1 :
名無しさん:
溢れちゃう be in love なんの、ぱくりやった??忘れたので、誰か教えて??
それと、つんく、そろそろうったえましょう??
2 :
名無しさん:01/10/12 23:32 ID:4kOWgTwc
じぇしかのIRREなんとかぶるでしょ?
かなりがいしゅつ。いまさらいうな。
3 :
はんぺら:01/10/12 23:34 ID:GD.UwmkM
ヽ(`Д´)ノ チョウチョウチョウ チョウガイシュツ!
( ) チョウチョウチョウ チョウガイシュツ!
/ ヽ
5 :
。:01/10/16 00:37 ID:aEtBBOcm
。
6 :
小説:01/10/16 00:40 ID:aEtBBOcm
7 :
第六話:01/10/16 00:41 ID:aEtBBOcm
お昼ご飯を食べ終わっても、私達は屋上でこの暖かさと涼しさを
楽しんでいた。
次の授業では同じ空気をどう感じるんだろう?
そんな思いがなっちにのしかかって、胃がちくちく痛む。
いけない。
私は首をふった。
檻は開いていたんだ。――あとは自分で出て行くだけ。
『あの子達、なんだか集まってるよ』
校庭を見ると、体操着の集団がだんだん増えて来たのがわかる。
…ふぅ。
なっちも早く着替えて行かなきゃ。
8 :
第六話:01/10/16 00:42 ID:aEtBBOcm
「じゃあ今日は昨日の続き。ただしパスの前にドリブルをしてから渡すこと」
いよいよ。
がんばろう。檻は、開いているんだから。
「それじゃあ、ふたりずつ組んで。はい、開始!」
あのっ。
私と――。
誰とも視線が合わない。
『なっちさぁ、声が出てないよ』
出してるつもりなのに。足も一歩も前に進まない。
それでもなんとか手を伸ばしたとき、後ろから小さく「豚はすみっこで鳴いてろ」って
声が聞こえて、なっちは動けなくなった。
9 :
第六話:01/10/16 00:44 ID:aEtBBOcm
変えられなかった。
結局私はひとりですみっこに居ることを選んだ。戻ろう、檻の中に。
少なくとも出ようとするより、出来る傷の数は少なくて済むから。
『あはは。豚は良かったね』
えっ。
…真希までそんなこと言うの?
『や。だって、ちょっと当たってるじゃん』
何も言えない。
悲しくなってきた。なっち、真希がわからないよ――。
10 :
第六話:01/10/16 00:46 ID:aEtBBOcm
真希はなっちにお構いなしにボールを地面に置くと、見よう見まねで足で操り始めた。
風がなっちの髪を崩して、真希がそれを大きくかきあげる。
『なるほどね』
真希はあっさりコツをつかんだようで、自在に操っている。一度空中にあげたボールは
なかなか地面に落ちなかった。
すごい。さっきまでの悲しさが飛んでいっちゃうくらい、真希は上手だった。
なっちの身体でもこんなにできるんだぁ。体育なんて何をやってもダメだったのに。
汗がにじむ。風と陽光が身体を通り抜けて行く。
『私もやりたいな。みんなやってるの』
11 :
第六話:01/10/16 00:47 ID:aEtBBOcm
ふと気がつくと、みんなが見ていた。――先生までも。
『いるじゃん。ひとりの人』
「すごいな、安倍。どこかで特訓でもしてきたのか?」
その問いには答えず、真希はボールを蹴りながら先生に近づいた。先生の「相手が
いないのか?」の問いに真希は何度もうなづく。
「安倍、声はどうした?」
『なっち、話して』真希にせかされて私は声を振り絞る。
「あのっ。お相手、お願いします…」
残り時間は先生とパスをして過ぎ去った。
――体育の時間がこんなに早く感じたのはいつ以来だろう。
気持ち良い。風も太陽も輝いて見えた。
たまには運動とかしようかな?
『あはは。良いね』
真希は真上にボールを蹴ると、両手で受けとめた。
12 :
SN:01/10/16 00:50 ID:aEtBBOcm
乗っ取り記念にコテハンにしました。
本当は「気分が悪い」って言われそうな場所が終わったら名乗ろうと
思っていた(いやらしい)のですが、私のもう1このコテハンが
他の人に使われちゃってちょっとショックを受けたんで。
これって結構驚きです。(O^〜^O)@狼クンの気持ちが今、よく解りました。
まぁこちらのは悪気は無さそうだったんですけど…。
>前スレの79
長文ありがと。あなたの書込みは、このスレを見る楽しさを倍増させてくれるよ。
しかし困った事に自分じゃ波に乗れてるかどうかはさっぱり解らないんですが。
>前スレの80
どうもです。残念ながら間に合いませんでしたが、気持ちが嬉しかったです。
13 :
。:01/10/16 23:11 ID:ci+VlNn/
。
一日の終わりを告げるチャイムが鳴って、教科書を鞄に入れながら思う。
今日は昨日とすべてが違った。
なっち自身だけじゃなくて、まわりも変わりつつある。
ありがと。すべて真希のおかげだね。
『そう? なにも大したことはしてないと思うけど…』
違うよ。その大したことじゃないって思うすべてのことが、なっちの
今日を今までと変えてくれたんだから。
やっと鞄にしまい終えた頃にはもうまわりに人は居なくなってて、やや暗くなった
教室になっちの影だけが長く伸びていた。愛おしい静かさ。
でも急がないと。
お金を払いに行きたい。お姉さん――じゃなくて裕ちゃんに会いに。
『お金?』
そっ。真希の代金。
真希がえっ、と高い声を出して、私はあははっ、と笑った。
15 :
第七話:01/10/16 23:15 ID:ci+VlNn/
急ぎ気味に階段を降りて靴箱の前に来た。外靴を取り出そうとしてはっ、とする。
本当にこのまま何事も無く終われるの?
記憶がよみがえる。濡らされた靴、砂を詰められた靴、隠された靴。…。
『そんなことあったんだ』
うん。私は目を閉じて靴箱を開け、軽く息を吸ってから片目だけ開ける。
「…あった」
ちゃんとあって、しかも朝から変わっていなく見える。
終わった。本当に今日は終わったんだ――!
すべてが輝いて感じて、顔が勝手に笑っちゃう。
今日を思い出しながら靴を履き替え、上靴をしまった瞬間。靴箱を閉じる音と
同時に、なっちを呼ぶ声が聞こえた。
聞き覚えのある声は振り向かなくても誰からか解る。矢口さん…。
「安倍ちゃん、待ってたんだ。ね、ちょっと良いかな?」
なっちが振り向くとそこには、極上の笑顔があった。
16 :
SN:01/10/16 23:17 ID:ci+VlNn/
[1]
娘。が気になり出したのは、うたばんが面白かったのとギャル矢口が
可愛いかったからなのですが、羊に来るようになった頃にはすっかり
石川梨華に見せられていたのでした。
一番好きだったスレッドは今でいう「いしよし」スレ。
当時は SR というコテハンで何個かネタを書いたりしてました。
由来は好きだったバーチャファイターの鉄人、新宿ジャッキーをもじって
考えた新宿+梨華っち=「新宿りかっち」があまりに恥ずかしかったけど
バーチャ風味を残したくてその頭文字だけを使ったというものでした。
J022124.ppp.dion.ne.jp
以前ここで後藤真希のファン(妄想のふり)を装ってスレ立てた
ジャニーズファンのリモホ
18 :
。:01/10/18 23:03 ID:u0o/nUfj
。
19 :
第七話:01/10/18 23:05 ID:u0o/nUfj
「なんか私さぁ、安倍ちゃんのこと誤解してたかも」
矢口さんが微笑みながら近付いてきて、なっちの胃がちくちく言い出す。
怖い。空気がまとわりつく嫌な感じがして少し暑い。
「今までさ、私達、あの」そう言いながら矢口さんは私の手を握る。「安倍ちゃんの
ことをさ、その…すっごいグズな子だと勘違いしてたみたい」
「うん…」私の顔がまたへらへらとしだす。時の進みが遅く感じる。
「だからさ、みんなで謝ろうと思って――ね?」
『へぇ』
小首をかしげて矢口さんが私の左手をひっぱる。嫌だ、行きたくない。
「あ、うぅん。良いよ。別に…」消え入りそうな声なのが自分でもわかる。
「え!? なに? よく聞こえなかったんだけど」
20 :
第七話:01/10/18 23:06 ID:u0o/nUfj
その言葉で胃がずきっと痛む。
玄関には誰も来ない。時間は進んでいるんだろうか――?
「気にしてないから良いよ…」
「そんなこと言わないでよぉ。向こうでみんな待ってるんだからさぁ」
矢口さんが強く引く手は、断る自由をなっちから奪う。足が動く。
『行きたくないなら行かなきゃ良いのに』
真希の言葉に下口唇をきゅっと噛んだ。
出来ないよ、そんな事。もし行かなかったらどうなるか考えたくないもん。
『ふぅん。まぁ、なっちも笑ってることだしね』
それは…。
矢口さんに連れられて歩く途中でガラスに映った顔は確かにへらへら笑ってて
私はすぐに目をそらした。
21 :
第七話:01/10/18 23:07 ID:u0o/nUfj
校舎の横を手を繋いだまま歩いていた。校庭からかすかに運動部のかけ声が
聞こえるけど、周りにはなっちと矢口さんの姿しかない。
「安倍ちゃんさぁ、サッカーの特訓したんでしょ」
「うぅん、してないよ」
「またぁ。超上手かったじゃん。特訓して見返そうとか思ってたの?」
「そんなこと思ってない…」
「マジで見返せたと思ってる?」
『なんかひっかかる言い方だね』
矢口さんの言葉のひとつひとつが突き刺さるように痛かった。ちょっとでもスピードを
落とすと、矢口さんは力を入れて手を握り返してきた。
玄関前での好意的な口調も少しずつ薄れている。謝りたいって言ったのに。
見上げた空の薄暗さがなっちの気分そのものに思える。
もしかして今日は、これから始まるのかも知れない――。
22 :
SN:01/10/18 23:09 ID:u0o/nUfj
誰も見てない訳じゃなくて、見た人は何もなかったかのように
通り過ぎていっていることが発覚。まだ続けますが。
[2]
人の小説を見ているうちに自分でも書きたくなって、書きました。
もちろん当時一押しの「いしよし」。評判はまぁ、静かなものでしたけど
書くことにはまってしまい、終わりが近くなった頃にはすぐに次を
書く気満々でした。アイディアも無かったくせに。
そんな時にふと目にした書込み。
「なちごまの小説って全然見ないよな」(こんな感じだった)
なるほど。この瞬間に次回作の主人公は決定したのでした。
23 :
SN:01/10/19 23:23 ID:ccqwdCMO
[3]
その直前、夢中になっていたスレッドが2つありました。
1つは小説投票スレッド。ここで「エスパー真希」に出会えたことが、ここに来て
もっとも素晴らしかったことだと思う。
2つ目はチャーミーがほいっと答えますスレッド。このスレッドもとても暖かくて
それでいてギャグも面白く、とても居心地が良かったのでした。
(最近は流れが早すぎて全然ついていけないのですが…)
ここを見てるとまた悪い病気が出て来ました。自分でもやってみたいなぁ…。
24 :
。:01/10/21 00:09 ID:jvMKpode
。
25 :
第七話:01/10/21 00:10 ID:jvMKpode
校舎の陰にまわって、やっと私達の他に人影が見えた。
同じクラスの保田さんと隣のクラスの飯田さん。
「おぅ。矢口、お疲れぇ」
「オッス」
「遅れちゃったね。安倍ちゃん遅くてさ」
「いっつもじゃん。何やらせても遅いよなぁ」
飯田さんがそう言って、みんな笑った。なっちもうつむきがちにへらへら笑う。
早く終わってほしい――それだけを願って。
『あはは。そう言えばなっち、着替えもお風呂も遅かったよね』
真希の言葉だけが優しさに満ちてて、私はすっと落ち着く。
そうだ。ひとりじゃないんだ。
そう思うと力が少しだけ湧いて、顔を上げられた。目に飛び込んでくる光り。
26 :
第七話:01/10/21 00:12 ID:jvMKpode
「まぁ、それより今はね」矢口さんが飯田さんと保田さんを交互に見ながら言う。
「安倍ちゃんと私達の仲直りが目的だから」
「無礼講ってことでさ、今まで言いたかったことを語り合おうと思って。ね?」
保田さんのその言葉で三人はくすくす笑った。
やっぱり。最初からわかってた。
もう先も読めちゃったよ。
「安倍ちゃん、うちらに言いたいことある?」と聞かれて私は首を振った。
目立たない場所。暗いのは光が射さないだけじゃない、と思う。
「じゃあさ、うちらから言うね」最初は保田さんだった。「私さぁ、ずっと安倍のこと
居なくなれば良いのにって思ってたんだ。ゴメンネ」
27 :
第七話:01/10/21 00:13 ID:jvMKpode
『なるほどねぇ。私にもわかったよ』真希の感心した口調。『変わらないね、人間の
やることは。…って言うかさ、やっぱり千年経ってるって嘘じゃない?』
うぅん。本当に千年経ってるんだよ。たださ。
――きっと人間が変わってないんだよ。弱い人間も、強い人間も。
「安倍ちゃんの鞄でサッカーしちゃいました。ごめんねぇ」
「私、安倍の靴をうっかり水に浸しちゃったぁ。ホントごめん」
エスカレートしていく。私はうつむいてただ首を振るだけだった。
「許してくれるんだ。安倍ちゃんって優しいなぁ。ねぇ?」
「うん。私だったら泣いてる。安倍はこのくらい平気なんだね」
「って言うかさ、もっとやって欲しいくらいに思ってるんじゃん?」
全ての言葉が聞こえない。早く時間が過ぎて――!
『もうさぁ、こいつら放っておいて帰ろ』
28 :
SN:01/10/21 00:19 ID:jvMKpode
進みません。
[4]
と言う訳でさっそく作ったのが、なっちが質問に答えるスレッドでした。
しかも「なっちが優しく答えるっしょ」と言ったあんまり記憶に残らない
名前。新宿りかっちから新宿なっちと言う考えの無い名前の決め方で。
おかげでしばらく質問に答えつつ小説書きつつの状態になりました。
振り返って見ると一番2ちゃんに燃えていた時期でもありました…。
29 :
。:01/10/21 23:24 ID:yys2VSNY
。
30 :
第七話:01/10/21 23:26 ID:yys2VSNY
待って、真希。もうすぐ終わると思うから。お願い、過ぎ去るまで――。
「ずっと安倍のことむかついてたんだ」
「サッカー憶えたからって調子に乗ってんな、豚」
「あはは。矢口、それ謝ってないから」
私はとうとううつむいたきりで、首を動かすのもやめてしまった。
「朝もさぁ、人の机に花瓶置きやがったじゃん。何様のつもりだって」
「あぁ、あれはむかついたね。こいつ殺すって感じだった」
「なんか許せなくなってきたな。やっぱ仲直りやめっか」
『もう苛々してきた。なっちが帰らないなら、私が帰るからね』
なっちが止めるのも聞かず真希は歩き始める。
「まだ終わってないだろ」矢口さんはなっちの肩をつかんで顔を覗き込む。「勝手に
帰ろうとすんなよ。…泣けば許してやるかもだけどさ」
閉鎖された空間に風が吹いて、私の髪を揺らした。真希がまた左手でかきあげながら
つかまれた肩をにらむ。
『…何だよ、この手』
31 :
第七話:01/10/21 23:27 ID:yys2VSNY
スイッチが入ったようにすべてがスローモーションになった。
真希の左手が矢口さんの頬を叩き、返す手で襟首をつかみ仰向けに倒す。
「いって…」と言いかけた矢口さんの首に右足を乗せて力を入れると、その声は
途中で「ぐっ」とつまった。
『気安く触んじゃねぇよ』
誰もが呆然とする中、氷のような声が頭の中に響いて私の金縛りが解ける。
ねぇ真希、何が、どうなったの?
『お仕置き』
そう言って真希は右足に体重を乗せる。矢口さんが苦しげに咳き込む。
まだ足下の光景が信じられない。勝手に動く左手と右足に現実が消えていく。
…嫌ぁ。
32 :
第七話:01/10/21 23:29 ID:yys2VSNY
いつの間にか、こんなに暗くなってた。
「何してんだよっ! 足どけろっ」次に呪縛がとけた保田さんが私に向かってくる。
真希はその手をかわしながら保田さんに左手を伸ばす。
なっちの指先に触れるやわらかい感覚と、なにかを突き破る感覚。
嫌だ。
「いっ、てぇ…!」
うずくまって顔を押さえる保田さんの目から、血が二本流れたのが見えた。
そのあまりの赤さに血の気が引く。
「…嫌だぁ」
真希。お願いだから。もう良いでしょ。やめてよ! やめて!
『いぃや。まださっきまでの苛々は取れないね』
顔をあげると、真っ青な顔の飯田さんと目が合う。
『まだあいつが残ってるじゃん』
真希は口唇を舐めた。私の口唇を――。
33 :
SN:01/10/21 23:30 ID:yys2VSNY
やっとここまで来たよ。…いつから書いてるんだっけ?
[4]
新宿なっちに愛着が湧いたので、小説用のコテハンを
新宿りかっち略してSRから新宿なっち略してSNに変えてみました。
偽物とか言われてびっくりしたんですけど。
まぁ、そのまましばらくまったり続いて、なっちが答えるスレッドも
パート2になったり小説もまったり続いたりするんですが、ここで突然。
羊が一時閉鎖になったのでした…。
34 :
SN:01/10/23 00:35 ID:OSHmhsoL
さかのぼって見たら始まっておよそ一ヶ月経ってました。いつの間にか。
[6]
今思えば、新宿なっちはあの時には役目を終えてました。
親の欲目みたいな感じで気がつかなかったけど、他の人からの終了宣言を
受けて初めて冷静に気がつきました。
最初見たときは動揺したんですが、今は冷静に受け止められます。
私ではできなかったことをしてくれてありがとう(●´ー`●)
35 :
。:01/10/23 00:39 ID:OSHmhsoL
。
36 :
第七話:01/10/23 00:42 ID:zKXOWyBJ
勘違いしていた。
真希は、こんなにも子供だった。
気まぐれに笑ったり怒ったりして、時には残酷に他人を傷つける。
――誰にだって痛みも感情もあるのに。
千年の時を経て得たのは、どんな現実も受け入れる心?
真っ白の空間で学んだのは、無関係のことは静観しようって気持ち?
なっちにはそれはとても大人に見えたんだよ。
強くて優しい真希。
…誰もいなかったから?
誰もいなかったから、他人にも痛みがあるってことを忘れてきちゃったの?
真希を抱きしめようとした私の手は、ぴくりとも動かせなかった。
37 :
第七話:01/10/23 00:45 ID:zKXOWyBJ
「…ろよぉ」
大きな声が響いて、意識が現実に戻された。
「足どけないと、矢口、死んじゃうだろぉ…!」
飯田さんが泣いていた。なっちの胸が大きく鳴りだす。友達を思っての涙。
ねぇ、真希はあの目を見てもなにも感じないの――!
『感じない。って言うかさ、自分だったら嫌だって思って泣いてるだけだよ』
「やめてよぉ…お願いだからさぁ…」
飯田さんの言葉のリズムに合わせて、真希は右足に力を入れる。その度に矢口さんの
のどから「ごほぉ…!」と咳がした。
矢口さんの顔は紫色に近くて、なっちの右足を握る手にはほとんど力がない。
真希が三人を見渡す。
もう誰の顔にも向かってくる意志は感じられなかった。
『あれっ、もう来ないの?』
38 :
第七話:01/10/23 00:46 ID:zKXOWyBJ
『じゃぁ…』
真希が右足を矢口さんののどから放す。開かれた矢口さんの目は潤んでいた。
飯田さんの涙は止まりかけていて保田さんは目を押さえたまま動かない。
もう時間の経過も解らないけど、やっとすべて終わろうとしている。
ふいに。
真希が空中に上げた右足をひざの高さで止めた。
「あっ――」
私の心臓がまた痛いほどに鳴る。三人も気付いたようで顔がこわばっていた。
真希、やめ…。
『これで終わりっ!』
「嫌ぁっ…!」
右足がまだ倒れている矢口さんののどに向かって降り下ろされた――。
39 :
SN:01/10/23 23:25 ID:6l6UrDRa
読まれていなさそうなのは、スレ名のせいってことにします。
[7]
何が言いたいんだかサッパリわかんないね。
長いつきあいだった「新宿なっち」に自分からもありがとうって
言いたかったんだ。こっちも楽しませてもらったから、ね。
40 :
マゾです:01/10/24 21:01 ID:yCfJx4AC
後藤の新曲ってパクリだったのかよ
41 :
名無しさん:01/10/24 21:02 ID:5Gkabpkl
そんなこと絶対にあり得ない、
石川がさすがごっちんって言ってたし
43 :
。:01/10/24 23:13 ID:i+br2KnU
。
44 :
第七話:01/10/24 23:13 ID:i+br2KnU
すごく静かになった。
また校庭から運動部のかけ声が聞こえだして、まだそんなに時間は経って
なかったんだ、なんて考えが一瞬頭をよぎる。
薄暗くてもはっきりと見えた。
私の右足は矢口さんの首をかすめて真横に降りた。
矢口さんは失神していた。保田さんは傷ついてない方の目を見開いていた。飯田さんは
地べたに座り込んでいた。――誰も口を開かなかった。
『あははっ。気絶とかしてるし』
真希が笑って矢口さんの頭を軽く蹴るのを、なっちには止められない。
…本当にそう?
なっちの胸にわき上がる不思議な気持ち。
『帰ろっか』
私達は三人の間を通り抜けて帰った。一度も振り返らなかった。
45 :
名無しさん:01/10/25 05:54 ID:PXJkKiI2
続けてるんならどっかで告知くらいしてくれい。レス返されても分からんぞ。
してて見落としてたんならゴメソ。ざっと流し読んだだけなんで感想はまた今度。
今んとこ波にはのれてると思うよ。
>>45 ありがとう。
47 :
名無しさん:01/10/25 13:32 ID:MO0OKcIc
SNさんの小説はかなり好き。
でもまさか、あの矢口小説もSNさんだったとはね。
あの罵倒のされかたは凄かった。俺としては全然OKだったんだけど。
この小説もまたキツそうでいい感じ。期待。
48 :
SN:01/10/26 00:45 ID:if2a+SqU
せっかくなんでコテハンはそのままで。
>45
もう誰にも気付かれずに消えていくと思ってました。
ありがと。ってかよく見つけたね。
>46
すまんす〜。実はどこにも告知してないんです。
最初っからグチとか言ってたりして、
自分で言ってまわるのがちょっと恥ずかしかったんで。
で、なんかズルズルと今日まで来てしまったよ。
変わらず読んでくれてありがとう。
>47
ありがと〜。「まさか」って程でも無いと思うけど。
私も全然問題なしだと思って書いてただけに驚いたです。
でもまぁ、話題の「彼」のスレッドの荒れ具合には負けますけど(笑)
49 :
前の67:01/10/26 01:16 ID:ZJncM6M5
45に感謝
小説総合スレ見てやっとたどりつきました。
楽しみにしてたのに、こっそりやってるなんて……。
見付けたからには、がむばってください。
50 :
名無しさん:01/10/26 23:59 ID:xT70uK6U
あなたの作品はいつも気に入ってますよ。
応援します。
51 :
やまだぁ:01/10/27 14:10 ID:w/aDmO7G
このお話好きです。
頑張って下さいね、応援してます。
保全してみたい
ほゼム
がんばれ 保全
55 :
sage:01/10/31 03:52 ID:nsiLB4S3
保全
いけねえ上げちまった。
逝ってきます。
57 :
名無し募集中。。。:01/10/31 05:00 ID:bd8amRij
| \
|Д`) ダレモイナイ・・パクルナラ イマノウチ
|⊂
|
♪ Å
♪ / \ キッスシターッテ
ヽ(´Д`;)ノ ダッコシターッテ
( へ) ナンカタンナイ ナンカタンナイ
く
♪ Å
♪ / \ ドッコニモ イカーナイッテ
ヽ(;´Д`)ノ ・・・・・・・・・・・
(へ ) アッフレチャーウ ビーイーン ラーーー
>
58 :
。:01/10/31 23:53 ID:N8/oBAWj
。
帰り道。
学校から少しずつ遠ざかって、時間が経つにつれて現実味が増してくる。
――怖くなってきた。
私達のしたことは、いったい何だったの?
仕返し、なんてレベルじゃない。取り返しのつかない、許されないこと。
陽はもう完全に落ちてしまって、まるで後をついて来た影に包まれたように暗い。
『こっちまで暗くなるから違うこと考えてよぉ』
そうもいかないよ。
私の頭にさっきの光景がよみがえってくる。
血を流す保田さん、目を見開いて泣く飯田さん、苦しそうに咳込む矢口さん。
そして、微笑みながら見下す私達――思い出されて胃がぎゅっと痛む。
『良いじゃん。目の血はまぶたを切っただけだし、あの踏んだ子だって』
真希は笑って続ける。
『骨の一本だって折れたわけでもないしね』
…違うの。怖いのはそっちだけじゃないの。
60 :
第八話:01/10/31 23:54 ID:N8/oBAWj
本当に矢口さんを踏んでいたら殺してしまったかも知れないのに、一瞬だけとは言え
気持ちがすぅっとしてしまった。
高校入ってからずっと続いてたいじめ――だからと言ってそれを自分に言い訳して
真希に流された私は許されてはダメになると思う。
私は強くなりたかったけど、それ以上に失うものがあったら意味がない。
だからこそ真希の最後の行動は、なっちにとっての希望の糸。
私は歩くスピードを落とす。
…真希、聞きたいことがあるの。
『んっ?』
最後、矢口さんの…身体を踏まなかったのはどうして?
私はつばを飲み込む。
『あぁ。こっちの足のほうが痛くなりそうだったしさ』
真希のその答えに、私は立ち止まってしまった。目の前がなにも見えないなる。
私達を繋ぐ希望の糸は――。
61 :
SN:01/11/01 00:00 ID:IQSovjtk
遅ればせながら更新。なんか書けなかったです。
ところで、誰も新宿なっちの事に触れてくれないのはなぜ?
驚かれたかったのに。
>50
ありがとうございます。もしかしていつもの人?
あの、例のやつは、ちょっと難しいかも…。
>51
ありがとです。嫌な気分にさせてなければ良いですが。
>52-56
迷惑かけます。遅筆ですみません。
>57
歌が変わってるところが良かった。
ところでその歌ってパク(略
小説スレとカップリングスレしか読んでない自分にはわかんないです>新宿なっち
63 :
。:01/11/01 23:18 ID:1iOdvpH+
。
64 :
第八話:01/11/01 23:19 ID:1iOdvpH+
『まぁ、殺すこともないかなって思って』
急に見えた。必死にその糸をたぐりよせつかむと、すべてが開けた。
期待した答えは真希なりの優しさで、今の答えからも感じられたと私は思う。
私が受け入れた希望は「モノ」じゃなくて、真希という「ヒト」なんだ。
――まぁ、人間じゃないけど。
信じよう。一度はやっていけると思ったんだし。
『さっきから何を考えてるのさ?』
その声を合図に私はまた歩き出す。
あのね、もし真希が矢口さんを踏みつけるつもりだったならさ。
『うん』
裕ちゃんに言って真希と別れさせてもらおうかなって考えてたの。
『えぇぇっ!?』
十歩も行かないうちにまた立ち止まる。今度は真希だった。
65 :
第八話:01/11/01 23:19 ID:1iOdvpH+
『嫌だよぉ。またあの中に戻るなんてぇ』
真希のちょっとわざとらしい声が、なっちの気持ちを明るくしてくれる。
もう考えてないよ。
『本当に?』
本当。そう言ってなっちが歩こうとしても足は動かない。
『じゃあ、なんで家と違うほうに向かってるのさ』
お金を払いに行くっていったじゃない。
『実はそれだけじゃないんでしょ。なっちのためを思ってやったのにさ』
それは嘘っぽいかな。
『まぁ、苛々したのは事実なんですけどぉ…』
私は笑って歩き出した。取りあえずあの人達のことは忘れよう。一応は終わったんだし。
前を見ると小さな光が繋がって一本の道になっている。そんな頼りなさ気な街灯を
頼りに私達は暗い坂を降りて行った。
66 :
SN:01/11/01 23:21 ID:1iOdvpH+
>62
そっかぁ。両方のスレ見ていた人は少なそうだ…。
あらら残念。
おお。
二日続けて読めるなんて。嬉しい。
嬉しいけど、あんまり無理しないで、マターリやってください。
乗ってる時は書けちゃうのかもしれないけど。
あるときは「良い人だね。心が暖かくなるよ」と言われ、
またあるときは「気分悪くなる。最低」と罵られる。
しかしてその正体は!
てな感じかね。
色々読んでたんで、そのギャップにビックリだあね。
>>61 >もしかしていつもの人?
>例のやつは、ちょっと難しいかも…。
このスレの50ではないんですが・・・
「いつも」「例のやつ」を注文してる者です・・・
すみません、毎回しつこく
プレッシャーを与えるようなコトを・・・
(こないだも別のスレで言ってしまいましたが…)
あの頃、新宿なっちをやりながら
小説もほとんど毎日更新してたコトを考えると・・・
ホントにすごいですね・・・ビクーリした・・・
( ´D`)ノ<がむばってくらさい
ほぜーん
24H経過につき保全
ほぜむ
73 :
。:01/11/06 23:12 ID:atMoliYE
。
74 :
第八話:01/11/06 23:13 ID:atMoliYE
無い。
いくつ坂を往復したかわからないけど、お店はみつからなかった。
『道を間違えちゃったとか』
まさか。
暗くたって見逃すわけない。あんなに素敵だったのに。
レンガ造りの壁も、巻き貝のような屋根も、両開きの扉も――!
なっちの足がだんだんと早足になる。息もあがる。
「あっ…」
走り出しそうになる直前で、私は止まった。
ふいにわかった。無いんじゃない。見えないんだ。
なっちには希望が――真希がいるから。
『ふぅん。よくわかんないけどじゃあ帰ろっか』
…うん。
離れる方法もこれでわからなくなった。
帰る途中に一瞬、嫌な考えがふたつ頭をよぎって、私はそっと振り返る。
もしも。
75 :
第八話:01/11/06 23:13 ID:atMoliYE
もしもなっちが真希と上手くやっていけないと思っていたら、なっちは
お店がなかったときにどう思っただろう。
この、自殺もできない身体でどうしたんだろう――?
私は頭を振って嫌な考えを思いついた速さで追い出した。
行こう、このままで。
良くも悪くもなっちの時間は動き出した。止まってるよりずっと良い。
「真希、帰ろ」
『どうしたの? わざわざ声に出して』
「何となく、ね」
76 :
第八話:01/11/06 23:14 ID:atMoliYE
家の前にお父さんの車はなかった。
私はそれでも聞こえないように「ただいま」を言い、音をたてずに部屋に入り
鍵を占める。
私はすぐに振り返り机の上の手鏡を手に取った。
良かった、あった。
裕ちゃんのお店がなかったときに疑ったもうひとつの可能性。すべてが――
『私がなっちの精神が生んだ別の人格だって言うの!?』
真希は言うそばから笑ってた。
『なっちがどこをどうしたら私を考え出せるのさ』
そんな言い方しなくて良いじゃない。
私は口をとがらせながら脱いだ制服を投げ捨てた。
77 :
第八話:01/11/06 23:14 ID:atMoliYE
――死んじゃうだろぉ…!
夕方の出来事が目の前にちらつく。考えたくないのについ考えちゃう。
――安倍はこのくらい平気なんだね。
そんな訳ないよ。私は電気を消してベッドに潜り込む。
『良いね。眠るの好き』
真希の言葉に私は答えない。
――調子に乗ってんな、豚。
眠ろう。今までのことも先のこともなにも考えないで済むから…。
そう思ってふとんを頭までかぶった時、ノックの音が聞こえた。
「…はぁい」
「なつみ、晩ご飯よ」
後で食べる、と言おうとした私の身体が起き上がる。
『眠るのは好きだけど、食べるのは大好きなんだよね』
78 :
SN:01/11/06 23:23 ID:atMoliYE
なんか自分でも読み返す気力のなくなるダルさ&長さな気が
してきました。ちょと申し訳ないです。
>67
ありがと。でも無理はしてないよ。ゆっくり頑張ります。
でも書くのはゆっくりでも良いんですが、話の速度は上げたいです。
>68
そんな言葉を待ってました。驚いてもらえたなら満足満足です。
まぁ、矢口小説はまったく予測しなかった酷評だったんですけど。
>69
いつもどーも。例のブツですがどうにも進みません。矢口ごめん。
ビックリありがとです。おかげであの頃は2ch依存な生活送ってました…。
>70-72
どうもありがとうございます。
そのひと書込みが頑張る原動力になります。マジで。
更新ハケーン。鬱なっち萌え
昔書いてたって奴は今どっかで読める?正直、読みたいんだが
81 :
名無しさん:01/11/07 17:43 ID:LFWfAhOe
>>79 上記の「ペ(略」のリンクから類推してみれば、何らかの収穫が…
(他サイトの間借りらしく、トップからリンクされてないのでこれ以上は言えない)
82 :
80:01/11/07 17:48 ID:Kpsg9gKa
83 :
79:01/11/08 08:24 ID:mF4379fT
>80-81
おおどもです。あたしの声、あなたに届いてますか?
だけ読んだことあった。この人のだったのかあ
これ、好きな小説だっただけに得した気分だ。あり
84 :
ねぇ、名乗って:01/11/09 00:51 ID:bMt0P9lZ
え、ホントにパクリなの?
ほぜんっと
保全だな。
続きをマターリと待とう。
87 :
第八話:01/11/11 23:48 ID:sVdLjEv2
お母さんとの静かな食卓で、真希とテレビだけが騒いでいた。
『これもすっごく美味しいねぇ。何て言うの?』
…カルボナーラ。
『甘いね。昨日のはんばぁぐよりも好きかな』
もっと太りそうだけどね。
またなっちが動かなくても真希が食べさせてくれたんだけど、お母さんは
別に変に思ってるようでもなかった。
「学校はどうだった?」
お母さんの問いかけに私は「別に何もなかった」と答える。
『ふぅん。今日みたいなことって実はよくある事だとか?』
うぅん。いっつもこう答えてるの。
心配かけたくないし。…あんまり話しもしたくないし。
88 :
第八話:01/11/11 23:49 ID:sVdLjEv2
「そう。なつみはいっつもそう言うわね」
「あはは」
そう言われて私は、またへらっと笑った。
『だいぶわかってきたよ。なっちのその笑いの意味』
えっ?
