1 :
風と木の名無しさん:
2 :
風と木の名無しさん:2006/12/19(火) 07:45:04 ID:hK+lX5Gl0
1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です
書き込むネタはノンジャンル。 801ネタであれば何でもあり。
たとえばこんなときにどうぞ。
どこに投稿すればいいのかわからない‥‥
・ネタを作ってはみたが投稿すべき既存のスレが無い。
・投稿すべきスレがあるのかもしれないけど、よくわかんない。
・クロスオーバーのつもりなのだが各スレ住人にウザがられた。
・みんなの反応を見たうえでスレ立てるべきかどうか判断したい。
投稿すべきスレはあるが‥‥
・キャラの設定を間違えて作ったので本スレに貼れない。
・種々の理由で、投稿すると本スレが荒れそう。
・本スレに貼る前にあらかじめ他人の反応を知って推敲したい。
・本スレは終了した。でも続編を自分で立てる気がない。
ヘタレなので‥‥
・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる。
・作り出してはみたものの途中で挫折した。誰か続きおながい!
迷ったときはこのスレに投稿してね。
ただ、本来投稿すべきと思うスレがある場合は
それがどのスレで(ヒントで充分)、しかしなぜこのスレに貼ったのか、
という簡単なコメントがあるとよい。無いとカオスすぎるからね。
ナマモノは伏せ字か当て字を推奨。
それ以外は該当スレのローカルルールに沿うか、自己判断で。
3 :
風と木の名無しさん:2006/12/19(火) 07:46:35 ID:hK+lX5Gl0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
| いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
| | [][] PAUSE | . |
∧_∧ | | | . |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . |
| |,, ( つ◇ | | | . |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4 :
風と木の名無しさん:2006/12/19(火) 07:47:17 ID:hK+lX5Gl0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
とりあえず用意したテンプレ。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モララーのビデオを見るモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| きっと楽しんでもらえるよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5 :
風と木の名無しさん:2006/12/19(火) 07:47:56 ID:hK+lX5Gl0
携帯用区切りAA
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
中略
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
中略
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
6 :
風と木の名無しさん:2006/12/19(火) 07:48:26 ID:hK+lX5Gl0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
|
| ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
| ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
| ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
| ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
| ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
| ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
| ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
\___ _____________________
|/
∧_∧
_ ( ・∀・ )
|l8|と つ◎
 ̄ | | |
(__)_)
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 媒体も
| 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
| 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
\_________________________
7 :
風と木の名無しさん:2006/12/19(火) 07:54:39 ID:hK+lX5Gl0
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| じゃ、そろそろ楽しもうか。
|[][][]__\______ _________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/
|[][][][][][][]//|| | ∧_∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
|[][][][][][][][]_||/ ( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |
(__)_)
>>1 乙です つ旦~
一応追加要請あったのでこれも。
,-、
//||
// .|| ∧∧
. // 生 || ∧(゚Д゚,,) < みんなで
//_.再 ||__ (´∀`⊂| < ワイワイ
i | |/ ||/ | (⊃ ⊂ |ノ〜
| | / , | (・∀・; )、 < 見るからな
.ィ| | ./]. / | ◇と ∪ )!
//:| | /彳/ ,! ( ( _ノ..|
. / /_,,| |,/]:./ / し'´し'-'´
/ ゙ / / / ||
| ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./ / /,!\
| | / `ー-‐'´
| | ./
|_____レ"
10 :
雑談スレ416:2006/12/19(火) 12:15:51 ID:UZ9nYqBAO
一乙!助かりましたありがとうー
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| numb*3rs 工ップス兄×弟の続きだって
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 1さんスレたて乙!
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>1さんオツカレ!私も立てようとしましたがアクセス規制で駄目だったので
困ってました。本当にありがとう!
そういうわけでnumb*3rs兄弟やおいの続きです。今回は中編にあたります。
コメントくれた方々ありがd!ラストまで楽しんでもらえるといいな
最近のチャ―リーはおかしかった。といっても、ガレージに何日間もこもって数式を解き、
誰とも口を利かなかったりするわけではない。チャ―リーは普通に生活をし、父親と一緒に食
事を摂り、大学にもきちんと通っているようだった。ただト゛ンへの態度がおかしいのだ。
例えばト゛ンのアパートに二人でいるとき、前はよく、おずおずと、しかし積極的にト゛ン
の身体に触れてきたのに、最近は妙によそよそしくなった。表情もどこか暗く、言葉も少ない。
キスやセックスも躊躇いがちで、行為への迷いが見える。ト゛ンはそのことに気づき、それが
自分の気のせいなのかどうか、注意深く考えた。ト゛ン・工ップスは捜査官で、人を観察し、
その人物の真意を読み解くことが仕事の一つだ。だからト゛ンは自分の洞察力には自信があっ
た。そして優秀な捜査官であるト゛ンは、弟を観察した後、一つの結論に達した。チャ―リー
は前ほど自分との関係に乗り気ではない。
「チャ―リー、最近どうなんだ?」
ト゛ンのアパートで二人で食事を摂った後、ト゛ンは弟に聞いた。チャ―リーはちょうどシ
ャワーを終えて寝室に入ってきたところだった。このままでいると抱き合うことになるだろう。
だがチャ―リー自身がそれほど望んでいるわけではないようにト゛ンは思えたし、そうだとし
たらただの惰性でセックスすることになる。ト゛ンとしては惰性で実の弟とセックスするよう
なことは避けたかったので、彼はさりげなく弟を探り始めた。
「……どうって?」
濡れた巻き毛をタオルで拭きながら、バスローブ姿のチャ―リーが怪訝そうに問い返す。チ
ャ―リーが着ているバスローブはト゛ンのもので、また勝手に人のものに触れたなと思いなが
らも、ト゛ンは手を伸ばしてその襟元を直してやった。「お前の生活だよ。アミー夕とはどう
なんだ?上手くいってるか?研究は?」
アミー夕の話をすると、チャ―リーは動揺したように瞳を動かした。だが数秒後にぎこちな
く微笑んで頷いた。「上手くやってるよ。研究も……大学での人間関係も」
「そうか」
ト゛ンはそう言い、肩を竦めた。チャ―リーはベッドの上のト゛ンの隣に腰を掛け、落ちつ
かなげに自分の髪を撫で付けたりしていた。ト゛ンはぼんやりとそれを眺めていた。チャ―リ
ーには他の恋人ができたのだろうか?だからト゛ンのことがもうそれほど必要なくなったのか
?
いつかチャ―リーは自分にとってト゛ンは基点なのだと言った。今後誰かと深い関係を結べ
たとしても、それがト゛ンがいるからだと。それはきっと事実なのだろう。だが、チャ―リー
が成長し、他の誰かとの関係も成熟するにつれて、ト゛ンとの行為が必要なくなったとしたら
?ちょうど子供が親から離れるように。ト゛ンへの愛情が薄れたわけではなく――ト゛ンにも
それはわかっていた。何故ならチャ―リーは行為を積極的に求めないにせよ、ト゛ンには会い
にくるからだ――ただ求める関係が変わったとしたら?それは自然なことではないか?
そしてそんな日がいつか来ることを、自分自身はどこかで知っていたのではないだろうか?
ト゛ンはそう考えながら、まだ傷が完全に癒えていない右肩を動かして、チャ―リーの髪を撫
でた。濡れた柔らかい感触。ト゛ンはその感触に慣れた自分の指先を嫌悪しながらも、一方で
その感触をいとしんだ。チャ―リーはびくりと肩を揺らし、視線を上げた。「ト゛ン?」
「チャ―リー、アミー夕や誰か俺以外の人間との関係が上手くいってるなら、そう言ってい
いんだ」
「……何?どういう意味?僕には――」
髪を撫でる手を振り払いながら、チャ―リーが問うた。「何なの?突然」
「お前は最近、そんなに望んでいないように見える。……行為を。俺たちがしているような
ことだよ。誰か別に相手がいるなら、それでもいいんだ。言えよ。兄弟だろ?」
ト゛ンの言葉にチャ―リーは動きを止めた。そして口を微かに開けたままト゛ンを見返した。
しばらくしてチャ―リーは唇の片端だけを上げた。「兄弟だから?」
ト゛ンは両腕を軽く広げてみせた。
「どうなったって俺たちは兄弟だし、お前は俺の弟だよ。関係が壊れるってことはない」
「――だから、だから他に相手ができたなら言えって?ト゛ン、何なの?突然。僕にだって
その気になれないことはある。無神経な兄といるとね!それなのにト゛ンは別の相手がいるか
らだと思ってるの?ト゛ン、原因は僕にあるんじゃなく、自分にあるって考えたことはないの
?」
「――原因?俺が?」
思いも寄らない言葉に驚いていると、チャ―リーは立ち上がって苛々と手を振ってみせた。
「『別に相手がいるならそれでいい』なんて兄貴ぶって言わないでよ。……あまりにも、あま
りにもひどいよ」
「兄なんだから仕方ないだろ?」
半ば怒り、半ば呆れて言うと、チャ―リーはかぶりを振った。聞きたくない、というように。
彼はト゛ンの言葉を無視して早口で続けた。「本当にト゛ンは僕を傷つける。――正直に言う
と、僕だって他の相手を見つけたいよ。ト゛ンじゃない相手がほしい」
その言葉にト゛ンは思わずかっとなって言った。「ほらな!お前は嫌になったんだよ。こん
なまともじゃない関係が。だから、それならそう言えばいいじゃないか」
「――僕が嫌なのは、これがまともじゃない関係だからなんかじゃない!そう思ってるのは
ト゛ンだ!僕が嫌なのはト゛ンが僕を必要としてないことだよ。ト゛ンにとって僕はなんなの
?セックスするのは僕のため?僕を対等に扱わないくせにト゛ンは僕にキスしてセックスして、
――僕を支配してる。そのくせいつでもそれが終わってもいいって態度だ。ひどいよ。フェア
じゃない」
チャ―リーは叫び、それから唇を噛んだ。ト゛ンは答えに困り、唇をただ動かした。チャ―
リーは自分の手が震えていることに気づいたのか、もう片方の手でそれを押さえつけるような
仕草をした。「その怪我――肩の怪我だってそうだよ。どうして平気な振りをするの?まだ痛
むんだろ?なのにト゛ンは僕に助けを求めない。このアパートの家事だって、ト゛ンの怪我が
治るまで手伝ったっていいんだ。なのに、ト゛ンはちっとも――」
チャ―リーは言いよどみ、それから手のひらで口を覆って目を瞑った。「……誰にでもそう
なの?それとも相手が僕だから?……僕は、僕は少しうぬぼれてた?FBIの捜査に関るよう
になって、ちょっとはト゛ンに必要とされるようになったって思ってた。でも違う。違うよね
?ト゛ンは僕の才能が役に立つ場合もあるって知っただけだ。僕のことなんて必要としてない。
僕の才能だって……僕より役立つ人間がいるならそれを使う。犯罪社会学者とか。求められて
るのは僕自身じゃない」
一人で勝手に捲くし立てて、一人で結論にたどり着いたらしい弟を、ト゛ンは苛立ちながら
見つめていた。ト゛ンは落ち着けと自分に言い聞かせながら、低い声で返した。
「仕事よりお前への愛情を優先させるわけにはいかない。そんなの当たり前だ。お前だって
俺を共同研究者にはしないだろ」
それを聞いてチャ―リーはあの、神経質な笑いを喉から響かせた。
「そうだよ。僕はト゛ンを共同研究者にはしない。ト゛ンは数学者じゃないし、第一僕の共
同研究者になることなんて求めてもいない。逆に僕はト゛ンのパートナーになりたいから、自
分の能力を使って捜査に協力してる。求めるのは僕で、受け入れるのはト゛ンだ。いつもね。
……でも一度くらい僕自身を必要とされたいよ」
チャ―リーはそう言うと俯いた。ト゛ンは戸惑いながら彼に向かって手を伸ばしかけたが、
かぶりを振って拒否された。以前恋人に、あなたは自分で何でもやりすぎる、と言われたこと
を思い出した。自分ですべて解決しようとして、仕事も完璧にやりとげようとするから、私生
活を簡単に後回しにするのだと。ト゛ンはそれを自分が義務感が強いせいなのだと思い、恋人
の恨み言を受け逃していた。だが今回は弟の言葉を簡単に受け流す上手い方法が思い浮かばず、
ただチャ―リーを見ていた。
肩がまだ微かに痛む。確かに傷を抱えたままで洗濯や料理や掃除をするのは大変ではあった。
けれどもそもそも働きづめで、チャ―リーが会いにくるときしかアパートには帰らないくらい
だし、ト゛ンは自立した人間として自分で何でもやりたかったので、自分で家事もやった。そ
れだけのことだった。
「……僕が必要だって言ってよ。ト゛ンの人生に必要だって言って。一度でいいから」
チャ―リーがぽつりと言う。ト゛ンはまだ迷っていた。必要だといえば、チャ―リーはまだ
悲しそうな目をしながらも、ト゛ンの傍らに来て濡れた柔らかい巻き毛ごと頭を預けてくれる
だろう。だがト゛ンには言えなかった。何故なら何も、誰も必要としないことがト゛ンの主義
だったからだ。小さな頃からそう自分に言い聞かせて生きてきたのだ。一人で何でもやってみ
せる、と。
部屋の中が静まり返る。暫くして、沈黙を打ち破ったのはやはりチャ―リーだった。
「――僕は自分にとって必要な人に、同じように必要とされたい。……僕に必要なのはト゛
ンだけど、ト゛ンはそうじゃないなら他の相手に逃げたいよ。……でもみつけられない。ト゛
ンの代わりはいない。――決めた。僕は今度こそP≠NP問題を解く。それくらいしか代わり
はみつからない」
ト゛ンは何も言い返せなかった。でも何かしなければ、と思った。弟を引き留めるために。
だから彼は立ち上がり、まだ迷いながらもチャ―リーの肩を抱き寄せた。チャ―リーは始め抗
うようなそぶりを見せたが、すぐに大人しくなってキスに応えてきた。ベッドに押し倒してバ
スローブを剥ぎ取る頃には諦めきったように従順になり、ト゛ンの首に腕を巻きつけて愛して
いるとか細い声で言った。ト゛ンが怪我をしたり、突然死んでしまうことを考えると気が狂い
そうになるとも。チャ―リーを抱いた後、快楽のせいなのか泣き疲れて眠る彼を見ながら、ト゛
ンは自問した。これは卑怯な振る舞いなのか?チャ―リーの言うとおりフェアではないのだろうか?
ト゛ンは自分がチャ―リーとの行為に慣れてしまったことに不意に気づいた。そしてチャ―
リーにも慣れさせてしまったことに。それを一番恐れていたというのに、今の彼はチャ―リー
を宥めるにも慰めるにも、いつも彼を抱いている。ト゛ンはチャ―リーに他の相手が見つかっ
たら、大人しく自分はそれを受け入れ、もっと別の、まともな形で弟を愛そうと思っていた。
でも他に方法を知らないということに、チャ―リーの寝顔を見ながら唐突に気づいた。何故な
ら「まとも」な兄弟がどんなものなのかを知らなかったし、ト゛ンはチャ―リーの共同研究者
になれる数学者でもなかったからだ。だからこうして抱き合うことでしか満たされない。手元
に弟を引き留めておくために、この行為が不可欠なのだ。
ト゛ンは愕然としながらも、眠る弟を見つめていた。この弟には自分の気持ちなどわからな
いだろうと思った。
大学に通うほかのすべての時間を、チャーリーはガレージにこもって過ごし、P≠NP問題
に取り組み始めた。今回はちゃんと父親に研究に没頭したいということを説明し、可能な限り
食事も摂ったのでアランは止めなかった。止めたのはト゛ンだ。ト゛ンは仕事帰り、深夜に実
家にやってきては、俺のせいでこんなことをするならもうやめてくれと何度も言った。だがチ
ャ―リーは頷かず、代わりにト゛ンに説明した。自分には数学の才能しかなく、それくらいで
しか人を惹きつけられないと。「僕は数学の才能だけでちやほやされてきた」。チャ―リーが
言うと、ト゛ンはそれは違うと言い返した。
そこでチャ―リーは肩を竦めた。「そうだね。ト゛ンは違う。僕の才能になんか興味はない」
だから長いこと不安だったとチャ―リーは告白した。ト゛ンはチャ―リーの数学の才能には
興味がないし、チャ―リーにはそれしかない。だが事件の捜査を通してト゛ンを振り向かせ、
引き止めておくことに成功するには、やはり数学的能力が必要だったのも皮肉だと。
「だけどこのP≠NP問題はまた別だよ。僕がこれを解こうと解くまいと、ト゛ンにはどう
でもいいんじゃない?それは僕がよく知ってる。それなのに僕がこれを解こうとするのは、僕
自身のためだよ。僕はもう30歳で、数学者としてはピークと言われる年齢なんだ。この間の
学会でも言われたよ。今回の研究は素晴らしい、流石だ、だけど例のあれはどうしたってね。
P≠NP問題さ。僕くらい才能があるなら、あれを解くべきだってね。それでこの間思ったん
だ。もし事故や何かで――僕を必要としてないト゛ンの心変わりで――ト゛ンを失っても、P
≠NP問題を解ければまだ慰めにはなるって。僕は周囲から認めてもらえるし、歴史に名前を
刻める。ト゛ンがどれだけ僕を無視しても、僕自身にきっと何かが残るはずだ。……今までも
ずっとそうだった。母さんが死んだときも、事件でしくじって死者を出したときも、P≠NP
が解ければ許してもらえて、僕も精神的に安定できる気がしてた。だけど実際には僕を引き上
げてくれたのは、父さんやト゛ンだよ。……ト゛ンなんだ。僕はこれまで、P≠NP問題は解
けなかった。でも許されるような気がしてた。ト゛ンのおかげで。だけど、そのト゛ンに必要
とされてないなら、せめてP≠NP問題を解きたい。そして自分の価値を感じたいんだ。……
それに考えてる間は、何も感じずに済むしね」
音を立ててチョークで黒板に数式を書きながら言い、チャ―リーは降参するように両手を広
げた。「僕のカードはこれで全部。手の中にあるものは全部見せたよ。さあ、ト゛ンは何を返
してくれるの?」
そう問うとト゛ンは疲労の滲んだ表情で眉間を擦った。ため息を吐くとト゛ンは手を伸ばし、
チャ―リーを抱き寄せてキスをしてきた。チャ―リーは一応型どおり抗い、それから彼と寝た。
ト゛ンはチャ―リーを抱いた後、何も言わずに帰っていった。ちょうど最初に彼らがガレージ
で寝たときのように。チャ―リーはそれを見届け、その後はまた服を着て数式に取り組んだ。
何度かそういうことを繰り返した。ガレージでチャ―リーを抱くト゛ンの手はいつも荒っぽ
くて、少し暴力的ですらあった。でもチャ―リーは抗うつもりなどなかった。何故なら相手が
ト゛ンだからだ。それなのにガレージで抱きすくめられると、チャ―リーはいつも抗うふりを
した。だが本当はそれすらも過程に組み込まれていて、最後には自分から望んで彼に貫かれた。
ト゛ンはそんなチャ―リーに苦しげな目を向け、チャ―リーは抱き合いながら、彼を失くすと
きのことを考えた。
一年ほど前、最初にガレージでト゛ンと寝た次の朝、チャ―リーは自分がト゛ンを汚したと
思った。完璧な形で円を描くト゛ンという数式を自分のものにしたくて、その結果正しくない
ものにしたと。本当にそうしてしまった、とあるときチャ―リーは思った。何度も繰り返した
ようにガレージでト゛ンに乱暴に抱かれ、きっと以前ならト゛ンはこんな抱き方はしなかった
と感じたときだ。きつく掴まれた手首や足首にはドンの指跡が残り、冷たいガレージの床に強
く押さえつけられたせいで身体のふしぶしが痛んだ。しかもその抱かれ方にチャ―リー自身は
満足していた。ト゛ンがチャ―リーをなんとかまともな生活に引き戻したくて、こういう手段
を取っているのだということはわかっていた。でも彼は少しは必要とされているような気にな
れて、それが錯覚だとしてもト゛ンと寝ている間は幸福だった。
「ト゛ンが好きだよ。死ぬほど好きだ。だから失う準備をしてる」
ある晩、ガレージで行為が終わったあと、チャ―リーはト゛ンの手を取って、指先を舐めな
がら言った。野球のバットを握り、銃を持ったかと思えばチャ―リーの髪を梳き、そして本当
に稀だがピアノを弾くこともある指。この指もト゛ンの短髪も、小さな頃から彼のすべてが好
きで、これが自分のものにならないと受け入れるなら、それに耐えられるような準備をしなけ
ればならない。ト゛ンの肩の傷はほとんど完治しつつあったが、チャ―リーはまだそれを直に
見つめられなかった。その代わり指を傷跡に押し付け、ト゛ンが微かに痛みで眉を顰めるのを
見て、甘い苦痛を覚えた。
「チャ―リー、いい加減にしてくれ。こんなことはやめよう。もう十分だろ?」
ト゛ンが掠れた声で言う。チャ―リーはかぶりを振った。まだ十分ではなかった。「駄目だ
よ。僕はまだ満足してない。問題もまだ解けてない」
解けたら解放してあげるよ。囁いてト゛ンの耳を噛むと、ト゛ンは疲れを伺わせる声で呟い
た。
「――俺はお前が望んでいるようにはなれないよ。チャ―リー、無理だ」
チャ―リーはその言葉に驚いてト゛ンを見つめた。ト゛ンは自分の傷口を擦りながら、静か
に繰り返した。「俺はお前が望むようにはきっとなれない。お前が望んでいるような兄じゃな
いんだ」
その言葉はどこか奇妙に聞こえた。これまで相手の期待に答えられないと零すのはいつもチ
ャ―リーだった。だが今、ト゛ンは――チャ―リーにとってはほとんど完全とも言えるト゛ン
が――チャ―リーの望むようにはなれないと言った。チャ―リーはうろたえ、ト゛ンから身体
を離して言葉を探した。
「どういう意味?ト゛ンはト゛ンだよ。僕は何も望んでない」
そう言うとト゛ンはかぶりを振った。そして周りに散らばった服を集めながら答えた。「い
いや。お前は俺が変わることを望んでるんだ。最初から――ガレージのあの晩のもっと前から
そうだった。お前はわかりあえる兄がほしいんだ。数学をやっていて、自分の話が通じて、一
緒にいても不安にならないような。でも俺はそうじゃない。俺はお前が望んでいるようにはな
れないし、お前のことが必要だとも言わない。絶対に。何故かわかるか?多分それはお前が俺
を必要としていないからなんだ。小さい頃からずっとそうだった」
淡々としたト゛ンの言葉を理解するのに暫く掛かった。その間にト゛ンはシャツに袖を通し、
ズボンをはいて、ネクタイを締めていた。チャ―リーが誕生日にあげたネクタイだ。そんなこ
とに今更気づいて、ぼんやりとそのネクタイを眺めながらチャ―リーは唇を動かした。「……
意味がわからないよ」
ト゛ンはそれを聞いて眉を上げてみせた。そして簡単なことだ、という表情で説明した。
「お前には俺がいなくても数学がある。そうだろ?P≠NPがそのいい例だよ。否定するな、お
前自身がそう言ったんだから。お前はいつもそうだった。俺がいなくても数学の問題さえあれ
ば幸せで、俺は兄としてお前にやれることなんか何一つない。……このクソみたいな行為のほ
かには。小さな頃からきっとそれがわかっていたから俺は、自分で何でもやろうと思ったのさ。
他の恋人にだってそうだよ。あなたは自分ひとりで何でもやろうとするってよく言われた。仕
事の成功を追うばかりで、私を必要としてないって。でも俺はそうやって育ったんだから仕方
ない」
ト゛ンはそう言って腰に下げていた銃を装着し直すと、肩を竦めた。「お前は自分には数学
の才能しかないって言ったけど、それが何なんだ?俺はお前のように特別な才能もない。野球
もやめた。自分で何でもできるようにならないと、生きていけない。母さんや父さんだって、
そうでもしないと安心させられなかった」
「ト゛ン」
チャ―リーが震えた声で呼びかけると、ト゛ンは片手でそれを制した。「そんなに深刻な話
じゃない。お前のせいでもない。ただお前が俺といていつも不安で不満足なのは、求めている
ものの原型がそもそも俺じゃないからだよ。それだけだ」
そう言い捨ててト゛ンは静かにガレージを出て行った。チャ―リーは呆然としていた。追い
かけなければ、と彼は思った。追いかけてそれは誤解だ、自分に必要なのはト゛ンなのだと言
わなければいけないと思った。だがあまりにもト゛ンの言葉が衝撃的で、チャ―リーは思考が
追いつかないのを感じた。これまでいつもト゛ンは完璧な存在で、もし乱れたものになったと
しても、それはガレージで初めて彼と寝たあの晩以来、自分のせいでそんなふうに変わってし
まっただけだろうとチャ―リーは思っていた。だが、もしそうでなかったとしたら?チャ―リ
ーは壁一面に掛けられた黒板と、そこに記された数式を見た。もしト゛ンが初めから完璧な数
式ではなかったとしたら?それはチャ―リーにとって世界の根本を覆すようなことだった。も
しそうならすべての式を立て直さなければいけない。
チャ―リーは愕然としてガレージの中を見回した。彼は恐ろしくなった。世界と自分との不
調和を不意に強く感じ、そして次の瞬間、ト゛ンも同じように感じている可能性を考ると、世
界がぐらりと揺れた。
____________
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| | [][] PAUSE | |
| | | | ∧_∧ 中編オワリ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
新スレをたててもらって早々にスペース占領しちった
あと一回投下したら終わるのでご容赦を。
後編wktkしながら楽しみにしてます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
【ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS エンドロールの後】
「っとに、テメーはメカにしか興味しめさねぇよなぁ!」
ゴムボートの上、沈んでいった機龍に敬礼を取る中條に、秋葉が叫ぶ。
「如月もかわいそうだぜ。なんでこんな男に引っかかっちまったんだか」
「は? 如月? 彼女は関係ないだろ?」
「これだからなぁ!」
呆れ返った声でいい、秋葉は中條にキツイ視線を当てた。
「お前さァ、オレがこんなこと考えてるなんて、思いもしねぇんだろ」
不安定な状態であることを感じさせない動きで、秋葉は中條に近寄った。
「あき……ッ」
不思議そうに名前を呼ぶ唇に、噛み付いた。
|「んんッ!!」
「暴れるなよ。落ちるぜ?」
「お前ッ! 何考えてるんだよッ!!」
ゴムボートの上であることを盾に脅されて、無理やり振り払うこともできない。
こんな場所でなければ、押し退けて逃げ出せるのに。
「何って……ナニ……?」
「……そんなヤツだったのかよ、お前」
悪びれる気配もない秋葉に、脱力する中條である。
「最初っからオレはお前のこと気にしてたのに。お前、全然気付かねぇんだもんなぁ」
「正気か?」
「本気だ」
どっぷりと深い溜息が零れ落ちる。
「なんだよ。あっつい抱擁交わした仲だろう?」
「緊急事態だったからな」
「つれねぇな。ま、いいや。陸に戻ったら、イイコトしようぜぇ」
「……遠慮する」
太平洋の海に、秋葉の笑い声が響いた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>23 チャーリーが愛しいです。
次回も楽しみにしています。
28 :
飛父飛:2006/12/20(水) 17:13:11 ID:8p5+CHFJ0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 飛父飛 スンオサを応援するミナカタの話だモナー
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| デッキ壊れてまだ2回しかDVDを見れていないので
| | | | \ 色々間違っているかもしれないカラナ!
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 原作未読のため、映画設定だけだゴルァ!!
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
29 :
飛父飛 1/3:2006/12/20(水) 17:14:03 ID:8p5+CHFJ0
おや〜?
なーにを立ち止まってんのかなあの子は。
心配して来てみれば、案の定ですね。
まったく手間のかかる子なんだから。
黙って隣りまで行ってやれば、ちらりと俺を見て、また少し寂しそうな笑顔で鈴木さんを見つめる。
そのギューっと握った右手には例の小石ですか?
どうでもいいけど…そんなに握ったら砕けちゃうんじゃないの?
それにしても、これはまたずいぶん綺麗な光景だな…
「…鈴木さんの翼、でかいね。」
「……あぁ。」
自分から飛んでいってしまった、と、思ってるんだろう。この子は。
もう二度と自分の元には戻ってこないって。元々、自分のものじゃなかったし…って。
必死で気持ちを整理してるんだろう。…まだ無理だって。
きっと自分で飛ばしたくせに。
お前のそういう優しさとか不器用な所は、あの人もわかってるよ。
でもお前の気持ちには気付いて無さそうだけどね。っていうか気付いてないね。
あの人鈍そうだもん。高校生の俺らよりよっぽど純粋だし。
我らがヒーロー。寸心のヒーロー。兼、初恋相手…か。
寸心には幸せを味あわせてやりたいんだけどね。
しょうがないなぁ。面白そうだしなぁ。
30 :
飛父飛 2/3:2006/12/20(水) 17:14:37 ID:8p5+CHFJ0
「鈴木さん、見えなくなっちゃったね。」
「……。」
寸心は右手を握りしめたまま下を向いた。
そして肩でふっと息を吐くと、踵を返して歩き出した。ほんと、聞き分けのいい子だね。
別の名を、素直じゃない子。
「…鈴木さん、明日菓子折持って来るに5000ー円」
スタスタと前を歩いていた寸心がすごい勢いで振り向く。コワイよ?その顔。
「いや、今日の夕方かな。」
ニヤリと笑えば、困惑した目がキョロキョロ動く。コワイよ?その顔。
「もう来ねぇよ…」
吐き捨てるように言い、またスタスタと歩き出す。
ところがそうでもないんだな〜
だいたいわかりそうなもんだけどなぁ。あの律儀な鈴木さんがこのままお礼も無く居なくなると思う方がおかしい。
お前は悲劇に慣れすぎなんだよ。
傷付かないように、先に最悪の事態を考えるんだろ?
俺、鈴木さんってお前のそういう所を変えてくれる人だと思うんだよね。
だってあの人天然だもん。お前が考えてる事なんか、全部笑顔で崩しちゃう人だろ?テヘッて言いながら。
きっとこの後春化ちゃんに会いに行って、よーし今日は家族で外食しよう〜なんて話になって
あれっ財布が無いーあっ置いて来ちゃったーやだもーパパったらーって具合に呑気に来るよ。
…お前があの人に惚れるのは時間の問題だってわかってたよ。
策士ミナカタと呼んでくれい!
31 :
飛父飛 3/3:2006/12/20(水) 17:15:36 ID:8p5+CHFJ0
俺は決戦前、山舌にカバンを手放すなと命じておいた。
鈴木さんは感情が高まってるからそれには気付かないだろう。
そして、まんまと上着だけ持って、彼は飛んでいった。
「カバンの中に財布とか鍵とか色々入ってたよ」
「………。」
寸心の目がまん丸になっている。あー面白い。
「取りに来るだろうね〜ご丁寧に菓子折持ってさ〜」
寸心の肩に慣れ慣れしく手を置くと複雑な顔をしたまま叩き落とされた。
「すあまとかだったら殴って良いからね」
「俺はいい」
「一番お世話した寸心が居なかったら鈴木さん泣いちゃうよ?」
「泣くかよ!」
「一回泣かせちゃった癖に」
「しらねーよ!!」
「鈴木さんは寸心に会いに来るんだよ」
わかりやすく寸心の時が止まる。
ほんと、手間がかかるんだから。
さっきからポケットの中に手突っ込んでさ。握ってんだろ?小石。
また寸心がスタスタと歩き出す。もう何も言わなくても大丈夫。
早歩きしていた寸心が、だんだん勢いをつけて走り出した。
…お前の翼もそのうち鈴木さんくらいでっかくなるよ。俺はもうそれもわかってるんだよ。
策士ミナカタと呼んでくれい!
32 :
飛父飛:2006/12/20(水) 17:16:58 ID:8p5+CHFJ0
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | | あまりのDVD萌えに
| | | | ∧_∧ 休みを利用して過去ログ読んでいたら
| | | | ピッ (・∀・ ) 辛抱たまらず勢い余って書いてしまいました。
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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| numb*3rs 工ップス兄×弟の後編
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| しつこかったけどこれでオワリ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ムダニナガカッタナ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
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そんなわけでこれで終わります。
工ップス兄弟やおい話のラストです
チャ―リーのあの瞳。ト゛ンは思い出しながら足早に家を出、すぐ側に止めてあった車の鍵
をポケットから取り出した。信じられないという目でチャ―リーはト゛ンを見た。ト゛ンの言
葉に傷つく余裕もないほど衝撃を受けて。きっとチャ―リーには本当に思いも寄らないことだ
ったんだろう、とト゛ンは思い、喉の奥から苦い笑いがこみ上げるのを感じた。これまでずっ
と、ト゛ンは不安定なチャ―リーを自分が支えなければいけないと思っていた。だが今になっ
てやっとわかったのだが、ト゛ンはただチャ―リーを支えたかったのだ。おもちゃの銃に見向
きもせず、ト゛ンとキャッチボールをしようとすることもない弟と一緒にいるとき、ト゛ンは
いつも居心地が悪かった。彼のためにできることが思い浮かばず、それならせめて自分はひと
りで何でもできるようになろうと思った。弟がいつか成長して自分の相棒になってくれる日が
こないのなら、自分が弟を必要とする日も来させるべきではないと思ったのだ。だからチャ―
リーが不安を抱えながらもおずおずとト゛ンに歩み寄ろうとし、彼に近づこうとするたびに、
チャ―リーに背を向け、彼の不安を強めた。だが心のどこかで期待も残っていて、チャ―リー
が自分のせいでますます不安そうになることに安堵していた。求められていることがそれを見
ればわかったからだ。そのことが自分でわかってしまった。
「ト゛ン、待って……ト゛ン!」
後ろからチャ―リーが掛けて来る。服のボタンも留めていない、忙しげな様子で、転びそう
になりながら追いかけてくる弟を、ト゛ンは振り向いて車の前で待った。チャ―リーは息を切
らしながら、ト゛ンの腕に触れて言った。「誤解だよ。とにかく誤解だよ。――どう言ったら
いいのかわからない。僕はただ……」
「チャ―リー、俺たちはもう終わりだよ。わかるだろ?関係性がまともじゃないとか、そう
いうレベルの問題じゃない。俺は確かにお前に何も与えられない。俺自身の中にお前が求めて
いるものなんてないんだ。俺はずっと、お前が小さな頃から抱いてきた幻想につけこんでたん
だ」
そう言ってト゛ンはチャ―リーの手をどけさせ、車のドアを開けた。チャ―リーは立ちすく
んでいた。車の座席に滑り込み、ドアを閉めようとすると、チャ―リーはドアを掴んでそれを
遮ったので、ト゛ンは危険な行為に眉を顰めた。一歩間違えばドアに手をはさんで怪我をさせ
るところだった。
「チャ―リー」
窘めると、チャ―リーの眉が動いた。チャ―リーはドアを掴んだままでいた。ドアを閉めら
れない。そう思ってト゛ンはため息を吐き、ハンドルに腕を置いた。「これじゃあ帰れない」
「ト゛ン、誤解だよ。僕が求めてるのはト゛ンだ。他の兄なんかじゃない。ト゛ンだよ」
早口で言う弟をト゛ンは目を眇めて見上げた。視線が合うとチャ―リーは動揺したように目
を泳がせた。「――どう言ったらいいのか本当にわからないよ。ト゛ン、ただ僕は、僕は考え
もしなかったんだ。ト゛ンがそんなふうに感じるなんて……僕はいつもト゛ンに求めるばかり
で、ト゛ンの気持ちなんて考えてなかった。謝るよ。でもこれだけは信じて。僕はト゛ンを愛
してる。ただ必要とされたかっただけなんだ。ト゛ンの隣にいる権利があるってずっと信じた
かった」
チャ―リーはドアを握る手の力を強めた。それから俯き、小さな声で言った。「――ト゛ン
に不完全なところがあるなんて思いもしなかった。ずっと僕はト゛ン、――兄さんに憧れてた。
野球もできて友達もたくさんいて、父さんや母さんからも信頼されてて……周りに溶け込んで
た。そういうふうになりたかったし、こんな僕でもト゛ンといればそうなれると思ってた」
ト゛ンはそれを聞いて腰を上げ、ドアを押して車から出た。チャ―リーはドアから手を離し、
不安そうにそれを見ていた。ト゛ンはドアに寄りかかるような姿勢で言った。「お前はお前で
いいんだ。俺がいなくても十分上手くやってるじゃないか。大学に友人もいるし、有意義な研
究もしてる。FBIでだって少しずつなじんでる。それは俺のおかげじゃない。全部お前自身
の力で、俺とは関係ない。俺がいなくてもお前はやっていけるよ。お前が気づいていないだけ
だ」
それをただドンが認めたくなかっただけなのだ。ドンは全身に疲労を感じながら、弟を見て
いた。いつでも彼を手放そうと思えばそうできたのに、それをしなかったのはドンが望んでい
たからなのだ。ドンにチャーリーが必要なだけだった。ガレージでチャーリーを何度も無理や
り組み敷くうちに、そんなことは嫌でも自覚した。
チャーリーはそれを聞いて、巻き毛ごと頭を振った。
「でも――でも僕にはト゛ンが必要だ!どうしても必要だって思うんだ。理屈じゃないよ。
愛してるんだ」
身体を折り曲げ、喉の奥から搾り出したような声でチャ―リーは言った。理屈屋のチャ―リ
ーに理屈じゃない、と言われて、ト゛ンは一瞬笑いそうになった。けれども笑わなかった。チ
ャ―リーは家の前の芝生に膝をつき、それでも上体をよろめかせながら言った。「……僕に数
学の才能があるから、ト゛ンはト゛ンが僕になにもできないって思ってたの?小さい頃から?」
チャ―リーの言葉に、ト゛ンは迷ってから頷いた。するとチャ―リーはそれを見上げながら、
こぶしを握り締めて言った。「そうだよ、僕には数学が必要なんだ。そうやって生まれついた。
それは変えられない。P≠NPだって本当に解きたいよ。数学者としてのプライドが掛かって
る。――だけどト゛ンだって必要なんだ。どんなに不可解で不完全で数学的じゃなかったとし
ても、それでも僕の人生に必要なんだ」
震える声を聞き、ト゛ンはそんな弟を見つめていた。チャ―リーの顔は夜目にもわかるほど
青く、彼が動揺していることはよくわかった。
「――まともな関係を結べないんだ。チャ―リー、お前とだってそうだ」
ト゛ンはチャ―リーを見下ろしながら、ぽつりと言った。チャ―リーは芝生を手で握り締め
ながら顔を上げ、それを聞いている。それを見てト゛ンはひどく無防備な表情だと思った。ど
うしていつもチャ―リーはそんな表情ができるのだろう?
ト゛ンは車の鍵を手の中で弄びながら続けた。「キムやテリーとだってそうだ。彼女たちの
ことは愛してたけど、誰かを必要とするのが嫌だった。……だから別れることになったんだ。
母さんのことでアルバカーキから離れたからとか、そういう理由じゃない。本当は違う。彼女
たちがただ――お前も言ったようなことを俺に言って、俺はそれに答えられなかった。君が必
要だってどうしても言えなくて、そうすると聡い人間は離れていくんだ。不完全な関係だから。
お前だってそうだろ?」
「……それは僕のせい?僕のせいで父さんや母さんの前で早くから自立しなきゃいけなかっ
たから?僕が数式に夢中で、ト゛ンと普通の兄弟みたいに遊べなかったから?全部僕のせいな
の?」
チャ―リーは泣きながら言った。ト゛ンは答えに迷い、それから肩を竦めた。「……お前が
悪いわけじゃない」
「――そして僕が自分をできそこないでまともじゃないと思ってるのは、ト゛ンのせいなん
だ。きっとそうなんだね。違う?」
頬をつたう涙を手で拭ぐい、チャ―リーは睨みつけるように見つめてくる。ト゛ンはまた躊
躇った後で、やはり頷いた。「そうだな。でもそれは俺のせいだ。……俺はきっとわかってい
てお前を傷つけてきたんだから」
そう答えて、ト゛ンは手を伸ばしてチャ―リーの腕を引っ張った。チャ―リーは促されるま
まに立ち上がりながら、ぼんやりとした表情で言った。「僕もト゛ンもお互いのせいで不完全
なんだね」
それを聞いてト゛ンはチャ―リーの顔を黙って見返した。そして肯定した。
「そうだな。だから不毛なんだ。だから――もうやめないか?」
ト゛ンの言葉にチャ―リーはため息を吐いた。その言葉は聞き飽きたというように顔を背け、
苦い声で言った。「馬鹿にしてる!」
「俺は本気だよ」
そう言ってチャ―リーの腕から手を離すと、弟はまだ濡れている自分の頬をもう一度手で乱
暴に拭った。「馬鹿にしてるよ。――ト゛ン、どうして諦めちゃうの?僕らが不完全なのはわ
かったよ。僕だけじゃなくト゛ンもそうだって。そのことに僕は傷ついた。だってそれは僕の
せいだから。でも、だったらなおさら、僕らは変わらなきゃいけない。お互いが不完全だとし
ても、お互いが原因なら、だからこそ一緒にいれば何か変えられるかもしれないのに、どうし
て諦めようとするの?僕は諦められないよ。間違ったら式をもう一度立て直して、正しい答え
を探す。これまでずっとそうしてきた。離れたままなら不完全で終わるかもしれないけど、一
緒にいれば何か変わるかもしれないのに。それなのにト゛ンは簡単に諦めるの?そうやってず
っと一人で過ごすつもり?一生?」
「――この歳で変われない」
ずっとそうやって生きてきたのだ。そう言うと、チャ―リーはまたかぶりを振った。そして
ト゛ンの腕を強く掴み、まっすぐに目を見て言った。「だったら僕も変われない。ト゛ン、わ
からないの?ト゛ンだけの問題じゃないんだ」
僕らはお互いに作用しあっている二つの式なんだよ、だから僕らはお互いが必要なんだ、と
チャーリーは言った。そしてドンの頬にキスをした。ドンは反応に迷い、それから弟の唇にキ
スを返した。今キスを必要としているのはチャーリーではない。ドンだ。そのことを自覚しな
がら、ドンは弟にキスをした。生まれ育った家の前で、真夜中に。
ドンにずっと必要だったのは、弟に必要とされることだった。そしてようやくそれを実感す
ることができた。自分が弟に何を求めているのか自覚して、やっとチャーリーが自分を求める
意味もわかった。まったく性質が異なり、無関係のように見えても、自分とチャーリーは、作
用しあう二つの式なのだ。どこかで繋がっている。だからお互いの存在が必要なのだ。チャー
リーの言うとおりだと、ドンは弟の唇の柔らかさを感じながら思った。鍵を握っていたのは、
ずっとこの弟だったのだ。
その後二人は車に乗って、ト゛ンのアパートまで行った。アパートに向かう間、チャ―リー
はずっと運転するト゛ンの横顔を見ていた。ト゛ンがまだ迷っていることもわかっていた。だ
がチャ―リーは焦っていなかった。これまで触れられなかったト゛ンという存在に、やっと触
れたと思った。
アパートに着くと、予想していた通り抱き合った。数時間前に実家のガレージで欲望を果た
したのに、二人ともそんなことは忘れてお互いの肉体を味わった。ト゛ンの手には荒々しさは
なかったが、チャ―リーは満足していた。終わったあと、二人は自然に長い口付けを交わした。
それは性的な興奮を引き起こすためのものではなく、ただお互いの存在を感じあうためだけの
穏やかなもので、だからこそ二人はじゃれあうみたいにしばらくキスを楽しんだ。
やがて唇が離れると、ドンはベッドのサイドボードに背中を預け、服を着ないままで静かに
語りだした。「怖いんだよ」
「何が?……誰かを必要とするのが?」
横たわった姿勢でチャ―リーが問うと、ト゛ンは手を伸ばし、ブランケットをチャ―リーの
肩に掛け直しながら頷いた。「自分の感情を表現するのが苦手なんだ。感じたことを全部話し
たってきりがないし、相手にとってはいい迷惑だろ?だったら黙って一人ですべて済ませたほ
うがいい」
チャ―リーはそれを聞いて少し笑った。兄をかわいいと思ったのは初めてだった。そんな反
応に気分を害したのか、ト゛ンは微かに眉を顰めたが、チャ―リーはト゛ンの腕を撫でて続き
を促した。「例えばどんなことを話すのを我慢してたの?」
ト゛ンは黙り、それからしばらくしてぽつりと呟いた。「――俺は人を殺してる」
チャ―リーは驚いてト゛ンを見つめた。するとト゛ンは見返しながら頷き、自分の肩を指差
した。「ここを撃った奴とか。他にも何人か。正当防衛だし、肩を撃った奴は包囲されたことに
気づくと、現場でレイプした女の子を人質にして銃を乱射したんだ。だから後悔はしてない。
もう一度あの状況に置かれたらまたやる。だけどやっぱり事実は事実だ。……たまに思い出す。
一人でいると……」
唇を閉ざしたト゛ンの横顔を見上げながら、チャ―リーは身体を起こしてト゛ンの肩に手を
置いた。今までどうして兄のことをもっと考えてあげられなかったのだろうと思った。これま
でずっと、ト゛ンは正しいことを正しいと信じてやってきたのだと思っていた。でもト゛ンに
も迷いや後悔はあるのだ。
「ト゛ン」
「そんなに大したことじゃない。自分で処理できる。でも誰かに話したかったのも事実かも
な」
そう言ってト゛ンは肩を竦めた。チャ―リーは肩の傷跡を見ながら呟いた。「これからは僕
に話してよ。そういうときは」
「聞きたくない話もあると思う。きれいな仕事ばかりじゃない」
ト゛ンは素っ気無くそう返したが、チャ―リーは受け流さずにかぶりを振った。「どんな話
でも僕は絶対に聞くよ。……ヒーローには相棒が必要だろ?相談に乗ったり、一緒に事件を解
決する……」
「お前はそうなるって言いたいのか?」
ト゛ンが微かに笑って問う。チャ―リーは頷いた。「ずっとそうなりたかったんだよ」
「……俺もずっとそうなってほしかった。お前が生まれたときにそう思ったよ。相棒ができ
たって。――ずいぶん長い間俺たちは勘違いしてたんだな。お互い」
チャ―リーはそれを聞き、不思議な想いでト゛ンの太ももに頭をのせた。ずっとト゛ンが自
分を相棒として求めていたことなんて知らなかったし、こんなに側にいたのにそれに気づけな
かったことにも驚いた。ト゛ンはチャ―リーの髪を指で弄んで言った。「お前が弟でよかった」
「……僕は銃も上手く扱えないし、野球もできないよ。きっとト゛ンが望んだ弟とは違う。
それでも?」
チャ―リーの言葉にト゛ンは目を細めて答えた。「そうだな、小さな頃望んでいた弟とは確
かに違う。でも結局それでよかったんだ。お前は銃を持ってないし、人も殺さない。だけど方
程式で人を助けられる。誰も傷つけてないのに、人を助けられるんだ。俺が望んでいた以上だ
よ。……それにお前は諦めてない。P≠NP問題にも何度も挑戦してる。タフで賢くて信頼で
きる、相棒だよ」
チャ―リーはそれを聞いて涙で視界が歪むのを感じた。ト゛ンが髪を撫でる手が優しくて、
この手を離したくないと思った。でもト゛ンが自分のせいで、これまで誰ともまともな関係を
結べなかったというなら、なんとかしてそれを成就させてやりたいとも思った。
チャ―リーにはやっとわかった。ト゛ンがこれまでチャ―リーとの関係を気に病み、ことあ
るごとに自分よりも他の人間との関係を勧めるのは、決してチャ―リーを疎んじていたからで
はない。ト゛ンはチャ―リーを愛しており、だからこそ自分が原因で相手に何も与えられない
ことを悔やんでいただけなのだ。今チャ―リーはそんなト゛ンと同じように、ト゛ンに自分以
外の人間と関係を結んでほしいと思った。誰か、新しい関係と新しい家族を与えられるような
存在と。チャ―リーにはそれらは与えられない。お互い自身すら元からあるものだし、どんな
に深く交わっても子供も生まれない。それならト゛ンに別の相手を与え、彼を完全な存在にし
てやりたいと思った。だが、その一方でやはり自分の元に留まってほしいとも強く感じた。そ
して自分がト゛ンの唯一の足枷となっていることに喜びを感じた。そんな形で選ばれているこ
とがチャ―リーには嬉しかった。胃が軋むほどに。
「チャ―リー?」
ト゛ンがそんな様子の弟に気づいて、顔を覗き込んでくる。チャ―リーはかぶりを振り、そ
れから深呼吸をした。ト゛ンの肌の温かさを感じながら、チャ―リーは言った。「ト゛ンは素
晴らしい人間だよ。きっとト゛ンが望めば、僕以外にもこうやって話を聞いてくれる人が出て
くるよ。キムもテリーもきっと本当はそうしたかったんだ。……これからだって、そんな相手
はいくらでもできる。誰かが必要だってきちんと言えて、きっと新しい家族もできる。いろん
なことができる。ト゛ン。僕にはわかってるよ」
なるべく優しい声で言うと、ト゛ンは黙った。彼の目には戸惑いが滲んでおり、それを見て
チャ―リーは頷いた。「諦めないで。ト゛ンにはいろんな可能性がある。……野球をやめてF
BIに入ったのだって、あの頃僕にはわからなかったけど、結局正解だったんだ。大勢の人を
救ってるんだもの。ト゛ンは野球選手じゃないし、数学者でもないけど、僕はFBI捜査官の
ト゛ンが一番いいと思う。ト゛ンはきちんと正しい道を選べる。だから諦めないで。僕も諦め
ない。……でも、でもね」
そこまで言ってチャ―リーは口を閉ざした。言っていいことなのかどうか、彼にはわからな
かった。本当にト゛ンを愛しているなら、ここから先は言わないでいるべきではないかとも考
えた。だがチャ―リーはどうしても言わずにいられなかった。何故ならチャ―リーにはト゛ン
のことが必要だからだ。
身体を起こし、チャ―リーは一瞬目を伏せてから言った。「……お互い本当に努力して、自
分たちの人生の可能性を探そう。新しい家族を見つけられるように。僕もなるべくそうする。
……でも、それでもやっぱりお互い以上に好きな相手ができなかったら……二人とも不完全な
ままじゃなくて、二人でいることで何か完全性を見つけられるようになったら、そのときは一
緒に暮らそう。こういうアパートでじゃない。僕らのあの家で」
「チャ―リー」
ト゛ンが驚いたように目を見開くのを、頷きながら見返して、チャ―リーは震えた、小さな
声で言った。「……いつか父さんもいなくなる。本当に、本当に長生きしてほしいけど、……
いつかは僕を置いていくよ。母さんみたいに。そうしたら僕はあの家で一人になる。誰も他に
家族を見つけられなかったら。そのときは――ト゛ンがあの家に戻ってきてよ。ト゛ンにも家
族ができなかったら。そうすれば僕はあの家でト゛ンの話をいつでも聞ける。ト゛ンが何かに
苦しんでるなら助けられる。いつか、いつかの話だよ。今じゃない。ずっと後のことだ。それ
にこれはただの提案で、強制じゃない。ただ――そういう未来もあっていいと思うんだ」
「チャ―リー、俺は」
言いかけるト゛ンを遮って、チャ―リーは呟いた。これはプロポーズだとすら思いながら。
「僕はト゛ンに幸せになってほしい。でも、ト゛ンがもし僕といることで本当に幸せになれる
なら、僕らがそういうふうになれたら、……そのときはト゛ンの家族になりたいんだ。もう一
度。生まれつきじゃなく、今度は自分たちの意志で」
その言葉にト゛ンは黙った。チャ―リーも黙って答えを待っていた。いつか。チャ―リーが
話したのは何十年もあとのことだ。二人がどうなっているかなど誰にもわからない。ト゛ンに、
チャ―リーに恋人ができ、結婚して子供もいるかもしれない。そういうことにチャレンジする
価値もある。だがもしも、試行錯誤を繰り返した後でも、お互いしかいないと感じたなら、も
う一度一緒に暮らしてもいいのではないだろうか?それともやはりそれは許されないことなの
だろうか?
