「っ、あぁああぁ!!!」
少年は、声を上げながら、目の前の魔物達への群れへと切り込んでいった。
だって……こんなの! 見過ごせる訳が無いじゃないか! 例え相手の方が強くて、まるで相手になら
ないとしても、こんなのは絶対に見過ごせない!
そんな強い想いを胸にしながら、彼は手元の剣に全身全霊の力を込めると、勢い良く相手に斬りか
かってゆく。
だが、彼が今、相対している魔物は、彼自身の力量と比べれば、相当に強い。
彼がそんな風に渾身の力を込めて斬りかかったところで、相手に対して、全く刃が立つ筈も無かった。
彼の剣は、目の前の魔物をほんの少しかすめたたけで、いとも容易くかわされていた。
……あなたのお父様はね、それはとても勇敢な勇者だったんだから。
相手がどんなに強い敵だったとしても勇敢に立ち向かっていったわ……
少年は、自分の母が父の話をする時にいつも誇らしげに語っていた、その言葉をふいに思い出した。
そうなのだ。自分は、高名あの勇者の息子なのだ。
だからこそ、こんなところで、こんな奴等に負ける訳になど、絶対にいかない!
その思いを新たににすると、少年は目の前に立ちふさがり、圧倒的な強さを誇っているかのような魔
物へと再び斬りかかっていく。
「あー、やっぱり、逃げるっていう選択肢は無いわけね」
先程より、少年が再び魔物へと斬りかかっていく様子を間近に見ていた、その連れ添いの青年は、
自らの額に手をあてると、天を仰ぐようにして、小さな声でそう言いながら、ため息をついた。
まあ、コイツの性格を考えたら、逃げるなんてことする筈も無いし。
そんなことは、解りきっていたのだけれども。
彼は、そう思いながら、すぐに少年をサポートできるように、体勢を整える。
恐らく今、自分に出来ることは、少年の体力回復へのサポートに努めることだろう。
自分を含めて、今、不運にも、この場に一緒に同行している奴等のメンツを考えればそんなところだ。
本来なら、今、自分と一緒に同行している僧侶殿の回復魔道も頼りにさせてもらいたいところだが、
彼には、今、その槍術で、魔物へと直接攻撃を仕掛けてもらわないと、埒があかない。
おまけに……彼の隣に横たわる小さな魔法使いの少年に至っては、この強大な敵に遭遇した瞬間
に、気を失ってしまっている。
それについては、魔法使いの少年の普段からの心根の優しさと繊細な性格を考えれば、無理の無い
事だとは思う。
問題は、先程、偶然にも遭遇したこの強敵に対して、無謀にも切り込んでいった、血気盛んな、うちの
小さな勇者様にあるのだ。
商人を生業としているその連れ添いの青年は、かつて大盗賊団に憧れていた故に、それなりの修練
を積んでいるしなやかな身のこなしで、勇者の少年の傍へと移動しながら、回復薬の瓶を手にした。
恐らく、魔物からの攻撃をもう一度、まともに受けたら、彼の体力はもう、持たない。
全く、これ……使う度にどんだけの出費になると思ってるんだよ!!
彼は、そう思いながら、回復薬を勇者の少年へと与えるタイミングを計る。
もちろん、彼自身も魔物からの攻撃を受けつつではあったが、その影響力が最大限に及ばないように
しながらである。
彼がタイミングを計っていた、その短い間にも、魔物達からの猛攻は止まない。
特に最初の獲物を勇者の少年へと定めた所為か、魔物達の彼への攻撃は、徐々に熾烈を極めてい
く。
「いっ……痛ぅっ、う……ああっ!! なんでアンタがここに来たんだ! いいから下がってろよ!」
魔物達からの攻撃を除けることだけで、精一杯だった為に、商人の青年が魔物の猛攻を掻い潜っ
て、自らの傍に来ていたことに、今になって、ようやく気付いた勇者の少年は、青年に向かって、そう
言い放った。
「馬鹿言ってんじゃないよ!
俺がサポートに入らなかったら、お前、自分の命だって危ない状況だろう!」
商人の青年が自らのことを想って言ってくれたその言葉を勇者の少年は、その場で素直に受け止め
る事は出来なかった。
自分の所為で、この青年さえも一緒に窮地に追いやるようなことはしたく無かったのだ。
それに、彼には、気を失ったままの魔法使いの少年だけでも護ってほしいと思っていたからだ。
「うるさいよ! 魔物は俺が引きつけるから、アンタは、彼を護れ!!」
勇者の少年は、商人の青年に対して、言い捨てるようにそう言うと、自らの剣を必死に振りかざし、魔
物達の攻撃を除けながら、折角、青年が危険を掻い潜って、近くにまで来ていたというにもかかわら
ず、逆に少しずつ、二人の間の距離を空けていく。
そのために、勇者の少年は仲間から再び少しずつ離れていくような形になり、たった一人で、無数の
魔物達に取り囲まれるような状況になりつつあった。
「全く、こんな状況で、なんで闘いを挑むんだよ!
僧侶殿! 頼む! 奴等への直接攻撃を最優先にしてくれ!
俺が、しっかりとアイツのサポートにまわれるように、フォローを頼む!」
「言われなくともそうするさ!」
僧侶の青年は、そう言うと、素早い身のこなしで、自らが手にしている鉄槍を携えたまま、勇者の少
年の元へと、小さな魔物の群れをなぎ倒しながら駆けていく。
「っ、あ!!」
「勇者殿! 一度、下がりなさい!
奴等に本気で闘いを挑むのは、君がしっかりと体力を回復にしてからにしてくれ!」
ほんのわずかの間に魔物からの一斉攻撃を何度となく受けて、あちこちに切り傷を作りながら、再び
小さな悲鳴をあげた勇者の少年に対し、僧侶の青年は、そう強く声をかけた。
それから、強大な魔物に伴するように群れている小さな魔物共をもう一度、なぎ倒すように、手元の
槍を一気に振るう。
「ありがとう……でも、俺は、勇者である俺の名にかけて、ここで引き下がる訳にはいかないんだ!」
勇者の少年は、自分の頬にはしった傷から流れていた血を拭い、ほんの少しだけ、微笑むような表情
を見せながらそう言うと、その魔物の群れの首領であろう、一際大きな体躯の魔物へと向かって、再
び駈け出し、てゆき、一気に剣を振るう。
それとほぼ同時に、勇者の少年の繰り出した剣に追走するかのように、僧侶の青年が繰り出してい
た鉄槍が、大きな魔物の額を捉えた。
そして、その次の瞬間、鉄槍が大きな音をたてて魔物を貫くと同時に、魔物が断末魔の叫び声を上
げながら、崩れ落ちるように消えてゆく。
それにあわせて、群れを成していた、小さな魔物達もその場から瞬時に消えていった。
「……ほらね……俺にだって……コイツらを倒せたじゃないか……」
勇者の少年は、魔物達が消えてゆく突然の有様を目の前で見つめながら、その場に崩れ落ちるよう
に自らの両膝を地面へとついた。
それから、彼は、そのまま張りつめていた意識を急に手放すようにして、その場へと倒れ込んだ。
「おい!」
「勇者殿!」
商人の青年と僧侶の青年の二人がそれぞれに駆けつけながら、勇者の少年に呼びかけたにもかか
わらず、その呼びかけにも、全く応じること無く、勇者の少年は、その場で、完全に意識を失っていた。
「勇者殿の無鉄砲のお陰で偶然にも、魔物の急所を捉えて一撃で仕留めたから良かったものの……
これから先が思いやられるな……」
「ああ……」
青年二人は、その場で意識を失ったままの勇者の少年を見つめながら、それでも、当分こいつを放っ
ておけそうには無いなという表情で溜息をついた。
それから、互いが同じ表情をしていたことに気が付くと、今までの双方の苦労をねぎらうように、少々
複雑な表情で自然と笑みを交わしていた。
そして、二人の青年は、それぞれに、この仲間もとい、メンツとの旅は、まだ当分の間、続くことになり
そうだな……などと思いながら、魔物も去り、ただ、ただ蒼く晴れわたっている空と、この先の旅路のへ
と続く路の行方を仰くようにして見ていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
貴重なスペースありがとうございました。
舞.台「晩you記」より非当番×佐治(非当番→佐治?)
等位の舞が綺麗だったので、老欄族では舞を教えるんじゃないかという妄想。
短い上にエロ無しで拙い文です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
一度だけ、佐治の舞を見たことがある。月の綺麗な夜だった。
いつものように二人きりで晩酌をしていた際の事、その日の佐治は珍しく酔っていて、気分を良くしたのだろうか、
普段は身の上の話を一切しないあいつが、人殺し以外の特技を教えてくれた。
老欄族では、見目麗しい者にのみ舞を教えるという。
冗談半分で佐治の舞がみてみたいと言った。
それは佐治に向けた言葉ではなく、行き場を必要としない独り言のつもりだったのだが、
佐治は普段通りの笑みで頷き、見せてあげようかと立ち上がった。
その刹那、先程までの締まりのない笑みは消え、そこにあったのは匂い立つような色香を孕んだ微笑。
俺は佐治が普段決して見せる事のないその表情に胸が高鳴るのを感じた。
聴き馴染みのない異国の歌を口ずさみながら、それに合わせて舞う佐治。
海風に煽られてたなびく漆黒の長髪が月明かりを受けて輝いている。
今まで見たどの踊り女より美しく、そして激しく、時に切ない舞は、俺の心を捕らえて離さなかった。
瞬きをする事さえ惜しまれるような美しさに息を飲む。
何処か別の世界に連れて行かれたような錯覚に陥り、目眩がした。
「んー、この先はもう覚えていないなあ…って、君、大丈夫?」
佐治が舞を中断してもなお、俺の意識は別世界にあった。
佐治に頬を叩かれ(しかも結構強い力で)、辛うじて己を取り戻す。
「見惚れるでしょ、僕の舞。これで男を惑わして、その隙に殺すんだ。」
そう言われて、今度こそ夢から覚めたような気がした。
そうか、これも殺しの技なのか。
確かにあの舞を見ている最中、心と身体が乖離したような感覚に襲われた。
その隙をつかれたら、抵抗らしい抵抗は出来ないだろうと思う。
寧ろ心此処に非ずといった状態のまま、夢心地の中で三途の川を渡ってしまいそうだ。
「あ、そうだ、良いこと教えてあげるよ。僕の舞を見た者は、世界中で君一人だけなんだ。光栄でしょ?」
「え?」
「僕の舞を見た者達は、今のところ全員冥府送りにしてるからね。」
「…」
聞いて、唖然としている俺の何が面白かったのか、腹を抱えて大笑いしている佐治。
こら、人を指差すんじゃない。
「あー、君は本当に面白いねえ。」
「…からかっているのか。」
「あはは、うーん、今宵は月が綺麗だ。僕の舞を見ても明日を迎えられる幸運な君に、もう一つ僕の特技を教えてあげるよ。」
言うが早いか佐治は俺の顔を突然引き寄せて、唇を重ね合わせた。
しかし唇はすぐに離され、眼前にあったのは、勝ち誇ったような満面の笑みを浮かべた佐治。
驚きのあまり硬直している俺に気を良くしたのか、佐治はくつくつと笑いながら、俺の耳元に囁き、その場を立ち去った。
『今度君にも教えてあげるよ、房術ってやつをさ。勿論、実践でね。』
房術を教える…。
酒に思考回路を侵されていた為か、将又、先程の接吻に動揺していた為か、幾度反芻しても、咀嚼する事のできないその言葉。
しかし自室に戻り、冷えた寝台に横たわった途端、突然酔いが冷めて、思考が正常に働き始めた。
房術を教えてもらうという事は、佐治とそういう行為に及ぶという事じゃないか!
それを理解してしまったら、ああ悲しきかな、男の性。
脳裏に浮かぶのは佐治の霰もない姿。
親友相手に何て下卑た妄想をしているんだけしからんと己を叱責しようとも、佐治の舞の美しさと唇の柔らかさとが忘れられず、ただでさえ短い夜を悶々としながらやり過ごし、結局寝つく事ができなかった。
「いや、でもあのときの佐治の舞は本当に美しくてな、雲一つない夜空に煌々と輝く月でさえも引き立て役でしかなかったよ。」
「あーそうなんですかー…。」
「ああ。あ、そうそう、その後日談で、房術の話なんだがな、初めてのときは佐治が…」
「(酒飲むといつも佐治さんとの惚気話し出すんだから、この人は…。助けて六ちゃん…。)」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
文を書く事に慣れていない&初投稿なので、読み辛い箇所が多々あると思いますが、
目を瞑って頂けると幸いですw
お目汚し失礼致しました。
ここまで読んで下さって有難う御座います!
ある意味すげーな。
盾さんと仁志村さんと佐治、基本的には顔おんなじなんだよw
だのに全然受ける印象が違う。
COD:MW2よりダブル大尉とジャンプ力皆無の軍曹の小話お送りします
まさかの洋ゲーで失礼
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
有り得ないものを見た。
収容者627と対面したマクタビッシュ大尉の表情は、強いて言うならばそんな風だった。
ここまで驚いている様をローチは今まで見たことがない。
リオデジャネイロでローチが九死に一生を得た時も、声こそは若干動揺していた風に思えたが、ここまで素には戻っていなかっただろう。
だからこ彼は驚いていた。
マクタビッシュ大尉をここまで驚かせた囚人番号627と呼ばれる男に。
「こちらシックスフォー、ブラボーシックスを回収した。繰り返す―――」
殴られた左頬が痛い。
未だにジンジンと痛みを訴える頬を、ローチはグローブをはめたままの手で擦った。
だがしかし、グローブを嵌めたままの手で触れた箇所は想像以上に刺激に敏感になっていて、触れるなり痛みを訴えてきた。幸いにも呻くことはしなかったが。
何とはなしに外を見る。
つい数分前まで自分達がいた建物が、黒い煙に包まれ崩れ落ちていた。
――あれじゃあ、歴史もへったくれもあったもんじゃないな。
追い討ちをかけるようにことごとく破壊されていく様を見ているのは、あまり気持ちの良いものではなかった。
ヘリに引き上げられてから、機内に通信以外の言葉はほとんど飛び交っていない。
最初こそ、マクタビッシュ大尉と、彼の向かいに座った収容者627――大尉は彼をプライスと呼び、プライスは大尉をソープと呼んでいた――がここ数年の内に起こった事や、現状についていくつか話しこんでいたが、それも今はない。
ちら、とローチは横に座るプライスを見た。
濃い青のニット帽に同じ色のジャケットを羽織った姿は、端から見ればどこにでもいそうな中年にも思える。
だが彼の窶れた顔や、それでも射抜かんばかりに強い視線――銃口と同時に直に向けられたから特に記憶に残っている――からは壮絶な虜囚生活を送ってきたであろう事がまざまざと感じ取れた。
一体どういう事情であんな場所に収監されていたのか。
疑問と、それと同じくらい興味は尽きなかった。
察するに、というよりは間違いなく、大尉とプライスは旧知の間柄なのだろう。
あんな所に収監されていたくらいだ。SAS時代の上司あたりなのかもしれない。…だとすると、5年前のテロ未遂事件に関係があるのだろうか。
プライスの動きは全てにおいて小慣れていた。
壁を破って突入した時だってそうだ。
突入し、銃を構えたローチが見たのは、自力で外した枷の鎖をロシア兵に巻き付けるプライスの勇姿とも言えよう姿だった。
一体誰がそんな状況を想像できただろうか。マクタビッシュ大尉やゴーストに比べると、まだひよっこと言っても過言ではないローチが、呆然としなかったのが奇跡とも言えた。
そして、兵を逆に盾にしたプライスが行った行動は…皆まで言う必要はないだろう。
あの時の衝撃を思い出し、ローチは顔を顰めた。と、同時に痛みが走った。
ひきつった頬が痛い。とにかく痛い。
間違いなく腫れるな、と確信した。
「どうかしたか?」
いつの間にか露骨に見ていたのか、プライスがこちらを見た。
その表情からは不快さなどは窺えなかったが、それでも観察するように見られるのはどうしたって気持ちの良いものではないだろう。
いいえ、とローチは曖昧な返事をすると慌てて顔を背けた。
が、今度は逆にプライスの観察するような目線が突き刺さる。
無視しようかと考えたが、それにしては露骨すぎる視線に居た堪れなくなりローチはプライスを見た。
「俺に何か…?」
「…いや、その顔――」
「ああ、それか」
二人のぎこちないやり取りに、見かねたのかマクタビッシュ大尉が入り込んでくる。
ローチをーーというよりは、彼の頬を見たまま。
「腫れるだろうな」
「でしょうね」
文字通り他人事のように言われる。
殴られた本人がよく分かっている分、いざ明言されるとどこか溜息も吐きたくなった。
「悪かったな」
プライスが言う。
「敵か味方か分からん状況だったからな。手加減無しで本気で殴った」
「本気で…」
プライスの言葉に何か思い出すことがあるのか、マクタビッシュ大尉が呟くと同時に僅かに頬を引き吊らせた。
何を思い返しているのか気にはなったが、それ以上に自分自身の体が心配でならない。
――骨がやられてなければいいが・・・。
口には出さずにローチは内心ぼやく。
冷気を多分に含んだ風が、頬をかすめる。
気持ち程度でも良い、痛みを遠退かせてほしいと思いながら、ローチは今度こそ盛大に溜息を吐いた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
突っ込みどころ満載ですがご容赦下さい
まだまだ書きたい話あるけど軍関係の知識がほとんどないのが辛い
浄化ー。あす可+駆動、4班の面々。おまけから出来てしまいました。
エロなし。ちょっと中の人ネタあり。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
夏の終わりにここを去った。今は秋も終りかけている。
あれほど暑い夏は113年はなかったという。
そのせいか、それほど時間が経ったわけではないのに、ずいぶんと久しぶりな気がした。
東京より風を感じる。海からの風。ちょっと肌寒いが、心地よかった。
「盾は今、検察に行っている。しばらく戻らないと思うが・・・。」
「あ、近くまで来たので寄っただけですから。用とかあるわけじゃないので。」
「そうか?」
久流須から盾がいないと聞いて、肩から力が抜けた。その方がいい、と思う自分が情けなかった。
皆さんでどうぞ、と持参したお菓子を差し出す。
加奈河の他の署だったが、捜査資料を返還するのに使いに出され、
今日は直帰していいと言われていた。
あす可の希望通りに加奈河県警本部に配属した結果、起こってしまったことの余りの事に
急いで警察庁に戻されたが、下っ端のそのまた下っ端で、言われた事以外は一切させてもらえない。
二言目には、「勝手な事はするな!」だ。
厳しく縛られ、盾の優しくも厳しい目で見守られながら自主性を尊重というか放任されていたのとは、
大違いだった。
来年の異動時期になったら、遠くに転属されてしまうかもしれない。
今は我慢する所だと自分を戒めるのだが、元来の性格から爆発寸前だ。
「むかつくー!」と叫んで酒でも飲んでしまいたいところだが、
今それをやったら遅刻では済みそうもない。
「それが、近頃久流須さんが“ウザい”って言わなくなって。」と、驫木が声を潜める。
「そうそう、なんか物足りないんだよな。」と彫っ田も同調して、あす可にこっそり言った。
「そんな、ありえない。」三人は真面目な顔して額をつき合わせ、それからぷぷっと噴出した。
久流須の周辺が低温になったのが感じられ、笑いをこらえるのが苦しい。
そろそろ退散しないと。「じゃ、失礼します。」と4班の面々に一礼して部屋を出ようとした。
「美弥木、駆動ならいるぞ。」駆動に会わずに帰ろうとしたのを見透かされたらしい。
久流須にそう声をかけられて、あす可は観念して頭を下げた。
「あす可ちゃん!!」駆動は満面の笑顔で迎えてくれた。
「ちゅーしてくれる気になった?」
「なりません。」とぴしゃりと言った後、あす可も微笑みかえした。
「元気そうですね。傷は痛みませんか?」
「相変わらずだねー。うん、大丈夫。あ、そうだ、お菓子あるから食べて!」
「え、いいですよー。」
「疲れている時には、甘いものね。」
ここでも見透かされているな、と思った。
居た期間は短くても、ここはあす可の“古巣”という感じがして、嬉しさと寂しさが同時に押し寄せた。
「てか、なんで笹だんご?」
「盾さんの二井潟みやげ。出張行ってたんだよ。」
ビーカーに緑茶の緑が映えるが、持つには少々熱い。
笹だんごは冷凍してあって、駆動がレンジでチンしてくれた。
ここのレンジは試料を加工したりするためにあるようだが、すっかり駆動の食べ物あたために使用されている。
「冷凍してもチンすればおいしいけど、さめると固くなるからね。」
よもぎの香りが濃厚に鼻腔にくる。
「二井潟に出張?」あつあつのあんこをほおばりながら、訊ねた。
「うん。エイPECあったでしょ。」
エイPECの警備になんであの、いかにも格闘出来ませんって感じの盾さんが?
駆動には、あす可の疑問が手に取るようにわかったらしい。
笑いながら、「中国語出来るから呼ばれたんだって。」と教えてくれた。
「えーと、北京語に上海語に広東語にあとなんだっけ、四種類くらい出来るんだって。」
「え、すごい!」
「第二外国語に選択していて、留学生やバイト先の中国人に教えてもらったそうだけど、すごいよね。
前に加奈河県警に居た人が今二井潟県警の警備のお偉いさんで、頼まれたんだってさ。
エイPEC対策課同士は協力しているらしいけど、盾さんは特別に。」
盾を見神の事件から遠ざけたい思惑もあったと思うが、あちらからの要望ということになっている。
「でも、二井潟なら中国語の通訳の人は結構いるんじゃないですか?」
「いま日本と中国って、ぴりぴりしてるじゃない?
それで、ひとりでも多く警察官で中国語のわかる人間が欲しかったみたいだよ。」
「あー、なるほど。」
「人に言っちゃだめだよ。盾さんが中国語出来るのはうちの隠し玉なんだからね。
あす可ちゃんがここに居た頃は、中国人絡みの事件がなかったから知らなかっただろうけど、
盾さんは中国人の被疑者の取調べや参考人の事情聴取の通訳をする訳じゃない。」
「マジックミラーの後ろから見ているんですね。」
「そう。」
と、駆動はニヤリとする。エンジンかかってきたじゃない、あす可ちゃん。
語学力に盾の洞察力が加わって、見えてくるものがあるのだ。
見神が逮捕された後、両親に詳しい説明が出来ないのが、あす可にはもどかしかった。
犯人はわかったが、見神は肝心の奈津木殺害の動機については供述していない。
“紙隠し”につながる一切は表に出ていないし、あす可も、くれぐれも自重するように、と言われた。
そして、奈津木の事件を調べていた元同僚がそれが原因で殺されたのは、両親にショックを与えていた。
それで様子を見に実家に戻った時のことだ。
「もしかしたら、と思って。」
と、母が数冊のポケットアルバムを出して来た。
それは、兄奈津木の葬儀の時の写真だった。
「業者さんが撮ってくれたんだけど、ろくに見てなかったわね。」
「どうして、今頃?」
「佐衛子さんて方、奈津木の同僚だったっていうから、お参りに来てくれていたかも。」
「そっか・・・。」
二人で探すと、佐衛子に盾に伊図津や久流須も来ていてくれた。
さすがに見神は写っていなかったので、あす可はほっとした。
母も、この中に見神がいたら傷つくだろう。
佐衛子を示すと、母は静かに泣き出した。
警察関係の香典は、捜査一課一同とか同期一同とかになっていたのでいままで気に留めていなかったが、
あす可が一杯一杯で覚えていなかっただけで、配属された日が初対面ではなかったのだ。
写真の中の5年前の盾は、同じような黒いネクタイとスーツの人達の中では華奢で目立った。
当たり前だけど、なで肩は変わらない。
盾さん、盾さん、盾さん。
大好き。
恋でも兄さんの代わりでもないけれど、大好き。
もっと側に居たかった。
側に居て、一緒に仕事したかった。
もっともっと、いろんなこと教えてもらいたかった。
母の肩を抱きながら、あす可は必死になって涙をこらえた。
いつまでも頼ってちゃだめ。
自分には自分の、貫きたい正義がある。
「あたしも、中国語習ってみようかな。」
「あー、それいいかも。事件を起こすだけじゃなく、巻き込まれる人も多いし、きっと役に立つと思うよ。」
「そうですね。」
外国人犯罪は、全国的に増えている。
言葉の壁に加えて、犯人引渡し協定を結んでいない国が多いのも頭の痛い問題だし、予算も足りない。
盾の背中は、今でもあす可にいろんなことを教えてくれる。
あす可は笑顔を駆動に向け、力強く言った。
「じゃあ、駆動さん、また。」
「うん。またね、あす可ちゃん。」
「で、久流須さんが、あす可ちゃんにオレんとこ寄るよう言ってくれたわけ?」
「なんだかいまひとつ元気ないように見えたし、俺らよりおまえと仲良かったろ?」
「他意はなかった?」
「おまえと美弥木がくっつけばいい、とか?」
「うん、そういうの。」
「まあ、思わないでもないが、美弥木は相手にしないだろ?」
「結果、あす可ちゃんは元気になって帰っていったし、オレ、盾さんのこと諦めてないからいいけどね。」
「ちゅーしては?」
「あれは挨拶。」
「ほー。」
あす可が帰った後、捜査一課の廊下で、久流須と駆動の冷たい会話がかわされたという。
盾は自分の席で腕組みし、机の上のあす可の手土産のお菓子を長いこと見ていた。
庶務の女の子が、お茶淹れましょうか?と気を利かしてくれたが、明日食べるからと断った。
甘いもの好きでも、さっと口にしてしまうことは出来なかった。
珍しく捜査一課に残っている人間が少ない日だったが、明日からはそうもいかないだろう。
二井潟のエイPECが終って、余湖浜のエイPECもまもなく開催される。盾は連続だ。
今だけ、と思って、取り留めのないことを考える。
久流須は盾に、両親の事件の調書のことをそういう時期になったら見れるだろう、と言ったが、
あす可も時期がくるまで、もう盾には会ってくれないのだろうか。
亡くなった親友の妹。負い目はいっぱいある。兄の代わりにはなれなかった。
刑事として、あす可にどれほどのことを教えてやれただろうか。
中途半端な時期に警察庁に戻され、居場所がないはめになっていないだろうか。
「駆動のところに寄って、少し元気出たみたいだぞ。」
と教えてもらったが、今の盾には、あす可の強い正義感を信じてやることしか出来ない。
「久流須ー、お願いがあるんだけど。」
「なんだ。」
「いちごミルク飲みたい。」
「それは俺に作れってことだよな。」
「だめ?」
「とちおとめ、とよのか、あまおう、・・・なにがいいんだ?」
いちごの品種、調べていてくれたのか。盾の口元が微かにほころんだ。
「いちごは、その時期手に入る新鮮なものなら、なんでもいいんだ。」
「そうなのか?」
「そのかわり、牛乳は低温殺菌がいいな。」
「低温殺菌。」
そっちがポイントだったのか。
「買い物して帰るか。」
「うん。」
大丈夫。あす可を信じよう。彼女を信じることが、彼女の力になるように、と盾は願った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
盾・あす可・駆動のトリオが大好きでした。
もし続編があっても、このトリオの復活は難しいですよね・・・。
>>227 まさかここでこのゲームの話を読めるとは…!
ありがとう!
自分もちょっと頑張ってみるよ
>>230 その後キテター!!
クルと鑑識の盾さん取り合い
火花バチバチが大好きすぎだー
明日科ちゃんもかわええ!
和みました。ありがとー
盾さんのクルへの甘えっぷりがたまらん。
ごちでした!
