[801]モララーのビデオ棚in801板25

このエントリーをはてなブックマークに追加
1風と木の名無しさん
.   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)

モララーのビデオ棚in801板24
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1171423209/
ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-7のあたり

保管サイト(お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://moravideo.s57.xrea.com/
2風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 19:13:46 ID:C7iNgg+z0
1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です
書き込むネタはノンジャンル。 801ネタであれば何でもあり。
たとえばこんなときにどうぞ。

  どこに投稿すればいいのかわからない‥‥
   ・ネタを作ってはみたが投稿すべき既存のスレが無い。
   ・投稿すべきスレがあるのかもしれないけど、よくわかんない。
   ・クロスオーバーのつもりなのだが各スレ住人にウザがられた。
   ・みんなの反応を見たうえでスレ立てるべきかどうか判断したい。

  投稿すべきスレはあるが‥‥
   ・キャラの設定を間違えて作ったので本スレに貼れない。
   ・種々の理由で、投稿すると本スレが荒れそう。
   ・本スレに貼る前にあらかじめ他人の反応を知って推敲したい。
   ・本スレは終了した。でも続編を自分で立てる気がない。

  ヘタレなので‥‥
   ・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる。
   ・作り出してはみたものの途中で挫折した。誰か続きおながい!

迷ったときはこのスレに投稿してね。
ただ、本来投稿すべきと思うスレがある場合は
それがどのスレで(ヒントで充分)、しかしなぜこのスレに貼ったのか、
という簡単なコメントがあるとよい。無いとカオスすぎるからね
3風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 19:14:34 ID:C7iNgg+z0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 19:15:11 ID:C7iNgg+z0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 19:15:54 ID:C7iNgg+z0
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
6風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 19:16:33 ID:C7iNgg+z0
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"

               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
7風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 19:21:40 ID:C7iNgg+z0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
8風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 19:23:19 ID:C7iNgg+z0

 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
9風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 19:24:17 ID:C7iNgg+z0

   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
10風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 19:39:13 ID:kDHV6xwy0
すれ勃ておつ!
11風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 20:20:33 ID:eH0ZvqxO0
禿乙!
12風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 22:03:45 ID:7kr3EpFm0
妄想が500キロ溢れそうだったのでこちらに投下。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モーソーも積もればssになった アハハハ!
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  禿高 亜欄×和紙
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロナシ御免だ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
13禿高 亜欄×和紙 1:2007/03/02(金) 22:05:36 ID:7kr3EpFm0
馴染んだ重さが身体の上から消え、
辺りに二人分の荒い息と青臭さが満ちる。
僕は目を閉じていたが、側のスプリングが沈んだことで
隣の男が出て行こうとしていることを察し思わず腕を伸ばした。
「雅彦…」
「欲しいのは快楽だけだ。」
男は早口でそれだけを言い、バスルームに消えた。
その声色にほんの少し戸惑いが含まれていたと思うのは僕の都合のいい解釈だろうか…。
行き場を失った手のひらはサイドテーブルに落ち、そこに置かれているはずの札束を
思い出したように手探りで触れた。

彼と初めて関係を持ったのは、日本に来てしばらく経った頃だった。
こちらで新たに市場開拓するための綿密な下準備を本社でしていたとはいえ、
実際の環境に入るとやはり現実と計画内容とのギャップが見えてくる。
その誤差を修正補完するための情報収集に一段落つき、
ようやく本格的に計画が始動してから間もないある日。
帰宅途中に携帯でホテルに呼び出され、唐突に200万を積まれたのだ。

目の前の出来事を頭で把握するより前に直感が警鐘を鳴らし皮膚を伝播する。
過去の客観的事実が、今しがた直感が打ち出した仮説を裏付けていた。
僕は心中で舌打ちをしながら彼を注意深く観察し、目前の現実を様々な角度から分析して
今後の自分の応対パターンと、そこから広がる可能性を模したフローチャートを
頭の中で組み上げる。心が痛がるのを頭の隅で認識したが、無視した。
14禿高 亜欄×和紙 2 1:2007/03/02(金) 22:07:01 ID:7kr3EpFm0
当時、彼の下で働くようになってから4年が過ぎていた。
4年も一人の人間の側にいれば
その思考パターンなど知り尽くせると言っても過言ではない。
彼は本社に勤務していたころから手段を選ばないことで有名で、
必要とあらば自分をも切り売りする、その非情さでもって何人もの
人間を死に追いやった、などの噂の絶えない人だった。
実際彼と行動をともにするうちに、噂はその殆どが真実である事が判った。
あんな人間を上司に持つとは運が無かったなと
同期のライバルにさえ哀れまれたが、僕は現状に満足していた。
彼の下には常に刺激が舞い込み、僕の貪欲な好奇心を満たす。
大きなプロジェクトを立ち上げて目標に向けて彼と供に邁進する、その作業は純粋に楽しかった。
そして内心ではそれ以上に、怜悧でアグレッシブな手腕の後ろに
ひっそりとある種の冷たさを湛えている和紙図という男に惹きつけられて止まなかった。



この非日常な光景を目の前にし、ついに来たかという思いが最初にあった。
自分自身でさえも目的のためには食い物にできる人間が、部下を特別扱いするはずがない。
「志波野の次席」それがこの現実が示す解答だった。
そして…悔しい事に今後の展開は彼の思惑どおりに運ぶだろう。
僕は自分で思っていたよりも強く彼を愛していたことに今更ながら気付き、さらに
彼のほうがその情報を正確に掴んでいたという事実を突きつけられ、憂鬱になったのだった。
15禿高 亜欄×和紙 3:2007/03/02(金) 22:09:01 ID:7kr3EpFm0
「どうする?」
僕がどう返すのかを解っていて聞いてくる。
酷い男だ。彼自身もそう自覚していることだろう。
なぜそこまで自分を貶められるのか。僕は自分の部下の身体を金で買おうとしている、
利益の前にはプライドも簡単に捨てられるよく見知ったこの男を心中で哀れみ、蔑むことで
自分を慰めた。
だから彼がそれでも承諾するのを解っていて、わざと尊大な態度で応じる。
「突っ込ませてもらえるのなら、契約成立ですよ」
ややあって、返答の代わりに彼は無言でネクタイを解き始めた。

彼が体だけの関係を望むのなら、自分は甘い蜜のような快楽を与えてやろうと思う。
そしていつか蜜に足が絡まって抜け出せなくなればいい。
このとき僕は彼が乱暴に抱かれることを望んでいるのは解っていたが、背後から抱きしめ
嫌がらせのように優しく、唇で頬の感触を味わい耳裏の皮膚をねっとりと舐め上げた。


シャワーの音が止んだ。

今後、自分の最優先事項が雅彦ではなくなったら、一体僕はどうするのだろう…。
所詮自分は彼と同類の人間なのだという自覚はある。いづれは過去の出来事の一つになるこのことも
利用価値があれば利用するのかもしれない。
僕は、来るはずのない未来…だがその中で雅彦に冷静に銃口を向ける自分を
難なく想像できてしまった自分に対し苦笑を漏らした。
16風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 22:11:01 ID:7kr3EpFm0


 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 溜まってたもの出してスキーリ。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
17風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 22:37:37 ID:ZawW5rJF0
>>16
GJです!いいもの見せてもらいました。
萌えたのはもちろんですが、卓越した表現力に
普通に読みふけってしまいましたよ。
18風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 23:03:13 ID:McybYBrh0
ごめん。前スレってまだ書けるけど、使い切らないの?
19風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 23:15:05 ID:kmTWM50U0
>>16
ええもん読ませてもらいました。

>>18
容量オーバー。
20風と木の名無しさん:2007/03/02(金) 23:15:25 ID:wMG6QbdU0
投下中に500いくと面倒だからあれでいいと思うよ
21風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 01:41:27 ID:hDF6q0vD0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
やきうねた。


ふつん、と途切れそうな意識の下で、突然に突き上げられて悲鳴をあげた。
「寝るのって、失礼じゃないですか?」
「寝てない…」
「意識飛びそうだった、でしょ?」
「それ、寝るって言わない…っ」
この後輩は、やたらとサディスティックだ。
こいつが気に入ってるのはオレじゃない。オレは手頃な代わり。いや、代わりでもないか。
こいつのお気に入りは、こいつと、こういうことをしてないんじゃないかと最近気付いた。
オレに手を出してきたのはやたらと早かったから、当然あのキャッチャーともそういう関係だと
思い込んでいたのだが。
こいつの一方的な片思いなのか、と気付いたのは、最近だ。
だからオレに当たるんだろう。
それにしても、やっぱり、つらい。
精神的に、じゃなくて、体が。
だってコイツ、遠慮無いんだ。
22タイトル忘れた「ぬるいシャワー」:2007/03/03(土) 01:43:03 ID:hDF6q0vD0
「…ッつ、あっ…」
「擦りすぎて赤くなってる。明日、ユニフォームちゃんと着れる?擦れてイタくない?」
「う、るさっ…」
こりこりと親指と人差し指で挟んで揉む。
こいつのワザとくさい言葉で、オレは一気に恥ずかしくなる。
きっと明日は、ユニフォームがカラダに擦れるたびにこいつの言葉を思い出してしまう。
こいつは判ってやってるのだ。
やっぱり、サドだ。
「お前っ、ほんとは、オレじゃなくて…」
「イーヤマさん。それ、言ったら駄目。だってアイツ、全然気付いてくれないんだもん。
アイツから気付いてくれるまでは言わないことにしてるの」
オレの気持ちはどーなる。
アイツが気付くまで、オレはお前に付き合わなきゃいけないのか。
オレのカラダは大丈夫か。
25過ぎたら下降線なのに。



***






23風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 01:43:56 ID:hDF6q0vD0
「大丈夫か」
意識が飛んでた。
真っ黒の世界の外から声が聞こえて、アイツかと思ったら…オダだった。
「あ、あ、うん。大丈夫」
「風呂は」
「…入りたい」
「じゃあ、入れてくる。俺もさっき入ったけど、ここのホテルの風呂、すげぇ狭い」
織田は何も言わない。
気付いてるのに。
…気付いてない?いや、そんなわけない。
いくら表情かわらなくても、ニオイと噛み跡(キスマークとは呼びたくない。寒気がする)で、わかるだろう。
「なぁ…」
「ん」
「動けない」
「は?」
「風呂まで連れてって」
「…カラダも洗ってやろうか?スミからスミまで」
そういって、にやりと凄みのある笑顔で言われて、ぞくっとしてしまった。
「なんか、ヤラしいよ、言い方」
「そうか?カギ開けっ放しで気絶してたお前に比べりゃ、ヤラしくないだろ」
「…カギ、開いてた?」
「開いてた。ここオートロックじゃないから」
そういってオダはその恵まれた体で俺を担ぐ。
ホントは動くんだけどね、でも動かないフリ。
「やっぱりセックスだけの関係って駄目かな」
「さぁ、どうだろ。でも、アイツのほうが精神的ダメージでかいんじゃないの」
「ん、やっぱ、そうかな。…って、相手、知ってたの」
「そりゃ、なんとなくは」
「…つまんね」
24風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 01:45:07 ID:hDF6q0vD0
なんだ、全部お見通し。いつから知ってたんだろ。
オレを湯船に入れて、頭からシャワーをぶっかけられる。
「今度はオレとどう?」
そして、じゃあじゃあと湯をオレにかけながら。
たぶん食事中だったら、オレは口の中のものを吹いてた。
衝撃的な言葉だ。
「オレが?オマエと?ヤだよ」
「…そこまで即答だと、なんかショックだ」
「だって、何か芽生えそうじゃん」
じゃあじゃあとよどみなく注がれてた湯がわずかにぶれた。
「芽生え・・・って、何がよ」
「え、それ言わすの?」
「言えよ」
「やだ」
「あっそ。じゃ、言わなくていいよ」
「もっと粘れよ」
「…どっちだよ」
呆れて、俺の頭にシャンプーが注がれる。
わしわしとでっかい手が髪の毛をかき回す。
「芽生えたら、もう試合前にイチャつくなよ」
「ん、たぶん無理だけど前向きに善処します」
うーん、シャワーがぬるい。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
25風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 01:52:32 ID:PoRhHRUZO
冖冂冫凵匚匸卅區丗卩厂囗圖宀尸屮嵒巛幵广彡彳畄茴丕个丱丶丿乂亅亞亠从廿鹵
26風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 02:09:05 ID:iGY5z+u50
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  何回も流れるから書き殴り。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  某CM。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
27某CM:2007/03/03(土) 02:11:43 ID:iGY5z+u50
そっと覗いた部屋の中に居たきれいな人。
とてもきれいな人だけどぼくとは違う国の人に見えた。
じっと見ていたぼくに気づいて、その人は笑った。泥棒なんじゃないかという考えは
消えてなくなった。何となく、違う気がした。ぼくは泥棒を見たことがないけど、
泥棒はもっとこそこそしているものだと思う。ただ、ひみつだと言っているみたいに見えた。

こんなに広い家だから知らない人が居て当たり前だ。ぼくはそういうのに慣れていた。ぼくの
お父さんは偉い人でお金持ちらしいから。
ぼくはドアから離れてまた同じ遊びを始めた。夜になっても昼間見たあの人の話は誰にもしなかった。

次の日も同じ人を見た。初めて見た日とは違ってちょっとだけ期待した。期待通りにその人は居て、
ぼくを見て笑った。昨日と違う赤色の服と明るい髪。ベッドに座ってぼくに手招きをする。ぼくが戸

惑って首をかしげているとおかしそうにまた笑った。
きみ、ここに住んでる子だよね。
その人は言う。ぼくと同じ言葉を使うから同じ国の人なんだろうかと思った。
ぼくはまた手招きをされて、ベッドまで歩いて隣に座った。初めて話すから、つい下を向いてしま

う。ぼくはひとつだけ気になったことを聞いた。
お兄さんは誰。
その質問には答えてくれなかった。代わりにぼくの頭をなでて最後に叩いた。大人に叩かれたの

は初めてだったけど、全然痛くはない。逆にやわらかい優しい感じがしてほっとした。
知らない方がいいよ。
ひとりごとみたいな小さな声で言われて、ぼくはまた首をかしげた。ぼくがどういう意味と聞こうと

したとき、頬にキスされた。びっくりして声が出なかった。やっと顔を上げると、人差し指を唇に
当ててその人は言う。
お父さんには言わない。いい?
ぼくはあかい唇を見ながらうなずいた。
28風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 02:12:54 ID:iGY5z+u50
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 設定捏造しまくり
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
29風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 02:57:36 ID:o7uDEZp90
>>28
ねっ姐さんひょっとしてそれギャ(ry
(*゚∀゚)=3 ハァハァ♪
30風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 06:41:53 ID:6DasVkoQ0
>>21-24
避難所で盛り上がったネタですね?w
31風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 08:44:34 ID:I+HyNa130
>>27
素晴らしい!
妄想広がる映像ですよね。
32numb*3rs兄弟話:2007/03/03(土) 10:29:01 ID:3GMv5ErU0


>>1さんスレ立て乙華麗!

狐CHで放送中のnumb*3rs兄弟話
前にチャーリー語りの陰気なnumb*3rs兄弟話を
2つ投下した者です。コメントくれた皆様ありがd
マイナージャンルなのに反応があって嬉しいです。

          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│今回はドンが語ってます
                └───────────────

 
33numb*3rs兄弟話1:2007/03/03(土) 10:29:38 ID:3GMv5ErU0
チャーリーが俺の事件のアドバイザーとして捜査に参加するようになり、事
件が解決した日のある夜、親父が俺に言った。
「チャーリーはいまだに小3の時の問題と格闘してる、兄に誉められたいっ
ていう問題とね」
そんなことはずっと知ってたよ、
その言葉を冷えたビールでのどに流し込んだ俺は、親父の言葉に軽く笑って、
ダイニングでテリーたちを相手に"数学がいかに日常にあふれているのか"
を熱心に語っているチャーリーを見た。
柔らかい巻き毛に大きな瞳、舌がもつれるような単語を紡ぎだす薄い唇。幼
い顔に幼い仕草、世間に疎く、三十になっても父親と同居している弟。まる
で庇護の対象者のようなチャーリーを形容する言葉だが、そこにたった一つ
「天才数学者」という単語が加わるだけで、俺にとってのチャーリーは弟で
はなくなる。
それは奴が3歳の時、4桁の掛け算を解いた時から始まった。


34numb*3rs兄弟話2:2007/03/03(土) 10:31:55 ID:3GMv5ErU0
チャーリーが生まれた日のことは今でも憶えている。
俺は5歳でその日は水曜で俺は紺のラグビーシャツを着ていて、授業が終わ
るとすぐにスクールバスに飛び乗って帰宅した。家に着くまで4つある信号
がどれも青いサインで、ノンストップで家路についたことだって憶えている。
家の玄関には"Welcome, Charles"というリボンが巻きつけてあって、俺が乱
暴に玄関の扉を開けて駆け込むと、出産を終えて退院したばかりのママは、
化粧っけのない顔で、それでも輝かんばかりの美しい微笑で「ドニー、今日
からあなたの弟よ」と、小さな小さな赤ん坊を俺に紹介した。
その時俺は。どう言えばいいのかな、とにかく、とにかく感動したんだ。美
しいママに、小さな赤ん坊に、親父がいて俺がいて、いつものリビングが輝
いていて、幸福が俺たち家族を包み込んでいたことに、俺は本当に感動して、
「よろしく、チャーリー」ってその幸せを壊さないように小声で挨拶をし、
人差し指で真っ赤な赤ん坊の頬をちょこんと触った。
この暖かで輝かしい幸福はいつまでも俺たち家族を包み込んでくれるだろう、
と疑いもしない始まりだった。

35numb*3rs兄弟話3:2007/03/03(土) 10:33:19 ID:3GMv5ErU0
チャーリーが3歳の時(いや4歳の時だったかな)。奴が4桁の掛け算を暗算
したと親父に聞かされて俺が思ったのは、「このおチビが?」だった。立って
バランスを取って真っ直ぐに走ることすらままならず、俺が飛ばした紙飛行
機を指差して「airplane!ドン、air plane」って舌っ足らずにはしゃぐ子供
が、4桁の掛け算?そりゃあスゴイなって。笑えるだろ、俺は8歳で、まだ
事の重大さに気づいていない子供だったってわけさ。
でもすぐに「それ」は大変なことなんだとわかった。まずチャーリーは「お
絵描き」のために与えられたクレヨンで、画用紙にわけのわからない数式を
書き連ねるようになり(そのうち奴は机にも壁にも書き始めた。だから親父
はどこにでも置けて吊るすことも出来る黒板をチャーリーに与えた。)、両親
はしょっちゅうチャーリーを連れてどこかへ外出するようになった。あとは
お決まりのコースへまっしぐら、チャーリーは天才児のための英才教育と、
わけのわからない(でも偉いんであろう)大勢の大人たちに囲まれて、「ドン
の弟チャーリー」は消えて「数学の天才チャールズ・エップス」誕生さ。


36numb*3rs兄弟話4:2007/03/03(土) 10:34:33 ID:3GMv5ErU0
それでも、まだチャーリーが本当に子供だった(5つや6つの)頃は、俺達
は普通に"兄弟"をしていたと思う。チャーリーは相変わらず俺の作った紙
飛行機がお気に入りだったし、朝のキッチンで俺が学校へ行くのをいつもじ
っと見つめて「何時に帰ってくるの?」って小さな声でつぶやいて「帰って
きたら僕の相手してくれる?」って言ってた。この頃からチャーリーには同
年代の友達が居なかったから、一人で家に居るのはいたたまれなかったんだ
ろう。だが大抵は俺がリトルリーグにも寄らず真っ直ぐ帰ってきても居ない
のはチャーリーの方で、そうすると今度は家の中で俺がいたたまれない気持
ちになった。
誤解されないように言うが、俺がいたたまれない気持ちになったのは、チャ
ーリーがいなかったからじゃないし、両親がチャーリーに付きっきりで、ガ
ランとした家の中に俺一人の呼吸が漂っていたからでもない。
そう、俺は天才じゃなかったけれど、それなりに聡明なガキだったから、俺
はわかっていたんだ。チャーリーが天才でも、俺たちがありふれた家族じゃ
なくなったって、素晴らしい輝きに満ちた家族だって。チャーリーは天才児
で、両親が奴の才能を"正しく"育てることにかかりっきりになったって、
俺は不幸じゃないことをちゃんとわかっていた。
確かにチャーリーにかかりきりになった両親のために、俺は幼い段階で自立
しなければならないことを悟ったが、それはチャーリーが今後の人生で強い
られる不自由さに比べれば、なんてことはないんだと俺はわかっていた。


37numb*3rs兄弟話5:2007/03/03(土) 10:35:56 ID:3GMv5ErU0
俺はチャーリーを思っていたたまれない気持ちになった。
だってそうだろう?飛び級でエレメンタリーもジュニア-ハイもかっとばし
て、このままいけばチャーリーは10歳でハイスクールに通うことになる。
そんな子供が幸せなはずない。周りには「お兄さん、お姉さん」しかいない
んだ、体格も違えば話も合わない友達なんてできるわけもなく、そもそも「あ
いつは天才らしいぜ」って指をさされて興味本位な視線に四六時中晒される
んだ。
ガリバーの世界へようこそ、さ。
だから奴が"正しい英才教育"ってのを受けはじめ、日ごとに「数学者」た
る言動をするようになり。相変わらず俺に紙飛行機をねだるのに、そのうち
「もっとも長距離を飛ばすことの出来る紙の大きさと羽の角度は」なんて講
釈をお得意の数式を使って垂れはじめた時でさえ、俺はチャーリーの言動に
ムカつきはしなかった。野球の試合を観戦して、確率論だか統計論だか知ら
ないが、そんな理論で試合展開を語ったり、俺の打率を計算して「ドン、外
角低めに手を出すのはやめなよ」なんて"アドバイス"された時も、大きな
お世話だとは思ったが、チャーリーにムカついたりはしなかった。
俺は、ただただ「天才数学者」としての言動と、いつも濡れているようなつ
ぶらなチャーリーの瞳がアンバランスで、チャーリーがその能力を伸ばせば
伸ばすほど、チャーリーを見るのが辛くなった。
大人の頭脳と子供のままの精神を抱え込んで、それでもチャーリーは必死な
って俺に話しかける。俺にはそんなチャーリーがとてつもなく不幸に思えて、
だからと言って俺がしてやれることもなく、やがて俺は辛いばかりになった。
そして、俺はチャーリーを見なくなった。

38numb*3rs兄弟話6:2007/03/03(土) 10:37:13 ID:3GMv5ErU0
チャーリー。きっとお前は、子供の頃から俺に無視されてきたのは、自分が
天才児で、そのせいで兄に犠牲を強いてきたからだと思っているだろう。つ
まり兄弟が疎遠だったのは"自分のせいだ"って。
でもな、チャーリー。それはまったくの見当はずれで、俺はお前にそんなこ
と、感じたこともないんだよ。お前が生まれたあの輝かしい日以来、一度だ
って俺はお前を疎んだりしたことはない。小さくて大切なチャーリーを愛さ
なかった日だって一日もないんだ。
お前を大切な弟だと思っていたからこそ、お前が重荷を背負い傷つくことで、
俺が傷つくことを恐れただけなんだ。
俺の勝手で、こんなにも距離の開いてしまった「兄弟」に、どうしてお前は
そんなにひたむきでいられるんだろうな。チャーリー、「弟」としての肩書
きの前に、3歳の時には「天才児」が挿入され、二十歳の頃には「数学者」
の肩書きが加わり、その後も「大学教授」が加わって。そうだNSAの相談役
ってのも加わったな、俺はつい最近まで知らなかったが。そんなお前は今も
「ドンの折った紙飛行機、飛ばしたい」って見つめてきた5歳の純粋な瞳で
俺を見つめる、ただひたむきに。

39numb*3rs兄弟話7:2007/03/03(土) 10:38:16 ID:3GMv5ErU0
親父が言ったように、お前はもうずっと長い間、俺に認められたくて必死に
格闘していた。今、ようやくぎこちないながらも兄弟らしく接することが出
来て、もしかしたら喜んでいるだろうか。
俺はお前と事件を解決するたびに考える。
「チャーリーよくやったな。」そう言って、お前の肩をギュッと抱いて頭のて
っぺんにキスを落とし、ありふれた家族の愛情表現を示すことを。
そうすることで、お前に「孤独な思いをさせてすまなかったな」って伝えた
い、ってな。だが今更それじゃあ、あまりにも俺は卑怯で自分勝手だ。
だから俺は「お前は頼りになる弟だよ」と言って、お前の瞳を見返すだけ。

この先、俺は「弟」以外の肩書きを背負ったお前を、どんな風に受け入れて、
俺達はどんな関係を築いていくんだろうか。天才じゃない俺には未来を予測
することはできないが、チャーリー、どんなお前だって俺にとっては大切で、
愛すべき人間なんだと、いつかは伝えたい。


40numb*3rs兄弟話おしまい:2007/03/03(土) 10:39:50 ID:3GMv5ErU0
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリクライネ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |

  └────────────────┘

ちょっとドンを美化しすぎ?
実は単にウザかったから疎遠だっただけだったりして。
と思わなくもないですが、妄想バンザイ!ってことで。
他ジャンルの姉さん方、スレ占領してすいませんでした。
お付き合いありがとうございました。
41風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 11:14:06 ID:6pWNhlWC0
ドンカコイイ!複雑ながらも一途で萌えました。
42風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 11:16:49 ID:DHZMWfpW0
GJ!
お兄ちゃんっていうのはいろいろと大変なものなのねー
頭のてっぺんにキスしてもらったら弟は泣いて喜ぶと思う
43風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 12:10:28 ID:LM7s/BX0O
GJ!!
数字兄弟は、ほんとにモエが多くて嬉しい
44風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 15:19:28 ID:Wma+TdxI0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  発見の品格。大小
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  主題歌を勝手に捏造。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
45風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 15:20:05 ID:Wma+TdxI0
「だからね、ケソちゃん。俺は、トックリのそう言う態度が気に入らないわけ!ハケンなら社員に口答えするなっての!社員を舐めるな〜!」
「商事さん、飲みすぎだよ。」
「なんだ〜ケンちゃん。トックリの肩持つのかよ。」
「そんな…事、ないよ。商事さんもう帰ろう?」
「えー。まだ飲もうよ〜。朝まで飲もうよ〜」
「商事さん、もうお店閉まるから。ね?帰ろう?」
酔った商事さんを家に送り届け、帰ろうとした。
商事さんは「じゃぁな〜!ケンちゃん」と手を振っていた。
外で待たせていたタクシーに自宅の住所を告げる。
走り始めた車の中、僕は手を見つめた。
46発見の品格・主題化捏造:2007/03/03(土) 15:21:13 ID:Wma+TdxI0
店を出てタクシーを捕まえようと、通りに立つ。
「寒いなぁ。ケンちゃん。手が冷てぇよ、ケンちゃん」
暖冬と言っても1月の夜は、やっぱりまだ寒い。
「そうだね。ポッケに手、入れたら少しはマシになるんじゃない?・・・って聞いてる?商事さん」
「そうだ!ケンちゃん。手、出して」
僕が言われたとおり、手を出すと商事さんは僕の手に自分の手を重ねた。
じんわりと伝わってくる商事さんの温もり。
「暖けぇなぁ、ケンちゃんの手は…」
ニコっと笑う商事さんは無邪気な子供のように繋いだ手を、ぶんぶん振った。手の甲は風に晒されて切れるほど寒い。
「商事さん、逆に・・・寒いよ」
照れているのを隠そうと僕が言うと「そーか?」と言って手を振るのを止めた。
でも手は依然、繋がれたまま。
「あぁ・・・ケンちゃんは、暖けぇ。暖けぇよ、ケンちゃん」
商事さんの顔は心からホッとしている顔だった。
47発見の品格・主題化捏造:2007/03/03(土) 15:22:00 ID:Wma+TdxI0
「お客さん、ここ右で良いんですよね?」
その言葉で、我に返った僕は、ここで良いです。と運転手に告げてタクシーを降り、歩き始めた。
入社してから、ずっと商事さんと一緒だった。商事さんは僕の目標だった。憧れだった。
それは、今でも変わってない。変わったのは僕の気持ちだけ…。
立ち止まって、空を見上げると真っ黒な空。そこにあるのに見えない星。ちゃんとあるはずなのに・・・。



「やっぱ、見えねぇなー。」
「なにが、見えないの?商事さん」
「星だよ!星」
「星?」
「うん。ケンちゃん、俺の田舎さ、本当に田舎なんだよな。なーんもなくて、高校の時は、こんな寂れた街から早く出たいって思ってた。でもさ東京来て、ビックリしたんだよ。全然、星見えねぇんだもんなぁ。」
商事さんの顔はちょっと切なそうだった。
「あー。本当に見えねぇな…。ケンちゃんにも見せてやりてぇなぁ」
「いつか・・・見せてよ」
「じゃぁ、俺が社長になったらそのお祝いも兼ねての凱旋帰郷ってのはどうだろう、ケンちゃん。」
「はははは。」
「あっ!今、無理だと思ったろ!俺はやるよ。出世して、ケンちゃんと一緒に星、見るんだ」
「うん」
半分冗談で半分本気だった。でも、その時の商事さんの顔は凛々しくてかっこよかった。
今思えば、あの時から好きになったのかもしれない…。
48発見の品格・主題化捏造:2007/03/03(土) 15:23:07 ID:Wma+TdxI0
「はー、やっぱり、見えないなぁ。」
吐く息が白く消えて行く。
僕は、商事さんの役に立っているだろうか?とふと思った。
商事さんは、いつも自信満々で周りの人の士気を高める術を知っているし、気さくに話し掛けてくれるし、いつも皆の中心だ。
なんで、商事さんみたいなデキる人が僕と一緒に居るんだろう・・・。商事さんに比べて僕は無力で、いつも商事さんに頼ってばかり…。
そんな、暗い気持ちを振り払うようにまた歩き始めた。

しばらく歩いていると、携帯が鳴った。
「もしもし」
『あっ、ケンちゃん?』
「どうしたの?商事さん」
『んー。ありがとな。家まで送ってくれて・・・』
「ははは、商事さん。まだ、酔ってるでしょ?」
『で、ケンちゃん。家、着いた?』
「まだだよ。」
『なんだ?随分遅いんじゃないか?タクシーの運ちゃんに代われ。俺が安全かつ迅速にケソちゃんを家に届けるように言うから』
「ははは。・・・ねぇ、商事さん。今週末、商事さんの田舎に連れて行ってくれないかな?」
『…どうしたケンちゃん。なぁんでまた、あんなド田舎に行こうだなんて…』
「星…見たくなっちゃって…。ダメかな?」
『んー…連れて行きたいのは山々だけど、時間的に無理があるよ』
「…そーだよね…。ははは、やっぱり無理かぁ」
『何、何。そんなに星見たかったの?ケンちゃん。じゃあ……プラネタリウム行く?』
「えっ?」
『ほら、この前新しく出来たビルの中にあるんだよ。プラネタリウム。一緒に行くか?』
「いいの?」
思いがけない返答に嬉しさが込み上げる。
『ケンちゃんの頼みだもん。日曜日なんてどーよ?』
「うん!いいよ」
『よし!じゃあ、決まりな!…男二人で、プラネタリウムに行くなんて変かな?』
「変じゃ、ないと思うよ。良いんじゃない?」
『だよな!!』
49発見の品格・主題化捏造:2007/03/03(土) 15:25:18 ID:Wma+TdxI0
シラフの時には言えない。だから思いっきり心を込めて・・・。
「うん。…商事さん、ありがとう。…好きだよ…商事さんのそう言うところ…」
『ケンちゃん…な、なんだよ…。なんか照れるじゃないか。』
「なんか、商事さんと話してると元気出てくるよ」
『ケンちゃん今日は、なんか照れる事ばっかり言うね』
「ちょっと、酔っ払ってるからね。」
『飲ませすぎちゃったか?ごめんな、ケンちゃん』
「商事さんのせいじゃないよ。」
『そうか?』
ずっと、商事さんと話して居たかった。本当は、とっくに家に着いていた。
でも、家に着いたなんて言ったら電話が終わりそうで…。
その後、しばらく玄関先で電話した。
結局、自宅に入ったのは深夜になってからだった。あと3時間ほどで夜が終わる。
50発見の品格・主題化捏造:2007/03/03(土) 15:26:13 ID:Wma+TdxI0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 強制終了
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
51風と木の名無しさん:2007/03/03(土) 16:29:22 ID:MeDwUr6c0
>>50
ありがとうぉ!萌えたり和んだり切なくなったりで悶えまくりだよー。
これからこの曲聴いたらプラネタリウムデート妄想しそうですw
52風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 01:56:09 ID:3JQvSMyN0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
魔法使い×右利き左左


俺には妻と子供がいます。
あの人にも、奥さんがいます。
それでも俺は、あの人は、この関係を止められないのです。


「シバ、脱いで」

くるくるとよく動く、大きな瞳。
その目で見つめられたら、もう逃げられない。
引退してますます声に重みが出て、耳元で囁かれた時には全身が粟立ってしまう。

「どうした?俺の言うことが聞けないってか?」
「いえ……」
「じゃあ早く」

羞恥心を煽る言葉を、平気で投げつけてくるあの人。
否定すれば済むのに、そんな言葉を待っている俺。
言われるままに衣服を脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿になると、大きな瞳が細くなった。

「自分で準備しろよ。いつも俺がやってやるみたいに」
「……」
「よく見えるようにやれよ」

学生時代に見せられたAVを思い出した。
命令口調で女に恥ずかしい行為を強要する男。
しかし、女は何故か嬉々として受け入れていた。(少なくとも、俺にはそう見えた)
そして今、自分は同じシーンにいる。
53風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 01:57:32 ID:3JQvSMyN0
「あ、あっ、う」
「……卑猥だなあ」
「ひっ」

耳元で囁かれた言葉が、快感の決め手になった。
その声だけで、俺は何度でも達することができそうだ。
放つ欲望がなくなってしまっても、自分が狂ってしまったとしても、本能的な部分だけでどうにでもなってしまえそうだ。

「さて、今日はどうしてやろうかな」
「……痛いのは嫌です」
「よし、じゃあ今日は激しいのでいくか」


俺には妻と子供がいます。
あの人にも、奥さんがいます。
それでも俺は、あの人は、この関係を止められないのです。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
54風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 02:26:54 ID:oEQ25uh30
右利き左左を教えてほすい
チーム名はワカタ
55禿高 柴野×和紙津:2007/03/04(日) 02:29:36 ID:d4nLBj5q0
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│禿高 柴野×和紙津
                └───────────────
56禿高 柴野×和紙津:2007/03/04(日) 02:31:44 ID:d4nLBj5q0
「それでは、この件につきましては成立ということで宜しいですね」
 広いローテーブル一杯に広げた書類を纏めながら、和紙津は眼前の男に問いかけた。
質問の形式をとった言葉は、しかしただの形式でしかない。
数時間に及んだ交渉の行き着く先として、もはや決裂はあり得ない場所に商談は行き着いていた。
紙片を集めると美しく磨かれた木目が顔を出す。
一本の木から切り出された一枚の板で作られた、それも高級品だろう。
これほどの面積をもつ一枚板とあれば、相当の樹齢を持つ幹から、相応の経験を持つ職人でなければ作れない。
調度品にかける金があれば事業に回せと言いたくなるが、応接室は会社の顔だ。
安物を置いては品位に関るという、日本人の性質は理解できないでもなかった。
外資系企業に身を置き、アングロサクソンの資本主義を骨身にたたき込んだ和紙津である。
それでも個の中心を支える柱が日本で生み出されたのは事実で、否定することも否定するつもりもなかった。
「最後に一つだけ、条件が」
 書類をファイルに閉じると、和紙津の所作を眺めながら男は言った。資料も仕舞い終わってから、条件など。
また書類を広げなければならない煩雑に内心溜息をつく。
だがそれを無表情の下に押し殺していると、男は革張りのソファを立ち、和紙津の隣に腰を下ろした。
資料に添えられた和紙津の手に、指を匐わせる。皮下の肉を確かめるような所作は、背に寒気を走らせた。
57禿高 柴野×和紙津:2007/03/04(日) 02:36:06 ID:d4nLBj5q0
 なるほど、条件とはそういった種類の代物か。
自分が資料を片付けるのを待っていた男の意図を理解して、和紙津は吐きそうなほどの嫌悪感に見舞われた。
唾液を飲み下すことで耐えていると、勘違いをしたのだろう。
男の指先は調子付いて、和紙津のスーツに伸びてきた。
一心不乱に働いて、その代償として獲た巨額の給与。
家族もない和紙津には使う当てもなく、増え続ける預金額が何となく嫌になって買った仕立てのよいスーツとシャツ。
ブランドに拘りはなく、執着もしていなかったが、そのボタンを目の前の男に外されるのは我慢ならなかった。
ネクタイを解く、太い指を叩いた。過分な贅肉に指まで犯されているのか、妙に鈍い音がした。

「何をする」
「それはこちらの台詞です」

 睨め付ける男に一瞥さえくれず、和紙津はファイルを抱えて立ち上がった。
それを鞄に仕舞いこんでから、顔は動かさず視線だけを下ろす。
横にばかり立派に育った男が、怖気付いたように身を引く様が見えた。

「もしセックスを絶対条件とするのなら、今回の取引は無かったことにしていただいて構いません。
公私を混同して欲望を発散なさろうとする方は、信用に値しません」

 あからさまな侮蔑を吐き捨てると、男の目は憎悪で煮えた。
だが腫れぼったい瞼に囲まれた憎しみなど、少しも恐ろしくはない。
資本主義社会で恐ろしいのはただ金。金だけなのだ。

「それに私が条件を受け入れるメリットなど、一つもないでしょう。
我が社との取引は、御社の資本金確保・事業拡大において重要な位置を占めています。
突然破談にしたなどとあれば、監査役は黙っていないでしょう。
取締役会で議題に上るかもしれませんね。あなた、そこでどのようにお答えになるおつもりですか。
セックスを断わられたから?」

58禿高 柴野×和紙津:2007/03/04(日) 02:38:42 ID:d4nLBj5q0
 全く、馬鹿げている。
確かに今回の件に関しては、和紙津の属する洞イズン・インベストメント・ワークスは表向き立場が弱い。
何せ洞イズンは会社債権・および株式を買って貰う立場にある。
もちろん、洞イズンの株ではない。洞イズン社が買い叩いた、別会社の株である。
 IT事業の拡大を求める大企業は多い。だが一から構築するには、莫大な費用がかかる。
そこですでにノウハウも顧客名簿も持つ会社の株式を買い取り、子会社かして事業を広げるのが一般だった。
 和紙津が売ろうとしているのは、そうした有望企業なのである。
ここで破断したとしても、売る先は他に幾らでもある。
実質面まで話を進めると、優位に立つのは洞イズンなのだ。
「次回までに仔細な契約書を作成して送付いたしますので、目を通しておいてください。それでは、本日はこれにて」
59禿高 柴野×和紙津:2007/03/04(日) 02:39:23 ID:d4nLBj5q0
 愚鈍な男をいつまでも視界に収めているのが、我慢ならなかった。
だから鞄だけを手にし、乱された服のまま応接室を後にした。
どうせ廊下には誰もいないだろう。
そこで一つ一つ、自分の手でボタンを留めればいい。

「和紙津……?」

 だが予測がはずれてしまったことは、和紙津を呼ぶ声で確定した。
耳慣れた声に思わず振り返ると、そこにはかつての上司が呆然と立ちつくしている。
視線は一点と虚空を、ひたすら往復して和紙津の顔を見ようともしない。
その点が己の乱れたスーツだと気付くと、柴野の挙動に納得がいった。
 鞄を床に置き、ボタンを一つずつとめる。
ネクタイまでしめおえると、ようやく安心する。ブランドには拘らない。
だがスーツを着ることにだけは拘った。
スーツは和紙津を守る鎧か、あるいは砦だ。

「和紙津」

 和紙津が再び鞄を手にすると、柴野は弱々しい声で呼びかけてきた。

「お前のやり方に口を挟むつもりはないが――そういうことは」
「ご安心を。商談に肉体を持ち込むのは、私の最も嫌悪するところですから」
 弁明じみた台詞だと、和紙津は思った。
だが言わずにいれなかったし、それによって柴野が安堵の息をついたことが、少なからず嬉しかった。
60禿高 柴野×和紙津:2007/03/04(日) 02:39:55 ID:d4nLBj5q0
 自分は、嬉しかったのだ。

 それに気付くと、和紙津が柴野が堪らなく憎くなった。
自分を変えた男を、人を変えた癖にそのことを、
会うまで忘れていた男にまだ拘泥する己が憎らしくてたまらなかった。

「商談に、肉体を持ち込むのは私の主義じゃない」

 先程の台詞を、抑揚を変えて繰り返す。柴野は怪訝そうに眉を寄せる。

「だから、柴野さんが仰るなら、寝て差し上げても構いませんよ」

 柴野の怪訝が狼狽へとすり替わる。目尻には皺まである癖に、顔を赤くした。
口をぱくぱくと開き、でも濫れるのは言葉に績がれる前の無意味な音だ。
それは柴野の混乱を知らしめて、和紙津を愉快にさせた。
 もっと混乱すればいい。
そうして自分が他人に与えた変質を目の当たりにして、
夜毎に頭を掻きむしればいい。
微昏い部屋で錯乱する柴野を想像すると、
愉快とも不快ともつかない、斑な感情が吹き出した。
ただどこまでも濃く澱む感情に、和紙津は名を付けることが出来無い。
それが不愉快でたまらなくて、和紙津は鞄を握りなおした。
そうして柴野に一瞥をくれると、彼一人を残しさっさと歩き出してしまった。
61禿高 柴野×和紙津:2007/03/04(日) 02:41:49 ID:d4nLBj5q0
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) スッキリ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
62風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 03:42:41 ID:QT2+f7Ox0
 真夜中だけど数字兄弟話をなんとなく投下                  

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  兄×弟未満だよ。キスもセックルもないよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 第9話ベースだってさ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こないだ狐で放送されてた第9話がモチーフなので、そのへんのネタバレあり

ついでに>32姐さん GJ!GJ!まともでやさしいお兄ちゃん萌えーです
63numb*3rs 兄弟やおい未満 その1:2007/03/04(日) 03:44:37 ID:QT2+f7Ox0
 何でお前は俺にそんなに認められたくて必死なのかな、チャーリー。そりゃ俺たちは、とい
うよりお前は、ちょっと特殊な環境で育ったから、俺たち二人が普通の兄弟とはちょっと違っ
たってのも事実だよ。だけど俺は俺なりにお前を可愛がってきたつもりなんだ。野球があんま
り上手くなかったお前に、代わりにバスケを教えたのは俺だし、ガキの頃俺にくっついてお前
が外の通りで遊んでいるときは、車にひかれたり転んだりしないようにいつだって気を配って
た。5つも年下のくせにこまっしゃくれたお前がちょっとばかり憎らしくて、わざと意地悪し
たこともあったけど、そんなの普通だろ?どんな兄弟だって喧嘩くらいする。兄が弟のおもち
ゃを取り上げたり、弟が兄貴の物を盗んでみたり、男の子同士なんてそんなもんさ。周りの連
中を見たってそうだった。取っ組み合いやひっきりなしの口論が小さい兄弟にはつきものなん
だ。
 だけどお前は小さな頃から、俺がお前に少しでも冷たくするといつも泣いたよな。俺は自分
の弟がほかの家の弟よりずっと繊細なことにそのうち気づいて、正直びびったよ。だって俺が
お前を置いて外に遊びに行こうとすると、僕も連れて行ってってめそめそお願いしてきて、そ
れでも俺が無視したら、――いつだっけ、ああ、お前が6つのときだ――お前は黙って俺の後
をつけてきて、結局転んで膝を血だらけにしたりもした。てっきり家でおとなしくしてると思
ってたお前の泣き声が聞こえて、振り向いた俺がどれだけ動揺したかわかるか、チャーリー?
俺は急いでお前をおぶって帰った。俺もまだ11歳だったから、お前のことが重たかったけど、
でも必死でできるだけ早く家に帰った。
 お前は知らないだろうけど、母さんはお前の怪我の手当ての後、俺をすごく叱ったよ。夕食
の後で父さんにも怒られた。こういうとき兄貴って損なんだ。俺は俺が悪いんじゃないって言
いたかったよ。だって俺は、チャーリー、お前には家でじっとしてろって命じてたんだから。
ついてくるなってね。だからお前がダウンタウン近くの橋、自動車がたくさん通って危ないか
ら気をつけてって前から母さんが言ってた場所にいて、怪我をしたのは俺のせいじゃないって
言いたかった。
64numb*3rs 兄弟やおい未満 その2:2007/03/04(日) 03:46:18 ID:QT2+f7Ox0
 でもな、やっぱり俺のせいなんだ。お前は俺の後をつけてきてたんだから。俺は兄貴で、た
った一人の弟を守らなきゃいけないんだから。だから俺は母さんと父さんに謝ったよ。彼らは
二人とも俺を叱ったくせに、俺が謝ったらばつの悪そうな顔をして俺を抱きしめた。ドン、あ
なたはいいお兄ちゃんよ。チャーリーを守ってあげてね。あの子はあなたの弟なの。
 お前が普通と違うって言うのは俺もわかってた。父さんも母さんもはっきりとは言わなかっ
たけど、チャーリーには数学の才能があるってだけじゃなくて、人一倍支えが必要なタイプだ
ってことをいつだって仄めかしてた。だから母さんはほとんどいつもお前につきっきりだった
し、父さんも本当はちんぷんかんぷんなはずなのに、お前が学校でやってる問題を理解しよう
としていたんだと思う。お前が孤立してないってことを示すのに、父さんも母さんも必死だっ
た。俺は不思議だったよ。お前にどんな才能があったって、俺たちは普通の家族だと俺は思っ
てた。両親が離婚してるわけでもないし、父さんの仕事だって開発局でのごく普通のものだっ
た。父さんは休みの日には釣りやゴルフをして、母さんはピアノを弾いて、俺はリトルリーグ
に出かけて。そこに数式を書きなぐるお前が加わったからって、何がそんなに違うんだ?お前
の受けてた教育のせいで、母さんは留守がちになったし、俺はたまにかぎっ子になったけど、
別にいいじゃないか。リトルリーグに父さんや母さんがあんまり観戦に来なかったのは残念だ
ったけど、二人とも熱心にその日の夕食の席で俺の戦績を聞いてくれた。俺はそれに満足して
たよ。嘘じゃない、満足してた。
 
65numb*3rs 兄弟やおい未満:2007/03/04(日) 03:47:47 ID:QT2+f7Ox0
 でもお前はいつだって不安で寂しそうだった。野球の試合のことを夕食の席で話した晩、お
前はいつも寝る前にトコトコ俺の部屋までやってきて、小さな声で僕も今度試合を観に行って
いい?って聞いた。予定があえばな。俺が言うとお前はいつも傷ついた顔をしたな。でも何が
いけなかったんだ?俺はお前が学校に通うのに忙しそうだったから、そう言っただけなんだ。
数式を解いたり、公式を覚えたり、そういうお前の大好きなことを犠牲にしてまで俺の試合に
来ることはないって思ったから、そういうつもりで言ったんだ。来てほしくなかったわけじゃ
ない。ただお前にはもっと楽しいことがあるんじゃないかって感じただけなんだ。お前は天才
で、俺とは違うからな。
 でも確かに、俺は物心ついたときには、そうやっていつもお前を傷つけてた自覚はあったか
ら、なんとなくお前と話すのは気まずかったよ。それにな、チャーリー。せっかく野球の試合
を観にきてくれたって、打率や盗塁の数をその後分析されて、もっと上手くなりたかったらあ
あしろこうしろって5歳も下の弟に言われて、楽しいわけないだろ。だからちょっと冷たくし
たこともあったかもな。わかってる。お前は俺に構われたかったんだ。説得力のあることを言
えば、俺がお前にもっと注目すると思ったんだろ?わかってるよ。そういうところがお前はか
わいいし、正直言ってむかつくよな。変わってないよ。俺の物を勝手に漁る詮索癖や、口の軽
いところも。泣き虫なとこも。いつだってお前は俺にとって、生意気でかわいい弟だよ。
 俺たちは確かに普通の兄弟よりはぎこちない関係だったかもしれないけど、でも俺は俺なり
にお前の兄貴でいたつもりなんだ。他人みたいに扱ったつもりなんてない。なのに何でかな?
お前はたまに俺を責めるような悲しそうな目で見る。気づいてないのか?それともわざとやっ
てるのか?寂しいってお前の目は言ってる。それって、俺がお前にそう感じさせてるってこと
なんだよな。でも俺にはそれがなぜなのかわからない。お前が解く数式の意味がわからないの
と同じだな。兄貴のはずなのに、俺はお前のことがよく理解できてないんだ。不甲斐ない話だ
けど。
66numb*3rs 兄弟やおい未満 その4:2007/03/04(日) 03:48:56 ID:QT2+f7Ox0
 なあ、俺がお前に与えられていないものって、何なんだ?何が欠けてる?お前は何がほしく
てそんなに必死で俺に構われたがる?チャーリー、俺はたまに怖くなるよ。父さんが言ったと
おり、お前は俺にはノーとは言わない。この間テリーやデイヴィッドにからかわれたよ。お前
が俺に命令されれば、世界征服のための方程式だって作るだろうって。あのエジャートンまで
それを聞いて笑ってた。そんなわけないだろって俺は返したけど、でもきっとそれは本当なん
だよな。まあ、そんな方程式、さすがにお前でも作れないだろうけど。でもお前のそんな必死
さが痛々しくて、俺はたまにどうしたらわからなくなるんだ。
 お前は俺に認められたくて必死で、いつだって俺の腕を引っ張って「ドン、聞いて」って顔
を覗き込んできて。極め付けに俺が望んでないようなことまで俺のためにやる。射撃を習いた
いなんて言い出したり、危険な場所に出向いて撃たれそうになったり。俺はそんなお前を叱れ
ない。だって全部俺のためだってのは、わかりきってるんだから。でもチャーリー、俺はそれ
を素直に喜ぶこともできない。俺と一緒にいることが、お前にとって本当にいいことなのか、
いまいち確信が持てなくなるんだ。
 撃たれそうになった後、しばらく震えてたお前を抱きしめながら間近で見て、俺は少し俺た
ちは離れたほうがいいんじゃないかって思った。わかってる。やっと事件を通じて前より分か
り合ってきたのに、いまさらお前を突き放したりするのは俺だって嫌だ。でもなチャーリー、
俺たちが一緒にいるのは本当にいいことなのか?俺が恐れてるのはお前を危険な目に合わせる
ことだけじゃない。問題はそこまでしてお前が俺にすがり付いてくるのに、結局俺たちは未だ
にお互いにもどかしさを感じてるってことなんだ。そのせいでお前の、俺のための行動は、も
っとエスカレートするだろうっていうのが、手に取るようにわかるんだ。そのときに俺はお前
に何をしてやれる?これまでみたいに「すごい方程式だ」ってただ褒める以外に何ができるん
だ?
67numb*3rs 兄弟やおい未満 その5:2007/03/04(日) 03:50:20 ID:QT2+f7Ox0
 ああ、本当を言えば俺はたまにお前といると息苦しくなるよ。お前のことは可愛いけど、離
れていたほうがお互い上手くやれるような気すらしてる。だって高校を卒業して、お前と離れ
離れで暮らすようになってから、本当を言うと俺は少し呼吸が楽になったんだよ。大学では誰
もお前と俺を結びつけて考えなかった。俺は自分が特別じゃないことへの、意味のない引け目
も忘れた。深刻に思いつめたことはないつもりだったけど、なくなってみるとやっぱり気が楽
になったんだ。
 高校に5つも年下の弟が一緒に通ってるなんて、ちょっと俺が馬鹿みたいだって俺はあの頃
思ってた。弟はああなのに、あなたは数学が別に得意ってわけでもないのねえなんて、不思議
そうに無神経な担任教師に言われるのにもうんざりしてた。おい、言っとくけど、俺は数学は
得意じゃなかったけど、苦手でもなかったからな。ただ平均的な生徒だったってだけだよ。お
前と違って。でもそんな些細なことから解放されて、俺はあの頃ちょっと呼吸が楽になったと
思った。お前が涙目になりながら、高校の廊下で俺の後をひっついてきたり、小生意気に数学
の理論を振りかざして必死に気を引こうとするのに付き合ってやらなくてよくなって、助かっ
たと思った。そして実際、そのほうがいろんなことを上手くやれもしたんだ。
 
68numb*3rs 兄弟やおい未満 その6:2007/03/04(日) 03:51:41 ID:QT2+f7Ox0
 そう、俺はお前から離れて、ちょっと楽になったんだ。FBIに入って、実家に滅多に帰れな
くなってからはなおさら。きっとお前はがっかりしたな。俺は大学の寮に入るときの、離れ離
れになっても独立記念日や感謝祭、そういうイベントには絶対お互い家に帰って、一緒に過ご
そうっていう、お前のお願い、小さな声で精一杯の勇気を出して言ったお前のお願いを破った
んだから。ごめんな。悪かったよ。だけど俺もまだ若くて、自分のことで頭がいっぱいだった
んだ。それに俺たちは兄弟なんだ。そんなにベタベタするもんじゃない。お前にもそのうち恋
人や親友ができて、俺なんかといるよりそいつらといるほうが楽しくなるだろうって思ってた
のさ。実際、お前は大学でラリーっていう親友を見つけた。彼ならお前と数学の話もできるし、
お前は俺といるより彼といるほうがずっとくつろいでる。あの人はお前をよく理解してる。ま
るであの人の方がお前の兄貴みたいだよ。妬けないわけじゃないけど、それでいいんだ。その
ほうがお前も楽しいんだろ?
 でもそれなのに、それから10年以上経った今でもお前はやっぱり俺に認められたがってる。
俺の行くところにいつでもついてこようとして、俺がお前に何か秘密にしようとすると、絶対
探り出そうとする。俺はいつもお前を傷つけるし、お前のことも未だに理解できないのに、そ
れでもお前は俺と近づきたがってる。そんなに傷ついているのに、それでもほしいものって何
なんだ?俺はお前を傷つけたくないから、少し距離を置きたくなるのに、お前は痛みから逃げ
ることすらせずに俺に何か求めてくる。俺はそれが怖いんだ。いつかお前をめちゃくちゃに傷
つけそうで怖い。
69numb*3rs 兄弟やおい未満 その7:2007/03/04(日) 03:53:08 ID:QT2+f7Ox0
 もちろん、お前と協力して何か解決できるのは嬉しい。俺だってお前ともっと上手くやり
たいと思ってたんだからな。お前と滅多に会わなかったあの頃、自由になったと思いながら、
俺はお前が恋しかったよ。お前の憎まれ口や屁理屈、甘ったれた泣き顔が、ときたま無性に恋
しくて、でももう手の届かないところに行った弟のことを一人で考えて、俺たち小さな頃から
またやり直せたらって思ったりもした。だから今みたいに仲良くできるのは嬉しいよ。だけど
な、なんて言うのかな。事件の捜査で四六時中お前と一緒にいて、思いつめたように俺を見る
お前の目を見て、俺がちょっとほめるとお前がとろけそうな笑顔を浮かべるたびに、落ち着か
ない気持ちになるんだ。俺はお前を所有してるわけじゃない。だけどたまに所有してるみたい
な気分になる。お前は特別で、俺は特別じゃないけど、お前は俺にはノーと言わない。俺はお
前を使っていろんなことができる。それってまともな兄弟関係か?きっと違うだろ?
 なあチャーリー、俺はごく普通の、お前の兄貴でいたいし、そうしてきたつもりなんだ。で
もそのためにお前を遠ざけようとするのは、間違ってるのもわかってる。俺はお前のために隣
に居場所を作ってやらなきゃいけない。それだけでお前は喜ぶんだから。そして最近気づいた
んだけど、俺はお前が喜ぶことなら大抵のことはしてしまうんだ。
 でもな、俺たちはただの兄弟なんだ。チャーリー。俺はたまに戸惑うよ。お前が俺をすがる
ように見つめたり、俺がお前の肩を抱いたりすると、緊張して目を潤ませるのを見ると。お前
は俺と近づきたがってる。これまでもそうだったし、これからもそうだろう。お前は俺の言う
ことならきっと何でも聞く。何でも?それってすごく危険じゃないか?俺だって男だ。支配欲
くらいあるし、それをどうやって行使すればいいかもわかってる。
70numb*3rs 兄弟やおい未満 これでおしまい:2007/03/04(日) 03:57:52 ID:QT2+f7Ox0
 撃たれそうになって震えてるお前を抱きしめてるとき、俺はお前が俺の言うことなら、本当
に何でも聞くだろうっていまさらながら思ったよ。普通の兄弟ならしないようなことでも。お
前の巻き毛が鼻先をくすぐるのを感じて、お前が俺の肩に頬を押し付けて落ち着こうとするの
見つめながら、俺はお前の耳の辺りを撫でてた。お前はずっと俺に身体を預けて、呼吸を鎮め
ようとしてた。いいんだ。撃たれそうになったんだから、動揺しても当たり前なんだ。でもお
前の唇が濡れてて、俺の名前をおまじないの呪文みたいに何度も呼ぶのを見ているうちに、俺
たちはきっと少し距離を置いたほうがいいって思ったんだ。近づきすぎると厄介なことになる
って。
 俺はお前が好きだよ。お前がかわいい。お前が俺にこれまでずっと大事にされてない、認め
られてないって感じてきたなら、俺は今からでもそれを埋めるために何でもしてやりたい。何
でも?そう、何でも。
 それがとても危険なんだ。チャーリー、俺はお前が嫌がらないって知ってるから、危険だと
思うんだ。少し距離を置いたほうがいい、そうわかってるのに、俺はきっとこれからお前をこ
れまでにも増して連れまわすだろう。そしてお前がいつも俺の前で、寂しそうな目をしてきた
ことの埋め合わせを、これまでと違う方法でするようになるかもしれない。だってこれまでだ
って俺はお前を十分認めてきたつもりだし、それなりにかわいがってきたつもりだったんだか
ら。30年近く試してきた方法じゃ足りないなら、何か別のことをしたくなる。それがルール違
反だったとしても。
 なあチャーリー、近づきすぎると俺たちはきっとまずいことになる。だからお願いだ。そん
なに必死で寂しさを埋めようとするな。きっとお互い少し離れて、心なしか寂しいくらいのほ
うがいいんだよ。普通の兄弟でいることに満足しないと、俺たちはきっとお互いを食い合って
しまう。離れられなくなる。まるで恋人同士みたいに。
 だから少し寂しいくらいでいい。お互い少し寂しいくらいでいたほうがいいって思うのに、
チャーリー、本当は俺もずっと寂しかったから、今はやっぱりお前と一緒にいたいんだ。



71風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 04:02:25 ID:QT2+f7Ox0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 長々スマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