「――僕はあの家の手入れをして、待つよ。ちゃんと僕らが歳をとっても暮らせるように。
いや、備えてる。その可能性に。備えてるだけ。でも、だから――だからもしそうなったら戻
ってきて」
呟くように願いを言うと、ト゛ンが微かに身体を動かした。思わずびくりとして身体を揺ら
すと、ト゛ンはそれを見ながらそうだな、と言った。
「そうだな。そういう未来も悪くない」
ト゛ンの言葉を聞いて、チャ―リーは何度も頷いた。こんなものはただの口約束で、何の意
味もない。だがそれでも、そんな可能性が未来に待っているかもしれないということに、胸が
締め付けられた。それをどこかで望む自分への罪悪感なのか、その可能性が残されているとい
う幸福感のせいなのかはわからなかった。ただそういう未来も存在してもいいはずだと思った。
日曜日の午後、実家の庭でチャ―リーの落ち葉拾いを手伝っていたト゛ンは聞いた。「で、
P≠NPはどうなんだ?」
箒で大量の落ち葉をかき集めていたチャ―リーが非難がましくト゛ンを見返した。「あのさ、
前も同じようなこと説明したけど、あれはすごくすごくすごーく、難しい問題。一月やそこらで
解ける問題じゃない」
「解けてないんだな?」
ト゛ンは問いながら、苦労して落ち葉を集めるチャ―リーを見た。少し前まではこういうこ
とはすべて父親のアランがやっていたはずだ。だがアランが家の手入れも大変だし退職金にも
限りがあるといって、少し前にこの家を売ったとき以来、チャ―リーも少しは変わったらしい。
尤も、売った家を買ったのはチャ―リーだったのだから馬鹿馬鹿しい話だが。
ト゛ンはくすりと笑ってチャ―リーを見た。ト゛ンは弟のそんなところが好きだった。彼は
常識に囚われない。彼の年齢になれば親元を離れて暮らすことが普通なのに、この家が好きで
アランとも一緒に暮らしたいからといって、無理やり我を通してしまうなんて、ト゛ンには絶
対にできないことだ。チャ―リーは子供っぽく見えることはあるが、その実芯が強い。
「解けてないけど、それって何かト゛ンに関係ある?」
チャ―リーが刺々しく言うので、ト゛ンはまた笑った。「そうだな、解けたらお前は少し俺
から離れやすくなるんだろ?ちょっとは関係ある」
チャ―リーはそれを聞いて手を止めた。ト゛ンは落ち葉を入れるビニール袋を持ちながら、
顎で弟を指して注意した。「手を止めるなよ」
「ト゛ン、あれはものの弾みっていうか、そのときかっとなったから言っただけだよ。それ
くらい悩んでたってこと。どんな問題が解けてもト゛ンはト゛ンだもの。僕にはずっと必要だ
よ。――もしかして、不安だった?」
チャ―リーの声にト゛ンは肩を竦めた。確かに不安ではあった。弟が学問の世界に没頭して、
もう自分を省みなくなる日を、想像したことがないわけではない。だがト゛ンはわざと頷かず
に言った。「不安も何も、解けてないんだろう?」
不安になる必要なんかないじゃないか。そう呟くとチャ―リーは片手を腰に当ててみせた。
「――だからそれはまだ時間が足りないからだよ!ト゛ン、何年か取り組めば僕は絶対にで
きる」
むきになってチャ―リーは言う。ト゛ンはそんな弟をちらりと見て言った。「本当か?怪し
いな」
「ト゛ン、今の発言、絶対後悔するよ。僕はもし解けたらそのあかつきには論文の序に書い
てやる。『僕の能力を信じなかった兄にこの論文を捧げます』って」
絶対書く。今決めた。乱暴に、しかも非効率的に落ち葉を集める弟はそんなことを呟いてい
る。ト゛ンは手を差し出し、箒を貸せと言った。「交代しよう」
「何?何で?これは僕の役割だよ。何でト゛ンが落ち葉を集めるの?ここに住んでるの、僕
だよ」
「俺がやった方が早い」
ト゛ンが簡潔に答えると、チャ―リーはひきつった笑いを浮かべた。「何?ト゛ンは僕が落
ち葉集めもできないと思ってるわけ?馬鹿にしてる?」
「できないとは思ってないが、苦手なのは知ってるよ」
箒を取り上げてト゛ンは言った。するとチャ―リーは呆れたように両手を広げた。「いろん
な意味で侮辱された。数学者として、人間として。実の兄に」
ト゛ンはそれを黙って受け流しながら落ち葉を集めた。チャ―リーがやったより数段効率よ
く作業をこなし、弟にビニール袋を持つように命じた。するとチャ―リーはしぶしぶといった
様子でそれに従った。
「ほらな、俺の方が上手いだろ?」
ト゛ンの言葉にチャ―リーは眉をあげてみせた。「失礼だよ。今たまたまト゛ンの方が上手
くやったってだけで――」
「もしお前が本当に――可能性に備えてるなら、この程度のことは常に上手くやってもらわ
ないと」
俺も安心できない。そう言うと、チャ―リーは手を止めた。また手がおろそかになってる。
そんな注意も聞かずに、チャ―リーは瞬いた。「ト゛ン、それは――少しは待ってるってこと
?それを……その可能性を」
ト゛ンは首を傾げた。答える気はなかった。答える代わりに彼は言った。「今夜アパートに
くるか?」
チャ―リーはその言葉に不意を打たれたらしく、目を丸くした。「それ、来てほしいってこ
と?」
「質問ばかりだな、お前は。素直に頷けよ」
思わずぼやくとチャ―リーは甲高い声を上げた。
「だったらト゛ンも素直に言ってよ!今夜来てほしいって。必要だって。ト゛ン、言ってよ」
ト゛ンはそれを聞いて落ち葉に目を向けたまま素早く言った。
「――必要だよ。今夜は一緒に寝たい。だから早く落ち葉を集めて、父さんと夕食を済ませ
て、今夜はアパートに行こう」
箒で集めた落ち葉をもう一度ビニール袋に押し込み、顔を上げるとチャ―リーは口を軽く開
いたままト゛ンを見ていた。そんなに驚くようなことだろうか?ト゛ンが考えていると、チャ
―リーは信じられないと呟く。ト゛ンはその言葉に笑った。きっとこんなふうに、少しずつ自
分たちは変わっていくのだろう。自分もチャ―リーも。でもいつも隣にはお互いがいて、もし
かしたら最後までそうかもしれない。社会的に見ればそれはアンハッピーエンドなのかもしれ
ない。でも、それを決めるのは自分たちだ。ハッピーエンドだとト゛ンとチャ―リーが感じて
いれば、きっとそうなのだ。
ト゛ンは不意にチャ―リーが不安げな顔になったことに気づいた。どうしたと問うと、数学
者は小声で言った。「……あんまりいきなり進歩して、僕を置いていかないで。……変わるの
はいいけど、少しずつ、ゆっくり変わってよ」
ト゛ンはそれを聞いて吹き出した。この弟は本当に我侭だと思いながら、ト゛ンは箒の柄に
顎を乗せて答えた。
「じゃあ俺からも一つ。P≠NP問題を解くのはいいが、それで俺を忘れるなよ。弟を数学
の問題なんかにとられたくない」
ト゛ンの言葉にチャ―リーは目を見開き、それから笑った。ト゛ンも一緒に笑った。いつま
でもこんな日々が続くことを、ト゛ンは本当にこっそりとだが願いながら、色とりどりの落ち
葉を弟に差し出した。
終
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヤットオワッタ…
| | | | ピッ (・∀・ ; )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
本当に長くてスマソ。投下しているこっちも分割してるのにくじけそうになry
この兄弟で書きたかったことは一応書ききることができたように思うので
ひとまずこれでおしまいです。
超過疎ジャンルなのに付き合ってくださった方々、本当にありがとう!
二人の、特にチャーリーの変化に胸打たれました。
最初読み始めた頃は読むのが辛い時もあったのに。
ゆっくり読み返したいです。
ええ話や。作者さんGJ!
前スレ
>>542 萌えたんだけど推理物でネタバレならもうちょっと元ネタわかりやすく書いて欲しい・・・。
読むまでなんの作品か判んないでネタバレはちょっと・・・。
>>47 乙そしてGJ!
楽しませていただきますた。
ほんわかと終わっててよかった…
>>47 ずっと楽しみに読んでいました。
二人の理解したり出来なかったりな関係性の描写にぐっときました。
希望が見えるラストが好きです。
まだ一話目しか見てないので、一挙放送が待ち遠しい!
>>47 本当に面白かったです。あなたの文章がすごく好きで、毎回、何度も読み返してます。
そして今日の本放送がますます楽しみだ(*゚∀゚)=3
FO.X C.R..IM.E(ch.723)で1月1日の9時から19時半まで、第1シーズン(全13話)のマラソン一挙再放送が
あるので、無.印ス.カ.パ.ー!を視聴可能な方は是非…と薦めてみる。
・突発的に、衝動を抑え切れずに書いたもの
・書いた人がド素人、文脈が覚束ない
・エロくない、CPに見えない
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
書き忘れ…orz
・コミックス3巻ネタ
・読んでないと解らない表現もあるかも
気を取り直して…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「…佐藤さーん?」
佐藤が入院しているという、とある病院の個室。
その扉をそっと開けて、名前を呼んでみたけれど、返事はなかった。
しん、と静まり返った室内。来る途中通った大部屋など、騒がしいくらいのものだったというのに。
――成る程、佐藤さんは引き篭りだから、大部屋なんて無理に決まってますね…
それ故なのか、山崎の目に、この部屋の雰囲気は、ひどく落ち着いているように見受けられた。
――なんだか気味が悪いですね…
ぱた ぱた
普段なら滅多に聞こえない点滴の音が、拡散されて耳に響く。
その音にしばし聴き入っていたが、気を取り直し、室内へと歩を進めると
病室特有の匂いが鼻につき、此処が病院だと言うことを再確認させられて顔をしかめた。
―――まさか、あんなことになってるなんて、思うわけないじゃないですか
つい昨日。佐藤からおかしなメール(SOS)が届いて家に押しかけてみれば
拘束、もとい監禁されて餓死寸前の佐藤の姿があった。
―――あの時の佐藤さんの顔といったら……それと、ミアの正体。
あんなに早くバラすつもりはなかったんですけどね…。
「佐藤さん?お見舞い来てあげましたよ!
いないんですか?佐藤さーん?」
気を取り直して再度呼んだが、返事はなかった。
寝ているのかさえ、ベットの周りのカーテンに隠されていて、見えない。
返事のないこと、姿が見えないことに、山崎は意味もなく苛立っていた。
何故か、落ち着けない。返事がないなら寝ているのだ。きっと
寝ているのなら、また後で来ればいい。―――それなのに、苛々は募る一方だった
「…佐藤さんってば!!」
何故こんなに苛立っているかは解らなかった、が。沈黙が堪らずカーテンを乱暴にあけた。
――その時
「――うわ…っ!?」
どさっ、と覆いかぶさって来た何かが視界を覆った。
肩に少しばかりの重圧がのしかかって、力が入らない
落ち着いてさえいれば、それが“何”か、容易に解ったのだろう
――しかし、今の山崎にそんな余裕はなかった
「な、な…なん、な…ですか…!?…これ…!!」
もがけばもがく程、拘束してくるそれが、山崎の判断を狂わせた。
くらくらしているのは、パニックで、頭に血が上っているからなんだろう
―――なんで、こんな目に合わなきゃいけないんだよ…!!
パンク寸前の頭。暴れ過ぎたのか、眼鏡がズレたのが解った。――途端
山崎はとてつもない使命感に見舞われた―――殺るしか、ない
微妙な覚悟を決めた山崎。出来るだけ、出来るかぎりの力をこめ
その、“何か”を、蹴り上げた。
――その“何か”が終始声を発していたことに気付けなかったのに、彼の精神状態を垣間見るだろう
カコーンッ
「※☆●▽◎!?」
小気味の良い音と共に“何か”の呻くような
声にならない声が聞こえた。
―――…人?
ズレた眼鏡を直し、漸く落ち着きを取り戻した山崎。冷静に現状を振り返る。
―――…ま、さか
「…さとう…さん?」
よくよく見れば、自分の視界を覆っていたのは病院でよく見るシーツで
それに重圧をかけていたのは、まごうことなき自分の先輩。佐藤達広その人だった。
―――…と、言うことは
「さ、佐藤さん!あんたって人はよくも……っ!!」
これまでの沈黙が佐藤の策略だったことに(最も、佐藤が何をしたかったかは謎だが)気付いた山崎は
何故か転げ回っている佐藤を見下げて睨みつけ
どういう魂胆か問い詰めてやろうと胸倉を掴み上げた、が。
佐藤が転げ回っていた理由に気付いたので取り敢えず、手は離してやることにした
「や、山崎…!お前なぁ…!男なら解れ!この痛みを理解しろ!!」
「…なっ!佐藤さんが悪いんでしょう!?まさか股間にあたるなんて思うわけないじゃないですか!!」
そう、山崎の蹴りは見事に佐藤の股間にクリティカルヒットしたわけだ。
「それより!いきなり覆いかぶさってくるなんて一体どういう要件ですか!?
子供じゃあるまいし…!」
「ん、…ああ、それは…その、…だな」
口ごもる佐藤。それに対して山崎は先程まで混乱していた反動かずらりと文句をまくし立て、佐藤に詰め寄る。
まさに自業自得。と、返す言葉もない佐藤はひたすら平謝ることになった。
―――…山崎の野郎…ミアの事でかなりへこまされたから少し驚かしてやろうと思っただけなのに
―――…あんなに、驚くんだもんな。…俺のほうがビビったぜ…
「――…大体、佐藤さんは不注意過ぎるんですよ!こんなに血が出てるじゃないですか!」
いつの間か、山崎に覆いかぶさるときに外れた点滴の話になっていた。
佐藤は今気付いたらしく、自覚すると痛くなるものだなと苦笑してみせる。
予想外にも山崎は、苦笑する佐藤に苦笑を返した。
それから、黙って出血している佐藤の腕をとり、まじまじと見つめて言った
「…佐藤さんって、引き篭りで、最低なダメ人間ですけど」
「…な!!山崎お前…!」
―――そんな率直に本当のことを言うなよっ!!
そう視線で訴えかける佐藤にお構いなく、
腕から流れ続ける血をなぞりながら山崎は続けて言った
「血は、赤いんですね」
「…っ!!」
言い終えてから間をおかずに、掌に付着した血を滑取って笑ってみせる山崎。
痛みに身を竦ませながら、その姿に目を見開く佐藤。
―――恋が、始まる日は、近い
―――…かもしれない。
苛々していたのはたぶん、あなたのせい。けど、そんなの悔しいから報復に報復
(ミアの事への報復に飴と鞭(鞭と飴?)という名の報復)で返す山崎くんのお話でした。
慣れ始め。
終わったというより終わらせた。
読んでくださった姉様方、ありがとう、そしてすみませんでしたorz
それでも佐山が好きなんだ!と主張しつつ失礼します
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
佐山キターーーー!!!GJ!!
65 :
飛父飛:2006/12/24(日) 16:31:47 ID:AMLjang20
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 飛父飛 寸心×おっさん 最初は皆方視点だモナ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 原作未読のため、映画設定だカラナ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ こういうのを砂を吐くっていうんだゴルァ!!
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 昭和の少女漫画みたいになったぞゴルァ!!
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
決戦の次の日、鈴木さんの奥さんが学校にやって来た。
鈴木さんは休み中に溜まった仕事に追われて当分休めそうにないので代わりに来たのだという。
奥さんは「始ちゃんがみんなによろしくって。皆、本当にありがとう。」
と言って、お菓子を沢山持ってきてくれた。
みんな「始ちゃんが…」と言いながら笑いを堪えていたけれど、
お菓子を差し出されるとすぐにそれに飛びついていた。
寸心はまたサボって屋上に居たからここには居なかった。居なくて良かったような気がするな。
そして僕たちは3泊4日の沖縄旅行に飛び立ったのだった。
「寸心、鈴木さんにお土産買った?」
「…買ってねーよ。」
屍図メンバーは僕も含め全員鈴木さんにお土産を買っていた。
沖縄旅行に来れたのも、鈴木さんのおかげだし。
俺達の夏休みが楽しかったのも、鈴木さんのおかげだったから。
沖縄旅行から帰っても、鈴木さんはしばらく来なかった。
鈴木さんへのお土産を自宅へ持っていくかどうか話をしていると、
窓際で座って本を読んでいた寸心が口を開いた。
「いいんだよ。もう。」
山舌が「なにが〜?」と気の抜けた声で訊ねると、めんどくさそうに席を立ち、
「捨てとけよ」と言い残して去っていった。
自宅まで届けるのはやめておこうか。腐るものは1つくらいだし。
しかし…鈴木さん早く来ないかな。寸心がサミシクテシンジャウかもしれない。
そして一ヶ月が経った頃、鈴木さんはようやくやってきた。
ドアを叩く音に、いつもは無反応な寸心の肩が揺れたので、僕はすぐに鈴木さんだとわかった。
「やっと休みが取れたんだ!みんなに改めてお礼をしたくて…」
屍図の皆は大騒ぎ。各々鈴木さんの周りをグルグル回りながらお土産を渡していた。
なんだか異臭のするものもあったけど、まあおかしな事になってもハブ酒でなんとかなるだろう。
「お久しぶりです鈴木さん。まあどうぞ。」
有無を言わさずやたら対面距離の近いイスに鈴木さんを座らせ、メンバーで周りを固めた。
鈴木さんは寸心の方を見ると、笑顔全開になった。
寸心は本に目を向けたまま顔をあげていないから、その笑顔は見えていないけど雰囲気でわかったと思う。
「僕らずっと待ってたんですよ?もう来てくれないのかと思いました。」
「あっ…!ごめん!溜まってた仕事の整理するのに時間かかっちゃって…ごめんね。
休日も返上で、なかなか来れなくて…僕も…すごく、みんなに逢いたかったよ。」
メンバーみんなにホッと笑顔が零れる。
寸心だけじゃない。みんな、なんだか鈴木さんの事が好きだからね。
こんな大人も居るんだと思うと、世の中、悪くないよね。
「はい。これ、僕からのお土産です。」
「あっあぁっこれ、シーサー?ありがとう!沖縄、楽しかったかい?」
「ええ。残念ながら水着ギャルとめんそ〜れはできませんでしたけど。」
鈴木さんはありふれたシーサーの置物をかわいいねぇとか良いながら撫でている。
「これ、こっちが鈴木さんでこっちが寸心です」
シーサーは2つで1つなんですよ。と説明すると「寸心君!これ、君と僕だって!」と寸心に話しかけた。
寸心はその瞬間席を立ち、足早に出て行ってしまった。
「あれ…どうしたの?寸心君…」
さっきまでちぎれんばかりにしっぽを振っていた鈴木さんが、急に耳が折れたようにしゅんとしてしまった。
「あの子は手間がかかりますからぁ。」
山舌が知ったような口を聞く。
「久しぶりで、どうしていいかわからないだけですよ。寸心は愛情に不器用なんです。…知ってますよね?」
ジッと鈴木さんの目を見れば、ハッとしたような顔をした。
「僕…行ってくるよ。 あっこれ、みんなありがとう!!大事にするよ…あっそれとこれ、
よかったらみんなで飲んでね!…それと…また、ここに来てもいいかな…?」
「「「「いいともーーー!!」」」」「もちろん」「待ってますよ!」
鈴木さんは「ありがとう!今度は動物園に行こう!」と言いながら、
両手にお土産を抱えて軽やかに走り去っていった。山舌が「動物園は微妙じゃない?」と言ったが、同意だ。
だけどポカリ貰ったからまあいいか。
さて、ここからは二人きりの方がいいだろうから、僕はポカリを飲みながら二人の帰りを待ちますか。
********************************************
「寸心くーーん!」
寸心は鈴木との特訓で使った木の上に居た。
鈴木は学校を出てからまっすぐここに向かった。寸心は此処にいるという確信があったのだ。
「僕も登ってもいいかな?」
寸心はしばらく黙っていたが、「登れるもんならな。」と、木に括ってあったロープを降ろした。
一緒にポケットから軍手を取り出し落とす。
寸心もまた、鈴木がここを探し当てるだろうと期待していたのだ。
一ヶ月ぶりの木登りに鈴木は”スルスル”とは言わないが、何度か落ちながら必死に登った。
最後は寸心に引っ張りあげられつつようやく登り切る。鈴木は最初体勢を崩し寸心にしがみつきそうになったが、
慌てて逆サイドの伸びている枝に手を伸ばし、それでバランスを取った。
そして寸心に振り向くと、一瞬の後、二人に笑顔が零れた。
「ずっと来れなくてごめんね。お礼を言いたかったんだ。」
「いいよ、別に。…」
鈴木はこの夏の特訓がどれだけ有り難かったか、あの後娘さんとはこうだった、ああだったと身振り手振りで話す。
その身振り手振りでバランスを崩した鈴木は反射的に寸心に抱きついた。
そしてしまった、とすぐに手を離し、恐る恐る寸心を見た。
その鈴木の様子に寸心は思わず吹き出した。安心した鈴木も笑顔になる。
「テヘッて笑ってんじゃねーよ。テヘッて………おっさん、」
寸心はポケットから珊瑚礁のカケラを取り出すと、鈴木に差し出した。
「これ、もしかして沖縄の?」
寸心は微笑みで答える。皆方にあんな事を言ったが、寸心は沖縄土産を鈴木に用意していたのだった。
始めて潜った沖縄の海は透き通るように青く、ずっと先まで広がった視界には色とりどりの魚が泳いでいた。
寸心は、この景色を、鈴木にも見せたい、と思ったのだった。
「ありがとう!…綺麗だねぇ。…寸心君はいつも僕に綺麗な物を見せてくれるね。
ここからの景色もさ、あとほらっ空を飛んだ時の景色も!」
「くせぇ事言うなよおっさん」
鈴木の喜ぶ顔は、沖縄の海の中で寸心の想像していた通りだった。
そして今まで自分の思っていた事は、ちゃんと鈴木にも伝わっていたのだ、と思った。
「寸心君達には貰ってばかりだね。」
寸心は、そうでもない、と思った。
空を飛ぶ人を見たのは初めてだったから。あの大きな翼は、初めて見るものだったから。
「僕ね、決めてるんだ。今度は僕が寸心君を守ってあげるよ。」
寸心は一瞬固まった。が、持ち前の冷静な判断力ですぐに平常心を取り戻した。
まっすぐ自分を見つめる嬉しそうな鈴木の顔。寸心はそっと目を逸らし、苦笑した。
鈴木のこういう予測できない行動はこれで数回目だったが、いつも寸心の心を激しく揺さぶる。
少し頷くと、寸心はふいに鈴木にボディブローを決めた。
左腹にもろに食らった鈴木が本当に木から落ちそうになる。
寸心はそれを足で支え手で引っ張り上げ持ち直し、慌てふためく鈴木に微笑みかけた。
「そういうのはもっと強くなってから言え。」
鈴木は怒るでもなく、でもね、あれからも会社の帰り道は走って鍛えてたんだよと言い訳をする。
寸心はそこに受け入れられている自分を見た。
鈴木を見る目がどんどん愛しいものを見つめる目になっていく。
寸心の手がふいに、ブツブツと言い訳をしている鈴木の頭上に伸びる。
そのまま、ガシガシと撫でた。
「いてっ!す、寸心君?」
そして鈴木の髪を引っ張るようにして自身に傾けると、胸元に抱き込んだ。
「あっ!す、」
鈴木は何をされるのかと驚いて手を不思議な構えにしたまま固まっていた。
が、特に痛めつけられるわけではないとわかり、その手をそっと膝に降ろした。
鈴木はしばらくわからずに目を見開いていたが、ハッとした。これは、自分がした事と一緒だ、と。
愛しさが込み上げた時に自分が寸心にした行動と同じだと。
あの時は寸心に手を払いのけられてしまったけれど。鈴木はその手を払いのける事は無かった。
お互い座っているとはいえ自分より背の低い寸心の胸元に頭を持って行かれるのは体勢的にきつかったが、
鈴木は大人しくその位置に納まっていた。
ふいに寸心の手が鈴木の顔を包み、持ち上げられる。
されるがままに上を向かされた鈴木は目の前にある寸心の顔に少し驚いた。
寸心は鈴木の目が丸く開く様を面白がるように見つめた。そして鈴木の額に自身の額を付けた。
「自分以外に守るものがあると、人はどこまでも強くなれるんだな。」
鈴木は目線に困り、目を瞑った。寸心はその様子に驚く。まるで、許されたのでは、と勘違いしてしまう。
だが寸心にはわかりきっていた。これが、誤解だと。
鈴木の頭に衝撃が走る。
「いっ!」
「絶対に敵から目を逸らすなつったろ」
寸心は座る位置を直し鈴木から離れた。鈴木は突然無くなった支えに少しふらつく。
「帰るぞ」
寸心は言ったが早いか、ロープに手を掛けるとスルスルと降りていった。
鈴木は慌てて後を追い、かなり上の方から半ば落ちるように降り尻餅をついた。
「待って寸心君!」
腰を押さえながら急いで地面に置いておいたみんなからのお土産を拾い集め、スタスタと先を行く寸心の後を追う。
「寸心君は敵じゃないから目を離したって大丈夫だよ」
スタスタ歩いていた寸心が立ち止まり、間を置いて振り返る。
そして同じ速度で鈴木に向かってUターンしてきたので、鈴木は反射的に身構え、震えた。
鈴木の側で急に速度を上げた寸心は、一瞬で腰にタックルし、そのまま押し倒す。
「あーっ!」
素早くマウントポジションを取り、鈴木の右手を地面に押さえつけ、顎を捉えた。
鈴木が状況を把握する間も与えず、寸心はその唇に自身の唇を押しつけた。
「んん゛っ?!」
口付けというより、何か技の一種のようなそれはすぐに離され、
素早く鈴木の上体を浮かせると背後に回り、首に腕を回して頸動脈を締め上げた。
鈴木が苦しがり寸心の腕を叩くので、3秒数えてその身体を開放した。
息の荒い鈴木を置いて寸心はまたスタスタと歩き出す。
ワケのわからない鈴木は、それでもなお、お土産を拾い集め寸心を追うのだった。
「あっあの、寸心君!今…あの、僕はキスをされたのかなぁ?」
「してねぇよ」
「えっ?そう?あ、あれ?あれ、」
「してねぇつってんだろ。おっさん。」
「そう?嘘だぁ…」
寸心が拳を握り鈴木に向かって振りかざす。
鈴木が慌てて避けようと構え、またお土産を落とした。
寸心の拳は鈴木の目の前で止まった。寸心は焦る鈴木の様子を面白がるように微笑むと、スタスタと歩き出した。
「寸心君っシーサー割れちゃうよ!」
「 割 れ な い 。」
帰りを待っていた皆方は久しぶりに楽しそうな寸心の姿と草や泥のついた鈴木の姿に満足げに微笑んだのだった。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 久々に萌えが止まらない作品に出会いました。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
スンオサキター(゚∀゚)ー!!
完璧映画目線でみていいのですね、オサンかわゆすぎだよオサン
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 801板なのに…
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ギャルゲ小説にインスパイアされたって…
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドウヨ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
主将翼の転校少年君の話です。
O倉着火氏のセンチメンタルなんとか(転校少年物の純愛ギャルゲー)テイストを
目指してみましたが、果たしてせつなさは炸裂するのかどうか…?
(5レス分お借りします)
75 :
(1/5):2006/12/25(月) 17:14:19 ID:DGFLA4eb0
ふらの小
転入したばかりの岬が自己紹介でサッカーの話をしたのがきっかけとなり、
松山は教師から校内の案内役を任せられる。
最初は兄貴風を吹かせて岬を案内する松山だったが、放課後、最後に案内した
サッカー部のグラウンドで、岬に見事なテクニックを見せつけられてからは
少し複雑な気持ちになる。
『光はちょっと不器用な所がある。』
時々ではあるが周囲からそういった評価を受けることがあり、受けた側自身もそれを
自覚し、嫌っていた。
そしていわゆる《出来る奴・素質のある奴》に対し、敵対心と劣等感の入り混じった
感情を抱くことが多かった。
そしてこの日、笑顔で器用なプレーを披露する転入生に対しても、同様の感情を
抱くのであった――。
76 :
(2/5):2006/12/25(月) 17:15:27 ID:DGFLA4eb0
日頃からの面倒見の良さとリーダーシップの高さから、松山は誰の反対も無く新チームの
主将に選ばれた。ただ、時折見せる曇りがかった表情を、気掛かりに思う者も何人かいた。
スランプに足を踏み入れかけているのかもしれない…だとしたら早く引き戻さなければ。
「でもどうやって…?」
一歩間違えれば益々深みにという恐れから、具体的な対処法を見出すことが出来ない。
メンバー達が腕組みで唸る中、ただ一人明るく行動する者がいた。
「…岬?!」
「松山、そろそろ時間だから帰ろう。今日は学校外も案内してくれないかな?」
77 :
(3/5):2006/12/25(月) 17:16:31 ID:DGFLA4eb0
部活では屋外へランニングに出ることもあると聞いていた岬は、早速そのコースを
教えて欲しいと松山に伝えた。
松山もその要望に応えるが、時間も時間なので厳しそうなら途中で引き返すという
条件付きとなった。
「とはいえお互い妥協は無しだ。中途半端は嫌だろ?完走するつもりで行くぞ。」
「うん、完走しよう。」純粋だが、強気な笑顔で返す。
その表情から目を逸らすように松山は前を向き、一気に走り出す。岬も後に続く。
(…こいつ、どうして…)
ランニング中も、言い様の無い疑問と苛立ちをふと感じては振り切るを繰り返した。
(走りに集中しなければ…)
何度か通った道とはいえ、気を抜けば危険な事故に繋がりかねない。
増して、初めて臨む者を率いているという責任を自覚し、注意深く道を乗り越えた。
「無理なら無理って言えよな。」
「なんとか大丈夫。」
少し厳しいかな?という表情も見せ始めはしたが、笑顔と前向きさは絶やさない。
気にかかる部分もありはしたが、その目を信じて先へ進むことを決めた。
78 :
(4/5):2006/12/25(月) 17:18:37 ID:DGFLA4eb0
人の手がかかっていない、純粋で険しい道。その大自然の重さを心に刻みつける
ように、岬は走り続ける。誰よりも真剣で直向きな背中を追いながら――。
終着点である小高い丘に到着したときには、沈みかけの夕陽が眩しい光を放って
いた。幼い頃から数々の景色を見ながら育ってきた。しかし、こんなにも広大で、
澄み切った世界に出会ったのは初めてだった。
「すごい……。」
「…初心者には厳しい道だし、正直色々迷ったが…。でも来られてよかった。」
松山も少しずつ、言葉が出始める。
最初に案内を求めたのは岬だった。でも心の奥底でここへ来ることを求めていた
のは自分自身だったのかもしれない。少し気分の晴れた表情で、言葉を続ける。
「でも大したもんだよ、初心者ではなかなかここまで辿り着けはしないんだぜ。
俺たちだって、ここまで来るのに何度苦労したか…。」
「ううん、僕も、必死だった。でも、でもね…!」
急に気持ちを入れて松山の方に振り向くが、疲れきった体がそれを支えきれず、
岬はその場でバランスを崩してしまう。
「お、おい、岬!」
「えへへ…ごめんね。なんか、限界っぽい。」
79 :
(5/5):2006/12/25(月) 17:20:01 ID:DGFLA4eb0
「も、もう歩けるから。下ろしてよ、松山。」
「日が落ちるまで時間がないんだ、とにかく急ぐぞ!」
両脚に無理が来ていた岬を瞬時に背負い、松山は一気に峠を駆け下りていた。
慎重な姿勢を見せることもあれば、突然大胆な行動に出ることもある。
様々な面を持ち合わせてはいるが、一つだけ言えるのは、いつもどんな
状況でも、松山は真剣に生きているんだということを、岬は確信する。
どれだけこの街に留まれるかわからない。でも限りあるここでの時間を、
自分ももっと真剣に、大事に過ごしていきたい。強くそう思った。
「…岬、寝てんじゃねぇぞ、家まで案内しろよ。」
「うん、わかってる。」
「なに笑ってるんだよ。」
「ううん、別に。」
「いっつも笑ってるよなお前って。明るいし…すげぇよ、本当。」
皮肉ではなく、自分に無い素直さを持っている岬を、心底うらやましく思っていた。
岬が答える。「だって…その方が、」
なんとなく寂しさを含んだ声と感触を、松山は背後から感じた。
「…岬?」
「…だから!」
「えっ」
「松山も明るくいこうよ、ね!」
負ぶさっている背後から、松山の両頬を引っ張る。
「ばっ…馬鹿やめろって、送ってやらねぇぞコラ!」
「あははははは…」
家に帰り着くまでずっと続いていた岬の笑い声が、松山の中にずっと響き続けた。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ フゥ……
| | | | ピッ (・∀・ ; )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
書き手の方も不器用、いや、それに加えて鍛錬が甘いため、読みづらい部分、
一貫性が無く支離滅裂な部分等ありますが(申し訳ないです…)、自分なりに
一生懸命やってみたつもりです。
「出会い」や「関わり合い」が持つ力、魅力といったものを描ければと思い
挑戦してみました。なんとか少しでも伝わればいいなーと…。
81 :
飛、父、飛:2006/12/25(月) 19:18:45 ID:ohVfuf2P0
このスレになっていっぱいある気がするけど、別CPなので許して下さい。
・スン→オサ前提のミナスン
・映画のラストシーンの続きということで
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
寸心はポケットの中の小石を握り締めたまま、彼方へと走り去っていった人の
もう見えなくなった背中をいつまでも見送っていた。
放心状態だったところをふいに肩を叩かれ思わず振り向いてしまった。
その瞬間皆方の唇と寸心の唇が重なった。
突然のことで動揺して皆方を突き放すまで少し時間がかかった。
「な、なにす」
最後まで言わないうちに皆方が寸心を抱き寄せてもう一度今度は深く口づけた。
「んっ…」
必死に抵抗しているのになぜか力が入らず、されるがまま息苦しさを我慢しながら耐えた。
漸く開放されたが次の言葉が出てこない。
肩で息をしながらただ皆方を睨みつけているだけだった。
皆方はそんな寸心の様子を見てニヤリ笑いを浮かべて言った。
「いくらお前が鱸さんのことを想ってても多分それは叶わないよ。」
「あ?何言ってんだ?」
少し怒った感じの口調で寸心が聞き返した。
「図星だった?」
「だから何を言ってるのか意味がわかんねーって言ってんだよ」
「わかってるくせに」
皆方が寸心の顔を覗き込んで含み笑いしながら言い返す。
「じゃあハッキリ言ってやるよ。寸心、鱸さんのこと好きなんだろ?」
「ばっ…ちげーよ、何言ってんだ、いい加減にしろ」
「ふーん…その割りにはすげー切ない顔してたけどな」
「俺は別にそんな…」
「そんなつもりじゃないって?自覚なし…か、やれやれ」
半分呆れたような口調で皆方が言うと寸心はちょっと俯いて視線を逸らした。
「なんだ自覚してんじゃん。素直になれよ」
皆方はニヤニヤ笑いながら寸心の肩をポンポン叩いて更に続けた。
「鱸さん鈍そうだし、そういう思考回路は持ってないと思うからやめといた方がいいぞ。」
「なに勝手に話進めてんだ、違うっつってんだろ」
「じゃあそういうことにして…俺なんかどう?」
「そういうことにって…つーか、どうって何が?」
「だから、俺にしとけよって言ってんの」
「だからじゃねーよ、意味わかんねーって」
「ああもう、堂々巡りだなぁ…」
額に手をあてて皆方が嘆いていると寸心がぶっきらぼうに言った。
「みんな向こうで待ってんだろ?もう行かねーと…」
「いや、後で落ち合おうって言ってあるんだ。俺が寸心連れて行くからって」
「なんだよ、それ」
「だってみんなの居る所じゃできないだろ、こんな話」
暫く両者沈黙が続いた後、皆方が意を決したように言った。
「俺は寸心のこと好きだよ、恋愛感情って意味で」
「…」
「俺だってホントはこんなこと言うつもりなかったよ、ゾンビーズの仲間でいられればいいって
思ってたんだけどさ。
まさか鱸さんっていうダークホースが出てきて寸心を掻っ攫われるとは思わなかったんで。
なんかもう悠長な事言ってらんねーなって。」
皆方が肩を竦めながら言った。
「お前がすぐに鱸さんのことを忘れるなんて思ってないよ。
いつか忘れる日が来たら…それまで待つから。」
「皆方…」
皆方の真剣な目を見て寸心はそれ以上何も言えなくなった。
「でもただ待つだけじゃないからな。
色々作戦は考えてるからね、俺が本気出したら…わかってるよな?」
宣戦布告ともとれる皆方の言葉に寸心は困ったような表情をした。
それを見て皆方は場の雰囲気を和らげるように冗談めかして言った。
「まあ、俺は気が長い方だし、それに持久戦は得意なんだ」
「持久戦って…」
寸心が片方の眉をあげてチラッと皆方を見ると、はにかむように笑った。
「三日もったら褒めてやるよ」
そう言って歩き出した寸心を追いながら皆方は心の中でガッツポーズをとった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すみません、行数が思ったよりあって2分割で収まりませんでした。
なんかもう滅茶苦茶ですが後悔はしていな(ry
このスレになってから飛べオサーンが沢山読めて至福でございます
「飛、父、飛」をおいしく頂きました。また新作鑑賞できる時を待ってますわ。
なぜいま飛、父、飛がこんなにもー!!夢のようです
いつか禁断の?アギスン鑑賞も叶うかもしれない…w
投下された姐さん方ありがとうございました!!
夏/目/漱/石×正/岡/子/規 です。
・東大時代からの親友なふたり
・子/規は既に俳句で名をあげてましたが、漱/石はまだただの教師
・ともに27歳の頃、子/規の故郷松山に漱/石が中学の教師として赴任、子規と同居していた時の話
・坊/ちゃんはこの時の体験がもとになってるとか
夏/目/漱/石→夏/目/金之助
正/岡/子/規→正/岡/常規/升
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
90 :
ソウセキシキ1:2006/12/26(火) 07:57:27 ID:eeBs9VS3O
正岡がこの部屋に転がり込んできてからというもの、庵の一階は句会の拠り所となっている
毎日毎日、俳句をやる連中がガタガタと門をならしては「お頼みぃ」とやってくる
中学でも子規が松山に帰郷したことは有名で
「先生のところに子規サンいるんかな、もし」とかなんとか聞いてくる生徒もいる
“先生のところに子規サンが”いるうちはまだいいのだが―
「先生も俳句をおやりかな、もし」
「じゃあ先生は子規サンの弟子かね?」
「先生は子規サンと同じ家に住んでるんぞな」
「先生は子規さんとこにいるんかな、もし!」
いつのまにか子規の家に自分が居候してるかのような始末になっている
91 :
ソウセキシキ2:2006/12/26(火) 08:00:10 ID:eeBs9VS3O
これは納得がいかない。居候は正岡の方なのだ。
これを正岡に話したところ、いつもの屈託無い笑顔で笑い飛ばされてしまった。
「あはは、あしが主で夏目が居候か!」
「お前が句会の連中に偉そうに語るものだから、このような誤解を受けるんだ」
門下の者が剥いていってくれたらしい柿を食べながらくつくつ笑っている。
まったくいい気なものだ。
「自分の生徒にまで勘違いされては困る」
「迷惑かな?」
「ああ、迷惑だ」
迷惑か…と呟くと正岡はまた柿を一口食べながらしばし思案した。
すると突然フッとあの皮肉な笑みを浮かべ
「朗君としては妾が主とは顔が立たんかな、もし?」
「…!」
などと曰うたのだ。
妾と朗君とは、互いがまだ学生の頃に交わした手紙に書いたお遊びの文句である。
「あしがいないと寂しいからなるべく早く御帰りとせかしたのは誰ぞね?」
「それはっ…」
「妾のためなら命の二つや三は進呈仕りと言っていた朗君はおみさんじゃなかったかな、もし」
「〜〜!」
92 :
ソウセキシキ3:2006/12/26(火) 08:01:52 ID:eeBs9VS3O
「だいたい今回もおみさんが…」
「正岡…」
「夏めっ…?」
ああ――恥ずかしい。
何だって正岡はそんな昔の書簡まで事細かに覚えているのか。
若い時分に、冗談めかしながらも大真面目で書いたもの。
それをわかっているのか、いないのか、笑う正岡が憎たらしい。
恥ずかしさと憎さがが余ったところで、思わず正岡の口を塞いでしまった。
目を開ければ、呆気にとられた正岡の顔と、口に広がる柿の味
「若気の…至りだ」
「若気…」
「人をいじめるのも大概にしろ」
「…」
「それからあまり柿を食いすぎるな。甘くてかなわん」
ばつが悪く赤くなった顔を見せまいと、部屋を出ようと立ち上がると
その裾を正岡が引っ張った
引っ張られた裾が熱いように感じるのは、多分ただの幻覚
「柿…お食べ?」
上目でのぞいてくる正岡の顔が、嬉しそうに微笑んでいる。
微かに頬を染めて。なんだそれは反則じゃないか。
93 :
ソウセキシキ4:2006/12/26(火) 08:03:36 ID:eeBs9VS3O
「おみさんねそれは照れ隠しかな、もし」
「…」
「甘党のおみさんが甘くてかなわないわけないぞな」
「…」
「それも、これも、若気の至り…かな?」
「…」
先刻まで憎らしかったヒヨコ口も、頬の赤さと相まうと、なんだか可愛らしいものに見えてくるから重傷だ
「あしはな、金之助」
「…」
「嬉しかったことはよう覚えてるんぞな」
「…」
「おみさんの照れ隠しもこれで何度めかな?あしはまーると全部覚えとるんぞな」
ふくふくと嬉しそうに笑い、柿を頬張る。
―ああこいつは、からかっている風をして
―からかってる風をして、自分も嬉しかったのだと
わかった瞬間にもう一度だけ、近づいて確かめたい衝動に襲われた。
「升…」
「ん?」
その口を、今度はちゃんと正面から重ねてみる。
やっぱり柿は、いやこの唇は、甘くてかなわない。
「…」
「…」
「金之助…?」
「慣れん」
94 :
ソウセキシキ5:2006/12/26(火) 08:05:48 ID:eeBs9VS3O
あはははっ!と正岡は本当に腹を抱えて笑い転げた
ああ五月蝿い。五月蝿が心地の良い。
その笑い声ごとそのまままるっと抱きしめる。
「うるさいぞ、べらぼうめ!」
「もいっそ呼んでおみ、金之助」
「よべるか!」
「よんでおみ、のぼるって、よんでおみ」
目に涙を浮かべるくらい笑って笑って…嬉しそうに見つめてくれるな。
抱きしめた腕の中からピヨピヨないて欲張るその唇を、今日の三度目、口で塞いで黙らせた。
―接吻なぞ慣れないから
―ほしいほしいと強請るそれを、ただ塞ぐだけ、それだけだ
―照れ隠しで結構!!
そうして愚陀仏庵の夜は更けてゆく
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
衝動で打ちましたが該当スレすらない状況…
稚拙な文でも投下させてくれる棚ありがとう
尻切れトンボですいませんでした
ギャア禿萌えた!
可愛くて仕方ないよ(*´д`)ハァハァ
姐さんGJ!超GJ!!
わあぁ、禿萌えた(´∀`*)GJ!
最近漱石や漱石作品萌えしてたところだから嬉しい。二人ともかわゆす。
おわぁ、ハゲ萌えたGJ!
無茶苦茶いいな、のぼーるくん。
漱石もかーいい(´Д`*)
やっぱ日本人なんだなぁ と感じるw
和萌えがドストライクだ!姐さんGJ!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ナマモノ棒球 トレイドされた先輩×区鳥の1番才丁者
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 降留戦頃の駄文の続きで、ヤッてしまいました・・・
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ※Caution!逆CPではないです
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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101 :
1:2006/12/27(水) 01:54:39 ID:StfHugv30
「どぞ、ビール。」
「え、アルコールじゃなくてもいいよ。」
「俺、あっても飲めないっすから。ね、飲んで下さい。」
結構強引に酒を押しつけた。自分が舞い上がってしまっていたから、せめて彼にも酔ってもらいたかった。
「それじゃ、遠慮なく。」
ソファに掛けた彼はかしゃ、と音を立てて缶を開けて口をつける。小さな手や、かすかに動く喉にどきどきする。
「ああ、すいません俺、折角だったのに、あんまり話できなかった。」
「ううん、俺もあまりお前とは話せなかったから。」
そう言って左隣の俺を見上げる視線は穏やかで、ホッとした、とでも言いたげに見えた。
その表情に俺は嫌われていないんだなと安心する一方、そういう対象とは見られていない事も分かってしまう。
「前に・・・幕張で会った時の事、覚えてます?」
「うん。」
だったら思い出してもらおう、と唐突に切り出してみたが、即答されて言葉に詰まった。
「・・・やっぱり駄目っすか、俺じゃ。」
仕方ないから開き直って、もう一度彼に訊く。あれこれ細かく悩むよりは、強気で行く方が俺は得意だ。
「うん。ごめんな。」
缶を置きながら、半年前と全く同じ口調で言われる。しかし今日は、ここですぐに引き下がりたくはなかった。
102 :
2:2006/12/27(水) 01:55:38 ID:StfHugv30
知人を挟んでの夕食という席で彼に久々に会えて嬉しかったのに、俺はなかなか彼と喋れなかった。
彼の方はタイトルおめでとうと言ってくれて、あまり話す方ではないなりにそこそこ俺にも話を振ってくれた。
だから俺もごく普通に振る舞って、来年もお互い頑張りましょうとか言えば良かっただけなのだ。
それなのに6月以来あれこれ思いを巡らしていたその本人にどう接するか、考えているうちに時間が過ぎた。
あの時は自覚してしまった自分の気持ちが抑えられずに、いきなり彼の唇を奪ってしまった。
その勢いのまま告白したら、強くはねつけられた訳ではないが、しごく平静にきっぱりと断られた。
いつまでもそれを引きずって、色々意識してしまって話せないなんて、全く俺らしくもない。
それで帰り際、どうしてもこのままにしたくなくて、彼を俺の部屋に誘ったのだ。
だがちょっと考えてみれば、いきなり部屋に来てくれなんて不自然な話で、上手い誘い方じゃない。
まさか彼が部屋まで来てくれるとは思わなかったというのもあって、まだどうにも落ち着かなかった。
「何でですか?」
「一番は、好きな人がいるから、かな。」
かちん、という音がどこかでした気がした。気が付くと、彼の両肩を掴んでソファの背に押しつけていた。
「・・・は?誰っすか?俺の知ってる人?」
「それは言えない。」
「何で?やっぱ、知ってる人なんや。」
「言えないよ。」
睨みつけてもユニフォームを着ている時同様、表情が変わらない。押さえつける手に力が入ってしまう。
「・・・分かりましたよ、俺を好きじゃないのは。でも一度くらい、いいっすよね?」
口を引き結んで俺をキッと見上げるばかりで、彼は俺を止めもしない。本気で取り合われていないと思う。
どうしようもなく苛立って、彼の胸に飛びついた。初めて彼の守備を間近で見て驚いた時を、なぜか今思い出す。
俺の方がずっと体格は大きいし、さすがに彼も慌ててもがくだろうと思って、きつく胸板を抱きしめる。
103 :
3:2006/12/27(水) 01:56:42 ID:StfHugv30
それなのに一呼吸置いて、まるで子供を宥めるような手が俺の背や後ろ髪に伸ばされてきたのだ。
頭に血が上った。顔を上げて、彼の唇を自分のそれで捕らえた。打球にスッと追いつく彼の姿が脳裏をかすめる。
憧れも思いも込めて、忘れられなかった感触に浸る。それに、以前と違って彼の小さい舌がしっかり応えてきた。
びっくりして目を開けると彼は、軽く目をつむってどこか幸せそうだった。動きを止めた俺を引き寄せてくる。
彼はさらに舌と舌のひらめきを楽しみ、触れあう瞬間を味わうかのように何度も角度を変えて口付けてきた。
やっと口が離れたと思ったら、その唇が今度は首筋に押しつけられ、舌がゆっくり這う。
いつのまにか腰と肩に手がしっかり回されていて、咄嗟に逃げるという事ができなかった。
「ちょっ、何するんですか!」
びくっと感じてしまって思わず叫んだら、あっさりと離された。ソファの上にお互い乗り上げて、向き合う。
「何って、そのつもりなんだろ?」
顔を見つめ合うが、事態が飲み込めない。キョトンとした顔で見上げてきて、何とも可愛いとか思ってしまう。
何だか現実感がないが、つまり俺の意図を分かっていてくれていた、という事なんだろうかと思い当たる。
「はい・・・そうっすけど。」
俺は「そのつもり」だが、何かが違うような気がして戸惑う。反対に彼は、覚悟を決めたような表情を見せる。
「ん。大丈夫だから。」
訳が分からない事を言って、彼は俺をソファに横倒しにする。目が回るくらい深く口付けられて力が抜ける。
彼が何を勘違いしているのかぼんやりと、分かってきた。でも何だか、くらくらするほど気持ちが良い。
それに彼がそんな事する訳ないと頭のどこかで思い続けていたから、俺は状況に流されてしまったのだった。
104 :
4:2006/12/27(水) 01:57:49 ID:StfHugv30
***
朝の光に、まだ腕の中の彼が身じろぎした。目を開けて何となくこちらを見ていたが、急にはたと目を逸らした。
「あ、おはよう。」
「・・・おはよーございます。」
胸に頬を当ててきて、素肌の感触に浸っているようだ。その様子を見つめながら、ぎゅっと唇を噛みしめた。
彼に好かれている事はずっと前から気付いていた。そして半年前の事で、彼が今さら本気になった事を知った。
でも彼と離れた今、応えてはいけないと思っていた。それなのに積極的に迫られ、この手に抱いてしまったのだ。
「俺、こういうつもりじゃなかったんすけど。」
「うん。俺もそのつもりじゃなかった。」
勢いでしてしまった事なのだろうか。それなら俺がしっかりしなくてはならなかったのに、耐えきれなかった。
彼はムスッとした顔をしながらも、胸に頬ずりしてきたり撫でてきたりする。くすぐったくて、肌が逃げた。
「でも、すごく良かった。」
目を合わせて、はっきり伝えた。全て覚悟の上の事、彼で遊んだわけではないから。反省した振りはしたくない。
「なっ、何言って・・・!」
彼はやはり、後悔しているのだろうか。つい宥めるように軽く目をつむって、唇で頬に触れてしまった。
「お前はもしかして、辛いだけだった?」
口づけで誤魔化すのはいけないと思い直して、聞いた。これだけははっきりさせなくてはならなかった。
105 :
5:2006/12/27(水) 01:59:07 ID:StfHugv30
「え!いやそんな事は。普通に・・・・・・良かったすよ。」
相当辛そうだったし何度もねだってしまったから、今だって起き上がりたくないくらいのはずだ。
しかし彼もそう言ってくれて、こうして気持ちよさそうに触れてきてくれるのに、心底ホッとした。
「そうか、良かった。」
グラウンド上では抑えている微笑みを向けてしまった。彼も嬉しそうに、いつもの強気な笑みを返してくれる。
彼も俺も互いへの気持ちが募っていた事は確かで、それがぶつかりあって、どこか吹っ切れたのも確かだろう。
もうずっと一緒にいられないからと自分を戒めてきたが、今充ち足りている、という事だって大切なはずだ。
「・・・好きな人がいるんじゃ、もう会えないっすね?」
彼も似たような事を考えていたらしい。顔を合わせたくないのか、今度は俺が彼の胸にすっぽり抱き込まれる。
「会えないつもりでいたい。」
「つもり?」
「いつも一緒にはいられないから、期待したら苦しい。」
「あー。」
彼を振り回したくないと決意していたからこう答えた。でも、気持ちをはっきり伝えない事は申し訳ない。
彼は生返事を返して背や腕を手のひらで撫で回してくる。抱き締めてくる力の強さに、少し涙が滲んだ。
俺も彼の胸を抱く。言葉とは裏腹に彼も俺も、また球場以外でも会えると甘い期待をしていたに違いなかった。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | | シチュ・キャラなど急に妄想捏造、ご容赦下さい
| | | | ∧_∧ 来年は4仕合ですが競演楽しみです。そしていつか・・・
| | | | ピッ (・∀・ ) ェロは省略させていただきました
| | | | ◇⊂ ) __好きな人、については想像にお任せです
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | ・・・先輩は経験値高そうとコソーリ妄想
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
107 :
心1/6:2006/12/27(水) 07:02:41 ID:rwi8vvcU0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 純文学って重いよねぇ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 夏/目作品は耽美だと思います
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>89さんに触発されて書きました。漱/石・式の書簡は本当にエロカワイイ。萌えたぁー。ありがとうございます。
「こ/こ/ろby夏/目/漱/石」で書いてみました。原作も至る所で「フォモ臭がする」と言われている代物です。
【「こ/こ/ろ」って】スレからやってきました。ぶっ壊れたK×先生(私)です。
6レス(テンプレ含め)予定で投下させていただきます。
108 :
心2/6:2006/12/27(水) 07:03:41 ID:rwi8vvcU0
近頃のKは眉間に皺を寄せ息を吐きながら、暗闇のような瞳で私を見る事が多々ありました。
私が御嬢さんに好意を寄せているのを、Kが気づいているかいないか、そんな事などは関係ありません。
只々、私はその瞳に捕らえられるのが恐ろしかったのです。すべてを見透かすその瞳は嘲りで以って私を貫こうとしていたのです。
Kはそうやって私を遠巻きに見ながら、女という生き物に心奪われ、焦りを隠せない私を軽蔑していたのでしょう。
以前と違って活き活きとしたKの所作は、それだけで私を追い詰めるものへと変貌していました。
御嬢さんと隣り合って笑うKを見ると、私は醜くも自身を偽ることができませんでした。何度嫉妬したか知れない程です。
私はKに正直な所を打ち明けるかどうか悩みました。打ち明けようと決めた事もありました。
しかしKを前にすると、唇が開かなくなるのです。頭の中で熟考した折角の言葉も、意志に反する唇からは発される筈がありません。
終いには、喋るときは何時もKからの言葉を待つようになってしまいました。
あくる日、私は図書館で外国の専門誌を読み耽っていました。
分厚いそれを眺め心を奪われてていると、今自分の身に起こっている事全てが小さな事のように感じられ、逆に空しさすら感じました。
どのくらいの刻が過ぎたのかは自身でも解りませんが、正面の大窓から射して来る陽が朱色に染まっている時分だったと思います。
大窓の光を頼りに読書をしていたその光を突然遮られて、私は怒りすら感じながら顔を上げました。
109 :
心3/6:2006/12/27(水) 07:04:45 ID:rwi8vvcU0
そこには背後から陽の光を受けたKが、じっと暗い表情で私を見ていました。Kの全身が影になっていたからという理由だけではありません。
Kの表情は、本当に何かを決心した暗澹たる様子でした。そして、そこにぎらぎらと存在する大きな瞳だけは、何時ものように私を射抜こうとしていました。
「どうしたんだ」
私は負けまいと声を上げてから、急に心細くなり、その瞳から逃れようとして視線をそらし、できるだけ身を小さくしようと試みました。
まるで弱い生き物のようでした。いや、本当に当時から私は弱い心と精神を持った生き物でした。
Kは私をじっと見つめたまま「ここだろうと思って来たんだ」と言いました。
Kが右手を机の上に置くと、掛かっていた数珠がじゃらじゃらと大業な音をたてたため、私は思わずそれを見ました。
Kは動きません。動じることがありません。いつも動じて焦っているのは私のみです。若い私は、それを恥じてまた動じる、という堂々巡りを繰り返していました。
居ても立っても居られなくなり、私は専門誌を大げさに閉じました。椅子を引いて立ち上がった私を、Kが首を傾げて見下ろしていました。
「君は恋をしたことがあるか」
突然Kがそう言ったのを聞いて、私は自分の耳を疑いました。御嬢さんを想うあまり、Kに嫉妬するあまり、自分の頭がどうにか壊れてしまったのかと想った程です。
唖然とする私に向かって、Kはさらに「恋をしたことがあるのか」と聞いてきました。
欲を禁じている浄土真宗のKは発する言葉とは到底思えない俗っぽさに私は驚きを隠せませんでした。
そして只管狼狽した様子を曝け出した挙句に、私は唇を噛んで俯き、首を振るという情けの無い答えを出したのです。
110 :
心4/6:2006/12/27(水) 07:05:29 ID:rwi8vvcU0
図書館は静まりかえっていたので、Kの低い声がしんしんと響き渡りました。そしてその時私はようやく、自分とK以外の一切の人が居なくなっている事に気付いたのです。
まるで、今までの自分の考えや御嬢さんへの想いをKに打ち明けるべくして作られた舞台のように感じました。そして、少々穏やかな心持ちになりました。
Kは大窓の前から動くと、ぐるりと机を回って私の隣へと歩いてきました。私を見下ろすその瞳は変わらず威圧的です。
それを私から一度も逸らす事なく、Kは「僕は恋をしたことはない」と言い放ちました。
私はおそらく、今まで見せたことの無いような安堵の表情を、Kに晒したと思っています。きっと、切なさを強調したものだったのでしょう。そしてそれは間違いなく、Kの心に響いたのです。
Kは薄い唇を開けるか開けないかくらい開いて、小さな声で「だが、恋をされた事はある」と言い、右手で私の左手を掴みました。
慌てる私は左手を収めようと必死に引きますが、Kの強い力には私の力など効力があるはずもありません。左手を高々と持ち上げられ、掴む力の強さに私は思わず声を上げました。
Kは左手で私の腰を抱き寄せ、耳元で苦しそうに「僕はどうすればいいんだ。どうすれば、君に応えられるんだ」と呟きました。
私は動転し、右手でKの背中や左腕を矢鱈滅多に叩きました。何故自分がKにこんな目に合わされているのかと必死に頭で考えようとしましたが、考えや答えが出る筈もありません。
Kは暴れる私の右手首を、左手で簡単に掴むと、机に押し倒しました。その時私の背中の下には外国の専門書があったため、背骨をおかしな風に強か打ちました。
私もKも喧嘩は不得意な分野でした。少なくともその時まで私はそう信じていました。しかし、喧嘩をしようと思えば、きっとKは強かったのでしょう。
だから私をこうやって容赦なく押し倒した上で、御嬢さんへの気持ちをも力でねじ伏せようとしているのかと、私は訝りました。
111 :
心5/6:2006/12/27(水) 07:07:32 ID:rwi8vvcU0
「何も応えてもらう事などははない」私ははっきりと言いましたが、Kは切なげに私を見つめるばかりです。
そして、その薄い唇が小さく言葉を結んだかと思うと、突然私の唇へと落ちてきたのです。
私は荒れたKの唇を感じました。開いたままの瞳には、Kの短く切りそろえた髪が揺れるのが見えました。
暖かく触れた唇の隙間から、Kの舌が進入して来ようとした時、私は我に返って、全身を使って抗議をしました。
大きく振った足が椅子に当たり、ばたりと音を立てて床に倒れます。抗議の言葉は唸り声となり、繋がった唇からKの体までをも響かせました。
私の頬にKの鼻息が吹きかかり、あまりにも酷い現実の悲しみに、胸の底が今にも爆発せんばかり縮こまり、やがてせり上がるような気持ちに陥った時、ようやくKは唇を離しました。
陽の光に煌めきながら、私の唇の横に唾液が滴り落ちてきます。それを私は不快極まりない表情で一瞥しましたが、Kがそれに気づいたかは定かではありません。
私を見つめながら「君の暗い瞳に、いつも僕は恐れを感じていた」と言うと、Kは私の首筋に顔を埋めました。
「僕を射抜こうとするその瞳から、僕は逃れたかった」私の首筋にざらりとした舌を這わせてKは囁きます。
ぞっとするような考えに私は捕らわれました。今Kが喋っている事は、そのまま私がKに対して感じていたそれなのです。
Kは私の首筋を舐めながら鎖骨まで下りると「僕に何を求めていたのか、何をして欲しかったのか・・・・」そこまでを呟いて、右手で私の衿を引きました。
胸元をささやかな風が撫でていきます。Kは私の胸を右手で押すように撫でると「こうして欲しかったんだろう」と低く笑いました。
Kの変貌を目の当たりにし、恐ろしさと不快感で全身が硬直しました。
112 :
心6/6:2006/12/27(水) 07:21:26 ID:rwi8vvcU0
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | | という感じで書いてみましたが
| | | | ∧_∧ サスペンスっぽくなってしまいました。
| | | | ピッ (・∀・ ; )Kファンからぶっ飛ばされそうです。
| | | | ◇⊂ ) とりあえずK、イ`!!
