたorz
原稿も入ってるPCなので、復旧させ次第代理スレに投下します。
復旧したらまた報告します。
他の可能性……仮に一切の文字無しでエンターで最初の行を改行してる場合、異次元の彼方に放逐されるんで注意…とか?
復旧しました。
これを書き込めるようならこのまま投下、
書き込めない又は、投下時にエラーがまたきたら代理スレに投下します。
総員、ニーベルン・ヴァレスティ支援!!
支援
ほぼ確実に文字数エラーだな
> 平民の身で有りながら(ry
の行一つ見ても全角90字ほどあるって事は
23〜4行もあれば確実にレス容量超える
wiki登録後の読み勝手考えても40〜50字程度が1行文字数の目安
それ以上は意図外の自動折り返し食らうからレイアウトの無意味化も招く
エラーの原因が分からないので、代理スレに投下に行きます。
>紙芝居に何か問題が?
問題は紙芝居そのものじゃない
黄金バットに紙芝居もあった→紙芝居もOKなら(ry
と言う発想の流れだけに問題がある
紙芝居だと一発ネタならともかく
長編やろうとするとほぼオリキャラになっちゃうからな。
代理スレに投下しようとしたら今度はPCの電源飛びました。
復旧までしばらくお待ちください……
今日は運が悪いみたいですorz
投稿前に神様に挨拶をしておかないから(ry
電源が神に召されたのか
つまり電源がレナスのエインフェリアに(ry
戦乙女殿乙
続きはノンビリ待たせていただきます。
以下本編続きです↓
「……弱さは悪いことではない」
聞き捨てならない台詞に、シエスタは出会って初めてレナスを睨みつける。すぐに不敬だという気持ちがシエスタの中に沸き起こるが、湧き上がる怒りがそれを掻き消す。
レナスは平民の現状を知らないからそんなことが言えるのだ。シエスタは知っている。例えば、魔法学院では不定期にメイドがいなくなる。
いなくなったメイドは、貴族の屋敷に夜の相手込みのメイドとして無理矢理囲われている。でも、知っていてもシエスタにはどうすることもできない。
「何も知らないくせに、適当なことを言わないでください! 私たち平民がどんな目に遭っていても、貴族であれば、それで全てが許される。ここはそういうところなんですよ!」
威嚇するかのようにレナスを睨みつけるシエスタの言葉を、レナスは首を横に振って否定する。
復旧&代理投下支援させていただきます。
支援ありがとうございました。
「でも、弱くとも立ち向かうことはできる」
シエスタは本気でショックを受け、その場にへたり込んだ。
平民のシエスタでは、立ち向かったって死ぬだけなのに、それが分からないのか。何も変わらず、貴族に嬲られて無意味に殺されてしまうだけなのがレナスには分からないのか。
それだけならまだいいが、もしタルブの村にいる家族にまで責任が及んだら、それこそ死んでも死にきれないのに、それすら理解してくれないのだろうか。
レナスの表情は崩れない。片膝をついてシエスタと視線を合わせ、あくまで淡々と、感情を感じさせない声で言葉を紡ぐ。
「死を覚悟すれば、人はどんな障害にも立ち向かえるものだ。己の道を貫いた結果ならば、例えその結果がその途中で迎える無残な死であっても、残るものがある」
「ありませんよ、そんなもの──!」
咽喉から搾り出すようにシエスタは叫んだ。
本当にそうだったらどれだけいいことかと思うけれど、現実は甘くないことをシエスタは知っている。
死はあくまで死で、死んでしまったらそれで終わりで、その時は悲しむ人がいても、時が経てば悲しむ人は減っていき、やがて忘れ去られる。
平民の死はハルケギニアではとても軽くて、死んだことすら誰にも気付かれないこともあるほどだ。
なのに、レナスは分かってくれない。
「──誇りだ」
思いもしない答えを聞かされ、シエスタはレナスを仰ぎ見た。
シエスタは誇りなんて持ったことはなかった。誇りを掲げられるのはいつだって貴族や王族といった選ばれた立場の人間で、
平民であるシエスタは、彼らの怒りに触れないように生きていくのが精一杯だった。
レナスの言葉は、シエスタの憤りに水をかけるかのように告げられる。
「例え死んでも、己が信じるものを貫き通したという誇りは残る。あるいは生き様と言い換えてもいい。それこそが、魂の価値を決めるもの」
少しずつ、シエスタの心の中で燃え上がっていた炎が消えていく。炎が燃え尽きた跡に、その言葉がすとんと落ちる。
シエスタは自問する。今まで一度でも貴族に対して歯向かったことがあっただろうか。貴族に逆らい、理不尽に真っ向から
反発してみせたことが一度でもあっただろうか。
あるはずがない。シエスタは、貴族に逆らうことよりも、従順に振舞うことで生きてきたし、平民には多かれ少なかれ、
皆その傾向があるはずだと思っている。
心に刻み込まれた貴族に逆らうことへの恐怖はそう簡単に消せるものではない。シエスタだって怖いものは怖いのだ。
逆らうことを考えるだけで、シエスタの心は凍りつく。
それでも、あと一つ何かきっかけがあれば天秤が傾くほど、シエスタはレナスの言葉を聞いて揺れていた。
「そして、残された人間は死者の背に、英雄の姿を見出すのだ。かくて誇りは受け継がれ、新たな人間を英雄に導いていく」
レナスの言葉に、シエスタは思わずアリューゼとメルティーナに顔を向け、仰ぎ見る。彼らなら、レナスの言うような誇りを
貫けるだろうが、ただの平民に過ぎないシエスタには誇りを貫くために必要な力がない。
悩むシエスタの頭上から声が降ってきた。
「プライドを貫くのに、力なんていらないのよ」
「……え?」
シエスタは意外そうな表情でメルティーナを見上げる。
力なしにどうやって誇りを貫けるというのか、シエスタには理解できない。力がなければ、貴族に逆らうことができないと痛感しているシエスタは、縋るような目でメルティーナを見上げる。
しかし、メルティーナはシエスタを突き放した。
「でも、今のあなたみたいに、平穏にしがみ付いて生きていると、例え力があっても絶対にプライドは貫けないわね」
シエスタの胸に、メルティーナの言葉がナイフとなって突き刺さる。
貴族を恐れながらも、シエスタはその貴族によって与えられた平穏を愛していた。目的もなく、心の底で反感を抱きながらも表面上は貴族に従い、降りかかる理不尽に怯え、
同僚の不幸に目を瞑り、それらを代償に得た平穏の中で惰性に生き続けていた。
──これではプライドなど、最初から貫けるわけがない。
揺れていた心に最後の一押しを押され、心の天秤が完全に傾く。逃げ続けて生きてきた人生への後悔が心に重く圧し掛かってきて、シエスタの目から涙が零れ、頬を伝う。
気付いてしまった以上、貴族に怯えつつも、貴族に与えられた平穏に浸り続けるような、恥知らずな真似はできない。自らの力で勝ち取る平穏の中で生きることこそが、
シエスタの望むものであるが故に。
「今からでも、私みたいな人間でも、皆さんのようになれるでしょうか──?」
「覚悟さえあれば、何だってできるだろうよ」
嗚咽交じりに小さく呟いた疑問は、野太く力強い声で返される。その人生の多くを、戦場で過ごしてきた男の声だ。
はっとしてアリューゼを見るシエスタに、鍛え上げられた彼の肉体が目に入る。彼もまた、その覚悟を以って平穏を捨てた末にその肉体を手に入れたのだろうか。
真剣な表情で俯くシエスタの、その小さな両拳がきゅっと握り締められる。大男のアリューゼと比べれば、小さすぎるシエスタの手。どんなに華奢であっても、
その拳だけはどこまでも硬くなれると信じて。
「シエスタ」
貴族の理不尽に立ち向かう覚悟を決めようとしているシエスタを、レナスの声が遮った。
冷厳な声に振り向くと、優しい銀色が視界を過ぎり、全身が温かい何かに包まれる。
「……ヴァルキュリアさま?」
思わずといった様子で、シエスタは幼い声を漏らした。
抱き締められたことよりも、まるで我が子を戦地に送り出す母のような態度をレナスが取っていることにシエスタは驚いた。
シエスタにとってのレナスは憧れと憧憬の対象だった。初めて会った時、シエスタはレナスを平民だと思っていて、貴族の使い魔にされたレナスに同情を抱いていた。
