モララーのビデオ棚in801板26

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1風と木の名無しさん
.   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ | 
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
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   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)

[801]モララーのビデオ棚in801板25
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1172830263/
ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://wald.xrea.jp/moravideo/
2風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:53:09 ID:Dum1HGBK0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3->>7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、スレを占拠しないためにも投下ペースや分量を配慮して下さい。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara
3風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:53:33 ID:Dum1HGBK0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:54:07 ID:Dum1HGBK0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:54:23 ID:Dum1HGBK0
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
6風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:54:41 ID:Dum1HGBK0
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"

               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
7風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:54:54 ID:Dum1HGBK0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
8風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:55:09 ID:Dum1HGBK0

 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
9風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:55:22 ID:Dum1HGBK0

   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
10風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 21:22:43 ID:gO8kvmrb0
>>1
乙華麗です
11風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 23:24:39 ID:+yifPmH30
>>1
スレ立て乙です
12風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 23:27:19 ID:1aTrfiNW0
>>1
乙駈れです
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  禿たか しばわし
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  こんなの妄想した
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
13禿たか しばわし1/4:2007/03/25(日) 23:30:54 ID:1aTrfiNW0
身の回りのことはどうしてるんだと司馬野に尋ねられたとき、和紙図はハウスキーピングを頼んでますからと答えるにとどめた。
実際、家事はそれで事足りている。

「それならいいんだけど」
「はい。あとのことはリハビリもかねて、自分でするようにしています」
「そうか」

会話はそれきりになった。
その日の午後、中野辺が回してくれた車でおそらくこの先一生世話になる病院へ行き、予約しておいた理学療法を受ける。
根気のいる歩行訓練をしながら、なぜか司馬野の顔が頭に浮かんだ。
額に汗がにじんだ。
いやだなと思う。
司馬野のことを考えながら訓練をしている自分を、和紙図は持て余してしまうのだ。
案の定、山ほどの薬をかかえて自宅のマンションに戻ったあとは、少しの間ソファに沈み込むように座ってぼんやりした。
ふいに携帯がテーブルの上で、ブルブルと震えた。
司馬野からだ。
ちょっと迷って、それに出る。
14禿たか しばわし2/4:2007/03/25(日) 23:33:58 ID:1aTrfiNW0
『夕めし、どうかなと思って』
「いいですよ。めずらしいですね、司馬野さんから誘ってくださるなんて」
『いや、たまにはね。今日会ったときに言えばよかったんだけど、あのあとで思いついて』
自分なら、と和紙図は思った。
食事をするなら一週間前から日を決めて、ずっと浮き立った気持ちでいるだろうに。
「メンツはあと誰です?」
『いや、考えてなかった。声を掛けたい人いるなら言ってくれ』
和紙図は、相手に聞こえないように息をのんだ。
「それなら…うちにいらっしゃいませんか。出歩かなくていいから、私も楽なんです」
『そうか、じゃあどこかで何か作ってもらって持っていく』

電話を置いた和紙図は、歩行訓練のあとの汗を流そうと苦労して服を脱ぐと、急いでシャワーを浴びた。
そしてマンションが契約しているコンシェルジェに電話して、ワインとオードブルを注文すると、
ガウンのまましばらく考え込む。

自分は何を期待しているんだ、何をしようとしているんだ。
はっとして新しいワイシャツを引っ掛け、スラックスを穿いた頃にワインが届く。
オードブルをどこに置きましょうと尋ねられて、リビングルームのテーブルにするか、ダイニングにするかでちょっと迷った。
結局リビングに置いてもらい、ワインは冷蔵庫に納まった。
若いコンシェルジェは和紙図の足を見て、セットしておきましょうかと聞いた。
それに和紙図は黙ってうなづく。
「グラスはいくつ用意します?」
「あ、よ、よっつ。フルートふたつとそうでないのをふたつ頼む」
手際よくテーブルに並べられていくグラスや皿を眺めながら、和紙図はどんどん無表情になっていく。こんなにして、もし司馬野が来なかったらどうしようという不安がふと胸をよぎったのだ。
「キッチンにワインクーラーを出しておきました。お客様がいらしたらお使いください」
急に笑顔で話しかけられ、咄嗟につられるように微笑んでありがとうとだけ短く答える。
再び部屋に一人になると、考えるのがいやになって仕事の書類に目を通した。
あまり頭に入らなかった。
15禿たか しばわし3/4:2007/03/25(日) 23:36:35 ID:1aTrfiNW0
それでも時間は過ぎて、実際に自分の部屋の玄関に司馬野が立っているのを、和紙図はある種感動して見ていた。
司馬野が料亭で作ってもらったという風呂敷を開くと、二人分の弁当が入っている。
「日本酒のほうがよかったですね」
「いや、うまいよ」
司馬野はグラスを目の高さに上げて、細かい泡を立て続ける液体に目をやる。
そしてグラスにそっと唇をつけた。
「司馬野さん、電話もらってよかったですよ。一度一緒にゆっくり飲みたいと思ってたんです」
「うん」

食事が進むにつれて酒壜はすぐに空になり、傍らの杖に手を伸ばすと、三本目のワインを取りに和紙図はよろよろと立ち上がった。
司馬野が心配そうに半ば立ち上がりかけて中腰になる。
それを制して、和紙図はキッチンに歩いていった。
パートナーという言葉が和紙図の頭に浮かぶ。
それは自分が酔っているからだという自覚が和紙図にはあった。
そしてその言葉を口にしないのは、それほどひどくは酔っていないのだという自信もある。
新しい壜を持ってリビングに戻ると、司馬野がそれを受け取った。
「自宅ですよ。大丈夫です」
「いや、あの…時々手を貸そうかと思うときもあったんだが、お前のプライドを傷つけるような気もしてできなかった」
「そうですか」
16禿たか しばわし4/4:2007/03/25(日) 23:37:45 ID:1aTrfiNW0
「どうなんだ」
「なにがです?」
「手助けしてもいいもんだろうか」
和紙図はうつむくと、ふっと苦笑した。
「今日はそういうことを言いにいらしたんですね」
「いや、そういうわけでもないんだが」
ゆっくりと顔を上げると、和紙図は杖なしで立ち上がろうとした。
ぐらりと体が揺れるのを見て、顔色を変えた司馬野が駆け寄り和紙図の体を支える。
前のめりになった上体を起こすと、和紙図は司馬野の方に額を乗せた。

「助けてくださいよ」

司馬野は黙っていた。
顔を上げることができずに和紙図はずっと司馬野の肩と胸に身を寄せている。
やがて、すっと動いた司馬野の腕が、和紙図の頭を後ろから抱えるように回った。
これ以上は何も望んではいけない。
本望だと和紙図は思った。
17禿たか しばわし:2007/03/25(日) 23:39:06 ID:1aTrfiNW0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

18透間  鍵盤サイド 0/2:2007/03/26(月) 08:13:46 ID:LzFdbUym0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  透間電/源  ジャーマネ絡み
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  姐さん達に触発されますた
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
19透間  鍵盤サイド 1/2:2007/03/26(月) 08:14:18 ID:LzFdbUym0

拓弥は相変わらず酔っている。
拓弥の酔うとキス魔説は有名になっているようだが、
今日はいつも相手になっているもう一人の酒大好き男はいない。
今日は仕事で事務所の飲み会に参加出来ないらしいのだ。
いつも目に毒だと思っている俺達にとってそれは良かったと思うべきことなのだろうけど。
飲み会が始まり時間が経つにつれて拓弥の酒が増えていく。もう誰も止めないというのも厄介だ。
やっぱりか、という空気にもなっていて皆諦めている。でも、それは今に始まったことじゃない。
俺は餌食にならずに済んだが(正直ほっとしている)、困っている男が拓弥の横でひとり。
「ってことなんらよ…たけしー?聞いてるう?」
「え。…き、聞いてるけど……」
我らがマネージャー武である。
完全に呂律の回ってない酒臭い酔っ払いに絡まれたダメな兄ちゃんと化している。
武は必死に視線で俺に助けを求めてるけど、
あの中に割って入ろうものならターゲットは確実に俺になるだろう。
そもそも、ヤマさんがいないという時点で気づくものだと思っていたから言わなかったのに、あいつも阿呆だなあ。
「だからあ、やまさんいないの」
「ああ…うんまあ仕事だからね」
「寂しい…」
「ちょ、寂しいって俺に言われても、」
武が言葉に一瞬詰まらせたその時だった。
拓弥が武の首に腕を回したかと思えば逃がす暇も与えないままにキスをしたのだ。
俺は知っている。拓弥がやまさん以外を相手にする時は
相手の勝手にはさせないとばかりに目の奥を光らせることを。
武もそれを見たのだろう。随分ゆっくりした動きだったから逃げられるだろうと回りは言うが、
経験した者だけの解るあの感覚。同じ酔い方をするヤマさんも同じような目をする。
似なくていい所ばかり先輩に似るんだなあ…。
20透間  鍵盤サイド 2/2:2007/03/26(月) 08:14:48 ID:LzFdbUym0

皆いつもみたいにやんややんやとはやし立てている。…いや、誰か止めてやれよ。
俺の横に座っている須賀さんはただ笑っているだけだったけれども。
「楽しそうですねえー」
「ん、楽しそうなのは拓弥だけだけど」
その言葉に笑ってから俺は氷が溶けてしまって薄くなった残り少ないウーロン茶を飲み干した。
居心地の悪そうにお皿を下げに来た店員さんに同情しながら、今度はジンジャエールを注文する。
自分だけが一段落して、またおとなしくつまみでも突付こうかと箸を伸ばした瞬間、
「………で、しんたはどっちに妬いてんの?」
と、須賀さんがニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべながら聞いてきたのだ。
「…自分でも解りません」
誤魔化しじゃない。この言葉に嘘はなくて、本当に自分でも解らない。
だんだんエスカレートしていく拓弥を俺も止めないが、心の奥底ではどうにかやめてくれ!と叫んでいる。
周りの声も、今日だけは耳障りなんだ。
この気持ちが何処から来るものなのか。
一体俺は何処に向かってこんなに苛立っているのか。
「し、信太くん!たすけ、ッたすけてー!」
「じゃあ、そろそろ止めてきますね」
須賀さんに言い残して、立ち上がり拓弥の腕の中で必死にもがいて声をあげて助けを呼ぶ被害者武を助けにいく。
きっともやもやして何も解らないまま、暫く過ごすことになるだろう。
21透間  鍵盤サイド:2007/03/26(月) 08:15:36 ID:LzFdbUym0
 ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 801未満でスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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22戦国BASARA2 光秀視点:2007/03/26(月) 15:38:44 ID:N6OZ0aYU0
>>1乙ですー
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
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         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│信長×蘭丸×光秀です。マイナーすまそ
                └───────────────
23戦国BASARA2 光秀視点 1/2:2007/03/26(月) 15:39:24 ID:N6OZ0aYU0
信長公。
信長公信長公信長公信長公。
私はこんなにも貴方を慕っているのです。
それなのに貴方は此方を向いてはくれない。
なのに、蘭丸の事は抱くのですね。
うらやましい。うらやましくてたまらない。
それを言ったら、何故か押し倒されました。

「丸が抱いてやるよ。いつも信長さまがするみたいにして」

なんという事でしょう。
信長公、貴方が抱く小姓が私を抱くと。そう言っていますよ。
あぁ可笑しい。可笑しくてたまらない。
ねぇ信長公、貴方はこんなにも丁寧に人を抱くのですか。
ねぇ信長公、貴方はこんなにも甘く囁くのですか。
ねぇ信長公、貴方はこんなにも私を優しく扱うのですか。
信長公、私は貴方に抱かれたいのです。
酷く酷く、私の身を引き裂く程に乱暴に。
24戦国BASARA2 光秀視点 2/2:2007/03/26(月) 15:40:26 ID:N6OZ0aYU0




目が覚めると、きちんと布団に寝かされていました。
体に汚れはなく、蘭丸が後始末をしてくれたのでしょう。
やはりあの子供は解ってはいない。
私は乱暴にされたいのに。汚して壊して殺されたいのに。
枕元に手紙が置いてありました。拙い字。
お前は変態だけど綺麗だと。
こみあげる笑いを我慢する理由等ありません。ただただ一人笑いました。

ねぇ信長公、貴方の小姓は私に惚れた様ですよ。
信長公も、私の元へ落ちてくればいい。
抱かれて首を絞めて殺して殺されて、

あぁ…そうなったならどんなにか幸せだろうに。
とうの昔に枯れ果てたと思っていた涙がひとしずく、頬を伝って落ちました。
25戦国BASARA2 光秀視点:2007/03/26(月) 15:41:05 ID:N6OZ0aYU0
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
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                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) オメヨゴシ シツレイシマシタ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
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  └────────────────┘
26風と木の名無しさん:2007/03/26(月) 20:19:44 ID:aSclG5fg0
前スレのリュト×小→大に禿げ萌え〜
もう何回も読み返しているよ。
出来ればまた続き書いて下さ〜い!
27風と木の名無しさん:2007/03/26(月) 21:19:22 ID:YVAPOuTX0
>>12さん
ほのぼの〜
わっしー幸せちょっとせつない。。。
28林檎CM:2007/03/26(月) 22:12:07 ID:KIbzxnml0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某CMより林檎×パソコン
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  勢いで書いたうえに短いです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
29林檎CM:2007/03/26(月) 22:12:56 ID:KIbzxnml0
「どうも、膜です」
「こんにちは、PCです」

「質問なんですけど、僕のこと好きですか?」
「…?まあね、うん」
「じゃあチューしてください」
「ええっ!?」
「好きな人にはチューをしなくてはいけないんですよ!」
「なっ、どっからそんな話が…」
「インターネットでちゃんと調べました!」
「…今度有害サイトをブロックする方法を教えるよ」
「そんなことより、チュー!チュー!」
「こんなところで…TVの前のみなさんもいることだし」
「ああっ、チューしてくれないってことは、僕のこと嫌いなんですね!?」
「いや、そういうわけじゃ…」
「嫌いなんだ。僕のこと嫌いなんだ」
「…っ。あーっ、もうっ」

ちゅっ。

満足そうににっこり笑うPC。
しょうがない奴、と苦笑する膜。頭を掻いて、
「でも、本当に変なサイトには気をつけないと。ウイルスに感染するかもよ?」
横を見ると、笑顔のまま固まっているPC。
「あーあ、遅かったか。無防備なのにフラフラ出歩くから…」
ふう、とため息をつき、それからこちらを見て、
「じゃあ僕はこの後彼の面倒見なきゃいけないから、また今度」
30林檎CM:2007/03/26(月) 22:14:37 ID:KIbzxnml0
 ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ チューをせがむPCが書きたかっただけなんです、スミマセン
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
31風と木の名無しさん:2007/03/26(月) 22:49:18 ID:zTr/MRES0
>>28
(*´Д`)b GJ!
32風と木の名無しさん:2007/03/26(月) 22:55:41 ID:kW4IB29y0
>>30
頭の中でCMそのまんまの映像が流れたじゃないかw
GJ!
33風と木の名無しさん:2007/03/26(月) 23:15:31 ID:aSclG5fg0
思わずニヤッてしちまった!
GJ!!!!
34風と木の名無しさん:2007/03/26(月) 23:37:14 ID:3b+P9eUE0
>「そんなことより、チュー!チュー!」

(*´Д`)
35風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 00:09:40 ID:7vbVAXkf0
>>30
感染しちゃったのか(*´Д`)ハァハァ
36風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 00:24:18 ID:pdB5oBos0
有害サイト見ちゃったら、チューじゃすまないよ!

(*´Д`)

(* ゚д゚ *)

37風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 00:30:45 ID:VpxlKm/90
こっち見(ry

>>30 GJ!!
38風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 01:23:11 ID:PYDbwUWi0
>>26

禿同。自分も心待ちにしております(*´Д`)
39風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 03:03:00 ID:am6EAWm+O
>>28
萌え禿げた(*´Д`)
40陸ナビ01 :2007/03/27(火) 07:08:46 ID:Ff/JS73p0
          _________
       |┌───────┐|
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         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   ) ジョブチェンジ!
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│家族が周囲に居るときに流れるとドキリとするヨ!
                └───────────────
陸ナビNEXTCM送別会編があまりにも萌えるのでやっちまいました。
10レス消費予定です。
ttp://www.recruit.jp/cm/index.html<送別会編>参照。
41陸ナビ02:2007/03/27(火) 07:10:07 ID:Ff/JS73p0
「俺、転職するつもりでいる」
俺はその言葉を放つ加藤を、信じられないといった面持ちで見ていた。
いつも通り仕事を終え、帰路に着こうと
エレベータに乗った時に加藤の口から突然飛び出した言葉だ。
俺と加藤は同期だった。
そこそこ名のある広告会社で、俺は本当にこの会社に入社したくて必死に勉強し、
高い倍率を勝ち抜いてやっと就職ができた。
加藤はといえば入社したてで戸惑う俺に対して
「本気で仕事はするけど、居座るつもりはないね」と言っていた。
その時の俺は、加藤の言葉に対して怒りなど少しも感じなかった。
その代わり、『ああ、彼はここに収まる器じゃないんだ』と感じた。
それから仕事を始めて、何事も体良く覚えてこなしていく加藤の背中が、
とても大きく感じたのを覚えている。
42陸ナビ03:2007/03/27(火) 07:12:04 ID:Ff/JS73p0
転職の話しは、日々の仕事に追われて漠然と過ごして、
彼の言葉を忘れかけた4年目に投げつけられた突然の告白だった。
エレベータが1階に到着すると、乗り込む女子社員が笑顔で
「お疲れ様、もう帰れるの?」と声をかけてきていた。
俺はそれに対する返事も上手く出ないまま、
加藤だけがいつもの調子で楽しそうに笑いながら「頑張れよ」と女子社員に手を振っている。
黙ってエレベータを降り、首から社員証を外して黙々と歩く俺を、加藤が追いかけてきた。
「おいおい、俺に何か言うことねぇの?」
加藤が俺の肩を掴んで引きとめようとする。
それを振り払い、俺は加藤を睨んだ。加藤が驚いた顔で俺を見ていた。
なんだその驚いた顔は、と俺は思った。
「お前に向かって何も言う事なんかないけど?」
「えぇ?だって、俺、いなくなっちゃうよ?」
「別に・・・・だってお前入社の時からそういう適当な態度だったしな」
睨みながら言う俺の言葉に加藤が苦笑した。
入社したての初々しい会話を覚えているのだろうか。
少なくとも、俺はしっかりと覚えている。
そして、その言葉を一度たりとも『適当な態度』などと認識したことはなかった。
彼の飄々としていながら、繊細な、そして裏では必死の努力と勉強を欠かさない姿勢を
『適当な態度』などと言える者がいたら大馬鹿者だ。
俺は今その大馬鹿者に、自ら進んでなってしまった。それ以外に言える言葉が無かった。
「お前厳しいなぁ」
ぼやく様に加藤が言って、歩き出した俺の隣に並んでくる。
43陸ナビ04:2007/03/27(火) 07:14:20 ID:Ff/JS73p0
「今な、転職サイト見て結構絞り込んできてんだ」
「ふーん」
「俺のやってきたことが間違ってねぇって、誰かにわかってもらいたいよなぁ」
「そうか」
曖昧な返事を駆使して、俺は加藤の言葉を避けようとした。
転職に関する会話を避ければ、加藤が転職することはないのだとまるで信じているように、
さも興味なさ気に答える。
誰よりも彼の努力を見てきた。誰よりも彼の悩みを感じてきた。
誰よりも彼の行いを信じてきた。誰よりも彼の意思を尊重した。
一人で裏切られたヒロイックな世界を演じようとしたが、
実際加藤が起こしたのは裏切りでもなんでもない。
当初からの目的通り、転職という行動を起こしただけだ。
それを今、俺は『彼の意思を尊重する』という自己の規律を逸して、
エゴで動いている。それが堪らなく悲しく、情けなかった。
だらだらと歩く二人は会話が途切れ始める。そしてやがて、そこを静寂が支配する。
会社の最寄の駅に着くと、加藤は苦笑いをしながら俺に手を振った。
俺は黙ってその姿を見つめていた。
44陸ナビ05:2007/03/27(火) 07:14:51 ID:Ff/JS73p0


それから約2ヶ月後、加藤は上司に仕事を辞める事を告げた。
今の加藤直属の上司は納得したらしいが、前の上司だった女性係長が、
階段で加藤と会うなり呼び止め、罵倒してきたそうだ。
俺は、その係長が加藤を可愛がっていた事も考えると、
彼の才能を見抜いていた数少ない人の一人だと思っている。
だからこそ彼女は裏切られた気持ちが大きかったのかもしれない。そして罵倒したのだと思う。
俺は、罵倒することすらできない。
真実から必死で逃げようとし、加藤の話しをマトモに聞こうとすらしない。
とうとう俺は、加藤の事を考えると頭が真っ白になるという症状に見舞われた。
そして胸の奥が押しつぶされるように痛むのである。
45陸ナビ06:2007/03/27(火) 07:15:47 ID:Ff/JS73p0
病院に行こうか本気で迷っていた頃に、部署で加藤の送別会をするという知らせを貰った。
「お前来れるんだろ?」
遠いデスクから、デスクチェアに座ったままガラガラと動いて寄って来る加藤の姿を、
俺は一瞥した。
「わかんない」
「え?なんで?金曜の夜だよ?なんかある?」
「わかんないって言ってんだろ」
俺は面倒くさそうにパソコンのディスプレイに視線を移した。
加藤が若干イライラとした様子で声を上げる。
「お前なに怒ってんの?」
「怒ってねぇよ」
「怒ってんじゃん、なんかすっげぇどうでもよさそう」
「・・・・行けばいいんだろ」
俺は言い放つと、ノートパソコンをバタンと閉めて立ち上がった。
本当は用事など一つもないのに、俺はまた逃げている。
46陸ナビ07:2007/03/27(火) 07:17:15 ID:Ff/JS73p0


そして金曜日の夜が来た。
部署の皆、総勢23人が男女入り混じって参加している。
加藤がこんなに人気あったのかと思うほどの出席率だ。
加藤はやけに皆から酌をされ、そして酌をし返している。
主人公然とした加藤の姿を見ながら、俺は酒を煽った。
加藤は俺に一度も酌をしに来ない。俺は一人手酌で、何本ものビールを空けた。
遠くから加藤の姿を眺め、やがて彼の横に立つであろう上司を想像する。
新しい上司はどんな風に加藤の姿を評価するのだろう。
きちんと俺のように、彼を認めてやってくれるだろうか。
もし彼に酷い評価があった時には、俺は黙っちゃいない。俺だって、その会社に――・・・・。
俺、何言ってんだろう。
47陸ナビ08:2007/03/27(火) 07:20:39 ID:Ff/JS73p0
俺の意識が朦朧とし始めた頃、送別会はお開きになった。
ネクタイをだらしなく緩め、座卓横にある柱に寄りかかったままの俺は、
皆に挨拶をして送り出している加藤を見つめていた。
「おい、帰ろうぜ」
加藤が俺の二の腕を掴んで揺さぶる。俺はまた曖昧に返事をして、
先を歩く加藤の後ろを付いて行った。
店を出ると早朝5時の景色が広がっていた。空が白んでカラスが鳴いている。
空気はひんやりと、火照った頬に触れている。
早朝のタクシーが、忙しそうに走っていた。
迷い無く歩く加藤の背中は相変わらず大きく見える。
左手に持った大きな花束をぶらぶらと下げて、普段の様にダルそうに歩いている。
二人の間に会話は無かった。
あの自信に溢れた加藤が、先ほどまで笑顔で皆に接していた加藤が、
すっかりだんまりを決め込んで、左手に持った花束をそっと顔に当てたのを見た。
48陸ナビ09:2007/03/27(火) 07:22:20 ID:Ff/JS73p0


俺は思わずカッとした。
なんか神妙にしやがって、いつもの加藤は花束なんてガラじゃないくせに、どんな顔して歩いてるんだ。
黙るな。喋れよ。俺の気持ちを揺さぶるな。
俺は体当たりをするように加藤に近づき、胸倉を掴むと力いっぱい引き寄せた。
加藤が眼を白黒させて「なに」と言って俺を見る。
「・・・・っがんばれよ!」
そう言った俺は加藤の顔を、2ヶ月ぶりにまともに見た気がした。
俺の口調は悪態そのものだったから、加藤も多少腹が立ったのだろう、
俺の胸倉を逆に掴み「お前もがんばれよ!!」と言い返してきた。
二人の距離が一気に近づいた。頭が真っ白になり、胸の奥がぎゅう、と縮こまる。
目頭が熱くなり、唇が震えた。
加藤の唇も震えている。
俺は何か言おうと思って唇をやや開いたが、
涙の貯水量が限界を超えそうだったため、振り切るようにその手を離した。
加藤はバツが悪そうに服を調え、俺を見つめている。
気付かれないように涙をぬぐって、俺はもう一度「頑張れよ」と言った。


終わり
49陸ナビ10:2007/03/27(火) 07:23:24 ID:Ff/JS73p0
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
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         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
ご静聴ありがとうございました。
50風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 07:27:01 ID:2Npam+3EO
>>22
GJ!
みっちゃん受けテラ好物でハァハァしました!

>>28
こっちもGJ!
PCかわいいよPC
51風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 11:03:07 ID:ywAYZi28O
>>49
GJ!!あのCMには自分も萌えてたから嬉しい
52風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 14:14:36 ID:o/1RJ/+n0
>49
CM見たことないのに萌えた!
こんな素敵なCMがあるのかー!
53風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 15:07:20 ID:rp7AAMuf0
>>28
カワユスwww
本物のCMは好きじゃないがこれならいいな
是非ウェブ限定でやってほしい
54風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 20:46:19 ID:aLfYE9e80
CM2連発ゴチです。
両方大好きなCM!!
15秒に壮大なドラマを見る腐女子の行間の読み方ったらすごい

最近CMが熱いな〜
55風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 21:02:41 ID:Y02FsEPE0
>49
ももももも萌えた!!1!!
萌え尽きたよ・・・_ト ̄|○
56風と木の名無しさん:2007/03/27(火) 22:57:04 ID:cnDMxnPg0
>>49
ありがとー!!!!
あの胸倉をガバっとつかんだ瞬間、キスするのかっ!って勢いなんで
かなり萌えてたのだよ〜。
57風と木の名無しさん:2007/03/28(水) 22:02:18 ID:7QbQfely0
>>49
しかし上手いもんだなぁ…
その発想とか…ただただ感心するw
58風と木の名無しさん:2007/03/29(木) 08:01:26 ID:3N1PnlcW0
>49
おぉぉ、きっと誰かがやってくれると思ってました!!
アフターも!アフターもー!!
59風と木の名無しさん:2007/03/29(木) 16:46:30 ID:wbUlTJsu0
               / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  仰天ニウス 奇女少な二人旅
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  令受のつもりだが正直どっちでもいいよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
60仰天ニウス 奇女少な二人旅1/3:2007/03/29(木) 16:47:24 ID:wbUlTJsu0
「気に入ったかい?」
不意に背後から声をかけられはっとする。
振り向けば思いのほか男の顔は近かった。
彼が貸してくれた本に夢中になっていたせいだろうが、
それでも周囲への警戒を怠らないのは癖みたいなものなのに。
そうすることでしか、俺は生きていけなかった。
近づく人間すべてに疑いの目を向け、隙があればそこへつけ込む。
そうして生きる術を誰に教わるのでもなく覚えていた。
とりわけ近頃はかつての仲間が追ってくるのではないかという不安で気が落ち着かないことが多かった。
なのに偶然彼に声をかけられたあの日から、不思議と不安や警戒を忘れている。
今だって声をかけられるまで、まったくその気配に気付いていなかった。
もう何に怯えることもないのだから当然かもしれない……けれど、こんなのは自分らしくない。
彼の持つ穏やかな空気に呑み込まれていくような気がして怖い。
「熱心に読んでくれて嬉しいよ」
俺が何も言えずにいると、彼は心底嬉しそうに笑う。
61仰天ニウス 奇女少な二人旅2/3:2007/03/29(木) 16:48:19 ID:wbUlTJsu0
男はセールスを仕事にしていると言った。
人の良さそうな笑顔も彼の仕事道具なのだろうか。
それとも違うような気がする。じゃあ何だと問われれば解らないけど。
胡散臭い商売用の笑顔を張りつけた人間はいくらも見てきたけど、そいつらのそれとは違う。
こんなふうに自然に笑う人間を見たのは初めてだった。
だから余計に不思議で仕方がない。
彼は俺を怪しいとは思わないのだろうか?
とてもじゃないがまっとうな職の人間には見えないだろうし、
それがわからないほど世間知らずなわけでもないだろう。
「どこまで読んだ?」
「主人公が、友人の娘のために医者を呼びに行くところまで」
彼が貸してくれた小説。児童文学の短編集。
子どもっぽくてすまないけど僕は気に入ってるんだと、彼は言った。
働き者でお人好しな主人公は、“友人”を語る狡猾な男にいいように利用されていた。
丹誠こめて育てた作物を奪われ、散々に扱き使われ、
それでも主人公は友人のために嵐の中をボロボロになって歩いている。
意識は遠のき、おそらくこの主人公はやがて……
「この男は、死んでしまうんだな?」
「ああ」
「マヌケな男だ」
「そうだな」
親切なのは結構だ。でも相手は慎重に選ばなければいけない事を
誰かこの小説の主人公と、目の前の彼に教えてやってくれたらいいのに。
62仰天ニウス 奇女少な二人旅3/3:2007/03/29(木) 16:49:17 ID:wbUlTJsu0
「君は彼を愚かだと思うか?」
「ああ」
最期まで“友人”を信じて“友人のため”に死んだ主人公。
出会って間もない俺を“友人”だと言った彼と、ついつい重ねてしまう。
「親切をはたらく相手は選ばなきゃいけない」
俺みたいのを拾ったばかりに、その命を奪われんとする哀れなこの男。
「あんたにしたってそうだよ」
思わず溢れた言葉を彼は聞き逃してはいなかったようで。
「僕はちゃんと選んだつもりだ」
また、笑った。
なんて言葉を返したらいいんだろう。
どんな顔をすればいいんだろう。
この旅が終わったら、あんたの人生も終わるってのに。
小説の主人公なんかよりもっと愚かだと思った。
そうやってずっと笑っていたらいいんだ。
あんたにはそれが、よく似合ってると思うから。
63風と木の名無しさん:2007/03/29(木) 16:50:39 ID:wbUlTJsu0
 ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ プラトニックラーウ゛ッ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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64風と木の名無しさん:2007/03/29(木) 18:33:18 ID:8hD7PR9d0
>63
どうしようもない僕に天使が・・・いや神が舞い降りた!!
おおおぉお!GJ!GJ!
礼、切なすぎるよ礼。
そしてイイ男過ぎるよ良男。
65風と木の名無しさん:2007/03/29(木) 21:56:08 ID:vad/T+O0O
>>63
ネ申――――!!!
ありがとうございました&乙!
66風と木の名無しさん:2007/03/29(木) 22:16:38 ID:c60t/r1hO
狂おしく萌えた…
良い男熱が冷めないじゃないか!GJ!
67風と木の名無しさん:2007/03/30(金) 00:38:36 ID:mb2l6fMH0
非常に萌えさせていただいた!映画化決定!
21年後も見たい!
68風と木の名無しさん:2007/03/30(金) 19:42:36 ID:StmEj1ZkO
仰天ニウス見てた時から萌えてたから嬉しい
ネ申ありがとう、萌えた。
69風と木の名無しさん:2007/03/30(金) 19:59:57 ID:CsDJ5koI0
>12
遅レスですが
禿萌えました
恋する男はせつなかわいい
ぜひまた書いてください
70風と木の名無しさん:2007/03/31(土) 00:15:12 ID:hY+uq7KU0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  仰天ニウス 奇女少な二人旅 事件後
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  やっぱりヤオらせてみたかった
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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71仰天ニウス 奇女少な二人旅 事件後:2007/03/31(土) 00:16:33 ID:hY+uq7KU0
「痛いか?」
「ああ……」
呻くような声が絞りだされた。
血なんて腐るほど見てきたというのにどうしてだろう。
彼が痛みに呻く姿を見るのは苦しくて仕方がない。
血液の滴る頬に、そっと手を伸ばした。
固まったその上のまだ生温い液体が指先に触れる。
一思いに、息の根を止めてやればいいのか?
思惑をめぐらせるも、どうしたらいいのかわからない。
「レイ……?」
男は驚いたような声で俺の名前を呼んだ。
俺は、彼の顔についた血を舐めとるように舌を這わせていた。
彼の手がゆっくりと動く。突き飛ばされると思った。
けれどその手はそっと俺の髪を撫でて、顔を上げさせられる。
「なんて顔してるんだ、レイ」
なんて顔をしてるかだって?
そんなのこっちが聞きたいくらいだ。
俺はあんたを撃ったんだ。殺そうとしたのに。
彼の目は俺を“友人”だと言った優しさを宿したままだ。
俺は何も言えず目を伏せて、小さく息を吐いた。
すると、あたたかい感触が唇に触れた。
驚いて伏せた目を見開くと、間近に視線がかち合った。
今度は深く、唇が重なる。
いろんな感情が込み上げて、泣き喚いてしまいたかった。
肩が震えてしまうのが自分でもわかる。
何もかも解らなくなって、ただ優しいキスが痛いほど心地よかった。
72風と木の名無しさん:2007/03/31(土) 00:17:11 ID:hY+uq7KU0
 ____________
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 勢い任せでほんとスマソ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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73風と木の名無しさん:2007/03/31(土) 00:51:12 ID:Ycjlfsyk0
>>70
キタ━(*´∀`)ハァハァ━━━ッ!!
GJ!実は続き読みたいなぁと思っていたんだ☆乙でした!!
74風と木の名無しさん:2007/03/31(土) 01:24:19 ID:jaAzdzKQO
間違いなく本編でもこの展開になると疑わなかった自分がいる
ハァ(*´Д`)ン
75風と木の名無しさん:2007/03/31(土) 01:49:14 ID:tfiOlGLx0
>70
テラGJ!
あんなかわゆい子にぺろぺろされたら堪るものも堪りません!
76風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 03:34:50 ID:6m2LqLFeO
>>41-48
GJ!読みたいと思ってたからめっちゃ嬉しい!
でも辞めちゃうからこの先二人は発展しないのかな…(´・ω・`)ショボン
77風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 09:50:06 ID:qCGUh7lw0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
イ反面ライダーモノ。今人とリョウちゃんでほのぼの。
78風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 09:51:24 ID:qCGUh7lw0

「うおー!!うまいうまい、マジうまいっ!!プリーーーーンッ!!」
「ちょっと先輩静かに食べてよね」
「ウラタロスも甘いもの好きなの?」
「これはなかなかおいしいね。ボクの口にも合うよ」
旗の立った大きめなプリン。生クリームでデコレーションされたそのぷるぷるのプリンに嬉しそうにスプーンを運ぶモモタロスとウラタロス。そんな二人の様子に腕を組んで眺めつつ、キンタロスが首をぽきり、と鳴らしつつ呟いた。
「そんなうまいか?これ。よぉわからんなぁ」
「あれ?キンタロスは甘いものは苦手?」
その呟きを聞き取り、良太郎が少し心配そうにコーヒーお願いしようか?と問いかける。
「いやぁ、そーゆーワケやないけど。腹減ってるからなぁ、もっとちゃんとしたモン食いたいわ」
おおきに、と応えるキンタロス。イマジンで、表情の変化など見えないはずなのに笑っているように感じられる不思議な声だった。
「そっか、じゃああとでチャーハンお願いしようか」
「ちゃーはん?なんかわからんけど、おおきに。」
良太郎の提案に、ご機嫌そうにキンタロスが答える。
「おい、赤いのと青いの。オレのでよかったら二人で食わんか?…ちょっと端っこ食っちまったけど」
お互いがお互いの最後の一すくい分のプリンを争奪しようと見詰め合っている。そんな二人にキンタロスが自らの皿を差し出した。少しだけ、スプーンを差し入れてしまったプリンの皿を。
「マジ!?キンタロス、ウラにはいいからオレによこせ!!」
「ちょっと先輩、ソレはずるいでしょう?ボクにもくれるっていってるじゃないですか!」
そういいながら、キンタロスのほうを振り向く二人。ほぼまったく同時に、くるりと勢いよく。
「なんや、ケンカばっかりしてそうやけど、仲良しさんなんやなぁ」
二人の息の合った動きに大らかに笑っているように見えるキンタロス。
「なっ…!んなわけねぇだろクマ!」
「心外ですね、どう見たらそう感じるのかボクにはわからない」
「そないなことゆーても、こんなとこまで同じやし。ほれ」
キンタロスが大きくて長い両腕をモモタロスとウラタロスに向かって伸ばす。
『え?』
同時に二人の間抜けな声が響いた。くすくすと笑っている良太郎。
79風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 09:52:13 ID:qCGUh7lw0
「同じとこ、クリームついてるで」
いいながら、二人の口の端から拭った、両指先についたクリームをぺろりと舐めるキンタロス。ああ、甘くて悪ぅないわ、と呟く。
「ばっ…カメ!真似すんじゃねーぞ!!」
「先輩こそやめてください!」
キンタロスに口元を撫でられ恥ずかしくなったのか、モモタロスもウラタロスも、自らの最後のプリンが乗った皿を抱えこみ、随分と離れた席に座りこんでしまった。
「はは、キンタロスは二人の扱い、うまそうだね」
一部始終を見ていた良太郎が、キンタロスを見上げてにっこりと笑った。
「ん?扱い?」
よぉわからんわ、といい、ふと思い出したようにほぼ手つかずのプリンを見つめて続けた。
「そうや良太郎、コレ食うか?あいつらいらんみたいやし」
そっぽを向いたまま最後の一口を口に放りこんだ二人から良太郎に視線を移しキンタロスがいう。
「え?あ、あの、ボクは…」
「こぉら良太郎てめぇ!それはオレのだ!」
もうお腹一杯だから、そういって断ろうとした良太郎の言葉をさえぎりモモタロスが叫ぶ。
「だから先輩、それは先輩だけのじゃないっていってるじゃないですか!」
もちろんウラタロスも黙ってはいない。
「何や、ケンカせぇへんでも仲良う半分にしたらええのに」
「ちょっと二人とも、ケンカは止めてよ。ボクの分もあげるから…!!」
呆れたように皿を二人の中間点のテーブルに置くキンタロス、眉を寄せ自らのプリンを彼のプリンの隣に置き、ケンカをいさめようとする良太郎。
「マジかよっ!?キンタロスのも良太郎のもオレがいただきだぜ!!」
「何いってるんですか!ここは平等に半分にするべきでしょう!」
「ははぁ、赤いのと青いのはほんま仲ええなぁ」
「本当にね、仲が良すぎてちょっと困っちゃうくらいなんだよ」

キィン、と音をたて行儀悪くスプーンをぶつけ牽制し合う二人を見ながら、キンタロスと良太郎は顔を見合わせて楽しそうに笑った。
80風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 09:53:52 ID:qCGUh7lw0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんか個人的に全員受けっぽい感じがするので仲良くプリン食ってるといいと思いました。全員超萌。数字っぽさが薄くてスマヌ。
81風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 10:33:23 ID:dJY6F2/q0
>>77

可愛すぎて涙ぐんだ。ありがとうううう。そう!全員受けっぽい!そんな中で
それぞれ微妙な立ち位置があって書き分けされているのが素晴らしかったー!ごちそうさま!
82風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 12:02:29 ID:3KfL7laq0
>77-80
GJ!
可愛くてニマニマしちゃったよ。
確かに全員受けっぽいw
83風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 12:35:39 ID:WyZEt+vHO
ちょ、おまww
84風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 12:36:48 ID:WyZEt+vHO
すまんっ
誤爆の上にあげた
85風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 14:19:55 ID:3lV7QnAv0
>イ反面
かわいい〜
まだ見ぬキンとのやりとり、ものすごく想像できる!
姐さんすごいわ。
ほんと、今年の怪人はかわいくて困る。。
86イ反面モノ 1:2007/04/01(日) 22:23:33 ID:mdkA9NPy0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
>78の続き(でもいいし、雰囲気違うんで別物でもイイですが)で、キクホン←キンでちょと切なめ。
こういう感じでここまで書きたかった。棚お借りします。
87イ反面モノ 1:2007/04/01(日) 22:27:20 ID:mdkA9NPy0
プリン争奪戦もなんとか無事に終わり、原色のクリームが乗ったコーヒーを機嫌よさそうにすすっているモモタロスとウラタロス。
二人の目を盗んだキンタロスが良太郎の手を最大限の優しさで掴み、食堂車両から連れ出していた。
「キンタロス、お腹空いてるんじゃなかったの?ナオミさんにチャーハン頼んでおいたんだけど…」
「そうなんか?それやったらあとでもらうわ。…あのな、ちょっとついてきて欲しいんや」
連結部まで足音を忍ばせて辿り着いたキンタロスはようやく良太郎の腕を離し、顔の前で手を合わせて頭を下げた。
「え?どこ行くの?」
「それ以上聞かんとお前の身体、使わせてくれんか?」
身体貸してくれたらわかるで、そういうだけでそれ以上語るつもりはないらしい。
「…わかった。何かしたいことがあるんだね。僕の身体、好きに使っていいよ」
つい先程の戦いで疲労している身体をそれ以上酷使するのは危険かもしれない。
しかしその危険を認識した上で良太郎は穏やかに笑って頷いた。
「おおきに!助かるわ!」
その答えを聞いて、キンタロスは嬉しそうに笑って良太郎の両手を握った。
嬉しさのあまり今度は手加減することを忘れてしまったのだろう。良太郎は痛みに少し歪んだ笑顔を一生懸命浮かべていた。


「キンタロス、本当にここでいいの?」
(ああ、ええはずや。あいつはいつもここらを走ってたんや)
「この時間に?」
(…確か、そうだったと思うで)
「ええぇ?…頼りな…」
(おっ!きたみたいや!)

シュッ!シュッ!!
88イ反面モノ 2:2007/04/01(日) 22:28:52 ID:mdkA9NPy0
風を切る音が聞こえる。その音と共に衣擦れの音。そして人が軽快に走る足音が聞こえる。
「ほんとだ、本条さんだ…!」
(な、ゆうたやろ?間違えないで俺は)
得意そうなキンタロスの声が良太郎の頭の中に響く。暗闇の中、薄ぼんやりとした街灯に照らし出されたのは、あの本条だったのだ。
汗を光らせながら走る姿はもう、病人だったあの時と同一人物とは思えないほどの力強さを感じさせている。
ただの病人でいるわけにはいかない、『特別な理由』を見つけたからだろう。時の流れがほんの少しだけ変わったのかもしれない。
「本条さんに、逢いたかったんだ」
(えー、まぁ、なんや、逢いたいっていうのとはちょっと違うわ)
「え?」
(ただ、どうなってるのか見たかったっちゅうとこかな。ちゃんと空手、できてるのかなぁと思うて)
「…そっか。あの様子ならきっと空手できるね。もうしてるかも…どうする?」
(ん?どうするって何が?)
「話しかけてみる?僕の身体を使って」
(え?いいわそんなん、あいつが見られたらそれでええよ)
「遠慮しないで。ね、キンタ…」
(しっ、静かに!)
シュッ!シュッ!!
先程とほぼ同じような風を切る音が聞こえる。その音と共に、やはり何かの衣擦れの音と、そして人が走る足音が聞こえる。

「おい本条、あんまり飛ばすなよ!」
「もう平気だって…菊池は心配性だな」
「今年こそお前とのケリを絶対につけたいからな。心配にもなるさ」
「……ありがとう。だがそれなら、なおさら自分を甘えさせるわけにはいかないな」
「ふっ…本条らしいよ。よし、ジムまでもう一走りするぞ!」
「ああ!」
89イ反面モノ 3:2007/04/01(日) 22:32:43 ID:mdkA9NPy0
二つ並んだウィンドブレーカーの背中が暗い夜道にすぐ見えなくなっていった。
「…よかったの?」
草むらに身を隠し、息を殺していた良太郎が、二人が消えた夜道を見つめながら一人呟いた。
(当たり前や。ハナからそのつもりやったしな)
その呟きに、キンタロスは何事もなかったように応えた。
「キンタロスがそういうならいいんだけど…あれ?」
眉を寄せつつ屈めていた身体を伸ばす良太郎が小さな驚きの声をあげた。
(どうした?)
「うん、あそこにね、何か落ちてるんだ」
キンタロスの問いかけに良太郎が指差す。そこには街灯に照らされている、
真っ白いものが見えた。慌てて駆け寄りそれを拾い上げてみる。
「ハンカチ?」
それは純白のハンカチだった。まだ一度も使ってないようなとても綺麗なもの。
「…誰か落としちゃったのかな。名前書いてないな」
良太郎の財布とは違い、落とされることを仮定されていないそのハンカチには当然名前など記されていなかった。
「どうしようこれ…」
警察に行っても相手にされないだろう。かといってそのまま見なかったことにできる人物ではない。良太郎が途方に暮れかけた時…。

「すみません、そのハンカチ俺のです」
「あ、本条さん…!」
「え?」
突然闇夜に声を響かせたのは、立ち去ったばかりの本条だった。
「……今、本条って?」
良太郎が思わず零してしまった名前に怪訝そうな表情を見せる。それも無理はないだろう。夜道でいきなり見ず知らずの男に名を呼ばれたのだから。
「あ、あの、その」
「以前どこかで会ったことが?」
「えっ、ええと、僕じゃなくて、ええと…!」
「……?」
突然のことに良太郎はうまく喋ることができず、うつむいてしまった。そんな彼のことを、本条は訝しげな眼差しで見つめる。
「…いきなりですまんなぁ、本条……さん。実は俺も空手やっててな。そんであんたの名前も知ってたや」
「…空手?」
90イ反面モノ 4:2007/04/01(日) 22:34:18 ID:mdkA9NPy0
しどろもどろだった少年が突然元気よく語りだした、しかも人が変わったような口調で。
頼りない光でははっきり見えないものの、顔つきまで変わったように思える。不審さは残るものの、本条は『空手』という言葉に少し警戒心を解いていた。
「去年の決勝戦で倒れたって聞いてたけど、その後どうなん?今年はいけるん?」
「ああ、そのことを知ってるのか。今はまだ本調子じゃないが今年こそ必ず優勝するつもりだよ」
人懐っこい関西弁についつい本条も気を許し、敬語を使うことを忘れて語っていた。真剣でまっすぐな眼差しは、それが強がりでないことを物語っていた。
「そうかぁ。本条さん、今年こそ優勝できるようにがんばってな」
「ありがとう。…ええと」
「……良太郎や」
「良太郎くんもがんばれよな!そして大会に出られるくらい強くなって、俺と一戦交えようぜ!」
「ははぁ。そうや、ハンカチ忘れんうちに返すわ」
にっこり笑いながら真っ白なハンカチを差し出した。
「ああ、そうだった。ありがとう」
「…白いハンカチ好きなん?」
「え?ああ、なんか落ち着くんだ。柔道着に似てる色だからだろうな、きっと」
「なるほどなぁ。それじゃ俺も持つことにするわ、白い『ハンカチ』」
「そうするといい。きっと落ち着く。それじゃ俺はこれで!」
白いハンカチを受け取った本条は笑顔を残して走り去った。その背中に手をゆっくりと振る少年。
「………」
曲がり角まで走っていった本条は、姿を消す直前一度だけ振り返った。
彼の瞳には淡い光に照らし出される少年が映っていた。
明るい満月の光を受けているためか、金色に輝く瞳、そして一筋だけ金色に輝く長い髪を風になびかせる優しくも哀しい切なくなるような笑顔が印象的で、目に焼きついて離れなかった。
91イ反面モノ 5:2007/04/01(日) 22:37:12 ID:mdkA9NPy0
他人から見れば、夜道を歩く一人の少年がぶつぶつと独り言を呟いているようにしか見えなかっただろう。
(ねぇ)
「なんや」
(いつか、本条さんと空手で戦えるといいね)
「……俺は空手を知らんから戦えないわ。それにアイツにはええライバルがもうおる。これ以上必要ないで」
(…キンタロス、一つ聞いていい?)
「なんや」
(イマジンって、泣くの?)
「はぁ?んなわけあるかい。俺ら砂やで?泣けるわけがない」
(……じゃあ、悲しい時はどうするの?)
「悲しい時なんてない」
(……そう、なのかな)
「そうなの。俺は強さで泣かせることはあっても、泣くことなんてない」
(………)
「じゃあさ、そういう時がもしあったら…僕が代わりに泣いていいかな?」
(なんやそれ。バカか)
「……うん。バカだと思うよ。でも、キンタロスもね」
(…お前にいわれたくないわ。なぁ、良太郎)
「なに?」
(…今日は俺、紙もってないで?)
「うん、いいよ。気にしないで」

金色に輝く満月を見上げる真っ黒な瞳から一筋の涙が溢れて頬を伝った。
その雫をそっと拭い、優しく穏やかな笑顔を浮かべて自らの身体に腕を回す。
ぎゅっと両腕に力をこめる彼が抱き締めているのは自分自身などではなく、心優しい『砂』なのかもしれない。
92風と木の名無しさん:2007/04/01(日) 22:39:47 ID:mdkA9NPy0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

長々とお借りしてスミマセン。なんだか最後の方リョウ/キンみたいになりました。
コメントくれた姐さんありがとう!
93風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 00:17:42 ID:LwfTd7Dc0
>>86

まさかこんなに早く続きが読めるとは!キン、切ないよキン。キクホンも拝めて嬉しかった。
どこまでも爽やかな2人だねー。ありがとう!
94風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 00:33:10 ID:sGhjfFzf0
>>86 GJ!マジ泣いた。キンにも幸せになって欲しい。
プリン争奪ほのぼのも良かった。
いいもの読ませてもらいました。ありがとう。

95風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 00:43:48 ID:MqW28w0d0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
日曜夕方の座布団番組、昨日の内容が衝撃的だったので。
腹黒な紫師匠×司会者の緑師匠です。
96風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 00:45:00 ID:MqW28w0d0
 「全く、あんな調子の良いこと言ったって信じるもんかい」
 収録が終り、控え室で二人だけになった時、老人は窘めるような口調でそう呟いた。それを耳にして、男は愉快そうに微笑む。
 「調子の良いこと、ですか」
 男は小柄な老人を見遣りながら、表情と同じ声色で返事を返す。老人はそれには何も返答せず、ただちらりと男の顔を見た。


 あるお題の最中に、愛しているのは貴方ただ一人です、と男が言った。
 男が老人をネタにして答えを言うのは何時ものことだ。だが予想の範疇にない答えに、動揺を覚えたのは事実。
 老人の性格上、それを表に出すのは余りにも癪で、呆れや照れ、あれこれの感情を押し隠し、座布団を全て没収した。


 しかし、目の前の聡明な男が、老人の感情の機微に気付かない筈もない。


 「大体ねえ」
 自分を見下ろす男は、愉しそうな表情を隠そうともしない。老人はふんと鼻を鳴らした。
 「あんなことは人前で言うもんじゃないよ」
 いつになく直接的な言葉に、今更になって恥ずかしさが湧き上がってきたような気がして、老人は男に背を向け、離れた場所の椅子に腰を下ろした。
97風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 00:46:10 ID:MqW28w0d0
 「人前でなければいいんですか、師匠?」
 微かに笑う気配と共に、愉快そうだった男の口調がほんの少し柔らかくなった。
 老人に静かに歩み寄った男は、椅子越しに老人を抱き締める。


 「愛しているのは、師匠ただ一人です」
 先程よりも穏やかな、静かな口調で男は囁いた。
 その真摯な声色は、「調子の良いこと」という言葉だけで片付けるのを許さない。


 老人が今感じている気持ちを、背後の聡い男は全て見抜いているだろう。
 隠し立てしたところで無駄なのだが、素直になるのも癪に障る。
 そんな自分の性格を、老人は少しだけ恨めしく思った。


 「…ふん」
 少しの間を置いて、老人はまた鼻を鳴らす。
 自分の体の前に回された、答えを待つ男の手を、何時もより強く握り締めた。

98風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 00:47:10 ID:MqW28w0d0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

棚には初投下です。おかしな点があったらすみません。
萌だけで書き綴ってしまいました。
99風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 01:01:44 ID:B3/dlOW90
>>95
照れ師匠かわいいいいこっちまで恥ずかしくなって耳まで赤面しちゃいました(*´Д`*)
GJ!!!!
100風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 02:11:45 ID:F/mI3ypt0
>>95
紫×緑キタ━━━━!姐さん超GJ!
素直になれない受師匠が可愛くてたまらんです
101風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 02:29:34 ID:rCgtc2khO
>>95

うわぁスゲー萌えた!!
GJです!アリガトウゴザイマスタ!!
102風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 03:48:14 ID:zNv9nPlS0
>>95
私も昨日の放送に萌え叫んだ1人です、あのツン緑は可愛すぎですよね。
萌え作品をありがとう!
103風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 10:12:26 ID:BEF/fcFo0
>>95
緑だけに禿萌えた(*´Д`)
昨日の放送を見逃しちゃったのがすごい残念
そんなやりとりがあったのかチクショー
104103:2007/04/02(月) 10:13:39 ID:BEF/fcFo0
動揺しすぎてsage忘れた
すみません
105風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 22:00:45 ID:U0NQskYc0
>>95
緑の人と同じような頭になったような気がする!!ハァハァ
家族で見てたからバタバタしたくてもできなかったよ…。姐さんGJ!
106風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 22:08:25 ID:Zl0VNOjN0
>>86
なにげなくスレ見てみたら続編が!乙!
キンの優しさに俺が泣いたあ
107風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 23:22:26 ID:ibsC0i+s0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  流石兄弟 兄×弟
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  真夏の散歩 季節感無視
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
108流石兄弟 真夏の散歩 1/10:2007/04/02(月) 23:24:54 ID:ibsC0i+s0

 真夏の夜は膿んでいる。澄んだ闇にはなりきれない。
 空の色はやけに妖しい濃紫色で、そこに街の光を呑み込んでいる。
 窓を開けてしばらくそれを眺めていた弟者が、急に振り返った。

 「………兄者」
 「うん」
 常と変わらぬ風体で、FMVの前に座っていた兄が顔をあげた。
 「…外行かない?」
 ちょっとあきれて弟を見返す。予想通りの答えも返す。
 「行かない」
 「何故?」
 「あたりまえだろ。俺は天下無敵の引きこもりなの。家から一歩も出ないのがデフォ」

 不満そうな弟に不審の目を向ける。
 「出かけたいならバイト帰りに女の子でも誘って行けばよかったではないか」
 「ちがう」
 「?」
 「オレは兄者と出かけたいの」
 「……不思議なこと言うね、おまえ」
 熱でもあるのではないか、と言わんばかりの口調で、いつもと違う弟の様子を窺う。
 ドライなはずの弟が、今夜はひどく殊勝気に見える。
 弟者は兄に近寄り、後ろから肩に両手を回した。
109流石兄弟 真夏の散歩 2/10:2007/04/02(月) 23:27:11 ID:ibsC0i+s0
 「………行こうよ、どこでもいいから」
 「まだ10時過ぎだぞ。ご近所さんに出会う」
 「いいじゃん。オレが完璧に対応するから」
 「そうはいかん。こちらも挨拶の一つもするべきであろう」」
  妙なところで律儀な兄が答える。
 「すると『今、何していらっしゃるの?』『はあ、引きこもっております』
『ほほほ、ご冗談を。で?』と好奇心に満ち溢れた目で見つめられるのだ。たまったもんじゃない」
 「じゃあ、今からちょっと眠って1時くらいなら?それなら誰にも会わないだろ」
 「おまえ、明日のバイトは?」
 「休み。ね、ちょっとでいいからさ―、出ようよ―、ねぇ、可愛い弟からのお願い―」
 「けっ」
 音を立ててマウスを操作する。パネルの映像が次々に変わる。
その光の反映を受けて、無表情な顔に色彩が流れる。

 弟は腕に力を入れ、自分の顔を相手の髪に伏せた。
 静かな部屋に、微かな機械の音と鼓動が響いている。

 「いいのか」
 「なぁにぃ」
 「今まで休み前におまえが大人しかった例がないぞ」
 ほのめかしを完全に理解して、でも赤くもならずに弟は兄の頬を引っ張る。
 「帰ってからするからいい」
 「勝手に決めやがって」
 その声に既に拒絶の気配は消えている。弟者はさっさと寝台に進む。
 「目覚ましかけとくから、絶対起きてね」
 兄は答えず肩をすくめた。そのくせパソコンの電源を落としている。
それを確かめ、弟者は先に眠りについた。
110流石兄弟 真夏の散歩 3/10:2007/04/02(月) 23:28:34 ID:ibsC0i+s0

 目覚ましより早く唇が襲った。
 渋々目を開くと、至近距離の眸。
 閉じもしないで舌を蠢かせる。片手が、服の上から体を探る。
 「……気が変わったのか」
 唇が離れたあと、兄者が問いかける。
 「ううん。これは単なるご挨拶。急いで着替えてよ」
 「とんだ挨拶もあったもんだな」
 身支度を整え、階下へ下りる。玄関の扉の前で躊躇する。
 「行くよ」
 弟者が彼の手を取った。
 扉が開かれる。外に向けて。
111流石兄弟 真夏の散歩 4/10:2007/04/02(月) 23:29:45 ID:ibsC0i+s0

 夜気はさわやかとは言えない。
 猫の吐息のように生温かい。
 それでも虫の声はする。アスファルトの端からは、草のにおいも微かに漂う。
 街灯はほのかなライムシャーベットで、月は銀のスプーン。
 赤い光を放つシグナル。まばらに通り過ぎる車。

 つないだ手をそっと離そうとするが、片方は強く握ったままである。
 「………人が来るぞ」
 「別に」
 「男同士でつないでいると目立つ」
 「知り合いだったら、久しぶりに外出する引きこもりの兄が逃げないようにつないだって言うよ」
 「知り合いでなかったら?」
 「そんなやつはどうでもいい」
 その割り切りが、少しうらやましい。時折人とすれ違うたび、肩の震えが抑えられない。
それに気づいているのか、温かい手に力がこもる。

 曲がり角。近所の地味なコンビには、深夜だけはこの地に君臨している。その圧倒的な存在感。
 「入る?」
 「いや」
 箱の中の喧騒が遠ざかる。昔、見慣れて、今、見慣れぬ道。
 失われた店。新しくなった家。変わらぬ小さな公園。

 「………社会復帰させたいのか」
 「ううん、まさか。一緒に歩いてみたくなっただけ」
 「なぜ俺と?」
 「さあね」
112流石兄弟 真夏の散歩 5/10:2007/04/02(月) 23:31:45 ID:ibsC0i+s0

 細い小路は中学校までの近道で、何度も二人で走っていった。
今はただ、ゆっくりと踏みしめていく。
 青い葉をたたえたイチョウの大木。

 「掃除、面倒だったな」
 「そうそう。で、秋は凄いにおいで」
 「でもあの銀杏うまかったよな」
 「食べられる状態にしたの、全部オレだった」
 「おまえの方が器用だから」

 裏門を乗り越え、中に入る。乾いた土と木と、石灰のにおい。
 空は澄んだ紫で、空気は濃くぬるい。激しく光り、激しく暑かったあの遠い夏の日と似てもいない。
 人気のない広い校庭。二人でいることの孤独と充実。

 「プール、行ってみようか」
 「鬼門じゃなかったのか」
 「平気。行くよ」

 校庭と木立にはさまれて、目立たぬ場所にそれはある。
 柵をよじ登り、二人して中に入り込む。
 勉強もスポーツも人並み以上にこなす弟は、なぜだか水泳だけは苦手だった。
夏の体育、よく腹痛を起こしてさぼっていた。
113流石兄弟 真夏の散歩 6/10:2007/04/02(月) 23:33:23 ID:ibsC0i+s0

 静かな濃紺の水面は、夜空よりも夜空めいている。映った月を抱えて、さざめきもしない。
 「泳がない?」
 驚いて振り返ると、白い裸身が水をくぐった。
 助けようと服のまま飛び込むと、綺麗な型のクロールですぐ傍まで寄ってくる。
 「………泳げたのか」
 「夏前に個人的に講習受けたんだよ。毎年あまりにみっともなかったから」
 プライドの高い弟者らしい。
 苦笑いしてサイドに上がる。濡れた服がひどく重い。
 「脱げば?おいでよ」
 「おまえと違って露出の趣味はない」

 壁際で華麗なターンを一つ決めて、自分の近くまで泳いでくる。
月の光に照らされて、彼の裸身はほのかに輝く。
 たどり着いた弟者が足に触れる。
 何かいいたそうなので身をかがめると、濡れた唇が重ねられる。
 冷えた、人魚の唇。
 熱い舌。
 時の狭間にあるようなこの場所。
114流石兄弟 真夏の散歩 7/10:2007/04/02(月) 23:34:56 ID:ibsC0i+s0

 唇を外さずに兄を水に引き込む。
 抗わずに水に、腕に絡め取られる。
 抱きついたままジッパーを下ろされる。
 水の抵抗を受けながら、相手は器用に服を脱がす。
 なされるがままだ。多分、この、月の光のせいだ。
 人魚はするり、と水に潜り、兄者自身を口に含む。
 その舌先の危険なしなやかさ。
 純化された結晶のような、快楽。
 ぎりぎりまで追いつめて、それから彼は浮き上がる。
 濡れた髪。濡れた膚。月光にきらめく滴。

 自分から、手を伸ばした。
 相手はその腕を体に巻きつけ、胸もとに入り込んだ。
 水と一緒に、彼の中へ。
 ゆっくりと、弟者は身を反らす。
 生温かい夜気と、冷たい月の光と、闇のような水とともに彼を抱く。
 「………あ……あぁ……」
 声が闇に、月に、夜気に侵されていく。
115流石兄弟 真夏の散歩 8/10:2007/04/02(月) 23:36:57 ID:ibsC0i+s0

 彼は冷たくて、熱い。
 ひどく締め付けてくるくせに、滑らかだ。
 いつも矛盾している。
 押さえつけた腰は揺れるのに、その表情は苦しそうだ。
 極みが近くなってから、故意に外す。
 泣きそうな顔で足を絡めてくる。
 その身体を水辺に上げる。

 狂気の沙汰だ。
 人目があったら生きていけない。
 月の晧々と照らすプールサイドで、弟を組み敷いている。
 蜜のように甘い声。躯の芯まで蕩ける。
 下肢の自由を奪われた人魚。
 その彼を、宙(そら)まで連れて行く。
 二人で熱を分かち合い、そして失う。

 相手は動かない。虚ろな眸で今までいたはずの宙を見ている。
 その体を抱きすくめて少し温め、それから彼の乾いた服を取ってきてやる。
 濡れた服を身につけた兄者が傍らに座り、その唇を再び味わう。
 人の温度に戻るまで。

 彼を見ているといつも胸が痛い。
 誘われたのは自分なのに、いとけない者を欺いているような気分になる。
 そのくせ、手放せない。
 相手の執着を利用して、自分の執着を癒している。
 突然に彼を失ったら、どうなるのだろう。
 その面差しなしには耐えられない気がしてしまう。
 誰か別の相手を抱いても、心の中でその顔に彼の面影を貼り付け、彼のつもりで愛しむかもしれない。
 自分は病んでいる。兄者はそう思う。
116流石兄弟 真夏の散歩 9/10:2007/04/02(月) 23:38:27 ID:ibsC0i+s0