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |連投にひっかかってしまいました・・・・・・orz
113 :
風と木の名無しさん:2006/12/27(水) 10:52:43 ID:lhmgFDqJ0
>112
萌えたー!! こ/こ/ろスレあるんだ…! 今知った。
ぶっ壊れたK氏にそこはかとないエロスを感じる。
>50
今気づいた 遅レススマソ
伏せ方に悩んで結局原作書かなんだ。
元ネタは霞/流/一の首/断/ち/六/地/蔵でした。
どっちも勘違いワロスw
先輩の小悪魔(*´Д`)
好きな人は目の前にいるように見えるんですがw
創作・アホ・筋肉注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
前作のあらすじ
千年ぶりに復活した魔王エイナルを倒すために旅立った勇者達。
伝説の防具「流星のニップレス」を手に入れるために「星落ちる日の塔」へと
足を踏み入れる。そこで勇者達を待ち構えていたのは黒光りする鋼の肉体に
輝く黄金の星型ニップレスをつけたマッチョな天使――
「お前にこのニップレスをつける資格があるか、試させてもらおう!」
重低音で告げられる天使の試練! 驚愕のその内容とは!
「試すって……いったい何をするんだ?」
緊張した面持ちで天使の顔を見返す勇者。天使は奇妙なほどににこやかな
スマイルを浮かべ、鍛え上げた己の肉体を誇示するように上腕を掲げた。
「もちろん決まっている――ポージングだ」
びしりとダブルバイセップスを決めた天使の肉体は、まるでそれ自身が
輝いているような錯覚を覚えるほどに艶めいて美しい。これほどの肉体を
見せ付けられた後に要求されるポージング――
勇者は今までに無い緊張を覚え、その身を強張らせた。
不安と怖れが渦を巻く胸中に、しかし生来の負けん気がちらりと炎を躍らせる。
「よし分かった。俺の実力を見せてやる!」
ばさりと羽織っていたマントを脱ぎ捨てると、下は既に紫のビキニ一枚である。
鍛え上げられた身体には無駄な防具など必要は無く、むしろその肉体を誇示する
ことこそが彼ら最大の武器であり防具なのだ。
露わになった勇者の身体はしっかりと鍛え上げられ、胸板の厚みなど頼れる
兄貴の風格すら漂わせている。旅の途中で負った傷跡さえ歴戦の兵の趣を
感じさせ、漢らしい魅力をより引き立たせている。
「はあっ!」
気合とともに伸ばした両腕をぐっと引き寄せ、ラットスプレッドをフロントで決める。
広がった背筋が腕の隙間から見え、なんとも魅惑のチラリズム。並みの男なら
兄貴!と叫んでその胸に飛び込みたくなるところだが、天使はにこやかな笑みを
浮かべて胸筋をぴくぴくと動かしただけだ。
「ふっ、まだまだぁ!」
叫んで勇者は得意のサイドチェストに移行する。指先までみなぎる力を表現する
ことも忘れず、ゆるやかにしかし力強く腹の横で手を組むと、太い二の腕が
強調される。そしてその隣には今まで何人もの強敵を葬り去ってきた実歴のある
胸板――高く盛り上がった胸板の間には谷間すら出来ている。かの強敵たち
ですら「抱いて!」と叫んで降伏をした胸板に、しかし天使は片眉を吊り上げ
ほほうと低い呟きを漏らしただけ。
「くっ、ならばこれでどうだ!」
得意のサイドチェストが不発に終り、勇者の厚い胸に焦りが宿る。
両腕を高く掲げ、そのまま組んで後頭部へ。奥の手、アドミナブル・アンド・サイである。
鍛え上げられた腹筋が高く盛り上がり、見るものを誘う美しい起伏の連なりが生まれる。
下腹部から脚へと繋がる筋肉の流れはさしずめ二本の大河のように勇壮だ。
身体一つで世界の美しさすら表現してみせる勇者に、ようやく天使は満足そうに
頷いてみせた。
「なるほど……素晴らしい素質、そして怠ることなく積んだ努力。
貴方にはこのニップレスをつける資格があるようだ」
「……! じゃあ!」
「ええ、天なる神ヤオゥイより授けられしこの流星のニップレス、
貴方は六人目の継承者です」
言うなり天使はおもむろに自分の胸に張り付いた黄金の星型ニップレスを
勢いよく引き剥がす。
「オウッ!」
痛かったのか小さく悲鳴を上げる。どうやら乳毛が抜けたらしい。
「……」
思わず黙りこくる勇者達に、やや涙目になりながら天使はニップレスを差し出す。
「さあ、受け取りなさい。そのニップレスは必ずや貴方と貴方の仲間達を守るでしょう」
「あ、ありがとうございます」
「それから、貴方は真剣になると笑顔を忘れるきらいがあるようです。
ポージングをするときはいつでも、笑顔を忘れてはなりません。
そう、どんなに辛いときでも――」
ニップレスを剥がした痛みに涙を浮かべながらも、天使は笑顔を忘れなかった。
彼の言葉に心から感動しつつ勇者は頷く。
「ああ、分かった――俺はきっと笑顔を、あんたの勇気を忘れないよ」
「では気をつけていきなさい。魔王エイナルは貴方達を待ち望んでいる――」
こうして無事「流星のニップレス」を手に入れた勇者達。
しかし魔王エイナルによる人類総攻め化計画はますます激しくなっていく!
エイナルに囚われた受けが攻めになってしまう前に勇者は助け出すことができるのか!
ロードオブザニップレス、ホモの帰還は来夏公開予定!
ロードオブザニップレス 二つの☆ おわり
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
続きません。むしろ前すらありません。
>126>129
今検索してみた。ゲーム見た。吹いた。
131 :
風と木の名無しさん:2006/12/29(金) 16:24:55 ID:yqW9Q2n/0
頼む姐さん、続きをwwwwwwwww
sage忘れた_| ̄|○
申し訳ない
すげええwwwwwwあんたなにやってんのwwwwwww
あいしてるwwwwwwwwwwww
____________
| __________ |
| | | |
| | |> PLAY. | |
| | | | ∧_∧ ナマ棒急
| | | | ピッ (・∀・ ) 九州に行くことになった人×古巣の女房役
| | | | ◇⊂ ) __ ずいぶん前に書いたやつ。
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
セン夕ーってね、バッ夕ーボックスから一番遠いんすよ。知ってるって、そりゃそうっすよね。
だから、俺は、キャっチャーからも一番遠いヒトになるわけでしょ。
そうっす。うちの正保守…って言うと、なんか変だなあ。まあ、あいつっすよ。
あいつが、どんな顔してるかなんて分かんないし、何言ってるかも分かんないし。
でも、これがね、通じちゃうんすよ。何がって? 聞きたいっすか?
…ニヤけてるのは元からの顔ですよ。嬉しそうなのは、ちょっと出ちゃってるかもしれないけどね。
セン夕ーに飛んだら、あいつは安心して俺を見てくれるんす。心配そうなときもある?
えーっと…、そういう意味じゃなっくて。いや、今はどこも痛いところなんてないっすよ、マジでマジで。
アハハ、って笑ってる場合じゃないけど、まあそれは置いといてくださいよ。
これを抑えたら勝ちってとき、俺の方に、微妙なフ.ライが飛んでくるでしょ。
あいつが人差し指を空に向けて、ちょっと必死な顔でこっちを見るんす。
セン夕ーとキャっチャーはまっすぐ直線になってるから、こういうときはちょっといいですよね。
落っこちそうな王求を、全力疾走してナイ.スキャっチ! ス夕ンドからワーッって声がする。
俺、今ちょっとカッコよくない? って思ってあいつ見ると、ピっチャーとハイ夕ッチしてるんすよ。オイオイって思いますね。
そうそう、俺の頑張りって報われないんす。
ホームラソ打っても、夕イムリー打っても、イニくんはこんなもんじゃないでしょ、で、終わっちゃう。
これ、ちょっとひどいと思いません? 最近あいつ冷たいんです。会長になってからかなあ。
俺は俺なりにしっかりやってるつもりなんすよ。ケアもトレー二ングも。
あいつがいつもああだから、たまにですけど、アウ卜が全部セン夕ーフライだったらいいのにな、って
思うときもあるんすよ。なんてね。
全言式合.出.場、できたらいいっすよね。そしたら、あいつもちょっとは俺のことホメてくれるかなって。
あっ、これはオフレコでお願いします。誰のために里予王求やってんの、って、また怒られちゃうから。あいつにね。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 最近やっと気持ちの整理がつくようになってきた
| | | | ピッ (T∀T )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
>131 はい、続き
>135 セツナス GJ! そして雰囲気ぶちこわしでゴメ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) ウカーリ ツヅイチャッタ!
***
前作のあらすじ
千年ぶりに復活した魔王エイナルを倒すために旅立った勇者達。
伝説の防具「流星のニップレス」を無事手に入れ、目指すは魔王の住む城
アパァトメント・クロガーネ!
しかし行く手を阻む魔王の人類総攻め化計画――タイムリミットは受けが
攻めになってしまうまで! 残された時間は少ない、果たして間に合うか?!
旅の途中――
空を見上げる勇者。その瞳に浮かぶものは煌く星と月、そして――愛する
受けの面影。鍛え上げた巨体を丸め、在りし日の幸せを思い出す。
身につけている紫のラメ入りビキニにそっと手をやり、ああそういえば
このパンツもまた受けが自分のためにと買ってきてくれたものだったと思い出す。
恥じらいで頬を染め、そっとこちらから視線を外しながら差し出した仕草。
おそろいなんだ、と小さな声で呟いてえへへと笑った彼の笑顔。眩しく輝いた白い歯。
熱く胸に込み上げた情熱に押されて、思わず食卓テーブルに押し倒した事。
抱きしめた身体のがっしりとした肩口の厚み、優美に盛り上がった背筋の描く美しい曲線。
あの全てが夢だったのではないかと――そう思われるのは、月があまりに綺麗だからだ。
月のような人だった。
色白の身体に無駄なくついた筋肉、それで織り成すサイドトライセップスはまるで
三日月のような弧を描き、人を圧倒し寄せ付けない孤高の美しさを放っていた。
それでいて自分に向けてくれる笑顔は無邪気で優しくて――光り輝いていた。歯が。
愛しい人を思い出し、そっと溜息を吐く。
そんな勇者の背後から魔法使いが躊躇いがちに声をかけてきた。
「……悩み事かな」
「ガンバルス……」
声をかけられて振り向くと、老いた魔法使いが優しく微笑みかけてそこに立っていた。
「受けの……ことを。姫五郎のことを、少し考えていただけだ」
姫五郎。三国一の受けと言われたあの人。
彼が攻めになってしまう。もし間に合わなかったら。
その時自分達は、どうなってしまうのか。
多くのカップル達のように破局を迎えるのだろうか。
そう思うと気が狂いそうになり、夜も眠れず腹筋500回を猛烈にかましてしまうほど、
勇者は思い悩んでいた。
「大丈夫じゃよ」
穏やかに老魔法使いは言う。
「万が一――受けが攻めになるようなことがあったとしても、お前さんがたに
愛がある限り、何一つ問題などない。……大丈夫じゃ」
遠い目をして、月を眺める魔法使いの横顔を勇者は黙って見つめた。
魔法使いは多くを語らない。三千年という時をどう過ごしてきたのか――
辛いことや悲しい別れもあっただろうが、黙して彼は微笑んでいる。
もっとも、一番大事なことは魔法使いの身体を見れば全て分かるのだが。
年をとってもなおはっきりと分かれたシックスパッド、首から肩へかけての
穏やかなる曲線が示す筋肉。大柄な身体が生む威圧感は年輪を経て
ますます増し、味方にとってこれ以上なく頼もしい存在だ。
彼が乗り越えてきた困難の一つ一つがその身体に刻み込まれ、筋肉達が
高らかに歌うのは覇者だけに許される英雄伝――そんな漢なのだ。
だから、勇者は彼の言葉に頷いた。
「ああ、信じるよ。受けを。愛を。俺達の未来を」
俯いていた顔をあげ、煌く月を眺める。きりっとした緊張感に厚い胸板の
乳首もそそり立ち、震える。
必ず取り戻すのだ。受けを。
月がそんな勇者を優しく見守っていた。
アパァトメント・クロガーネ――
数々の苦難を乗り越え、とうとうたどり着いた敵の本拠地。
意外と庶民的な形の黒く四角い箱型住居の一部屋一部屋の扉を勇者達は
片っ端から開けまくっていた。
「くそっ……、こう数が多くちゃ!」
「こんな扉に手間取っている間に受けが攻めにされちまう……!」
弓使いと斧使いのでこぼこカップルが呻く。ずらりと並んだ扉はとにかく数が多く、
その部屋のどこにエイナルと受けが潜んでいるのか全く見当もつかない。
「どうにかならないのか、ガンバルス!」
焦燥に駆られた仲間からの叫びに、しかし魔法使いはううむと唸っただけ。
「くっ……」
全ての扉を開けていくしかないのか――そう思いながら69番目の扉に手をかける。
がちゃり、と扉を開け放つ。鍵はかかっていなかった。
中は普通のワンルーム、がらんとした部屋には調度もなく無人であった。
「くそぉっ!」
叫んで扉を蹴りつけた勇者の脳裏に、天使の言葉が蘇る。
笑顔を忘れてはいけません。そう、どんなに辛いときでも――
ふっと身体の力が抜けた。そうだ、忘れてはいけない。俺達は常に笑顔を――
勇者は大きく息を吐くとにっこりと微笑んだ。そしてゆっくりと、自分の身体を
一番良く見せられるポージング――マストモスキュラーのポーズをとる。
心が落ち着く。
そんな勇者の心境に連動するように、勇者の乳首に貼り付けられたニップレスが
突如として輝き始める。ふわりと淡く光を放ったかと思うとそれはたちまちに強さを増し、
虹色の光が両の乳首から放たれる。
>>137 GJ!!!
やばい萌えた。ニヤけとまらん
「なっ、なんだ?!」
「おい勇者、この光は……!」
仲間達から驚きと疑問の野太い声が上がる。しかし、勇者の耳にその声は
届いていなかった。光の指し示す先――そこに、自分の求めるものがある!
直感的にそれを悟り、勇者はうおおおと雄叫びを上げた。
叫びとともに光が帯状になり勇者の身体へと纏わりつく。光を纏い、今や
黄金の戦士と化した勇者は光の指し示す方向へと突進した。
「待っててくれ、姫五郎!」
どごおっ
壁にぶち当たり、それをぶち抜き、瓦礫を掻き分けて勇者は前へと進む。
仲間達はこれがニップレスの力なのかと驚きながら後へと続く。
次々と壁をぶち抜き、二十枚目の壁を突き破ったところで勇者の脚が止まった。
この部屋だけ明らかに内装が違う。黒に塗られた壁、春の麗らかな日差しを
遮るカーテンも黒、そしてそこだけ不釣合いに豪奢な天蓋付のベッド。
そしてベッドの上に愛しの受け、姫五郎の姿を見つける。
「姫五郎!」
「攻め!」
勇者の姿に気づいた受けは駆け寄ろうとして、すぐにはっと気づいて叫んだ。
「だめだ!」
激しい恫喝に思わず立ち竦む勇者。訝しく思って受けの顔をじっと見返すと、
受けは悲しそうに顔をゆがめ、小さな声で呟いた。
「来ちゃだめだ、攻め。俺の身体はもう、俺の物であって俺のものじゃない」
「何を言ってるんだ……?」
「俺はもう、魔王エイナルに身体を乗っ取られてしまった。
奴が眠っている今はいいが、奴が目覚めたら――俺は、きっと」
そこで受けは言葉を切った。言うことがとても辛いというように、涙が両目から溢れる。
震えながら受けは言葉を口にした。
「俺は、攻めを抱いてしまうだろう」
「…………!」
その言葉に勇者は衝撃を受けた。
「間に……」
意識せず呟きが口から漏れる。間にあわなかった。
ショックのあまりがっくりと膝をつく勇者。力なく項垂れた彼の胸元から
黄金のニップレスがぺろりと剥がれ落ちる。受けを救いたいという熱い思いが
失われた今、彼は勇者としての資格を失ったのだ。
ニップレスは勇者の胸にしか張り付かない。
「……逃げてくれ、攻め。俺は……君に抱かれたいとは思っても、
抱きたいとは……今でも、やっぱり思えないんだ……」
涙ながらの受けの言葉に、勇者――いや、いまやただの攻めとなった男が顔を上げる。
「受け……」
じっと見つめる、久しぶりに見る受けの顔はやつれていた。
無精髭がまばらに伸び、それを隠したいのか顔の下半分を手で覆っている。
あれだけ逞しかった筋肉も少し落ちて一回り小さくなった印象だ。
だがそれは、紛れもなく攻めが愛した受けその人だった。
攻めは受けを見つめ、そして瞳に決意の色を浮かべると立ち上がった。
「俺は……逃げない」
低く、だがきっぱりと言われた言葉に受けの目が見開かれる。
「俺は逃げない。お前と一緒にいたいんだ、受け!」
「だけど……!」
「例え俺を掘ろうとしても、いいんだ。いいんだよ、そこに……愛が、あるなら」
攻めの言葉に受けは激しく首を振った。
「いやだ! いやなんだ、俺が、俺が君を抱くなんて、耐えられないんだ!!」
魔王エイナルに身体を乗っ取られ、身体は既に攻めとして目覚めながら、
それでも受けは攻めにとって受けでいたいのだと叫んだ。
「なら……なら、もう一度俺は受けを抱く。攻める喜びなんか、忘れさせてやる……!」
「! 攻め……!」
力強く言い切る攻めの胸元に、床に落ちていたニップレスが宙を舞い再び張り付く。
黄金のオーラを放つ厚い胸に受けは飛び込んだ。
再び勇者となった攻めは受けをその胸にしっかりとホールドする。
受けの身体を覆うのは勇者と揃いの紫のビキニ。そのぴちぴちに張り付いたビキニが
勇者を誘っている。高鳴る胸の熱い鼓動、久々の抱擁に身体が溶けそうな幸せを感じる。
だが、間もなく受けは勇者の腕の中で苦しみ始める――魔王エイナルがおやつの後の
睡眠から覚めたのだ。受けたいという心と攻めたいという渇望に挟まれ、受けは苦しむ。
そんな受けに攻めは優しく口付け、その巨体で持って優しく包み込む。
まばゆい光を放つニップレスに気づいたエイナルは、それこそが自分を苦しめる産物だと
気づいて勇者の胸から引き剥がそうとした。
だが、その伸ばされた手を勇者の手が掴む。
「エイナル……あんたは、何を怖がっているんだ」
肌を重ね、間近で目覚めた魔王と触れ合うことで勇者には魔王エイナルの思考が読めた。
その心の奥底に秘められた不安や恐れといった感情さえ覗くことが出来た。
「わたしが、何を恐れているだと……!」
「怖がっているじゃないか、今だって。何も……恐れることはないのに……」
優しく抱きしめる勇者に、エイナルが震え上がる。
その光景を見ていたガンバルスははっと気がついた。
「そうか……そうだったのか、魔王エイナル……」
目の前の巨体の男二人の組んず解れつに一歩近づき、厳しい眼光で魔王を質す。
「魔王エイナル、あんたの本質は攻めじゃないんだ、受けなのだ」
老魔法使いの言葉にぴくりと受けの――エイナルの身体が強張る。
「そうだろう。エイナルは発音記号、魔王エイナルの正体とは愛の神アナルじゃ!」
なんと、と仲間達がいっせいにガンバルスを振り返る。
「そう――昔、遥かな昔に聞いたことがある。
我らが神ヤオゥイと愛を誓い合った神アナルの神話を。
彼らは愛し合い、永遠を誓ったがある日を境に互いを憎み、戦うことになった。
その原因は――」
哀れむような眼差しで、ガンバルスはエイナル――アナルを見遣った。
アナルは笑った。泣きながら、笑った。
「そうさ、あいつが俺に、今度ちょっと逆でやってみない?なんて言ったからだ!」
その場にいた全員が凍りつく一言。
彼らにとってはとても重要な受けと攻めの役割を、そんな風に簡単に交換しようと
言われたアナル――しかも彼は生粋の受けだというのに。その時の彼の心境は、
どれほどつらかったことだろう。
「言われても俺にはあいつを攻めることが出来なかった。
あいつは仕方ないよと言ったけど、そんなことを言われても惨めなだけだった。
俺は、俺は、だからあいつを……」
「――満足させられる『誰か』を見つけるために、人類を攻めに次々と変えていった」
静かに言ったガンバルスの言葉に、勇者の腕の中で魔王と呼ばれた神は頷いた。
「俺じゃない誰か……あいつを攻められる、誰かを……ずっと探してた……」
ガンバルスは静かに息を吐くと、ついで大きく吸い、一喝した。
「ばかもンが!!」
老体から発せられたとは到底思えぬ声量が部屋に響き渡る。
「そんなことをしてなんになる、ヤオゥイが求めたのは他でもない、お前だろうに!」
怒鳴られてしゅんとなるアナルを勇者は抱きしめ、ガンバルスに言いすぎだと言った。
受けの短い五分刈りの頭を撫でながら、優しくささやく。
「ただ、攻めが――ヤオゥイ神のことが、あんたは大好きだったんだ。
それだけのことだろ?
……そうさ、あんたはヤオゥイを愛してる。今でも。だから、こんな計画を……」
泣きながら受けがしがみついてくる。もはやそこに攻めたいという渇望はない。
アナルはアナルなのだ。攻められることを願い、ただ愛した男を受け入れたいと願う。
「……俺じゃ、ダメだな。あんたが愛してるのは、ヤオゥイだた一人だ」
勇者が呟いたその時、一際強く黄金のニップレスが光り輝いた。
そして光が人型を形作り――優しく輝き、言葉を発した。
『やれやれ……まったく、手のかかる奴だな』
苦笑混じりの優しい言葉には深い慈愛の響きが宿っている。
その場の誰もが目を剥き、驚きに息を呑んだ。
「まさか……」
「……ヤオゥイ神」
誰のものとも知れぬ呟きに光がふふっと微笑む。
『そのとおり。エイナル――いや、アナル。迎えに来たぞ』
微笑み受けへと手を伸ばすと、黄金の光に釣られるように白金の光が
受けの身体から引き出され、人の形を創り出す。
『すまなかった。わたしの軽率な一言で、お前がこんなにも傷つくとは――
愛があればなんでも許される、そう思っていたのだ。
わたしは愚かだ。そのわたしを、許してくれないか。
わたしは、いまでも、お前だけを愛している――』
黄金が言葉を紡ぎ、白金が煌き震える。
静まり返った四畳半に、喜びが悲しみか、震える声が漏れる。
148 :
10/10:2006/12/29(金) 20:18:35 ID:AhJ6Mnn+0
『ヤオゥイ……わたしこそ、許されない罪を犯した。
無関係の人々を混乱に巻き込み、多くの別れを生み出した。
それでも、わたしを愛しているといってくれるのか』
『……そうだ。お前の罪を生んだのもわたしに責任がある。
お前の罪はわたしの罪。ともに背負い、償っていこうではないか』
『ヤオゥイ……!』
感極まって白金は黄金へ飛び込んだ。まばゆい白い光が溢れるように飛び散る。
『人間達よ、すまない。我々の起こした愚かな過ち、これから先の未来でもって
必ず償っていくと約束しよう』
黄金の光がそう宣言し、暖かな光が部屋いっぱいに満ちる。
そして光が消えた後、誰もが呆然としている中――
「……攻め」
受けが勇者の胸に頬を寄せ、幸せそうに微笑んだ。
勇者もまた、きつく受けの肩を抱く。
その姿に仲間達はやっと我に返り、そそくさと視線を逸らし部屋を出て行く。
今まさに愛を交わさんとする二人に、ガンバルスがにやっと笑って
「ほら、大丈夫じゃったろう」と言った。
勇者は笑い、受けを抱きしめ頷いた。
「ああ! 俺達は、何があったって大丈夫さ!」
ロードオブザニップレス ホモの帰還 おわり
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すまん通し番号入れ忘れ
感動巨編とか目指してたっぽい ムリポ
>138さん、GJ!
なんかすげえ笑っった。いちいちツッコミ入れながら笑った。
幸せにな!勇者&受!我らがヤオゥイ神&愛の神アナル!
GJ!
>>138 あかん、あまりのことに何度か途中で離脱してもーた...___o_
こここ、これをよくぞ書ききった! 素で素敵!!
>>138 随所に散りばめられた小ネタも素晴らしいとオモタw
ガンバルスとか弓使いと斧使いのカップルとか…ニヤついてしまう。
>>138 嫌な一日を笑って締めくくる事が出来るよw
笑いをありがとう!
>>138 GJwww 大笑いして心が晴れ晴れした
前編含めて保存して、辛い時の薬にするよ!ありがとう!
>>138 わ、笑っているのか感動しているのかわからなくなった!超GJ!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 流石兄弟 リバ設定だが兄×弟のみ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 平安W@DEEP
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
地雷注意!パートナー外濡れ場あります
158 :
平安W 1:2006/12/31(日) 06:39:52 ID:1eVpotpb0
風を切る音をたてて矢が飛んだ。
「ふうむ」
その行方を確認してまた、弓に矢をつがえる。
鋭い軌跡を描いて、それもまた飛ぶ。
―――我ながらたいした才能だな
的を眺めて兄者は思う。
―――これだけ打って、一つも当たらぬとは
辺り中に外した矢が散乱している。
東北の対の自室の裏の弓場で、珍しく練習などしている。
こう見えても一応武官である。五位蔵人にして右近衛少将。
いざ、という際には主上をお護りする立場にある。
―――剣術の方は割にましなんだが
しかし弓はからっきしだ。なのに昔、初めて競弓(くらべゆみ)に自分の代わりに出た弟者が、
あれほど言っておいたにもかかわらずむきになって優勝して以来、名手と言うことになっている。
あとで姉者に聞いたところ、面憎いほど冷静な表情で、血の気を昇らせていたらしい。
ダメ押しでもう一矢。何故か自分の後ろに飛んだ。
「何を器用なことをやっている」
ふいに現れた弟者が声をかける。内裏から戻ったばかりらしい。
「おまえのせいだ、おまえの」
「お教えいたしましょうか」
「けっこう。もう止めた」
あきらめて矢を拾い集める。そういえば、辺りに闇が忍び寄る。
霜月も半ばの今は日が落ちるのが早い。
159 :
平安W 2:2006/12/31(日) 06:42:20 ID:1eVpotpb0
よく熾された火桶の火が赤い。温めた酒も運ばれたので、今夜の寒さはしのぎやすい。
「ああ、これさっき届いた」
渡された物は安っぽい草子。紙の質も最低のものだ。
だが兄者は瞳を輝かす。
「ついにVがでたか」
表紙には下手な字で“タケルの秘密大作戦 V”と書いてある。
「何だその、趣味の悪そうな草子は」
「失礼な。現在イチ押しの作品だぞ。
ヤマトタケルくんが毎回父である天子に絶対不可能と思われる任務を押し付けられて、
何とか苦労してコンプリートするアクション大作だ」
「古事記のあれか?」
「そうだ」
「弟がまず双子の兄を殺す話だろう。あんたはよく平気だな」
オウスノミコ(後のヤマトタケルである)は、
父の所有物の美人姉妹を奪った兄のオオウスノミコを独断で殺した。
「Tの冒頭(イントロ)がそこだった。美人姉妹はともかく、
ご飯を一緒に食べないから、ってのは凄い理由だ」
兄者は気にしていないようだ。こいつの感性は少し変だ、と弟者は思う。
双つ子はこの時代、大きな禁忌だ。
その為、大納言家にそう生まれた二人のうち弟は、陰の存在である。
父者が内大臣に出世した今もそれは変わらない。
もっとも元服の頃から、似ているのをいいことに入れ替わりの生活を送っている。
五日に一度は兄者が出仕、残りの日は弟者が働く。
160 :
平安W 3:2006/12/31(日) 06:44:23 ID:1eVpotpb0
双つ子が禁忌であることの原因の一つはこの話ではないか、と弟者は考える。
「苦手だな、この話」
「これは純然たる娯楽だ。朝タケルくんが目覚めると、枕もとに文が置いてあるのだ」
「ふーん」
「――おはよう、タケルくん。本日の君の使命は、で始まって、
――なおこの文は自動的に消滅する、で終わる。お約束だ」
「どうやって消滅するんだ?」
「ああ。毎回どこからか訓練されたやぎが飛び込んできて、その文を食ってしまうのだ」
「一つ聞いてもいいか」
「かまわんが、何か」
「この時代、この国に紙はあったのか」
「公式にはまだだ。しかし絶対にないと断言はできない、という時期だな」
「微妙」
「木簡が置いてあってリスが齧る、ってのはどうだろう。書き手にお便りしてみようか」
「いやいい。柿一つと交換できる安草子にそこまでの考証は求めない」
「まあ努力はした方がいいが。で、今回の話しでついにオトタチバナ登場だ。
予告じゃツンデレだそうだ。楽しみだな」
「今さらツンデレもね……飽きた」
という弟者は誰かの顔を思い出しているようだ。兄者は少し身を寄せた。
麝香と白檀の合わさった匂い。
―――今日は藤壺か。
161 :
平安W 4:2006/12/31(日) 06:46:42 ID:1eVpotpb0
最近弟者は一壺一人運動のつもりらしい。
つき合っている女房を多少整理して、重複が無いようにしている。
一人と別れたら補充はそこでするので、なり代わっても相手がわかりやすい。
それはそれでなかなか手痛い。
―――タコツボの女房でも探しているんだろうか
両手に余る恋人たち。彼と閨を共にしていても自分が別人だとは気付けずに、
時たま露骨に甘えてきたりする。
それをつれなくて、でも魅力的な情人のふりでさらり、とかわす。
―――いつものことだ。いつもの
急に空気の味が苦くなった。なんだか、息苦しい。体が重い。
「………弟者」
ふいに名を呼ぶ。見返した瞳の色素はわずかに薄い。
「寝よう」
驚いて、それから頬が染まる。そんな様子がいとおしい。
「おまえが下でいいか?」
拒否はしない、とわかっていた。
162 :
平安W 5:2006/12/31(日) 06:49:34 ID:1eVpotpb0
紐解くのは苦手だから自分でほどかせた。
白練絹がするりと滑り、よく似た光沢を持つ膚が露になった。
うなじから肩の線にゆっくりと唇づける。
それが火を点すのを待っている。
火桶の炭がじっくりと燃えていくのを待つように。
触れられることの好きな彼が、続きを促す。
そっと唇を下げていく。胸もとでそれを止め、舌先とそれで過敏な部分を煽ってみた。
この東北の対は自分には堅固な城だ。
だが、彼にとってはゆるやかな檻であることを知っている。
そして兄者自身もその檻の一部であり、看守であることも確かだ。
―――放してやりたい
いつもそう思っていた。
―――そうしたくない
同時に考えている。
愛情を餌に彼を泳がせ、そして縛っている。
彼の感情と行動に、いつも自分の影を見ている。
163 :
平安W 6:2006/12/31(日) 06:50:52 ID:1eVpotpb0
目を閉じて、素直に快楽を味わう彼の姿はとても綺麗だ。
自分になんか少しも似ていない、と兄者は思う。
相手の要望のままに唇を与えて、言うとおりにしているのにだんだんと焦れてくる、
その瞬間を待つ。
かすかに瞼を開いて、切なそうな目を向けてきた。
けれど、声が聞きたくてわざと留めている。
その形のいい薄い唇にねだらせたい。
「………欲しい」
ついに彼は耐えきれなくなる。
唇を重ね、リクエストに答える。
肩をつかむ手に力が入る。
一つになるこの時、禁忌より祝福を感じている。
「………弟者」
あまり長くはもたないな、と考えた。
164 :
平安W 7:2006/12/31(日) 07:04:28 ID:1eVpotpb0
夜中に目が覚めたので、袿(うちき)をはおり、月を見るために廂(ひさし)に出た。
回廊をぐるり、と歩き回り、一番良く見えるポイントを選んで、高欄に腰を下ろす。
ひどく寒い。しかしほぼ満月に近いこの月は、その寒さを補って余りあるものだ。
凍りついたような冬の月。手を伸ばせど届かない。
代わりに一首、詠みあげることにする。
「この世をば わが世とぞ思う 望月の
ゲームは下手だが 漢検1級」
「…意味がわからん」
眠っていたはずの相手が適切につっこみを入れる。
自分を探して出てきたらしい。
「…気にするな」
月の光を浴びる彼。夢の一部のようなその姿。
左手を伸ばしたら右手で受けた。
その温かな手をつかんで高欄から下りる。強く抱き寄せられた。
―――恋しかるべき夜半の月かな
いつかね、思い出すよ、この月を。おまえの姿と一緒に。
なんだか少し、もの悲しいような想いがよぎった。
165 :
平安W 8:2006/12/31(日) 07:08:14 ID:1eVpotpb0
今度は弟者が風邪を引いた。
一日は病欠届を出して休んでみた者の、かえって悪化したので次の日は兄者が替わることにした。
「いいのか、今日は宿直までのフルコンボだ」
「かまわん。寝ておけ」
「一人だと眠りにくいんだ」
「以前父者に下賜された薬が残っている。あれはよく効くから寝る前に呑め。朝まで起きない」
「うむ」
軽く頬をつつき、未練を抑えて立ち上がる。
「行ってくる」
弟者は黙って見送った。
166 :
平安W 9:2006/12/31(日) 07:09:44 ID:1eVpotpb0
通常通りに日は過ぎた。
そう思いかけた冬の日の午後、お召しがあって玉座の端近くにいざり寄ると、
殿上童に弓を手渡された。
驚くと主上がにこやかにおっしゃる。
「皆が一番の名手は兄者だというから、見せてもらおうと思って」
そういえば以前の競弓の際、東宮だったこの方はたまたまご不調でご覧になっていない。
「いえ、あれはまぐれでして、その後の競弓には出ておりません」
言を左右して逃げようとする。
ところが周りは褒め称える。
困ってしまって目を泳がせていると、従兄弟者が口をはさんでくれた。
「このような所での遊び事はいささか危ない気がします」
―――敬語の似合わないヤツだ
心の中でくすり、と微笑う。だが事態は笑い事ではない。
「そうか。それでは外に出て、月華門のあたりから射ってみて」
大変なことになった。
あの日、ふいに弓の練習がしたくなったのは、今日の予感でもあったのだろうか、
と兄者は内心青ざめている。
主上は入れ替わりを知っている、という弟者の言葉を思い出して、
訴えるように見つめるが、穏やかに優しく微笑まれた。
―――気付いていらっしゃっても、俺が弓が下手なことまでは知る由もない。
勘のいい方ではないので、そこまでお考えにはならないだろう。
167 :
平安W 10:2006/12/31(日) 07:11:32 ID:1eVpotpb0
噂が人を呼んで女房たちまで出てくる。
弟者のつきあいのある者など、扇を振り回したり、投げキッスをしてみたりと大変な騒ぎだ。
みんな安全な位置から声援しているつもりらしいが、兄者の腕ではそんな場所はない。
―――主上の近くに飛ばしてしまったらどうしよう
死罪だな。表情に出さずに脅えている。
―――そうじゃなくても、一矢も当たらなかったら
あやしい、と疑われ真実を探り出されるかもしれない。
一族郎党、流罪。いや、かえって温情を示されて弟者だけが流されることになったら。
もちろん自分が代わりに行くつもりだが、それも許されずに引き離されたら。
冷や汗が流れる。背筋に嫌な痺れが走る。
―――その時は、なんとしても追っていく
そう、古の軽大娘(かるのおおいらつめ)のように。
―――逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。
ふいに決意する。片肌を脱いで、遠い、あまりに遠すぎる的を見据える。
寒さは少しも感じない。的を見ながら同時に、弓の練習をする弟者の姿を思い出してみる。
背筋を伸ばし、腕に力を込める。
―――この的を、おまえの心だと思う
ひょう、と唸って矢は飛んだ。
168 :
平安W 11:2006/12/31(日) 07:14:17 ID:1eVpotpb0
従兄弟者の宿直所は梨壺にある。
小さく味気なく殺風景な場所だが、目立たぬ位置なので気に入っている。それに運良く一人部屋だ。
深夜、その戸がほとほと、と叩かれる。
「入れ。掛金は外してある」
予想していた。
冷えた身体が、するり、と傍らに収まる。
モノも言わずに紐を解く。
衣の全てを引き剥いで、生身の膚に指を這わす。相手は躯をしならせる。
乱暴に唇を重ね、少し疼痛を与える。
燭台の灯りは消してあるが、声を殺して耐えているのがわかる。
そのまま唇を転移させると、衾(ふすま)をつかんでその身を震わせる。
いつもより興奮している。
それは無理のないことだ。
大観衆の前でのショータイム。しかも最悪な不得意分野。その上、命か流罪がかかっている。
ひとごとながら、見ているだけでも掌が熱くなった。
「早く……」
濡れた声がそそのかす。
それを故意に焦らしていると、要求をはっきりと口に出した。
なんの衒いもなく欲望に忠実。それがかえってこの男の底知れなさを際立たせる。
言葉に従うと深くのけぞり、絶妙のタイミングで腰を揺らす。
こちらも、冷めた顔ではいられない。
こいつのセックスはひどくいい。気を抜いていると、もっていかれる。
試合のつもりで相対する。
今のところ勝ち逃げだが、逆転しかねない凄みがある。
声が高くなる。相手の限界を見定めて、自分自身にそれを許した。
169 :
平安W 12:2006/12/31(日) 07:25:19 ID:1eVpotpb0
「……悪運の強い男だな」
「自分でもそう思う。人生最大のまぐれ当たりだ」
ベテランの衛士でも不可能な場所に置かれた的の真ん中を、ただの一矢でピタリ、と射抜いた。
貴公子らしい優雅さで、その後主上に一礼する。
それ以上は見せつけなかった事も、謙虚でいいと評判だった。
「冗談じゃない。二度と当たるか」
「だろうな」
枕もとにおいてある酒を口に含むと、相手はふいに左手で顔を抑えて唇をあて、
その酒を奪い取った。
「義理だてないのか」
「まさか。俺は気持ちイイのが大好きだ。おまえのキスはけっこういける」
もう一度、重ねられる。
「そういうおまえこそ、和琴の上手いあの可愛い女房に取り置かなくていいのか」
ふん、と鼻を鳴らされる。
「キスなんかいくらしたって見えないが、痕だけは絶対に残すなよ……あいつがむきになる」
従兄弟者に向かって念を押す。
「殺されかねんか」
「ならいいんだが。惚れた相手にジェラシーで殺されるって、最高の快楽ではあるまいか」
兄者はくっくっ、と声に出して微笑った。
どうやら本気のようである。
「……厨だな、おまえ」
「そりゃ、もちろん。伊達に禁忌を犯しちゃいない」
片目をつぶった彼を見て、流石にこいつの恋人に同情しかける。
それを敏感に察したらしく、目の光を鋭くした。
間抜けなくせに、えらく手強い。
170 :
平安W 13:2006/12/31(日) 07:27:04 ID:1eVpotpb0
「おまえ、あいつのことけっこう好きだろ。すぐいじめるじゃないか」
「確かにそそるな……あの嫌そうな顔は」
「あいつに手を出すなよ……殺すぞ」
笑いの中に毒がある。ぞっとするような苦さが見える。
「おまえの場合、マジだからな」
「そう。洒落にならない」
「怖い男だな、おまえは」
強い相手も、頭の切れる男も数多く見てきた。そのどれもが自分をたじろがすことはなかった。
命を張ったやり取りでさえ、恐怖を感じたことはない。
だがこの人畜無害でとんまな男は、何か恐ろしいモノを秘めている。
もちろんそれは、その弟との特殊な関係性のことではない。
「おまえに誉められるとは光栄の至り、だ」
今度は土器(かわらけ)をさらい、くい、と中身を空ける。
「女と寝てないわけじゃないんだろ」
「ゼロとは言わんが多くはない。あいつ、そっちには敏感なんだ」
ついでに尋ねてみる。
「なぜ、俺だ」
兄者はまっすぐ従兄弟者を見つめる。
「一つ、おまえは香を薫きこめていない。
二つ、ちゃんと大人だ。
三つ、俺は割におまえのことが好きだ。
それと……あいつに少し似ているからかな」
「鏡でも見て、やれ」
「違いすぎる」
端から見ると同じ顔でも、似ているとさえ思えないようだ。
171 :
平安W 14:2006/12/31(日) 07:28:10 ID:1eVpotpb0
「おまえの方はなぜ承諾した」
即答する。
「容赦なくやりたいときに便利だからだ」
「なるほど」
その理由を気に入った様子である。少し嬉しそうな顔をする。
「おまえはいいな。まっとうだ」
意外なことを言われる。
「俺は違う。あいつに惚れすぎてて、だから裏切る……酷い話だ」
「のろけか」
自嘲の苦味は重すぎる。
「そうだ。……少しは妬いてくれんか。つまらん」
さっ、と軌道修正に応じる。
「そんな趣味はない」
「こっちの趣味は合うのにな………もう一戦、どうだ?」
悪くはない、と彼は思った。
172 :
平安W 15:2006/12/31(日) 07:30:24 ID:1eVpotpb0
五人ほどの僧侶が、東北の対の前の庭で護摩をたきながら読経中である。
あっけにとられた兄者は、そちらに軽く頭を下げて自室に入った。
「……あれは何だ?」
「母者の愛だ」
うんざりと、弟者が答える。
「さっきたまたま使いの者がきて、オレが寝込んでいるの見て驚いて帰った。
その後すぐにこの一団がやってきてこの騒ぎだ。……やかましい」
「俺が寝込んだときには気づかれなくて良かった………む?」
更に異質な音が加わる。
何事かと外の様子をうかがうと、禰宜と巫女が三人ほど現れ、祝詞を唱え始めている。
「巫女さんだ!うわ、近くに行っていいかな」
不愉快そうな弟者を見て、慌ててなだめる。
「いや、イラストの参考にしようかと思って……また何か来た」
173 :
平安W 16:2006/12/31(日) 07:31:38 ID:1eVpotpb0
山伏の一団が現れ、祈祷を開始した。
「……母者の愛は深いな。医者と薬師も来そうだ」
「それはもう来て、帰った。ただの風邪だ」
「ならいい」
口づけると、薬の匂いがする。
「伝染るぞ」
「人に伝染すと早く直るそうだ」
「けっこうキツいぞ」
「おまえがそんな状態でいるよりいい」
熱に潤んだ弟者の瞳が、兄者を見上げる。その視線を受け止める。
けして、反らさない。
外からは読経と祝詞と祈祷の声が、滅茶苦茶に混じりあって聞こえてくる。
兄者はもう一度、唇を重ねる。
絡み付く熱い舌の苦い味。それは薬のせいではない。
「………おまえが好きだよ」
震えもせずにそう言った。そこに一つも嘘はない。
「おまえだけが好きだよ」
その温度が等しくなるほど、幾度も重ねる唇。
閉ざされた部屋の外で、神と仏と何かが責める。
了
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ キセイカカリマクリ!
