吉澤消防

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1 
22:02/03/30 19:52 ID:WnqENuLs
にい

3:02/03/30 19:52 ID:WnqENuLs
さんんn
4sage:02/03/30 19:55 ID:okq8nDwV
よん
5名無し募集中。。。 :02/03/30 19:56 ID:GZN9NSvO
後藤のなんかより10倍デカイニュースだと思ふ。
ライターもいい感じに壊れてるし。
6名無し募集中。。。:02/03/30 20:30 ID:TuGLjAQ+
 。 ノノノハヽ。゚
  ゚( O^〜^O )っ゚ <うぉぉぉ!とうとうオイラのスレで2ゲットしたぞ!
   ( つ   /        今のオイラってチョーカッケ−じゃん?!
   |   (⌒)
   (__)⌒^

  ノノハ ノハヽ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 (^〜^O=O^〜^) < おや〜??
    (⊃ ⊂)     \_______
    (_)_)

  ノノハヽ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ( O`〜´)ヾ < って糞スレかよっ!シカモ オソスギダヨ!
  (∪  Y    \_______
  (_)_) 
7nanasi:02/03/30 20:33 ID:jBg9n4Fg
アンチ吉澤スレかとオモタ
8E.YAZAWA:02/03/30 20:52 ID:jsq7g6+M
( O^〜^O )<♪フィリコーーフィリコ・フィリコ 
        TO ME−HA−HA−− ♪
9名無し募集中。。。:02/03/30 20:58 ID:ZbvDeEbI
あいつ、自分の名前「吉沢」って書いてるぞ。
1010:02/03/30 20:59 ID:Ho760rot
11名無し募準中。。。:02/03/30 20:59 ID:vaj5SteE
面度かったんだろ
自分の漢字核のめんどいとき
簡単な方使う事は良くある
12 :02/03/30 21:02 ID:ZoaLX3cb
>>1
小学生の吉澤可愛くねーな、オイ(w
13名無し募集中。。。:02/03/30 21:02 ID:ZbvDeEbI
>>11
それでもオレが5年の時のクラスの○澤ってやつ、地上最強に頭悪かったけどちゃんと難しい方使ってたぞ。
14名無し募集中。。。 :02/03/30 21:17 ID:zhQwyiXP
学校名は「三〜」か
15名無し募集中。。。 :02/03/30 21:27 ID:GZN9NSvO
>>14
(埼玉県)
三芳町立か三郷市立ぢゃないかね?

で、調べたら、
三芳町立唐沢小学校
だとよ。
16名無し募集中。。。:02/03/30 21:35 ID:c3H85DAn
強そうだよな俺の小6の時よりも絶対w
中学で劇的に変わったんだな。女は解らん
17名無し募集中。。。 :02/03/30 21:46 ID:S3HMIkez
アレが今みたいな美少女になったのか・・・
石川もそうだがスゲエ変わりようだ・・・
18 :02/04/04 18:23 ID:qw6qMeOe
 
19 :02/04/04 18:23 ID:jbxZTHdM
 
20 :02/04/04 18:23 ID:h1QqoGKN
 
21 :02/04/04 18:23 ID:NvtSU/TZ
 
22 :02/04/04 18:23 ID:k7KocCH1
 
23 :02/04/04 18:23 ID:O16LWCrt
 
24 :02/04/04 18:24 ID:WZUTbq0G
 
25 :02/04/04 18:24 ID:q3Y7kyhD
 
26 :02/04/04 18:24 ID:TsXlfqlD
 
27ブラドック:02/04/06 09:55 ID:efP3k2Xl
このスレ、貰っていい?
28ブラドック:02/04/07 03:51 ID:HQ3HZ9Dn
それじゃ、つまらないものでも書かせてもらおうかな。
小説練習中なので、上手くないけど
宮大工になるために家を出て行った、ヤグヲタの兄貴に捧げます。
29ブラドック:02/04/07 03:51 ID:HQ3HZ9Dn
救出


「ねえ、ちょっとー、どうするつもりなのよー」

飯田は部屋のドアを叩きながら、ノブをガチャガチャ回した。
しかし、ドアには鍵がかかっており、びくともしない。
彼女は「チッ!」と舌をならすと、ドアを蹴っ飛ばして安倍の横に座った。

「困ったねえ。仕事に遅れちゃうっしょ」

保田は「こいつはどこまで呑気なんだ」という顔をし、
ポッキ―を美味しそうに食べる安倍を見つめた。
呑気な安倍とは対照的に、矢口は悲壮感を漂わせている。
色々と事務所に弱味を握られている彼女は、
仕事に穴を開けようものなら、解雇される可能性があったからだ。

「これってさー、誘拐じゃんねー」

長い足を伸ばした飯田は、他の三人に確認してみる。
しかし、それには誰も答えなかった。
呑気な安倍以外の二人には、
そんな事は当然であるといった表情が覗える。

「どうなっちゃうのかなー」

矢口は不安から涙目になっている。
熟考タイプの保田は、この先に訪れる展開を考えてみた。
国民的アイドルであるモー娘のメンバーを誘拐したのだから、
これは営利誘拐である可能性が高い。
周到な計画を練った思想的グループならいざ知らず、
たった二人の誘拐犯では、拉致した者を殺してしまう事が多かった。
特に、拉致したのが若い女性であれば、必ずと言って良いほど、
レイプされて殺されるのである。
それは女性として、一番嫌な殺され方だった。
30ブラドック:02/04/07 03:52 ID:HQ3HZ9Dn
だが、保田はそれを口には出さなかった。
こんな事を言おうものなら、激昂した飯田に殴られそうである。
更に、今は呑気な安倍も、きっとパニックになり、
また壊れてしまうかもしれなかった。
保田は状況判断の速い、矢口の言動を見守ってみる。
同じ事を言うにしても、矢口が言えば飯田に殴られずに済む。
飯田は矢口の能力を評価していたし、
タンポポで苦労した仲間意識があったからだ。

「でもさー、何でこの四人なんだろうね」

矢口の言った言葉は、保田が懸念した事では無かったが、
かなりヘビーな意味を持つものであった。
簡単に考えると、年長者四人なのであるが、
それは同時に、リストラの可能性がある四人でもあったからだ。
五期メンバーが全員中学生だった理由を考えれば、
この四人には無言の圧力がかかっている。
そう、この四人はアイドルの生命線でもある「処女性」に泥を塗ったのだ。

「だいたい予想はつくけどね」

吐き捨てるように言った保田を、他の三人が見つめる。
勘の鋭い矢口は、保田の言った意味を理解し、黙って俯いてしまった。
反対に、安倍は全く理解せず、相変わらず鼻歌まじりにポッキ―を食べている。

「そうだね。きっとそうだよ」

頷きながら足を組む飯田だったが、彼女の考えは外れる事の方が多い。
恐らく、今彼女が考えている事も、全く関係無い事だと思って良いだろう。
そのくらい飯田は、外す事が多かったのである。
31ブラドック:02/04/07 22:25 ID:yjL3LtR/
「ちょっと、痛いやないか!離せっちゅうの!」

廊下から聞こえる聞き慣れた声に、四人は顔を見合わせた。
あの声は間違いなく中澤である。

「裕ちゃんだ。どうしたのかなー」
「これって、ドッキリなんだべか?」

気になった矢口がドアに近付いた途端、
鍵が開いて中澤が放り込まれた。

「あいたたたたた・・・・・・」

中澤は膝を打って痛みに顔を顰めた。
先に監禁されていた四人は、唖然として中澤を見つめる。
すでに娘を引退した中澤まで拉致されたということは、
他のメンバーも誘拐された可能性があった。

「裕ちゃん、どうしてここに?」

保田は中澤から情報を聞き出そうとする。
しかし、彼女は酔っているのか、
矢口を見つけると、抱き締めて離さない。

「やだー、裕ちゃん、飲んでるんでしょう」
「あったりー!」

矢口は中澤に会えて嬉しそうだったが、保田は再び考え込んだ。
営利目的の誘拐にしては、少々おかしなことがある。
アップフロントのドル箱とでも言うべき矢口や、
飯田や安倍という娘の要を拉致するのは良しとしても、
今や生産性を失いつつある中澤まで誘拐したのだ。

「なっち、聞いてもらいたいことがあるの」

飯田は真剣な顔で安倍を見つめた。
思わず注目した保田だったが、飯田の話はくだらない。

「欲しいんだべか?あげない」
「ええっ!なんでー?」
「嘘、どうぞ」

32ブラドック:02/04/07 22:26 ID:yjL3LtR/

 それは新春のハロプロツアーが終わった直後であった。
某TV曲のスタッフに扮した二人組みに、飯田が最初に拉致された。
まあ、飯田のことであるから、何かの番組だと思って全く疑わない。
二人目の安倍も簡単に拉致されてしまった。
たいへんだったのが、勘の鋭い保田と矢口である。
屈強な二人の男だったが、矢口こそ素手で押さえ込めたが、
保田の暴れ方はすさまじく、仕方なくナイフを突きつけたくらいだ。

「逃げ出そうとしたり、暴れたりしない限り、乱暴なことはしない」

背の高い男が、抱き合って怯える保田と矢口に言った。
そんなことを信じてしまうのは、安倍くらいのものである。
二人は命と女の危険を感じていた。

「な・・・・・・何が目的なの?」

保田は矢口を抱き締めながら、背の高いスタローン似の男に尋ねた。
気が強いと噂される矢口だったが、それは自らの演出でしかない。
確かに賢いところはあるが、本当は内向的で弱い女だったのである。

「目的は言えないが、危害を加えるつもりはない」
「だからおとなしくしてくれ」

ワンボックスを運転する太めの男が付け足した。
保田は怯えながらも、懐疑的な眼で男たちを見る。
「何もしない」という男が、何もしなかったためしがない。
男が求めるのは、女の身体と金だけであると、保田は思っていた。
身体を求められているうちは殺されないだろうが、
金が求められるようになると命がなくなる。
保田の中には、そういった方程式があった。
33名無し:02/04/09 13:00 ID:ewOOeMwS
オレしか読んでないかもよ
34ブラドック:02/04/09 14:25 ID:TxcvSQ9H
それでもいいのれす
35ブラドック:02/04/09 14:26 ID:TxcvSQ9H
監禁された部屋には、布団がしまってある押入れと、トイレがついていた。
東京に近い地方都市であることはわかったが、それがどこであるかまでは、
五人の知識では判明しなかった。