 ふぅ、と息をつき、弟者が身を起こした。
 いつもの乾いた皮肉な笑みを浮かべる。
 「……けっこうヤバいね」
 「さっさと服を着ろ」
 煙草を吸いたくなったが、構内でそれはためらわれる。
そのくせ、もっととんでもないことは平気で行った。

 帰りは手をつながなくてもおたがいに気にならない。
 身体を繋げた後しばらくは、どこかに相手が残っているようで不安が薄らぐ。
彼の叫んだ自分の名が、護符のように護ってくれる気がしている。
 その実服はびしょ濡れで、来る時よりもよほど不審者めいている。

 曲がり角に近くなった。
 「……お腹空かない?」
 弟者が尋ねた。
 「空いたな」
 「何、食べたい?」
 「………焼き鳥」
 くすり、と笑った彼はコンビニの先の物陰を指差す。
 「買ってくるからあそこで待ってて」
 女性が通りかかったら確実に叫ばれるな、と思いつつ身を潜める。
 弟者は意外に早く戻ってきて、袋を手渡した。
117流石兄弟 真夏の散歩 10/10:2007/04/02(月) 23:39:50 ID:ibsC0i+s0

 月は変わらず銀の匙。
 生温かい夜気。濃紫色の淫らな空は街の光を吸い上げて、訳知り顔に全てを包む。
 街灯の下で袋を開けて、串を取り出す。

 「……甘すぎだな」
 「あんたの焼いたやつのほうがいいな」
 歩きながら残りを食べた。
 最後の一片をくわえた弟者が兄にねだる。
 「明日…ってか、今日ちゃんとしたのを焼いてよ」
 断る理由もないので承諾する。
 「串打つの手伝えよ」
 「やだよ」
 ちらり、と舌を出す。
 「刺すより刺されるほうが得意だし」
 「おい」
 伸ばした手からするりと逃げて、少し先から手招きする。
小生意気な微笑。強気の影に隠された臆病な甘え。

 月の光は彼を照らす。
 夏の夜更け。家までの道のりを、人に戻った人魚とたどった。
 鱗が幾つか、心の中に痕を残す。
 それが硬く包まれて、いつかは真珠と化すように願いながら、いつもの部屋へ戻っていった。
118風と木の名無しさん:2007/04/02(月) 23:41:05 ID:ibsC0i+s0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ シャイニーキブンデマーメイド!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
119風と木の名無しさん:2007/04/03(火) 02:01:08 ID:Z0/tNdoZO
>>118
ちょwwwせっかく忘れてたのに笑い殺す気かとwwww
串打ち以外にクリスタライズ関連もありました、よね……?
120風と木の名無しさん:2007/04/03(火) 02:01:51 ID:2LpQQCiA0
>>95
2人の遣り取りが聞こえるほどに萌えた
GJです
121風と木の名無しさん:2007/04/03(火) 08:40:23 ID:oJAiQkF/O
>>107
GJ!
弟者が妖しくて可愛かったです。
122風と木の名無しさん:2007/04/03(火) 18:39:11 ID:eaWnJYzn0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  悪趣味。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
風゜呂焼き卯、最北端のチ仏
123:2007/04/03(火) 18:40:27 ID:eaWnJYzn0
カタンと小さな音を立ててペンが1本机から転がり落ちた。
その音でようやく頭の芯がはっきりして、俺は一体何をしているんだと我に返る

浅い呼吸を繰り返す後輩が机にうつ伏せている。汗ばむシャツはくしゃくしゃに
なり、そそり立つそれは濡れていた。
彼が俺の部屋を訪ねてきたのは、もう寝ようかと思い立った矢先。ナイトゲーム
を終え、ほかのコーチ陣と今日の反省会、その後遠征先のホテルに戻って食事を
してシャワーを浴び、既に2時も過ぎた時間。部屋のドアがノックされた。ノック
したのは同じポジションの後輩で、今日の試合の配球はどうだったかといった質
問だった気がする。
今日の試合でメモをしたノートを持参した彼はすまなそうに、しかし意思の強そ
うな表情で聞いてきた。
まだ一応は現役に名を連ねているが、実質コーチである俺が疲れているからとい
う理由で無下に断るわけにもいかない。何より彼は日頃から俺を慕っているよう
で、もちろんそんな後輩が可愛くないわけがない。プライドだけは無駄に高い選
手が多いこの世界で、屈託無く誰かを尊敬していると言える素直さはひとつの資
質だとも言える。
ホテルに備え付けの化粧台とも机とも言えないような台にノートを広げ、相手バ
ッターのクセやらチームのピッチャーの持ち球、性格やらを話しているうちに、
どういうわけか女の話になったんだったか。
124:2007/04/03(火) 18:41:05 ID:eaWnJYzn0
昨年から今年頭にかけてチーム内で結婚するやつが多かったから、お前はそうい
う予定は無いのかとか、そういう話の流れだったかもしれない。
それが…何をどう間違ったか、今俺はこの後輩を組み敷いているのだ。
汗ばんだ背中は俺を拒否してはいないようだった。どう丸め込んだのか、よく覚
えてない。たぶんこれは理性ではなく本能的にやってまったことなんだろう。彼
は机に突っ伏したまま顔をあげようとはしない。俺は冷静になったぶん、よりリ
アルにこの状況を把握してしまう。ここまできたら途中で中断するわけにもいか
ないだろう。
突っ伏す彼に覆い被さり、舌で耳の裏から耳たぶまでをねぶった。そそり立つそ
れを手のひらで包むように上下に擦る。にゅるにゅると生暖かいそれを擦られる
たびに鼻に抜けた声が漏れ、膝ががくがくと揺れる。座り込んでしまわないよう
に腰に腕を回して固定してやる。
浅い呼吸が、耳と下肢をねぶるタイミングと連動して乱れる。無防備で、素直で
、なかなか面白い。
濡れた指をうしろに移動しその窄まり具合を確かめると、きゅっと縮まり緊張状
態なのがうかがえた。ここで彼に初めてなのかどうかを聞くのは容易いが、無粋
な気がしてやめた。たぶん初めてなのだろう。頂いてしまっていいのだろうかと
考え、ふと歌舞伎俳優風のやや毛根の頼りない青年の顔が脳裏をよぎる。彼とは
まだそういう関係性ではないのだろうか。年中ニヤニヤと締まりの無い顔をして
いるわりには手堅いのか。そういえば彼は核弾頭の先頭打者の次に、バントで手
堅くランナーを進める役割を卒なくこなしていたから、そういうプレイスタイル
なのかもしれない、こっち方面でも。それじゃあ、進まないわなぁ。ここぞとい
うときの一発はありそうだが。
俺は本番を諦め、もっぱら奉仕することにする。あの男よりも先に頂いてしまっ
てはちょっと申し訳ないし、強打のライバル捕手との定位置争いに我が侭なピッ
チャーどものフォロー、ストレスもたまってるだろう。あのニヤニヤした男も我
が侭そうだし。
125:2007/04/03(火) 18:41:57 ID:eaWnJYzn0
俺は濡れた指をゆっくり、ゆっくりとその窄まりにもぐりこませる。最初の挿入
が怖いのか、びくんと戦き腰を引く。大丈夫、と耳元でささやいてから挿入を繰
り返す。萎えないように時折前もいじってやることも忘れない。
うしろが大分解れてくる。彼の呼吸はもう絶え絶えだ。幼い顔は上気し、目には
うっすらと涙が浮いている。もう自分では立っていられないようで、俺の支えが
なければぐしゃりと潰れてしまいそうだった。ジーンズがくしゃくしゃになって
放り出されている。ホテルの床にはしたしたと先走りがこぼれ、ああコレ後で拭
かないといけないなと妙に冷静に思ったりもした。
うしろはすっかりと弛緩してしっとりと指を締め付け、前は出したくてガチガチ
だ。滴り落ちる先走りの量が半端じゃない。そろそろ限界かなと、俺は散らばっ
ているペンのうち、先端が丸いものをいくつか見繕う。ペンをつかむ俺の指の動
きを目で追っていた彼は、わずかに首を振った。
「や…めてくださ…」
それがどう使われるのか察知したのか、声には恐れがあった。
「大丈夫だよ。うしろで感じたらもう女抱けなくなるぐらいいいらしいから。」
とろけた体がずっと冷静だった俺にあがらうのは土台無理な話だった。無機質な
棒は実に呆気なくそこにおさまり、彼はその冷たさと無機質さに、ひぃっと悲鳴
をあげた。
「や…や…」
ぶるぶると首を振る彼を見つめていた俺の目は驚くほど冷めていただろう。面白
くないわけではないし気分の高ぶりが無いわけでもないのだが、妙に冷静な自分
がいる。診察で女の裸体を見る医者もこんな気分なのかもしれない。否、診察と
いうよりは実験に近いのかもしれない。性的興奮に似た、それでもわずかに違う
興奮のような気がする。
126:2007/04/03(火) 18:42:52 ID:eaWnJYzn0
キャップが外れると面倒なので、ペンの後のほうから挿入し、上下左右にゆっく
りと回しながら徐々に奥に進ませていく。たっぷりと飲み込んでから、もう一本
。細いそれがばらばらに動くさまは、さながら体温の無い生き物に這いずり回ら
れている感じなのかもしれない。それでも前が萎えないのが感じている証拠だろ
う。これでイケればいいんだが。
更にもう一本増やして、抜き差しを繰り返す。ばらばらに動かしたあとはまとめ
て動かし、またばらつかせて動かす。ぐうっと奥まで入れたあとは抜けるぐらい
の浅いところで大きく動かし、緩急をつけて揺さぶる。単調にならないようにす
るのは相手を攻めるときの基本だ。慣れなれると厄介だ。
体の中をいくつもの異物が意思を持って動き回るというのはぞっとしないでもな
いが、表情を見るとまんざらでもないらしい。半開きの口から見える舌は、もの
欲しそうにちろちろと動いていた。今度は咥えさせてもいい、きっと素直にその
口を開くだろう。でも今回は欲張ってはいけない。人間、一度にできることは決
まっているものだ。
「あ……ぅっ…」
ペンの先端があたる部分に感じたのか、声色が変わる。俺も攻め方を変え、散ら
すのではなく弱そうな部分をまとめたペン先で重点的に突いた。これも攻めの基
本だ。基本こそが最上の策だと経験上知っている。
「いかん、歳をとると説教臭くなるな」
俺の爺臭い独り言も、彼には聞こえていない。彼の声はもはやすすり泣きに近か
った。いきたいのにいけない苦しさなのか、耐え難い快感なのか…たぶん両方だ
ろう。ぐすぐすと泣き声が聞こえて、そろそろ潮時かな、初めてだし、と俺は力
強く前を扱いてやった。
127:2007/04/03(火) 18:44:02 ID:eaWnJYzn0
それからは手早いものだ。
ティッシュで飛び散ったものをふき取り、散らばったペンはゴミ箱に捨てた。脱
ぎ捨ててあったジーパンを穿かせてやり、シャツのボタンをとめてやる。
「また来いよ」
最後に耳元に声を吹き込んでやると、いまだ座り込んでいる彼は俯いたまま頷い
た。
彼はまた来るだろう。これは確信だ。来るのを躊躇しても、俺が来いと言った事
が大義名分になる。
いつになるかわからないが、あのニヤニヤした男が手を出したときに、驚くくら
いには仕込みたい。素直で従順で、たぶん楽しいだろう。こうなると、あのニヤ
ニヤ男の驚く様を是非見たいもんだ。
我ながら悪趣味なことだ。
128:2007/04/03(火) 18:44:32 ID:eaWnJYzn0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 終わりです。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
129愛/棒 瓶×右←小:2007/04/03(火) 19:30:49 ID:dM0IY2y20


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )シーズンD終わって悲しくて、つい。
130愛/棒 瓶×右←小 1/6:2007/04/03(火) 19:33:59 ID:dM0IY2y20

「右恭ぉさんっ!今日は何を食べましょうか〜。」
警C庁 特名係の部屋。
正午を知らせる音楽が鳴り始めた途端、瓶山が嬉しそうに右恭に声を掛けてくる。
その様子は、いつものことながら、まるでご主人様に散歩をねだる愛犬の雰囲気だった。
そんな瓶山の様子を、呆れたような愛しむような、複雑な表情で見つめる右恭。
「・・・そうですねぇ。久し振りに天麩羅でも食べましょうか。」
「いいっスね!行きましょう、行きましょう!」
特注のハンガーに掛けていたスーツのジャケットを手に取り、優雅な仕草で袖を通して、
まさに部屋から出ようとした右恭の内ポケットから、着信音が鳴り響いた。
携帯電話を取り出し、液晶画面を見た右恭の表情に一瞬、緊張が走る。
その様子を見ただけで、瓶山は、電話の主が小乃田だということが分かった。
右恭は携帯電話を耳にあてながら、さり気なく瓶山の側を離れる。
「はい、椙下です。・・・・えぇ、・・・・えぇ、・・・・いずれにしろ、こちらに選択の余
地はないのでしょう?・・・・えぇ、・・・えぇ、分かりました。今から伺います。」
携帯電話を切ると、右恭は、ずっと自分の様子を見守っていたらしい瓶山に気が付いて、苦笑
した。
「申し訳ありませんが、これから出掛けます。」
「・・・官棒長のところですか。」
「えぇ。」
「俺も行きます。」
「その必要はありません。」
「でもっ・・!」
「下らない勘繰りをする暇があるのなら、仕事をしていて下さい。」
ピシャリと言われ、あからさまに傷付いた表情を浮かべた瓶山を見て、右恭は溜息をつきなが
ら付け加えた。
「瓶山君。君が必要になった時は、必ずそう言いますから。」
131愛/棒 瓶×右←小 2/6:2007/04/03(火) 19:35:42 ID:dM0IY2y20

訪れた官棒室長の部屋で、小乃田から、ある事件に関する意見を求められた右恭は、取り
敢えず関係資料を預って検討することを約束した。
そして、小乃田が必要な資料を手渡そうと右恭に近づいた時、「おや?」というような表情
を見せた。
「あれ、お前、香水変えたの?」
「はい?」
「僕の知らない香りだなぁ。」
「ただの気分転換です。」
「―――これって、僕への当てつけ?」
「ご冗談を。」
「ふ〜ん・・・、これがあの坊やの好みなんだ?」
「・・・用件が済んだのでしたら、これで失礼します。」
「ねぇ、椙下。もしかして、前の香りのままだと罪悪感に苛まれちゃうのかな?」
「官棒長、過ぎた自惚れは、真実を見抜く目を曇らせるものですよ。」
そう言ってさっさとドアに向った右恭は、ノブに手をかけたところで振り返り、
「それに罪悪感ではなく、後悔の念、の間違いでしょう。」
言い残してバタンとドアを閉めた。
部屋に1人残された小乃田は、しばらく、右恭が去った後の香水の残り香を楽しんでから、
低く呟いた。
「誰のものにもならないっていうから手放したのに。約束を破ったのはお前の方だよ。」

132愛/棒 瓶×右←小 3/6:2007/04/03(火) 19:37:14 ID:dM0IY2y20

「椙下、いる?」
突然、小乃田が特名係の部屋を訪れた。それだけで、瓶山は必要以上に身構えてしまう。
ハッキリ言って、瓶山は小乃田が苦手だった。・・・苦手というだけでなく、何となく厄介
な存在だと思っていた。
それは勿論、右恭に関係している。この二人の間で過去にどのような経緯があったのか、
詳しい事は聞かされていない。・・・が、何も無かったとはどうしても思えない。
二人の間に漂う独特の雰囲気や会話の様子を見ていると、否が応にもそう感じてしまう。
しかし、私情を差し挟んで公私混同しようものなら――特に、原因が自分自身に関する事
であれば尚更――右恭はそういうことを一番に嫌うのだ。
仕方なく、瓶山は、表面上は社会人としての礼節を守りながら応対する。
「あ、今ちょっと席を外してますが。」
「そう。」
右恭がいないことを知った小乃田は、特にがっかりするでもなく、自分の前で明らかに居
心地の悪そうな様子を見せている瓶山を見て、ニンマリと笑みを浮かべた。
「―――瓶山君、元気そうだね。」
「はぁ、元気だけが取り得なもんで。」
「じゃあ、ちょっとこの資料、渡しといてもらえるかな。」
「あぁ、はい。」
「そうそう、それと―――、ついでに伝えておいてもらえないかしら。僕ねぇ、アレの部
屋に、オーデコロンを忘れていったみたいだから、今度、持って来てくれってね。」

133愛/棒 瓶×右←小 4/6:2007/04/03(火) 19:38:52 ID:dM0IY2y20

しばらくして、右恭が特名係の部屋に戻ると、瓶山は自分の机に座って、こちらに背を向
けていた。
(珍しいこともあるものですねぇ。)
そう思って、右恭が自身の机に向うと、上には見覚えのない大型封筒が置いてある。
中身を確認し、再度、瓶山の様子を見た右恭は、自分の不在中に小乃田が来訪したことを
すぐに理解した。
「瓶山君、官棒長がいらしてたんですか。」
「・・・はい。」
瓶山は、振り返りもせずに答える。
「官棒長から何か言われましたか。」
「・・・別に。」
「・・・・・。」
「伝言を・・・頼まれただけです。」
「聞きましょう。」
「右恭さんの部屋に・・・オーデコロンを忘れていったから、今度、持って来てくれって・・・。」
聞き取れない程の声に、計り知れない感情を滲ませて答える。
瓶山の話を聞き、右恭は表情を変えないまま、ただ左の眉だけを微かに上げた。
しかし、眼鏡の奥の双眸には、静かな炎を宿らせている。
134愛/棒 瓶×右←小 5/6:2007/04/03(火) 19:41:51 ID:dM0IY2y20

一方の瓶山は、愛しい人から何の釈明もない状況に堪らなくなったのか、座っていた椅子
をクルッと回転させると、すぐ背後に立っていた右恭に訴えた。
「何もっ!・・・俺には、何も説明してくれないんですか・・・?」
「僕が何を言っても、君に聞き入れる耳がないのなら同じことでしょう。」
「信じます、信じますよ!・・・右恭さんから直接聞いた言葉なら、俺、信じます。」
(ふぅっ・・・。)
右恭は溜息を付くと、真っ直ぐに瓶山の目を見ながら、一言一言、言い聞かせるように
話し出した。
「―――確かに、官棒長が僕の部屋に忘れ物をされたことがあるのは事実です。でも、
それはもう10年以上も昔の・・・君が特名係に配属されるよりずっと前の話です。当然、
それが残っているはずもありません。」
「・・・・。」
右恭は、座っている瓶山の肩に右手を乗せると、
「―――瓶山君。僕が窮地に陥った時、一番最初に脳裏に浮かぶのは君の顔ですし・・・
おそらく、この世で一番最後に叫ぶのも、君の名前です。」
そう言って、ゆっくり頷いた。
(・・・俺、右恭さんが関わってきた全ての人に嫉妬してる。たとえそれが10年前だろ
うと、20年前だろうと。・・・いや、俺の知らない右恭さんを知ってるってことの方に、
もっともっと嫉妬してるんだ・・・。)
本当は苦しい。だけど。
「・・・分かりました。右恭さんの言葉、信じます。・・・でも。」
「はい?」
「一応、家宅捜索しに行って良いっスか?・・・今夜。」
そう言う瓶山の表情を見て、右恭は、その狙いを察して苦笑した。
「えぇ、構いませんよ。」
135愛/棒 瓶×右←小 6/6:2007/04/03(火) 19:43:18 ID:dM0IY2y20

次の日、朝一番に官棒室長の部屋の電話が鳴った。
聞こえてきた取次ぎの声に対して、「そう、繋いで。」と答えた小乃田は、受話器を耳に当
てながら深々と椅子に腰掛ける。
「―――僕だけど。どうしたの。お前から架けてきてくれるなんて嬉しいね。」
「先日依頼された件ですが、僕なりの見解をまとめましたので、お預かりした資料と一緒
に本日そちらにお送ります。」
「相変らず冷たいねぇ。直接ここに持って来てくれればいいじゃない。」
「こちらにも仕事がありますので。―――それともう一つ。」
「なに?」
「あまり大人気ない真似は止めて頂きたいのですが。今後も同じような事をなさるようで
したら、僕の方にも考えがあります。」
「でも、嘘は言ってないじゃない。」
「肝心なことも何一つ言われてませんけれど。」
「―――お前が悪いんだよ、見せつけるようなことするから。だから、つい、意地悪した
くなっちゃった。・・・ねぇ、他人に執着するなんて、お前らしくないんじゃないの?」
「それはあなたの中の“椙下 右恭”であって、僕ではありません。」
「言うねぇ。」
「―――官棒長、昔から良く言うではありませんか?人の恋路を邪魔する者は・・・。」
「なに、馬に蹴られるっていうの?」
「そのうち噛み付かれますよ、・・・亀に。では失礼します。」
一方的に切られた電話の受話器を戻し、小乃田は、クッションのきいた革張りの椅子に身
を預けた。
「―――あんな亀さんでも噛み付いたりするんだ。・・・それは是非、見てみたいなぁ。」
ふふん、と笑う小乃田の顔は、まるで、新しいオモチャを与えられた子どものそれだった。
136愛/棒 瓶×右←小:2007/04/03(火) 19:44:38 ID:dM0IY2y20


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )長々スイマセソでした。
137風と木の名無しさん:2007/04/03(火) 22:21:26 ID:hsG1Hq8A0
>>128
もしかして9頭身ありそうなピッチャー?
ニヤニヤにてるのはピッコロ似の人?と少ない知識を総動員した@地元民
138風と木の名無しさん:2007/04/03(火) 22:32:32 ID:+MVNB3Z5O
これはまたすげーマイナーな取り合わせのかぷりんぐ…www
攻→コーチ兼任だからナ/カ/ジ/マ
受→後輩保守で攻を尊敬してるからツ/ル
ニヤニヤ→田中(若いほう)
だと思われ
やきうオタじゃないとわからんww
139風と木の名無しさん:2007/04/03(火) 22:50:32 ID:tYnPucbrO
>>128
ツルッと禿げ萌えました!GJ!

138さんが正解だと思うけど137さんの組合わせもいいなぁと思ったりw
140風と木の名無しさん:2007/04/03(火) 23:53:01 ID:IDbKmyWG0
>>128
コアなかぷ乙ですww
ニヤニヤの人とツルって仲いいのか、他チ仏ファソだから知らんかったよ
141風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 00:17:28 ID:3+zFgPgyO
>>124
>毛根の頼りない青年
にお茶吹いたw23/バ/トにも出てるあの人ですね?
142風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 00:31:53 ID:jVX1u2ow0
>>141 yes
このボキャブラリは提供者がおりますの・・・GJこのボキャ提供の姐さんありがとう
>>138のキャスティングでバッチリです
143風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 06:59:54 ID:pyVabbvHO
本当にコアだなw
初めて見たこの組み合わせ。
おっおっ(^ω^)
144風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 09:08:35 ID:JDXb4y2LO
地元テレビ見てると妄想が肥大していくんだな<某きうだんカポ
兼ニンこーちテラエロス
145風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 09:46:18 ID:tJUOtBhC0
>>128
GJ!
これはまた本物っぽい攻ですねw
146風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 12:22:54 ID:XyfpTk9l0
>>140
ニヤニヤの人とシルは中学時代から知っててなんかの合宿で
同じ部屋だったりもしたらしいよ。
147風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 14:14:20 ID:Io/7n3fi0
>>129-136
GJ!
どことなくエロさ漂うのがたまりません
148N/A/R/U/T/O トビ×デイダラ:2007/04/04(水) 16:15:54 ID:V4Wz/xug0
            //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 某飛翔忍者漫画
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < お面×粘土
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < エロありです
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
149N/A/R/U/T/O トビ×デイダラA:2007/04/04(水) 16:16:59 ID:V4Wz/xug0
mellow hollow

彼と組んでから初めて違和感を覚えたことがある。
こちらから話しかけなければ彼は殆ど何も喋らない、ということだ。

オレは空を仰ぎながら岩や木を器用に避けて歩き、
後ろでふよふよと飛ぶ鳥の打つ風を感じつつ、じつはずっと彼の気配に注意していた。
三尾を捕まえたのはいいものの自分のコートはびしょ濡れだ。
すこし休憩をとりたいもののこのままいつまで沈黙が続くのだろうと、
くだらない遊び心と対抗心で口にチャックをしている。
(...別に、待ってるわけじゃないけど、)
何度も目にしたサソリとデイダラの様子を思い出す。
寡黙で冷静なサソリと、暇さえあれば芸術について語らおうとするデイダラ。
それなのに彼は自分に何も話題を持ち出してはくれないのだ。

森の中の少し開けた場所を見つけ立ち止まると後ろでボンッという音が響いた。
軽い足音がそのまま自分の方へ向かってくる。
[おい、トビ、何止まってんだよ]
右から覗き込んでくるその童顔はよく見せる苛々とした表情を浮かべていた。
[あー......いや、えっと、今日はこのまま此処で寝るんスか?]
考え込んでいた自分を誤魔化すように少し大袈裟に悩んでみせる。
[今日はもう暗ェし、それに俺は疲れてるしな...うん。トビ、お前だってチャクラ切れてもうへとへとだろーが]
[.....はぁ]
いたたまれない気分だ。
まだ組み始めたばかりだからか、元々そこまで息が合わないからか、はたまた両方か。
150N/A/R/U/T/O トビ×デイダラB:2007/04/04(水) 16:18:19 ID:V4Wz/xug0
静かだ。濃紺の空にはぽちぽちと白い斑点が輝いている。
(眠れ....ない....)
体は疲労の色を示しているのに一向に眠気は襲ってこない。
意識もはっきりとしていて僅かな川の音まで聴こえてきた。
ふと体を横に倒し丸くなった毛布を見つめる。
夜目にも分かるほど鮮やかな色をした金髪が乱れている。
起きている自分にはちょっと冷たいぐらいの風も、寝ている身には寒く感じるのか、もぞもぞと動いている。
その様子がまるで芋虫に見えて小さく笑った。と、その奇妙な動きが急に止まった。
[あ...もしかして、起こしちゃいました??]
[..起きてた....]
くぐもった返事に、つい嬉しくなる。
[あ、じゃあちょっと話しませんか?]
肘をついて彼を眺める。
年の割には小柄な体が反転し、むっくりとふくれた可愛い顔がこちらを睨んでくる。
[オイラは寝たいんだよ....うん.....寝れないだけで]
いつものことなのだが、この顔を見ると歪ませたい気分にさせられるのは何故なのだろう。
ふくりとした丸い頬と、眉間に皺を寄せるそのギャップがおもしろい。
夜風が目に沁みるのか濃い睫毛を張り付かせながらぱちぱちと瞬きを繰り返している。
[オレもなんスよ、でもなんでか眠気がなくって....]

だが彼はまた布団の中にもぐってしまっていた。
まるで何も聞きたくないというように芋虫状態に戻ってしまったのだ。
[っ...]
たしかに眠い身には俺の無駄話なんてクソの足しにもなりゃしないだろうけど。
寝ようとしてるの邪魔されてムカついてるうえにオレのふざけた口調なんて耳障りにしかならないだろうけど。
[.........あーあ!]
わざと届くように大きい声で唸りながら布団に倒れた。
今ので少し腹が立った。嫌な気分だ。だからもっと眠れなくなった。
心の中でデイダラに文句を叩きつけて眠れないもどかしさをぶつけた。
151N/A/R/U/T/O トビ×デイダラC:2007/04/04(水) 16:19:04 ID:V4Wz/xug0
不意に。脳裏に浮かんだサソリとデイダラの姿。
デイダラの笑顔を見かけるのは大抵サソリの横でだった。
オレは?しかめっ面しかまともに見たこと無い。
笑った顔なんて。
どんなにちょっかいかけたって返ってくるのはそっけない一言。
両腕を頭の下に組み、また空を眺める。変わらない、星がただただちらつくだけだ。

隣から寝息は聞こえない。ということは、まだ起きてるのだろうか?
ふとオレはおもしろいことを閃いた。
そっと腕を伸ばし、勢いよくその腰を掴む。
[えっ、]
10本の指を動かしてこれでもかとくすぐった。彼の頭が俺の方にのけぞった。
[ひゃ、あっははははははは、や、やめろってトっ、ほほっ、ひゃははははっシャっ、シャレんなんねっ、っうん、あっはははっはははっ]
普段の低い声からは想像も出来ない甲高い声を出しながらくねくねと身を捩らせる。
それがあまりにも可笑しかったので暴れる体に抵抗して更に力を強くしてくすぐる。
ひぃひぃと笑う彼は強烈なくすぐったさに涙を浮かべていた。
[..デイダラさんって脇弱いんですねー、楽しー、新発見だぁー]
ふざけたように言いながら手を尻のほうへ滑らせた。
右手で脇腹を撫で擦りながら左手をズボンに掛ける。
彼の餅の様な頬が紅潮し開いた口からは苦しそうな息と笑い声が漏れている。
ずるっと尻が剥き出しになった。それを欠かさず左手でむぎゅぅっと揉んだ。
152N/A/R/U/T/O トビ×デイダラD:2007/04/04(水) 16:20:11 ID:V4Wz/xug0
[ぎゃあっ!!!]
笑い声が止まった。俺の手も止まった。
やばい、やりすぎたかもしれない。
サァーッと危機を感じ、顔を覗き込んだ。
しかめっ面になっているかもしれない、と思いながら。
また怒られて爆発させられるかもしれない、と思いながら。
だがそこにあったのは笑いすぎて眼に涙を浮かべたまま大きい眼をもっと大きくしているデイダラだった。
放心したかのように固まっている彼がぎこちなくこちらに顔を向けた。
だが、瞬間的に眉がつりあがるのを見て、また俺は左手で尻を揉んだ。
[きあっ!!]
ずいぶんマヌケな叫び声があがる。
体を動かしたせいでその時の俺は少し興奮していたのかもしれない。
そのまま尻を揉みしだいていく。
怒鳴ろうとしていたのだろうが彼は薄く息を吐いてその感触を拭い去ろうとまた身を捩りだした。
逃げようとする体を右手でつかまえる。
153N/A/R/U/T/O トビ×デイダラE:2007/04/04(水) 16:20:46 ID:V4Wz/xug0
股間で小さく存在を主張するもの。
[...、トビ...やめろよ、うん。オイラ、やだ........]
[は、あはっ、]
思わず右手でそれを握る。すごいことだぞこれは。
[アンタ、勃起してんじゃないですか。あは、はは.......]
まだまだ勃ちあがったばかりなのだろう、三本の指でくくりきゅぅっと力を加えてみる。
[んっ...!!?]
びくんと肩を震わせた彼を見て少なからずオレの下半身にも血が集まっていくのを感じた。
もうやめろいいかげんにしないとやばい、頭の中ではそうわかってるのに。
ぷるぷるしたその唇に涎が伝うのが目に入ったから。
ぎゅうと眼を瞑る必死な顔が目に入ったから。
[アンタ、.....そんな顔も出来たんスね...はっ、ずりぃや....]
[....??...なに、いって.....あ、はぁっ、は]
[ねぇ...]
手を動かしながらオレは囁いた。
そのままゆっくりと撫で上げるようにして愛撫していく。
一方で自分のそれはもう完璧に勃ちあがっていた。
ぐいぐいと尻に押し付けるとはっきりと怯えを表す。
楽しくてたまらなかった。もっとからかいたくなっていた。

[アンタ..そんな顔もサソリさんの前でしてたんですかぁ?]
154N/A/R/U/T/O トビ×デイダラF:2007/04/04(水) 16:24:26 ID:V4Wz/xug0
[!!??なっ、はっ?、ぁあああっ....!!]
ぶるっと彼が痙攣し、白い精液が、流れ星のようにオレの視界を横切った。



オレにもいろんな話をしてほしいのだ。
オレにもいろんな顔を見せてほしいのだ。
それなのに、オレは、それだけのために、彼を犯してしまった。
傷つける事しかできないのか?
オレはあの人の代わりにはなれないのか?
デイダラの金髪が乱れ腹は白く汚れていた。
もう、冗談では済まされないだろう。
もう、笑って謝るだけでは済まされないだろう。

けれど、アンタと組んでる限りは・・・
155N/A/R/U/T/O トビ×デイダラ:2007/04/04(水) 16:27:20 ID:V4Wz/xug0

           ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < ダメダメですね
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < お目汚し失礼しました。
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < ちなみにFはEにいれるつもりですた・・・
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
156風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 17:42:15 ID:u9os4B380
今日負けたの、>>128できっついいたづらされて動揺したからかもなあ、とか思っちゃった
157風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 18:18:57 ID:e41AFKKV0
>>156,128
昨日も今日もごっちゃんでした
明日は先発スワッピングですね、と言ってみるテスト
158流石兄弟モノ(弟×兄)1:2007/04/04(水) 21:57:43 ID:63NH6+6r0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
流石兄弟モノ(弟×兄)で、唐突に思いついた走り書きです




 あの人の中には色々と負い目があって、だから俺に逆らえない。
 社会に受け入れられないこと、社会を受け入れられないこと。
 家族に迷惑をかけてること、家族を迷惑に思っていること。
 まあ基本的に駄目な人間だから、あの人はいつでも俺に負ける。
 勝てる要素がゼロパーセント。
 勘違いして抵抗しても、優しく諭せば大人しくなる。
 日焼けしない肌がキモイとか、ヒキコモリは生かされてるだけ有り難く思えとか、
思ってもいないことを並べれば泣き出す一歩手前の愛らしい顔。
 別に、鼻水たれてるただの不細工な泣き顔なんだけど。
 俺の言ったことに影響を受けて、俺の言葉で頭がいっぱいになって、タガが外れて
泣いてるって事実に酔う。
 俺よりほんの少し早く生まれた兄弟。
 あんたが先に獲得した時間にすら嫉妬する俺を知ったとき、あんたはどうするんだ
ろう。

159流石兄弟モノ(弟×兄)2:2007/04/04(水) 21:59:41 ID:63NH6+6r0
 学校が終わったら友達と花見に行ってくる。
 帰りは遅くなるよ、もしかしたら泊まってくるかも。
 家に連絡したとき電話に出たのは姉者で、そう気をつけてね楽しんでらっしゃいと
優しく返された。
「兄者は何してる」
「ひきこもってる」
「PC?」
「そうじゃない? 妹者が遊んでくれないって拗ねてるから……ま、たまには兄者の
ことは気にせず楽しんでらっしゃいよ」
 最後にうふふと笑った姉者の声が耳にこびりつく。
 うふふ。心配かけたくて不安にさせたくて悲しく寂しくさせたくて必死な弟者くん、
せいぜい兄者の泣き顔を妄想してなさい。
 言外にそんな風に言われた気がして、背中がむずむずする。笑顔が引き攣ったまま、
それじゃあバイバイで電話終了。
 俺の名前を呼ぶクラスメイトの声。
 花見の席まで、ここから3駅離れてる。講義をサボって席取りしてる友達から非難
轟々の連絡あり、至急出発されよ。
 電車の窓からも桜の木が見える。春爛漫を告げる薄紅色の花、そういえば昔は兄者
も普通に外で遊ぶ子供で、春の桜を楽しみにしていた。
 今は太陽の変わりに蛍光灯を浴びて、桜の代わりにモニタを眺める毎日。着古した
スウェットに長袖のTシャツで、痩せさらばえた猫背は触るとゴツゴツして可愛くない。
「なー、お前も今日ヨーコん家に泊まらね?」
「友者はヨーコ狙いか」
「ハ、まさか。たまにゃお兄ちゃん子を鍛えてやろうかと」
「余計なお世話だ」
160流石兄弟モノ(弟×兄)3:2007/04/04(水) 22:00:42 ID:63NH6+6r0
 今ごろどうしているだろう。
 きっと姉者から聞かされて、強がってフーンとか生意気な態度をとってるんじゃな
かろうか。どうってことありませんよ、と背中を向けてPCと睨めっこしながら、ぐる
ぐる考えているに違いない。
 ブラクラ踏んだらどうしようとか、帰って来ないっていつまでだろうとか、誰と
会ってるんだろうとか、
「会えないと分かった途端、会いたいとかー」
「……友者なにを言っている?」
「脳内妄想だだ漏れですよ馬鹿弟者」
「あー……情けない」
「そんなに兄者好きなのに、なんで優しく出来ないかねお前は」
「しらね」
 アナウンスが流れて、到着駅に降り立つ。改札を抜けて公園に入ると満開の桜が迎
えてくれた、今日は暖かく晴天で、この上ない春の楽園。
 青空、友達、桜、酒、おつまみ、暖かい風、みんなの笑い声。
 天井、蛍光灯、締め切ったカーテン、窓を背にしたコタツの定位置、PCのモニタの
光り、スピーカから流れるデジタルの音。
 あの人と俺の世界はこんなにも違う。念入りに戸締まりをした兄者と、いつでも開
くドアを持っている俺。
 暗い部屋で泣いてたら嬉しいな、と思って俺は酒を飲み干した。
161流石兄弟モノ(弟×兄)4:2007/04/04(水) 22:02:14 ID:63NH6+6r0
 浅く眠っていたら、ばん、と大きな音がした。
 一階の方から、笑い声が聞こえる。
 ぱちぱちと瞬きをして時計を見ると深夜2時を回ったところだった。PCの前でうた
た寝していたらしい、口元のヨダレを拭ってそっとドアの前に立つ。
 うっすら開けて耳を澄ますと、友者の声が聞こえてきた。
 じゃあ気を付けろとか、またガッコで、とか。
 何の話か分からないが、弟者が帰ってきたらしい。夜遊びなんてと思うが、その大
半がちゃんと外で生活できる弟者への嫉妬だと分かっているので口にはしない。
 お帰りと出迎えるべきか、それとも無視してPCに向かうか。
 おろおろ考えていると階段を登る足音が聞こえてきて、思わずドアから離れた。
 が、暗くて視界が悪かったため、何かを踏ん付けて思い切りすっ転んでしまう。足
音はドアのまで止まって、躊躇いもなしに外界との境目は開かれた。
「なにしてんだ兄者」
 コケたまま弟者を見上げて、ひらひらと手を振る。
「ああいや、何でもない」
「なーに、俺の帰りを待ってたとか?」
「待ってないよ」
「はやりのツンデレ? はいこれオミヤゲ」
「……余ったツマミかよ」
 コンビニのがさがさした袋を受け取って、溜め息。
 弟者は酒の匂いをぷんぷんさせながらPCの前に立ち、小さく笑う。そういえばブラ
クラを踏んで何とか再起動させたはいいが、エラーが出てどうしようもなく、うたた
寝したのだった。
 またかよ、と笑う声。
 画面の文字を追う目元がほんのり赤い、大勢で飲む酒の味などとうに忘れ、酔う感
覚も忘れて久しいが大分心地よさそうに見えた。
「お泊りと聞いたが予定変更ですか」
「そうですよ、寂しい兄者のためにわざわざ帰ってきましたよ」
「何も寂しくないと――」
「帰ってきた途端、部屋でどたばた騒いで気を引いたのはどこの誰ですか、と」
162流石兄弟モノ(弟×兄)5:2007/04/04(水) 22:03:25 ID:63NH6+6r0
 弟者の指がキーボードを滑って、PCが再起動する。
 いつものOS起動画面がモニタに映し出される。何はともあれ、立ち上がって礼でも
言わねば。
「とりあえずありがとう、弟者――くさ! くさ、お前どんだけ酒……ちょ、寄るな!」
「PCの救世主に向かってそれはないだろ、桜綺麗だったよー兄者も好きだろ桜」
 心の中の柔らかい部分を刺されたように、顔が歪む。
 好きだ、分かってる。好きだった。楽しみだった。待ち遠しかった。きっと来年も
再来年もこの先ずっと、自分は春を楽しみにするんだと思ってた――。
 でも今は違う。好きは好きだけど。来年も再来年もこの先ずっと、弟者と前みたい
に花見に行けない自分をウジウジ悩む春になった。
 今日だって楽しんでるであろう弟者のことを考えていたら、うっかりブラクラ踏ん
でしまったのだ。
「……すき、だけど、」
 ぼそりと呟くと、ぽかんと目を見開いた弟者が瞬間的に顔を赤くして、え、と言っ
た。
 え。え? すき? すきって――。
「え? なに、桜……だろ? なんだ、もしかしてからかってるのか?」
「――そりゃないぜ兄者。あーもう、ヒキコモリは春夏秋冬気にするなよ。いーよも
う。ああいくないよ。違う、ごめん待って」
「……ヒキコモリ……」
「事実に傷付いてんじゃねーよ。あ、あった。ハイこれホントのオミヤゲ」
 弟者がくしゃくしゃになった桜をくれた。花吹雪で落ちたのだろう、五花弁の薄桃
色はところどころ折れていたけれど綺麗だった。
「久々に見た……」
「まーな、去年もヒキってたし。まだあった、はいよ」
 ポケットからぽろぽろ出てくる桜を両手で受け止めて、照れ臭く思いながらも匂い
を嗅いでみた。ほんの微かに花の匂いがする、部屋にはない外の匂いだ。
「兄者」
 呼ばれて顔を上げる。少し伸びてしまった前髪でよく見えないが、普段にない優し
い顔がこちらを見ていた。
163流石兄弟モノ(弟×兄)6:2007/04/04(水) 22:04:36 ID:63NH6+6r0
 傷んだ花を大事そうに抱えた兄者が呆けた顔でこっちを見ている。
 ボサボサに伸びた髪が邪魔して、目はよく見えない。
 ぺろんと前髪を捲ると、ビックリしたらしく身を縮ませた。
「俺が外に行くと寂しくて悲しくて不安で心配で夜も眠れませんか」
「……さすが弟者、俺の弟だけあってバカだな。さっきまでうたた寝してたんだ」
 全然、ヨユーで眠れるっつーの。
 強がった声に平手を食らわしてやりたい衝動は抑える。
 花を潰さないよう労わる手を掴んで、ぐいと押す。花はぽろぽろ両手から零れて
いった。
 ヒキコモリの筋力じゃ押し返せず、都合よくベッドに追い詰められた途端、目が怯
えた。
 最後の一押しで痩せた身体は簡単にベッドに倒れ込む。
「ヤメロ酔っ払い」
「酔ってないんだ、実は」
「酔ってるだろ」
「全然。なあ兄者ちょっとだけ」
「ちょっと待て、ちょっとって何だちょっとって」
 Tシャツの裾から手を突っ込む。
 ひ、と引き攣った声がして兄者の身体が硬くなる。スウェットをずるずる脱がすと、
色気もへったくれもない痩せた腰周りがあらわになった。
「ちょちょちょ、ちょっと、弟者もうシナイって前に――」
「んー? なんつーか、青白くってキモいな兄者。さすがヒキコモリ」
「……なら、もう、やめませんか」
 太ももを撫で上げられて兄者はもう涙目。ぶるぶる震える膝頭。
 頭に浮かんだのは、前に二人でやったエロゲ。
 幼女がお留守番で近所のオニイチャンとイタズラするやつ。
 今回はイタズラされるオニイチャン。
 兄者の両手をそっと握る。やめてくれまいかと期待を持った目が俺の一挙一動を見
つめている。
 その期待を完全無視して、Tシャツの裾をそっと握らせた。
164流石兄弟モノ(弟×兄)7:2007/04/04(水) 22:05:53 ID:63NH6+6r0
「……何だこれは弟者」
「胸の上まで、たくし上げといて」
「……普通にイヤですが」
「幼女はやってたのに」
「何の話だ変態」
 そう言いながら、手を下ろせないでいる。イヤだヤメロと言いながら、本気の抵抗
は出来ないでいる。バカだ変態だと罵りながら、太ももを撫でる手を払えないでいる。
 愚直にTシャツの裾を握る手が震えていたから、キスをした。硬く握られた指先に
押し当てるだけの他愛ないやつを。それだけで兄者の身体は面白いようにビクつく。
 挙動不審もいいところだが、悪さをしているのは俺なのだから笑いようもない。
 笑えない。全く笑えない。
 本当ならちゃんと待って、ちゃんと許しを貰って、ちゃんと同意を得て、ちゃんと
求められて、こういうことをしたかった。
 俺がいなけりゃ外界と簡単に遮断されるこの人は、外界を凄く怖がって嫌いながら、
外界に嫌われたくなくて引き篭もっているのだ。
「優しくしますよ」
 覗き込むように顔を近付けると、震える声で酒臭いと言った。
 律儀に胸の上までTシャツをたくし上げたまま足を開いて俺に好き勝手されて、最
後の最後にノーと言えない弱さ。
 そこに付け込む俺は卑屈で、ヒキコモリじゃないまともな兄者だったら蹴っ飛ばさ
れるところだろうから、この状況に感謝すればいいのか何なのか分からなくなる。
「全然、痛くしないし」
 胸からわき腹に指を滑らせ、背筋をなぞって腰に手を回す。
165流石兄弟モノ(弟×兄)8:2007/04/04(水) 22:07:18 ID:63NH6+6r0
 前にしたのは冬だった。熱燗で酔ったふりをして強引に押し倒した。厚着の下の素
肌はしっとりと暖かくて、汗の匂いに堪らなく興奮した。
 お互い、今の今まで話題には絶対に出さないようにしてた、真冬の夜のアヤマチ。
「前も大丈夫だったろ、兄者?」
「前って、い、痛かっ、た、ぞ」
 既に半泣きの声で抵抗とも呼べない抗議をするのは、誘ってるだけだと何回言えば
このPC漬けの脳みそは理解するんだろう。
 フーンと気のない返事をして、胸の尖りに唇を寄せると引き攣った悲鳴を上げて兄
者は足を閉じようとした。脊髄反射で身を縮めようとする神経はまだ生きているらし
いが、とっくに足の間に割り入った俺が見えてないのかこのバカは。
 そしてまだTシャツを両手でたくし上げたままだこのバカ。
 俺は最高に優しい笑顔でそっとその手を包む。
「ごめん、兄者」
「弟者……」
 やめてくれるのか、と兄者が顔を綻ばせる。
 俺は笑顔のままTシャツを一気に脱がす。
 綻んだ顔のまま兄者はフリーズする。
「脱いだほうが早いよな兄者、気がきかなくてすまん」
 そんなだから毎日ブラクラを踏むのだ。
 肩を押すと呆気なく簡単に兄者の身体はベッドに倒れて、俺はその上に覆い被さっ
た。
166流石兄弟モノ(弟×兄)9:2007/04/04(水) 22:08:33 ID:63NH6+6r0
 引っ繰り返されて2回戦目で、ようやっと悲鳴以外の言葉が出た。
 しかし、四つん這いで後ろから弟者に犯されてるなんて、どう対処すればいいのだ。
「や、やめ、もう――弟者ヨッパだからって悪ふざけが、」
「だから酔ってませんよ兄者」
 そのままゆさゆさと揺さ振られて、悲鳴を堪えるために歯を食いしばる。弟者が言
うには悲鳴じゃなく喘ぎ声らしいが、弟にやられて喘いでるなんて思いたくもない。
 桜の花をくれた顔は優しかったのに。
 PCエラーを処理してくれた時の口元は優しかったのに。
 ごめん、と言った声は本当に優しかったのに。
 そして今だって、自分の少ないリアルな性知識から鑑みても、出来るだけ優しく痛
くない様に気遣ってくれているのに。
「兄者」
 耳元で囁かれる熱っぽい声は正直ちょっと気持ち悪い。征服される対象として見ら
れていることが、まだ受け入れがたいからだ。
「兄者」
 それでも背筋をぞわつかせるのは、何だか熱っぽい以上に切ない感じがするからだ。
 生まれた瞬間から一緒に居た自分の片割れは、こんなことをしながら、こんな自由
に好き勝手に自分を弄りながら、何か分からないが切ないらしい。
 弟者の指が内股をしつこく撫でる。慣れ親しんだ弟の手が、卑猥な動きで自分の足を。
「あ、あ……弟者、ダメ、だ、そこ――うあっ」
「エロゲ並みに、ここがイイデスカとか言っていいですか……」
「バカか……っひ、ああッ」
 もう一度耳元で兄者、と呼ぶ声が聞こえる。いつも甘やかしてくれる声が、甘える
ように囁いてくる。それは――悪くない気がした。
 逃がさないとばかりに肩を掴む手に手を重ねて、首を曲げて後ろを見たのは何故な
のか、後から考えても分からない。
「って、手加減、しろ……もう、逃げないから」
 逃げさせろ、と何故言わなかったのか。
 弟者の切ないような顔が、一瞬で救われたようにふやけたのは何故なのか。
 嬉しそうに擦り寄ってきた唇に、自らキスをしたのは何故なのか。
 衝動、としか今は言い様がない。
 辛そうな弟を助けるのは兄と相場が決まっている、そう自分に言い聞かせて何が悪い。
167流石兄弟モノ(弟×兄)10:2007/04/04(水) 22:09:29 ID:63NH6+6r0
 目が覚めると、隣の自由人はまだ寝ていた。
 ぐっすり眠り込んだ横顔に朝日は当たらない。カーテンが締め切られているからだ。
「ヒキには朝もありませんか……」
 ぼそ、と呟いてみたが反応はない。
 目が覚めてから、牛みたいに何度も反芻していた。
 昨日、兄者から「逃げない」と言われたこと。最中に言われたっていうのが重要ポ
イントだ。
 それからキスしてくれたこと。アメリカでもイギリスでもない日本国籍の兄弟間で
唇にキスは重要ポイントだ。
 その後、頑なだった身体がほんの少し俺に身を任せるように緊張を解いたこと。逃
げ場を失って自暴自棄と言わばそれまでだが、その前に「逃げない」と「キス」が
あったことが重要ポイントだ。
 もしかして多分もしかしたら、まさかのまさかで――兄者も俺のことを。
「ん?」
 頬を撫でる指に違和感を感じたのか、兄者が目を覚ました。
 呆けた顔で俺を見て、数秒停止した後、がばと跳ね起きた。跳ね馬のように乱暴に。
 あたかもドラマや映画のワンシーンのごとく、眠る恋人に寄り添っていた俺にエル
ボーを食らわせたのも気付かずに。
「あー! あー、あー……花が」
「へ?」
 顎をさすりつつ身を起こすと、拾ってきた桜がしぼんでいた。
 そりゃ水もやらず一晩放置すればこうなる。もともと木から自然に落ちた花弁だ、
これが寿命だ。
 しかし兄者は悲しいらしい。
 唯一、割とまだ元気そうな一つを摘み上げて、俺を振り返る。目が必死。
「弟者、何とかしろ」
「え。無理」
「水だ。水持って来い」
「えー? いや無理じゃないすかね、これはもう。墓なら作るの手伝うが」
 外には出たくないだろうから、植木鉢持ってきてやるぞ、と付け加えると憤慨した
顔でベッドから降りた。
168流石兄弟モノ(弟×兄)11:2007/04/04(水) 22:10:33 ID:63NH6+6r0
「もういい、弟者には頼まん!」
「どうでもいいが着るものは着て部屋から出てくださいよ、と」
「……着るもの……」
 一歩を踏み出した途端、くたくたくたとその身体がへたばっていく。
 裸のまま床に倒れこんだ姿はかなり間抜けだ。
「動けませんか、兄者」
「お前のせいだ、弟者」
「声も枯れてますね兄者」
「だからお前のせい」
「無理に喘ぐの我慢するからですよ、と」
 水汲んでくるから、と頭をナデナデして昨日脱ぎ捨てた服を着て、部屋を出た。
 何だか――普通の恋人同士のような、自然なやり取りだった気がする。思わず顔が
にやけたところで、うふふ、と声が聞こえた。
「ヒィ! 姉者!」
「朝帰り君おはよう。さ、お姉さまから水のお恵みよ」
「あ、ども。って、え? え? 聞こえて……」
「朝は水を飲むものよ、違う? あらまあ、何を想像しているのかしら弟者は」
 大袈裟に驚いた小芝居が憎らしい。
「……朝帰り、って深夜のうちに帰りましたよ姉者」
「あらそう。それにしては、寝間着に着替えなかったの? 昨日の服でしょう、それ。
まあ、どっちでもいいけど。じゃ、これは兄者の分よ」
 水がなみなみと入れられたコップを2つ持たされて、笑顔が引き攣る。
「じゃあ、今度から玄関のドアは静かに開けるのよ。真夜中はご近所迷惑だから」
「朝帰りと思ってたんじゃないんですか」
「え? 兄者がスヤスヤ寝てるんじゃないかとヤキモキして、乱暴にドアを開けて起
こした弟者の声が何だか今は聞こえづらいの。もう一度言ってくれないかしら」
「何でもありませんよ姉者」
「花は押し花にでもして、しおりにするといいわ――エロ本のしおりに使ったら母者
にチクるわよ」
 うふふ。笑う姉者はアルカイックスマイルで去っていく。
169流石兄弟モノ(弟×兄)12:2007/04/04(水) 22:12:26 ID:63NH6+6r0
 Uターンで部屋に帰ると、さっそくPCの前に座った兄者が鷹揚に出迎えてくれた。
「腰も立たないのにPCですか、さすがだな兄者」
 布団に包まった団子状態で、熱心にPC画面を見ている面を張り飛ばしてやりたい。
「直ってる直ってる〜。桜の花を長持ちさせるには、と……」
「……だから、無理だって兄者。姉者が押し花にでもしたらどうかと言ってたぞ」
「押し花か、まあ……それも悪くないかな。おしばな、と……あったあった」
 積み上げられた雑誌タワーに伸びる手は青白い。友人たちの多少なり男らしい筋肉
の付いた腕とは、やはりちょっと違う。
 モニタに映し出された作り方を何度も確認しながら、布団で際どいとこだけ隠した
ヒキコモリが丁寧に桜の押し花を作っていく。全裸で。
 不器用な手が懸命に花びらを整える様子がたまらなく愛しくて、傷んだ花ひとつを
大事にしなきゃいけないこの人の生活が悲しくて、思わず手が出た。
 さっと綺麗に花びらを広げ、素早くティッシュを被せて雑誌で重しをする。
 ぽかんと見ていた兄者が、おおーとか馬鹿みたいな歓声を上げて喜んだ。
「やっぱり弟者は頼りになるな」
「……あのさ、全面的に信頼してくれるのは構わんのだが……あんまり無防備だと、
また襲うぞ」
「え。あ、うわ、ちょっとそれは」
 もたもたと布団ごとベッドに非難して、服を探す姿は間抜けだ。
 馬鹿なオニイチャン。そんなに俺を信頼するな。しかも昨日の今日で信頼しちゃう
なんて、どうかしてる。
 俺は人でなしだから、今のこの状況にある意味満足している。俺がいなけりゃ駄目
なんて、それなんてエロゲだ馬鹿兄。
 でもやっぱり、元気に外でデートもしてみたいから、いつか一緒に花見にいこう。
 次の春がきたら誘ってみよう。いつか春に二人で花見に行こう。
 何度でも誘うし、いつまでだって待つし、その間はずっと桜を拾ってきてやる。
 こんなんで満足するなら、お安いもんだ。
170流石兄弟モノ(弟×兄)13:2007/04/04(水) 22:13:41 ID:63NH6+6r0
「……な、兄者」
「なんだ寄るな」
「タンスはあそこにあるわけだが」
「だから寄るな。ちょっと待てお前、なんでベッドに上がってくるんだ」
「兄者とタンスの間には今、俺という障害物があるわけで」
「いやいやいやおかしい、おかしいぞ弟者。うん、えっと、服を取りに行かせてくだ
さい」
「――いかせて下さい?」
「そこだけ抜き出すな!」
 薄暗い部屋で布団の引っ張り合い。
 まだ蛍光灯がついてないから、この部屋は夜のままだ。
 いつか告白、出来るだろうか。ちゃんと、目を見て真剣に、酒も飲まずに誤魔化さ
ないで。
「まだ酔ってるだろ、弟者目を覚ませー!」
 半泣きで布団にしがみ付く兄者はもう必死だ。
「分かった、分かった。もうシナイ」
「……ほ、ほんとだな? もうシナイな?」
「とりあえず、今はしない」
「今は?! 今は、ってお前、」
「それでダメなら今する、俺は腰を痛めた兄者に無理をさせたくないがどうする」
「う。……え、ええ? お前、俺を気遣ってるのか何なのか分からんぞ……」

 俺の中には色々と負い目があって、だからあんたに逆らえない。
 気持ちを告げないまま抱いたこと、気持ちを聞かないまま抱いたこと。
 本当はずっと昔からこうしたかったこと、本当はずっと昔からこうはしたくなかっ
たこと。
 まあ基本的に惚れた側だから、俺はいつでもあんたに負ける。

end.
171風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 22:14:38 ID:63NH6+6r0
あああエロ有無の注意喚起忘れてるし!(´・ェ・`)
うっかりもいいとこだ、長いしゴメン

ほんとゴメン
172風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 22:18:31 ID:9Jhr9dQo0
>171
リアルタイム遭遇キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
GJです!
意地悪弟者に萌狂いますた。
やっぱり流石兄弟はいいね。
173風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 22:22:15 ID:JnM2fWpq0
>>171
萌え死んだ。
何かもう感情のやり場が見つからない・・・!gj
174風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 23:19:56 ID:mUc5RRuC0
細かいこと言うようで大変申し訳ないんだが。
ナンバリングは1/4形式の方がありがたい…と思うのは自分だけだろうか。
175風と木の名無しさん:2007/04/04(水) 23:35:01 ID:jVX1u2ow0
長いからね・・・1/4形式のほうが親切かもしれない
176風と木の名無しさん:2007/04/05(木) 00:13:27 ID:XRJFzUmI0
自分もここ最近ちょっと気になってた。>ナンバリング
177風と木の名無しさん:2007/04/05(木) 01:12:37 ID:pnVJha/F0
>>171
ハナヂフイタヨー
もうGJすぎて言葉が見つからない
178風と木の名無しさん:2007/04/05(木) 04:36:50 ID:1jwYgV5J0
>>171
GJGJGJ!禿萌えたよ!サイコーだ!

