紺野のスポ根(紺)小説

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1名無し募集中。。。
書いて
陸上部、空手部どっちも可
かノハぼ
( ‘д‘)<ぼくしんぐ!
3ボク板住人@紺野ヲタ:02/01/17 21:43 ID:7O5/uBf0
明日までに考えてこようかな。ボクサー×紺野ネタ
4名無し募集中。。。:02/01/17 21:45 ID:qUI6G8T8
>>3
御願いします、ボクシングネタマンセー
5ボク板住人@紺野ヲタ:02/01/17 21:48 ID:7O5/uBf0
>>4
わかりました。
それじゃあ明日までに考えてきます。
6名無しすぺしゃる:02/01/17 21:48 ID:wM4eNH+h
はじめの一歩よりあしたのジョーで
7名無し娘。:02/01/17 22:50 ID:DoJpxPrr
期待sage
8川o・o・)ノ<コンコンマンセー!! :02/01/17 23:45 ID:kQRm3auf
川o・o・)ノ<コンコンマンセー!!
9名無し募集中。。。 :02/01/17 23:54 ID:oNj9UnfO
5月。北海道の中学校。
夕暮れの校庭で親友の希美とグラウンドに立つ紺野
他愛も無い会話に笑い転げていた二人に、ふと沈黙がおとずれた。
紺野がぽつりと言った。

川o・-・)<のの、1500のタイム測ってくれる?もしベストが更新できたら・・・
( ´D`)<うんいいよ。もし更新できたら・・・何?
川*・-・)<・・・それは走ってから言う。・・・恥ずかしいから
( ´D`)oO(…あしゃこは何か決める時必ず走るんだよね・・・)
       わかった。じゃあ位置について。

希美は走り出す直前の紺野の目に、思わずどきりとした。
いつものおっとりした幼いところの残る友人の目ではない、
何か重大なことを胸に秘めた大人の目だった。
ストップウォッチでタイムをはかりながら、希美は知らず知らずのうちに
走り続ける紺野の姿に見とれていた。
『あしゃこって、こんなに綺麗だったっけ・・・』
夕暮れに染まる紺野の脚の筋肉に目を奪われ、希美はもう少しで
タイムを測り損ねるところだった。
ゴールした紺野はグラウンドにそのまま仰向けになり、希美に
にっこりと笑いかけた。

( ´D`)<すごいすごい、あしゃこ!!ベストより五秒も縮まったよ!
      うーん、公式記録にならなくて残念だね〜
川;*・д・)<ハァハァほんと?ハァハァ
( ´D`)<うん!すごいよー!で、あしゃこ何を考えてたの?

川*・-・)<…私・・・、モーニング娘。のオーディション受けようと
      思うの・・・。
10加藤ティ〜:02/01/17 23:59 ID:o+LOn+1z
>>9
それどっかで見たぞ。でもイイ!!
11One More Dream 1:02/01/18 14:07 ID:aMSz8RRg
世界チャンピオンになれると信じていた。
「おいサトシ、お前世界チャンピオンになれなかったら焼肉おごれよ」
高校卒業の日、俺に向かって圭司が言う。
「わかったよ。焼肉じゃなく寿司でも何でもいいぜ」
そい言って入会にた地元のボクシングジム。
半年でプロになり、新人王、日本チャンピオン、そして世界チャンピオン。
頭の中では、もうすでに世界チャンピオンへのレールが広がっていた。
しかし、その自信は半年もしないで打ち砕かれた。
1ラウンド動くだけで、死ぬほど汗が湧き出てくる。腕が重い。肺が悲鳴をあげる。
・・・1ラウンドってこんなに長いものだったのか・・・。
ボクシングを始めてみてわかった1ラウンドというものの辛さ。
世界戦ではこれを12ラウンド・・・いや、4回戦でもこの苦しさが4回も続くのだ。
苦しかったのは、スタミナだけではなかった。
パンチの一発一発、フットワーク、ジャブ、ワンツー、ステップ。何もかもが奥深かった。
「頭で理解して動かせ」そう会長は言うが、意味がよくわからない。
スパーリングで何度も止められた。その度に会長に怒鳴られ、誰もいないところで泣いた。
それでも何度も続け、練習は周りが関心するくらい人一倍やった。
スパーでも倒されることはなくなった。それどころか、倒したこともある。
確実に実力はつき、周りからも誉められるようになった。
しかし、その実力と反比例して、俺のボクシングに対する気持ちが、少しずつではあるが、
薄らいできているような気がしていた。
どうも、ここ最近は練習に身が入らない。集中力が感じられないのが自分でもわかる。
体は動くのだが、どうも違う。パンチがキレていても、ただ慢性でやっている気だしていた。
アマチュア大会への出場も決まっていた。会長も期待してくれているのがわかった。
しかし、そんな気持ちとは裏腹に、俺のボクシングに対する情熱は、日ごとに無くなっていった。
そしてそんな気持ちのまま迎えたスパーリング。
俺は集中力を完全に欠いた状態で、3つも下の高校生に打たれ続けた。
たった1分で止められ、外されたヘッドギアで会長に頭を叩かれる。会長が何かを叫んでいる。
しかし、自分には何も聞こえない。それどころか、悔しいとすら思わなかった。
もう昔のように、悔しくて涙を流した気持ちは、もうどこにもなかった。
9月20日、俺はボクシングを辞めた。夢に期待を抱かせて入会してから、二年が経っていた。
12One More Dream 2:02/01/18 15:10 ID:aMSz8RRg
ピピピピピ ピピピピピ
目覚ましが鳴る。いつものようにそれを止めてから私は素早く着替えをして、外に飛び出した。
外はまだ少し肌寒く、日がまだ完全に昇っていなかった。
今、外にいる人といえば、新聞配達の人か犬の散歩をしているおじさんくらいしかいない。
「やあ、あさ美ちゃん。毎日頑張るねえ」
顔見知りになったおじさんが、私に話し掛けてきた。横にはべスもいる。
「あはようございます。おじさんも、べスのお散歩ご苦労様です」
そう挨拶をして、私は夜明け前の道を走り出した。

部活を退部してからも、毎朝走ることだけは欠かさなかった。
というより、体がそれを望み、習性のようになっていた。
それに、いつものこの風景を、できるだけ長く目に焼き付けておきたかったから・・・。
と、横にある建物に目がとまる。ちょっと古くて小さいが、白くて頑丈そうだ。
中には、釣り下がっているカバン・・・(サンドバックだっけ?)が数機と、リングなどがあった。
中にはまだ誰もいない。まあ、まだ朝だから普通なのかな。
建物の横には大きな看板が立てかけてあり、「長谷ボクシングジム」と書かれていた。
(こんなところにボクシングジムってあったんだ・・・)
私はその建物をしばらく見つめた後、再び走りだした。

「ねえ、あさ美。東京にいつ行くの?」
後ろからそんな声が聞こえた。恵理だ。
「・・・恵理ちゃんダメだよ。まだ授業中だよ。先生に聞こえたら怒られちゃうよ」
そう言うと、恵理はちょっとムスっとした顔をした。
「・・・いいじゃん、どうせ聞こえないって。ねえ教えてよ〜。ねえねえねえねえ」
「・・・あわわ・・・わかったわかったよぉ・・・教えるよから・・・。一週間後だよ」
私がそう言うと、恵理は大きな声で、えーーーっ!!と叫んだ。
「一週間ってあんた!!もうすぐじゃん!!準備とかいいの!?」
ああ、恵理ちゃん、そんな大声だしたら・・・。
「紺野!!今井!!うるさいぞ!!」
ほら、やっぱり怒られた。
でも、もうあと一週間なんだ。一週間で私はこの学校を転向して東京に行くんだ。
今みたいに、恵理や友達ともほとんど会えなくなる。
岩崎先生に怒られるなんてのも(めったにないけど)なくなるんだ。
そう思うと、急に悲しい気持ちになった。
何で応募しちゃったんだろう・・・。
数ヶ月前、私は恵理と二人で、モーニング娘。新メンバー追加オーディションを受けた。
今や国民的人気と知名度を誇る、国民的アイドルである。まさか受かるとは思っていなかった。
あくまで記念のような感じで受けただけだった。
しかしそれから一ヵ月後、東京から一通の速達封筒が届いた。
何だろう。そう思って開けた。中には紙切れ一枚。そこにはこう書かれていた。
「紺野あさ美さん モーニング娘第一次追加オーディション合格」
私はその数文字の内容が理解できず、しばらく固まっていた。
それから私は、最終オーディションを受けるために一時上京し、
最終審査でも合格し、モーニング娘。の新メンバーとして加わることになった。
周りが喜んでいる中、私は喜びの半面、激しい後悔に襲われた。
この学校を離れたくなかった。友達と一緒にいたかった。この街に住んでいたかった。
それが、あんな軽はずみな行動で全てが消えようとしている。
嫌だ。もっとみんなといたい。みんなと遊びたい。みんなと学校に行きたい・・・!
私を、今までに無いほど強い後悔の念が襲ってきた。しかし、涙は出なかった。
13ボク板住人@紺野ヲタ:02/01/18 15:13 ID:aMSz8RRg
>>11-12
ちょいと休憩します。
スポ根って感じじゃないけど、こんな感じでいいっすかね。
ネタ浮かんだらまた書きます。
14名無し募集中。。。:02/01/18 15:37 ID:KNp/poDS
いいっす。
続き待ってます。
15One More Dream 3:02/01/18 16:37 ID:aMSz8RRg
ボクシングを辞めてから、もう一ヶ月になろうとしていた。
あの日から完全にボクシングから決別をしたはずだった。
しかし何故か、毎朝欠かさずやっていたロードワークだけは辞める気にはなれなかった。
自分でも理由はわからないが、体がそれを望んでいた。
ボクシングを離れてから行うロードワークは気持ちがよかった。
それまではいつも何かに追いたてられている気がしていたから、
ロードワークがこんなに気持ちのいいもろだと気がつかなかった。
走り出して20分くらい、いつものコースのいつもの坂を登る。
いつもならここで折り返すのだが、今日はもう少し走ってみようという気持ちになった。
今日は調子がいい。まだまだ走れる。体力もまだまだ持つ。
と、目の前で誰かが走っている。こんな時間に走ってるのが、俺以外にもいたんだ。
俺はスピードを上げて、その人の後ろに近づいた。どうやら女らしい。
走るテンポに合わせて、肩くらいまである髪が、リズムよく揺れている。
走るスピードも結構速い。健康とかそんなんでやってるんじゃないな。
俺は気付かれないように近づき、その子の真横に並ぶ。
「おはよう」
俺は特に意味もなく声をかけると、その子はビックリしたような顔をした。
まさか話し掛けられるとは思わなかっただろう。どうやら中学生くらいの女の子のようだ。
スポーツに向いてそうな引き締まった体。それに似合わないふっくらとした、でも可愛らしい顔。
その子は小さい目を可能な限り見開いて、こっちを見ていた。
「・・・お、おおおはよざいますっ!!」
明らかに動揺したような声で俺に挨拶をした。