「食事だよ。一人だけこっちで食事してくれるかな?立候補する人」
「うちが行くしな。この子達には手を出さんといて」

中澤は諦めたように立ち上がり、ドアに向かって行った。
飯田と安倍は何も理解せず、中澤を見上げていたが、
保田と矢口は声を上げて泣き出してしまう。

「中澤さんはいいや。年齢順で行こうか。矢口さーん」

小太りの男は矢口を指名した。
恐怖に震えて眼を剥く矢口は、保田にしがみついて悲鳴を上げる。

「騒ぐなって。じゃあ、リーダーの飯田さーん」
「はーい」

飯田は立ち上がってドアに近付いた。
小太りの男はドアをあけ、飯田を連れ出すと、何事か頼んでいる。

「みんなの食事を運ぶの手伝ってよ」
「うん、うわっ!おいしそうな天丼だねえ」

飯田は天丼とみそ汁が乗った盆を運んで来る。
ゴマ油の香ばしい匂いが漂い、安倍はよだれをたらした。

「はーい、裕ちゃんからね」

飯田には何の緊張感もなかった。
中澤・保田・矢口の三人は、唖然として飯田の行動を見守る。
36ブラドック:02/04/09 16:02 ID:7QDGOXXP
全員に食事を配り終えると、飯田は部屋を出て行った。
安倍は嬉しそうに天丼を食べ始め、カラッと揚がった海老天に舌鼓を打つ。

「飯田はだいじょうぶやろか」

中澤は飯田が心配で、天丼を食べる気になれない。
保田と矢口も同じであり、全く箸をつけようとしなかった。

「食べないんだべか?なっちがもらっちゃうよ」

早々と食べ終えた安倍は、矢口の天丼に手をだした。
安倍は保田の天丼まで食べると、
勝手に布団を敷いて、寝る体勢に入って行く。

「お腹もふくれたし、ゆっくり寝るべさ」

安倍が規則的な寝息をたて始めたころ、ようやく飯田が帰って来た。
飯田は普段と変わらない様子で、安倍の横に布団を敷く。
レイプされたのではと心配する三人を見ると、飯田は困ったように首をかしげた。

「なに?圭織の顔に何かついてる?」
「なあ、言いづらかったら、言わんでもええけど、何があったんや」
「何って?みんなと同じ天丼だったよ。本当だったらー
信じてよ。カルビやタンなんて食べてないんだから」

そう言う飯田の服には、炭火の匂いが残っていた。
しかし、中澤が気になるのは、何をしていたかである。

「お話してたんだよ。本当だよー、お酒なんて飲んでないんだから」

飯田は真剣な顔をして首を振ったが、息が少し臭っていた。
中澤が気になっているのは、その後の事である。
37ブラドック:02/04/09 16:02 ID:7QDGOXXP
「何もされなかったんやな!」

中澤は怒ったように言った。
すると飯田が悲しそうに俯いて話し出す。

「実はね、腰が痛いって言ったの。そうしたら、布団に寝かされて・・・・・・」
「何やと!ホンマかァァァァァァァァァー!」

中澤は怒りを露にし、歯ぎしりしながら立ち上がった。
矢口は本気で怯えだし、保田に抱きついて泣き出す。

「ごめんね。圭織だけマッサージしてもらっちゃって」
「やっぱりそういう展開かよ」

保田は溜息をつく。
気がぬけた中澤は、座り込んで天丼を食べ始める。
すると、安心した保田と矢口が寄って来た。

「あれ?まだ食べてなかったの?」
「飯食ったんは、そこの家畜だけや!」
「三つも食べたんだよねー、裕ちゃーん」

矢口が中澤に天丼をねだる。
しかし、保田は信じなかった。
仮に飯田がレイプされていないにしろ、
男は必ず女を犯すものだと思っている。
それが「大人の考え」であると、保田は信じていた。
38ブラドック:02/04/09 16:03 ID:7QDGOXXP
 翌朝は安倍が呼ばれた。
四人の朝食はホットドッグだったが、
帰って来た安倍は酢飯の匂いがする。
本人は「ホットドッグだべさ」と言っていたが、
保田は安倍の歯についた海苔を見逃さなかった。
そんなことよりも、中澤の心配は、安倍が男たちと何をしたかである。
 雪が降る札幌キリンビール園での手売りの中、
安倍の父である昇蔵から、「娘を頼みます」と言われた中澤裕子。
以来、何があっても、決して安倍を見捨てることはなかった。

「安倍、寿司食ったことはええんや。何をしてたかが問題やろ?」
「言いづらかったら、言わなくてもいいんだよ」

保田が中澤を阻止した。言う言わないは、本人の自由である。
飯田に関しては好みもあろうが、安倍はこれだけ可愛いのだ。
間違いなく、男たちのえじきになっていると、保田は思っていたのである。
特に人のいい安倍は、しつこく要求されると、断りきれないところがあった。
本人が同意してしまうと、レイプされたという実感がないのである。

「何っていわれても困るべさ」
「安倍!」

中澤がにらむと、安倍は泣きそうな顔をして下を向いた。
保田は我慢できずに安倍を抱き締める。

「なっちは嫌だって言ったのに、むりやり・・・・・・」
「ほ・・・・・・ほんまかァァァァァァァァァー!」

中澤は青筋をたてて立ち上がった。
「またさ」矢口が言った「ああいった展開じゃないのー?」
すると安倍は泣き出してしまう。

「嫌だって言ったべさ。でも、むりやり、ウニを食べさせられたの」
「ほらね」

中澤は怒りの持って行き場がなくなり、
近くにいた保田の頭を殴った。
39ブラドック:02/04/09 16:03 ID:7QDGOXXP
 昼に呼ばれたのが矢口である。
矢口は四人の食事である焼ソバを配ったあと、
何が食べられるのか期待して男について行った。

「連れて来ました」
「ああ、よく来たね。確か焼肉が好きだったよな」

スタローン似の男は、七輪を出して炭を熾した。
矢口は大好物の焼肉が食べられるので、
嬉しそうに肉が焼ける音を聞いている。

「これからどうするつもりなんだい?」
「なに?」

矢口は妙な質問に困ってしまう。
それは、矢口の言うセリフであった。

「焼けたぞ。ほら」

男は矢口の皿に、焼けた肉を乗せて行った。
気がつくと、矢口を連れて来た小太りの男がいない。

「ありがとう・・・・・・でも、どうするつもりって言われても・・・・・・」
「質問が悪かったかな?おまえはモーニングコーヒーに憧れて、
追加メンバーオーディションを受けたんじゃなかったのか?」
「そうだけど・・・・・・」

矢口は男が何を言いたいのか、全くわからないでいた。
この男は何者で、何を考えているのか。
矢口のCPUは高速で動き始めた。
40ブラドック:02/04/10 03:16 ID:YVNEqdYR
「この世界に入って、本当に後悔してないか?辞めたいって思わないか?」

男は真剣な顔で聞いた。
矢口は焼肉を頬張る。
咀嚼している最中は、
考えることができるからだ。

「どうしてそんな事を聞くの?」
「おまえの本音を知りたいだけだよ」
「マスコミ?・・・・・・じゃないよね。あなたはいったい・・・・・・」

矢口は、もう一口、焼肉を口に入れた。
考えるためには、食べなければならない。
これは相手が自分の様子を覗うことをできなくする、
矢口なりに開発した工夫だった。

「簡単に言ってしまえば、おまえの味方だよ」
「味方がむりやり誘拐なんてするの?」

矢口は後悔した。男を挑発したと思ったのである。
しかし、男は冷静に話を続けた。

「誘拐はひどいな。まあ、結果的にそうなってしまったけど」
「あなたは約束を守ってくれてるから、それには感謝してる」

矢口は男を興奮させないように注意した。
不愉快にさせても、また、媚ても危険だったからである。

「はははは・・・・・・気を使ってくれなくてもいいぞ。おれは短気じゃない」

心を見透かされたようで、矢口は不機嫌になった。
矢口は悟られるのが嫌いだったのである。
41ブラドック:02/04/10 03:16 ID:YVNEqdYR
「正直な子なんだな。あの時と・・・・・・」
「えっ?」
「いや、それでどうなんだい?」

矢口は冷静になろうと努力する。
下手なことは言えない。
場合によっては命取りになってしまう。

「そりゃ、不満くらいあるよ。人間だもん」
「そんなことは聞いてないだろう?」
「なんて言えばいいの?」
「時間がないんだよ!」

男は矢口を睨みつけて怒鳴った。
怯えて震え出す矢口は、下を向いて頭をかかえる。
矢口は怖かった。本気で男を怒らせてしまったと思ったのである。

「ごめんなさい・・・・・・」
「いや、怒鳴ってすまなかった。今晩、また話そう」
「えっ?」

矢口はCPUの回転速度を最大にして、
十九年の記憶をスキャンしてみる。
男は何を考えているのか・・・・・・
しかし、それを分析することは不可能だった。
42ブラドック:02/04/10 03:17 ID:YVNEqdYR
 それから食事が終わるまで、男は他愛も無い雑談をしただけだった。
やがて小太りの男がやってきて、矢口を監禁部屋へ連れて行く。

(ドイツ軍のファンって、小太りの奴が多いって聞いたなー)

