アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ11
5/7【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
○スバル・ナカジマ/○ティアナ・ランスター/●エリオ・モンディアル/●キャロ・ル・ルシエ/○八神はやて/○シャマル/○クアットロ
4/6【BACCANO バッカーノ!】
●アイザック・ディアン/○ミリア・ハーヴェント/●ジャグジー・スプロット/○ラッド・ルッソ/○チェスワフ・メイエル/○クレア・スタンフィールド
5/6【Fate/stay night】
○衛宮士郎/○イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/○ランサー/●間桐慎二/○ギルガメッシュ/○言峰綺礼
2/6【コードギアス 反逆のルルーシュ】
○ルルーシュ・ランペルージ/●枢木スザク/○カレン・シュタットフェルト/●ジェレミア・ゴットバルト/●ロイド・アスプルンド/●マオ
3/6【鋼の錬金術師】
●エドワード・エルリック/●アルフォンス・エルリック/○ロイ・マスタング/○リザ・ホークアイ/○スカー(傷の男)/●マース・ヒューズ
3/5【天元突破グレンラガン】
●シモン/○カミナ/●ヨーコ/○ニア/○ヴィラル
4/4【カウボーイビバップ】
○スパイク・スピーゲル/○ジェット・ブラック/○エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世/○ビシャス
2/4【らき☆すた】
●泉こなた/○柊かがみ/●柊つかさ/○小早川ゆたか
3/4【機動武闘伝Gガンダム】
○ドモン・カッシュ/○東方不敗/●シュバルツ・ブルーダー/○アレンビー・ビアズリー
3/4【金田一少年の事件簿】
○金田一一/●剣持勇/○明智健悟/○高遠遙一
3/4【金色のガッシュベル!!】
○ガッシュ・ベル/○高嶺清麿/●パルコ・フォルゴレ/○ビクトリーム
2/4【天空の城ラピュタ】
●パズー/○リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ/●ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ/○ドーラ
3/4【舞-HiME】
○鴇羽舞衣/●玖我なつき/○藤乃静留/○結城奈緒
2/3【R.O.D(シリーズ)】
●アニタ・キング/○読子・リードマン/○菫川ねねね
1/3【サイボーグクロちゃん】
●クロ/●ミー/○マタタビ
0/3【さよなら絶望先生】
●糸色望/●風浦可符香/●木津千里
2/3【ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
○神行太保・戴宗/○衝撃のアルベルト/●素晴らしきヒィッツカラルド
2/2【トライガン】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド
2/2【宇宙の騎士テッカマンブレード】
○Dボゥイ/○相羽シンヤ
1/2【王ドロボウJING】
○ジン/●キール
【52/82】
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
優勝者のみ元の世界に帰ることができる。
また、優勝の特典として「巨万の富」「不老不死」「死者の蘇生」などのありとあらゆる願いを叶えられるという話だが……?
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。主催者の手によってか何らかの細工が施されており、明らかに容量オーバーな物でも入るようになっている。四●元ディパック。
「地図」 → MAPと、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。【舞台】に挙げられているのと同じ物。
「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。肝心の食料の内容は…書き手さんによってのお楽しみ。SS間で多少のブレが出ても構わないかと。
「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。ちなみにアイウエオ順で掲載。
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。
【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。
【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。
【舞台】
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/f3/304c83c193c5ec4e35ed8990495f817f.jpg 【作中での時間表記】(0時スタート)
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
【書き手の注意点】
トリップ必須。荒らしや騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付け、
>>1の予約スレにトリップ付きで書き込んだ後投下をお願いします
無理して体を壊さない。
残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。
完結に向けて決してあきらめない
書き手の心得その1(心構え)
この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの仮投下スレにうpしてください。
自信がなかったら先に仮投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
本スレにUPされてない仮投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
叩かれても泣かない。
来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
適切なところで改行をしましょう。
改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
人物背景はできるだけ把握しておく事。
過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
一人称と三人称は区別してください。
ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
『展開のための展開』はNG
キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効。
携帯からPCに変えるだけでも違います。
【読み手の心得】
好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
荒らしは透明あぼーん推奨。
批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
嫌な気分になったら、「ベリーメロン〜私の心を掴んだ良いメロン〜」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
【議論の時の心得】
このスレでは基本的に作品投下のみを行ってください。 作品についての感想、雑談、議論は基本的にしたらばへ。
作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
【禁止事項】
一度死亡が確定したキャラの復活
大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
程度によっては議論スレで審議の対象。
時間軸を遡った話の投下
例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
話の丸投げ
後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。
【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NG協議・議論は全てしたらばで行う。2chスレでは基本的に議論行わないでください。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』
NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。
・上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。
【予約に関してのルール】(基本的にアニロワ1stと同様です)
・したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行う
・初トリップでの作品の投下の場合は予約必須
・予約期間は基本的に三日。ですが、フラグ管理等が複雑化してくる中盤以降は五日程度に延びる予定です。
・予約時間延長を申請する場合はその旨を雑談スレで報告
・申請する権利を持つのは「過去に3作以上の作品が”採用された”」書き手
【主催者や能力制限、支給禁止アイテムなどについて】
・まとめwikiを参照のこと
http://www40.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/1.html
テンプレミス
2/3【R.O.D(シリーズ)】
●アニタ・キング/○読子・リードマン/○菫川ねねね
→
1/3【R.O.D(シリーズ)】
●アニタ・キング/●読子・リードマン/○菫川ねねね
で残り51人。
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このテンプレートに関して、民主的手続きを取られていないという事で現在討議が開始されております。
このスレッドでは今のルールの全体的な改変を行っている関係でテンプレ改変の議論が行われております。
話し合いの結果、
上記テンプレは一部の住人の独断で閉鎖的環境で決定されている事が明らかになっております。
従って、上記
>>1-8の各テンプレートは無効とさせていただいております。
この議論そのものについて、2ch上で意見を言う事を禁止しようとして外部掲示板の人間による
様々な削除依頼の嫌がらせなどを受けております(わずか1行程度の書き込みですら
容量つぶしなどといわれのない理論で削除依頼をする等)が、テンプレやルール、開催方法などは
現在も討議が続いておりますので奮ってご参加いただけますようお願いいたします。
上記の「したらば掲示板で行われているバトルロワイアル」はアニメサロン板への移転が
既に決定いたしており、当然ながら2ch上で話し合いを行ったログも存在します。
したがって、上記テンプレートに関しては一切無視し、このスレで再度話しあいを開始いたします。
また、バトルロワイアルのスレはこのスレ一つのみとなっておりますので、2つ3つと同時に
スレを立てるような行為は荒らしと看做します。現在でもこのスレではこのスレ以外にスレを
立てることを認めておりません。「運営スレ」などが乱立したとしてもそれはこのスレの
バトル・ロワイアルを行おうとする人たちの民意によるものではありませんので、ご注意ください。
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10 :
過去ログ1:2007/12/31(月) 21:58:23 ID:48hNP3cO
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(開催用に開発された白地図)
11 :
過去ログ議論2:2007/12/31(月) 21:59:53 ID:48hNP3cO
207 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/17(月) 23:13:41 ID:si8yiggO
死んでも生き返ってはいけないというルールはないから
死んだら別フィールドににぶっ飛ばせばいいんじゃね
>>192 の世界で死んだら、>>203の世界に転生とか
208 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/17(月) 23:29:12 ID:YXM1jlhX
糸色望はA世界のバトルロワイアルに参加決定しますた
僕達は殺し合いをすると、3回書かされました
「へたれセイバー」に食われて死亡しました
A世界で糸色望が死亡しました
糸色望は他界しました
・
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・
糸色望はB世界のバトルロワイアルに参加決定しますた
僕達は殺し合いをすると、3回書かされました
突如、「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」に鈍器で殴られて死亡しました
糸色望は他界しました
・
・
・
糸色望はC世界の…
232 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/20(木) 00:20:37 ID:FAwql9YC
たとえばね
キャラが増えれば増えるほどいいというんだったら
キャラ数の上限は無いほうがいい
ということで、
>>208のような形で死んでも復活できるようにして軍団制で戦う
あと、同じキャラを何人も作っておけばいいのではないかなと
たとえば、糸色望だったら
A軍団にもB軍団にもC軍団にも等しく糸色望がいるとか
12 :
過去ログ議論3:2007/12/31(月) 22:01:02 ID:48hNP3cO
84 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/16(日) 19:13:24 ID:BgC9eCX7
あ、言い換えると
「パロロワ」というのをしたらばの団体で規格かなんか勝手に作ったのかもしれないけど
うち等2ch側にはなんの関係が無いという事です。
したらばの推奨する「パロロワ」だけが「バトロワ」じゃないの
85 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/16(日) 19:17:47 ID:mVqbNKNE
バトロワに復活してはいけないなんてルールは無い
たとえば
>>45の
http://keiyasuda.ddo.jp/~br2ch/br/brlist.cgi 人が復活したり何だりで何度も殺しあってるけどこれもバトロワ
まあ、今のところはこんなトコロですかね
あと、SSやヘンな誘導来たら削除依頼ヨロ
次スレも立てようとしなかったやつが議論する気あるとは到底思えない
. / , \
/ / l ヽ
,r' / ヾ,、 ゙,
. / イ/ ` ` 、 }
{ i | ゙ 、,,`' 、 , j
レ'、, | ,:r'"''‐ `'゙、 ,、‐‐、 l
ゝ」、 、 , ,、‐''゙゙、゙'、-――t'''/ / l |
,ゝ‐、_,',. ' ,O 〉 V .( ゙, j i
',.ヽソ. '、,,、 -'" / / j
'‐レ゙ .,r' ノ
l` ` 、 i'" ゙ヽ、,/
. ゙、 ,,、 -‐'" ノ ヽァ、
゙、'´ .. ,r゙ ノ ヾ^゙ヽ、 あけましておめでとう
. ゙, ./ ,、r' / \
!、 / ,、r'" / /`'ー-
`'''"入 ̄ ,、r ''" ,、/ /
く .Y'" .,、r'"/ /
/" ` 、', ,、r''" /_____/
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,、 '" ,、 ''" | / \
時計の短針が水平に傾く頃、デパートに向かう影が二つあった。
蒼い槍兵・ランサーとそれを追うリザ・ホークアイの姿だ。
だがその差は時間と共に開いていく。
リザも軍人である以上体力のあるほうだが、太古の英雄とは比較するだけ無駄と言うものだ。
それでもリザは急ぐ。
彼が先に大佐と会ってしまえば、そのまま戦闘に突入するだろう。
そして最悪の場合、誤解したまま戦闘に突入し――
最悪の想像が脳裏をよぎるが、頭を振ってその想像を掻き消す。
今は一刻も早くあの男に追いつかないと。
決意を新たに、リザはスピードを上げる。
だが、その願いは早々に叶えられることになる。
暫く進んだ道の中央で、ランサーが待ち構えていたのだ。
『追いつけたら』と言ったのにわざわざ待っていたのはどういうことだろう?
訝しがるリザに対し、ランサーは何かを投げてよこした。
それは手のひらサイズのドラム缶のような何かだった。
だが良く見ると、手を入れられそうな窪みと銃口らしきものが複数ついている。
回転式機関砲(ガトリングガン)……彼女の世界でも研究が始まったばかりのそれをなぜか想起させた。
「俺の荷物に入っていた。貴様にやる。銃の一種らしい。
ついて早々殺される羽目になったら流石に寝覚めが悪い」
「……これを使って貴方を撃つとは考えなかったのですか?」
「ハッ、そりゃいい。
――だったらお前と同じ軍服を着た奴が全員俺の敵になるだけだ」
そう言い残し、青い背中は再び風のように一路デパートを目指していく。
ああ言ってはみたものの、撃つ気はさらさらなかった。
混乱したままの頭でも、銃口を向けた瞬間、容赦なく心臓を貫かれるイメージが明確に浮かんだからだ。
軍人とは違う生粋の戦士――リザが僅かな時間で描いたランサーに対するイメージである。
だが彼の言う事を信じるなら、大佐は殺し合いに乗り、彼の連れに大火傷を負わせたらしい。
しかし、そんなことは到底信じられない。
彼女の知るロイ・マスタングは沈着冷静な様でいて、あまりにも情に流されやすい男だ。
そんな彼が人を襲うなど……悪い冗談にもほどがある。
それにこの場にはヒューズ中佐もいるのだ。
彼と並んだ大佐がこの趣味の悪い戦いに乗る?
そこまでくると姿を想像することすらできない。
だがそこまで考えて一つの可能性がリザの脳裏に去来する。
もしもヒューズ中佐が大佐の目の前で殺されたら?
身内に甘いあの人はもしかして……いや、だとしても人体練成を良しとするような男ではない。
だが一方でどれだけ考えてもランサーが嘘をつく理由も思いつかなかった。
「……」
ならば、今は真実を確かめるために急ぐだけだ。
ディパックを背負い直し、手に入れたガトリングガンを右手にはめて蒼い男を追う。
彼方にそびえる炎塔を目指して。
* * *
そして同時刻、未だ炎の燻るデパート前。
そこには現在、巨大な篝火を目印に6人の男女が集まっていた。
1人目、その篝火を焚いた張本人、空賊ドーラ
2人目、酒を捜し求めデパートにやってきた男、神行太保・戴宗。
3人目、愛しい人を蘇らせる為、ゲームに乗った藤乃静留。
4人目、仲間と合流するためデパートに向かったスバル・ナカジマ
5人目、戦いを止めるためにやってきたヴァッシュ・ザ・スタンピード。
その5対の瞳は、今や突如現れた6人目の怪人に向けられていた。
赤い服に上半身を丸々覆う黒い鎧、そして身体の所々に光る銀色の六角形。
一度見れば二度と忘れないであろう異形の姿は、当然ながらこの場にいた面子には見覚えがなかった。
――ただ、一人を除いて。
「アル……君……?」
スバルがそう呟いた瞬間、今にも襲い掛からんとしていた鎧の男の動きが寸前で急停止する。
そして鎧の男が動きを止めたことによって、場には奇妙な均衡状態が生まれていた。
戴宗・ドーラ・ヴァッシュ、静留、そして現れた黒い鎧の怪人――
その異様な三すくみの中心にいるのは間違いなくスバルという少女であった。
全員の視線を受けながら、スバルはその視線を黒い怪人に――いや、より正確に言えばその上半身を覆う漆黒の鎧に向ける。
「……その鎧をどうした」
怪人の身に着けている鎧はかつての仲間のものと酷似している。
だがその仲間は、アルフォンス・エルリックは先ほどの放送で死亡が告げられた。
更に言うならあの鎧の中は空洞であり、そこに人間の肉体が存在するなどありえない。
『アル君が身体を手に入れて、自分を助けるためにデパートにやってきた』
『実はアル君の鎧と同じものが他の人間に支給されていた』
次々と浮かんでくる甘い考えを振り払い、その視線に力をこめる。
だが、男は答えない。
「その鎧を……アル君の鎧をどうして着てるんだ!」
怒号を叩き付けた数秒の沈黙の後、鎧の奥底に光る赤い双眸がスバルのほうを向く。
「……コロして、奪っタ。ソレ以外ニあるというのカ?」
金属を擦り合わせたかのような耳障りな声。
アルの愛嬌のある声とは似ても似つかない不快な声がスバルの神経を逆なでする。
――アル君と同じ鎧(かお)で、その声で喋るな。
一瞬一秒でも早くあの声を黙らせなければ。その姿で喋るのは彼への侮辱に他ならない。
スバルは激情の任せるまま、怪人に向けて一歩踏み出そうとして、
隣にいた戴宗の手によって制された。
「退いてください! あたしは――!」
「……嬢ちゃん、お前さんは戦うな」
その言葉に込められた有無を言わせぬその迫力に、スバルは言葉を飲み込んでしまう。
そこには酒を好む気のいい男はいない。
国際警察機構のエキスパートたる歴戦の戦士の姿だ。
「そんな……どうしてですか!」
自分をこの場に留める男に対し、スバルは正面から疑問をぶつける。
だが返された戴宗の視線に込められた重圧に身体を竦ませる。
「……悪いが、お前さんには覚悟が見えねえ」
端的に突きつけられた言葉にスバルは言葉を失う。
「覚……悟……?」
「そうだ。例えば今ここで俺がいきなりお前に殴りかかったらどうする?」
「え……」
「あくまで例えばの話だ。
だが、戦えるか? ……いや、お前さんは戦えないだろうよ。
ついさっき、そこの髪の長い嬢ちゃんと戦ったときみたいにな」
戴宗はもしもこの場でヴァッシュやドーラが襲い掛かってきたならば全力で相手をするだろう。
それはヴァッシュにしてみてもドーラにしてみても同じだ。
ヴァッシュは何としても戦闘を止めようとするだろうし、ドーラは容赦なく殺すだろうという違いはあるだろうが、
どちらも一瞬で頭を切り替え、全力で行動に移すだろう。一片の迷いもなく。
それはスバルにはまだ出来ないこと。
まだ15という若さ故に到達できない覚悟の差であった。
「その迷いはいつかきっと取り返しのつかない事態を引き起こす。
それが無くなるまで俺の前で戦場に出すわけにはいかねえ。
……なぁに、俺に任せとけ! すぐにのして嬢ちゃんの前で土下座させてやるさ」
スバルの肩を軽く叩き、黒い鎧の男に正面から向かう。
「おい、一つ訊いとくぜ。お前さんの名前は?」
「……スでに私ハ死んデイる。死者ニ名前ハ必ヨウない」
「そうかい……だったら大人しく土の下で寝ててもらいたいもんだがな」
ならばもう訊くことはない。戦って、ぶちのめすだけだ。
その頼もしげな背中にヴァッシュが声をかける。
「戴宗さん、約束してください。決して彼を殺さない、と」
「約束はできねえ、が……やってみるよ。嬢ちゃんに土下座させるって言っちまったしな」
それがこの男の最大限の譲歩なのだ。
そう感じ取ったヴァッシュは無言で身を引く。
ヴァッシュは彼の戦う姿を見ていない。
だがそれでも全身から漲る闘気を見れば相当の使い手だと分かる。
それほどの男なら下手に自分が関われば逆に事故を起こしかねない。
ならば彼を信じよう。それに……もう一人、気になる相手がこの戦場(ばしょ)にいる。
「さて……じゃあこっちも始めるとしようかねシズル」
ドーラの言葉に静留は舌打ちを返す。
最初はヴァッシュたちとあの怪人が戦闘に入ったところを見計らい、逃げ出すつもりであった。
だが、それも怪人の予想外の急停止によって目算が狂い始めた。
更には先ほどの会話中も機を見て逃げ出す算段をつけていたが、眼の前の老婆は一瞬たりともこちらから注意を離さなかった。
その様はまさに老獪。
裏を掻き、穴を突く――どちらかと言えば搦め手を得意とする静留にとって、ドーラはやりにくいことこの上ない相手だった。
「容赦はしないよ。アンタは早めに始末しておかないと大変なことになるって言ってるのさ」
「ふぅん、誰がいうてはるん?」
「アタシの中の女の勘だよ! 覚悟おし!」
ドーラがディパックから取り出したのは“じゃがいも潰し(ポテトマッシャー)”と呼ばれる形状の古風な手榴弾。
だが平行世界にて偉人軍団の一人、オットー・リリエンタールが使用したそれは、現在の爆弾と比較しても遜色ない威力を持っている。
勿論それを喰らえば人間など肉片へと早代わりしてしまうだろう。
だがそれを目の前にしても静留の態度は変わらない。
例え相手が何を繰り出そうと生き残り、この場を脱出する――その目的に変わりはないのだから。
むしろそれに大きく反応したのは静留ではなく、ドーラの味方のはずの赤コートの男だった。
「ちょっと待ったぁ! そんなもの使ったらシズルさん死んじゃうじゃないですか!」
「何言ってるんだい! この女はここで見逃せば間違いなく人を殺すよ!
若いお前さんには分からないだろうがね!」
「――いえ、わかっています。分かっているつもりです……それでも、です」
その琥珀色の瞳に漂ったものをどう感じたのか。
ドーラは大きくため息をつくと爆弾をディパックの中へと戻し、代わりに日本刀を取り出した。
「命拾いしたねシズル。そこの若造に感謝しな」
「それはそっちの都合でっしゃろ? 感謝はしませんえ」
とは言いながらも、静留は内心ヴァッシュに感謝する。
何があろうとなつきを復活させるまで、自分は決して死ぬわけにはいかないからだ。
だが決して油断は出来ない。
赤いコートの男はただの道化ではない。
恐らくは『殺さず無力化する』という戯言を実行するだけの実力を持ち合わせているのだ。
だとしてもここで殺されるわけにも、無力化されるわけにもいかない。
すべてはなつきのために――何としてもこの場を切り抜けてみせる。
そしてスバルを除いた全員が戦闘態勢に移行する。
神行太保・戴宗が拳を構え、空賊ドーラが刀を構える。
ヴァッシュはスタンガンの引き金に指をかけ、静留は薙刀型のエレメントの柄を握り直す。
そして戦闘の開始を告げるかのように、黒い鎧の男が指を掲げる。
「ヨウいはデキたか……? ワたシは……出来テいる!!」
弾かれる指。
それと共に発生した爆発が戦闘開始を告げる鐘となった。
* * *
ビルとビルの間を飛び回る二つの陰。
かたや黒い西洋甲冑を身に着けた男、ロイ・マスタング。
かたやオリエンタルな装いの男、戴宗。
マスタングと戴宗はその戦場を周囲のビル街へと移していた。
(……ちっ、やりにくいぜ)
噴射拳――手足からエネルギー波を放つ神行太保・戴宗のもう一つの特殊能力。
その力を使い加速し、クロスレンジまで詰め、接近戦でカタをつける。
それが戴宗の最も得意とする戦術だった。
だが眼の前の鎧の男は爆炎を巧みに使い、ミドルレンジから先に決して踏み込ませない。
普段相手にしているのが肉弾戦を得意とする敵が多かったせいもあり、どうにもやり難い。
だがそれは対するマスタングも同じだ。
炎とは酸素の燃焼であり、マスタングが操るのは炎そのものというよりもその酸素。
そしてその酸素自体を吹き飛ばす戴宗の噴射拳は、直接的な“盾”となりえる。
故に自分が得意とする中〜遠距離戦では致命傷を与えられない。
(ならば……“盾”を使えん状況に追い込むまでだ!)
小規模な爆炎を巧みに繰り出し、戴宗をビルとビルの間に追い詰める。
そして出来た僅かな隙とDG細胞で強化された肉体を使い、瞬時に練成陣を地面に描き、巨大な壁を練成する。
「なんだとぉっ!?」
壁向こうから聞こえる驚愕の声。
袋小路の最後の道を閉ざされ、閉じ込められた戴宗。
――これで準備は整った。
強化された身体能力を駆使し、ビル壁を蹴りあがり、出来た“炉”を上空から見下ろす。
中の戴宗がこちらを見上げるのを確認して、仮面の下で歪な笑みを浮かべる。
「燃え尽キよッ!」
指を鳴らして炎を生む。
それだけで巨大な炎蛇が鎌首をもたげ、作られた人工の洞穴へとその身を躍らせる。
先ほど練成陣で作り出した密閉空間は、言わば巨大な“炉”だ。
例え炎の直撃を逃れたとしても、灼熱の余波が標的を蒸し焼きにする必殺の罠。
本来ならば賢者の石でもなければ出来ないような所業だが、DG細胞によって強化された身体はそれすらも可能にしていた。
しかしロイ・マスタングは知らない。
国際警察機構のエキスパート、そしてそれを統べる九大天王の度胸と力を。
「舐・め・ん・じゃ・ねええええええええええっ!!」
炎蛇を目の前にした戴宗は加速をつけ、その口の中へと身体を投げ込んだのだ。
「何ダと!? 気デモ狂ッたカ!?」
驚愕するマスタング。
だが、次の瞬間炎蛇が内側から爆ぜる。
炎蛇の腹から脱出した戴宗は、殆ど無傷で反対側のビルへと降り立つ。
「ただの化け物かと思いきや色々考えてるじゃねえか」
「そレハこチらの台詞ダよ……舐メてかカッテいタヨウだ」
戴宗のとった行動……あえて内部に突入し、内部で爆発を起こすことで炎自体を掻き消す。
言葉にすればたったのそれだけなのだが、言うほど簡単ではない。
突入と爆発のタイミング、開放するエネルギー量、そのどれかがずれたり足りなかったりすれば、その身体は瞬時に焼き尽くされてしまうだろう。
マスタングは改めて目の前の強敵に注意を払う。
――何にせよ、ここでまた仕切りなおしだ。
タイミングを同じくして再び跳躍し、ビルとビルの間で再びぶつかり合う。
そして先手を取ったのは、
「うおおおおおおおおっ!!」
「「!?」」
二人のどちらでもなく、窓ガラスを突き破り現れた蒼い彗星だった。
* * *
――アルくん、こなたさん、ヒューズさん。
この場所で出会った仲間たち。
3人とも善良で、優しい人たちだった。
ああ言ってくれた戴宗さんには悪いが、彼らを殺したこの男には一撃食らわせてやらないと気がすまない
激情はニトロのごとく、スバルの激情を加速させ戦場へと誘った。
内部から湧き上がる激情は目の前の存在を破壊せよと囁く。
だが自分は時空管理局の局員で、さらにはこの男には訊かなきゃいけないこともある。
男が殺し損ねたであろう人物――ロイ・マスタングの行方を。
窓を突き破ったスバルはそのまま空中へと身を躍らせ、加速を保ったままマスタングへと肉薄する!
「うあああああっ! カートリッジ、ロォォォド!!」
カートリッジを1発消費し、圧縮されていた魔力を開放。
瞬時に魔法陣が展開され、二人の間に蒼白の魔力が収束する。
それは巨星の如く瞬き、周囲の大気の音を咆哮へと変化させた。
そしてスバルは放つ、自身の持つ最大最強の一撃を。
「一・撃・必・倒! ディバィィィィィン……バスタァァァッ!!!」
掛け声と共に零距離から放たれる魔力の彗星が、鎧の男に炸裂した。
ディバインバスター……高町なのはに憧れ、スバルが自己流で習得した必殺技。
しかもゼロ距離で放たれたこれは、自分同様戦闘機人である姉を一撃で無力化した技だ。
無理な体勢で放つためにアレンジを加え左手で放ったが、確かな手ごたえがあった。
故にスバルは勝利を確信する。
プロテクション無しでこの一撃に耐えられるはずもない。
「……興味深イな、そのチから」
だから、光の中から出てきた黒い手にリボルバーナックルを掴まれた瞬間、スバルは対応できなかった。
――非殺傷設定。
物理的ダメージではなく相手の魔力にダメージを与えることで相手を行動不能にする術式。
スバルは鎧の男の爆発を見て一種の魔法であろうと推測した。
だが、マスタングの世界の錬金術とは、スバルの知る魔法とは大きく異なる技術体系に基づいている。
彼らの錬金術は自身の魔力を用いない。
そして彼らの世界の住人は、その身にほとんど魔力を持っていない。
故に非殺傷設定で放たれた魔力弾は、期待された効果をもたらさなかった。
それでも普通の相手ならば、その余波だけで行動不能に陥らせることが出来る。
だが、スバルの目の前にいる男は決して“普通の相手”などではない。
魔術抜きでミッドチルダに比肩する発展を遂げた世界が作り出したオーバーテクノロジー・DG細胞の恩恵によって生まれた“魔力を持たない超戦闘者”。
時空管理局ですら滅多に遭遇しない化け物は、スバルの放つディバインバスターに耐え切った。
しかしそんなことが戦闘経験の浅いスバルにはわかるはずもない。
混乱する頭で理解できたのは、自分の最強の技が破れたという悪夢。
――そして、その悪夢はまだ終わっていない。
黒い手にデバイスを捕まれた瞬間、スバルの全身に怖気が走る。
尊敬する姉のデバイスが、一瞬にして別のものへと変貌してしまったかのような違和感――
いや、まるでのたくる蚯蚓の沢山入った容器に左手を突っ込んだかのような不快感がスバルの本能に恐怖を呼び起こす。
それに従うままに左手を引こうとした次の瞬間、スバルのバリアジャケットは強制的に解除されていた。
「え――」
何が起こったのか理解できない。
バリアジャケットは魔導士の最後の生命線だ。
例え装着者が気絶しようとも、強制解除されることはまずありえない。
だが事実、それは起こってしまった。
続け様に起こった異常事態に呆然とするスバルを前に、仮面の下でマスタングは笑う。
相手が機械であればDG細胞の侵食は容易い。
その能力を使い、マスタングはリボルバーナックルを我が物とし、スバルとのリンクを強制切断させたのだった。
そして同時に同化したデバイス自身から魔術の一端を理解した。
ロイ・マスタングの持つ魔力とは異なる力「錬金術」、
デバイスが内包していた「魔法」、
そして宇宙空間まで進出した機械工学が生み出した「DG細胞」、
本来ならば出会うはずのなかった三つの要素。
それらが合わさることで、マスタングは不可能を可能にした。
マスタングは奪い取ったリボルバーナックルを左手に装着――否、融合させる!
「バリアジャケット……練成ッ!」
カートリッジ排莢と共に彼の想像する強固な鎧、漆黒の大鎧がその全身を包む。
その姿は色の違いを除けばかつての仲間であるアルフォンス・エルリックそのものだった。
驚愕するスバルを前にして、更にもう一発カートリッジを排莢。
デバイスから“読み取った”情報を元に指先まで魔力バイパスを形成。
発生された魔力を収束。人差し指を標的に向ける。
そして未だ呆気にとられた表情をしている少女に向かって、
「イチゲき・ヒッ殺――デモニック・バスター……!」
指先に魔力を収束して、放つ。それはあまりにも単純な技。
だがそれは皮肉にもスバルのものよりも、本来の術者・高町なのはのディバインバスターに酷似していた。
「うあああああああああああっ!!」
カウンター気味に放たれた闇色の魔力光。
スバルは咄嗟に防御障壁を展開するが、放出される魔力の奔流は結界ごと地上へと吹き飛ばした。
自分から離れていく青い髪の少女の姿を見て思う。
――悪くない威力だ。
本来魔力を持たないマスタングが使うにはカートリッジが必要だが、自身の巻き添えを考えずに放てる武器としては悪くない。
“魔法”という新たな力を手に入れたマスタングは、新たな力を手に入れた喜びに酔いしれ、自分の置かれている状況を忘れた。
それは僅かな一瞬――だがその一瞬は、あまりにも大きすぎた。
「てめぇええええええ!」
迫りくる様はまるで彗星――だがそれはスバルの比ではない。
文字通り一筋の流れ星と化した戴宗の拳が腹に叩き込まれる。
腹部に走る鈍い痛みと共に身体が遥か後方に吹き飛ばされるのを感じる。
だがこの程度の打撃、このバリアジャケットさえあれば――
「――おい、これで終わりだと思ってんじゃねえだろうなぁ?」
「!?」
眼前に現れる男の顔。
自分は今、吹き飛ばされているというのに何故!?
その疑問は視線を下にずらすことで氷解した。
この男は足の裏から衝撃波を噴出し、吹き飛ばされる自分に追いついてきたのだ!
「はぁああああああああっ!」
ハンマーのような一撃が顔面に突き刺さり、マスタングの身体の吹き飛ぶ方向が無理やり変えられる。
「まだまだぁ!」
だが戴宗は地面に叩き付けられるより早く先へ回り込み、
更に強烈な一撃をもって、再び上空へと跳ね上げる。
「おらおらおらおらおらおらおらッ!」
悲鳴を上げる暇すら与えられない。
空中をピンボールのように弾き飛ばされながら、胴体に、足に、右腕に、全身に、怒りの篭った戴宗の拳が炸裂する。
カートリッジに圧縮された魔力は決して少ないものではない。
だが怒髪天を突く戴宗の猛攻の前には、一発分の魔力など障子紙にすぎなかった。
そして猛撃を受け続けたバリアジャケットは、ついに修復のための魔力を使い果たし、四散した。
「これで――終いだっ!」
剥き出しになった本体に、トドメとばかりに放たれた右正拳が炸裂する。
最初に練成した黒い鎧も粉々に砕かれ、その勢いのまま水平方向へと吹き飛ばされ、ビル壁に叩き付けられる。
「ガはぁ……っ!!」
肺の空気を無理矢理搾り出させられ、マスタングは理解する。
この戦場には自分たち国家錬金術師よりもよっぽど“人間兵器”という存在に近しいものがいるのだということを。
「……ようやくその面が拝めたな化け物」
ここに勝敗は決した。
その差を分けたのは突如力を手にいれたものと、修練の末に力を手にいれたものの差かもしれなかった。
「ぐっ……」
地面に降り立った戴宗を立ち眩みと疲労が襲う。
螺旋王の設けた“制限”は戴宗の身体能力・能力すべてを低下させた。
その状態で元の世界のような動きをすればどうなるか。
――即ち、オーバーヒートである。
全身に一気に広がる倦怠感と焼け付くような熱――戴宗の身体は限界を訴えていた。
だが、まだ倒れるわけにはいかない。
これからスバルを助けに行かなければいけないし、何より“始末”をつけなければならない。
絶対たる決意を込めて、壁に磔にされた男を睨み付ける。
「……やらせて、もらうぞ」
先ほどスバルの右腕の鎧を“我が物”とした鎧の男。
この男はここでとどめを刺しておかねば、取り返しのつかないことになる。
そんな確信にも似た予感が戴宗の中で膨れ上がっていた。
だからヴァッシュには悪いが、ここでこの男の命を絶つ。その意思と力を右手にこめる。
だがそこで気づく。磔にされた男の口元が、確かに笑みを形作ってることに。
「……お前、何がおかしい」
男は答えない。そしてその視線は自分を決してみていない。
その視線を追った戴宗が目にしたのは未だ燻り続けるデパートの姿。
指を鳴らして炎を発生させる。
『指を鳴らし真空波を発生させる』という類似した能力者がBF団にいる戴宗は、男の異能をそう認識した。
だが男の異能、錬金術は炎自体を操るものではない。
酸素を練成し、着火するというプロセスを経て炎を操るのだ。
そしてこの戦場には最初から、巨大な火種が存在していたのだ。
「スベて――吹キ飛ぶガイイ」
そして、閃光と爆風が全てを埋め尽くした。
***
――ギャリギャリギャリッ!
刃同士がぶつかり合い、耳障りな金属音を上げる。
一方のデパート近辺、道路上で戦う藤乃静留は完全に押されていた。
それも当然だろう。
最初から2対1である上、相対するは年季の入った社会の敵に人類初の災害指定されたガンマンだ。
静留も一般的女子高生より戦闘経験があるとはいえ、あまりにも潜ってきた修羅場の数が違い過ぎる。
むしろここまでで倒されてない時点で、彼女は善戦していると言っていい。
「もう諦めて投降するんだ! 悪いようにはしない!」
スタンガンを構えつつ警告するヴァッシュ。
確かにここで投降して後々寝首を掻くという選択肢もある。
だが、それではダメなのだ。
捕らえられれば、自分の荷物は没収されてしまうだろう。
折角手に入れた不死の酒すらも、だ。
――なつきと永遠を生きる。
そのあまりに甘美な誘惑は、静留を駆り立てるに十分な動機だった。
この殺し合いに勝ち残り、なつきを生き返らせた上で共に不死の酒を飲む。
そのためにはここで負けるわけにはいかない。
だがこれ以上の持久戦になれば不利なのはこちらのほうだ。
ここは――賭けに出るしかない。
「……やらせていただきます、よしなに」
自分の持つ薙刀型エレメントに備わる切り札。
刃が蛇腹のように展開、鞭のように変幻自在にしなり、静留の周りを檻のように取り囲む。
触らば切る、寄らば砕く――閉じ込める檻ではなく外界の敵を遮断する茨の檻。
「……」
それを目にしたヴァッシュは無言のまま、スタンガンを放つ。
ヴァッシュから放たれた十字型の物体は一直線に藤乃を目指す。
だが高速で流れる刃はスタンガンの弾を止めるだけに飽き足らず、削り取るように粉砕した。
「ヴァッシュはん、無駄どすえ。
普通の銃ならともかく、そんなものではこの“結界”は破れまへん」
「……ならお前さんごと吹き飛ばすまでさね」
ドーラの手には先ほどディパックの中にしまったポテトマッシャ―。
狙い通りだ。表情は変えずに内心ほくそえむ。
千日手になれば、あの老婆は一気に決着をつけるために爆弾を取り出す。
その爆発にまぎれて姿を消せれば、とりあえずこの場を凌ぐ事ができる。
だがその行動に異を唱える男がこの戦場にはいた。
「ドーラさん!」
「覚悟を決めな、ヴァッシュ! “紐はいらない”から、5秒で支度しな!」
「!! ……わかりました。お任せします」
その答えに静留は失望した。
静留は愚直な馬鹿は決して嫌いではない。
だからヴァッシュにも多少期待したのだが、所詮は口先だけの男だったと言うことか。
――まあええ、何にしても、今は爆発にまぎれて姿を晦ますのみや。
「行くよっ!」
空中に放たれる棒状の爆弾。
爆発の有効範囲の中に入る前に檻を解除し、後方へ――
「――え」
だが手榴弾は鈍い音を立てて、地面に転がるだけだった。
まさかの不発?
だが視線を向けたの老婆の顔には勝ち誇った笑みが浮かんできる。
「知らなかったのかい? 爆弾てのはね、紐を抜かなきゃ爆発しないんだよ」
その言葉が意味するのはブラフだということ。
それは人生経験の差か、藤乃静留はまんまと出し抜かれたのだ。
冷静にそのことを認め、体制を立て直そうとする静留。
それは最善の行動で、一瞬で冷静さを取り戻したのは賞賛に値することだろう。
だが、その隙を見逃すヴァッシュではなかった。
「ぐあっ!!」
正確に放たれたスタンガンは静留の細い足を直撃した。
非殺傷兵器とはいえその威力は馬鹿に出来たものではない
×字に身体を捉えられることこそ避けたものの、完全に足をやられてしまった。
――よくて打ち身、下手すれば骨折しているかもしれない。
そしてそれが示すのはもう逃げ切ることは出来ないという、たった一つの事実であった。
「すまない。でも手当てをすれば歩けるぐらいにはなるはずだ」
「やれやれ手間をかけさせる小娘だよ、ほんとに。
じゃあ捕縛するかね。ドーラ様の縄を抜けるとお思いでないよ」
「彼女を捕らえたら急いで戴宗さんのところに向かいましょう。
あの鎧の化け物はもしかしたら、あの時の……」
次第に自分に迫る二人組。
だめだ。ここで捕まるわけには……!
ディパックを、ディパックの中からあれを取り出さないと。
二人そろって飲みたかったが、奪われては元も子もない。
だが静留の指がディパックに触れた瞬間、突如としてそれは訪れた。
予想外の方向からの閃光と爆音の波。
光の波に飲み込まれ、3人の意識は光の中へ消えていく。
そしてそれが、三人に共通した最後の記憶となった。
E-6ブロック、爆心地周辺はひどい有様だった。
デパートは完全に倒潰し、周囲のビルを巻き込み大惨事となっている。
また多少距離があった場所でも弾丸のように大小さまざまな瓦礫が撒き散らされ、宛ら爆撃を受けた都市のような有様を見せている。
そんな荒廃の大地の中で立ち上がる影が一つ。
まだ年若い少女――藤乃静留だ。
制服は大きく破れ、藤色の下着が顔を覗かせている。
だが、そこから覗く肌は傷一つなく処女雪のように白い。
静留はエレメントを現出したまま、瓦礫の中を幽鬼のように彷徨う。
が、しばらくするとその進路を一定の方向に定める。
その先には半壊した壁に背を預けているドーラの姿。
右手は瓦礫に挟まれ、完全に潰れている。
「――形勢逆転どすな」
エレメントを老婆の首筋につきつけ勝利を宣言する。
だが静留に命を握られてもなおドーラはその挑戦的な目を保ちつづけた。
「……傷の治りが不自然に早いね。どんな手品を使ったんだい」
「先ほど不死の酒ちゅうもんを拾いましてな、半分ほどいただきました。
ここまで威力があるとは思わんかったどすけど」
さて、目の前の老婆は怪我の具合から見て、放っておいても死ぬだろうが念には念を入れねばなるまい。
これから先、最大で50人以上を殺していかなくてはならないのだ。
「さて、今から殺しますけど何か言い残すことはありますかえ?」
「……冥土の土産に聞かせてくれないかね、何でアンタがこの殺し合いに乗ったのか」
何だ、そんなことか。
その程度なら話してもかまわないだろう。
「なつきの――愛する人のためどす。
あの娘はこないな場所につれてこられて殺されてええ娘やない。
せやから生き返らせるんどす、最後まで勝ち残って」
「……小娘、一つ忠告しておいてやるから良くお聞き」
その瞳を見た静留は言いようのない恐怖を覚える。
刃を突きつけているのはこちらなのに、まるで死神の鎌を首筋に突きつけられているかのように
「人を殺して生き返らせる?
ハン、そんなもの愛でも何でもない……ただのエゴさね。
さて、エゴで生き返らされた奴が本当に感謝すると思うかね?
まぁ、普通だったら後悔するさね。80人以上の命を生贄に自分が生き返ったと知ったら。
アンタの好きな“なつき”ってのは、それでも自分が生きているのを喜ぶ外道なのかい?」
「――黙りやす」
エレメントを肩に突き刺し、何度もグイッと捻る。
神経を直接えぐられ、気絶しそうな痛みが全身を駆け巡っているはずだ。
しかし、だというのにドーラは笑っていた。
「……恐ろしい……かい? 拒絶さ……れる……のが?
それで……“愛してる”だって?
カハッ……小娘が……笑わせるよ……」
「黙るよう言うたはずですえ……!」
刃を一層深く突き入れると、ドーラの口から血の塊が吐き出される。
しかし、ドーラの皮肉げな笑みは一層強くなり、吐き出される言葉も止まらない。
「図星を突かれたからって……怒るのは自覚の……ある証拠……さね。
お前さんが……やってることは……結局……その“なつき”って奴の……生き様を穢してるんだよ」
「黙れぇぇぇぇーッ!!」
これ以上口から言葉が放たれるのが我慢できず、エレメントを一閃させる。
その刃に刎ねられた首は壮絶な笑みを浮かべたまま。
空を荒らしまわった空賊ドーラ。女傑は誰も知らぬ異国の地でも最後まで女傑であった。
【ドーラ@天空の城ラピュタ 死亡】
『お前さんが……やってることは……結局……その“なつき”って奴の……生き様を穢してるんだよ』
殺したはずなのに、その声は静留の脳裏に未だ反響し続け澱の様に静留の心に積もっていく。
――80人を犠牲として自分が生き残る。
藤乃静留の知る玖我なつきならば、全力を持って否定するだろう。
もしも、もしもだ。生き返らせた後、なつきに拒絶されたら?
いや、あの時のように拒絶されるだけならばいい。
もしも――憎しみを持って相対されたら?
かつての自分なら、『なつきさえ生きていればそれでもいい』と思えたかもしれない。
だが、一度あの腕に抱かれた今の自分が耐えられるのだろうか?
一度でも、僅かでも、心を通わせた自分が――
言葉は呪いだ。
ドーラの言葉は記憶から消すことも出来ず、常に静留の想像の片隅に影を落とすだろう。
最後の瞬間、彼女は確かに一矢報いたのだ。
「だとしても、うちは……」
空ろな目のままでドーラのディパックから荷物を奪い、瓦礫の中を歩を進める静留。
その視界の中に赤いコートの男を発見する。
気を失っているのか、死んでいるのかピクリとも動かない。
「……どちらにしろ、もう戻られまへん。
だったら……行くところまで行くだけどすえ」
自分に言い聞かせるようにして静留は真紅の刃を頭上高く振り上げる。
だがその時、静留は恐ろしいほどの殺気を肌で感じ取る。
視線をそちらに移すと蒼い服を着た細身の男が瓦礫の上に座り込み、こちらを見下ろしていた。
「悪いがその男に用があってな……こっちに渡してもらおうか」
この男の知り合いだろうか。
だが不死者となった今の自分ならば、勝てない相手では――
「それとも……お前が俺の渇きを満たしてくれるのか?」
蒼き槍兵は静留に真紅の双眼を向ける。
戦いを求める狂戦士の笑みを浮かべながら。
その視線を受け静留は悟る。自らの危機はまだ去っていないことを。
【E-6/デパート周辺/1日目/夕方】
【藤乃静留@舞-HiME】
[状態]:疲労(小)、僅かな迷い、不死者(不完全)
[装備]:雷泥のローラースケート@トライガン
[道具]:支給品一式(×2)、マオのヘッドホン@コードギアス 反逆のルルーシュ、 巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING、
サングラス@カウボーイビバップ 、包丁、不死の酒(不完全版・半分飲んだ)@BACCANO バッカーノ!
棒付手榴弾×3@R.O.D(シリーズ)大量の貴金属アクセサリ
[思考]:
基本思考:優勝してなつきを生き返らせ、共に生きる
0:目の前の男(ランサー)に対処する
1:状況に応じ戦い、危なくなったら退く
2:万が一の時は不死の酒に望みをかける?
3:ジャグジーにほんの僅か悪いと思っている
【備考】
※「堪忍な〜」の直後辺りから参戦。
※ビクトリームとおおまかに話し合った模様。少なくともお互いの世界についての情報は交換したようです。
※マオのヘッドホンから流れてくる声は風花真白、もしくは姫野二三の声であると認識。
(どちらもC.C.の声優と同じ CV:ゆかな)
※不死の酒(不完全版)には海水で濡れた説明書が貼りついています。字は滲んでて本文がよく読めない模様。
【ランサー@Fate/stay night】
[状態]:疲労(中)、強い決意
[装備]:鉄槍(折ったポール+アサシンナイフ@さよなら絶望先生×1本)
[道具]:支給品一式×2(食料二食分消費)、ヴァッシュの手配書、防水性の紙×10、
不明支給品0〜1個(槍・デバイスは無い)、偽・螺旋剣@Fate/stay night、暗視双眼鏡
[思考]
基本:このゲームに乗った者、そして管理している者との戦いを愉しませてもらう
1:目の前の女(静留)に対処し、事情をヴァッシュか目の前の女から聞き出す。
2:どこかにあるかもしれないゲイ・ボルグを探す
3:↑のために他の参加者を探して接触する
4:ロイ・マスタング、言峰、ギルガメッシュ、ヴァッシュと出会えれば、それぞれに借りを返す
5:衝撃のアルベルトと出会えれば戴宗からの言伝(一時的な休戦の申し込み)を伝える
6:エリオの知り合いと出会えたら事の経緯を伝える
7:日が暮れたら、戴宗と合流するため一旦温泉へと向う
最終:エリオの遺志を尊重し、螺旋王を討ち倒して彼の仲間を元の世界へと帰す
[備考]
※エリオ、戴宗と情報交換をして、それぞれの世界についての知識を得ました
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン】
[状態]:全身打撲、気絶中
[装備]:ミリィのスタンガン(残弾3)、ナイヴズの銃@トライガン(破損)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]基本:絶対に殺し合いを止めさせるし、誰も殺させない。
0:気絶中
1:襲撃者と静留に殺し合いを止めさせる
2:クアットロが心配。
3:ナイヴズの銃は出来るだけ使いたくない。
4:ランサーが次に会ったときに怒ってたら、とりあえず謝り倒しながら逃げる。
[備考]
※クロの持っていた情報をある程度把握しています(クロの世界、はやてとの約束について)。
※第二放送を聞き逃しました。
* * *
ここは、どこだろう――
鎧の男の一撃に咄嗟にプロテクションを展開して、吹き飛ばされて、それから……
そこまで考えた所、で自分を包み込むような暖かい温もりに気付く。
鼻を突く炎の匂いとあわさって、目標を追い求め始めたあの日を思い出す。
「なの……は……さん?」
「……大丈夫か、嬢ちゃん」
呼びかけに返ってくるのは、彼女と似ても似つかない野太い声。
だが、その声に込められた優しさは似通っている。
「戴宗……さん? 一体……何が……」
自分を抱きしめている戴宗。
未だ事態を把握しきれていないスバルは手を動かし、戴宗の背中に手を回す。
――べちゃり
「――え」
ごつごつした石のような感触とともに両手にべったりした液体が付着する。
手元に戻した手のひらについていたのは温かい深紅の液体。
そして――嗅ぎ慣れた鉄の臭いだった。
「あ……あああ……!」
周囲を見渡したスバルが目にしたのは、自分たちを取り巻く炎の残滓と瓦礫の山。
爆発から自分を庇い、いくつもの瓦礫をその身に受けたのだと、理解した。
気絶していたスバルには、何がどうなってこうなったのかは分からない。
だが自分のあの行動がなければ、目の前の男が瓦礫ぐらいは避けれた事は容易に想像がついた。
「あたしの……あたしのせいで……」
「いいや、お前さんは悪かねえ」
涙声のスバルにしっかりとした声で否定する。
「仲間の仇を……ブン殴りてえって気持ちは止めようとしても止まるもんじゃないよなぁ……
悪いのはお前さんの気持ちを汲み取れなかった俺のほうだ……」
「そんなこと、そんなことありません!
あたしは人を助ける立場なのに、大事なことを……!」
誰かが勝手な行動をとればチーム全体の行動に支障を起こし、取り返しのつかないことが起きる。
機動六課でそれを学んだはずなのに、自分は一体何をしていたというのか……!
「だから気にすんなって……子供に対して責任を負うのは大人って決まってんだからよ」
「あたしは時空管理局で働いています!もう、責任をとらなきゃいけない立場なんです!」
「ハッ、俺から見りゃあまだまだ子供よ。大作のヤツと対してかわらねえ年じゃねえか」
戴宗は優しく微笑む。
「それになスバル……この世には助ける立場なんてありゃしねえのさ。
誰かを助け、誰かに助けられ……それでこの世の中って奴は回ってるんだ。
それはきっとどの世界でも変わらないはずだろ?」
「だったら余計にあたしは! 助けられてばっかで何も、何も……」
「だったら……今から返せばいい」
穏やかな声だ。とても深い傷を負っているようには聞こえない。
その声に重なるのは厳しくも優しい上官の姿。
性別すらも違うのに、その優しさはとても良く似ている。
「志を共にする仲間を集めて、螺旋王をブッ飛ばすんだスバル。
なぁに、お前さんならきっとできるさ。
“一緒に戦う”その気持ちさえ忘れなけりゃあ、な」
だがそこまで言い切ったところで表情が曇る。
苦痛? いや、これは純粋な悲しみの表情だ。
「それに……スバルにはこっちが謝らなくちゃいけねえ。
エリオって坊主、知ってるか?」
「え……」
意外な人物から出た意外な名前に、少女の目が一際大きく開かれる。
「その服にその名前……やっぱり、あいつの仲間なんだな。
すまねえ……俺が捕えてた悪党をむざむざ逃がしちまったから、あいつは死んじまった。
仇は討ったが坊主の命は二度と戻ってこねえ。
こればっかりは謝っても謝りきれるもんじゃねえが……
すまねえ……すまねえなぁ……」
スバルには分かった。
戴宗は許しを乞ている訳ではない。
ただ悔いている。出会ったばかりの少年を助けられなかったことを悔いている。
だからこう伝えるしか、ない。
「知らせていただいて……ありがとう、ございました……
エリオもきっと……そういうと思います……」
戴宗はそのスバルの答えに僅かにだが、微笑んだ。
そして満足したように静かに瞼を閉じていく。
「戴宗……さん?」
* * *
嗚呼、体から命が消えていく。
だが死と隣り合わせの世界に生きてきた男はこれが死か、と受け入れる。
さて、思い残すことはないだろうか。
――元の世界に残してきた大作のことが心配だ。
だがあっちにはまだ楊志や鉄牛、銀鈴、そして国際警察機構の面々がいる。
彼らなら自分がいなくとも、きっと大作を正しい方向へと導いてくれるはずだ。
――こんな殺し合いを引き起こした螺旋王に一撃入れたかった。
だがそれならランサーやスバルがやってくれるはずだ。
あいつらなら一撃入れるどころか、全力でブッとばしてくれそうだ。
その光景がありありと目に浮かんできて、こんな時だというのに爽快な気分になる。
――そういや酒を飲んでねえな
結局ここに着てから酒を一滴も呑んでいない。
それもまあ、いいか。
元々楊志にも酒を控えるよう言われてたし、たまには禁酒も悪くねえ。
後は――ああ、そういえば、結局衝撃のとは決着が付かないままだったなぁ。
眩惑のセルバンテスを討った時から始まった因縁。
他の誰にも任せられない――それが唯一の心残りだ。
(はは……やっぱ、未練、だ、ぜ)
そして男は静かに最後の意識を手放した。
【神行太保・戴宗@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日- 死亡】
大きな身体から力が抜け、寄りかかる温かみが消えていく。
これが“死”、その命が消える瞬間なのだとスバルは身をもって知った。
「戴宗、さん……ごめんな、さい、ごめん……なさい、ごめんなさい……ッ!」
嗚咽が酷くなり、涙がとめどなく溢れてくる。
山のような後悔と絶望で心が埋め尽くされている。
自分があそこででしゃばらなければ、姉のデバイスを化け物に奪われることもなかった。
あそこで大人しく待っていたらならば、戴宗さんは死ななかった。
『たら』、『れば』を繰り返しても意味が無い。
そう分かっていても一度考え出した後悔は止まらない。
いっそ狂ったように大声を上げて泣き出せばどれだけ楽だろう。
でも、託されたことがある。だからここで泣いて自棄になるわけにはいかない。
「……戦うんだ、仲間を、集めて……!」
言い聞かせるようにして自分を奮い立たせる。
だがその時、スバルの背後で瓦礫の崩れる音が響く。
瓦礫を押しのけて立ち上がったのは、赤い軍服と左腕にナックル型のデバイスを身につけた男。
先ほどまでつけていた黒い鎧は砕かれ、白日の下に晒されている。
そして明らかになったその顔はスバルの知る面影を残していた。
「――そんな、なんで……」
それはかつて自分が助けた男、ロイ・マスタングその人であった。
髪は逆立ち、銀のうろこを持ち、その姿は変わり果てているが間違いない。
自分とヒューズが助けた男の顔だ。
スバルは生前のヒューズからロイ・マスタングの人となりを聞いていた。
――情に弱く、人のために動く男。
その人物像と眼の前の悪魔はどうしてもイコールで繋がらなかった。
例えそれが、同じ火を使う異能力者であっても。
「どうして……どうしてぇっ!」
スバルは涙を流しながら問う。
だが、男が返すのはただ無機質な視線だけだった。
* * *
少女の泣き顔を目にしても、デビルマスタングは動じない。
(どうやら目の前の生命体は死んでしまったようだ。
そういえば死亡した場合は取り込めるのだろうか?
まだ試していないならば試せばいい。ただ、それだけのことだ)
先ほどの戴宗との戦いで受けたダメージは、常人ならば死んでもおかしくないほどのものだった。
全身の骨は砕け、いくつかの内臓にも深刻なダメージを追ってしまった。
しかしDG細胞はその分だけ自己増殖・自己再生を繰り返し、マスタングの身体を短時間で立ち上がらせるまでに再生させた。
そしてその分だけ意識への侵食も加速させていく。
「××××さんはあなたを助けようとしてたのに、どうして……」
ああ、ノイズが五月蝿い。
目の前の男の力は惜しいが、それに匹敵する力は手に入れた。
少女を男の死体ごと焼き尽くし、消し炭に変えてしまおうか。
ああ、それはいいアイデアだ。
そうすればこのノイズも消えてくれるはずだし、どちらにしろ『人類は絶滅させねばならない』のだから。
だがその時、背後から駆け寄ってくる足音を聞く。
あの爆発の中で生き残った奴がいるのか?
だとしても今の自分に敵はない。今の自分は“魔法”という新たな力を手に入れたのだ。
最早どんな武器を持って来ようともはや自分の敵ではありえない。
「――そこまでです! その人たちから離れなさい!」
だが、その声はどんな武器よりも自分の胸を貫いた。
男の説教にも、少女の悲痛な叫びにも揺らがなかった心が悲鳴を上げる。
振り向くなという内側から響く声を無視して、体が勝手に、油の切れたブリキ人形のように振り向かせてしまう。
かつての自分にはあの時に、自らの墓を作った時にさよならを言ったはずだ。別れたはずだ。
だが彼が彼である限り『ロイ・マスタング』は影のように付いて来るのだ。
“焔の錬金術師”という二つ名と共に。
「……たい……さ……?」
――だから残された最後の過去との再会は燃え盛る炎の中で。
それもまた、焔のさだめなのだろう。
【E-6/デパート前/1日目/夕方】
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:機動六課の制服、疲労(大)、全身にダメージ
[装備]:なし
[道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のじゃがいも、2/3][水])、ジャガイモカレー(特大)
アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、予備カートリッジ(×12発) 首輪(ジャグジー)
[思考]
基本:仲間を集めて事態の解決を目指す
0:何で、どうして……
1:火災現場に来るであろう八神部隊長他、六課の仲間と合流
2:八神部隊長と合流できたら、協力して他の仲間を捜索する
※第二放送は知り合いの名前しか耳に入っていません。
【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師】
[状態]:デビルマスタング状態、以前よりも身体能力が向上。
健康(?)、DG細胞の意識支配率…およそ56%
[装備]:リボルバー・ナックル(左手)(カートリッジ:2/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
アルの鎧(DG細胞寄生、黒い色)、制服(DG細胞寄生、赤い色)、
ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師
[道具]:デイバッグ(×2)、支給品一式(×5)、ジャガイモカレー(大)、マチェット
錆びた日本刀@機動武闘伝Gガンダム、ナイブスの銃の予備段30発
[思考]
基本思考:優勝して願うか、螺旋王を殺して吸収し螺旋王の能力(死者蘇生や戦闘能力など)を
手に入れて現実へ帰還。その力を持って世界に大変革を齎して、新世界の神になる。
0:――――
1:目の前の敵を殺す
2:参加者は、発見しだい半殺しにして取り込む。そして力を吸い尽くし次第捨てていく。
3:どんどん力を吸って、自らを螺旋王に対抗しうるだけの力を持つ生物へ『自己進化』させる。
4:もう迷わない。迷いたくない。
5:茶髪の少女(クアットロ)に再度出会った時は今度こそ取り込む。
※DG細胞は全身に行き渡りました
※強い精神力で、DG細胞をある程度支配しています。
※精神的にダメージを受けているので、DG細胞による意識支配への抵抗力が多少低下。
精神的なダメージをさらに受けて侵食が進むと「人間を絶滅させたくなる」や、「自我を失い 暴走する」などといった症状が現れる可能性があります。
※かなりDG細胞による侵食が進みました
【リザ・ホークアイ@鋼の錬金術師】
[状態]:疲労(大)、精神的ショック、全身各所に擦り傷
[装備]:ガトリングガン@サイボーグクロちゃん
[道具]:支給品一式×2、M500ハンター(0/5)@現実、ダーツ@現実(残り23本)、
タロットカード@金田一少年の事件簿、USBフラッシュメモリ@現実、
泉そうじろうのデジタルカメラ・説明書付@らき☆すた(※マタタビの勇姿(後ろ姿)を撮ったデータが一枚入っています)
[思考]
基本:ここから脱出する。殺し合いをするつもりはない
1:そんな……何故……
2:パズーの知り合いとの接触および、彼を守れなかったことを謝罪したい
3:2日目の0時頃に温泉へと戻り、マタタビに協力を要請する
4:トンネルで見た化物を警戒する
5:ゆたかを心配
※リザ・ホークアイの参加時期はアニメ15話辺り。彼女の時間軸では、マース・ヒューズはまだ存命しています
※トンネルで出会った人物より、『線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)』の名前を聞きましたが、それが名簿に記載されていないことにまだ気づいていません
※マタタビと情報交換をしてません。また、マタタビを合成獣の一種だと考えています
※Dボゥイとゆたかの知り合いについての情報を得ました。
※戴宗のディパックおよび荷物はまだ戴宗の死体とともにあります。
207 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/17(月) 23:13:41 ID:si8yiggO
死んでも生き返ってはいけないというルールはないから
死んだら別フィールドににぶっ飛ばせばいいんじゃね
>>192 の世界で死んだら、>>203の世界に転生とか
208 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/17(月) 23:29:12 ID:YXM1jlhX
糸色望はA世界のバトルロワイアルに参加決定しますた
僕達は殺し合いをすると、3回書かされました
「へたれセイバー」に食われて死亡しました
A世界で糸色望が死亡しました
糸色望は他界しました
・
・
・
糸色望はB世界のバトルロワイアルに参加決定しますた
僕達は殺し合いをすると、3回書かされました
突如、「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」に鈍器で殴られて死亡しました
糸色望は他界しました
・
・
・
糸色望はC世界の…
232 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/20(木) 00:20:37 ID:FAwql9YC
たとえばね
キャラが増えれば増えるほどいいというんだったら
キャラ数の上限は無いほうがいい
ということで、
>>208のような形で死んでも復活できるようにして軍団制で戦う
あと、同じキャラを何人も作っておけばいいのではないかなと
たとえば、糸色望だったら
A軍団にもB軍団にもC軍団にも等しく糸色望がいるとか
から
>>67 専用スレなんて誰が立てろと言った?