ナンバリングは、1/4形式の方がたしかにいいかもね
でも、「あ、まだある!」とwktkして読むのも良かったりする
179風と木の名無しさん:2007/04/05(木) 16:05:46 ID:HVKlOSRQ0
>178
確かにそれも楽しいけど、それがデフォになっちゃうと、
イライラする人もいるんじゃないだろうか、とか言ってみたり。
自分も1/4形式に賛成ノシ
180171:2007/04/05(木) 21:11:55 ID:FEn3bOuGO
1/4形式にすべきでした…!大量の癖に気が回らなくて申し訳ない。
自分の不手際で不愉快な思いをさせてすみません。
以後気をつけます、ご指摘ありがとうございました。

萌えのお言葉はありがたく頂戴いたします、多謝(´ェ`*)
181風と木の名無しさん:2007/04/05(木) 21:26:02 ID:lfvP1T8U0
>あああエロ有無の注意喚起忘れてるし!(´・ェ・`)
>萌えのお言葉はありがたく頂戴いたします、多謝(´ェ`*)

変な顔文字キモイ
182風と木の名無しさん:2007/04/06(金) 00:07:11 ID:QC8M6dc2O
>171
百万回保存しますた!!1!!
GJ!
183風と木の名無しさん:2007/04/06(金) 12:23:10 ID:R//CTuCe0
>>181
ネタにマジレスカコワルイ
184風と木の名無しさん:2007/04/06(金) 15:13:15 ID:qXLqYMM3O
右から来たら左へ受け流し
上から落ちてきたらただただ見てるんだぜ
185風と木の名無しさん:2007/04/06(金) 15:31:37 ID:4wLpYqRk0
>>184
ちょwムーディww
186wwwwっうぇwwwwっうぇ:2007/04/06(金) 19:07:37 ID:RmXAJ3Hi0
ageageでいくおwwっうぇwっうぇwっうぇw
187風と木の名無しさん:2007/04/06(金) 21:22:44 ID:YYNcTMHoO
流石兄弟GJ!!!やっぱり弟×兄いいわぁ。
一年後のお花見している二人を想像してさらにもぞってしまった…。
188風と木の名無しさん :2007/04/07(土) 02:15:11 ID:f9/BDcmZ0
姉者最強(・∀・)
兄者かわいいな…

流石兄弟は自分には未知の世界だと思っていたが
>>171のせいで新たな扉が開かれてしまったジャマイカ
189風と木の名無しさん:2007/04/07(土) 23:10:04 ID:5YZFOyho0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  イ反面ライダー比゛キ 2005年バイク乗りだモナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  息吹と明日無の比゛キさんの取り合いだカラナ
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190イブ・アス×ヒビ 1/6:2007/04/07(土) 23:10:57 ID:5YZFOyho0
息吹さん。
オニに変わって敵を倒すその人は、普段からなんというか…オニだった。

僕、足立明日無は今日も今日とて、学校帰りに走って立華に来ていた。
やっと比゛キさんの弟子になれた僕は張り切っていた。
同じく弟子になったキリヤ君は今少し離れてしまっているから、
ここ数日は僕と比゛キさんの二人でトレーニングの毎日だ。
まだなんの力も無いからマカモウが出ても僕には何もできないけれど、体力だけは少しずつ付いてきた気がする。
比゛キさんは今自身のトレーニングから帰ってきてシャワーを浴びている最中。
ここからは僕の師匠に切り替わってくれるんだ。
お店のテーブルに座って比゛キさんを待っていたら、お客さんが入ってきた。
「こんにちは明日無君。何ニヤニヤしてるのかな?」
「あ、い、息吹さん」
笑ってたかな…比゛キさんの事考えてたから…
息吹さんは比゛キさんよりも10歳くらい若いオニの人。
聞く所に寄ると宗家の人とかで、先祖代々オニなんだという。
幼い頃から当たり前のようにオニになる修行を積んできた人だ。
容姿端麗、育ちの良さも見るだけでわかるような、なんていうか…王子様みたいな感じの人だ。
「どう?修行の方は。」
「あ、なんとかやってます。…比゛キさん、丁寧に教えてくれるんで。」
息吹さんはよく微笑んでいる。
いつもにこにこしていて、さわやかで、素敵なお兄さん…に見える。
ほんと、誰もが振り返りそうな王子様…に見える。
だけど、だけどなんていうか…うまく言えないんだけど。
「比゛キさん、背中流すのうまいよね。」
「え?」
…こういう、突拍子も無い事を、言って来るんだ…。
191イブ・アス×ヒビ 2/6:2007/04/07(土) 23:11:51 ID:5YZFOyho0
なんていうか、なんていうか、     恐 い  ……。
「え?せ、なんですか?」
にっこり微笑まれた。
女性が見たら一目で恋に落ちてしまうような、王子様の微笑みが、僕にはひどく、恐い。
息吹さんは僕の座っていたテーブルの向かいの椅子を引き、腰掛けた。
あぁ、また今日もなんか恐い話するつもりだ…
「背中だよ?」
「あの…言ってる意味がよく…」
修行の話してたような気がするんだけど、なんでいきなりこうなったんだろう。
息吹さんがどう?って振ってきたはずなんだけどな〜…
「比゛キさん、トレーニングの後とか必ずお風呂入るじゃない」
「そうですね。今もなんか、入ってるみたいで」
「なんで君ここに居るの?」
「…というと…?」
「僕なら一緒に入るけどなぁ」
…その発想は無かったわ。と、言いたい。
言いたいけど、きっとこの人はテレビとかあんまり見ないおぼっちゃまなんだろうなぁ
「僕はあの、これからがトレーニングなんで。」
「あ、そっか。じゃあ夜だね。」
「いや夜も家に帰るつもりです。」
「なんで?」
「なんでって…」
「『比゛キさん一緒に入りましょう』って言えばいいじゃない」
「えっ?!僕がですか??」
「そうだよ。」
「いやそんな、一緒になんて、ほんと無いですよ!」
「入りたくないの?」
「いやっ…あ、ていうか…あの、考えた事無かったっていうか」
192イブ・アス×ヒビ 3/6:2007/04/07(土) 23:12:25 ID:5YZFOyho0
「じゃあ今考えてごらん。比゛キさん、そのうち必ず誘ってくるよ。」
「えええっ比゛キさんから誘ってきてくれるんですか??しかも必ず?!な、なんで…?」
「だって比゛キさんそういう人だから。」
そういう人だから。
確かに、そういう人ではあるけど、なんだ。
なんか一瞬期待しちゃった自分が居て、少し情けなくなる。
でもそうだよな、比゛キさんてそういう人。
屈託無く、なんの隔たりもなく、意図もなく、気軽な感じでさ…
ていうかこの間息吹さんと一緒に入りに行くのかな?って感じの発言してたし。
まぁ僕はあの時かなりなんか焦ったっていうか嫉妬…したんだけど。
聞けないし、もんもんとしちゃって自分の中で気持ち整理するの大変だった。

でもなんで「今考えてごらん」なんだろう?わからない。
わからないけど…息吹さん、やっぱりなんだか恐いなぁ
心の中にずいずい入り込んでくる感じの人だ。
僕が黙っていると、息吹さんは片手で頬杖をついてニコニコしながらまた話しだした。
「比゛キさんねぇ、一緒に入ると背中流してくれるんだよ。」
「あ、そうなんですか…」
「あれ?テンション低くなったね。やっぱり一緒に入りたくないの?」
「は、はぁ、そういうわけじゃないんですけど…」
「裸見られるのが嫌とか?」
「いや………あのでも確かに見られるのはちょっと抵抗ありますけど。」
「あー…比゛キさんの裸を見るのが嫌?」
「ええっ?!」
比゛キさんの裸?!
なんていう事を言われたら、どうしてもそういう想像をしてしまう。
裸の比゛キさんを、お風呂場で目を瞑ってシャンプーをしている比゛キさんを…。
あ、かわいいかも…
193イブ・アス×ヒビ 4/6:2007/04/07(土) 23:13:00 ID:5YZFOyho0
「顔、赤いね。」
にっこり微笑む、王子様。…うぅ、恐い。
「そっかー、照れ屋さんなんだね、明日無君は。」
「はぁ…」
「気にする事無いよ。比゛キさん何も気にしない人だから、堂々としてればいいんだよ。」
そうだよな…
比゛キさんて、そういう人だもんな。
「でも偉いね若いのに。」
「………。え、何がですか?」
「僕なんかは逆に比゛キさんのそういう所を利用しちゃうからさぁ」
…気のせいか、背筋がひやりとした。
「り、利用…ですか」
「うん。何されてもね、気にしないみたいあの人。」
「………」
「どんだけ平気なのかな〜?と思って色々試してみたけど、よっぽど直接的な事しなければ大丈夫だったよ」
にっこり。
ああぁ……恐い。
「それにね、ダメだよー一人で入らせちゃ。たまにのぼせてるからね。」
「…。息吹さんは…その、一緒に…」
「うん。この間も入ったよ?比゛キさん、脇腹洗うとくすぐったいって逃げるんだよ〜」
にこにことそんな話をする。
「まだ一緒に入った事無いんだよね?」
「…はぁ。」
「じゃあやっぱり今入って来ちゃえば?」
「えっ?」
「比゛キさんお背中ながしまーすって、入っちゃえばいいじゃない。」
「そ、それはちょっと、」
194イブ・アス×ヒビ 5/6:2007/04/07(土) 23:13:34 ID:5YZFOyho0
だからなんでそうなるんだろ。さっきから僕は今からがトレーニングだって言ってるのに…
それになんだか、僕をどうしたいのかわからない。
見透かされているのか…うん、まあ確実にそんな感じだけど…
その上で応援してくれてるのか、それとも…牽制してるのか…
「僕なんか小さい頃そうやって入っていったおかげで今も比゛キさん無防備なんだよね。」
にこにこ。こ、恐い。
「いやー…ちょっと…」
「じゃあ僕が入っちゃおうかな?」
「ええっ?!」
「嘘だよ。それに…もう間に合わないかな。
今頃ねぇ、ああ、明日無がそろそろ来てる頃だな、早くあがらなきゃーってなってるよ。」
「……。」
「最後にもう一回顔を洗うの。」
「…。」
「髪の水気を切って、」
「…。」
ばたん、と奥で音がする。比゛キさんがお風呂から出たらしい。
息吹さん…本当に恐ろしい人だ。
『明日無ーーー来てる?ごめんなーちょっと待ってー』
「あ、は、はい!!」
にっこり。息吹さんが微笑む。あぁ…怖い。。

「ごめんごめん。あっ息吹も来てたんだ」
「ええ。比゛キさんいい匂いですね。」
確かに、ふわりとフローラルの香り。
水分を含んだ髪の毛、肩にかかったタオル、ジャージ。
これからまた僕のトレーニングだからいつものスウェットじゃないんだな、
なんて事を考えて何故だか少し嬉しくなった。
195イブ・アス×ヒビ 6/6:2007/04/07(土) 23:14:13 ID:5YZFOyho0
「えー?俺のシャンプー切れてたんだよね。霞のシャンプー使ったのバレるかな〜?」
「きっと怒られますよ。」
「よーし。じゃあ、ばれない内に明日無っトレーニング行くぞっ」
僕が返事をする前にすかさず息吹さんが比゛キさんの腕を掴んだ。
驚いてよろけた比゛キさんは、息吹さんの胸に倒れ込んだ。
がっしりした比゛キさんを支えられる腕力と、華奢だけど比゛キさんより高い背丈…
なんだか、嫌な光景…
「なんだよ息吹ぃ!」
「ダメですよ比゛キさん、髪の毛乾かさないと。今、冬ですから。」
「そのうち乾」
「僕が乾かしてあげましょうか?」
「…悪いねぇ」
えーーーーーーーっ
息吹さんが僕の方を見てにっこり笑った。
比゛キさんは、こうして操縦するんだよ。とでも、言っているようだ…。
僕から見たら大人でかっこいい比゛キさんは、他の人の前ではなんだか子どもみたいだ。
髪の毛を乾かして貰いながら落ち着き無く僕や息吹さんに話しかけてくる。
「この間の得々市でさー!」
あれが安かった、これがお得だった、と嬉しそうに話している。
あ、耳たぶ触られた。あ、うなじさすられた。
もう、比゛キさん本当に気付かないんだから…

息吹さんはにこっと僕に微笑みかける。

あぁ…やっぱり、息吹さんはなんだか恐い。
196風と木の名無しさん:2007/04/07(土) 23:15:01 ID:5YZFOyho0
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197風と木の名無しさん:2007/04/08(日) 01:03:54 ID:nyBl0jkyO
>>196
GJ!無防備でニブチンな、比"キさんに萌えまくりマスタ…。
ウブな弟子にも萌え萌えです。(´д`)
198風と木の名無しさん:2007/04/08(日) 03:35:56 ID:RDZ8g/+O0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  和泉源泉記 司×スーパーヒーロー
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ヒーローの貞操観念はおいといて…
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199風と木の名無しさん:2007/04/08(日) 03:37:22 ID:RDZ8g/+O0
人というのは変わるものだと、司はこの数ヶ月で嫌というほど味わった。
いや、進行形で『味わっている』といえるだろうか。
狭い自室は生活の匂いが乏しく、猫の額ほどの窓から差し込む光は弱い。
必要最低限に据えられた家具、通信機器、万年床と化した簡易ベッド。
それでも馴染んだ場所のはずだった。
見慣れているはずの天井がひどく遠く感じるのは、今の特異な状況によるものだろう。
司のファミリーはメンバーが総じて若く、見目も悪くない。
リーダーである自分の贔屓目はあるだろうが、出入りするほかの組員からもからかい混じりで羨まれることだってある。
危険な地域に赴くことだってあるが、少ない人員で事を進めるには単独行動もやむをえない。
いかに優秀で信用に足るとは言えどもそれとこれとは話が別。そういった事態も想定して司なりに対応策を講じてはいるのだが…
『…やっぱりそういう事態だよなぁ…。これは』 
ミイラ取りがミイラに… 
否定しがたい現実に溜息を吐いた。つもりだったがそこには確かな熱が篭っていて、司はわずかに動揺する。
案の定、自分に跨っていた少年の胡乱な視線が突き刺さった。
瞳の際は潤んでいたが、逆らいがたい強さを併せ持っていて、司はへらりと笑い返した。受け流す術は心得ている。
件の少年は斜め上から司を見下ろしていたがすぐに興味を失ったのか、さっさと作業に戻っていった。
息を殺し、薄く汗を刷いた腰を揺らめかして快楽を貪る。 
亜麻色の髪が何かを拒むように振られるたびに司は手を伸ばしかけるが、結局手持ち無沙汰なまま脇に戻した。
縋るものなど必要としないだろう、彼は。勝手に結論付けて司は意識を別に向ける。
こと考えるのは、自分と少年を結びつける唯一の接点である旧友のことだった。

一度くらい抱いてやっても良くないか?
だが、互いに喰らい合うことしか出来ない二人を結びつけるのは、司にとって不利益だった。
ただその理由だけで少年を抱く自分を長年の親友はどう思うだろうか。
…今この場に踏み込まれたら、間違いなく眉間に一発だろうなぁ。
容易に浮かぶ情景に苦笑しつつ、司はデスクに残してきた小山のような事後処理要件に思いを馳せた。
200風と木の名無しさん:2007/04/08(日) 03:38:36 ID:RDZ8g/+O0
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 | |                | |           ∧_∧ 新装版もイイけど本編もね!
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201風と木の名無しさん:2007/04/08(日) 07:39:37 ID:hEi5ZQnd0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  カブト テンドXカガーミンです
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  マジか遊ばれてるのか・・・・・・
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202テンドXカガーミン1/4:2007/04/08(日) 07:42:24 ID:hEi5ZQnd0
穏やかな休日の午後。妹は友達と遊びに行き、夕方まで帰ってこない。
出掛けに『友達と食べてくる』と言っていたか。
まぁ、たまのことだし、どうせ帰ってきてから食べなおすんだから、許してやるか。
作務衣を着て、明るい陽光の射す居間で、音楽を聞きつつ、新聞を読み、茶を飲む穏やかなひととき。
心が洗われるとはこのことだ。天道は目を閉じ、清々しく馥郁とした煎茶の香りを胸一杯に吸い込んだ。
その静けさが突然、壊された。
バタン!
「天道!」
「・・・・・・無粋なヤツだ。」
樹花のヤツ、鍵をかけていかなかったな。バタバタと走る足音を聞いて、天道は顔をしかめた。
せっかくの穏やかな休日もここまでか。天道は新聞を畳み、溜息をついた。
「天道、お前!」
部屋に飛び込んでくるなり、加賀美はテーブルにダン!と両手をついた。はずみで湯のみ茶碗から飛沫が飛び散る。
天道は眉をひそめて、テーブルを見やった。
「お前、どういうことだよ!これは一体!」
加賀美が早口でわめき始めるが、天道は目を合わせようともしない。軽く目を伏せ、湯のみを手に取る。
「暢気に茶なんか飲んでる場合か!」
「お前もたまには落ち着いた時間を過してみたらどうだ?少しはまともになるんじゃないか?」
203テンドXカガーミン2/4:2007/04/08(日) 07:43:44 ID:hEi5ZQnd0
にやりと笑って差し出された湯のみを、加賀美は押しのけ、なおも天道に詰め寄る。
「だから、どういうことだって聞いてるんだ!」
「それをお前に説明する必要はない。」
今にも、うーっと唸りそうな表情で加賀美が睨む。天道はその様子を見て、おかしそうに笑った。
「何、笑ってんだよ!お前なぁ!」
また、加賀美が吠え始める。天道にとってはどうでもいいことなのに、加賀美にとっては捨て置けないことらしい。
「そんなこと、地球の歴史から考えたら、大したことじゃないだろう。」
「ふざけるな!」
軽くあしらう天道の言葉に、加賀美のボルテージはますますヒートアップする。
天道は腕を組み、手の甲で顎を支えた姿で、わめく加賀美を眺めた。もちろん、話の内容は聞いちゃいない。
ぎょろりとした目を更に大きく見開いて、大きな口をパクパクさせて、身振り手振りも大げさに。よくもここまで熱くなれるものだ、と感心する。
だが、そろそろ止めてやらないと、血管が切れてしまいそうだ。
「どうにか言ったらどうなんだ!」
加賀美が叫んで、テーブルをドン!と叩く。その反動でガチャンと音がして、湯のみが倒れる。湯飲みに半分ほど残っていた茶がテーブルに広がった。
不定形の液体がテーブルの端で踏みとどまるのを確認してから、天道はすいっと腰を浮かし、加賀美に触れるくらいまで顔を近づけた。
204テンドXカガーミン3/4:2007/04/08(日) 07:44:44 ID:hEi5ZQnd0
「何だよ・・・・・・」
天道の大きな瞳に見つめられて、加賀美の威勢が削がれる。
すべてのことを見透かしてしまうような天道の目。ここで目をそらしたら負けてしまう。
絶対、天道より先に目をそらせてなるものか!と加賀美は目に力を込めて、天道と見詰め合った。
・・・5秒経過。二人は見詰め合っている。
・・・10秒経過。まだ二人は見詰め合っている。
・・・15秒経過。天道が動いた。
ちゅっ・・・・・・
加賀美の目が大きく見開かれる。
唇ニ触レル、コノ柔ラカイモノハ何ダ・・・・・・
・・・20秒経過。二人とも動かない。
何デ天道ノ顔ガ目ノ前ニアルンダ・・・・・・
・・・25秒経過。
加賀美の顔が下から赤くなっていく。
コレハ天道ノ唇ダ・・・・・・
・・・30秒経過。
エーット、エーット、ドウシタライインダ・・・・・・
ちゅぱ・・・・・・
唇が離れる。
唇と唇の間を唾液の橋が繋いでいる。きらりと光って、二人をつなぐ橋がはじけた。
205テンドXカガーミン4/4:2007/04/08(日) 07:45:44 ID:hEi5ZQnd0
さぁ、これで少しは静かになるだろう。
天道はゆったりとソファに座りなおし、新聞を開いた。
あぁ、忘れてはいけない。テーブルに零れた茶の始末をしなくては。
天道はティッシュペーパーを数枚取り、テーブルを拭いた。
「あ、あ、あ・・・」
加賀美は口元を押さえて、わたわたと動いている。それを目の端にとらえながら、天道はゆっくりと新聞のページをめくった。
湯飲みにわずかに残った茶をぐっと一息に飲み干す。冷めてしまったが、緑茶の清々しい味わいは残っている。
茶碗をかかげて、もう一煎淹れようかと考える。
「うわー!」
加賀美は自分と天道を交互に指差し、頭を抱えた。
床でごろごろとのた打ち回る加賀美をまたいで、天道は台所へ入った。
さっきは静岡の茶だったが、次は宇治の茶にしようか。玉露・・・は気分ではない。玉露は朝の鮮烈な空気の中で喫してこそ、その価値がある。
今の気分にふさわしいのは、香ばしい焙じ茶だな。天道はやかんをコンロにかけて、棚から茶筒を取り出した。
「加賀美。お前もどうだ?」
天道の声にびくりと加賀美は動きを止め、恐る恐る顔を上げた。
「焙じ茶だ。お前にもわかる味だと思うが。」
「いや、お、俺はいい。ちょ・・・・・・ちょっと急用を思い出した。ま、また・・・来る。」
首まで真っ赤にして、加賀美は入ってきたときと同じくらいバタバタと出て行った。
「まったく面白いヤツだ。」
天道は唇の端で笑い、加賀美が出て行く後ろ姿を見送った。
206風と木の名無しさん:2007/04/08(日) 07:47:53 ID:hEi5ZQnd0
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 | |                | |           ∧_∧ カガーミンはおもちゃにされるのが似合うデツ
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207風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 02:33:21 ID:63dE+Wde0


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                     |  某歌手×某俳優
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  片方故人ですがスミマセン…しかも暗い
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 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ハツトウコウ。AAズレテタラゴメソ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
208某歌手×某俳優 1/3:2007/04/09(月) 02:35:03 ID:63dE+Wde0

仕事から帰ると、薄暗い部屋のなかで留守電の存在を告げる黄緑色のランプが怪しく点滅していた。
僕は部屋の電気も付けずに点滅するボタンを押した。
ピーと、機械音が人気のない部屋に鳴り響く。
「メッセージが14件あります。」
僕はシャツのボタンを外す手をとめ、耳を澄ます。
時計の針は夜中の2時を回っていた。

見慣れたマンションのある一室の前でインターホンも鳴らさずにドアノブを回した。
思った通り、鍵はかかっていなかった。
僕はいつものように何も告げずに部屋に入った。
ミュージシャンである彼の、仕事場のこの部屋にはいつ訪れても彼しかいない。
廊下の突き当たりの部屋から漏れてきたのは、ライトスタンドの明かりとつたないギターの音。
僕が一番好きな彼の曲の旋律だった。

ドアを開けると、床に座り込みソファの縁にもたれかかって、ギターを弾いていた彼が顔を上げた。
「来てくれたのか。」
彼は無邪気な子どものような笑みを浮かべてギターを置き、僕に隣りに来るよう手招きをした。
「また飲んでたの?」
僕は彼のそばに座りながら、机の上に並べられたおびただしいビールの空き缶を見て聞いた。
「おう。」
そう笑って彼は僕に、手近に置いてあった飲みかけのウイスキーの瓶を差し出す。
どうやらだいぶ酔っているらしい。
僕はその瓶を受けとり口をつけずに再び机の上に置いて、彼の方に向き直った。
「どのくらい飲んだの?」
今後は少しキツい口調で問いただす。
すると彼は母親に叱られた子どものように俯き、「見ての通りだよ。」とポツリと言った。
「あんまり飲みすぎると体壊すよ。もうすぐツアーなんだろ?」
そう言いながら僕は軽くため息をつき、先ほどの飲みかけのウイスキーの瓶を手に取って片付けようと立ち上がりかけた。
するとグイッと腕を掴まれ、あっという間に彼の腕の中に抱きこまれる。
とっさのことに、僕は瓶を床に落としてしまった。
瓶は大きな音をたてて転がり、僅かに残っていたウイスキーがフローリングの床に零れた。
209某歌手×某俳優 2/3:2007/04/09(月) 02:36:25 ID:63dE+Wde0
「いかないでくれ。」
彼が僕の耳もとでそう呟いた。
「ずっと…俺のそばにいてくれ。」
「…どしたの?」
恐らく返事はないだろうと思いながら、そう答える。
黙りこくってしまった彼の表情は窺い知ることは出来ないが、きっと寂しそうな、泣きそうな表情をしてるに違いない。

誰かに裏切られたり傷つけられたりする度、彼は酒に溺れて孤独を紛らわそうとする。
それでも寂しさを忘れることが出来ない時、彼が必ず呼び出すのは僕だった。
どんなに夜遅くでも疲れていても、いつも僕が彼のもとに駆けつけたのは、受話器の向こうから聞こえる陽気な声の裏に
どうしようもない孤独に押しつぶさそうになっている彼の叫びが、僕には聞こえる気がするから。
きっと僕がいないと、この人は傷だらけの心を抱えて壊れていってしまうだろう。
何かに怯え、縋りつくように僕をこうして抱きしめるのも、珍しくはないことだった。

「俺にはお前しかいないんだよ…。」
「んっ…」
彼が僕の肩にくちづける。
そして、首筋、頬、瞼へと順々に、触れるだけのキスをする。
彼のくすぐったいキスや吐息に流されないように必死で背中にしがみついている間に、気がつくとソファに押し倒されていた。
顔を少し離し、右手で優しく僕の髪を梳きながら彼はフッと微笑んだ。
「お前はお前のままで、俺のそばにいてくれるだけでいいんだ。」
覆い被さる彼がまっすぐな瞳で僕をみつめ、「な?」と小さく返事を促す。
家庭のある彼のそんな願いに、いつも僕は答えに詰まる。
それは友としてだろうか、それとも…
彼の本意がどんなものであれ、敬愛の情と恋い焦がれる想いの間で苦しむ僕には、その問いに頷くことなど出来るはずもなかった。
210某歌手×某俳優 3/3:2007/04/09(月) 02:38:15 ID:63dE+Wde0
「あ……っ」
首元に感じた鋭い痛みに僕は思わず声をあげる。
つけていたネックレスがチャリッと音をたてる
それは以前、僕がどうしようもなく打ちのめされ酒に酔いつぶれて眠り込んでいた時に、彼がつけてくれたものだ。
見ると僕の返事が無いのに焦れた彼が、そのネックレスの辺りに1つ、2つと朱を散らしていた。
「ちょ…っ…」
初めてのその行動に慌てて制止しようとするが、痛みの向こうに見え隠れする快感に言葉がでず、逆に彼の背中に回した腕に力をこめる。

「なぁ…お願いだ。」
まるで子どもの様にそう繰り返す彼の切羽詰った声に、僕は恐れにも似た気持ちを抱いていた。
きっとこの問いにイエスと答えてしまうと、もう戻れなくなる。
そんな予感がしていた。
僕は何も言わず、彼の首元へ腕を回す。
それが返事だと受けとったのか、彼の顔がゆっくりと近づいてきた。
僕は彼の熱を唇に感じながら目を閉じた。

いつも彼の熱いくちづけや抱擁は、けれどもけして一線を越えることはなかった。
その日も僕を抱いたまま眠った彼の寝息を聞きながら、窓の外がだんだん光に満ちてくるのを眺めていた。
すっかり朝になり、肌寒い空気に街が動きだす気配がする頃、僕は彼の腕からそっと抜け出した。
深い眠りについている彼にシーツを掛け、そのままになっていたウイスキーの瓶とビールの空き缶を片付ける。
机の上に水を入れたグラスと二日酔いの薬を置き、部屋を出ていこうとした。
しかし、ふと思い直し別室に行って紙とペンを探した。
ようやく見つけたそれに、「また来ます。」と小さく走り書きをして部屋に戻り、グラスと薬の横に添え置いた。
後ろを振り向くと、ソファの上で眠っている彼の薄く開いた唇にそっとくちづける。
彼の寝顔をしばらく見つめた後、後ろ髪を引かれる思いで僕は静かに部屋を出て行った。


その僅か3日後、彼は僕の手の届かない遠いところへいってしまった

end
211風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 02:39:08 ID:63dE+Wde0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ホントゴメンナサイ。デモモエテシマッタンダ…「シェリー」トカスキダヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
212儀明日白衣→元皇子:2007/04/09(月) 03:15:18 ID:+wxmnq2+0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

儀明日の白衣→元皇子
幼い頃に面識があって、岸になる誓いとかしてたらいい
213儀明日白衣→元皇子:2007/04/09(月) 03:16:08 ID:+wxmnq2+0
彼のまだ小さな手の指先からは、滑らかに音楽が紡ぎだされた。
緩やかな、穏やかな楽曲、あるいは弾むようなロンドを好んだ彼の音楽は、聞く者の心を浮き立たせその脳裏に幻想の風景を映して見せた。
けれど、彼の置かれた世界の環境では「音楽」は武器には成り得なかった。兄弟には芸術を、特に絵画を愛した兄もいたが、あくまでも道楽とみなされた。
その道楽さえも、ある程度立場が確立されていなければそんな余裕などない。
今、上階の窓から漏れ聞こえてくる旋律は、記憶のものよりも幾分技巧が落ちてしまっているようだった。

「あら、ピアノ」
一歩下がって隣を歩んでいた部下の女性がつられて足を止め、窓を見上げる。
軍部施設を追い出された牛寺派に快く、とはいかないが、場所を提供してくれた学園の、理事長室へと型どおりの挨拶を済ませた帰りだった。
高等部校舎の脇を歩んでいた口イドの耳に、鍵盤の音が飛び込んできたのは。道に面した教室の窓が開いている。音楽室なのだろう。
確かめるように何度か単音が弾み、続いて和音が重なる。少しの間をおいて、ピアノソナタが始まった。
「学生さんかしら?上手ですね」
(もーっと上手だったんだよぉ)
口イドは部下の感想を心の内で訂正する。
彼が妹にせがまれて、またその妹と母親のために毎日ピアノを弾いていたあの頃は。
本国を追われ日本に渡り、きっとその間ピアノに触れることも少なかったのだろう。記憶をたどりながら、多少ぎこちなく白黒の鍵盤上を動く指を思い描く。
ほら、フォルテに癖が出た。
選曲は整然とした行進を思わせる、騎士の行軍。テンポが上がる。旋律が弾ける。
「ナイト目亜……」
「え?」
その瞬間、口イドの中で全てが繋がった。彼の頭の中に描かれる、戦略図。ソナタは終盤。
薄い色の目を細め、くるりと背後を振り返る。向き合った部下へと読めない笑顔で笑いかけた。
「早く戻らなくっちゃねぇ」
「あ、はい」

(みぃつけた。僕の皇子様)

音楽は嘘をつかない。
214儀明日白衣→元皇子:2007/04/09(月) 03:19:25 ID:+wxmnq2+0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

唐突に思いついて書いたはいいが扱いに困ったため棚を借りました
お目汚し失礼しました
215風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 03:26:11 ID:Y53eJ/PP0
>>211
キター*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
この2人は美味しいネタがありすぎてどんどんヤバイ妄想が駆け巡っちゃうけど、
プラトニックな感じがやっぱりらしくて萌えた。GJ!
216風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 03:58:17 ID:uxo6Zmm/0
>>211
GJGJ!!!!
凄い待ってた!
この2人読んでみたいと思っていたんだ。
彼らの強い絆は今でも繋がっているんだと思いながら読むと感慨もひとしお。
217風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 17:30:47 ID:EeXQiGPT0
>>211
某俳優って...Kさん...でつか?
あんまり詳しくなくて...

とりあえず大変萌えますた。ごちそうさま。
218217:2007/04/09(月) 17:41:11 ID:EeXQiGPT0
自己解決orz  弟分だった人ですね。失礼しました;;
219風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 18:44:14 ID:tiT9dag60
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
イ仮面ライダー 今人の浦→桃
あまりに萌えすぎて書いた突発ものですが
220浦→桃1/3:2007/04/09(月) 18:46:25 ID:tiT9dag60
「お前、何やってんだ?」

電ライナーに戻ってきた桃は、無骨なヘッドフォンを耳にあてている浦を不思議そうに見つめる。
だがその声は浦には届かなかったらしく、彼は桃を見ようともせず、じっと目を閉じていた。

「何だよ、無視かこの野郎」

不機嫌そうにドカっと腰を下ろす桃に、浦は薄く笑みを浮かべ、「聞いてますよ」と楽しそうな声を出した。

「……!」
「僕がセンパイの声を無視する訳ないじゃないですか」

すっとヘッドフォンを外し、テーブルの上に置かれた小さな音楽プレイヤーに手を伸ばす。
少しだけ漏れていたアップテンポな曲がピタリと止まり、電ライナーの走行音だけが食堂車に響いた。

「そうかよ」
「えぇ、もちろん」
「質問に答える気はねぇってか?」
「質問? あぁ、コレですか」

のらりくらりと言葉を繋げる浦に、桃は苛立ちを隠せない。
こいつはいつもそうだ。何もかも分かったような顔をして、桃を翻弄する。
浦の存在がどうしてこんなにも癇に障るのか、その答えは自分でも良く分からないけれど。
221浦→桃2/3:2007/04/09(月) 18:47:54 ID:tiT9dag60
「聞いてみます?」
「はぁ? 別に興味ねぇよ」
「まぁまぁ、そう言わずに」

ゆっくりとした動作で席を立ち、桃の耳元にヘッドフォンを押し付ける。
しばらくして聞こえてきたのは、先日良太郎と一緒にレコーディングした……

「お前っ! 何でこれ……!!」
「ハナちゃんに貰ったんですよ。このデモテープ」

しれっとした声で言ってのける浦に、桃は言葉に窮する。
別に浦に聞かれたからどう、というわけではないが、コレをネタにまたからかわれるのは御免だ。
ただでさえ、こいつにはいつも口で丸め込まれているというのに。

「羨ましいなぁ、と思って」
「は?」
「レコーディングですよ。今度は僕も歌いたいなぁ」

テーブルに肘を付き、ぼおっと天井を見上げる浦に、思わず頬が緩んでしまう。
何だ、単に羨ましがってただけか。それなら、こっちも相手しやすいってもんだ。
222浦→桃3/3:2007/04/09(月) 18:49:23 ID:tiT9dag60

「ケッ。年功序列って言葉くれぇ知ってんだろ?」
「まぁ、知ってますけどね」
「俺の方が先輩なんだからな。まぁ当然だろ」
「ハイハイ。分かってますよ、センパイ」

すっと立ち上がった浦の背中がどこか寂しげで、桃は思わず彼を呼び止めてしまう。

「な、なぁ」
「何ですか?」
「そんなに良太郎と一緒に歌いてぇのか?」

桃の言葉は彼にとっては意外だったらしく、浦は無言のまま桃を真っ直ぐに見据える。
その視線に耐え切れず、桃は小さく顔を背けた。

「な、何だよ」
「……何でもないですよ、センパイ」

妙なアクセントを付けた台詞を残し、浦はそのまま食堂車を出て行った。
後に残された桃は浦の真意に気付くわけもなく、「何なんだよアイツ……」と、ガシガシと頭を掻いた。

ねぇ、センパイ。
僕があの曲を聴いていた理由も、羨ましいと言った理由も、全部センパイが好きだからって言ったら信じてもらえますか?

「無理だろうなぁ。僕、嫌われてるし」

くすり、と自嘲気味に笑みを浮かべ、浦は手の中のヘッドフォンをぎゅっと握り締めた。
223浦→桃:2007/04/09(月) 18:51:07 ID:tiT9dag60
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
良太郎&桃の挿入歌聴きながら書き殴った話
浦→桃が好きすぎて仕方ないんだけど、うまく表現できん……
224風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 18:58:03 ID:WekZXlp80
>>196
王子様にはめられているよ!!萌える文章ありがとうございました!
そして弟子の今後の頑張りに期待している。
225風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 20:29:59 ID:alPK/lz0O
>>223
キタ――(*゚∀゚*)――!!!!!!!!
萌えすぎて息が苦しい、ありがとう姐さん!
226風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 22:29:07 ID:xQkI5Pex0
>>223
亀→桃キタ(・∀・)コレ!!
今、読みたくてたまらんかぽーだったので
うれしさくらいまっくすですよ!
227銀事件 澄→鉄 1/4:2007/04/09(月) 22:30:27 ID:ItP9nD7n0
銀事件 澄夫→鉄さん
数日前にプレイしてがっつりハマった

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


花見に行こうと言われたのは午前二時を少し過ぎた頃だった。
面倒だったヤマが終わり、数日ぶりに落ち着いて眠ることができると仮眠室でゴロゴロしていた時だ。
外は静かに雨が降っている。事件は最終的に内部の人間が関与しているものだった。硝煙の匂いがまだ鼻に残っている。
あんなに疲れていたのに、上手く眠ることができない。眠すぎると案外素早く眠ることはできないのは、あの人も同じだったらしい。
薄暗い部屋に目が見える。窓から差し込む車の光で、一瞬全身が映し出された。
「四月だな」
「そうですね」
「花見でも行くか」
「いつ?」
「今」
「今?」
俺は疲れているし、多分あの人も疲れているだろうし、夜中だし、しかも雨だ。
何を言っているのかと俺が起き上がると、あの人も起き上がって首をコキコキ鳴らして、
「行くか」
と言った。
多分、嫌がることはできたんだろうが、俺はなぜか「はい」と返事をしてしまっていた。
228銀事件 澄→鉄 2/4:2007/04/09(月) 22:31:08 ID:ItP9nD7n0
傘をさして出かけたのは、署からそう遠くない小さな公園だ。
東屋に入る。少し水が漏れていたが、大した問題ではなさそうだ。
一応桜はライトアップされている。しかし雨のせいで不安定な軌道を描いて散り続けているので、あと三日も保たないだろうことは分かってしまった。
「寒いな」
「ですね。でも酒はあるし」
ワンカップを開けると、鉄さんがそれを軽く持ち上げた。俺も同じように持ち上げる。
「乾杯」
「おう、乾杯」
「何に乾杯してるんですか」
「事件解決と、あとまぁ、桜だな」
無言で飲みながら桜を見た。元々そんなに飲める方ではないから、段々と酔いが回ってくる。
しっとりとしたテーブルにべたりと張り付いて、二本目の瓶を開けた。鉄さんが何か言っているのは見て分かるが、ああ、とか、うん、とか生返事をするだけになっていく。

…ミクモに、桜は、あっただろうか。
あったような気がする。いや、あった。ただ枯れていた。俺が生まれる前は立派なものだったらしい。
だから人工の桜を植えたんだ。俺達はあの桜を見るのが大好きだった。
秘跡と冬樹と理留と一緒に登った。理留は可愛いサンダルなのにひょいひょいと登ってた。あの時パンツ見えたのは今でも覚えてる。
ピンク色の世界で、あの時、僕らは確かに、幸せだったんだ。
229銀事件 澄→鉄 3/4:2007/04/09(月) 22:31:57 ID:ItP9nD7n0
ふいに小突かれた。その方向を見ると、鉄さんが何か言っている。
「すいません」
「お前、そういや前から弱かったもんなぁ」
ああ、心配してくれているのか。
真っ暗だし、雨だし、寒いし、二人だけだし。でもなぜか悪い感じはしない。
それは多分、鉄さんが本当に僕のことを大事に思っているのが分かるからだ。
大概のことは目を見れば分かる。鉄さんはあまり嘘を言わないし、言ったとしても僕には分かる。
だからたまに悪態をついても、僕のことは心底では大事なんだ。
鉄さんの手を握り、目を閉じる。脈拍が聞こえて、何か嬉しかった。
多分驚いたのか一瞬身を引かれたけど、僕は気にしないで言った。
「普通、絶対耳になんか音って入ってくるでしょう。でも僕には入ってこないんです。不安定なこの鼓動しか分からない。
 だから、人の脈を聞くと、安心します」
引き込んで勝手に腕枕にする。温かいと思った。思えたことが嬉しい。
「手にキスしたら怒りますか」
顔を伏せたまま訊いた。答えなんか見たくない。鉄さんに嫌がられたら耐えきれない。
答えの代わりに、余った手で頭を撫でられた。
230銀事件 澄→鉄 4/4:2007/04/09(月) 22:33:06 ID:ItP9nD7n0
肘から布の上を滑り、ガサついた手の甲を口唇でなぞった。ひっくり返して、木の水分を吸って少し湿った手首を吸う。スーツの裾で隠れるかどうかギリギリの場所だ。
口唇の内側に、鉄さんの速くなった脈を感じる。雨の匂いと、慣れた煙草の匂いが混じる。
衝動的に強く引き寄せて鉄さんの口にキスをした。逃げてほしくないから両手首を掴んでテーブルに押し付ける。嫌がった顔を見たくないから目を閉じる。
キスというより密着しただけの行為だ。それでも、顔を振って嫌がったりされないのをいいことに、口唇を舌でなぞって確認する。
顔を離すと、椅子に座って目を開ける。鉄さんが頭をぽんぽん叩いてきたので、泣きそうになった。
「酔いすぎだ、お前」
雨は一層強くなり、酒の残りももう少ない。それでも、俺は確実に今幸せなのだと思った。
「うるせぇよ、ジジィ」
まだ笑っていられるから。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
この二人が大好きだ。
231風と木の名無しさん:2007/04/09(月) 23:31:50 ID:0JPATGs7O
>>211
ありがとうございます!
この二人はこんなカンジだね
文字面では決してフィクションじゃないというw
ありがとうございました
232風と木の名無しさん:2007/04/10(火) 00:14:30 ID:zN2avvCf0
>>211
待ってました!
リアルにもっと色々ありそうですね。
妄想が止まりません。
233風と木の名無しさん:2007/04/10(火) 02:29:41 ID:E4cWPgGl0
>>227
グググGJ!懐かしいな…スミせつなくてキュンキュン来た
久々にちょっと再プレイする気まんまんになってまいりました
234風と木の名無しさん:2007/04/11(水) 00:35:29 ID:RS1n3+RP0
>>201
亀だけどGJGJ
読んだあと井井友で中の人みて
萌えたよー
235タイーガ オヤカタ様×隻眼軍師 1/2:2007/04/11(水) 15:25:48 ID:SXT1XL4R0


先週放映分に萌えまくってしまった……
リバでも読んでいただけるようにしたつもりです。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



灯心の頼りないあかりの元、カンスケはその背を荒波のごとく弾ませていた。
なめし革を思わせる肌、そこへ縦横に走る古傷。
けして見目のよい、手触りもよい代物ではないはずが、若き主君は醜き傷跡の一つ一つ残らず
愛おしゅうてならぬと口づけてくださった。
もう幾度、その若さに翻弄され精をほとばしらせたか。
もう幾度、まばゆいばかりの情の熱さに焦がれ死にますると口走ったか。
「お許しくだされ、もうそれがしは精魂尽き果ててございまする」
「ならぬ、ならぬぞカンスケ」
昼間とは異なる、睦言めいた口ぶり。カンスケはそれだけで背中の産毛がぞわりと逆立ってしまった。
うなじにほつれた毛をかきあげられ、手を重ねられ、指を絡められた。
誘いの手管と、わからぬカンスケではなかった。
「お屋形様……お許しくだされ、ご勘弁くださりませ」
「何を申すか」
若き主君は闊達に笑い飛ばした。
「わしは未だ、カンスケの奥義を知り尽くしてはおらぬぞ」
低められた囁きと供に、主君の躰が背におおいかぶさってきた。
太股の裏に押しつけられた、炎の如く熱く逸った陽物。
「夜明けはまだまだ先ぞ。さあカンスケ……」
主君に無精髭の残る顎先を舐められ、カンスケは武骨な目元を染めた。
236タイーガ オヤカタ様×隻眼軍師 2/2:2007/04/11(水) 15:28:19 ID:SXT1XL4R0

「誠に造作をかける」
明け方まで事を励み、カンスケの足腰は役立たずになっていた。
若き主君の手配りで迎えを差し向けて貰わねば、カンスケは屋形に帰参することすら覚束なかっただろう。
しかし、先代よりタケダ家に仕えるイタガキは迎えに馬でもなく輿でもなく、大八車を用意したのだった。
カンスケは指一本も動かせぬ疲労を抱えたまま、大八車に大の字になっていた。
ゴロゴロと石を踏みしめる大八車は乗り心地も悪いが、それ以上に道行く者の好奇の目にさらされる。
これでは生き恥だ。そもそも躰中にちらされた跡が袖口や襟元からちらちら見え隠れするのも気恥ずかしい。
ばーーーーか、とののしりたいのはこちらだとカンスケは心中で毒づきたくもなる。
「しかしだな。おぬしも不惑を越えておるだろう。
もう若うはないのだから、ほどほどにせぬか。ほどほどに!」
「は」
なにもかもが、このイタガキにはお見通しらしい。
それ以上に、若き主君との夜もどうやら認められたらしい。
その面はゆさに、カンスケは小さく頬をかいた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
元ネタ提供くださった方々に感謝。
さて次回はどんな萌えが待っておるかのう!武者震いが(ry
237風と木の名無しさん:2007/04/11(水) 15:54:24 ID:UFrVeJhE0
>236
テラエロス
良い仕事でした!
238風と木の名無しさん:2007/04/11(水) 16:11:57 ID:exxXPiVWO
>>236
GJでした。
イタガキに萌えたw
239風と木の名無しさん:2007/04/11(水) 16:21:58 ID:KkIZIu+v0
>>236 (・∀・)ヤッテクレル! エチー!! エロイナ!!!
240風と木の名無しさん:2007/04/11(水) 20:14:11 ID:Q8sQaOtB0
>>236
大八車キタ――(゚∀゚)――!!
絶倫親方さま萌エス萌エス
241風と木の名無しさん:2007/04/11(水) 21:11:08 ID:0TWwiQeb0
>>227
亀だけどGJ!
スミオ病んでるよスミオ
242風と木の名無しさん:2007/04/12(木) 15:43:37 ID:wp8gK08+0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < ラッキーマソの三兄弟長男×三男です
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < Hありで近親相姦な上にたぶん鬼畜です
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < ではどうぞ・・・。
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
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243ラッキーマソ 勝利×努力 1/10:2007/04/12(木) 15:48:14 ID:wp8gK08+0
「・・・ど、りょく、・・・い、い?・・・」
「あァ、んっ・・・あぁ゛ァあ、いぃ゛ッ!・・し・・しょ・・ぅ・・!」

家に帰ってきて、弟の部屋の前に来ると
愛しい末弟の淫らな喘ぎ声と
ベットが大きく軋む音。
数分の間、わけもわからず立ち尽くした。

これは夢なのか。現実なのか。
頭が痛い。震える手を握り締めて家を出た。
近くの飲み屋に駆け込んで酒を浴びる程飲んだ。

何も考えられなかった。何も考えたくなかった。
あそこで何が起こっているのか
俺は見たくも、想像もしたくなかった。


「遅いですよ兄さん、しかもまた酔っ払って!」
「・・うっせーな・・・・ヒック・・・・」
「もう、起こされる身にもなって下さいよ・・・」

朝の2時を回って家へ帰ると、努力がドアを開けてくれた。
昼間の艶かしい声じゃない、俺の聞き慣れている凛とした声。
酔ってフラフラの俺を抱えて、努力は俺の部屋まで連れていってくれた。

「お酒は控えてってあれだけ言ってるのに」
「・・・俺の・・勝手だ・・・馬鹿野郎・・・・」
「・・・しょうがないなぁ兄さんは・・・」
ベッドに俺を寝かせ、毛布をかけてくれる。
「よいしょっと・・・・・冷たい水でも持ってきましょうか?」
「・・・相変わらず・・・ヒック、面倒見のいいこった・・」
「・・・当たり前ですよ。兄さんが大切なんですから。」
244ラッキーマソ 勝利×努力 2/10:2007/04/12(木) 15:51:24 ID:wp8gK08+0
すこし照れた顔つきで、俺を見つめる努力。
「お願いだから・・・あんまり無茶しないでくださいね。」

暖かい眼差しを向けながら、俺の手を握にぎる。
同時に俺の頭の中で昼間の声が鳴り響く。
(・・・ぁぁあっ!・・・・・・ひっ・・・・・んっ・・・・そ・・こぉ・・)
「じゃあ、ちょっと待っててください。水持って来ますから」

丸みのある幼い顔立ちと体つき。薄くしなやかな筋肉。
赤ん坊の様な肌、長い睫毛、綺麗な黒髪。
そして、炎の様に燃える大きな紅い目。

弟して以上に、俺はこいつに惹かれていた。
幼さと激情が入り混じった、不安定な危うさに。
少しバランスを失えば、簡単に脆く壊れてしまいそうな。
俺が一生守ると誓った、世界で一番大切な存在。
気が遠くなるような長い年月の間、ずっと恋焦がれて
やっと俺の元へ戻ってきたのに。
俺だけのものだと、思ったのに。

「はい、兄さん。水と酔い止めの薬です」
「・・・いらねェ」
「飲まなきゃだめですよ。酔いが醒めないじゃないですか」
「・・・・・」
(・・あァッ!・・・も・・っ・・と・・ォ・・・・・っ・・・!)

・・俺の努力が、あの男に体を預けたのか。
「・・・・勝利兄さん?」

・・・・許せねぇ。
努力は俺だけのものだ。
他の誰にも渡しはしない。
245ラッキーマソ 勝利×努力 3/10:2007/04/12(木) 15:54:22 ID:wp8gK08+0
そう思った瞬間、
努力を押し倒して、両腕の自由を奪った。

「?!兄さん・・・な、何・・・を・・」
目を細め、ゆっくりと努力を見下ろす。
怯えた顔で努力が俺を見つめている。
少し震えてるのが掴んだ腕から伝わる。
「お前と、お前の師匠があんな関係だとは、な。」
「・・・・!!!」
努力の大きな緋色の目が
これ以上無い程に見開かれる。
「なん、で・・・・」
「あんな大声で喘いでたら誰にだって聞こえるだろ、馬鹿じゃねか」
「・・・・!」
薄暗い部屋の中でも、こいつの顔が真っ赤なのがわかる。
「・・・・お前だとは信じられないほど、色気のある声だったな。」
「ち、が・・・・・・・・・」
「お前にそんな趣味があったとは知らなかった。男相手にあんな事を、なあ」
腕を一層強く握ってやった。怒りにまかせて、力の限りに。
「!・・つぅ・・っ!」
「何とか言えよ」

切なげな目で真っ直ぐ俺を見ながら、
努力がゆっくりと口を開く。
「兄さん、ごめんなさい・・・
家の中で・・不謹慎だったのは認めます・・・で、も・・・・・」
「・・・何だよ」
「私・・・・その・・・師匠のこ、とが、好き・・で」

振り絞るような、努力の告白。
「・・・・・・・好き、だと?洋一を?」
「・・・ハイ・・・」
246ラッキーマソ 勝利×努力 4/10:2007/04/12(木) 15:59:46 ID:wp8gK08+0
俺は努力の「兄」だ。恋人でも何でもない。
こいつが誰を好きになろうと、
俺には怒る権利も嫉妬する理由も無い。
わかっているはずなのに。
努力が好きなのは、あの男。
俺は・・・・こんなにもお前の事ばかり考えているのに?

「ごめんなさい・・・・実の弟が、男同士で・・・
あ、あんなこと・・しているのをみて、兄さん、が・・軽蔑しているのはわかっています」
「・・・あァ?」
「・・・・でも・・・でも・・私・・・師匠に・・少しでも
振り向いてもらえるだけでも嬉し、く、て・・・」
「奴は・・・洋一は、美代って女が好きなんじゃなかったのか」
「・・・みっちゃんに・・・は、勝てないって・・わかって・・いても、師匠に、求められるだけでも私、は・・幸せ・・・で・・・・・」

「・・・奴は、お前の事なんとも思ってないのに抱いたのか?」
「兄さん、お願いです・・、ぜん、ぶ、・・私が望んだ事・・だから・・師匠を責めないでください・・・・・」
「な・・・・」

怒りが湧き上がる。
利用されて踏みにじられているのに、
悲しむどころか喜びとして甘んじているのか。

「お前、そこまで・・・奴のことを・・・・」
「・・・師匠の気を・・引く事ばかり考えていて、おかしくなりそうなんです・・っ!」

・・・ああ、こいつの心に俺はいない。
俺の存在は、努力をここまで掻き乱せない。
刻み込めない。
黒い嫉妬が心の中で渦巻いている。
247ラッキーマソ 勝利×努力 5/10:2007/04/12(木) 16:03:18 ID:wp8gK08+0
「・・・・・・努力」
頬を撫でながら言った。
「随分辛い思いをしたんだな・・・可哀想に」
「・・・兄さん?」
努力の体を覆うように上から跨ぐ。
「・・・俺が慰めてやろうか?」
「?!ぃっ・・ぁ・・・っ!」
首筋へと舌を這わせる。

思いが叶わないなら、叶わないままで。
努力を食らい尽くしてやる。
どうせ、既に他の男に汚された体だ。
この手で、もっと汚してやる。
「あ、あ・・・ひ、・・・っ、や・・!」
跡を付けるようにきつく吸い上げながら、口付けていく。
「やめ、やめてください!!」
掴んでいた努力の両腕を乱暴にサラシで拘束した。
「・・・っいた、ぃ・・!兄さん・・・っ」

「うるせえよ」
努力の顎をつかんで、わざと厭らしい音を立てながら、深く深く口付ける。
「ぁ・・・ふ・・・っ・・・んんっ・・っ!」
肌蹴た道着から見える乳首をこまねく。
「あぁぁ゙っっ・・ァッ・・・ぃや・・」
「全然嫌そうじゃねえぞ?努力」
「・・・・っ!」
「・・・いやよいやよも好きのうちって奴か?お前もスキモノだな」
「ち、ちが・・・あ゙・・・・ぁ・・」
そう言いながらも努力の体は柔らかくしなる。今度は舌を這わせてやる。
「!・・兄さん・・・っ!もういい加減に・・・・・あ、あ、あぁっ!」
「乳首だけでこんなんになるのか?相当感度がいいんだな・・・・」
「あ、あぁあ・・ん、うぅ・・」
248ラッキーマソ 勝利×努力 6/10:2007/04/12(木) 16:09:41 ID:wp8gK08+0
「ここも、もうこんなになってんな」
「あ、や・・っ!!」
努力の未成熟な、それでも張り詰めたペニスにそっと指先で触れる。
そのまま焦らすように柔らかい太股をゆっくりと撫でていく。
努力は顔を歪ませてもどかしそうに体を反らせ、刺激に耐えようとしている。

「体は正直だよな?努力・・・
兄弟同士でイケナイ事してるって、興奮してんのか?ハハッ・・・」
「・・・・・・・っ!!」
「・・・ま、俺もだけどな・・・見ろよ」
ズボンと下着をずらして膨張したペニスを見せると、努力は恥ずかしそうに顔を背けた。
「・・・・・ぃ、ゃ・・・!」
「いや、じゃねえだろ。何回も男に抱かれてる癖に」
「にいさん・・・なんで・・・なん、で・・・・こ、こんな事・・・!わた、私、たち・・・兄弟、で・・すよ・・・」
「起たせながら言っても説得力ねえんだよ」
もう一度、キスをした。蹂躙するようかのようなキス。
「ン・・!、んん・・・ッ」
一気に努力の下着を脱がせる。
「!!や、やめ、て・・・・・!!」

足を広げて、穴に指を一本入れて掻き回すと、
涙に濡れた顔が、快楽に耐えるように歪む。
「っ・・・・ひ・ぃ゙・・!!」
「ちっ、狭いな・・・・」
「いや、だ・・・いやだ・・・・いや・・・ッ゛」
「嫌な割りにはえらい締め付け様だけどな・・・ほれ、増やすぜ」
「あ・・・・・・・ッッ!!!」
指を二本に増やして、もっと激しく動かす。
「あ゛ぁァ!!ああ!ぁ・・んっ」
「良さそうだな、努力」
「ッ!ち、がう・・・ち、がうぅ゛・・!!」
見下す様に笑うと、目に涙を浮かべて否定する。
249ラッキーマソ 勝利×努力 7/10:2007/04/12(木) 16:12:57 ID:wp8gK08+0
「なあ、どうして欲しい・・・?」
「・・・ひ、っくぅ・・・っ!さい、て・・・最低・・です・・・兄さんっ・・!」
「体だけ利用されてるとわかっていて、師匠相手にケツ振ってるお前も結構最低だけどな」

心も体もズタズタに壊してやりたい。俺を選ばなかった罰だ。
「三本に増やしてやろうか?それとも俺のモンが欲しいか?
・・・いや、本当に嫌ならここでやめてやってもいいけどな」

わざと意地の悪い事を言ってやる。
「・・・・・・・・っ!!」
羞恥と困惑とが交じり合った目で俺を睨み付ける。

指を抜いて、俺のペニスの先端をを穴にぴと、とつけると、努力のそこがひきつく。
「ぁんっ!あ・・・・ッ!」
ペニスから先走りした精液を、
ヌルヌルと擦りつけながら焦らす。
簡単には、くれてやらねえ。

「ぁ、っ・・・ぃ・・・ッ!、に、ぃさん、・・・!」
「どうなんだよ?」
「・・・・・も、ぅ・・・・」
「嫌なら今ハッキリ言え。やめてやるから」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・ほ・・、・し・・・・・・・」
「聞こえねえな」
「・・・欲しいっ・・・欲しい・・・で、す・・・」

「何が?」
観念した様に努力が目を伏せた。

「に、ぃ・・さんの・・・ペニスが・・・・欲し・・・ぃ・・・・・」
250ラッキーマソ 勝利×努力 8/10:2007/04/12(木) 16:15:38 ID:wp8gK08+0
「・・・いい子だ」
一気に貫いた。
「ぁあああっ、あ゙あ゙あ゙ァあ゙あ゙あ゙ーーっ!!!」
少しだけ中を確認するようにゆっくり掻き回した後
獣のように激しく打ち付ける。
「あ゙、あ゙、あ゙、あ゙、ア゛ぁ、あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!」
「・・・は、ぁ・・・いい、ぞ・・・お前ん中・・・・」
「あ、ひぅ・・も、・・もっ・・と・・・いぃぃ、いいっ!」
甲高い喘ぎ声を上げる努力。
「オマエも、は・・ぁ、、良い・・、か?」
「い゛ぃ、いです、ぁあ゙ああぁっ!・・きもちいいぃい゛ぃ゙・・!!」
少し前の抵抗もどこへやら。完璧に淫欲の虜になっている。
「はは・・オイ努力、俺のと、洋一、の、どっちがイイんだよ」
「あああっっ゙ に、いさん・・・にぃさんのぉ゙ぉ゙・・・」

角度を変えながら突き上げて、突き上げて、
ぐちゃぐちゃに溶けそうな交わりを。
「はっ・・・お前、奴の事・・好きじゃなかったのか?」
「あ・・ぃ・・ひ・・・兄さん、の・・・ほう、が、きも・・ちぃ゙・・あぁぁあ゙!!」
理性も何もかも吹っ飛んだらしい。狂ったように努力が叫ぶ。
「・・・ハハッ・・・!・・・そうか、よ・・・・」
至高の快楽。もっと早くこうすれば良かった。

「あん!にいさん、にいさん、にいさん・・・ッ!」
「・・・・は・・・っ・・・ぁ・・、どりょ、く・・・」
何度も何度も何度も打ち付ける。
深く、深く。もっともっと。
「ぁあ゙ぁ・・・・っ!しょう、り、にぃさ・・・あ・・イ゛ぃぃ・・・!」
全て、欲しいんだ。
俺の名前を呼ぶ声が愛おしい。俺だけの、可愛い努力。
もう誰にも渡さない。触れさせない。
こいつを傷つけていいのは俺だけだ。
251ラッキーマソ 勝利×努力 9/10:2007/04/12(木) 16:19:05 ID:wp8gK08+0
「ひ・・・あ゛・・・・・あんっ、い、ぃ゛ッ、ぃイ・・・ひぅ・・!」
「・・・はァ・・はっ・・・努力・・お前が動いてみろ・・・」
「あ・・っ?、んぅっ」
努力を乱暴に抱き起こして、俺がベッドの上に仰向けになる。
「ここに腰落とせ」
努力を俺の上に座らせると、狂ったように腰を振り始めた。

「ぁんっ、あぁぁ゙、はっ、あ、ぃ゙っ」
努力の汗が、暗闇の中で妖しく照り光る。
髪を振り乱しながらもう正気を保っていないかのように
うつろに俺を見つめている。
「・・・っ、いいぞ・・は、・・・上手い・・な・・・」
「んっ、あぅ゙、い、ぃ゙・・はぁっ、あ、あぁあ゙あ゙・・・」
「とんだ淫乱だな・・・・お前・・・・」
下から腰を掴んで突き上げる。
「あぁぁあ゙っ!・・ひっ・・あ、ん、ぃ゙ぃ゙っ・・・・・・・・・」
それに合わせて努力も動く。

何故かふと、幼い頃の努力が頭に浮かんだ。
(兄ちゃん、兄ちゃん、兄ちゃん・・・)
可愛い、俺の大事な大事な弟。
俺のもの。俺だけの・・・。

「あんっ、あ、あ゙、あ゙ぁ゙・・・」
どんどん突きを強くしていく。
歯止めが利かない。こいつの中が溶けそうに熱い。
まるで夢を見ている様な気分だった。
努力も・・・・俺と同じ様に感じているのだろうか。
「・・・ァ、ァぁ、あ゙う゛!・・ぅ゙、ぃイ・・・っ!!」
努力の唇をそっと指でなぞった。
「俺の、・・・・・名前、言ってみろ・・・」
「・・ん、・・・・しょ、う、ァ、・・り・・・に、さ・ぁ゛・・・・ん・・・」
血の繋がった兄弟と体を貪り合うという背徳。
正義の名の元に戦う俺達には似つかわしくない、
最低で卑猥な・・・だが甘美な行為。
もう後戻りできない事もわかってる。
一緒に堕ちよう・・・・なあ、努力。

「あッ、ん、や゛!ぁぁっ、ア゛、あ゛あ゛ァ゛ぁ!」
「・・・・ッっ・・・・イク、ぞ・・・っ!」
「ぁっっ!ん゛、・・ぁ・・・・・ぁ・・・」
どくどくどくどく・・・・
かなり多めの量を、中に深く深く注ぎ込んだ。
努力も、ほぼ同時に俺の腹の上に撒き散らした。

「・・・・・・はっ・・ぁ・・・・・は・・・・・・っ・・・!」
一気に力が抜けたように、努力が俺の側に横たわる。
どろり、俺の吐き出したザーメンが努力の足を伝う。
ああ。俺は今努力を抱いたのか。
冷たい空気が一気に俺を現実に引き戻した。

上半身だけを起こして、努力を見下ろす。
努力は俺の方を見ないまま
大きく息を吐きながら、うつろげに宙を見ている。
「おい、努力」
努力の目からゆっくりと涙が零れ落ちて、頬を伝っていった。
「・・・・・・大丈夫か」
努力を拘束していたサラシを解く。
汗で努力の顔に張り付いた髪を払って、
額に軽くキスをした。

半開きした死人のような目から、ただ涙だけがぽろぽろと出てくる。
普段よりもずっと暗い色の瞳と、濡れた美しい睫毛にしばらく見とれた。
壊れた人形みたいだ、と思った。
253ラッキーマソ 勝利×努力 10/10 残り:2007/04/12(木) 16:25:30 ID:wp8gK08+0
努力を「裏切る」のはこれで二度目か。
不思議と後悔はしていない。
一応俺は選択肢を与えた。そして欲しいと言ったのはこいつだ。
動物のように喘いで善がって、
あまつさえ、洋一より俺の方が良い、と叫んだ。
努力に責任が無いわけじゃない。

被害者面して泣きやがって。
どうせ「師匠に顔向けできない」とかそんな事を考えているんだろう。
俺が今まで、どれだけ思いつめていたのかも知らないで。

「じゃあ、な」
体を起こし、こびり付いた体液をふき取り、
乱れた服を着直して
部屋を後にした。



リビングに戻って、ソファに座り煙草を吸う。
舞い上がる煙を見上げながら
努力はベットの上でまだ泣いているのだろうか、と
そればかり考えていた。

「何やってんだろうな・・・俺・・・」
俺は努力を愛し、努力も俺を兄として慕っていた。
それで十分だったはずなのに。
なのに何故こうなってしまうのだろう。

俺達は、すれ違い続けるのが運命なのかもしれない。
254ラッキーマソ 勝利×努力 おわり:2007/04/12(木) 16:29:03 ID:wp8gK08+0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < 以上です・・・。
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < キャラが別人ですみません
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 特に努力が淫乱でほんとすみません。
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
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255風と木の名無しさん:2007/04/12(木) 17:26:51 ID:ChMLBQjwO
原作とカプのチョイスにワロタが萌えたw
なつかしいなーラキーマソ読んでたよ
ついでに神聖モテモテ王国も大好きだった
私のなかでこのふたつは同じようなカテゴリだw
題材これで萌えな話書いた姐さんおつです
256風と木の名無しさん:2007/04/12(木) 19:24:07 ID:w0yZiITX0
原作の絵が思い浮かぶのに不思議と萌えたw
GJです
257風と木の名無しさん:2007/04/12(木) 23:25:28 ID:9+GrI3z70
GJ!あの兄弟好きなので禿萌えたよ!
258風と木の名無しさん:2007/04/13(金) 04:16:03 ID:6g7D5HPTO
読んでる最中にあの絵がチラついてニラニラしてしまったけど禿萌え〜!
そのチョイスにGJですよ姐さぁん!
259風と木の名無しさん:2007/04/13(金) 08:03:16 ID:wfzQnLtfO
お母さんが死ぬシーン(約束するとこね)が浮かんで、
兄さんに異様に感情移入しながら読みましたw
ちと泣いたorz
姐さんGJ、ありがとう。また原作読みたくなったよ。
260風と木の名無しさん:2007/04/13(金) 17:24:27 ID:NdvJ2cbU0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  赤僕 松本先生×菅野先生
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  久々に読み返したら萌え死んだ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 御免ちと長い・・・
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
261赤僕 松×菅 1/8:2007/04/13(金) 17:27:14 ID:NdvJ2cbU0
「っ…ごめん!!」
「……なんで、謝んの」
「え、いや…」
「これくらいで怒らないって」

懐かしい笑顔に胸が締め付けられて、はっと目が覚めた。一瞬自分がどこにいるのかわからなくて
慌てて辺りを見回す。向かいのベッドの老人と目が合い、どうしても慣れない薬の匂いを感じてやっと
ここが病院だと思い出した。日差しが暖かくて少しうとうとしてしまったらしい。
昔の夢を見た。数年前の苦い記憶は鮮明に僕の脳裏に焼きついているようで、ほんの僅かな
まどろみを通り過ぎた夢はやけにリアルだった。
きっと彼が僕の代理で勤めてくれると聞いたから、それで夢なんか見たんだろう。
そういえばあの頃の彼は少し髪が長かったっけ。今は…真面目な彼のことだからきっと教員らしく
短めに切り揃えているんだろう。それとも不精しているかな。
もう、随分会っていない。
そんな沈み込んでしまいそうな思考から僕を守ったのは可愛い生徒たちの来訪だった。
心配して訪ねてきてくれた生徒たちが無邪気に話す声に耳を傾けて僕もいろんなことを話して、
少しずついつもの自分を取り戻す。
すっかり先生の顔に戻った僕は、暗くなる前にと促して生徒たちを帰した。病室から出て行く
小さな背を見届けてから窓の外に視線を投げ、子供たちの家路を思う。長居させてしまったな。
「松本先生」
最初、子供たちだと思った。忘れ物をしたのだと。ドアの方へ振り向く。
そこには菅野光が――立っていた。
「菅野君、来てくれたのか」
声が出せたのが奇跡だと思う。笑顔が引きつっていなかった自信は、ない。