| | | | ピッ (・∀・ ) コノヒトコマデマタ・・・
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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終了に向かいます。それでは良いお年を!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 一度やってみたかった狐CHドラマ「家」フィク
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 八ウスとウィ流ソン、やおい未満
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 未満カヨ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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狐CHで放送中の海外医療ドラマ「家」の八ウスとウィ流です
前回までのエピのネタバレ含んでますから注意
受けとか攻めとかそこまで行き着いていません。中年の純情をコンセプトにしました…
いつものあの痛み。ヴァイコディンを飲む。しばらく痛みが止む。それからまた、より
一層強くなって蘇る。さらにヴァイコディン、ヴァイコディン、多すぎるほどのヴァイコ
ディン、そして結局消えない痛み。
俺はそういうものを毎日背中に背負って、顰め面で杖をついて病院内を歩き回っている。
痩せこけた顔、萎えた右脚、ぎょろりと剥いた目も大仰な物言いも、すべてがリチャード
3世みたいに醜悪なことを俺は知っている。シェイクスピア劇の悪役よろしく俺は毒舌を
吐き散らし、けれども真実を言い当て、医療と言う舞台の上でその役割を全うする。俺の
周りの人間はみな、俺の無遠慮な物言い、悪趣味なジョークに不快感を覚え、ある者は露
骨に、ある者は礼儀正しく俺を遠ざけようとする。ドクター・グレゴリー・八ウスはこの
病院の嫌われものなのだ。
けれども俺は診断の際には正しいことを言える。他のぼんくらな医者たちが気づかない
患者の嘘、生活習慣、秘密を的確に探り出し、彼らを治療できる。だからどんなに俺が嫌
なやつでも、仕事のときだけは必要とされる。俺はそれを知っているから、どんなに周り
に嫌われたって気にしない。どのみち、俺自身が人間なんて大嫌いなのだ。彼らが内心俺
を嫌おうと蔑もうと構うもんか、俺だって俺みたいなやつが周囲にいたら絶対に嫌だ。
でもウィ流ソンは違う。ウィ流ソンは俺を嫌っていない。
何年も前、この病院に彼が就職したとき、俺ははっきり言って彼に興味なんてなかった。
ライトブラウンの柔らかそうな髪、ハンサムで人懐こそうな顔、清潔な身なり。いかにも
プレップスクール卒業の坊ちゃんという感じで、おまけにユダヤ系の医者。また一人つま
らないやつがやってきたと、内心鼻を鳴らした俺に、ウィ流ソンはにっこり笑って礼儀正
しく握手を求めながら、初めましてと言った。外見にふさわしい、優しそうな声だった。
俺は彼の右手を握り返さずに、また一人ユダヤ系の同僚が増えたのかといやみを返した。
どうせこの坊ちゃんの反応なんてせいぜい眉を顰めるだけだと思っていたら、ウィ流ソン
は涼しい顔で君はこの世界ではマイノリティなのさ、諦めろよ、ピューリタン、と囁くよ
うに――他の人間に聞こえないような声で――答えた。ユダヤ系の同僚が嫌なら別の職業
を選ぶべきだったな、と。
この年下の同僚が、柔和な外見の下に、なかなか強かな面を持っていることは、しばら
くして嫌というほどわかった。しかもそれだけでなく彼は有能だった。ただのプライドの
高いやつかと思っていたら、病院に来て最初の頃、わからないことがあればすぐに俺に―
―絶え間なく毒舌といやみを浴びせる俺に聞いてきたし、その質問の仕方も洗練されてい
た。覚えも早くて、知らないくせに知っているふりをする他の医者に比べれば、文句のい
いようもなかった。彼は数年であれよあれよという間に、しかも周囲の反感も買わずに出
世し、腫瘍科の部長になり、俺と対等なもの言いをするようになり、けれども決して俺を
ないがしろにしようとはしなかった。彼は部長になってからも、相変わらずわからないこ
とがあれば俺に聞いてきたし、俺以外の人間にも聞いた。彼はとても誠実な医者で、患者
を助けられる人間と方法があれば、それがどんなものであれトライしてみようという姿勢
を持っていた。俺は認めたくないがそんな彼を気に入った。彼はスマートな男だった。い
つの間にか俺たちは病院内ではほとんど常に一緒に行動するようになった。ウィ流ソンは
穏やかな、けれども何を考えているのかわからない表情で、気がつけば俺の隣にいて、俺
のダーティージョークやいやみを聞き流し、時には窘めて、そして最後には周囲と俺との
間を取り盛ってくれた。
その頃、俺の右脚はまだ健康そのものだった。俺には奇跡的なことだが、美しい恋人の
ステイシーがいたし、俺は毎日のようにスポーツを楽しんだ。ときどきはウィ流ソンを誘
って。俺は自分が変人扱いされていることはわかっていたけれど、今のように自分を醜い
とは思っていなかった。多分、俺は少しばかりうぬぼれていたのかもしれない。変人だろ
うときちがいだろうと、俺が有能で敏腕な診断医であることは確かで、美人の恋人もいて、
どんなときだろうと正しいことを言えるただ一人の人間だと自分のことを思っていたのだ
から。
だからきっと、俺の右脚がこうなったのは、天からの裁きだったのだろう。
俺は傲慢のペナルティを払った。嫌というほど払った。絶えず右脚が痛むようになった
とき、俺はあらゆる可能性を疑った。確かに、最初に俺が掛かった医者は無能だった。俺
の右脚に血栓ができていることに気づかず、適当な治療で俺を追い払った。でも俺は最初
から俺以外の医者なんて信じていなかった。ようやく血栓を発見され、右脚の切断を同僚
のカディに勧められたとき、俺はこの女は馬鹿だと思った。右脚を切断した変人なんてし
ゃれにならない。哀れすぎる。いかに有能だろうとそんなことは誰も気にとめなくなるだ
ろう。俺は別のやり方があるはずだと思い、かたくなにそれを通そうとした。その結果が
これだ。
俺は自分の右脚に固執し、そのせいで命すら危うくなった。あのとき、朦朧としたもし
かしたら死ぬかもしれない、という予感はあった。だけど俺は自分の考えを曲げることな
どできそうになかった。何故なら正しいことを言えることだけが、俺の存在理由だから。
どんなに嫌な人間でどんなに変人だろうと、正しいことを言いさえすれば周りは振り向い
てくれるから。俺は自分が正しくなかったことを認めたくなかった。だから自分の命を犠
牲にしても、自分の考えに、治療方法に固執しようとした。血栓をなくし、すべてをなか
ったことにする治療に。多分あのままなら俺は死んでいただろう。事実俺は死に掛けた。
けれど、ステイシーは俺が昏睡している間に、妥協策として血栓のために壊死した周囲
の筋肉を取り除く手術を行う同意書に勝手にサインした。目が覚めて俺が直面した事実は、
俺は間違い、俺は騙され、そして俺の右脚は役立たずになったということだ。俺は杖なし
では歩けなくなり、しかも一生痛みを抱えていかなければいけない。傲慢さの代償はそれ
で、俺は見るも滑稽な変人になった。脚を引きずり、口汚く周囲をののしり、痛みに耐え
続ける道化師に。醜悪で滑稽な役柄だ。
ステイシーは何度も泣きながらあなたを愛しているからこうしたのと訴えた。死んでほ
しくなかったし、脚を切るのは嫌だというあなたの意思を最大限考慮したのだと。俺だっ
てそれはわかっていた。でも俺は裏切られたと思ったし、存在理由を消されたとすら思っ
た。俺の正しさを信じなかった彼女を許せなかった。そのうちに彼女は俺から離れた。俺
は前にもまして気難しくなり、辛らつになった。正しさにさらに固執するようになり、他
人を詮索し、人の秘密を暴くのがますます好きになった。真実を握っているのが俺である
限り、俺はただの滑稽な脚萎え男ではなくなったから。
ウィ流ソン。そうだ、ウィ流ソンに話を戻そう。彼は俺の治療に関らなかったし、俺が
ステイシーと別れたときも、彼女を許すべきだと何度も言ったものの、結局最後には黙っ
て俺の親友としての役割を演じ続けてくれた。ウィ流ソンは鎮痛剤の――ヴァイコディン
の――処方箋を俺のために書き続けてくれ、俺をハンディキャップのある人間として扱わ
ず、前と同じように接し、くだらない皮肉やジョークに答えてくれた。そのうちに俺は彼
にだけは嘘をつかないことを決めた。俺にはもう仕事と彼くらいしか残っていなかったか
ら、その二つにだけは誠実であろうと決めた。馬鹿げたことかもしれないが、それぐらい
の純情は俺にも残っていた。
「俺はいつも嘘を吐くし、すぐに他人を騙すが、君にだけは嘘は吐かない」
いつか俺がそう言ったとき――俺にとってそれは愛の告白にも近い、勇気のいる言葉だ
った――、ウィ流ソンは眉を上げてそれはどうもと返した。そんな軽々しい反応に俺は少
し傷つき、そして同時に安堵した。誰かと深すぎる関係を結ぶのはもうごめんだった。も
しかしたらウィ流ソンは、そんな俺の内心すら見越していて、あんな態度を取ったのかも
しれないとも思い、ますます彼といることに安らぎを感じた。口で何と言おうと、普段の
彼が俺をとても気に掛けてくれていることはわかっていたから、彼にないがしろにされた
とは思わなかった。
ウィ流ソンは俺の内面にいつも深入りしない。いつも軽口を叩き合えるような、適度な
距離をとってくれる。ウィ流ソンはとても優しい男だ。もちろん、彼は誰にでも優しい。
そしてすぐに女に惚れる。大体はブロンドの美人。一見完璧そうに見える彼は女にだけは
弱くて、何度か結婚と離婚を繰り返している。俺は彼に運命の女が未だ現れないことに少
しほっとする。でもそれが何故なのかわからずたまに不安になる。ウィ流ソンは多分それ
を知っていて、でも知らないふりをしてくれている。俺にはそれが心地いい。
右脚の痛みがひどいとき、ヴァイコディンが効かないほど痛むとき、ウィ流ソンはいつ
もふらりと俺の側にやってくる。俺が脚が痛むとは言っていないのに、それを察したかの
ように、けれども知らない顔でやってきて、俺の隣にいてくれる。そうすると俺の痛みは
少しだけ和らぐ。彼は俺をくだらない冗談で笑わせてくれる。遠慮のない、気持ちのいい、
誠実な言葉で俺をほっとさせる。そんな人間はほかにいない。多分、俺には彼が必要なの
だと思う。ヴァイコディンよりもずっと。
でも俺はそれを言わない。ウィ流ソンも俺にそれを言わせない。それを言わなければな
らないほど、俺たちの距離が縮まってしまったら、俺はきっとウィ流ソンの存在自体に苦
痛を感じるだろう。彼をそれくらい愛し、彼なしでいられないと認めざるを得なくなり、
彼の裏切り、ステイシーのような裏切りを耐えず恐れなければいけなくなったら、きっと
俺は彼の存在に痛みを覚え始める。それを知っているからウィ流ソンは俺と適切な距離を
保ち続けてくれる。彼はとてもスマートな男だから。
ときどき俺は考える。この右脚の痛みは、俺が正しくなかったことの代償なのか?それ
とも傲慢さの?それともステイシーを許せなかったことから来るのか?俺が彼女を許せれ
ば、この脚はこんなに痛まないのだろうか?
考えてもせんのないことだ。しかも医学的に見て、この脚は俺がどんな人格だろうと痛
み続けることくらいはわかる。俺は変われない。今更変われない。俺は右脚を引きずって
歩く、傲慢で気難しい、不恰好な医者だ。恋人もいないし、友達もいない。ただ一人、ジ
ミー・ウィ流ソンくらいしか。
それが現実だ。
変われない俺を知っていて、ウィ流ソンは何も言わずに俺の側にいてくれる。そうする
と少しだけ脚の痛みが和らぐ。自分自身を、ステイシーではなく、血栓を発見できなかっ
た無能な俺の主治医でもなく、俺自身を許せる。何故ならウィ流ソンが俺を許してくれて
いるから。右脚は相変わらず機能しないし、杖なしでは歩けないけれど、俺には親友がい
る。そう思うと少しだけ呼吸が楽になる。
きっと彼はそれを知っている。彼はとてもスマートな男だから。そんな彼が側にいてく
れる理由は俺にはわからない。俺はいつも本当に真実を知りたいときに限って、そこに近
づけない。多分俺はそれほど有能ではないのだと、脚の痛みが和らぐたび、ウィルソンの
横顔をこっそりと伺い見るたび、いつも俺は思う。穏やかで苦い気持ちで。
終
____________
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ マジデヤマモオチモイミモネーナ
| | | | ピッ (・∀・ ;)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
ここ数ヶ月書いてみたかった二人を一年の最後に書けてハッピー。
この二人は自分たちはもうオサーンだから見苦しいことはやめよう、と
心に決めて純情を胸に秘めてる印象でした。そのまんま書き散らかしたよ。
今年一年ここにはいろいろと世話になった。スレの皆さんもよいお年を。
あ、平安兄弟楽しみにしてます。佳境に入りましたね。
家GJ!!おっさん萌え
海外ドラマはてんこもりでいいですなあ
平安流石微シリアスでイイ!
最終回楽しみにしてます!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| タクミくんシリーズ。一学期のとある放課後。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ほとんどエロだったり…
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
187 :
kiss1:2007/01/05(金) 23:01:12 ID:r7RTDt850
「キス…させてくれよ」
オレは託生の耳朶へ、これ以上はない甘い囁きをくりかえした。
「キスだけ、な?」
右手では抱きしめている託生の肩をやさしく撫でながら、左手では煽るように股間を揉む。
極上にきめ細かい肌の、耳のすぐ下へ唇をそっと押しつけてから、赤く染まっている耳たぶにことさらねっとりと舌を這わせた。
この口と、この舌で、託生を感じたいんだ。と、ボディーランゲージでも伝える。
「――いいだろ?」
思いがけず掠れた自分の声までがぞくりと快感をそそる。
「ギイ……っ」
降参とでもいうふうに託生はオレにすがりついてきた。
めでたく恋人の了解を得て、彼の制服のズボンのジッパーを静かにおろしていく。
下着からとりだした託生のそれの、質量をたしかめる。
にぎりこんだ瞬間、託生は、小さくため息をついた。
「……っ」
オレの耳元でその吐息は反則だ。
場所も時間もわきまえず、押し倒したくなるじゃんか。
恥ずかしさからだろう、オレの肩口へ額を埋めようとする託生の顎をとらえて口づける。
深く唇を合わせながら、オレはゆっくりと託生を背後の壁へもたれさせた。
屋根裏部屋に西日がさしこむ。
開け放った窓から見えるのは朱色を刷いた雲をうかべた空のみ。
野球部とテニス部のかけ声がきれぎれに聞こえてくる。
「……っ、ん」
託生はしどけなく足をひらいて、その根元にオレの頭をかかえこんでいる。
オレは託生の腰をつかまえていた。
ひときわ感じるたびに、まるで逃げたいみたいに後ずさろうとするので、しっかりと押さえつけている。
188 :
kiss2:2007/01/05(金) 23:05:05 ID:r7RTDt850
「……ーっ」
声も喘ぎも、必死で抑えている託生。
そのせいでオレの与える愛撫に溺れきることができないのだろう、なかなかイけないでいる。
放課後の校舎の片隅という、シャイな恋人にはどうしても情事に集中できないこのシチュエーションを、オレとしては最大限に利用して、さきほどから思う存分舌技を披露していた。
……いや、正直に言うと、好き放題にしゃぶっている。
口一杯に根元まで頬張った熱くてこりこりとしたこれは、けっして食い物ではない。
ではないが、非常に美味なんだ。こんなにも旨いものを味わうのは生まれて初めてというくらいに。
最も直截的なしあわせを舐めまわしている。
キスだけだと言いながら思いきりくわえこみ、舌をきつく絡みつかせてくねらせている。
あとからあとから湧いてくる唾液までもが甘い。
こんなにコレに自分が嵌れるとは、知らなかった。
去年同室だったときは、託生は恥ずかしがって結局させてくれなかったからな。明かりを落とした305号室のベッドでだって、いやがっていた。
そのことだけを思うと、逢瀬どころか視線を交わしあうことすらままならない現状にも溜飲が下がる。
今の託生は、求めれば、ここでその身にオレを受け入れることだってしてくれるに違いなかった。
――そんなあわただしくて乱暴な、まるきり性欲だけみたいなセックスなど絶対しないが。
しかし、そう確信しながら託生のものに吸いつき、唇も余さず使って頭を前後にふりながら容赦ない愛撫を塗りこめていくのは、深いふかい快感を呼び覚ます。
欲情を吐きだせばおさまる肉体的な快楽とは次元の異なる、熱くて昏い快感。
魂に響くと言えば聞こえはいいが、じっさいは脳内麻薬に中毒しているのであって、ここで託生とこういうふうに過ごすことを覚えてしまった煩悩はもうオレ自身にも制御が難しい。
「……っ!」
ふいに託生が、くしゃくしゃとかき回していたオレの髪をひっぱった。
指先にはとうに力など入っていない。痛かったわけではなかったが、オレは上目遣いに託生を見上げた。
189 :
kiss3:2007/01/05(金) 23:07:13 ID:r7RTDt850
瞬間、背筋に電流が走った。
潤みきった双眸と目が合って。
――いや、真っ黒な瞳はぼんやりとしているから、正確には目は合っていない――
「あ……ギっ、や…ッ」
小さく喘いで、託生は、つかんでいたオレの髪を自分のほうへ引き寄せようとした。
オレは愛撫も忘れて託生の上気した顔に見蕩れていた。
それに気づいたのは、焦れた託生がオレの後頭部へ指をかけたとき。
わずかに引き寄せられただけで、唾液が溢れた。その水音がやけに大きく聞こえて――
われに返った託生と、今度こそ目が合った。
「……あ、あっ、ヤだ…ギィ、……見ないで」
突き上げてくる恋情に堪えきれない風情で託生はきゅっと目をつぶり、その拍子に、目尻からこぼれた涙が桃色に染まった頬をつうっと滑り落ちた。
色っぽい、なんて言葉じゃとうてい追いつかない。
その、紅く色づきしっとりと濡れている唇に食らいつき。
肉の薄い両足をまとめて抱えあげて。
オレを突き刺したい――!
めちゃくちゃに突きあげて、一気にイきたいっ。
「……ッ」
「……ふ…あ、はあっ」
託生の先端からじわりと染みだした苦い液体が、オレの喉を焼いた。
オレは、ありえないことに、――情けないことに、急激に沸いた欲情のあまりの濃さに、かえって腰に力が入らなくなってしまっていた。
まあしかし、一瞬激烈に身の内を走り抜けた欲望のまま託生にのしかかっていたら、オレを迎え入れる準備など何もしていない託生を傷つけていたに違いないのだからしょうがない。
無意識の自衛だと思っておこう。脳裡に焼きついた今の託生のひどく艶っぽい表情も、思い出すのは一人寂しく寝る夜にだ。
……それにしても、素晴らしい貌だったな。
オレは頬だけでにやりと笑って、託生を追い込むべく愛撫を再開した。
190 :
kiss4:2007/01/05(金) 23:09:57 ID:r7RTDt850
******
託生の放ったものを飲み込んで、一滴残らず啜りとったあと、オレは制服のポケットからウェットティッシュを取りだした。
託生が情欲を搾りとられた余韻から覚めないでいるうちに、さんざん愛したそれを丁寧にぬぐって下着にきちんとしまい、最後の仕上げ、ジッパーを元通りにするところまでオレがやった。
「……ギイのポケットって、不思議だね」
ぽつりと呟く託生をそっと抱きかかえる。
「ん?」
「何にも入ってないように見えて、いつも必要なものがちゃんとそろってるんだもん」
オレは笑って、託生の頬に音をたててキスをした。
それはね、託生くん。オレがこういうコトをやる気満々で、そのために用意していたからなんだよ。こういうのはただ単に準備がいいって言うんだ。
まったく。オレを揶揄する格好のチャンスだろうに、無邪気に感心しているなんて。
そんな託生を、本当は、片時も側から離したくない。――本音を言えば。
しかし、だからこそ託生を、オレの肩書きやそれに群がる輩から極力隔離していたいのもまた偽らざる本心だった。
そう。二年のスキー合宿のとき、それをつくづく実感させられたっけな。
学生の分際で――自らの力量を資本に起業しているならともかく――肩書きなんぞ持っている自分が空しくなる。
けどそういうオレだから、わざわざ託生のいる日本の高校へ留学できたのも事実だ。オレはまだその矛盾にうまく折り合いがつけられないでいる。
「……あ、あの……」
託生が艶っぽい流し目でオレを伺う。
「どうした。そりゃ、まだ全然足りないだろうけどな。ここじゃこれ以上は無理だろ?」
「ち、違うっ! そうじゃなくて、今度はぼくが――その、ギイの、を……」
尻すぼみになる声。うつむいていく眼差し。伏せられる睫。朱を刷く頬。
愛しい――託生。
191 :
kiss5:2007/01/05(金) 23:14:02 ID:r7RTDt850
きっとそう申し出てくれるだろうと予測していたから、微笑って応えられた。
「オレならかまわない。けど、だから、今夜、来てくれよ」
託生はちょっと拗ねた目でオレをにらんだ。
「ギイってば、あいかわらず余裕だね。いっつもそうだ。ぼくばっかり、夢中にさせられて……」
まだ十分に潤んでいる瞳で気丈ににらみつけてくるその視線ひとつで、どれだけオレを煽ってるのかなんて、おまえにはきっと一生わからないんだろうな。
ふたりきりの今だからこそポーカーフェイスで無理やり抑えつけておかないと、おまえの身がもたないんだよ――
そう白状したっておまえは本気になどしないだろうってことまで、たやすく想像できる。
「そうかそうか、そんなに夢中になってくれたか」
「もうっ、ギイ!」
まぜっ返すオレにあっさり煙に巻かれて、ますます唇を引き結ぶ。
けどその子どもっぽい仕草と色づいたままの唇の紅さのアンバランスさに、結局オレは降参するしかないんだ。
オレを小突いてきた腕をつかまえて、その細い手首をひっぱって。託生の腕時計を、オレは覗きこんだ。
「おっと、もう時間だな。託生、オレはいくけど、おまえはあと、そうだな、三十分はここにいろ。ここから出るなよ」
「何? なんで? ギイだけずるい」
「ずるい、じゃないよ。そんな、めちゃめちゃ色っぽい顔を晒して歩くつもりか?」
「え、ええっ? ウソだっ」
オレはぱんぱんと順番にポケットを叩いて、今度は胸元から小さな鏡を取り出した。
「ほら」
自分の顔を確認した託生の頬が、さらにぽっと赤くなる。突き返してきた鏡を、オレはありがたく受け取った。
これで託生はここで確実に半時間はじっとしている。
けっして、閉じこめたいわけじゃないけれど。
オレだけが知っている託生の居場所というのは、なかなか魅力的なんだ。許せよ。
192 :
kiss6:2007/01/05(金) 23:16:05 ID:r7RTDt850
「わかったよ! ギイ、さっさといけば?」
「託生? ――託生」
そっぽをむく託生の耳元へ、オレは囁いた。
「今夜、消灯後、わかってるな?」
「知らないっ」
「託生。頼むから、絶対来てくれよ」
「ギイ……」
ようやくふりむいた託生は、オレの目をじっと覗きこんで。
その奥に託生の見つけたのはオレのほんの一部、かけら、氷山の一角だけのはずだ。完璧なポーカーフェイスでさえ隠しきれない。
でもそれだけで、十分伝わる。
託生は照れくさそうにうなずいた。
「わかったよ、ギイ。今夜、消灯後だね」
愛している。
託生、愛している。
自分がどれだけ恋人を煽りにあおったまま、仕方がないとはいえ何時間も焦らしたのか。
託生が気づくのは、――きっと明日の朝だ。
____________
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ソロソロシドウヘカエリマセンカ?
| | | | ピッ (・∀・ ) ナツヤスミナガスギ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
わーい、GJ!GJ!毎回楽しみにしています。
消灯後、ぜひお願いします!
今、性頭語と出た…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )朝の情報番組「スキーリ」の司会×金曜レギュラーのイケメン弁護士のお話。
以前、弁護士さんネタ書いた者ですがようやく正式な相手が見つかりましたので投下します。
196 :
加東×矢城1:2007/01/06(土) 18:42:47 ID:g3EhPFVoO
「今日、そういえば雪が降るみたいですよ」
アラームが鳴る一時間前に目が覚めて、昨夜見た天気予報をぼんやりと思い出した。
外からは、しとしと雨の音。
隣りでまだ夢の中にいる年下の恋人に、僕は独り言の様に話し掛ける。
もちろん返事は無い。
「まだ二人で雪を見た事無いんですよねー、僕ら」
二人が出会ったのは寒さも落ち着いた春だった、と思い返しながら彼の髪を撫でる。
ピクリと反応する瞼と、不機嫌そうにくぐもった唸り声。
その寝顔はまるでふてくされてるみたいで、思わず笑ってしまう。
「ねぇ、お昼は何処に行こうか」
たまには、お気に入りのレストランに連れていきたいな。
でも「あんなチマチマしたもん、高いだけで食った気しねぇって!」と吠える姿が目に浮かぶから止めておこう。
やっぱり彼に合わせて、ラーメンがいいかなぁ?
こうして一人で考えを巡らせるのも楽しいと教えてくれたのも、そういえば彼だった。
197 :
加東×矢城2:2007/01/06(土) 18:44:08 ID:g3EhPFVoO
「それにしても…これだけ話しかけてるのに全然起きないんだね」
「んー…」
一向に起きる気配が無い彼。
そっと顔を近付けて、軽く頬にキス。
まだ起きない。
調子に乗って、唇にも。
やはり反応無し。
「うーん、起きないもんだなぁ…っわぁ!」
諦めて起き上がろうとした瞬間、手首を掴まれ引き寄せられる。
驚く僕の目の前には、まだ眠そうな彼の顔が。
「矢城さん、もっかいしてー…」
「な、いつから起きてたの?!」
「あ?今起きた…」
耳元に響く掠れ気味の声、そのままぎゅっと抱き締められキスされた。
少し高めな彼の体温。
押し当てられる唇の感触。
ふと、昨夜の行為を思い出して顔が熱くなる。
しかし彼は違う事を考えていた様で。
「ラーメン」
「は?」
聞こえてきたのは予想外の単語。
しかも、至って真面目な声色。
「腹減った…ラーメン食いてぇ…」
「あ、僕も食べたいなーって思ってたよ」
「えー?…矢城さんは、お高いフランス料理食ってりゃいいよ」
「何それぇ!」
わざと大袈裟に拗ねる僕を見て、彼がまだ少しはれぼったい目を細め嬉しそうに笑った。
つられて僕も声をあげて笑う。
198 :
加東×矢城3:2007/01/06(土) 18:44:51 ID:g3EhPFVoO
あぁ…幸せってこういう事なんだろうな。
頭の片隅でそんな風に思う。
「加東さん」
「んー?」
「…今日、雪が降るんですって」
「ふーん…。あー、何ラーメン食べよっかなー」
「ねぇ、話聞いてます?加東さん…」
「味噌かなー?いや、塩も捨てがたいなー…うーん」
「もう…」
彼の声に身を委ねながら、ゆっくり目を閉じる。
段々消えて行く雨音。
雨が雪に変わるまでもう少し。
その時を待ちながら、こうしてまどろんでいよう。
絡めた指はそのままに、温もりだけ分かち合って。
二人で見る初めての雪まで、あと少し。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )マイナーカプだけど、毎週金曜日に見れる二人のイチャつきが堪らないよ!
>>199 GJ!ほんわか萌えたよ。
萌えついでに来週金曜に番組見てみますw
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 流石兄弟 リバ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 平安X@DEEP
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
地雷注意!パートナー外濡れ場あります
あと1回で終わります。
202 :
平安X 1:2007/01/07(日) 05:39:18 ID:InkoeviD0
夢を見た。
黒い蝶が外を飛んでいる。
夜の闇を全て集めて溶かし、玉を砕いた鱗粉を纏ったような、そんな美しい蝶だった。
景色は冬枯れ。荒れた草むら。曇天の夕暮れ。人めも草も枯れ果てた土地。
蝶はゆるやかな弧を描いて飛び、そして目当ての何かを見つけた。
人の亡骸。眠っているような骸。その胸の上にふわり、ととまる。
蝶は羽を震わせている。
亡骸に苦痛の色はない。穏やかな優しい表情をしている。それでも、死んでいるのだ。
ふたたび羽を揺らせて、蝶はそこから離れる。
今度はほんの少しだけ飛び、すぐに下りてくる。
死せる彼の唇の上。
まるで口付けをするように。
光がひとひら落ちてくる。
死者と蝶のロマンスを彩るために。
その顔が照らし出された。
ふいに、目が覚めた。
203 :
平安X 2:2007/01/07(日) 05:41:56 ID:InkoeviD0
自分の隣に温かい寝息。
慣れた、愛しい人の気配。
弟者はほっ、と息をつく。
眠れる人に口づける。
けれどその構図が、その夢によく似ていることに気付いて、慌てて唇を離した。
気持ちが収まらなくて、立ち上がる。
袿(うちき)もはおらずに妻戸をくぐり、東の対の母屋に行った。
夜が更けても宿直している侍女の一人に酒肴を見繕わせ、高杯を抱えてもとの対に戻る。
呼べば、こちらに来るのはわかっている。
だがなるだけ人を自室に寄らせたくない。ここは自分たちだけの場所にしておきたい。
妻戸をくぐると、眠っていたはずの相手が身を起こした。
軽く、触れるような口づけ。
月が傾いている。
甘いものを好む彼のために、椿餅を小さく割って、その口に入れてやる。
指をしばらく抜かずに、咀嚼の感触を味わう。
飲み込むときに、舌が指をなぞっていく。
好きに扱える小動物に見立てて、もう一つ菓子を入れてやる。
目を反らさずに、それを齧る。
「……他から餌をもらわなければいいのだがな」
「もらっていない」
兄者の言葉は菓子より甘い。けれど何の根拠もないのに、苦い思いが心をよぎる。
だから、酒を呑む。
「あまり過ごすな。悪酔いするぞ」
「もう酔っていますが、何か」
……あんたに、とは言えなかった。
204 :
平安X 3:2007/01/07(日) 05:45:03 ID:InkoeviD0
「牛車を飾ろう!」
恒例の五日に一度の出仕の後、まだ明るいうちに帰ってきて騒ぎ立てる。
「左馬頭が“貧富の牛車”に当たったのだ。うちのもあんな風に改造(カスタマイズ)したい」
「それは何なのだ?」
「超ぼろい牛車を凄腕の作り奴集団がギガクールな車に改造するのだ。
それを色黒の今様歌いが実況していく。内匠寮主催の技術革新キャンペーンの一つだ」
「ほう」
「あやつの網代車はいまや最新式も同然。全体は朱と黒の縞で、轅(ながえ)は萌黄、
輪(タイヤ)は紫に塗られて尚且つあちこちにお互いのしっぽをくわえ合っている蛇の紋が
描かれているというゴージャスさだ。更に中には碁と双六が備えてある」
「おい、俺はそんな車には乗らないからな」
「同じにはせん。黄と黒の縞模様にして比翼紋を散らそう」
「絶対にイヤだ」
「つまんないやつだな」
「つまらなくていい。おまえの趣味は酷すぎる」
「恋人一つとっても最高だと思うが」
「それくらいだ。趣味がいいのは」
205 :
平安X 4:2007/01/07(日) 05:47:47 ID:InkoeviD0
腕の中にひょい、と抱え込む。
「暇だったので唐櫃にあった絵巻を一つ広げたが、マニアックすぎた」
「何?」
「サスペンスものだ。薬子の変のやつ」
「薬子ちゃんはSexyで美貌で野心に満ち溢れていてなかなか魅力的だが、いかんせん熟女だからな」
「しかしあの感情が激したときにあげる叫びがこの事件から来たとは始めて知った」
「くぁwせdrftgyくすこlp…ってやつだな。まあ人死にが出たぐらいだからそんなこともあろう」
「あのあくまで軽い、やたらと薬子ちゃ〜ん、と甘ったれていた仲成が最後に
『妹にだけは手を出すな!』と叫んで死んでいくシーンはけっこう良かった」
「そうだろ。兄というものは人知れず苦労しているのだ」
「どうだか。おまえの口、と書いて呪縛の呪だ」
「祝うという字は兄がしめす、だ」
「しめされたためしがないぞ」
「いろいろとしめしているつもりだが」
「まあどちらでもいい」
唇を重ね、折れそうなほどに抱きしめる。
抗わずにされるがままの兄者の、衿の入れ紐をほどく。
206 :
平安X 5:2007/01/07(日) 05:50:59 ID:InkoeviD0
相手の声を聞いているだけで、イってしまいそうになる。
彼がこんな声をあげるまで、時を要した。
最初の頃は女性との経験はあるといっても、大いに違うので苦労した。
涙目になっている彼を見て何度かあきらめようとしたが、こんなときの兄者は絶対に引かない。
普段は割りと流されやすいのに、意地を張る。
幾度かの経験のあと、ふいに声が甘くなるのを聞いて、体中の血が滾った。
自分から欲しがるような動きをして、そのことに気付いて赤面し、
慌てて顔と躯を隠そうとしたあの日の彼が、今も自分の中から消えない。
禁忌だというのに、何か神聖なものの前にひざまづいて、祝福を受けているような、そんな気分。
こいつは俺の聖域なのだ、と弟者は思う。
なのに何故だが出仕すると、あちらにふらり、こちらにふらり、と花を求める蝶の様になる。
絶対に、彼ほど大事な相手は見つからないのに、さまざまな蜜を味わってみたくなる。
もしかして、彼を苦しめているのだろうか。
自問してみるがわからない。そのことについて触れられたことはない。
もともと、こんな地位にあればそれは仕事のようなものでもある。
できるだけ手駒を増やし、それを選りすぐって要所に配する必要がある。
ところが彼はそんな意識は薄そうだ。
思い返す。それはただの言い訳。
彼が使命感に目覚めて、さまざまな女のもとを巡りだしたら、自分はどういった行動に出るのかわからない。
声が、躯が、結末を迫っている。
しかし弟者はまだ味わい足りなくて、無理にそれを引き伸ばしている。
相手の潤んだ瞳が一瞬だけ開いて、ふたたび閉じられた。
207 :
平安X 6:2007/01/07(日) 05:54:48 ID:InkoeviD0
「……どう思っているんです」
脇息に半身を預けて、息を継いでいる彼にふいに尋ねる。
「何のことだ?」
「オレが遊びまわっていること」
少し驚いた顔。すぐに表情は戻る。
「別に」
「なんとも思わない、ってことですか」
「いや、割に妬ける」
「ほう。割に」
「なんだ、無茶苦茶妬けるからよせ、って言ってもらいたいのか」
「心にも無い事を言われても嬉しくない」
「……やけにつっかかるな」
「自分では好きにしているくせに、そんな関係でない正室にさえ妬いて、縛って、
勝手なヤツだと思っているんだろう」
「おい」
「意外にあんたは冷静だよな。牛車一つに大騒ぎするくせに、自分が迷惑をこうむらない限り、
オレのそっちには口も出さない」
「やかましいっ」
脇息を御簾に投げつけた。
らしくないふるまいに驚いていると、ぐい、と髪をつかまれた。
「妬いて欲しいのなら、そうしてやる」
遊びの様子はまるでない。
そのまま下へ押し付けられる。
「………咥えろ」
聞いたこともない言葉に驚いて、上目使いで見上げると、見たこともないほど冷たい瞳をしている。
「何を呆けている。さっさと口を開け。……歯を立てたら承知しない」
恵まれた権門の若君に特有のあの表情。下の者を人などとは思わぬ態度。
まさかこいつにそんな部分があるとは思わなかった。
208 :
平安X 7:2007/01/07(日) 05:58:39 ID:InkoeviD0
無理無体に従わされる。先刻までの甘さは微塵もない。
瞳はやはり冷たいままだ。
―――違う。こんなのは彼じゃない。
目を開けたまま言葉どおりにふるまい、怒りと悲しみを感じている。
そのくせ躯は再び反応を始めている。
下仕えの老婆にさえ叱られて、しゅん、としている普段の彼。
争い事など起こりかけると、全速力で逃げようとする不戦主義者。
脳天気な天然系。
思わず歯を立てる。苦悶している相手を横目に身なりを整える。
立ち上がり、兄者の着物を庭に投げ、裏を回って北の対の方へ歩く。
妙に冷静だ。
北の対の裏手の築地塀(ついじべい)の下部に、人ひとり通れるほどの穴があいている。
下働きのものが、急ぎの買い物の際などに使うことを知っている。
置いてある、見た目よりは軽い石をどけて外の通りに出た。
209 :
平安X 8:2007/01/07(日) 06:01:52 ID:InkoeviD0
顔を晒して歩いても、闇が濃いので気にならない。
大分歩いた。
時たま前駆の声に払われ、夜歩きの牛車に追い越される。
いつもは自分より下の地位の者が、幾人もの供に囲まれ、温かく護られたまま通るのに出くわす。
そのうち一つはえらく派手だ。例の左馬頭のものらしい。
―――これが本来のオレの位置のわけだ
母者が温情を示さなかったら、幾ばくかの銭と共に捨てられて、その日のうちに息絶えていたかもしれない。
あるいはどうにか生き延びて、盗みたかりに身を染めて、いっぱしのワルを気取っているとか。
幼いうちに色子として売られ、媚を仕事として生きていることも仮定できる。
そして通りがかるうちの車なんぞを眺め、あんな身分の人になれたらお腹いっぱい食べられるのかなぁ、
などと考えたかもしれない。
……中に、同じ顔の男が乗っているとは考えずに。
闇雲に歩き回っているうちに右京の方に出たらしい。
大きな邸はまばらになり、闇は更に深くなった。
門の篝火もないほうが多い。
そんな中、一つだけ火の点された邸に出た。
ずい分と古い。が、大きいことは大きい。
そしてなんだか見たことがあるような気がして首をかしげた。
「……兄者様ではありませんか」
急に声をかけられて、飛び上がりそうになる。
振り返ると、人のよさそうな老爺が微笑んでいる。
「牛車とお供の方は?」
「近くに置いて、月を見るために歩いてきた」
咄嗟に答える。
「それは風流なことですな。すぐに主人に取り次ぎましょう」
そのまま寝殿に上げられる。
どこかわからぬまま、円座に座っている。
210 :
平安X 9:2007/01/07(日) 06:15:54 ID:InkoeviD0
使用人はひどく少ないようだ。
先程の老爺と雑仕が二、三人ほど。それと牛飼い童のほかは見当たらない。
もしかすると通いかもしれない。
建物は最初の印象どおり古い。
だが掃除は一応してあるし、火桶の火も熾っているので、冷え切った体はどうにかほぐれる。
あたりを見渡す。
―――多分、子供のころ一度来たことがある
急に行けなくなった兄者の代わりに。そんなことはその時だけだったので覚えている。
――-ということは
腰を浮かせかけたとき、邸の主人が現れた。
従兄弟者だ。
互いに、息を呑んだ。
従者の報告に肩を落とす。
動けるようになって慌てて追ったが、見失っていた。
大分探した。
人も使った。
けれど弟者は見つからない。
すでに三日経っている。
眠れないし胃が痛いが、自分は出来ることをやらねばならない。
別人の顔で立ち上がった。
211 :
平安X 10:2007/01/07(日) 06:19:35 ID:InkoeviD0
衣冠姿を改めて、ラフな格好のこの男は未だ見慣れぬ。
「……どうしている」
意地を張って聞かなかったが、限界だ。
「おまえになりきっている」
酒を呑みながら従兄弟者は答える。
「いつもどおりってことか」
意外に想われていなかったのかもしれない。
「いや、普段あいつが来るときは少し表情が違うし、時たま左手を使ったりするが、
今は完全におまえだ。主上でさえ気付いていない」
冷え切った彼の瞳を思い出す。
そっちの方が本性なのかもしれない。
「………」
「あと、おまえの女と片端から寝まくっている」
「………」
「口の軽い梨壺の子からきいたが、そこそここなしているらしい。紐はよく絡めるそうだがな」
全身がひりひりする。口が乾く。
土器(かわらけ)をつかんで一息に呑む。
対峙している世の中でもっとも苦手な相手は、しばらく黙ってそれを見た。
酒が空になってしばらくしてから、言葉を足した。
「ピロウトークで聞いたそうだ。『俺が隠れるとしたら、どこに行くと思うか』
別の女房の噂でも同じ話だった」
夜は更けている。
月はまるで縮んだ様な下弦の月だ。
「どうするつもりだ」
ここでいつまでも厄介になるわけにもいかない。
だが、帰れない。
黙って唇を噛んだ。
うつむく弟者を従兄弟者はただ見つめている。
212 :
平安X 11:2007/01/07(日) 06:23:53 ID:InkoeviD0
門の方から物音がした。
数少ない使用人はすでに眠っているはずだ。
音は東の対へと回る。従兄弟者の居室のある方だ。
彼は立ち上がり、黙って出て行く。
階(きざはし)のあたりから声がした。
「従兄弟者―、弟者が見つからない」
遠いので聞き取りにくいが、半泣きの声は確かに兄者だ。
―――何故ここに
寝殿から出て渡殿を通り、こっそり東の対に入り込む。
しかし格子が開け放したままなので、近くには寄れない。
じっと、聞き耳を立てる。
「探したのだ。でもいない。母者のとこにも、姉者のとこにも。女の所にも」
泣き声が響く。
「よせ、みっともない。泣くな」
「従者も使った。全て手を打った。でもあいつ、どこにもいない」
子供のように泣いている。
「おまえ、歩いてきたのか」
「どっかその辺にいないかと思って」
「おまえの弟は野良犬か何かか」
「野良犬に噛まれていたらどうしよう……うわ―ん」
213 :
平安X 12:2007/01/07(日) 06:27:24 ID:InkoeviD0
ここでもまだ聞き取りにくい。顔も見えない。
弟者は決意して、天井裏によじ登った。
ひどいほこりにむせながら、声の方に進む。
「見苦しいからとにかく泣き止め」
「だって弟者が……」
「涙と鼻水をこすりつけるなっ!」
―――気が動転しているからといって、くっつくな。
歯噛みしつつ、節穴から覗き込む。
いる。べしょべしょに泣き崩れた恋人が、苦りきった従兄弟者にしがみついている。
「あいつ、何も持たずに出たのだ。食うにも困っているんじゃないだろうか。
俺が悪かった。あんなにいじめるんじゃなかった」
―――そうだ。少し反省しろ
ちょっと小気味いい。
「おまえ、どこか知らないか。あいつが見つかるのなら、俺の命だってくれてやる!」
妙な音がした。
その瞬間、ぼろな天井の底が抜け、弟者は地上に落下した。
「……痛っ」
腰を打った。
「………弟者!?」
兄者が駆け寄る。
抱きつく。
唇が重なる。
それから従兄弟者を振り向いた。
「………いるか、命」
「いらん!」
それから兄者は一瞬考え、ふいに表情が険しくなった。
214 :
平安X 13:2007/01/07(日) 06:30:51 ID:InkoeviD0
「おまえ……弟者と!」
いきなり、下腹部を蹴った。さしもの従兄弟者が、腹を押さえてうづくまる。
「以前、言ったはずだよな。殺す、と」
懐剣が光る。
こんなに激した兄者は見たことがない。
慌てて間に飛び込む。
「のけ!俺はこいつを殺す!」
「してないっ!大体できるか、こんなヤローと!」
従兄弟者が微妙に不愉快そうな顔をした。
兄者はまっすぐに弟を見る。
「……本当か」
「当たり前だ。おまえ以外の男とはできない」
―――典侍(レモナ)は例外だよな、とちらりと思う。
「じゃあなんでここにいるんだよ!」
「行き場がないからだろっ。どこ行ったってあんたにゃお見通しだろうし!」
「何かがあろうがなかろうが、他のヤツの所なんか行くなよっ」
「じゃあ行かせるなよっ」
「イかせたいよ、俺はっ」
「オレだって!」
「……何を言っている」
復活した従兄弟者が、冷静につっこんだ。
その声を聞いて、彼の存在を思い出した兄者が明るく言った。
「おお従兄弟者、すまないが一部屋貸してくれ」
思いっきり、下腹部を蹴られた。
くの字になって苦悶している兄者に、冷たく言う。
「ここでサカるな。雑仕をたたき起こして牛車を貸してやるから帰れ。するなら帰ってやれ」
憤然と、その場を歩み去る。
だがすぐに引き返してきて念を押した。
「絶対にうちの牛車でやるなよ!」
さすが従兄弟者カンがいい。
215 :
平安X 14:2007/01/07(日) 06:33:58 ID:InkoeviD0
弟者が自邸の近くで下りて、北の対の裏へ行く。その少しの間が不安だ。
借りた雑仕を休ませる指示をするのももどかしく、東北の対の自室に駆け戻る。
飛び込むと、角盥でほこりを落としている。
ただ抱きしめた。
涙というものはどれほどの量があるのか。
一生分、使ったかもしれない。
そう思ったが、愛する相手を抱きしめていると、いくらでもまた、溢れてくる。
「……どこにも、行かないでくれ」
べたなセリフも本気で言える。
相手は黙ってうなづいた。
恋人の唇を受けながら、その胸に疑惑が生まれる。
―――何故、まっすぐ東へ行った。
迷いのない慣れた足取りだった。
あの邸の老爺は無駄口を叩かなかったが、兄者が来ることを珍しいとは思っていないようだった。
しきりに名を呼ぶ彼の声。それに答えて交わす唇づけ。
体の奥から生まれる衝動。
溶けるような熱い感覚。
相手と自分の熱が一つの焔になる。
その中に、針の先ほどの小さな影。
弟者は微かに声を漏らした。
216 :
平安X 15:2007/01/07(日) 06:49:26 ID:InkoeviD0
内裏帰りの牛車が、車宿りに止められる。
手配した職人たちが、仕事を終えて庭から出ようとしているのにでくわす。
それを呼び止めさせ、供の者を通して銭などを渡す。
老爺には、自ら品を手渡す。
「世話になったな」
「いえいえ、楽しゅうございました。主人に取り次ぎましょう」
「いや、直接行くからいい」
何度来ようと、律儀に接する真面目な男だ。
従兄弟者の邸の東の対の屋根は、完全に直っている。
階を上がり、一つ奥まった部屋の方へ入るとそこに彼はいた。
「…殺しかけた相手の所のよく平気で来るな、おまえ」
「いや、すまん。ついカッとしてやった。今は反省している……ダメか?」
「来い。覚悟はしているだろうな」
「それはもう。奴隷扱いされても文句は言わん」
「こんな可愛げのない奴隷などいらん」
ふ、と微笑って近寄った兄者は、すでにいつもの彼に戻っている。
紐を解きながら念を押す。
「しばらく来るな。おまえの弟は割りに鋭い」
「ああ。俺と違ってバカじゃない」
柔らかな絹紐で、腕を縛られた。
217 :
平安X 16:2007/01/07(日) 06:52:09 ID:InkoeviD0
「で、何がこの騒ぎの原因だ」
「なんだ、あいつ言わなかったのか」
「黙って膝を抱えていたぞ」
「俺が妬かない、とか戯言を抜かすもんだからかっとしていじめた。
……まあ、しっかり仕返しはされたがな」
「妬いているのか」
「アタリマエだ!でも言えるか、死ぬほど妬いてるって。視線すら人に向けるな、なんて。
あいつは閉じ込められて育ったんだぞ。他者に過剰に触れたくなるのはそのせいだ。
それを止めるのは俺のエゴだ」
するり、と身体を抜いて衣を身につけ始めた。
それを留めて紐を結んでやる。
こいつに任せておくとすぐにばれる。
「それじゃ、まあ、宿直の時にでも」
なんだか、影が薄く見えた。
「待て」
呼び止めると振り返る。ちょっと面白がっているような表情を見せた。
「……せいぜい愉しむことだな」
言いたかったことは言えない。聞きたかったことは聞けない。
「お言葉に従おう」
軽く手を振って部屋を出た。
了
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ) オシマイ!
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>218
乙!激しくGJ!!
リアルタイムに初めて出会って興奮しながら待ってたよ(*´∀`)
過去ログも読みつつ毎回楽しみにしてたけどこれで完なんだろうか
とにかく乙、そしてGJ
>219
ありがとう。あと1回で終わります
>220
読み返して気づいたよ…スマンカッタ
楽しみにしています、がんがってください
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|
>>100の続き、2回目描写ありです
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ェロは番号を*で囲んだので、注意して下さい
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ※しつこいですが逆CPではないので注意です
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
223 :
1:2007/01/07(日) 20:23:51 ID:ZSD4d4Im0
「すっかり、遅くなっちゃったな。」
ふっと話が途切れた時を捕らえて、右隣に座った彼を見上げた。彼の表情がさっと変わる。
「え!いやあの。」
「そろそろお暇した方がいいかな。」
彼が何か言いたそうにしているのに心苦しくなるが、感情を押し隠してソファから立ち上がろうとした。
「駄目です!」
しかし彼は左肩に手を回してきて、それを許してくれなかった。上からの、切羽詰まったような視線が痛い。
「何が、駄目なんだ?」
目を合わせたまま彼の手に右手を乗せて、何とか外させようとした。今帰らなくては、先日と同じ事になる。
「この間の事、忘れたわけじゃないすよね?」
「忘れてないよ。」
彼の手がしっかり左腕を掴む。長い指が食い込む感触に、心がよろめく。その手を振りほどけなかった。
「・・・じゃあ、責任とって下さい。」
彼の部屋に今日来たのは、交友関係の事で相談したいと言われたからだ。
話題の性質上、そういう雰囲気にはならないと思ったし、第一深刻そうに言われてとても断れなかった。
だが会ってみれば彼はいつも通りの明るさで、面食らった。肝心の悩みも、どうも愚痴程度のものらしかった。
だから要は誰かに話したかっただけなのだろうと思って、相づちを打ちながら長い話を聞いていた。
224 :
2:2007/01/07(日) 20:24:25 ID:ZSD4d4Im0
夕食時も過ぎた夜に、ついこの間彼を抱いてしまった部屋で会うという事に対する警戒は解いていなかった。
あの時一度きりの甘い思い出にしたかった。そうそう会える間柄でもないから、お互いにとってその方がいい。
そう自分に言い聞かせてきた。そしてそのためにも俺がしっかり現実を見て振る舞わなくてはならない、と。
いやそんな綺麗事だけではない。すらりとした長身を躍動させる彼は、俺には勿体ない若さ、魅力を持っている。
そんな彼に今惚れ抜いていて、あの晩を経てますます心が抑えられない自分をどうにかしたかったのだ。
「ちゃんと楽しませますから。」
引き寄せられ、彼の腕の中におさめられる。顔を上げると、切れ長の目はまじまじと俺の顔を見ていた。
ここで彼を抱いたら完全に、元チームメイト、ではいられない気がする。きっと今以上に苦しい事になる。
「言ってる意味、分かります?逃げないで下さいよ。」
けれど愛おしい。その若くて強引な腕も、重ねて切り出される誘惑の言葉も、少しのためらいを含んだ表情も。
「うん。」
すっかり魅入られて、返事が口をついて出た。腹を括った。どんなに辛い思いをしてもさせても、後悔はしない。
両腕でがっしり抱き締められていた。そんな事をしなくても、俺はもう彼の思いに全身で応えたかった。
首を上げて、乾いた唇を触れ合わせた。彼は少し戸惑ったような表情を見せたが、すぐに舌で舌を誘ってきた。
口の中を一通りさらう。それから長い舌を裏まで舐めたり吸ったりすると、腕の力が弱まってきた。
逃げ気味になる彼の頭と腰に手を延ばした。混ざり合った唾液が溢れて、彼の口角から伝った。
この前と全く同じように、彼とともにソファに倒れ込む。長い首筋に唇を付けると、彼は頭を抱いてくれた。
225 :
*3*:2007/01/07(日) 20:25:04 ID:ZSD4d4Im0
***
彼は俺のジャケットを脱がせ、その下のTシャツを捲り上げて、広げた小さな手で胸全体を撫でてくる。
指先が敏感な所をかすって、俺はぐっと唇を噛みしめる。こんな風に体が感じるとは、この間まで知らなかった。
それから唇が何カ所にも押され、両手も舌も頬も胸に寄せられて、また何とも言えない心地になる。
気持ちがいいような、くすぐったいような。体が火照るような、肌が震えてしまうような。
一度経験した事だからと妙に安心して状況に身を任せていたら、急に乳首を二本の指で摘まれて揉まれる。
反対側にはいつも固く結ばれているはずの口がつけられる。舌でつつかれ、周りを丸く舐められ、吸われる。
一気にむずかゆい、どころか痺れるような感覚が全身を走って、悲鳴を上げてしまう。
空いた手でわき腹を撫でられるのがくすぐったくて抱き締めると、ごく軽く歯で噛まれて思考が吹っ飛ぶ。
体を捩っても、彼の動きに協力しているような気がする。嫌、と言おうとして、ただの喘ぎ声が漏れてしまう。
平静に見える彼の手つきがあまりに恥ずかしくて、それでますます体が過敏に反応してしまうのが分かる。
彼の手は着々と下半身にも伸びて、服の上から腿や腰、股間のあたりを撫でられる。
「もう、熱くなってる。」
真顔のままそんな事を言って、俺のベルトに手をかける。
「な、に言って・・・うっ・・・。」
熱いというか、相当硬くなってしまっている所を下着の上から掴まれて、指でなぞられる。
「ベッド、行く?」
何だか慣れた調子で服を全部脱がせながら、聞いてくる。その間にも律儀に胸を撫で、唇を落とす事を忘れない。
こんな状況で、返事をしたくない。しかし蛍光灯の白い光の中は眩しくて恥ずかしすぎる、と思い直す。
「いっ・・・きましょう!」
「うん。」
226 :
*4*:2007/01/07(日) 20:26:05 ID:ZSD4d4Im0
勢いよく起き上がるとぎゅ、と彼の顔を自分の胸に押しつけて立ち上がった。
裸の胸にあたる彼の髪がくすぐったい。そのまま早足で寝室に入り、自分のベッドに腰掛けた。
さっそく鎖骨に唇が降ってきて、それからまた仰向けにされる。手で股間をまさぐられ、ぐっと握りこまれる。
窪みを小指でなぞってきて、裏を手のひらでさすってきて、指を輪にして動かしてきて。的確な刺激に目が眩む。
彼にされている、という事実が俺を追い詰める。俺は熱い息を零して、彼の手の中にあっけなく放ってしまった。
息を荒げていると、彼も自分の服を脱ぎだした。夜目にも小柄で白く、しかし綺麗に筋肉のついた体に息を呑む。
足を広げられ、彼の濡れた指が入ってくる。この前よりは周りがよく見えるので、その指の動きがよく分かる。
ボールを握る、その指が何をしているか。滑りがいいのでまだ痛みはほとんどないのに、目尻に涙が浮かんだ。
「痛い?」
それにすかさず気が付いて、体を寄せてきながら心配そうな顔で声を掛けてくる。
「痛くない・・・っすけど、恥ずかしい。」
ほとんどヤケになって、本当の所を言う。こんな事言わされて、と思うとなおさら泣きたくなる。
「そんな、恥ずかしがる事ないのに。」
227 :
*5*:2007/01/07(日) 20:26:33 ID:ZSD4d4Im0
だが彼の目は真剣で、目が合うと今度は柔らかく微笑んで見せる。いつもは無表情のくせに、こんな時だけ。
思わず俺も笑ってしまう。お互いすっかり柔らかく熱くなった唇で、今日何度目かのキスを交わした。
溶けてしまいそうな口づけをしながら、身体を跳ねさせる所を探られる。熱に浮かされて、涙が滴る。
時間をかけて指を増やしゆっくりと解していく間にも、まめに胸や顎や唇に口付けたり、頬で撫でてきたりする。
丁寧で優しいやり方だったが、それでもうつ伏せで挿れられる時はやはり苦しくて、現実に引き戻された。
「無理っ・・・そんな大きい・・・」
「もっ・・・大丈夫だよっ。」
あんなものが入りきるなんて信じられない。だが体の内で、彼が熱く大きく脈打つのを感じる。
肩で息をする俺を宥めるように、肩口に唇を置いてくる。背に彼の胸が密着してくる。
両腕を前に回してきて、ぎゅうっと抱きつかれる。俺はその右の二の腕を掴んで、自分の胸に押しつけた。
「んっキツイ・・・力抜いてっ・・・」
俺の方がもっとずっとキツイはずなのに、その切なそうな声に心の奥の方が疼いた。
まるで彼の方が責め立てられているような声。一瞬想像して、それでまた彼を誘う声を上げてしまう。
やがて彼が腰を使う度に来る波に身を委ねた。彼の名前を叫んでいたら、俺の名前も切れ切れに呼んでくれた。
かなり時間をかけて突き立てられて、声を枯らして、そしてようやく2人で達した。
***
228 :
6:2007/01/07(日) 20:27:06 ID:ZSD4d4Im0
「おはよう。」
その声に目を開けた時、俺は彼を胸に抱き寄せていた。小柄だが腕も胸もしっかりしていて、手応えがある。
上目遣いを封じるために頭に手を回して、胸に押しつけた。腰がとにかく重たくて、あまり動きたくはない。
「今何時・・・すか?」
「8時前。」
抱き込んだまま彼の身体の背面を、手のひらを大きく使って撫で回した。時折くすぐったそうに肌が跳ねた。
量の多い髪、筋肉のよくついた肩と背中、締まった小さな尻。昨日彼を呼んだのは、「リベンジ」のためだった。
「起きなくていいの?」
「や、昼まで予定ないんで。」
それなのにまた、と考えると頭を抱えたくなる。しかも今回はわけが分からない内にというのではない。
始めにキスされた所で、同じ道を通っていると気付いたはずだ。でも気付かない振りをしてしまった気がする。
途中からは完全に分かっていて、彼に任せてしまった感じだ。全身で受け取るあの感覚を、再び求めてしまった。
「ふう・・・。」
息をつくと、黒い瞳で見上げてくる。考えてみれば、彼は今に至るまで、ずっと逆の発想をした事がないわけだ。
色白くてとっつぁん坊やで、一般人と比べても背が低い方で、性格的にもおとなしいばかりと思っていたのに。
「何かムカつく・・・。」
229 :
7:2007/01/07(日) 20:27:19 ID:ZSD4d4Im0
「え?」
好きな人がいるなんて言っておいて、結局そんな背格好で油断させて、俺をその体ですっかり痺れさせて。
俺がびっくりしたり動揺したりしている時も、この人は迷いなく冷静な感じに見えるのも気に入らない。
「ちょっとは悩んだらいいんすよ。」
そう言いながらも、彼の体温が、穏やかな視線が心地いい。俺より10歳以上年上のくせに、どことなく可愛いし。
「悩ましかったよ、あんな風に誘われて。」
真剣な顔して言われて、絶句した。本気なのは分かるが、恥ずかしいやら腹立たしいやらで顔が赤くなる。
「な・・・にふざけた事を言って」
「誘いに乗ったのは俺だったな、ごめん。」
唇がスローモーションで近づいて、俺の頬に触れる。この妙な状況全てに、彼は何の疑いも抱いていないらしい。
俺もその状況にはまりかけているんだろうか。もう何だか少し、それでもいいような気がしてきた。
何はともあれ今、彼は俺の腕の中におさまっている。誰にも渡したくないと思った。力一杯彼を抱き締めた。
「・・・また同じ試合に出られるように、今年こそ結果出すよ。」
くぐもった声で、彼も静かに決意を呟く。そうだ、ずっと捕まえてはいられなくても、俺達は同じ試合に臨める。
「そっ・・・すね。また、楽しみにしてます。」
同じチームの後輩として、彼に出会った。こういう機会とはまた別の意味で、やはり球場での真剣勝負は特別だ。
それぞれの1年が始まっている。3月にはまた同じ芝の上に立てるはずだ。また会える日が本当に、楽しみだ。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | | 色々と妄想捏造すみません
| | | | ∧_∧ 似たような役割なのに全くタイプの違う2人が
| | | | ピッ (・∀・ ) 2人とも可愛くて仕方がないです
| | | | ◇⊂ ) __では、長々とスレ汚し失礼いたしました
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| お借りします。劇場版風予告ごっこ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| いろんなネタの出るいいスレだよね
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
ネタは↓参照
801腐女子のための老後を考える
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1150892840/l50
232 :
1/2:2007/01/07(日) 21:41:22 ID:C3IN0LOj0
「おばあちゃん、この綺麗な本何なん?」
『いつも優しかった、明るくて元気だったおばあちゃんにも
私の知らないことなんかいくらでもあったのだ――』
20XX年。日本は人口の半数が65歳以上で占められる超高齢化国家と化し、
「高齢新人類」を超え、もはや社会は高齢者の、高齢者による、高齢者のためのものとなっていた。
そんな中とある老人ホームで、次々と老女が失踪する事件が発生。
曖昧な警察の捜査。不審な職員の態度。
失踪者の一人を祖母に持つ詠子は、親友の茉莉枝とともに捜査を開始する…
「キャアァァァ!おばあちゃん!!」
「Y.female…『腐女子』と呼ばれている彼女たちの臓器の状態が、一般人の60%以下に
消耗率をとどめている理由。それがこの新発見されたホルモン『モエストロゲン』だと考えられているわ」
「なんか最近もやもやするの、警察の人とか駅員さんとか見ると。へ、変だよね?」
233 :
2/2:2007/01/07(日) 21:42:27 ID:C3IN0LOj0
《腐》が世界に見せるのは、新たな楽園なのかそれとも――
「シエ守徹だって受けですよぉ!」
「この本、見たことある。小さいころ、おばあちゃんの部屋で」
「おねがい…積荷を、積荷を燃やして…」
『おばあちゃん、ポテトチップス食べた手であの本触ってごめんね』
「ライバル受けが主人公受けよりマトモなんて、誰が決めたんだよぉぉぉおぉおおおおお!!」
衝撃の展開、感動の涙、燃え、そして萌え…
夏の有明より熱く。
20XX年、全国ロードショー後悔!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| お粗末さまでした
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| どこで感動すればいいんだ…
| | | | \
| | □STOP | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 燃エト萌エハ?