でもそれは間違いで、レナス自身の口から神だと告げられた。口では肯定するようなことを言ったけれど、シエスタはその時心の底から信じていたわけではなかった。
ただ、何となくそうだったらいいのにと思っただけだった。
その後で黄金の鶏を貰い、シエスタはレナスのことを神だと認めた。レナスがルイズではなく、自分を見てくれたことが嬉しくて、シエスタは感動してレナスに崇拝の念を抱いた。
レナスのことを神だと思っていたから、まさか抱き締めてもらえるとは夢にも思わなくて、シエスタは恐る恐るその背に手を回す。全身でレナスの温もりを感じて、思わず赤子のようにすがりつく。
かけられる声は相変わらず厳しかったけれど、シエスタは声よりも表情よりも、抱き締められたという事実に、レナスが自分を心底心配しているのを感じ取った。
「けしかけた私たちが、こんなことを言ってはいけないかもしれない。でも、その決断をする前に、もう一度よく考え直してみて欲しい」
シエスタはレナスの言葉に小さく笑った。
今更そんなことを言われても、もうシエスタに止まるつもりはない。貴族の横暴に見て見ぬ振りをして過ごす平穏に比べれば、今からシエスタが生きる人生は、きっと輝きに満ち溢れているはずだ。
少なくとも、シエスタはそう信じている。
「その道を選べば、お前はきっと悲惨な死を迎えるだろう。誰にも理解されずに果てる未来しか、その道にはない」
レナスの言う通り、確かに道は険しいに違いない。
例え下げたくない頭を下げろと強要されようと、卑怯な手段で以ってこの身体を求められようとも、毅然として反抗することは、何の力も持たないシエスタにはとても難しいことだ。
貴族に手打ちに遭うかもしれない。巻き添えを恐れる同じ平民に、裏切られて人身御供として突き出されるかもしれない。もがき苦しみ、のた打ち回り、血反吐を吐いて死ぬかもしれない。
どちらにしろ、安らかな死は迎えられないに違いない。
だが、それでも。
「──ヴァルキュリアさまが、残るものがあると教えてくれましたから」
死ぬまでその理想を貫いたという誇りを残せれば、シエスタはそれで充分だった。
おそらく、誰にも理解されないだろう。殆どの人間が、死んだシエスタを見て馬鹿な奴だと蔑むだろう。シエスタ自身、心が挫けそうになることだってあるだろう。
それでも、その道を歩こうと決めたのだ。このハルケギニアで、多くの人間が憧れる童話の主人公のように、誇りを持ってこの生を駆け抜けると決めたのだ。今更迷いなど、あるはずがない。
答えを聞いたレナスは、シエスタを抱き締めたまま、僅かに身体を離して額に口付けを落とす。
その瞬間、神として冷徹に輝く瞳の中に優しい光が灯っているのを、シエスタは確かに見た気がした。
「ならばヴァルキリーとして、私は新たな英雄の門出を祝福しよう。お前は人として、最も辛く困難な道を歩み始めた。その死後は私が約束する。──ここに英雄の選定は成された」
「あ──ありがとう、ございます──」
心が奮え、感動に満ち溢れてくる。死後まで約束されたシエスタにもう怖いものはない。何の力がなくても、毅然として貴族の理不尽に立ち向かっていける。
その先に待っているものが何であれ、理想を貫いて生きていける。
今日この日、幼い英雄が平穏を脱ぎ捨てて産声を上げた。
場面転換してます。以下本編続きです↓
その後、どこか照れ臭そうな顔のシエスタの案内で、レナスたち三人は厨房にやってきた。
厨房では大勢のコックが自分達の賄いを食べているところで、三人を引き連れたシエスタは、その中でも壮年のコック長に話し掛ける。
「マルトーさん、例の賄いはできてますか?」
「おう、シエスタか。できてるぜ。聞いてたより人数が多いみたいだが、量だけはあるからそこで食べてくれ。連れの嬢ちゃんもだ」
シエスタは予め話を通していたようで、厨房の隅のテーブルにサンドイッチが山盛りに盛られた大皿が置かれていた。
「お、美味そうじゃねぇか」
舌鼓を打つアリューゼにシエスタは微笑み、レナスとメルティーナに顔を向ける。
「いっぱいありますから、皆さんも遠慮なく食べてくださいね」
シエスタは三人に席を勧め、残った椅子に座る。
サンドイッチは美味だった。
賄いといえども、基本的に余った材料で作っているから素材は貴族に出すものと変わりない。貴族が暮らす魔法学院に勤めるだけあって、コックたちの腕も確かだ。
その中でも金の卵のサンドイッチは絶品で、初めて食べるシエスタなどは傍から見ても丸分かりなくらいに顔が緩んでいる。
メルティーナもご満悦なようで、満足そうな表情をしており、見る見るうちにサンドイッチは数を減らし、なくなった。
豪快に一番沢山食べたアリューゼ、一見してそうは見えないが同じくらい食べたレナスとシエスタ、実は四人の中で一番小食なメルティーナと食べた量こそ違うが、概ね皆満足している。
レナス達三人は、シエスタとマルトーに例を言うと、食堂を出た。
用を終えたレナスがメルティーナとアリューゼの実体化を解こうとしていると、後ろからシエスタが走って追いかけてきた。
「あのっ、皆さん」
三人が振り返ると、シエスタははにかんだ笑みを浮かべる。
「ありがとうございました。私、これから頑張ってみようと思います」
シエスタの透明な笑顔に、レナスが神としての冷徹な表情を和らげる。ここでようやく、シエスタはレナスの雰囲気と口調が昨日と違うことに気付いたけれど、今はもうどうでもいいことだ。
「お前は自分の手で自らの進むべき道を決めた。──ならば私はその道を照らそう」
レナスが口にした言葉は、それこそ魔法のようにシエスタの心を捉える。そこまで言って貰えるのが嬉しくて、シエスタはレナスに感謝の気持ちをこめて深く頭を下げる。
そのシエスタの頭を近寄ってきたメルティーナが撫でた。シエスタが顔を上げると、メルティーナはいつも浮かべる不敵な笑顔ではなく、柔らかな微笑を浮かべた。
「途中で呆気なく死んだら笑ってあげるから、根性入れて生きなさいよ」
かけられる言葉は相変わらずきついけれど、メルティーナの表情を見たシエスタは嬉しくて頬を綻ばせた。
アリューゼが目を閉じて喉の奥で微かに笑う。
「まあ、頑張るんだな」
無骨な顔に浮かぶ笑顔が珍しくて、シエスタは思わずクスクスと笑う。
「ったく。笑うんじゃねぇよ」
額に手を当てて顔を顰めたアリューゼが、不満そうに文句を言うので、シエスタは満面の笑顔で笑って謝った。
「はい。すみません」
他愛無いこんなやり取りですら、温かい。
背を向けて遠ざかっていく三つの背中を、シエスタは見えなくなるまでずっと見つめていた。
いつか、自分も彼らのようにあの場所へ。そう思いながら。
以上、第四話投稿終了です。
代理投下ありがとうございます。
そうか、一行の文字数をオーバーしてたんですね……。
次から気をつけます。
1行が長すぎて書き込みにエラーが出たので一部改行を加えました。
作者様に確認をする前に修正してしまったことをお詫びします。
正式な物は代理投下スレにありますのでそちらをご覧下さい>読む人
>>871 こちらこそ、改行を加えずに投下してしまって申し訳ないです。
手間を掛けさせてしまったことをお詫びします。
ありがとうございました。
てかwiki登録後ですら
UXGA全画面表示でも自動折り返し入るってドウヨって事なんだけどな
戦乙女さん乙です!
いや〜、シエスタが仲間フラグとはな。
シエスタが使う必殺技・・・・以外と叫んでるのが目に浮かびやすいwww
シエスタがエインフェリアになったら、どの武器を使う事になるんだろうなぁ…?
大剣か、槍か、弓か……まず片手剣は無いだろうな(ぉ
GJ!
さて、ギーシュ君はどんな必殺技で昇天するのかw
どうも、お久しぶりです。
前の投稿から二ヶ月と随分経っていますが第7話を投下致したいと思います。
40分ぐらいからの投下を予定していますのでもしよろしければ支援の方お願いします。
なんとなくシエスタの決め技セリフっぽいを考えてみた
「私は……もう逃げない!」
「奥義!(必殺技名)」
「ヴァルキュリア様に楯突く者は、私が全てなぎ払う!」
支援だ!
待っていたぞ!