「教師を辞めるかもしれない」
久しぶりに会った彼が相変わらずだと感じたのは僕の勘違いだったようで、切れ長の瞳は伏せがちだし
陰りがあった。何か言いたくて口を開いたものの何を言えばいいのかわからなくて、沈黙が続く。
黙っていると、静かに感じていた病院にもいろんな音があるのだと気付かされる。
僕は遠くに響くストレッチャーの音を聞きながら言葉を探すけれど、どうしても見つからなかった。
だってきっとめちゃくちゃに傷ついた彼に、引きずるななんて誰が言えるだろう。辞めるな、頑張れと
誰が言えるだろう。そしてそれでも、僕は彼に教師を諦めてほしくはなかった。
262赤僕 松×菅 2/8:2007/04/13(金) 17:28:39 ID:NdvJ2cbU0
俯いた彼を見る。髪、やっぱり短く切っていた。でも前髪はあの頃と同じくらいかな。彼がゆっくりと
瞬きをする。ふいに、愛しさがこみ上げた。ああそうだ、触れたくても身体が動かないこの感じ。
あの頃もこんな風に、彼に恋してた。
「こんなときに言うのは卑怯かな」
呟くと彼が少し顔を上げる。話す相手をじっと見る癖、変わってない。
「ずっと君が好きだった」
菅野君は驚いたように目を見開いて、そして困ったように眉を寄せた。泣きそうにも、見えた。
「今は、まだ…答えは出せない」
「待つよ」
「すまない」
「ばかだな、何年片思いしてきたと思ってるんだ。今更なんともないさ」
彼の色素の薄い髪が日の光に透ける。僕はいつから、この髪に触れたいと思っていたっけ。



正直言って僕は彼が苦手だった。良くも悪くも率直で、真面目なように見えて冗談もうまい。
派手ではないけれど自然とみんなの中心に居るような存在。僕のような面白みのない人間からすると
彼は近寄り難く、そして畏怖と羨望の対象だった。だからなるべく彼の目に留まらないように
していたし、そもそも彼は僕のことなど見えていないだろうと思い込んでいた。そんな認識が
覆されたのが、二回生の秋。
その日教室に行った僕は、なんとなく違和感を覚えて一瞬立ち止まる。けれど何が違うのか
ピンと来なかったのであまり気にせずいつも使っている席についた。講義開始までの暇つぶしにと
読みかけの本を開き、少し物語の中に入りかけたころ、どさりと乱暴な音と共に机が揺れた。
顔を上げるとそこには布の鞄が置かれている。鞄を持つ手から腕、肩、そして顔へと辿っていくと、
冷めた目が僕を見下ろしていた。
「菅野君…?」
「今日、休講だぜ」
「え?ああ…」
彼の言葉が届いた周りの数人が席を立つ。そうか、さっき感じた違和感は人の少なさだったのか。
一人で納得して、なら学食にでも行こうかと立ち上がりかけた僕の隣に菅野君は静かに腰かけた。
それにつられて思わず座り直してしまい、気恥ずかしさを紛わすように彼に声をかけたのが、始まりだった。
263赤僕 松×菅 3/8:2007/04/13(金) 17:29:53 ID:NdvJ2cbU0
「か、帰らないの?」
彼と話すのはこれが初めてで、緊張から声が上擦る。彼は僕をじっと見てから口を開いた。
「教室空いてるだろうと思って本読みに来たんだ。松本君は休講って知らないかなと思って」
「……」
「余計なお世話だった?ごめんな」
「い、いや!違うんだ、ありがとう。ただ驚いて…僕の名前知ってるんだね」
僕の言葉に、彼は不思議そうな表情を浮かべる。
「だって学科同じだし、受けてる講義も被ってるだろ。松本君は出席率良いから覚えてるよ」
本当に驚いた。彼はそんな風に、自分と関わりのない他人を心に留めておくような人間ではないと
勝手に思っていた。嬉しさと、彼を誤解していた恥ずかしさで頬が熱くなる。
「それ、何読んでんの?」
「え?」
急に変わった話題について行けず問い返すと、菅野君は僕の手元の本を指差した。
「あ、最近流行ってるやつだよ。ホラ」
書店のカバーを外して見せると、彼はあからさまに眉を寄せる。
「それ面白いかぁ?」
「な、泣けるって言われてるけど…まだわかんない、かな…」
「泣けるか泣けないかを優劣の判断基準にする感覚がそもそもわからないな、俺」
うやむやに答えた僕に、温度の感じられない声で菅野君が言った。僕ならどんなに興味がなくても
「面白そうだね」と笑って済ませてしまう場面で、彼は戸惑いなく正直な意見を投げてくる。
なんだか居たたまれなくて俯いてしまいそうになるけど、そうしたらもう二度と彼とまともに
話せない気がして必死に堪えた。
「それは僕も、同感だけど…」
「まあ面白かったら教えてよ」
「う、うん!あの…菅野君は、何の本読んでるの?」
「三国志」
「歴史…好きなんだ?」
「それなりに。映画とかも時代モノの方が好きだな。松本君は映画見る?」
「有名な洋画とかなら、たまに…」
264赤僕 松×菅 4/8:2007/04/13(金) 17:31:02 ID:NdvJ2cbU0
「げー、俺洋画嫌い。特にハリウッドは駄目だな」
「あっあのでも邦画も見るよ!流行ってるの、ばっかりだけど…」
どうも好みが噛み合わず、慌てて言い添える。自分でも呆れるけど、僕は相手に同意できないと
落ち着かない性質だった。それにしたって露骨すぎたなと後悔しかけたとき、彼が笑った。
「何、必死になってんの」
眉尻を下げて、しょうがないなあと言う風に笑う彼を見て心底安心したのを覚えている。

それからというもの菅野君は頻繁に僕に声をかけるようになった。呼び名も君付けから
呼び捨てに変わり、一人暮らしをしている互いの部屋を行き来するようになり、僕はそのことに
内心でひどく浮かれていた。
「松本ぉ、この後なんかある?」
「ないけど」
「じゃあ飯付き合ってー。三限のレポートぎりぎりで昼飯食う暇なくてさ」
講義の直後、離れた場所に座っていた菅野君に声をかけられる。肩を組んできた彼の重みに
少しどきりとした。彼は意外にもスキンシップ過多で甘え上手で、そういう人付き合いに
あまり慣れていない僕はいつも焦りを隠すのに必死になる。早くなった鼓動に気付かれそうで
僅かに肩が竦んだ。
「ならうち来る?何か作るよ。ついでに録画頼まれてたビデオ渡したいし」
「行く。ラッキー、お前の飯うまいんだよな。食材費持つよ」
「いいよ、余りものでなんとかなる」
手早くノートや筆記具をしまってカバンを肩にかけると、菅野君の隣に座っていた彼の友人たちが
呆れたように僕らを見上げる。
「ホント君らいつのまにそんな仲良しになったの…」
「管野!松本くんに乗り換えてもいいけどノートだけは置いていけ!」
「誰が貸すか、ばぁか」
軽口を叩く友人の髪を乱暴に撫でて乱し、笑っている菅野君の横顔は外国人のように遠く見えた。
親しく話すようになった今でも彼は僕にとって羨望の対象であり、どこか自分と違った世界の
住人だという印象を拭えずにいる。そしてそんな彼と戸惑いもせず付き合える彼の友人たちが
羨ましかった。僕は彼にあんな風に話したりできない。
265赤僕 松×菅 5/8:2007/04/13(金) 17:32:12 ID:NdvJ2cbU0
彼が口ではあんなことを言いながら最終的にはノートを貸してあげると知っているし、きっと
そんな気の置けない付き合いこそ彼の求めるもので、そうできない僕は彼から一番遠い所に
いるような気が、する。
「行こうぜ」
向けられた笑顔が嬉しくて、胸が痛かった。

「うまい」
「ただのカレーうどんだよ」
「いや、うまいって」
昨日のカレーの残りで作ったものを菅野君は喜んで食べてくれて、あまり褒めるものだから
照れくさくなる。多めに作ったカレーうどんを全部平らげ、二人でさっさと食器や鍋を片付けた。
だらだらと話しているうちに夜も更けたのでいつものように彼は泊まることになり、先に風呂を
使ってもらう。今夜に限って扉ごしに聞こえるシャワーの音を妙に意識してしまって、テレビの
音量を上げた。風呂を上がった彼から逃げるように入れ替わりで浴室に向かう。
いつもと何が違ったのかなんてわからない。ただ、丁寧に畳んで洗濯機の上に置かれている
彼の使ったタオルが、まだ濡れたままの浴室の床が、生々しく彼の存在を僕に知らせて
息苦しさを覚えた。
「なあ、録画してくれたビデオどれ?」
浴室を出ると、彼が読んでいた本から顔を上げて僕に尋ねる。
「本棚の前に積んである中のどれか。背に何も書いてないやつだよ」
棚の前に積まれたビデオテープの山を指差すと彼は本を置いて本棚の前へ身を乗り出した。
ビデオは案外早く発見され、見ていい、と問われる。僕が頷くのを見ると彼は慎重にビデオデッキに
テープを入れた。
「お前、また感動系の小説増えてるな」
「う、うん・・・」
デッキを操作しながら話す彼の斜め後ろに座る。彼は再生ボタンを押して僕の隣に並んだ。
266赤僕 松×菅 6/8:2007/04/13(金) 17:33:35 ID:NdvJ2cbU0
「でも菅野君に借りたのも読んでるよ!意外と面白…」
「しおり、30ページに挟まってたけど?」
菅野君が目を細め、意地悪そうに微笑んで視線でさっき読んでいた文庫本を示す。
「う…で、でもホントに面白いとは思ってるよ。難しい単語が多くてなかなか進まないだけで」
「わかったわかった」
僕の必死の弁解を笑いながら、彼はテレビのチャンネルをビデオに合わせる。流れていたのは
録画した番組に入っていたCMの部分で、早送りするのかと思ったら彼はリモコンを置いて
こちらを向いた。ちょうど僕も彼の方を見ていたので目が合って、身体が固まる。
「お前ってほんとにフォローすんの、下手」
呆れたような笑いを含んだ声。笑うと少し子供っぽくなる瞳が僕を映していた。
気のせいなのかもしれないけど、距離が近い。
「まだ乾いてないぞ」
髪に手を伸ばされて余計に顔が近づき、湯冷めした彼の冷気が伝わる。色素の薄い細い髪の
間から覗いた目が少し細められる。上向き気味の睫毛が揺れた。
無意識なのか微かに唇が開かれ、その妙な艶めかしさに思考を奪われる。
一瞬できた無言の空間。心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかというくらい高鳴っていた。
本当に、何が違ったのかわからない。いつもなら慌てて身を離すのに、気付いたら僕は
吸い寄せられるように、彼の薄い唇の隙間を埋めるように、キスをしていた。
「っ…ごめん!!」
「……なんで、謝んの」
慌てて後ずさった僕を見るのはいつもの菅野君で、いつもの読めない口調で問いかけてくる。
「え、いや…」
じっと見つめてくる彼の唇がついさっき自分のそれと重なっていたのかと思うと眩暈がするくらいの
熱を感じた。もう言ってしまえばいい。好きだと認めてしまえばいいと思う一方で、今なら冗談で
片付けられると叫ぶ自分もいる。好きで好きでおかしくなりそうで、もう思ってることを全部
ぶちまけて終わりにしてしまいたかった。
それを防ごうとするのはもう少しでいいから彼の隣に居たいという馬鹿な願望。
自分がこんなに欲深だなんて思わなかった。友人という立場を手に入れたりしなければ
そんなことも知らずにすんだのに。
267赤僕 松×菅 7/8:2007/04/13(金) 17:34:23 ID:NdvJ2cbU0
もっと傍にいたい。一番近くにいたい。触れたいし触れてほしい。
叶わないとわかっていてもどんどん欲張りになっていく。こんなことを考えてるなんて知られたら、
きっと嫌われるだろう。
それでもいいやと思い切ることがどうしてもできなくて、でも長く長く続く苦しさを断ち切って
しまいたくて何も言えずに時間が過ぎた。
彼は僕の言葉を待つようにただこちらを見ていたけれど、しばらくすると浅くため息をついて笑う。
「これくらいで怒らないって」
穏やかに言った彼はどこか失望したような目をしていた。


結局それからも彼は普通に接してくれたけど僕は彼との距離がうまくとれなくなり、ゼミが始まったり
卒論や教育実習と生活が立て込んでくるにつれ関係は疎遠になっていった。
そして卒業式を境に会うこともなくなってしまったのだった。
あの頃のことを思うと、よくまあサラッと告白してしまえたものだと自分にびっくりする。
彼が初めて病院を訪れてから一ヶ月。もう僕は彼を見送るために学校の昇降口に立っている。
告白の答えなんてもうどうでもよくなっていた。彼が教師を続けたいと言ってくれた、それだけで充分だ。
本当に大学時代が信じられない程、心は凪いでいた。
「あ、そうだ松本」
靴を履き替えた彼が振り返る。一段低い位置にいる所為で上目遣いになっているのがなんだか可愛い。
「ん?」
「卑怯なのは俺の方だ」
「なに…が?」
268赤僕 松×菅 8/8:2007/04/13(金) 17:34:57 ID:NdvJ2cbU0
ドキリとした。告白と共に口にした言葉をそのまま返されて、どうしても意識してしまう。
「あの時俺は、キスしたいって目をしたからな」
何を言われたのかちゃんと理解できなくて、彼の言葉を何度か反芻する。あの時の彼の表情が
脳裏をちらついた。彼は少し黙って、淡々とした口調で続ける。
「本当は俺もずっと好きだった」
台詞の前の沈黙は戸惑いだったのかもしれない。珍しく俯く彼の耳朶が赤いのに気付いた途端に
抱きしめたい衝動が湧き上がってきて抑えるのが大変だった。嬉しくて、瞼の奥がつんと痛む。

「俺の部屋…大学の頃と変わってないんだ」
今夜、空いてたら。彼は俯いたまま小さく言って歩き出す。
「行くよ…っ」
背中に告げると彼は振り向いて微笑んだ。
初めて話したときと同じ、すこし困ったような笑顔だった。
269赤僕 松×菅 おわりです:2007/04/13(金) 17:36:03 ID:NdvJ2cbU0
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 | |                | |           ∧_∧ 子供の頃は純粋に見てたのに…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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270風と木の名無しさん:2007/04/14(土) 11:02:27 ID:B7k4t78zO
>>269
誰だったっけ?と単行本見返してから読んだけど
穏やかながらかなり萌えた!GJです
271風と木の名無しさん:2007/04/14(土) 16:24:18 ID:yvPnGm/cO
>269
GJ!!
思わず単行本引っ張り出しちゃったよw
まったり萌えた(*´∀`)
272風と木の名無しさん:2007/04/14(土) 23:09:32 ID:eg8TzLiP0
>>269
GJ!
続きが読みたいです。
273風と木の名無しさん:2007/04/15(日) 01:13:43 ID:cYKdEFSkO
>>269
GJ!!萌えマスタ!
出来たら続き希望です。
274風と木の名無しさん:2007/04/15(日) 13:00:30 ID:iKUeqb4hO
赤僕読んだ事ないけど萌えた〜!
続きが読みたいよ〜
275風と木の名無しさん:2007/04/15(日) 20:57:45 ID:FSmnuaYk0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  アベレージのカリヤ×アベ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   楽しんでいただければ幸いデス。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
276アベレージ 刈×安1/2:2007/04/15(日) 21:02:15 ID:FSmnuaYk0


・・・―君は本当に冗談だって、そう思ってる?


会社帰りにいつものコンビニに寄り、自動ドアをくぐる。
店内に足を踏み入れると、聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。
「はっ、そのやたらテンプルにカチンとくる笑い声は・・・」
「あーっはっはっはっはっはっ!安部くぅん!安部礼司きゅうぅん!!」
「刈谷勇!」
その男はコンビニの店内なのにも関わらず大声で笑い声をあげ
トレンチコートの裾をなびかせながら颯爽と安部の元へと歩み寄ってきた。
「相変わらずだねぇ、安部くんはぁーっはっはっはっはっはっ!!」
「もーうるさいなぁ。ここコンビニなんだからちょっとは静かにしろよお」
「ヤダぴょーん!だって、これが僕だから。
 ぎょめんねぇ。勝ち組で、ぎょめんねぇ。 ところで、何買いにきたの?」
「んっ?あぁ、ちょっとボールペン切らしてたからさあ。それと、カップ麺」
「あーっはっはっはっはっはっ!」
「なんで笑うんだよ」
少しムッとした表情になった安部を、心底面白そうに見つめながら刈谷は
「いやぁ、君があまりにもフツーなことを言うからさぁ。
 うぃ〜ねぇ、そのなんとも平均的な答え。決して、嫌いじゃないよ」
と言ってまた笑った。
「ていうかさ、なんでお前いっつもこのコンビニにいるわけ?」
すると刈谷は急に真顔になり、声のトーンを落とした。
「・・・聞きたい?」
277アベレージ 刈×安 2/3:2007/04/15(日) 21:11:07 ID:FSmnuaYk0

「あぁ聞くよ。聞いてやるから早く言えよ」
「それはねぇ・・・」
すでに呆れ気味な安部の耳元に唇を寄せ、刈谷は囁く。

「・・・君に会いたいからだよ」
「はあ、何言ってんの?気持ち悪い冗談はやめろよお」
「本当に?」
「え?・・っんう・・・っ!」
隙をついて刈谷はいきなり安部を店内の壁に押しつけると、深く口付けた。
「・・・っん・・・ちょっ、やめ・・・っんふぅ・・・ん・・・・・・っはぁっ・・・」
やっとのことで解放された安部は目尻に涙を浮かべ顔を紅潮させつつも、刈谷をキッと睨んだ。
「・・・っ・・・何す
「本当にそう思ってる?」
「んえ?」
「これでもまだ、冗談だって、思ってる?」
いつになく真剣な様子の刈谷に見つめられ、安部はその瞳から視線を外せずにいた。
「ねぇ、安部くん・・・」
「・・・ッ!」
再び耳元で熱い吐息を囁かれ自然と身体が反応してしまう。
278アベレージ 刈×安 3/3:2007/04/15(日) 21:13:23 ID:FSmnuaYk0
「お、俺は・・・・・・っ」
「なーんてね」
唐突に刈谷は安部の両腕を拘束していた手をパッと放した。
「冗談だよーん☆」
「っは、冗・・・談・・・?」
「分からなかった?」
「・・・そ、そっか・・・ははっ、冗談だよな・・・うん・・・」
半ば自身喪失状態の安部に刈谷はやれやれと両手を上げ肩をすくめた。
「こんなことも判らないだなんて、
 安部くんは本当にニブチン大王だねぇ〜あっはっはっはっはっはっ!」
「うっ、うるせぇよ刈谷!俺、もう帰るからなっ」
そう言って安部は未だ顔を赤くしながら店を出ていった。


店内に1人残された刈谷は、静かに溜め息を吐くと

「・・・・・・冗談なんかじゃないに決まってるじゃないか・・・」

と呟きそして、寂しそうに笑った。
279風と木の名無しさん:2007/04/15(日) 21:15:04 ID:FSmnuaYk0
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 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ありがとうございましたorz
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
280風と木の名無しさん:2007/04/15(日) 21:24:42 ID:+rMveymY0
>>275
GJ!2人の声で再生されたよw萌えに萌えました
やっぱり店内で迫るんだねカリーヤ
281風と木の名無しさん:2007/04/15(日) 21:50:44 ID:v1jcaQgbO
>>279
はは激しくGJ!
自分本スレ94ですが、なんかもう嬉しさやら萌えやらでいっぱいです。
個人的に最後がツボつきまくりでした。切ないよカリヤ
外からイイノが見て嫉妬してたりなんて勝手に考えてしまってさらに萌えました…
282風と木の名無しさん:2007/04/15(日) 22:10:03 ID:EuW89E1Z0
>>279
GJ!GJ!
禿げ萌えた(*´∀`)カリヤの高笑いがww
続き切望します!
283風と木の名無しさん:2007/04/15(日) 22:26:11 ID:aNhtDWqj0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  今年のイ反面ライタ゛ーネタをほのぼのでお送りします。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  皆がかわいすぎるから悪いんだー。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ イヤモウホントニ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
284電オー太郎ズほのぼの1/4:2007/04/15(日) 22:27:26 ID:aNhtDWqj0
「あーあぁ。せっかく余裕が出来ると思ったのによぉ。何でこうなってんだろうなぁ……」
「んぐぉー……ぐぅー」
「って、また寝てンのかよ!!手前ェ本当にいい加減にしろよ!?ふざけてんじゃねぇぇぇぇ」
「先輩。もう諦めた方が良いんじゃないですかね」
今日も今日とて電ライナーの食堂車中は賑やかである。
かなりマイペースに睡眠を貪る金と、それに突っかかる桃、その桃に冷静な突っ込みを入れる浦。
最近はこのパターンが定番になりつつある。
「とっくの昔に春は来てるって言ってるだろうがこの熊野郎!起きねェと頭かち割るぞこら!!」
「すぴー……ぐぉー……」
「……割れる頭なら良いけどねぇ」
怒鳴られようと頭を小突かれようと、やはり眠ったままの金の首を絞め始めた桃を見た浦はそう
呟くと、テーブルに頬杖をついてちらりと車窓から外の景色へと目をやった。
まあ、こちらも特に変わりのない景色なのだが。
「それにしても。本当にお人好しだなぁ」
「このこのこのこの……ん?どうした亀公」
「いや、ちょっとね」
「……りょうたろうの事やろ?」
285電オー太郎ズほのぼの2/4:2007/04/15(日) 22:28:10 ID:aNhtDWqj0
「あっ!!手前!熊の癖にタヌキ寝入りしてやがったのか!?」
「何言うとんねん。俺はしっかり寝とったで?」
ぎりぎりと音がしそうな程、桃に首を絞められていたにも関わらず金は平然と答えると、自分の
前の席に座っている浦へと視線を向けた。
「それで?何でわざわざそんな事言うとるんや?」
「改めて、お人好しだなぁとね。思ったんですよ」
「ンな事ァ今更じゃねェか。アイツは気弱でひ弱でお人好しで……えぇと、何だ。とにかく、
頼りないヤツだろ」
金の首に両腕を掛けていたのをようやく外し、桃は金の隣にどっかりと座ってふんぞり返る。
「俺達…特に俺が居なけりゃ今人とも戦えねェじゃねぇか」
「けど、そのりょうたろうが居らんかったら、困るのは俺らやろ。なぁ?」
「ま、そういう事です」
居眠り中の腕組み状態のままで言う金に軽く頷いた浦は、ふぅ。と大仰に嘆息して見せた。
「彼がお人好しじゃあ無かったら、僕もここに居なかったんですからね。これからは程々にして
欲しい物だけど」
弱い癖に頑固な所も有り、お人好しだがただ甘い訳でも無い。
彼ら三人が憑依している人間は、結構深い物を持っている。
その辺に浦は興味津々なのだが、他の二人が居るせいでなかなか探りを入れられない。
286電オー太郎ズほのぼの3/4:2007/04/15(日) 22:28:57 ID:aNhtDWqj0
「さすがに、これ以上増えたりはしねェだろ。そんなにゴロゴロお前らみたいなのが居たら堪んねェ
からな」
「自分の事は棚に上げて良ぉ言うわ」
「何だとこの熊公!皮剥いで鍋にされてェのかこら!!」
「まぁまぁ。余り騒ぐとオーナーから追い出されますよ?」
金の首を再び絞めようとした桃を浦は片手をひらひら振りながらやんわりと制し、もう一度嘆息する。
「なんや。えらいりょうたろうの事気にしてるんやなぁ。確かに、りょうたろうはお人好しやし優しい
し、心配な所も有るけど、お人好しやし優しいからりょうたろうなんやろ。違うか?」
自分の首に桃の両腕が掛かっているのも気にせず、腕組みすら解かずに金が言った。
「あれは大物やで。そやから、俺はりょうたろうと一緒に居る。りょうたろうが言うてくれるんなら
力も貸す。一緒に戦う。それで良いんとちゃうか」
「……直球過ぎて驚くなぁ」
浦は頬杖を止めると、小さく言って肩を竦めた。
今人である彼の表情は変わらないが、人間であれば間違いなく苦笑している所だ。
「僕はそんな風に思えない。あのお人好しさが僕に危険を及ぼす様な事になるのなら、それを回避する
為に何でもする。たとえ、りょうたろうが悲しむとしてもね」
「複雑なやっちゃなー」
287電オー太郎ズほのぼの4/4:2007/04/15(日) 22:29:37 ID:aNhtDWqj0
「どうにでも取ってくれ。僕は先輩達の様に単純じゃない」
「誰が単純だって!?手前ェみたいな嘘つきにンな事ァ言われたくねぇってんだよ、あぁん!?」
「うるさいわモモンガ。そないに喚いたら耳つーんとするやんか」
「誰がモモンガだ熊野郎!冬眠から覚めたんならきっちり起きてろ!!そもそもりょうたろうは俺が
最初に憑依したんだから優先順位一番は当然俺!!手前ェらは俺が面倒な時に出て来りゃ良いんだよ!
文句は無ェよな!!」
「……んぐぉぉ………ぐがー」
「って寝るな!一瞬で寝るな!さっき起きてろって言っただろうがこンのぉぉぉぉぉ!!」
「やれやれ……ナオミちゃん、コーヒー貰えるかな」
「はーい」
この騒ぎにも全く動じず、愛らしい笑みさえ浮かべてそれを眺めていた食堂車乗務員・ナオミに声を
掛け、浦は再び頬杖をついて目の前で暴れている(かなり一方的だが)桃と金を見遣る。
「全く……これ以上騒がしくならない事を祈るばかりだよ」

しかし、この浦の言葉が覆されるのがそれほど遠い日ではなかったりするのだが、今は誰も知らない
事である。
288電オー太郎ズほのぼの4/4:2007/04/15(日) 22:30:22 ID:aNhtDWqj0
 ____________
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ コトバヅカイニフアンガ…オソマツサマデシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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289風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 00:08:35 ID:n/UAbWcB0
>>288
GJ!
リョに対する今人達の気持ちが萌えすぎる!
本当にみんな可愛すぎるわ!
290風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 01:21:25 ID:v6CfB6Bg0
>275-279
まさかこの作品でSS読めるとはー!!
カリヤの高笑いも普通に脳内再生できた自分が嫌だwww
また気が向いたらお願いしたい
タイーガ オヤカタ様×隻眼軍師。
今週&先週放映分でひとつ。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




ぱしり。
手の中で小枝が折れた。
夕暮れの高遠城からあがる煙は、昨日と変わらない。それは『未だ城主に動く気はなし』を意味する。
それがしの見込み違いか……。お屋形さま……。
カンスケは歯がみした。
「おお、ここにおったかカンスケ」
「イタガキ殿」
豪放磊落な壮年の武将、イタガキ。いまだにうさんくさい目を向けがちな家臣団のなかでも、
このイタガキだけはやや好意的に接してくる。
それは、カンスケがお屋形様のお気に入りであるらしいと察してのことなのか、
旧知の仲(というにはあまりにも紆余曲折がありすぎたが)だからなのか。
「お屋形様がお呼びじゃ」
「このような刻限に?」
高遠城の煙も夕餉の支度のもの。この陣中ではさきほどすませた所だった。
そのような刻限から軍議が始まるとは、よほどの知らせがあったのか。
気色ばむカンスケに、イタガキは深々と息をついてみせた。
「夜伽じゃ、相手にそなたをご所望なのだ」
「……さようにござったか」
「そなた、よほどお屋形さまに気に入られたのだのう」
「さて、いかがでござろうか」
「ま、陣中でもあることだ、ほどほどにせい、ほどほどにな」
肩を叩き、イタガキは去った。
夜伽。
此度はゲンゴロウをはじめ、見目麗しい近習たちは参陣していない。
だが、それを抜きにしても度々若き主君はカンスケを寝所に召すのだ。
なにゆえ、この醜き己をお屋形さまは……。
カンスケは天を仰いだ。思いわずらっていても始まらない。
重い足を陣奥へ向けた。
「カンスケ、遅いぞ」
「申し訳ござりませぬ」
幔幕を張り巡らせた一角が、若き主君の為にしつらえられた寝所であった。
若き主君は鎧こそ外していたが、その下の籠手や脚絆はまだ着けたままだった。
「そちが脱がせよ」
「……は」
うやうやしく、カンスケは主の装束に手を掛けた。
思えば、夜伽のために主の装束を脱がせるのは初めてであった。
あの隠し湯での湯治の折。温泉ではもとより脱ぐも脱がすもなく、
また夜は宿直するつもりであったのに、主は寝所に引き入れて乱れに乱れさせられたのだ。
「あの隠し湯の折は楽しかったのう、カンスケ」
心の臓が口から飛び出しそうになった。
なぜこのお方は自分の心をこうまでみごとに読んでしまうのか。

あの隠し湯の一夜も、そもそもは
「古傷によい湯を知っておる。そう遠くもないゆえ、行ってみてはどうか」と
勧められたのが始まりだった。
一人で出かけた隠し湯は、流石に秘湯というだけあって人里離れた静かな湯治場だった。
濁り湯に身を浸せば、じんわりと四肢に温もりが広がる。
思うように動かぬ足をさすれば、具合も少しはよくなっているように思えた。
ばしゃりと顔を洗えば、鼻歌のひとつもでようというものだった。
「気に入ったか、カンスケ」
「お屋形様!?」
ここにいるはずのないお人が、そこにいた。しかもするりと湯の中に身を浸したのだ。
あまりにおそれおおい事態に、カンスケはとりいそぎ湯から出ようとしたが、
反対にがっしりと手を掴まれ阻まれた。
「ようやく、二人きりになれたのう……カンスケは嫌なのか」
「さようなことはござりませぬ!お屋形さまと同じ湯に入るとは……
むしろ恐れ多いことにございまする」
「ならば、皆には内緒じゃぞ?」
無邪気な笑みを浮かべ、頬の触れるか触れぬほどまで顔を近づけられては平伏もしたくなる。
だが濁り湯がそれを拒む。
耳まで赤くなりぶくぶくと潜水するより他はなかったカンスケに、
若き君主の快活な笑い声が降り注いだ。
太股に、萎えた足に手を這わされた。
「この隠し湯には、そなたとわししか居らぬ。夜は頼むぞ」
「は」
あれは純粋に警護を命ぜられたと心得ていたが。
あの折りのお屋形様こそ、『兵は詭道なり』を実践してみせたといえるのではないか……。


主君の足元に跪いたまま、カンスケは頭を振った。今宵はまごうことなく、夜伽を申しつけられたのだ。
「おそれながら、お屋形様。それがしに夜伽とは、どのような……」
「夜伽は夜伽じゃ。それ以外に何がある」
「しかし、それがしは醜うござる。お屋形様も仰せでございました、『悪鬼に見える』と」
「未だ根に持っておったか」
若き君主はカンスケの手に手を重ねた。ぱちり。どこかで篝火が爆ぜた。
宵闇と同じ黒い瞳に呑まれそうになり、カンスケは思わず主君から目線を外し、伏せた。
「許せカンスケ、そなたを見ておるとからかいたくもなるのじゃ」
主君の手が、カンスケの耳をくすぐる。
「何故であろうな、のうカンスケ……」
「お屋形さま」
眼帯が外された。潰れた目を戦塵で荒れた唇がなぞり、カンスケは躰を震わせた。
また、あのめくるめく快楽がこの身にふりかかるのであろうか。
「カンスケ……」
古傷を甘く噛まれ、カンスケは主君の背に腕を回した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

エロ少なめ鬼畜度数増加で申し訳ありませぬ……。
そればかりか文章量も見誤りまり申した……
この詫びは腹かっ捌いて(ry
295風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 03:14:39 ID:sbCBMCya0
>294
待たれよ294度の、某萌え申した!
この続きを見ぬことには萌えが収まりませぬ
ぜひともこの後の光景、隠し湯の夜のことなども・・・・・・
296風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 06:01:03 ID:P9WfZKjA0
>>295
抜け駆けは許しませぬぞ!w

>>294
某も萌え申した。
あのめくるめく快楽とやらを詳しくお聞かせくだしあ
297風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 09:41:56 ID:Izcv33F60
>294
GJ!! 温泉と陣中、2倍楽しめた気がします。
298風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 09:48:12 ID:15Hwk0BL0
299風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 14:26:05 ID:U6xPGtJH0
>>298
この「【棚】感想スレ」って、風林火山専用?
300風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 15:38:22 ID:s8zn1y1K0
>>299
そうみたいだな。
棚全般の感想掲示板ならまとめサイトにあるよ。
301風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 19:12:11 ID:dG9aUHWB0
上げてるし何か信用しがたいんだが。
302風と木の名無しさん:2007/04/16(月) 22:23:24 ID:nGTWpuX50
ナマモノスレにはこういうふうに晒す馬鹿が必ず出るよね
要するに嫌がらせだろう
303日食 :2007/04/17(火) 12:52:37 ID:1oh+rt2H0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  擬人化で日食
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  月×太陽
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

304日食 1/3:2007/04/17(火) 12:53:16 ID:1oh+rt2H0
 天空に輝ける存在。全ての生命の源。
 唯一無二に見えて、けれどそれはありふれた多くの物の中の1つの物に過ぎない。
 真空。何もない空の中に在る。
 手を伸ばしてもそこには何もない。見える光は遠すぎて届かない。
あの存在もこちらを同じように思っているのだろうか。思われるのだろうか。
 身を燃やして辺りを照らす。自己主張。存在意義。
 ただ1人だけだ。同じ存在はここには居ない。強くそれを自覚し、受け入れた。
 引き寄せようと伸ばす手。繋がれる手。影響力。いくつも捕らえ支配下に置いた。
もっと強くなれば、もっと影響力を高めれば、いつかはあの光をも手に入れられるのだろうか
 伸ばした手に触れた異なる物は在った。ただ在るだけ。土塊。自分の影響下に治めたが、何一つ満足は抱けない。
 欲しいのは光。小さな、けれど本当は大きな光の固まり。自分と同じ物。

 ちっぽけな取るに足らない物が、その中でもほんの一欠片の物が、
ある条件下に置いて自分と同じようにあがめられているとある時知った。
305日食 2/3:2007/04/17(火) 12:54:39 ID:1oh+rt2H0
「お前はどうせ俺が居なければ輝けない癖に」
 太陽は傲慢に言い放った。地球の衛星である月はそれを静かに受け止めた。
「反論の言葉も無いのか?」
「反論するも何も、事実は事実。翻す気なんて何一つ」
 緩やかに穏やかに太陽の光を受け流していた。全て影響下にあるにも関わらず、
自由になる事なんてほとんどないのだと思う。自分はこの場所では万物の支配者だ。
けれど自分ももっと大きな法則の中から逃れられない。
 見透かされた気がした。だから苛立った。誰とも分かち合えない孤独。恩恵だけ受けて、
同じ賞賛を浴びる存在。
「自ら輝けないからこそ、お前の光を受けとめられる。そして伝えられる。誇りに思ってる」
 太陽は月の後ろにある地球を見詰めた。他の星々とは違う色合いで真っ暗な宇宙の中に
それは浮かんでいた。太陽はそれを見詰めていた。月は、まるでそれを遮るように移動する。
 蒼い中にぽつりと黒い染みができた。
「知っているか? 地球から見えれば私もお前も同じく輝くように見えるようだ。大きさも同じ。
まるで双子のような存在だと」
「お前のような奴と同じに考えられているなんて虫唾が走る」
「そうだろうな。けれど私はそれを嬉しく思っているんだ。それにほら、この影の中では、
私はお前の光を完全に遮る事だって可能なんだ」
 太陽はその染みが許し難くて、強い光を放つ。月はそれを白い淡い光にして反射してきた。
「ただ遮るんじゃない。双子のように同じ大きさに見えるからこそ、重なって、
お前の真の姿だけを覆い隠して、その光だけ、輪のように見える事もあるそうだ」
306日食 3/3:2007/04/17(火) 12:55:26 ID:1oh+rt2H0
 ある時に気が付いたのだ。光だった。遠くて届かないはずの光が近くにあるように思えた。
 水星や火星のように紅くはない。金星や木星・土星の様に鈍くくぐもる事もない。
地球のように蒼くもなく、白い光。自分と同じ光。当然だ、それはただ真っ直ぐ自分の反射であったのだから。
 けれどわずかに自分と同じ存在があるのかと錯覚した。錯覚しようとした事がある。
 そんな欺瞞で自分を慰めようとするなんてばかげているのに、それなのに。
『地球上では、月と太陽は双子のように同じく輝く存在としてあがめられてる』
 そんな概念なんかに、どうして自分は孤独を慰められた気になってしまったのか。
 まるで望みが叶ったかのように、そんな風にわずかにでも思ってしまった事に対してわき上がる苛立ち。
 それをぶつけても、月は嫌がりもしない。ただ受け入れ、そうして苛立ちを含んだ光を
反射されて自分の苛立ちを深める。馬鹿な悪循環。
 そうだ、相手は取るに足らない土塊。意識から閉め出してしまえばいい。そう思うのに、願うのに。


「そこに在っても、地球からその姿は見えない。見せない。だから」
 月が誘うように告げた。
307日食:2007/04/17(火) 12:58:44 ID:1oh+rt2H0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 地球が見てる・・・
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
308風と木の名無しさん:2007/04/17(火) 14:45:49 ID:WE4yGaUE0
>>307
天才現れた。
今夜月を見上げてニヤニヤ汁w
309風と木の名無しさん:2007/04/17(火) 17:39:07 ID:ilBf37tX0
これは新しいw
310風と木の名無しさん:2007/04/17(火) 18:13:25 ID:TcOlA2NI0
時に801ってグローバルw
姐さんGJ過ぎだ(*´Д`)
311風と木の名無しさん:2007/04/17(火) 19:45:05 ID:doDxmKGm0
>>307
天体さえも…!
壮大な萌えGJ。すごく面白かった。
312風と木の名無しさん:2007/04/17(火) 21:57:08 ID:6QcbRKmz0
ヤバイ
夜に外でニヤニヤしそうだ
超GJ
313風と木の名無しさん:2007/04/17(火) 23:32:11 ID:5DymSOTB0
801に限界はないんだな。
314風と木の名無しさん:2007/04/18(水) 10:46:37 ID:4dWja1+tO
>>307GJ
帆゛布の曲にありそうでウルッと来た
315風と木の名無しさん:2007/04/18(水) 13:41:57 ID:kak1H5NpO
もう…何ていうか…
「天才現る」としか言い様がない…
感服っス!!!!!
316飛父飛:2007/04/18(水) 23:53:05 ID:5FJ4nW0n0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   オサ←スンでスン1人語り。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  初投稿故、AAズレたらスマソ…
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ いろんな意味でドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




317飛父飛 1/2:2007/04/18(水) 23:55:58 ID:5FJ4nW0n0
 ――何かがおかしい。
   あの人に会う毎日が嬉しくて、苦しい。

 いつも通りの誰もいないベッドに寝そべってぼんやりとビデオを眺めていてもアタマの中はなんとなく落ち着かない。
 何考えててもすぐオッサンへと行き着いてしまう。

 オッサンへの印象は初めは最悪。
 包丁を狂ったように振り回す姿はあの悪夢を思い出させたから。
 少し、良くなったのは、
 娘のために、と弱音を吐いてもトレーニングを諦めなかったことに素直に感心したから。
 少しずつ出来上がっていく身体に、ほとんど覚えていない父親を、多分、重ねてた。
 今は・・・

『敵ばかりじゃないよ』
 優しい声と言葉と手。
 らしくない俺の弱音にそっと包むように方を抱いてくれたあの時、俺の中で何かが小さく音を立てた。

 目の前で握っていた手を開くと体温に馴染んだ石が蛍光灯の光を浴びる。
 今日、渡されたこの石はどういう意味なんだろう?
 走る度に積んだ石の山から差し出された一つ。
 オッサンは何でこれを俺に渡したんだろう。
 多分、深い意味なんて無いんだ、分かってる。
 意味が欲しいのは、俺の方。
 俺は、

「っ」

 行き当たった考えに起き上がって頭を振る。
 そんなわけがない。
 そんなわけがいいわけが、ない。
 石をポケットに突っ込んでベッドから立つと頭を冷やすために洗面所に向かった。
318飛父飛 2/2:2007/04/18(水) 23:59:52 ID:5FJ4nW0n0
 冷たい水で何度顔を洗っても足りなくて頭ごと濡らす。
 顔を上げると鏡の向こうで自分と眼が合った。
 その顔が不満そうに見えるのは俺の錯覚?
「何だよ」
 声に出して睨み返す。
 髪を伝って背中へと流れ落ちる水が冷たい。
『分かってるくせに』
 そう、聞こえたのは俺の声。
 目の前で左右を反転させた、俺の。
「何がだよ」
『あの人のことが好きだって』
「・・・別に」
 目を逸らしても声はやまない。
『俺は好きだ』
「だからって・・・!」
 どうしろって言うんだよ!
 オッサンには奥さんも娘もいる。娘が何より大切だからこそ、今必死に特訓している。
『あの人に家族がいてもいなくても関係ない。俺はあの人を愛してる』
 真っ直ぐにこっちを見つめ返してそういう<俺>。
 きっとこの<俺>だったら素直にオッサンに樹の上で気がついた想いを告げていたんだろう。
 スニーカーだって素直に受け取ってたんだろう。
「でも・・・」
『諦めたくない』
「できない」
 俺はオッサンの笑ってる顔が好きだから。
 あのてへってだらしなく笑う顔が。
『だからって』
「壊したくない」
 この苦しくても居心地のいい関係を。
『小石にすがるだけなんて』
 「嫌だ」とポケット越しに小石を掴んでそう呟いたのはどっちの俺だったのか。
 眼が水に滲んだせいで分からなかった。 
319飛父飛:2007/04/19(木) 00:00:49 ID:5FJ4nW0n0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お目汚しいたしましたー
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
320風と木の名無しさん:2007/04/19(木) 00:37:00 ID:Rxc0iDOj0
>>319
待ってた…!
321風と木の名無しさん:2007/04/19(木) 00:40:24 ID:AVy5obhg0
>>319
うわー久々の飛父飛だ、嬉しい!
切なくていいね。続きが読みたくなったよ。
GJ!!
322風と木の名無しさん:2007/04/19(木) 00:42:56 ID:HBo27ojO0
にゃほー!!スン待ってたよスン
323風と木の名無しさん:2007/04/19(木) 00:45:02 ID:CsqLF9Ld0
>>319
お待ちしてました!
GJ!GJ!
324319です:2007/04/19(木) 00:48:52 ID:u2Q54MqCO
原作未読で映画のみということ書き忘れていた罠・・・!
アギーが気になるから読みたいとは思ってはいるけど・・・!
325風と木の名無しさん:2007/04/19(木) 00:59:06 ID:TKd0ZKRG0
>>319
GJGJGJ!切ないよー
326風と木の名無しさん:2007/04/19(木) 03:48:46 ID:wrZtS2a5O
>>319
キャーッッGJです!!
スン→オサのスン切ない片想いタマリマセン(´д`)
願わくば続きを読みたいですわ!
327風と木の名無しさん:2007/04/19(木) 19:28:21 ID:oiUSJOSN0
キャーッッですわ!
328義明日1/10:2007/04/20(金) 21:09:13 ID:LJ+U3U490
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  高度義明日 ノレノレ受け
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  初めて小説書いたので、見苦しいかもだけど
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
329義明日1/10:2007/04/20(金) 21:09:46 ID:LJ+U3U490
「つぅっ……」
突き飛ばされた身体が壁にぶつかり、ノレノレ−シュは呻いた。
目隠しをされ、両手を拘束された彼には、状況が全く分からない。
ただ、この異常な状況をどう乗り切るか、こんな目に遭う理由は何なのか、それだけを考える。
しかし、考えがまとまる暇もなく身体が壁に押しつけられる。
ノレノレ−シュは頬にコンクリートの冷たい感触を感じた。
ばたばたとした動きによってほこりが舞い上がったらしく、少しかび臭さの混じった臭いが鼻腔を抜けた。
普段使われていない倉庫かなにかだろうか?
薬で意識を奪われたノレノレ−シュには、自分がどこにいるのか見当も付かなかった。
ノレノレ−シュの意識を奪ってここへ連れてきたらしき男は一言も発さず、
ただノレノレ−シュを追い詰めることのみに専念しているようだった。
正体が分からない。ノレノレ−シュの姿でいる時に拉致されたから、こんな目に遭う理由も思い当たらない。
そして何より目隠しをされ、義明日を使うどころか男の顔、
これからの行動すらも予測できないことが、緊張と恐怖をよりいっそう増幅させる。
目隠しされて拘束されているというこの状況から、少なくとも今すぐに命を奪われる可能性が
少なそうだということだけは判断できたが、それ以上の予測が立たなかった。
どうにかしなければ……! 焦れば焦るほど、ノレノレ−シュの頭の中は真っ白になっていく。

ノレノレ−シュは何とかこの場から逃れようと身をよじり後ろに蹴りを繰り出した。
しかし、目隠しをされた状況でただ闇雲に蹴り出しても、男にダメージを与えるどころか掠りもしない。
逆に、男は片手でノレノレ−シュを壁に押しつけて、いとも容易くノレノレ−シュの身動きを封じてしまった。
ろくに抵抗もできない己の非力さをノレノレ−シュは呪ったが、この事態を切り抜ける手段は彼に残されてはいなかった。
男はノレノレ−シュの両腕を壁の上方に配置されたパイプに固定した。
ノレノレ−シュは男に無防備な背中をさらしたまま動かすことが出来なくなり、自由になるのは両足のみとなった。
330義明日2/10:2007/04/20(金) 21:10:25 ID:LJ+U3U490
「どういうつもりだ!」
ノレノレ−シュは、低くうなるような声で問う。しかし、男は一言も発することなく、なんの反応も見せなかった。
拘束されたノレノレ−シュの姿を、じっと見つめるだけだ。
その場を去った気配もないのに、何も喋らず、動く気配もない男の反応に、ノレノレ−シュは更に不安をかき立てられていく。

しばらく無音の時間が続き、ノレノレ−シュは不安に耐えきれずに男に話しかけた。
「おい! 何とか言ったらどうなんだ! 目的は何だ! 拘束したということは、何か条件があるんだろう。早く言え!」
ノレノレ−シュの言葉を聞いても、男は鼻で笑っただけだった。
そうして、ジャリっと砂を踏みしめ、ノレノレ−シュに近づいていく。
「ち、近づくな! 目的は何なんだ!」
ノレノレ−シュは何をされるか分からない恐怖でうわずった声を上げる。
そして、次の言葉を挙げる前に、ヒヤリ、とした感触がうなじに触れた。
「っ!」
ノレノレ−シュは何とか言葉を飲み込み、訳の分からない恐怖に耐えた。
冷たい指が首にからみつく。すぐに殺されることはないだろうと思っていたが、このまま首を絞められるのか、そんな考えが頭を過ぎる。
だが、触れる指は少なくとも縊り殺す意志はないようだった。
片方の手がうなじからのど元、顎をとらえ、もう片方の手が制服に手をかけてゆくに至り、
ようやくノレノレ−シュに男の目的が何であるのかを悟らせた。
「やめろっ!」
ノレノレ−シュは思わず身をよじり、先ほどと同じように蹴りを繰り出すが、やはり何にも掠ることはなかった。
何とか逃げる手だてはないのか、せめて連絡手段を…と思うが、両手を拘束されている時点で電話をかけることすらできない。
……スザク! こういうときこそ肉体派のお前の出番だろうが! そう思っても、そんなに都合良く現れるはずもない。
331義明日3/10:2007/04/20(金) 21:11:35 ID:LJ+U3U490
まずは助けを呼ぶことが先決だとようやく思い至り、ノレノレ−シュは大声を上げようと息を吸った。
しかし、男は見計らったようにノレノレ−シュの背中を壁に押しつけ肺をつぶす。
「ぐっ……っ」
吸い込んだ息は、声に変わることなく吐き出される。
男は面倒だと言わんばかりの溜息をつくと、隙だらけの背中を更に壁に押しつけた。
ゴソゴソ、と服を探る音がする。男は何かを取り出すと、パチンと音を立てた。次の瞬間、金属の冷たい感触がうなじに触れる。
ノレノレ−シュはナイフだと悟り、身体を硬直させた。冷たい汗が額から伝う。
助けを呼ぼうとした喉は、息をすることさえも忘れたように凍り付いて動かない。
身動き出来ないノレノレ−シュを尻目に、ナイフは襟足につっこまれ、背中の真ん中から制服とシャツを容易に切り裂いた。
そして、男はそのままナイフの標的をベルト・ズボン・下着へと変え、次々に切り裂いていくと、用も済んだとばかりに遠くへ放り投げた。
ノレノレ−シュに奪われる可能性を考慮した上でのことだろう。どうやって奪えと言うのだ、とノレノレ−シュは自嘲した。
男のどこまでも冷静な態度に、ノレノレ−シュは言いようもない不安と焦りを強く感じる。
しかしこのまま手をこまねいていても、助かる見込みはほぼ無い。
自分に残された抵抗手段は、やはり助けを呼ぶことだけだと結論を出し、ノレノレ−シュは声を張り上げた。
「誰か! 助け、ぐぅっ……」
しかし、ノレノレ−シュは男の手にのど仏をつぶされそうになり、なけなしの抵抗はあっけなく潰された。
「ごほっ……けほっ……はぁはぁ……」
男はすぐに喉から手を離したが、あまりの苦しさに助けを求める声も挙げられなかった。
せめて鼻息も荒く行動してくれば反撃の隙が見つかるかもしれないのに、男はまるで機械のように冷静で、
的確にノレノレ−シュを追い詰める。
男はノレノレ−シュに欲情のカケラも感じさせず、手際よく、まるで子供を相手にするかのように容易に身ぐるみを剥いでいく。
少しずつ衣服が取り去られていくごとに、ノレノレ−シュは改めて絶望的な気分を味あわされた。
生まれたままの姿になると、少し肌寒い空気がノレノレ−シュの体温を奪っていく。
ノレノレ−シュは肌寒さと心細さと羞恥心から無意識に身体を縮こまらせ、身を震わせた。
332義明日4/10:2007/04/20(金) 21:12:08 ID:LJ+U3U490
そうしてまた、男は動きを止めた。
何をするでもなく、ただただじっとノレノレ−シュの肢体を見つめている。まなざしには確かに欲情の色が見て取れたが、
ノレノレ−シュにそれを見ることは叶わない。例え見えていたとしても、どうすることも出来なかっただろう。
その間、ノレノレ−シュは無言の圧力にさらされていた。
見えない。相手の出方が分からない。たったそれだけのことなのに、ノレノレ−シュは言葉さえも封じられていた。
まるで見えない触手が自分にまとわりついているようで、ノレノレ−シュは見えない目を更に硬くつむり、俯いて羞恥に耐えている。
その姿が、逆に男の欲情を誘っているとも知らず。


どのくらい時間が経っただろうか。実際は5分と経っていないのかもしれないが、
いずれにしろ丸裸で立たされているノレノレ−シュには拷問のように感じられたその時間が、
音もなく触れてくる指先によって断ち切られた。
「ひっ。あ……や、やめろっ。いやだっ……!」
指先は繊細にうなじから背中をたどり、もう片方の手は胸にのばされる。
更に耳朶に生暖かい感触がしたかと思うと、耳の中を舐られ、ノレノレ−シュは感じたことのない感覚にパニックを起こした。
「ぅあぁっ……くぅ……」
背筋からゾクゾクと駆け上がってくる何かに、とっさに声が出てしまう。
未だ誰とも身体を合わせたことのないノレノレ−シュにとって、与えられる感覚はどれも刺激が強すぎて、
ノレノレ−シュは唇を噛んでただ耐えるしかなかった。
『男なんだから別にやられたからって減るもんじゃなし、ちょっと我慢していれば済むだけの話だ』そう思いこんで、
こうなったからにはせめて声を上げることだけはすまい、と心に誓う。
だが、巧みに這う指はノレノレ−シュの性感を煽り、食いしばった歯の隙間から堪えきれない声が漏れてしまう。
目隠しをされているために心構えも出来ず、施される愛撫にただただ翻弄されるしかない。
そう、レイプされているはずなのに、指先はまるで愛しい誰かを愛撫するかのような手つきで、ノレノレ−シュを煽るのだ。
いっそ力ずくでさっさと済ませてくれればいいものを、ゆっくりと時間をかけてこちらの情欲を煽ってくるためにノレノレ−シュはそれにいちいち反応してしまう。
ノレノレ−シュは負けたような気分に陥り、唇を噛みしめた。
333義明日5/10:2007/04/20(金) 21:13:55 ID:LJ+U3U490
ぷつり、と唇が切れ、赤い雫が俯いた顔から床へ雫となって落ちる。
男はその時になってノレノレ−シュの様子に気づき、顔を自分の方へ向けさせ、唇をぺろりと舐めた。
ノレノレ−シュの肩が思わず震える。しかし、その一瞬後にはノレノレ−シュは男の舌をかみ切ってやろうと口を開いた。
だが逆に顎をとらえられ、口を閉じることも出来ないまま口内を嬲られることになっては反撃の意味がない。
「んぅ……あぁ……はぁ……」
くちゅくちゅとぬれた音が倉庫に響く。しかし、ノレノレ−シュはそれを意識できる状態にはなかった。
上顎を擦られ舌を絡められ歯列をなぞられると、ファーストキスさえ初めてのノレノレ−シュには抵抗することすら出来なくなった。
意識の奥でスザクの顔がちらつく。
助けて欲しいと願っているその無意識下のあらわれか、もはやノレノレ−シュが縋れるのは、
自分をいつも助けてくれていたスザクのみとなっていた。
キスの間も男の手は休むことなく動き回り、耳やうなじなど、ノレノレ−シュの思ってもみなかった場所から快感を拾ってゆく。
ただし、決してノレノレ−シュの雄にふれることはしない。
もどかしいほどゆっくりと丹念に快感を煽っていく指に、ノレノレ−シュの方が焦れてしまう。
ノレノレ−シュが自分でするときには、直接的な刺激のみだ。
それに比べて回りくどく外堀を埋めていく男の行為に、ノレノレ−シュは自分で気づかないうちに腰をくねらせ快感を拾おうとし始める。
「……くくっ」
その時、男がノレノレ−シュの耳元で喉を鳴らした。
びくっと身体を竦ませたノレノレ−シュは我に返ると、絶望的な気持ちになった。
なんだこれは……。自分はこんな犯罪者相手に欲情しているというのか……!
ノレノレ−シュは自分の身体が、まるで自分ものではないような感覚に囚われた。
ただいいように扱われているだけだというのに、ノレノレ−シュの身体は本人の意志とは裏腹の反応を示す。
膝から力が抜け、男の支えと腕の力のみでぶら下がった状態になった。
その時、男の指が下に降りてくると、初めてノレノレ−シュ自身に触れた。
「ああああっ!」
ただ指先で鈴口をグリグリと刺激されただけなのに、知らずはち切れんばかりになっていたノレノレ−シュのそれは
あっけなく男の手に白濁を吐き出してしまう。
334義明日6/10:2007/04/20(金) 21:14:53 ID:LJ+U3U490
更に惨めな結果を突きつけられ、ノレノレ−シュの眦からは涙が溢れ出た。
こんな……こんなことがあっていいのか。夢ならどうかさめてくれ……、ノレノレ−シュはそう思わずにはいられなかった。
しかし、その震える肩、喉の奥で堪える嗚咽は、見るものによっては哀れみを誘うが、
この男にとってはノレノレ−シュの艶をさらに際だたせ、欲情させることにしかならなかった。


男はなかば放心したノレノレ−シュの片足を持ち上げると、ノレノレ−シュが無理な体勢になるのも構わず己の肩に乗せた。
「くぅっ……もう……やめろ…っ……」
捻られた身体が悲鳴を上げる。
しかし、男はそんな言葉に耳を貸すはずもなく、ノレノレ−シュが放ったものを奥へと塗り込めていく。
「うっ……気持ち悪い…やめてくれ……」
ぬめりに助けられて男の指が抽送し、ぬちぬちと音を立てる。
ノレノレ−シュは快感を感じるどころか、恐怖で竦んでしまっていた。
やがてノレノレ−シュに入れられている指が二本になり、入り口を広げるためにいやらしく動き回る。
その時、男の指が中のどこかを掠め、ノレノレ−シュは快感とも何とも言い難い感覚を感じ、一瞬身じろぎした。
男はそれを見逃すことなく感じ取り、指を更に増やしてノレノレ−シュの中を探った。
入れられた指がその箇所を押し上げ、刺激し、ノレノレ−シュは初めて味わう快感に震えた。
「……っ……っ」
これ以上惨めになりたくない。その一心でノレノレ−シュは声をかみ殺す。
しかし男はあざ笑うかのように、ノレノレ−シュのものを口に含み舌で嬲った。
初めて口内で刺激されたその感触に、ノレノレ−シュはなすすべもなく溺れてゆく。
「ひぁ…っ! あぁうっ! あ、あぁ、や、やめっ……っ」
後ろを刺激され、前を嬲られ、とうとう抑えきれなくなった声が堰を切って溢れ出ると、
ノレノレ−シュにはもう声を押さえることすらできなくなった。
「あっ、あぁあああっ! んっ……んんっ、く……っ」
二度目の射精を男の口内で迎えると、ノレノレ−シュはもう何度目か分からない絶望感に襲われた。
335義明日7/10:2007/04/20(金) 21:15:35 ID:LJ+U3U490
自分はどこまで堕ちるのだろう?
無理矢理されているだけなのに、レイプされているはずなのに、与えられるのは快感のみ。
そして自分はその快感にあらがうことも出来ず、ただ流されるだけ。ノレノレ−シュはその事実に打ちのめされる。
「クッ……」
そして、ノレノレ−シュが快楽にのまれた瞬間、男は嗤うのだ。『それみたことか』と嗤う男の声が聞こえた気がした。


男はまたノレノレ−シュの後ろを執拗に嬲り始めた。ノレノレ−シュはもはや抵抗する気力さえも失っていた。
男がリング状のものを取りだし、ノレノレ−シュ自身に嵌めても、無感動にまぶたの裏の暗闇を見つめていた。
それでも、男がジッパーを下げる音を耳にすると、我に返って身を固くした。
今更どう足掻いたって逃げられやしない。しかし、いくら自暴自棄になったと言っても恐怖心が無くなるわけではない。
ノレノレ−シュは未知の恐怖に身体を震わせ、硬直させた。
男のものをあてがわれた瞬間、ノレノレ−シュの体中の細胞が音を立てて竦み上がり、歯がカタカタと音を立てる。
男は萎えたノレノレ−シュのものをつかむと、性急にしごき始めた。
他人から与えられる快楽を知ったばかりのノレノレ−シュの身体は、また素直に反応してしまう。
そして、力の抜けた瞬間、男は後ろからノレノレ−シュを一気に貫いた。
「ぅあああぁっ……!」
ノレノレ−シュの放ったもので男自身をぬめらせていたのか、驚くほどスムーズに挿入された。痛みも全くない。
ノレノレ−シュは簡単に受け入れさせられた自分自身に驚きを隠せない。
あまりにもあっさりと男を飲み込んでしまう自分の身体を、もう捨ててしまいたい……。
目隠しは涙でじっとりと湿り、溢れ出た雫が頬を伝う。その涙が悔し涙なのか、
快感によるものなのか、ノレノレ−シュにももう分からなかった。
「んぁっ……っ……あぁああっ、も…もう、や…っ、……はぁっ、くう……っ」
ノレノレ−シュの口からは、嬌声がとどまることなく溢れ、口の端からは唾液が顎を伝って床に染みを作っていた。
繰り返される律動は確実にノレノレ−シュの性感をとらえ、ノレノレ−シュはあっという間に追い詰められた。
だが、男の手によって嵌められたリングがノレノレ−シュ自身を戒め、どんなにイきたくてもイけない。
336義明日8/10:2007/04/20(金) 21:16:27 ID:LJ+U3U490
今まで以上に屈辱的な時間がこれから始まるのだということを、ノレノレ−シュは悟らざるを得なかった。
男の動きが早まり、最奥を突いてノレノレ−シュを責め立てる。
「あぁっ、あぁん、ああっ…、も…許し……は…あああっ!」
しかしどんなに懇願しても、男は律動をやめるとはなく、ひたすらノレノレ−シュをえぐるように突き動かす。
「おっ、おね…お願い……あぅっ…だから、イか…イかせ……んんっ…てっ……外して、くれ…っ!」
ノレノレ−シュがどんなに言葉を尽くしても、男は我関せずと、ただひたすらに腰を動かす。
まるでノレノレ−シュの願いを聞いていなかったかのように、ノレノレ−シュの顔を後ろに向けさせ唇をむさぼる。
快感と苦痛と屈辱とがない交ぜになったノレノレ−シュは、もう抗うことなく舌を絡める。
「ん……は…っ、外して……あうっ、外し……お願い……もう、あぁぁぅ、苦し、あぁっ」
ノレノレ−シュの口から漏れるのは、嬌声と、懇願の言葉だけ。
それ以外の言葉を忘れてしまったかのように、ひたすら喘ぎ、懇願し続けた。
自ら腰を揺らし、蕩けた口調で懇願してくる様は、この上もなく淫靡だった。
絡める舌も、頬を伝う涙も、朱に染まる肌も、まるでこうなることが必然だったかのように美しく、
男を捕らえて放さない。
そして男が最奥に精を叩きつけると、ひときわ高い声を上げてノレノレ−シュが啼いた。
ノレノレ−シュはイかせてもらえない苦痛を感じながらも、やっとこの責め苦が終わったのか…と安堵した。


だが、男は息をつくと、再び動き始めた。
「まだ……する、気…なの、か……」
ノレノレ−シュは顔を歪ませ、思わず声に出していた。
イかせてもらえないノレノレ−シュは、やっと快楽の責め苦から解放されると思っていたのに、
また先ほどの混沌に逆戻りだ。
いい気なものだ、とむしろ怒りさえ感じる。
だが、イイところを責められれば、なし崩しに煽られ、また喘ぎが漏れる。
両手が痺れ、喉は渇き、それでも抑えきれない声が倉庫にこだまする。
「あぁっ…くっ……あぅっ」
男の手が容赦なくノレノレ−シュのものを扱く。ノレノレ−シュは快感にむせび泣きながら、また懇願するしかない。
337義明日9/10:2007/04/20(金) 21:18:01 ID:LJ+U3U490
「あぁ……も、う、やめ…、助け……うぁっ、あぁっ…っ、スザ…クっ……」
ノレノレ−シュは脳裏を掠めるスザクの姿に、無意識に助けを求めていた。助けて欲しい。
この悪夢から救い出して欲しい。
その声に、男は急に動きを止めた。他の者の名を口にしたことに怒りを感じたのだろうか?
ノレノレ−シュはこれ以上酷くされるのではないかと怯えた。
だが、男はやがて何事もなかったかのように再び動き始めた。それも、前以上に激しく。
「あっ、あう、あぅっ…はぁうっ……も、無理……ひっ、あっ、あぁっ!……」
何度も突かれ、前をしごかれ、鈴口をえぐられ、痛みと激しすぎる快楽の中で、
ノレノレ−シュは悲鳴じみた声と助けを求める声しか発することしかできなかった。
意識が闇へ沈んでいくその瞬間も、ノレノレ−シュは頬を濡らして啼いていた。