このどっちも兄弟は寂しがりだと思うの。そんな妄想。
ちなみにどーでもいいことですが、真夜中すら既に過ぎてますな
ビデオ棚にも朝がキター
72風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 04:11:19 ID:QT2+f7Ox0
あ、この兄弟はどっちも、です。スマソ
なんか文章とんじった…
73風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 05:25:27 ID:hM4d1Onc0
>>71
切なす。思ってても辛いよなー。
もうこの二人の心の奥まで見えてきた気がする。
いつもありがd。
74風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 07:53:34 ID:UrBp9XTM0
>>61
うおー萌えた!
わっしーセツナス、カワイソス。
ほんとにあの人は崖っぷち歩いてるよねー。
ステキなお話ありがとうございました。
75風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 09:00:35 ID:iEXLpt+u0
>>61
一瞬ブラック柴野かと…
そんなわけないですね〜!
純情中年かわいい!
わっしー切ない。
76吸血鬼バルド6:2007/03/04(日) 09:41:37 ID:fSVbnYeA0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  オリジナル バルド×クラウス
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|    残虐シーン、血が苦手な方はスルーお願いします
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
77吸血鬼バルド6:2007/03/04(日) 09:42:29 ID:fSVbnYeA0
蝋燭の火が揺らぐその向こう、細やかな彫刻細工が施された
石の台がある。
何かの儀式に使われる、祭壇のようなその石の上に、
クラウスは横たわっていた。
少年特有の華奢な裸体を白い布が覆い隠している。
瞼が震えた。
生温いまどろみから意識が浮上して、目覚める。
四方を石壁で囲まれた部屋。
壁に設えた燭台の蝋燭の明かりが、どこかチェスティアの
地下室に似た狭い部屋を照らしていた。
体が、熱い‥‥‥。
全身の気だるさに、また、意識が沈みそうになるが
閃光が脳裏に走り、赤い情景が蘇る。
今度こそ目が覚めた。

俺、どうして‥‥‥ここ、どこだろ

クラウスが上体を起こす。白い布がずれて、
上半身があらわになり‥‥気付いた。

傷が、ない。

裂かれた首筋、薔薇で傷ついた皮膚、
手で探ってみるが、傷口に擦らないのだ。
体を確認するその手の爪が、鋭く尖っているのを見て
クラウスが目を瞠る。
78吸血鬼バルド6:2007/03/04(日) 09:43:36 ID:fSVbnYeA0
思い付いて、震える手首に爪を立ててみた。
皮膚が裂けて、赤い血が盛り上がり、筋を引いて流れていく。
しかし、すぐに血は止まり、傷口が塞がった。
傷跡も、消えた。
手首を見つめたまま硬直していたクラウスの瞳が揺れ、
戦慄いた唇から、荒い息が漏れる。
「う、そ‥‥‥」
ヒュッと大きく息を飲み、先程より深く皮膚を抉る。
が、時間がかかったが、それでも塞がった。
これ以上ない程、目を見開いたクラウスの顔が歪んだ。
痙攣する両手で頭を抱える。
血を吸われた。
ならば、自分は‥‥‥
「吸血鬼」
クラウスの心情を明確に表した声に振り向く。
クラウスの背後、いつの間にか、台の端に足を組んで
座していたバルディンが冷たく微笑んでいた。
「ひっ」
白い布を絡まらせて身を竦めるクラウスに、
つめよって顎を持ち上げる。
「おまえは僕の配下に下ったんだ」
揺れる瞳を捕まえて逃す事なくバルディンは続ける。
青い瞳が妖しく光った。
「このバルディンがおまえの主だ」
バルディンが言い放った瞬間にクラウスの緊張していた体が弛緩した。
しばしの静寂。そして‥‥‥
「バル、ディ‥ン‥」
霞がかったような瞳を細めたクラウスが、うっそりと微笑んだ。
79吸血鬼バルド6:2007/03/04(日) 09:44:54 ID:fSVbnYeA0
おずおずとバルディンの赤い唇に、自分のそれを重ね、
口付けで忠誠を誓う。
そのままのしかかり、唇を割り、舌を差し込んで貪る。
蝋燭のぼんやりとした橙色にクラウスの肢体が艶かしく浮かび上がった。
バルディンの前に跪いてモノを取り出し、迷わず口に含むと、
欲情を帯びた瞳で見上げる。
バルディンが嘲笑を含んだ視線を返し、腰を動かした。
口で奉仕するクラウスの無防備な背中を、さしておもしろくもなさそうに、
5本の爪で深く傷つけていく。
赤い血が幾筋もの川となって皮膚を滑った。
吸血鬼の再生能力が皮膚を復元していくが、
バルディンは構わず、繰り返す。
「ん、んむぅぅ」
赤に濡れたクラウスが痛みにくぐもった声をあげた。
ーーー忌々しい。
加虐的な感情を膨らませたバルディンが
クラウスを四つ這いにして、後ろから一気に突き立てた。
そのままクラウスの両腕を取り、後ろへ強く引っ張る。
痛みと、それにも勝る、主人に貫かれる喜びに、
のどを反らし嬌声を上げるクラウスの瞳には生気がない。
人形と成り果てた下僕を、バルディンが暗い感情をむき出しに突き続ける。
絶望の儀式めいた行為は続き、夜は更けていった。


「ノウエルの街、あそこもしばらく行けないな。どこのバカがやってるんだか」
夜風をきって降り立ったマーティスがため息をつく。
縦穴洞窟、入り口に近い出っ張り。
いつものようにバルドの隣に腰かける。
80吸血鬼バルド6:2007/03/04(日) 09:47:03 ID:fSVbnYeA0
バルドがここへ来てから3年が経っていた。
馴れ合いを好まない性格からして、すぐに出て行くと思われたが、
意外にも離れ去る事はなかった。
ここを気に入ったのだろうか。
バルドがどうしたと目線で問う。
「いや、ノウエルでも、かたっぱしから人間を狩った奴がいるみたいだ。
 男、女、子供、見境なしにな」
そう言ったマーティスの脳裏に青銀の髪の同胞が思い浮かんだ。
粗暴なやり方はあいつっぽいが、まさかな‥‥‥
「またか」
「ああ、おかげでどこの街も警戒が厳重だ。ハンターもうろうろしてるみたいだし‥‥
 下手に襲ったら、隠し持っていた銀のナイフで、心臓グサーっもありえるかもな」
吸血鬼の弱点、それは心臓を抉るか、首を刎ねるかだ。
この世に存在するものは必ず死を迎える。
それは吸血鬼も例外ではない。
永遠を生きるとされている吸血鬼だが、例えば、自分の鋭利な爪で
心臓を一突きするだけで、あっけなく終わる。
洞窟の入り口から覗く夜空は曇っていて、月もなく、寂しく感じた。
「血にワインに薔薇か。その辺の水が糧だったら、
 もっと生きやすいのにな。『さあ、極上の水で乾杯だ』」
マーティスがグラスを持ち上げる振りをする。
「吸血鬼の本質は人間の生き血を吸う事だろう」
「おや、意外だな。『人の血は無理』とかほざいた奴が言うじゃないか」
ふと、なんとなく避けてきた質問をしてみたくなった。
「なあ、なんでチェスティアを出たんだ‥居られなくなったって、何があった?」
答えは返ってこないだろうと思われた。が‥‥‥。
「一緒に居たいと思ってしまった。傷つけたくなかったから‥違うな。
 私と同じ者になって傷つくのを見たくなかったからか。自分が傷つきたくなかった。
 彼にだけは否定されたくなかったのかもしれない‥‥‥‥‥」
淡々と語るバルドの横顔に心情は見えない。バルドが目線を上げた。
「すまない、気付かれたようだ」
81吸血鬼バルド6:2007/03/04(日) 09:48:18 ID:fSVbnYeA0
バルドの視線の先を追う。
一羽の蝙蝠が洞窟の丸い入り口付近をヒラヒラと飛んでいた。
‥‥‥‥‥来るんだろうな。気が滅入る。
「はあ‥いいよ。で、彼ってのはやっぱり‥」
 
「人間」

マーティスは軽く目を見張った。
蝙蝠から目を離してバルドは続ける。
「血が飲めないのは、人間に触れると彼を思い出しそうになるからだ。 
 私は、自分が吸血鬼である事を悲観しているわけではない。
 ただ、人間の倫理感で私達の位置付けを考えた時、
 やはり、彼をこちら側へ連れてくる事は出来なかったよ。
 ‥‥‥自分が弱いだけの話だな」
自嘲めいた笑みを唇にのせ、バルドが金の目を伏せる。
静かな告白が終わったのだ。
「‥‥‥‥‥‥‥‥俺達が人間の倫理を考えてどーするよ‥‥‥。
 ま、ちょっと驚いた。おまえは人間に興味を持ったわけだ」
そいつの事を忘れられる日が来たなら、大丈夫なのだろう。
だが、そんな日はきっと来ない。
『「もう」飲めない』これが答えなのだろうから。
それでも俺達はここに在る以上、「本質」を抱えたまま生きていくしかないのだ。
吸血鬼の存在意義など考えた事もなかったが、
俺もバルドも結局最後まで「吸血鬼」でしかない。
追われて、襲って。殺され、殺す。
「理性と感情の掛け合いか。難しいな」
俺達にとって何が善で何が悪かなんてのは知らないが‥
感情のままに突っ張れたら、もう少し楽なのかもしれない。
そこで、マーティスは思考を閉じた。

来た。
82吸血鬼バルド6:2007/03/04(日) 09:49:16 ID:fSVbnYeA0
ゴウッ。
唸る風が洞窟に反響する。
入り口から入り込む暴風が、立ち上がったバルドと
マーティスの髪をなびかせた。
夜空を背景に風が渦巻いて収縮していき、人影が現れる。
「マーティスと一緒だったとはね。いくら捜してもわからないワケだ」
トンっと、バルドとマーティスの前に降りたバルディンが、顔を上げた。
先程の蝙蝠がバルディンの周りをくるくると飛び回っている。
「やっぱり‥!ノウエルの街をやったのはおまえか」
バルディンの体にまとわりついている錆びた鉄の
匂いの激しさにマーティスが片眉をあげた。
「喉がかわいて仕方なかったんだ」
青い瞳がマーティスを一瞥して、バルドを見た。
その顔に氷の微笑が張りついている。
「バルドを捜してたら疲れちゃったからね」
黙然と静かに佇むバルドにバルディンが歩み寄り、その頬に手を伸ばした。
陶磁のように滑らかな白い肌。その目元を、顳かみを、口元を、
同じように冷たく白い指がゆっくりと這う。
「バルド‥」
冷たい微笑を和らげて、バルディンが愛しげに名前を呼ぶ。
「おい、外でやれ」
思わず声を上げたマーティスを見る事もなく、
バルディンが背を伸ばしバルドの唇に顔を近付ける。
やんわりと、バルドの手がそれを制した。
83吸血鬼バルド6:2007/03/04(日) 09:49:52 ID:fSVbnYeA0
「‥‥‥」
愕然と瞠目したバルディンの顔が、急激に怒りの面持ちに変わり、
瞳に赤を宿し、バルドを睨みつける。
「‥僕を、拒むんだ。あいつには許したのに」
怪訝な顔をしたバルドに、バルディンが口の端を上げて呪いの声を吐いた。
「バルド、僕の屋敷で預かってるから。チェスティアでの「忘れ物」」
瞬間、閃光が走る。
バルドが薙いだ爪の斬撃を躱してバルディンが空中に舞う。
それを追わずに、バルドが夜空に舞い上がり、疾風となって消えた。
「バルド!‥‥‥おいっ、どういうことだ!?「忘れ物」ってまさか‥」
バルドが言っていた「人間」か。
空中のバルディンが鼻の先でせせら笑いマーティスを見下ろした。
「ベネディ、バニス、アティス」
全て、吸血鬼による殺戮があった街の名前。
「そしてノウエルの街、襲ったのは僕一人じゃないって事さ。ハハハッ」
腹を捩って哄笑するバルディンの声が、広い洞窟内の隅々に行き渡り、
闇に眠る鬱蒼とした森にも木霊が響いた。
84吸血鬼バルド6:2007/03/04(日) 09:50:56 ID:fSVbnYeA0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ツヅキマス 次で最後です
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
85風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 10:13:04 ID:jL8yh3l60
>>71
やおい未満モエス。こういうギリギリの距離感や切なさがたまりません
86風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 10:37:57 ID:JkRbGyys0
>>84
GJGJ!
続きが激しく気になる。
クラウスの安否が気になるー!
87風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 11:43:36 ID:GVvovevl0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  禿げたか 鞍リス×和紙
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ソフトです。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
88禿げたか1/2:2007/03/04(日) 11:44:28 ID:GVvovevl0
「われわれの仕事は金が全てだ。
だが金を扱うのは人、人を見る。頑丈な鎖にも弱い輪がある。そこを攻める。
南米の蝶が羽ばたくことがもたらす影響を知っているかね?何手も先を読まなくてはいけない。
私もこの仕事をしているからにはそこそこ人を見る目はあるつもりだ。
マサヒコ、君は気付いていないかもしれないが、君には持って生まれた「なにか」がある。
それはとても大きな武器だ。使いたくなければ使わなくてもいい。
しかし自分がどんな武器を持っているか知らずに道を歩くのはとても危険なことだよ。」

鞍リスはマサヒコ・ワシヅが彼の元で働き始めたころ、自宅での夕食に招いて言った言葉を思い出していた。
それを聞いたマサヒコは「武器…ですか?」と怪訝そうな顔をしたものだ。

〜あれからもう5年になるのか〜

夕食後ベッドルームに招き入れると緊張した面持ちでしばらく躊躇していたが
意を決したように聞いてきた。「本当に私にその武器が使いこなせるでしょうか?」

それからは月に2〜3度、マサヒコは鞍リスの自宅を訪れることが習慣になった。
今夜も二人で夕食をとった後当然のようにベッドを共にしていた。

「…んっ…mmmm!」
自分の動きにあわせて体をよじらせるのを見れば十分に快楽を得ているのがわかる。
しかしマサヒコはなぜかそれを素直に表現するのを嫌がり、いつも指の付け根を噛んでは必死で耐えている。
その様がまたいっそう扇情的に映り、ときには手を拘束するなどして思うさま声をあげさせることもあった。
しかしたいていはお互いに与え合い、分かち合う幸せな関係を保てていた。
89禿げたか2/2:2007/03/04(日) 11:47:00 ID:GVvovevl0
身に付けた武器を仕事に使うこともままあるようだが、
相手と対価は十分に吟味しているようで今更アドバイスすることもない。
時には冷酷とも言える手を躊躇なく使い、そのポーカーフェイスもあって誤解されがちな彼だが
本当は素直で純粋な青年だ。
しかしその心には大きな傷を抱えている。
採用するときの人物調査で日本での銀行員時代に顧客が一人自殺したらしいが…。

〜マサヒコ、君を手放すのはとても惜しいが、そろそろ君も自分の傷と向き合う時期だ〜


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )
鞍リスイイ人設定です。
90願いが叶う部屋・ブラカイ:2007/03/04(日) 13:07:55 ID:7LR8HWh50
棚お借りします!二人の最後の一夜を妄想。
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
91One of the lasts:2007/03/04(日) 13:12:47 ID:7LR8HWh50
カタン…。
何を考えているわけでもない、しかし心のどこかを深く締めつけられたままぼうっと呆けていると、小さな音が俺の意識を現実へと戻してくれる。
「…ん」
その音に目を向けてみると、いつの間にかカイルがカウンターに突っ伏していることに気がついた。
その腕が彼のグラスを倒していたのだ。そこにわずかに溜まっていた琥珀色の液体がカウンターの上に小さな水溜りを作っている。
「…ふっ」
連日に及ぶ仕事は俺たちに酒を酌み交わす時間を与えてはくれなかった。
正確に言えば『仕事』は『時間』だけではなく、俺の心からそんなことを提案する余裕をも奪っていたが…。
「カイル」
カウンターチェアから崩れ落ちそうになっているカイルに小声で呼びかけてみる。もちろん起こす気などない。
ただその名前を呼んでみたかった。それ以上のことを考えたくなかったからだ。すぅすぅと安らかな寝息を立てる彼の覗きこんだ寝顔は柔らかかった。
微笑んでいるようにさえ見えるほどに。俺よりは弱いといえアルコールには強い方だったはず。それなのにこの程度の酒で眠りに落ちるとは、余程疲労しているのだろう。
「…ハードなヤマだからな」
『潜入捜査』が俺に任されたことに対し『どうしてお前なんだ』と、不機嫌そうな表情を隠そうともしない。
『お前は顔に出るからじゃないのか』そう指摘した俺にますます機嫌が悪くなった。それを俺は笑いながらまたからかって…。そんな俺をカイルは全力を尽くして、寝る間も惜しんでサポートしてくれていたカイル。
「もしあの時、お前だったら…」
一人呟きながらカウンターに転がったグラスを起こす。中身はほとんどこぼれてしまい、底の方にわずかに残っているだけだった。
その琥珀色をじっと見つめながら、俺は考える。『もし』などという言葉は存在しないということを。それなのに、何度でも『もし』を考えてしまう俺自身の弱さが嫌だった。
「起きてくれ」
それ以上何かを考えることに、一人でいることが耐え難くなった俺は、穏やかな寝顔を見せ続けているカイルに少し大きめな声をかける。だが、彼はそのまま瞳を閉じたままでいる。
92One of the lasts:2007/03/04(日) 13:14:02 ID:7LR8HWh50
「……起きないのか」
思わず苦笑してしまう。寝たふりしているのではないかと思うほどすっかり寝入っているようだった。
こんなところで刑事が情けないだろう、といいつつ、『こんなところ』にいることを安心している自分もいる。弱い俺はまた考える『もし』を。
「ここが廃れたバーのカウンターではなく…」
お前か俺の部屋だったなら。俺は止まれなかったかもしれないと思っていた。長年必死になって隠してきたこの想いを伝えることを。
この汚れた腕で、カイルを抱いてしまうのではないかと。最後の夜になると知っていたから…全てを引き換えにしてでも、彼を求めていたかもしれないと。
「カイル」
俺がそんな目で見ていたと知ったらどう考えるだろうか。カイルには愛する人がいる、という噂を聞いていた。
その一件を耳にすることがなければこの気持ちを素直に打ち明けられていただろうか。相変わらずすぅすぅと寝息を立て続ける彼に、それを尋ねることなどできない。
「…これが最後か」
その寝顔を見ることも今日が最後になる。俺は、俺だけはその事がわかっていた。だからこれくらいは赦してくれるだろうと自分勝手な解釈をして、その考えに苦笑しつつ行動に移す。
「…グッドラック」
本当に伝えたい言葉から逃げ、俺は思いついた言葉をカイルの耳元で囁く。
そしてそのままアルコールに染まる朱色の頬にそっと唇を寄せた。最初で最後になるだろう触れたその肌は、荒みきっていた俺の心に染み入るように温かかった。
「…ブラッドリー?」
カイルから離れた瞬間、寝起きのためか少し鼻にかかった声が俺の名前を呼んだ。
「おはようカイル。よく寝ていたな」
「…悪い」
「気にするな。…そろそろお開きにするか」
仕事においてミスをした時よく見せる『しまった』という表情を浮かべるカイルに笑いかけながら手元のグラスを掲げた。
俺のグラスの中にも、彼のグラスと同じ琥珀色の液体がわずかに残っている。
「…そうだな」
倒してしまったためにほとんど空になってしまったグラスを、俺に向かって差し出すカイル。
カチリ、とガラスの触れ合う涼しい音が響き、俺たちは最後の一杯を飲み干した。
93One of the lasts:2007/03/04(日) 13:15:04 ID:7LR8HWh50
「お前と飲む酒は、やはりうまいな」
先程のカイルの表情よりも俺が好む満面の笑みを見せて笑う。俺はその顔が最後に見られたことが本当に嬉しかった。
「ああ。…俺もそう思う」
気の利いた言葉を口にすることもできず俺は微笑んだ。歪んだ笑顔になってしまったかもしれないが、今の俺にはそれ以上のことはできなかった。




「送っていこうか?」
「ブラッドリー、どうした?」
「何が?」
「そんなこと、いわれたことなかったぞ」
「…いわなかったんじゃない、いえなかったんだ」
「いえなかった?」
「今日は珍しく酔い潰れていたからな」
「これくらいなら一人で帰れる。問題ない」
「そうか。…それじゃな」
「ああ。お休み」
「お休み、カイル」
店を出た俺たちはそう言葉を交わしてそれぞれの道を歩き始める。重過ぎる足を無理やり前に運び、振り返るなと己にいい聞かせながら。
しかしそれでも脆弱な俺は曲がり角に差しかかったところでたった一度だけ振り返った。もう、彼はとっくに暗い道へと姿を消していたと思ったから。
「…カイル」
その瞬間思わず彼の名前が毀れてしまった。振り返るつもりなどなかった俺を、カイルはずっと待っていた。
そして目が合った俺に向かって片手を挙げると、すぐに暗闇へと姿を消してしまう。
「…」
彼の後姿を見送った後、俺もまた暗い道を選んだ。家への帰路としては遠回りになる道を。

「…グッドラック」
安っぽい愛を囁く代わりに彼に告げた言葉がもう一度響き、暗闇に溶けていく。
そんな優しい闇は俺の切実な願い通り、濡れる頬をいたわるように撫でてくれていた。
94:願いが叶う部屋・ブラカイ::2007/03/04(日) 13:17:03 ID:7LR8HWh50
開始のAA間違えてましたスミマセンorz
ありがとうございました!
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
95禿高 和紙図:2007/03/04(日) 13:45:01 ID:VqqGUPu+0
棚の姐さんたちに感謝とエールを送りつつ…

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )禿高 志波×和紙←亜欄が前提


疲れたな…。
背広を脱ぎ、おぼつかない足取りでステップを降り通りへ出る。
夜風が気持ちよかった。
今日は身体的疲労に加えて、精神的に疲れている自分を感じた。
普段どこにいるか判らない敵を警戒し、どんなときも意識して隙を見せることの無いように
努めている自分がこんな格好で往来にいるのがその証拠だ。
後で精神力が回復してからこの状況を省みたときに後悔することは判っていたが、
それでも今は微塵も自分を律する気になれなかった。

溜息を吐き、ポケットの中で携帯を弄ぶ。
近頃、時折ひどく優しげに自分を見つめてくるようになった
金髪碧眼の青年を思い浮かべたが、頭を振ってそれを打ち消した。

本当に弱っているときは、もうあいつを利用するのは危険かもしれない。
7年前に自分に誓った、その目的のためには自分自身でさえも
何時でも切れるようにしておかなければならない。
客観的判断を鈍らせるような存在は志波野だけで十分なのだ。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )
ドラマの行間があまりに美味しくてエロくて怒りを感じる今日この頃。
96風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 14:08:39 ID:Zi5OLBoH0
>>27
亀ですが萌えた。
あのCM同性同士なのがなw
97風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 15:20:56 ID:YTEIh5Mx0
>>27
同じく萌えた。
本当に綺麗だよね、あのCMの某人。
冒頭の踊りがちょっとオカマっぽい動きでもあるんだけどw、最後のアカンベーが可愛いというか綺麗というか、
あんなの子供の頃に見たら人生狂わされそうな迫力のチャーミングさ。
特にあの人のファンってわけでも何でもないんだけど、あのCMはツボにきた

>>96
普通だとあのシチュなら木木寸の役は美人女優あたりがやりそうなものだよなww
そこがまたイイ
98風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 16:27:13 ID:j0RJNew10
>>97
男の子がかわいい女の子ってのがありそうだけどな。
なぜあの設定なのかと小一時間w
99風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 17:00:57 ID:3JQvSMyN0
亀ですが>>54
『右利き左左』の名前(ニックネーム)は、最初のカギ括弧に書いてありますよ。
100風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 17:44:04 ID:QdLEUZdy0
>>71
萌〜え〜た〜!
自分>32投下した者ですが、
まるで続きの物語ように姐さんが投下されてて、萌えでジタバタした!
せつな萌えGJ!
101風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 18:29:13 ID:KrhGe+//0
>>32 >>71 GJ!
いつもnumb*3rs話投下してくれる姐さん方、
感謝してもしきれない。毎回萌えでもだえてます。

4月から、絵プス兄弟のために、狐犯罪chに加入するよ!
102風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 18:47:39 ID:rK479Vnn0
>>94
GJ! ブラッドリー視点で考えると切ないな。
最後にあの満面の笑みを見れて、
ブラッドリーも少しは幸せだったんじゃないかと、しんみり思った。
出来れば続編で再会してほしいなぁ。
任天堂に続編祈願の念でも送っとくか
103続・絹の道の真ん中で:2007/03/04(日) 20:45:16 ID:p+hYwiLj0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  前の続きというわけではないですが‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  婿殿との夜編です
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
104続・絹の道の真ん中で:2007/03/04(日) 20:46:23 ID:p+hYwiLj0
「ヨシオカくん、ちょっといいかな?」
「なんでしょう?」
一日の撮影が終わって、ヨシオカはディレクターに呼ばれた。
「今夜ここに泊まる件なんだけどね…どうも、スタッフの分までは場所がないみたいなんだ。」
「え…?」
「だから、我々はどこか別の所に泊まって、明日の明方また来ようと思うんだけど…」
「あ、そうなんですか………もしかして…アイラートさんも?」
「そうなんだ。泊まれる場所を探してもらわないとね。一人にさせて申し訳ないんだけど。明日なるべく早くここに来るから。」
「…そ…ですか…。わかりました…。まぁ…アフメットとも仲良くなれたし、一晩ぐらいならなんとかなると思います」
「じゃ、悪いけどよろしくね。それじゃまた明日」
「あ、はい、おつかれさまでした」

アフメットの分と、ヨシオカの分。仲良く布団が敷かれた上で、ヨシオカが言った。
「…ねぇアフメット、明日早いんだろう?もうそろそろ休まない?」
そういって、目を閉じて寝るポーズを取って見せた。
すると、アフメットがウンウンとうなづいた。どうやら通じたようだ。
105続・絹の道の真ん中で:2007/03/04(日) 20:47:39 ID:p+hYwiLj0
ヨシオカが横になって布団に手をかけたとき、
アフメットが抱きついてきて、頬にちゅっとキスしてきた。
おやすみのキスなのかな?
…にしても回数が多いぞ?!
「ちょ、ちょっとっ…アフメット?!」
慌てて顔を背けるが、アフメットは一向に止める気配はない。
「アフメット、やめろってば!」
「xxxx」
ヨシオカが逃げようとすると、うしろから抱きついてきて、今度はうなじにキスしてくる。
(な…っ!)
ヨシオカはガバッと起きあがってアフメットの手を掴み、強い口調で言った。
「待てっ…て!一体どういうつもりだよっ!」
「ノー! ノー! xxxx xxxxxx」
アフメットは一生懸命身振り手振りを交えて説明を始めた。
曰く、このあたりでは、結婚前に花嫁以外の人を抱く儀式があって、
それをすることで、結婚後も幸せになれるというのだ。

「…で、僕なの?」
自分を指さす。アフメットは大きくうなずいた。
ヨシオカは頭を抱えた。なんで僕なんだよ…。
指の隙間からちらりと様子をうかがうと、アフメットが懇願するような目つきでこちらを見ている。
「…まいったなあ……」
そんな目するなよ。逃げられないじゃないか。
106続・絹の道の真ん中で:2007/03/04(日) 20:48:26 ID:p+hYwiLj0
「……。」

そのまま数分が経過した。
先に白旗を上げたのはヨシオカのほうだった。
「……わかったよっ!!わかった!いいよっ!」
途端にアフメットの顔がパッと明るくなるのがわかる。
(はぁ…)
あまりの豹変ぶりに、一瞬「うまく乗せられたか?!」と思ったが、
仕方がない、これは彼の未来のためなのだ。

「…xxxx…」
アフメットは何か呟いた後で、再びヨシオカを抱きしめ、ゆっくりと服を脱がしていった。
ヨシオカは黙ってそれに従う。
まもなくヨシオカの、白い艶やかな肢体があらわになった。
くすっ、とアフメットが笑った。
「な…んだよっ…!」
ヨシオカが視線に耐えきれず、怒ったような声で抵抗する。
アフメットは微笑んだまま、脚を少しだけ開かせ、その間に自分の身体を重ねた。
そして、ねっとりと絡まるような濃厚なキス。
「…はあ…っ…」
深く長いキスに、ヨシオカの息が荒くなる。
アフメットはヨシオカの身体の輪郭をなぞるように、丁寧に丁寧にキスをしていく。
「…んあ…はっ」
自分のものとは思えない甘い声に、ヨシオカは慌てて口を押さえるが、止まらない。
107続・絹の道の真ん中で:2007/03/04(日) 20:49:15 ID:p+hYwiLj0
アフメットはヨシオカの脚を膝の上に抱え上げ、中心を掴むと、唇にするのと同じように、それにキスをした。
「うわっ!…アフメット…っ!…な…っ…ん…」
そして吸い上げるように舐め回す。
「…っ! …や…めっ…ぁっ…う…っ…」
手は、ヨシオカの蕾を目指していた。
中心を舐め回しながら、アフメットはヨシオカのものかアフメットのものか分からない滴を指にとり、蕾の中に沈めた。
「ひあっ…っ…っあっ…」
前と後ろを同時に攻められ、ヨシオカは意識が遠のきそうになるのを、必死で我慢する。
(まだだ、まだ、アフメットが…)
中の敏感な部分を刺激されて、ビクンと身体が反応してしまう。
「…ん…っはあっ…っ…も…い…あ…っ…」
刺激はさらに強くなる。
ヨシオカは自身の意識をなんとか引き留めようと、かぶりを振り、布団をギュッと握りしめた。
蕾が十分にほどけたところで、アフメットはヨシオカを折り曲げるように抱え上げ、貫いた。
「…っっ!」
痛みで息が止まりそうになるのを、なだめるようにアフメットが優しく髪を撫でる。
そうして少しずつ進んでいって、アフメットが腰を少しずつ動かしていく。
徐々にヨシオカの目がとろりと溶けてゆき、口からは甘らかな吐息が漏れ始めた。
「っ…もぅダメ…だっ…んぁ…あ…アフ…メ…トぉ…っ!」
自らもゆるゆると腰を使い始めたヨシオカを感じて、アフメットはいっそう強くヨシオカを貫き、二人は同時に果てた。

108続・絹の道の真ん中で:2007/03/04(日) 20:50:20 ID:p+hYwiLj0
目の焦点が合っていないヨシオカをみて、アフメットはまたくすっ、と笑った。
「……アフメット……うますぎ……」
仰向けにだらりと身体を横たえたまま、ヨシオカが荒い息の合間にそう呟くと、
アフメットが大事そうにヨシオカを抱えて頬にちゅっとキスをした。
「…xxxx?」
また何か耳元で囁いて、ヨシオカの手を自分の股間に触れさせる。
その瞬間、ヨシオカはドキリとした。
「!!…ア…フメット…おまえさっきイッたばかりじゃ…!?」
アフメットが、いたずらっ子のような目つきでこちらに微笑んだ。

再び貫かれて、ヨシオカが甘い呻き声を上げた。
アフメットは再びヨシオカをしっかりと抱きしめる。
キシッ…と床が鳴った。
109続・絹の道の真ん中で:2007/03/04(日) 20:51:13 ID:p+hYwiLj0
まだ日も昇らぬ明け方。
トントン、と戸を叩く音で、目を覚ました。
「ヨシオカくん?」
「…ん……ぅあ?…は…い…、ここにいます…」
ヨシオカはだるくてたまらない体を起こす。
(…あ…服…)
自分の身体を触って、着衣があるのを確認して少しホッとした。
隣を見ると、アフメットはもうそこには居なかった。
(…そっか…もう起きたんだ…)
そのままスタッフの声のする方向へと向かう。

「…おはようございます…」

スタッフ達がヨシオカの様子を見とめた瞬間、全員が息を飲んだ。
カメラマンがあたふたとテープを止める。

「…すみません…夕べあんまり…寝られなくて…ひどい顔してます?」
「か、顔洗ってきた方がいいと思うよ?」
「あー…はい…そうします……」

ヨシオカは目をこすりながら水のある場所へ向かい、後にはスタッフだけが残った。

「ディ、ディレクター…?い、今の…?」
「…あ、ああ…」
「…何というか…艶っぽいというかなんというか…」
「俺…やばいと思って思わずカメラ止めちゃいました…」
「……」

スタッフは一様に顔を赤らめていた。
110続・絹の道の真ん中で:2007/03/04(日) 20:52:34 ID:p+hYwiLj0
アフメットの結婚式は滞りなく進んでいるようだった。
イミンさんに別れを告げてから、ヨシオカは夕べの儀式のことが気になって、アイラートに尋ねてみた。
「アイラートさん、このあたりは…結婚式の前日って…その…ずいぶん特別なことをするんですね」
「イイエ。トクニはナニモアリマセンよ?」
「えっ??だ、だって…あのっ…き…」
昨日、と言いかけて慌てて止めた。昨日のことなんて、とても言えるわけがない。
ヨシオカが言いよどんでいると、アイラートがくるっと振り向いて、ウインクしながらこう言った。
「デモ、キモチヨカッタでショウ?」

(!!!)

「えええええっ?!」

「ヨシオカさん、さあ、ツギノカシュガルのへ イキマショウ ラララ〜ァイライ♪」
111続・絹の道の真ん中で:2007/03/04(日) 20:53:33 ID:p+hYwiLj0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ステキナタビノオモテナシ fromアイラート

 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
112風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 21:20:31 ID:IMj417eNO
>>111 待ってました姐さん!こんな男っぽいヨシオカも素敵っス!なんか本当に襲われたらリアルでこんな嫌がり方しそうで、ドキドキしましたハァハァ…
113風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 22:23:37 ID:atuPAL5D0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  >>27の設定借ります
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  某CM
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
114某CM・逆視点:2007/03/04(日) 22:25:38 ID:atuPAL5D0
ちょっと悪戯心がおきた。不自由はしてないが、もうずっとこの部屋で過して退屈もピークだ。
その思いつきにひさしぶりに楽しい気持ちになって軽くステップを踏みつつ、鏡に向かって手を翻し、
廊下で遊ぶあの子を部屋の前に呼び寄せた。簡単なマジックだ。
思ったとおり好奇心にかられた子供は扉が少し開いた部屋を覗いてる。
鏡に向かってもう一度、今度はコインを消してみせる。そして振り返ってヒミツだよと目で合図した。

次の日、彼は自分から部屋の前にきていた。おずおずと覗く姿に手招きをしたら
最初は戸惑っていたけど好奇心が勝ったようだ。部屋に入ってくるとベッドの隣り合わせに座ってくる。
彼のその姿にふと子供の頃の思い出が重なった。もうずっと思い出すことのなかった記憶。
弟と一緒に屋敷中を探検し、目に映る何もかもが好奇心の対象だった無邪気なあの頃。
ずっと一緒に過していけると疑うことのなかった幸せな日々。いつだって一番大切だった。
今は会えることのない弟とあの頃の思いが彩やかによみがえる。
思いがけないそんな記憶と彼の質問をあわててキスで封じてにっこり微笑んだ。

またね、と彼を送りだしもう一度切ない記憶に沈んでみる。たまにはこんなのも悪くない。
115風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 22:27:43 ID:atuPAL5D0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 某ドラマキャラも混ざってスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
116風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 23:38:34 ID:mGakwDe60
>>114
あまりにタイムリーすぎっ!!
萌えてしまいましたぁ。
・・・ところで。何で彼はあの部屋にいるんだろうか?
「お父さんにはナイショ」がキーポイント?
117風と木の名無しさん:2007/03/04(日) 23:47:06 ID:PtVCyyU50
>>27 >>114
ともにGJ、GJ〜!!
あのCM見るたびにハァハァするよ、有難う!!
118風と木の名無しさん:2007/03/05(月) 01:58:33 ID:3o6dxVxa0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某CM 
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  また書いてみた
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
119某CM1:2007/03/05(月) 02:01:20 ID:3o6dxVxa0
ペットだと言っても間違いじゃない。でも、家族も居なくなって一人取り残された俺が生きていける
のはここしかないから仕方ない。それに、もう色々なことに慣れてしまった。
最近は、ここの家の主人の子供とよく話す。その子は、10歳にも満たないように見えた。真っ

白な肌に整った顔立ち。よく見ると父親に似ていた。違うのは何も知らない瞳だけだ。俺を見た

こともなかったらしい少年は、きらきらした目で見つめてきた。一瞬目をつぶりたくなったのを必

死にこらえた。俺はこんなにきれいな目はしていない。そう思うと苦しかったが、反面少年がとて

も愛らしく思えた。

今日はまだ少年が来ていない。元々子供は気まぐれだから、こんなものかもしれない。少し寂し

かったがベッドにもぐって気を紛らわせることにした。…せっかく乱れた髪も直して服も着直した

というのに。俺はため息をついた。目を閉じると同時に眠気が襲ってくる。しかし、神様も簡単

に上手く眠らせてはくれない。目を閉じてまもなく俺の顔に指が触れた。
一瞬めがねをかけたあの少年が見えて、すぐに違うことが分かった。そう、この家の主人で、少

年の父親である男。
120某CM2:2007/03/05(月) 02:02:43 ID:3o6dxVxa0
なにか。
目を開けて俺が言うと、無表情で手をひかれる。
おまえは少しの間、別室にうつれ。
その言葉を聞いて、少しだけ不機嫌な表情になったのは自分でも分かった。血が上りそうな頭を
冷やそうと思いながら笑顔を作り言った。
そういうことは、もう少し早く言うものでしょう。
俺の言葉に主人は冷ややかな笑みを浮かべて答える。まるで気遣うような言葉を呟く顔は、自
分の言葉が嘘だということを隠そうともしない。
出来るだけ長くここに置きたかったんだ。おまえも、あの暗い部屋よりこっちが好きだろう。
俺は黙って頷いて、手をひかれるまま立ち上がった。

何度か居たことのある部屋はやはり暗かった。今は使われていないこの部屋の鍵を持ってい
るのは、主人一人だ。この部屋は主人の妻が家に居るとき、俺を閉じ込めるには最適な場所と
いえる。
座り込んで視線を感じた主人の方を見上げるとすぐにキスをされた。服を脱がされる直前、時
計の大きな音が遠くから聞こえた。この家にある大きな時計の音だ。それが何か約束の時刻が
訪れたことを示していたのか、主人は立ち上がった。
無言で閉められたドアの音が、部屋中に響いた。
一人になって、ぼんやりと少年の顔を思い出す。顔の造作は確かに似ている。でも俺は、あの
少年が嫌いじゃない。
ただ、きれいな目が俺にとって少し苦しいだけで。
121風と木の名無しさん:2007/03/05(月) 02:07:26 ID:3o6dxVxa0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 展開読まれたついでに
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
122風と木の名無しさん:2007/03/05(月) 02:39:45 ID:dtUKsgWl0
>>121
たたたタマラン…!! 禿モエした!
姐さん、スバラシーよ!
123風と木の名無しさん:2007/03/05(月) 06:34:00 ID:hYGFfhJA0
>>121
GJ!!
モエすぎたぁ・・・・・っ!
124(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その一:2007/03/05(月) 17:31:02 ID:OHyzyCTA0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某スレからインスパイヤン
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  情景のみだが
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
125:(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その一 :2007/03/05(月) 17:31:47 ID:OHyzyCTA0
この町では毎年夏、神社の祭りに合わせて、「スイーツフェスティバル」が開かれる。
と言っても、田舎町の町興しだから、イベントもスイーツも伝統的で素朴だ。
そんなノリだからこそ孝太でも参加できると言うものだ。
「すごいね、孝ちゃん、今年は一人で参加だって?」
隣のブースの史彦が声をかけてきた。孝太の両親が実行委員会に頼みこんで、
マルボーロを売る史彦のブースの隣りにしてもらったのだ。
史彦本人も孝太の両親から「たまにでいいから様子を見てやってくれ」と
頼まれているし、頼まれるまでもなく目を離せないと思っている。
史彦にほめられて孝太は得意そうに鯛焼き機を指差した。
「うん、だって俺、鯛焼きは人に教えるくらい上手いもの!
父ちゃんは自分も出るって言ったんだけど、鯛焼きなら俺一人でいいからね」
「おじさん、腰の具合はどうなの?」
「大丈夫だよ。ギックリ腰って、ゆっくり治したら大丈夫なんだって」
「そう。だったらそれまで孝ちゃんが頑張らないとね」
「うん、大丈夫だよ。俺、鯛焼きはちゃんとできるから!」
史彦はつい、同い年とはとても思えない孝太の頭を撫でたくなった。
でも、それはしない。孝太は子供扱いされると傷つくし、
それよりも、そうする権利は自分にはないと史彦はよく知っているからだ。
「ふみ、もう客が来るぜ! 用意これでいいのか?」
背後に居並ぶ売り子から声をかけられて、史彦は自分のブースに戻る前に、
一言だけ孝太に言い聞かせた。
「孝ちゃん、トイレに行きたくなったらうちが店番するからね。ちゃんと言ってね」
史彦のブースは人口過密状態だ。本当は史彦も親と出るはずだったが、
今年から史彦が通い始めた大学のサークル仲間が手伝うと言い出したのだ。
一人で充分だと言ったのに希望者は二十名を超え、結局はくじ引きで
選ばれた六人が狭いスペースにひしめくことになった。実演販売はしないので、
史彦の両親は、売り物さえ作っておけば当日は会場を遊び回れると大喜びだ。
『一人、孝ちゃんに貸してあげたい……』
むさ苦しい男どもに囲まれた史彦はしみじみと思っているが、
史彦を手伝いたくてここに来ている連中が聞き入れるわけもない。
126(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その一 :2007/03/05(月) 17:32:36 ID:OHyzyCTA0
開場して客が来始めると、どちらのブースもそれなりに忙しくなる。
史彦の店のマルボーロはネットを通して通信販売もされていて、
全国にファンがいるほどの評判の品だ。そんなマルボーロを、紅顔の美少年
史彦がふんわりとろけそうな笑顔で売るのだから、忙しくならないはずがない。
大学の連中だの雑誌で知った連中だのまで集まってくる。
陰で史彦は密かに「マルボーロ姫」と呼ばれているのだ。
本人が知れば「せめてマルボーロ王子と呼べ」と怒るところだろうが。
一方で孝太の客は、昔馴染みたちだ。この神社のお祭りに来たからには、
あの鯛焼きを食べて帰らなきゃね……という。成績がひどすぎて大学進学など
思いもよらなかった孝太ではあるが、幼い頃から手伝っていて、鯛焼きだけは
上手に焼ける。店の他の品、蒸し饅頭やどら焼きはまだまだ練習中だが、
鯛焼きだけは「お父ちゃんより上手だ」と近所の爺ちゃん婆ちゃんたちに好評だ。
だから孝太も鯛焼きを作るのが大好きだし、それを皆に食べてもらうのが大好きだ。
「ありがとうございましたっ!」
いっぺんに十五個も買ってくれた客に孝太は深々と頭を下げ、さっそく次の
種を作り始めた。その孝太に客が苦笑しながら五千円札を差し出す。
「お金、まだ払ってませんよ」
「あっ!」
孝太は慌ててボウルを台に置き、札を受けとって前掛けの中に入れ、
釣り銭の勘定を始めた。
「孝ちゃん、手伝おうか? 大丈夫?」
「ううん、大丈夫。一個百円だから、十五個で千五百円。ね?」
心配そうに声をかける史彦に、孝太はにっこりと笑いかけた。
将来値上がりして一個百二十円になったら孝ちゃんどうするんだろう、
史彦は他人事ながら不安でならないが、孝太は今のことしか考えない。
丁寧に両手で釣りを渡した孝太に、すぐまた次の客が注文する。
大急ぎで鯛焼きを袋に詰め始めた孝太の肘が、ボウルに当たった。
「おっと!」
客が手を伸ばして落ちかけたボウルを押さえ、笑い出した。
「そんなに急がなくてもいいよ。落ち着いて」
127(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その一 :2007/03/05(月) 17:33:21 ID:OHyzyCTA0
照れ笑いする孝太に、史彦はちらちらと目をやった。
「おい、ふみ。隣ばっかり気にしてないで、マルボーロ売れマルボーロ」
親衛隊から不満の声が上がっている。彼らにしてみれば、肝心のお姫様が
自分たちの献身に目もくれず他人の世話で気もそぞろでは、浮かばれない。
史彦とて、彼らはもちろん自分の店に来てくれる客をないがしろにもできない。
「うん、ごめん、……孝ちゃん、お金お金!」
幸太はまたしても客から金を受けとるのを忘れ、客が財布を手にして困惑している。
「すみませーん」
照れながら代金を受け取る孝太から目を離すのが、史彦には苦痛だ。
ここら辺の人間ならまずそんなことはしないが、遠方から来る客の中には、
黙っていなくなる奴がいないとも限らない。意を決して、史彦は親衛隊に向き直った。
「しばらくだけ、俺あっちの店手伝っていい? こっち任せたら駄目かな?」
メチャクチャを言っているとは承知の上だ。案の定、親衛隊からはブーイング。
史彦のいないブースを手伝って何が面白いのだ。孝太も驚いている。
「駄目だよ史ちゃん! 自分の店は自分でやんなきゃ! 俺なら大丈夫なんだから」
「でもね孝ちゃん…」
孝太を振り返った史彦の視界が、何かに遮られた。はっとして見れば、
見慣れた男の顔が肩越しに史彦を見下ろしていた。
「てめえは自分のケツ拭いてろ」
史彦と孝太の間に出現した山脈から低い声が降ってくる。
「淳平! いつ帰ってたの、夏休み? あっちでバイトするんじゃなかったの?」
孝太の嬉しそうな声が山の向こうから聞こえた。
「客が来てるぞ」
既に史彦に興味を失った淳平は孝太に顔を向け、ぶっきらぼうな声をかけている。
「なんだあいつ…感じ悪いな」
親衛隊の一人が、自分たちの姫君に対しての暴言に腹を立てて言った。
と、淳平がまた肩越しにじろりと一瞥をくれる。親衛隊全員が慌てて目を逸らした。
史彦だけがにこりと淳平に笑顔を向ける。これで安心だ。実は史彦は、
こうなるのではないかとは思っていたのだ。孝太の父がギックリ腰になったとは
知らなくても、淳平が、年に一度の孝太の晴れ舞台を見に来ないはずがない。
128(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その一 :2007/03/05(月) 17:34:28 ID:OHyzyCTA0
孝太は孝太で、四ヶ月ぶりに会う幼馴染みに夢中で、
あっさりと史彦の事は忘れてしまっている。
「ねえねえ淳平、難しい大学だから勉強もやっぱり難しい?」
「普通だよ」
「一人暮らしって大変? ご飯も自分で作るんだよね?」
「どってことない」
「俺、今年は一人で鯛焼き焼くんだよ。鯛焼きなら大丈夫だから」
「えらいな」
淳平のグローブのような大きな手が、孝太の髪を優しくかき混ぜた。
淳平は手伝うというわけでもなく、孝太が手際良く鯛焼きを焼き、
楽しそうに鯛焼きを売るのを、ただ斜め後ろに立って眺めている。
孝太が性懲りもなく金をもらい忘れそうになると、「三百円になります」と
さりげなく口を出して、孝太に気付かせている。
昔からそうだったと、横目で見ながら史彦は口の中で笑った。
都会でいくらでも就職できるだろうに、淳平はこの町に戻って職に就き、
いずれは会計事務所を開きたいのだという。その柄にもない将来設計が
鯛焼きに因るものだということは、今のところ本人の他には史彦だけが知っている。
「淳平、お腹空いてない? 鯛焼き、食べてもいいよ」
「―――美味い。前より上手くなったな」
「ほんと? じゃあ来年はもっと美味しく焼けるようになるね!」
親衛隊の連中は、何事かという顔つきで隣のブースを盗み見ている。
笑いそうになるのをこらえて史彦は、「マルボーロ、いかがですか?」と声を張り上げた。

終わり
129(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その二:2007/03/05(月) 17:35:23 ID:OHyzyCTA0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ PLAY.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ツヅケテ モウヒトツ イクヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
130(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その二:2007/03/05(月) 17:36:00 ID:OHyzyCTA0
俺の背中に、さっきからずっと、張り付いている。何がって、視線が。
視線は「突き刺さる」と表現されがちだが、リョウの視線は突き刺さったりしない。
ねっとりと絡み付き、纏わり付き、張り付くのだ。
目の前にあるPCのキーボードやモニターという固形物よりも、
背後から投げかけられる視線の方が百倍も千倍も存在感がある。
「タケシ」
声をかけられて、俺はうなじの毛が逆立つのを感じた。
「お茶でも煎れようか?」
俺は振り向かずにコクコクと頷いた。
せっかくの休日を、持って帰ってきた仕事で潰しているこの体たらくを、
リョウは責めたりしない。早く終わらせろなんて急かしたりもしない。
「はい」
机の端に緑茶が置かれた。種類に関わらず、リョウはいつだって
お湯の沸かし方や温度にもきちんとこだわってお茶を煎れてくれる。
たいしたものだと思うが、お茶に対する拘りなんかないとリョウは言う。
拘るのはお茶を煎れてやる相手だけさと笑うのだ。
熱いうちに飲むのが礼儀だろうと、とりあえず一口啜った。
「美味い?」
俺はまた無言で頷いた。本当に美味いのだ。
俺がお茶を飲んでいる間、リョウはソファに戻らず俺の背後に立っていた。
モニターを覗き込んでいるのだ。見られて困るほどの内容じゃない。
それにリョウになら見られたって問題ない。そこら辺は信用している。
「手伝えるよ。タケシより俺の方がエクセルは得意。な?」
耳元でありがたい申し出が囁かれる。でも、でもな。
「大丈夫だよ。俺だってこれくらいのことはできるから」
「でも、時間がかかるだろ……」
リョウが背後から俺をそっと抱き締めた。
131(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その二:2007/03/05(月) 17:38:06 ID:OHyzyCTA0
ここは、手をキーボードから離して、リョウの腕を解く場面だ。
今は仕事中だと言えばいい。なのに俺は硬直したまま動けない。
だめだこんなことじゃ。有能なビジネスマンは常に物事の優先順位を考えるんだ。
仕事の中でもそうなんだから、仕事と遊びの優先順位ならなおさらだ。
まずはこれを片付けてしまわなくちゃ。なのに、なのに。
「動悸すごいね。不整脈? 過労なんじゃない?」
リョウの手が俺の胸を這う。過労じゃない、少なくとも仕事のせいじゃ……。
「リョウ、あのな、俺、これを今日中に……やらなく、ちゃ」
リョウの息が俺の耳に吹き込まれて、俺は身を竦めた。
「お前がやってたら三時間かかるな。俺なら一時間で片付けてやれる」
「確かにそうだけど、俺も練習して上手くなろうと……」
「今日のところは俺に任せろよ。今は、タケシの得意なことだけすればいい」
背中に当たっているリョウの腰、熱くて硬くてすごいことになっている。
リョウが俺にそこを押し付けて腰を揺らす。
「タケシ。俺、もうもたないよ……。溶けちまう……」
俺はマウスを弾き飛ばしながら振り向いた。
リョウがねっとりとしたあの目で俺を見据えて笑っている。
ジーンズの前がきつくて痛くてかなわないので、俺は慌ててジッパーを下ろした。
そんな俺の手を引いてリョウはソファに戻ると、俺を押し倒した。
リョウの尻に伸ばした俺の手は、やんわりと拒まれる。
「なんだよ、挿れさせてくれよ」
「あっちは一時間あったらできるからね。だからこっちはフルコース……」
「お、俺だってもうもたないよ! お前だって……」
「もう少し溶けてから……ね?」
リョウは楽しそうにゆっくりと俺の服を脱がせ始める。
やらなきゃいけないことが先で、やりたいことは後――なんだけど、
やりたいことの中にも優先順位がある。リョウの決めた順序がある。
それを守らないと、リョウを美味しく食べることはできないのだ。
リョウがソフトクリームみたいにどろどろに溶けるまで、お預け。
その頃には俺はへにょへにょになっていて―――もうなってるか。
情けないと思いつつリョウの愛撫に身を任せる俺の目に、
スクリーンセーバーが動き始めるのが映った。
132(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その二:2007/03/05(月) 17:39:06 ID:OHyzyCTA0
終わりです。入りきらなかった。



 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ アトデ ホカノモ モッテクルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
133風と木の名無しさん:2007/03/05(月) 20:07:17 ID:Bh1YOgW40
>>118-121
続編ありがd!
籠の鳥か…萌える(*´Д`)

そして勝手に設定だけお借りしてスマソでした。
使わせていただいてありがとうございます。
134中尉×ドクター  this night:2007/03/05(月) 22:09:35 ID:gABSnZgG0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  中尉×ドクター 
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  中尉の独白です
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
135中尉×ドクター  this night 1:2007/03/05(月) 22:10:56 ID:gABSnZgG0
今夜も、いつものように傍らで眠るレイを見つめる。
こんなにも他者を愛おしく思う日が来るとは思ってもいなかった。
レイと初めて逢った時、最初に目に止まったのが青みのかかった柔らかい金髪だった。
血筋の中に他星系から移民して来た先祖がいて、その青い髪の遺伝子が影響しているらしいのだと後で話してくれた。
出逢った時レイが何を考えているのかよく分からなかった。何故自分に必要以上に拘ろうとするのか・・・最初はそれが煩わしかった。
けれどいろいろ話すうちに、いつの間にかこのおせっかいなドクターと過ごす時間を楽しみにしている自分に気づいた。
・・・そしてその時はやって来てしまった、この気持ちの正体に気付いてしまった。
自分自身信じられない・・・同性なのに、何故こんなにも惹かれてしまう?
そんなはずはないと己の心を否定した、だけど否定すればする程がんじがらめになってレイの全てが頭から離れなくなっていった。
思いを認めてしまった後は苦しみが増しただけだった、認めたからといってそれが何になる?
この思いが届く日など来るはずがない・・・ましてこんな思いを受け止めてもらえるはずがない!
思いは欲望に変わり、歪んでいく・・・そして、何よりも大切なはずの人を傷つけた。
なのにそんな独りよがりな思いをレイは受け止めてくれた、そして思いを返してくれた。
この思いは決して一方通行の思いでないと瞳で、そして身体で教えてくれる。
136中尉×ドクター  this night 2:2007/03/05(月) 22:11:50 ID:gABSnZgG0
レイを抱く時・・・甘い声でねだられる度に、自分の欲望だけを押し付けているのではないと言ってくれているようで安心する。
要求に応じるといっそう艶を増す声に愛しさがつのり、骨がきしむ程強く抱きしめたくなる。
自分と同じ、男の身体に何故こんなにも欲情してしまう?自分と比べればひとまわりくらい小柄だが明らかに長身な方だ。
整ったきれいな顔立ちをしているが、女性と間違われるような華奢さとは縁遠い。
優しい雰囲気をまとっているが、保護欲をかき立てられるような弱々しさなど微塵も感じない。
どこまでも対等な同性同士と思っている…それでも愛しているとはっきり言える、そしてその思いに迷いはなかった。
どんな言葉でも言い表せない、ただただレイが好きだ、愛している、自分自身の命よりもレイが大切だ。


そんな事を考えながら愛しい恋人の顔を眺めていると、身をよじり肩の辺りに極自然に寄り添って来る。
安らかな寝顔・・・安心しきって眠るその姿に代え難い喜びを感じ、そっと抱き寄せた頭に軽く唇を押し当てる。
そしてもう一方の腕で、優しく身体を包み込むようにして眠りに落ちた。
137中尉×ドクター  this night 完:2007/03/05(月) 22:13:50 ID:gABSnZgG0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 次回はドクターの独白です
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

138風と木の名無しさん:2007/03/05(月) 23:45:35 ID:etS0BBT4O
腐Let's光CM、光中学校の体育教師(樹邑)×美術教師(否書き)。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
139腐Let's光CM、光中学校の体育教師×美術教師 1/2:2007/03/05(月) 23:47:40 ID:etS0BBT4O
卒業式も終わり、美術部のお別れ会も終わって、美術室はいつもの静けさを取り戻した。
だいぶ日が長くなったとはいえ、薄暗くなってきたにも関わらず、窓から見える校庭では胸にリボンを付けた卒業生達が記念撮影に勤しんでいた。
まったく、散らかすだけ散らかして。絵の具や石膏がこびり付いたエプロンを付け、苦笑いしながらお別れ会のお菓子の袋や紙コップを片付ける。まあ、最後だから僕が片付けるよ、と許したのは自分なのだけれど。
それに、今日僕はある人にある物を渡さなくてはならない。

「センセ、スーツにエプロンはおかしいんじゃねーの?」
ああ、やっぱり来た。珍しくジャージではなくスーツを着た彼が現れた。
「でもスーツが汚れちゃったら困るでしょう。」
「そんな汚いエプロンじゃ余計に汚れそうだけどね。」
そう言って笑いながら僕のエプロンをつまんだ。何だかんだ言っても片付けを手伝ってくれている。
140腐Let's光CM、光中学校の体育教師×美術教師 2/2:2007/03/05(月) 23:49:18 ID:etS0BBT4O
「木村先生、これどうぞ。」
一枚の画用紙を彼に渡した。机に腰掛けたままそれを受け取った彼が、大きな目を一層大きくしてこちらを見た。
「――覚えてて、くれたの」
いつか彼が言った。俺を描いてよ、と。それはたわいない一言のように聞こえたけれど、彼は本気なのだと僕には分かった。

「うわあ、マジでありがとう。大事にする。」
彼が嬉しそうに顔を近付けたり離したりしているその紙に、まったく同じ顔が描かれているという状況が何だかおかしくて、僕は笑ってしまった。
「デッサンは得意なんです。」


一週間後の離任式、今日と同じスーツを着て、僕はステージに立つ。
141風と木の名無しさん:2007/03/05(月) 23:50:28 ID:etS0BBT4O
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

御本尊のことまったく詳しくない上に学生時代は美術部でもなかったが、萌えた勢いだけで書いてしまった
142風と木の名無しさん:2007/03/06(火) 00:11:33 ID:F2p0SKsk0
うわ!
最後の一行でものすごくじんわりキタ!
GJ!
143風と木の名無しさん:2007/03/06(火) 00:16:41 ID:dVQ5AnA6O
お借りします。駄文の上都合いい設定。
某ゲーム 弟子×教授
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

レイトソが朝目覚めると、隣に居る筈のノレークがいなかった。
「ノレー…」
ふと下半身の方に意識がいき、何か触れている事に気付く。
―ノレークが、居た。
何とレイトソの性器を口に含み、いつもの無邪気な顔をしている。
咄嗟に起き上がろうとしたが、ベッドに手足が結びつけられていた。
「何をしている。やめなさいノレーク」
「見て、わかりませんか?…ついでに言うとやめません」
―レイトソは弟子にそういう行為をされているという事実と、快楽で顔を紅くさせている。
ノレークが急に行為を止め、するするとレイトソの服を脱がせていく。
レイトソは抵抗むなしく全裸に近い状態になる。
そしてノレークが行為を再開したかと思うとレイトソの乳首をきゅ、と摘んだ。
「んぁっ」
レイトソは間抜けな喘ぎ声を出し、顔を更に紅くさせている。
ノレークは満足そうに笑みを浮かべ、「気持ちいいですか?」と聞いてきた。
「こんなこと…英国紳士の名折れだ・・・あぁ・・・・・・」
その問いに、レイトソは屈辱感と快楽の為か涙を流しながらそう言った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
144風と木の名無しさん:2007/03/06(火) 03:07:16 ID:6I7V2/WfO
>>141
切ねえええぇ!!
自分もこのCM萌えてた。GJ!!!
145風と木の名無しさん:2007/03/06(火) 04:37:53 ID:hx2NtB9j0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  これ。→ttp://blog.livedoor.jp/blog_ch/archives/50304747.html
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 特に受け攻めとかはないですサーセンwwww
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1461/6:2007/03/06(火) 04:39:56 ID:hx2NtB9j0

チュン・・・チュンチュン・・・


美容師(母さん・・・)

美容師(朝起きてみたらなぜかオタクの部屋にいた俺ですが、昨夜の記憶がありません・・・)

美容師(しかも男の腕の中という人生ワースト5に食い込む衝撃の目覚め方でした)

美容師(・・・あと、なんか半裸です)



客「・・・何でさっきからずっと空中に向かって切ない目線を投げかけてるんだお前」

美容師「うひぇおわぁぁ!??」

客「朝っぱらから脳髄に響く声を出すな! ご近所に誤解されるだろうが!」

美容師「ああっすっスイマセン」

客「普通に謝っちゃったよ」

美容師「・・・サーセン」

客「全く、夕べは さ ん ざ ん 引 っ か か れ て 大変だったっていうのに・・・」


美容師「・・・!!??」
1472/6:2007/03/06(火) 04:41:08 ID:hx2NtB9j0

美容師「・・・あ・・・あの。お客さん・・・?」

客「ん?」

美容師「・・・き、昨日の事なんすけど」

客「・・・」

美容師「昨日俺お客さんと」

客「口外したらお前を殺す」


美容師(・・・・・・・・・お、お母さーん)


美容師「ちょ・・・殺すとかwwwww何なんスか恐いこと言わないで下さいよwwwww」

客「うるさい昨夜の事を誰かに喋る気なら俺は一生お前をここから出さないからな・・・・!」

美容師「やwwめwwwてwwくwwだwwwさwwwいwwwよwww」

美容師(あ、もうだめ笑ってごまかしてるけど限界、マジ泣きそうなんだけど俺)

美容師(つーかこの人なんで微妙に顔赤いの?)