誇りある惨めな死か
惰性なる安穏な生か
それが問題だ・・・
GJです
ところで金の卵入りサンドイッチてw
「ヴァリエール家やトリステインの貴族様ってのはどうしてこう見栄を張るのかしらねぇ〜?」
「あ、アアンタたちとは違ってこちらには貴族として、てのプププププライドドドドがあ、あるのよ!!」
安易な挑発に乗りまくってどもりまくっているルイズに対しキュルケは顔に微笑を浮かべながら挑発している。
置いてけぼりにされたタバサは活字に目を通しながらもちらちらとその光景を眺めていた。
詳しいことは知らないが代々ツェルプストー家とヴァリエール家は犬猿の仲らしい。
お互い戦争の時には殺し殺され、ヴァリエール家はツェルプストー家に愛人を寝取られまくったりと、色々と凄まじい。
ふとタバサは肩を振るわせ顔を真っ赤にして怒鳴っているルイズを見て、彼女が召喚した変わった服を着た少女の事を思い出した。
あの時自分はキュルケと一緒にギーシュとの決闘を見に行ったが序盤から度肝を抜かされた。
使い魔召喚の儀式で見た針投げと、先住魔法と思われる空中浮遊。
そして一瞬でギーシュの背後に移動した正体不明の魔法、それに青銅のゴーレムを一撃で粉砕した謎の紙。
どういう仕組みか少し分からないが彼女はあの少女が持っている力をもっと知りたくなってきた。
そんなことを考えつつもタバサは活字から隣にいる紅白の少女へと視線を変えた。
―――隣には誰もいなかった、見えるのは棚にたくさん詰められた分厚い辞典だけ。
「?」
何処に行ったのかと思い、顔を動かすといつの間にかあの少女は書店の出入り口へと足を運んでいた。
ふと視線を動かすと表通りで一人の貴族―確かモット伯とかいう名前だったはず―が給士の手を掴んでいるのが見えた。
「いい加減見栄張るのはどうかと思うわよ〜?」
「アンタなんかに張ってないわよ!!」
一方ルイズとキュルケの二人の口げんかはそろそろキュルケの勝利で終わりそうであった。
ルイズは大声で叫んでいるため、息切れしそうなのだが…それにもかかわらず更に声を上げて叫んでいる。
店の者達が止めればいいのだがここを経営しているのは全て平民であるため。下手に声を掛けられないでいた。
「だいたいアンタたちゲルマニアの貴族は不躾なのよ!聞けば金さえ出せば平民でも貴族になれるらしいわね!!なんて非道い国!」
「毎年伝統やしきたりに拘りすぎてどんどん国力を減らしてる国が言える言葉?」
「うっ!!そ…それは。」
弱いところを突いたと思っていたら逆に突かれてしまい一瞬怯んだルイズだが再び口を開いた。
「と、トリステインの貴族達はアンタたちとは違って皆上品よ!!それだけは他の国に負けはしないわ!」
「じゃあ表で痴漢行為を働いている貴族は何処の国から来たのかしらね?」
そう言ってキュルケが外の方を指さし見てみると王宮勅使であるジュール・ド・モット伯爵が真っ昼間から女性の手を無理矢理掴んでいる光景があった。
一瞬ルイズは目を見開き口をポカンと開けていた。キュルケはそれを見てクスクスと笑うと追い打ちを掛けかの如くこう言った。
「あれじゃあ貴族の数が減るのは当たり前ねぇ。上品の『じょ』の字も無いわ。」
次の瞬間ルイズは荒ぶる獅子の如く猛ダッシュで入り口へと向かい突っ立っていた霊夢を突き飛ばし外へと出た。
キュルケと事がよくわからないタバサは口をポカンと開けただただ見つめていた。
「ルイズっ…!全くあの子…。」
さっきまでルイズをおちょくっていたキュルケが苦笑混じりにそう言い、床に倒れている霊夢に目を向けた。
「突き飛ばされたそこの紅白ちゃんは…大丈夫?」
「だから紅白紅白言うなって…あいてて。」
霊夢はズキズキと痛む頭を抱えてゆっくり立ち上がった。
突き飛ばされた霊夢はそのまま後頭部を本棚で強く打ってしまっていた。
「何かあった?」
事を理解していないタバサが少し目を丸くしてキュルケに話しかけた。
「あぁ…いやね?あの子をおちょくってたら外から声が聞こえて見たらトリステインの貴族さんが痴漢紛いの行為をしてるのを見て…。」
「それで止めに行ったって訳?イテテ…。」
霊夢は後頭部を手でさすりながらも外の方へと目をやった。
その頃、数時間ほど前にルイズが入った杖専門の店から出てきた男が騒ぎに気が付いていた。
「何かあったのか……?」
男は被っていた羽帽子を上にずらし音のする方へ目を向けた。
そこでは数人の人だかりが出来ており、新たに二、三人来るとほかの数人が追い出されるように去ってゆく。
それだけならただ一瞥するだけに終わり他の所へ行くつもりだったが人だかりの真ん中に貴族と話し合っている少女の姿が見えた。
その少女は綺麗な桃色のブランドヘアーで、まだまだ小さい身長。
それは親同士が決めた婚約者であり。小さな小さな彼の恋人であった。
「僕のルイズ…。」
彼はそう呟くと少女の元へと歩を進めた。
「あ〜らら、何か大変なことになってるわね?」
「なにがあ〜らら、よ。」
とりあえず外へ出たキュルケ、タバサ。それに霊夢は随分と展開が早くなったことに驚いた。
あの後猛ダッシュでモット伯の所へ接近したルイズがモット伯の手を掴み。素早く給士を自分の後ろへ下がらせた。
突如出現した少女に少し怒ったモット伯は今にもルイズに掴みかからん勢いだったがルイズも負けじとモット伯を睨む。
どうやら彼は相手があのヴァリエール家の三女だと知らないらしい。
「あなたの御主人様が大変な事してるわよ。止めに行かなくて良いの。」
行ってこいといわんばかりな風に言うキュルケはいかにも面白いものが見れるという目で霊夢を見ていた。
霊夢は首を横に振って返事をした。
「いやいや。いつあいつの従者になったのよ私は?でも…」
一呼吸置いて続けた。
「でもまぁ、確かにマシな食事と寝床を提供してくれているし。今日だってお茶を買って貰ったからあいつを守ってやらないとね。」
霊夢はそう言いルイズの所へ行こうとしたが自分の他にルイズの所へ行こうとした男を見つけた。
「ん、誰かしらアレ?」
霊夢は足を止め、その男を見て首を傾げる。
そのとき横からタバサが丁寧にも説明してくれた。
「恐らく、王宮の魔法衛士隊の一つ、グリフォン隊。」
「あれ、あんたも外に出てきたの?影が薄いからわからなかったわ。」
「………酷い。」
タバサのその言葉に霊夢は気まずそうな顔をして頭をかいた。
先ほど打った後頭部を掻いたため、再び頭を押さえることになったが…。
「すまない、モット伯とお見受けしたが。」
「あ……貴様、衛士隊の者か?」
ピンク髪の少女もといルイズと睨み合っていたモット伯は最中突如声を掛けてきた男に視線を向ける。
羽帽子を深く被っていて顔がよく分からないが付けているマントでその者が魔法衛士隊とわかった。
「左様。私は魔法衛士隊の内一つ、グリフォン隊の隊長です。」
男は帽子を取るとその場でモット伯に頭を下げた。
顔から見て年齢は20代後半といったところで。もう少し若ければ「美男子」と呼ばれるほどである。
ルイズはその顔に見覚えがあり思わずその男の名前を言ってしまった。
「し、子爵!ワルド子爵ですか!?」
ワルドという名前にモット伯は驚いた。
「なに!あの「閃光」の!?」
最近モット伯は「閃光」の二つ名を持つ魔法衛士隊隊長が活躍しているという話を聞いていた。
その仕事ぶりは熱心で、常に自身の魔法もしっかりと磨いているらしい。
「いかにも。」
そう言ってワルド子爵は笑顔でそう言った。
モット伯は数歩後退すると服装を正し、口を開いた。
「して、そのワルド子爵が何用でここに?」
最近街では悪徳役人、徴税官がいるらしいのでそれを取り調べるため街のあちこちに調査員や衛士隊が送られている。
モット伯自身はそのような事はしない。するといえば街での美少女さがしなものだ。
しかし万一と言うこともある、モット伯は冷静に対処することにした。
「いやなに、今日は非番でして。それを機に少し調子が悪かった杖の修繕をして帰るところでしたのだが…。」
ワルドはそう言い後ろにいるルイズへと視線を移した。
「何分そこにいるヴァリエール家の三女とあなた様が喧嘩をしていたので…。止めようとついつい。」
「ヴァ…!?ヴァリエール家の三女…まさか!」
モット伯は先ほどまで睨み合っていた少女があの名家の三女だと信じられない顔つきでルイズの方を見て、すぐに なるほど… と呟いた。
「…目元はあの「烈風カリン」にそっくりだ。」
「でしょ?だから今正に起ころうとしていた荒事を止めに来たのです。」
そう言ってワルド子爵はモット伯の傍によるとポンポンと肩を叩き、あることをモット伯の耳に直接吹き込んだ。
「それにミス・ヴァリエールはあのアンリエッタ王女と幼少の頃遊び相手として付き合っていて、私とは親同士が決めた婚約者
もしここで厄介事を起こしてしまい彼女が怪我をしてしまったら王女様に何を言われるかわかりませんよ。まぁそれ以前にこの私が許しはしませんが。」
ボソボソ声だったので周りには聞こえていないが遠目から見たらモット伯は体を小刻みに震わせていた。
「もしあなたがここで下がってくれるなら今回のことは目をつむっておきましょう。」
「あ…ああ。」
モット伯はコクリ、と頷くと後ろで待っていたお供の傭兵達を連れ急いで町の中へと消えていった。
そのあとルイズは大きくため息を吐くとそのままペタンと地面にだらしなく座った。
「やぁ、久しぶりだね。大丈夫だったかい?」
ワルドは凛とした声で地面に座ったルイズに手を差し出すとルイズはワルドの手を取り再び立ち上がった。
「あ…?えぇ、子爵様も…」
その時ルイズの後ろから出遅れてしまったキュルケ、タバサ、霊夢の3人がやってきた。
「あら?いい男じゃない。」
「全く…助けがいたなら最初から言いなさいよ。」
「………。」
ワルドはやってきた3人の内、特に変わった服装をした霊夢を見て、興味深そうに言った。
「ほぉ、後ろの3人は君の友達かい?」
「いえ、友達とかそういうのでは…というか霊夢は私が召喚の儀式で呼んだというか…呼んでしまった…とか。」