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
すごく妄想をかきたてられるネタなので調子に乗ってしまった。
今はメモ帳に落書きしている。
なお、この作品は作り話です。実際の人物、団体とは関係ありません。
ちょ、モエストロゲンてwww
スレタイで誤解していたので、そのスレ今度覗きに行きます。
『積み荷を燃やして』バロスwwwww
カットビ一途とかどうですか?過去スレにもないし……
彰×幕の内やら………
積荷を燃やしてwwww
241 :
240:2007/01/08(月) 20:14:02 ID:yGh3kbCP0
〜消えない過去の過ち〜in801 二冊目
176 名前:風と木の名無しさん 投稿日:02/10/29 13:44 ID:ZqsPqihM
友達の車で始めてコミケに参加した帰りの高速道路で車が横転する自爆事故が・・・。
嫁入り前の娘4人が同人誌満載の車で死ぬのか?と焦りましたが幸い死人もでず
軽いゲガで済みました。救急車で病院に搬送中、車に残された同人のことばかり考えてた
自分に鬱。
183 名前:風と木の名無しさん 投稿日:02/10/30 03:21 ID:Ouh2+2Ww
>176
「積み荷を…積み荷を燃やして…」
-----------------------------------------------------------
懐かしいフレーズだったので、ログ探してしまいました。
スレ汚し失礼。
>>241 (((;゚Д゚)))オソロシイ話ダ…
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 100(99+1)だモナー。日本一周の時の。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| つうか基本は谷丘で中+丘
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 谷の嫉妬話
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
某スレの発言で思わず書いてしまった。709無断でスマソ。
709 風と木の名無しさん 2007/01/09(火) 01:10:55
高校から付き合ってるあの人が、機内の隣人にじゃれまくり。
しかも相手は天下の蛇二ー図。
どーすんの?俺!
ttp://kunekune.breeze.jp/up/uploader/src/up6209.jpg
これはロケだ。これはロケだ。これはロケだ。さっきから何度呟いたかわからない言葉。
そう、だから俺はここで大人しくしているべきで。間違ってもあの二人の絡みを邪魔してはいけないわけで。
それでも、高校時代から想い続けていた人が自分以外に無防備な姿を曝け出すのは耐えられない。
しかも相手は―――、いやそれより気になるのは二人の関係についてだ。
今でこそほとんど付き合いは無いらしいが、数年前はかなり仲が良かったらしい。
むしろ、約一年振りの絡みだからこそ、二人とも楽しんでやっているという風にも見える。
眠気で重たい頭をぐらぐら揺らしている自分の愛しい人、の隣に座る男は、隣人をちらちら気にしながらも自身の時計を磨くことに忙しいようだ。
男―――国民的アイドルの彼は自分とも面識があり人並みに付き合いはある。
だが、今は憎き敵にしか思えない。整った顔立ち、ふわりと靡くブラウンの髪、形の良い手
が、
今、
あの人のおでこに、
触
れた
ああああああああああああああ!!!!!!1!!
迷惑そうな表情の割には優しく叩かれて、あの人は重たそうな瞼を無理矢理開く。
「眠たいのはわかるけど俺の肩にもたれるな」そう言いたげな目線と、
自分が今何をしているのか何でここにいるのか何でこの状態なのかがまったく把握出来ていない目線が、ぶつかった。
近距離で見つめあう二人。
そんな二人を少し離れた所で見ていることしか出来ない自分。
歯痒さに胸が苦しくなって、斜め後ろに捻っていた上半身を元に戻すと激痛がした。どれだけ凝視していたのだろうか、自分は。
まぁ、あの人のお目覚め一発目の上目遣いに苦しくなったのは胸だけではないのだが。何だか違う所も痛くなってきた。
「もうお前には気持ちいいことさせられへんかもなぁ」心の中で下半身に呟いた。
自分が酷く空しい。この場に居たくない。微かに聞こえる声が地獄のようだった。
空に浮かぶ鉄の塊は、俺に逃げ道も作ってくれず、決められたルートを真っ直ぐ進む。
一人寂しいのでもっと下半身と語り合おうと身体を折ると、不意に不自然な感触がした。上着のポケットを弄ると硬い手応え。
取り出してみると手の中には三枚のカード。
「…なんかどっかで見たことあるような」
思わず呟いた言葉は周りの雑音に消えていき、俺のことを気にする者は誰も居なかった。
三枚のカードに書かれた文字。
→『無視』
『回収』
『告知』
何となく手に取ったのは『無視』という二文字。
「……………」
「……………………」
「…………………………」
「今までとなんも変わらんやん!」
どこにぶつけてよいかわからない理不尽な怒りでカードを破り捨てた。
細かく、細かく、文字が見えなくなるくらいに。
少し、気が落ち着いた。
『無視』
→『回収』
『告知』
次に手にしたのは『回収』。
さっきより冷静になった頭で考えると、答えは瞬時に出た。
その言葉の通り、あの人を回収すればいい。簡単だ。
こうなるとあの『無視』のカードも案外役に立ったのかもしれない。少なくとも希望の光が見えてきた。
俺は颯爽と席を立ち、彼らの元へと歩み寄った。
「丘邑さ………」
もう撮影は終わったのか、周りのスタッフはそれぞれ思い思いに過ごしていた。
弁当を食べる者、雑誌を読む者、寝不足のため睡眠を貪る者。
丘邑もその一人だった。
撮影でも振りでも何でもない。狭い飛行機のシートに身体全身を預けるようにして眠っていた。
余程起こそうかとも考えたがその可愛いらしい顔に疲れが浮かんでいるのを見て躊躇する。
そんな俺に気づいて、丘邑の隣から中井くんが口を出した。
「寝させてあげなよ」
「…わかっとるよ」
「…どうしたの?」
言われたのが彼でなかったらもう少し柔らかい声が出せたんだろうな。
心配そうな声音に少しだけ心が痛んだが、質問には答えずに席へと戻った。
最も、マジ寝をしている丘邑の頭が再び奴の肩に寄り掛かるのを見た瞬間、そんな考えは即座に吹き飛んだが。
飛行機の中で、充分とは言えないがある程度睡眠をとったおかげで、それからのロケは順調だった。俺以外は。
ふとした瞬間に下らないことばかり考えている自分がいる。そしてそんな自分に気がついた時が一番危ない。
頭が回らない。気の利いた返しが出来ない。上手く笑えない。
そんな司会者にスタッフ達は心配して次々と声を掛ける。
仕舞いには犬のバ.リ.ーにまで優しく手の甲を舐められて、俺はちょっとだけ泣きそうになった。
『無視』
『回収』
→『告知』
「このカード結局使わへんかったなぁ」
本日何度目かになる飛行機の中でその存在を思い出し、右手で摘まんで掲げてみる。
「何やそれ」
声が聞こえた瞬間に、カードは右隣に座る男の手に納まった。
「…あ」
「なんかどっかで見たことあるカードやな」
そう言って胡散臭そうにカードを見つめる丘邑。
幸か不幸か、今度は三人仲良く肩を並べての席。しかし、俺にはもう体力も気力もない。
「それ俺のやぞ、返せや」それでも精一杯、抵抗の声を挙げる。
丘邑はまるでそんな俺を無視するかのように、書かれた文字とその意味を読み上げた。
「『告知』。告げ知らせること」
「丘邑さん!」
「お前、今日なんかおかしいで。俺に言うことあるんちゃう?」
真っ直ぐな目で言い当てられて思わず俺は沈黙した。
それこそ返事を肯定しているようなものだと気づくのに数秒かかった。
真実を見透かされそうな澄んだ瞳から逃げたくて、思わず目を逸らす。
俯いた木目方の姿を見て丘邑は小さく溜息をついた。
「お前らしくないな、仕事を公私混同するなんて」
あれ、俺そんなこと言ったっけ。
一瞬の間の後、勢いよく顔を上げる。
「図星やろ」そこには気持ち悪いほどにやにや笑っている小さな男の姿。
「嫉妬したんやろ?俺と中井に。ふーん妬いてくれたんやあ」
「いや、あの、それは」
しどろもどろで答える俺を見て、丘邑は心から満足したらしい。
急に悪戯な表情を止めた。つまり無表情。
「つまらん心配なんかすな、アホ」
言うが早いか襟元を掴まれ強引に引き寄せられた。
厳しい言葉と裏腹の、触れるだけの優しいキス。
それは、高校時代に何度もしたものに似ていた。
幼く、それでいて大人びたい願望を併せ持った、もどかしい気持ちをどうすることも出来なくて、まるでお互いの想いを確認し合うかのように、何度も何度も触れ合った。
あのとき唇を合わせた人と、今もまたこうして心を通わせていられる。
そのことがなんて幸せなことだろうと思った。
素早くお互いの身体を離し、周りを見渡す。
誰も自分達の行為に気付いていないことを目線で合図し合って二人とも思わず微笑んだ。
約一名を除いて。
「ちゅーわけで中井、」
丘邑はいきなり憤怒とした表情で、先程から俺達に注がれていた冷たい目線の主を辿る。
その男の呆れたような表情を見ても丘邑はまったく怯む事なく、彼の耳元に口を近づけた。
周りを配慮して小さく、しかしドスの効いた声で呟いた言葉は俺の耳にも確かに届いた。
「谷辺は俺のモンやから手ェ出すなよ」
「いや丘邑さん、それ俺の言葉やから」
「つーかどっちにも出さねぇから!!!!!」
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ;) 期待通りにならなくてスマンコ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
一人でウンウン悩んでる谷と、そんな木目方に気づきつつも軽く放置プレイしてみる丘。
谷の苦労に気づかない丘でも良かったんだが無理ですたw無駄に長くてスマソ
>>251 GJGJ!
年末年始の萌えが集約されて形になった満足感をありがとう。
>>243 向こうの709だが、貴殿に勳一等を捧げる。
>>251 もももももももも萌えす・・・・!
ありがとう。ほんとありがとう!
最後の中井の台詞がイイ、ワロタw
注意。
■某声優スレのコテ・「ふくうち」(もちろん♂)×2ch管理人・「ひろゆき」■
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| つい書いてしまいました。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ま、かるーく流せよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〜省略〜
すると、ふくうちはひろゆきの肩に手をやり、優しくささやいた。
「( ・ω・)今夜は帰さないお」
「ちょww おいやめろって!」
照れながら、その場を離れようとするひろゆき。しかしふくうちは手の力を入れてそれを拒む。
「――放せよ」
「( ・ω・)やだ」
「……本気か?」
「( ・ω・))コクッ」
ひろゆきは唇を噛みながらも頬を紅潮させ、ばか、と呟く。
それを見てふくうちはにやにや笑っている。
――今日は色々あった。疲れたし、何より辛かった。
そんな日は、こいつと一緒に眠るのも悪くない……ひろゆきはそう思い、身体をふくうちに預けた。
終わり。
____________
| __________ |
| | | | 正直、すまんかった。
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ちなみにふくうちは
| | | | ピッ (・∀・ ) 「蟲師」のギンコの幼少時代のヨキという少年の
| | | | ◇⊂ ) __声をあてた声優のコテ。結構有名だお。
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
× → 声優のコテ。
○ → 声優のスレのコテ。
お粗末。
(´;ω;`)ブワワワッ
まじで悲しいぽ…
>>251 遅ればせながらGJ!!
萌えた!ありがとう!
(´;ω;`)ブワワワッ
ふろしき…
eto。。。まさか本気で閉鎖とか思っちゃってる?w
ネタでしたって、ネタばらししたじゃん…
マジレスすると2chは法人、ヒロユk個人の財産じゃない
日本はドメインの売買禁止、ここ大人板だよね、子供は巣ヘカエレ
>>266,267
何だかんだ言って親切な人達だよ。
現状をを説明してくれて有難う。
これで安心して眠れる…おやすみなさい。
すまん、そういう事に関しては無頓着なんだ。釣りだったらいいな、とは思ってたけど…おまいらありがとう
じゃあ閉鎖しないってこと…?
よかった、ありがとう
ネタにネタレスしただけだお
まとめて絡みスレ逝け。
(・∀・)<以上ジサクジエーンでお送りしました
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 流石兄弟 リバ 先に言っておくが長い
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 平安Y@DEEP
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ラスト
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
地雷注意!パートナー外濡れ場あります
275 :
平安Y 1:2007/01/14(日) 22:15:19 ID:JMm3m1b60
愛情とは澄んだものばかりではない。
自分のそれは泥沼だ。しかも底がない。
恋人に唇づけるたびに思う。俺はこいつを汚していると。
汚れた唇で彼を染め、病んだ心で愛を叫ぶ。
聖らかなものを汚辱で満たし、正しい者を歪めている。
血を吐きそうな感情の中で、酒の代わりに毒を欲しがる。
泥の中に、一輪だけ白い花が咲いている。
自分の泥沼の中に、あいつの瞳だけが光をくれる。
俺はそれが欲しくて、どうにも我慢できなくて、今まで待っていた。
だがもう、それも最後だ。
その花はおまえにやる。
ついでに潜って、レンコンの一つもささげてやるよ。
築地塀(ついじべい)の穴を抜け道に使うのは無用心なので、
そこを切り崩して下仕え用の通用門を作った。出入りが楽だと好評である。
「妙なことに気が回るな」
「俺はきっと父者似だな」
弟者の膝を枕に転がっている。
「で、おまえは母者似」
「あんなに強くない」
「そりゃあたりまえ。七人殺しの異名を持つ女だぞ」
「実際には殺していないんだろ」
「そ。倒しただけ」
以前皇太后が寺社参りをした帰り、警護の者の隙をついて暴漢に襲われた。
丁度、伺候していた母者が檜扇一つで全てを倒した。
「あの頃はあの女御殿も生きていたからなぁ」
前主上の生前、二人の有力な女御がその寵を争っていた。
男宮を産んだ時期が同じだったため、その抗争は激しく仁義ないものだった。
結局現主上側が勝利を得た。けれども片方もその次の東宮の地位を確約させた。
次の世代に持ち越されつつ争いは陰にこもっていった。
だが、三年ほど前に流行り病が猛烈に広がり、現皇太后だけを残して、双方の後見や現東宮の母君も全て命を落とした。
「おかげでおまえの正室の長兄が出世できたってわけだな」
「父者も運がいい。彼とつないでおいて大正解だ」
「あの時点では賭けだったがな」
「何がどう転ぶかわからんからなぁ……一口くれ」
濁り酒を含んだ弟者に要求する。
身体をかがめて言葉に従う。
白い液体が少しこぼれて、彼の唇を伝わったのにどきり、とする。
兄者は気にせずに舌先でなめる。
その尖った舌が紅い。そして濡れている。
見惚れているの気付いているのかいないのか、そのまま話を続ける。
277 :
平安Y 3:2007/01/14(日) 22:20:10 ID:JMm3m1b60
「俺たちもこの先、考えなきゃならんのかな」
「政(まつりごと)か。生き延びていくにはな」
「先を見越せば妹者を東宮に入内させるべきなのか……
いやだっ!あんなヤツに俺の妹者を―っ。全俺が泣くぞっ」
「叫ぶな。お人柄は悪くない」
「悪くはないが絶妙にイヤだ。第一、なんだあの長烏帽子。通常の三倍はあるぞ」
「母なる女御の遺言らしいぞ。おとなしいあの方が誰より目立つように、と」
「ならついでに赤く塗っとけ。なんか手はないかなぁ……そうだ」
何か思いついたらしい。
「イノキだ!あいつを使おう」
イノキとは、妹者の粗忽な侍女である。年のころは同じはずだが、どう見ても年のいった大男にしか見えない。
「どう使うのだ、あんなモノを」
「妹者の代わりに入内させる」
濁り酒を思いっきり噴いた。飛び散って恨めしそうな兄者の顔を、手近な紅絹で拭いてやる。
「無理がありすぎるだろう!」
「いや、七人殺しの女の娘といわれれば、納得するはずだ」
「そりゃ、そうかもしれんが……」
「で、流石家全体でフォローする。うちの地位からいって、粗末には出来んだろう。完璧だ」
278 :
平安Y 4:2007/01/14(日) 22:22:46 ID:JMm3m1b60
弟者は少し考えて、口を切る。
「東宮もうちとの関係性のために、挨拶ぐらいには来るだろう…どんなに恐ろしくとも」
「だろうな」
「それを、もしもの話だが、あのイノキが押し倒したら……」
「うわ、東宮、絶対抵抗できないぞ」
「で、結果としてイノキが孕んだとしたら」
「あいつが孕むだろうか」
「仮定だ。あくまで仮定だが…そして生まれた子が男の子だったら……」
「もちろん総力をあげて次の東宮の地位につけるな」
「だとしたら、イノキは国母だ」
「イノキが国母……」
二人は思わず手を握り合う。
「いくら流石家の為でもこの国の未来の為に、それは止めておいたほうがいいんじゃなかろうか」
「最終手段ということで取っておこう。なにせ妹者はまだ幼い…もう一口」
冷たいはずの酒が、少し熱くなって兄者の口に移される。
「出来ればさー、好きな相手に嫁がせてやりたいよ。でも後ろ盾がないと大変だからな。
おまえ、ちゃんと守ってやれよ……兄なんだから」
「おまえもだろう」
「そうだけどさ、政はおまえ向き」
さっさと面倒事を放棄する。
「じゃあ、何が向いている」
「さあな……こっちかな」
腕を伸ばして弟者に触れる。
「そりゃ向いてるな」
酒抜きで唇づけると、キスが甘美い。それだけで酔う。
まだ明るいのに抑えがきかなくなる。
「……奥に行こう」
先に立ち上がって手を引く。素直に従い、そっと躯を寄せた。
279 :
平安Y 5:2007/01/14(日) 22:24:02 ID:JMm3m1b60
勤務日程は宿直が連続二日。ただし、どちらも夕暮れに行けばいい。
丁度五日目で出勤日の兄者が振り返った。
「どうする、二日連続出るか?それとも俺が行こうか」
「頼む……酒でも呑んどく」
彼をなるべく宿直に出したくない。けれど確かめたいことがあった。
「わかった」
承諾した後、弟者の肩にもたれかかる。
そのままじっとしている。
「……どうかしたのか」
「いや。冬だな、と思って」
「それが?」
「寒いな」
「風邪気味か?なら代わる」
「いや……そういうわけじゃない。大丈夫だ」
しっかりと身を起こす。
「また萌え話でも楽しんでくる」
のんきそうに笑った。
280 :
平安Y 6:2007/01/14(日) 22:26:44 ID:JMm3m1b60
兄者の出た後、いつもどおりに夕食をとり、ごく普通に過ごした。
焦る必要はない。主上が大殿ごもるのは大分後だ。
北の対から膳を下げにきた下人に、早めに寝ることを告げる。
燭代の灯りを消し、御帳台の中に入る。
寝たふりをしていると、一瞬、人の視線を感じた。
すぐにそれは消える。
様子を見計らって動き出す。
衾の下に衾を丸め、人が眠っているよう取り繕う。
忍んで裏から北へ下り、例の通用門の掛金を外す。
外に出てから、辺りに隠しておいた先の曲がった金棒で掛金を元に戻す。
近場の小体な屋敷の者に交渉して、最近購った馬を置いてある。
それに乗り、内裏の方へ向かった。
内裏近くに逼塞した宮家が一つある。
甘い言葉と潤沢な資金で篭絡し、部屋の一つを借りてある。
そこで浅葱の袍――殿上人でさえない六位の衣装に着替える。
流石家の末につながる年の頃の近い男を、これは本家との縁でつった。
この一族の常として、ある程度似ている。
もちろん陽の光のもとならすぐにばれるが、夜ならどうにかごまかせるだろう。
281 :
平安Y 7:2007/01/14(日) 22:28:40 ID:JMm3m1b60
その男の名を語って内裏に入り込む。
もちろん、殿上には上がれない。
白砂の上を歩いている時、同輩が横切った。
ひやりとするが気づかない。
あたりまえだ。彼らにとって六位程度のものなど人ではない。
当然、顔など見ない。
闇にまぎれて梨壺の床下に入り込む。
従兄弟者の宿直所の下に位置どる。
体が凍えきるのに充分な時間、待った。
心が凍えきるのにふさわしい足音が、響いた。
戸の開く微かな音。
床下では衣擦れの音までは聞こえない。
けれど人の声がわずかに流れてくる。
心臓が凍りつく。
快楽に蕩けた彼の声。
自分だけが知るはずの、あの甘い、濡れた声。
282 :
平安Y 8:2007/01/14(日) 22:30:36 ID:JMm3m1b60
逆の経路をたどって帰ったはずだが、覚えていない。
気がつくと、自室の御帳台にいた。
躯が小刻みに震えている。
夢を見たと思った。
妄想だと思った。
だが、自分をだましきれなかった。
それでも朝は来る。
見捨てられた男に与えられる朝は救いではなく、夜の果てであるだけだ。
彼が正室のもとに通い始めた頃、やはり眠れぬままに朝を迎えたが、今にして思えば贅沢なことだった。
恨んだり、怒ったり、そして泣いたり。自分の感情は熱い炎に彩られていたのだ。
凍りついたまま、泣くことも出来ない。
自分自身が大きな一つの傷跡で、そこから絶え間なく血を流しているような気がしている。
283 :
平安Y 9:2007/01/14(日) 22:32:21 ID:JMm3m1b60
渡殿を通る足音で、機嫌が……わからない。
いつもと同じ足取り。乱れぬ心。
妻戸をくぐる兄者は、変わらぬ顔で微笑む。
「また、眠れなかったのか…ひどい顔だぞ」
髪を撫でようとするので、反射的に避けた。
不思議そうな表情に、凍てついた心がふいに蒼ざめた焔となる。
けれど、どうにかそれを抑える。代わりに黙って押し倒す。
「……おい、いきなりか」
唇を唇で塞ぎ、衣を剥ぎ取り、膚を合わせる。
未明の薄明かりの為だけではなく、朧に見える彼。
痕一つ、残していない。
いつもと同じ膚。
いつもと同じ反応。
いつもと同じにおい。
蒼い焔が自分を灼く。
憎くて、愛しくて、気が狂いそうになる。
なのに言葉で責めようとすると、自分の心が自分を責める。
おまえにその資格があるのか、と。
女を抱いた残り香のままに彼と寝た。
それどころか、それを妬かないと彼を責めた。
必死に探している彼を、情が薄いと疑った。
この瞳が、この唇が、この躯が自分だけのものだと驕って、彼の心を気遣わなかった。
その報いを今、受けている。
「…弟者……弟者……」
しきりに名を呼ぶ彼の声。
その声の偽りも真実も読み取れない。
それでもあの波だけは、忠実にやってくる。
達する時、彼の名を叫んだ。
284 :
平安Y 10:2007/01/14(日) 22:35:25 ID:JMm3m1b60
彼を抱いたまま、その日を過ごした。
湯殿に行ったりなどのちょっとした間が辛かった。
妹者が遊びに来た時も、掛金さえ外さずに声だけで断った。
「おまえ、今日、おかしいよ」
兄者の言葉は唇でふさいだ。
時たまとろとろと眠り、急に目覚めて強く抱きしめた。
そして、夕暮れは近づいてくる。
立ち上がりかけて、急に気が変わった。
「連続で宿直を頼んだら怒るか?」
「かまわんが…」
問いかけるような目を無視した。
やれやれ、と身を起こしたあと兄者は弟の髪を撫でる。
「明日もこんなだったら、二度と宿直は代わらんからな」
「……もともと、あんたの仕事だろ」
それには答えず頬に唇づけて、東の対へ歩いていった。
昨夜より心持ち早い時間に、同じ経路をたどる。
内裏に入り込み物陰で、持っていったいつもの衣装に着替える。
まずは桐壺の宿直所へ向かった。
285 :
平安Y 11:2007/01/14(日) 22:38:19 ID:JMm3m1b60
家族もいない独り者なので、宿直を引き受けることは多い。
従兄弟者は燭台の灯を消した。
珍しく兄者が連続で宿直に現れた。
視線の当て方で、今宵も来るはずだと推測できる。
掛金は、外しておいた。
昨夜とほぼ同じ時間に、戸が開く。
入り込む夜気は、今までに無いほどに冷たい。
その為か、忍び入った相手は膚を粟立てている。
紐解く間もそれはおさまらない。
顎を捉えて顔を上げさせ唇を重ねるが、何故か口を開かない。
不審に思ったとき、再び戸が開いた。
「戸の外に水がまかれてて、えらい目に会った……すまん、先客か?」
「誰だ、おまえ!」
慌てて燭台に向かう。焦ったせいかなかなか点かない。
その相手に逃げる様子は無い。
286 :
平安Y 12:2007/01/14(日) 22:40:13 ID:JMm3m1b60
ようやく火が灯る。
火影に、素肌に袿を一枚だけ引っ掛けて片足を立て、
もう片方を曲げて座る不敵な笑みの男が映し出される。
「………弟者」
兄者の声がかすれた。
三者三様の沈黙の中、弟者は衣を取り上げる。
見せつけるような優美さでゆっくりと身支度を整え、器用な指先で紐を結ぶ。
まっすぐに、青ざめた兄者を見据える。
「……部屋で待っている」
それから立ち上がり行きかけて、ふと従兄弟者を振り返り、挑発的な言葉を投げる。
「あんた、けっこう良かったよ。兄者があんな声を出すだけある」
誤解と、不和の種をまいたつもりで立ち去っていく。
後には二人、残された。
従兄弟者は特に弁解はしない。
兄者も聞かない。
かなりの刻が流れた。
287 :
平安Y 13:2007/01/14(日) 22:42:29 ID:JMm3m1b60
「……ゲームオーバーだな」
泣いてはいない。それどころか、なんだか穏やかな温かい表情を浮かべている。
「ああ」
考えれば賢しげなあの男のうかつな青さ。こちらの身なりはまだ乱れてさえいない。
「待っているから帰る……巻き込んですまなかった」
兄者はくるりと背を向け、肩越しに言葉を続けた。
「………これから何があろうと、黙っていてくれぬか」
従兄弟者はしばらく答えない。
止めてもムダだ。最初に誘った時から決意していたのだろう。
こいつの他の家族に告げることも考えたが、なにせこのバカは手強い。
すでに何らかの手は打ってあるだろう。
この大バカを止められるのは、たった一人しかいない。
「………わかった」
「ありがとう」
素直な礼を残して、情人の姿は消えた。
深夜の牛車の音は眠たげだ。
物見の窓から見上げると、月はか細い上弦の月。誰かの指先を思わせる。
―――正念場だな
気を引き締めようとするが、つい微笑む。
―――クールなふりして、けっこう抜けてる
思い浮かべる。愛しい瞳。
何も、怖くない。
式子内親王の和歌を口ずさみつつ、夜道を帰った。
288 :
平安Y 14:2007/01/14(日) 22:46:12 ID:JMm3m1b60
牛車の着いた物音がしたが、なかなか現れない。
それまでにも大分待った。
どうやら湯殿に向かったらしい。
開き直ったように時間をかけて、上気した膚で現れた。
幾枚かの単衣の上に白い綾織りの袿。桜襲ねを着こなして、なかなか見栄えがする。
権門の長子の持つ驕りと品位。
以前、こちらのいたずらにかかって憤慨しながら駆け込んできた時の直衣姿より、よほど鮮やかだ。
一方弟者は色も合わせずに適当な単衣を着ている。
大分、見劣りがする。
「………で?」
弁解を求めて弟者のほうから口を切った。
「説明しろよ」
「説明も何も……気づいたんだろう、その通りだ」
「なんであいつと!」
「俺が誘った。それだけだ」
先ほどの位置が逆になったかのように、兄者は落ち着いている。
弟者は激している。
しゅんとして脅えた兄者が現れ、こちらは思う存分罵倒する。そんな目論見は露と消えた。
言葉で痛ぶって、体を苛んで、二度としないと誓わせて……それで許してやるつもりだった。
だが、彼は動じていない。下の者からの訴えを聞く役人のように退屈そうな顔をしている。
289 :
平安Y 15:2007/01/14(日) 22:48:10 ID:JMm3m1b60
「なぜ、誘った」
「ただの遊びだ。おまえと同じで」
幾人かの女房の影がよぎる。
「それが不満なら、なぜ言わない!」
「別に……って、前もそう言った筈だが」
「オレもあいつも同じなのか!」
「まさか」
ふ、と兄者が甘く微笑む。
「おまえだけを愛しているよ」
実のない囁きに聞こえる。
まるで他人だ。兄者の皮をかぶった別人。
「オレじゃ足りないのかよっ」
「菓子が別腹ってのと同じだな。主食にゃならんが割合いける。最もあいつは甘くはないがな」
くっくっ、と声を立てて笑った。
「試してみたならわかるだろう。かなりイイって。そういやさっきそう言ってたっけ」
心底傷ついた弟者の瞳。
兄者の瞳も魂も、同じ分だけ傷ついている。
だが、手は緩めない。顔にも出さない。
「何なら交互に行ってみるか?別にあいつは拒まんだろうよ。
容赦なくやれる相手が欲しいだけだと言っていた」
こぶしをつかんだ弟者が一歩、踏み込んだ。
290 :
平安Y 16:2007/01/14(日) 22:49:28 ID:JMm3m1b60
―――あと一息だ
「それともここへ誘ってみるか?特別ゲストで招待して、いっそ三人で………!」
すんなりとした腕が伸び、彼のうなじを締め付ける。
限界を越えた怒りのままに。
―――そう、それが正解だ。おまえは、陽のあたる場所がふさわしい
至極、簡単な算式。余分な1を引けば必要な1が残る。
やっと、彼を放してやれる。
呪縛はほどけた。
291 :
平安Y 17:2007/01/14(日) 22:51:48 ID:JMm3m1b60
近々死ぬかもしれん、と告げた時、さしもの従者の目が点になった。
家族と正室あての文を託し、さまざまな指示を与えた。
「俺の死体には女衣装をかぶせ、若様がこっそり連れ込んだ得体の知れない女が、
酔って正気を失った、という風を装え。
その後手数だが、人気のない山に埋めろ。手向けも経も何もいらん。
ーーー花より他に知る人もなし、だ」
逆らったことのない精鋭たちが、初めて逆らった。
それを、主人の威厳で無理に従わせた。
「何度も言うが、あいつに罪はない。俺の亡き後は彼に従え。
………充分に、気を配ってやれ」
首を締められて感じるのは、イきそうになるほどの恍惚。
―――確かに厨だな
従兄弟者、おまえの意見は実に正しい。こんな状態で俺は悦びしか感じない。
意識が遠のく。
閉じかけた瞳に映る弟者の顔。
この面影さえあれば一人でも地獄に行ける。
脳裏をよぎるあの満月。月の光を浴びた彼。
…………そして、暗闇が訪れる。
292 :
平安Y 18:2007/01/14(日) 22:53:52 ID:JMm3m1b60
浮遊する意識。
―――ここは、極楽なんだな
兄者は思う。なぜなら、愛する相手が横で泣いている。
―――いや、四十九日までは現世にいられるのか
篁の署名(サイン)をもらいに行くのはそれからだ。
弟者はまだ泣いている。
泣かなくていい、と何とか伝えたい。
こんな俺なんかのためにおまえの涙を使うな。そう言ってやりたい。
しかし声は出ない。体は動かない。
―――死んでいるのだから、当然だ
あきらめて、ただ弟者を見ている。
泣きながら彼は兄者の唇に唇を重ねる。その感触がなぜかわかる。
うなじに唇づけ、肩に唇づける。
しばらく見つめ、幼い時のように頬を合わせる。
そうしてふたたび唇づける。
それから弟者は何かを探した。
やがてそれを見つけ、兄者の傍らに戻ってくる。
探し出した懐剣をつかみ、こともあろうに自分の胸に突き立てようとする。
293 :
平安Y 19:2007/01/14(日) 22:55:31 ID:JMm3m1b60
「…………よせ!!」
………声が出た。
「………亡者(ゾンビ)か」
「………違うようだな」
しわがれた声で答える。
「おまえはいつも詰めが甘すぎる……殺すんならちゃんと殺せ」
急に弟者が抱きついた。
「二度としない。何でも言うことをきく。傍にいてくれ。それだけでいい」
濡れた、温かい感触。兄者は黙っている。弟者は続ける。
「死ぬほどイヤだが、おまえがどーしてもあいつを呼びたいのなら……」
「冗談じゃない!」
咄嗟に叫ぶ。
シミュレーション内の行動だったのに、膚も露にあの場にいた弟者を見て、自分の心臓は凍りついた。
「あんなおまえを誰にも見せたくない!」
言ってしまってから口を押さえるがもう遅い。
弟者は目を光らせて、兄者の言葉と行動を検証している。
そうして、正解を導き出す。
294 :
平安Y 20:2007/01/14(日) 22:59:26 ID:JMm3m1b60
「バカ」
殴られた頬が熱い。
「大バカ野郎!」
先ほどの勢いはどこへやら、兄者は小さくなっている。
「何でそんなことを思いつく!」
「あの時、俺が唇づけなかったら、こんなことにはならなかった」
弟者は記憶を遡り、あの時がどの時か考える。
そうして確かに初めてのキスはこいつの方からだった、と思い出す。
だがその勘違いっぷりに頭痛がしてくる。
「……おまえ、どんだけ自分をスーパーテクニシャンだと思い込んでるんだよっ」
衿もとをつかんで揺さぶる。
「あの頃の下手くそなキス一つで、その気のない俺がメロメロになるわけがないだろっ!
惚れていたのはその前からっ!あれは単なるきっかけに過ぎん!」
「………そうなのか?」
困惑しきった兄者はされるがままになっている。
「だっておまえ、女の子も好きだし、てっきり俺のせいだと……」
ある日、ふと胸に落ちた疼痛。俺はこいつを歪めていると。
「世界一のとんまっ!激しく鈍感っ!」
「どっちにしろ俺がいたら完全に自由にはなれないではないか」
「そんな自由いらねえ。いつか自分で言ったじゃないか。おまえがいなかったら俺もいないって。
こっちも同じだ、ウスラトンカチっ」
ずい分不思議な罵詈雑言だ、と意識の一部が冷静に思う。
それに言われてばかりも癪に障る。
295 :
平安Y 21:2007/01/14(日) 23:00:48 ID:JMm3m1b60
「おまえだってバカ…と言うか、酷いぞ。妹者を守れと言っておいたのに、無視して後を追おうとするとは」
「妹者は可愛い。だけどそれだってくびきにはならない。
俺はおまえのいない世の中で生きていくつもりはない」
きっぱりと、弟者は言った。
まっすぐに兄者を見つめた。
彼は下を向いてぼそぼそとつぶやいた。
「美食倶楽部を狙う栗田さんのように慎重に布石したのに、おまえのせいで台無しだ」
「誰だ、それは」
「…気にするな」
意味のわからないことを言っている彼の頬をもう一度打つ。
「おまえの躯も、瞳も、声も、全部オレのだ。二度とこんな、バカな使い方をするなっ」
情けない顔で、自分を見上げる、間抜けな恋人。
最愛の、大馬鹿野郎。
強く、強く抱きしめる。
燭台の火影が揺れ、彼の顔が滲んだ。
296 :
平安Y 22:2007/01/14(日) 23:03:15 ID:JMm3m1b60
正月も終わってしまえば、寒いだけの日が続く。
主上は退屈そうだった。
ここのところ、少し寂し気ですらある。
従兄弟者は気遣わしげに御方を眺めた。
彼方で、人影が動く。
御座に座って、ぼんやりと遠くを見ていた主上の顔が、ふいに輝いた。
伺候した人物が御前に膝をつく。
少しとぼけたあの表情。
ずい分と久しぶりだ。
主上が充分に満足したあと、ちょっとした隙を見つけて二人で外に出る。
呉竹のあたりで会話を交わす。
「……生きていたのか、ヒキコモリ」
「どうにかな」
微かに濃い瞳の色素。少しも変わっていない。
「正室の所へ行かねばならん。以前トラブったのでさすがにあいつも気まずいらしい。
そのせいで久々に出仕したわけだ」
何日か休んだ後出てきた弟者は、自分と目を合わそうとしない。
仕事上必要な時と人目につきそうな時だけ、同輩としてふるまう。
その後の様子を聞きようもなかった。
297 :
平安Y 23:2007/01/14(日) 23:05:43 ID:JMm3m1b60
「あいつがよく出したもんだ」
「その代わり、えらい目に会った。昨夜から寝かせてくれんのだ。
もう限界、ってまで抜かれたのに、あいつ相手だとまた勃っちまって、なんだか記録を更新した」
「自慢か」
「まさか。マジできついぞ。都市伝説かと思っていたが、本当に太陽が黄色く見える。
どーいう体の仕組みだかな。一度、あの子と試してみろ」
「やなこった」
従兄弟者は苦笑する。
早春の冷たい風は流れ、どこからか梅の匂いを運んでくる。
「まあ、本来の役割に戻ったってとこかな。
俺は部屋に籠り、あいつは活動する……性に合っている」
「主上のためにたまには出て来い」
「そうする………まあ、時にはおまえの顔を見るのも一興だ」
からかうような瞳。
「やめておけ。また上から降ってきかねん」
「あいつならやりかねんな………爺やによろしく」
梅の香とともに中に戻った。ふり返らない。
季節は変わる。
人の想いも変わる。
その中で変わらないモノを見つけるなんて不可能だ。
だが、あのバカなら見つけかねない。
なにせ、掛け値なしの大バカだからだ。
従兄弟者は肩をすくめ、自分も中に戻っていった。
早春の陽が、呉竹の上に淡く落ちていた。
了
大嘘たくさん(天井裏はないだろう、とか後宮に宿直所はもらえないだろうとか)
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ;) オシマイ!
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>298
焦がれる程待っておりました。
リアタイに感動をさらに深めつつ、萌えの中心でGJと叫ばせてください
激しく乙でした
>>298乙でした!!
リアタイ遭遇で感動しました!
>298
正直、あんたのおかげで流石にハマったよ。
GJ。そしてお疲れ様。
>298
ありがとう! お疲れ様!
思わず2ch初カキコ
>>298 萌える文章乙乙おつ!
これで終わりかと思うと切ないぜ
とりあえず超乙!
>298
待っていました乙華麗!
これで平安双子が見れなくなると思うと寂しいです
最後まで萌える流石をありがとうでした
SF流石とかFT流石とか学園者流石とかも書いてくれ姐さんー!
しかし古語のなかに混じる2ちゃん語が絶妙だった。ゴチです。
306 :
風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 00:18:58 ID:XcVAP/PK0
nurupo
>>298 GJGJGJ!!
これで流石兄弟の話が読めなくなるのが辛いが
まずはGJ!!!!
気が向いたらまた流石兄弟お願いします
>>298 不覚にも泣きそうになった
超GJ!乙華麗でした!!
いつかまた流石兄弟書いてホスィ
姐さんの文章大好きだ
>>298 乙です。
流石兄弟もさることながら、周りのメンバーもいい味出してました。
元ネタを知っているので二倍楽しめました。
311 :
里予王求1:2007/01/19(金) 01:33:47 ID:OEe9kvVU0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
『誕生日』見て、書いたのを思い出した。
宣告直後の話。
後悔はしていない。
−−−−−−−−−
実力だけがモノを言う、弱肉強食の世界。
一握りの栄光の影に、多くの敗北者がいる。
そんな世界で、俺たちは10年以上も戦ってきた。
「俺、クビになってん」
困ったような顔をしながらも、笑顔を忘れない男。
3年前に同僚になってからは、同じ歳と言うこともあって、仲良くしていた。
「そうか」
「またリストラやわ」
彼は昨年プロ16年目にして、初めて規定打席を達成した。
前のチームを戦力外になり、アリヒトさんがFAで抜けた穴を埋めるべく行われたトライアウトで、外野からノーバウンドでホームまでボールを返した。
まさに、劇的な人生を歩んだ男だ。
その生き様から、『リストラの星』なんて呼び名もある。
312 :
里予王求2:2007/01/19(金) 01:34:53 ID:OEe9kvVU0
「手首は?」
「年やから、治りが遅いわ。けど、まだ現役諦めてない」
「ははは。俺だって、同じようなもんだ」
「魔法使いと一緒かぁ」
『魔法使い』に『オヤジビーム』
それが俺たちのあだ名。
今年は、お互い下にいることが多かった。
若い連中に混じって、真夏の鷹ノ巣でボールを追っていた。
真っ黒に日焼けした顔を見て、少しだけ、20年近く前の気持ちに戻れた気がした。
「トリは、まだまだここでやらな」
「俺は、シャチョウと、もっと一緒にいたかった」
「お前も俺も外様やけど、トリは監督に気に入られてるからな」
「それは」
「俺も……俺も、ここで野球人生終わらせたかったわ…」
目の前の男は、笑ったまま、ボロボロと大粒の涙を零していた。
この年で移籍先を探すことは難しいだろう。
移籍が叶えば、俺たちはまた敵同士になってしまう。
それが悲しくて、俺も自然と涙が出て来た。
313 :
里予王求3:2007/01/19(金) 01:36:27 ID:OEe9kvVU0
「何でトリが泣くん…」
「俺だって…俺だって、」
「お互い、40に手が届くしな」
「引退する時は、シャチョウと一緒がよかった!」
「トリ……」
大の男が、それも四捨五入して40になる男が、2人も泣いている光景は、傍から見たらどれだけ奇異に映るだろう。
でも、そんなの関係なかった。
ただ、抱き合って、泣くことしかできなかった。
他に誰もいないロッカールームに、嗚咽だけが響く。
「トリ、俺の分まで若手を引っ張れよ。全部、お前の『ヘェイ』にかかってる」
「シャチョウ…」
「俺も、随分励まされてん」
「………」
「ほな、な」
去りゆく友の後ろ姿。
追いかけていこうと思ったのに、追いかけていけなかった。
1度も見たことないような寂しい後ろ姿に、俺は涙を止めることができなかった。
−−−−−−−−−
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
シャチョウ、ガンガレ!
>>311-313 乙です
シャチョー・・・(´;ω;`)
自分そこのファソしてるだけに、泣けてしまうよ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ヘタレシャモ×襲い受優
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 兎 〜野生の闘牌〜
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ラスト
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
316 :
兎 その1:2007/01/19(金) 19:15:27 ID:wmHrEoOy0
「っっ何なんだこれはっ?!」
洗濯機の中から出てきたものは、ベルトが付いたままのジーンズと、
まだらに青く染まった―― 元は白いはずの ―― シャツだった。
優との共同生活を始めて1ヶ月。著しく生活能力の低い優を罵倒する回数は、
そろそろ3桁になるだろう。
山城の屋敷で囲われて、身の回りの世話をすべて手伝いの人間がやっていたのだから、
世間知らずなのはしょうがないとしても、正直、優の場合は度を越してた。
テレビや書籍でも見ていたら、いくらでもわかりそうなことも知らないばかりか、
本人に「生活をする」という意識がまるきり欠如しているのだ。
生きることへの執着心が欠如した「傀儡」。
罵倒したところで、少しも堪えた様子も見せない優の姿を見る度に、
かすかに胸が痛み、同時に苛立ちを覚えた。
「ったく。本当に何もできないんだな。あんたは。」
溜息まじりの言葉をぶつけることは、すでに日常になりつつある。
「・・・あぁ。全くだな。俺があの狭い世界の中で覚えたことと言えば、
打つことと、じじいのチンコをしゃぶって満足させることぐらいだからな。」
「・・・っつ。悪かったよ。」
「ん?いや、違うよ。責めたわけじゃない。ホントのことだ。ホントにそれしか
知らないんだよ。俺は。」
優はかすかに笑って言う。諦きらめることに慣れた顔。
「あんたはもう自由になったんだから、これからいくらでも覚えればいいだろ。
実際、目玉焼きも作れるようになったし、お湯も沸かせるようになったじゃないか。」
「ふふ。そうだね。」
317 :
兎 その2:2007/01/19(金) 19:17:06 ID:wmHrEoOy0
――自由か、山城から自由になったとしても、D・Dの血からは逃れられない。
そんなことは、俺よりも優自身が感じていることだろう。
「なぁ、隆史君。俺は君に感謝してるんだよ。これでもね。」
「そんなこと・・・・・」
不意に腰を引き寄せられて、優の掛けていたソファに倒れこむと、
優の形のいい長い指がズボンの前をするりと撫でた。
「・・・・って、風間?!」
「こんな仕方しかできなくて悪いんだけどさ、他に何もないんだよね。俺には。」
慣れた手つきでベルトが外され、ズボンが引き抜かれる。
ボクサーパンツの上から、優の唇が俺に触れた。
「・・・・っ、ちょっと待てって!そんなことしなくていいから!!」
手を添えたまま見上げる優の視線に、ゾクリと背中が震えた。
「頼むよ。役立たずでいるのが辛いんだ。気持ちいいことしかしないから。」
力ずくで引き剥がせばそうできたのに、しなかったのは掠れたような優の声が、
少しだけ震えていたような気がしたからだ。
堪えていないわけではなかった。プライドの高い優が自分を守る為に身につけた
ポーカーフェイス。それを崩してこんな顔をされて拒絶できる程、非道じゃない。
318 :
兎 その3:2007/01/19(金) 19:19:23 ID:wmHrEoOy0
「・・・っは・・・・」
気持ちがいいことしかしないと言った言葉通り、もどかしいと思えるほど優の
指や舌がゆるゆると快感を呼び起こす。
とっくに勃ち上がっているそれを愛しそうに舐め上げては、絶頂を迎える直前で
やめて、他の部分への刺激で分散させてしまう。
「・・・風間・・・もう・・・」
少しだけ、優が微笑った気がした。
「あっ・・・・!」
次の瞬間、強烈な圧迫感と温かな感触に包まれた。
「・・・っ!?」
馬乗りになった優の脚の間で、俺にあるのと同じものがいやらしく上を向いている。
「あんた・・・」
「うるさい。」
俺の言葉は遮られ、口は柔らかな感触で塞がれた。
「・・・っはっ・・・っちょっと・・・待てって!動くな・・・」
「いいから、イケよ。1度でおしまいってことはないだろ?」
ひやりと外気に触れる感覚に、解放されるかと思ったそれは、再度一番深いところまで挿し込まれた。
「・・・・うあっ・・・・・・」
脳が鷲掴みされるような衝撃で目の前が真っ白になる。
俺は優の中で爆ぜた。
乱れた呼吸に合わせるようにして、優がゆるやかに腰を動かす。
鈍い快感が重い腰を痺れさせる。
「・・・すごい、聞いて。君のですごいエロい音してるよ。」
淫猥な音を響かせて、優が煽る。
自らのものをしごく優の上気した顔が、堪らなく扇情的で、爆ぜたばかりのそこが、
再び優の中で体積を増す。
「・・・くそっ」
野郎のオナニーシーンなんか見て、勃つような趣味はない。はずなのに。
上半身を起こして優を抱きかかえる。優なんかに組み敷かれるのは本位じゃない。
はずみで優の深い所まで届く。反らされた優の首筋を条件反射のように舐め上げる。
「・・・ひっ」
初めて漏らされた声に、煽られるようにして耳に舌を這わせる。
キリリと優の中が締まり、危うく声を上げそうになる。
「・・・はぁっ・・・・。・・・いいよ隆史君。やっと・・・その気になった?」
「・・・クソ。・・・知らねぇぞ。」
「いいよ。好きにすればいい。・・・酷くしてくれよ。」
ふと、山城の顔が浮かぶ。優は、あいつにもこんな顔を見せていたのかと思うと
怒りにも似た感情が、体温を上昇させる。
優をそのまま引き倒し、思考が飛ぶほど、突き上げた。
「・・・・・あっ・・・・・はぁっ・・・・・・・・・・・ああぁっ!!!」
射精の感覚。
鈍い頭で、馬鹿らしいほど甘いキスをした。
320 :
兎 終:2007/01/19(金) 19:23:34 ID:wmHrEoOy0
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ;) オシマイ!