美容師(・・・まさか・・・まさか俺、この人と・・・)

美容師(・・・・・・・・・・・・・・・・いやいやいやいやちょっとマジ誰か助けてこの状況なんとかして!!!)
1483/6:2007/03/06(火) 04:42:19 ID:hx2NtB9j0

客「まあその・・・なんだ、それはともかく、一応嬉しかったよ」

美容師「・・・へっ?」

客「いや、誤解するなよ? そういう意味じゃなくてだぞ? 別に気に入ったとか好きだとかじゃなくて、だけどな」

美容師「・・・」

客「・・・貰ったからには大切にするよ。その・・・俺も初めてだって言ったろ? だから、結構嬉しかった」

美容師「・・・」

客「・・・? どうし」


ドサッ


客「えええええ何で倒れんの!!??」
1494/6:2007/03/06(火) 04:43:36 ID:hx2NtB9j0

客「ちょっ、おい、しっかりしろって! 何だまた過労か!? 救急車呼ぶか!?」

美容師「・・・う・・・サーセ・・・な、なんか、気持ち悪くて・・・」

客「・・・そりゃお前、二日酔いだよ」

美容師「・・・へ・・・?」

客「あんだけ飲んだんだからそりゃあ二日酔いにもなるわな。つーか、よく今まで持ってたもんだ」

美容師「ふ・・・二日・・・あ、俺、酒・・・? だから記憶が・・・?」

客「なんだ、記憶まで曖昧なのか。全く、誕生日だからって昨日いきなり押しかけてきたのはお前だろうが」


美容師(・・・誕生日? ・・・あ・・・そっか・・・この人の)


客「酒とつまみとコンビニケーキと、とどめにドンキでネコ耳カチューシャまで買ってきやがって」

美容師「死ぬほど似合わなかったっすよね」

客「だからお前が無理矢理着けさせたんだろうがっ!? 殺すからな絶対他人に言ったら殺すからな!」
1505/6:2007/03/06(火) 05:05:46 ID:hx2NtB9j0

美容師(ああ、断片的だけどちょっと思い出してきた・・・)


客「ったく、お前があんなに酒癖悪いとは思わなかったよ」

客「服は脱ぐし、大声で歌うし、あげく俺とネコ三匹抱えながら踊り始めるし・・・」

客「あいつらの手、主に俺のほう向いてたから俺目茶苦茶引っかかれたんだぞ」

客「ネコは逃げたけど俺はつかまったままで、しかもお前俺の事がっちりつかんだまま寝ちゃっただろ」

客「しょうがないからお前の事ずるずる引きずってやっとの事でベッドまで行ったんだぞ」

美容師「・・・は、あはは」

客「何だよ、笑い事じゃないぞ。あれ絶対隣の人とか怒りに来るぞ」

美容師「あはははっ・・・さ、サーセン・・・ぷっはははははwwwwwww」

美容師「や、ちょっと・・・俺・・・スゲー馬鹿な勘違いを・・・wwwwww」

客「・・・??」

美容師「あはは気持ちわりぃ吐きそうあはははwwwwwwww」

客「・・・まだ酔ってるのかお前は。トイレ行けトイレ、ここで吐くなよ」
1516/6:2007/03/06(火) 05:09:50 ID:hx2NtB9j0

美容師「はははっ、・・・ねえお客さん、俺、はじめてっスよ」

客「あ?」

美容師「野郎友達の誕生日にわざわざプレゼント買ったのも、記憶失くすまで馬鹿騒ぎしたのも」

客「・・・俺もだよ。さっきそう言っただろ?」

美容師「・・・そっスね」

客「お前の誕生日にはもっとすごい企画してやるから、さっさとシャワー浴びて来い」

美容師「・・・・さん」

客「・・・ん?」

美容師「吐く」

客「だからさっさと行けって言ってるだろうがこのDQNが」

美容師「え、どきゅんってなに・・・?」

客「2・・・・・・いや、いいから行け。朝食作っといてやるから早く行け」

美容師「ウィース・・・」


152風と木の名無しさん:2007/03/06(火) 05:11:14 ID:hx2NtB9j0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ マジwwwwサーセンっしたwwwwwww
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) つか途中で連続投稿引っかかって超ビビったっスwwwww
 | |                | |       ◇⊂    ) __  
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

153風と木の名無しさん:2007/03/06(火) 06:17:08 ID:I5MDx0z90
>>152
うははははは、面白かった。
早朝は連続投稿引っかかりやすいよ。
154風と木の名無しさん:2007/03/06(火) 10:13:21 ID:6eKcdox40
>>152
心温まりました
155風と木の名無しさん:2007/03/06(火) 20:09:08 ID:SC5l95qI0
母さんへの語りかけバロッシュwwwwwwwww
面白かったです萌えました超萌えました
156中尉×ドクター  this night :2007/03/06(火) 21:37:02 ID:HbOa1rS30
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  中尉×ドクター 
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ドクターの独白です
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
157中尉×ドクター  this night 1:2007/03/06(火) 21:38:10 ID:HbOa1rS30
今夜もいつものようにアルフの香りに包まれて傍らで眠る。
アルフと出逢ったばかりの時、こんな日が来るとは思いもよらなかった。
以前から軍病院でも世話になっていたドクターウェンの代理でこの基地に赴いた。
そこで最初に出逢ったのが、2歳年下のアルフだった。
軍人の見本のようなこの若い中尉は、軍病院で会ったどの軍人とも違っていた。
誰よりも軍人としての己を律していたが、決してそれを苦にしている風ではなかった。
けれど私の目からは張りつめすぎて少し危ういように見えた、だから私がいる間くらいは少しでも息抜き出来る時間を与えたかった。
だから口実を作って他愛もない話が出来る時間を共有しようとした。
まさかその間にアルフに、そして私自身にこんな感情が芽生えるとは思いもせずに・・・。
そして今、私は彼の傍らにいる。アルフの思いを受け止め、私の思いを返す。
最初は強引且つ一方的に始まった恋のように見えたけど、決してそうではなかった。
その思いにアルフの方が早く気づいた分、悩ませ思いつめさせてしまったけど私もアルフを愛していた。
158中尉×ドクター  this night 2:2007/03/06(火) 21:38:51 ID:HbOa1rS30
アルフに抱かれる時・・・甘い声でねだると、どこかほっとしたような嬉しいような、少し複雑な顔をして要求に応えてくれる。
そんなアルフの気持ちが嬉しくて、アルフを抱きしめたくなる。
自分と同じ、男の身体に何故こんなにも欲情してしまう?私よりも厚くて広い胸板、力強い腕・・・普段は黒い軍服に包まれている
その肉体は、実は案外着痩せして見えるのだと抱きしめられて知った。
別段、同性愛を否定する気はなかったが、自分が男に抱かれる日が来るなんて考えた事もなかった。
ましてそれを心の底から嬉しいと感じる日が来るなんて・・・。
熱に浮かされたように自分を求めてくるアルフがこんなにも愛おしい、身体の全てでアルフを感じたい。
アルフが私を好きになってくれて良かった、アルフが好きだ、アルフを誰よりも愛している、その気持ちに少しの迷いもない。


そんな事を考えているうちに、いつの間にか眠りに落ちていた。
身をよじり、無意識のうちにその温もりに惹かれるようにアルフに寄り添う。
何かが頭に優しく触れた気がする、そして優しく全身を包み込まれたような・・・。
その優しい感触に尽きる事のない安心感を感じ、再び深い眠りに落ちた。
159中尉×ドクター  this night 完:2007/03/06(火) 21:41:12 ID:HbOa1rS30
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 以上です、お付き合いありがとう
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
160禿高 にっしー×わっしー:2007/03/07(水) 00:08:19 ID:uLv1zMu40

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  禿高 にっしー×わっしー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  わし→シバ前提で
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
161禿高 にっしー×わっしー1:2007/03/07(水) 00:09:51 ID:uLv1zMu40
憎まれることには慣れている。
むしろ、唾を吐いて罵られた方が気が楽だ。
だから、ニシノオサムがいきなり自分を机に押しつけたときも、さほど、驚かなかった。
どちらかというと、ほっとした。
再会してからこの男がなにを考えているのかが見えなかったからだ。
ワシヅが力を抜いたことに、ニシノは驚いたようだった。
「やらせてくれんの。絶対殴られると思ったのに、試してみるもんだな」
「気が済むようにすればいい」
それが彼の復讐ならば。
唇を塞がれた。ねっとりと上顎を舐め上げられて背筋が震える。
「ワシヅさん、なんか勘違いしてない? 俺、仕返しでこんなことしているわけじゃないんだけど」
「じゃあ、なんだ……っ……んっ」
シャツ越しに胸の突起をきつく摘まれた。
ねじ切るように抓ったかと思うと次は優しく撫で上げられる。
「やりたいからに決まってるじゃん」
彼の指が胸のボタンを引きちぎるように外していく。
「なんか……たまんないんだよ、あんた。その、しれっとした顔とか。ぐちゃぐちゃにして、泣き叫ばせたくなる。最初に会ったときからさ」
ベルトが外され、ファスナーが下ろされた。
侵入してくるひんやりとした手に、ワシヅは身体を震わせた。
「あのとき、そう言ったって、あんた、相手にしてくれなかっただろ」
ニシノは、舌でちろりと下唇を舐めた。獲物を前にした肉食獣のような顔だ。
「だから、あんたに手が届く男になりたかった」
162禿高 にっしー×わっしー2:2007/03/07(水) 00:10:46 ID:uLv1zMu40
いつのまにかスラックスと下着は足下にだらしなくわだかまっていた。
みっともない格好だ。ワシヅはどこか他人事のように考えた。
「ん……っ」
細い指が、後ろの狭い入り口を撫でる。無理な侵入を拒むそこを宥めるように、指を進め、そして引く。
背骨が溶けてしまいそうな快感が、身体を駆け抜けた。思わず手で口を塞ぐ。
「なに? そうしてないと声出ちゃうの? エロいじゃん」
耳元で低く囁かれる。その吐息にも身体が痺れる。
何度も抜き差しされる指に、なにも考えられなくなる。
ただ、必死で声を堪えて、身を捩った。
考えていたのと違う。もっと乱暴に犯されるのだと思っていたのに、これではまるで……。
ふいに、指が抜け、足が抱え上げられた。
覚悟する間もなく、猛々しいものが侵入してきた。
「く……っ!」
あまりの衝撃に背筋が反り返る。ニシノが息を弾ませながら、ワシヅの髪をつかんだ。
「ねえ、ワシヅさん、好きな人いるの?」
一瞬、頭にシバノの顔が浮かんだ。思わず首を横に振る。
「……いない……っ!」
「だれ? あのいつも一緒にいる外人?……んなわけないか」
口を押さえていた手を引き剥がされ、頭の上で縫い止められる。
「いない……!」
「ムキになるところが怪しいっつーの」
もうなにも考えられない。
何度も突き上げられ、揺さぶられて、喉から堪えようもない声が零れる。
髪をつかまれたまま、唇を塞がれる。噛みつくようなキスだった。
そのまま最奥を抉られ、ワシヅはなすすべもなく上り詰めた。
ニシノもつられるように欲望をワシヅの奥に注ぎ込む。
163禿高 にっしー×わっしー3:2007/03/07(水) 00:11:34 ID:uLv1zMu40
短いセックスだったのに、指一本動かせないほど疲れ切っていた。
呼吸が乱れて、口もきけない。ニシノもワシヅの上で荒い息を吐いていた。
「はは……」
ふいにニシノが乾いた声で笑った。
嘲笑だと思った。犯されて、無様に乱れて喘いだ自分を嘲笑っているのだと。
だが、見上げたニシノの顔は今にも泣き出しそうに歪んでいた。
「……?」
「なんだろう……あんたをこうやってぐちゃぐちゃに犯してやれば、それであんたがよがって腰振れば、それで俺のもんになるんだと思ってた」
ニシノの手がワシヅの頬を撫でた。
「なのに、どうしてだろう。あんた、まだ遠いや」
164禿高 にっしー×わっしー:2007/03/07(水) 00:12:53 ID:uLv1zMu40
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ニッシ-純愛もいいかと
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
165(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その三:2007/03/07(水) 01:10:55 ID:1hMAuocj0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  引き続き某スレからネタを拝借
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ちなみにキャラはオリジナルです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
166(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その三:2007/03/07(水) 01:11:31 ID:1hMAuocj0
俺がプロの家庭教師という職業に就いて早五年。そこそこ評判も良くなり、
この春にはついにご指名も頂いてしまいました。相手は小学校六年生。
子供好きな俺が一番楽しんで仕事をできる年頃だ。それにこの子がまた
素直で、いい子だし。本人の生まれ持った性格もあるだろうけど、
躾も良かったんだろうと思うよ。市内でも有数の老舗の和菓子屋の末息子。
色々な意味で教育には厳しい家柄に違いない。長男と次男のことも知ってるが、
どっちも評判いいもんな。なんでお兄ちゃんのことまで知ってるかと言うと、
和菓子三兄弟として界隈では有名だからなんだ。菓子屋通りの異名を持つ
和菓子屋が軒を並べる大通りで、一際目を引く大きな店。そこに育った美形の兄弟は、
この町の名物だ。そこに教えに行くと決まった時は、ちょっと心臓が跳ねたもんだよ。
同僚の女性たちから羨ましがられ、男どもからまで「女よりきれいってマジ?」
なんて根掘り葉掘り聞かれるのはちょっと鬱陶しいんだけど、確かに週三日、
目の保養はさせてもらっている。何しろ、俺の性癖も性癖ですから。
167(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その三:2007/03/07(水) 01:12:15 ID:1hMAuocj0
でも、楽しいだけでは済まないんだよなこれが。別にその末っ子の頭が悪くて
教えるのが大変ってわけじゃない。飲み込みが早くて楽な生徒だ。
ただ、えらく甘えん坊なんだよなあ。お兄ちゃんが二人もいるくせに、
俺にまで構って欲しいらしい。授業が終わった後は必ず店から菓子を持って来て
俺と話したがる。いや、別にいいんだよ。三十分やそこら、時間を潰したって。
供されるおやつが毎回末っ子の大好物の葛餅だってのも、可愛いもんさ。
まだ子供子供している末っ子のぷにぷにした頬っぺたそっくりな葛餅は、
俺もけっこう好きで、週に三回食べたって飽きることはない。毎回必ず
「美味しいでしょ? 僕、これがうちで一番美味しいと思うんだ」なんて
目をきらきらさせて同意を求めてくる末っ子は、ショタ趣味はない俺でも
思わずおでこにちゅってしたくなるくらい可愛いよ。
168(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その三:2007/03/07(水) 01:12:53 ID:1hMAuocj0
でも、そこに茶々を入れてくる次男が、困り者なんだよね。
「追加料金を払うから、ついでに俺の宿題も見てくれませんか」と言う、
年がちょっと離れてる次男はもう高校の三年生。まあ教えられないことは
ないんだけど、小学生の弟の家庭教師に言う台詞じゃないだろう。
そこら辺がわからない次男じゃないと思うんだよね。たぶん、弟があんまり俺に
懐いているのが可笑しくて、からかいに来ているんだと思う。だから
「毎回葛餅じゃ飽きるでしょ? 俺はこっちの方が美味しいと思うよ」と
求肥を持ってきたりするんだな。末っ子が俺のために持って来ていた葛餅をひょいと
自分の口に放り込んじゃったりして、弟が怒ってわあわあ喚くのを面白がっている。
この次男、葛餅一辺倒の弟をからかうためか、お菓子の種類を変えたりせず、
自分も求肥しか持ってこない。葛餅より求肥の方が好きだと言ってよね、ってわけ。
どうも、次男がからかっているのは本当は俺なんじゃないかって気もするんだよね。
むっちりとした弾力のある求肥は、まんま次男の魅力に重なるんだよ。
真っ直ぐに俺を見る末っ子と違って、次男は俺の目を上目遣いに覗き込む。
少し喋っては思わせぶりに黙って、相手が口を開くのを待っている。
自分が美少年だってことも色気があるってこともよぉくわかってやってるね、あれは。
169(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その三:2007/03/07(水) 01:13:23 ID:1hMAuocj0
収拾がつかなくなって来た頃に助けに来てくれるのは大学を出たばかりの長男だ。
経営を勉強しながら和菓子職人としても修行したと言うしっかり者。
「二人ともいい加減にしなさい。先生が帰るのが遅くなるじゃないか」
長男に叱られると、弟二人は首を竦めている。長男はいつも穏やかで優しいけど、
やっぱりどこか威厳があるんだよね。今日も、葛餅と求肥の対決に困っていた俺に、
長男は薄桃色の花の形をした気品溢れる練り切りを差し出した。
「この春の新作なんですよ。良かったらこれも食べてみてください」
口に入れると、しっとりとした舌触りと共に控え目な甘さが口に広がる。
見た目と言い味と言い、この練り切りにはぜひ長男の名前をつければいいと
口走りそうになるのをどうにかこらえて、俺はとても美味しいとだけ賛辞を贈った。
折りに触れて極上の練り切りを食べさせてくれる長男に礼を言うと、
「うちは葛餅と求肥しか作ってないと思われても困りますから」なんて笑うんだよ。
この笑顔がまたしとやかにして華やか、和菓子屋の若旦那にぴったりで、
この人がいればこの店は安泰だなあなんて思ったりする俺なんだ。
170(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その三:2007/03/07(水) 01:13:53 ID:1hMAuocj0
三兄弟に見送られて店を出ると、名残惜しさと裏腹の安堵感も湧き上がる。
あの家で俺がすごく歓迎されていることまでが界隈に知れ渡っていて、
ありがたいと言えばありがたいことではあるんだけど、困るんだよな。
だからあの店を出たら必ず俺はその脚で裏通りへと急ぐわけ。この町は和菓子の町、
何代も続いた店が裏通りにもいくつもある。その一つが俺の目的地。
今にも傾きそうな古い店のガラス戸をカラカラと引き開けると、
店の奥から俺の恋人が現われる。俺があの大店から直行したとわかっている日は、
いつも、普段以上にムスッとしていて、出迎えてはくれても笑いかけてはくれない。
「遅くなってごめん。長引いてさ」
「懐かれてるからな。いいことだろ。気にするなよ」
そう言いながら俺を待ってもくれないで、さっさと奥に引っ込んでしまう。
怒ってる、怒ってる。ったく、あの家に行った後はいつもこれだよ。
だから、あの家に行くと決まった時、心臓が体の中で飛び上がったんだ。
確かにあの家に行くのは楽しいんだけど、俺が選んで行っているわけじゃなし、
もしこいつが行くのをやめろと言うなら何とでも理由をつけて辞退するのにな。
まあそんな可愛い我侭を言ってくれるような奴なら、俺も苦労しないわけだが。
とか言いつつ、そんな苦労も楽しいと思ってるんだけどさ。
両親とも亡くしたこいつが独りで切り盛りしているこの店は、質素な饅頭屋だ。
あの店みたいに豪勢でも上品でもないけど、スーパーやコンビニにも品を納めているし、
近隣には根強い支持を得ている。この店のそんな雰囲気は、店主のイメージに重なる。
黙りこくって夕食を出してくれる無愛想な優しさが、俺には何より嬉しくて愛しい。
ありがたく美味い夕食をいただいている俺に、明後日の方を向いたまま
「――腹が減ってないなら、無理して食うことないぞ」なんて、素直じゃないけど。
「減ってるよ。晩メシ食ってないことくらい、知ってるだろ」
「でも……色々、美味い菓子は食ってきてるんだろ……」
誰がそういう余計なことをこいつの耳に入れるんだか。
171(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その三:2007/03/07(水) 01:14:37 ID:1hMAuocj0
「あんなもんで大の男の腹が膨れるか。――ここの饅頭ならともかく」
色白の頬がぽっと赤く染まる、それをこいつ自身に見せてやりたい。
そうしたら、俺がこいつに惚れてること、こいつだって納得してくれるだろうに。
薄紅色で、つやつやしていて、こいつはまるで桜餅だ。
「桜餅……」
「え?」
おっと。頭に浮かんだことをふと口に出してしまうのが俺の悪い癖だ。
俺が考えてることそのまま伝えたら、ちょっと後が面倒だよな。
とぼけて味噌汁を一口飲んで、だけどじーっと俺を見ているこいつの
探るような視線には逆らえないんだよなあ。変に勘ぐらせたくないし。
人嫌いや口下手じゃ務まらない家庭教師の面目躍如で、誤魔化してやる。
「桜餅の季節、終わっちまったなあ」
「お前、本当に桜餅好きだよな」
「前はそうでもなかったんだけどね」
こいつに出会ってからだ。ここの桜餅が、作る人間にそっくりだと思ってから。
素直な甘さや柔かさよりも、もっと美味いものがあると、俺はここで知ったよ。
「な、作ってくんない? 桜餅」
「季節じゃないぞ」
「いいじゃんか。今度の花見に、桜餅、持って行こうぜ」
「笑われるよ」
「笑うもんか。皆、羨ましがるさ」
「まさか、誰が。まあ作るのはいいんだけど……」
俺、知ってるんだよね。桜の葉の塩漬け、こいつが取っておいてくれてること。
言わなきゃ作ってくれないけど、言えば絶対作ってくれること。
まったくこいつは桜餅。触れるとひんやりしていて、しょっぱい葉っぱに包まれているくせに、
中まで齧れば口いっぱいにとろりと甘さが満ちる。
「こんな美味いもん、他所じゃ食えないからな」
そう言って手を伸ばして、桜色の頬を指で撫でてやった。
染井吉野が、寒緋桜になった。
172(゚д゚)ウマー ビデオ棚にも上陸! その三:2007/03/07(水) 01:15:41 ID:1hMAuocj0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オナカガ スイテキタノデ オシマイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
173風と木の名無しさん:2007/03/07(水) 01:30:42 ID:tg4wBhjb0
>>164
姐さん、心からGJ!
にっしーせつないよ、にっしー。
174風と木の名無しさん:2007/03/07(水) 01:38:15 ID:lDAfs2ceO
>>172
GJ!!ほのぼのとした雰囲気が漂ってきて和みました!(*^ω^)
にして三作目もまたウマーそうな作品ですねw読んでるだけで口に唾が溜ってきます……ww

後、勝手な希望ですが、一作目の続きが読みたいです……
175禿高 芝←和紙前提西×和紙:2007/03/07(水) 01:45:06 ID:B+KmXCtu0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  >>161さんの純愛に禿つつもちと暗いです
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  1話冒頭シーン捏造ネタ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
176禿高 芝←和紙前提西×和紙 1:2007/03/07(水) 01:46:12 ID:B+KmXCtu0
 朝っぱらからアタッシュケースを手にプール際に突っ立っているなんて今の状況は間抜けの一言に尽きるだろう。
 3m先に銃を持った男がいないなら、だが。

 なぜこんなことになっているのか筋道を立てて説明することは難しい。
 知り合いを家に泊めた翌朝、朝食でもと思っていたらその男に銃を向けられた。
 現在わかっている事実はこれだけだ。

 男は軽く銃を上下させるとアタッシュケースを置くよう指示した。
「開けてみて」
 言われるままに鍵も掛かっていないそれを開けると、一万円札がびっちりと詰められていた。
 この量なら1億といったところだろうか。いよいよ意図がわからない。
「驚かないんだ?」
「驚く理由がない」
 男は面白がっているようだが不愉快極まりない。
 ルールも知らされないゲームなど一方的にこちらが不利だ。
「大金に慣れてる人の言うことは違うね」
「本題はなんだ」
 湿度が上がり始めた。気の早い蝉が鳴き始めている。ああ、まったく夏は嫌いだ。
 なぜこんな茶番を演じているのだろう。
 危機的な状況であるにもかかわらず気を逸らしていると、男は存外真面目な声で言った。

「ねえ、いくら積んだら俺のものになってくれんの」
177禿高 芝←和紙前提西×和紙 2:2007/03/07(水) 01:47:23 ID:B+KmXCtu0
 伊達のくせにとここへ来るなり早々に取り上げられた眼鏡にはそれでもいくらか度が入っていて、
酔狂な要求を告げた男の境界線は曖昧だ。
 いっそのこと笑い出してやったほうがこの場には相応しいのではないかとさえ思う。
「もちろんそんな端金で足りるとは思ってないけどさ」
「こんなことをしてまで手に入れる価値が俺にあるとでも?」
 だが、口から出てくるのは普段と大して代わり映えしない言葉ばかりで、実際馬鹿馬鹿しくてならない。
 居間で砕け散っている花瓶は、男の手にしている銃が本物であることを証明するためだけに壊された。
 無意味だ。見合うリターンがあるとは到底思えない。
「時間稼ぎのつもり?あんたにしては陳腐な台詞だね」
「生憎とこういったことは専門外だ。君も同類だと思っていたが見誤ったらしい」
「そりゃそうだよ。あんたみたいにデスクワークだけしてたわけじゃないし」
 過去をネタに揺さぶってくるのはこの男の常で、しかし慣れたとは、忌々しいがとても言えない。
 げっそりとやつれた身体に皺の寄ったスーツを着て階段を下りていった、彼の父親を見送ったのは今時分だった。
 金に振り回されたあげく帰らぬ人となったその人を死へと追いやったのは自分たちだと、
言外に彼は言いたいのかもしれないが、だからといって子供のわがままにいつまでも付き合えるほど暇ではない。
 そしてこの子供もまた忙しい身である。

「いいだろう。要求を飲んでやる。だが金はいらない。腐るほどあるんでね」
 引き際と認識したのだろう。銃口が少し下がる。
「ああそう。で?」
「条件を一つだけ」
「なに?」
「…あの人が一度でも俺を見てくれたら」
 その時の男の表情は、裸眼ではよくわからなかった。

 朝の空気を裂く轟音。そして腹に衝撃と、熱さ。
 もつれる足が何かにぶつかり、一瞬の浮遊感のあと全身に訪れた冷たい水の感触。

「契約成立」
 水の上から男は嬉しそうに言った。激痛が撃たれたことを教える。
「約束だからね。忘れないでよ、鷲津さん」
178風と木の名無しさん:2007/03/07(水) 01:47:57 ID:g6S6bzl90
>>164
せつな萌え…ハァハァ
ぜひまたお願いします!
179禿高 芝←和紙前提西×和紙:2007/03/07(水) 01:48:51 ID:B+KmXCtu0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 原作未読なまま突っ走った。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
180風と木の名無しさん:2007/03/07(水) 01:59:28 ID:UPCz7KUU0
>>143
長文の中で全然気付かなかったw
「英国紳士の名折れ」ktkr!www
181風と木の名無しさん:2007/03/07(水) 09:49:13 ID:ZiFibZRg0
>>143
GJ!!
私も先日クリアして弟子×教授に禿萌えしてた所です。
あられもない英国紳士イイね!

182Dr.コトー診療所ハラxコト:2007/03/07(水) 22:20:49 ID:qnEWSgns0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  シキナ島からひなまつりの模様が入りましたのでお届けします
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  先日のスレがヒントです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
183Dr.コトー診療所ハラxコト:2007/03/07(水) 22:21:58 ID:qnEWSgns0
「原さぁ〜ん!」
突然大きな声で呼ばれて、俺が慌てて外をのぞくと、
白い服を着た人影が、ふらふらとこちらにやって来ていた。
白衣を着た先生だった。おっとっととよろけながら、縁側にどさりと腰を下ろす。
「は〜 やーっと着いた〜」
「ど、どうしたんだこんな夜中に?!」
「きょうひなまつりらったでしょ。だから、内さんに甘酒飲まされちゃったんれす。ふふふ… ヒック。」
「お、おい…」
俺はゆらりと揺れる先生の身体を慌てて支えた。
「そしたらね、なんだか原さんに会いたくらっちゃって…来ちゃいました ふふ」
胸元のボタンが、いつもよりもひとつ多く開いていた。桃色に染まった胸元がちらりと見える。
先生はついと身体を寄せてきた。
「原さん…」
じっと見つめられてドキリとした。
潤んだ瞳、ほんのりと染まった頬、いつもより赤い唇。こんな先生は、知らない。
ごくりと唾を飲む。
184Dr.コトー診療所ハラxコト:2007/03/07(水) 22:22:48 ID:qnEWSgns0
俺の手は勝手に行動を開始した。
先生の顔を上向かせ、唇を重ねようとする。

「お父さん、どうしたの?」

突然後から声がして、飛び上がった。

「あ!いや、何だ、その、せ、先生が…」
「あ、剛弘くんだ〜!こんばんわ〜!」
「こ、こんばんは…先生?」

俺の動揺をよそに、先生は異常なほど上機嫌な様子で挨拶をしている。

(ちっ、いいところだったのに…!)

「剛弘!俺ちょっと先生送ってくるわ。先生、診療所へ戻ろう。」
そう言うが早いか、俺は先生を背中に背負い、猛ダッシュで診療所へと向かった。
185Dr.コトー診療所ハラxコト:2007/03/07(水) 22:23:42 ID:qnEWSgns0
先生が酒に弱いことは知っていた。でも、いくら弱いとはいえ、どうしたら甘酒ごときでこんなにべろべろになるのだろう。
(しかし、あのときの先生の顔といったら…)
これ以上ないほど色っぽかった。剛弘が来なければ、そのまま襲っていた。
(はやく、診療所に行こう)
剛利は足を速めた。そして続きを…。

「先生!着いたぞ!」
俺は裏口のドアを勢いよく開けて中に入り、先生を下ろした。
しかし、先生はくたっとなったまま、動かない。

「…先生?」

見れば先生は、すうすうと寝息をたてて、気持ちよさそうに寝ていた。

「おいっ!」

肩を掴んで揺さぶってみる。

「…。」

反応はない。
186Dr.コトー診療所ハラxコト:2007/03/07(水) 22:24:49 ID:qnEWSgns0
(なんだよ!さっきあれだけ…!)
あれだけ誘惑しておいてそれはないだろう!
俺は怒りのあまり、そのまま犯してやろうかとシャツに手をかけた…が、
あまりに幸せそうな先生の寝顔を見ているうちに、なんだかその気も失せてしまった。

(…はぁ…)

先生を布団に寝かせて、寝顔を眺める。
日々の診察、往診、昼夜問わずの急患。島の人間を、こいつはたった一人で支えてる。
たまにはこんな風に、何も考えずに寝られる日があってもいいじゃないか。

そっと頬にキスをした。

「帰るか。」

俺は先生を起こさないように、そっとドアを閉めた。

月明かりに照らされた道をひとりとぼとぼと歩きながら、俺は家に来た先生の事を思い出していた。
(あのときの、先生の…)
薄紅色に染まった先生の白い肌に、思う存分食らいついてみたかった。
(…やっぱ惜しかったなあ…)
俺は、そのまま立ち去ったことを激しく後悔した。

翌日、俺は内婆の所に、甘酒の作り方を習いにいくことにした。
187Dr.コトー診療所ハラxコト:2007/03/07(水) 22:25:32 ID:qnEWSgns0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ …。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たまにはこんな平和な日もあったということで許してクダサイ。
188風と木の名無しさん:2007/03/07(水) 23:39:17 ID:WmaEKfUj0
>>172
三作品とも(゚д゚)ウマー(゚д゚)ウマー(゚д゚*)ウママー
ご馳走様でした。
189風と木の名無しさん:2007/03/07(水) 23:51:58 ID:dkfpgY1a0
>>159
萌えた・・・
なんか幸せな気分になた
190風と木の名無しさん:2007/03/08(木) 01:07:01 ID:NiHwLkCl0
逸話から妄想
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 学生×美形科学者ダコノヤロー!!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
191学生×美形科学者 1/2:2007/03/08(木) 01:08:04 ID:NiHwLkCl0
実験室の戸を、叩く音がした。

中では、白衣の青年が一人―フラスコの並んだテーブルを前に実験に勤しんでいた。
「邪魔するよ」
そうして入ってきたのは、若い長身の男だった。
古ぼけたシャツを胸元で肌蹴させた男は、白衣の背に向けて「ハイ!」
と馴れ馴れしく声をかける。
だが白衣の科学者は、訪問者のほうを振り返ろうともしない。

男が青年の肩に手を置くと、そこは明らかにピクリと震えた。
「ディービー、酷いんじゃないか?」
それはため息か、もしくは皮肉の混じったような声だった。
「出て行って……くれよ」
青年は小さく、かすれるような声を漏らした。
「嫌だね、」
男は挑発するように口の端を少し上げた。
「だったら顔を見せろ」
男は青年の顎を指でつかむと、自分のよく見える位置にもってきた。
そして自分を見上げて不安そうに揺らぐ瞳に、男はまた満足そうに笑う。
彼を見上げる茶色くて今にも透けてしまいそうな瞳は、確実に彼だけを映していた。
青年は小さく男の名前を呼んで、言った。
「何が……君は、何でここに来たんだ。 あまりここには来ないでほしいって言ったのに」
「その言葉も含め…どうしても君が僕を挑発しているようにしか思えなかったから、来た」
「だからそれって何のことなんだよ!」
青年はその端正な顔立ちをわずかに歪めて叫んだ。白い頬に初めて赤みがさす。
男は青年の肩をつかみ、その躰ごとをテーブルの端に軽く押し付ける。
――かちゃ。
192学生×美形科学者 2/2:2007/03/08(木) 01:13:23 ID:NiHwLkCl0
「ひっ、」
背後で聞こえたビーカーの音に思わず青年は怯えたような顔をした。
男は構わず、青年の頭を抱えて熱い接吻を施す。
―やがて唇が離れ、青年は目をひらいた。男が指先でその頬を撫でている。
「何度見てもキレーな顔。女性に人気なのも頷ける、な」
「な、なんで…」
思わず顔を赤らめた青年に、男は苦笑して言った。
「この間の公開実験のことだ。君の美貌に釣られた女性客のおかげで場内は満員だった
っていうじゃないか」
青年は唇を軽く噛み、黙って目を逸らす。
「何だかんだいって、異性に顔のこと褒められると嬉しいんだろ。君も男だからな」
「僕は……実験にしか興味ないよ。だからいいかげん離れてくれないか」
一蹴するつもりで青年は言い、肩から離れない男の腕をどかそうと試みた。
しかしいくらぐいぐいと力をこめても、それは固定されたように動かない。
戸惑う青年を見下げる男の顔は意地悪い笑みに満ちていて、口を開くと訊いた。
「それだけ?」
青年は観念して、目を伏せて吐き捨てるように早口で言った。
「……あと、君のことも少しは!」
「いいだろう」
にやりと笑って、男はやっと青年を解放した。
その後すぐ青年の腰に伸ばしたした男の手は、くるりと背をむけた彼の動きに払いのけられた。
「情熱的なのはいいけど、実験結果に影響を与える可能性があるんだから程ほどにして欲しいな」
神経質そうに言って、青年は動いてしまったビーカーを丁寧に動かしなおしていた。
男は溜め息をついて頭に手をやった。
「せめてもう、あんなことはするなよ」
「無茶を言うなあ。公開講義は一般人にも研究を知ってもらえる機会なんだから」
と振り返って青年は微笑んだ。男もすでにあきらめて、ただ苦笑まじりの微笑みを浮かべるのみだった。

そしてその後、
「男の嫉妬心にも時には手がつけられなくなることがある」
ということを、青年は自らの身を呈した"激しい"、"臨床実験"によって―
―嫌というほど深く深く知ることとなった。
193学生×美形科学者:2007/03/08(木) 01:17:05 ID:NiHwLkCl0
あ…最初のテンプレ間違えてたスマソorz
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ベタベタデスネ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
自分は全然理系じゃないので実験室の様子とか間違えてたらすまん。
194風と木の名無しさん:2007/03/08(木) 10:26:09 ID:tGWeEEuFO
某ゲーム 教授×弟子
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「先生って僕の事好きですか?」
テーブルに座り、レイトソが紅茶を飲んでいる時にノレークがそう聞いてきた。
「ん?なんだいいきなり」
「いーからどーなんですか?」
ノレークは好き、と即答だと思っていたのか、少し膨れている様にみえる。
「勿論好きだよ」
「…どんなとこがですか?」
声は問い詰める感じだが、顔は嬉しそうだ。
「うたぐり深いね君も」
レイトソはふっ、と笑った。
「そんなに聞きたいなら耳を貸しなさい」
ノレークは一瞬軽く驚きながらも、いそいそとレイトソに耳を寄せていく。
「…どうぞ言って下さい」
―「私は君の全てが好きだよ」
レイトソはそう言うとノレークの頬に口付けをした。
「なッ…!?なななな……」
瞬間的にノレークの顔は紅くなり、頬を押さえながら声にならない声で何か言おうとしている。
「…わかったかい?」
レイトソは優しく微笑んでいる。
「さあノレーク。謎解きにでも出掛けようか」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
195風と木の名無しさん:2007/03/08(木) 18:21:29 ID:qEJGd6qM0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  土曜ドラマ『禿げ鷹』
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  アラソ×和紙
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 例にもよって和紙は柴が好き。
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
196禿げ鷹1/4:2007/03/08(木) 18:23:06 ID:qEJGd6qM0
日本に来て2年。
マサヒコの傍にずっといられる幸せを神様に感謝しつつ、早朝のわずかな時間だけ楽しめるトーキョーの貴重な澄んだ空気を吸いながら、
今日も虎ノ門にあるオフィスに向かう。
通用口の鍵を開け、エレベーターで最上階まで登ると、まずは仮眠室に誰もいないのを確認した。
仮眠室にいないとなればここだろうと、代表室のドアをそっと開け中を覗き込むと、
僕の可愛い人はやっぱりそこで無防備な寝顔を晒していた。
外資系企業の逃れられない定めのひとつに、本国との深夜ミーティングがある。
時差の関係上、早くて23時開始なんてこともざらだ。
いつもは僕や幾人かのメンバーも参加するのだけど、昨夜はマサヒコとクラリスの極非公式なミーティングだったから、
オフィスに残ったのはマサヒコ1人だった。
ここの所、サンデーM&Aの件で多忙を極めていた上、クラリスのスケジュールの都合で、
もはや深夜ミーティングとも言えないような遅めの開始時刻を宣告されていただけに、さすがのマサヒコも別れ際僕にため息を漏らしていた。
何時まで話し合っていたのか判らないけど、仮眠室に移る体力もなくしたのか、マサヒコは応接用のソファに身を沈めて眠っている。
眼鏡を外すととりわけ幼く見える顔は、目を閉じていると尚更子供の様に見えた。
もう30も過ぎてるって言うのに、日本人は本当に若く見えるななんて関心してると、マサヒコが僅かに身じろぐ。
僕は気配を悟られないように、そそくさとソファの影に身を隠し息を潜めた。
ややあって、マサヒコの穏やかな寝息が再び聞こえて来る。
僕はマサヒコの寝顔が見える位置に移動して、じっとマサヒコの顔を見た。
僕の好きな人はなんて可愛いんだろうと思うと、少しだけ触ってみたくなって無意識に手が伸びる。
197禿げ鷹2/4:2007/03/08(木) 18:24:03 ID:qEJGd6qM0
ふわふわと柔らかい黒髪をそっと撫でた。
マサヒコを起こしてしまわないように、静かに、何度も撫でた。
髪から米噛み、頬に手のひらを滑らせて、マサヒコの肌に触れる。
少し顔色が悪いだろうか。
空調が効いてるとは言え、ブランケットひとつかけずに眠るマサヒコに、僕は自分のジャケットを脱いでかけてやってから、
膝を抱えて彼の枕元すぐ傍に座った。
じっとマサヒコの寝顔を見つめていると、このまま時が止まってしまえばいいのにと思う。
眠っている間はきっとマサヒコも幸せだから。

「……ラン?」

掠れた声と一緒に、マサヒコの黒い瞳が瞼の狭間から僅かに覗く。
僕は額を隠す彼の前髪を撫で付けて、現れた額にそっとキスした。

「モーニン、マサヒコ。」

マサヒコはぼんやりと僕のキスを受け入れながら、

「…今何時だ?」

なんて、色気の無い事を言ってくれる。

「まだ6時だから、もう少し寝られマス。」
「いや、起きる。」

細いカラダをゆっくりと起き上がらせて、胸に掛かってた僕のジャケットに気付くと、

「サンキュ。」

って、目を細めて優しく微笑みながら僕に返してくれた。
198禿げ鷹3/4:2007/03/08(木) 18:25:16 ID:qEJGd6qM0
そんなマサヒコが堪らなく愛しくて、僕は彼の口唇を求めた。
薄い口唇を割って、マサヒコの乾いた咥内を舌で潤す。
されるがままのマサヒコは、それでもやがて瞳を閉じて、追い立てる僕の動きにおずおずと応えてくれる。
絡み合う熱に浮かされそうになった時、マサヒコの腕が僕の胸をそっと押した。
濡れた赤い口唇で僕を見上げ、マサヒコは言った。

「今朝はこれまでだ、アラソ。」
「マサヒコ…」
「シャワー浴びてくるから、悪いが熱いコーヒーとスポンサー選定の手続き書類、用意しておいてくれるか?」

ローテーブルにあった眼鏡をかければ、もうマサヒコはホライズソ・イソベストメント日本法人代表の顔で、僕との距離を僅かに空ける。

「OK、ボス。」

少し淋しく思いながらも、僕はマサヒコの望むままにそう応えて笑顔を見せた。
今日もまた、1日が始まる。






199風と木の名無しさん:2007/03/08(木) 18:26:09 ID:qEJGd6qM0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ またもナンバリングミス…。ホントにスマソ…。orz
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
200風と木の名無しさん:2007/03/08(木) 19:25:34 ID:MSXsrT1vO
>>199
姐さんGJ!
姐さんのおかげで荒ソが大好きになった今日この頃。
荒ソなんて可愛いわんこなんだ。(;´Д`)ハァハァ
201風と木の名無しさん:2007/03/08(木) 23:55:54 ID:BqOeJH3H0
>>194
GJ!ほのぼのした。
昨日ゲームクリアしたところだからすごい萌えたよ。
202風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 00:18:40 ID:WUck59sLO
>>194
教授×弟子キター!
大人で余裕たっぷりな教授と、素直過ぎる弟子に萌えたよ。
GJ!
203風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 00:26:17 ID:Vp1eKAcNO
>>199
アラソ和紙キタ━━━(゜∀゜)━━━!!
和紙の寝顔妄想して辛抱たまりません。(*´Д`)
わんこなアラソも可愛い!
姐さんまたお待ちしてます。
204風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 00:36:54 ID:IjCNs73z0
        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        初めて投下。フアンダヨ・・・
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 華園1×4 SSだよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
205華園 1×4:2007/03/09(金) 00:38:23 ID:IjCNs73z0
「ワタル兄、もっと・・・」
皺が寄って乱れたシーツの上、一瞬離れた身体を引き止めて、ヒナタが縋るような視線を向ける。
「もういっぱいしただろ?」
ワタルは苦笑してヒナタの頭をくしゃりと撫でた。
口調は穏やかではあっても時計を見ればそろそろ連れ立って出掛けて行ったオサムとサトシが帰って来る時間で、ワタルは少々焦っていた。
「やだ。」
しかしヒナタはそんなワタルの焦燥には敢えて気付かないふりをして、ワタルをベッドに押し止める。
形のいい、優しい声音を紡ぐ唇をわざと淫らに吸い上げればワタルがなし崩しになるのは、いつものことだった。
「ヒナタ・・・」
ワタルは抑えの効かない本能に苦い味を覚えながら、ヒナタの細い身体をきつく抱きしめた。
分かっている。
この行為が終われば、ヒナタはまた淫らに朱く腫れた唇で次をねだるだろう。
そして自分はそれに抗えない。

ヒナタの欲望には終わりがない。
与えれば与える程
もっと、もっとと次をねだる。
この愛では足りないのだと。
欲しいのはこんな愛ではないのだと。

「ヒナタ・・・っ」
汗にまみれた身体をかき抱けば、少年から大人になる前のしなやかさで、その存在は腕の中におさまった。
「ワタル兄…」
ヒナタは満足そうな、泣き笑いの表情を浮かべて、せめてワタルの背中にきりりと爪を立てた。

206風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 00:39:57 ID:IjCNs73z0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ドキドキしたけどスッキリしたよ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
207風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 01:40:13 ID:OkvbNhO70
>>204
ドラマ板本スレに貼られてるよ、姐さん。
208風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 01:59:35 ID:zZACBzRzO
え、これ貼られてる?
漏れが今まで見てたのは
本スレじゃないのか…?
209風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 02:04:30 ID:OkvbNhO70
>>208
乱立多いからねー。
今の本スレは15だよ。
210風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 07:08:21 ID:zZACBzRzO
あまりにも華麗にスルーされてたんで
気付いてなかっただけだったww
ドラマ板は大人サソが多いな。


以下何もなかったようにドゾー


211風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 11:28:11 ID:TSk7X8uA0
貼られてるよってわざわざ報告するのはなんなの
212風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 11:33:43 ID:yfLEf1u90
そういうジャンルだよってことじゃないの
213風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 18:15:51 ID:IGR+xzEWO
花園は避難所に棚があるのにね(´・ω・`)
214風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 18:46:26 ID:iCDHvqMcO
なんにせよ、貼られた先ではスルーだったのでしょ?
こっちで反応してたらなんつーか自意識過剰なお年頃みたいじゃないか
誰も見てないのに どこ見てんのよ!!(微古
みたいな
215風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 19:59:58 ID:TSk7X8uA0
この前も「はられてんよ」ってわざわざ
言ってきてた人がいたなと思って気になってた。
216風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 20:03:08 ID:JcEw5NLQ0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  流れぶったぎり失礼
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  某双子
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2171/2:2007/03/09(金) 20:04:18 ID:JcEw5NLQ0
「お兄ちゃん」
普段口にしない名で呼ぶと、相手はいぶかしむ様に眉根を寄せた。
「なに、気持ち悪いなあ」
苦笑いを含んだ声で、それでも真っ直ぐこちらを見て応えてくれる。
向き合った顔はあまりにも見慣れすぎたものだ。俺よりもほんの少し細い顎。
俺はそれが好きだった。それだけが唯一、彼と俺を隔てるもののような気がして。
それは愛おしいというよりも縋るような感情だ。
「ちょ、さわんなって」
人差し指で頬から顎にかけてのラインをなぞると、敏感な彼は
くすぐったそうに払い除けてくる。そして悪戯っぽい視線を投げて寄越すと
俺に飛び付いて脇腹に両手を這わせた。
同じ顔をしてるだけあってこういった弱点はすっかり把握されているが
俺は余裕を保ったまま彼の手首をとって万歳の姿勢まで持っていく。
彼は人をくすぐるのが下手だから、形勢逆転なんて容易いのだ。
ただ、勢いよく飛びつかれたせいですっかり俺の上に重なるようになってしまった
彼の身体の重みにドキリと胸が鳴った。
「まただよ!もう!」
「甘いね」
2182/2:2007/03/09(金) 20:06:21 ID:JcEw5NLQ0
憮然とする彼にニヤリと笑みを向け、素早く手を離して彼の脇腹をくすぐる。
「やだやだちょっと待って!」
鼻にかかった笑い声をあげて、彼は横にごろりと転がった。俺は仰向けに
なった彼にかぶさる様にして追い討ちをかける。

ふいに、共用しているシャンプーが香った。

「…どした?」
動きを止めた俺を彼が心配そうに見つめる。どんな表情をしても、
俺と同じに見える顔。でも俺よりも笑顔が柔らかで、優しくて真面目で、
ずっとずっと大好きなかわいいひと。
どうして
何度となく胸をよぎった言葉がまた心の奥の方から浮上してきて
思わず声にしそうになって息を飲んだ。

どうして俺は俺なんだろう
たとえば、今彼と同じ仕事をしているあの人だったらよかった。
それが駄目なら、あの人は?それともあの人だったら?
誰だって同じだ。俺以外なら誰だって、彼を手に入れてしまえる気がした。
そんな妄想ばかり重ねて何も変わらないまま俺は何年も何年も彼の一番近くにいる。
せめて全く違う顔なら、反論の隙も与えずに無理やり抱いてしまえたかもしれないのに。

「なあ、大丈夫?」
我に返ると不安げな視線にぶつかる。彼が泣きそうな顔をしていると思ったら
それは彼の瞳に映った自分で、その影を振り切るように俺は彼から身を離し笑った。


「なんでもないよ」
219風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 20:08:52 ID:JcEw5NLQ0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ぬるくてサーセン
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

某双子の弟が兄好きすぎでもうたまらんです。
220風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 20:13:46 ID:zZACBzRzO
>>213
避難所に棚あるからって
ここに貼るのがダメっていう訳じゃないと思うが。
221風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 22:06:53 ID:TPD0FOcZ0
>>216
(*゚д゚)ウマー(*゚д゚)ウマー(*゚д゚*)ウママー
すてきせつないよママン。
222numb*3rs兄弟話:2007/03/09(金) 22:08:20 ID:MX/U74mw0
 
狐CHで放送中のnumb*3rs兄弟話
"SniperZero"の回を遅ればせながら見た。



       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│あまりにも萌えの宝庫だった。
                └───────────────
223numb*3rs兄弟話1:2007/03/09(金) 22:09:07 ID:MX/U74mw0
目覚めたのは朝の4時半だか5時半だかわからない時間だった。
ベッドサイドにドンが立って、僕を見下ろしていた。
「ドン?」
そう声をかけると、ドンは心底驚いた声で「どうした、チャーリー」って言
った。部屋の中はまだ暗く、僕にはドンの表情を読み取ることが出来なかっ
たので「もしかしてまた事件?僕の分析が必要?」って聞いて、明かりをつ
けようとシェードランプに手を伸ばした。
「チャーリー、まだ寝てろ」
僕の手をやんわり掴んで、ドンは僕の質問を否定したようだった。
僕はその答えに、だったらどうしてドンがこんな時間にここにいるのか分か
りかねて、やっぱりランプの明かりをつけ、ベッドの中で身を起こした。
「ドン?」
ドンはなんだか困ったような怒ったような顔をしていて、その上スーツ姿だ
った。
「今から仕事なの?」
「そうだ。」
「やっぱり事件なんだ」
「そうだな、事件さ。1分に4件の殺人事件が発生し、2分間に13件もレ
イプ事件が起こるような州だからな。仕事は尽きることがないさ。だがお前
の知識が必要な事件かどうかはまだわからないし、俺はお前を起こしにきた
わけじゃない。」
サイドチェストの時計は4時18分を示していた。
「じゃあなんでここにいるの?僕に用事じゃないの?」
「いいから寝ろ」
ドンは苛立ったように明かりを消して。
言葉とは裏腹に、僕の頭をさらりと撫でた。
224numb*3rs兄弟話2:2007/03/09(金) 22:09:55 ID:MX/U74mw0
それは不純物の全く含まれていない優しさで、僕はびっくりして、もしかし
たらはじめての出来事じゃないか、と二人の間に横たわる古い記憶を順番に
整理しようと意識を伸ばそうとした。でも動揺して、次第に不安で一杯にな
り、「お前はどうしていつもそうやって質問ばかりするんだ」って呆れられて
いることも忘れて、非論理的である事実を自分自身で認めながらもまくし立
てた。
「ドン、もしかして転勤するの?ココからいなくなるの?これって最後の挨
拶なの?前にドンが大学の寮に入寮する為に家を出たときは、ドン、僕のこ
と振り返りもしなかったんだよ、ねぇ、今度は僕が寝ている間に行っちゃう
つもりだったの?それとも僕が事件解決の為に射撃をしたいって言ったか
ら、もうドンの事件に関わって欲しくないってこと?」
「チャーリー、」
「アルバカーキが懐かしくなった?それともやっぱりドンは僕がウンザリな
の?僕はどうしたらいいの、ドン、僕は」
「チャーリー黙れ!」
ドンは押し殺した声で僕を制した。
「だってドン、」
「いいかチャーリー、今お前が言った質問の答えは全部ノーだ。俺は転勤も
しないし、ココからいなくなったりはしない。もし異動の話がきたらお前や
親父にちゃんと話すし、お前が事件に必要な時は、たとえお前がデートの真
っ最中だったとしても連れに行く。わかったか」
225numb*3rs兄弟話3:2007/03/09(金) 22:10:43 ID:MX/U74mw0
「・・・・アルバカーキが懐かしくなった?」
「そうだな、思い出がたくさんあるし、仲のいい友達だっているからな。で
も会いたくなったらオフの日に車を走らせればいい。懐かしくなったからっ
てココを出て行きたいなんて思わないさ。さぁ、これで質問にはちゃんと答
えただろ。お前は寝ろ。」
「・・・・・なんでこんな時間に僕の部屋にいるのか、その答えは聞いてない」
まったくお前はどうしてそうなんだ、ドンはため息まじりにそう言って、僕
のベッドに腰掛けた。
「昨日、狙撃されただろ。だから心配になって、お前を見に来ただけだ。」
夜明け前の薄い暗がりは深い森の静けさで、僕はドンの言葉に隠しめいた秘
密がないだろうかと意識を集めて耳を傾けた。
「ああいう体験をしたら何らかのダメージを受ける。特にお前は免疫ないし、
俺が銀行強盗との撃ち合いで負傷した時、ショックでガレージにこもったじ
ゃないか。P=N問題に逃げ込んで」
「P≠NP問題」
「ああ、"それ"にかかりっきりになっただろ。」
「あれは。・・・・あの時ショックだったのは僕のミスで死傷者が出て、それに
現場がものすごく悲惨だったし、ドンが、ドンが命の危険に晒されて・・・・・だ
から・・・」
「だから俺が心配で吐くほどショックだった?」
「・・・・・・・そうだよ」
なんでドンは僕にこんなことを言わすんだろう。
僕があの時どんなに動揺したか、そうさ、ドンの言ったように"P≠NP問
題"へ逃げ込んだことで充分にわかってるはずじゃないか。いいかげんに現
実を見ろって、ドン怒鳴ったじゃないか。
ようやく暗がりに慣れはじめた瞳で、僕はドンをじっと見つめた。
226numb*3rs兄弟話4:2007/03/09(金) 22:11:31 ID:MX/U74mw0
あぁ、そういえばハイスクールの頃のドンは、全然僕と視線を合わせてくれ
なかったなぁ、なんて記憶を思い出したりして。
ドン、もう一つ、一番大事な質問に答えてくれてないよ。ハイスクールの頃
からずっと、聞きたくて、でも怖くて聞けなかった質問。さっき動揺して思
わず口にした質問。
"やっぱりドンは僕がウンザリなの?"
「ドン、」
「チャーリー、お前が俺を心配して動揺したように、俺も昨日、お前が狙撃
されて死ぬほど心配して、動揺したんだよ。だから仕事の呼び出しがかかる
前から目が冴えて、というか俺は、お前が銃の撃ち方を教えてくれと言った
ことや、お前を現場へ行かせることや、色々、いろいろと考えて眠れなかっ
た。」
百戦錬磨の捜査官なのにな。
ドンは肩をすくませ、バカバカしい事だというようなジェスチャーをした。
「だからお前が無事で、いつも通り眠っているのを確認してからオフィスへ
向かおうと思ったわけさ。だから俺はここにいた。――――納得したか?さ
ぁ寝ろ」
that's all.それですべてだ、あるいは"証明終わり"とでも言うかのように、
ドンは口を閉ざした。もう何一つお前の質問には答えないぞ、と。
僕は。ドンの言葉がじんわりと沁みてきて、
ドン。あぁなんてことだろう。深く、ゆっくり息を吐いた。
"やっぱりドンは僕がウンザリなの?"
今のが答え?
だとしたら、それって僕のことがすごく大切ってふうに聞こえるよ?
この前もドンは「家族が一番大切だ」って言ったけど、今の話はもっと、な
んだかもっと、個人的な答えに聞こえる。それって僕の都合のいい解釈?
僕はずっとドンに認められたいって思ってた。それと同時にもっと僕に関心
を持ってほしいって。今のドンの答えは、僕がずっと欲しくても「欲しい」
と口にすることさえ叶わなかった種類のものだよ?
227numb*3rs兄弟話5:2007/03/09(金) 22:12:22 ID:MX/U74mw0
僕はドンの答えの「本当の意味」を探ろうとしたけれど、いくら考えても、
自分の知っているありとあらゆる数式を駆使しても、ドンの感情を読み解く
のは無理だということもわかっていたので、とにかく伝えなければならない
一言を唇にのせた。
「うれしくて眠れない」
みっともないくらい声は震えて、幼い子供のたどたどしさになったけれど、
この気持ちがドンに伝わるならみっともなくても全然かまわなかった。
そんな僕に、ドンはなんと反応していいのかわからなかったのか、男らしい
節だった右手で口元を覆いながら「おまえは」とか何かをつぶやいたようだ
った。でも結局は何も言わなかった。
僕はとっても暖かい気持ちにつつまれながら、でもなんだかおかしくなって、
からかうように言葉を紡いだ。
「うれしくて眠れない。だから今日はついていくよ、ドンに。」
「来なくていい」
「行く」
「ヤメロ」
「ドン、知ってた?ドンがダメだって言っても、僕は政府のフリーパスを持
っているからね。FBIには出入り自由なんだよ?」
上体を傾けてドンを覗き込むように見上げる。
するとドンはからかわれた事に気づいたのか「お前はガキだな」って声を大
きくして僕の顔を押しやると「とっとと寝ろ」と言って腰を上げた。
「ドン、おとなしく待ってる。ドンが呼びに来るまで。」
「・・・・そうだな。お前は俺に心配かけないようにしてろ。」
部屋を出て行くドンが振り返ることをほんの少しだけ期待したけど、実際に
はいつもの素っ気なさで、平凡な幕切れだった。
静寂が訪れた部屋の中で、僕は自分の鼓動に耳を澄ませながら、僕を落ち込
ませることが出来るのも、心臓を締めつけるような幸福をもたらすことが出
来るのも、ドンただ一人だけなんだ、と潤んだ心で考えた。