ルイズはワルドの顔を見てしどろもどろに言った。
ワルドはそんなルイズに軽く微笑むと霊夢の方に顔を向けて話しかけた。
「と、いうことは君は彼女の使い魔かな?」
ワルドの発した「使い魔」という言葉に霊夢はムッとしながらも返事をした。
「使い魔っていうな。私には博麗霊夢っていうちゃんとした名前があるのよ。」
霊夢は鋭い睨みでワルドを見つめてそう言った。
ワルドはそれに両手前に出し苦笑いしながら答えた。
「あ…気を悪くしたなら、謝るよ。何せ人一人が召喚されたという前例は見たことも聞いたこともなかったから。」
「別に、気を害したわけじゃないから。」
いっそう強まる霊夢の睨みにワルドはただただ苦笑いするしかなかった。
後味悪くワルド子爵と別れ。ある程度の本を買った霊夢とルイズ達はすぐに学院へと戻っていた。
ちなみにキュルケとタバサはまだ買いたい物があるから残ると言い、ルイズが助け学院の給士はもう少し寄る場所があると言って町の入り口で別れた。
帰ってきてから机に買ってきた新書を置き、霊夢はとりあえず一冊を手に取り開いてみたが文字が分からないためチンプンカンであった。
「まず…するべきことは文字の勉強ね。」
そんな霊夢を見てルイズは額に手を当てため息を吐くとタンスから紙と黒インクが入った瓶、それに羽ペンを出し机の上に置いてある新書の上に紙とインク瓶を置いた。
「あんた、私の言葉はちゃんと分かるんでしょ?」
「うん。ちゃんと分かるわ。」
霊夢がそう言うとルイズは羽ペンの先にインクをつけ、紙に文字を一つ書いた。
その字を見て再び頭を傾げる霊夢。
「なにこれ?」
「これは『あ』よ、『あ』。」
それを聞いて霊夢は「なるほど…」と言った。
文字は読めないが言うことはわかる。つまり「聞かせて覚える」という方法である。
ルイズは次に四つの文字を書き霊夢に見せた。
「これが『い』、これは『う』。んで『え』と『お』よ。」
霊夢の耳にはちゃんと自分の世界の言葉で流れてくる。非常に不思議だがこれはこれで便利である。
(でも…これってなんか凄く恥ずかしいわね。平仮名を教えて貰うなんて子供の頃以来だわ。)
心でそんなことをぼやきながらも仕方ないと割り切り、ルイズに文字を教えて貰っている霊夢だった。
トリステイン魔法学院のとある一角。
そこはとある塔の頂上にあり、ドアを開ければ目の前には大きな門がそびえ立っている。
その門の前にフードを被った一人の女性がいた。懐から杖を取り出し短い詠唱の後、門の鍵を閉めている錠前目掛けて杖を振る。
杖から出た緑色の霧はしかし、あっさりと拡散してしまい。『解錠』の呪文を無効化してしまった。
女性は小さく舌打ちすると腹いせに門を一蹴りしてやろうと思ったが先ほど入ってきた出入り口から人の声が聞こえてくることに気が付き、慌てて柱の影に隠れる。
「ここが宝物庫か…赴任してから初めて見るな。」
「ま、ここの警備は退屈だからいつもよりかは昼寝できると思うぜ。」
その言葉遣いからして学院の警備をしている衛士達であろう。着込んでいると思われる金属が擦り合う音も聞こえる。
「そういえばこの前コルベールっていう教師がここについて詳しく教えてくれたんだよ。」
「なになに?」
「『この門は多数のスクウェアメイジ達があらゆる呪文に対抗するために設計したのだ。』って言ってたんだよ。」
「へぇー…それじゃあ俺たち平民どころか並大抵のメイジでも開けれそうにないな。」
そこまで聞き、女は忍び足でここから出ようとしたが次に出た言葉で思わず足を止めた。
「でもその代わり塔の外壁は滅茶苦茶でかいゴーレムが物理攻撃をくわえれば簡単に壊れるらしいぜ?」
その言葉を聞き、女はフッと小さく鼻で笑い、静かにその場を去った。
日が開けて翌日…ルイズに一通り文字を教えて貰い。続きは今日の授業が全て終わった後にという事となった。
ルイズと朝食を食べ終えた後、霊夢は厨房の方へと足を向けた。
霊夢が足を止め、目の前にある大きな建物を見上げていると中へ入る前にこちらに気づいた一人のシェフが霊夢に近づいてきた。
「お、誰かと思えばレイムじゃねえか。どうしたんだ?」
彼の名前はマルトー、この厨房を取り仕切る料理長である。
何故マルトーが霊夢のことを知っているかといえば…それはギーシュとの決闘から翌日の夜である。
夕食を食べ終えた後、今更ながら風呂に入っていないことに気づいた霊夢はルイズに風呂がないかと聞いてみた。
どうやら貴族専用と平民専用の風呂が二つあるらしくそれを聞いた霊夢はとりあえず貴族専用の風呂に足を運んだ。
そこは水面に色とりどりの花が浮いており、空間を香水の匂いで満たしていた。どうやら香水風呂だったらしい。
こんな風呂に入りたくない霊夢は諦め平民専用の風呂にも寄ってみたがそこも駄目であった。
霊夢にとってそれは『サウナ風呂』であり、まともなお風呂がないことに霊夢は思わず舌打ちをし辺りを見回した。
ふと一人のコックが大きな建物の入り口の横に大人三人くらいが入れそうな大鍋を置いているところを見た。
そして近くに置かれている大量の赤レンガ。ふと霊夢の頭にある考えが浮かぶ。
『お風呂が無ければ自分で作ればいいのだ。』
すぐさま行動に移すべく霊夢は早歩きで建物の入り口で休憩している男の近くに寄った。
「ねぇねぇちょっと。」
「ん?おめぇは昨日魔法を使ってた…貴族様が何のようですかい?」
男は明らかに嫌な目と言い方で霊夢に言った。
マルトーは貴族が大嫌いな平民であり、理由は魔法を使えると言うだけでいばり、食事を提供しているのにお礼の一つもしないからそりゃ嫌いになる。
どうやらこの男、貴族嫌いの平民らしい。霊夢は察知し、ため息を吐くと口を開いた。
「失礼ね。私は貴族とかそういうのじゃないわよ、それに貴族も平民も同じじゃないの?」
「ほぉ、何処が違うんだい?」
その後数分くらい話しが続き「魔法さえ使わなければ同じ人間。要は公平に見ればいいだけのことよ。」という言葉で終了した。
男は最初こそは嫌な目で見ていたが段々と目の色が変わっていき、話が終わった後は笑顔で霊夢の背中を軽く叩いた。
「公平に見ろ、か………貴族様々の世間にまだそんな考え方をする奴がいたとはな。気に入った、お前さん名前は?」
「博麗霊夢。霊夢って呼び捨てにしても構わないわ。」
「レイムか…変わってるが悪い名前じゃねぇ。俺はマルトーだ。」
そういってお互い握手した後霊夢はマルトーに事の用件を話した。
「成る程、まともな風呂がないからこの大鍋とレンガを使って自作するのか…お前一人で運べるか?」
マルトーがペチペチと大鍋を叩きながらそう言い、今日と昨日の疲れがまだ少し残っていた霊夢は思わず首を横に振った。
それを見たマルトーが「なら運ぶのを手伝ってやるよ。なに、仕事ならもう終わったしな。」と言い鍋を人が余り来ない草むらへと運んでくれた。
次に霊夢は持ってきた大量の赤レンガを暖炉のように積み重ね、その上に鍋を置いた。
「で、後は鍋の底に木の板を敷いて…中に水を入れて暖炉に薪をくべたら…あとは燃やすだけ。」
それを見ていたマルトーは思わず手を叩き、満面の笑みで霊夢の側に寄った。
「おめーさん結構風呂が好きなのか?こんな面倒くさいこと、魔法使う連中はやりそうにねぇぜ。」
その後霊夢はマルトーにお礼を言った後、服を脱いで風呂に入ろうかと思ったがマルトーが「一杯飲んでいかないか?」という誘いで風呂にはいるのは明日にすることにした。
そして再び今の時間に戻る…
「ほぉー…ティーセットを一つ貸して貰いたいと。」
「昨日町でルイズにお茶を買って貰ったから飲んでみようと思って。」
「そんな事ならおやすい御用さ。ちと待ってろ。」
そう言うとマルトーは厨房の奥へと消えていった。
数分入り口で立ち往生しているとマルトーが一人で戻ってきた。そしてその後に黒い髪と黒目の給士がティーセットを持ってついてきた。
「あれ!あなたはあの時ミス・ヴァリエールの後ろにいた…。」
「ん、シエスタ。レイムと昨日何処かであったのか?」
「この子町で何処かの変態貴族に手を無理矢理掴まれていたところを見かけてね…まぁ助けたのは別の奴だったけど。」
「あの時は本当に助かりました。なんとお礼を言えばよいか…。」
「いやぁ〜私が助けた訳じゃないからそんなお礼されても…。するならあの羽帽子を被ってた男の方に…」
そんなとき、何処からか物凄い爆発音が聞こえてきた。
888 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 19:56:42 ID:/tMZuTkR
誰かメトロイドシリーズで書いてくれないかなぁ
以上です、今回は少し長かったと思います。
これから少しペースを速めていきたいと思います。
あと最初に書き忘れておりましたが最近になってまとめwikiに掲載させて貰っている話しをちょくちょく加筆、修正しております。
今回の話しも先にまとめに載せてある話しを一通り全て見れば分かると思います。
無重力の人乙
>>888 さぁ、今すぐまとめスレを隅から隅まで読む作業を再開するんだ。
戦乙女の人乙!
VPはかなり好きだから期待
ギーシュ戦からどう変わっていくのか気になるところ
金の卵…
シエスタのステータスが大変な事にならないか?w
無重力の人乙。霊夢らしい。
というかほんと貴族社会は酷いなおい。
ところで、BIOSHOCKのビックダディ召還とかはどうだ?
「やっちゃえ、ビックダディ!」と言うルイズを見てみたい。
ビッグダディはすごく…臭いです…
その後ギーシュに注射器突き刺すんですね
神ぬ(待て!)巫女の人GJです。
普段はほとんど働かないくせに必要となるとちゃんとがんばる所なんかは実に霊夢らしいな。
(一応は)一般人のシエスタを安易に強キャラ化するのはどうかと思うけどねー
メトロイドのサムス召喚最後の四行
今日のアンリエッタ女王
銀河ネットワークの魔法少女ものハマッてしまい、今日も変身してマザリーニの胃にクリティカル!