『早く時間が過ぎて終わってほしい、だよね。当たりでしょ』
崩れそうになった。
たった一日しかいない真希に見破られたんだ。お母さんもきっと――。
いたたまれずに私は立ち上がる。絶対に逃げられないって知ってても。
「ごちそうさま」
あっ。
言ったあとでお昼休みの真希の言葉が頭をよぎったけど、もう口は開けなかった。
『あとひとくちくらいだよ。全部食べてこうよ』
私は部屋に向かって駆け出した。
89 :
SN:01/11/12 00:03 ID:05+I0aQU
>79 >83
鬱なっち。そんな萌えジャンルがあるなんて…。勉強不足でした。
前の作品も読んでいただけたんでしょうか? だとしたら嬉しい限りです。
>80-82
ありがとうございます〜。本当に嬉しいです。
ちなみにリンク問題ないですよ。一応直リンはやめておきますが。
ttp://www.geocities.co.jp/AnimeComic/7401/snacci/index.html >85-86
保全してくれる方、毎度ありがとうございます。感謝してます。
>84
噂はあるけど、つんく本人は絶対認めないだろうし、真相は闇の中だろうね…。
ところで、前スレで長文会話をしてくれた彼はもう飽きてしまったのでしょうか?
マジちょっと淋しいです。
いるよ。飽きてないし、保全もしてるがな。
ちょっと忙しかった・・・ってほどでもないんだが、まあごめんよ。
ただ話の方も一段落しないと、そう長文の感想も書きにくいんで。
でも気にしてくれてたんなら、もうちょっとこまめにレス入れることにするよ。
第七話で現実世界で大きな変化があって、第八話はまだ途中っぽいから
あれだけど、なつみの中で新しく見えてくるものがありそうで、面白いよ。
保全
92 :
名無し娘。:01/11/13 01:55 ID:HCLrWPs6
>>89 小説総合スレッドで知りました。SNさんが新宿なっちだったなんて驚きです。
>80の小説は大好きでした。ここの小説も続きを楽しみにしています。無理をなさらずに更新してください。
新宿なっちスレもお気に入りでした。よく名無しで質問をしていました。レスありがとうございました。
正直、本物のなっちではないかと思っていました。
保全
94 :
第八話:01/11/13 23:17 ID:qLzSLEPQ
真っ暗な部屋であおむけにベッドに倒れ込む。
自分がどうしようもなく嫌でダメな子に思えてくる。
――いや、実際ダメな子だ。
『どうしたの、急に』
真希と比べるとなっちはさ、何一つ満足に出来ない子供だなぁと思って。
じわっと涙が浮かぶ。
違い過ぎて悲しくなってくる。
そんななっちに真希が当たり前のように言う。
『そりゃあ。人間に比べて劣ってるようじゃ私も鬼の子としてお終いだし』
そう言われても落ち込むものは落ち込むよ。
両手がなっちの頬をつつむ。
『こっちまで暗い気持ちになるって何度も言ってるでしょ。元気出す!』
そうだね。ごめん。たまってた涙が手をつたって流れる。
暖かかった。
真希みたいになりたい。真希に追いつきたいな――。
95 :
第八話:01/11/13 23:17 ID:qLzSLEPQ
出会ってたった一日で、こんなにも私は真希に寄りかかってる。
昨日までのなっちは本当にひとりだったんだろうか?
真希と離れたいと思うことはあってもそれは、ひとりになりたいからじゃない。
ただ真希が怖かったからだ。
勝手に動く身体、勝手に読まれる気持ち。私はこんな異常な事態も受け入れてる。
普通の人ならどうするんだろう。
夢だと思って、慌てて、病院にいって、そして――?
『そう考えるとさ、なっちって意外と芯の強い子なのかもね』
強い? …なっちが?
96 :
第八話:01/11/13 23:18 ID:qLzSLEPQ
『うん』
そんなことない。いっつも逃げてた。死のうって考えたこともあるし。
『死ななくて良かったよぉ。なっちが死んでたら私はまだあの白の中だよ』
真希の手が伸びて明かりを点ける。
全ての黒が白になった。
急な光りに目がくらみその手をかざすと、その内に目が刺激に慣れてくる。
「…真希だけだよ」
『何が?』
なっちにさ、死ななくて良かったなんて言ってくれるの。
真希は微笑む。
『まぁねぇ、なっちはお父さんやお母さんが嫌いみたいだしね』
どういう意味?
『なっちが嫌ってるなら、きっと向こうも嫌ってるかなって』
さらりと言われた言葉は刺さるほどに痛い。
ノックと「お風呂に入っちゃって」という声が聞こえて部屋を出る。お母さんはすでに
階段を途中まで降りていて、なっちはその背中をじっと見つめてしまった。
お母さんは振り返らなかった。
97 :
SN:01/11/13 23:27 ID:qLzSLEPQ
どうにも進みません。
>長文会話のキミへ
見ててくれてたんだ。忙しいところ呼び出してしまってゴメン(笑)
でもおかげで読み応えがあって良かったです。
こまめなレス楽しみに待ってます。つまらなくなった場合は見放す前に
忠告をください…。
>91
矢口ありがと。矢口が主人公の作品は1本も完結させてないのに申し訳ない。
>92
あはは。驚いてくれてありがとです。しかも素晴らしい賞賛の言葉つきで。
無理はしてませんのでおかげでかなりゆっくり進んでます。急げってくらい。
>93
ありがとです〜。
98 :
保全:01/11/14 21:18 ID:Ay4hGh4l
>どうにも進みません。
あう。
マターリと続けてください。マターリと。
不定期連載でも、過去ログ落ちしない程度に保全しますから。
(って保全くらいしかできませんが ^^;;
99 :
ねぇ、名乗って:01/11/14 22:28 ID:qRAURSeW
なんですかー。
,/^ヽ‐一^\
/ __´_∀_`_)
. | //ノ/ ノ ノ \)
|ハ|( | ∩ ∩|)| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヾ从ゝ_▽_从 < 100ばんゲットだぜ♪
/丶 d V bノ ̄|⊃ \______
| ハ'\A/ ノ ̄
(___)_ 8 |
||^| |_ __ヽ
「 ̄ ̄ ̄|||_|
L____」||_ |_
|___)_)
101 :
名無し:01/11/14 22:34 ID:zijdL9Dd
スレ違いだけど、パクり話のついでに、
ポルノグラフィティーの新曲の、ヴォイスもパクりだヨ!
しかも、世界的に超有名で、世界3代ギターリストの1人がいる
レッドツェッペリンの!!(激怒)
102 :
ねぇ、名乗って:01/11/14 22:52 ID:qRAURSeW
やっぱりな。ポルノグラフティーは所詮えろ写真・・・・
「エスパー真希」を超える自信、ありますか?
104 :
。:01/11/15 00:40 ID:f+h913sx
。
105 :
第八話:01/11/15 00:40 ID:f+h913sx
パジャマに着替え濡れた髪をタオルで覆いながら部屋に戻ってきた私は、机の上の
白い鏡を手に取った。
覗き込むとうつっているのは見なれた顔で、前のような真希の面影はなかった。
――きっと、なっちの中に入ったから。
『この中に居たんだよねぇ』真希がそう言って横から見る。やけに薄い。
手鏡の縁がやけにざらざら感じた。
…そっか。年代ものだしね。私はもらった時の和紙と紐でていねいに包むと
机の引き出しにそっと閉まった。
106 :
第八話:01/11/15 00:40 ID:f+h913sx
お風呂にも入ったし後は眠るだけ。
私は、ふぅ、とため息をつく。
起きてると昼間のことが頭をめぐり出す。
でも眠ってしまうともう朝になってしまう。学校に行かなきゃいけない。
「ふぅ」
私はため息をまたついた。
『どっちも嫌なら眠ったほうが良くない? 早く眠ろ眠ろ』
…そうだね。
明かりを消してベッドに入る。
『おやすみ』
うん。おやすみ。
色々あったからだろうか。真希につられてしまったんだろうか。
しばらく眠れないかなって思ってた気持ちとは別に私はすぐに眠りに
落ちてしまった。
107 :
第八話:01/11/15 00:41 ID:f+h913sx
真っ白の中にいた。
見渡すかぎりの白に感動して、呆れて、そして私は果てを目指して走り出した。
…どれくらい走っただろう。景色はまったく変わらなかった。
そして気づく。息がまったく切れない。
まだまだ走れそうだ。
それだけじゃなかった。ここは暑くもないし寒くもない。そしてまったくお腹も
減らない。…きっと眠くもならないんじゃないかなぁ?
私は座りこんだ。
まぁいっか。居心地は良さそうだし、少しくらい長く居てもいいかな?
なんて。
――そんな夢を見た。
108 :
SN:01/11/15 00:48 ID:f+h913sx
>98
ありがと。でもあまりにも進みが遅くてやばい気がしてきたんですよ。
自分が読む側だったらダラダラ続くのって嫌かなと思って。
保全もどうもです。おかげで何とかこのスレも生き残ってますね。
>99
うっそマジー!? あんた本気で言ってんのぉ!?
>100
あ、私が取りたかったのに。今さらだけど滑り込みたかった…。
>101-102
そうなの? しかも彼らは一番最初にコピーしたのが「天国への階段」っぽい
感じなのにね。…私の知識が間違ってたらゴメン。ジミー・ペイジって
しんだんじゃなかったっけ?
>103
無くなりました。いつも書きはじめはその作品を目指すんですが、今回のは
再読性って点で大きく劣ってると思います。完全に完結してから、文章を推敲して
それから2chで書きはじめればまだ少しは相手になったかな?
いやあ、忠告ねえ…まあ別につまらないと思ってないし、そうそう読み始
めたものを途中で放りだせるような性格でもないんで。
しかし、こっちもそうそう読み応えのあるレスがつけれるかどうか…
第八話でどこ迄書くつもりなのかわかんないけど、なつみの、周りと自分
との関係に対する認識が、どう変化してくのかが見物かな。
なつみの思考と、そこにスパッと切り込んでくる真希の言葉は相変わらず
テンポがよくて面白い。
まあ、マイペースでどうぞ。けっこういいペースで来てると思うけど。
うわあ、レス書いてたら更新が… 途中に入らなくてよかった…
>109
は
>97
の時点でのレスっす。今回分はこれから読む…
や、ジミーペイジ死んでないし!
そろそろ心配なので保全
次回更新は新展開かな?
>>108 再読性か。
はじまりで「ああ、生き返った」と言う後藤。「エスパー真希」は読み返すたび、後藤が生き返る。
俺もあの作品を超えたいと思っていたが、挫折した。なんで、SNさんに書いてくれと期待する。迷惑かもしれないけど。
もう二度と逝かせやしない保全
保全
そっち側にも行くのかあ。いろいろ展開してくるね。相変わらず次に
どう転んでくのか楽しみではある。
再読性ってのは俺の場合はほとんど文章とか描写の質に因るけど、
書き手としてどうなのかは、そっち側にまわったこと無いんでわかん
ないな。
ダラダラ続く(って感じでもないけど)のは俺は構わんけどね。書き手
が納得いくようにやってくれるのが一番だと思ってる。
117 :
ねえ、名乗って:01/11/19 05:50 ID:6wk4QZhC
はなし戻っちゃうけど、なんか好きな曲聴いた後に
曲つくるとそんなつもりなくてもパクリっぽくなることあるよね。
バンド組んでるヤツなら多分わかるハズ。
『ちぇっ』
昨日と同じ朝ご飯に対する真希の言葉はそれだけだった。
昨日と――って言うか今までと変わりのない朝だった。
いつもの時間に起きて着替えて、食事をして、顔を洗って、歯を磨く。
ただ私は、家を出る前の挨拶を心持ちいつもより大声にしてみた。
「いってきまぁす…」
それでも聞こえてないかもしれないけど。
『多分聞こえてないよね。あんまり変わってないし』
119 :
第九話:01/11/19 23:12 ID:GbXp12ID
通学路の途中で真希が聞いてきた。
『お父さんに会わなかったね』
会社に泊まりだったみたい。結構あるんだ。週に三、四日はある。
お父さんはそれでも良いんじゃないかな。帰って来てもケンカばっかりだし。
『何で?』
…わかんない。
『わかんないの?』
昔は理由があったんだろうけど、今は本当につまらないことでケンカしてる。
顔を合わせるのが嫌なのかなってくらい。
『ふぅん』真希はそれっきり黙ってしまった。なのでなっちから質問した。
真希の両親は? どんな感じだったの?
『憶えてないんだ。全然』
そうなの。
両親のことはそれ以上聞いても同じような言葉しか返ってこなかった。
120 :
第九話:01/11/19 23:13 ID:GbXp12ID
目立たないように歩いて学校に向かう。
歩き続ける限り距離は縮まって、そして最後には学校に着いてしまった。
『そんな嫌なら来なきゃ良いのに。帰ろうよ』
その問いかけに私は首を振る。それだけの勇気もなっちには無いんだ。
それに、もし逃げるのを憶えたらきっと、私はどこにも出られなくなる――。
『ふぅん』
いつも以上に静かに、音を立てずに教室の扉を開き、そっと身体をすべり込ませた。
なんとなく感じる違和感。何だろう?
ふいにわかった。
誰の視線も感じない。そして――。
『今日はないね』
うん。信じられない。初めて。机の上に花が乗ってないなんて。
121 :
SN:01/11/19 23:34 ID:zhkw7I6K
もともとスラスラ書くために1回に2、3書込みのペースにしたのに
ここの所の遅れ気味はどうしたものかです。
>109 >116
放りだせない性格はつらいねぇ。2chじゃ結構放り出されるし。
2人の会話を面白いって言われるのは嬉しいです。参考になります。
っつうか私のレスに読み応えがないね。
書いたことなかったんだ。結構文章上手いし書いてるのかと思ってた。
…そっち側ってどっちだろ?
>111
あ、生きてるんだ。それはゴメン。ところで3大ギタリストって残り誰?
私が思い付くギタリストってイングヴェイ・マムルスティーン(だっけ?)と
エリック・クラプトンくらいなんだけど。
>112
保全どうもです。あんまり新展開じゃなくてゴメンです。
>113
生死が軽い割に最初っから最後まで生死の問題ばかりだよね>エスパー真希
文章がさらりとしてて何度でも読める。
1人じゃさみしいから、一緒に目指さない?
ちなみに何書いてるのか教えてほしいです。
>114
ありがと。胸がキュンとしました。
>115
すみませんです。ヽ(´ー`)ノアリガトー
>116
それはこんなの書いててもありますよ。感銘を受けた作品を読むと
普通に「こんなの書きたい!」って思いますもん。
文体を真似たり、心理描写と背景描写の割合を揃えようとしてみたり。
122 :
370:01/11/20 17:27 ID:CceL3b7z
3大ギタリスト
ジミー・ペイジ ジェフ・ベック エリック・クラプトン
3人とも、ヤードバーズというバンドに在籍した経歴を持つ。
ちなみに全員生きてます。
あ、ハンドル消すの忘れた。
気にしないで。
保全中・・・
就寝前保全
俺は後藤モノだと「娘。十夜」が好きだったな
「あたしの声、あなたに届いてますか?」って
このスレの作者さんが書いたんだ。
たまたまどこかで読んだんだけど読みやすいし良かった。
でも俺はみんな幸せなハッピーエンドが好きなんだよなぁ。
って、なんだかアホっぽい意見でスマソ
127 :
保全:01/11/22 22:42 ID:NAUgsHJB
スレ数は今349…もうすぐ上限に達して圧縮が起こる。
念のために保全。
ほぜむ。
保全
130 :
116:01/11/23 22:35 ID:6EuzsyBU
116でそっち側って二回使ってんね。変な文章ですまん。後の「そっち側」
ってのは
>>107 での夢の内容の事ね。
なつみの心の内が、現実の変化と対応させながら、いろんな側面から描
かれてきて、面白いなあってところ。最初の頃に、別人格の乗り移りと、
それが鬼って言う設定が面白そうって書いていたけど、かなり上手く生か
されて展開してきてると思う。
それと別に、レスにまで読み応えが無くてもいいよ(w 本文の方で頑張って
もらえれば。レスが無くったって文句は無いし、進行が遅くても構わん。
保全なり
ほぜむ
そろそろ保全する
個人的に『エスパー真希』は構想はぶっとんでて好きだけど、
読み手を置いていってる感があると思うんだな。
じっくり言動描写で訴えるSNさんはどっちかつうと『血のあじ』的。
ちなみに『TIME』のラストは泣けた。
135 :
ゆう:01/11/26 17:58 ID:/W1fT17l
『TIME』ってなに?
就寝前保全
ばとろわ地味に好きダヨ
魔鬼なっちありがとう( ● ´ ー ` ● )
「あっ、あ――」
自分の声を確認するなっちに涙涙
140 :
。:01/11/28 00:51 ID:clIuThza
。
141 :
第九話:01/11/28 00:53 ID:clIuThza
席も汚されていないし、からかう声もしない。
座った後でそっと周りを見渡してもやっぱり誰もなっちを見ていない。
矢口さんは来ていなかった。
保田さんは左まぶたに小さなガーゼを当てていた。
なっちが見つめても、こっちを振り向くことはなかった。
『どうして誰もこっちを見ないんだろ?』
もしかして。
すべて良い方に終わったのかもしれない…。
高ぶりかけた気持ちを抑えながら次の授業の用意をしようとして。
『こっちが見てるのにはみんな気づいてるのに』
えっ?
真希の言葉が聞こえて私は動きを止めた。
顔をあげて気づくもうひとつの違和感。
急に襲ってきた不安に私は立ち上がる。いすと床がこすれて大きな音を出す。
それでも――誰もなっちを見なかった。
142 :
第九話:01/11/28 00:54 ID:clIuThza
『まるで空気だね』
そう、だね。
崩れるように座る私はいつものへらへらとした笑顔も浮かべられない。
みんな知ってるんだ、昨日のこと。
良い方に終わったんじゃない。
悪い方に始まるんだ。
『なんでそういっつも悪い方にばっかり考えられるかなぁ』
真希が笑う。
他人事だと思って――って実際そうなんだ。
『ある意味才能だね。ってか他人事じゃないって。こっちまで暗くなるんだから』
143 :
第九話:01/11/28 00:56 ID:clIuThza
他人事じゃない。
それだけの言葉が嬉しかった。そうだね。不安がっててもしょうがない。
昨日の朝のようにすぐになにも始まらないのかも知れないし。
『そうそう』
私は気持ちを落ち着けようとゆっくり息を吸って、吐いた。前を見る。
大丈夫、はっきり見える。
『ふふっ。まさしく前向きな姿勢』
うん。
そうして一時間目の用意を改めて始めようとした時に――始まった校内アナウンス。
見えなくなった。
胃がきゅっと痛む。
「二年C組の安倍なつみ、保田圭、二年D組の飯田圭織」
担任の声はいつも以上に冷たくて。
「以上、呼ばれた者は職員室に来るように。繰り返す…」
私は消えそうになった。
144 :
SN:01/11/28 01:17 ID:Eq8lEER4
>122-123
なるほど。タメになりました。ありがとです。
ただこの知識の使いどころはそんなに無いかもって気もしますが。
>125
娘。十夜も良いですよね。私、昔やってた小説人気投票で
エスパー真希と娘。十夜に入れました。後藤ものは面白いのが多くないですか?
>126
私もハッピーエンド好きですよ、実は。できればやっぱり
良い気持ちで読み終わりたい、または、良い意味で裏切られたいです。
>130
毎度毎度長文ありがとです。こっちも励まされるですよ。
そう言われるとだらだら長いこの話もすくわれますし。
レスも読みがい無いとつまんなくない? レスまだ頑張ってみます。
>134
血のあじですか…。私前に読んだけど、ちっとも記憶に残らなかったです。
ごめん。市井に全然思い出がないからかなぁ?
TIME って泣きどこありましたっけ?自分で書いててなんですが。
ちなみにこれ、一応、エスパー真希を書こう!と思って書いたんです。
TIME 書いてる間何十回もエスパー真希読み返しましたもん。
おかげでかなりパクリに近い点もあったりしますが…。
>135-136
M-SEEK で書いた作品です。リアルタイムで読んでたのはおよそ4人の作品です。
>137
ありがとー!初めてそれをほめられた気がする。2ch連載時に見た人は
いるのか? ってくらいのマイナーだし。
>138
こっちこそありがとう( ● ´ ー ` ● )
>139
あら、ものすごく懐かしいシーンですね。最近読んだの? どうもです。
>124, 127-129,131-133
ありがとです。350→300ってサイクル早いですよね…。
hozen
就寝前保全
後藤系シリアスものと言えば基本的に王道は「いちごま」だったので
SNさんの「あなたの声〜」を目にした時は新鮮に感じました。
娘。十夜ではやっぱり「後藤死んで」ですね。
あの安倍の狂気は読んでて鳥肌たちました。
あの頃からなちごまに惹かれていたのかもしれないな、俺。
石ヲタだったけど…
あとは「ごまとなっち」とかも好きかな
ばとろわは地下スレ探検の旅をしていた時に見つけました。
>なっちバトロワ書いてみたかった( ● ´ ー ` ● )
これ好きだったよ ヽ(´ー`)ノ
( ゜皿 ゜)で最期に保全したのが、実は俺だったりして…
そういや「魔鬼なつみ」スレの最期も俺だった
ひょっとしてスレッドストッパーなのか… ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン
朝から一気に全部読みました。ダラダラ感は全く感じませんでしたよ。
心理描写が細やかでとても良いとおもいます。
それにしても、新宿なっちがSNさんだったとは・・・
148 :
。:01/11/30 00:51 ID:1FknWnTs
。
149 :
第九話:01/11/30 00:53 ID:1FknWnTs
授業が始まる直前の誰もいない廊下と階段が、無音で圧迫してくる。
放課後の孤独とは全然違う、嫌な空気。
なっちの後ろにふたり居るはずなのに誰も会話をしない。
――まるでひとりで怒られに行くみたい。
『えっ、怒られんの?』
きっとね。ほめられる訳はないもん。
『なんだよぉ。後ろの奴らだけ怒られれば良いのに』
無理だよ。だって、なっちがケガさせたんだから。
きっとなっちが一番怒られる。
重い右手を上げてゆっくりとドアを開くと、職員室の全員がこちらを見た。
「…失礼します」
非難の目から顔をそむけて歩いた先には担任の寺田先生と首に包帯をまいた
矢口さんが待っていた。
「来たか。お前達、ちょっとこっちに来い」
150 :
第九話:01/11/30 00:55 ID:1FknWnTs
『あのちびっ子の包帯さぁ、なんかわざとらしくない?』
向かった先は校長室だった。
こんなに近くで校長先生に会ったのは初めてで、もしかして事態は
想像以上に深刻なのかと思える。
『聞いてる?』
握った手の中にうっすらと汗が浮かんだ。こすって拭こうとした時に。
「安倍」
ふいに名前を呼ばれて顔をあげる。「はい…」
「この矢口の首のケガ、お前がやったって言うのは本当か?」
部屋にいる全ての人間の視線が集まって、私はまたうつむきがちになる。
「安倍」
「はい」かすれた声をやっと絞り出す。「本当、です」
長い沈黙。
そして深いため息が聞こえた。
誰も動かない。時間が進まない。嫌な雰囲気。暑い。真希。気持ちが悪い。
痛い。助けて。真希。
真希――!
『さっきは返事もしなかったくせに』
151 :
第九話:01/11/30 00:57 ID:1FknWnTs
『よくわかんないんだけど、やったのはなっちじゃなくて私でしょ』
頭の中に声が響いて、気持ちがすうっとやわらいだ。
言葉の薬。
まるで天啓のよう。
『言い過ぎだって』
でもさ、真希がしたってことはつまり、なっちがしたってことだから。
…そのつもりで受け入れたんだから。
152 :
第九話:01/11/30 00:58 ID:1FknWnTs
「まったく」校長先生の声で現実に戻った。「女子校なのに暴力沙汰なんて」
『なんかさぁ』
真希がふいに語りかけてきた。
どうしたの?
『なぁんか私、嫌な予感すんだよね』
「保田の目のケガも安倍が原因だそうだな?」
あっ。
担任のその言葉でなっちにも解った。
「安倍はそんな子じゃないと思ってたんだがな」
『気のせいだと良いけど』
違う。気のせいじゃない。たぶん。きっと。絶対。
校長先生が優しい口調で残酷な結論を下す。
「安倍さん。少しの間、自宅で反省してください」
――停学。
153 :
第九話:01/11/30 01:00 ID:1FknWnTs
視界がゆらいだ。目のすみに矢口さんが口唇をあげたのが見えた。
『停学って?』
しばらくここに来ちゃダメってこと。
『それって罰なの? なにか辛かったり痛かったりする?』
心がね。
「校舎の横のところに居た三人をいきなり無言で殴ったそうだな」
なっちと真希の嫌な予感は違っていた。
――それぞれ当りだったんだけど。
私は思った以上にきつい結末が当たりで、真希は私達だけ不当に罰が
与えられる結末が当たりだった。
「安倍。この三人に謝りなさい」
154 :
第九話:01/11/30 01:01 ID:1FknWnTs
『はぁ?』
視界がまたゆらぐ。せっかくひっこみかけた涙がまた出そうになる。
先生、矢口さんの言うことは信じるんですか?
いきなり無言で人を殴るなんてすると思ってるんですか?
哀れむような先生の顔。
にやにや笑いを浮かべてる矢口さん達。
この状況は前から、ずっと。
『…なっち?』
――ムカつくんだよ! 何なの、お前!?
辛くてきつい毎日の繰り返しの中で、決心して先生に話した悩み。
どもりながら話すなっちに先生の出した結論は。
――いなくなれば良いのに。
どうしてこんなことするの? やっと言えた問いの答えは無言の笑み。
小さな努力は毎日を少しも変えることはなくて。
戦うのも考えるのも逃げるのもどうでも良くなって。
――安倍に積極性が足りないのも悪いと、先生思うぞ。
従うことの楽さに気づいた。
逆らわなかったら早く終わることに気づいた。
『…ふぅん』
155 :
第九話:01/11/30 01:03 ID:1FknWnTs
嫌な思い出が頭をめぐって、身体に力が入れられなくなる。
真希がいなかったらきっと倒れてた。
ごめんなさい。
その言葉がのどから出る直前になっちの左腕が跳ねあがった。
パン。
『なっち』
はじいたのは肩を叩こうとした先生の手。
顔を上げるとみんなの目が点になっているのが見えた。
『謝らないで』
真希?
『私にはなっちの口だけは止められないけど』
低い声が頭に響く。
怒ってるの?
『うん。私達だけが悪い訳じゃないのに、謝れなんて命令を聞くのは嫌だから』
そして真希の言葉が聞こえた。
さっきの声が天啓だとしたら、こっちは真理。
『それだったらまだ、あの真っ白の中の方が居心地が良い』
(・∀・)イイ!!
157 :
PON:01/11/30 04:54 ID:W1Pp+t1w
HPの「魔鬼なつみ」が消えていたのでビックリ!
見つけられてホッ・・・です。
SNさんの話はホンとに良いです
頑張ってください
保全します。
159 :
SN:01/11/30 23:30 ID:ag12hB0n
長文嬉しいです。読みがいがありますしね。
最近なんかほめられすぎな気がするんですよ。
もしかして私、余命が短い? そして私以外のみんながそれを知ってる?
>145 >158
ありがとです。最近はなんかメンテ不規則じゃないですか?
>146
なちごまはねぇ〜、ハマると割と抜けられない気がしてます。
ちなみに私は 矢口→いしよし→なちまり→なちごま かなぁ?
娘。十夜は伏線とかは特になかったけど純粋に面白かったです。
あと表現もきれいで好きでした。
ばとろわもリアルタイムでなんて…! ある意味すごいです。
スレが止まる偶然が2度も!?次もあったら運命的かも。
>147
読んでくれて&驚いてくれてありがとです。
細やかって言うか、このくらい無いと自分で心の動きに納得が
できなくなって来てるんですよ。おかげで長くなる長くなる。
>156
あ、なんかかなり嬉しいかも。
>157
HPはちょっとネタ帳(?)みたく使ってしまったので一時的に
リンクをはずしました。近いうちに復活させます。
書いてる名前でほめられると嬉しいですね。マジ照れ照れです。
保全しときます。
就寝前保全
俺も長文感想書いてみたいんだけど、
語彙が少なくて上手く書けないのでカンベンしてね。
今日のBShi、後藤のジャンプがカコヨカタ ヽ(´ー`)ノ
>次もあったら運命的かも。
たぶん次はないよ。
理由は
>>114。
俺以外にも定期的に保全レスしている人もいるようだし。
162 :
147:01/12/02 04:59 ID:ZlnkEyMw
俺もここ見つけて以来、ほぼ毎日見に来ているので、
きっと大丈夫ですよ。
うむ。
質問厨ですみません。
SNさんの書いたばとろわって何ですか?
350overにつき就寝前保全
SNさんは放置スレが好きな上に
HN名乗らないから見つけるのは
ほとんど運に頼るしかないんだよね(w
「あたしの声、あなたに届いてますか?」→「安倍×後藤」
「ペイ・フォワード」→「hehehe」
「ばと〜るろわいあ〜る」→「マリア第6話」
「魔鬼なつみ2」→「後藤真希の新曲 あれ完全にぱくり」
ぜってーわかんねーよ ヽ(`Д´)ノ
ま、矢口のもだけど…
俺も「ばとろわ」途中まで読んでいたんですけど、
続き見つけられなかったんですよね。
ほぜん
こまめにとか言っときながら、また一回とばしてしまった。PCが逝ってたもんで…
こういう苦しい状況になって、なつみにとっての魔鬼の存在の大きさ、つまり、
魔鬼にとってもなつみが大きな存在であること(身体借りてんだから当たり前
だけど)が再確認される感じが、うまく描かれてると思う。そういう、自分の事を
必要として、気に懸けてくれる存在があることの嬉しさ、っていうんかな。
ただ、
>気持ちがすうっとやわらいだ。 言葉の薬。 まるで天啓のよう。
あたりの流れが、自分はちょっとイメージが上手く繋がらなかったかなあ。
とまれ、こっからなつみの心のベクトルがどういう方向に向いていくのか、
楽しみっす。
ところで前は、特になちごまが好きって訳じゃない、とか言ってなかったっけか。
ほぜむ
就寝前保全
安倍また連ドラやるのか
今度はもう少し出番ほしいなぁ
お昼の保全ですよー
173 :
164:01/12/05 17:32 ID:jVoUNuL4
>165 >166
親切なご回答をありがとうございます。
早速 読みに行って来ます。
就寝前保全
圭チャム誕生日オメデトウ ヽ(´ー`)ノ
保全
176 :
。:01/12/06 23:06 ID:+t0S4Wc5
。
177 :
第九話:01/12/06 23:07 ID:+t0S4Wc5
夢はまだおぼえている。
不快なことのない欲望の消える白の空間は居心地が良すぎて
ここから出られるならどこだって行くと思わせるほどに何もなくて。
孤独で退屈だった。
あの中の方が良いだなんて。
涙が一滴流れて、視界のゆらぎが取れる。
泣いちゃった。
真希と会ってから初めて落とした涙。
どんなに泣きそうになっても、絶対泣かないつもりだったのに。
でも。
きっとこれが最後。
自分を哀れんで泣くのは、これを最後にする――。
178 :
第九話:01/12/06 23:08 ID:+t0S4Wc5
握った右手の中にはまだ汗をかいていた。
払いのけた先生の手も、まだなっちの横にあった。
私は先生を見て、そのまま矢口さん、飯田さん、保田さん、校長先生と順に見て
最後にまた先生の目を見つめた。
「先生」
「あ、あぁ」
手をゆっくり下ろしながら寺田先生は答えた。
手をはらいのけたことと泣いたことで、先生はちょっと動揺して見えた。
涙だけじゃなく色々と流れ落ちた気がする。
気分が、軽くなって高ぶってる。
私は。
私の意志で微笑んだ。
へらへらした笑いじゃなく、矢口さんにも負けないようなしっかりした極上の
つもりの笑顔をつくって言った。
「前に私が相談した内容、憶えてますか?」
179 :
第九話:01/12/06 23:09 ID:+t0S4Wc5
下げる途中で先生の手がぴくっと止まって、一瞬校長先生を気にしたのがわかった。
わかったのは私達だけだと思うけど。
やっぱり。先生は気づいてたのに見ない振りをしたんだ。
「ん、あ、あぁ」
「私だけが悪いんですか?」
歯切れの悪い返事に、私はさらに続ける。
矢口さん達の顔もさっきのように笑ってはいなかった。
『良いね。こういうの嫌いじゃないよ』
勝ちにはならないだろうけど、ただ負けるより良い。ずっと良いと思う。
真希。
『うん?』
ありがと。私だけだったらこんなこと、絶対言えなかった。
180 :
第九話:01/12/06 23:10 ID:+t0S4Wc5
「寺田先生」
校長先生の呼びかけに、すぐに答えはなかった。
「ちょっと私にはよく話が見えないんだが、相談の内容とは何ですか?」
「あ、はぁ。あの。実はこの安倍と矢口、保田達は折り合いが悪くてですね――」
「本当にそれが相談の内容ですか?」
「…いえ。違います」
先生が小さな声で少しずつ話し出すと、校長先生の眉間にしわが寄り出した。
「イジメ?」
校長先生に聞かれて、具体的にされたことの話を私がつけたす。
その度に場の空気は張り詰めていった。
「なんと…」
校長先生のそんな一言にさえ飯田さんの顔は青くなっていった。
矢口さんと保田さんが懸命に「偶然に落ちたカバンにつまづいて蹴ったことが
ありました」とか「手がすべって安倍さんの靴を濡らしただけです」と言っても
「そんな偶然は何度もないでしょう?」と一括された。
181 :
第九話:01/12/06 23:11 ID:+t0S4Wc5
『やっと終わったね』
解放されたのは一時間ほど後だった。
結果、矢口さん達は厳重注意の形となり、次回発覚時はそれ相応の罰を。
寺田先生は後で校長先生が再度話しをしましょうと言われていた。
私は実際に怪我を負わせてしまったのでやっぱり停学になった。
三日間。今日から。
重い罰だけど、少しだけでも気が晴れたのが救い。
『私には誰が一番重い罰なのかもわかんなかったんだけど』
校長室を出る前にぺこりとおじぎをしたんだけど、校長先生は背中を見せるだけで
扉が閉まる直前にため息をしていた。
それがまるでなっちには、暴力沙汰が表沙汰にならずに良かった。なんて感じに
取れなくもなかったんだけど。
182 :
第九話:01/12/06 23:12 ID:+t0S4Wc5
来た時は三人で、戻るのは四人だった。
――今度は私が一番後ろを歩いていたんだけど。
また授業の合間で誰も歩いていないけど、行きのときのような圧迫はない。
むしろ今圧迫を受けてるのは予定外だったって顔をしてる飯田さんと保田さんと
黙ったままなっちの前を歩く矢口さん。
『つまんない作戦立てるからだよ。黙っていれば良かったのに』
真希の言葉に私はちょっと微笑む。
なっちは黙っていなかったから良かったんだけどね。
『あはは。そうだね』
階段を上がって最初の踊り場。私達四人以外の人目が消えたときに、矢口さんが
ゆっくり振り向いた。
「おぼえてろよ。今度はこっちもタダじゃおかないからな」
『だからさぁ』
あきれたような真希の声。
『黙っていれば良いのに――!』
183 :
第九話:01/12/06 23:14 ID:+t0S4Wc5
また景色がスローモーションになった。
えっ?