1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2007/12/29(土) 16:00:26 ID:WgcsK0Mj
注意事項
ここでは特にありません
したらばをつかってスレを占領しているしたらばの連中のせいで妨害されている
アニメキャラバトルロワイアルを、正当な形でやろうというスレです。
したらば側は絶対に出ていきませんが、したらばから出てくることもないチキンなので、無視で
※不快な思いをしないために
したらば側とかかわるだけ損です!お互い心地よく活動するためにも、
もしもしたらば側で不快な思いをしたりしている人はこちらに誘導してください。
向こうで進めてもどうせ削除依頼を出されて最初からになるだけです。ログを残すためにもこちらでやりましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんか、これ見ても
どーーーーーーーーーーみえもしたらばの策謀としか思えないよねwwwwwwwwwwwww
>>67 >>68 >>69 それ、強制じゃないから
だって考えてもみろ。削除議論ログが消されたのなら抗議すればいいだけだろ
72 :
出してきました:2008/01/01(火) 12:51:51 ID:pIsxKsFh
乙!
ってゆーか、みんなちゃんと議論しようぜ!
まずは参加者から決めようぜ!
>>68 スレ住人として言いますが、そんなコピペは議論に必要ありませんよ。
それよりも、過去ログを全てwebサイトにアップロードしていただきたいんですが。
そういったログをコピペできるという事は、ログお持ちなんですよね?
スレ住人からいわせてもらえれば
ログなんて誰も持ってないし
そもそも運営機能を外部に出すのはしたらばのような暴走を再発させるだけだから反対
>>76 では、上のコピペは一体どちらからコピペされてるんでしょうか?
>>75 >>77 コイツにそういう事を言っても無駄だと何べん言えば分かるんだ?
ダニエルが強かった
ていうか専用スレが立ってるのにそこまで執拗に拒否する理由はいったいなに?
「したらばがやってるところを荒らしたいだけ」でないなら、専用スレ行けばお互い波風立てんですむだろうに
誰が立てたか、じゃなくて何をやるかだろ
何で削除されるかもしれない上に不快な思いしてまでここに残るの?
名称的にも何の問題もないだろ
そもそも専用スレなんて立てろなんてここのスレの住人誰も言ってないです
あるのに使わない理由は何?って言ってるの
>何で削除されるかもしれない上に不快な思いしてまでここに残るの?
ここに答えてくれない?
何かメリットでもあるの?
・たぶんテンプレについての議論をする際は削除は無い模様
・そもそもしたらばが荒らしである
よって荒らしには屈さない
勝手に一人で暴走して作られても迷惑なの
重複スレなんだから削除依頼出してきてください
どう考えてもここでぐちぐち議論まがいのことをやってるやつよりしたらばの住人のほうが多いだろ
民主主義の原理に則って早々に去ればいいのに
したらばという外部掲示板に何千人いようが何万人いようが
2chのこのスレではゼロ。つまり関係ない。
したらばの企画ならしたらばでやれよ
名前だけパクっただけの2chとはなんの関係も無い別の企画じゃねえか
植民地扱いとは何様のつもりなのよ
自企画の成功を第一に考えるなら、それ相応の行動を取るだろう。
だが、これまでを見る限り、彼の第一目的はこのスレに粘着して荒らすことだ。他企画設立なんてのは隠れ蓑に過ぎない。
それは誰の目にも明らか。無論、削除人にも自明だったから削除された。それだけの話。
そして、彼に日本語が通じないのも既に分かりきった話。
専ブラでNGワード工夫すりゃあぼーん出来るんだ。ちゃんとスルー徹底しようぜ。
何で、したらばと2chの関係は悪化したの?
1stの頃は普通にやってたのに。
2chパロロワ事典@Wiki
ギャグの人
http://www11.atwiki.jp/row/pages/252.html ハカロワ3に沸いた駄書き手・荒らし。
最近は頭文字の『G』、その頭文字から連想する『ゴキブリ』の呼び名で定着している。
ギャグの人という名は彼が投下した駄作SSに対する住人のコメントが「それはひょっとしてギャグでやっているのか!?」だったことに由来する。
投下した作品が余りにも酷い作品ゆえ、分規制を採用していたにもかかわらず誰からもリレーがされなかったことを逆恨みしてハカロワ3の荒らしを始める。
携帯等の複数端末から同時に荒らしに来るため、勢いがあって厄介。その勢いはハカロワ3の本スレをしたらばに追い込むほどであった。
なお、現在もハカロワ3の本スレはしたらばに存在するが、ギャグの人や一部の痛い住人・アンチの手により強引に葉鍵板にもスレが存在してしまっている。
その後、本2chパロロワ辞典wikiも荒らしたため、ここからもアク禁された。
(これにより、本wikiのハカロワ3や一部の項は編集規制が施され、ページの更新・修正をしたくてもできない状態となっている)
その後、交流雑談所にも降臨し、交流所荒らしを開始。バレバレな自作自演や煽り、コピペ荒らしを繰り返した。
特に自身をのけ者にしたハカロワ3を相当恨んでいたらしく、ハカロワ3の話題が挙がる度にしつこいくらい噛み付いてきた。
そのため、交流雑談所ではハカロワ3の話題をすることは一時期タブーとされ、まともな雑談やハカロワ3の話題は急遽立てられた交流所毒吐きスレで行われることになった。
なおこの時、ほぼ1日中スレに現れていたため「まるで1匹いたら30匹はいるという黒いアレみたいだ」等と毒吐きスレで言われたことにより『G』、『ゴキブリ』と呼ばれるようになった。
(実際、当時のギャグの人は一度スレに現れると深夜〜真夜中までスレを荒らし続けていたので、『高い生命力を持ちどこにでも現れる嫌われ者の代名詞』であるゴキブリに例えたのはあながち間違いではない)
ラウンジclassic@2ch掲示板にあるパロロワ交流雑談所は現在、ギャグの人のせいで機能をほぼ停止させられている。
現在の主な荒らし対象スレはアニロワ2nd。アニロワ2ndはG対策のため議論・感想・予約等をすべて避難所であるしたらば掲示板で行い、SS投下のみを2chスレで行っている。
キャプテン、勉強男、ギャグの人は合わせて『パロロワ三大荒らし』と呼ばれている。
ちなみに、同じ厄介者のキャプテンからも直々に『いらない子』呼ばわりされた可哀想な子でもある。
また、この三人の中で唯一『最悪板』にオチスレが立てられた不名誉な存在でもある。
ネカフェや漫喫、串等を多用する。
Gは、接続毎にIPが変わる回線を好んで使う傾向がある。
特に、以下の使用頻度が高い。
p*-air02hon32k.tokyo.ocn.ne.jp
softbank219206014168.bbtec.net
KD12502801*.ppp.prin.ne.jp
202-94-152-169.cust.bit-drive.ne.jp
これってコピペだから削除対象だよな
もちろん
>自企画の成功を第一に考えるなら、それ相応の行動を取るだろう。
意味不明。そもそも「成功」とは何?チミたちの駄SSが完成すること?
>だが、これまでを見る限り、彼の第一目的はこのスレに粘着して荒らすことだ。
根拠の無い罵倒
>他企画設立なんてのは隠れ蓑に過ぎない。
根拠の無い罵倒
>それは誰の目にも明らか。
単発IDでほざくバカが何をいう
>無論、削除人にも自明だったから削除された。それだけの話。
今回から削除されなくなりました。残念でしたwwwwwwwww
>そして、彼に日本語が通じないのも既に分かりきった話。
根拠ない罵倒
>専ブラでNGワード工夫すりゃあぼーん出来るんだ。ちゃんとスルー徹底しようぜ。
不利な意見を封じ込めるための方便にしかみえませんねwwwwwwwwwwwwww
>>90 これ見ると、ただのそこのWiki書いてる奴のレッテル貼りにしか見えないんだけどな
ネタでやってるような企画でギャグやって何か悪いわけ?
>>94 ギャグじゃなくてギャグにしか見えないような駄SSってことだろ
『荒らされたから移動した』というのはしたらばの方便です
本来は荒らしでもなんでもなかったような書き込みを荒らしとして
針小棒大に騒ぎ立てて自分達で好き勝手に削除できるしたらばに逃げただけ
奴等「したらば」の一部グループには「バトロワとはこうあらねばならない」と考える
偏狭ななにかがあって、そのルールに従わないキャプテンという人物郡(何名いるか知らないが)
を潰しにかかるためにしたらばに全部逃走してそれを「避難」と読んでるだけですよ。
キャプテンや勉強男とかギャグの人とかが、何をしたんだ?
特に、アニロワではキャプテンが暴れたというけど、何をどうあばれたのかログが全くないんだが
それで何を信じろっての?
むしろ、したらばから出た厨が他のバトロワ(CGI系のバトロワ)にまで口だししてバトロワとはああだこうだと
自分達が勝手に作り上げた「バトロワ」のルールを押し付けようとするからこちら側はすげえ迷惑してるんだよね
アンチとしたらばが呼んでる人間側は、そのしたらばの事を集団荒らしだと言ってるよ
望みもしないのに場とロワのSSを勝手に押し付けるktgiどもだってな
そういうところにまでのこのこ出て行って『(したらばの言う)バトロワのすばらしさ』を喚きたてて
それでさらにアンチが拡大してるdionとか、本当に頭おかしいんじゃねーかこいつらとしか思えないんだよな
だからサブカルでも追い出されるんだよ
その「交流所」とかいうところで勝手に作り上げた「バトロワ」のルールとかも含めて、
「バトロワの成功」とか「企画の成功」とか、そういうのってしたらばの一部の住人が作った一つの概念でしかなく、
そういう事をいちいち住人が望んでいないということを理解しろよ
そんな細かくいちいち考えてなんてねえんだよ
人を復活させるなとか、結界や能力制限かけないとバトロワじゃないとか
それは勝手なそちらの思い込みでしかない事をいい加減理解しろ
「アにキャラ総合板の住人はバトルロワイアル2ndの完結を望んでる」とかそこまで思ってる香具師はいねえよ
思ってるのは当のしたらばの住人だけだ。だったら全てをしたらばでやれ
荒らされたというなら、当然その時のログがあるはずでしょ?
当然wikiにもその時の証拠ログぐらい貼ってあってしかるべきでしょ?
まずそれを貼れよ。したらばに逃走したのはだいぶ前の話だろうが。
でも実際、その後居残ってた人間どもで今の2chのロワを企画中なんだからさ
>>90 リレーされた事を恨んでいるって…
ソースどこ?
そこまで書いてるんだから当然そういう発言があったんだろうな
少なくともギャグの人といわれるのが仮に
したらばの言うとおり一人の自作自演(ありえねえw)だとしてもよ
したらばへの移動は、
(奴等の主張によると)キャプテン(これも何人いるかわからねえ)が原因だったはず
とにかく、あきらかにウソだぞ
>>96 どこが企画中だよw
何ヶ月も議論してきて決まったことはあるのか?
>>99 君ねぇ、テンプレ100回くらい読んだら?
ゴキブリに反応っていう餌を与えてるって自覚ある?
>最近は頭文字の『G』、その頭文字から連想する『ゴキブリ』の呼び名で定着している。
>ギャグの人という名は彼が投下した駄作SSに対する住人のコメントが
>「それはひょっとしてギャグでやっているのか!?」だったことに由来する。
バトロワは半分ギャグで半分ネタです
「それはひょっとしてギャグでやっているのか!?」と聞く方がおかしいです
吉本新喜劇で漫才やってそれを「それはひょっとしてギャグでやっているのか!?」と聞くのと
同じ
したらばの意見に反対する=ゴキブリ
>>100 異論反論封じ込めのための工作御苦労さまです
>>100 そんなにしたらばのルールでやりたいなら
妨害しないからしたらばでやりなさい
な。
うちの企画が成功するかしないかなんて
あんたらには関係ないでしょ!!
>アニロワ2ndはG対策のため議論・感想・予約等をすべて避難所であるしたらば掲示板で行い、SS投下のみを2chスレで行っている。
これ、司法・行政・立法の全てを外国で行い、広報だけ日本で行ってるといってるのと全く同じじゃん
これで2chの企画だって言い張る気?そりゃないだろ普通
__,,,,.....,,__
_,. :- :' ":´: : : : :` ': 、、
_,.r ':´: : : : : : : : : : : : ヽ、
_,.-'´: : : : : : : : : .人: : : : : : \
,.ィ'´: : : : : : : : : : / ヾ、: : : : : :ヽ
/: : : : : : : : : : : ノ ヾ、: : : : : ゙i、
'イ: : : : : : : : /: // ヽ : : : : : 'i
/: : : : : ノ'_,. 彡',.ィ'/" 'i | : : : : 'i
'7: : : : /ム" '''''^~''"゙ !:|: : : : : |
レi: : : :i' ,...:;;.、 ゙'! : : : : |
.!∧ : : ! =-x、.,_ .;' : _,,.、=:''""'ー | : : : : 丿
゙ \ r'l,_r'""゙゙゙゙~~Y_,,....,,i'"゙゙~~ ̄`゙ト、.,_ i':r‐、: :/ したらばが反論できないような意見は
`1 i !, _,!.| '''!、 _j! ゙''レ'ri ! ;/
ヽl| ゙゙"""~~ . | ゙゙"~~ ̄ .:jシ' ノ / NGワードにしてあぼーん推奨
'、! └-ー '~/ :ノ
゙'、 ,/-',,.:-'゙
゙、 :: _,,. -―- 、..,,_ :: ,/ |'゙
゙i、 '""'' .ノ .|
| '、 / .|_
,.┤.ヽ、____,,./ _,|..)
_,..-|`゙"'''ー-、 :: ,.-― '''''""゙ ト-.、、
…いい性格だなw
で、またてめえらのwikiに書くんだろ
でっち上げでな
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【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
若しくは3:00、9:00、15:00、21:00
もしくは両方(世界によって違う)
原則、6時間置き。『基本的に』以上の時間に運営者が「何か」発表を行う
普通、禁止エリアと死亡者、残り人数などを発表すると思われる(判断は地図屋に任せる)
放送は多分、基本的にはスピーカー。
何も指定が無ければ機械音声での読み上げでいいんでないかい
世界の創造主の判断によってはメールやインターネットなどでの閲覧も可としてもよい
(判断は地図屋に任せる)
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
【作中での時間表記】(23時スタート)
1 子 23時 - 1時 深夜 宝瓶宮
2 丑 1時 - 3時 丑三つ時 磨羯宮
3 寅 3時 - 5時 黎明 人馬宮
4 卯 5時 - 7時 明け方 天蝎宮
5 辰 7時 - 9時 朝 天秤宮
6 巳 9時 - 11時 昼前 処女宮
7 午 11時 - 13時 真昼 獅子宮
8 未 13時 - 15時 昼過ぎ 巨蟹宮
9 申 15時 - 17時 夕方 双子宮
10 酉 17時 - 19時 夜のはじめ頃 金牛宮
11 戌 19時 - 21時 夜 白羊宮
12 亥 21時 - 23時 夜遅く 双魚宮
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変更点
・0時開始→23時開始(十二支を参考)
・夜・夜中・真夜中・深夜などの紛らわしい表記を削除
・子の刻・丑の刻とか書かれても判る奴とわからない奴いるから、24時間表記でもおk
放送
・世界の創造主(地図作る香具師)の判断である程度変えられる
・統一ルールは6時間置きということだけ
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ /" `ヽ ヽ \
//, '/ ヽハ 、 ヽ
〃 {_{ノ `ヽリ| l │ i|
レ!小l● ● 从 |、i|
ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ.i| 前スレで出ていた時間の区切り変更案にょろ
/⌒ヽ_|ヘ ゝ._) j | i/⌒) この議論については
\/:::::| l>,、 __, イァ|. {ヘ、_∧ 先に
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197690706/ を
. /:::::/| | ヾ:::|三/:::/.| |、_:::ノ 使うにょろ
`ヽ< | | ヾ∨:::/ | |::イ
『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』
上記のような命令を下されたとして、君は第一になにを成そうと考えるだろうか?
命令というものは、指示する者の意図を正確に汲み、実行する者が同調する必要がある。
しかしこの命令が、正式な命令としてではなく、催眠術のような暗示的なものだったとすればどうか。
命令の本質は歪み、指示する者の意図は明確に伝わらない。
命令を達成するための方法諸々は、実行する者の判断に委ねられる。
なにを成して命令を遂行するか、遂行したと判断するか、それは受け手の解釈の仕方によって様々なのだ。
たとえば、君は上記のような命令をどう解釈するだろうか?
・エリア中心部に行く
・他の参加者に接触する
・使えそうかそうでないか判断する
・使えそうならば仲間に誘う
・害を為すようなら排除する
命令としては単体でも、それをバラしてみれば、実はやるべきことは上の五つ。
命令を受ける側として最も考えなければいけないことは、この五つの中の、どれが本質――最優先事項――であるかだ。
たとえば、エリア中心部へ行ったとして、他の参加者がいなかったらどうすればいいのか。
たとえば、エリア中心部へ行く過程で、他の参加者に接触した場合はどうすればいいのか。
たとえば、他の参加者を仲間に誘い、断られた場合はどうすればいいのか。
本質がどれであるか、解釈の違いによって、命令の意味は大きく変質する。
行く、接触する、見極める、誘う、排除する。
これら五つ、どれを成せば任務遂行と言えるのか、どれを優先すべきなのか。
それはやはり、指示する側が明確に本質を示していない以上、受け手の捉え方によって千差万別なのである。
ある者は『到達』を第一に考え、その過程で出会う参加者は無視してしまうかもしれない。
ある者は『接触』を第一に考え、中心部へ到達することなくその過程で命令を遂行し終えるかもしれない。
ある者は『判断』を第一に考え、ろくな接触もせず視認しただけでその者の適正を計るかもしれない。
ある者は『勧誘』を第一に考え、どんな者でも好意的に受け入れてしまうかもしれない。
ある者は『排除』を第一に考え、どんな者でも害意だと見なしてしまうかもしれない。
さて、では君ならばどうするか?
たとえば君が、命令というものを軽んじるただの学生だったとして。
たとえば君が、命令というもののシステムを知るようになった社会人だったとして。
たとえば君が、命令というものを依頼と同列に解釈する請負人だったとして。
暗示的なものであろうが、直接的なものであろうが、命令であろうが、お願いであろうが、要点は変わらない。
受け手が、指示内容の本質をどう解釈するか――やはり、千差万別なのである。
『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』
このような抽象的かつ曖昧模糊な例では、なおのこと。
◇ ◇ ◇
エリアD-8 古墳近辺
ビクトリームは、歓喜に震えていた。
しばらくぶりとなる我が体との合身。心地よいVの体勢。
彼という魔物を語る上で最も重要なポージングが、また万全の状態で取れることが嬉しかった。
そんな幸福の時間を、質問攻めで邪魔したのがニアだった。
「グラサン・ジャックさんってなんですか? ガンメンモドキってなんですか?」
キラキラと光る珊瑚礁のような髪に、純粋無垢な表情を携えた少女。彼女はニアと名乗った。
ビクトリームの体に数々の虐待を加え、それでいてこのふてぶてしい態度。
ビクトリームは彼女をいま流行のヤンデレ少女ではないかと推察したが、それも「ヤンデレってなんですか?」と一蹴された。
その他、華麗なるVから飛び出る数々のジョークは、「〜ってなんですか?」のフレーズによって蹴散らされる。
なんだこの娘なーんも知らねぇのかこの困ったちゃんがー! と叱り飛ばしたところで、ニアは不思議そうに首を捻るだけだった。
とにもかくにも、ビクトリームはニアについての知識のなさを鑑み、彼女を『バカ』であると認識した。
「おお、かわいそうなニアちゃんよぉ……あんまりにも惨めったらしいから、この華麗なるビクトリーム様がテメェに学をつけてやろうじゃねぇか」
そうしてビクトリームは、己の主観と願望に若干の誇張を加え、ニアが最も知りたがっていた『グラサン・ジャック』について語った。
「……よくわかりました。やはりグラサン・ジャックさんというのは、シモンのアニキであるカミナさんのことだったのですね」
「そういうことだ。だが……それも昔の話よ。今のあの男はグラサン・ジャック。このビクトリーム様の忠実なしもべにして唯一無二のパートナーよぉ」
「パートナー……では、ビクトリームさんはカミナさんのアニキというわけですね?」
「ん……ん、んんん……? ま、まあそう解釈しちゃってもよろしかったりしちゃったりするんじゃないかぁ?」
「アニキさんのアニキさん……シモンがいれば、今頃……」
物憂げな視線を空に投げて、ニアは森林の中を佇む。
その様子は、Vカットとメロンの曲線くらいにしか美を感じないビクトリームの意識を奪わせるほどのものだった。
しかし、この反応はいったいどうしたことだろうか。
グラサン・ジャック――カミナの名を知る少女。
最初は仲間かなにかと思ったが、彼女自身はカミナとは面識がなく、どんな人物かとビクトリームに問うような無知。
とりあえずビクトリームは「気のいい弟分よぉ」とだいぶ曲解した知識を与えておいたが、どうにもリアクションが薄い。
まさか本当に名前しか知らないのか、ならなぜそんなにも興味を抱いているのか、ビクトリームにとってはまったくの謎だった。
「って、な〜んでこの私が奴のことでこんなに悩まなくちゃいけないんだっつーの。おい小娘、おまえいったいどこで我がパ」
「お願いですビクトリームさん! 私を、そのグラサン・ジャックさんに会わせていただけませんか!?」
「な、ぬぅわぁにぃぃぃ!?」
真摯な瞳、Vに急接近。ツッコミもなにもないまま放たれた懇願に、ビクトリームはペースを狂わされた。
そもそも、この少女はグラサン・ジャックとどういう関係にあるのか。
ヤンデレでもストーカーでもないならば、いったいなんだというのか。
その答えをまだ知り得ていないビクトリームは、素直にニアの申し出を受け入れるはずもなく、
「バーロー! さんざん我が体を痛めつけてくれた小娘がな〜に抜かしとんじゃあ!
そもそもだな、この私が今さらどの面さげてグラサン・ジャックと会えばいいっちゅうんじゃい!
それができりゃあこんなドキドキムネムネした微妙な乙女心のような気持ちになんてなら――」
断りの怒号を放ったが、しかしその罵声は、西方から届いた轟音によって掻き消される。
同時に西風が周囲の木の葉を舞い上げ、ビクトリームとニアの二人を襲った。
「きゃあ!?」
「ブルアアアァァァァァ!?」
両名とも吹っ飛ばされまいとどうにかその場に堪え、しばらくして風はやんだ。
舞い上がった木の葉がすべて地面に降りる頃、二人の視線は西の方角を向いた。
「な、なんだぁ……?」
「……なんでしょう?」
そして、時は少し遡る――。
◇ ◇ ◇
エリアE-7 T字路近辺
八神はやては、目を白黒させながらその惨状を眺めていた。
一条の川を隔てた向こう側、エリア中心部へ向かうためのルートに鎮座する、元々の目的地、
「なんか燃えてるぅぅぅぅぅ!?」
デパートが――下着売り場ごと――燃えている。
日中お構いなしに濛々と立ち上る煙は、はやてにミッド臨海空港で起こった大規模火災事故を思い出させた。
同時に、あれほどの火災ならば要救助者がいるのではないかと思いもしたが、
「……あ、エリア中心部へ行かな」
足は、いつの間にか北へ向いていた。
そのまま燃え上がるデパートには一瞥もくれず、無理せずエリア中心部へと到達するためのルート、北路を選択する。
時空管理局に勤める彼女が、人命救助を差し置いて他を優先するなど、普通ならば考えられないことだった。
それはこの殺し合いという環境下においても同じで、一時期心のぶれはあったものの、はやての強固な意志は揺るいでなどいなかった。
それを歪め、変質させてしまったのが、<ギアス>という『絶対遵守の力』なのである。
◇ ◇ ◇
エリアD-7 路上
小早川ゆたかは、息を切らしながらも懸命に歩いていた。
元来、病弱なゆたかの体力は、常人のそれよりも遥かに劣る。
かつての同行者、Dボゥイはそんな彼女を気遣い歩調を合わせて並行してくれたが、弟のほうそんな気心は持ち合わせていなかった。
(歩くの、速いんだ)
小早川ゆたかと相羽シンヤ。
テッククリスタルを求め会場をさ迷い歩く二人は、南へと歩を進めていた。
ただし、仲良く肩を並べてというわけではない。
シンヤにとって、ゆたかの存在はいわば人質。Dボゥイとの再戦を果たすための、切符的役割しか担っていない。
それはゆたか自身も認識していたことで、無碍に扱われることに関して不快感を覚えたりはしない。
ただ、ついていくことすら困難なのかと思うと、自分の脆弱な体に僅かな憤りを感じた。
「……」
「……あ、ありがとうござい……」
歩の遅いゆたかとの距離が10メートルは離れたところで、先行くシンヤは足を止めた。
そのまま無言で後続が追いつくのを待ち、ゆたかが気づかいに感謝しようと口を開いても、意には関さなかった。
隣合わせではなく、前後の位置関係のまま、ゆたかとシンヤは歩き続ける。
(うう……なにを話せばいいのかわからないよぉ)
ゆたかは、どちらかといえば人見知りなほうである。
出会って間もない年上の男性相手、それも自分の命を握っている者ともなれば、なにを話の種にすればいいのか皆目見当もつかなかった。
ただ、このまま無言で行動を共にするのはどうにも気まずい。Dボゥイといたときはこんな些事には悩まなかったのだが。
(わからないよ……わたし、男の人とあんまりお喋りしたことないし……)
Dボゥイによく似た後姿を見つめながら、ゆたかは顔中に疲労からくる汗を作っていた。
それに緊張も加味され、顔色は体調を崩したときのように青ざめていたが、そのことには本人もシンヤも気づいていない。
「止まれ」
「え?」
萎縮したまま歩いていると、ふとシンヤから制止の声がかかった。
ゆたかは顔を前方に促し、その理由に気づくと、すぐに視界をシンヤの身に塞がれる。
「あ、あの、前のほうに人が」
「わかっているさ。だからこうしている。奴がいきなり銃を抜いて、おまえが射殺でもされたらことだからね」
結果的に、ゆたかの小柄な体はシンヤに覆い隠されるような状態になっていた。
それが前方からやって来る――敵かもしれない――人間から庇うための行為なのだと悟って、ゆたかは少し嬉しくなった。
が、同時に不安も込み上げてくる。シンヤがあの人と殺し合いを始めたりしないだろうか、と。
(もしそうなったら、わたしが止めなきゃ)
明確な手段など検討もつかないし、いざそうなったらなにもできないということを予感してもいるが、ゆたかは願望として、シンヤに殺し合いをしてほしくなかった。
歩を止め屹立するシンヤの裏で、ゆたかは視界奥からやって来る者の到来を待つ。
横合いから様子を窺うと、どうやら女性であるらしい姿が近づいてきた。
シンヤは牽制を放つでもなく、ただ黙って女性が声をかけてくるのを待つ。
そして女性はゆたかとシンヤのすぐ側まで歩み寄り、こう言い放った。
「こんにちは。私は八神はやていいます。少しお話しませんか?」
柔和な語り口の女性は、物腰から察してゆたかよりも年上。
朱色に染まった双眸が、なぜか印象深かった。
◇ ◇ ◇
相羽シンヤは、八神はやてなる女の話を聞き一考していた。
「私たちの仲間になってほしい、ね。いきなりなにを言い出すかと思えば、理解に苦しむ提案だ」
「そんなことないですよ! あの……八神さんは、ここから脱出するために仲間を集めてるんですよね?
わたしたちに声をかけたのも、そのための仲間になってほしいって意味ですよね?」
「それは……あれ? えーと……どうやったっけなぁ」
はやての曖昧な返事に、ゆたかは不安を募らせ、シンヤはイライラを増長させていた。
そもそもこのはやてなる女、一見してどこかおかしい。
殺し合いの会場で歩いていた男女二人に声をかけ、いきなり仲間になってくれと要求してくる。
心身ともに脆弱な人間ならば、普通は第一に「敵か味方か」という疑問が生まれ、おいそれと声をかけられるはずなどない。
そして、彼女の話を聞いた上で「なにをするための仲間になるのか?」と尋ねたら、返答はこの曖昧さだ。
疑ってかかるなら、なんらかの罠と解釈すべき勧誘。
しかしラダムのテッカマンであり、人間を虫ケラと見下すシンヤは、あえてその渦中に身を投じることを選んだ。
彼の第一の目的、首輪の解除。第二の目的、テッククリスタルの入手。
どちらを成すためにも、他参加者との接触は積極的に取り組むべきだと考えたからだ。
(もし罠ならば、殺すだけさ)
己の実力を自負し、Dボゥイとの再戦の日まで死ぬつもりもないシンヤは、警戒はすれど恐れはしなかった。
「いいだろう。仲間になってあげるよ。ただし、条件つきでね」
「条件?」
「あるものを探している。テッククリスタルという水晶のような道具なんだが……心当たりはないかい?」
「テッククリスタル……水晶……あー」
はやての言う仲間とやらが複数名いるとするならば、その中にテッククリスタルを支給された者が紛れているかもしれない。
もともとシンヤとDボゥイ以外には無用の長物、仲間になるための交換材料としてなら、はやて側も快く譲り渡すだろう。
仮に渋ったとしても、持っているか持っていないかさえわかれば、あとはどうとでもなる。
いざというときは、殺して、奪えばいいだけだ。
「それなら、私が持っとるよ」
腹の底に殺意を宿すシンヤだったが、はやての返答は思いもよらぬものだった。
「……なんだって?」
「たぶん、そのテッククリスタルっちゅう水晶なら私が持っとる」
「ほ、本当ですか!? あ、あの、でしたらそれ、シンヤさんに譲ってくれませんか……?」
話の出来具合に驚きを隠せぬシンヤより先に、ゆたかが交渉に躍り出る。
「ええよ。仲間になってくれるんなら安い安い。ちょっと待っといてな、たしか……」
話は交渉とまではいかず、返事一つで成立した。
争いにならなかったことにホッとするゆたかと、テッククリスタルを取り出そうとするはやてに目を配るシンヤ。
二人の見つめる中、はやては数時間前までは確かに所持していた交換材料を探し、そして気づいた。
「あ……そっか」
あちゃー、と零しながら、両手を合わせて二人に平謝りの姿勢を取る。
「ごめんなぁ。さっきまで持ってたんやけど、それ、いま仲間が持っとるんよ」
発覚した事実に、ゆたかが落胆する。同時に、横目でチラリとシンヤの顔を覗き込み、機嫌のほどを伺っているようだった。
シンヤはそんなゆたかの所作を疎ましく思いつつも、癇癪を起こしたりはしなかった。
ブレードのものかエビルのものかはわからないが、テッククリスタルははやての仲間が持っていると言う。
ならば、焦る必要はない。物事は着実に進捗している。
「なら、その仲間のところまで案内してもらおうか。正式におまえたちの仲間になるのは、クリスタルが俺の手に渡ってからだ」
「心配せぇへんでも、ちゃんと渡すって。ほな行こか」
はやて先導のもと、シンヤとゆたかは南へと進路を取った。
そしてすぐに、
「はやて!」
進路先から、第二の来訪者が訪れた。
三人は現れた男の姿を見やり、それが何者かを知っているはやては特に変化なく、初見のシンヤとゆたかは、
「なっ……」
「え、ええ!?」
予想外の奇観に、片や驚き、片や顔を真っ赤にして立ちくらみを起こす。
はやての名を呼び、流麗なフォームでこちらに快走してくる男は、なぜか全裸だった。
布で覆われているのは、股間の局部のみという一見して風呂上りのような男。まず殺し合いの場に相応しい格好とは思えない。
察するにはやての知り合いだろうが、男のありえない風貌に、シンヤはますます持って疑心を募らせた。
「あれ、クレアさん。そんなに慌ててどうしたんですか?」
「ん? ……いや? どうもしないさ。ただおまえの姿が見えたんでな。ところで、そっちの二人は?」
平然と会話するはやてに、やはり動揺した様子はない。おそらくは、この裸身の男も仲間の一人なのだろう。
「ああこの二人は――『エリア中心部へ向かう途中で接触して、使えそうだと判断したから仲間に誘った』人たちです。
仲間になる条件として、私の持っとった荷物が必要なんやけど……私のデイパックは今どこに?」
「そうか。それならたぶん、マタタビが持ってるんじゃないか?
じゃあ『俺は俺でエリア中心部へ向かい、また別の参加者と接触して、使えそうな奴を仲間に誘う』としよう」
ただそれだけを言い交わし、クレアはシンヤとゆたかには一瞥もくれないまま北へと歩き出した。
感じた印象としては、どこか気味の悪い会話だった。なにかに取り憑かれているような、人形同士の掛け合いにも思える。
「あの、はやてさん、今の人は……」
「え? ああ、私の仲間や。変な人やけど、悪い人やないよ」
「そ、そうですか」
ゆたかは去り行くクレアの背中を見て、恥ずかしさのあまりすぐに目を反らした。
シンヤにいたっては、端から眼中にない。興味は、テッククリスタルを持つというマタタビに向いていた。
そしてそのマタタビも、はやてやクレアと同じ場所を目指している最中である。
「あ、マタタビもちょうど来たみたいやな。ほら、あのネコさんがそうや」
言って指差した先、第三の来訪者たる一匹のトラネコが、“二足で歩いていた”。
◇ ◇ ◇
マタタビは、脳の中枢に刻まれた使命を果たすため、はやてやクレアと同様に燃え盛るデパート方面を避け、北に迂回していた。
ミー死亡の謎や、はやてやクレアに向けた疑念はどこかへ消え、今はただサイボーグのようにエリア中心部を目指す。
そして前方にクレアを、さらにはやてと、はやてに付き従う見知らぬ人間二人を視界に捉えたところで、立ち止まる。
きっかけは、はやての呼びかけによるものだった。
「マタタビ、ちょっとええか?」
瞳は朱色に染まったまま、はやてがマタタビの進路上を遮るが、マタタビは止まらない。
「悪いな、エリア中心部へ行かなくちゃならん」
小柄な猫の体ははやての足元を通り過ぎ、既にはやてが勧誘したのだろうと判断した他の参加者二人には、見向きもしない。
「ね、ネコが喋ってる……?」
裸身の男との邂逅、続いて人語と二足歩行のスキルを持ち合わせたトラネコの登場で、ゆたかの神経は既にいっぱいいっぱいだった。
しかし彼は、マタタビが背負うデイパックに目的のものがあると知るシンヤは、このままトラネコが過ぎ去るの座視するはずもなく、
「待ちなよ。俺はこの女の仲間になる条件として、おまえの持っているクリスタルを要求したんだ。このまま黙って行かれるのは――」
言って、シンヤはマタタビに手を伸ばす。
欲望と、それを満たすための殺意が秘められた右手を。
そのあからさまな気配が、マタタビの本能に触れ、嫌悪感を誘発した。
反射的に、シンヤの右手の甲を爪でひっかく。
「拙者に触れるんじゃねぇ」
短く言い捨てて、マタタビはシンヤを睨み返した。
反応を待たぬまま、何事もなかったかのように進路を戻す。
「……フ」
去り行くマタタビの背に浴びせられたのは、苦笑。
「まったく、この世界は本当におもしろいね」
苦笑はやがて、失笑を経て、
「猫でさえ、この俺を怒らせる」
嘲笑、もしくは不気味なまでの艶笑、そして、
「邪魔なんだよ……兄さんとの決着をつけるためにはねえッ!」
哄笑へといたり、シンヤは歪んだ笑みをそのままに、マタタビに襲い掛かった。
「ッ!?」
一瞬で振り向いたマタタビの頭部を一掴み、デイパックを剥ぎ取ると、本体は乱暴に放り捨てる。
咄嗟の出来事に受け身を取ることもままならなかったマタタビは、三度地面を弾み、転がって土の味を覚えた。
(攻撃された? あの男が? 敵意を行動に移した? ならば我々に害を成す存在だと判断し、排除を――)
マタタビの本能が、<ギアス>によって一時的に麻痺している脳が、決断を下そうとする、しかしそれ以前に。
路上の乾いたアスファルトに沈み、マタタビは身を起こそうとする間、見た。
ジャンパー姿の男が、マタタビから奪ったデイパックを漁る様が。
デイパックから出てくる数々の物品を、選別するように投げ捨てていく様が。
食料や水が宙を舞う中に、ホルマリン漬けにされた眼球入りの瓶も飛び、
それが地面に吸い込まれるように落下し、音を立てて割れ、中身が飛び散り、
衝撃で中の眼球が潰れ、原型を失っていく様を。
(――排除――)
マタタビにかけられた<ギアス>は、あくまでもマタタビ個人を対象としたものである。
『エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。我々に害を為すようなら排除する』
マタタビがこれをどう解釈したにせよ、彼の行動原理はこの命令内容の中に限定される。
『はやてが既に勧誘したためこちらが誘う必要性はなし』、と判断はすれど、
『はやてが勧誘した人間だから我々に害を成さない、よって排除する必要性はない』という結論には至らず、
また『はやてが命令を遂行したからこちらの命令も完了した』という風には捉えない。
つまり、相羽シンヤがはやての果たした命令の成果だとしても、それはマタタビにとってなんら関係のないことなのだ。
害を成すようなら排除する。この一点を重視したマタタビは、シンヤすらも外敵であると判断した。
しかし、やはりそれ以前に。
(排除――いや、それよりも、だ)
マタタビの胸中には、抗いようのない怒りが生まれていた。
それは、自身の眼球が入った瓶が破壊されたことに対する怒り。
幼少期、ライバルであるキッドに抉られ、復讐に至らせる起因となった眼球が、ゴミのように扱われ、いま潰れた。
(――おい、ちょっと待てコラ)
離別中、サイボーグ化してしまったキッドとは違い、マタタビは生来猫としてあり続けた。
動物らしく食欲などの欲求には溺れやすいが、それは裏を返せば、獣が本来持つ野生の表れでもある。
獣は人間のように執着したりはしない。ここぞという場面では、本能に従って動く。
それは、他の猫よりも遥かに器用な手先を持ち、人語を理解するほどの頭脳を持つマタタビにとっても言えたことだった。
(なにしてんだよ、テメェ)
人間の性質と獣の性質、その二つを持ち合わせたマタタビは、世界でも有数の、特定されれば世界遺産ともなり得るイレギュラーケースだった。
人間の常識が当てはまり、獣の常識が当てはまり、しかし人間の常識が通用せず、獣の常識も通用しない。
ゆえに、<ギアス>をかけられた獣としては初となるマタタビの脳神経にも、そのような齟齬が発生したのかもしれない。
「なにしてんだてめえコラアアアアア!」
この瞬間、マタタビという獣の怒り、野生が、絶対遵守の力を凌駕した。
歪みは膨張し、マタタビを本能のままに動く獣へと変貌させた。
キッドとの関係を示す上での、鍵とも思われた眼球。それを破壊された怒り。怒りから生じる敵意。殺意。
研ぎ澄まされた爪は、未だクリスタルを探すシンヤの身に襲い掛かる。
「なにっ!?」
獰猛な獣の気配を察知し、シンヤは僅かに振り返るが、影のようなマタタビの速度と小ささは、簡単に視認できるものではなかった。
不意を突かれ、左頬に三つの切創を作る。噴き出した鮮血が、シンヤに苦渋の表情を強いた。
「テメェは!」
シンヤへの第二撃を準備する刹那、マタタビは無意識の内に二回目の放送内容を反芻する。
クロ……キッドの名が呼ばれた事実を。
――この目玉、返して欲しいか? ヘヘッ返して欲しけりゃ自分の手でオイラから奪ってみろよ――
放送による事後報告など、信じる信じないはともかくとして、怒りを誘発させるほどのものでもない。
あのキッドが簡単にくたばるはずがない、という強い先入観を持つマタタビにはむしろ、事実に疑念を抱かせるだけだ。
しかし今、そのキッドが死んだという一応の情報を抱えたまま、眼球が破壊されたことによる怒りが生じた。
それは、満タンのガソリンタンクにマッチの火を投じるようなもの。
些細な感情は、火勢を強める。
「絶対に許さ――――ガッ!?」
再び挑みかかったマタタビを、シンヤは片手で掌握した。
「……やってくれるね。猫風情が、この俺に、テッカマンエビルに傷をつけるとはね!」
怒りに身を任せるのは、マタタビという獣だけではなかった。
ラダムのテッカマン――実兄への歪んだ憎悪を動力源として動くシンヤもまた、障害に対して容赦する心は持ち合わせていない。
◇ ◇ ◇
八神はやては、突然の事態に困惑していた。
突如としてマタタビに襲い掛かったシンヤ、それに反撃したマタタビ、そしてまたやり返すシンヤ。
眼前では、マタタビの小さな顔面がシンヤの手によって掌握され、握りつぶさん勢いで力が込められている。
マタタビも負けじとシンヤの腕に爪を突きたてるが、見るにその効果のほどは薄い。
(あれ……なんでシンヤさんが、マタタビと喧嘩しとるん?)
シンヤのことを、「仲間に相応しい人物」として認識していたはやては、現状に混乱する。
そもそもはやては、シンヤがか弱そうな女の子を庇うように立つ様を見た時点で、彼は仲間にしてなんら問題ない人物だと判断していた。
この場合の仲間とはつまり、はやての意志と同調する人間、殺し合いに乗っていない者のことを指す。
だからこそ、件の命令に対して『仲間を得る』ことに重点を置いて解釈したはやては、エリア中心部へ到達するまでもなく、
シンヤに交換条件となるクリスタルを渡し、正式に仲間としての契約を結ぶことで、命令を終えるはずだった。
しかし、いまこの時点で、想定外の事態が起こったのである。
一度は仲間に相応しい人物だと判断したシンヤ。その、まさかの裏切り。
(マタタビは仲間や。そのマタタビを襲ったんは、シンヤさんや。だから)
この会場で初めて顔を合わせたクロ知り合いであり、ともに温泉修繕もしたマタタビ。
ほんの数十分前に出会い、クリスタルを渡していない以上まだ正式に仲間とは言えないシンヤ。
どちらも仲間という枠組みに入るとして、比重を置くべきはどちらか。
決まっている。マタタビだ。
「なら、排除すべきはシンヤさんやな」
言ってはやては、路上に散りばめられた物品の中から、一本ののこぎりを手に取った。
マタタビが大工道具としていた刃物を、『我々に害を成す相羽シンヤを排除するため』の道具として。
ゆったりと、幽鬼のような歩調でシンヤの下に向かう。
「ぐ……ああああああああああああああああああああああああ!!」
歩み寄る間、マタタビの絶叫が響き、そのままシンヤに投げつけられ、電柱に激しくぶつかった。
今度は、起き上がってこれない。死んだのか、マタタビの意識は闇に没していた。
しかし、はやては意に関さない。ただ一点、『排除』という行為に没頭し、シンヤに凶気の矛先を向けている。
その形ある殺気に、シンヤが気づかぬはずもない。
「仲間がやられた腹いせかい? まったく人間ってヤツは……さすが、虫ケラと呼ばれるだけのことはあるよ」
「やめてくださいシンヤさん! 約束したじゃないですか、もう人殺しはしないって!」
「ああ。だがこうも言っただろう? クリスタルを持った奴と、襲ってくる奴は、別だとね!」
状況の把握に追いついたゆたかと数秒会話し、シンヤははやての襲撃に備えた。
敵が構えようと構えまいと、はやての移す行動に変化はない。
瞳を朱色に充血させ、脳神経に刻み込まれた命を遵守する。
のこぎりを大きく振り上げ、走った。
「ごめんな、やっぱさっきのなし。排除させてもらうわ」
木屑の残る刃が太陽に反射して、ギラリと光る。
猟奇殺人者のような構えから、純粋な殺意が窺えた。
それを見ただけで怖気を走らせるゆたかと、悠然と構えるシンヤ。
襲うはやて。
互いの距離はあっという間に詰まり、そして、
「ゲホッ!?」
次の瞬間には、鳩尾に膝蹴りを喰らうはやての姿があった。
「遅いな。これなら、さっきのネコのほうがまだマシだったよ!」
襲撃のタイミング、殺意の放ち方、距離の詰め方、どれをとっても一般人の域を出ないはやてに、シンヤの酷評が飛ぶ。
はやてはそんな評を頭に入れることもできず、痛みに悶絶し、のこぎりを手から取りこぼし、その場に蹲った。
魔導師としてはSSランクに格付けされているはやてだったが、直接的戦闘能力は低い。
彼女の実力は守護騎士システムやデバイスの助力あってのものであり、ガチンコなら六課新人メンバーにも劣る、というのは本人の弁だ。
魔法を用いない格闘戦ともなれば、なおさらはやての勝ち目は薄い。
本領を発揮していないとはいえ、相手がラダムのテッカマンともなれば、その勝算はさらに薄れる。
だからといって、<ギアス>により仕立て上げられた殺意は抑えられるものでもないのだが。
「大人しくクリスタルを渡しておけばよかったものを……俺に牙をむいたことを後悔するんだね」
「がはっ……」
シンヤははやての首根っこを掴み、腕の力だけでその身を持ち上げる。
人間を超越した握力が、はやての呼吸器官を圧迫する。
「やめてくださいシンヤさん!」
「聞けない相談だね。この女は未だに殺意を向けている。いま殺さなければ、また襲ってくるのは確実だ」
右手に込める力を強め、蛙の鳴き声のような音が響いた。
朦朧とする意識の奥で、はやてはシンヤの閻魔顔と、それに泣きながら縋るゆたかを見る。
声を発すことはできない。どころか、呼吸もままならない状況だ。
(痛い。苦しい。なんで? なんで私、こんな目にあっとるん?)
本能が、脳に問いかけた。
脳は、本能に答えた。
邪魔者を排除するためだ、と。
(いやいや……無理やろ、それ。力の差なんて、歴然やん)
そこまで思って、はやての身は乱暴に投げ捨てられた。
体を地面に強く打ち、薄れていた意識が覚醒される。
全身を駆け巡る痛みが、はやての再動を容易としなかった。
「ふん。なら、おまえの手でケリをつけるかい?」
「え?」
咳き込むはやてを尻目に、シンヤはゆたかに対し提案する。
「この女が二度と襲ってこないよう、始末をつける必要がある。だが俺がそれをやれば、この女は死んでしまうだろうね」
「そ、それは駄目です!」
「ならおまえがやるんだ。この女がもう俺たちに襲ってこないよう、死なない程度に対策すればいい」
「そんなの、どうやって……」
「武器ならそこら中にある。四肢をもぎ取るでも、目を潰すでも、好きにすればいいさ」
路上に転がるのこぎりや釘、使い方によっては十分な凶器となる大工道具の数々を見て、ゆたかは狼狽する。
自身に与えられた役割の重さを思い、途端に足が竦んだ。そのままへなへなと崩れ落ちてしまう。
「ふん……兄さんに守られていたような娘には、少し意地悪な提案だったね。まあいい、どのみちこの女は殺すさ」
茫然自失するゆたかの横を通り過ぎ、シンヤは再びはやてに殺意を向けた。
乾いたアスファルトを一歩、靴音が打ち鳴らす。散らばった釘を踏みつけて、金属的な音も鳴った。
音量は一定感覚で上がっていき、はやてへの危険信号となって聴覚を駆け巡る。
シンヤとの距離が近づくにつれ、はやての柔肌に震えが走った。
同時に、今朝方味わったばかりの恐怖体験を思い出す。
悪意と欲望に満ちた、男性の狂気というものを。
「いや……」
訪れたのは、恐怖。
レリック事件を追っていた際、もっぱらの敵となっていたガジェットドローンのような機械ではなく。
魔導師としての鍛錬を積んでいた期間、厳しくも的確な指導を施してくれた身内のものでもない。
あのとき、裸身の自分に襲い掛かった男のような……悪意ある人間の、狂気。
突き刺さる感情は、ダイレクトにはやての脳髄を襲った。
「いやや……こな、こない、で……」
――ここで、<ギアス>対象者における一つのケースを挙げておく。
ある博愛主義者の女性がいた。その女性は、<ギアス>によって『虐殺』を命じられた。
<ギアス>とは絶対遵守の力である。当然その女性は虐殺を実行したが……当初は、それに抗ったのである。
<ギアス>の拒絶。絶対遵守とされる力に、唯一人間の意志が抗った、一種の可能性だった。
このケースから鑑みれるのは、強い意識は時に<ギアス>を凌駕するということである。
さきほどのマタタビの例もそれに当てはまる。
本来<ギアス>の対象にはならない非人間、獣であることを抜きに考えても、怒りという感情は<ギアス>看破の一因となった。
もっとも彼の起こした行動は、理念こそ不明なれど『排除』という元々の命令に背いてはいない。
マタタビに関して、真に<ギアス>の拒絶に成功したかどうかといえば、事実は知れない。
ただ、八神はやての場合。
シンヤの放つ殺気、過去のトラウマ、双方から発生する恐怖。
もしくは、命令遂行に対する成功確率を悟ったか。
それらの感情が、『排除』という思考を塗りつぶし、はやてに『戦意喪失』という結果を齎した。
これが<ギアス>を看破したと言えるのかどうかは、定かでない。
「こないでぇぇぇぇぇ!!」
涙ぐみながら叫ぶが、シンヤは足を止めはしなかった。
無手のまま、しかしその手には鋭敏な殺意を宿し、はやての首元に手が伸ばされる。
振り払う気力はなく、震えのせいで微動することすらままならなかった。
「――――」
顔面を蒼白にして、はやては声にならない絶叫を上げた。
と、
「ッッつ!?」
シンヤの姿が、急に消えた。
いや、“吹き飛ばされた”。
クレア・スタンフィールドの飛び蹴りを受けて。
◇ ◇ ◇
クレア・スタンフィールドは、憤慨していた。
理由はただ一つ、大工仕事を教えてくれた猫が殺され、惚れた女が殺されそうになったからだ。
「おまえは、さっきの」
クレアに蹴り飛ばされ地を滑ったシンヤが、起き上がり様に言う。
「『線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)』って知ってるか?」
腰に巻いたタオルを風にはためかせて、クレアがシンヤに向けて言う。
「列車の後を追いかける怪物の話だ。そいつは闇に紛れて様々な形を取りながら、少しずつ列車に近づいてくる。
列車に追いつくとだ。そいつは車内の人間を一人ずつ消していく。そして最後にはみんな消えて、列車自体がなくなってしまう。
で、その『線路の影をなぞる者』が来ちまった場合なんだが、助かる方法が一つだけある。なんだと思う?」
「……なんの話をしている」
シンヤとクレア、双方ともに睨み合い、片方は憮然として、片方は鼻を鳴らした。
「ま、今は日中だがな。それに、辺りには列車どころか線路の一本も見当たらない」
クレアは自嘲気味に笑うと、チラリと視線を横に向ける。
座り込んだはやては、上目遣いでクレアを見上げ、声も出せずに口を開いている。
安心すると同時に、怒りは増した。
「なら『線路の影をなぞる者』を名乗るのはちょっと違うな。じゃあ普通に『葡萄酒(ヴィーノ)』でどうだ?」
「なんの話か、と聞いている」
クレアの言葉に、見るからに苛立つシンヤ。
しかし構わず、クレアは話を進める。
「いや、よく考えたら『葡萄酒』なんて名は裏の人間じゃなきゃ知らないか。なら別にいいや、ただのクレアで。
俺と、俺の世界と、俺の世界の中心に席を予約している女を汚したおまえを殺す、クレア・スタンフィールドで」
「……気にいらないな!」
シンヤが仕掛ける。
無手のまま走り出し、同じく無手、どころか身につけたものはタオル一枚というクレアに対し、拳を放つ。
クレアはそれを余裕で避け、顔面の横にきたところで手首を掴み取った。
「焦るなよ。これは俺なりの慈悲ってやつだ。俺はおまえを殺すが、さすがに名も知らない人間に殺されるのはかわいそうだろう?」
「俺が、おまえに殺されるって? はっ、随分とおもしろいことを言ってくれるじゃないか……人間ごときが!」
右腕を掴まれたまま、シンヤが蹴りを放つ。
が、その蹴りは空を切り――どころか、勢いづいて一転してしまう。
気が付けば、シンヤの体は宙を舞っていた。
それがあの一瞬、シンヤの足の動作を見切り、クレアが腕の力だけでシンヤを投げ飛ばした結果だった。
宙を舞ったシンヤは、驚きの表情で着地し、すぐに歯噛みする。
自身の放った蹴りを、ありえない方法で回避された事実、それに悔しさを覚えるかのように。
しかし、逆に驚嘆したのはクレアだった。
「よく着地できたな。かなり回転を加えたつもりだったんだが」
「そっちこそ、人間にしてはいい動きをするじゃないか」
互いに賛嘆ではあったが、クレアからは余裕、シンヤからは苛立ちの感情が窺える。
「クレアさん……どうして?」
火花を散らす男二人に、脱力したままのはやてが声だけで割り込む。
先ほどの邂逅、クレアは<ギアス>の命ずるままに、エリア中心部へと向かったはずだった。
はやてが<ギアス>の事実を知らないにしても、クレアがここに舞い戻ってくる理由はないと思い込んでいた。
しかしクレアは、はやてのピンチという絶好のタイミングで駆けつけ、エリア中心部へ向かう足を止めている。
「マタタビの悲鳴を聞いた。それで、予感したんだ。あの二人のどちらかが、『我々に害を成す存在』だったんじゃないかってな」
あのときは、はやての側にいる時点で、勧誘対象とも排除対象とも見なしていなかった。
だがその後、響いてきたマタタビの悲鳴。
エリア中心部へ向かう過程、我々に害を成す存在、二つのキーワードが咄嗟に頭を焼き、さらに、
「それに、はやてのことが心配だったしな」
――これが、クレア・スタンフィールドがこの場に舞い戻った最大の要因である。
先の段階でマタタビがシンヤを『害成す存在』だと判断したように、『エリア中心部を目指せ』という命令は、あくまでもクレア個人へのものである。
よって、クレアがはやてやマタタビを置いて、一足進んだのは道理。
しかし実際のところ、クレアははやてやマタタビと完全に距離を取っていたわけではない。悲鳴が聞こえる範囲に留まっていたのだ。
これはひとえに、『エリア中心部へ向かう』という命令の同列に、『はやての安全を確保する』という意志があったためである。
もちろん、はやての身を案じることに関しては、<ギアス>の力は関与していない。これはあくまでも、クレアの意志である。
優先度で言えば、はやてを置き去りにしてでもエリア中心部を目指すだろう――それが、クレア以外の人間だったら。
クレア・スタンフィールドという男は、激しく自信過剰である。世界は俺のために回っている、と思えるほどに。
そんなクレアに、『Aを優先するためにBを蔑ろにする』なんていう選択肢は存在しない。
取らないのではなく、『端から用意されていない』のだ。
『エリア中心部へ向かうためにはやての危険を見過ごす』よりは、『はやても助けてそれからエリア中心部へ向かう』。
客観的に見れば優先事項が逆転し、<ギアス>を凌駕しているようにも思えるが、クレアにとってはそんなことはない。
はやてを助けてそれからエリア中心部へ向かっても、時間に差異は生じない。
なぜなら、彼の世界はそういう風にできているから。
簡単に説明するならば、クレアが馬鹿だから。
世界は自分に都合がいいようにできていると、心の底から思い認識しているからこそ、優先順位なんてものが生まれず、<ギアス>にも矛盾しない行動を取る。
付け加えれば、こうやってシンヤと対峙していることも、我々(=マタタビとはやて)に害を成す存在を排除する(=殺す)という命令に帰結する。
すべてが同価値であり、等しくこなせる(と思い込んでいる)からこそ、クレアはここに立っている。
「ふんっ、要は女のためってことだろう。人間にしてはやるようだが、戦う理由はまったく馬鹿らしいね!」
「それは違うぞ。おまえを殺す理由は、はやてを守る以外にも二つある。
一つ、おまえが俺たちに害を成す存在であり、なんだか排除しなくちゃいけない気がするから。
二つ、おまえは俺に大工のイロハを教えてくれたマタタビを殺した。
それに、女のために戦うのはおまえも同じじゃないか。照れ隠しか知らんが、そんなこと言ったらその娘も傷つくぞ」
そう言って、クレアは道路脇で硬直したままのゆたかを指差した。
いきなりの注目に、ゆたかがおっかなびっくりした声をあげる。
「えと……あの……違います……わたしと、シンヤさんは、その……」
なぜか、顔が赤くなっていた。
「あー、なるほど」
「……なにを言っているのかわからないが、侮辱と受け取っておこう」
「おまえあれだろ? その娘に片思いしてるんだろ? もしくはその逆か。わかるぞ、俺も絶賛片思い中だから」
的外れなことを言うクレアに、ついにシンヤの怒りは臨界点を迎えた。
「死ねッ!」
瞬時に斧を抜き取り、クレアに襲い掛かる。
クレアは足元に転がっていたのこぎりを拾い上げ、シンヤの放つ一閃を防ぐ。
体重を乗せた重い一撃が、のこぎりの薄い刃にぶつかるが、その衝撃は破壊には至らない。
「武器を振るならそんながむしゃらに振るな。力に任せるだけじゃ斬れるものも斬れないぞ」
のこぎりは刃こそ備わってはいるが、その本質は人を斬る武器ではなく、木材の切断に用いられる工具である。
それが斧を、テックランサーの衝撃に堪えうるなど、普通では考えられない。
が、そこは『葡萄酒』としての技量が勝った。クレアは斧の一撃をただ漫然と受けるのではなく、衝撃が反れる方向に流したのである。
「調子に乗るのも!」
斧の重量に負けず、シンヤは軽快な動作で二撃目に入る。
するとクレアはなにを思ったか、のこぎりを投げ捨て、無手の状態でシンヤを待ち構えた。
斧が縦一閃に振り下ろされる。その先にクレアはいなかった。
「なっ!?」
敵を見失い、シンヤは斧を振り下ろし切る前に手を止める。
すぐに後ろを振り向くが、クレアの反応速度はそれをも凌ぎ、
「がっ!?」
顔面にワンパンチ。一瞬だけ垣間見えた拳が視界を塞ぎ、暗転する。
血の痰を吐きすぐに目を開くが、その僅かな時間で、クレアはまたもや姿を消失させていた。
また後ろか――直感で振り向くシンヤに、
「プレゼントだ」
声は、上から浴びせられた。
反射的に、シンヤは斧を上空へ。
しかしその頃にはクレアは明後日の方向に着地しており、刃はまた虚しく空を斬る。
「似合ってるぞ」
クレアは含み笑いを浮かべながら、シンヤの頭部を示した。
そして気づく。いつの間にか――おそらくは二撃目を跳んで避けたときか――シンヤの頭部に、古びた赤いバイザーが乗せられていることに。
店長、と日本語で記されたバイザーを握りつぶして、シンヤは歯軋りする。
もはや怒りを言葉に表現するのももどかしくなって、シンヤは阿修羅の形相で挑みかかった。
「やれやれ」
余裕綽々で溜め息をつくクレア。シンヤが迫っているのもお構いなしに、足元に散らばった工具の中からある木片に目をやる。
腰を曲げ、その木片を掴み取り、姿勢を戻した頃には、シンヤが眼前で斧を振っていた。
クレアは斧が握られた手首を狙い、“足の動作だけで”蹴りを入れた。
「!?」
瞬間、シンヤは諸手に痺れを覚え、両手でしっかりと握っていたはずの斧が、上空に蹴り飛ばされたということを悟った。
認めがたい。が、さっさと認めて次の行動に移らなければ、この男に後れを取る。そこまで、考えて。
結果的に、シンヤはクレアに後れを取った。
「言ったろう。振るだけじゃ駄目だって」
次の瞬間にはもう、クレアは無手となったシンヤの後ろに回りこみ、右腕を右脇から差し込み首ごとロック、左腕はピンと伸ばされた状態で、全身を拘束した。
右腕は天へ、左腕は左方へ、シンヤは正面から見て『ト』のような形に固められる。
シンヤは持ち前の怪力で抗うが、締め方が巧妙なのか、単純にクレアの力が上をいっているのか、ビクともしなかった。
敏捷性、そして腕力。テックセットをしていないとはいえ、純粋な身体能力で人間に劣っているという事実に、シンヤは驚きを隠せないでいた。
宙に舞った斧が落ち地に突き刺さる頃、優勢に躍り出たクレアが声を発す。
「あの世にいるマタタビに怒られてしまうかもしれないが」
それはシンヤにではなく、他意のない独り言のようだった。
力任せに抗うシンヤを嘲笑うかのように、クレアは右手を、シンヤの左手首に伸ばす。
結果、シンヤの右脇と首がさらに締まり、呻きが漏れる。
「よく考えれば俺は本職ではないし、問題はないはずだ」
シンヤの長袖を肘の辺りまで捲くり、手中に収めていたそれを、握りなおす。
シンヤを拘束する前に、足元から拾った、マタタビの忘れ形見の一つを。
「きっ……さま、なに、を……」
ままならぬ声で、シンヤが問う。クレアは意に関さず、“それ”をシンヤの右手首に添える。
あのとき拾い上げた木片――大工道具の一種――小サイズの『鉋』を。
手首から肘にかけて、一気に引く。
「がああああああああああああああああああ!!」
さすがのシンヤも、雄叫びを上げた。悲痛が十割を占める、滑稽な叫びを。
鉋によって削り取られた皮膚が、鮮血を纏いながらひらひらと舞う。
薄い布状のそれは、鰹節とは違う悪臭を漂わせていた。
「さて、もう一度だ」
シンヤの腕に刻まれた赤いライン。その隣をなぞるように、クレアがまた鉋をかける。
職人が木材にかけるのと同じように、右腕の皮膚は綺麗に削れた。
二度目の悲鳴。
飛び散った鮮血で、濡れる頬。
血を浴びたクレアの胸中には、愉悦。
その見るも無残な光景に、端で傍観者を務めていたゆたかは、卒倒した。
「もう一度」
最初に刻まれたラインの、今度は逆側から鉋をかける。
仕事の出来は先ほどと変わらず。マタタビに教え込まれた技術は、シンヤに苦痛を与えるための術として生きた。
と、四回目に移ろうとしたところで、クレアが違和感に気づく。
「削り具合がいまいちだな。さすがに血で錆びちまうか」
残念そうに鉋を放り捨てると、シンヤの拘束を解き、前方に蹴り飛ばした。
左腕を押さえながら倒れるシンヤ。体感したことのないような惨たらしい痛みは、即座の反撃を不可能にした。
その間、クレアは鉋の変わりとして、散らばった大工道具の中から新たな得物を二、三点物色する。
「ぐっ、ぐぐ……」
プライドから、痛覚と一緒に呻きすらも抑え付け、シンヤは再度クレアに向きなおった。
左腕はなおも出血中で、使い物にならない。クレアに対する憎悪だけが、行動を起こす動力源となった。
挑発にあてられ、怒りのままに攻撃をしかける。獣性を帯びた狂気は、冷静に殺しを遂行する『葡萄酒』には通じない。
「きさ――!」
「馬鹿みたいに口を開けすぎだ」
クレアは手に取った数点の大工道具の中から一際小さなそれを選択し、向かってくるシンヤに振る。
シンヤの口内から、小石のようなものがいくつか、勢いよく排出される。
歯だった。
クレアが振るったのは、小さな木材を切り分ける際に用いられる糸鋸。
先に放った一振りで、クレアはシンヤの歯を、歯茎ごと、歯神経ごと刈り取った。
腕削りに勝るとも劣らない激痛が、シンヤの身を蹂躙する。
倒れ込み、今度はすぐには起き上がってこれない。
クレアはそんな敵を、失望混じりの紅い瞳で見つめる。
「もうおしまいか? おまえはマタタビの追悼代わりに、あいつの仕事道具で痛めつけてやろうと思ったんだが。
とりあえず、その削った右腕。神経が覗いてるだろう? 今からそこに釘を打ち付け、骨に通す。
その後は丁寧にやすりをかけてやる。鉄鑢もいいが紙鑢でだ。あっちのほうが綺麗に仕上がるからな。
で、その後はのこぎりで切り分けて、マタタビの墓を作るための材料にしてやる。あいつは嫌がるだろうがな」
淡々とした口調で、クレアは凄惨極まりないプランを述べる。
死刑宣告とも取れるセリフを、シンヤは蹲ったまま聞き、反撃も逃走も選べない。
路上の端のほうで、青ざめたゆたかが倒れていた。
クレアの後方で、はやては一切目を背けることなく、一部始終を見ていた。
そして、
◇ ◇ ◇
八神はやては、思い出す。
自分がここに到達するまでの道のりを。あの日――闇の書事件の頃から、順に。
(なのはちゃんとフェイトちゃんがいなかったら、今の私はなかった)
あの頃のはやては、誰かに支えられながら生きてきた。
いや、それは現在も同じだが、決定的な差は、誰かの支えなしでは生きられなかったということだ。
守護騎士たちによるリンカーコア蒐集……当初は知らぬ事実だったとはいえ、闇の書事件の責任の一端ははやてにある。
はやてが己の能力を自覚し、時空管理局に勤め、自分の部隊を持つという夢を志すようになったのも、あの事件が発端だった。
(でも、私はなんで自分の部隊を持ちたいと思ったん? どうして、あんなに頑張ろうとしたんやろ?)