今日のマザリーニ
アンリエッタと子供達から怪人扱いされて不貞腐れて寝る。
鳥の骨哀れ
こんばんは。
10分後に投下します。
そのタイトルなんとかしれ
じゃあドキドキ第五ドール真紅さんの後に予約させて下さい。
投下終了後十分後ぐらいを目安に投下しますです。
深い赤色のボンネット帽から流れ落ちる金の髪は、勢いと重さが同居しあい波打つ滝の
ように、肩口を撃ち、そして幾重もの円を描いて足元まで靡いている。人間の容姿は乱数
によって決まるものだ。神がデザインした、そういう表現も耳にすることはあるが、神が
デザインしたという表現に恥じぬ容姿を偶然によって持ち生まれた、正しくはこうだろう。
その幸運を手繰り寄せた誰かが、例えば王族であったり、あるいはそれに順ずる何らかの
説得材料を併せ持っていたとき、神がデザインした、という言葉に説得力が生まれるのだ。
この少女の容姿には、別段説得材料がない。私のサモン・サーヴァントに喚ばれて現れ
た、それが何だと言うのだ。そこまで自意識過剰じゃない。つい先ほど見せた摩訶不思議
な魔法? これもだめだ。魔法において異端であることは嫌悪の対象となる。私は知って
いる。
だからそう、人によってデザインされた、あるいはだ。人の執念によって生み出された。
そういう印象を、私は彼女から受けた。私の使い魔、使い魔となるべき者の向こうに、誰
かの意志が見える。ぞっとしない。私は首を振って、持ってしまったイメージをどこか彼
方に捨てた。
今はそれよりも、「完全に逆よ。お話にならないわ。ルイズが私の下僕、私は主人」こ
の澄ました顔の使い魔に、己の立場を諭すことが先か。これは深刻だ。
「真紅、あなたも聞かないわね。私とキスしたでしょ? あれはコントラクト・サーヴァ
ントっていって……」
「指輪へのキスが従順の、契約の証なのだわ。今更言い逃れしたって」
「とにかく! あなたは私の使い魔なの!」
言葉も通じるし、話も通じている。ただ、お互いに認められない一点があって、解らな
いふりをしているだけだ。一度通した指輪は、するりと私の指の上を滑り、一切の抵抗な
く嵌ったというのに、上手く抜けない。こそこそと、彼女が主張する方の契約の証らしき
指輪を隠せぬものかと服の袖を引くが、無理があったようだ。誰も居ない授業中の廊下に
立つ私がなんだか矮小で、唇を噛んだ。
「そもそもね、体のどこかに契約のルーンが刻まれているはずよ。それを見れば、あなた
も使い魔って立場に納得するでしょ」
そうだ。それを見れば真紅だって、自分の立場を理解するはずだ。
「それを言うなら、ルイズ。あなたが指に嵌めた薔薇の指輪。それがあなたが私の下僕で
ある証拠だわ。納得した?」
私は自分の手を見た。薔薇の意匠の指輪が私を見返した。むかつく。
「無理に決まってるでしょ。……そうね」
「そうよ。無理に決まってるのだわ」
一拍の間が、私たちの間を通り過ぎていった。塔の中央を貫く螺旋階段は静かだ。私の
足音が煩い。いくつかの教室のドアから漏れる、教師たちの声は小煩い。そういえば授業
中だった。憚らぬお喋りは拙いかもしれない。
「保留よ!」私は主導権を持ちたくて、若輩を諭す年長者の顔を繕って彼女を見つめた。
「……そうね。そうしましょう」
もう少し話し合う時間があったら、私の使い魔だってことを絶対に認めていたわ。そう
口に出していたら、負け惜しみになってしまっただろうか。
後れ足を最後の階段から離す。真紅を抱えながらの移動は些か厳しかったようだ。乱れ
た息を整えることに少し時間を費やす。教室のドアは開いていた。
「ヴァリエールです。ただいま戻りました」
「おや、待っていたよ。早く入りなさい」
そういえば、監督はミスタ・コルベールだった。今どき流行らない、生徒思いの良い先
生だ。終わってみて、使い魔召喚の儀の監督が彼で良かった。
「ゼロのルイズじゃないか。道草でもしてたのか? 広場からこの教室まで、障害物は無
かったはずだよ。少し息が上がってるじゃないか」入り口に近い席に座る生徒が、私の悪
口を言った。声音で誰だか解ったので、見ても不快になるだけの顔は見ない。代わりに彼
の隣の、敷かれたハンカチに座っている使い魔を見る。ねずみだ。
「ごめんなさい。授業中だし、話があるならまた今度にして」
そう言って、私は彼の前を通る。他の生徒の目がなければ、不躾にも、鼻で笑ってし
まっていたかもしれない。
教壇まで歩き、簡素な椅子に座るミスタ・コルベールの前に立った。彼の手の中には、
生徒全員の使い魔の種族が書かれていると思しき紙と、それが貼り付けられた板がある。
私以外の欄はもう埋まっているのか、彼は提出用の紙を渡すことなく、「口頭でかまわな
いよ」と言った。
「彼女はローゼンメイデンという種族で、真紅と言います」
ミスタ・コルベールがさらさらと書き取る。ローゼンメイデン、小人? 少女の姿。こ
ういうメモが付け加えられた。あまり綺麗ではないが、どこか味のある字だ。中年で髪の
貧しい教師だが、見た目通りの字を書くのだな。そう思った。
少し意識が他所に行っているのを見咎めたのか、声が私の耳を打つ。
「何の話?」視線を手元に落とせば、真紅が私の顔を見ている。
「私の使い魔が誰か、っていう話よ」
「……卑怯なのだわ」彼女は拗ねたように眉を寄せ、唇を尖らせた。
「そういう授業なんだもの」
私の腕の中で、小さなあごを引き、僅かに膨らんだ頬が愛らしい。ずるをしたという自
覚はあったが、仲違いはしたくない。下僕は駄目だ。下僕は駄目だが、どこかに妥協点を
見つけられはしないだろうか。
「ああ、そうだ。小さいとはいえ、君が召喚したのはその、女性だろう?」
教壇の前で、少ないやり取りとは言え立ち話をしてしまった私たちに、ミスタ・コル
ベールが言った。何かを躊躇うように口を噤み、一拍の間を置いてもごもごと動かした。
「ええと……いや、ほら。解ってくれ。その場で印がどこに刻まれたか、調べるわけにも
いかないというか……」額や手の甲に印が現れたならともかく、と彼は付け加えた。
確かに。青空の下で淑女の服を脱がせるだなんて、そんな馬鹿なことはない。私は真紅
を上手い具合に抱えなおして、軽く頭を下げた。
「解りました。後で確認しておきます」
「ああ、頼むよ。問題はないと思うが、何かあったら私か、そうでなければ女性の教師を
探して相談しなさい」
「はい」私は少し笑みを漏らして、頷いた。やはり良い先生だ。
支援ッ
インクの海にペンの先を漬け込んで、打っては寄せる黒い波。またやってしまった。私
はため息と共に塵紙を取り出して、ペン先をぬぐう。光の角度によって青くも黒くも見え
る愛用のインクが一際青く見えるとき、私は無性にそれを波が立つまでかき混ぜたくなる
のだ。悪癖だという自覚はあるが、なかなかどうして直らないものだった。
「何をしているの?」ベッドに腰掛けた真紅が言う。
「日記を書くの。お昼だけど」
そう、昼間だけれど。部屋に戻って、マントを壁にかけ、私はポケットから出した手帳
を机に置いた。母の助言が沢山書かれた手帳だった。そして、インクにペンをつけた。今
日の成功を、書き残して置こうと思ったのだ。記憶は鮮明な方が良い。幸い今日の午後に
は用事がなかったし、まだ昼だというのに、書きたいことが沢山頭に浮かんで消えていく。
全て消えてしまう前に、出来るだけ残しておきたい。
ふとした拍子に、インクのキャップが机から落ちた。ベッドの近く、真紅の足元まで転
がっていく。
「あ、真紅、取って。お願い」机を向いたまま言ってみる。
真紅は一言頷いてから、短い体をぐっと伸ばして床に降り立ち、音を立てずにキャップ
を拾い上げたようだった。そのままとことこと私のところまでやってくる。
「はい。不注意ね」
「ありがとう、うん。気をつけるわ」
背伸びして私にキャップを差し出す彼女の姿が愛らしかったこともあるが、それは小さ
いことだ。私の声一つでベッドから立ち上がり、キャップを拾い、ここまで持ってきた。
私のために何かをしたということが重要なのだ。
初めはどうなるかと思われたが、次第に使い魔の立場を解ってきたようだ。私はこの文
を手帳の最後に記して、ペンを置いた。夜にまた書くので、スペースは半分空けておく。
「あ、そうだわ。ルイズ?」再びベッドに腰を据えた真紅が言う。
「なあに?」
「膝掛けが欲しいの。あなた、ハンカチを一枚貸して」
「良いわよ」
私はペン立てにペンを預け、椅子から立ち上がった。淑女としてポケットにも一枚用意
