温もりのように、光のように、大事なことのように。護るように、忘れないように、誰にも渡さないように。
「タクヤ……」
頭を抱えた俺の、その髪をお前が撫でている。
お前が俺の人生にどれだけ食い込んだか。どれだけ俺に食い込んでいるか。
それをちゃんと伝えろと言われて出来ない、俺は、バカだ。
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ。
ああ。バカみたいとかじゃなくてバカだ、もう。くそ、息が荒い、情けない。泣いてるみたいじゃないか。
ぴぴぴぴぴぴぴ、ぴぴぴぴぴぴ。
泣いてないってば。煩い。警鐘。
「シンタ、電話……」
あれ、……現実?
「……え?」
ぼんやり顔を上げると、俺の隣をタクヤが指差す。
ホテルのベッド特有の、重だるい感触と色のシーツの上に、俺の電話が半分埋まって、でも必死に何かを訴えかけていた。
電子音と、コールの点滅。モニタにうちのマネージャーの名前が、あ、と思って見上げた目ざまし(ベッドサイドの)の
時刻は、いつの間にかいつの間に、とっくに集合時間を過ぎていて。
タクヤがよっと、声を出しながらそれを掴んで、俺を見る。
無言で今度は何も言わず、だが俺の目から視線をそらさず、それを俺の手に握らせる。電話はずっと、鳴ったまま。
「……。」
現実が俺を呼んでいる。
お前が俺を待っている。
俺は一瞬、見比べた。だけどそんなの、どっちを選ぶかなんて、そんなの選択にならない。なりっこない。
「……もしもし?」
『あー?シンタ君?ちょっと、時間過ぎたよ、何やってんのー?タクヤも降りて来ないしさー!?』
「…悪い、タケシ」
『いーから。俺飛ばすからー。とにかく早く来てよー?』
「じゃなくて…俺、今日はパスするわ」
『はあ?何でよっ』
「タクヤも。…ちょっと、二人で話したいことがあって」
4
支援?
俺はお前を見ている。お前も黙って、こちらを見ている。
『何、何、ちょっ…お前ら、マジにまたヤバい喧嘩とかしたんじゃっ…』
「ん、喧嘩じゃないよ。じゃなくてちゃんとした、面と向かって話すことっていうか…」
『…えーと、それは、お前ら二人でとことん話し合うべき、ってタイプのやつなの?』
「……うん、そうだね」
そうだな。タクヤにも聞こえてるかもしれない。
『そか。…わかったよ』
うちのマネージャーは、こうだ。だから出来る奴だ。何だかんだで俺ら二人に揃って、惚れこんでくれてる。
畜生、いい奴だなタケシ。背が小さいとか口うるさいとか、無茶振りはタクヤ並みだとか、色々あるっちゃあるけど。
『じゃあな。絶対決着付けろよー。逃げんなよ、二人とも』
「お、おお」
『こっちは何とかしとくからな!俺が!…感謝して働け』
そう、こっちは俺らが何とかしなきゃならない。
俺らがさ。
なあタクヤ。
電話を切ったら、こいつは笑った。今日初めて見る、子供みたいな嬉しそうな、裏のない笑い方。
俺を押し倒して上に乗っかって来る。冷えた洗い髪が、今度は気持ちいいと思える。
首を背中を、この前みたいに抱きしめられた。俺は、俺も多分、笑ってるんだろうなと思っていた。
「シンタ君よ。俺は、シンタ君のことちゃんと、考えてたよ」
ぽんぽんと肩を叩くと、タクヤは言った。
「俺、……死ぬまで忘れないと思うよ」
耳元で、口説き文句だな、これは。
まあ口説かれる気は、満々です。
「シンタ君のことはさ」
殺し文句。どうもありがとさん。
俺は俺で、さっき考えてたみたいなことを言った。
言ったらまた、バカかお前って、心底呆れたみたいな声のあと、キスをされた。
熱くもなく、寒くもない。そんな夜だった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
途中でさるってさらにすみませんでした。
闇金ウシジマくんで柄崎×社長。エロありです。大いに捏造しております。やたら甘くて割とイチャついていて、雄っぱい多め。柄崎が幸せな変態です。社長デレ成分
多めですが、最後はやっぱりツンが出てしまいました・・・。
>>396の続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
丑嶋は朦朧となりながらも両手で自らの尻たぶを掴み、左右に開いて後孔を露出させた。
「柄崎、来いよ」
言葉自体は男前だが、声は上ずっている。だが柄崎はそれを笑いもせず、自分の勃起した性器を素早く衣類から取り出す。
「入れさせて頂きますっ」
丑嶋の腰を掴み、後孔に先端を押しつけたかと思うと、腰を体ごと前に倒して圧力をかけた。
「ぐぅっ、んぐっ」
たっぷりしたつもりだったが、実際には指二本で中を少し弄っただけだったので内部はまだ硬い。体の肉を圧縮される苦しさに丑嶋は腕をバタつかせ、床に爪を立てる。