苦しい……。

目を開けようとして開くことが出来なかったノレノレ−シュは、自分の置かれている状況を思い出した。
……夢なら良かったのに。あんな悪夢でも、それが現実でなければ忘れられる。
だが、ノレノレ−シュの身体は相変わらず快楽の責め苦にあっていた。体勢だけが、先ほどとは違っていたが。
気を失っている間に、横たえられていたらしい。両手の拘束は未だ解かれてはいなかったが、
両手にかかる体重の負担が減っただけでも多少マシになったように感じられた。
股や尻に感じる濡れた感触と先刻以上にジュブジュブと聞こえる水音に、
ノレノレ−シュは自分が気を失っている間も男は構わず犯し続けていたのか…と、男の自分への執着が怖くなった。
男はノレノレ−シュが意識を取り戻したことに気づき、また愛撫を始めた。
耳に舌を入れられ、前をしごかれる。それだけで、ノレノレ−シュは音を上げた。
無理矢理つながされた身体は疲弊しきり、突き上げられ愛撫を施されれば、
かすかに残っていた思考能力もすべて吹き飛んでゆく。
「も…イかせて……、あうっ」
何度目だろうか、ノレノレ−シュは喘ぎの中、掠れた声で懇願した。
男の手がノレノレ−シュのモノに触れ、ゴム状のリングを外した。
338風と木の名無しさん:2007/04/20(金) 21:21:02 ID:7NKleg91O
規制食らったorz
339義明日10/10:2007/04/20(金) 21:22:20 ID:POIPUgtd0
「あああああああああぁっ!」
解放されたノレノレ−シュは、身体を震わせ今まではき出せなかったもの全てを出すかのように、
ひたすら吐精し続けた。
すさまじい快感に、ノレノレ−シュはぐったりと身体を弛緩させた。
男の手がノレノレ−シュの腹に放たれた精液をすくい取ったかと思うと、
男は自身をノレノレ−シュから引き抜き、ノレノレ−シュの口へ精を放った。
とっさのことに反応が遅れ、吐き出そうとしたときには口と鼻を手で塞がれていた。
男の手にすくい取られた己の精液と男のそれが、口の中いっぱいにたまる。
飲み込めということか…と、新たに屈辱を感じたが、それも今更だ。
反抗する体力すら削り取られたノレノレ−シュは、それを飲み込むしかなかった。
渇いた喉には、それすらも潤いになったのか、喉の引き攣れが、少し収まった気がした。
何という皮肉だろう、とノレノレ−シュの目には、また涙が溢れた。



やがて男が身を離すと、ノレノレ−シュの耳に衣服を整える音が聞こえてきた。
やっと解放される……。起き上がる気力すらわかなかったが、
それでも解放されると思えば力を奮い立たす気にもなりそうだった。
そのノレノレ−シュの耳に、シャッター音と電子音が耳に響いた。
何かの機材を片付ける音、携帯端末を打つ音、その後に耳に飛び込んできた
「送信が完了しました」というガイダンス音声……。
これで終わりではないのだ、と男は告げているのだ。


「は、はははははっ。あははははははははは……」


ノレノレ−シュは、渇いた笑いを上げることしかできなかった。
そんなノレノレ−シュの姿を、その男──狂木朱雀だけが見つめていた。
340義明日10/10:2007/04/20(金) 21:23:50 ID:POIPUgtd0
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お目汚しスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
341風と木の名無しさん:2007/04/21(土) 02:29:17 ID:imIK0lAd0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  あ、安部礼司のイイノ×アベ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  またもや姐さんの萌シチュに陥ってしまいました
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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342あ、安部礼司 飯×安 1/4:2007/04/21(土) 02:36:59 ID:imIK0lAd0
今、飯野平太は会社の先輩である安部の自宅へと向かっていた。
いつもなら会社付近の居酒屋などで飲んだりするのだが、
今日は珍しく安部が「俺ん家で飲まない?」と誘ってきたのだ。
(あぁ、もうこんな時間だ。先輩待ってるだろうなぁ)
そんなことを思い足を速めた飯野だったが、とあるコンビニの前でふと足をとめた。
「あれは・・・先輩、と・・・?」
店内の安部は誰かと話しこんでいる様子だった。
(・・・あぁ、あのもう春だというのにも関わらず
 トレンチコートを羽織っている長身の男は・・・・・・)
そう、安部のライバル(?)である刈谷勇だった。
(うーん、なんかあの人いけ好かないッス。
 ていうかどうしてこんな所に?
 まさか、先輩に会うためとかじゃないよなぁ・・・ん?)
刈谷はしばらく雑談をしていたが安部に何かを耳打ちしたと思うと
急に壁に押し付け、そして・・・−キスをした。
(・・・・・・・・・・・・!!
 なっなっな、何をやってるッスかあの2人はぁ!?しかもこんなところで)
飯野が店の外で一人混乱している間にも
刈谷は安部に深く口づけていき、その間安部は眉を寄せ苦しそうな表情をしていた。
しばらくすると、安部が赤面しながらやや早足でコンビニから出てきた。
飯野は思わず物陰に隠れ、心臓を押さえた。
(ああ〜、いけないモノを見てしまったッス。
 ・・・あれ?なんだろう、なんだか物凄くもやもやする・・・・・・)

343あ、安部礼司 飯×安 2/4:2007/04/21(土) 02:39:08 ID:imIK0lAd0



「おじゃましますッスー」
「おうあがれよ飯野」
「はい。それにしても、先輩の家くるの久しぶりッス」
「そうだっけ?とりあえずまぁ今日は飲もうぜ」
それから2人は発泡酒を片手に他愛もない会話をしていたが
飯野は急に黙りこみ、さほど広くない部屋に沈黙が漂った。
「?どうした飯野」
「…先輩さっき、コンビニにいたッスか?」
「ん?あぁ、帰りに寄ったけど。それがどうかした?」
「刈谷さんと、その……キス、してたでしょう」

ガタンッ

「うっ、うわあぁっ」
動揺した安部は傍らに置いてあった発泡酒の缶を思いきり倒した。
缶の中身が床にこぼれ広がる。

「僕、見てしまったッス。刈谷さんが先輩を無理やり壁に」
「あっあれはアイツがふざけて冗談でっ!」
「本当に冗談だったッスか?あの時の刈谷さんの顔、本気でしたよ」
「な…っんなわけ……」
安部は必死に反論しようとするが言葉がどうにも出てこない。
344あ、安部礼司 飯×安 3/4:2007/04/21(土) 02:41:34 ID:imIK0lAd0

「先輩は、本当に“冗談”だって、思ったんですか?」

―ねぇ、安部くん……

「…っ」
あの時、耳元で熱っぽく囁かれた言葉が脳裏でよみがえる。
「違……っ」
「なにが違うんです?」
飯野はゆっくりながらも安部を壁際に追い込むように迫っていく。
「先輩…僕、もう……っ」
「うわあっ、お、おい飯野!お前酔っ払って」
「酔っ払ってなんかないです。僕、正気ですよ?」
ついに安部を壁際まで追い詰めた飯野は、正面の壁に手をつき
真剣な瞳で安部を見つめた。
「先輩、僕は……」
「飯野…っ」
その時、突然安部の携帯が鳴りだした。
「…あっ電話、出ても、いいか?」
「…どうぞ」
安部は、しどろもどろになりながらも携帯を手に取ると、通話ボタンを押した。

「あーっはっはっはっはっは!安部くぅ〜ん」
「か、刈谷」
電話の主は、まさに今のこの状況を作り出した原因である張本人だった。
345あ、安部礼司 飯×安 4/4:2007/04/21(土) 02:43:33 ID:imIK0lAd0
「今、何してるう?」
「べっ、別になにも…」
「本当に〜?」
「…ほ、本当だって。ていうか、何で電話してきたんだよ?」
「あぁ、特に用はないんだけどねぇ。
 家に居たらさぁ、なんか急に、ここの髪がアンテナみたいにピーンと」
「って鬼太郎かよ」
「まぁそれはともかく、何ともないみたいでよかったよ〜」
「あ、あぁ」
「あーっはっはっはっは〜…じゃあねぇ!」

電話が切れ飯野の方を見ると、飯野はいつの間にか玄関口に立っていた。
「あれ、飯野、帰るの?」
「…はい。すみません、やっぱり僕、ちょっと酔ってたみたいッス」
「そ、そっか。……あのさ、気をつけて帰れよ」
「はい」
そう返事しドアノブに手をかけると、飯野はためらうように動きを止め
少し俯き気味で言葉を発した。
「先輩」
「ん?」
「…先輩は、鈍くて流されやすいから、気をつけたほうがいいッス」
「え…?」
「それじゃ、また明日会社で」
それだけ言うと、飯野はドアを開け帰っていった。
部屋に残された安部は
『いったい、何に気をつければいいのだろう』と
首をひねっていた。
346風と木の名無しさん:2007/04/21(土) 02:44:49 ID:imIK0lAd0

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 本当にありがとうございましたorz
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 | |                | |       ◇⊂    ) __
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347風と木の名無しさん:2007/04/21(土) 02:50:40 ID:tmO1nH40O
>>346
スゴイ、リアルタイム遭遇しちゃった。
GJです!そのまま飯野に食われちゃえと思っちゃいました。
>>341
アヌメを観た事はないけど、物凄く萌えマスタ。
続きも気になります。
348アベレージ 刈×安:2007/04/21(土) 05:35:29 ID:2Mnf6PP20
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  341姐さんに便乗してお邪魔します。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  初めての棚で緊張…。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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349アベレージ 刈×安 1/6:2007/04/21(土) 05:37:02 ID:2Mnf6PP20
季節は春。ただ、連日の暖かい陽気とうって変わって、底冷えする寒さのそんな夜。
コート姿のビジネスマンが大多数を占める中、礼司だけはコートも羽織らず、
鞄を胸の前で抱えることで寒風に対抗しながら、目的地に向かって早足で歩いていた。

いつものコンビニに立ち寄り、店内で冷えた体をゆっくり温めながら、
今日発売された雑誌を開きかけて、ハタとその動きを止める。

(まてよ。今日は寒いからこのままさっさと帰って、おでんと発泡酒で一杯。
うん。それいいな。折角だからこの雑誌も立ち読みしないで、
部屋に帰ってからゆっくり読もうかな)

礼司は開いていた雑誌を小脇に挟むと、頭の中で組み立てた予定を実行するべく、
ドリンクストッカーの前に移動した。

いつもの発泡酒に手を伸ばそうとして、隣に並べられた商品が目に飛び込む。
そこには春らしく桜がデザインされた発泡酒。

「春季限定…か。でも、いつものより20円高いんだよなぁ…うーん…」

桜色の発泡酒を手に取り、ストッカーの見慣れた発泡酒と見比べながら、
どちらにしようかと頭を悩ませていると、ひょいと後ろから伸びた手によって、
桜色の発泡酒は礼司の手の中から元あった位置へ返される。
驚いて後ろを振り返ると、そこには礼司がよく知る長身の男が立っていた。
350アベレージ 刈×安 2/6:2007/04/21(土) 05:38:20 ID:2Mnf6PP20
「あ〜はっはっはっはぁ〜!ねぇ、安部きゅ〜ん、安部礼司きゅう〜ん、
 そんな安っぽいのなんかやめて〜、今日はこっちにしよおよぉ〜」
「かっ、刈谷っ!!もぉ、黙って人の後ろに立つなよー、びっくりするじゃないかぁ」
「ぎょめんねぇ〜。たった20円の差で真剣に悩んでる安部きゅんが可哀想でさぁ〜。
 つい、声かけそびれちゃったわけ〜」
「…それで?今日は何?」

刈谷の挑発的な発言にムッとしつつ、さっきの行動に何の意味があるのか尋ねる。

「だ〜か〜らぁ〜、今日はこれ飲もうよぉ〜」

刈谷が手にしているのは、ゴールドのパッケージデザインが施されたプレミアムビール。

「何で俺がそれにしなくちゃいけないんだよ?」

深まる疑問に礼司が眉を顰めると、刈谷は不思議そうな顔で首を傾げた。

「安部クンは、これ嫌いなの?」
「好きとか嫌い以前に、まだ飲んだことないよ」

しまったと思うも後悔先に立たず。
もう、刈谷の表情は、おもちゃを見つけた子供そのものだ。

(あぁ…また始まるぞ…)

そんな礼司の予想を彼は裏切らない。
店内に流れる有線を打ち消す大音量で、あの独特の笑い声が響いた。
351アベレージ 刈×安 3/6:2007/04/21(土) 05:39:37 ID:2Mnf6PP20
「あ〜はっはっはっはぁ〜!!そうかぁ〜、安部きゅんは飲んだことないんだぁ〜!」
「…悪いかよ」
「うぃ〜んだよぉ、うぃ〜んだよぉ〜。
 僕が勝ち組なだけなんだからねぇ〜。ぎょめんねぇ〜」
「はいはい」

刈谷はこれみよがしに、プレミアムビールを買い物カゴへと放り込んでいく。

「じゃあ俺は…」

礼司は予定を狂わされないうちに、いつもの発泡酒を手にしてその場を離れた。

おでん鍋の中にある具材を吟味してからレジに並ぶと、
刈谷はいつの間にかレジを済ませて、ニコニコと礼司を見ている。
礼司がその笑顔を不審げに思いながらも、レジ台に雑誌と発泡酒と置くと、
発泡酒は再び刈谷の手によって、スキャンされることなく棚へと返された。

その一瞬の出来事に、あっけにとられてしまった礼司は、
当初の予定だったおでんを注文し損ね、
礼司の後ろから『早くしろ』と言わんばかりに睨むオニイチャンに気圧されて、
雑誌のみ購入する羽目になった。

礼司の予定は完全に狂わされた。それでも、再度レジに並ぶのは癪だと思い、
店員の「ありがとうございました」を背にそのまま店を出ると、
後ろを歩く刈谷に対して、ハッキリと文句を言うべく振り返った。
352アベレージ 刈×安 4/6:2007/04/21(土) 05:40:58 ID:2Mnf6PP20
「…安部クン、あの安い発泡酒そんなに気に入ってたの?
 こっちが飲みたいかな?と思って、安部クンの分ももう買っちゃったよぉ?」
「……へ?何で?」
「だってぇ〜、これからぁ〜安部きゅんの家でぇ〜鍋するからぁ〜」
「はぁ?なべ?」

はしゃいでいる刈谷とは対照的に、展開についていけない礼司がポカンとしていると、
やれやれというジェスチャー付きで、刈谷は鍋についての説明を始めた。

「今日は寒いよねぇ〜?寒い日は当然、鍋だよねぇ〜?だからぁ安部クンの家で鍋。
 あ、材料はボクがネットで頼んでおいたから心配しなくていいよぉ〜」
「そんな…」

コロコロと変化する礼司の反応を楽しむように笑いながら、
刈谷はコートの袖を捲って腕時計をチラリと見た。

「ちょうど安部クンの家に着く頃に届くよう、頼んであるから〜」
「なんで俺の…」
「まぁまぁ。おでんと発泡酒なんてセレクト、安部クンらしくていいけど、
 そんなのひとりで食べても美味しくないでしょ〜?さ、帰ろ〜」

嬉々として歩き出す刈谷の後ろ姿を眺めながら、礼司はため息混じりに小さく呟いた。

「…まぁ、今日は寒いから鍋でもいいか」
353風と木の名無しさん:2007/04/21(土) 05:44:22 ID:T4sa4i4fO
連投対策
354アベレージ 刈×安5/6:2007/04/21(土) 06:11:28 ID:T4sa4i4fO
大通りからわき道に入り、街灯が少ない住宅街に差し掛かると、
礼司の後ろで刈谷のちょっと心配そうな声が聞こえた。
「…安部ク〜ン、そんな格好で寒くないのぉ?」
「ははっ、実はさ、ここんとこずっと暖かかっただろ?もう大丈夫だろうと思って
冬物を全部クリーニングに出しちゃったんだよね。
…それにしても、ほんと今日は寒いよなぁ…」
会話をしている間は寒さを感じる暇などなく、会話が途切れた今頃になって
コンビニで温めた体が、夜風ですっかり冷えているのに気付いた。
さらに、会話の中で「寒い」という単語を使ってしまったせいで、
さっきまで気にならなかった程度の風に、ブルッと身震いをした。
「うわあっ!急に何するんだよ、重いだろ。某妖怪じゃないんだからさぁ」
「いやぁ、安部きゅんがあんまり寒そうにしてるからさぁ〜」
後ろから礼司を抱くように覆いかぶさってきた刈谷に抗議の声をあげる。
続けて「こんな所でじゃれるな」と言おうとして、
いつも喧しい刈谷が妙に静かなのと、冷えていた背中が温かいことに気付いて、それ以上の文句を飲み込んだ。

「ひゃっ…」
355アベレージ 刈×安 6/6:2007/04/21(土) 06:19:36 ID:T4sa4i4fO
偶然ではない。意図的に刈谷の唇が、礼司の冷えた首筋に触れている。

「なっ、な……」

「安部クンの体、すごく冷えてるね」

刈谷は低く優しい声で礼司の耳朶に囁くと、密着していた体を離し、
空いている片手で自分のマフラーを外して、そのまま礼司の首にふわりと巻いた。
柔らかなカシミヤのマフラーからは、
さっき鼻腔をくすぐったのと同じ、刈谷が使っている香水の匂いがした。


先程まで礼司が感じていた寒さはいつの間にか消えている。
ただ、それと引き換えによく知った「何か」を今は感じているのも確かだが。
礼司は俯いたままその「何か」が「何」なのか想いを巡らせていた。

「安部クン、顔赤いよ?」
礼司の左頬に刈谷の皮手袋が触れた。しっとり冷たいはずの皮の感触も、
余計に頬を火照らすマイナス要因にしかならなかった。
体温が手袋越しに刈谷に伝わってしまうことを恐れて、礼司は慌てて顔を背けた。

「あ、赤くなんかないよっ、…それより材料が届くんだろ?早く帰るぞ!」

(「何か」が「何」なのか分かりそうだけど、
それが解ちゃうと、俺の「何か」が大きく変わるんじゃないのか?
…やっぱりこのことは深く考えるのはやめとこう。そうしよう)

全ての疑問を頭の隅に押しやると、礼司は寒い春の夜道を足早に歩き始めた。
356アベレージ 刈×安:2007/04/21(土) 06:27:09 ID:T4sa4i4fO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )連投規制に手こずってしまった。
357風と木の名無しさん:2007/04/21(土) 09:16:46 ID:YiAjs4xR0
アベレージ小説乙

>安部きゅ〜ん、安部礼司きゅう〜ん、
だめだwwwwwもうこの時点であの声がよみがえってくるwwwwwww
でもカリヤいいやつだからまともであればもっとモテたはずだ
358風と木の名無しさん:2007/04/21(土) 17:08:51 ID:PH505Xkm0
341,348両姐さん乙!そしてGJです。
萌えのあまり呼吸がままならないよ!アベカワユス…
359風と木の名無しさん:2007/04/22(日) 02:16:56 ID:R13QRM8p0
礼司かわいいよ礼司。
信じられないほど萌えますた。乙!
360風と木の名無しさん:2007/04/23(月) 22:34:29 ID:1MXKaoZN0
>>341 >>348
萌え死ぬかとおもた
361風と木の名無しさん:2007/04/23(月) 22:59:17 ID:RnPNhBRg0
>>328
テラモエス。
続きは無いんかのー。
362風と木の名無しさん:2007/04/24(火) 09:13:26 ID:m38kbo4oO
アベレージ乙!激しく萌えた
まさか読めるとは思わなかったよ
363風と木の名無しさん:2007/04/24(火) 19:11:15 ID:+cXO4U8N0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  相変わらず悪趣味
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
風゜呂焼き卯、最北端のチ仏 その2
3641/4:2007/04/24(火) 19:12:03 ID:+cXO4U8N0
むしゃくしゃするなぁ…。
ホテルの部屋は意外に殺風景だ。暗がりの一部を白熱灯のライトがぼんやりと浮かび上がらせて
いる。
目を閉じると今日の敗戦が脳裏をよぎる。
相手チームの歓声と、味方の落胆の表情。ホームベースに目を向ければ、俯きがちに帽子のつば
に手をかける投手と、その投手の肩に手を置いている捕手の姿。数イニングを受け持った投手よ
りも、フルイニング投手のボールを受けつづけた捕手のほうが疲労は大きいに違いない。敗戦の
責任を大きく感じているかもしれない。それでも彼は投手に何か話し掛けていた。
俺はその捕手に話し掛けようとして、結局できなかったのは…自分が勝利へ貢献できていないか
らだろうか。
俺はもう何度目かのため息をつき、寝返りをうった。
その捕手とは、もう長い付き合いになる。
学生時代から親交があった上にチームまで同じになるなんて、何か縁があるんだろう。
一緒にいて疲れないし、からかうと面白い。最近はからかっても反応が大人になってきたせいか
自分の悪戯も徐々にエスカレートしてきた気がしないでもないが、まだ嫌われてない。多分、彼
は俺を嫌うことはないだろう、この先ずっと。
俺は、彼とは他の誰よりも強い確固たる繋がりがあると思っていた、思い込んでいた。
そう思い込んでいたほうが、俺にとっては幸せだっただろう。このままの関係が、未来永劫続く
と、そう思い込んでいたほうが…。
3651/4:2007/04/24(火) 19:12:51 ID:+cXO4U8N0
何故だろう、その日はやたらと目が冴えて、居ても立ってもいられなくなって部屋を出た。
あいつの部屋はどこだろう。
Tシャツにハーフパンツといういでたちで、俺は心当たりのある部屋の前をうろうろした。
こんな時間だ、違う人間の部屋のインターフォンを押してしまって間違いましたでは、申し訳ない。
時間にして数分だろうか、冬眠から覚めた熊みたいにうろうろしていた俺を、誰かが呼び止めた。
「なんだ、お前。不審者かと思ったぞ」
呆れた声の主は、今年度からコーチを兼任することになった、ベテラン捕手。
傍に寄るとふんわりとホテルに備え付けてある石鹸の匂いがしたから、シャワーに入ったばかり
なのかもしれない。
「まだ寝てないんすか…けっこう宵っ張りスね」
「お前もな。俺はちょっと喉乾いたから何か買いに行くんだけど。お前も何か飲む?」
「え…」
「もし寝れないなら話し相手くらいにはなるぞ。寝れないんだろ、無理して寝ることないだろ。
俺の部屋、この突き当たりだから」
と、彼は部屋のカードキーを俺に渡して、スタスタとエレベーターホールの方へ歩いて行って
しまった。呼び止める間もなく姿が消える。
あ…、あいつの部屋、彼に聞けばよかったんだ。同じポジションだし、知ってたかもしれないのに。
でも、もう仕方ない。彼のキーを持って帰るわけにもいかないし。
366↑間違った2/4 この投下3/4:2007/04/24(火) 19:14:10 ID:+cXO4U8N0
俺は言われた通り廊下の突き当たりまで歩いて、カードキーと部屋番号を確認してから鍵を開け
部屋に入る。彼の部屋も俺の部屋と同じように殺風景だった。
ベッド脇のテーブルにはノートとメモ帳、赤や青のペン、そして清涼飲料水の缶が2本ある。
さっきまで誰かいたのだろうか?
誰もいないはずなのに、そこに誰かがいるような気がして妙にそわそわする。
俺はやっぱり冬眠から覚めた熊みたいに、部屋をぐるぐる、うろうろと歩き回る。
そのとき、…カタン、と、バスルームから、音が鳴った、気がした。
ぴたりと俺の足は止まる。
…やっぱり、誰か、いる?

人の部屋を勝手に見て回っていいものなのか、俺が僅かばかり逡巡していると、声、が、した。
この部屋の主の名前を呼ぶ声。
小さく、弱々しい声だったけど、俺は確かにその声に聞き覚えがあった。
ひやり、と背筋を薄ら寒いものが走った。

がちゃ、と、部屋とトイレ、バスルームを分けているドアを開ける。
右手に洋式の便器があり、左手にバスルームへと続く擦りガラスのドア。
明かりがついている。人影がある。
それが誰なのか、それは確信に近かった。だが、何故彼がそこにいるのか、何故部屋の主の名を
呼んだのか、それらは俺に疑問を投げかけることなく、ただ俺をその場所に吸い付けた。
ギ、と蝶番の軋むわずかな音と共に俺の視界に入ったそれは、俺の思考力を完全に奪うには
十分なものだった。
じっとりと湿度のある空気は生暖かく、ぐっしょりと濡れた服をまとったままの「彼」は、両手
の自由を奪われ、その視界すらも柔らかそうなタオルで遮られた格好で、タイルの床に転がって
いた。
開きっぱなしの唇の奥には舌がちらちらし、小さく、名前をくり返している。
勿論、俺の名ではない。
3674/4:2007/04/24(火) 19:14:59 ID:+cXO4U8N0
張り付いた白いシャツ越しでも、その乳首がすっかり立っているのがわかった。
下腹部も、濡れた綿のスラックスを押し上げ、時折びくびくとその腰を揺らめかせた。
「な…かじ……さ…、ツ…ライ、です…」
泣き声を含ませた声は、俺には到底ツライものだとは思えなかった。
声には十分艶が含まれていたし、声の底には甘い響きさえあったのだ。
それ以前に、彼が納得せずに、こんなことを甘受するはずないのだ。
俺の目は助けを求めるようにバスルームの天井をぐるりと一回転し、勿論意識しての行動では
なかったが、ほとばしりそうになる悲鳴を押さえるために手を口元にあてた。
たぶん、俺が「それ」に向き合っていたのは、ものの十数秒だったはずだ。
にもかかわらずそれを対峙していた時間は永遠かとも思えるほど長く、ヴヴヴという電子音も
はっきりと聞こえた。スラックスの端から細いピンクのコードが出ていて、そのスラックスの
下で何が施されているのか、容易に伺い知れた。
がたん、
俺は自分が立てた音にびっくりし、よろめきながら部屋を飛び出した。
カードキーは部屋の外にほうりだして、ただひたすら自分の部屋を目指し、ベッドにもぐりこんだ。
夢だ、夢だ、これは、夢だ。
忘れなければならない。
彼と、アイツがそういう関係で、ああいう遊びを繰り広げているということを。
俺の与り知らぬところで、あんな遊戯をしていることを。
俺の、知らないところで…。


悶えるあいつを嬲りながら、「ちょっと刺激、強かったかな」などと彼が呟いていることなど
俺が知る由もない。
368風と木の名無しさん:2007/04/24(火) 19:16:27 ID:+cXO4U8N0
 ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オタワ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


禿上がったかな?w>2323な2類種
369風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 01:10:14 ID:uwlm1NLJ0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  襲われマゾ攻め×襲いヤンデレ受け
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ナマモノ、ドマイナーコンビのドマイナーカプ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヤマもオチもイミもなく半端にエロ。 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )    
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
3701:2007/04/25(水) 01:12:59 ID:uwlm1NLJ0

「んふ・・・っ・・・はぁ・・・」
「ぁ・・・あ、あっ!」

薄暗く狭苦しい部屋には二人の男が居た。
一人は壁に背を預けて床に座り込み、その場で裸にされた両足を大きく開いていた。
日に焼けていない上に、元が色白な男の足は僅かな光を受けて艶かしく照らされる。

もう一人の男は色白の男に比べて浅黒く、精悍な体つきをしている。
元は短かった茶色の髪は大分伸びており、浅黒の男が顔を動かすたびに
色白の男の内股を擽り、その感覚も熱を帯びた体にはゾワゾワとした
奇妙な感覚を与えるのだった。
開かれた足の中心にずっと埋まっていた顔を上げた彼の真っ赤な舌先と
ギラついた瞳が、薄暗い部屋の中でもいやにハッキリと視界に入ってくるのを
色白の男は嫌がるように、バサバサと黒い髪を振った。

「何してんだよ・・・」
「・・・何ってフェラだよ。お前してもらってるクセにワカンネーの?」
「してくれなんて、頼んでねーよ」
「・・・・・・・・・勃起してるくせに」
「生理現象だっ」

快楽に上ずった声で色白の男は、浅黒の男にこの行為を拒否を
匂わせる台詞を吐く。
けれど浅黒の男は、何もかも知っているような表情で笑った。

色白の男は其れを自分を馬鹿にした笑いだと解釈して
ムッとした表情を作る。
けれどその表情に怯むどころか、色白の男の思考を肯定するように
更に笑みを深めて、浅黒の男は口を開いた。
3712:2007/04/25(水) 01:13:41 ID:uwlm1NLJ0

「だったら、さっさと逃げろ。お前俺より細っちいけど
腕力が無いわけじゃ無いだろ?」
「・・・・・・・・・」
「この場で俺を殺そうと思えば殺せるだろ?」

互いの唇が触れそうになるギリギリまで浅黒の男は距離を縮めた。
色白の男は、自分の首に日に焼けた男の腕が回されるのを
じっと息を殺して見守っていた。

浅黒の男も自分が穿いていたズボンを下着と一緒に脱ぎ捨てる。
もったいぶる様に色白の足に自分の足を絡ませ、
最終的に馬乗りのような体勢を浅黒の男は取った。

「抵抗しねーの?」
「・・・っは・・・」

首を絞められたわけでも、酸素が足りないわけでもない
華奢な体だからと言って、自分の上に跨る男が重い訳でもないが
色白の男は息苦しさを覚えて短くため息を吐いた。

「まだ逃げられるっ・・・準備中だから・・・ぁっ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・お前は、やっぱり頭がおかしい」

浅黒い男は、色白の男の首に回していた片方の腕を離し
自分の臀部に宛がい、男を受け入れる準備を始めていた。
クチャ、クチュ、クチ・・・
そんな音が耳に届くたび、お互い頭の中の大事な部分が
痺れて行く様な感覚を覚える。
3723:2007/04/25(水) 01:14:23 ID:uwlm1NLJ0
「は、あっ・・・」
「何が面白いんだよ」

自分の秘部を自分の指先で犯しているにも関わらず
浅黒の男は笑みを崩さない。

出会ってからかなりの年月が経つが、色白の男の中で
浅黒の男は何時まで経っても底知れない気味の悪い存在だった。
男が吐く言葉は全て、色白の男には想定外ばかりで
色白の男自身一度たりとも男の言動を100%理解できた事など
ないという自覚があった。

「面白くはねー、よ・・・んっ・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・興奮してる・・・」

キスの気配を感じて力んだ色白の男は何も塗っていないにも係わらず
真っ赤な形の良い唇をきゅっと窄めた。
しかしその気配はあっさりと消えてしまい、その代わり
下衆な雰囲気をまとった浅黒の男の真っ赤な舌が
窄めた唇の上をなぞっていく。

男の唾液でぬらぬらと唇はぬめった。

「下衆っぽくっていいだろう?」

そういって今度は無邪気に笑ってみせる男に、
色白の男はその笑顔に一瞬虚をつかれたように目を丸くした。
3734:2007/04/25(水) 01:15:01 ID:uwlm1NLJ0
「ぽい、じゃなくて下衆だろ?」
「ははっ・・・」

無理やり余裕を取り繕って、鼻で笑うように台詞を吐けば、
色白の男に跨っている浅黒の男は軽い笑い声をあげながら、
躊躇いも無く男の頬を思い切り叩いた。

真っ白な頬は見る見る赤く色を変えていく。
その赤が鮮やかで、浅黒の男は満足そうに目を細めた。

「痛ぇな・・・」
「あれ、萎えねぇの?お前」

全く悪びれる様子も見せずに首を傾げてみせるのは浅黒の男。
色白の男は不服そうな顔をしているが、今まで男に与えられた屈辱と痛みに
興奮しているのは、血走った眼と勃ったままの性器が証明していた。

「俺を満足させるまで、へばるんじゃねぇぞ・・・」
「ふっ・・・ぅ」

再び色白の男の首に自分の両腕を巻きつけて、興奮で赤くなった
男の首筋に顔を埋めて浅黒の男は、ねっとりと耳元で囁いた。
そして耳たぶを舐め上げてそのまま歯を立てる。
色白の男が上げた声は、快楽を孕んでいた。
3745:2007/04/25(水) 01:16:29 ID:uwlm1NLJ0
「ドMだよな、お前も大概」
「お前は絶対に頭がおかしい」

また悔し紛れに台詞を吐けば、また浅黒の男の手が振り下ろされた。

これから自分が抱こうとする男に理不尽な支配を受けていることが
どうしようもない興奮と快楽を与える。
色白の男は認めたくは無いだろうが、何度と無く繰り返されてきた
理不尽な力に支配された行為を色白の男は本気で拒否したことなど
一度も無いのだから、言い訳はできなかった。

「入れるぞ・・・」

そう呟くと浅黒の男は、自分の指でほぐした秘部に色白の男の性器を宛がう。
限界ギリギリまで高められた性器が内部を侵されていく感覚に浅黒の男は
背筋をゾクゾクと震わせた。

色白の男は、決定的な刺激を男の秘部の中で与えられてしまってはなす術もなく
浅黒の男の秘部にあっさりと精を吐き出してしまう。
男に跨り、自分の中で熱い迸りを感じて浅黒の男は「早漏野郎」と
荒い呼吸の中で罵りの言葉を投げた。
その罵倒に漸く色白の男の箍が外れる。
色白の男の瞳は血走り、それを見た浅黒の男は
やっと色白の男が自分を捕らえた事を知った。
3756:2007/04/25(水) 01:18:41 ID:uwlm1NLJ0
二人の行為はいつもこうだ。
仕掛けて色白の男の理性を奪いつくすのは浅黒の男。
浅黒の男の欲望に巻き込まれる形となった色白の男は
ギリギリまで無駄な抵抗を続けるが、最後には浅黒の男を翻弄するように
我武者羅に快楽を貪ろうとする。

先ほど精を吐き出したばかりの色白の男の性器は既に
熱と硬さを取り戻している。
貪欲なマゾヒストにこれから自分が支配されるのだと
今までの経験上浅黒の男は知り尽くしていた。
浅黒の男は今夜最後になる笑みを浮かべる。

「満足させろよ、変態」

でなきゃ、殺すぞ。

さっきまで自分を殺してみろと笑っていた浅黒の男が囁いた
今の台詞がまぎれも無い浅黒の男の本心だと知っている
色白の男は殺すより殺された方が興奮するな、なんて
浅黒の男の事を言えないくらいに頭のおかしな事を考えて
更に自分の性器を硬くさせたのだった。
376風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 01:19:35 ID:uwlm1NLJ0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ド変態な二人が、大好きだ!!!!
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   支離滅裂でスマソ。
 | |                | |             \
 | | |> STOP.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  ポカーン
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
377風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 02:05:19 ID:kWAXWUgS0
一体誰なんだかヒントも無く皆目分からないので、とりあえずバナナ万で想像しておきますた。
色白というと非村ぐらいしか思い浮かばなかったので。
378風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 04:01:19 ID:k5EGYXlb0
>>376
私も好きなタレント2人で勝手に補完した。
中身はとっても萌え萌えなんだけど、もう少しヒントをくれると嬉しい。
379風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 04:14:54 ID:+LDc7AgdO
自カプが色白と浅黒なんで当てはめて萌えた。GJ!
380風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 05:13:36 ID:O2dWSH5jO
バナナ万…!
その発想は無かったわ…!!
381風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 08:34:26 ID:IpCof24l0
>>363
この悪趣味!でも萌えてしまった・・・
382風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 09:36:29 ID:7Jkrh5dPO
>>363
もう先生のこと直視できないお
383風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 11:13:37 ID:EBhxOzt70
>>376
heysay乃武士子部市かなとも思ったけどどうなんだろうね。
どっちにしろGJ!
384鷹and都市 0/4:2007/04/25(水) 14:31:39 ID:oTOPSd4a0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 今話題の「欧/米/か/!」コンビ
                    | エチーなしだけど自分的には都市x鷹
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 腐女子の妄想の遥か上をいくコンビ愛に萌え萌えです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ セッカクノ ヤスミニ シコシコ ソウサク
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) ナンテ ユウイギナ キュウジツ!
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
385風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 14:32:11 ID:oTOPSd4a0
本番まであと一時間、待ち時間はたっぷりあった。
支給された弁当を食べ終え、―――鷹は当然のように弁当を二人分平らげた―――
台本も読み通した。だいたいの番組の流れは頭に入っている。
そうなれば、あとは本番までゆっくり休憩するだけだ。
座布団を枕代わりに身を横たえ、腕を組むと、肺一杯に吸い込んだ空気をゆっくりと吐き出した。
多忙な生活は有難い。どの仕事も大変ではあるけれどやりがいに満ちてとても楽しいし、
毎日が充実している。ほんの数年前と比べてみても、全く考えられない状況だった。
有難い話だ。―――とはいえ、肉体的な疲労感は否めない。
目を閉じるとすぐに眠気が催された。
いよいよ寝る体制に移ろうと寝返りを打ち、テーブルの前に座って黙々と携帯をいじっている鷹に背を向ける。
だしぬけに都市の背中にぼそりと暗い声が飛んだ。
「……お前さあ、メール無視すんのやめろよ」
「……何がよ」
目を閉じたまま鷹同様ぼそぼそと言葉を返すと、やや間を置いて鷹が言い返した。
「前に送ったろう、ほら、お前のオフの日。俺が仕事してんのにお前がオフだった日」
やけに刺々しい言い草に顔をしかめ、都市は薄く目を開けて肩越しに鷹を振り返った。
最近ますます丸くなってきた顔を一層膨らませ、鷹がこちらを恨めしげに睨んでいた。
「んなの、覚えてねーよ。何か送ったっけ?何てメールよ」
「お昼ごろ、"今なにしてんの?"って送ったじゃん」
ムスッと唇を尖らせた鷹を一睨みし、都市は再び鷹に背を向けて目を閉じた。
馬鹿馬鹿しい。
「そんなメールに返事するわけねぇべや!馬鹿じゃないの」
「なんでよ?何でもいいから返事してくれればいいじゃん、宮/地とサーカス行ってジム行ってきたんだろ」
「用もないのにメールすんな」
「俺とは全然飲みにも一緒に行ってくれないのに」
その言葉に思わず吹き出して都市は振り返ったが、都市の予想に反して鷹は真面目くさった顔つきをしていた。
都市が何故吹き出すのか、てんで理解できない、といった怪訝そうな表情で。
386鷹and都市 2/4:2007/04/25(水) 14:32:44 ID:oTOPSd4a0
「なんだ、ボケじゃなかったの」
「ボケじゃねーよ」
それまで手にしていた携帯を乱暴にテーブルに放り投げ、鷹はそばにあった煙草の箱に手を伸ばした。
だいぶ苛々しているようだ。とはいえ、知った事ではない。都市は再び鷹に背を向け、目を閉じた。
「寝んなよ。話してんだぞ」
「うっせ……今じゃなきゃダメなの、それ」
「ダメだよ。"うぜぇ"って言うな」
「"うぜぇ"って言ってねぇよ、"うるせぇ"って言ったんだ」
「マジで話したいから、起きてよ」
―――声がマジモードだ。こうなると、鈴木はほんとにうるさい。
顔をしかめ、都市はしぶしぶ起き上がった。身体全体で抗議を表現すべく、
いかにもうざったそうにテーブルの前にどすんと腰をおろす。
眠気に腫れぼったくなった目で睨み付けると、鷹の表情が若干曇った。
丸っこい指先につまんだ煙草を口に銜え、鷹は都市から目をそらした。
「……なんでそんな怒んの」
「眠たいから」
「ほんと最近、冷たいよ」
ボケているのだろうか?それとも本気だろうか?
判断しかねて、都市は言葉を返さなかった。手持ち無沙汰に鷹同様、煙草に手を伸ばす。
先ほどまでは澄んでいた楽屋の空気が一気に二人分の煙に満ち満ちた。
「冷たいって何?何で?何が嫌なの」
「だから、いっつも言ってるけどさ、俺と飲み行くのも嫌がるし、俺と一緒に居るのも嫌がるじゃん。
なんか明らかに避けてるし。俺、そういうの嫌だ」
耳の後ろ辺りを掻き、都市はあからさまに大欠伸をした。眠いものは眠いのだ。
それに過剰に反応して、鷹はますます唇を子供のように尖らせた。
「だって中学から一緒なのに、これ以上なんでお前と一緒に居なきゃいけないの?
お前と一緒にいるより、初めて会う人達と話してみたいっていうのは普通の事じゃない?」
「そうだけど、でも、なんか避けるじゃん、お前。そういうのが嫌なんだよ。
なんか明らかに離れられると、嫌だ。ほんと傷つく」
「たとえば?いつそんなふうだった?」
387鷹and都市 3/4:2007/04/25(水) 14:33:20 ID:oTOPSd4a0
欠伸で滲んだ涙を手の甲でぬぐい、鷹の言葉を待つ。
なんなんだ、一体、この会話は……。
「なんか、お前が現場の女の子とか、一緒に仕事する人とかと話してるとこに
俺が近づいていったら、すうーって向こうに行っちゃうじゃん。俺ほんとに泣きそうになるんだから。
ていうか一回泣いたんだから」
「泣くなよ」
当時のつらさを思い出したのか、そこで一旦鷹の言葉が途切れた。
ややあって鼻をすすり、煙草を一服してから鷹は目元を乱暴に指先で擦った。
鷹が泣く寸前であるらしい事を都市は悟った。うんざりと頭を掻き、鷹の言葉を待つ。
「……そういうふうになったら、仕事とかも上手くできないじゃん。
とくに俺らなんか、テンポ重視でしょ?コンビ愛とか、そういうの話題になってるわけだし。
それなのにそういうふうだったら……」
「でもお前が一方的で俺が一歩引いてる、って感じの位置づけだろ?いいんじゃないの、それで」
「だから今は仕事の話じゃなくて、いや仕事の話でもあるんだけど、ダメだと思う、こんなんじゃ」
メールの話から飛び火して、いつの間にか仕事の話だ。都市は困惑してため息をついた。
この男の扱いはほんとに難しい。
「俺、裏では仲悪いのに本番ではちゃんとコンビで仲良く仕事するっていうの無理だからね。
プライベートと仕事混同しちゃほんとはいけないんだろうけど。俺の性格わかってるだろ」
「うん」
「だから俺、ちゃんとしたいの。話したいし、飲みにも行きたいし。ほんとは遊びにも行きたいんだよ。
お前とサーカス行ったりジム行ったり俺もしたいの」
「お前ジム行ってどうすんだよ、運動嫌いなくせに」
思わず吹き出すと、今度は鷹も控えめながら小さく笑った。自分の発言に自分で照れて笑っているらしい。
さすがに自分の言葉が変だった、というのは自覚しているようだ。
「本気で言ってんの?」
問うと、まだ照れ笑いの余韻が残った顔を何度も上下に振った。再び都市が吹き出す。
388鷹and都市 4/4:2007/04/25(水) 14:34:14 ID:oTOPSd4a0
「気持ち悪い。ほんと気持ち悪い、お前」
「いやだから、気持ち悪いとかじゃなくて、ほんとに。俺遊びに行きたい。ちゃんと話しよう」
「どこ行きたいの、俺と」
短くなった煙草を灰皿に押しつぶし、真剣に考え込んでいる鷹を見つめる。
ややあって、鷹が目を上げた。間近で視線がかちあう。都市は思わず吹き出した。
「なんなの、ほんとに、お前」
「じゃあ今日、仕事終わったら飲みに行こう。二人で」
「……え、河/本さんと飲むって言ってなかった、今日」
「今度にする。な、飲み行こう。いろいろ話したい」
言うなり、鷹はそばにあった携帯を手に取って早速メールを打ち始めた。
都市のため息が楽屋に響く。
「……次/長/課/長さんの楽屋すぐそばなんだから、直接言って来いよ」
「直接断り入れるなんて俺に出来るわけないじゃん」
ああそう、と都市は大欠伸をしながら頭を掻いた。滲んだ目元を指先でぬぐう。
高速の指さばきでさっさとメールを送信し終えた鷹は満足げに携帯をそばへ放った。
「あー、良かった。やったあ。すげえ嬉しい」
先ほどまでの不機嫌まるだしの表情はどこへやら、満面の笑みを浮かべて鷹は大の字で床に寝転がった。
鷹にならい、都市も再び床に寝転がる。眠気はあるが、時間的に見て、もう仮眠を取るのは無理だろう。
うんざりとため息をついた都市など全く意に介さず、鷹は上機嫌で言葉を続けた。
「どこ行く?お前いい店どっか知ってる?」
「わかんない。お前の方が知ってるだろ、しょっちゅう飲み行ってんだから。俺はどこでもいい」
「俺もどこでもいいや。やったあ。ほんと嬉しい、俺。何話そう」
「お前、ほんと意味わかんねえ」
吹き出しながらそう言うと、鷹も吹き出した。
「俺ね、マジで、三浦の事ほんとに好きなんだよ」
「ほんとに気持ち悪い、お前」
「大好きなんだから」
もう本番まで20分ほどしかない。ちっとも休憩にならなかった。
ほんとに扱いづらい男だ。
嬉しそうな鷹の様子を盗み見ながら、都市は密かに破顔した。
389風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 14:38:00 ID:oTOPSd4a0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | ほんとに二人とも可愛すぎるんだよ
                    | 鷹の赤ちゃんっぷりと都市のお兄ちゃんっぷりが堪らんよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ヤマもオチもイミもない文字通り801でした
 | |                | |             \
 | | |□ STOP.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 初っ端からタイトル入れ忘れて
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) スマソorz
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

390御り円樽ラ塩 ナカ夕×フヅモソ0/6:2007/04/25(水) 15:40:17 ID:1EfHTklV0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  デンデンデデンデンレツゴーなコンビ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ナカ夕×フヅモソですがエチなしで
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
391御り円樽ラ塩 ナカ夕×フヅモソ1/6:2007/04/25(水) 15:40:51 ID:1EfHTklV0
「あれ、」
すっかり夜もふけた22時。
いつもどおり建物横の非常階段を上り、窓を開けてフロアに入る。これは、ここに来てからの俺の通勤路。
契約社員さんやバイト仲間たちが、慣れた様子で挨拶を交わしてくる。
最近は俺以外の人間も、この階段を使うことがあるらしい。窓に鍵もかけられない、と、以前、
フロアチーフが少し愚痴りながら笑っていたそうだ。
笑って済ませてくれてるんならいいんだろうと、階段を使い続けて今に至っている。
俺たちのシマのリーダーが、窓から悠々と入ってくる俺の背中をぽんと叩いた。
「おーナカ夕。おつかれー」
「お疲れっす。ハシモトさん、なんかトラブルっすか」
俺に割り当てられたデスクでは、そろそろ帰り支度をしていい頃合のはずの派遣さんが、
電話を肩口に挟みながら必死に分厚いファイルを繰っている。
それを気の毒そうにちらりと見やり、今、上の人を呼びに行ってるから、と、リーダーが小さく苦笑した。
まぁ、保険会社の事故処理案内だなんて仕事をしている以上、予期せぬ揉め事は正直、よくあることだ。
「どっかで時間つぶしでもしてきたら」
「そっすねー」
自販機で何か買ってこようか。そう思い、やけに責任感の強い派遣さんの背中から視線を外した時だった。
−−−ふわり。
「ん?」
どこからか、漂ってくるほのかな香り。
涼やかで、けれどどこか、…なんだろうな、何だかドキドキする。
392御り円樽ラ塩 ナカ夕×フヅモソ2/6:2007/04/25(水) 15:41:31 ID:1EfHTklV0
どこからだろうと視線を彷徨わせると、数人の話し声にまぎれて、幾度となく聞いた説明が聞こえてきた。
「…ここでお客さんの電話を受けてね、マニュアルどおりにご案内していきます」
「はい」
ん。
あらら、また新人さんか。
事故ってテンパった客を宥めてすかしてたまに脅される、そんな、ピュアな心をゴリゴリとすり減らしてくれるこの仕事。
当然ながら音を上げて辞めていくバイトが後を立たない。3日前にも、誰かが辞めたとか何とか言っていたっけ。
その穴埋めかな。少しはもってくれりゃあいいけど。
俺は何となく、声がしたフロアの奥へと目をやった。
「どしたナカ夕」
「あ、や」
2、3列向こう側のデスクで案内を受けている、やたらとキラキラした青年が目に入って、俺は条件反射的に目を眇めた。
長くはないが、決して短くもない、俺の歩んできた人生。
生身の人間を見て心の底から「眩しい」と感じたことなど、かつてない経験だった。
いや、ホントに生身か、あれ?そんな、ガキみたいなことまで考える。
足を止めてじっとしている俺の横から顔を覗かせて、リーダーが俺の視線を追うようにそちらを向いた。
「あー、こりゃまたチャラいのが入ってきたなぁ。もたねぇかなぁ」
「どー…っすかねぇ」
曖昧に、相槌を打って。
んじゃ、コーヒー買って来ます。
そう言い置いて、早足でフロアを出た。どうしても欲しいのにどうしても手に入らない、
ものすごく貴重な何かを見たような。そんな切なさと興奮で、どうしようもなく心が逸った。
コーヒーを1本買って、やはり早足でフロアに戻ると、もうそこに、あのきらびやかなナニカの姿はなかった。
393御り円樽ラ塩 ナカ夕×フヅモソ3/6:2007/04/25(水) 15:42:26 ID:1EfHTklV0
ゴースト、保険会社の幻。
そんなベタなキャッチコピーを呟きつつ、一人暮らしのアパートに帰り。
あのナニカの姿を思い出そうとして、思い出せない自分に驚いた。
頭脳明晰で冷静沈着が売りの俺の脳裏に思い浮かぶのは、ただただでっかい光の塊。
ちょっと待て俺。頭おかしくなってねぇ?
ぱっと見キツネ憑きみたいな百面相をし、両肩をぐるんぐるん回し、頭の中をすっきりさせようとしてみるも、
やっぱり頭の中には白い光が。
あまりの眩しさに目をそらし、ふと、手元に投げ出してあるルーズリーフを手に取った。
激情の赴くままに描き散らした、絵画ともイラストともつかないモノたち。
時には人間、時にはピエロ、時にはケモノ、時には−−−体中から血を流し、目をいっぱいに見開いて涙を流し、
心からどろどろと膿みを流した、他でもない俺自身の肖像の数々。
それを無感動に押しやり、真新しいページを探す。なるべく鉛筆で汚れていない、まっさらな白を。
やがて探し当てたそのキャンパスに、細心の注意を払って、脳裏に輝く光の輪郭を追いかけるようにシャープペンを走らせる。
ずぅっと下を向きっぱなしで呼吸が苦しくて、口をあけて、ぜぇぜぇ言いながら、我ながら滑稽な格好だよなと思いつつ。
「−−−…」
ベッドの上に、ぽんとシャープペンを放る。
真っ白いページいっぱいに翼を広げた、生まれて初めて描いた「天使」が、そこには居た。
なんだ俺。
「…気色悪い」
394御り円樽ラ塩 ナカ夕×フヅモソ4/6:2007/04/25(水) 15:43:06 ID:1EfHTklV0
それから3日が経ち。
「お疲れーっす」
俺はいつもどおりの挨拶をしながら、バイト先のフロアに入った。いつもどおり、二階の窓から。
大学デビューに失敗し、その雪辱をどうしてもバイトで果たしたかった俺は、人と話をするきっかけとして
こうして窓から入り、驚かせることでまず、会話をしたい相手の掴みを得ていたのだ。
そしてその方法はおおむね好評で、おかげさまで今はバイト先でのみ限定の「明るい人気者のナカ夕君」となった。
だが、完璧と思われたこの作戦は、今回、思っても見ない弱点を露呈することになる。

俺が二階の窓から出入りしていることを知らない人間と一対一で鉢合わせると、
間違いなく俺は「人気者」から「不審者」へと、華麗なる転身を果たすのだ。

「−−−」
「…あー…っとぉ」
色の強い、ほとんど漆黒のサングラスをかけているため、色の抜けた、常に薄灰色の景色の中。
整った顔立ちの、しかし見たことのない男が、俺の隣の席に腰掛けたまま、硬直してこちらを凝視している。
誰だ、こいつ。
あぁ、新しいバイトか。
混乱する頭で考える。
…しまったな。
せめてもう1人、俺を知っていてくれている仲間がいたなら、にぎやかすだけにぎやかして、場を柔らかくしてくれていただろう。
そもそもいつも、このシフトには3、4人が当たっているはずで、そもそもいつも、前シフトの派遣さんとかが何だかんだでいるはずで。
偶々なんだろう。偶々。
偶々社員さんが席を外している瞬間に、偶々まだ彼しか来ていない瞬間に、偶々俺がこうして窓から入ってきた。
そんだけのことなんだが。
「……………」
「……………」
山に帰ったカラスの寝息すら聞こえるのではないかと思うほど、すん、と引いた空気。
やべ。何だいったい。何でみんないねぇんだよ。つかどうすんだ俺。怖い怖い、マジ怖いこの沈黙。
395御り円樽ラ塩 ナカ夕×フヅモソ5/6:2007/04/25(水) 15:45:00 ID:1EfHTklV0
「俺、ナカ夕ってんだけど。君は?」
「学校はどこ?」
「ここ来たの、誰の紹介?」

これまで何人もの友達を作ってきたきっかけの会話。
心は沈黙に耐え兼ねて怯えているのに、どの言葉も喉に張り付いて出てこない。どうせ逆境に弱いですよ俺は。
間が持たなくて、それが怖くて、思わずかけていたサングラスを毟り取る。途端、実に様々なイロが俺の目を射た。
額に巻いたターバンのオフホワイト。
襟ぐりのゆったりとしたTシャツのクリーム色。
ゆるいジャケットと、黄色のゴムバンドで裾を留めたゆるパンのくすんだ緑。素足に履いたサンダルのオレンジ。
柔らかそうな髪を彩る金茶。滑らかな肌の白。耳や指を飾るアクセサリーの金や銀。
でっかい目を縁取る、眉毛と同じくらいに濃い睫の黒。
で、とどめ。
硝子のような−−−なんだっけ、こんな色の宝石なかったっけか−−−透き通った瞳の、茶色。
「…あ」
あぁ、そうか。急に合点がいった瞬間の俺の顔は、きっとものすごく間抜けだったろう。
あの時見た、でっかい光。
−−−幽霊の正体見たり。天使と見まごう光の塊は、宝石みたいな瞳をした、キラッキラした美少年だったのだ。
天使にはどうやったって手が届かないけど、宝石だったらいちおう地球上の鉱物だし、何より金さえありゃ店に行きゃ買えるよな。
うん、少し身近になった。そんなことをぼんやり考える。
待て俺。何を買うって?
「…他、誰もいねぇの?」
「…はぁ…」
再会は突然に。しかも完璧不審者扱いで。人形みたいな目がじっとこちらを警戒していて、こちとらまるでヘビににらまれたカエル状態。
いきおい、イロの洪水に溺れて殻にこもりたくなる自分を奮い立たせる。
頑張れ、つか負けるな俺。
今までこれでやってきたじゃねぇか、何をいったい怯んでる?
天使だと思って諦めていたものが宝石になって現れた、それだけの話じゃないか。そもそもの基準が何かおかしい気もするけれど気にしない。
396御り円樽ラ塩 ナカ夕×フヅモソ6/6:2007/04/25(水) 15:46:02 ID:1EfHTklV0
「お疲れっす」
「お、疲れさま…です」
改めて声をかけると、戸惑いがちに返事が返ってくる。随分なハイトーン。小奇麗な顔に似合った声だ。綺麗な奴は、声も綺麗なのか。ふぅん。
腹の底で目の前の男を舐めるように観察している変態チックな自分を誤魔化そうと、バッグをわざと乱暴に置く。
それだけで、ちょっと腰が引いてる彼。
でもって、引きこもりのくせに、逃げる獲物は追いかけたくなる、困った性分の俺。

逃げるこいつを捕まえて、何だ、まずはしゃべってみたい。数分でいい。できれば数時間。
とにかく、自己紹介するところから始めなくては。

「君、フヅモソ君?」
「あ、え、はい。よろしくお願いします」
机の上に乗っているタイムカードの名前を盗み見て、あたかもあらかじめ聞いていたかのように声をかけてみる。
俺のが年上にでも見えるのか、随分とかしこまっているフヅモソ君。ひざの上に手を置いて、頭まで下げてくる。
丁寧なのは結構だけど、頼むから頭下げたまま子犬みたいな、そんな怯えた視線をよこしてくれるな。傷つくぞ俺。
「いや、そんな敬語なんていいよ。多分、年そんな変わんねぇし。それよりさぁ」
俺が流暢に会話をつなげるのに安心したのか、少し脚をくつろげる彼。
けれど、まるで空気に微弱な電気が通っているかのように、彼と俺との間には、確かに薄い膜がある。
他のバイト仲間や、親戚の人たちや、−−−家族と同じように。

この、他人と自分を隔てる膜が、怪我をせずに生きていく上で必要不可欠であり、あって当然のものであることは判ってる。
でも何故か、この宝石みたいな瞳をした男と俺との間にだけは、この膜はあってはならないような気がした。

こんな膜なんか取っ払え。引きちぎれ。突き破れ。
…って、あれ、なんかエロいな、膜を破るとか。あれ?