228numb*3rs兄弟話おしまい:2007/03/09(金) 22:13:30 ID:MX/U74mw0
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
「兄貴に認められる為なら何でもする弟だ」って親父にあそこまで心配され
るなんて、どんだけワンコだ弟よ。
お付き合いありがとうございました。
229風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 22:23:57 ID:MkggA9Gm0
>228姐さんありがとう!!
リアルタイムでの投稿を見られて幸せだよ、
本当に嬉しい。
特に9話は萌えの宝庫だし、7話と併せて
いろんな話が読みたい者としてGJと言わせて。
また投稿お願いしたい。
230風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 23:12:36 ID:WEnGS7+SO
>216
じゃれ合う双子カワユス(*´д`)
弟タンセツナス(*´Д`)
元ネタ予想もつかんけどマイ萌え双子で脳内再生して
おいしくいただきますた!
231吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:24:53 ID:nIYjdqrM0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  オリジナル バルド×クラウス
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  残虐シーン、血が苦手な方はスルーお願いします
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
232吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:25:43 ID:nIYjdqrM0
喉が渇く。
体にこびりつき、ローブに染み込んだ血の匂いに刺激され、
身体が血への渇望に支配される。
ノウエルの街で浴びた血ーーー。
喉が、渇く。
自分の手首を噛んでみる。
赤い、紅い、血が蝋燭の柔らかな明かりに艶を濃くして
白い肌を滑る。滑る。滑る。
血潮に染まった手首に真紅の唇をあてる。
ああ、やはり駄目なのだ。
人の、ひとの、ヒトの血でなければーーー。
ノドガ、カワク。
手首の傷口が癒えていく中、突然、目の前に「風」が現れた。
やがて、人影に変わり、長身の男に変わった。
凄絶な煌めきを伴った、麗しい黄金色。
何かを思い出しそうになったが、それとは別の
主の言いつけがあったことを思い出す。
きっと、この人のことだろう。
金色の青年がここへ来たら‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥ああ、そうだ。そうだった。

クラウスは腕を掲げた。

廃墟の村にある一際大きな屋敷がバルディンの住処だった。
村の家々は崩れた煉瓦をさらし、瓦礫となって、朽ち果てていたが、
その屋敷だけは、夜目にも美しい外観を維持している。
その地下室。鉄扉を開ける事なく、中に入り込んだバルドは、
部屋の中央、祭壇のような台に腰掛けている少年を見て息を呑んだ。
233吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:27:02 ID:nIYjdqrM0
蝋燭の明かりに浮かびあがるのは、べっとりと赤い飛沫がこびりついた、
どこか艶だけが増した白い顔。
黒のローブを纏い、猛烈な血の香りを漂わせて、
こちらを見る少年は、あれから3年以上も経つというのに、
記憶にある姿とそう変わらず、成長を止めてしまっていた。
いや、もうわかっている。
何より、クラウスから感じる気配は自分と同じものだ。
漂う甘ったるい血の香りが、バルドの本能を刺激する。
胸を貫く衝撃と、欲求を振り払うように、
一度瞳を閉じたバルドが真直ぐにクラウスを見た。
「クラ‥」
名を呼ぶのを遮るように、虚ろな目をしたクラウスが右腕を持ち上げた。
ローブから覗く指の爪は鋭く伸び、仄かな明かりに光沢を帯びている。
その爪がクラウス自身の胸元に向けて、一気に走った。
寸前でバルドが腕を掴み取る。
クラウスが不思議そうにバルドを見上げる。
交差する瞳。
フッと息を吐きクラウスが破顔した。
紅に汚れた口唇がゆっくりと濃艶に動く。
「バ‥‥ル‥」
自分の名を呼ぶと思われた唇は、しかし、別の名を呼んだ。
「‥ディ‥ン」
その刹那、バルドが、掴んでいた手を強引に引っ張った。
クラウスの心臓への襲撃を外した閃光が、その脇腹をかすめて抉る。
血を撒き散らし崩れるクラウスを、片手で受け止め、
眼光を鋭くしたバルドが、前を見据える。
バルドの視線の先、指爪を赤く濡らしたバルディンが、
青い瞳をぎらつかせ、石の台に腰掛けていた。
234吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:28:16 ID:nIYjdqrM0
バルドの片腕で、仰向けに撓垂れるクラウスが
かすれた苦鳴をあげ、口元から血を滴らせる。
脇腹の傷が再生していくが、深手な為、その治りは遅い。
金色の瞳の奥に、燦然たる紅が灯る。
瞬間的に放出された凄まじい気迫の奔流が、空間を疾走し、
ビリビリと地下室を振動させた。蝋燭の火が大きく揺れて消える。
ほどなくして、三人の髪を煽る疾風が止んだ。
気迫の激流にも顔色一つ変えずにいたバルディンが薄笑いを浮かべる。
「バルドの前で自害して終わり、だったんだけど、失敗か。
 ‥‥‥だけど事実は変わらない。こいつに受け止められるかな?」
クラウスを吸血鬼にし、街を襲わせ、幾度も犯してやった。
全てバルドの為とクスクス笑い、爪の血を舌で拭う。
「終わらせてあげようよ」
バルディンが腕を軽く横に払うと同時に、バルドが片腕を前に突き出した。
瞬時に形成された不可視の障壁に、クラウスに向かって放たれた
一条の閃光が弾け、四散し、消失する。
「フン」と鼻先で嗤ったバルディンが、一瞬の隙も見せず、
敏捷に、バルドの懐に入り込む。
そのままの勢いで、低い体勢を維持しつつ、爪を横に一閃させる。
咄嗟にクラウスを抱えて後ろに跳躍したバルドの胸元が裂けた。
235吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:30:08 ID:nIYjdqrM0
「バルドっ!」
空間に「風」が生じて、マーティスが現れた。
追撃の閃光をマーティスの築いた障壁が弾く。
「邪魔するなっ、マーティス!」
「ふざけるな、バルディンっ!!」
バルディンの怒号を返したマーティスが、錆びた鉄の匂いの激しさに呻く。
鼻を手のひらで覆い駆け寄ったマーティスに、クラウスを預け、バルドが前を見据える。
視線を受け止めたバルディンの表情が、ふいに苦悶に満ちた。
「‥なんで‥‥‥なんでそいつなのさ!」
「「俺」にとって掛け替えのない存在はクラウスだ」
感情が見えない、いつもの平坦な声だが、一人称を変えて言い切ったバルドに、
さらに顔を歪ませたバルディンが鋭利な爪の先端を掲げた。

痛い。
脇腹の傷口はまだ完全に塞がっていない。
さらに、脳裏に響く音の波がクラウスを翻弄していた。
『クラウス』
‥‥‥‥‥‥‥‥何かが、胸に充溢していく。
自分を抱く赤髪の青年が「バルド」と叫んだ。
頭痛が走り、心臓が跳ね上がる。
何かを思い出さなくてはならない。『ハヤク』
あの、声を‥‥‥『オモイダセ』
あの金色の青年は‥『タイセツナ‥』
ーーー大切な‥‥‥『・・・』
虚ろだった瞳が、急速に生気を帯びていく。
クラウスはマーティスの手を振切り駆け出した。
236吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:31:29 ID:nIYjdqrM0
「バルドっ!‥‥‥あっ、オイっ!!」
駆け出すクラウスにマーティスが狼狽した声を上げた。
祭壇の台上で、バルドにのしかかったバルディンが、構えた指爪を振り下ろす。
横に反らして躱そうとしたバルドの首筋を鋭い先端が掠める。
噴き出す鮮血に染まり、それでも鋭く細めた瞳で見上げてくるバルドに、
バルディンが青瞳を爛々と輝かせ、発狂したように嗤い、声を張りあげた。
「もう、いいよっ!おまえなんか要らないっ!バルドっ!!」
首を刎ねんと再び腕を振りかざしたバルディンが、
ヒュッと短い悲鳴を上げて唐突に硬直した。
一刹那の静寂。
バルドが、マーティスが、その双眸を見開いた。
バルディンが、のろのろと衝撃が貫いた胸元を瞠視する。
心臓を貫通した爪が胸元から生え、赤い血が滴り落ちていた。
ゆっくりと肩越しに振り返る。
揺れ動く青瞳が、腕を突き出しているクラウスを映した。
クラウスが爪を引き抜くと、その傷口から流れ出る血が、
銀砂に変化してサラサラと零れていく。
「き‥‥‥さまあああぁぁっ」
地下室を切り裂く、獣のような咆哮をあげ、バルディンが標的を変えた。
身体を砂に変えながらも、振り向き様に腕を振り払い、光の刃を放つ。
瞬間、もう一条の閃光が闇を劈いた。
胸元を裂かれたクラウスがゆらりと傾くと同時に、
バルドの横薙ぎの爪に刎ねられたバルディンの胴が、崩れ落ちる。
駆け寄りクラウスを抱き起こすバルドを、瞳に映したのを最後、
バルディンの身体の全てが銀砂となり、崩れ、やがて、その砂も消散した。
237吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:32:31 ID:nIYjdqrM0
「クラウスっ」
片膝をついたバルドの腕の中で、蒼白な顔を、身体を、
真っ赤に染めたクラウスが浅い呼吸を繰り返している。
バルディンが斃れた事により、血の呪縛から解き放たれ、再び時を刻み始めた身体。
だが、再生能力が失われた今、流れ続ける鮮血が絶望の道へと導いている。
「バルドっ」
同胞の死に様を目の当たりにして、息を詰めていたマーティスが、
血塗れの少年を見て、気付いたようにバルドを急かした。
バルドにもわかっていた。
この状態のクラウスの命をつなぐ方法は一つ。
もう一度、吸血鬼にする事だ。
だが‥‥‥。
迷うバルドの耳にかすかな細い声が届く。
「バ‥ルド‥」
ハッとしたようにバルドがクラウスを見る。
痛みは疾うに過ぎ、異常な寒さに震えるクラウスの
赤く濡れた手が、バルドを探している。
虚空を見つめるその目はもう見えていないと、悟ったバルドの顔が歪んだ。
血の気を失った冷たい手をバルドが強く握る。
「クラウス、ここにいる」
クラウスが指に僅かな力を込めて握り返す。
「‥‥お、俺‥‥‥た‥くさん、人を‥こ、殺した‥」
息を乱し、切なげな声が告白する。
「‥‥‥それが‥「俺達」だ」
苦痛を堪えるように瞼を伏せたバルドが、ぐったりとした体を抱き寄せた。
238吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:33:40 ID:nIYjdqrM0
バルドの肩先、頬を預けたクラウスの耳が、苦渋に満ちた声を捉える。
「すまない」
「なんで、バル、ドが謝るんだ‥よ‥‥
 ‥‥ず‥‥ずっと、会いた‥‥かっ、たんだ‥っ」
喘鳴を繰り返すクラウスが咳き込み、血を吐く。
胸元から止まる事なく滴る血が、バルドの体をも伝って、
床の血溜まりを広げていく。
死の影はすぐ背後に迫っていた。
「バルド!」と、マーティスが焦れた声を荒げる。
「俺、あ、あんた‥が、好、きだ‥‥‥本当、に、好‥きな‥んだ‥」
クラウスが震える唇を必死に動かし、これが最後と、心急くままに想いを告げる。
吐息のようなか細い声がつむぐ想いの熱さに、胸を締め付けられる。
「知っているっ!」
唇を噛み締めて、堪えきれないように叫んだバルドが
少年を抱きしめる腕に力を込める。
失いたくないっ!
捕われているのはクラウスだけではないのだ。
彼に絡み付いた糸は確かにバルドにも巻き付いている。
『受け止められるか』
わかっている。傷つき心を痛めるのはクラウスだ。
だが、それでも、クラウス、おまえに‥‥‥

「そばにいてほしい」
239吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:34:49 ID:nIYjdqrM0
遣る瀬ない気持ちを金の瞳に滲ませて、静かに絞り出された声。
クラウスの瞳がゆっくりと見開く。
胸を衝く沸き上がる激情に、目頭熱く、身を震わせた。
揺れ動く瞳が大きく歪み、溢れた熱い雫が頬を伝う。
こびり付いた赤を、一筋の涙が押流していく。
バルドの意図を汲んだクラウスがその瞳をそっと閉じる。
壊れる程強く抱きしめる腕に応えるように、麻痺した指を無理矢理動かし、
バルドの背を持てる力の限りに掴む。
「バ‥ルド」
肩先に顔を埋めたクラウスが、小さくささやいた。

「『連れて、行って』」

少年を掻き抱く腕の力が強まった。

『感情のままに突っ張れたら‥』
マーティスは洞窟での思考を再開しようとして‥‥‥やめた。
もう、答えは出たのだから。
きっと新しく目覚めた彼は、現実と向き合い、傷つき、
胸を痛めては苦悶するのだろう。
必ず側にいるであろう、この金色の友人と共に‥‥‥
辛苦を共にする二人、それ以上の悦楽がある事を望んで止まない。
フゥとため息をついたマーティスは、血の匂いに刺激されたのか、
喉が渇いている事に気付いた。

結局、俺達は最後まで「吸血鬼」でしかない。
240吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:35:44 ID:nIYjdqrM0
空に浮かぶ真円が、夜の静けさに包まれたチェスティアの村を照らしている。
月光を頼りにヴィリーは田舎道を急いでいた。
その片手には、祝いの品をたくさん詰めたバッグが握られている。
村を出た彼の元に、先週届いた、双子の妹の一人が結婚するという吉報。
仄かに蒼く浮かぶ村は自分が出た時のままで、懐かしいぬくもりに心満たされる。
ーーーサワっと風が吹いた。
夜空にひらひらと何かが舞っている。
蒼く、黒く、月光に濃淡を変えながら、
ゆるやかに舞い降るそれを手に取ってヴィリーは首を傾げた。
「‥花弁‥‥‥薔薇?」
『空から花が降ってくるって』
ふと、昔、妹達が語った物語を思い出した。
それと同時に、苦い記憶も蘇る。それは、予感だったのかもしれない。
花弁を放し、視線を上げて、‥そのままヴィリーは目を見開いた。
小道の脇、葉を茂らせた大木の枝の端に、花束を抱えた少年が座っていた。
動けないヴィリーに気付く事なく、「記憶の中の彼」に良く似た少年は、空を見上げている。
少年の前に「風」が生じた。
夢か、幻か。ヴィリーの瞳がありえない光景を映し出す。
蒼い月光を弾いて、煌めく黄金色の髪を軽く踊らせながら青年が現れ、そして‥
ーーーーーー少年を、呼んだ。
その見知った名前にヴィリーは驚愕する。
青年が再び風となり夜空に溶けるのを、追いかけるように少年が立ち上がった。
「クラウスっ!!」
叫ぶ声に少年がこちらを向き‥‥‥目が、合った。
両腕に抱えられた花束から、ヒラヒラと零れた花弁が舞う。
輪郭を蒼く照らされた少年が、フワリと微笑んだ。
風が鳴る。
舞い上がる花弁。
少年が、風となる。
小道の真ん中で一人立ち尽くすヴィリーを、風が優しく撫で、村を吹き抜けていった。
241吸血鬼バルド7:2007/03/09(金) 23:37:14 ID:nIYjdqrM0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 完結 おつきあい下さった方ありがとうございました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
242風と木の名無しさん:2007/03/09(金) 23:47:01 ID:k4iTpJgh0
>228
GJ!GJ!弟報われてよかったねえ
やっぱりこの兄弟はかあいい〜萌えました
243風と木の名無しさん:2007/03/10(土) 08:58:45 ID:2SLUbbVTO
>>241

移動前から拝読させて頂いておりました。
完結おめでとうございます!
244風と木の名無しさん:2007/03/10(土) 09:15:01 ID:3DqaFohu0
>>241
どう転ぶのかハラハラしちゃって、先に結末を見るために
スクロールしそうになるのをこらえながら読んだよ。
1作目の静かで悲しいハッピーエンドも良かったけど、
今回のソーゼツで苦しいハッピーエンドもすごくいい!
245風と木の名無しさん:2007/03/10(土) 09:25:48 ID:KjsfnPYo0
>>241
乙!
感動したGJ!!。・゚・(ノД`)・゚・。
246風と木の名無しさん:2007/03/10(土) 21:22:21 ID:2gaMVJI/0
数字兄弟やおい投下させてください。唐突ですが今回弟×兄です。お兄ちゃん受け

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   単純にひたすらエロだってよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  弟×兄なので注意!
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

海外ドラマスレ見てて、一度やってみたかった兄受けを書いてみた
お兄ちゃんのむっちりボデーが大好きなんだ…                
247numb*3rs 弟×兄 その1:2007/03/10(土) 21:23:15 ID:2gaMVJI/0
 「そういえばさぁー」
 ドンのアパートのソファで、4本目のバドワイザーを傾けながら、チャーリーがしなだれか
かって囁いてきた。その重みにドンは顔を顰め、すっかり酔っ払った弟を見た。――明らかに
こいつは飲みすぎだ。
 「何だ?」
 アルコールのせいで頬を紅潮させたチャーリーは、Tシャツに覆われたドンの胸板を手のひ
らで擦り、くすくす笑ってみせた。酔っ払い特有の、意味のない笑いにドンはまた顔を顰める。
チャーリーはそんな反応にも気づかずに、手のひらをシャツの下に滑り込ませ、ドンの乳首を
探った。弄ぶように二本の指が乳首をつまみ、擦り上げてみせる。唐突な動作にドンは内心驚
きつつ、反応しないようにと唇を引き結んだ。
 「ドンの身体、いいよねぇー。僕ねー、好きだなー。ドンの身体すきー」
 甘えた、舌足らずな口調で囁くと、チャーリーはドンの首筋にキスを繰り返した。酒臭い吐
息が鼻先を掠める。ドンはさりげなく弟の手首を掴み、手のひらをシャツの外に引っ張り出し
ながら、ゆっくりと言った。「おい、チャーリー、もう寝ろよ」
 ソファの背もたれに弟の肩を押し付け、できるだけ身を離し、ブラウン管の中の野球試合に
目を向ける。するとチャーリーはむくれてみせた。「まだ眠くないよー。ていうか眠るために
ここに来たわけじゃないよーだぁ」
 なんだってそう毎回語尾がのびるんだ。そう思いつつドンはチャーリーの手からバドワイザ
ーの瓶を取り上げた。何するのさ、という抗議の声が耳元で上がる。
 「お前、飲みすぎだぞ」
 普段チャーリーはあまり酒を飲まない。数学者としての頭脳を守るためなのか、単に好きで
はないからなのか知らないが、とにかく滅多には飲まない。今日も飲ませなきゃよかった、と
ドンは思い、軽い気持ちで弟に酒を勧めた自分のうかつさを呪った。
248numb*3rs 弟×兄 その2:2007/03/10(土) 21:24:15 ID:2gaMVJI/0
 そういえば以前もこいつは酒に酔っ払って、面倒なことになったんだった。
 どうして忘れてたんだか。ドンは思い出していた。チャーリーが18だか19だかのときに、ド
ンは久々に帰省した実家で弟に会って、そういえばこいつも大人なったなんて思いながら、酒
を勧めた。いくら変わり者の天才児だって、18にもなれば酒くらい飲んだことがあるだろうと
いう軽い気持ちで。
 結果は大間違いで、チャーリーは生まれて初めて飲んだビールとウォッカとジンにめちゃく
ちゃに酔っ払って、数時間後に何度も吐いた。友人の家に夕食に招かれていた両親が戻ってき
て、事態を把握すると、ドンをひどく叱り付けたのは言うまでもない。何で酒を飲むのは初め
てだって言わなかったんだ、途中までは物慣れた態度でグラスを傾けていた弟に、バスルーム
で介抱しながらドンがぼやくと、青ざめた顔にタオルを押し付けながらチャーリーは言った。
だって嬉しかったんだ。ドンと同い年の友達みたいに酒が飲めるなんて。飲んだことないって
言ったら、ドンはじゃあやっぱりやめにしようって思うだろ?
 どうやらそのときからチャーリーのアルコールへの耐性はほとんど変わっていないらしい。
バドだけでこんなふうに酔っ払えるなんて。ドンはテーブルに並んだ空瓶を見ながら思い、も
う今夜はこれ以上飲ませまいと決心を新たにした。また一晩中バスルームで弟の背中をさすっ
て過ごすのはごめんだ。
 「水飲んでもう寝ろ。……ベッドへ行け」
 手を振って命じると、チャーリーはまたくすくす笑って、ドンの腕を取って立ち上がった。
「うん。ベッド行こ。ベッド」
 「おい、今日は抱かないぞ」
 酔っ払いなんて抱けるか。そう言いながらドンは弟の手に任せて、寝室へ向かった。チャー
リーはまだ笑っている。乱暴な動作で寝室のドアを開け、片手で同じように乱暴に閉めると、
ドンをベッドに突き飛ばすようにして、押し倒してきた。
 「チャーリー」
 強引に覆いかぶさってきた弟に、目を白黒させながらも、そのくせふらついている身体を腕
で支えて、ドンは名前を呼んだ。嗜めるような気持ちだったのが、チャーリーにはまったく伝
わらず軽いキスを返される。
249Numb3*rs 弟×兄 その3:2007/03/10(土) 21:25:52 ID:2gaMVJI/0
 「話戻すけどー、僕さー、ドンの身体好きだよ」
 大好き。ドンのシャツをめくり上げ、胸元に手を這わせてチャーリーは上機嫌に呟く。ドン
はくるりと目を回してから、肩をすくめた。「そりゃどうも」
 正直に言えばそんなことは言われなくても知っている。チャーリーは何かとドンの身体に飛
びついて、筋肉に覆われた胸やら腰やらに触ってくるし、はっきり言って欲望の表現は露骨だ。
いまさら言われてもそんなにありがたいことでもない。
 チャーリーはそんなドンの内心にも構わずに、胸や腹を撫で回し、微笑んでじっと見下ろし
てくる。落ち着かない気持ちになって、ドンは身体を捩った。「チャーリー」
 「今まで恥ずかしくて言わなかったけどー、僕、ドンが銃を持ってるときとかー、特に!特
に格好いいと思う!んーー、すっごくホット!なんていうんだっけ?ケロッグ?持ってるとき」
 「グロックだろ!」
 思わず突っ込むと、チャーリーはにっこり笑って額にキスを落とした。「そうそう、グレッ
グね。何か人の名前みたいな」
 「……もう寝ろよ」
 とりあえず覆いかぶさっている弟の身体を押しのけようと腕を伸ばすと、チャーリーはそれ
を手で制してみせた。ドンは思わず眉を寄せた。――こいつは何をしようとしてるんだ?
 「本当にドンの身体好き……。すっごく好き。ねえ、だから、たまにはいいよね?」
 「何が?チャーリー、何言ってるんだ?」
 掴まれた手首を見ながら、妙に嫌な予感がしてドンが問うと、チャーリーは唇を舌先で舐め
てから、耳元で囁いてきた。「させて」
 「……何を?」
 チャーリーは空いた片手の指先を、毛に覆われたドンの胸板の上で躍らせていたが、それを
聞くと声を上げて笑った。「ドン、言わせたいの?」
 「……というか本気でわからない」
 胸毛をもてあそぶ指先を見ながら、困惑して言うと、チャーリーは笑みを広げた。「かわい
い」
250numb3*rs 弟×兄 その4:2007/03/10(土) 21:27:26 ID:2gaMVJI/0
 おいおい。よしてくれ。5歳も年下の、しかも精神年齢はティーンエイジャー並の弟に言わ
れて、ドンは背筋がもぞもぞするのを感じた。チャーリーはそんなドンを見下ろしながら、指
先を胸板から腹へ、さらに下へと滑らせていく。
 ジーンズの上からペニスを撫でられ、ドンは弟をぼんやりと見つめた。真上にある焦げ茶の
瞳は、潤んでいる。
 「……ドンを抱きたいな」
 チャーリーは小さな声で呟いた。まるでマイアミに遊びに行きたいな、とか、ドンのアパー
トに泊まりに行きたいな、というのと同じかわいらしさで。ドンはそれを聞いて自分の顔が引
きつるのを感じた。薄々は察知していたが、実際言われて見るとやはり動揺する。
 「チャーリー」
 「誤解しないで。抱かれるのも好きなんだ。ドンはいつもすごいし、――本当だよ。いつも
ドンはグレイトで、興奮するし、幸せだし、抱かれるたびにもっともっとドンのこと好きにな
って困るくらいだけど、でもたまには交代したっていいじゃない?だって、だって僕たち男同
士なんだし」
 さっきまでろれつも怪しかったはずなのに、いきなり早口でチャーリーはまくし立てる。ド
ンは視線を泳がせ、掴まれていた手を振り解いた。「チャーリー」
 「僕だって男だよ。好きな人を抱いてみたい。いつもは抱かれることに満足してるけど、で
も、たまにはなんていうか、ドンを僕の――そう、僕のものだって実感して、ほかの誰もした
ことないことをしてみたいんだ。それって不自然じゃないだろ?普通、そう普通だよ。だって」
 「チャーリー、俺はお前のものだよ。だけど」
 「だったらいいでしょ?ね、お願い。させて」
 チャーリーはじれったげに言い、じっと睨むように見つめてきた。ドンは言葉に迷い、口ご
もった。――やはり酒を飲ませたのが悪かったんだろうか?
 「チャーリー、お前は酔っ払ってる」
 ゆっくりと言うと、チャーリーはナンセンスと呟いて顔を顰めた。「抱けないほどじゃない
よ。ねえ、嫌?」
251numb*3rs 弟×兄 その5:2007/03/10(土) 21:28:45 ID:2gaMVJI/0
 ドンはまた答えに困った。嫌なわけではない。チャーリーは大事な弟で恋人で、タブー意識
やら周囲の人間に嘘をつき続ける罪悪感やらを考慮に入れても、どうしても側にいたい相手だ。
嫌なわけではない。嫌なわけがない。――でも嫌だ。
 嫌だ。ドンはちょっと「それ」を想像して、首筋に冷たいものが走り抜けるのを感じた。5
歳も年下の、かわいい弟に抱かれるのは嫌だ。というか男に抱かれるの自体嫌だ。尻の穴に何
かを入れられるのも嫌だ。チャーリーが自分の尻の穴に挿入して、好き勝手に腰を振るのも嫌
だ。尻に指を入れられて感じたりするのも嫌だ。とても楽しめるとは思えない。
 けれども目の前のチャーリーにさんざんそういうことをしてきたのも事実なので、流石にそ
れを言うのも憚られた。そんなの自分勝手すぎる。――だけど嫌だ!
 どうこの場を切り抜けようかと、冷や汗を掻きながら考えていると、チャーリーが心配そう
に瞳を覗き込んできた。「ドン?……怖いの?」
 その言葉に思わずかっとなってドンは言い返した。「怖くなんかないさ!」
 チャーリーはそれを聞いてむっとしたように唇を引き結んだ。「じゃあ何で黙ったの?」
 「……お前は酔っ払ってるんだよ」
 身を捩って組み敷かれている状況から逃げようとすると、チャーリーは膝でドンの太ももを
押さえてきた。「ねえねえねえ、まさか怖いわけ?」
 「怖くなんかない」
 枕を自分と弟の間に挟もうと腕を伸ばしながら、ドンは必死で言葉を重ねた。チャーリーは
理論の矛盾を発見したときのように眉を上げてみせる。
 「怖いんだ?いつも僕に同じことしてるのに?されるのは怖いの?FBI捜査官にも怖いもの
あるんだ?毎日銃を腰に下げて怖いものなんてなさそうな顔してるくせに、結局怖いんだ?」
 「そんなこと言ってないだろ」
 枕を弟と自分の間に滑り込ませて、障壁にして繰りかえす。チャーリーはそれを引っ張って
脇へやろうとした。枕の引っ張り合いが続く。「じゃあ何で答えないの?怖いから、不安だか
らでしょ?」
252numb*3rs 弟×兄 その6:2007/03/10(土) 21:29:56 ID:2gaMVJI/0
 「怖いもんか。ただ考えたいんだよ」
 そんなこと突然言われてみろ。枕を喉元まで引っ張り上げて訴えると、チャーリーは面食ら
ったように肩をすくめた。「いいよ。考えて。でも答えてよ」
 「――今夜じゃなくてもいいだろ?」
 焦って言うドンの言葉を聞いて、チャーリーは吹き出した。「僕を焦らしてるの?」
 もっとしたくなってきた。ハミングするようにチャーリーは呟き、枕を抱くドンの手にキス
を落とした。「ねえ、させて。やだ。待てない。どうしても今晩したい。今抱きたい。お願い」
 「チャーリー。待ってくれ。ちょっと待てよ」
 「……それとも嫌なの?僕じゃ嫌?僕だから嫌なの?」
 顔を上げたチャーリーの顔は存外真剣なもので、ドンは不意を打たれた。怯えたような表情
だ。枕を掴むのをやめて、腕を上げて弟の巻き毛を指で梳く。
 「……ドンは僕に抱かれるのは嫌?僕は一度も、嫌だって思ったことないんだよ。同じよう
にして、ただドンを手に入れて、同じくらい気持ちよくさせてあげたいだけなのに、やっぱり
嫌?」
 張り詰めていた表情がいきなり緩んで、チャーリーの眉毛が下がる。泣きべそをかきそうな
弟の首筋を、ドンは抱き寄せた。
 間に挟まった枕に顎をのせて、チャーリーは髪を撫でられながら呟いた。「……本当に嫌だ
ったら、やめる。嫌われたくないもの」
 そう言って悲しげに目を伏せる。ドンはそんな弟を見ながら何を言うべきか考えた。慰めの
言葉など求められていない。チャーリーを悲しめているのはドン本人だ。チャーリーが求めて
いるのは謝罪でも嘘でも慰めでもない。ただ受け入れられることだ。
 「……どうしてそんな気持ちになったんだ?チャーリー、お前はいままで……」
 「何も理由なんてないよ。我慢してたわけでもない。ただ……」
 チャーリーの声が震える。それを聞いて、ドンは深く息を吐き、遮った。「嫌なわけないだ
ろ」
253numb*3rs 弟×兄 その7:2007/03/10(土) 21:31:15 ID:2gaMVJI/0
 「ドン?」
 驚いてチャーリーが顔を上げる。ドンはそんな弟の顔を見て、頷いた。「嫌だなんて思わな
いさ。――嫌じゃないよ、チャーリー」
 髪を撫でると、チャーリーは泣き笑いの表情を浮かべてみせる。ドンは思った。俺の行為へ
の抵抗感なんて問題じゃない。チャーリーが望んでいるならさせてやるべきだ。確かにこいつ
も男だ。5つ下だろうと家にこもりっきりの学者だろうと、とにかく男だ。そういう欲求を持
っても変じゃない。むしろ自然だ。だったら受け入れるべきだ。それくらいのことで愛情が伝
わるなら。
 ああ、いいさ。別にそれくらいさせてやる。相手はかわいい、大事なチャーリーだ。目を瞑
っていればすぐに終わる。多分……。痛いと言ったって撃たれるほどじゃないだろう。
 「いいよ。チャーリー、やれよ」
 悲壮な覚悟を決めて、しかしそれを表に出さないようにして微笑むと、チャーリーはほっと
した顔で頷いた。降り注ぐようなキスを受け止めながら、ドンはこれもバドワイザーのせいだ
ったのか?と絶望的な気分で考えた。


***

 「したことないよね?」
 ベッドサイドの引き出しにあった潤滑剤を手に取りながら、裸になったチャーリーは言う。
覚悟を決めたはずだったのに、ドンはそれを見てもう逃げ出したくなってきた。「あるわけな
いだろ」
 アヌスをいじらせるなんて女にもさせたことがない。ましてやそこを使ってファックされる
なんて。ドンは弟の指がクリームを掬いあげるのを見ながら思った。じゃあなんで弟にそうい
うことをしてるんだと言われれば答えに困るし、罪悪感さえ覚えるけれど、とにかく深く考え
るまでもなく、そういうことに縁がなかった。男同士のセックスだって、軽いおふざけを仕掛
けられたことくらいはあったけれど、本当にしたのはチャーリーとが初めてなくらいだ。
 「ヴァージンなんだね」
 何かを堪えたような、感動しているような声でチャーリーが呟く。おいおいおい。やめてく
れ。頭痛すら覚えながら、ドンは目を逸らして認めた。「まあそういう言い方もありかもな」
254numb*3rs 弟×兄 その8:2007/03/10(土) 21:32:58 ID:2gaMVJI/0
 「すごく嬉しい」
 チャーリーはそう言って、頬にキスをしてきた。視線を落とすと弟のそれは既に硬くなって
いる。ドンはそれを見て、下肢が熱く疼くような、それでいて恐ろしいような気持ちに襲われ
た。
 「ドン、本当にいいの?」
 ドンの頬に掠れるほどの距離の唇が、もう一度聞く。ドンはそれを聞いて天井を睨んだ。
 「いいって言ってるだろ」
 いいから気が変わらないうちに早くやってくれ。そう叫び出したいのを堪えて、ドンは重ね
られた唇を味わった。チャーリーの味だ。チャーリーの髪の匂い。自然と手が伸びて、ドンは
弟を抱きしめていた。
 「ドンにこんなことできるのは僕だけだよね?」
 ボクサーの下に手を滑り込ませながら、チャーリーが言う。ドンは腰を上げて、弟が下着を
脱がせようとするのを助けながら、少し笑った。「そりゃそうだ」
 「どうして笑うの?僕は感動してるのに」
 チャーリーが不思議そうに目をみつめてくる。ペニスを撫でる指先を見下ろし、ドンはまた
笑った。「そうだな……いや、なんていうか、ただあんまり急だから」
 弟に抱かれるなんて思ってもみなかった。5つも年下で、ドンからみれば銃もろくに持った
ことがなくて、家や大学の研究室でいつも数式を解いているような弟に。自分より背も低くて、
ときには頼りないとすら思えて、小さな時から自分が守ってきたつもりだった弟に。
 その弟にこんなことをさせるなんて。どれだけ俺はこいつに惚れてるんだ?
 そう思うと喉から笑いが零れる。チャーリーはそれを見て微かに苛立ったような顔をした。
 「そんなにおかしい?普段僕がどれだけドンに欲情してるのか知らないの?」
 ペニスに触れる指先に力をこめ、軽く捌き上げながら言う。ドンは快感に軽く呻いた。「チ
ャーリー」
 「もっと名前を呼んで」
 低い、掠れた声でチャーリーは言い、もう一度扱き上げる。先端を指で擦られて、ドンは身
を捩った。「……っ」
 「好き。すごく好き。……ドン、脚を広げて」
 
255num*b3rs 弟×兄 その9:2007/03/10(土) 21:34:17 ID:2gaMVJI/0
 「もう?」
 早く済めばいいと思っていたのに、いざ身に迫ってみると不安に襲われて問うた。チャーリ
ーはそれを聞いて、驚いたように笑った。「まだ入れないよ。ドン、慣らさなきゃ」
 ああ、そうだな。内股に置かれた弟の手の促すままに、脚を広げながらドンはぼんやりと認
めた。そんなこと俺はチャーリーに何度もしてきた。同じ手順。同じプロセスだ。自分にもさ
れるのは考えてみれば当然なのに、なんだか信じがたい。
 指先が奥まった部分の入り口に触れる。円を描くようになぞられ、ドンは顔を逸らして耐え
た。
 「……チャーリー」
 強く押し付けられた指先に思わず名前を呼ぶと、チャーリーは視線を上げて目を眇めた。「
……すごく固く閉じられてる。緊張してる?」
 「チャーリー、早くやれよ」
 こんなのは耐えられない。こんな、快感を誘うような、時間をかけたやり方は。ドンが強い
口調で命じると、チャーリーはかぶりを振った。「駄目だよ。気持ちよくさせたいんだ」
 「――いいからさっさと――」
 「ドン、大丈夫だから」
 まるで子供に言い含めるようにチャーリーは言う。ドンは目を見開いて聞き返した。「何?」
 「怖がらないで。僕はドンを傷つけるようなこと、絶対しない」
 チャーリーはそう言ってまた潤滑剤を指になじませ、ぬるついた指先をドンの最奥にまた押
し付ける。ほんの少しだが指先が内部に入ったのに気づいて、ドンは身体を強張らせた。
 「……緊張しないで。身体の力を抜いて。信じてよ。その方が絶対楽になる」
 経験上なのか、自信たっぷりにチャーリーは言う。どっちが兄なんだかわからない。ドンは
戸惑いながらも、とりあえずこの場は弟に従った方が良さそうだと結論し、息を深く吐いた。
強張りが解け、指先がさらに奥へと進んでいく。じっと歯を食いしばって耐えていると、ご褒
美だというように額にキスをされた。「そう、それでいいよ」
256numb*3rs 弟×兄 その10:2007/03/10(土) 21:35:18 ID:2gaMVJI/0
 「……っ」
 指がある部分まで進み、しかしそれがまだほとんど入ってないようなものだということくら
いはドンにもわかった。荒く呼吸をして圧迫感をやりすごすと、チャーリーはそんなドンをじ
っと見て、指の動きを止めた。――と思うと掻きまわすような動きをされて、内部を刺激され
る。
 「……っ、チャーリー!」
 思わず叫ぶと、チャーリーは息を弾ませて、笑った。「ドン。……前、濡れてる」
 混乱しながら促されるままに、視線を自分のペニスに移すと、確かに勃起した先端が濡れそ
ぼっている。一体いつこんなふうになったんだ?わけがわからなくなって、でもチャーリーの
指先が内壁を擦り上げるたびに、快感とも言えないような刺激が走り抜けることは確かで、ド
ンは腰を震わせながら声を堪えた。「……あ……あっ」
 「ドンはいつもこれくらい……ううん、もっともっと僕を気持ちよくさせてるんだよ。知ら
なかっただろ?」
 内部におさめたままの指を軽く折り曲げ、ドンの耳や首筋を舐めたり噛んだりしながら、チ
ャーリーが言う。ドンは視線を上げて弟を見た。視界が涙で潤んでぼやけていることに気づく。
なんだこれは、とドンはまた思った。チャーリーならともかく、俺が泣くなんて。セックスの
最中に、尻の穴に入れられた指一本のせいでこんなふうになるなんて。
 「もっと脚開いて。そしたらもっとよくしてあげる」
 チャーリーはそう言って、片手でドンの脚を広げ、指を入れたままで、満足げに兄を見下ろ
した。ドンは腕でまぶたを覆い、弟の視線を避けた。
 「ドン……?顔を隠さないで。ちゃんと見せて」
 チャーリーが焦れたように言い、ドンの腕を下ろそうとする。ドンは掠れた声で小さく叫ん
だ。「……お前……っ、わざとやってるだろ……っ」
 「何を?ねえ、見せてよ。気持ちよくないの?痛いの?」
 「……っ」
 ドンは唇をかんで、必死で言葉を堪えた。いいと言うのも嫌だ。そんなの癪に障る。だけど
嫌とは言いたくない。それを言ったらチャーリーが真に受ける。ドンはめまぐるしい快感の中
で言葉を探し、それから低く吐き出すように言った。「……続けろって」
257numb*3rs 弟×兄 その11:2007/03/10(土) 21:36:26 ID:2gaMVJI/0
 「……僕を嫌わない?」
 そう呟くチャーリーの声は真剣だ。どうしていつもこいつはこうなんだ?ドンは思った。た
だ弟だってだけで俺の側にいられると思ってるのに、そのくせ俺に愛されていない不安にもい
つも怯えてる。実際は俺たちは兄弟だから側にいるのが難しくて、でもそれでも側にいるほど
俺はこいつを愛してるのに。
 そんなことで俺がこいつを嫌うなら、俺がいつもこいつにしていることは何なんだ?ただの
暴力じゃないか。ドンはそう思いながら、腕をまぶたから離し、力強くチャーリーの身体を抱
き寄せた。チャーリーは驚いた顔をして、ドンを見返した。「ドン、泣いてるの?」
 「……落ち着け。これは生理的反応ってやつで、チャーリー、お前だってよく知ってるだろ。
それに、俺はお前を絶対嫌わない」
 「……気持ちよくて泣いてるの?」
 チャーリーが呟く。ドンは顔を逸らして捨て鉢に言った。「知るか…っ」
 「続けていいの?」
 恐る恐る聞かれて、ドンは頷いた。「そうしろって言ってるだろ」
 言うと同時に指先が二本に増えて、さらに奥へと進められる。ドンは背筋を弓なりにして喘
いだ。「……あっ」
 「……すっごくいやらしい。そんな厚い胸して、いつもは僕を抱く腰をそんなに揺らして」
 薄い舌先を、ドンの唇に滑り込ませながら、チャーリーは囁くように言った。「やらしい顔
して泣いてる。ドン、僕のせいで」
 指が内部のある部分を擦り上げる。ドンはまた声を上げた。自分のペニスから先走りが溢れ
るのが、見なくてもわかった。
 「死ぬほど好き。誰にも触らせたくないよ」
 チャーリーはそう言って、深いキスをしてきた。左手で乳首を弄ばれ、ドンは息を切らして
その快感に耐える。内部におさまった指先はしつこくその部分を刺激して、ドンが喘ぐたびに
チャーリーは顔を覗き込んでくる。まだ少し不安そうな目を見て、ドンは広げていた脚をチャ
ーリーの腰に絡ませた。巻き毛を指に絡め、顔を近づけさせる。「チャーリー、俺はお前のも
のだよ」
 「……ドンが僕のものだって証明させて」
 チャーリーが泣きそうな顔で言うのを聞いて、ドンはまた喉から掠れた笑いをこぼした。「
しろよ」
258numb*3rs 弟×兄 その12:2007/03/10(土) 21:38:20 ID:2gaMVJI/0
 抱きしめていた腕を緩めると、チャーリーは指を引き抜いた。その刺激でまた声がこぼれる。
チャーリーは焦ったような顔で、ドンの脚を広げ、それからペニスを押し付けてきた。ゆっく
りと押し入ってくるそれを、ドンは息を吐きながらやりすごす。
 「……きつい」
 チャーリーが半ばで腰を止め、呟く。ドンは潤んだ目で天井を睨んでいたが、視線を弟に移
し、腕を擦って促した。「いいから」
 「痛くない?」
 「……痛くないよ」
 ドンは静かに答えた。痛くないわけはない。だけどチャーリーを不安にさせたくなかった。
微かに微笑んでやると、ほっとしたような顔でチャーリーはまた腰を上げた。しばらくして、
最奥までおさまりきったのを感じて、ドンは首筋に汗を感じながらも、弟の髪を撫でてやった。
 「大丈夫?」
 何かを抑えたような目で、チャーリーが問う。ドンは頷いた。「ああ」
 「こうやって」
 チャーリーは軽く腰を揺らした。思わず掠れた声を上がる。チャーリーは囁くように言う。
「入れた後ドンはいつも僕を軽く揺さぶるんだ。すごく優しくて荒っぽくて」
 「……っ、チャーリー……」
 内部を犯していくものが与える刺激は強すぎる。ドンは身を捩り、快感に耐えようとした。
チャーリーはドンの短髪を撫でながら、呟く。「……そういうとき、僕がどれだけドンを愛し
てるって、愛されてるって、実感するか、わかる?」
 何でこんなときにこいつらぺらぺら話してるんだ。ドンは目尻に涙がたまるのを感じながら、
歯を食いしばった。「チャーリー、そんなこといいから、早く」
 「ドンはいつも僕が早くってお願いしても焦らす。意地悪いけど、大好きだよ。――兄さん」
 独白めいた声の後に、いきなり奥を突き上げられ、目の奥に火花が散った。ドンは喉を反ら
した。チャーリーが胸板に手のひらを這わせてくる。「……ドン、ああ、すごくきつい……す
ごく気持ちいい」
259numb*3rs 弟×兄 その13:2007/03/10(土) 21:39:20 ID:2gaMVJI/0
 「チャーリー、もっと動け」
 ドンは息を切らせながら命じた。チャーリーはそれを聞いて茶目っ気たっぷりに笑う。「そ
れって……命令?」
 「いいから動け……っ」
 そう言って自らも腰を振る。痛いのか気持ちいいのかもわからない。ただわかるのは、こん
なことに長時間耐えられないということだけだ。こんな、頭の奥までめちゃくちゃになるよう
な刺激には。
 「ドン、そんなに腰を振らないで。いっちゃうよ」
 焦ったように腰を押さえてチャーリーは言う。知るか。ドンは手を振りほどこうとしながら
さらに激しく腰を振った。「……っ」
 「あ……っ、も…っ、ドン、駄目。じっとして。もう駄目、もっと時間掛けて……」
 「チャーリー、こんな……っ、こんなことゆっくりできない。こんな……」
 背筋を冷やすほどの快感が走りぬけ、ドンは喉を震わせた。覆いかぶさるようにしてチャー
リーがキスをしてくる。お互いの唾液でぐちゃぐちゃになりながら、二人は舌を絡めて欲望を
追いかけた。とろけそうだ。チャーリーの手が二人の間にあるドンのそれに触れ、指先で刺激
を与えてくる。ドンは低く呻いた。何なんだこれは。
 こんなことしたいと思っていなかったのに。チャーリーがさせたいなら、そう思って付き合
ってやるだけのつもりだったのに。それなのにこんなに感じてる。内部を掻きまわしていくチ
ャーリーの熱いそれの感触すら愛しくて、もっと与えたいと思う。与えられたいとも。
 ――もっとチャーリーがほしい。
 「あ……ドン、駄目。締め付けないで。よすぎるよ、ドン……」
 チャーリーが懇願し、ドンはそんなお願いにほとんど呆れる。自分でそうしたくてやってる
わけじゃない。ただチャーリーが同じ部分を何度も突き上げるから、身体の奥から震えが走っ
て、そのたびにそこがひくつくだけなのに。そんなことチャーリーが知らないわけはないのに。
 「チャーリー、もっと奥まで来いよ。もっと……」
 腰を揺らして誘うと、奥を突き上げられる。弟にこんなことされて俺は感じてる。ドンはそ
んなことを思って、場違いにもまた一人笑った。俺は本当にこいつが好きなんだ。こんなこと
も許せるほど、こいつがかわいいんだ。
260numb*3rs 弟×兄 その14:2007/03/10(土) 21:40:33 ID:2gaMVJI/0
 胸が締め付けられ、下肢がまた熱くなる。ドンは手を伸ばして、チャーリーの頬に手のひら
を当てた。
 「……中でいけよ」
 そう命じて、耳を軽く噛むと、チャーリーは小さく声を上げた。いっそう激しく突き上げら
れた後、チャーリーが達したのを感じて、それと同時にドンも欲望を解放した。
 息が切れる。ペニスに触れていたチャーリーの手が濡れているのを見て、二人は沈黙の後笑
った。そして額を押し付けあって、愛していると囁きあった。チャーリーは入れたままで、汗
ばんで濡れた巻き毛ごと、頭をドンの肩に預けてきた。とても満足げに。


***


 「……どうしよう」
 汗ばんだ身体をベッドに横たえて、ドンの肩に甘えるように顎をのせた姿勢で、チャーリー
が呟いた。ドンはチャーリーの巻き毛を弄んでいたが、それを聞いて我に返って弟を見た。「
何だ?」
 「……どうしよう。ますます好きになった」
 チャーリーは言い、それから深刻そうに目を伏せてみせた。ドンは眉を寄せた。「何?何の
ことだ?」
 「……抱いたら少しはドンを独占したいって気持ちも和らぐかなって思ったのに、実際は逆、
そう逆なんだ」
 しょんぼりとそんなことを告白するので、ドンは吹き出した。「おい、本当にお前、今晩は
飲みすぎじゃないか?」
 チャーリーはそれを聞いて驚いたように目線を上げる。「何?ドンはまだ僕が酔っ払ってる
と思ってるの?」
 「事実酔っ払ってただろう」
 髪を引っ張ってからかうと、チャーリーはふくれてみせた。「少しだよ。第一酔っ払ってて
あんなことできる?――ドン、どうせ僕が初めて酒を飲んだときのことを考えてるんだろうけ
ど、そんなの見当違いだよ。僕だってもう大人なんだから」
261numb*3rs 弟×兄 その15:2007/03/10(土) 21:41:40 ID:2gaMVJI/0
 「――でもお前の息はまだ酒臭いし、俺にこんなことまで」
 腕を軽く広げて示唆すると、チャーリーは僅かに上体を起こして睨んできた。「お酒の勢い
でこんなことはできないよ」
 「……そうだな。俺だって」 
 認めると、チャーリーは嬉しさを堪えるような顔で頷いた。ドンはそれを見て思う。確かに
こんなこと、弾みではできない。愛してなきゃできない。
 逆に言えば、いつもこんなことを自分にさせるということは、やはりこの弟はそれだけ自分
を愛しているのだ。そんなふうに思って、なぜだかドンはほんの少しだけ、泣きたいような気
持ちになった。始めは嫌がった自分と違って、チャーリーは最初から抵抗なんてしなかった。
チャーリーはいつも怖いくらい素直に身体を預けてくる。ドンが自分を傷つけるかもしれない
なんて、考えもせずに。そのことの意味をぼんやりと考える。すると沈黙に焦れたのか、胸の
上でチャーリーがもぞもぞと身体を動かした。
 「……ねえ、どうだった?」
 ドンの胸板の上で肘をついて、ねだるようにチャーリーが問うてくる。やれやれ。ドンは思
った。どうしてこいつは何でも知りたがるんだろう。
 「……ドン、ドンは最高だったよ。本当に」
 あくまでも真剣にそんなことを言う弟に促され、ドンは観念して、弟の頭を撫でた。「お前
もすごかったよ」
 言ってほしいのであろう言葉をそのまま言ってやると、チャーリーは子供みたいにはにかん
でみせた。何度も頷き、目を潤ませて、うん、ドンだってすごかった、なんて繰り返している。
本当にこいつは子供のときと変わってないなあ、とドンはそれを見て思った。子供の頃わけの
わからない方程式を、とりあえずわかった振りして褒めてやったときと同じ反応だ。
 「本当だ。すごいテクだった。お前の得意分野は数学だけじゃないってわかった。天才だ。
ゴッド・ハンド。ジニアス」
262numb*3rs 弟×兄 その16:2007/03/10(土) 21:42:53 ID:2gaMVJI/0
 やけくそになって褒め言葉を積もらせると、チャーリーはでれでれと笑う。「やだなー、大
げさだよ。そこまでじゃない」
 「俺の反応見ただろ?お前はすごかったよ。本当だ」
 「ドンの弟だからだよー」
 わけのわからない理屈をはしゃぎながら言う天才数学者は、まんざらでもなさそうな顔で、
もう一度ドンの肩に顎をのせてみせた。ドンもそれを見て笑い、二人で目を瞑って身体を休め
る。やっぱり俺はこいつに甘い。幸せな気分でそんなことを思っていると、数十分して唐突に
チャーリーが沈黙を破った。「ドン」
 「え?」
 ふと視線を上げると、さっきまで赤らんでいたチャーリーの顔は真っ青になっている。驚い
ているドンにも構わず、チャーリーは手を口元で覆った。「……気持ち悪い」
 「……何?何だって?」
 「――なんだか、……ほっとしたら具合悪くなってきた。吐きそう。気持ち悪い」
 「おい」
 ドンは慌てて身体を起こした。「ちょっと待て。バスルームまで行けるか?」
 「駄目。駄目だ。……さっきすごく動いたし、目が回る。ドン、気持ち悪い」
 「――やっぱり酔ってたんじゃないか!」
 
263numb*3rs 弟×兄 これでおしまい:2007/03/10(土) 21:43:53 ID:2gaMVJI/0
 くそっ、呟いて行き場のない両手を泳がせる。こいつ、最低だ。ドンは思った。動いたのは
お前がファックしたがったからじゃないか。それなのに好き放題やっておいて、そのあと吐き
そうだなんて。しかも人のベッドの上で。人がまだ行為のせいで身体のふしぶしに痛みを覚え
てるって言うのに。
 子供っぽいなんてもんじゃない。ガキそのものだ。少しでも信じた俺が馬鹿だった。
 「そんなこと言ったって……自分でもわかんなくて。ただふわふわしていい気分だったから」
 チャーリーが小刻みに震えながら言い訳した。シーツを握り締めて、寒い、と呟く。19のと
きと同じ症状だ。あの悪夢のような一晩と。思わずめまいを覚えた。――歴史は繰り返す。
 「吐きそう。立てない。ドン、具合悪い。助けて」
 「チャーリー、それが酔ってるって言うんだよ!待て、ここでは吐くな!」
 「怒鳴らないで……頭ががんがんする」
 「当たり前だ!酔っ払ってるんだから!」
 ドンは悲鳴じみた声を上げ、身体の軋みも忘れて、ぐったりしている弟を急いで抱き起こし
ながら思った。もう絶対に、こいつに酒は飲ませない。どうせ痛い目に合うのは、結局いつだ
って自分なのだ。
 ――チャーリーがその後一晩中バスルームで過ごし、それを介抱したドンも同じ運命を辿っ
たことは、言うまでもない。


264風と木の名無しさん:2007/03/10(土) 21:46:39 ID:2gaMVJI/0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オメヨゴシスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

お兄ちゃんのあの身体は罪だと思う
やらなきゃ損だと思う
そんな想いをやみくもにぶつけてみた
265風と木の名無しさん:2007/03/10(土) 22:27:37 ID:vCPvL5VC0
素晴らしい・・萌え死んだ
266風と木の名無しさん:2007/03/10(土) 23:54:54 ID:9J9U817e0
>264
GJだ姐さん。数字は兄×弟派の自分だが
弟×兄もいいなと思える、そんな話を読めてうれしい。
新しい萌えに目覚めそうだよ、開眼させてくれて
どもありがとーぜひまたよろしゅう。
267風と木の名無しさん:2007/03/11(日) 00:04:38 ID:Uj4fiwQE0
>>264
無茶苦茶萌えた……
逆は無理、と思っていたんだけど、すごく良かった。
丁寧な心理描写のおかげだと思う。
ありがとさん。
268風と木の名無しさん:2007/03/11(日) 02:22:04 ID:vxaeTz7MO
>>264
私も兄×弟だったけど、萌えまくった…
ありがとう。
269風と木の名無しさん:2007/03/11(日) 06:11:50 ID:lAmmoeQI0
>>264
弟×兄でもやっぱりエロカワイイ弟に萌えたよ…
ありがとう姐さん。
270風と木の名無しさん:2007/03/11(日) 19:34:07 ID:uoz+MBHh0
>>264
姐さん!GJ!萌えた…
弟は攻めても可愛いのかっ
たまらん

271風と木の名無しさん:2007/03/11(日) 22:30:17 ID:Xs44lUIS0
>>222
GJ!PG13系のストーリーにドキッとしました。
>>264
兄のムチムチボディーはやらなきゃ本当に損で萌えました!
272風と木の名無しさん:2007/03/11(日) 22:30:28 ID:jb7/Y6+A0
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│カレーなドラマ フライング風味ですが
                └───────────────
273カレー兄弟:2007/03/11(日) 22:32:29 ID:jb7/Y6+A0
穏やかな陽射しに誘われて庭に出てみようかと思った。
昨年の病気で身体の自由が利かなくなってから
外に出ることはめっきり減ってしまっていたが杖をつきつつ歩を進める。
神戸の街と海が見渡せる場所にあるベンチに座って
久しぶりに心地よい外気に身をゆだねた。
眼下に広がる街を眺めると今も変わらず煙を吐く鉄鋼所が目にとまり、
あの日のことが苦いながらも遠い記憶でよみがえる。
この同じ場所で私はあの鉄鋼所から激しい炎が上がるのを
為すすべもなく見ていた。あの事故が一族の運命を大きく変えたのだ。
庭に目を戻すと視線の先に人影が映った。
あのあたりは先代が埋めてしまった池があった場所だ。
まぶしさに瞬きをし、もう一度見えた人影を確かめる。
その人はこちらを振り向き片手を挙げて指をさすようにしながらにっこりと微笑んだ。
「兄さん!」
思わず私は叫び、駆けよって抱きついていた。
兄も腕に力を込めて抱きかえしてくれ、そして嬉しそうに言った。
「遅いぞ、銀平。40年も待たせやがって」
その瞬間、自分が兄と同じ世界のものになったことを悟った。
「待ったのはこっちもですよ。また、ずっと一緒にいれますね」
「ああ、すまなかったな」
一瞬表情を曇らせて兄はつぶやいた。
「いいんですよ。もう何もかも終わったことです。さあ、行きましょう」
二人で目を見合わせてうなずき、肩を組んで光に向けて歩き出した。
274風と木の名無しさん:2007/03/11(日) 22:36:33 ID:jb7/Y6+A0