矢口はそんなことを思いながら、男の足元を見た。
すると、男はジャーマングレーの乗馬ズボンと、
黒のレザーブーツを履いている。

「なあ、今、ドイツ軍マニアは、小太りの奴が多いって思わなかったか?」

小太り男は立ち止まって矢口を見下ろした。
矢口は意外性のある女性に憧れている。
だから、悟られるのが大嫌いだった。

「それがどうしたのよ」

矢口が小太り男を睨む。
その途端、矢口は片手で首を絞められ、
そのまま持ち上げられた。
あまりの苦しさに足をばたつかせて悲鳴を上げた。

「やめろ!馬鹿野郎!」

スタローン似の男が飛んできて、
小太り男から矢口を奪還する。

「こいつが生意気だったんで、つい・・・・・・」
「こんなに小柄なんだぞ。しかも女性じゃないか!大丈夫か?」

男は矢口を気遣った。
43ブラドック:02/04/10 03:17 ID:YVNEqdYR
「おまえは向こうに行ってろ!」
「はい、申し訳ありませんでした」

小太り男は頭を下げると、別室に消えていった。
スタローン似の男は、矢口を抱かかえて立ち上がる。

「大丈夫だから・・・・・・降ろして」
「すまなかったね」

男は矢口を抱き締めた。
矢口は動揺して身体を捻り、
男から離れようとする。
しかし、男の力は強かった。

(まあいいか)

矢口は抵抗をやめた。
考えてみれば男は親切だし、
中々の男前でもある。
先ほどの小太り男はごめんだが、
この男であれば、この程度なら我慢できた。

「おっと、こりゃ失礼。ついつい」
「ついついじゃねーよ」

矢口が微笑むと、男は安心したように彼女を降ろした。
その丁寧な降ろし方に、矢口は少しばかり感心する。

「乱暴にされたら壊れちゃうよな。申し訳ない」
「ほんと申し訳ねーよ」
「壊されたらたまらないよ。せっかく仲良くなれたのに」
「えっ?」
44名無し募集中。。。:02/04/10 03:20 ID:1jgIpMt7
ハケーン。
ブラドックがんがれ。
45名無し:02/04/10 12:51 ID:L/nZx7ux
オレ以外にも読者が・・・
46ブラドック:02/04/10 13:38 ID:AFoVPLWQ
監禁部屋に戻された矢口だったが、もう中澤は心配しなかった。
しかし、保田だけが「矢口が犯されたかもしれない」と思っていたのである。
それが保田の『常識』だったのだ。

「矢口、何を食べたんだべか?」

安倍は嬉しそうに聞いた。
彼女の『常識』はそこにある。
中澤が安倍を家畜呼ばわりするのも、
いじきたないくらいの食欲が起因していた。

「ごまかしたところでしょうがないねー、焼肉だよ」
「そうだべか!・・・・・・おいしかった?」
「え?・・・・・・ああ、うん」
「それはよかったねえ。なっちの焼ソバには、
小さな豚肉が三切れしか入ってなかったの」

安倍は笑顔だったが、完璧に矢口を威圧していた。
それは羨望を通り越し、憎悪に近い感じがする。
そこには安倍の『食』への執着があった。
47ブラドック:02/04/10 13:39 ID:AFoVPLWQ
二日目の夕食の前、例の小太り男がやってきて、飯田を連れて行った。
三十分ほどすると、飯田は髪を拭きながら戻ってくる。

「圭織、お風呂だべか?」

安倍は嬉しそうに聞いた。
飯田が「そうだよ」と答えると、
安倍は他の三人の顔を見ながら微笑む。

「次はなっちでいいっしょ?ねえ、矢口、いいっしょ?」

そんな安倍を、保田は冷たい眼で見ている。
男達は飯田の入浴シーンを見て興奮しているに違いない。
次に入浴する者が男達のえじきとなるのだ。
保田にとっては、それが一般的な考えなのである。

「それじゃ、次はおまえでいいよ」

小太り男は安倍を連れて行った。
保田は溜息をつきながら矢口を見る。
安倍が男達に犯されるのは時間の問題だろう。
長い付き合いではあるが、安倍には苦しめられた時期もある。
仲間であると思うから庇ってきたのに、最近の安倍は、
そんなことなど忘れてしまっているようだ。
こういった保田の気持ちなど理解せず、
安倍は『食』への執着を捨てようとしない。
『天真爛漫』といえば聞こえはいいが、
理性というものが未熟な安倍は、
自分の本能に正直な女だった。
48ブラドック:02/04/10 13:39 ID:AFoVPLWQ
安倍が口笛を吹きながら帰ってくると、今度は中澤と矢口が一度に呼ばれた。
仲良く出て行く二人を見ながら、保田の頭には「3P」という文字が浮かんでくる。

(いや、向こうも二人だから4Pか?)

保田は最後になった自分にほくそえんだ。
すでに二人の男は、前の四人を犯しまくり、
自分を犯す体力がのこっていないと思ったのである。
かなり都合のよい解釈だが、
保田はこれが正当な判断であると思っていた。
49ブラドック:02/04/10 13:40 ID:AFoVPLWQ
中澤を先にシャワー室へ押し込んだスタローンは、
矢口にホットカルピスを作ってやった。
自分はジャックダニエルをロックで飲りながら、
向かい合って座った矢口と話を始める。

「もし、スッパリ引退させてやるって言われたらどうする?」
「無理に決まってんじゃん。あたし達は金のなる木なのよ」

男は困ったように考えながら、グラスのウイスキーを一気に呷った。
矢口は椅子の上に体育座りをしながら、両手でカップを持っている。

「もしもの話だ」
「夢だよ、それは」

矢口は悲しそうな笑みを浮かべて下を向いた。
男は「正直だな」と言うと、二杯目のウイスキーをグラスに注ぐ。
カラカラカラカラ・・・・・・
グラスを回して氷の冷気を拡散させる音に、
矢口は悲しげな視線を男に向けた。

「何度も観た夢・・・・・・今も観てるのかな」

男はグラスを回すのをやめ、矢口に微笑みかけた。
矢口は男の意図がわからず、視線をそらせて動揺する。

「アイドルなんて向いてないだろう。お前は頭がいい。
その気になったら、会社の一つや二つは興せるんじゃないか?」
「あはははは・・・・・・そうかもね」

矢口は笑っていたが、男には泣き声にしか聞こえなかった。
50ブラドック:02/04/10 13:41 ID:petyscTS
「十年間は飼い殺しかな?」
「・・・・・・うん」

矢口は自分でも驚くほど正直になっていた。
なぜそういった気持ちになったのか、
矢口は心の中で狼狽している。

「違約金はいくらだい?」
「五億八千万だってさ」
「そりゃふっかけたもんだな」

男はあきれながらウイスキーを呷る。
サラリーマンの平均賃金程度の収入しかない矢口にとって、
五億八千万は天文学的な数字だった。
このままの収入であれば、それだけの金額を得るには、
七十歳までただ働きしなければ手に入らない。

「芸能界を引退する気があるのなら、他にも手はあるんだぞ」
「どんな方法があるの?教えてよ!」

矢口は興奮していた。他人事だと思って好きなことを言う男に腹がたったのである。
矢口は勢いよくカップをテーブルに置くと、立ち上がって男を睨む。
男は「仕方ない」といった表情で立ち上がると、少し零れたカルピスを拭き取った。

「今は言えないな。おまえの気持ちがわからないから」
「あたしの?・・・・・・どんな気持ちよ!」

矢口は涙を溜めて男を見上げた。
51 ◆KOSINeo. :02/04/11 01:26 ID:CL9MXMnM
>作者さん
小説総合スレッドで紹介&更新情報掲載しても良いですか?
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1013040825/
52ブラドック:02/04/11 07:48 ID:PZhcxFCW
おねがいします
53名無し:02/04/11 13:08 ID:0DAuZ+P6
age!
54名無しさん:02/04/11 14:03 ID:FVJ7t3tY
どうでもいいがこのスレタイ笑える(w
55吉沢隊員:02/04/11 16:48 ID:7yV9noka
(0^〜^) < 吉沢隊員、ハシゴ登ります!

56ブラドック:02/04/11 17:22 ID:9QGZisuF
「こういった気持ちだ」

男は矢口を抱き締めてキスをした。
矢口は驚いて男から離れると、狼狽してしゃがみこむ。
とにかく矢口は怯えていた。
『このまま犯されるのではないか』
という恐怖に襲われていたのである。

「じゅ・・・・・・純情ぶるつもりはないけど・・・・・・やめてよ・・・・・・」
「安心しろ。おまえを襲ったりしない」
「それじゃ、何でいきなりキスなんかするのよ!」

矢口の眼から零れた涙が、床に染みを作ってゆく。
彼女は何で自分が泣いているのか判らなかった。
ただ、次から次へと涙が溢れてくる。

「おまえをレイプするんだったら、もう、とっくにやってるさ」
「え?」
「頭はいいが、まだ子供だな」

男は椅子に座ると、飲るのを再会した。
矢口には、どこかで判っていた。
この男は暴力的に女性を犯す人じゃない。
それでも、いきなりをキスされて、
不安が一気に飛び出したのである。

「モーニング娘。の『矢口』は疲れるだろう?ここでは『素』でかまわない」
「何よ・・・・・・何なのよ・・・・・・もう・・・・・・家に帰して・・・・・・」

矢口が蹲って泣いていると、バスルームから中澤が出てきた。
57ブラドック:02/04/11 17:23 ID:9QGZisuF
矢口は泣きながらバスルームに入って行った。
中澤は腕を組んで男を睨みつける。

「全部やないけど、話が聞こえたで」
「冷蔵庫にビールが入ってる。まあ、飲めよ」
「矢口を苦しめるんやない!・・・・・・特に今は」

中澤は口惜しそうに、そして悲しそうに言った。
男は勢いよく立ち上がり、中澤に歩み寄る。
さすがに怯えて彼女の表情が変わった。
男は無言で冷蔵庫からビールを出し、中澤の眼の前に置いた。
そして再び席に戻り、グラスにウイスキーを注ぐ。

「そ・・・・・・そんじゃ、御馳走んなるわ」

中澤はビールのプルを開け、震えながら一口を飲む。
男は中澤が怯えているのを知っていたが、
あえて中澤から視線をはずし、その話もしなかった。

「座れよ」
「矢口をどうする気や?」
「助けたい。・・・・・・それだけだ」
「あんたは何も判ってない」
「これでも調べたんだがね」

男は飲るのを中断し、
ウインナ―とコーンを炒め始めた。
隣には生ラーメンと野菜が置かれている。
今日の夕飯はラーメンなのだろう。
58ブラドック:02/04/11 17:23 ID:9QGZisuF
「上辺だけ調べたとこで、現実はちゃうんや」