「ごめんごめん、驚かすつもりじゃなかったんだけどさ」
男の人が話し掛けてくる。しかし私には、まだ状況が理解できていなかった。
第一、男の人に話し掛けられることなんてそうないから、何を言ったらいいかわからない。
明らかに動揺している私を、男の人が不思議そうな顔で見ている。
どうしよう、何か言わなきゃ・・・。
「・・・ご・・・ごめんなさい!」
「はあ?」
って、何言ってるの!ああ、どうしよう。これだから恵理にいつも笑われるんだ。
きっと変な人だって思われたかも・・・。
私がそう思うと同時に、男の人が軽く噴き出しているのが見えた。
ああ、もう嫌だ。恥ずかしい。男の人の顔が見れない。顔が真っ赤になるのが自分でもわかった。
気が付くと、私は走り出していた。後ろで男の人が、お〜い。と言っている。
でも止まれなかった。角を曲がり、そこで立ち止まって呼吸を整える。
・・・すごい心臓バクバクいってる・・・。
心臓の鼓動は、ランニングだけが原因ではないのはわかっていた。
自分より頭二つ分は大きい大人の男の人声をかけられたのだ。何をしたらいいかわからなかった。
しばらくすると呼吸の乱れは収まったが、心臓の鼓動はなかなか収まらなかった。
心臓も納まり、再び走り出そうと塀から出たとたん、再び心臓が飛び出しそうになった。
!! さっきの人だ!!
私は素早く身を隠し、その人が走り去るのを待った。
と、途中で足音が消えた。走り去ったとは思えない。まだ近くにいるはず。
もしかして私を見てるの?
と思うと同時に「ストーカー」という言葉が浮かんだ。
私は恐怖と戦いながら、そっと顔を出してみると、確かにその人はいた。
しかし見ていたには私ではなく、近くにあった建物だった。
(あ、ボクシングジムだ。あの人、ボクシングやってるのかな)
彼はしばらくジムを見ていたかと思うと、頭がクシャクシャになるくらいに掻いて、走り去っていった。
私は少しだけ塀から顔を出し、彼の姿が完全に見えなくなると、ようやく姿を日光に当てることができた。
目の前には古いボクシングジム。あの人、ここで習ってるのかな。
ボクシングって、今は女の人にも人気あるみたいだし、ちょっと興味もあるし・・・。
学校終わったら、帰りに恵理を誘ってちょっと見学していこうかな。
16One More Dream 4:02/01/18 16:38 ID:aMSz8RRg
勤務中だというのに、全然仕事が手につかない。今朝のあのことだ。
・・・ああ、やっべーな。明らかに変な奴だって思われたかな。声かけなきゃよかったよ。
・・・でも、ちょっと可愛かったかな。
って、そんな問題じゃない!もうあのコース走れねーな。うわーーーー!!
「おい戸高、ドンドンうるせーぞ!!」
先輩に怒られた。周りの視線が厳しい。俺は皆に軽く頭を下げ、再び仕事に取り掛かった。
・・・まあ、明日会ったらとりあえず謝っとこ。
それにしても、何で俺はあそこでジムを見て立ち止まったんだ?
もう完全にボクシングはやらないと思ったのに。
・・・そうだ、もうボクシングはやらないんだ。
くだらねー。何のために殴ったりしなきゃなんねーんだ。もうあんなのこりごりだ。
そう思っていた。いや、そう思わせようとしていた。
だが、俺には自分にとってボクシングというのが何なのか、わかってきていた。
だから、それを否定するしかなかった。
17One More Dream 5:02/01/18 17:30 ID:aMSz8RRg
放課後、多少強引に連れてきた恵理と一緒にボクシングジムの見学に行った。
というより、いざジムを目の前にしてオロオロしている私たちを見つけて、会長さんが入れてくれた。
「見学に来たの?今の時間はプロはいないけど、自由に見てていいよ」
会長さんはそう言うと、「会長室」と書かれた部屋に入っていった。
ジムに中には5人くらいの人がいて、それぞれがそれぞれ色んな練習をしていた。
会長さんの話だと、どうやら今の時間はプロはいなくて練習生さん(?)だけみたいだけど、
それでもボクシングのパンチは迫力があった。
練習生さんがサンドバックを揺らすたび、恵理は「うわー!」「すっげー!」「かっけー!」
と歓声をあげる。恵理が声をあげると、何故か練習生さんは練習に力を入れた。
もしかして、恵理の声がうるさいのかな。
「・・・恵理ちゃん、ちょっと静かにした方がいいんじゃないかな」
そう言うと、恵理はちょっとバツの悪そうな顔をして騒ぐのをやめた(と同時に練習生さんたちの覇気が消えたのは気のせいかな)。
それでも恵理は、ちょっと休憩している練習生さんを見つけては、何か質問している。
ボクシングって怖いってイメージあってけど、そうじゃないんだ。何だかほっとした。
これなら東京でやるとしてもできるかな。
「ねえねえあさ美〜!」
恵理があっちで叫んでいる。
「なに?」
「この人が、コレ(どうやらサンドバックらしい)叩いてみないかって」
「・・・私はいいや」
「え〜!あさ美極真空手茶帯じゃん!やってみてよ〜」
・・・恵理・・・あまりそんなこと言わないでよ。ほら、ざわざわしてきた。
結局、私は周りから乗せられるような形で、サンドバックを叩いてみることになった。
まあ興味はあるから叩いてみたいって気持ちはある。それに極真をやっていたから、多少は自信があった。
グローブをつけて準備万端。サンドバックに向かってかまえる。そして、私のパンチが炸裂!!
・・・しなかった。本気で繰り出したパンチは、ポフッという情けない音を立てただけだった。
まるで、サンドバックが私のパンチを笑ってるように見えた。恵理が腹を抱えて笑っている。
恵理、ちょっと笑いすぎじゃない?
私は顔をちょっと膨らませた。すると練習生さんが近づいてきて、アドバイスをしてくれた。
「空手の重心は後ろだったよね?ボクシングは前だから、前に重心をかけるように打ってみて」
そうアドバイスされ、まだ笑っている恵理を尻目に、私は再びサンドバックに向かい合った。
バアーーーーーーーーーーーーーン!!
信じられないほど大きな音が響いた。さっきとは比べ物にならない。
その音に、さっきまで笑っていた恵理もピタリと硬直した。
周りの練習生さんも、ざわざわとした声をあげ、騒ぎだした。
しかし誰よりも一番驚いたのは、パンチを打った私だった。私が誰よりも一番長く硬直していた。
「・・・もしかしてこの子、戸高より才能あるんじゃねーの?」
練習生の一人がそう言うと、皆が冗談めかして、そうだ、そうだ、と笑いだした。
「ねえねえ、戸高って誰ですか?」
恵理がずけずけと聞く。もう、礼儀っていうの知らないんだから・・・。練習生さんの一人が話を始める。
「戸高ってのは、一ヶ月前までこのジムにいた練習生だよ。
正直、才能はなかったけど、練習は人の何倍もやってて、そこだけは本当に凄かったよ」
「でも、スパー・・・練習試合でやられてから、あいつ来なくなったんだ。
会長も、あいつの真面目さが好きだったみたいで、来なくなった時はかなり落ち込んでたよ」
「あの・・・その人ってどんな感じの人ですか?」
無意識にその言葉が口から出てきた。
「え?ああ、特徴は・・・」
練習生さんの一人が話してくれる。その話は、今朝会ったあの男の人にそっくりだった。
・・・あの人だ。あの人、ボクシングやってたんだ。
「きみ、戸高を知ってるの?」
「・・・いえ、知り合いというわけではないですけど・・・」
練習生さんはしばらく黙っていたかと思うと、私の目を見つめて言った。
「今度会ったら、あいつにまだボクシングをやる気があるか聞いてくれ。
そして、よかったら、ジムに戻るように言ってくれないか」
18ボク板住人@紺野ヲタ :02/01/18 17:35 ID:aMSz8RRg
>>15-17
とりあえず、今日はここらで終わります。
処女作なんだけど、小説書くのって難しいですね。
職人さんに関心。では、今からROMに徹します。おやすま
19名無し募集中。。。:02/01/18 17:42 ID:KNp/poDS
おつかれ〜
続き、あるよね?
気長に待ちます……
20紺野・・・・・結構スキ:02/01/18 17:50 ID:gjhimkuT
>>18
いいっすね。読みやすいです。

ただ、戸高のガタイが頭に浮かばないす。
身長は180ぐらいかな。
階級は?
21ボク板住人@紺野ヲタ :02/01/18 17:53 ID:aMSz8RRg
>>19
どうもです。
多分遅くても二日以内には第一部終わらせます。
第一部は話の固まりが半端で変な感じ。
第二部は話がだいたい固まってるんですけどね。
ちなみに、登場人物は今のところ、
戸高覚士・・・主人公です。年齢は20歳。才能がないけど努力家。
    名前は、元世界チャンピオンで同じ緑ジムの、飯田覚士、戸高秀樹から取っています。
紺野あさ美・・説明不要
今井恵理・・・この話の紺野の親友という設定です。とにかく喋ります。
    設定はオリジナルですが、名前は元SPEEDの今井絵里子から取ってます
22ボク板住人@紺野ヲタ :02/01/18 17:59 ID:aMSz8RRg
>>20
指摘ありがとうございます。
戸高は紺野より頭二つ分くらいでかい。とさっき書きましたが、頭の中では大体170cmくらいです。
階級は、多分フェザー(57kg)〜ライト級(61kg)になると思います(そこらはまだ考えてないんで)。
頭二つ分・・・ってのは、紺野から見て、「大人の人だ」って見える感じを出したかったんで。
ガタイはスリムだけど脱いだら凄い。みたいな感じです。意外と体格はいいです。
何か気付いた点などがありましたら、遠慮なく書いて下さい。
指摘を参考にしていきたいと思いますので。では
23ななし募集中。。。:02/01/18 20:39 ID:4oWDISqx
期待してます。
コンコンの陸上(1500m走)ネタや
コンコンの優等生ぶりも描いてクダサイ・・・アニヲタネタもきぼーん。

24兄貴の位牌:02/01/19 05:54 ID:CUg5CxxZ
面白くて一気に読んでしまいました。
本当に処女作なんですか?
娘。としての話になるかボクシング中心の話になるか、
それとも恋愛の方向か・・・とても気になります。
次も期待しています。

・・・今井絵里子が娘。の追加オーディション受けてる姿だけは
どうしても想像できない(w
25 ◆KOSINeo. :02/01/19 10:00 ID:jRgv9xKa
>ボク板住人@紺野ヲタさん
小説総合スレッドで紹介&更新情報掲載しても良いですか?
http://tv.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1000493808/
26ボク板住人@紺野ヲタ:02/01/19 18:32 ID:RW42wBFO
>>25
はい、いいですよ。
これからは別に許可なしで更新してもいいです(いつ来るかわからないので)。
27One More Dream 6:02/01/19 19:21 ID:RW42wBFO
目覚ましの音がやけにうるさく聞こえる。いつもうるさいのだが、今日はいつも以上だ。
昨日あんなことがあっただけあって、今朝の目覚めは最悪だ。
今日はサボろうかな・・・。
そう思ったが、変な奴と思われてるのも何なんで、とりあえず謝っておこう。
そんな考えと裏腹に、俺はダラダラと着替えを始める。
実は、時間をズラせば会わないかも、と思っていた。
いつもより20分は遅れて、俺は半分日が昇っている道を走りだした。
今日はいつもより人が多い気がする・・・と言うより、実際多い。(それほど多くはないが)
20分遅れて走っただけで、まるでいつもと違う道を走っているようだ。
これなら、あの子に会わずに済むかな。と思っていた。
と思ったら、いた!坂を登り終えたところのちょうど目の前に。
しかし昨日と違うのは、その子は走ってはおらず、横にある塀にもたれかかっていた。
まるで誰かを待っているようだ。と、その子が顔を上げたと同時に目が合った。
・・・やっべー。どうしよう。こんな時は手の平に人を・・・って、違う!
あ、とりあえず昨日のこと謝らないと・・・。
俺は周囲をキョロキョロしながら、その子に近づいて行った。
・・・昨日は突然あんなことしてゴメン。
「あの・・・戸高さんですか?」
俺が謝ろうとしたとより早く、その子が言った。
何でこの子、俺の名前知ってるんだ?
正直驚いたが、俺は「ああ、そうだけど」と答えた。
「あの・・・ここのボクシングジムに通っていました?」
!?!? 何でそこまで知ってるんだ!?
俺の頭に「ストーカー」という言葉が浮かんだ。しかし、
「ここ練習生さんから伝言を頼まれたのですけど・・・」
!?!?!?!? 何でこの子がジムから伝言を?
「戸高・・・さんに、もう一度戻ってこてほしい。と言っていました。会長さんも、寂しがっているそうです」
そうか、この子に伝言を頼んだんだな。
「・・・そうか。でも、ボクシングはもうやりたくないから・・・。そう言ってくれないかな」
ボクシングをやりたくない。そう言った時、一瞬だけではあるが、胸がギュッと締め付けられた気がした。
「・・・ボクシング、何で辞めたのですか?」
伝言は伝えたはずだが、その子は質問をしてくる。
「何でって・・・いや、別に」
「ボクシング、嫌いになったんですか?」
「・・・別に嫌いになったわけじゃないけど」
「すごい練習してて、世界チャンピオンになるって言ってたらしいですけど・・・」
その子の語気が、だんだん荒くなってきている。何でこんなにムキになってるんだ?
「それは、ボクシングを知らなかったから・・・」
「知らなかったからって諦めるんですか?それって諦たわけじゃなく、逃げてるんじゃないですか?」
・・・私ったら、何て失礼なことを言っているの。
「何て言うか・・・情熱みたいなもんが・・・」
「情熱がなくなったからって辞めるんですか!?
そんな半端な気持ちで世界チャンピオンになりたいなんて言ってたんですか!?」
そんな半端な気持ちで。その言葉を言った時、一瞬だけ胸が苦しくなった。
でも、止まらない。こんなに失礼な事を言っているのに、謝らなきゃいけないのに・・・。
「本当はもう一度やりたいんじゃないですか!? でも言い訳をして・・・」
「うるせぇっ!!!!!」
彼の口から出た大きな言葉に、わたしは思わず体を硬直させた。
「あんたには関係ねーだろ!他人だし、ガキのクセにいちいち文句つけんじゃねーよ!!」
しまった。言った直後にそう思った。気がつくと、女の子の口元がわなわなと震えている。
しかし、俺は振り向いて走り去った。彼女がこっちを見ているかどうかはわからない。
しかし神経は、自分の背の彼女に集中していた。
後ろから、水滴がしたたり落ちるような音が聞こえ、俺は一瞬立ち止まりそうになったが、そのまま走り去った。
家に帰る頃には、天気は崩れ、大雨になっていた。
28One More Dream 7:02/01/19 20:16 ID:RW42wBFO
あれから何時間立ち尽くしていたんだろう・・・。
気がつくと、辺りは大雨になっていた。私は急いで家に戻った。
「ただいま・・・」
家に着いて時計を見る。・・・よかった、まだ時間は充分にある。
わたしはシャワーを浴びるため、風呂場に向かった。
・・・あの人が怒るのも当然だよね。顔見知りでもないのに、あんな酷いこといったんだから・・・。
明日会ったら謝っておかなきゃ。
シャワーを浴びるため、衣類を脱いで脱衣籠に入れる。
しかし、うまく入らない。・・・おかしいな。目がぼやける。
いや、それどころか何だか寒い。気持ちが悪い。頭がボーっとする。
おかしい、何だろう。
その時、脱衣所のドアがガララと開いた。お母さんだ。
「あらあさ美、シャワー浴びるところだったの?」
「うん・・・」
・・・何だろう。頭がボーっとしてうまく喋れない。
「・・・あさ美、ちょっと顔色変よ」
お母さんが手のひらをわたしのおでこに当ててきた。・・・冷たい。
「あさ美、なんかちょっと熱っぽいわよ。体温計持ってくるから測ってみなさい」