NSKDくんとSKIさん ナマ注意
浄化が好きすぎて抜け出せなくて日曜美を見たらナマ妄想に至ってしまいました。
やまもおちもいみもNeee!な自己満足投下ですみません。
NSKD目線。口調が駆動っぽいのは浄化仕様ってことでひとつ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
浄化というドラマでSKIさんと共演することになった。
一緒に仕事をするようになって、いろんなインタビューとかでそういった話は聞いていたけれど
SKIさんの台本の読みこみ方とか演技への半端ないこだわりを実際目の当たりにして驚いた。
この人は本当に役柄研究に余念がない。
自身の役だけでなく周りの役柄のことにも想像を広げて研究している。
素直にすごいと思った。
そしてSKIさんの出演作・・映画やドラマ、DVD化されている舞台とかをアレコレ見始め、撮影が
中盤にさしかかる頃には一通り見終わり、俺はすっかりSKIさんファンになってしまった。
インタビューで「好きです」とか言っちゃうくらい。あ、ちょっと話ずれた。
数ある出演作の中で役柄研究に余念のないSKIさんはどう研究をしたんだろう?と興味を持った
作品がひとつあった。
日曜美という舞台。
SKIさんはゲイの青年を演じている。まず一般的な成人男子には縁のない世界にいる人間。
人前で叫ぶのは勇気が要りそうな結構キワドイ台詞とかもあって驚いた。
自分がこの役を演じるとしたら・・とか勝手に想像を巡らせてみたが。
俺がANさんに台詞で「チューして♪」とか言っちゃうのとはワケが違う・・と思うし。
どう作りこむんだろう。すごく気になる。
とはいえ、ゲイの役ってどうやって研究したんスか?なんてさすがに正面きって聞けないし。
そんな悶々とした疑問を抱えながら撮影は進んでいった。
そしてある日、抱えた疑問を解決するチャンスは突然訪れた。
出演者やスタッフの親睦会という名の飲み会で泥酔したSKIさんはキス魔になってしまった。
酔ったSKIさんについても噂では聞いていたけど・・すごいね。
男女構わずちゅーを迫る迫る。それは楽しそうに。
酔うとどんどん楽しくなっちゃうって話はホントらしい。
楽しい時間はあっという間に過ぎ。気がつくと俺がSKIさんを送ることにされていた。
酔っ払いに関わりたくないのは人の常か。なかば押しつけられるようにSKIさんとセットにされて
店を放り出される。
でも俺はこれ幸いとSKIさんと一緒に帰ることにした。
これは疑問を解決するチャンスだ。
が、しかし。
送ろうにも完全に酔ってて埒があかない。帰宅するための行き先すら聞き出せない。
仕方がないので俺の家で少し酔いを醒ましてもらおうとSKIさんを連れ帰ることに決定した。
***
SKIさんをリビングのソファに休ませて、その横に腰掛ける。
酒の席って流れで、ここしばらく胸につかえていた疑問を解決するチャンスだと思ったのに。
酔っぱらうのまである意味完璧っていうのも勘弁してほしい。
どうしたものかと思案しているとSKIさんが目を覚ました。まだ焦点が合ってない。
とりあえず声をかける。
「SKIさん大丈夫?ここ俺んち、送ろうと思ったんスけど行き先聞こうにも聞けない状態で」
「あー・・」
ぼんやりとした表情で、でもSKIさんは状況を把握したらしく俺に謝罪する。
「迷惑かけちゃったみたいだね・・NSKDくん、ホントごめん」
そのままクッションに突っ伏したSKIさん。
「いっすよ、もう時間も時間だし俺は全然大丈夫なんで。あ、水持ってきます?」
くぐもった返事が返ってくる。
「うん・・お願いします」
ミネラルウォーターのボトルを持って戻るとSKIさんは部屋にあるDVDに気づいたみたいで
手に取って懐かしそうに眺めていた。
「うわー懐かしいなぁ、日曜美まである。NSKDくん見てくれたんだ」
「うん、なんかSKIさんの役作りってスゴイなーって思って・・いろいろ見ました」
ずっと聞こうと思っていた例の質問をSKIさんに投げかける。
「そういえばこれってどうやって役作りしたんすか?すげー難しいと思うんですけど」
一瞬キョトンとされるが、直ぐに言葉が返ってくる。
「ゲイの役?どうなんだろうねぇ」
SKIさんは手にしている日曜美のDVDを見つめながら続ける。
「気持ちは作れても思うように動きが伴わないっていうか・・うん難しいよね」
「男同士で自然に触れ合うっていうのがさ、特に」
言われて、あるシーンを思い出す。
「あ、もしかして髪を切るシーンのとこ?」
「うん 副音声でも言われてるでしょ。あれ、だいぶ苦労したんだよ」
「へー・・SKIさんが苦戦するところってなんか想像つかね」
SKIさんを見つめながらちょっと意地悪に呟いた。
「今日とか男女問わずチュー迫ってたのに」
「お酒入ってる時は違うでしょぉ。もー」
「俺、SKIさんとチューしても多分平気っすよ」
「えーNSKDくん、なんか話変わって・・ない?」
不意に空気が、変わる。
「変わってますね・・俺もまだ酔っ払いかも」
そして唐突にSKIさんの唇を塞ぐ。不思議と抵抗はされなかった。
アルコール臭いキスをしながらふと思った。
あ、なんかゲイの人の気持ち、少しだけわかった・・かも。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ドラマアカデミー賞、受賞おめでとう。ジョンの発売が楽しみです。
>>238 生キタ♪
ほんと、どこまでゲイの世界について研究したのか問い詰めたくなるよね。
時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
>>84の話のその後です。
前回書けなかった殿仙エロを張り切ったら、内容ほぼエロで、しかもえらい長さになってしまいました。三回に分けて投下します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
道外れの青々とした竹やぶの中に、その井戸はひっそりとあった。
かたわらに土地神を祀ってあるらしい小さな祠があるのを見つけ、八坂兵四郎は柏手を鳴らした。それから井戸に下ろした桶で水を汲み、渇いた喉を潤した。
「ほう、こりゃあえらく甘露な味わいの水だ。祠まであるし、大切にされている名水なのかもしれんなあ」
ふくよかな甘味に感じ入りひとりごちると、兵四郎は再び道に戻り歩き始めた。
のどかな田園の中を歩いていると、急激に眠気に襲われた。まだ夕刻には時間があり、太陽は柔らかな光を地に注いでいた。
はて昼飯を食い過ぎたかなと兵四郎は不思議に思い、自分の頬をはたいてみたが、瞼は重くなる一方だった。
耐え切れず近くにあった水車小屋に入り込み、腰から刀を取って、腕を枕に寝転がった。
「いかんなあ、疲れてるのかなあ。それにしても、ふわぁ、ああ、眠い……」
むにゃむにゃとあくび混じりに呟くと、誘われるままに目を閉じた。
肩を優しく揺らされて目を開けた。すると寝そべった横に膝をつく、よく知った男の姿があった。
色褪せた黒い着物と袴を身に纏い、伸ばした髪を後ろで高く結い上げた、ぎょろりと光る目が印象的な面長の男。
それは間違いなく旅仲間の浪人、九慈真之介だった。
「仙石、お前か。こんな所で会うとはな」
起き上がり胡座をかいて声をかけると、真之介は何も答えず、ただ兵四郎の顔を見て笑った。それを見返した兵四郎は、ふと違和感を覚えた。
顔と姿形は間違いなく真之介だが、どこか雰囲気が違った。いつものように軽口を叩かず、やけに艶を含んだ眼差しで兵四郎を見つめていた。
目元と唇にはほんのりと朱が指し、そこから色香が漂っているように感じられ、思わず兵四郎はしばし見とれた。
愛刀をかたわらに置いた真之介は見つめる兵四郎ににじり寄り、胸の上に手を添えて微笑んだ。
「仙石?どうした……」
やはり何も言わないので、訝しく思い尋ねる口を、顔を傾けた真之介は自分の唇で塞いだ。
普段の彼からは考えられない行動に兵四郎は仰天したが、ついばむような心地よい口づけを、目を閉じて受け入れた。
唇を舌でくすぐられ口を開くと、すかさず中に滑り込ませてきた。くちゅくちゅと大胆に絡められ、兵四郎はやはり驚きつつも貪る甘い舌に応えた。
真之介は舌なめずりをして離れると、今度は兵四郎の首筋に唇を這わせた。自分が彼に施すような愛撫を逆に与えられて、兵四郎はますます困惑した。
とりあえず話をするために身体を離そうと、真之介の肩に手をかけようとした。しかし、まるで金縛りにかかったかのように手が動かない。
その間に真之介の唇は下に降りていき、袷を開いて兵四郎の胸や腹を優しく吸った。
「おい、おい仙石、ちょっと待て。お前何か、おかしくはないか……こら、待てと言うのに」
これではまるでいつもとあべこべだと、兵四郎は慌てた。しかし口は動いても、いかんせん身体が動かない。含み笑った真之介は悪戯な動きをやめず、更に淫らな行為に及んだ。
着流しの裾を割り下帯を下げられ、自身を取り出し手に握られて、兵四郎はいよいよ焦った。
「せ、仙石……真之介!どうしたんだ。お前がこんなこと、するなんて……っ!」
戸惑う叫びも意に介さず、頭を下げた真之介は手の中の兵四郎を口に含んだ。いよいよおかしい、こんな筈はないと思いながらも、濡れた口内にすっぽりと包まれるたまらぬ快楽に、兵四郎自身はあっという間に勃ち上がった。
真之介は唇と舌と喉を使い、反り返り猛るものを丁寧に舐めてしゃぶり、飲み込まんばかりに深くくわえ込んだ。頬をすぼめ頭を動かして刺激を与えながら、真之介は袴の上から自分自身にも手を伸ばし慰めているようだ。
口で兵四郎に、手で自分に愛撫を丹念に与える真之介を、極上の快感に朦朧となりながら兵四郎は眺めた。
やがて真之介の頭がせわしく動いて追い上げにかかり、兵四郎はまた慌てて咎めた。
「し、真之介っ、待たんか。そんなにしては、出ちまうぞ……おい、しんの、すけ……ん、うぅっ!」
呻くと同時に、兵四郎は真之介の口内で弾けた。
喉奥にたたき付けられた熱いほとばしりを、真之介は音を立てて美味そうに飲み込んだ。
はあはあと息を荒げる兵四郎から身を離して立ち上がると、真之介は着衣を脱ぎ捨てて一糸纏わぬ姿になった。
その褐色のしなやかな肢体はほの赤く染まり、中心は天を仰いでいた。
目を丸くする兵四郎の真正面にまた座り、半開きの唇を吸った。そして萎えたものに再び手を伸ばして扱き上げた。
達したばかりだというのに、みるみるうちにそれは隆々と頭をもたげた。
満足そうに笑う真之介は、兵四郎の上に跨がり膝をつき、熱い高ぶりを自ら秘所にあてがった。
「い、いかん!それは、駄目だろう、真之介!」
ろくに馴らしもしていないのに、怪我をするのではと兵四郎は狼狽した。
しかし後ろの口は驚くほどたやすく杭を飲み込み、ずっぷりと奥深くに収めてしまった。
真之介は絶え入るような高い声を上げ、きゅうきゅうと中のものを締め付けた。
「ああ、し、真之介……すごいぞ、なんて、熱さだ」
たまらず囁くと真之介は妖艶に笑い、腰を上下に動かし始めた。両肩に手を置き熱心に腰を振る真之介を、兵四郎は眩しそうに見つめた。
身体の上で乱れる彼を抱きしめたいと誰にともなく願うと、動かなかった腕がふいに上がった。
これ幸いと、兵四郎は真之介を力強く抱きすくめた。下から腰を打ち付けると火照る身体はびくびくと跳ね、切なく甘いあえぎを零した。
引き合うようにまた唇を重ねたふたりは、呼吸を合わせた動きで強い快楽を貪った。
「真之介、真之介……今日のお前は、大胆すぎる……だが、そんなお前もまた、たまらなくかわいいな」
耳朶をしゃぶりながら囁いてやると、真之介は兵四郎の首に回した腕に力を込めた。
兵四郎も真之介の腰を強く抱き、更に深くその身体を貫き突き上げた。
真之介の鳴き声は止まらず、湿った摩擦音とともにふたりのいる空間を満たした。
「んっ……真之介、真之介……」
「殿様、おい、殿様……」
「なんだ真之介、水臭いぞ。こんな時は、兵四郎と呼んでくれ……」
「こんな時たあ、どんな時だ。おいこら、殿様!」
起きろ!と怒鳴る声と同時に、額に強い衝撃を感じた。驚いて目を開けると眼前に、右手を挙げてしゃがんだ真之介の姿があった。
「し、真之介!?」
「……おい殿様、名前呼ぶの、やめろ」
照れたような怒ったような口調と仏頂面は、まさに見慣れたいつもの真之介だった。
叩かれて痛む額を撫でながら、兵四郎はようやく夢を見ていたのだと気が付いた。
それにしてもなんと淫らな夢だったのかと、内心でいささか恥じ入っていると、真之介がまた口を開いた。
「もうすぐ日が暮れるし、金がねえから飯も宿も諦めてここに落ち着こうと思ったら、早々と殿様が寝てやがるからびっくりしたぞ。ちょっとうなされてたから起こしたんだが、殿様、何の夢見てたんだ」
「いやあ、それがなあ……」
正直に話したら、こいつは間違いなく俺をぶん殴るだろうなあ、などとと思案していると、真之介はふいに顔を赤らめて兵四郎から逸らした。
「殿様……さてはろくでもねえ夢、見てたな」
「ん?なんでわかったんだ、仙石」
「ふん、やっぱりか。なんでって、そこ。自分でも見りゃあわかるさ」
真之介が指差す先を見つめると、着物の下から猛々しく盛り上がった股間が目に入った。
「ああー、なるほどなあ!」
「なるほどなあじゃねえだろ。全く、寝てても助平だな、殿様は」
「助平はひどいな、夢は仕方なかろう。好きで見るわけじゃないんだ。まあ、なかなかいい夢だったがな」
「……おい、話さなくっていいぞ」
「どんな夢かって、お前が訊いてきたんじゃないか、仙石。夢でもさっきと同じように、まずお前が俺を起こしてだなあ……」
「あーっ!うるさい、黙れ!そんな話、俺は聞きたかないっ」
喚いて背中を向けた真之介を、兵四郎は楽しげに見つめた。夢の中の色香溢れる彼もなかなかよかったが、耳まで真っ赤に染めて兵四郎の戯言に怒る現実の真之介は、いつも通りでやはり愛らしかった。
もっとからかってやりたくなり、近寄った兵四郎は慎之介を後ろから抱きしめた。手から刀を奪ってかたわらに置き、右の手首を取って腰に腕をしっかりと回した。
うろたえ振り返ろうとしたうなじに唇を落とすと、真之介はびくんと身体を揺らし動きを止めた。
「と、殿様……何してる!」
「何って、仙石……わからんか?」
うなじをねぶりつつ、兵四郎が腰に押し付けてきたものの固さを感じ、真之介は更に赤くなった。
「ばっ、馬鹿野郎!日も暮れねえうちから、何考えてんだっ」
「夜になればいいのか?仙石」
「……そんなこと、言ってねえ!いいからとにかく、離せ殿様」
「いや、離さん。こうしてお前に触れるのも、久しぶりだからな」
「……!」
きっぱりと言い切り髪に顔を埋めた兵四郎を、真之介は振りほどけないでいた。久しぶりに感じた兵四郎の体温は、身体に染み入るように暖かく、心地がよかった。
兵四郎は左手を手首から離し、抗いを止めた真之介の袷に差し入れた。胸をじかに撫でられ、真之介は少しのけ反った。
乳首を摘んでいじりながら、右手を袴の隙間から突っ込んで前に触れた。
「あ……っ!と、殿様、ま、待てっ」
「すまんな、待てん。あんな夢を見た後に、すぐ側にお前がいて、しかも俺はもう準備万端だ。これで待てという方が、無理だ」
「そ!そんなの、お、俺に関係、ねえだろうがっ」
「いや、ある。他ならぬお前が夢に現れて、俺をこんな風にしたのだからな」
「か、勝手なこと、抜かすな!俺のせいだとでも、言うつもりかっ」
「そうは言わんが……もったいないとは思わんか?」
「思わん!全っ然、思わん!」
「そうか?おかしいなあ。お前のものは、もうこんなに熱くなっているのに」
のらくらと口説きながら、兵四郎は真之介の身体を優しくじっくりと撫で続けた。左手は胸や腹を這い回り、右手は真之介自身を握り込んで擦り上た。下帯を引き下げてじかに触れ、先走りの露も手に取りしつこくこね回した。
真之介の身体は段々と前に傾き、あえかな鳴き声を絶えず漏らした。
「あ……はぁ、との、さまっ……いやだ、いや……あぁっ……」
「ああ、その声だ。恥ずかしそうに感じる声が、まさにお前だ。全く、たまらない……」
「な、何言って、殿様!あ、あっ、うあ、は……んんっ」
「もっと感じて、もっと鳴いてくれ。真之介……」
「う、んあっ……ああっ!だめ、駄目だ、とのさ……はぁっ」
快楽から逃れようと前に進んだ身体を、俯せに倒させてから仰向けに返した。
一旦手を離すと、袴の紐を解き一気に引き下ろした。下肢を晒され慌てる真之介を押さえ、帯を解いて着物の前を全てはだけ、下帯も剥いで取り去った。
「ばっ、馬鹿!風邪ひくだろうがっ」
「大丈夫だ。すぐに、暖かくなるさ」
「ふざけんなっ……ん、ん!ふうっ」
真っ赤になって喚く裸の真之介の両手を掴み、唇を塞いだ。夢で彼にされたように激しく貪ると、眉根を寄せて苦しそうにしながらも、舌を絡めて受け入れた。
混ざった唾液が滴るまで味わってから唇を離し、喉元を甘噛みするように口づけた。
唇でなぞり舌で舐め上げ、徐々に顔を下肢へと下ろした。
中心の繁みからそそり立って、可憐に震えているものにたどり着くと、真之介は全身を波打たせた。
兵四郎はやはり夢と同じように、深く口内にそれを迎え入れた。ねぶりくすぐって軽く歯を立てると、真之介は頭を振って悲鳴を上げた。
「と、とのさ……!あうっ、ひ、やめ……あっ、ふぁっ、あ!」
「いいや、やめない。お前のを飲み干すまで、今日はここを離さん」
「なんっ……!ばか、馬鹿っ、なに、言ってやがる……あぁ!いや、だ、あっ、や、だ、殿様ぁっ……」
両手を掴んだまま、のしかかった身体で脚を押さえ、兵四郎は口淫を施し続けた。涙を浮かべてあえぐ真之介は逃げを打とうとするものの、痺れるような快感に捕われて、身体は容易には動かなかった。
「あ……あっ!駄目だっ、殿様っ……もう、ほんとに、駄目っ……は、離し、ひ、ああっ」
「……真之介、構わんから出せ。出せば、もうしゃぶるのはおしまいにしてやる」
「あ、あっ、馬鹿!ば……かっ……ふぅあっ、あ、あーっ……」
とうとう耐え切れず、腰を浮かせた真之介は、兵四郎の口に愛液を放ち注ぎ込んだ。ごくりと喉を鳴らし、宣言通りに兵四郎は全てを飲み下した。
射精の衝撃と、吐き出したものを飲まれてしまったことへの羞恥にわななく身体を兵四郎は抱き起こし、腕に絡まっていた着物を剥ぎ取った。床に広げると真之介を俯せにし、上体を着物の上に寝かせた。
かたわらに積まれた藁を掴んで腹の下に厚めに敷くと、床に膝を着かせて腰を高く上げさせた。
兵四郎は、眼下に晒された真之介の秘所をまじまじと見つめた。絡み付く視線を感じて、真之介は我に返り非難する声を上げた。
「お、おいっ殿様!どこ見てんだっ、馬鹿!」
「真之介……もうここは、痛みはしないか?」
いたわるような優しい声音に、真之介は罵倒する言葉を飲み込んだ。
二月ほど前、かどわかし騒動に巻き込まれた真之介は、人掠い達に乱暴され犯された。危うく殺されるところを、兵四郎と仲間の鍔黒陣内に救出された。
兵四郎は医者の指示に従って看病し、真之介を完治させた。
その時、下肢も幾分か傷を負った。それをただひとり知る兵四郎は、真之介を欲しながらも容態を気にかけているのだ。
返事をしない真之介に、兵四郎は更に告げた。
「真之介、見られているからって、今更恥ずかしがることはない。お前の身体の隅々まで、俺は面倒を見たんだからな」
「ばっ……!いや、まあ、そりゃあ、あの時のこたあ、ありがたいと思っちゃいるが」
うろたえながらも改めて礼を言ってきた真之介に、兵四郎は笑った。
「いや、恩を着せるつもりはないんだ。また怪我をさせたくはないのでな、大丈夫なのかをちゃんと、確かめたいんだ」
ほとんど強引に身体を開かせておきながら、兵四郎は本気で真之介を心配していた。真之介は呆れて、少し身体から力が抜けた。
全くよくわからん男だ、だがどれもこの男の本心なんだと心中で呟いていると、しつこくまた兵四郎が訊いてきた。
「なあ、どうなんだ、真之介。ちゃんと治ったのか」
「……大丈夫だ。もう、痛みはない」
ため息混じりに返答すると、そうか、と安堵して頷いた。続いて発せられた言葉を聞いて、真之介の頭にまた血が上った。
「じゃあ、入れてみてもいいか?」
「……てめえっ、調子に乗んな!」
「そう怒るなよ。念のために訊いたんじゃないか」
「知らんっ!自分で確かめろ!」
売り言葉に買い言葉で思わず怒鳴ると、兵四郎は神妙な声で返事をしてきた。
「そうだな、わかった。確かめてみよう」
「お、おい、殿様……?あ、あっ!?な、なに……」
ぬるり、と何かが後ろの口を撫でた。指ではない湿った感触は周りをねっとりと這い、襞の一つ一つを丁寧になぞった。
舐められている、と悟った真之介は、あまりの恥ずかしさに、前に這って逃れようともがいた。
「ふあっ、あ、や、やだ……っ!離せ、馬鹿、殿様!そ、そんなとこ、舐め、るな……っ、うんっ」
「真之介……お前が確かめろと言ったんじゃないか。恥ずかしがらなくてもいい。最も、その恥じらって悶える様が、俺をまた熱くさせるのだがな」
「かっ……勝手なことばっか、言いやがってっ!あっ、やだ、いやだったら……あふっ、う、うーっ」
吐息を吹きかけながら欲望を語ると、兵四郎は尖らせた舌先を秘所にねじ込んだ。
勝手な言い草に真之介はまた怒ったが、脚をがっしりと押さえられ、前に回された手で自身もなぶられて、逃げたくても身体に力が入らなかった。
ぴちゃぴちゃと音を立てて、兵四郎はしつこく後ろを舐めては吸った。唾液が溢れ濡れそぼったそこは、更なる刺激を求めてわなないているように見えた。
真之介は甘い鳴き声の合間に、いやだ、やめろと消え入りそうな声で抗いを示した。
だが生き物のようにうごめく舌に秘所を思う様蹂躙されて、いつしか言葉は止まり、どうしても漏れるよがり声を必死で抑えようとしていた。
ふいに、ぐしゅっというような音が聞こえ、舌を離した兵四郎は顔を上げた。裸の背中越しに真之介を見やると、握った両手を横に置き顔を着物に埋め、頭はわずかに上下し揺れていた。
また鼻を啜るような音とかすかな呻きを耳にし、気になった兵四郎は腕を伸ばして、真之介の身体を返し仰向けにさせた。
「し、真之介……どうした。なぜ、泣いてる」
「……う、うるせえ!見んなっ……う、うぐっ」
腕で顔を庇う真之介は、赤い目からぽろぽろと涙を流し、鼻も赤くして泣きじゃくっていた。幾度か情を交わしたが、こんなに派手に泣かれたことはそうなかったので、兵四郎は大いに慌てた。
とりあえず真之介の側に寄って抱き起こし、震える身体を優しく撫でてあやした。
「おおよしよし、泣くな泣くな。一体どうしたんだ、真之介」
「……く、悔しくて、情けねえからだよっ」
「だから、何がだ。何がそんなに悔しくて、情けないんだ」
「てめえに、いいように遊ばれてるからだよ!俺をからかってなぶって、た、楽しんでるだろ、殿様っ」
「な、何を言うんだ。そんなことはない」
「いいや、絶対そうだ!俺が泡食って、女みたいな声出すのを見て、嘲笑ってやがるんだ、そうだろ!」
涙が止まらない真之介は片手で顔を覆い、振り絞るような声で叫んだ。思ってもみないことを決めつけられ、兵四郎は動揺した。これはどうあっても説得せねばなるまいと思い直し、抱えた腕に力を込めて、拗ねる真之介の手を取り顔から外させた。
「いいか、聞け、真之介」
「……やだっ、聞きたくねえ」
ふて腐れた口調に困ったように笑うと、兵四郎は真之介の額に横から口づけた。ぴくりと揺れた身体は、拒みはしなかった。
「聞くんだ。俺は、お前のことを見て嘲笑ったりなぞしてはおらん。そりゃまあ、確かに楽しいとは思ってはいるが、それは」
「ほらっ、やっぱり」
「聞けというのに。それは、お前があまりにもかわいく、色っぽいからだ。俺に触れられて乱れるお前を見て、たまらなくかわいい、愛しいと思いこそすれ、馬鹿にしたり嘲ったりする気持ちなぞ微塵もない。なぜなら、俺はお前を心底欲しいからだ」
腕の中の真之介は憎まれ口をやめ、俯いておとなしく聞いていた。兵四郎は言葉を続けた。
「俺はお前を縛る気持ちはない。お前は、自由にどこまでも駆けていく、若い野性の駿馬のような奴で、縛り付けるなどは到底無理だ。
だが、だからこそ、こんな時は……ふたりでいるこの時だけは、お前を俺のものにしたい。全てを暴いて晒して、惜しみなくかわいがってやりたい。例えそれでお前が泣こうとも、俺はそうしてやりたい」
「……やっぱり、勝手だ」
「そうだ、勝手だ。だが本当だから、仕方がない。お前は俺に、肝心なことを言わせてくれなかったからな。その代わりをと考えれば、俺はこうするより他はない」
夕暮れのほの暗さの中、兵四郎は真之介を見下ろして静かに想いを語り、穏やかに笑った。迷いのない目と口調に真之介は返す言葉が見つからず、眩しい笑顔をしばし見つめた。
あの時、傷を負って床に伏した真之介に、兵四郎は想いを告げようとした。だが真之介はそれを止めた。もうそれを聞かなくても兵四郎の心根はじゅうぶん伝わったし、対する自分の気持ちも正直に打ち明けた。
だから、聞かなくていいと思った。それ以上に、聞くのが怖かった。
兵四郎は優しく、あまねく弱い者を慈しみ手を差し延べる、菩薩のような男だ。半面、弱者を虐げ我欲を貪り悪事を成す者どもには、情け容赦ない閻魔のごとく怒りの鉄槌を下す。
真之介は、兵四郎が女に追っかけられるのは何度か見たことがあるが、彼が本気で誰かに惚れたところは、ついぞ見たことがなかった。
海のように広く深い兵四郎の情愛が、一心に誰かに向けられたならどうなるのか。それが自分に対して向けられたら。
脚を捕られて深海の底深くに引きずられ、沈められて動けなくなるように……兵四郎に溺れて、身動きが取れなくなるのではないか。
真之介は、兵四郎の熱情に飲み込まれるのを恐れた。だから、肝心な言葉を言わせなかった。それで、兵四郎から逃げられたつもりになっていた。
だがこうして熱く強い腕に抱かれると逃げることは叶わず、一心に真之介を求める彼の真摯さに翻弄され、結局は兵四郎に溺れてしまっている。
全ては自分が招いたことなのかと、真之介は長くため息を吐いた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
気の利いたタイトルがなかなか思い付かず、大御所マソザイコソビのお名前から拝借しますた。
次回に続きます。
>>242 三引き、大好きなのでうれしいです。
今も素敵ですが、あのころの千石中の人の、飼いならされない野生の色気は
ハンパなかったですね〜。
>>181 青魔小説おいしくいただきました。
この萌えだけで、ヴァナやっていけそうです。姐さんありがとう・・・!
では、いつもどおりROM専に戻ります。
254 :
風と木の名無しさん:2010/10/27(水) 18:02:38 ID:Pn0KEIR5O
>>242 イトコイ師匠のSSかと思ってビビりました。
GJ!