中澤は一気に半分近くビールを飲んだ。
それは自分自身に対する不甲斐なさを責めるような仕草だった。
男は中澤を憐れむような視線を向ける。
その視線を感じた中澤は、男の真意が判らず、あえて眼を合わせない。

「おまえは苦労するな。これまでも、これからも」
「何でそう思うんや」
「言ったろ?調べたって」

男は料理を皿に盛り、中澤の前に置いた。
香ばしい胡椒の香りが中澤の鼻をつく。

「何もないのは寂しいだろ?」
「・・・・・・ありがとう」

男は割り箸を中澤に渡し、席に戻ると、飲るのを再開する。
中澤の『常識』の範疇を超える男に、彼女は戸惑うばかりだった。
なぜなら、中澤は保田ほど偏ってはいないが、男性に対しては、
それに似た感覚を持っていたからである。

「どこまで知っとるんや」
「おれの中では七〜八割って感じだがね」
「矢口の事や」
「写真の事か?それとも、置かれている状況?漠然とした質問だな。それは」

中澤は口に運びかけたコーンを落とした。
『この男は全部知っている』
彼女は直感的に悟った。
59ブラドック:02/04/11 17:24 ID:9QGZisuF
中澤は自分の頭を整理する。
この男が全部知っていて矢口を助けたいのなら、
何かしらの考えがあってのことだろう。
問題は男を信用できるかどうかだ。

「なあ、あんた。矢口を助けるために、五人もさらったんか」
「できれば、みんな助けたいが、おれの力では彼女しか救えない」

男はすまなそうに、そして自信を持って言った。
ここで中澤は確信した。男は全て知っている。
裏の裏まで全てお見通しなのだ。

「ほんまに矢口を救えるんやったら、うちは全面協力するで」

中澤は男の表情を覗う。
信用できるかどうかのポイントである。

「けど、あんたを信用できへん」
「そりゃそうだろう。こんな非合法なことをしたんだからな」
「あはっ、あんたは生真面目な人やな」

男は動揺もしなければ笑顔も見せなかった。
すでに頭の中ではシナリオが完成しているのだろう。
中澤の話にまったく左右されない。自信のある証拠だ。

「生真面目な奴が、誘拐なんかしないだろう」
「褒めてるんやで」

中澤は、この男に懸けてみるのも面白いと思った。
60ブラドック:02/04/11 17:25 ID:92nf63C2
現状を維持したところで、矢口の状況は変わらない。
娘引退→バラエティ→ヌード→風俗
といった事務所が用意したレールの上を、
矢口は懸命に走っているのだ。
『それならば、この男に任せてしまおう』
中澤はそう思った。
男が失敗したり途中で放り出しても、
自然とレールの上に軌道修正するだけだったからである。

「ええで。あんたを信用するわ」
「へえ、物分りがいいんだな。まあ、おまえの考えも判ってはいるがね」

この男は中澤が思ったことが判るのか?
いや、男は中澤の考えが及ぶ範囲を、予め予測していたのだ。
それに沿った話をしていたにすぎない。
それを悟った中澤は、男の能力に舌を巻いた。

「ひとつ聞いてもええか?」
「何かな」
「何で矢口をそこまで・・・・・・」
「気に入ったからさ」

『気に入ったからさ』
たった一言に秘められた意味は大きい。
いつ、どこで、どのように気に入ったのか。
三十女の考えが及ぶところではないが、
男の考えの奥深さに感心する中澤だった。
61ブラドック:02/04/11 17:26 ID:92nf63C2
矢口がバスルームから出て来ると、男は二人を部屋に戻した。
そして保田を呼ぶ。

「最後で悪いな。少し手伝ってもらうよ」

保田には判っていた。
男達は4Pでクタクタのはずだ。
まちがいなく、中澤と矢口は犯されているだろう。
その証拠に、二人いっしょに戻って来た。
そして自分の魅力を理解する男が少ない。
全ての条件が保田に有利だった。
と、本人は思っている。

「すっぴんの方が、かわいいじゃないか」

男に話し掛けられ、保田は驚いた。
クタクタの男が、そういった価値観で女を見るわけがない。
それが保田の『定説』だったからである。

男がドアを開けた。
保田の眼に入ってきたのは、セミダブルのベッドだった。
男は自分の寝室に保田を連れて来たのである。

(まさか!)

保田の頭の中では何かが弾けてしまい、同時に絶望が支配してゆく。
これまでの分析は間違いだった。男は最初から自分を狙って・・・・・・
自信を砕かれた保田は、懸命に気持ちを切り替える。
それが『大人である』と保田は思っていた。
62ブラドック:02/04/11 17:26 ID:92nf63C2
「・・・・・・でくれる?」

保田は思考に忙しく、男の声が聞こえなかった。
犯されるのは仕方ない。犬に噛まれたと思って諦めよう。
しかし、保田は犬に噛まれたことがない。
これまでに接した犬は、保田を見ると怯えるか、媚びるかどちらかだった。
なら猫に?猫にも噛まれた記憶が無い。ヘビ?カエル?・・・・・・結局、蚊で落ち着く。
まあ、この男も三十くらいだが、保田の広い守備範囲の中ではイケ面だ。
『レイプされた』と思わなければ、ショックも少ないにちがいない。

「聞こえなかった?そこの毛布を運んでくれる?」
「!」

保田は反射的に毛布を掴んだが、それは男の毛布だった。
男の臭いが染み付いた毛布。そう思うだけで、保田の眼が潤んでしまう。

「おれの毛布じゃないよ。そっちの新しいやつ」

もう、保田には男の声など耳に入らない。
男の毛布を抱き締めて、ベッドに転がった。
そして、男の愛撫を待ったのである。

「何やってんだ?ここはおれの部屋だぞ。早く運んでくれよ」
「・・・・・・来て」
「バカ!何を勘違いしてるんだよ。夕飯を作んなきゃなんないんだからさ」

男は保田を引き起こし、五枚の毛布を抱えさせる。
保田は頭の中がスパークしてしまい、男に部屋から出されても、
行動するのに時間がかかってしまった。

(あたしの常識って・・・・・・)
63ブラドック:02/04/11 17:27 ID:92nf63C2
 男は保田を入浴させると、ラーメンを作り始める。
しかし、スープを作ろうとして困惑してしまう。

(2.5カップ? 何CCと書いてくれなきゃ判らないよ)

困った男は、入浴中の保田に声をかけた。

「すまないが、『カップ』ってどのくらいだ?」
「・・・・・・一応、Bだけど」
「B?be?been?byじゃないな。何だろう」
「それがどうかしたの?」
「何CCなんだろうか」

保田は困った。
どうも男は体積を言っているようだが、
保田には自分の胸の体積など判らない。
自分の胸を触りながら目測してみる。

(えーと、球の体積は4πRの二乗だっけ?)
「三百くらいだと思うけど・・・・・・片方なら百五十か」

男はラーメンのスープの量を思い出す。
どう考えても五百CCくらいだ。
500 ÷ 2.5 = 200
このくらいだと思った。

「二百くらいじゃないのか?」
「それじゃAカップじゃないよー」
「もしかして、下着の話をしてないか?」
「えっ?違うの?」
「ラーメンのスープを作りたいんだけど」
「そのカップは二百・・・・・・」

それだけ言うと、保田は固まってしまった。
64ブラドック:02/04/11 18:18 ID:nmKzVC7H
こんなとこに来ていいのかなあ・・・・・・
65名無し募集中。。。:02/04/12 04:52 ID:LIUJb+1O
姉も弟もカギカッコが一緒、ァァァァァァ!を多用、まとめてアップ
と共通点が多いのはなんでだ?同一人物?
66名無し君:02/04/12 08:08 ID:iurmTk1M
いや微妙にちがうぞ

姉=アハハハハ   弟=あはははは
姉=訊く      弟=聞く
姉=俯く      弟=下をむく
姉=中澤京都弁   弟=中澤大阪弁かな?
姉=ランダム    弟=リズミカル
姉=漢字多用    弟=そーでもない
姉=なっちヲタ?  弟=やぐヲタ?

でも文章や書き方はニテル!!!!!

ゴメン、スレ汚した。逝ッテキマス・・・・・・
67ブラドック:02/04/12 16:26 ID:J6K3onks
読んでくれてるんスね。ありがとうゴザイマス!

何でアネキいるって知ってんスか? オレ、アネキ二人いまス。
下のアネキ(オレよりデケー)、どこかで探偵もの書いてると思いまス。
オレもアイデアやネタ、たまに提供してマス。
アネキは文章ウマイ方だと思うんでマネしてマス。
「」っスか? 上のアネキ(スゲーコエー・8コ上)に教わったんス。
kakkoって打って変換する方法。フツーちがうんすか? 
下のアネキ(5コ上)もそうやって書いてるっスよ。

「ァァァァァー!」や「アアン!」は『コードネームとみこ』がオリジナルっス。
タイトル違うっスか?中澤と吉澤が入れ替わっちゃうヤツ。
オレもアネキにも、かなりHITして、使わせてもらってるっス。

アネキがまとめてカキコなんスよ。マネしてるだけっス。
この『救出』はアニキ(ケンカ、スゲーつえー)が書いたヤツのアレンジっス。
勝手に書いて怒られるかもしれないっスけど、
ホントーはスゲーヤサシイんで平気っスよ。(アニキ3コ上)

漢字知らなくてすいません。アネキにきくと早いんスけど、足折ったんで、
そっとしてマス。辞書つかいながら、イライラしてマス。

あと、オレ(高3)はゴマヲタっス。アニキがヤグヲタっスよ。
アネキ(妹がほしかったらしい)が、なちヲタ・辻ヲタっス。
上のアネキ(ほとんどオフクロ)は怖くてきけないっス。
68ブラドック:02/04/12 16:27 ID:UhAo7n2W
続けます