「フヅモソ君さぁ。…好きなSMプレイって何?」

俺の目の前で強張っていた細い肩が、脱力したようにかくんと落ちた。
397御り円樽ラ塩 ナカ夕×フヅモソ:2007/04/25(水) 15:47:08 ID:1EfHTklV0
 ____________
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 以上です。ありがとうございました
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
398風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 20:11:28 ID:z4Y+cctD0
>鷹and都市
かわいい二人に禿萌えました
乙です
399風と木の名無しさん:2007/04/25(水) 21:30:33 ID:OgUZQi9+0
>>384
丁度昨日のラジオを聴いていた所だったので余計に萌えました
二人ともほんと可愛いよね…!GJ!
400風と木の名無しさん:2007/04/26(木) 00:20:28 ID:J+Yev3qGO
>>384
ちょ…!超GJ
禿萌えた。あまえんぼな鷹可愛いよツンデレ都市も可愛いよ
普通にこんな会話してても全く違和感ないってのがあのコンビの恐ろしいところだ
401風と木の名無しさん:2007/04/26(木) 02:24:33 ID:1B/s7GSu0
遅レスですが
>>341,348姐さんのお陰で気になって仕方なくなった阿部礼司。
資料室で幾つかの放送分テキスト読んだら、なんかもう止まりませんよ?萌えが。
何あの安部愛されっぷり!今度の日曜は正座して待つ!
またのご投稿お待ちしてるんだぜ。
402風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 00:10:15 ID:goNfTDTt0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  アベレージのカリーヤ×アベ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  中途半端にエロ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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403アベレージ刈×安 1/7:2007/04/27(金) 00:12:11 ID:goNfTDTt0
いつものコンビニを目の前にして、安部礼司は入ろうか入るまいか迷っていた。
(あぁどうしよう。昨日ボールペン買い忘れたし、
 今日は買わなければ…でもアイツいるだろうしなあ……)
なら他のコンビニに行けばいいと思うだろうが、
その“アイツ”とは時間場所に関わらず、必ずと言っていいほど安部の前に現れるのだ。
(…よし、こうなったら素早く済ませてさっさと帰ろ)
決意を固めた安部は自動ドアが開くと同時に駆け足で店内へと入った。
 ドンッ
と同時に人にぶつかってしまった。
「っわ、す、すいませんっ」
赤くなった鼻を手で押さえながらぶつかった人物を
見上げると、そこにはあの刈谷勇が立っていた。
「げっ、刈谷!」
「おやおやご挨拶だねぇ、安部くぅん。
ちゃ〜んと、前には気をつけなきゃあ〜っはっはっはっ!」
「…ぅ、早速遭遇してしまった」
その言葉を聞き逃さなかった刈谷は
「なに安部くん。もしかして僕に会いませんように、なぁんて思ってたりしたの?」
と問い詰めた。その問いに安部はため息をついて答える
「あぁ、失敗したけどな」
「ひ、ヒドイ安部くん!そんな風に避けられたら、勇傷ついちゃうんだからっ」
そう言いながら刈谷は安部に抱きついてきた。
「うわぁっ、もう本当に気色悪いなあ。や、やめろよ」
「やーだあ。だって安部くん冷たいんだもーん」
と言い刈谷は更に安部を抱きしめる力を強める。
周りの客と店員の妙な視線が痛い。
「ちょっ、本気でやめろって。ひ、人が見てるだろおっ」
「うーん……じゃあ、君ん家に行ってもいいって言うなら、放してあげてもうぃ〜よぉ」
404アベレージ刈×安 2/7:2007/04/27(金) 00:13:30 ID:goNfTDTt0
「はぁ?ぜ、絶対にイヤだ!家になんて絶対呼ばないからなっ!」
「ふぅん、じゃ放してあげない」
「…っな……わ、わかったよ。わかったからもう放せって」
「本当!?うわぁい、やったあ〜」
心底嬉しそうな表情の刈谷を見て思わず苦笑まじりのため息がでる。
(って何ちょっと穏やかな気持ちになってんだ俺っ)
安部は思わず頭をぶんぶんふる。
「それじゃあ行こうかぁ、安部くんの家〜」
「あ、あぁ…」
店内を出るとき、安部は結局今日もボールペンを買い損ねたことに気付いた。
(……まあまた明日買えばいっか)
そう思いながら安部は刈谷と共にコンビニを後にした。 



ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン♪
「あれぇ、誰もいないみたいだねぇ、安部くん」
「……当たり前だろ俺ここにいるんだから。っていうか近所迷惑だからやめろよっ」
それでもまだインターホンを押し続けようとする刈谷を止め、安部は自宅の鍵を開けた。
「おじゃまするようっ」「はいはい」
刈谷は家に上がり込むと部屋の角にある安部のベッドに腰掛けた。
「って何でそこ座ってんの?床に座ればいいだろお」
すると刈谷は手のひらを上げる動作をし、ふぅとため息をついた。
「だって安部くんの部屋、ソファーないんだもん。
 こんな地べたに座ってたら、おしりが痛くなっちゃうよ〜」
「わ、悪かったなソファーなくって」
「あ〜っはっはっはいやぁ?いかにも安部くんらしい部屋でうぃ〜んじゃなぁ〜い?」
「うるさいなぁもう。…あ、刈谷なんか飲む?」
「じゃあコーヒーをもらえるかな」
「ん、わかった。ちょっと待ってろよ」
405アベレージ刈×安 3/7:2007/04/27(金) 00:14:15 ID:goNfTDTt0
暫くして安部がコーヒーの入ったカップを両手に戻ってきた。
「はいこれ」
「ありがとぅー。いただくよ」
そう言って刈谷はカップに口をつけコーヒーを一口飲んだ。
「甘!!安部くぅん、このコーヒーちょっと甘すぎるんじゃなぁい?君いつもこんなの飲んでるの?」
「えぇ、普通だろ?」
「いいや全ッ然。だってさコレ飲んでみてよ」
安部は刈谷から手渡されたカップに口をつける。
「ん……、別にそんなに甘くなくない?」
「あ〜っはっはっはっ!安部くんてば味覚までお子さまなんだねぇ。
 コーヒーといえばやっぱり、ブラーック!でしょお〜」
「う、うるさいなあっ。味の好みなんて人それぞれなんだから別にどうだっていいだろっ」
安部は馬鹿にされた気分になりプイとあちらを向いた。
そんな安部を見て刈谷はニヤリと笑う。
「安部くん」
「なんだよ」
「さっきのさぁ、間接キスだよねぇ」
「!…っな…何言って」
一気に顔を赤くして動揺する安部。
刈谷は更に追い打ちをかけるように安部の片腕を捕え耳元で色っぽく囁いた。
「ねぇ安部くぅん、間接キスよりさぁ……もっと直接的なこと、してみない?」
そして掴んでいた腕をグイと引っ張ると、安部をベッドに押し倒した。
「うわあっ、かっ、刈谷!何すんだよっ」
安部は刈谷を睨みつけ必死に抵抗するが、上から両腕を押さえつけられて身動きがとれない。
その間に刈谷は安部のしているネクタイを外すと、両腕を縛り拘束した。
ベッドがギシ…と音をたてる。
「…前から思ってたんだけどさぁ。安部くんのその目、誘ってるようにしか見えないんだよねぇ」
「はぁ?んな訳な…っんー…!」
反論の言葉を唇で塞がれ安部はぎゅっと目をつむった。
「ん…うぅん…っ…」
406アベレージ刈×安 4/7:2007/04/27(金) 00:14:45 ID:goNfTDTt0
刈谷の舌が入り込み安部の口内を犯す。
安部はその濃厚な口付けから逃れようとするが舌を絡めとられ、唇からは思わず甘い声が漏れる。
「っふぅん…っ…んく…んぅ……っは…」
「…ほら、その目も」
長い口付けに潤んだ瞳を愛しそうに見つめながら囁く刈谷。
「やめないと本気で…っ」
「本気で、なに?」
余裕の笑みを浮かべ安部の耳たぶをあまがみする。
「っふ…!」
そのまま濡れた舌で耳の形をなぞっていく。
「ん…っひあ……っや、やめ…っ!」
「耳、弱いの?」
「…っ、んっ」
刈谷の手が器用に安部のYシャツのボタンを外していく。
そして既に硬くなった胸の突起を、指先で捏ねるように弄んだ。
「くぅ……っふ…あ…っ」
押し寄せる快感に安部は下唇を噛んで喘ぎ声を抑えようとする。
「声、ちゃんと聞かせてよ」
そう耳元で囁きながらも、刈谷は胸の突起を攻めるのをやめようとはしなかった。
今度は右手で片方の突起を指で挟み、もう片方の突起を舌先でつつくように愛撫する。
「…っひゃ!……ぁ…ぅん…っ…や」
「そうそう、そんな風にさぁ…」
そう言いながら刈谷はズボンの上から膨らみにふれた。
「ほら。安部くんのここ、もうこんなになってるよ」
「ッあ……ゃ…触るな…ってぇ……っひあぁ」
与え続けられる快感に安部はだんだんと抵抗する力が弱くなっていく。
刈谷はズボンと下着を脱がすと熱くそそり立ったそれを口に含んだ。
「ぁ…っ!」
舌のぬるっとした感触に安部は思わず身体を震わせた。
刈谷はわざとピチャピチャと音をたて安部のそれを舌で弄ぶ。
407アベレージ刈×安 5/7:2007/04/27(金) 00:15:47 ID:goNfTDTt0
「…ひもひいい?」
「ひう…っ!しゃ、しゃべんな…っあぁ…ん……ッ」
口を離すと唾液がツ、と糸をひいた。
「ねぇ安部くん…挿れてほしい?」
「んぁ…?」
顔を紅潮させ乱れた呼吸を整えていた安部は、刈谷の問いに間の抜けた返事をした。
「入れるって、何を…?」
「えっ…ここまでされといて、本気で分からないのかい?」
「…ッ分からないから聞いてんだろおっ」
安部の予想外のボケに刈谷は思わずふきだした。
「な、なんで笑うんだよ!」
「いやぁ、こっちがなんで?って聞きたいくらいだよぉ〜」
「…っで、何入れるって?は、早く言えよっ」
怯えた様子の安部に刈谷はベルトを外しズボンを脱ぐとすっかり勃ち上がった自分のモノを取り出した。
それを見た安部の顔が一気に青ざめる。
「ま、まさかそれを……」
「やっと分かった?」
軽く苦笑する刈谷。そして更に顔色を青くする安部。
「ッそんなの入るワケないだろぉ!…っていうか日本人離れしてるし」
「あ〜っはっはっはっ!失礼だなぁ安部くぅーん。ただ単に君のが小さ」
「いや違うから!」
「まぁそれはさておき〜……どう?欲しくなったぁ?」
「な、ならねぇよ!」
憤慨している安部を見て刈谷は目を細めると、再びそれに手をかけゆるゆるとしごき始めた。
「っひあ…ッ何す…っぁ……んっ」
突然のことに困惑する安部の耳元で刈谷は甘く低く囁く。
「安部くんがお願いできたら、ご褒美あげるよ…」
「…っいらな……っんあぁ…ふ……っくう…!」
「どうしたの?イかせてほしいならさぁ、ちゃんと口で言わないと、分からないよ?」
刈谷は安部が達しそうになる寸前で手の動きを止め、反応を楽しんでいるようだった。
408アベレージ刈×安 6/7:2007/04/27(金) 00:16:23 ID:goNfTDTt0
安部は目尻に涙を浮かべながら迫り来る快感に必死で耐えていた。
「ッ…変態……っぁ!」
「君も強情だねぇ…でも、そろそろキツいんじゃない?」
「……っく…ふ…っ……刈谷ぁ…っ」
「何だい?安部くん」
「…も…っ……イかせて……ッ」
「よく言えたねぇ」
刈谷は微笑み安部の脚を両手で広げさせると、秘所に自分のそれをあてがいゆっくりと

「ってちょっと待て。何の話だ」
「え?」
ここはコンビニの店内。
いつものように遭遇した刈谷の長話に付き合っていた安部だったが、今日は途中でその話を遮った。
「なにって、僕が昨日見た夢の話だけど。安部くぅん、ちゃんと聞いてなかったのかあい?」
「いや、っていうか途中からピーって音ばっかでよく分からなかったけど、なんかさあ」
「まぁでも、もし正夢になったりしたら面白くなくなくなくなくなぁ〜い?」
「い、いまいち分からんが、絶対面白くないっ!」
すると刈谷はいきなり安部に抱きついてきた。
「うわっ、な、なんだよ急にっ!気色悪いから離れろよお」
「やだぁ〜。だって安部くん、冷たいんだもーん。
 あっそうだ、今から安部くんの家行ってもいい?」
「駄目。っていうか、人見てるしいい加減…っ」
なんとかして刈谷を引き剥がそうとするが、なかなか強情で離れる気配が一向にしない。
それどころか抱き締めてくる力が一層強まっているような気がする。
「…ちゅーしちゃおっかな〜」
ぼそりと呟かれた刈谷の言葉に安部は焦る。
「はあ!?…っわ、わかったからもう離れろって!家来てもいいからっ」
「本当に!?うわぁ〜い、やったあ〜」
子どものようにはしゃぐ刈谷を見て、安部は少し穏やかな気持ちになっている自分に気がついた。
409アベレージ刈×安 7/7:2007/04/27(金) 00:17:00 ID:goNfTDTt0
(刈谷見て癒されるなんて、俺かなり疲れてんのかなぁ…)
頬を両手でぴしゃりと叩き、気を入れ直す。
「それじゃあ行こうかぁ安部くんの家〜」
「あ、あぁ…」
店内を出るとき、結局今日もボールペンを買い損ねたことに安部は気づいた。
(……まあ、また明日買えばいっか)
そう思いながら安部は刈谷と共にコンビニを後にした。 
410風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 00:18:33 ID:goNfTDTt0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ループtheループ飛んでけ〜
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 本当にありがとうございましたorz
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
411風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 00:25:17 ID:2kPUfJVsO
リアルタイム投下ktkr!
この状況でカリーヤを家に入れるアベタンに萌えたwwwwwww
412風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 00:49:29 ID:AzC8eDUj0
刈安神乙!
カリヤの台詞があの声で聞こえてきて最高でしたw
それにしてもエロス分もあるのにあの番組らしさもあって
テラモエス(*´Д`)おもしろかった!
413風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 01:28:17 ID:yUmbcR05O
刈安ものすごく良かった!ムッハー!
414風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 01:58:48 ID:5gYySZEV0
>「まぁでも、もし正夢になったりしたら面白くなくなくなくなくなぁ〜い?」
バカスwwwドラマそのまんまだけどテラパカスwwwwww

アベレージktkr
カリヤ面白いよカリヤ
今仕事がうまくいってないアヴェなら
マジモード借家には押し切られるかもしれないなあ
中の人いい声だよね
415風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 02:41:24 ID:XE9wP1mH0
GJ!!
ちょwテンプレ肉体関係禿萌えと思ってたら最後バロスwww
刈谷がマジモードになったら阿部はとんでもなく美味しく頂かれてしまうと思
まず「安部くぅん」て名前呼ぶ声すら兵器ってどんだけ性的な存在だよと。
416執事×ご主人様 1/4:2007/04/27(金) 10:33:09 ID:ZQ/dc7ox0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


ウッドハウス原作、イギリスユーモア小説のジーヴス×ご主人様です。
ぬるいですが、やってる最中の話なのでご注意ください。
417執事×ご主人様 2/4:2007/04/27(金) 10:34:20 ID:ZQ/dc7ox0
「ジーヴス、痛い」
僕達がフランス語で言うところの小さな死、つまりオーガズムに
向かってことを進めている現在、ジーヴスは必要以上に強く背後から
腰を打ち付けるので、僕はきっぱりと抗議した。
「さようでございますか、ご主人様」
ヤツの表情は見えなかったが、平坦な声の響きからは古き良き忠誠心の
かけらも感じ取られなかった。
僕は怒りで頬が熱くなった。我々ウースター家の者は召使にいいように
されて、はいそうですかと甘受するような腰抜けでは決してないのだ。
「ああそうだ。痛いといったんだ」
「さようでございますか、ご主人様」
彼は言うなりゆっくりと動き出した。世間では僕はジーヴスの言いなりで、
スプーン一杯分程度の脳みその持ち主と思われているのは事実だが、
言うべきことはきちんと言う人間だと証明できたと思う。

僕は荒い呼吸と整え、ゆるやかなリズムの心地よさに浸っていたが
今度はジーヴスの動きが極端にゆっくりすぎることに気がついた。
……何ががおかしい。
その何かは僕にはわかりすぎるくらいわかっていた。

今朝届けられた狩猟用のジャケットだ。
418執事×ご主人様 3/4:2007/04/27(金) 10:35:33 ID:ZQ/dc7ox0
それはボンドストリートの紳士服店で見つけて一目で気に入った
陽気な色のひじあての付いた、とびきり陽気なシロモノだった。
これを僕が買うことで、ジーヴスがとても陽気な気分でいられない
ことは二秒ほど考えたが、僕の足は採寸へと向かっていた。

今朝それが届くと、思ったとおり彼は一瞥すると、さも嫌そうに、
本当にそれをお召しになるのかと聞いてきたが、
僕はそうだと短く答えて取り合わなかった。

つまり彼は今、昼下がりの独身者用フラットのベッドの中において
僕にささやかな復讐をしているのは明白だった。
こんなフェアでない仕打ちは断固として許せない。
バートラム ウースターは公平さを尊ぶ男なのだ。
そう思い振り返ると、ジーブスは少しばかりばつが悪そうな、
それでいて傷ついたような顔をしていた。
彼は後ろから丁寧に僕を抱きかかえて引き寄せた。そして首筋、
正確に言うと、ウースター首の後方寄り左サイド部分を甘噛みし、
僕の耳に小さく、申しわけございません、ご主人様と囁いた。
419執事×ご主人様 4/4:2007/04/27(金) 10:36:33 ID:ZQ/dc7ox0
僕は溜息をついた。そしてこんな時にまでご主人様と呼ぶことを
忘れない彼をいとしく思った。
確かに彼の服装のみならず、生活全般におけるセンスのおかげで、
僕のざっと1ダースはある失笑される機会は半ダースほどに減少
しているのだ。たぶん今回も彼が正しいのだろう。
あのジャケットを着て猟犬と駆け回るのは、夢の中だけにしよう。

「ジーヴス、あのジャケットは焼くなり煮るなり好きに処分してくれ」
「大変ありがたく存じます。ご主人様」
僕は素晴らしい色のひじあてを思い一抹の悲しさを感じたが、
それは喉の奥にぐっと飲み込んだ。
「ああジーヴス、お前にまかせる。よしきたホーだ」
420執事×ご主人様 :2007/04/27(金) 10:37:51 ID:ZQ/dc7ox0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

おつきあいありがとうございます。
421風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 11:03:40 ID:4RWjIjIA0
>>402
元ネタ知らなかったけど萌えたから
今度聞いてみようと思った。GJ
サイトも声が聴けていい感じだね
422風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 11:25:24 ID:DbIvBEZi0
同じく元ネタしらないけど萌えた。昼間からハァハァしたよ。
423風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 12:36:48 ID:F7xQdLhTO
元ネタ知ってて良かったとこれほど思ったことはない
GJ!
424風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 19:01:49 ID:5YyA56dL0
>>416
元ネタ知らないがうっかり萌えた
425風と木の名無しさん:2007/04/27(金) 21:53:59 ID:bWQnXgLA0
>>420
Gentleman's gentlemanキタ - .∵・(゚∀゚*)・∵. - ッ!!
426風と木の名無しさん:2007/04/28(土) 00:17:07 ID:Zc+Z4A370
>>420
GJ!!!! 
執事とご主人様が見られるなんて!!
すげぇ好きなふいんきry 萌えた!
427風と木の名無しさん:2007/04/28(土) 01:43:09 ID:DN7zIsiy0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  オリジナル神父陵辱モノ・エロあり・鬼畜・暴力表現注意
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  初めて書いた小説なのでどきどき
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄シリーズものになる予定。ではドゾー
428赤い錆1/10:2007/04/28(土) 01:44:46 ID:DN7zIsiy0
月は、今夜も変わらず静かな光をたたえていた。
人も森も眠りにつき、湿り気を含んだ夜特有の空気があたりを包み込む。
町から少し外れた、この小さな、しかし神の住処にふさわしい
清廉なたたずまいの教会には、まだ薄明かりがともっていた。
 何も変わらない。この日もいつものように一日を終えるはずだった。

  私の過去の闇を再び突きつけられるまでは。


 礼拝堂の沈んだ暗闇を仄かな灯りが裂いた。古ぼけたランプを手に、
脇に分厚い本を抱えた背の高い影が祭壇の元へやってくる。
燭台に火をともすと、その人物の姿があらわになった。
 黒い艶やかな髪は無造作に刈られ、少々癖がある。
長身白皙で、目鼻立ちはくっきりと整い、中性的ではあるがなよなよした感じはない。
黒衣を纏った姿は穏やかで、一見人懐こい印象だが、
長いまつげに縁取られた、時折威圧するような光を放つ鮮やかな血の色をした瞳によって、
容易には近寄りがたい雰囲気をもただよわせていた。
 この若い青年は、数年前からここの教会の神父として奉仕している。
司祭の留守中、彼が一人でここを預かることになっているのであるが、
人々が日課を終え、休眠する時間になっても、彼はこうして
静寂に包まれた礼拝堂に赴き読書をしてすごしていた。

 ――深夜の礼拝堂の、独特の緊張した空間は好きだ。
神父は祭壇の下の説教台に腰掛け、重たい本を開いた。荘厳な空間と、本をめくる時の
乾いた音の中で悔悟の情がわいたのか、ふと昔のことが思い起こされた。
(眠れなくなって、何年になるだろう。)
ぼんやりと見つめている腕には、無数の傷が走っていた。目を細め、
それを眺めながら神父の意識は過去へ遡っていく。
429赤い錆2/10:2007/04/28(土) 01:46:09 ID:DN7zIsiy0

 戦争がようやく終結したころ。私は閉塞した自己の世界に生きていた。
 過去の記憶の中の自分は、濁った瞳をもち、この世の全てに絶望していた。
 信じてきたものに裏切られ、利用されていたことに気付き、己の愚かさと人間に嫌悪を抱いた。
 今でも過去の痛みや後悔に囚われ、こうして夜に安らかに眠ることもできないままだ。
 だが、心の拠り所を得た今、少しづつでも救われている気がする。・・・過ちは消えないけれど。
 数年前、司祭様が私を助けてくださらなかったら・・・
(あのころのまま、何も変化なく・・・)

 ガタン。

表からの物音によって、回想から現実に引き戻された。こんな時間に、人が来るはずもない。
猫か何かだろうと思いつつ、しかし教会を預かる身として、確かめる必要はあると思った。
本を閉じ、ランプを手に立ち上がった。
ドアのほうへ進む途中で、歩を止めた。・・・動物ではない。人だ。経験上、人並み以上に
気配に敏感なのだ。賊の可能性もある。神父はこれでも武術に長けている。
並みの相手に負けはしない。
扉が開き、黒い影が進入してきた。全身に神経を集中させ、突如現れた人影を見据える。
「どなたですか。道に迷われましたか?」
できるだけ柔和に、しかし最大限の警戒をしながら尋ねた。
「・・・・・・」
答えない。私より一回りほど年上の男らしいが、帽子を目深にかぶり、その表情は見えない。
「ここは悩める人々はいついかなるときも拒みません。神の家で秘め事は感心しませんね」
「・・・・・・っくく」
男の口から漏れたのは、明らかな嘲笑だった。
「くっ・・・はは、ははは!神!お前が神の名を口にするか!」
神父は驚き目を見張り、男のほうを見つめた。
ぼろぼろに痛んだ帽子と、だぼだぼの服。裏町の若者が好んで着るような服装だ。
色素の薄い髪に日焼けした肌、耳につけた複数のピアス、濃いサングラスをかけた男。
ひくっとのどからおかしな音が鳴った。しって、いる。この、おとこを。
430赤い錆3/10:2007/04/28(土) 01:47:26 ID:DN7zIsiy0
顔がこわばり、青ざめた神父を見て、男はにやりとした。
「忘れたわけはないよな?・・・昔はよろしくやってただろう。
 しかしほんとにがちがちの神父になってるとは・・・」
全身に変な汗がにじみ出る。忘れてはいない。しばらく封じていた記憶が蘇える。
わたしの、穢れた私の、汚れた記憶・・・


「あっ・・・、アァっ・・・ふぁ・・・んん」
薄汚れた暗い室内に、嬌声とぐちゅぐちゅと淫らな水音が響く。
男に貫かれるたびに真紅の瞳を歪め、甘い声を漏らすのは、まだ少年らしさの残る若い青年だ。
質素だが清潔な服は半端に脱がされ、傷がところどころあるが白く滑らかな肌とあいまって
逆に全裸の状態よりもいやらしい。青年の胸の飾りを甘噛みすると、びくん、と体が跳ね上がった。
「ぅあっ!や、・・・ちょ、んん・・・!」
妖艶に体をくねらせる青年を抱く男は、サングラスで表情が隠れ、心が読めない。
「ひとつ、訊いていいか」
相変わらず淡々と犯しながら、男は青年に言った。
「ふっ・・・ぅあ、え、何・・・ああああああっ!」
男は腰をつかみ、青年の体を浮かせて一気に体重をかけて挿入する。ずぶずぶと男のものが
奥深くまで入る。全身に電気が走るような快楽に、青年はいっそう甲高い声で叫んだ。
「神学生の癖に、こんな掃き溜めみたいなダウンタウンへ男に犯されに来るのはなぜだ」
「ああっ、あぁぅ・・・そ、れは・・・んふぅ、それ、は・・・ぁ」
揺さぶられながら、苦しげに途切れ途切れに答える。
「わた、・・・は・・・ァ、私を、んん、・・・壊し、た・・・いから、・・・です」
男に出会ったときと同じことを、神学生時代の神父は繰り返した。
431赤い錆4/10:2007/04/28(土) 01:49:07 ID:DN7zIsiy0
時はさらに遡り、戦時中。

 きな臭い硝煙のにおい。鳴り続ける銃弾の音。逃げ惑う人々の悲鳴。それを撃ち殺す兵士たち。
 「逃げても無駄です」
 抑揚のない声が聞こえた。緑色の瞳の年老いた男女を追い詰めた兵だ。
 「貴様・・・孫と同い年くらいの癖に・・・軍の傀儡か」
 老人が哀れみか憎しみともつかぬ表情で言う。
 「・・・」 シュピッ
 空気を裂く軽い音と共に、老夫婦の首から鮮血がほとばしる。ダガーを軽く振り、血をふるい落とす。
 寄り添うような死体には一瞥もくれず、事務的に言い放った。
 「B-7地区、駆逐完了」

 私は幼い頃から軍人として育てられた。否、兵器として、が正しいだろう。
 孤児だった私は、才能があることを買われ、軍の幹部の養子になった。
 実戦に出てわずかの間に10代で将校になり、「赤の悪魔」と呼ばれ味方にも恐れられた。
 わが国の異端民族を抹殺せよ、という命令も躊躇なく受け入れた。それが正しいと思い込み・・・。
 戦争の終盤近く、ようやく何かがおかしいと気付き始めてももう遅かった。敗戦が濃厚に
 なってくると、唯一信頼していた養父は自分たちの罪を私に全て押し着せようとし、
 責任を逃れようとした。初めから愛情などなかった。私は利用され、切り捨てられるだけの
 駒だったのだ。絶望した私は顔を作り変え、偽名を使い国外へ脱出した。
 星の数ほど罪なき人々を手にかけた私に、命だけでは償いきれるはずもない。何かを求め
 神学校に入っても鬱屈した思いは晴れない。遠く離れた地で祖国の敗北を聞いても、
 何の気持ちも湧き上がらなかった。いつか生き残りの民に復讐され、ぼろきれの様に
 打ち捨てられてもいいと思った。私に清廉潔白な法衣など着る資格はないと内から声が聞こえる。

 白になりきれぬのなら、この上なく暗い闇に塗りつぶしてしまえ。
  
 戒律を破り、背徳の道に自分を染めることが悦楽になっていった。

遠くに旅立っていた意識が男との情事に戻る。
「・・・なら壊してやるよ。何度でも・・・」男の動きが激しくなった。
悪魔的な快楽の前に、神父の意識が失われていく―――――
432赤い錆5/10:2007/04/28(土) 01:50:08 ID:DN7zIsiy0


(あれは昔の私だ。司祭様と子供たちに出会い、本当の神への愛を知った
今の私は、二度と過ちを犯さない。過去の穢れに、惑わされてはならない。)
そう念じつつも、神父の鼓動は早まっていく。
「何の用ですか、いまさら・・・」平静を装うが、動揺は隠せない。声が震えている。
この男と爛れた関係を結んでいたことが知れたら、ようやく見えてきた光がまた遠ざかってしまう。
私が教えてきた何も知らない子どもたち、道を指し示してくれた司祭様・・・
「今の私は、あなたを必要としていません。堕落の誘惑にはもうのりません」
できるだけ毅然として、言い放った。
「・・・なんか勘違いしてるよ、神父様」
やや間をおいて、冷たい声で男が言い放つ。先程のにやついた顔が消え、冷徹な顔を覗かせる。
男が祭壇のほうを仰ぎ見る。小さいが見事なステンドグラスからわずかに月光が差し込んでいる。
「そうだな・・・ここは神の家だった。隠し事はいけない」
男がサングラスに手をかけた。行為の最中でも頼んでも絶対に外さなかったのに。
隠されていた素顔が露わになる。ごどんと心臓が重い脈を打ち、神父は自分の息が止まるかと思った。

うっそうと茂る森を思わせる、深い暗緑色のひとみ。
「あ、あ・・・」
私が殺害してきた、迫害された民族の特徴だ。・・・なんということだろう。罰が、今下されたのか―
「顔を変えても、俺にはわかっていた。『赤き悪魔』・・・家族の、同胞の敵よ」
『わかっていた』・・・知っていて、あの時殺さずに犯していたのか。色に溺れる私を見て、
蔑み辱めていたのか―――どくどくと重く脈打ち、胸が痛いくらい苦しい。
「わた、しを・・・裁きに来ましたか」
「どうだろうな。俺一人でお前の罪を全て裁ききれるだろうか」
男が近づいてきて、首に触れてきた。なぜられて思わず仰け反りそうになる。
だが、自分にこの手をはねのける権利はない気がした。
433赤い錆6/10:2007/04/28(土) 01:51:44 ID:DN7zIsiy0

「だが、・・・そうだな・・・服を脱げ」
「え・・・」
男の唐突な命令に、体を硬くする。
「脱げといっている。体ごと服を切り裂かれたいか」
男は懐からナイフを取り出し、神父に突きつけた。危険を感じた神父の脳裏をある考えがよぎる。
(レイプして半殺しにでもするつもりか・・・丸腰でも、男のひとりやふたり、どうにでも・・・)
そう、 ころす ことだって。このナイフを奪えば・・・
「何をしてる!本当に血まみれにするぞ」
イラついた男の声に、はっと我に返った。なんてことを思ったのだ、私は。
仮にも聖職にあずかる者が・・・もう殺生などしてはならないと誓ったはずなのに。
「わか、りました・・・」
震える手で法衣のボタンを外していく。全て外し終え、下着も脱ぎ捨て、白い肌が露わになり
ロザリオのみ身につけている状態になった。冷たい外気に触れた肌はあわ立ち、寒さと羞恥で
胸の突起が硬く立ち上がる。
男が乱暴に腕をつかみ、押し倒して神父のストールで腕を後ろ手に拘束した。押し倒された拍子に
頭を角にぶつけ、出血する。「ッつう・・・」
「お前、こういうの好きだったよな。・・・あぁ、せっかく苦労して拡げたのに」
男の指が後ろの菊門にのびる。再び硬く閉じた蕾の周りを撫でられると、
思わずぴくんと反応してしまう。男の顔がゆがんだ。
「調教しなおしだ」
調教と聞いてぞくりとした。嫌悪か、汚れた期待かわからない。そんな自分がいやだ。
もう片方の手で陰茎を弄ばれる。頭では拒否しようとするものの、与えられる快楽に体は反応してしまう。
「くっうぅ・・・ああ・・・」
ぐちぐちと先走りがあふれ出てきた。それを指先に塗りつけ、周りを撫でつつ、菊門に押し付ける。
「ぐ、あぁっ・・・」
ゆっくりほぐすように動き、侵入してくる異物の感触。久々の感触は気持ちのいいものではなかった。
何度も粘液を塗りつけ、ほぐしながら入れることを数回繰り返すと、数本まとめて挿入された。
434赤い錆7/10:2007/04/28(土) 01:52:58 ID:DN7zIsiy0
「ああぁっ!」
鈍い痛みが走った。頭の怪我がずきんずきんと痛むのに合わせるように、指が入れては出される。
(き、きもち、わる・・・い・・・)
まだ序の口なのに、吐きそうになる。これから起こるだろう陵辱を思うとぞっとする。
あの頃の自分は自暴自棄になっていたといえ、よくこんなことをしていたものだ・・・
「アッ」
指がある部分をこすると、なんともいえぬ感覚に襲われ、甲高くちいさく呻いた。それを男が
見逃すはずもなく、その部分を執拗に責め立てた。
「やっ・・・ああっ、あぁっ、ふぁあ、あぁアッ」
内側を擦られ、鈴口を刺激され、耐え切れず声が漏れ出る。
「相変わらず淫乱な体だな。殺されるかもしれない相手に、神聖な場所で辱められて感じるのか」
男が侮蔑したように言い放つ。髪をつかまれ、無理やり起こされて男に後ろを向ける格好になる。
「ぐッ・・・」
上半身を説教台に押し付けられ、否が応でも祭壇が目に入る。燭台の光で浮かび上がる磔刑に処された
神の子がこちらを見つめ返している。神父がとてつもない背徳感に襲われていると、
男の手が腰をつかみ、とうとうその時が来るのだと悟った。男の怒張したモノがあてがわれる。
(ひっ・・・!あ、か、神、よ・・・)
神父の体はあっけなく男を受け入れる。容易に男を飲み込んだ自分を否定したいのか、恐怖と
快楽から逃れようと祈る。男が動き始めた。するととたんに苦痛と快楽の渦に意識が飲み込まれた。
「ひいぃっ、はっ、あぁ、い・・・ぁあ、ふぁっ、嫌、あああっ」
(つ・・・罪、に、つ、み、…を、)
男にかき混ぜられ、辺りを包む淫靡な香りと、押し寄せる渦に思考力を奪われながら祈り続ける。
(う・・・ぁ、かさ・・・かさ、ね・・・)
「お前は、殺した人間など、いちいち覚えてはいないだろうがな、」
神父を犯しながら、荒い息づかいの男が話す。頭の中はもうほとんど真っ白なのに、
男の声は残酷なほどはっきりと響く。
「俺の弟・・・生きていればお前くらいだ・・・貴様に脳天を撃ち抜かれて殺されたがな」
「・・・ぅあアッ!」
先程の頭に怪我したところを打ちつけられ、奥にずぶりと深く挿入されて悲鳴を上げる。
(おろ・・・っ・・・な、愚・・・かな、わた、しを、)
435赤い錆8/10:2007/04/28(土) 01:54:06 ID:DN7zIsiy0
神父の目に涙がにじみ、聖像の姿が視界の隅でぼやけた。
「忘れた日はない・・・弟の頭が吹き飛ばされ、死にゆくのを、俺はただ見守ることしかできなかった」
ぐいっと髪をつかまれ、無理やり男のほうに顔を向かされ、首が痛い。
「忘れない、貴様のその紅い瞳!」
(穢れ・・・、私、を、じ・・・ひ、慈悲、と、あうぅ・・・)
神父の肌が上気し、皮膚の薄い背中の傷跡が紅色の十字型に浮かび上がる。それをなぞりながら男は続ける。
「お前のほうから、近づいてくるとは、夢にも思わなかったが」
(あ・・・愛、みち、た、そ・・・その、)
「犯しながら、何度、その細い首を絞めてやりたいと思ったか」
唇が触れそうなほど顔を神父の耳元まで近づかせ、ささやく。
(その、おん、御身・・・のっ・・・ふと、・・・ころ、に、い・・抱、い、)
男の腕がそっと神父を包み込むように伸ばされ、胸の突起を弄ぶ。男の律動がいっそう激しくなる。
「あっ、はああぁっ、んぅ・・・ああぅ、あああああ!」
強烈な快感に祈りが妨げられた。腰を強く深く打ち付けられて、自ら快楽を求め腰を振ってしまう。
男の欲望を中にたっぷりと注ぎ込まれ、神父も身を震わせて己の精を吐き出した。神父が達して
強く男のものを搾り取るように締め付け、どくどくと内部に最後の一滴まで男の精が流し込まれた。
ずるりと白い糸を引きながら萎えた男の陰茎が引き抜かれ、ハアハアと息を整えるのが聞こえた。
神父はその場に崩れ落ち、なかなか引かない余韻に浸った。もう、神への背徳行為への後悔など頭には
無かった。敏感になった肌は少しなでられただけでも感じてしまう。男が目を細め、神父を見下ろす。
「こんなに乱れて感じられては、お仕置きにならないだろうが、淫乱神父が」
男の腕がロザリオに伸び、強く引っぱったので神父は窒息しそうになった。その苦痛に再び我に返った。
気づけば唯一身につけていたロザリオも奪い取られていた。男が手の中でそれを弄ぶ。
「か、返しなさい!」残った力を振り絞り、神父が叫んだ。
「はっ・・・、そんなに大事か。そんなに信心深いとは思わなかった」
お前にそんな資格があるのか、と見下され、神父は顔を染める。たしかに、わたしは、よごれていて・・・

しかし。よごれているわたしでも、いのることだけはゆるされたい。
436赤い錆9/10:2007/04/28(土) 01:55:07 ID:DN7zIsiy0
「・・・いいだろう。返してやるよ」
あまりに神父が哀れな様子をしていたからか、ふっと男の顔が柔らぐ。
ほっとしたのも束の間で、男の顔に再び憎悪が宿る。神父の足を開かせ、まだ拡がっている後孔に
入れやすいようにロザリオを握ったのを見て、おぞましい事が起こるのだと瞬時に理解した。
「ひっ・・・!まさか、それは、・・・それだけは、止めてください!おねがッ・・・アァッ!!」
嘆願を聞くまでもなく、男は神聖な象徴を神父にねじ込んだ。硬く冷たいものが入れられ、その
感触と怖ろしさとあまりの恥辱にぞくりと身を震わせた。それを男が動かすたびに固い先端が、
無慈悲に神父の内部を裂いていく。鋭い痛みと辱めの前に、今にも気が狂いそうであった。

(あ、か、神、イタ、いぃ・・・うああぁ、お赦し、を穢れ、わたし、私を、壊し、)
泣き叫ぶ神父をよそ目に無情に手が動かされる。必死で押さえ込んでいたどす黒い感情が神父を襲う。
(こ、ろ、して、やりた、い。ダメ、私は、罪、)
神父の紅い瞳が憎悪に光ったのを見て、男はわずかに唇の端を歪めた。
(いまさら、ひと一人など、いや、もう、わたしは、)
神父に殺意が芽生え、殺したいと思うたび必死に理性で否定する。
(コロシたい。ジブン、この、男、しに、たい、許しなど、いらな、い、コワシ、それは、ゆるされなく)

思考は意味を成さなくなり、神父が発狂寸前までいってしまったのかと思えたとき、男の手が止まった。
ことりと血と白濁液にまみれたロザリオが抜け落ちる。糸の切れた人形のように横たえた神父は、男が
顔のそばの床にナイフをつきたてても無反応だった。うつろな瞳の神父を見つめながら男が言った。
「これはお前に預けておく・・・自殺するなり、俺を殺しに来るなり好きにすればいい・・・またな」
437赤い錆10/10:2007/04/28(土) 01:56:32 ID:DN7zIsiy0
いつもの静けさが戻った。ステンドグラスから柔らかい月の光が差し込み、床に美しい模様を描く。
聖人たちはじっと沈思している。神父は裸のまま床に力なく座り込んでいる。
全身が鉛のように重く、一部の熱を帯びた部分がずきずきと傷む。

いまのことは、いや、何もなかった。からだの熱も、痛みも、すべて、夢で、
そうだ。はやく休まなければ。あしたは、子どもたちとやくそく、が・・・

何とか立ち上がろうとしたとたん、ごぽりと太ももを何かがつたって落ちた。
先程注がれた男の残滓と、自らの血液が混じり、床を赤と白の模様に染め上げる。
それで絶望と現実に引き戻され、今までのつけが一気に現れたように、がくがくと震えだした。
あの、男が戻って、しかも私に復讐を、拒めずに、あの男の手に、堕ちて、また・・・
神父は混乱して、考えがうまくまとまらない。ふと、足元にきらめくものを見た。それを手にとって見る。
男が突き立てたナイフだ。見覚えのある形だ。すると神父に突然ある記憶が思い出された。
(これは、私のダガーだ)
あの時。敵兵の一人を撃ち、もう一方の兵にダガーを突き刺したまま、逃げられたときのものだ。
あれが彼だったのか。いままで生き延び、ずっと手元において私への復讐を待って・・・
よく見ると赤い血のりが残り、錆付いてしまっている。
「ふふ・・・あははは・・・ははははははは!」神父は突然狂ったように笑い出した。
赤い、錆。赤い錆か。内側から腐食した私には、ふさわしいということか?
また来る、と奴はいった。また、繰り返されるのか?赦されるまで?それはいつ?何年後?
私か、彼が死ぬまでそんな日はきっと来ない――――
これは、ほんの序章に過ぎなかった。
438赤い錆(1)終わり:2007/04/28(土) 02:00:21 ID:DN7zIsiy0
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 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ とりあえず第一話終了。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

お付き合いありがとうございました。
439風と木の名無しさん:2007/04/28(土) 12:10:34 ID:jCW+W9H30
>>438
テラモエスでした
背徳的な設定がツボッたよー。
姐さんGJ!!
440風と木の名無しさん:2007/04/28(土) 20:00:47 ID:g0YZM/tz0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

あんまりすごい雨だったもので。ネタ元はあるようなないような。

「…あ…ぁ…はっ…あああ!」
だって、外は凄い雨だし、雷までなり響いて…って、今のは近かったみたいですね?何処かに落ちたかな?
「あぁ、ぁ…や、あっ…は…ぁ…あぁ!」
こんな日に外出なんてあり得ないし、かといって大してしたいような事も思い付かないし。
「んン…ぅ…ぅあ、あああっ!」
退屈なんですよね、こういう時って。で、どうせならひまつぶしとはいえ楽しいことしたいじゃないですか。
「も…ぅ、よせっ…!」
冗談でしょう?
ここまで乱れて素直に鳴いてくれるようになるまでどれだけたっぷり時間と手間とをかけたか。ま、それだって楽しみのうちなんですけどね。
なんにせよ、今更それは聞けません。そうでしょう?だって、ほら、
「あ…あ、あ、はっ…ァ、あああぁ!」
はい、陥落。
ああでも。どうせなら枕なんかじゃなくて私にしがみついてくれればいいのに。変な所で意地っ張りなんだから。
うっすらと赤みがさした肌、吐息に合わせて上下する胸、力の抜けきった無防備なカラダ。
まず滅多にお目にかかれないそれらの中でも一際惹き付けられるのはやはりその表情。
焦点の怪しい潤んだ瞳、薄く開いた唇、そこから漏れる乱れた吐息、わずかにひそめられた眉。
今のままでも飽きない眺めではありますけど。それだけじゃやっぱり物足らない。軽く触れてみたりして。
「ぁ…ぅ…」
反応あり。
うん。まだまだイけそうですね。
外の雨は止む気配も見せず、風も雷も元気なようですし。
もうしばらく、お付き合い願えますか?

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
441風と木の名無しさん:2007/04/29(日) 00:06:04 ID:C45CoE9L0
>>438
禁欲的なシチュ大好きなおいらには極上の品でありました!

>>440
限界な受と余裕な攻がたまらないっすー!
勝手に自分の好きカプで妄想してしまいました。
萌え萌えです。
442風と木の名無しさん:2007/04/29(日) 00:11:50 ID:fEAFSmdd0
>>440
気象現象さえ妄想源・・・!
笑ってそれから萌えましたw
GJです!!
443風と木の名無しさん:2007/04/29(日) 19:42:45 ID:uLi8EB6MO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

鯨人・877
軽い下羅→←火邑です。
少し暗いかも

444鯨人877・1/2:2007/04/29(日) 19:44:39 ID:uLi8EB6MO
火邑さん。
貴方が笑うから
僕まで笑っちゃって

「…あれ?」

自分のコンビ名が書いてある楽屋に入ると

「寝てる?」

相方がぐっすりお休み中で
「火邑さーん」

疲れているのかな

そう考えたら起こそうとした自分に罪悪感

でもね火邑さん
夢の中でね
貴方に会ったんです
ボロボロの貴方に、会ってしまったんです

そして僕の手にはナイフ、あったんです。
「…下羅?」
だからちょっと心配に

「下羅?」

気付けば貴方が起きていて
良かった、死んでいなかった。なんて。

445鯨人877・2/2:2007/04/29(日) 19:46:39 ID:uLi8EB6MO
「おはようございます、」

「…何笑ってんだよ」

いや、だってね。

貴方の顔酷く気持ち悪いですよ。

寝起きだから仕方ねぇじゃねーか。

火邑さんは少し笑った。


お前が笑うから
俺まで笑っちゃった

さてと、何だ。
これが噂の両想いというヤツか。
そういえば、
確か夢の中の火邑さんの傷跡は、鞭の跡だったかな。
どっかの女王様にやられたんだな。

じゃあ僕は







ナイフで何をしようとした?
446風と木の名無しさん:2007/04/29(日) 19:48:38 ID:uLi8EB6MO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・; )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

オチナシ!
447中華麺ズ 0/3:2007/04/30(月) 00:00:29 ID:qWSjwGfG0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ゲイ二ン。中華麺ズ。エロもなんにもないけど、木庭椰子×イニ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  どうにも萌えが止まらなくなったみたい
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ハジメテトウコウ…ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
448中華麺ズ 1/3:2007/04/30(月) 00:01:22 ID:qWSjwGfG0

「ごめん。ちょっと今んこと、もう一回」

小さなテレビを睨み付けるように見つめていた片桐は、そこから目を離さずに真剣な声でそう告げた。
俺は気づかれないようにそっとため息をついて、手にしたリモコンの巻き戻しボタンを押した。
小さなホテルの一室。地方公演のためここに三日は居ることになるからか、部屋は様々なもの達で散らかっていた。
自分の部屋ならまだしも、ここは彼の部屋だから、おいそれと片付けるわけにも行かず、
結局二人してベッドの端にきゅうきゅうになって座りながら、
さっきからスタッフに貰った今日の公演の資料用ビデオを確認していた。

今日、片桐はあるコントでひどいミスをした。
二人の掛け合いが大事になるコントで、セリフを一個飛ばしたのを皮切りにそのあとはぐだぐだだった。
笑って誤魔化せないくらい、それはひどいものだった。
テンポが大事なそれは、二人で何度も稽古を行い、リハではこれ以上ないくらい息を合わせて、万全で望んだものだったのに。
本人も本気で落ち込んで、俺を先頭にスタッフ皆にひとしきり頭を下げた後、
こうしてもう二時間以上も台本片手にビデオで確認しながら練習をしている。
「あのさ、ケンタロさ、ここのとこからもう一回合わせてくれる?」
しわくちゃになった台本の途中の部分を指して言う片桐は、もう余裕などちっともなくて、
袋小路に嵌っているような目をしていた。
449中華麺ズ 2/3:2007/04/30(月) 00:02:51 ID:qWSjwGfG0
時々こいつはこうしていっぱいいっぱいになって、ぐるぐると同じところを回り出す。
そして、そんな状態のこいつは決して面白くないし、それはきっと見に来てくれるお客さんにも伝わるものだろう。
だから、俺は大げさにため息をついて、目の前の台本を奪って遠くへ放り投げた。
何かにぶち当たってどさりと落っこちた音がしたけど、そんなのどうせこいつの部屋なんだから、構いはしない。
その辺に粘土とかが散らかってる部屋なんだから。
「もう今日はやめときなよ。肩桐さ、これ以上やっても同じだよ」
俺の言葉に、肩桐は眉を寄せて、まるで縋り付くような目をした。
こいつは時々、こうしてまるで唯一自分を救ってくれる対象を見つけたみたいに俺を見る。
疑いのない愛情とも取れる信頼いっぱいの視線は、くすぐったくもありひどく重くもあった。
この信頼を、他の誰にも見せていないであろうと思うと、目も眩むような優越感を感じ、
同時にその重みに潰されそうにもなるのだった。
「明日…」
掠れた声で肩桐がぽつりと呟く。その言葉の先は繋がっていかないけども、言いたいことはわかった。
昔よりも俺に弱音を吐かなくなったのは、嬉しいことなのだろうかそれとも寂しいことなのだろうか。
俺は黙って頭ひとつぶん下にある肩桐を抱き寄せた。
ふわふわと広がる髪は、思ったよりもずっと柔らかい質感なのだと、初めて触れたときに驚いたことを思い出した。
「大丈夫だよ。出来る。何かあったらフォローしてやるし。…俺がいるから大丈夫」
意識して低めの声を耳元に囁く。その言葉に、強張っていた肩の力が抜けていくのが感じられた。
安心したように肩に暖かい重みが掛かる。
450中華麺ズ 3/3:2007/04/30(月) 00:04:19 ID:qWSjwGfG0
こうしてへばっていると抱きしめてやって、好きだと言わせて、悪戯でキスしたりもした。
そんなことを日常茶飯事していると、どこまでが本気でどこまでが冗談かなんて、
とっくに見分けが付かなくなっているんじゃないのかな。
もうお互い慣れ過ぎちゃって、そこにある特別な意味なんか見出せないくらいに霞んでしまっている。
「ケンタロ?」
肩桐が動かないままの俺に不思議そうな声を上げる。
身体は任せたまま、決して振り解こうとしない彼に、自分に対するどこまでも真っ直ぐな従順さを感じて、
ぞくりと背中が粟立った。
わざと動けないように抱きしめる腕を強くして、結んだ髪の間の首筋に口付ける。
痕が付くくらい、強く。
「ちょ、ちょっと!何やってんの?!」
慌てたようにもがく肩桐を腕から解放する。その顔を覗き込むと、羞恥で真っ赤に染まっていた。
「ちょっと、ケンタロー…マジで…」
真っ赤になったまま何かぶつぶつ呟く肩桐の頭に手を乗せると、俺はベッドから立ち上がった。
「俺、もう行くわ。オマエも早く寝ろよ。明日もあるんだから」
それだけ言って、そそくさと部屋を後にする。まだ何か言いたそうな肩桐は、それでも一言「おやすみ」と告げた。
「おやすみ」
部屋のドアを閉じて、自分の部屋へ向かう。
明日になれば、きっとまるで何もなかったかのように顔を合わせて、そして二人でステージに立つ。
十何年も続けてきた、二人以外になにもないステージに。
二人だけで作り上げる、それはそれは幸せなステージに。
451中華麺ズ:2007/04/30(月) 00:05:31 ID:qWSjwGfG0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 以上です。ありがとうございました
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) いろいろごめんなさい…orz
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
452風と木の名無しさん:2007/04/30(月) 10:26:31 ID:h/w0w7u/0
どこに書いていいかわからんからスレ違いと知りつつここに書かせてもらう。
まとめの「究明秒等」書いた姐さんスゴス。
見たことなかったんだけどたまたまちょっと前に再放送見てたら、
どのカポーもすごい描写が上手いとオモタ。
453風と木の名無しさん:2007/04/30(月) 12:57:37 ID:xlKFy95a0
まとめスレに感想言いそびれたときのための掲示板があるよ。
皆知らないよね。あんまり使われてない。
>>1のテンプレに入れたらどうかな。
454風と木の名無しさん:2007/04/30(月) 13:18:58 ID:diQef2QJ0
ここで林檎CMの品を見てから、中華麺'sにハマってる。
萌えきった、ご馳走様です!
455風と木の名無しさん:2007/04/30(月) 15:19:46 ID:8eJAPhg8O
>>445
下羅さんの敬語に萌えます。ありがとう。
456風と木の名無しさん:2007/04/30(月) 15:44:01 ID:hPQtir5B0
>>453
>>2に入ってるのでは?
457学怖 風摩×振動 1/2:2007/04/30(月) 22:35:05 ID:vnbuZK6E0
寸薔薇リア星人設定、グロとちょっとの死ネタ注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 そもそも、俺と風摩があまりにも近すぎることがおかしかった。マンモス校でずっと同じクラスだったし、委員も一緒だった。部活はさすがに違ったが、帰る方向も同じだった。
 そして今日、俺と風摩が清掃委員の仕事を任された。校舎の掃除点検だ。旧校舎まで調べると途方もなく広い。
 若干日も落ちていた。廊下に二人分の足音が響く。今日に限ってなぜか生徒が他に居ない。前を行く風摩の背中を見た。歩くのが速い奴だ。俺も運動神経には自信があるが、なぜかこいつは歩くのが異様に速い。
「……なぁ」
 沈黙に耐えきれず、俺が折れた。
「何?」
「俺さ、ずっと変だと思ってたんだけどよ、なんで俺とお前はいつも同じなんだ?」
 風摩が立ち止まった。くるりと振り向く。男のくせにいいキューティクルを持った髪がさらっとなびいて、その残像に目を止めた。
「君は宇宙人じゃないのか?」
 心臓を握りしめられたようだ。俺は言葉に詰まる。瞬間的に喉がぎゅっと締まってしまった。
 窓から差す日は完全に赤くなっていて、風摩の顔の右半分を染める。逆に左は真っ暗になり、そのコントラストが怖く感じられた。
「僕はずっとそう思っていた」
 追い打ちをかけるように風摩が言う。
「だから君が僕を追っているんじゃないかと、思っていた」
「…追っている、って?」
 ようやく絞り出してなぜかそんな言葉だった。
「僕を見ていただろう? ただのクラスメイトみたいな顔をしておきながら、僕を見ている目は、どこか違っていた」
 目が細くなった。睨むでも疑うでもない、確信を持った目だ。
 そのまま二歩歩いてこちらに近づく。十八だというのに髭が生えた痕跡もなさそうなつるりとした顎が目に入った。
 …目に入った次の瞬間に、キスをしていた。
「っ!!」
 驚いて後ずさろうとする俺を、強い力で引き止めてくる。どこにこんな力があるんだ。
458学怖 風摩×振動 2/2:2007/04/30(月) 22:36:37 ID:vnbuZK6E0
 顎を押さえて舌を捩じ込まれた。喉が無意識に嚥下する。何か、何か飲み込んでいる。液体…涎、か?
「やっぱりね」
 口を離されると、体から力が抜けていた。まるで酒を飲んだ時みたいに、足下や景色がおぼつかない。
「君は面倒だな。殺さなきゃ」
 本能的に体が跳ねる。だが風摩に掴まれたままの顎が痛いし、振りほどけない。
 駄目だ、俺はここで死ぬわけにはいかない。俺はなんとしてもこの学校に潜入したあいつらを、殺さないといけないんだ。
「大丈夫。君が僕を好きだったことは、僕らだけの秘密にしておくから」
「勝手なこと、言ってんじゃねぇ!」
「どうして? 好きだったろう、僕のこと。触れたいと思ってただろ。修学旅行の時に眠っている僕の顔の輪郭をなぞっただろ。体育の授業中、僕を探して僕の位置を常に把握してただろ」
 認めたくない。俺は首を振る。俺自身が意味が分からないことを、勝手にこいつに意味付けられたくない。
「人の輪の中心に居ながら、僕みたいなはぐれ者のことばかり気にかけていただろ。そういうのが本当にうざったかったよ」
 違う。俺は頭が痛くなるぐらいに首を振った。止めるように風摩が手を伸ばす。
「でも、今、そうやって怯えてる君は、嫌いじゃないかな」
 そう言って宥めるようにキスをしてくるから、俺はなんだかもう認めてもいい気がして、目を閉じた。
 口の中の舌が、細くなって増えたような気がした。触れている肌が肌っぽくない。目を開けようとすると、手で瞼を隠された。
 風摩の舌を噛もうとすると、溢れそうになるほど何かの液体を口に流された。舌じゃない舌に先行され、吐き気を堪えて飲み込む。何か種子のようなものも飲み込んだ気がする。
 気持ち悪い。息苦しい。だが、どこかやる気をなくしてしまう。俺は垂れていた腕を伸ばすと、風摩の糊のきいたワイシャツを掴んだ。
 そこで俺の五感は消えた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
振動可愛いよ振動
459風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 00:28:00 ID:hT7A3Kq3O
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

大御所ゲ仁ン3人
さっきの番組で妄想が掻き立てられましたスミマセン資料ナシナニモナシ


本番が終わり楽屋に向かう途中、若い新人ADに助けを求められた。
『秋刀魚さんと喜多野さんが…』
さっきの収録の終盤に起きた予想もしなかったアクシデント…予想もしなかった?
いや、予想はできてたかな。あの2人の事だし。
案の定二人の顔は墨だらけ。
オマケに俺の金髪にも墨が多少付着。
いや、ホントにいい歳こいたオッサンが何やってんだか。
廊下の先にあるロビーには少々ムキになって言い争いしているオッサン二匹。
そしてそれを見て狼狽えている可哀想な新人AD君。

別に俺には関係ないんだけど。
早く帰って、物凄く疲れたこの身体を癒してあげたいんだけど。

「あーもう何やってんのよ」

結局あの餓鬼なオッサン二人の餓鬼な言い争いを止めに行く。

え?嬉しそう?冗談言わないでよ。
あんなオッサン達のお守り役なんてゴメンだって。

違う違う。
たださ、新人AD君が可哀想なだけだから、ね。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
あんなオサーン達に萌えるとは思ってもいなかった!!
460風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 01:03:05 ID:Gt007EYl0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  アベレージのカリーヤ×アベ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  嫉妬するアヴェの話。ちょっと暗め。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
461風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 01:04:08 ID:Gt007EYl0
ピンポーンピンポーン♪
「・・ぅん・?」
布団の中で惰眠を貪っていた安部は鳴り響くチャイムの音で目を覚ました。
(うぅ、こんな朝早くから誰だろ。折角の休みくらい寝かせてくれたって…)
眠い目をこすりながらベッドから降りようとすると
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン♪
「うわ、本当に誰だよもう〜。近所迷惑…って、まさか……」
不吉な予感が頭をよぎる。このデジャウ゛感は…

「あ〜っはっはっはっはっ!安部きゅうん、寝癖おもしろおいっていうかテラカワユス〜」
「…やっぱりお前かよ」
高笑いしながら頭をワシワシと撫でてくる刈谷に抵抗する気力もなく
安部は肩を落としうなだれた。
「ん?元気ないねぇ安部くぅん。悪い夢でも見たのかあい?」
『お前のせいだよお前の!』 という言葉を飲み込み安部は刈谷の手元を指差して言った。
「ねぇ、その手元のでかい荷物は何なわけ?旅行にでも行くの」
「あ、コレ?まぁ旅行っていうより…お泊り、かな?」
「ふーん、どこに?」
「安部くんの家」
「へぇ〜……ってはぁ!?お前何言ってんだよ」
そのあまりにも唐突で突飛な返答に驚いている安部に構わず、刈谷は喋り続ける。
「いや〜、妻と子供が二人だけで旅行行っちゃってさぁ。家で独り淋しいなぁって。
 それで『そうだ、安部くん家行こう。』って思いついたわけぇ〜」
「いやそんなノリで勝手に決められてもなあ…っていうか大体何で俺ん家なんだよ。
 他当たればいいだろお」
すると刈谷は急に目を潤ませ安部を見てきた。
「な、なんだよその目は」
462アベレージ刈×安 2/6:2007/05/01(火) 01:06:23 ID:Gt007EYl0
「うぅっ、僕が安部くんの所以外に行く場所ないって知ってて
 そんなこと言うなんて…ひどい、ひどすぎるっ!」
そう言っておいおい泣き始めた。
「ごっごめん刈谷、俺が悪かったよ。だから泣くなって、な?」
「うわあ安部くんの部屋相変わらず狭ぁ〜い」
「って何勝手に上がり込んでんだよ!」
何時の間にか部屋に入り込んでいた刈谷はそこらに置いてあった物を次々と片し、自分の荷物を広げていた。
「あっおい勝手に片付けんなって。つうか荷物多っ」
「えーとお、歯ブラシでしょ〜タオルでしょ〜。
 着替えの服にパジャマとパジャマとパジャマと〜…あ、あとパジャマ」
「どんだけパジャマ持ってきてんだ」
すると刈谷は手を止め安部を真っすぐ見ると真剣な声色で言った。
「だってさ、“寝る時”の服装って結構、大事じゃない?」
「いや意味わかんねぇよ。ってかマジでお前、今日俺ん家に泊まる気?」
「もちのロンさぁ〜。安部くん何か予定でもあるの?」
「いや、別にないけど…」
「じゃあうぃ〜んじゃなあい?ねぇ、うぃーって言ってよ安部くぅ〜ん!」
甘えモード全開な刈谷に安部は若干圧され気味だ。
「…ぅ、うぅん、まぁ、別に駄目ってこともないけど…」
「あ〜っはっはっは、じゃ決まりだねぇ。よろしくぅ〜」
「あ、あぁ」
(ってしまったー!)
断れずOKを出してしまった安部は心の中で密かに、押しに弱い自分の性格を呪った。
それからなんとなく色んな話をしたりゴロゴロしているうちに夜になり…

「…ふぅ、それにしても家に誰かが泊りにくるなんて久しぶりだなあ」
安部が湯槽につかりながらひとりごちていると、洗面所からガサゴソと物音が聞こえてきた。
463アベレージ刈×安 3/6 :2007/05/01(火) 01:07:11 ID:Gt007EYl0
「ん…?」
 ガララッ
「安部くぅん、一緒に入ろお〜」
風呂場のドアを開けて入ってきたのは、一糸纏わぬ姿の刈谷だった。
「なっ、何入ってきてんだよ!
 っていうかせめて下、タオル巻くなりなんなりしてちゃんと隠せって!堂々としすぎだから」
焦っている安部を見て刈谷は愉快そうに笑った。
「あ〜っはっはっはっは!安部くん、人っていうのはねえ、自信のない物ほど隠したがるんだよ?
 だからあ、僕には隠す必要なんてないのさあ〜っはっはっはっは!」
「ってヘタしたらそれただの露出狂だぞ」
「まぁそれよか、つめてつめて〜」
そう言いながら刈谷は浴槽に入ってきた。それと同時に湯が溢れ流れだす。
「ちょ、ちょっとお、さすがに狭いっつうの。ていうかひっつきすぎっ」
安部は必要以上につめてくる刈谷から離れようとするが狭い浴槽の中、身動きがとれないでいた。
一方刈谷は、隣で満足そうに鼻歌まで歌いだしていた。
(あぁなんか、デカい子供ができた気分だ)
そんなことを思いながらそっと溜息をついていると
刈谷が何時の間にかこちら側を向いており、安部を両脚で挟むような体勢になっていた。
「うわあっ、か、刈谷っ。いきなり何……ってあ、あたってるって!」
「何が?」
「な何がってお前のそれだよっ」
すると刈谷は意地悪そうにこう切り返してきた。
「それ、ってどれのことだい?安部くぅん」
「っ、そんなもん言わなくても分かるだろおっ。いいから早く離れ…っ」
464アベレージ刈×安 4/6 :2007/05/01(火) 01:08:05 ID:Gt007EYl0
「やだ」
「やだってお前いい加減…っひゃ…」
「あれぇ?どうしたの安部くん、もしかして感じちゃってるの?」
「ばっ、違……んんッ…動くなっ…てぇ」
羞恥で顔を紅潮させる安部を刈谷はいとおしそうに見つめ、横からぎゅっと肩を抱き締めた。
「かわいい」
「っばか言ってないで放せよ…ッ」
「ねぇ安部くん、僕が君にこんなことするの、どうしてか知ってる?」
「知るわけ…っないだろ…っん」
耳元に吐息をかけるように喋ると安部は反射的に目をつぶった。
「君のことがね…す」
「ふ……っ」
その単語を言い終える前に安部は糸が切れたように刈谷の方に倒れこんだ。
「え、安部くん?………うーん、ちょっと刺激が強すぎたかなぁ」
長時間湯につかっていた安部は完璧にのぼせてあがっていた。


「―うぅ…ん……あれ?ここ何処だろう。お星様がたくさん見える」
「あ、安部くん起きた〜?」
体を起こしよく見るとそこは自分の部屋で、
中央では刈谷が体操座りで自宅から持ってきたらしいプラネタリウムを見ていた。
「大丈夫かあい?君、のぼせて気失ってたんだよ」
「あ、あぁ…そうか俺たしか風呂入ってて、そしたら刈谷が入ってきて……あぁそっから全然思い出せない」
「…そう。まぁとりあえず、一緒に星でも見よ〜」
一瞬、心なしか刈谷の顔が寂しそうに見えたが、気のせいだろうと思い直す。
「なんでお前とまたプラネタリウムなんて見なきゃならないんだよ。っていうかこの前見ただろお」
そう言いながらも安部は刈谷の横に腰を下ろした。
465アベレージ刈×安 5/6 :2007/05/01(火) 01:08:56 ID:Gt007EYl0
「あっ流れ星!」
「えっ、どこ?」
「ウッソぴょーん!」
「あた、また騙された。……あっ、あの星座、なんかちょっとお前んとこの奥さんに似てない?」
「ええええええぇぇえっ!?」
凄い勢いで刈谷は飛び上がり、奇声を発しながら安部の背中にしがみついてきた。
「どっ、どこに!?どこだよ言ってくれよ安部くぅん!!ハッもしかしてあなたの後ろに―……!?」
「い、いや冗談だよってか落ち着けって!」
背後でガタガタと震えている刈谷を一通り宥め落ち着かせると、安部は口を開いた。
「…あのさぁ、なんとなく聞きづらかったんだけど……お前んとこって夫婦仲悪いの?」
「…うん、良く…はないね」
すっかり元気のなくなってしまった刈谷を励ますように安部は言った。
「で、でもさっ、刈谷はちゃんと奥さんのこと愛してんだろ?」
「…うん…そうだけど……」

  
―ズキリ
(あれ?何だろう、今なんか呼吸が苦しくなったような…気のせい?)
忽恕として沸いてきた不可解な感情を打ち消すかのように、安部は明るく刈谷に語りかける。
「あ、あはっ、じゃあ大丈夫だよ。きっと奥さんだってお前のこと………」
先の言葉を言おうとするが、その感情は心の中で徐々に大きくなっていき
(……ッなんだこれ…言葉が出てこない。
 ただ『奥さんだってお前のこと愛してる』って、それだけのことを言うだけなのに……)


「?どうしたの安部くん、なんか、辛そうだけど大丈夫?」
ふと気づくと、刈谷が突然黙り込んでしまった安部を心配そうに見つめていた。
「―っえ?あ、あぁ大丈夫。なんかまだちょっとボーっとしてるみたいでさあ。うん、でも全然平気だから」
「もう寝たほうがいいんじゃない?」
「ん、んん、そうだな。もう寝るか…」
もやもやとした気持ちを抱きながらも安部がベッドに向かうと、何故か刈谷まで一緒に入ってこようとしていることに気づいた。
466アベレージ刈×安 6/6 :2007/05/01(火) 01:09:38 ID:Gt007EYl0
「なっなんだよ。お前、自分の布団は?」
「ぎょめんねぇ。本当は持ってこようと思ってたんだけど、バッグに入らなくってさ〜」
「あんなに色々余計なモン詰め込むからだろお」
「そんな冷たいこと言わずにさぁ〜、ねぇ安部くぅん」
縋るような瞳で見てくる刈谷に耐えかねた安部は溜め息をひとつついた。
「もう仕方ないなあ…ほら、ちょっと窮屈だけど入れよ」
「わぁいありがと〜」
「…う、やっぱ狭いな…って刈谷ちょっとこっち来過ぎじゃない?」
「そう?」
そう言いながら刈谷は安部に腕をまわしてきた。
布団の中でいきなり後ろから抱き締められた安部は思わず身震いをした。
「うわあっ。な、なにすんだよおっ」
「……ごめん………」
「え…?」
刈谷の口からぽつりと呟かれたその言葉は哀しげで、暗く静かな部屋にやけに響き渡った。
それは誰かに向けられた言葉のようで、また自分を戒めるための言葉でもあるようだった。
「……刈谷?」
思わず振り返ると刈谷は目を閉じており、薄く開いた唇からは規則正しい呼吸の音が聞こえてきた。
「な、なんだ寝言か…」
壁の方を向き直すと安部は抱き締められた体制のままそっと瞳を閉じ、眠りについた。
刈谷の安部を抱き締める力が、ほんの少し強くなった気がした―

467風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 01:10:54 ID:Gt007EYl0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 本当にありがとうございましたorz
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
468風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 02:15:35 ID:vL5yg31hO
>>457
学怖キタコレ(゚∀゚)
寸薔薇リア星人はかっこいいし振動先輩は男前(*´Д`)ハァハァ
素敵な萌えをありがとうございました。
469風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 02:17:26 ID:Y7VUzW5CO
パジャマ吹いたwww
もうこのシリーズ面白杉!
次も期待してるお姐さん!!
470風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 02:30:37 ID:WyqxUYVa0
>>467
な、ちょ、切ねぇええ!
こんな切ない刈谷はじめてぇええ!!1
安部方面からのラブもほんのり感じられて(・∀・)イイ!!
471風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 05:08:28 ID:h0kXnlaa0
>>459
gj!
番組見てて可愛いオヤジ達だと思ってたから
激しく萌えた。
オッサン同士でカクテル飲んでたら自分も書いてたなきっとw
472風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 18:45:03 ID:BR7tUtKV0
>>459
和んだ( ´∀`)
473風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 20:37:39 ID:M9Cmehth0
>460-46
ktkr
今週の放送聞き逃したんで
ここで萌えを補給できてよかった(゚∀゚)
そうか立派なのか
474風と木の名無しさん:2007/05/01(火) 21:22:59 ID:gsg25GmZ0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

いつものAAでログが流れていく。
もう随分と習慣になった勝利報告は
もはや風物詩だな、と言われるほどだった。

開幕の2戦目。
こちらはまだ試合の最中だというのに、彼らは流れを読まずに投下する。
ご苦労さんだなぁ と思う。
律儀に試合終了までしっかり待って、
それから5分としないうちに駆けつけるのだ。
ライバル視してくれるのは光栄なことだ。
昨シーズンも良い試合が出来たし、こちらも最大のライバルだと思っている。

彼らに対して、正直あまり良い印象はない。
けれども、たまに優しい面を見せるものだからキライにはなれないのだ。

そういえば、今日が彼らにとっての今シーズンの初勝利なのかと気付いた。
おめでとうと言ってやるべきだろうか?
そんなことを考えながらカラカラとスクロールをした。

何の気なしに目を留めたAAの上に
今年もよろしく
とこっそり書いてある。

思わず、口許が緩んだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
開幕から1ヶ月経ったけど…。
実シ兄木反のあの千ームのファン×あの千ームのファンです。
475風と木の名無しさん:2007/05/02(水) 00:56:12 ID:YyPGukDW0
>>474
おまwww
一気に暗い気持ちが晴れました…ありがとう
476風と木の名無しさん:2007/05/02(水) 01:12:53 ID:XoHDD3ue0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  リロ安堵スティッち  悪の天才科学者×一つ目女装癖
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  擬人化なのか何なのか知らんけどイチャイチャしてます
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

4771/3:2007/05/02(水) 01:14:12 ID:XoHDD3ue0
「Jyanバ、邪魔だからその足どっかへやって」
つんつんと足先をつつかれて、自室のソファで読書に勤しんでいた私は顔を上げた。

見ればスカートを穿いた小柄な異星人が、原始的な装置――この星の一般的な清掃器具だ――を持って立っている。
「Puriークリー、いつの間に部屋に入ってきたんだ?」
「今だよ。気付かなかったの? ねぇ、読書もいいけど少しはこの部屋片付けたら?」
Puriークリーはそう言って部屋を見回し、恐ろしく細い腰に手を当てて眉をひそめる。
彼は病的なまでに綺麗好きだ。本や雑貨や実験器具が多少散乱している程度でそんな顔をしなくてもいいと思う。
「ああ片付けるよ、その内にな」
私は適当に手を振って応え、言われた通り足を引っ込めて視線を本に戻した。
そう言って片付けたためしなんかないじゃない、とか何とかぶつぶつ言いながら
Puriークリーは掃除機をかけ始める。

彼は私の知る限り、この星に来てから殆どの時間を女物の洋服を着て過ごしている。
しかも常夏のこの地域では肌を露出するタイプのものが多く、
今日はクロームオレンジの袖のないワンピースだった。
華やかな南国調の柄で、ウェスト部分にリボンがついており、とても男が着られた物ではない筈だが
彼が身に着けると異様なほどによく似合う。
愛らしく整った顔立ち(地球人の美的感覚では理解し辛いかもしれないが、美形なのだ、彼は)のせいかも知れない。
似合うのだから別に咎める必要はないと思っている。
……ただ、今日のは少し裾が短すぎやしないだろうか?