柄崎は性器を圧迫される痛みを堪え、力任せに腰を押し進める。挿入されている丑嶋にとっては、凶器とも言える張りと太さのある性器が入り込み、最後には柄崎の陰
毛と丑嶋の尻たぶが擦れ合ってジョリジョリと音をたてるまでにくっついた。
「ふぉ、うあっ」
最後まで収めきると、丑嶋の背中が弓なりになったかと思うと、胸を床につけるように脱力した。倒れた丑嶋の体から余分な力が抜け、少しだけだが後孔の括約筋も緩
んだ。
柄崎は隙を見逃さずに腰を使い始めた。今はまだ頑なだが、このように奥まで入れて前立腺を責め立てれば、やがて良い声で鳴いてくれるのは以前に確認済みだ。
「ちょっと、好いとこだけしますから、少し中に集中してくださいね」
「あ、ああっ、柄崎っ」
10回も裏筋が前立腺を擦ると、丑嶋から普段の威圧感のある態度からは想像し難いか弱く甘い声が漏れだした。柄崎は経験したことはないが、男の真の泣き所は性器
でなく前立腺だとはよく言った物だ。反応が後孔を弄っている時とは雲泥の差で、やがて丑嶋の尻は左右に揺れ始めた。
「ん〜っ!」
柄崎は漏れ出そうになる感嘆の声を喘ぎ声に変えて誤魔化し、腰を前にせり出して動くのを止めた。性器は半分位まで埋まっているが、埋まっていない肉竿は丑嶋の腸
液で濡れ、赤黒く光っている。その光景は、じっと見下ろすだけでいやがうえにも興奮を誘われた。
「スゲェやらしい」
深く浅く出し入れすれば全てが埋まってしまうので、今度は半分まで埋め込んだままで小刻みに奥を穿ち始めた。入れる時はギリギリまで広がった後孔が竿にしがみつ
いたままで中にめり込み、内部に入った性器を舐めまわす様に纏わりついてくる。出す時はこれまた後孔が竿にしがみついたまま引き伸ばされ、内部は性器を離すまいと
しつこく吸盤のように張り付いてくる。このままなら今の緩やかな動きだけで射精出来そうだ。
「はぁぁっ、社長っ、気持ち良いです」
性器を包み込む内部に気を取られていると、ふいに丑嶋が背中を揺らめかした。
「うぅん、んっ、柄崎、もっと深くしなきゃイケない・・・だろうがぁ。」
丑嶋が首をひねって振り返り、不満顔で柄崎を睨みつけた。うさぎのように赤くなってしまった眼で睨まれ、柄崎はただでさえ緩やかだった動きを完全に止めてしまっ
た。
「だからっ、深くしろと言ってんのが分からねェのかっ!」
もう少しで丑嶋馨と言うクールな自分を完全に捨て、乱れ切れそうになっていたのに、興を削がれてしまった。丑嶋は辛抱堪らず体に力を入れると、自ら腰を前後に激
しく動かし始めた。
竿と裏筋と亀頭と部分にこだわらず、全てを自分の内部に擦りつける。もうこうなってしまえば、当たる部分は前立腺だろうが何だろうが気持よくなってしまう。
「ひっ、社長!」
柄崎は腰を強張らせて丑嶋のするがままになる。まったりと熟れた内部の肉全てに性器全体を刺激され、自分が突いていた時とは別次元の快楽が訪れた。脳天まで蕩か
す快楽は強すぎ、気持ち良いのは性器だけな筈なのに、まるで自分の体全体を包まれている気分になった。
「ふぅうっ、スゲェ、これ、スゲェ!」
堪えようとも漏れだしてしまう声。これでは柄崎の性器が丑嶋の内部に犯されているようではないか、と錯覚してしまいそうだ。先程まで翻弄していたのは柄崎の方な
のに、いつの間にか立場を逆転されてしまったのは、例え普段は丑嶋に対しては絶対服従な柄崎でも、男としてここは踏ん張りたいところだ。
けれども、パンパンと肌がぶつかり合う音が響き、性器の下にある睾丸が振り子のように揺れて、丑嶋の太ももの裏の辺りを叩くほど激しい抽送を繰り返すと、ますま
す自分の腰が砕けてしまうのが分かった。
「んんっ、社長、胸触らせてっ!」
柄崎はせめてもの反抗のつもりで抱きつき、張りきった筋肉で豊満な丑嶋の両胸を鷲掴みにした。
「柄崎っ、お前そこばっかり・・・」
胸を鷲掴みにされ、丑嶋は驚いた顔で後ろを振り返った。ふっくらした唇はワナワナと震え、言葉は途中で消え行ってしまった。
来る。大きな射精の波が来る、と柄崎が胸を包んでいる手に力を一層込めた。
根元まで力強く入った瞬間、最奥と入口が同時に締まった。根元から搾りとられるように締め付けられ、柄崎は自分の限界が来た事に気がついて根元を握って抜いた。
ゴムをつけていないので、このまま出したら丑嶋に嫌な思いをさせてしまそうだと瞬時に判断し、自分の手の中に出そうとしたのだ。だが、自分で思っていた以上に限
界は近かったのか、あまりに内部がよかったのか、先端を手で握り込む前に射精してしまった。
「ああっ、あーっ」
白濁はまるで狙いすましたように丑嶋の尻に向かって存分にほとばしった。
「おあっ、あーーー・・・っ」