「風邪ですね。体を冷やさないように安静にしていればすぐに治りなすよ」
お医者さんはそう言ってくれた。
「今日は学校休みね。熱もあるし」
家に帰って、お母さんが言った。わたしは布団や水枕の準備をしてくれているのを立って見ていた。
「ごめんね、お母さん・・・」
わたしがそう言うと、お母さんはクスリと笑って私の頭を撫でてくれた。
「優しい子ね。でもいいの、可愛いあさ美のためなんだから」
「うん・・・」
「それにあんたは昔っから気を使いすぎるんだから、もっと積極的にならないと」
「うん・・・」
私って、そんなに気を使ってるかなあ・・・。
「それじゃあ、学校に電話入れといてあげるから、ゆっくり休んでなさい」
「お母さん・・・」
「ん?」
お母さんが私を見て優しく微笑んでくれた。
「・・・んん、何でもない」
「変な子。それじゃあ何かあったら呼んでね」
また少しクスリと笑って、お母さんは奥の部屋に入って行った。
・・・学校、行きたいなあ・・・。
私はあと今日を入れたらあと5日で転校してしまう。
あと5日で中学生・紺野あさ美から、モーニング娘。紺野あさ美になるんだ。
友達はみんな羨ましがってるけど、私は正直あまり乗り気ではなかった。
芸能界には憧れはあった。しかし、それはあくまで手の届かない存在。としてだった。
まさか自分がなれるとは思っていなかった芸能界。
しかし、たった一枚の紙切れ。
これを送っただけで、私は手の届かないはずだった芸能人になろうとしている。
夢が叶ったと言えば叶ったのだろう。
しかし、その夢のおかげで今まであった普通の生活がなくなろうとしている。
たった一枚の軽はずみな行動が全てを・・・。
いやだ。いやだ!いやだ!!いやだ!!!
私は毛布を頭から被り、毛布の中で激しく頭を振った。
芸能人になんてなりたくない!私は普通がいい!みんなと一緒にいたい!
後悔の気持ちと涙ばかりが次から次へと出てくる。
家族の顔、恵理の顔、クラスメイトの顔、岩崎先生の怒る顔・・・。
次から次へと浮かぶよく見知った顔。その顔が、あと5日で「思い出」になるのかな。
東京なんて行きたくない!いやだ!いやだ!!いやだ!!!
・・・そうだ、私は落第生として入ったんだから、辞退しても・・・。
そんな半端な気持ちで世界チャンピオンになりたいなんて言ってたんですか!?
その時、ふとあの人・・・戸高さんに言った一言が頭をよぎった。
私はあの時、戸高さんの気持ちがどうしても許せなかった。
どうしても何もやらずに逃げているようにしか思えなかった。
私は(自慢するわけではないが)陸上で記録を出した時、成績が学年で一位を取ったとき、全て努力をしてきた。
しかし、今回は何もやらずに逃げ出そうとしている。
「正直、才能はなかったけど、練習は人の何倍もやってて、そこだけは本当に凄かったよ」
昨日の練習生さんの言葉も頭をよぎる。
気がつくと、涙はもう止まっていた。
29ボク板住人@紺野ヲタ:02/01/19 21:05 ID:4oA7ydfi
>>27-28
PCの調子が悪いんで、今日はここまでにします。
3029:02/01/19 21:49 ID:4oA7ydfi
とりあえずあげときます
31紺野あさ美ファン:02/01/19 22:11 ID:2aZKtoK4
32ファン:02/01/20 00:47 ID:xr5ljOBC
すげーよ、紺野
33 ◆KOSINeo. :02/01/20 02:02 ID:G7JoIIjm
語り手が変化したときには1行空けたりすると良いと思います。

>>26
更新情報は作品の更新があったら、
それを小説総合スレッドでお知らせするということです。
決して私が更新するということではありません。
34ボク板住人@紺野ヲタ :02/01/20 16:07 ID:r7WcG9WE
指摘ありがとうございます。
今日はPCの調子が悪いんでネカフェからですが、さっそく書こうと思います。
それにしても周りうるさい・・・。
35One More Dream 8:02/01/20 17:00 ID:r7WcG9WE
あの日から3日。
あの日から、あの子に会っていない。というより走っていないのだ。
もし会ったら、何を言ったらいいのかわからなかった。
謝ればいいだけの話なのだが、それもできない。
謝ったところで許してくれるとは思わなかった。
ほとんど初対面の、しかも自分よりも一回りは年下の子に、あんな酷いことを言ったのだ。
自分の大人気なさも恥ずかしかったが、それ以上にあの子が傷ついてるだろうと思うと胸が痛んだ。
もし走って万が一会ったら。そう思うと走れなかった。
しかし、顔見知りではないとはいえ、このままなのも嫌だった。謝りたい。
しかしそれ以上に別の事も頭を悩ませていた。
「本当はもう一度やりたいんじゃないですか!?」
あの子の一言だ。あの一言が、あの子に謝りたい気持ちと同等・・・それ以上に頭の中をグルグル廻る。
確かに俺は、ボクシングを情熱を感じなくなって辞めた。
しかし、ボクシングが嫌になったわけではなかった。
辞めた当初は、ボクシング自体が嫌いになったものだと思っていた。
今まであんなのに時間をつぎ込んだ自分が馬鹿だとすら思った。
あまり飲まなかった酒を毎晩のように飲み、今まで行ったことのない合コンにも行った。
そこで初めて女というのも抱いた。何もかもが新鮮で楽しかった。
しかしそれらに飽きるのに、半月もかからなかった。
何をやっても虚しいのだ。つまらない。その日暮らしの生活が何とも味気ないものに感じられた。
遊び終えるととたんに虚しくなり、その時必ず浮かんだ言葉、ボクシング。
ボクシングのような緊張感のある世界は、そこにはなかった。
だが、あんな馬鹿なことをもう一度するのは御免だ。ボクシングのことを考えるたび、
そう何度も自分に言い聞かせた。
しかし、それは言い訳にすぎなかったのかもしれない。
日に日に情熱が失われていったのに比例したかのように、ボクシングを辞めて、日に日に情熱が戻りつつあった。
ボクシングを離れて、自分にとってボクシングというものの存在を確かめることができた。
それに、ボクシングを離れてわかったのは、ボクシングそのものだった。
昔、入りたてで練習にいっぱいいっぱいだった頃。慢性でやっていた頃にわからなかったこと。
様々な練習の意味が、ボクシングの離れてわかってきたのだった。
何となく行っていたシャドウ、ロープ、スクワットの意味。今なら意味がわかる。
何であんなにミットを打ったのか。何でジャブが必要なのか。
そして体格に合わせて無理矢理やっていたアウトボクシング。
今ならわかる。自分のボクシングができる。それを今一番確実に実行できるのは、今の肉体。
このままダラダラと言い訳ばかりしていたら、そのうち体もついていけなくなるだろう。
年をとって、あの時こうしていれば・・・などと言うのは嫌だった。
決意は固まった。もう一度、夢にかけてみたかった。
仕事が終わり家に帰ると、俺は一ヶ月間放置されていたグローブを鞄につめ、外に出た。
36One More Dream 9:02/01/20 17:32 ID:r7WcG9WE
四日ぶりの学校。私はあれから三日、熱が下がらず寝込んでいた。
本当は昨日には熱は下がっていたのだが、お母さんから大事を取るように言われ、昨日も寝ていた。
だから(今日も含めれば)四日間、ランニングはしていない。もちろんあの人に会ってあない。
ちゃんと謝りたかったけど、あの日からあの人が、あそこを走っているのかもわからない。
・・・胸が少しチクッと痛んだ。しかし今はそれよりも学校だ。
あれだけ学校に行きたがっていたのに、どうも久しぶりに行く学校は行きにくい。
もしみんなが私のことを忘れていたらどうしよう・・・。ありもしないことまで考えてしまう。
私は勇気を振絞って、教室のドアを開けようとした。と、
「あ、あさ美じゃん!」
ドアに手をかけようとした時、ふと声がした。振り向くと、それは恵理だった。
「・・・恵理ちゃん?わたしのこと覚えててくれたの?」
恵理は「はあ?」とでも言いたそうな顔をした後、プッと吹き出した。
「なに言ってんの?あたしがあさ美のこと忘れるはずないじゃん」
その言葉を聞いて、急に肩の力が抜けた。
恵理が力いっぱいドアを開け、「みなさ〜ん!紺野あさ美様の到着ですよ〜!」と教室中に聞こえる声で叫んだ。
とたんにザワザワと騒ぎだす教室。あちこちで紺野だ、あさ美来たよ、という声が聞こえる。
正直、こんなに注目されるのは苦手で、恥ずかしい。でも、恵理も気持ちもうれしかった。
「心配したんだよ〜、今日も来なかったらお別れ会できなくなるし」
恵理の言葉で、ハッと我に返る。そうだ。私は今日でこの学校を転校して東京に行く。
今日が、普通の中学生・紺野あさ美の最後の日だ。そう思うと、とたんに寂しい気持ちになった。
「・・・暗い顔しないでよ〜。お別れは楽しく!そうじゃないと嫌じゃん!ね?」
恵理が私の顔を覗き込んで微笑んでくれる。この恵理の笑顔に、私の気持ちは少し楽になった。
「コラァ!お前ら早く席につけ!もうチャイムは鳴ってるんだぞ!」
ドアの前で、いつものように岩崎先生が怒鳴り声をあげる。やべっ、岩崎だ。恵理が小さく言う。
・・・ちゃんと岩崎先生って言わなきゃいけないんじゃない?
私が心の中でつぶやく。本当にいつもと変わらない一日が始まった。
しかしこの日は、一番悲しく、楽しい、そして一番心に残る授業になった。
37One More Dream 10:02/01/20 18:23 ID:r7WcG9WE
授業が終わり、放課後、私のためのお別れ会が始まった。
ミニゲームをして遊んだり、お菓子を食べたり、お喋りをしたり、たくさん騒いだ。
東京に行ったら何をしたいの?ということも聞かれた(別に遊びに行くわけじゃないんだから・・・)。
記念写真も何枚も何枚も撮った。みんな、現像したら送ってあげる。と言ってくれた。
気が付くと、外は夕暮れになろうとしていた。
「そろそろお開きにしようか」
岩崎先生が言う。えー!という声。あっという間にブーイングに包まれる教室内。
私はどうすればいいかわからず、オロオロするばかりだった。
と、その時、誰かが制服の袖を引っ張る。恵理だ。
恵理は掴んでいない方の手で、教室のドアを指さしている。どうやら「廊下に出よう」と言っているようだ。
私はブーイングに包まれた教室にこのまま教室にいるのも何なので、こっそりと恵理と教室の外に出た。