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧ 来週になったら設定がダメダメになるかもと
                ◇,,(∀・  ) フライングしてみた スマソ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘
275風と木の名無しさん:2007/03/11(日) 22:42:00 ID:dwquvmLC0
>>274
見終わったところなので普通に泣けた.。:・゚(ノД`)゜*:。
276風と木の名無しさん:2007/03/11(日) 22:57:02 ID:lxwadiLG0
>>274
せつないのに幸せな気分になるのは何故.。:・゚(ノД`)゜*:。
277風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 00:57:58 ID:poX4JHjbO
>>274
弟良かったね.。:・゚(ノД`)゜*:。
278風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 01:07:40 ID:/ES7Oo/nO
>>274
gj
。゜(゜´Д`゜)゜。
来週を想像してフライング泣きしてたところだったので、救われたよ
良かったね二人とも
279二氏×和紙:2007/03/12(月) 02:42:57 ID:bfNj3CSL0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  禿高 にっしー×わっしー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  にっしー鬼畜風味
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
280禿高 二氏×和紙1:2007/03/12(月) 02:44:09 ID:bfNj3CSL0
けだるい。寝返りを打つことすら面倒だ。
身体の芯には、まだ甘い火照りが残っている。それが忌々しくて、ワシヅはためいきをついた。
情事の相手はまだ飽き足らないようで、ワシヅの背中に唇を押しつけている。
身体にまわった手を振り払い、さっさとホテルを出てしまいたいと思ったが、この男を下手に刺激するとやっかいなことは、すでに知っている。
この前、情事が終わってすぐにシャワーを浴びに行ったことが、彼の気に障ったらしい。
もう一度ベッドに引きずり込まれ、その後は朝まで放してもらえなかった。
何度も貫かれ、欲望を注ぎ込まれ、数日間はひりつく痛みが消えなかった。
あんなのはもうまっぴらだ。
ニシノはワシヅの思惑に気づいていないのか、機嫌良く話しかけてきた。。
「ワシヅさんと俺、身体の相性いいと思わない?」
あえて、返事はしない。ニシノは低く笑った。
「素直じゃないなあ、ワシヅさん」
確かに否定できない。最初のときから、意識が飛ぶほど感じさせられた。
それを思うと、よけいに腹立たしい。
281禿高 二氏×和紙2:2007/03/12(月) 02:44:47 ID:bfNj3CSL0
一度だけだと請われて、ワシヅは渋々この男と一夜を過ごした。
過去に自分がしたことへの贖罪の気持ちもあった。
だが、それが間違いの元だった。その翌日、ワシヅのパソコンに画像ファイルを添付したメールが送られてきた。
それを開いて愕然とした。ニシノとの情事の一部始終が映し出されていた。
ホテルに隠しカメラを仕掛けておいたのだろう。
画像の中で、ワシヅはニシノに組み敷かれていた。
快楽に火照った赤い頬や、耐えきれずに漏らした甘い声も、しっかりとカメラは捉えていた。
「これ、シバノさんが見たら、どう思うかな?」
ニシノに電話口でそう囁かれて、目の前が真っ暗になる。
シバノにだけはこんな薄汚い自分は見られたくなかった。
もし、ニシノの要求が仕事に関することなら、こんな脅しに屈するわけにはいかない。
だが、ニシノが求めてきたのは、密会を続けることだけだった。
それくらいなら、応じてやってもいい。どうせ、そのうち飽きるだろう。
そうワシヅは判断した。
282禿高 二氏×和紙3:2007/03/12(月) 02:45:22 ID:bfNj3CSL0
「なに考えているの」
耳朶を軽く噛まれて、ワシヅは思わず身体をすくめた。
指先が、乳首に穿たれたリングを弾く。
「エロいよなあ……こんなところにピアスして。何人の男に玩具にされたの?」
それをつけるように命じたのは、本社の上司だった。
本社でのミーティングがあるたび、ワシヅの胸をはだけさせて、それを確認するから、外すこともできない。
「だけど、もう心配しなくていいよ。ワシヅさん、これからは俺が守ってあげる」
能天気にもそう囁くニシノに、ふいに激しい怒りを覚えた。
シーツをはねのけて、ワシヅは起きあがった。
「おまえも一緒だ」
「?」
「あんなビデオで脅して、関係を強要して、なにが守る、だ。おまえも、今まで俺を抱いた男と同じだ」
ニシノは一瞬、驚いたようにワシヅを見た。次の瞬間笑う。
「なに言っているのさ、ワシヅさん。一緒なんかじゃない」
強い力で腕を引かれ、ワシヅはまたベッドに倒れ込んだ。
首に手をかけられて、息を呑む。華奢な見た目から想像もできないほどニシノは力が強い。
肉体労働で金を貯めたと言っていたからそのせいだろう。
「一緒じゃないよ。ワシヅさん。俺、今までだれのことも好きになったことなんかなかった」
顎を持ち上げるようにしてワシヅの目をのぞき込んで、ニシノは笑った。
「ワシヅさん、あんただけだよ。過去も未来もだれもいない。この世であんただけだ」
初めて、恐怖を覚えた。自分はもしかしたら、とんでもない男と関わってしまったのかもしれない。
「だから、俺から逃げようなんて考えない方がいいよ」
283禿高 二氏×和紙:2007/03/12(月) 02:46:39 ID:bfNj3CSL0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 中の人の乳首ピアス萌え
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
284風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 03:13:48 ID:wnhIUUMB0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  土曜ドラマ『禿げ鷹』
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  アラソ×鷲(→柴)
 | |                | |             \            
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ トラウマネジその後。アラソに一部原作設定あり。
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
285禿げ鷹1/4:2007/03/12(月) 03:14:57 ID:wnhIUUMB0
1998年。
5年、日本で実績を出した後は本社取締役として呼び戻すと言われ、僕はマサヒコの国へ来た。
契約書も何もないそんな言葉を僕は信じていなかったけど、約束通り5年目に本国からお呼びが掛かった。
マサヒコほどではないにしても、この年齢では異例の出世だった。
けど僕は、その話を断った。
本国のボスであるクラリスは酷く立腹し、マサヒコも随分と僕にNYに戻るよう促した。

「お前は自分の人生をふいにする気か?」

マサヒコはそう言ったけど、マサヒコのいない人生なんて、僕には考えられなかったから。
報われなくても、想いが叶わなくてもいい。
ただ、マサヒコの傍にいたかった。
そんな僕の決断をマサヒコに伝えた時、マサヒコは困ったように笑いながら、

「仕方ない奴だな。」

って、僕の頭を撫でてくれた。
286禿げ鷹2/4:2007/03/12(月) 03:15:53 ID:wnhIUUMB0
あれからさらに1年が経ち、日本で、マサヒコの傍で、マサヒコと共に過ごしてもう6年になる。
マサヒコは相変わらず何かを忘れようとするみたいに一心不乱に働いて、
たまの休みも自宅で書類に目を通すだけの禁欲的な生活を送っていたから、
6年間の僕とマサヒコの想い出と言ったら、本当に片手で数えられるくらいしかない。
来日直後に手がけたバルクセールのデューデリで行った老舗旅館。
2年目にバイアウトした映画演劇の製作配給および興行会社、西宝の子会社であるシネコンで見たラブロマンス。
3年目、偶然休みが重なった僕のバースデーに、マサヒコが弾いてくれたピアノ。
丁度その頃からマサヒコは笑わなくなって、心配だった僕はマサヒコの部屋に半ば無理矢理転がり込んだんだ。
タワーマンションのペントハウスがマサヒコの自宅だったけど、一通りの物は揃ってるのに生活感はどこにもなく、
なんて言うかただ広く冷たくて、淋しい部屋だった。
それを見たらもう、マサヒコが何と言おうと自分の部屋に帰る気にはなれなくて、
歯磨きを持ち込み、パジャマを持ち込み、命の次に大事なPS2とそのソフト達を持ち込み、マサヒコの生活に侵食して行った。
一緒に住むようになってからはそれでも、ぬくもりのある部屋になったんじゃないかと思うけど、それは僕の自己満足かもしれない。
何故って、マサヒコは相変わらず笑ってはくれなかったから。
3年前、Mr,シバノに会いに行ってから、彼は一度も笑ってない。
今日も随分思いつめた顔をしていたから、マサヒコの仕事が終わるのをオフィスで待っていたのに、

「悪いが、先に帰っててくれ。」

なんて、見事に振られてしまった。
287ハケン 大×ケン:2007/03/12(月) 03:16:32 ID:qocPMDya0
雨が降っている。
この会社で、この夜景を見るのも最後なんだな。そう思って濡れた窓に手を触れた。暗い夜の中に、星のように散りばめられたビルの明かり。

ここから何度この夜景を見下ろしながら、缶コーヒー飲んだっけ。
仕事がうまくいかなくて、缶を握りつぶしたこともあった。
辞めていく同僚を引き留められなくて、泣いたこともあったな。

ふっと顔がほころんでしまう。
そのどの場面でも、ケンちゃんが横にいてくれたな。
あの子犬みたいな綺麗な目で、俺の話、いつまでも聞いてくれたっけ。

「ケンちゃん」
静かな空間にたよりない声が、一瞬広がって、消えた。
声に出すと、感情が抑えきれない。

ずっずずっ・・と鼻水を啜る。ああ、涙を拭うハンカチも持っていないのに。
ポタポタとジャケットにシミを描く涙を手でぬぐった。

「ショウジさん」
闇の中から突然聞こえてきた声に、鼻水が吹き出すほど驚く。
何が起きたか分からず、身を固くしてその暗闇に目をこらすと・・

ケンちゃんが、立っている。あぁ、そうだ、ケンちゃんの声じゃないか。
そう分かると、途端体中の力が抜けて、地べたにヘナヘナと座り込んでしまった。
288禿げ鷹3/4:2007/03/12(月) 03:17:01 ID:wnhIUUMB0
珍しく愛車のポルシェで出掛けて行ったマサヒコを心配しつつ1人部屋に帰った僕は、今もこうしてマサヒコの帰りを待ってる。
時計の針は、もう1時を回る。
ケータイを鳴らしても留守電に切り替わるばかりで、一向に出てくれない。
外は雨だ。
どこかで事故にでも遭ってるんじゃないかと、心配で胸が張り裂けそうになった頃、玄関で物音がした。
僕はソファから飛び降りて、一目散に玄関に駆けつける。

「マサヒコ?おかえり!」
「アラソ、悪い、タオル持ってきてくれ。」

そう言ったマサヒコは頭の先から足の先までびしょ濡れだった。

「どうしたの!それ。」

僕は言いながらバスルームに向かいマサヒコを包み込めるだけのサイズのタオルを持って、もう一度玄関に急ぐ。

「少し考え事をしてた…。」
「少しじゃないよ!そんなに濡れて、風邪でも引いたらどうするの。」

僕の心配を余所に、自分を大事にしようとしないマサヒコが少しだけ憎くて、マサヒコの頭をタオルで覆いいつもより乱暴にその髪を拭いた。

「マサヒコに何かあったら、僕はどうすればいいの!」

文句のひとつも言いながら、ぐしゃぐしゃとかき回すみたいにして手を動かしてると、俯いたままのマサヒコがポツリと言った。

「どうすればいい、か…。……アラソ…俺はどうしたらいいんだろうな……」

6年目にして初めて、泣き出しそうな声で弱音を吐いたマサヒコに驚いて、僕は手を止めた。
289禿げ鷹4/4:2007/03/12(月) 03:17:57 ID:wnhIUUMB0
「マサヒコ…?」
「すまない…忘れてくれ…」

どんなに辛くても、いつも気丈に振舞っていたマサヒコを見て来たから、目の前の彼がそこまで追い詰められているのかと思うとたまらなくなって、
僕は、震えるマサヒコの細いカラダを引き寄せて、胸の中に強く抱き締めた。

「アラソ、離せ、お前まで濡れる…」
「離さない。」
「アラン。」
「濡れたっていい。何があっても、僕だけはマサヒコの傍にいる。マサヒコをずっと抱き締める。」
「…」
「だから、マサヒコの信じた道を、マサヒコが正しいと思うことを貫けばいい。」
「…」
「どこまでも着いていくから。」

冷え切って真っ白になったマサヒコの手が、そっと僕の胸に伸びた。
握り締めていた手の中にあったのは小さなネジ。
マサヒコはそのネジごと、僕のシャツを握り締める。
肩に頬を乗せて縋り付いてくる彼の薄い背中を、僕は暫く撫で続けた。



「アラソ、一緒に風呂、入るか?」

やがて顔を上げてそう言ったマサヒコは、もういつものマサヒコの顔だった。





290風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 03:18:52 ID:wnhIUUMB0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ アラソのわんこ度がどんどん上がる罠。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
291ハケン ケン×大(間違えた):2007/03/12(月) 03:18:53 ID:qocPMDya0
「あ、ごめん、驚かしちゃったね?」あたふたして、ケンちゃんが腕を貸してくれる。その腕をかりて、わななく足を支えて、窓にもたれかかって座った。

ふうっと一度ため息をつき、横に座ったケンちゃんを見る。
「びびった〜!!お化けかと思った〜!!」
そう叫んでから、自分が泣いていたことを思い出して、ゴシゴシとジャケットの袖で顔を拭いた。

「あぁ〜、そんなとこで拭いちゃ駄目だよ、シミになるでしょ!」
そう言って、ハンカチで袖を拭いてくれる。
惚けた顔で見ていると、ハンカチを裏返して顔も拭いてくれた。

じっとのぞき込んでくるケンちゃんは、困ったような顔で笑っている。
そのいつも見ていた笑顔に、心底ほっとして俺も少し笑った。

「なんで、いるのよ、ケンちゃん〜!!」
「何でって、ショウジさん、きっと夜荷物取りにくると思って。ずっと仕事終わってからも、待ってたんだ。ここで。」

ずっと?もう12時近いのに。半ば呆れて、笑う。
「ありがとね、ケンちゃん。」
最後に会うのが、ケンちゃんで、ほんと、嬉しい。
292風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 03:20:16 ID:wnhIUUMB0
>>279
姐さんGJー!
にしわしも堪らんYO。(*´Д`)ムハァ
293ハケン ケン×大(間違えた):2007/03/12(月) 03:20:23 ID:qocPMDya0
そう言おうと、顔を上げた時、突然唇を奪われた。
目の前で、もの凄い近くで、ケンちゃんのまつげが震えている。
「〜〜〜〜!!」

目を白黒させて放心している俺に、ケンちゃんは深く唇をむさぼってくる。
間近で見るケンちゃんの顔が、すごく・・何というか・・
色っぽい。

体を支えきれず、窓に倒れかかってしまう。背中にヒヤリと冷たい感触。
「・・・ぅぁ・・・」
俺の喘ぎにも似た声に、ケンちゃんが唇を離す。
はぁ・・・っと深く息を吸い込んで、ケンちゃんの顔を見た。

初めて見る顔だった。高揚した、顔。濡れた目で俺を見つめている。

「・・キス、だよ・・ね・・」
途切れ途切れに、我ながら馬鹿な質問をしてしまう。
294ハケン ケン×大(間違えた):2007/03/12(月) 03:21:56 ID:qocPMDya0
「キスだよ?」ケンちゃんはそう言って、軽く俺にキスをした。

「なんで・・?」いつのまにか、窓側に押し倒されるような体制になっていて、ケンちゃんの顔が真上にある。

下から見ても、いい男だな。
よく分からない事を考えていたら、今度は左目のまぶたにキスしてくる。

「好きだから。ショウジさんが、好きなんだ。」
チュッチュッと右目、鼻、頬と次々に、キスしてくる。

「・・男児なんだけど・・・?」声が裏返った。ほんと何言ってんだ、俺!!

「関係ないよ、そんなの。ショウジさんって人が好きなんだ。」
そう言って、今度は首筋にその唇を這わしてきた。
295ハケン ケン×大(間違えた):2007/03/12(月) 03:22:47 ID:qocPMDya0
こ、いつ、淡泊そうなのに、案外、えろい・・・
ゾクッと背中を駆け上がってくる感覚に、身を固くした。

「ねえ、ショウジさんは、俺のこと、好き?」
そう言いながら、器用に俺のネクタイをはずし、シャツのボタンをはずしている。何してるの、この人・・・。

「・・好きかって言われたら、そりゃ好きだけども・・」
でも、それは、友達としてってことで、恋愛とは、違うような・・・

そんな事を考えていると、シャツの下に着ていたTシャツをまくし上げられて
いつの間にか、上半身がケンちゃんの前にさらされている。

「じゃあ、してもいいよね。」
外気にさらされて、鳥肌が立っている胸に、ケンちゃんがその唇を這わす。

「・・・びゃっ!!」驚きのあまり、変な悲鳴が!!
296ハケン ケン×大(間違えた):2007/03/12(月) 03:23:45 ID:qocPMDya0
胸の上で、ケンちゃんがクスクス笑っている。あぁ、今顔、リンゴだ。

「可愛いんだよな、ショウジさんは。」
そう言って、胸の敏感な場所にキスされて、また変な声を上げた。

「駄目だよ、ショウジさん、まだ人いるかもしれないのに。」
「・・ぅあっ・・・・!!」
きゅうっと吸われて、体が熱くなる。

「・・・やめよぅ・・ケンちゃ・・・」息も絶え絶えに懇願する。
こんなとこ、誰かに見られたら、どうするんだ〜!!

「駄目。やめない。」ケンちゃんの冷静な声に、俺の消えそうな声はうち消された。
297ハケン ケン×大(間違えた):2007/03/12(月) 03:25:32 ID:qocPMDya0
すすみません!!割り込んでしまった!!
まだ、続きますが、また後日。
ほんと、すみませんでしたっ!!
298風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 03:37:01 ID:EKqLbacI0
寝る前に覗いたらまたも豊作、作者さんズ、ありがとん。
>>283
にしわしgj!鬼畜なにしにクラクラしますた。
>>290
せつないワシに身もだえするほど萌えw
わんこアラソのワシへの愛に和んだり切なくなったり。

>>297
後日待ってるよーん。
299風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 03:40:47 ID:Ynu4ECmT0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  電波気味天然攻め×包容力広大受け
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  モデルはいたらしいけど
 | |                | |             \ ほぼオリジナルだよ
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ゲンケイナサスギ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3001/2:2007/03/12(月) 03:41:19 ID:Ynu4ECmT0
友人から「大事なネジが二、三本抜けてる」と評されたことがある俺だけれど、
面倒を見てくれるひとがいるおかげで、とても幸せな生活を送れている。
昔から近くに住んでいて、兄のような存在のそのひとは、俺とは逆で、何でも
できる。そして、とてもとても綺麗な声の持ち主である。
そろそろ夕飯だと声をかけに来てくれた彼に、前から思っていたことを告げる。

「本当に綺麗ですよね、声」
「そうかぁ? つーか、いきなりだなあ」
「取り替えてほしいくらいです」
「……それは、難しいんじゃないか?」
「うーん、と。ひとつ、頼んでもいいですか」
「なに?」
「歌ってください」
「? まあ、いいけど…」

首をひとつかしげて、彼は歌い始めた。ああやっぱり、なんて素敵なんだろう。
でも聞き惚れていてはだめなんだ。さっそく、思いついた計画を実行する。
彼が俺より背が低くてよかった。そうっと、近づいて――。

「……っ!?」
「………あ、あ〜あ〜……やっぱりだめか」
「ど、どうした、急に」
「いや、声が」
「声が?」
「食べられるんじゃないかと思って」
「……は」
3012/2:2007/03/12(月) 03:41:51 ID:Ynu4ECmT0
唇を押さえていた彼は一瞬絶句して、次に爆笑した。俺としては笑われるのは
心外だったけれど、笑い声もやっぱり綺麗な音なので、抗議はしないでおく。

「お前の行動って、ほんっと読めない」
「そうですか?」
「声、食べようとするとはな」
「だって、欲しいんですよ、声」
「でも、お前が俺の声取っちゃったら一緒に歌えなくなるよ」
「……それは、困りますけど。じゃあ取替えっこ…」
「そしたら、俺の声でお前の名前を呼べなくなるね」
「え、やだ」

だって、一番好きなのは彼が俺を呼ぶときの声なのに。
思わずぶるぶると首を振ると、彼はにっこりと笑った。

「やっぱりこのままでいいんだよ」
「でも俺、ずっとあなたの声を聞いてたいのに」
「じゃあずっといっしょにいればいい」

そう言って、彼はさっき俺がしたように、彼の唇を俺の唇にふれさせた。

「これは大事な約束のときするんだよ。俺はずっとお前に声を届けてあげる」

見たことのないような綺麗な笑顔と、聞いたことのないような綺麗な声で
彼は約束してくれて、俺は何も言えなくなってしまった。
まるで、本当に声を食べられたかのように。
302風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 03:42:22 ID:Ynu4ECmT0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  タイトルは「声フェチ」らしいよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  この速さならいけると思った
 | |                | |             \ 
 | | □ STOP.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ イマハハンセイシテイル
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
303風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 07:30:18 ID:uKTqmVmP0
>>302
GJGJ!
週の頭、しかも朝からほんのり幸せになれました。
ありがとう!!
304風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 08:04:10 ID:NvCyH4xxO
>>283
GJ!
朝からエロいの読ませてもらいました。(;´Д`)ハァハァ

>>290
GJ!
わっしーもアラソも切ない!
そして可愛い!
二人とも可哀想でいけません。・゜・(つД`)
次回も楽しみにしてます。
305風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 09:26:28 ID:M72zS15B0
最近の投下状況見てると割り込み投下多すぎ
投下前にスレの確認してないんかな?と思うことあり
しかもageてるし…
306風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 11:09:30 ID:w7UtmxPO0
まあリロードくらいはすべきかな
してかつ割り込んでしまうほど結婚したならまあしょうがないが
307風と木の名無しさん:2007/03/12(月) 13:18:16 ID:at6RFtFc0
>>302
萌えたよーGJ!
308風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 00:54:32 ID:gbR6/2fPO
>>297

割り込み気をつけてね
でも続き楽しみにしてます!
小大最高ですw
309風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 06:57:12 ID:zWtCSOSD0
>305
板慣例でさげてるけど
ここはテンプレにsage進行って書いてないから
ageて書く職人さんなのかなー程度だったけど

三次二次関係なくこのスレの定義として
やっぱageは駄目なの?
310風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 12:19:31 ID:j0CeoI1P0
個人的にはオリジナルならageてもいいと思うけど
半生or生書く人には、せめてsageてほしい。
311風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 13:39:19 ID:kAytxWuO0
sageない・割り込む・おまけに話がつまらんって最悪だな
312風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 14:16:57 ID:oraqOdCV0
テンプレにsage進行と指定されていないのでageる人も出てくるのだと思います。
スレの性質上普段はSSを書かない方の投稿もあるでしょうから、不慣れで間違うことも
あるかもしれません。私自身はageも割り込みもそれほど気にならないのですが
スレが議論で消費されてしまうのももったいないので
「sage進行(メ欄にsage)」
「割り込み注意(投稿はリロードしてから)」
とテンプレに加えることを提案します。


313風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 14:40:28 ID:FxrMiZHkO
そーなんだよね。
結局どっちでもいいんだが、あげると絶対この話題になるので
だったら下げときゃいーかなと。
割り込みは気をつけるしかなくね?
いずれにせよそんなに深刻な問題じゃないと思うけど。
だってこのスレは所詮全てネタだもん…

314風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 15:14:13 ID:lc/0bCvUO
しかも>>297にリア厨(もしくは工)の匂いを感じる…。
315風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 15:29:57 ID:W1b/YO970
取り敢えず>>312案に賛成
投下する人のために議論はそろそろ切り上げた方がいいと思う
316風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 15:32:30 ID:ANO2bx+y0
>>314
作品についてならまだしも、作者の素性について詮索するのはスレの無駄遣い
そういうのはチラ裏か絡みスレでトゾー

きっぱりsage進行に決めてしまう案は私も賛成だな
ageかsageかなんて事で一々もめるのも馬鹿らしい気がするし
317風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 16:40:01 ID:bBOgFJr20
318風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 16:40:48 ID:bBOgFJr20
すいません誤爆です
319風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 16:58:25 ID:QK40iz3R0
>318
空気がなごんだのでOK。
320風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 21:09:03 ID:ZJnSqY7kO
>>317
あなたはもしやぬこ祭り会場の…!
321風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 21:12:09 ID:UD7IWUnS0
>>320
その会場どこ?
322風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 21:25:53 ID:rTVQ1cGv0
>>317
ああ・・・癒されるぅ〜・・・。
荒んだ心に一滴の清涼剤だねぇ〜・・・。
323風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 21:35:07 ID:NzmfeUym0
agesageに関しては別に気にする必要はないんじゃないの?実のところ全く。
板の中での順位が変わるという、ただそれだけのことなのに
ageることを叩く必要性も、sageることを強制する必要性も感じない。

リロード推奨については賛成。混ざると面倒くさくてかなわん。
324風と木の名無しさん:2007/03/13(火) 22:39:38 ID:TUz4AbZO0
ageるとマルチの標的になり易い、というのはあると思う
だからsage進行のとこが多いんじゃないの?
とりあえずテンプレ案には異論無し
325部下×兄:2007/03/13(火) 23:06:37 ID:HbubH18D0
書いて大丈夫かな?
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
アニメシカミテマセーン。原作シリマセーン。ラクガキデース。
ケカーイシ  部下×兄

男は夢中で自分の上司の身体を味わっていた。
顎から首を通って喉元に食らいつく。
はっと上司が息を詰めるがこの男には聞こえない。自分の心臓の音と口から漏れる興奮の
吐息がなによりもうるさく、舌からぴちゃぴちゃと肌を味わう音がするからだ。
鎖骨を辿り胸元の着物を割り開く。きれいに筋肉がついた男らしい肉体に男は吸い付いた。
「ぁあっ・・・頭領・・・」
男はうわごとのように言葉をむつぐ。
「信じられないですっまさか頭領とこんな・・・」
「うん・・・そうだね」
上司―・・・墨/村/正/守は興味なさげに呟いた。
「頭領、頭領は何処がいいんですか?俺、頭領を気持ちよくさせたいんです・・・」
男は指先で確かめるように乳首の回りを軽く撫でまわす。
正/守は肩を揺らし眉をひそめた。
「此処・・・気持ちいいですか?」
くにくにと勃っている乳首を弄れば、正/守は堪らないというように自分の部下の首にしがみついた。
「あぁ、いい。気持ちいいよ・・・」
耳元で漏れる甘く掠れた声が男の理性を削っていく。
「いい子だ・・・何もかも忘れるくらい気持ちよくしてくれたら・・・ご褒美をあげよう」
熱く囁きながら正/守は男の耳の下あたりに軽く唇を当てた。
男はカラカラの口に潤いを求めるように喉を鳴らす。
酔ったようにクラクラして、ただがむしゃらに目の前の身体を喰らった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
326風と木の名無しさん:2007/03/14(水) 01:09:46 ID:dJV388yJ0
萌えなエピソードを立て続けに見てしまい妄想が暴走してしまったので投下させて頂きます


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某幼稚園児お下品漫画ネタです
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  おばか×優等生(15年後設定)
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
327風と木の名無しさん:2007/03/14(水) 01:10:17 ID:dJV388yJ0
「おーい、風 間君」
僕の名を誰かが呼んだ。
声が聞こえた方へと目をやる。微笑を浮かべながらも手を振る男の姿が目に映った。
一瞬それが誰なのか分らなかったが、雰囲気や仕草でようやくその声の持ち主を認識することが出来た。
「ああ、しんの すけじゃないか。」
「どうしたの、ぽかーんてしてるから俺のこと忘れちゃったかと思ったぞ」
「随分と感じが変わってるからさ」
「そりゃあそうだよ。う〜ん、もう5年くらい会ってなかったじゃない?」
一人称や風貌は変わっていても、その独特の喋り方は相変わらず昔と変わらない。
最後にしんの すけと会ったのは中学3年の夏だった。
あれからもう5年もの敏次が経つ。
最後に会った中学生のしんの すけの姿も僕はまともに見てはいなかったのかもしれない。
幼い頃の彼の姿ばかりが脳に焼き付いていて、
目の前のがっちりとした体に大人びた顔立ちのしんの すけの姿はどうもしっくりとこなかった。
懐かしさよりも、僕よりもずっと成長したその姿に驚きと嫉妬の気持ちが強く勝った。
まじまじと厭味にその姿を眺めていると、ふとその背後に連れと思われる女性の姿が目に入った。
年上の落ち着いた感じの女性だ。昔しんの すけが憧れていたななこさんの雰囲気と何処となく似ている。
女性の趣味や女たらしな面も、相変わらず昔と変わってはいないようだ。
「じゃ、風 間君、会ったばっかりで悪いんだけど、今大事なデート中だから」
そう言ってしんの すけは鞄から手帳を取り出し、サラリと何かメモをして僕の手に其れを握らせた。
「え、ちょっと…」
「またどっかでゆっくり話しよ。んじゃ!」
そう言って軽く手を振ると、女性の肩に手を廻しながらも足を進め、交差点の人ごみの中へと姿を消していった。
相変わらずな気儘な態度を嫌悪に思いながらも渡されたメモに目を通すと、
そこには下手糞な字で書かれた携帯電話のメールアドレスと軽いメッセージが添えられていた。
“また今度お茶しよう 連絡してネ 大親友のしんの すけ”
学業に追われてそんな暇はないと思いつつも、その文面に対して多少の嬉しさが込み上げていたのは否定できなかった。
328おばか×優等生 2:2007/03/14(水) 01:10:57 ID:dJV388yJ0
今から5年前のことだ。
ぎらぎらと光線を放つ太陽の熱に汗を流しながらも、僕は塾へと足を進めていた。
その日は特別暑く、不覚にも学校での授業内容が思うように頭に入なかった。
自分の失態と執拗に照らされる太陽の熱に、どうしても苛立ちを隠せずにいた。
ふと誰かが僕の名を呼んだ。こんな時に誰だ、と苛立ちながらも声の持ち主の方へと目をやった。
「お〜い風 間く〜ん。オラだよオラ。」
「…しんの すけ。よりによってお前か」
「なあに。久々に会ったっていうのにその態度は。ま、いっか。
ねえねえ、久々に会ったんだからちょっとそこら遊んでかない?」
しんの すけは体を僕の方へと擦り寄せた。汗で肌と肌が貼り付き、ベトベトとした厭な感触が体に纏わりつく。
「ああもう、暑苦しいな!離れろよ!」
腕にぐっと力を入れてしんの すけを突き放す。
「今から塾があるんだ。悪いけどまた今度にしてくれ」
僕はしんの すけの返答を耳にしようともせず、そそくさとその場を去った。

少し言い過ぎたかもしれない。あの時しんの すけはどう思っただろう。
思い返しては悔恨の情にかられていた。
329おばか×優等生 2:2007/03/14(水) 01:12:11 ID:dJV388yJ0
あれから僕らはメールのやりとりをし、会う約束をした。
本当は喫茶店等の落ち着いた場所でゆっくりと話をしたかったのだが、
結局は昔よく僕らが遊んでいた公園のベンチで会うこととなったのだ。
こうやって一対一で互いの顔を見合うのは凄く久しぶりのことで何処か面映い。
「久しぶりだな。ほんとに。」
「久しぶりって、この間会ったばっかじゃないの」
「あの時はゆっくり話しができなかったじゃないか。しんの すけが女の子とデートなんかしてるから」
「あれえ?もしかして風 間君、嫉妬?」
「なっ…誰がだよっ!」
こうやって僕を嬲って面白がるのも相変わらず昔のままだ。
腹立たしく思う反面、懐かしい遣り取りに僕はどこかほっとしていた。
「この間の女の人、しんの すけの彼女?」
「違うよ。ただデートしてただけぞ」
「デートしてるのに、彼女じゃないのか」
「風 間君は狭い視野でしか世間を見てないねえ。
デートの相手が必ずしも彼女だとは限らないでしょ?」
「…それぐらい分ってるって。本当にお前はそういう面、変わってないな。女たらしだしさ」
「風 間君だって色々と変わってないぞ。何でも東大に行ってるって噂じゃない」
「何でお前が知ってるんだよ。まあ、あれほど必死に勉強したんだから当然のことだよ」
「な〜んかやなかんじ。でも悔しいけどほんと凄いよ。隅に置けないね〜」
「…凄くなんてないって。」
330おばか×優等生 4:2007/03/14(水) 01:12:53 ID:dJV388yJ0
凄くなんてない。当たり前のことなのだ。
ここまで来るのに相当の努力をしてきた。
時に周りが見えずに、平気で人を傷つけてまでも学業に力を注いだ。
「…しんの すけ、5年前の夏にお前に会ったときのことだけど、覚えてるか?
その…ひどいことして悪かった」
あの時に限ったことではない。何度傷つけては後悔しただろうか。
何を言われてもしょうがないと覚悟しながらもしんの すけの方へ目をやると、彼は無情に僕の顔を眺めていた。
その表情からは感情が読み取れない。
「なんのことだっけ。」
「な…まあ、覚えてないならいいよ。」
昔からそうだ。本当に昔からしんの すけは変わってはいない。
僕は拳に強く力を入れては、溢れる感情を只管抑えていた。

それから僕らは近状や他愛ない話をし、その場を後にした。
互いに予定が入っていた為に短い時間しか一緒には居られなかったが、
こんなに楽しい時間を過ごしたのは本当に久々のことだった。
僕に親しい友人は少なくはない筈だ。
けれどその友人達と過す時間と、しんの すけと過す時間とは何処かが違った。
それは昔からのことで、私立の小学校に入学したばかりの頃は、友人と遊ぶ楽しさよりも
しんの すけ達が傍に居ないという寂寥が強く頭に過っていた。
良くも悪くも、あの個性的な人柄と独特な存在感は嫌でも記憶に残るものだが、
しんの すけは僕にとって特別な存在であったことは確かなのだろう。

僕はまたしんの すけと話がしたくて、携帯を手に取りメールの文章を打った。
331風と木の名無しさん:2007/03/14(水) 01:13:42 ID:dJV388yJ0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 今日はこの辺でストーップします…どうもお邪魔しました…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
メール欄のタイトルを色々と間違えてしまいました…分り辛くてすいません。

332風と木の名無しさん:2007/03/14(水) 01:17:47 ID:dJV388yJ0
メール欄ではなく、名前欄でのタイトルでした。お恥ずかしい。
度々どうもすいません…
333風と木の名無しさん:2007/03/14(水) 01:51:59 ID:87q915pJ0
>>331
風.間くんの声がはっきり聞こえてくるw
GJ!
334風と木の名無しさん:2007/03/14(水) 06:56:39 ID:5XjydIY50
>>331
どうなるか楽しみ。GJ!
335ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:03:51 ID:UStcAyOC0
                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  296の続きです・・。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  色々済みませんでした。ほんと初心者なんです・・。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
336ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:05:00 ID:UStcAyOC0
「あ、ここ、訂正印押さなきゃ駄目だよ、ケンちゃん。」
「・・ほんとだ、すいません、ショウジさん。」

「ケンちゃんは、ほんとに俺がいないと駄目だな〜、いっそ嫁に来るか?」
そう言ってケタケタ笑う。何でも器用にこなす、不器用な自分とは対照的な彼。

いつも、少し遙かな存在。
手が届かないところにショウジさんはいた。

「俺、やっぱ転勤だってさ。ま、しょうがね〜わ、ご主人様の手噛んだんだから。」
そう言って笑うショウジさんは、すっきりした顔をしていた。
自分がした事に後悔してはいないんだろう。

世話になった相手先に挨拶に行くと、オフィスを出ていく彼を追いかけた。
何でもいい、かける言葉を探して。
エレベーターをひとり待つ彼の横顔は、ゆがんでいた。
俺は、何も言えなくなって、エレベーターに乗り込む彼をただ見ていた
337ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:06:01 ID:UStcAyOC0
もうすぐ12時だ。やっぱり今日は来ないのかもな。
部屋の隅にうずくまって、ケータイを閉じた。
残業を終えた人が、帰ったのはもう2時間も前だ。
消灯時間になったのか、さっきまで灯っていた明かりも今はない。

真っ暗な闇の中、来るか来ないか分からない人を待っている。

「不毛だな・・・」

そうつぶやいたと同時に、エレベーターが開く音がした。
守衛さんかもしれない、そう思って耳を澄ます。

コツコツ・・と足音が近づいてきて、夜景が見下ろせる大きなガラス窓の前で
その足音が止まった。

夜景の明かりにぼんやりと浮かんだのは、ショウジさんだ。
少し笑っているようにも見える。
俺はそろりと立ち上がった。
338ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:06:56 ID:UStcAyOC0
「・・ケンちゃん・・・」
ショウジさんが、俺の名を呼んだ。いや、まだ俺がここにいる事には気づいていない。
頼りなげに、救いを求めるように、か細いかすれた声で。

そして、声を押し殺して、ショウジさんが・・・泣いている。

体の真ん中がカッと熱くなった。
どうしようもなく、愛しさがこみ上げてくる。
飲み込もう飲み込もうと胸を叩くが、どうにも出来ない。
俺は、完全に、欲望に支配された。

いきなり、名前を呼ばれ、驚いたショウジさんを窓際に追いつめて、涙を拭う。
涙で潤んだショウジさんの目が闇の中で、キラキラしている。

ショウジさんが何か言おうとしていたが、かまわず唇を奪った。
かなり強引なキスだったが、彼はそれに応じている。
何度も角度を変えながら、欲望のままにむさぼる、荒っぽいキス。

ふとどんな顔をしているのかが気になって、唇を解放して、顔をのぞき込む。
案の定、目を白黒させて、意味不明な事を言ってきた。
339ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:07:55 ID:UStcAyOC0
分かってる、ショウジさんは俺のこと、好きじゃないってことは。
でも、突然の先制攻撃に弱いんだよね、この人は。驚いて何も出来なくなる。
何でも、知ってるんだ、ショウジさんのことは。

「好きだから。ショウジさんが好きなんだ。」
ああ、キャパオーバーな顔をしている。

はは、男児なんだけど・・て。子供か、あなた。

「俺のこと、好き?」
こう聞いたら、「好きだけど、友達としてで・・・」とかかな?
そんなこと言われても、止まらない。
ネクタイをはずして、シャツのボタンをゆっくりはずしていく。
Tシャツをめくり上げ、白い肌に舌を這わす。

寒いのかな・・鳥肌が立ってる。
あ・・・喘ぎ声。
こんな声も出すんだ・・・ショウジさん。もっと聞きたい。
340ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:09:06 ID:UStcAyOC0
ここにきてようやく、ショウジさんも何されるのか分かったみたいだ。
やめてくれと懇願してきた。
けど、誘ってるのか?そんなに甘い声で言われて、やめる訳がない。

「駄目。やめない。」ショウジさんにとっては、冷徹な声に聞こえただろうな。
ごめんね、ショウジさん。

そう心の中で謝った時、後ろの方から足音がした。
カツンカツンと細いピンヒールが立てるような音だ。

まだ誰か残っていたのか?反射的にショウジさんの口を手で覆った。
ショウジさんは、ブルブル震えてながら、あいかわらず目は白黒させていた。
なんだか、可愛そうな気がしてきた。

じっと二人して暗闇の中、息を殺す。もし見つかったら、なんて説明しようか・・
そんな事を考えているうちに、足音はすぐ近くまで迫ってきている。
341ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:09:53 ID:UStcAyOC0
カツンカツンカツン・・・
そっと目線だけをずらし、音のする方を見てみると。
どうやら女性のようだ、長い髪が風になびいて・・・

風!?
窓は開いていないし、空調はとっくに切られている。
なんで、あんなに髪がなびいてる・・の・・?
おかしい点は、そこだけではない。
もう3歩先にいるにもかかわれず、顔も体も真っ黒だ。まるで、影絵のような・・・

ま・・まさか・・・

「おばけだぁああぁあ〜!!!」
そう叫んで先にショウジさんが、その場から転がるように逃げ出した。
俺も、足がもつれて転びそうになりながら、その後を追う。
エレベーターの明かりに向かって一直線、中に入り、必死に「閉」を連打する。

すっと扉が閉まり、エレベー
342ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:11:58 ID:UStcAyOC0
ターは下に進み始めた。

「・・・あれ、なんだ、けんちゃん・・・」
顔面蒼白になったショウジさんがつぶやく。

「・・・あれじゃない、ショウジさんが今まで苛めた派遣さんの、生き霊・・・」
「バカ!!笑えないよ!!こえ〜よ、まじ、こえ〜!!!」

そう叫びながら、ショウジさんは何げに乱れた服を直している。
それを見て、ちょっとバツが悪くなって、笑うのをやめる。
そんな俺の顔を見て、ショウジさんも黙り込んだ。

気まずい空気がエレベーターの狭い空間を満たす。
ゴホンッとショウジさんが、咳払いをした。

「・・ケンちゃんって、意外と手が早いよな。」
そう言って、ショウジさんがにやりと笑った。
俺は、たぶん頭のてっぺんから足の先まで、真っ赤だっただろう。
この人、立ち直り、速い!!

俺が何も言えなくなっているのを、楽しむように、ショウジさんは俺の顔をのぞき込む。
343ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:13:04 ID:UStcAyOC0
「サダコ出たら、怖いから、ケンちゃん泊まりに来てよ。」
屈託のない笑顔で、そう言う。
泊まりに・・・って。つまり、その・・・。

「いいの?ショウジさん・・俺・・」
「だって、どう考えても怖いだろ?サダコだよ、サダコ。」
「でも、俺も怖いことするかも・・・」

その時エレベーターの扉が開いた。
無事一階に着いた。一階は、まだ明かりがついていて、掃除をしてくれている人なんかもいる。

ホッと安心して、ショウジさんの後を追った。

パタパタと早足で歩いていくショウジさんの手を掴んで、引き留める。
手を掴まれて、こちらに振り返ったショウジさんは耳まで真っ赤だった。
344ハケン小×大:2007/03/14(水) 14:13:48 ID:UStcAyOC0
「・・行っていいんだね、ショウジさん。」意地悪く再確認してやる。
「・・・・」やっぱりショウジさんは答えない。駄目だ、顔がにやけてしまう。

「はやく行こう、ショウジさん宅。」

俺は、ショウジさんの手を引いて、走り出した。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )大幅に話を変えてしまいました・・。今度はかぶりませんように・・。
345風と木の名無しさん:2007/03/14(水) 23:50:21 ID:v2N2240E0


つ◇ 初投稿、禿げ鷹 亜蘭×鷲都です
   色々不慣れですが、よろしくお願いします
346風と木の名無しさん:2007/03/14(水) 23:51:59 ID:d3sy4pW60
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ニソテソドーDSの「レイd教授と不思議な町」で教授×弟子
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ゲーム開始時より前のエピソードのつもり
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マサニモウソウ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
本編と全然関係ないです。すいません
あと妄想設定がちらほらあります。すいません…
347風と木の名無しさん:2007/03/14(水) 23:53:16 ID:d3sy4pW60
すいませんかぶりました
リロったのに申し訳ないです
348禿げ鷹 亜蘭×鷲都1/6:2007/03/14(水) 23:53:45 ID:v2N2240E0
「失礼します。」
告げると同時に足を踏み入れたその部屋は、この時薄暗い闇に沈んでいた。
一瞬視界が麻痺する暗さ。
しかしやがて目が慣れゆっくり視線を動かすと、亜蘭は前方に青白い光を
見つけた。
それは壁に掛けられたスクリーンを照らしているものだった。
もっとも、そこに映し出される映像は無い。
ゆえに、光源のあるスクリーンの正面へ亜蘭が目を向けると、
そこには一人掛けのソファに身を沈めて眠る鷲都の姿があった。
それに亜蘭は、ふと自分の手に握られた書類の束を見る。
持ってこいと言われ届けに来た資料なのだが、そう命令を下した本人は
自分の到着を待つ間に、逆らえぬ睡魔に襲われてしまったらしい。
しかしそれも仕方がない、と亜蘭は思う。
彼は、鷲都政彦は、先日のサンデー社のスポンサー入札の一件以来、
まるで何かに取り憑かれたかのように仕事にのめり込んでいる。
もともとこの職種は時間の概念の薄い勤務体系ではあるものの、
それでもここ最近の鷲都は明らかなオーバーワークだった。
だから、
349禿げ鷹 亜蘭×鷲都2/6:2007/03/14(水) 23:54:42 ID:v2N2240E0
亜蘭はゆっくりと足を踏み出すと、彼の眠るソファの傍らまで行き、
終わってしまった投写データのスイッチを切る。
そして手にしていた資料を静かに机の上に置くと、その隣りにあった
リモコンで遮光カーテンの開閉を操作した。
ゆっくりと左右に開いていくその隙間の向こう、不夜城東京の夜景が現れる。
そしてその上空には、めずらしく綺麗な三日月が浮かんでいた。
自然と人工、両の明かりが眠る鷲都の横顔を照らし出す。
蒼白く清冽な光に浮かび上がる冷然とした顔立ち。
しかし掛けた眼鏡の下で閉じられている瞼にはこの時、隠し切れない
疲労の影が色濃く滲んでいて、それに亜蘭は瞬間胸を締め付けられる
ような痛みを覚えた。
ただの疲れならこんな心配などしない。
けれど、苛酷さで言えば今以上であった本国ででも、けして見せなかった
鷲都のこんな表情には胸のざわつきを止める事が出来なかった。
いったいこの国の何が、こんなにも彼を苛んでいるのだろう。
それが不安で、恐ろしくて、何とかしてあげたくて…
気付けば亜蘭は、半ば無意識に鷲都の前に回りこんでいた。
その場にゆっくりと膝まづき、白い手を伸ばす。
長い指先が触れた、それは細い眼鏡のフレームの端。
彼の眼鏡に度がほとんど入っていない事は知っている。
だからそれはまるで世界から彼を守る重いの鎧のようで、ならば
せめて眠っている間くらいは、と亜蘭は鷲都から眼鏡を外させようとする。
細心の注意を払ったつもりだった。
しかし、
350禿げ鷹 亜蘭×鷲都3/6:2007/03/14(水) 23:55:41 ID:v2N2240E0
「………ッ…!」
反応は一瞬だった。
フレームの端が耳から離れかけた刹那、ビクッと鷲都の目が開いた。
その瞬間、亜蘭が目の当たりにしたのは、
鷲都の驚愕に歪んだ黒い瞳と声にならない微かな悲鳴。
そしてあっと思う間もなく、伸ばしていた亜蘭の手は、持っていた
眼鏡ごと鷲都の腕に強く振り払われていた。
指先から弾き飛ばされた眼鏡が、床に落ちてカシャンと渇いた音を立てる。
その音にも最初、亜蘭は何が起こったのかわからなかった。
それゆえ、言葉も無く目の前の鷲都を呆然と見上げると、そこには
自分と同じように混乱した鷲都の表情があった。
しばし、二人の間に沈黙が流れる。
けれどその果て、先に口を開いたのは鷲都の方だった。
「…あぁ…っ…」
吐息のように掠れた、微かな呟き。。
しかしそれでなんとか自分を持ち直したのだろう、次に発せられた彼の
声には、この時なんとか芯のある響きが戻っていた。
「…亜蘭か……すまない…」
口許に手を当て、俯く。
しかし声の調子は戻っても、その額にはうっすらと汗が滲んでいて、
彼のつい先程の動揺を如実に物語っていた。
だからそれに亜蘭は、彼はいったい自分を誰と勘違いしたのだろうと
苦く思う。
誰と錯覚して、あんなに脅えたのか。
しかしそれを声に出して聞く事は出来なかった。
その代わり、
351禿げ鷹 亜蘭×鷲都4/6:2007/03/14(水) 23:56:27 ID:v2N2240E0
「……眼鏡…落ちちゃった……」
ボソリと呟き、床に飛ばされた眼鏡を拾おうと立ち上がる。
それには鷲都も、自分でやるとソファから腰を上げかけたようだったが、
その動作のすべてを亜蘭は無視して早々に目当ての物を拾い上げた。
大きな自分の手には余る程、繊細な造りの彼の鎧。
それを亜蘭は刹那、胸元に込み上げてきた激情のまま乱暴に机の上に置く。
らしくない自分の行為に不意に、背後で名を呼んでくる声があった。
「亜蘭?」
訝しげな声色。それが引き金になった。
衝動にかられるまま、亜蘭は振り向きざま腕を伸ばすと、
上から伸し掛かる形で鷲都の肩を掴み、彼の身体をソファへと押し付けた。
驚いた鷲都が咄嗟に顔を上げてくる。
眼鏡の無い彼の面立ちは、時に日本人特有の年齢不肖な幼さを覗かせる。
それが今の自分にはひどくやるせなくて、亜蘭はこの時有無を言わせぬ
勢いで鷲都に口づけていた。
普段、非情だ、冷酷だと謗られる彼の唇は、その実酷く熱く甘い。
それを知っているのが自分だけならばいいのに、と亜蘭は祈るように
そう思った。
だから貪るように幾度も唇を重ね、舌を絡め、呼気を奪う。
そんな強引な求めに息苦しさを覚えたのか、不意に鷲都の手が己を
捕らえる亜蘭の腕にかかった。
しかしそれはけして亜蘭の行為を拒むものではなくて、細い指先が
ただギュッとそのシャツを掴み、布地に皺を寄せただけだった。
352禿げ鷹 亜蘭×鷲都5/6:2007/03/14(水) 23:57:24 ID:v2N2240E0
どれくらいそんな口づけを交わしただろう。
どちらからともなく一度、ゆっくり離れた濡れた唇の隙間から、
先にポツリと零されたのは鷲都の声だった。
「…どうした?」
それまで自分を襲っていた相手に向けるものとは思えない、
静かな問い掛け。
それはまるで自分を完全に子供扱いしているようで、亜蘭はたまらず
再度その手を鷲都に向けて伸ばす。
指先が彼のネクタイに掛けられ、器用にその結び目を緩める。
この行為はさすがの鷲都も予想外のようだった。
「ちょっ、亜蘭?」
「…………」
「ここでするのかっ?」
「……いや?」
珍しく焦る鷲都に真正面から問い掛ける。駆け引きの無い直球の言葉。
これには逆に、鷲都が一瞬言葉を失ったようだった。
「いやって……、ちょっ…」
戸惑う隙を突くように、空いていた方の手で今度は鷲都の手首の時計
の留め金を外す。
本国仕様ゆえ、細い鷲都の手首にはいささか武骨気味だったそれは、
いとも簡単に彼の肌の上を滑り落ち、床で軽い金属音を立てた。
そうして、
「マサヒコ…」
亜蘭はその日初めて、鷲津の名を呼んだ。
353禿げ鷹 亜蘭×鷲都6/6:2007/03/14(水) 23:58:15 ID:v2N2240E0
もう一度顔を傾け、今度は先程とは違う柔らかなキスを唇に落とす。
激しく貪るようなものより、本当は優しく穏やかな口づけを彼が好む
事を知っているがゆえの強引な甘え。
しかして……彼のいらえは溶け落ちた。
窓から差し込む蒼白い月の光の下、鷲都の唇がクスリと小さな笑みを
零す。
「何?」
その吐息の意味を亜蘭が尋ねると、鷲都は笑みを解かぬまま答えを
くれた。
「いや、手慣れたものだなと思って。」
それは心底可笑しそうに告げられた。
だから亜蘭もそれに真摯に応える。
「慣れもするよ。ボク達、いったいどれくらい一緒にいると思ってるの?」
「そうだな…」
出逢ってからこれまで。それは仕事もプライベートも。
共に過ごした時間はきっとおそらく……
「おまえとが……一番長くいるのかもな。」
ひっそりと零された呟きに、亜蘭は目の前の身体を静かに抱き締めた。
回した腕にゆっくりと力を込める。
そんな求めに、鷲都は自らも亜蘭の背に手を這わせる事で応えてくれた。
腕の中の確かな感触。ぬくもり。それでも……
彼はけして自分だけのものではないのだと、亜蘭は思った。
それは切なくて、哀しくて、どうしようにもなく辛いことだけど、
それでも自分は彼を失えないのだと、侭ならぬ恋心ごと、
いつまでもその身体を抱き締め続けていた。
354風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 00:00:43 ID:v2N2240E0


つ◇ END 初めてなのに長くなってすみません。
   週末にはどう動くかわからなかったので、今のうちに!の投稿でした。
355風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 00:05:10 ID:TJRQpldr0
>>354
本当にすみませんでした。割り込んだ上次のレスもテンパってて
よく分からないことになっているし…ご迷惑をおかけしました