長い射精だった。眼の前に火花が飛んだような感じがした後には体の力が抜け、踏ん張る暇もなく丑嶋の背中に抱きつく体勢で倒れこみ、最後の一滴まで尻に擦り付
けながらほとばしらせた。
「おおっ、うぉうっ!」
丑嶋の口からまた咆哮が漏れた。背中は限界まで反り、尻から背中の方の上に掛けてゆっくりと電流が流れる様に痙攣していき、痙攣が頭まで達したかと思うと、ガ
クリとまた床に突っ伏してしまった。
「え、と・・・、社長?」
「はぁっ、ああああっ、ああ・・・」
どうかしてしまったのか、と柄崎は心配になった。
「社長、あのぉ」
突っ伏してまだ痙攣している丑嶋の顔を覗き込むと、焦点はぼやけていて、口からは涎が垂れている。恍惚とした表情には見覚えがあり、柄崎は安堵した。
「イキまし・・・」
「うるせー」
柄崎の言葉が終わる前に丑嶋の手が口を塞いでくる。赤く上気していたのは頬までだったが、急激に耳の半ばまでが赤くなり始めた。
丑嶋は柄崎の顔を口を塞いだままグイッと押し、先程まで手をついて四つん這いになっていた場所とは少し距離を取る。尻を押さえながら仰向けになると、置いてあっ
た衣類を引き寄せて股間を隠す。それでもまだ恥ずかしいので炬燵の中に下半身を突っ込み、顔だけそっぽを向けてしまった。
今は炬燵の掛け布団で隠したが、丑嶋の脇腹のすぐ横にはつい先程床に溢してしまった白濁が散らばっている。確かに、柄崎の言う通り射精してしまった。しかも、最
初の一度目と違い、二度目の射精は性器への愛撫はほとんど無く、指と性器で後ろを突かれて出してしまった。
「チッ、好き勝手しやがって」
悔しそうだが、柄崎に図星を指され、バツが悪そうに舌打ちをする。表情は急にいつもの冷静さを取り戻したが、顔や耳の赤さまではコントロール出来ないようで赤い
ままだ。
「可愛い・・・」
憎まれ口も愛おしくて嬉しく感じてしまうのは、完全に惚れた弱みだ。柄崎はどうしてもデレデレと鼻の下を伸ばしながら丑嶋を見つめられずにはいられない。
一歩的に攻められるのにあまり慣れていない丑嶋としては、柄崎が一度しか射精していないのにも関わらず、一方的に二回も射精させられてしまったのが大いに不満だ。
ジロリと柄崎を睨みつけようとしたが、もうそんな気力も起きない。
「フンッ、馬鹿が」
丑嶋は意味のない罵倒を吐くと、少し離れた場所に弾き飛ばしてしまったミッフ○ーのぬいぐるみを掴み、また枕代わりにした。そしてそのまま、身を丸めて炬燵の中
に肩まで潜り込んでしまった。
「すみません・・・」
子供のように拗ねる丑嶋を可愛いとは思うが、どうしたらいいのか分からないのも事実で、柄崎は困ってしまう。
取り敢えず、どうしようと頭を掻くと、急に鼻の辺がムズムズしだした。
「へ・・・っきし!」
かなり大きなクシャミが出た。只でさえ尻にこれでもか、とぶっかけてしまったのに、下で寝ている丑嶋に唾液までぶっかける訳にはいかない、と咄嗟に手のひらを口
に当てた。
「うー」
ギリギリのところで間に合い、唾液だけではない色々な体液で汚れた手を拭こうと炬燵の上にあるティッシュケースに手を伸ばそうと体を起こす。何となく居心地が悪
く、視線は出来るだけ丑嶋に合わさないようにしていると、何気なく視線が行った先は外の庭に繋がっているガラス張りのドアだった。
「あ、雪だ」
いつのまにか降り積もったのか分からないが、小さな庭には雪が積もっていた。母が育てている小さく可愛らしい南天の木の葉にも、赤い実にも白い雪が積もっている。
「雪?どうりで寒い筈だな」
横になったままで寝がえりをうち、丑嶋も庭のほうを向いた。
「結構積もってますよ」
「ああ」
しばし二人で外を眺めていたが、ふと柄崎は自分の下半身だけが妙に寒く風通りがいいことに気がついて下を向いた。視線の先にはまだ濡れているが、寒さで普段より
も縮こまってしまった性器が衣類の隙間から零れ出ていた。
慌ててティッシュを数枚抜き取り、手拭き、性器を拭き、しまい込んだ。
「おい、着替えるから、ちょっと外見てろ」
言うが早いか、丑嶋も起き上がり、前を服で隠したままで炬燵から出た。
小娘でもあるまいし、着替えを見られるのが今更恥ずかしい間柄でもなかろう、と思いつつも、柄崎は素直に外を見つめた。
丑嶋は柄崎が外を見ていることを確認すると、取りあえず乱暴な手つきで下半身を清める。終わると、ティッシュを丸めて柄崎の顔めがけて投げつけた。それでも柄崎
は外を見たまま動かない。
「よし、そのまま外見てろよ」
安心し、下着とズボンを手早く身に付けていく。柄崎は反省して委縮しているのか、瞬きもしないで外を見つめている。何故か時折鼻の辺をひくつかせながら。
実は柄崎は直接にではないが、隣で行われている着替えを見ているのだ。丑嶋は気がついていないが、外に繋がっているガラスのドアは綺麗に磨きあげられている為、