保田がバスルームから出ると、
男はできあがったラーメンを運ばせる。
男は矢口を連れ出し、二人でラーメンを食べた。
すっぴんの矢口は、加入した頃と変わらない。
ただ、あの頃は希望に満ちた顔だったが、
今は疲れ切った顔をしていた。

「全ては、おまえ次第だってことだな」

男はラーメンをすする。
矢口は自慢の頭をフル回転させるが、
男の真意が見えてこない。
それが矢口を不安にさせ、
そして悲しくさせているのだ。

「あなたの目的は何なの?」

矢口は男の目的さえ判れば、
全てが見えてくると思った。
だが、それは甘い考えだった。

「おまえを助けることだよ」

矢口は期待を裏切られ、悲しそうに下を向いた。
男が言っているのは嘘ではないだろう。
しかし、それは男の究極の目的であり、
多少なりとも説明がなければ理解できない。
見えそうで見えない男の真意は、
矢口を苦しめるだけであった。
69ブラドック:02/04/12 16:27 ID:UhAo7n2W
「おまえを助けるって言われて、何を考えてるのか判らないのに、
おねがいしますなんて言えると思う?」

矢口は涙を溜めながら、男に聞いてみた。
男は矢口の考えを、全て理解している。
苦しめているわけではない。
ただ、矢口を助けたい理由を言ってしまったら、
全てがここで終わってしまう。
男はそう思っていた。

「おまえの気持ちも判るけど、躊躇してる暇なんかないぞ」
「もう何なのよ!ちゃんと説明してよ!」

矢口は泣き出した。
よくここまで泣けるものだ。
こんな小さな体で、
体内の水分がなくなってしまうのではないか。
男はそんなことを心配している。

「話が逆になってしまっているんだ。それだけのことなんだが」
「それじゃ判らないよ。あたしをいじめてるの?」
「何を言ってるんだ。そんなこと・・・・・・」

矢口は感情がコントロールできない。
何と、男にラーメンをブチかけてしまう。

「うわっ!・・・・・・熱い・・・・・・」

男はバスルームに飛び込み、冷水を浴びた。
70ブラドック:02/04/12 16:28 ID:UhAo7n2W
男は服を脱いでみるが、顔から胸にかけて火傷していた。
特に胸の火傷は他よりひどく、皮膚が少し変色している。
矢口はうずくまって泣いていたが、落ち着くにつれ、
自分がしてしまったことを自覚していく。

(あの人を、火傷させてしまった・・・・・・)

矢口は慌ててバスルームに駆け込んだ。
男は座りこんで顔から冷水を浴びている。
しかも、眼をつぶったまま、ぐったりしていた。

「ごめんなさい・・・・・・あたし、何てことを・・・・・・」
「熱かったぞ。こんなことは、もうやめてくれないか」

男は笑顔で言ったが、あごから胸にかけて、水ぶくれができていた。
そして男が手をどけると、最も重傷な部位があらわれる。
皮膚は青灰色に変色し、周囲の火傷からは少量だが出血していた。

「ああ・・・・・・どうしよう・・・・・・こんな・・・・・・」

矢口は狼狽して男の腕を掴んだ。
冷水が矢口を濡らしてゆく。

「濡れちゃうだろ。すまないが、あの男を呼んでくれないか?」
「は・・・・・・はい」

矢口はバスルームを飛び出し、
小太り男の部屋のドアを叩いた。
71ブラドック:02/04/12 16:28 ID:UhAo7n2W
「何だよ、うるさいなあ」

小太り男は矢口を見下ろして睨んだ。
矢口はこの男に首を絞められたのも忘れ、
「あの人が火傷した」と話したのである。
驚いた小太り男は、バスルームに駆けつけた。

「どうしたんです?ああ、これはひどい」
「手が滑ってしまってな。ラーメンを浴びたんだ」

男は矢口をかばった。真実は二人しか知らない。
それならば、自分でしてしまったことにすれば、
矢口の立場を悪くしないでもよいと思ったのだ。
男は矢口に貸しを作ろうなどとは考えていない。
ごく自然に嘘が出て来たことを思うと、
それが矢口に対する、彼の愛情だったのかもしれない。

「薬を取ってきます」

小太り男は自室に戻って行った。
男は矢口に微笑むが、
彼女は泣くことしかできない。

「心配するな。大したことはない」
「ごめんなさい・・・・・・」

火傷は冷やせば痛みもやわらぐが、
男は冷水を浴びつづけているため、
寒さに震えだしていた。
72ブラドック:02/04/13 14:31 ID:ZhGjcsBD
 小太り男には医学的な知識があるらしく、
火傷した男に適切な処置を施していった。
胸以外は大したことはないので、
軟膏を塗っただけで終わりにする。

「この人のパジャマを持って来てくれる?」

小太り男に指示され、矢口は男の寝室からパジャマを持ってきた。
火傷した男はトランクス姿で、バスルームの中に立っている。
矢口は動転しており、下着姿の男を見ても、恥ずかしいとは思わない。
小太り男は、痛みに唸る男を寝室へ連れて行き、ベッドに寝かせる。
そして、痛み止めのバファリンを与えた。

「確か、モルヒネがありましたよ。打ちますか?」
「ああ、頼む。それと、中澤を呼んできてくれ」

小太り男は自室に戻ってモルヒネを取り出すと、
その足で中澤を連れてきた。
男は矢口と中澤に看病させるつもりだ。

「そこに服があるからな。寒いようだったらファンヒーターをつけてくれ」

男が二人に言うと、中澤は心配そうにみつめた。
小太り男がモルヒネを打つと、男は痛みを忘れてゆく。

「五時間から六時間です。その頃、また来ますね」

小太り男の声を聞きながら、男は眠りについていった。
73ブラドック:02/04/13 14:31 ID:ZhGjcsBD
 それから五時間後、男は目をさました。
男の寝息が乱れたせいだろうか、
部屋にいた中澤と矢口が覗きこんでいる。
すでに日付は変わり、耐えがたい寒さが、
この部屋の中にやってきていた。

「目が覚めたようやな」
「まだ痛い?」

矢口が泣きそうな顔で言った。
男はモルヒネで少し混濁した意識を、
回復させながら記憶をたどってみる。
『胸が痛い』確か矢口にラーメンを。
そうだ、それで火傷したんだった。
男は自分の記憶を引き寄せると、
だるさの残る体で起き上がる。

「何時だい?」
「もうじき一時んなるで」
「そうか、よく寝たな・・・・・・」

男は自分の顔を両手でこすった。
顎に軟膏がついていたものの、
顔面から首への痛みは、
わずかなものになっている。

「あれから何か食べたのかい?」

中澤は矢口と顔を見合わせてから、
おだやかな顔で首を振った。
74ブラドック:02/04/13 14:32 ID:ZhGjcsBD
二人は、いや、特に矢口は、
夕食のラーメンをほとんど食べていない。
さすがに空腹だろうと思い、男は起きだした。

「腹へったろ?何かあると思うんだが」
「柊純一さん、いうんやな」

男は一瞬だけ動きを止め、
それから中澤をふり返る。
その表情には驚愕と疑問、
そして不安が混在していた。

「何を見たんだ」
「運転免許証。すまんな、気になったもんで」

柊は安心したように立ちあがり、
体を捻って背骨を鳴らした。
いつの間にか複雑な表情は、
普段の顔に戻っている。
柊が見られて困るものは、
持ってきていないからだ。

「うちと同い年やんか」
「そうだよ。姐さん」

柊が『姐さん』と言ったのがおかしかったのか、
中澤は笑顔で『ふふっ』と声をもらした。
そのやりとりを見て、矢口は安心してゆく。
それは、中澤が笑顔になったからである。
75ブラドック:02/04/13 14:32 ID:ZhGjcsBD
 三人はキッチンに移動し、柊が湯を沸かした。
あちこち物色していると、レトルトのクッパがみつかる。
クッパであれば、この寒い夜にちょうどよい。

「クッパがあったぞ。食べるだろう?」
「うちがやるで、あんたは座っとき」

柊は中澤に任せ、矢口に紅茶を作ってやる。
そして自分は、プロテイン入りの飲み物だ。
火傷によって破壊された部分を修復するには、
良質なタンパク質が必要だったのである。

「今度はかけないでくれよ」

柊が矢口の肩を叩いた。
笑顔で頷く矢口だったが、
柊は見る見る顔が強張ってゆき、
最終的には怒鳴りつける。

「死にたいのか!このバカ!」

突然の怒鳴り声に驚いた中澤は、
柊を見ながら恐怖に怯える。
柊は矢口の襟首を掴むと、
凄まじい表情で矢口を立たせる。
柊の変貌ぶりに、中澤と矢口は怯えた。

「こっちへ来い!」

柊は矢口をひきずって行った。
76名無し娘。:02/04/13 22:12 ID:yXz18A0S
うお〜!
気になるところで更新終了
なるべく早く続きを…
77ブラドック:02/04/14 12:42 ID:KkF8cb4u
「何?・・・・・・どうしたんや!」

中澤は二人のあとを追っう。
柊は矢口をバスルームに連れてくると、
乱暴に脱衣所へ押し込み、湯を張った。

「着替えを持って来てくれ」

柊は中澤に指示した。
しかし、中澤には事態がのみこめていない。
困惑する中澤に、柊は事情を説明した。

「矢口の服が濡れたままだ。気づかなかったのか?」
「ほんま?えらいこっちゃ」

中澤は事態を把握し、
柊の寝室へ走った。
矢口は今にも泣きそうな顔で、
柊を見つめている。
矢口には可哀想だとは思ったが、
柊は彼女の体が心配なのである。

「この寒さだ。凍死するかもしれないんだぞ」
「ご・・・・・・ごめんなさい」

柊は涙をためる矢口を抱き締めた。
かなり体が冷えており、
早く温める必要がある。
そこへ戻ってきた中澤は、
抱き合った二人を見て、
反射的に背中を向けた。
78ブラドック:02/04/14 12:43 ID:KkF8cb4u
「お湯が貯まってきたようだ。ゆっくり温まるんだぞ」
「うん」