教室を出ると、窓から夕焼けが差し込んでいて、廊下を真っ赤に染めていた。
恵理がドアを閉めると、教室内の喧騒は全く聞こえなくなった。
「・・・あ〜あ、これじゃあいつもより帰るのが遅くなっちゃうな・・・」
恵理は足をブラブラさせながら、窓際の方に歩いていく。
「でも、信じられないよ。あさ美が芸能人になるなんて・・・」
恵理が呟くように言う。そう、私が芸能人になったのは、恵理と応募したあの紙が原因。
ほんの記念のつもりだったオーディション。恵理は落ちて、私が受かった。
「恵理ちゃん・・・」
「ん?」
「・・・ごめんね」
私は、自分が恵理を裏切った気がしていた。そして内心、恵理も自分を置いて芸能界に行く自分を恨んでいるのではないか。
そういう思いがあった。
しかし恵理は、白い歯を見せて笑ったかと思うと、「なに言ってんのよ」と言って笑った。
「あさ美が謝る必要なんてないじゃん。あたしが落ちて、あさ美が受かった。それだけ」
恵理は窓を開ける。心地よい風が、廊下中に流れた。恵理の髪も、風になびいている。
恵理が私の目を見る。その目はどこか憂いを帯びていた。
クラスのトラブルメーカーで、落ち着きのない存在。それが恵理だった。
しかし、その姿は、いつも騒いで落ち着きのない恵理とはまるで別人・・・。
・・・恵理って、こんなに綺麗だったんだ・・・。
胸がドキドキしてくる。いつもの恵理よりずっと大人に見える。
と、その瞳が子供っぽいやんちゃな光に戻ったかと思うと、急に私の頬をつまんだ。
「ふえっ!?なに!?」
「あさ美〜あんたはちょっと消極的すぎるぞ!そんなんじゃ芸能界でやってけないぞ〜」
恵理はそう言って、私の頬を引っ張った。
「あはははははは〜!変な顔〜!」
「ちょ・・・ちょっと恵理・・・」
と、急に恵理は、私の体をきつく抱きしめた。
「・・・恵理ちゃん・・・?」
気が付くと、恵理の肩が小さく震えている。
「・・・・・・あさ美、東京に行っても友達だよ?あたしのこと、忘れたら嫌だよ・・・?」
恵理は声を震わせ、小さな声でそう言った。私は、恵理の頭を抱えてそっと抱きしめた。と、
「キャーーー!誰かーーー!」
恵理が叫んだ。え?なに?突然のことに私は混乱するばかりだった。
何事かと教室から人が出てくる。恵理は出てきた岩崎先生にしがみついた。
「あさ美が・・・あたしに告白したんです!あたしはそんな気はないのに・・・」
「わかった、わかったから教室に入れ、紺野も」
岩崎先生はそう言って教室に戻った。それに続いてクラスメイトも教室に戻る。
恵理は、何よ〜!本当だってば〜!こうしてこうやって・・・と、ジェスチャーで必死にアピールするが、
恵理の狂言はいつものことだから、誰も本気にはしていないのだ。
廊下には、私と恵理だけが残った。
「・・・恵理ちゃん」
私はちょっと怒った感じに言うと、恵理は、ヘヘへ・・・と笑った。まるで反省していない。
「あ!早く戻らないと怒られちゃうよ!ほらあさ美も!」
恵理はそう言って教室に帰ってしまった。
「ちょちょちょっと待って!」
最後の最後まで恵理は恵理だった。しかし、その恵理の明るさに、私は少し救われた気がした。
――朝
今日は東京に引っ越す日。
私はいつものコースを走っていた。
お母さんは、最後の日くらいゆっくりしたら・・・と言ったが、私はこの風景を目に焼き付けておきたかった。
「あさ美ちゃんおはよう。今日も頑張るねえ」
べスとおじさんだ。おじさんは、多分私が東京に行くの知らないのだろう。
これで会うのが最後だと思うと胸から何かがこみ上げてきそうになった。
しかし、それをグッとこらえて、私は私なりに満面の笑みをおじさんに見せた。
「おはようございます。おじさんもべスも元気そうですね」
そう言って走り出そうとした。
「東京に行っても頑張るんだよ!」
おじさんから予想もしなかった言葉が返ってきた。私がおじさんの方を振り返ると、
おじさんは手を上げてべスと一緒に走り去っていった。
私は、目から溢れる熱いものを堪えることができなかった。思わず立ち止まり、右腕を目に押し当てた。
しかしそれを拭うと、私は心の中でおじさんに(ありがとう)を言い、再び走りだした。

いつもと同じ風景。それが今日で思い出になる。
最初はそれに耐えられなかった。今でも少し不安はある。
でもそれ以上に、何もしないで逃げるのはもっと嫌だった。
「おはよう」
ふと声をかけられ振り返る。そこには、あの人・・・戸高さんがいた。
突然のことに、思わず体を硬直させる私。なにを言ったらいいのかわからない。
私はただオロオロしているだけだった。戸高さんは私の肩にポンと軽く手を置く。
思わずビクッとしてしまった。
「・・・あの時のこと、ゴメン。初対面なのになんなこと言うなんて・・・」
突然謝ってきた。けど、私は何をしたらいいのかわからない。
そうだ、謝らなきゃ。謝らなきゃ・・・。
「ご・・・ごめんなさい!」
「はあ?」
ああどうしよう!また変なこと言っちゃった!笑ってる!絶対笑ってる!
しかし戸高さんは笑うどころか、はっきりとした口調で私に言った。
「ボクシング、また始めたんだ」
その言葉に、私は思わず顔をあげた。
「やっぱり、ボクシング好きだから、辞めるなら自分が納得できる形で辞めたいと思って」
私は戸高さんを見る。その目には、力強い光が宿っている。目標を持っている目だ。
「あの時、君に言われなかったら一生後悔するとこだったよ。ありがと」
次から次へと出てくる信じられない言葉の数々。私は理解するまでにしばらくの時間を要した。
しばらくの沈黙の後、戸高さんは、じゃあ、と去ろうとした。
「あ・・・あの!」
思わず口に出た。戸高さんが振り返る。しかし、言葉が出てこない。言葉が思いつかない。
考えて考えてようやく、「・・・ありがとうございました」と言えた。
戸高さんは不思議そうな顔をした後、ニッコリ笑って走り去っていった。
固い意思を心に秘めた、男の人の背中。その背中はとても大きく見えた。

私はこの日、初めてモーニング娘。のメンバーとしてTVに出演する。
周りには、同期の仲間が三人。みんな緊張していく中、自己紹介をしていく。
・・・緊張してきたよ。何を言ったらいいのかな。変なこと言わないかな。
わからない。考えれば考えるほど、頭が混乱してくる。どうすればいいかわからない。
TVでも、きっとみんな「落第生の紺野だ」って見てるに決まってる。きっとTVを見てる恵理にも笑われる。
ああ、どうしよう。お母さん、恵理、先生!
と、その時、戸高さんの顔が頭に浮かんだ。・・・戸高さんならどうするのかな。
「正直、才能はなかったけど、練習は人の何倍もやってて、そこだけは本当に凄かったよ」
いつかの練習生さんの言葉だ。
その言葉を思い出して、体がフッと楽になり、緊張が薄らいだ。
そしてとうとう私の挨拶の番。私はまだ少し緊張の残って震える手を握りしめて言った。
「紺野あさ美です。今はまだ落第生だけど、先輩を追い越すつもりで頑張ります」
戸高さんは私にお礼を言ってくれたけど、本当にお礼を言うのは私。
私は戸高さんを知らなかったら、多分東京に行く決心がつかなかったと思う。
ここでこんなことも言えなかったと思う。
失敗して恵理に「ちゃんと話せよ〜」とか笑われそうだけど、頑張ります。
ありがとう、戸高さん。
39ボク板住人@紺野ヲタ:02/01/20 19:16 ID:r7WcG9WE
>>35-38
とりあえず第一部終了です。
第一部は構成があいまいなままで書いてしまったので、結構ベタな話になってしまいました(w
とりあえず第二部は何故か構成が固まっているので、そのうち書こうと思います。
40名無し募集中。。。:02/01/20 19:55 ID:It4Zbd/e
作者さん第二部期待します
コンコンマンセー
41兄貴の位牌:02/01/20 20:32 ID:+qZWZI8N
んーーー・・・。しんみりしちゃったりして・・・。
作者さんのお蔭でますます紺野ヲタに拍車がかかってしまった(w

将来こんな設定のドラマ(役柄は違っても)があったら見てみたいです。
第二部も期待してます。お疲れ様でした。
42 :02/01/20 21:31 ID:87Vv8Z5n
(・∀・)イイ!!
コンコンマンセー!!
4342:02/01/20 21:32 ID:87Vv8Z5n
すいません
あげちゃいました
44名無し募集中。。。:02/01/20 23:36 ID:OtEi0NUl
おじさんの犬がペスっていうセンスが(・∀・)イイ!!
45 :02/01/21 20:08 ID:BYu1sFqB
ほぜん
46名無し保全中。。。:02/01/23 01:04 ID:MOvTfXSv
第二部待ち保全
47名無し募集中。。。:02/01/23 22:08 ID:6NgDBW9/
第二部早く〜〜
48名無し募集中。。。:02/01/24 21:47 ID:OopY6FlH
保全
49名無し募集中。。。:02/01/25 15:52 ID:rlYkRxq6
期待してます保全。焦らなくていいからね
50名無し募集中。。。:02/01/25 21:45 ID:dUK3tkt+
kitaikonkon
51ボクコン(作者) ◆O1MPB31c :02/01/26 12:09 ID:PrYkRlwp
長い間放置してういませんでした。
ようやくPCの調子がよくなったので、明日までには更新しようと思います。
52名無し募集チュ:02/01/26 19:49 ID:Y7kPDU+3
期待してます
53サーマート:02/01/26 21:21 ID:2i7BFpbY
頑張ってくださいね
俺もボクシング好きです
    One More Dream 第二部

輝かしい舞台。ステージは溢れんばかりの光に包まれている。
私は・・・いや、私たちは、舞台の上で、歌い。踊り、笑顔を振り撒きヒット曲を熱唱する。
Wow Wow Wow・・・。ファンのみんなもそれに呼応してくれている。
そしてアンコール。最後の曲「I Wish]。
メインは後藤さんと四期メンバーのみんなだけど、今回はメンバー全員の大合唱だ。
イントロが始まる。皆が歌う新しいI Wish。
皆が笑顔で熱唱する。お客さんも私たちに合わせて歌ってくれている。
しかし歌の途中、後藤さんが泣き出した。それにつられ、辻ちゃん、加護ちゃん、石川さんも泣き出す。このフレーズは後藤さんなので、歌が止まってしまった。
お客さんがザワザワしてきた。
と、その時、後藤さんのパートを誰かが歌い出す。
後藤さんは驚いた表情でその方向を見ると、吉澤さんが歌っている。
吉澤さんは後藤さんに向かってウインクをした。その目は涙ぐんでいる。
後藤さんは涙をこらえて再び歌いだした。それにつられて私も涙が出そうになる。
しかし泣いてはいられない。ここでメンバー全員のサビの大合唱だ。
私はギュッと歯を食いしばる。途中なんども涙が出そうになる。
しかし我慢、我慢、我慢・・・。私だけが泣くわけにはいかない。
そして大合唱が終わり、辻ちゃん、加護ちゃんが歌う最後のフレーズ。
「でも笑顔は〜大切にした〜ぁ〜い♪」
そうだ、泣いちゃだめなんだ、笑っていないと。
「・・・愛する人〜のためぇ〜に〜・・・♪」
湧き上がる大歓声。とたんに後藤さんの目から涙が溢れてくる。
吉澤さんが後藤さんに近づき、抱き寄せる。吉澤さんの胸の中で後藤さんが号泣する。
「みんな、ありがとおおおおおう!!」
吉澤さんが叫ぶ。その声に呼応し、再び湧き上がる歓声。
ファンのみなさんが口々に誰かの名前を叫んでいる。私の名前も聞こえる。
新垣ちゃんは、自分の名前が聞こえたのを聞いて、ポロポロと涙をこぼした。
やがて歓声が静まり、飯田さんがステージの前に出てくる。
証明が暗くなり、会場内には本当の無音が流れた。
しばらくして、飯田さんが口を開く。