音もなく矢口さんに一歩寄って、右手で口をふさいだ。そのままそっと矢口さんを
壁に押しつける。
予定外の行動。
矢口さんの両手がなっちの右手首をつかもうとしてるけどそれより速く。
なっちの左手が矢口さんの目に向かう。
『次から一回ずつ』
だって。そんな。なんで――?
親指と中指で矢口さんの右目を開くと、間のひとさし指の爪で黒目を二度つついた。
『つっつく回数を増やしていくから』
飯田さん達が振り向く直前に矢口さんから離れる。
静かで音のしない行動は上靴と床を鳴らすこともなかった。
壁に張りついてる矢口さんを不思議に思った保田さんが言う。
「…矢口?」
すとん。
その声が合図。矢口さんは踊り場に崩れるように座り込んだ。
184 :
SN:01/12/06 23:37 ID:+t0S4Wc5
現実では2ヶ月が経過してるってのに、話の中ではまだ2日目。
もういいかげん心理描写もダレダレな気がします。
>161 そっかぁ…。This is 運命だと思ったのに。
>162 ありがとです。さりげない言葉が嬉しいです。
>164 市にスレでこっそり書いてた作品です。
バトロワのくせに1人しか減らないうちにdat逝きしました。
>166 放置スレが好きって言うか、放置スレを使えばスレ立て権を大事に
できるなって思ったからです。小説総合スレに登録したら良いんだし
って思って。ほら、なっちありがとうとか立てたい時に立てたいし(笑)
>167 すまんです。立て直そうと思ってるうちに羊が閉鎖になったんで。
>169 相変わらずどうもです。まぁ、2人の様子が一番のテーマみたいな
もんなんで。あと、私も読み直してみて、変な表現だと思ったよ。
一般的な言葉じゃないなぁって。これからはもう少し気をつけるよ。
忠告マジありがとう。
>171 >174 あ、またドラマやんの? 時間によってはまた1話も見ないで
終わりそうな気がするなぁ…。圭ちゃん誕生日なの!?
そりゃおめでとう。
いやいや心理描写良いですよ。各々のキャラクターが
明確にあらわれるし。矢口に視点でも見てみたいです。
186 :
185:01/12/07 02:10 ID:DRfn3Vag
訂正 矢口に→矢口の
でした。すみません。
ほぜーむ
(・∀・)ヤグチ!!
就寝前保全
> 自分を哀れんで泣くのは、これを最後にする――。(
>>177)
> 涙だけじゃなく色々と流れ落ちた気がする。(
>>178)
(・∀・)イイ!!
> もういいかげん心理描写もダレダレな気がします。
自分のペースで、思うとおりにユクーリマターリ続けてほしいっす。
> 小説総合スレに登録したら良いんだしって思って。
自分からは登録しないくせに(w
ヘイ ごまなち
sayonari.cool.ne.jp/cgi-bin/moimg/img-box/img20011209030215.jpg
191 :
SN:01/12/09 10:34 ID:wDkY5Oix
書き忘れました。
>169
>なちごま
「だけどほら、人の心は移ろうものでしょ?」(by エスパー真希)
「あたしの声〜」書いてた時はなちまりのほうが好きだったんだけどね。
でも自分で書きながら、昔なちまりが好きだったってのは嘘か?
って思うくらい矢口の扱いひどいけど…。
>保全
ありがと。助かってます。
192 :
113:01/12/09 19:50 ID:TNRtBir+
書き始めてから報告しようと思ってましたが、なかなか始める事ができません。
さり気なく伏線を張り巡らしつつ、それに縛られないように書きたいものです。
ほじぇむ
就寝前保全
今日、初雪が降ったよ
>>133 始められたらぜひ教えてくださいね
保全ついでに・・・
ずっと前、たぶん「安倍×後藤」スレの時になちごま小説書こうかなって
言ってたんですがM-seekの方で短編を書きました。
直接名乗るのはここでは迷惑なので興味のある方は探してみて下さい。
わかるわけないだろーがー
あなたたちー
hozenn
200 :
?:01/12/13 16:24 ID:kX3CStmQ
千春が吼えてるぞ
「かつては、NHKが歌手を利用していたが、最近は歌手がNHKを利用している。
それがおかしい。出場歌手を見ても、納得できない顔ぶれが多い。NHKの自主性
を発揮して、曲が売れようが何だろうが、歌がヘタなら出さなくてもいい。トリは、
北島さんと島倉(千代子)さんに決めてしまうのが一番じゃないのか」と最後まで、
サブちゃんに、こだわりを見せた。(夕刊フジ)
>>1 やっとわかった
ジェシカ・シンプソン「Irresistable」
ちうか更新してくれ
更に言うとヴァネッサ・ウィリアムスの「I Wish」
感動モン!
本家よりイイぞ
あ、本家ってモー娘だよ
保全
毎日寒いね
保全
まったくだね
あなたとわたしの保全
もうだめだろココは
209 :
。:01/12/18 00:48 ID:SMg9cBnh
。
210 :
第九話:01/12/18 00:49 ID:SMg9cBnh
飯田さんと保田さんが矢口さんに向かって階段を駆け降りる横を、真希は
前を向き背筋まで伸ばして階段をのぼり、通り過ぎる。
横目で見ることすらない。まるで昨日の放課後と同じ光景。
違うのは――真希だけ。
…なんで?
『なにが?』
頭に響く声はいつもの真希で、悪びれた様子もない。
なにが、って今のは別に真希には、身体には被害はなかったじゃない!
なのになんで矢口さんにあんなことを。
『だって苛々するじゃん。あの子の態度』
その聞き覚えのある言葉は、なっちの胸に刺さる。それだけで?
――ムカつくんだよ! 何なの、お前!?
――ずっと安倍のことむかついてたんだ。
『そっ。それだけ』
とんっ。
最後の一段だけ跳ねるようにして階段をのぼり終えた真希が、私の顔で笑う。
『りっぱな理由でしょ?』
211 :
第九話:01/12/18 00:51 ID:SMg9cBnh
しんと静まりかえった廊下を今度はなっちが歩く。
真希と同じに歩いてるはずなのに、何が違うのか上靴は歩く度に小さく鳴った。
『安心してよ。あれ以上はこの身体の負担になるからしないって』
そうじゃない。
気に入らないから手を出すってのは、一番やって欲しくない行動なの。
やられた方の気持ちを考えて欲しいから。
これだけは譲れない、と真希に伝えようとした時、頭に響いた。
『さっきさ、違うのは真希だけ、って言ってたけど、なっちもじゃない』
えっ?
不意に聞こえた声に立ち止まる。
なっちは昨日と同じだよ。真希が身体を動かすのを止められなくて…。
『そんなことない。だってさぁ』
私の言葉はまたさえぎられた。ふふっ、ってふくみ笑いの後に真希が続けた言葉は、
なっち自身を惑わせて、刺さる。
『昨日のなっちはもっと真剣に、やめて、って言ってたもん』
212 :
第九話:01/12/18 00:55 ID:SMg9cBnh
一瞬で顔が赤くなり、そしてそれを 隠せない。
それはさ、矢口さんに仕返しができたことを喜ばなかったの?
って言われると嘘になるよ。
でも、あんなやり方で仕返しなんてしたくない。
『なっちさぁ、私に隠し事はできないんだから』
知ってた。…つもりだった。
心臓が大きく鳴って、私は早足で歩き出す。
『嘘になるよ、なぁんて。復讐したかったんでしょ、ずっと』
やめて。
勝手なこと言わないで――!
耳を手でふさいでも、真希の声は止まらない。
『正直になりなさい』
静かな廊下を足音も気にせず走り出してすぐ、足が止まった。
耳をふさいでた手がゆっくり降りてきて、私の胸を覆う。真希がささやいた。
『真希さんが力になってあげるから』
213 :
第九話:01/12/18 00:58 ID:SMg9cBnh
笑顔が見えた――気がした。
おとといまで止まっていた真希は歩き出していて、今にも走り出しそうに見える。
なのになっちは、真希に手をひかれた分しか進んでいない。
この身体を自由に動かせる真希はなっちの手を離して急ぐこともできるのに。
真希は追いつける距離で振り向いて、私を待ってくれている。
そんなの、真希だけだよ。
真希だけがなっちを上に引き上げてくれる。
今わかった。
って言うか、なんで今までわかんなかったんだろう?
真希と居ることがあってるか間違ってるかなんてわからない。結局ずっと迷うんだ。
なっちがどう思うか。それだけ。
なっちは――。
214 :
第九話:01/12/18 01:00 ID:SMg9cBnh
ごまかしのきかないひとつの身体。
言わなくても通じてくれるふたつの心。
真希が楽しく笑ってるなら、なっちも明るい気持ちになる。
なっちが哀しく落ち込んでいれば、真希も暗い気持ちになる。
もう真希にも自分にも言い訳なんてすることない。思った通りに。
「真希」
私は声を出した。久しぶりだ。学校に居るのに、ひとり言でもないのに、誰に
言われたでもないのに、自分から進んで――声を出すなんて。
「お願い」
見た目はひとりなのにまるで誰かに問いかけるような言い方。
矢口さん達に聞かれたら、気色悪がられて変な目で見られるだろうな。
『そしたらまたそのぶん黒目をつっつけば良いって』
あはは。そっか。
ちょっと沈黙。息を吸って、吐く。
「真希」
『うん』
おいていかないで。
「なっちと、並んで」私は小さく声にする。「一緒に、歩こう」
更新ありがとう(●´ー`●)保全
356→256の圧縮か…
保全のタイミング難しいね
嬉しい更新。他に読んでいた小説がdat行きになってしまったので、
あらためて保全の難しさを痛感しました。やっぱり2日以上開けるのは
危険みたいですね。
えっと、
>>169でイメージが繋がらなかったって書いたのは個々の単語
がどうこうってことじゃなくて、
>>151での「気持ちがすうっとやわらいだ」
から「言葉の薬」って箇所は癒しのイメージがあって、次の「天啓」って
のは自分にはもっと、うたれる様なイメージがあったんで、その辺が
繋がらなかったって事ね。
前に言ってた、心理描写がこのくらいないと心の動きに納得できない
ってのは、読んでるほうとしてもまったく同意なので気にすることはないかと。
まあ心の動きを表すのは「心理」描写だけでもないと思うけど別にダレてないし。
おかげで雰囲気出てるし、今回なんかは全体に張り詰めた緊張感があると思う。
ただこの辺は好みにもよるんで、他の人がどうかはわかんないけどね。
なちごまにハマってくれたんなら嬉しいね。スレは逝っちゃったけど…
>>196 なんか偶然見つけたかも…
やばいやばい、24時間経ってたよ保全
hozen
220 :
SN:01/12/21 01:13 ID:PcPIy+Hi
>185-186 >188
ありがとです。矢口視点ですか。書こうなんて考えた事も無かったです。
これ以上長くしたくないんでなっちのみです。後藤も無い?予定。
>189
でもマターリも行き過ぎな気がして。前のも更新までに2週間近くかかってるのに
話しの中での時間の動きは2,3分。なんだそりゃ。
あと、ちゃんと自分で小説スレに登録しますって。主人公がマイナーだったり、
今更バトロワだったりする場合にはまぁ、しない事もありますけど。
>190
ありがと。すばらしく良かったよ…。ツートップだけあって
寄り添って立ってるだけなら多々あるから、別に魅力も感じないけど
こういうのは良いですね。
いしよし好き時代に集めたただ隣に立ってるだけの画像も結局
削除しちゃったしなぁ。良いのはまだ名残惜しくとって置いてあるけど。
>192
そうですね。さりげない伏線を張って、かつそれが後ですごく大きな
意味を持つとか出来れば良いかも。エスパー真希も伏線にあっ!って
驚いた状態で終わったから、読後にすごく感動を憶えたのかもだし。
書いたらぜひURLをここに貼ってください。
221 :
SN:01/12/21 01:16 ID:PcPIy+Hi
>193-194
ずいぶんと眠る時間が遅いですね。
って言うか雪ー!?そこどこー!?
>196
M-SEEKですか。絶対探し出せない自信があるので
(私だけじゃなくて >197 も >199 も探せなさそうですし。)
遠慮無くここにURL貼っちゃってください。
>200
もう紅白なんてエンターテイメントに徹しちゃって良いと
思うんだけど。おじいちゃんから子供まで楽しく見れるためには
歌がヘタでも新曲出してなくても、知名度だけでも出しちゃうのが
良いかなと。
>202
ありがとです。って >1 はまだ見てるのかな?
>203
なっちと圭ちゃんもラジオで言ってたね。私も聞いて
Life Is So Wonderful〜♪(人生〜って素晴らし〜い、のところ)
がきれいだと思った。
>205-206
なんか良いね。
222 :
SN:01/12/21 01:18 ID:PcPIy+Hi
>208
もっ、もうちょっとだけ、待ってみて…。申し訳無い…。
>215
まぁ、dat逝きしたら新しくスレ立てます。ここのとこ
スレ立て権使ってないし。
>216
でもそれも異常な感じだよね。他の板とか行ったらあまりにマターリしてて
びっくりします。平気で半年前に立ったスレとあったりするし。
>217
ありがと!ここんとこレス無かったからちょっとさみしかったよ。
なるほど。あまり使わない言葉だからじゃなくて、思考の流れが
スムーズじゃなかったって感じかぁ。イメージの差かな?
心理描写のことは本当にためになったよ!
わざわざ書かずに行動で示すってのをちょっと盛り込んで行きたいかな、と。
あ、なちごま好きな人だったんだ。小説ならかなり読んでるって
言ってたから特にそういうの無いのかと思ってた。
>保全の方々
ありがと。おかげでここも元気に残ってますね。
その間ずっとつんくにはぱくり疑惑がついてまわるのかもですが。
レスマジでありがたいです。何度も清書のために読み返してると
良いのか悪いのかわからなくなってくるんで、読まれてる事が励みになります。
223 :
。:01/12/21 01:20 ID:PcPIy+Hi
.。
「失礼します」
授業中の教室にそっと入ると、クラスメイトはちらっと顔を上げてすぐ伏せた。
先生もなっちを一度見ただけで、そのまま授業を続けた。
そっと席に着いて、出しかけの教科書やノートを片づける。
そんななっちを誰も見ない。
『徹底してるね』
少ししてから保田さんと矢口さんも帰ってきた。
クラスメイトの視線がふたりに集まり、先生も「早く席に着きなさい」と
注意をうながす。
ふたりが席に向かう間、いろんな人が小さな声で「大丈夫だった?」なんて
言ってるのが聞こえる。
そして矢口さん達はその度に小さく手を振ったりなんかしてる。
これ見よがし。
でもちょっとつらい。
『ほんっと、徹底してるねぇ』
…感心しないでよ。
225 :
第十話:01/12/21 01:24 ID:PcPIy+Hi
しまい終えた鞄を持って席を立つ。誰も見ずに歩き、入ってきた時と同じく
そっとドアを開けて教室を出る。
振り向いてドアを閉める前に一瞬、私はクラス中に視線を走らせた。
みんな黒板を見ている。
前は放課後やお昼休みにわいわい騒いでるみんながうらやましかった。
楽しそうで、輝いて見えた。
『今は?』
みんなにとって今の私はきっと、クラスメートを傷つけるような娘って扱いだから。
…もう溶け込めないよ。
私は軽くまばたきをする。
「失礼します」
頭をぺこりと下げて、ドアを閉めた。――さよなら。
226 :
第十話:01/12/21 01:26 ID:PcPIy+Hi
三日分の課題を受け取り、帰り道を歩く。
まだお昼前だからか、私服の人とか主婦とか朝にいない人達がいっぱい居て
不思議な感じ。
『この後どうすんの?』
家に帰ってさっきの宿題かなぁ。
『ご飯は? 外でお弁当食べよっか』
その光景を想像して私は吹き出しそうになる。
だぁめ。
『なんで?』
今の世界ではね、普通の日に外でひとりでお弁当を食べるってのは相当恥ずかしいの。
『ふぅん。変なの』
真希の素朴な答えに本当に笑ってしまった。
でもまっすぐ帰ってもなにもすること無いし、どっかでお弁当食べ――。
待って。
私は思いついたままに言う。ねぇ、図書館に寄って良いかな?
『ご飯は?』
そればっかり!
227 :
第十話:01/12/21 01:37 ID:8D4kEHXY
図書館は意外と人が居た。おばさんとか、大学生っぽい人とか。
ここって自主的にじゃないと来ない場所だから、静かでまじめな人が多くて、
そんなところもなっちは気にいってる。
『物乞いみたいな人も居るよ』
まぁ、この中は涼しいからね。
制服姿が目立つのも嫌なので、私はすみっこに席を取る。
手にした本は――妖怪大百科。
『失礼な』
まぁまぁ。真希をなだめて私は索引を見る。お、お、お、あった。おに、に、に。
……。
関係ないことしか載ってないね。
『うん。ないねぇ』
228 :
第十話:01/12/21 01:38 ID:8D4kEHXY
隣の本。その隣の本。その隣の隣の本。その隣の隣の…。どれぐらいめくっただろう。
数々の文献をひっくり返して、やっと見つけた。
小さな記事。
なるほど、千年前だ。
私は頭の中で問いかける。これの事?
『そうそう。これこれ、これが私』
やっぱり本当のことかぁ。
私は何度も文章を読み返す。魔鬼? 真希じゃないの? 高僧? 戦った?
『いっぺんに聞かないで。真希って名乗ったはずなんだけどなぁ』
でも魔鬼って書いてあるよ。
『勝手に名前を変えたんだよ、きっと。失礼だなぁ。それよりさぁ』
身体が勝手に立ち上がって本を片づけ出す。
えっ?
ちょっと待って。やっと見つけたんだよ。
『やっとね。おかげですっごくお腹空いたんだけど!』
言われて壁に目を移すと、時計は午後二時をさしていた。
229 :
第十話:01/12/21 01:39 ID:8D4kEHXY
さっきの本も気になったし、家でのことも考えたくなかったので、帰り道は
ずっと話して帰った。
真希のこと。魔鬼なこと。高僧が女性だったこと。戦ってなんかいないこと。
って戦ってなかったんだぁ。
驚くなっちにまたか、って態度の真希。
『人間と戦って負けて封印、なんて絶対!ありえないから』
やけに強調する態度がちょっとおもしろい。私はさらにからかう。
じゃあどうして封印されてたの?
『よく憶えてないんだけど、自分から入った気がするんだよ』
えっ?
なっちの足が止まって、すぐ動き出す。しかも駆け足。
『ほらほら、早くご飯食べたいんだから止まんないの』
…子供。
仕事から帰ってきて、更新されていると本当に嬉しいです。
SNさん頑張ってくださいね。無理をなさらずに。
更新嬉しい(●´ー`●)保全
高僧が物語の鍵を握るのかな?
保全させて。
明日は保全にこれなそうなので、今のうちに保全。
有馬前夜保全
クリスマスプレゼントを稼いでくるか…
↑どうだった?
hozen
↑
JRAにプレゼントしてきたよ…(鬱
MerryChristmas! 保全
↑カフェはともかくボスはねぇ。。。
hozen
マンハッタンだからアメリカンだろ?
そんくらい押さえとく気持ちの余裕がないとね。
48万何に使おうかな…
保全
なんのはなしだバカ
240 :
。:01/12/25 00:42 ID:dLQFZbJJ
。
241 :
第十話:01/12/25 00:45 ID:dLQFZbJJ
家に着いて、車がないのを見てほっとする。いや、あったほうが良いのかなぁ。
私は音を立てずドアを開けて、閉め――ようとして一度止める。
『なっち?』
覚悟を決めて、閉めた。
「ただいまぁ…!」
『おっ、割と大声。これはさすがに聞こえてそう』
声を出すと、次の光景が浮かんできた。思考と言葉がぐるぐる回る。
心臓も急に鳴り出して、手のひらに汗をかいた。
なんて言おう。なんて言われるだろう。なんて言い返そう。なんて謝ろう。
「なつみ?」
声と一緒にお母さんが居間から出てきた。出かける準備をしてる。
「どうしたの? まだ学校終わってないでしょ」
「あっ、あの。実はね」
私は玄関で靴も脱がずに説明をした。
ケガをさせたことじゃなく、意地悪をされてたことも、全部。
声が低くなったり、小さくなったり、どもったりするのを頑張って抑えながら。
手のひらの汗は何度こすっても浮いてきた。
暑い。
落ちていた視線を上げると、お母さんの眉間にしわが寄ってるのが見えた。
「――停学?」
242 :
第十話:01/12/25 00:49 ID:L184GcfH
沈黙とため息。
「とりあえず家にはいりなさい」
そう言ってお母さんは居間に戻って行った。
靴を脱ぎながらお母さんをちらっと見ると、お母さんは鏡を覗き込んでいて、
出かける準備に戻ったようだった。
…それだけ?
鏡を覗き込みながらお母さんは続ける。
「もう、女の子なのに停学なんて。恥ずかしいったらないわ」
怒られなかった。
「なつみ。あなた、停学中はずっと家にいなさいね」
私の考えはすべて空回りしてる。
いじめの心配もケガの心配もない。
お母さんが気にしたのはなっちじゃなくて、なっちの周りばっかり。
「近所には同じ学校の子が居ないからね。風邪ってことにしておきましょう」
こちらに視線を向けたのも、鏡の中からだけ。化粧を続けたまま。
ねぇ。
全部言ったんだよ?
意地悪されてたことも、ケガさせてたことも。なのに――。
なっちが「それだけなの?」と口を開こうとした直前に、やっとお母さんは
こっちを向いた。
「なつみ。後でその子の家にお母さんと謝りに行きましょう」
243 :
第十話:01/12/25 00:51 ID:L184GcfH
嫌。
聞いた瞬間にそう思った。
今までされたことや、真希がしてくれた復讐が頭をめぐる。
「お母さん、六時にパートが終わるから、それから行きましょう」
もう済んだんだよ。
校長室で、校長先生と、担任の先生と、矢口さん達と話しあって。
『うん、私も謝りに行くの嫌だな』
「何はともあれ、ケガさせたなつみのほうが悪いんだから」
言葉のトゲだって心を痛くさせるのに。
私はきゅっと下口唇をかむ。
もう謝ろうとなんてしないって決めたんだから。
向うが謝るまで、なっちも謝らない。
「ケーキでも買って…って何よ、その目? 仕方ないでしょ、なつみが悪いんだから」
私は横に首を振る。
お母さんはそんな私を気にもせずに、靴を履き始める。
『なっち、言わなきゃ通じないってば』
知ってる。私は声を出す。
お母さんの背中に向けて、せいいっぱいの抵抗。
「もう、この問題は片づいたからさ、謝りには、行かなくて良い、と思う」
「そう思ってるのはなつみだけよ。じゃ、行ってくるわね」
バタン。
お母さんは振り返らずにドアを閉めて出ていった。
244 :
第十話:01/12/25 00:54 ID:L184GcfH
残された私はゆっくりと自分の部屋に向かった。
ごめん、真希。
やっぱり私、感謝なんて出来ない。
『そんなことよりご飯食べようよ。もう何もしたくないよ』
あはは。
真希の言葉で笑みがわく。悔しいような、哀しいような気分は変わらないけど。
時計を見ると三時前だった。
ごめんね、お昼ご飯のはずがおやつになっちゃった。
制服を着替えようとする腕が止まって、勝手に鞄を開ける。
『そう思うんなら、先にご飯食べよ』
245 :
第十話:01/12/25 00:56 ID:L184GcfH
『おいしいね』
…うん。
なっちに作ってくれたお弁当。カラフルでカロリーも低いものが多い。
食べているとさっきまでの怒りがだんだんとおさまっていく。
でも。
謝りたくない。
真希の力でいじめはなくなりそうなのに、謝ったらまた元通りになりそう。
「ごちそうさま」
ため息と一緒にそうつぶやいて、私は制服を脱いだ。部屋着を手に取る。
ふいに。
図書館で読んだ本と、おかしな考えがなっちに舞い降りた。
『えっ?』
やだ、何それ? 笑っちゃう。でも、なんだか止まらない。バカみたい。
両手で頬を押さえても、顔がにやけちゃう。
心配するかな?
生まれて始めての反乱。
手にした部屋着を放り投げると、矢口さんの言葉が頭をよぎった。
――もしかしてなつみちゃん、反抗期ぃ?
あはは、そうかも。
遅すぎる反抗期だけどね。
「真希。今から京都、京の都行こっか?」笑いを抑えて声を出す。「真希のお墓参りに」
246 :
第十話:01/12/25 01:05 ID:L184GcfH
『京って?』
急ななっちの行動に驚いてるのか、真希のぽかんとした感じがおもしろかった。
私は続ける。
真希の、ふるさと、かな?
『えっ? えっ? じゃあさぁ』
違った。
真希の答えは想像以上だった。
『ここって京じゃないんだぁ!』
…そっちなの?
247 :
sage:01/12/25 10:49 ID:HxiU8sAH
sage
248 :
SN:01/12/26 00:28 ID:KSXrXlNy
>230
あら、意外な癒し効果発覚。ありがと。無理はしてないですよ。
書けるときは一気に書けるんですよね、これが。
>231
いや、多分握らないです。って言うか物語の鍵って自分で書きながらも
よく解らないし。
>232
ごゆっくりどうぞ。
>234-238
有馬記念? 良く分からないけど、テイエムオペラオーは
来なかったの?
って言うか >238 は48万も儲けたの!?いくら賭けていくら勝ったんだか…。
>保全の方々
ありがとです。本当にお世話になってます。
249 :
。:01/12/26 00:29 ID:KSXrXlNy
。
250 :
第十話:01/12/26 00:31 ID:KSXrXlNy
『ふぅん』
急な思いつきを驚いてくれなくてかっがりしたところに、真希の声が響く。
ちょっと嬉しそうな声。
なんかこう、こっちの気持ちがすこし明るくなるような。
『初めてじゃない? なっちが私のためになにかしてくれるの』
そうだっけ?
私はタンスを開けて、外出用の服をあれこれ探す。
『そうだよ。…食べるのと眠るの以外で、だけど』
そう言われればそうかも。
スカートを手に取ったまま考える。
見るものすべて初めての真希のために、なっち、なにもしてあげてなかった。
真希だって不安だったはずなのに。
『いや、別に』
…あっそう。
『一番多い時で四本だったよ』
えっ?
『お母さんの眉間のしわ』そう言って真希は笑った。
251 :
第十話:01/12/26 00:33 ID:KSXrXlNy
Tシャツを着て、スカートを履く。
そして手に取るのは、お気に入りのジャケット。
薄くベージュがかった色合いが上品で、袖と襟からかすかにのぞく
レースがとても好きだった。
可愛いでしょ?
『うん』
お店で見かけて一目ぼれして衝動買いしたんだ。
好きすぎてここって言うときしか着なかった。だから数える程しか着ていない。
…ばかだな、って今は思う。
タンスの中で眠らせることが、大事にすることなんかじゃ決してないのに。
『気にしない気にしない。これ、着るんでしょ?』
うん。
私はそっと袖を通す。タンスの、木のにおいがした。
連続更新お疲れさまです。癒されていますよ。
サーバー移転でスレッド見失って焦ってました。
スレタイトルちゃんと覚えていなかったので、検索もままならず・・・
でも、さがっていたおかげで見つけました。
SNさん偶にageで更新してみてはいかがでしょうか?
きっと、読者がもっと増えると思うんですが・・・
感想です。
洋服の描写がいいですね。着ている物とか服の好みでも、
キャラクターのイメ−ジが出来ますし。
本当に「なつみ」の変化が行動で示されていますね。
そして、嗅覚による長い時間の表現もステキです。
|
|ハヽo∈
|D` )<トリップの練習をさせてくらしゃい
⊂ノ
|___
このスレ使用中れすか?
じゃあよそに逝くのれす
257 :
SN:01/12/27 00:46 ID:2x8tDrva
>252-253
ちなみに私は「後藤真希」で検索かけて探しました。移転前なら小説総合スレから
リンクをたどるって手も使えたんだけど。
ageてもきっと読む人は増えないんじゃないかなぁ?
私も好きな作者のか、好きなメンバーのしか読まないから。これだけあるとみんな
そうだと思うし、なちごまじゃあ人を選びすぎるかなぁと。
描写のこともありがと。こう言われると長くなるのも悪くないかな、なんて
気になります。
>254-256
悪いね。最近はスレの出来てから消えるまでも早いから、市にスレ探すのも大変だよね。
トリップ練習スレとかって前あったのにね。
258 :
。:01/12/27 00:47 ID:2x8tDrva
。
259 :
第十話:01/12/27 00:48 ID:2x8tDrva
明日の夜か明後日の朝には帰ってくるつもりでバッグをつめる。
着替え、下着、歯ブラシ、タオル、お財布…。
ぱんぱんにはならないけど、持ち歩くならこれが限界ってほどに。
真希の入っていた鏡は、壊したりしたくないので置いていくことにした。
準備は出来た。
ゆっくり立ち上がって部屋のドアを開ける。中を見ないように後ろ手でそっと閉めた。
パタン。
部屋の中には、なっちだけの世界があった。
あの中ではなっちは愛らしい姫で、優しい王子役のぬいぐるみ達もいた。
外敵から守ってくれるネバーランド。空想の物語にあふれていたティルナノーグ。
『なっちの部屋が?』
そう。私は振り返って閉じたドアに触れながら続ける。
誰も入ってこないしさ、なにもしなくても許される場所だったんだ。
『ふぅん。そんな感じの場所、身におぼえがあるよ』
うん。
なっちも出てみてわかったよ。残りの人生がずっとここなんて嫌だ。
外側の檻は開いていた。
内側の檻の鍵は開けた。いつだって戻れる。だから今は――出てみようと思う。
260 :
第十話:01/12/27 00:51 ID:2x8tDrva
階段を降りた私は、すぐ家を出ないで、まず居間に行った。
『どうしたの? 準備できたんでしょ?』
うん。その前にさ。
私はキッチンに立つと、お母さんのエプロンをしてお弁当箱を洗い、ていねいに
水気を取ってテーブルに置いた。
そしてその横に白い紙とペンを持ってくる。
『なるほどね』
……。
こんな感じかな。ペンにふたをして、ふたりで読み返す。
『良いんじゃない?』
じゃぁ。
私はペンのふたをまた外して、紙にペンを走らせる。
『それなに?』
付け足しって意味の記号。…よし。
『なるほどね』
どう?
『良いんじゃない』
真希の声はさっきより高くなって私の頭に響いた。
お父さん お母さん
停学なんかになっちゃってごめんなさい
でも私は後悔はしてません
仕返しする必要があるだけのことをやられたと思ってます
だから謝りにも行きたくありません
向こうが謝ってくれたら私も謝ります
突然だけど今回のことで私を助けてくれた友達のために
京都に行ってこようと思います
明日の夜か明後日の朝には帰ってきます
ごめんなさい
帰ってきたら全部あわせて怒られます
なつみ
P.S.
お父さん いつも遅くまでお仕事ご苦労さま
お母さん おいしいお弁当いつもありがとう ごちそうさま
262 :
第十話:01/12/27 00:54 ID:2x8tDrva
五時になった。あとはもう家を出るだけ。
靴はもう決めてる。ブーツを履いた。
旅立ちなんだからやっぱりブーツってね。
『ぶーつ?』
そう。ブーツ。
私は指でとんとんとかかとをつつく。
この靴の名前にはね、なにかを始めよう、って素敵な意味があるんだ。
立ち上がって振り向いた私は、誰も居ない居間に向かって叫んだ。
「行ってきます」
ちょっとだけ、出かけてくるからね。
263 :
第十話:01/12/27 00:55 ID:2x8tDrva
いつも行かない駅への道を、私はバッグを両手で持って歩く。
やけにふくらんだバッグが家出とか思われそうでちょっと恥ずかしい。
家出じゃなくて、遠出です、って。
初めてのひとり旅。
――ひとりじゃないけど。
行き方もいまいち良くわかんないし、お金がどれくらいかかるかもわかんない。
『ちょっと。大丈夫なの?』
多分ね。
東京駅に行けば、そこからなんとしてでも行ける。
まずは駅だ。
駅に行かなきゃ。
リズミカルにブーツのかかとが鳴る。私はいつの間にか走り出していた。
264 :
第十話:01/12/27 00:56 ID:2x8tDrva
駅に来ていた電車に駆け込む。
時間帯が悪かったのか、家に帰ろうとする社会人がいっぱい居た。
ちょっと長い間揺られたり、乗り継いだりして着いた、ぐんと広い場所。
東京駅。
久しぶり。中学校の修学旅行以来。
ふっとなっちの頭の中を、友達と遊んだ思い出が駆け抜ける。
つまんないことで笑って、何でもないことで騒いで。
『なっち』
ごめんね。また暗くなっちゃった。
昔はね、なっちにも、友達が居たんだよ。
なっちのこと「なっち」って優しく呼んでくれて。
『ふぅん』
…信じられない?
『わかるよ。嘘ついてないのくらい。その子達、今は?』
今は、口も聞いてくれなくなっちゃった。
『なんでだろうね』
なっちが、とろい子だからかな。
その言葉を明るくからかってくれると思ってたのに、真希の言葉はなかった。
265 :
第十話:01/12/27 00:58 ID:2x8tDrva
甘かった。
東京駅まで来たら、京都まで行ける電車なんてごろごろあると思ってたのに
新幹線しかないなんて。
『じゃあ良いじゃない、それで』
ちょっと値段が高すぎて…。
夜行列車かなんかあると思ってたんだけどなぁ。
普通の電車を乗り継いでなんて、なっちと真希じゃ絶対行けない気がする。
初めての抵抗があっさり終わろうとしてた時、私の手があがって遠くの看板を
指差した。
『あれあれ。あっちに夜行なんとかって書いてあるよ』
…夜行バス!
近寄って看板を読むと、東京−京都間のもあった。時間は、八時発。
私は時計を探す。あと一時間ちょっと。
「ふぅ」
バッグを床に置いて、なっちもしゃがむ。
すべてが不思議と順調に進んでいる気がする。なんか、私らしくない感じ。
『私も居るから、かな?』
真希の言葉に笑みがこぼれる。ふふっ。うん。素直にそう思うよ。
ねぇ、時間までなにしよっか?