室内の物がかなり鮮明に映っているのだった。
丑嶋は隣にいる間接的な覗き魔の視線に気が付かないままに着替え終わった。腰が痛いが、柄崎の隣で座る気にはなれない。室内にはまだ情事の匂いが留まっているし、
柄崎以上に居心地が悪い。
考えてみれば、柄崎が最初にしたがったのはキスで、はっきり誘ったのは丑嶋のほうだ。着替えた時に床にぶちまけてしまった白濁は拭いたが、後々にはあそこの辺り
に柄崎の母が座ったりするかもしれないのだと思うと、居心地の悪さはピークに達してしまった。
「ちょっとドア開けるぞ」
解決にはなっていないが、取りあえず換気だけでもしてしまおうと思い、柄崎の同意も得ずにドアを全開にした。
「寒っ!うっわ、寒い!社長、風邪ひいたら不味いです。ドア閉めてください」
柄崎としては寒いも寒いが、何より丑嶋が風邪をひいたりしたりするのが心配だ。全開にしたドアを閉めようとする。
「うるせーな。俺は熱いんだよ」
散々主導権を握られてしまったので柄崎の言う事を聞く気が起こらない。反発するようにわざとドアの上がり口までいくと、手を伸ばしてドアのすぐ傍の南天に積もっ
た雪を一掻き手に取った。
雪はサラサラとしていて、真っ白で、何だか美味しそうにも見える。手の温度ですぐに融けて、数粒の水滴が指の間から下に積もった雪の上に落ちる。
「冷たくて気持ち良い」
火照った体には冷た過ぎる位が気持ちいい。丑嶋が愉快そうに目を細めると、柄崎も丑嶋の隣に来て南天の木に積もった雪を掬った。
「本当ですね。気持ち良い」
柄崎は何となく手を合わせ、雪を大きな塊にした。サラサラとした雪はまとまりがよく、手の熱で融ける前に地面の上に置いても形崩れしない。何となく作った形だが、
柄崎は形に見覚えがあった。
「これと、これと・・・」
手を伸ばし、南天の木から二枚の葉と二粒の実を採る。
「こうして、と」
葉は一枚ずつ雪の塊に斜めに挿し、実は適度に間を開けて埋める。
「出来た。雪うさぎ」
「雪うさぎ?可愛いな」
愛らしい雪うさぎを見て、丑嶋が柄崎の肩にやんわりと凭れかかってきた。
「俺も・・・」
丑嶋は融けてしまった雪を手放すと、新たな雪を手にとる。丁寧にふんわりと柔らかさを感じさせる形になるように固めると、柄崎同様に融けないように地面の上に置
いた。互いに隣に座っているので、雪の塊は自然と柄崎の作った雪うさぎの隣に寄り添うように置かれた。
「どうぞ」
すでに出来上がっている雪うさぎよりも、よりうさぎらしい愛らしく丸っこい形に相応しい物を、と立派にピンと張った葉を二枚、大きく赤い実を二つ選んで渡した。
「おう」
まるで職人のように真剣な顔の丑嶋は、慎重に葉と実を雪の塊に装着した。ただ単なる雪の塊はまるで本物の白い兎のように見えた。これも、普段から丑嶋が兎と接し
て見ているからだろうか。
寄り添う2匹の雪うさぎを見ていると、何だか羨ましくなってくる。
「仲良さそうですね」
柄崎がそれとなく呟くと、単純に雪うさぎを近くで見ようと思ったのかも知れないが、丑嶋の肩が柄崎の肩にぴったりくっ付いた。
「そうだな。うさぎは多頭飼いして一度仲良くなると、ずっと一緒にいたがるしな」
可愛い雪うさぎに機嫌が良くなったのか、口数が大分増えてきた。
「社長、無茶してすみませんでした」
視線を直に合わせると睨まれるかもしれく、睨まれると何も言えなくなってしまうので、チラチラと横目に見ながら言う。
「・・・別にいい」
いつのまにか緩んでしまった唇を引き締める。丑嶋はドアを閉めて、外に置いてある雪うさぎ達をもう一度見つめると、炬燵に戻ってしまう。柄崎はまた何か機嫌を損
なう失言をしてしまったか、と慌てた。
丑嶋は、先程自分が汚した場所に座るのが嫌で別の席に着くと、床に置いてあったミ○フィーを拾って膝の上に乗せる。白い左右の耳の間に顎を乗せ、体を前後に揺ら
しながら不明瞭な声で呟いた。
「ああいうのも、まあ、たまにはいい。それより、雑煮喰いてェ」
ドアを開けて外の寒い風に当たっていたのに、また丑嶋の顔の血色が戻ってくる。
「はい、雑煮っすね。作ってきます」
またニヤつけば怒られそうなので、表情筋を引き締めようと頬を数度叩いて台所に向おうと立ち上がった。
外はまだまだ雪が降っているので、柄崎が幸せな溜息をつくと、息がかかったドアは白く曇った。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すみません!ナンバリング途中まで間違えてました。お目汚し失礼致しました。
モットノウコウナエロスガカケルヨウニナリタイネ( ´゚д゚)(゚д゚` )パイズリトカネ
>>438 キター!!赤くなる社長がこんなに可愛いものだとは…!