甘々な江別手稲を目指してみました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
最近、嫌な夢をよく見るようになった。
俺が東京に仕事に行って、東京にいる江別に会いに行く。
でも、どこにも江別はいなくて、俺は延々探し続ける。
そんな夢。
夢はまるでループするようにいつもそこで終わっていて、夢の中の俺が江別に会えたかどうかは定かじゃない。
「おい、なした?」
「・・・あ、あぁ」
「何か考え事か?」
そんな夢を見るようになってから、俺は札幌ではできるだけ江別と一緒にいるようにした。
今も俺の家に招いて、二人で過ごしているところだ。
「なぁ、江別。隣に座ってもいいか?」
「いいけど・・・」
テーブルを挟んで向かい合わせの今の状態から、江別の横に移動する。
ぴったりくっついて、江別にもたれるようにすると、江別はびっくりしたような顔をした後、くっくっくと喉をならして笑った。
「なしたの、繁ちゃん。今日はえらい俺に懐くけど」
「・・・何か、お前の側にいたくて」
「俺はいつも繁ちゃんの側にいますよ?」
わざとらしい敬語にバカにされているとわかっていても、バカみたいな行動は止められない。
ずっと江別を側に感じていたいんだ。
できれば、このままこいつの隣から離れたくないくらい。
「盛も言ってたけどさ」
「へ?」
「あんたみたいな可愛い大人はいないよ。本当に」
「は・・・・?」
「甘えたくなったら素直に甘えていいよ。繁ちゃん」
しっかりと俺の顔を見てそんな事を言うもんだから、俺はもう、どうしたらいいかわかんなくなって・・・・。
「お?」
俺はしがみつくように江別に抱きついた。
江別が、俺の側から離れていかないように。ずっと俺の側にいてくれるように。
「・・・・やっぱ何かあったろ。話してみ」
「う・・・・」
「言えないこと?」
「いや・・・そうじゃねぇけど・・・」
いい年してこんな事言うのは、恥ずかしいというか、何というか・・・。
「・・・笑わないか?」
「保証はできない」
「何だよ、それ・・・」
「まぁまぁ。いいから話してよ、繁ちゃん」
そういって俺の頭を撫でた。
なんだか、もの凄く幼く扱われてないか、俺?・・・・まぁ、こういう事されるのは、嫌じゃないけども・・・。
「夢を、みたんだよ」
「夢?」
「お前に会えなくなる夢」
俺は最近見る夢の事を包み隠さず江別に話した。すると、江別はニコニコと笑いながら俺を包み込んだ。
「それで寂しくなったか。よしよし」
そして俺の頭をポンポンと叩く。やっぱり、何かおかしいよな?これ・・・。
「なぁ、なんでそんなに俺の事子供扱いするんだよ」
「え?そうかな?」
「だってお前、今まで俺にそんな事しなかったじゃねぇかよ」
「なーんか、繁がすっごい可愛くてさ」
何でお前はそういう事を普通に言うかな・・・。
「俺がいないと、会えないと、寂しくて。俺の側にずっといたいから、こんなにずっと一緒にいるんでしょ?」
「・・・知ってたのかよ」
「あれ?図星だったんだ」
「・・・・・・そうだよ」
熱い。もの凄く体中が熱い。火が出てんじゃねぇかってくらいに。
バレたら恥ずかしい事だってわかってるのに、どうして俺はこうなんだろう。
「まー、随分と真っ赤になっちゃって」
「お前のせいだよ!」
「怒らないでよ」
そういって、江別は俺の首筋に口づけをした。
「今ここに俺の物って印つけたから」
「・・・・・・」
「繁もつけていいよ?ここに」
「・・・・・・お前さぁ、恥ずかしくない訳・・・?」
「全然」
江別は歯の浮くような台詞をさらっと言うと俺を抱いたまま、床に転がった。
「大丈夫。絶対に繁の側離れたりしないから」
突然、真剣な顔で俺の目をしっかりと見てそんな事言うもんだから、俺の心臓はもうどうにかなりそうなくらいに脈打った。
何だよ・・・・。
かっこいいじゃねぇかよ。
「だから、心配しなくていいよ」
「江別・・・」
「俺、今日ここに泊まろうかな」
「え?」
「仕事で会えなくても平気なように、1日かけて俺のらぶぱわーを注入してやるから」
「ら・・・」
また歯の浮くような言葉に俺が絶句していると、江別は俺のおでこに軽くキスした。
「お前可愛すぎ。今からしてもいい?」
「は?まだお昼だぞ!?」
「らぶぱわー注入してやる」
そういうと江別は俺をお姫様抱っこしたような状態でベッドに向かった。
お昼だけど・・・・まぁ、いいか。
「こんな時間からやるんだから・・・・」
「だから、何?」
「・・・・・気持ちよくなかったら、承知しねぇぞ」
「もちろん。誠心誠意こめて、気持ちよくさせてあげるよ」
そういって、江別は俺の体にキスを落とした。
「愛してるよ。繁」
・・・俺も、愛してるよ。
江別。
おわり
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末さまでした。
260 :
ステキな日:2010/10/28(木) 21:22:31 ID:pqBi6ECK0
プロ/レス、去年運命の死闘を繰り広げた2人です。
胃党→←火災←穀天使?で穀天使さん独白
メモ並の短さです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
あの時オレはすぐ近くで見てたよ。
お前の闘志に燃えてた瞳をよ。
んなの当たり前じゃねえか
6年だ、6年。
あいつらは面白いほど運命に狂わされて、
忘れられないのは終わった後の胃党龍自の笑顔と
そいつの言葉さ。
プロポーズまがいのこと言いやがって
それを聞いたお前といったら
満足そうに目を細めてよぉ。
まあ当たり前なのかな
6年だ、6年。
お前は面白いほどアイツに運命を狂わされて、さ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ヤマナシオチナシイミナシ需要もなし
3人の関係性も伏せ方をわからないが燃えたんだ。
このジャンルは自家発電が主流ですかorz
今日の放送で萌え滾って書いたものです。
タイムリーな内にあげたいと急いで書いたので推敲は一回しかしていません。
誤字脱字など読みづらいところあれば申し訳ないです。
金矢木反の駅伝×長男です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
滝沢薫はいわゆる同性愛者である。物心ついた時から女性に興味を持てなくて、
思春期には自分の嗜好が世間一般とは違うということに気がついた。そのことで
思い悩み、荒れてしまった時期もあったけれど、しかし二十歳を過ぎたいまでは
達観したというか、もはや諦めの境地である。自分は男が好きだ。好きなものは
好きなのだからしようがない。開き直ってしまえば生きていくのも随分楽になっ
た。……それに、いまは恋愛云々よりも駅伝である。自分の唯一の武器である駅
伝で、早く本調子を取り戻すのが何よりの優先事項……そんなことを考えながら
日々を送っていた滝沢に、しかし青天の霹靂が起きたのだった。
「――あかりの兄の、欽也です」
腫れぼったい瞼も、小動物のような口も、触り心地の良さそうな体も、何もか
もが好みだった。滝沢は一目で彼に恋に落ちた。心臓は早鐘を打ちならし、カア
ッと頭に血が昇っていった。周囲にバレるのではないかと平静を装うのに必死で
いたら、何やら実はあかりと大家が孫と祖母という関係で、欽也とあかりが血の
繋がりのない兄妹……、などと次々に衝撃の事実が発覚し、その場の空気が気ま
ずくなったばかりか欽也も困っていたので、つい「もう終わりや」と一喝してし
まった。
――その日は自室に戻っても、筋トレに励んでも、目を閉じても、ずっと欽也
のことが頭から離れなかった。
* * *
恋に落ちたと言っても特に行動を起こせるわけでもない。欽也はいつ帰るのだ
ろうかとソワソワしながらも、かといって声をかけることも出来ないし、きっと
いつも通り何事もなくこの恋は終わっていくのだろうと諦めるべく尽力していた
のに、しかしなんと欽也が自分のことを知っていた。
「――もしかして箱根駅伝の滝沢選手?」
向こうも驚いていたが、驚いたのはこちらも然りだ。どうしてそれを、と思っ
ていたら「十人抜きの滝沢」だとか、「あの心臓破りでの坂の追い上げはすごか
ったあ」だとか、コアな情報を捲くし立てられて、しかも顔を真っ赤にしながら
「俺、滝沢くんのぶちファンで、サ、サイン! あっ、書くもんあったかのう…
…?!」などと慌ててカバンを探り出したから、もう「勘弁してくれ」としか言
いようがなかった。
「えっ、あ、サインはまずかったやろうか」
「ちゃうわ、そうやなくて」
その場にいた田中荘の住人も、欽也の剣幕に圧倒されてポカンとしている。よ
うやく冬美が口を開いたと思ったら、「駅伝君ってそんなすごい選手やったん?」
とまた余計なことを言うものだから「そりゃあもう!」と再び欽也に火がついて
しまった。
「――ああ、分かった、分かったから」
このままだと面倒なことになりそうだったから、滝沢は欽也の手首を掴み、仕
方なく自分の部屋へと連れて行くことにした。するとあかりが「ほいじゃあ欽兄
は、今日は滝沢さんの部屋に泊まったら?」などと言い出した。滝沢は勿論、冗
談言うなやとお断りを入れようとしたが、しかしそれより早く「ええっ!」とあ
まりに欽也が嬉しそうな顔を見せたから、出かけていた言葉は行き先を失ってし
まった。
欽也が「ええんやろか?」と、期待に満ちた目でこちらを見る。惚れた相手に
そんな顔をされてしまえば。もう「……勝手にせえや」としか言うことが出来な
かった。
ちゃっかり銭湯まで一緒に行くことになって、嬉しいやら居た堪れないやら、
頭がオーバーヒートを起こしそうだった。
恥ずかしさのあまり、欽也の裸は殆ど見ることが出来なかった。欽也は「やっ
ぱりアスリートの体は違うなあ」と言いながら無邪気に滝沢の体を触ってこよう
とするものだから、滝沢はつい「なにすんねん」と突っぱねてしまった。
夜は夜で欽也はやたらスキンシップしてこようとした。ドアの向こうで田中荘
の住人が立ち聞きしているのは分かっていたからどれだけ求められても素っ気無
く返すことしか出来ない。「ふくらはぎ触ってもええ?」と聞かれても、ドキリ
とはしたもののあからさまに拒絶することしか出来なかった。ただ、他愛のない
会話でもこうしてやり取り出来るのは嬉しかった。アスリートは体が資本だけれ
ど、今日はいっそ寝ずに朝まで喋っていてもいいかもしれない、そんな気分にさ
えなってしまった。
「昨日はありがとうな」
と、欽也が突然神妙な顔で礼を言い出した。
「昨日?」
「あかりがほんまの父親のこと聞かれたとき、止めてくれたじゃろ」
ああいうとき家族だとかえってうまくやれんだろ、と欽也は言った。
「……」
滝沢の胸に奇妙な気持ちが込み上げた。好みなのは見た目だけだとばかり思っ
ていたけれど……欽也のこういう素直で朴訥としたところも好きかもしれない。
駅伝がうまく行かなくて、長いこと荒みそして乾ききっていた心に、スッと潤
いが与えられたような気分だった。
それからあかりのことや尾道の両親の話になって――欽也はよっぽど家族が好
きなのだろう――、次から次ととめどなく家族の話が飛び出し、気が付けばもう
遅い時間となっていた。
「あ、すまん、つい話に夢中になってしもて。もうこんな時間や、滝沢君、朝早
いんやろ?」
欽也が時計を見てワタワタと慌てている。
「や、いつも寝るのこれぐらいなんで大丈夫です」
欽也は滝沢に、いまの選手生活の状況を殆ど聞いてこなかった。それはわざと
なのか天然なのかは分からなかったけれど、触れられたくない部分をそっとして
おいてもらえたのはとにかく嬉しかった。
(やばい……)
――むっちゃ好きや。滝沢はもう後戻り出来ないほど欽也のことを好きになっ
てしまったと自覚した。自分の部屋に、しかも目と鼻の先に、愛しい人がいる。
再び心臓は早鐘を打ち出し、なんだか頭もポーッとのぼせてきた。
「そろそろ寝ようか」
欽也がキョロキョロと辺りを見渡す。なんやろ、と思って「どないしたんです
か」と尋ねてみると、欽也はポリポリと頬を掻きながら「や、布団……」と気ま
ずそうに呟いた。
「あっ……」
いまのいままで気付かなかった。
「大家さんの部屋から持ってこれへんですか?」
「や、もうこんな時間やし……」
寝とるやろ、と欽也は言う。滝沢は「ほな」と思い、ドアを開けた。
「きゃあっ」
聞き耳を立てていた冬美が体勢を崩して床に四つん這いになっていた。他の住
人はいない。さすがに二十三時も回ったし、脱落したのだろう。寧ろいままで残
っていた冬美に「よく粘ったな」と感心した。
「……あんたんとこ、布団余ってへんか?」
「余ってへん、余ってへんわ」 ぶるぶると凄まじい勢いで首を振りながら、冬
美は逃げるように自室へと帰っていった。滝沢はその後姿を見ながらやれやれと
肩を落とす。
「どうしよか」
背後から欽也に声をかけられて、滝沢は「俺が床で寝るんで、ベッドつこうて
下さい」と答えた。
「えっ、無理じゃろそんなの、天下の滝沢選手にそんなことさせられんよ」
「でも狭いベッドで一緒に寝るわけにはいかんでしょ」
欽也は目をまん丸にして絶句した。「ほらな」と滝沢は肩をすくめる。
「幸いタオルケットは余ってるし」
と、襖を開ける。
「今日は寒くもないし、床でも全然……」
言い終えぬ内、突然腕をグッと掴まれた。
「俺は一緒でもええよ」
振り返ると、そこには何故か頬を染めた欽也の姿があって、滝沢は「……嘘や
ろ」と硬直したのだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ご覧頂きありがとうございました。
一応ここで終わりなのですが、もし続きが書けたら投下したいです!
269 :
261:2010/10/28(木) 22:11:15 ID:DbxLHxnd0
あああ……まさかの伏字を忘れた……
ごめん……ROMに戻りますorz
>>269 ドンマイ!wそしてGJ!
長男受け読みたかったのでタイムリーな投下ありがとう!
>>261 萌えたぎりました
続きがあれば是非読みたいです
>>255 ちょうど昨晩のCSの某食べまくり番組を見た後に発見して滾った。
タイムリー♪手稲かわいいよ手稲。
時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
>>251の続きで、エロ中心。
全三回投下の二回目です。今回からトリップ付けます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
涙は治まったが、目を逸らして口をきかない真之介の様子に、まだ怒っているのだと兵四郎は考えた。
「真之介、お前を抱くのをやめるつもりはないが、不快にさせたのなら謝る。すまん、許してくれ」
頭を抱き込んでぎゅうっと抱きしめると、真之介は兵四郎の背中に腕を回して着物を握り、今度は短いため息をついた。
「……俺をおもちゃにしてるんじゃなけりゃ、もういい。だが、う、後ろを舐めるのは、もう無しだぞ」
「わかった。残念だが、今回はそうしよう」
「こ、今回も次回もねえ!ずっと無しだ、無しっ!」
真之介のその言葉を聞いた兵四郎は、真顔で問いかけた。
「真之介……次回とか、ずっと、ということは、俺にまた、抱かれてもいいということか?」
「な……っ!ち、違う!こっ、言葉の、あやだっ」
言葉尻を取られて慌てふためく真之介を、兵四郎は満面の笑みでまた抱きしめた。
「そうかあー!いや、照れるな照れるな。よーしよし、わかった。次の時まで俺を忘れられんように、たっぷりかわいがって、気持ち良くさせてやるからな」
「ちっ、ち、違ーう!てめえに都合よく、解釈するんじゃねえっ……う、ん、んーっ!」
勢いづいた兵四郎は真之介を抱えたまま押し倒し、喚く口を吸って塞いだ。真之介は下から身体を押したが、熱い舌に口内を掻き回され舐め尽くされて、思うように力が入らなかった。
兵四郎は甘く口づけながら、懐からいつも情事の際に使っている軟膏を取り出した。器用に片手で蓋を開け、中の薬を右手の指に塗りたくった。
「ふうっ、ん、む……う!うんっ……ん、んんんっ!」
唇を貪られている間に、それは後ろにぐぐっと入り込んできた。真之介は閉じていた目を見開き、侵入した指のうごめきにびくびくと震えた。
兵四郎は息苦しさにあえぐ口を解放してやると、真之介を気遣って声をかけた。
「真之介、痛くはないか。久々に触れたが、また狭くなってはいるな」
「うぁ……んっ、は、うっ、う、うるせ……っ!」
口が自由になると、あえぎながらもまた悪態をついた。痛そうな感じはないことに兵四郎は安堵し、慎重に中を擦って、いじる指を増やした。
「……あぁっ、ひ、あ、やめ……と、のさま!あふ、あっ」
「ふむ、二本目も大丈夫そうだな。軟膏のおかげで滑りがいい。真之介、気持ちいいか?」
「はあっ、う、ば、馬鹿っ……くす、りは、も、もっと、ましなことに、使えっ」
「そうは言っても、こいつは陣内の奴が売ってる、たこの吸い出しだからなあ。本来の使い方では大して効かん。だがお前に使うのには、ちょうどいいんだ」
「な、ば、馬鹿やろっ……!た、たこが聞いたら、泣くぞっ」
「ふふ、あいつには言わんさ。少なくなってきたから、今度たこに会ったら新しいのを巻き上げてやろう。またどうせたっぷり、使うしな」
「し、知る……かっ!あ、はぁう、あ、んあっ……」
軽口とともに兵四郎はまた指を増やし、ずくずくと音を立てて、真之介の秘所を三本のぬめる指でいじった。
少しも痛みはなく、意識がけぶるような快楽を休みなく与えられ、真之介は床に敷かれた自分の着物を掴み、身をよじって鳴いた。
そろそろいいかと兵四郎は指を引き抜き、真之介の腰の下に藁をまた集めて、脚を大きく開かせた。膝立ちになり、着物の裾を帯に挟んでからげ、いきり立つ熱い自身を下帯から取り出した。
しっかりと軟膏を塗りたくった、高ぶったものの先を入り口にあてがって擦り付けてやると、真之介はのけ反って息を飲んだ。
「真之介、入れるぞ。力を抜け」
優しく告げると、引き締まった尻を手で割って口を広げ、じわじわと中に突き入れた。
「う、う……あっ、い、あぁ……はぁ、あっ!」
「大丈夫、大丈夫だ、真之介。痛くないように、そうっとやるからな」
「あぁっ、あ、との、さま……は、入って……あっ」
焦らず腰を進める兵四郎は緩やかに侵入を果たし、やがて秘所をいっぱいに満たした。
「うん、もう入った。熱くて心地がいいな。本当にお前のここは、具合がよくてたまらんよ」
「はぁ……う、んっ、との、さ……ま、殿様ぁ……っ」
「真之介、兵四郎と呼べ。頼むから、そう呼んでくれ」
「あ、へいし、兵四郎……あぁ、ふぅうっ」
素直に呼ばれて嬉しく思い、兵四郎は中が自分のものに馴染むのを待った。中を埋め尽くした大きな塊に身体を慣らそうと、真之介は呼吸を落ち着かせて、なだらかに胸を上下させていた。
ふと外から、ひそやかな話し声が聞こえてきた。
「……大丈夫だよ。今の時分ここにゃ、誰もいやしねえ。おら達が使うにはもってこいだ」
「あんた、でも、ほんとに大丈夫かしらねえ」
「大丈夫だったら。うちじゃ隣で寝てるおっかあや子供らが気になって、満足に声も出せねえと言ってたのは、おめえじゃねえか」
「そりゃそうだけど……でも、そういや祝言の前には、ここをよく使ったもんだったわねえ、あんた」
「そうさ、だからここでまた……ん?だ、誰だ、そこにいんのはっ」
近在に住む百姓の夫婦連れらしき若い男女が、話しながら扉を開けて入ってきた。
奥まった場所にいる兵四郎は、咄嗟に敷いていた着物を掴んだ。緊張に強張った真之介の身体と、結合した部分が隠れるように、ばさりと上に広げてかけた。
「すまんな、旅の者だが、ちょっとここを借りておる。ご覧の通り、取り込み中だ。悪いが、他を当たってくれんか」
悪びれた様子もなくにこやかに告げた兵四郎に、夫婦はぽかんと口を開けた。
やがて我に返り、いえいえお侍様とんだご無礼を、どうぞ気になさらずごゆっくり、とかなんとか口々に言いながら、慌てて戸をぴしゃりと閉めた。
ふたりが去って行く足音にほっと息をつくと、兵四郎はかけた着物をめくった。
顔を出した真之介はわなわなと震え、兵四郎を睨み付けてきた。
「なんだ、真之介。何を怒ってる」
「なんだじゃねえっ!み、み……見られ、たんだぞっ」
「大丈夫だ。薄暗いし、お前の脚しか彼らには見られておらん。一瞬のことだし、きっと女と見間違えた筈だ」
「馬鹿っ、幾らなんでも、女と男の脚を、見間違えやしねえだろうが!日も暮れんうちから男同士で乳繰り合ってる、おかしな奴らだと、ぜ、絶対、思われたぞっ」
「まあ、思われたところでいいじゃないか。事実なんだし」
「よかぁないっ、全然、よかない!」
ひとり憤慨する真之介を宥めつつ、兵四郎は気兼ねなく睦み合う場所を求めてやって来た夫婦に、悪いことをしたなあとぼんやり思っていた。
ふと、貫いた真之介の身体が、いい頃合いになっているのに気付いた。
「おいっ、聞いてんのか殿様!大体、おぬしは……」
「兵四郎、だ。真之介、動かすぞ」
「……あ!ま、待てっ、との、殿様……うあっ、んっ、ひぃっ……!」
よく動く口を黙らせるために、兵四郎は腰を引いて奥まで突いた。あくまで急がず、緩やかに抜き差しを何度か繰り返した。真之介は喚くのをやめ、目を閉じて甘やかな声を出し始めた。
「あっ、んっ、くうっ、と、とのさ、まぁ……はあっ」
「真之介、兵四郎と呼べ。今だけは、兵四郎と」
「はんっ、あぁ、へ、兵四郎っ……へい、しろっ、ふうっ、ん」
開かせた脚を抱えて腰を打ち込むと、真之介は首をゆるゆると振って、名前を呼び切なく鳴いた。
しどけない様を見下ろしていると、真四郎は彼を抱きしめたくてたまらなくなった。あえぐ真之介に覆い被さり、脚から離した手を腰に回した。
「すまん、真之介。少し、びっくりするかもしれんぞ」
「あ、あ……へ、兵四郎……なに、をっ」
虚ろな声で怪訝に問う身体を、両腕に力を込めてゆっくりと持ち上げた。
真之介は胡座をかいた兵四郎の上に、繋がったまま乗せられた。ちょうど、夢と同じ形になった。
「……う、あ!ああーっ……ば、ば、かっ……!あふっ、こ、こんな、こん……あぁあっ!」
「ふうっ、深いな。真之介、お前の奥がよくわかる。中はますます俺に絡み付いて、くわえて離さないな。ああ、なんて気持ちがいい……」
「うぁっ、やだ、やだっ……言うな、馬鹿っ!」
「ふふ、本当のことなのにな。だがわかった、もう言わん。言わない代わりに……」
ずんっと下から突かれ、真之介はぐっと身体を反らした。落ちそうになるのをしっかりと支え、小刻みに腰を動かすと肩にしがみつき、涙ながらに嬌声を上げた。
「あ……あっ、へい、しろ……兵四郎っ、兵四郎……ふぁ、うんっ」
「真之介、自分でも動けるか?そうすればきっと、もっとよくなるぞ」
「ん、ん……わ、かった……あぅ、は、あ、あっ」
真之介は震える膝に力を入れて、自らも腰を振り出した。繋がった部分はぐちゅぐちゅと音を立て、兵四郎の先走りは中を潤して滑りの助けになった。
真之介も先端からつるつると蜜を零したが、ふいに兵四郎に声をかけてきた。
「との……へ、兵四郎、着物……脱げっ、汚れ、る……」
確かに、押し付けられた真之介自身から溢れた蜜が、腹の辺りに小さな染みを作っていた。真之介は手を肩に置いたまま腕を伸ばして、身体を少し兵四郎から離した。
「……ああ、なぁに、気にするな。俺の着物の心配をしてくれるのか。真之介、お前優しいな」
「ふ、ふん、おぬしは飯より、着る物に気を遣う、しゃ、洒落者だからな。だが、それ、だけじゃ、ねえ……っ」
「うん?どういうことだ」
「ふ、不公平だってんだよ!俺ひとり、素っ裸じゃねえか……!い、いっつも、そうだ、あ、あぁっ!」
かねてからの不満をぶちまけた真之介は、ふいに強く腰を打ち付けられて悲鳴を上げた。
優しく突き上げながら、兵四郎は真之介をからかって笑った。
「そうか、真之介。お前そんなに、俺の裸が見たいのか」
「そ、そんなんじゃ、ねえっ!誰が、男の裸なんぞ、見たいもんかっ」
「俺は見たいぞ。肌もあらわなお前を見てると、えらく興奮するからな」
「う、うる、せえっ!つ、つべこべ言わず、脱ぎやがれ……っ!」
脱がずともことは果たせるので、なんとなく今まで着たままでいたのだが、そんなに真之介が欲するならと、動きを止めた兵四郎は自分の帯に手をかけた。
左腕を真之介の腰に回し支えたまま、器用に右手のみでするすると解いた。着物をばさっと脱ぎ捨てると、下に着ていた襦袢の紐を外し、それも脱いだ。
半端に引っ掛かっていた下帯をも取り去ると、兵四郎は真之介と同じ姿になった。
均整の取れたその裸身は、薄闇の中でまばゆい光を放っているように見え、真之介は思わず目を細めた。
「真之介、脱いだぞ。これでいいか」
兵四郎は屈託なく微笑むと、剥き出しの両腕を回して真之介を抱き寄せた。裸の肌と肌が触れて、真之介の胸はひどく高鳴った。
今まで兵四郎の裸を見たことはあるのだが、その時と今とでは、状況も心情もえらく違っていた。
南国育ちらしく浅黒い真之介の肌とは対象的に、旅をしていても不思議と日に焼けない兵四郎の肌は白い。鍛えられた筋肉が全身に張り詰めているが、白く滑らかそうな肌に覆われ、それは柔らかに見えた。
こうして抱かれているとやはり、見て思った通りだったと真之介は感じた。ぴたりと合わせた肌は、すべらかで実に心地がよかった。
ただでさえ兵四郎に抱きしめられるのは快感であるが、温かな血の流れと脈打つ鼓動が伝わって、更に快いものとなった。
黙ったまま真之介は兵四郎の肩に顔を埋め、ほうっと甘い吐息を漏らした。おとなしく抱かれる真之介の背中を愛しげに撫でると、兵四郎は再び動き出した。
目の前の胸に流れる汗を舐め取り、つんと立った二つの紅い飾りを交互にねぶった。軽く歯を立てて舌先でちろちろとくすぐると、真之介は秘所に力を込め、ますますきつく締め付けた。
悦びをまた突き上げることで示し、更に甘く乳首に噛み付くと、真之介は腰を揺らしてひっきりなしに高い声を上げた。
「あうっ、ん、や……だっ!兵四郎、かっ、噛む、な……」
「そうは言ってもなあ、お前のここはかわいくて、おまけにやたらと美味いんだ。もうちょっとばかり、好きにさせてくれ」
「うあっ、ああ……ば、かっ……ひぁっ、あ、くうっ」
弱々しく罵倒する声とは裏腹に、真之介は胸をなぶる兵四郎の頭をぎゅっと抱きしめた。兵四郎はほくそ笑み、ちゅうちゅうと乳首に吸い付きながら、熱い秘所をまた深くえぐった。
兵四郎の念入りな愛撫と激しく優しい抜き差しに、真之介は夢中になった。
身体に回された逞しい腕は父を思わせ、触れる肌はきめ細やかで温かく、まるで母のように真之介を包んだ。
抱かれているとなぜか、また泣きたいような気持ちになった。拗ねて悔し涙を流した最前とは違い、例えようもない幸福感と充足感が真之介を満たしていた。
「はぁうっ、あっ、あふ、へいし……ろうっ、んあっ、あぁ、あ……」
「真之介、真之介……夢の中のお前より、やはりこうして、恥じらいながらも悶えて乱れる本物のお前が……たまらなく、かわいい……」
「う、あっ、ん、んんっ、へ、兵四郎……っ、そ、こ……、あぁ、はぁ、うっ」
「ここか?ここがいいんだな。ほら、どうだ。気持ちいいか、真之介」
「あ……あっ!あぅ、よ、よか……よかぁっ、も、もっと、もっと……ひぃ、あ、あっ」
思わずお国言葉が出た真之介の感じるところを、真四郎は笑って何度も甘く責めた。小刻みに与えられる刺激に真之介は頭を振って感じ入り、追い詰められて限界が近付いた。
「ああっ、へい、しろ……っ、もう、も、だ、め……駄目だっ!ふぁっ、うぅ、んっ」
「いいぞ、真之介。俺ももう、そろそろだ。一緒に極楽に、行こうじゃないか」
「くぅあっ、あ、はっ、へいし、ろ……あぁっ、あ!……は、ああぁーっ……」
「真之介……っ、くぅ、う……っ!」
身体をぐんとしならせて、真之介は兵四郎の腹に白い欲を放った。きつく締め付けられた兵四郎は腰を掴んで、奥深くに熱いほとばしりを叩き付けた。
中をいっぱいに満たされ、真之介はあまりの法悦にがくがくと震えた。崩れ落ちそうになった身体を抱きしめ、兵四郎は荒く息をつく唇を吸った。
真之介は虚ろな目を薄く開けて、口内を丁寧に貪る兵四郎を見た。口づけられたままかすかに笑い、真之介は意識を手放した。
くたりと身体を預けた真之介を、兵四郎は藁を敷いた床にそっと横たえさせた。笑っているように見える顔にかかった髪をどけ、手ぬぐいを使って額や首に浮かんだ汗を拭き取った。
ぴたぴたと軽く頬をはたくと、真之介はわずかに目を開けた。
「真之介、大丈夫か」
「との、さま……ね、むい……」
「そうか。構わん、そのまま寝ろ」
微笑む兵四郎にかすかに頷くと、真之介はすぐに寝息を零し始めた。
兵四郎は自分の汗と、腹に放たれた真之介の愛液も軽くぬぐって、名残惜しげに中から萎えたものを引き抜いた。
真之介の上に着物をかけてやり、自らは襦袢を纏うと、すっかり夜になった外に出て、すぐ側にある川の水で手ぬぐいを洗い絞った。懐に差し入れて腹を拭くと、また手ぬぐいを洗って絞り、中に戻った。
眠る真之介の身体を、兵四郎は丹念に清めて後始末をした。
始末を終えると着物を着せてやり、自分も着衣を整え、彼のかたわらに藁を敷いて寝転がった。すうすうと寝息を立てる横顔を眺めていると、この上もない安らぎを感じた。
淫らな夢は、より鮮やかな正夢となった。愛しい本物の真之介の頬を撫で、兵四郎は笑顔を浮かべて目を閉じた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
次回で終わります。
もう仲学.生→莫迦リ.ズム(←元相方)な話。
ドッ霧王.座と雨話の元コ.ンビ鯨.人を見て書きたくなりました。
ちょっとした捏造が多々あります。
コンビ時代の莫迦リ/ズムの知識薄いです。
過去に棚にもうバ.カSS書いていらした姐さんの設定(ちゅんじろう関係)を一つだけ借りています。
いろいろ拙くてすいません。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
またもう仲と共演することになった。レッ/ドカー/ペットではなく。ちょっとした特番で。
数組の芸人が合同の楽屋を使っているのだが、何故か楽屋でもう仲は俺に色々と話してくる。
人見知りだから苦痛でしょうがない。
雑誌を見ながら適当に相槌を打っていたが、雑誌のグラビアをきっかけに話の方向を誤った。
いつの間にかエロ話になっている。
もう中はまだ童貞だという。それに俺は驚きはしないがほんの少しだけ興味を持つ。
「もういっそ、30才までは、えっちはしないことにしてるんですよぉ」
「……本当かよ」
「ホントですよー」
目の前の図体のでかいやつはいつもの調子で、そう答えた。
しかしその割にはエロ話や下ネタは大好きだという。
どういうことだ。健全な男ならちょっとそれは不思議だ。
それともネット上でネタとして「30まで童貞だと魔法使いになれる」というのがあるが、それを鵜呑みにしているとか。
おいおい、いくらなんでもそんな馬鹿な。
「風俗とかも無いのか」
「ふーぞくも、キャバクラも、まだまだなんですよぉ」
指でバツを作りながらもう中は言う。
「素人童貞ならまだしもなぁ。よくそれで平気だな。じゃあAVとか見てどうにかしてんだ」
「いやぁ、観るんですけどー、えっちなビデオやDVDは何だか、観ちゃいけないって思っちゃうんですよぉねー」
「……はぁ」
俺は再び雑誌に目を戻す。我に返ると、俺はいったい何をしているんだろうと思う。
「莫迦リズ.ムさんはぁ」
もう仲は笑顔のまま言う。
「彼女さんとか、いらっしゃるんですかぁ」
「……いない、今は」
「そーなんですか。ご結婚とか、されないんですかぁ?」
「結婚は今は別にいいわ、面倒だし」
「あら、トツギ一ノしないんですねー」
「…俺嫁ぐ側じゃないからなぁ」
余計なお世話だよ。
ふと楽屋の他の人たちを見ると、俺たちのツーショットが珍しいのか、チラチラと見られている。
…そういえば、なんで俺だけ絡まれてるんだ。他の人のとこに行けばいいのに。
「ちょっと飲み物買ってくるわ」
俺は席を立ち、楽屋の外へと避難した。
「いってらっしゃぁい」というもう仲の声が扉で途中で遮られた。
おかしい。
もう仲が俺と絡みたがる理由がわからない。
今まで俺は人に懐かれるタイプの人間じゃなかった筈だ。
なぜ急に、もう仲に絡まれているんだろうか。
自販機でコーヒーを選ぶ。
そして楽屋に帰る途中、ふと、元相方の顔が思い浮かぶ。
……そうか。別に完全になかったわけじゃないな。
懐かれるというよりは尽くされるという感じだったが。
あいつは本当にいいヤツだった。
ネタ以外の事はほとんどすべてと言っていいほど、俺を助けてくれていた。
方向音痴な俺の為に仕事場までの道を調べてくれたりしていたな。
確かにあいつはいいヤツだった。
けど、いいヤツであるが故に、色々悩んでしまったのだろう。
変なファンに付きまとわれていたらしいし。
別れた時は自分の事で頭いっぱいで、別に憂いや悲しみは無かった。
今だって、すっぱり諦めはついている。
あいつは今きっと幸せなのだから。
しかし、ちょっと前に雨トー/クで見た縞田修平の表情を思い出したりする。
なんだか胸がチクチクしたりする。
元相方にとても会いたがっていた時の、キャラに合わないあの表情。
別れた相方をそんなに未練がましく思うものなのかと、ある意味で衝撃を受けた。
別に男女の仲でもあるまい、男と男だ。
居なくなったってそこまで想うものか?