ピピピピピ ピピピピピ
突然頭に鳴り響く明瞭な音に、私は飛び上がった。
いや、正確には飛び起きた。と言った方がいいのかもしれない。
ピピピピピ ピピピピピ
何かがけたたましく鳴る。目覚まし時計が鳴っている。
なんでコンサート会場に目覚ましが?私は混乱した頭を整理しだした。
しかし、私の周りにあるのは家具、テーブル、ベッド・・・。
どこかで見たようなものばかり。
というより、いつも見ているもののような気がする。
「・・・あ」
私はすっとんきょうな声を上げた。ここは私の部屋だ。そしてさっき見たのは夢だ。
ピピピピピ ピピピピピ
目覚ましを止めるのをすっかり忘れていた。目覚ましを止め、時間を見ると7時。
今日のスケジュール、何時からだっけ・・・。
スケジュールを見ると、「8時、TBS入り」と書いてある。
まずい!私は急いで寝巻きを脱ぎ捨て、シャワーを浴び、朝食の支度をする。

ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。
「ちょっと紺野!もう時間よ!早くしないと間に合わないわよ!」
マネージャーだ。私は、今すぐ出ます。と言い、着替え、部屋のドアを開ける。
「ちょっと〜5分もオーバーしたじゃない!これじゃ時間ギリギリじゃない!」
「すいません・・・保田さん」
「ほらもう、行くわよ!お説教は車の中でやるんだから!」
マネージャー・・・保田さんと私はマンションを降りて車に乗り込んだ。
55空手最強伝説:02/01/26 23:37 ID:Yki8/3Ht
「こんのぉぉぉ!」後藤が右フックを放った瞬間、紺野は寸での所でかわした。
”この瞬間を待っていたのだ!”紺野の無表情な瞳がギラリと鈍く光る。
そのまま右へサイドステップ。とっさに振り向いた後藤の鳩尾目掛けて
渾身の正拳突きを見舞う。
( ´ Д `)<「うっ!」
後藤は苦痛の表情を浮かべ、上体を屈めた。
そのまま紺野は半身を回転させ、裏拳を放つ!。体制を立て直し顔をあげた後藤は
鼻っ柱にまともに喰らった。ユウキよりも大量の鼻血が噴き出す。
さすがの後藤も看板の顔に一撃を喰らい、意識が朦朧とした。
仕上げとばかりに紺野は上半身を反らせ、その反動を利用し両の掌を重ねて
後藤の額やや上部を狙い、掌テイを喰らわす。「パァァァン!」と響き渡る衝撃音。
紺野の全体重を掛けた波動が後藤の頭部脳内で共鳴振動し、後藤の思考は
完全に停止した。崩れ落ちる後藤。
川o・-・) ノ<「この程度ですか・・・後藤さん。」
後藤よ、安らかに眠れ・・・

∋oノハo∈
( ´D`) <こんのしゃん、そのひと、ごとうりさしゃんですよ。 (完)
56ボクコン ◆O1MPB31c :02/01/26 23:38 ID:94o/XUwv
>>54
とりあえず第二部開始です。
まだ未熟な文ですが、読んでくれてる人がいて嬉しいです。
お待たせした皆さんには悪いのですが、とりあえず今日は一話だけで終わります。
でも第二部は最初から構想が固まっていたから、第一部よりはいいの書けると思います。
57極真魂2002:02/01/26 23:49 ID:nn+BwxIS
>>55
おもろい。
続きキボン。
58兄貴の位牌:02/01/27 04:49 ID:Opx3q4AF
>>56
作者様、お待ち申しておりました。頑張ってください。

>>55
荒らしとはいえ・・・うまいな(w
しかもなんで後藤理沙・・・
59名無し保全中。。。:02/01/28 01:56 ID:prihlEeu
第二部開始保全
60名無し募集中。。。:02/01/29 01:10 ID:QE76Hgcc
保全
今日の仕事が全部終わったのは午後8時だった。
私は帰りの車の中、保田さんに今朝のことを怒られていた。
「・・・全く、今度から気を付けなさい!あんたは昔からボーっとしてるんだから!」
「すいません・・・」
「うん、わかればいいんだけどね・・・」
ようやくお説教が終わった。と、とたんに訪れる沈黙。
ただ黙々と私と保田さんを乗せた車は走り続ける。

ピロリ〜ピロリロ〜♪
携帯の着信音だ。携帯を取り出してみる。私じゃない。
「あ、私だ。紺野、悪いけど私のバックから携帯取ってくれない?」
そう言われ、私は保田さんのバックから携帯を取り出した。
メールが来ている。差出人は・・・・・・飯田さんだ。
「誰から?」
「飯田さんからメールです」
「カオリか〜。ちょっと手が離せないから読んでくれない?」
「・・・いいんですか?」
「別にいいよ。それに、あんただって気になるんでしょ?」
保田さんにそう言われ、私はメールを開いて読んだ。
「ケイちゃん元気?カオリだよ。今ね〜撮影でパリにいるんだ。
パリと言えば芸術の都よね。なんだか私にピッタリの街だと思わない?」
そこまで読むと保田さんは、ちょっと肩を震わせながら「カオリらしいや」と笑った。
(その後のメールの内容はプライバシーに関わるので省略)

「・・・そうか〜、カオリは今パリか〜」
運転しながらも、保田さんの目はどこか遠くを見ている。
「モー娘。が解散して、もう一年か・・・」
思い出したように保田さんがつぶやく。
そう、あのファイナルコンサートからもう一年になろうとしている。
解散後、メンバーはバラバラになり、それぞれの道に進んだ。
飯田さんは、その長身とスタイルを生かしてモデルとなって活躍している。
「ナッチのドラマとゴッチンのドラマの時間、またかぶるんだってね〜。
潰しあう必要もないのに、お偉いさんも何を考えてんだか」
そう言って笑った。
「そういや矢口を新宿で見たよ。デザイナーになるんだ!って張り切ってたな〜」
「よっすぃ〜と高橋は東京の大学合格したんだってね。よっすぃ〜は高橋と同級生か」
「加護も大検合格したらしいよ。あの子はテレビとは違ってしっかりしてたからね」
「石川、ちゃんと高校行ってるのかな〜。あの子繊細だから心配だな〜。
小川、同じ学校なんだから、石川いじめれてたら助けてあげないと」
「新垣は地元に帰ってお父さんの会社を継ぐらしいじゃない。あの歳ですごいよね」
「そういえば辻、NHKで子供たちにからかわれてまた泣いてたよ〜」
次から次へと出てくる懐かしい名前。一年前までは当たり前に感じた名前だった。
「・・・あんたも頑張らないとだめよ。大河ヒットしたからって浮かれてたら、
あっという間に落ちてっちゃうんだからね」
保田さんの小言がまた始まりそうになった。
しかし、丁度よく私のマンションの前に着き、何とか小言は逃れられた。
「それじゃあね。明日はオフだからゆっくり体休めるのよ」
保田さんが車から顔を出して言う。
「あの・・・保田さん」
「ん?なに?」
「・・・どうして私のマネージャーになってくれたのですか?」
私は、モー娘。解散後も、保田さんの歌唱力を見込んだつんくさんが、
他の人のプロデュースで保田さんを売り込ませようとしていたのを知っていた。
自分の型にはめた歌よりも、保田は保田のやり方でやった方が実力を出せる。
そうつんくさんは言っていた(らしい)。
そのソロデビューの離しは当然保田さんの耳にも入っていたはずだし、
保田さんも昔からソロ歌手には憧れ、そのために高校を中退したのも知っていた。
しかし保田さんはそれらの話を全て断り、私のマネージャーになった。
今まで聞いたことなどなかったが、昔の話を聞いたからだろうか。
何故か今日は聞いてみたい気持ちになった。
保田さんは、しばらく沈黙していたが、ちょっと歯を見せて微笑み、
「あんたが一番心配だったからよ」
そう言って笑った。
62名無し募集中。。。:02/01/29 20:37 ID:642Kl/Vf
意外な展開だね、期待保全アゲ
63ねぇ、名乗って:02/01/30 00:00 ID:oNjKT8TV
おお、なんかいい感じ。
作者ガンガレ
64名無し募集中。。。:02/01/30 08:52 ID:qMzFjdVx
保全sage
今日は久しぶりのオフ。目覚ましも今日は鳴らない。(保田さんの怒鳴り声もない)
ゆっくりと目を覚まし、布団から上体を起こし、うーん、と背伸びをした。
部屋のカーテンを開けると、パァーっと朝日が差し込んできた。
外は本当にいい天気で、家にいるのがもったいない気がしてきた。
時計を見ると、8時半。たまには朝食を外で取ろうかな。
私はシャワーを浴び着替え、外に出た。
日の光で私は一瞬目がくらんだ。いい天気というのもおったいないくらいの晴天だ。
私は暖かな光を浴びながら、のんびりと近くの喫茶店へ向かった。
本当に気持ちのいい朝だ。外では朝から子供達が汗だくで何かをして遊んでいる。
のんびりとした休日というに相応しい日だ。私はますます歩く速度を緩めた。
目一杯時間をかけ、私は喫茶店に入った。チリンチリンとドアのベルが鳴る。
「いらっしゃいませー」

私はモーニングセットを食べ終え、窓際の席でサービスのコーヒーを飲んでいた。
店内は朝だけあって、客もサラリーマン風の人と学生らしき男の人の二人だけ。
窓際から光が差し込んでいてとても暖かい。
外を見ると、店の前をのんびりと犬を散歩させているおじいさんが通りかかった。
とてものんびりとした休日だ。雰囲気と日差しで、眠気が襲ってきた。
目がトローンとしてくるのが自分でもわかる。だんだんとうとうととしてきた・・・。
「すいません、紺野あさ美さんですか?・・・サイン貰えませんか」
突然明瞭な言葉が聞こえ、私はハッと飛び起きた。客の一人の学生の人だ。
「は・・・はいっ!サインですね!?」
帽子を深くかぶっているため顔はよく見えないが、整った顔をしているようだ。
私はサインを書いて、その人に差し出した。しかしその人は受け取らない。
「あ・・・あの?」
私は聞き返してみるが返事がない。
こっちをじっと見ているように見える。帽子でよく見えないけど。
しばらくすると、その人は突然呆れたような声で、
「何だよ〜、あたしの事忘れちまったのか〜?」
と言い、深くかぶっていた帽子を取った。
「よ・・・吉澤さん!?」
「おーっす、紺野。元気?」

「いやあ〜、偶然だよね。まさかこんなとこで紺野と会えるなんてさ」
喫茶店で10時頃まで談笑した後、私は吉澤さんと街をブラブラしていた。
久しぶりに会った吉澤さんは、ますます大人っぽく、綺麗になっていた。
口調は相変わらず軽いけど、昔とは違う・・・どこか大人の雰囲気を漂わせていた。
「・・・どーした紺野〜、折角会ったのにボーっとして〜」
吉澤さんが私の目をじっと見つめる。
・・・綺麗。吸い込まれそうな目をしている。
吉澤さんを見ているとドキドキしてきて、私は何を言っていいかわからない。
「あ・・・あの・・・。・・・・・・綺麗です・・・」
私がそう言うと吉澤さんは「え?」とでも言いたそうな顔をしながら瞬きをし、
「はっはっはっはっは!相変わらず面白いな〜紺野は〜」
そう言って笑った。その後にちょっと「ありがとうな」を付け加えて。
「ところで紺野はこれからどうする?」
「・・・え?私は今日はオフだから、何もないですよ?」
そう言うと、吉澤さんは、ふーん。と言いたげな顔をして、私に顔を近づけてきた。
「ね、暇だったら私に付き合わない?」
「はい、いいですよ」
家に帰ってもどうせやることがないので、私は吉澤さんの誘いにのることにした。
「ふっふ〜ん。じゃあ決まり」
そう言うと吉澤さんは、私の手を引いて歩きだした。
「着いたよ」
歩くこと10分、目の前に多少古めかしい建物があった。
初めて見るはずなのに、それはどこかで見たことがある気がした。
「・・・あの・・・ここは?」
「ヨネクラボクシングジムだよ」
「・・・あ」
ボクシングジム。思い出した。どこかで見たことがあると思ったら・・・。
北海道、ランニングコースで見つけたジム、恵理と行った見学、サンドバック・・・。
色々なことが頭に思い浮かぶ。そして・・・。
「あたし、今ここでボクササイズやってるんだ」
吉澤さんはガラガラとドアを開け、「ッチワーッス!」と叫んだ。
その声はおちゃらけている吉澤さんとは違う、真剣な声だ。私は思わずその声に硬直した。
・・・私みたいな部外者が、こんなとこに来ていいのかな?やっぱり帰ろうかな。
しかし私が声をかける間もなく、吉澤さんはどんどん奥へと入っていく。
中からはリズムのいい音楽と、サンドバックを打つ音が聞こえる。
すでに何人かは練習しているようだ。私はジムの前で立ってそれを聞いていた。
「おーい、なにしてんの?早く来いよ〜」
吉澤さんに言われ私はハッとなり、「今行きます」と言った。
そういえば、恵理と初めて来た時も、入れないでこうしてジムの前に立ってたっけ。
私はそれを思い出し、自嘲気味に笑い、ジムの中に入った。
67ボクコン ◆O1MPB31c :02/01/30 11:59 ID:Mit7V+af
>>65-66
以上、続きます
川o・o・)ノ<コンコンマンセー!!
69名無し募集中。。。:02/01/31 03:21 ID:vyk26MGP
更新サンクス。
70名無し募集中。。。 :02/02/01 14:30 ID:yMlH2znO
hozen
71名無し募集中。。。:02/02/02 12:47 ID:tEerTKLw
川o・o・)ノ<大河女優マンセー!
ジムの中では数人の練習生が汗を流している。
鏡に向かって拳を繰り出す人、縄跳びをする人、黙々とサンドバックを打つ人。
それぞれが色んな練習をやっている。みんな真剣な表情だ。
そういえば、昔通ってた道場も、こんな感じだったな。
北海道にいた時に通っていた極真の道場を思い出して、ふと懐かしい気持ちになった。
と、吉澤さんが着替えを終え、更衣室から出てきた。
「紺野、よかったら一緒に練習してみない?ジャージもう一着あるから貸すよ」
「え?でも・・・」
「大丈夫!会長は女の子には弱いからさ」
「はあ・・・でも、いいです、すいません」
「・・・そう。じゃあ適当に見てなよ。一時間くらいで終わるから」
そう言って吉澤さんは体をほぐし始めた。
わたしも体を動かしてみたいけど、ここでは余所者って思いがあった。