騒々しい音の中で女装癖のある友人について考えていたら読書意欲が失せてしまい、私は黙って本を閉じた。
Puriークリーは鼻歌まじりに掃除機を持って動き回っている。
そのたびにひらひらとスカートの裾が踊り、やわらかそうな太腿が覗く。
4782/3:2007/05/02(水) 01:15:21 ID:XoHDD3ue0
「ひゃっ!?」
気付いた時には、素っ頓狂な声とともに、Puriークリーは私の腕の中にすっぽりとおさまっていた。
目の前でカラフルな蝶が飛び回っているような光景につい手を伸ばしてしまったのだ。
彼は時折こういう気持ちを私に抱かせる。
幼い頃、興味を持った動植物を片っ端から採取していた時のような気持ちだ。
手を伸ばしてつかまえて、ガラスのケースに閉じ込めて自分だけのものにしてしまいたい、という、抑え難い欲求。
「ちょ、ちょっと、Jyanバ!?」
「なんだ?」
「なんだじゃないよ! 掃除の途中なんだから」
頬を赤くし、しどろもどろの口調で言いながらPuriークリーは私から逃れようともがく。
だが柳の枝のような彼の体格では抵抗すらも心許ない。

出身星が違うのだから当然と言えるが、実際、彼と私では身体のサイズに大きな差がある。
Puriークリーの身体は私から見ると信じられないほど華奢だ。
腕など私の親指ほどしかないように見えるし、羽根のように軽いので、
持ち上げようと思えば片手で――誇張ではなく――持ち上げられてしまうほどだ。
ただし、リ口あたりに言わせると私の体格もたいがい規格外だという事になるのだが、それはともかく。

私はPuriークリーを抱えたまま、床に放り出されていた掃除機に手を伸ばしてスイッチを切った。
「掃除なんて後ですればいいさ」
騒音が止み、急に静かになった部屋の中でPuriークリーはもじもじと身動ぎする。
「ええと……子供達が……」
「リ口と626はフラ教室だし、ナニも夜まで帰らないだろう?」
「そ、それはそうだけど」
でも、と、ええと、を何度も繰り返しているPuriークリーの、わき腹のあたりに指を這わせる。
「ひゃっ……」
「今日はスカートが少し短いんじゃないか、Puriークリー」
「そんな……こと、ないよ……」
4793/3:2007/05/02(水) 01:17:12 ID:XoHDD3ue0
ゆっくりと身体を撫でさする様にして、徐々に腰から太腿へと掌を移動させて行く。
「誘っているみたいに見える」
「ちが……っ」
「違わないだろう? 女の格好をして、女みたいに抱かれるのが好きなんだよな?」
「んっ……ちが……ちがうもん……」
口では否定しながらも、抱きしめた小さな身体からだんだん力が抜けていく。
「ん……ん……」
とろりと熱っぽくうるんだ大きな瞳が私の手を拒否していない。
嘘がつけない性質なのだ。私はそれを好ましく思う。
するりとスカートの裾をまくって、その中へすべり込ませる前に一瞬手を止め、
「Puriークリー?」
と問いかけるようにささやくと、Puriークリーは子供がむずがるように私の胸に顔を押しつけた。
もう抵抗するのは止めたらしい。私は満足して微笑む。
「あとでリ口達を迎えに行ってやるか。ついでに好きな買い物でもすればいい」
駄目押しに私がそう言うと、Puriークリーはぱっと面を上げ、子供のように目を輝かせた。
「ほんと? 僕新しいドレスが欲しいな」
思惑通り、あっさり陥落する。まったく単純な処も彼の美徳である。
「ああいいぞ、買ってやるとも」
もっと裾の長いやつをな。
後半の部分は心の中だけで言い、私は折れそうなほど細い首に口付けた。
480風と木の名無しさん:2007/05/02(水) 01:18:37 ID:XoHDD3ue0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 公式で夫婦設定とかどんだけですか鼠ー
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
481風と木の名無しさん:2007/05/02(水) 02:11:51 ID:2K8yEkF+0
>>480
おいおいGJGJ!!禿げしくGJ!
ものすごい自然に声が聞こえてきましたよ(吹替版)

いや、擬人化とか必要ないから!
ふつうに本編でもこのくらいやってそうだから!w
482風と木の名無しさん:2007/05/02(水) 09:25:30 ID:KCaWT6ZJO
>>480
自分が生きてるうちにこのカプの小説が読めるとは思わなかった
あなたが神か…!
483フェイトゼロ 槍従×主 1/2:2007/05/03(木) 22:13:56 ID:OSDGKU99O
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・)ジサクジエンガ オオクリシマース!


寝台に横たわる人。
誰よりも何よりも尊い我が主。「この世」で認めた、ただ一人の我が君主。

例え魔術が使えないのだとしても、
例えその手足が動かないのだとしても、
例え、命を落とされたとしても、「この世」で私が主とするのは唯一この人だけなのだ。

「ディルムッド…」

「此処に、我が主よ。」

あの日以来、ケイネス殿は私を「ランサー」と呼ぶ事はなくなった。
それが何を意味するのか。理解はできるが、分かりたくない。

「…何故、此処に居る。貴様はもうソラウのものだろう…」

「失礼ながら、何をおっしゃっているのか分かりかねます。この身はケイネス殿のサーヴァント。
私が君主と崇めるはケイネス殿唯一人にございます。」

「私は…もう、令呪も、魔力も失っているのだぞ…!?
貴様は私を辱めたいのか…!!」
「その様なつもりは毛頭ございません。ただ、御身が魔術師であろうとなかろうと私が主とするのはケイネス殿、貴方です。
王たる主が王でなくなったとしても、我が忠誠に変わりは有りません。」

「ディルムッド…!!」

僅か、ほんの僅か動くようになったその指先がピクリと震える。

「失礼、致します。」
484フェイトゼロ 槍従×主 2/2:2007/05/03(木) 22:16:34 ID:OSDGKU99O
寝台の横にひざまづいたまま、微かに震えたその手に己の手を重ねる。

暖かい。
この手はまだ暖かい。
私はまだ、この人を守る事も、救う事もできる。

「…必ずや、この手に聖杯を。
貴方が望まれるなら、私はこの命に掛けて貴方をこの戦争の勝利者としてみせましょう。」

重ねていた手をすくい取り、その甲に口づけを落とす。
ケイネス殿が息を飲む気配を感じ、その手を離せば今度は安堵した様に浅く息を吐く。
主に対し、無礼も甚だしいが断りもなく立ち上がり、覆いかぶさる様に寝台に手を付く。

整えられていた髪は乱れ、
顔色は悪い。
あれから数日もたっていないのに、以前より痩せた気がする。

あぁ、貴方は私に、こんな貴方以外を守れと言うのか?

「…貴方以外の主などいらない。貴方以外の人に膝を折るなど有り得ない。
どうか、ただ一言、「勝て」と。それだけで、私は貴方の騎士として「この世」で生きていける…」

「…ディルム…っ!!」

私の名を呼ぶその唇を塞ぐ。
身体に負担が掛からないよう、腕で己の体重を支えながら。
しかし右手はあやすようにその髪を撫でながら。

「…離れません、絶対に。」

それは誓い。
契約よりも重い聖誓。
485フェイトゼロ 槍従×主 3/2:2007/05/03(木) 22:19:19 ID:OSDGKU99O
例え天が落ち、地が裂けようとも

「貴方を、守ってみせる。」




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・)イジョウ、ジサクジエンデシタ!

二回じゃ収まらなかったorz
溢れんばかりの萌えで書いてしまったので口調など間違えてたらすみません…!!
486幼馴染の一方通行の恋 1/3:2007/05/04(金) 00:53:47 ID:9O7RDlRj0
幼馴染の一方通行な思いを妄想しました。
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

緑色の葉を見やり、やっと自分は息を吐いた。
あぁ、散ってくれたか、と。


「お前は好きなんだろうけどさぁ、俺は花なんかに興味ないよ」
幾日か前、そう言う彼をそれでもと説き伏せて外へ連れ出して満開の桜を見に行った。
全く彼は気分屋で我がままなので、一日中部屋にこもってプラモデルを作っていたかと思えば
次の日には飽きて「外に出ないなんて不健康そのものだ!」と叫んでいきなり海へと走り出して行く。
僕がやっと夕方に彼を見つけたとき、当の本人は水平線に沈む太陽に向かって何事かを大声で叫んでいた。
呆れるのも通り越して笑ってしまうほど自由な人間だと思う。
そして、それを許されている人間なのだとも思う。
彼の周りにはいつも誰かがいて、誰かしらに微笑みかけられている。
彼を中心としたその輪の中に決して自分は入れず、かといって割り込む勇気もない。
ただ、彼の幼馴染という事だけが自分の武器だった。

「もう俺、ウチ帰ってプラモの墨入れしたいのに…」
前を歩く僕はそういう彼の手を決して離さず、しかし顔を見はしない。
おそらく甘えたように唇を尖らせながら言っているのだろう。
いつもの彼の手だ。そうしていれば許してもらえると思っている。
本当にとても可愛らしくてとても憎い。
でも今日の僕は彼を許さない。
あの桜はとても美しかった。忘れっぽくて僕が昨日言った言葉を今日尋ねたところで全く覚えていない君でも、絶対に忘れない光景。
それをどうしても見せたかった。ちらとでも、今の彼の記憶の中に入り込みたいという僕の浅ましい思いを見せてやりたかった。
二人が共有するものが幼い時だけの思い出だけでは、もう満足できなくなっていたから。
487幼馴染の一方通行の恋 2/3:2007/05/04(金) 00:54:36 ID:9O7RDlRj0
「ねー、どこまで歩くつもり」
「もうちょっと…」
とうとう不機嫌をあらわにした彼に返す言葉は、僕自身が驚くほど弱い声だった。
何度も何度も、自分の頭の中で彼とのやり取りをシュミレートしているのにいざ声を出してしまうと押しの弱さがそこに出てしまう。
「本当にさぁ、勢いだけで俺を連れ出すとかやめてくれる?」
「ご、ごめんね、でも」
「まーお前昔っからそうだもんね。それまで黙ってるのに唐突に分けわかんない事しはじめたりするし」
「そうかなぁ…」
「そうだよ。俺の言う事にケチつけんな」
「うん…」
「桜は?」
やっと彼が桜に興味を持ったらしい。といっても引き返すのも面倒になっただけなのだろうけど。
「あそこ、河の近くで、ポプラに挟まれてる…」
「見えない」
「うん、見えない、ここからじゃ」
だからもう少し歩こう。そう言って僕は彼を振り返る。
「綺麗だよ。両脇に緑があるから、薄桃色だけ浮かんで見える」
「へぇ。んじゃ早く行こう」
そして前を歩いていた自分は、今度は逆に彼に引っ張られるように歩かされる。
てってってっと、走るのが得意な彼は僕の都合などお構いなしに自分のペースで走り続ける。
振り回されるのが嬉しいわけではないけれど、それでも手が離れない事は嬉しかった。

 そして、は、と彼は息をつく。

 そして僕の手を極自然に離し、顔を持ち上げ目を見開き、微動だにしないまま、震えた。
488幼馴染の一方通行の恋 3/3:2007/05/04(金) 00:58:11 ID:9O7RDlRj0

失敗した。

後悔なら彼と出会ってから何万回もしているのに、飽きもせずにまた自分は後悔していた。
気分屋の彼が、どうしたことかあの桜を大層気に入り毎日見に行っているのだ。
「桜が真っ赤になったんだ、明日あたり散るのかなあ。お前そーゆーの詳しいじゃん、どうなの?あの桜明日には散るのかな?」
「そうだね」
「あーもったいねぇな、散るの」
「来年も、咲くよ」
「そーゆーモンなの?や、俺本当にわかんね」
あぁそうだろう、彼には決してわからない。知ろうとせずに、誰かの言葉を待っているだけの彼には。
あぁこれは逆恨みなのだろうか。
美しいものに、誰だって心は奪われる。それを失念していた僕の計算違いだ。
彼のただの美しい思い出の中には、僕の存在など小さすぎてもう桜しか残っていない。
桜など手折ってやろうか、もう二度と咲けぬ様に。

しかし、またはたと冷静になってみれば桜には何の罪もない、ましてや彼にだとて。
ただただ、そこには自分の浅ましさだけが残っているだけだった。
だから早く、彼が新しいおもちゃに夢中になるか、それとも桜が全て散ってしまうか。
数日間、早くそのどちらかになってくれないかと僕は一心に願った。



さぁ、という静かな寂しい音で僕は目を開けた。寝入る前には聞こえなかった雨音に、僕はよからぬ事を考える。
春の雨は細く、冷たく、容赦なく花に降り注ぐ。

こんな顔を彼に見せられない。
しとどに濡れた緑の葉を見ながら、僕はようやく一つ息を吐き出した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ナンダカシマリガワルイネ!キニシナイケド!アリガトウゴザイマシタ!
489風と木の名無しさん:2007/05/04(金) 14:43:31 ID:2wHj6m5j0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  オオ振りのアヘミハです。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ミハ→ノンケアヘみたいなのが好きです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
490オオ振り アヘミハ1:2007/05/04(金) 14:44:55 ID:2wHj6m5j0
「あの…俺、俺、あ、阿部君が…すきだ。」

コイツはいきなり何を言い出すんだと思わず固まってしまった。
落ち着いて考えるとそういえば前にも好きって言われた事があったよな。
…なるほど。“人として”好きだって事ね。たく、紛らわしい言い方するなよな。

「それは知ってる。前にも…」
「あ…そうじゃなくて…っ。」

言いかけた言葉を遮られ、どうしのかと三橋の顔を伺った。
うわ…コイツ真っ赤だぞ…。しかもいつにも増してモジモジと挙動不審…。

そんな三橋の様子を見ていたら少し勘付いてしまった。この感じは、覚えがある。
中学の時に告白してきた女子のそれのような…。
まさかコイツ…。

「もしかして、捕手として、友達としてじゃなくて…、違う好き?…恋愛感情みたいな物か?」
「あっ…う…うひ。」

煮えきらない態度に少しゲンナリして来たが、否定せず赤い顔のままうつむいてしまった
三橋の様子から、多分そういう事なんだろう。
491オオ振り アヘミハ2:2007/05/04(金) 14:45:34 ID:2wHj6m5j0
―どう反応すれば良いんだ…?

告白された事に特に嫌悪感は湧かないけど。やっぱり三橋は男だし、
恋愛対象として見る事は出来ないと思う。嫌いじゃないけど、コイツの事。
いや…好きの方に入るんだろうが。今は野球ばかりで興味ないけど俺は普通に女が好きなはずだし。
恋人になるとか、そういう好きじゃあないんだ。

ぐるぐる考え込んでいたら三橋の表情がどんどんと曇って行った。

「ごめん。やっぱり気持悪いよね…。俺なんかに告白されて。
 俺、男だし、暗いし、ダメピーだから…。」

さっきから濡れていた瞳から、溢れた水滴がぽたぽたと音を立てて落ちるのが見えた。男の癖にすぐ泣く奴。
…それに、お前はお前が思ってるほどダメじゃねぇよ。
少しずつだけど、ちゃんと自信を持てるようになってきたと思ってたんだけどな。
自信を付けてやれたと…思ってたんだけどな…。
コイツは弱くて卑屈で、どうしようもない奴だけど。だけど…それだけじゃないんだ。

涙を手で拭い、まだ目から新しい雫を溢れさせながら三橋が絞り出すように喋る。

「さっきの、忘れて。俺、阿部君の事好きだけど、恋人になってほしいとか、望まないから…。
 これからもずっと、バッテリーでいて。お願い。阿部君に球、投げられるだけで良いんだ…っ。」

「三橋…。」


もし…、もし今コイツの気持ちに答えてやったら。コイツの面倒でマイナスな考え方は変わるだろうか…?
好意に応えてもらえるんだって、自信になって、今の弱気から抜け出すきっかけにならないだろうか?
492オオ振り アヘミハ3:2007/05/04(金) 14:48:44 ID:2wHj6m5j0
そんな事を考えていたら、無意識に口が動いていた。

「好きなら、じゃあ付き合うか。」

「……うえ!?えあぁっ?」
「何驚いてるんだよ。嫌なのか?」
「い、いやじゃない!だけど…う、本当に?」

全く予想外だったみたいで涙はどこかに飛んでって、茫然とする三橋。状況が飲み込めてないようだ。
俺も…。本当にこれで良かったのかは分からない。先の事は全然想像がつかない。意外と俺もテンパってたんだろうか…。


「じゃあ俺達は今日から恋人同士だな。今度の週末、デートでも行くか?」
「デッ…ェト!?い、行く!行きたいっ。」

三橋は興奮しながらコクコクと何度も首を頷かせる。嬉しそうだな…。
喜ぶ三橋を見てると、うん、そんなに悪い気はしないな。

そんな事を考えながら眺めていたら、三橋は急に黙ってまた下を向いてしまった。
493オオ振り アヘミハ4:2007/05/04(金) 14:49:50 ID:2wHj6m5j0
…泣いてるのか?今まではしゃいでたのに何で泣くんだよ、意味分からねーよ!

「どうした?何泣いて…。」
「俺、嬉しくて…。阿部君とこうなれると思ってなくて…う。」

こいつは本当にもう。男の癖に、どうしようもない奴だな。
俺なんかのどこがそんなに良いんだか…。泣くほどの事かよ。


弱気も、卑屈も、すぐ無くのも、一緒に治してやるよ。


494風と木の名無しさん:2007/05/04(金) 14:50:25 ID:2wHj6m5j0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ハジメテSSカイタカラヘタデゴメンネ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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495風と木の名無しさん:2007/05/04(金) 23:35:50 ID:uyOZD7LB0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  アベレージのカリーヤ→アベ←イイノみたいな
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  よければどうぞです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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496アベレージ 刈→安←飯1/3:2007/05/04(金) 23:37:42 ID:uyOZD7LB0

「…はぁ、まだこんなにあるのか……」
辺りに積まれた段ボールの山を見上げ、安部は溜め息を吐いた。
ここは大日本ジェネラル本社、から少し離れた所にある雑居ビル内営業推進部営業特別推進課の倉庫。
そこで安部は一向に売れない商品達の整頓をしていた。
「部長も俺一人にやらせるなんて酷だよなぁ。えーと、これをここに置いてと……ん?」
ぶつぶつと文句を言いながら古ぼけた段ボールをコンクリートの床に下ろしふと倉庫の奥に視線をやると、
そこには他と比べ一回りほど大きい段ボール箱が置かれていた。
しかも埃も被っておらず、まだ新しい。
(こんな段ボール前からあったっけ?なんか、怪しい。
 いかにも『開けて下さい』的な雰囲気が漂っているのは俺の気のせいだろうか…)
疑問を抱きつつも恐る恐るその段ボールに近づいていく。
そして、蓋を開けると
「あ〜っはっはっはっはっはっ!!」
「うわぁあ!…って、か、刈谷……」
「あれ、そんなに驚いた?」
腰を抜かし地面に座り込んでいる安部に気付くと、刈谷は段ボールの中から抜け出し安部の体を起こした。
「大丈夫かい?安部くん」
「…だ、大丈夫も何も、お前こんなとこで何してんだよっ」
「いやぁ丁度近くまで来たから寄ってこうかと思ってね。哀れな安部くんを見に」
「帰れ」
安部が冷たく言い放つと刈谷は悲しそうな顔をし
「冷たいなぁ〜。僕がどれだけこの段ボールの中にいたと思ってるんだい」
とため息を吐いた。
「知らないよ(てかマジでコイツ何しに来たんだろう……)」
安部が呆れていると刈谷は倉庫いっぱいに置かれている段ボールの山を見渡し
「しっかしこれまた凄まじい数だねぇ。ちゃんと売れてるのかい?」
と聞いてきた。
497アベレージ 刈→安←飯2/3:2007/05/04(金) 23:39:27 ID:uyOZD7LB0
「…売れてたらこんなに置いてないだろ」
少しムッとした安部は段ボールを両手で持ち上げると隣の棚へと向かった。
その後ろから刈谷がついてくる。
「重そうだねぇ。持ってあげようか?」
「いやいいよ。つうか冷やかしにきたんなら帰れよお」
棚に段ボールを押し込む。刈谷は心外だと言わんばかりの表情をし
「とんでもない」
と言うと、こう続けた。
「まぁ、ここにある商品を僕が買ってあげてもいいけど、それじゃあ意味がないだろう?
 本当に欲しいと思っている人に買ってもらってこそ、だからね」
「…そうなんだよなぁ」
安部は刈谷の言葉に頷いた。
そんな安部の様子を見て満足気に微笑むと刈谷はこう切り出した。
「この間、『特徴のない物は誰も好きになってくれない』って君に言ったよねぇ」
「ん、あぁ、言ってたなそんな事」
自分のことを言われたような気がして暫らく頭から離れなかったあの言葉。
安部は少し表情を曇らせた。
「…あの時はあぁ言ったけどさあ、普通で冴えないものだって、好きになってくれる人ってのはいるもんだよ?」
「え?」
刈谷の意外な言葉に安部は耳を疑った。
すると刈谷は安部の後ろの棚に手をつき、妖艶な瞳で安部を見つめ囁くように言った。
「本気で欲しいモノはじっくりと、確実に自分の手で……ね」
「刈谷…?」
いつもと違った様子の刈谷に戸惑い、体が思ったように動かない。
刈谷の顔が徐々に近づいていき、次の瞬間 
 ガチャ
「先輩〜、もう済んだッスか?よかったら手伝い―…」
ドアを開け倉庫に入ってきた飯野は言葉を失い硬直した。
倉庫内に沈黙が流れる。
498アベレージ 刈→安←飯3/3:2007/05/04(金) 23:40:38 ID:uyOZD7LB0
刈谷は棚からスッと手を離すと
「おっと、それじゃあ僕はそろそろお邪魔するとするよ。
 二人とも、めげずに頑張ってねぇ。あ〜っはっはっはっはっ」
そう言い残し、飯野の横を高笑いしながら颯爽と擦り抜け出ていった。片手に自分が入っていた段ボール箱を持って。
「……先輩っ、一体何されてたッスか!?」
やっとのことで我に返った飯野は棚に背を預けている安部の元へと駆け寄ると、必死の形相で問い詰めた。
安部は心ここにあらずといったような表情で答える。
「…なんか、『特徴がない物でも好きになってくれる人はいる』とか『欲しいものは自分の手で』とか言われた」
「先輩それって…」
「あぁ………なんだかんだ言ってあいつ、いいヤツだよなあ」
「はあ?」
思わぬ返答に拍子抜けした飯野は素っ頓狂な声を上げた。
そんな飯野に安部はしみじみとしながら言う。
「刈谷なりに、俺達を励まそうとしてくれたんだよ」
「はあぁ?」
更に疑問の声を上げる飯野に安部は照れ臭そうに笑いこう言った。
「飯野。色々大変だけどさ、頑張ろうぜ」
「…はいっ!」
その笑みにつられてつい顔をほころばせいい返事をしつつも、
心の中で
(先輩が鈍くて本当によかったなぁ…)
とつくづく思う飯野であった。
499風と木の名無しさん:2007/05/04(金) 23:42:13 ID:uyOZD7LB0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 倉庫みたいな部署に倉庫なんてあるのだろうか…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ありがとうございましたorz
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
500風と木の名無しさん:2007/05/05(土) 00:12:46 ID:oB+PPMk8O
>>499あべきゅんキター!
ドキドキをありがとうっ!
501風と木の名無しさん:2007/05/05(土) 01:13:22 ID:EzCkBqsr0
おお!刈安の姉さんグッジョブ!
はやくひっつかないかなぁドキドキと
おもいつつも、こういう微妙な関係に
激しく萌えます。
502風と木の名無しさん:2007/05/05(土) 01:25:42 ID:3YN0ZWH20
488はオリジナルなのか元ネタがあるのか。
オリジナルの人はオリジナルとも書いてくれるとわかりやすい。
503小鹿 副給 0/4:2007/05/05(土) 12:35:09 ID:GKEJWvGy0
水10『小鹿!』より、副料理長と給仕長です。
・基本ドラマ版に準拠しておりますが、互いの呼称は原作を参考にしました。
・給×副のつもりが、終わりには副×給な雰囲気になっています。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
504小鹿 副給 1/4:2007/05/05(土) 12:36:04 ID:GKEJWvGy0
なぜ、そしていつからこの行為をこの場所ではじめることになったのだろう。
桑/原/敦は何度目なのかすでに忘れてしまった逡巡にとらわれていた。

──やめてください、厨房ですよ。
はじめの頃は、そう必死で言い返したことを覚えている。
──じゃあ、サーラでやる?
歌うように男は答え、また別の時には手練手管でもって無言のままに陥落させられた。
いずれも仕事仕様の完璧な微笑をともなって。

しかし時を経るうち、互いの腕の中で、男の微笑は一途な視線へとその身のこなしはぎこちないまでの熱さに変わった。自分の胸元に顔をうずめる男をみつめる。長い睫毛が伏せられ翳をおとすのを美しい、と桑原/は思った。
──結局、自分はこの男が好きなのかもしれない。
逡巡の答えはいつも同じ思いに行き着く。
どこかなし崩し的に始まった関係が、逃れられぬ甘い毒と化すのに時間はかからなかった。
505小鹿 副給 2/4:2007/05/05(土) 12:37:41 ID:GKEJWvGy0
「今日は、伴が泊ってるはずですよ。」
スタッフがすべてあがり食材チェックへとひとり残った厨房で背中越しに抱きしめられた時、
申し訳程度に呟いた。
「いいじゃない、普段と違ったスリルが楽しめるかもよ?」
いつもと変わらぬ華のような笑みを浮かべたまま、
ほぼ予測された答えを返し、男は絡めた腕にそっと力をこめた。

──首筋へのくちづけのせいで仰向けられた視界には
白熱灯と銀の輝きが濡れるように揺らぐ。
冷蔵室の駆動音が微かに響き、磨かれた銀器類、調理器具が整然と並んでいる。
大鍋が沸き立ちフランベの炎が舞い怒号が響き渡る戦場のようなあの時間と真逆の静寂。
その静寂に響く、衣擦れとくちづけと互いの吐息に耳を奪われる。
からだ中の感覚が鋭敏にされるせいか、遠く表通りの喧騒まで聞こえてきそうだ。
──結局、自分はこの状況が好きなのかもしれない。
神聖なる戦場で男に抱かれることが。
そしてその男は、名実ともにバッカナーレの華であり要であることが。
背徳に魅せられるほどにもう若くはないが、背徳をただ罪と覚えぬだけの時は経てきたはずだ。溺れることは、おそらく、わかっていた。
それでも求めた。この場所で、この男を求めた。
何か習慣以上のものが、深く突き動かすのを感じた。
506小鹿 副給 3/4:2007/05/05(土) 12:39:16 ID:GKEJWvGy0
男の指はコックコートのボタンを器用にはずし薄手のシャツの上をいたずらに動き出す。
一枚の布越し、敏感な箇所に至ると呼吸があがる。
思わず漏れた声に、男は胸元から顔をあげた。
この状況下で腹立たしいほどの流麗な笑みを湛え、いいね、すごく、いい、
そう囁くと首筋から耳朶へと蜜のように舌を這わせる。
ゆるゆるとした指の動きは止まぬまま、耳の下の薄い皮膚の上をくちびるが濡らす。
そこは、跡が、と漏らす言葉は息に解けきっていく。
「あっちゃん」
何かを確認するかのように男が名前を呼ぶ。
耳朶の真下で発せられた声音は音以上の触感と熱となり、背筋を走りからだを溶かしていく。
くちびるはすでに塞がれてしまった。声を出すことも許されず、くふ、と鼻に抜ける息に涙がにじむ。
なぜ、そしていつからこの行為をこの場所で楽しむことを覚えたのだろう。
桑/原/敦は何度目なのかすでに忘れてしまった逡巡と甘い痺れにとらわれていた。
507小鹿 副給 4/4:2007/05/05(土) 12:41:02 ID:GKEJWvGy0
──結局、自分はこの状況が、この男が好きなのかもしれない。
あの微笑みがただ自分ひとりだけに向けられるこのひと時を。
静寂が吐息に染まるこの場所を。
何千人を虜にする術を持ちながら、時折縋るように自分の名前を呼ぶこの男を
どうしようもなく好きなのだ。
桑/原はその男を求めた。ただ自分の腕の中に与/那/嶺/司を求めた。
──もっと、もっとこっちへ。
細い腰をかき抱く。男はバランスを崩し胸元に倒れこんだ。
「ヨナさん」
片手で眼鏡をはずし、見え透いた言い訳を呟く。
「みえません、もっとみせて……顔をみせて、ください。」
「あっちゃん……?」
いつもと違った振舞いに驚いたような、けれども至極楽しげな様子で男が名前を呼んだ。
ぼやける視界に薔薇のような微笑が揺らぐ。
返事は、くちづけにすべてこめた。息が続くまでの長い答えを。


508小鹿 副給 5/4:2007/05/05(土) 12:43:18 ID:GKEJWvGy0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )裏テーマハ、「アッチャン、Sへの芽生え」ラシイヨ
ありがとうございました。

509風と木の名無しさん:2007/05/05(土) 15:37:45 ID:uS8kgXOqO
>>503
GJ!GJ!!
その二人好きだから萌えた
飢えてたから余計萌えた
しばらく生きていける
510飛父飛 寸×おっさん:2007/05/05(土) 18:47:17 ID:TVTp/w/l0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  飛父飛 寸心×おっさんだモナー。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  この二人で肉々しいものが書きたかったカラナ…
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 原作未読のため、映画設定のみだゴルァ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 原作好きの方は注意してください。
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※注意
・寸心がちょっと変態気味です。
・無理矢理セクースしかしていません。
・おっさんがショタっぽいです。
以上平気な方のみお願いします。
511飛父飛 寸×おっさん 1/11:2007/05/05(土) 18:48:18 ID:TVTp/w/l0
「いてっ痛いって!何なn何するんだよぉお!」
「わかんだろ。」
…あ?…なんだこれ。
その映像は、おっさんが居て、「俺」が居て、それを第三者の視点で見ているものだった。
あ、夢か。現実でこんな事有り得ねぇし。
にしてもなんだよ、この状況は。どんな夢見てんだよ俺。

ここはどこだろう。
古い宿屋のような和室の一室に、おっさんが座っている。
そのおっさんの両手首は太い綱で一纏めに括られ、吊り上げられている。
綱の下に紅くなった皮膚が見え隠れしているから、きつく縛られているんだろう。
いつもスーツのおっさんが着物を着ている。
いや、着ているといっていいかわからないほどすでにはだけて乱れている。
こうなる前に少し暴れたのがわかる。さすがのおっさんでも抵抗したらしい。
まぁ抵抗されたって、この程度におっさんを押さえつけるのは容易いだろう。
二人で旅館にでも来たんだろうか。…「俺」、なんて言って誘ったんだ。
おっさんは右足首にも綱が巻かれ、右側からひっぱられているようで足は大きく開かれている。
そのせいで着物の裾が広がり、内腿まで見える。…趣味悪ぃんだよ。
おっさんは目の前に居る「俺」に必死で訴える。
「ね、寸心君どうしたの?やめようよ。おかしいでしょこれ」
…嫌な夢だ。…嫌な。
「俺」が楽しそうに笑う。ある意味羨ましい根性だな。でも最低だ。
いたたまれなくなって俺はそこに居る「俺」の頭を叩こうとしたが、手は「俺」をすり抜けて触れなかった。
なんだよ…ったく。
「俺」がゆっくりおっさんに近付く。お、おい…やめとけって
おっさんの前に対面して座ると、見えている内腿をゆっくり撫で上げた。
「どっ!!ちょっとおっ!!」
「何だよ?」
ばっかじゃねぇの「俺」…なんでそんな事できるんだよ。恥ずかしい…
512飛父飛 寸×おっさん 2/11:2007/05/05(土) 18:49:05 ID:TVTp/w/l0
「触っちゃダメだよっ!!」
「何で?」
「なんでって…そ、そういうもんだ…ろ?!」
ろ、じゃねんだよ。おっさんの目尻がうっすら紅くなる。「俺」は笑っている。
いたたまれねぇ…。こんな事言われたら…俺ならもう…
なのにそこに居る「俺」は止まらない。
おっさんもっと言葉で叩きのめせ。じゃないと、そいつは…
ああもうあんたなんでこんな所まで一緒に来たんだよ
おっさんの事だからどうせくだらない言葉でホイホイついてきたんだろ。自業自得なんだよ。
人を信じすぎなんだよ。…俺を。俺は、俺はこんな夢見てんのに…

「俺」は内腿をなであげながらそのまま着物で隠れている部分へ手を忍ばせた。
際どい位置をかすめると、今度は足先に向かってゆっくり下りていく。
膝のあたりまで来ると、また内側へ向かって撫であげる。
「俺」はそれを何度か繰り返しておっさんの反応を楽しんでいる。
とても俺のやる事と思えねぇ。ふざけんな。
おっさんもそうやって馬鹿正直に反応すんじゃねぇ!
そんなんだからそうやって遊ばれんだぞ。
何度目かに登ってきた手は、着物の奥には行かず布の上から腰へ、腰から腹へとつたい、
人差し指を出してへその周りをくるくるとなぞった。
「ちょ、…くすぐったいよ」
はだけられたおっさんの胸元が一瞬にして朱に染まった。
やべぇ…早死にしそうだ。やめろ。それ以上すんな。
紅いおっさんの肌と、身を捩るような仕草、それと…アレが…ものすごく嫌だ。
そんなの見せつけんじゃねぇ。
「俺」は指でへその周りをくすぐって遊んでいると思ったらいきなり前屈みになり、
おっさんの胸元に顔をうずめた。
513飛父飛 寸×おっさん 3/11:2007/05/05(土) 18:49:46 ID:TVTp/w/l0
「あっ!駄目だって!」
こんなシチュエーションだからか、おっさんの声が耳についてしょうがない。
「すす寸心君落ち着いてっ!!」
吸いついて空気が漏れたようなチュル、という音が聞こえてきた。ふざけ…
「あぁ…駄目…」
…おっさんその声やめろ。少しは我慢しろ。こっちが落ち着かねんだよ。
さっきまではまだ怯えたような感じだけだったのに、手首に筋が浮き出ている。
身体中硬直している。そんな風になんな。やめろふざけんな。
「ふぁ……ぁん」
おいやめろっつってんだろ。何してんだよ…
左側の乳首に吸いつき、舌のザラザラした部分で全体を丁寧に舐める。
舌をすぼませ先端をチロチロとなぞる。
右側は人差し指と親指でグリグリと回すように抓り、押し潰す。
「あぁあぁやめて、やめてよ…こまったなぁ」
だから困ってる場合じゃねんだよ。困ったら困っただけかよ!
そんなだからこんな事になってんだぞ。わかってんのか?
「ぁぅ…ぁ…どうしよう駄目だって」
おっさんの足がもぞもぞ動く。…おい、そのまま蹴れ!
「やめて〜…お願いだからやめて〜…」
余計やめねーよ。馬鹿!
「俺」の空いている方の手が、おっさんの下腹部に着物の上から押さえるように触れた。
「あっ!!」
「俺」がニヤリと笑う。
おっさんの顔が耳まで真っ赤になった。
「ひどいよ寸心君!」
「今更だな」
そうだな。…馬鹿。
514飛父飛 寸×おっさん 4/11:2007/05/05(土) 18:50:26 ID:TVTp/w/l0
布ごしにさする。
この、変態。生々しいんだよ…
心臓が破裂しそうってのはこの事か。心臓の音がおかしいくらい体内に響く。
倒れそうだ。
形を持ち始めたそれをグニグニと握ると完全に勃ちあがってきた。
「はぁっ…はっ…も、駄目だってもおー!!」
おっさんの腕に鳥肌が立つ。乳首はピンと勃っていて、内腿の筋肉に力が入っている。
羞恥にさらされ、顔を見られまいと必死で横を向く。
そうやって無防備に全身で「俺」を誘っているのに気付かないのか
…落ち着かない。髪の毛が逆立ってるような気がする。
全身の血が沸き立つような、本能がむき出しになるようなやばい感覚だ。
「はっ…ね、ねぇ、そんなとこ触らないでよ」
「…面白い」
…変態。
布ごしに弄っていた手を着物の中に滑らせる。
「やめっ」
手全体で包みこみゆるゆると扱くと、おっさんの背中が弓なりになった。
「俺」は片手でおっさんの股間を弄りながら横を向いていたおっさんのアゴを掴み、自分の方を向かせる。
おっさんの苦しそうな顔なんか何度も見てんだろうが…毎日毎日、見てたはずなのに。
特訓の時と同じ顔じゃねぇか。なのに、ちょっとシチュエーションが違うだけで。…こんな事になるのか。
笑うなよ「俺」変態じゃねぇか。あれじゃ完璧に変態だろ。
なんなんだよ。こんなの俺じゃない。
アゴを掴んでいた手がまた嫌な手つきで喉へと降りていく。五本指全部をなぞらせながら胸へと滑らせた。
どこで覚えた。なんでそんな事できんだよ、おっさんに。
もうダメだ。どうすんだよ。この状況でおっさんに何言われても文句言えねぇぞ。
ボロボロになりてぇのか。そいつはな、止まらないんだよ。だからおっさんが止めてくれよ。
もっと心の底から抵抗しろ。俺を傷付けるくらい。俺がこれ以上おっさんを傷付けなくてすむように。
515飛父飛 寸×おっさん 5/11:2007/05/05(土) 18:51:07 ID:TVTp/w/l0
「ハァ…ハァッ……ぁ」
おっさんはもう何も喋らなくなった。
ただ荒い息遣いと淫靡な声だけを漏らしている。
泣いてるみたいな声だ。
気付いたらボウっと見ていた。
足が時折ビクッと痙攣する。内腿の筋肉が引きつっている。
左足がなんとか閉じようとするが「俺」の片手で簡単にまた開かされる。
「…っ…あ…あ…ア」
扱く速度が速くなる。
ふと、「俺」の目がとろんとしているのに気付いた。
…なんだ、その目は…。
おっさんにバレるだろうが…そんな顔したら。そんな目で見たら。
おっさんの目から羞恥の涙が溢れる。
泣かせた………
おっさんの涙を見た途端、「俺」の目が見開き、手が止まる。
「おっさん」
「す、寸心君…」
突然呼ばれておっさんがビクつく。…その上目遣いはおっさんのクセかよ。こんな時までそんな顔すんじゃねぇ。
「俺」の目が薄く閉じる。眩しいものでも見るみたいに。
あぁ…こうやって第三者の目で見てたら俺ってモロなんだな…ちくしょ…
「俺」はゆっくりと顔をおっさんに傾けた。

キス、しやがった。
ちょっと離して、また軽く口付ける。そしてまた離して、口付ける。
荒々しいものではなく、啄むような、まるで気持ちを伝えるかのような優しいキス。
馬鹿野郎…おっさんにバレるっつってんだろうが。
何度目かのキスで、深く重なった。
516飛父飛 寸×おっさん 6/11:2007/05/05(土) 18:51:57 ID:TVTp/w/l0
今度はすべてを飲み込むような、深い深い口付けだった。
…おっさんは怯えているのかただされるままにキスを受けていた。
深い口付けはだんだん舌をねじ込み激しく貪るようなものに変わった。
「俺」、興奮すんじゃねぇ。
そして止まっていた手はまたおっさんの股間を刺激しはじめた。
「…ンふっ」
いきなりの刺激に、口内を犯されながらおっさんはまた眉が下がり、情けない顔をした。
そして観念したのか、きつく目を閉じた。
閉じた時にまた涙がこぼれ落ちる。…泣くなよおっさん…
「んんんんんっんんっ」
おっさんが顔を左右に揺らす。「俺」にしっかりアゴを掴まれているからあまり抵抗になっていない。
射精を促すように、捻り込みながら早い速度で股間を扱く。
右足が引きつり、痙攣を繰り返す。
「んんっんんん!!っ」
喉をのけぞらせたと思ったら、白濁した液体が着物に当たり、隙間から勢いよく飛び散った。

ようやく唇を開放されたおっさんが、ぐったりと頭を垂れながら荒く深呼吸を繰り返す。
「俺」は手についたおっさんの精液をジッと見ていた。
…嫌な予感がする。
「俺」がチラリとおっさんを見上げる。
やめろ。
やめろ馬鹿。
やめろ。
願いは届かない。「俺」はぐったりしていたおっさんの左膝の裏に手を入れて、腿をグッと持ち上げた。
「はっえっ?!」
着物をまくり上げる。ばっ…
517飛父飛 寸×おっさん 7/11:2007/05/05(土) 18:53:35 ID:TVTp/w/l0
そのまま、手についたおっさんの精液をおっさんの肛門に塗り始めた。
「あのっすごく恥ずかしいんだけど!!何すんの?!何すんの?!」
やめろ!
俺は慌てて「俺」を掴んで引き離そうとしたが、すり抜けてしまうからどうにもならない。
やめてくれ。おっさん死ぬぞ。
指を一本、こそこそと周りをなぞりながら捻るようにゆっくり挿入しはじめた。
おっさんが短く息を吐く。
「…痛いか?」
「…ハッ……そこまで痛くは無いけど…抜いて、」
「どこがいいとか…」
「どこもよくないから、抜いて」
「思ったより入るんだな」
「ぬい…」
悪夢だ。
今はっきりとそうわかった。これは悪夢だ。
早く目覚めないとおっさんが大変な事になる。
グリグリと中を広げるように動かす。見てるだけで痛そうだ。
「俺」、入れる事しか考えてねぇ。入るかどうかしか考えてねぇ。
指がもう一本入らないか隙間からグリグリしている。
「無理っもう無理っ!!やめてお願い!!」
窮屈なそこを広げるべく、中で指を探るように動かす。
「無理だってばぁ!」
「ちょっと黙れ」
おっさんごめん。おっさん、ごめん。おっさん、
「あっ……あんっ!!」
いや、…言うか普通…
おっさんの反応に二本目の指をねじ込もうとしていた「俺」の動きが変わった。
518飛父飛 寸×おっさん 8/11:2007/05/05(土) 18:54:24 ID:TVTp/w/l0
してやったりという顔で「俺」の指が執拗におっさんの中を追う。
どこかに当たるとおっさんの身体が揺れる。
そんな簡単に…夢見てんじゃねぇよ。
そこを見つけたらしい「俺」が、おっさんの顔を凝視しながら指を小刻みに動かす。
「っあああああああ」
おっさんがのけぞる。嘘だ。
都合のいい夢見やがってばっかじゃねぇの?
「おっさんのここに入りたい。」
「やっっやだああ」
おっさんが首を左右にブンブン振る。全力で否定してんじゃねぇか。
なのに。
指をゆっくり抜く。おっさんが安堵の溜息を漏らした。のに。
「俺」は立ち上がるとズボンをおろし、思いっ切りいきり勃ってるそれをおっさんに見せつけた。
…こんなの俺じゃない。
おっさんは目を見開き、恐怖に肩を震わせた。
その瞬間に「俺」はおっさんに覆い被さった。
膝の裏を抱えあげ、左右に大きく足を開かせると、おっさんの肛門に「俺」の股間をぴったりくっつけた。
すでに乾いてきて粘力が失われつつある付着した精液に「俺」の先走りが混ざる。
そしてギリ、と力を加え固く閉じられたそこに無理矢理ねじ込みはじめる。
「絶対無理だって!痛いっ痛いっ!」
おっさんも拒んで力が入っているのか、少し入ったものの一向に前に進まない。
「ちっ」
「俺」は一度自身を抜くと、手に自分の唾を吐き出しはじめた。
そして吐き出してはヌルヌルと自身にぬりたくる。
おっさんの腿の間でなんて事してんだ。破裂しそうな「俺」のと対照的に、
すぐ手前にあるおっさんのモノは恐怖に縮んでいた。
ああ…悪夢だ。
519飛父飛 寸×おっさん 9/11:2007/05/05(土) 18:57:20 ID:TVTp/w/l0
これはなんだ、教訓か。こんな事をしてはいけません何故ならこうなるから。って俺の理性が見せてんのか。
止まっていたおっさんの涙がまた溢れ出す。そのまましゃくりあげるように泣き出した。
…それすら、そこに居る「俺」にはもう興奮の材料になっているらしい。
まるで獣だ。理性を無くした猿だ。
充分濡らした自身を、再びおっさんにあてがう。
ゆっくり、ゆっくり、捻るように腰を動かしながら少しづつ先に進める。
壁に当たっても力を加えて行けばなんとか進んだ。
おっさんは痛みと闘いながら、息を吐いてなんとか力を抜いて少しでも痛みをやわらげようとしている。
「痛いっ」
ちょっとでも無理に力を加えると身体全体がビクッと揺れる。
必死に息を吐くおっさんを見ながら、「俺」の手はおっさんの髪に触れた。
一度止まって、汗ばんでしっとりとしているおっさんの髪を梳く。
額には玉のような汗が浮かんでいる。相当、痛いのだろう。
…おっさん、無理すんな。受け入れなくていい。その腕に噛み付け。
何度か息を吐くと、少し力が抜けた。
それを見て再び「俺」が腰を進める。…どうしようもねぇな。
「ぐっ」
おっさんはギュッと目を閉じ、唇を噛み締めた。
「…入った」
動かさなければ痛みはそこまで無いらしい。おっさんは大きく溜息をつき、身体からぐったりと力が抜けた。
「俺」はそんなおっさんを見つめていた。そしてまた眩しそうな目をして、おっさんの身体に抱きついた。
背中に手を回し、肩に顔を埋め、ギュウギュウと抱きつく。
「おっさん」
おっさんがぐったりしたまま少し身じろぐ。
「おっさん、好きだ」
…言いやがった
「好きだ」
おっさんはその言葉の意味が理解できないらしく、瞬きを繰り返した。
520飛父飛 寸×おっさん 10/11:2007/05/05(土) 18:58:22 ID:TVTp/w/l0
「俺」、なんでそんな根性あるんだよ…。俺にはできない。とてもできない。
その先に幸せな答えが待ってるとは思えないから。
ただただ早くこの感情が消えて無くなるように、祈る事しかできないんだ。
「す」
「答えなくていい。わかってるから。」
…。
ばーか。
「俺」はおっさんの肩に顔をうずめながら、ゆっくりと腰を引いた。
おっさんの眉間にしわが寄る。
そのままもう一度挿入する。おっさんの痛みに堪える苦しそうな声が漏れる。
そんなにしがみついてたらおっさんが苦しいだろ。焦ってんじゃねぇよ。だせぇ…
おっさんの身体が「俺」の動きと一緒に揺れる。その時、今まで吊り上げられていた手首の綱が緩んだ。
支えを失ったおっさんの身体が後ろに倒れる。「俺」は追いかけるようにその上にのしかかった。
それをきっかけに、「俺」の腰の動きが早まる。
おっさんを組み敷き、足を抱えて激しく腰を打ちつける様は本当にただの獣だ。
「おっさん…おっさん…」
「俺」の目は鋭く光り、上からおっさんを凝視し、うわごとのようにおっさんを呼ぶ。
「やぁ…や、や…」
何度目かの涙がおっさんのこめかみに落ちていく。…綺麗だ。
いつも喋っている声は、少し低めなのに。どうしてそんな全然違う声が出るんだよ。ずりぃんだよそういうの。
「そこばっかり…やだぁ…!」
だからそういう事言うな。余計めちゃくちゃに、したくなる。なんでだ…
目の前に居るのは、まぎれもなく…俺なのか。
グチャグチャという音が生々しく響く。
速度をあげて腰を振っていた「俺」が突然止まる。
そして腰を打ちつけるように勢いをつけて挿入し始めた。限界が近いらしい。
何度目か大きく打ちつけた後、ブルブルと震え、達した。
521飛父飛 寸×おっさん 11/11:2007/05/05(土) 18:59:09 ID:TVTp/w/l0
欲望を出し切った「俺」は大きく息を吐くと、おっさんの上に倒れ込んだ。…勝手だな。子どもめ…
ていうか中に出しただろ。考えろ馬鹿。その辺の身勝手さは絶対俺じゃねぇ
目を閉じて大きく息をしているおっさんの上で、「俺」がまたおっさんの背中に手を回す。
ギュッとしがみついて、胸にグリグリと頭を押しつけている。子どもめ…
…早く抜けよ。
しばらくその状態が続き、落ち着きを取り戻したおっさんが目を開く。
おっさんの手が胸元に乗っている「俺」の頭に触れる。手首についた綱の後が痛々しい。
そんな事したの「俺」なのに。それなのになんで、そんな優しく頭撫でるんだよ。子ども扱いしやがって。
「俺」は何も言わず、抱きしめる腕に力をこめた。
「…す……………………


時計の音が大きく聞こえる。
あたりはまだ真っ暗で、見える景色は薄暗い天井だった。
目が、覚めたらしい。嘘だろ。ここでかよ。
目を瞑る。もう一度続きが見たい。頼む。頼む。
おっさん、何言おうとした?なんだ?なんだよ。なぁ!!
「…ざっけんな!」

…夢の内容でこんだけキレる俺はやっぱりまだ子どもなんだな、と自己嫌悪した。


その日、気分を紛らわす為に走りに行った公園で、俺はその時一番逢いたくなかったおっさんに逢ってしまった。
522風と木の名無しさん:2007/05/05(土) 18:59:59 ID:TVTp/w/l0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                 長くなってすいません。
 | |                | |           ∧_∧   どうもありがとうございました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )   夢落ち提供してくれた本スレの姐さんありがとうございました。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
523風と木の名無しさん:2007/05/05(土) 20:15:21 ID:S73gf+mmO
>522
GJ!!!
この二人だとキチク系でもどっか切なくてカワイイっす!!
524風と木の名無しさん:2007/05/05(土) 21:46:23 ID:f40QXDgm0
>>510
姐さん!GJですっ!!
きっと公園でオサーンにバッタリ出会ってしまった寸は
すごく気まずい思いをしちゃうんだろ〜なぁ〜w
で、何時もと様子の違う寸を見て鈍感なオサーンは
必要以上に寸に顔を近づけて
「どうしたの?寸シン君・・・何か・・・顔、紅いよ?熱有るんじゃナイ?」
とか言ってオサーンは自分のデコを寸のデコに合わせようとしちゃうんだよw
そいで寸が「あるわけねーだろ!触んなっ!!」
とか言って動揺しちゃえば良いと思うよww長々駄レスすまん!
525風と木の名無しさん:2007/05/06(日) 00:15:09 ID:K0a4QRYwO
>>508
GJです。このカプ大人でエロイよね
526440 視点逆転:2007/05/06(日) 15:53:12 ID:l+glhDzc0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

雨。
叩きつけるような雨音。
重苦しさと、妙な感覚に目を覚ますとベッドの上。
眠っていたのをいいことになにやら好き勝手してくれている奴がいる。
……何をしている。
「おや、起きましたか。」
だから、何をしている。
「いえ、この雨でしょう?」
それと今シてる事とと何の関係が…
「退屈だったんですよ。貴方いつの間にか眠っちゃってるし。」
527440 視点逆転:2007/05/06(日) 15:54:28 ID:l+glhDzc0
話しながら当然の様に人のカラダ撫でまわすな。重い。そこどけ。まだ眠い。退屈しのぎなら他をあたれ。
「だって、どうせならひまつぶしとはいえ楽しいコト、シたいじゃないですか。」
……楽しいのか、これは。
「ええ、とても。」
どこがだ。いいからそこどけ。触るな。撫でるな。……舐めるなっ!
「ですから、そうやって意地張ってる貴方をどうやってオトして差し上げようかと。」
オトすって……だから、あ、駄目だ、触るなっ…!
「今更。貴方が目を覚ます前から色々と…ね。中々イイ反応してくれてましたけど。」
…何を…した?
「流石にまだ最後までは。でも、見当はつくでしょう?された事。ココとか…ココ、を、こう…ね?」
……っ!
「そうそれ。その反応。やっぱり意識があった方が楽しいですね。色々と。」
違っ…、今のは…!
「そう言うその声がもう認めてるようなものなんですけど、ね。意地張ってても辛いだけでしょう?私は止める心算無いし。素直になりましょうよ、ね?」
も…ぅ、よせっ…!
「冗談でしょう?なんにせよ、今更それは聞けません。そうでしょう?だって、ほら。ね?」
いいからっ…でないと、もう…!
そこで意識を手放してしまえればどんなに楽だったろう。

「もうしばらく、お付き合い願えますか?」
周りの音が遠ざかっていく中、再び触れられる感触とともにそれだけはっきりと聞こえた奴の声。
なにもかもが重く、鬱陶しく感じられるこんな嵐の日。
他のすべてを遮断して閉じ込めるような嵐の中。
この中で起きるすべてをやかましい雨音のせいにして、
考えることを、止めた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
                  みんな雨が悪いってことで。        
528風と木の名無しさん:2007/05/06(日) 19:56:56 ID:9OhQC3+20
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  アベレージのカリーヤ→アベ。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  2人の出会いに萌えて書いてしまった…
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
529アベレージ 刈→安1/3:2007/05/06(日) 19:58:19 ID:9OhQC3+20

初めて彼を見かけたのは駅のホーム。
その時の彼はなんだか浮かない顔をしていて、
まさか線路に飛び込むつもりなのではないかと赤の他人ながら心配してしまうほどだった。

その日から何故かあの表情が頭から離れず、朝駅で電車を待つ時は自然と彼の姿を探すようになっていた。
自分でも理由はわからなかった。
ただ、何が原因であんな表情をしているのか、それが知りたくて。
―できることなら、自分が彼の憂鬱を少しでも取り払ってあげたい
そんなことを思うようになっていた。

そして何日か経ち、いつものように朝のホームで電車を待ちながら
することもなく、明日から会社までの交通手段を自転車に変えようと思っていることについて考えていた。

―明日からもうここで電車を待つことはなくなる。
  …彼を見かけるのも今日で最後か………  

そう思うと急に心の奥から淋しいものが込み上げてきた。
この気持ちは一体何なのだろう。
と、ふと横を見るとそこには、眠たそうにあくびをしている彼が立っていた。
その瞬間、僕はほぼ無意識に隣の彼に声をかけていた。
530アベレージ 刈→安2/3:2007/05/06(日) 19:59:14 ID:9OhQC3+20
『おはようございます』
『あっ、あのー…』

どなたでしたっけ?とでも聞きたそうに申し訳なさそうな表情で見上げてくる。
その表情に、胸が高鳴った。
準備もしていないのに、すらすらと言葉が出てくる。

『いつもこの時間このホームのこの位置でお会いしますねぇ、あなた。
 なんだかいつも虚ろな顔して今にも電車に飛び込みそうな顔してるから、
 一発で覚えちゃいましたよ。あーっはっはっはっはっ』
『はぁ…』

これが、彼と最初に交わした会話だった。
―もっと彼と話したい。もっと、彼の色んな表情が見たい。
そんな感情が沸々と沸いてきた。
これは…もしかして………




「……か……や…刈谷。おいってば!」
「………安部くん…?」

ふと気がつくとそこはコンビニの店内で。
目の前には心配そうな顔をした彼がいて、僕の顔の前で手を振っていた。
531アベレージ 刈→安3/3:2007/05/06(日) 19:59:47 ID:9OhQC3+20
「大丈夫かお前、急にぼーっとしちゃってさあ」
「あぁ、ちょっと思い出しててねぇ。昔のことをさ」
「ふーん、何の想い出?」
「それはねぇ……君には教えられないよ〜。あ〜っはっはっはっはっ」
「なんだよそれ〜」

ふてくされる彼を見て、心底いとおしいと思う。

「…安部くんってさぁ……ほんと、安部くんだよねぇ…」
「はあ?何意味不明なこと言ってんだよ」
「あっはっはっは、気にしなくてうぃ〜んだよお。独り言だから、さ……」


―…今ここで自分の想いを正直に伝えたら、どんな反応をするだろうか。

 彼のことだからまずは困惑するだろう。そして、その次は…?