元相方は、俺がノリで言った「マネージャーになるか」という誘いに食いついていた。
あの時は俺がヒいて実現しなかったけど、俺までノッてたらどうなっていたんだろうか。
あいつもそのまま首を縦に振って、結局一緒にいたのだろうか。
いや、それは流石にないか。
あいつは未練がましく俺のことを想うのだろうか。
どちらかといえば、あいつはドライじゃない方だったけど。
夢に出てきたりするのだろうか、俺が。
いや、それは流石に気持ち悪いな。
……何を考えているんだ、俺は。
俺が楽屋に戻ると、もう仲はでかい図体を丸くして、床に置いた段ボールの絵の修正をしていた。
すげえコンパクトだな、折り畳むと。
段ボールじゃなくて、もう仲が。
俺はそれを尻目に静かに座る。もう仲に気付かれないように。
周りの他のコンビ芸人たちはネタの打ち合わせを始めている。
「まーるかいてちょん、まーるかいてちょん」
もう仲は鼻歌まじりに小さく歌う。一体何を書いているというのだろう。
端から見たら遊んでいるように見えるかも知れない。
しかし、彼にとっては仕事なのだ、「楽しい」という感情は。
彼は「楽しい」を皆にばらまくために今日もせっせと絵を描いている。
コンビ芸人ばかりの楽屋で、その姿は浮いているけど。
もう仲は、一人でも寂しくないのだろうか。
人に人一倍気を使い、人を人一倍楽しくさせようとするもう仲。
彼の背中はコンパクトで頼りなげだ。
しかし、寂しさは微塵も感じない。
…俺の背中は、どうなんだろうか。
ふと、いつかもう仲にもらった角隠しつきの「ちゅん次郎」を思い出す。
(寂しい時も、このちゅん次郎くんが、莫迦リズ.ムさんを見守ってくれますよぉ)
……まさか、俺は、寂しく見えるのか。
いまさら、もう仲の思惑に気づく。
俺は……心配されたのか?
「あ、莫迦リ.ズムさん、お帰りなさーい」
振り向いたもう仲が、俺を見て満面の笑みを見せる。
(お前のことは、俺が一番わかってる)
元相方の笑顔が浮かんで消えた。
俺のことなんてわからなくていいのに。好かなくていいのに。近づかなくていいのに。あいつも、こいつも。どうして、笑顔を向けるんだろう。俺は、返さないのに。
「莫迦リズ.ムさんは笑顔が素敵ですからぁ、もっと笑ったほうが、良いと思いますよぉ?」
「えっ」
もう仲は俺にちゅん太郎を向けて、いつもの笑みで言う。
「莫迦リズ.ムさんの笑顔は、ほんわかぁ、って感じがするじゃないですかぁ。みんな、莫迦リズ.ムさんの笑顔を、もっと見たいと思いますよぉ? 莫迦リズ.ムさんの真顔や、泣き顔も、素敵ですけどー……。ボクは、莫迦リズ.ムさんの笑顔、好きですよぉ」
……ああ、へえ、そうなんだ。ふーん。そんな良いもんか? 俺の笑顔。
もしかして……あいつもなるべく沢山見たかったのかな。俺の笑顔。
ぎこちなく笑った俺の目に、涙が滲む。
あーあ。バッカだなぁ俺。
いまさら後悔してやんの。
もう少しだけ、あいつに笑いかけてやれば良かったなぁ。
ありがとう、って…………言えば良かったなぁ。
「ためになったねぇ〜」
俺がおどけて言うと、もう仲は「あらっ!」と嬉しそうに跳び跳ねた。
俺はその挙動がツボったフリをして、気づかれぬよう涙を拭った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ナンバリング間違えましたすいません。毒舌先生も含めてみんな仲良くなれば良いと思う。
>>287 gjgj!空気読んでるんだか読めてないんだかわからないもう仲と
莫迦リズムにきゅんときた。
この二人可愛くて大好き。
>>283 d
何か、ほんわかして優しい気持ちになれた気がするよ。
>>280 さらに続きがあるなんて幸せ…
楽しみにしております。
>>280 まさか参匹で801が読めるとは感激です
続きを全裸待機で激しくお待ちしてます
頑張ってください
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| | |> PLAY. | |
| | | | ∧_∧ 退カヌ媚ビヌ省ミヌ
| | | | ピッ (*´ω`*)
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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タイトル通りです。「包茎に萌えるスレ」を読んでいたら一本書きたくなりました。長兄×末弟です。
包茎という超絶マイナー嗜好とこんな超絶マイナーカプが組み合わさってカオスになりました。
あと、滅茶苦茶痛い描写があるので注意してください。
ケンシロウは包茎である。以前からその事を不満に思っていた。
そこでケンシロウはトキはズル剥けだったのを思い出し、トキの部屋を訪ねた。
「兄さん…どうやったらズル剥けになれるんだ」
「ケンシロウ…もしや」
「ああ」
「ケンシロウ、すまないが、私は子供の頃からズル剥けだったので、お前の力になってやれない。
しかしラオウは自力で真性を克服し、ズル剥けになったというので、会って話を聞くがいい」
医者の卵なら包茎の脱し方ぐらい教えてくれよ、とケンシロウは思わないでもなかったが、仕方ないのでラオウに話を聞くことにした。
大体ラオウは滅多に自分から口を利かない割に自己中で横暴で、弟たち(特に自分)にしょっちゅう八つ当たりばかりしているのだ。
トキはラオウの八つ当たりが比較的少ないので羨ましい。トキが教えてくれるならトキの方がよかったのである。
しかしラオウの所へ行った。
「ラオウ、今すぐ包茎をズル剥けにする方法を教えろ」
ラオウは、いきなり何を言い出すんだこの弟は、と思った。
ケンシロウは滅多に自分から口を利かない割にいざ口を開いたら碌な事は言わない。
無愛想だし、自分よりトキの方に懐いている。そのくせしてしょっちゅう自分と行動が搗ち合うのだから、生意気である。
大体ケンシロウが赤ん坊の頃は自分が襁褓を換えたりなんなりをやらされたのに、全くそれを恩に着るところが無い。
ケンシロウはそんな事を知らないのだから当然と言えば当然であるが、ラオウはそうは思わなかった。
赤ん坊の頃は可愛かったのに、口を利くようになってから可愛くなくなった。
「…うぬは包茎か?」
「そんなことは貴様の知った事ではない、教えろ」
「…剥いたまま一日過ごせばよかろう」
「そんなことはできん」
「風呂場で剥け」
「やり方を教えろ」
そこで風呂場である。
この家の風呂は多少広いとはいえ、全裸の男二人が仁王立ちしているのは何か凄く嫌な物がある。
「それで?」
「剥け」
「嫌だ」
「剥けと言っておろうが!」
本当は、湯船の中でちょっとずつ伸ばしていってそして優しく剥くのが手順というものであるが、
自分から教えを乞うてきたくせに非協力的な弟の態度が腹立たしかったので、何の準備もなく、いきなり剥いてやった。
ケンシロウは、なんてラオウは乱暴なのだとその瞬間思った。
「うぐわあああああああああああああああーーーー!!!!!!!」
風呂場なので弟の絶叫が反響して五月蠅い、とラオウは思った。
他の兄弟が来たら面倒だな、と一瞬思ったが、来ないだろう、と一瞬で二人の事は頭から消え去った。
実際他の二人はケンシロウが絶叫を上げているぐらいでは来ない。
半径50mが荒野になってラオウとケンシロウの戦いに決着がついた後などでないと絶対来ない。
冷たいと思われるかもしれないが、昔からそうだったので、ケンシロウも特に二人が冷たいとも思わなかった。
無理やり剥かれたので出血した。ケンシロウはそのまま股間を押さえて蹲りたかったがラオウに股間を掴まれているのでそれができない。
抗議する気も失せる。もう意識が飛びそうだった。
「……」
ラオウは、洗った方がいいだろう、と思って石鹸を手につけて、ケンシロウの浮りに触った。
「ふああああ!!」
痛い。しかし触られた瞬間に達してしまったので、痛いだけではなかったのだろう。
ほとんどケンシロウ自身には痛いとしか感じられなかったが。射精したのでさっきの出血が少し増えた気がする。
剥いて最初の射精は、どうせなら自分の手でしたかった。なぜ俺はラオウの手で達せられているのだろう。
陽物が血塗れで、とても痛い。
大体昔からラオウは横暴で本当に…。
ラオウはケンシロウのそういう反応を見て、面白いと思ったのでもっと触ってやった。
普段無愛想な弟が悶絶しているのは楽しい。
稽古中に殴ってもほとんど無表情だし、笑顔なんてトキと会話している時たまに見せる程度である。
そういうケンシロウが嫌いだったので、今の状況が楽しかった。
俺を敬愛しないならば死ぬべきなのだ。
ラオウもケンシロウも互いに深刻な思い違いをしていた。自分は相手の事を嫌いだと思ってた。
それはある側面で事実である。
しかし、それは相手が自分に対して都礼ないから嫌いなのであって、なぜそれで自分が相手の事を嫌いになるのか、
それをもっと深く考えれば事実に気づけるはずだが、あいにくラオウにもケンシロウにも内省という言葉はなかった。
ケンシロウが死にそうな顔で喘いでいるのが楽しい。多分石鹸が傷に染みて痛いのだろうが、それならもっと塗りつけてやるまで。
その後6回ぐらい達せられて、ようやく兄が手を放したのでケンシロウはそのままその場に膝をついて座りこんだ。
いつもいつもなんと酷い兄なのだろう。確かに、血が繋がってないからトキの様に可愛く思えはしないだろうが、
トキ並みにとは言わないが、もう少し愛情をかけてくれてもいいのではないだろうか。ラオウを見上げると満足げな顔をしていた。
人をこんなに苦しませておいて何が楽しいのだ。全くこの男は本当にカサンドラ伝説だ。
ケンシロウはラオウにも同じ気分を味わわせたくなった。兄弟の手で達せられる恥辱というものを教えてやろうと思った。このクソ長兄が。
そこでケンシロウは目の前で退屈そうにぶらぶらしている陽物を思いっきり掴んだ。
どうせ仕返しをするならば、金的をした方が遙かによかったのではないか、後で思い返すとそうなのだが、
この時のケンシロウにはあいにくそういう考えが思い浮かばなかった。ケンシロウはラオウと同程度に愚かである。
ラオウはケンシロウがいきなり陽物に掴みかかってきても特に驚かなかった。ああ、また訳のわからない事を始めたな、と思った。
強く握ってみたが相手が特に何の反応も返さないので、モヒカンの頭を握りつぶすぐらいの力で握りこんでみると、ようやく何がしかの反応が返ってきた。
そこで右手を結んだり開いたりして、左手は掌で先端を思いっきり擦ってやる。自分は浮りを触られただけで達したのに、なぜ達しないのか、理不尽である。
これが包茎とズル剥けの違いかとケンシロウは非常に悔しい思いをさせられた。
それでももっと頑張っていると大分達しそうな感じになっていったので、もう少しだと頑張る。そして。
「うわっ、わぷっ、ゲホッ」
避ける、という事が頭になかったのでもろに大量の液体を頭から被ってしまった。
ケンシロウは、子供の頃に田圃で滑って転んで泥を頭から被った事を思い出した。大体あんな感じだろう。
ただ、今は粘度は高いし独特の臭気はするはで今の状況の方が悪いと言える。
大体何故一回の射精でこんな大量の液体が出るのだ。人体の構造的におかしいのではないだろうか。
もしかするとラオウは人間ではなくてエロゲ星から来たエロゲ星人なのではないだろうか。
ほとんど目も開けていられないような状態で、手探りでシャワーヘッドを探す。ラオウは何をしているのだろう。
多分ただ突っ立っているだけなのだろう。
そう思っていると、ラオウがしゃがんだ気配がして、「ケンシロウ」と声を掛けられた。
べちゃ、という音がしたから液体の海ができているタイルの床に膝をついたのだろう。
「拳王は決して膝など地に着かぬ!」と言っているラオウが膝を着くなど、と思っていると顔の両脇に手を掛けられたのがわかった。
何、と思う間もなく口づけされたのが分かった。
「ん」
いきなり舌を入れられて息苦しい。
口の中をべろべろ舐めまわされて、変な気分になる。そのまま1分ぐらいそうされていた。ようやく解放されて息をつく。
「早く目を開けぬか」
「…目に入る」
ケンシロウがそう返すと、いきなり右の目元をべろっとなめられた。その後左の目元もべろっとなめられた。
しかし液を舌で拭われたと言ってもそれはそれで唾液でべたついているので、目を開けにくい。
目を開けないでいるとまた口づけされて、されるがままにしていると、そのまま犯されそうになったので、それは岩山両斬破で阻止した。
「岩山両斬破ァ!」
「ぐはあ!」
多分ラオウの事なので、この程度で真っ二つになってはいないだろう。
実際生きているらしい事はラオウが呻いていることからわかったので、
その間に手探りで盥と手桶を取って、盥に湯船からお湯を汲んで、顔をとりあえず洗った。
なんとか目を開けられるようになった。
「ケンシロウ…貴様…ここはどう考えても激流に身を任せ同化すべき状況だろうが!」
…なぜ俺が怒られられなければならないのか。それが問題である。
ケンシロウは極めて不機嫌に答えた。
「…陽物のみならず、尻まで血塗れにされるのは御免だ」
「血塗れになるとは限らんぞ」
「いや、なる」
「訓練すれば西瓜だって入るらしいではないか」
「俺は訓練されてるわけじゃない」
「よかろう、痛みが性的快感に変わる秘孔を突いてやるわ!大人しくこの世紀末覇者に従うがよい」
「世紀末救世主の名にかけて、断る。…それに、我らに相応しい場所というものがあるだろう」
「…部屋ではできぬ」
「何故だ」
「こんな事で寝台を粗大ゴミに出したくはないわ」
確かに現在ラオウの出した液で風呂場の床に海ができているような状況では、
寝台が速効粗大ゴミになることは間違いなかった。
「…全部俺の中に出せばいいだろう」
そんな事をすればケンシロウが腹を下すことは間違いなしである。
そこでラオウは「俺にはそんな下世話な趣味はない」と反論したが、
ケンシロウは「いや、俺は構わん」と返答した。
「まあ確かにできれば腹は下したくないが…その方が手間が省ける」「できぬ」「構わん」「できぬ」
「…そもそも、この家でしたくはない」
「何?」
なんとなくケンシロウの言うこともわからないではなかった。
家族として過ごした空間でそういうことはしたくないという事なのだろうが、
「俺は構わぬ」
「あんたの意見は聞いていない」
ラオウにはケンシロウを力づくで従わせる選択肢もあったが、風呂場を破壊してしまう事は確実だったので、珍しくラオウにしては譲歩した。
別に風呂場を破壊すること自体はラオウには全く躊躇はないが、誰か来たら面倒だ。
その誰かと戦っている間にケンシロウが逃走したら面倒だ。
それならケンシロウを殺せばいい。
いや、ケンシロウを殺す前に一度ぐらいは契りを交わしておきたい。
ならばここで殺す事はできん。
「ならば今すぐ連れ込み宿へ行くのみ!」
「…そういう問題ではない」
「いい加減にせぬか!」
「後でトキやジャギと顔を合わせたくない」
「ぬう?」
「…合わせたくない」
「……」
確かに、その事に関してラオウも言われてみれば多少の罪悪感が湧かないでも無かった。
ならばここで手詰まりである。
それならもうケンシロウと会話をしたってしょうがない(むしろこれ以上の会話は気分がよくない)ので
ラオウはケンシロウを放置してさっさと風呂場から出ようとした。ケンシロウは微かに呟いた。
「…この家を出て、二人きりでどこかで暮らすと言うのならば、いい」
「……」
ラオウは気が変わったのでケンシロウを手伝ってやった。
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すまない。
まだふたなりの方が需要があったかもしれない。
投下した後で気づいたので
浮り→カリ
搗ち合う→かちあう
都礼ない→つれない
>>292 萌えると言うか噴くと言うか、何だろうはじめてのこの気持ち。
凄く面白かったです!
さらに補足
襁褓→むつき(オムツの事)
連れ込み宿→ラブホの事
あくまで補足なんで訂正ではないです。
もしかして気が向いたら自サイトなりなんなりで再録するかもしれない。
それを見かけても生温かく見守ってほしい。
自サイト持ってないけど。
>301
トンクス。
>>292 姐さん天才!!!
GJGJGJ
GJすぐるとしか言いようがない
面白かったです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )オリジナル設定にお気をつけて!
アメリカのチャイナタウンのペットショップから、日本にいついて数年。
そしてレオンがアメリカから伯爵を追ってきて一年。
最近では、住む所も見つかり、仕事もついでに見つかったので、伯爵の所に来ないでいる。
『仕事が忙しい』
それが彼の言い分だったのだが。
「…?…!」
かさ、と、手には白い封筒が握られている。中に入っていた便箋を取り出すと、伯爵の顔色が変わった。
「伯爵どうしたの?」
アライグマのポンちゃんが、くいくい、と伯爵の服のすそを引っ張る。
ポストに入っていたのは、英字の封書だった。
ここから結構遠い所に位置するレオンからの手紙は、伯爵の心を密かに躍らせた。
『二十六日から二十九日まで休みが取れた。それくらいに新宿に行く。新中華街のお前の店に行く』
たったこれだけしか書いていなかったが、ふ、と、伯爵は表情をほころばせた。
「そろそろ、刑事さんが来ますよ。明後日ですね」
にっこり笑うと、伯爵はここのところしていなかった掃除を始める。それにならって、ペットショップの動物たちも走り回る。
伯爵は塵取りと箒を持って、マスクをして。
これだけ見るとチャイナタウンのペットショップの店員には見えない。
がたん、がちゃん!
動物たちも手伝ってくれるのは嬉しいが、七割は邪魔をしてくれるのが悩みの種だ。
今もつぼを転がして欠けさせている。
蛇たちが、つぼにまきついてなおそうとしているのだが、当然直るわけがない。
ポンちゃんはたらいに水を張って、取り替えたばかりのソファのシートを洗っている。
「ああもう、皆さんじっとしててください!」
「伯爵、閉店の札だしとくぞ?」
テッちゃんが札を持ち、扉を開けたところで、太子と鉢合せした。
ネオチャイナタウンのオーナー、劉武飛だ。
最近は昔のレオンのごとく、ペットショップに入り浸っている。
「おや、太子…すみませんが今は掃除中なので出て行ってくださいまし」
ぐいぐいと背中を押すと、太子を外へと追いやる。
「な、なんだなんだ。ははん、さては『女』でも出来たな」
にやりと笑うと、扉の前で立ち止まる。
伯爵はむっとして、首を振る。正確には『男』なわけで。
その眼鏡に鉄拳を入れてやろうと思ったが、掃除は山積みだ。
さっさと太子を追い出すと、やや乱暴に扉を閉めた。
追い出された太子はというと、つまらなそうに、お付の陳を連れてネオチャイナタウンを歩き出した。
「さ、て」
だいぶ片付いた。絨毯も埃一つ落ちていない。
なんだかんだ言って、レオンの来訪を心待ちにしていた。いつもポーカーフェイスな伯爵が、めずらしくニコニコしている。
「刑事さんはオレンジ・ペコはおすきでした?どうでしょうね、とりあえずクッキーでも焼いておきましょうか」
うきうき。隠し切れない喜び。そうして待ちに待った三日目が来た。
「…」
「伯爵?」
太子が、ソファで眠っている伯爵を見つける。
お付の陳がいないときにやってきたので、なんとなくその顔に存分に魅入ることが出来た。
柔らかそうな唇から、息が漏れる。スースーと気持ちよさそうに寝ているのだ。
「…伯…」
その唇に指が触れたとき、急にがたんと音がして、はっとしてそちらを見た。入り口だ。
「ウース!ディー!来てやったぞー」
勢いよくドアを蹴り飛ばした先には、ソファにて、伯爵が転がっていた。
しかもその唇には例の男が触れている。単細胞なレオンは一瞬止まると、大声でまくし立てた。
「あにやってんだよ!てめーがここのビルのオーナーって奴だな!ディーの所によく出入りしてるのは知ってるぜ!」
「いや、別に何もしていないが」
すました顔で、伯爵から離れる。
だがレオンの怒り…というよりは嫉妬はおさまらない。
乱暴に太子の背をぐいぐいと突き飛ばしながら出口へ導く。
「でてけでてけ!」
「…ん」
その物音と声で、伯爵が覚醒した。
もそりと起き上がると、扉がしまった所だということに気づいた。ぼんやりとした視線の先には、レオンがいつもの格好で立っている。
「刑事さん…」
「もう刑事じゃねーけどな。大体なんで俺が来るのに寝てんだよ、そんなに嫌か?」
くい、と、あごを持ち上げて、問う。
軽い格好のレオンといつもきっかりスーツを着込んでいる太子とは、そういう面では正反対であったが、性格は意外と似ている。
レオンも太子も、まっすぐな所があるが、レオンのほうが少々うるさい。
そしてしつこい。
それでも伯爵がレオンを選んだのには、その頑固さに惹かれたからだろう。
「…ずっと、待ってましたよ…」
「え」
少し体を更に起こして、レオンの首に抱きついた。
寝ぼけているのだろうか、いつもの伯爵にはありえない色気があった。
「…」
「おい。ディー?」
すうすうと寝息を立てて、そのまま寝てしまった。
動かないディーを見て、店内が異様に前に来た時より整頓され、机には菓子が置かれているのに気づいた。
「ずっと…待ってました…会いたかったです…」
寝言のような真の言葉。
いや、きっと寝言なのだろうが、このまま放っておくには行かない。
「レオンー」
アライグマのポンちゃんが、レオンの足にしがみついた。
今のレオンには、店内の動物たちがきちんと人間に見えていた。必然的にポンちゃんも、可愛らしいふりふりの洋服をきた女の子に見えるわけだ。
「お、ポン太。ディーが何かおかしいけど、何かあったのか?」
「ずっとレオンを待っていて、待ち疲れたの。寝かせてあげたら?」
ふふん、と、ポンちゃんがレオンに提案をする。
と入っても、この前のような、迷路を行って無事に帰れるとは限らない。と、考えて困っていると、ポンちゃんが案内するという。
ポンちゃんはこのペットショップの一員、伯爵の部屋をもちろん知っていた。
さて、奥の扉を開けると、例のごとく無茶苦茶な迷路と無数の扉が広がっていた。
(よくこいつらは迷わないよな…)
眠っている伯爵を姫抱きにすると、ポンちゃんに案内される。どこをどういったかすでに覚えていない。
ひときわ豪華な扉の前に立つと、ポンちゃんは扉を開けようと、背伸びをする。が、届かない。
「おう。ポン太わりぃな、後は俺がやるから戻っててくれ」
「じゃあねーレオン。戻るときは伯爵かと、そこらにいる子たちにはなしかけてもらえれば大丈夫よ」
ベッドに、伯爵を寝かせる。
やわらかいベッドの上で、眠っていた伯爵は三十分ほどして完全に目を覚ました。
がばりと起き上がると、辺りを見回す。
隣の椅子の上に、肘をついてこちらを見ているレオンに気がついて、ほっと胸をなでおろす。
「帰らなかったんですね」
「眠っているお前をほうっといて帰るのもな。それに俺のこと待ってて待ち疲れて寝たって?」
けらけら笑いながら、タバコを取り出してライターで火をつけようとするのを、伯爵がタバコを取り上げて吸うのを阻止した。
「何すんだよ。!」
軽い口付けが、レオンの唇に落とされた。
「…」
恥ずかしそうにそっぽを向いた伯爵を、がばちょと襲う。
もう一度ベッドに押し倒された伯爵は正直あせったが、それもそのはず、二ヶ月はいたしていないのだ、風俗も行ってなければ今ので火が付くのは当たり前かともおもった。
「ディー」
熱っぽい視線で見つめられ、荒々しく口付けられる。したが、歯列をなぞって、唾液が混ざり合う。情熱的な口付けだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )まだ続くけどいったん区切ります。近いうちに再開します
しまった、新と入れるのをつい忘れた…
>>292 GJ
新しい趣味に目覚めさせてくれてありがとう
ただその顔文字は流行らない
>>292 笑いすぎて涙出たwwwwwwww
GJGJ
>297の6行目(7行目?)
×怒られられ
○怒られ
312 :
1/2:2010/10/30(土) 20:09:28 ID:xvZROKb1O
オリジナル
冬の日
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース
薄い雲が僅かに光を滲ませる冬。
日差しの穏やかさとは程遠い、足元から深々と刺すように冷え込みが這い上がる昼過ぎ。
頭上では強い風が渦巻き、時折悲鳴を上げている。
カンカンカンカン……
踏切のバーが下がる音。
しばらく遅れて、都会ではもう見ない四角いフォルムの電車が目の前を通り過ぎる。
更に数秒後には強い突風。
駆けてゆく空気に引っ張られて俯いた首筋。
そこへ冷たい風が入り込み、思わず身体がビクリと震える。
背後から押し殺した笑い声。
ふぅとこれ見よがしに溜め息をついて、自分より少し高い位置にある相手の目を見据える。
「寒いんだから仕方ないでしょう」
返事はない。
それでも震える空気や伝わる雰囲気から、笑いが治まっていない事が伺い知れる。
鞄で軽く横腹辺りを小突いて、上がってゆく途中の踏切のバーを潜るように早足で進む。
駆け足で追ってくる足音。
313 :
2/2:2010/10/30(土) 20:10:48 ID:xvZROKb1O
ムキになって歩調を早め、距離を広げて先を急ぐ。
これからの行き先なぞ知っている癖に、それでも追ってくる様子に、今度はこちらが笑いをこらえる。
信号で止まっている時に、こっそりと絡められた指先。
珍しく控え目な様子。
仕方なしに手は振り払わずそのまま。
チラと見えた横顔は、いつになく緊張しているのか表情は硬く。
少し吹き出してから、手を握る。
そんな冬の日。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ。
>>292 笑える上にラストでほんわかするとは思いませんでしたGJ!
ゴツい漢2人でかわいいすぐるw
ヴぁんぷ!最新刊から鏡の人→自称探偵です
奴ら描写が少ないのでほぼ捏造
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
船の中はそこそこ混んでいた。
人ごみは好きだ。混沌とした人々の心の声に耳を傾け、それらがひとつになって
ハーモニーを作り上げるのには恍惚とした気持ちにすらなる。しかし今は…
「うー…う、うー(気持ち悪いー…すっごく気持ち悪いー)」
隣でひたすら吐き気に耐えている男が気にかかって他に気持ちを向けることができない。
「…君、なんで一緒に来たのさ?僕を『組織』の招集に誘いに来たんじゃなかったの?」
「うぅ…(きもちわるい…)」
ため息をひとつついて心を読むのも話しかけるのもあきらめる。
流水に弱い体質のくせに、なんで船に乗ろうとするのさ、君は。
「………」
「ちょ、何?」
突然こちらに寄りかかってきたことに驚いて声をあげる。
「……(…うー?)」
どうやら半分眠りかけているみたいだ。
そういえば、乗船してすぐに真っ青な顔してるからって乗客のおばあさんに
酔い止めの薬を貰って飲んでたっけ…
…自分が人間の天敵であるって自覚、あるのかな君は…
もちろん、そのおばあさんの心を読んで悪意がないことは確認したけどね。
それに人間の薬がここまで効いちゃうってのもどうなんだろう。
そのままずるずると床に落ちそうになるのを肩をつかんで止める。
…しょうがないなぁ…
座っていた場所を少し横にずれると僕の膝の上に頭を置いてやった。
後から「大の男が人前で!膝枕とか!恥ずかしい!恥ずかしいぃ!」って
怒るかもしれないけど、まぁそのときはそのときで恥ずかしがってる思考を
堪能させて貰おう。うん、ちょっと楽しみになってきたぞ。
「…う…(…なに…?)」
あ、起きちゃった。
「(いや、ほらさ。流水に弱いわけでしょ、君。僕の膝ごしだと海まで
ワンクッションできてちょっとは受けるダメージ少なくなるかなー、って)」
「んー…(…?…そう…なのか…な…)」
…納得した。前から思ってたけど、君は自称名探偵のわりに…いや、まぁいいや。
「島に着くまでこのまま寝てなよ」
苦笑しながら、膝の上に乗っている髪に触れる。
結構柔らかい。
「…ん…(…そうする…)」
手触りが思いのほか心地よくてそのまま指で梳くようにしてみる。
「…(……きもちいい……)」
………。
思わず手を止めてしまうと、それが不満なのか少し身じろぎされた。
「……んぅ(…もっと)」
ちょ、どんな殺し文句だよそれ!
