小説『OLやぐたんにせくはらするのだぴょーん』

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598L.O.D
『erective Minerva.』

長い旅だった。
あの場所から数時間も車に揺られ
やってきたのは遠い街。
大きな都会で
道を行く人は誰もが小切れない服を着
颯爽と歩いていく。
私はそんな人を見ていた。
車は路地裏に入り
一件の店の前で泊まった。
毒々しいピンクの照明のついた店。
私は運転手に連れられ
そこに入っていく。
カウンターでボーイらしき男に声をかけると
今度は店主らしき女性が出てきて
運転手と会話していた。
私は居場所もなく、ただそこに立っているだけだったが
運転手は私に何も言わず、帰ってしまう。
「あなたがヒトミね」
「はい」
フッと振り向いた店主の目は
猫のようにスゥと釣り上がっていて
まるで何もかもを見透かしてしまうような気がする。
「マリに相当かわいがられてたみたいね」
「お知り合いなんですか?」
「まぁ、昔にちょっとね。
 部屋に案内するわ。
 ついてきて」
部屋?
というか、なぜここに連れてこられたかも
まったく分からなかった。
長くて暗くて湿っぽい廊下を渡り
通されたのは、3階の一番奥の部屋。
「ここじゃ一番いい部屋なんだよ」
コンクリートがむき出しの壁だが
ベッドは広いし、
家具はみんな揃っていた。
「あんた、本が好きなんだって?」
「たまにですけど」
「マリがさ、わざわざ買ったんだよ、あんたのために。」
古びた部屋の家具の中で
一つだけすごく新しいツヤツヤとした
木製の本棚があった。
引き戸で2段構造で
多くの本を仕舞えるようになっていた。
「あいつが、ここに送ってきた子でも
 きっとあんたは特別なんだね」
店主の手が私の頬を撫でた。
「みんな、もっとボロボロになって
 人間以下のボロ屑の状態で来るんだよ。
 まともに話せる奴の方が珍しい」
「ここは、なんなんですか?」
「え、ちょっと、なんの説明もされてないわけ?」
599L.O.D:01/12/03 23:29 ID:X9m3v+n/
「はぁ・・・・・・」
「えーっと、、驚かないでね。
 ここ、売春宿なわけ。
 自分の身体でセックスして
 お金を儲けるの」
「売春・・・・・・」
そう、それはマリが与えてくれた最大の優しさ。
帰る所を失った子猫の
一番安全な居場所。
この店主がマリの知り合いという事も分かってるから
特に怖さはなかった。
それに、この身体などずっと昔から
他人の物。
「特にうちは非合法でやってて
 お客の要望とあれば
 どんな事も叶える店。
 幼女だろうが、死体だろうが
 あんたみたいな改造者だろうが
 なんでもアリさ。
 あぁ、そう、忘れてた。
 私、店主のケイ。よろしく。」
ポケットからタバコを取り出し
火をつける仕種も
髪をかき上げる仕種も
さばさばしてて
どこかかっこいい。
「でもさー、あんたの身体はこれ以上
 いじりたくないんだよね、私的には」
「へ?」
「だってさー、めちゃめちゃ売れそうなんだもん」
その言葉は適中する。
一ヶ月足らず、毎日、男女問わず
どんな事も引き受けてる内に
リピーターが増え
店でトップの売り上げを上げていた。
完全会員制高級売春宿『Minerva』
600L.O.D:01/12/03 23:30 ID:X9m3v+n/
表向きはごく普通のバーなのだが
その上の住居に女の子を住ませ
政界や財界の大物だけに留まらず
ここの会費を払えるほどの大金持ちと相手させる。
予約制になっており、それ以外の時間は
完全に自由を保証されている。
私は別に趣味もないし
休む理由もないから
入れれるだけ仕事を入れていた。
誰かに抱かれる事で
自分が1人じゃないと感じれるから。
そんな生活の中で友達も出来た。
同じ店の女の子。
1人はリカ。
向かえに住むすごく女の子らしい子。
倒れてしまいそうなほど、細い身体がうらやましい。
もう一組はノゾミとアイ。
双児の2人はすごく仲が良く
一時も離れない。
私達は時折、4人でカフェに行ったり
服を買いに行く事を楽しんだ。
その日も『郵便でーす』とノゾミとアイの声がして
私は普通に扉を開けた。
「はいは・・・・・・」
「はい、お手紙なのれす」
ここに来て、初めて手紙と言うものが来た。
ちゃんと切手も貼ってるし
捺印もある。
外から来たものだ。
宛名を見た。
ユウコ。
急いで封を開けた
「薬とその後を見たいから
 なるべく早めに下の住所に来なさい・・・・」
「ヒトミちゃん、帰るんか?」
「え?」
「寂しいれす・・・・・・」
うつむいて、今にも泣きそうな2人。
「帰らないよ!ただ私の身体を見てくれてた
 お医者さんがたまに遊びに来いって」
「帰ってくるん?」
「うん、行ったら、すぐ帰ってくるよ」
「わぁーい」
私はじゃれついてくる2人を
ギュッと抱き締めた。
だけど、胸の内でアイの言葉を繰り返してた。
(帰ってくる・・・・・・)
私には帰る場所などないと思っていた。
あるとすれば、マリの胸の中。
そして、あの屋敷。
今はこうして仲間がいる。
別にセックスは嫌いじゃないし
むしろ、そうしなきゃ私は生きていないわけで
この場所を与えてくれたマリに
感謝をしたい・・・・・・

翌日、私はカバン一つ持って休暇を取り
ユウコが待つ郊外の森の中へと行く。
601L.O.D:01/12/03 23:36 ID:X9m3v+n/
つーわけで、本日の更新終了。

実はこの設定自体は俺が小説を書き始めて
初めて書き上げた長編の物なんです。
今までに見た事のない娘。小説ってのが基本理念なもんで
ちょっと冒険してみましたっす。
602ぼの ◆BONOl.Ok :01/12/04 01:34 ID:HVdJc9Z8
冒険マンセーっす。
603トロピカ〜ル名無して〜る:01/12/04 03:21 ID:ZXbjnV5D
ミネルバでの生活をもっと細かく描写して欲しかったけど…
ヒトミはまた戻ってくるのかな?