してはいたが、自室に居るのだし、そもそもポケットに入れたハンカチは人に貸す物では
ない。箪笥から白いそれを一枚出して、ついでとばかりに真紅の膝にかけてやった。
真紅が私の顔を見る。結んであった唇が開く。さあ、使い魔らしく主人に礼を言いなさ
い。頭はきっちり六十度下げて、ありがとうご主人様。こうよ。
「ありがとう。下僕の立場が解ってきたようね」
私は椅子に座りなおし、閉じた手帳を開いた。そして最後の一文に取り消し線を引いた。
投下終了です。
ありがとうございました。
>>901さんを支援
すげえ、真紅とルイズ、二人ともタチだわ。
近い将来お互いを牽制し過ぎて、回りからレズだと思われてしまう気がする。
デレる姿がまったく想像できないのが凄い、ぐっじょぶです。
「あんた誰?」
はじめに視界に入ったのは、抜けるような青空だった。
そのとき自分は呆けていたのだろう、口を半開きにして、頭にクエスチョンマークを浮かべていた気がする。
「ちょっと、何か言いなさいよ?」
空は青い。
ボルテクス界の淀んだ明かりではなく、敵意を含んだ光でもなく、ひたすら重く暗い闇でもなく、ただひたすらに青い。
「ちょっと!聞いてないの?」
「ミス・ヴァリエール、下がりなさい」
視線をほんの少し下げると、ほんの三メートルぐらい向こうに、ピンク色の頭髪を持ちマントを付けた少女がいた。
その少女の肩に、おでこと頭頂部を中心に肌色が見える細面の中年男性が手を置いて、少女を下がらせようとしていた。
「で、でも、召喚が」
「下がりなさい」
男性は先ほどよりも静かな、それでいて強い意志を秘めた言葉で少女を下がらせる。
その瞳は殺気こそ含んでいないものの、警戒心を決してゆるめない強靱な意志を感じさせていた。
それよりももっと後ろの方では、遠巻きに少年少女達がこちらを見ている、よく見るとバグベアーやサラマンダー、フクロウにカエル、竜のような生き物までこちらを注視していた。
少年少女達は、年の頃14〜18だろう、それに比べて目の前に立つ頭の禿げた男性は明らかに年長者だ。
「……貴方は何者ですか?言葉が通じるのなら、返答して頂きたいのですが」
「へっ?」
俺は思わず、気の抜けた返事をしてしまった。
改めて目の前の男性を見る、相変わらず気を抜かずこちらを見据えて、右手に何か棒のような物を持っている。
周囲は草原、ビルも見えなければカグヅチの光も見えない、そして闇の行き着く先にあった皆既日食のようなものも無い。
何よりも大地が…大地がどこまでも広がっている。
「えーと、あの、すいません。ここ、どこですか?」
「ここはトリステイン、魔法学院の管理する草原です」
「トリステイン?」
「はい」
頭の禿げた人が俺の質問に答えてくれる、最初は警戒心が強そうな怖い人かと思ったが、もしかしたら悪い人じゃないかもしれない。そう考えて俺は照れ隠しに後頭部をポリポリと掻いた。
「!」
照れ隠しの動作にも、頭の禿げた人は過敏に反応する、棒のような物を一瞬だけぶれさせたが、その先端は明らかに俺の胸、首、口を狙っている…って言うかもしかして俺は警戒されているのだろうか?
「あのー、ちょっとお伺いしたいんですが、わたしはどうしてこのような場所にいるんでしょうか」
「……それは、ここトリステイン魔法学院で行われた儀式のためです」
儀式とは、何の儀式だろう?そう思った俺が質問すると、先ほど禿げの男性に下がらせられた少女が俺の前に立ちはだかり、言葉を遮った。
「儀式、ですか。それって何の」
「使い魔召喚の儀式よ! 言葉が通じてるならちゃんと質問に」
「ミス・ヴァリエール!下がりなさい!」
禿頭の男性は、ピンク髪の少女を咄嗟に下がらせた。
どうやらあの少女はミス・ヴァリエールと言うらしい、でもミスってのは未婚の女性のことだよな、ということはヴァリエールって名字か名前だろう。
しかしちょっと待って欲しい、今とても聞き捨てならない単語が出てきた気がする。
「使い魔召喚って…え? じゃあ、まさか俺呼ばれたの!?その、召喚で!?」
「………」
辺りをキョロキョロ見回しながら狼狽える俺を見て呆れたのか、少女は不機嫌そうに眉をひそめて俺を睨んだ。
禿頭の男性も呆気にとられたのか、口を半開きにしている。
「ミスタ・コルベール!召喚のやり直しをさせてください!こんな変な格好をした平民が召喚されるなんて、間違いです!」
「ななな、なんと!」
ヴァリエールという少女が禿頭のミスタ・コルベールに詰め寄る、変な格好とはまた酷い言われようだ、思わず心中で『おまえらの髪の毛の色も変じゃ!』とツッコミを入れたかったが、大人としてちょっと情けない気がしたので我慢した。
「待ちなさい。とにかく、一度オールド・オスマンに相談をしましょう!」
「で、ですが…」
納得いかない、といった顔でこちらの顔を伺う少女と、何か腫れ物をさわるような目つきでこちらをチラ見するコルベールさん。
このままだと話が進まなそうなので、とりあえずこちらからもう一度質問してみた。
「とりあえず、ここに呼ばれた経緯とかをもうちょっと細かく説明してください。それと……あんまり考えたくないんですが、後ろにいるドラゴンとか、うねうねした動物たちも『召喚』されたんですよね?」
「え、ええ」
引きつった笑顔で答えるコルベールさん。その表情にはどこか申し訳なさも感じられた。
それにしても皮肉な物だなあ…と思ってしまう。今まで仲魔を集め、時には力でねじ伏せて言うことを聞かせ、必要な時に呼び出して利用してきた。
そんな自分が召喚されてしまった、これもきっと仕方のない事だろう、いつの間にか俺は半人半魔から、ただの悪魔になってしまったのだ。
……半人半魔と言えば、ダンテならこの少女にも『格好いい』なんて言われてただろうか?もうちょっと格好いい姿になりたかったなあ。
「とりあえず、トリステイン魔法学院の責任者に会って頂きたいのですが、よろしいですかな?」
変な妄想に囚われた俺に、おそるおそる声をかけてくるコルベールさん。
「わかりました。ええと…コルベールさんでしたっけ」
「はい。自己紹介が遅れました。私はジャン・コルベール。トリステイン魔法学院の教師です。今回行われた『春の召喚の儀式』で引率を勤めています」
「へえ、教師…ってことはこの子も後ろの皆さんも生徒?うわー国際色豊かだなあ」
「国際色ですか…まあ留学生もおりますから、あながち間違いではありませんが。歩きながら話を続けてもよろしいですか?」
「ええ、お願いします。いやあ僕召喚されるなんて初めてなんでびっくりしちゃって…」
ちょっとだけうち解けたのか、コルベールさんは笑顔を見せてくれた。
でもヴァリエールさんは俺を睨んでた、ちょっと悲しい。
このままでは悲しい気もするので、俺は勇気を出して少女の前に手を出した。
「俺は……人修羅。よかったら君の名前も教えてくれないか」
「……ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
少女の名前は長かった。覚えきれないからルイズと呼ぼう、ルイズちゃんは俺の差し出したてを一瞥すると、不機嫌さを隠さずにそっぽを向いて歩き出してしまった。
…俺はやっぱり変態とか変人だとか思われてるんだろうか、ボルテクス界で洋服拾っておけば良かったかなあ。
■■■
トリステイン魔法学院は、ハルケギニアというこの世界でも由緒正しい魔法学院らしい。
コルベールさんがそんなことを話してくれた。
折角だから学生だった頃を思い出してコルベール先生と呼ばせてもらうことしたら、ひどく驚いた様子だったが気にしない。
コルベール先生は、ドラゴンを従えた青い髪の小柄な少女と、ポケモンより大きそうな火トカゲを従えた学生とは思えない色気の女性に何かを言付けていた。
青い髪の少女は一言で言ってロリだ。もう一人は赤い髪の毛に褐色の肌、ものすごく健康的な大人の女って感じだ。
二人と、他の生徒さんたちは皆空を飛んで行ってしまった。
人って空を飛べるの!?と驚いた、呆れた。
正直言って、メギドやディアの魔法より、空を飛ぶ魔法を覚えてみたかった。
空を飛ぶ魔法が俺にも使えるなら、是非覚えたい。タケコ○ターで空を飛ぶ夢がちょっと違う形で叶うかもしれないのだから。
前を歩くルイズちゃんを見る、ボリュームのあるピンク色の髪の毛が力なく揺れていた、考えてみればこの子もけっこう綺麗だ、不機嫌そうな表情が笑顔になったらグッと来ちゃうんじゃないだろうか?