「きもちいい、もっと」ってまるでねだってるみたいじゃないか!
ああ、いや撫でられることをねだってはいるのか…
っていうか、だいたい君はいつも無防備すぎるよ!
僕に対してだって、心を読めることも性格が悪いことも全部知ってるくせに
なんだって警戒心もなくノコノコと会いにくるのさ!?
正直、ドゥーの奴が相手でもその無防備さであっさり騙されて酷い目にあったり
するんじゃないかと思うと気も抜けないよ!
幹部になったときカルジミールを脅して配下を少なくして自由に動けるように
しといて本当によかった……
………。
ああ、なんか動揺してしまった。いや、今のは表情には出ていない、はずだ。
そっと周りの思考を読んでみる。
うん大丈夫、ワトソン君はなんか窓にへばりついて肉のこと考えてるし
周りの人間たちからも気分の悪そうな彼を心配する気持ちと男同士で膝枕って…
という若干引き気味の思考しか伝わってこない。
よし。
こんなこと考えてるなんて誰かに知られたら恥ずかしくって軽く死ねるよ、僕。
そうして船は滞りなく島へ進んでいったわけだが、宇宙の彼方で
テレパス能力を持った某ブラックホール氏が
「…暇だから話相手になって貰おうと思ったのだが…
うっかり混乱している最中の思考を読んでしまった等と言ったら
ややこしいことになりそうだ。このことは私の最期が来るまで心に秘めておこう」
などとつぶやいたのは他の誰にもあずかり知らぬことだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
※生注意
※ベリショのおじさま俳優Ca/ts m/e×蛇事務所暴風雨の四男
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
酔った振りで誘いをかけたのは丹乃宮の方だった。
愛だの恋だのといった甘い感情なのかと問われれば肯定するのは憚られるが、
アルコールのにおいが残る口付けも触れられた部分の熱も
脳の作用というよりは、体の方が覚えている。
「よそよそしくない?」
たまたまテレビ局の自販機前で見かけた鷹嘴を視線で呼び止め、
ひとけのない通路の突き当たりまで誘い込んだ丹乃宮がまず掛けた言葉はそれだった。
ミネラルウォーターを片手に「そうかな」と曖昧に応じた鷹嘴の視線は不自然に揺らぎ
天井から壁を撫でた後、丹乃宮のことをスルーして扉に落ち着いた。
一歩だけ右に動いてわざと扉と鷹嘴の間に割り込むと、あからさまに慌てた鷹嘴が目を逸らす。
丹乃宮は腕を組んだポーズのまま表情だけをふっと緩め、改めて友人を正面から見つめた。
「やんなきゃよかったとか、思ってんの? 活未は」
わざと軽い言い方を丹乃宮が選ぶのは、
たちの悪いジョークにしても構わないのだと鷹嘴に示してあげたかったのが半分で
残りの半分は自分へのダメージを軽減させるためだった。
鷹嘴にとっては、ひょっとして同衾するのも大したことじゃないのかも知れない。
たとえそれが男相手であっても、だ。
とにかく自分の感情一つで彼を悩ませるのは違うんじゃないかと、丹乃宮は思う。
後悔なんて、と鷹嘴は丹乃宮のマイナスベクトルをもった予想に反して首を横に振ったきり、黙り込んでしまう。
平素とは異なる気まずい沈黙を破ったのは丹乃宮だった。
「言えよ。言われなきゃ解んねーもん、俺」
母音をわざと伸ばすような、丹乃宮に特有のふざけた口調だった。
真剣なまなざしと軽い声音の微妙な乖離が、不機嫌さを告げている。
こうなれば頑固な性格を知っているから、僅かに躊躇いをみせながら鷹嘴も口を開いた。
「……後悔してるのかって、丹乃、きいたろ。させてるのかと思ったのは俺のほうだ」
困ったような目尻、優しい口もと、温度の高い指、短く切った爪。
鷹嘴の好きな部分をなんとなく目で追いかけながら、丹乃宮は数日前のことを思い出す。
嘘つきな性格は自覚していた。
だからこそ出来うる限りの真摯さで鷹嘴に体を預けた、つもりだった。
好きだと告げた。欲しいのだと伝えた。後悔しないために。
それでももう一度、改めて言葉にしなければいけないと丹乃宮は思う。
「言ったろ。好きだ、すごく。活未のことが好きだ。
あんたは俺の全てじゃないけど、煩わしいものと要らないもの全部捨ててったら
心臓の真ん中に活未が残ってる」
――少なくとも、今はね。
丹乃宮が冗談めかしてそう付け足すと、鷹嘴は漸く微笑に似た表情を唇の端に浮かべる。
「俺は後悔してないし、これからもしない。あんたが好きで、セックスしたいと思った。
恥ずかしいし痛いし面倒だけどそういう諸々と天秤にかけても、活未に触れる方を俺は」
選びたかったんだ、と続けるつもりが途中で抱きしめられ、丹乃宮は言葉の代わりに小さな笑い声をこぼした。
鷹嘴の首にぶら下がるみたいに両手を回して、ぐっと引き寄せる。
尊敬も信頼も全部通り越した、幼いほど純粋な愛おしさに満たされている。
舌を絡めると、歯磨き粉の人工的なミントの涼やかさが丹乃宮の口内にふわりと広がってすぐに消えた。
(口付けてもレモンの味なんかしないって、そりゃそうか)
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
某スレの者です。スペースお借りします…
オリジナルで、苦労人な隠密×ビッチな主君の幼馴染。
※一応、暴力・流血描写注意です
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「いや、つい流されて」
何故、と聞かれたから正直に理由を答えたら、次の瞬間ファルマに殴り飛ばされていた。
ベッドの端に腰掛けていたのが、二転三転して壁際で無様に転がされてしまっている。
腕利きの隠密の拳を受けたにしては、そのまま昏倒せずに済んだところを見ると多少は手加減してくれたらしいが、
それでも口の中が切れたらしく、つんと鼻につく鉄の匂いが脳内を汚染する。
けたたましい音。
よみがえる映像。
フラッシュバック。
しかしそれでも冷静でいられるようになったのは年の功か、と思えば顔に浮かぶのは苦笑いだった。
血を拭うふりをしてそれを隠し、気を取り直して見ると、ファルマは母親に手を挙げられた少女のような顔でこちらを見下ろしている。
一瞬、自分が悪いことをしたような気持ちにさせられたが、ふと我に返って考えてみれば殴られたオレが謝るのはおかしな話だ。
口元へやっていた手には想像していたよりも多い量の赤がこびり付いている。
平静になるに従ってじくじくと痛みが押し寄せてくた。
歯が折れなかったのは不幸中の幸いだが、それを差し引いても最低だった。
ただでさえ腰やらケツやらが痛かったのに、元々自分はそれほど痛みに強い方ではないから、ともすれば泣いてしまうかもしれない。
しかしいっそ泣いてしまえばファルマも少しくらい反省するだろうか。
そんなことを考えているのがバレたのかどうかは知らないが、ファルマは怒りを隠そうともしない獰猛な顔で、オレにしてみれば不条理な言葉を並び立てる。
「安売りしてんじゃねぇよ」
「売った覚えはないが…」
「屁理屈こねるな。同じ事だろ、欲しがられたからって簡単にヤらせやがって・・・」
「まぁ、初めてでもないし、惜しむほど大層なもんでもないからな」
「そんなこと言うな!」
こういう時、ファルマはオレのことが好きなんだろうなどと都合の良い考えばかりが沸いてきて、ぶつけられる不条理を跳ね返す隙をついつい見過ごしてしまう。
ファルマの言葉は小さな子供の言い分と同等だ。
言っても仕方ないことをごねるのに、どことなくかわいげがあって憎めない。
「事実だろう?どれだけの人間がオレを、」
「そんなことを言うな・・・っ」
ひどく傷つけられたような顔をしているファルマに途方に暮れる。
何か言おうものなら泣き出しそうだ。
本当に泣きたいのはオレの方なのに。
オレだって、別に望んで男とヤるわけじゃない。
「くっくく・・・」
「何がおかしいんだよ・・・?」
「オレを殴って気が済んだか、ファルマ。気が済んだなら、出てけ。
お前の言うとおりオレは男相手に身体を安売りする最低野郎だ、そんな野郎に構ってないで、どことなりとも行っちまえ。
別に付いてきてくれなんて頼んだ覚えはないし、こんな風に殴られるんだったら居ない方がずっとマシだ」
「ばっ・・・オレはただ・・・!」
「ただ、何だ」
憤怒、困惑、悔恨、悲哀、懇願、ファルマの瞳には実に色々な色が浮かぶ。
それは見ていて飽きなかったが、見ていて辛い事もあった。
以前は。
ファルマは二、三、何かを言いかけて、口をつぐむ。
そうして、最後に出て来たのは確かにオレが望んだ言葉に違いなかった。
「・・・・・・悪かった」
「分かればいい」
これで元通り。
主君と従者。友人同士。幼馴染み。
また明日から顔を付き合わせていける。
それは、確かにオレの望み。
2人にとっての最良。
この関係が続くなら、きっと最期の時まで一緒にいられる。
「オレも悪かったよ。出来るだけ、気をつける」
「・・・ああ」
多分、ファルマは気付いている。
薄っぺらな笑顔、言葉だけの謝罪に。
また、オレが繰り返すことに。
気付いていて、口を閉ざす。
上出来だ、と褒めてやりたいが、ここで褒めれば彼の努力が台無しだ。
あたかも何も無かったかのように、お互いやり過ごす。
ファルマが出て行った後になって、笑いがこみ上げる自分を最低だと罵って、腫れて痛みを訴える頬にそっと触れる。
一途なファルマ。
オレが最期まで一緒にいてほしいと思っている事に、お前はきっと気付いていて、その願いを叶えてくれる。
だけど知ってるか?
お前が今すぐオレから離れていってくれたって、全然構わないって事。
真面目で、優しいお前が、最低なオレに慣れてしまう前に、オレがまともだった頃の記憶と共に、オレを見限ってほしいって思っている事。
卑怯なオレは、決して口には出さないけれど。
「上出来、か・・・」
上出来なのは、彼か、己か。
分からないまま、きっと最期まで一緒にいる。
それが幸か不幸かも分からない。
一つだけ確かなことは。
ファルマと最期まで一緒にいる、その事を思うと、胸が暖かくなる事だけ。
彼はどう思っているのかは知らないけれど、どう思っていようが構わない。
この暖かささえあれば。
今は、それだけでいい。
そう思って、目を閉じた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
闇金ウシジマくんで滑皮×社長。大人向けでソフトなSM表現と暴力描写、お道具使用などが苦手な方は読まない方が良いと思います。時間的な設定は単行本1巻の前
のイメージです。長いので全部で分けて間を少し開けて投下します。前スレでレス頂いた方々、ありがとうござました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
まだまだビルの谷間に日が沈みきらない午後5時。丑嶋はその日の業務を早めに切り上げ、ある名の通ったホテルの一室のベッドの上にいた。
室内は快適な温度で、ベッドは柔らかさと弾力のある質の良いつくりだ。快適そのものだが、丑嶋の額には少しだけ汗が噴き出ている。別に熱などがある訳ではないが、
ある意味体は熱くなっている。
「・・・くそっ」
丑嶋は居心地の悪さに体を揺り動かそうとした。だが、自由が利かない。何故ならば、今、丑嶋は上品な雰囲気の部屋に相応しくない恰好で体の動きを奪われているか
らだ。視界は黒い革製の拘束具によって遮られていて、体は縄で緊縛されているのだ。
上半身は鎖骨の下の辺りに1本、胸と腹の間に1本渡されていて、その縄は胸と腕を拘束していて、結び目は背中にある。がっちりと固められているので、只でさえ筋
肉でふっくら隆起している胸は普段よりも卑猥に前方へせりだしている。
下半身も上半身同様しっかりと拘束されている。両足共にふくらはぎ太ももの裏が接着するように縄で巻かれ、更に股を開いた状態で固定されている。これでは股を閉
じることも出来ないので、部屋の空調から流れてくる空気に陰毛が揺れる。
屈辱的な格好を強要されているにも拘らず、丑嶋は暴れたり逃げようとはしない。部屋に着いて、すぐ目隠しをされ、体の自由を奪われたが、抵抗出来ない理由がある
のだ。
昨日、経営する会社の資金を借りている女性に呼び出された。正直あまり顔を見たくない相手だが、服従せざるを得ない相手だ。その女性から、今日ホテルに行き、誰
かも分らぬ男の相手をするように指示されたのだ。
部屋に入った時、最初にいたのは黒服の男達3人だった。内心、仕事の後で3人も相手にするのは気だるいと思った。男達は筋者の独特の威圧感があり、拘束された時
点で気だるさは頂点に達した。気分ではないのに、男達は恐らくあの女性と金銭的に繋がりがあるだろうから、少しは雰囲気を出してやらねばならない。今までもこのよ
うな状況を迫られたことは度々あったので、今回も従順にされるがままに人形のようになるしかなかった。
ところが、男達は丑嶋に目隠しを施し、黙々と丑嶋の体を拘束すると部屋から出て行った。
どうやら相手は別にいるようだ。複数の男の相手をする体力の心配はなくなり、少しだけ気が楽になった。
けれども、これだけ丁重に拘束してセックスをいたそうとするような奴なので、どうせろくでもない目に会うのは間違いないのだ。
「くそっ、早く来いよ・・・。さっさと帰りてェんだよ」
屈辱的な状況は諦めるしかないが、感情の揺らめきを止めるのは中々難しく、どうしても眉間に憤怒の証しの皺が寄ってしまう。目隠しで覆われているので傍眼には見
えないので、もし相手をする男が現れても不快にさせる心配もない。
しかし、それだけでは足りない。どうしても怒りを抑えられず、自然と歯を噛みしめ、ギリリ、と不快な音がした。何もかもが気に喰わない。この状況も、嫌だと断れ
ない立場の自分も。歯ぎしりの音は止まらず、噛みしめ過ぎた奥歯が痛くなってくる。その時、音と被さるタイミングで部屋の出入り口が開き、人が入ってきた。
足音と気配から察するに入ってきたのは一人。だが、相手が入ってきた途端、空気が変わった気がした。丑嶋からは誰かは分からないが、それなりの人物には違いない。
丑嶋が歯ぎしりを止めて目隠しされた顔を上げ、様子を必死で探っていると、目の前の人物が小さな声を出して笑った。
「ふふん・・・。なかなかどうして好い眺めだな」
声に聞き覚えはない。だが、わざわざあの女金主を辿って来たのだから声は知らなくても、顔は知っている男かも知れないと丑嶋は考えた。
「さあ・・・」
男は楽しそうな声色で言った。
実は、丑嶋の予想は当たっているのだ。目の前で楽しそうに鼻歌でも歌いそうなご機嫌の男は丑嶋の面識のある男、滑皮秀信。現在は若琥会若琥一家二代目猪背組の幹
部候補生。そして、丑嶋とは互いに遺恨を抱く間柄だ。
滑皮も丑嶋も人を平気で傷つけ、自分の為には人の命さえも奪いかねない残酷性とある種のカリスマ性を持っている。性根は似ている。水と油ではなく、火のついた油
と火のついた油。交わらないのではなく、交われば何かしらの惨状が起こりそうだ。
組の幹部候補生と零細貸金業の社長では立場が違い過ぎるが、滑皮は昔から丑嶋が妙に気になっていた。あくまで気になっているだけで、気に入っているのではない。
だから、組を介して付き合いのある女金主から丑嶋のことを聞き、こうして呼び出させたのだ。
ご丁寧に目隠しをさせたのは、過去にこれからすることと同じようなことをされた丑嶋を怯えさせないようなどという優しさではない。自由と視覚を奪われ、逃げ出す
ことも出来ない丑嶋と違い、自分は何でも好きに振る舞えるという優越感に浸る為だ。それに、人間は自由と視覚を奪われると不安になるものだ。あの丑嶋が不快を露わ
にし、恐れ慄くのを楽しみたいのだ。
滑皮は縄で縛られたせいで前にせり出し、赤くなり始めている胸に手を当てた。処女の少女の膨らみ程度だが、張りつめた肉は硬い。目隠しをされているので丑嶋はど
こを触られるかは分かっていない。てっきり一瞬でも動揺して震えるかと期待したが、全く微動だにしない。
「まあ良い」
言いながら滑皮は硬く引き締まった肉玩具を弄び始めた。
胸板を撫でるながら徐々に丘の頂点である乳首に指を近づけていく。だがすぐには触れず、乳輪の色づきに沿って指で円を描く。見る見るうちに頂点の乳首はぷっくり
と期待を露わにして起ち上がった。滑皮がかつて味わった時もそうだったが、随分と性感の良い体だ。
しかし、あの時の記憶を引っ張り出してみると、あの時は指の先で弾くのがやっとの大きさの筈だった。いま目の前にあるのは記憶の物よりも明らかに肥大している。
醜いほど大きくはない。むしろ丹念に愛撫してやりたくなる。誰がやったのかは分からないが、あの時からゲイの男好きする体だった。よくここまで10年もしないのにい
やらしく育ったものだ。
少しの憧憬と欲を含み、滑皮の指が性感の塊に育った乳首を摘まみ、力を込めてグリグリと転がし始める。丑嶋の体が少し動いた。もしここに第三者がいたとしても、
見かけでは分からないだろう。だが、触れている滑皮には十分に伝わった。少し楽しくなり、親指と人さし指の間で乳首を強く挟み、容赦なく引っ張った。
「・・・っ!」
小さく息を吸う丑嶋。眼隠しに隠れているが、眉間に皺が寄っているのは明白だ。
目とは違い拘束されていない口から許しを乞う言葉は出ない。丑嶋は呻きともつかない息を吐き、ただされるがままに耐えている。
これでこそ丑嶋だ。こんな序の口で音を上げられてしまっては面白くない。滑皮は乳首を責めるまま、無口な丑嶋の唇にキスをし、口内の奥まで舌先を押しこんでやっ
た。
「んううっ」
逃げる丑嶋の舌を吸いだし、勢いよく自分の口内へ引き入れる。引き込まれてもまだ暴れる舌の根を千切れそうなほど歯で押さえつけ、湧き出た唾液を送ってやると、
丑嶋は呻きながら嚥下する。惨めだが、屈辱を受け入れるしかない。
無理やり唾液を飲ませている間も、勿論乳首を虐める事は怠らない。片方だけでは飽き足らず、まだ触れていなかった方の胸にも手を伸ばす。こちらは乳首に爪を立て
何度も指を押し付けてやる。乳首はすぐに痛々しく立ちあがった。
喉が渇く位に唾液を丑嶋に飲ませ、満足した滑皮はやがて口を離した。乳首はいたぶるままだが、顔を離して見てみると丑嶋の体はやはり素晴らしい物があった。190
センチを超えるしなやかな体には余分な肉が殆どなく、戦闘用に鍛え上げられた体だ。
大きく開かれた股の間の性器は少しだけ反応しているが、まだ固くはなっていない。サイズは人並み。色は綺麗な色だとは言えないが、くすんだ色さえも色っぽく見え
るから不思議だ。
乳首は大きくなっているが、性器は経験を重ねたところで大きくはならない。記憶にある丑嶋のかつての性器はこれより少し小さいが、倍になってはいない。だが、触
れば大きく淫らになる筈だ。滑皮は想像して興奮すると、自然と両方の乳首を摘まむ手に力を込めてしまった。
「ん、んっ」
丑嶋が痛みに声を出す。性器は乳首への強烈な刺激を受け、すぐに角度を変えて頭をもたげてきた。
痛みに反応をする丑嶋を面白く思い、滑皮は乳首から両手を離すと性器を掴んだ。左手では睾丸を揉む。右手では竿を急激に扱き上げる。
「ううっ」
掌の中の性器はすぐに静脈を浮き上がらせ、太く硬くそそり起っていく。同じ男として気持ち良くする手段を知っている滑皮が激しくねちっこく愛撫を進めて行くと、
傘を開いた亀頭の先端からヌルヌルしたカウパーが湧きでてきた。声も段々険しさがなくなり、甘えを帯びた艶っぽい声になってきた。
「チンポ気持よくなってきたのか?」
滑皮は丑嶋の耳元に唇を寄せ、耳の穴に舌をねじ込みながら囁いた。
「んっ、よくなんて・・・なってねェ」
従順な丑嶋だったが、いたぶられて嫌になってきたのか今日初めて言葉らしい言葉を喋った。しかも、反抗的な言葉で。従順な丑嶋にやりがいを削がれていた滑皮の背
筋を甘美な悪寒が駆け抜けた。
目隠しをしていて見えなくとも、自分の体がどのように反応しているかは分かっているに違いない。それでも認めない。そのプライドこそ滑皮が欲していた物だ。そし
て、叩きつぶしてやりたい物だ。
そうこなくては虐めがいがない、と滑皮は声を出さずに笑うと、性器から手を外し、ベッドサイドのテーブルの引き出しに近づいた。
引出しを開けると、中には先に来た男達が用意してくれた物が数点入っている。その中から短いパイプのような物を取った。左右の端には互いの端をつなげる金属が付い
ている。これはシリコン製のコックリングで、性器を縛って射精出来ないようにし、いたぶる為の道具だ。その他数点を手に持ち、すぐにベッドに戻った。
ベッドの上に持ってきた物数点を置くと、丑嶋がピクリと肩を震わせた。折角性器を離して貰えたのに、この男はまだ自分を辱めるのか、と警戒しているのだろう。僅
かに怯えた丑嶋を愛らしく思い、滑皮は自分の性器がズボンの中で成長するのを感じた。だが、まだ自分の性器の出番には早い。これから丑嶋を辱めなければいけないの
だ。
滑皮は丑嶋の性器に再び手をかけ、コックリングを掛けようとした。だが、微かに聞こえる金属音に嫌な予感でもしたのか、丑嶋は器用に脚を動かし、滑皮の手から逃
げようと後ずさりをした。
まさかこの状態で少しでも逃げようとするとは思わなかった。滑皮はあっけにとられた。そんなに嫌か。そんなに屈辱か。だが、そういう態度に出られるほど燃えてし
まうのだ。丑嶋の腕を掴むと、がっちり拘束された体は容易く捕まえれた。
「逃げれる訳ねェだろうが!オラ、大人しくしとけ」
もがく体を他愛もなく抱きしめ、勃起した性器にリングを絡める。金具を止めると、只でさえ膨らんでいた性器は根元で搾りあげられて胸同様に先程より大きく見える。
「んんっ、んっ」
大事な部分を縛られ、丑嶋はモヤモヤとした倦怠感に襲われた。性器の根元が急激に痛くなっていく。反対に血がせき止められた根元より上は熱くなる。見えなくても
縛られたことが分かった
また熱の原因は縛られているだけではない。結び目の金具は性器の裏筋のちょうど上の辺にあり、金具が性感の高い裏筋を絶え間なく押しているのだ。残酷な事に射精
を禁じるコックリングの筈が更なる射精感を呼び込むことになっている。それでも竿の根元の肉に食い込むリングは無情にも射精する事を許してはくれない。丑嶋にとっ
ては地獄の責め具で、滑皮にとっては便利な調教道具だ。
丑嶋はどうしようもない熱の逃がし場所に困り、歯をくいしばって耐えるしかなかった。そんなことしてもどうにかなるものではないが、せめて屈する態度は見せては
いけない。このまま耐えていれば、相手が飽き手しまうかもしれなと淡い期待を抱く。ただひたすら下半身の快楽に意識を囚われないように別の事を考えようとする。
ところが丑嶋の努力をよそに滑皮が縛られた性器に指を絡めてきた。
「クソッ!おっ、おお・・・」
何を言っても滑皮が聞いてくれることはない。そればかりか、丑嶋が嫌がれば嫌がるほど手の動きの激しさは増してくる。先端の尿道口は親指で撫でまわされ、竿は小
刻みに擦られる。とどめに裏筋は留め具で押されている。感じるなと言う方が無理だ。全身が性器になったように敏感に快楽を捕らえ、カッカと火照ってしようが無い。
竿は今にも爆発しそうに膨れ、早く射精したいと訴えてきた。
「イキたいか?」
滑皮が意地悪く聞いてくる。そんなこと言わなくたって分かっているくせに憎たらしい。丑嶋はまだ相手が滑皮だと分かっていない。もし知っていたら、まずこのホテ
ルに来ることを拒んでいるだろうし。
丑嶋は全身を強張らせ、せめて相手のやることには屈しないと誓おうとした。だが滑皮のテクニックは凄まじく、丑嶋はついに認めてしまおうと思った。死にたいほど
惨めだが、不思議と悪魔に屈する気分が倒錯的な気分にし、自分自身が戸惑ってしまう。
「ん・・・、あぁああ」
自由に動かせる数少ない部分である首を振って不快を訴えるが、滑皮は丑嶋の様に興奮して首根っこを掴み、自分の方に引き寄せる。すっかり大きくなってテントを張っ
た股間を解放してやるべくジッパーを下げ、下着の中から鷲掴みにして引きだした。
根元に生える陰毛は黒々としていて、足と股の間の関節までびっしりと茂っている。まるで海藻のようだ。陰茎は長大で特に竿の部分は芋虫のようでグロテスクでさえ
ある。我ながら立派で、丑嶋に見せてやれないのが残念だ。
充血しきった物を触ると、それだけで少し痛みを感じるほど大きくなっている。すぐにぶち込んでもいいが、まずは熱い吐息を吐き続けているせいでうっすら湿ってい
る唇に慰めてもらいたい。逃げれないように掴んだ丑嶋の顔に性器をべったりとくっつけた。
「しゃぶれ。ちゃんと、な。どうせ本当はこれが大好きなんだろうが」
「く・・・っ!」
逆らえない立場である丑嶋は最初は全てを受け入れるつもりだったが、いざこんなに乱暴に扱われると、相手がだれか分からなくても逆らいたくなってしまう。しかも
視覚を奪われているので嗅覚が敏感になっている為、滑皮の股間全体から放たれている強烈なホルモン臭が不快で堪らない。丑嶋は首の筋を違えそうなほど顔を背けてし
まった。
「気持ちわりぃ・・・」
強烈な臭いに苦味が広がり、耐えきれない吐き気が込み上げてくる。自然と相手に対して失礼な言葉が零れ出てしまった。
「んだと、テメェ!これからテメェの汚ねェケツに突っ込んでやるんだ。ちゃんとしゃぶって濡らせ」
いきなり滑皮は激昂して丑嶋を怒鳴りつける。それでも丑嶋は要求には応じない。
「舐めてんのか?ババアに言われるがままに来て、簡単に股開きやがるくせに変なプライド持ちやがって・・・。コラ!」
怒鳴りつけても効果が無いと分かるやいなや、滑皮は急に無表情で横をむいてしまった丑嶋の横っ面を思いっきり張った。拘束された丑嶋の体は衝撃で転んだ。股を開
いたまま仰向けに倒れたので、余計無様に見える。ギシギシと縛っている縄の結び目が軋む音がした。
「オラァ、さっさと美味そうにしゃぶれよ」
音は凄いが、平手うちは左程痛くない。丑嶋はまだ無表情のまま横をむいたままで頬の微かな痛みに耐えた。
するとさらに反対側の頬に平手打ちが飛んできた。今度は先程よりも重く、痛い。拘束されている手足は反面言えば揺るがないが、自由な首はガクンと揺れ、頭を軽く
ベッドに打ちつけた。流石に横を向いていられない。
「どうだ?素直にしてりゃ可愛がってやるよ。俺はお前のこと、案外気に入ってるんだぜ」
滑皮は優しい声を出しながら丑嶋の腹の上に乗った。この位置だと、ちょうど勃起した性器の先端が丑嶋の顔の前に来るのだ。最初に張った頬は若干力を抑えたせいで
左程赤くなっていない。対して次に張った頬の方は完全に本気でやったので、手の跡が赤く残っている。触れてみると火照っていて少しだけ熱い。急激に滑皮の中のサディ
ズムの虫が喚きだした。
「ホラ、口開けろ。淫売が」
わざと丑嶋を挑発するような言葉を真正面から投げかけると、丑嶋は一層固く口を噤んだ。滑皮は丑嶋から見えないのを好いことに下卑た笑顔を浮かべ、丑嶋の顔の前か
ら性器を遠ざけた。
屈辱どころか吐き気を催す臭いが遠のき、丑嶋の眉間の皺が緩んだ。
「誰が許すかよ」
滑皮は丑嶋の安堵した様子がさも気に食わない、さも怒っています、といったキツイ声で静かに言い放つ。
丑嶋の眉間にまた皺が寄りかけたが、その前に握りしめられた滑皮の拳が顔面に向かって襲いかかってきた。
「グッ!」
丑嶋は短い悲鳴を上げ、ままならない体を折り曲げて滑皮の猛攻から守ろうとする。だが滑皮は腹の上に体重を掛けて座っているので体はまったく動かせない。
「オラッ!」
滑皮の攻撃には一切容赦がない。握った拳の先端で殴るのではなく、指の付け根の骨の部分で殴るのでダメージも大きい。殴る方の体力もいるので、いかに効率よくダメー
ジを与えられるか考えられた攻撃だ。
「フン・・・。少しは応えたか?」
両頬を行儀よく同じ数叩くなんて生易しさはなく、気の済むまで殴ってやった。本当は頬骨が折れる位に殴ってやってもよかったのだが、そんなにやっていては自分の体
力が失われてしまう。程良く体も温まり、気持ち良く丑嶋を傷つけ、滑皮はやっと攻撃を止めた。
][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
続きは後日。貴重なスペースお借りしました。ありがとうございます。
それではお目汚し失礼致しました。
>>315 可愛いなあ可愛いなあGJです!