柄崎と社長がめんこすぎて息が止まりそうです!
なにこのおしどり夫婦…!いいぞもっとやれ
柄崎×社長大ッ好きなんで本当に嬉しかったです!ゴチになりました!
>>335 亀ですが萌えました!
一途な後輩も後輩に甘い先輩もかわいかったです!!
>>438 GJ!テラ萌えた!
デレる社長がかわいすぎて、幸せな柄崎がうらやまけしからん
>>429 萌えた!
切ないシーンなのに優しい気持ちになれました。いつも期待してお待ちしてます!
480KBでそろそろ新スレの季節ですが、
申し訳ない、寄生虫であります。
どなたかお願いできますでしょうか。
>>453 スレ立ててみようとしたらダメだったorz
どなたかお願いいたしまする。
AAズレても許してくれる?
とりあえずやってみる
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
| いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
| | [][] PAUSE | . |
∧_∧ | | | . |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . |
| |,, ( つ◇ | | | . |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
テンプレ4
携帯用区切りAA
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
中略
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
中略
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
また間違えた…
一応テンプレ全部張った…はず…
慣れない事するもんじゃなかった…ホントごめんね…
>>457 新スレ
本当に乙!!
一生懸命さがめちゃくちゃ伝わった。
ストイックで完璧な
>>1さんも素敵だが
必死に頑張る
>>1さんも魅力的なものであります。
ありがとうございました。
>>459 乙カレー
なんか最近の1さんは可愛いなぁw
>>459 乙様です!
健気ドジっ子ちゃんな459に萌えw
>>438 お待ちしておりました!エロ可愛い社長にたぎりました。
赤面やお着替え、2人が雪で遊ぶところとか、想像して過呼吸になりそうなほど胸きゅんです。
いつも本当にありがとうございます!
>>459 非常に乙でありました。梅がてら、規制中につき携帯よりお借りします。
架空のスタッフ×某師/匠ですが、やや雲行きが変わって、
ローディー君×某師/匠風味になっているので注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「お前はほんと、なんて事してくれたんだよ。」
「なんだよ。俺忙しいんだけど。」
まただ。
理不尽に俺に当たってくるこいつは、いくつも年上の師/匠を変な目で見ている。
その変な目で見られている師/匠が初夢に出てきたのだという。
だけどまた「イイトコロ」で俺が邪魔に入ったと言って怒っている。ふざけるな。
こっちは師/匠に任された(面倒な)仕事でいっぱいいっぱいなのに。
のんきに夢なんか見てんじゃねぇ。
「もう一度眠ったって続きなんか見れないに決まってんだよ。それをお前が。」
「うるせぇ。俺は忙しいんだよ。」
「詳しく聞きたい?」
「聞きたくない。」
「誰かに聞いてもらわないと爆発しそうなんだもん」
「爆発するなら外行って爆発してくれ。」
溜息をついたら、弱音を吐かれた。
「誰かに聞いてもらわないと…師/匠どうにかしちゃいそうなんだもん。」
すでにこの攻防が約10分。もうなんかめんどくさい。
それに、どうにかされても困るから、仕方なく聞いてやる事にした。
「夢でさ…俺は普通に仕事してて…今みたいに。そしたら師/匠が来てさ、俺の隣りに座ったんだよ。
で、片足上げてその踵を俺の腿に、こう、置いてきて…。
え?って思って師/匠見たの。そしたらさぁ、腕組んでムスッとした顔して目伏せてんだよ!!かわいくね?!!!
ピンと来たね。「これはお誘いだ」って。もちろん、俺が断るわけがない!