ビ―――!!
ブザーが鳴り吉澤さんも練習の輪の中に入りだした。
鏡の前でファイティングポーズをとり、フットワークを使いながらパンチを繰り出していく。
ジャブ、イン、ワンツー、アウト、ワンツー、ジャブ、ジャブ、イン、アウト・・・
初めて見るシャドウボクシング。それはまるでダンスを踊っているようだった。
吉澤さんの顔も・・・私の知ってるおちゃらけてる吉澤さんとは違う、真剣な顔だ。
ステップ、ジャブ、ワンツー、アウト、ジャブ、ジャブ、イン、ワンツー、アウト・・・
ビ―――!!
いきなり鳴り響いたブザーの音に、私は一瞬飛びあがった。
それと同時に吉澤さんの目から力が消え、おちゃらけた吉澤さんの目に戻り、近くのジムメイトと談笑している。
ビ―――!!
しかし再びブザーが鳴ると、吉沢さんの顔は再びひきしまった。
そしてまたダンス・・・いや、シャドウボクシングを始める。

「紺野、退屈だったでしょ?」
練習を終え着替えた吉澤さんが、私に話しかけてきた。
「いえ、そんなことないですよ。面白かったです」
「ははは。いいよ無理しないで。ボクシングなんて近くで見ると地味なもんだし」
いえ、本当に面白かったんですが・・・。
「・・・ところでさ、これから暇?」
「・・・ええ、今日はOFFですから」
そう言うと、吉澤さんはニッコリと笑い、
「よかったらさ、これからボクシング見に行かない?」
「・・・ボクシングですか?」
「そう。実は今日ここの選手の試合あるんだよ。そいつの応援に行こうと思ってさ」
ボクシングか・・・。興味はあるけど、そんなとこに女の人が行くのって場違いじゃないかなあ。
「今は結構女のファンもいるしさ、大丈夫だよ」
私の思考を見透かしたように吉澤さんが言った。
女の人のファンもいるんだ。・・・そういえばボクシング見たことなんてないな。興味もあるし・・・
「はい、いいですよ」
「マジ?よっしゃ決まり!じゃ行くよ!それじゃあお疲れ様でした〜!」
あっという間に出ていく吉澤さんを追いかけ、私も慌ててジムを出た。
あ、そうだ。
「失礼しました」
「こんの〜〜!なにやってんの〜?置いてくよ〜!」
吉澤さんが叫んでいる。いつの間にかタクシーも止めている。
「はい、今行きます」
そう言われ、タクシーの後部座席に乗り込む。
「ったく、あんたは昔っからボーっとしてるんだから」
「・・・すいません」
・・・あれ?昨日も同じことを保田さんに言われた気が・・・。
私ってそんなにボーっとしてるのかな。
73ボクコン ◆O1MPB31c :02/02/03 01:03 ID:axMBlw4S
>>72
ようやく更新です。長い間放置してすいませんでした。
これからは一日一話のペースで更新したいと思います。
74名無し募集中。。。:02/02/03 01:08 ID:q4oPz9cs
保全しようと思ったらageられたんでビックリ。
作者ならageも当然か(w

羊で唯一の「スポコン小説」楽しみにしてます>作者
75名無し募集中。。。:02/02/03 01:12 ID:FL0IAn8N
お待ちしておりました(w
私の中では「ハッピーエンド」と並ぶ2大小説だと思っております。
これからも頑張ってください。
76ボクコン ◆O1MPB31c :02/02/03 01:21 ID:axMBlw4S
>>74 >>75
ありがとうございます。
最終回以外は一話更新でやってきますのでよろしく。
タクシーに乗って30分。試合会場の後楽園ホールはあと数分の距離だ。しかし、
「あの、まだ着かないんですか?」
運転手さんに吉澤さんが言う。
「そんなこと言ってもこれ見てくれよ。こんな渋滞じゃ進めないよ」
「・・・。あ〜、ついてないなぁ。まさか目の前で渋滞に巻き込まれるなんてさ」
そんなに慌てるほどの時間かなあ・・・。
「あの、このチラシには、試合開始は3時からって書いてますよ」
時計を見ると、まだ2時ちょっと。渋滞とは言え、充分間に合う時間だ。
「違うよ、それはメイン開始の時間!そいつ出るのはセミだからもう始まってるの」
「・・・?」
「虫じゃないよ。セミファイナル。簡単に言えば、メインが主役なら、セミは準主役みたいな感じ」
「あ〜・・・なるほど」
「ふふん、これでまた一つ賢くなったね。・・・ってそんな事言ってる場合じゃない!運転手さん、ここで止めて!」
吉澤さんが言うと同時に急ブレーキをしてタクシーが止まった。
「・・・急ブレーキは危険ですよ」
「そんなこと言ってるヒマないって!あ〜やばい!走るよ!」
吉澤さんは1000円置いて「お釣りはいいです!」と言ってタクシーを降りた。
私も降りようとすると、運転手さんが私を引き止めた。
「あの、お金」
お金?今払った・・・と思ったらメーターは1500円。
私は財布から500円出して運転手さんに渡した。
「紺野、何してんの?ボーっとしてないで早く行くよ!」
吉澤さんが叫んでいる。それはないです・・・。

「あちゃー!やっぱりもうやってるよ!」
ホールに入ると、すでにリングの上では試合の真っ最中だ。
「え〜と今は・・・第8ラウンドか。おっ、西島さん!いいよいいよ〜!もっと打って!」
吉澤さんが声を出して応援する。パンフレットを見ると、メインの日本タイトルマッチの下に小さく「セミファイナル西島義則(ヨネクラ)」と書かれている。
リングを見ると、赤いトランクスの選手が黒のトランクスの選手を打ちまくっている。
おそらく赤の選手が、吉澤さんの応援している西島さんだろう。
黒のトランクスの選手はこめかみまでガードを固めてはいるものの、全く手が出ない。
亀のように固まっている相手に、西島さんは容赦ない連打を浴びせる。
「あ〜!相手しぶといな〜!西島さん、もっともっと!」
吉澤さんの声に反応したかのように、西島さんのパンチが相手のガードの隙間を縫ってヒットし、相手選手がよろめいた。
「うお〜〜〜!!今だ!行け〜!」
ここぞとばかりに西島さんが前に出て止めのパンチを繰り出す。
「あっ!」
私は思わず声が出てしまった。パンチがヒットして倒れたのは西島さんの方だった。
西島さんのパンチが当たる瞬間、相手選手はガードを下げてパンチを避け、逆にパンチを繰り出したのだった。クロスカウンターだ。
相手選手のカウンターを顎に直撃し、西島さんは倒れたまま動かない。
レフェリーが途中でカウントを止め、ドクターを呼ぶ。相手選手の逆転KO勝ちだ。
「・・・はあ・・・。まあ、こういうこともあるわな」
吉澤さんが私の横でため息をつくのが聞こえる。しかし、私は試合の終わったリングの上から眼を離せなかった。
「・・・私はこれから控え室に行って、様子見てくるけど、あんたはどうする?」
私には吉澤さんの声が耳に入らなかった。ただ一心にリングの中を見つめている。
西島さんがスタッフに担がれて退場するのを見ると同時に吉澤さんは「じゃあ、私は控え室にいるから」と言って、出ていった。
それでも私は動かなかった。いや、動けないのだ。私は相手選手がガードを下げたのを見た瞬間に金縛りにあった。何故なら・・・。
「ただ今のKOタイムをお知らせいまします。8ラウンド1分37秒、8ラウンド1分37秒、戸高覚士選手のKO勝ちでございます」
ガードを下げた時に見えた顔。それはあの戸高さんだった。
78kon:02/02/03 23:20 ID:gpNBGTg+
age
79ボクコン ◆O1MPB31c :02/02/03 23:21 ID:/kMBxwso
>>77
以上、戸高復活です。
第二部開始してからようやく主人公(一応)を登場させることができました(w
それにしても誤字多いな。。。鬱
80ボクコン ◆O1MPB31c :02/02/04 00:57 ID:/S8h2TNT
それにしても自分がいる時間に感想やら書かれることないな・・・。時間帯悪いのかな。
いつも大体23〜1時の間に更新しますんでよろしく。
どうしてもこの時間じゃないと時間取れないんで・・・すいません。
81名無し募集中。。。:02/02/04 01:34 ID:0wPHH8Qe
戸高さんカッケー
楽しみにしてますんでがんがって下さい
82名無し募集中。。。:02/02/05 01:28 ID:t+bVAaN3
保全
戸高さんがリングを降りても、会場のさわめきは消えなかった。
「西島も大した事ないな」「戸高って選手のあれ、狙ってただろ?」「あれはラッキーパンチだよ」
あちこちで今の試合の会話が聞かれる。逆転KOで会場は沸きに沸いていた。
と、気がつくと周囲に人が溢れている。もう足の踏み場もない。メインが始まるらしい。
あ、吉澤さん、探してるかな。
私は何とか人ごみを掻き分け、会場を出ることにした。
「す・・・すいません・・・通してください・・・」
凄い人。何とか進めるものの、まるで満員電車だ。
「・・・ぷはあ・・・」
私は会場の出ると同時にため息をついた。
しばらく一息ついて、吉澤さんがいる控え室に向かおうとした。
しかし、ここで重大なことに気がついた。控え室がどこにあるかわからない。
私はここで吉澤さんが来るのを待つことにした。
84作者 ◆O1MPB31c :02/02/05 11:32 ID:Wrb7AWgg
>>83今日はこんだけで…。
すいません、風邪気味で頭回らないっす…。
85名無し募集中。。。:02/02/05 21:12 ID:fukj6LqX
更新毎日お疲れ様です。
ゆっくり休んで次に備えてください。