想像してみたら少し怖くなった。
もし彼がこの想いに気づいてしまったらその瞬間に、きっとこの関係は崩れる―
そうすれば、もう二度と会えなくなるかもしれない。
だから僕はこの気持ちを必死に抑えて、隠していかなければならない。
また明日も、この場所で彼に会うために――…


532風と木の名無しさん:2007/05/06(日) 20:01:52 ID:9OhQC3+20
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 回想の台詞放送から抜粋してみたけれど
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) どっからどう見てもス○ーカーです本当にありがとうございましたorz
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
533風と木の名無しさん:2007/05/06(日) 20:19:29 ID:GPRJlpe50
>>532
いえ!!めっさGJです姐さん!!!
シリアスなカリヤステキだぁ。。
キング・オブ・鈍感なアベきゅんに想いを伝えるのは
大変ですね…がんがれ、カリヤ!
534風と木の名無しさん:2007/05/06(日) 20:37:04 ID:bZ9Cp2xn0
>532
うおぉ!GJ!GJ!
切ないカリヤの気持ちに萌えました。ごちそうさまです!
535風と木の名無しさん:2007/05/06(日) 22:19:45 ID:2rxDL1u60
>528-532

ここでの刈安話のおかげで
何故か脳内でカリヤが妙にいい男になってきてるww
536逆天才判:2007/05/07(月) 01:15:24 ID:aXQgTClV0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  自分的には弟×代案。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  読み返してみたら8割がた代案×弟
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |


537逆天才判1:2007/05/07(月) 01:16:06 ID:aXQgTClV0

 刑務所暮らしがもう、随分経つ。
 刑事だという理由で被るちまっけえ嫌がらせにも、狭い部屋に3人詰め込まれるように眠る夜も、性に合

わない作業とやらにも、大分慣れた。その作業の合間、少ない休み時間には、する事もないので日記をつ

けることにしてる。小学生の時分には3日と続かなかったもんだが。娯楽がないと、違うな。自分でも良く

続くもんだと感心してるよ。日記の〆はいつも、日付と『あいつの仮釈放まで、後○○日。』
 一日々々を噛み締める様に、後悔に明け暮れている。人を殺した事?まあ、それもな。悔いちゃあいる

が・・・主には。
 俺が裏切っちまった、二人のガキのことさ。二人目は、俺と同い年なんだけどよ。

 何時もは面倒くさそうに房の中を覗き、(例えそこで仲良く談笑していようと、俺が殴られていようと

。)立ち去るだけの看守が、『面会だそうだ。』と一言投げた。まさか俺だとは思わねえから残りの二人

を見るんだけど、残りも残りで心当たりがないときた。三人間抜け面を並べたところで、看守が『牙琉検

事さん、だ。』と付け足した。なら、俺だな。
 ちびた鉛筆とノートを床において、のっそりと立ち上がる。残りの二人は検事と聞いていい思い出は無

いらしく、一人は獣よろしく低く唸り、もう一人は恨みがましく前髪を掃った。帰ってくるのが楽しみで

仕方ねえぜまったくよ。
538逆天才判2:2007/05/07(月) 01:16:58 ID:aXQgTClV0
「よう」
「久しぶりだね。」
「俺はそうでもねえぜ。お前と似たようなの、よく『中』で見るもんでな。」
「ああ・・・優しくしてやってくれないか。司法関係者は、肩身が狭いと思うんだ。」
「本当だよ。マニキュアなんか塗ってねえでよ、少しは優しくしてくれってんだ。俺に。」
 牙琉は笑った。
 よくもまあそんなに爽やかに笑えるもんだ。その辺の女なら失神するんじゃねえかって笑顔の大安売り

。兄と友と、若き天才検事さんに二人掛りで泥を塗った。幾らコイツが有能でも、もう当分ろくな仕事は

回ってこねえだろう。「何の用だよ。俺の仕事の引継ぎは、お前には関係ないだろう?」投獄されてすぐ

相次いだ面会はみんな仕事絡みだった。俺はどう贔屓目に言っても、デスク周りの片づけが得意とは言え

ない方で、やれあれは何処にあるんだと極悪な隠匿犯さながらに取り調べもどきを受けた。しかして、そ

れは警察官の仕事であって、検事が来た事は今までに一度もない。「何で来たんだ?」かといって、俺に

はそれ以外の理由は思い付かねえんだ。
「別に、用なんてないさ。親友と世間話をするのは用とは言わないだろ?」
 今度はこっちが笑う番だった。
「そりゃあそうだろうな。で?その親友って言うのは何処にいるんだい?」

「やめてくれよ、ダイアン。その冗談は笑えない。」
「本気だよ。あそこの看守か?その他には、元相棒くらいしか見当たらないね」
「ダイアン。」
 真摯な眼だ。やさぐれたこの身には堪える。ああ、睨み付けてくれるんならまだ良いんだ。見る見るう

ちに肩を落とす牙琉。ころころと表情が変わるのは牙琉の長所と言ってもいいが、今は少しばかり頂けね

えな。心臓の辺りがきりきり絞まって仕方ねえ。
539逆天才判3:2007/05/07(月) 01:17:29 ID:aXQgTClV0
「親友なんて、一人しかいないだろ?相棒。」
「は、よせよ」
「怒っているなら謝る。あの時はそう、自分に言い聞かせるしかなかった・・・すまない。」
「よせって」
「今は、胸を張って言えるさ。ぼくの相棒は、お前ひと」
「よせ!」
 俺だってそう呼びたいさ、相棒。いい年して泣きそうになんかなってるんじゃねえよ。
「謝んのは俺の方だ。あんなトキに、あんな風に使っていい呼び名じゃねえ。もう俺に、そんな資格はね

えよ。」
「っ、そんな」
「すまなかったな。担当検事がお前だって聞いた時は、最高の方法だと思った。・・・最低の間違いだ、

思い返すたびに俺をぶん殴りたくなる。かわりに殴ってくれるやつは結構いるんで不自由しちゃいないん

だが」

 それきり、牙琉は黙った。いい機会だ、こちらから言いたいことは全て言ってしまおう。
「ガリューウェーブ、解散したってな。ギタリスト無しで大丈夫なのかって、心配してたんだけど、よ。

眼鏡の兄ちゃんが嬉しそうに話してたぜぇ?『私の弟は優秀ですから、検事一本で移り気せずにやるべき

』、だとよ。何を考えてるのかさっぱりわからねえが、兄ちゃんなりにお前の事を心配してるらしい。俺

なんか放っといて良いんだよ、牙琉。兄ちゃんに元気な面の一つも見せてやるか・・・俺達の事は忘れる

かだ。過去の汚点に関ずらわって、いい事なんざ一つもねえだろうが?それと」
「ダイアン。・・・・聞いてくれるかな」
「・・・・どうぞ?」
540逆天才判4:2007/05/07(月) 01:18:32 ID:aXQgTClV0

「担当検事に、なれなかったんだ。お前の。」
「上の判断は正しかったと言わざるを得ないね」
「ああ。求刑を、少しでも軽く・・・そんな考えも、あった。」
 らしくない。俺の知っている牙琉は、常に前を向き、自身に胸を反らせ、平気で俺を顎で使う、癪なヤ

ツだ。「お前は誰だ?」唇を噛んで、小さく俯くようなコイツは知らない。もし、俺の所為でそうなっち

まったんなら。
「死刑を求刑するくらいの気概は見せろ。恨めよ。」
「ぼくにだって落ち度はある」
「ねえよ。俺は裏切り者だぜ?」
「気づけなかった・・・・お前に。止めてやれなかった!」
「!」

 アクリルに叩きつけた拳、その音の余韻が嫌な感じに響く。『止めてやれなかった』・・・そう聞けば

、成る程牙琉の考えそうな事ではある。管理不行き届き、か?リーダーとして、責任感の溢れることだ。

「逆恨み、・・・じゃねえな。なんて言えばいいのかね・・・」
「ぼくが止めていれば、お前は」
「驕んな、牙琉。」
「・・・ダイアン?」
「おまえが止めていれば。俺は、いつかまた次の機会に犯罪に手を染めよう。そんな心積もりのままギタ

ーを弾くことになっただろうよ。次こそお前を出し抜こう。裏切ろう。・・・そんな相棒は必要か?」
「やめてくれ、お前はそんなヤツじゃない!」
「そしてお前は俺じゃない。言い切れねえよ・・・『悪い例』が、目の前にいるしな」
「ダイアン・・・っ」
541逆天才判5:2007/05/07(月) 01:19:01 ID:aXQgTClV0
「いいんだ。感謝してる。調子こいた俺に『相棒と呼ぶな』・・・お前はサイコーの仕事をしたよ!当た

り前の事だけどよ、ココは反省するには持ってこいでね。出て行けって言われても当分はここにいるさ、

これからもたまにお前の顔が見れりゃあこれ以上はねえ」
「・・・、・・・・・・」
「おら、しゃんとして検事局へもどれよ。兄貴や元相棒が犯罪者でも、天才は天才だろ」
「ぼくはお前に、もう、何もしてやれないのか?」

 ああ。と言おうとした。面会時間ももうすぐ終わる。俺が席を立って、つまんねえ牢屋に戻ればいい。

今日は気分がいいから、相部屋の兄ちゃんたちとも好意的に接せそうだ。
 が。

「なら、よ。」

 気がかりがあった。

「罪滅ぼしがしたいんなら、とあるガキの保釈が近い。日本人に『成った』んだが、身寄りがなくて」
「・・・、マ」
「面倒見てやってくれないか?」

 笑ってやる。
 牙琉も笑った。
 それだけでもう、十分だ。
542逆天才判6:2007/05/07(月) 01:20:07 ID:aXQgTClV0
「交換条件にしようか」
「おう?」
「ココから出たら、ギターを弾いて欲しい。現役検事と犯罪者のデュオは、なかなかセンセーショナルだと思わな

い?」
「・・・・・・・・売れるな。」

 今日は、いい夢が見られそうだ。

 ×月×日(曇) マキ・トバーユの仮釈放まで、あときっかり三十日。
543逆天才判:2007/05/07(月) 01:22:22 ID:aXQgTClV0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                 ・・・やっぱりコレ代案×弟に見えるなprz
 | |                | |           ∧_∧   本当は巻代案が書きたかったんじゃないかって?
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )   風邪に聞いておくれよ!
 | |                | |       ◇⊂    ) __ (代案の相室は、虎と緑黄色野菜がいいな)
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
544風と木の名無しさん:2007/05/07(月) 01:54:15 ID:SC1BSCosO
>543
最高にGJです!
545風と木の名無しさん:2007/05/07(月) 01:54:19 ID:A8aKbyej0
536-543、ありがとうありがとう
3人救われたらいいと思ってたから癒された。兄も弟可愛がってて良かった。
潔くてイイ男だなダイアン。正直燃えました
546食物探偵 探偵×助手:2007/05/07(月) 03:28:10 ID:wVkM2NP+0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

4話と某スレの方のシチュに萌えたので突発的に書きました。
食探偵×人質要員助手。
棚初投下なので至らない点があったらすみません。
547食物探偵 探偵×助手 (1/3):2007/05/07(月) 03:28:52 ID:wVkM2NP+0
「痛くないですか?」
「え?」
突然ふられた話題に、俺は鷹野さんを振り返った。
見上げた表情はいつもと変わらないように見えるけど、少し眉間に皺が寄っているような気もする。
質問の意味が解らずに首を傾げると、鷹野さんの手が俺の首元に伸ばされた。

「いっ…」
瞬間、ぴりっと走る痛みに思わず顔を顰めた。
「血が出ています」
そう言って自分の手を俺に広げて見せる。
その指先には、少量の血がついていた。

そういえばさっき人質にされてた時、割れた瓶を押し付けられたっけ。
伊柄子さんの威嚇射撃だとか、向けられる銃口だとか、事件の真相だとか怒涛の展開過ぎて、すっかり忘れていた。
「大丈夫ですか?」
「あー、まあちょっと痛いけど、これくらいなら大丈夫でしょ」
自分からは傷が見えないけど、思いっきり突き刺された記憶はないし。
というかそんな状況になってたら俺、今こうやって普通に会話なんてできないし。
それに実際、さっきまで怪我したことすら忘れていたんだし。

「大した傷じゃないし。唾付けときゃ治るよ」
だから、軽い気持ちでそう答えた。
548食物探偵 探偵×助手 (2/3):2007/05/07(月) 03:29:29 ID:wVkM2NP+0
「…そうですか」
「え、うわっ…!」
ぐい、と腕を引っ張られて、鷹野さんに向かって倒れこむ。
「な、なに…!」
すんだよ、と言うはずだった言葉は、それ以上続けられなかった。

首筋に感じる、生温かい感触。
小さい痛みと湿った水音。
―――――鷹野さんが、俺の首筋に舌を這わせていた。

「ちょっ…鷹野、さっ…」
くすぐったさと、得体の知れない感覚が同時に背筋を駆け上がる。
逃げようと試みるが、しっかり掴まれた腕によってそれは失敗に終わった。
何て馬鹿力だ、この人。

「消毒ですよ」
ようやく俺を解放した鷹野さんが最初に言った言葉はそれだった。
「へ…?」
「良介くんが言ったんじゃないですか、唾付けておけば治るって」
自分じゃ届かないでしょうから代わりに消毒してあげたんです、とけろっとした顔で続ける。
いやまあ、確かに俺が言ったんだけど。
でも普通舐めないだろ、人の傷なんて!
549食物探偵 探偵×助手 (3/3):2007/05/07(月) 03:31:17 ID:wVkM2NP+0
「これでもう大丈夫ですよね?さ、行きましょう」
俺の動揺なんて全然気にしてない様子で、鷹野さんが俺に向かって笑顔で左手を差し伸べてくる。
だが、俺はその手をとらなかった。
「しっ…知るかよっ!俺、先行くからな!ついてくんな!」
そう叫び残して、俺は猛ダッシュでその場から逃げ出した。
待ってくださいよ良介くん、と言いながら後ろから鷹野さんが追いかけてくるが、振り向かずに走る。

だって今の俺の顔なんか、見せられるはずないじゃないか。

「良介くーん!」
うわ、どんどん足音近づいてくる。
俺は今までの人生の中でも一番の全力疾走で、追いかけてくる変態から逃げた。
火照った頬にあたる夜風が、やけに気持ち良かった。
550食物探偵 探偵×助手:2007/05/07(月) 03:32:16 ID:wVkM2NP+0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

この後、後ろからハグされる形で捕まるといいと思います。
お目汚し失礼しました。
551風と木の名無しさん:2007/05/07(月) 03:33:44 ID:UavNdXgU0
>>550
GJ!リアルタイム遭遇ktkr
良介君も鷹野さんもカバエエっす〜
552風と木の名無しさん:2007/05/07(月) 05:45:23 ID:4jBO7qPGO
>>550
GJ!!
良介も悔単もかわえぇ(´∀`*)
553風と木の名無しさん:2007/05/07(月) 06:16:56 ID:sMU/t6WBO
超GJ!
4話はいまいち絡みが足りなかったからこれで萌え補完させて貰えました。
554風と木の名無しさん:2007/05/07(月) 20:53:57 ID:czDj05ca0
遅まきながら>543GJ!
自分の中にあったモヤモヤ感が解消されました。
555風と木の名無しさん:2007/05/07(月) 22:36:57 ID:TiMyjtZ+O
>>550
GJGJGJ!!!!!
杭担も良介君も、本当にそのまんまで禿げ上がるほど萌えた!!!
最高です!
556風と木の名無しさん:2007/05/07(月) 23:41:13 ID:zKBb7gpF0
変態な杭短いいなぁー(´Д`*)
557風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 01:08:48 ID:Vw1fDGwx0
>>483
全く興味なかったゲーム小説なのにハアハアしますた
主従モノ好きだからググって来ちゃったよ
しかも書き手は二吐露ですか、これはなんかおいしそう。
新しい萌えジャンルをありがとう
558風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 01:09:26 ID:8qIHENv30
>>543
マジンガー乙!!そしてGJ!!
弟の「止めてやれなかった」に禿萌えた(*´д`*)ハァハァハァアハァ
次もまってるw
559風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 02:34:04 ID:LsiaEEl80
>>550
実際にありそうで怖いw
GJです
560風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 07:45:54 ID:JgQ74Xrp0
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│あえて萌え無視、シチュエーションだけで書いてみた
                └───────────────
561風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 07:47:14 ID:JgQ74Xrp0
窓際の席に座った二人組は、ちょっと目を引く取り合わせだった。
 一人はスーツを着込んだ三十前くらいの背の高い男、そしてもう一人はシンプルだが今時のデザインのシャツに身を包んだ高校生くらいの男の子だった。
 一見すると年の離れた兄弟かとも思える。だが少年の方が男に対して、敬語で話しかけていることから、どうやら兄弟ではないらしい。
 それでも普通ならば、教師とその教え子であるとか、就職活動でOBに話を聞く見目の若い大学生だとか。
 まあとにかく何らかの関係なんだろうなと、各々の中である程度予想が付いたら、コーヒーショップで居合わせた他人のことなんてあとは興味を失ってしまうものだ。
 だがそうならなかったのは、二人の容貌が平均のそれよりも大分整っていたからだろう。

 少年は綺麗な顔立ちをしていた。明るい茶色の髪を若干伸ばしていて、その隙間から黒目がちな瞳がのぞいていた。眉毛はすっと伸びていて、知的で清廉な印象。華奢そうな体に薄手のシャツを緩く重ね着していて、その隙が逆に好ましい。
 対して男の方は、彫りは深いが視線は穏やかで、優しい空気を纏っている。きっと几帳面な性格なのだろう、スーツにはきちんと折り目がついていた。
 
 そんな二人が、コーヒーのカップを手に二階席へと上がってきたので、思わず周囲の人間も意識してしまったようだ。
 どうしてか、目が引きつけられてしまう。そんな感じだった。
「タカノさん、ミルクいります?」
「いや、君の分だけ取ってきなさい」
 ささやかなざわめきの後で、流石に失礼だと思ったのか二人に注がれる視線は散った。だが、狭い店内に二人の声は良く通る。
 窓際の席に向かい合わせに座った二人は、しばらく取りとめもない会話をしていた。
 学校のこと、友達のこと。主に少年が話して、男が頷く。
 しかしおだやかな空気はいつのまにかぶれてきていたらしい。突然少年が男を睨んで黙ってしまった。
「どうした?」
「タカノさん、いつもそうですよね。オレの話なんてくだらないと思って聞いてるんでしょ」
「君の話は面白いなと思って聞いていたんだが。不服かい?」
「不服です。いつまでも子供扱いされてるみたいだ」
562コーヒーショップにて2/3:2007/05/08(火) 07:50:12 ID:JgQ74Xrp0
タイトル入れ忘れましたスマソ前のが1/3です


「でもいつもオレばっか愚痴とか言ってる気がする。タカノさん、悩みとかないの?」
「一体君がどうしてしまったのか、今はそれが悩みだね」
「茶化さないでください。仕事の悩みとか、生活の悩みとか」
「君に言っても仕方ないだろう」
「そうやって子ども扱いするんだ」
「だって君だっていやだろう、いい大人がやれシステムがどーしただのやれOLに嫌われただの言い出したら」
「タカノさんOLに嫌われてるの?」
「それは例えだろう、とにかく……」
「いやじゃないよ」
「は?」
「オレ、タカノさんのそういう話聞きたい」
「つまらなくないかい」
「内容とかじゃなくて、なんだろう、タカノさんがオレと同じように悩んだり困ってる姿を見たいのかもしれない」
「しかしなあ…いかんせん俺にもプライドっていうものが」
「だからそれがやなんだって」
 じゃあこうしよう、と少年は余っていたコーヒーミルクを開けると、何の承諾もなく男のブラックコーヒーの中に入れてしまった。
「あっ」
「ねえ、たまにはオレの視点にもなってよ」
「だからって何で人のコーヒーにミルクを入れるんだ」
「オレ、苦いコーヒーまだ飲めないんだ。知ってるでしょう?」
「なんだ、それは」
 
 少年の言う理屈は全く筋が通っていなかったが、それでも二人の視点は少しだけ近づいたらしい。
 男が苦笑して、話し出す。「実は、誘いを断り続けていたらOLさんたちに陰口を言われてるらしくてね」
 少年が、先ほどより嬉しそうにその話に耳を傾けていた。まだ照れが残っているらしい男は、時おり頬を指で掻いていた。
563コーヒーショップにて3/3:2007/05/08(火) 07:50:49 ID:JgQ74Xrp0




 ……いささか趣味が悪かったかな。

「ねー……ねーってば! 聞いてるの、古屋さん!」
「はいはい聞いてるよ、どうしたの」
 飲みかけのアイスコーヒーのグラスには水滴がたくさん付いていた。視線を窓際の席から目の前の恋人に移した僕は、いつものように答える。
 すると恋人は可愛い頬を膨らませて抗議してきた。
「またそうやって子供扱いする!」
 おや。
「子供じゃなかった?」
「ひどい! 古屋さんボクが背低いの気にしてるの知ってて……」
 真っ赤になりそうな恋人を宥めながら、僕は机の上に転がっていたガムシロップをおもむろに手に取った。
 開封口がぱきっと音を立てて割れた。これを使うのは何年ぶりだろう。
「あれ…古屋さん、甘いアイスコーヒー飲めましたっけ?」
「うん? たまには君と同じ味を堪能するのもいいかと思って」
 笑って答えると、恋人は首をかしげて自分のコーヒーに口を付けた。流石に僕はガムシロを5個も投入したアイスコーヒーを飲もうとは思わないけど。
 
 どうせ恋に理屈なんていらないんだ、隣の席のカップルが羨ましいから多少あやかるつもりでこんなことをしても文句は言われまい?
 
564コーヒーショップにて:2007/05/08(火) 07:52:29 ID:JgQ74Xrp0
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) イロイログダグダスンマセン
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
565風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 16:32:42 ID:9ZdXwTsS0
>>564
どっちのカプもツボだw
萌えました!GJ!
566風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 21:24:57 ID:tMckqAhA0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  BASARAのみっちゃん受けです
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  触手注意!
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
5671/7:2007/05/08(火) 21:26:29 ID:tMckqAhA0
暗い…冷たい……此方は、何所だろう?
微かな水と埃の匂いに光秀はゆっくりと瞳を開いた。
開いてみれば、なる程、其処は地下牢だった。
質素な白い着物一枚だけを乱雑に羽織らせただけの姿で、
腕と足首を拘束具によって縛されていた。

「…駄目ですね、外れません」

駄目元で拘束具を外そうと試みる。
しかし、そう易々と外れてくれるわけもない。
虚しく軋む音が小さく響くのみで、
それは更に彼の機嫌を損ねる事となった。
耳障りだ。
長い睫毛に縁取られた瞼を伏せ、
小さく溜息をついて後周囲を改め見渡す。
牢の外と内を隔てる格子もまた、
見ただけで強固とわかる代物だった。
自分はこんな場所で悠長にしている暇など
無いというのに…。
568風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 21:27:01 ID:tMckqAhA0
「…信長公…」

震えた唇からぽつり、と思わず零れた声。
それに呼応するように、闇の奥からクスクス…と
笑い声が聞こえてきた。
高い玲瓏なその声は…間違いなく、女のものだ。
そして、その声に光秀は聞き覚えがあった。

「なるほど…そういう事ですか」

拘束で固められながらも其処は動く肩を上下に揺らし、
声が聞こえた闇の奥を笑いながら見やる。
すると、確かに其処にはぼうっと人影が見て取れた。
靴音が迫ると共に人影は次第に此方へ近づいて来、
やがて高窓から差し込む光で顔も朧に見る事が
出来る程までになった。
其処に立つ人物は…市。
光秀が追いかける男、信長の実の妹だった。

「そんなに、貴方は兄様に会いたいの…?」
5693/7:2007/05/08(火) 21:28:06 ID:tMckqAhA0
小さく首を傾げる市に、光秀は僅かに口角を吊り上げる。
そして、挑発的にさげすみの眼差しを向け喉を鳴らし嘲った。

「それすらわからないのでしたら、貴方、おかしいですよ」
「…貴方にだけは、おかしいなんて、言われたくないわ…」

市は眉間に浅く皺を刻んでじとりと睨みつけて来る。
しかし、そんなものは光秀にとって恐れるものでは無かった。
寧ろその様子を見て先程より少しだけ楽しそうな表情さえ浮かべる。
…市の表情が、変わるまでは。
にぃ、と不意に歪んだ市の口許。
それに、何やら不穏なものを感じ取った光秀は
流石に訝しげに眉根を寄せて笑みを消した。

「貴方も、可哀想な人…兄様に縛られて…
でも、市なら貴方を呪縛から解放してあげられるわ…」
「貴方…一体、何を――っ!?」

ずるり、と何かが太腿を撫で上げる。
その感触にビクン、と体が跳ねた。
5704/7:2007/05/08(火) 21:28:59 ID:tMckqAhA0
「…なっ…!な、何ですか…っあ……!」

市は、格子を隔てた向こう側に居る。
では…今自分の太腿の間でくねっている物は一体?
薄明かりを便りに目をこらしてそれを見ようとする。
闇からそのまま這い擦り出たような、黒い何か。
まっとうなものではない事だけは確かだ。

「どういう、おつもりで…?」
「言ったでしょう…市が、助けてあげる…」

次の瞬間、光秀の長い白妙の髪が斜め後ろから引っ張られ、
膝で立っていた状態から体が大きく横に傾く。
頬が冷たい石造りの床の上に叩きつけられていた。
そうして横たわった光秀に群がるかのように、
太腿の間で未だぐにゃぐにゃと蠢くものと同じものが
一斉に沸いて出て来た。
此方に来てようやく全貌を見る事が叶ったそれは、
一応は手の形を取っているようだ。
しかし、感触はどちらかといえば軟体動物に近かった。
それらはまず、着物の内側に滑りこんで来た。
5715/7:2007/05/08(火) 21:30:23 ID:tMckqAhA0
「……っ!」

無数の巨大な鰻にでも絡みつかれたような感触。
しかし、まだ耐えられる。
蠢く闇色の手は、何度か体の上を這ってから、
一気に外側へ着物を突き破った。
薄汚れた白い着物の下から、光秀の肌があらわになる。
ほんの少し差し込む月光が照らす肌は蒼白。
肩に掛かる髪もまた白く…黒い腕は其処によく栄えた。

「こんなご趣味があったとは…貴方も、お好きで…」

余裕を見せつけるかのように喉を鳴らして嘲う。
その体に、一度は少し距離を取った手が再び伸びた。
頭上へ光秀の腕を引っ張り上げ、
拘束の上から更に絡みついて床に固定する。
あらわになった胸の突起には指が伸び、
閉じようとする膝は足首を縛されたまま無理矢理開かれた。
流石に余裕の笑みが崩れ始める。
5726/7:2007/05/08(火) 21:30:56 ID:tMckqAhA0
「…おいたが、過ぎますよっ……っは、あっ!?」

低く押し殺した声が、裏返って高くなった。
胸の突起を黒い指が摘み上げ、ぐりぐりと捏ねまわしている。
強引に開かれた足の間に伸びて来ていた手は、
きゅっと光秀自身を掌で包み刺激し始めた。

「こんな事をして…く……良いのですか?…っあ…!」
「市の心配なら要らないわ…貴方は彼等に全部委ねればいい…」

自身を上下に扱き出され、たまらず太腿を閉じようとする。
しかし、太腿に力を入れた途端、それとは逆に外へ開かれる。
調度足をM字に開いた状態で寝そべる形となり、
甚振られている其処がはっきり目の前に見えた。
思わず其処に視線が釘付けになる…
すっかり勃ち上がった自分の分身に絡む指。

「あ…ああぁ……っ」

頬が熱くなっていくのを感じる。
こんな事を望む筈も無いのに、興奮せずにはいられなくて。

「あっ、あ、ああっ、ひあっ…!……っく!」

下肢の熱が、爆発する。
びゅるっ、と噴出した白濁が黒い手を染めた。
つい先程まで蒼白だった光秀の肌は、今や淡い珊瑚色に染まっている。
5737/7:2007/05/08(火) 21:31:59 ID:tMckqAhA0
「はっ…っは、はぁ、っはああっ……っあ!」

まだ荒く息をする光秀の背筋に、ぞくりと寒気が走った。
白濁に濡れた指が、後ろの蕾に触れたからだ。
いやらしい水音が、指先に弄くられる感触が、
光秀の上気した顔をさぁっと青く染め替える。

「…おやめなさい…もう、これ以上は許しませんよ…!」

精一杯ドスをきかせて凄もうとするも、
無意識の内に震えてしまう声。
迫る身の危険に、戦場でさえ感じない恐怖に、腰が逃げた。
瞬間、腕が腰に伸び、ぐいっ!と引き戻される。

「あっ!やめなさい、やめろっ、ヒッ…!」

つぷり、と指先が滑り込む感触に喉が鳴った。

「やめな、さっ…う…や、やめて…やめて下さい…!」

第一関節、第二関節…徐々に侵入してくる指。
自分の中でぎちぎち蠢く感覚に、なんとか抵抗しようとする。
それでも、体が逃げるたびに腕が引っ張り戻す。

「はぁぁ……っ…こんな、事をして……ただで…!っはぁ…!」

一気に指が引き抜かれる。
ビクン!と大きく背がしなり、足の指が開いた。
574風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 21:33:57 ID:tMckqAhA0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 続きは明日の夜見るよ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


途中の番号抜けとsage忘れすみませんでした…orz
明日で一応完結の予定です
575風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 21:50:17 ID:iPLQF/Fl0
焦らしプレイも是非もなし!
576風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 21:58:26 ID:G9I8DmNVO
GJ!余裕ないみっちゃんテラモエス!
577風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 22:05:05 ID:INcIkY8VO
ぐはぁぁぁあもももも萌えス!!!!!!GJ!!!
578風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 22:07:47 ID:0zCyp0n80
>>567
この文章の中で「駄目元」という言葉は浮いて見える。
余計なこと言ってゴメン。
579風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 22:35:02 ID:absXdXsZO
ぐっ…グッジョブ!
拙者…興奮しすぎて鼻血が…!
580風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 22:49:43 ID:pmuBVoxR0
>578
野暮なこと言いなさんなw
581風と木の名無しさん:2007/05/08(火) 22:50:06 ID:WX4/HKQK0
>>574
ああ…いい!
582風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 01:27:57 ID:zb33wB0r0
GJです!!
抵抗するみっちゃん超萌え・・・!!
583風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 04:06:24 ID:2eMMEbA1O
>やめてください…!

萌 え 死 ぬ (・∀・)
584風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 11:50:04 ID:vydYnp+c0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  需要あるかわからないけど灯火
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  チラ裏スマソ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
585飛翔兎・兄伍1/2:2007/05/09(水) 11:52:18 ID:vydYnp+c0
兄「なんだ?まだアイツとやってねぇのか?」
伍「いや、その・・・」
摂津は伍助と志乃の夜の営みに興味深々だ。
この男はいつもこのような下世話な話ばかりで頭が痛い。

兄「もしかしてやり方わからねぇのか?じゃあ、お義兄さんがどんな感じか教えてやるぜ」
そう言うと摂津は伍助の着物を解いて中に手を忍ばせてきた。
伍「何を・・・くっ!うっ・・・何をするのだ摂津殿っ・・・!!」
兄「ここをつまむ感じでこんな風に触ってるとアイツもイチコロだな」
胸の突起を弄ばれて身もだえする伍助。抵抗しようにも力が入らなくて為す術もない。

手が下のほうに降りてきて伍助の一番大事な部分で止まった。
伍「!!! やめろ摂津殿!そんなところに触れるな・・・うあっ!」
兄「ここ、気持ちいいだろ?今度アイツにも弄ってもらいな」
直接握りこまれた伍助のそれは徐々に反応し始め、摂津の手の動きも加速していく。
「あっ、あ・・・は、ぁ・・・摂、津・・・殿・・・・・・」
「お前もやっぱり男だったな。こう言うのに興味ないのかとお義兄さん心配してたんだぜ?」
先端から出はじめている液を確認しながら、摂津はニィっと含み笑いをした。
伍助は与えられる刺激に何も出来ずに摂津にしがみついて耐える事しか出来なかった。
586飛翔兎・兄伍2/2:2007/05/09(水) 11:52:55 ID:vydYnp+c0
暫くすると摂津にしがみついていた伍助の力が一層強まったのを感じ
もうすぐ限界が訪れる事を摂津は悟った。
兄「おっ、そろそろか・・・?」
伍「はぁ・・・はぁ・・・摂津どの・・もう・・・やめて、くれ・・・」
涙目になりながら必死で訴えるが、手の動きは更に早まっていく。
兄「もう少しの我慢だ、すぐにいかせてやる」
伍「摂津どの・・・あ、あっ・・・はぁ・・・うあああぁっ!!」

初めての射精を経験した伍助は、空ろな表情で摂津を見上げた。
兄「これまたいっぱい出たな、若いねぇ。どうだ、気持ちよかったか?」
伍「・・・っ!」
そんな恥ずかしい事に答えられるわけがなかろう!全くこの男は・・・
恥じらいながら心底飽きれる伍助の反応が全てを物語っていた。
その顔に満足した摂津は、それ以上は聞かなかった。
兄「アイツの事も喜ばせてやれよ。いい知らせを早いとこ頼むぜ?」
笑顔でそう言うと、摂津は道場から帰って行った。
伍「〜〜〜〜亜w背drftgyふじこlp;@「:!!!!!」






千「なんかすげーモン見ちゃったっスね・・・」
物陰からひっそりと見守っていた千代吉が一言漏らした。
その傍では全く興味を示さないマロがいつものように素振りをしていた。
587風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 11:53:57 ID:vydYnp+c0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オジャマシマスタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
588風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 19:56:19 ID:Qbx5dHug0
>>587
可愛かったw
589風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 21:29:27 ID:o+KQ6KMg0
GJ!!!!
まさかイ寺兎が読めるとは思わなかったw
590風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 21:34:08 ID:61avL0kY0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  BASARAの触手×みっちゃん後編です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  最後に何かあるかも?
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
5911/5:2007/05/09(水) 21:35:23 ID:61avL0kY0
「恐がる必要はないわ…皆、貴方の事が好きだって…
だから沢山愛してあげるって…」

ほぐされ、小さくひくつく蕾。
其処に何かがあてがわれる。
指…ではない、今度はそんな生易しいものではない。
それがどんな形をとっているのか、見るまでも無かった。

「い、嫌だ…それは嫌です、やめて下さい、やめて、もうやめっ……!」

必死で身を捩り逃れようとするも、
今までと同じようにあっと言う間に無数の腕に捕まる。
絡みつき、抑えつけ、そのままぐっ…と固いものが入り口を押し広げた。

「あ……あああ…!う、ああっ!」

後は一瞬だった。
ズンッ!と一気に貫かれる感覚。
久しく忘れていた、絶望、という感情が光秀の中で蘇る。
5922/5:2007/05/09(水) 21:36:08 ID:61avL0kY0
「あ、あ…!……嫌…抜、いて…下さっ……っあ!あっ、あっ!」

抵抗空しく、中に埋め込まれた楔は、程なくして律動を始めた。
ズン、ズン、ズン、と下腹部に響くたびに声が漏れる。

「あっ、ふぁっ、あっ、ああっ…いっ、痛い!痛いっ……っああぁ!」

眉根は切なげに歪み、唇は空気を求めるようにパクパクと動く。
それは、戦場に立つ光秀を知る者には想像も及ばない光景だっただろう。
人を人とも思わず愉し気に二つの牙で狩り殺して行く様は、
絶対的な立場にある捕食者そのものと言えるだろう。
それが今や、悪戯に肉食獣から甚振られる獲物のような有様だ。
一方的に与えられる、抗う事さえ出来ない感覚に蝕まれる姿…。
そして、苦痛はやがて快楽へとすげ変わっていく。

「あ、あ…っは、んっ……!其処、は……ふぁぁ…!」

光秀の滑らかな白い臀部は、無意識の内に揺れ始めていた。
快楽を求め、貪るように…その動きは次第に速くなっていく。
一番心地良い部分に擦れるように、何度でも肢体を振るわせる。
そして、擦れた其処から離れるのを惜しむように締めつける。
しめつければしめつける程、中が心地良く抉られた。
頭の中がみるみる内に白く染まり行く。
まともに考える事さえ出来なくなって来れば、
齎される快楽に対する反応も自ずと素直になった。

「あぁぁ…いい……っい、いい、です…凄いっ……」
5933/5:2007/05/09(水) 21:37:49 ID:61avL0kY0
結合部から聞こえてくる生々しい音は、
どんどん興奮を高みへと引き上げて行く。
いつしか、表情はすっかり恍惚に染めあげられていた。
潤む瞳は何所までも虚ろで、
口の端からはだらしなく涎が伝う。

「私のぉ…中、っがぁぁ……ふ、ふふふ……
あぁ、もっと…もっとぉぉ下さぁぁぁい…!」

我を忘れ、感覚だけに委ね淫らに強請る。
強請れば、闇の楔は求められる侭に与えた。
前立腺を執拗に攻められ続け、
光秀は今まさに二度目の射精を迎えようとしていた。
その時…忘れかけていた第三者の声が、残酷に、その耳へ届いた。

「今の貴方の姿を見たら…兄様は、どう思うかしら?」

はっ、と目を見開く。
その瞳はみるみる光を取り戻し、
頭の中の霧も瞬く間に晴れて行った。
不意に現実に引き戻された光秀は、
困惑からすぐには言葉を発する事が出来なかった。
ただ、何か言おうと、首を横に振りながら唇を震わせる。
5944/5:2007/05/09(水) 21:38:47 ID:61avL0kY0
我に返った時には何もかもが遅過ぎた。
自らを蹂躙する闇の卑猥な動きを目の前に、
大きくのけぞり、獣のような咆哮をあげ、
下肢をビクンビクンと震わせ欲望を吹き上げる。
同時に感じる、己の下腹部で弾ける飛沫。

「……ああ…私、は………ふぁっ!」

光秀の中を蹂躙し尽くした異物がずるりと抜ける。
塞ぐ物を失った後ろからは白濁が漏れ、
未だ熱い其れが伝い落ちていく感触は一層心をかき乱す。

「こんな…こんな事……」

ゆるりと体から離れて行く無数の手。
別れを惜しむように離れる前に手が愛撫するたび、
唇からは嬌声が零れる。
…そして、闇が去った後、残ったのは光秀と市のみ。

「ふ、ふふ……こんな事がある筈が無い…
…そう、これは夢ですよ…全て……ただの、悪い夢…ふふふ……」
5955/5:2007/05/09(水) 21:39:39 ID:61avL0kY0
汚され横たわったまま、光秀は笑いだす。

「そうでしょう…私が汚される事があるとすれば、それは――
貴方にだけ…信長公……ふふ…あははははは……」

玩具が壊れ行く様を見届ける事もなく、
市は静かに踵を返しその場所を後にした。
小さく音を立てて閉じた扉の音さえも、
もう光秀の耳には届いていない。

「…だから、ああ…こんな悪い夢は、早く醒めれば良いのに……」

割れた硝子のような笑みを浮かべた光秀の目許から一滴、
大粒の涙が頬へと伝った。
596風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 21:44:52 ID:61avL0kY0
 ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ これで終わりかな?
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ひとまず本編は完結です、ありがとうございました。
この話のその後の話が2〜3レス分程ありますが、
信光でエロ無し死ネタとなっています。
少し間をあけ日付が変わってから投下しますので、
苦手な方やここまででいいという方はスルーして下さい。
597風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 21:59:54 ID:VPno26iVO
GJGJGJGJ
続きも楽しみにしてます
598風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 22:21:14 ID:jxQxBTaqO
大粒の涙をながすみったんがリアルに脳内で再現されてテラ萌えた!
GJ!
続き楽しみにしてるよ
599風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 22:22:15 ID:zb33wB0r0
待ってました!超GJ!!
3/5のみっちゃんの台詞で 萌 え 死 ん だ
ああぁっ・・・萌え・・・
続きも楽しみにしてます!
600風と木の名無しさん:2007/05/09(水) 23:30:55 ID:5egDwaMS0
GJ!!!
こんなみっちゃんを待っていました。
どうもありがとう!!!
601風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 00:02:06 ID:61avL0kY0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  BASARAの触手×みっちゃんその後if
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  信光死ネタでエロは無いよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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602風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 00:02:52 ID:61avL0kY0
薄暗い路に足音が響く。
水と埃が交じり合った匂いの其処を暫し歩くと、
信長は扉を見つけ奥へ踏み入った。
開いた途端、むっとする青臭さに思わず眉を顰める。
それでもその侭進んでいくと、
格子を隔てた向こうに一人の男を見つけた。
拘束具も見当たらないのにぴくりともせず
横たわっているその男は――

「…光秀…」

艶のあった白く長い髪は見る影もない程に乱れ、
此方に向けられた臀部からは未だ新しい白濁が流れ出していた。
この場所に今、自分と光秀以外の人間は居ないというのに。

「……信長公?」

ゆらり、と立ちあがり振り向いた顔に嘗ての鋭さはなく。
蒼白だった肌はやつれ、薄汚れ、土気色をしていた。

「やっと…この長い悪夢に、貴方が…」

がさがさの唇が震え、掠れた声が呼ぶ。
信長は隔てる格子を乱暴に叩き壊し、
此方に手を伸ばす光秀の方に歩み寄った。
603風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 00:04:30 ID:61avL0kY0
「信長公……さぁ、私を抱いて下さい…
ずっと、ずっと待っていました…
せめて、夢から逃れられないのなら……
貴方に抱かれたいと、そう思っていたのです…」

首に伸びてくる手を、信長は振り払わなかった。
そうする必要もない事がわかっていたから。
案の定、光秀の腕はするりと首へ回しこそすれど、
その侭締め上げようとする素振などは一切見せない。

「ふふふ…ああ、嬉しい……嬉しい」

片手を信長の首から滑らせると、
光秀は甲冑の下へ手を滑り込ませ信長自身を握り込む。

「これ…下さい。私に下さい……」
「…光秀、お前が欲したのはこの命ではなかったか?
それが…全く、全く腑抜けたものよ……」

信長は、手にしていた刀を静かに握りなおす。
6043/3:2007/05/10(木) 00:05:41 ID:2VdhmRLc0
「このように落ちぶれた姿…見たくなかったぞ、光秀…」

肩を一度引き、ズッ、と刃を突き上げる。
それは光秀の脇腹から刺さり、心臓へ至って背へ抜けた。

「……やっと…この夢から、醒められるのですね?
貴方の手で、こんな風に終われるなんて…
嬉しい……信長公、私は、う、れし…」

唇がぬらぬらと血で汚れて行く。
首に掛かった手から力が抜け、
刀を抜くと光秀の体はそのまま崩れ落ちた。

「ふん…笑っておるわ」

足許に横たわった光秀の傍らへしゃがみ込んでみれば、
その顔には弱々しい笑みが浮かんでいて。
信長は手を伸ばし、開いた侭の目をそっと閉じた。

「…光秀、是非もなし…」

いつも通り憮然とした表情を浮かべる信長の拳は、
固く握り締められ微かに震えていた。
605風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 00:07:53 ID:2VdhmRLc0
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 本当の本当に終わりだよ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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最後の最後まで見てくださった姐さん方に改めて感謝を
606風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 00:11:11 ID:ewCWD8jQ0
GJ!
二人ともせつない・・・
607風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 00:36:26 ID:PaeF3aJu0
GJでした
あぁ、いい・・・・・・っ!
608風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 01:19:34 ID:cC6+FUUA0
>>607
GJです。切ない2人に泣けます・・・
素敵なみっちゃんをありがとう!
心に残りました・・・!
609608:2007/05/10(木) 01:22:48 ID:cC6+FUUA0
アンカーミスしました。本当ごめんなさいorz
>>605さんGJ!
610average 阿部クンと遊ぼう:2007/05/10(木) 05:52:57 ID:Xc2AhziJ0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  推奨年齢はファミコン世代です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ついてこれない人ごめんなさい
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
611average 阿部クンと遊ぼう1/6:2007/05/10(木) 06:00:26 ID:Xc2AhziJ0
午後。満腹になったうえ、ぽかぽか陽気で幾度となく睡魔が襲ってくる。
デスクワークは諦めて、眠気覚ましに体でも動かそうと、
礼次がダンボールの山を整理していたときのこと。
どうしてもそれが気になり、棚の上のみかん箱を凝視していた。

「あのダンボールだけ、何が入ってるのか書いてないなぁ」

通常、ダンボール箱には何が入っているのかを、すぐ見える位置に書いてあるのだが、
礼次が見たところ、この「三ケ日みかん」の箱には何も書かれていないようだ。
しかも長い間放置されていたらしく、うっすらと埃が積もっている。

「過去の伝票とか…かなぁ?」

脚立に昇り、なるべく埃を立てないよう、そっと箱の取っ手を掴み手前に引き寄せた。
その手ごたえは意外なほど軽く、傾けると、中からガシャっという音が聞こえた。
どうやら礼次の想像していた物とは違っていたらしく、
箱の中身を確かめるべく棚から下ろすことにした。
612average 阿部クンと遊ぼう2/6:2007/05/10(木) 06:04:40 ID:Xc2AhziJ0
「おお!」

箱の中身を確認して、礼次の目が輝いた。

「おーい飯乃ー!」
「なんすか〜?センパーイ!」

子犬のように駆けてきた後輩に、礼次は嬉々として発掘したお宝を見せてやった。

「これ見ろよ!」
「わぁ〜、ファミコンじゃないっすか〜」
「懐かしいだろ〜。でも、なんでこんな所にあったんだ?」

棚にあったときには死角になっていた側面も確認するが、何も書いてはいない。
その間に飯乃は、みかん箱の中に入っていた紙袋を取り出していた。

「この中にソフトが入ってるっす」

どうやら下ろしているときに、中でガシャガシャ音がしていたのは、これが原因だったようだ。
礼次と飯乃は仕事を忘れ、懐かしそうにソフトを一つひとつ手にとって、
共感したり、年齢差を感じたりと会話を弾ませていたが、
唐突に礼次は、しゃがんでいた状態から一気に立ち上がると、注意深く辺りを見回した。

「どうやら、部長も優ちゃんも帰ってくる気配がないみたいだし…。飯乃、やるか!」
「はいっ!」
613average 阿部クンと遊ぼう3/6:2007/05/10(木) 06:06:56 ID:Xc2AhziJ0
販促用のテレビまで引っ張り出し、飯乃が配線を繋いで、
昼下がりのレトロゲーム大会が始まった。
フロアの隅に仲良く座り込んでカセットを差し込む。

「ツインビーか〜。敵と鈴を掛け持ちするの苦手だったんだよなー」
「はい先輩。1コンっす。僕はウィンビーで」
「うわー、なんかドキドキしてきたぞ〜」




「…………あた。もう残り一機だよ〜。飯乃。お前、久しぶりって言いながらも上手いよなぁ〜」
「じゃあ、僕が先輩の分もカバーしますよっ。…先輩っ、その赤のベル取ってください。
 白はいま育ててるんで」
「サンキュ!飯乃。バリヤができたから暫く頑張れるぞ」

飯乃のサポートで、協力プレイを楽しんでいたその時。
オフィスのドアが派手に開いて、乱入者が現れた。

「あ〜はっはっはっはっはっ!阿〜部〜ク〜ン!あ〜そ〜ぼっ!」
「うわあっ!!」
「………最後の一機だったのにー!よそ見したら死んじゃったじゃないかぁ!!
 なんでお前がここにいるんだよ仮谷ぁ!」
「まぁまぁまぁ。今はWiiの時代だっていうのに、
 これまたアナクロで懐かしいものがあるじゃないの〜」

仮谷は人の仕事場にずかずかと入り込むと、礼次の隣に腰を下ろした。
614average 阿部クンと遊ぼう4/6:2007/05/10(木) 06:09:48 ID:Xc2AhziJ0
「なに?ツインビーやってんの?」
「いやー、久しぶりに見たら、どうしてもやりたくなってさぁ」
「ボクチンも、阿部クンと一緒にゲームやりたい〜」
「え〜。俺、下手だし。仮谷って協力プレイできなさそうなタイプだもん。
 つか、お前、仕事はどうしたんだよ?帰れよ」
「ヤダヤダヤダ〜!!阿部ク〜ン!
 ボクともあしょんでよぉ〜〜、ねえぇ〜、ねえぇ〜〜」
「あぁもうっ!鬱陶しいなぁ。分かったよー」

飯乃のウィンビーがゲームオーバーになったところで、
昼下がりのレトロゲーム大会に、仮谷が加わった。

「……えっと〜、ふたりでできるもの…。あ、これやってみるかな」
「マリオブラザーズっすね。これ、よく友達とやりましたよ。協力したり、妨害したりして」
「はい。お前2コンな」
「ドラミちゃーん!!」※1
「いきなりマイクに向かって叫ぶなっ!ついでに、ソフトもそれじゃないからっ!」
「ち゜も゛」※2
「それも違うから。てか、あのゲーム難しすぎてクリアできないだろ…」
615average 阿部クンと遊ぼう5/6:2007/05/10(木) 06:12:41 ID:Xc2AhziJ0
開始早々、礼次。いや、マリオは仮谷の操るルイージに振り回されていた。

「そんなところでPOW使うなよ!つか、俺を殺す気だろっ」
「ふふふふふ…」

マリオは下から突かれたり、敵を蹴る寸前で復活させられたりと、
ルイージによって何度も危険な目に遭わされていた。

「先輩と仮谷さんはテニスとか、
 分かりやすく対戦プレイできるゲームのほうが向いてると思うっす…」

そんな飯乃の声も、ゲームに本気になっている35歳×2人に届くことはなかった。

ゲームの中では、すでにマリオにとって、真の敵はルイージになっており、
テレビ画面を見る礼次の目は、仕事モードのときよりも真剣だった。
飯乃はふたりのプレイを眺めながら、
ルイージの魔の手から必死に逃げるマリオと、
高笑いしながらマリオを追いかけているルイージが、現実のふたりの様だな。と思った。

「あっ!!ちょっ…ピンクになったカニ戻すなよっ
 ……ほらぁ〜。お前のせいで追いつかれちゃったじゃないかぁ〜」

マリオもかなり善戦してはいたが、やはりルイージの手によって葬られた。
616average 阿部クンと遊ぼう6/6:2007/05/10(木) 06:17:14 ID:Xc2AhziJ0
「あー楽しかったぁ〜!阿部クンもう一回やろ?ね?」
「え〜、今度は僕が先輩と遊ぶ番っすよー」
「じゃあさ、ふたりでやれば?俺、ちょっと休憩」

コンビニでコーヒーでも買ってこようと、礼次が席を外した瞬間、
仮谷と飯乃の間に火花が散った。

「阿部クンと遊ぶ権利を賭けて、勝負するかい?飯乃君」
「受けて立つっす!」



礼次が3人分のコーヒーを抱えて帰ってくると、そこには、
体操座りで沈んでいる飯乃と、鼻歌まじりで浮かれている仮谷の姿があった。

「あれ?Drマリオやってたんだ」
「あ〜はっはっはっはっはっ!ぎょめんねぇ。面白味のない対戦で〜。
 ハンデをつけておいたほうがよかったかなぁ〜?
 飯乃君がこ〜んなに弱いなんて思わなかったからさぁ〜。
 こんな時でも勝ち組で、ほんとにぎょめんねぇ〜」
「せんぱ〜い!悔しいっす〜」
「元気出せ飯乃。たかがゲームじゃないか。
 仮谷。お前はそろそろ会社に帰れよ。
 飯乃。もう一回ツインビーやろうぜ。さっき協力してくれたから、だいぶ慣れてきたし」

礼次の言葉で、ふたりの表情が逆転した。

「はいっ!今度はファイヤーや、星出したりしましょう!!」
「阿部きゅんと手を繋いだり、つつき合ったり…?
 なーんか、試合に勝って勝負に負けた気分だ〜!ちっくしょお〜!!」
617verage 阿部クンと遊ぼう:2007/05/10(木) 06:56:36 ID:dEPwXtQl0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お邪魔しました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※1 ファミコンソフト『ド●えもん』海底編の裏技。
※2 ファミコンソフト『た●しの挑戦状』で登場する『ひんたぼ語』文字を一つずらすと出来る。
   ちなみに仮谷は「だめ?」と礼次に聞いている。
618風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 08:21:29 ID:kXG7IzsDO
>>617
ほのぼのしたw
今年ナイスサーティーズの仲間入りするバリバリファミコン世代の自分にはどれもこれもがナツカシス。
最後のカリーヤ憐れw

マリオブラザーズは白熱するよねw
619風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 11:10:55 ID:BctcabmB0
ドラミちゃ〜ん噴いたw
620風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 12:38:06 ID:vB6yB4BGO
>あ…!…嫌、抜(ry
>痛い……!
って(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァやばいよ萌え死ぬ…

本当乙でした!!!!
621風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 13:28:07 ID:6KBxKf9E0
>617
お前らかわいすぎだろ、常識的に考えて!
医者マリオ強いあたりがカリヤらしいな、と思いましたw
ありがとうございました
622風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 16:22:20 ID:SXZ4BPPvO
>>617
ついにヘタレ犬飯乃→阿部←変態猫仮谷という形式が作られた…

とりあえず超GJ
623風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 17:35:37 ID:qymv2BGP0
624風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 17:37:57 ID:FziOQAVr0
↑グロ
625167:2007/05/10(木) 18:44:44 ID:dEPwXtQl0
久々にやってみたら、テニスは対戦ができなかった!
彼らがダブルスやると、阿部クンは出番無しですね

>「先輩と仮谷さんはテニスとか

すみません。この部分、『テニス』の代わりに、キ●肉マンでも、テ●リスでも
ふたりにやらせてみたい対戦ソフトを入れてください
626風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 20:29:20 ID:uHWS2DvY0
>>617
朝から和ませてもらいました!GJっす!
何気にカリヤが変態でワラタw
627風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 20:39:01 ID:xdjLUrVi0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  アベレージのアベ総受?
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   ブッチョさんも少しだけですが出してみますた
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
628アベレージ 安部総受 1/4:2007/05/10(木) 20:42:06 ID:xdjLUrVi0
「先輩、なんか顔赤くないッスか?」
「…え、そうか?」
特別営業推進課のオフィスで段ボールをひたすら開ける作業をしていた飯野は、
安部の様子がいつもと違っていることに気がついた。
「もしかして風邪じゃないですか?ちょっとおでこ貸してください」
飯野はぼーっとしている安部の前髪をかきわけると額に自分の手の平をあてた。
「…あっつ!やっぱり熱あるッス!」
「あぁ…朝からなんかフラフラするとは思ってたけど、風邪かあ」
「風邪かあじゃないッスよ。早退した方がいいんじゃないですか?」
心配そうな表情でこちらを見てくる飯野に安部はうーんと唸り悩む素振りを見せた。
「でもこの段ボールん中の商品、今日中に買い取り先見つけなきゃいけないんだろ?だったらさあ」
「そんなこと言ってる場合じゃありませんよ。最近の先輩はちょっと頑張りすぎッス。
 悪いことじゃないけど、体大事にしてもらわなきゃ困りますよー」
「うーん、でも部長どう言うかなあ…」
安部が考え込んでいると部屋のドアが開き、いまどきで○ビちゃん風の若いOLが入ってきた。
「あれ、二人ともどうしたの?」
「優ちゃん」
「あっ、先輩熱あるみたいでそれで今早退の話してたッス」
「ふーん……安部くんでも風邪ひくんだ」
「あた、何気にひどいなあ」
「もう、そんなこと言ってないで早く家帰んなよ〜。うつされたら困るでしょ」
「そうですよー。自分、先輩の風邪ならうつされても一向に構わないッスけど、やっぱり家で休んだ方がいいッス」
「うーん…そこまで言うなら二人には申し訳ないけど…」

「―というわけでして部長、早退させていただいてもよろしいでしょうか…?」
「あぁ、いいぞ」
「へっ?」
予想外の大場部長の返事に安部は一瞬呆気にとられた。
629獅子王 兄×傷 幼少時代:2007/05/10(木) 20:43:01 ID:lq9FqoRqO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

獅子王 兄×傷 幼少時代
傷にも純粋で素直な頃はあったと思うのです。昔から映画の性格でも萌えるけど
友人にオタ臭いといわしめたSSエロなし
630アベレージ 安部総受 2/4:2007/05/10(木) 20:43:11 ID:xdjLUrVi0
「何だその反応は?」
「…いやその、てっきり『そのくらいで早退なんてするんじゃない、この大バカモンっ』
 って怒られると思ってたんで…」
「大バカモンっ!」
「あたっ」
「どう見ても“そのくらい”じゃないだろう。ちゃんと家に帰って休んで、早く治してきなさい」
「…は、はい…ありがとうございますっ」
普段叱られてばかりいる安部は、部長の優しい言葉に違和感を感じながらも礼をした。 


そして早退した安部が自宅のベッドで寝ていると、玄関の方からチャイムの音が聞こえてきた。
「……うぅん…?誰だろ…」
重たい頭を押さえながら布団から出て玄関のドアを開けると、そこには刈谷がコンビニの袋を片手にぶらさげ立っていた。
「安部きゅ〜ん、風邪ひいたんだって〜?お見舞いにきたようっ」
「刈谷」

とりあえず刈谷を家に入れた安部はまず疑問を口にした。
「刈谷なんで俺が風邪ひいたって知ってんの?」
すると刈谷は得意気に
「いやぁ、いつものコンビニ行ったら安部くんいなくってさあ。
 そしたらその後、偶然君の後輩の飯野ッスくんに会って
 『安部くんは?』って聞いたら『先輩なら風邪で早退したッスー』って教えてくれたんだッスー」
「なんでお前までその口調なんだよ」
「まぁとにかくぅ、病人なんだから布団入ってなよ〜」
そう言って安部をベッドに入るよう促すと、持ってきた袋の中からアイスのカップをとりだした。
「コレ食べて元気出してえ。はい、あ〜ん」
「あー…て、なんでんなことしなきゃいけないんだよっ。いいよ自分で食べるからあ」
そう言うと安部は刈谷のスプーンを持つ手を押し返した。
631アベレージ 安部総受 3/4:2007/05/10(木) 20:43:52 ID:xdjLUrVi0
刈谷は残念そうにしていたが、何か思いついたような顔をし
「ねぇ安部くん、熱計った?」
「ん?あぁ、計ろうと思ったんだけど、俺ん家体温計なくってさあ」
「へぇ、じゃあ僕が計ってあげる〜」
そう言うと刈谷は安部の前髪を手でかき上げ、自分の額を安部の額にくっつけた。
「?……ってな、何し…っ!」
「動いちゃダメだよ安部くぅん。熱計ってるんだからあ」
唇が触れてしまいそうなほど近い距離に刈谷の顔があって、安部は思わず顔が熱くなるのを感じた。
刈谷は額をくっつけたまま熱っぽく囁く。
「……安部くんの目、潤んでるね……熱があるからかな……?」
「……っふ…も……いいだろ…っ」
「はい、もういいよぉ。やっぱり熱、結構あるみたいだねぇ…ってなわけで、はいこれ〜」
額を自分の手で押えている安部に刈谷はどこからともなくある物を取り出した。
「あっ氷のうだ…って微妙に古くない?」
「ノンノーンっ。古いからって馬鹿にしてはいけないよ安部くぅん。長持ちするんだからぁ」
刈谷はそう言って安部を寝かせると、額の上に氷水の入ったそれを乗せた。
ひんやりとした感覚が心地よくて、安部は目を細めた。
「あー、冷たくて気持ちいい…」
「でしょでしょ〜」
その時、玄関の方から電子音が聞こえた気がして刈谷はその音のする方へ向かった。
玄関先のスタンドの上には安部の携帯が置いてあり、微妙に音程のおかしいメロディが電話の着信を知らせていた。
「おぉい安部くぅーん、携帯鳴って…ん?」
 
[着信 飯野平太]

液晶ディスプレイに映ったその文字を見た刈谷は言い掛けた言葉を止めると、携帯を開き通話ボタンを押した。
632アベレージ 安部総受 4/4:2007/05/10(木) 20:44:36 ID:xdjLUrVi0
「もしもし〜?」
「あっ先輩?」
「ブッブー残念でしたあ。飯野平太ッスくぅ〜ん」
「その声は刈谷さん!どうして先輩の電話に出るッスか?っていうか、先輩は!?」
「知りたい〜?」
「早く言うッス!」
焦った様子の飯野に刈谷は声色を変えると
「…安部くんなら今、ベッドの上で気持ちよがってるよ、一人でねぇ…」
と言った。
「はあ!?へ、変な嘘つくのはやめるッス!」
「嘘ぉ?…ボキはただホントのことを言ってるだけだもんねぇ〜。
 あ、そろそろ安部くんのとこ行ってあげなきゃ可哀相だから、もう切るよ〜。じゃあねえ」
「あっ、ちょ、一体何し―」
一方的に電話を切った刈谷は、ややスキップ気味に安部の寝ている部屋へと戻っていった。

翌日、会社に復帰した安部が飯野に色々と問い詰められたのは言うまでもない。
633獅子王 兄×傷 幼少時代1/4:2007/05/10(木) 20:45:11 ID:lq9FqoRqO
ある朝素カーが目を覚ますと、すでに父親の姿はなかった。
周りを見渡すと、丁度兄も起きたところらしい。
「父さんは?」
「さあ…多分外じゃない?」
「僕も行く」
言うと、起き抜けにも関わらず軽やかに走りだした。
「待ってよ、兄さん!」
素カーは慌てて追いかけたが、朝日を見つめる父の背中が視界に入る頃には、とっくに彼は追いついて並んでいた。
「綺麗な朝だ…。無ふぁさ、お前が生まれた頃を覚えてるか?等ふきじいさんがお前を掲げて、みんながお前にひれ伏して…」
「へえーっ!全然覚えてないよ」
「僕が生まれた時も?ねえ、どうだった父さん!?」
目を輝かせて素カーは問う。
「ああ…、お前もいたのか。いや、お前の時は…お披露目は…、お披露目は、王位継承の者だけだから、」
「…そう…」
「父さんも母さんも、大喜びだったよ!もちろん僕も!」
「無ふぁさ、ああ、そうだな、本当に嬉しかった」
「……」
素カーは不意に走りだした。
634風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 20:45:29 ID:xdjLUrVi0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ うわわ本当にありがとうございましたorz
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
635獅子王 兄×傷 幼少時代2/4:2007/05/10(木) 20:48:22 ID:lq9FqoRqO
「素カー?待てったら!」
無ふぁさが追いかけてくる。
「捕まえたっ、…素カー」
「兄さん…」
くるっと振り向いて言う。「くくっ、悲しんでると思った?」
笑う素カーを、無ふぁさが小突く。
兄弟が笑いあえば、父も笑った。

幸せな日々。だが、ほんの少しだけ、完璧では無かったのである。

夜、三匹は星を眺めることがあった。
「過ぎ去りし偉大な王達が…」
父の言葉を聞きながら素カーは思う。
父さんも、きっと死んだら星になるんだろう。
その次は、兄さんが王様だ。兄さんも死んだ後は、父さん達と夜空を彩るんだろう。
兄さんの次は、誰が王様なんだろう。兄さんの息子?…それとも僕?ううん、やっぱり、僕の甥っ子が生まれてるんだろうな、兄さんの、子供が。でも、じゃあ、僕は一緒に空には行けないね。
…僕は、どうなるのかな。死んだ後、どこに行ったらいいのかな。父さんとも、兄さんとも、一緒に居れないのかな。
僕は、ひとりぼっちに、なるのかなあ…。僕は、どうして…。誰か、僕を…。
636獅子王 兄×傷 幼少時代3/4:2007/05/10(木) 20:49:36 ID:lq9FqoRqO
「流石、次の王ね」
「名君になるわ」
無ファサは何でもよくできた。勇敢で正直者。素カーとて、できる方だったが、年上の彼にはやはりかなわない。
大勢の関心は王位継承者に向き、目立ちすぎる彼の影に、自然と素カーは隠された。

「ねえ兄さん、聞いた?またみんなが褒めてたよ。みんな、兄さんのことが大好きなんだね」
「素カー?」
兄の様だと誉められ、兄を見習えと叱られる。「…きっとさ、父さんだって、母さんだって、みんな兄さんが一番なんだ」
「違う」
「違わないよ!僕なんて…、王様にはなれないし、一番になんてなれやしないんだ」
「ずっと、そんなこと思ってたのか」
「っ…。ほんとのことだろ…」
今までずっと溜め込んでいたのだろうか?目に涙が滲んで、溢れ出した。「素カー。他の誰がどう思おうが知らないけど、お前だって一番なんだぞ」
「ひっく、どういう、意味っ…」
「お前は、たったひとりの僕の弟なんだ。」
そっと抱き寄せる。
「僕の一番は、お前なんだよ、素カー」
637獅子王 兄×傷 幼少時代4/4:2007/05/10(木) 20:52:07 ID:lq9FqoRqO
ああ、良かった。僕も、一番になれたんだね。兄さん、兄さんだって、僕の一番だよ。僕だけじゃないだろうけど。だけど、僕だけでしょう、兄さんの一番は。
良かった。ひとりぼっちじゃないね。ずっと、そうならいいね。ずっと、そうだよね…。


素カーの左目に、まだ傷はなかった。
638獅子王 兄×傷 幼少時代:2007/05/10(木) 20:53:46 ID:lq9FqoRqO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ありがとうございました!エロ無し初めて書いた気が
639風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 21:00:20 ID:lq9FqoRqO
>>634
えらい被ってしまいました。本当にすみません。
こういうことってあるんですね。まさかと思い、スレ画面に戻らず続けてしまいました。携帯なもので、急ぎ優先にしてしまって。。
失礼しましたorz
640風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 21:06:57 ID:o5k6WYeiO
>>639
いえいえ!
こちらこそなんかすみませんでした;
641風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 21:30:09 ID:kXG7IzsDO
>>634
一日に二つもアベを読めて幸せっス〜!!

三角関係は萌えるねwその後本当に何もしなかったのかなカリーヤ。
汗をかいた方が良いよ、とか言ってベッドの上で運動を…ゲフンゲフン
642風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 21:37:04 ID:5ZFl3fHbO
>>638
うは!そろそろ誰か投下しちゃうんじゃないかと思ってたら…!
傷カワイス
「兄さん」って呼び方に萌え(*´д`*)
エロ中心なんですか。いつか是非獅子(ry

なんか大変だったみたいですね。お疲れ様でした
643風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 21:39:08 ID:cnpKHhMd0
>>638
GJ!続編ありですか?
是非是非お待ちしてます
644風と木の名無しさん:2007/05/10(木) 22:16:38 ID:X8WTAlf1O
GJGJ!
見られるなんて…ハァハァ
645風と木の名無しさん
次スレ立ってました

モララーのビデオ棚in801板27
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