もーヨダレ垂れそうでさぁ「こいつをどう料理してやろうか」なんて大それた事考えちゃったりなんかして。
で、腿に乗った足をこう…撫でていって…上の方にだんだん…内側とかこうスリスリして
チラッと反応見るんだけど腕組んだままさっきと同じ顔してんの。で、あー完全にお誘いだって思って、大胆になったね俺は。
お姫様だっこして。お姫様だっこ得意だから俺。師/匠にも一回やった事あるし。
普通なら暴れるんだけど、その師/匠は大人しく連れ去られてくれて。
で、ここからがいいんだけどさ
だっこしたままソファに座ってさ、勢いで口唇にチュッてしちゃった。
でさ、今度はベロチューしようとしたらプイッて顔逸らされたんだよ。
逸らすから必然的に目の前に首筋があって、舐めたくなるじゃん。だから舌でツーってやったんだよ。
そしたら肩がピクッて揺れてさぁ俺もう興奮しちゃって。あー今かわいい師/匠が俺の腕の中に居るんだって実感しちゃって…----」
……。
なんだこのテンションの上がり方ついていけねぇ
やっぱ聞くんじゃなかった。
かわいくないだろ。第一お前の話は展開が早すぎてよくわかんねぇ。
…なのになんとなく映像出てくるからヤだ。
身振りをつけるな。やめろその手つき。
何か爆弾発言してたし…スルーするけど。
何やってんだよお前はほんともう…それにしても長ぇな。
まだあんのかよ。すでに耐え難いもんがあるぞ。
これ以上想像させんな。
首振っても映像がついてくる。どうしたらいいんだこれ。
なんでこんな話聞く事にしたんだっけ俺。で、いつ止めるんだ夢の中の俺。早くしろよ。
眩暈がしてきた。頼むから早く抵抗してください夢の中の師/匠。
「で、もう即効服ん中手突っ込んで乳首探して
ゆるーく触りながら「ここをどうして欲しいんです?」って聞いたらさぁ
師/匠、「お前なんかにはやらせてやんない」とか言うの!!!自分から来たくせに!!抵抗しないくせに!!!!
だからちょっといじわるして擦ったらすぐに勃ったから、「じゃあこれはなんですか?」って摘みながら言ったわけよ。
…俺さぁ師/匠って絶対乳首遊ばれ慣れてると思うんだよねー…実際触った事あるんだけど、そんな感じだったな〜」
「ちょっと待て。」
あ、しまった。さすがにスルーできなくてうっかり止めちゃった。
こいつが調子に乗るの目に見えてるのに。
なんか色々聞き捨てならない事言ってたけどスルーしたのに…俺とした事が。
「うっわーお前現実もこのタイミング?夢でもお前がさぁここでドアバーーーン!て開けて、「はいストーップ」って入ってきたんだよ」
俺はお前のトラウマか?
「で、びっくりして目が覚めたっていう…」
「……ふーん。」
「………。」
「……じゃ、終わりな。仕事すんぞ。」
「あれっ質問は?」
「何が。」
「今俺が「師/匠の乳首触った」って言ったから止めたんじゃないの?」
「そうだけど、なんか聞いたらめんどくさそうだからいいわ。」
「俺、触ったよ。この間。」
「あっそ。」
「聞きたいんだろ?」
やっぱりこういう展開になるよなぁ。あーなんで止めたんだ俺。
「聞きたくない。」
「嘘つけ。気になったから止めたくせに。お前も素直じゃないなぁ」
「……お前が素直すぎるんだろ…」
突然ドアがバーーーン!!と開いたので俺たちはびっくりして振り返った。
そこには、
師/匠がいた。
「「あっ…」」
師/匠はムスッとした顔をしたままつかつかと歩いて来た。
やっべ…聞こえてたくさい…
あ、頼まれた仕事まだできてない。
キョロキョロお互いを見合う俺たちの前に、師/匠は腕を組んで仁王立ちした。
そしてものすごい勢いで見下された。…これならそんなに怒って無さそうだ。
そのまま俺たちを交互に睨みつけながら椅子に座って、
ヒョイッと片足を上げて、
俺の腿に踵を乗っけた。
………。
…え、俺?
「ああああああああああああああああああああああああああああああ」
「なんで俺の方なんすか」
「…私はねぇ忙しいからこんな事やってる暇は無いのだよ。」
「し、師/匠、俺、俺です!俺!」
「はい、すいません。今すぐ仕事やりますんで…これ…どけてもらっても…」
微動だにしない師/匠。出たー、嫌がらせ…。やっぱり聞こえてたな。しかも最初から。
「師/匠俺に乗せてください!俺に!」
うるせぇ馬鹿。
動きそうにないので仕方なく乗っている足首を軽く掴んだら、
即座にカッと俺を睨みつけてきた。わー怖い。
しっかし…なんでこの人の乳首をいじろうと思うんだ?