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
エロいエロいよーーーーーーーー。
ここで兎が読めるとは!!!
ddd!!!!
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 祭りも終息に向かいそうなので。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| AA モナー中心。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ オレモイルゾ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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325 :
1/5:2007/01/20(土) 22:40:57 ID:6U0ZUHoK0
世界が生まれてから一日たりとも休むことなく繰り返してきたように、今日もまた日が暮れていく。
スレの狭間にある川原には、一頭身に三頭身、六頭身に八頭身と、様々なAAたちが集まっては景色を眺めていた。
普段はめったに外に出ないヒッキーやドクオまでもが肩を並べて座っている。
草むらに座っているモナーは、川原全体を鮮やかなオレンジに染め上げる夕日を一人で眺めていた。
「寂しいモナ。みんないなくなっちゃうモナ」
呟いた声は誰に聞かれることも無く、風が攫っていった。
この世界に産み落とされてから今日まで、ギコやモララーたちと気楽にのんびりやってきた。
いろんな板に行っては新しいAAと出会ったりもした。
楽しかった。
コピペ嵐や虐殺厨にスレを荒らされても、みんなで支え合って乗り切ってきた。
多くのAA達と一緒にいることは、モナーにとって何にも代えがたい喜びだった。
しかし、物事には始めがあれば、必ず終わりが来る。
いつか別れの時はやってくる。
「このままみんなと離れ離れになるのは嫌モナ」
ここが無くなっても移住先はある。避難所もある。
でも、世界が分散すればそれだけ他のAAに会える機会が減ってしまう。
そうしてAA描きが徐々に減ってスレは寂れ、いつかAAそのものがいなくなるかもしれない。
寂しいけれどどうしようもない。
0から作成するのだろうとコピペだろうと、投下する人とスレがなければ自分達は存在できない。
いづれは過去ログの藻屑と消える運命を辿るのだろう。
胸に空いた穴から入り込んでくる隙間風を防ぐかのように身を縮めて顔を伏せた。
326 :
2/5:2007/01/20(土) 22:41:32 ID:6U0ZUHoK0
「2chと共に心中してやるーーーーっ!」
叫び声と地響きに驚いて顔を上げると、兄者が転げ落ちんばかりの勢いで土手を下っていた。
「閉鎖かどうかまだ決まったわけじゃないだろ!」
「もうブラクラも踏めなくなるんだ!」
「それはいいことではないのか?」
「そんな世界は耐えられない!消される前に消えてやる!」
FMVを抱えて川に飛び込もうとする兄者を必死で弟者が止めている。
「ここが消えても他に行くところがあるだろ?」
「ひきこもりにそんな真似ができるか」
「俺がそばにいる」
兄者はしょぼくれた顔を弟者に向けた。
「俺だって不安なのは同じだ。でも、二人でなら何とかなる」
「……そうだな」
兄者の顔から曇りが消えていく。代わりに浮かぶのは花開くような笑顔。
「こうなったら終わりを見届けてやる。弟者も付き合え」
「突撃はやめとけよ」
座って広げたFMVを、体をぴったりと寄せ合って覗き込んだ。
どのスレで見かけてもほとんど一緒に投下されている流石兄弟。
どこに行ってもきっと二人でやっていくのだろう。
その絆の強さが羨ましかった。
流石兄弟に向けたモナーの目が、眩しげに細められた。
327 :
3/5:2007/01/20(土) 22:42:51 ID:6U0ZUHoK0
「こんなところでぼーっとして、どうしたんだ?」
後ろから肩を叩かれ、後ろを向くとギコが立っていた。その横にはモララーもいる。
「考え事」
「そんな深刻そうな顔には見えないよ」
「まあ元々とぼけた顔だからな」
「ひどいモナ」
いつものからかいに少し気分が浮上する。
モナーをの横に腰を落ち着けた二人は、今回の騒動についてさっそく意見を交わし始めた。
「どうせ釣りだろ。ニュー速とvipperは騒ぎ過ぎなんだゴルァ」
「でも、万が一閉鎖になる可能性もあるんじゃないかな。住民はマターリと静かに見守ってるけど、実際は不安だと思うよ」
「その時はここを出てって別の所に行けばいいだけの話だろ?そんなに深刻になることか?」
「新天地で今まで通りにやるのは簡単じゃないよ。すぐに元通りになるほど甘いものじゃないだろうしね」
先のことを見据えて話し合うギコ達。
言えるわけがない。
『ずっと側にいたい』
彼らがどこに行こうと、どこに向かおうとそれは彼らの自由。
無理やり側にいてもらうことなど出来るわけが無い。
恋人でもないのにそんなことを望んではいけない。
「どうしたんだ?顔色悪いぞ」
ギコが心配そうな顔を浮かべて覗き込んできた。
なんでもないと首を振り、目を逸らす。
口から飛び出てしまいそうな言葉を飲み込み、黙って正面を見つめる。
328 :
4/5:2007/01/20(土) 22:43:25 ID:6U0ZUHoK0
自分一人が消えるならまだいい。
でも、新天地にいるAAが自分だけだったら?
誰も来ないスレで他のAAが投下されるのを孤独に待つ羽目になったら。
膨れ上がる不安にモナーは今にも飲み込まれそうだった。
「不安なのか?」
再びギコが声を掛けてきた。
頷くと、苦笑して頭をがしがしと撫でてきた。
「しかたねえなあ。この騒ぎが収まるまでは、なるべく一緒にいてやるよ」
「時間が許す限りはそばにいるからさ」
ギコの手が優しい。
モララーの言葉が温かい。
今はこれだけでいい。それ以上のわがままは言わないでおこう。
零れそうになる涙を目の中に留め、もう一度頷いた。
どうかまた皆と一緒にいられますように。
もしもこの世界が失われてしまっても、生まれ変わってまたどこかで彼らと出会えますように。
最後の希望を燃え上がらせるかのように、夕日の赤い筋が川原に差し込んだ。
329 :
5/5:2007/01/20(土) 22:44:04 ID:6U0ZUHoK0
結局閉鎖は無くなり、いつもの日常が戻ってきた。
今日も各地の板にAAが描かれている。
モナーもいくつかのスレに顔を出した後、投下の合間を縫って、数日ぶりに川原へと足を運んだ。
足元から聞こえる呻き声に目線を下ろすと、すっかり眠り込んでいる流石兄弟が草むらに寝転がっていた。
気持ちよさそうに寝ている兄者とは対照的に、弟者は眉間に皺を寄せている。
胸の上に兄者の頭があるのだからさぞかし苦しいだろう。
それでも兄者をどかすことなく、むしろ腕を回して落ちないようにしてやっていた。
相変わらずの仲の良さに苦笑し、さらに川の方へと降りていく。
すでに来ていたモララー達は、モナーに気付くと手を振った。
草むらに座り込み、あの日と同じように夕日を眺めた。
「何事もなくてよかったね」
「言っただろ、どうせ釣りだって。それにしてもなあ……」
尻尾を揺らしていたギコが突然笑いだした。
「閉鎖は無いとわかった時のモナーのはしゃぎっぷりはすごかった」
「抱きつかれた時に、顔に鼻水がついたよ」
「許してほしいモナ」
からかわれることに恥ずかしさを覚えつつも、彼らとまた一緒にいられることに喜びを感じる。
この世界が消えなくて良かったと心の底から安堵した。
二人の頭越しに見える水面は、陽の光を受けてきらきらと輝いていた。
変わらない風景。変わりゆく世界。
永遠など望めないのは知っている。
だから、いつか消えゆくその日までは、彼らと共にこの世界を楽しもう。
ログに少しでも思い出を刻めるように。
330 :
終:2007/01/20(土) 22:45:22 ID:6U0ZUHoK0
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 閉鎖しないよね?
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
乙!!可愛かった…!!
>330 乙
大丈夫、大丈夫だよ。AAは不滅だ。
テラカワイカッタ!
音楽かけながら読んでたら何故か目から水が
乙・・・
閉鎖騒動はネタとして遊んでいたが
モナの気持ちにキュンキュンした
モナカワユス!!!
乙!本当にスッゴい可愛かった!!
書いてくれてありがとう!
僕のときめきもメモリアノレしそうです
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
何だろねこれ似非マフィアモノで、唐突に思いついた走り書きです(オリジ
ゆらゆらと頭を揺らし、老人は微笑んだ。
この閉鎖された土地を支配し、血の雨を降らせ、身を呈して守ってきた男。身内に
は誰よりも優しく、それ以外には誰よりも残酷なマフィアのボス。
上品な老人にしかみえないが、この島の人間なら誰よりも恐れられている男。
「ああ、それで……?」
甘く掠れる声が青年の耳朶をうつ。腰が震えるほど甘美な声だった。何人のシチリ
ア・マフィアが、この声に跪いて手にキスをしたのだろう?
彼らは時に自ら望んで膝を折り、あるいは甘美な脅迫に震えて這い蹲ったに違いな
い。
この声で死を宣告されるというのは、どのような気分になるのだろう?
自分の最期を決める砂糖菓子の声、そのとき胸に去来するのは陶酔か恐怖か。
老眼鏡の奥の目が笑っている。
目じりの皺は深く、髪を梳くほっそりした指には無骨なダイヤが光っていた。
「ドン・エルリオ……私の兄弟を何故、あんな低俗どもに売ったのです? 確かに私
の兄弟はヘマをした。馬鹿だった。けれどあれは、私の兄弟であり、ひいてはこの土
地の息子たちです。何故、この土地の息子たちを売ったのです」
ご存じなかったとは言わせない、と付け加えて青年は真っ直ぐに老人を見据えた。
小さなファミリーの2代目。数年前、強引な手法と大胆なやり方で急成長を遂げた
青年のファミリーは、最近の縄張り争いでヘマをした。
大元締めであるファミリーの末端構成員を一人、乱闘騒ぎの末に殺してしまった。
相手が悪かったとしか言い様がない。
ファミリーの仇はファミリーが返す。この土地は、そういう土地だ。
老人はそばに使える男に目配せ一つして、控えめに笑い声を上げた。くすぐったい
ような声だった。
「それは君、君の兄弟が私のファミリーを傷つけたから……。私はこれでもここにい
る全員の父親だよ? 時には冷酷になることもある……あの下品なムッソリーニのよ
うに、ね?」
「傷付けた……あの、赤毛の青年ですか? 可愛そうなことをしたと思っています、
しかし先に手を出したのは彼だ。彼は私の兄弟のシマを荒らした、ご存知でしょう」
「やんちゃな子供だ、君もあの子も殺された子も。君は自分の身内が吠えた言葉を
鵜呑みにして、私のファミリーを殺した。急いていたね、何の調べもせずに……」
「調べる余地もない――貴方は彼を可愛がっていたそうですが、私のシマで暴れる
なら、それ相応の覚悟をしていただかなくては」
「可愛い子だった。私のシマ、と言ったかな? 君の物? 私ではなく君の? 少
し、勘違いをしているのかな……不可侵条約を結んでいるわけではないのだよ、
我々は。抗争の何がおかしいかね? そして子の抗争に親が口一つ、手一つ出さな
いという約束はない」
「貴方に――貴方に殺されたのなら私だって文句は言わない! 偉大なドン・エルリ
オの手にかかって死んだなら。けれど貴方はあの汚い丸々と肥えた金の亡者に兄弟
を殺させた。何故です。同じ死ぬなら」
「私の手を汚して欲しかった……?」
射精の寸止めを食らったように顔を歪めて、青年は目を逸らした。ほっそりした指
がダイヤの指輪ごと血に染まるのを想像して不敬な欲情をした、そのことを悟られま
いと目を逸らした。
老人の側近がひそかに目を細める。
青年はぐっと奥歯を噛み、小さな自分のファミリーの面々をひとりひとり脳裏に描
いて深呼吸した。
エルリオ・ファミリーの前で青年は弱者だ。マフィアのボスと言っても青年はちっぽ
けなファミリーを親から継いだだけだ、この土地の最大手であるエルリオ・ファミリー
に逆らっては生きて行けない。
幼い頃、青年はこの老人に会ったことがある。彼の親父が、手前の息子でござい、
と挨拶に伺ったときだ。
その頃すでに30の半ばを過ぎていた老人――ドン・エルリオは、柔らかな手で子供
の頭を撫で、甘い声で褒め言葉をくれた。どんな言葉だったかは忘れた。ただ手が震
え、痺れ、立っているのがやっとだったのを覚えている。それまで見たこともない美
しさで、ドン・エルリオは青年の心深くに入り込んだのだ。
その男の家に、今青年はひとりで乗り込んでいる。豪奢な暖炉の前で寛ぐ老人の前
に立ち、大勢の側近に取り囲まれてもはや逃げ場もない。
「私は――私は、あいつらと貴方が手を組んだという事実が許せないのです。何故。
それならジェンティーレ家に頼まれたほうがマシだった」
「あの家は情熱的すぎて私は好かない。若気の至りを勇気と、無思慮をマフィアの冷
血と豪語する連中だよ、君? あんな馬鹿よりは、札束の端と端を握り合って握手を
する馬鹿の方がいい……何より清潔だしね」
ふふ、と笑って老人は側近の手にそっと触れる。側近は腰を曲げて口元に耳を近づ
け、何ごとか命令されて素早くその場を離れた。
青年はそれらを全て目に収めながら次の文句を捻り出すところだった。
「私の親父は貴方に忠誠を誓った、私の代でもそれは変わりません。私だって貴方
を――父が死んだ今は、本当の父とも思っています」
老人はこんな若い息子が出来て嬉しいね、と冗談とも思えない口調で返す。
「ただ、どうしたのかな君の家は? らしくない働きをした。焦っているのか、自
棄になったのか……君の親父の代は無茶な稼ぎなどしなかった。君のファミリーに
は似合わんことをしたね」
「甘やかされた二代目の失態と言いたいのですか」
「ああ、違う違う……君は賢い。らしくない、と言いたいのだよ。君はよくまとめ
ていた。稼ぎは――確かに良くなかったが、実に私好みのファミリーを作り上げてた。
下っ端の小競り合いで死人を出すようなファミリーではなかったと言っているんだよ」
欲を出すのは時期が早かったということか、そもそも稼ぎ頭になるには分不相応と
いうことか。
先ほど出て行った側近が、ワインを乗せたワゴンを押して入ってきた。
濃密な赤がグラスに注がれ、老人と青年にそれぞれ手渡される。
「……8年前はいいブドウの取れた年だったね。うちの畑でも上物のワインが出来た。
飲みなさい」
「いただきます、ドン・エルリオ……アレクセイおじさん」
「そう、そう……ジャック坊や、政府の犬と喧嘩するには、君はまだ若い。あと10年
は待つ覚悟をしなきゃいけない」
喉を潤すワインは美味しかったのだろう。しかし、青年には味が分からなかった。
老人の前でゆっくり物を味わう度胸を、まだ持っていなかったのだ。
「このワインも、あと10年経てば更に深く重い、業の味になる。待つことが肝要だ」
「ええ、はい」
「さ、私と君の喧嘩はおしまい……それでいいかな?」
「私のファミリーと貴方のファミリーの喧嘩ならば」
「結構、今回は特別だ……次回はない。君も君の家族も、よく覚えておくように」
10年、と呟いて青年は残してきた家族を思い出した。
残してきた家。残してきた家族。残してきた畑。この土地。
コーザノストラ。
全く愚かな二代目。
突っ走ってヘマをして、更に走って今こんなところにいる。
「アレクセイおじさん、少しやせましたね」
「……いまだに苦労が耐えない、全く。やんちゃな坊やがいるからね」
「でも相変わらず綺麗だ」
「こんな老人つかまえて、何を……そういうのは女に言うものだ」
「そうですね、僕はおかしいんです」
ワイングラスを口につけたまま、老人がくすりと笑う。細めた目尻の皺は優しい。
青年は老人のワイングラスをつまむ指から足のつま先まで舐めるように見ながら、
武者震いを堪える。
跪いてキスをしたいわけではない。
たれた頭を撫でて欲しいわけではない。
征服したい。
ただ組み伏せ、戒め、捕らえ、手に入れるのだ。
撃たれた子供がシチリア・マフィアだったというなら、青年もシチリア・マフィアだ。
この土地の子供だ。コーザノストラ、何もかも手に入れようとする貪欲な子供たち。
そしてそれは老人も同じだ。この土地を掌握し、青年のファミリーを揺るがし、札
束で馬鹿の頬を叩き、全てを魅了する笑み。その魅力がどこからくるのか、端正な顔
立ちからか、生まれ持ったような暴力と金の力からか。
「さ、ワインを飲んだらカードでもしようか、それともチェス……? 君の手が久々
に見たいな」
「お好きな物を、お好きなだけ」
ワインで濡れた唇を見ながら、青年は答える。
老人はまた側近の手に触れ、側近はワインの乗ったワゴンを押して退出した。
今度そのワゴンに乗ってくるのは、カードかチェスか。
青年はゆっくりと左手を胸ポケットへ近付ける。
滑らかな動作で短銃を取り出すと、あっけないほど簡単に老人へ照準を定めた。白
い睫に縁取られた目が数度またたき、部屋にいた男たちは、あっと声を上げて固まっ
た。
「……そう、勇猛果敢で独断的、だが破滅的で庇護欲をそそる。6年前のチェス、チェ
ックメイトのあの一手が私は一番好きだ」
「貴方に大敗したのに? 私が好きなものは血と金と家族、それ以上に貴方。貴方だ。
私がこの8年、ちっぽけなファミリーを追い立てて急成長させたのは貴方が欲しかった
からだ」
この男を前にして、お前が欲しいとほざいたのは青年ぐらいなものだろう。
どんな女も男も子供も、老人の前では従順な震える子羊になる。
翡翠色の目が笑った。
「私が欲しい……そんな情熱的な言葉、何年ぶりに聞いただろう。しかも銃を突き付
けながら。あっはは、君は本当に魅力的なシチリアの子だ」
「言われたことがあるのですか、こんな言葉?」
「ああ、ある。今は墓の下にいる男から」
「――貴方が私に教えた。この土地の子供なら、欲しいものは何としても手に入れろ
と」
「そう、ただし手法は選ばなければならない。私は時間をかけた一手が好きだ」
「私には――真似できなかった、アレクセイおじさん」
たった、8年。老人にとっては恐らく短すぎるほどに短い時間だ。
身が千切れるほど恋しかった。
8年前からずっと欲しかったのだ。今欲しい、今すぐに欲しいと焦がれ続けた自分
の半生を思い返し、青年は銃を握りなおした。
震えもせず、銃口は老人の頭を捕らえている。
成熟には程遠く、立ち戻るには更に遠く、走り出したら止まりきれず問題を起こし、
今こんな形でここに立っている。
最後の最後でツメが甘い。未熟ゆえか、元々の気質ゆえか。
周囲の側近たちは冷や汗を流しながら銃で青年を取り囲んでいる。一触即発の空気
の中、きちがいじみた告白に付いていけないといった様子だ。
「破滅的でドラマティックな、いい最後だね……私を殺して君も殺されて、それで私
を手に入れたつもり?」
「好きでしょう。フランス映画にありがちな、喜劇を悲劇と吐き違えたラスト。手に
握って確かめられる褒美もない、思想主義者の喜びそうな……」
愛だとか恋だとか。心だとか。
自分には手に入らなかったものを、他人にも手に入らない形にしただけで、本当の
褒美は何もない。
そんなことは分かりきっていながら、この最後しか選べなかった青年は確かに未熟
だったのかもしれない。
「こんなに美しい人を子供の頃から見せられ続けて、狂わないわけがない……どう
して親父は私と貴方を会わせたのでしょうね? せめて恋ひとつしてから、貴方と
会いたかった」
「それで、そうしたら、私から逃れられたとでも……?」
いつまでも。いつまでもいつまでも、この男を見ていたかった。
汚い金で潤された土地で、無知な子供は物心がついて直ぐ、完璧に美しい男を見た。
柔らかな手が頭を撫で、慇懃無礼に握手をした時から落ちてしまった。
未熟がよぶ情熱や善意、正義と悪を使い分ける偽善の快楽、半端に味わった世界の
苦味と甘味、聡明な青年は理解した。
世界は自分の物にならないと理解した。
しかして土地は青年に道を示した。
暴力、金、およそ力と呼べるもの全てを行使し、生きていくこと。
この土地で生きるとは、ただ息をすることではない。
何がしかを組み伏せ、捕らえ、手に入れることだ。
「いいえ……逃れるなど私は望まなかったはずだ……何度だって、どうやったって、
この土地の子供なら貴方を望む!」
絶叫。撃鉄が硬い尻を叩く前に、他のいくつもの銃が火を吹いた。
ぱっと血が飛ぶ。衝撃に身体がうねり、不恰好な踊りを披露して青年は銃を取り落
とした。がくんと膝の力が抜ける。糸が切れたように床へ倒れる。
最後に撃ったらしい、老人の背後に控える男はぜいぜいと息を荒らげていた。
仰向けに倒れた青年は過ぎる痛みで息も絶え絶えだったが、それでも老人を求めて
首を巡らせた。じっと見る。視界が霞んでいく時間を惜しむように見る。
傷一つなく優雅に微笑む老人を見て、青年も――笑った。
「君はマフィアには向かなかった……小さなアパルトマンで、静かな女を愛していた
ほうがよっぽど似合っていた」
「貴方を知る前なら――そんな道も選べた」
「情熱的で、ロマンチックで、ああ、やっぱり……弾はどこにやったのかね?」
青年の銃を取り、老人は慣れた手つきで軽いそれを弄ぶ。留め金を外して空の弾倉
を青年に見せ、困ったように笑う。
「……破滅的、でしょう……それしか、選べない」
「ジャック」
「私は、この土地の子供としては、駄目だった。けれど、それでも……」
「ここまできて掟を忘れられない君は、確かにこの土地の子供だ」
服従の掟。自分より上位の者には絶対に逆らわない、この土地の子供の掟。
老人は青年の傍らに膝を折り、小さく上下する胸に手を置いて囁いた。
「おやすみジャック。せめてもの恩赦だ、残された君のファミリーは私が守ろう」
「お願い――します。妹、に……いい婿を」
「うちの若いのにいいやつがいる。彼女は、私のファミリーに迎えよう」
青年の血塗れの手が伸びる。それは老人の首へかけられようとし、側近たちがまた
色めきたつのを老人は視線だけで抑えた。
細い身体を近付け、青年の手が楽に届くようにしてやる。
しかし、突如青年は目を見開き、すとんと手を下ろしてしまった。
老人が小さく首を傾げる。なぜ、と問う目に青年は微笑を返した。
「汚れてしまう……アレクセイ」
血の海の中、震える手は赤く染まっている。
「ああ、本当に君は――何て子だろう」
困ったように、ほんの少し照れたように、老人は言った。青年はその声音に幸福を
覚える。事切れる寸前にこのような幸福を得られるとは、思ってもいなかった。
「アレクセイ――……ずっとそう、呼びたかった」
「そう……他に望みは?」
「許されるなら……私の、ファミリーが、私の命で、許されるなら――他に何も」
何も。アレクセイ、貴方とファミリーがいれば、それ以外は何も。
それは、ある者にとっては何も望んでいないのと同じだが、この土地の子供たちに
とってこの世の全てだ。
老人は最後の最後に全てを望んだ青年を、驚きと賞賛の目で見た。
小さな子供だった。父親の後ろに隠れ、ジュースもお菓子も要らないと遠慮ばかり
する子供だった。まだ若かった老人が膝の上に招いたときだけ、こちこちに緊張しな
がら身を預けてきた。
その子供が今、全てを望んで死んでいく。
欲しい物は手に入れ、やりたいことはやりつくし、それでも飽くことなく何がしか
を求めてきた老人は、失われる命を前に初めて惜しいと思った。
命が惜しい。この命は惜しいものだった。何十年と生きてきて、父も母もなく生き
てきて、初めて欲した人間が、今だ幼さを残す青年とは。
「ジャック」
もう返事をする力も残っていない青年は、薄く開けた目で老人を見つめている。
その目は欲しいと言っている。青年は死に瀕してなお、老人を欲している。
「もっと早くその言葉を聞きたかった。もう意味のないことだがね。……ジャック、
もう聞こえないのかな?」
アレクセイ、と唇が僅かに動く。声はない。
側近たちは呆然とその光景を見ていた。
血の海で死に行く若者と、膝を折り傍らで囁き続ける老人。
ほっそりとした指が青年の頬を撫でる。無上の喜びを感じたように、青年が目を
細める。その顔は笑っている。
唇がまた僅かに動く。――アレクセイ。
老人は静かに青年の額に口付けた。冷たい額、冷たい鼻、まだ温かみのある頬、
もはや焦点の合わなくなった目が老人の輪郭を求めて彷徨っている。
最後に唇を合わせて、老人はゆっくりと背筋を伸ばした。
青年の目は既に茫洋とした一点を見つめて動かず、血の海に沈んだ手は緩く曲げ
られたまま動かない。もう、永遠に。
その目が老人を追うことも、その手が老人に伸ばされることもないのだ。
「……ドン・エルリオ、彼を帰します。よろしいですね」
沈黙を破り、側近のひとりが前に出る。
老人は身を起こし、それまでと変わらぬように椅子へ腰掛け、頷いた。
「後の手配は懇ろに決して不備のないように。私が殺した子供ならば、誰よりも丁
寧に送ってやることを、忘れずに」
「はい」
「破滅的で、大胆で、かと思えば謙虚で、家族思い――ああ、この土地の子供が私は
好きだよ」
ドアの外で待機していた側近が、ワゴンの代わりに担架を担いで入ってきた。
老人はちらと取り残されたワゴンを見る。チェス盤の上には8年前の駒が再現されて
いた。
叶わないとは、と呟いて老人は目を閉じる。
「不思議だ……叶わないとはこういうことか、私は彼ともう一度チェスがしたかった」
「――誰か、お呼びしましょうか……」
「いいや、他はいい。これは復讐かな、最後の一手……本当に最後の。だとしたら私
は彼にまた言ってやらなくては。ああ本当に、何て子だろうね。何て破滅的な」
肩を揺すって老人は笑い、行きなさい、と手を振って側近たちを追い払った。
従順な側近たちが静かに退出し、青年を乗せた車は敷地を出て行く。
窓の外、滑るように走り去る車を目で追って老人は呟いた。
唇だけ僅かに動かして、声も立てずに。
あの青年が、そうしたように。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・#)イジョウ、ジサクジエンデシタ!
おわーり
長過ぎデスネー、すんません。
上下関係萌え。軍人もマフィアも何でもこい。
ぎゃあああああ
萌えツボ撃ち抜かれた…
姐さんの文章何もかもが理想そのものです
ありがとうありがとう
ぬうをぉぉぉぉぉぉ!!
大ヒットォォォ!
場外ホームラン級の萌えだぁ!
コレが萌えというものか!?
ジジイ萌えマジ最高!!
凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、凄い、
ご免なさいほかに言葉を知らなくて、凄い!
うわー!
ときめきと切なさと萌えが混ざった素敵な小説でした!
ただ名前がイタリア的だともっと良いのにと思う私はイタリアオタクorz
それ以外がすごく好きだから個人的にはちょっと残念でした。
350 :
337:2007/01/22(月) 12:17:48 ID:YbMyuzY90
オリジに反響してもらえるとは嬉しい
>>349 ネットをチラ見したとき、シチリア・マフィアってアメリカから移ってきたって記事がありましてん
ほんなら〜アメリカンな名前かなと単純に……今読み返したらイタリア→アメリカ→イタリアの逆輸入マフィアンでした
すまぬよ すまぬよorz
ご指摘感謝します
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )日曜ドラマ鰈の父×次男です 近親注意!
「お前は私の子だ…」
繰り返し父はそう言った。
その真意は判らなかった。
しかし、
「どうして、僕なのですか」
まだ幼いその問いに、父が答えることはなかった。
初めて父の寝室へ呼ばれたのは、高校へ上がった頃であったと記憶している。
話がある、と言われた。
なぜ居間でないのか訝しく思ったが、父の就寝前であるためか、と心得て深夜、そのドアを叩いた。
家庭教師である女性がその部屋へ出入りしていることもすでに確信に変わりつつあったので、
入れと言われても何となく足が進まなかったのを覚えている。
中に入ってからは、酒精が効いたかのように、夢現つであったかのように、記憶が判然とせず、全てに惰性的に
なった今思い出してさえ現実的ではない。それほどにまだ若かったの自分には衝撃的だったのだろうと思う。
父は僕に触れた。僕のことを如何に大事な息子と思っているか語りながら。父の表情はいつもながらの
仏頂面だったが、それだけに一種異様な雰囲気に僕は逆らえなかった。夢のよう、と例えたのは、まさに
判断能力さえもその雰囲気に奪われていたとさえ言えるからである。父は服を脱ぐように求めた。僕をはっきりと
見たいのだと言った。僕は、それに応じた。
そんな夜は繰り返された。何が起こっているのかは判らなかったが、それが性的なことだということは
一夜目が明けた朝には判っていた。父は息子の平たい胸をまさぐり、体中を撫で、時に接吻し、僕に快楽を
促した。しかしなぜ父がそんなことをするのかは判らなかったし、そもそも男同士でそのような行為に及ぶという
ことの意味も判らなかった。自分の知らない何らかの意味があるものなのかとも思ったが、誰に訊くにせよ憚られた。
女子との付き合いはあってもそのような関係に及ぶことは、万一のことを考えるとリスクが大きすぎた。
あっさり切れるような女ならともかく、相手はほとんど同じ学校で知り合うような名家の令嬢なのだから、
家の体面を考えると結婚相手でもなければまずいことになる。結婚相手はどうせ将来政治的に決まるのだから、
今は考える必要などなかった。そんな自分にとって、父の寝室は、ただ快楽であった。それ以上でも以下でも
なかった。変わったことと言えば、少しだけ彼の愛人を見る視線が変わったことくらいだった。彼女も、
僕と同じようなことをされている。それは思春期の性をぐっと身近に感じさせたが、彼女を性的な対象と
見ることはなかった。
僕の相手は父だ。それは、自ら選ぶと選ばざるに関わらぬ、絶対的な事実として受け止められた。
しかしそのうちに、父の中に息づく強迫観念のようなものが見えてきた。父は狂ったように僕を求めた。僕を、
僕が身を捩ることを、すすり泣きをすることを、父が好きだと訴えることを。しかし本当に求めているのは
何なのか。一度意識すると、その対象は手に取るようである。それは兄だった。
「お前は私の子だ」
熱に浮かされたように父は繰り返した。その度に僕は、僕はお父さんの子ですと答えてやった。しかし
何度答えても、父はそれには満足できぬように、息子の体を愛撫した。
ある夜僕は勝負に出た。父の寝室での夜は、彼の愛撫によって僕が、そして僕の姿態によって彼が
精を吐くことで終わりを迎えていた。それを逆手に取った。
なぜそんなことをしようと思ったのかは明確だった。
兄に、勝ちたかったのである。
「お父さん…」
吐息にまみれた声で、父の男性が十分に力を持っているのを見越して声を上げた。父の目は既に欲に濡れ、
僕しか見ていないと自信があった。随分の間口の中でしゃぶっていた父のそれ、その先端をちろりと舐めたり
指で擦ったりしながらいつもより特に甘えた声を出した。
「あぁ、待って下さい、お父さん」
息子を抱き寄せようとするとする父の体を少しだけ遠ざけ、その目の前で大きく脚を広げた。その行為は
少なからず僕自身をも興奮させた。そのことに自分でも少々驚きながらも、吸った息を大きく吐いて、僕はそこを
広げて見せた。父は自分の目の前の息子の恥態に目をみはっているように見えた。
「お父さんがいつもそのお指で気持ちよくさせて下さるところです」
呼吸が乱れて一息には言えなかった。言いながら自分で指を入れていくと、あぁ、と関係のない音が
漏れてしまった。唾液を絡ませてもいない自分の指は痛みを生んだが、先刻まで父が舐めたり揉んだりしていた
秘部は、ゆっくりそれを飲み込んでいった。
「ここに、本当は、…入るのでしょう…お父さん」
何がとまでは流石に言えなかったが、その代わりに指を彼の物に這わせてそれを示した。怒張したそれは、
確かに指や肌よりも粘膜を欲していた。僕は舌を出して、この体勢では届かぬそれを舐めるかのように、舌で父を
手招きした。意外にも彼は少し逡巡したようだった。しかし僕から抱きつくことで、終わりになった。
入ってくる。それを意識した瞬間、脳裏に兄の涼やかな顔が浮かんだ。
兄さん、そう彼に頭の中で呼びかけた次の瞬間、予想以上の圧迫感に息がつまり、喉が反った。
「あぁ…ああ、お父さん、お父さん」
しかしそれはやはり僕にとって快楽であった。彼はまた僕を、自分の子であると言った。その自分の子を
犯しながら言った。笑いそうになってしまった。絶頂の寸前、耐えきれず口元を歪めてしまったのは、
しかし兄に対する優越感からだったのかもしれない。そして、今までにない物理的な快楽と、征服されるという
被虐的な悦楽と。父はその淫乱の笑みにさえ興奮を高め、射精した。僕は本当に父の物になってしまったと
その時に思った。しかし悔いはなかった。自分でもおかしなことだと思うが、兄に対する勝利の余韻の方が
ずっと強く僕を支配していたのだ。
その日以来、僕は今までに増して父に愛されるようになった。
兄を越えたと思った。夜毎父に求められる度、自分はあの女も、母さえも寄せ付けぬ魅力を父に対して
発揮することに成功したのだと思った。まして兄さんなど。
しかし僕は兄に勝ってなどいなかった。
それは数年して忘れた頃に思い知らされることになる。
兄がマサチューセッツからの帰還を半年後に控えた秋のことだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )中途半端な終わりでごめんね!
というか最初に謝っとくべきだったけど、原作や公式設定を
ぜんぜん知らないのだよ・・・ファンの人スマソorz
( ゚д゚)モッエー
禿萌 ありがとう
神よ激しい萌えをありがとう
レスくれた姐さんたちありがとう!意外なほど父次男に萌えてくれる
人がいて嬉しかったので続きも投下してみる。
連投済みません('・ω・`)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
帰国した兄は、僕を含めた周囲の予想通りに身を立てていった。
経営者として製鉄を継ぎ、学んだ専門知識を生かしながら技術力を高め、嫌みのない態度で部下にも
慕われていた。また、美しい妻を迎え、その後ろ盾をも同時に得ることでさらに財と権を兼ね備えた。
まさに一点の汚れもない人生だった。それは僕もとっくに予測していたことだった。幼い頃から兄は
憧れであり、嫉妬の対象であり、比較される対象であった。だが自らの予想が裏切られなかったことに、
内心ちりちりと弱火で焦がされるような苛立ちを覚えることもあった。
しかし兄が僕を弟として愛する態度は、留学前と何ら変わらぬものだった。帰国を祝うために家族が
空港に迎えに出た時も、兄は父と母に礼をした後で僕と姉妹を一人ずつ抱きしめて久しぶりだなと笑った。
自分に厳しく、周囲に親しく。人格的にも非の打ち所のない兄を数年ぶりに目の当たりにした僕は、
それを相変わらずだなと冷めた目で見つつも、やはり彼に憧れている自分を見つけた。
兄は僕の頭上に手をかざし、背を測るような身振りをしながら、また大きくなったなと言った。
僕は兄の印象が大人びたことを告げて、その後で出かかった言葉を飲み込んだ。
学と経験を積んで一人前の成人男性として帰ってきた兄は、肖像画に見る祖父の面影を色濃くしていた。
兄特有の明るい表情が一瞬真顔になる時など、それは瓜二つであると言っても良かった。
なぜそれをすぐに口に出せなかったのか。それは家に戻って幾日かが過ぎてから判った。父がその場に
いたからである。
父は家で、特に兄と親しげに話すことはなかったが、祖父の肖像画を黙って見ていることが多くなった。
それが僕には、兄を見ているようにしか思えなかった。父の兄への執着、そしてそれに対する嫉妬心は、
あれ以来ーー僕が自ら父と交わって以来しばらく忘れられていたのに、再び意識されざるを得なくなった。
僕は父の寝室でさりげなく糾した。父が僕のことを本当に可愛い息子だと褒めそやすのに、
「兄さんよりもですか?」
そう訊いてみた。一度目は、父はじっと僕の顔を見た後で、あいつはお前とは全然違うと答えた。二度目に
同じことを聞いた時、父は黙り込んでしまったので、その唇に舌を這わせて接吻し誤魔化した。
その後は、兄の話は寝室ではまずいと思って避けている。そうする限り、父はただ僕を本当の子供だと
呼び、僕を愛した。身も心も夜通しかけて。まるでもう一人息子がいるなんてことはないかのように。
父と兄、そしておそらくは父と祖父と兄、その間にある何か複雑な結びつきに僕は関心を持ったが、
深入りは危険だと判断し、気にしない風を装った。
しかし日に日に心中に焦りが生じてきた。はっきりと自覚したのは縁談の話を出された時である。
「お前もじきに嫁を取って暮らすのだな」
睦言の間にも父はそう零すようになっていた。それは僕にとって時間のリミットを知らせる通告のように
も響いた。そうでなくても、自分は成人し、父が最初に求めた少年の柔らかい肢体とは随分異なる、強い
筋肉と細長く固い四肢を持つ、男の体になっていた。それでも父は変わらず夜に僕を呼びつけたし、僕の
体もその都度愛でた。しかし不安は募っていた。そこへ伴侶の話をされたのだ。
冗談ではない。そう思った。
「お父さん…寂しいですか?」
「うん?お前はどうなんだ」
結婚は避けられるものではないが、それをきっかけにこの関係が終わる可能性は高い。別邸へ移るかも
しれないし、父の側で暮らすとしても夫婦の寝室を設けられるだろう。それを抜け出すだの言い訳するだの
考えるだけで厄介だった。そもそも縁談を取り仕切る父の愛人は、父との夜を共有するという意味では同じ
立場でもある。本人に聞いたことはないが、僕と父の関係を知らぬなどということはないはずだった。
「…お父さんの部屋へこうして来れなくなるとしたら、勿論寂しいですよ」
父と情事を持つこと。そしてそれを兄に秘すること。それだけが、僕を兄よりも優位に立たせていた。
「可愛いことを言うものだな。綺麗で従順な娘が来れば、私のことなど忘れるだろう」
「まさか…お父さん、お父さんが今までずっとお世話して下さった僕のこの体は、どうしろと言うのです。
いくらいい娘が来ても彼女にはどうにもできない、この熱は…」
情事。そんなことで何が優越しているのかと、聞く者が聞けば笑い飛ばすだろう。
「父のせいにするのか?お前の、過敏な体を」
「お父さん、あぁ、悪戯をしないで下さい。あぁ、駄目だ…駄目です、いけない」
しかし僕にはもうそれしかなかった。僕にできて兄にできぬ唯一のこと。それは恥ずかしげもなく実の
父の前で股を開き、父の体の上で卑猥な言葉を叫んでは、舌を吸い上げて接吻を繰り返すことだけだった。
「どうにもできない熱だと?どこが熱い。私に見せてみなさい」
「お父さん、ああもう貴方が欲しい。もう、あぁ焦らさずに…お父さん」
見合い写真を見せられた時は、いずれ避けられないと思ってはいたがついに来たかという感じだった。相手は
家柄も利害も器量も良く、断る理由もなかった僕はその場で承諾した。任せると告げると、微笑んだ父の愛人は
心なしか勝ち誇ったように見えた。
焦ってはいたが、何か行動を起こさねばと思うたびに自ら待ったをかけた。一つには父の本心が読めなかった
からだ。兄が帰国してからも相変わらずただ厳格な態度を示し続ける父は、本当に僕だけを愛しているのでは
ないかと思える時もあった。そうだとすれば一人疑心暗鬼な自分が滑稽だったが、涼しい顔で高炉建設だとか、
夢だけを見て走り回る兄の高潔さを見ていると吐きそうになった。彼の持つあまりに多くの美しいものに比べて、
自分が縋り付く唯一の誇りは自分を男娼に堕とし男娼であり続けることか。そんな惨めな問いが浮かぶたび、
忘れる為に父と交わった。
しかし壁伝いに迷路を彷徨いながら婚約を待つだけの日々は唐突に終わった。
「お父さんは、僕が嫌いなのですか」
その兄の言葉、全く彼にしては珍しく馬鹿らしいとしか言いようがない、一言の台詞によって。
物陰から見ていた僕には気づかずに、父は言った。
「…私は、いつもお前のことを一番に考えているよ」
そんな言葉を、
僕はかけられたことがあっただろうか。
一度でさえも。
虚言であるはずはなかった。その一言を紡ぎ出すまでの、父の表情といったら!何事か押さえ込むような、
何事か逡巡するような…そんな彼が普段他人に見せることのない内面が、湯船から湯が溢れるように外へ
流れ出していた。企業家として幾多の修羅場を口八丁手八丁で切り抜けてきたあの父が、そのたった一言の
ために!
愕然とした。色に濡れた吐息で、お前だけを愛していると確かに父は呟いた。体と体を溶け合わせながら
何度もお前は私の子だと聞かされた。けれどもそんな言葉が欲しい訳ではなかったのだと、この瞬間に気づかされた。
兄のような言葉をかけられたことはなかった。父の勧めを拒んだ兄の代わりに父の銀行に入り、父が僕の体を
欲しいといえばそれさえ捧げ、どんなに仕事で疲労した日でも望まれれば抱かれた。そこまでしても、
そんな言葉は、一度でさえも。
兄は…傷ついたような顔をしていた。僕が何より望んだ台詞を父に吐かせて。それが清廉潔白の標本のような
男の反応だったのだ。
その瞬間、僕は決意した。結婚する前にやらなければならないことができた。
どうしても、兄を僕のいるところまで堕とさなければ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )オソマツサマ!
そろそろ原作を読んで勉強しなきゃかな・・・
この後も書こうと思ったのですが、連投の上あまり長くなると他ジャンルの
姐さんが投下しにくくなると思ったのでいったん切ります。
>>367 1本目読んでたらリアルタイムで続きキター(*´Д`)
しかも続きのヨカーン!! ネ申よほんとうにありがとう
萌えつつ絡みに迷っていた次男の方向性が、かなり見えてキターヨ
切ない淫乱ちゃんカワユスカワユス
(;゚д゚)ゴクリ
ぜ、ぜひ続きを(;´Д`)ハァハァ
は、早く続きを…!次男、何をするつもりなんだ(*´Д`)ハァハァ
激しく萌え(*´Д`)ハァハァ
長男次男か次男長男かどっちにしても激しくwktk
次男の誘い受けか襲い攻めでエリート街道まっしぐらな長男が
道を踏み外したらと思うと・・・続きが早く読みたいです!
こんなに筆力のあるSSを初めて読みました…。(;´Д`)ハァハァ
遠慮せずに続きをドゾー。
続きがここまで気になるSSははじめてですよ。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「あっ…はあっ…もう放…してくれっ…!」
何故、こんな事になったのだろう。
私の体はこんなに浅ましかったのか。
人間の男の手管におぼれ、挿入され、精液を放たれる。
一方で、鉄製の首輪をされ、鎖で手首も縛られ、私は思うように動けなかった。
この狂った宴は、いつまで続く。
「ヴァンパイア討伐の依頼かあ〜」
鍛え抜かれた体を持つ、ロマール人の男が、ギルドの中でつぶやいた。
持ち物はブラッディウイップに、対象者を殺さぬようにできた、いわゆる不殺武器、正義
の鉄槌。
身なりからして戦士だろう。重そうな鎧を身にまとっていた。
「ヴァンパイアとその取り巻きが、儀式の迷宮に住み着いたんでさ。ヴァンパイアのほう
はえらく綺麗な顔してますが、油断しちゃならねぇ。スティールエナジーで殺される冒険
者もいるみたいですぜ。どうします?」
スティールエナジー。対象者の体力を奪い、自分のものとする魔法だ。
ヴァンパイアらしい。
無骨な指が、依頼書をはじいた。
「儀式の迷宮か…そんなにわずらわしいダンジョンでもない、ヴァンパイアとも互角に戦
えるだろう。引き受けようか。報酬は…19070G?十分だ」
男の属性は混沌、悪。
暗殺や誘拐にも手を染めているため、警備員に追われてる身でもあった。
そのため、この街のはずれに貧相な家を構えている。
この男の財力なら、普通の家にするくらいはできるのに、しないのは、一人身で、必要性
がないからである。
「だんな、一人で大丈夫ですかい?」
ギルドの人間が、男が一人だということを確認して、心配して声をかけた。
何せ六人パーティで挑んで、仲間の大半を失って、逃げ帰ってきた冒険者もいたくらいだ。
「駆け出しの頃から一人ですべての依頼をこなしてきた。見くびってもらっちゃ困るな」
「失礼しました、ロウッドさんといえば表も裏も――おっと、まあ、有名な方ですからね
ぇ、がんばってくださいよ」
ロウッドと呼ばれたその男は、依頼書にサインをした。
その足で道具屋へ向かうと、ダンジョンに必要なものをそろえだした。
ランプ、ポーション類、ダンジョンの鍵を開けるシーフキー(もっとも、この男の器用さは
人間の域を超えてるので、必要ないかもしれないが)。
儀式の迷宮は、この街から少し離れたところにある。
彼は儀式の迷宮を目指し、道なき道を歩み始めた。
儀式の迷宮は鬱蒼としていた。
小さな迷路のようなつくりのこの屋敷には、沢山の部屋がある。
だが主のいないこの屋敷は、どこも埃っぽく、モンスターの巣窟と化していた。
隠し通路もあり、その下を行けば炎の吹き出るトラップだらけの天然の洞窟。
迷宮にも慣れているロウッドにとっては、そんなものもちゃちな仕掛けにしか見えなかっ
たが。
途中、行く手を阻むモンスターたちをなぎ倒しながら、時々休憩を取り、ロウッドは奥へ
と進んでいった。
ロウッドにとっては何の障害にもならないようなモンスターたちばかりだった。果たして
ヴァンパイアはどのくらいの強さなのか、想像しながら進んでいった。
逃げ帰った冒険者いわく、バンパイア・バットを従えているという。
バンパイア・バットはスティールエナジーを使う、ヴァンパイアもまた然りだ。それさえ
気をつけていれば、案外楽に倒せるかもしれない。
そうしてたどり着いた先に、彼はいた。
―――ヴァンパイアだ。
ヴァンパイアは、冒険者の死体に囲まれ、立ち尽くしていた。
どの死体にも首筋には牙の後があり、血を吸い尽くされたのがよくわかった。
白い肌、赤い目、血に染まった青い服、さらりと流れる銀髪。
一瞬、ロウッドは息をのんだ。
「新たな冒険者か」
ヴァンパイアはロウッドをにらみつけ、目の前の冒険者の死体をけり転がした。
美しい顔に似合わず残忍だ。だが、そのヴァンパイアに釘付けになっているのはロウッド
だった。
欲しい。この男、欲しい。
「悪いが俺は、そこでくたばってるやつらとは違うぜ。――あんたを、生け捕りにきた」
「…生け捕るだと?そんな事ができればやってみるのだな!!」
ヴァンパイアの鋭い爪が、目の前をよぎった。
それをすんででよけ、ブラッディウイップがしなる。
鋭い音がして、ヴァンパイアの衣服が裂け、体力をわずかに吸い取った。
(効かないか)
正義の鉄槌に持ち替えると、ロウッドは再度ヴァンパイアに向かって振り下ろした。
ガードはされたが十分に体力は削れている。
ヴァンパイアも負けじと攻撃をしてくる。鋭い爪が、ロウッドの首をかすった。
わずかに血が、こぼれた。
ついで、バンパイア・バットの牙が、肩をかすめる。幸い丈夫な鎧に阻まれてたいした衝
撃にはならなかったが。
(チッ、なかなか油断ならねぇな、ヴァンパイア一筋で行くか)
そしてヴァンパイアに向かって、突進した。
ずいぶん長い時間がたっただろうか。あたりには例の冒険者と、バンパイア・バットの死
体が散乱していた。
そして足元には、気絶しているヴァンパイア。
後一回、スティールエナジーが来てたら、ロウッドも危なかったただろう。
それくらいのダメージを追って、しかしヴァンパイアの体力をある程度減らし、気絶させ
た。ヴァンパイアも精神力がぎりぎりまで削られたのだろう。最後はスティールエナジー
すらしてこなかった。
殺してしまえば楽だった。
だがそれをしないのには、生け捕るという、目的があったからで。
ロウッドはヴァンパイアを縄で縛ると、口に布を巻きつけた。軽々とヴァンパイアを持ち
上げると、ダンジョンから出て行った…。
ダンジョンから出たときは、すでに夜中の十二時を回っていた。
人気のない道を歩き始める。町外れの自分の家を目指していた。
家の周りですら、人がいなかった。それは好機であった。
家へつくと、まっすぐに自分の寝室へと向かった。そしてそばにあった鎖で腕をぐるぐ
るに巻くと、ベッドにつなげた。
どれだけヴァンパイアが怪力だろうと、これならば逃げ出せないだろう。
男はいまだ目を覚まさないヴァンパイアの美しい寝顔を見て、低く笑った。
「いやあ、流石ですなロウッドさん。儀式の迷宮からヴァンパイアがいなくなったって、
住民が喜んでましたよ!!あ、はい、これが報酬です」
報酬を受け取りながら、ロウッドは話をあわせた。
「ちょっと危ない場面もあったけどな、ヴァンパイアはいなくなった。これで安心してす
めるだろう」
「そのとおりです」
笑顔のギルドの男を見やってから、ロウッドは心の中で笑った。
(本当はヴァンパイアは殺さなかったんだがな、気づくものはいまい)
ロウッドはそのまままっすぐ家へと帰った。
冒険に必要なものなどは買わず、ただ購入したものは、鉄の首輪だった。
鉄の首輪からは鉄の鎖がついていて、何に使うのかわからない品物だったが、惹かれるも
のがあった。
「ん…う…!」
がちゃ、がちゃがちゃ
鉄と鉄とがぶつかり合う激しい音が、する。
布に阻まれ、言葉にならない声を上げる男がいる。
その様子を、入り口から満足そうに眺める男が、もう一人。
ロウッドである。
「よう、目を覚ましたか」
「!!」
ロウッドはヴァンパイアのあごをつかむと、まじまじと見つめた。
「う…んー!!」
ヴァンパイアは顔を左右に振って抗ったが、ロウッドの腕力で抑えられ、まともに顔も動
かせない。
顔を離してやると、キッとロウッドをにらみつけた。
「自分の状況がわかってないみたいだな。おら、首上げろ」
半ば強引に首を上げさせると、そこにポケットから出した首輪をはめ込んだ。
ガチャリと鍵のしまる音がして、ヴァンパイアの目は見開かれる。
鉄の首輪の冷たさに眉をしかめ、その首輪の意味することに、いっそう抵抗を強めた。
狭い部屋に、ガチャガチャと鳴り響く鎖の音。それでもかまわずに、鉄の首輪から伸びる
鎖を、ベッドに絡み付けた。
「んん…うん、んー!」
「今日からお前は奴隷だ、俺の言うことは何でも聞くんだぞ?」
「!うう…」
「なあに、毎日かわいがってやるって」
赤い瞳に絶望が浮かぶ。あごをすくい上げ、その様子をじっと見詰めるロウッド。
ぺろ、と、ロウッドは舌なめずりをする。そしておもむろに、ヴァンパイアの衣服に手を
かけた。
音を立ててボタンが飛ぶ。その下にあるハイネックの衣服にも手をかけ、同様に引き裂い
た。
びりびりと音を立て、破れていく衣服に困惑しながら、ヴァンパイアは抵抗を続けた。
だがその抵抗もむなしく、彼の上半身の衣服は剥ぎ取られた。
その肌をまさぐるように手を乗せる。
「綺麗な肌だなあ。おっ、ここは俺との戦闘で内出血したところか?傷はつけないでおい
て正解だったな」
「んんっ…」
背をかがめて、赤く色づいたヴァンパイアの乳首に舌を這わせる。
とたん、ヴァンパイアは金縛りにでもあったようにうごかなくなった。
「…!」
ロウッドは左手で、ヴァンパイアの腰あたりをまさぐると、ズボンを下ろしていく。
「…んー!んー!」
そうしてヴァンパイアの衣服を、コートを残してすべてはぐと、その姿に見入った。
「女のように丸みはないけど…あんた、綺麗だな…、もっと、綺麗にしてやるからな…」
男は自分も衣服を脱ぐと、その衣服を床にぽいと置いた。
そしておもむろに、いつも使うバッグの中から、未使用のヒールジェルを取り出した。
「…?」
ヴァンパイアの足をつかむと、秘めた部分がよく見えるように、彼の体を折りたたませた。
足と足の間に,ヴァンパイアの顔がある状態だ、苦しそうにもがくと、恥ずかしい部分を
見られているという羞恥心に、頬を染めた。
「ここ、ならさねぇとな」
そこに、ジェルを塗りつける。ヒヤッとした感触が、背筋を駆け巡った。
本来これは食して体力回復に使うものだが、慣らす分にも具合がいい。
「ん…う…!」
くちゅ、と、みだらな音を立てて指が中へと入っていく。
冷たい感触とともに入ってくる異物感に、ヴァンパイアは苦しそうに首を横に振った。
やめてくれ、という意味なのだがそんなことには気づかず、指の本数を増やしていく。
くちゅ、くちゅ。
耳を音で犯され、そして十分ジェルの入りきったそこに、男は己のものを擦り付けた。
凶暴なまでに熱さを秘めたそれはが、ゆっくりと中へ入っていく。
痛いのか苦しいのか、ヴァンパイアは悲鳴を上げた。が、それも猿轡で邪魔にされ、くぐ
もった悲鳴にしかならなかった。
「んんっ…んんんっ!!」
「苦しい?それとも気持いいか?一回きりじゃまだ気持ちよくなんねぇか?」
ロウッドはさらに体を進めると、完全に自分の猛りを中に押し込んだ。
「…ん…ふぅっ…」
「声…聞きたいけど噛まれるからな…」
強烈な締め付けによいながらも、今度は腰を動かす。
ずっ、ず、と、出入りしているのが、ヴァンパイアにはよくわかった。
大きく見開かれた瞳からは涙がこぼれ、動かされるたび、両手に巻かれた鎖が激しく音
を立てた。
――苦しい。何故私がこんな思いをしなければならないのだ。
ヴァンパイアは思った。
だがそんな思いに気づくはずもなく、ロウッドは腰を使い、攻め立てる。
そしてヴァンパイアの中で達すると、彼の上にのしかかった。
どろ、とした熱いものが流れ込んでくる感覚に、ヴァンパイアは眉をしかめた。
「イかねぇなあ…お前。そのうち気持ちよくなってくるからよ、楽しみにしとけよ」
ロウッドはヴァンパイアの頬に軽くキスし、服を着込むとそのまま部屋から出て行った。
一人放置されたヴァンパイアは、いつの間にか出ていた涙を拭くことはせず、ぼんやり
と力なく天井を見上げていた。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ マイナーダヨ。シツレイシマシタ。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 三/丁/目/の/夕/日
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、鱸×茶←淳です。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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あれから家に帰ったら僕はびっくりした。
だって家の中がひどく荒れてて。足の踏み場なんてもちろん無い。
「おじちゃんこれ・・・」
「あ〜〜〜〜・・・;///」
おじちゃんは髪をぐしゃぐしゃと掻き回し(どうも困ったときの癖みたいだ)
照れくさそうな笑顔で「ちょっとな・・・でもすぐ片付けるからな」と言った。
その笑顔がとても綺麗に見えて、なんだか僕は胸が苦しくなった。
「おぉ〜〜い」
「ここだよ一平ちゃん!」
「おっせーよ〜」
僕らは今日、いつもの仲間だけで放課後ここの土管の中に集まって
いつもやっている冒険ごっこや飛行機遊びをしないで大切な話し合いをしようということになった。
そして今遅れていた一平ちゃんがやっと来て全員揃ったところだ。
「おい三郎。大切な話ってなんだよ」
「そうだよお前が言いだしっぺだろ。なんなんだよ?」
「もうそろそろ言えよー」
狭い土管の中皆に囲まれて急かされた三郎君は緊張した顔をしながらそろそろと口を開けた。
「実は・・・俺、好きな人が出来てさ・・・」
「えええーーっまじかよっ!」
「だれだよだれだれ!?」
三郎君の言った内容に一気に騒ぎたった皆。三郎君の顔はこれ以上ないくらい真っ赤だ。
「小百合先生・・・」
「えっ」
三郎君の言った名前に皆びっくりした。僕もだ。だって同い年だと思っていた。
「小百合先生って・・・あの新しくきた?」
「う、うん」
「あーわかるよ僕も好きだ小百合先生」
「うん俺も・・・」
「だっておっぱいでっかいしな!」
「そうそう!すっげーおっぱいでっけーの!な、な」
「あれいいよなぁ〜〜」
「う、うん」
三郎君は気の毒なくらい真っ赤な顔してうつむいてしまった。
すると和君が
「よっし皆!皆好きな人言い合おうぜ!」
と叫んだ。
「お前は?お前誰が好きなんだよ」
「俺はあゆみちゃんかなーっ」
「えっ俺も!」
「あ〜そっちかぁ〜。僕はのぞみちゃん。」
「あーわかるぜぇ〜!!」
そうやってみんなそれぞれ好きな人の話題で盛り上がり始めた。
けど僕は話題に入れない。なんだかよく分からないからだ。
もちろん、女の子を「かわいい」とか「綺麗だな」とかは思う。
けどじゃあ好きかと問われると、なんともよく分からなくなってしまう。
「おいジュンノスケ!」
「え、な、なに?」
「お前は?お前は誰が好きなんだよ」
「ぼ、ぼく?」
じーーっと皆が僕のほうを期待のまなざしで見つめてくる。
「うーん・・・よくわからない・・・」
僕にはこれが精一杯の答えだった。
皆はハァ〜〜〜っと思いっきり溜息をつく。
「あのなあ。お前さ、誰か好きになったことねーの?」
一平ちゃんがぐいっと身を乗り出して聞いてきた。
「うーん・・・」
「だからさ、その人を見ると胸がドキドキしたり!」
「いつも頭の中その人のことでいっぱいになったり!」
「ああっ小百合せんせえ〜〜っ!チュッチュッ」
ギャハハハハ!!