罪悪感。時空管理局の体制に疑問を感じたから。親友と同じ舞台に立ちたかったから。
いや、違う。これは夢を志す上での一端にすぎない。根底は、もっと単純なことだったはずだ。
(ああ……そっか)
思い出す。
リィンフォースとのお別れを。
歩けるようになったあの日、手を差し伸べてくれた友人と家族を。
部隊宿舎が完成し、正式に機動六課が立ち上がった際、お祝いしてくれた仲間たちを。
(私は、恩返しがしたかったんや。私を支えてくれた、たくさんの命の恩人に)
――記憶を反芻する傍ら、朱色の双眸は、残酷な光景を描写していた。
こんな自分に、結婚してほしい、と言ってくれたクレア。
その男が、はやてを襲った男、相羽シンヤを虐待している。
「やめ……やめて……クレアさん……もう、やめて……」
普通なら聞き漏らしそうなか細い声を、クレアはわざわざ拾って返してくれる。
「駄目だ。こいつはマタタビを殺し、はやてを傷つけた。排除しなくちゃな」
朱色に染まった瞳で返す言葉は、はやての期待とは違った。
(違う。あの人は自分で自分のこと殺し屋言うてたけど、あんな酷いことする人やない)
なにかがおかしい、と、はやては思った。
同時に。このおかしな状況を、なんとかして打開したい、とも。
(だって、だってクレアさんは……私を夢から覚まさせてくれた人なんやから)
神父に汚された、確固たる意志。
少年に乱された、はやてという存在。
無理矢理立ち上がろうとした、偽りの自分。
それら逸れつつあった方向性を、求婚という方法で修正してくれたのが、クレアだった。
(ははっ……こういうの……つり橋効果、っていうんやろな)
自嘲気味に笑い、瞳の朱色が、僅かに薄れた。
(私、昔からそうや。みんなに支えられ続けたせいやろか……誰にでも恩を感じてしまうんやなぁ)
心の中で、なにかが渦を巻いている。
つよいつよい、なにか。
それはときに捻れて、ときに伸びて、結局ねじれる。
ぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。
目まぐるしい。まるで、今までの自分みたいだ。
感情って、回って、廻って、元に戻るものなんだ。
(なんか、スッとした。理解したら、うん、スーってなった)
神父の言葉は、今でも鮮明に覚えている。
だけどあのとき感じた不安は、まったく思い出せなかった。
(変わらへん。変わらへんよ私。私は一人じゃ駄目な子なんや。だからせめて、私を支えてくれた恩人たちに)
瞳から、完全に朱色が消えた。
クレアの行為、それを否定する本能、上回る感情。
絶対遵守の力を凌ぐほどの、強い意志。
ひょっとしたらこれこそが、螺旋王が求めた、真の螺旋力と言えるのかもしれない。
「クレアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
たぶん、あれは言葉で言っても無駄だ。
だから、言葉よりも行動に移そう。
そうすればきっと捻じ伏せられる。
ショック療法だ。
「なっ、はや――っ!?」
釘とトンカチを手にシンヤへと歩み寄ろうとしたクレア、その後ろから、はやてが猛然と迫る。
振り向き様、はやての鬼気迫る形相に唖然としたクレアの身が、僅かに停止する。
無防備になったクレア。
その唇に、
はやては、
自分の唇を、
強引に押し当てた。
「……っ!」
(せいいっぱい、恩返さへんでどうするねん!)
一秒か、もしくはそれよりも短い時間。
はやてとクレアは、互いの唇を合わせた。
「…………はっ!」
そして、唇を離す。
顔から火が出そうな思いだった。
「ぷ、プロポーズの返事!」
やけくそ気味に言い放ち、クレアは顔を赤くしてそれに答えた。
言葉にして返事が返せるほど、クレアに余裕はなかった。
あのクレアから、“余裕”を奪ったのだ。
「き、キスだけじゃわからへん!? なら、もっとスゴイことしたろか!?」
視線が思わずクレアの股間部に向き、ボッと顔が熱を持つ。
ああもう、完璧にやけくそだ。
はやては数時間に渡る下着消失のさらに上をいく羞恥に、言葉を詰まらせた。
「……や、やっぱ、ぁ、じょ、じょーだん、で、ぇ、す……」
たどたどしい口調で、すぐに申し出を訂正する。
クレアは残念がるでもなく、ただ以前と変わらず唖然とした顔を浮かべていた。
ただ一点、変わった部分が一つ。
これは双方とも気づかなかったことだが……クレアの瞳から、朱色が失われていた。
「せ、せせ、せせせせやけどそれは夢やー!」
恥ずかしさを紛らわすように、はやてが叫んだ。
「や、夢やない、けど、現実で、えと、その、ゆめ? ええい、とにかくクレアが見とるんは夢や!
なんやようわからんけど……私もマタタビもクレアもみんな、なんか間違ったことしてたんが夢なんや!
それで私の夢は自分の部隊を持つことで、そんでみんなに恩返しを……って、あー、ちゃう!
そうやなくて、そうやなくてぇ、私が、私が言いたいことはぁ…………んぐっ!?」
整然としないセリフを制して、瞳の色が戻ったクレアは、自らはやての唇を塞いだ。
なにも喋れなくなって、しかしそのまま口付けを受け入れ、腕は自然にクレアの背中に回された。
目を瞑って、しばしの時間を分かち合う。顔の赤みなんて、もう気にしてられなかった。
「ん……っは…………んむっ…………」
数分、もしくは数時間、唇を重ね合っていただろうか。
抱擁を解き、名残惜しそうに互いの口が離れる。
真っ赤になった顔面同士を照らし合わせ、言葉を先んじたのはクレアだった。
「わかるさ。俺のことが、好きで好きでたまらないってことだろ?」
「……………………バカ」
「ん? 間違ってたか?」
「…………………………………………バカ」
「ん?」
「………………………………………………………………バカ」
もう駄目だ。もう一言も喋れない。
この瞬間、恥ずかしさは度を越えると人が殺せるのだと、はやては初めて知った。
「夢か。確かに夢だったのかもしれないな。なにせ、俺とはやてはあの放送がきっかけで出会ったんだから。
その俺が、あの放送の内容を、はやての言葉を忘れて虐殺に走るなんて、するはずがない。
ま、マタタビの仇というのもあるが、それは別の話だ。俺はどうにかしてた」
クレアは、人が変わったかのように狂気を収め、手に持っていた釘とトンカチを捨てた。
空いた手で、はやての体を抱きしめる。
はやても、それに応えた。
これまでの過ちや、後に控える厄介ごとは全部忘れて、この幸せを、このときだけの幸せを堪能する。
二人は、紛れもなく世界の中心に立っていた。
これ削除依頼だしとけよ
「……ククク」
その世界に踏み入る、小悪魔のような嘲り笑いが一つ。
「愛だなんだの……人間というのは、結局それか!」
痛みに倒れ伏していた、相羽シンヤだった。
口内と左腕の傷はそのまま、余裕のない顔に、再び狂気を孕もうとしていた。
「おい、まだやるのか? もうおまえを殺す理由はなくなったんだが」
「残念だけど、そういうわけにもいかないんだよ……」
「人の恋路を邪魔すると、馬に蹴られて死ぬぞ」
「知ったことか!」
吼え、シンヤは天高く右腕を上げた。
その手中には、いつの間にかデイパックから零れ、先ほど倒れたときに回収した、水晶体。
彼が求め、この闘争の引き金となった、魔性の機具。
兄、相羽タカヤとの因縁に決着をつけるのに、必要なもの。
「テックセッタァァァァァ!!」
掲げたテッククリスタルが、赤黒く発光した。
◇ ◇ ◇
なにこの駄文
八神はやてとクレア・スタンフィールドは、見上げた。
遥か頭上、空に浮かんだ悪魔の姿を。
それが、テッククリスタルを用いて相羽シンヤが変貌した姿だと、知った上で。
「ハハハハハッ! 馬に蹴られて死ぬだって? いいさ、存分に蹴ればいい!
馬なんかにこの俺が、このテッカマンエビルが殺せるって言うんならねッ!!」
感想など、出てこなかった。
ただ二人の脳裏には、序幕の際に螺旋王と争い、散っていったテッカマンランスの姿が思い起こされる。
シンヤのあの姿はたぶん、テッカマンランスと同じものなのだろう。直感でそう悟った。
悟り、シンヤが次になにを仕掛けてくるかは容易に想像できたが、特別なにをしようとも思わなかった。
「礼を言うよ。俺たち兄弟の肥やしになってくれたことをね。そして、これが別れの言葉だ。エビル復活の祝砲でもある、ね」
反抗も、逃走も行わず、されど諦観に徹したわけではない。
クレアの瞳からは、一分の隙もない余裕が。
はやての瞳からも、涙混じりではあったが同様のものが。
「――PSY」エビルの胸元の六つの玉が、光る。
――怖いか? はやて
クレアが尋ねた。
――ううん、怖ないよ
はやてが答える。
「ボル――」凝縮された破壊のエネルギーが、解き放たれる。
――――――。
二人がなにかしら会話をしているようだったが、その内容は他の誰にも聞こえなかった。
「――テッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
極光。
◇ ◇ ◇
さすがにこの糞長さは苦情出していいだろ
個人の私有物でもなんでもねえぞこの板は
極光が迫る瞬間まで、はやてとクレアの二人は、互いの時間を共有し合った。
「ミーとこんな会話をしたことがあってな。あの部屋で爆発させられた男みたいなのと戦って、果たしては俺は勝てるのか、と。
そんな話になったんだ。で、さすがの俺もボルテッカとかいうのを喰らったらただじゃすまない。けど勝つって答えた。なんでだと思う?」
「んー、そやなぁ……正解は『世界はクレアの都合のいいようにできているから』やろ?」
「さすがはやてだ。よくわかってる」
「でも、具体的にはどういう風に解決してくれるん?」
「そうだな……『俺に秘められた真の力』が覚醒する、とか。螺旋王が持ってたバリアみたいなヤツなんかいいな」
「クスッ。うん。それは頼もしいね」
「だろう? ところではやて、一つ聞いていいか?」
「なぁに?」
「俺のどこに惚れた?」
「め、面と向かって言うのは恥ずかしいんですけど」
「言ってほしい。一生のお願い」
「んと…………その場の勢い。つり橋効果。気の迷」
「自殺する」
「わぁ、うそうそ嘘です! 本当は……夢を、思い出させてくれたから」
「夢? 部隊がどうのこうのってやつか?」
「それもあるけど……もっと根本的なもの。私がこうありたい、って思ったきっかけって言うか、私自身っちゅうか」
「一言じゃ語れそうにないな」
「うん。たぶん丸一日かかると思うから、今度時間のできた日にでもええ?」
「待つさ。いくらだって」
「あー、いいんかなぁ、そんなこと言って。女は男を待たせると長いよ?」
「待つのには慣れてる。これまでに求婚した女から返事をもらうのにも――」
「ちょ、なんやねんこれまでに求婚した女って? 私が初めてじゃないん!?」
「しまった、口が滑ったか。あー、大丈夫。OKもらったのははやてが初めてだから。問題ない」
「問題ないわけあるかー!」
「あ、あとでいっぱいキスしてやるから許してくれ」
「な、ななななんやねんそれぇぇぇ! そんなんで許せ……………………いま」
「え?」
「いま。いますぐ。じゃなきゃ許さない」
「…………やれやれ、わがままなお姫様だ」
「ん」
「なあ、はやて」
「なに?」
「ここは俺の世界だ。そしておまえは、俺の世界に足を踏み入れた」
「うん」
「だから信じろ。俺を、俺という世界を、俺とはやてが中心になる世界――そこで起きる、奇跡を」
「うん。信じる。信じるよ。あ、あと」
「?」
「好き。大好き」
「俺もだ。愛してる」
>◆LXe12sNRSs
極光。なんてにほんごありませんよ
――人は誰でも、自分の世界を持っている。
――それは殻だったり、領域だったり、箱だったり、いろんな言葉で言い表されるけれど。
――きっとそれは、全部おなじもの。
――思うに、人は自分の世界を他人に侵略されると。
――その人に、恋をしてしまうのだ。
【八神はやて@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡】【クレア・スタンフィールド@BACCANO バッカーノ! 死亡】
◇ ◇ ◇
エリアE-7 自然公園中央部の大樹の下
相羽シンヤは、木の根元に腰を下ろし、芝生をカーペットに安らぎを得ていた。
横には、残酷描写を直視したショックで眠ったままのゆたかがいる。
「兄さんとの約束を果たすための、大事な人質だ。そう簡単に死なれちゃ困る」
ゆたかは人一倍脆弱な人間だ。ちょっとした傷で死んでもおかしくはない。
とシンヤは過保護とも思えるほど、ゆたかの生命力を低く見ていた。
その理由はゆたかが死に、Dボゥイとの約束が破綻することへの恐れが第一として、他に要因があったかどうかはわからない。
「クリスタルの一つ目は手に入った。あとは、兄さんの分だ」
自身のテッククリスタルが収まった左手、その上方の傷を、忌々しそうに眺める。
削られた左腕と、刈り取られた上前歯数本。これらの傷は、ファウードの回復液をすべて飲み干すことで事なきを得た。
と言っても、せいぜい痛みが引いた程度だ。削り取られた皮膚や、口内の歯神経が再生するには量が足りなかった。
これほどの深手を負ったことが、腹立たしい。しかしテッククリスタルの入手に成功した事実を思い、シンヤは堪えた。
「愛か」
いや、ただ単に――あの二人の死に様に、呆れていただけなのかもしれない。
「くだらない」
【E-7/自然公園内/一日目/夕方】
【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]:気絶、疲労(大)、心労(大)
[装備]:COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、コアドリル@天元突破グレンラガン
[道具]:デイバック、支給品一式、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損]
鴇羽舞衣のマフラー@舞-HiME、M16アサルトライフル用予備弾x20(5.56mm NATO弾)
M203グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2)
[思考]
基本:元の日常へと戻れるようがんばってみる
1:Dボゥイと合流する
2:シンヤとの約束を守り、彼が自分から参加者を襲わないように気をつける
3:当面はシンヤと行動する
[備考]
※コアドリルがただのアクセサリーではないということに気がつきました
※今のところシンヤとの約束を破るつもりはありません(シンヤの事を他の参加者に必要以上は言わない、テッククリスタルを持つ参加者に譲ってくれるように交渉する)
【相羽シンヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:疲労(小)、左腕に裂傷、上前歯数本欠損
[装備]:テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:支給品一式、首輪(パズー)
[思考]
1:首輪を解除できる参加者を捜す
2:テッククリスタルの入手。
3:再びDボゥイと互いにテッカマンの状態で闘い、殺害する
4:Dボゥイとの闘いのため、ゆたかは守る
5:ゆたかにちょっと興味あり(性的な意味ではない)
[備考]
※ゆたかとの約束を今のところ破るつもりはありません(自分からは参加者を襲わない)
※Dボゥイが死んだ後本当にゆたかを殺すかどうかは不明です
※今のところ特にコアドリルに興味は持っていません
※テッククリスタルはどちらを使ってもテックセットが可能です。またその事を認識しています。
◇ ◇ ◇
エリアD-7 街と森の境界線辺り
ニアは、破壊の痕跡を前に息を飲んでいた。
古墳地点からでも聞き取れた轟音。それを追って見つけた惨状。
広がる光景は、圧巻と言えるような巨大クレーターである。
まるでガンメンが空から落下してきたような衝撃の跡が、浮かれていたニアを現実に引き戻した。
カミナという存在の、その尻尾の情報を掴むことができた。だが、それだけでは終われないのだ。
こうしている間にも、父の目論む殺し合いは進行している。知るだけではなく、行動しなければいけない、とニアは思った。
「なぁーはっはぁ! どんな魔物が暴れてるのかと思えば、このビクトリーム様の気配に恐れをなして逃げおったなぁ!?
ふん、これしきの破壊など我が最大術の足元にも及ばんわ! なんせVじゃねぇ! 破壊の爪痕も美しくV!
それが清く正しい術の放ち方ってもんよぉ! なあ、ニアくんもそう思わんかね!?」
クレーター中央部に佇むビクトリームはなぜか――来る前はどこか怯えていたものの――妙にハイテンションだ。
ビクトリームの言動の一割も理解していないニアは特に思うこともなかったが、代わりに彼の足元に目がいく。
注意を促すより先に、ビクトリームの足元にある地面から、なにかが突き出た。
「ギャアアアアア! ぞ、ぞぞぞぞんびぃぃぃ!?」
先ほどの余裕振りから一転、ビクトリームが竦みあがって、滑稽に転ぶ。
突如地面から突き出したそれはどうやら手であるらしく、しかし指の数は五本ではない。
ニアとビクトリームの視線に晒される中、手の主は地中に埋まっていた体を自力で這い上がらせ、地表に生還した。
それはニアの住む世界には存在し得ない生物。
とらじま模様の、猫だった。
(首輪が……あの方も参加者の一人でしょうか?)
ビクトリームのようなガンメンチックな体ではなく、かといって人間でもない生物。
彼はいったいなんなのか、全身を疑問が駆け巡り、興味の赴くままに近寄ってみる。
「……クレア……はやて……キッド……仇……」
途切れ途切れの弱々しい声だったが、地中から出てきた生物はなにか喋っているようだった。
ニアとビクトリームが側に近寄っていることにも気づかず、虚ろな意識のまま、どこかを目指して歩く。
「テッカマンエビル……奴は……ゆるさ、ね…………」
相羽シンヤに気絶させられた後、ボルテッカの余波に巻き込まれながらも、地中でそれを凌いでいたマタタビは、そこで。
力尽き、倒れた。
「……?」
ニアとビクトリームがお互いに顔を合わせて、首を傾げる。
……いったいなんなんだ? と。
【D-7/クレーター/1日目/夕方】
【ニア@天元突破グレンラガン】
[状態]:健康
[装備]:釘バット
[道具]:支給品一式 毒入りカプセル×3@金田一少年の事件簿
[思考]:
1.この方をどうしましょう?
2.古墳付近にて、ドーラ達が帰ってくるのを待つ。
3.ビクトリームに頼んでグラサン・ジャックさんに会わせてもらう。
4.シータを探す
5.お父様(ロージェノム)を止める
※テッペリン攻略前から呼ばれています。髪はショート。ダイグレンの調理主任の時期です。
※ドーラの知りうるラピュタの情報を得ました。
※ドーラとはぐれた場合には、D−8の古墳で落ち合う約束をしました。
※カミナに関して、だいぶ曲解した知識を与えられています。
【ビクトリーム@金色のガッシュベル!!】
[状態]:静留による大ダメージ、鼻を骨折、歯二本欠損、股間の紳士がボロボロ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、CDラジカセ(『チチをもげ』のCD入り)、ランダム支給品2個(本人確認済み)、魔本
ベリーなメロン(3個)@金色のガッシュベル!!
[思考・状況]
1:ん? この猫どこかで……?
2:モヒカン・エースがいないとしたら、誰に頼ればいいのだ……
3:パートナーの気持ち? 相手を思いやる……?
4:吠え面書いてるであろう藤乃くぅんを笑いにデパートに行くのもまぁアリか…心配な訳じゃ無いぞ!?
5:カミナに対し、無意識の罪悪感。
6:F-1海岸線のメロン6個に未練。
[備考]
※参戦時期は、少なくとも石版から復活し、モヒカン・エースと出会った後。ガッシュ&清麿を知ってるようです。
※会場内での魔本の仕組み(耐火加工も)に気づいておらず、半ば本気でカミナの名前が原因だと思っています。
※モヒカン・エースがゲームに参加していない事に薄々感づきました。
※静留と話し合ったせいか、さすがに名簿確認、支給品確認、地図確認は済ませた模様。お互いの世界の情報は少なくとも交換したようです。
※分離中の『頭』は、禁止エリアに入っても大丈夫のようです。 ただし、身体の扱い(禁止エリアでどうなるのか?など)は、次回以降の書き手さんにお任せします。
※変態トリオ(クレア、はやて、マタタビ)を危険人物と認識しました。また、六課の制服を着た人間も同じく危険人物と認識しています。
【マタタビ@サイボーグクロちゃん】
[状態]:気絶、疲労(大)、重傷、ギアス(?)
[装備]:マタタビのマント@サイボーグクロちゃん
[道具]:なし
[思考]:0、……(エビルへの怒り)
※ギアスの効果が継続しているかどうかは不明。
※エビル(シンヤ)の本名は知りません。
※マタタビの荷物(マント除く)、テッカマンアックスのテックランサー(斧)@宇宙の騎士テッカマンブレードは、ボルテッカに巻き込まれ破壊されました。
くどい
くどすぎるwwwwwwwww
ひでえ連投だったな
こんな駄文で何キロ使ったんだよ
次のアニロワには月姫と空の境界を入れようぜ
議論しているなら削除されないわけだし
ここで問題ないお
517 名前:"削除"依頼 投稿日:08/01/03 17:58 HOST:KHP059139089113.ppp-bb.dion.ne.jp<8080><3128><8000><1080>
削除対象アドレス:
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1197690706/429-447 削除理由・詳細・その他:
4. 投稿目的による削除対象
・スレの運営を妨げる煽り
5. 掲示板・スレッドの趣旨とは違う投稿
・故意にスレッドの運営・成長を妨害している
6.連続投稿・重複
・連続投稿
・必然性のないAA・コピペ
執拗な容量潰し荒らしです。
あぼーん後もしつこく容量潰しを繰り返しています。
まともな議論そのものを封じ込めたいのねdion
198 :
とりあえず:2008/01/05(土) 09:34:57 ID:LAiFAwYR
前スレで白地図は完成したっす
これでいいでしょう
┌1 ┬2 ┬3 ┬4 ┬5 ┬6 ┬7 ┬8 ┬9 ┬10┬11┬12┬13┬14┬15┬16┬17┬18┬19┬20┐
│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │A
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│ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ S
└─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘
乙
図書館。図書室。読書室。
……本を読む場所はできるだけ静かであるべきだろう。なにせそこは本を読むところなのだから。
許されるのはそう、頁を捲る時に紙同士が擦れる音。せいぜいがそんな程度である。
なので、今この超螺旋図書城内の静謐を破る彼女の声は、決して許されるものではないだろう。
別段大きな声を出しているという訳では無い。だが、非常に耳に引っかかる声だ。それは泣き声だったから。
もしここに平時の通りに人がいて、そしてそれぞれが本を取っていれば、きっと彼女の声に顔を顰めたはずである。
だが幸いなことにか、彼女に顰蹙の視線を浴びせかける読書家達は今のここにはいない。
代わりにいるのは黒衣を纏う一人の男だけ。
だが少女を見つめる彼の視線も、読書家達程ではないにしろ決して優しいものではなかった。
◆ ◆ ◆
本の貸し借りを行うためのカウンターに突っ伏し嗚咽を漏らす少女――柊かがみ。
その目の前の彼女の姿に、同行者である衝撃のアルベルトは小さく溜息をついた。
なぜ彼女が突然として泣き始めたのか? その理由を推測するのは至極簡単なことだ。
つい数分前にこの図書城の中に流れた螺旋王よりの定時放送。
その中で彼女のよく知る名が死者として告げられたからであろう。
彼女の嗚咽の中に交じる「……こなたぁ……」と言う言葉を聞き取れれば、それが『泉こなた』であることも特定できる。
5分過ぎても、10分過ぎても泣き止まぬ少女に、アルベルトは再び何度目かの溜息をついた。
だが、彼は決して少女を叱り飛ばしたりはしない。
もしこれが作戦任務中で目の前にいるのが同じエージェントであれば、泣き言一つ漏らすだけでも粛清の対象になるが、
今彼の目の前で悲嘆に暮れているのは、娘と歳もそう変わらないただの少女である。
――もし自分が死んだら娘もこんな風に泣くのか?
そんな事がちらりと頭に過ぎったばかりに、男は少女を恫喝することも懐柔することもできずに手を拱いていた。
さりとて時間は惜しい。いつまでも泣かせていては話も進まないままだ。
最後にもう一つ溜息をつくと、
衝撃のアルベルトは意を決し、普段はあまり使うことのない種類の勇気を使って少女に話しかけた。
◆ ◆ ◆
『泉こなた』が死んだ。その衝撃を自分はどう受け止めればよいのだろう?
妹の死体を発見した時とはまた違う感情が柊かがみの心より溢れ、彼女はそれを抑えることができないでいた。
妹のクラスにいた変なやつ――それが、泉こなたに対する第一印象だ。
波長というのが合うのであろうか、おっとりとした妹とヘンテコなこなたは何時の間にかに友人になっていて、
その後、自分が友人の姉として彼女と親しくなるのにもそう時間はかからなかった。
そして何時の間にかに、彼女を部屋の中に入れたり、彼女と二人きりだけで遊びに行くことも多くなっていた。
親友――と言うにはちょっと違う。かと言ってただの友達と言うと少し寂しい。
腐れ縁と言うほどの長い付き合いがある訳でもないし、家族と言うほどお互いに踏み込みあってはいない。
仲間と言うほど団結力があった訳ではないし、相方……というほど、息も合ってはいなかった。
――じゃあ、恋人? イヤイヤ、それはまさかだ。
『柊かがみ』と『泉こなた』――とりあえずはそう言うしかない。そんなヘンテコな関係だったのだ。
妹が死んだ時に感じたのは、身体を無理矢理半分に切り裂かれた様な激しい痛み。
こなたが死んだと知って感じるのは、えも言われぬヘンテコな喪失感。
心の中に、こなたの形をした穴が空いた様。
それは決してもう埋められることのない穴。それは、なぜならば――、
――私の好きなあのヘンテコな少女は、正真正銘宇宙に一人っきりのヘンテコだったのだから。
だから、もうどこを探してもこの穴を埋めるピースは見つからない。
妹がいなくなったことでついた傷の痛みが消えないように、こなたを失ってできた喪失感も決して消えないのだ。
涙。涙が止まらない。こなたの形をした穴から涙が零れて止まらない。
何時の間にかにこなたが自分の心のそんな場所にいて、そしてもういなくなってしまったことに涙が止まらない。
「――零れた涙は元には返らんのだな」
……? なんだって? 覆水盆に返らず……?
ああ、確かに。泣いて妹とこなたが返って来るのなら、私は盆の上と言わず盆が暮れるまで泣いているだろう。
◆ ◆ ◆
唐突にかけられた声に、伏されていた少女の顔が男の方へとゆらりと向いた。
目元を真っ赤に腫らし、頬に走るいく筋もの涙の跡をもそのままに、呆けたような顔で男の方を見やる。
「……零れた涙は元には返らんのだな」
2度目の台詞。……そして、再びの短い沈黙。
やっと言葉が通じたのか、少女の目に焦点が戻ってくる。
そして、ようやく言葉の意味を解釈できたのか、恥ずかしそうに顔とカウンターの上に溜まった涙を袖で拭った。
「……ごめんなさい。ずっと、泣いてて」
「うむ。それはかまわん。
それよりも、だ。ワシの今の言葉。もう少し吟味してみよ」
突然の問答に、少女の頭の上に疑問符が浮かぶ。
零れた涙は元には返らない――取り立てて問題のある言葉とは思えないが……?
「ふぅむ、気付かぬのもやむなしか。ならばヒントをやろう。
貴様が傷を負いそこから血を垂らせば、その血はどうなる?」
男の言葉に少女の口が「あ」の形に開く。
答えに気付いた少女は涙を拭った袖を持ち上げるが、やはり涙はそこに染み込んだままだった。
だが頭の上の疑問符はまだ消えない。質問の意図が解らないからだ。
「貴様は茶を飲み涙を流すが、血は流しても必ずそれは身体に返る。面妖な事よのう?」
少女はこくりと素直に首肯する。自分の身体の事だが、確かにそれが気持ちの悪いことは否定できない。
「ワシとて貴様が呆けている間、何も考えておらんかった訳ではない。
不死身と言うのにも多少知識があるのでな、お前の身体に起こった事について考えておった」
それを少し話してやろう。そう言うと、男は少女に向けてゆっくりと語り始めた――。
◆ ◆ ◆
不死身と一言に言っても様々な種類があるが、まずはオーソドックスなものから教授してやろう。
それは一つの生命体として、頑丈でありしぶといという性質のものだ。
不死とまではいかない者や、大方の回復能力者などもこの範疇に入る。
生来のものか、鍛錬の賜物か、はたまた人為的な改造によるものか、こやつ等は非常に死ににくい身体を得ておる。
死ににくい……と言う前に、死ぬとはどういうことか考えてみるか。
生きている人間と死んでいる人間。単純に考えれば、その間にあるのはエネルギーの循環があるかどうかに尽きる。
息をして、心臓が動いていればその人間は生きているというわけだ。
そして、その生命の維持に必要な機関――心臓等を破壊されればその人間は死ぬ。簡単であろう?
ではこの場合。不死身の人間とはどういった者か?
普通の人間の場合でも、手や足を傷つけられたぐらいでは死なん。急所を外しておれば、それはいつか癒され元通りになる。
不死身の人間の場合だと、例え急所を傷つけられても死なん。何故かと言うとそれは急所ではないからだ。
心臓が一つではないのかも知れない。または傷つけられた心臓を復元するプロセスが体内に備わっているのかも知れん。
不死身を二つ名に冠する者の中には、細胞単位で補修能力が備わっており、まるでトカゲの尻尾の様に身体を再生させる者までおる。
つまり、これらは身体の作りが他の人間とは少し違うというだけであって、まぁ……頑丈な生命体であるというだけだ。
常識の範疇内であるし、能力の軽重を無視すればこの手の能力者は掃いて捨てるほどおる。
……どうした不死身の柊かがみよ? 普通ではない? フ、それは何の冗談だ。
貴様の持つ身体の希少性は、こんなありふれた不死身紛いのものとは全く比べ物にならんぞ。
では、いくつかの特殊な不死身についても教授してやろうか。
これらは非常に希少な能力でな。このワシとてこれらを備えた人間は片手の指で数えられるほどにしか知らん。
まずは、超能力や念動力といった思念の力によって自身の身体を完全な状態に維持しておる者だ。
そしてもう一つ。これも超能力の一種で、その超能力で自他の生死の因果を制御し、決して死に至らぬ者。
ウム。こやつ等こそ正しく普通では無い者達よ。だが、かがみよ。貴様の力はまたこれらとも違うな。
貴様の身体は生命体というには非常に不自然で、かと言って貴様に超能力を操られるだけの胆力はない。
そう。螺旋王によって振舞われた不死の酒とやらの力だ。
そして、ワシはこんな事を考えた――。
◆ ◆ ◆
言葉を一旦区切り、冷めた紅茶で喉を潤す男の前で不死身の柊かがみは驚き、また呆れてもいた。
不死身なんか別に珍しくもないと言い切る掌から竜巻を飛ばす男――漫画かアニメとは正にこれのことだ。
だが、彼女は次の男の発言によりさらに驚くこととなる。
「柊かがみよ。貴様はすでに柊かがみであって、そうでは無い者へと摩り替わっておる。
はっきりと言おう。今の貴様は――不死の酒そのものだ」
自分が自分ではないとは悪い冗談だ。
だが、呆気に取られている少女の前で再び男の不死身談義は始まった。
◆ ◆ ◆
ワシが第一に注目したのは『同じ不死者を喰らえば知識が移る』と言う点よ。
それこそが不死の酒の肝であり、不死身の身体などと言うものはその副産物にしかすぎんと思っておる。
よいか、もう一度言うぞ。『同じ不死者――を喰らえば――知識が移る』だ。
まず常識的に考えてありえんのが、喰らえば知識が移るというところだ。
そうであろう? ワシが貴様の脳ミソを喰らっても貴様の記憶は読めんし、逆の場合でもそうに違いあるまい。
記憶と言う物は脳内で形成される情報伝達経路の形であって、それは食するという工程では決して伝達しえんのだ。
しかし、ならばどういった者同士ならばそれが成立し得るのか? そう。同じ不死者同士という条件よ。
だが、それでも脳を喰らい合うことで情報が伝達しえんのは変わらん。
つまり、不死者には互いに情報を伝達しえる『何か』が存在すること。そして、必ずしもそれを脳に蓄積していないということが推測できる。
そろそろワシが言いたいことが解ってきたか?
そう。貴様の体内にある不死の酒こそが情報媒介物質よ。だが、それではまだ答えは半分だ。
それだけでは貴様の不死性と、相手を喰らい死に至らしめるという点が説明しきれん。
貴様が流した血はたちどころに元の場所へと戻る。有り得るか、そんなことが?
しかし実際には有り得ておる。ならばどこかに勘違いしている部分があると考えるのが筋だ。つまり――、
――血が戻っているのではなく、酒が戻っている。もっと言えば『不死の酒』という生物が戻っているとは考えられまいか?
そもそも『不死の酒』とは名ばかりで、それは人に取り付き情報を奪い取る生命体の群れではないかとワシは考える。
それは人の体内に侵入すると、その者の情報を読み取りその身体を消化してその者へと擬態する。
一人の人間という情報を蓄えた、一種の生命体の群れによる一つのコロニーと化す訳だ。
ならばそれら同士、つまりは不死者同士ならば喰らい合うことで情報が移ることが説明できよう。
情報を持ったコロニー同士が合流すると、ただそれだけのことに過ぎんからな。
端から見れば人が人を喰っているように見えるが、実際は群体が合流しその数を増しているというだけの話だ。
再び結論を言うぞ。柊かがみよ――今の貴様は不死の酒そのものなのだ。
◆ ◆ ◆
衝撃のアルベルトが口を閉じると、超螺旋図書城にしばらくぶりの静寂が訪れた。
一方的に衝撃的な話を聞かされた少女の口は、先ほどより「あ」の形のままである。
その後、しばらくして喉が渇くことに気付いてその口は閉じられたが、その表情はまるで異物を飲み込んだ蛙の様だ。
恐る恐る上げた両手を見つめ少女は自問する――私はすでに私ではない?
「――とは言ったものの、全く確証はないがな。
十中八九この推理は外れておるだろう。推理などと言っても所詮は言葉遊びの域を出ておらん戯言よ。
ただ、言葉の上ではこう説明できますよというだけにすぎん」
――は? と、閉じられていた少女の口が今度は「は」の形に固定される。
「しかし頭を使った分、気は紛れたであろうかがみよ?」
少女の「は」の形の口が、「はぁぁ……」と大きく広がって同時に顔が見る見る間に赤くなってゆく。
つまりはそう。目の前に立つ男の、彼なりの気遣いであったと言う訳だ。
「さて、随分と時間を労したな。ではそろそろ此処を出るぞ」
そう言いながら認めたあったメッセージをカウンターの上に置くと、男は踵を返して出口へと向って行く。
「ち、ち、ちょっと待ちなさいってば! 待ってって言ってるでしょっ!」
そして、その後を荷物を掻き集めながらどたばたと少女が駆け抜けると――、
――やっとのことで、本を読むに相応しい静寂がそこに戻ってきたのであった。
◆ ◆ ◆
超螺旋図書城と名づけられた趣味の悪い図書館より二人が発ってよりしばらく後、柊かがみは天に浮かぶ円を見上げていた。
「(……こんなに大きかったんだ)」
天の頂上に位置する太陽からの光を遮り、広い空の中に巨大な真円のシルエットを浮かべているのは観覧車だ。
その高さはゆうに100メートルを越え、そこから見渡せる景色の内のどの建物よりも大きな建築物であった。
「(あの時は空を見上げる余裕なんて全然なかったけど……)」
この巨大な観覧車の足元へと彼女が来るのはこれで3度目となる。
1度目も2度目も、そして3度目もここに来る理由は変わらない。3回とも妹である柊つかさに会うためだ。
柊かがみはその視線を観覧車の頂上より真下へと下ろ――さない。直前で踵を返し、それまでは後ろにあった噴水へと向き直る。
とてもではないが、これ以上妹の憐れな成れの果てを直視することはできなかった。
「(……ごめんねつかさ)」
心の中で自分の不甲斐なさを今は亡き妹に詫びながら、柊かがみはゆらりゆらりと揺れる水面を見る。
それを見て思い出すのは妹と一緒に波間を漂っていた時の事だ。果たして、『あの時の妹』は一体どこへと消えたのか。
「(ずっと離れないって決めたのに……。ずっと、ずっとに……って、なのに)」
膨らむ罪悪感が重く心に圧し掛かる。たった半日と少しで人生ががらりと変わってしまった。そして、新しく決めた道程は果てし無く遠い。
それに対し果敢に挑むには足は重く、かといって足を止めるほどの絶望も今は無い。
溜息をつき自分の心を騙しながらでも、少しずつ進むしかないのだ。自分と妹の、そして亡くなった友人のためにも……。
「……頑張るから。
見守っていて……、なんてのはもう言えないけど。でも、……待ってて。絶対ゴールまでは辿り着いてみせるから」
真円の噴水の中に、同じく真円の観覧車が映りこむ。波紋に揺れて形を歪ませる観覧車のシルエットが描くのは螺旋模様。
水鏡の中に浮かぶそれを目に映しながら、柊かがみはもうこの世にはいない二人に誓いを立てた。
螺旋は回る。――グルリグルリと。彼女の道行きを現すかのように。彼女の心の内を現すかのように。
◆ ◆ ◆
そしてまた少し時は流れ、柊かがみはまた彼女にとって因縁のある場所へと足を運んでいた。
「……ここで間違いないのだな?」
男の質問に頷く柊かがみの肩には、失われていた彼女のデイバッグが再びかけらている。
それは妹の亡骸の元へ残して行っていた物だ。あの時はもう不必要と判断したのだが、今はそうではない。
センチメンタリズムに従って死を選ぶことはもう許されない。現実はそんな生易しくないことをもう彼女は知っている。
「では少し調べるとしよう。貴様の言っていた男が本当に不死者であったのかをな」
言いながら橋の上へと行く男を見送りながら、柊かがみは思い出す。昨晩、この場所で起きたあの惨劇を。
――アイザック・ディアンという男。
――劈くような破裂音。暗闇に浮かんだマズルフラッシュ。
――倒れる男。そして逃げ出した自分。
ここで自分はアイザック・ディアンと言う男を殺したのだ。だが――殺したはずの男は生きていた!
それにより彼女は自分以外の不死者の存在に気付き恐慌状態に陥った。
あれから今に至り、そして死なないはずの男が死んだことを彼女は螺旋王の放送によって知らされる。
不死者が死ぬ――それは誰とも知れない不死者がアイザック・ディアンを『喰った』からだ……そう柊かがみは考えたのだが、
同行者である衝撃にアルベルトはまた別の可能性も示唆した。
一つに、アイザック・ディアンがそもそも不死者ではなかったという事。
それは確かに有り得るかもと、彼女も思った。何せ銃は出鱈目に撃ったのだ。普通に死んでいなかったというのも有り得る。
または、彼が幻覚を操る能力者で『死んだフリ』をしたとも考えられると衝撃のアルベルトは言った。
そしてもう一つは、不死者でない者が不死者を殺せる方法でアイザック・ディアンが殺害されたと言う可能性。
いくら不死者同士で喰い合いが出来ると言っても、それだけでは結局最後に誰にも殺せない不死者が一人残ってしまう。
だから、不死者を殺す方法が他にもあるだろうと男は言った。そして当たりをつけたのが『首輪』である。
螺旋王がこの実験のルールの象徴として参加者達にかせた首輪。それは不死のルールをも上回る可能性が高いと男は推測した。
つまりは、アイザック・ディアンは首輪を外そうとしたか禁止エリア内に留まり爆死した――という訳である。
……と、彼女が思考を反芻している所へと男が帰ってきた。
「どうやらアイザック・ディアンと言う男が不死者であったことは間違いないようだ」
言いながら男は掌に乗せた金属片を柊かがみに見せた。
「……これは?」
「貴様がアイザック・ディアンにへと撃ち込んだ弾丸よ」
「い」と顔を歪める少女に男は丁寧な説明をした。
橋の上に転がっていた、人に撃ち込まれたと思しき変形をしている弾丸。それには一切の血や肉がついていなかった。
撃ち込まれているのにも関わらず綺麗な弾丸――その矛盾を説明できるのは不死者の存在のみである。
「そっか……じゃあ?」
「喰われたか。はたまたは首輪の禁を破ろうとしたか……であろうな」
柊かがみの手が自身の首輪へと伸びる。日が昇ってきたせいで、首との間に汗が浮かんでいるのが気持ち悪い。
この首輪がある限り、自分達は螺旋王のモルモットと言う立場から逃れることはできないと、それを改めて実感する。
そして首輪が持つその意味こそが、首輪を意識する度に感じる息苦しさの正体であった。
◆ ◆ ◆
さらに時は流れ、二人は今は南を目指して道の上を進んでいた。
「レーダーは探さなくていいの?」
柊かがみの質問に衝撃のアルベルトは首を振る。
「惜しくはあるが、こちらから探すことにあまり意味はない」
「それって、どういう意味かしら?」
「……レーダーを持っていった者が他者に積極的に接触しようとする人物ならば、こちらが探す必要はない。
逆に、レーダーを逃げることに使う者だったらならば、それを探し出すのは骨よ」
なるほど、と柊かがみは頷いた。
先刻、彼女たちが観覧車の前にいたのは、今会話に出たレーダーが第一の目的だったのだ。
人の居場所が判別できるレーダーは、戴宗を探している衝撃のアルベルトにとっては是非とも入手したいものであったし、
仮にその目的がなかったとしても、あらゆる意味で貴重な物であるのは変わらなかった。
今、アルベルトが口にした様に人と接触するのにも、人との接触を回避するのにも使えるのである。
しかし残念ながらレーダーはそこになかった。恐らくは、そこに立ち寄った何者かが持っていってしまったのであろう。
彼女たちが回収できたのは、全員に共通して支給されているバッグや水など、その何者かが不必要と判断した物。
そして、柊かがみの妹の首に残っていた首輪のみである。
いや、もう一つだけあった。
「(…………つかさ)」
柊かがみの右腕に巻かれているのは、妹のセーラー服についていたスカーフだ。
滅茶苦茶にされてしまった妹の中で数少ない原型を留めている物の一つ。それを衝撃のアルベルトが回収してくれたのである。
血に塗れていたそれを、彼女はあの螺旋が浮かんでいた噴水で洗い清め、今は自分がそれを身につけている。
と、単調な道行に思考を今は亡き妹へと向けていた柊かがみを、同行する男が押し留めた。
「何か?」と問う間もなく、目の前に――閃光。そして十数秒の後に音と風が彼女らが立っている場所を通り抜けた。
「――爆弾!?」
「どうやらそうらしいな」
彼らが歩を刻んでいた高速道路の遥か先で起きた大爆発。
「少し先を急ぐぞ」
「わ、わかった……」
それに向かい、二人は積極的に近づくという答えを選んだ。
いや、選んでなどはいない。そもそも引くなどという選択は最早二人には無かった。ただ邁進するのみである。
なぜならば――、
――求める物は決して後ろには無い。その事を二人はすでに思い知らされているのだから
【C-3/高速道路上/一日目/午後】
【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
[状態]:全身にダメージ(小)、右足に刺し傷(処置済み)、スーツがズダボロ
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ、支給品一式、シガレットケースと葉巻(葉巻-4本)、ボイスレコーダー、
シュバルツのブーメラン@機動武闘伝Gガンダム、赤絵の具@王ドロボウJING、
自殺用ロープ@さよなら絶望先生、ガンメンの設計図まとめ、不明支給品0〜2(本人確認済み)
[思考]:
基本-1:納得の行く形で、戴宗との決着をつける
基本-2:不死者(柊かがみ)に螺旋王を『喰わせ』、その力や知識をBF団へと持ち帰る
基本-3:上記の1と2が達成できないと判断すれば、優勝を目指す
0:爆発のあった場所へと向う (※爆発とはボルヴォーラの爆発です
1:戴宗を探す
2:不死者(柊かがみ)の身を守る
3:各施設を周り、戴宗への書置きを残す。メッセージは『豪華客船にて待つ 衝撃のアルベルト』
4:脱出や首輪解除に必要な情報を集める
5:他の参加者達と必要以上に馴れ合うつもりはない
6:マスターアジアと再会すれば決着をつける
[備考]:
※上海電磁ネットワイヤー作戦失敗後からの参加です
※ボイスレコーダーには、なつきによるドモン(チェス)への伝言が記録されています
※ですが、アルベルトはドモンについて名前しか聞いていません
※会場のワープを認識
※図書館(超螺旋図書城)のカウンターに戴宗へのメッセージを残しました
【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:不死者、私服に切り傷
[装備]:つかさのスカーフ、ローラーブーツ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:デイバッグ×2(支給品一式×2、[水入りペットボトル×1消費])、柊つかさの首輪、柊かがみの靴
[思考]
基本:螺旋王を『喰い』、自分の願いを叶える
0:爆発のあった場所へと向う (※爆発とはボルヴォーラの爆発です
1:衝撃のアルベルトに協力する
[備考]:
※会場端のワープを認識
※観覧車の前に残されていた支給品と、柊つかさの首輪は回収されました
削除依頼だしとけよ
とりあえず参加名簿でも作れや
だな
誰かアニロワ2ndがここまで荒れた今までの流れをまとめてくれ
したらばが暴走したから再度作り直し
それだけ
>>213 何で一々反応して相手をつけあがらせるんだお前は?
>>214 悪い。今までずっと我慢してたんだが抑えきれなくてな。正直すまんかった。
そこ使ってないじゃん
文ですらないただの落書きが多いな。
蛇を相手にしているようだ。
弁髪の老人と交戦し数分、Dボゥイはそのような感想を抱いた。
「く――おおおお!」
体が軋み、思考はどこか霞んだように不明瞭となっている。
それでも、退くワケにはいかぬ。その思考が意識を繋ぎ止め、両の腕が剣を振るう力を生み出す。
「ぬるいわぁ!」
されど、相手は蛇。ぬるりと枝を這うように剣の軌道から外れ、拳を振るう。
そして――衝撃。
がは、と肺の空気を吐き出し、ゴム鞠のように後方に吹き跳ぶ。その勢いで廃墟と化した家屋に突き刺さる。
常人なら既に十は死んでいるであろう暴虐。されど、皮肉な事に、彼が憎むラダムの力が命をつなぎとめていた。
「ぎ――ぐ、」
されど、それにも限界は存在する。
コンクリートとて、長い年月の間、水滴を受け続ければ抉れる。それがドリルであれば尚更だ。
そして、あの老人の力はドリルほど生易しいモノではない。
東方不敗――マスターアジア。
その名で呼ばれる老人の拳は、下手なモビルファイターならば十分渡り合える代物だ。それを幾重も受けて、無事で済むはずがない。
その上、Dボゥイは万全ではなかった。貧血、打撲、裂傷――それらが、元々薄かった勝ち目を致命的なまでに遠ざけていた。
「ふん、宇宙人と言うからにはもう少し歯ごたえがあると思ったが――これでは、あの馬鹿弟子の方がまだ見込みがある」
黙れ。
そう呟く気力もない。
聖剣を杖にし、ゆらりと立ち上がる。それは幽鬼のような動き、もはや戦闘に耐えうるのは不可能であるのは、誰の目にも明らかだ。
けれども、意志は肉体を凌駕する。まだ立てる、その思考が体に喝を入れる。
精神論と嘲る事なかれ。強い精神は肉体を超越するという事実は、プラシーボという形で医学にも用いられている。
「――ふむ、その根性だけは認めてやろう。だが、実力が伴っておらぬようだな。
宇宙人よ、Dボゥイよ。貴様には『体』はあっても『技』がない。
身体能力があろうとも、それを生かす技術が存在しない」
確かに、と思う。
自分はテッカマンになれる。テックランサーやボルテッカ、そして、圧倒的な推進力で突貫するクラッシュイントルードなどといった力を振るう事が出来る。
しかし、確かに訓練はしたものの、それは、テッカマンのポテンシャルに頼り切ったモノ。
元来の肉体には、アキのような体術もなければ、ノアルのような銃技もない。
「その肉体だけで勝てると思っておったか、愚か者めが」
迎え撃とうとするが――致命的なまでに遅い。腹部に膝が食い込み、きりもみしながら吹き飛ぶ。窓を窓枠ごと突き破り、ガラスまみれの状態でアスファルトに転がった。
「人には牙がない。爪がない。それ故に、武器を作った、体を鍛え上げた――技を磨いた。
知るがよい、遥か遠方から訪れた来訪者。これが人が生み出した牙、格闘技だ。
流派東方不敗、その身に刻み、そして逝け!」
更にもう一度、一撃を加えられた、ような、気がする。
だが、どこか感覚が曖昧だった。
意識が徐々に遠のいていく感覚。それは甘美な誘惑。苦しみから解き放ったやろうという――死神の誘い。
――ふざけるな。
そちらに傾きかけた心に喝を入れ、立ち上がる。
瞬間、顔面に拳が突き刺さった。
「ァ――――が!」
それはまるで、なけなしの気力を砕くように。
砕けたアスファルトの上を滑るように吹き飛ぶ。がりがり、という音。石が服を食い破り、皮を切り刻み、肉を食む音。
立ち止まった頃には、リムジンから伸びているような赤いカーペットが敷かれていた。
その上を、あの老人が悠々と歩いている。
全く以って似合わないな、と。酷く場違いな思考が過ぎる。
――まずいな。
笑みが漏れてきた。今の自分の状態も、目の前の老人も、おかしくてたまらない。
脳内麻薬でも分泌されだしたのか、痛みも薄く、むしろ快感な気さえする。
その快楽に身を委ねれば、きっと楽に死ねる。この胸の奥底を炙る復讐の炎から解放される。
だが、それを受け入れるワケにはいかなかった。
それは復讐のためであり、そして――あのか弱い少女のためである。
だから、Dボゥイは立つ。背中を真紅に染めながらも。
その姿を、酷くつまらなそうに見やる老人を睨みながら、無意識でも手放さなかった剣を握る。
「――ねえ」
そんな中、いつの間にか隣にいた少女が口を開いた。
◆ ◆ ◆
その情景は、悲惨を通り越して滑稽なものだった。
絞りカスで戦っているようなDボゥイと、ほぼ万全な状態の東方不敗。
天秤がどちらに傾くかなど、火を見るより明らか。いや、火を見て明らかというべきか。
数回の攻撃で力を使いきったのか、Dボゥイは反撃どころか防御すらマトモに出来ていない。ただただ、ゆらりと立ち上がるだけ。
その姿は、ゾンビ映画を連想させる。
然り。その姿は死体のようで、いつ崩れてもおかしくない泡沫のようで――
「ァ――――が!」
顔面に拳が突き刺さる。受身を取る事すら許されず、背中を砕けたコンクリート片が散らばる地面に擦りつけながら、こちらに飛んでくる。
地面が赤い。流血と皮、肉、服の破片。それらが散らばる絨毯を、老人は悠々と歩く。
もはや追い詰める必要はない、そう言うように。
然り。ここまでの暴虐を受けて、なぜ抗うというのか。
これ以上、どう抗おうとも侵略めいた拳によって蹂躙されるだけではないか。
(……なんで?)
それでも、彼は立ち上がった。
十中八九殺されるこの状況で。座して死を待った方が楽であろう、この状況下で。
分からない。なぜ、彼が立つのか。
そうだ、分からないといえば、自分を殺さなかった事も分からない。分からない事だらけだ。
「――ねえ」
だからだろうか。無意識の内に口が開いていた。
「どうして、そんな風に立っていられるの?」
ああ、と思う。
それはたぶん、似ているからだ。
彼は言っていた。許せないと。不幸を理由にして殺し合いに乗っていることが、俺には許せないのだと。
あの言葉を聞いた時に、なにか、感じ取るモノがあった。
それは――どこか同類めいた何か。
その男が立つ理由、それが、どうしても気になったのだ。
「――これ以上、」
噛み締めるように、Dボゥイが口を開く。
それは、舞衣の問いに答えたと言うよりは、自分自身に言い聞かせているようだった。そう、まるで折れかかった心を支えるように。
「これ以上、こぼさない、ためだ」
剣を構える。だが、力が入っていないのか、その重さで前に倒れかけ――
「失ったモノは取り戻せない。だから、俺は復讐の道に足を踏み入れた。だが――」
――その寸前で踏ん張る。
その姿は、壊れかけたロボットがダンスを踊っているよう。不安定で、醜く、滑稽で――
「――それでも、これ以上、大切なモノをこぼしたくないからだ」
――けれど、心のどこかに訴えるモノがあった。
◆ ◆ ◆
そうだ、これ以上、何かを失いたくはない。
自分が死ねば、シンヤは用済みとなったゆたかを殺すだろう。
そう、彼女には随分と助けられた。
もっとも、本人は否定するだろう。助けられたのはわたしですよ、と。
ああ、確かに。確かに、肉体的な面で自分は彼女を何度か救った。
けれど、それ以上に、彼女はDボゥイの精神面を救ってくれた。
だから――Dボゥイは老人を睨みつける。
それは、徹底的に抗うという決意。
それは、この命を貴様に渡すワケにはいかぬ、という宣言。
「オ――」
吼える。喉を震わせ、全細胞に告げる。
なにを腑抜けている、血が足りない? 傷が開いた? 疲労が酷い?