改めて

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ニソテソドーDSの「レイd教授と不思議な町」で教授×弟子
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ゲーム開始時より前のエピソードのつもり
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マサニモウソウ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
本編と全然関係ないです。すいません
あと妄想設定がちらほらあります。すいません…
356レイd教授 教授×弟子1/10:2007/03/15(木) 00:06:26 ID:TJRQpldr0
 その日、いつもはあまりお酒を飲まない先生が珍しく酔って帰ってきた。
そういえば、今日は教授会があるから帰りが遅くなる、と今朝僕に言った時、
ほんの少しだけうんざりした声色と表情だった。
教授会というのがどういうものか、僕には今ひとつよく分からないけど、
少なくとも楽しいものではなかったというのは、先生の様子を見れば分かる。
若くして教授の地位にある上に、事ある毎に名探偵として口ンドン夕イムスの
一面を飾ってきた先生には、何かと苦労も多いようだ。
僕は先生がいないのをいいことに、こっそり夜更かしをしていたので、
幸か不幸か酔った先生を出迎えることができた。
先生はひどく酔っている訳ではないけれど、どこか足元がおぼつかない様子で、
さすがにいつものポーカーフェイスも(朝みたいにほんの少しだけ)崩れていた。
 「ノレーク、すまないが水を持ってきてくれないか」
いつもよりたどり着くまでに時間がかかったベッドの上で、先生は伸びきっている。
「当然さ。英国紳士としてはね」の決め台詞がさまになる、普段のカッコよさはどこへ行ったのだろう。
僕は少しがっかりしながらキッチンへ行き、言われた通りに水を持ってきた。
「もう、こういうことは普通ガールフレンドや奥さんにやってもらうことじゃないですか」
本心からの悪態ではないけれど、その場に合わせた軽口を叩いてみる。
先生もいつものように笑って言葉を返してくると僕は思っていた。でも。
357レイd教授 教授×弟子2/10:2007/03/15(木) 00:07:22 ID:TJRQpldr0
「ガールフレンドなんていらないさ。ノレーク、私には君だけでいいんだ」
これが相変わらずベッドで伸びたままの先生の返答だった。
「えっ、ちょ、ちょっと待って下さ…ええっ?」
…いや待て、そうか、これは僕の聞き間違いだ。だからもう一度聞いてみても
何の問題もないはずだ。…多分。
「先生、い、今何て言いました?」
冷静に質問しようと思ったのに、声が裏返ってしまった。恥ずかしい。
「ノレーク、私には君だけでいいんだ」
先生はさっきよりゆっくり、はっきりとした声で同じ言葉を繰り返した。…聞き間違いじゃなかった。
「…こっ、子供をからかうなんて英国紳士らしくないですよ!」
顔と耳が真っ赤になっているのが自分でもよく分かる。当然だ。
冗談でもこんなことを言われたのは初めてだし、とんでもない内容の酔った人のたわ言を、
さらりと流せるほど僕は大人でもない。
「ノレーク、私は本当のことを言っているんだ。からかいや、ましてや嘘なんかじゃない。
 私は君が好きだ。君が知っている「好き」と同じ意味でも、違う意味でも」
いつの間にか先生はベッドから起き上がって、僕をじっと見つめていた。
全く予期していなかった状況にとまどい、僕を見つめる先生の視線にどぎまぎし、
僕は返す言葉を思いつけずにいた。先生と目を合わせているのが何故か息苦しくて、
視線を横へ外した時、先生の腕が強引に、でも優しく僕を引き寄せた。
358レイd教授 教授×弟子3/10:2007/03/15(木) 00:08:11 ID:TJRQpldr0
 僕はもちろん先生のことが好きだ。でもそれは何ていうか、子供の「好き」なんだと思う。
大人の「好き」はまだよく分からない。でも状況はそんな僕を置いてきぼりで進行していく。
「んっ…ん」
ファーストキスがこんなお酒の匂いと味のものになるなんて、僕は今まで考えもしなかった。
いや、それ以前に相手が先生だなんて、どう考えても普通じゃない。いやいや、
待てよ、先生とかそうじゃないとか、それよりもっと前にこの人は僕と同じ男だ…
一回目のキスの時はまだ、混乱しつつもこんな風に色々と考えられた。
でもキスが二回、三回と繰り返されていくうちに、僕の頭はぼんやりしてきて、
僕の口は外も中も先生のなすがままになっていた。よく分からないけど、
多分これはとても気持ちがいいことなんだと思う。キスの回数が増える度に、
今まで経験したことのない火照りがじわじわと体全体に広がっていく。
「…っぷはっ、先生、苦しいです」
少なくとも八回より多い回数のキスのあと、僕は息苦しくなって先生に訴えた。
その声が思った以上に情けなくて、僕は自分自身に驚いた。
心臓はものすごい速さで脈を打っているのに、出てくる言葉はなぜかゆっくりでたどたどしい。
先生はそんな僕を抱き寄せ、背中をさすってくれた。おかげで呼吸は整えられたけど、
ドキドキはますますひどくなった。
359レイd教授 教授×弟子4/10:2007/03/15(木) 00:09:02 ID:TJRQpldr0
 先生はどういうつもりで僕にこんなことをするのだろう。世の中には
「酔った勢い」というものがあると僕は知っているし、それは大概ろくなことにならない
というのも、僕は知っている。だからこそ先生に聞いてみたかったけど、
どう聞いたらいいのか思いつかなくて、そして聞く前にまた僕の口は先生にふさがれた。
四回目のキスのあと、僕は先生に抱えられたまま、ゆっくりとベッドに横たえられた。
…子供の僕でも、こうなれば次に何が起こるかくらい分かる。
緊張と恐怖、それと何故か高揚感が入り混じって、僕は身を硬くした。
そんな僕の体をほぐすかのように、少し丸い指を持つ大きな手が、
僕のパジャマのボタンを外し、体をなでてゆく。胸元とわき腹をなでられた時は、
飛び上がりそうになったけど何とかこらえた。でもその手がだんだん下に来て、
ズボンの上からだけど、僕のあれに触れた時は、さすがにわっと小さな声を上げて、
背中をマットレスにつけたまま上へ逃げた。…もちろん頭を勢いよくぶつけた。
でもこれで先生がくすりと笑って手をとめたから、ちょっと悔しいけれどよかった。
だけどこれはつかの間の休息みたいなもので、先生はなぜか僕のほほをなでてから、
さっきの続きとばかりにズボンを脱がせ始めた。どうせならぶつけた頭をなでてほしい。
あれを触られることで生じる熱は、キスの熱と違ってもっと直接的だ。
じわじわ広がるというよりは、中心が瞬間的にかっとなって、
その余波が遅れて他の体の部分に届く、そんな感じがする。
360レイd教授 教授×弟子5/10:2007/03/15(木) 00:09:39 ID:TJRQpldr0
 太ももの内側をなでていた手の片方が、少しずつ奥の方へ伸びてきて、僕の体はまたこわばった。
そんな僕を見たからかどうかはわからないけど、先生はふと手を止めて言った。
「ノレーク、少し待っていてくれるかい」
先生は僕から身を離して、でも思い出したように身を寄せて軽くキスをしたあと、
部屋から出て行った。人の服をはだけさせるだけはだけさせて、しかもそれをほったらかして
いなくなるなんて、英国紳士の名折れなんじゃないですかと僕は言いたい。
そんなに時間を経ずに、先生はビンを持って戻ってきた。あの形とラベルは見覚えがある。
「先生、それって」
「これしか役に立ちそうな物が見つからなくてね。でも君にかかる負担を少しでも軽くするには絶対必要だ」
先生が持ってきたのはこの間買ってきたばかりの、紅茶用のハチミツだった。
それも普段使っているものより高級で、まだ封を切ったばかりで、そしてとびきりおいしいやつだ。
…明日先生はものすごく後悔するんじゃないだろうか。というか僕に負担がかかるようなことをするのは
やっぱりもう決まっているんだ。想像して、というほど想像もできなかったけど、僕はまた真っ赤になった。
先生はビンのふたを開け、何本か指を入れてハチミツをかき回していたけど、うーんと一言うなって、
サイドボードにあった、飲まずじまいの水をビンに少しずつ入れ始めた。ああ、もったいない。
先生はビンの中身をよくかき混ぜ、すくい上げ、垂らし、また水を加え…というのを
何度か繰り返したあと、指にたっぷりとその液体をまとわせて、僕のおしりへ差し込んだ。
361レイd教授 教授×弟子6/10:2007/03/15(木) 00:10:17 ID:TJRQpldr0
「うわっ…ああ」
ぬるりとした人差し指が、ちょうど関節一つ分くらいずつゆっくりと僕の中へ入ってきた。
でもハチミツのおかげなのか、思っていたよりすんなりと、僕は先生の指を受け入れた。
「は…入るものなんですね…」
僕はふるえる声で先生に話しかけた。先生は答える代わりに少しほほえんだ。
入れた時より速く先生は指を引き抜いて、また僕に差し込んだ。
すべりが悪くなってくるとハチミツに指をつけて、何度も何度も僕に差し込んでくる。
そして時々先生は指を折り曲げたり、軽く回転させたりする。
その度に僕は小さく声を上げてしまう。どうしよう、何でだろう、すごく気持ちいい。
いつの間にか先生は、僕の中へ差し込む指の本数を増やしていたみたいだけど、
先生に言われるまでまったく気付かなかった。…僕は自分が思っているよりだめな人間なのかもしれない。
「…もう、いいかな?」
こう尋ねてきた先生の息づかいは、心なしか荒い。何がいいのか今ひとつ分からなかったけど、
僕はとりあえずうなずいた。すると先生は僕から指を引き抜き、自分のズボンに手をかけた。
 普段目にすることのない、大人の男性のそれにも驚かされたけど、どちらかと言えば、
年のせいか少したるんでいる先生のおなかが気になった辺り、案外僕は神経が太いのかもしれない。
でもそんな余裕も先生が僕の中に入り始めると、すぐに吹き飛んだ。
362レイd教授 教授×弟子7/10:2007/03/15(木) 00:10:56 ID:TJRQpldr0
「いっ、先生、せんせ…っ」
痛いだろうなとは予想していたけど、これは本当に痛い。どうしようもないくらい痛い。
入ってくる深さはさっきの指と同じくらいなのに、ものの大きさが変わると、
こんなにも違ってくるものなんだ。先生は先生のあれを片方の手でつかんで、
あまり深く僕の中に入らないよう調節しながら腰を動かしている。
どう見たって僕に遠慮している。いまさら子供扱いなんて矛盾してると思う。
視界をぼやけさせた涙を乱暴にぬぐって、僕は先生に言った。
「こういうのって、奥の方まで入れないと、気持ちよくないんじゃないですか?
 僕を気づかって手前だけの出入りになんてしなくてもいいんですよ」
いつものように強がって生意気なところを見せたことを、僕はすぐに後悔する。
「ノレーク、君がそう言うなら、私ももっとわがままにならせてもらおうかな」
えっと思った時にはもう、先生は腰をぐっと押し込んで、先生をより深く僕に埋めてきた。
「はぁ…っ!」
さっきまでの痛みにようやく慣れてきて、これくらいなら何とかなるかもと思っていた矢先、
唐突に押し入ってきた熱い熱の塊に僕はうめいた。
「先生、すみません、やっぱり…っ…あの」
やめてください、と僕は言おうとしたけれど、ちょうど先生がまた入ってきた時だったので、
言葉はため息のような、(自分で言うのもおかしいけど)色っぽい音に変わった。
363レイd教授 教授×弟子8/10:2007/03/15(木) 00:11:31 ID:TJRQpldr0
どうにかして先生に痛くて仕方ないことを伝えると、先生は僕の足をかかえていた
手の片方を僕のあれへ伸ばし、こすり始めた。下から上へ、そしててっぺんへ。
親指の腹で勢いよくてっぺんをこすられて、僕は思わず下半身に力を込めた。
「あっ、あっ、あ…」
後ろの方は痛いままなのに、前の方はたまらなくぞくぞくしている。
まったく異なる二つの感覚は、混ざり合って容赦なく僕をさいなむ。
「せんせ、どうしよ、痛いけどでも、えっと…」
このままだと、僕をこすっている先生の手の中に出してしまう。
そう思ってこらえようとした時にはもう遅くて、僕は先生の手の中で達した。
先生が少しつらそうな顔をしたのが、反射的にだけど、
僕が先生を締め上げたからだと気づき、恥ずかしくて右手で顔を隠した。
先生はそんな僕の手をやさしくどけて、おでことほほと、口にキスをした。
「ノレーク、ノレーク…ノレーク」
先生は僕の名前を呼び続けている。そして名前の度に僕から出たり入ったりを繰り返す。
「先生、せんせい…」
いつの間にか僕も、僕を呼ぶ先生に応えるように先生を呼んでいた。
僕たちの声と息づかいは重なり合って、何か一つの大きな動物の声みたいに聞こえる。
先生、先生、先生、せんせい。痛さと熱さと、そして気持ちよさの中で、僕はこの言葉しか口に出せない。
ひときわ大きく僕の名前を呼んだあと、先生は僕の中に先生の熱を吐き出した。
じわじわと広がってくる熱の感覚に、僕は身震いし、大きくため息をついた。
364レイd教授 教授×弟子9/10:2007/03/15(木) 00:12:05 ID:TJRQpldr0
 それからもう一度、先生と僕は同じことを繰り返した。二度目は僕もほんの少しだけ
コツみたいなものを掴んだので、とにかく痛かった一度目よりは楽にできた。
先生にノレークは賢いねとほめられたけれど、素直に喜んでいいのかちょっと分からない。
「先生」
隣の先生は眠っていると知っていて僕は話しかけた。
「先生は僕に何を求めていたんですか」
自然と口から出た自分の言葉に、僕はとまどった。別にこんなことが聞きたかったわけじゃないのに。
…僕は、先生はただ先生であるだけで満足だった。それ以外のことなんて考えもしなかった。
それは僕が子供だからなんだろうか。大人の先生はそれだと足りないんだろうか。…難しい。
すべてのナゾに答えはあると、よく先生は言うけれど、こういうナゾの答えは難しいと思う。
「それと、今日のってやっぱり、「酔った勢い」ですよね」
分かっていても、声に出すと胸が痛かった。大人になるとこういうことが
しょっちゅうあるのだろうか。それだったら僕は子供のままでいたい。
でも、隣で寝返りを打った人がどんな夢をみているのか、今僕はとても気になる。
先生の寝顔を見たことはあるけど、こんな気持ちになったのは初めてだ。
やさしくて、カッコよくて、でも時々ほんの少し情けない、僕の好きな先生。
いつも一番近くにいたけれど、本当に一番近くにいるっていうのは、こういうことなのかもしれない。
ただ「好き」って気持ちをまっすぐに相手に向けているだけの子供だと、
きっとこんな近くに寄ることはできない。僕の中の先生に対する「好き」は、少しだけその姿を変えた。
365レイd教授 教授×弟子10/10:2007/03/15(木) 00:12:40 ID:TJRQpldr0
 次の朝、僕はいつも通りの時間に目を覚ました。それでも普段よりは疲労感があって、
すっきりとした目覚めとはいかなかった。先生は僕の方を向いたまま、まだ眠っている。
僕は寝ぼけた頭の思いつきで、先生の鼻をつまんでみた。割とすぐに先生は目を覚まし、
ゆっくりと開いた目が僕の目と合った。かすかに息を飲む音が聞こえた。
「おはようございます先生」
行儀はあんまりよくないなと思いながら、僕はあくびをしながらあいさつをした。
「おはようノレーク。…あ、私は」
「先生、僕大人の「好き」っていうのが何となく分かった気がします。…何となくですけど」
さえぎるように発せられた僕の言葉に、先生はよく分からないと言いたそうな顔をした。
寝起きでぼんやりしているのは分かるけど、でもだからってそんな顔しなくてもいいのに。
「そうだ先生、こういう時って、何か言い方ありましたよね。何でしたっけ、えーっと」
本当はもう分かっているけれど、僕はもったいぶってみた。動揺した先生を見るのも案外悪くない。
「あ、思い出しました。『セキニン取ってね』だったと思います」
言った途端、先生は固まってしまった。確かこの言葉でよかったはずだけど、違ったんだろうか。
それにしても本当に体が重いし、ところどころ痛い。重さと痛さの原因である
昨晩の色んなことを思い出して、僕は赤くなった。どうせ今日は日曜日だし、もう一眠りしよう。
僕は相変わらず固まりっぱなしの先生を横目に、顔を隠すように布団にもぐり込んだ。
深くなってゆくまどろみの中で、僕は先生におやすみなさいと言い忘れたことが少し気になった。
366風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 00:13:17 ID:TJRQpldr0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) そもそもこの二人は一緒に暮らしているのか?
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ED見て一緒に暮らしてるっぽい感じがしたので、調子に乗りました
あと禿げ鷹の方、本当に申し訳ありませんでした
367風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 00:16:31 ID:+hxMg1qR0
>>344>>355もGJ!
リアルで、2つも素敵なのに遭遇してしまった。
切ないのとかわいいのと、どっちも萌えました。
368風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 00:16:56 ID:korYiGqs0
>366
教授×弟子エロキタ━━━━(*゚∀゚*)━━━━ッ!!
萌えた…!!!!GJGJ!!
369風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 00:17:23 ID:+hxMg1qR0
×>>344
>>345
370風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 00:24:41 ID:znQ36BKvO
>>355
萌えたよGJ!いいもの読ませていただきました。
371風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 15:05:50 ID:4zhvq9xg0
>345
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
GJGJ!!!
ビクるわっしー、怯えるわっしーエロすぎです。しかし、アラソセツナス・゚・(ノД`)・゚・ 。
372風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 18:57:36 ID:zPQKSGjd0
>>355
くわー萌えきった!!
投下されないかな〜と待ち望んでました!!GJGJ!!
373風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 20:37:44 ID:7pg5UTk90
>>345
漂ってる空気がえろい。。いいもの読ませてもらいました。
374ハケン 大小:2007/03/15(木) 22:29:48 ID:g5u5mWMY0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   ダークサイドショージを書きたかったらしいよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  九話のあとくらいだねー
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
375ハケン 大小:2007/03/15(木) 22:30:26 ID:g5u5mWMY0


こいつは駄目だ。
それが、サトナカに対するショージの第一印象だった。

人の喜ぶ顔が見たいから食品会社に入ったとか。
だから頑張って皆で仲良く働きたいんだとか。
そんな青臭いことを、それはもう嬉しそうにサトナカは語った。
新人研修でたまたま隣の席になっただけの、
そしてたまたま一緒に昼食に行っただけのショージにそう語るサトナカを見て、
ショージは思ったのである。
―――こいつは駄目だ。
だから放っておけばよかったのだけど、なぜかそうは出来なかった。
迷子の子犬を素通りするのが難しいのに似ているかもしれない。
376ハケン 大小:2007/03/15(木) 22:31:06 ID:g5u5mWMY0


その第一印象はその後、ケンちゃんは駄目だ、に変化した。
サトナカは入社してしばらく経っても青臭いことを言い続けた。
美しい理想論をココロの底から信じ続けた。
―――ケンちゃんは駄目だ。
世の中に美しくないものなんて沢山有って、
世の中は美しいものだけでは回らなくて。
だから、皆理想に目をつぶる。
泥にまみれなくては世の中が回らないから。
泥にまみれなくては自分の居場所を無くすから。
……泥にまみれることの出来ない人間が、
つまりはサトナカがこの会社で居場所を無くすのは時間の問題だった。
だから、ある時ショージは決意した。
―――俺が、ケンちゃんの居場所を作れば良い。
377ハケン 大小:2007/03/15(木) 22:31:56 ID:g5u5mWMY0


それからのショージは出世に躍起になった。
元々得意だった上司へのおべっかもキレを増した。
得意先のどんな嫌な相手にでも必死に土下座した。
手柄泥棒と言われても平気だった。
……例えそれがサトナカの手柄であっても、ショージは躊躇しなかった。
たまに、ショージの中で何か重いものが溜まる音がして何かが悲鳴を上げていたけれど、
何も気付かない振りは得意だったから問題なかった。
ショージは人の二倍の手柄を立てて人の二倍出世して人の二倍の居場所を作り上げなければならなかった。

働くことは生きること。
だから、働くための場所は生きるための場所だった。
378ハケン 大小:2007/03/15(木) 22:32:38 ID:g5u5mWMY0


それからしばらくは、ショージの行動は上手くいっているように思われた。
ショージは主任になり、サトナカも新設部署という冷遇ながら若くして主任に抜擢された。
何かが狂い始めたのは、サトナカの部署にあのハケンが来てからである。
春の名を持つそのハケンは春の嵐を身に纏い春の暖かさを内に持つ、とんでもない女だった。
そのハケンはショージにもそれはもう絶大な影響を与えたのだけれど、サトナカへも大きな影響を与えた。
いつも受身で頼りないサトナカは、それでもマーケティング課で己の居場所を築きつつあった。

そして。
森とか言うハケンの弁当の一件でショージは確信した。
―――ケンちゃんの居場所はマーケティング課だ。
それはショージに僅かな喜びと安堵、そしてもう少しの空虚を齎した。
それでも、サトナカの居場所が出来ただけならそれでショージは満足だった。
しかし、そのためにサトナカが取ったのはとてもサトナカらしく青臭い行動で、
それは本来褒められるべきなのだけれど会社を構成するパーツとしてはとても褒められるものではなく、
だからこの会社でサトナカが居場所を無くすのはほとんど確定事項だった。
379ハケン 大小:2007/03/15(木) 22:33:35 ID:g5u5mWMY0


働くことは生きること。
……では、サトナカが働く場所を無くしたら?
ショージには想像することはできなかったけれど、
サトナカはやっぱり困った子犬の顔をして全て諦めるのだろうことだけは分かった。
歯痒かった。じれったかった。とても腹が立った。
だから、サトナカがとても大事にしているモノを口撃して、
案の定それで初めてサトナカは怒りを見せた。
―――そんなにその場所が大事なんだな、ケンちゃん。

ショージの前には素晴らしい出世街道が広がっていた。
サトナカの大事にしているモノを奪って、あのムカつくハケンのことも諦めて、
そうして得られる輝かしい未来だった。
青臭いサトナカと青臭く殴り合って、
後ろめたい思いを抱えるショージが本気で怒っているサトナカに敵うわけもなく、
そして少しはボコったけどボコボコにされてふたりとも床に倒れた。
目が腫れて視界が狭くはなっていたけれど、
久しぶりに目の前が晴れ渡った気分だった。
380ハケン 大小:2007/03/15(木) 22:34:30 ID:g5u5mWMY0


「何が会社だ。何が部長だ」
「ははは、酔っ払いじゃないんだから」
何も知らないサトナカは、ショージの言葉を聞いて笑った。

結局、ショージには一人分の居場所しか作れなかった。
この会社には二人分ではなく一人分の居場所しかない。
ならばそれが誰のための場所なのかは明白だった。
……あの時、己がサトナカの居場所を作れば良いと決意したのだから。


―――の、はずだったのだけれど。
会社に未練をこれだけ残して再就職が上手くいくわけもなく、
所在無くうろついていたら何故か犬を連れたあのハケンに見つかり、
サトナカが相変わらずの子犬面で心配していることを知り、
そして動くなといわれて我ながら笑いたくなるくらい忠実に待っていたショージにサトナカは言った。
一緒に謝ってあげるから。
だから一緒に働こう。
あの、青臭いサトナカが。愚かしくも部長に反抗していたサトナカが。
381ハケン 大小:2007/03/15(木) 22:35:11 ID:g5u5mWMY0


―――ああ、そうか。
鋭いつもりが意外と鈍いショージは漸く悟った。
ショージの居場所は初めからあったのだ。
ずっと、目の前に。

……居場所が一人分しかないのなら、それを二人で分ければいい。
一緒に働くということは一緒に生きるのと同じことなのだから。
382ハケン 大小:2007/03/15(木) 22:37:11 ID:g5u5mWMY0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ちょっとシリアスすぎたかな
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



この二人大好きだ。
383風と木の名無しさん:2007/03/15(木) 23:56:51 ID:D8tPmjWu0
>>374
姐さん最高…!!!あまりの素晴らしさに鳥肌立っちゃったよ…!!
すごいよ!!何回GJ言っても言い足りないよ!!
素晴らしい作品をありがとう!!!読ませてくれてありがとう!!!
384風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 00:30:14 ID:rZG1WY3dO
今年豊作すぎワロタ。
姐さん方GJGJですよ!
385禿高 にっしー×わっしー:2007/03/16(金) 03:49:53 ID:lJtLQsGG0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  禿高 にっしー×わっしー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   二氏視点
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
386禿高 にっしー×わっしー1:2007/03/16(金) 03:51:02 ID:lJtLQsGG0
子供の頃、よく玩具を壊した。
それも大切な玩具ほど壊してしまうのだ。大切だからずっと触っていたくて、そのうちに中がどうなっているのか知りたくなって、分解してしまえば、そこで、ジ・エンドだ。
もう元には戻らない。
泣いていると、よく父に叱られた。「おまえのせいだろう」と。
その父ももういない。
なぜか、妙なときにそんなことを思い出してしまった。
その考えを追い払い、また行為に没頭する。
身体の下には、今、彼がいる。のけぞった喉は、小刻みに震え、半開きの唇からはひっきりなしに、切ない声が漏れている。
一度引き抜いて、勢いよく奥まで突き込むと、一瞬高い声をあげた。
「も……許し……」
もう、二度もいかせたからつらいのだろう。
なんとか覆い被さる胸を押しのけようとするが、ほとんど力は入っていない。
普段の冷酷で知性的な視線が嘘のように、うつろな目をして喘ぐ彼はぞっとするほど扇情的だ。
だから、許さない。
387禿高 にっしー×わっしー2:2007/03/16(金) 03:51:39 ID:lJtLQsGG0
ここまでのし上がる間、ずっと彼のことを考えていた。
再会したら、なんて挨拶しようとか、彼の手助けをしたら、喜んでもらえるだろうか、とか。
だが、想像していたのとはすべてが違った。
彼は、自分の申し出を当たり前のように突っぱねた。笑顔さえ見せなかった。
ここまでくるのにどれほどの苦労をしたかなんて、まったく関心はないようだった。
強引に関係を持つことはできたが、それだけだ。抱いている間は乱れても、終われば彼の表情は冷たく凍り付く。
彼をずっと見ていて気づいた。彼の目はいつも、ある男を追っていた。
それに気づいたとき、心の中でなにかが音を立てて壊れた。
「頼む……から……も……っ、苦し……」
なんとか逃れようと藻掻く腕を押さえつけ、何度も腰を打ちつける。
半開きになった唇からは、唾液が糸のようにこぼれている。もう、そんなことを気にする余裕もないのだろう。
そんな姿は見せても、彼の心は分厚いカーテンがかかっている。
見えない。
見えない。
ダカラ、コワシタイ。
彼の耳朶を、血を滲むほど噛んだ。そしてつぶやく。
「あんたがみんな悪いんだ……」
388禿高 にっしー×わっしー:2007/03/16(金) 03:52:17 ID:lJtLQsGG0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 土曜日がくる前に
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
389風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 06:37:51 ID:zIpKCMMQO
にっしー…!
素敵すぎる末期症状〜
390風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 07:04:58 ID:ffAQ22GF0
鬼畜にっしーいいね
ハゲ鷹5話楽しみだ
391numb*3rs 兄×弟:2007/03/16(金) 09:53:03 ID:65uy8AEG0
numb*3rs 兄×弟です。ネタバレってほどでもないけど
シーズン1まるごとネタ含んでるんで注意
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  兄弟の母親ネタを激しく捏造してみた
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  非常に暗い上に長い
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

そういうわけで今回長いので4回くらいに分けて投稿します
スペース使っちゃって申し訳ないけど、この話とあと一話短いの投稿したら
数字ネタ話投下をやめるのでお許しを。
今回はとりあえずとかじゃなく本当にやめますw
ちなみに今回時系列がバラバラなのでわかりにくいかも。スマソ

あ、分割して休憩してる間にほかの数字姐さんが投稿したら
紛らわしくて迷惑かけちゃうと思うので、適当にタイトル入れときますね
392numb*3rs 兄×弟 State of Grace その1:2007/03/16(金) 09:54:50 ID:65uy8AEG0
 
 「チャーリーは?」
 久々に帰った実家の、居間の中を見回して、ドンは誰にともなく尋ねた。彼
の両親――アランとマーガレット――は、それを聞いて顔にかげりを過ぎらせ
た。
 「あの子は」
 マーガレットが静かな声で呟く。やせ細り、もともと白い肌がさらに透ける
ような青白さを帯びていることに気づいて、いまさらながらドンの胸は痛んだ。
 あと長くて3ヶ月の命だなんて。
 まだ昼間だというのに、パジャマ姿でソファに気だるげに、けれどもそれを
気取られまいと、しっかりとした表情を保って腰掛けている母親を見て、ドン
はひそかに唇を噛んだ。母さんの一生は何のためだったんだろう。ぼんやりと
考える。並外れた知能を持って生まれたチャーリーの教育につきっきりになっ
て、13かそこらで大学に進んだあいつのために、一緒に家を出て、父さんと
も何年も離れ離れに暮らして。やっとチャーリーが何とか成人して、前よりは
手が掛からなくなったと思ったら、病気になるなんて。父さんが引退して、二
人でのんびり生活を楽しめるようになった矢先に、子宮に癌を発見されて、し
かももう治る見込みもないなんて。
 ドニー、もうよくなる可能性はないのよ。だったら最期は家で過ごしたいの。
お前たちと過ごしたあの家でね。
 数週間前、マーガレットは電話越しに淡々とそんなふうに言い、アランもそ
れを了承したことを伝えた。アルバカーキで恋人のキムと暮らしていたドンは、
それを聞いて一晩考え、それからロサンゼルスに帰ることを決めた。母さんは
あと三ヶ月しか生きられない。だったら最期の時間を一緒に過ごすべきだ。父
さんだって家で母さんの介護をするなら、助けがいるだろう。妻を失う準備を
する父親を、肉体面でまで追い詰めたくない。俺がロスに帰って、支えるべき
だ。
393numb*3rs 兄×弟 State of Grace その2:2007/03/16(金) 09:56:12 ID:65uy8AEG0
 自分でも驚くほど、決断はあっけなく、迷いもなかった。ドンはキムに事情
を説明し、もう一緒に暮らせないことを伝え、自分たちは別れたほうがいいと
告げた。上司にロスへの転属願いも出した。キムは驚き、泣いて、最後には理
性的に受け入れ、それからまた泣いた。お母さんの最後を看取りたい気持ちは
わかるわ。でもどうしてこれで終わりにするの?また戻ってくればいいじゃな
い。
 どうしてなのか自分でもわからなかった。ただ一度ロスに戻ったら、自分は
家族を何よりも優先させるだろうということだけは漠然と感じた。そんな状態
でキムと付き合うのは失礼だと思ったし、実質それは無理だろうとも感じたの
だ。
 ドンがキャリアを犠牲にして、家族のために故郷に戻るということについて、
周囲の同僚はみな驚いてみせた。お前みたいな仕事人間が。口には出さないが、
感謝祭や独立記念日にも働きづめで、実家に滅多に帰るそぶりも見せなかった
ドンが、思わぬ執着を家族に示したことは、周囲には意外なようだった。ドン
自身にも意外だった。仕事以上に自分を駆り立てることなんて、ないと思って
いたから。
 でも違った。家に帰るという決意は、衝動は、仕事に対する情熱より強く、
ドンを突き動かした。だから戻ってきた。だが――とドンは居間の中をもう一
度見回した。一人足りない。弟がいない。マーガレットが愛し、誰よりも慈し
んだ弟が。
 「ドン、チャーリーはガレージにいるの」
 マーガレットが言い含めるようにゆっくりと呟く。ドンは僅かに眉を寄せ、
じゃあ、と言った。「呼んでくるよ。じき夕食だろ?」
 「そうじゃないの。ドニー、あの子、問題を解いているのよ」
 掠れた声の答えを聞いて、ガレージに向かいかけていたドンは、振り向いた。
マーガレットは青ざめた顔で頷いてみせ、アランは壁のあるほうへと視線を泳
がせた。
394numb*3rs 兄×弟 State of Grace その3:2007/03/16(金) 09:57:26 ID:65uy8AEG0
 「……問題?」
 足を止めて聞くと、マーガレットはまた頷き、疲労に耐えかねたのか、ソフ
ァの背もたれに頭を預けて、目を瞑った。アランがそれを見て、側にあったひ
ざ掛けを掛けてやる。
 「……チャーリーは問題を解くためにガレージにいるの。夕食のためにキッ
チンに来ることはないわ。呼んでもこないの。夜中に人がいないとき、シャワ
ーを浴びたり冷蔵庫から何かを出して――」
 「あいつはガレージに閉じこもってるってこと?」
 ドンはこぶしを握り締め、強い口調で聞いた。アランはそわそわと手を擦り
ながら、居間の椅子に腰を掛けて頷いた。「なんだか難しい問題にかかりっき
りなんだ」
 「――いつから?」
 握り締めた手のひらの内側に、爪が食い込むのがわかった。歯を食いしばる
ようにして問うと、マーガレットはアランと一瞬視線を合わせてから、穏やか
な口調で言った。「私がここに戻ってきてから、ずっとよ」
 「ずっと母さんを避けてるってことか?そんな――」
 信じられない。震える声で呟くのを、マーガレットは片手を軽く上げて制し
た。ドンはそのしぐさを見て口を閉じる。ずっと前からこうだった。大声ひと
つ出さない、もの静かなこの母親は、こんなしぐさ一つで息子たちを黙らせる
ことができる。魔法のように。
 その母さんが死ぬときに、問題を解く?やせ細った、青白い母親の手を擦り
もせずに? 
 ドンには信じられなかった。頭の奥が、怒りと混乱で熱くなる。マーガレッ
トはそんなドンを見て、いいのよ、と囁くように言った。
 「したいようにさせておいて。いいのよ、大丈夫なの」
 「だけど――だけど、母さんが」
 死にかけているのに。ドンの声にならない叫びを聞き取ったのか、マーガレ
ットは瞬いた。そして、いいのよ、と繰り返した。
395numb*3rs 兄×弟 State of Grace その4:2007/03/16(金) 09:58:50 ID:65uy8AEG0
 「あの子がしたいと思うようにすればいいの。……ドン、理解してあげて」
 理解なんてできない。ドンはそう言いそうになり、それから必死で言葉を飲
み込んだ。よりによってこんなときに。ドンは手のひらで口元を覆い、混乱に
耐えようとした。母さんは死にかけてる。それなのにあいつは数学の問題を解
いて、同じ家の中にいる母さんを無視してる。それは、とドンは思った。あい
つがそんなふうになったのは、俺のせいなのか?あのときのことがあったから
か?
 ドンは聞きたかった。けれども心配げなアランやマーガレットの眼差しを見
ると、とてもそんなことは聞けなかった。ドンは手のひらを下げ、こぶしを握
り締めて、深呼吸をした。そして言った。
 「わかった」
 わかった。今自分たち家族が置かれている状況は、理解した。そう示唆する
と、マーガレットはまた頷いた。そしてぽつりと言った。
 「あの子の気の済むようにさせてあげて。ドン、わかってあげて」


                 *

 「ドン、待って。ドン!待って。お願い」
 チャーリーが泣いて追いかけてくる。ドンは早足で廊下を歩き、自分の寝室
へと向かいながら、弟の幼い足音を聞くまいとした。握り締めた右の手のひら
が微かに疼く。さっき弟の頬を叩いたせいだ。
 生まれて初めて弟に暴力を振るった。自分より5つも年下で、身体も小さな
弟を。まだたった12歳のチャーリー。
 ドンは唇を噛んだ。後悔よりも、弟に対する怒りが未だに強くて、そのせい
か手のひらの痛みにすら苛立ちを覚える。一人になりたかった。
 「ドン、ごめんなさい。ごめんなさい……。ドン、お願い。謝るから……。
お願いだから嫌わないで」
 泣きじゃくる弟の声を聞いて、ドンは勢いよく振り返った。「――無理だよ」
 びくり、とチャーリーは肩を震わせて、びっくりしたように立ちすくんだ。
背の低い弟を見下ろして、ドンは冷たい声で言い捨てた。「無理だよ、チャー
リー。お前にはもう我慢できない」
396numb*3rs 兄×弟 State of Grace その5:2007/03/16(金) 10:00:47 ID:65uy8AEG0
 『ドンはキャリー・オハラとキスしてたんだ。キャリーはドンのクラスメイ
トで、チアガールやってる美人で、でも数学の成績はめちゃくちゃな子。ドン
に夢中なんだよ。今日僕が家に帰ったら、その子とドンは、ドンのベッドの上
で――』
 夕食の席で、得意げにまくし立てていた声が耳に蘇り、ドンは弟から目を逸
らした。視界の隅でチャーリーがまた顔を歪める。声を上げて泣きながら、チ
ャーリーはごめんなさい、と繰り返した。
 「ごめんなさい、ドン。ごめんなさい。僕はただ――そんなに怒るなんて…
…」
 「秘密だって言っただろ!誰にも言うなって」
 ドンはやりきれない想いで言葉を吐き捨てた。弟の口が軽いことなんて知っ
ていたし、詮索癖だってわかっていたつもりだった。ドンだってチャーリーが
昼過ぎに図書館から帰ってくると知っていれば、新しいガールフレンドを家に
呼んだりしなかっただろう。だがチャーリーは朝食をとっているとき、今日は
調べたいことがあるから、一日中図書館にいると母親に告げていた。そう。私
と父さんも出かけるけど、ドンは家にいるのよね?そんな声に頷きながら、軽
い気持ちで恋人を家に呼ぶことに決めた自分にも腹が立つ。チャーリーが居合
わせれば、絶対に自分たちを覗くだろうことは予想ができたのに。
 初めて本気で付き合った子なのに、とドンは弟の赤くなった右頬を見つめな
がら思った。チャーリーの軽薄なおしゃべりの種になんかされたくなかったの
に。両親に恋人といちゃついていたことを暴露されて、恥ずかしくないやつな
んていない。チャーリーが『たまたま』――それだって怪しいものだ、とドン
は思っていた。彼女に今日来ないかと電話したとき、もしかして弟はこっそり
聞いていたのではないだろうか――予定よりも何時間も早く帰ってきて、キャ
リーと鉢合わせしたときには、まだドンだって事態を我慢できた。そのせいで
気まずくなった恋人が、逃げるように帰ってしまったことにも。だが、両親に
は言うなという、ドンの言葉に、こっくりと頷いておきながら、何のためらい
もなくそれを破った弟の無神経さが厭わしい。思えばチャーリーは、万事がこ
んな調子なのだ。
397numb*3rs 兄×弟 State of Grace その6:2007/03/16(金) 10:03:22 ID:65uy8AEG0
 母親や父親の注目を小さな頃から独占してきたのはまあいい。そんなのはチ
ャーリーのせいではないことくらい、ドンにだってわかる。たまにドンを小ば
かにしたような態度で、数学の知識をひけらかし、野球の構えにまで口を出し
てくるのもまだいい。ドンが留守の間に、勝手に部屋に入り、人のものをこそ
こそ探るのも。5歳も年下のはずなのに、ドンと同じハイスクールで学び、数
学や物理でドンよりもずっといい成績を取ったっていい。そのせいでクラスメ
イトに情けない兄貴だなんてからかわれるのもまだ我慢できる。今までだって
チャーリーに些細な秘密を破られたことはあったが、これまでは弟が生来の迂
闊さで口を滑らせたって、呆れてみせるくらいだった。それがこの弟の性質な
んだからと、ドンだって思っていた。でも今回ばかりは許せない。
 我慢できないのは、誰にも言わないと誓ったくせに、そしてドンにそう信じ
させたくせに、恋人との関係をくだらないジョークみたいにぺらぺら両親に話
したことだ。約束を破って、それを悪いとも思わないような弟の態度だ。最近
何かと見られる、そして今日決定的になった、ドンが彼女を大事にすることが、
滑稽だというような、言外の嘲りだ。飛び級して不意にドンと同じ高校に入っ
てきて、注目を集めたときのような無遠慮さで、人のテリトリーとプライドを
踏みにじるチャーリーの幼さだ。彼女といるときはチャーリーのことを考えた
くなかったのに、チャーリーはそんなことに気づこうともしない。
 もうこいつといるのは疲れた。
 ドンはそう思って、自分の手のひらに視線を落とした。ハイスクールで馬鹿
にされながら絶えずこいつを守ってやるのも、こいつの屁理屈に耳を傾けてや
るのも、もううんざりだ。チャーリーといると自分が影のような存在になった
気さえする。でくのぼうみたいに、天才児の弟の隣に突っ立っているだけの存
在。
 
398numb*3rs 兄×弟 State of Grace その7:2007/03/16(金) 10:05:27 ID:65uy8AEG0
 アランとマーガレットが心配して追いかけてきたらしく、階段からこちらを
伺っているのに気づき、ドンは唇を開いた。
 「……四六時中一緒にいて、俺がどれだけ嫌な気持ちかお前はわからないだ
ろ?――うんざりなんだよ」
 そう言ってドンは自分の部屋に入り、ドアを乱暴に閉じた。なんてことを。
アランの声が聞こえたが、ドンは気にしなかった。
 父さんも母さんも、俺が何でこんなに怒ったかなんてわからないだろう。単
にチャーリーが口が軽いからなんかじゃない。俺は弟を許さなきゃいけないの
に、ずっとそれに失敗し続けてきているから、そのことに疲れていることなん
て気づきもしない。チャーリーがそんな俺の気持ちなんてお構いなしで、俺の
生活を土足で踏みにじって、また怒らせることにも。その怒りに俺は怒ってい
るのに。チャーリーも母さんも父さんも、俺の気持ちなんてわからないに決ま
ってる。
 ベッドにうつぶせに寝転がり、ドンは自分の手のひらをもう一度見た。この
手で弟を叩いた。守ろうとしてきた、守り続けてきた弟を叩いた。あんな馬鹿
みたいなことで。そんな自分に無性に腹が立ち、涙が出た。

           
                    *

                            
 「チャーリー、叩いて悪かったよ」
 ドンはとうとう謝った。まだ許したくないという気持ちはあったが、実際は
許しを乞う立場に回った。どっちかが謝らないと『これ』は終わらない。だっ
たら兄の自分が何とかするべきだ。そういう考えに沿って、ドンはガレージで
弟に謝った。
 チャーリーはそれを聞いて僅かに肩を震わせたが、何も言わずにそのままチ
ョークを走らせた。数式が黒板に埋まっていく。返事がないことに、苛立ちと
焦りを覚えながら、ドンは繰り返した。「チャーリー、悪かったよ。だからも
うやめろ」
399numb*3rs 兄×弟 State of Grace その8:2007/03/16(金) 10:06:49 ID:65uy8AEG0
 返事はなかった。一体こいつは何をやってるんだ?ドンはそう思って、一心
不乱に数式を書く弟の横顔を見た。もう4日もこの調子で、学校に行くのもや
めてガレージにこもって問題を解き、食事のためにキッチンに来ることもなけ
れば、バスルームにだって滅多にはいかない。何なんだこれは?ドンは思った。
こんなのはいくらなんでもおかしすぎる。
 これまでだってチャーリーはよく数式に夢中になって、食事や睡眠を忘れ、
両親を心配させた。けれどもそれは大体数時間、長くても一晩で終わって、お
なかが減ったなんて照れ笑いをしながら家族のところへ戻ってきたものだ。こ
んなふうになったことはなかった。まるで気が狂ったように、寝ることも食事
もすべて省き、家族の言葉にも答えずに問題を解き続けるなんて。
 ドン、チャーリーがおかしいの。
 喧嘩をした次の朝、自分は絶対に謝らないぞと、内心決意を固めて朝食をつ
ついていたドンに、マーガレットは気遣わしげに言った。ドンはそれを無視し
ようとしたが、母親はトーストを持つドンの手に触れて、繰り返した。あれか
らあの子、ずっとガレージにいるのよ。そして数学の問題を解いてるの。ドン、
私の声にも耳を貸さないのよ。まるで聞こえないみたいな態度なの。
 ドンは最初それを大して深刻に受け止めなかった。それどころか、大喧嘩の
後に、謝りもせずに数式に熱中し始めた弟にむっとすらした。どうせあいつは
人の気持ちなんかより数字が大事なんだ。そんなふうに思って登校し、弟は風
邪かなんて教師に聞かれても適当に受け流し、一日を終えて帰ってきてみて、
やっと事態の異常さに気づいた。チャーリーはあれから一言も口を利かない。
押し黙って数式を解き、何も口に入れない。眠りすらしない。母親のそんな報
告を聞いて、これまでとは何かが違うと思った。
400numb*3rs 兄×弟 State of Grace その9:2007/03/16(金) 10:07:55 ID:65uy8AEG0
 アランやマーガレットは、何度もガレージに顔を出し、チャーリーをキッチ
ンまで引っ張り出そうとしたようだったが、チャーリーは『そこに人なんてい
ないみたいに』――アランによると――、振る舞い、常にそれを無視したらし
い。ドン、あの子、ショックを受けたのよ。あの……喧嘩で。責めるというよ
り悲鳴に近い母親の言葉を聞いているうちに、ドンも確かに自分が原因ではな
いかと思うようになった。それでガレージに行き、ぶっきらぼうな声で夕食の
時間だぞと伝えたり、こんなところにずっといたら風邪を引くと脅してみたり
したが、驚いたことに確かにチャーリーは、完璧なまでにドンを無視した。い
つもは弟にこちらを向かせることに、苦労なんてなかったので、ドンは軽く衝
撃を受けた。何なんだこれは?
 三日目の晩、このままじゃあの子は死ぬぞ。アランが心配して叫ぶのを聞い
て、ドンも心配になった。そして弟に謝ろうと決めた。それに実際、暴力を振
るったことには後悔していた。ひどい言葉を投げつけたことも。チャーリーは
まだ子供なのだ。それにずば抜けた才能のせいなのか、不安定な性質を持って
いて、そのために自分で自分をコントロールできないようなところがある。そ
れをちゃんとわかってやるべきだった。俺は兄貴なんだから。そんなふうに思
って、ドンは明日の朝、目が覚めたらガレージに行って謝ろうと決めた。
 けれども、謝罪の言葉に返事はなかった。今、わき目も振らずに数式を書く
弟を見て、ドンは不安になってきた。お前の弟、たまにきちがいみたいだよな。
よく一人でぶつぶつなんか言ってるし。なんだっけ?レインマン。そうそう、
レインマンだよ。あれにそっくりだ。そんなクラスメイトの言葉が脳裏に蘇る。
そう言われたとき、ドンはもちろん腹が立ったが、同時に怖くもなった。確か
にドンにもそんなふうに感じる瞬間はあり、それを見透かされたようだったか
ら。
 
401numb*3rs 兄×弟 State of Grace その10:2007/03/16(金) 10:09:14 ID:65uy8AEG0
 そのときと同じ恐れが胸に広がる。まるで感情なんかないみたいな表情だ。
ドンは思い、たまらなくなってチャーリーの腕に触れた。「チャーリー」
 チャーリーはそれを、蝿でも叩き落とすような無造作な動作で払いのけた。
ドンは呆然とした。チャーリーはドンなんて見ていなかった。誰のことも見て
いない。ありもしない数字の世界だけを見ている。
 こんなのは俺の弟じゃない。
 喉の奥からこぼれそうな言葉を堪える。ドンは結局、説得するのを諦めてガ
レージを出た。弟がまるで知らない他人のように思えた。違う言葉を話す、違
う国の人間、見知らぬ遠い存在のように。
 それからさらに3日経って、ドンが高校から帰ってくると、チャーリーはガ
レージから出ていた。驚いているドンを一瞥もせずに、母親にエウクレイデス
だかなんだかの証明を、解法を見ずにやりとげたということを、興奮して話し
ていた。マーガレットは椅子に座り、困惑気味に、けれども表面上は落ち着い
た態度で、息子の話を聞いてやっていた。どうしたっていうんだ?ドンが戸惑
いながら居間に入り、弟の名前を呼ぶと、チャーリーは目線を上げた。そして
ドンを見た。
 「チャーリー」
 悪かったよ。そう言おうとした瞬間、チャーリーは顔を背けて、また母親に
証明した問題について、自分がどんなアプローチをしたかを捲くし立て始めた。
存在しないみたいに扱われて、ドンは呆然とした。マーガレットはそれを見て
何か言いかけ、結局唇を閉じた。
 日が経つにつれ、チャーリーは少しずつ、元に戻っていった。態度にぎこち
なさは残るものの、やはりドンの後をついてまわるようになり、相変わらず口
は軽く、泣き虫だった。ドンも気まずさを覚えながら、以前のように弟の面倒
を見たり、わけのわからない屁理屈を聞いたふりをしてやったり、二人は以前
の仲に戻ったように見えた。
402numb*3rs 兄×弟 State of Graceその11:2007/03/16(金) 10:10:06 ID:65uy8AEG0
 けれどもドンはそうではないことに気づいていた。何かが変わった。何か大
きな事件に直面すると、きっとまたチャーリーはガレージにこもる。どうして
なのかはよくわからない。けれどもガレージにこもったときのチャーリーは、
ドンの弟ではない。理解できる相手ではない。
 それともそもそもチャーリーはそういう人間で、これまでドンの前で見せて
きた態度のほうが、作られたものだったのだろうか?本質的にはチャーリーは
ドンには理解できない相手だとしたら?
 ドンは怖くなった。二度と弟にガレージにこもってほしくないと思ったが、
きっかけを与えたのが自分だという自覚もあった。俺があのとき叩かなかった
ら、ひどい言葉を浴びせなかったら、ああはならなかったのか?いつかまたあ
あなるかもしれないのか?そんな考えにしばしば襲われ、眠れなくなったこと
もあった。
 ドンは前にもましてチャーリーに過保護になった。弟に打ち解けた冗談を言
えない代わりに、弟を守ろうと決めた。だから、とドンは祈るような気持ちで
思いながら、毎日弟と一緒に高校に通い、彼を守った。
 だからチャーリー、俺の理解できる存在でいてくれ。 
 

403風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 10:13:11 ID:65uy8AEG0
  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ここで一時停止。多分あと3回も同じだけの投下を
  |  繰り返しちゃうんだぜ
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ     | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
くそ長くてスマソ…

関係ないけどレイd教授と弟子の元ネタ知らないけど萌えた
ひらがなの使い方がすばらしー
404風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 11:59:29 ID:FLI2Vbm90
>>325
亀レスだがgggggggggjjjjjjjjjjjj
兄受見られて幸せです
405風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 16:05:07 ID:1czHJjoE0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ハケソ リュト×小→大
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  「付き合うよ」の後です
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4061/4:2007/03/16(金) 16:06:12 ID:1czHJjoE0
可愛い顔してんな。
初めて見たときにそう思った。頻繁に店に来るようになって、真面目で単純だと知った。
人に何かを訴えるとき、でっかい目いっぱいに涙を溜めるのに
決してそれを零そうとしないこともわかった。

恋に落ちるには充分だった。

飲み始めた早々に母さんを追っ払って、勝手に店も閉めてしまう。
去り際の母さんに睨まれた気がしたけど気付かないふりをして改めて二人で乾杯した。
「俺の周りにいなかったタイプだよ、あんたって」
「え?」
「あいつがこいつがって人のことで走り回って損ばっかりしてる」
「それは…ちょっとだけ自覚してる、かな」
サトナカさんは困ったように、はにかんだように微笑んでグラスを傾ける。恐る恐る、という風に
グラスの足を持つ細い指や少し伏せられた目が繊細そうな印象を作った。
絵になる人間というのはいるもんだなと感心してしまう。
「めちゃくちゃに甘やかしてやりたくなるタイプだよね」
言うと彼はおかしそうに笑った。
「オレ、君よりかなり年上なんだけど」
「そんなの関係なくない?主任さん可愛いよ…と、もうハルコの主任さんじゃないか」
「サトナカでいいよ」
「名前がいいな。ケンスケ、ダメ?」
上目遣いで尋ねると名前を覚えていたことに驚いたようだった。
そしてあっさり「いいよ」と返してくる。
「でも可愛いはやめて欲しいなあ。僕もう三十なんだし」
「なんで?可愛いじゃん」
4072/4:2007/03/16(金) 16:07:01 ID:1czHJjoE0
いつもより低いトーンで言いながら、シャツの袖から指を差し込んで彼の手首に触れた。
内側の血管の筋をゆっくりなぞると彼は表情を固くして俯く。年下相手だからと無防備に
緩んでいた空気が一気に硬化した。
俺はそれが面白くて少し身を寄せる。びくり、彼の肩が揺れた。
「リ.ュート、くん」
「リ.ュートって呼んで」
「りゅう…と」
「うん。なに?」
きっとこういう雰囲気に慣れていないんだろう。動揺して言われるがままの彼が愛おしい。
頬に影を落とす長い睫毛も困ったように寄せられた眉も噛み締めた唇も全部、好きだ。
覗き込むように彼を見ると潤んだ瞳と目が合った。
「いや、その…」
身を硬くして、でも振り払えなくて彼は伺うように見返してくる。俺はありったけ優しく笑いかけ、
彼の首に手を回す。引き寄せてこめかみにキスするとまた肩が震えた。
「もっとケンスケと話したいな」
唇を触れさせたまま囁くと、彼がぎゅっと目を閉じるのがわかる。
「俺の部屋に来ない?」
彼はたっぷり一分は間をおいてから、ゆっくりと浅く頷いた。


「き、綺麗にしてるんだね」
努めて明るく言って、彼は部屋を見回す。俺は気が急いてると自覚しながらも
その背中を後から抱きすくめた。
4083/4:2007/03/16(金) 16:08:00 ID:1czHJjoE0
「ちょ、リ.ュート君!なにす…」
「リ.ュート、でしょ」
咎めの言葉を遮る。その声が思いのほか低くなって、怯えさせてしまったかと一瞬後悔した。
けれどそれもいいかとすぐ思い直す。
「言ったよね、甘やかしたくなるって」
うなじに頬を寄せると彼は一層強く抵抗した。といっても彼の身体は俺より小さくて華奢なので、
俺が腕の力を強めればそんなのはすぐに抑え込める。酔っているせいか焦っているせいか
真っ赤になっている耳を甘く噛むと腕の中の身体が強張った。
「やめなさい…!すぐそばにオオマエさんやお母様もいらっしゃる…」
「理由はそれだけ?なら声を抑えればいい」
「それだけじゃないよ俺には好きな人が…っ」
「でもあの人はハルコが好きなんでしょ」
大きく目を見開いて彼が俺を見る。あ、泣きそう…この顔好きだな、そんなことを考えながら
真っ直ぐ見つめ返すとすぐにそっぽを向いてしまった。
「……オレは君を好きじゃない」
「可愛いなぁ。そういうとこ、大好き」
振りほどこうと俺の腕を掴んでいた指の力が緩む。
限りなく確信に近い予感を抱きながら、俺は最後の一言を放った。
「何も考えられなくしてあげるよ―――?」

彼の身体は思ったとおり綺麗で、そして想像以上に熱かった。どこを触っても
新鮮な反応が返ってきて敏感なんだと嬉しくなる。
4094/4:2007/03/16(金) 16:09:07 ID:1czHJjoE0
時折鼻に掛かった声が漏れ、彼は手で口を塞いでいた。俺は細心の注意を払って彼の身体を
慣らしていく。それは今までは実に面倒くさい作業だったんだけど、彼が感じ始めるのを
見るのは楽しくて仕方がなかった。
充分に慣らした入り口に俺のをあてがうとやっぱり身体が引けてしまうようで、細い腰を
引き戻して固定する。彼は観念したようにぎゅっと目を閉じた。
「目ぇ瞑っちゃダメ。忘れないで、あんたが今セックスしてるのは俺。
あんたの中に入ってるのは俺だよ」
瞼に口付けると同時に腰を進める。彼は大きな目で見上げてきて、その視線は「わかってる」とでも
言いたげだった。身代わりにするなんて思いもつかない誠実さは俺から見るとただの不器用で
でもそれが愛おしくてどうしようもない。
「あの人だったらって思う?」
意地悪したくなって囁いた。同時に身体を揺すると彼は苦しげに息を吐く。
「そんな、こと…っ」
呼吸を乱しながらも一生懸命に頭を振って否定した。それは俺に対する彼の優しさだと
思おうとしたけど、あの人に対するストイックな彼の想いであることをどこかで知っていた。
「可愛い…でも、我慢しなくていいじゃん。言いたくないの?俺も好きなのにって、
俺じゃ駄目なのかって言いたくない?」
片方の膝を抱えあげて結合を深めると彼から上ずった声が漏れる。それを摘み取るように
キスをした。
「言いなよ。俺しか聞かないから」
唇を重ねながら言うと、それまでシーツを掴んでいた腕が俺の肩に縋る。
彼の瞳から涙が落ちた。
「…っ…き………好き…」

うわ言のような告白は、自分に言われているようでひどく気分が良かった。
410風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 16:11:02 ID:1czHJjoE0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ずっとほんのり萌えてたのに最終回でリュが口説き始めて腰が抜けました。
411風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 18:02:56 ID:dXfzRRAv0
>>405-409
激しくGJ!!!エロイ雰囲気がまたww
412風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 18:04:58 ID:hcC2bpIz0
素敵です!GJ!
413風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 18:12:37 ID:cGYs4dNw0
>>409
GJ!リュートがエロい上に小が切なくてたまらんですハァハァ
414風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 18:32:48 ID:BnUWK8Q4O
リュートエロス。
こ、腰に来たよ……
415風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 20:44:42 ID:r4I0BPEl0
>391
姐さん、ひょっとしていつも数字ネタ話を
投下してくれている方?
続き楽しみにしてる!待ってるよ!!

やめるなんて言わないで、萌えネタが
出来て書きたくなって、話を書くときが来たら
また戻ってきてほすい。
ビデオ棚スレはいつでも門が開いてるから。
416風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 22:09:33 ID:JR+kXREa0
>>391
やばいぐらいドキドキして続き待ってるよ!