それにしても髪の毛の色が多種多様でしかも鮮やかだ、染めているのか気になったが、コルベール先生がそれを否定してくれた。
古くから血を継承し続けている貴族は、皆特徴的な色を継承しているらしい、貴族ではないが黒髪の人も茶髪の人もいるとか。
「ところでコルベール先生、俺みたいにこの…模様みたいなのが入った人っていますか?」
「いや…それは私の知る限りでは見たことはありませんね。東方や南方には、こことは異なった風習の人も住んでいると言われています、そういった人達ならあり得るかも知れませんが」
「なるほど」
こんな調子で、コルベールさんはいろんな質問に答えてくれた。
ハルケギニアという世界、東方にあると言われるロバ・アル・カリイエ、ハルケギニアの貴族の祖となった始祖ブリミル。
改めてここが別の世界なんだと思いつつ、空を見上げた。
空は青くて、雲が時々流れてくる。
澄んだ青空の下を歩ける幸福感は、すぐ別の、申し訳ないという感情に変化してしまった。
先生と、千晶、勇……自分のせいで再生することもなく滅んでしまった東京、日本、世界に申し訳が無くて、心の中で『ごめん』と呟いた。
■■■
魔法学院の本塔。
ビルみたいに大きい塔の中に、学院長の部屋があった。
コルベール先生に連れられて部屋に入ろうとしたが、その前にルイズちゃんは部屋で待機するようにと言われ、眼鏡をかけたこれまた綺麗な女の人に連れ添われてどこかへ行ってしまった。
エメラルドグリーンの頭髪は、初めて見るとキツイ、けど二〜三度まばたきをしているうちに慣れてしまった、だって美人なんだもんあのお姉さん…。
気を取り直して、学院長室に入ると、貴族が魔法を学ぶ学校らしく学院長室も綺麗に整えられていた。
悪魔になる前に、NHKの深夜放送で見たイギリスだかフランスだかのお城の一室に雰囲気が似ている気がする。
「ようこそ。ワシがこのトリステイン魔法学院の学院長オスマンじゃ」
「どうも。はじめまして。僕は人修羅といいます」
俺が名前を名乗ると、オスマンという老人は顎から伸びる長い髭を撫でながら、不思議そうな顔で俺を見た。
くすんだ紺色のローブに、長い杖、長い白髪と、口元をほとんど隠してしまう立派な髭、いかにも魔法使いって感じのオスマンさんを見て、俺は内心で『魔法使いだ!漫画みたいだ!』と叫びながら小躍りしたい気分だった。
とりあえず学院長というぐらいだからオスマン先生と呼ぼう。
「ふーむ……君がミス・ヴァリエールに召喚されたのかね?」
「自分ではよく解らないんですが……コルベール先生が一部始終を見ていたらしいですし、僕も仲魔を召喚していたことがあるので、僕も同じように召喚されたんじゃないかと思っています」
「ふむ。コルベール君から話を聞いたかもしれんが、君のような魔力を持つ存在が召喚された前例は、ワシの知る限りでは存在しないんじゃ。コルベール君が君を警戒したかもしれんが、生徒の安全を思ってのことじゃ、許してくれないかのう」
「はぁ……そうなんですか」
思わずため息をついてしまった。
危険物扱いされているのはうすうす感づいていたが、改めて言われるとちょっとショックだ。
ハルケギニアという世界に聞き覚えはないが、ここにいる人たちは間違いなく『人間』だ。
久しぶりに人間と会話できて喜んでいたが、その人間から危険視されてしまうこの現実が辛かった。
「ところで、俺の扱いはどうなるんですか?召喚された以上は、無茶な事でない限りあのルイズって女の子につきますけど」
俺がそう言うと、コルベール先生とオスマン先生は驚いたような顔をした。
「使い魔になるというのかね?」
オスマン先生はテーブルに肘を突いて、こちらをのぞき込むように身体を前に傾けた。
「条件次第ですかね。コルベール先生が教えてくれましたけど、この世界の使い魔ってメイジと一生を共にするとか……それが僕の考えてる『仲魔』とは違うんで、説明をしてほしいんです」
「ふぅむ…そうじゃなあ、まず、サモン・サーヴァントについて説明しておかねば」
オスマン先生との話では、サモン・サーヴァントは使い魔を『ハルケギニアから呼び出す』ものであり、別の世界から呼び出されることは無いらしい。
それだと自分が呼ばれた説明が付かない…と思ったが、ハルケギニアでアクマが召喚されるようなことでもあれば、俺が呼び出される可能性はゼロではない。
もっともその場合、この世界には俺の仲魔も召喚されているかもしれないのだが……アマラやボルテクス、仲魔などの言葉が知られていないので、その可能性は低いだろう。
何らかの要因で、突発的に、俺だけがこの世界に呼ばれてしまった…そう考えた方がいいかもしれない。
ついでに、『風韻竜』『エルフ』といった単語に心当たりがあるかとも聞かれた。
エルフはまあ存在しないことも無いが、この世界で言われているエルフはサハラという砂漠に住む存在らしいので、俺が知っている仲魔とは違うだろう。
風韻竜についてはまったく心当たりがない、風韻竜とは人語を理解する程の知能を持ち、もはや存在しないと言われる希少種らしい。
『夕飯に中国料理が食べたい』と言って青龍を困らせていた俺には、喋る竜なんて珍しいと思わなかったが、この世界では違うようだ。
話が進み、俺が半人半魔の存在だと話したところで、何かひらめいたのかコルベール先生が「それが原因かもしれません」と呟いた。
亜人と呼ばれる人間に近い存在なら、召喚されることもあるらしい、つまり俺は人間としてではなく悪魔として呼び出されたのではないか…とのことだった。
サモン・サーヴァントで召喚される使い魔は、メイジと一心同体であり、使い魔の契約は一生の物、そして未だ才能の開花しないメイジにとっては、メイジの性質や方向性を決める大事な存在でもあるらしい。
魔法学院では二年目からより専門的な分野の学習をするので、二年生への進級テストを兼ねた使い魔召喚の儀式で、その生徒の力や方向性を見るそうだ。
…俺って何だろ?
車椅子に乗った、金髪の老紳士は俺を見て『新たな闇の悪魔が産まれたのだ』と言ってたから、俺の属性は闇なのだろうか?
でも、それはおかしい。
俺が得意とする技『破邪の光弾』はその名前の通り邪悪を排する、けれどその一方で『ベノンザッパー』みたいに毒々しい技も使える、仲魔だって魔神もいれば天使もいる。
あえて言うならカオスだろう。
…ルイズって子は、魔神と神を従えた俺を召喚した。
どういう事だ?
「すみません、あのルイズって子について質問があるんですけど」
■■■
「…………。」
人修羅が学院長室で話し込んでいる頃、ルイズは自室の椅子に座っていた。
両手は膝の上で握りしめられており、服にはいくつもの涙の痕がある。
ルイズは泣いていた。
自分が召喚した使い魔が、変な格好の平民だった。
他の同級生達は皆ちゃんとした動物を召喚している、しかもその中には風竜や、サラマンダーまで存在していた。
ルイズは、使い魔召喚の儀式に尋常ならざる意気込みで挑んでいた。
メイジとして、魔法を行使する貴族として、自分の魔法を知る最後の機会がこの『使い魔召喚の儀式』だった。
もし風竜などのドラゴン種が召喚されていたら?きっと意気揚々としてその背に飛び乗り、魔法学院に帰ってきただろう。
だが実際はそんなに甘くなかった。
表れたのは平民、上半身が裸で、黒いズボンをはいていた。
あの奇妙な姿からすると、東の果てや、西の海の向こうに居ると言われる蛮族かもしれない。
しかもそいつは、ミスタ・コルベールの手で学院長室に連れて行かれてしまった。
平民が召喚されるなんて話は古今東西聞いたことがない、たぶん、あの平民の処遇をどうするのかを学院長達が話し合っているのだろう。
…もし、召喚が失敗したとみなされたら、自分は進級できなくなる。
二学年になれず、一学年をやり直すことになる。
使い魔召喚の失敗は、二学年進級試験の失敗でもあるのだから、情けなくて涙が出てくる。
ルイズは思う。
使い魔の召喚に失敗しなければ、今頃は…いや、使い魔の召喚に失敗したなら、やり直せばいい、やり直したい、もう一度召喚すればいい!
ルイズはマジカルタクトと呼ばれる杖を手に取り、それを撫でた。
魔法を使うには杖が必要であり、杖がなければ魔法を使うことはできない。
杖に向かって、ルイズは何度も何度も念じた、今度こそ、今度こそ成功してくれと。
「宇宙の果ての、どこかにいる、私の使い魔よ……」
■■■
「爆発ですか…そりゃ何て言うか、過激ですね」
人修羅の言葉に、コルベール先生が同意する。
「ええ。原因が全く分からずに難儀しておりますが、とにかくミス・ヴァリエールは魔法が成功せず、いつもいつも爆発させてしまうのです」
そう言いつつ、コルベール先生は杖の先端に灯した火を消した。
先生が簡単な魔法を見せてくれたおかげで、ボルテクス界で使っていた魔法や技とちがう、別の魔法の世界だというのがよく理解できた。
そのお返しとして、吹雪を作る魔法『ブフ』を胸の前だけで行使し、氷を作り出す。
その様子に二人ともものすごく驚いたようだったが、あんな簡単に空を飛ぶこの世界の方が驚きだ。
後で俺も空を飛べるか聞いてみよう。
「ミスタ・人修羅。そちらにとっては不本意かもしれんが、我々はサモン・サーヴァントで呼び出した使い魔を一生のパートナーとする。元の世界に帰す方法は研究されていないのじゃよ。衣食住はこちらで保証するので、返る方法が解るまで大人しくしていてくれないかね」
「人修羅で結構です、ミスタなんて呼ばれるのはなんかむず痒いですし…。それに俺が変なことしたら、俺を呼び出したルイズさん迷惑がかかるでしょう」
「そう言ってくれるとありがたい」
オスマン先生は人の良さそうな笑みを浮かべた、つられて俺も笑顔になる、何て言うかこの人も悪い人じゃ無さそうだ、ボルテクス界で感じたような邪気がまったく感じられないし…。
「あ、そうだ、ルイズさん…じゃなかった、ルイズさんは今後どうするんでしょうか、なんか俺、嫌われちゃったかもしれないんですけど」
「それについてはワシから直接話そう、人修羅…くんを呼び出したというだけでも驚くべき事じゃし、使い魔召喚の儀式を再度行わせるなどして調節することになるじゃろうなあ」
「それが失敗したら落第ですか?」
「…残念じゃがそう言うことになるのう」
「あのう……ルイズさんがなぜ魔法を失敗するのか、それを解決できるか解りませんが…何か手伝えることはありませんか?」
俺の言葉に、オスマン先生とコルベール先生がまたもや驚いた顔をする。
もしかして俺は甘い言葉で小学生を誘拐する誘拐犯のような存在だと思われてるんだろうか、だとしたら凄くショックだ。
「すまんが、こちらから質問させてくれんか、君はなぜそこまでしてくれるのだね?」
オスマン先生がテーブルに肘を突いて、身を乗り出すようにして質問してきた。
「…まあ、先ほども説明しましたけど、世界を破滅させて作り替える儀式に巻き込まれて、半分悪魔になってしまった俺は、人間のいない世界で悪魔や精霊や妖精や…
とにかく人間とは違う存在と戦ったり、仲魔になったりして暮らしてきたんです。久しぶりに人間に会えたんですから、その機会をくれたルイズさんには感謝しないと」
「なんとまあ。いまどき見上げた心がけじゃなあ」
呆れたように呟くオスマン先生。
「いやはや、人は見かけによらないと言いますが…。」
こちらも呆れたように呟くコルベール先生。
二人とも俺のことどんな風に見てたんだろう。
苦笑いを浮かべた俺の目の前に、光り輝く鏡のようなものが突然あらわれた。
■■■
目の前には、サモン・サーヴァントによって開かれた、使い魔召喚のゲートが浮かんでいる。
部屋の中に大きな使い魔が召喚されたらどうなってしまうのか、まったく考えていなかった。
ルイズは、自分の部屋の中にあらわれた召喚ゲートをまじまじと見つめた。
いったいここから、何が出てくるのだろうか、小さな猫だろうか、ネズミだろうか、トカゲだろうか、それとも大きなミノタウロスやドラゴンだろうか、それとも亜人だろうか?