…乳首ねぇ。
……。
なんとなく
なんとなーく。
興味本位で、足を掴んで無い方の手を師/匠の胸元に伸ばした。
でも、
その手は、胸に届く前に師/匠の手に掴まれた。
「キミも仕事しなさいね。馬鹿な事ばかり言ってないで。」
そう言いながら師/匠は奴を見ている。
…ああ。
この手は俺に「引っ張って起こして」の意味で掴まれてんのか。
足を降ろし、何事も無かった振りでその手を引っ張り、師/匠を椅子から立たせた。
「じゃ。私は忙しいので。」
そう言うと、師/匠はそのまま部屋を出て行った。
「おーーまーーーえーーーずるくない?!」
うるせぇ。
「師/匠はいっつも、お前ばっかり!贔屓だ!」
うるせぇ。
「ちょっと機械に詳しくて変な事しないからって…いいよな〜」
うるせぇ。
要は、安全牌って事だよ。
「俺も「彼が居ないと私は何もできません」て師/匠に言われて〜」
……。
お前は本当に素直だな。
…まぁいいや。仕事しよ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
読んでくださってありがとうございました。
感想もいつもどうもありがとうございます。
申し訳ありません。
ずーっとナンバリングがトリップに巻き込まれていました。
5/5で終でした。すみません。
>>469 GJでした
相変わらず、天然不思議キュート系の師匠たまらんです
何気な包容力があって、師匠の気に障らない特技の
スタッフ青年がいいなあw
埋めがてら
>>213 読み返したらあらためて棚の淫乱クールっぷりに禿げ萌えた。GJすぐる。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル 片思い 切ないっぽいつもり でオオクリシマース!
波の音に包まれ、海の匂いに身を委ね、今日も彼の背中を見つめている。
庭から海を眺める彼の後ろ、玄関脇に私用の椅子はあった。
変わることのない、ただの日常になりつつある、そんな日々。
私に幸福を与えてくれる日々だ。ただ一つ、彼から陰を感じてしまうことを除いては。
陰りの原因はわかっている。
「海辺に家を借りた。ついてくるか?」
一年前、振り向きもせずに歩く彼がそう言ったあの日。
私は黙って彼の背を追って歩くしかなかった。
同棲していた恋人に捨てられた彼は、一つのバッグと、私だけを伴って出て行くと決めた。
冷たい雨が、彼の上等な背広を濡らしていた。私は拭う手を持っていなかった。
日が落ちて、彼が暖炉へと薪をくべる。
「アルフレード、お前は綺麗だな。」
私の頭を撫でる手が、哀しいほどに優しい。
「アルフレード、お前はきっと世界で一番美しい。俺が保証するよ。」
寂しさを滲ませて笑う彼の指先に、私の長い毛が絡みつく。
小さな嗚咽が漏れそうなのを噛み殺すかのように、ただ彼を見つめる。
「アルフレード、……………――……」
彼の腕が私の体を抱き締める。
私の名を呼びながら、小さく、本当に小さく、あの男の名を呟く。
何故私ではだめなのか。
何故、私を選んではくれないのか。
そうして、彼は哀しくも安らぐ眠りにつく。私に深い渇望を残して。
これもまた、私と彼の日常になりつつあったのだ。
今朝は彼が寝室を離れなかった。たまにそんな日がある。
朝の早い時間から、その日の天気を知らせる厚い雲が空を覆っているような日だ。
冷たい雨は、私も苦手になった。
嫌な予感はしていたのかもしれない。来るなら、きっとこんな日なのだと。
煙るような雨の中、大柄な影が庭先に立った。
玄関脇の椅子に座っていた私を視界に入れると、男は軽く手を上げて見せた。
「やあ、アル。久しぶりだね。シュウは中かい?」
勝手に私の名を省略した男は、返事も待たず家へと入っていく。
ああ、予感はしていたのだ。
彼がいつも見ていたのは、海なんかではなかったのだから。
私は慌てて男の後を追った。
図々しく家へと踏み入った男は、同じく何の遠慮も無く奥の寝室のドアを開けた。
男の立てる物音を不審に思っていたのだろう。彼はベッドから立ち上がりかけていた。
「シュウ!」
男は一声発すると、彼の体を再びベッドへ押し戻すように抱き込んだ。
抵抗する彼の姿に、男へ飛び掛かるつもりだった。
男が浮かべている笑みを消してやるつもりだった。
私は確かにそうしてやるつもりだったのに。
彼の手はゆっくりと男の首へと回された。
愛しさを込めて、自らへと引き寄せるために。
二度と離れたくないと言わんばかりに。
あの男が開けっ放しにしたドアから、静かに部屋を出る。
そうする以外、ないではないか。
「もう離さない、シュウ」
「孝明……愛してる、孝明」
『世界で一番美しいアルフレード』と何度も囁いてくれた彼。
その彼が囁く愛の言葉を、私へではないその言葉を、これ以上は聞きたくない。
何故私ではだめなのか。
何故、私を選んではくれないのか。
抱き締める腕はなくとも、彼を温める毛皮があるのに。
愛を囁くことはできなくとも、愛していると顔を舐める事はできるのに。
わかっている。わかっている。ああ、わかっているのだ。
ゆっくりと尻尾でドアを閉めながら、理解してしまう自らを呪う。
彼は決して言ってはくれなかったのだから。
『世界で一番愛しているアルフレード』とは。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
うめ
うめうめ
埋める位だったらなんか過去作品の感想でも書いていけ
保管庫の管理人さん&協力者の方々
ありがとうございます
>>478に同じ。
いつもあなた方のお陰で萌えを享受出来てます。
大変な作業かと思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。
保管庫の中の人には、いつもお世話になっております。心からの感謝を込めて。
埋めついでに小ネタをひとつ
!!ナマモノ注意!!