姐さん”元祖”数字話の姐さんですよね?
自分、ここのところ数字話投下させてもらってる者ですが
(万有引力とかドンの語りとかsniperZeroとか)
もしや自分が週一で投下してるせいで、
棚を数字話で占領させるとマズーってことで終了宣言?
他ジャンルの姐さんたちに迷惑かけない頻度で投下するよう気をつけるので、
萌があるなら、やめるなんて言わないでほすい。
姐さんの話、すごい好きだから。
417風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 23:29:13 ID:65uy8AEG0
午前中のnumb*3rs 兄×弟の続きを投下しますね
        _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│>402の続きだってよ
                └───────────────
なんか誘い受けチックなことを書いてしまったみたいで申し訳ない
ただあまりに萌えに際限がないため、どこかで区切りをつけて、
その分作品として昇華したいと思っただけです
そんでもって狐のシーズン1フィナーレに合わせたらちょうどいいかなっと
冷静に考えれば、相当しなくていい告知だな。スマソ

元々マイナージャンルなこのドラマの萌え仲間を増やしたい、
他の人が書いた作品を読みたいという下心があって投下を始めたわけで
私のせいで萌え作品読めなくなっちゃったら本末転倒ですよ…ORZ
頼む!ガンガン読ませてくれ!毎回悶えてるんだ!
418numb*3rs 兄×弟 State of Grace その12:2007/03/16(金) 23:31:25 ID:65uy8AEG0
                    *

 「教えてください。チャーリーは今何をしているんですか?」
 ドンは暗澹たる気持ちでラリー・フラインハードに聞いた。チャーリーの大
学での同僚で、以前の指導教官でもあったというこの物理学者は、チャーリー
の『様子を見るために』ちょっと覗きに来たといって、何度かガレージを訪れ
ては、数分で戻ってくる。彼はチャーリーの親友なのよ。母親に教えられて、
ドンはよく知らないこの相手が帰ろうとするところを強引に捕まえ、キッチン
でお茶に誘った。ラリーは戸惑いつつも承諾して、ドンの勧めるままに紅茶を
飲みながら、居心地が悪そうに身体をもぞもぞ動かしている。
 「俺にはあいつが何の問題を解いているのかよくわからない。……教えてく
れませんか?」
 ドンは言った。ラリーは上目遣いにそんなドンを見つめ、何やらぼそぼそと
呟いてから、両手の人差し指を交差するしぐさを見せた。
 「チャーリーが、弟さんが解こうとしているのは、P≠NP問題といって」
 いかにも学者らしい口調で、説明が始まる。ドンは眉を寄せて耳を傾けた。
 「現代数学上の難問の一つです。正確には理論計算幾何学の分野にあたり、
簡単に言えば、多項式で解ける問題とそうでない問題が等しいか等しくないか
ということを検証する問題です。つまり……」
 「――それは、解くのにどれくらい時間がかかるものなんですか?」
 自分から聞いたくせに、ドンは言葉を遮って問うた。ラリーは指の動きを止
め、唇を半開きにして、ドンを見つめた。キッチンに沈黙が漂う。数分してか
ら、ドンは両手を軽く広げた。
 「……俺は学者じゃないし、この通り普通の人間だ。あいつがやっているこ
とはわからない。でも、理解する必要がある」
 それとも理解できていないのは、俺だけなのか?とドンは思いながら、呟い
た。母さんはチャーリーが何故ガレージにこもりっきりなのか、追求しようと
もしない。父さんも気にするそぶりを見せながらも、なんとなく受け入れてい
る。目の前にいるラリーはチャーリーが解こうとする問題の意味も知っていて、
そのうえ何故彼がそれを解こうとするかもわかっているみたいだ。理解できな
いのは、俺だけみたいじゃないか。
419numb*3rs 兄×弟 State of Grace その13:2007/03/16(金) 23:32:50 ID:65uy8AEG0
 「……私が思うに、解けません」 
 ラリーが躊躇いがちに答える。ドンは耳を疑い、聞き返した。「何?何て言
いましたか?」
 ラリーは唇を舐めてから、何故だか申し訳なさそうに言った。「チャーリー
は、優秀な数学者だ。でも少なくとも、数ヶ月ではこれは解けない。一生を費
やしてもおかしくないほどの難問なんだ。彼は解けると言っているが――」
 「あと3ヶ月で母が死ぬんだ。長くても3ヶ月なんだ。それまでに解けない
と――」
 震える声で言うと、強い口調で遮られる。「解けないような問題を彼は選ん
だんです。……簡単に解けるなら役に立たないことになる」
 「――わからない」
 ドンの呟きに、ラリーはまた口を閉ざした。しばらく黙り込んでから、小さ
な声で付け加えた。「彼には考えることが必要なんです。そうせずにはいられ
ないんだ」
 「――母さんが逝く前に、俺はあいつをガレージから引っ張り出さないとい
けないんだ」
 ドンが独白するように言うと、ラリーはかぶりを振った。
 「そうできたらいいんですが」

                  *

 「ドンと僕はどうして別の学校に通ってるの?」
 夕食の後ソファでテレビを観ていると、隣で何やら難しそうな数学の問題を
解いていた弟が言った。ドンはそれを横目で見、それから素っ気なく答えた。
「年が違うから」
 チャーリーはその言葉にぎゅっと鉛筆を握った。白いプリント紙に鉛筆の歪
んだラインが走る。
 「嘘。だってドンと僕は5つ違いだけど、エレメンタリスクールは6年ある
から、1年は一緒に行けるもの。年は違っても、一緒に通えるはずだもん」
 ブラウン管の中で、お気に入りのバッターがヒットを打つ。ドンは軽くガッ
ツポーズをしてから、泣きそうな顔をした弟を振り返った。
420numb*3rs 兄×弟 State of Grace 14:2007/03/16(金) 23:34:19 ID:65uy8AEG0
 「どの道そんなに長い期間は一緒に通えないってことだろ。5つも違うんだ
から」
 お前が『天才児』じゃなくても。俺と違って、ハイアリー・ギフテッド・ス
クールなんていう、ちょっと離れたところにある、特別な学校に通わなかった
としても。
 そんな言葉を飲み込んで、またテレビに視線を戻す。視界の隅でチャーリー
が唇を噛むのがわかった。
 「……ずっと一緒に学校には通えない?」
 小声で、チャーリーは呟くように問う。ドンはまた弟に視線をやり、それか
らしばらく返す台詞を考えた。
 「……普通はな」
 考えた末の、どこか投げやりな返事に、チャーリーはぱっと表情を動かした。
身を乗り出して、ドン、とトレーナーの裾を引っ張ってくる。ドンは少し苛立
った。いい加減野球の試合に集中したい。
 だが弟のほうに顔を向けて、ドンは聞いた。「どうした?」
 チャーリーはあのね、と声を弾ませた。
 「僕は人と違うって、『普通』じゃないんだって。だからね、もしかしたら
いつか、ドンと一緒に学校に通えるかな?」
 ドンはそれを聞いて、弟の屈託のない顔を凝視した。チャーリーは顔を輝か
せて、答えを待っている。
 「……『普通』じゃない、なんて、誰が言ったんだ?」
 低い声でドンは弟に尋ねた。チャーリーは不思議そうに首を傾げる。
 「皆言ってるよ。近所のダニエルも、ジェーンも、こないだうちに来た父さ
んたちの友達だって――」
 「そんなの嘘だ。信じちゃだめだ」
 早口で遮り、ドンは弟の頭を巻き毛ごと引き寄せて、自分の胸に押し付けた。
痛いよ、ドン。くすぐったげにチャーリーは言う。ドンは思った。――『普通』
じゃないなんて、まるで頭のおかしいやつに言うみたいな言葉だ。
421numb*3rs 兄×弟 State of Grace 15:2007/03/16(金) 23:36:22 ID:65uy8AEG0
 いくら『天才』だからって、IQとかいうやつが高かったって、こいつは『普
通』の弟なんだ。俺の弟だ。
 「――お前は普通だよ」
 呟くように言うと、腕の中から顔を覗かせて、チャーリーは心配そうに聞い
た。
 「じゃあ、ずっと、一緒に学校には通えない?」
 ドンは弟を見下ろし、しばらく躊躇ってから、先刻と同じ言葉を返した。「
普通はな」
 チャーリーはそれを聞いて、ドンの腕を枕みたいに抱きしめながら、しばら
くの間一人で何か考えていた。

                       *

 数式がぎっしり書かれた黒板に寄りかかって、ドンは言った。「チャーリー、
来いよ。食事をしよう。父さんが料理したんだ。父さんの料理だぞ」
 食ったことあるか?チャーリーはドンの言葉に反応せず、唇を引き結んで数
式を書き連ねる。黒板に文字が埋め尽くされれば新しい一枚を手に取り、その
すべてが埋まると、古いものを消してまた書き始める。ドンはそんなチャーリ
ーを追いかけて、馬鹿みたいに繰り返していた。ここから出よう。
 けれども答えは一言もなかった。チャーリーはまるでドンなんていないみた
いに振舞って、数式に熱中している。ドンは泣きたいような気持ちになった。
よしてくれ。もういい加減にしてくれ。
 「チャーリー!」
 声を荒げて名前を呼ぶと、チャーリーが怯えて肩を震わせた。ドンはその肩
を掴み、強引に視線を重ねて言った。「母さんに会えよ!会ってちゃんと安心
させてやれよ」
 お前を誰より心配してるのは、母さんなんだから。低い声を喉から絞り出す
と、チャーリーは俯いた。「……たい」
422numb*3rs 兄×弟 State of Grace 16:2007/03/16(金) 23:37:30 ID:65uy8AEG0
 「何?」
 揺さぶって問うと、かぼそい答えが返される。「……痛いよ、ドン」
 久々に弟が自分に向けた言葉に、ドンはショックを受けた。痛い。チャーリ
ーが繰り返す。ドンはまるで操られたように、弟から手を離した。――暴力は
振るえない。
 「チャーリー、お願いだ。もうこんなことよせ」
 ドンは口元に手の甲を当てて、懇願するように命令した。チャーリーは泣き
そうな顔で瞬いた後、結局またチョークを黒板に走らせ始めた。数式を刻む音
が狭い空間の中に響く。ドンはそれを絶望的な気分で聞いた。
 わからない。理解したいのに、わかってやりたいのに、わからない。ずっと
こうなのか?このまま永遠に?
 俺はこいつの兄貴なのに、こいつのことがわからない。こんなに側にいるの
に。
 「……母さんはお前を待ってるんだ。ずっと待ってる」
 乾いた声で言い捨てて、ガレージを出る。母親と父親の元へと向かいながら、
ドンは思った。他人だったらよかったのに。家族じゃなかったら、愛していな
かったら、別にこんなことなんでもない。

                    *
            
 オーケイ。確かにあいつは『普通』なんかじゃなかった。ドンは投げやりな
気持ちでその事実を認めた。俺の弟は、チャーリーは、普通じゃない。ご立派
な天才児だ。
 「……だからね、9月からチャーリーはあなたと同じ高校に通うことになる
のよ」
 キッチンのテーブルに腕を置いて、マーガレットが言う。ドンはテーブルの
上の、熱い紅茶が入ったマグカップを眺めながら、肩をすくめた。
 「すごいな」
 その言葉にマーガレットは伺うように見つめてきた。何故だか視線を合わせ
る気になれなくて、ドンは紅茶を見つめたままでいた。
423numb*3rs 兄×弟 State of Grace 17:2007/03/16(金) 23:38:56 ID:65uy8AEG0
 飛び級に次ぐ飛び級。チャーリーはまるで何かに急かされるみたいに、日々
いろんなことを学んで、幼い身体にアンバランスなほどの知識を蓄えていく。
方程式の解き方、定理の意味。証明の手法。最近では物理や生物学にまで興味
を示し始めた。
 ああ、とドンは紅茶を飲みながら思った。確かにあいつは普通なんかじゃな
い。天才だよ。
 何年も前に弟と交わした会話を思い出し、自分が浅はかだったことを認める。
チャーリーは普通じゃない。すごいやつなんだ。
 あんなちっぽけな身体をして。俺の前じゃただの甘ったれた弟だけど、でも
俺にはもう理解できないような問題まで解いてる。まだ12歳なのに、高校に
行くことになってもおかしくない。
 「……高校ではチャーリーの周りは年上ばかりになるでしょう?それが少し
心配なの」
 呟きに近い母の声で我に返り、ドンは顔を上げた。見つめると、頷きが返さ
れる。
 「ドン、あの子を助けてやってくれるわね?」
 ドンは躊躇い、それからもちろん了承した。「心配しなくても大丈夫だよ」
 短い会話の後、ドンがキッチンを出て二階の自室へ戻ろうとすると、隣の部
屋からチャーリーが出てきた。いつも通り分厚い本を抱えて、ドン、と囁くよ
うに呼びかける。
 「……ドン、あの、母さんから話は聞いた?高校のこと……」
 小さな、けれども期待をこめた声を聞いて、ドンは頷いた。「聞いたよ」
 「―― 一緒に通えるんだよ」
 きらきらした目で、チャーリーは顔を見上げてくる。ドンはもう一度、頷い
た。「そうなんだってな」
 「――学校の中、案内してね。ドンの友達も紹介してね。朝は一緒に行こう
ね。それから……」
 自分の考えに熱中しているときの常で、早口で捲くし立て始めた弟を、ドン
は手で制した。「チャーリー」
424numb*3rs 兄×弟 State of Grace 18:2007/03/16(金) 23:40:30 ID:65uy8AEG0
 チャーリーがきょとんとした顔で、けれども一度口を閉ざしてドンを見た。
ドンは頬を手のひらで擦り、ふさわしい言葉を考えた。
 高校でのことは心配するな。俺が一緒にいるんだから。おめでとう。がんば
ったんだな。お前はすごいな。よろしくな。もちろん学校の中の案内だって何
だってしてやるよ。
 いくつかの台詞が脳裏を過ぎったが、結局そのどれも口にできなかった。ド
ンは弟を見下ろし、それから掠れた声で言った。「……よかったじゃないか」
 そう言い捨ててドンは自分の部屋に入った。チャーリーは何を言われたのか
わからない様子で、立ちすくんでいた。
 ドンは自分の部屋のドアを閉じ、それを背もたれにしながら、考えた。5つ
下の弟と一緒に高校に通うことになる。よかったじゃないか。
 俺はきっと高校で、ちょっとした有名人になる。『天才児の兄』として。弟
は天才だけど、本人は至って普通の、平凡なやつとして、皆に知られるように
なる。よかったじゃないか。
 ドンは呼吸を止めて、9月からのことを考えた。ドアノブを後ろ手で握った
ままで。

                   *

         
 「いつまでもそうやってるつもりなのか?!母さんは死にかけてるんだ!お
前がそうやってわけのわからない問題に熱中してる間に、家族が死のうとして
るんだぞ!お前は何も感じないのか?!」
 ガレージで怒鳴り、ドンは弟の手からチョークを取り上げて床に叩きつけた。
チャーリーは強張った顔で突っ立っている。ドンはその周りをうろうろと歩き
回り、それから弟の腕を掴んで引き寄せた。「――来いよ」
 引きずるようにしてドアまで行こうとすると、チャーリーは必死で腕を振り
解こうとする。足がもつれ合い、肩がぶつかり合い、息が切れて、ドンは力任
せにチャーリーを黒板に叩き付けた。
425numb*3rs 兄×弟 State of Grace 19:2007/03/16(金) 23:41:37 ID:65uy8AEG0
 「ここから出ろよ!いつまでもこんなことしてないで、お前の母親に会えよ
!」
 喉の奥から声を絞り出すようにして言うと、チャーリーは腕を振り上げてド
ンの手を払った。ガレージの壁や天井や、至るところに黒板が掲げられ、その
どれもが数式で埋め尽くされている。言葉なんて一つもない。数字と記号しか
ない。ドンは眩暈すら覚えながら、狭いその空間の中で、弟を見据えた。そし
て不意に気づいた。弟の顔を、こんなにまっすぐに見つめるのは何年ぶりだろ
う?
 大学に入るためにお互い家を出て、特にドンがFBIに入ってからは、ほとん
ど実家に帰らず、弟にも会っていなかったから、ほぼ10年の間、こんなふう
にチャーリーと対峙することはなかった。実家に帰ってからはチャーリーがド
ンのことをまともに見ようとせず、いつだって数式を解こうとしていた。だか
ら今やっと、ロスに帰ってきて初めて、チャーリーの顔をきちんと見た。
 焦げ茶の巻き毛に大きな瞳。ドンよりも低い背。繊細な指先。ドンは荒い呼
吸を整えようとしながら、目の前にいる男を見た。チャーリーだ。俺の弟だ。
伏せたまつげ。怯えたような表情。全部見覚えがある。俺の弟だ。小さな頃の
面影がある。
 でも俺はこんな男は知らない。ドンは愕然としてそう思った。こんな、まと
もにしゃべることすらせず、数字と記号を書き連ねている人間なんか。俺はこ
の男を知らない。
 「……頼むからわかってくれ。俺と一緒にここを出よう」
 ドンはもう一度手を差し伸べ、そっと弟の腕を衣服ごしに掴んだ。チャーリ
ーはそれを受けて唇を震わせ、喉を僅かに反らした。
 「……ドンは」
 チャーリーは、小さな声で言った。ドンは身を乗り出し、何年ぶりかで自分
としゃべろうとする、弟の声に必死で耳を傾けた。
 潤んだ、何かを堪えたような目をして、チャーリーはドンを見つめた。
426numb*3rs 兄×弟 State of Grace 20:2007/03/16(金) 23:43:19 ID:65uy8AEG0
 「……ドンはずっと帰ってこなかったじゃないか。ずっと僕らを放っておい
て、……それなのに突然、何をわかれって言うの?どう理解すればいいの?僕
は――」
 掠れた声で言うと、身体を折り曲げるようにして、チャーリーは床に崩れ落
ちた。ドンはその身体を支えようとしながら、一緒に床に膝をついた。
 「チャーリー、俺は」
 「――ずっと、ずっと僕とまともに話もしなかったくせに!高校の頃からず
っとそうだった!それなのにいきなり帰ってきて、怒鳴って、何をわかれって
いうの?じゃあドンは僕のことがわかるの?」
 堰を切ったように戦慄く喉から言葉をこぼし、チャーリーは一気に捲くし立
てる。布越しに掴んだ腕は震えている。ドンは眉を寄せて弟の言葉を聞いてい
た。
 「――わからないくせに!僕のことなんかわからないくせに!それなのに何
をわかれって言うんだ!」
 チャーリーはそう言ってドンの手を振り解き、床にうずくまった。ドンは弟
を呆然と見つめた。粉々になったチョークを指先で掻き寄せて、チャーリーは
ずっと床に顔を伏せていた。まるで自分が死にかけているように、冷たい床に
うつぶせて、身体を震わせていた。
 そうだ、とそんなチャーリーを見ながらドンは思った。俺はこいつのことな
んかわからない。だったらこいつにも俺のことなんてわからないだろう。わか
ってくれなんて、確かに無茶な願いだった。

                     *

 マーガレットは最期の三日間を結局病院で過ごした。ドンとアランはほとん
ど眠らずに彼女に付き添い、それから穏やかな顔で自分の妻が、母親が命を終
わらせるのを見守った。モルヒネのおかげで、あまり苦しまずに逝ったことが
何よりの救いだとアランは言った。母さんの決断はやはり正しかったな。いつ
ものように。
427numb*3rs 兄×弟 State of Grace 21:2007/03/16(金) 23:44:28 ID:65uy8AEG0
 「チャーリー、母さんが死んだ。葬儀には出てくれ」
 ドンは病院から帰ってきて、まっすぐにガレージに向かい、静かな声でチャ
ーリーに告げた。チャーリーは相変わらず数式を解こうとしていた。黒板だけ
でなくそこらに散乱した紙にまで記号と式が書き連ねられ、足の踏み場もない
ほどだった。その中で一人、チャーリーは数式の中にうずもれるようにして、
チョークを持っていた。
 「チャーリー?」
 ドンはガレージの入り口で、もう一度名前を呼んだ。聞こえていることはわ
かっていた。チャーリーは身体を強張らせ、呼吸まで止まったように静止して、
横顔を見せていた。ドンはため息をつき、紙を踏まないように注意しながら、
弟の側まで行った。
 「聞こえてるんだろ?母さんが――」
 「……っ」
 チャーリーは床に両膝をついて、涙を流し始めた。静かに、声もなく。唐突
な、けれどもとめどない涙を見て、ドンはどう反応するべきか考えた。
 何故お前がそんなふうに泣くんだ。そう怒鳴ってやってもよかった。母さん
が最期に、どんなふうだったかも知らないくせに。彼女がどんなに尊厳を持っ
て、あの病と闘ったか。穏やかさを保ち、最後まで彼女らしく家族を気遣った
マーガレットのことなど、チャーリーは知らない。そのお前がそんなふうに泣
く権利なんかあるのか?
 そんなふうに泣くなら、とドンは目の前の弟に言ってやりたかった。だった
ら母さんに会えばよかったじゃないか。そんなふうに悲しむほど愛していたな
ら、最期を看取ればよかったじゃないか。母さんの手を握ってやればよかった
じゃないか。彼女の最期の時間を、心に刻みつけ、別れが意味を持つように、
残された時間を大事にすればよかったじゃないか。わけのわからない問題なん
て解いていないで。俺たちと一緒に。
428numb*3rs 兄×弟 State of Grace 22:2007/03/16(金) 23:45:56 ID:65uy8AEG0
 ドンはチャーリーを怒鳴り、揺さぶり、殴ってやりたかった。でもそうはし
なかった。気がつくとドンは腕を伸ばし、それから泣いている弟を抱きしめて
いた。強く、チャーリーが身じろぎもできないほどきつく抱きしめると、チャ
ーリーは腕の中で嗚咽をこぼし始めた。歯を食いしばって、世界が終わってし
まうかのように、声を殺して泣いた。ドンはそんな弟を、ずっと抱きしめてい
た。これまで誰を抱きしめたよりも、きつく力をこめて。
 
                    *

 初めて抱いたとき、チャーリーは声を押し殺していた。歪んだ顔をして、歯
を食いしばっている弟のそんな様子は、母親が死んだときのことを思い出させ
たので、ドンは胃が軋むのを感じた。
 「チャーリー」
 汗ばんだ肌を押し付けて、低く名前を呼ぶと、チャーリーは乾いた唇を僅か
に動かした。ドンはその唇に自分のそれを重ね、深く、けれどもあっけないほ
ど短く貪ってから、もう一度弟の名前を呼んだ。「チャーリー」
 チャーリーは喉を反らしただけだった。快楽に喘いでいるようにも見えたが、
苦痛に耐えているようにも見えた。俺は何をしているんだ?ほとんど暴力的に、
弟をベッドに押し付け、弓なりに戦慄く身体を見下ろしながら、息を殺してド
ンは考えた。俺は何をしているんだ?こいつは弟じゃないか。
 ずっと理解できなかった、だけど最近捜査や何かを通して、やっと理解でき
始めた弟じゃないか。ようやくぎこちなさもなく手元に置けるようになったの
に。その今になって、俺は何をしてるんだ?
429numb*3rs 兄×弟 State of Grace 23:2007/03/16(金) 23:47:04 ID:65uy8AEG0
 内股に手のひらを滑り込ませ、弟の脚を乱暴に開き、奥まった部分に指先で
触れる。熱い。ドンがぼんやりと感じていると、やっとチャーリーが唇を開き、
叫ぶように言った。「ドン」
 ドン。耳慣れた、甘ったれたその呼び方がドンを現実に引き戻した。こいつ
は弟じゃないか。俺と一緒に育った、ただ一人の弟じゃないか。
 ドンは手を離し、身体を起こして手の甲で口元を隠した。まだ両手が震えて
いる。チャーリーは熱っぽい瞳を瞬かせ、そんなドンを不思議そうに見上げた。
「ドン?」
 「チャーリー、駄目だ。俺たちは――」
 言い終わらないうちに腕を強い力で引き寄せられ、ドンはチャーリーに覆い
かぶさるような姿勢で、弟を見つめた。チャーリーは怒ったような顔をして、
けれども泣きながら、ドンの首筋に手のひらを当て、がむしゃらにキスをして
きた。薄い舌先がぎこちなく咥内に忍び込み、精一杯の力強さでかき回す。熱
い。ドンはまた思った。こんなキスは初めてだった。舌も唇もすべてが火みた
いに熱い。焼けてしまいそうだ。
430numb*3rs 兄×弟 State of Grace 24 :2007/03/16(金) 23:48:12 ID:65uy8AEG0
 「……行かないで。もうどこにも行かないで」
 チャーリーがか細い声で、けれども強く言う。答えに迷っていると、手首を
きつく掴まれ、ドンは驚いた。いつもチョークを持っているか、せいぜい本の
ページをめくるだけのこの指先が、これほど強い力を持っているなんて思わな
かった。抗えないほどの強さでチャーリーはドンを押し留め、必死でキスを続
けようとしながら、自らの脚を開き、ドンのもう片方の手をその内側へと誘っ
た。ドンは混乱しながらもその誘いに乗り、弟の身体に触れた。お互いの肌が
汗をかいて濡れ、手足が絡み合い、溶けてしまいそうだった。
 指でほぐした後勃起したペニスを入れると、チャーリーは顔を歪めて呻いた。
けれどもドンが恐ろしくなったのを見透かしたように、手首を掴む力をさらに
強くした。二人は無言のままで身体を揺らし、一直線に快楽を貪った。急転直
下するみたいに果てた後、チャーリーはやっとドンの手首を離した。
 けれどもすぐに、今度はドンの背中に腕をまわし、強く抱きしめてきた。「
ドン」
 弟の顔を覗き込むと、チャーリーの眦が濡れていた。まるで暴力を振るわれ
た後のような顔をして、チャーリーは震えた声で囁くように言った。
 「もう一度して」
431風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 23:52:23 ID:65uy8AEG0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < これでもまだ
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < 前半なんだからな
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 <長すぎるんだからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
 
そういうわけでここで一時停止です。
>416さん、変に遠慮して投下やめないでね
私が投下始めた意味がなくなっちまうよ…
432風と木の名無しさん:2007/03/16(金) 23:54:09 ID:0A1poTG50

……。

まだやるの?
433風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:00:17 ID:65uy8AEG0
やるけど、数日で終わるから許しておくれ。
何か正直な意見で笑ってしまった。
どうしてもやだったらやめようかなぁ。途中なだけにちょっと困ったな。
434風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:05:20 ID:zuiCx/ck0
イヤ、ここで終わったらガウガウだ。
観たこと無いんだが、気になってしまう。
なのでよろしく。
435風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:05:27 ID:ftt2lu2o0
>433
長いものでも短いものでも
閲覧できるのが棚スレのいいところ。
適度に区切って投下する分には
おkだと思いますよ。

続きwktkで期待してます。
……数字兄弟好きだー!
436風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:11:03 ID:Bke/eRwF0
>>405
ありがとーーー!!
切ないけど、萌えまくった
リュウト→小→大 最終回終わっても萌えさせてくれるなんて
最高のドラマだね
姐さんGJ! またよろしくおねがいします!
437風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:14:20 ID:q1koUKbY0
わかった。とりあえず一度の投稿=12回程度目安にしとくつもり。
それをあと3度かな。2度じゃ終わらん…
基本的には閲覧者としては興味ないジャンルはスルーすればよくね?と思ってるんだが
投稿する側の節度も必要なんだろなーと考える今日この頃。
お騒がせで申し訳ない
438風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:15:15 ID:7Ydsv51F0
>>433
元ネタは知らんが、ぜひ最後まで投下してください。
話が長いのは一向に構わんが、「未完」なのが一番イヤンだ。
439風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:35:30 ID:0YnoSvdd0
>>437
スレを占領していて他の面々が作品投下できない状況になっているのに気がつかないの?

>基本的には閲覧者としては興味ないジャンルはスルーすればよくね?と思ってるんだが
スルーしようにもスルーできないのは今のスレが占領されている状態になっているからだ。
スレの大半をあなたの作品が占領しているのはおかしい。
>投稿する側の節度も必要なんだろなーと考える今日この頃。
本当にそう思っているなら今あなたがスレを占領していることに気がついて欲しい。
他の面々も作品を投下できるようにして欲しい。


440風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:43:43 ID:T8P6JJlF0
>>439
連載中の人が居ても他の作品は投下できるのでは?
スルーするというのはそういうことじゃないの
441風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:44:29 ID:eFoo2Teh0
>>439
いや、ここ数日がんがん投下されてるぞ?
とりあえず私は、数字も鰈も代えんもは下駄かも興味ないんで全スルー。
ジャンル好きな人や、投下された話を読んで楽しみにしてる人もいるだろうし、
別にスルー出来ないことはないからどれだけ来てても気にならないなあ。
442風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:45:35 ID:Ie862NJKO
>>439
>>2-3を嫁。
443風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:47:35 ID:TGMMpxL90
>>439
とりあえず、おまいの言い分はおかしいよ。事実スルーできるんだから。
444風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:48:44 ID:TGMMpxL90
書き忘れた
>他の面々が作品投下できない状況
これはおまいの主観だ。投下したくなったら構わずするよ。
445風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:53:34 ID:T8P6JJlF0
それより複数の書き手の作品が同時進行のために、誰がどれを書いているのか
把握できなくなり、保管庫のシリーズものインデクスのnumb*ersシリーズが
7の1348.htmlを最後に止まっている方が悩みの種だったりします。
連載中のはどの作品がどう並べればいいのか教えてくれると助かります。
感想板かどっかで。
446風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:55:33 ID:ZXVWRLL+0
747 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/16(金) 23:36:29 ID:a9/zCn6oO

投下する人も淡々とやればいいのに
過剰な自分語りを入れるから馴れ合いが始まるんだよ…

749 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/16(金) 23:45:17 ID:plXiUq640

そんなに長いのなら、サイト作れと思ってしまう漏れがいる。

752 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/17(土) 00:00:05 ID:/Sf98AID0

最近離れていて思い出したかのように見たら
どんどんダメになっていて二度と足を運ぶまいと思った

本当にもうサイト作ればいいじゃん、ウザイよマジで

757 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/17(土) 00:13:52 ID:/r630ygk0

投下は好きにすればいいが、気色悪い馴れ合いでスレ消費はやめてくれ
ジャンル名見るだけで萎えるようになった

759 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/17(土) 00:16:48 ID:PVp5mbJ40

あの長文投下してる奴は何様ですか?
すごいね、痛管とかヲチで見るような人をリアルで見た気分……

761 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/17(土) 00:24:02 ID:H1j3yruj0

あと、64レスなのかよ…
棚なのに他作品を投下しづらい状況に追い込んで
それに気づいてない奴はスゴス
447風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 00:56:31 ID:ZXVWRLL+0
762 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/17(土) 00:24:02 ID:2stV3z2IO
棚433
<どうしてもやだったらやめようかなぁ。
これは見事な誘い受け

763 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/17(土) 00:28:41 ID:IwmeYeT/0


やめちまえ、と書いてきたいw

764 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/17(土) 00:29:08 ID:yIceU006O

先客大杉ワロタ。
432でお子ちゃま氏ねと思ったら次の433で目玉吹いた。
もう我慢できん。
小説ならいくらだって投下してもいいが公開オナニーショーだけは許さん。
今すぐサイト作って消え失せろ。

765 名前:風と木の名無しさん 投稿日:2007/03/17(土) 00:29:51 ID:/OV22uPv0
「どうしてもやです(><;)」と言ってみたいような気もするが
一度も読んでないので本当はどうでもいい。
ただ>投稿する側の節度も必要なんだろなーと考える今日この頃。
そういう態度に引っ掛かるものを感じる今日この頃。
448風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:00:30 ID:nROePnRR0
>>ID:ZXVWRLL+0

で?
449風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:03:15 ID:q1koUKbY0
あーなるほど。不注意でしたね。すみません。
とりあえず感想板に自分の投下分のことは後で書いとく。
そんでもって続き投下するかどうかはもう少し考える
自分としては上げ下げの問題と同じで、本当は長かろうとどっちでもいいと思うんだが
最初から下げたほうが無用な争いにならないのと同じで、
こういう問題提起はたびたび見かけていたから
あんまり長いのは申し訳ないな、と思ってたわけです。
事実この数レスを消費しちゃったからね。でも長くなってしまうんだよな…。

450風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:09:05 ID:pCkk8xpc0
スレが占領されているとは思わないけれど
長い作品を投稿しまくるのは考えたほうがいいかも。
興味の薄い人にとっては自分のサイトでやれという話になるし
何よりスレ消費が激しい。
掲示板だって無限に書き込めるわけではないからね。

>>449
長くなるのはすごく分かるけど、ここが借り物の場であることもよく考えてね。
推敲して書きたいことをできるだけ絞り込むのもマナーだと思う。
(生意気なことを書いて失礼!)
451風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:12:22 ID:dl1sDAYj0
>449
作品が長くても、うざければ専ブラでスルー設定するという手があるので
文句を言うようなことでもないか、と思う
ただ、作品名でスルー設定にしてるのでID:q1koUKbY0の気色悪い
馴れ合いレスはスルー設定にできないんです
投下のたびにIDが変わるからね
馴れ合いたいんだったら、サイト作って出てってください。レスの無駄遣いです

あ、このレスにレスつけるのはやめてくださいね
452風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:27:12 ID:9Wax1UXi0
正直言って一回の投下で二桁もスレ続くとウザーって思うのは事実。

こんなとこでもある意味ここも共有の場なんだし、
程よい長さで楽しむ程度がやっぱりいいと思うんだよね
453風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:35:12 ID:jy2NB8Zu0
>>433
どうしてもやです(><;)
それだけ書くなら自サイト作ればいいと思います
454風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:41:22 ID:4xtqUaJq0
>>433
             「 ̄ `ヽ、   ______
             L -‐ '´  ̄ `ヽ- 、   〉
          /           ヽ\ /
        //  /  /      ヽヽ ヽ〈
        ヽ、レ! {  ム-t ハ li 、 i i  }ト、
         ハN | lヽ八l ヽjハVヽ、i j/ l !
         /ハ. l ヽk== , r= 、ノルl lL」
        ヽN、ハ l   ┌‐┐   ゙l ノl l
           ヽトjヽ、 ヽ_ノ   ノ//レ′
    r777777777tノ` ー r ´フ/′
   j´ニゝ        l|ヽ  _/`\
   〈 ‐ どうでもいい lト、 /   〃ゝ、
   〈、ネ..         .lF V=="/ イl.
   ト |お前の態度が とニヽ二/  l
   ヽ.|l         〈ー-   ! `ヽ.   l
      |l気に入らない lトニ、_ノ     ヾ、!
      |l__________l|   \    ソ
455風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:48:42 ID:9Wax1UXi0
てかさ、サイト作る程でもなく、でも長々書きたいなら
無料のページどっかから借りてきてそこにうpしてURLココに貼れば?
あんだけ長編書くならその方が手っ取り早い
456風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:53:11 ID:nbo9kq8W0
それは言えるかも。興味がないというか、なんのことかわからないから
飛ばし見してたけど、好きだと言ってくれる人がいるみたいだし、今の状況から
思うとサイト立ち上げて作品を置いた方がいい気がする。
作品がどうのっていう意見じゃないから、勘違いしないでね。元ネタ知らないから
読んでないんだ・・。
457風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 01:54:15 ID:Y/TMoq6B0
こういう空気読めないやつらが出てくるから鰈の人とかが逃げたんだよな
458風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:00:33 ID:0G771NsfO
いや鰈もうざかった
てか昔からこういう議論は繰り返されてるからこれから
誰かしらの気に障るから長く続くのは遠慮してっていう結論じゃなかった?>前スレ
459風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:01:15 ID:RDEt85V1O
ずっとシリーズ物だと思ってた。続き物だったのか。
だとしてもあと64レスも続くのは長いかも…

私も元ネタ知らないから読んでないんだ。ごめん。
460風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:09:09 ID:oefkRuDR0
何この荒れっぷり…
461風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:13:20 ID:98A54syl0
もうみんな寝ろ。
462風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:21:05 ID:EeQK7SYn0
長編書くタイプの人間は投稿するな、って感じだな。
投下間隔に配慮があれば長かろうが問題ないでしょ。
私は興味ないジャンルはさっさと飛ばすから投稿間隔もなにも
スレまるまる読まなかったなんてことがザラにあるけど。
スルーできないならまとめサイトだけ見てればいいんじゃないの?
463風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:24:25 ID:Y/TMoq6B0
正直、この分だと棚が廃止になるのも時間の問題だな
で、各ジャンルでSS書きたかったらそのスレで避難所作ってそこでやれと
464風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:39:32 ID:dl1sDAYj0
numb*3rs 兄×弟 State of Grace まとめ

A スレ公共物説(多数説)
長いのはうざいからやめてくれ
スレは公共物。延々と独りで占拠スンナ。他の投下の妨げになる

B 馴れ合い否定説(有力説)
お前の態度が気に食わない
2ちゃんは馴れ合うところじゃねぇ
→A説への反論として
棚は自由に投下できるところ。長編だからといって制限すべきではない

A+B説(融合説・多数説?)
長編うざい・馴れ合いキモイ・空気嫁

C 投下者ひたすら応援説(少数説)
完結してほしい、楽しみにしてますミ
→A説への反論として
棚は自由に投下できるところ。長編だからといって制限すべきではない
→B説への反論として
……今のところ出てないっぽいな
465風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:45:01 ID:0h0zmDUgO
流れとしては作品どうこうという話ではなく
やたらな大量投下に取り合えず静観してけど
放置してたらいつまでも際限無く続くから
ことここに来て皆いい加減キレてきたってことなんだろうな

ま、なんでも節度や程度問題ってことなんじゃね?
いきなり棚廃止の意見も極論だよ
466風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:46:18 ID:84ukkRF40
馴れ合いが無ければどんなジャンルだろうと長編だろうと構わん
いろんな話読みたくてここに来てるから
投下したい人がいたら長編やってても構わず投下するだろ
467風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:55:35 ID:LTlxc2mH0
必ずと言って良いほど長編だと20分近く占領される
投下しようと思ってまだかしら?と思った人もいるんじゃないか?

早朝とか人の居ない時間帯ならいいんじゃないだろうか
しかし一人で500KB行きそうな勢いなのはページ作れと思うが
468風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 02:55:43 ID:eC+XK9Vi0
Nu/mb/3r/sは好きだから作品投下は嬉しいんだけど、これだけ荒れると
ファンとして肩身が狭いので、できれば他のサイトでやってURLだけ貼って
くれるとありがたいと思う。

このままじゃ、このジャンルの作品投下する人いなくなっちゃうのが心配。
469風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 03:03:48 ID:7Di0oQrF0
スレ伸びてたからwktkしながら来たのにorz
470風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 04:11:49 ID:MQPz0dvV0
鬼畜スレの潰れ方と同じだな・・・
471鬼畜スレの住人:2007/03/17(土) 07:32:06 ID:M5yvEIARO
鬼畜スレで、うざい書き手の棚への誘導に力いれてた奴がいました
棚のみなさん迷惑かけてすみません
472風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 08:39:18 ID:cRwd5MzAO
>>467に一票。
長編でも興味ないものはスルー出来るって意見多いし。
473風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 08:56:37 ID:Pjav5G6TO
ジャンルとか形式にこだわらず投下出来るのが、棚の良い所だと思ってたんだが。

読みたくないならスルーすれば良いし。
長編はあまり他が無さそうな時間に投下すると、確かに丁寧だよね。
強制されるべきルールでは無いケド。

数字話長編の姐さんもコレが最後と言ってるんだから節度ある方だと思うよ。
474風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 09:09:12 ID:mAQzn9wf0
はっきり言って自治レスの方が長いよ。
書き手の投下にかれこれ言う前に
ルール談義は10レス以上続いたら避難所移動するとか
決めたらどうだ。
あるいは専ブラなら飛ばせるようにメル欄に「議題」とか
なんとか入れてほしい。
475風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 09:09:17 ID:hNGMDduk0
おっきしたお。
次のビデオもまってるお。
476風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 09:21:50 ID:cqNKzrnn0
長編用に棚2を作るわけには行かないのかな
477風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 10:03:51 ID:LMXphZXFO
本末転倒
478ハケン:2007/03/17(土) 10:40:47 ID:XdjXsbJn0



                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ドラマは終わっても妄想は終わらない
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ちょっと長いっす
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ オイオイ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・; )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
479ハケン 1/6:2007/03/17(土) 10:41:25 ID:XdjXsbJn0
外は雨。
麻布の一角にあるマンションの窓から見下ろす東京の夜景は濡れてしたたり落ちてゆく。
照明を消しソファーに座って外をじっと見つめるバスローブ姿の桐島の耳に
シャワーの音がかすかに聞こえてくる。

ついこの前まではそこにいたのは巻き毛の可愛い奴。
だがあいつは長い間俺が取り立ててやったにもかかわらず
役員の面前で俺に恥をかかせて去っていった。
屈辱のプレゼンを思い出し桐島の目が細まり鋭さを増した。
テーブルに置いたブランデーグラスに手を伸ばし一気に飲み干す。

それにしてもずいぶん長いシャワーだ。
まだまだだな。里中。
その程度の覚悟でわざわざ俺のマンションに押しかけて来るとは。
しかも開口一番「東海林主任の辞表を受理しないで下さい!」
・・・どこまでも青い奴だ。
自分が誠意を示せば他人が意気に感じて動いてくれると本気で信じている。
現実はもっとシビアだ。俺の条件を言ったときのあの驚きの顔!
それでも引き下がらなかった事だけは褒めてやろう。
もし東海林ならシャワーなんて時間稼ぎはしないだろうがな。
桐島はふと我に返り思考の終点が結局あの裏切り者へと戻っている
事に苛立ちを感じた。
480ハケン 2/6:2007/03/17(土) 10:42:27 ID:XdjXsbJn0
「部長・・・」
おもむろに背中から声をかけられ一瞬アイスペールに伸びた手が止まった。
「座れ」
桐島は低くうなるような声でそういうと横のクッションをどけた。
「失礼します」
意外と躊躇することなくバスローブ姿の里中は桐島の横に座り
無言のままブランデーを桐島のグラスに注いだ。
どんよりした雲が地上の明かりを反射するのか、窓から差し込む
あかりで里中の手が震えているのがわかる。
桐島はブランデーを飲みながら里中を見つめた。
伏し目がちに所在無げなところはまるで迷子の子犬のようだ。
ふとそんな事を思ってそのセリフの主が東海林だった事を思い出すと
再び怒りが込み上げて来た。

タンッ

グラスを乱暴にテーブルに置くと里中の肩に手を回し強引に引き寄せる。
息を呑む間も与えず唇に唇を重ねるがなんて硬いキスだ!お前ってやつは…!
桐島は少しだけ力を緩め唇を離すと引きつるような息をして震えている里中に向かって
「里中・・・お前は東海林をどうしたいんだ?」とささやいた。
東海林という言葉にピクリと反応して堅くつむった里中の目が開いた。
と、同時に一筋の涙が頬を伝わり落ちていった。
「東海林さんの辞表を止めておいてください。・・・僕に出来る事は
何でもします。」と吐くように言った。
萎えるような事を言うじゃないか。無粋な奴め。
481ハケン 3/6:2007/03/17(土) 10:43:05 ID:XdjXsbJn0
「来い」
里中は片手をつかまれ引きずられるように奥の部屋へと連れ込まれ、
ベッドの上に投げ出された。
バスローブがはだけるのを直そうとした里中の上に桐島がのしかかる。
何の抵抗するそぶりも見せない里中だが体は硬直したままだ。
桐島はやおら激しく唇を味わいうなじにキスマークをつけてゆく。
そのまま脇下から乳首、へそ、わき腹をゆっくりしゃぶられ
あまりの快感に里中は絶頂に達しそうになり軽くうめいた。
里中の体を這った快楽はそこでぴたりと止まり
低い男の声が「奉仕しろ」と命じた。

「はい」
体中の快感が里中の脳を痺れさせたのか、里中は火照る体で桐島の裸体に
容赦ない愛撫をしてゆく。細くしなやかな右手が下腹部へと伸びてゆく。
桐島は里中の乱れぶりにある種の達成感すら感じた。
いつも理想ばかり先行する色白な美青年。育ちが良いと言えば聞こえはいいが
自分が正しいと思えば相手が上司だろうと自分を譲らない気高さが今はどうだ。
桐島の心にどす黒い喜びがあふれてゆく。
そしてやおら横にすり抜けると里中をうつぶせに組み敷き、高揚したものを
一気に里中の中に突き立てた。
「ああああああああぅぅぅぅぅぅあぁぁぁぁぁ」
快楽か激痛か、稲妻が里中の体を走ってゆく。そしてそれは嵐の海のように
何度も何度も繰り返し寄せ返してゆく。
桐島もまた、引き締まった里中の体内に陶酔した。
時を待たずに2人の野生は快楽の頂点に達した。
482ハケン 4/6:2007/03/17(土) 10:43:38 ID:XdjXsbJn0
全てがけだるい・・・
こんなつもりではなかったのに。
桐島部長は怖いと東海林さんは時々言っていた。こんな人だと知っていた?…まさか。
多分2・3時間は眠れたか、寒さで目を覚ました里中は東海林の事をまず思い浮かべていた。
これでもう一度一緒に仕事が出来る。そう思うと体中の痛みさえ苦にならなかった。

里中は隣で寝ている部長を起こさないようにそっとベッドから抜けて浴室へと向かった。
シャワーを浴びながらあちこちに残る愛撫の跡に陰鬱な表情を浮かべたものの
早くこの部屋から出て行ってしまいたい気持ちから里中は簡単に体を洗い終わり
淡々と身支度を整えて出ていった。

その後、東海林の行方はようとして知れずそれでも里中は見つかれば絶対復帰できると
確信して手がかりのあるところは片っ端から探していた・・・そして
ハケン弁当の試食会の日、外から戻ってきた大前からうちぼり公園に東海林がいたと
報告を受けた里中はさっそく出かける準備をした。心臓の鼓動が早くなる。
東海林さんがいた!東海林さんに会えるんだ!!
483ハケン 5/6:2007/03/17(土) 10:44:10 ID:XdjXsbJn0
マーケティング課を飛び出し廊下のつきあたり、エレベーターの前には部長が立っていた。
「部長、東海林主任が見つかりました!」
里中は思いっきりの笑顔で部長にそう声をかけた。
「そうか。ちょっと来い話がある。」
「あの・・・今でなければいけませんか?すぐそこの公園にいるそうなので
少しお時間を頂ければすぐ戻ってきますが…」
「いいから来い。東海林の辞表は受理されそうだ。」
「え!?」里中は予想外の言葉に一瞬耳を疑った。
「受理…?辞表は部長が止めてくれているはずでは…」
「役員の中にあのプレゼンで不快感を持ってしまった人間が何人かいてね。
困ったよ。」
「そんな・・・部長の力で何とかならないんですか。あの約束はどうなるんですか!?」
「約束?それは俺の力で出来る範囲での事だ。」
「そ…んな…」
里中は足元がもろく崩れてゆくような錯覚に陥った。
では、あの夜はいったい何の為だったのか。
「僕はどうしたら・・・僕に何か出来ることがあれば何でも」
「何でも?」
桐島は里中の言葉をさえぎり鋭い目線でその顔をねめつけた。
里中の脳裏にあの夜が一瞬思い出された。そうあの時も同じセリフを言ったのだった。
「ええ。何でもします」
桐島部長に視線を返して里中は静かに言った。
「・・・来い。役員に会わせてやろう」
里中の思いつめた顔をじっと見てようやくそれだけ言うと桐島部長は
里中主任と共にエレベーターに乗り込み上の階へと上がっていった。
484ハケン 6/6:2007/03/17(土) 10:45:10 ID:XdjXsbJn0
日も暮れて退出時間後に里中はマーケティング課へ戻ってきた。
もう誰も残っていない社内は蛍光灯も消されて静まり返っていた。
東海林主任の辞表受理は見送られた。
しかし…こんな時間じゃもう…
東海林さんにはもう永遠に会えないんじゃないか・・・?
そんな絶望が里中を襲う。会いたいのに…こんなに会いたいのに!
その時、里中の携帯が鳴った。
だるさに襲われながら開けてみると写メが一通・・・??
画面が暗くてよく見えないが、これは…
それはベンチに座っている男の後姿だが、暗闇の中で撮られたせいか薄ぼんやり
としか写っていない。しかし、この髪型この細身の体。間違いなく東海林さんだ!
里中は帰り支度もそこそこに急いで会社を飛び出した。

東海林さんが待っている!!!
今度こそ会える!絶対伝えなきゃ。まだ辞表は受理されていないんだって!
また一緒に仕事しよう!東海林さん!!


-完-
485ハケン おわり:2007/03/17(土) 10:46:33 ID:XdjXsbJn0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 萌え場面少なくてスマn
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

486議題:2007/03/17(土) 10:49:55 ID:yIceU006O
ビデオ棚の構造上ここへの書き込みは全て「ネタ」になるので
これからの棚のあり方について真剣に議論したい人、マジレスしたい人は
避難所の掲示板に「会議室」を作ってそこでやるべきだと思う。
487風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 14:19:16 ID:BIKgoN9mO
そしていくらかもしない内にまたループするんだろうなこの話題。
http://s.z-z.jp/?morara
棚関係はこちらへ
488風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 16:50:00 ID:qqr9PFBp0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  派遣最終回後 名古屋編捏造です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 神ドラマよ永遠に
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・; )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
489ロングキス・グッド・ナイト(派遣小大1):2007/03/17(土) 16:51:59 ID:qqr9PFBp0
「ちょっと散らかってるけど、上がって」
「うん、お邪魔します」
ショウジさんの部屋に入るのは久しぶりだった。いや、正確に言うなら、この部屋には初めて。
ショウジさんが名古屋の支社に行ってしまってから、会う機会に恵まれずに一年も経ってしまっていたのだ。
「やっべ、やっぱちょっと待って。その辺片すから」
「あ、いいよ、気にしないで!」
一足先に部屋へ駆け込んだショウジさんは、大きなビニールを広げてあたりのゴミを放り込んでいく。
俺も洗濯物を畳もうと手を伸ばしたけれど、ケンちゃんそれはいいから!とものすごい勢いで止められた。
なんで?と訊くと、どうやら下着を畳まれるのが恥ずかしいらしい。ショウジさんはそんなとこ、妙に可愛い。
「来るって言っといてくれたら片付けたんだけどさ…相変わらず汚いだろ」
「そんなことないよ。ショウジさんの部屋っぽくて懐かしい」
笑いながらも、胸の内で「なんだかさびしい部屋だな」と思った。
カップラーメンの容器が無造作に置いてあったり、引越しのダンボールがまだそのままだったり。
もしかすると、そういうことに気を配る心の余裕がなくなっているのかもしれない。
帰ってきて、寝るだけ。そういう味気ない生活ぶりが感じられて、胸が痛んだ。
久しぶりに会って顔を見た途端、ショウジさんの変化に気がついた。
向けてくれる笑顔の種類は以前と変わらなかったけれど、なんだか弱々しくて、別人みたいで。
現にショウジさんは随分痩せた。久しぶりに抱きとめたときに、驚いて思わず手を引いたくらい。
490ロングキス・グッド・ナイト(派遣小大2):2007/03/17(土) 16:53:04 ID:qqr9PFBp0

「悪いなケンちゃん、いきなり掃除手伝わせちゃって。好きにくつろいででよ、とりあえずビールでいい?」
「あ、うん」
はっと我に返って頷く。いい加減コートを脱ごうとハンガーラックに近づいた時、その端に山積みにされた本や資料が目に入った。
トラック関係の資料や、勤労管理、簿記からマネジメントの本まで。明らかに本社にいたときには縁の無かった知識だ。
ふと振り返ったショウジさんが、僕の視線に気づいて苦く笑った。
「ああ…うん、それね。一応勉強しようとは思ってるんだけど…仕事終わると疲れちゃってて、なかなかな」
とっくりはすげぇわ、いつ勉強してんだろーな。ショウジさんの声に、疲れた溜息が滲んでいた。
ああ、この人、泥臭い努力の人なんだよな。昔からそうだった。
同期の中でも一番早く会社来て、一番遅くまで仕事して、その踏ん張りを派手な振舞いで誤魔化している。
俺はそんなショウジさんに憧れて、ショウジさんみたいになりたくて、いつも同じ時間まで会社に残ってた。
ショウジさんの頑張ってる姿が好きだった。ショウジさんが、好きだった。
強気な態度は弱さの裏返しだってこと、俺は知ってる。
こんなにも会社が好きで、人と関わることが好きな人を、俺は他に見たことない。
だからあんなふうに、会社の中で爪弾きにされることは、どんなに辛いことだろう。
491ロングキス・グッド・ナイト(派遣小大3):2007/03/17(土) 16:54:31 ID:qqr9PFBp0

「なんか…ごめんねケンちゃん、嘘ついて」
冷蔵庫の前でしゃがんだままのショウジさんが、ポツリと呟いた。
小さく丸まったその背中に胸が締め付けられる。衝動的にその背中を抱き締めていた。
「違うよ、俺の方こそごめん。ショウジさん、そういう人だってわかってたのに…」
この人は肝心なとこで人に頼らない。
淋しかったり辛かったり、そういうときほど強がって、元気でバリバリやってるよ!なんて言って見せて。
わかりやすそうで、全然本心を見せてくれなくて。
やっぱりオオマエさんとショウジさんは似てるんだ。不器用な淋しがり屋。
だから俺が、俺だけはショウジさんのことわかってなきゃいけなかったのに。
「もっと早く気づいてたら、こんな風にショウジさんのこと一人にさせなかった…」
抱く腕に力を込め、くるくると巻かれた髪に鼻先を押し付ける。懐かしい、ショウジさんの煙草の匂いがした。
「なんだよケンちゃん、俺、一人だと思ったことないぞ?」
ゆっくりと、ショウジさんが体を預けてくる。
「一緒に働くことは一緒に生きること、だろ? ケンちゃんがそう言ってくれたから、俺こっちで頑張ってこれたんだからな。
この会社に関わってればどっかでケンちゃんと繋がってられると思って、だけど…」
だんだん、その声が潤んできていることに、俺は気づいていた。
「…ごめんな、俺、こんなんで」
力ない溜息がショウジさんの唇から零れる。抱き締めたその体は、ぼんやりと輪郭のないかなしみに満ちていた。
圧倒的な疎外感の中で、ショウジさんは何度あの会社を辞めたいと思っただろう。
でもその度に俺のことを想って耐えていてくれた。二人繋がっていたい、その一心で。
どうしよう。愛しくて、愛しくて、たまらない。
492ロングキス・グッド・ナイト(派遣小大4):2007/03/17(土) 16:55:26 ID:qqr9PFBp0

「ショウジさん」
振り向かせて、唇を覆った。
疲れ切ったこの人の心を優しく撫でるようなキス。ぱたり、とやわらかな水の音をすぐ傍で聴いた。
「ショウジさん、好きだよ。どんなショウジさんでも、情けなくっても泣き虫でも、俺は好きなんだ」
目を合わせて、一つ一つ刻み付けるように囁く。
濡れた睫をぱちりと瞬かせるショウジさんの頬に触れ、涙の跡をそっと拭った。
「俺が、守るから」
多分、そのとき見たショウジさんの顔を俺は一生忘れないと思う。
呆けたように目を見開いて、その顔が見る見るうちにくしゃくしゃな泣き顔になって、
最後に、何か眩しそうなものを眺めるように目を細めた。ちいさな子供のような表情だった。
「男前になったなぁ、ケンちゃん」
「……やっぱり、似合わないかな」
大きなことを言ったけど、俺はまだまだ分相応じゃない?
「いや」
ショウジさんの腕が、首に絡む。
「惚れる」
いたずらっぽく微笑むショウジさんの顔が近づいて、ぶつかるように唇が重なった。

これまでずっと俺は守られる側だったけど、今度は俺がこの人のことを守ろう。
そのために俺は俺のやり方で強くなったんだから。
それにこれからは、ショージさんの傍にあの人がいる。スーパー派遣の彼女が。
だから大丈夫。ショージさんとまた一緒に働ける日は、きっと遠くない
一緒に働くことは、一緒に生きること。だよね、ショウジさん。
胸を満たす明るい予感が、繰り返すキスの味を甘くさせた。

-END-
493風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 16:56:30 ID:qqr9PFBp0



 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ゴメンナサイ 小大好きでゴメンナサイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


494風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 17:24:35 ID:C5Geyz0m0
GJ!次の小大も待ってる!
495風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 21:11:52 ID:cz8mz2fE0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  >>330の続きになります
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  おばか×優等生
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
496風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 21:13:20 ID:cz8mz2fE0
「最近どこか明るくなったんじゃないか、ト オル」
友人達と会話をしている時だった。
それまで黙って僕らの遣り取りを耳にしていた友人のSが率然とそう口にした。
「何だ、急に」
「風 間がどうしたって」
突然のSの言葉が理解できなかったのか、友人達は眉を曇らせながもSへ質す。
僕自身もSの言葉を怪訝に思った。
「トオ ルは前ならこんなに楽しそうに笑顔を作らなかったよ。
それにこうやって君たちと駄弁ることなんてあまり無かった」
いきなり何を、と不快に思いながらも、否定の出来ないそのSの言葉につい口を噤む。
「何だ?いきなりお前を風 間が構ってくれなくなったからって妬いてるのかよ」
揶揄した口調で友人がSに言うと、Sは薄らと苦笑いを浮かべた。
「僕はただ思ったことを言っただけだ」
そう言うとSは眸を僕らからテキストへと移し、何事もなかったかのようにペンを動かし始めた。
「何だよ、あいつ。変な野郎だな」
「でも確かに風 間は前に比べて何処かオープンな感じになったよな」
他の友人達も相槌を打つ。
確かに彼らの言う通りなのかもしれない。一言で現すと、僕は以前より“明るくなった”のだと思う。
僕は特別に暗かったという訳ではない。
友人とのコミュニケーションも巧く取り、逸楽してきた筈だ。
けれどその何処かには優等生としてのレッテルと自尊心が見え隠れしていた。
心から楽しいと感じる時間がそこにあったかというと、首を縦に振ることは決して出来ない。
497おばか×優等生 6:2007/03/17(土) 21:14:31 ID:cz8mz2fE0
僕は幼い頃から両親の強い期待を背に浴びていた。僕自身も良い成績を残すことに対して快楽を覚え、
幼いながらに前途に期待と不安を背負う日々を過していた。
だがしんの すけ達と過す時間は、不思議とその不安も忘れ、彼らとの遊びに夢中になった。
当時はそれ程自覚しなかったものの、僕は彼等と過す時間に歓を尽くしていたのだ。
あの頃程大らかで愉快な時間を過したことはきっと無い。
だが近頃またしんの すけと会うようになり、まるであの頃に戻ったかのような錯覚を覚えていた。
彼を前にすると、僕は優秀者としての仮面を外し、ありのままの僕を晒すことができる。
それは僕がしんの すけに対してすっかり気を許している証拠でもあるが、
きっとしんの すけの力が僕をそうさせているのだろう。
皆が云うように僕が以前と比べ明るくなったのは、きっとそのしんの すけの力なのだろう。
いつしか僕にとってしんの すけと会って話をすることが、何よりもの慰みとなっていた。

「トオ ルちゃん」
玄関で靴を脱いでいると、心配そうな母の声が背中に降ってきた。
僕に対し何か不満があるといつも母はこのような声を出す。
鼓動が強く鳴り、僕はつい手を止めた。
「最近よく出掛けているみたいだけど、一体どこに行ってるの?」
しんの すけと会っているなど素直に言えるわけが無い。
母はきっとあいつに対して良い印象を持っていない。
もし本当のことを口にすると、母はきっと良い顔はしないだろう。
「…図書館だよ。参考書を探しに行ってるんだ」
「そうだったの。安心したわ。さ、晩御飯が出来てるわよ」
母の声のトーンはすっかり高くなり、安心した様子でリビングへ戻って行った。
罪悪感が押し寄せた。それは嘘を付いたという単純な理由でもあるが、
しんの すけと会うことが楽しいだけのものではないということを自覚した証拠でもあった。
鞄の中の携帯の着信音が鳴った。携帯を開くと野原しん のすけの文字が表示されていた。
僕は懲りずに再び靴を履き、ドアを開け外へ出ると通話ボタンを押した。
498おばか×優等生 7:2007/03/17(土) 21:15:16 ID:cz8mz2fE0
それから数日経った頃である。
試験の結果が渡った。僕の成績は多少ではあるが落ち込んでいた。
当然の結果とも云えるだろう。本来なら学習に当てる筈の時間を、しんの すけと会う時間に代えていたのだ。
鬱ぐ調子で席に着くと、隣に座る友人のSが僕の顔を覗き込み、皮肉な口調で言った。
「最近随分と成績が下がったんじゃないか」
最近Sは何かしら僕に対し見縊る態度をとる。僕は内心うんざりしていた。
「君には関係ないだろう」
「…トオ ル、今日塾が終ってから僕に付き合ってくれないか」
辻褄の合わないSの返答に眉を寄せる。
「今言うことじゃないだろ」
「どうなんだ?付き合ってくれるのか?駄目なのか?」
「今日は用事があるんだ。悪いけどまた今度にしてくれ」
これといって用事があった訳でもない。
試験の結果への不満やSの態度が癇に障り、とてもそういう気分にはなれなかった。
「あの馬鹿げた奴とはいつも会ってて、僕とは駄目なのか」
Sの表情はすっかり憤っていた。
馬鹿げた奴とはしんの すけのことだろう。
きっとSは偶然僕としんの すけが一緒に居る処を見かけたのだ。
Sが言うとおりしんの すけは馬鹿な奴だが、
友人を貶されて良い気分はしない。だが反発したところでSの機嫌を益々損ね、結果として諍いとなるだけだ。
僕はそれを畏れ、反発したい気持ちをぐっと抑えて穏やかな口調になるよう努めた。
「そんなことないって。また今度付き合うよ」
Sはそれきり口を開かなかった。けれど機嫌を直した様子でも無く、Sの表情は曇ったままであった。

思えばその態度が知らずとSの心を傷めつけていたのかもしれない。
Sは次第に僕を嬲るようになった。痛め付けては喜び、僕はそれに反撥しようとも
Sのあくどい恐喝にただ人形のように従うしかなかった。
499おばか×優等生 8:2007/03/17(土) 21:18:47 ID:cz8mz2fE0
「風 間君、最近元気ないぞ」
「もしかして、風 間くんが昔からだ〜いじにしてたもえPのフィギュア無くしちゃったとか?」
しんの すけの声が耳に薄らと通る。
僕はその声を機械的に受け止め、数秒かけてようやくその言葉の意味を理解する。
いつもなら大声を出して否定している筈だが、声を張る気力すら今の僕には無かった。
「しんの すけ」
「なに」
「もうお前は会わない」
「…どうして?」
しんの すけは数秒言葉を詰まらせると、驚いたような口調で言った。
「ひどぉい、風 間くん、散々弄んでおいて
いらなくなったら只のゴミなのね!?」
「僕はふざけて言ってるんじゃない。僕はお前のせいで成績は下がるし、散々な目にあってるんだ。
もう二度と、お前には会わない」
僕は逃げるようにしんの すけに背を向けた。
捻くれた表現しか出来ない自分が情けなく、唇に強く歯を立てた。
僕はあの頃から何も成長などしてはいない。八つ当たりや我侭でしんの すけを傷付けてばかりいる。

助けてくれ。僕にはお前しか居ないんだ。
心の中で僕はそう叫んでいた。

しんと静まり返った部屋に荒い息遣いが響く。Sは僕の腕をきつく掴むと重い体を覆い被せてくる。
肉棒が蕾に捻じ込むように押し付けられ、あまりの激痛に唸り声を挙げた。
堪らず僕は脚を上げ、Sの腹を思い切り蹴った。Sは小さく唸ると、憎めしい眼で僕を睨みつけた。
「どうしていつもこんな酷いことをするんだ」
「酷いこと?」
Sは僕を見下しながらも鼻で笑った。
「何度も言っただろう?僕は君を愛してるんだ。
只の愛情表現に過ぎないよ」
僕の怒りの我慢は限界に達していた。こんな無軌道な奴の人形になるのは、もう御免だった。
「こんな愛情表現で、誰が君を愛するっていうんだ。
人を傷つける他の何でもないことが分らないのか?」
500おばか×優等生 9:2007/03/17(土) 21:20:45 ID:cz8mz2fE0
Sの瞳孔が開いたかと思うと、途端に頬にジンと激痛が走った。
痛みが脳に響き、意識が朦朧とする。
ぼんやりとした眼でSの醜い顔を眺めると、また一つ頬に堅い拳が強くぶつかった。

気が付くと外はすっかり暗くなっていた。
街灯がぼんやりと眼に映る。辺りを見渡すとSの姿はそこにはなく、部屋には強い雨の音が響くだけだった。
頬や下半身に走る激痛に耐えながらも立ち上がり、まるで機械のように脚を進めた。
公園の前で脚を止め、ベンチに腰を掛ける。冷たい雨の雫が音を立てて僕の体を叩きつけた。
僕はそれを気にも止めず、地面に出来た水溜りをただただ眺めた。
「かーざーまーくん」
ふと聞きなれた声が耳に届いた。
「やっぱりここに居た」
雨の雫が途端に止んだかと思うと、視界に大きな靴が映った。
「しんの すけ、どうしてここに居るんだ」
顔を上げると、しんの すけは目を丸くして僕の顔を見つめた。
「風 間くん、どしたの、その顔」
しんの すけは心配した様子で僕の頬に手を翳したが、僕はそれを強く振り払った。
「うるさいな!お前には関係ないだろ」
時が止まったかのように辺りがしんと静まり返った。そうしてようやく気が付く。
僕がしていることは、あいつが僕にしたことと何も変わらないではないか。
あいつも僕も、捻くれた表現で人の心を傷つけているだけだ。
501おばか×優等生 10:2007/03/17(土) 21:21:36 ID:cz8mz2fE0
「…ぶったね!親父にも殴られたことないのに!」
口調はふざけていても、しんの すけの顔は真剣だった。
僕はつい息を呑む。しんの すけのこんな顔を今まで見たことはなかった。
僕は何度しんの すけに対しこういった表情をしただろう。どうしようもなく惨めな気持ちが僕を襲った。
溢れそうな涙をぐっと堪える。
「ジョーダンジョーダン。
風 間くん、帰ろう。傷手当てしなくちゃ」
しんの すけはそっと僕の手首を掴み、肩に廻した。
昔からそうだ。本当に昔からしんの すけは変わってはいない。
「どうしてお前はそんなに僕に優しくするんだ。
僕は何度もお前を傷つけただろ?僕を怒ればいいだろ?」
しんの すけはきょとんとした表情で僕を見ると、幼い頃から変わらない独特な笑顔を僕に向けた。
「な〜に言ってんの。ちょっと言いすぎなところもあるけど、俺には痛くも痒くも何ともないぞ。
だってオラ達大親友でしょ?」
否定し続けていた筈のその言葉が、つんと鼻を刺激し、堪えていた涙がボロボロと頬を伝った。
「…しんの すけ、僕には、お前しかいないんだ」
あの時心の中で叫んだ言葉を、嗚咽に混じり途切れ途切れに口にする。
しんの すけは僕の体を支えていた腕に、ぎゅっと優しく力を入れた。
502風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 21:23:28 ID:cz8mz2fE0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  お付き合い下さった方どうも有り難うございました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
名前欄ですが、以前とまた同じミスをしてしまいました。申し訳ありません。
503風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 22:04:25 ID:9DQsTZ2W0
>>502
GJ!
成長しても相変わらずな二人の関係に禿げ萌えた
504風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 22:39:59 ID:AvgoMJMh0
>>502
ももももも萌えますた!!
風間君の心情が伝わってくる
でもってしんの すけがすげーカッコ良いよ
505風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 22:57:52 ID:/u4BEo49O
しん ちゃん…いい男だ…
。・゚・(ノд`)
506風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 23:05:19 ID:BekC7eseO
>>502
萌えました!
そして泣けました(´;∀;`)
507風と木の名無しさん:2007/03/17(土) 23:31:28 ID:lupYn4sFO
>>502
せつねぇぇ・゜・(ノД`)・゜・
しんの すけカッコヨス
でもSに萌えた自分もいるw
508風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 00:30:50 ID:GNwPH+eO0
>>478
萌えた! GJ!
きりしま×さとなかに目覚めたぞどうしてくれるw
509風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 00:51:35 ID:fxxwBL940
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  空気読まずにナマモノ投下。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 赤いやきうチームの26さんと4さんで。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
510風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 00:52:58 ID:fxxwBL940
「お前は、」

誰もいないロッカールーム。
いきなり肩を引き寄せられ、気が付くと抱き寄せられていた。

「お前はいつもそうだ。」

廣.瀬が、声を荒げる。

「お前はいつも、無防備すぎる。」
「どうしてっ…」

自分よりも大きくてガッシリした体に包まれ呻きつつ、言う。

「あれだけ周りに人がいるところで、抱きついてくるか?普通」
「あれは…そんなつもりじゃ、無かった。」

これは嘘偽りのない、本心だ。
なんの企みも下心もなく、後ろから抱きついた。
その広い背中が、好きだから。

「だからダメなんだ。」

どうして。

「お前は、自分の行動が周りににどう見えるのか分かってない。」
511タイトル「歪んだ気持ち」:2007/03/18(日) 00:55:33 ID:fxxwBL940
それ、28の男に向かって言うことか?