聞いてすぐ気づく。――聞くまでもないか。そして予想通りの答え。
『じゃあさぁ、ご飯食べよ』
266 :
第十話:01/12/27 00:59 ID:2x8tDrva
『や、もう。すっごく美味しかったぁ』
カレーの辛さと美味しさに、真希はずっと感動してた。安上がりだなぁ。
時間が来るまで、駅を行く人を眺めてた。
帰りを急ぐサラリーマンやOLさん、これから出かけるような若いお兄さん、塾に
行ってたっぽい子供達、なっちと年の近そうな女の子達。
色んな人が居て、それぞれに違う人生があるなんて、ちょっと信じられないくらい。
この中にはきっと、なっち以上につらい生活をしてる人もいるんだろうな。
『そうかもね』
そっけない返事に私は続ける。
なっちだけが逃げ出したりしてさ、良いのかなって。
『逃げる?』
右手がやわらかくなっちの頬をつねった。
『違うじゃん。真希のために京都に行ってくれるんでしょ?』
そうだね。
…ありがと。
やわらかい痛みは温かさを伝えてくれる。
ふと顔を上げると、通りすがりの人が変な目でなっちを見ていた。
私はあわててつねっていた手を頬から離した。
267 :
第十話:01/12/27 01:00 ID:2x8tDrva
まったく。
何やってるんだろう。ボーッと人を見ててバスに乗り遅れたら笑うに笑えない。
バッグを抱えて駅の中を走る。
バスはすでに乗り場に着いていて、もう発車するように見えた。
急いでキップを買って、乗り込む――その直前に気づいた。
私は動きを止める。
『なっち?』
「お客さん?」
鳥肌が立った。間違いない。この瞬間が、人生の分岐点。
「もう行っちゃうよ。乗るの? 乗らないの?」
運転手さんの言葉がなっちの頭をぐるぐるまわる。
乗るの? 乗らないの? 乗って良いの? 乗っての良いの? 本当に良いの?
…良い方に変わるの?
『なっち?』
まだ間に合う。まだやり直せる。今なら引き返せる。
つばを飲む音がなっちの耳に大きく響く。
「お客さん!」
「あっ」
バスのドアが閉まった。
268 :
第十話:01/12/27 01:04 ID:2x8tDrva
車内はガラガラだった。お客さんも私達の他に四人しかいない。
私はバスに乗っていた。
いや、なっちじゃなくて、真希。閉まる前に駆け乗ったのは真希だった。
『だって乗るんでしょ?』
真希の問いに答えないでいると、運転手さんからも質問がきた。
「危ないから座って。それともやっぱり降りるのかい?」
瞬間。
目を閉じて、開く。
最後の選択肢に私が出した答え。
「…いえ」
私はゆっくり歩き出した。「乗ります」
269 :
第十話:01/12/27 01:06 ID:2x8tDrva
自分の声に誘われるようにすとん、と空いてる席に座ってすぐ、すごく疲れが
襲ってきた。
ふぅ。
乗っちゃったんだ。もう考えるのよそう。
『京に着いたらすぐお墓見に行くの?』
うぅん。その前にお墓の場所を調べなきゃだし、お風呂にも入りたい…ふぁぁ。
ひと息ついたとたんに眠くなってきた。
八時になったばっかりなのに、さっきから途端にあくびも連発で出る。
今日も一日、色々あったからね。
『なっち、眠ろっか』
うん、真希。ちょっと眠ろう。
そうだね。
時間もたっぷりあるんだしね。起きた後のことはさ、起きてから考えよう。
『おやすみ』
おやすみ。
270 :
第十話:01/12/27 01:07 ID:2x8tDrva
あぜ道を石を蹴りながら歩いていた。
天気も良く、これといってすることもない。私は何度もあくびをする。
うん?
しまった。
前から人が歩いてくるのに目を取られ、蹴ってた石を見失った。私は前をにらむ。
三人。浪人と、その妻子だろうか。貧乏そうだ。
女は病気持ちなのか、途中で咳き込んだりしている。その背中を浪人がさする。
ふと芽生える悪戯ごころ。
――突然あの浪人が死んじゃったりしたら、あの女。どうするかな?
よし。
お互いに歩き続けている。すれ違うまであと十歩、切ったかな、ってところで子供が
なにかしゃべったようだった。浪人とその妻が微笑ましく笑ってる。
私も微笑んだ。
なるほどね。家族で居れば幸せってわけだ。…予定変更。
子供が死んで、泣き叫ぶ両親の姿が見てみたい。
あと三歩も歩けばすれ違う。
私は左手に力を込める。
すっと、爪の先が尖った。
あと二歩。一歩。すれ違い様、私の左手は鞭のようにしなる。
――そんな夢を見て。
私はびくん、と身体を震わせて、起きた。
夢。
じわっと額に浮いている汗を手でぬぐう。
周りを見渡すと、乗客はすべて眠っていた。…起こしたりしなくて良かった。
でも知ってる。
これは単なる夢じゃなくて真希の記憶。
…真希。
そっと呼びかけても、真希は起きなかった。
大丈夫だよね。こんなの、はるか昔の思い出話だし。右手で左手首をつかみながら
そう自分を言いきかした。
時間は一時をまわったばっかりで、まだまだ京都は遠い。
胸に残る嫌な気持ちに気づかない振りをしながら、私はまた目を閉じた。
左手の手首をつかんだままで――。
第一部 完了
272 :
SN:01/12/27 01:10 ID:2x8tDrva
という訳で終わりです。
Web上で書くと終わりがいつかわからないところが結構好きです。
3ヵ月近くもつきあってくれた方々。どうもありがとうございました。
前スレの1の文は出てこないし、謎もいっぱい残ってますが、ここで1度終わるのは
当初からの予定だったんで。続きは書きたいところですが、ここまでに以外と時間が
かかっちゃったし、たぶん書けないかなぁ、と思います。わかんないけど。
…特に。
小説総合スレの方。いつもいつも更新情報ありがとうございました。
このスレを見失った時にも大助かりでした。
そして長文会話をしれくれた彼。本当にいつも長文ありがとう。
読み応えがあって楽しかったです。書いてくれなくなった時は、投げ出されたかと
本当にさみしい気持ちになりました。
それでは読んでくださった皆様。良い新年をお過ごしください。
ちなみに誰も指摘してくれなかったですが、前に「安倍×後藤」って両方とも名字の
スレで小説を書いたことがあったので、今回のは「真希なつみ」と両方とも名前の
作品にしようと思ったのでした。
久しぶりですぼかあねえです。
覚えてますか?
愛の種になってほとんどこの板見てなかったので、
最近の小説には疎くて、たまたま今日見つけたら丁度終わりだったとは!!
今から全部読ませてもらいます。とりあえずお疲れ様でした。
>>272 すごく楽しみに読ませてもらってました。
ホントにお疲れ様です。
安倍×後藤の頃も読んでたけど、タイトルにそんな意味が
あったとは気づかなかったなぁ。
SNさんの文は二人のキャラが上手に出てて
イメージしやすいし読みやすくって好きですねぇ。なちごま派としては特に。
第2部も期待してます。
第1部完了お疲れさまでした。ほぼ毎日楽しみに来ていました。
続編への布石が沢山あり、期待がこみ上げてきますね。
では、SNさん良いお年を・・・
第一部脱稿、おめでとうございます。
名指しで(つってもコテハンじゃないけど)お礼まで言ってもらって恐縮でっす。
最後はかなり細部まで初めから決まってたのかな。
なつみがブーツを鳴らして駆け出していくシーンは、ラストにふさわしい開放感と
未来への期待感をもってて、印象的だった。置手紙とこの場面だけで、この話の
一つの終着点を綺麗に描けていると思う。
でもそこからバス乗り場での再度の葛藤、魔鬼の記憶への戸惑いまで書いた
んだから、第二部にも期待してしまうなあ。たぶん書けないなんて言わずに。
期間は3ヶ月だろうが1年だろうが、月一更新であと3年つったってついてくよ。
まあ此処でそれは無理だろうけど。
まあこの話は気に入ってると言ってたと思うので、読み手としても大事にして
欲しいし、また続きを書きたくなったらでいいので。
いずれにせよお疲れ様でした。次回作が読めるのを楽しみにしてます。
スレ名については全然気にしてませんでした、ええ。
小説かなり読んでるとか言ったっけか。なちごまについては、前スレの最初の
ほうで、スレを乗っ取ろうかとか言ってたのが自分なんだけど…いやあ失礼。
全部読んだ。感動しつぁっ!!
なんかSNさんって、氏にスレ好きみたいね(w
俺のスレ見つけたのもその名残だろうし・・・。
次の作品も期待してます。
ここで小説久々に読んで、また小説にはまっちゃったわ・・・。
続編はこのスレで再開するんでしょうか?
保全続けた方がいいでしょうか?
280 :
age:01/12/28 07:17 ID:nD0k7OvA
age
SNさん第一部お疲れ様でした
続きはあるんですよね・・・?
まあ焦らずにマターリ待ってますが。
話は変わりますが
隠れた名作発掘スレに新宿なっちの過去スレ紹介されてましたね
久しぶりに読めましたが面白かったです
保全
hozen
ベストテン出るかね保全
新年明けましておめでとうございます保全
あけましておめでとうございます。
旧年中はいろんな作品で楽しませて頂き
どうもありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
あけましておめでとうございます。
保全させていただきます。
保全します。
ほぜーむ
保全します。
会社から保全。。。
292 :
SN:02/01/06 23:06 ID:amVJwwwm
戻ってきました。実家から。
>273
はっやー…。でもありがと。
>274 >278
お久しぶりです。雑談スレを見失って以来ですね。
感動作ではないと思いますが、喜んでもらえたみたいで良かったです。
ちなみに神竜ってのは、ドラクエ3でラスボス退治後に戦えるようになる敵です。
規定ターン内で倒すと願いを叶えてくれると言う…。
シニスレは発見の楽しみがあるよね!?
>275
そっかぁ。タイトルの事、みんなただ言わないだけかと思ったら
気付いてなかったんだね。
ありがと。でもなちごま好き以外には受けは悪いかと思います。
>276
ありがとです。でもスミマセン。
布石いっぱいの割にきっと次は無いです。時間無くて。
>277
今までありがと。こっちまで為になったりしたよ。
まぁ、なちごま好きな人に受けが良いのは良かったです。書いて良かった。
ただこの後、本当に時間が無いんです。ごめん。2部以降は無いです。
乗っ取ろうって言ってた人だったのかー…。なんと。
最後まで描写の感想ありがと。
>279
ごめん。このスレは倉庫逝きで良いです。つんくもその方が喜ぶでしょう。
>281
ありがと。ってなっちが答えるスレは今改めて読むと相当恥ずかしいです。
なっちに成り代わってこの人は何をしたいの?って感じがする…。
>286
ありがとです。次はアナタが書き手になって楽しませてくれる。なーんてのを
期待してみたりします。
>保全さま
ずっとありがと。お世話になりました。
↓誤字脱字とか矛盾とか手直しした版です。これから読む人はこちらをどうぞ。
ttp://www.geocities.co.jp/AnimeComic/7401/snacci/abegoto2.txt それでは。
保全しといて良かった。お帰りなさい&明けましておめでとう。
SNさんって学生さんでしょうか?だとしたら、後期試験ですものね。
(違ったら御免なさい)いつの日かまた、新スレ、もしくは死にスレでの
再開を心待ちにしております。これで自分も保全を終了させていただきます。
今まで楽しかったです。ありがとうございました。待ってますよ・・・
素晴らしい作品でした。
でも未完のまま放棄されたものに評価は出来ません。
@ノハ@
( ‘д‘)
ほぜむしる
.
>>292 神竜ね、思い出した。
俺は確かレベル60くらいで倒したような・・・。
今はリメイクドラクエ4やってますが・・・。
そういやあの雑スレはdat逝きしてしまいました。
だから今日また板違い・・・っていうかルール違反スレ立てました(w
今度はコテハン違うのでわからないでしょうが。
関係ないですけど俺は作者さんが合間にレスしてくれる小説っていいと思いますわ。
だからここも好き。
300 :
//:02/01/13 22:43 ID:u1gy/0lU
今、musixで安倍が語ってたよ。室蘭でいじめられてて、曰く
「風邪薬何錠飲めば死ねるのかなーとか考えてた。
でもジュデマリの曲を聴いてひとりじゃないと思った」
らしい。まさに小説通り。
301 :
しないよ:02/01/15 04:50 ID:ulCBJlF4
SNさんを召還するために、ちょっとネタ振ってみる(w
昨日、偶然桃板に行ってしまったんでいろいろスレ見てたら、SNさん発見しました
SNさん、チャミ剣のファンだったですか〜。
相当はしゃいでましたね(w
私も『返事はいらない』は大好きです。
あの温かい文体は、本当に見てるだけで気持ち良くなりますよね。
早く続き書いて欲しいけど、終わって欲しくない。そんな作品です。
チャミ剣って面接シリーズ書いてた人だっけか。
>305
『返事はいらない』は知ってる。
面接シリーズっていうのもあったの?
>>306えーと、俺は夏の閉鎖までしかこの板のことほとんど知らないから最近はよくわかんないけど、
その「チャーミー剣士」っていう人が、石川が面接するネタを書いてた、と思う。
で、
>>302によると、SNさんがそのチャーミー剣士のファンだったと。
>>305-307面接シリーズっていうのは、確か「チャーミー面接官」って人が書いてた
やつだと思う。
チャミ剣は『返事はいらない』しか書いてないんじゃないかな?
>>305-307面接シリーズっていうのは、確か「チャーミー面接官」って人が書いてた
やつだと思う。
チャミ剣は『返事はいらない』しか書いてないんじゃないかな?
>>308ぐはっ!!
そうだったっわ!!!
コテハンでなんて失態どぅわっ!!!
鬱dashinoh-
>>309ぐはっ!!
そうだったっわ!!!
コテハンでなんて失態どぅわっ!!!
鬱dashinoh-
312 :
:02/01/20 02:17 ID:G7JoIIjm
最近は二重投稿が流行? SNさん待ち保全
313 :
SN:02/01/21 21:52 ID:SRF6jab0
まだこのスレあるんだね。なんか嬉しいです。
>293
いや、全然社会人ですよ。忙しい理由も恥ずかしながらケコーンとまでは
いかないまでもドセーイするからという。人生始まって以来のイベントです。
再開は…相手の理解次第? って絶対言えません。
>294
あらら、厳しい言葉だけど、でもその通りだと思います。
完結することは大事ですよね。
>298-299
そんなにレベル上げる必要あるの!?
私、今の一番レベル低いキャラはLv32とかなのに…。
あのスレdat逝っちゃったの?
でも最近、2chあんまり見れないんですよ。シアターも読めないという。
まぁねぇ、作者がレスしすぎるとうっかりネタばれしちゃうことも
あるし。難しいですね。
>300
まぁ、モーニング娘。である、という設定を使わないのに、安倍を
主人公に選んだ理由のひとつですからね。いじめられっこが復讐する話
という話にしようと思ったのが元々のはじまりですし。
>301
ありがと。実はこの回のmusix!見逃してたんです。
>302
あはは。チャミ剣はね〜、勝手ながら「同期」のように思ってます。
私が話書きはじめてすぐ、返事はいらないを知って、同じ時期に書いてるって
連帯感みたいのが勝手にめばえたんですよ。なんだそりゃ?
そうそう。シアターと返事はいらないは、続きは見たいけど、終わって欲しくない
って作品です。返事はいらないはさらに、バッドエンドも見たくないです。
>305-311
チャーミー面接官って知らないです。でも多分まったく別人だと思いますよ。
私もチャミ剣は返事はいらないしか書いたことない、に1票です。
>312
ありがと。っつことで来てみました。
再開の望みは薄いのでしょうか?
同棲相手の理解ですか・・・ハァ・・・
でも、希望は捨てませんよ。待ってます。
SNさんの作品は、どれもただ感動したとか面白かったいうだけでなく、
書き手の人間愛みたいなものが感じられるところが好きでした。
それは未完の矢口ものやリレー小説内のもの、質問スレまで含めて。
ぜひこれからもここには遊びに来てください。
同棲かぁ。
ど、ど、ど、ど、同棲ちゃうわ!(タモソ倶楽部
ほせ
雪降ってきちゃったよ。
そろそろ仕事終わらせて帰ろう…
の前に、保全
319 :
SN:02/01/28 20:58 ID:DvXzK9QB
本当、みんな優しいよね。
書きませんなんて言ったのに。ありがと。
とりあえず、出来るとこまで頑張って書いてみる事にします。
引っ越しの用意もほったらかしですが。
途中でとまったら「あぁ…」って思ってください。
320 :
。:02/01/28 21:01 ID:JZT1iuPJ
続・魔鬼なつみ
「私のせいでごめんなさい」
炎の中でまばたきもせず私に向けられたその目には、一点の曇りもなかった。
だからこそ、この状況で私は笑顔をつくれる。
「お互い様だよ。ねぇ、こんなときでもきれいだね、その黒目」
向うも笑った。
「すぐ出られると思うから」
「うん」
私は手鏡を手に取った。薄っぺらい。この中に入るのかぁ。
そう思いながら額に当てる。
「ひとりだけ助かって――」初めてだ、こんな気持ち。「ごめんなさい」
「あら珍しい。…さ、楽にして」
私を包む声がだんだんと早くなり、高くなり、私は軽くなる。
ありがと。絶対に、忘れないよ。
『また帰ってきたの?』
それが京都に着いた真希の第一声だった。
バスが着いたのは午前四時。街はまだ暗く、人影も一緒にバスから降りた人の数だけ。
はるか遠くの見知らぬ街で気持ちが高ぶる私とまるで違う。
東京と同じようにビルが立ち並ぶここは、真希には東京に見えるのかな?
ほら。
私はすっと腕を伸ばし指さす。不自然な体勢で眠ってたためか、ぱきんと音がした。
あの文字見て。さっきまで「東京」だったでしょ。
『あぁ。「京都」ってなってるねぇ』
ねっ。
私は伸びをしながら言う。
『…って言うかさ、他に違いはないの?』
323 :
第一話:02/01/28 21:06 ID:JZT1iuPJ
さて、どうしよう。
まだ四時なんて時間じゃあ、コンビニくらいしかやってない。
お墓の場所も調べなきゃだし、ホテルも決めなきゃだし、お風呂も入りたい。
一緒に降りた人達はもう居なくて、なっちだけがぽつんとしてた。
いけない。本当にとろいなぁ。
『本当にね』
ははっ、と笑ってバッグを持つ。とりあえず、歩こう。
ホテルの目星をつけたり、図書館の場所を調べておいたりしよう。
誰も居ないロータリーにブーツのかかとの鳴る音が響く。
はじめよう、はじめよう、って。
324 :
第一話:02/01/28 21:07 ID:JZT1iuPJ
ゆっくり歩きながらゆっくり回りを見渡す。ホテルはいっぱいある。
でも高級そうで、ちょっと泊まろうと言う気になれない。そんな中に見つけた。
こっそりと隠れるように建ってた細いビジネスホテルの前。
私は立ち止まった。
でも、こんな時間でも中ではせっせと働いていて、外から覗くなっちには気づく
そぶりもない。
気づいてくれたら、ドアを開けてくれたら、色々聞けるのに…。
『中に入って聞いたら?』
その言葉が合図ってわけじゃないけど、私はまた歩き出した。
うぅん。良いよ。仕事中に悪いから。
くるっ。
私の身体が半回転して、歩き、元の場所に戻る。
『なっちってば、何が良いのさ。早く見つかったほうがもっと良いじゃない』
真希がドアを開けると、店員がにこやかに挨拶してきた。
325 :
第一話:02/01/28 21:09 ID:JZT1iuPJ
友達とふたりでの旅行。
そんな思いが、このちょっと汚れたホテルを楽しい場所に変えてくれる。
――まぁ、真希を友達と言い切って良いのかはこの際置いといて。
私は今晩の予約を済ませ、今すぐ入れるサウナの場所と一番大きな図書館の
場所まで聞いてしまった。京都に来てからまだ一時間ほどなのに。手際が良い。
『ふふん』
外見どおりに狭く、安い分汚い。いや、汚い分安いって言ったほうがいいかも。
なっちくらいの歳の子がひとりで泊まってもなにも言われなかったのも嬉しかった。
…よくあることなのかな?
『あるんじゃない。一緒にここまで来た人達とか使いそうだし』
そうかもね。
立てた予定はこうだった。今日は図書館とかで場所を調べる。実際に行くのは明日。
余った時間は観光。真希に色々見せたいし、なっち自身も見て回りたい。
まずはサウナ――お風呂に行こう。
『うん。じゃあさ、その後は?』
真希の希望通りにしてあげる。朝ご飯を食べに行こう。
『あはは。なっちもわかってくれてるね』
326 :
第一話:02/01/28 21:10 ID:JZT1iuPJ
がらんとして誰もいない中で、木のにおいに包まれながら、私達は汗を流した。
真希は気に入ったのかなかなか出てくれなくて、私は途中から憶えていない。
気づいたら脱衣所に居て、バスタオルをまいたままで水を飲んでた。
『起きた?』
起きた、じゃないよっ!
そう怒ってから不思議なことに気がついた。うそみたいなことに怒りも飛んだ。
真希が蛇口を開けて水をくんで飲んだこと、なんかじゃない。
左手にコップを持って水を飲む真希。
右手は――腰にあてられていた。
『えっ、よくしちゃうんだけど…変なの?』
いや。変じゃないよ。って言うか、なっちもよくしちゃう。
そっかぁ。昔からこうなんだ。
やだ、おかし過ぎ。
平安貴族が腰に手をあてて飲んでる姿を想像して、私はひとり笑ってしまった。
『そんなに変なんだぁ…』
新作ありがとう(●´ー`●)
ともさかりえ「オツカレーション」
なんか俺たちがせかしたから・・・っていうんだったら、申し訳ないですけど、
とりあえずリアルタイム更新楽しみにしてますわ。
この前yahooのページ行ってユリマリとか全部読みました。
新作ありがとう(●´ー`●)
>>327 ありゃりゃ
ありゃりゃ、続編始まってる。みんな優しいのかどうなのか(w
引越しの用意って、ドセーイ生活はまだ始まってなかったんすか。
早朝に新しい街に着くってのはよいね。なんだか高揚感があるよ。
最初のシーンは何だろね。とりあえずそこまではたどり着いてほしい
もんだけど。いずれにせよ作者の中には物語の続きがまだありそう
なんでよかったよ。そうであれば別に、いつだって付き合いますがな。
続編ありがとう・・・
保全を終了すると書き込んだ者です。でも、毎日このスレ
覗いていました。嬉しいですね。やっぱり、SNさんの文章好きです。
今回の更新では
「ブーツのかかとの鳴る音が響く。はじめよう、はじめよう、って。」
という一節が良いですね。ブーツ履きたくなっちゃいますね。
331 :
SN:02/01/29 20:17 ID:AavY1ROK
>327
超早く気付いてくれてありがとう(●´ー`●)
>328
ユリマリ読んでくれたんですか。ありがとです。
あれは本当に下書き途中で矛盾もいっぱいなんですけどね。
矢口が髪型変えたり、おねモー終わったりで挫折しました。
ちなみにたったひとりのために書いたのですが、彼は気付いて
くれてるのでしょうか…?
>329
あ、あれ? 優しさじゃなかったの?(笑
まだ始まってないんですよ。
すぐに続編を初めて途中で終わるよりは、きりの良いところで
終わった方が良いかなと思ったんで。
>330
ありがとうです。こんなんで良かったら読んでください。
ブーツ履くしか! 女性用みたいなブーツじゃなくて、
ハイネックっぽいだけの男用のなら良いかと。高いですけど。
332 :
第一話:02/01/29 20:19 ID:AavY1ROK
さっぱりして眠気も吹き飛んだところで、真希の希望を叶えてあげた。
ファミレスでモーニング。せっかくの旅行だけど、まだ七時前。結局こんな
どこにでもある場所しか探せなかった。中まで本当に東京のファミレスと同じ。
それでも真希はかまわないっぽい。
ちょっと悪いかなって思ってるなっちを気にもとめずにトーストをおいしそうに食べた。
って言うか、嫌いなものってないんじゃぁ?
『そんなことないよ。苦い野菜は嫌いだもん』
ふふん、と私は胸をはる。
現代の技術だったら、どんな野菜もおいしく料理できるんだから。
『じゃあなっちは苦手な食べ物ないの?』
…ないよ。
『どうして見え見えのうそつくかなぁ』真希がくすくす笑った。
333 :
第一話:02/01/29 20:21 ID:AavY1ROK
さて。
九時に図書館が開くとしても、まだ二時間以上ある。
ファミレスも混んできて長居もできないっぽくなってきて、私は外に出る。
そろそろ会社に向かう人も増えてきて、駅の逆方向に向かうなっちは割とじゃまに
なってるみたい。
真希、行きたいところとかある?
『山とか、川とか』
予想した答えとだいぶ違った。なっちとしては、昔の建物が今も残ってて真希を
驚かせるつもりだったのに。
ねぇ、なんか昔の建物とか見たくないの? 結構残ってるんだよ。
『別に人間が作ったものなんてどうでもいいよ』
ちょっと早いけど図書館に行こっか。
…二時間寄り道をしながら、ね。
334 :
第一話:02/01/29 20:22 ID:AavY1ROK
図書館に向かう途中で、ふいに身体が止まった。
真希?
『誰か隠れて私達を見てる』
その言葉に一瞬血の気が引く。警察?
そう思って辺りを見回したけど、誰かが見てるなんてなっちにはわからなかった。
でも真希は動かない。風も吹いてるし人も歩いてるのに、音が聞こえない。
しばらく時間が停まったような感じが続いて。
「こーさん」
そんな声と一緒に建物の陰から女の子が現れた。パーカーにリュックを背負った可愛い子。
ふたつにしばった髪のお団子も可愛い。
両手をおでこにぴょこんとそえたしぐさがまるでウサギみたい。
私は微笑みながら近づく――つもりが歩けなかった。…あれっ?
もしかして、まだ他に隠れてる人が居るの?
『いないけど。ねぇ、この子はその警察とかってのじゃないの?』
…ごめん、真希。帰ったら常識いっぱい教えてあげるね。
335 :
SN:02/01/29 20:25 ID:AavY1ROK
「おはよう。ねぇ、キミは誰? どうしてお姉ちゃんを見てたの?」
私は近づいて、その子の目の高さまで視線を落とす。
目が合わない。なぜかその子はウサギの真似をしたままで、なっちの視線の
ちょっと上、おでこのあたりを見ていた。目を合わせようとしても、やっぱりずれる。
…おや?
ミニスカートから元気に足を出しているその子から返事はないが、気になることがある。
「キミ、今日は学校はどうしたの? お休み?」
『なっちとおんなじなんじゃない。停学とか言うの』
失礼な。
その子がだまったままなので、私はバッグを置いてしゃがみ、その子と同じように
両手でウサギの耳をつくりおでこにあてた。「こら、キミは誰だぴょん?」
『なっち、周りの人が見てるよ』
私はあわてて立ち上がる。しまった。うわぁ、恥ずかしい。
「亜依」
えっ?
その子と初めて目が合った。――黒目がちのきれいな目と。
「おばちゃん、この手はウサギやなくて角のつもりなんやけど」
改めてその手をみる。
さっきまで絶対開いていたのに、今はひとさし指しか伸びてなかった。
新キャラが出たか・・・・。
>>331 たったひとりって、ヤグ小説を希望したって人?
本スレのほうは読んでなかったからわかんないけど、予想としては(略
でも他のみんなに読んでもらえてるからいいんでないのすか?
ユリマリありがとーございました…
これからもいろいろと
ファイトでがんばって下さい…
338 :
SN:02/01/30 21:51 ID:26zdWibP
>>336 まぁ、新キャラって言ってもおなじみのメンバーです。
ユリマリは存続希望してくれたのがたったひとりだったので、絶対
彼には見て欲しかったんですよ。
なんて思っていたら…。
>>337 見てくれたんですか!? 良かったぁ。
「…」の使い方であの人とわかります(笑
とりあえず心残りがひとつ消えました。
まぁ、あんないかにも下書きっぽいので申し訳ないんですが、
清書に時間がかかり過ぎて娘。の進化にいつまでも追い付かないという。
書くのにかけた時間はトップです>ユリマリ
まだ高校生なのにおばちゃん呼ばわりされたこともショックだけど、それ以上に
この子が「つの」なんて作ってみせることのほうがショックだった。
でも。
『うん。あんな長くなかった』
そうだよね、もっと髪に隠れそうなくらいな長さだったもん。
可愛い顔。
…何が狙いなんだろう。
真希はどう思う?
頭の中に投げかけると、真希は口唇にひとさし指を当てた。
『私さぁ、なんか初めて会った気がしないんだよ。どこで見たっけかなぁ』
その答えにますますわからなくなった。
340 :
第二話:02/01/30 21:54 ID:26zdWibP
「…見えてる?」とちょっと遠まわしに聞くと、その子は手を角のかたちにしたまま
「遠くからでもわかった」と胸をはった。「おでこに白く二本。もうちょっと短いけど」
長さだけじゃなく色まで当てた。
『見えてるみたい、だね』
不思議だ。
この子――亜依ちゃんはなっちを、真希をどうしたいんだろう?
全然わかんない。
『じゃあてっとりばやく聞いてみようよ』
単純に言うなぁ、なんて答えながらも悪い考えだとは思わなくなってきた。
真希の言葉はいつもわかりやすくて、なっちが迷ってしまうつまらない霧をさぁっと
払ってくれる。
そうだね。なにかあっても真希とふたりだとなんとかなりそうだし。それに子供だ。
なっちみたいのが珍しいだけかな。まぁ、当たり前だけど。
「亜依ちゃん」私はあらためて視線をおとす。
「…なに?」
「場所、変えようか? 人も増えてきたし」
亜依ちゃんはやっとおでこの角をおろした。
341 :
SN:02/01/30 21:56 ID:26zdWibP
喫茶店にでも行こうかと思ったんだけど、亜依ちゃんが「こっち」と言うので
ついて行った。並んで歩く。
「ホンマはな」亜依ちゃんが前を向いたまま言う。
「うん」
「もっと人通りが少なくなったところで現れようと思うたんやけど」
『あら』
おぉ、真希の初めて失敗じゃない? ふふっ。ちょっと面白い。
なんてにやにやしてたら、亜依ちゃんがこっちを見てるのに気がつかなかった。
私は赤くなる頬を押さえて照れ笑いする。
「ふぅん」亜依ちゃんは笑わなかった。
「なぁに?」
「うちの言ったことに、全然驚かないんやなぁ」
そう言われてみればそうかも。
短い間に色々あったから、驚きになれちゃったのかな?
私は笑って「そんなことないよ」とちょっとびっくりしたふりをする。
「まさかまだ高校生なのにおばちゃん、なんて言われると思わなかったもん」
「そっちかい」
初めて見せた笑顔はとても。とても可愛いかった。
更新ありがとう(●´ー`●)
角!
くそぅ、俺更新後一番乗りだと思ったのに(w
>>342 このおじちゃん早すぎるYO!
連続更新嬉しいです。
SNさんってもしかして、名無しでの書き込みでも
どのレスがどの人って判別ついちゃってます?
346 :
:02/01/31 06:54 ID:P0vD5p73
んなわきゃない
ほぜん(●´ー`●)
人気投票、「返事はいらない」は上げてなかったね(w
保全
349 :
SN:02/02/02 12:10 ID:q1WnsGZr
>>342 また超早読みありがとう(●´ー`●)
>>343-344 うん。不思議な早さでびっくりです。負けてられません。
>>345 ありがとです。…って言われたそばから止まってしまいましたが。
ちなみにレスの判別ですが、
>>346 の言う通り、わかりません。
特徴があればなんとかわかるかな?って程度です。
ちなみに私、最初はVirtual World は萌え男。が書いてると思ってました。
>>347 あら、どれかわかっちゃいました?
やっぱり一回切ってID変えるべきだったかな?
そこまでしなくてもバレないか、って思ったんですけど。
一応、完結してないのは対象にしないつもりだったんですよ。
シアターは迷ったんだけど、入れちゃいました。つい。
>>348 ありがとです。さっそく遅筆でスミマセン。
それはそうと、ミニモニひなまつりってどっかで聞き覚えが
あるような気がしてなりません。まさかつんく(略
350 :
第二話:02/02/02 12:12 ID:q1WnsGZr
ふたりっきりの旅行のつもりが、突然の訪問者。
こんなに口を開けるなっち自身も不思議だ。
歩いてる途中でもう一度学校のことを聞くと「別にええねん」と返事がきた。
「本当に良いの?」
「ええねん」
「お父さんとかお母さんとか」
「ええねん」
なんだかこの間の裕ちゃんとのやりとりを思い出す。もっと短かかったっけ?
「でも…」
「ええねんったらええねん」
まだ言い返そうと思ったそのとき、真希の笑い声が頭に響いた。
『なっちの負け』
私は口をとがらせた。
351 :
第二話:02/02/02 12:14 ID:q1WnsGZr
「おばちゃんかて学生やろ? 学校は――」
その言葉を途中でさえぎる。負けてられない。
「お姉ちゃんだよ。なつみお姉ちゃんって言うの」
「おばちゃんやん」
「お姉ちゃん」
「うちから見たらおばちゃんやもん」
「お・ね・え・ちゃ・ん!」
そこで言葉が途切れた。うつむく亜依ちゃん。…勝ったのかな?
と思ったら。
「おばちゃん! おばちゃんったらおばちゃん!」
甘かった。
『うわぁ』
ものすごい大声に耳がキーンとなり、私は両手でふさぐ。
『またなっちの負けだね』
352 :
第二話:02/02/02 12:15 ID:q1WnsGZr
「この辺でええかな」
そう呟いて亜依ちゃんは私の服のすそをきゅっとつかんだ。
「あんなぁ」
「うん」
大通りから二本ほど入った誰もいない路地で私達は歩くスピードを落とす。
いつの間にか建物の高さも低くなり、街路樹も多くなってきた。あざやかな緑に
目を奪われてると、さわさわと枝葉が風にこすれる音にまぎれるような
小さな声が聞こえた。
「おばちゃんの中に居る鬼って『魔鬼』っていう名前?」
『えっ…』
その言葉に立ち止まる。穏やかな気持ちは、一瞬で冷えた。
振り向けない。私は街路樹の葉をみつめたまま固まっていた。真希ですら驚いている。
怖いほどに知っている。真希の名前も、なっちが今日来ることも。
この子にはわかってしまうのだろうか? …そんなことあり得るの?
「そうなんや」
動かないなっちを肯定と受け取った亜依ちゃんを、ゆっくり振り返ると
その黒目がちの目が潤んで見えた。光りが反射する。
…泣いてる?
「実はな、頼みがあんねん」
353 :
一番乗り:02/02/02 12:17 ID:q1WnsGZr
更新ありがとう(●´ー`●)
一気に読みました。
前スレ「魔鬼なつみ」が途中で終わってたので、すごく気掛かりだったんですよ。
小説総合スレで再開してるのを知った時は嬉しかったっす。
それにしても、新宿なっちさんだったとは・・・
初めて読んだ小説も「あたしの声、あなたに届いてますか?」だったし、
SNさんには楽しませてもらってます。どうもありがとう。
途中で止まる事が無いよう祈りつつ、他の作品も読ませてもらいます。
( ● ´ ー ` ● )ノ
保全
>>353 アヒャヒャヒャ
よかった。俺もあのおっちゃんには勝った。
更新、
ともさかりえ「オツカレーション」
いつ止まっちゃうかドキドキしながら保全(●´ー`●)
358 :
SN:02/02/05 20:25 ID:bMDsTxCH
>>354 ありがとです。
>>353 で自作自演してるのが恥ずかしくなりました。
なんだかいっぱいほめられて嬉しい限りです。
新宿なっちのことも驚いてもらえて。ねぇ?