黙っててくれる某ブラックホール氏マジ紳士。
しかしカルジミール……w
338 :
風と木の名無しさん:2010/10/31(日) 23:22:47 ID:6HbWvubLO
>>319 前作も今作も物っ凄くツボでした
二人とも可愛すぎて胸熱…!!
>>327 なんてこった…!
まさか社長でSMが読めるとは!しかも滑×丑だなんて嬉しすぎます!
相変わらず読み応えあって続きが楽しみです。有難うございました!
もう一枚頂きます。
ピクシブって、お絵かき掲示板的な機能付きのブログかと思ったんだけど、
アップロードしか出来ないの…?
何か、それはそれで楽しいんだけど、
思ってたのと違う…困惑…
オリジナルで、人間×人狼の話です。知人さんが見たという夢が元ネタ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
人里に面した森の中、その深くのけもの道に、ひとりの少年が立っていた。子供の柔らかさよりは骨っぽさの方が幾分目につく少年は、背を伸ばして声をあげた。
「だいちゃん、遊びにきたよ」
一見、誰もいない木立に向かってかけられた声。しかし、反応は確かにあった。がさがさと葉が擦れ、忙しい足音が聴こえてきたかと思うと、少年の細い身体に誰かが抱きついた。
「らんちゃん、会いたかった!」
言葉通りに嬉しそうな、弾んだ声。その持ち主は、らんちゃん、と呼ばれた少年と同年程度の少年だった。ただその頭には、犬科を思わせるけものの耳が生え、腰からは同様の尻尾が覗く。
「相変わらずストレートだね、だいちゃんは」
「すとれーと、ってなに?」
「素直ってことだよ」
直情的な相手に、少年は苦笑混じりに、しかし柔らかく微笑んだ。らんちゃん―もとい嵐は、森近くの村に住む人間だった。対して、だいちゃんこと大は、この森に住むけもの人―人間曰くの「異形の者」だった。
本当は互いの住処の掟で、人間とけもの人が会うなどご法度だ。しかし、ふたりはそんなことを大して気にもせず、よく山で遊んでいた。
人見知りで村に友だちの少ない嵐にとって、いつでも笑顔で接してくれる大は、かけがえのない存在だった。幼いときから森の深くで慎ましく暮らしてきた大にとっても、嵐は人間で唯一の友だちだった。
ふたりは性格こそ月と太陽のように違ったが、それ故にか不思議とかみ合い、人目を避けて仲を深めた。年を重ねるにつれその縁は強固になり、お互い無意識に恋に似た思いを抱いていた。
だが、ふたりが十代の半ばも過ぎたある年、嵐の住む村が大飢饉にみまわれた。
主食である小麦からなにまでの作物が不作となり、雨も降らない。人々は飢えに喘ぎ、苦しみ、いつしか「神の怒りだ」と騒ぎ立てた。
食糧の奪い合いすら勃発する中、村長は村人たちを我が元に集め、高らかに言い放った。
「森に住む異形の者を生贄として神に捧げれば、その怒りを鎮められるとの伝承がある」
統率者である村長の言葉に、藁にもすがりたい思いの村人たちは賛同し、異形どもを狩って神に捧げようと息巻いた。
その熱狂の中で、嵐は元来白い肌をさらに青白くさせていた。頭に浮かぶのは、けものの耳や尻尾を揺らして笑いかける大の姿だ。
明朝に大人たちが生贄狩りを行う、と聴かされた嵐は、その夜の内に森へと走った。
いままでで一番急いでいつもの場所へ辿りつき、息をきらす喉を張り上げ、「だいちゃん!」と呼んだ。夜中に、それもただならぬ様子で来訪した嵐に、現れた大は「どうしたの?」と心配そうに訊ねた。
「だいちゃん、逃げよう」
事情を説明した嵐は、大の手をとってその目を見つめた。成長し、嵐よりも背丈の伸びた大は、耳と尻尾をうつむかせ困ったように嵐を見る。だが、「俺の家に隠れればいい」と説得する彼に、やがて大はこくりと頷いた。
それを確認した嵐は、大の手をしっかりと握り、急いで山を降りた。
かくして、ふたりの同居生活が始まった。
嵐の家は村のはずれにあり、彼自身近所との付き合いは薄い。灯台もと暗しというのか、村人たちは大の存在に気付かなかった。しかし、村を覆う飢饉は深刻だった。
ひとりが食べるものすら難しい最中、嵐は小さなパンを半分割し、大と分け合った。
そうやってどうにか日々をしのいでいったが、元々細く色も白い嵐が痩せていく姿に、大の胸は痛まずにはいられなかった。
あるとき、いつものようにパンの片割れを差し出された大は、「俺、今日はお腹空いてないから。らんちゃんが食べていいよ」と言い、そのパンを返そうとした。
しかし、自分と同様に痩せていく大が、それでも笑って嘘をつく様に、嵐のひとつの思いは強まるばかりだった。
(だいちゃんを、ころしたくない)
事実、森に住んでいたけもの人の何人かは、既に生贄として手にかけられていた。生贄を捧げる程に救われると信じている村人たちを見て、嵐は反吐が出そうだった。
殺させやしない。俺が、守るんだ。そんな思いを噛みしめながら、ひもじい生活を送る日々が続いた。
そして翌年、村の飢饉はどうにか終結した。作物もある程度は取れるようになり、村人たちは安堵の息をついた。それは嵐も同様だった。
しかし、彼はあることに気付いてしまった。
大のことだ。飢饉が終わり危険は去ったのだから、けもの人である彼を山に返さねばならない。
それは当然のことであったし、嵐も彼を連れ出した当初はそのつもりだった。
だが、それが出来ない。嵐にとって、大のいる生活はかけがえがなく、大のいない生活など、もはや考えられなくなっていた。
だから、嵐は嘘をついた。
「らんちゃん、外はどうなってるかなあ」
「…まだ、危ないよ。ここにいなきゃだめだ」
「…そっか」
そう返すと、大の表情が悲しげに翳る。
それに胸が痛むのを誤魔化すように、嵐は大に口付けた。そのまま床に押し倒して、抵抗のない身体をまさぐる。
居住を共にして以来、ふたりはこうしてセックスもするようになった。元より種族も性別も超えた慕情であったため、それは当たり前のように生活にまぎれた。
らんちゃん、らんちゃん、と濡れた声で呼ばれる度、嵐の胸はいとおしさと罪悪感でないまぜになる。それを消す潰すように、嵐はまた大を掻き抱くのだ。
そうやって、延長された同居生活が続く最中だった。
ある日、嵐が外出している間。いつも通り残された大は、珍しく村のはずれを通った村人の声を、その会話を聴いてしまった。
「今年の麦は、豊作だねえ」
その嬉しそうな言葉を聴いて、大は初めて、とうに飢饉が終わっていることを知った。それは同時に、ずっと信じていた嵐の嘘を知ることだった。
ぼう然とする大の元に、嵐が帰ってくる。荷物を降ろすその背中に、大は声をかけた。
「らんちゃん」
「なに?」
「外は、どうなってるの?」
問いかけた言葉に、嵐の動きが止まる。
少し間が空いてから、その答えが返された。
「…まだ危ないよ」
いつも通りの返事。いつも通りの、嘘。
それを聴いた大は、
「…そっか」
と、いつも通りに頷き、微笑んだ。
森に住むけもの人であった彼は、故郷よりも、嵐という孤独な青年を選んだ。
ねえ、らんちゃん。あなたが望むなら、俺はずっと馬鹿な飼い犬でいいよ。だって、そうしたらひとりじゃないでしょう?
そう微笑む大を囲う小屋の外には、彼の知り得ぬ豊かな秋が広がっていた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ;)イジョウ、ジサクジエンデシタ!
元は生物パラレルとしてのネタだったんですが、そのまんまな感じに名前を変えきました。元が分かる人がいたら神。
しかし自分は人狼ものが好き過ぎる…。
失礼いたしました。
長編やシリーズ物やる人が多いけど
なんでトリップつけてない人が多いの?
酉は強制じゃないですよー
強制じゃなくても推奨されてる理由はちゃんとあるわけで
>>348 アテクシの作品をまとめてあぼんしたい者などいないはず!って事なんじゃないすか
アテクシがまとめてあぼんしたいから酉つけて!というのも相当だぞw
>>352 でも最初のほうで見切った長編連載なんか
何回来てても絶対見ないですませるわけじゃん?
読者を選ぶ特殊な設定って様々あるでしょ
それは作品としての出来不出来とは関係ないんだから
まあつけた方が親切だと思う
そんなに読み飛ばしたいならまとめサイトだけ見てればいいじゃん。
わざわざここきて不快な思いしなくても。
不快だから飛ばしてるわけじゃなくて
興味がないから飛ばしてるだけなんだけど
雑誌の連載と同じ感覚
なら尚更タイトル見れば飛ばせるまとめサイトの方が便利じゃないか。
>>357 なんでそんなにトリ付けたくないの?
トリ付けてくれた方が便利だな、って話なのに
嫌なら見るな、まとめ行け!ってちょっと横暴でない?
>>358 やだよ、鶏なんかつけたくない
そっちでよけてくれ
359さんはシリーズ物の書き手さんなのかな?
>>358 むしろなんでトリがあろうとなかろうと、興味の無いものを黙って読み飛ばす事が
出来ないのかが不思議なんだが。数回スクロールするだけなのに。
便利って、そんなに読み飛ばすのに自分が一手間かけさせられるのが許せないの?
相手にはトリつける一手間を求めるくせに。
トリNGにするのもシリーズ名NGにするのも手間一緒のような気がする
>>362 それが不思議なんだよね
タイトルをNGにすればそれで済むのに、何でトリを要求するんだろう
PCだと数回スクロールでも携帯だとすんごい面倒なんだろうか?
PCならタブキーでスクロールバーの面倒さが減る(気がする)。
携帯は、見てる変換サイトとかにもよるだろうけど、長文レスは省略の設定にしときゃ
いくぶんか楽だろうと思う。読みたいのを読むのにゃちと面倒かもしらんけど。
最近の機種だと、上下キー押しっぱで一気スクロールできる。すっとぶので行き過ぎやすいが。
iMonaなら右キーでレス送りできて便利。
てか、携帯だとNGできなくない?少なくとも、自分はできるとこ知らない。
あと、PCの専ブラには、ここから何レスあぼーん、とかできるのもあるんじゃないかな。
タイトルさえついてればイチイチ鳥なんていらんと思うけど
鳥つけずに投下した人は、もし他の個人サイトで「この小説は自分のです」って
騙られてても、本人証明はできんだろうな。
うんうんどうせいつも容量オーバーの方でスレ落ちするからたまには好きなだけ議論ネタやっていいよ
流れと違うけど…
>>273 貴方様のおかげで昔見た参匹が色鮮やかに思い出しました
仙石がこんな萌えキャラになるなんて素晴らしい!
続き楽しみにしてます
ところであと80kb程このスレ残っているけど議論で埋めきれるものかしら?
レスでいえば多分100以上入ると思うけどな
>>366 >鳥つけずに投下した人は、もし他の個人サイトで「この小説は自分のです」って
>騙られてても、本人証明はできんだろうな。
他のスレで、保管庫のSSをコピペして、発表されたのより数スレ後投下している
のを見たことあるんですが、鳥さん付けていたらそれは回避出来るのでしょうか?
自分、タイトル自体が長かったので付けなかったんですけど、
みなさん、長編ってお嫌いなのですか?
携帯の方はw2chおすすめ
あぼーん機能有、抽出機能有。
>>369 最後の一行が唐突でよくわからないのですが
長編が好きな方も嫌いな方も千差万別ではないでしょうか?
千差万別だけれど
長編が続きすぎると叩かれる傾向にあるみたいね
議論は避難所でやってください
作品投下を邪魔しているのはあなた達です
長編の好き嫌いより、内容の好き嫌いでしょ
空気読まずに投下。幽鬼「と」カワラザキです。じいさまと孫として。
厳密には801じゃないかもしれないけど投下させて下さい
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
秋も深まってきたある日の夜半過ぎ。
カワラザキは、階下で物音がしたのに気が付いて目を覚ました。
いつもならば気付くかどうかも分からないほどの小さな音だった。
まさか、こんな所――BF団本拠地の一角にある
十傑集の私邸――に忍び込む輩もおるまいよと思いながら彼が階段を下りる。
室内履きの足音を控えめに響かせながら音がした方へ向かうと、
廊下の途中にある厨房のドアからひっそりと光が漏れているのに気が付いた。
その廊下の突き当たりは嵌め殺しの大窓で、
わずかな光を反射してこちらの様子を映しているのが半分と
その向こうの裏庭の木立を透しているのが半分だった。
見ようによっては蠢く黒い塊にも思えるそれは、
子供が泣き出すには十分だったかもしれないとカワラザキは昔を思い出す。
そのドアの中にいるであろうもう一人の住人を驚かせないように、
彼はそっとノブに手をかけた。
少し力を込めると、きぃ、と時代錯誤な音がして古い蝶番が鳴いた。
「……じいさま…………」
果たして、彼はそこに立っていた。
カワラザキと同じく寝間着姿の彼は、少し乱れた横髪を肩へと無造作に垂らしている。
鬱蒼としたその立ち姿は枯れ柳のように弱々しく、まるで生気というものが感じられない。
振り向くまなこもどことなく力ない様子である。
傍らの天板の上には水に濡れたグラスがひとつ置かれていた。
「すまない……起こしてしまったか」
「いや、いいんじゃよ」
幽鬼は、気配でカワラザキが起き出して来たことを察知していたのか
さほど驚いた様子は見せなかった。
「それより、こんな時間にどうしたんじゃ?」
心配になって降りてきたと言えば、
幽鬼に余計な気を遣わせるだけになることを分かっているためカワラザキは疑問だけを口にした。
幽鬼は、わずかに逡巡するように瞳を揺らめかせたが
ほどなく、傍らのグラスへ向けるようにして視線を伏せた。
幾つかの水滴をまとった細身のグラスの中には少しだけ水が残っている。
「――喉が、渇いて。水を飲んでいただけだ」
白い照明の冴え冴えとした光の中で、そう言う顔は向こう側が透けて見えそうなほど青白かった。
グラスの横へ付いた彼の手が小刻みに震えていた。
その手へ向けてカワラザキが自分の手を伸ばすと、幽鬼はびくりと小さく身をすくませたが
カワラザキはそれに構わずに、骨ばった細い指先を上から覆うようにして握りこんだ。
「こんなに冷えて……」
温かく柔らかいカワラザキの手と比べて、幽鬼の指は石のようだった。
とても血液が通っているとは思えないような温度と質感を持ったその手を
カワラザキは両手に握って優しく擦ってやる。
丁寧で情感のこもったその仕草は、手の中のものに命を吹き込もうとしているようにも思われた。
「じいさま?」
芯まで冷えた指先は手に握るくらいでは一向に温まらない。
よくよく見れば、戸惑ったふうの彼の生え際や首筋も汗でうっすらと濡れているのが分かる。
夏もとうに終わった夜中の空気は既に冷たく、傍目に分かるほどの汗も単なる寝汗とは思われない。
このままでは体が冷えていくばかりだろうと考えたカワラザキは
あえてそのことには触れずに、幽鬼の手をいったん離すと
自分の着ていたガウンを脱いで目の前の薄い肩へかけようとした。
「これも着ておきなさい」
「いや、大丈夫だ。寒くないから……」
「いいから、着なさい」
本来なら、年齢的に自分よりも温かくしているべきのカワラザキから
上着を受け取るという事に幽鬼は躊躇したが、
あくまで優しいけれども有無を言わせないその口調に仕方なくガウンを受け取ると
厚手のそれへ遠慮がちに袖を通した。寝巻着一枚でベッドから起き出して来た身体には
彼の体温が移ったガウンが、ほんのりと、とても温かく感じられる。
そこで初めて、幽鬼は自分の身体が思うより冷えていたことに気が付いたのである。
「……ありがとう」
ひかえめな礼の言葉に、カワラザキは満足そうな笑みで応えた。
それを見て幽鬼もようやく、はにかんだ、ほんの少しだけの笑顔を
そっと浮かべることが出来たのだった。
「さ、もう戻ろうか」
・・・・・・
連れ立って、暗い廊下を歩く。古い木の階段が軽くきしむ。
二人とも無言だった。
住みなれた家の中で、明かりをつけていなくとも
自室に戻るくらいのことは二人にとって難しくない。
「幽鬼」
暗闇の中で、少し枯れたテノールが幽鬼の耳を焦がした。
「まだ、夢を見るのか?」
月明かりすらない廊下で相手の表情は全く読み取れない。
それでも幽鬼の息がひそかに震えたのをカワラザキは感じ取った。
精神を直接傷つける、剥き出しの悪意に晒されたまま幼少期を過ごした幽鬼は
ここへ来てからも頻繁にひどい夢にうなされていた。
夜中に起き出してはひきつけを起こしたように激しく泣きじゃくり、
時には体が食事を受け付けないことすらあった。
それをなだめ、抱きしめて繰り返し繰り返し寝かしつけたのはカワラザキだった。
こどもはまず自分が愛されないと、他人を愛すことを覚えることはできない。
今やそのこどもはすっかり背も伸びて、線の細さだけは相変わらずだが、それでも立派になった。
昔はやすやすと抱き上げることが出来たその身体も、
もう自分の腕の中にはおさまりきらないだろうとカワラザキは思う。
そして、もう随分前から夜中に泣きながら起きてくる事はなくなったけれども、
果たしてもうあの夢は見ないで済んでいるのだろうか。
もしかするとただ一人でひっそりと耐えているのではないか。
気にはなっていたが今まで訊けなかった事を彼はとうとう尋ねた。
幽鬼の息は、否定も肯定も出来ずにただ戸惑ってひそめられている。
これがもし、例えば翌朝に面と向かって尋ねたのだったら
幽鬼は即座に否定する事が出来ただろう。
彼はカワラザキに負担をかけること、心配をかけることを
己の身の安寧を遠ざけてまで嫌う。
ただやはり、久しぶりに見てしまった夢で飛び起きなければならないほどの思いをしたことと、
その直後にカワラザキの顔を見て手に触れてしまったこと。それが鎧を脆くしていた。
何しろ幽鬼にとってカワラザキは、存在そのものが「安心」と同義であるのだから。
「おいで」
言われて、逆らう事すら考えられずに幽鬼が導かれたのはその先の自室だった。
廊下とは違い窓から差し込む月明かりで視界には苦労しない。
ぼんやりと光るような白いシーツの寝台へ幽鬼はカワラザキに促されるまま横になった。
抜け出てからしばらく経った寝具の中は既に冷え切っている。
その細い身体の上へ、ここに連れてきた張本人が柔らかい仕草で上掛けをかぶせた。
肩や首の辺りは特に念入りに、隙間のないようにしっかりとかけてやっている。
「さ、寝なさい。もう心配しなくていい」
言いながら、カーテン越しに差し込む月明かりに浮かんだその白い額をそっとなぜた。
幽鬼は、少しだけ何か――そんな事をしてもらうほど子供じゃないとか、
そこにいると爺様の方が冷えてよくないとか、そういったこと――を言いたそうに顎を上げたが、
結局は何も言わずに大人しく瞼を落とした。
額に柔らかく触れる手のひらの温かさにはそうさせられる習慣と記憶があった。
まだ幽鬼の背丈が今の半分ほどしかなかった頃、
こうして獏を呼ぶまじないを唱えるのが日課だった事を二人ともが思い出していた。
悪い夢は獏に食べて貰おうなと、
背中をさすりながら言い聞かせてやれば少しは気が楽になるようで
次第にしゃくりあげる声も寝息に変わっていった。
その涙の跡をつけた寝顔をカワラザキは良く覚えている。
懐かしい記憶の中の顔と今目の前にある顔とを重ね合わせながら髪を梳いていると、
幽鬼の瞼が何かを思い出したようにすっと開いた。
「……おやすみ」
少しはにかんだ様子で呟かれたその言葉は、
幼い幽鬼がようやく眠る事を怖がらなくなった時に覚えた言葉だった。
「ああ、おやすみ」
今度こそ眠るために目を瞑る幽鬼にカワラザキは目を細めて答え、
もう一度その頬をそっと撫でた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
那/智さんありがとうございました。ゆっくり休んでください。
(´;ω;`)
いいもん読めた
ありがとう
乙です
那智さん…
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| エルシャダイ、イールシでやらかした
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ゲーム発売前につき完全捏造だが大丈夫か?
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ダイジョウブダ、ソレイゼンノモンダイダ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
思わぬところで狼狽されて、こちらの方が驚いた。
「何、を、」
「え」
これからまさに、彼を抱こうというときだ。
ともに寝台の上である。イーノックは半裸だし、どういう技術で織られているのか、向こうが透けて見えるほど薄いルシフェルお気に入りの服も、今は、ほとんど脱げてしまって、むしろ厄介になっている。
蒼白い肌にはもう何回も唇や舌を這わせたし、熱を帯び始めている下肢にも遠慮なく手を伸ばしたし、それらの総てをルシフェルは笑いながら受け止めていた、のに。
キスをした。それだけのことだ。
それだけのことが、ルシフェルを、たいそう驚かせたらしい。
「いけなかったか」
もしや、ルシフェルにとっては、禁忌だったのか。情交には問題がなくとも、唇を重ねることには何か、まずいことでもあったのか。
咄嗟に迷い、迷った末に、ルシフェルの薄い唇を、親指の腹で拭ってみる。それにも、ぴくりと敏感な、いっそ怯えるような反応を見せて、ルシフェルは息を呑む。
「ルシフェル?」
相手を気遣いながら、滑稽なほど冷静に、イーノックは、止まれるか、と、自分自身に問いかける。
肉欲にはもう火が点いている。消すのは、正直なところ、つらい。しかし、目の前の捻くれ者で、お喋りで、美しい存在を、自分の欲で振り回し、苦しめることはしたくない。
(よし)
止まれるだろう。嫌だ、やめろと言われたら、すぐにでも離れよう。
しかし、いつまでも悩ましい顔をしているルシフェルが、ようやく唇に乗せたのは、そういう類いのことではなかった。
「何故……」
「ん?」
「何故、キスをした?」
いかにも訝しげに尋ねられ、あらゆる意味で面食らう。
「何故って……抱くから」
「私を抱くのに、キスが必要か?」
「そう言われると」
必要ではないだろう。男同士の情交に結果を求める気はないが、目的が快楽を追うことにあっても、キスの齎すそれは僅かだ。高みを見たいなら、もっと強烈な愛撫を施せばいい。けれど。
「折角だから、貴方を愛したい。……そう思ったから、キスをした」
告げたのは、正直というより愚直で、恥ずかしいような意図だったのだが、奇妙なことに、目に見えて、ルシフェルは全身を震わせた。
「……、っ」
詰まらせた息を飲み込み損ねて、くん、と蒼褪めた喉が鳴る。続いて、短く吐かれた呼気は、は、と小さな音を伴い、……そして、はじめて見ることに、紅い両眼が、濡れて光った。
「ルシフェル?」
ただならぬものを感じて、被さっていた身を起こす。
「おい、大丈夫か?」
誰かを呼ぶにはあまりにあまりな状況だが、具合を悪くしたのなら、助けを呼ばなくてはなるまい。
少しでも場を繕えるよう、かろうじて引っかかっていたルシフェルの服を直しかけると、しかし、ルシフェル自身の指が、戦慄きながら、それを拒んだ。まだ強張りの残る表情、声が、それでも、薄く笑う。
「……大丈夫だ。問題ない」
そう言う彼の様子は確かに、先ほどよりは落ち着いているようだったから、イーノックは手を止めて、じっと、整った顔を見つめる。
「はは。いつもとは、逆だな……」
「いつも?」
「ああ、お前には、もう少し先の、……いや。今は、どうでもいいさ」
もうすっかり震えの止まった腕が首筋に廻される。それに引かれるまま倒れ込み、再び彼に被さった。
触れていいものか戸惑う自分を促すように、背を撫でられる。今は穏やかに繰り返される呼吸を右耳に聞きながら、肩の辺りを軽く食むと、ごく小さな乱れが返った。
しかし、それは、先刻のような困惑に満ちたものではなく、純粋に体の悦びを訴えるものだったから、イーノックは頭と体を、さっさと切り替えることにする。
「ただ、少し……」
「ん?」
「いや、いい。……続けよう」
溜め息交じりの声はどことなく、哀しんでいるように聞こえたが、密着した身が離れないよう、強く引かれた状態では、呟いたルシフェルの表情を窺うことは叶わなかった。
それは勿論、ルシフェル自身が、そうあることを望んだのだから、イーノックはもう何も言わずに、彼を愛することに没頭した。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ オンリー乙!
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>386 GJGJ!
愛され慣れてない大天使マジ大天使
オンリー行けなかった悲しみが癒されましたありがとう
185:風と木の名無しさん 2010/11/03(水) 17:41:41 ID:3q2EVohZO[sage]
棚
エルシャダイうぜえええええええええええええええ
発売前なのに投下するとか何考えてんだよ
ちったあ自重覚えろ馬鹿!!!!!!!!!!
>>386 ルシフェルかわいいよルシフェル
イールシ大好きです。またお願いします!
>>242、273
規制でなかなか書き込めなかったので亀だけど、萌えたー!
前回は殿×仙エロがなくて(あそこで手を出す殿様じゃないとはわかってても)ちょーっと寂しかったので
エロがっつりは大変美味しゅうございます。仙石のエロかわいさに磨きがかかってて……馬なのにw
殿様の同じ言葉を二回繰り返す台詞回しは好きなので、所々に出てくるのがまたツボだったり
次回も楽しみに待ってます
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )※ED後、後藤と幻雄と鬼切が組んでます。
「きゃははははは!」
「お前が成人なんて早いんだよ!」
「死んじゃえバーカ!!」
痛いよぉ…痛いよぉ…せっかくお母さんが買ってくれたお着物が汚れちゃう…。
青い着物を着た少女が、髪の毛を掴まれ蹴られている。
何度も何度も、住宅街から少しはなれたこの夜の公園で蹴られて殴られて。
苛めている三人のうち二人は女の子だった。
なきながら殴られ蹴られ、苛められているうち、もう何時間そうしていただろうか。
ついには動かなくなり、ごろんと桜の木下に転がった。
「あ…ちょっとやばいんじゃない?ねえ、萌?茂?」
顔色を悪くさせて今更ながら、その子に触れた。その子は、鼻から血を流して倒れ、そして最後に、彼女の腕を引っ掻いて事切れた。
「やだ、ねえ真紀子、こいつ埋めちゃおう…」
萌と呼ばれる着物姿の女が言った。
ちょうど木に立てかけられてあった、スコップを持って穴を掘って。
許さない許さない許さない
そして何度も繰り返す、成人の儀式。
八年後
その公園には鬼がいるという。
供養されない死体は八年経つと、鬼になるという。
「美咲、早く帰ってきなさいよー!」
「うん、分かってるよ」
美咲は呼ばれた女の子は、明日成人式だった。
公園のベンチに座って、夜空を見上げる。足をぶらぶらと揺らしながら、息を付いた。
「明日で成人式かー…」
明日で成人式なの。
「え?」
誰かが何処からか、自分の言葉をなぞった気がして、美咲は耳をすました。
成人式なんだあ。
それは自分が座っているベンチの背後から聞こえた気がした。
と、凄まじいまでの負のエネルギーを感じて、そろりと後ろを向いた。
そこにいたのは…
泣いている、女物の着物を着た鬼、だった。
「ねえ鬼切丸、幻雄」
後藤が一枚の写真を手に、二人に話しかけた。
鬼切丸は、刀を手に、ソファに座っていた。一匹狼だった鬼切丸も、三人での生活によく慣れてきたものだ。
その横で、幻雄が鬼切丸の髪に口付けしている。嫌なことにこれがいつもの光景なのだから仕方がない。
「こらそこの変態二人」
「?」
「なんだよ、後藤。また鬼がらみか」
鬼の事件を追いすぎるあまり、鬼切丸に刀によって刻印を刻まれた女、後藤。
裏僧伽となってしまった、一体何百年生きているかわからない、鬼を封じたまがだまが食料の幻雄。今は右手がないが、だいぶ左手での調伏になれてきた。
そして、純潔の鬼、鬼切丸の少年。外見は普通の人間と変わらない。
「変態っていわれて反応するのもどうかと思うわよ、あんたたち。そう、A市で鬼がらみと見られる事件。見て、この子の傷跡」
写真には女性の足と見られる部分が写っていた。そこには、二本、深い傷が入っていた。痛々しいまでの傷跡である。
それが、鬼によるものだと、三人は一瞬で判断が付いた。
「A市なんて隣じゃねーか」
ひょいと写真をつまみ上げ、その写真を覗く。少年も、その写真を覗くと、すぐにピンときたようだった。
「鬼による爪あとか…」
少年がつぶやいた。
じっと写真を見つめながら、一方で抱き付かれたり何なり甘やかされたりと、幻雄の好き放題にさせている。
「そうなの。鬼がいた、鬼が出たって泣いていたらしいわ」
「後藤、鬼切。俺は腹が減ってるからこの鬼食ってもいいか?」
「かまやしないわ」
「最近の鬼がらみの事件、てめぇに最後は預けてばかりじゃねぇか」
少年がすねた口調で言う。
どうせ鬼を狩るなら、とどめも刺したい鬼心。
「仕方ないだろ、鬼が最高の飯なんだから」
その一方で、A市。
萌、真紀子、茂の三人は、同窓会に出席していた。
あの公園から少しはなれたところに位置する居酒屋である。
何かも、あの罪の一夜さえ忘れて、楽しそうに喋っていた。
「そういえばさー」
誰かが話を振った。
「ん?」
「あの子、何ていったっけ。ほら、成人式の日にいなくなった子。あの子どうしたんだろうね?」
途端、三人の顔色が変わった。
あの成人式の日、三人で殺して埋めてしまったあの子。名前は…
柚子。
「そうそう、噂といえばさー、あの近くの公園、最近鬼が出るらしいよ」
柚子を殺したあの公園だ!!