「お前が、好きだから…」

気が付くと廣.瀬の目からポロポロと涙が零れていた。

「ヨ.シ.ノ.リを、他の誰にも盗られたくない。」

自分の体をきつく抱きしめた腕の力が、微かに抜ける。
そして、涙にまみれた廣.瀬の顔がゆっくりと近付いてくる。


一瞬の静寂。
ほんの一瞬、触れるだけのキス。
それはやけに塩辛くて、
少しだけさっき浴びたシャワーの匂いがした。
塩辛かったのは多分、廣.瀬のせいだけでは無いと思う。
512タイトル「歪んだ気持ち」:2007/03/18(日) 00:59:19 ID:fxxwBL940
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 勢いで書いてしまった。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 反省はしていない。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
513風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 01:04:31 ID:fxxwBL940
今気付いた。
IDが…
514風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 01:48:32 ID:vVgJsdeh0
>>513
IDスレ行ってらっしゃいノシ
515風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 01:49:45 ID:HHqbhLT+O
おぉー!
516風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 04:20:48 ID:k6wlsQqcO
>>502
すんごい萌えたーーー!!!
そして泣けた(ノд')・゜・。
ぜひ続きを・・・!
517風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 09:17:19 ID:cTDConmp0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ハケソ大 受難話
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  運ちゃん×大
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
518エビフリャー事務所哀歌:2007/03/18(日) 09:18:44 ID:cTDConmp0

 何だって、こんなことになっちゃったんだろな。

 相手の柄の悪さにビビっちゃって、最初の段階で対応を間違えた。今に至るも好転無し。
 あー、……今頃ケソちゃんどうしてっかなー……。

「聞いてんのかよ、ネクタイ!」
「……は、いっ?!」
 ぼんやりナーバス入ってたら、いきなりネクタイ引っ張られて、椅子から腰が浮いた。
 ドアップで迫るイカツイお顔。
「な、何ですか?!」

 ああ、まただよ。シフトに難癖つけに来た。
 こんなタイトなシフト組むな、とかさ。薄給でコキ使うな、とか。
 気圧されて、うっかり敬語な自分がイヤだ。
 で、この後の展開もきっとお決まり。
「言うこと聞いて欲しけりゃ、いつもの頼むぜ、社員さんよ」
 
 ほら、来た。

「……“どっち”がいいんだ」
「時間ねーから、手っ取り早い方」
 
 口、ね。そっちなら、まだ、助かった。
519エビフリャー事務所哀歌:2007/03/18(日) 09:19:51 ID:cTDConmp0
「ちったぁ巧くなってきたんじゃねぇのか?ネクタイ」
 笑い混じりの声が、頭の上から聞こえて来る。
 他には誰もいない休憩室の中。
 テーブルに寄り掛かって下半身をむき出しにした運転手の前に、膝立ちで屈み込む俺。
 ちらりと上目づかいで相手の表情を伺うと、集中しろ、とばかりに頭を押さえ付けてきた。
 喉の奥に亀頭が当たって、吐きそうになるのを堪える。
 とにかく早く終わらせたくて、夢中で舌を動かし、指で袋も刺激する。
 いきなり両手で頭を掴まれた。乱暴に数回口内に抜き差ししてから、おもむろに引き抜く。
 
 顔射、しやがった。
 咳き込みながら、慌てて手で拭ったけど間に合わず、ぽたり、と背広に精液が落ちた。

 用が済むと、運転手はさっさと部屋を出て行った。
 俺はその場にへたり込んだまま、背広のズボンに視線を落とす。
 白濁した粘性のある液体が、生地に染み込まずに盛り上がってそこにある。
 
 何だか無性におかしくて、苦笑したつもりだったのに。
 白濁液の周りに、生地に染み込む水滴が、ぽたぽたといくつものシミを作っていた。
520風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 09:21:17 ID:cTDConmp0
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 正直スマンカッタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
521風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 12:37:23 ID:WYxVT/rt0
>>518
大セツナス・゜・(ノД`)・゜・
でも萌えた(;´Д`)ハァハァ
GJでしたww
522風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 14:07:33 ID:K9A5b9C/0
>>518
萌 え た・・・・(;´Д`)ハァハァ
ネ申よ感謝しますww
523風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 20:06:17 ID:BjpRHWNk0
>>518
最終回終わったのに、何この萌えの連続は!
大かわいそう・・・
524風と木の名無しさん:2007/03/18(日) 20:11:07 ID:weJBpt9t0
>>518
とばされてあらぬ扱いを受ける大ばかり妄想していた自分にとって、夢のような作品です。
ありがとう姐さんありがとう!
525風と木の名無しさん:2007/03/19(月) 01:37:16 ID:Th95rQrD0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ハケン。大×小 (エロあり)
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|小が淫乱っぽいので嫌な方はスルー願います。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
526@:2007/03/19(月) 01:37:58 ID:Th95rQrD0
お酒なんて、飲まなきゃ良かった。商事さんと久し振りに僕の家で飲む事になり、嬉しくなってつい飲みすぎたのが間違いだった…。過去の恋愛の話をしたのも間違いだった。商事さんのことを好きになった事も。

「そういや、ここ何年もキスなんてしてねーや…。ははは」
そう言うこと商事さんが言うから…。

冗談のつもりのキス…。
冗談で終わらせるはずだったのに…
軽く触れただけのキスは、酔った僕には冗談では済まないほど熱く感じた。

「ケンちゃん…」
呟く声に胸が跳ねる。もっと欲しい。もっと…


「んっ…ぁはっ…」
唇が離れて、空気が唇に触れる。…でも、唇が離れると心も離れてしまいそうな気がして、
また唇を求めた。
「はっ…しょ…じさん…」
深く、長いキス…永遠にこの時間が続けばいいのに…。なんて、ドラマで使い古されたようなセリフが浮かんだ。
また唇が離れた。
527A:2007/03/19(月) 01:38:50 ID:Th95rQrD0
「商事さん…もっと…触って…もっと……」
耳元で消え入りそうな声で囁く。もっと欲しい…商事さんが…もっと…。僕の中の何かが叫んでいるようだった。

首筋に伝わる商事さんの体温は心地よかった。
「ケンちゃん…」
商事さんの耳元で囁く声はいやらしくて、僕の体が反応するには十分だった。
「んっ…っ…商事さん…触って…もっと…」
首筋から胸へと移る愛撫。僕の口からは、甘い声しか出なかった。
「あっ…はっ……ふっ」
時間を追うごとに、下半身へと移る愛撫。

早く欲しい…。僕の頭にはそれしかなくて、商事さんを受け入れる為の慣らす行為がもどかしくて仕方なかった。部屋の中には、僕の声と肌と肌が摩れる音と独特の水音が溢れていた。
「んっぁ…しょ…じさ……い、いいから…もう、いいから…」
「でも…」
「も…いい…あっ…ん、商事さんの…欲しい…」
「…ケンちゃん…」
商事さんは、僕の後ろを慣らしていた指を抜いた。
少しずつ、商事さんのが入ってくる感覚に声を抑えられなかった。
「ああっ…はぁ…んぁあ…っふ…んっ…あっ…」
「ケンちゃん、大丈夫か?」
この状況で、耳元で囁くのは反則だよ…商事さん。
「も…い…いい」
「ケンちゃん、休憩しようか?」
「ん…も…いい…動いて」
「でもケンちゃん、辛いんでしょ?」
「だ…じょ…ぶ。動いて…」
「…辛かったら言ってくれよ。」
商事さんがゆっくりと腰を動かし始める度に襲われる違和感に眉間に皺を寄せてしまう。
でも、違和感が快感へと変わるのに時間は掛からなかった。
528B:2007/03/19(月) 01:40:29 ID:Th95rQrD0
「あっ、ああ…んっ…あっはぁ…ああん」
商事さんの腰が徐々に早くなる。絶頂が近い事はすぐに分かった。僕ももうヤバかったから…。
「あっ…ああっ、はっんっあ…しょ…じさん…あっ…ああ!」
絶頂に達し、商事さんにしがみ付いた。
「あ…、はぁ…はぁ」
達したばかりでボーっとした商事さんの顔を見ていて、改めて僕は商事さんとセックスしたんだと確認した。

「ケンちゃん…あの…腕、そろそろ離さない?」
僕はまだ商事さんにしがみ付いたまま…。商事さんは照れているのか、罰が悪いのか、目が泳いでいる。
もし、ここで腕を離したらこれで終わり?確かに何度も一度だけでいいから体を繋げたいと願った。
これは、酔っ払った勢いでヤッチャッタ≠チてだけで、特に深い意味なんてない。
頭の中で、そんな事を考えた。
「…もっと…もっと抱いて。商事さん。もっと欲しい…もっとしよう?」
「…ケンちゃん?」
「もっと…ねぇ、商事さん…しよ?」
「でも…さっき」
「もう1回、しよ?嫌?気持ちよくなかった?」
「いやぁ…気持ちよかったけどさぁ…」
「じゃあ、しよ?ね?」
自分でもビックリするくらいの甘えた声で言うと商事さんは少し困った顔をした。
「僕、商事さんが…欲しい。もっと欲しい。だから…いいでしょ?」
今度は上目遣いで甘えてみる。商事さんがよく言う「迷子の子犬」の顔になってるといいんだけど。
「うーん…辞めておこう。ケンちゃん」
「え?」
予想外の返事に泣きそうになった。セックスが出来なくて泣きそうになったんじゃない。
きっと、明日からこれまで通りの"同僚"に戻らなければならないから。

529C:2007/03/19(月) 01:41:34 ID:Th95rQrD0
「そう…分かった。じゃあ、他の人に頼むよ」
こんな事が言いたいわけじゃない。
「え?ケンちゃん?なんて言った?」
「他の人に抱いてもらうよ」
元営業部にいただけに作り笑顔は上手い。
「ケンちゃん…」
僕のことなんて、嫌ってくれたらどんなに楽か。僕も商事さんのことをただの性欲処理の相手としか見れればどんなに楽か。
「ケンちゃんは、いつまで経っても嘘がヘタだなぁ。」
と笑いながら僕の頭をガシガシ撫でる。
「ケンちゃん。好きだよ。だから、そんなに焦らないでさ…」
「商事さん…ごめん。僕、このまま終わりかなって…酔っ払った勢いなのかなって」
「ケンちゃん、俺を誰だと思ってる?商事主任だぞ?ケンちゃんは酔っ払ってたけど、俺はまだ余裕だね。へへへ」
子供っぽく笑う商事さんが堪らなく愛しくて
「僕、商事さんを好きになって良かったな」なんて恥ずかしい事、平気で言った。
530風と木の名無しさん:2007/03/19(月) 01:43:47 ID:Th95rQrD0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | | 文章にまとまりがないくてごめんなさい。
 | |                | |           ∧_∧  勢いだけで書きました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・;) すいません。申しません。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
531風と木の名無しさん:2007/03/19(月) 06:12:16 ID:qzHqu3ft0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某解散済ゲイニソ ツンドバット
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  杜←鱸?
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

532ツンドバット 杜鱸1:2007/03/19(月) 06:13:00 ID:qzHqu3ft0
開演前の楽屋してはえらく静まり返っていた。
普段の単独ならば、スタッフがばたばたと走り回り、
最後の最後まで小道具が足りない、衣装はどこへ行った?
そんなやり取りが続いていたのに。

一言も喋らぬまま、互いに背中を向けたままの2人。
今までに話しておきたかった事は全て話しつくした。
それでも、互いで出した答えが変わらなかったのは事実で…。


結論を出してからの日々は2人にとって、あっという間の物だった。


ba.seよ.しも.と最後の舞台はまだ先の話ではあったが、
2人きりで行う単独の舞台はこれで最後だった。


表舞台に残る自分と、舞台から去る相方。

もう、二度と2人で舞台に上がることは無いだろうと…。

だからこそ…最後は2人で笑って舞台を降りよう。
そう、最後に1つだけ決めた約束だった。
533ツンドバット 杜鱸2:2007/03/19(月) 06:14:30 ID:qzHqu3ft0
「…そろそろ、いこか」

鏡に映る自分の姿をじっと見ていた杜は、
ただ一言鱸に言うとゆっくりと椅子から立ち上がった。

「こういうのも、最後、やな」

鱸も、時計をちらりと見やり、
迫ってくる開演時間に気付き小さく溜息をつく。
普段決して見せない、鱸の溜息に杜は思わず苦笑いをする。

「そう、お前も深刻にならんと…」
「そうは、言うけど…意外と笑って別れられへんかもなぁ」

鏡に映る杜の背中を見ながら、
手にしていた進行表を鏡台に置き、鱸も椅子から立ち上がっていた。

「なあ、鱸君。最後、俺が泣いたらどうする?慰めてくれるか?」
「…アホ。お前が泣いたら、ツンドバット再結成や。泣いて解散せんといて下さいって…な」

鱸はそう、強がって見せる。
だけど、心の中では必死に何かを堪えているもう1人の自分がいることには気がついていた。

「絶対ありえへんわ。俺も、お前が泣いたら再結成や。やっぱり、俺には森詩.津.規が必要ですって…な」

最後の最後まで、お互いに強がってばかりで本当の気持ちを心の奥底にしまいこんで。
ただ、これからもこの気持ちを相手に伝える事はない。
付かず離れず、この心地よい距離感を保っていたのだから。
互いに本当の気持ちを押し殺して、最高のラストステージを目指して駆け抜けるのが、
自分達にとって最良の判断だと思い続けていた。
534ツンドバット 杜鱸3:2007/03/19(月) 06:15:27 ID:qzHqu3ft0
ドアの外で、出番を促すスタッフの声が聞こえる。

間近に迫った開演。

楽屋まで聞こえてくる観客の声。


そして…。

「言うの忘れてたわ。今までありがとう…」

そう、小さく呟いた杜の声。


「…えっ…」


解散を決めてから一度も聞く事が無かった杜の言葉に
鱸は驚いて杜の顔を見やる。

だけど、そこにいたのは先ほどまでの神妙そうな顔ではなく、
口元にいつもの余裕のある笑みを浮かべた杜自身だった。

「ほな、行こか。これでお前とは最後やけど」
「わかっとるわ。これで、最後や。そう思えへんぐらい頑張るわ」

杜に差し出された手をぎゅっと握り返し、
鱸は出囃子が響く舞台へと走り出していた。

刻一刻と迫る、解散までの時間を精一杯楽しむ為に。

535ツンドバット 杜鱸:2007/03/19(月) 06:17:20 ID:qzHqu3ft0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  解散して、
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 6年経っちゃったよ…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

6年分のもやもやをこめすぎたからいままでかけなかった…。
536風と木の名無しさん:2007/03/19(月) 08:12:03 ID:0n2nxQWtO
>>535
わー、ここでこの二人を読めるとは!ほんとにGJ!!
もう六年も経つのか…何だかしみじみしてしまったよ
537風と木の名無しさん:2007/03/19(月) 20:36:59 ID:w70b58430
>>525
淫乱な小テラモエス。姐さんGJです!ありがとう!
538風と木の名無しさん:2007/03/19(月) 21:15:41 ID:XqFlYQ430
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

某CM。防水携帯男×通話相手
539某CM 防水携帯男×通話相手:2007/03/19(月) 21:16:56 ID:XqFlYQ430
水の音がする。

それが俺の気持ちをますますイライラさせる。
片手間に俺の相手してんの。うるさいんだけど。
お互いの口調がどんどん険しくなる。
俺が口下手なのを知ってて、それでも容赦なくまくしたててくる。
面と向かってでさえうまく伝えられないことを、電話でなんて伝えられるわけない。
自分でも気付かないうちに声が震えた。

「泣くなよ」

うんざりしたような声で相手が言う。泣いてねえよ。
でもそんなことを言ったら話がますます泥沼化しそうなので黙っていた。

するとそれを機に相手の態度が変わった。
ぶっきらぼうに遠回しに、あーだこーだ言いながら俺を宥めようとする。
うん、うん、と返す自分の声も自然に柔らかくなる。
耳障りだった水の音もいつの間にか気にならなくなっている。
そういえばなんで言い合いになったんだっけ。どうせ大したことじゃないだろう。
何でもそうだけど、この人と俺がスムーズにうまくいったためしがないんだから。
あとどのくらいこんなことを繰り返すんだろう。
まあいい、このお天気屋に振り回されるだけ振り回されてやるよ。

俺が落ち着いたことに電話の向こうで心底ホッとしているのが分かりやすすぎるくらいに伝わってきて、思わずクスッと笑いを漏らしたら、速攻で突っ込まれた。

「笑ってんじゃねえよ」
540某CM 防水携帯男×通話相手:2007/03/19(月) 21:17:52 ID:XqFlYQ430
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )オソマツサマデシタ
541風と木の名無しさん:2007/03/19(月) 22:07:17 ID:+3zImSGDO
>>540
通話相手目線なんだな。
そしてその通話相手は受け手側で自由設定。
思うままに萌えさせていただきやした!トン!
542風と木の名無しさん:2007/03/19(月) 22:36:23 ID:D4sAKcxlO
>>540
おおぉ!素でうなってしまった
GJっす!
543風と木の名無しさん:2007/03/20(火) 00:28:06 ID:arimrGn/0
>>540
弱気セメ×強気ウケで読んでモエますた
544風と木の名無しさん:2007/03/20(火) 00:30:16 ID:TzD8wGYh0
>540
通話相手ヘタレ×高慢受でゴチになりますた
545風と木の名無しさん:2007/03/20(火) 12:13:23 ID:D4RPIfT50
>540
防水携帯男の意味が分からなくて、最後に分かった。面白かったGJ!
546風と木の名無しさん:2007/03/20(火) 17:08:59 ID:ruPrn+vC0
あのcmの通話相手は珈琲cmの相方(携帯×相方)だと思ってましたよ
547風と木の名無しさん:2007/03/20(火) 17:45:14 ID:DQfB0Mje0
あてくしは、ぎゃっつびーのメガネ小憎だと…
548風と木の名無しさん:2007/03/20(火) 23:45:06 ID:aXdNflGq0
おいどんは人魚王子で
549風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 00:18:27 ID:y1DnNwhT0
>>540
逆視点からっての新鮮だった。
>>27の姐さんだよな。
550風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 03:05:07 ID:tWz1nxosO
>>530
禿萌えた&泣けた!GJ
しんのすけかっこいいよしんのすけ
551風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 03:08:10 ID:tWz1nxosO
すんません>>502でした(´Д`;)
552風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 03:51:05 ID:Il6to0Y70
なぜ誰もシャイニーマーメイドと言わない
553風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 04:02:40 ID:fGLwTyW/0
>>552
え。だってそれデフォルトじゃん( ・∀・)y━・~~~ ヤニヤニ
554風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 11:06:11 ID:mod/hTqUO
>>553
デフォルトとか決めつけイクナイ
そうじゃない人だっていっぱいなんだから
それぞれの萌えを語ればヨロシ
555風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 17:56:31 ID:iLvjKdBs0
>>554
多分だけど君わかってない
556風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 18:53:15 ID:geC2qacu0
つかここ棚だからそろそろ自重しろ
557風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 19:35:34 ID:Nl8Cm8E2O
>>540
感服しますた。GJ
558風と木の名無しさん:2007/03/21(水) 20:27:19 ID:7W6ZbObE0
亀にもほどがあるけど
>>509
GJ!
4の人が今年こそ活躍してくれることを願って・・・!
559風と木の名無しさん:2007/03/22(木) 16:00:44 ID:0mh6bPrS0
>あと更に今っ更だけどパ―レイの配下が扱うカードの柄、紫苑だけ居ないんですよね。
>やっぱり彼は特別なんだ。未だあの仮面さんは紫苑だと思ってます。
>某雑誌も「敵か味方か?新キャラクター登場!?」って書いてましたが、
>普通新キャラについて新キャラかどうかなんて誰もツっこみませんから、
>そりゃもう(多分)新キャラじゃない訳です。
>そんでやたらあの蒼い目を強調しまくってくれてるけど‥
>前から居る蒼い目で可能性のあるのって(多分)紫苑くらいしか該当しないと思う訳です。
>紫苑は昔、鍵剣の使い手で(多分)災いをもたらした者で、
>そんで何かイザコザあって茄子と知り合って心の研究に従事して。
>そんで闇の扉に辿りついて、彼の鍵剣を使ってその扉を開いてしまったのです。(多分)<アンレポ13

>そして他の娘らに現を抜かしてる間にKH情報が更に出ましたねー!
>紫苑ってば(comでの)武器は本なのねー!何か格好いいね!団長みたい!(*´∀`)
>んでも
>武器らしき物は持っていないが、言うなれば不思議な力を持つ本が武器と言ったところか!?
>この「!?」がポイントですって。
>普通なら
>ついに今まで明らかになっていなかった是区紫苑の武器が明らかに…!
>どうやら様々な技を繰り出す本のようだ!
>みたいな書き方でOKなのをこーも回りくどく表現するって事は多分本当の武器は本じゃない訳で。
>まだまだ可能性は消えてませんってホント!


本スレに時々湧く6厨腐女子の見本みたいでムカムカしたんでコピペしてみた
武器属性決定後も妄想だだ漏らしてるところを見ると相当ハイレベルな厨
青い目なんて腐るほどいますよ?
560風と木の名無しさん:2007/03/22(木) 16:03:09 ID:0mh6bPrS0
ごめん誤爆した
561風と木の名無しさん:2007/03/22(木) 16:15:17 ID:eOuEW9p+0
派手なゴバク、乙。全然知らないのになんか笑えた。
562風と木の名無しさん:2007/03/22(木) 18:40:30 ID:i83wvvYWO
王国心誤爆かな?
色々あるね。
563風と木の名無しさん:2007/03/22(木) 22:27:18 ID:xiFB+rbE0
>>560
テンプレ>>3によるとこのスレの書き込みは全てがネタなので全く問題ないかと
564風と木の名無しさん:2007/03/22(木) 23:26:33 ID:DbT914DU0
まとめに>>279入ってないね
565風と木の名無しさん:2007/03/22(木) 23:40:43 ID:xiFB+rbE0
>>564
すまん、抜けてたです。
収録は次回更新時に。
566風と木の名無しさん:2007/03/23(金) 00:09:47 ID:C1VIilMa0
>>565
乙です。ついでに>>299も入ってないみたい
567風鈴 若←古米 1/3:2007/03/24(土) 01:55:47 ID:gzX8QjWR0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )風鈴 若←古米ネタ。


 今日も春伸様は評定への参加を許されなかった。
 春伸様は気にとめていないそぶりだが、先ほどから書をめくる手が止まったまま、
心ここにあらずといった風情だ。もうじき春。雪解けを待って、また戦が始まる。
だが、おそらく次の戦でも、春伸様の初陣は、無い。
 寝そべって無作為な様子を見せていた春伸様が、ふいに庭先へと顔を上げ、
午後の日差しに解けはじめた雪に目を細められた。
「春、か」
「は。ずいぶん暖かかくなりました」
 相槌を返しながら、春伸様の様子を伺う。こんなとき、春伸様は決して底意を
見せられない。近侍となって久しいが、いまだに春伸様のお心を読むのが難しい。
「雅丈」
「は」
 ぎくり、とする。名を呼ばれるとろくなことがない。
「今宵、寝所に参れ」
「……は?」
「夜伽を命ずる」
「……お戯れを」
 返事に窮していると、春伸様は体を起こし向き直った。目にはいたずらな光が
宿っている。
「嫌か」
「いえ、そのような」
568風鈴 若←古米 2/3:2007/03/24(土) 01:56:25 ID:gzX8QjWR0

 すでに幾夜か過ごしている。そのいずれも、あくまでも伽の域を出ない、契りに
は程遠い夜だった。
「若殿さまの無聊を慰める相手は、それがしでは不足かと」
「わしはそなたに命じておる」
「……は」
 困らせて楽しんでいるのだろうか。ちらりと目線をあげ、春伸様を盗み見るが、
先ほどのいたずらな光はすでに無く、いつもの読み取れない表情だけがそこに
あった。こうなると、どうしようもない。
「かしこまってござる。若殿が、楽しめずとも良いと仰せであれば、つつしんでお
勤めいたしましょう」
「バカを申すな。雅丈ほどわしを楽しませてくれる相手は、そうそう居らぬぞ」
「ご冗談を」
「……わしが触れると、その頬に色が上るのが面白い。抱けば声に艶が増すの
が面白い。気をやるときの顔が――」
「――もう結構!」
 耳が紅く染まっているのが、自分でもわかった。声が上ずらないのがせめても
の救いだ。
「どうした、雅丈」
「いえ、何も」
 やはりからかっておいでなのだろう。
569ギ/ン/タ/マ 銀×全 〜最後の挨拶〜:2007/03/24(土) 01:57:00 ID:YY5+Jif70

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  銀×全前提、全の父の葬式後の小噺です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  エロなしです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※アニメ版48話Bパートに準拠した内容です。
570風鈴 若←古米 3/3:2007/03/24(土) 01:57:04 ID:gzX8QjWR0

 それで春伸様の気がまぎれるなら、いくらでもからかえば良い。たとえそれが、一
時の慰めに過ぎないとしても。
「今宵はそなたの望むようにしてやろう。抱くのがよいか、抱かれるのがよいか」
 答えあぐねていると、春伸様の顔に一瞬、見慣れない表情がよぎった。苛立ち
とも、諦めともつかないその表情はひどく幼い。ああ、このお方はまだ、元服を済ま
されたばかりなのに、こんなにも多くの荷を背負われている――。
 慰みになるなら、それで良いではないか。それ以上のものを求めているなど、決
して知られてはならない。
「――若殿の、お望みのままに」
 感情はいつも通りに押し隠し、顔を伏せた。こんな返事など望んではおらぬで
あろう春伸様が、どんなお顔をされたのか、知ることはない。
 もう幾夜も待たずに、春が来る。いずれは初陣の日も来よう。無骨物が無聊
を慰める夜など不要な日が来る――。
 

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)感情すれ違い系萌え
571569:2007/03/24(土) 01:58:48 ID:YY5+Jif70
>>570
割り込んでしまい、大変申し訳ありません!
大反省…orz
572風と木の名無しさん:2007/03/24(土) 02:00:06 ID:gzX8QjWR0
>>571
いえ、お気になさらず。すべてはネタですから(´∀`)
573ギ/ン/タ/マ 銀×全 〜最後の挨拶〜:2007/03/24(土) 02:03:33 ID:YY5+Jif70
※テンプレから再投稿させていただきます。
今後はリロードを怠らないよう気をつけます。
>>567さん、改めてすみませんでした。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 銀×全前提、全の父の葬式の翌日の小噺です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  エロはナシ!
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アニメ版48話Bパートに準拠した内容です。
574ギ/ン/タ/マ 銀×全 〜最後の挨拶〜 1/3:2007/03/24(土) 02:04:09 ID:YY5+Jif70
 元・御庭番衆頭目にして現在はフリー忍者の服部全蔵はかぶき町
で知らぬ人のいない店、スナックお登勢のカウンターでひとり飲ん
でいた。
 忍びの技の師匠でもあった実父の葬儀を終えた翌日の夜のことで
ある。喪主としての役目はどうにか果たし終えたことだし、「後の
細かい仕事は引き受けるから少し気晴らししておいで」と親戚筋の
おばさんたちに屋敷から追い出されたのだった。
 いい年をしている癖にガキっぽくて、息子の大切な少年ジャンプ
コレクションを売り飛ばしてエロDVDを買い込むような馬鹿親父
だったが、親戚や自分の同僚−−父の弟子にあたる連中だ−−から
は妙に好かれていた。そのため通夜から葬式に至るまで何かと手伝
ってくれる者は多く、突然の訃報に動転していた全蔵としては、大
いに助かったのは事実だった。
 父の忍びらしからぬ明るい気性がどうにも歯がゆく思えた時期も
あったが、こうしていざ死なれてみると、やはり喪失感は強かった。あおったビールが、いつもより苦い。
 そのとき、スナックの引き戸を開けて男が店に男が入ってきた。
「お、全蔵。来てたのか」
「……銀時」
 癖のある銀髪に腰に差した木刀。いつもどおりの万事屋・坂田銀
時だった。
575ギ/ン/タ/マ 銀×全 〜最後の挨拶〜 2/3:2007/03/24(土) 02:04:54 ID:YY5+Jif70
 ババア、俺にもビールな、と言って銀時は全蔵の隣の椅子に座る。
「どうしてた? しばらく忙しくなるとか言ってたが、片付いたの
か?」
「まあ、大体はな」
 全蔵は銀時に父の事を教えていなかった。銀時と父に面識がある
わけではなかったし、天涯孤独の身の上である彼のことを思うと何
となく言うのが憚られたのである。
 ぬるくなったビールを飲み干しながら、全蔵は銀時の横っ面に擦
り傷ができているのに気づいた。
「どうしたんだ、その顔」
「……どーもしねーよ」
「昨日ノ昼頃、妙ナジーサントカン蹴リシテコシラエタデスヨー。
アホネー!」
 仏頂面の銀時に替わって、スナックを手伝っている年増天人のキ
ャサリンがにやにやと笑いながら言った。
 たちまち「キャサリンてめぇ余計なこと言ってるんじゃねー!」
と、銀時とキャサリンの間で口喧嘩が始まる。
 ドラム缶の中に隠れた挙句、出ようとしたところでコケて顔を擦
りむいたんだよねぇ、とお登勢も笑った。
 全蔵もそれを聞いて笑ったが、同時に「カン蹴り」という言葉に
引っかかるものを覚える。
 父がもっとも好きな遊びはカン蹴りだった。幼い頃から訓練と称
して、父は幾度となく自分とこの遊びを繰り返したものだ。忍びの
訓練と同じだと言い張るだけあってクナイが飛び交う壮絶な内容だ
ったが。それでも幼い頃の自分と仲間たちは、父を交えたカン蹴り
が大好きだった。
576ギ/ン/タ/マ 銀×全 〜最後の挨拶〜 3/3:2007/03/24(土) 02:06:52 ID:YY5+Jif70
「……妙なジジイでよ。えっれえ身のこなしは軽いし、杖で神楽の
弾丸を弾き落とすし。どこの達人ですかーって思えば、カン蹴りを
楽しんでるだけにも見えるし。いったい何だったんだか」
「不思議なじいさんだったね。気がついたら幽霊みたいにいなくな
ってたし……カン蹴りを満喫したから帰っちまったのかねぇ」
 そのじいさんというのはもしかして、と全蔵は口を開きかけて止
めた。そんな馬鹿なことは有り得ない。父がその頃、棺の中で眠っ
ていたのは葬儀を執り行った自分が一番よく知っている。
「でもよ、オレ、じいさんがいなくなる前に声をかけられたような
気がするんだよな。……倅をよろしくとか何とか」
 気を取り直して新しいビールを飲もうとしていた全蔵は盛大にむ
せた。
 あの馬鹿親父、息子の弔辞の真っ最中に何をやってるんだ、とご
く自然に思う。
 考えてみれば自分自身が弔辞の最後に語ったのではないか。「父
が化けて出たら、そのときにはカン蹴りをして遊んでやってくれ」と。
577ギ/ン/タ/マ 銀×全 〜最後の挨拶〜 終章:2007/03/24(土) 02:07:44 ID:YY5+Jif70
まさに銀時たちは自分の願いを、そして父のおそらくは最期の望
みを叶えてくれたのだ。幽霊となった父は、彼らとのカン蹴りを満
喫して成仏したのだろう。出棺するとき、最期の別れを告げたとき
の父の顔はとても楽しそうな、満足げな表情だった。
 ごほごほとむせ続ける全蔵の目から涙が流れ落ちる。
 おかしいやら、苦しいやらでどうにも止められない。
 心配した銀時が大丈夫かと背中をさする。
 その手の温もりが、心地よかった。
「ありがとうよ……銀時」
 唐突に礼を言われて面食らった顔になる銀時を無視し、全蔵は立
ち上がると「今日はとことん飲もう! オレがおごる!」と高らか
に宣言した。キャサリンや他のお客たちが歓声を上げる。
 銀時も「よっ、全ちゃん太っ腹!」などと調子のいい事を言いな
がらさっそく上等な日本酒をお登勢に頼んでいる。
 −−それにしても。
 急に活気付き始めた店の中で全蔵は思った。
 自分と銀時のことをいつ知ったんだか。あのタヌキ親父。
 全蔵は心の中で苦笑いしながら、銀時がついでくれた酒を一気に
飲み干した。

578ギ/ン/タ/マ 銀×全 〜最後の挨拶〜 終章:2007/03/24(土) 02:10:00 ID:YY5+Jif70

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ご清聴どうもです!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

内容の配分を間違えてしまいました…。
重ね重ねすみません!
579風と木の名無しさん:2007/03/24(土) 02:18:00 ID:KpT6q9Da0
>>578
GJ
実はコソーリ銀全好きだったのでやたら萌えた。
配分待ち変えた姐さんにも萌えたw
580風と木の名無しさん:2007/03/24(土) 04:00:51 ID:gDBOsElt0
>>570
禿げ萌タ(*´Д`)
すれ違いはいいね、読み取れない真意を知る日はくるのか来ないのか…!ハァハァ
581風と木の名無しさん:2007/03/24(土) 10:36:58 ID:APl2YhoG0
>>570
ネタがわからないけど禿げ萌え
原作がわかりそうなヒントをどなたかキボン
すれ違いいいよ(*´Д`)
582風と木の名無しさん:2007/03/24(土) 11:27:20 ID:PB83Dha90
>>581
今年のタイガ
583風と木の名無しさん:2007/03/24(土) 13:44:44 ID:ZI5gNRDC0
>>581
風林火山
584風と木の名無しさん:2007/03/24(土) 18:25:09 ID:APl2YhoG0
>>582>>583
見てなかったので想定外でした
ありがd!!!
585風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 00:00:01 ID:uYzk8U4V0
>>583の直球ぶりにワロタ

禿亀だけど>>549違うよ
586雲路の果て-1-:2007/03/25(日) 00:53:28 ID:JCymVCqj0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

いつだったか発行し損ねた原稿をネタに。
すげぇながいんだ。反応見て続きうpさせていただくことにする…
小心者なんだ漏れ…

種&種死
クルゼ総受・いろいろでたらめファンタジ捏造万歳。
587雲路の果て-1-:2007/03/25(日) 00:55:14 ID:JCymVCqj0
私は完全では無いのです。
貴方も完全では無いのです。
どうしてと聞かれても困るけれど、近くに来れば分かるでしょう?
抱きしめてくれれば分かるでしょう?
ほら、髪の先から指の先まで一つになってしまいそう。
だから完全では無いのです。

私たちは二人で一人なのだから。
こんなにもそばに居て愛おしいと感じるなら、
どうしていっそ一つにならなかったと思う?
それは、








「…………。」
「さあ、ここが今日からお前の家だ!」
陽気に、歌うようにそう言った青年が手を引いて連れてきたのは、それはそれは美しい顔をした人形だった。
豪奢な、とまではいかないものの風格ある立派なたたずまいをした屋敷の玄関で、間の抜けた顔をしたままその華奢な体はぽかんと突っ立っている。
まるで異世界か何かにでも来てしまったからかくや、というその顔に、手を引いていた青年は人好きのする笑みを浮かべると、帰ってきたらただいまって言うもんなんだぞ、と半ば強引に手を引いてその美しい顔をした人形を漸く家に招き入れる事に成功する。
当の本人は、場末のダンサーのように憔悴したんだか、気の抜けたんだかわからないなんとも間抜けな顔で視線をさまよわせていたんだけれども。



ある日、家にヒュームがやってきた。
588雲路の果て-2-:2007/03/25(日) 00:57:34 ID:JCymVCqj0
ヒューム、というのは最近になって急に研究が進んできた、準クローン技術で
生まれた人工生命体で、クローン培養した人間を、不安定要素がすくなる過程
まで育て、ナノマシンを組み込んだ・・・要するに、限りなく生身に近いアンド
ロイド、とでも言ったところだろうか。一言で割り切ってしまえば簡単なこと
なのだが、学会の片隅に位置するこの研究は、多くの人間から、命に対する冒
涜行為だ、直ぐに破棄すべきだといった・・・最もな意見が多い。身も蓋も無い
言い方をしてしまえば、要するに・・・ペットロボットと変わりは無い。

確かに、ハウスキーパー用アンドロイドや、介護用、医療用と多種多様に開発
は進められた機械仕掛けの命たちはいたものの、有機物であるほぼ生身のク
ローンを使って、無機物の命を埋め込み、ナノマシンをたっぷり含んだ溶液の
血液が循環するヒュームに、研究の許可が正式快諾されたのはつい最近の事だ。

快諾・・・とも言いがたいし、許可が下りたのも奇跡としか言いようが無い。そ
れに政府から許可が下りたとはいえ、まだ一般の施設で研究を進めることは禁
じられていた上、製作したプロトタイプのヒューム達は市場は愚か、メディア
からも隔離されるという徹底振りだった。もっとも、公式なメディアは・・・と
いうことであり、パーソナルネットワークに埋もれた膨大な情報の海には、こ
の世紀の大発明!とでもいえよう生きた人形の話題で持ち切りであるのだが。

しかし肝心のヒュームの調子はというと、まだ研究過程なのも甚だしく、上手
くナノマシンが適合せずに破棄されてしまったり、自己崩壊してしまう機体も
多い。

当たり前だ、とムウは父親から送られてくるそれらの資料を見るたびに、眉を
寄せていた。

人工臓器や義手、義足などは、まだ全人類が地球にへばりついて暮らしていた
頃からあるし、それを体の不自由になってしまった部位で代わりを補ったから
といって、感謝こそすれ、冒涜だなんだと、少なくとも熱心な宗教人か何かで
なければ思わないだろう。
589雲路の果て-3-:2007/03/25(日) 00:59:13 ID:JCymVCqj0


けれど、心など、そうも簡単に作れるものじゃないのだ。

どんなに膨大なデータを緻密にプログラムしようとも、心は機械とは違う。作
れるものではないし、

作って良いものでもない。

もの、というふうに定義づけすることすら・・・間違っているのだから。

それなのに、研究者達は、ムウの父親は、それすらも自らの手で・・・作り上げ
ようとした。間違っている、どうしてその一言を、誰も提言しなかったのだろ
う。

いや、したのかもしれないが、現にヒュームたちは生れ落ちてきている。政府
からの援助を受ける為に、まずは成功例、培養層から離れても自立する成功体
が早く欲しかったというのも有る。もしこの機体達が世に広がって行くとした
ら、人権は堅守されるのだろうか。アル・ダ・フラガが提言したのは、クロー
ンとして生まれてきたヒュームの雛形の脳を人の手で管理する事だった。

生れ落ちたばかりのヒュームたちを眠らせて、その間に脳を・・・記憶や人格を
司る部分へナノマシンを注ぎ込んで。そうやって人間に逆らい、傷つけること
の無いように。

従順なペットを・・・創ったのだ。自我は二の次だと、表情も変えずに言い捨
てる父親の姿が目に見える。
590雲路の果て-4-:2007/03/25(日) 01:00:52 ID:JCymVCqj0


けれどそのためにヒュームの成功率は著しく低下した。当たり前だ。体を維持
するのに欠かせない脳を弄られて、平気で居られるはずは無い。人間は、機械
じゃないのだから。

足繁く通ったわけではないが、青年が思い出せる研究所の棚には、いつも沢山
並べられた麻酔の瓶が不気味に光っていて、焼却炉から棚引く煙が絶えたこと
は無かった。

ムウが連れてきたこのヒュームも、元はといえば失敗作のうちで、破棄直前に
なっていたのを・・・何のことは無い、つれてきてしまったのだ。研究機関にば
れたら、それこそただではすまない。それは重々分かっていたのだが。試験段
階として政府の高官や、著名人が莫大な金を積んでこの生きる人形を買ってい
くというのが、まだ若いこの青年に、大きな戸惑いを生んだ。確かに、割り切
ってしまえば人形だろう。けれど、失敗作だ、とその一言でまるでゴミのよう
に破棄されるべく研究員に手を引かれて処理室に向かうこのヒュームが、
一瞬、彼を見て





・・・・・笑ったのだ。
591雲路の果て-5-:2007/03/25(日) 01:01:59 ID:JCymVCqj0
これからどうされるのかもわからなかったに違いない。
たまたま施設へと来ていたムウが、裏庭にある処理場の近くを通りかかったと
きに、目が合ったこの白い人は、子供みたいに、ふわりと。
その生まれたての笑顔から、目が離せなかった。気付いた時にはもう、どこを
どう走ってきたのかはわからない、右手にしっかりとヒュームを抱えて研究所
を飛び出していたのだ。
悪運が強いのか、天が味方したのかは分からないが処理場の近くに人影はなく、
ムウはこのヒュームを連れていたいかにも体力の無さそうな青白い研究員に思
いっきりお見舞いして、案外あっさりとこの泥棒は成立してしまった。
「・・・おまえ、喋れないのか?」
「まだ、ちょうせい、が」
ぼうっと入り口に突っ立ったままの、ヒュームに声をかけると、まだ上手く喋
れないのかノイズ交じりの声を必死に合成して、やっとムウにも聞き取れる小
さな声を上げた。気だるそうに少し湿ったような声が、微かに震える喉から漏
れている。
きちんと整備も調整もされないうちに破棄されようとしていたのを、連れ出し
てしまったので、まだ色々なところに不都合が多いのだろう、落ち着いたら技
術者の知り合いに当たってきちんと見てもらわなければなるまい。しかし・・・
見た目は人間と変わるところなど無いのに整備だの調整だのが必要だというの
が未だに少し信じられない。相変わらず戸惑ったようにきょときょとと辺りを
見回している小柄な体を見て、青年は思ってしまう。確かに、こういった人工
生命の生成が公的に認可されたのは、まだ最近の話で。クローンという格好の
材料を手に入れた研究者たちはこぞって新しい生命を作り出すべく必死にな
っていたのだけれども。
592雲路の果て-6-:2007/03/25(日) 01:03:20 ID:JCymVCqj0
だから、その副産物として、生れ落ちたのは良いが、既に死する事が決められ
ている機体も少なくは無い。
例えばこのヒュームのように。
「そっか、無理はしなくて良いんだからな。ゆっくり調整していけば。うちで
どれくらいやってやれるかはわかんないけど、出来るだけはなんでもしてやるから」

綺麗な光に透き通った金髪を撫でてやると、ヒュームはやっと少し笑って、
ありがとうと呟いた。
ふわふわとした金糸は確かに素晴らしい手触りで、やっと声も落ち着いてきた
のか、少し低めのハスキーボイスは可愛い声だったんだけれど、
やはり人間とかわらないのに、存在の意義からして全く俺達とは違うのか、と
その若い家主は生まれたばかりのヒュームを見つめて思う。
研究室の定義といえば、清潔と無彩色というのは恐らくどこであれ変わらない
ものだ。
実際、青年がヒュームを連れ出した研究室も、四角くて、つめたくて、色が
無い空間だった。ただ、ひかりが、
光が白い部屋に零れていて、そこだけが天使の梯子の様で綺麗だと思ったのを
覚えている。
本来天使の梯子なんていうのは雲から零れて出来るものだけれど、人の手で天
使を造ろうとした愚かな人間達はそんなものまで再現しようとでも・・・・し
たんだろうか。
真っ白い空間で造られるのは、やはり色の無い天使たちで、
沢山並んだガラスのケースに、まるで蝋人形館のようにきちんと収められた白
い体たち。
……人間は、エデンで蛇にたぶらかされ知恵のみを口にし、その楽園を追放さ
れたというのに。二度目の裏切りは自らの手で、自分達の遺伝子を冒涜すると
いうのか。
593雲路の果て-7-:2007/03/25(日) 01:04:30 ID:JCymVCqj0
「…お前、名前は?」
神様か何かにでもなった気で居たのか、それともヒュームを造ることで神に追
放されたエデンを再び作ろうとしたのかは定かではないが、まだ幼かったムウ
でさえ、そんな父親を醜いと思って、
その瞬間、激しい嫌悪感に襲われた。
なんて、
なんて愚かな男なのだ。
「らう。」
そんな愚かな男の作り出した人形は、酷く不安定な声を必死に絞り出して、そ
う呟いたので、
透き通ってしまいそうに白い肌に触れると、ひんやりと冷たかった。
それは、なんだか……とても悲しいことに思える。
この子は、何から何まで管理された子宮という水槽の中からここに生れ落ちて
きたのだ。25年間、自分という入れ物だけを抱えて、からっぽのままずっと
、ただ温い羊水のような培養槽の中で、一体どんな夢を見続けていたのだろう。
たった今生れ落ちてきた雨の一滴を思わせる、透き通った瞳をして。
「そうか、俺はムウ。ムウ・ラ・フラガだ。よろしくな、ラウ。」
「・・・よろしく、ムウ」
外見はきちんと大人の形をしているのだけれど、ムウにはどうしても、この冷
たい肌をしたラウが子供にしか見えなかった。事実25年間水槽の中で調整さ
れながら眠っていて、目覚めるのはまだ先なんだと生前父親に聞いた事がある
ような気もする。
兎に角、子供にしか見えなかったので、子供と同じ接し方で接することにした。
この、アンバランスなヒュームは直ぐにムウに懐いてくれたのが幸いし、大き
なトラブルや故障も発生することも無く、とりあえずは平和に日々が過ぎた。
594雲路の果て-中断-:2007/03/25(日) 01:06:10 ID:JCymVCqj0
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

とりあえず序章ここまで!
ちょっと中断シマス。
595風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 13:08:21 ID:lSjRsXxs0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  鰈スレから引っ越してきますた。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  続きを書けたとこまで。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
596鰈なるその後・叔父×遺児3:2007/03/25(日) 13:09:17 ID:lSjRsXxs0
神戸での二週間は瞬く間に過ぎた。
会社での彼は無論のこと歓待された。今は現場の長となっている古株の社員達はこぞって彼を
連れ歩き、熱心に語っては、問いかけられる彼の質問に顔をほころばせた。
学ぶ歓びと鉄への情熱に上気する彼の横顔は、まるであの人がそこに居るようで、
僕の心に喜びと同時に痛みをもたらす。
そして明日は帰京する最後の日、父の邸で夕食を共にした後。
庭に立ち、湾の向こうを見おろす彼の背中を見つけた。

絶えることなく煙を吐き続ける高炉。
じっとそれに目を注ぎ、振り返らぬまま、彼は言った。
「あの煙が上った時のことは、よく覚えて居るんです。
煙が立ち、降り続けていた小雨が止んで、陽が射してきた」
言うまでもない。あの人の葬儀の日だ。
「正直、父さんの思い出は、そう多くありません。僕も小さかったし、いつも忙しい人で。
でも、家にいる時はよく構ってくれました。僕を膝に乗せて遊んでくれたり、工場の熱さや
流れ出す鉄のすごさについて語ってくれたり。…僕は、父さんが、大好きでした」

暫しの静寂と早春の風が吹き抜ける。
「だけど。父さんは、ひとりで逝ってしまった」
その風に紛れてしまいそうな小さな声で彼は言うと、僕に向き直った。
「教えて下さい。なにがあったのかを。強くて優しくて、いつも希望と情熱に満ちていた父さんが、
何故、自分の命を絶ってしまったのかを」
僕は目を伏せることも出来ない。遂に、その時は来たのだ。
「あなたになら…あなたにしか、訊けないんです。」

どうして僕に、などと陳腐な科白は吐けない。
しかしその思いを知るかのように彼は続けた。
「母さんには訊けません。だって、僕は母さんを悲しませない、強い男になると、
父さんと約束しましたから。それに」
ひゅっと鋭く息を吸い込み、続く言葉を静かに吐き出す。
「僕を見るあなたの目は、時々、ひどく悲しくて、せつないんです。多分それは―――
いえ、きっと。僕ではなく、僕の中に父さんを見ている時じゃないかって、そう思うんです」
597鰈なるその後・叔父×遺児4:2007/03/25(日) 13:14:31 ID:lSjRsXxs0
その邸に足を踏み入れるのは、僕も彼も12年ぶりだった。
兄が愛した、兄が暮らした、ル・コルビジェ風の家。
母が命じて週に2回は掃除させ、今でもそのままに保たれているが、かえってそれは哀しさを
冴えた空気の中に閉じこめているようだ。そこには思い出が残像のように彷徨っている。
掛けられた白布をはぐり、僕らはリビングのソファに腰を下ろした。煌々と照らす月明かりだけが
僕らを見守っている。僕は全てを話し始めた。長い、ながい話を。
祖父のこと、父のこと、ひとつの疑惑と誤審から生まれた確執と悲劇の物語を。
ただ、僕の抱えていたあの人への歪んだ思慕だけを除いて。

「兄さんを殺したのは、僕と、お祖父様だ」
語り終えた時、僕の身体は空気が抜けてぺしゃんこになってしまったような気がした。
抱えていたものや張り詰めていたものが全て抜け出てしまったような。
彼にだけは、話したくなかった。けれども、彼にこそは、話さなくてはならなかった。

どれくらいの長さだったのか分からない。無音の時が流れた後、彼は、言った。
「あなたもつらかったでしょう」そう言って、潤む目で僕をしっかりと見詰め、微笑んだのだ。
「話して下さって有難うございます。悲しい思いをさせてしまって、申し訳ありません。
でも、本当に…有難うございます。そして、父さんを愛して下さって、有難うございます」
遂にこらえられず僕の目頭は熱くなり、唇を噛む。
「もう、自由になって下さい。そして」
いつのまに彼の背はこんなに延びていたのだろう。亡き兄を越し。
「自分を許し、愛してあげて下さい」
「………そんなことは出来ない」僕はようやく枯れた声で言葉を絞り出した。
「僕の罪は、許されない。消えない。一生」
「何故です!あなたは父さんの代わりに僕を育ててくれたようなものじゃないですか。
会社だって、自主再建できるまでにあなたがどれほどの尽力をなさったか僕は知っています。
もう、充分です。もう…」
彼の言葉が心底澄み切って優しいものであればあるほど、それは僕の心をえぐる。
どうしてもそれを僕の口から告げろと言うのですか、兄さん。

「僕の本当の罪は―――兄さんを、好きになり過ぎてしまったことだ」
血の繋がった実の兄を、僕は、犯したのだから。
598風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 13:16:59 ID:lSjRsXxs0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | [][] PAUSE      | |
 | |                | |           ∧_∧ あと1回で終わる予定
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
599風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 19:58:38 ID:iiHk66Y10
>>598
待ってた!
長男そっくりな甥に苦悩する次男モエ!
600風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:32:02 ID:8A72/vMs0
>>598
ワクテカで待ってますっ!!
601風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:48:30 ID:Dum1HGBK0
次スレ建ててきます
602風と木の名無しさん:2007/03/25(日) 20:55:38 ID:Dum1HGBK0
モララーのビデオ棚in801板26
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1174823542/
603小鬼と幽霊(始):2007/03/27(火) 01:39:32 ID:6TaRLe9N0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  お邪魔しますモナ
 ____________  \      _ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V |60年代洋楽飴ナマモノ2人組(シ"ェリー×卜厶)。
 | |                | |          \ 妄想舞台は'64年、23歳くらい
 | | |> PLAY.       | |            ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) モウ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノナニガナンダカ
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

>>602乙です。
埋めがてら萌吐きさせてください。
以前お邪魔したのは昔、17スレの558でした。
微妙に間抜けなベッドシーンのみです。

<注意>
最後はほんの少し暗めです。
604小鬼と幽霊(1/3):2007/03/27(火) 01:40:06 ID:6TaRLe9N0
「あの頃のシ"ェリーときたらまるで小鬼(ノーム)だった。卜厶はガリガリに
 痩せてて、幽霊みたいな奇妙なルックスだった。変な2人組だったね」
                          (当時の知人の証言)
「教えてくれ、ルックスを失ったら、いったい誰が君を愛してくれる?」
                          (シ"ェリーの曲の一節)
================

「無理しなくていいよ」
 その言葉を耳にしたシ"ェリーが、卜厶の胸から顔を上げる。今まで何度も
繰り返したように、それでも初めての時と同じに夢中で愛撫を続けていた肌から。
「なんだ?」
「僕を抱かなくてもいいよ。一緒に歌ったりするだけで十分楽しいから」
「何言っているんだ?」ベッドの上に起き上がり、改めて聞く。
「無理して抱かなくてもいいよ」愛撫への反応がまだ続いているのか、軽
く身を引きつらせて、艶めいた溜息を吐くと、また彼が呟く。

「どうしてそんなこと言うんだ?」

 息を整え、卜厶も身を起こす。
「だってほら、僕は前みたいにかわいらしくない、体も不恰好だし」

 間抜けな体勢でこの話題を続ける前に、ひとつ確認すべき点ができた。
シ"ェリーはニヤニヤ笑って問いかける。
「昔のお前はかわいかったって?」
「うん」無邪気そのもの、といった表情をつくって彼が答える。
605小鬼と幽霊(2/3):2007/03/27(火) 01:41:11 ID:6TaRLe9N0
 肩を竦め、シ"ェリーは卜厶の顔を見つめる。確かに彼は変わった。二十歳を
過ぎてから彼の鼻はくっきりとした鷲鼻となった。後年の似顔絵で必ず誇張される形。
民族的特徴が大人になって出たのかもしれないが、シ"ェリーは別の感情を抱く。
歌うときに息をより多く吸える形に変化したのだと。
 迫り出した鼻梁に引き摺られたように彼の両眼は顔の中央に寄り気味になり、
奇妙に真っ直ぐで高い眉骨の陰に隠れている。
 唇は今でも昔のように形がいいが、その口は歌うときにはまるで両耳を繋ぐように
大きく開く。
 不思議なその体型。胸筋と腹筋だけが発達した痩せた胴に、筋張った手足が奇妙な
添え物のように生えている。
 確かにかわいらしくはないし、一般に言う美男子でもないかもしれない。それでも
シ"ェリーにとってはとても魅力的な、そそる姿態だ。彼の声がその顔、体を形造った
のだと思うと特に。
 逆に、と思う。自分は彼の目にどう映っているのだろう。
「知ってるだろ? 俺はしたいことをする人間なんだよ。お前を抱きたいから
 こうしているんだ。
 ……逆じゃないのか? お前がしたくないんじゃないか? それならそう言えよ。
 お前がしたくないなら、もうこんなことしない」
 鏡の中の自分を思い起こす。5フィート2インチから伸びない身長、油断すると
太り始める体。避けられても無理はない。
 卜厶が笑い、先刻の自分と全く同じ口調で答える。
「知ってるだろ? 僕はしたくないことはやらない人間だよ。嫌ならとっくに断ってる」
 2人は目を合わせて微笑む。自分たちの間にあるのは完璧な相互理解。
 自分たちは正反対で、同時に同じものを求める瓜二つの存在なのだ。
完璧なパートナー。
 微笑んだまま唇を重ね、再びゆっくりとベッドに倒れこむ。
606小鬼と幽霊(3/3):2007/03/27(火) 01:41:57 ID:6TaRLe9N0
 彼の中に身を沈めきって、体重をかけたとき、もうひとつ言うべきことを思い出す。
「卜ミー」
「……なに?」
「やっぱり、もう少し肉をつけてくれ……尻の骨が腰に食い込んで痛いんだよ」
 興を殺がれて一瞬眉を顰めた卜厶は、気を取り直したように蠱惑的に微笑む。
自ら腰を持ち上げ、一層押し付ける。その後はお互いの忍び笑いと呻き声、喘ぎ声のみが
部屋に響く。


 彼らは自分たちの性格の差異を楽しみ、喜んでいる。自分たちの求めるものが
異なったときに、この差異からどれほどの悲劇が生じるかについて、まだ殆ど何も
知らない。
 それは6年後、彼らの代表作となり、賞を独占したアルバム―なぜか変則的な曲数で
発表された―製作時に、彼らが身をもって学ぶことだ。

=============================================
「卜ミーがあの曲を気に入らなくて。歌うのを拒否したんだ。
 12曲目を何にするかでずっと揉めていた。2人とも疲れ果てて……
最後に僕がこう言ったんだ。
『もういいよ。11曲で出せばいい』って」(シ"ェリーのインタビューより抜粋)
607小鬼と幽霊(終):2007/03/27(火) 01:42:37 ID:6TaRLe9N0
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                アリガトウゴザイマシタ
 | |                | |           ∧_∧ 次スレは以下だよ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
モララーのビデオ棚in801板26
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1174823542/l50
608風と木の名無しさん:2007/03/28(水) 02:31:15 ID:BkE9C2Z+0
>>607
元ネタ知らなくても、楽しんでた話がまた読めて幸せです。
609風と木の名無しさん:2007/03/28(水) 18:35:35 ID:kTuCYKhr0
>>607
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!
ずっと待っていました! また読めて嬉しいです!
610風と木の名無しさん
>>607
ずっと待ってました。・゚・(ノД`*)テラウレシス