他のも時間の負担にならない程度に読んでいってくださいな。
>>355 保全どうもです。なにげにIDカコイイですね。
>>356 なぜおっちゃん呼ばわり?
そしてなぜ今さらともさかりえのエスカレーション?
さらに関係ないけど、シアター保全してなかった?
>>357 あ、でも、もうちょっとは大丈夫な感じです。
それ以前に話に煮詰まったらスマソ
359 :
第二話:02/02/05 20:26 ID:bMDsTxCH
「うちの友達を助けてほしいねん」
なっちを見つめる亜依ちゃんの目。
何でも知ってる怖さと不気味さは涙くらいじゃ消せなかった。
つかまれたすそを振り払いたいのに、身体が反応しない。
「なんで?」
やっとの思いで出せたかすれたような声。私は一度つばを飲み込んだ。
「なんでなっち達が来るってわかったの?」
「なっちたち…って方言?」亜依ちゃんは難しい顔をする。
あれ?
『なんだ?』
スーッと身体の力が抜けた。街路樹に色が着き、ざわめきもまた聞こえ出した。
私は手振りをつけながら説明する。
「なっち、ってお姉ちゃんのこと。ほら、なつみだから『なっち』」
亜依ちゃんはまた笑った。
「あだなかい。おばちゃん幾つやねん」
その目はもう潤んでなくて、なぜだかなっちまでほっとしてしまう。
不思議な子だけど。
私はジャケットのすそを振り払ったりしなくて良かった、と思った。
360 :
第二話:02/02/05 20:28 ID:bMDsTxCH
私達はまた歩きだした。亜依ちゃんはすそをつかんだままだった。
「勘やねん」
「勘?」
ちょっとしてから、質問の返事だと気づいた。
「そう。今日の朝に京都駅に行きたくなっただけや。で、来たら会えたんや」
『へぇ』
うなづく真希に亜依ちゃんはうつむき、照れたような笑顔を見せる。
「うちの勘、良く当たんねん」
「うん」
私も微笑む。
信じるよ。こんな小さな、笑顔の可愛い子を疑うような自分になりたくない。
『とか言っちゃってぇ』
呆れたような真希の声。
なにが?
『もっとよく笑うちびっ子のこと、あんな怖がってたじゃない』
あっ。
――って言うかさ、お前マジむかつくんだけど。
頭に浮かぶ矢口さんの笑顔と甲高い声。
でも、と私は反論する。この子は矢口さんじゃない。だから――。
『なんでなんだろ?』
なっちの言葉は不思議がる真希にさえぎられる。
『人間は男女問わずさ、見た目にすぐだまされるよね』
そんな言い方しなくても…。
361 :
第二話:02/02/05 20:29 ID:bMDsTxCH
「さっ、着いたで」
えっ?
この散歩に終着点があるなんて思わなかった。
ささかやな太さの車道。立ち並ぶのは小さ目の会社と瓦屋根の家。そして目の前には
バス停があった。…バス停!?
「ここでバスに乗って、また歩いたら到着や」
亜依ちゃんはなっちの服のすそを離して、ぴょんぴょんと跳ねる。それに合わせて
背中のパーカーとリュックも揺れた。
「ちょっと待って!」
どうしよう。ここで乗ったらなっちの立てた今日の予定がダメになっちゃうかも。
でも、友達のためって言う亜依ちゃんの頼みも断りづらいし…。
『なんだそりゃ』
真希ぃ、どうしよう?
頭にくすくす笑い声が響く。笑われてばっかりだ。
『さっきまであんだけ調子の良いこと言ってたくせに』
362 :
第二話:02/02/05 20:30 ID:bMDsTxCH
真希の言葉に私は下口唇をかむ。
だってそれとこれとは話が違うじゃない。
『私には「それ」と「これ」が何だかわかんないんだけど』
「ちょっと待って。って、もうバス来てるで」
亜依ちゃんが指さす先には確かに目的の乗り物が見える。
頭がぐるぐる回る。冷静に考えなきゃいけないのに、さっぱり考えられない。
「だいたい一時間くらいで着くで」
『「それ」と「これ」って何のこと?』
「駅と逆方向だから空いててええねん」
『またこれに乗るのかぁ。まだおしりが痛くなりそう』
真希も亜依ちゃんも好き勝手にしゃべってる。
もぅ。
お願いだから落ち着いて考えさせてよぉ…。
更新ありがとう(●´ー`●)
おう、新キャラ登場(ってオソイ)
なんだか曰くありげではあるけど、亜依ちゃんが出てきて賑やかになったね。
それに初めの頃と比べると、なつみの魔鬼に対する受け答えも変わってきて、
シーンが違うのもあるけど、性格の変化や二人の心的な距離が縮まった感じ
が出ていて良いです。会話の仕方もスムーズになったしね。
傍目には二人だけど、三人でわいわいやってる感じがして、なんだか楽しいっす。
ところで他の人へのレスの重箱の隅突付くようで悪いけど、行き詰ったんなら
ともかく、話が煮詰まったんなら大丈夫なんじゃあ・・・
亜依ちゃんの友達は、やはりののちゃんかな?
楽しみ楽しみ。
366 :
ぼ:02/02/07 10:12 ID:Q3cteirS
何を持って俺がこう思ったのかわからないけど、第2話になって、
なんか漫画がアニメ化されて、アニメが漫画に追いついてしまって、
アニメだけのオリジナルストーリーが始まった!っていうワクワク感に似たようなものを感じます。
とにかく、楽しみですわ。
オツカレーション
>>358 おっちゃん…はなんとなく(w
ともさかりえは、好きでした。
シアター保全は、してたかも。
あと、そろそろここでのコテハンレスはやめますが、
これからももちろん読んでいくので、がむばってくらはい。
石川ホゼ美
保全です。
369 :
:02/02/09 17:23 ID:CsFUyVzp
保全
370 :
a:02/02/09 21:14 ID:ivBJ8+ZO
hozen
保全します。
も、もうダメナノカーーーーー とドキドキしつつ保全(●´ー`●)
373 :
SN:02/02/12 20:37 ID:rlhP3CMJ
>>363 超早ありがとう(●´ー`●)
>>364 おかえり。待ってたよ…って別人だったらゴメン。さらにすでに続編になってから
書き込みしてたらゴメン。ちなみにこの3人が私のBEST3です。
誰かが脱退したらモーヲタ辞めます、たぶんだけど。
>>365 それは秘密です。…でも、あんまり私、意外性が無い配役が多いんで
バレバレっぽいですけどね。
>>366 あ、でも、何となく伝わってくる。オリジナルってわくわくするよね。
コテハン止めるの? …さみしくなります。ならせめて見てることが
わかるようにオツカレーションだけでも書いてほしいかも(笑
>>367-371 ありがとです。スレの長生きっぷりに感謝します。
>>372 ごめん。引っ越ししてた。2月はまだ大丈夫の予定。
なんか、やたらと話が早く進むので第2部完結しそうな感じです。わからないけど。
あっと言う間にバスが着いて、亜依ちゃんが乗り込む。
整理券を左手で取ると、そのままくるっと回ってなっちを振り向いた。
でも。
「あの…」
そう言うのがやっとで、まだ考えが決まらない。もうちょっとだけ――。
「はい」
亜依ちゃんはなっちの気持ちにおかまいなしに整理券をもう一枚抜き、なっちに差し出す。
バスに乗ってなっちより背が高くなった亜依ちゃんは、あの可愛い笑顔で私に目線を
落とした。
小さな目がさらに小さくなる、涙じゃ消せなかった怖さと不気味さを簡単に惑わせる笑顔。
「お嬢ちゃん! 乗るの、乗らんの?」
運転手さんの声が響いた。
あぁ。
また、この状況だ。私は瞬間、目を閉じて息を吐くと、手すりをつかんだ。
「…乗ります」
375 :
第三話:02/02/12 20:40 ID:rlhP3CMJ
朝のワンマンバスの中には、お客はふたりしかいなかった。
つまり私達だけ。にもかかわらず亜依ちゃんは一番後ろの席を占領し、ぴょこっと座って
なっちに手招きする。
その笑顔とは対照的に、私の顔は暗かった。
『なっちはさぁ、この乗り物に乗るとき、必ず迷うよね』
追い討ちをかける真希。そうだね、と答えてため息をつく。
『まぁ、またおしりが痛くなるかと思うと私もきついんだけどね』
えっ?
真希の答えにふっと生じる疑問。
もしかしてこれに乗ると毎回おしりが痛くなると思ってる?
『違うの?』
違うよぉ。って言うか、なっちはそんなこと一度だって考えたことないじゃない!
私は笑顔で亜依ちゃんの隣に座る。バスも走り出した。
更新ありがとう(●´ー`●)
↑クッ…
更新オツカレーション
378 :
364:02/02/13 05:54 ID:sQC3PKrG
どうも、待っててもらったのか、な・・・続編始まってからこれでたぶん3回目だけど(w
そうかベスト3ですか。矢口は4位に転落?
それはそうと、なつみはまだ、誰かに背中を押してもらう必要があるんだね。
くるっとかぴょこっとかいう亜依ちゃんの動作や、相変わらず時代錯誤でどこかずれて
のほほんとした真希の発言が、なつみの暗くなりがちな思考のあいだにに入ってきて
独特の面白い雰囲気をかもし出してるね。
なんだかこの3人、いいかも。
379 :
SN:02/02/13 21:09 ID:rq6kAtJR
>>376 02/02/12 22:12 にありがとう(●´ー`●)
>>377 うん、わかりやすくて良いです(w
これならコテハンが無くなってもへこまないです。
>>378 あ、そうなんだ。気づかなくて申し訳ない。
矢口の順位は…現在5位です。ちなみに4位は石川です。
順位の変動はたまにあります。
ちなみに「TIME」は当時好きな順に登場させました。好き勝手し放題。
380 :
第三話:02/02/13 21:11 ID:rq6kAtJR
「ふぅん」
亜依ちゃんの不思議そうな目に、また変なところを見せたかな、なんて思ってしまう。
「ん? どうしたのじっと見て?」
「おばちゃん、乗ってからここに座るまでに表情クルクル変わって楽しそうやった」
「真希がね、おっかしくって」私は笑顔のまま続ける。「バスに乗ると必ずおしりが
痛くなるって思ってたの。確かに京都には夜行バスで来たけどさぁ…あれ?」
何やそれ、なんて言って一緒に笑うと思ってた亜依ちゃんは真顔で、口を開いた。
「もしかしてその魔鬼と、会話、してたん?」
「してたけど?」
「仲、良いん?」
「良いよ?」
会話の切れた一瞬の隙に真希が割り込んでくる。
『あはは。変なの。ふたりとも疑問ばっかりで会話してるし』
381 :
第三話:02/02/13 21:13 ID:rq6kAtJR
「そっか。仲良いんか」
そう言って亜依ちゃんは前を向き、前の座席の背もたれにあごを乗せる。その変な格好に
私はまた笑ってしまう。本当におもしろい子だなぁ。
「うん。真希は大事な友達」
そして思う。真希のことをこんなに普通に話せるのはきっと亜依ちゃんだけ。
今この瞬間の、この子の前でだけ真希は『私の中の真希』じゃなくて
なっちと別の『もうひとりの真希』になれる。
だから。
「ごめん、訂正。真希は大事な――」ちょっと照れ笑い。「親友、かな。なんて」
『ふぅん』
まぁ、このぐらい言ったって、良いよね。
382 :
第三話:02/02/13 21:14 ID:rq6kAtJR
前の座席の背もたれにあごを乗せたままの亜依ちゃんからはなにも返事がなかった。
なんだか恥ずかしくなり、視線を窓の外に移す。
流れている景色は東京と変わらない。バスも意外と揺れている。ふいに。
「うち、眠るわ」
えっ?
振り向くともう、そのままの姿勢で亜依ちゃんは目を閉じていた。
「一時間くらいしたら起こしてな」とっても眠そうな声。
「えっ、ちょっと!」私はあせって亜依ちゃんの小さな身体を左右に揺さぶった。
「どこで降りるか教えてからにしてよ。そこで起こすから」
「早くからおばちゃんを迎えに行ったから、あんまり眠ってへんねん」
なっちの疑問にまったく答えず、言いたいことだけ言って眠ってしまったみたいだった。
またしても。
『なっちの負け、だね』
「うん」そう呟いて私達は苦笑する。
まったくかなわないなぁ。すぅすぅ言ってる寝息まで可愛い。
『じゃあさ、私達も眠ろっか』
…そしたら起こせないでしょ?
更新ありがとう(●´ー`●)
更新オツカレーション
加護は何をオモタのかッ!ちょっちご機嫌斜めみたいね。
>>379 いやいや、コテハンはやめない…っていうか、羊にもう殆ど来てないけど、
小説スレでコテハンで感想レスすんのはスレ汚してるようで嫌なので。
それにしても、いつもヽ(´ー`)ノのおっちゃんは早いなぁ。
いつか絶対に抜いてやるッ!
保全っす
バレンタインのプレゼントは「私を食べて♥」だったのだろうか?
と、ニヤーソしながら保全(●´ー`●)
保全sage
保全します。
ウィアライブの安倍かわいかったね保全(●´ー`●)
390 :
SN:02/02/18 22:28 ID:0vVBcqkZ
>>383 >>386 >>389 ありがとうをありがとう(●´ー`●)
そんな安いプレゼントだけだったら嫌です(笑
実際は手作りマフィンでした。
>>384 私もただでさえ2ちゃんが滞り気味なのに、それでいて羊も一番に
見なくなっちゃいました。新mac板が今一番に見にいきます。
>保全
ありがとうです。ゆっくり目ですが頑張ります。
391 :
第三話:02/02/18 22:30 ID:0vVBcqkZ
窓を開けようかと思ったけど、亜依ちゃんを起こしそうなのでやめる。
誰も居ないバス停を素通りしていく。
目的地のわからないバスの旅は、この三人でずっと続くように思えた。
なっちと、見えない真希と、リュックを抱え込んで眠る亜依ちゃん。
…来て良かったかも。
亜依ちゃんは真希を知っていて、真希も亜依ちゃんに見覚えがある。
だったら、図書館で情報を探すよりこうしたほうがきっと手がかりが多いはず。
なにより楽しい。
うん。
そう考えて納得する頭に響く、真希の笑い声。
『なっちさぁ、なんか何でも結論を出すのが遅いよねぇ?』
そりゃあ、今さらまずいと思ってもこの子だけ置いて降りる訳にはいかないけど…。
私は背もたれに身体を預けた。
392 :
第三話:02/02/18 22:31 ID:0vVBcqkZ
木の根に腰をかけ、その幹に寄り掛かる。
私は目を閉じて、鳥の声、木のにおい、肌にまつわりつく霧を感じていた。
…退屈で気持ち良い。
ふいに。
鳥の声と木々のざわめきに混じって規則正しい足音が聞こえる。
んっ、と音のするほうに目を凝らすと、人間の女が杖をついて歩いているのが見えた。
私は足下の石ころを拾って、放る。
はずさない。
石は矢のような速さでその杖に当たり、吹き飛ばす。呆然と立ち止まる女。
その様子が面白い。よし、杖を拾う度に石をぶつけて吹き飛ばそう。
…おや?
石を二個ほど拾って待っていたが、その女は杖を拾わずに歩き出す。
それじゃつまんないじゃん。
私は角を髪で隠すと音を立てずに近寄り、杖を拾い「落としたよ」と手渡した。
女は顔を伏せている。
「ありがとう。…ってあんたの仕業だろ、鬼の子?」
うそっ。私は頭の角がちゃんと隠れてるのを確認する。しかも顔も上げずにどうして?
「見えるんだよ、私にはね」
女は顔を上げた。その顔は――。
393 :
第三話:02/02/18 22:32 ID:0vVBcqkZ
「おばちゃん!」
その声にびくっと身体を震わせる。…夢?
「ふたりで眠ってたら降り過ごすやんかぁ」
『ほんとほんと。偉そうに言ってたくせにぃ』
申し合わせたようにふたりは笑ってて、私は顔を赤くする。
「次で降りるで」
ってことは一時間近く眠っちゃったってことかぁ。
亜依ちゃんの言葉にうなづきながら、私は不思議なことに気がついた。
まだお客さんは私達しかいない。
…もしかして、誰も乗らなかったんだろうか?
でもそれじゃ商売として成り立たないよねぇ。眠ってる間に乗り降りしてたのかな?
常識的に考えれば眠ってる間に他の人が利用したって思うけど。
現実的に見て、私達だけしか利用してないようにも思える。
394 :
第三話:02/02/18 22:35 ID:0vVBcqkZ
ひょっとして真希もこんな感じなんじゃないかと思った。
『なにが?』
今見てる世界は、自分が生きた時からどれだけ過ぎているのか?
なっちの言葉を信じてくれていれば今は千年の未来だけど、常識的に考えるなら今は
そんな想像もできない程遠い時間は経っていないと思うんじゃないかな。
『相変わらず変なことを考えるよねぇ』
本当に感心しているような声。
『気にしないよ。どっちが本当でも別に良いもん。って言うかさ』
うん。
答えを待つなっちの頬を真希はつねりながら言った。
『なっちはなんでも考え込み過ぎ!』
更新ありがとう(●´ー`●)
大雪だったよ保全(●´ー`●)
更新オツカレーショソ
398 :
SN:02/02/20 20:28 ID:dWOSZrAI
>>395-396 いつもありがとう(●´ー`●)
ウチも寒いです。なのに花粉症がとうとう始まりました。マジつらい。
>>397 ありがと。まったり頑張ります。
399 :
第三話:02/02/20 20:30 ID:dWOSZrAI
そんななっち達を不思議そうな目で見ながら亜依ちゃんは
「次降ります」のボタンを押した。バス中に響く高いベルの音。
降りる用意しなきゃ。
網棚の上のバッグをおろしながら窓の外に視線を移す。
…うそ。
『おぉ』
周りに広がるのは木々と、じゃり道と、ぽつぽつと建つ家々。
「ここ、どこ?」
「まだ京都やで」
その声と同時にバスは停まり、亜依ちゃんは勢い良く降りる。
信じられない。景色が駅前とあまりに違う。
『うん。改めて納得。出発したところとは全然別だね』
のろのろしてたら亜依ちゃんの声が聞こえた。
「お姉ちゃん、早くぅ!」
…お姉ちゃん?
400 :
第三話:02/02/20 20:31 ID:dWOSZrAI
「どうしたの、急に?」
なんて言いながらも私は笑顔になる。お姉ちゃんって言葉が、素直に嬉しい。
「あ、ちょっと」
バッグを抱え亜依ちゃんを追ってバスを降りようとしたとき、運転手さんがなっちの
腕をつかもうとしてきた。
『もぅ』と声がして景色がゆっくり流れる。
真希は身体を反転させ、その手を避け、逆につかんだ。ほんの一瞬のできごと。
声も出せなかった。
『なにこいつ、どういうつもり?』
手をつかみ上げられた運転手さんはきょとんとした顔で言った。
「…あの、妹さんの分もお金を払って欲しいんやけど」
妹?
はっ、と気づいて振り返る。亜依ちゃんは外であの笑顔。
あの笑顔で「お姉ちゃん、まだぁ?」だなんて。
…参りました。通算四連敗。
401 :
第三話:02/02/20 20:33 ID:dWOSZrAI
バスを降りた私が口を開く前に、亜依ちゃんは「優しいっ!」と抱きついてきて
私はため息をつきながらもよしよしと頭をなでる。怒る気も失せた。
亜依ちゃんはそのままなっちの手を引いて歩き出す。
「こっちやねん」
「近いの?」
「一時間くらい歩く」
泣きそう。
『私は身体を動かせるほうがありがたいけどね』
そう言って真希は大きく伸びをした。
( ´ Д `).。oO(更新ありがと
更新ありがとう(●´ー`●)
オツカレーション
ホワイトデーは俺を食べて
っていうのはおかしいですかね。
406 :
・:02/02/24 00:49 ID:GYsIQA2Q
hozen
保全を実行させて頂きます。ふぎゃぴっ。
保全します。
409 :
SN:02/02/25 21:41 ID:VyrwHWcM
>>402-403 @ノハ@
( ‘д‘)<ふたりともありがとー!
Macだからズレるか? ところで前回の私のIDってばAIやん!
IDにあいぼんスレ行っとけば良かった…。
>>403 おぉ…私の自作自演が無くても2番目になってる…。
>>404 なちごまありがと! まぁ、こんなところも可愛い、かな?
>>405 全身の永久脱毛とかをしたらそれもありかと。
>>406-408 ありがとです。今回は時間がいつも以上にあいちゃって申し訳ないです。
410 :
第三話:02/02/25 21:43 ID:VyrwHWcM
風は朝の澄んだ空気から緑の香りに変わっていた。
バスに乗る前はずっと服のすそをつかまれたままで、今は私達は手をつないで
歩いてる。…亜依ちゃんのくせなのかな?
「この辺の木、全部柿の木やねん。実は渋いねんけどな」
「ここ夏はセミがうるさいんや」
「あの木の枝、人の手みたいやろ」
歩きながら左右の景色の解説をしてくれる亜依ちゃん。
なっちと真希はそのたびに首を動かし『へぇ』とか「うん。そんな感じする」なんて
うなづいた。
411 :
第三話:02/02/25 21:44 ID:VyrwHWcM
「で、ここがお店」
そう言って立ち止まる亜依ちゃんに、私は苦笑いする。
「さすがに見たらわかるよ」
「この後はもうお店が無いねん。おばちゃん買うもんある?」
「えっ!」
この後もうお店ないの!? 私は腕時計を見る。歩きはじめてだいたい三十分。
結構歩いてきて、まだ同じような距離を歩くのにここ以降お店がないなんて。
立ち止まったおかげで吹き出した汗が倍に感じた。
覗いたお店の中は狭くて暗くてやや時代がかってて、駄菓子なんかが売っていた。
…たしかにお店の終着点って言われればそれっぽい。
『お菓子がいい』
ちょっと買うのはためらわれるような古さだし…。
『お菓子!』
別にまだおなかも空いてないし…。
『なっち。買わないなら奪い取るからね』
「亜依ちゃん、ゴメン。お菓子買ってくるから待ってて」
『やったぁ』
私は大きくため息をつく。…我ながら弱いなぁ。
412 :
第三話:02/02/25 21:45 ID:VyrwHWcM
お菓子を手に取ってふと思った。
自分たちの分だけ買う訳にはいかないけど、その友達って何人いるんだろ?
まさか五人とか六人とか居ないよねぇ。
私はお店から顔だけを出し「ねぇ、友達って何人いるの?」と聞いた。
あっ。
亜依ちゃんは公衆電話で話していた。タイミング悪かったかな?
電話の向こうまで聞こえてなければ良いけど、と思うなっちに向かって亜依ちゃんは
受話器を持ってないほうの手で指を一本たてた。――ひとりってことね。
「これください」
私がお菓子を三個買ってお店を出たのと同じくらいに、亜依ちゃんも電話が終わった。
「電話してたの?」
「うん。もうすぐ帰るから用意しといてって」
もうすぐ!
その言葉が疲れを吹き飛ばす。
「もうすぐなの?」
「うん。あともう三十分くらいや」
吹き飛ばしたはずの疲れが戻ってきた。そうだよね、理屈から言ってそうなるよね…。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| 更新ありがとう |
|________________|
. || ||
( ´ Д `)|| ||(´ー`●)
/ づΦ Φ⊂ ヽ
更新ありがとう(●´〜`●)
(●´ Д `●)<んあ
更新ありがとうございます。
今回の更新では「緑の香りに変わっていた。」という表現が好きです。
時間、距離、風景を全ての変化を含む表現ですね。朝の爽やかな空気とは違う
むせ返るような暑さなんかも感じますね。感想書いちゃってすみません・・・
書き間違えました。
むせ返るような夏草や木々の匂いに暑さを・・・でした。
ごめんなさい。
オツカレーソソ
419 :
SN:02/02/27 21:45 ID:yErsAb2w
>>413 なんだかだんだん手がこんできてるし。
>>414 またしても取られちゃったね。っていうかコレは吉澤?
>>415 もはや誰だかもわからなくなっている…。上から順にだんだん合体したとか?
>>416-417 ありがとです。感想良いですよ、全然問題なし。励みになります。
>>418 だんだんとともさかりえからも遠ざかってないかい?
420 :
第三話:02/02/27 21:47 ID:yErsAb2w
道のでこぼこが多くなった。
それに連れて民家の数も減っていき、畑なんかも目に映りだす。
「ふぅ」
手で汗をふいて息を吐き出す。バッグをもう一度肩にかけ直した。
まだ十時なんだよね。今日も朝から色々あったから、一日の終わりって言われても
おかしくないくらいなのに。
『でも悪くないんでしょ?』
うん。
始める前はかなり嫌だったけど、実際に歩いてみると流れる汗が気持ち良かったりして。
あたり前だけど、やってみるまではわかんないもんだな、なんて思う。
まるでピクニックみたいだしね。
『ぴくにっく?』
こういうのを言うの。わいわいみんなで話をしながら歩いたりしてさ。
あ、お弁当とかあれば良かったかも。そう思ったとき、なっちの右腕があがった。
『代わりにお菓子があるじゃない』
421 :
第三話:02/02/27 21:48 ID:yErsAb2w
「ここまで来たらもうすぐやで」
やった。
亜依ちゃんが笑って指さしたその先はひときわ高い木が何本も立っていて、遠近感こそ
つかみづらいものの、ゴールが見えたせいで気力がわいた。
あっ。
疑問もわいた。ここまで何とも思わなかった自分が不思議に思える。
「そう言えば、どこに向かってるの?」
「ウチ」亜依ちゃんはきょとんとした顔。「言ってへんかったっけ?」
私はうなづく。
「こんな遠くに住んでるの? 学校とか大変じゃない?」
「慣れたわ」
…おや?
亜依ちゃんはそう答えて笑ったけど、その笑顔はそれまでと違って見えた。
なんかこう、ちょっと苦笑いって言うか、淋しそうって言うか。
『おぉ。なっちもわかったんだ』
うん、と真希にだけ聞こえるように返事したら、感心するような声が響いた。
その言葉は何気なく、なっちに刺さる。
『じゃあ自分だけは上手く隠せてる訳ないってのもわかりそうなものなのに』
422 :
第三話:02/02/27 21:50 ID:yErsAb2w
近付いてびっくり。
お寺。
いくら京都とは言え、お寺に住んでるなんて。
「お寺の子だったの?」
「そうや」亜依ちゃんは笑顔で「言ってへんかったっけ?」だって。
聞いてないよっ。
年期の入った、まるで炭みたいな木でできたお寺。屋根が瓦で出来てるし障子も
ところどころ日の光りで色がくすんでいて、その年期の入りようが気にかかる。
ねぇ真希、もしかして見覚えある?
『ないと思う』
そっかぁ。
なっちの期待はあっさり裏切られた。見覚えがあるのは亜依ちゃんだけなのかな?
423 :
第三話:02/02/27 21:51 ID:yErsAb2w
「ただいまっ」
大きな木の扉を開けて亜依ちゃんが土間にあがると、奥のほうの部屋から女の子が
顔を出した。にこにこしながらこちらに向かって走ってくる。
「のの、待っててくれてありがとな」
亜依ちゃんの問いかけにののと呼ばれた子はうなづいて答えた。
似た格好のこの子達。ふたりともパーカーを着てるし、髪型もおだんご頭だ。
違いと言えば亜依ちゃんがスカートで、こっちの子がキュロットなくらい。
妹なの?
そうなっちが聞く前に、亜依ちゃんの紹介が始まった。
「えっと。こっちが連れてくるって言っていたおばちゃん」
私が「あっ、こんにちは」と頭を下げると、その子もおじぎをしてくれた。
それにしてもそんな紹介ないと思うけど…。
そんな意味を込めて亜依ちゃんをにらんでも、別に訂正はしてもらえなかった。
「で、この子がうちの友達の希美。のの、って呼んでやってや」
『ふぅん』
その子がほほえむ。なぜか口をきかない女の子。
でも。
可愛いな、と思った。亜依ちゃんとは違った可愛さを感じた。
更新ありがとう(●´ー`●)
舞台が街から田舎へと移動してきて、ここまではゆっくりとのどかな雰囲気で
流れた感じかな。なつみがうたた寝の間の風景の変化から、真希の時間の
感じ方に想像を巡らすあたりは、こっちも自然に思考の流れに入っていけて
納得できた。
そういう雰囲気の中で、腕をつかもうとした運転手のうでを一瞬でつかみ返す
真希の行動は、この場面での3人の和やかな雰囲気が、とりあえずの一時的
なものであることを見せ付けられた感じで、ドキッとするね。
遠距離通学に慣れたと淋しそうに言う亜依ちゃんは、家が近づくにつれ素直で
お喋りになってきて、3人の楽しげな雰囲気は本当に良いのだけれど。
さて目的地についてののちゃんも登場して、この微妙なバランスはどうなるんだろう。
ちなみに辻は何位?(w
…あと、こまめに感想付けるとか嘘ついて御免なさい…
(;:.;´.:ж:.`;)<さかともえりって名前でアルバム出してたともさかりえデビュー曲。
hozen
428 :
SN:02/03/01 21:04 ID:EjcBsXhH
第三話のサブタイトルは辻のことなんだけど、思った以上に
出てくるまでに時間がかかったです。計画性のなさを大暴露です。
前に2月で完結できそうとか言ってたのに全然ウソになりました。
うたばんのせいで直前まで友達=辻か松浦か迷ったのですが、やっぱり辻で。
>>424 返り咲きおめでとう(●´ー`●)
>>425 長文ありがと。書くときも心の動きだけはかなり注意するんだけど、それ以外は
割とウッカリしがちなんですよね。目的地に着いた以上、話がさくさく進むはず。
今までは目的もわからずただ長かっただけって感じもするし。
辻は、今かぞえたら7位でした。
>>426 あ、あれってデビュー曲だったんだ。それしか知らないのに。
あとは金田一の少年に出てたくらいかな。
>>427 arigato
ちゃぶ台をはさんで座るののちゃんとなっち。少ししてから亜依ちゃんがお茶と
なっちの買ってきたお菓子を用意して現れた。…お茶?
ふたりの間に座り「どうぞ」とちゃぶ台に並べる。
「え、あっ、ありがとう」
真希が勝手に手を伸ばしかけたので、私はあせってお礼を言う。それを見てからか
亜依ちゃん達も続いて手を伸ばした。
『おいしい! これはなんて言うの?』
…シュークリーム。
『ふぅん。やっぱり食べ物は甘いに限るね』
私達は無言で食べ続けた。いや、本当はののちゃんのこととか
なっちが呼ばれた理由とかを話したかったんだけど、口の中に食べ物がある状態で
しゃべるのはちょっとマナーが悪いかなって思って。
でも不思議だ。
なっちは全然おなか減ってないのに、なんで真希はおいしく食べられるんだろ?
『甘いから?』
答えになってないよ…。
430 :
第:02/03/01 21:07 ID:EjcBsXhH
真希が食べ終わっても、亜依ちゃんとののちゃんがまだ食べてる途中だったので
待ってる間にさりげなく目だけ動かして部屋の中を見てみた。
客間かな? あんまり生活感を感じない。掃除もちょっといいかげんな感じで
部屋のすみや飾り棚の上にうっすらほこりが見える。
「ふぅ、おばちゃんごちそうさまでした」
亜依ちゃんがお礼を言ってくれて、ののちゃんもぺこりと頭を下げてくれた。
気になる。気になるけど。
ののちゃんが口をきかないことを話題にしても良いのかなぁ?
『良いんじゃない? 気になるんなら』
そう言われても、傷つけちゃうかもと思うと、さすがに言い出せずに私は黙った。
訪れる沈黙の時間。
壊したのは、亜依ちゃんだった。それも――。
「ねぇ、おばちゃん。ののが何も話さへんこと、気にならへん?」
なっちが一番知りたかった話題で。
431 :
四話:02/03/01 21:09 ID:EjcBsXhH
「実はののも、おばちゃんと同じでとりつかれてんねん」
「…えっ?」
いきなりの言葉。
その言葉で視線をののちゃんに移すと、ののちゃんはしゅん、って顔をしてた。
「おばちゃんと違ってののは動物の霊になんやけどな」
「だからしゃべれない、の?」
「それからだから、たぶん」と亜依ちゃんが言うのと同時にののちゃんもうなづいた。
信じられない。
『うん、私も。私達とは逆だもんね。話せないなんて』
えっ?
いや、そっちじゃなくて、なっちと同じような状態の子が居るってことが。
真希とのことがなかったらとても信じられない話。
だからこそ。
なっちの中に真希がいるからこそ信じられる――。
432 :
第四話:02/03/01 21:10 ID:EjcBsXhH
『でもさぁ』
うん。
『あの子は私達になにをしてほしいのかねぇ?』
そう言えばそうだ。
告白は衝撃的だったけど、実際にすることがわからない。
とりつかれた経験談が聞きたい…なんてわけないよねぇ。
『まさか。そんな用事だったら最初からふたりで来てれば良いじゃない』
確かに。
目を伏せたののちゃん。亜依ちゃんはじっと私達を見ていた。主導権を握ってるのは
亜依ちゃんだろう。私は目を見て言った。
「なっち達は何をしたら良いの?」
「あんなぁ」
「うん」
「おばちゃんの中の魔鬼に、ののにとりついてもらって、霊を追い出してほしいねん」
『はぁ?』
川o・-・)<更新( ● ´ー` )ありがとうございます…
更新ありがとう(●´〜`●)
心理描写や背景描写がとても良いと思います。
情景が目に浮かぶようです。
がんばってね。
436 :
SN:02/03/03 20:33 ID:rycwi2K9
>>433 なぜ紺野?
川o・-・)ノ<小説の更新を誰よりも速く見つけられます
>>434 三日天下ありがとう(●´ー`●)
>>435 今回のはストーリーを進めるのを重点にしてるのでいろんな描写が
おろそかになってるかもって気がしてるんですよ。少しだけ。
そう言ってもらえると大丈夫だったかと思えますね。
最後の1行が泣けるほど嬉しかったです。ありがと。
437 :
第四話:02/03/03 20:34 ID:rycwi2K9
『出来ないよ、そんなこと。ねぇ?』
うん、たぶん。
もしかして亜依ちゃんは、真希が自由になっちの身体や他人の身体に出入りできると
思ってるのかな?
『会ったときに確認してくれ、だよね』
真希の言葉にうなづきなからも、何か私の頭にひっかかる。なんだろう?
『さぁ。でもさ』
うん。
私達が役に立てそうにない事実は変わらないけど、目の前に並んでるあどけない顔を
しゅん、とさせたくないから。
「亜依ちゃん、あのね」ガッカリさせないように優しく伝えなきゃ。「真希は、人の
身体の中に自由に出入りたりできる訳じゃないの。だから、あの、ほかに協力――」
「知ってる」
えっ?