ふと、柚子に死に際に引っかかれたところがうずく。
「やめてよ!!気味悪い話!!」
真紀子がヒステリックにわめく。
「そうだよ、こんな所にも来てない人の話やめようよぉ…」
萌もビクビクとした態度になって、その話をそらすように促す。
「それならさ、こんな話は?怖い話には正義のお話ー」
「正義?」
茂がビールを飲み干す。
あの一夜のことを急激に思い出した。そして身震いした。
あの日以外にも、いつも三人は柚子を苛めては楽しんでいた。それも小学校のころから。だから、久しぶりに再会した時の挨拶は、蹴りだった。
柚子は常に三人の視線から逃れるようにしていたが、成人式の日、まさか公園にいた柚子を見つけてこんなことになるとは思ってもいなかった。
だが八年。
八年もあれば、時効だ。それに、死体はまだ見つけられていない。
「そうそう、歯には歯を、鬼には鬼を。鬼を切る鬼がいるんだって。名前は…なんだったかなあ。確か刀の名前なんだよね」
その言葉の直後、ドン!と思いっきり机を叩く音が響き、同時にその振動で、コップや瓶がわずかに鳴く。
その突然の、それも怒りをあらわにした音に、一同は凍りついた。
机を叩いたのは、真紀子だった。
そう、いつも茂とともに率先して柚子を苛めていた。
「やめようっつってんでしょ!!どうせ作り話よ、鬼のことも、刀の話も!!もう、こんな飲み会嫌、萌、帰ろ!!」
「ま、真紀子…待ってよ!」
萌もコートとかばんを慌ててとると、すぐに真紀子の後をついていった。茂は、なんだか嫌な予感がして、こっそりと居酒屋を抜け出す。
確か真紀子と萌の帰り道には必ず、あの公園を通るはず…。
「この公園に鬼が出る?全く、嘘はやめてほしいわ、確かにそんな事件あったけど、変質者を間違えただけでしょ!」
ややアルコールが回っている。
ふらりとしながら、萌が体を支えて、真紀子と萌は公園へ入っていった。
酔い覚ましをしなければ。
柚子を埋めてしまった、その桜の木の前にあるベンチに座る。
なんとなく気持ち悪いが、このベンチに不思議と誘われた。
冷たい風が心地いい。頭にまで血が上っていたので、酔い覚ましにちょうどいい。上を向いて、ふ、と、目を閉じたときだった。
「ひ…」
萌が、ベンチから離れた。
そしてあとずさって、何か恐ろしいものでも見たかのように…いや、見てしまったのだろう。恐怖の表情をしていた。
「?どうしたの、萌」
ねえ、振袖綺麗?
「!」
私成人してないの、成人式を迎えた日に死んじゃったの。
声を機械で巻いたみたいに、ゆっくりとした声が響いた。
ねぇ、ねぇ、萌ちゃん、真紀子ちゃん…お着物がね、泥で汚されちゃったの…。
「な、何この声…」
「真紀子、後ろ!!」
もえががたがたと震えて座りこんでいる。
そこに、茂が通りかかった。
真紀子の背後には、振袖をきた巨大な影が、二本の角を持った影が、まさに彼女を襲うところだった。
茂が腕を引っ張っていなければ、確実にその首は。
萌と真紀子の腕を引っ張って、茂は公園から離れる。
「何、何、なんなのあれ!?」
「早く、早く逃げようよ!!」
しかし三人が公園から離れると、影はすっと消えた。
そして誰もいなくなった公園を見下ろす影が二つ。公園の隣にある公民館の屋根の上からだった。
「よう、鬼切、見たか、あの三人が狙いのようだな」
「…振袖を着た鬼、か…」
屋根まで届く桜の木の枝をぽきりと折る。
今は全く葉も花も実もないが、そこから聞こえるのは確かに誰かの泣き声だった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )毎度お世話になってます!続く。
半ナマ注意
映画A組、顔×根具です
|>PLAY ピッ ◇⊂ (・∀・ )
ジサクジエンガオオクリシマース
たった三節の素敵な言葉がある。
下腹に溜まったどろどろの欲望を、体外に吐き出す際に叫ぶならこの言葉こそが相応しい。
「ぁ…あっ……は…」
一回、二回、連続して放出する。尾を引く快感。
縋り付くように伸ばされた手に指を絡ませ、荒い息をつきながら、俺の下で脱力しているBAを見下ろす。
射精の余韻が残っているのか、未だ喘ぎ混じりの吐息を洩らす彼に、つい目を奪われた。
「…フェ…イ、ス」
BAが潤んだ瞳を此方に向け、彼の唇が俺の名前を形作る。
途端に込み上げてきた愛しさをぶつけるように、俺はBAに口付けた。
我ながら、随分と余裕を無くしているもんだと思う。
それだけ俺にとって彼は、BAだけは特別なのだ。
何度抱いても、口付けても、この征服欲と独占欲が満たされる事はない。
「…う…んぅ……っ」
合わさった唇の隙間から、鼻にかかった切ない声が洩れる。
空いた左手で脇腹から胸元へ逆立てるように撫でてやると、息を詰めて身体を震わせる。
そんな彼の反応一つ一つに、柄にもなくときめいてしまう自分がいる。
この甘い時間を一秒でも長く味わっていたい──
しかしそんな俺の思いを余所に、程なくBAは右手で俺の顔を押し退けるようにしてキスを解いてしまった。
「…どうした?」
内心の動揺を悟られないよう、努めて穏やかな声音で尋ねる。しかし。
「女じゃないんだ、そんなにサービスする必要ねぇよ」
出した後はスッキリしたもんなんだからと、一人言のように呟く彼に、甘い恋人気分は見事に吹き飛んでしまった。
そう、彼と俺は恋人でも何でもなく、セックスを済ませたら後腐れなくただの仲間に戻る、そんな関係だ。
一度だけの筈がだらだらと今まで続いてしまっているのは、他でもないこの俺が、彼との関係を断ち切る事が出来ずにいるせいで。
「風呂に行きてぇ」
BAの右肘が俺の身体を押し返そうと突っ張った。
それを上から抑え込む。
「…俺がしたいんだよ、させてくれ」
抱き締める事で抵抗を封じ囁くと、BAは眉を潜めて視線を逸らした。
流石に罪悪感で胸がちくりと痛むが、
「気になるなら目を閉じてろ」
こんな嫌味な言い方しか出来ない自分が腹立たしい。
だが俺にも意地がある。
言われるままに目を伏せる、彼の耳朶に軽く口付けた。
そのまま首筋に沿って舌を這わせると、熱っぽい吐息が洩れる。
見事な筋肉が乗った腹や胸板を掠めるように撫でてやれば、喉を逸らして喘ぐ彼に思わず笑みがこぼれた。
何処にどう触れれば火が付くのか、どう弄れば声を上げずにいられなくなるか。
この身体の事なら彼本人以上に知り尽くしている。
BAが拒まないのをいい事に、彼の身体を完全に陥落させる。
──俺は馬鹿だ。
誰より彼を必要としている癖に、冗談めかしてでさえBAに本当の気持ちを伝えられないでいる。
俺はただ、彼に拒絶されるのが怖くて仕方ないんだ。
ぐつぐつと煮え切らない関係でもいい。
いつか彼に終わりを告げられるかもしれない、その時が何より怖い。
「…好きだよ、ボ.ス.コ」
俺がこの言葉を口に出来たのは40分後。
彼が気絶するように眠りに落ちた後だった。
□STOP ピッ ◇⊂ (・∀・ )
イジョウ ジサクジエンデシタ-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| エルシャダイ、今度はルシイールシ(?)
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ゲーム発売前につき(ry
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ オリジナルトノサガワカラン
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
彼は「天使に最も近い人間」だという触れ込みだった。
「俺が?」
というのに、その本人は、くだんの評判を聞かせたところで、まったく理解できないとばかり、首を傾げるだけである。
「……自分では、とても思えないんだが」
「だろうな。私も思わない」
イーノックは人間だ。呆れるくらいに人間だから、自分のような生まれついての天使に気に入られたりする。
くつくつと笑い声を立てると、何が可笑しいのか不思議なのだろう、やはり僅かに首を傾げて、こちらを真っ直ぐに見つめてくる。その眼差しを軽くいなすと、ルシフェルは一つ欠伸をし、整えられた芝の上に、ごろりと仰向けに転がった。
エルダー評議会は、天界の中枢にあるから、いつも忙しい。
だが、そんなことは、ルシフェル「様」には、あまり関係のないことだ。神の創りたもうた容姿の影響力は抜群で、ちらりと覗かせたが最後、評議会の面々は、皆、いかに書類に溺れていようと、背筋を伸ばして頭(こうべ)を垂れる。
邪魔かと訊けば、いいえと答える。借りるぞと言えば、どうぞと差し出す。
だからルシフェルは、ちょくちょくこうして、イーノックを連れ出している。
はじめのうちこそ頑なに遠慮していたイーノックも、最近は諦めを知ったのか、おとなしく攫われるようになった。もとより遠慮の口実は「働いている同僚たちに悪い」の一点張りだったのだから、その同僚から行けと言われては、むしろ行かざるを得ないのだ。
彼にしてみれば釈然としない事態であったろう。
とはいえ、そこは、高い順応性を持つ人間のことである。
「ほら」
と右腕を差し出してやると、ほんの一瞬、逡巡するが、すぐ頷いて仰向けになり、素直に頭を預けてくる。
明けの明星の腕を枕に寝る人間の姿など、アークエンジェルたちが見たら卒倒しそうな光景だが、というか実際に卒倒させたことも何度かあるのだが(あのときは、ほんと、参ったよ)、これが何故だか心地が好くて、二人揃ってやめられない。
イーノックはともかくとして、枕になる側のルシフェルまでも、眠りが穏やかになるというのは、まったくもって、不思議な話だ。
「まずいな……」
「ん?」
「貴方とこうしていると、眠くなる」
「眠ればいいだろう」
そもそも二人で昼寝を楽しむつもりで庭まで来たのである。
「大体、働きすぎなんだ、お前は。人間が天使と同量の仕事をこなせると思うのか」
「ああ」
「即答か」
「やってやれないことはない」
「それは私が、……まあいい」
これまで彼の失態を幾つ帳消しにしてやったやら、思うと少々気が遠くなるが、そこは、口を噤んでおく。
「人間は……」
やはり眠いらしい。幾分ぼやけた声をして、イーノックは、目をしばたたく。
「天使に劣る生き物だ。それは確かだと思う」
「どうかな」
「だが、人間には、伸びしろがある。……悩んで、足掻いて、省みて、……昨日の失敗を明日の成功に、親の才を子の能へ、……繋いで、積み重ねていけば、」
「超えられるか?」
「ああ」
天使を。
神を。
ほんの少しだけ挑発的な笑みの色合いは似せたまま、彼とはまるで異なる思いを、ルシフェルは胸の中に持つ。
イーノックもいつかは対峙することになる目論見だ。神に忠実な人間は、同じと信じて疑わなかった天使の裏切りに、この先、まみえる。
既に何度も未来を見ているルシフェルは、鮮明に覚えている。あの目。あの声。あの形相。
「ルシフェル……」
「ん?」
それでも、今は、……「今の彼」には、まだ「無い」話だ。
眠りに落ちる直前の、子供のような顔をしながら、何とか最後に訴えようと頑張っている声を拾う。
「貴方も、寝てくれ……」
「そのつもりだが?」
随分いじらしいことを言う。
「私の体が心配なのか?」
「貴方も、一緒に、……寝て、いれば……」
「ああ」
「アークエンジェルたちも、俺を、……下手には、起こせない、からな……」
「………」
そしてすとんと眠りに落ちた男の顔を睨めつける。
「……いい度胸だ」
頭の下から腕を引き抜いてやろうかと思うが、生じた奇妙な可笑しさと、ほかの何かに止められる。嘆息に似た息を吐き、一瞬の笑みを閃かせると、ルシフェルは、自身も目を閉じて、そのまま眠りが来るのを待った。
それは、神がノアの洪水を計画する、少し以前の光景。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 神は言っている……「リア充タヒね」と……
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
死ネタ、ごくわずかですがスカ(小)あり
受けの苗字読みにくいかもですが「みくりや」くんです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
御厨栄は監禁されている。
時間の感覚もなくなるほど長い間、御厨栄は監禁されている。
どうして監禁されているか、それは栄には分からない。栄を監禁している相手、大蓮南が
何も語らないからだ。
大蓮は何も語らない。
こんなにも――正確な時間は分からないが、こんなにも長い間同じ空間にいるのに、栄は
大蓮のことを何も知らない。
例えば彼が昼間何をしているのかや、これまでどう生きてきたのかは一切知らない。
しかし栄にはそんなことは最早どうでもよいことだった。
栄は大蓮がどれだけ自分を愛しているか、身をもって知っている。ひどく柔和な笑みを浮
かべながら栄をいたぶる姿や、ひどく優しい声で消えてしまいたいほど恥ずかしいことを強
要すること。すっかり性器に作り変えられてしまった栄の後孔へと強引に押し入ってくる逞
しい陰茎や分厚いけれども繊細に栄の肌を這う舌。栄が思っていることを全て見透かしてし
まう少し色の淡い目。栄の全てを管理し、支配し、包み込んでくれる手。いつかその日が来
れば栄を手ずから縊り殺してあげると言ってくれた――その深い愛情を知っている。
首に嵌められたチョーカーに触れながら栄は思う。
大蓮が「栄の白い肌には黒が似合うね」とつけてくれたチョーカー。重みを感じない、で
も強固な鎖を通され、栄の身動きを制限するチョーカーは、栄の全てを愛してくれる大蓮そ
のものだ。
栄は幸せだった。
「じゃあ行って来るね、栄」
大蓮がいつものように軽いキスをして部屋を出る。少し前まではキスの後に何か命令をさ
れるのが常だったが、いつからかその習慣はなくなってしまった。命令は栄にとって恥ずか
しくてつらいものばかりだったが、それがなくなった今は大蓮が帰るまでの間をどう過ごす
かに苦心していた。
栄の自由はチョーカーに繋がった鎖が許す範囲――この部屋の中だけ。その中にも、ダブ
ルベッドと栄を責め立てる道具がたっぷり詰まったサイドテーブルくらいしかなく、大抵は
大蓮のことを考えて過ごしている。
その日も栄は大蓮のことを考え、過ごしていた。
大蓮との記憶は恥ずかしく、つらく、でも優しく、光に満ち、思い出すたびに体が芯から
温かくなる。温かいを通り越して熱くなってしまってベッドや床を汚してしまうこともしば
しばだった。
その日は、そのはしたない染みを理由に大蓮が施すおしおきを考えてますます高ぶってし
まい、大蓮がいつも戻ってくる時間になったときには栄の体はすっかり出来上がってしまっ
ていた。
しかし、そんな日に限って大蓮の帰宅は遅かった。高ぶった体をどろどろになったシーツ
の上で持て余しながら栄は待ったが大蓮はなかなか帰ってこない。
こんなことは今までもあった。大蓮は部屋の外のことを話さない。仕事の都合だろう、数
日家を空けることもあったが、事前に栄がそれを知らされることはなく、飢えと渇きに苦し
む羽目になることもあった。
それでも栄は待った。待って、待って、もしかしたら今日は大蓮は帰ってこないかもしれ
ないと思い至った頃には、大蓮によって開発され、性感を高められた体はもう限界に近かっ
た。
こんなときはどうすればよいか、分かっていても栄は躊躇ってしまう。恥ずかしい、とい
うのもあったが、これだけどろどろにしていれば栄が多少おいたをしたところで恥ずかしさ
はそう変わらない。それよりも、もしかしたらもうすぐ大蓮が帰ってくるかもしれないのに
、大蓮以外のものでこの熱を鎮めてしまうのがもったいないという気持ちが栄を躊躇させる。
しかし、既に体はもうぎりぎりのところまで来ていた。張り詰めた下半身を庇いながらベ
ッドの上を這いずり、栄はサイドテーブルに手を伸ばす。
上の引き出しから潤滑剤を、下の引き出しからは細身のバイブレーターを。その毒々しい
色をしたバイブを目にし、栄は自分の口内に自然と唾液が溜まるのを感じた。
下の引き出しにしまわれた淫具たちはそのひとつひとつに体がかあっと燃え上がるほどの
淫らな思い出が刻まれている。その中でも、このバイブは細身ながらその無遠慮な振動と回
転で栄を快感へ突き落とし、泣きじゃくらせ、それを見て大いに喜んだ大蓮が栄への責めに
好んで使ったものだ。
栄は唾液を飲み込み、らせん状の溝がついた淫具に潤滑剤を垂らす。そして、潤滑剤を馴
染ませるのもそこそこに、うつ伏せになって高く挙げた尻のその奥、これからの刺激に期待
していやらしくひくつく後孔へと淫具を押し当てた。
「あ……あぁ、っ……」
潤いの足りない後孔が軋み、異物を拒む。しかしその抵抗は一瞬で、挿入に慣らされた体
はずるりとバイブを咥え込んでしまう。
それだけで軽く達した栄だったが、快感は一向に収まらない。大蓮の陰茎が与えてくれる
熱や充溢感に慣れた後孔にとって、細身の冷たいバイブはもどかしさを与えるのみで、栄は
はしたなく腰をくねらせてしまう。
栄は震える手で下部のスイッチを入れた。ぶう…ん、と虫の羽音のようなモーター音が無
音の部屋に響く。徐々にスイッチをスライドさせていくと、バイブの振動と回転が強くなる。
そのうちにくねるバイブが栄の前立腺を捉えた。
「ひぅっ!」
栄が快感に背を反らす。すっかり硬くなり、濡れそぼつ陰茎から精液を迸らせて、栄はシ
ーツに沈む。それでも体内で暴れるバイブに前立腺を揉まれ、栄はさらに身悶えた。
「もぅ……ぅ、やっ、やあ……っ」
射精したばかりの陰茎が体とシーツとの間でもみくちゃになる。初めはそのたまらない刺
激から逃れるように腰を動かしていた栄だったが、次第に自ら先端に滲み出た透明な液をな
すりつけるように意図を持って揺らめかせ始めた。
「あぁ…っ……あっ! あぅ……う……んっ、うぅ」
言葉を忘れてしまったかのように、栄の口からは意味を成さない声と荒い息だけが発せられる。
すっかり薄く少なくなった精液を撒き散らし、幾度も意識を飛ばし。果ては精液でないも
のをしょろしょろと漏らし、筋肉が弛緩した拍子にバイブが抜け落ちるまで、栄の体は快楽
を追い求め続いた。
栄が自分を取り戻したときには既に空は明るくなっていた。
やはり大蓮は戻って来なかったという落胆が胸に広がる。
昨日の痕跡が色濃く残ったベッドを綺麗にする気力も起こらず、栄は再び目覚めたときに
は大蓮の姿があるように願いながら目を閉じた。
視界を閉ざすと外の音がかすかに聞こえてくる。車の走る音。子供のはしゃぐ声。この非
日常な空間にも音は忍び込み、日常を持ち込んでくる。
遠くで聞こえるサイレンの音がやけに澄んで聞こえた。
浅い眠りを繰り返す。何度目を覚ましても大蓮は帰ってこなかった。時間の感覚が希薄な
栄にも、大蓮の不在がいつもより長いことが渇きの度合いでわかる。
身を起こそうとしたが、腕にも腹にも力が入らない。栄は起き上がるのを諦め、ぼんやり
と部屋のドアを見た。
大蓮が出て行ったときからそのまま姿で外界と部屋とを切り離すドア。ごく普通の、薄い
ドアに隔てられたこの空間は、確かに檻だった。しかし、これまで誰も教えてくれなかった
全ての感情を教えてくれた、巣でもあった。
チョーカーに繋がった鎖を震える手で撫でる。太く、堅く、強く、でも重さはなく――温かな、鎖。
妄想の鎖を撫でながら、栄は再び目を閉じる。
大蓮が戻ってきたときに、お帰りなさいのキスをしてあげられないかもしれない、そのこ
とが気掛かりだったが、全てを飲み込むかのような強い眠気には逆らえなかった。
それからほどなく、事故で急死した大蓮の部屋を訪れた遺品整理業者により、ベッドに横
たわった遺体が発見された。
衣服こそ身につけていなかったものの、外傷などはなく、そのただ眠っているかのような
穏やかな表情と死因から事件性はないと判断された。
遺体の身元は杳として知れず、大蓮とともに葬られることとなった。
その部屋で何が起こったのか、全ては閉ざされる。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
いろいろ「ん?」な部分もありますが801はファンタジーってことでひとつ
ドラマ「慰留3」カテ医×メガネ→天才です。
夜の屋上その後の妄想が止まらず勢いで書いた。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「大丈夫か」
声をかけられてずいぶん長い間うずくまっていたことに気づく。
「だ、いじょうぶです」
大丈夫ではない。正直気まずいし恥ずかしい。
さっきまで敵対視していた男にやさしくされ、その上泣きじゃくるなんて。
しかも声は上ずっている。
目じりを乱暴に拭い、立ち上がりもう一度、
「大丈夫です」はっきりした声で言う。
しかし、声はよかったのだが、表情はまだ作れてなかったようだ。
僕の顔を見た黒樹は、なんとも言えない顔をして、
「ここ、どうしたんだ」
指先をそっと僕の左こめかみに当てた。
「あ」
そういえば殴られた場所が青痣になっていたんだった。
「目も赤いぞ」
「それは、今…泣いたせいです」
口に出すとまた先ほどまでの気持ちが蘇る。
色んなことへの理不尽さや、将来への不安、そして嫉妬心。
(浅田さん…)
ずっと浅田さんのことが好きだった。
今までずいぶん振り回されたけど、
その外科医としての技術や内に秘めた想いを尊敬し、敬愛していた。
しかしいくら彼を想っても、彼の一番近くにいたいと願っても、
それが叶わない夢だと思い知らされた。
彼にとってみんながチームであり、特別で、平等だ。それ以上も以下も無い。
僕は彼にとって仲間だが、決して仲間以上にはなれない。
彼の一番には到底なれない。
そして最近は浅田さんへの気持ちが強い嫉妬心へ変わっていた。
いくら手を伸ばしても届かない距離を遅れて歩くことに、もう限界だった。
「…っ」
堪えきれず、また涙が溢れ出す。
そっと触れられていた黒樹の指が、涙を拭うよう右手で頬を覆う。
その手のやさしさに思わず瞳を閉じ、すがるよう無意識に頬擦りをする。
温もりが欲しかった。掌だけでも今の僕には救いだった。
冷たいと勝手に思っていた黒樹の手がこれほど暖かだったとは。
右の頬も暖かい。どうやら両手で顔を覆われているようだ。
…ん?覆われ…?
困惑し目を開くより先に、さらに触感が追加された。
唇に。
驚いて目を見開く。黒樹の顔が視界一杯に広がっている。
「すまない。嫌だったか?」
「…」
浅田さんの顔が頭に過った。
彼をまだ愛しいと思う。けれど、もう彼を追うことに疲れた。
黒樹は僕の欲しい言葉をくれる。欲しい温もりをくれる。
頬を包む手が優しく伊重院の顔を揺すり、意識が黒樹に向き直す。
この手を振り払うことができない。
どうしようもなく黒樹に縋りたくなる。
弱り切った精神状態で、この甘い誘惑を拒絶することができない。
「…」
言葉は出なかった。代わりに瞼をゆっくりと閉じた。
浅田への気持ちを忘れるために。
もう一度黒樹に口付けられる。
二度、三度。浅く、深く。
「…ふっ……っ」
すがるように黒樹の背中に手を伸ばすと、優しく包むように抱き返される。
これが欲しかったんだ。僕のことを理解し、慰め、励まし、称賛の言葉をくれ、そして…
(本当に?)
伊重院の頭の隅で何かが違うと警鐘が鳴る。
(あさだ、さん)
しかしそれも黒樹の舌の感触に絡めとられていく。
涙に濡れた伊重院には、黒樹の真意は見えない。
けれど今の伊重院にとって、この温もりだけが唯一の救いだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
メガネのヒロインっぷりにびっくりした。
最後の天才とすれ違うシーンで雄叫び上げたのは私だけではないはず。
「浅田さん」呼びて。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )後二回ほどで終わるはずです
がちがちがち。
萌は恐怖に震えがとまらなかった。
あの影が出てきたのは、柚子をうめた場所、そしてあの着物も当時の柚子のもの!
「ありゃあ…鬼だ…」
一人暮らしの茂の家に、萌と真紀子が上がりこんでいた。
二人を落ち着かせるために、ココアをいれる。
そういう茂も、目の当たりにした異常な光景に、冷や汗がだらだらと出ていた。
柚子が鬼になって帰ってきた。
そういえば飲み会で鬼に対抗する刀の名前はなんと言ったか?
確か…そうだ、聞く前にその場を逃げ出したのだ。
「ねえ、柚子は絶対私たちを殺そうとしているよ…、あの時のことを復讐しようと思っているんだよ…」
萌が震えながら、ココアを飲む。
「あの公園に近づかなければいいんだよ、あの公園近辺には一切行かないから!」
そう宣言して、真紀子は帰っていった。萌も続く。
次の日の真夜中二時のことだった。
ふらふらと歩いていき、気が付けば真紀子はあの公園にいた。
そう、気が付いたらいたのだ。
そして目の前にはあのベンチと桜の木がある。
「え…何、これ…」
気が付いたときにはすでに遅かった。
ベンチの向こうから、青い薄汚れた着物の柚子が立っていた。
そして見る見る変わっていく容姿。
それはまるで鬼――。
「いやっ、いやああああああ!」
爪が振り下ろされる。ざく、と肉を切る音がして、真紀子の首は飛んだ。
真っ赤な血を散らしながら、恐怖で凍りついた表情をそのままで。
「あーあ、ついにやっちまったか」
「どうする」
「もちろん、今夜、鬼狩りだ。その分お前を抱けないのは残念だがな」
「とりあえず死ね」
公民館の屋根の上でひっそりと、警察と記者、もちろん後藤もいる、そんなニュースになっている所を見ていた。
後藤はいつものようにずけずけと被害者の親と、目撃者がいないか聞いているが、警察官に追い出されている。
「あー、腹減ったな、鬼切、食わせろよ。いい加減俺に食われちまえよ」
「幻雄に負ける気なんざしないな。そんなことより…あの鬼だな」
哀れな鬼。昨日の桜の木からすべてを知ってしまった。
ずっと泣いている哀れな鬼。
鬼というより、子供だ。まるで。
そして殺した張本人たちは、すべてを忘れて生活していた。
なんと人間は残酷で、なんと人間は憎しみに生きる者。
殺された真紀子は、自分の罪さえ忘れた罰だったのだろうか。
ならば次に狙うのは、あの二人のうちどちらか。
少年は、とんとん、と軽やかな身のこなしで屋根伝いに走っていくと、三人で暮らしている、後藤のマンションに入っていった。
そしてソファに座って、考える。鬼切丸と名づけられた刀を握り締め、本当に斬っていいのかと、少しは戸惑った。
なぜか。顔にこそあらわさないが、彼が、三人で暮らすうち、一人のときでは味わえない楽しさを覚えたからだ。
それまでは、どんな鬼も斬ってきた。
だが後藤や幻雄を見ていると、簡単に塵に帰していいものかとおもう。それぞれに人生があったはずだ。
とはいえ、鬼は鬼、純潔の鬼は鬼を斬るほか救えない。
この、鬼切丸で――。
「やっぱり帰ってきてたか」
「幻雄」
キィと、リビングのドアが開く音がして、そちらに意識を向けた。
「後藤は夜まで帰れねぇってよ」
「…そうか」
と、幻雄が、少年のあごを救って口付けた。
「!」
口付けは濃厚で、舌が絡み合い、それがビクビクと肩を揺らすほど、上手かった。
すっかり力の抜けた少年に覆いかぶさり、幻雄は囁く。
「いいか?」
とはいっても少年は素直ではないので、毎回首を縦には振らなかった。
けれど、身体とその蕩けた目つきが言っている。
抱け、と。
少年の、いつもの冬服の学生服のボタンをはずしていく。幻雄は性格は荒々しいが、こういうときは人が変わったように優しい。
首に口付ける。そこには花が咲いたような跡が付いた。
する、と、シャツの下に手を滑らせる。
「っ」
乳首をくりくりといじったとき、ひくひくと体が震えた。
「やめ」
「やめねぇ」
今度はズボンを下ろす。自分の指をたっぷりと唾液でぬらし、後孔に滑らせた。
「あ」
ひくん、と、体がはねる。何度も交わったことのある体は、そこに触れられるだけで快楽の予感を感じていた。
指がずぶずぶとはいってきて、中をいじり倒す。
前立腺をこすると、びくんと彼の体がひときわはねた。
純潔の鬼も体の構造は人間と同じのようだ。ただし、人間の武器では彼は殺せない、ということがあるだけで。
何分も中をいじり、立ち上がったそれを舐めてやると、少年は幻雄の肩に手を添えて、いやいやと首を振った。
何度もされているが、なれない。それに、この快楽も堕落していくようで、嫌だった。
「挿れていいか?」
「くっ…好きに、しろっ…」
頬を紅潮させながら、それだけ言うと、大きく息を吐く。幻雄の背中に腕を回すと、ぎゅっとそのパーカーを掴んだ。
「素直じゃねぇなあ」
よっと片手で足を上げると、ゆっくりと挿れていく。
「あ、あっ」
更に強い力で、幻雄にしがみつく。漏れる声は濡れていて、とても色気がある。
一体何年生きたかわからないその体は、最初に抱いたときは本当に少年そのものだった。
その上、合意の上ではなかったから、彼の暴れっぷりは凄まじく、出血が激しかった。
中で出したら、それが毒になることも忘れて、中で出して苦しむ彼の姿を見たとき、ちくりと胸が痛んだっけ。
それが今ではこんなに従順だが。
「幻…雄…ッ」
ぐっと根元まで入れ込むと、しがみつく少年をソファに寝かせて、激しく突いた。
液体の音がして、少年は乱された学生服に吐精した。
黒い学生服に、白い精液がよく生えて、思わずごくりと喉を鳴らす。
ぺろ、と、少年の頬をなめる。その間にも腰は出し入れを繰り返している。
「や、あ、あ、…!」
「やべ、もう我慢できねぇ。…中だし出来ないのって不便だな」
「うあっ、…一度斬ってやろうか…!」
「そんだけ軽口がいえるなら問題ないな」
幻雄がずるりと引き抜くと、少年は二度目の吐精をした。快楽に蕩けた瞳が愛らしいと、思ってしまうのは重症だろうか?