GCCXで 課長×構成作家
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「宣伝文句(要英訳)でつかまえて」収録の合間の休憩中。
「なぁ、キベ君、ちょっと話あるねんけど」
なにやら深刻そうな面持ちで、話しかけてきたのは蟻野さん。
「なんですか?」
でも、騙されてはいけない。
この人の「深刻そう」なのは、実はただのネタフリだったりするから。
「エー…っと、ここでは、なんやから、ちょっとアッチいかへん?」
そう言って、スタジオの隅に連れて行かれた。
セットや機材の死角になって、他のスタッフからは見えない場所。
・・・なんだろう。本当に真剣な話なのかな・・・?
ちらりと辺りを一瞥して、回りに誰も居ない事を確認してから
蟻野さんは話始めた。
「あんなぁ、一個気になってる事があるねんけど、訊いていい?」
「なんですか?」
「キベ君が『不正解です』って言う前のタメが、僕の時だけ、なんか長い気がすんねんけど」
ここで、一拍間を置いて、僕の目を覗き込んでくる。
「なんで?」
きらきらと悪戯っぽく光る瞳が、彼の望む答えを僕が言うのを待っている。
・・・そんな手には、乗りませんからね。
「そりゃ、蟻野さんがメインなんですから、長くカメラに映るようにするのは当然でしょう」
わざと冷淡にそう答えると、あからさまに蟻野さんの表情が曇る。
わかってますよ、アナタが言って欲しい答えは。
わかっているんでしょう?僕の本当の答えを。
「なんやー」
蟻野さんが、ぼりぼりを頭をかきながら呟く。
「てっきり、僕と見つめ合いたいのかと思ったわー」
えぇ。そうなんですけどね。でも言いません。・・・恥ずかしいから。
「ほなさー」
まだ諦めない悪戯な瞳が僕を射る。
「次の撮りから、キベ君がタメてる間、僕、少しずつ近づいて行こか?」
「は?」
「いや、だから、こうやって・・・」
そう言いながら、蟻野さんが少しずつ僕の方へ歩を進める。
僕は思わず後ずさったけれど、すぐに壁際へ追い込まれた。
背中につめたい壁が当たって、もう逃げられない。
蟻野さんが両手を僕の頭の両脇に置いて、左右の逃げ道も絶たれた。
近づいてくる蟻野さんの、いつになく真剣な表情から、視線が逸らせない。
って、いうか、僕の視界いっぱい、蟻野さんの顔なんですけど。
息がかかる程に、近い近い距離。
近すぎて、目の焦点があわなくなって、もう蟻野さんの表情もわからない。
「・・・目ぇ、閉じぃや」
蕩けそうなほど、甘い声が、僕の唇のほんのちょっと先から響く。
僕は、ぎゅぅっと目を閉じた。
――― そして。
「蟻野さ〜〜〜ん!キベさ〜〜〜ん、収録始まりますよ〜〜」
能天気な元ADの声が、僕の緊張の糸を切って、スタジオに響き渡る。
「おー!今、行くわ〜〜」
これまた、さっきの甘い声の主と同一人物とは思えない、能天気な声で蟻野さんが応えた。
僕は壁に背中を預けたまま、ずるずると座り込んだ。
まだ、頭に霞がかかっていて、状況の変化についていけない。
唇が―――触れていないはずなのに―――妙に熱い。
「おしかったなー」
いつもの表情に戻った蟻野さんが、僕に右手を差し出しながら言った。
何が?何を?
混乱しつつ、その手を取ると、ぐいと力強く引き上げられて、なんとか立ち上がった。
立ち上がったと思ったら、もう一度手を引かれて、蟻野さんの胸に倒れ込まされた。
あ、と思う間もなく、こめかみに柔らかいモノが当たる感覚。
ちゅっと小さく音を立てて離れたそれは、確かに蟻野さんの唇で。
「今日は、このくらいで、勘弁してやるわ」
真っ赤になっているであろう僕の頬を、ぺしぺしと軽く叩きながら蟻野さんが笑う。
「なっ・・・!」
何か言い返したいのに、言葉が出てこない。
そんな僕にはかまわずに、蟻野さんは皆の待つセットの方へと駆けていく。
僕はため息を一つついて、その後を追った。
この顔の火照りが、一刻も早く収まる事を祈りながら。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お目汚し、失礼しました。