438 :
第四話:02/03/03 20:35 ID:rycwi2K9
「そこでやな、ちょっと待っててや」そこで亜依ちゃんは一度言葉を区切り
あぜんとしているなっちと成りゆきを見守っているののちゃんを残して立ちあがった。
落ち着いた態度。その行動に私は不安になる。
…知ってる?
『知ってるのに連れてきたってことは?』
「お待たせ」
少ししてあの――出会ったときから持っていたリュックを手にして戻ってきた。
座るなり開ける亜依ちゃん。
「これこれ。これやねん」と中から出したものを見て。
『あっ…』
「あっ…」
真希と同時に叫んだ。
そうだ。知ってるのに連れてきた理由は出来るから、に決まってる。
「この手鏡を使うんや」
頭の中のひっかかりが解けた。
はるか昔に鏡に真希を封印したのは高僧で、そして亜依ちゃんはお寺の子。
「できる」と言われても納得できる。
439 :
第四話:02/03/03 20:38 ID:rycwi2K9
でも。
まだ問題はある。真希が手を貸してくれるとは思えない。
今まで一緒に居てわかったのは真希は、嫌いなことはしないこと、ケガを負わされる
ようなことはさせないこと。
ののちゃんのために、一時的とは言え鏡の中に戻ってくれない気がする。
『そっか。思い出した』
…んっ?
聞き返そうとした瞬間、なっちの頭の中に映像がよぎった。
明かりの中、袈裟みたいな着物みたいな服を着た女性が手鏡を持って微笑んでる姿。
その顔は――亜依ちゃんがそのまま大人になったような顔に思えた。
『見覚えあるわけだ。加護』
カゴ?
『あの中にまた入るのはすっごく嫌だけど、加護の頼みじゃ断れないなぁ』
耳がどうにかなったのかと思った。
また鏡の中に入るの? 人間の頼みをわざわざ聞くの? なんで? 真希、どうして?
真希が手を動かし、なっちの頭にひとさし指をあてる。
『借りがあるんだよ。命の恩人なんだ』
∧∧ ミ _ ドスッ
( ,,)┌──┴┴──┐
/ つ. 更新ありがとう│
〜′ /´ └──┬┬──┘
∪ ∪ ││ _ε3
゛゛'゛'゛
更新ありがとう(●´ー`●)
更新ありがとうございます。保全します。
443 :
SN:02/03/04 21:39 ID:1tTJIMiU
>>440 以外とAAって嬉しいかも。大きすぎるのはちょこっと嫌だけど。
>>441 銀メダルありがとう(●´ー`●)
それはそうとなんだか「ボブ面白い」みたいになってる感じしてきた。
>>442 ありがと。20分違いだったね。
444 :
第四話:02/03/04 21:41 ID:1tTJIMiU
命の恩人。
『あ、待って。助かったのは魂だけだから、魂の恩人が正しいかな』
さっき頭をかすめた映像とその言葉で、なっちにもさすがにわかる。
あの人が真希を手鏡に封印することで真希は命を救われて、その血を引く子孫がきっと
亜依ちゃんなんだ。
そっと視線をうつす。亜依ちゃんはちゃぶ台の向こうでアヒルのような口をしてた。
『あはは』と笑って真希もその口の形を真似する。
ふわっ、と心が暖まりかけて。
ぎゅっとつかまれたように胸が痛み、手をあてる。口唇をかんだ。
置いていかれる。
――嫌だ、と思った。
『なっち?』
真希とふたりだけの秘密に亜依ちゃんが割って来たんじゃない。…なっちが。
なっちがふたりの間に割って入ってたんだ。
顔がだんだんうつむきがちになっていくのがわかる。
『ちょっと。暗いよ、なっち?』
ごめん、真希。
…なっち、ちょっと嫉妬してる。
445 :
第四話:02/03/04 21:45 ID:1tTJIMiU
「おばちゃん?」
いけない。こっちの様子をうかがうような声に、ゆっくり顔を上げた。
青い顔してなきゃいい、と思いながら「大丈夫」と微笑みをつくる。
「でも…」
「真希がね、協力するだって」
「ホンマ!?」
亜依ちゃんが笑顔になる。
ののちゃんはそんな亜依ちゃんをみつめていた。――お茶を飲みながら。
「じゃ、さっそく」と立ち上がりかける亜依ちゃんの手を、私はつかんで止める。
「待って」と亜依ちゃんをにらむようにして言う。「条件があるの」
『条件って?』
ごめん。真希、言わせて。これが――。
「…なに?」
「終わったあとで絶対また、真希をなっちの中に戻して」
今のなっちのせいいっぱい。
つかんだ手に力を込める。
亜依ちゃんはもう一度口をとがらせた顔をしてから、こくんとうなづいた。
連日の更新ありがとう(●´ー`●)
447 :
SN:02/03/05 22:36 ID:9mdF6yYM
>>446 感想ありがと(●´ー`●)
面白い、って言葉がチカラになります。いま結構話が進んでるつもりなのに
全然反応なくてさみしかったからなおさら。
448 :
第四話:02/03/05 22:37 ID:9mdF6yYM
「じゃあ、さっそく。良い?」
今度はなっちがうなづいた。
「ほな、おばちゃん。ちょっとこっち向いて」
身体を動かして亜依ちゃんと向き合う。亜依ちゃんが手鏡をなっちのおでこにあてる。
私は目を閉じた。
加護、かぁ。うん、なんとなくお寺とか封印とかそんな感じする。
「亜依ちゃん」
「なんや? こわなった?」
「亜依ちゃんは加護って名前なの?」
「そうやけど」亜依ちゃんの声が驚いている。「…うち、言ってへんかったよね?」
目を閉じたまま私は笑う。
「真希が言ってた」
「そっか。…さ、楽にしてな」
449 :
第四話:02/03/05 22:39 ID:9mdF6yYM
その合図で心臓がドキドキいいだした。大きく息を吸って、大きく吐く。何度も。
真希。
『うん?』
戻って来たときにでもさ、その昔の加護さんとの話、なっちに聞かせてよ。
『大した話じゃないけど良いよ。わかった』
たわいのない会話が気持ちを落ち着かせてくれる。うん、大丈夫。
待ってる。いってらっしゃい。
『あはは。いってきます。なっち、すぐ出してよ? 長く居たくないから』
うん。じゃぁね。
…。
……。
まだかな? と思ったときに鏡がおでこに押し付けられて。
声が聞こえた。
「うぉりゃぁぁ! はいれぇ、はいれぇ、はいれぇぇぇ!」
えっ?
450 :
第四話:02/03/05 22:40 ID:9mdF6yYM
『なんだこりゃ』
あまりに緊張感のない亜依ちゃんの声にふたりして呆然とした。
ねぇ真希、実は前のときもこんなだったとか?
『まさか。もっとお経っていうか呪文みたいだった気がする』
そうだろうね。
「はいれぇ、はいれぇ、はいれぇ、はいれぇぇぇ!」
会話する私達におかまいなしに亜依ちゃんの声は頭の中に響き続ける。
…んっ。
その声はだんだんテンポが速くなり、だんだん音が高くなる。
やだ、ちょっと耳が痛い。
『そう? 私には気持ち良い高さになってるんだけど』
おでこに置かれた鏡はまるで吸いついたようになっちから離れなかった。
目も開かない。
「はいれぇ、はいれぇ、はいれぇ、はいれぇ…」
もっと早く高くなった。痛い。痛い!
――いたぁい!
451 :
第四話:02/03/05 22:43 ID:9mdF6yYM
やっと目が開いた。
亜依ちゃんはぴくりとも動いてなかった。目も、口も、手鏡を持った手も。
場所ももともと居た客間で、ののちゃんもじっとこっちを見たまま。
…あれ?
そう言えば音も聞こえなくなってる。はっ、とした。
真希?
呼んでも返事がない。
もう一度呼んでも、やっぱり答えはなかった。
――いないの?
私は何度か手を開いたり握ったりしてみる。
それでもわからない。真希がなっちの中に居るのか居ないのか全然わからなかった。
居なくなったのか、動かないだけなのか。
わかったのは亜依ちゃんの言葉で。
「居なくなったみたいやね。…成功!」
亜依ちゃんがなっちのおでこを見ながら言ったその言葉で。
452 :
第四話:02/03/05 22:44 ID:9mdF6yYM
いなくなった――。
話しかけても返事がない。身体も自由に動かせる。
ついこの前までそんなの当たり前だったのに、今はなんだか不思議な感じがする。
なんだか頭がぼうっとして上手く働かない。
ぺたっと座りこんだまま、どこにも目線が会わなかった。
「お待たせ、のの。もう良えで。おつかれさん」
「本当? ふぅ、つらかったぁ」
…えっ?
初めて聞いた声が意識をはっきりさせる。
目線を亜依ちゃんに戻すと、手鏡を背中に隠すのが見えた。
なに? どういうこと?
「おばちゃん、ごめん」亜依ちゃんのすまなそうな声。「魔鬼、返されへんねん」
おっと急展開
更新ありがとう
454 :
SN:02/03/06 21:38 ID:Ft1IH14Y
>>453 こっちこそありがと(●´
しかし人の来ないスレだよ…。
雑談いいですか?
最近私、メロン記念日がすごく気になるんですよ。
気が付けば「さぁ!恋人になろう」が頭の中を回ってるくらい。
一押しは大谷雅恵です。応援したくなる。
と、いう訳で。
ちょっと寄り道です。短編。
【メルヘンボーイッシュナチュラルセクシー】
〜 あなたの甘い告白の電話待っています。さぁ、運命の恋人になろう! 〜
456 :
=1=:02/03/06 21:41 ID:Ft1IH14Y
「おっす!」
「いって!」
かけ声と一緒に背中に走る痛み。思わず声が出る。
「まだこんなとこ歩いてんの? 遅刻ペースじゃない、これ?」
「あんたもじゃん」
「眠ったの遅くてさぁ」
「あたしも。夜さぁ、ベッドの中でずっと眠れなかった」
笑い合う。だんだん足早になる。呼吸が大きくなる。
「あたしマジ遅刻やばいんだよね。留年ありそうなんだよ」
「走る?」
「一応走ってるつもり」
「遅っせぇ」
バッグを肩に掛け直すと、早足が駆け足になった。ひるがえるスカート。
「ちょっ、雅恵」
「おいてくよ、走れ!」
大きな歩幅で道を走る。
どんどん遠ざかる雅恵の背中は、部活をしているしていないの差。
457 :
=2=:02/03/06 21:42 ID:Ft1IH14Y
先生の声が頭を素通りする。眠気はここで来た。
教科書を読んでるふりしてうつらうつら。
そこで脇がコツコツつっつかれる。
んっ?
手紙が回ってきた。
――きのう言ってた雑誌買ってきたよ 後で見よ ヒトミ
顔を上げるとこっちを見てる瞳と目があった。
口を「サンキュー」の形に動かす。
瞳は小さく手を振った。
458 :
=3=:02/03/06 21:43 ID:Ft1IH14Y
お昼は机を移動させる。
瞳はダイエットをしてるから野菜が多い。
自分で作ってるあゆみは量が少な目。
「なんでメグはそんなに食べて太んないんだよ」
「すっごい偏食なのにね」
ふふん、と恨みがましい目を余裕でかわす。
「秘密があるのさ」
「何それ?」
「長風呂」
「そんなのあたしもやってるよぅ」
「じゃあ体質?」
口唇をふいてリップを塗り直しながら。
「やっぱそうかなぁ。ちぇっ」
459 :
=4=:02/03/06 21:45 ID:Ft1IH14Y
ファーストフードで意味も無くダラダラ。
「超ヒマぁ」
「部活したら? 雅恵とかイキイキしてんじゃん」
「疲れんのやだ」
あゆみは雑誌をめくってる。瞳は髪を手入れしてる。
「手芸部とか」
「なんでだよ。暗いじゃん」
うぅん。ツメの甘皮うまく切れないなぁ。
「まんけん! あゆみ、超まんが好きじゃん」
瞳の声にみんな笑いながら顔を上げて。ふたりと目があって。
「そう言えばあゆみって割とオタクだよねぇ」
「なんか長いの集めてたじゃん」
「ちょっと止めてよぉ」
三人で笑ってたら隣の奴ににらまれた。何だよ。
460 :
=5=:02/03/06 21:46 ID:Ft1IH14Y
「ごちそうさま」
家族とはあんまり会話をしない。なに話したってつまんない。
「残すの?」
「もういらない」
階段を駆け上がって自分の部屋にこもる。
携帯に届いてたメールに笑ったり、ムッとしたり。返事を出す。
少ししてまた鳴る。読んで送り返す。また鳴る。また送る。また鳴った。
「メグもあれ見てた?」
「見てたよ! 親の前だったから笑いそうになるの超ガマンして見てた」
「受けるよねー」
耐え切れずにかけてきた雅恵の負け。
461 :
=6=:02/03/06 21:47 ID:Ft1IH14Y
ぬるめのお風呂にじっくりつかる。
持ち込んだ雑誌はべろべろになるけど、長風呂には必需品。
「新しい靴ほしぃなぁー」
雅恵ってばバッグ買ってもらったって自慢してたっけ。
瞳はコスメをあれこれ集めてる。
あゆみは帰り道でしょっちゅう買い食い。
「お金ほしぃなぁー」
湯舟のふちにあごを乗せる。あちぃ。
「男ほしぃなぁー」
462 :
=7=:02/03/06 21:48 ID:Ft1IH14Y
バスタオルを頭にまいたまま、いつもの手順で顔の手入れ。
化粧水を叩き込む。
乳液を塗り込む。
小顔マッサージをして。
眉毛を整える。
鏡の前で笑顔をつくる。あはは。あーっ。いーっ。
「歯の矯正したいな」
髪をていねいにブラッシングして終了。ベッドに飛び込んだ。
463 :
=8=:02/03/06 21:51 ID:Ft1IH14Y
ご飯は和食が好み。
駅前に行くと必ず覗くお店がある。
ナチュラルパーマ以上に似合う髪型を探し中。
舐めるように脚を見るオヤジはムカツク。
料理ってできたほうが良いよね。
犬を見ると思わず頭をなでちゃう。
将来の自分なんて想像つかない。
ビデオ返さなくっちゃ。
その辺のアイドル並みには可愛い自信がある。
化粧ののりが良いとそれだけで嬉しい。
中学の友達とか何してんだろ。
バイトするならウェイトレスかな。
感動もののテレビ番組にはかなり弱い。
ずっとキラキラしてたい。
好きなことだけ出来ればいいのに。
毎日笑ってたい。
464 :
=9=:02/03/06 21:52 ID:Ft1IH14Y
ずっとこのまま。
さっぱりしててかっこいい雅恵。――男だったら彼氏にするのに。
ぽやぽやしててほっとけないあゆみ。――可愛い妹って感じ。
自分を磨く努力を怠らない瞳。――そんなところは尊敬してます。
みんなで。
ずっとみんなで居られたらいい。
465 :
=10=:02/03/06 21:54 ID:Ft1IH14Y
不安定な私。
誰かをすっごく愛したい。
誰かにすっごく愛されたい。
ねぇ、どこかの誰かさん。聞こえてる?
また夜更かししちゃったよ。
ふぅ。
…おやすみ。
おわりです。
短編ありがとう(●´ー`●)
( ´ Д `).。oO(斉藤が最近気になるんだよ。急展開も気になるよ。短編ありがとーござーまーす。
メロソって誰が誰か全くわかんないんです…
申し訳。
本編の方は一気に動きが出てきましたね。
なつみが、短い間にどれだけ魔鬼に依存していたのかよくわかります。
魔鬼を失ったなつみがこれからどんな感情を見せるのか、
次回更新がとても楽しみです。
あと、辻はペイ・フォワードやばとろわと違って
のの語(〜れす)じゃないんですねぇ…
ペイ・フォワードでは天使のようだった辻が
今度はどんな風に描かれるのか、こちらも興味津々です。
( ´ Д `).。oO( ヽ(´ー`)ノのオッチャン、ガンガレ…
ごっちんありがとう保全(●´ー`●)
SNさん感想書いてもよいタイプの作者さんのようなので書きます。
正直、この小説が今一番更新の楽しみな小説スレです。
いろんなとこで娘小説読んできましたが最初がひきこまれるように入り( `.∀´)い。
そして気持ちの動きが自然だと思います。突拍子もないのも違った面白さがあるけど
ここはそういうのとは好対照ですね。 楽しみにしてます。
今日は暖かかった。もう春だね保全(●´ー`●)
魔鬼なつみの続きが読みたいよぅ。
でもメロンの短編もなかなかよいですね。僕も大谷好きですよん。
京都に来たということで関西つながりで松浦を出して欲しいです。
更新がんばってね!
475 :
SN:02/03/11 21:47 ID:FypI6xfV
>>467 素敵な名前ありがとう(●´ー`●)
それはそうとSUNSUN39号本人とも一度くらいは記念にレスしあいたいですね。
>>468 >>473 斉藤かぁ。ごめん。4人の中で4番目です。
本編のほうは内容が読めてしまう展開かな?と思って早めに行動を起こして
みたんですが、これはこれで悪くないかなぁと。
暖かいを通りこして会社の帰りとか暑かったです。汗までかきました。
>>469 それは簡単メロン講座を行ないます。
バンダナがメルヘン担当・村田めぐみ。金髪がボーイッシュ担当・大谷雅恵。
スーツがナチュラル担当・柴田あゆみ。残る1人がセクシー担当・斉藤瞳です。
…ってファンの人ごめん。
今回のの言葉は使うのやめてみようと思ったんですよ。のの言葉ばっかりだと
かわいそうかな、と思って。
>>470-471 なちごまありがとう(●´ー`●)
>>472 感想自体はどの作者さんももらうと嬉しいと思いますよ。
運とかタイミングとかで荒れちゃうのかも知れないけど。
一番ですか。教訓とか無いし、読み終わってもあんまり感慨ない話なのに嬉しいです。
>>474 短編は書いてすぐアップしちゃったんですが、今読み返すとダラダラですな。
もっときりつめたり表現を考えれば良かったです。とか言いつつ、書いてすぐ
アップしたくなってしたんですが。…松浦って関西出身なの?
耳に入ってから、瞬きをするくらいの時間を遅れて、言葉が形になった。
返さない? それって。
「なっちの中には戻さないってこと?」
亜依ちゃんはこくん、とうなづきかけて「違う違う」と急いで首を横に振った。
「おばちゃんに返さないんやなくて、もうここから出さないねん」
「ウソついちゃってごめんなさい」
亜依ちゃんが背中にまわした手鏡を出してきて、ののちゃんはぺこっと謝ってくれた。
私はこれがふたりの可愛い冗談だと――思おうとしてた。
477 :
第五話:02/03/11 21:49 ID:FypI6xfV
「え? だって、なんで?」
聞きながら私はだんだんうつむいていき、ふたりの顔が視界からそれた。
顔もちょっとへらへら笑い出してる。落ち着かなくて髪をかきあげる。
「だって、さっき亜依ちゃん――」
「おばちゃん、魔鬼はな」
なっちの声をさえぎって話す亜依ちゃんの言葉に、そっと顔をあげた。
「たくさんの人間の人生をメチャメチャにしてきた鬼なんやねんで」
はっ、とした。
霊を追い出してほしいだけなら、魔鬼の名前なんて確認する必要がない。
わざわざリュックまで持って手鏡を持ち歩く必要だってない。
『魔鬼』を捕らえたかったんだ。
478 :
第五話:02/03/11 21:51 ID:FypI6xfV
「知らんかもしれへんけど、昔は本当にひどい事をいっぱいしてたらしいんや」
知ってる。
――りっぱな理由でしょ?
亜依ちゃんの言葉が真希との記憶を呼び起こす。
「友達言うてたから迷ったんやけど、やっぱりこうすることにした」
――人の首なんて片手でちぎり落とせたよ。
心臓がドクン、と痛いほど大きく鳴った。
「あの、こうするのがお姉ちゃんのためだと思って」
――子供が死んで、泣き叫ぶ親の顔が見てみたい。
おでこにはうっすら汗をかいていた。
ちゃぶ台に両ひじをついて、両手で自分の顔をおおう。
間違ってない。
昔の文献を見るかぎり、魔鬼を封印しなきゃいけないという考えは間違ってない。
夜行バスの中で夢を見て、頭のすみでそう考えて手首をおさえてた自分もいたのに。
…。
どうしてだろう?
今のなっちはあの子達を泣かせてでも鏡を、真希を奪い返したいと思ってる――。
479 :
第五話:02/03/11 21:52 ID:FypI6xfV
ののちゃんの言葉ですっと体温がさがる。べたべたした汗も一瞬でひいた。
「だってそのままだったら、結婚とかきっとできないよ?」
そうだ。
…どうして今まで考えなかったんだろう?
こんな身体の人と結婚したいかと言われれば、絶対したくないって人がほとんどだと
思う。また汗をかきだした。息苦しくなる。
子供だってそうだ。ちゃんと人間の子が産まれるのかすらわかんない。
「今はええかも知れへんけど、おばちゃん、将来きっと後悔する思うて」
将来。
その言葉を聞いた瞬間、なっちの過去がなっちの中を通り抜けた。
顔をおおってた手をはずす。
視界が広がって、はっきり見えた。呼吸を楽にしたなっちの目に飛び込んで来たのは
手をつないで心配するようになっちを覗き込むふたつのおだんご頭。
…ごめんね。
480 :
第五話:02/03/11 21:53 ID:FypI6xfV
「ごめんね」
ちゃぶ台の上でそっと手を組んで。
笑顔をつくった。今、出来る限りせいいっぱいの極上の笑顔のつもり。
「なっちねぇ、つい最近までイジメられてたんだ」
亜依ちゃんとののちゃんは手をつないだまま顔を見あわせてうなづいた。
ちゃぶ台のそばに座り直し、鏡を真横に伏せて置いて。
「ちょっとだけだけど、自殺も考えたんだよ」
ののちゃんは亜依ちゃんに視線を映した。亜依ちゃんは口唇をとがらせていた。
「…それで?」
「でも真希がさ、なっちの代わりになっちの身体で仕返ししてくれたの」
ごめんね。
「完全に解決ってわけじゃないけど。真希がいなかったら、なっちにはさ」
なっちの将来を気遣ってくれたのに本当にごめん。
――なっち、すぐ出してよ? 長く居たくないから。
待たせちゃったね。
今度はなっちが、真希のために役に立ってあげなきゃいけないのに。
「将来なんてなかった――!」
ののちゃんの身体がぴくっと動く。その瞬間、私は片ひざを起こした。
ちゃぶ台に左手をつく。湯飲みが倒れた。
亜依ちゃんの動きを右手で抑えつける。
頭からつっこむようになりながら左手を手鏡に伸ばす。
「だめっ!」
スローモーションにならなかった。左手はたたみを――鏡のあった場所を叩いただけ。
481 :
第五話:02/03/11 21:55 ID:FypI6xfV
目には天井と自分の足がうつっていた。…あれ?
起き上がるにはどうしたら良いのかな、なんて思っていたら。
「…おばちゃん、重い」
「えっ?」
なっちの下から聞こえてきたそんな声が聞こえて、あわてて横に動くと
ちゃぶ台と亜依ちゃんから落っこちた。
「ごめんね。痛くなかった?」なんてねっころがったまま謝るなっちに、亜依ちゃんは
「たいじょうぶ」と首を左右に動かしながら答えた。顔が赤くなる。ごめんねぇ。
――それより! 手鏡は?
亜依ちゃんもなっちと同じく見失ったようで床をキョロキョロと見渡してた。
「残念でしたぁ」
息切れに混じって聞こえたその声に、亜依ちゃんと同時に視線を向ける。
ののちゃん。
胸の前に両手で、ののちゃんが手鏡を抱きかかえていた。
482 :
第五話:02/03/11 21:56 ID:FypI6xfV
「こう見えても、のの、スポーツ得意なんだから」
取りかえそうと手を伸ばしかけて気づいた。
ののちゃんの手が鏡の面にふれている。
…さわっても平気なの?
そう思った瞬間。亜依ちゃんが叫んだ。
「のの!」
「だてにバレー部に入ってる――」
「鏡の部分にさわったらあかん!」
「えっ? あっ。えっ? …えぇ――っ?」
ののちゃんの顔が赤くなり、口唇がちょっとだけ前に出るのが見えた。「んぅ、ん――っ!」
遅かった…。
何が起きてるか手に取るようにわかって、ちょっと恥ずかしくなる。
「大丈夫か、のの! 痛いんか?」
亜依ちゃんのその言葉にこっそり首を振った。痛くはないよ、どっちかって言うと――。
…言えません。
( ´ Д `).。oO( 更新ありがとーござーまーす。大谷、今と昔ぢゃかなり違うよね。1stのPV見て驚いた。
(●´ Д `●)<んあ
更新ありがとう(●´ー`●)
メロン記念日の解説ありがとう(●´ー`●)
金髪の子は朧気に記憶がありますが、
他の子はほとんどわかりません。スマソ…
本編は、ついにののタンに主役交代なヨカーソ!
もちろんタイトルは「魔鬼のぞみ」てことでどうかよろしく…
急展開!更新ありがとうございます。
新宿さん同棲生活はいかがですか?
487 :
名無し募集中。。。:02/03/13 14:21 ID:quSgljM1
つんくは次もぱくるのか。
ごとーのイメージが悪くなるからやめてくれ。
( ´ Д `)<小説スレだよ〜
489 :
SN:02/03/13 21:47 ID:STn337Sn
>>483 私も昔の写真見ました。たまたま google で。
村田と斉藤がめちゃめちゃ初々しくて可愛くてビックリしました。
その時の写真だと、柴田なんて目じゃなかったです。
>>484 なんで名前欄だけほっぺ白いの?
>>485 メロン学習ありがとう(●´ー`●)
大谷より柴田を覚えた方が良いかも。石川と仲良しなんで。
魔鬼のぞみ!…ってすばらしくそそられないタイトルですが。
>>486 新宿さんって呼ばれ方は初めてです。誰?って感じします。
まだっすよ。カウントダウンには入ってますけど。部屋かたづけなきゃ。
>>487 思わぬ落とし穴発見。
次に後藤が新曲出した時にもこのスレがあると、ぱくりだと思われるとは。
>>488 まぁ、こっちがスレ違いっちゃあスレ違いですが。ありがと。
490 :
第五話:02/03/13 21:50 ID:STn337Sn
さっきまで赤かったののちゃんの顔が急に青くなった。
「あいぼん、なんか頭の中で声がする!」
あいぼん?
「鏡の部分にさわるなって言うたのに…」
「遅すぎ! 怖いから早く助けて!」
あわてた声を通りこして泣きそうな声になってるけど、ののちゃんの身体は持ってる
手鏡をくるくる回してみたり、おだんご頭をつまんだりしてて、まるでののちゃん自身が
この状況を楽しんでるように見える。
本当は真希なんだろうけど。
「だってあいぼんがこうしようって――」
「ウチが何や?」と亜依ちゃんはちょっと面白そうな顔。「ののってば、よくいる
独り言ばっか言ってる変な人みたいやで」
その言葉に私は苦笑い。なっちもこうだったのかなぁ。気をつけなきゃ。
491 :
第五話:02/03/13 21:51 ID:STn337Sn
「こんなやから、おばちゃんにはもう返せへん」
「また手鏡に真希を戻したら良いじゃない」
「ごめんなさぁい」
「ウチが今すぐ戻すと思う?」
「戻してよぉ!」
「戻してって言ってるけど」
「言ってるけど、せぇへん。もともと魔鬼の鏡はここにあったんやし」
「こんな状況で落ち着ける訳ないよぉ」
「…そうなの?」
「そうや。って知ってたやろ?」
「全然知らなかった」
「…そうなん?」
「ののにはガマン出来ないの!」
なっちと亜依ちゃんが同時にゆっくり、ののちゃんを振り返った。
とりあえず真希との会話だけは頭の中でだけでしてもらえると嬉しいな…。
492 :
第五話:02/03/13 21:53 ID:STn337Sn
「おばちゃんを説得したら助けてあげるから待ってや」
ちゃぶ台や湯飲みを片づけ始めた亜依ちゃんが、ののちゃんを見ずに言う。
沈黙があって。
ののちゃんの顔がみるみる赤くなり。
「今すぐ! いますぐぅ――! もぉ! やだよぉ――」ささるような大声。
ののちゃんの目からボロボロ涙がこぼれ出して、真希は今度はお腹をさすりしだした。
…もしかして、あやそうとしてるのかな?
まぁ、あれだけ泣かれれば真希の気持ちも相当暗いだろうし、それぐらいするかも。
「泣きながらお腹さすって。やっぱ痛いんか?」
たたみまでしっかり拭いてから亜依ちゃんがののちゃんに手を差し出す。
「ほい、おはらいするから手鏡返してや」
493 :
第五話:02/03/13 21:55 ID:STn337Sn
ののちゃんは手を動かさず、顔だけをなっちに向けた。そのしぐさがなっちには
どうなってんの? と聞いてるように見えて私はちょっと考える。
ややこしい。
「ねぇ! あいぼんに鏡渡してよぉ!」
「…のの?」
眉間にしわのよる亜依ちゃん。その様子に私はもしかして、と思う。
「真希がののちゃんの身体を動かしてるんだよ」
「…えっ?」今度は亜依ちゃんの顔が青くなった。「そんなことできんの?」
「知らなかったの?」
なっちの問いかけに亜依ちゃんは勢い良くうなづいた。
やっぱり。
「だって、おばちゃん。身体を動かされてるように見えへんかったで」
「そりゃまぁ、一応、あの」私は照れて頭をかく。「親友だし」
…なっちが思ってるだけだけど。
494 :
SN:02/03/13 21:56 ID:STn337Sn
IDにSnありがとう(●´ー`●)
_______________
_____■■■■■_____
__■■■_____■■■__
_■___________■_
■_____________■
_______________
_______________
_______________
_______________
_____■■■■■_____
__■■■■■■■■■■■__
_■■■■■■■■■■■■■_
■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■
_■■■■■■■■■■■■■_
__■■■■■■■■■■■__
_____■■■■■_____
_______________
_______________
_______________
_______________
_____________■_
______________■
_______________
_______________
_______________
_______________
________■______
_______■_______
_______■_______
_______■_______
_______■_______
_______■_______
_______■_______
_______■_______
_______■_______
_______■_______
_______■_______
_______________
_______________
_______________
_______________
______________■
_____________■_
_______________
_______________
_______________
_______________
_____■■■■■_____
__■■■■■■■■■■■__
_■■■■■■■■■■■■■_
■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■
_■■■■■■■■■■■■■_
__■■■■■■■■■■■__
_____■■■■■_____
_______________
_______________
_______________
_______________
■_____________■
_■___________■_
__■■■_____■■■__
_____■■■■■_____
_______________
>>495 本人か?てか、かちゅのリンクで見ないと何かわからんかった
499 :
名無し募集中。。。:02/03/14 21:48 ID:0/rJs/w4
保全上げついでに聞きたいんですが?
この物語の前半部分というのはどこにいったのですか?
ご存知の方は教えてください、お願いします。
500
502 :
:02/03/14 23:07 ID:e2U+8zyX
503 :
第五話:02/03/15 01:22 ID:P778l0ap
亜依ちゃんは黙ってしまった。
もしかして、味方がいなくなったと思ってるのかも。元気がない亜依ちゃんは
元々の背の低さもあって、本当にか弱く見える。
なっちの中からもさっきまでの勢いは消えた。
「ねぇ、あいぼん。のの、どうしたらいいの?」
はなをすする声に混じっての頼りない声に、亜依ちゃんだけじゃなく
なっちまで顔を向ける。
手足が動くたびに、ののちゃんの目は潤んでいった。真希と会話してるのか
たまに首を左右に振って。
「もぉ、やだぁ…」
胸がちくっと痛む。今黙ってるなっちは、すごくひどいことをしてると思う。
でも、言っちゃダメ。
亜依ちゃんから言ってほしい。これまでのなっちと話してる途中で見せた
あの顔、あのしぐさ。亜依ちゃんはきっと――ののちゃんのために。
504 :
第五話:02/03/15 01:28 ID:P778l0ap
時間がゆっくり進んでいる。
手のひらにうっすらとかいた汗をこすろうと思った瞬間、そでをつかまれた。
「おばちゃん。一緒に」
きゅっ、と手に力がこめられる。
離されたくない、というより自分をふるい立たせるためなんて思えてしまう。
「うん」
「ののを助けて」
「とか言って」答えながら私は腰を落として、目線を亜依ちゃんにあわせる。
「真希をまた閉じ込めたいだけじゃなくて?」
たったひとつのキーワードを言ってほしくて、わざときつく。
505 :
SN:02/03/15 01:29 ID:P778l0ap
ちなみに5話のサブタイトルは見てのとおり、2ch屈指の名スレと言われてる
「さよなら、青い鳥」から取りました。誰も指摘してくれないので自己申告です。
>>496-498 きっと本人。
>>499 先に言われちゃったけど、
>>6 のリンクがそうです。ageなくても保全になるよ。
>>500 キリ番GETおめでとう(●´ー`●)
>>501-502 回答ありがとです。
>>495 感動ありがとう(●´ー`●)
マジ嬉しい。今の私はルーベンスの「キリスト昇架」と「キリスト降架」が
見れた時のネロの気分です。頂上を見たんであとは下山です。顔には満面の笑みで。
エスパー真希に巡り会えただけでも、羊に来て良かったと思ってます。
SUNSUN39号ありがとう(●´ー`●)
そして――。
506 :
SN:02/03/15 01:30 ID:P778l0ap
__■_____________■________■_____■____■___■___■■__■______■■____
__■__■■_________■_____■■■■■■■__■____■___■_______■________■■__
■■■■___■______■■■■■■■___■______■____■_■■■■__■___■____________
_■___■__________■_______■■■■___■_■__■__■__■__■__■__■■__■■■■__
_■___■__■■■■■__■_■■■___■■_■_■__■■___■__■__■__■___■■___■____■_
■____■_______■_■■___■_■_■_■__■_■____■__■__■__■__■__________■_
■__■■■_______■_■____■_■_■_■__■______■_■___■_■■_■___________■_
__■__■■______■______■_■__■___■_____■__■___■____■__________■__
___■■__■__■■■___■■■■___■■__■■____■■___■_■■______■■■■■__■■■___
__■_______■■■_________■_______________■_________■■■_______■__
_■______■■■■■■■______■_________________■______■■■■■■■______■_
_■______■■■■■■■_______________________________■■■■■■■______■
■______■■■■■■■■■___________■_________________■■■■■■■■■______■
■______■■■■■■■■■____________■■■■■■___________■■■■■■■■■______■
■______■■■■■■■■■_____________________________■■■■■■■■■______■
_■______■■■■■■■_______________________________■■■■■■■______■_
_■______■■■■■■■_______________________________■■■■■■■______■_
__■_______■■■___________________________________■■■_______■__
>506
力技だな・・・
じゃ、自分も・・・
( ● ´ー` ● )ありがとう
ちょっとビックリ。
更新ありがとうございます。
なっちいぢわる。必死と言った方がいいかな。そんな感じもいいね。
511 :
:02/03/17 23:43 ID:tfj3kUza
512 :
:02/03/18 23:58 ID:ySq+Fr/F
513 :
:02/03/20 06:28 ID:p3DFW7TV
ののタンがんばれ!保全(●´ー`●)
SNさんも「さよなら、青い鳥」読んでたんですか。
俺、あのタイトル見てひょっとして…、と思ってたんですが
やっぱりそうだったんですね。
あのスレ良かったですねぇ。
初めて見た時、何か胸が苦しくなって、
PCの前で時を忘れるくらい動けなかったのを、今でも覚えてます。
今の2chネラの方にもぜひ読んでいただきたいスレですね。
て、小説に関係ない話ですいません…
そろそろタイムリミットがきそうなヨカーンですが、
ぜひともののタンを救ってあげるまでがんばってください。
つーか、なっちは小悪魔(●`へ´●)
( ´∀`)σSNさん、元気っすか〜?