ゲートが開かれてからまだ十秒しか経っていないのに、ルイズにとってはそれが一時間にも感じられた。
頭の中では、めまぐるしい勢いで、いろいろな言葉が浮かんでいる。
その中には八つ当たりもあり、始祖ブリミルへの懇願もあった。
(どんな使い魔でも文句は言いません!だから、今度こそ成功してっ……)
ルイズは、泣きはらした眼と、まぶたの周辺を赤く腫れさせながら、唇をかみしめて必死で祈っていた。
そこに、ぬっ…と、先ほどと同じ奇妙な格好をした平民が、身体にいくつもの線を描いた平民が姿を現した。
■■■
ゲートをくぐり抜けると、そこにはルイズさんがいた。
ルイズさんは、この世界では高校二年に相当する年齢らしい、あの草原で見かけた青い髪の毛の少女は、この娘よりさらに小さかったが、発育の差異だと思えば納得できる。
そんなことを考えながら、ルイズさんの前に立つ。
薄暗い部屋の中で、俺の身体を走るいくつもの線が青白く、ぼんやりと光を放っていた。
呆然としていたルイズさんは、はぁとため息をつくと、右手に掲げていた杖を力なく降ろした。
落胆されている。そう感じた俺は、どんな風に声をかけて良いか思いつかないまま、膝を突いて目線を合わせた。
『使い魔になってやろう!』では傲慢すぎる。
『使い魔にしてください』ではちょっと俺の立場が弱くなるかもしれない。
『踏んでください!』だめだ、俺にそんな趣味はない、無いはずだ。
俺は、上手い言葉が思いつかないので、そっとルイズさんの右手を左手で優しく掴み、その上に右手を重ねて、ルイズさんの手のひらを包み込んだ。
「ルイズさん…だよね。改めてこんにちは。俺は『人修羅』。今後とも、よろしく…」
第一話おわり
支援
乙
この人修羅、マサカドゥス標準装備だよな、閣下に勝てるわけだし…
480kb超えたので新スレ立てますよー。
お〜、人修羅がきたか〜。乙です
どんな物語が展開されるか、手腕に期待ですよ
乙 ところでなんて読むのこの主人公w
シエスタがエインフェリアになるってことは、
まず死ななきゃならんわけだが、
そうなると、ギーシュのゴーレムに撲殺されることになるのかね。
うげげ。
(考えてみれば、元のゲームでも皆ロクでもない死にかたしてるし)
微妙にTALKっぽい!乙
VPGJ
なんかシエスタふつーに死亡しそうだなー。
一応『神様』だからギーシュイベントとか一切手助けしないと思う。
...死亡後に「さぁ、逝きましょう」な展開に。
人修羅乙〜
人修羅召喚されるのは三人目かな?
500kbならギーシュが幼女召喚して
「ロリのギーシュ」の勇名をハルケギニアに広めるSSを書く
500kbなら今日中に次の話を上げて誤字チェックに入る
(投下はどう頑張っても明日かなぁ?)
500kbだったら>929の校正が完璧に終わって次スレにまったく誤字の無いSSが投下される
アクマと聞いて人の魂で動いたりLV4になると房性能持つ方のAKUMAと勘違いしたのは自分だけでいい
500kbならSHUFFLE!の芙蓉楓を召喚。
500kbなら、マーガトロイド性の方のアリスを召喚する
500kbなら龍が如くの桐生さん召還
500kなら、今書いてるSSのシエスタに素質があることになる。
1000なら、今書いてるSSのハルケギニア人にも素質があることになる。
_,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_
-''":::::::::::::`''> ゆっくり埋めていってね!!! <
ヽ::::::::::::::::::::: ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
|::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ __ _____ ______
|::::ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
_,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 'r ´ ヽ、ン、
::::::rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7 ,'==─- -─==', i
r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ レリイi (ヒ_] ヒ_ン ).| .|、i .||
`! !/レi' (ヒ_] ヒ_ン レ'i ノ !Y!"" ,___, "" 「 !ノ i |
,' ノ !'" ,___, "' i .レ' L.',. ヽ _ン L」 ノ| .|
( ,ハ ヽ _ン 人! | ||ヽ、 ,イ| ||イ| /
,.ヘ,)、 )>,、 _____, ,.イ ハ レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
___,,,,,..... -一ァ
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. /:.:.:.レ´:.ヾ;;;;;;i 断 だ ,!
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ;i る が ,!
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/-、ヽ,:|:.:.:,/ /:.:.://.:,:ィ:.:.:.,!
/'ヽ、ヾi ゙´.: /__;:;:-'"´ ,;|:.:.:.,!
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. /;;;i!fi´l_、,.` .: ,;:' ,!
/;;;;;i' ('ー、ヽ ..: ,;:'' ,!
ヽ、jゝ、`ヾ:、゙、 ,..:'.:'" .: ,!
``ヽ.、_ ¨` ,:' (_r:,!
``ヽ.、.. ノr;ソ~,!
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``ヽ,!
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-''":::::::::::::`''> ゆっくり死ね!!! <
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_,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 'r ´ ヽ、ン、
::::::rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7 ,'==─- -─==', i
r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
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埋め
ジャンプしてるときは目が回らないように目玉を上に向けるんだってね
500kbならマカロニほうれん荘から膝方歳三召喚!
カマッ!
>>922、
>>926 モット伯に対して「貴方達の見下す『平民』にも、譲れない一線があるんです」とばかりに、隠し持っていたナイフで…。
逆に殺されるか、一件後に処刑されるかは…ってパターンもありかと。
kiri!
さて、埋め立てだ
梅太郎
500KBなら、カトレアは俺のエインフェリア
まだ埋まってないのか?
500kbだったら>928がマジで書かれる。
後3KBだな。ひょっとしたらこの書き込みで後2KBになるかも知れんが
500kbならFFから何か召喚しようかと思ったがやっぱりやめた
500KBならダルシム召喚。ハルケギニアにヨガが広まる。
うっうー梅梅
_
〃 ^ヽ
J{ ハ从{_,
ノルノー゚ノjし <たまには私が活躍するSSが投下されないものかしらね〜
/く{ {丈} }つ
l く/_jlム! |
レ-ヘじフ〜l
500kbなら.hackよりハセヲ召喚
なぎはらえー |:|\\:::::||.:.||::::://| /イ
|:l\\\||.:.|l///| .///
__ ィ ,. -――- 、 |:|:二二二二二二二 !// /
/ / \. |:l///||.:.|l\\\|/ /
/ ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./ / / l l l lハ |:|//:::::||.:.||:::::\\l /
ト、 ,.  ̄ ̄Τ 弋tァ― `ー / l从 |メ|_l l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄ | イ
ヽ \__∠ -――く __ .Z¨¨\ N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\| / / | / !
ヽ ∠____vvV____ヽ < ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐ . \ / / \ / l
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\! | / 入_.V/| >-ヘ \:::∨::∧ ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ / / / l. l
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{ V /`7. /___./xXハ ( |:::::::::::::::::ハ >' ____ 二二二二二二> / __ 〈
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ノ } l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/ V' \ ヽ `丶\/ /
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入ノ. ヽ く ヽ______7 ー―∠__ 〃 l :/ :l l \V ヽ \ ,. '´
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V 人__/ / | /  ̄{ ̄ >‐ ァ-、 \ 〉ー} j
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<ヽ__ /し / < )__ \ _r‐く___/ / < ) \ {__ノ /
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∠二)―、 `ー‐┐ ∠ ∠_r‐--― <__ ∠ )__ \_
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