吉澤はボクシングが似合うね。
86ねぇ、名乗って:02/02/05 22:48 ID:TDOM2WFo
更新お疲れさん。
紺野の小説っつうのは新鮮で良いねえ。
吉澤さんはまだ来ない。時計を見ると、待ってからすでに20分は経っていた。
そんなに西島さんの状態が悪いのかな。。
また数分経った。しかし吉澤さんはまさ来ない。
待ちきれなくなった私は、そこにいる人に声をかけて聞いてみることにした。
「あの、すいません」
「はい?」
「ちょっとお聞きした・・・」
思わず言葉を止め、あっと息を飲んだ。
戸高さん・・・・・・!
何でここに戸高さんが?気がついたら何も言わずに、戸高さんの顔を見つめている。
「・・・あの、どうしました?」
戸高さんの声でハッとなり、慌てて聞き返した。
「あ・・・あの・・・ひ、控え室はどこですか!?」
緊張のあまり、つい強い口調になってしまった。
不快な気持ちにさせたかな。と思ったが、戸高さんは、
「ああ、あっちの階段降りたところですよ」
と、教えてくれた。
私は軽く頭を下げて、頭を下げた格好のまま、小走りで階段に向かった。
心臓はまるで1500mを走り終えた時みたいに鼓動を早くしている。
何で戸高さんが?何で?何で?何であんなところに?何で?
戸高さんは私のこと覚えてないの?私は覚えてるのに。
でもあれから三年も経ったんだし。でも何で私は覚えてるの?何で何で?
ゴン!
私は階段の横にある柱に頭をぶつけて倒れた。
痛い・・・。少し涙目になった。鼻血は出てないが、花の奥がキナ臭い。
「大丈夫?」
誰かが声をかけてくれた。私は目だけそちらに向けて、大丈夫です。と言おうとした。
!! 戸高さ・・・・・・!
ビックリして思わず後ろに飛びあがり、今度は後頭部をぶつけた。
今度は頭をおさえて前屈みになる。痛さと恥ずかしさで泣きそうになった。
「・・・・・・あ!」
突然、戸高さんが言った。再び目を向けると、
「もしかして、紺野あさ美さん?」
と、私の名前を呼んだ。
私は少し動揺しながらも、「ふぁい」と返事をした。
「ああ、やっぱり。実は俺、ファンなんですよ。サイン貰えませんか?」
・・・ああ、やっぱり覚えてないんだ。しょうがないか。
そう思いつつも、手渡された紙にサインを書いて手渡す。
戸高さんは、マジか!本物だよ!と喜んでいる。
しかし、私の心戸高さんとは逆に、だんだん黒く沈んでいった。
普段なら、こうしてファンの人が喜んでくれると嬉しいはずなのに・・・。
「いやー、マジで嬉しいや。あの、握手もいいですか?」
その一言に、私はお腹が絞めつけられるような痛みを覚えたが、いいですよ。と言い差し出された戸高さんの手を握った。
と、手の中に何か紙のようなものが当たった。
さっきのサインじゃない。サインなら、握ってない方の手にある。
「ありがとうございます。応援してますから!」
そう言って戸高さんは入り口の方に走って行った。
戸高さんが見えなくなると、手渡されたものを見てみた。それは小さな封筒だった。
何だろうと思いながら、封筒を開ける。
「紺野〜!こんなとこにいたの?」
後ろから声がして、ビクッと振り返る。吉澤さんだ。
「・・・ん?なにそれ?」
吉澤さんは私が今開けようとしていた封筒を見ている。
「あの・・・さっき・・・」
まずい。まさか戸高さんから貰ったなんて言えない。
何せ戸高さんは、さっきまで吉澤さんのジムメイトと戦っていた相手。
「・・・ファンの方からいただきました・・・」
そう言うと、吉澤さんはニヤニヤしながら、私の頭を軽く小突いた。
「ふーん、うらやましいなコイツ!私なんて引退してからほとんど貰ってないよ!」
吉澤さんは、コイツ!コイツ!と言いながら私の頭を小突き続ける。
「あ・・・あの、ところで西島さんは?」
そう言うと、ようやく吉澤さんの手が止まった。助かった・・・。
しかし、吉澤さんの表情は真剣だ。突然黙りこんでしまった。
「・・・どうかしたんですか?」
私がそう言うと、吉澤さんは急に肩をワナワナと震わせ始めた。
「・・・実はな・・・西島さんな・・・」
まさか・・・!
私も「もしかしたら」が頭に浮かび、急に手が汗ばんできた。
「西島さん・・・大したことないってさ」
「へ?」
思わずすっとんきょうな声を上げてしまった。
「・・・ぷ・・・・・・ぷわは・・・・・・あははははははははは!」
急に吉澤さんは笑いだした。私は何がなんだかわからず、きょとんとするばかりだ。
「・・・あは・・・ははは・・・紺野、あんたって本当に面白いよね〜」
ここでハッと気づく。騙された・・・。
思わずちょっと膨れっ面になった私の頬を、吉澤さんは指で押して、
「大丈夫だよ。西島さん、軽い脳震盪だって。全然平気」
そこまで聞いて、私はようやくホッとした。(同時に頬の膨れも治った)
「ところで紺野はこれからどうする?」
吉澤さんが聞いてくる。時計を見ると、4時。
「あの・・・私は明日早いのでそろそろ・・・」
「・・・そっか、頑張ってね。今日は会えて良かったよ」
吉澤さんは少し残念そうな顔をしたが、笑って言った。
「私も・・・恵理ちゃんに会えてよかった」
あ、恵理って・・・。
「・・・・・・ぷわははは!紺野、あんたってやっぱり面白いね」
・・・だって、私をからかったり、どこかお姉さんだったり。
「うん、それじゃあ恵理ちゃんは日曜の昼にはジムにいるから、いつでも来ていいよ」
吉澤さんってどこか恵理に似てるんだもん。
「はい、それじゃあまた・・・」
そう言って吉澤さんと別れ、会場を出てタクシーに乗り込んだ。
恵理か・・・懐かしいな。
今、恵理は何やってるんだろう。
上京してからは毎日のようにメールや電話はしてたけど、仕事が忙しくなるにつれ、だんだんメールもできなくなった。
久しぶりに電話、してみようかな。

「着きましたよ」
運転手さんの声で目が覚めた。気がつくとマンションの前に来ていた。
私は財布からお金を出おうとした。と、何かが手からぽとりと落ちた。
それはさっき、戸高さんに渡された封筒。握られて小さくなっていた。
また少しさっきのことを思い出して、お腹がムカムカしてきた。
私はお金を払いタクシーを降りると、マンションの部屋の鍵を開け、封筒を開いた。
中には、手紙らしき紙が一枚入っていた。そこにはこう書かれていた。
「次の試合は10月4日。後楽園ホール」
いかにも急いで書いたような、グチャグチャとした文章だった。
90作者 ◆O1MPB31c :02/02/06 11:56 ID:Dowikmnq
>>87-89
以上です。
こらからもマイペース更新していきますので暇があったら覗いてみて下さい。
91名無し募集中。。。:02/02/06 13:00 ID:voB4voZl
やっぱ戸高かっけー!
紺野は何年経っても紺野なんだね・・・
92名無し募集中。。。:02/02/07 01:03 ID:LhL6humT
後頭部を打つ紺野(・∀・)イイ!
93ねぇ、名乗って:02/02/07 23:38 ID:lrC6SmB+
紺野ー。
成長しない紺野マンセー
94 :02/02/08 10:49 ID:xytVzlVm
あっ、更新されてる。
マタ−リとマイペースでいいのでがんがってください。
95名無し募集中。。。:02/02/09 23:00 ID:JNwLiQYf
保全
「はい、お疲れ様でしたー!」
ディレクターが叫んだ。今日の仕事はこれで全て終わりだ。
「お疲れ様でした」
私と保田さんは、挨拶をしてスタジオを後にし、車に乗りこんだ。
「ふ〜、今日は結構ハードだったわね。お疲れ様」
ほい。と言いながら、保田さんが缶コーヒーを渡してきた。
保田さんが誉めるのも珍しい。誉める時は、大抵何かいい事があった時だ。
「あの・・・」
「ん?な〜に?」
なんだか凄い猫なで声・・・。ちょっと怖い・・・。
「何かいいことありました?」
保田さんは「えっ?」ととぼけた様な顔をした後、ムフフフフ・・・と笑った。
「今日ね〜、貴さんがあんたのこと誉めてたよ。頑張ってるって」
「石橋さんがですか?」
「そう。あんたTVだと無口だし、歌も正直イマイチじゃない?しかもボーっとしてるから、あんたが芸能界に残るって聞いて、心配だったみたいよ」
「はあ・・・ごめんなさい」
「ぷははは・・・何で謝るのよ」
「・・・・・・」
「貴さん、あんたが出たドラマを見て泣いたんだって。凄い演技力を持っているって」
「はあ・・・」
「特に、加藤晴彦君を殴るシーンは本当鬼々迫る感じだったって。普段のあんたから想像もできないくらい」
「はあ・・・」
私は何を言っても「はあ」としか言えなかった。何せ、自覚がないのだ。
私にそんな演技力があるのかなあ・・・。
その時、携帯の着信音が鳴り響いた。保田さんだ。
「ちょっと取って」
私は保田さんのバッグを取り、中から携帯を取り出した。
画面には大きな「A」の文字が書かれている。
と、保田さんは突然、私から携帯をひったくって、苦笑いをした。
「もしもし?うん、アタシ。今どこ?・・・ふーん。 ・・・え?ぶっきらぼう?何が」
そこまで言うと、保田さんは私の顔を見てから、小さな声で電話に、(しょうがないじゃん。隣りに紺野いるんだから)と言った。
「あの、保田さん。ここで降ろしてもらえますか?ちょっと寄りたいとこがあるので・・・」
そう言うと、保田さんは「ゴメン、後でかけ直すから」と言って電話を切った。
「そう?それじゃあタクシーで帰りなさい。代金は私が出すから」
「いえ、いいです。それじゃあまた明日」
「そう?・・・・・・ごめんね」
私は街で降ろしてもらい、保田さんの車を降りた。
降りたからと言って、特にやることはなかったが、保田さんの邪魔をするのもアレだった。
とりあえず、夜の街をブラブラと散歩してみることにした。
夜と言ってもまだ8時。閉めている店はほとんど見当たらない。
とりあえずご飯を食べていこうかな。
私はそう思い、近くの喫茶店に入った。
97作者 ◆O1MPB31c :02/02/09 23:28 ID:z6m/+c9V
>>96
今日はなんか書けそうにないっす・・・。
やばい、ネタ詰った。
98名無し募集中。。。:02/02/10 00:19 ID:pbWTHn4a
作者様

更新お疲れ様です。
加藤晴彦まだ芸能界に残ってたのか(失敬)
紺野本人にもこの小説の様に成長して欲しいな・・・

てなわけで、1日1レス強制なわけじゃないし、
書けるとき書いてくだされば♪
99名無し募集中。。。:02/02/10 00:39 ID:5b07bhCu
保田の電話の相手が誰なのか激しく気になる
100作者 ◆O1MPB31c :02/02/10 11:24 ID:nh7hZmD0
>>98
すんません。そうさせて頂きます

>>99
保田の相手はAです(w
101名無し募集中。。。:02/02/11 17:17 ID:uETeQnxJ
保全す。これであと1日半ぐらいはだいじょうび。
まだ8時だけあって、喫茶店の中には人がたくさんいた。
食事を終え、私は私は窓側の席から外を見た。
外には色々な人がいる。仕事帰りのサラリーマン、お喋りをしている女の子たち。
対から次へと流れていく人の波を見ていると、子供の頃に行ったキャンプを思い出した。
あの頃もこうやって何時間も川の流れを見ていたような気がする。
私は窓際の席が好きだった。そして、こうして外を見ていると、時間が経つのも忘れて見入ってしまう。
気持ちが沈んでいても、まるで川に浮かべた笹舟のように、自分の沈んだ気持ちと一緒に人の波が流してくれる。そんな気がした。
嫌な気持ち、悩み、辛いこと・・・全部全部流れて、頭の中は真っ白になる。
そして、様々な懐かしいことが思い浮かぶ。
北海道の中学校、恵理やクラスメイト、そしてモーニング娘。
三年前、私はモーニング娘。に加わった。
TVの中の人間だと思ってた、モー娘。メンバーとの出会い。
同期の愛ちゃん、マコっちゃん、理沙ちゃんとの出会い
石橋さん、江頭さん、中居さん、藤井さん、つんくさん。
お世話になった人たちの顔、懐かしい顔が次々と思い浮かぶ。
そして今は皆バラバラで、それぞれがそれぞれの道を見つけて頑張っている。
私も・・・。ここで私の意識は私の中に帰る。
気がつくと外の人波がまばらになっていた。
私は会計を済ませ、喫茶店を出た。
「はい!ワンツー!」
バンバーン!!
トレーナーのミットにパンチを打ち込む。
それと同時に顔面に向かってくるミットをパーリングで防ぐ。
そしてストレート、ガード、ワンツーフック、ガード、ワンツーフック・・・
ビー!!
「はい!ラスト30!」
残り30秒を知らせるブザーと同時にミットに連打。連打連打・・・
カ――――ン!!
「ラスト!ワンツー!!」
バンバーン!!
「OK!」
「っした!」
練習終了と同時に、汗がブワッと涌き出てきた。
ストレッチをしてシャワー室に入る。
「おう戸高、お前も練習あがり?」
シャワー室では香山さんがシャワーを浴びていた。
「はい、まだ試合終わって一週間なんで、これくらいで」
俺がそういうと、香山さんは、かかか、と笑った。
「お前のこれくらいは、俺らにとっちゃ地獄だよ」
誉めてるのか皮肉ってるのか知らないが、よくそこまで練習やるよな。と言いたいようだ。
香山さんは日本王者だが、その日本王者から見ても俺の練習は普通ではないらしい。
確かに周りからはよくそう言われる。だが自分にはそんな自覚がなかった。
自分の才能を知っているだけに、強くなるには練習しかないと思っていた。
そのために北海道からチャンスの多い東京のジムに移籍をした。
勤めていた会社も辞め、親からは勘当当然の扱いを受けた。
そこまでしてボクシングをやりたい理由はわからなかった。だが、
「・・・自分には、コレしかないっすから」
俺はそう言って、自分の拳をパンパンと叩いた。
「ははっ、かっけー。俺も素で一回言ってみてーよ」
香山さんは笑いながら横を通りすぎていった。
104作者 ◆O1MPB31c :02/02/11 21:40 ID:4sj3t7Th
>>102-103
以上、更新です。
現在、試合前までの内容がネタ詰りっす。
でも試合直前からはネタ出来てます。
すいませんがそれまではチマチマ更新で・・・。
105ねぇ、名乗って:02/02/11 23:20 ID:OOYOWglY
更新おつー。
ア○ヒトマンセー。