( ´ Д `).。oO(んぁぁ〜、魔鬼はどーなるのぉぉ…zzz…
517 :
:02/03/25 02:50 ID:tz+PWY72
うん?! まずいか
あぁ、ネロはパトラッシュとともに天界へ召されてしまったのだろうか…
年度末で忙しいとは思いますが、
再び降臨していただけますようにお願いします。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,___ | SNさんが元気でいますように
/ ./ \ \_____________
/ ./.( ・ ) \ o〇 ヾ!;;l;::lilii|//"
/_____/(●´ー`●)\ ∧∧ ..|;;l;;::|liii|/゙
 ̄|| || || ||. |っ¢..|| ̄ (,, ) ナモナモ . |;;l;;::||iii|
|| || || ||./,,, |ゝ iii~ ⊂ ヾ.. . |;;|;l;::i|ii|
| ̄ ̄ ̄|~~凸( ̄)凸 .(゙ ,,,)〜 wjwjjrj从jwwjwjjrj从jr
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
519 :
:02/03/26 00:48 ID:cEUx/HxK
ほぜーん
新宿さんお元気でしょうか?
気長に待っていますよ☆
更新オツカレーション・・・・・・・ってアレ?
実に一ヶ月ぶりにネット繋げて来てみたら・・・
まあ、色々大変なんでしょうけど、ええ、私生活も大事ですよね。
僕も私生活の為に一ヶ月ネットしてなかったです。
でも待ってます。
522 :
:02/03/29 05:13 ID:h0W9vYAh
ほっほほ〜ぜん
523 :
:02/03/29 05:14 ID:h0W9vYAh
ぐぬぅ あげてしまった…
はい?
525 :
名無娘:02/03/30 07:17 ID:06a3Wmo9
保全します
ほぜんかな
hozen
保
ほぜん
530 :
鵡簾雌ちゃん:02/04/03 22:42 ID:jr52Rk51
5/9発売のソロシングルタイトル決定
「もっと愛して〜Hold me tight〜」
c/w 彼の家から朝帰り
531 :
:02/04/03 22:47 ID:WS/Mw8Hs
モーニングコーヒー飲んで朝帰りハァハァ
532 :
名無し募集中。。。:02/04/03 22:52 ID:x1Q8pIu7
今度の新曲もパクリなの?
そもそも寺田にオリジナルがあるのか?
534 :
名無し募集中。。。:02/04/04 00:18 ID:C2km5mqK
>>532 後藤ヲタの理論
売れたら→オリジナル曲です。つんくはいい歌提供したごっちんはオーラが出てるね
売れなかったら→寺田!パクリよこすなゴルァ! ごっちんは関係ない、売れなかったのは寺田のせい
本人もヲタも都合がよろしくてめでてーな(・∀・)
まあ落ち着いて過去ログ読め
536 :
名無し募集中。。。:02/04/04 00:31 ID:UvXZNJ+e
>>535 ネタスレに転向しようと必死だね。いいじゃん、ネタも尽きたんだから本筋に戻しても。
537 :
名無し募集中。。。:02/04/04 00:41 ID:3AaflWNC
>>533 ふるさと以前なら、独特なものがあったと思うが…。
ここは小説スレですよ!
新宿さん寂しいよ・・・
539 :
名無し募集中。。。:02/04/04 10:18 ID:ZIT/t3L9
>>538 ネタ切れなんだから、本来のテーマで語ろうよ!
今度の後藤の新曲はまたもやパクリなのか?とか。
541 :
:02/04/04 23:43 ID:rzWfHoyS
まあ作者が別スレでやる手もあるけどな。
できたら他でやれや。
543 :
名無し募集中。。。:02/04/04 23:55 ID:62NCwBXh
>>542 ?
作者が別スレ立てるのが筋。
ここは「後藤真希の新曲 あれ、完全にぱくり」というスレなんだから。
ま、ここはつんくも見放した後藤真希の曲について語れや!というスレなわけ。
544 :
:02/04/05 00:07 ID:maDGY5Wp
いいから早く続きを・・・
545 :
名無し募集中。。。:02/04/05 02:15 ID:ARZcXd/d
(´-`).。oO(ネタなのかな。。。)
むぅ、もうダメなのか…
それでも待ち続けてみたくて保全(●´ー`●)
548 :
SN:02/04/06 14:38 ID:sUYmZsGS
こんちわです。なんとマンガ喫茶から。
PCも持ってるのに家からはつなげません…。
レスしたいとこだけど、時間がないので書き溜め分をパパッと行きます。
549 :
第五話:02/04/06 14:40 ID:sUYmZsGS
亜依ちゃんはうつむきがちに首を小さく、横に振った。
「のの泣いてるやんか、だから」
「助けたい?」
「うん。だって、ののはうちの大事な――」
亜依ちゃんはそこで顔を上げた。あっ、という顔。なっちの袖にさらに加わる力。
もうすぐ。あとちょっとで指先に触れる。
「…――んなさい」
届いた。消え入りそうなその声は扉を開ける鍵。
「真希もね、なっちの大事な…」
あっ。
次の言葉が口から出かけた瞬間、気づいた。…カラダ。
大事なことを見逃してた。
「…おばちゃん?」
今の今まで、真希は当たり前に帰ってくると思ってたけど、今の真希には
ののちゃんの身体があるのに、また鏡に入ってまでなっちに戻ってきてくれるとは
思えない。
ひとりであの生活に帰りたくないなっちは真希が居てほしいけど、真希には
なっちが居てほしい必要なんてないんだ。
なっちの身体である必要はないんだ。
真希には。
なっちは必要ないんだ――。
551 :
第六話:02/04/06 14:41 ID:sUYmZsGS
悪い考えが、一瞬で頭を支配する。
友達だと思ってたのはなっちだけで、真希にとってなっちなんかただの身体。
真希に断られたら、またあの生活のくり返し。ひっそりと、逆らわず、ただへらへら
笑ってるだけの、ひとりきりだったあの生活に。
断られたら終わり。そう思うと口が、頭が動かせなくなる。
「おばちゃん?」
またそでが引っ張られた。そして気づく、すがるようなふたりの目。
この広い部屋の中でなっちだけが頼りって言っている瞳に。
552 :
第六話:02/04/06 14:46 ID:sUYmZsGS
…そうだね。
霧ははれなくても、目指す光りは見える。
黙ってることは立ち止まること。真希が手を引いてくれない分は自分で歩かなきゃ。
ののちゃんはなっちより、真希と歳が近い。はるかに運動ができて、顔も可愛い。
私が真希なら、どっちを選ぶのか、なんてきっと迷わない。
でも。
真希がどう思っても、なっちは真希と居たい。
将来も、ずっと友達でいたい。
断られたら? 断れれても、戻ってきてくれるまで真希に願い続けよう。
ねぇ真希。
歩かなきゃたどり着かないし、言わなきゃ伝わらないんだよね。
553 :
第六話:02/04/06 14:47 ID:sUYmZsGS
「ねぇ、真希」
一度言葉を切って、息を吸う。
「なっちの中に戻ってきて」自分でも不思議と落ち着いた声。「おねが…」
こくん。
お願いを言い切らないうちにののちゃんは――真希はあっさりうなづいた。
…あれ?
「真希が答えたんだよねぇ?」
もう一度聞いても、やっぱりうなづく。
ん?
おや?
もしかして、いやもしかしなくても、真希はののちゃんよりなっちを選んだってこと?
しかも答える速さから言ってすでに選んでいたってこと…だよね。
ののちゃんより歳が離れてて、はるかに運動ができない、可愛くないなっちを。
身体を下から上に、電気が駆け抜けた感じ。
心臓がドキドキ言いだす。身体があつくなった。紅くなる顔に手をあてる。
えっ。
うわぁ。まいった。あのすがるような目はふたりの目じゃなく、三人の目だったんだ。
にやけちゃう。
困っているののちゃんと亜依ちゃんを前にした、こんな状況なのになっちってば。
どうしよう。
…すっごく嬉しいんですけど。
554 :
第六話:02/04/06 14:48 ID:sUYmZsGS
「あいぼん、早く早く!」
ののちゃんが座って、手鏡を差し出す。亜依ちゃんはあの、口をアヒルのように
とがらせる顔で受け取った。
「うん、じゃあ行くで」
鏡がののちゃんのおでこに押しつけられる。「うぉりゃぁぁ!」
…うぅん。
声は変でも見た目ぐらいは神々しいというか神秘的なのかな、って思ってたんだけど
全然違った。むしろふざけてるんじゃないかとしか思えない。
ただ、叫んでると思ってた亜依ちゃんの声は、思いのほか低くて静かだった。
「痛い、痛い! あいぼん、いたぁい!」
そう言ったののちゃんの身体が崩れ、ちゃぶ台にひじをつく。
この反応。
なっちのときと同じだ。つまり、取り出し終了。
亜依ちゃんもののちゃんのおでこを見て。
「のの、終わったで。角も消えたわ」
「本当!?」ののちゃんが手足をばたばた動かす。
「やった、自由に動く! 声もしないよぉ!」
これで終わり。真希は戻ってくる。私は亜依ちゃんにそっと手を差し出した。
でも。
亜依ちゃんの手は動かなかった。
555 :
第六話:02/04/06 14:50 ID:sUYmZsGS
「あんなぁ、うちのご先祖様が昔に魔鬼を封印して以来な」
「うん」
「ずっとうちの家系で封印した鏡を見守ってきたんやって」
「…うん」
なにが言いたいんだろ?
やっぱり真希は返さないと言うんだろうか。ちょっとだけそんな気もしたけど。
「だから、この封印の技術もうちの家系の人はみんな受け継いでるんやって」
ののちゃんもあんまり聞かない話なのか、なっちと一緒に真剣に聞いていた。
「それで?」
「でも、この封印する能力とか鬼を見抜く能力って、子供を産むと無くなるんやって」
亜依ちゃんが逃げようとしても、いつでも追える姿勢であいづちをうつ。
きっとののちゃんはもう怖がって強力しない。一対一なら勝ち目は多い――はず。
「だからうちのおかんも今はできなくて、うちしか出来へんねん」
「…ごめん。よくわからなくなってきたんだけど」
「せやからな、うちが魔鬼は封印されましたってうそをつけば」
あっ。
やっとわかった。ののちゃんもなるほど、って顔をしてる。
「誰にも見破られへん」
気持ちが高ぶる。ってことは。
「でもな」
556 :
第六話:02/04/06 14:52 ID:sUYmZsGS
でも?
「うちが現在の加護の家の三百代目の当主なんやけど、伝統ってすっごく重いねん」
亜依ちゃんは下を向く。視線をそらされた。
「自分にうそをついて勝手に手鏡を渡すことはできへんのや」
「でも…」
「せやけど――」
なっちの言葉は途中でさえぎられる。途中でかすれた亜依ちゃんの声。
口の形は、さっきのキーワードのように動いて見えた。
「うち、もう、うそはつきたないねん。おばちゃん良い人やし」
亜依ちゃんの思いがなっちの心に刺さった。
うぅん。
そんなことないよ。なっち、自分のことしか考えてない。
亜依ちゃんの家も、真希の今後も、ののちゃんの未来も、全部おきざりにしてる。
その証拠に、今そう思ってても口には出さないもん。
「うち、どうしたら良いかわからへん」
泣いてる?
「ごめんなさい」
泣いてなかった。亜依ちゃんは手鏡を持ったまま、ゆっくり――。
557 :
第六話:02/04/06 14:54 ID:sUYmZsGS
手鏡が床に叩きつけられた。
カシャンと高い音がして、小さな破片がキラキラ舞う。
「魔鬼はおばちゃんの中に居れば」
小さな当主の声が、なっちの頭を通り抜けていく。
「言い伝えみたいに暴れることはしないかも知れへんけど」
終わった。
亜依ちゃんは顔をあげた。逃げないんだね。
逆の立場だったらここで顔をあげるなんて、なっちにはできないよ、きっと。
ののちゃんはただ成り行きを見ていた。
「どうなるかわからんし、正しくないかもしれへんけど、こうした」
なっちの足元まで飛んできた小さなカケラ。
「真希のカケラ、だね」
そっと手を伸ばす。ケガをしないようハンカチでつかんでポケットに入れた。
そんななっちに。
「ねぇ、すっごく怖かったよ。なんで一緒になろうなんて思うの?」
涙目でののちゃんが叫ぶ。心配してくれてるの?
ありがと。
私は笑顔をつくった。
亜依ちゃんとののちゃんは涙目だ。ふふっ。逆じゃない?
「ふたりとも泣きそうな顔だよ」
ふたりは無理にほほえみをつくりながら「おばちゃんこそ」と答えた。
558 :
第六話:02/04/06 14:55 ID:sUYmZsGS
帰ることにした。
ブーツのかかとをトントンと叩いて、足を奥まで入れる。
「おばちゃん、ごめんな」
「ごめんなさい」
「良いよ」
あれからずっとすまなさそうなふたりのおだんご頭を、同時にくしゃくしゃにした。
「ふたりはさ、ふたりなりに使命を果たそうとしたんでしょ?」
まだお昼になったばっかりだった。
こんなに色々あったのに、今日という日はまだまだ余ってる。
私はバッグを肩にかけ立ち上がった。
「じゃあね」なんて、あくまでも笑顔で。
559 :
第六話:02/04/06 14:56 ID:sUYmZsGS
亜依ちゃんが「うち、そこまで送ってく」とくつを手に取る。
「じゃあ、ののも」
そう言ってののちゃんもくつをはこうとするのを亜依ちゃんはとめた。
「ののは申し訳ないんやけど、留守番しててほしいねん」
「…またぁ?」
ちょっとふくれたののちゃんに亜依ちゃんはすまなそうな顔をする。
「まぁ、誰も来ないやろうから帰っても大丈夫やろうけどな」
うん?
その答えかたがちょっと気になった。
「のの、ありがとな。学校さぼってまで協力してくれて」
「いいよ、あいぼん。気にしないで」
私が手を振って「じゃあね、ののちゃん」と言うと、ののちゃんも「おばちゃん
さようなら」と手を振り返した。私は苦笑い。
「最後くらいお姉ちゃんって言ってほしいな」
「じゃあね。…おばちゃん」
まったくもう!
560 :
第六話:02/04/06 14:58 ID:sUYmZsGS
開けたドアの向うは風が流れていて、飛び込んでくる空気がなっちの中で
ぐるぐるめぐっていた思いをスーッと落ち着けてくれた。
私は髪をかきあげる。
「おばちゃん、良い?」
上目づかいで聞く亜依ちゃんに、何のことかわからないまま「いいよ」と言うと
きゅっとジャケットのすそをつかまれた。
今まではそんな確認、一度もしなかったのに。
――そうとう気にしてるのかな?
よし。
すそにつながる小さな手。
その手を上からそっと自分の手でつかみ、すそから離す。
「あっ」
亜依ちゃんが悲しそうな顔をする前に、その手をにぎりしめ、私達は歩き出した。
「こっちのほうが良くない?」
561 :
第六話:02/04/06 14:59 ID:sUYmZsGS
入るときとは逆で今度は外に。光りにむかって暗い小道を抜けていく。
「あの白い手鏡って、ずっとここにあった物だったの?」
今回はなっちから沈黙を破った。
「紙に包まれてたから色は知らへんけど、あったよ。ずうっと」
どうして、となっちが口を開く前に亜依ちゃんは続けた。
「盗まれるまでな」
「盗まれそうな予感がして、隠してたんやけど、やっぱり盗まれたんや」
「予感?」
「そや。勘が良いのはうちの家系やから」
そう言って亜依ちゃんはほほえんだ。
でも。
「悪い予感に対してしか効かへんけどな」
なっちにはその笑顔は、哀しいのをごまかしているようにも見えた。
563 :
第七話:02/04/06 15:03 ID:sUYmZsGS
亜依ちゃんは続けた。
「盗まれたのはうちが学校に行ってる間やってん。昼間に」
「予感がしてたなら家に居たら良かったんじゃないの?」
そしたら真希とは会えてなかったんだけど。
なっちの回答に亜依ちゃんは首を横に振った。
「学校に行きながら何とかしたかったんや。そうしないと」
「そうしないと?」
「学校なんか行くなって、当主としてのお務めを果たせって責められるから」
吐き出すように。
そうつぶやく横顔を見てて思う。
きっときつく言われたんじゃないかな、って。だから今日、わざわざ朝早くから
ひとりで駅まで来てたんだろうし。
…ってあれ?
ひとりで?
564 :
第七話:02/04/06 15:04 ID:sUYmZsGS
「でも亜依ちゃんひとりで来てたよねぇ?」
そうだよ。当主なんて言うくらいだから、部下って言うかそういうのが大勢居て
その人達に命令を出す――なんてのじゃないのかな?
映画とかドラマによくあるような感じの。
「おばちゃん、今、ドラマみたいなこと考えたやろ?」
うっ。
「…考えてないよ」
なっちの答えに亜依ちゃんは笑って「おばちゃん、うそついてるってすぐわかる」
と言った。
真希にも言われたっけ。くやしいなぁ。
565 :
第七話:02/04/06 15:05 ID:sUYmZsGS
「責める人は居るんやけど、協力してくれる人は居ないんや」
またわからない。
眉間にしわの寄る私に、亜依ちゃんはゆっくり説明してくれた。
「うちの家系は昔からずっと悪霊をはらったり、憑きものを落としたりしててな」
「うん」
「昔は違ったのかも知れへんけど、今はただ気味悪がられてんねん」
亜依ちゃんはずっとやわらかく笑顔を浮かべたままだった。痛々しく。
他人に気味悪いって思われて笑ってられるわけない。
なっちと同じだ、と思った。
笑って嫌な思いが過ぎ去るのをただじっと待つ。うつむいて笑って。
566 :
第七話:02/04/06 15:06 ID:sUYmZsGS
「おばちゃん、ごめんね」
「また? 大丈夫だよ」
私は目線を落とし、亜依ちゃんと同じ高さで笑顔をつくる。大したことじゃないけど
こんな少しのことで笑顔になってくれるなら。そう願いをこめて。
「うち、こんなだから地元のやなくて、遠くの学校に通ってん」
「うん」
「でもやっぱりすぐばれて、友達なんか出来へんかったんや」
「…うん」
話す内容にあわせるかのように、私達の歩調はゆっくりになった。
でも握った手は離さない。今以上の孤独はなっちも亜依ちゃんもいらない。
「ののだけ」
私達をとりまく木々がだんだんと少なくなって、光りがあふれ出す。亜依ちゃんの顔も
それにともなって輝いてみえた。ゆっくり、ゆっくり。
「ののだけが、うちのともだち」
567 :
第七話:02/04/06 15:08 ID:sUYmZsGS
陽の光りの射す道で、私達は立ち止まる。
「そっか。良い子だったもんね」
なっちがののちゃんをほめると、亜依ちゃんはさっきまでと違う微笑みを見せた。
ただ嬉しそうな、笑顔。
「ののは転校生やったから、うちの家のこととか知らんかったんや」
「だから標準語だったんだ」
でも。
「今日、いっぱい知っちゃったみたいだけど…」
「前に話したことあるんや」
「そうなの?」
「そう。でもののは、あいぼんすごいんだね、って言って」
「うん」
「それからも変わらずに遊んでくれたんや」
「そっか」
話すたび亜依ちゃんは本当に嬉しそうで、見ているこっちまであたたかくなった。
私はもう一度「良い子、だね」と言った。
568 :
第七話:02/04/06 15:10 ID:sUYmZsGS
急に。
「でも、あんなことになったし、きっともう嫌われるやろ」
まるで自分に言い聞かせるように亜依ちゃんはつぶやいた。
それはだめ。なっちもしたことあるからわかるけど、自分を言い聞かせても
やっぱり痛みは痛いんだから。
つないでいた手を離して、亜依ちゃんの頭をそっとなでる。
「大丈夫だよ」
なっちの言葉で痛みがやわらいでほしい。
「うぅん。ののは気味悪がって自分の家に帰ったはずや。もう遊んでくれへん」
「大丈夫」
「うそや。なんも証拠なんかないくせに」
「大丈夫だよ」
「なんで? なんでそんなこと言えるん」
ちょっと投げやりで声を荒げる亜依ちゃん。
「だって」その顔に笑顔を投げかけよう。「ののちゃん良い子じゃない」
569 :
第七話:02/04/06 15:11 ID:sUYmZsGS
「友達だもの。きっと待っててくれてるよ」
「うちも昔、他にも友達おった。でもみんな、うちのこと知ったら」
亜依ちゃんはうつむいてた顔をあげて「誰も遊んでくれなくなった」と続けた。
「なっちにも同じことがあったよ」
「そうなの?」
「うん。中学の友達がね、高校に行ったら全然相手にしてくれなくなったの」
みんなに置いていかれた私。
先に進むことをやめた私を待って、手をさしのべてくれたのはひとりだけ。
「もしののちゃんが待っていてくれて、亜依ちゃんが追いかけるならさ」
その手に、自分の手を――。
「もうふたりは」ちょっと照れ笑いを浮かべて私は「親友だよ」と言った。
570 :
第七話:02/04/06 15:13 ID:sUYmZsGS
この木漏れ日の中で、どれくらい話していたんだろう。
五分? 十分? もっと長い? もっと短い?
「さぁ」
私は亜依ちゃんの背中をそっと押す。
「うん」
そう答えて亜依ちゃんは歩き出した。良かった。元気そう。そう思いながら
見送るなっちを、ふいに振り返って。
「おばちゃん、ごめんね。ありがとな」
最後までおばちゃんかぁ。
うん。亜依ちゃんとののちゃんは大丈夫。絶対上手くいく。
「なんかあったらまた来てな! 絶対後悔するんやから!」
叫びながら駆けてく亜依ちゃんは、笑顔をこちらに向けて手を振った。
なんだ、ばれてるのか。手を振り返しながら苦笑いしちゃう。
もうさんざん悩んだんだから。後悔なんて!
私も叫んだ。
「しないよ!」
571 :
-:02/04/06 16:58 ID:tz9Z6EFl
ずっとROMってました。
一言だけ言わせてください。
ありがとう。
更新ありがとうございます。
同棲生活始まったみたいですね。
新宿なっちさんの幸せを祈ってます。どうもありがとう。
573 :
名無し募集中。。。:02/04/06 21:47 ID:uWo1b41q
>>545 結局は後藤はもう用済みやちゅーことやね。
574 :
:02/04/06 22:07 ID:xS/4JH88
自分にレスしてるっぽ
575 :
名無し募集中。。。:02/04/06 22:09 ID:uWo1b41q
都合の悪いものはすべて(・∀・) ジサクジエーン
これが後藤ヲタ
576 :
:02/04/06 22:12 ID:xS/4JH88
まあ都合は悪くないけどね
書き溜め放出乙
ご苦労さまです
これからもこっ〜そり更新してくださいませ
こちらも保全し続けます
( ´ Д `).。oO(やっぱおもしろぃなぁ。更新ありがとねぇ。
580 :
名無し募集中。。。:02/04/07 22:50 ID:V9ixuutC
>>542 なんか、無視されてるね。
わざわざこのスレを小説スレにしなくともいいのに・・・。
意図的なものを感じる
581 :
名無し募集中。。。:02/04/07 23:03 ID:7RvZgCwL
数年前、小林汗居が全然似てない曲をパクリだって訴えてたな
黙ってろヴォケ
放置されてたし
世の中にはなんにでも文句をつけたい人がいるものだ
585 :
名無し募集中。。。:02/04/08 15:00 ID:104pvH5p
>>580 もう一つ、アンチ後藤っぽいスレがあるんだが、そこもネタスレにさせられてるよ。
小説投票24位の作品なのに……。
新宿なっちさん、ありがとう。
587 :
背擬:02/04/09 17:07 ID:OaQcEqpu
中華、いきなり本題に戻って
編む炉のパクリとちゃうか?
つんく♂が込む炉を意識してどないすんねん!
588 :
忌む穂轍鮒:02/04/09 17:10 ID:nYj7s+qe
ぱっくまんやったんか!!!!
589 :
:02/04/10 22:52 ID:ffX7E2dg
hoze
590 :
名無し募集中。。。:02/04/10 23:01 ID:2kvkjhWi
>>587 後藤は最近、私はクールに見られてるけど実はそうではない
ということを言い回っているが、それが本当だとすると、
デビュー当時の金髪は事務所がオーライメージをつけるためにそうしたのかもね。
金髪じゃなくてあの煽り方じゃなかったら石川、吉澤なんかよりも
人気は出なかったかもね。
591 :
:02/04/10 23:04 ID:3Gd169mc
オーライメージってなんかいい
後藤が1番良かったのはちょこラブ黒髪の時
593 :
背偽:02/04/10 23:24 ID:WQds7Mfw
>>588と592に10,000点!
後藤のことは決して機雷ではないが、
結局最初の戦略がうまく行ったのが大きい。
後藤本人はソロに対してかなりやる気があるようだが、
1曲目は浜崎の「Vogue」2曲目は編む炉のなんか忘れたけど細菌の曲のパクリだ。
明らかに。
ここではつんく♂の戦略失敗とミル。
595 :
テスト:02/04/11 09:08 ID:SOYpVLjo
( ´D`)
保守
キテタ━━━━━━\(●TーT●)/━━━━━━ !!!!!
いっぱい更新ありがとう(●´ー`●)
移転保全
自分のスレ消えちゃったけど、こっちは消させない保全(●´ー`●)
600 :
名無し募集中。。。:02/04/16 10:58 ID:Eun/yFzG
今度もパクり曲?
601 :
:02/04/16 11:25 ID:OuF/7TF4
>>590 寺合宿にはもう金髪でしたが。最初のオーディション時点では茶髪だったが
602 :
名無し募集中。。。 :02/04/16 11:33 ID:NAdsbSX8
オーディションの時は茶髪じゃない
メッシュのように脱色した髪だった自分でやったんだろう
603 :
名無し募集中。。。:02/04/16 11:38 ID:w/tx2vYV
983 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/04/16 11:35 ID:NAdsbSX8
安倍はもう二十歳なんだからアイドル辞めれ
604 :
名無し募集中。。。:02/04/16 13:08 ID:9pfsdc6O
>>603 アンチ安倍=後藤ヲタという分かりやすい奴ですな。
606 :
名無し募集中。。。:02/04/16 21:21 ID:a/xci3Y/
607 :
名無し募集中。。。:02/04/16 22:55 ID:pEf2BTjr
608 :
あ:02/04/16 23:04 ID:W1KL6VaG
うちの学校にゴマキと付き合ってるってとか言ってる奴がいんだけど
ゴマキの家って瑞江なの?彼のレオカードに瑞江がやたら表示されてたんですけど
彼はいまのうちに止めないと犯罪になりますかね?
609 :
:02/04/16 23:08 ID:pf/guo8D
後藤ヲタですがアンチ後藤のほうが言ってることは最低だと思いますが・・・
俺は後藤ヲタですがほかのメンバーのことを悪く言うつもりは微動ない
でも安倍ヲタが後藤の悪口を言うから安倍がどれほどすごいのかを
聞いてるだけ・・・
今夜も保全っと(●´ー`●)
612 :
名無し募集中。。。:02/04/18 10:27 ID:H94/jywx
ああ、超名作、魔鬼なつみが荒れていく。
氏にスレ小説の宿命なのか……。
新宿なっちさん、どっかスレたててやってくださいよ、狩とかで。
>>613 禿同。
こういう荒らしって珍走と考えがあんまり変わらないんだよね。
人に迷惑かけて目立ちたがる・・・
一応、SNさんが移転通知出すまで保全します。
まあ、スレ名がスレ名だしね(w
保全代わりにいいんじゃないの。
616 :
名無し募集中。。。:02/04/18 23:26 ID:XMTunRvm
>>609 >後藤ヲタですがアンチ後藤のほうが言ってることは最低だと思いますが・・・
>俺は後藤ヲタですがほかのメンバーのことを悪く言うつもりは微動ない
>でも安倍ヲタが後藤の悪口を言うから安倍がどれほどすごいのかを
>聞いてるだけ・・・
まず、意味がよく分からないぞ。何を言いたいんだかさっぱり・・・
後藤の悪口を言うのは安倍ヲタだと決めつけてるし。
昨晩のANNS聞きました。
後藤の新曲は矢口もびっくりの大路線変更で、流れた後から賛否両論が・・・
でもこれで「パクリ」って言うヤツはイキオイ失うな。
やっとこのスレに平穏が戻ってくる予感。
619 :
名無し募集中。。。:02/04/19 09:59 ID:K2LCzOuV
age
サーバー移転に気がついてなかったので、Datに行っちゃったかと思ってた。
ageてくれた人に感謝。でも、好きな小説が荒れていくのが悲しい・・・
なに移りゃ済む事だ。3スレ目突入って事で。
dat落ち阻止sage
hozen
保全
625 :
名無し募集中。。。:02/04/22 20:51 ID:GKwAcUpU
後藤の新曲、「創価」という固定層があるからある程度は売れるだろうな。
626 :
名無し募集中。。。 :02/04/22 21:30 ID:ChLEe/ic
「そうだ!」の一部フレーズがモンゴル800の歌ってた「forなんとか」に聞こえたのは漏れだけか?
モームスの曲はパクリだらけだしね
創価!We're Alive!
後藤母が創価系の雑誌「灯台」に出る日も近い?
hoze
待ち続けるよ
632 :
参考文献:02/04/26 18:51 ID:pYDo+iGo
今は昔
都にいみじき鬼の姫ありき
鳥の声のやうに笑み
華のやうにおかしき姿なり
されど たわむれに破り
たわむれに喰らふ
そのもの魔鬼と名付くと聞きしむ
されば高僧おはして
ありがたき鏡に封じたまひぬ
されど御身も失せたまへば
共に葬られ封じの御柱とならむとす
もってこれより魔鬼の見ることなし
633 :
名無し募集中。。。:02/04/26 20:16 ID:5/FxrkCj
hozen
635 :
名無し募集中。。。:02/04/28 01:04 ID:QSr3a3ZR
>>633 ASAYANで後藤家が映し出されたとき、仏壇が創価特有のものということ、
平尾昌晃ミュージックスクールにデビュー前に通っていたんだが、この平尾昌晃が創価。
よって後藤家は創価であると。どこかで見た記憶がある。
敵に回すと厄介だが、
味方にするとすごく頼もしい相手なんだけどね、狼って。
んじゃ寝ます。
明日もがんばりましょう。
うひ、誤爆スマン…
SNさん、ま〜だ〜hozen
640 :
名無し募集中。。。:02/04/29 01:09 ID:afGqjZzN
昨日は後藤ヲタ荒らしまくってたな。アク禁されたと思うけど。
なんでこう後藤ヲタは低脳なんだろうか。。。
ご主人様そっくりってこと?
641 :
名無し募集中。。。 :02/04/29 01:13 ID:fKtHb6Cj
低脳に低脳っていわれるとムカツク?
642 :
:02/04/29 01:15 ID:XiEZUT8a
643 :
名無し募集中。。。 :02/04/29 01:18 ID:fKtHb6Cj
ふむ
644 :
名無し募集中。。。:02/04/29 01:23 ID:VUg5n0+R
今度はアンチ安倍スレが荒らされてる。
無論、荒らしてるのは後藤ヲタだが(w
645 :
名無し募集中。。。 :02/04/29 01:26 ID:fKtHb6Cj
アンチ安倍スレなんか荒らす理由ないと思うけどね
646 :
名無し募集中。。。:02/04/29 01:26 ID:7OvjfwbB
>>644 あのアフォは行動パターンが簡単でみててしらける。
パート3は2の1-300の安倍ヲタVS後藤ヲタ徹底討論みたいなのがなくて
カウント伸びてないから必死なんだよ
647 :
名無し募集中。。。 :02/04/29 01:27 ID:fKtHb6Cj
てか荒らされてるほうが安倍ヲタ的には良いのでは?
叩かれなくて済むし
648 :
646:02/04/29 01:31 ID:oGXw9iIo
>>647 今日はそうでも、たぶんあいつはファクトリースレでもそうだった様に、
安倍ヲタが議論にはいると邪魔しに来る
あと内容はともかくあんなスレでパート100なんて掲げられるのはやだね
649 :
名無し募集中。。。:02/04/29 01:40 ID:9H/eZpBC
アク禁って、回線切ってもう一度繋ぎ直せば効力無しなの?。
650 :
名無し募集中。。。:02/04/29 01:59 ID:s/HJbK+p
後藤ヲタの荒らし、とりあえず止んだな。
>>649 アクセスポント(またはIP網)単位だと思う。よって効力ありだと思う。
例えば、
tokyo082-120.hogehoge.ne.jp とかいうリモホなら、
tokyo*.hogehoge.ne.jpで規制するのかと。
651 :
名無し募集中。。。:02/04/29 02:21 ID:9H/eZpBC
>>649 なるほど。それで「荒らしてもいないのに書きこめない」って話をたまに聞くわけね
まあとりあえず、GW中に増えると思われる荒らしは完全放置ですな
久しぶりにきたらこの様な荒れっぷりで・・・
SNさん元気でしょうか?
保全っと
ホ
655 :
SN:02/05/02 13:23 ID:/a6AZXUH
あぁ〜。まだここあるよ〜。
ありがたいことです。
さてさて。
しばらく歩いていると、行くときにお菓子を買ったお店が見えた。
じゃあ、あと半分くらい。
「よし」
決意を声にする。
これだけ離れれば、もう戻ろうとは思わないだろう。肩のバッグをおろした。
でもなっちなら、このくらい戻ったっていい。
私はおでこの汗をふき、ポケットに手を入れてハンカチを出す。
くるまれてるのは真希のカケラ。
じゃなくて、真希――のはず。
夢。
あの夢はまだ憶えている。
夢の中の果てしなく広い空間。割れたって関係ない、はず。
「大丈夫、きっと」
そっと鏡のカケラをにぎりしめた。ちょっとだけ、痛い。
ねぇ、真希。なっちの声、聞こえる?
…。
……。
真希? ダメ?