柊がふり返ると、中澤が困った顔で右往左往している。
急速に仲よくなったと勘違いし、どうしようか迷っていたのだ。
三十目前の女にしては、可愛らしいところがある。

「洋服は判ったかい?」
「え?・・・・・・ああ・・・・・・ま、まあ」
「どうかしたのか?」
「え?いや、あはははは・・・・・・」

中澤は矢口に着替えを渡すと、
急いでキッチンへ消えていった。
柊は中澤の行動が理解できず、
彼女と仲のよい矢口の顔を見る。
だが、彼女も判らないようで、
困ったように首をかしげた。

「じゃあな」

柊は脱衣所のドアを閉めた。
そしてキッチンへゆき、
鍋でクッパを温める中澤に聞く。

「態度が変だぞ」
「ほんま?気のせいちゃうの?」
「何かあったのか?」
「いや、急に仲ようなったな思うてな」
79ブラドック:02/04/14 12:44 ID:KkF8cb4u
「カン違いだな、それは」
「そやけど、さっき脱衣所で・・・・・・」

中澤は途中で言葉をのみこんだ。
『抱き合ってたやん』
と言いたくてしかたないのだが。
柊は苦笑しながらテーブルに着いた。

「矢口の体がどのくらい冷えていたか、確かめていただけさ」

柊の落ち着いた声に、
中澤は自分のカン違いを悟る。
同時に、そうなってくれればいいと、
思った自分に驚いていた。

「ひとつ聞かせてほしいんやけど」
「何かな?」
「何で五人も?」

中澤には柊の目的は見えても、
多くの謎が残っていた。
それを検証しなくては、
まだ不安だったのである。

「他の子たちが、どこまで理解しているのかと思ってね」
「ある程度は判っとるやろ。けど、世間知らずやしな」

中澤は安倍のことを言っている。
安倍はほとんど状況を理解していなかった。
80ブラドック:02/04/14 12:44 ID:KkF8cb4u
要するに、安倍は鈍いのである。
こういった鈍さが原因で中学時代に、
いじめにあったことがあった。
しかし、安倍は事実が先行してしまい、
理由を分析することをしない。
理解されるまで時間のかかるタイプだ。

「飯田と安倍は半分も理解してないぞ」
「そうかもしれんわ。うちかて全部やないかもしれん」
「保田だけは判らないな。何を考えてるのか」

保田を理解しようとするなら、
まちがいなく数年はかかるだろう。
何しろ思いこみが激しく、
頑固なところがあるからだ。
中澤にしても、保田のことを、
どこまで理解できているか自信がない。

「あの子は特殊や。けど、たくましいで」
「どこでも生きてゆける?」

柊の質問に中澤は笑顔でうなずいた。
保田に関しては心配していないらしい。
そうなると、心配は飯田と安倍である。

「飯田はどうだ?」
「人気が出るかどうかは別問題やけど、
この業界には一番向いてるんちゃうかな。
一人で行っても平気やろ」
81ブラドック:02/04/14 18:32 ID:faI+z14C
「そうなると、心配は安倍だけか」

柊が言うと中澤の表情が変わった。
安倍に対しては苦労しているのだろう。
彼女に芸能界は向かないようだ。
自分が嵌められたことにも気づいていない。
やはり片田舎で専業主婦が似合っている。

「それと、矢口やった」

中澤は柊に訴えかけるように言った。
確かに矢口が置かれている状況は、
崖っぷちといってもよかった。
これまで娘を辞めた四人の中では、
福田明日香だけが円満引退である。
石黒は解雇通告を受けていたし、
市井は事務所の問題を押しつけられて、
志なかばで娘を辞めさせられたのだ。
中澤も『娘は二十五まで』と言われ、
泣く泣く『卒業』させられた。

「まだ市井くらいならいいがね」

市井はむりやりカムバックさせられ、
無能なプロデューサーの売名行為に利用されている。
全ては金のために使い捨てられるのだ。
芸能界なんてところは、全てが金である。
結局は暴力団の資金源でしかない。
失うものは多くても、得るものはわずかである。
それが芸能界だった。
82ブラドック:02/04/14 18:32 ID:faI+z14C
一口に『解雇』といっても、
芸能界というところは、
普通の会社の感覚ではない。
要するに、事務所の株主である暴力団幹部への、
実質的な譲渡であった。
若い女性が売られるのだから、
誰かの愛人になればよいほうで、
最悪は風俗店で働くことになる。
 石黒が『解雇』でも助かったのは、
相手の男が大物だったというだけだ。
矢口は娘初の『解雇』対象者だった。

「矢口さえその気になれば、おまえたちを解放できるんだが」
「あんたの言うことは、さっぱりわからへんわ」

中澤は柊の言う意味がわからず、
溜息をつきながらクッパをかきまわした。

「あの子のことや。ひとりだけ助かるんは嫌がるやろな」

それは柊が最も恐れていたことだ。
どんな条件を提示したとしても、
そういった気持ちになってしまったら、
お手上げなのである。

「それをやられたら、全てがパーになるぞ」
「だったら、むりやりでもええ!矢口と関係を持つんや!」
「何!・・・・・・バカ、おまえ・・・・・・気はたしかか?」
「矢口は強引な男に弱いんや」
83ブラドック:02/04/14 19:07 ID:hrxQLkfC
アニキの原作が、そろそろ終わり(なんと途中で終わりだった)なんスよ。
イメージはあっても、なかなかまとまらないっス。
更新速度が遅くなりまス。(または、更新量が減りまス)申しわけないっス。
明日も補習サボりまっス。
84ブラドック:02/04/15 17:36 ID:ZSVrmbMv
柊は中澤の極端な提案に狼狽した。
まさか、中澤の口から矢口をレイプしろと
いわれるとは思わなかったからだ。

「できるわけないだろ。向こうが望んでるなら話は別だが」
「だったら、全身全霊を懸けて説得するんや」

柊は考えていた。
期限は残すところ二日しかない。
それ以上五人を引っ張ると、
さすがのアップフロントも
黙ってはいないだろう。
警察か暴力団を動かすに決まっている。

「勝負は明日、いや、今日一日だけか」
「矢口を助けたって。この通りや」

柊は土下座する中澤を抱き起こした。
こうなったら、二人で説得するしかない。
何としてでも矢口を救う。
それが二人の目的になっていった。
85ブラドック:02/04/16 16:34 ID:IeKpAl2D
三人で二人前のクッパを食べ終えると、
柊は食後のコーヒーを煎れる。
牛乳が嫌いな矢口には、
ミルクを渡さず砂糖だけつけた。

「なあ、矢口。よう聞いてや」

中澤は矢口に話を始めた。
自分の置かれている状況。
この先の展望、未来感。
そして自分の想い。
中澤の真剣な声は、
確実に矢口の心に届いている。

「でもさ裕ちゃん、全てをなくしたら、どうやって生きて行くの?」
「それは・・・・・・」

中澤は答えに窮した。
確かに矢口の頭はいいが、
学歴もなければ特技もない。
持っている資格といえば、
原付免許くらいなものである。

「おまえがその気なら、一生面倒をみてやるぞ」
「ほんまか!」

困惑する矢口とは対照的に、
中澤は見る見る笑顔になってゆく。
86ブラドック:02/04/16 16:35 ID:IeKpAl2D
「聞いた?矢口、あはっ!」

中澤は嬉しくてしかたがない。
これがプロポーズの言葉だと、
勝手に解釈してしまったのだ。

「嘘だよ。そうやって都合がいい時だけ・・・・・・そして・・・・・・別れれば復讐」
「信用してもらえないのか?」
「どうやって信用しろっていうの?」
「おまえは誰にも渡さない」

二人のやりとりを、
中澤は少女のような眼で見ていた。
三十も近いというのに、
こういったことになると、
夢見る乙女になってしまうのだ。

「証拠を見せてよ。あたしは信用しない。もう騙されない」
「判った。おまえを救う計画を話そう」

柊は自室へゆき、手帳を持ってきた。
そして中身を確認しながら、
ゆっくりと話を始めた。
87ブラドック:02/04/17 18:22 ID:vOUodrmw
「おまえもそうだが、何人かのメンバーは日記をつけてるな」

柊が言うと矢口は無言でうなずいた。
矢口が書いているのは日記ではなく、
スケジュールであった。

「それが大きな武器になる。まあ、おれも隠し玉は持ってるがね」
「どんな武器になるっていうの?」

矢口は懐疑的な眼で柊をみつめる。
だが、柊は自信をもって続けた。

「労働基準法・児童福祉法って法律は知ってるか?」

柊は娘のスケジュールを把握していた。
スタジオの貸借契約書のコピーから、
ダンススタジオの予約票。
そして矢口の給与明細まで持っていた。

「これを持って東京地検にかけこむ。裁判は刑事裁判になるぞ」
「ムリだよ。東京地検なんか、相手にしてくれない」
「そう思うか?でも、税務署が絡んできたらどうなる?」
「まさか!脱税の証拠を掴んだんか?」

中澤は仰天して眼を剥いた。
柊の隠し玉である。
この証拠さえあれば、
東京地検は動くしかない。
88ブラドック:02/04/18 18:20 ID:8PlJbL7G
「この手の裁判は長引かないんだ」
「こりゃええわ。やったな矢口」
「しかし、できれば取引に使いたい」

中澤は不満そうに柊を見つめた。
この証拠を持っていけば、
間違いなく東京地検が動くだろう。
そうなればアップフロントは勿論、
娘達にも多大な影響がでてくる。

「脱税に関しては匂わすだけだな。こいつは隠し玉だ」

柊は第二第三の用意をしている。
その計画性の高さに、中澤は思わず唸った。
柊は一通り説明すると、矢口の返事を待つ。

「でもあたし・・・・・・」
「矢口!我儘やで!・・・・・・あんたが助かれば、うちはええんや」
「嫌だ・・・・・・嫌だよ・・・・・・裕ちゃん」

柊は立ちあがり、矢口を抱き締めてキスをする。
これは柊にとっても、最後の懸けだった。
中澤は眼をそらしたが、嬉しそうに微笑んでいる。
矢口は柊を突き飛ばすと、拳で彼の顔面をなぐった。