その程度で眠っているのか貴様らは!
どうせ、ここで抗わねば死ぬのだ。なら――全ての力を引き出してみせろ。
そう、徹底的にAngriff! Angriff! Angriff! 剣を以って活路を開くのだ!
「――オォォォオオォォオッ!」
駆ける――否、その速度は普段の歩みよりもなお遅い。
杖をついた老人よりは速いだろうか? その程度の速度でしかない。
「ふん、諦めの悪い。いいだろう、この一撃で――む?」
それは、純粋な疑問だった。
Dボゥイと目を合わせた東方不敗は、ありえない何かを見るような目で瞳を見開いた。
――なんだ?
まるで、『Dボゥイの目が、別の何かに取って代わった』とでも言いたげな瞳。
「貴様、それは一体――」
知った事か。
心中で吐き棄て、剣を振るった。
風を切る音はしない。ゆっくりと振り下ろされていくそれは、スローモーションでも見ているのではないかと思わせる。
しかし、
(なんだ――?)
なぜだろう。
今なら、たとえこの速度だとしても威力を発揮できる。そんな気がしたのだ。
誰が言ったわけでもない。強いて言えば、剣の鼓動から感じ取ったというべきか。
つい先程まで感じなかった力の唸りが、他ならぬ自分から注ぎ込まれている――そんな気がしたのだ。
「勝利すべき(カリ)――」
知らず、呟く。
流れ込んでくる名を。檻に囚われた獣を、解放するように。
先程まではなかった感覚に困惑しつつも剣を力強く握るDボゥイ。
その瞳は――確かに螺旋を描いていた。
「――黄金の剣(バーン)!」
そして、光が溢れた。
◆ ◆ ◆
突如視界を覆った光は、現れた時と同じように唐突に消えた。
そっと、瞳を開く。
「なに、これ」
舞衣の瞳に飛び込んできたのは、大地に穿たれた巨大なクレーターだった。
見渡すと、辺りはもうもうとした土煙で覆われていた。近くは見えるのだが、遠くは全く見えない。事実、舞衣が向いている方角――即ち、北で遠く見えていた学校も、今は輪郭すら掴めない。
大きさは、大体一般家屋一つ分。恐らくは、先程まであの二人がいた場所。
なら、あの二人は?
「あ――」
視線を彷徨わせると、すぐ近くで倒れているのが見て取れた。
恐らくは、この衝撃で吹き飛ばされたのだろう。
恐る恐る、彼に近づく。
幸いな事に、生きてはいるようだ。打撲こそ多いものの、裂傷が少ないのが幸いした。止血さえすれば、命を取り留める事はできるだろう。
そこまで考えて、ハッとした。
「なんで助ける事を前提に考えてるのかな……」
それは――たぶん、憧れめいたモノを抱いたから。
あの背中は、自分と同じでありながら、けれども決定的に違うモノがあった。
それを、知りたい。
同類めいた自分たちが、けれども別の道を進んだワケ。その答えが欲しい。
それさえあれば、この揺らぐ心も収まるのではないか、そう思ったのだ。
そっと抱きかかえようと屈み込み、
「中々の威力。少々肝を冷やしたわ」
しわがれた声に体を硬直させた。
ありえない、だって、あんな威力の破壊を受けて、生きているはずがない。
だというのに、
「なん、で」
あろう事か、その老人は傷一つ負ってはいなかった。
「馬鹿者が。どれほど威力があろうとも、直撃さえ受けなければ傷付かん。
ましてや、振り下ろすだけで精一杯といった風体の者が放つ衝撃波など、見ずとも避けられるわ」
Dボゥイの『変化』に気づき、それがなんであるのか悩んでいる最中、彼が剣を振り下ろそうとした。
しかし、その剣が先程とは違う『気』めいた何かを纏っている事に気づき、剣の直線状から退避。すると、濁流の如く全てを押し流す衝撃波が、脇をすり抜けていった。
つまりは、ただそれだけの事。
本人すら気づかなかった螺旋力の覚醒。しかし、それも見当違いの方面に発揮されただけに終ったのだ。
必殺の一撃が外れた今、その効果はゼロどころかマイナスだ。
螺旋の力で増大した体力と力。だが、その力は魔力の代用品として聖剣に注ぎ込まれ枯渇、そして訪れたのは気絶という眠りだ。
これならば、まだ覚醒しない方が望みがあっただろう。
「失望したぞ、娘。よもや、ここに至って男を救おうとするとはな。
悲しみのままに罪な無き子供を殺し、しかし数刻で心変わりするとはな。
外道を行い、けれど人を救う。その矛盾、真に人間らしい」
だが、と吐き棄てるように呟き。
「だからこそ、醜い」
え? と声を出す暇もない。
瞬時に間合いを詰めた東方不敗は、撫でるような滑らかな動きで拳を放つ。腹部にめり込む、破壊の鉄槌。
「ぐ――げ、ぇ」
カエルが潰れたような声と共に、血の混ざった胃液を吐き出す。
吹き飛ばなかったのは、きっと手加減されたからだろう。でも、なぜ?
「気が変わった。先に貴様から殺してくれよう」
髪の毛を乱暴に捕まれ、持ち上げられる。
ああ、そうか。手加減されたのは、ダメージを与えて動きを止め、かつ、遠くに吹き飛ばさないため。
動きが止まった自分を、確実に殺すため。
ああ、殺される。
恐らく、生身の自分では、ものの一撃で消し飛ぶだろう。
(でも、それもいいのかも)
死後の世界。
もし、そんなモノがあれば、きっとそこはこんな世界よりも幸せな場所に違いない。
だって、ここには辛い事しかない。
けれど、死後の世界に行けば、弟がいる、シモンがいる、なつきがいる。
自分が亡くしたモノ、その全てが、在る。
ならば、それでもいいじゃないか。
そう思って、舞衣は瞳を閉じた。
訪れる死を受け入れるために。
◆ ◆ ◆
機械仕掛けの神、デウス・エクス・マキナ。
物語が解決困難な局面に陥った時、脈絡もなく絶大な力を持った『神』が現れ、それを解決する演劇の手法である。
だが、それは好まれぬ手法でもある。
伏線もなしに登場するそれは、超展開と揶揄される事も少なくない。
――しかし、である。
物語の登場人物にとって、そのようなモノは関係ない。
たとえ、神にも似た解決策に伏線があろうとも、登場人物がそれを自覚していなければ、彼にとってそれはデウス・エクス・マキナとなるのではないか?
そして、鴇羽舞衣は、東方不敗マスターアジアは知らない。
ロイ・マスタングという男がDG細胞に侵されている事も、
彼がスバル・ナカジマの仲間を殺戮した事実も、
デパートで彼と彼女の戦いが起こっている現実も、
――――スバル・ナカジマという少女が、己の力と宝具の力を最大限に用い、爆発的な閃光と共に付近を薙ぎ払った現実も。
全ては二人には知りえない事であり、脈絡のない神の光臨であった。
◆ ◆ ◆
瞬間、黒い視界が白に塗りたくられた。
閉じた目蓋の中ですら、「眩しい」と知覚できる暴力じみた閃光。
だが、彼女は幸いに瞳を閉じ、その上、学校の方面――即ち、光源から背を向けていた。
しかし、東方不敗は違った。
光源の方角に体を向け、目を開いている状態。あの爆発的な光を、直視してしまったのだ。
「ぬぐォおおおおおおおおおおォ! ぐ、目が、目がァァあああ!?」
もし、彼に制限が加えられてなければ、いち早くそれに気づき、瞳を閉じる事もできたかもしれない。
だが、現実は非常であり、死を運ぶはずであった老人は、瞳を押さえ、苦しみ悶えている。
(……なによこれ。まるで、)
まるで、死後の世界の誰かが、自分に対して『生きろ』と背中を押しているようではないか。
そう、これ以上ない、という程の隙。これを逃せば、自分は殺されるだけだ。
だが、決心がつかない。心の中ある死の誘惑が足を縛る。
しかし、ふと思い出す。
足元で倒れる彼、Dボゥイ。
彼の話を聞きたい、そう思ったのではないか?
そこまで考えて、舞衣が彼を背負い、ゆるやかに移動を始めた。
けれど、その速度は致命的なまでに鈍い。
振り向けば、背後で悶え苦しむ老人の姿は、未だ近距離と言っても差し支えのない距離だ。
「はや――くっ」
叱咤するように呟き、足を進める。
だが、いかにHIMEの彼女とて、生身の能力は一般女子高生と大差はない。
そんな彼女が、筋肉質な男を背負い、かつあの老人が回復する前に逃げ去る事は出来るか?
――不可能だ。
そもそも、彼女の疲労は既に限界であり、自分だけ走って逃げるという選択肢も危うい状態だ。
せめて――せめてエレメントが使えれば。
あれがあれば飛べる。走るよりずっと速く移動が出来る。
けれど……あの力は、今は使えない。
歯を食いしばる。結局、自分はなにもできない。奪われるのを待つしかできない――!
――轟、と。
聞きなれた音が、確かな温かみが、両の腕に宿った。
「え……?」
両腕の腕輪。彼女の力、エレメントの姿がそこにあった。
失ったのではないのか、使えなくなったのではないのか。
だが、考えている暇はない。腕に巻かれたそれに力を込める。すると、彼女に答えるように腕輪は炎を纏いながら高速回転し――彼女を動かした。
本来は飛べるのだが、今はなぜだか能力も低下しており、その上、男一人分の重量を背負っている。この速度で移動できるだけマシと考えるべきか。
風を切って移動しながら、舞衣は炎を用いてDボゥイの背中を、傷口を軽く炙る。
医者に見せたら怒られそうな処置ではあるが、治療道具も治療する暇もない今、それも致し方がない事だ。
もっとも、いずれは薬品などで消毒などをしなくてはならないだろうが。
だが、病院は駄目だ。あちらは、あの閃光が吹き出した場所。下手にそちらに向かって戦闘に巻き込まれれば、今度こそ助からない。
なら――学校だ。
あそこには保健室がある。もちろん、設備は病院などとは比べるまでもないが――贅沢は言えない。
「でも」
自分と彼との違い、それを聞いて、一体どうなるのか。
……分からない。少なくとも、今は。
そうこうしている内に、学校はすぐそばまで近づいてきていた。
◆ ◆ ◆
――――HIMEの能力は、
大切なモノ(者、物)を媒介にし、自らの意志でエレメントやチャイルドを具体化することが出来る力だ。
故に、彼女が心を閉ざした為に、大切なモノという機動キーが鍵穴に差し込まれなかった。
鍵穴をちょうど悲しみのガラスで覆ってしまった、そのような形で。
だが――Dの青年との会話によって、僅かながらに心を開いたのだ。
……そう、開かれた。
開けぬ夜はないように、閉ざされたままの心もまた、存在しないのだ。
けれども、それはあくまで僅かにだ。
彼女が心を完全に開くか、再びガラスで覆ってしまうかは――彼女の背で眠る、Dの青年の行方次第だ。
彼のDが彼女にとって、Dreamなのか、Deadなのか、Dangerousなのかは――まだ、誰も知らない。
そう、それは機械仕掛けの神とて同じ。
物語は進んだ、解決不能な命題はとある少女の最期の光で取り払われた。
これ以降は、彼の神が介入する余地はない。
二人の影は、未だ筋書きの定まらぬ物語を、ただひたすらに突き進んでいた。
【B-6/学校校門前/一日目/夕方】
【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:疲労(大)、全身各所に擦り傷と切り傷、腹部にダメージ、罪悪感
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:
1:Dボゥイの治療
2:1の後、彼の話を聞きたい
3:その後、自分の在り方を定める
[備考]
※カグツチが呼び出せないことに気づきましたが、それが螺旋王による制限だとまでは気づいていません。
※静留にHIMEの疑いを持っています。
※チェスを殺したものと思っています。
※一時的にエレメントが使えるようになりました。今後、恒常的に使えるようになるかは分かりません。
【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:左肩から背中の中心までに裂傷(開いた後、火で炙って止血)、右肩に刺し傷(応急処置済み)
全身打撲(大)、貧血(大)、腹部にダメージ、 背中一面に深い擦り傷(火で軽く炙り失血は停止)、気絶
[装備]:なし
[道具]:デイバック、支給品一式、月の石のかけら(2個)@金色のガッシュベル!!
[思考]
基本:テッカマンエビル(相羽シンヤ)を殺し、小早川ゆたかを保護する
1:…………
2:ゆたかと合流する
3:テッククリスタルをなんとしても手に入れる
4:極力戦闘は避けたいが、襲い掛かってくる人間に対しては容赦しない
5:再びシンヤとテッカマンの状態で闘い、殺害する
[備考]
※殺し合いに乗っている連中はラダム同然だと考えています
※情報交換によって、機動六課、クロ達、リザの仲間達の情報を得ました
※青い男(ランサー)と東洋人(戴宗)を、子供の遺体を集めている極悪な殺人鬼と認識しています
※シンヤが本当にゆたかを殺すと思っているため、生への執着が高まりました。
※恐らくテッククリスタルはどちらを使ってもテックセットが可能です。またその事を認識しています
※ペガスが支給品として支給されているのではと思っています。
※螺旋力に目覚めた事実に気づいていません。
【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
――螺旋力覚醒。
◆ ◆ ◆
「ぬかったわ。まさか、あのような事が起こるとは」
瞳の焼ける痛みも治まり、辺りを見渡すが、当然の如く辺りに人影はなかった。
光が飛び込んできた方角に視線を向けると、先程までは見えていたデパートが消滅している。
「……モビルファイターでも支給されたか、はたまた宇宙人の能力の類か」
どちらにしろ、対人には過ぎた威力だ。
それが如何なる状況で行われたモノか、興味があるが――それ以上に、
「Dボゥイ、奴の瞳は確かに……」
――ドリルの先端のような模様を持った瞳。別の表現をするならば、螺旋の瞳。
それが、気になった。
螺旋王ロージェノムが最初に言った、螺旋遺伝子の選定という言葉。
まさかとは思うが、あれが奴の言う螺旋遺伝子とやらなのだろうか。
しかし、分からない。
たとえ、推測が正しかったにしろ、なぜあのような状況下で力を使いだしたか。
奴に力を出し惜しみする余裕など、カケラもなかったはずだ。
「……なんらかの要因が引き金となり、その力が表に出てくる――それが妥当か」
もっとも、その『なんらかの要因』については皆目見当も付かないのだが。
ふむ、と小さく息を吐き、地面に落ちた剣を握る。
やはり、剣は光らない。
それが当然だ、というように鈍い光沢を放つそれをデイバックに仕舞いながら、最強の老人は呟いた。
螺旋遺伝子に目覚めた――と思われる――Dボゥイが使ったとき、この剣は莫大な力を発揮した。自分が握っても無反応だというのに、だ。
即ち、これは螺旋遺伝子とやらの力を伝達する、言わば砲身のようなモノだろう辺りをつけた。
もし、その仮説が正しければ、螺旋遺伝子を発現させた者はこれを扱えるという事になる。
これを扱える者に出会えば、螺旋遺伝子の解明も進み、螺旋王とやらの思惑も理解できるかもしれない。
そのために、Dボゥイで実験をしたいところだったが――追撃をかけようにも完全に見失っている。
ふむ、と小さく息を吐き、遥か遠方に視線を向ける。
そう、自分の目を焼いた光の元へ。
「デパートに行くとしよう」
あの状態だ、病院に行っているとも考えられなくもないが、そのような分かりやすい場所には逃げ込まないだろう。
ならば、少なくとも場所は確定している光の元を目指すのが利口だ。
そうと決まればここに留まる道理はない。地面を蹴り、跳躍。原型を保っていた家屋に足をのせ、リズミカルに跳んで行った。
【C-6中央部/市街地跡/一日目/夕方】
【東方不敗@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:全身、特に腹にダメージ。螺旋力増大?
[装備]:マスタークロス@機動武闘伝Gガンダム
[道具]:支給品一式、カリバーン@Fate/stay night
[思考]:
基本方針:ゲームに乗り、優勝する 。
1:E-6に向かい、光の原因を探る。
2:情報と考察を聞き出したうえで殺す。
3:ロージェノムと接触し、その力を見極める。
4:いずれ衝撃のアルベルトと決着をつける。
5:できればドモンを殺したくない。
※137話「くずれゆく……」以後の行動は、騒動に集まった参加者たちの観察でした。
※137話「くずれゆく……」中のキャラの行動と会話をどこまで把握しているかは不明です
※173話「REASON(前・後編)」の会話は把握しています。
※螺旋王は宇宙人で、このフィールドに集められているの異なる星々の人間という仮説を立てました。
本人も半信半疑です。
※Dボゥイのパワーアップを螺旋遺伝子によるものだと結論付けました。
※螺旋遺伝子とは、『なんらかの要因』で覚醒する力だと思っています。
※ですが、『なんらかの要因』については未だ知りません。
※視力については問題ないようです。
【書き手の注意点】
トリップ必須。荒らしや騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付け、
>>1の予約スレにトリップ付きで書き込んだ後投下をお願いします
無理して体を壊さない。
残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。
完結に向けて決してあきらめない
書き手の心得その1(心構え)
この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの仮投下スレにうpしてください。
自信がなかったら先に仮投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
本スレにUPされてない仮投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
叩かれても泣かない。
来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
適切なところで改行をしましょう。
改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
人物背景はできるだけ把握しておく事。
過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
一人称と三人称は区別してください。
ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
------------------------------------------------------------------------
で、新ルールだがこれを逆転させたらどうだ?
【書き手の注意点】
・トリップいりません。
・荒らしや騙り等により起こる混乱もネタの一つです。覚悟できないなら来るな
・無理しなさい。そして体を壊しなさい。そして市ね。
・残酷表現及び性的描写に関しては空気嫁
・但し後者については行為中の詳細な描写はみんな喜ぶ
・「完結に向けて決してあきらめない」とか奇麗事言ってると余計完結させたくなくなる勢力が出てくるです。
そういうアンチを助長させるような発言はやめましょう。
書き手の心得その1(心構え)
この物語はリレー小説やネタの総合です。 まあみんなでひとつの物語をつくっている、
ということを意識した方がいいかもしれませんが一人で先走った場合の方が面白いことも多々あります
空気を読みましょう。
知らないキャラを書くときは、とりあえず書いてみて後で適当に下調べをしてください。
2chの二次創作で口調や言動に違和感を感じるのはよくあることですので一々恐れない。
読む方も一々口出さない。
そもそもこの企画そのものがみんなの迷惑です(爆)
連投規制にひっかかりそうであれば自重しろ
自信がなかったらとりあえず出して爆弾だったらプギャーされます。
ただ没作品も、続きを書いてください。というかむしろ書け。話に幅が広がる。
本スレにUPされた作品は、修正可です。うpする前にとりあえず推敲しておいたほうがよさげです。
ただしちょっとした誤字などは勝手に修整されます。脳内修整
「巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!」
とかクサい事言ってると余計叩かれてウザがられます。熱くならない。
叩かれるのが当たり前だからちゃんと泣いてあげましょう。どうせ叩くほうも書く方も遊びです。
来るのが辛い?だったら氏ね。
また、作品を撤回することはできません。。 書いたらそれまです。。。。。。
書き手の心得その2
…を使うのが文章の基本だとか言ってますがそんな堅苦しい企画じゃないですよん。。。。。。
また、リズムより勢いです。どんどんネタを垂れ流しましょう(藁
【しょうがくせいむけのないよう】
てきとうなところにくとうてんをうちましょう。
ぶんのさいごはゆだんしているとつけわすれがおおいよ!
ただし、かぎかっこ「 」のぶんまつにはつけなくていいらしいよ!でもすきにしなさい!
てきとうなところで改行(かいぎょう)をしましょう!
ないとよみづらいよ!!
人物背景は把握しておけばいいですが、把握しておいてそれを敢えて無視するならそれも有りです。
マップはよんでおこう。特にマップは都合によりコロコロ変わるぞ!!
自分の書くキャラの位置、周辺の情報はチェックしておいていいが、あまり意味ないかもです・・・
バトルロワイアルとはご都合主義です!!
露骨にやったほうがむしろ燃えます(藁
「なぜ、どうしてこうなったのか」?そんなことを考えるな。感じるんだ
状況の描写はそこそこすること。また、会話の連続でもいいです。
フラグは踏み潰すためにあります。
フラグがたってるのを見たら即叩き潰しましょう。読者に一瞬で読まれます。
キャラの持ち味より重要なのは書き手の持ち味です。ベタすぎる展開もそれもよし
ライトノベルのような萌え要素超OK!!
キャラの位置は曖昧にしておこう。あとの読者の想像に任せろ!
経過時間はできるだけ『少なめ』に見ておきましょう。
自分でも駆け足しろ!他の人の納得や同意なんて得る必要は無い。己が立てば人は従う
ギリギリ進行がバトロワの花!辻褄合わせがカオスを生む!
でいいのか?
自分で書いててわかったが、これで成功してるところなんてたくさんあるな
>この物語はリレー小説やネタの総合です。 まあみんなでひとつの物語をつくっている、
>ということを意識した方がいいかもしれませんが一人で先走った場合の方が面白いことも多々あります
>空気を読みましょう。
>知らないキャラを書くときは、とりあえず書いてみて後で適当に下調べをしてください。
>2chの二次創作で口調や言動に違和感を感じるのはよくあることですので一々恐れない。
>読む方も一々口出さない。
>
>そもそもこの企画そのものがみんなの迷惑です(爆)
>連投規制にひっかかりそうであれば自重しろ
>自信がなかったらとりあえず出して爆弾だったらプギャーされます。
>ただ没作品も、続きを書いてください。というかむしろ書け。話に幅が広がる。
至言なり
意外にいい内容だな。。。。。
>知らないキャラを書くときは、とりあえず書いてみて後で適当に下調べをしてください。
まあ普通そうなんだけどね
>また、作品を撤回することはできません。。 書いたらそれまです。。。。。。
撤回するかしないかは周りが決めるんだな
>>231 >>232 そりゃいいですね
確かにしたらばルールの裏返しはありかもしれません
あれは元々潔癖なまでに冷やかしを追い出すために作られたようなものですので
それを全く逆にした形でも結局バランスがとれてれば何をやってもいいんですよ
特に
>>231の「完結に向けて決してあきらめない」とか奇麗事言ってると余計完結させたく
なくなる勢力が出てくるです。 そういうアンチを助長させるような発言はやめましょう。」は
全くその通りだと思います
ほとんどの場合、完結させたいと騒げば騒ぐほど荒れます
キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
『展開のための展開』はNG
キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効。
携帯からPCに変えるだけでも違います。
【読み手の心得】
好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
荒らしは透明あぼーん推奨。
批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
嫌な気分になったら、「ベリーメロン〜私の心を掴んだ良いメロン〜」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
【議論の時の心得】
このスレでは基本的に作品投下のみを行ってください。 作品についての感想、雑談、議論は基本的にしたらばへ。
作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
【禁止事項】
一度死亡が確定したキャラの復活
大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
程度によっては議論スレで審議の対象。
時間軸を遡った話の投下
例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
話の丸投げ
後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。
--------------------------------------------------------------------------------
じゃあここはどうする?
/一度死亡が確定したキャラの復活 →やっているロワもある
/大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
程度によっては議論スレで審議の対象。
書き手の行動弾圧に等しいのでこの条文は破棄
/時間軸を遡った話の投下
/ 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
/ この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
/ こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
ここの条文はダメ。これじゃむしろ参加者の行動を封じている
そもそも辻褄あわせから意外性が出てくるのに何で禁止してるんだ?
(それで成功したところだってあるのに)
そもそもバトロワがつまらなくなった原因ってこういう下らない条文が多すぎるからじゃないのか?
あれはやっちゃだめだ、これはやっちゃだめだが最初から多過ぎ
これじゃ同じものが大量に出てきたって不思議でもなんでもないじゃないか
それともそういう反論をことごとく全部「狂気」と決め付けて削除依頼で対応でもするのか?
KHP059139089113.ppp-bb.dion.ne.jpのようなktgiみたいに
空間を揺らす波紋の中心で真っ直ぐに伸びた黒い剣が男の呟きと同時に風を切って勢いよく空へ吸い込まれていく。
天を破らんばかりの勢いで射出されたそれは、始めこそぐんぐんと高度を上げていたのだか、次第にその速度を落とし中空の一点で一瞬緩やかに静止したかと思うと逆回しをするかのように今度は地上へと落下をはじめた。
そして、ド派手な音を立ててコンクリの道路に盛大にぶっ刺さった、と。
気取った言い方をしてみたけど別にそんな凄いことしてる訳じゃない。
単にギルガメッシュがあのゲート・オブ・バビロンとか言う不思議アイテムでミロクを真上、つまり空に向かってぶっ飛ばしているってだけ。
何でそんなことをしているかって?あたしに聞かれても困る。
ああ、ちなみにごみ捨て場ではこれっていう発見もなく、手ぶらで戻るのもアレだったんで目についたガラクタを2、3個拾っただけで調査は終了。
それでまた移動を再開したんだけど、どあたしらが今いる場所のすぐ近くには実は高速道路が通ってたわけよ。行くとか行かないとか金ぴかが学校出るときに言ってたやつね。
当然それに気が付いた奴見ていくって言い出した。まぁそれ自体は別に問題なかった。どうせ施設を色々見て回る予定だったわけだし。
問題はその後。高速道路が目に入る位置まできたら、何を思ったのか我らの金ぴか様はふむ、と一声呟くとおもむろに地図を眺めだし、それが済むやいなや元気よくミロクを空へと打ち上げなさった。
マジ、わけわかんない。何考えてんだこいつ。
そりゃまあ、態度はでかいが頭は回るギルガメッシュのことだし、何も考えてないってことはないんでしょうよ。現に顔つきは真剣そのものだ。
だから余計に聞き出しづらい。仕方なしに、あたしは適当なとこに腰掛けてゴミ漁りに疲れた足をぷらぷらさせながらギルガメッシュの気が済むのを待っている。
つーか、基本無人だから良いけど、普通に考えたらこれとんでもない迷惑行為だろ。
何せ、あのとんでもなく重いミロクを何度も何度も飛ばしては地面に叩きつけているのだ。ミロクに傷一つつかないのはさすがだけど、地面の方はたまったもんじゃない。
既にあたしの周りの道路はひびが入っていたり塀が崩れていたりと散々な状態になってしまっている。
何も知らない人が見たら何と言うだろう。状況的に命がけの死闘でも行われたんだと思うだろうか。やたら金金した変な奴の気まぐれの結果だとは考えもしないのは確かだ。
って、危な!今落ちた場所結構近かったぞ、おい!
あたしはほんの数メートル横で土煙を上げているミロクに軽く冷や汗をかきながら、無駄に威厳たっぷりの足取りでそれを回収しにきたギルガメッシュに言った。
「ねぇ、金ぴか」
「なんだ、蜘蛛女」
このやりとりも何か定番みたいになってきたな。
まぁそれはいいとして、あたしは言葉を続ける。っても、こいつの行動が余りにも脈絡なさすぎて何から聞きゃいいんだか。
「・・・何してんの?」
ミロクを引き抜いたギルガメッシュがこちらを向いた。
手にした剣は次の瞬間には消え去っていた。自動で回収してくれるとこまで含めてこいつの宝具とか言うアイテムの能力らしい。便利なもんだ。
「これか。貴様は我が何をしているのだと思う?」
いやそんな当ててみろと言わんばかりの顔で聞かれても、ぶっちゃけそこまで興味ないって言うか。あんたのやることに一々理由考えるのも面倒くさいって言うか。
「たわけ。主の質問をそのように邪険に扱うものではないわ」
「え〜。じゃあ、お気に入りの道具が戻ってきたので大喜びで試し撃ちしまくっている、とか」
「・・・我は稚児か何かか?」
結構近い、というよりほとんどどんぴしゃだと思うけど。
ギルガメッシュはまぁよい、などと言いながら再び空中にミロクを出現させる。
しかし今度はそれをすぐに発射するようなことはせず、空中でゆらゆらと固定させるだけだった。
「そもそもだ。何故我が高速道路なぞに興味を持ったか憶えているか?」
「学校でハチマキ男が暴れてるのを見てたらあんたがいきなり行くとか言い出したんじゃない。
理由までは知らないわよ」
つい数時間前のことだ。あのときもこいつは唐突に出発を指示した。
「蜘蛛女の耳には届いておらなんだか。
奴はな、河川と高速道路がどうとか言いながらそこで我が忌々しく思っている者と遭遇したと言っていたのだ」
「ああ、なっとく」
嫌いな奴の居場所が分かったから急いで潰しに行こうとしたわけだ。そういうとこが子供っぽいんだっての。
「前にも言ったが奴の捜索自体は我にとってそれ程重要ではない。問題は場所だ。
地図を見てみよ。高速道路と河川が重なるためには、ここより更に北に行かねばならん」
「あら…ほんとだ」
確認して見ると確かにその通り。つまりギルガメッシュはあのハチマキ男の移動速度が速すぎると言っているのだ。
「で、それがどうしたの?単にあいつが凄く足が早いとか乗り物を支給されたとか、そういう理由でしょう。
そもそもアンタだってあいつの言うこと全部聞いてたわけじゃないんだし」
ギルガメッシュはあたしが話に食いついてきたのを満足するように笑った。
「そうよな。
確かにそれだけなら可能性は幾らでも考え付く。たとえ我程の才覚に恵まれぬ者であってもな。だがな、奇妙なことはもう一つある。
我はモノレールから見下ろした景色に違和感を覚えた」
「違和感?」
黙って本を読んでると思ったらちゃっかりそういうとこはチェックしてたわけか。ちなみにあたしは何の違和感も感じませんでしたが。
「人の身で察知するのは難しかろうな。それこそ死後英霊となる程の者でもなければ。
違和感の元はな、ちょうど地図で言う切れ端に当たる部分から発せられておったよ。
方角に関わらずな」
ギルガメッシュは視線を南に向け、あたしもつられてそちらを見る。って言っても今見えるのはミロクが破壊した道路くらいだ。
「つまり、この地図の切れ端の部分には何か細工がしてある、と」
「そうだ。それが何であるかはさすがに我と言えど判別できなかったがな。
だが、あの男の言葉と合わせて考えれば出てくる答えはそう多くはなかろうよ」
具体的な内容はどうあれ地図の外に逃げようとしても無理なようになってるってわけだ。念のいったことで。
けど、ここまで話を聞いてさすがにあたしもギルガメッシュが何を考えていたのか分かった。
外に逃げようとしても四方は囲まれている。それなら。
「上を目指す、ってことね」
「そういうことだ。宝具が我の手に戻ったのは好都合であった。
以後はこのようなこと一々我に説明させるのでないぞ?」
お空の向こうには何があるの、という話だ。こいつはさっきからそれを知ろうとしていたのだ。でも、端から出れないんだとしたら普通に動いてる雲とか太陽とかはどういう扱いになるんだ。
それはともかく、あれだけで理解しろって言うのは無茶だって。
言われっぱなしも癪なので皮肉を言ってやる。
「あら、じゃああたしより理解力が遥かに上の金ぴか様なら、今のでもうとっくに凄い情報を掴んでるわよねぇ?」
ちょっと昔を思い出して思いっきり神経を逆撫でするような言い方をしてやる。街でたむろしてる馬鹿な男どもならこれだけで顔を真っ赤にして怒ったもんだ。
思えばあいつらはほんとに扱いやすかったなあ。誰でもおんなじような反応返してきて。
ていうか、あたしも何が楽しくてあんな馬鹿ども相手にしてたんだろ。あれ、何か良く分からなくなってきた。
まぁ年寄りみたいな思考は置いといて、とにかくあたしの皮肉はギルガメッシュを愉快そうにくつくつと笑わせただけだった。
まぁそんなとこだろう、とは思ったけどね。
「その程度で我の気を引くことなぞできんぞ?くくっ、まあよい。
射撃の精度を保った状態で届かせられる範囲にはこれといった発見はありはせなんだよ」
機械女をいじめていたときにちらっと触れてたけど、ギルガメッシュお気に入りのゲート・オブバ・ビロンにも制限がかけられているらしい。平たく言うと思い切り飛ばそうとすればするほど狙いがぶれるようになっているそうだ。
加えて本当は結構遠くに飛ばしたものでも回収可能だったのが、近づかないと無理になってるという。
これに気づいたときのギルガメッシュの顔ときたらさぁ。我慢てもんを誰か教えてやってよ。
「つまり道路を破壊した他に特に収穫はなしと」
「現状で到達できる限界には何もなかったというだけのことよ。
飛行可能な道具でも手に入れば、どうなるかは分からんぞ?」
珍しく負け惜しみのようなことを言う。顔は相変わらず自信満々なんだけどさ。
ギルガメッシュはだめ押しのつもりか、出しっぱなしにしていたミロクをもう一度空に向かって発射した。
けどこれが良くなかった。まさか本当に落ちこんでたとは思わないけど、さっきより発射が雑になっているのは分かった。
そのせいで狙いのぶれがでちゃったのだろう、ミロクは明後日の方向に飛んでいくと少し離れたところにある民家の密集地帯に吸い込まれるように消えていった。
少し間をおいて、ずぅんという重い音が響く。
「あちゃあ。また派手にやっちゃって」
どっかの家に飛び込んだな、あれは。
「全く忌々しいものよな。我の財に手を加えるなどと」
ギルガメッシュは本当にこれでもかっていうくらい忌々しそうに舌打ちすると、己六が落ちた方向に歩き出した。
思い通りにならずにいらつくギルガメッシュをこっそり笑いながらあたしもその後に続いた。
まぁ、割かし近くに落ちただけ良かったんじゃない?
ここなら、家の中に誰か人がいるわけでもないしさ。
「もう良い」
お説教がそろそろ終わりそうになったっていうのに、尊大な男の声がわざわざ割り込んできた。
ああ、また自分は悪くないとかそういうことを言うんだろうな。けんかになるな、こりゃ。戦闘じゃなくてけんかだ。
あたしはうんざりしながら横目でギルガメッシュを見上げる。
「言い分もっともである。この娘には我が直々に良く言って聞かせる故、怒りを収めるがよい」
「はぁ!?」
ちょっと待て。なんであたしが悪いみたいな言い方になってんだ。
「まぁ…そういうことなら。あたしもちょっと言い過ぎだったわ」
あんたも納得したみたいな顔するな。あたしは何もしてない。
この問題はこれで終了みたいな空気になってる理不尽さに腹が立ち、あたしは目を尖らせてギルガメッシュを睨んだ。
するとこいつは、いかにも分かっていると言った様子で何度か頷くと、妙にいい笑顔をして言った。
「気にせずとも良い。臣下の不始末は我の目が行き届いていなかったのにも原因があろう。
我にも全く責任がないとは言わぬさ」
何ちょっと理解のある上司みたいな顔してくれてんだ。責任はお前にしかね―んだよ。
怒りと呆れを通り越した先にある良く分からない感情を持て余していると、女が張りのある声を上げ手を叩いた。
「じゃあ仲直りってことで。おかけでくさくさしてた気分が吹っ飛んじゃった。
あなたたちまさか殺しあいをしようってわけじゃないんでしょ?
だったらさ、見て欲しいものがあるんだ」
「いや、あたしはまだ納得してな…」
「ほう。よかろう、我が見るに値するものなのであろうな」
あたしの反論は好奇心の入り交じったギルガメッシュの声に遮られた。
あたしに責任を押し付けたままそいつは女の先導に従い妙にすいすいとした足取りで家の中に入っていく。
この珍しいもの好きが、と怒りも冷めやらぬままに思ったそのとき、あたしは前を歩くギルガメッシュの首元で何かがきらりと光るのを見た…ような気がした。
一瞬だったので見間違いの可能性が高いけど、あたしの目が確かならあれは…汗?
ちょっと待て冷や汗か?冷や汗かそれは?偉そうな顔で説教されながら実は内心でやっべ、どうしようとか考えてたのか?んで、あたしに全部責任なすりつけて自分はさっさと次の話題に移ったってわけですか?
何だそのこれから何が出てくるかで頭が一杯ですって顔は。ぶっ飛ばすぞ。
あぁ…何かもういいや、どうでも。
青い髪の女はアレンビー・ビアズリーと名乗った。
人探しをしていたところに襲撃を受け、仲間と探し人をまとめて殺され本人も傷を負ったので休んでいたという。
体のあちこちに治療の跡が見えるのはそのせいだったか。中々に壮絶だ。
ていうか、多分この場にいる人間は皆似たような状況なのだろう。ある意味のほほんと移動を続けているあたしらみたいなのはかなり特殊なんじゃなかろーか。
アレンビーが見て欲しいといったのは言ったのは、逃げる際に持ってきたという仲間達の支給品の山だった。
「形見みたいになっちゃったけど使わないってわけにもいかないしね。
あたしには良く分かんないのもあるし、いるものがあったら持っていきなよ」
仲間が殺されたときのことを思い出したのか、悲しげに目を伏せながら言う。
食事の後に整理をしていたという部屋に通されたあたしが最初に見たのは、床中に並べられた様々なもの中に邪魔をするかのようにそびえたつミロクの姿だった。
「あ〜あ…思った以上に派手にやってるわね」
本当に窓から飛び込んだのだろう、庭に面した窓は跡形もなく床にはガラス片が飛び散っている。
これはびっくりするわ。へたすりゃ死んでたっておかしくない。あたしなら間違いなく説教かます前に攻撃するか逃げるかしている。
だというのに、それをした張本人は全く悪びれる様子もなく並べられていた中にあった一振りの剣をしげしげと眺めている。まぁ、今更この程度のことを気にされたら逆に気持ち悪いけど。
「ほう…雑種、中々に良いものを揃えているな」
「『ザッシュ』?あたしの名前はアレンビーだって」
「ああ、雑種っていうのはこいつの国の言葉で『あなた』っていう意味だから気にしないで」
こいつの脳内にある国でだけど。余計なトラブルになるのも面倒なので適当に取り繕っておく。
まぁ分かんないのも当然か。あたしは威圧感に呑まれてすぐ字面が思い浮かんだけど、人のことを素で雑種なんて呼ぶ奴は常識人の頭には存在しない。
にしてもギルガメッシュは今持ってる剣がかなり気になるようだ。豪華な作りだし、金色がかってるから分からなくもないけど。
「どうしたの金ぴか。やけにその剣気にしてるじゃない」
あたしが言うとギルガメッシュは小馬鹿にするように鼻をならした。
「分からぬか。我のものとは数段劣るとは言え、この剣もまた宝具だ。
そしてこれはな、我が妻となるべき女が使っていたものだ」
「へ〜彼女がいるんだ。そんな大事なものあたしが持ってるわけにはいかないね。
持ってってよ」
恋愛話にアレンビーが目を輝かせる。いや、こいつと本当に結婚しようなんて女がいるとしたらそいつは天使だとあたしは思うけど、相手の人が実際どう思ってるかは分からないよ、こいつの場合。
ギルガメッシュは素直に自分に物を与えるアレンビーが気に入ったようだ。餌付けって言うんだっけ、こういうの。
「良い心がけだ。それにしても英霊がむざむざ宝具を奪われるとはな。
騎士王も高が知れるというものよ。慌てふためく様が目に浮かぶわ」
自分のことを棚に上げるとは正にこのことだ。けど、それを指摘するといきなり切れて暴れだしかねないので黙っておく。
「だが…」
ふいにギルガメッシュの目が曇った。気になることがあるらしい。
「これは…いささか雑種の手垢に汚れすぎているな。
いかなセイバーの剣と言えど、これでは使う気にならん。蜘蛛女、持っておれ」
「うわっ、いきなり投げないでよ。危ないっての。ていうかどんだけ贅沢なのあんた」
消しゴムとか一回使っただけで捨てるタイプだな。
ギルガメッシュはふんと鼻を鳴らすだけで答えず、後は淡々と「貰うもの」を決めていった。
それは歯車みたいなものがついた変な機械だったり、緑色に光る石だったり、まりもみたいなものを浮かべた管だったりとギルガメッシュの趣味がとても良く反映されていた。アレンビーはそれを全て了承した。
「ナオは?何か知り合いのものとか欲しい物とかない?」
「あ、じゃあ少し食べるものを」
アレンビーに聞かれて咄嗟に答えた内容に、頭を抱えたくなる程悲しくなった。いつからこんな所帯染みちゃったんだろうなぁ、あたしは。
しかし、とさすがに変に思った。いくらなんでも初対面の相手に太っ腹すぎじゃないの。ギルガメッシュはそれが当然だと思ってるから気にしないだろうけど。
それについて聞くと、アレンビーは深刻そうな顔で奇妙なことを言った。
「うん…そうなんだけどさ。
ねぇ、あたしの仲間にさ。殺し合いなんか大嘘で、もし死んじゃっても別の場所で目覚めるだけだって言う子がいるんだけど。それってほんとだと思う?」
あれ、意外と弱々しいことを言うんだなとあたしは思った。
まぁ、仲間が無惨に殺されたばっかだっていうしそういう風に逃げたくなる気持ちは想像できなくもない。
でも答えは決まっている。現実はいつもいやなことばっかで、そんな都合のよいことが起きるなんて期待するだけ無駄なのだ。こればっかりはギルガメッシュも同意見だろう。
果たして、あたし達二人の解答は一致していた。
「そんなわけないじゃん」
「いかにも脆い雑種の考えそうなことよな。現実を見ることのできぬ大馬鹿者は放っておくが良い」
ギルガメッシュの方が数段表現はひどかったが。
あたし達の答えを聞くとアレンビーは噛み締めるように頷いて言った。
「そうだね…。あいつも一も本当に苦しそうだったし、キールだって。でも、そしたら…」
何やら真剣に考え込んでいる。アレンビーしばらくそうしていたがやがてぱっと力強く顔を上げた。
その表情は、何か強い決意に満ちているように見えた。
「ごめん。あたしもう行くよ。守ってあげなきゃいけない子がいるんだ。
持ってる物をあげたのはここから出ようとしてる人に有効に使って欲しかったから。
それじゃあ、気を付けてね」
言うと同時に素早い手つきで荷物をまとめ始める。その背中に向けて聞いた。
「行くって、どっかあてでもあんの?」
「うん、こっから南の豪華客船で…あぁ、そっかそっちの伝言もあったんだっけ」
アレンビーはあたし達に高遠遥一とか言う人物の伝言を伝え、良ければ一緒に行かないかと誘った。
脱出を目指す希望の船とかいう名前の集団らしい。希望の船。希望の船ねぇ。
はい、答えは決まってますよ。そりゃもちろん。
「行かない。うさんくさいし」
「行かぬ。群れるのは雑種だけでしておれ」
あたし達の返事を聞いてアレンビーはそう言うと思った、と笑った。
「でもこっちは信用できると思うよ?戦うつもりがないならその内会うかもね。それじゃ」
「待て」
颯爽と駆け出そうとしたアレンビーをギルガメッシュが止めた。なに、と振り返る。
そしてギルガメッシュは、かつてない程に衝撃的で、余りにも予想外な、あたしの人生観を根底から覆すようなことを言った。
「献上品中々の質であった。褒美をとらせる。望みの物を言ってみよ」
「えぇえ!?」
素で絶叫してしまったあたしを責められる者はいないだろう。ギルガメッシュのうるさそうな視線も気にならない。
「何を驚いておるか。
礼節を知るものに相応の返礼もできぬようでは、王としての器を疑われるのだぞ」
「え…あ、いや…なんていうか…………えぇえ!?」
間違いなく歴史的な瞬間に立ち会っている。あたしはそう思った。
幸いアレンビーが返事を考える間にあたしは冷静さを取り戻すことができた。つまり、アレンビーは結構な時間悩んでいた。
「別にお礼が欲しかった訳じゃないし…欲しいものって言われても…そうだ!
フラフープか新体操用のリボンみたいな形の武器って持ってない?」
いやそんなの持ってるわけないって。何でそんなの欲しがる。
「ふむ。我の宝物庫を開けば出てもこようが、忌々しいことに今は開くことができぬ」
あんのかよ。
アレンビーは余り期待はしていなかったようで、それ程落ち込んだ様子もなかった。
でもまぁ、ギルガメッシュじゃないけど、本当にギルガメッシュじゃないけど、親切心でこれだけ気前よく物をくれた人に何もなしというのは、まぁ気が引けないでもない。
そのとき、あたしは学校で拾ったでかい十字架のことを思い出した。
「ねぇ、金ぴか。あれあげたら?ほら学校にあったやつ。
何かすごいもん見たいに言ってたじゃない」
「あれか。ヒトという種が所有するには最上級の兵装かも知れぬがな」
「ああ、それでいいよ。せっかくの気持ちなのに、何も受け取らないのも悪いしね」
アレンビーはそう言って、あたしが苦労して取り出した人間程もある大きさの十字架を軽々と持ち上げた。何だ、やっぱり生き残る人っていうのはそれなりの理由があるもんなのね。
そうして、アレンビーは振り回すのにちょうどいいと十字架を持ったまま、今度こそ立ち去ろうとする。
「待て、最後にもう一つ尋ねる」
しかし、アレンビーの足は待たしてもギルガメッシュの声に止められた。
ただ、今度の言葉の内容ははさっきの何かとは比べ物にならないくらい小さく、すぐに忘
れてしまいそうなくらい細かいものだった。
多分言った本人も単なる気紛れで、深い意味もなく言ってみただけというのが正解だろう。
ギルガメッシュが言ったのは、そんな程度の言葉だった。
「放送で言っておった“螺旋の力に目覚めた少女”について、知っていることはないか?」
アレンビーはしばらく考える仕種をした後に、変わらない快活な声で言った。
「知らない。言われてみると、何のことかしらね」
【D-3中部/民家/1日目-夕方】
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:王の財宝@Fate/stay night 黄金の鎧@Fate/stay night
[道具]:支給品一式 ミロク@舞-HiME シェスカの全蔵書(1/2)@鋼の錬金術師 首輪 (クアットロ)
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。【乖離剣エア】【天の鎖】の入手。
0:ふむ。そうか。
1:異世界の情報、宝具、またはそれに順ずる道具を集める(エレメントに興味)。
2:出会えば衛宮士郎を殺す。具体的な目的地のキーワードは【高速道路】【河川】 。
3:“螺旋の力に目覚めた少女”に興味。
4:目障りな雑種は叩き切る(特にドモンに不快感)
※地図の端と上空に何か細工があると考えています。
※エクスカリバーを使う気は余りない
>>239 そこについてはどうやって決めたのかも謎なんだわ
過去ログ議論が探したけど無い
どうやってやったのかすっぱりわからん
証拠隠滅に走られたっぽい
そもそも誰のセンス?これ
嫌な気分になったら、「ベリーメロン〜私の心を掴んだ良いメロン〜」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
ここらへん見る限り、ただのガッシュ厨じゃないかとは思ふ
そこってずっと話に出てるけど、とどのつまり特定作品の擁護じゃないの?
アニキャラ総合板にはいろんなアニメがあるんだから
特定のアニメのネタを振るのは公平性に欠けるだろ
そこで無理やりガッシュベルを選ぶ理由も無いし
>>238の
話の丸投げ
後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。
ここもおかしいぞ
したらばルールでは最初から
「脱出者」と「ゲーム参加者」以外の選択無いじゃん?
そもそもその時点で「はじめから適当な話の骨子だけを投下」してるんだよ
しかも故意的に。
あとフラグというのは「はじめから適当な話の骨子だけ投下」と同じじゃん
>したらばルールでは最初から
>「脱出者」と「ゲーム参加者」以外の選択無いじゃん?
それ以外に選択あるのか?
「脱出」「優勝」
したらばが認めてるのはこのエンドだけでそれ以外を潰しにかかってる
※そしてこの脱出か優勝以外の選択を出さないように書き手を送り込んで仕向けている
で、実際にそれ以外で各地のバトロワスレで提唱されてるのが
1:ゲームそのものを中止に追い込む
バトル・ロワイアル開催地の外を中から動かして
ゲームそのものを何らかの理由で中止に追い込まざるをえないように仕向ける
(主催者側で反乱を起こさせる等)
2:主催者がいない
そもそも最初から主催者がいないので主催者が倒せない
(抵抗不可能な自然の力で自動的にバトロワをせざるを得ない環境におく)
3:和解
主催者を降伏させる
4:主催者も被害者(バトルロワイアルを行わなければ自分も死ぬ等)
まだあるかもしれないが
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
まあ、色々あるけど要するに
いままでに無いような形のものを生み出そうとしてバトロワの住人が四苦八苦してる
だからバトルロワイアルという骨子はそのままにさまざまな改革案は出てるんだけど
それをしたらばの頭の固い連中が「バトロワとはこうだ!」という思い込みが強すぎて
その自分達の意見に従えない奴等を荒らし扱いして妨害してるだけなんだよね
※CGIバトルロワイアルなんてまさにその典型
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
バトロワはSSでないといけないとか、
40KB以上ないといけないとか
いつだれがそんな事決めたんだろうな
って考えると
したらばなんだよな
要はそれだけのSSをかけない人間を放逐してるということに気がついてない
奴ら自身の手で参加者を制限してるんだ。
だからどうすればバトロワが発展するのかというと、
バトロワ改革の抵抗勢力であるしたらばとそのルールを潰せばバトロワは発展する
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
という事になる。一回、誰もが参加できる参加しやすい状態に戻さないといけないと思う。
だから、バトロワ発展のためには、したらばルールを全否定しろ
これしかない
バトロワの形式もSS方式以外にも
@:1行ロワイアル形式 一行だけでロワをする形式
A:コマ形式 コマとして動かす形式
B:三次元乱入形式 二次元と三次元キャラをまぜこぜにする方法
C:ギャグ形式 一発ネタだけで構成
D:主催者視点ロワイアル 主催者側の視点だけで行うロワイアル
E:CGI形式 CGIプログラムで行われるバトル・ロワイアル
色々提唱はされてる。
そしてしたらばはSS方式以外全部潰しにかかってる
何度かあらされて潰された
奴等は潔癖過ぎる上にわがままだからな
キャプテンだってあいつらが何もしなけりゃ何もおきてなかったようなもんだ
キャプテンがSS撤回したいと言ったら撤回させてりゃよかったんだ
キャプテンが著作権者なんだからキャプテンの言うとおりにすれば何の問題もなかった
それを頑としてはねつけてキャプテンを荒らし扱いしたのはほかでもないしたらばのdionとかじゃないか
そっちで始めたければおまいだけ始めればいいだろう
そんな話全く出てないんだからな
>>260 したらばとは別にやりたくて話してんじゃないのか。そんな話出てないってんなら何の為にこんなグチャグチャやってんだか分からんな。
したらばが勝手にうちの名称使ってるから仕方ございません。
はっきり言ってしたらばさんに出て行ってもらえればそれで結構です
ウチから出て行く筋合いは無い
母屋を奪っておいてシベリアに引っ越せとでもいうようなメチャクチャ糞な発言ですな
天下一級のずうずうしさだな
粘着してるのどっちだよ
まあしたらば側に出てけ云々言うのは性に合わんから俺は言わん。
だが2ch側の議論が全く進まんのは問題だろう。未だにしたらばのテンプレにいちゃもんつけて何もしてないのは2ch側はやる気ないと思われて粘着言われても仕方ないと思うんだがな。
>>267 お前な、すぐ上にも出てるだろ?
何で態々ご丁寧に反応して構ってチャンを付け上がらせてくれますか?
しかし本当に誰も書き込まないな
したらばはついにおおっぴらに大量虐殺を開始したらしい
ああ、見たが、もう◆B0yhIEaBOIのお気に入りしか残してないじゃんwww
新規ミナゴロCワロスwwwwwww
完全に企画を私物化したなあいつ
追放は正解だったというわけか
西方から来る夕焼けが、ギルガメッシュと結城奈緒の影を朦朧とけぶるように見せる午後の街道。
アレンビー・ビアズリーが南へ向かうのを目に焼き残し、数瞬後には何事もなかったかのように羽を伸ばす二人。
「――んで、次はどこへ行く?」
「そうだな――」
珍妙な出会いから、もうすぐ丸一日が経過しようとしていた。
当初はデコボココンビという称号がこれ以上ないほど当てはまっていた二人だったが、現在の姿にその面影は微塵もない。
長年連れ添った夫婦のような、本人たちが意識しなくとも波長を合わせられる、奇妙とも言える息の合いようだった。
金ぴかの鎧を着こんで、左眼の単眼鏡を律儀に付けたまま、二人きりの旅道中はまだまだ続く。
怪しげな神父、鉢巻きの武闘家、怯える戦闘機人、青い髪のガンダムファイター、誰もが崩せなかった絶対の関係。
それは愛や友情とは勘違いもできないほどの特殊な間柄であったが、絆が混在していたことは、誰もが否定しない。
いったいこの関係は、いつまで続くのだろうか――? いつしか、そんな疑問も抱かなくなっていた。
心も、考え方すらも、自然に。
そんなときだった。
「待てい!」
男と女、王と臣下、金ぴかと蜘蛛女――ギルガメッシュと結城奈緒。
二人の前に、二人と同様に特殊な関係を築いている、男女が現れたのは。
◇ ◇ ◇
なんか来たよまた
楼閣のように聳え立つ、一軒の民家。
広々としたバルコニーが備え付けられている三階建ての家屋は、隣接する家屋の様子を見ても、上流家庭の住まいであることが窺えた。
その、頂上。天守閣を思わせる高所から、腕組みをしながら直下の二人を睥睨する二人がいる。
見下ろされる二人――ギルガメッシュと結城奈緒は、夕日を背負う二人組に、嫌悪感を含む顰め面を浴びせた。
見下ろす二人――黒いスーツを着込んだ壮年の男と、ツインテールを風に揺らす少女は、それを意にも関さない。
屋根の上に仁王立つ二人組、その男のほうが、声をかけた側として本題を発問する。
「ワシの名は“衝撃の”アルベルト。こちらの娘は“不死身の”柊かがみ。訳あって行動を共にしておる。
貴様ら二人を呼び止めたのは他でもない。どうやらこの殺し合いに異を唱える者であるようだが――」
「気に入らんな」
自己紹介から入った男――衝撃のアルベルトの言葉を、ギルガメッシュは怒気混じりの声で遮った。
「出会い頭にこの我を見下ろす姿勢、無礼などという度合いではない。
ついでに言えばその偉ぶった語調も気に食わん。まずは地に降り、頭を下げるのが礼儀であろう?」
首を後ろに傾け、顎を上方に逸らし、天を仰ぐという為様が、なによりギルガメッシュにとっては屈辱的だった。
古来より、王とは民衆の上に席を置くものである。
民は誰よりも高い位置に在る王を見失わぬように、王はより多くの民を見渡せるように、高低の関係を不動のものとしてきた。
遥か古代に王を務めたギルガメッシュとて、その風習が確立するよりも後の人生を生きた者である。
染み付いた慣例は、感情を刺激するほどの性格へと浸透し、怒りを生み出した。
「あー……あのさオジサン。とりあえずそこ、降りない? 意味もなく高いところに上りたがるなんて、馬鹿のすることよ?」
これまで行動を共にしてきた経験則から学び、ギルガメッシュをこれ以上刺激しない術として、奈緒は穏便に事を運ぼうとする。
「馬鹿と煙は高いところが好き、とはよく言ったものだがな。なに、意味もなくここに立っているわけではない。
高所から他者を見下ろすというのはなかなかに気分がいいものでな。そこに頭の出来不出来は関係ないのだよ」
言って葉巻を吸うアルベルト。その傲岸不遜な佇まいに、反省の色や自粛の気配は欠片も感じられない。
あまりの態度に、ギルガメッシュは苛立ちを増し、釣られるように奈緒も眉を寄せた。
「それに、地を歩くのも面倒なのでな。この世界は常在戦場、そこで整地された道をふらつくなど愚の骨頂よ。
もっともワシのように、狙われにくい高所を移動する術を持ち合わせるか、狙われることを意に関さぬほどの実力があるなら話は別だがな」
煙を吐き出し、また葉巻を咥える。
「貴様ら二人はそのどちらでもあるまい。大方、自分たちが襲撃されるなどとは夢にも思わぬ浮ついた心でいるのか。
もしくはそうだな、この舞台をなにかの催しだと勘違い、いや、浸っている夢想人か――」
語る途中、アルベルトの眼下から一振りの剣が投げ出された。
大砲のような勢いで直線状に伸びる刃を、アルベルトはしかし慌てず、端にいたかがみを抱えて跳び避ける。
アルベルトの足先を狙って放たれた剣はバルコニーの足場を粉砕し、その場に僅かな灰色の雨が舞った。
無礼な言動に怒りを覚え、ついには限界を超え行使された、ギルガメッシュの攻撃――『王の財宝』による巳六射出。
アルベルトはそれを予期していたかのように避け、元の足場を崩されたことにより地に降り立つ。
初対面、出会ったまだ数十秒足らず、にも関わらずの攻撃に、奈緒は驚きこそすれど叱りつけたりはしなかった。
アルベルトに怒りを覚えていたのは彼女も同様であり、またギルガメッシュが黙っているような口もないと知っていたからである。
「――フン。名を名乗るよりもまず仕掛けてくるとは。よほどしつけのなっていない駄犬と見える」
「吼えるなよ、雑種。貴様の思惑、この我が見透かしていないとでも思うてか?」
ギルガメッシュの不意打ちに合いなお葉巻を咥えたままのアルベルトは、小脇に抱えたかがみを下ろし言う。
「ほう、貴様のような若造にこのワシの胸中が読めるとな?」
「ふん。貴様が無礼者であることには変わりないがな、我の怒りを誘い、隙を探ろうとしているのは見え見えよ。
狡い手だ。そちらの女も含め、とても手を取り合うべく声をかけたとは思えんな。
大方、利害が一致しただけの一時的な関係……我を狙ったのは、財目当ての愚挙か」
「はずれだ阿呆め。我らの目的は一つ――螺旋王へ至る道、そのための情報入手よ」
壊れかけの戦闘機人に向けた情け容赦ない殺意を幾時かぶりに再燃し、ギルガメッシュは歯軋りした。
それを嘲笑うかのように、アルベルトは余裕ぶった所作でまた煙を吐き捨てる。
「貴様らとて、この一日を指針もなく周旋していたわけではあるまい。ワシが欲するはその成果よ」
「ハァ? それってつまりは、ここから脱出したいってことじゃないの?」
アルベルトの言葉に険しい表情を作るギルガメッシュの横、奈緒が常人としての解釈を疑問に乗せる。
「ふむ。八割は正解と言っておこう。ただし、それは貴様のような小娘が考えつく平和的解決策ではない。
要点は二つ――螺旋王との接触、ワシとここにいる柊かがみの生還。他の者がどうなろうが知ったことではない。
優勝という手段でもいいのだが、定員が一名のみとあってはな。他の方法、つまりは脱出策を模索するしかあるまい」
「って、ちょっとあんた! なにべらべらと本音喋っちゃってんのよ!」
腹の底に蹲る野心、自己中心的なプランを惜しげもなく公表するアルベルトに、隣の柊かがみは声を荒げた。
「なに、この男は虚言が通じる相手ではなさそうなのでな。
かといって懇切丁寧に協定を申し出たところで、聞き入れはせんだろう。
ゆえに、ワシは本音を語るのみだ。我らが野望のため、礎になれとな――」
咥えていた葉巻を教鞭のように突きつけ、アルベルトはギルガメッシュと奈緒の返答を待つ。
即答はない。が、その表情は見るだけで心中が悟れるほど、不快に歪んでいた。
「……要するに、利用されろってこと? はっ、冗談。オッサン、あたしたちをなめすぎなんじゃない?」
「……無礼者ではなく愚者の類であったか。我の持つ万物、全てがそれ即ち財。知識とて例外ではないと知れ」
「返答はノーということか」
「無論だ」
譲歩はなく、また交渉の余地もない。完璧なる拒絶が、各組の間に走った。
ただし話はそれで終わらず、今までの不敬を清算せんとばかり、ギルガメッシュは鍵剣を構え、
「よかろう――ならば、決闘だ」
アルベルトの思わぬ発案により、一時的に戦意を抑制させられた。
「この世の理はどこも等しく皆力よ。この殺し合いとて、異郷の者も多勢のようだがそれは変わるまい。
ならば潔く力で決着をつけようではないか。ワシと貴様が戦い、勝者が敗者を従える。そういう条件のな」
「……オッサンが勝ったら、あたしたちはオッサンの下僕になるわけだ。でも、金ぴかはそんな生易しい性格してないと思うけど」
「無論だ。我は雑種を飼い慣らす趣味など持ち合わせてはいない。敗者に振るものなど、死以外にはありえんと心得よ」
「フン。先ほども言ったとおり、ワシが欲するは情報であって貴様らの命ではない。
貴様が勝ってワシをどうにかするのは自由だがな、ワシが勝った場合、貴様は真に犬へと成り下がると思え」
両組を隔てていた威圧感という名の壁が、一時的に崩れる。
両端には、構えを作る二人の男が。
「さぁ、返答を聞こうではないか“金ぴか”とやら!」
「答えるまでもない。そして知れ、我の名は金ぴかではなく“英雄王”ギルガメッシュだ!」
こうして、戦鐘は鳴らされた――前兆はなく、唐突に、しかしこの世界の理に適った始まりだった。
◇ ◇ ◇
発端は、天へと昇っていく剣だった。
謎の爆発音を耳にし、柊かがみと衝撃のアルベルトが駆けつけた先、そこにはもう、戦闘の跡しか残されていなかった。
未知なる超技術を持つ螺旋王を『喰らい』、ひいては宿敵である神行太保・戴宗と決着をつける。
アルベルトの目的を理解し、互いに利用し合うという名目で協定を結んだかがみは、まず他の参加者と接触することが第一だと考えた。
アルベルトの戦闘能力が一級品なのは既に承知の上だが、超戦闘力も、不死の力も、実のところなんの解決策にもなりはしない。
螺旋王を喰らうチャンス……イコール、この会場からの脱出。それには、第三者の協力が必須条件だった。
あてにしていたレーダーを失い、すぐ近くで起こっていた戦闘にも遅れてしまった失策、それを踏まえれば、天に舞い上がる剣は一筋の光明に思えた。
だが、物事はそう上手くは進まない。
――『あれは駄目だな。とてもワシらの申し出を受けるような輩には思えん』
とは、先立って剣の打ち上げ地点に偵察に出たアルベルトの言だ。
彼曰く、そこにいたのは黄金の鎧を纏った偉そうな男と、かがみよりも年下であろう女学生の二人。
どうやら彼らも脱出を志しているらしいことが会話から窺えたが、アルベルトが見るに、男の性格にかなり問題があるようだった。
――『ワシらが求めるは、より堅実な利益を齎してくれる者よ。志しが同じだけでは意味がない。ワシらは慈善事業をしているわけではないからな』
ただ脱出を願っているだけで、殺し合いに否定的な人間など論外。行動を共にしたところで、お守りに回されるのがオチだ。
反抗の意志だけでなく、結果を出せる人材が必要。そういう点ではギルガメッシュたちも辛うじて合格点を与えられたが、
――『問題なのは協調性だ。よいかかがみよ、ワシらが求めるは“駒”であって“仲間”ではない。ゆえに、ワシは奴を選定する』
使えるか、否か。まずは駄目元、会話での同調を求め、不可能ならば決闘を行使。
――『勝敗が決し、奴がワシに従うようならそれで良し。誓いを反故してでも自尊心を守ろうと言うのなら――』
そこから先の言葉は、今でも鮮明に覚えている。
しかしかがみは、願わくばそうなってほしくはないものだ、と心の隅で願望を抱いていた。
――『ワシが負ける可能性? 万に一つもありえんな。衝撃の二つ名の意味をよく考えるがいい』
関西弁の銃士を容易く退けた手腕は、きっとアルベルトにとっては児戯のようなものなのだろう。
全力で戦えば、おそらくアームスレイブすらも粉砕できる。生身でもロボットに渡り合えると、直感していた。
(仲良くみんなで手を取り合って……っていうのは、無理な話なのよね。もう)
戦端が開かれてから、アルベルトとギルガメッシュの二人はあっという間にどこかへ走り去ってしまった。
奈緒と共に残されたかがみは、接触前の算段を思い起こし、そして逡巡する。
手はずどおりに事が進んだ場合、残った女学生のほうは“不死身の”柊かがみに任せると――アルベルトはそう言っていた。
(もしアルベルトが勝って、あの金ぴかの人が負けたとしたら、この子どうするのかな?)