戻ろう。そう思ったとき、聞こえた。
『聞こえてる。しっかりとね』
657 :
第八話:02/05/02 13:25 ID:/a6AZXUH
目の前に真希が現われた。息をしていれば、お互いにかかる距離。
そしてまた――裸だった。なっちも真希も。
しまった。
こんな道の真ん中じゃなく、道路の脇でしたら良かった。
経験上実際に服を脱いでるわけじゃないってわかってるけど、気分の問題。
なんか恥ずかしい。
それはさておき、おかえり。
『ただいまぁ。なんかすっごく疲れたよ』
うん。
真希の口唇が近づいてきて、私は目を閉じた。
658 :
第八話:02/05/02 13:27 ID:/a6AZXUH
『ここまで戻ってきたの?』
それが二度目の合体後の真希の第一声だった。
うん。もう用も済んだみたいだったしね。
平静をよそおいながらも、なんだかドキドキする。ちょっとあつい。
『ふふっ。そんなに嬉しい?』
うん。
隠しごとができないのって、こういうときいいな、って思う。
普段なら照れて言えないことがさらっと言える。
『私もこっちがいい。もうあの子、ずっと泣いてて暗いったらありゃしない』
でも良かったの?
『なにが?』
ののちゃんの身体の方が、なっちよりずっと良いと思うんだけど。
『そう? 人間のつくりなんて誰でも似たようなもんでしょ? って言うかさ』
右手が勝手に動いて、はなをつまんだ。
『逆のこと考えながら言うな』
あははっ。ごめん。
笑顔になっちゃう。つままれたはながかゆくって、それすら。
楽しく、嬉しかった。
659 :
第八話:02/05/02 13:28 ID:/a6AZXUH
『なっち、読んでたでしょ』
真希の口調が変わった。――来た、と思った。
その言葉に、こくん、とうなづく。
あの場所で真希を身体の中に戻したら、真希のことだから絶対
だまされたお返しとして、亜依ちゃんとののちゃんに仕返しをすると思った。
それもきっと仕返し、なんて言葉が可愛いく思えるようなことを。
だからこんな遠くまで来てから一緒になった。
『まさか。しないよ』
えっ?
予想と全然違っていた返事にちょっと驚く。しまった。
もしかして私は、真希を見くびるような判断をしてしまったかも知れない。
『加護には。お世話になったからね。もうひとりの子は――』
違った。
『殺すまではいかなくても、目くらいはつぶすべきだった』
やっぱりなっちの判断は正しかった。歩いた疲れ、暑さとは別の汗が手のひらに
浮かんでくる。真希は、さらっと言ってのけるのに。
『だまされたのも腹が立ったし、中にいる間ずっと泣きわめいてたし』
660 :
第八話:02/05/02 13:29 ID:/a6AZXUH
『まぁ、もういいけどね』
真希は笑う。
『ここから戻りたくないし、なっちの気分まで真っ暗になるのも嫌だしさ』
ほっとした。私は胸をなでおろす。
うん。じゃあ、行こっか。
そう思って踏み出そうとした一歩は、まったく動かなかった。
『その代わりぃ』
視線が動かされる。瞳にうつるのは、さっきのお店。
『お菓子、もちろん買ってくれるよね?』
661 :
第八話:02/05/02 13:30 ID:/a6AZXUH
バッグを抱えて、私達はまた歩き出した。
買ったばっかりのお菓子の袋は歩くたびにカサカサと音をたてる。
ねぇ。
『うん?』
あの亜依ちゃんのご先祖様と、なにがあったか教えて。
『加護と? 良いよ。まぁ、簡単に言っちゃえば一緒に居るときに火事になって』
うん。
『私は鏡の中に入って今もこうして無事で、加護は焼け死んじゃって、おわり』
ふいに飛び出した最後の言葉があまりに唐突で、別の意味があるのかと思った。
…。
終わりなの?
『そう。これだけだよ』
短いなぁ。私は苦笑する。でも、待って。
焼け死んだ…?
『どうかした?』
うん、なんとなくひっかかるんだけど、なんかわからない。なんだろ?
嫉妬の炎が見る見る弱火になっていく。
でもくすぶりは完全に消えなかった。
詳しい真実は今日の夢で明らかになる。
確信なんてないけど、きっとそのはず。私は歩みを進め続けた。
662 :
第八話:02/05/02 13:31 ID:/a6AZXUH
辿り着いたバス停。
次のバスは三十分後で、私達はぺたっと地べたに座り込む。すぐに真希は
さっき買ったシュークリームをつまみ始めた。
なっちとしては歩いた直後だし、暑いのもあって食欲はわかないんだけど。
飲み物もないのによく食べられるね。
『おいしいものならね。平気だよ』
そういうものかなぁ。
『そうそう。それにまたなっちに笑われるの嫌だしね』
真希はそう答えながら左手を腰にあてた。笑ってしまった。
…ふぅ。
笑い終わって私は空を見上げる。雲一つなかった。
――すべて同じ。
私達は離れる前、昨日と同じに戻ったように見える。
今日のことなんてなかったことのよう。
真希ももう気にしてない?
『そういうわけではないんだけどさ』
663 :
第八話:02/05/02 13:32 ID:/a6AZXUH
『もういいや、別に』
真希がぽつりと言ったその言葉。すごく嬉しかった。
なっちが真希と一緒になるのをちょっと遅らせたことで、ののちゃんが
ケガをしなかったと思うと、誇らしい気持ちにさえなった。
…。
空を見たまま、そっと目を閉じる。
これまでずっと流されてきた。全部決めてもらっていた。
自分からなにかをすることなんてなかったのに。
今からは違う、と思った。
あの時の亜依ちゃんとののちゃんの目。なっちを頼っていた瞳。
なっちにしか。
なっちだけにしかできないことがあるんだ。
664 :
第八話:02/05/02 13:33 ID:/a6AZXUH
ののちゃんの身体になにもなかったように、なっちの努力で、真希に罪を
犯させないようにしたい。簡単に人を傷つけたり、破壊をさせないようにしたい。
包んであげたい。
永い伝統を破ってくれた亜依のためにも。
なっちと真希を引き合わせてくれた裕ちゃんのためにも。
もう誰にも迷惑をかけさせない。
目を開けた。
両手を伸ばした。
にじむ視界に目をこらす。鏡の中に居た間のように、なっちの中に居る間も。
真希は、真希だ。
もう二度と「魔鬼」なんて呼ばせない――!
665 :
sage:02/05/02 13:34 ID:/a6AZXUH
天から降ってきた。
熱くなる身体、速く鳴る胸、高ぶる気持ち。
これがこれからのなっちの人生の指針にすら思えたのに。
『ふぅん』
私の決意に真希は、そっけない返事だった。
ホテルに着いて、べたべたする身体をさっとシャワーで流し、ベッドに飛び込んだ。
足が疲れて、ふとんがやわらかすぎてなにもする気にならない。
『本当に』
目を閉じると頭だけははっきりした。
帰りのバスは私達以外にも利用してる人、いっぱいいたなぁ。
フロントの人、こんな早くにチェックインしてもなにも言わなかったなぁ。
平日の昼間なのに、駅前は混んでいるんだなぁ。
ふと。
仰向けになって、目を開いた。
目に映るのは白い天井と家とあんまり変わらないような照明。あのでっぱりは
スプリンクラーかな?
『なにそれ?』
あのでっぱりあるじゃない。火の気配を感じたらあれから水が吹き出すんだよ。
『すごいね。そんなことができるんだ』
しまった。
真希は火事で身体を失ったんだっけ。ごめんね、気配りが足りなかったね。
『別にいいよ。今は無事だし』
…無事って言うのかなぁ?
667 :
第九話:02/05/02 13:36 ID:/a6AZXUH
私はもう一度うつ伏せになって、もう一度目を閉じた。
眠ろう。
真希と亜依ちゃんのことを知るために――夢を見るために。
『いいよ。眠るの好き』
うん。おやすみ。
『おやすみ』
さやさやと流れる空気が、私達の身体をなでで熱を飛ばす。風の流れる小さな音も
私達を眠りに導く手助けになった。
嫉妬はもうしていないよ。
今はただ。
知りたいだけ。
頭に浮かんだひっかかりを解決したい、ただそれだけ。
長い夢になりそう…。
668 :
第九話:02/05/02 13:37 ID:/a6AZXUH
山の中腹。
大きいけどもう滅んでいくだけ、そんな印象を受ける寺に、私達は居た。
くすんだ柱に刻んだ傷はふたりで月を見た数。今夜で七つ目になる。
加護の話と知識は無限の広がりを見せるかのように続いた。
目の見えない旅人は、心で景色を見ると言う。
角を隠すことも、心をかくすことも。
加護の前では無駄だった。
669 :
第九話:02/05/02 13:40 ID:/a6AZXUH
月が昇り、私は今日もここに来た。加護はすでに居る。
月明かりのなか、座り、じっと動かない。
どんなに気配を抑えて音を立てなくても、加護は私が来たことを当てた。
見えてるかのよう。
近寄り、爪をたてる。殺そうとしても息一つ乱すことない。
「怖くないの? わかってるんでしょ」
左手の爪の先がそっと、加護の喉をなでる。
「殺せるよ」
「殺さないくせに。毎日飽きないね」
加護は焦点のあわない黒目を見せて、笑った。私も笑った。
「それで? 今日はなにを聞かせてくれるのさ」
「そうだねぇ」
加護は口唇にひとさし指をあてて考えてる。可愛い丸顔が、このときだけは
別人のようにひきしまる。その指がそのまま天井を指す。
「…天にも川がある、って知ってるかい?」
はぁ?
670 :
第九話:02/05/02 13:42 ID:/a6AZXUH
加護の話しかたはゆっくりで、わかりやすくて良い。
ときどき、喉がかわいた、と言って水を飲む。
ちょっと休んで、また話しだす。
ろうそくの小さなゆらめきの中で、加護の目はとてもきれいだった。
「眠くない?」
夜通し語り合ってた。
出会ってから毎晩。
「まだ大丈夫。昼間に眠ったし」
「変な鬼」
「加護ほど変じゃないよ。人間のくせに」
おかげで最近、人間は真向かいに座るひとりしか目にしていない。
加護を除いて全てが消えた、って言われても納得できる。
…。
不思議だ。
たかが人間なのに、こいつだけは、魅力的にすら思う。
人ごときの名前なんて初めて記憶したよ。
671 :
第九話:02/05/02 13:42 ID:/a6AZXUH
名前を覚えたことを伝えると、加護は「光栄だね」と小さく笑った。
「私がただの人間じゃないからかな?」
「そうかもね」
高く昇った月。
口調がさらにゆっくりになった。
私達はうとうとしだす。
「眠るの好き」
「私も」
目を閉じたまま続く話。お互いに壁を背にして、寄り添うこともしない。
おおかた私だけど、先に起きたほうが、先にここを去る。
そして夜に来る。
いつもと同じ。
672 :
第九話:02/05/02 13:43 ID:/a6AZXUH
いつもと違った。
「んっ…?」
明るさと暑さで目を覚ます。朝まで寝過ごしちゃった?
そう思いながら開けた障子から飛び込んで来た光景は。
炎の海だった。
「なに、これ?」
炎の先が見えない。若い木が枯れ木のように燃えていく。
これは…死ぬかな?
そっと振り向くと、加護が目を覚ましていて「暑くない?」と言ってきた。
「火事だよ」と答えながら汗をぬぐう。暑さだけの汗じゃあ、ない。
「助かりそう?」
「無理かな」
「そっか」
673 :
第九話:02/05/02 13:49 ID:/a6AZXUH
加護はうつむき、今までと違う弱々しい声で「ごめんなさい」と言った。
「まだ余裕があると思ってた。ちょっとゆっくりしすぎたみたい」
「どういうこと?」
「私さ、この知恵と特殊な能力のおかげでさ。嫌われてるんだよね」
力のない笑い。
なるほど、と思った。人間にしちゃ確かに異質かも知れない。
でも。
「嫌われてるを通りこして、殺されそうだと思うんだけど」
「それくらい嫌われてるってこと」
「特殊な能力って何?」
「今までは何とか逃げられたんだけど」
「目が見えないのに?」
「そう」加護は汗を拭いた。「悪いことに関しては、勘が良いんでね」
じゃあ今回は何だよ?
口に出す前に、加護が答えた。「今回は予測が狂った。ごめん」
674 :
第九話:02/05/02 13:51 ID:/a6AZXUH
加護はやけに落ち着いていた。
人間のくせに、こんなに死に冷静なのは珍しいんじゃないか?
「死ぬの怖くないの?」
「いつかは殺されるかな、って思ってたから」
「私もさ」
「うん」
「加護じゃないけど、人間には好かれてないから」
「から?」
「この火事も加護じゃなくて」暑い。「私を殺そうとしたのかも」
木の倒れる音が聞こえた。倒れた木がこの寺にあたる音も聞こえた。
加護は「ここも燃えるね」とだけつぶやいた。
675 :
第九話:02/05/02 13:52 ID:/a6AZXUH
暑さが増す。煙りも少しずつ寺の中に這い始めた。
「助ける方法、あるよ」
助ける?
「助かる方法、でしょ?」
「助ける、で良いの。真希しか助けられないんだから」
嘘だ、と思った。私ですらこの炎をくぐって逃げられるとは思えないのに
人間の身体じゃどうこうできるわけない。
「これさ」
加護が懐から出したのは白くて小さな――手鏡だった。
「さっきの質問の答え」
そう言えば聞いてなかった、と思った。
「殺されそうなほどの特殊な能力でここに、真希の精神だけを封印する」
676 :
第九話:02/05/02 13:54 ID:/a6AZXUH
私は小さく息を吐いた。やっぱり耐えられなくて狂っちゃったか。
「何言ってんの?」
「できるんだよ」
「どうやって?」
「代々そういうことしてきてる家系だから」
「そんなことしてる時間なくない?」
「すぐ終わる」
「鏡なんてすぐ燃えちゃうんじゃん?」
「その前に埋める」
「じゃあそれっきり発見されなくない?」
「されるさ」
「どうして?」
「上に死体がふたつ重なってあったら絶対おかしいと思うからさ」
「発見されてその後はどうなるの?」
「発見した人に出してもらう」
「どうやって?」
「誰かが鏡に触わるだけで良い。真希の心は、それで出られる」
冴えていた。加護は全然、おかしくなんてなっちゃいない。ただ――。
「なに笑ってんの?」
「笑うしかないでしょ?」
できればふたりで助かりたかった。
677 :
第九話:02/05/02 13:57 ID:/a6AZXUH
「私のせいでごめんなさい」
真顔で呟く加護に私は笑顔を見せた。
壁が燃え出して、煙りが足にまとわりつく。
「お互い様だよ。ねぇ、こんなときでもきれいだね、その黒目」
炎の明かりが反射して見える。見えないとは思えないほど澄んでいた。
「すぐ出られると思うから」
どんな風に出られるかは言わなかったし、聞かなかった。
人間の身体を奪う、ってなんとなくわかったから。
「うん」
梁が落ちた。柱のかしぐ音が響いた。
人間なんて豚以下だと思ってた。食えるだけ豚のほうがましと思うこともあった。
「ひとりだけ助かって」
もう一度目を見る。
人間に助けられるとは思わなかった。すごく――負けた気分。
「ごめんなさい」
「あら珍しい。…さ、楽にして」
それが加護から聞こえた最後の感情。…絶対に、忘れないよ。
――そんな夢を見た。
678 :
第九話:02/05/02 13:59 ID:/a6AZXUH
身体を動かさず、目だけを開けるように、起きた。思った通り見られた。
おはよう、真希。
…。
厚いカーテンが光りをさえぎってるのか、まだ朝になってないのか、部屋の中は
暗かった。人間に負けた鬼からの返事もなかった。
まだ眠ってるのかな?
ふぅ。
私はそっと息を吐く。
すべての謎が解けたと思うのに、あまりに重い。
当時は気づかなかったんだろうな。なっちだって、今の夢だけだったら
なんの疑いもきっと持たない。
亜依ちゃんの言葉やあの本と重ねるから矛盾が出て、ひっかかりを覚えたんだ。
私達は、この夢のときからずっと。
ずっと負け続けてる。
679 :
第九話:02/05/02 14:01 ID:/a6AZXUH
なっち達が読んだ本には「高僧」って書いてあったし、亜依ちゃんも
そう言ってたのに、夢の中では逆。人から嫌われていた。
どっちかがうそだとしたら、それはきっと真希の夢のほうだと思う。
あれはきっと真希をだまして封印するための芝居かなんかだ。
じゃなきゃおかしい。
亜依ちゃんの姿が頭をよぎった。
――この封印する能力とか鬼を見抜く能力って、子供を産むと無くなるんやって。
だったら。
あの加護さんは、あの夢の後で子供を産んでなきゃいけない。
じゃなきゃ亜依ちゃんは真希を鏡に戻したりできないはず。
真希の負け。
ひとりだけ助かってなんか、いない。ふたりとも。
生きていたんだ。
『まさか』
突然響いてきた声に身体が、ぴくっ、と動いた。
真希、…起きてたの?
『ちょっと前からね。なっちが「負けた」とか考えたあたりからかな』
680 :
第九話:02/05/02 14:02 ID:/a6AZXUH
目が慣れて机やクローゼットの輪郭が部屋に浮かんでくる。目だけを動かして
見た壁の時計は七時を示していた。
じゃあ、夜だ。
辺りの暗さはなっちの考えを包み込む。どんなに違うって思おうとしても
「だまされた」って結末へ歩こうとしてしまう。
『私ですら脱出をあきらめるような燃えかただったんだよ。ましてや加護は』
目が見えない。脱出なんて――無理だ。
ただ責任を感じて真希を助けようとしただけ?
でもあの文献と内容が全然違っちゃう。
真希が死ぬだけじゃダメで封印する必要があったの?
でも飾ってただけって言ってた。
『なっちは肝心なことを考えていない』
そう言って真希は身体を起こした。
『放っておけば焼け死ぬような炎の中で、封印なんてする必要、どこにある?』
あっ!
681 :
第九話:02/05/02 14:03 ID:/a6AZXUH
どうどう巡りになりそうな頭の中にまた真希の声が聞こえて、なっちの中の
疑問と嫉妬の炎は小さくなり、消える。
『どうだっていいよ。今さら』
真希が立ち上がり、壁に手を触れる。明かりを点けた。
全ての黒が一瞬で白に包まれる。…これと同じこと、前にもあった。
今さら、かぁ。
そう言われちゃうともう、なっちにはなにも言えないや。
なにが真実かは結局わからないままだけど――。
真希は気にならないの?
『なにが?』
ずうっと信じてた、あの加護さんに裏切られてたのかもって。
そう話しながらなっちは、亜依ちゃんの顔を思い浮かべていた。
あの可愛い笑顔。
『だってもう。加護は死んじゃってるし』
私はくすっと笑って「その割には恩返ししようとしてたくせに」と言った。
真希も『やっと笑った』と笑い返した。
夜の駅前は人通りが多いのに、さらに冷たさを増していた。
真希の意見で軽くデザートを食べた。デザートという横文字が似合わない葛もち。
おいしいね。
『うん、おいしい』
不規則な時間に眠って不規則な時間に食べてだから、身体には悪いと思うんだけど
歯ごたえ良いし蜜も甘いしでちょっと止めるのがもったいない。
まぁね。
せっかくの旅行だし、たまにはね。
『そうそう』
683 :
第十話:02/05/02 14:05 ID:/a6AZXUH
喫茶店も静かだった。
サラリーマンの人とかOLとかがお茶でも飲んでるのかと思ったけど
そんな人達はいなくて、かえって主婦っぽい人達や大学生っぽいばっかりで
みんなそれぞれに自分の時間を楽しんでいるよう。
なっちと言えば、そんな中で音を立てずにお茶をすすったりしてる。
『静かだね』
そうだね。
どこでもきっとこうなんだろうな、と思う。なっちは知らなかったけど。
…。
真希、明日はさ。
『うん?』
起きてすぐ図書館行って調べて、お墓参り、行こう。
『いいけど、なんか気力にあふれてきたね』
うん、と私ははっきりうなづく。
ちょっと燃えてきてる。――そのために来たんだから。
684 :
第十話:02/05/02 14:06 ID:/a6AZXUH
亜依ちゃんは私達に「京都に来た目的」を聞かなかった。
起きてからそのことについて何回か考えた結果、たどり着いた結論は。
…ルール。
先祖代々、不思議な能力を持ってた亜依ちゃんの家を訪れる人は、決まって
口に出せないような用で来ていたんじゃないかと思う。
本当の用は口に出さないし、聞かなくてもわかる。
聞いてもしょうがない、行きずりの二度と会わない人だから。
ふぅ。
私達は今日の出来事で仲良しになれたと思ったのに、そう思ってたのは
なっちだけだったのかな。
改めて考えると、ただ仕事をこなしていたのかな、なんて思えてしまう。
『なるほどね』
頭に浮かぶ亜依ちゃんの笑顔を振り払う。
だからこそ。
負けて帰らないためにお墓参りに行く。目的は、果たして帰るんだ。
685 :
第十話:02/05/02 14:08 ID:/a6AZXUH
ホテルに戻ってすぐシャワーを浴び、髪をかわかし、明かりを消した。
全然眠くないけど、明日早起きするためにベッドにもぐる。
『私の経験から言うとね』
いや、と真希の言葉をさえぎった。聞かなくてもなんとなくわかる。
なっちも経験いっぱいしてるんだから。
遅くに眠ると、遅い時間にしか起きられない。
早くに眠っても、なぜか早い時間には起きられない。
『わかってるんじゃん』
真希の言葉に笑って答えた。
――だったら、いっぱい眠れたほうが良いでしょう?
『まぁそうだけど』
686 :
第十話:02/05/02 14:10 ID:/a6AZXUH
岩の上に座り、濡れないよう着物をまくって川に足をひたす。
足先に涼しくやさしい刺激。
…気持ち良い。
私は手で身体をささえながら顔をあげた。流れる汗は岩に染み、川にとける。
離れたところには着物を洗う女と、水をかけあう子供達。
空には雲が流れていた。
「んっ?」
川の中に動く影を見つけて、私はそこを蹴りあげる。
銀色に輝く川魚が宙に浮かんだところをさっと左手でつかみ、すぐ放した。
そんなことを何度か繰り返す。
二度。
三度。
四度目で視線を感じた私は、蹴りあげ先を変えた。空中を泳いだ魚は私の上には
来ないで、子供達の視線を集めたままその中心に落ちた。
背丈近くまであがる水しぶきに子供達は顔をそむける。転んだ子もいた。
転んだ子は泣きだしてしまい、私はその様子を座ったままくすくす笑って眺めてた。
――そんな夢を見た。
687 :
第十話:02/05/02 14:11 ID:/a6AZXUH
十時には図書館も開くだろう、と早めにホテルをチェックアウトした。
昨日ドアを開けたときにいた店員がフロントにいて、あのときと同じ笑顔を
見せて「お気に召しましたか」と言ってくれた。
私は「はい」と答えた。
真希も『そこそこ』と笑顔を見せる。
そのやりとりが小さな勇気をくれた。
「あのっ」
「はい」
「私みたいに女の子がひとりで、平日の朝とかに来ても、あの。泊まれるんですね」
ささやかな告白に対する報酬は。
「おかげさまで、こんな小さなホテルでも稼がせてもらえてます」
さっきまでと全然違う笑顔だった。
688 :
第十話:02/05/02 14:13 ID:/a6AZXUH
お墓の場所は意外と早く見つかった。
広くきれいなその図書館には鬼塚に関する本がいっぱい並んでて、その中に記述が
あった。行き方は京都の地理に詳しくない私でもわかりそうなほどにていねい。
『加護の家とは違う場所だね』
うん。
違うどころか駅をはさんで逆方向。あのふたりにもう一度会う可能性がなくなっちゃって
ほっとしたような、淋しいような感じ。
私は地図を、京都駅から鬼塚までの道のりを指でなぞった。わりと近そう。
『なんか用でもあったの? 加護? もうひとりのほう?』
そういうわけじゃないんだけど…って。
ふと気づいた。
矢口さんのときもそうだったけど、真希ってさぁ人を名前で呼ばないよね。
『やぐち?』
ほら、あの、金髪で声の高い。
『ああ、あのちっこい子ね。人間の名前なんていちいち記憶しないよ』
じゃあどうして、と聞く前に真希が答えた。
『世話になった人間は別だけどね。加護とかなっちとかさ』
――あっ。
胸をきゅっ、とつかむ心地良い痛み。…なっちも、真希の役に立ってる?
『立ってるよ』
そう言って真希はなっちの胸を叩いた。えへへ。
689 :
第十話:02/05/02 14:14 ID:/a6AZXUH
「ありがとうございました」
そのバス停で降りたのは私達だけだった。住宅街を抜けてはずれに向かって歩くと
お墓ってイメージからはちょっとずれた小さなお寺に着いた。
見上げて思った。
『結構新しくない?』
そうだね。
明らかに千年もたってない、割と最近建てられたような白さ。真希にゆかりの地に
建てられたりしてるのかも知れないけど、これじゃわからないなぁ。
『いや、私だけのお墓じゃないんでしょ?』
まぁ、そうなんだけど。
「失礼しまぁす…」
『そんな小さな声だったら言わなくても良いと思うんだけど』
気持ちの問題なの。
せまく開いていた門をくぐり境内に入る。あんまり手入れされていない庭を抜けると
いくつか並んだ墓石が見えた。私は大きく息を吸って、吐いた。
着いたんだ。
この中に「魔鬼」って書かれたお墓が。
『あるのかねぇ。それよりなっち、気づいてる?』
690 :
第十話:02/05/02 14:16 ID:/a6AZXUH
えっ?
『ほら』
真希が顔を向けた先には、大きな樹が一本、その横に庭石がひとつ、そしてその上に
おだんご頭がひとつだけ見えた。
「おはよう、おばちゃん」
亜依ちゃん。
「おばちゃん、夕方に来ようとすればええのに。そしたら学校帰りに来れたんや」
「どうしてここに」
来るってわかったの、と聞くのを途中でやめた。聞くまでもない。昨日と同じ。
真希だ。
「どや?」
亜依ちゃんがはにかむように笑顔をつくる。「うちの勘、よう当たるやろ?」
その顔がちょっとだけ大人びて見えた。
まるで、夢の中のように。
『まったく』
真希が笑う。なっちも笑った。もう。
全然勝てないんだから――!
『本当に違う場所なの?』
それが東京に帰ってきた真希の第一声だった。
ほら。
そう言って私はバッグをおろし看板を指さす。その動作で腕がぱきん、と鳴った。
『確かに「東京」だけど、なんかだまされてる気がする』
ふふっ。
私は伸びをする。さぁ、家に帰って怒られなきゃね。
『また怒られるのかぁ』
そう、また。しかもお父さんとかにぶたれたりするかも知れないよ?
『嫌だよ。きっと私、よけてぶち返しちゃう』
私はだめだよ、と答えて笑った。
変な感じ。これから怒られるってのになっちってばちょっとわくわくしてる。
『本当。なっちってば、変だよ』
真希も笑った。
この二日間のことを考えると、色々あった、と思う。出会ったし、経験もした。
今ならお父さんにもお母さんにも言いたいことを言えるはず。っていうか言わなきゃ。
これだけは真希に頼れない。
『まぁ、頑張ってね』
うん。
バッグを抱え直す。歩き出すと、ブーツのかかとの音が響いた。
第二部 完了
692 :
SN:02/05/02 14:27 ID:/a6AZXUH
終わり――!
もう2chで終われるとは思えなかったのでビックリです。
後悔はざくざくあるんですけどね。
プロットが甘過ぎて、最初がダラダラしすぎてたとか、
矛盾が多くて、その解決に時間取られ過ぎとか。しかもまだありそうだし。
でもまぁ。終わってしまえば可愛い作品です。
読んでくださったみなさん、ありがとです。
長々とつきあわせちゃって&つきあってくれて申し訳ないです。
ありがとう( ● ^ ー ^ ● )なっちもありがとう。
今、は続き書く気まんまんです。
書くとしたら m-seek だけど。
とりあえずスレ違い荒らしはこれで消えますんで。
うわぁ こんな時間に…
脱稿 お疲れさまです
飼育のほうも付いて行きますんで
がんばってくださいませ
お疲れ様でした。SNさんありがとう。
新宿なっちさん、二部簡潔乙〜。
まだ続きがあると言うことで安心しています。
粘着に負けずによく頑張った!感動した!
お疲れ様でしたぁ〜!新宿(●´ー`)さんありがとぉ♪
もう読めないかと思ってた。。うれっしぃっす。
飼育で始める時、このスレ残ってたら教えてくださいね。
楽しみにしてます。
なっちありがとう(●´ー`●)
ありがとう
続き楽しみにしてるよ
>>692 お疲れ様でした。
個人的にはseekではなくて2chか(狩)あたりで続けていただけると嬉しいのですが。seekだとツールで読めないので。
ま、一読者の我儘ですので黙殺してくださって結構です。
seekの板ヒントほしいなー
いや、さがすけどね
いいストーリーだったよ。
オリコン発表まで保全
703 :
(○´ー`○) :02/05/08 00:35 ID:9tj5KRkz
(●´ー`●)
最初は穏和な態度をとっていて安倍ヲタにも後藤のCDを買わせようとし向けた後藤ヲタ
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1020736330/n53 53 : :02/05/08 00:06 ID:HJbk2vq9
全然あせってなんかないよ
だって後藤がサヤカに勝つのは100%だから
問題はどれくらいの差をつけて勝つかってことだ
ナンバーワンアイドルの実力見せつけるためにも、倍の売上は欲しい
初動で相手が10万なら、後藤の目標は20万
相手は人気のなさをごまかすため、会社ぐるみでCD買い上げて売上伸ばしてくるかもしれないから、念には念を入れてちゃんと買えと言っただけ
それに安倍はユニットないんだし、ファンは金あまってるでしょう
後藤ファンをはじめ、モー娘。ファンはみんな安倍なつみソロ(脱退)を願ってる
それなのに、安倍ヲタは後藤ソロを応援しないのはおかしいと思わないかい?
しかし、本性は・・・。
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/ainotane/1020675256/870- 870 :名無し募集中。。。 :02/05/08 01:07 ID:HJbk2vq9
いい加減にしろよ、似非後藤ヲタの豚ヲタめ
ずっとユニットもソロもなく、エースから陥落して、とうとうファンまで精神的余裕がなくなったからって
後藤ヲタを装い煽りレスするなんてひねくれすぎだ、正気な人がすることじゃない
忠告しておく、お前は今一番みっともない、親を悲しませるようなことするな
わかったなら回線きってさっさと寝ろ
「あせってなんかないよ」といいながらあせりまくりの後藤ヲタの一例でした。
保全
娘。関係の板は最近来たばっかりで、小説読むのもこれが初めてなんですが
SNさん最高。面白かったです。途中、泣きそうになりました。
ちゃんと、ごっちんやなっち、あいぼんのキャラが出てるとこが好きです。
それに、風景や動作の描写がうまくて、映像としてすぐイメージできます。
特に真希は、思念体としての存在でしかないのに、ちゃんとそこに「いる」
様にイメージできるのがすごいです。真希超お気に入り。
続きが気になるー。頑張って下さい。
とりあえず、SNさんの他作品を読んで来ます。
SNさん公式サイトが
>>89にあります。
私は魔鬼なつみはまだ読了してないけど、TIMEやペイ=フォワードは
知ったときに何回も読みました。ペイ〜は2chでは完結しなかったので、
このサイトを見るといいと思う。
709 :
名無し募集中。。。:02/05/14 20:15 ID:wV0pKbku
ぷ
710 :
保母:02/05/16 15:06 ID:wuiciwey
保田は
全人類の母
>>710 それじゃ保田にハァハァできないじゃん(w
といいつつ保全
712 :
保母:02/05/20 03:32 ID:+bfTNHzP
保全の
母
脱稿されたようなのでコテハンで書かせてもらいます・・・
てか、一ヶ月以上モー板着てなくて、久々に来てみたら・・・
おつかれでやす。今から残り読ませてもらいます。
心の底が
オツカレーション
sage
715 :
:02/05/27 17:57 ID:+bmHI6AS
ho
いつの間にか
オワッテタ ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━ !!
ヒサブリです。
「あたしの声、」以来、永い間2chで楽しませていただいて
どうもありがとう(●´ー`●)
次回よりM-Seekに移られるそうですが、
そちらにも楽しみに憑いていきますので
がんばってください。
ほんとお疲れ様でした。
彼女ともお幸せに。
>>713 おお、君もヒサブリだね。
元気にしてる?
16歳女子高生、いつでも交換キボンヌだよん。
スレ違い&馴れ合い失礼。
保全
保全
hozen
723 :
ねこまんま氏:02/06/10 09:22 ID:XOlEohzR
・・・・・・・・・・・・・(汁)
あげ荒らしキター
725 :
SN:02/06/12 21:16 ID:ZzhgiZYy
まだあったんだね…。
って事はやっぱり「手を握って〜」はパクリだったのかしら?
ここ読んで迷ったけどやっぱり m-seek に書く事にしました。
更新頻度が1ヶ月に1度とか2ヶ月に1度とかになりそうなんで。
(今日は留守なんでこっそり繋ぎに来てますが)
ちなみにココです。よろしければ読んでください。
新・魔鬼なつみ(←またこんなタイトルです)
http://m-seek.on.arena.ne.jp/cgi-bin/read.cgi?dir=snow&thp=1023882353&ls=25 ちなみに今回はとんでもなく厨房っぽい事をしてます。でも怒られたら
あっさり(そこだけ)変えます。根性無しなんで。
色々お礼。
人気投票でこの作品に入れてくれた人、ありがとう(●´ー`●)
さらに1位にしてくれた人、もっとありがとう(●´ー`●)
出だしを古文調にしてくれた人、ありがとう(●´ー`●)
ぼさんとどさん、なれあいありがとう(●´ー`●)
SUNSUN39号、感動をありがとう(●´ー`●)
読んでくれた皆さんありがとう(●´ー`●)
後藤真希ありがとう(●´ー`●)
なっちありがとう(●´ー`●)
SNさんありがとう(●´ー`●)
>>725 連絡どうもです
待てば海路の日和あり
日本のことわざってほんとだね
728 :
名無娘。:02/06/14 22:44 ID:ZM7IZCDY
今日ペイフォワード(映画)見たんですけど。
正直辻版のほうがおもしろいですね。
>>725 今まで2chモ板で楽しませていただいて、ありがとう(●´ー`●)
今後はseekで続けていただけるようで、ありがとう(●´ー`●)
馴れ合いごめんなさい(●´へ`●)
今度からはあちらでレスさせていただきます。
SNさんホントにありがとう(●´ー`●)
exit musicはエマニエル夫人の・・・
>>725 たまにしかネットにつなげなくなって、
唯一モー板で見てたのがこのスレでした。
本当にオツカレーション。
そして、最後の馴れ合いを許してください。
>ど
あのスレはもう・・・?
では、俺もseekに移ります。ってもう先にseekにレスしてきたんだけど(w
ここはもう終り?