「バカ!バカ!バカ!バカ!バカ!バカァァァァァァァァー!」

柊は鼻血を出し、唇を切った。
それでも矢口のさせたいままにしている。
89ブラドック:02/04/18 18:20 ID:8PlJbL7G
矢口が二十発くらいなぐったところで、
柊は彼女の右手を掴んだ。
矢口は号泣しながら柊を蹴る。

「気がすむまで暴れろよ。でも、もう拳はやめろ。骨折しちまう」

柊は血まみれになった矢口の手を擦った。
矢口は興奮していた。柊をなぐることしか考えられなかった。
手の痛みなんか感じなかった。

「ウワァァァァァァァァー!」

矢口は柊に抱きついて号泣する。
自分を制御できなかった矢口は、
ようやく柊を受けいれることになった。
大暴れした矢口が感じていたのは、
その産みの苦しみだったにちがいない。

「もう三時になる。俺の部屋の隣があいてるんだ。そこで寝ろよ」

柊は自分の血で矢口を汚さないように、
顔をそむけながら中澤に言った。
中澤は無言でその部屋へゆき、
布団を敷いて戻ってきた。
その間、矢口は柊に抱きついたまま、
泣き続けていたのである。

「さ、矢口、行こ」

中澤が背中を叩くと、
矢口は柊にキスして
部屋に走っていった。
90ブラドック:02/04/19 18:29 ID:EfNnFMgN
「あはははは・・・・・・矢口は気に入ったようやな。あんたのこと」

中澤は柊の顔面の様子をみながら言った。
まだ鼻血が止まらず、柊の手は真っ赤である。
中澤はティッシュで血を拭き取るが、
次から次へと吸水力を失っていった。

「ちょっと多いな」
「大丈夫だよ。このくらい」

柊が鼻にティッシュを詰めると、出血が止まった。
中澤は切れた唇の様子をみる。
深くはないので、縫合の必要はなさそうだ。

「鼻骨は折れてないか?しかし、派手にやられたもんやな」
「苦しめてしまったからな。結果的に」

柊は矢口が現実を見つめだしたことに、、
誰よりも満足していた。
現実と向き合うことで、
何をすればいいのかがわかってくる。
考えてみればムチャクチャなことだが、
それほど矢口は追いつめられていたのだ。

「突破口程度にはなるだろうな。おまえたちの」
「それより、矢口の手の骨折を心配するなんて、カッコよすぎやで」

中澤は無防備な柊にキスをした。
これは決して媚ではなく、
矢口を救ってくれる男への、
感謝のしるしだったのかもしれない。
91ブラドック:02/04/20 18:19 ID:Q4CJjsGF
 柊は夢を観ていた。あの夢だ。轢き逃げされる夢。
五年前、柊は一台の乗用車に轢き逃げされた。
跳ね上げられたとき、膝に痛みを感じ、
アスファルトに叩きつけられるとき、
顔面の痛みを感じた。あの時・・・・・・

「はっ!」

柊は顔面の痛みで眼を覚ました。
だがそれは、轢き逃げにあったときに
負傷した顔面の痛みではなく、
昨夜、矢口に殴られた痛みであった。

「おはようございま・・・・・・どうしたんです?」

小太り男が柊の顔を見て仰天した。
左半分を中心に腫れ上がっていたのだ。
二十発も殴られれば当然だろう。
しかし、柊は自分の顔を腫らした、
矢口の小さな拳の方が心配だった。

「何でもないさ」
「昨夜は来れなくてすいません。寝ちまって」
「気にするな」

柊は鏡で自分の腫れ上がった顔を見た。
凄い腫れ方だ。ロッキーみたいに穴を開けるか?

「何とかなるか?」
92ブラドック:02/04/20 18:19 ID:Q4CJjsGF
「やりますか?少しは腫れが引きますよ」

小太り男は小さなメスで、柊の顔に三箇所の穴を開けた。
かなりの出血があったものの、顔の腫れは見る見る引いて行く。
傷薬を塗ってカットバンを貼ると、小太り男は自室に戻って行った。
この男は柊の大学の後輩であり、最も信用できる人間だった。
柊を慕っており、今回の計画を打ち明けると、志願してきたのである。

「さてと、朝食だったな」

柊がキッチンへ行くと、
中澤と矢口が起きていた。
まだ、少し腫れている柊の顔を見て、
矢口が心配そうに話しかける。

「痛かった?」
「それほどでもない」
「あたしはこういう女だよ」
「だから?」

柊が首を捻ると、矢口は嬉しそうに擦り寄ってくる。
横では中澤が嬉しそうに、同時に羨ましそうにしていた。

「よろしくおねがいします」
「そんなことか。朝食を作るんだが、手伝ってくれるか?」
「デリカシーのない男やな」
「いいの。裕ちゃんはそこにいてよ」
「へいへい、ほんま、羨ましいなー」
93ブラドック:02/04/21 16:28 ID:ZuYdMYLj
朝食のスパゲティを作り終えた柊は、
最終日という事で、娘達を全員集めた。
そして、今回の計画を話して行く。

「というわけなんだ」

娘達は下を向いたまま、
柊の話を聞いていた。
保田と飯田は理解したものの、
安倍だけは首を傾げて微笑む。

「でも信じらんないよ。電話させてよ」

飯田は事務所の意図が納得できないらしい。
柊は小太り男にケイタイを持って来さした。

「それじゃ、かけてみろ」

飯田は渡されたケイタイで、
憮然とした表情のまま、
UFAへ電話した。
94ブラドック:02/04/21 16:29 ID:ZuYdMYLj
「もしもし、飯田ですけどー」
――い・・・・・・飯田!今どこだ!
「うーん・・・・・・よく判んない」
――状況を話してくれ。安倍や保田もいっしょか?
「まあ、そんなとこ・・・・・・かな?」
――レイプされてないだろうな
「それは大丈夫じゃない?ところでさー、聞きたいことがあるんだけど」
――何だ?
「あたしたちってさー、早く辞めてもらいたいメンバーなの?」
――何言ってんだよ。おまえはリーダーじゃねえか
「そうだけどさー、もう、次は石川で決まりなんでしょう?」
――どどどどど・・・・・・どこからそんな話を聞いたんだ
「ねえ、矢口や圭ちゃんなんかさー、解雇されるの?」
――しゃしゃしゃ・・・・・・社長!飯田が・・・・・・
――ふん!代われ。・・・・・・もしもし、飯田か?
「はーい」
――おまえはモー娘を卒業してもらう。ソロだ
「勝手に決めんじゃねーよ」
――安倍はドラマ、矢口はバラエティだな。保田は・・・・・・辞めてもらうか
「てめー!何言ってんだ!この野郎!」
――中澤もいたら伝えてくれ。そろそろ脱いでもらうってな
「てめえ、人間じゃねえ!」
――あはははは・・・・・・矢口の例の写真、ブブカが競り落としたぞ。来月あたり掲載かな?
「きたねえ!この守銭奴が!」
――何とでも言えよ。嫌だったらいいんだぞ。違約金が払えるか?
「くそっ!」
――バカな犯人に伝えろ。身代金は払わないってな。殺すなら殺してもらってかまわない
「帰ったら殺す!」
――じゃあな。あはははは・・・・・・
95ブラドック:02/04/21 16:30 ID:ZuYdMYLj
電話を切った飯田は、悔し涙を溢した。
拡声器で聞いていた他のメンバーも同じである。
矢口は不安なのか、柊の腕に抱きついていた。

「これで判ったろ?」
「なっちはドラマをやるの?まあ、いいけど」

安倍は全く状況を把握していない。
中澤は困ったように安倍を見る。
すると保田が涙を溜めて顔を上げた。

「つんく♂さんは助けてくれる!」
「本気でそう思ってるのか?あのオカマ野郎だって、同じ穴のムジナだよ」
「そんなことはない!」
「だったら電話してみろよ」

――誰や?
「保田です」
――おまえ!・・・・・・まだこの世界におったんか?
「あたりまえじゃないですか。次のシングルなんですけど」
――ああ、プッチやろ?悪いけど、プッチは小川でいくで
「え?・・・・・・四人ですか?」
――おまえは抜けてもらう。タンポポは石川・紺野・高橋、ミニモニは新垣・加護・辻や
「そんなバカな!」
――おまえは解雇やで。ほんじゃな

電話を終えた保田はケイタイを握り締め、
しばらく茫然としていた。
96ブラドック:02/04/22 17:07 ID:PmfeH3h4
「あはははは・・・・・・あたし、解雇だってさ・・・・・・ううううう」

保田は飯田に抱きついて泣き出した。
すでにモー娘は石川を筆頭に、
後藤と吉澤の二枚看板で、
辻、加護のガキキャラ、
そして五期メンで動き始めていたのである。

「これでわかったろ?」
「なあ、あんた!うちはええ。この子たちを!たのむ!助けて・・・・・・」
「矢口だけしかむりだよ」

柊はなるべく平和的な解決を望んでいた。
しかし、柊であれば、この三人を救える。
中澤はそう思っていた。

「あんたならできるやろ?」
「だったら、死ねるか?」

柊は中澤を見つめた。
『本気だ』
そう感じた矢口は、
柊に抱きついて震え出す。

「うちが死ねば、この子たちは助けてくれるんか?」
「保障はないがね」
「だめ!そんなことは、絶対にだめ!」

飯田は泣きながら中澤に訴えた。
だが、中澤は次第に達観した表情になってゆく。
97ブラドック:02/04/22 17:07 ID:PmfeH3h4
「もう、人の一生分は生きたわ」

中澤の四人を救えなかった自分に、
今できることを考えた結果だった。

「だめだよ裕ちゃん、それならあたしも・・・・・・」
「矢口は黙ってろやァァァァァァー!」

中澤に怒鳴られ、
矢口は柊にしがみつき、
激しく泣きだした。

「最終手段だからな。全く保障はないぞ。場合によっては、全員が死ぬかもしれない」
「あたしはそれでもいい!モー娘を辞めるんだったら、せめて・・・・・・自由にしてほしい」