そうしてすっかり僕の話は流れてしまい、それからしばらくして「大切な話をする会」はお開きとなり皆帰っていった。
けれど僕は未だ一平ちゃんたちが言ったことが耳に残ってはなれず、なかなか家に帰る気分になれなかった。
その人を見るとドキドキする?
頭の中がその人でいっぱい?
思い当たる人が僕には一人だけ・・・いる。
けど・・・
けど・・・・・・
考えに耽っていたらいつの間にか外は真っ赤になってしまっていた。
さすがにもう帰らないとと思い重い足取りで家路についたのだが、なぜかいつも開けたままにしている表口が閉まっている。
「あれ?」
僕がこの家に来てから閉まっているところを見たことが無かったから、他の家と間違えたのだろうかと思ったがそうじゃないみたいだ。
近くでドロボウでも出たのだろうか。なにかあったのだろうか。
不安に思ったけど閉まっている表口をわざわざ開けて入るのはなんだか申し訳なくて、裏口からそっと入ろうと思って裏に回った。
すると
「・・・っやめ・・・っ」
!
おじちゃんの声だ。
もしかしてドロボウが入っておじちゃんにひどいことしてるんだろうか
一気に青褪めた僕は扉を少し開けてみた。
そうすると、一平ちゃんのお父さんとおじちゃんが押入れのふすまの下のほうに倒れていた。
また喧嘩してるんだろうか、と思ったけどなんだか様子が違うみたいだ。
「いいから・・・足もうちょっと開けよ」
おじちゃんの足を無理やり鱸オートが広げた。その中で鱸オートの手が動いている。
「・・・はっ・・・や・・めっ・・・」
「ふん。今止めたら辛いだけだぞ」
「だっ・・・もう・・・っジュンノスケが帰って・・・っ」
辛そうなおじちゃんの声と顔。
真っ赤な顔して泣きそうな・・・
はじめてみるおじちゃんだった。
なんだかそんなおじちゃんを見てどうしようもなく体が熱くなった。おじちゃんが辛そうなのになんで僕・・・
止めに入ったほうがよさそうなのに、足が動かない。
「・・・もっ!!も、もうでちゃ・・・・っ!」
「ああ出せ出せ。ほら」
そう言って鱸オートはもっと早く手を動かした。
「やあぁっっ!!んあっ・・・はっ・・・あ、あぁぁぁぁっっっ!!」
ピュッピュッ
何か白い液体が鱸オートの手にかかる。
鱸オートはその手をペロっと舐めて、「うまい」とおじちゃんに向かってにやっと笑って言った。
おじちゃんはくたっとなってふすまに寄りかかっていたけど、急にまた真っ赤になって
ふい、と横を向いて「うまいもんか」と小さく言い、
そんなおじちゃんを見て鱸オートは「ハハッ」と、僕は一度も見たこと無い笑顔を見せた。
僕は今までこの場を全く動けずにいたのに
そんな二人の様子を見て急にこの場をすぐ去りたくなった。
あの日僕のほうを向いて笑ってくれたおじちゃんは
もうここにはいないような気がしたからだ。
二人の間には何か濃密な空気が流れていて
まるで僕がこのまま消えてしまっても何の問題も無く成立してしまうような
僕はたまらなくなってしまい、表口のほうへ急いで逃げた。
もうこれ以上あの空間にはいられなかった。
表口のほうへ出ると、もう外は真っ暗だった。
「ジュンノスケ!?」
急に名前を呼ばれてびっくりして振り返ると、キンさんが自転車をひいていた、
「ジュンノスケ!なにしてるんだいこんな時間に。チャガワはどうした?」
「おじちゃんは・・・」
「ん?なんでここ閉めてるんだい?なにかあったのか?」
そう言ってキンさんが表口の扉を「オーイ!」と言いながら叩き始めた。
そしたら中からガタガタガタッッと騒がしい音がして、「ちょ、ちょっとお待ちくださぁ〜い」といつものおじちゃんの声が聞こえた。
しばらくしておじちゃんが表口の扉を開けて出てきた。
「す、スイマセンなんでしょうか?」
「なんでしょうかじゃないよ!扉なんか閉めてどうしたってんだい。ジュンノスケが外にいたんだよ!」
「え、ええ!?ジュンノスケ、いつ帰ってきてたんだ!?」
「えっと・・・さっき」
「そ、そうか悪かったな。ほら早く中に中に」
「ったく・・・世話焼ける父ちゃんだねえ」
キンさんはそう言い残し去って行った。
僕は家の中にあがって見渡したが、もう鱸オートはいなく、さっきまであった濃密な空気も消えてて
いつもどおりの部屋だった。
「ん?どうしたジュンノスケ?」
部屋を見渡す僕に不思議そうに聞いてくるいつものおじちゃん。
あまりにも全てがいつもどおりすぎるから、僕はさっきのことは夢なのかなと思いそうだった。
だけどよく匂いをかいでみると、まだなんとなくあの濃密な空気を感じ取れて。
「おじちゃん・・・さっき・・・」
「ん?なんだ?」
鱸オートとなにしてたの?
二人はどういう関係なの?
僕は鱸オートとのことを聞いてみようかと思ったけど、
でもなんて答えられるのかが怖くて結局聞けなかった。
?
何が怖いんだろう
「鱸オートが好きなんだ」
と言われると嫌なのかな僕
僕がいなくても大丈夫な気がするから?
でもおじちゃんはたとえ鱸オートのことが好きだとしても僕を放り出したりはしないと思う。
ならなんで僕・・・
それからというもの、前にも増して僕の頭の中は
おじちゃんのことでいっぱいになってしまった。
____________
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ダブンシツレイシマシタ。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
キタキタキター!ごちそうさまですた。
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| ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです。
| | | | \第二回目です。
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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「んっ…んんっ…」
次の夜も同じだった。
だがわずかな変化があった。
ヴァンパイアも、快楽を感じはじめていた。
その変化に一番戸惑っているのはヴァンパイアで、どうにかして自分の中をかき回すも
のを抜こうと必死だった。
だがそのたびに腰を打ち付けられ、結果悲鳴を上げることとなる。
「ん?昨日よりよくなってきた?」
「んん…」
ヴァンパイアは首を左右にふる。が、上気した頬は、感じていることを何よりも明確に相
手に伝えた。
ゆっくりと硬さを持ち出してきたヴァンパイアのものに手を添えると、腰の動きに合わせ
て扱き出した。
「んんっ!う…んっ!」
びくんと体を振るわせのけぞるヴァンパイアに、ロウッドはきわめて、優しく話しかけた。
「気持ちいいんだろう?」
「んんっ、んん…!」
なおも首を振るが、彼の限界は近かった。
吸血行為が快楽の一部である彼にとって、もしくはそれしか知らぬ彼にとって、肉欲をダ
イレクトに刺激されたのは始めてであった。
ロウッドの腰が進む。同時に、扱く手も早くなる。
未知の快楽に、ヴァンパイアは激しく抵抗した。
じゃらじゃらと鎖がゆれる。くぐもった声が、何かを訴えるように室内に響く。
「ッ…!」
「ん…んんっ…!」
やがてロウッドはヴァンパイアの中で、ヴァンパイアはロウッドの手の中で果てた。
ぐったりとうなだれるヴァンパイアの髪をやさしくすくと、ロウッドは言った。
「見ろよ、お前の出したもんだ」
精液を顔に塗られ、ヴァンパイアはあわてて顔をベッドの枕で拭いた。
頬を赤らめながら、男の手管で達してしまったという事実に、ショックを隠しきれないよ
うだった。
「お前顔赤いぞ。そんなに嫌だったか?…まあ普通は嫌だろうがな」
「んう…」
ヴァンパイアは小さく呻いた。
「これから毎日…かわいがってやるからな…」
その言葉にぞくりと悪寒が走った。
それはヴァンパイアにとって、悪魔の囁きであった。
もう何日、同じことを繰り返しているのだろうか。
体はすっかりロウッドの思うがままに敏感に反応するようになった。
快楽におぼれ、虚ろな目をするヴァンパイア。
心ではやめてほしいのに、体はロウッドを求めてやまなかった。
それがロウッドにはわかるようで、そのたびに昼夜問わず抱いてやる。
そして意識を失うまで抱かれるのだ。
「ん…う…」
「だんだん…よくなってきたな?お前の体、すごく良い…」
精液が、ヴァンパイアの中に注ぎ込まれる。同時に、ヴァンパイアも達していた。
「だいぶ汚れたな、お前の体」
精液が付着し、それが乾いてヴァンパイアの白い体を汚していた。
「…」
ヴァンパイアに意識はなかった。銀髪を乱しながら、寝息を立てている。
「風呂はいるか」
久しぶりに手枷となっている鎖をはずし、抱き上げると、だらんと腕がたれた。
もう何日間も吸血していない。その上、毎晩激しく求められるのだ、体力が続くはずがな
い。
白い顔がいっそう白くなっている。
湯をためておいた風呂桶につかろうとしたとき、ヴァンパイアが目を覚ました。
「…!んんっ、んー!!」
激しく抵抗する彼に、まったくわけがわからないといった様子で、ロウッドがその抵抗を
封じ込める。そして風呂桶に漬かった時、何かを訴えようとしているヴァンパイアの口を
封じている布を取ってやった。
「だ…してくれっ」
ヴァンパイアはおぼつかない足取りで、風呂桶から出ようとする。それを捕まえて話さな
いのが、ロウッドだ。
「水は、水は苦手だ…!」
「お湯だろ」
「似たような…ものだっ、ぴりぴりする、体が痛い…!」
がくがくと震えながら、ロウッドにしがみつく。長いつめが食い込んで少々痛かったが、
汚れた体をきれいにしなければならない。
ロウッドは胸から腹にかけてを布で洗ってやった。
ぬるぬるとした感覚が指を伝ってくる。精液の跡だろう。
「は…早く出して…」
訴えかけるヴァンパイアの顔は蒼白だったが、妙にそそるものがあった。
ロウッドは苦笑した。
こんなときにまで反応を示す己のものが。そしてそれに気づき、恐れの表情を浮かべてこ
ちらを見やるヴァンパイアの、なんとそそること。
ヴァンパイアの腰を浮かせると、ロウッドは一気に貫いた。
「ああっ!」
柔らかい肉を擦ってやると、びくんと背をそらす。
「悪いな、ちょっと我慢が聞かなくなった…」
ばつが悪そうな顔をして、しかし腰の動きは止まらない。
「あっ…はあ…あっ、あっ…だっ…だめだ、こんな所では…」
方にはヴァンパイアのつめが食い込んで痛かったが、そんなことにかまっていられる余
裕は、ロウッドにはなかった。
この数日でわかった、ヴァンパイアの弱いところを重点的につくと、なおさら乱れる。
「あん、ああっ、あ!」
「お湯のことなんて忘れるだろ、…気持ちいいだろ?」
ヴァンパイアはあくまでも首を振って抵抗する。
それが気に入らないのか、ロウッドはちっ、と悪態をつくと、ぎりぎりまで引き抜いた。
「あ…」
奥が、きゅん…と物足りなくなる。このままやめてほしいのか続けてほしいのかすらわか
らなくなり、ヴァンパイアはひたすら彼にしがみつくしかできなかった。
ぎりぎりまで引き抜いたそれを、彼の弱いところをめがけ、一気に貫いた。
「ふあああっ!あっ、ああっ、だ、だめだっ」
「だんだんいー声になってきたな、可愛いな、あんた」
動く速度が早くなる。達するのが近づいてきているのだ。お互いに。
ヴァンパイアも、無意識のうちに腰を揺らしていた。
「あっ…ああっ、あーっ!」
達すると、ヴァンパイアは再度意識を失った。
風呂から出て体を拭き、それでも目を覚まさない彼に苦笑しながら、ロウッドは再度ベッ
ドに彼をつないだ。
鎖はひやりとして冷たかった。
ヴァンパイアの冷たい寝顔をそっとなでると、ロウッドは家を出た。
ヴァンパイアは目を覚ました。
だが、血が足りないおかげで目の前は真っ青だった。
自分の体には毛布がかけられていて、自分のコートも袖が通されてボタンがしめられて
いるようだった。
ただしズボンははかされていない。
どうやら今は、夜のようだった。締め切ったカーテンから、わずかに三日月が見える。
「血が、ほしい」
ヴァンパイアはつぶやいた。今自分に足りないものはそれだった。
「血がほしいか?」
その声に、思わず声のしたほうへ目を向けた。
その声の主は、ロウッドだ。今しがた帰ってきたばかりだったらしい。
ロウッドは荷物を別室へ置くと、すぐにヴァンパイアの元へかけていく。
そして片腕を出すと、腕まくりをしてヴァンパイアの口元へ差し出した。
「噛めよ。血、少し飲んどけ。全部は駄目だからな。それとも噛まれたら吸血鬼化するっ
てのは本当なのか?」
「私が望まない限り、吸血鬼になることは…ない。血は…いらない」
ヴァンパイアは青白い顔で、あくまでも意地を張った。
もともとプライドが高いヴァンパイアだ、誰かに餌付けされることなど気に食わないのだ
ろう。
ロウッドは苦笑すると、腕をさらに近づけた。後は紫になった唇が開き、牙が肉を咲け
ば血は飲めるという位置だ。
「さっきほしいって言ってただろ。それにお前、顔色が悪い。いつにもましてな」
「…いらない…」
「このやろ、人の親切を」
ロウッドは頭に着たのか、ナイフを取り出した。
さされる、と、目をぎゅっと瞑るヴァンパイア。しかしそれは振り理おろされることはな
く、逆に己の腕を傷つけた。
甘い、血の香りがあたりに漂う。
ヴァンパイアの本能には勝てなかった。
そっと彼は口を開くと、腕にかぶりついた。
鋭い犬歯が肉に突き刺さり、血が流れ出す。
それを味わうようになめていく。
はじめて肉欲以外で見せた、ヴァンパイアの恍惚とした顔だった。
「っ…」
「んっ…」
ごくん、ごくん、と、ヴァンパイアの喉がなる。
「ヴァンパイアが噛んだところって…痛くないんだな。戦闘で傷ついたときのほうが何倍
もいてぇ」
「ン…」
ヴァンパイアの顔色が戻ってきたところで、半ば強引に彼の口から腕をのけた。ヴァンパ
イアは残念そうな、もっとほしそうな顔をしたが、何も言わなかった。
座れた血の量はたいしたことはない。
むしろ、日ごろの冒険で傷つき失う血の量のほうが多いくらいだった。
タオルで押しても止まる気配のない血に、イルタールで購入したキュアパウダーをつけて
血を止めた。
「ヴァンパイアに噛まれると血も止まりにくいんだなあ…」
「血が止まらないからこそ吸血できる。ヴァンパイアの唾液は血を止まらなくする効果が
ある」
「へえ、あんた自分のことよくわかってんだな。まあ、こっちには薬があるからな。ある
程度は対処できるみたいだな」
ヴァンパイアの赤い瞳を覗き込む。すると、ふい、と顔をそらされて、ロウッドは苦笑し
た。
「嫌われてるなあ…俺」
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ チョウブンシツレイシマシタ
| | | | ピッ (・∀・ )コレデゲームニキョウミモッテクレルトウレシイ
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
このゲーム知らないんだけど、前回と共に今回も萌えました
調べてみたらマカーは対応してないんだね…残念
>>402 ありがとうございます、かなり古いゲームなんです。
いまさらHPにおくわけにも、内容がないようなだけに・・・
なのでこちらで投下させてもらいました。
また書きあがったら投下させてもらいます。
マカーは無理でも妄想して萌えてくださればうれしいです
>>401 GJ!なんか可愛い…って吸血鬼に失礼だろうか
>>385-393 GJ!!!!!!初々しいズンノスケもへろへろなチャガワたんもかわええなー。
いいもの見させて頂きました。ありがとう
>>385-393 探し回って見つからなかったものとまさかここで出会えるとは!!
ありがとーーーーーーー><
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| 連載再開記念 「兎−野性の闘牌−」仙道×園長
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 少しでもはまってくれる人がいれば幸せ…
| | | | \
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ゴクドウケイ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
バスタブに湯が溜まるのを待ちながらその前に缶ビールでも飲むかと、部屋備え付けの
冷蔵庫を物色しているとコツコツとノックの音が聞こえた。
ドアの覗き穴から廊下を見るとビジネスホテルの安っぽい絨毯の上で風間巌がこちらを睨んでいる。
仙道真澄はドアを開けた。
問いも答えもなく、風間は仙道の脇をすり抜けて中に入ってきた。
通り過ぎ際、風間の視線が通路脇の、湯気を出す半ば開いたユニットバスの扉に向かい、体と共に止まった。
「途中だったのか」
「いや」
その事には触れられたくなく、仙道は短く答えた。
だが問いかけるように風間の眉が上がるのを見て
「…たまには湯船に浸かろうかと思って、な…」
仕方なくそう続けた。
仙道の巨体を沈めるにはユニットバスはいささか都合が悪い。
なので今までは簡単にシャワーだけで済ませていた。
だが厳しいスケジュールの旅打ちと、麻雀が打てずマネージャーに徹しざるを得ない立場にストレスが溜まり、
なかば自棄になって無理矢理にでも湯船に浸かろうとしたのだった。
仙道の返事に風間の目がきゅっと細くなった。
きゅうきゅうの湯船に嵌る仙道の姿を想像したのだろう事は簡単に理解出来た。
次に投げられるのは毒舌かそれよりもっと酷い無言の侮蔑だろう。
仙道は風間から視線を逸らせた。
が、風間はそんな仙道に構う様子もなく無言で更に奥に向かっていた。
「ん?」
風間の背中からは、どこかせっぱ詰まったような硬い空気が感じられる。
初めて察しが付き、仙道もそれに応じ、大股で進んだ。
部屋と入り口を結ぶ短い通路の端に立ち、背中を向けたままの風間を見る。
部屋の中にはベッドと作りつけの机があり、残りのほんの僅かなスペースに風間は立っていた。
こんな時間にマネージャーがやることはさほどない。単なるマッサージかそれとも…
「……今日はどっちなんだ。風間」
投げた声は少しうわずってはいなかったろうか。
仙道の問いに風間の体が緊張を増したような気がした。
何も言わず風間が背中を向けたままジャケットを脱ぎ捨てた。
Tシャツ越しに細身だが均整のとれた筋肉質の肉体が見える。
「明日の仕事が早いが寝付かれん。仙道…」
風間の声もうわずっているように思えるのは気のせいか。
「…鎮めてくれ…」
「…そっちか…」
仙道の声は、自分でもそれと判る程かすれていた。
ワイシャツのボタンを外しながら風間に近づき、触れて良いものか迷い、抱きしめず声だけかける。
「待っててくれ。今シャワーを」
「構わん」
仙道の言葉を遮って風間が振り返り、仙道のベルトにその手がかかった。
「おい、ちょ…」
仙道が止める間もなく奇術のようにベルトが緩められスラックスと一緒に下着まで降ろされてしまう。
晒された仙道の陰茎は未だ萎えたままだった。
風間はかがみ込み、それをなんのためらいもなく口にしだ。
「おいよせ風間そんな事…」
仙道は風間の頭を掴み、外そうとした。
が、風間の力は思いの外強く、それよりもその舌の巧みな動きが仙道の抵抗を削いだ。
風間の動きに応じ、その部分が急激に怒張する感覚が伝わる。
「くっ…」
仙道は尚も抵抗を試みたが、風間のきれいに撫で付けた髪を乱すだけの結果にしかならない。
ややあって風間が仙道から離れた時、仙道のそれは濡らされ硬くそそりたっていた。
「…それ位濡らしておけばどうにでもなる」
風間はむしろぶっきらぼうにそう言って自ら残った衣服をはぎ取った。
風間のそれも既に怒張している。
「…早く、……来い」
顔を背け風間が言った。
固い声の、おおよそこの状況に似つかわしくない、切迫した不器用な、誘い。
こんな風間を優しく扱う事は逆に残酷になるだろう。
仙道は無言で風間の肩を掴み、半ば突き飛ばすように後ろを向かせた。
よろめいた風間の体は狭い部屋の壁近くにある。
「そのまま手、突け」
仙道の言うまま風間が壁に手を突く。
自然と下半身が突き出るかたちになる。
仙道は風間に近づき、片手で風間の腰を掴んだ。
もう片方の手で服を脱ぎながら、掌を移動させ、双丘の頂きからやがて中心に親指をあてがう。
風間の体が微かに緊張する気配があった。
仙道は慣らしもしないまま親指に力を込めた。
「ぐっ…」
風間が耐えきれないような声を上げた。
だがその声と裏腹に仙道の指は案外容易く風間の中にめり込んでいく。
仙道が知る前、少年の頃から慣れきっているのだ。
根本まで指を押し込むとそのままやや乱暴に中をまさぐる。
更に小さな呻き声がし、壁に付いていた右の掌が固く握られた。
「待ってろ、今楽にしてやる」
仙道はそう言って指をそろそろと抜いた。
そうして今度は両手で腰を掴み、風間のそこに自分のそれをあてがった。
指より遙かに太いそれを、だが力を込めると風間はじりじりと受け入れ始めた。
不意に風間の腰が仙道から逃れるような動きをした。
仙道は動きを止めた。
体に似つかった大きさのそれは、受け入れられたと言ってもかなりの負担を風間に強いているのだろう。
風間の体がわずかに震えていた。
「…続けろ…俺は平気だ…」
仙道の迷いを読んだように仙道の下で風間が言った。
その息が荒くなっている。
辛いのかそれとも、…感じているのだろうか。
判断が付かないまま仙道は再び動き始めた。
根本まで風間の中に納め、一旦動きを止める。
風間は肩で息をしている。
その筋肉の付いた背までもが紅潮していた。
仙道は声をだしそうになり、唇を噛んだ。
仙道のそれが風間に負担をかけているように、風間のそれも仙道の根本に強い圧迫を与えていた。
この状態ではそう長く保ちそうにない。
「いくぞ」
仙道は短く言って体を動かした。
「…っ」
風間が声を押し殺す。
当初それは、暴力に耐え反射的に上げる呻きのようなものだった。
だが仙道が律動を繰り返すうち
「ああっ…!」
風間が一声違う声を上げた。
女のそれとは違う、だが女のそれによく似た声。
風間の左手が壁から離れ、何かを求めるように動いた。
壁を挟んだすぐ近くに、何も知らない柏木がいる。
意味に気付き、仙道は反射的に近くの机の上に脱ぎ捨てた自分のシャツを掴み風間の手に握らせた。
風間はそれを自分の口に押し当てた。
呻きがそこから間断なく洩れている。
明らかにそれまでとは違う呻きだった。
その呻きと同じ感覚で仙道も締め付けられている。
仙道の息も荒くなった。
仙道は風間の腰に当てた手をそのまま前に伸ばした。
怒張しきった風間に指の先が触れる。
背中がしなり、風間は固く目を閉じたまま無言で激しく首を横に振った。
仙道はかまわずそこに向かい、零れ始めている先端を全体に渡らせるようにして手で覆った。
「…やめ…くっ…」
風間が切れ切れに声を出す。
「そこ、はしなくて、も…もう…」
「こうした方がいいんだろ…」
仙道は小声で言った。
「…俺はそろそろ限界なんだよ」
荒い息を必死で整えながら最後まで言うと、風間には構わず一気に腰と手を動かした。
風間が激しく息を吸い、壁に付いていたもう片方の手が離れた。
その手を仙道は掴み引き寄せた。
上半身がのけぞり、そして支えを失った体が前に二つ折りになる。
仙道は後ろから抱きしめるように風間に覆い被さった。
それが合図のように風間の手からシャツがこぼれ落ち、同時に風間の全身が細かく痙攣し、
仙道の掌に生暖かいものがこぼれた。
一瞬遅れて仙道も風間の中に射精した。
射精の後の虚脱感から速やかに回復し、ゆっくりと風間の中から引き抜きながら抱いていた手をほどくと、
風間は、これは苦悶の呻き声を上げながら膝から崩れ落ちるようにカーペットの上に倒れ込んだ。
仙道は洗面所で手を洗い、体を洗おうとして初めて激しい音に気付いた。
バスタブの湯が意外な轟音を立てて、淵ぎりぎりの所で排水され続けていた。
気付かない程夢中になっていたという恥ずかしさが浮かんだが、反面この音に紛れて柏木が気付かずに
いてくれるだろうという期待がそれを打ち消した。
戻ると、風間は未だ床の上でぐったりと肩で息をしている。
男が男に抱かれるという行為がこれ程までに消耗するものなのだと、仙道は知らなかった。
男に抱かれる事でしか満足を得られない肉体。
組に買われ、女より前に男を覚え込まされ、未だ望まぬ欲に溺れざるを得ない。
風間が色子あがりだという事を仙道は知識として知っていたが、今まで風間は悟らせないよう繕っていた。
誰にも見せたくないはずのその部分を風間は仙道にさらけ出している。
仙道に取り繕うだけのほんの少しの余裕を、たかが資金稼ぎの為に放棄している。
どれほどの覚悟をもって、風間は山城麻雀に挑もうというのか。
仙道は風間を抱き上げ、ベッドに横たえた。
風間が呻いた。
「…今日はここで寝ろ。俺はお前の部屋に行く」
仙道は風間の耳元で言って、服を着ようとし、シャツを見て顔をしかめた。
諦めて新しいシャツを着、風間の部屋のキーを手に取る。
「…仙道…」
声に振り向くと、風間はこちらに背中を向けて横たわったままの姿でいた。
「…なんだ?」
「…付き合わせて、…すまない…」
身じろぎもせずに風間は言った。
「…いいんだよ仕方ねえだろ別に。俺も…」
仙道は言葉を切った。
「お前がいなくちゃ資金稼ぎが続けられないからな」
続きは付け加えるように言って仙道は廊下に出た。
風間がこちらを見ていなくて良かった。そう仙道は思った。
自分はもまた必死に取り繕っている。
ぶつけたら風間を壊してしまうだろうこの感情を、仙道はどこにも洩らさぬよう奥歯を噛みしめた。
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| | | | ∧_∧ オソマツサマデシタ
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>417
待ってましたよ、姐さん!
男同士のぶつかり合いセックルに禿萌!
419 :
テイ/ルズ/オ/ブ/ジア/ビス ジェ/イル/ク:2007/01/27(土) 00:21:57 ID:9kRou7rH0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| プレイしててたまらなくなったので書いてみた
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ここどこ?とか これいつ?とか
| | | | \ 自分でも思うぜ
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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背中から抱きしめる。
拒絶されているのはわかったけど、それでも身を寄せて、縋った。
「離しなさい」
「……、」
嫌だ、の意思表示のつもりで首を振る。
ジェイドの服をぎゅっと握りしめて、頬を背中に寄せた。
そばにいたい。
そうしてあわよくば、慰めてあげたい。……なんて。
傲慢な自分の考えに1人ごちて、そうして、俺は本当は、
ただジェイドのそばにいたいだけなんだと思った。自分がこうしたいだけ。
胸をゆさぶる単語が恐ろしくて、
これから世界に降り注ぐ未来が悲しくて、
ジェイドの体温に救いを求めてるだけ。(だってこいつは、いつまでも俺に無関心でいてくれるから。)
ジェイドはもう一度「離しなさい」と低く呟いた。
だけど無理に振り払おうとしないから、
俺は何も言わず、ただひたすらに抱きしめ続ける。
それから小さな溜息が聞こえて、俺は身を硬くした。
「離さないと、……キスしますよ」
「……、」
今、なんかすごいこと、言われた気がする。
それでもすぐに、俺を拒絶するための言葉なんだとわかった。
そういわれれば、俺が逃げていくと思ってる。
大体、背中を向けてるくせに、キ、キ……キス、なんて。できるわけない。
絶対嫌だ、の言葉の代わりに、俺はジェイドを抱きしめる。
ジェイドの指が、服を掴む手の甲を撫でた。
それからそっと、手を重ねられる。
「……っ、」
手袋越しでもわかる微かな体温に、一瞬身じろいだ。
ジェイドは体を反転させて、
俺の方に向き直る。
あ、やばい、と思ったときにはもう遅くて、
眼鏡越しの視線に射竦められていた。
唇が、……重なる。
「ん……っ」
逃げようとする腰をぎゅっと抱かれて、触れるだけだった唇が深く合わさった。
口の中にぬるりと進入してきた感触に、
全身が粟立つ。
舌だ、って思ったときには、耐え切れなくてきつく目を閉じた。
「ん、んん……っ、んぅ……う」
苦しくて、鼻から抜けるように息が零れる。
甘ったるい自分の声に、頬がかっと熱くなるのがわかった。
ジェイドの厚い舌が、口の中をぐちゃぐちゃに舐め回す。
何度も何度もしつこく絡められて、舌を吸われて、
くず折れそうになる体を、その腕に支えられる。
「はぁ……っ、は、ぁ……」
やっと開放されたときには、俺は肩で息をしていた。
こぼれた唾液を手の甲で拭って、ジェイドの胸を押し返す。
「だから言ったでしょう、離しなさいと」
「……ッ」
だから、って。
ジェイドの顔を見ると、やっぱり冷たい表情のままだった。
さっきまでのキスの熱さなんて、微塵も感じさせないその眼に、
俺は眉をしかめて俯く。
ばか、みたいだ、俺。1人で感じて、顔を真っ赤にして。
まだ熱の残る頬を隠すように、手の甲でごしごしする。
「あなたがどういうつもりかは知りませんが、
こういうことは、好きな相手にだけするべきだ」
「そんなの、……」
そんな言葉、そっくりそのまま、おまえに返してやる。
睨みつけるとジェイドは無表情のままで俺を一瞥して、
それから宿に戻っていった。
「……、」
俺は1人残されて、虚しさのままに足元の雪を踏みしめる。
好きな相手にだけ……なんて、そんなの。
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| | | | ∧_∧ アゲチャッタヨ…本当ニスマンカッタ
| | | | ピッ (;∀; )
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>>419 このCP大好きなんだ!ありがとう!
愛いやつらだw
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| ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです。
| | | | \三回目です。
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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程なくして、こんこん、と音がした。
誰かが扉を叩いているのだ。
ロウッドはそれに気づき、扉へと向かう。室内にいるヴァンパイアには誰がいるのかわか
らなかったが、また、相手からも見えないであろうと思ったが、その人物は、話し声から
数人いることがわかった。
がやがやと声がして、ロウッドはそれらの人物を家に招きいれた。
(私を見世物にする気か?)
ヴァンパイアは思った。
そして部屋へ入ってきたのは、ロウッドと同じ冒険者が、三人。一人、見たことのある
人物がいた。
「ヴァンパイアじゃないか」
一人の男が、驚いて声を上げた。
「ヴァンパイア?なんでこんな所に…」
ほかの冒険者からも驚きの声が上がる。
ロウッドは自慢げに、言った。
「ま、ちょっと討伐の仕事がはいってな。そこで気絶させて持ち帰ったんだよ。な?ヴァ
ンパイア…」
「ふん」
ヴァンパイアはそっぽを向いた。
じゃら、と鎖の音が響く。
「拘束してるのか」
「そうだ。逃げられたら困るからな」
ロウッドがベッドにあがる。
ギシ、とベッドがきしむと音がして、ヴァンパイアは、はっとしてロウッドを見つめた。
その表情は恐れの色が浮かんでいる。
「お前等そこで見てろよ」
ロウッドはその言葉と同時に、ヴァンパイアの上へかぶせておいた毛布を剥ぎ取った。
コートの隙間からのぞく白い足を、なでる。
ロウッドは一つ一つ、下からボタンをはずしていく。
すると、ヴァンパイアが暴れだした。
「はなせっ、触るなっ!!それ以上は触るな!!」
ヴァンパイアは、足をばたつかせてできうる限りの抵抗をした。牙を見せて威嚇する。
しかしその威嚇も、ロウッドは無視した。だが、問題は暴れることだ。
「っあー…、見てろといってわりぃんだけど、ちょっと手を貸してもらえるかな」
冒険者の一人が自分から進み出てきた。
「俺がやるよ」
「悪いな」
「!」
その男は、確かに見覚えがあった。いつだろうか…まだ三ヶ月と前のことだろうか。
仲間と二人で儀式の迷宮に入ってきて、私と遭遇した男。
男はヴァンパイアの足を抱え込むと、しゃべりだした。
「間違いない、このヴァンパイアだ」
「?」
「俺の嫁を殺したのはこのヴァンパイアだ」
やはりそうか、と、ヴァンパイアもため息をついた。
あの日、女と二人で儀式の迷宮に来て、自分に殺された女と、大怪我を負って逃げ帰っ
た男。
「見ろよ、この傷」
男は服を脱ぎだした。肩から腹にかけて、大きな傷跡があった。それが爪のようなもので
あることから、ヴァンパイアがつけたものに間違いはなかった。
「お前のせいで、今もまだこの傷がうずくんだ」
男は傷を指差して言ったが、ヴァンパイアは何も言わなかった。
悪いとは思ってない。自分の所に来たこの男が悪いのだ。殺されるとわかっていながら、
来たこの男を。
何も答えないヴァンパイアに苛々した男は、ヴァンパイアの胸倉をつかむと、こぶしを
振り上げた。
ヴァンパイアは抵抗するすべはなく、ただじっと殴られる予感に目を瞑っているだけだっ
た。
「!よせよ、お前の怒りはよくわかったから。だがヴァンパイアを傷つけるのはやめて欲
しい。特に顔はな」
ロウッドが牽制する。
「こいつは俺の嫁を…!」
「まあそう怒るなって。…楽しませてやるからよ」
「楽しませる…?…!お前、まさかヴァンパイアを手篭めにしたのか」
「まあな」
ふっ、と低く笑うと、ロウッドは残りの仲間のほうへ向き直った。
「来いよ、お前らも楽しませてやるよ」
「…!」
ヴァンパイアの顔は蒼白になった。この人数を相手にしろと?
普段ロウッド一人で気絶させられているのに、三人と交われとは無理な注文であった。
しかし、今の彼は拘束されて動けない。
「いくらヴァンパイアが綺麗だからって、男はなあ…」
冒険者の一人がつぶやいた。
「まあ、見てろって。結構良い声だすんだぜ」
ロウッドは、足を抑えていた男をベッドから降りるように指示すると、ヴァンパイアの体
にのしかかった。
「――…う…、わ、私を、仲間のいる前で犯す気か…」
「犯す?とんでもない、可愛がってやるんだよ」
その瞬間、ヴァンパイアの唇はふさがれていた。
布でも手でもない、ロウッドの唇によってだった。
初めてだった。ヴァンパイアが、キスをするのは。混乱したヴァンパイアは鋭い牙で相手
の舌を噛む。
同時に、ヴァンパイアから体を離したロウッド。口の端から血を垂らし、ヴァンパイアを
にらみつけた。
「つっ!!…いって〜、…噛みやがったな、この野郎」
ヴァンパイアに覆いかぶさると、足を開かせた。
持ってたジェルをヴァンパイアの後孔にぬり、半ば無理矢理挿入する。
「いっ…痛…!!」
「我慢しろいっ」
口の中はヴァンパイアに噛まれたせいで血まみれだったが、気にせず血を飲み下す。鉄く
さい液体がのどを過ぎる。
こんなものを好んで飲んでいるのかと思うと、ヴァンパイアは不思議な存在に思えてなら
なかった。
ヴァンパイアが枕を噛む。
今まではもっとずっと優しかった。それだけに、この苦痛は耐えがたいものだったのかも
しれない。
「いっ、あっ、ああっ、だ、駄目…お前の…仲間がいるのにっ、あっ…はっ、ああっ」
ヴァンパイアは早くも快楽を感じ始めていた。
冒険者たちは、その声にぞくりと背中があわ立つ。
がくがくと腰が揺さぶられる。抜き差しを繰り返されるそれに、ヴァンパイアは背をのけ
ぞらせてよがった。
「あ、ああっ、あーっ!だ…駄目だっ」
じゃら…じゃら。
鎖で拘束された腕が、ヴァンパイアの顔面を覆う。
ひくんと体が反応するたびに、鎖はゆれ、見るものの目を惹きつけた。
見られての性行為が恥ずかしいのか、切羽詰った表情であえぎ声を上げている。
だんだんと腰を動かすスピードが早くなる。それと同時にあえぎ声も悲鳴のようにこぼ
れる。
「はっ、はあっ、ん、だ、駄目だと…!だっ、駄目ぇっ…!ああっ、んあっ…!」
「は…、イくぜ?」
ロウッドがヴァンパイアの耳元でささやく。
ぞく…と悪寒にも似た感覚が背筋を走り、それと同時に、達した。
「っ…あ…」
ヴァンパイアの肩が荒く上下する。
次いでロウッドのものが引き抜かれる感覚がし、彼の精液が顔面にかけられるのを感じ
た。
どろ…と顔面を精液が伝う。
それを拭おうとはせず、虚ろな目をし、顔を真っ赤にしながらヴァンパイアはぼんやりと
四肢を投げ出した。
ロウッドが額に口付けてくる。ロウッドの口の中の出血は、いつの間にか止まっていた。
「…」
冒険者は、息を呑んだ。そして冒険者の一人が、そろ…と手を出してきた。
「やりてぇか?」
その言葉に、びくっと反応したのはその男だ。
「や、その…まあ…」
「ベッド、上がれよ。俺は降りるから」
ベッドから降り、ベッドに腰掛けた状態で、ロウッドはもう一度、ヴァンパイアに口付け
た。
ロウッドは、椅子に座ると、ヴァンパイアをぼんやりと眺めていた。
男に、足を上げさせられる。そしてすでに硬くなってるそれを、一気に挿入される。
その行為に、愛や容赦などはなかった。
「っ…うあ」
ヴァンパイアが眉をしかめてうめいた。
「も…やめ…ろ」
男は黙ってヴァンパイアを犯した。
それからの宴は狂ったようだった。ロウッドを除く冒険者全員が、ヴァンパイアを犯しに
かかった。
一人は噛まれないように用心しながら、熱く猛った物をヴァンパイアの口に押し込んだ。
一人はヴァンパイアの内部を蹂躙し、一人はヴァンパイアの胸に舌を這わせる。
狂いそうなほどの快楽に、ヴァンパイアは泣いて首を振ったが、快楽に蹂躙されている
のは明らかだった。
「いや…だっ、もう…もう…」
口から猛りを引き抜かれ、顔面にまたも精液をかけられる。
精液にまみれながら、ヴァンパイアは訴えた。
ぽろぽろと涙がこぼれ、枕をぬらす。
「何言ってんだよ、もっとして欲しいんだろ?淫乱なヴァンパイアが」
肩から腹にかけて傷のある男が、ヴァンパイアを犯しながら、言った。
「ちが…あ…っ、はあっ…、ああっ」
ヴァンパイアの中で吐精すると、今度は別の男が挿入する。代わる代わる犯され、ヴァ
ンパイアの精神はぼろぼろだった。
____________
| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ エロバッカナノハキニシナイ
| | | | ピッ (・∀・ )
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
久々に萌え死にそうだ
あああだいすき!!
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| 三/丁/目/の/夕/日
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、淳→茶→鱸オート
| | | | \前の続きです。
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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ミーンミンミンミンミンミンミン・・・
「もうだめだ・・・」
おじちゃんは机の前に仰向けに寝転んで
パタパタと生ぬるい風を送るばかりの団扇を仰いだ。
「才能が枯れ果てた?」
そんなおじちゃんに後ろで宿題をやっていた僕が後に続くおきまりのセリフを言うと
「ふんっ」と恥ずかしそうに横にまるくなった。
きっと僕は今締まりの無い顔になってるだろう。
キンさん辺りに見せたら「何をだらしの無い顔をしてるんだい」と怒られるかもしれない。
だけど仕方ないんだ。
おじちゃんのことが好きで好きでしょうがないんだ
僕はあの日、おじちゃんと鱸オートの行為を見てしまって以来、頭の中がパンクしそうだった。
寝ても覚めても考えるのはおじちゃんのことばかり。そしておじちゃんがそばに来るとドキドキして止まらない。
あのときの一平ちゃんの言葉が正しいとすると、この症状は僕がおじちゃんに恋してるから。
まさか おじちゃんは男だしおじちゃんだし 恋はかわいい女の子にするものだ
必死で否定し続けたが、そのまま中学校に入学し性教育なんかも受けた今ではもうすっかり認めてしまっていた。
僕はおじちゃんのことが好きで。夫婦がするようなことをしたいと思ってるんだと。
だけどそう認めてしまってからがまた大変だった。
おじちゃんは服が無いのかめんどうくさいのか、基本的にあまり着込まない。
今の季節なんて上半身、薄い破れかけのタンクトップ一枚で過ごす。
そんな姿の好きな人と狭いこの家で一緒に暮らすのは拷問に近い。
今だって、意味を成してないタンクトップの下に汗ばんだ白い胸が見えている。そして桜色をした・・・
ゴクリ
血が逆流するのを感じる。
まずい。どうしよう。けど今処理するわけにはいかない。
かといってこのまま我慢できる気がしない。
頭の中はもう宿題の数式なんかとっくに消えていて、おじちゃんのあらぬ姿で埋め尽くされている。
そんな猥雑な頭の中に、ふとあの日見た鱸オートの笑顔が浮かんだ。
あの日以来二人がそういうことをしているのを見ていない。
だけどたまに、僕が学校から帰ってくると部屋からなんとなくあの日の匂いを感じることがある。
そんな日の夜は嫉妬と興奮とが複雑に絡み合い、大変だ。
きっとあの二人の関係はまだ続いているのだろう。
けれどその関係に意味はあるのだろうか。
だって鱸オートには奥さんがいる。子供もいる。なのに、どうして、おじちゃんとこういうことをするのか。
ただの戯れ?だけどあの日の濃密な空気からはそんな感じがしなかった。
おじちゃんのことも愛してるとでもいうのだろうか。
そしておじちゃんはそんな中途半端な気持ちを甘んじて受け取っているのだろうか。
結局そのまま考え込んでしまい、宿題はほとんど進まず夕方になった。
僕は夕飯の買い物に出かけ、そしてある決意をして家路についた。
ガラガラガラ・・・トン
いつもは閉めない表口の扉を閉める。
「ただいま」
「おうお帰り♪」
お風呂上りのおじちゃんがビールを持ちながら「夏はやっぱこれだよなぁ♪」なんて調子よく言う。
そんな気分の良いおじちゃんに今から僕がすることを考えると申し訳ない気がしたが、
もう後には引けない。
「おじちゃん」
僕はビールを開けようとしているおじちゃんの前に正座した。
「んぁ?なんだ?」
「おじちゃんは・・・鱸オートが好きなんですか?」
ガシャッ
「なっ、何言ってるんだジュンノスケ?好きなわけないじゃないかあんなやつ。敵だ敵!」
「でも・・・」
「な、なんだよ」
「僕・・・見ちゃったんです・・・。おじちゃんが鱸オートといやらしいことしてるとこ」
「!!!!!」
おじちゃんは茹蛸のように真っ赤になってしまった。
「昔僕が夜遅くに外にいてキンさんにおじちゃんが怒られたことあったでしょう。『なんで表口閉めてるんだ』って。
あの日、僕は表口が閉まってたんで裏口に行ったんです。そこで鱸オートがおじちゃんの足の中で何かしているのが見えて」
「お、おま、な、そ、」
「あの時はその行為の意味が分からなかったけど今は分かります。好き合うとそういうことをするんでしょう?
ならおじちゃんと鱸オートは好き合ってるんですか?」
言いながら僕は身を乗り出しおじちゃんをあの日いたふすまの下のほうへ追い込む。
「けど鱸オートには愛する奥さんも子供もいますよね。
ねえおじちゃん。おじちゃんと鱸オートは一体どういう関係なんですか?」
僕はおじちゃんの顔の両側に手をつき、完全に追い込んだ。
おじちゃんは真っ赤だった顔が真っ青に変わり、顔を伏せてかわいそうな位震えていた。
「・・・な、何にも関係なんて、無い。」
「ならなんでああいうことしてたんですか?性欲処理?」
「そっそうだ。」
「ふぅん」
予想通りのおじちゃんの言葉に僕は心の中でほくそ笑んだ。
「なら僕がしますよ」
「へ?」
おじちゃんのズボンの中に手を入れる。
「なっ!?おま、な、なにしてんだっっ!!」
「鱸オートと同じことを」
そして下着の上からおじちゃんをそっと触った。
「ねえおじちゃん。
鱸オートにさせるくらいだったら、僕にさせてください。性欲処理。」
おじちゃんの形を指でなぞる。
「んっ・・・やっ・・・・な、なに馬鹿なこと言って・・・っ」
「馬鹿なことじゃないです。」
僕は耳元に口を寄せて囁きかける。
「おじちゃん・・・鱸オートは性欲処理だとしても、おじちゃんはどうなんですか・・・?」
ビクッ
「おじちゃんは鱸オートのこと・・・本当は好きなんじゃないですか・・・?」
「・・・・・・・・」
「ねえ・・・本当のこと言ってください・・・じゃないと・・・」
キュッ
「んあっ・・・!!!」
布の上から先端を摘み捏ねると、蜜が零れ始めた。
蜜をおじちゃんに塗りつけるようにして揉みわざと大きい音を出す。
「おじちゃん・・・もうこんなに濡れてる・・・」
クチュクチュクチュ
「・・・あっ・・・はぁっ・・・ふっ・・・
やっ、めぇ・・・・・・ん、んぅっ・・・!」
「ねえおじちゃん・・・」
下着の中に手を入れる。
「ひゃっ・・!」
先走りで濡れたおじちゃんを扱く。
真っ赤に染まった耳を食みながら、さらに僕は続ける。
「・・・鱸オートのことが好きなおじちゃん。
だけど鱸オートには家庭があって。都合の良い性欲処理として遊んでるつもりだろうから自分も遊んでるつもりでいてあげる。
そしてそんなおじちゃんにつけこんでいつまでも鱸オートはこの関係を続ける・・・」
先端に爪をかける。
「うあっ・・・!っあぁぁぁっっ・・・!!」
ピュッピュッ・・・
出終えると、あのときと同じようにおじちゃんはくたっとふすまに寄りかかった。
おじちゃんのがかかったその手を、僕は鱸オートがしたようにおじちゃんに見せつけるように舐める。
「おいしい」
そして微笑み、同じセリフを吐いた。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
おじちゃんは必死で息を整えながら、呆然と僕を見てる。
いつもの白い肌は全身桃色に染まっていて、壮絶な色香を放っていた。
「・・・ねえおじちゃん・・・」
・・・はぁ・・・はぁ・・・
「鱸オートとの関係は、もう止めたらどうですか」
・・・・・・はぁ・・・・・・
「僕にしませんか?」
おじちゃんの目を見つめる。
「僕、おじちゃんのことがずっとずっと、好きだったんです。」
うつろだったおじちゃんの目が見開かれる。
息子同然だと思っていた奴がそんな気持ちを持っていたとは夢にも思ってなかったのだろう。
「僕なら。僕なら鱸オートと違って世界一おじちゃん一人のことを愛します。」
おじちゃんは僕の一世一代の告白に泣きそうな顔して、
そして俯いてしまった。
「おじちゃん」
「・・・だめだ」
「・・・だめだ」
それは思いの外はっきりした声だった。
「なんで、」
「お前は・・・勘違いしてるんだよ。」
「勘違い・・・?」
「そ、そうだ。」
おじちゃんはずれたメガネを整えた。
「・・・おまえは、親子愛と恋愛を履き違えてるんだよ。
おれをよく見てみろよ。おじさんだぞ?こんなんじゃなくて、可愛い女の子を好きになるべきなんだよ。
そしていつか結婚して子供ができて、そうやって幸せな家庭をつくっていくべき・・・っ」
「・・・ふあっ・・・」
チュ・・・クチュ・・・チュ・・・
「黙って」
チュ・・・チュ・・・
「・・・勘違いなんかじゃ・・・はっ・・・ないよ・・・」
「んうっ・・・んん・・・っ」
チュ・・・クチュ・・・
「本気で・・・本気でおじちゃんのことが・・・好きなんだ・・・」
「・・・っあっ・・・はふっ・・・」
ッチュ・・・チュ・・・
「僕のこと、拒否してもいいよ。結局諦めないけどね。
でも」
「んあっ・・・!」
「僕の気持ちだけは否定しないで」
その夜、短い命を限りなく燃やそうと鳴くセミの声が
やけに耳について離れなかった。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ サンチョメネタスキナヒトイテウレシカッタ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
茶ガータン、いただきますた
大好物だ!!!