少年の腹に吐精をすると、少年はそれも掬い取ってまじまじと眺めた。
「こんなに…。…、離れろ、服に掛かっただろ…」
「はいよ」
そばにあるティッシュをとると、学生服を綺麗に拭いてやった。
おいで、おいでよ…一人は寂しいよ…。真紀子ちゃんはもうこっちにきたから、次は萌ちゃんだねぇ…。
夜中になり、ブルーシートで覆われた公園に、ふらふらと萌がやってきた。
人の気配はなく、萌は裸足であった。
部屋を出た記憶がない。いつの間にかここに立っていることに、彼女は気づいて悲鳴をあげた。
「…?…!やだ、ここって…真紀子の…」
違うよ、柚子のだよ…。
「誰!?柚子!?柚子なの!?」
大量の血の跡が萌を恐怖に駆り立てた。その血はもちろん真紀子のものだった。
ベンチのそばまで行くと、きょろきょろと辺りを見回している萌の背後に、影がゆらりと揺れた。
そして鋭い爪が、勢いよく彼女の首を狙って振り下ろされる。
「おーっと、させるかよ!」
その声と同時に、ギン、と、銃身が爪をはじいた。
「ナウマンサマンダバサラダンカン!!」
かつて右手で使っていた銃を、器用に左手で扱っている。けれど時々銃がぶれるようで、符入りの弾は鬼となった柚子のぎりぎり頭の横を通り抜けた。
「ちっ」
「幻雄、鬼切丸、この子は保護しておくわよ!」
後藤が、萌を公園の外へ連れ出すと、鬼はそれを追う様に、腕を延ばす。そのときに見えた振袖は、柚子と真紀子の血と泥で真っ黒に汚れていた。
八年前、殺される前だったならば綺麗な青色をしていたであろう振袖。
しかしその腕を衣類ごとぶった切ったのは、屋根から降りてきた鬼切丸の刃だった。
「幻雄、仕上げはお前に任せた」
「おうよ!」
痛い、痛い、痛い!!
びちびちと血を撒き散らしながら、腕はベンチに転がった。
その腕に鬼切丸をつきたてると、ふっとそれは煙になって消える。
「っし、ナウマクサマンダバサラダンカン!」
その弾は勢いよく柚子の胸を貫いた。
ぱっと、突然そこから桜の花が散った。
「こんな時期に…桜…?」
勾玉に秘められたはずの柚子が、生前の姿で、しかし腕と着物は汚れたままで、ゆらりとそこに現れた。
「痛かったの…やめて欲しかったの…私の死体はこの下に眠っているの…」
それだけ言うと、すうっと勾玉に吸い込まれていった。涙を流した彼女は、鬼とは似てもに付かぬ…ただの哀れな人間だった。
「ごめんなさい!ごめんなさい!殺すつもりじゃなかったの!」
萌は素足のまま、公園の外にいた。
取り乱した様子で、後藤の腕の中、泣きじゃくる。
「何があってこんなことになったの…?話して?」
後藤が優しく語り掛けると、萌は涙で目を真っ赤にしながら、経緯を離した。
昔から彼女を、真紀子と茂とともに苛めていたこと。それが自分にとっては楽しかったこと。そして八年前も同じことをしたが、打ち所が悪かったのか、殺してしまい、この桜の木の下に埋めた。
「八年経つと供養されない人間の死体は鬼になる」
幻雄がぼそりとつぶやいた。
「なんだ、自業自得じゃねぇか。罪は消えないよ、それを背負って生きていくんだな」
翌日、萌えの証言により、桜の木下が掘り起こされた。
だいぶ奥深くまで埋まっていた死体は、すっかり白骨化し、振袖も斬られていた。鬼になって斬られた腕は、なくなっていた。
だがこの事件の真相を知るものは、萌と、鬼切丸と幻雄、後藤の四名しかしらない。
「なあ、鬼切、たまにはデートしようぜ」
「斬られたいのか」
「…あんたたち、家でいちゃつくのはいいけどここは私の家よ」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )以上で終わりです。思ったより短かった…。
>>400 A組ごちそうさまでした!
なんかまた、ふつふつと滾って来た。。。
>>407 GJ!ほのぼの萌えた
前作といいあなたの公式セリフの使い方好きだw
425 :
別苦ss:2010/11/10(水) 00:50:53 ID:ZZV8j9qb0
バンド漫画別苦より、血場→→→←台羅くん。
原作意識だけど半生でも楽しめなくはない?かな?
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ピッ、と嫌な感触が唇の上を走った。
手の甲で拭うと、案の定鮮やかな赤い筋。
「ってェ――‥」
ん?と、俺の二歩先を歩いていた台羅くんが振り返る。
ニット帽から覗いた両の耳と、ネックウォーマーに半分埋もれた鼻が赤い。
目も心なしか潤んで見えて、痛みも忘れてやっぱ可愛いなぁ、とか考えた。
「どうした、血場」
「いや、ちょっと唇切れちゃって」
「…」
? どうしたんだろ。
神妙な顔して突っ込んでいたポケットの中の手をごそごそし出す台羅くん。
「ほら」
なにやら差し出された手には、似つかわしくない小さなピンク色のスティック。
「それ塗っとけ。‥嫌じゃなければ」
言い捨ててまたすたすたと歩き出す。
426 :
別苦ss:2010/11/10(水) 00:52:50 ID:ZZV8j9qb0
ちょ、待ったこれリップクリームってやつだよな?
淡いピンクのそのボディには『恋するピーチ』の6文字。
キャップを開けた瞬間ふわっと漂う芳香。
・・・なんで台羅くんがこれをセレクトしたのかすごく気になるよ!
殆どむしゃぶりつくくらいの勢いで塗ったあと、はっと気付いた。間接キスじゃねえかこれ。
いやいつもポカリとかボルヴィックだとかでやってるけどさ、なんかそれとは違う。すっげえ特別な気がする。
やばい。テンションあがった。
「台羅くん、ありがと」
「あー。」
「いい匂いだね、コレ」
余韻に浸りたくてそう言ったら、台羅くんは思わぬ爆弾を投下してきた。
「気に入ったんならやるよ。」
・・今なんて?
「やっすい時に買い溜めしたから家にめっちゃあんだよ。そろそろ俺、ピーチ飽きたし」
…飽きたから人にあげるなんて、あんまりだよ台羅くん。
けど嬉しい。メッチャ嬉しい。家宝になるなこれ。
「い、いいの?」
「いいっつってんだろ、」
あ、でも、
「最後にもう一回だけ付けさせろ」
台羅くんの小造りな唇に、さっきまで俺の唇が触れてたスティックが触れて、俺はもうワケわかんねぇくらいドキドキした。
凜とした冬の空気に、甘いピーチの香りがはじけた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
闇金ウシジマくんで滑皮×社長。大人向けでソフトなSM表現と暴力描写、お道具使用などが苦手な方は読まない方が良いと思います。時間的な設定は単行本1巻の前
のイメージです。
>>336からの続きになります。以前にレス頂いた方、ありがとうございました。それでは、スペースお借りします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
次々と放たれる拳の強打から解放された丑嶋の顔は痛々しく歪んでしまった。鼻からは血が流れている。眼隠しの上からも容赦なく鉄槌を喰らわされた為、右まぶたは
目隠しの黒い皮越しでも分かるほど腫れあがっている。仮に今目隠しを外しても、右目はこぶ状に腫れたまぶたのせいでろくに見えないに違いない。上唇も腫れあがって
いて、そのせいで呻き声も不明瞭だ。血も出ているが、もはやその血が切れた上唇から流れた物か口の中から漏れたものかも分からない。
滑皮は丑嶋の顔を見てうれしそうに舌舐めずりした。腫れた顔を美しいと感じるような美意識は持ち合わせていない。だが、自分の手によって丑嶋の顔が彩られたとな
ると話は別だ。加虐心は爆発し、強烈な性欲へと変わっていく。
この男のプライドを地の底に叩きつけるにはどうしたらいいだろうか。見かけこそ痛々しく歪んだが、恐らく心は屈していない筈だ。何しろこれだけ殴られても、最初
に小さく息を吸い込む様な声を上げただけで、あとは一切悲鳴らしい悲鳴は上げなかった。眼隠し越しにも伝わる気迫を漲らせ、恐らくどれだけ首が揺れようが視線だけ
は滑皮から外さなかっただろう。
滑皮は少し考えながら、何となく手を丑嶋の脇腹の上で遊ばせた。
「ん・・・」
殴られても少し背中を丸めただけだったのに、脇腹を撫でると大きく身をすくめた。体が強張ったので、また殴られるのではないかと勘違いをして身を硬くしたのかと
思われたが、触れた部分から凄い勢いで鳥肌がたっていくのでそうでもないようだ。
今度は脇腹から胸の方に向かって手を動かすと、先ほど同様に身をすくめた。手が辿り着いた先の胸の上の乳首は触らずとも見て分かるほど硬くなっていた。顔から下
は殴られていないというのもあるだろうが、丑嶋の体は予想外に性感には弱いようだ。
暴力に屈しないならば、それはそれで啼かせ方がある。身体を開かせ、女のように強請らせれば良い。憎くい相手に射精の許しを請い、憎くい相手を自ら求めさせる。
それこそ丑嶋にとっての最大の屈辱になるだろう。
滑皮の手はそっと裸の体の上を滑り、徐々に股間へと迫っていく。
「う・・・、あっ」
巧みな指づかいで開かれて無防備に晒された内股のへんを撫でまわされ、コックリングに挟まれたままだった性器が震えた。あれだけ殴られても血を止められているの
で萎えていない。だがやはり生気は感じられない。
滑皮はいよいよ指を性器に絡めた。触ってみると驚いた。本来なら勃起している性器は熱くなるものだ。リングを掛ける前は勿論手の中にある丑嶋の性器だって熱かっ
た。
ところが、丑嶋の性器は通常の人肌程度の体温しかないようだ。興奮して熱くなっている滑皮の手には余計冷たく感じる。やはり、リングによって血流を遮断されてい
るせいだろうか。
もしこのまま縛ったままだったらどうなるだろうか。恐らく血流の遮断された肉体は性器と言うのは関係なく壊死するだろう。
「随分冷たくなってるな。このままなら腐って使い物にならなくなるな」
楽しそうに物騒な事を言うと、丑嶋の頭がグラリと揺れて滑皮の方に向いた。眼が見えていないので表情が正確に読み取れはしないが、明らかに動揺しているようだ。
もし滑皮の言うように壊死してしまえば、切り取らざるを得ない。流石に丑嶋でも男性のシンボルを無くすのは嫌なようだ。今でこそ少し血流が止まっているだけだが、
本格的に細胞が死滅していくのはきっと痛みも酷いに違いない。それに男性器として射精するという役目だけでなく、ヘタをすれば排泄器官としても機能しなくなる。
丑嶋の唇がパクパクと何事かの言葉を発しようとしている。だが声は出ていない。
滑皮は丑嶋の様子に満足した。あれだけ殴ってもほとんど動揺を見せなかった男がこれだけうろたえているのだ。これを見ものと言わず何と言おう。
楽しくて笑いだしてしまいそうになりながらも我慢し、滑皮は更に指を動かし始めた。縛られて血流が止まっていても性感はある。今度は両手で弄ってやる。右手は竿
を扱き、左手は左右の睾丸の縫い目から会陰の間を強く押しながら撫でる。
「うああっ、止めろ、止めろ・・・」
あちことが腫れあがった顔を歪ませながら丑嶋がついに拒絶の言葉を吐いた。頭ではこんなことには負けないと思っているが、口からは弱々しい言葉が出てしまう。
拒絶の言葉を吐くと言う事は、滑皮のすることで動揺している証拠だ。何も言わず受け流していればよかったが、もうこれ以上屈辱と射精感を我慢する辛さ、何より性
器を失うかもしれない恐怖に晒されたくない。ましてや丑嶋の眼には何も見えていない。悔しいが、滑皮の言葉を信用するしか現状を把握する手立てはないのだ。そして、
現状を打破するには滑皮にすがるしかないのだ。
「ふふん、少しは素直になれそうか?ん?」
滑皮はコックリングではせき止め切れないカウパーで少し濡れた指を舐め、丑嶋の苦悶の表情を見つめた。見ているだけで絶頂をもたらしそうな光景だ。このまま苛め
てやろうか。本当に壊死するまで性器を縛っておいても面白いかもしれない。使い物にならなくなってしまえば、切り取ってしまえば良い。本当に自分の女のように扱っ
てやるのも悪くないだろう。
けれど、流石にそうはいかない。そんなことをしては丑嶋の人生は崩壊させてしまう。別にそれ自体は滑皮には関係ないことなのでどうでもいいが、会社も崩壊するの
で金を吸い取っている女金主の財布を奪う事になってしまう。組のつてで丑嶋を借りる事は出来ても、自分の趣味趣向で金主に入る筈の金を止めてもいいような立場に滑
皮は到達していない。
これだけ脅していれば後も楽だ。滑皮は放ったらかしにしていた自分の性器の根元を掴み、丑嶋の口の前に突き出した。
「うっ」
覚えのある匂いを放つ物を突き出され、丑嶋は口を噤んだ。滑皮が何故今になって丑嶋の顔の前に性器を寄せてきたかは分かる。先程は拒んだが、再度フェラチオを要
求されているということだ。また拒められればいいが、先程とは事情が違う。丑嶋はうっすらと唇を開けた。
しかし、滑皮は自ら動こうとしない。もう口は開いているのだから歯列を割って無理矢理にでも突っ込めばいいのだが、あえてそうしない。その代りに非情な言葉を投
げかける。
「さあ、どうすればいいと思うか言ってみろ」
非情な言葉を浴びせられ、丑嶋の中に怒りが急激に込み上げてきた。だが、拒んでもなにも良いことはない。今はただ性器の戒めを解かれ、相手を満足させ、ここから
出ることしか望んではいけない。
屈辱に額に青筋が浮かぶほどだが、丑嶋は小さく開いた口を躊躇いがちに動かす。
「・・・・・・・・・舐め・・・ます」
如何にも不満たらたらです、といった声色だが、丑嶋は怒りを抑えながら言葉を搾りだした。
「あ?舐めます、だと?舐めさせて下さい、だろうが」
滑皮は根元を握り、丑嶋の顔を自分の性器で叩いた。痛みは全くない。むしろ充血した部分を刺激している相手の方が辛い筈だ。だが汚らわしい性器で頬を打たれる痛
みは皮膚の神経を通って脳みそを直撃する。脳みそが過熱すると顔の傷も疼いてくる。痛みは怒りで乱れた心をクリアにしてくれ、冷たく冷え切った怒りが湧きあがって
きた。
今ここで暴れて大声を出しても仕方がないではないか。相手だって満足すれば気が済む筈だ。丑嶋は務めて怒りを押し殺してかさついた唇を舐めた。唇は血の味がした。
「・・・舐めさせて下さい」
丑嶋が腫れあがった唇を間抜けに開けると、滑皮は我慢できない含み笑いを出しせせら笑う。丑嶋が本当は舐めたいなどと微塵も思っていないところがまた良い。それ
を強要し、あまつさえ自分から強請らせる。楽しくて楽しくて仕方がない。
「よし、舐めさせてやる。縛られたままで、俺を口でいかせたらテメェのも解いてやるぞ」
上機嫌な滑皮は丑嶋の唇のすぐ前に亀頭を近づけた。丑嶋は仰向けに転がされたまま首を伸ばし、先端にしゃぶりついた。
「むぐ・・・、むぅうっ」
生臭い塩味が口の中に広がった。匂いも一気にきつくなった。吐き気で胃が痛くなるが、それでも耐えて吐き出すこともなく、口内の粘膜で性器を咥えるしかない自分
が情けなくなってきた。
「ううっ、うげっ、ううーっ」
何とか吐き気を抑え、丑嶋は咥えこんだ性器の竿を軸に首を振り始めた。縛られたまま、しかも仰向けで寝たまま。やり易いわけがない。それでも頑張って滑皮を五分
でいかせなければならないのだ。支えがなくて痛む首を感じつつ、夢中で先端を舐めながら竿をしゃぶりあげる。
「うっ、うっ、うっ」
やがて滑皮の竿はグンと膨らみ、丑嶋の腫れた頬の肉を持ち上げるまでに成長した。
「ふぅっ、はっ」
口一杯に性器を頬張っているので呼吸が苦しい。丑嶋は性器と口の間の僅かな隙間から空気を取り込むのだが、そうするとどうしても鼻にかかった艶っぽい声が出てし
まう。まるでフェラチオを楽しんでいるような声が情けなく、その声を誤魔化す様に顔を滑皮の股間に寄せた。
「ぐっ、む・・・」
「美味そうにしゃぶるな。やれば出来るじゃねェか」
滑皮は嬉しそうに丑嶋の頬を撫でてやった。青白いとも言える頬は今や紅潮して火照っている。頬の肉は性器を深く咥えると膨らみ、引き抜くと窄む。口内まで傷つい
ているのか、はたまた丑嶋も興奮しているのかは判断は出来ないが、敏感な部分を入れるにしては熱すぎる。全ての要因が滑皮を煽り、丑嶋に比べると見劣りするものの
、それなりに逞しい太ももがピクリピクリと揺れる。
「うむっ、ぷはぁっ」
酸欠になりそうな苦しさに丑嶋はついに頭を揺すって性器を吐きだした。太い物が抜けた口の端からは粘液と血液が混じり合った物が垂れてきた。
哀れな姿に滑皮の加虐心はますます増幅した。
「何止めてんだ、コラァ・・・。いかせねェとチンポの外してやらねェって言っただろうが」
脅されても丑嶋は濡れた唇を戦慄かせるだけだ。無理もない。何しろ両手両足を縛られた不自由な状態での奉仕などしたことがないのだから。まるで滑皮の性欲処理機
のように弄ばれ、只でさえ高いプライドを根こそぎ破壊し尽くされるような屈辱に脳を蝕まれていく。
それでも何とか頑張ろうと口を開け、眼隠しで見えないにも関わらず、勘を頼りに滑皮の股間に再び近づく。たまたま運が良かったのか悪かったのか、丑嶋の鼻先に滑
皮の性器が来た。
「うっ」
唾液とカウパーと泌尿器の役割も持つ性器独特のアンモニア臭がし、丑嶋は開いていた口を固く閉じた。改めてしゃぶろうにも、強すぎる雄の匂いに躊躇してしまうの
はいたしかたが無かった。
「オラ、咥えろって。出来ねェなら手伝ってやるよ」
丑嶋が躊躇して形の良い唇を怒りで戦慄かせるほど滑皮の気持ちは猛り狂う。滑皮は丑嶋の頭を掴むと、唇めがけて性器を突きたてた。
「うぐぐっ、むぐっ」
容赦なく性器をぶち込み、力任せに頭を前後に揺すってやる。最初は丑嶋に屈辱を与える為に強制的に咥えさせたのだが、ぷっくり艶やかな唇の間を血管が浮いたグロ
テスクな性器が行き来するのが見ごたえがあり、濃密な唾液に濡れた口内の粘膜が柔らかく、かつぴったりと吸い付くように絡みついて来るのが気持ちよく、止められな
いほど夢中になってしまう。
リズムもタイミングも無茶苦茶に顔を動かせ、咥えさせる時はより深く深くを目指す。長大な竿は立派すぎて根元まではねじ込めないが、それでもしっとりとした丑嶋
の口内の粘膜で擦られると声が漏れるような快楽がくる。
「いいぞ!もっとだ、もっと口をすぼめて吸うんだ。うっ、はぁっ、あ、出るぞ!うおおっ、おっ!」
仰向けに寝かせられた丑嶋の頭は滑皮が激しく振るのでベッドにガンガンと打ちつけられている。もしこれが大げさな程フカフカなマットレスが敷かれたベッドでなけ
れば、怪我をしていたに違いない。
「んんんっ!んっ!」
一際丑嶋の頭をベッドに強く打ち付け、滑皮が喉の奥で苦い粘液を炸裂させた。
「ふううううっ、出た・・・」
放尿した時のように腰をブルリと震わせ、滑皮は性器をゆっくりと引き抜いた。時々歯が当たって痛かった。
「うっ、うっ、う・・・っ」
やっと終わった、と丑嶋は体の力を抜き、空気を求めて口を開いた。
「うぐっ?!」
ところが喉に張り付いた大量の白濁はまるでゼリーのように粘っこく、気管を塞いでいる。呼吸をしようにも喉にある精液を呑み込まないと出来ない。苦しい、苦しい
と丑嶋は縛られた体を揺り動かす。だがそんなことで喉の奥に張り付いている精液がなくなるわけでもない。
「むぅ・・・、ぐっ」
ホテルの一室で縛られて、誰だか分らぬ男の精液で窒息なんて死に方は嫌だ。嫌悪感以外の何もないが、死ぬよりはマシと覚悟を決め、丑嶋は口内に大量に溜まった唾
液と一緒に喉に張り付いた精液を飲みほした。濃い精液はアク抜きしていない野菜の汁のようで飲み込みずらい。それに粘度が高いので、飲み込んでも食道のどこを通っ
ているのかが分かった。
「うげっ、げぇっ」
全てを飲み込むと、やっと息が出来た。同時に吐き気が込み上げ、空ゲップが出た。口からは濃い精液の匂いがまだ漂っていて、飲みこんで口の中に無くなっても、体
の中に入ってしまったんだという事実は覆せない。屈辱感と敗北感に打ちのめされ、丑嶋は眼隠しの下の眼をギュッと閉じた。腫れあがった瞼が目隠しの皮と擦れて痛かっ
た。
「よし、偉いぞ。飲んだじゃねェか」
苦しそうに喘ぐ丑嶋と違い、取り敢えずの性欲を満たした滑皮は落ち着きを取り戻した。
「じゃあ、約束通り取ってやるか」
滑皮は広げられた丑嶋の股間に手を伸ばす。さて外してやろうとコックリングに触ろうとしたが、気紛れを起して性器の上の陰毛の茂みに指を埋めた。それなりに黒々
としているが、太くもなく、縮れも激しくない。どこか上品な印象を受ける。
「ふぅん・・・」
艶やかで触り心地の良い茂みを撫で、滑皮は溜息を洩らした。
念入りに撫でると、近い皮膚を引っ張られるせいか、縛られた哀れな陰茎がヒクヒク震える。滑皮はその反応が気に入り、何度も茂みを撫でる。手を肌に沿って上下に
動かす。毛の流れに沿って手を動かすとツルリと滑る。反対に毛の流れに逆らって手を動かすと皮膚と毛が擦れ合う音がする。
「変なところ触るなっ。もう・・・、下の外せよ!」
丑嶋は恥辱に身悶えしながら言葉を搾りだした。茂みを撫でられる快楽に改めて股間周辺のむず痒さを感じた。
相手をいかせることに集中して忘れていたが、性器の感覚が先程から殆どない。このままでは、滑皮が言っていたように使い物にならなくなると言う事も起こり得る。
流石の丑嶋にも緊張感が生まれた。
「おう。じゃあ取ってやるか」
滑皮は丑嶋の性器に指を絡めた。性器はすっかり冷たくなって、心なしか青くなっている。だが相変わらず血管は浮き出ていて、はち切れんばかりに猛々しく勃起して
いる。コックリングを外せばすぐに射精しそうだ。血流も戻り、色だって綺麗な色になるだろう。
しかし、何か物足りない。どうせここまで追い詰めたのだから、更に丑嶋の体を辱めたい。滑皮の欲望は止まるところを知らない。何か楽しいことはないか、と茂みを
撫でながら物想いに耽る。
「・・・よし」
滑皮の顔が不気味な笑顔に豹変する。
まずは茂みに潜り込ませた指に陰毛を纏わり付かせて絡めとる。少し引っ張っても陰毛が指の谷間からすり抜けていかないように掴んでやる。
「外すぞ」
滑皮は笑顔を顔に浮かべたままで、ついに丑嶋の性器を刺激しつつも拘束しているコックリングの留め金に手を掛ける。
留め金のストッパーを外そうとすると、丑嶋がホッと安心したような溜息を洩らした。その瞬間を逃さずに陰毛を絡めたまま手を力強く引く。同時にストッパーを外し、
コックリングを外した。
「・・・っ?!」
強い力で引かれた陰毛は皮膚から無理やり引き抜かれた。敏感な肌ゆえに大量の陰毛を抜かれると激痛がはしった。体が痛みでビクリと大きく震える。だが、痛みを耐
える暇もなく、コックリングが外されたことで強烈な射精感も襲いかかる。
「んんっ!んっ!」
痛みは何よりの大きな刺激となり、やがてせき止められない射精の快楽と混じり合う。体は暴れているように痙攣し、ベッドは悲鳴を上げる。その瞬間、丑嶋は確かに
陰毛を引き抜かれる痛みという刺激で射精した。どす黒い汚らわしい屈辱と痛み、それに限界まで止めていた快楽が交差するなかで味わう射精は、丑嶋が今まで感じたこ
とのない恐怖に似た絶頂だった。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
題名上の3/9が2回ありますが間違えました。二つ目の3/9は正確には4/9です。
あと2回で終わります。それでは続きは間を開けてまた今度の機会に・・・。
491KB
>>425 原作も映画も知らないけど、ほのぼの萌えた!
冬ならではのネタ、かわいいです。
>>427 社長でSMプレイとか(801攻的に)男の夢すぎる!心底滑皮さんになりたいですw
続きを首を長くしてココティンフルオッキでお待ちしております!
>>425 きれいなお兄さんの何気ない行動に翻弄される血場が愛しいです
血場は手を出したくても出せなくてぐるぐるしてそうですね
この2人大好きです
>>413-415 亀だが乙です!
15分延長してこれらの場面を追加したらどうだろう富士テレ美よw
次スレ立ててくる
駄目だった。誰かよろしく
___ ___ ___
(_ _)(___)(___) / ̄ ̄ヽ
(_ _)(__ l (__ | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ }
|__) ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
l⌒LOO ( ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_, _)フ 「 | ロ | ロ |
( ・∀・)、__)  ̄フ 厂 (_,ィ | </LトJ_几l_几! in 801板
 ̄  ̄
◎ Morara's Movie Shelf. ◎
モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ]_||
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
|[][][]._\______ ____________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |[]_|| / |/ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |[]_||
|[][][][][][][]//|| | ̄∧_∧ |[][][][][][][][].|| |  ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.|| |
|[][][][][][][][]_|| / ( つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板61
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1287207773/ ローカルルールの説明、およびテンプレは
>>2-9のあたり
保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
443 :
風と木の名無しさん:2010/11/12(金) 14:34:28 ID:X/HZkw5M0
シロートが弾みでごめんなさい、
どなたかテンプレ続きお願いできませんか
もうしませんので許してくださいごめんなさい
百年ロムってきますうわあああん
>>442,444
乙です
テンプレ残り1枚貼ってきたんで安心しる >444
>>443 こういうのは初めてか まあ尻の力を抜けよ乙
445さんありがとうございました
皆さんもありがとうございました
はー久々にどきどきした
>>443乙です
>>427以前に滑丑読みたいとレスした者です
社長にこんなけしからん辱しめをするなんて
滑皮さんドSです!
これからも社長受を書いて下さい
ありがとうございました
>>443さんとテンプレ貼り姐さん乙でした
埋めついでに遅レススマソ
>>261 萌えたよ〜GJ!
ROMに戻るなんて言わないで、続きあれば待ってます!
あまりにもしょうもない作品なため残り4KBをお借りしてでこっそり投下します。
●もしも何処喪のCMをキムと空沢でやったら●
僕の事を木村宅屋という人がいますが、とんでもない。携帯です、彼の。
「ぴぴぴぴっぴぴぴぴっ」
いつもなんですけど、起きないんですよねー彼。
「ぐー」
「ぴぴぴぴっぴぴぴぴっ」
何度も何度もピーピー言ってるのに、起きない。
「ぐー」
もう息が続かねーよ。ったく、しょうがねぇなぁ。
「ぴぴぴぴっ……フッ」
「ぅわっ!」
「いってきまー…」
「今日雨降るから傘持ってって。」
「降水確率80%かー」
「はいストップ―」
「うわ、なんだよおい、このバス乗らないと…」
「今日この先交通規制で大渋滞してんの。地下鉄で行こう」
「まじかよ。あぶねぇ」
「ぶーんぶーん」
「はい空沢です。」
「…彼氏?」
「は?ちげーよ」
「ほんとにぃ?」
「ていうか無いだろこの展開。」
一人と、ヒトツ 何処喪
…お粗末さまでした。色々ありがとうございます。
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:,;(:;.:)ιへ(;゚Д゚)っ;:).,.,;:.,vv;:v;:,.,('::;:).,.,.;,;y,:w;.,;:.,;y.;,.vvw,;.,;v,.,;.,,.,;.,;,.:;
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