任せると一言で言われても、かがみにはどうすればいいのか検討もつかない。
大人しく待っているべきなのか、それともしつこく共闘を求めてみるか、争い以外の道はないのか、などと。
そんな平和的解決方法に縋ろうとしている自分がいて、そのことにハッと気づいて、腹が立った。
(なに言ってんのよ私……! 私は螺旋王を喰って願いを叶える……つかさやこなたを……こいつらだって!)
自分がどう立ち回ればいいのか、どうすればより早く螺旋王に近づけるのか、選択肢はアルベルトに委ねた。
なら、
「……で、あたしらはどうする?」
黙りこくったまま思考を続けるかがみに、奈緒が面倒くさそうな顔で声をかけた。
「どうするって、それは……その……」
「……ふーん。なんか、あんたはあのオッサンのやり口に納得いってない風じゃん。
ま、あたしはどうでもいいんだけどね。金ぴかが負けるとも思えないし。
って言っても終わるまで暇だし、あんたらは個人的にムカツクし、どうする? ……バトる?」
まだ幼さの残る声に妖艶な気配を纏わせて、奈緒はにんまりと笑う。
その手にはいつの間にか鉤爪のようなものが装着されており、穏やかな物言いとは裏腹な戦意が滲み出ていた。
自分で言うからには、腕に自信があるのだろう。そして、かがみの実力を自分よりも低く見ているに違いない。
――ああ、なるほど。こいつもこいつで協調性なさそうだな。
とかがみは感じ、僅かな怒りを覚えつつ言う。
「……あなた、歳いくつ?」
「は? 14だけど」
「そう。ちなみに私は18。こんなとこで言うのもなんだけど、年上には――」
「ハァ〜? 知るかっつーの。ってかなに、あんた高三? 見えねぇ〜」
わかりやすい挑発に、しかしかがみは流そうとはせず、そのまま形で受け取った。
これならば、先輩として後輩に教育的指導を、と解釈することも可能だ。
名目が変われば、覚悟の仕方もいくらか変わる。
従わないのなら、力ずくで従える――そんなダークヒーローみたいなやり方を。
「いいわ、やってやろうじゃない」
「は?」
「目にもの見せてやる、って言ってんのよ」
まさか乗ってくるとは思っていなかったのだろう、奈緒はキョトンとした顔つきで、かがみの睨むような目つきを見た。
それに動揺した様子はない。むしろ苦笑を抑えるかのような表情で、「おもしろいじゃん」とだけ発する。
そうして、こちらのほうでも戦鐘は鳴った――付き従う者同士、主人たちとは別の場で。
◇ ◇ ◇
螺旋状の柱によって支えられた荘厳なハイウェイを背景に、二人の男が踊り狂う。
互いに無手、しかし得物の必要性を感じさせないほどの凄まじい拳打を打ち合いながら、移動と交錯を繰り返している。
そしてやって来た先、殴り合いをするには十分な広間へと、戦いながら侵入した。
「――づえええぇいっ!」
気合一声、衝撃のアルベルトがギルガメッシュの胸元目掛け蹴りを放つ。
しかしその蹴りは、纏われた頑強な装甲板に弾かれ、虚しく音を鳴らす。
威力を削がれ弾かれた蹴りはただの足へと成り下がり、格好の弱所としてギルガメッシュの目に入った。
宙に舞うアルベルトの脚部を掴み、僅かな力を込めて振る。アルベルトはいとも簡単に体勢を崩した。
否、『ギルガメッシュにとっては』の話。
人間を超越した存在――英霊、またはサーヴァントと呼ばれる存在である彼にとって、これしきの肉体動作はさして難儀でもない。
がら空きになったボディへ向け、ギルガメッシュが片方の腕を軽く薙ぐ。
ぶつかり、たったそれだけで、アルベルトの脆弱な体は吹き飛んだ。
――これが、覆せぬ力の差である。
人間というモデルは同じでありながら、種の違いが生み出す決定的戦力差が、早くも露呈しつつあった。
当のアルベルトもギルガメッシュがただの人間であると思っていたのか、面食らった表情をしている。
とはいえ、あれだけ偉そうな口を叩き挑みかかってきた人間だ。それなりには腕に覚えがあるのだろう。
ギルガメッシュの攻撃に怯みこそすれど、完全に倒れはしない。なおも向きなおってくる。
「クク、ククク……」
その様が実に滑稽で、惨めで、無様で、笑いを誘う。
「ちぃぃ……なめるなよ若造がああああぁぁぁ!!」
勇ましく突進してきたところで、結果は変わらぬというのに。
ギルガメッシュは俯き気味に失笑を漏らし、その間、隙が生まれた。
防御も回避も取らないギルガメッシュの顔面へ、アルベルトが渾身の拳打を打ち込む。
拳がギルガメッシュの頬を抉り、顔の向きを変え、打撃音が鳴るが、
「ぬぅ!?」
変わらない。なにも。
ギルガメッシュの笑みも、態度も、力の差も、戦況も――なにも変わりはしない。
たった一撃の渾身など、ギルガメッシュにとっては蚤に齧られたようなものだった。
「……この程度か、雑種? せっかく貴様に合わせ拳闘士の真似事なぞ興じてやったというのに……甚だ期待外れだ。
よいか? 拳とはこのような脆弱ものを言うのではない。貴様のそれは、ただ五指を握り合わせただけの贋物よ。
教授してやるから心して見よ。拳とはこう作り……」
アルベルトの身を眼前に置いたまま、ギルガメッシュは肘を引き、五指を畳み、握力を集中させ、
「……こう打つのだ!」
棒立ちの敵へと、叩き込んだ。
めしり、という瞬間的な破砕音が響き、アルベルトは抗うこともできないまま衝撃にのまれた。
まるで機関車にでも撥ね飛ばされたかのように回り、転げ、粉塵を纏いながら路上を滑っていく。
勢いが衰え止まる頃には、ギルガメッシュとの間に十メートル近い距離が生まれていた。
衝撃がやみ、どこからか吹き込んできた風が静寂を告げても、アルベルトが這い上がることはない。
仰向けの状態で、大の字に倒れていた。
「どうだ? これが真なる拳というものよ。学習したなら活かせよ――来世でな」
ギルガメッシュは、遊んでいた。
決闘などという大そうな名目で始まった戦いに、童心を持ち出し、楽しむかのように興じていた。
決闘などというのは、多くの王にとって児戯のようなものでしかない。
怒り、憎しみ、恐れ――そういった戦意の元となる負の感情に流されるようでは、ましてや数多いる雑種に戦才で劣るようでは、王は務まらないからだ。
王が闘争に身を置くとすれば、それは己の財と覇権がかかったときのみ。
ゆえに、これは児戯なのだ。己の尊厳を懸けはしても、結果自体はわかりきった勝負。そこに真剣みが混ざるはずもない。
だからこそ闘争に愉悦を求め、遊び心を加える。そうさせるほどの余裕が、王という存在の中で確立しているから。
「……つまらん」
愉悦に浸るギルガメッシュの視界、不快な映像が目に入った。
仰向けに倒れた衝撃のアルベルト、その右腕がいそいそと動き、胸ポケットから一本の葉巻を取り出す。
体の状態をそのままに着火し、口に咥え、吸引し出した。
天を仰ぎながら、苦痛の混在しない穏やかな声で言う。
「英雄王よ、貴様には背負うものがあるか?」
目も合わせず、天を向いたままの状態で、アルベルトは質問した。
その、敗北者としては類を見ない行動に感心を抱いたギルガメッシュは、今は無礼を不問にして会話を合わせる。
「背負うもの、だと?」
「家族でも、職務でも、なんならあの女でもいい。あるなら言ってみろ」
それは王位に就く者にとって、なんとも馬鹿げた問いだった。
「なにをたわけたことを。我は王なるぞ? 王が背負いしものといえば国、そしてそこに住まう民に決まっておろう。
ナオは我の忠実なる臣下の一人よ。それ以上でもそれ以下でもない。さて、世迷いごとは済んだか?」
一時の感心を胸に秘め、はっはとギルガメッシュが小気味良く笑う。
「なるほどな」
意味があるのかも怪しい問答、死を目前にした者の戯言であろうそれを終え、アルベルトはまだ黙らない。
「やはり違うな……戴宗とは。貴様との戦いには、滾るものがない」
「……雑種、なにが言いたい?」
「さっき言ったとおりだ。つまらん――貴様と拳を交えること自体が、つまらんと言っている」
人間、我の強い者であれば、死の直前まで敵に歯向かおうとすることもままある。
それら戦士の気概を持ち合わせた者は賛嘆に値する大馬鹿者であるが、この男はどこか違う。
死を前にしても余裕を保ち、まるで死を回避できたと思いこんでいるように、眼前の死を否定している。
なんだ、ただの気狂いか――そこまで理解し、ギルガメッシュは、
「クックック」
堪えきれず、爆笑を漏らした。
「クッ……ハハハハハハハハハハハハハハハ! そうか、つまらんか! 我を笑い殺そうとしてよく言う!
……が、そうだな。我も貴様の児戯につき合うのは辟易してきたところだ。終幕にしよう」
無邪気な笑いをあげたのは一瞬。一拍置いた次には、決闘の終焉を見届けるための冷淡な顔つきに変わっていた。
宝具『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』を取り出し、アルベルトに向けて翳す。
「―――――王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」
間断なく、真名を解放。
路上に寝そべるアルベルト、その上空に、無数の黒点が囲うように現れる。
数にして三十二。宝物庫へと繋がる異次元の扉が、直下のアルベルトを三十二の瞳で睨みつけた。
じわり、じわりと、焦らすようなスローペースで顔を出したのは――数十冊にも及ぶ書物の群れ。
「書の角に頭をぶつけて――というのも、なかなかに滑稽な死に方だと思わんか?」
本来『王の財宝』を持って矛とするには、あまりにも情けない弾薬。
しかし狼藉者を葬る手立てとしては、書による驟雨もまた一興、とギルガメッシュは思い至り実行する。
「――ではな雑種。来世では、“衝撃”などという不釣合いな二つ名を名乗るでないぞ」
無限にも思われるような書物の雨は、弾丸の速度を纏ってアルベルトの身に注がれた。
ほとんどが分厚く製本されたハードカバー、角で殴れば十分に鈍痛を与えられる品、それが速度を得ればどうなるか。
武器と称すのはさすがに惨めだったが、凶器とするには問題ない。
地に激突した衝撃で何冊かの本は分解し、紙がバラバラと宙を舞う様は、さながら吹雪のように思えた。
その吹雪の中に、赤を纏った粉雪がちらり。
それを逃さず目視したギルガメッシュは、口元だけで笑みを作ると、紙吹雪の中心地へと歩を進める。
ほぼ同時に、書の雨もやんだ。何枚もの紙と何冊もの本で埋め尽くされた街路を、蹴散らすように進む。
そこに、勝利の判定を下すに揺ぎない代物が陳列されていた。
「ふん」
見下ろし、鼻で笑う。
紙の中に埋もれるのは、鮮血に塗れた肉、肉、肉……肉、としか判別できない品々が、そこら中に散乱していた。
どれが元頭部でどれが元内臓だったのかすらわからない。結果的な惨状は、本の角に頭をぶつける程度では済まされなかった。
「あれしきの砲撃で原型を失うとは……耐久力からして凡百な――」
「まこと凡百な眼力よの」
声が聞こえてきた。
ギルガメッシュ以外の、何者かの声が。
肯定せざるを得ない、衝撃のアルベルトの肉声が。
バッと振り向き、背後を確認する――いない。
顔を正面に戻し、アルベルトはそこにいた。
「なにっ!? 貴様よもや――――ガ!?」
ギルガメッシュが己の目を疑う間、アルベルトは瞬速の手刀を、金色の鎧の継ぎ目を縫うようにして捻じり込む。
ギルガメッシュの口から、鴨の首を締め上げたような呻きが漏れた。
「――真っ向勝負が信条のワシだが、貴様の慢心ぶりがあまりにも目に余るのでな。少々小細工を弄させてもらった」
脳髄を白色が埋め尽くす――間際、アルベルトの肩に、見慣れぬ女物のケープが羽織われているのを見た。
シルバーケープ――皮肉にも、ギルガメッシュが殺したクアットロの固有装備であり、アルベルトに支給されたそれの持つ、高性能ステルス機能が勝敗を決した。
「どうだ? 純粋な力の差を見せつけられるよりも屈辱的であろう? ワシの言葉が理解できているか、怪しいがなぁ!!」
アルベルトは捻じ込んだ掌から、ゼロ距離による衝撃波を放つ。
衝撃はギルガメッシュの体と鎧の僅かな隙間に浸透し、全身を駆け巡る。
充満した力が溢れ、内部から鎧ごと弾け飛んだ。ギルガメッシュ本体も、ずたずたに傷を刻まれる。
――それは、一瞬の油断。常の慢心が生んだ、ほんの一瞬の逆転だった。
アルベルトが最初から本気を出していたとしても、小細工を使わず真っ向から対立したとしても、結果はこうなっただろう。
衝撃のアルベルトは――初見のイメージもあって――ギルガメッシュが対等と判断するに値しない存在だったからだ。
敵が奇策や奥の手を秘めていたとしても、我の勝利は揺がぬと信じて疑わない。強者ゆえの慢心を常として備えていた愚。
だが、意識を闇に閉じる瞬間になっても、ギルガメッシュはそれを悔いたりはしなかった。
自らの性格が呼び込んだミスなど、彼の強い自尊心が認めるはずもない。ただそれだけの話である。
◇ ◇ ◇
「まったく、彼奴のせいで髪が乱れてしまったわ」
また静寂の戻った路上。
柊かがみが待つ帰途へと着いたアルベルトは、偶然見かけた理髪店から拝借した櫛で、髪型を整えながら歩いていた。
「時間は……思ったよりも速く片付いたな。それだけ彼奴が見込み違いだったというわけだが……む?」
ふと、アルベルトが立ち止まる。
違和感を覚えたのは、耳だった。
「ほう……かがみめ、任せるとは言ったが……」
女性の悲鳴が聞こえる。
やけに甲高い、ホラー映画の主演女優みたいな絶叫だ。
アルベルトが苦笑を漏らしつつ音源の下に駆けつけると、
「なかなかにおもしろい状況になっているな」
そこには二人の少女がいた。
一方は柊かがみ。そしてもう一方は、ギルガメッシュがナオと呼んでいた女。
しかし、互いにその姿は変貌を遂げていた。
かがみは、全身に夥しい量の血液と裂傷を纏い、それをリアルタイムで修復させながら、
ナオは、かがみの異様な姿に恐れをなしたのか腰を抜かし、化け物でも見るような涙目で、
「……女児二人の、戦場での対立か。滅多に拝めるものでもなかろうに」
かがみたちの遥か背後で、アルベルトは観戦を決め込んだ。
◇ ◇ ◇
夕闇の振りかけた、けぶるように色彩のぼけた景色の下。
結城奈緒は、夕闇に滲み出すように点在する彼女を見た。
彼女は、立っている。奈緒は、尻餅をついてそれを見上げている。
背中にあたる冷たい感触は、コンクリート塀によるもの。いつの間にか、路地裏の袋小路に追いつめられていた。
乱れ、縮れ、ざっくばらんに切り捨てられた髪――修復。
斬れ、裂け、彫刻のように幾重もの切創が作られた皮膚――修復。
滲み、零れ、夥しい数の切創から噴き出す粘質の血液がスライムのように――修復。
それら、メインディッシュとなる痛烈かつ異常な映像を、奈緒はほとんど強要される形で見ていた。
肝心なのは、これがテレビなどの映像媒体を通したものでなく、本人の目を通した生の光景であるということである。
死に直結するのは間違いない傷や血が、リアルタイムで“戻っていく”という異常な様を、匂い付きで見せつけられている。
まず、胃に変な圧迫感を覚えた。胃液が食道を逆流するような錯覚に襲われ、軽く吐く。
眼前から放たれる鉄錆じみた血の匂いと、口内を満たす嘔吐物の悪臭。ダブルパンチに鼻が曲がった。
そこまで不快な気分を強要されても、奈緒はなにもしなかった。
いや、できなかった。もしくはすでにしたのだが、なんにもならなかった。
騒がず、呻かず、動かず――震え、微動し、脂汗を垂らし、声を枯らす。
精神を恐怖に蹂躙された人間の、よくあるケースの一つ。
奈緒は怯えていた。目の前の、“不死身の柊かがみ”が見せる異常に。
「――痛みってさ、ある程度のものだと慣れるのよ」
今もなお修復中の裂傷は、奈緒がエレメントによってつけた傷だ。
はじめは脅しのつもりだった。糸で軽く切りつけて、絆創膏程度で治まる傷を与えてやるつもりだった。
それだけでかがみは驚いて、震えて、泣いて、その様を嘲笑ってやる、つもりだったのに。
結果は真逆。かがみの持つ二つ名――不死身の異様に、度肝を抜かれた奈緒がいる。
「あなた、グロいのって平気? なわけないか、腰抜かしちゃってるもんね」
かがみは言いながら、宙を泳ぐようなゆったりとしたスピードで歩み寄る。
異形の像が視界の中で大きくなっていくのを頭の隅で捉えながら、奈緒は現実を否定した。
ありえない――殺し合いをするために集められた参加者の中に、死なない人間が紛れているなんてありえない!
だって、死なないのならば安全ではないか。優勝決定ではないか。ズルイじゃないか。殺されるだけじゃないか――。
容易く覆された命の法則を、奈緒は畏怖して怯えるしかなかった。
カタカタと上下の歯を打ち鳴らす間、かがみの負った傷が完全に修復を負え、元の状態に戻る。
「もう、治っちゃったけど。どうする? 次はどこに傷をつける? あ、それと、初めに言ったこと忘れちゃいないわよね?」
かがみが首を横に傾いで、尋ねる。たったそれだけの動作が、どうしようもなく不気味に思えた。
ギルガメッシュたちが去り、奈緒たちが対立を始める際、かがみが言ったのだ。
――私は最初はなにもしない。だけど、後であなたから受けた痛みを何倍にもして返す。と。
奈緒はこれを、やれるもんなら、と笑って流した。そのときの自分が憎らしい。
なにせ、何度エレメントを振ったか、何条糸を繰ったか、何回かがみに傷を与えたのか、もうわからなくなっていたのだから。
あれが何倍にもなって自分に返ってくるなど、考えたくもない。
「ねぇ、どうしたのよ。もうおしまい?」
「……っ、ぅ、さいっ! あ……たっ、なん、な、っよ!」
言葉になっていない声で、奈緒はかがみの不条理に怒りをぶつけた。
裂かれた皮膚が自動で繋がるなど、零れた血が勝手に蠢くなど、人間業じゃない。化け物の所業だ。
これでかがみがオーファンのような異形だったならば、まだ納得もできるし、ここまでの畏怖も感じない。
なのにかがみは、人間の形を保ってそれをやってのけている。
人型でありながら人間を逸した深優・グリーアの例をもっても、かがみの不死身という異常は、納得できない。
「ったく、言ったでしょ? 私は、“不死身の柊かがみ”。決して死なない女なのよ」
馬鹿な。ありえない。ありえない。馬鹿な馬鹿な馬鹿な。ありえないったらありえない。そんな馬鹿な。馬鹿だ!
かがみとの距離が、手を伸ばせば届きそうなくらいまで狭まっていたことを本能で感じ、瞬間的に恐怖を凌駕して攻撃に転ずる。
窮地に立たされても、切り札であるジュリアはやはり呼び出せない。
ただ爪型のエレメントを振り、その指先から伸びる切れ味抜群の糸を放つ。
極細の糸が皮膚を切り裂いて、絡むように肉に入り込んだ。
びくん、とかがみの体が痛みに痙攣し、しかしその顔はくすっと笑う。
ばっくりと開いた口から、鮮血が流れ出る。腕から、足から、頬から、いたるところから。
流血が各所を伝い、重力のまま下へと導かれる。
が、次の瞬間には滝登りだ。
伝い落ちた血が、逆流するかのごとく皮膚を上っていく。
わかりきっていた結果をまた見せつけられ、奈緒は泣きたくなった。
血が元の傷に収まり、開いた口が閉じる頃になっても、奈緒は身動き一つできない。
そこで奈緒は、かがみの左頬を上っていく、やたらと遅い血の塊を見つけた。
他の血はもうとっくに体内に帰ったというのに、左頬の血だけはなぜか、出来損ないの子みたいにのろのろしている。
この子はいったいどこに帰ろうとしているのか――向かう先を目で追っていって、ゾッとした。
瞼だ。かがみの左瞼が、ぱっくり切れていた。
左目――傷――銃――玖我なつき――倍返し――奈緒の背筋を、冷たいなにかが走りぬける。
「目、気になる?」
奈緒がやたらと左目を凝視していることに気づいたかがみは、なにを思ったか妖艶に微笑み、
「じゃあ、まずは目にしよっか」
そんなことを口にして、
「左目。抉っちゃうわね」
わざわざおぞましい単語を選んで、
「――――――――――――――――――――――――ひ」
奈緒が喉を鳴らしことなんて気にもせず、手を伸ばすのだ。
指の先端が目に近づきすぎて、像がぼやけて、さらに涙で滲む。
こつん、と眼球に触れたような気がした。
かりっ、と爪先が眼球を引っかく。
ぷちゅっ、とゼリーを潰したような音。
「……ひあ、ああああ、ああああ、あああ、ああああ、あ、あああ、ああ、ああああ、あ、ああああああああああああああああ」
それらすべて、恐怖心が生んだまやかし。
左目がアイパッチに覆われていることなど完璧に忘れ、奈緒はかつての喪失感――左目を失った瞬間を――脳裏に思い出していた。
思い出しながら、気絶した。
◇ ◇ ◇
人間、やればできるものなんだな、とかがみは感心した。
決してゼロではない痛みに耐え切れたのも、
ひょっとしたら殺されるかもしれないという恐れに打ち勝ったのも、
相手がより怖がるようホラーものの映画や小説を思い出しながら演技に徹したのも、
全部、いっぱいいっぱいだった。だが、やり遂げた。
「くっくくく……随分とまぁ、たくましくなったものではないか。のう、不死身の」
「み、見てた、の?」
前方に失神した奈緒、そして後方にはいつの間にやら、ややスーツを汚して戻ってきた衝撃のアルベルトが立っている。
「まさか、不死身の能力をこんな形で活かすとはな。常人にはない発想よ。案外、向いているのではないか?」
「なにによ、なにに。それに、あんたがわざわざそう紹介したんじゃない。言わなくてもいいのに、“不死身の”柊かがみなんて」
そうだったな、とアルベルトはまた失笑を漏らした。なんだか馬鹿にされている気分だったが、不思議と嫌ではない。
むしろ――利用し合う仲とはいえ――この地で出来たパートナーに認めてもらえたようで、嬉しくさえあった。
「ところで、あの金ぴかの人はどうしたの?」
「む? 機転は利くが、思慮は足らんか? ワシがここにいる時点で、軍配がどちらに上がったかは明白であろう」
「勝ち負けのことを聞いてるんじゃないわよ。その……まだ生きてるのか、ってこと」
遠慮がちに尋ねたかがみの横、アルベルトはああなるほど、と笑わずに言った。
せっかく巡り会えた他の参加者。しかも有力な情報を持つかもしれない二人組。
協力、もしくは利用にこじつけられれば行幸だが、やむおえぬ場合、アルベルトは殺害も辞さないと断言していた。
かがみも、既に一度人道を踏み外した者である。アルベルトの現実的な方針には、本心はともかく賛同を示していた。
だからこそ、余計に気になっていたのかもしれない。
「始末した」
その結果は、アルベルトの口からたった一言で、簡素に告げられた。
「いや、正確には――」
早合点しそうになったところを、続きが入る。
「――これから、始末するところだ」
◇ ◇ ◇
ほのかな磯の香りが鼻腔を刺激し、ギルガメッシュの意識を覚醒に向かわせていた。
瞼を開け目に入ったのは、夕日に照らされ爛々と輝く水面。どうやら沿岸に位置を移したようだ。
朦朧と霞む思考の海で、寸前の記憶を懸命に手繰り寄せる。
書の集中砲火で無残な肉塊へと成り果てたアルベルト――それがまやかしだったことを思い出し、歯噛みする。
どれくらいの時間気を失っていたかは知らないが、現在の虚ろな意識こそが、アルベルトに敗北を喫したという証拠に他ならなかった。
「目覚めたか、裸の王よ」
ギルガメッシュが目を開いたことに気づいたアルベルトが、見下ろす形で声をかける。
またしてもこの位置関係だ。見上げるギルガメッシュと、見下ろすアルベルト。その隣にはかがみが立ち、奈緒の姿はどこにもない。
アルベルトの言葉を受けて、ギルガメッシュは自身の体を可能な範囲で眺めてみる。
言うとおり、裸だった。黄金の鎧は破壊されたのかそれとも没収されたのか、影も形も残されていない。
履物は局部を隠す意味での腰布一枚のみ。引き締まった肉体は、荒縄でぐるぐる巻きにされていた。
動かせるのは手先と足先、それに首から上くらいという散々な醜態を強いられて、ギルガメッシュはぎりっと音が鳴るほどに歯を擦る。
「――殺せ」
現在の状況を顧みて、発した言葉それだった。
「目覚めて第一声が、殺せ、とはな。少しは気にならんか? 自分が敗北した理由が。
そうたとえば、ワシが囮に使ったあの肉塊。あれの正体を教えてやろう」
興味はなかった。詳細を知りえたところで、ギルガメッシュが雑種の浅知恵にしてやられたことには変わりない。
「あれはな、ワシに支給された品の一つよ。強いて言うならば“ヒトの形をしていなかったモノ”よな。
とはいえ、獣肉というわけではない。人肉を纏った、異形のなにかだ。螺旋王もまったく、悪趣味なものを混ぜてくれる」
どこかから拾ってきた死体でも使ったのだろう、と考えてはいたが、やはりどうでもいい。
「透明化の能力も、この機械によるものよ。が、やはりこういった小細工は好かんな。かがみ、以後はおまえが使うがよい」
言ってアルベルトは、女物のケープをかがみに手渡した。見る気も起きない。
「戯言は終わったか、雑種?」
勝者の愉悦に浸っているであろうアルベルトの態度が、ただ気に入らなかった。
心中で憤慨しつつも、罵声を飛ばしたりはしない。穏やかに、聖人の佇まいで死を要求する。
ギルガメッシュが、王ゆえに。
「ふうむ、なぜに死を望む? 勝者は敗者を従える、という約束であったはずだが」
「我は王なるぞ? 雑種の飼い犬に成り下がる気など毛頭ない。そうなるくらいならば自害を選ぶわ」
「それにしたって、普通は命乞いの一つや二つあるでしょう?」
「死後語り継がれるであろう伝承に泥を塗ることになるのでな。醜態を晒すつもりもない」
命を握られている状況を自覚して、なおこの口ぶりである。
それは裏を返せば、本当に命が惜しくないという真意の表れでもあった。
殺される覚悟があるからこそ、死の際に立たされても遠慮のない発言ができる。
王の戦い。それは規模の大小こそあれど、己の尊厳と国を懸けての大戦に他ならない。
王の敗北とは即ち、全ての喪失に繋がるのだ。国も、民も、財も、臣下も、己自身も。全て勝者にもぎ取られる。
「なるほど。つまり負けたのが恥ずかしいから、とっとと死んで忘れたいってわけだ」
「たわけたことをぬかすなよ小娘が。あんなものは決闘ではない。戯れよ。我は童心を介し遊んでいたにすぎん」
そう、あれはギルガメッシュからしてみれば、決闘などという大それた戦いではなかった。
とはいえ、陥った状況を鑑みれば、戦に敗北したという現実は否定できるものでもなく、本人もそれを認めている。
だからこそ、自身の失態を自覚したまま、王として散ろうと言うのだ。
「そんな言い分で約束を反故にされてはたまったものではない。少しはその慢心を正す気にはならんものか」
「馬鹿な。慢心せずしてなにが王か」
内容が遊戯に等しいものだったとしても、ギルガメッシュは王として戦場に立ち、王ゆえの隙を突かれ、王として負けた。
民衆は結果だけを見る。名もなき雑兵に首を取られた王、と。
口惜しい。が、王なればこそ、甘んじて受けるほかない。
「……では、生き恥を晒してまでワシらに従うつもりはない、と」
「何度も言わせるな」
「だが先に述べたとおり、ワシは貴様の首などに興味はない。しかし情報を提供する気はなく、協力する気もないときた。
困ったものよ。かがみ、この強情なる王の処分、おまえならどうする?」
「そうね……いっそ、紐にでも繋いでおくとか」
「晒し者にして連れまわすということか。なるほど、それはそれでおもしろいかもしれんな」
冗談混じりに話すアルベルトとかがみの顔は、確かな余裕に満ちていた。
見ているだけで不快になる。余裕や慢心などといったものは、強者にのみ許される絶対の安心感だ。
この二人の余裕は、偶然掴み得た幸運のようなもの。ギルガメッシュが真に猛威を振れば、表情は百八十度変わる。
その様を思い浮かべるだけで、笑いが込み上げてきた。
「……くっくっく」
端から見れば、裸身を荒縄で縛られた笑い男――という変態以外の何者でもない全姿が、殺意を纏う。
「つくづく我を笑わせるのが上手いな、雑種共。紐で繋ぐか。おもしろい、やってみせよ。
ただし先ほども言ったとおり、我は犬に成り下がる気など毛頭ない。
貴様らが手綱を引くは、主に従順な犬ではなく、牙を研いだ獅子だと心得よ」
ギルガメッシュは、決して王であることを捨てたりはしない。
死を宣告されようと、晒し者の運命が待っていようと、態度は常に傲岸。
怒りを売る者には殺意で答え、鉄壁の姿勢で我を通す。
その空気は、たとえ黄金の鎧をもがれ裸になろうとも剥がれることはなく、周囲を戦慄させる。
実証として、かがみはギルガメッシュが放つ空気に呑まれ、だらだらと脂汗を流していた。
しかしアルベルトは、
「――結城奈緒と言ったか、あの女は」
怯えを纏うどころか、したり顔を強調させ、会話を続ける。
「貴様が臣下と言った女。結城奈緒をワシが殺す、と言ったらどうする?」
試すような口調で、またギルガメッシュに揺さぶりをかける。
なお食い下がってくるアルベルトの必死さに、ギルガメッシュは思わず声を荒げた。
「クククク……クハハハハハハ。なにを言い出すかと思えば、ナオを人質にでもしたつもりか?
あの蜘蛛女は我の臣下の一人にすぎんと言ったはずだ。主人の名誉を守るために死ぬなら本望だろうよ。
が、臣下とて我の財の一部だ。戦勝した証として捕虜にするならともかく――」
嘲笑いの声が消え、静かなる怒声を響き渡らせる。
「――我の死後、無碍にでも扱ってみろ。死霊になりとて、縊り殺すぞ――?」
耳にして、かがみが一歩退いた。
アルベルトは、ニヤリ、と微かに笑った。
「……よくわかった。どのような条件であろうとも、ワシらに降る気はないと。そう受け取って構わんな?」
「ああ、やっと理解が追いついたか雑種が」
「安心しろ。あの小娘は貴様と違ってまだ使い道があるようなのでな。無駄に殺したりはせん。
――が、やはり貴様は駄目だな。その誇りには感服するが、ワシらにとっては害でしかない」
殺意と殺意が対立する間で、やっと幕を下ろそうという動きが見られた。
初めから決まっていたシナリオを、やはり書き換えることはなく、予定調和のように。
「生かしたところで、後々噛みつかれては面倒だ。望みどおり、障害として排除してやろう」
判決が、下った。
ギルガメッシュは抗わず、不気味な微笑のままそれを受け入れた。
王として死のうとしている男を、アルベルトとかがみは憐れみなどしなかった。
「……かがみよ、先に結城奈緒を置いておいた場所に戻っておれ。
曲がりなりにも英雄王の死だ。大勢の目に触れさせるのは酷というものだろう」
「うん……わかった」
短いやり取りを交わし、かがみはその場から離れていった。
一度も振り向かずに去っていくその姿は、なるほど、アルベルトに同行するに値する気丈さだと、ギルガメッシュは一人納得した。
雑種には違いないが、この二人はこれで、参加者内のなかでは上等な部類に入るのだろう。
不運と、数と、なにより王ゆえの慢心が原因で死すのだ――恥ではない。
「――ではな裸王。来世では、“英雄王”などという不釣合いな二つ名を名乗るでないぞ――」
そして、英雄王ギルガメッシュの処刑は決行された。
◇ ◇ ◇
夕日は水面に沈み、夜の帳が下ろされようという時刻。
古めかしい木造建築を合流地としたかがみは、その一室、柱に縛られた奈緒の身を眺め思う。
――この少女は目覚めたとき、まずなにを思うだろうか。
ギルガメッシュを金ぴかと呼び、戦闘面に関してまったくの心配をしていなかった奈緒。
ギルガメッシュは臣下と言っていたが、実のところ二人の明確な関係などわかりはしない。
彼の死を受け、どのような反応を見せるか。悲しむか、怒るか、それとも絶望するか。
やはり、二人の事情を把握していないかがみには想像がつかなかった。
ただ、ちょっとかわいそう、とだけ胸に抱く。
(……まったく、同情なんてしてる暇ないってーの)
自分自身に溜め息をつきながら、相棒の帰りを待つ。
ほどなくして、衝撃のアルベルトは帰ってきた。
「おかえり」
「うむ。……今度は、茶の用意はしてくれていないのか?」
「そんな気分じゃないわよ……」
人ひとり殺してきたというのに、アルベルトは別段変わった様子でもない。
ギルガメッシュとの一件を済んだことと割り切り、既にこれからを見据えている。
私も切り替えなくちゃな、とかがみは思った。
「滅入ったか、かがみよ?」
「……そんなこと」
「気張らずともよい。不死者になったとて、精神までもが強靭になるわけではないからな。
むしろ、人の心が残っているのならそれに越したことはない。貴様を野望に突き走らせる要因を、忘れてはならんぞ」
忘れてなんかいない。
螺旋王を喰い、自分の願望を叶えるという野心……かがみをここまで突っ走らせた、二つの悲しみを。
「今回は廻り合わせが悪かったにすぎん。が、次も後味が悪いとは限らんさ。
障害と判断した者は排除する。利用価値がある者はとことんまで利用する。
それ以外には目もくれん。ただ目標をのみを目指せ。それがワシら二人の成すべきことよ」
「……ちょっと、寝る。放送、お願い……」
言うアルベルトの横、かがみは布団も引いていない畳の上に倒れこんだ。
今度出会うのは、いざこざなく手を取り合える人たちがいい。
そう心の端で願いながら、かがみは疲労の闇に落ちた。
◇ ◇ ◇
(王、か。くだらん。実にくだらん)
仮眠を取るかがみの横、アルベルトは参加者名簿とペンを持ち、あと数分で始まるであろう放送を待った。
宿敵である神行太保・戴宗の名は、まだ横線を引かれていない。が、あと数分後にはこの名が抹消される可能性もある。
戴宗の性格を熟知しているからこそ、予感がした。争いが激しさを増す一方であるこの地において、戴宗がいつ無茶を働くか。
……それが、そろそろであると。もしくは、この六時間の間にもう……。
(なにかと荷の多い男であった。ワシとの戦いに無用な感情を持ち出すほどにな。……が、それゆえに)
強かった。仲間を、平和を、正義を背負い戦っていた戴宗は、紛れもなくアルベルトと拳を交わすに相応しい強者だった。
あんな自尊心を守るためだけに戦う慢心王とは、まるで別格。アルベルトの敵たる男は、戴宗以外にありえない。
もっとも、実力だけで言うならば、ギルガメッシュにも資格はあった。慢心を捨てれば、の話であったが。
(古来より、正義の使者というのは守るものがあるからこそ強者足りえ、悪たる我らBF団と双璧を成してきた。
戴宗を含む九大天王……彼奴ら国際警察機構、ジャイアントロボに選ばれたあの小僧とて例外ではない。
だからこそ、ワシはあくまでもBF団十傑集が一人としてこの地に立つ。そして、決着をつけねばならんのだ。
こんなところで死んでくれるなよ――――戴宗)
ふと、ペンを握る手が震えていることに気づいた。
武者震いにも似た、不思議な高揚を覚える。
(四十路近いというのに……ワシもまだまだ若い。本能で焦がれているということか、宿敵に)
――――だからかもしれない。
それは、因縁の相手である戴宗か、それとも。
(熱い――な。戴宗……ジジイ……そして――――。ワシの心を満たすのは、誰だ――?)
腹の底で燻る、燃え滾るような衝動。
若人の頃、何度となく味わったそれが、再びぶり返してきた。
まだだ。まだ足りない。しかしまだ待て。と。
衝撃のアルベルトは恍惚に笑み、放送を、未来を、訪れる命運を待った。
そして、放送が始まった。
◇ ◇ ◇
結城奈緒14歳。あたしのバトルロワイアルは、とんでもない形で終わりを迎えた。
聞いて驚け。あたしと金ぴかがここから脱出する方法を探し歩くうちに……なんと、他の参加者が全滅してしまったのだ。
放送で螺旋王が「あと二人」などとのんきに口にしたところで、あたしは「ハァ〜!?」となった。正直拍子抜けだ。
その後は、まぁ金ぴかと仲良く殺し合いって展開になるはずもなく、まだあてのない行脚を続けている。
ちなみに、首輪のほうは金ぴかのなんだかよくわからないご都合ラッキーが働いてとっくに外れていた。
会場全域が禁止エリアと化そうが関係ない。超安心な生活。
それがもう、何年経ったことか。面倒くさいので覚えていない。
少なくとも、二人でいることが疑問に感じなくなるまでは、そうしていたと思う。
――んで、次はどこへ行く?
――そうだな――。
いつかのようなやり取りを、また繰り返す。
どこに行ったって、今さら手がかりなんて見つかるはずもない。
天命をまっとうするまでの、なんとも物悲しい二人旅だ。
だけど、悪くはない。
嫌味とかじゃなく、本心でそう思っている自分がいた。
昔のあたしが側にいたら、きっと驚いていたことだろう。
――や、至極残念だが、どうやらここまでのようだ。
けれど、終わりは唐突に訪れた。
このまま脱出方法が見つかるまで、半永久的にここで金ぴかと二人きりだと、そう思いこんでいたのに。
――眠りにつくときがきた。我はもう、次の地に赴かなければならん。
金ぴかは、本当に突然に、別れの言葉を告げてきたのだ。
って、ちょっと待て。いくらなんでもそりゃ突然すぎるでしょうが。
だって、ずっと二人でいたわけよ?
途中、暑苦しい鉢巻きとか変な神父とか機械人形とかアレンビーとかいたけどさ。
ほとんど二人で行動してたわけよ。そりゃもううんざりするほど。
それが、いきなり。
――子供みたいなことを言うな。まったく、この期に及んでまだ乳臭さが抜けぬと見える。
知るか。そんなことより、納得のいく説明してよ。じゃなきゃ、
――だが……よい。許そう。それもまた、ナオの持ち味だと、我はそう思っておこう……
だーかーらー、なに一人で片付けちゃってんだっつーの。
おい金ぴか。ねぇ金ぴか。返事、返事しろ金ぴか。
――次に……目が覚めるのは……ナオのいないところであろうな……
締めに入るな。まだあたしは納得しちゃいない。しちゃ、いない。
――……いやあ……なかなかに…………愉しかったぞ……………………
こら、消えるな。お願いだから、消えるな。消え……………………、
ふざけんな…………ふざけんな金ぴかあああぁぁぁぁぁ!
二人がここにいる不思議。
それは不思議だからこそ、二人でいる理由が掴めない。
理由がなければ、二人でいる必然性もないのかもしれない。
不思議は、こんな風に、容易く崩される。
大切な人――お母さんが消えたあのときの思いには、遠く及ばないけれど。
奈緒は、ようやく思い知らされた。
さっきまで並んで歩いていた人が、前触れもなくいなくなる。
だけど、それが自然。
これが、バトルロワイアルというものなんだ、と。
【D-3中部/民家/1日目-夕方(放送開始)】
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:気絶、精神的疲労(大)、かがみにトラウマ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本思考:面倒なのであまり戦いたくない。ヤバくなったら真面目にやる。
0:金ぴか…………死んだ?
1:とりあえず金ぴかと一緒に行動する。
2:攻撃してくる人間を殺すのに躊躇いは無い。
3:藤乃には色々と会いたくない 。
※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。
※ドモンの発した"ガンダム"という単語と本で読んだガンダムの関連が頭の中で引っ掛かっています。
※博物館に隠されているものが『使い方次第で強者を倒せるもの』と推測しました。
【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
[状態]:全身にダメージ(小)、右足に刺し傷(処置済み)、スーツがズダボロ
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2、シガレットケースと葉巻(葉巻-2本)、ボイスレコーダー、
シュバルツのブーメラン@機動武闘伝Gガンダム、赤絵の具@王ドロボウJING、
ガンメンの設計図まとめ、王の財宝@Fate/stay night、ミロク@舞-HiME
シェスカの全蔵書(数冊程度)@鋼の錬金術師、首輪(クアットロ)、黄金の鎧@Fate/stay night(半壊)
[思考]:
基本-1:納得の行く形で、戴宗との決着をつける
基本-2:不死者(柊かがみ)に螺旋王を『喰わせ』、その力や知識をBF団へと持ち帰る
基本-3:上記の1と2が達成できないと判断すれば、優勝を目指す
0:闘争心が治まらぬ……?
0:放送を聞き、以後の方針を練る。
1:戴宗を探す。
2:不死者(柊かがみ)の身を守る。
3:奈緒が起きたら、知っている情報を洗い浚い聞き出す。その後可能なら利用し、無理ならば処分する。
4:各施設を周り、戴宗への書置きを残す。メッセージは『豪華客船にて待つ 衝撃のアルベルト』
5:脱出や首輪解除に必要な情報を集める
6:他の参加者達と必要以上に馴れ合うつもりはない
7:マスターアジアと再会すれば決着をつける
[備考]:
※上海電磁ネットワイヤー作戦失敗後からの参加です
※ボイスレコーダーには、なつきによるドモン(チェス)への伝言が記録されています
※ですが、アルベルトはドモンについて名前しか聞いていません
※会場のワープを認識
※図書館(超螺旋図書城)のカウンターに戴宗へのメッセージを残しました
【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:不死者、私服に切り傷、睡眠中
[装備]:つかさのスカーフ、ローラーブーツ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、シルバーケープ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:デイバッグ×6(支給品一式×6、[水入りペットボトル×1消費])、柊つかさの首輪、柊かがみの靴、全てを見通す眼の書@R.O.D(シリーズ) 、
奈緒が適当に集めてきた本数冊 (『 原作版・バトルロワイアル』、『今日の献立一〇〇〇種』、『八つ墓村』、『君は僕を知っている』)
オドラデクエンジン@王ドロボウJING、緑色の鉱石@天元突破グレンラガン、エクスカリバー@Fate/stay night、
アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、がらくた×3
[思考]
基本:螺旋王を『喰い』、自分の願いを叶える
0:疲れたので仮眠を取る
1:衝撃のアルベルトに協力する
[備考]:
※会場端のワープを認識
【“人の形をしていなかった”モノ@鋼の錬金術師】
アルベルトが囮に使った肉塊。名称は仮。
幼き頃のエルリック兄弟が、母を蘇らせるべく人体錬成を試み生まれた、異形の産物。
人体錬成直後の状態なので、スロウスとは無関係。
エルリック兄弟曰く、「人の形をしていなかった」。
【シルバーケープ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
クアットロの固有武装。クアットロが羽織っているケープがこれ。
高いステルス性能と魔法攻撃に対する耐性を持っている。
また、戦闘機人でない者でも問題なく使用できる模様。
331 :
転載:2008/01/27(日) 02:14:05 ID:JjvgwKPh
18 :孔明のワナだニャ:孔明のワナだニャ
孔明のワナだニャ
19 :孔明のワナだニャ:孔明のワナだニャ
孔明のワナだニャ
20 :孔明のワナだニャ:孔明のワナだニャ
孔明のワナだニャ
21 :ネコミミの名無しさん:2008/01/21(月) 19:00:52 ID:RnCmLyZU0
p*-adsau*honb*-acca.tokyo.ocn.ne.jp
softbank219039*.bbtec.net
softbank219186*.bbtec.net
softbank219000*.bbtec.net
をとりあえず規制
問題あったら毒吐きとかで指摘ヨロ
【梨の木下】
◆YG6OITNcQE氏:01/20(日) 16:29:15 静留、ヴァッシュ、ランサー
◆HgDdvD3C.A氏:01/20(日) 20:45:09 カミナ、ドモン、ヴィラル、シャマル
【予約:無問題】
◆UKgRSkiadc氏:01/19(土) 15:11:16 ギル、奈緒、アレンビー、ニア、ビクトリーム
◆Haf2Sq.37氏:01/20(日) 00:34:22 言峰、ニコラス、シータ、エド、スカー
27 : ◆Haf2Sq.37.:2008/01/22(火) 23:50:02 ID:WmsBvF5s0
すいません、またしても遅れてしまいそうですorz
28 :ネコミミの名無しさん:2008/01/23(水) 00:34:10 ID:e.ojvVyM0
ドンマイ!
29 : ◆LXe12sNRSs:2008/01/23(水) 01:23:58 ID:l5sQpLvk0
ギルガメッシュ、結城奈緒、衝撃のアルベルト、不死身の柊かがみ予約します。
30 : ◆ZJTBOvEGT.:2008/01/23(水) 16:52:51 ID:0xeJQKU20
本日中に◆YG6OITNcQE氏の連絡がないようであれば、
静留、ヴァッシュ、ランサー
予約させていただきたく。
31 :管理人★:2008/01/23(水) 17:26:32 ID:???0
規制まとめ
.ap*.ftth.ucom.ne.jp
*catv0*.itscom.jp
*.ppp.asahi-net.or.jp
*.tkyoac00.ap.so-net.ne.jp
EATcf-*p*.ppp*.odn.ne.jp
nttkyo*.tkyo.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
.s*.a013.ap.plala.or.jp
adsau*honb*-acca.tokyo.ocn.ne.jp
softbank219*.bbtec.net
tokyo-ip.dti.ne.jp
KHP059143181203.ppp-bb.dion.ne.jp
ec-userreverse.dion.ne.jp
.rev.home.ne.jp
他、スパム業者が多用しているようなIP多数
上記辺りで規制かけてます。巻き込まれた方は御一報下さい。
332 :
転載:2008/01/27(日) 02:14:58 ID:JjvgwKPh
32 :管理人★:2008/01/23(水) 17:28:21 ID:???0
現状での有効な予約
◆Haf2Sq.37氏:言峰、ニコラス、シータ、エド、スカー
◆LXe12sNRSs氏:ギルガメッシュ、結城奈緒、アルベルト、柊かがみ
◆ZJTBOvEGT氏:静留、ヴァッシュ、ランサー
35 : ◆Mo0CkREgd2:2008/01/23(水) 21:11:23 ID:0o09mvhY0
高遠、ミリア、ジェット、ティアナ、ガッシュ、チェス
予約!
36 :管理人★:2008/01/23(水) 21:52:57 ID:???0
>>35携帯認証かなんかコメントヨロ
そのIPは梨の木の下
38 :管理人★:2008/01/23(水) 22:11:18 ID:???0
現状での有効な予約
◆Haf2Sq.37氏:言峰、ニコラス、シータ、エド、スカー
◆LXe12sNRSs氏:ギルガメッシュ、結城奈緒、アルベルト、柊かがみ
◆ZJTBOvEGT氏:静留、ヴァッシュ、ランサー
李下
◆Mo0CkREgd2
◆2rcyXwTZ4s
現在規制
.ap*.ftth.ucom.ne.jp
*catv0*.itscom.jp
*.ppp.asahi-net.or.jp
*.tkyoac00.ap.so-net.ne.jp
EATcf-*p*.ppp*.odn.ne.jp
nttkyo*.tkyo.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
.s*.a013.ap.plala.or.jp
adsau*honb*-acca.tokyo.ocn.ne.jp
softbank219*.bbtec.net
tokyo-ip.dti.ne.jp
KHP059143181203.ppp-bb.dion.ne.jp
ec-userreverse.dion.ne.jp
.rev.home.ne.jp
p*-adsau*honb*-acca.tokyo.ocn.ne.jp
softbank219039*.bbtec.net
softbank219186*.bbtec.net
softbank219000*.bbtec.net
※公になっているもののみ
・・・・・・・・・
なんだこりゃ
334 :
・・・・・・:2008/01/27(日) 02:21:20 ID:5T6Eg9kL
314 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/01/27(日) 01:47:02 ID:???0
したらばの方を見ると規制リストがずらっと並んでるね。
管理人さんにメールするのが一番早いと思うけど。
315 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/01/27(日) 02:04:47 ID:???0
ん? その支援は2ちゃんの方の規制じゃまいか?
316 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/01/27(日) 02:17:07 ID:???0
投下終わったのか?
終了宣言がない……。
317 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/01/27(日) 02:17:46 ID:???0
あーん!ギル様が死んだ!
ギルさまよいしょ本&ギルさまF.Cつくろー!って思ってたのに…
くすん…英霊薄命だ…
・゚・(ノД`)・゚・うっうっう…ひどいよお…ふえーん!!
この間「今、時代はギルガメッシュだ!」の書き込みをしてまだ2週間じゃないですか!
どーして、どーして!?あれで終わり!?嘘でしょ!?
信じられないよおっあんな十傑集ごときに殺られるなんてっ!!
戴宗と差がありすぎるわっ!!生き還りますよね?ね?ね?
……泣いてやるぅ・゚・(ノД`)・゚・
私はあのおそろしくチートな彼が(たとえド慢心王でもさ!ヘン!)大好きだったんですよっ!!
ギルさまあっ!死んじゃ嫌だああああああっ!!
LXe12sNRSs先生のカバッ!!え〜ん・゚・(ノД`)・゚・
318 名前:やってられない名無しさん 投稿日: 2008/01/27(日) 02:18:24 ID:???0
死んだのか?
死亡確認かかれてないし
なんですかこいつらorz
……狂ってる……
おかしいこいつら…
狂気だな
まさに
……狂気の沙汰ほど面白い
>>335 スト様でググレカスwwwwwwwwwwwwwwwww
>>339 はいはい、いいから決められた通りアニサロに行ってください
yamaguchi.ocnさん
marunouchi.ocn占め出しやがった
◇ ◇ ◇
土左衛門(どざえもん)、という言葉がある。
元は江戸時代におけるとある力士を指す言葉であったが、現代では主に、水死体を表す言葉として用いられている。
そして、ここにも土左衛門が一体。
ぷかぷかと水面を漂う、裸に腰布一枚の格好。
バリッとしていた金髪は力なく萎れ、さらに体は縄によって雁字搦めにされている。
と、不意に締まっていた縄が自壊し、波に揺られるままどんどん解かれていく。
しめしめと、土左衛門が蠢き、縄を完全に振りほどいた。
そのまま岸を目指し、躍動感溢れる力強い泳ぎを見せる。
ここまで自立して動ければ、それはもはや土左衛門ではない。
ただの、パンツ一丁の裸男だった。
「がっ、は…………っく、忌々しい…………なんと忌々しいことか…………」
堤防を上る最中、裸男が念の込められた呟きを発する。
それは悔恨と怒りであるらしく、裸男を包む周囲の空気が、どこか淀んで見えた。
「忘れぬぞ、この屈辱…………なぁ、“衝撃”よ!」
肺に溜まった水を吐き出し、血気盛んに叫び散らしたその裸男は――彼の英雄王、ギルガメッシュであった。
とはいえ、現在の彼に王らしき風格は微塵も残されていない。
衣服を含むありとあらゆる財を奪われ、誇りすら汚され、なお生者としてここに立っている事実。
思い出すだけでも忌々しい、数分前の出来事――
『ではな裸王。来世では、“英雄王”などという不釣合いな二つ名を名乗るでないぞ――
――と、言いたいところではあるが、気が変わった。やはり、貴様はこのまま生かしておくとしよう』
と、死を宣告してすぐ撤回するアルベルト。あれには憤慨したが、それから先の言動がさらにギルガメッシュを苛立たせる。
『ただし、紐は繋がん。貴様は、財と臣下を奪われた哀れな裸の王として、ワシに放し飼いにされるのだ。
屈辱か? 屈辱であろうな。プライドが許せぬというのなら、自害でもなんでもすればいい。ワシは止めん。
が、もし貴様が死んだならば――貴様から奪った財、臣下も含め、無に散るであろうことを心得ておくのだな』
放し飼い。アルベルトの見い出したギルガメッシュの活用法は、なんとも馬鹿げたものだった。
おそらく、アルベルトはこう踏んだのだろう――彼奴は口ではああ言っても、自害より報復の道を選ぶ。と。
あえて敗北感を背負ったギルガメッシュを生かすことにより、復讐者を作る。
復讐者と成り果てたギルガメッシュは、当然アルベルトに逆襲を果たすべく、この会場を翻弄することだろう。
そして、互いに生き残っていれば、いつか道は交わる――ただしそれは、螺旋王へ至る道。
アルベルトがあくまでも脱出を目指すのであれば、ギルガメッシュも同じ道を、別の経路で辿るしかない。
アルベルトはギルガメッシュと再会を果たした際、その道中で掴み得た成果を、今度こそ奪う気でいるのだろう。
無理に反発し、殺し合いにでも興じようものならば、今度は螺旋王の思う壺だ。
かといって、ここまでされて自害に及ぶつもりもない。なにせ、あのときのアルベルトは慢心していたのだから。
『ワシに借りを返したくば、慢心を捨て、駆け上ってくることだ。螺旋王へ至る道を、な。
せいぜい足掻けよ裸王。どれ、貴様の行く末を按じ、ワシがまじないをしてやろう』
そう言ってアルベルトは、簀巻き状態のギルガメッシュを担ぎ出し、あろうことか空に向かって放り投げたのである。
『あいにくと力が制限されておるのでなー! 地球の裏側まで届くことはないから安心せーい!』
空を飛ぶ簀巻きに向けた、別れの言葉。思い出すだけでも腹立たしい。
宙に投げ飛ばされ、ほどなくして水面に落下したギルガメッシュは、どうにか自力でここまで泳ぎ着いた。
いくら童心を忘れぬギルガメッシュとて、自身を縄で縛り、魚の真似事を興じた経験などない。
だけに、この仕打ちははらわたが煮えくり返るような思いだった。
「フゥッ…………ハハ…………ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ絶対に許さんぞぉぉ!!」
生き恥を晒すことを強いられた屈辱感、
財と臣下のすべてを奪われた屈辱感、
簀巻きにされ投げ飛ばされた屈辱感、
そしてなにより、この英雄王を『まぐれで』負かし、放し飼いにしたなどと『思い込んで』、慢心している様が、
ギルガメッシュは許せず、決闘に敗れたことも忘れ、生きて借りを返そうという気を持ち始めていた。
「…………が、それにしても『慢心を捨てろ』とは……我に王を辞めよ、という意味か?