>>596
確かにハマると抜けにくいね。おいらはエロゲから足を洗って久しいが
毎月E-Loginを買っていた頃が懐かしいなぁ…
まさかエロゲを抜けてモヲタになるとは思ってもみなかったが(w
604(((☆_☆)/:01/12/04 04:11 ID:tf7t6ljD
夜中(早朝?)に目が覚め読んでしまう。完全に虜だなこりゃ・・・。
605L.O.D:01/12/04 21:39 ID:kvDcPZ4J
「いらっしゃい」
出迎えてくれたのは、サヤカ。
「今、診察中だから」
奥の方から女の人の呻き声が聞こえる。
「タトゥーを彫ってるんだ。
 麻酔無しでいいってゴネてさ」
ひさしぶりに見たサヤカは少し女っぽくなっていて
綺麗だった。
私は彼女の顔に見とれてると
彼女は笑いかけてくれた。
「あ、そうだ。先に言っておかなきゃいけない事があるんだけど」
「なんですか?」
「マリさんの事なんだけど、実は・・・・」
「実は?」
「その後、何も分からないんだよね。
 館も全部取り壊され
 彼女もナツミさんも
 みんな、どこにいるのか
 まったく分からなくなっちゃったんだ」
その瞬間、頭の底で聞こえた声。
『必ず生きていて』
マリの最後の言葉。
それはこの事だったのかもしれない。
診察室から出てくる男の人の背中に描かれた
美しい馬の柄。
「おぅ、来とったんかいな」
「お邪魔します」
「早速、診断始めるわ。
 サヤカ、手伝って」
「はい」
椅子に座って、待っていた。
鼻をつくようなメンソールの匂い。
真っ白で統一された世界は
逆に歪んでるような気がする。
606L.O.D:01/12/04 21:39 ID:kvDcPZ4J
「で、どないなってんかいな」
「ユウちゃん、いきなり胸揉まないでよ」
ユウコの隣に立つサヤカがそう言うと
彼女はいじわるそうな笑みを浮かべた。
サディストの顔。
「なんや、サヤカ、焼きもちか?
 夜になったら、ちゃんと揉んだるから」
「そういう問題じゃなくてー」
白衣を着直したユウコの顔が変わる。
今度は仕事の顔。
「辛い事とかないか?」
「ないです」
「今、仕事してるんやっけ?」
「ちょっと」
「どない仕事か聞いてええか?」
「売春・・・・・・」
「よかった」
真剣な表情がやわらいだ。
「見せ物小屋でも売られたか思たわ。
 たまにおんねん、うちに改造させた子売ってまう奴。
 なんかムカつくんだよなぁ」
「自分の患者は子供みたいなもんだって言うもんね」
「万が一、うちが手術した事でその後が決まるなら
 めっちゃ大切やん、その手術。
 やっぱ、した後も自分の目で見たいしなー」
医者としての姿。
「裸になって」
私は言われた通りに裸になる。
別になんの抵抗もない。
「使いこんでるなぁー」
「へへっ」
「どうれ、一つお姐ちゃんが味わっちゃおうかなぁー」
「もうやめな、ユウちゃん。」
呆れて、制止するサヤカ。
なんか本当の姉妹のような2人。
私はクスリと笑った。
触診などの検査をして
別になんの異常も見れなかったが
その日は泊まる事にした。
607L.O.D:01/12/04 21:40 ID:kvDcPZ4J
眠る前の数時間
私はサヤカの部屋にいた。
私の今の生活の事
仲間の事
店主のケイちゃんの事
お客さんの事
サヤカもやってきた患者さんの事や
失敗談、おもしろ話を聞かせてくれる。
なんか心がやすらぐ。
そう思った時
この部屋になにか匂いが漂う事に気付いた。
「これ、なんの匂い?」
「あぁ、お香だよ。
 キンモクセイの」
窓辺でひっそりと煙を立ち上げるお香。
心が静まる。
「よく寝れるんだ。これを焚くと」
「いいなぁ」
「きっと街でも売ってるよ」
「かな?」
「うん」
「そろそろ寝る?」
「寝ようか」
消されるランプの灯。
私は引きづりこまれるように
眠りについた。
608L.O.D:01/12/04 21:40 ID:kvDcPZ4J
また、あの時見た夢と同じ
ガラスの箱の中に私そっくりの女の子が見える。
同じぐらいの年頃の女の子達がいっぱいいて
ダンスを踊っていた。
ジャージ姿で汗を流して踊ってる。
休憩時間に入ったらしく
笑顔がこぼれる。
(あ・・・・・・)
隣にいる女の子
それはリカだった。
飛びかかってきたちっちゃい2人は
ノゾミとアイにそっくり。
(楽しそう・・・・・・)
その空間の中の4人もすごく楽しそうにしてる。
座って、なにかを飲んでたもう1人の私に近付いて
ペットボトルを奪って、口をつける少女。
(マリ!)
その子はまさしくマリそのもの。
そして、その子の頭をポカリと叩いたのは、ナツミ。
部屋の中の鏡の前でまだ練習してるのは、ケイ。
これ以上、視点が動かない。
不便なものだ。
無重力のような感じで
動きが自由にならない。
(くそっ!)
突然、目の前を通っていく金髪の女性。
見るからにユウコだ。
(ここはなんなの?)