106名無し落第生:02/02/12 10:28 ID:IYbGKs2P
保全age
107 :02/02/12 10:58 ID:ACpreeu1
戸高カッケー
108名無し募集中。。。:02/02/13 08:23 ID:nMV7YJst
sage保全する
「・・・はい、お疲れ様でした〜!」
スタジオ内に、ディレクターの声が響く。今日の仕事が終わった。
私と保田さんはスタッフに挨拶をして、スタジオを後にした。
車に乗りこむと、いつものように保田さんのお説教が・・・
「ふ〜っ、紺野、お疲れ様」
始まらなかった。どうしたんだろうと思い、思わず保田さんの顔を見つめる。
「・・・どうしたの?あたしの顔に何かついてる?」
「あ・・・いえ、普段は・・・」
お説教してるから。と、言いかけた言葉を思わず飲み込んだ。
「?・・・変な子」
不思議そうな顔をした後、「そうそう」と付け加え、
「最近は息の詰まる仕事ばっかできつかったでしょ?でももう少しの辛抱だからね」
何が辛抱なのかはわからない。しかし、それを話す保田さんの顔はどこか嬉しそうだ。
「実はね、来月海外ロケが入ったの。そこで一週間だけ、モーニング娘。を再結成するっていう企画なんだけど」
「え?」
私は思わず声をあげた。そんな事、全く予想していなかった。
「私もついさっき聞いたんだけどね、いつかみたいに海外旅行がてら収録みたいなことするみたい。もちろんみんな来るよ。あたしもね」
「・・・・・・本当ですか?」
「おいおい、嘘言ってどーすんのよ。本当よ。サイパンで一週間、仕事がてらみんなと会って遊んだりするの」
私はまだ信じられなかった。またみんなと会えるかもとは思っていたが、こんなに早く会えるなんて・・・。
驚きと喜びが入り混じった不思議な気持ちだ。
「・・・あの、それって」
「ああ、これ基本的なスケジュールだから、頭に入れといてね」
私の声を遮り、保田さんは私にホッチキスで止められたスケジュールを渡された。
私はそれに目を通していく。
サイパンの高級ホテル、グルメツアー。ののちゃんが喜びそうだ。
それらの風景が頭に浮かび、自然と私の顔もほころぶ。
私はさらにスケジュールに目を通していった。
「あ」
ある一文に目が止まり、私は思わず声を出した。
「? どうしたの?」
「いえ・・・別に・・・」
「そう?」
「・・・・・・・・・」
「・・・紺野、どうしたの?何か元気なくなったみたい。みんなと会いたくないの?」
「い・・・いえ・・・ちょっと眠いだけです」
「そうよね、ここ最近は本当にキツかったからね。じゃあマンションに着くまで眠ってなさい。起こしてあげるから」
保田さんにそう言われ、私はシートを倒して目を瞑った。
・・・しかし眠れない。どうしようもない不安が襲ってくる。
頭のみんなと会いたくないわけじゃない。いや、むしろ会いたい。
しかし、その日・・・10月4日は、戸高さんの試合の日だ。
―――10月4日
私は荷物を全てトランクに詰め、部屋でボーっとしていた。
今日は一週間だけのモー娘。再結成の日。
みんなは何してるのかなぁ。後藤さんはまだ寝てるのかな。
石川さんはどの水着を持って行くか悩んでいるのかな。
辻ちゃんはお菓子を買いこんでるのかな。
6時には保田さんが迎えにくることになっている。
準備は一通り終え、あとは時間が過ぎるのを待つだけ。
しかし・・・どこかに変なモヤモヤが引っかかっている。
戸高さんのことだ。
試合を見に行くと約束したわけでもない。親しいわけでもない。
二・三回くらいしか話したことはないし、会話らしい会話は一度もない。
それに、今日、私には仕事があった。行かない理由はいくらでもあった。
しかし、何故か頭の中に引っかかる。
行けないのは理屈ではわかっているが、何故か頭の中の私は、行かなくてはいけない。と思っている。
私は立ちあがり、シャワールームに向かった。

シャワーを浴びると、頭の中のモヤモヤが消えた。
しかししばらくすると、再びあの疑問が甦ってきた。
行けないよ。わかってる。なら何で?わからない。仕事あるんだよ。わかってる。じゃあ行けないよ。でも・・・。

自問自答。二人の私が頭の中で話し合いをする。私の頭は混乱してきた。
誰か相談に乗ってほしい。でも、メンバーには言えない。
でも誰かに聞いてほしい。どうすればいいかわからない。
誰か、誰か、誰か、誰か、誰か・・・・・。
パ――パララララ―ラ―♪
突然、部屋に「モーニングコーヒー」の着信音が鳴り響いた。メールだ。
『やっほー、元気?恵理だよー。今すっごい暇。あさ美は?』
画面を見ると恵理からだ。メールからでも元気そうだなのが伝わる。
・・・そうだ、恵理なら・・・。
私はメールに今の思いを書いた。
普段はおちゃらけているけど、恵理はいざという時は真剣に相談に乗ってくれる。
私はどうしたらいいかわからない。でも恵理なら・・・。
メールを送信して5分。再び携帯が鳴り響いた。恵理からだ。
『うーん・・・でも、今日は仕事があるんでしょ?』
私は再び、メールを打ち込む。
『うん、でも、行かなきゃいけない気がするの』
『時間はどうなの?』
『何とか間に合うかもしれない。でも6時になったらマネージャーが迎えにくるの』
『それじゃあしょうがないよ。諦めて仕事に行くしかないよ』
『でも、行かなきゃいけないと思うの』
メールでの会話は、頭の中同様に同じ話しをループして進まない。
そして一時間ほどした時、またメールの着信音が鳴った。
『その人のこと、好きなの?』
思いもしなかった返事に、私は止まってしまった。
好き?私が?戸高さんを?
思わず動揺が走る。心臓がバクバクと高鳴る。
戸高さんは・・・ただの知り合い。ううん、知り合いと言うのも馴れ馴れしいかも。
でも、上京する時、初めて芸能人として挨拶をした時、そして緊張で張り裂けそうだったコンサート本番前、いつも戸高さんの顔が頭に浮かんだ。
戸高さんとは知り合いと言うのもおかしい関係。ほとんど他人同士。
なのに私の中では、いつも戸高さんが私を励ましてくれていた。
気がつかないうちに、私の中の戸高さんが大きくなっていた。
と、再び着信音が鳴った。恵理からだ。
『好きなら行けば?時間はまだなんとかなるんじゃない?』
戸高さんのことが好きなのかはわからない。
でも・・・。
『ありがとう、恵理ちゃん』
最後にそうメールを入れ、今度は電話を入れる。
「・・・あ、保田さん。紺野です。あの、ちょっと用事が入ったので、後でタクシーで行きます。・・・はい、時間には遅れませんから」
111作者 ◆O1MPB31c :02/02/13 23:26 ID:IqpJe7oU
>>109-110
以上、更新です。
次回は戸高の試合からです。
112名無し募集中。。。:02/02/14 09:38 ID:lM2wD/2h
作者さん>更新お疲れ様です。
スポ根って書いていたけど、何か人間ドラマっぽくていいですね。
113名無し募集中。。。:02/02/15 08:55 ID:AZaUafj6
戸高がんばれ。
114ねぇ、名乗って:02/02/17 02:13 ID:Z9ZaDAwV
保全させて
115ねぇ、名乗って:02/02/18 11:57 ID:igaZERok
hozen
116ねぇ、名乗って:02/02/20 00:02 ID:3xZ/msHV
hozen
117 :02/02/20 17:05 ID:3T7u9oEg
保全age
118名無し募集中。。。:02/02/21 10:41 ID:Z6hfqC3x
保全す
119ねぇ、名乗って:02/02/22 07:39 ID:3Py0fAgv
保全してみよう
120名無し募集中。。。:02/02/23 02:30 ID:LQ7wCu8W
保全・・・には、まだ早いか・・・
しなやかにお待ちしてます。
121名無しさん@お腹いっぱい。:02/02/24 05:15 ID:RdU+V5qx
保全。
>>115さんのIDカコイイ
122ねぇ、名乗って:02/02/25 06:29 ID:T8jDhZwK
保全、する
123名無し募集中。。。:02/02/26 08:38 ID:SMOKZ0ae
ホゼーンナ!
124通りすがりの名無し:02/02/28 01:02 ID:odFyp0XG
kitaihozen
125ねぇ、名乗って:02/03/01 11:21 ID:kBufviZw
マターリ保全
126兄貴の位牌:02/03/02 12:57 ID:SMovTW2a
続き読みて〜〜!
127名無し募集中。。。:02/03/03 15:35 ID:M7Uq7yRm
イ口  人
| 木  王
128.:02/03/04 09:15 ID:KOvfuN4r
まだ?
129ねぇ、名乗って:02/03/05 09:23 ID:qegNevD4
ageたって続き読めるわけじゃないだろ
リレー小説じゃないんだから作者が書くまで
おとなしくしてるのがベスト
130_:02/03/05 11:20 ID:fB6lAfeY
>>129
君、ウザイよ?
131名無し募集中。。。:02/03/06 06:23 ID:yAzDIIrN
>>129
書いてることは正しい、しかし、
正論が受け入れられない場所、それが2ch(w
132名無し募集中。。。:02/03/07 10:44 ID:lMZALm+b
もめても仕方ないのでとりあえず保全。
133名無し募集中。。。 :02/03/09 16:53 ID:HnlBwrzQ
ほぜん
134ねぇ、名乗って:02/03/10 14:23 ID:YPMW0sff
もめつつもsageてるとこにワラタ
更新を待つ気持ちは皆おんなじなのね
135ねぇ、名乗って :02/03/11 21:09 ID:bmRAns9N
さがりすぎなので一回上げざるを得ない
136ねぇ、名乗って:02/03/12 23:32 ID:idXfoN0Y
何であげるよ。
下がってても、書き込みしてあれば
ほぜむ可能なのに。
137通りすがりのななし:02/03/14 01:53 ID:Wtham3PI
ほぜん!
138名無し募集中。。。:02/03/14 23:18 ID:F+fIxz8/
age
139ねぇ、名乗って:02/03/16 00:23 ID:LTnc8Rf2
ho
140名無し娘。:02/03/16 17:00 ID:Bm1Pe7yo
保全
141ねぇ、名乗って:02/03/17 09:05 ID:xKzlU0aq
何気に一ヶ月たってるw
142 :02/03/18 18:39 ID:8wipHVpE
ze
143ねぇ、名乗って:02/03/19 13:22 ID:U/DAEB6D
ほぜ
144名無し募集中。。。:02/03/20 17:26 ID:CV9+Z17w
作者、元気なのかね……
145ねぇ、名乗って:02/03/21 19:22 ID:XnYwAipw
保全
146名無し募集中。。。:02/03/23 11:55 ID:Y8/lwMXV
保全。作者さん連絡ほしいな・・・
147兄貴の位牌:02/03/24 19:22 ID:jugdjpCV
地道に保全
148ねぇ、名乗って :02/03/25 21:10 ID:7iHnsZmR
魂の保前
149名無し募集中。。。:02/03/27 19:59 ID:aDr5j+hV
保全…。
150名無し募集中。。。:02/03/29 12:37 ID:6z4gZ9BF
サビ抜きの保全とトロとサーモン
151ねぇ、名乗って:02/04/01 12:14 ID:Kmig6QGe

152ねぇ、名乗って:02/04/06 00:44 ID:ls0stSAU
2ヶ月か。
153ねぇ、名乗って :02/04/06 21:58 ID:Q1XFHPWO

154名無し募集中。。。:02/04/07 21:17 ID:IFISJq9E
>>153
もういいんじゃねえ?保全は。2ヶ月近くたってるんだから・・・
続くなら連絡ぐらいあるはず
155ねぇ、名乗って
こりずに保全