ふん、思いあがるなよ“衝撃”。捨てはせん、が、次に貴様と相対せしときは――慢心せず、しかし王として、殺してやる」
“雑種”ではなく、しかし“アルベルト”までは届かず、“衝撃”という二つ名に対し宣戦を布告する。
彼は知らない。アルベルトがギルガメッシュの力量を惜しみ、また宿敵に焦がれていたことを。
風が吹いた。
「――――っへぶし!」
波が凪ぎ、岸に置かれたヨットの帆が揺れ、ギルガメッシュは寒そうにくしゃみをした。
――財、依然腰布一枚。
【E-4/ヨットハーバー/1日目-夕方(放送開始)】
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:疲労(大)、全身に裂傷(中)、全裸(腰布一枚)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。【乖離剣エア】【天の鎖】の入手。【王の財宝】の再入手。
0:……寒いな。
1:“螺旋王へ至る道”を模索。最終的にはアルベルトに逆襲を果たす。
2:異世界の情報、宝具、またはそれに順ずる道具を集める(エレメントに興味)。
3:出会えば衛宮士郎を殺す。具体的な目的地のキーワードは【高速道路】【河川】 。
4:“螺旋の力に目覚めた少女”に興味。
5:目障りな雑種は叩き切る(特にドモンに不快感)
6:慢心を捨てる――――?
※地図の端と上空に何か細工があると考えています。
※腰布の詳細はご想像にお任せします。
※自殺用ロープ@さよなら絶望先生は、海に流されました。
※アルベルトがギルガメッシュの生存をかがみや奈緒に黙ったままでいるかは不明。
※D-3路上に、シェスカの全蔵書@鋼の錬金術師が数冊(内数冊は破損)放置されています。
※ほとんど入れ違いだったため、アルベルトもかがみもアレンビーの姿は確認していません。
「……人の気配はしないな」
『ええ、そのようですね』
ドモンとカミナ、そしてクロスミラージュはG-1エリアの駅の出入り口にいた。
あれからG-4からG-1までの沿岸を捜索した彼らだが、とうとうティアナを見つけることが出来なかったのだ。
『もしかしたらですが、マスターは目を覚ましてG-1の駅に向かった可能性もあります』
一通り探し終えたところでクロスミラージュがそう提案し、彼らは駅に向かうことになった。
ひょっとしたら、ティアナが正気に戻ってクロスミラージュと合流するために駅を利用するかもしれない。
そうでなくとも、他の参加者たちとも接触できる可能性もあると考えたのだ。
途中、カミナにモノレールを説明するためにクロスミラージュが再び異文化交流に頭を悩ませた以外は何事も無く――今に至る
「空振りってわけか」
『どうやら、マスターは南側の沿岸には漂着していないようですね』
「しかし、どうする?お前たちが溺れたという時間からもうかなりの時間が経っているんだろ。
もし目を覚ましているなら、一箇所に留まっているとは考えにくいんじゃないか?」
確かにドモンの言う通りだと、クロスミラージュは考える。
さらにティアナの精神状態は、正気に戻ってないとしたら極めて不安定な状態のはずだ。
どんな行動に出るのか、まったくといっていいほど予想が出来ない。
――最悪でも、海を眺めて落ち込んでいてくれればいいのですが。
「おうおう、それがどうしたって言うんだ」
返事のないクロスミラージュに対し、カミナが安心させるように笑いかける。
ビシッと親指を立て、引き締まった自分の胸を指す。
「約束してやっただろう、俺が必ず会わせてやるって」
『……カミナ』
「俺様を誰だと思っていやがる。ちったぁ安心しろ」
まったく根拠の無い慰めだったが、クロスミラージュは不思議と安心した。
ここに放送で仲間の名前を呼ばれても、仲間の無事を信じて疑わない男がいるのだ。
ならば自分も、仲間の無事を信じないでどうするというのだ。
■
G-1駅は、クロスミラージュの知っているD-4駅と似通った造りをしていた。
大まかな構造は違うが、自販機などの共通する部分は多い。
そしてその共通する部分である駅員の詰め所の中に、カミナたちはいた。
D-4駅と同様に存在したデスクの上に、カミナはデイパックから地図を取り出してデスクの上に広げる。
クロスミラージュを地図の隣に置き、これまたD-4駅と同様にあったソファにドカっと座った。
「クロミラ、こんな所でどうするんだ?ティアナを探しに行くなら、道草食ってるわけにゃいかないだろ」
『いえ、別に何もしないわけではありません。
私たちがモノレールを利用するためには、18:00まで待たねばなりません。
その待ち時間を利用して、それぞれが持つ情報を交換しようと思うのです』
「……そうだな。考えてみれば、俺たちはまだこの会場に来てから何をしていたかを話し合っていない」
詰め所の壁に背を預けていたドモンが同意する。
ドモンは既に何人かの参加者たちと接触し、ファイトをしている。
その中の何人かは、ひょっとしたらカミナやクロスミラージュの知り合いだという可能性もある。
――傷の男のことも、何か知っているかもしれんしな。
『ではまず、私からお話しますね』
■
クロスミラージュは話し合った情報を整理しながら、チカチカと赤い発光部を光らせる。
それぞれの知り合いを初めとして、危険人物の情報など様々な情報が集まった。
その中に、幾つか引っかかる事があった。
『カミナ、Mr.ドモン。もう一度、不可思議な移動をした時のことを話してもらっていいでしょうか』
「おう、いいぜ」
カミナはソファから立ち上がり地図の東側――森林になっている所に指を落とした。
それから指を地図から離し、今度は西側――海になっている所に指を落とす。
「俺が居たのは、森の中だったはずなんだ。
ところがちょっくら走ってたら、いきなり海の中だ」
「俺もカミナと似たようなものだ。
少なくとも近くに高速道路や川のある所にいたんだが、気がついたら森の中だ」
今度はドモンが地図の北側――本人が言ったように高速道路と川がある周辺に指を置く。
そして地図から指を離し南側――森になっている所に指を落とした。
『……単純に考えるなら、会場の端と端は繋がっているということになりますね』
「単純もなにも、間違いないだろう」
当たり前のように、ドモンが言う。
その横でカミナがなるほどと納得していることから、彼らの中ではもう決定事項なのだろう。
かというクロスミラージュも、実はそれほど疑ってはいない。
『しかし、そうなりますと』
「そうなると?」
『……マスターがどこに流れ着いたのやら』
あー、と。困った感じの声がカミナから漏れる。
もしティアナが西側の端まで流されていた場合、東側の森の中に移動したことになる。
溺死の心配は無くなるが、合流することを考えると余計に捜索する範囲が広がったことになる。
『……マスターとの合流を後回しにして、Mr.明智との合流を優先するべきかもしれませんね』
「あん?クロミラ……てめぇ、それでいいのか」
『あまりにも捜索する範囲が広すぎます。Mr.明智と合流して、人手の確保を』
ガンッ、とデスクに置かれたクロスミラージュの真横から、強い音が響く。
怒りの形相を浮かべたカミナが、デスクを拳で強く叩きつけたからだ。
■
何故怒っているのか、正直なところカミナ自身よく分かっていなかった。
クロスミラージュがティアナとの合流を後回しにすると言った時に、急激に怒りが沸いてきたのだ。
『……どうしたのですか、カミナ?』
「分かんね」
『……カミナ、落ち着いて下さい』
「分かんねぇ、分かんねぇんだけどよ。クロミラ、お前本当にそれでいいのか!?」
理由の分からない怒りに任せて、カミナはクロスミラージュを怒鳴りつける。
何が言いたいのかなど自分でも分かっていないが、喋らなければ気が済まなかった。
「お前の『ますたー』、あーっと俺で言うと弟分がな!どっかでピンチになっているかもしれないってわけだ!
なのにお前は、後回しにするだと!捜索する範囲が広いだと!
男ならな!草の根分けてでも自分の女ぐらい探し出せってんだ!」
カミナは喋りきって荒くなった息を整え、それからやっと自分が叫んだ内容を理解した。
そして自分が唐突に怒りだした理由を、なんとなくだが分かってしまった。
――なんだよ、おい。
――つまり何か、俺は自分で見たものしか信じないとか言いながら。
――シモンとヨーコが死んだってことを、信じまってるのか?
『……カミナ』
「うるせぇ!」
弱気になる心を叱咤するように、カミナは怒鳴った。
デスクから拳を離し、八つ当たりに近くの壁に拳を叩く。
コンクリートの壁は、特に音を立てるでもなくそのままだ。
「おい」
「……うるせぇって言ってるだろ!」
「歯を食いしばれ」
sienn
これって削除依頼だろ
どういう意味だ?
そう思った瞬間に、いつの間にか近づいていたドモンの拳がカミナの顔面を捉えていた。
カミナの体が軽く浮き、詰所の床を転がる。
『Mr.ドモン!』
「安心しろ、軽く活を入れただけだ」
ドモンはたいした事ではないといった涼しげな表情で、カミナを見据える。
カミナの方は、何のコメディか。転がった結果、逆立ちのような格好で壁に背中を預けていた。
「テメェ!何しやがる!」
「言っただろ、軽く活を入れてやっただけだとな」
「この野郎っ、今のでさっきの借りは無しだ!」
カミナは逆立ちのような姿勢から素早く体勢を立て直し、拳を握り込んだ。
対するドモンも、好戦的な笑みを浮かべて構える。
「貸し借り無し!そんで俺はテメェがムカつくからぶん殴る!」
「面白い!やってみろ!」
カミナが突っ込み、ドモンがそれを迎撃する。
戦うのに適しているとは言いがたい詰め所の中で、こうして戦いの火蓋が切って落とされた。
■
クロスミラージュは急激な展開についていけず、ポツンと取り残されていた。
カミナとドモンは暴れに暴れ、今や詰め所の内部は見るも無残な状態だ。
そんな中でクロスミラージュが置かれているデスクは、二人が気をつけているのか奇跡的に無傷で済んでいる。
『……どうしましょう』
クロスミラージュはカミナの強がりに安心し、するべき配慮を忘れていた自分を悔やんでいた。
カミナを怒らせたのは、間違いなくクロスミラージュの不用意な言葉だろう。
一度自分は解体してもらった方がいいのではないかと、クロスミラージュは真剣に悩んでいた。
「威勢はいいが、守りが甘いな!」
「うるせぇってんだろ!大人しく殴らせろ!」
クロスミラージュの目の前で、相も変わらずカミナとドモンが殴り合っている。
見る限りカミナも頑張ってはいるが、ドモンの方が優勢のようだ。
カミナの身体には無数の青あざが出来ているが、ドモンの方は綺麗なものだ。
――お互い殺す気ではないようですし、折を見計らって止めに入れば……!?
そう考えた矢先に、クロスミラージュの思考はフリーズすることになった。
ぶちキレたカミナが、デイパックから剣を取り出したからだ。
『カミナ!流石にそれは』
「ふむ、ならば俺は」
ドモンは特に動揺するでもなく軽く足を動かし、足元に転がっていた『紅い槍』を手元まで蹴り上げて手にする。
――デイパックに入っていたはずのその槍が、なんで床に転がってるんですか!
どうやらクロスミラージュが考え込んでいる間に、既にただの喧嘩ではなくなっていたようだった。
「これを使わせてもらおう」
ドモンの言葉にカミナの返答はなく、カミナはただ剣を鋭く構える。
ドモンは槍を三振りほどして調子を確かめ、同様に鋭く構えた。
いつの間にか、詰所には緊迫した空気が漂っていた。
『二人とも、そろそろいい加減に!』
「人のモンをっ!」
クロスミラージュの静止を切欠に、動いたのはカミナだった。
素早く踏み込み、左肩の痛みを堪えて上段から袈裟懸けに剣を叩き込もうとする。
「勝手に使ってるんじゃねぇっ斬りぃぃぃ!」
「甘いな!」
クロスミラージュは自分の見たものが信じられず、思わず自己診断プログラムを走らせた。
間違いなくカミナより後に動いたはずのドモンが、カミナより素早く踏み込んでいたのだ。
ドモンはカミナを見上げるような低い位置に入り込み、紅い槍をカミナの顔元に向けて槍を突きつける。
『カミナ!避けて下さい!』
回避は不可能だと思ったが、叫ばずにはいられなかった。
そして次の瞬間、クロスミラージュは自分の見たものが信じられなかった。
「なぁっ!」
『……信じられません』
カンッ、と乾いた音がして、カミナの持っていた剣が手から弾き飛ばされていた。
ドモンはあの体勢から、まるでビリヤードの玉を突くように紅い槍でカミナの剣の柄を突いたのだ。
カミナの剣を振り下ろすタイミングに合わせ、しかも異常なスピードで正確に剣の柄を突いた離れ業。
間違いなく、常人の出来るものではない。
「っ!そんなんでな!」
剣を飛ばされて万歳したような体勢で仰け反ったカミナだが、まだ諦めてはいなかった。
そこからさらに背を仰け反らせ、精一杯反動をつける。
「俺が臆するかよ頭突きぃぃぃ!」
対するドモンは、槍で剣の柄を突いた反動のためか奇妙な体勢になっていた。
尻をついていない尻餅といった感じで、槍を持っていない方の手を重心にしてどうにか腰を浮かせているような格好だ。
体勢からしてカミナの方が有利かとクロスミラージュは思ったが、すぐに目の前の人間が常識外の人間だと再確認することになった。
「ふんっ!」
ゴンッ、と小気味いい音が詰所に響く。
ドモンは床に着いた手で身体を持ち上げ、頭突きを仕掛けてくるカミナの脳天に足裏を蹴り込んだのだ。
ご丁寧に、コークスクリューのように身体の捻りも加わえている。
「畜生……」
『カミナー!』
カミナは蹴りを食らった姿勢からそれだけ溢し、ゆっくりと後に倒れこんだ。
ドモンは片手倒立のような状態からすくっと立ち上がり、服についた埃をパンパンとはたく。
「安心しろ、ちゃんと生きてる」
『嘘だっ!!』
「本当だ」
ほら見ろ、とドモンがカミナを指差す。
確かに、よく見なくともカミナの剥き出しの胸が大きく上下しているのが分かる。
意識は無いようだが、それ以外には特に問題は無さそうだった。
『……Mr.ドモン、なぜこのようなことを?』
「こいつが、殴って欲しそうな顔をしていたからな」
――なんですかそれは?
声に出していない疑問を気配で察したのか、ドモンは続ける。
「なんとなくだがな。俺も昔は、さっきのカミナみたいな顔をしていたことがあったからな」
少し恥ずかしそうに、ドモンは自分の頬を指で掻く。
言葉を選ぶためか少し黙り、その間に乱闘のためひっくり返ったソファを元に戻す。
「……何か、アドバイスでも出来ればと思ったんだ。
だが俺は口下手でな。少し考えたんだが、何を言えばいいのか考え付かなかったんだ」
『……だから口ではなく、拳で伝えたと?』
「それで伝わるものもある。男同士なら、特にな」
――比較対象が少なくて知りませんでしたが、『男』とはそういうものなのでしょうか?
機動六課の男衆を思い出しつつ、クロスミラージュは疑問に悩む。
そんなクロスミラージュを尻目に、ドモンはカミナを抱きかかえてソファに移動させていた。
「……少し手合わせしたかった、というのも少しはあるがな」
クロスミラージュに聞こえないぐらいの声でボソッと漏らした本音は、幸いと言うべきか本人にしか聞こえなかった。
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■
「俺は一足先にF-5の駅に行って、周辺を調べておく。お前たちは18:00のモノレールで後から来い」
ドモンがそう言い出したのは、カミナをソファに寝かせてからすぐのことだった。
『しかし、カミナの意見は』
「今は寝てる。起きたら文句は俺に言えとでも伝えとけ」
クロスミラージュの意見をバッサリと切り捨て、ドモンは早々に詰め所の外に向かおうとする。
慌ててクロスミラージュは引き止めようとするが、それよりも早くドモンが口を開いた。
「ティアナとかいう奴がどこにいるか分からない以上、お前の言っていた明智と合流する方が無難だろ?
それに一人でも多くの仲間を集めるために、ここで時間を無駄にするのは惜しい」
『だからといって、一人で行動するのは危険です』
「安心しろ、約束する」
ドモンはカミナがやったように、ビシッと親指を立てて自分の胸を指す。
それを見て、クロスミラージュはドモンを止めることを諦めることにした。
今さらだが、ドモンもカミナと同様に言い出したら聞かないことを確信したからだ。
『ではせめて、その紅い槍を持っていって下さい』
「悪いが、槍よりは拳の方が性に合ってる」
『いえ、武器としてではなく位置確認のためです。
その槍からは非常に高い魔力が感知出来るため、デイパックに入っていないなら私でも感知することができます』
「……なるほど、これが発信機になる訳か。分かった」
納得し、ドモンは壁にかけられた紅い槍を手に取る。
槍を肩に担ぎ、ドアノブを捻って詰め所の外へ出た。
「じゃ、またな」
『御武運を』
バタン、とドアが閉まり、ドモンの姿はクロスミラージュの視界から消えた。
クロスミラージュが時間を確認すると、もうすぐ夕方に差し迫る時刻だった。
ドモンと次に会うのはおおよそ二時間後ということを確認し、乱闘から思った以上に時間が立っていないことに驚いた。
『……このような状況は、二回目ですね』
クロスミラージュは、ティアナと共に駅に居た時のことを思い出す。
あの時に自分がしっかりとマスターをフォロー出来ていれば、今も隣に彼女がいたかもしれない。
『カミナが目を覚ましたら、今度こそちゃんとフォローしましょう』
カミナからすればいきなり殴られて喧嘩になり、挙句の果てにノックダウンされたのだ。
ドモンは問題ないように言っていたが、クロスミラージュとしてはカミナが怒り狂わないかとても心配なところだ。
『モノレールが来るまで時間がありますし、カミナとMr.ドモンの話をもう一度洗い直して……!?』
――モノレールが無いのに、どうやって駅まで移動するのですか!?
なぜか即座に疑問に思わなかったと後悔しながら、クロスミラージュは発光部を激しく明滅させた。
予定より数時間早く、ドモンに持っていかせた赤い槍の魔力反応のサーチを開始する。
『……もう慣れましたけど、非常識な』
クロスミラージュの感知する魔力反応は、クロスミラージュの空間認識が間違っていなければモノレールの線路に沿って移動していた。
おそらく、ドモンはモノレールの線路上を疾走しているのだろう。
『あのスピードなら、17:00の禁止エリアも問題なく通り抜けられそうですね』
ドモンの常人離れした身体能力を再々確認し、クロスミラージュは引き止めようとした自分が馬鹿馬鹿しく思えてきたのだった。
■
カンッ、カンッ、カンッと音を立て、ドモンはクロスミラージュの予想通りにモノレールの線路上を走っていた。
ドモンとてあと小一時間ほどで進路上のエリアが禁止エリアになってしまうのは知っているため、自然とスピードが上がる。
「これでいいとは思うがな」
残してきたカミナとクロスミラージュの事を思い出し、ドモンは呟く。
『これでいい』というのは、実は先ほどの乱闘のことではない。
ドモンは二つほど、クロスミラージュとカミナに伝えなかったことがある。
一つは、参加者相手に問答無用で戦いを仕掛けることだ。
――これは、風浦可府香の『遺言』だ。
――二人には悪いが、押し通らせてもらうぞ。
伝えれば反対されることは、ドモンには予想がついていた。
それに反対されてもドモンはこのやり方を曲げる気は無いため、話すだけ時間の無駄になるとドモンは考えたのだ。
そして、二つ目は――
「……師匠」
モノレールの上に広がる、まだ青い空をドモンは仰ぐ。
カミナから見せてもらった名簿の中には、ドモンを震撼させる名前が載っていた。
――我が師、東方不敗・マスターアジア。
シュバルツと同様に、なぜ生き返っているのかは分からない。
それ故に、ドモンはこの事をカミナたちに伝えるのを躊躇らった。
ドモンはジェントル・チャップマンという、『前例』を知っている。
チャップマンは一度死に、DG細胞の力で蘇った。
しかしその理性は生前と比べ物にならないほど狂い、気高き誇りはこれほどなく堕ちてしまっていたのだ。
生き返った東方不敗が、その『前例』と同様ではないという保証はない。
――だがもし師匠が俺の知っている通りの師匠ならば、螺旋王の悪逆非道な振る舞いを放ってはおけないはず。
――もしもそうならば、いずれ道は交わるはず。
――師匠、どうかそれまで御武運を!
祈りの言葉を胸に秘め、ドモンはさらに加速する。
自分が考える下手な憶測など、当てにはならない。
全ては、直接会って確かめればいいだけのこと。
今一度拳を重ねることに思いを馳せ、ドモンは我知らずに口元を吊り上げていた。
【G-1/G-1駅詰め所/一日目/午後】
【カミナ@天元突破グレンラガン】
[状態]:気絶、精神力消耗(大)、体力消耗(大)、
全身に青痣、左肩に大きな裂傷(激しく動かすと激痛が走る)、服は生渇き
[装備]:なんでも切れる剣@サイボーグクロちゃん
[道具]:支給品一式(食料なし)、ベリーなメロン(3個)@金色のガッシュベル!!(?)、
クロスミラージュ(待機状態)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ3/4:1/4)
[思考]基本:殺し合いには意地でも乗らない。
1:……畜生
2:グレンとラガンは誰が持ってんだ?
3:もう一回白目野郎(ヒィッツカラルド)と出会ったら今度こそぶっ倒す!
[備考]
※グレンとラガンも支給品として誰かに支給されているのではないかと思っています。
※ビクトリームをガンメンに似た何かだと認識しています。
※文字が読めないため、名簿や地図の確認は不可能だと思われます。
※ゴーカートの動かし方をだいたい覚えました。
※ゲイボルクの効果にまるで気づいていません。
※シモンとヨーコの死に対しては半信半疑の状態です。
※拡声器の声の主(八神はやて)、および機動六課メンバーに関しては
警戒しつつも自分の目で見てみるまで最終結論は出さない、というスタンスになりました。
※第二放送についてはヨーコの名が呼ばれたことしか記憶していません。ですが内容はすべてクロスミラージュが記録しています。
※溺れた際、一度心肺機能が完全に停止しています。首輪になんらかの変化が起こった可能性があります。
※会場のループを認識しました。
※ドモン、クロスミラージュの現時点までの経緯を把握しました。
しかしドモンが積極的にファイトを挑むつもりだということは聞かされていません。
【G-2/モノレール線路上/一日目/午後】
【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康、服は生渇き
[装備]:ゲイボルク@Fate/stay night
[道具]:なし
[思考]
基本:己を鍛え上げつつ他の参加者と共にバトルロワイアルを阻止し、螺旋王をヒートエンド
1:カミナたちより先にF-5駅に行き周辺を捜索。18:30にF-5駅でカミナたちと合流。
2:積極的に、他の参加者にファイトを申し込む(目的を忘れない程度に戦う)
3:ゲームに乗っている人間は(基本的に拳で)説き伏せ、弱者は保護し、場合によっては稽古をつける
4:師匠(東方不敗)と再会したい。
5:傷の男(スカー)を止める。
6:一通り会場を回って双剣の男(士郎)と銃使いの女(なつき)と合流する。
7:言峰に武道家として親近感。しかし、人間としては警戒。
[備考]:
※本編終了後からの参戦。
※参加者名簿と地図に目を通しました。
※正々堂々と戦闘することは悪いことだとは考えていません 。
※なつきはかなりの腕前だと思い込んでいます。
※ゲイボルクの効果にまるで気づいていません。
※ループについて認識しました。
※カミナ、クロスミラージュのこれまでの経緯を把握しました。
[その他]
※カミナのドモンに対する感情は、次の書き手にお任せします。
※駅の詰め所内はとても散らかってます。
※クロスミラージュがゲイボルグを感知できる範囲は半径1kmほどです。
そして削除依頼完了
御苦労さん
41 名前: ◆ncKvmqq0Bs 投稿日: 2008/01/27(日) 22:56:55 ID:???0
IPチェックしていただければご理解いただけますが、yamaguchiOCNのものです。
ここ2,3日家から離れていて書き込んだ覚えがないにもかかわらず自分のトリに
よる書き込みが横行しています。これらの書き込みに関してIP公開を要求すると
共に、そのIPによる書き込みのスレおよびレス番号を発表を希望します。また、
もしもそのIPが、anichara:アニキャラ総合[削除議論]のスレの、
>>33 softbank.*bbtec.net
>>32 i125-206-34-201.s30.a048.ap.plala.or.jp
>>72 *.cust.bit-drive.ne.jp
などのIPだった場合、それらのIPの規制を追加で要求させていただきます。
42 名前:管理人★ 投稿日: 2008/01/27(日) 23:28:22 ID:???0
>>41 ご指摘のログを精査いたしました。
202-94-153-174.cust.bit-drive.ne.jp
を迷惑行為によりホスト規制の対象とさせていただきます。
レス番号は当該スレで公開いたします。
ィ";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙t,
彡;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
イ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r''ソ~ヾ:;;;;;;゙i,
t;;;;;;;リ~`゙ヾ、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ i,;;;;;;!
゙i,;;;;t ヾ-‐''"~´_,,.ィ"゙ ヾ;;f^! / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ト.;;;;;》 =ニー-彡ニ''"~´,,...,,. レ')l. < おまえは何を言っているんだ
t゙ヾ;l __,, .. ,,_ ,.テ:ro=r''"゙ !.f'l. \____________
ヽ.ヽ ー=rtσフ= ; ('"^'=''′ リノ
,,.. -‐ゝ.>、 `゙゙゙゙´ ,' ヽ . : :! /
~´ : : : : : `ヽ:. ,rf :. . :.: j 、 . : : ト、.、
: : : : : : : : : : ヽ、 /. .゙ー:、_,.r'゙: :ヽ. : :/ ヽ\、
:f: r: : : : : : : : !丶 r-、=一=''チ^ ,/ !:: : :`丶、_
: /: : : : : : : : :! ヽ、 ゙ ''' ''¨´ / ,i: : : l!: : : : :`ヽ、
〃: :j: : : : : : : ゙i `ヽ、..,,__,, :ィ":: ,ノ:: : : : : : : : : : : :\
ノ: : : : : : : : : : :丶 : : ::::::::: : : : /: : : : : : : : : : : : : : : :\
yamaguchiOCN=202-94-153-174.cust.bit-drive.ne.jpという推測はありましたよ
ただ、明確なソースが無かったからみんな口に出さなかっただけでして
今回鳥が重なったという事は、完全に両者が同じだということが明確になったんでしょう
だからといってどうしたということではありませんが
そんなことより、しばらく見ない間にずいぶんおおっぴらに大虐殺してますねぇ・・・・・・
まあ、ふつうどんなに簡単な鳥でも簡単に見破られるものじゃないでしょうから
おそらく鳥が見破られたというのは嘘でしょう。
鳥が簡単にわかるというのならその鳥を公開して
またそのスレの同じIDで新しい鳥をつけなおせばいいのではないでせうか
-------------------------------------------------------------------------
ここまでチラシの裏
で、企画どうする?
打ち合い、二合。
それだけで勝負は決した。
金属のこすれ合う打撃音と共に、赤い薙刀は吹き飛ばされて地を滑る。
蒼い男に睨まれて、攻めるも退くもままならなくなった静留は
防御の態勢を取ろうとした瞬間に打ちかかられ、またたく間に敗北へ追い込まれたのだ。
実戦上で多少は心得があったからこそ、最初からわかっていた。
正面に立たれた時から、すでに全身でびんびんと感じ取っていた。
(格、違いすぎやわ)
額にぴたりと突きつけられた槍の先端をにらみ、
静留は焦燥と絶望の入り交じった感情を、腹に飲み下す。
今はただ生かされているにすぎない。
男の都合ひとつで、自分はいつでも殺される。
そして今、この状況を脱出する術は、無い。
だが、あきらめるわけには…わけには!
「なんだ、おい」
蛇ならぬ蝦蟇(がま)のように脂汗を流していた静留に向かい、
男は呆れたような声を聞かせてきた。
「ちったぁ腕に覚えがあるのかと思えば…
だから乗ったんじゃねぇのかよ、テメェ。
それとも、だ――」
「っ、ぐぅっ」
蹴飛ばされた静留は瓦礫を背に座らされる。
その正面で、腰を引き、槍を低く構える男。
「ごつい得物片手に、いい気になってたってわけか?」
穂先が静留の額から頬をなぞっていく。
皮膚を裂かない、絶妙な接触を保ったまま、
やがて槍は首筋に達する。
「――いいか、嬢ちゃん。
これから少し、簡単な質問に答えてもらう。
制限時間は一問五秒だ…何も、難しいことはねぇよな?
ありのままを話しゃあいい」
男の言葉に、自分の残り寿命を見定める静留。
言われた通り、すべて正直に答えたとして、稼げる時間はせいぜい五分だ。
そして、状況を正確に把握したこの男は、間違いなく自分を生かしてはおくまい。
すると、残る選択肢は、うまいこと嘘をついて完璧に騙すのみ。
なんとしても出し抜いて、この場を乗り切らねばならないが…
「ああ…わかってるとは思うんだが。
嘘ついたら、その場で終わりだからな。
そのつもりで頼むぜ?」
念を押されなくても、そんなことはわかっていた。
だが、どちらにせよ、この男に自らの運命を委ねていては、
待ち受けるのは死あるのみ。
だから、せめて持ちこたえきらなければならない。
この状況を一変させる何かが起こる、その瞬間まで。
ささいなきっかけひとつでいい。何をしてでも這い上がらねば。
「じゃあ質問、一だ。
嬢ちゃんが殺し合いに乗った理由を簡単に説明しろ」
「………」
「ひとつ」
「愛しい人の、ためどす」
「ほう、そいつはどういうことだ」
「なつきが死にました。
せやから、うちは、なつきを生き返すために」
「そいつはこのゲームに呼ばれて死んだのか」
「…はい」
「なるほどな」
男の声の調子が、若干、ゆるんだ。
同情の余地あり、とでも考えているのだろうか。
大きなお世話というものだ。お前なんかに理解されたくもない。
「そう、しかめっ面すんな…次だ」
感情が顔に表れていたようだ。
自分らしくもないことだった。
唾を飲み、神妙な顔つきを作り直す。
男の質問が、続く。
「ここで一体、何があった?
誰が何をしてこうなったんだ?」
さて。
この男を虚言で丸め込むとして。
誰がこの男の知り合いか?
現在、そこで横たわっているヴァッシュという男に用があると、さっきは言っていたのだが…
うかつなことを言えば、その場で斬殺だ。
「ひとーつ!」
「うぅぐっ」
槍…鉄棒の先端にくくりつけられたナイフの刃が、首筋へわずかにめり込んだ。
鋭い痛覚と共に、そこから生ぬるい液体が下へ下へと垂れ始める感触を覚える。
…だめだ、感づかれている。
「親切で言っておいてやる。
時間稼ぎはためにならねえぞ」
「くっ…」
きりきりとナイフが傷口を広げながら顔へと上ってくる。
嘘をつく暇すら与えないというわけか。
せめて、ここで近づいてきていれば。
調子に乗って頭につかみかかったりしてきていれば、
手中にエレメントを即座に発現、串刺しにしてやれるのに…!
もはや、やむをえなかった。
静留は、洗いざらいぶちまけた。
ここで何があったのか、という質問に関しては何ひとつ隠すことなく。
ここ、燃え盛るデパートに立ち寄った直後、なつきの死を知ったこと。
その段階で殺し合いに乗ることを決断し、居合わせた少女に斬りかかったこと。
だが、仕留める前に次から次へとスバル側の応援が現れて、退く機会をうかがっていたこと。
現れた人物の、覚えている限りの名前と特徴を挙げたところ、
スバルと、今そこにいるヴァッシュ…そして、中国の豪傑風の服装をした中年男の部分に
男は眉を動かし反応を示していた。
「ちっ、坊主の仲間かよ…あいつがどうにかしたと思いてぇ所だがな」
「知り合い、ですのん?」
「お前からの質問は許可しない。続きを話しな」
「………」
それから、鎧をまとった正体不明人物が出現。
そいつは明らかに殺し合いに乗っていて、スバルと中年がそちらに向かっていったこと。
状況に乗じて、自分はさっさと逃げようとしたが、ヴァッシュと、老婆ドーラに追撃されてしまったこと。
そして一時は敗北寸前にまで追い込まれたが、デパートの倒壊で形勢逆転。
まずドーラを殺し、今まさにヴァッシュを斬るところであったこと…
「焼け落ちた…んじゃねぇな。中で派手に戦ったからか」
男が気にしたのは、まずはデパートのことであるようだ。
倒壊するほどの戦闘が繰り広げられた以上、警戒するのは当然か。
だが、静留にとって、それ以上の意味はない。
男も、すぐに考えるのをやめた。
「じゃ、最後の質問だ」
男の視線が、すっ、と鋭くなる。
ここが、自分の生命に関わる、肝心要の部分らしい。
これからの返事が気に入られなければ、
ひと突きで心臓か脳みそをえぐり出されることだろう。
静留は覚悟を決める。
自分となつきの未来を、これからの数十秒に賭けるのだ。
「お前、殺し合いに勝ち残って、最終的にどうするつもりだ」
「…何を聞くのかと思えば」
「にやけてんじゃねぇ。質問に答えろ」
「さっき言った通りどすえ? なつきを生き返します。
それ以外のものは、なぁんにも、いりませんえ」
「それ以外は、どうなろうが構わねぇ…そういう訳か、え?」
静留は、さらに笑みを深くした。
にんまりと、口の端を持ち上げた。
「その通りどす、間違いあらしません」
「知ったこっちゃねぇ、そう言うんだな? お前は?」
「ええ、知ったこっちゃありません」
男の殺意が濃くなることなど、気にも留めない。
「雑草をぶちぶちむしるのに、理由なんかどうでもええ話やわ。
なつきの前じゃ、何もかもが下らない。
下らなさすぎて話にもなりません、違いますか―――」
刹那、白刃が煌めいた。
静留の左眼が捉えたのはそこまでで、
縦一文字に左眼が轢断されたと知らせたのは、他ならぬ灼熱した痛覚だった。
「きっ、ひぃぃぃぃ――――ッ!?」
人目はばからず甲高い悲鳴を上げる。
のけぞって、斬られた左眼の傷口を両手で覆い、見苦しく悶え転げる。
「――もういい、よくわかった。
そうだな、確かに理由なんざどうでもいいこったな。雑草」
男はつかつかとにじり寄る。
槍を高く振り上げつつ。
「目を潰そうが、鼻を削ごうが、耳を刻もうが、頭の皮を剥ごうが、
手足を一本ずつ切り離そうが、腹をかっさばいて臓物ブチ撒けようが…
雑草相手にゃ、理由なんざどうでもいい」
静留は、顔を男に見せない。
両手で傷口を覆ったまま、尻で後じさりしていく。
「そうだよなぁ、雑草がぁ!」
振り下ろされる槍。
そして静留は―――ほどなく確信した。
(…勝った!)
全額をベットした、賭けの、勝利を。
自分が、嬲り殺しにされるように…
言い換えれば、時間をかけて殺されるように仕向けた甲斐は、あった!
「………ぬぅぅっ?」
男はとっさに飛び退いた。
直後、真横から飛んできたのは、十字型の物体。
一瞬で静留の正面を通り過ぎていったそれは、どこかの何かに激突したらしく、
自動車事故のような破壊音を少し遅れて鳴り響かせた。
「テメェ…何の真似だ?」
男が凄んだ先にいたのは、赤いコートのガンマン。
その手に携えるのは、壊れた拳銃ではなく、巨大な手持ちの砲のようなもの。
「やだなぁ」
彼…ヴァッシュは言った。
「女の子の悲鳴を聞いて、黙っていられるわけないじゃないか」
静留が『何度も悲鳴を上げる』より、はるかに早く、彼は覚醒したのだ。
************************************
ヴァッシュ・ザ・スタンピードが信じるものは変わらない。
この殺し合いの場においても、彼は守り続ける。
レムが救った人々を。
それがたとえ、許されざる罪人であっても。
静留の悲鳴によって目覚めた彼は、スタンガンをすかさず打ち込んだ後、
軽い調子でいつぞやの蒼い逆毛男、ランサーに応答してから周囲を見回し、理解した。
今、自分の足元に落ちている薙刀を…凶器となった武具がすでに血を吸っているのを確認して。
「間違ってしまったんだね、キミは…」
深く切り裂かれ、首を飛ばされたドーラの死体を目の当たりにしたヴァッシュが
静留に対して抱いた感情は、怒りではない。
ただひたすら、哀しいだけだ。
どうして、殺さなければならない。どうして、殺されなければならない。
「ヴァッシュはんが勝手に決めることと違います」
すっ、と立ち上がって、静留は答えた。
目に受けた傷など、最初から無いものであるように。
「愛する人のためになら、うちはなんでもしますさかいに。
安っぽい倫理観ふりかざすんは、よそでして下さい」
「…そっか、安っぽいか」
苦笑しながらヴァッシュは相対する。
槍を振って再度構えたランサーへと。
「そいつを庇う気か、テメェ」
「うん、庇うさ」
「そいつは完璧、殺し合いに乗ってやがる。
今ここで逃がせば、あと何人殺すかわかんねぇんだぞ」
「それはキミが勝手に決めることじゃない」
「そいつ自身がテメェで決めてると言っている!」
「それでも、僕には!」
二人同時に、武器を向けた。
槍の先端と、銃口を。お互いに。
「今ここで誰かが死のうとしている事実の方が、重いんだ」
「…偽善だな、吐き気がする」
ゆっくりと、右に歩いていく。
互いの攻撃を待ちながら、牽制しながら。
「口だけで救えりゃ、生命なんて安いもんだよな…え?
どうして、エリオの坊主は死んだんだ?」
「その子は…?」
「将来が楽しみなチビジャリのガキンチョだったよ。
ゲームに乗った糞野郎に殺されたがな」
ヴァッシュの足が、止まる。
ランサーが、すっ、と左足を引いた。
「あいつと糞野郎の死んだ事実が、同じ重さだと言うんだな。テメェはよ」
「死んでいい奴とか、そうでない奴とか…勝手に決めたくないんだ、僕は」
「…そうか、よ!」
足音ひとつ、銃声ひとつ。
同時に響き渡ったそれは、切って落とされた火蓋の形。
ランサーが跳び、踏み込んだのは、静留の真正面。
そこへヴァッシュが寸分違わず打ち込んだスタンガンが、四つの花弁を開いて飛来。
柄を振り上げ、それをあっさり切り払ったランサーに、ヴァッシュはおどけた風に。
「ヒドくない? それ? ボクじゃなくてカノジョに斬りかかっちゃうの?
せっかくカッコイイやりとりしてるのにさぁ…言われない? 無粋だって」
「――知らねぇよ。俺が殺したいのはテメェじゃなくて、こいつなんでな」
スタンガンの最後の一弾が撃ち出される。
その後ろを追いかけるように、ヴァッシュは一挙に間合いに踏み込む。
先と同様にスタンガンを打ち払うランサーにスタンガンの砲身を叩きつけた。
むろん、容易に攻撃の通る相手ではない。
簡単に受け止められてしまったが、ヴァッシュの目的は、もとより動きを封じること。
そのまま砲身をねじるように、鍔迫り合いの体勢に持って行く。
「…そっか! じゃあボクはお姫様を守るナイトってわけだ!」
「騎士、ってガラかよ、テメェが!」
やはり、鍔迫り合いにも一日の長があるのはランサーだった。
ぎりり、と音を鳴らして砲身を脇にのけた槍が、軽く引かれる動作を伴って、
一撃、二撃、三撃と隙間なく襲いかかってくる。
その都度、スタンガンを振り回して防御するものの、
またたく間に部品単位で破壊され、ばらばらになっていく。
ものの七秒ほどでスタンガンは破壊され尽くし、銃身中央のシャフトのみになっていた。
「あああ、ゴメンよミリィ…帰ったらドーナツおごってあげよう」
「帰れよ、お前!」
「そういうわけにも…ネ!」
次の突きで、スタンガンは粉微塵に破壊された。
この表現は、ほぼ誇張無しと言っていいだろう。
なにしろ、微細なネジからスプリングに至るまで、あらゆるものがぶっ飛んで破裂したのだから。
槍は、ぴたりとヴァッシュの胸元に突きつけられ…
「チェック・メイトだ」
「どうかな…?」
その直前に、ヴァッシュの左手から飛び出した棍状の物体によって脇に打ち払われる。
意表をつかれたランサーだが、それだけで終わらないことに早くも気づいたらしい。
引き金を引く直前には、すでに回避動作をとり始めていた。
吐き出され連なるフルオートの弾丸を、右へ、左へ飛び退り、狙いを微妙に外していく。
再び、間合いは離れた。
「騎士(ナイト)の次は城(ルーク)さ!」
「隠し銃たぁ…テメェこそ無粋じゃねぇのかよ、おい?」
「エッヘヘ、ゴメンナチイ」
隠れ里で作られたヴァッシュの義手。
その中に仕込まれた隠し銃は、奥の手中の奥の手だった。
使う以外、どうにもならない時に使うのである。
これの弾丸を使い切ったその時に、ヴァッシュは真に丸腰となるのだ。
「シズルさん」
「………」
「僕が彼を説得している間、適当な場所に逃げてくれないか」
対峙したまま、ヴァッシュは背後にいる静留に撤退を促す。
彼女にそれを、聞かない理由はないだろう。
「お礼は、言いませんえ?」
「かまわない。だけど、できれば…もう、間違わないでくれ」
「安心し。次は、あんたの番どす」
「そっか…それなら安心だ!」
少しだけ振り向いて、にっこり笑って頷くヴァッシュ。
その隙から、ランサーが飛び込んでくる。
「行かせると思うかぁぁぁっ」
全身を使って振り向く。
銃口と穂先、またも邂逅する―――
光が二人の戦場を埋め尽くしたのは、そのときだった。
チェスに、姫(プリンセス)などという駒はない。
あるのは、女王(クィーン)である。
王(キング)を差し置いて、事実上最強の駒がそれだ。
今のヴァッシュに勘違いがあるとするならば、おそらくはその一点だろう。
************************************
ザクッ… ザクッ…
「てっ、てんめえええええ…」
肉を叩いてミンチにするような音だけが、ヴァッシュには聞こえた。
ランサーの苦悶が同時に耳をつくようになって、やっと光に蝕まれた視覚が取り戻される。
そして見たものは、またしても、間違いが犯されゆく光景。
今の今まで対峙していたランサーが、右手と左足とを付け根から切り取られ、
鞭のような長い鉄条に打ち据えられてさらに切り裂かれゆく姿。
それを、どこか優雅に、かつ機械のように非情に執り行っているのは…静留。
「どうどす? 明らかな格下に出し抜かれた気分は…」
鉄条を振り上げ、振り下ろしながら、彼女は唇の端を持ち上がらせていく。
「うちの得物は特別製でしてなぁ…いつでも手元に呼び出せますさかいに。
知りもしないで甘く見たら、あきません。
こういう風に、伸ばしたり縮めたりもできる優れものどすえ?」
鉄条が、ランサーの全身を巻き取った。
そのままコマを回すようにぐいと引かれ、今度は右足がちぎれ飛ぶ。
トマトケチャップを数十パックぶちまけでもしたかのような、
冗談じみた血溜まりが、すでに形成されている。
…あの鉄条で、光の中、ランサーの身体を捕縛したのか。
そういえば彼女だけ逆光で、僕とランサーが光に目をやられている間…
そんなことは今更どうでもいい!
「やめるんだ、シズルさん!」
走って、静留の身に飛びつこうとするヴァッシュ。
こんなバカなこと、続けさせていいわけがない。
また目の前で、失われてしまう。死んでしまう。
そんな罪が、目の前の女性を汚してしまう。
「やめろ、やめてくれぇーっ」
「ぎゃあぎゃあやかましいわ」
鉄条、一閃。
防御できるものの持ち合わせは、今や何もない。
ヴァッシュは袈裟懸けに、したたかに打ち据えられた。
見た目以上にすさまじい威力だった。
遠心力が乗っていて、大の男が吹き飛ばされるパワーだ。
どうも、殺すつもりで放った一撃らしい。
コートとラバースーツが特別製でなければ危なかった。
それでも身体がしびれてまともに動かないのだ。
「わめくしかやることのないなきめそは引っ込みよし」
「…ならっ」
再びランサーを狙って飛んでいった鉄条を、
義手ゆえにまともに動く左腕の隠し銃で狙撃。
一発、一発、軌道をそらして阻止していく。
「おもろい芸やわ、弾、切れるまで続けますのん?」
「続けるさ…いつまでも続けてやる。
キミの腕が上がらなくなるまでね…」
「………」
静留の表情から、笑みが消えた。
ヴァッシュの方に向き直り、鉄条を振り上げる。
ヴァッシュ自身もまた、動かない身に鞭打って、迎撃の態勢を固める…が。
「どうしたよ、雌犬」
調子を変えないランサーの声に、
静留は再び振り返ることになった。
************************************
「テメェの鞭なんざ、蚊が刺したほどでもないぞ。雌犬」
「雌犬? うちのことどすか?」
挑発に振り向いてきてくれた。
まずは良し、である。
完璧な不覚を取った自分は、もはや手遅れ。
すぐに止めを刺さなかった落ち度と言う他はないだろう。
それは、甘んじて受け入れよう。
あの言峰とギルガメッシュに借りを返してやれなかったのが心残りではあるものの、
どうせ二度目の生になど、もとより興味のなかったこの身だ。
だが、だからこそ、最期の最期にはせいぜい言いたいことを言って去ってやろう。
別段、ヴァッシュを助けてやろうとも思わないランサーの、それは本音であった。
「俺を殺して、どいつもこいつも皆殺しにして、願いを叶えてくださいって尻尾を振るんだろ?」
ヒュッ。
鉄条が風を切る。
頬に大きな切れ目が入った。
すでに頭蓋骨が、どこか露出しているかもしれない。
「お嗤(わら)いだよ、小娘。
エリオの坊主は番犬だったが、テメェは足元にも及ばねぇ。雌犬だ」
「黙りよし」
「怒るのか、ハッ!
そんなプライドがテメェにもあったかよ」
ヒュヒュッ。
鉄条、二閃。
もう、どこを斬られようが似たようなものだ。
言いたいことを言い切る前に、首を切断されないことを祈るばかりである。
「もういやだ、たくさんだ。
やめろ、やめるんだ、やめてくれ…」
すすり泣きじみた、男の悲鳴が聞こえた。
(おいおい…なんでテメェが俺の命乞いしてんだよ)
呆れるあまり、思わず吹き出して笑ってしまう。
偽善もここまでくると、いっそ清々しい。
誰かが死ぬことが、それほどまでに痛むのか?
知り合ってから一日もしない、俺の死が?
知り合ってから数時間も経たない、あの女の罪が?
…まったく、不便そうな奴だ。
この世の全てでも背負っていくつもりだろうか。
「もういいから、テメェは黙ってろ、大莫迦が」
苦笑まじりに言い放つと、女にまた目を向け直す。
「怒るくらいなら、あのタコハゲに尻尾振ってんじゃねぇよ。
叶えて下さい、叶えて下さい、おっしゃる通り皆殺しにしますからあの子を生き返して下さい、ってか?
みっともねぇったらねぇな、おい」
ブンッ。
今までになく鋭い音が聞こえると同時に、
どうも首が宙を舞ったらしい。
自分が、消える。
「生き返すんなら、テメェでやれよ。雌犬」
―――槍のサーヴァントは、ここに、完全に消滅した。
【ランサー@Fate/stay night 死亡】
************************************
「…はぁ、あほらし」
光となって消えていった男を看取って、
静留は静かに、くすりと笑った。
「負け惜しみ垂れて死んでいくなんて…傑作やわぁ」
くすくすくす。
その肩が、次第に震え始める。
良心の呵責にでも苛まれて、泣いているのか。
彼女がそのような小さい心臓の持ち主であるならば、
すでに槍使いの男の手で串刺しとなっていただろう。
くすくすくすくす。
肩の震えが、止まらなくなった。
目前で、日がまさに沈んでいく。
その中で、彼女は。
「―――ッ、ハッハッハッハッハッ……」
「ア――ッ、ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ…
ア―――ッ、ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ…
ア―――――ッ…ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ…」
彼女は笑う。
笑い転げる。
腹を抱えて、げらげらと笑い続ける。
そして。
「…その手が、あったわぁ」
時代をまたいで人間を呼び出す力。
最初に見た、すさまじい破壊力をもあっさりと無力化する、あの力。
それほどの力ならば、自らのこの手に収めてしまえば、どれほどのものだろうか。
なつきを生き返すことも、共に不死の永遠を夢見ることも、きっと、思いのまま。
「希望は、山ほど、ある」
そうと決まれば、まずは手駒が必要だ。
手始めに、そこで落ち込んでいる、お人好しの…
【E-6/デパート周辺/1日目/夕方・放送直前】
【藤乃静留@舞-HiME】
[状態]:疲労(中)、左足に打撲、左眼損傷(ほぼ失明状態、高度な治療を受ければあるいは…)、首筋に切傷、精神高揚
[装備]:雷泥のローラースケート@トライガン
[道具]:支給品一式×4(食料二食分消費)、マオのヘッドホン@コードギアス 反逆のルルーシュ、 巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING、
サングラス@カウボーイビバップ 、包丁、不死の酒(不完全版)@BACCANO バッカーノ!
棒付手榴弾×3@R.O.D(シリーズ)、大量の貴金属アクセサリ、ヴァッシュの手配書、防水性の紙×10、
偽・螺旋剣@Fate/stay night、暗視双眼鏡、不明支給品0〜1個(槍・デバイスは無い)
[思考]:
基本思考:螺旋王の力を手中に収め、なつきと共に永遠を生きる
0:まず、ヴァッシュを味方に引き込む
1:邪魔になる人間は殺す
2:足手まといは間引く
3:邪魔にならない人間を傘下に置く
【備考】
※「堪忍な〜」の直後辺りから参戦。
※ビクトリームとおおまかに話し合った模様。少なくともお互いの世界についての情報は交換したようです。
※マオのヘッドホンから流れてくる声は風花真白、もしくは姫野二三の声であると認識。
(どちらもC.C.の声優と同じ CV:ゆかな)
※不死の酒(不完全版)には海水で濡れた説明書が貼りついています。字は滲んでて本文がよく読めない模様。
※一応、殺し合いに乗らず脱出する方針に転換したので、ジャグジーに対する後ろめたさは、ほぼ無くなりました。
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン】
[状態]:全身打撲、悲しみ
[装備]:ナイヴズの銃@トライガン(破損)、ヴァッシュの隠し銃@トライガン(残弾およそ3/4)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]基本:絶対に殺し合いを止めさせるし、誰も殺させない。
0:また、死なせてしまった…
1:シズルさん、どうするんだろう?
2:クアットロが心配。
3:ナイヴズの銃は出来るだけ使いたくない。
[備考]
※クロの持っていた情報をある程度把握しています(クロの世界、はやてとの約束について)。
※第二放送を聞き逃しました。
※ミリィのスタンガンは粉々に破壊されました。
marunouchiほぼ全滅
hodogaya全滅
埼玉や関西まで被害
東京焼け野原です
恐ろしい
#テストとやってみる
「どうだ、見つかったか?」
「……ち、無駄だたぁ思ったが、やっぱ誰もいやしねえな」
C−7、倒壊した家屋のすぐ近くの路上。
先刻、清麿たちと別れたその場所には、当然の事ながら誰もいない。
家が一軒倒壊しているのを気付いたには気付いたが、しかし、ここは戦場だ。
そんな事は大したことではないとラッドは気にも留めない。
彼の殺害対象である東方不敗の行動の産物という事はラッドには知る由もないからだ。
一応、辺りを探索してみたものの、めぼしい物といえば死体が一つ、あっただけ。
ヨーコ。
短い間ではあったが仲間であったモノに対し、ラッドは軽く目をつぶり、すぐに身を翻す。
誰かの死を恐れる女だったテメエが真っ先に死ねて良かったじゃねぇか。
そんな事を思いながらも、ついでに冥福を祈ってやることにする。
ラッド・ルッソは殺人狂だ。それは明らかな事実ではあるが、しかし殺戮機械ではない。
感情に欠けているのではなく――――、むしろ、感情に満ち溢れた人間ゆえに、人間を殺すことを快楽とする。
歪みきった人格ではあるが、仲間の死に対して何も思わないような人間ではない。
それが彼の美点であるのか、むしろ異常さを際立たせているのかは定かではないが。
「……そうか。じゃあ、どうするんだ? 当てか何かあったらいいんだけどな」
フラップターの整備をしながら、衛宮士郎は問う。
元々機械いじりの得意な彼の本領発揮といったところだ。
とはいっても、ろくな工具もないここではせいぜい点検くらいしか出来はしない。
幸いなことに、これといった異常は見つからなかった。
途中よく分からない鋼糸を見つけたが、構造的にも直接関係はないようだ。
何となく取り外してポケットに押し込みながらも、士郎の頭の中には先刻の光景が渦巻いている。
ラッドの言うことも分かるが、彼としては出来る限り鴇羽舞衣の凶行を止めたいのだ。
「ああ、厄介だよなあ。面倒臭ェ、本当面倒臭ェよなあオイ! まったくよぉー」
口調とは裏腹に、ラッド・ルッソは苛立っているようには見えない。
確実に、何らかの収穫を手に入れたようだ。
異常にテンションの高い人間ではあるが、衛宮士郎にも彼の機嫌の状態はある程度つかめるようになってきていた。
「そっか。で、これからどうする?」
「ああ、ちと大回りになるがな、とりあえず病院に行く」
そう言いながらラッドの見せたものは、衛宮士郎にとっては理解できない意味不明な文章だった。
『コックを待たせる客に疲れました 「耳」寄りな話があったので転職します HO! HO! HO!「予定通り」の王ドロボウ』
「……なんだ、コレ?」
全く緊張感のない声で返事をしてみれば、ラッドは耳をほじりながら言葉通り面倒臭そうに呟く。
「まあ、上手い事やったもんだ。これなら他の連中には分かりゃしねえだろうしな」
小指に息を吹きかけつつラッドが説明するには、どうやら高峰清麿という人物の怪我に関連があるらしい。
その怪我を治療する為、病院に向かったのだろうと言うことだ。
なるほど、と士郎は思う。
中々機転の利く人間がラッドの仲間、即ち主催者に対抗する面子にいるのはありがたい。
しかし士郎がそれ以上に驚いたのは――――、
「お前、結構頭良かったんだな……」
「ハッ、俺はマフィアの連中ども相手に計算高く、叔父貴の組の連中が処理できる程度に、だが、
俺の快楽を満たせる程度に、まさにそのギリギリのラインで殺して殺して殺して殺しまくってきたのさあ!
この程度、頭を使ったうちに入るかってぇの」
そう、一見欲望に忠実に見えるラッド・ルッソと言う男の危険性は、その計算高さにあるのだ。
ただ、それを上回るほどの殺人衝動が彼の内に潜んでいるだけなのである。
ラッドに感心すると同時に、衛宮士郎はラッドに対する警戒を密かに強める。
しかし、現状では彼に背中を預けるしかないのも事実だ。
……せめて、出来ることだけはしたい。
可能な限り内心を隠しながら、士郎はラッドに己の考えを告げることにする。
それを聞いたラッドは、悟りきったような呆れ顔で頷いただけだった。
「なあ、実際に対面するのは戦力が整ってからでいいんだけどさ、ちょっと鴇羽の様子を偵察させてくれないか?」
相見えるのは無理にしても、せめて彼女がどうしているかを知りたいと。
◇ ◇ ◇
「……どうやら、戻ってきたようですね」
戦場には似合わない、ラブロマンスでも映していそうな映画館の観客席。
照明に照らされて映画は見られないものの、男女の2人組が一つのモニターを覗き込んでいる。
画面はカプセル型の機械の側面部についており、そこには一つの影が映し出されていた。
「……良く見えないな。距離が離れてるみたいだけど」
「飛行手段、ですか。成程、たしかに支給品リストにはありましたね」
菫川ねねねと明智健吾が眉をしかめているのは、ガジェットドローンの映し出した映像だ。
映画館周辺の索敵に出していたそれが携えて戻ってきたのは、空に浮かぶ謎の物体のシルエットだった。
考えうる可能性はいくつかある。
フラップターなどの機械や、もしくは生身での飛行手段を保有する者達。
シルエットから言えば、おそらく前者。
仮に仲間に出来たのなら、明智たちには心強い味方になるのは間違いない。
索敵に逃走に、あるいは奇襲に。航空機の有用性は歴史が証明している。
基本的に、地に伏せるものは空の王者に無力なのだ。
……だが。
「くそ、輪郭は分かるんだけどな。多分、二人組みだと思うんだが……」
そう、なにぶん距離が離れていて誰が乗っているのか掴みづらいのだ。
確かに参加者の誰かではあるのだろうが、このままでは判別しづらい。
およそ1km近くは離れているだろうか。
「むー……、ねえアケチ、この映画館の施設使って、コレに映し出せないの?」
「……成程。確かに、試してみる価値はありそうです」
イリヤが指すのは映画館のスクリーンだ。
解像度の低い簡易モニターでは無理でも、この大画面でなら確かに誰が乗っているかわかるかもしれない。
ガジェットドローンのアームケーブルを映像機器に接続すれば、他の媒体への出力が可能となると言う説明を明智はしっかり記憶している。
「ではすみません、少し映写室の方へ行ってみます」
「ああ。……出来れば、吉報であればいいんだけどな」
劇場から明智がガジェットドローンを連れて出て行って数分のち。
イリヤとねねねが何かをするには短すぎる時間を経て、照明が消えスクリーンの幕が上がった。
「どうにかうまくいったみたいね……」
「うん。あ、ネネネ、映り始めたよ」
暗い劇場内に、徐々に映し出された飛行機械。
その背に映し出された二つの人影の内一つに、ねねねは息を呑んだ。
――――ヤバイ。こいつには関わっちゃいけない!