保田が泣きながら言った。
飯田も大きく頷く。
これで決まった。
柊は矢口だけは助かるように、
UFAの脱税の証拠を残し、
最終手段に移ることにした。

98ブラドック:02/04/23 17:54 ID:wEHOOwDm
 その夜、柊は矢口を求めた。
矢口は何も聞かず、柊に体を預ける。
なぜ柊が矢口を求めたのか。
それは本人以外にはわからない。
今となっては・・・・・・

 柊は矢口を抱いて眠った。
そして夢を観ていた。
また例の夢だ。
轢き逃げされた柊は、
流れ出る自分の血を眺めている。
体を動かそうにも、全く動かなかった。

「お姉ちゃん!」
「たいへんだー!・・・・・・もしもし、交通事故です。場所は・・・・・・」

少女の声がする。
やがて、少女が柊に駆け寄った。

「大丈夫?救急車を呼んだからね」

柊は薄れ行く意識の中で、
制服姿の少女の名札を見た。
『矢口』

「大丈夫だよ。頭打ってるから動かせないけど、大丈夫だからね」

彼女は柊の肩を触り、そして手を触った。
とても小さな手だった。
99ブラドック:02/04/23 17:54 ID:wEHOOwDm
 柊は病院に搬送され、生死の境を彷徨った。
リハビリを含めて二年の入院が終わり、
何とか社会復帰した柊は、救ってくれた少女を探す。
とにかく柊は、少女に会ってお礼が言いたかったのである。
横浜市泉区あたりに住んでいるということ以外は、
残念ながら何もわかっていなかった。
ある日、柊がテレビを観ていると、どこかで聴いた声がする。
その声は間違いなく、あの少女の声だった。

「矢口はですね。タンポポに選ばれて・・・・・・」

『あの少女だ!』
柊は思い出した。妹といっしょにいた、あの小柄な少女である。
少女の手の感覚が、柊の肩と手に残っていた。
『モーニング娘。? タンポポ?』
柊には何のことだかわからない。
だが、少女は芸能人になったようだ。
もう、会ってお礼できることはないだろう。
それから柊は矢口を見守っていた。

 ところが、二〇〇一年夏。
出版社に勤める柊のもとへ、怪しい情報が入ってきた。
例の「ニャンニャン写真」持ち込み事件である。
信頼できる情報だったため、柊の対応は素早かった。
すぐに仕事を辞め、矢口救出の準備に入ったのである。
『彼女だけは絶対に助ける。そうでないと、一生後悔するだろうな』
柊を動かしたのは、その気持ちだけだった。
100ブラドック:02/04/24 17:01 ID:GOYuivxI
 翌朝、柊は寝込みを急襲された。
情報を入手した警察の突入である。

「おまえたちは待ってろ!」

二人の刑事が先に中へ入り、
出てきた小太り男を撃った。
小太り男は胸を撃たれて斃れる。
そして柊の寝室へ飛び込むと、
驚いて起き上がった彼の胸に一発。
逃げだした矢口の背中を撃った。

「あとは中澤だな」

刑事たちは娘たちの部屋に踏み込む。
悲鳴を上げる娘の中から中澤を探した。

「中澤裕子は?」
「は・・・・・・はい」

中澤が手をあげると、
一人の刑事が拳銃を向けた。

「バカ、向こうでやるんだ」

刑事二人は中澤を引きずってゆき、
廊下で彼女の背中を撃った。
そして拳銃を柊に握らせると、
刑事たちは警官隊を突入させた。
101ブラドック:02/04/24 17:02 ID:GOYuivxI
 事件は意外なかたちで報道された。
数週間後の新聞で、大々的に報じられたのである。

「モー娘。矢口、中澤死亡!」byサンケイスポーツ
「矢口真里・中澤裕子殺される」by日刊スポーツ
「射殺!矢口真里・中澤裕子死亡!」by東京スポーツ
「ヤク束!原監督、ヤクルト打倒宣言!」byスポーツ報知

 UFAの策略だった。
これ以上、マスコミを抑えるのも面倒だったので、
警察を買収し、不要な二人を始末したのである。
犯人の二人と計四人。これで一千万円は安い。
さらに、すでにモー娘のお荷物となっていた、
飯田・安倍・保田の三人を、まとめて脱退させられる。

 ところが、三人の脱退記者会見では、
とんでもないことが起ってしまった。
三人が賃金未払いの訴訟を発表したのである。
それは柊が用意した各種書類だった。
会見の席には、そのコピーを持ち込んだのである。
UFAでは即座に三人の解雇を決定した。
しかし、柊の書いたシナリオは完璧である。
毎日のようにワイドショーが三人を追いかけ、
ついに東京地検が動き出したのだった。
102ブラドック:02/04/25 17:41 ID:MPgIzVvQ
数ヵ月後
 ヨーロッパのリヒテンシュタイン大公国。
小さな山間の王国であり、観光だけで成り立っている国だ。
そこの貸し別荘に、三人の男女の姿があった。

「わかるのかよ。ドイツ語なんて」

矢口は新聞を広げている中澤に言った。
中澤は苦笑しながら矢口を見上げる。

「けど、日本語新聞が来るんは一週間遅れやで・・・・・・目だってきたな」

中澤が嬉しそうに言うと、矢口は恥ずかしそうに自分の腹を撫でた。
妊娠五ヶ月。矢口は柊の子供を宿している。

 柊の虎の子だった最終手段。それは戸籍の抹消だった。
警察上層部とUFAの癒着の証拠を得ていた柊は、
警視庁監察局の人間と親しくなっていたのである。
それで、今回の最終手段では、彼等の力を借りたのだった。
スラッグ弾とはいえ、胸を撃たれた柊は重傷だったし、
矢口と中澤は肩甲骨にヒビが入っていたのである。
人形を使っての葬儀を終えると、三人は自由の身となった。
今後、捜査が進められて行くと、UFAが殺人でも告発され、
遺族に損害賠償と慰謝料の示談交渉が始まるだろう。
これで中澤と矢口の遺族は困らない。

「おーい、英国からの旅行者から新聞をもらったぞ」

柊は仕事着である野戦服のまま帰ってくると、持って来た新聞をテーブルに広げた。
『元モー娘。全面勝訴』『新ユニットに、飯田・安倍・保田・市井・福田』
『UFA、脱税疑惑で強制捜査か!疑惑のつんく♂氏』こんな見出しが目につく。

「すげえな。一人当たり八千九百万の支払い命令だってよ」
「傭兵隊の給料の何倍なの?」
「別にええやんか。こうして三人が暮らせるんやから」
「三人じゃないよ。もうじき四人だもんねー」

矢口はまだ見ぬ我が子に話しかけた。
103ブラドック:02/04/25 17:42 ID:GyYZkzSD
     ◇       ◇        ◇


・・・・・・・・・あの男は?
  
 ドイツ=ハンブルグ発ロイター通信ベルリン支局によると、
日本時間、今日未明、極右翼派ネオ・ナチと警官隊が衝突。多数の重軽傷者が出た。
逮捕されたネオ・ナチメンバーの中には、小太りの日本人も含まれており、
警視庁はドイツ大使館を通じて、日本人の身柄の引渡しを要求。
これに対し、駐日ドイツ大使館のハイネケン特別報道官補代理は記者団の質問に対し、
「身柄の引渡しは困難。関税引き下げに応じれば、交渉の余地はある」
と語り、事実上の引渡し拒否を発表した。
                 
     ・・・・・・・・・おわり・・・・・・・・・・・・
104ブラドック:02/04/25 17:44 ID:GyYZkzSD
最後までつきあってくれてありがとうございまっス。
スレを使わしてもらってありがとうございまっス。
感想もらえたらうれしいっス。
105名無し娘。:02/04/25 23:07 ID:thkTga8Y
昨日の更新終了後は、あまりの展開にビックリしました。

最終的には柊と矢口が外国でひっそり暮らす、
というのは予想していました。
ブラドックさんも読み手がそう予想することは、考えの中にあったでしょう。
そこで直前のあの展開、見事でした。

シリアスな展開に突入する前までの、保田の在り方も実に面白かったです。
やはりヤッスーはキャラが強いですね。

上手く言えないですが、全体をとおして、
とにかく楽しめました。毎日の楽しみでした。

次回作、を期待しちゃってよいのかな?
106ブラドック:02/04/26 18:52 ID:/1cexye0
ありがとうございまス!
次回作っスか?やっと終わったばかりなんで、何も考えていないっス。
できれば、こんどはゴマ系を書きたいっス。
構想がねれたら、またどこかのスレを貸してもらうっス。
『ブラドック』は変えませんので、またかわいがってください。
107ブラドック:02/04/27 10:13 ID:/RQxWB0U
申し遅れましたァァァァァァァァー!

◆KOSINeo.さん、更新情報に紹介してもらいまして、ありがとうございました。

 アネキは狩で書いているそうなんスけど、行き方を教えてもらえませんか?
 2chの案内ではみつからないんスけど。
108名無し募集中。。。:02/04/27 10:34 ID:ghQiUSgv
どういう姉弟なんだよ
109ブラドック:02/04/27 10:52 ID:rIzroQTf
すんません。アネキ、機嫌が悪いもんで・・・・・・
仲直りのきっかけが欲しいっス。
110名無し娘。:02/04/27 14:27 ID:ykW+JEka
これだろ
小説『なっち探偵の事件簿』
http://www.metroports.com/test/read.cgi/morning/1017623814/
111ブラドック:02/04/27 23:17 ID:M4gV7XtP
ありがとうございまス!これです!
112110:02/04/28 03:23 ID:cTPcM/tS
>111
姉ちゃんに「愛読してるよ」と伝えといてくれ(w
113:02/04/28 19:11 ID:gCHn1ouf
ありがとうございます。
別にケンカしてたわけじゃないんですけど。
私に余裕が無かったのでしょう。
拙い出来ですが、弟も完結出来ました。
応援して頂いて、本当にありがとうございます。
114 ◆KOSINeo.
>>107
いえ、面白い小説を読ませていただけて、こちらこそ感謝です。
ラストへの持って行き方が特に良かったです。
次回作、期待しています。お姉さんとも仲良くしてくださいね。