ラッド・ルッソ。
彼女の持つ詳細名簿、そこから作った警戒者リストの中でもブッチギリの異常者だ。
直接の面識はないが、その行動は凄惨にして余りある。
危なかった、うかつに外をウロウロしていたら自分が犠牲者になってもおかしくない。
そう安堵の息を漏らした彼女に届いた呟きは、しかし、つい今しがたの緊張をはるかに上回って彼女を戦慄させた。
「――――シロウ」
◇
明智健吾は、映写室の高みからそれを見守ることしか出来なかった。
いや、側にいたねねねすら何も出来なかったのだ。たとえ自分が下にいたとしても、何も出来なかったろう。
……そう、それは本当に一瞬の事だったのだ。
映写機器にガジェットドローンを接続し、スクリーンに画像が映し出されたのを確認して二人の姿を見つめなおしたその瞬間。
突然観客席からイリヤが立ち上がるなり、一心不乱に劇場の外へと駆け出したのだ。
「バカな! 何を――――」
言いかけ、明智はすぐに平常心を取り戻す。
「――――く、」
無駄口を叩く暇はない。
即座に明智は映写室を飛び出し、階下、入り口を目指す。
と、
「あんたも気付いたか! はやく、あの子を追わないと!」
「菫川先生! 彼女は一体、」
「ああもう、時間が惜しいな!
あの子の家族がいたんだよ、あの機械に。
でもヤバイ、そいつの連れがあまりにもやばすぎる相手なんだ!
あんたにも見せたろ、警戒者リスト!
そん中の殺人鬼――――ラッド・ルッソだ!」
殺人鬼。
その言葉を聞き、明智は事態を即座に理解する。
同時、警視庁の刑事として、即座になすべき事を見出した。
犯罪者を捕らえる。
幾度となく逃した相手、高遠遙一の顔が脳裏に浮かぶ。
犯罪芸術家を自称する悪魔。
そういう連中の毒牙に、イリヤスフィールをかけるわけにはいかないのだ。
普段の冷静さからは想像も出来ないほどの正義感が、明智を昂らせる。
だが――――
「急ぐぞ、イリヤを止めなきゃ!」
興奮したねねね。その息遣いが逆に明智を冷静にさせた。
映画館の外に走りながらも、思考をフル回転させる。
――――イリヤの探し人については、彼女自身から情報を手に入れた。
どう考えても殺戮には走らない、非常に正義感の強い人物であったはずだ。
ねねねや自分の持つリストもそれを裏付ける。
特に、自分のリストには『自称正義の味方』などという蔑称なのだか尊称なのだかよく分からない二つ名までついていた。
そんな人物が、危険な殺人鬼と共に行動するだろうか?
たしかにラッド・ルッソは危険な人物ではあるだろう。
だがしかし、現時点において、会った瞬間に危害を加えられる可能性はあるだろうか。
……答えは否とは言えないにしても、低い。
何故ならば、イリヤの探し人――――衛宮士郎の人格を考えれば明らかだ。
正義の味方を名乗るような人間が、殺戮を許しはしないだろう。
にも関わらず同行しているという事は、無差別な殺人をしている訳ではない可能性が高い。
あくまでも、ねねねの持つリストは所業や能力のみを記したものであり、その人物がどんな人となりをしているかまでは分からないのだ。
むしろ、自分の持つリストの方が性格に関しては深く書かれているかもしれない。
ラッド・ルッソの項に書かれていた記述を思い出す。
“自身を死なないと思っている人間を殺すのが何よりも楽しい”
――――確か、そんな事を書かれていたはずだ。
あの高遠遙一とは違う異常性。
だが――――
「……話が通じない人間ではなさそうです」
話し合いの余地がある。
それだけでも十分、仲間にする、少なくともそれを試みる価値はあるだろう。
殺人鬼というと無差別に殺戮を繰り返す暴力の塊と思われがちだが、実際は非常に高度な知能を持っている場合が多い。
明智の友人、金田一一と同じくIQ180と言われたテッド・バンディ、天才株式投機家ゲイリー・ハイドニックらシリアルキラー。
彼らが大量に殺人を犯せるのは、むしろその頭脳があったからこそ。
警察機構の発達した近代以降においてなお、その網をすり抜けられる程の知性の賜物なのである。
衛宮士郎と行動しているなら、この殺人ゲームに乗った可能性は高くはない。
少なくとも、彼自身は殺す対象を入念に選ぶタイプであるはずだ。
もちろん明智の信念に反する行為ではある。
刑事として、殺人を容認する訳には行かないのだ。
だが、それでも――――
「……背に腹は変えられませんね」
このバトルロワイアルと言う状況下が既に異常なのだ。
掴める物なら藁でも掴んだ方がいい。
少なくとも、衛宮士郎は敵にはならないだろう。
飛行機械も持つ彼らは、戦力としても是非仲間に加えたい。
……だがしかし、これらはあくまでも
『衛宮士郎とラッド・ルッソが共に行動している』
と言う状況証拠からの推測に過ぎないのだ。
仮に衛宮士郎が、何らかの手段で洗脳され、ラッドに付き従っているとしたらどうだろう。
その場合、ラッドが主催者に乗っている可能性は捨てきれない。
不安要素は他にもいくらでもある。
だがそれでも、明智はリスクよりもリターンを得ることを選択した。
それ以上に昂るのは、彼の自尊心、否、義憤だ。
あの小さな子一人守れないようで、何が刑事だろうか!
このゲームから脱出するために、一つでも可能性を減らさない為に。
たとえ殺人鬼であろうとも、同胞として御しきってみせようと。
……この決断が何をもたらすのかは、まだ誰も知ることはない。
走り出してどれだけ経ったろうか。
ようやくイリヤの背を見つけた、その先にいたのは映像通りの姿の二人であり――――
◇ ◇ ◇
時は少し遡る。
フラップターを駆り、先刻の死地の上空に向かって数十分。
ロイドから預かった支給品一式をラッドから渡され、傷の手当と食事を取った士郎は、ラッドと市街地跡に向かっていた。
悟られないようにする為に未だに煙の立ち込める中央部に直接向かうことはぜず、
あえて北側から回り込むことで行きと違う道程を選んだ彼らは、鴇羽舞衣を遠目から偵察する予定だった。
鴇羽舞衣はすぐ見つかった。見つかった事は見つかったのだが。
「おいおいおいおい、やべえ。やべえな。
やばい、ヤバイよヤバイヤバイヤバイヤバイ。
なになにまだまだ殺しあってんの? すげえ体力だなおい、って、よく見りゃあれはあの糞ジジィじゃねえか!
舞衣ちゃんも揃ってなんつーメインディッシュだよオイ!
よし決めた、殺す。すぐ殺す。
丁度いいじゃねえか、あそこで殺しあってる3人は、俺に殺される事は全く想定してないだろうなあ!
楽しいだろな、楽しいだろうなあ!
目の前しか見えてない連中が、自分がちぃーーーーーーーーっとも考えてない方向から、
思ってもない人間から殺されるってのはよぉ!
自分を殺すとしたら今戦ってる相手だ、そう思い込んでるんだろうなあ奴らは!
そいつらにとって、予期しない死因ってのはどう感じるものなんだろうな、まあ俺な訳だが。
ヒャァハハハハハハハハハハハハハハハハ! ハハハハハハハハハハハハッハハハハハッ!!」
彼らが見たものは、東方不敗と舞衣、そしてDボゥイの戦闘だった。
その中の二人、舞衣と東方不敗に因縁のあるラッドはその姿を目に入れた瞬間、いきなりテンションを最大値まで上げたのだ。
先刻までの頭脳明晰さとの落差。
そこに、得体の知れない感情を抱きながらも、衛宮士郎は怯まない。
「くそ、オイ、落ち着けラッド。
戦力が集まるまで仕掛けないって言ったのはお前じゃないかよ、さすがに分が悪い!」
ここは、先ほどのままだ。
ついさっきまで生きていた人間が死に、そして二度と戻らない。
破壊の限りを尽くされた建物と同じく、朽ちて滅ぶだけだ。
自分を助けてくれた命は確かにあったというのに、それすらも忘れられていく。
衛宮士郎の脳裏にロイドの最後の言葉が浮かぶ。
“君の理想は立派だ。だがそれは、現実を受け入れず駄々捏ねるだけで掴める理想なのかい?”
確かに、自分はあの戦闘を止めたい。今すぐにでも飛び込んで行きたい。
だがしかし、今の自分達の戦力でどうにかできるとは思えない。
特にあの老人は――――桁が違う。
鴇羽舞衣一人なら、まだ説得できると思った。相手も消耗しているからだ。
だが戦闘中に割り込む危険性はその比ではない。
ラッドと二人で相対しても勝てるかも分からない老人に、その上更に二人を相手取る余裕はない。
“君は軍人ではないし、彼とも違う。だけど君が正義の側に立とうとするなら――生きて、理想を貫くことだ”
ラッドが異常にハイになっている分、自分がしっかりしなくてはいけない。
……人を殺す歓喜。そんなものは分からないし、分かりたくもない。
けど、他に分かることがある。ここであそこに向かえばラッドの命すらも危ない。
たとえこんな狂った人間であっても、衛宮士郎は死なせたくないと思う。
正義の味方になる、それを捨てるわけではない。絶対にこの殺し合いを止め、被害者を出させない。
その気持ちに偽りはなく、ラッドだって舞衣だって救いたい。
だが、しかし――――
“わかったら行きなさい。行って、君が信じるべきことをやればいい。あと、もう一つ”
それでも、だからこそ、今自分がここで倒れてはいけないのだ。
ロイドの想いを受け取り、それでいて犬死にしたら一体彼は何の為に死んだのか。
確かに自分の命よりも誰かを救えないのは嫌だ。
ならば、ロイドに、そして、いつかのあの大災害で誰かに救ってもらった命は、どのように使うべきなのか。
気付く。ラッドはある意味、自分と同じだ。
死なないと思っている人を殺すという信念の為なら、自分の事など惜しくはない。
内実の違いはどうあれ、そのスタンスは自分とそっくりだ。
――――自分と良く似た狂人を見ることで、初めて衛宮士郎はその事実に愕然とする。
救うべき命が、現状を全く見ずに死地へと向かう。
こんな事を見過ごさせるためにロイドは命を落としたというのだろうか?
“命を捨てて理想を貫くなんて、そんな矛盾は抱えちゃいけない。矛盾は君を殺すよ。ふふふ……だから、行きなさい”
救ってもらった命の無駄遣いは、救ってくれた人への冒涜だ。
……だから、衛宮士郎は現実を受け止める。
理想を捨てはせず、しかし振り回されることなく。
現実を足場とし、輝くソレに手を届かせる為に。
「……今は、退こうラッド。まずは体勢を整えてから……だ」
震える手で、しかし力を込めてラッドの肩を掴む。
敢えて、衛宮士郎はここを離脱することを選んだのだ。
今は届かなくとも、いずれ誰も彼をも救えるようになるために。
ロイドの言葉は衛宮士郎の信念を揺るがすには至らなかった。
彼は相変わらず理想に準じ、その為ならば自分の命など計算に入れないだろう。
だが、その姿勢を変える事はできたのだ。
現実を踏みしめ、何をすれば誰かを救えるのか。
足下を調べ、どのように進むべきか、それを衛宮士郎は知った。
勿論悔恨は残る。
ここで彼らを放っておいたらどうなるのか、ソレを考えるだけで心が張り裂けそうになる。
だが、力なき正義は無力だ。
先刻ラッドとの会話で述べたように、ラッドの仲間と合流してから。
どういう行動をするにせよ、そちらの方が明らかに勝算は高い。
現実を受け入れず、駄々を捏ねるのはこれで終わりだ。
ロイドは言った。
命を捨てて理想に準ずるのではなく、生きて理想を貫けと。
ゼロに等しい自殺行為よりも、より多くの人を助けられる可能性を。
故に――――
自分の命の為ではなく、いつかの自分が助けられる数多くの人たちのために。
疲労困憊な自分達は、ここで戦いに行っても無意味なのだと、その判断を刃として。
今にも戦いの最中に飛び込んでいきそうな体に理屈と判断を無理矢理刻み込む。
「……市街地中心を迂回できるか? あの戦場には突っ込まないように」
(――――変わった?)
士郎の台詞に何となく違和感を感じて振り返ったラッドは、テンションを急降下させる。
そこに居たのは紛れもなく衛宮士郎だ。だが、先刻までの彼とは何かが違う。
その顔に浮かぶ決意はなんなのか。
ラッドにその心中を知る術はないが、ロイドの死を踏まえた上で、再度戦場に訪れたことで何かを得たのだろうと推察は出来る。
ここは、どうしようもない現実なのだと。無慈悲な殺戮が横行する場所であるのだと。
何にせよ、目の前が見えていない甘ちゃんよりは現実に即した判断の出来る理想家の方が頼りにはなる。
連中を殺す気満々ではいたものの、冷めたテンションで考えてみれば今突っ込んでもロクな結果にはならないだろう。
即座に判断を切り替えられるのが彼の強みだ。
地図を取り出し、進路と目的地の位置を確認、ルートを算出する。
現在位置はC-6北部。C-7北東部、ヨーコの遺体が残され、清麿たちと別れた場所から真西に来たところだ。
目的の総合病院は南南西に存在する。
まっすぐ進めば戦場にぶち当たる為、そこを迂回するには現在の進路からしてC-5経由で進むのがいいだろう。
「……わーった、わーったよ。まあ、元々頭数揃えてからっつー話だったしな。
OK、いったんあっちの映画館の方回りこんでから病院行くが、構わねぇよな」
「……ああ。仲間を連れて、戻ってくるんだ。……必ず」
――――そして、この決意が一つの奇跡を呼び寄せる。
数多くいる参加者の内の、ただ一人のちっぽけな変化。
ソレを祝福するかのように、小さな小さな、しかし彼らにとっては何より大きな再会を。
◇ ◇ ◇
ハッ、ハッ、ハッ、ハッ――――
息が切れる。
だけど、足は止まらない。
こんなに走ったことがあったろうか。
あの雪の黒き森で。あの街で。そして、この戦場で。
会いたい。
ただただ、会いたい。
ソレを思って生き延びてきた。
辛いことがあった。
トモダチを、失った。
だけど、それでも会えると信じてきた。生きていることを願ってた。
小さな体躯で転びそうになっても、それでも走り続ける。
もし会えたのなら、話したいことがいっぱいある。
こんなところに連れてこられた恨み辛みを聞いてもらいたい。
いつもの様に遊んで、楽しい話をいっぱいしたい。
鉄のような、無敵のトモダチと仲良くなれたことを伝えたい。
他にも、他にも、他にも――――
少女は駆ける。映画館を飛び出し、廃墟と化した町が見えてもその足を止めない。
ソラに何かが飛んでいる。
なんだろう。
ううん、ソレが何かは分かっている。
嬉しくて、泣きそうになって、心が溢れて考えるものも考えられなくなっただけ。
でもそれはココロに残っている。
その人の、名前。
――――ああ、どこかの世界でこんなことがあったのかもしれない。
その世界では、その人が何もかもを守る為に、何もかもを失ってしまうの。
自分自身でさえも、一番大切な人を守る為に。
だけど、わたしはソレがいやでいやで。その人に生きて欲しかったから、わたしが代わりになるの。
ぱたんってトビラを閉じて、二度と会えなくなるけど、それでも生きていて欲しかった。
……ああ、その時は、何もかも思い出せないはずのその人が、最後にわたしの名前を呼んでくれたっけ。
こんどはわたしの番だよ、ね、■■ウ?
もうすぐ、もうすぐだ。シ■■があのソラにいる。
大声で呼ぼう、きっと届く。
■ロ■。
シロ■。
シ■ウ!
■ロウ!
「――――シロウ――――!」
思いっきり叫んだら、あたまがくらくらする。
ここまではしってきたから、いきもぜいぜい。
その場に倒れこんで、地面に手をつく。
マッハキャリバーのおかげで動きやすい服だけど、それでも辛い。
太陽が暑い。座り込んで、うつむいたわたしの上に影が射した。
……光が来ないから寒くなるはずなのに、何でかとってもあったかい。
顔が見たい。だけど、嬉しいはずなのにちょっと怖い。
安心したからかな、なんか涙が出てきそう。
手のひらを目にあてて涙を拭おうとしたら、その前に大きな手でそれをされちゃった。
その大きな手はわたしの背中に手を回して、ぎゅっと抱きしめてくれる。
そして、震える声で、わたしの名前を呼んでくれた。
「……イリヤ。イリヤ……っ。生きて……たんだな、イリヤ……!」
へんなの。わたしよりずっと大きいのに、ずっとたくさん泣いている。
……こんな時にはどうしたらいいんだろう。
こたえはかんたんだ。おねえちゃんは、おとうとをまもらなきゃいけないんだよ。
ぎゅっとだきしめかえして、あんしんさせてあげるんだ。
いっぱいいっぱいいいたいことはあるけれど、きっとこんなところでいうことじゃないけど。
それでもわたしは、こういった。
「――――ただいま、シロウ」
きがついたら、わたしもなみだでぐちょぐちょだった。
◇
「……で、どうするよそちらのお二人さんよぉ。
殺りあうってんなら構わねえがよ、どうもそういう雰囲気じゃねえだろ。
つーか、もともと殺るつもりもねぇみたいだな」
「……そうですね。出来る限り平和裏に行きたい所です。
彼女を殺さないという事は、あなたも殺し合いに乗ったわけではないんでしょう?」
映画館から東に数百メートル。
市街地跡からもさほど離れていないその場所には着陸した飛行機械といくつかの人影を見ることが出来た。
姉弟であり、兄妹である二人の再会の影で対峙するのは二組。
連れの仲間の再開にすっかり殺意を削がれたラッドと、冷静なままの明智にラッドの落ち着きに面食らうねねねという組み合わせだ。
自分の中の殺人鬼像とは異なるラッドの姿に、てっきり有象無象の区別なく襲い掛かられると思っていたねねねは疑問を漏らす
「……あんた、殺人鬼だって言う話を聞いたんだけど、あんなに隙だらけなあの子をどうしてすぐに殺さないんだ?
わたしにはそれが疑問なんだけど」
「――――あまり彼を挑発するような言動は慎んでください、菫川先生。
……うまくすれば、彼に協力してもらえるんですから」
「ちょ、おい、協力ってどういう、」
「ストップ、ここは私に任せてください。……あなたにとっても悪い話じゃないはずですよ?
――――ラッド・ルッソ氏」
何気なく、本当に何気なく呟かれた自分の名前。
それにラッドは敏感に反応し、即座に口元を歪める。愉悦の形に。
「へぇ、ようく知ってやがるじゃねえかよ。……少し興味が湧いた。
……何が目的だ?」
「そうですね。できれば、この殺し合い自体を止める方向性で同行を願えないかと。
もちろん、あなたの今の目的である『殺し合いに乗った人々を殺す』という方針は変えないで頂いて結構です」
「……!」
ねねねは明智の台詞に驚愕する。
殺人鬼を仲間入りさせる、というその行為の危険性を、刑事である彼が判らないはずがない。
なのに何故、そんな行為をするのだろう。
一瞬、ねねねは実力行使に出ようかとも考えたが――――、
しかし、二つの理由でそれを思い止める。
一つはラッド・ルッソの危険性。
今ここで彼を刺激すれば、平穏な今の状態がいつ崩れるとも限らない。
眠れる獅子を起こす必要はどこにもないのだ。
そしてもう一つは、あそこまで慎重であった明智がいつになく積極性を見せている点。
明智の機転の良さは映画館で身にしみている。
その彼がおそらく勝負に出ているのだ。少なくとも、何らかの得るものはあるはず。
今はここは彼に任せ、よほどの事がない限り口や手を出すべきでは無いだろう。
……たとえ、腑に落ちない事柄が幾つもあったとしても。
そう判断したねねねは、ひとまず明智に全てを任せることにする。
…………頼む。
アイコンタクトが通じる仲とも思えないが、ねねねは一歩下がってその意を明智に伝えた。
心中に気付いているのかいないのか。明智は軽く頷き、あらためてラッドに向き直る。
「……さて、どうでしょうか? ルッソ氏」
平然としたような佇まいとは裏腹に、明智の内心は緊張に満ち満ちていた。
刑事としての直感が、ラッドの犯罪者としての格は高遠に匹敵すると告げている。
ここまで生き残っているというその事実が何よりの証明だ。
満身創痍な衛宮士郎とは対照的に、彼自身は傷一つ負っていない。
フェンシングなどでの身体能力にも多少の自信を持つ明智だからこそ分かる。
目の前の男は相当の実力者だと。
既に手札は切った。
ラッドの名前を出すことで、相手の持ちえない情報源があることを示し、利害の一致を強調する。
その意図が伝わらないほど馬鹿ではないと明智は考える。
そして、ラッドの行動目的を述べることで、それを更に一歩推し進めた。
もっともラッドの目的に関してはハッタリでしかない。
ラッド・ルッソと衛宮士郎が共に行動するに当たって、利害の矛盾しない選択肢を考えた時にそれに行き着いただけのこと。
先刻の推論を発展させただけの、状況証拠による推測でしかない。
だが、明智はそれに賭けた。
それこそ、この賭けに敗れれば死んでも構わないという強い決意を持って。
ポーカーと同じだ。
ブラフであろうが、それを突き通せさえすればいいのだ。
強い意志を持って、明智とラッドは、刑事と殺人狂は視線を交わらせる。
……どれだけの時が経ったろうか。
先に言葉を発したのは、
「……ああくそ、つまんねぇなあオイ!」
――――殺人狂の方だった。
その返答に、明智は落胆し、ねねねはわずかに怯えたが――――、
「自分たちだけが情報を握ってる! 俺たちは誰よりも有利だ! 俺たちが負けるはずはない!
……んな事を考えてるんじゃねぇかって思ったが、その目……しっかり死を覚悟してやがるな。
そっちの姉ちゃんも、ちゃんと死を怖がってやがる。
まったく、バトルロワイアルなんて環境だからかイカレた人間ばかり集まってやがるからかしらねえが、
こっちに来てから会うヤツ会うヤツどいつもこいつも死を意識してやがって殺しても面白くねぇ。
最初に思ったよりも存外つまんねえイベントっぽいし、いいぜ、話だけでも効いてやらあ」
ヒャハハハハハハと笑うラッドに明智は負けじと心底から微笑を返す。
明智は賭けに勝った。その安堵が意識せずに漏れ出したのだ。
もしかしたらハッタリは見抜かれたかもしれないが、しかしどうやら殺害対象とは認められなかったようである。
内心一息つきながらも、明智はこれからどうすべきかを冷静に考える。
……まずは情報交換だ。続いてすべきは仲間への勧誘。
その後は予定通り夜間探索、もしくは戦力の温存も考えて朝方の出発。
そして、博物館の探索も必要だろう。
何にせよ、生き延びることが先決ではあるが。
「……ああ、そうだ」
パチンと手を鳴らすラッド。
明智がそちらの方向を向いてみれば、にやりと口元を半月状にしている。
「殺し合いをブッ潰すって目的だがな。俺のはぐれた仲間が似たような事を言ってやがった。
まだ放送はされてねえから生きてるだろうし、もし会えたならアンタらの味方になると思うぜ?
つーか、今からそいつに会いに行くところだったんだよな。出来る限り早めにしてくれると助かる」
「……成程。それはあなた自身もこちらに好意的であると言う意味に捉えてもかまわないと?」
「さあてな。ま、俺は殺人鬼だが、仲間に対してはそれなりに義理を感じたりもするとは言っておくぜ?
少なくとも仲間を殺すような趣味は持ち合わせてねえしな。
ついでに言うなら、この殺し合いを仕掛けた野郎に大分ムカついてきてたとこだ」
そう言い、ラッドは衛宮士郎を一瞥する。
……配当はだいぶ大きかったようだ。
明智は今の台詞から、こちらのもつ『情報』というカードに対して、ラッドが『人員』というカードを提示したことを読み取った。
両者がテーブルにつくところまでは持って来れた訳だ。
明智もそちらを向くと、先ほどと同じく士郎はイリヤとなにやら話し込んだままだ。
最初こそ聞き取ろうとしたものの、その内容が道場がどうのこうのだとか
タイガーに改造だとかいう支離滅裂なものなので別段重要だとは思えず、気にしないことにしていた。
積もる話もあるだろう。だが、それは自分にはあまり関係ない。
……何せ、本題はこれからなのだ。
あの様子では衛宮士郎はおそらく仲間になってくれるだろう。
問題はラッド・ルッソだ。
ひとまずは好感触だが、やはり彼の存在は危険だ。
しかし飛行戦力の魅力はそれを上回って余りある。仲間にする意義は大きい。
そもそも、こちらはまともな戦力を保有しているとさえ言いがたいのだ。
成人男性なら十分に頼る事はできるだろう。
仮に想像以上に厄介な人間だとしても、最悪、一人で行動してもらえばすむ。
イリヤがこちらにいる以上、士郎がこちらにつく、即ちラッドが一人になる公算は十分だ。
だが、彼の仲間も主催者に対抗すべく動いているのなら、自分達との潤滑油となってくれるだろう。
余計な敵を増やす必要はなく、彼とは最低でも友好関係は保っておきたいところだ。
「ありがたいですね。……では、さほど時間は取らせませんから、少し場所を移動しましょう。
こんなところで話し込むよりもよほど安全でしょうから」
明智はそう言うと、映画館へと足を進める。
他の面子も、どうやらついてきてくれているようだ。
自分、ねねね、イリヤ、士郎、ラッド。
そして不確定要素ではあるが、ラッドの仲間という人間。
はたして、これらの面子をどう纏め、どう動くべきなのか。
明智健吾は戻る間ずっと、そして、映画館に入ってドアを閉めてからも、それを練り続けていた。
異なる世界の人間達に交渉し、戦いを治め、一つの目標の元に集い生き抜く方法を。
【C-5・映画館/一日目・午後〜夕方】
【ラッド・ルッソ@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:健康
[装備]:フラップター@天空の城ラピュタ
[道具]:支給品一式(一食分消費)、ファイティングナイフ、超電導ライフル@天元突破グレンラガン(超電導ライフル専用弾5/5)
ニードルガン(残弾10/10)@コードギアス 反逆のルルーシュ、携帯電話、閃光弾×1
[思考]
基本方針:自分は死なないと思っている人間を殺して殺して殺しまくる(螺旋王含む)
0:明智たちとの情報交換。少なくともまだ殺すつもりはない。
1:病院に行ってジン、清麿と合流。双方が望むなら明智たちの所へ連れてきてもいい。
2:東方不敗と鴇羽舞衣の所に戻ってぶち殺す。
3:清麿の邪魔者=ゲームに乗った参加者を重点的に殺す。
4:基本方針に当てはまらない人間も状況によって殺す。
5:覚悟のある人間ばかりなので面白くないから螺旋王もぶっ殺す。
※フラップターの操縦ができるようになりました。
※ソルテッカマンを着込む際、ロイドの荷物を預かりました。
※明智たちの仲間になってはいないものの、友好関係を築く意思はあるようです。
【携帯電話】
@全参加者の画像データ閲覧可能。
A地図にのっている特定の場所への電話番号が記録されている(どの施設の番号が登録されているのかは不明)。
全参加者の現在位置表示システム搭載。ただしパスワード解除必須。現在判明したのはロイドと舞衣の位置のみ。
パスワードは参加者に最初に支給されていたランダムアイテムの『正式名称』。複数回答の可能性あり?
それ以外の機能に関しては詳細不明。
【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:疲労(中)、腹部、頭部を強打、左肩に銃創(処置済み)、軽い貧血、精神疲労(中)
[装備]:クラールヴィント@リリカルなのはStrikerS、バリアジャケット
[道具]:支給品一式(一食分消費)、レガートの金属糸@トライガン
[思考]
基本方針:何があってもイリヤを守り抜き、これ以上犠牲者を出さない。
1:イリヤが無事で本当によかった。
2:ラッドが仲間と合流しだい、鴇羽舞衣を止める。
3:できる限り悪人でも救いたい(改心させたい)が、やむを得ない場合は――
4:18:00に図書館へ行く
5:病院にいるというラッドの仲間と合流。
※投影した剣は放っておいても30分ほどで消えます。
真名解放などをした場合は、その瞬間に消えます。
※本編終了後から参戦。
※チェスに軽度の不信感を持っています
※なつきの仮説を何処まで信用しているかは不明
※ロイドの支給品一式を受け取りました。その後、食事によって多少疲労が軽減したようです。
※レガートの金属糸をフラップターから回収しました。
※ある程度現実的思考になりました。
明らかに自分が役立たずだったり、犬死にするようなケースでは冷静になれるようです(精神的にダメージがあります)。
【チーム:戦術交渉部隊】
[共通思考]1:各種リスト、便利アイテムを利用した豊富な情報量による仲間の選別及び勧誘。
2:基本的には交渉で慎重に。実力行使も場合によっては行う。
3:首輪の解析・解除が可能な者を探す。
4:主催者の打倒・ゲームからの脱出。
【明智健吾@金田一少年の事件簿】
[状態]:右肩に裂傷(応急手当済み)、上着喪失
[装備]:レミントンM700(弾数3)、フィーロのナイフ@BACCANO バッカーノ!
[道具]:支給品一式×2(一食分消費)、ジャン・ハボックの煙草(残り16本)@鋼の錬金術師、参加者詳細名簿
予備カートリッジ8、ダイヤグラムのコピー、首輪(キャロ)、ガジェットドローン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[思考]
基本思考:犯罪芸術家「高遠遙一」の確保。ゲームからの脱出。
0:ラッドたちとの情報交換。
1:ラッド・ルッソの説得、及び彼の仲間の勧誘。
2:首輪を調べる。ただし不安要素が多いため解体作業には着手しない。
3:明日の朝方か、もしくは夜間行動するに十分な戦力が整うまで映画館に待機。
4:ゲームに乗っていない人間を探しつつ施設を回る。
5:金田一等仲間の知人を探す。
6:明日の正午以降に博物館の先に進む。信頼できる人物にはこのことを伝える。
[備考]
※リリカルなのはの世界の魔法の原理について把握しました。
※ガジェットドローンは映写室に繋いだ時点でいったん命令がキャンセルされています。
再度偵察に出すかどうかは未定です。
※衛宮士郎が仲間になるのはほぼ確実と見る反面、ラッドがどう動くかは測りかねています。
【菫川ねねね@R.O.D(シリーズ)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(一食分消費)、詳細名簿+@アニロワオリジナル、手書きの警戒者リスト
:ボン太君のぬいぐるみ@らき☆すた、『フルメタル・パニック!』全巻セット@らき☆すた(『戦うボーイ・ミーツ・ガール』はフォルゴレのサイン付き)
[思考]:
1:おいおい、イリヤの兄貴はともかくラッドは大丈夫なのか?
2:明日の朝方か、もしくは夜間行動するに十分な戦力が整うまで映画館に待機。
3:図書館に行く。誰も見つけられなければ本がある場所へ(しばらく保留)
4:読子等仲間の知人を探す。
5:詳細名簿を参照に、危険人物、及び死亡者の知り合いを警戒する
6:柊かがみに出会ったら、ボン太くんのぬいぐるみと『フルメタル・パニック!』全巻セットを返却する。
7:読子が本当に自分の知る人物なのか確かめる。※
最終行動方針:打倒タコハゲ
[備考]:
※詳細名簿+はアニタと読子のページだけ破り取られています。
※詳細名簿+の情報から、参加者それぞれに先入観を抱いている可能性があります。
※殺人鬼であるラッドと、それを勧誘する明智に軽度の不信感を抱いています。
※思考7、パラレルワールド説について。
富士見書房という自分が知り得ない日本の出版社の存在から、単純な異世界だけではなく、パラレルワールドの概念を考慮しています。
例えば、柊かがみは同じ日本人だとしても、ねねねの世界には存在しない富士見書房の存在する日本に住んでいるようなので、
ねねねの住む日本とは別の日本、即ちパラレルワールドの住人である可能性が高い、と考えています。
この理論の延長で、会場内にいる読子やアニタも、ひょっとしたらねねねとは面識のないパラレルワールドの住人ではないかと考えています。
イリヤと士郎の再会により、自分の知る人物がやはり同じ世界の住人ではないかと疑い始めました。
[状態]:健康
[装備]:マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、バリアジャケット
[道具]:支給品一式(一食分消費)、ヴァルセーレの剣@金色のガッシュベル、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル、支給品リスト@アニロワオリジナル
[思考]:
基本行動方針:シロウと一緒にゲームを脱出!
0:シロウに会えた、よかった……。
1:絶対にシロウを守り抜く。
2:マッハキャリバーからベルカ式魔法について教わる。
3:明日の朝方か、もしくは夜間行動するに十分な戦力が整うまで映画館に待機。
4:仲間の知人を探す。
5:放送で呼ばれた死亡者の知り合いを警戒する。
[備考]:
※フォルゴレの歌(イリヤばーじょん)を教えてもらいました(イリヤ向けに簡単にしてあります)。
※チチをもげ!(バックコーラスばーじょん)を教えてもらいました(その時にチチをもげ!を完璧に覚えてしまいました)。
※バリアジャケットが展開できるようになりました(体操着とブルマ)。
とっととこの糞SS削除依頼だしとけよ
だな
ムダに文章が臭えwwwwwwwwwww
死ねばいいのに
無予約ですが、ジン、ニア、ビクトリーム、マタタビ投下します。
「One by one, I join together and draw the mosaic fragments♪
And also the encounters and partings that you gave me ……」
空のガレージが出戻り娘を慰め、落胆の空焚き(アイドリング)が巣を軋ませている。
連れ子の運転手は哀歌を口ずさみ、母のキーを外して場を静まらせる。
「このぽっかり空いた心の隙間にセメント流し込みたいね……あーあ。
全速力で向かったのに、全力でラッドを見逃しちゃったよ」
自ら約束をすっぽかす宣言をした少年は因果応報をくらう。当然のこと。
自分から病院に来い、といったのだからラッド達が消防署にいつまでもいるはずがない。
予測はしていたが、的中はしてほしくなかった空回り。
「お前もそろそろ職務を全うしたいよな?」
消防車のハンドルをノックし、ジンはエンジンをかける。
まだ終わりではない。振り返れば、スタートラインはそこにあるのだから。
未だ進んじゃいない道を目指して、彼は再びいびつになった消防車を走らせる。
「救命地区が葬礼特区にならぬよう……行きますか! 」
行き先は炎燃え盛る南。
大火の余熱と夕日の視線がただでさえ赤い消防車を日焼けさせる。
そのコントラストは綺麗。車体が凸凹しているのが逆にいい形で目立たせているようだ。
娘がくれるのは「出逢い」と「別れ」。
拾い集めるのは 「夢」と「処世術」。
■ ■ ■
「ビクトリームさん、大丈夫ですか? 」
「おおっとそれ以上近づくなよォ? いいか、私から、少しづつ、離れてくれィ」
両手の掌を前に出しながら、ビクトリームは脂汗を垂らしている。
決して自分の目の前にいる少女を恐れているわけではない。
彼はニアの両手のゆりかごに抱きしめられている猫を恐れているのだ。
昼過ぎにトンネルに入っていった不気味な集団の奇行を、彼はまだ忘れていない。
制服女、全裸男、そしてコイツが――共に行動していたメタリックな猫に襲い掛かったことを。
しかし気づいてみれば、ニアが気絶している猫を拾い上げて、彼の所に持ってきてしまっていた。
ビクトリームは焦った。
とっととニアを見捨てて逃げても良かったのだが、彼女は自分のボディを開放してくれた恩人でもある。
とはいえここで猫の正体をばらすと、万が一猫が死んだフリをしていたとすれば襲われかねない。
迷った末に彼は沈黙を選ぶことにした。できるだけ距離をとって。
「この猫さん、一体何があったんでしょう? 」
「この私にわかるはずがないだろォう」
もう何度になるかわからないやり取りに、ビクトリームは舌打ちをする。
自分たちが遭遇していないので、トラ猫を傷つけた犯人が戦闘跡地から南に進んだことと、
トラ猫と一緒にいたはずの2人組の男女も、仲間割れをしたのかどこかへ行ってしまったこと、それ位しか目星がつかないからだ。
そして彼が苛立つ理由はもう一つある。
「なぁ、このまま古墳に戻るんだろィ」
「はい、そうですね。ドーラおば様に“自分が来るまではそこにいろ”と言いつけられましたから」
「この俺様はさっさとグラサン・ジャックを探したいわけよ」
そう、ビクトリームはグラサン・ジャックことカミナを見つけなければならない。
原因はさっぱりわからないが、モヒカン・エース亡き(?)今、自分の魔本を使えるのは彼しかいない。
なんとかして彼との仲を修復、せめてマグルガが撃てるまでの関係にしたい。
顔を知らないのに知り合いと言い張るニアが、一役買ってくれるかもしれないと踏みとどまっていたが、彼には納得がいかなかった。
「ぶっちゃけさァ、本当に大丈夫だと思ってる? 」
「ぶっちゃけって何ですか?」
「そのドーラってばーさんはそんなに強ェのか? 」
「はい。とても優しい方で、尊敬できて、一緒にいると、まるで暖炉のように暖かい気持ちになれます。まるで私の……」
「それは最初に話した時に聞いたろィ。話が逸れち……まぁいい。ついでに聞いとくか。
そいつはお前ェさんの、その……パートナーってやつなのか? 」
「パートナーって何ですか? 大切な人のことですか? 」
「……気にすんな。さっさと先へ急ごう」
首をかしげるニアを無視してビクトリームはそれ以上話さなかった。
彼が本当に聞きたかった事はそんなことではなかった。
自分の後ろで轟々と燃えるデパートにいるであろうドーラが、無事でいるとは思えなかったからだ。
最初の時よりも火の手は広がっていて、デパートの周辺の建物にまで燃え移っているし、時々爆発音も聞こえる。
そんな場所にいるただの人間が、本当に古墳までこれるのか。
だからこそ、彼はドーラは見捨てて、さっさとカミナを探しにいかないか、とニアに提案したかった。
しかし出来なかった。
ニアがドーラを語るときの顔が、重なって見えたのだ。
――テメエに……テメエなんかに……シモンの何が分かるってんだ!! ――
――『パートナー』を失いたくない気持ち……相手を思いやる気持ち……まだ、わからんのやね――
カミナと静留。
2人ともここで出会い、ビクトリームとは到底そりの合わない相手だった。
しかし彼らが顔を真っ赤にして説教をするほどの逆鱗に触れたことは彼も薄々理解し始めていた。
だから彼は、これまでの自分と同じようにニアにパートナーを馬鹿にすることを控えたのだった。
そんな打算のためにこの質問攻めにあっているのが、情けなく感じている自分。
他人に合わせて行動する行為を無駄と感じてる自分。
そして、それをそれとなく受け入れている自身の心境の変化をビクトリームは受け入れていた。
それが、人と人が付き合う上で欠かせない『思いやり』だということを彼はまだ気づいていない。
■ ■ ■
「Bon Couchr De Soleil!! ……いい日だね! 」
「ウオオオオオオ何者じゃァァァァテメェェェェ!! 」
「こんにちは! あなたはひょっとしてカミナさんですか?」
「俺が知らんと言うとるだろうがァァァァ!! 」
あたりがすっかり夕暮れになっていた頃、ジンとビクトリーム達は遭遇した。
ニアがカミナの話を出すと彼はヨーコの話で答え、ビクトリームが文句を言うとジンは清麿を話題に出した。
3人の間には明確な共同戦線とはいかないまでも……意気投合する程になっているようだ。
ジンとニアは車の座席で談笑し、ビクトリームも消防車にもたれて外の景色を眺めながら話に参加している。
「俺達をなぜ警戒もせずに話しかけたんだァ? 」
「道を歩く女の子のはとりあえず手を差し伸べろって相棒がうるさくてね。ま、ヤバけりゃヤバいで対応(エスコート)するし」
「そうやって格好ェつけちゃったりするとォ後で痛い目を見るぞォい? 」
「今回は大当たりだったんだからいいじゃないか。ね、お姫様」
「はい! ヨーコさんのお友達の方に出会えて嬉しいで――」
――――その時、デパートが光り輝いた。
■ ■ ■
「ぬぐオオォオオオオ目がァァァ目がァァァァァァ」
「大丈夫ですかビクトリームさん! 」
両目を押さえてもんどりうつビクトリームに、ニアが車を降りて駆け寄る。
その光は幸い彼女が顔を向いていた方向には指さなかったようだ。
(……っ!)
しかし彼女がその幸運を掴んだのは、他ならぬ王泥棒の日傘があったからこそ。
声に出してリアクションを取らなかったせいか、ニアには思いが伝わらなかったらしい。
(螺旋王に先越されちゃったね。一時的とはいえ俺から光を盗むなんて……やってくれるじゃん。
どうやらあんたはこのパーティ会場で、とことん俺のお株を奪いたいらしいね)
痛みに逆らってもしょうがないとしたのか、ジンは目を深く瞑った。
そして彼は考える。
螺旋王の娘と名乗る少女について。
彼女はヨーコとその知り合いの名前を知っていた。
だがヨーコから「ニア」という少女の話をジンは聞かされていなかった。
ジンは適当にニアに話を合わせたが、彼の心は完全に合わせてはいなかった。意気投合は表面のみ。
そしてジンはヨーコから聞いた話を思い出す。
自分たちは獣人、ひいては螺旋王と戦っているということを。
その螺旋王の娘が目の前にいる。
彼女は嘘をついているのか? なぜヨーコのことを知っているのか? 彼の疑念は絶えない。
(……おねーさんの知らない、おねーさんのお友達か。
清麿、ラッド、そっちはどうだい? こっちはとんでもない物を拾っちまったよ。
黒天鵞絨(ブラック・ベルベット)に包まれた特大の爆弾をね。秘密を覆う目の細かさは、モザイクどころの騒ぎじゃないぜ! )
運転席にジン、助手席には気絶したマタタビ、彼らから少し離れてニアとビクトリーム。
彼らはD-7のあぜ道でドーラの帰りを待っている。古墳にやってくるであろう老婆の帰りを待っている。
それが空回りになるとわかる放送まで、あとわずか。
【D-7/南東部/1日目/夕方】
【ジン@王ドロボウJING】
[状態]:消防車の運転席。小程度の疲労。全身にダメージ(包帯と湿布で処置)、左足と額を負傷(縫合済)、一時的な失明
[装備]:夜刀神@王ドロボウJING×2(1個は刃先が少し磨り減っている)
[道具]:支給品一式(食料、水半日分消費)、支給品一式
予告状のメモ、鈴木めぐみの消防車の運転マニュアル@サイボーグクロちゃん、清麿メモ
[思考]
基本:螺旋王の居場所を消防車に乗って捜索し、バトル・ロワイアル自体を止めさせ、楽しいパーティに差し替える。
1:ドーラの帰りを待つ。
2:ラッド、ガッシュ、技術者を探し、清麿の研究に協力する。
3:ニアに少し疑心暗鬼。
4:ヨーコの死を無駄にしないためにも、殺し合いを止める。
※清麿メモを通じて清麿の考察を知りました。
【ニア@天元突破グレンラガン】
[状態]:健康
[装備]:釘バット
[道具]:支給品一式 毒入りカプセル×3@金田一少年の事件簿
[思考]:
1.大丈夫ですか!?
2.古墳付近にて、ドーラ達が帰ってくるのをジン達と待つ。
3.ビクトリームに頼んでグラサン・ジャックさんに会わせてもらう。
4.シータを探す
5.お父様(ロージェノム)を止める
※テッペリン攻略前から呼ばれています。髪はショート。ダイグレンの調理主任の時期です。
※ドーラの知りうるラピュタの情報を得ました。
※ドーラとはぐれた場合には、D−8の古墳で落ち合う約束をしました。
※カミナに関して、だいぶ曲解した知識を与えられています。
※ジンとビクトリームと情報交換しましたが、ジンがニアを疑っていること(ヨーコがニアを知らない事実)を知りません。
【ビクトリーム@金色のガッシュベル!!】
[状態]:静留による大ダメージ、鼻を骨折、歯二本欠損、股間の紳士がボロボロ 目がァァァァァ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、CDラジカセ(『チチをもげ』のCD入り)、ランダム支給品2個(本人確認済み)、魔本
ベリーなメロン(3個)@金色のガッシュベル!!
[思考・状況]
1:メガァァァァァァァァァァ
2:ドーラとやらを待ってやるか(何なんだこの気持ちは……)。
3:パートナーの気持ち? 相手を思いやる?
4:吠え面書いてるであろう藤乃くぅんを笑いにデパートに行くのもまぁアリか…心配な訳じゃ無いぞ!?
5:カミナに対し、無意識の罪悪感。
6:F-1海岸線のメロン6個に未練。
[備考]
※参戦時期は、少なくとも石版から復活し、モヒカン・エースと出会った後。ガッシュ&清麿を知ってるようです。
※会場内での魔本の仕組み(耐火加工も)に気づいておらず、半ば本気でカミナの名前が原因だと思っています。
※モヒカン・エースはあきらめかけており、カミナに希望を見出しはじめています。
※静留と話し合ったせいか、さすがに名簿確認、支給品確認、地図確認は済ませた模様。お互いの世界の情報は少なくとも交換したようです。
※分離中の『頭』は、禁止エリアに入っても大丈夫のようです。 ただし、身体の扱い(禁止エリアでどうなるのか?など)は、次回以降の書き手さんにお任せします。
※変態トリオ(クレア、はやて、マタタビ)を危険人物と認識しました。また、六課の制服を着た人間も同じく危険人物と認識しています。
※ニアとジンにはマタタビの危険性について話していません。
【マタタビ@サイボーグクロちゃん】
[状態]:気絶、疲労(大)、重傷、ギアス(?)
[装備]:マタタビのマント@サイボーグクロちゃん
[道具]:なし
[思考]:0、……(エビルへの怒り)
※ギアスの効果が継続しているかどうかは不明。
※エビル(シンヤ)の本名は知りません。
投下完了しました。
なにこの駄文
ゆとりが書く文ですから
ここまで人の死に意味がないロワは初めてだな、1stは王道で燃える展開のに対してここは厨房が書いた落書きみたいなもんだな
そうか
モロにゆとり世代か
暗がりに沈んでいたシャマルの意識が回復したとき、その体は力なく地面に倒れ込んでいた。
「う…一体、何が……?」
記憶は、突如発生し自分達に襲い掛かった無数の飛来物に為すすべもなく悲鳴を挙げる自分の姿を最後に途切れている。
本当に意識を失っていたのかただ混乱していただけなのか、それさえも判然としないままゆっくり身を起こし、うめいた。
体のあちこちがずきずき痛むが幸い動かせない痛みではないし、頭痛のような危険な症状も見られない。
段々とはっきりとしてきた意識であの一瞬の攻撃の激しさを思い出してみれば、幸運と言う他はなかった。
まるで、何かが盾になってくれたかのように。
「ヴィラルさん!」
そこでシャマルは、目の前で全身を広げ仁王立ちをする男が真実盾となり自分の身を守ってくれていたのだということに気が付いた。
一気に意識が覚醒する。
「シャマル…気がついたか…」
襲いくる数々の凶器から身を呈しシャマルを守りきった男、ヴィラルは顔を曲げ苦しげに言った。その額には絶妙な角度で重たい、双眼鏡のような物体が乗っている。
「ヴィ、ヴィラルさん!?」
「ああ…これか。気にするな、大した傷じゃない」
すわ致命傷かと慌てふためくシャマルを尻目に、ヴィラルは何でもないことのように言うと頭を真っ直ぐに起こした。ごろんと双眼鏡らしきものが額から落下する。
「その辺で跳ねたやつが当たっただけだ。見た目程の威力はない」
「…そうですか。でも止血はしておきましょうね」
額から噴水のようにぴゅーぴゅー血を噴き出しているヴィラルに、シャマルは半分呆れつつも安心したように言った。
鉈一本での防御だったことを考えればシャマルを庇い動けなかったヴィラルが軽症で済んだことは驚異的と言えるが、左肩に走った切り傷だけは別だった。
刃物でもかすめたのか傷口からはかなりの量の血が流れ、下手をすれば化膿の危険もある。
「申し訳ありません…。私が足手まといなばっかりに…」
「気にするな。戦士が戦に向かん者を守るのは当然のことだ。こんなものは…ぐっ…傷のうちには入らん」
ペットボトルの水による簡単な消毒の後、シャマルは止血のために布地で傷口を覆うという応急処置を施していた。
痛みを痩せ我慢するヴィラルの様子は、この場にはいない仲間の姿を思い出させる。
しかし、今触れている硬くたくましい筋肉の感触は彼女達とは明らかに違う、汗に塗れた男のものだ。
男性相手の治療は慣れているはずなのに、妙にそのことを意識してしまうのを不思議に思いながら処置を続ける。
「回復魔法を使えば良かったんですけど…まだ、その、不安定でそう何度も使えなくて」
真実をぼかした内容に、シャマルの胸がずきりと僅かに痛んだ。
「気にするなと言っている。お前の判断は正しい。それよりも、これもマホウとやらの一種なのか?」
座して手当てを受けていたヴィラルが怪訝そうにぐるりと辺りを見渡した。二人の周囲には先程の攻撃の正体と思われる様々な物が散乱していた。
光の筋としか見えなかったそれらは、短剣や銃からマントに食料、果ては首輪などで構成された非常に種種雑多なものだった。
「こんな、ただ物を投げ付けるだけの魔法なんて…できなくはないかも知れないけど、聞いたことないし非効率だわ。多分、使われているのはもっと全然未知の力だと思う」
足元に落ちていた首輪を拾い上げながらシャマルは言った。「クロ」という名前が書かれている。外した形跡はない。恐らくは首を切り落とし無理やり奪い取ったのだろう。
自身の首輪を外す手がかりとするために。
「非効率か、ふん。癇癪を起こした子供が手当たり次第に物を投げるのと変わらんと言う訳だ。これがどのような技であれ、あの傷では逃げても長くはもたんだろう。溺れ死ぬか、陸にあがったところで無様にのたれ死ぬのがオチだ。
日が落ちれば螺旋王が直々に裏切り者の死を告げてくださる。喜べ、シャマル」
「ええ…ありがとう」
逃走を許したとはいえ、あの戦闘機人がもはや長くないであろうことはシャマルも異論はない。管理局の敵を撃破したことは、喜ばしいと言ってもいいだろう。
ただ、自分の言うことを少しも疑わずに喜んでくれるヴィラルの獰猛な笑顔に、ほんの少しだけ痛々しい思いを感じた。
処置を終えた二人は散乱する道具達を回収すると、当初の予定通り中心部を目指すことにした。
道具達はかなりの広範囲に渡って散乱していたが、ヴィラルが言うには狙いが滅茶くちゃだったためかえって迎撃が楽になったという。
確かにこれらを全て、特に10本以上の短剣などを正確に撃ち込まれていたとしたら、今頃は二人ともただでは済まなかっただろう。拾うのが大変だなどという文句は言っていられなかった。
「しかし…全て持っていく必要があるのか?役に立たん布や銃もどきは置いていっても良いと思うが」
「何がいつ役に立つか分かりません。それにせっかくデイパックにいくらでも入るんですから、置いてっちゃうなんてもったいないじゃないですか」
道具の回収を提案したのはシャマルだった。
裏切り者の所持品を利用することにヴィラルは思うところがあるようだったが、限られた物資を無駄にはできないというシャマルの主張に結局は折れる形となった。
「だが短剣など、こう数ばかりあってもな」
「ヴィラルさん!物を粗末にしちゃいけません!」
「むぅ…すまん」
叱られたヴィラルが少しだけ首を落とす。しょげかよったような仕種で短剣を身に着けるその様が妙に可愛らしく、シャマルは暗くなりがちだった気持ちが幾分やわらぐのを感じた。
慎重に移動を続ける二人の前に、真っ赤な光の柱が現れたのはその少し後のことだった。
「何だ…あれは…!」
「分からない…!でも凄い光…!」
ほとばしる光はこの距離からでもとても直視できるものではなく、二人は顔を庇いながら何とか言葉をもらす。
光の柱はしばらくすると、天に吸い込まれるようにその禍々しい姿を消失させた。
「ガンメンで暴れている奴でもいるというのか…?シャマル、何か分かることはないか?」
「知ら、ないわ。仮に砲撃魔法だとしても、あんな不吉な光見たことない…」
光が存在していた方向を訝しげに睨みながら聞いてくるヴィラルに対し、シャマルの返事は幾分冷静さを欠いていた。
何故か、今見た光はシャマルの心中をひどく掻き乱した。
喉が閉じるのを感じ、呼吸がしにくくなる。
衣服の胸元をすがるように強く握りしめながら言った。
「でも、あの方向に人がいるのは、確かだと、思うわ」
「そう…だな。ならば混乱に乗じて一気に人間どもを…」
「行きましょう」
ヴィラルが話し終えるのをまたず、シャマルは慎重に移動するという自らの言も忘れて早足で歩きだした。
後ろからヴィラルが何か言ってくるが耳に入らない。怪しまれるような態度をとるべきではないと思ったが、ついてはきてくれているようだし本音を言えば何も構わず走り出したいくらいだった。
そう思った理由は自分でも分からない。
ただ、あの光がとても良くないものに見えた。それを見た瞬間からシャマルの胸中は言い知れぬ不安で満たされ、体は得体の知れない焦燥感に突き動かされるままとなっている。
立場も策略も忘れて、ただ足を動かした。
ざわざわとした、とても嫌な気持ちだった。
◇
「凄まじい光だ…あのようなことを行える者が、あそこにはいるというのか…?」
同じ時刻の、違う場所。
モノレールの線路の上にもまた、誘我灯の如き光を見つめる一人の男がいた。
◇
光の発生源と思われる場所に転がっていた一つの死体の前で身も背もなく泣き崩れるシャマルの姿を見て、ヴィラルはその奇妙な行動について納得することができた。
「スバル!ああ、スバル…!」
いわゆる嫌な予感というやつだ。理屈など知らないが、極限状態の戦場ではままあることだと聞く。
それが的中した結果、悲しみに打ちひしがれる者の姿もまた同様だ。
「スバル…ごめんなさい…ごめんなさい…!」
シャマルは語尾を震わせ、何度もしゃくりあげながら死体にすがり付くように泣いている。
同様の衣装を着ていることからも、話にあったキドウロッカの仲間だろう。側には剣のような筒のような奇妙な物体が転がっている。
ここにくる途中で物を粗末にしてはいけないというシャマルの言いつけに従い、管やら何やら幾つか目に付いた物を回収したが、このような破壊をもたらした物の正体が一体何なのかは全く見当がつかなかった。
「嫌…みんな、みんな死んじゃう…スバル…嫌…!」
何を泣くことがある。
見たところそいつは戦場で立派に戦い、そして死んだ。戦士としてこれ以上の誉れがあるか。
普段の戦場なら、あるいは自分の部下にならそのような言葉を掛けたかも知れない。ここもまた戦場であることを考えれば、敵に察知されることも構わず泣き叫ぶ者を軟弱者と叱咤していたかも知れない。
そうしなかったのが、涙に歪んだたシャマルの表情を見たからか、あるいは自分もまた涙を流していることに気付いたことによるものなのかは、ヴィラル自身にも判断できなかった。
(何故です螺旋王…!戦場に立たせるならせめて覚悟を決めた戦士のみにするべきではないのですか。どうしてこのように心の優しい者を…くっ、俺は一体何を考えている)
一瞬でも螺旋王の意を疑うようなことを考えた自分に愕然とし、慌てて乱暴に涙を拭う。
螺旋王の判断に間違いなどあるはずがない。
憎むべきは同胞を殺害したニンゲンどもであり、この悲しみは仇を討つことによって晴らされるべきである。
だがそう思おうとすればするほど、シャマルにかける言葉が自分の中からなくなっていった。
「ごめんなさい…少し、一人にしてください……」
結局何も言えずにいると、まだ嗚咽混じりの声でそのようなことを言われた。
「ああ…すまん」
経験したことのない気持ち悪さを抱えながら、そう返すことしかできない。
ヴィラルはゆっくりと、力ない足取りでシャマルの側から離れ、異変があればすぐに対応できる程度の距離で立ち止まり背を向けた。
胸中に満ちる感情をニンゲンへの怒りに無理やり変換することでやり過ごす。
「許さん…絶対に許さんぞニンゲンども。一人残らず抹殺してくれる」
鉈を持つ手に血管が浮かぶほどに力が入った。噛み締められた歯がぎりりと音を鳴らす。
シャマルが落ち着くのを待って行動を再開する。そして二人で慎重に、しかし必ずここにいる全てのニンゲンを殺し尽くしてくれる。
背後から声をかけられるまでヴィラルがその男の存在に気付かなかったのは、そのように自らの決意を固めることに没頭しすぎたからかも知れない。
「フン。貴様も人類を憎むか?」
「何!?」
突然生まれたしたとしか思えない気配に身を強張らせて振り返る。
「だが、それを成すに足る力が貴様にあるとは思えんがな」
「キサマ…どうやって現れた」
そこにいたのは紫の服に身を包んだニンゲンの老人だった。偉そうに腕を組み、鋭い眼光でヴィラルを見据えている。
「ワシはただこの足でこの場にやってきただけよ。それに気付かなかったお主が迂闊なだけではないのか?」
「ぬかせ!運が悪かったなニンゲン…俺は今機嫌が悪い!」
ヴィラルは叫び声とともに目の前の老人に躍りかかった。骨ごと肉を叩き潰す勢いで老人の肩めがけて鉈を叩き下ろす。
だが、当たれば致命傷は避けられない一撃を老人はただ鼻で笑った。
「フン。この東方不敗を相手にするには、あまりに未熟」
「何っ!?」
すい、と僅かに体をずらしただけで東方不敗を名乗る男は鉈をかわし、逆にヴィラルの腕を掴むとぐいと無造作に引っ張った。
たったそれだけの動作にも関わらずヴィラルの体は勢いよく回転し、背中から強かに地面に叩きつけられた。
「がはぁっ!」
意思とは関係なく息が漏れ、視界が揺れる。
体を襲う衝撃に立ち上がれずいるヴィラルを、東方不敗は余裕の表情で見下ろしながら追い撃ちをかけるかのように告げた。
「どうした?威勢の良いことを言っておいてもう終わりか?これでは途中におった男女の方がまだ歯ごたえがありそうだったわ」
「くっ…」
「ヴィラルさん!」
苦しげに身を起こすヴィラルの耳にシャマルの悲鳴が届いた。こちらに駆け寄ろうとする気配を察し、身をよじって叫ぶ。
「来るな!お前は下がっていろ!」
「でも!」
「いいから下がっていろぉっ!今のお前では戦えん!」
「闘いの最中によそ見とはな。その様子では、貴様らはこの破壊とは無関係か」
「黙れニンゲンがぁっ!!」
ヴィラルは腰に忍ばせておいた短剣を一本、東方不敗目掛けて投擲した。
シャマルの言う通りだ。いつ何が役に立つか分かったものではない。
東方不敗との距離を考えれば、反応することなど不可能なはずだ。
「甘いわぁ!」
しかし、東方不敗は一瞬の動作で腰に巻き付けられていた布を手にとると、あろうことかそれを投げ付けることで空中の短剣をからめとった。
ヴィラルの目が驚愕に見開かれる。
「馬鹿な!?」
「ほうれ、返すぞ!」
「きゃあっ!」
布を振るうことで投げ返された短剣はヴィラルの耳をかすめ、後方にいたシャマルの近くに突き刺さった。反射的にあげられたシャマルの悲鳴に、ヴィラルの意識が一瞬そちらに割かれる。
その一瞬で、ヴィラルの体に激痛が走った。
「一々仲間を気に掛け勝負に集中することもままならんとはその未熟さ、全くもって嘆かわしいことよの」
ただ蹴飛ばされたとは信じがたい程に大きな衝撃も、数メートルに渡って地面を転がされるだけの時間があれば受け入れることができた。
受け身をとって勢いを殺し、痛みを無視して即座に起き上がる。
東方不敗はこちらを舐めきっているのか追撃する様子はない。
シャマルとの距離はまだ少しある。だがこれ以上近づける訳にはいかない。
「死ねぇぇぇぇ!」
接近戦は不利と悟ったヴィラルが次に選択したのは銃撃だった。
デイパックからバルカン砲を発射に必要な部分まで取りだし、ろくに狙いもつけずに掃射する。
使いようによっては小型のガンメンにも通じるかも知れない何千という弾丸が東方不敗に降り注ぐ。
一呼吸分の時間もいらないと思われた。その前に東方不敗の体は肉片となり跡形も残らず消滅する、と。
「まだ分からんのか痴れ者がぁぁ!!」
「なぁにぃっ!?」
マシンガンの弾道上を、弾を足場にまるでそこに道が通っているかのように走り抜けた東方不敗に再び蹴り飛ばされるに至って、ヴィラルは確信した。
こいつは、断じてニンゲンなどではあり得ないと。
守ると誓っていたシャマルの遥か後方にまで蹴り飛ばされ、今度は身を起こすことさえもままならない。
愛用のガンメン、エンキを以てしてもあの老人には通じないのではないか、そう思ってしまう程にヴィラルの闘志は粉々に打ち砕かれていた。
「ヴィラルさんっ!!」
再び駆け寄ろうとするのシャマルに対し、声を上げることもできない。
痛みは全身の各所に及び、弱々しく顔を上げるだけでも激痛が走る。
そのため、泣きはらした顔に精一杯の力をこめて走るシャマルの背後で、東方不敗が再度攻撃態勢に入るのを見てもヴィラルはどうすることもできなかった。
「戦いの最中に敵に堂々と背中をさらす者がおるか!この馬鹿者がああああ!!」
「シャ、シャマルゥゥゥゥゥッ!!」
「え?きゃああああああああ!!」
東方不敗の布がシャマルの身を切り裂かんと猛然と襲い掛かる。
あれをくらえば戦闘に向かないシャマルでは死は免れない。
本能的にそれが分かったが、痛みに悲鳴をあげる体はやはり動いてなどくれず結局ヴィラルにできたのは何の助けにもならない叫び声を上げることだけだった。
布が刃物のような鋭さでシャマルの体に迫るのをスローモーションのようにゆっくりと感じられながらも、ヴィラルにできたことは何一つなかった。
「何奴っ!?」
シャマルの命をぎりぎりのタイミングで救ったのは、ヴィラルとは全く無関係にこの場にいきなり割って入った一本の槍だった。
シャマルの眼前に突き刺さったそれに布が巻き付けられ、体が無惨に破壊されるのを防いでいた。
「おのれぇ!」
不測の事態に、布を回収した東方不敗が跳躍し距離を取る。
「ヴィラルさん、大丈夫ですか!?」
「ぐぅ……一体、何が…?」
「無理をするな、あとは俺にまかせろ」
「くっ…誰だ!?」
無事にたどり着いたシャマルに抱き起こされながら、ヴィラルは突然乱入してきた声に反射的に顔を向けた。
二人のすぐ傍、何故接近に気付かなかったと思える程の近くに、赤いハチマキに同色のマントをなびかせた男が真っ直ぐに立っていた。
「お前達は行け。俺はあの男に大事な用がある」
ヴィラルを静かに見下ろし、男が告げる。その一方的な態度にズタズタになったヴィラルの心の僅かに残った部分が反発した。
「ふざけるな!誇り高い獣人に逃走などありえん!死ぬなら戦場で…」
「お前はそれで言いかも知れんが、その女も巻き添えにするともりか?」
割って入られた言葉に思わず息が詰まった。顔をそらすと、心配そうにこちらを覗き込んでいるシャマルの真っ赤に充血した瞳と目があった。
「ヴィラルさん…」
「シャマル…ぐぅぅ……ぐうぅぅぅおぉ……!」
「大切にしてやることだ」
心身ともにうちひしがれ悔しさにむせびなくヴィラルに男はそれだけ言うと、ゆっくりと歩き出した。
そうして、腕を組み待ちの姿勢に入っていた東方不敗に近づいていきある程度の間合いを保った地点でぴたりと立ち止まる。
ぴりぴりと、肌が焼け付くように緊張が高まっていくのがヴィラルの位置からでも感じられた。
「ドモンか。しばらく見ぬ内に、多少はましになったようだな」
「……師匠。お会いしとうございました……」
対峙した二人の男は静かにそのような言葉を交わした。
流派東方不敗は王者の風……。
【E-6/デパート跡/1日目/放送直前】
【チーム:Joker&Fake Joker】
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:全身に中ダメージ、脇腹・額に傷跡(ほぼ完治・微かな痛み)、左肩に裂傷 、強い屈辱
[装備]:大鉈@現実、短剣×2
[道具]:支給品一式、モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン(あと4秒連射可能、ロケット弾は一発)、
S&W M38(弾数1/5)、S&W M38の予備弾数20発、エンフィールドNO.2(弾数0/6)、短剣×9本、水鉄砲、銀玉鉄砲(銀玉×60発)、アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION、タロットカード@金田一少年の事件簿、USBフラッシュメモリ@現実、鉄の手枷@現実
[思考]
基本:ゲームに乗る。人間は全員殺す。
0:シャマル…
1:中央部近辺に向かい、激戦区を観察。そしてそこから逃げてきたものを殺す。
2:シャマルに礼を尽くし、守り抜く。その為にも、クラールヴィントと魔鏡のかけらをどうにかして手に入れたい。
3:発見次第、裏切り者(クアットロ)を始末する。
4:蛇女(静留)に味わわされた屈辱を晴らしたい。
5:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
※二アが参加している事に気づきました。
※機動六課メンバーをニンゲン型の獣人だと認識しました。
※なのは世界の魔法について簡単に理解しましたが、それは螺旋王の持つ技術の一つだと思っています。
また、その事から参加者の中で魔法が使えるのは機動六課メンバーだけであるとも思っています。
※螺旋王の目的を『“一部の人間が持つ特殊な力”の研究』ではないかと考え始めました。
【[備考]
螺旋王による改造を受けています。
@睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
A身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。 単純に『実験のために、獣人の欠点を克服させてくれた』としか認識してない。
※ヴィラルのデイパック、短剣×1、乖離剣エア、ゲイボルクが路上に転がっています。デイパックの中身はヴィラルの道具欄全て。
【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:魔力消費(中) 深い悲しみ
[装備]:ワルサーWA2000(3/6)@現実 、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式×3(地図一枚損失)、ワルサーWA2000用箱型弾倉x3、バルサミコ酢の大瓶(残り1/2)@らき☆すた、ゼオンのマント@金色のガッシュベル!!、魔鏡のかけら@金色のガッシュベル!!
暗視スコープ、首輪(クロ)、単眼鏡、マース・ヒューズの肉片サンプル
[思考]
基本:八神はやてを守る為に、六課メンバー以外の全員を殺す。けれど、なるべく苦しめたくは無い。
0:ヴィラルさん…
1:中央部近辺に向かい、激戦区を観察。そしてそこから逃げてきたものを殺す。
2:しばらくの間はヴィラルと行動する。
3:発見次第、戦闘機人(クアットロ)を殺害する。
4:クラールヴィントと魔鏡のかけらを手に入れたい。
※ゲイボルク@Fate/stay nightをハズレ支給品だと認識しています。また、宝具という名称を知りません。
※魔力に何かしらの制限が掛けられている可能性に気付きました。
※魔鏡のかけらを何らかの魔力増幅アイテムと認識しましたが、
どうやって使用する物なのか、また全部で何枚存在しているのかはまだ理解していません。
【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康 疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:己を鍛え上げつつ他の参加者と共にバトルロワイアルを阻止し、螺旋王をヒートエンド
0:東方不敗に襲撃の真意を問い質す。
1:光の柱の正体を探る。18:30にはF-5駅でカミナたちと合流。
2:積極的に、他の参加者にファイトを申し込む(目的を忘れない程度に戦う)
3:ゲームに乗っている人間は(基本的に拳で)説き伏せ、弱者は保護し、場合によっては稽古をつける
4:傷の男(スカー)を止める。
5:一通り会場を回って双剣の男(士郎)と銃使いの女(なつき)と合流する。
6:言峰に武道家として親近感。しかし、人間としては警戒。
[備考]:
※本編終了後からの参戦。
※参加者名簿と地図に目を通しました。
※正々堂々と戦闘することは悪いことだとは考えていません 。
※なつきはかなりの腕前だと思い込んでいます。
※ゲイボルクの効果にまるで気づいていません。
※ループについて認識しました。
※カミナ、クロスミラージュのこれまでの経緯を把握しました。
今、ほとんどアクセスできない状態になってるようだが
まあほぼここで言われてたよりもひどい状態かな
東京・神奈川・千葉・埼玉と関西が全滅
あそこのバカ管理人が新規書き込みを全て断ってる
予約しただけで即アク禁食らわすというからもうほとんど企画の体をなしてないよ
注意!
予約荒らしが横行してます。
荒らしIPと同じ特徴を持つIPは、「梨の木下」「李下」とか言われることが有ります。
いきなり削除+規制巻き込まれ等の被害を受ける方もいるかもしれません。
御迷惑お掛けします。
とりあえず、携帯電話で「規制に巻き込まれた!」と書き込んでくだされば、
対応できるかと思います。
また、規制に巻き込まれちゃった人は毒吐き他で連絡下サイ。
ご協力お願い致します。
by◆B0yhIEaBOI
意味不明です
「荒らしと同じ特徴を持つIP」って何ですか?
yahoo書き込めないです
448 :
”管理”人:2008/02/03(日) 14:35:38 ID:jO6fSCBk
荒らしと同じ特徴を持つIPとは
IPに3桁の数字が4つ並んでる人の事です
それって全員やん
2 :管理人★:2008/01/19(土) 21:38:48 ID:???0
◆cLy5ys5l4.氏:p8163-ipad303hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp
◆21BPe2N9Cs氏:h116-0-205-017.catv02.itscom.jp
◆yjWfvOlirw氏:h220-215-160-025.catv02.itscom.jp
◆HEOd3SbsXk氏:58x157x109x77.ap58.ftth.ucom.ne.jp
◆0txOEkD.lA氏:
>>977 h219-110-153-087.catv02.itscom.jp
>>999 58x157x109x77.ap58.ftth.ucom.ne.jp
とりあえず、
hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp
catv02.itscom.jp
ftth.ucom.ne.jp
で他に書き込んでる人は殆ど居ないので、これで規制しますね。
31 :管理人★:2008/01/23(水) 17:26:32 ID:???0
規制まとめ
.ap*.ftth.ucom.ne.jp
*catv0*.itscom.jp
*.ppp.asahi-net.or.jp
*.tkyoac00.ap.so-net.ne.jp
EATcf-*p*.ppp*.odn.ne.jp
nttkyo*.tkyo.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
.s*.a013.ap.plala.or.jp
adsau*honb*-acca.tokyo.ocn.ne.jp
softbank219*.bbtec.net
tokyo-ip.dti.ne.jp
KHP059143181203.ppp-bb.dion.ne.jp
ec-userreverse.dion.ne.jp
.rev.home.ne.jp
他、スパム業者が多用しているようなIP多数
上記辺りで規制かけてます。巻き込まれた方は御一報下さい。
----------------------------------------------------------------------
予約荒らしだとか主張したいようで
あれ??
softbank219*.bbtec.netって変動IPだったっけか?wwwwwwwwwwwwww
nttkyo*.tkyo.nt.ftth.ppp.infoweb.ne.jp
ftthとは
FTTH
読み方 : エフティーティーエイチ
フルスペル : Fiber To The Home
分野 : 通信サービス > ブロードバンド > 光ファイバー > FTTH
光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス。元は、一般家庭に光ファイバーを引き、電話、インター
ネット、テレビなどのサービスを統合して提供する構想の名称だったが、転じて、そのための通信サービスの
総称として用いられるようになった。
これまで、家庭の通信回線と言えば電話回線(銅線)のことであり、音声通話サービス(電話)のほかには
数十kbps程度の低速な回線交換方式によるデータ通信サービスしか提供されてこなかった。これを光ファイバー
に置き換え、大容量のデータ通信サービスを次世代の通信インフラとして普及させるのがFTTH構想である。
電話回線の数十倍以上の高速伝送が可能な大容量・常時接続の通信サービスを「ブロードバンド」と呼ぶが、
FTTHは中でも最も高速で未来のある技術であることからブロードバンドの「本命」とも呼ばれ期待されているが、
回線網を新たに敷設しなおさなければならないため、ADSLなど既存インフラを活用する他のサービスに比べれば
普及の速度は鈍い。
2001年にNTT東日本・西日本が開始した光ファイバーによる常時接続サービス「Bフレッツ」が呼び水となり、
近年では都市部を中心に急速に光ファイバー通信サービスの加入者が増加している。
□ □ □
というのがFTTHでして、要するに光ファイバー回線だよね
それの変動IP?可能なんでしょうかねー技術的にw
出来ないことはないと思うんですが、事実上不可能に近いんじゃないですかぁ?
教えて下さいな◆B0yhIEaBOIセンセ
r'丁´ ̄ ̄ ̄ ̄`7¬‐,-、 /
r'| | | |/ >、 /
! | | | |レ'´/| | 待 て
| | | /\ | |l /⊂う |
| | |__∠∠ヽ_\ | リ / j ヽ あ わ て る な
|´ ̄ O  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`! 〉
l'"´ ̄ ̄ヾ'"´ ̄ ̄`ヾ::幵ー{ / こ れ は 孔 明 の 罠 だ
⊥,,,,,_、 ___,,,,,ヾ| l::::::| |
lヾ´ f}`7 ヘ´fj ̄フ | l::i'⌒i | そ ん な 事 は 無 理 だ
l ,.ゝ‐イ `‐=ニ、i | l´ ( } ヽ
l { U | l 、_ノ ∠ヘ
l / ̄ ''ヽ、 | l ヽ_ \,_________
! ハ´ ̄ ̄ ̄`ト、 |亅〃/\
,人 f ´ ̄ ̄ ̄``ヾ j ,!// {_っ )、
// `ト、__iiiii______,レ'‐'// _,/ /スァ-、
,.イl{ { 々 !/´しllllト、 ̄`ヽ、 // /´,.-、 /彑ゝ-{スァ-、
,.イ彑l l > ゞ く l 〃 l|ハ.lヽ、 ハVゝヽ二ノ/ゝ-{、彑ゝ-{、彑ァ-、
,.イ彑ゝ-'l l ( (,) レシ′ !l `ソァ'´ _ノ7{、彑ゝ-{、彑ゝ-{、彑{
ュゝ-{、彑l l ` -イヘ !l // /⌒ヽヾ/_ゝ-{、彑ゝ-{、彑ゝ-{、
{、彑ゝ-'l l f⌒Yハ ', !l/ / ヽ_う ノ /-{、彑ゝ-{、彑ゝ-{、彑ゝ
彑ゝ-{、彑l l{ に!小 ヽ /!l / ,/ /彑ゝ-{、彑ゝ-{、彑ゝ-{、
s23.a013.ap.plala.or.jp
s04.a014.ap.plala.or.jp
s30.a048.ap.plala.or.jp
125-*.rev.home.ne.jp
KD12502801*.ppp.prin.ne.jp
ZL110019.ppp.dion.ne.jp
softbank219209194156.bbtec.net
softbank219206014168.bbtec.net
softbank219039118136.bbtec.net
softbank221041054114.bbtec.net
p*-air0*hon32k.tokyo.ocn.ne.jp
p*-air02hon32k.tokyo.ocn.ne.jp
p*-air03hige32k.tokyo.ocn.ne.jp
p*-ipbf*marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp
p*-ipbff*hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp
p*-ipad*hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp
→hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp
nttkyo*.tkyo.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
ntkngw*.kngw.nt.adsl.ppp.infoweb.ne.jp
202-94-152-169.cust.bit-drive.ne.jp
221x242x63x18.ap221.ftth.ucom.ne.jp
125x100x250x188.ap125.ftth.ucom.ne.jp
→ ftth.ucom.ne.jp
222-151-152-126.jp.fiberbit.net
NE0032lan1.rev.em-net.ne.jp
user01-3004.c-living.ne.jp
h*.catv02.itscom.jp
219.99.180.168
ネカフェや漫喫、串等を多用する。
Gは、接続毎にIPが変わる回線を好んで使う傾向がある。
上記のIPの中にも変動するIPが含まれている可能性があり、注意が必要である。
特に、以下の使用頻度が高い。
p*-air02hon32k.tokyo.ocn.ne.jp
softbank219206014168.bbtec.net
KD12502801*.ppp.prin.ne.jp
202-94-152-169.cust.bit-drive.ne.jp
したらばはこれらを全て同一人物だと主張しておりますが何か
ちなみに上は1月20日に更新になってたから
おそらく必死になってかき集めたんだろうねーと邪推
ちょww
頭おかしいんじゃねーのかあそこの管理人wwwwwwwww
itscomなんて初めて見ましたが
これって単純にしたらば=◆B0yhIEaBOIに反論したすべてを
G扱いして一人の戯言だと決め付けてるだけじゃないか?
串を使った?どこかに串リストでもあったのか?
ちなみに、現代日本では疑わしきを罰するは犯罪だってわかってる?
一人の人間がこれだけのネカフェや串を使う。
串規制厳しい2chや、それなりに串規制がきびしいしたらばで
そんなことをどうやってやってるんだろうね
というより、可能なのかどうかくらい判断が付かないのかなぁ
,ィヾヾヾヾシiミ、
rミ゙`` ミミ、
{i ミミミl
i゙i ,,,ノ 、,,-=、 ミミミ!
{_i=・}-{_=・`} ̄レゥ:}
>>459 l ̄,,,,_,゙ ̄` :::ン まぁ、いいんじゃない?
|/ _;__,、ヽ..::/l フフッ
ヽ.~ニ~ ' .::::ノ/ }\_
_,,.-‐' `ー '"::/ / |  ̄`''ー-、
r‐''" ./ i\/ / | / ヽ
Yahoo全滅
Ocnもどうもほぼ全滅
asahiネット?絶滅
homeも絶滅
dionも死んでるのか?
でODNも全滅
Yahoo皆殺しにしてる段階で参加者がだいぶ削減されてしまうのだが
てことは、今は完全に◆B0yhIEaBOIが気に入った人間しか書きこめないようになってるわけか
よくわからないが、東京と書かれていたら皆殺しにあってるな
その中でもDIONに対してだけなぜかピンポイント規制優遇なのが気になる
◆B0yhIEaBOI本人がDion軍なんじゃないのか?
かもな
何か意見や要望があるなら、いちいち嫌味や皮肉を入れないで素直に言えば良いのに。
あと、解決策を提案するとかね。
相手の非を指摘して優越感にひたることさえできれば改善されなくても満足、
って言うんなら別にいいけど。
誰かのやることに不満があるなら、相手を改善しようという気にさせるのがコツだよ。
解決案は最初からやり直しだな
闇に浸された回廊の先、つけっ放しのパソコンやら黒点の記されたレントゲン写真やらが立ち並ぶ診察室。
ごごごごご、とどこかから不気味に木霊する機械音と、数少ない電灯が燃える音、のみの静寂。
声はなく、されど人気はあり、しかし気配は一つ。
無音という闇に自ら溶け込むかのように、高嶺清麿は喋らず、動かず、“思考”という名の活動だけを続けていた。
「……………………」
診察台となる簡素なパイプベッド、シーツも敷かれていないその上で、清麿は座禅を組んでいた。
目の前の机には、医師が扱っていたであろうカルテや医療器具が乱雑に隅へと追いやられ、中心を数点の品々が占拠している。
氷水が張られた洗面器。そこに浸されたビニール袋詰めの片耳。
プラスドライバー他の入った工具箱。
首輪二つ。
なにかの部品。
ネジ。
『Erio Mondial』と英字で書かれたシール。
以上六点。ジンと袂を分かった後、清麿がまず着手した要項、首輪の解体作業の結果である。
初めは、ほんの気まぐれ程度のものだった。
霊安室で見つけた三体の遺体……それらからやむなく採取した、三つの首輪。
自分の首に嵌っている生者のそれと、あるいは同様のものであるはずのサンプルを、手にとって調べてみる。
ただそれだけのつもりだった。のに、気づいてしまった。
三つの首輪、それぞれに等しく与えられた、ネームシールの存在に。
そしてそのネームシールの下に、十字印の鍵穴が隠されていた事実に。
疑うべくもなく、清麿はこの印をネジであると断定した。
だから、回した。
安直に隠された鍵穴の意味を探るため、病院の裏手から引っ張り出してきた工具箱を用い、解体作業に着手した。
結果、回った。
回った結果、バレた。
魔法が解けるように、銀のリングはネジが外れると同時にバラバラと自壊してしまった。
その数十数個。バラバラになったピースをつなぎ合わせれば、それこそパズルのように元の首輪が組み上がる。
だが各繋ぎ目に接着剤の跡はなく、かといって嵌め込み式でもなく、どうやってくっついていたのかは見当がつかない。
後に残ったのは、ネジと、銀色の破片が十数個と、中に詰められていたものだけ。
GPSや盗聴機などを想定していた清麿としては、拍子抜けの結果である。
まさか首輪の中身が、こんなものだったとは。
(…………で、これはいったいなんなんだ?)
精神を集中させる意味での座禅を崩さぬまま、机に置かれた首輪の解体跡を見る。
恐れはあった。下手に首輪に干渉して、爆発したりはしないものかと。
しかしそれ以上に気にかかったのが、ネジというあからさまな印の存在だった。
人間の首を容易く破壊できるほどの爆弾、それを小型化し積載できる首輪。
並の技術では難しい装置を、まさかネジなどという原始的な手段で接合しているはずがなく、しかしそれならネームシールによる隠蔽の意味が掴めない。
螺旋王が清麿の常識を凌駕するほどの技術力、もしくは科学力の持ち主であるならば、あのネジは接合のためのものではない。
なにかもっと、別の意味がある。それはネジを回せば判明するかもしれないがその際の危険性はどうか、というところまで考えて、起爆はないと踏んだ。
ネジが回されて困るものだとして、阻止する方法がネームシールによる隠蔽しかなかったのだとしたら、清麿はとっくにここから脱出している。
もしくはネジが解体を試みる者への罠だとも考えられたが、罠とするには逆にチープすぎるし、露骨極まりない。
つけるには意味合いが感じられないネジ。回して爆発するようでは、それこそ存在自体が無意味なパーツ。
論理的に考えて、最悪の状態に陥ることはないだろうと考え至った結果が、机上の跡なのだ。
それを見ても、ネジの必要性や存在意義は判然としない。
まさか本当に接合方法がネジしかなかったなど、考えたくもない。
もっと深い意味……螺旋王がネジを選び、取り付けた理由を、清麿は考えていた。
(第一に)
清麿が解体したエリオ・モンディアルの首輪。その中身は、とても清麿の理解が追いつく物質ではなかった。
GPSや盗聴機の類ではない。螺旋状に編まれたケーブルと、それに連なる三つの小型機械。これが首輪の全て。
螺旋状、というのはともかくとして、ケーブルは導火線であると推測できる。が、問題は小型機械のほうだ。
パチンコ玉サイズの黒い球が三つ。凹凸もなにもない、つるつるとした質感のそれは、機械かどうかも怪しい謎の物質だった。
三つの内のどれかが爆弾の役割を担っているのは間違いないだろうが、難点は三つとも同じ見た目をしているということである。
一つが爆弾だとしたら、他二つもまったく同じ形なので爆弾ということになる。だがそんなはずはない。
爆弾を一つの首輪に三つも取り付ける意味がないし、禁止エリアの判別や、遠隔爆破の電波受信、装着者の生死判別等の装置も必要なはずだ。
螺旋王が会場全域を常に監視しているのであれば装置の必要性はその限りではないが、なれば首輪という拘束具自体も意味をなくしてしまう。
そもそもこの黒いパチンコ玉が高性能爆弾だと言われても、容易に頷くことはできない。明らかにオーバーテクノロジーだ。
(いや、あるいはそれが正解なのかもしれない)
と、首輪の内部装置を検分し、いろいろと考察を広げた末、清麿は結論を出した。
この首輪は、螺旋王にしか理解のできぬオーバーテクノロジーの産物であると。
清麿の知識では到底図りきれない、未知の技術の結晶なのだと、認めざるを得なかった。
そして認めればこそ、余計に手出しができない。
機械工学の技術はなくとも知識だけは豊富な清麿が、まったく知りえない装置。
これの詳細を完全に把握するには、資料か、螺旋王と同程度の技術または知識を持った者の助力が必須だった。
(なんだか、赤い魔本について調べていた頃を思い出すな)
ガッシュから託された、術を唱えるために必要な魔本。
パートナーという決められた人種にしか、しかも限られたページしか読めないそれは、清麿がこれまでに遭遇したことのない未知だった。
この首輪についても同様。魔本と同じように、清麿の知識がまるで及びつかない性質を持っている。
魔本は、心の力に呼応して光る、魔物の残り人数が減ると変化が起こるなどの例から推測は可能だが、首輪については推測するだけの材料も不十分な状態。
いや、正確に言えば推測に使えるだけの材料は揃っているが、その材料すらも推測の域を出ない曖昧なものであり、決定的な知識であるとは言えないのだ。
推測の推測から得られるものなど、知識とは呼べない。知識がなければ、推測もままならないという悪循環。
未知という巨大な壁を前に、清麿は成す術もなく立ち尽くし、こうして原点に返ろうと思い立った。
その姿勢の表れが、座禅である。
(首輪は、ネジを回せば外れる。だけどそれは、既に装着者を失い機能を停止した首輪だったからこそかもしれない。
俺の首に嵌っている首輪が、同様にネジを回して外れる確率は限りなくゼロだ……いや)
そこまで思考を巡らせて、清麿は息をついた。
同時に座禅を崩し、やや硬いパイプベッドの上で仰向けに寝そべる。
仕草からして疲労が窺える清麿だったが、顔つきはやつれているわけではない。
ぽけーっと天井を眺めながら、一旦脳をリフレッシュさせようと努めた。
(……考えすぎだな。サンプルの解体に成功したからって、気張りすぎだ俺。
まだなんの解決にもなってないんだし、あんまり首輪に集中しすぎるのもあれか)
考えることは山ほどある。首輪の正体、ネジの意味、脱出方法、そしてそれらの根源。
(っていうか俺、なんでこんなに頭使ってるんだろう……あ)
清麿は間の抜けた顔のまま、胸中にある疑問を宿した。
それは、
(螺旋王が殺し合えって言ったからか……じゃあ、螺旋王はなんの目的があって俺たちこんなことをさせてるんだ?)
という、根本中の根本、主催者の意図に関する疑問だった。
螺旋王が望むのは、自らが選出し集めた82名の人間による殺し合いである。
螺旋王は、なぜ殺し合いを望むのか。集めた人間たちに殺し合いをさせて、螺旋王にどんなメリットがあるのか、考えてみる。
まず頭に浮かんだのは、道楽目的。
憎悪、狂気、嗚咽、血肉、破壊――そういった人間の抱える闇を好み、視覚や聴覚で吸収し、愉悦とする者は確かにいる。
気狂いだとかド変態だとか、とにかく人道から大きく外れた、悪趣味の持ち主。螺旋王がそういう人種であるとするならば。
きっと今頃、清麿たちの必死振りを肴に酒の一杯や二杯でも飲んでいることだろう。
(……いや、この線はないな)
しかし清麿は、最も考えられるであろうケースを、すぐに否定した。
螺旋王という人間の性格や趣向はまったく窺い知れぬが、彼が超技術を駆使してまで殺し合いの観覧を望むかと言えば、動機としては薄いように思える。
なにせ、ロージェノムの肩書きは『螺旋王』なのだ。王というからには国を持ち、その頂点に君臨する人物であることは間違いない。
その身分ゆえに普通の娯楽に飽き、こういった刺激的な余興を望むというケースも考えられはしたが、あのときロージェノムはこうも言っていた。
(――優秀な螺旋遺伝子を選出するための、実験)
螺旋王ロージェノムという存在を図る上で、どうしても無視できない序幕の演説。
殺し合いという部分にのみ目がいきがちではあるが、螺旋王の言葉を反芻すれば、趣旨はどちらかと言うとこちらのほうにあるような気がした。
つまりは、実験。82人の中で最も優れた螺旋遺伝子を持つ者は誰か。殺し合いは、そのための方法でしかないのだとしたら。
(螺旋王は言っていた。俺たちはモルモットのようなものだと。
こんなところに閉じ込められて、殺戮を強制させられる……確かに、実験動物以外のなにものでもないな。
……そう、実験動物。じゃあ、仮にこの実験が予定通り無事終了したとして、実験動物である俺たちはその後どうなる?)
優勝者への特権は、螺旋王の力を行使しての悲願の成就。
だが現実的に考えて、願いを叶えるなどという神みたいな真似ができるはずがないのだ。
願いを現実化する能力を螺旋王が本当に秘めているのだとしたら、そもそもこんな実験は必要ない。
自身の能力を使えば、実験から導き出そうとしている成果、答えを容易に手にすることが可能なはずなのだから。
おそらくは、疑似餌のようなものなのだろう。実験に消極的な者をやる気にさせるための餌。螺旋王自身は、神ほど万能ではない。
もっとも既に異なる時代・世界に住まう人間たちを集め、隔離された空間に閉じ込めるという異能を見せている事実を考慮すれば、
万能とは言わないまでも、死者の蘇生だとか、元の世界への送還だとか、タイムスリップなどの超常現象を引き起こす程度のことはできるのかもしれない。
万能ではないが、神に近い能力を秘めた螺旋王。それほどの人物が、殺し合いという実験でなにを探求しようというのか……?
彼の言葉が真実であるとするならば、優秀な螺旋遺伝子。つまりはそれに尽きるのだろうが、この螺旋遺伝子というのがまったくもって詳細不明だ。
清麿たちをモルモットと仮定するならば、実験の目的は種としての可能性を、人間や魔物が入り乱れる闘争の場で、一番優秀な個体を見極めるつもりなのだろうが、その先は……?
優秀な螺旋遺伝子を選出して、螺旋王はいったいなにをするつもりなのか。その内容によって、優勝者の処遇もだいぶ変わってくる。
たとえば、生態科学者がガラス箱に昆虫、獣、小動物、鳥、魚など異なる種を詰め込み、より優れた一体を見極めるため同様の実験を行ったとして。
全てが終わり、殺戮の中生き残った一体を、生態科学者はどうするだろうか。
(……さらなる実験のための素材にする、ってのが妥当だろうな)
科学者というのは、探究心尽きぬ生き物である。実験により望みどおりの答えを導き出したとしても、それでは終わらない。
ましてや、生き残った一体――実験の成果とも言える重要なサンプルに、自由という名の温情を働くなど、考えられはしない。
一度実験動物に選ばれてしまった者を待つのは、死だけだ。螺旋王の実験についても、同様のことが言える。
仮に清麿が優勝したとしても、それは優勝者ではなく実験の成果、『優秀な螺旋遺伝子』という貴重なサンプルに他ならない。
これほどまでに大規模な実験を企てる人物が、見す見すサンプルを手放したりするだろうか……答えは考えるまでもない。
つまり、螺旋王の目的が『殺し合いを観覧し自身の愉悦とすること』ではなく、あくまでも『実験』なのだとしたら、
殺し合いに生き残ったとしても、その先に希望はない。さらなる地獄に手招かれるだけなのだ。
(『殺し合い』って単語に目を奪われすぎてたな。これは実験。実験動物に勝利なんて権利はない。もっと早く気づくべきだったんだ)
殺し合いという環境事態が特殊すぎるゆえ、清麿は安直にも脱出方法という一点にのみ照準を絞ってしまった。それが失敗。
最終目的である生還を望むなら、もっと視野を広げ、多方向から戦略を張り巡らせる必要があったのだ。
では、『螺旋王の目的はあくまでも実験』、『優勝しても生還の可能性は低い』、『簡単に解除できてしまった首輪とその中身』、
以上三点を導き出したところで、清麿が次に考えるべき要項はなにか――否、項目を変えてはいけない。
実験を生き残ったとしても自由は得られないとするならば、その先の明確な処遇はどうなるのか。それを突き詰めて考察する必要がある。
前述のとおり、モルモットが生き死にのかかった実験を乗り越えたとしても、その先に待っているのはサンプルとしてのさらなる実験だ。
この殺し合いの優勝者も、優秀な螺旋遺伝子を持つ者として螺旋王にいろいろ弄くられるに違いない。螺旋王が『科学者』だとするならば。
引っかかったのは、螺旋『王』という肩書きである。そもそも王などという君臨者が、自ら実験を行うということ自体がおかしい。
王ならばその下に仕える家臣がいくらでもいる。探求や謎の解明など、そんなものは国の科学者に任せておけばいいのだ。
深い歴史を辿れば、科学者でありながら王の地位に就く偏屈者の一人や二人はいるかもしれないが、それにしたって王自ら実験を取り仕切る必要性は感じられない。
自らの姿を晒してまでルールを説明し、六時間ごとに自らの声で放送を告げ、同時に自らの目で実験を観察していると仄めかす……そこから推察できる意味とは。
(優秀な螺旋遺伝子……それは、螺旋王自身の眼力で見極めなければいけないものってわけか)
螺旋王が観察することに意味があり、螺旋王の存在を誇示することに意味があり、しかし身分は王。
これらから導き出される答え……王、殺し合い、実験……清麿は、あっ、と声を漏らし、ベッドから身を起こした。
(そうか……王、それにたった一人の勝者……性質はまるで違うけど、似ているんだ……
これは、魔界の王を決める戦いに。いや、待てよ……だとしたら、螺旋王の真の目的は……)
脳裏に浮かび上がってきたのは、二つの仮説。
王という地位に就くロージェノム、本人がやるからこそ意味がある実験。
殺し合いという方式、優秀な螺旋遺伝子という勝者の資格、それらから推理される本当の趣旨。
清麿は机につきペンを走らせた。閃きに近い考察内容を、二枚の紙に速筆で纏め上げる。
◇ ◇ ◇
【螺旋王の真の目的について〜仮説@〜】
・螺旋王の真の目的は、『後任となる新たな螺旋王の選出である』。
◇ ◇ ◇
【螺旋王の真の目的について〜仮説A〜】
・螺旋王の真の目的は、『敵対戦力に対抗するための養成である』。
◇ ◇ ◇
机の上に並ぶ、二枚のメモ書き。螺旋王の真の目的はなにか? という清麿なりの推理の結果が、2パターン検出された。
まず、【仮説@】について考えてみる。
ヒントとなったのは、清麿とガッシュが現在進行形で参加を強制させられている『魔界の王を決める戦い』だった。
百名の魔界の子供たちを人間界に送り込み、人間とタッグを組ませ、最後の一人になるまで戦わせ続ける。
螺旋王の実験に比べればよっぽど平和的な戦いに思えるが、そのルールは実はほとんど変わらない。
たった一つの王の座を廻り、魔界の子供たちを争わせる。
参加者百人の選出方法は不明だが、その中にはコルルのような戦いを望まない子供も含まれていた。
そういった子供たちには、凶暴な別人格を与えてまで戦いを強いる。王を決める戦いから逃れられないように。
戦いを強制するための装置……これは爆破と凶暴化というペナルティの違いこそあれど、意味合いは清麿が嵌めている首輪とまったく同じ。
魔本が燃えたら魔界に強制送還というルールも、螺旋王の実験における死亡退場と同様であると言える。
要は、敗者に対するペナルティの重さぐらいしか違いがない。
が、王を決めるための方法は紛れもなく『戦い』であり、そこには実験同様『生死』という概念が深く関わってくる。
清麿とて、これまで何度も命を懸けた戦いを繰り広げてきた。
実際に魔物同士の戦いで死者を出した前例はないが、重傷を負い生死の境を彷徨った者は何人も目にしている。
螺旋王の実験も、魔界の王を決める戦いも、命がけの戦いによって優れた一人を選出しようという趣旨は変わらないのだ。
そこで清麿は考えた。螺旋王はひょっとしたら、方法こそ野蛮だが、大昔の魔界の神と同じことをしようとしているのではないか、と。
魔界の王を決める戦いは千年に一度行われている言わばしきたりのようなものであり、古来からそのルールは変更されることなく、また人の手で変更できるようなものでもないらしい。
しかしこのルールというのがよくできていて、生き残りをかけた戦いという方式こそ単純だが、渦中ではちゃんと魔物が王に相応しい人材になれるよう成長を促せる仕組みになっている。
その証拠が、新しい術の発現である。
清麿やナゾナゾ博士は、魔本が光り新たな術が読めるようになる条件を、『魔物が心の成長を果たす』『魔物がなにか大切なものに気づく』ことであると推理していた。
これは突き詰めれば、戦いの中で成長を遂げ、新たな力に覚醒した者こそ、王たる資格を得る――というルール作成者のメッセージであるように思える。
つまり、魔界の王を決める戦いは一種の『試練』なのだ。魔界に対しての、そしてそこに生きる多くの魔物たちへの。
螺旋王は形式に違いこそあれど、自らの国――螺旋国(仮称)に試練を与えるつもりで、このような実験を行っているのではないだろうか。
自らの国を任せるに相応しい人材=優秀な螺旋遺伝子を持つ者を、魔界の王を決める戦い同様『試練』という形で選び出す。
これならば、王自らが表舞台に立つ理由が説明できる。しかし、それでもすべての辻褄が合うわけではなかった。
螺旋王の目的が【仮説@】のとおりだとした場合、浮上してくる疑問点は二つ。
――これが次期螺旋王を選び出すための試練なのだとしたら、実験という言葉を用いたのはなぜか。
――自国の人間ではなく、異なる時代や世界の住人を王候補としたのはなぜか。
前者については、後者の疑問も合わせ『他世界の住人が螺旋王としての資格を持ち得るかという実験』と解釈することもできる。
後者についても、例えば螺旋国に優秀な螺旋遺伝子を持つ若者が絶滅していたり、螺旋王は代々他世界の住人がなるというしきたりがあったりと、いろいろ考えられる。
以上の考察を踏まえ、清麿は【仮説@】の書かれた紙に追記した。
◇ ◇ ◇
【螺旋王の真の目的について〜仮説@〜】
・螺旋王の真の目的は、『後任となる新たな螺旋王の選出である』。
・この殺し合いは螺旋王の与えた試練であり、戦いの中で王に相応しい人材を育み・選び出そうとしている。
・螺旋王自らが実験を取り仕切る理由――自らの目で次期螺旋王を選び出すため。
・疑問点1――実験という言葉を用いたのはなぜか。
・疑問点2――他の世界に住まう無関係の人間を候補としたのはなぜか。
◇ ◇ ◇
書き終えたところで、清麿は紙面を眺めつつうーんと唸った。
この【仮説@】は理に適ってはいるが、全体的に解釈の仕方が強引すぎるのが難である。
それを自覚しているからこそ、清麿は補うような形で、もう一つの仮説を組み立てた。
ここで【仮説A】についても考えてみる。
王というからには、敵も多いはずだ。それは自国を脅かす他国の脅威だったり、覇権を狙う自国の野心家だったりと様々なケースが考えられる。
それらのケースから参照して、殺し合いという方式の実験に王が介入する理由の説明がつくものがあるとすれば、ただ一つ。
螺旋王か、もしくは螺旋王が持つ国か、ひょっとしたら清麿たちの世界にも関わってくるような巨大な敵勢力への、対抗策である。
敵勢力に対抗しうる存在こそが、優秀な螺旋遺伝子保有者。つまりこの実験は、戦力を募るためのものであるという仮説。
殺し合いという方式を取っているのだから、優秀な螺旋遺伝子というのは、少なからず戦闘能力が関わっているはずだ。
螺旋王は実験の中で優秀な螺旋遺伝子=優秀な戦力を見い出す、または育もうとしているのではないか。
形こそ【仮説@】と同じような試練、名目は実験、その真意は、言うならば『螺旋遺伝子養成プログラム』。
生き死にのかかった極限の環境に螺旋遺伝子を持つ可能性のある者を放り込み、内に眠る力を無理矢理覚醒させ、戦力とする。
プログラムの成果は実際に兵として戦場に出されるか、新兵器開発の参考とされるか、同等の力を持ったクローンを生み出すための素体にされるか、
もしくは手元に置いておくだけで敵勢力への牽制になる場合もあるか。使い道はいろいろと考えることができる。
螺旋王の目的が戦力の補充であるとするなら、同じような実験がどこかで並列して行われているのかもしれない。
そしてそこには、ブラゴやウマゴンと言ったここには呼ばれていない別の魔物たちが参加させられている可能性もある。
優秀な螺旋遺伝子の正体はまだ推測の域を出ないが、あのビクトリームが候補として名を連ねるほどなのだ。
螺旋王が別所で同じようなことをやっているとでも思わなければ、他の名だたる魔物を押さえ、あのVが候補に挙がる説明がつかない。
いや、ビクトリームは実力のみを考えれば相当なものではあるが、螺旋王が目をつけるほどのものか、と聞かれると疑問なのだ。
もちろんこれは螺旋遺伝子というものの全容を知らない清麿だからこその疑問だが、仮説としては十分に理に適っている。
しかしこの【仮説A】についても、頭のしこりが除去しきれるほどの完璧な説というわけではない。
螺旋王の目的が【仮説A】のとおりだとした場合、浮上してくる疑問点は二つ。
――これが敵対勢力に対抗するための養成プログラムだとしたら、その敵対勢力というのは何者か。
――放送で語られていた『螺旋の力に目覚めた少女』を、螺旋王はどうしたのか。
前者については、これまで螺旋王が口にも出していない、清麿の妄想が生んだ存在である。
本人自身が相当な戦闘力を秘め、異世界や時空間に干渉する能力まで持つ螺旋王。
彼が対応しきれない敵など、本当に存在するのかというそもそもの疑問。
後者については、戦力の確保が目的であるとするならば、螺旋力に目覚めた少女を死地に置いておくメリットがない、というもの。
螺旋の力に目覚めることが螺旋王の愉悦に繋がるとするならば、件の少女はこの実験の成果とも言える存在のはずだ。
死地に置いたまま万が一殺されようものなら、それまでの実験が無に帰す。
つまり確実な利を求めるなら、その少女が螺旋の力に目覚めた時点で、手元に回収するのが得策なはずのだ。
もちろん、螺旋王が秘密裏にそれを行っている可能性もある。
または、螺旋の力に目覚めるだけでは戦力に値しないのかもしれない。
どちらにせよ、例の螺旋の力に目覚めた少女に接触しなければわからぬことではあるが……それよりもまず、前提の疑問として。
螺旋王の目的が【仮説A】のとおりであるとするならば、優勝者は一人、などと明言したのはなぜか。
最も優秀な螺旋遺伝子を求めたとしても、頂点に追随する者たちも候補者である以上戦力としては無ではないはずだ。
それを切り捨ててまでナンバーワンを選出する意味が掴めない。
もしくはそれすらも方便、参加者達の真剣みややる気を増長するための演出だという可能性もあるが。
以上の考察を踏まえ清麿は【仮説A】の書かれた紙に追記した。
同時に、【仮説A】を練る上で浮かび上がった【仮説@】との相違点も書き綴る。
そして、今改めて二枚の紙が並べられた。
◇ ◇ ◇
なんだこの駄文は
【螺旋王の真の目的について〜仮説@〜】
・螺旋王の真の目的は、『後任となる新たな螺旋王の選出である』。
・この殺し合いは螺旋王の与えた試練であり、戦いの中で王に相応しい人材を育み・選び出そうとしている。
・螺旋王自らが実験を取り仕切る理由――自らの目で次期螺旋王を選び出すため。優秀な螺旋遺伝子は、螺旋王でなければ見極められない。
・疑問点1――実験という言葉を用いたのはなぜか?
・疑問点2――他の世界に住まう無関係の人間を候補としたのはなぜか?
・疑問点1に対する解答――他世界の住人が螺旋王としての資格を持つかどうかを判断するという意味での実験。
・疑問点2に対する解答――自国に該当者がいなかったため、そういったしきたりがある、もしくは別の理由がある。
◇ ◇ ◇
【螺旋王の真の目的について〜仮説A〜】
・螺旋王の真の目的は、『敵対戦力に対抗するための養成である』。
・螺旋王には強大な敵対勢力が存在する。この殺し合いは、その敵対勢力に対抗し得る戦力を育むための養成プログラムである。
・螺旋王自らが実験を取り仕切る理由――自らの目で戦力としての適正があるかどうか見極めるため。
・疑問点1――螺旋王の敵対勢力とはなにものか? そもそも本当に存在するのか?
・疑問点2――目的の対抗戦力となり得る『螺旋の力に目覚めた少女』を、螺旋王はどうしたか?
・疑問点3――目的が対抗戦力であるならば、たった一人を選び出すメリットはない。あの言葉は建前か否か?
・疑問点1に対する解答――(空白)
・疑問点2に対する解答――既に対抗戦力として手元に確保している可能性アリ。
・疑問点3に対する解答――建前。参加者たちに真剣みを与え、より自然な形で螺旋の力に目覚めさせるため。
・備考――これと同じような実験が、他所で並列して、もしくは既に何度か行われている可能性がある。
◇ ◇ ◇
清麿自身、これらは推測の推測によって生まれた材料を元にした、当てずっぽうのような仮説であると認めている。
疑問点の数からしてちぐはぐなそれは、おそらくほとんど外れているだろう。
実際に文に起こし読み返してみても、なにが言いたいのか自分でもしっくりこない。
険しい顔で紙面を覗く清麿。一瞬の溜め息の後、仕方がない、と零し再びペンを走らせる。
筆跡は、三枚目の紙に残された。
◇ ◇ ◇
【螺旋王の真の目的について〜仮説B〜】
・螺旋王の真の目的は、『【仮説@】や【仮説A】の実験をより効率的に行うための実験である』。
◇ ◇ ◇
つまり、実験のための実験。清麿が【仮説@】と【仮説A】を組み立てる内に考えついた、ある意味最悪の説である。
キモとなったのは、第二放送での螺旋王のあの言葉。
――命と引き替えにだが、新たに螺旋の力を目覚めさせた者も現れた。
――そのような者が現れてこそ、この実験を行う意味があるというものだ。
――と、知恵を武器にする者達のためにも言っておこうか。
螺旋の力に目覚めたが、その者は死んでしまったという事実。
それを落胆せず意味があると言ってのけた螺旋王。
そして自らの言動を、清麿のような知恵者にヒントとして示すような口ぶり。
ひょっとしたら、螺旋王自身もすべてを知っているわけではないのかもしれない。
優秀な螺旋遺伝子とはなにか。どうすれば螺旋の力に目覚めるのか。このやり方で本当に正解なのか。
探求者としては、まだまだ手探りの状態。だからこそ、真の目的を果たすための実験をいきなり行うのではなく、
その実験で求める成果が得られるかどうか、実験してみる――という結論に至ったのだとしたら。
これならば王自ら実験に取り組む理由、実験という言葉を用いた訳、その他諸々すべてに説明がつく。
だが、仮にこの【仮説B】が正しかったとしても、その先に待っている真の目的がわからないようでは、結局はなにも変わらない。
(……いや、そもそも。たとえ螺旋王の真の目的がわかったからって、特になにかが変わるわけじゃない)
元々頭を休ませるつもりでベッドに寝転がったのに、ついついいつもの調子で考察を広げてしまった。
螺旋王の真の目的というのはそれこそ難しいテーマではあるが、判明したところでそれが清麿たちの生還に直結するわけではない。
結局は、首輪の解体方法と会場からの脱出方法、螺旋王を打倒もしくは出し抜く方法、三点をクリアしなければ、元の日常には戻れないのだ。
螺旋王の真の目的、このようなゲームを開催した動機がわかったところで……
(…………待てよ)
またベッドに身を投げ出そうとしたところで、清麿は停止する。
ぐるり、と顔を机の上に向けなおし、そこに散りばめられた物品の数々を見やる。
耳、メモ書き、首輪、首輪の中身――ネジ。
螺旋王の真の目的――王という肩書き――実験という王に不似合いな趣旨――螺旋の力――優秀な螺旋遺伝子――放送――螺子。
(ねじ、螺子、ネジ、螺旋、捩子、捻子――)
――その瞬間、清麿の頭の中で、なにかが繋がった。
ぎゅるり、ぎゅるりと、各種思考回路が弧を描きながら、組み合わさっていく。
気づけば手にプラスドライバーを握り締め、手鏡を探しに走り出していた。
◇ ◇ ◇
【仮説@】、【仮説A】、【仮説B】――これらすべて間違いであったとしても、一つだけ決定的だと断言できるものがある。
それは、螺旋王が決して道楽目的で殺し合いを始めたわけではないということ。
それを裏付ける証拠が、接合装置としてはあまりにもミスチョイスなネジの存在。
このネジがあるだけで、首輪は単なる拘束器具ではなくなる。
加えて、清麿のような知恵者が参加を強いられている事実。
さらに、第二放送での知恵を武器とする者へ宛てられたメッセージ。
考えれば考えるほど、清麿は可能性を感じてしまうのだ。
端からすれば、あまりにも馬鹿げた軽挙。
しかし理を突き詰めればこそ、そこに突破口があるような気がしてならない。
100パーセントとは言えない。しかし90は堅い。
ネジの意味を考えれば、当然そうであるべきなのだ。
これはおそらく、知恵を試されている。
螺旋の力というものに、知恵が該当するのか。
それとも優秀な螺旋遺伝子とは、螺旋の力に加え知恵が求められるのか。
息を吐き、ドライバーを握り、左手を首筋の裏に当て、清麿は唱えた。
(――俺の首輪の、ネジを回す)
清麿はネジの意味について考え、そして結論を出した。
このネジは、回せば首輪が外れる。それが清麿の首輪にも適用されるかは定かではない。
しかし仮に外れなかったとしても――そのペナルティで、首輪が爆発することは絶対にない。
そう、確かな自信を得たのだ。
(【仮説@】にしても【仮説A】にしても、首輪を弄って爆破なんて、道楽目的でない限り主催者が望むはずがないんだ。
俺たちは実験動物。死ぬにしたって、実験観察の視野外で死ぬんじゃ主催側にもメリットがない。
もちろん無理矢理首輪を外そうとしてってんなら話は別だが……これは無理矢理じゃない。ネジっていう鍵がある。
螺旋王はきっと、俺たちを試してるんだ。このネジに気づくか、このネジを回せるか――)
事態はもはや、監視が成されているかどうか、首輪の解除がどうといった話ではない。
実験なのだから、監視はされていて当然。また趣旨は実験であるのだから、主催側も首輪の爆破による死などは望まない。
そういった前提を覆すのが、ネジの存在。これが技術面での仕様がない不備だというならまた話は別だが、螺旋王の能力を見るにそれはありえない。
ゆえに、清麿は決意した。
ネジを回しても首輪が爆発することはない。
だから次のフェイズへ進むため、首輪のネジを回す。
(……震えてやがる。ははっ、当たり前か……一歩読み間違えれば死……怖いよな。ああこえーよ)
気取らず、清麿は震えたままの手で、首輪後部に貼ってあったネームシールを剥がした。
刻まれた名は、『Kiyomaro Takamine』。紛れもない、高嶺清麿の本名。
この名前を背負ってきた人生とも、お別れになるかもしれない。そんなことを思う。
人間らしい臆病さで、清麿はしかし、勇敢に立ち向かった。
シールの裏に隠されたネジ。十字の鍵穴に、銀色のドライバーを差し込む。
合致した。
あとは左に捻るだけ。
鼓動が高鳴る。
手は震えたまま。
震えて力が入りにくい。
しかしやめない。
やめるわけにはいかない。
清麿は奥歯を噛み締めた。
回した。
『――螺旋力なき者よ。その愚かさを悔いるがいい――』
(――――!)
結果、ネジはビクともしなかった。
たぶん1ミリも回ってはいない。
代わりに訪れた変化は、首輪から発せられた遠雷のように轟く低い声。
螺旋王の肉声に、限りなく近い声調の警告。
もしくは、戒めの言葉。
「…………ぐっ!?」
瞬間、清麿の全身を微弱な電流が襲い、たまらず椅子から転げ落ちた。
床に激突し、握っていたドライバーがすっぽ抜ける。
清麿の体は依然そのまま、丘に上がった鯉のように微動を続けていた。
(電気ショック――!? これが、首輪を外そうとした者への洗礼ってわけか! ……だけど!)
死なない――!
首輪から放たれる電流が全身を襲う最中、清麿は希望を見い出した。
推論は当たり、首輪は起爆せず、この程度のペナルティで済んでいる。
やはり、主催側にとっても首輪での爆死はナンセンスなのだ。
同時に、あのネジもただの接合のための部品ではないということが明確になった。
(螺旋力なき者よ、その愚かさを悔いるがいい――! そう言ったな螺旋王!? 覚えたぞ、ああ、覚えてやったさ!)
してやったりと言った風に口元を緩め、笑みを作る清麿。
これしきの電気ショック、清麿にとっては大した苦痛ではない。
なにせ彼は、これまで何組もの魔物とそのパートナーとの戦いを切り抜けてきた猛者である。
電撃、爆発、冷気、打撃、熱線、風圧、ありとあらゆる攻撃や痛みに耐え抜いてきた。
死なない程度に抑えられた電流などでは、清麿の心の力を屈服させられるはずもない。
経験が育んだ清麿の超人的バイタリティは、むしろこの苦痛を、好機とさえ捉えさせた。
(まだだ。まだ踏み込める……ッ!)
床に転がったドライバーを掴み、倒れた姿勢のまま、再びネジ穴にあてがう。
間断なく、また躊躇もなく、清麿は再びネジを回そうと試みた。
『――螺旋力なき者よ。その愚かさを悔いるがいい――』
「がっ!?」
二度目の嗚咽が漏れ、表情に苦悶が広がる。
しかし、今度はドライバーを手放さない。
先端をネジ穴に嵌めたまま、なおも力を込める。
継続して流される電流に、苦痛は続いた。
だがやはり、清麿は手先に込めた力を緩めはしない。
ぐい、ぐい、とがむしゃらにネジと格闘する。
腕に血管が浮かび上がり、そして、
「う……おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
気合のあまり咆哮を上げ、さらに強く、ドライバーの柄を握り締めた。
きゅる、
微かな、擦れるように微かな金属音。
『――螺旋力確認――』
同時に、声。
清麿の手が、止まった。
力尽き、掌からドライバーを零す。
事切れたように、ぐったりと倒れる。
しかし、聴覚は生きていた。
(……回った。そんでもって、わかった……)
口元だけの笑み。
清麿は、朦朧とする意識の中で、確証を得た。
ネジの意味――そして、螺旋力とはなんなのか。螺旋の力に目覚めるというのが、どういうことなのか。
忘れない内に紙に記そうと手を伸ばし……そこで清麿の意識は落ちた。
◇ ◇ ◇
とある王は言った――螺旋力とは、『進化の力』であると。
生命が持つ遺伝子……螺旋状に巻かれたDNA、そこに秘められたエネルギーの総称こそが、螺旋力であると言える。
螺旋力は遺伝子を持つ生命体であれば誰もが持ちえ、気合や信念といった感情エネルギーでそれを覚醒、加速させることが可能である。
しかしこの力は、本来は螺旋族という名の限られた種しか持ち得ない力であるはずだった。
少なくとも、螺旋王ロージェノムが知る世界では――。
これは言わば、『発見』。
螺旋力か、もしくはそれに似た別のなにかか。
螺旋状のDNAを持った人間という種、そしてそれに限りなく近い遺伝子を持つ鳥、猫、サイボーグ、魔物……。
彼らが秘めたる力は、本当に螺旋王の知識の中にある螺旋力と同質のものなのか。
また螺旋王の住む世界と別の次元に住む彼らは、人間ではあるが螺旋遺伝子まで同質であるのか否か。
気合、信念……遺伝子の覚醒、死を前にしての本能の発揮……日常からしてそれらに精通している者は、果たして?
Dボゥイ、アレンビー・ビアズリー、八神はやて、スバル・ナカジマ、玖我なつき。実験参加以前から、戦場にて遺伝子を燃やしていた者。
小早川ゆたか。闘争とは無縁の環境を生き、しかしながら初の極限で、遺伝子を覚醒させた者。
広い広い、多次元宇宙。遺伝子は、人間は、同質なのか、別物なのか。
高嶺清麿――実験以前より、生き残りを懸けて戦い続けてきた戦士。
幾度となく窮地に陥り、幾度となく乗り越えてきた。その中に、既に前例はあったのか。
仮定、高嶺清麿は……『半覚醒者』。
既に覚醒済み、もしくは不完全な覚醒、他の者についても同様?
渦巻く模様の瞳。それは螺旋の紋様か、それとも『答えを出す者(アンサー・トーカー)』の発動か。
否、『答えを出す者』の発揮こそ、ロージェノムの語る螺旋力の覚醒ではないか。
螺旋力覚醒の副産物? もしくはまったく別の異能?
探究心は、尽きない。
【D-6/総合病院/1日目/夕方】
【高嶺清麿@金色のガッシュベル!!】
[状態]:気絶、右耳欠損(ガーゼで処置済)、軽い貧血、疲労(大)、螺旋力覚醒
[装備]:イングラムM10(9mmパラベラム弾22/32)
[道具]:支給品一式(水ボトルの1/2消費、おにぎり4つ消費)、殺し合いについての考察をまとめたメモ、
イングラムの予備マガジン(9mmパラベラム弾32/32)×5、魔鏡の欠片@金色のガッシュベル!!、
無限エネルギー装置@サイボーグクロちゃん、清麿の右耳
首輪(エド)、首輪(エリオ/解体済み)、首輪(アニタ)
[思考]
基本方針:螺旋王を打倒して、ゲームから脱出する
0:導き出した『答え』を、メモに記す。
1:脱出方法の研究をする(螺旋力、首輪、螺旋王、空間そのものについてなど包括的に)
2:周辺で起こっている殺し合いには、極力、関わらない(有用な情報が得られそうな場合は例外)
3:研究に必要な情報収集。とくに螺旋力について知りたい。
4:螺旋王に挑むための仲間(ガッシュ等)を集める。その過程で出る犠牲者は極力減らしたい。
[備考]
※首輪のネジを隠していたネームシールが剥がされ、またほんの少しだけネジが回っています。
※思考0の導き出した『答え』とは、首輪のネジが回った事実を踏まえての瞬間的な閃き(主に螺旋力について)が当てはまります。詳細は不明。
[清麿の考察]
※監視について
・監視されていることは確実。方法は監視カメラのような原始的なものではなく、螺旋王の能力かオーバーテクノロジーによるもの。
・参加者が監視に気づくかどうかは螺旋王にとって大事ではない。むしろそれを含め試されている可能性アリ。
※螺旋王の真の目的について
・螺旋王の目的は、道楽ではない。趣旨は殺し合いではなく実験、もしくは別のなにか(各種仮説を参考)。
・ゆえに、参加者の無為な死を望みはしない。首輪による爆破や、反抗分子への粛清も、よほどのことがない限りありえない。
・【仮説@】【仮説A】【仮説B】をメモにまとめています。
※首輪について
・螺旋状に編まれたケーブルは導火線。三つの謎の黒球は、どれか一つが爆弾。また、清麿の理解が追いつく機械ではなくオーバーテクノロジーによるもの。
・ネジを回すと、螺旋王のメッセージ付きで電流が流れる。しかし、死に至るレベルではない。
・上記のことから、螺旋王にとって首輪は単なる拘束器具ではなく、参加者を試す道具の一つであると推測。
・螺旋王からの遠隔爆破の危険性は(たとえこちらが大々的に反逆を企てたとしても)限りなく低い。
※螺旋力について
・螺旋力とは――――
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