グッ ジョーーーーーーーブ!!! と言いたい。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです
| | | | \コメントくれる方ありがとー
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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おそらくは二時間がたった。
ロウッドがちら、と見た懐中時計が二時間立ったことを示しているから、間違いはないだ
ろう。
相も変わらず犯されているヴァンパイアに、胸がちくりとうずいた。
助けを求めるように、ヴァンパイアがロウッドを見やる。
それにロウッドも気づいたのか、椅子から立って冒険者たちに言う。
「あー…お前ら、そのくらいにしとけよ、流石のこいつも参ってきてるぜ」
「あっ…はあっ…もう放…してくれっ…!」
「まだだ…まだ、たりねぇ」
男はつぶやいた。泣き腫らした目をするヴァンパイアなどお構いなしに、犯し続ける。
まだ、足りない。
肩から腹にかけて傷のある男は、そうつぶやいた。
「いい加減にしろよ、苦しそうじゃねぇか」
ロウッドが男の腕をつかんだ。そこで初めて自我を取り戻した男は、ヴァンパイアを見つ
めて眉をしかめた。
夢中でヴァンパイアを犯していたのだろう。
「…殺してもいいんなら殺してたんだがな…」
「そのうちやりごろされるぞ。やめとけ」
ロウッドは男に言った。男はヴァンパイアに唾を吐き掛けたいような顔をしていたが、や
がて己のものを引き抜くと、ベッドから降りた。
「っあ…、…はあ…」
他の男もベッドから降りる。
男たちの精液にまみれたヴァンパイアは、普段の凛とした表情を失い、ただ快楽と疲労
に満ちた顔でいた。
焦点の定まらぬ目。
男たちは衣服を整えると、ヴァンパイアを改めて見やった。
「もう一度くらいやりたかったな…」
「二時間まわされ続けたんだから勘弁してやれ。悪いが今日はもう帰ってくれないか、後
始末するからよ」
ロウッドの言葉に、男たちはうなずいた。
仲間が帰っていくのを見ながら、そして扉が閉まったのを確認し、ロウッドは桶に水をた
め、タオルを持ってヴァンパイアの元へ走った。
「おい」
「…」
ヴァンパイアは目を閉じていた。銀色の長いまつげが、美しいと思った。
「…おい、お…」
その瞬間、ロウッドの右腕はヴァンパイアに噛まれていた。
赤い目をぎらつかせ、獣のように噛み付くそのさまは、ヴァンパイアが人外のものだと改
めて気づかされるような光景だった。
今度は痛かった。犬歯と、普通の歯で思いっきり噛んで来たのだから、腕の一部がちぎ
れるかと思ったほどだった。
「ってぇっ!!」
振り払おうとして、はた、と、気づく。
ヴァンパイアの目から涙があふれているのを。
「あ…、…悪かったよ…。気の済むまでかめ、血を飲んでもかまわん、肉食いちぎっても
いいから」
ぎゅ、とヴァンパイアの拘束されている手を握った。
しばらくヴァンパイアは、うなるように噛み付いていたが、そのうち口を腕から離した。
腕からは血がだらだらと流れていたが、それをとめようともせず、ロウッドは言った。
「本とは、自慢するだけだったんだ。あんた、綺麗だからさ。あー…そうだよな、あんな
ことされたら怒って当然だよな、すまない」
「すまないですむか」
涙声。初めて聞く、涙声。さっきまでちくりとしていた心の傷は、ずきずきと痛んだ。
いくらヴァンパイアが相手でも、ひどいことをしてしまったと、改めてロウッドは反省
した。
(でもあの嬌態は中々だったなぁ…。は、いかんいかん)
気を取り直して、用意していたタオルを桶に浸す。血まみれの腕のせいで水が赤く染まり、
苦笑した。
「腕の血、飲まないか?だらだら流しとくのはもったいない」
「…」
「いらない?」
ロウッドが、そばにあったキュアパウダーを取ろうとしたとき、ヴァンパイアがつぶやい
た。
「…いる」
ロウッドは笑顔で、血の滴る腕をヴァンパイアの口元に持っていく。
すると、指先から傷口まで、丹念に血をなめ取っていく。
やはり血をすっているときは恍惚とするのか、そんな表情を浮かべて、夢中でなめていた。
ロウッドは空いているほうの手で、体を拭いてやる。
びくんと、体がはねる。血を飲むのをやめて、まじまじとロウッドの顔を見た。
「汚れたところ、拭いてるんだよ。水気は嫌いだろうが、我慢してくれ」
「ああ…」
ヴァンパイアはもう一度傷口に唇を近づけると、あふれ出る血をなめだした。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ホショクサレルガワトホショクスルガワ、
| | | | ピッ (・∀・ )カンキンスルガワトサレルガワ。
| | | | ◇⊂ ) __…ホショクハシテナイカ
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
ど…どんなに探しても見つからなかったォルウェィズ/サンチョメが此所で読めるとはぁぁぁ!
感激っス!
超続き期待して良いっスか!?
ズンノスケ→チャガータン最高っス!
ちょっとノレナティックドーソ中古屋で探してくる!(´Д`*)ハァハァ
(;・`д・´)ゴクリ…
>>450 元ネタ知らないけどいつも凄く楽しみにしてます。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|ビリー/ミリ/ガン人格内 小話です
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ノンフィクションものです。不謹慎に思われたら
| | | | \ スルーしてください。
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
記憶は、子供たちの残虐な罵声から唐突にはじまる。目を開けると、
そこは建築現場で、ぼくは地面に掘られた基礎用の穴に引きずり込まれ
ようとしていた。どうしてだろう。自分がこの世に生まれたのは確かに
その瞬間だったはずなのに、そのときすでに、ぼくは、自分が何かの
使命を果たすために生まれてきたのだということを悟っていた。だから、
ぼくは懸命に舌を捌いて、自分より一フィートも背の高い子供たちをなだ
めようとした。結果は失敗で、ぼくは身体もろとも穴の中に投げ込まれた。
だが、ぼくという存在はその瞬間から確実に始まったのであり、そのことは、
他の人格たちとの出会いによって確証づけられることになった。
スポットから外れた暗がりの中、アーサーはひとり物思いに耽っていた。
その指は相変わらずピラミッドの形をあわせ作っている。眼鏡の奥にうかぶ
眼は重たげだ。近頃とみに沈みがちなのは、レイゲンが現れないせいだろう。
レイゲンがやってこないのは平和な証拠で、近頃は人格の交代も落ち着いている。
それはアーサーの本来望むところであるはずだったが、手ごたえのある相手が
そばにいないことはやはり不満なのだろう。
「アーサー」ぼくは絵筆を置いた。「描けたよ」
声をかけると、彼はぼくのいるスポットの側にまで歩んできた。光の中に
半身だけを差し入れて、ぼくの背後からキャンバスをしげしげと眺める。
「新しい作品だな、アレン」
「うん」
「よく描けているな。これは誰なんだ?」
「あんただ」
「……わたし?」
「あんたの他に、眼鏡の人格なんていたっけ?」
レイゲン、クリステン、エイプリル、これまで何人もの人格たちを現実世界の
キャンバスの上で描いてきた。なぜ風景画でも静物画でもなく人物画なのか、
と問われても困る。だが、自分にはどうしても人格たちの顔をはっきりとかきと
めておきたいという願望があった。他の人からみれば、ぼくたちは、ビリーと
いう殻のなかで分裂した意識の片割れにすぎない。
「自画像は描かないのか、アレン」
「自分の顔なんて知らないもの」ぼくは笑った。「鏡をのぞいたところで、
映ってるのはビリーの顔だ」
アーサーも苦笑した。
「理にかなっているな」
「そうだろ」
「しかし、それではきみの顔だけがこの世に残らないことになる」
「構いやしないよ」ぼくは言った。「トミーは風景画しか描かないし」
「トミーも最近スポットに現れないな」
「……追い出してやった。それ以来、出てこないんだ」
「どうして追い出した」
「あんたの顔を描くのを邪魔するから」
「……どうして」
「さあね」
絵筆を片付ける。肩が凝ってひどく疲れていた。ベッドで一眠りしたら誰か
がスポットを代わってくれるだろうか。アーサーに声をかけようとしたが、
振り向いたときにはもう彼の姿はスポットの隅から消えていた。仕方がない。
ベッドに身を投げて天井を見つめる。自分はビリー・ミリガンだ。唐突にそう
考える。自分はビリー・ミリガンだ。アーサーもビリー・ミリガンだ。レイゲンも
トミーもビリー・ミリガンだ。それが本来の道理だ。だが、もしそうならば、
ぼくたちは結局何のために生まれてきたのだろう。ぼくたちはただビリーを
守るためだけに生まれてきたにすぎないのだろうか。そしてぼくはただビリーの
分裂した一意識として、残りの二十三の意識の残像を巧妙に描き分けている
だけにすぎないのだろうか。わからない。天井から目を閉ざすとスポットも
見えなくなって涙がこぼれ出た。
と、その瞬間、ふわりと頭の上から覆いかぶさる意識があって目を開けた。
自分がどこにいるか分からなくなった。だが、ぼやけた視界の先にいるのは
間違いなくアーサーだ。いつもピラミッドを形作っているその指が、ゆっくりと
頬に触れて、伝い落ちた涙を拭い去った。そして、聞きなれたイギリス訛りと
共に、短い接吻が唇に落ちる。
「アレン」声がほんのかすかに掠れている。「私は、きみの顔を決して忘れはしない」
アーサー、と言おうとしたが、言葉にならない。震えた唇にもういちど接吻が
あてがわれる。喋れなくなった自分なんておしまいだ、と思ったが、それよりも
彼のいつになく優しげなまなざしに心もろとも吸い込まれそうだった。ランカスターの
老人ホームでアーサーが感情をこらえたように見えたのは思い違いではなかったのだ。
たまらずアーサーの金髪を引き寄せて顔じゅうに唇を寄せる。止まらなくなって
交わした舌は不思議なほど温かい。ゆっくりと快感が持ち上がる。多分、生々しく
反応しているのはビリーの身体だ。傍から見ればこれは自慰にすぎないだろう。
ビリーの家族に見られたら大変なことだ。
「部屋に……」ぼくはあがる呼吸の中でつぶやいた「部屋に、鍵をかけないと」
アーサーは苦笑した。「きみは、どうにも機転がききすぎるな」
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ オソマツサマデシタ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
元ネタわかんないけどスゲー萌えたよ、ありがとう!!
うわー!
24人の彼等目茶苦茶好きなのですごい見た瞬間ときめいて、読んで更に萌えました。
ありがとうありがとう。
おお
801は広いと実感したよ
面白かったありがとう!
柴/田/よ/し/きの『フ/ォ/ー・ユ/ア・プ/レ/ジャー』
の後日談らしきものです
斉/藤×れん
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
部屋に入るなり、若は俺をソファに座らせた。
俺はジーンズに包まれた細い腰を鑑賞した。
細いジーンズは若の長くてしなやかな足や、抱きしめたくなる腰を
あますところなく明らかにしていて、俺は唾を飲み込んだ。
お呼びが掛かるのは久しぶりだった。
しかたがない。若には手に届くところに若い男がいくらでもいるし、
色々試してみたくなるのは男の性だ。
そして、俺は実のところ、若の舎弟の一人でしかなかった。
久しぶりに与えられる快楽の予感に、すぐにでも、腰をつかんで、
後ろから突き上げたい衝動に駆られるが、主導権を持っているのは俺ではない。
俺は忠犬よろしく、おとなしく若に従った。
若は俺の前に立つと、目を細めて、俺を検分した。視線が肌の上を這う。
それだけで俺の背筋はぞくぞくした。
若の目線は己の持ち物の様子を調べているような、冷静なものだった。
ある意味、それは正しい。現在、俺の人生は若の掌中にある。
細くて綺麗な指が、ゆっくりと俺の顔をなぞった。
「案外早く元に戻ったな」
俺は黙って、ただ、目の前にある男にしてはありえないくらい整った顔を眺めていた。
何度見ても、いつまで見ていても見飽きなかった。
ほのかな白檀の香りが俺の鼻をくすぐった。香水やコロンの人工的な香りではない。
若の肌の香りだった。まれに、こんな風に生まれつき肌の香る人間がいるという。
そして、人を狂わせると。
「体のほうは、どうなんだ」
気遣う調子ではなかった。それどころか、面白がっているような口調だった。
この人に、そんな優しさは期待していない。
そもそも、俺の体が傷だらけだったのも、
顔が火ぶくれになったのも全部、この人のしたことだった。
「おかげさまで」
短く答えると、若は軽くうなずいて、
俺のシャツのボタンを一個一個、いやみなくらい丁寧に外していった。
外しながら俺の上にのしかかってくる。香りが強くなった。頭がくらくらした。
気が付けば、若の深い闇色の瞳のなかに俺が映っている。
瞳の中の俺は、蕩けるように甘く濃厚な闇の中に完全に溺れていた。
この香り、それから強い人を飲み込むようかのような視線が、男を狂わす。
全てがどうでもよくなるのだ。
かつては若がやくざで、俺が警察官であることが些細なことに思えた。
今は、この人がつい先日、俺を半殺にし、いや本気で殺そうとしたことが、
取るに足らないことにしか思えなかった。
「治ってるな。少し、跡が残っているが」
若は、いきなりわき腹に残った傷跡を抓った。俺はうめき声を上げた。
ケラケラと若は笑った。どうやら、今夜は機嫌が良いようだった。
そういえば、酒の匂いもしない。
ひどいときは、この人は浴びるように酒を飲む。あるいは睡眠薬をしこたま口の放り込む。
まるで、自分の命などどうでも良いかのように。俺はこの人のために少しだけ安心した。
これがいつまで続くかは、わからないが。
「これくらいで、さわぐなよ。
取調室でいつもあんたがやっていたことに比べれば、可愛いもんだろ」
もちろん、俺は文句を言わない。これくらいで文句を言っていたら若の相手は務まらない。
若は俺の前に跪いて、スラックスの前をゆっくりと撫でた。
「でかくなってるな」
確かに、俺の性器は、下着の中で窮屈だと主張し始めていた。
だが、この人を前に、普通にしていられるわけがない。
まして、じらすように、シャツを脱がされては、平静でいるのは拷問に近い。
だが、若は珍しいことに、それ以上俺をじらさなかった。
性器が暖かい口腔に包まれたとき、俺は深いため息をついた。
羽のように軽く柔らかく、あるいは蛇のように執念深く強靭に、舌は俺を攻め立てた。
若の柔らかい髪に指を突っ込んでかき回すと、若が俺を見上げてきた。
目の縁がほんのりと赤くなっている。口の端が唾液と、俺の先走りで光っていた。
若も興奮している。
「若!」
若は、優しいといっても良い口調で、ささやきかけてきた。
「達けよ。達かせてやるから。好きなだけ」
そうではない。口ではなくて、ねっとりと淫靡に絡み付いてくる尻の中で達したい。
その尻は俺の前で、ジーンズに包まれて、いやらしく揺れていた。
中に突っ込んで、この人の口からこぼれる女のように高くかすれた声を存分に聞きたい。
突きまくって、前もこすってやると、この人の目には涙が浮かぶ。
その涙を舐め取ってやりたい。
欲しいものが目の前にあって、届かないもどかしさに、俺の喉は乾いてひりついた。
アル中が酒を目の前にしたときは、こんな感じなのだろうか。
だが、全て若が決めることだ。
俺が沈黙していると、若は立ち上がった。
「わかったよ。今夜はあんたのしたいようにするがいい」
にやりと口の端で笑う。今夜の若はいつになく親切だった。
まさか、これは俺を半殺しにしたことへの、若なりの謝罪なのだろうか。
若は自分でシャツを脱ぎ捨てた。引き締まった男の体があらわになる。
滑らかな肌。胸に浮かぶ蝶のタトゥー。白檀の香り。
若がどいうつもりかなど、この際関係ない。俺の理性は崩壊した。
ジーンズを脱ごうとしている若を性急に床に押し倒した。
この綺麗な男を思う存分犯したかった。
「がっつくなよ。準備ってものが…ある……んっ」
「したいようにしろといったのは若です」
ジーンズは膝までしか脱げていないが、俺はかまわず指を唾液でぬらして、
若の尻に差し入れた。
夜毎男を受け入れているそこは、俺の指三本をあっさり受け入れた。
わかっていることとはいえ、癪に障った。
頭ではわかっていても、抑えようのないこともあるのだ。
俺は若の肩を押さえつけて、指をあわせたり、離したりしながら、乱暴にかき回した。
相変わらず、いいしまり具合だった。指をくわえ込んで、離そうとしない。
指がある一点を掠めると、かすれた声が上がった。
「んっあっ…あぁ」
若の性器も立ち上がっていた。
先端を弄ってやると、若は腰をよじって、女のように、
いや女よりなまめかしい声で喘いだ。その声で、俺にも限界が来た。
はちきれそうになっている俺の性器を取り出すと、白く淫靡な尻の狭間に押し込んだ。
熱と圧迫に、頭がしびれる。これだ、これが欲しかった。
俺は何度も角度を変えて、若を貫き、そのたびに若は高くかすれた声を上げて達した。
いつの間にか、若は気を失っていた。
部屋の中には、俺と若の二人。
尻の狭間から俺の放った精液が漏れ出していた。
若の性器も腹も、濡れていた。
脱ぎ散らかした服が残骸となって、床に捨てられていた。
それ以外は、先ほどの激しさが嘘のような静けさだった。
俺は側にあったティッシュで、若にこびりついた体液を丹念にふき取った。
長い睫に、透明な涙が光っていた。
そっと、指でぬぐい、髪を撫でてやった。
若の口元が動いた。俺は耳を寄せた。
「りゅ、う……」
静かな部屋に声が響いた。
俺は唇をかみ締めた。
俺と同じように元刑事の男。若の愛人であった男。
そして、俺と違って若に愛されている男。それなのに若の側にいようとしない男。
若がこうなってしまった、全ての元凶でもある男……。
わかっている。俺も、俺以外の全ての男も若にとっては肉の渇きを癒し
眠れない夜を眠るための睡眠薬であることは、わかっている。
俺が若に今のところ気に入られているのも、その男と同じように元刑事だからなのだろう。
わかっている。だが。
俺はため息をついた。
若を濡れタオルできちんとぬぐってやって、ベッドに運んで、それから。
若は今夜は寝付けたが、俺は眠れない夜をすごすことになるだろう。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
前回の続きです。思ったよりも長くなりそうで恐縮ですが
もうしばらく棚お借りします。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・;)三話見る前に書いちゃったんだyo!
3
今夜はおそらく父の愛人が情けを受けるのだろうと思われた。長年見ていると何とはなしに判るものである。
しかし迷っている暇はなかった。彼女の恨みを買いたいわけではなかったが、今日を逃せばぼやぼやしているうちに
時間切れになってしまうかもしれない。それだけは避けたかった。
「お父さん、お願いがあります」
夕食の後で、父の書斎へ行った。父は、いつもと変わらぬ様子で何かの書類を眺めていた。どうせまた手を汚して
いるのだろうとも思ったが、今はそんなことはどうでも良かった。
どうした、とまだ昼の顔で振り向く父に、不自然なほどの近さ、しかし服は擦れても包まれた肌は触れぬような
距離に寄って、酒を入れた熱い息を吐いた。
「申し訳ありません、また…」
「…また?」
「また、…はしたない、熱が」
恥ずかしげに目をそらす素振りをすると、紙束を放した父の冷たい手が、酒気に火照った頬に当たった。
「…あ」
それだけのことでぴくりと動いてしまい、父の手に頬を擦り付ける。父はかすかに息を呑んだようだったが、
「この間も面倒を見てやったばかりだろう。今日はお預けだ」
「解ってます。ですが…今だけでも、少しお時間を頂きたいのです」
父の手の上に片手を重ね、首筋を辿るように下へ降ろしていく。そこから汗が引いていくような気持ちよさと、違う
汗が滲み出るような生々しさが同時にわき上がる。少しずつ下へと重ねた手を動かしていき、その道を空けるように
もう片方の手でシャツのボタンを外していく。
「あ、あぁ…ああ、お父さんの、手が」
父の掌を道具に自慰をするかのように、それを胸元に擦り付ける。体の芯の方も、それにもっと応えようと身を
くねらせてしまう。されるがままであった父の手は、ある瞬間に急に力が入り、能動的に僕の胸元を摘んでは押し潰す
ような動きを始めた。僕は酒精の巡りもあって、刺激に合わせて高い声を出した。
「お父さん、やめないで…やめないで下さい、ああ…」
「もうここをこんなにして…お前は、本当に」
「あ…!」
父のもう片方の手が、急に僕の下半身に無遠慮に触れた。そのままそこを服の上から強めに揉みしだかれると、体の
方では待ちこがれていたようで、腰も立たなくなるような悦びに思わず父に縋り付いた。
「ああ、もう、もう後生ですから、お父さん」
「…いいだろう、お前の勝ちだ」
甘え上手になったものだな、と父が口づけてくる。曖昧な笑顔を返しながら、唇をつけては離すだけの軽くて甘い感触を
何度も味わった。
「一度楽にさせてやるから、風呂に入ってからもう一度来なさい」
僕が必死に頷くと、父は僕のベルトを外しながら内線の受話器を取った。彼が愛人の名前を呼ぶのをすぐ側で聞きながら、
僕は計画の第一段階の成功と、服の中に突っ込まれた父の手の直接的な快楽を味わい、押さえようとしても押さえられぬ
嬌声と勝利の笑みを必死に掌の下に隠した。
風呂を上がって再び階段を上がっていると、父の愛人がちょうどやって来た。そのままやり過ごそうとすると、擦れ違って
から数歩後、
「どういうおつもりですの?」
彼女はこちらを振り返りもせず、前を向いたまま足を止めた。
「…何のことです」
「とうに学校も出て、いまさら発情期でもないでしょう。わざわざ貴方からお父様をお誘いになるなんて、何かお考えでも
あるのかしら」
「まさか。貴女に喧嘩を売るつもりはない。僕は今のこの家の権力関係が解らないほど馬鹿じゃないつもりです」
「お兄様とは違うようですわね。てっきりお二人で共謀してわたくしを追い出そうというのかと思いましたわ」
そんなことできるはずもない、と言わんばかりの語調で彼女は笑った。ですから、と僕は彼女の背中を見つめて語を継いだ。
洗い髪が冷えて、思考まで冷めていくようだった。兄の名を出されたからかもしれない。
「改めて今日は貴女にお願いします。今夜一夜僕に譲って頂きたい」
「…そこまで言うからには、わたくしを納得させる何かがあるのかしら?」
「もしかしたら、ですがね」
貴女の利益にもなるかもしれない。そう呟いて僕は再び階段を上がり始めた。
不意に彼女が後ろから僕を呼び止めた。振り返る前に、艶のある声が飛んでくる。
「わたくし、貴方のお兄様には、貴方とお父様のことお教えしてなくてよ」
思わず目を見開いた。振り返ると、彼女が僕の方を向いて優雅に微笑んでいた。
やはりこの女、侮れない。
「…それは、助かります」
「いいえ。そういえば今夜はお兄様もお泊まりになりますものね、精々お気をつけて。それじゃ楽しみにしてますわ、
わたくしと貴方の利益」
「ですから、もしかしたら、ですよ」
「ふふ、いいわ。そうなるような気がしますもの。ねえ、仲良くしましょうよ、わたくしと貴方どちらが床上手かしら」
唐突に発せられた直接的な言葉はふっと鼻を鳴らして笑い飛ばしたが、彼女は冗談めかして続けた。
「一度比べてみるのはいかが?何ならお父様抜きでもいいわ」
「やめておいたほうがいい。僕は抱く方はからきしですよ」
自嘲的な僕の返答に、たっぷり一秒分彼女は目を丸くしていた。しかし瞬きを一つすると、弾けたように高い声で笑い始めた。
「ああ可笑しい。天下の財閥の次男坊が…ほほ、宜しくてよ、ご縁談ではそんなこと申し上げませんことよ、ああ、何てまあ」
笑い声は背を向けて、遠ざかっていった。彼女が品のある振りの中にも時折垣間見せる趣味の悪さ、それをこうはっきり
目の当たりにしてみると、彼女はこの家にいるべきではないと言った兄の言葉はなるほど正しいように思えた。しかしその理屈は
当然、僕をも追い出さなければならないことになるのを兄はまだ知らないだろう。
歩きながら、僕は改めて僕のやろうとしていることが果たして彼女の利益になるかどうか考えてみた。売り言葉に買い言葉で
適当なことを言ってしまったが、実際は全て上手く行ったとしても大して彼女の利益にはならないだろう。いや、なってもらって
は困るのである。兄は、純粋に僕のためだけに、打ちのめされなくてはならない。それを愛でるのは僕だけで良かった。
父の寝室の扉の前に立つと、流石に今日ばかりは緊張した。上手く行くかは正直なところ賭けでしかなかった。その緊張は
初めて父の寝室に足を踏み入れたあの日を思い起こさせた。あれから子供ながらにいろいろなことを考えたものだが、最初はただ
純粋に、父に好かれたくて、父の喜ぶことがしたくて懸命に教えられることを習得しようとしていた。思えばあの頃から兄に勝つ
ということが父に好かれたいという欲求の裏に潜んでいたのか。不意に僕は判らなくなった。僕は今父に愛されたいがために兄に
勝ちたいと思っているのか、それとも兄に勝ちたいがために父の愛を得ようとしているのか。それは表裏一体でもうどちらが
どちらか判らなかった。父を意識しているのか、兄を意識しているのか。答えはどこにもなかった。僕は結局僕自身のことしか
考えてなどいないのか。逃げ道のような答えだが、それが一番しっくりくるような気もした。
父親に体を制圧され、自ら媚を売ることで自尊さえ捨てる振りをしながらも、自分は利己的な人間だとどこかで思っていた。
しかしあるいはそれは、そうでも思わなければもう確固とした寄辺が僕の中のどこにもないというだけかもしれなかった。
「失礼します、お父さん」
だがそんなことはどうでも良かった。
もう戻れない。
そう心中に思うと、緊張の中に不思議と高揚感が混じった。
ああ兄さん、早く、僕を迎えに来て下さい。貴方の高みから見れば遥か下、この堕落しきった僕のために、谷底まで。
僕が呼べば彼はきっと来る。その自信はあった。
そして僕は扉を開けた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )アイコタンと絡ませてみたかったのでつ…
長男出すまでが、意外と長くなってしまいました。
また投下しますので、もし良ければ読んでやって下さいorz
初リアルタイム遭遇!
すごい萌えたよ!生殺しじゃないか……。
次の投下も楽しみにしてます。
アアン!!生殺し!!
つ、続きを早く…!なにも手に付かない(*´Д`)ハァハァ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです
| | | | \五回目ですよー
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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ヴァンパイアが寝息を立てている。
服はちゃんと着せてやった。ハイネックの服は破いてしまったので、代わりにロウッドの
お古を着せてやったが、ぶかぶかだった。
毛布もかけてあるので、寒くはないだろう。
ヴァンパイアは、人間ほど寝なくても平気だとどこかで聞いたことがある。
しかし疲れきっていたのだろう、すっかり彼は夢の中だ。
ロウッドは、ヴァンパイアの寝顔に見入っていた。
銀の髪が流れるように顔を覆っている。
綺麗だと、素直に思った。
伏せた銀のまつげに、そ、と触れてみる。
そこから頬をなでるように触れた。
部屋はしんとして、ヴァンパイアの寝息と、ロウッドが動くたびに聞こえる、かすかな衣
擦れの音しか響かなかった。
このまま襲ってしまおうかとも考えた。
しかし、自分がした事の罪の重さと、そしてそれのせいで疲れているであろうことを考え、
それはやめた。
でもせめて。
ロウッドは、眠っているヴァンパイアに軽く口付けた。
そしてヴァンパイアを抱え込むように、ロウッドもそのベッドで眠った。
まだ眠っているヴァンパイアを尻目に、装備を整え、出て行こうとするロウッドがいる。
ブラッディウイップを持ち、重いオリハルコンアーマーを着込み、どうやら冒険に出るら
しい。
「どこへ行く」
眠っていると思ったヴァンパイアの声が響いた。
振り向くと、ヴァンパイアは目を覚ましていて、ロウッドのすることを凝視している。
「一日、家を空けるが良いか?依頼が入った」
「かまわないが、腕の鎖は解いて欲しい」
「駄目だ。逃げる気だろう」
「…確かに自由にはなりたい…、だが、首輪があるから逃げられない。…逃げないから…」
手が痛い、と、ヴァンパイアは訴えかけてきた。
確かに鎖で長いこと縛っていたせいで、白い手首には跡がついている。
ロウッドは、ヴァンパイアの手を拘束している鎖を解いてやることにした。
「いつから起きてたんだ?」
「昨日の…夜、お前がのしかかってきて重かった」
「あれからずっと起きてたのか!」
「いや、すぐ眠った…、ついさっき、お前がアーマーを着込む音で目が覚めた。まだ眠い。
朝は苦手だ」
カーテンの隙間から入ってくる光をいやそうに背中で受ける。カーテンを完全に閉めると、
ロウッドは言った。
「じゃあ、俺、行くから。逃げるなよ。殺しが終わったらすぐ帰ってくる。対象者がこの
町からいなくなる前にな」
暗殺の依頼か、とつぶやいた。結局ヴァンパイアがしていることと、ロウッドのしている
ことに大差はないのかもしれない。
ロウッドは金のために人を殺す。
ヴァンパイアは自分のために人を殺す。
(眠い…)
そこまで考えて、ヴァンパイアは眠りに落ちた。
ガタン、ガタン
妙な物音で、ヴァンパイアは目を覚ました。
カーテンからの光が入ってきていないあたりから、もう夜だということはわかった。
音は窓の外から聞こえてくるようだった。
(誰かいるのか?)
体を起こして部屋の中を見やるが、ロウッドは帰ってきてない様子だった。
がちゃん!と音がして、窓のガラスが割られたのがわかった。
ガラスの破片がばらばらと、部屋に散らばる。
しばらくして、その人物が、部屋に入ってくるのが見えた。
その人物とは…
「!」
「ロウッドは帰ってきてないようだな…。よう、ヴァンパイア。今度こそ嫁を殺した罪償
ってもらうぜ」
ロウッドの友人である。
肩から腹にかけて傷のある男。妻をヴァンパイアに殺されたという、その人だ。
「何しに来た」
男はロングソードを、鞘から抜いた。
そして、毛布を剥ぎ取ると、力を込めてヴァンパイアの胸に、つきたてた。
こふっ、と、ヴァンパイアが吐血する。
「う…」
ヴァンパイアは、ロングソードの刃を持ち、何とか胸から引き抜こうとする。
が、男はそれをあざ笑うように、さらに剣先をヴァンパイアの体に沈める。
「私…は…これ位では死なんぞ…?」
血が、ヴァンパイアからあふれ出る血が、シーツを赤く染める。
生暖かい血が自分の体を汚していくのを感じながら、ヴァンパイアは鋭いつめで反撃した。
が、首輪があるせいで、簡単にかわされてしまった。
(くっ、目がかすむ)
血が大量に出た性だろうか、少し、目がかすんだ。目の前の男は、何を思ったか、ヴァン
パイアのズボンに手をかけた。
「お前は淫乱なんだろ?犯してやるよ、お前が失血死するまでな。チャームもかけとくか」
チャーム。相手を魅了し、混乱させる魔法だ。
男はカードを取り出すと、小さく呪文をつぶやいて、ヴァンパイアにチャームをかけた。
「ああっ!!」
ヴァンパイアは両手を頭に当てて、背をのけぞらせた。今、何をしてるのか、相手が何を
しようとしているのか、もう何もわからなくなった。
混乱し、ひたすら男にしがみつく。動くたびに、ロングソードの刺さった胸が痛んだが、
かまっていられなかった。
男はローションを持っていた。ズボンを脱がすと、秘められた部位にゆっくりと塗り、
そして指で押し広げていく。
「や、やめ…ろ」
「気持ち良いんだろ?」
「あ…もう…何もわからな…」
ぐ、と、猛りが押し付けられた。熱い。
中まで入ってくる熱いそれに、ヴァンパイアは悲鳴を上げた。
「やああっ、だ、だめだ!!」
混乱の魔法との戦い。
その間にも、男のそれは奥へと進み、やがて動き出す。
混乱の魔法は、快楽を増徴させた。
必死に手で男を押しのけようとするが、逆に手をつかまれ、拘束される。
「あ…う…あっ、やめろっ、や…」
ぐ、と奥まで入れられて、背をのけぞらせる。
白いのどがむき出しになって、思わず男はそののどに噛み付いた。
噛んだ跡が、赤くなっている。白い肌に赤い花が咲いたようだった。
「はあっ、やめろ…ああっ」
助けて、助けて。
ヴァンパイアははじめて、ある人物のことを思った。
ヴァンパイアにとっては名も知らぬ人間、それは、ロウッドのことだった。
彼の鋭いつめが、男の首筋を傷つけた。
甘い匂いが漂う。
血だ。
男は、達する瞬間、ヴァンパイアに覆いかぶさった。そしてその傷つけられた首は、ヴァ
ンパイアの口があたる場所でもあった。
隙を突いた。
ヴァンパイアは、男を力強く自分のほうへ押し付けると、その首にかぶりついた。
「!!」
男は噛まれたことに戸惑いを覚え、体を離そうとしたが、吸血鬼の力にはかなわなかった。
体内から、どんどん血がなくなっていくのを感じ、男は力をなくし、ヴァンパイアの上
に倒れこんだ。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ カンソウアリガトウ
| | | | ピッ (・∀・ )ハゲミニナッテルヨー!
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 三/丁/目/の/夕/日
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、鱸茶
| | | | \三回目です
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
ミーンミンミンミンミン・・・・・・ジジジジッ
「んふっ・・・ん・・・ん・・・」
チュチュ・・・クチュ・・・ッチュ・・・
「はぁっ・・・やっぱ・・・あれだな・・・」
チュ・・・チュ・・・
「・・・ぷはぁっ!はぁ・・・はぁ・・・。え、な、何?」
やっと長い口付けから開放され息を整えるチャガワは
柔らかな笑みを湛えて自分をじっと見つめる鱸オートの目を見返して先ほど彼が言いかけたことを聞き返した。
「いやな、やっぱりお前の口一ヶ月も吸えないとイライラしてかなわねえなと思ってな」
「な・・・っ」
カーーー・・・・ッ
あの夜から一ヶ月が経った。
季節は残暑となり、外がだんだんと秋模様に衣替えをしはじめる中
俺の生活にもわずかな変化がみえた。
事があった翌日、俺はどんな顔してジュンノスケを見ればいいか分からず困っていたが
そんな俺を気にせずジュンノスケはいつもどおり「おはよう」と微笑んで飯を食べ学校へ行った。
その様子にやはり思い違いだと気づいたかと少なからず安堵した俺だったが
次の日の夜、考えが甘かったことに否応無く気づかされた。
いつもどおり寝ようとして電気を消した俺に、ジュンノスケが熱に浮かされたように「好きなんです」と言いながら覆いかぶさってきたのだ。
俺は簡単に押さえつけられ、ああいつのまにかこんなに背伸びてたんだなと場違いな感慨にひたりながら実の息子同然のジュンノスケに抱かれた。
それからというもの、ジュンノスケは思い出したように抱いてきた。
俺は未だにジュンノスケがこういうことをする意味がよく分からない。「好きだ」と言ってくるが疑問しか浮かばない。
だからどんなにジュンノスケに抱かれても、どこか俺は夢現で、
実は俺の生活はなんら変わっていなくて、ジュンノスケは学校に可愛い片思いの子がいて思い悩んでる結果がこれなんだ、と
いつもどおりの日常が変わらず過ぎているんだと思うようになっていった。
だから俺は、久々に鱸オートが表口の扉を閉めてあがってきても
今までと変わらずとくに躊躇することも無く行為に応じた。
「はぁ・・・んっ・・・」
「お前の汗はなんか・・・甘いな・・・」
「はっ・・・ん、んなもん舐めんなよ・・っ・・・」
残暑だと言いつつまだまだ暑さは厳しく、俺は例年通り汗だくで日々を過ごしていたので
鱸オートに一旦風呂に入らせてくれと頼んだのだが、当の彼は
「これから汗かくんだから一緒だろ」と言って性急に行為を始めてしまった。
そして今、暑さのせいの汗かこの行為のせいの汗かどちらとも判断つかない汗を
彼はまるで飢えた獣のように舐め取っている。
「・・・っん・・・ふっ・・・ッッ!?」
ピリッとした痛みが走る。
見ると首元に鱸オートが噛み付いていた。
「なっ!!ちょっお前なにしてんだよっっ!?」
「なにって・・・・跡付けてんだよ」
「やめろよ!!跡付けないって約束だったろーが!」
そう。鱸オートには家庭があるから跡がついてたらマズイことになるし、
俺だってそんな跡つけてたら近所中に揶揄されるのが目に見えている。
だからお互いに跡は絶対に付けないという約束で行為を続けていた。
「チッ分かったよ・・・つけなけりゃいいんだろ」
鱸オートはそう言い、また首元を舐め始めた。
「ん・・・ふっ・・・はぁ・・・」
「たまに・・・お前をかっ食らっちまいたいと思うことがある・・・」
鎖骨の窪みを執拗に舐めながら彼がつぶやく。
「・・ふっ・・・な・・んだよそれっ・・・。それだけ俺が・・・はっ・・・憎いって・・・ことか?・・・っんっ」
「違う」
鱸オートは一旦体を離し俺の目をじっと見つめてきた。
「・・・な、なんだよ・・・」
彼はなんとも形容しがたい顔で口を少し開け何かを言いかけるが、
そのまま何も言わず閉じてしまい、フッと笑った。
「まあ、お前には一生わかんねーだろーよ」
そしてまた俺のなまっちろい体を舐めはじめた。
(な、なんなんだよ・・・)
いつも鱸オートと行為をするときはまるで列車に乗っているように性急で止まらなかったから
初めての彼の行動に俺は戸惑いを覚えた。
(ジュンノスケといい、鱸オートといい、何考えてんのか全然わかんねえ・・・)
第一、なんでこんななまっちろい男の体なんかを抱くのか全く理解できない。
鱸オートなんて奥さんもちゃんといるのに。なにが楽しくて抱きに来るんだ。
この不毛な関係がはじまったのもそもそも意味不明だった。
お互い好き合ってという行程なんて全く踏まず、急に彼が話があるなんて言って家に来たから
お茶でも出すかと思って流しで準備してたらいきなり後ろから抱きつかれて、そのまま・・・
最初は一体なにしやがんだと思って抵抗したが、結局彼の真剣な顔と熱に流されてしまった。
ジュンノスケに俺が鱸オートのことが好きなんじゃないかと問われたが、正直未だ自分でもよく分からない。
だが、彼との行為にさほど嫌悪感を抱いてないということは
俺は彼のことを少なからず想っているのかもしれない、と最近思いはじめた。
「んんっ・・・あっ・・!」
胸の突起に彼が指をかけた。
「はっ体舐めてるだけなのにこんなになってるぞ。」
ツンと突起をつつく。
「あっ・・!!」
「お前、全身性感帯じゃないか」
「だ、・・・誰のせいだよ・・・」
ニヤッと笑い彼がそんなことを言うものだから俺は睨んでそう言ってやった。
すると彼は
「ククッそうかそうだな。俺のせいだな。」
と言い、小刻みに笑いながら俺の薄いタンクトップをめくる。
だがその瞬間、上機嫌だった彼の顔が凍りついた。
「・・・?どうした?」
彼が俺の臍らへんをじっと見つめたまま動かない。
疑問に思い力の入らない体をなんとか起こしそこを見てみると、
そこには虫さされのようなものがいくつも散らばっていたあった。
「・・・なんだよこれ」
部屋の温度が一気に下がった気がした。
さっきまでの上機嫌はどこへやら、彼はギッと俺を睨んでいる。
「おい。なんだよこれ。お前他にも誰かとこういうことしてるのかよ。」
「え・・っと・・・」
そういえば、ジュンノスケがつけていたような気がする。
だけど見えない場所だし怒るのもなんだか変な気がして、そのままにさせていた。
これをそのまま言おうか・・・でも実の息子同然の奴とそんなことしてるなんて
人間失格のレッテルが貼られるんじゃないだろうか
「・・・してるのか・・・」
「いや〜・・・なんというか・・・」
なかなか言い出せない。
鱸オートは険しい顔でそこをじっと見つめそのままおよそ一分の時が過ぎた後、彼が口を開いた。
「・・・・・・そうか。そうだな。お前はそういう奴だな。」
「・・・な、なんだよ」
「こういうことすんのが元々好きなんだろ。全身性感帯なのもわけがいったぜ。」
「はっ!?」
「しかも本命には跡つけさせるっていう乙女な奴だったんだな。かーっ気持ちわりぃ!」
「ちょ、お前何言って、」
「なんだ、俺にされても文句の一つも言わねえのは本命のとしても性欲が満たされないからか?どんだけいやらしいんだよお前は」
「なっ・・・!」
余りの言いように、今の自分の情けない状態を忘れて腹が立ってきた。
「あのな、お前聞けよ人の話!」
「なんだよ。お前のごまかしなんてどうでもいいんだよ」
「あのな、それはじゅ、ジュンノスケにつけられたんだよ!」
俺は思わず勢いで言ってしまったが
鱸オートは案の定固まってしまった。
「・・・は?」
「だから・・・ジュンノスケにつけられたんだよ・・・それ・・・」
「・・・お前、あいつが本命か?」
「ちっ違うに決まってんだろ!?なんか知らないけど、最近襲われんだよ・・・」
「襲われる?」
「そう。なんか、欲求不満なのかな。『好きです』なんて言いながらたまに襲ってくるんだよ。
でもあいついつのまにか背おっきくなってて、抵抗できなくてさ・・・。その跡は別に見えない場所だしいいかと思って・・・」
息子同然の奴に襲われる、なんてほんと情けないことを仕方なく白状する。
「お前黙って抱かれてんのか!」
「いやだから抵抗したくても抵抗できないんだよ。お前と一緒だって!」
「・・・っ」
「・・・なんだよ?」
急にまた黙り込んだから不思議に思い顔を覗き込んだら、なにやら難しい顔をしている。
「・・・そうだな。俺も一緒だな。」
「へ、・・・え、ああ。」
一緒、と言われるとなにか心の片隅が痛んだが、その痛みがなんなのかはよく分からない。
「・・・見えないとこに跡つけるのは良いんだな」
「あ、ああまあ・・・」
鱸オートはそう言って腹の跡を唇でなぞりはじめた。
「・・・んっ!」
そして同じ場所に跡をつけていく。
「・・・っはぁ・・・ふっ・・・」
チュ、チュ・・・
そして唇はだんだん下に下りていく。
「・・・っ!?ちょ、まっ」
そのまま彼は口でズボンと下着を下ろし、そろりとたちあがっている俺を口に含んだ。
「はっ!?んなもん口に入れんなよっっ!」
信じられない光景に抗議したが、彼は全く聞かず事を進めていく。
クチュ・・クチュチュクチュ・・・
「ひああっ・・・!!んあっ・・!あ・・ああぁ・・・っっ・・・!
ちょっ・・も・・・で、でる・・・っっ!!」
「ああ出せ」
「ちょっ口離し・・・っっ!ひっ・・!や、あぁぁああっっ!!」
俺はそのまま彼の口の中で達してしまった。
「・・はあっ・・・お、おま・・・なにしてんだよ・・・・」
「・・・ジュンノスケにはされてないのか?」
「するわけないだろ!?こ、こんなきたいない・・・」
「そーか」
そう言ってニヤと笑った。
どうやら鱸オートは少し機嫌が戻ったらしい。
その様子に俺はホッとし、そしてそんな自分に多少の戸惑いを感じつつけれどその正体には目を背けて、
今日もまた鱸オートに抱かれたのだった。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ナカマイテクレテウレシイ
| | | | ピッ (・∀・ )ダレカカイテクダタイ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
(*´Д`)ハァハァ
どの姐さんの作品も萌え心くすぐられるよ
日々の活力、ありがとう
知らない作品の原作も手に取る良い機会になる
これからもよろしく(-人-)なもなも
494 :
寄宿舎もの:2007/01/29(月) 19:39:40 ID:7gaJ2a3S0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ギムナジウムぽいものでオリジナルです。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ホラーっていうかオカルトなアレなので
| | | | \ 苦手な人は避けてクレ
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧_∧ ドキドキ初投下
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚; ) しかも季節違うし
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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チャガータンきたぁぁぁ!ありがとう姐さん
夏の寄宿舎は、暑い。
蜘蛛の巣に朝露の水滴が煌いている。蜘蛛は中央で丸まって動かない。
少年たちは、乾ききった土に水を振り撒く事で涼を得ようとしていた。
湿った臭いがあたりに漂い、陽炎のようなゆらめきが一瞬立ち上がる。
「ぼうっとしているなよ、カイル。暑いんだから」
「……ああ、」
ひとつ年上のブライアンは、手を翳して空を見上げていたカイルを、邪魔だと言わんばかりに肘で小突いてきた。その足元に、ばしゃん、と水が掛かる。
「おい! 気をつけろよ!」
ブライアンは気が短い。
夏の空気に輝くブロンドの微かな乱反射にカイルは眼を細めた。
「スーはどうした?」
「さあ。いつものようにまだ寝てんじゃないのか」
「ブルネットにはこの太陽はきついんだろ」
黒い紙はよく燃えるじゃないか、とレジーは嘲った。カイルは舌打ちをして寄宿舎の窓を見上げる。
水をかけただのかけていないだのと騒ぎ始める4・5人の少年は、皆明るい蜂蜜色の髪をしていた。カイルの髪も少しオレンジの入ったブロンドだ。
と、3階の列、整然と並ぶ窓のひとつに人影が見えた。
「何だ、起きてるじゃないか」
ブライアンはそう独りごちて、口元に手をあてがい声を張り上げた。
「おおい! 降りてこいよ!」
そうだ、遅いぞ、と周りもはやしたてる。カイルは黙って見ている。陽炎がまた立ち昇る。暑さが身体にまとわりついて、やけに重く感じる。まるで下へ下へと引っ張られているようだ。
転がすような音がして、立て付けが古くなった窓をスーが開けた。
「スー!」
「お前も降りて来いよ!」
開けたが、そこから動かずにスーはこちらを見下ろした。
そして一言、言う。
「嫌だ」
それだけ言うと、さっと身を翻して窓から離れた。
「スー!? おい、スー!」
驚いたブライアンが何度呼んでも、奥に引っ込んでしまいそれっきり姿を見せない。
「何だよスーの奴!」
ブライアンが怒り出す。スーは彼の気の短さをよく知っているはずなのに。
「……スーらしく…なかったな」
カイルがぽつりと呟く。それを鋭く聞き止めて、マーシュが妙な顔をする。
「確かにな。何だろ、誰かスーを怒らせたんじゃないのか」
言いながら周囲の少年たちを見回すが、誰も肩を竦めるだけだ。
「とにかく、これは規則だろ。誰かスーを呼んで来いよ」
怒りも冷め遣らぬ、という表情で、しかしブライアンがそう提案する。いくら短気でも彼は最年長なのだ。
「カイル、行って来い」
「……いいけど」
まだ3階の窓を見上げている少年たちから離れて、カイルは重い足取りで歩き出した。
ブライアンがまだ怒っている。
ここは寄宿舎だ。
カイルと同い年か、ひとつ上か、ひとつ下の少年たちがここで暮らしている。
普段は喧しいほどなのだが、最近はすっかり也を潜めていた。
今は、長期の夏期休暇なのだ。ほとんどの少年たちは家に帰っている。
ここに残っているのは皆訳有りで帰れない少年ばかりなのだった。
無論、食事を作りに寮母などが通って来るし、時々は教師たちも彼等の様子を見に来る。だが、やはり大抵においては少年たちだけになってしまうので、色々とやることや規則も存在した。規則を破ることは許されていない。
本来なら、スーは規則を破るような少年ではない。どちらかというと、レジーやマーシュよりもずっと真面目な性格なのだ。模範的とも言えるほど。
日に晒された場所から翳っている寄宿舎の中に入ると、澱んだ空気が僅かに動く。汗が冷やされて、寒気すら感じるほどだ。
『嫌だ』
そう言った時のスーを思い出す。寄宿舎の暗がりのなかに浮かぶ白い肌、白い顔……。周りも暗いのに、彼の黒髪は艶やかに浮かび上がっていた。
なぜブライアンは、自分でスーを呼びに行かなかったのだろう。
スーとブライアンは親しかったし、ブライアンがスーに好意を抱いていることは、少年達の眼にも明らかだったのに。スーは、……いや。確か本名は、スイ……だったはずだ。
もうずっとスーと呼んでいるので、思い出すのが少し遅れる。
……スイがブライアンをどう思っているかは、解らなかったが。
『スーを呼んで来いよ』
『カイル、行って来い』
ブライアンは何故、自分を指名したのだろう。――いや、あれは適当にだろう。たまたま眼についたのがカイルだったに違いない。ブライアンにとっては“自分以外が”スイを呼んでくるなら誰だって一緒の筈だ。
カイルはスイを真っ直ぐには見ない。時々ちらりと盗み見て、その面影を頭で大切に何度も反芻するだけだ。ブライアンがエスパーでないなら、これはただの偶然。
……それなのに、妙な胸の痞えが取れなかった。
寄宿舎の空気が重苦しい。
一歩一歩、歩くたびにじっとりと汗が染み出してくる。息が切れて、荒くなってくる。
2階の階段の踊り場で、カイルはいったん立ち止まった。手摺に寄りかかり、汗を拭う。
まだ2階へも行っていないのに、何故こんなに疲れるのだろう?
日射病か何かかもしれない。それなら、スイに伝言だけ頼んで部屋へ戻ろう。
カイルは再びゆっくりと階段を上がった。2階に辿り着く。
ずらりと並んだ廊下に、同じくドアが並んでいる。そのどれもが、今はほぼ無人だ。
重く深い溜息をつき、カイルは3階へと続く階段を見上げた。
――…と。
「カイル……!?」
そこに、スイがいた。
今から降りるところだったのだろうか。丁度良かった。
「ス……」
声をかけようとしたカイルは、スイの顔が酷く青ざめている事に気が付いた。
「ブライアンが、来いって言ってるけど……」
気分が悪いのだろうか? スイは青い顔色のまま、ゆくりと首を振った。
「僕は行けない」
「……? 何でだよ?」
「僕は、まだ行けない」
「スイ……?」
呼ぶと、ふとスイが顔を上げた。
「その名前……」
「うん?」
「覚えていてくれたんだね……」
「あ……まあ……」
思い出すのに、だいぶ時間がかかったが。少々気まずく思い髪をかき上げる。
「カイル……カイルは、上がって来れたんだ……」
「……? 上がってって、ここに?」
スイは固い顔で、頷く。
寄宿舎の2階が、どうだと言うのだろう? それを言うなら、自分たちは今までずっと、3階で暮らしていたではないか。
そう言おうとした時……。
窓の外から、苛立ったようなブライアンの声が聞こえた。
「カイル! スーはいたのか!?」
「おーい、降りて来いって」
レジーもマーシュも、呼んでいる。
「スイ。とにかく行ったほうがいいよ」
ひとまず返事を返そうと窓に近寄ったカイルの腕を、スイが掴んで止めた。
「!?」
しかし次の瞬間に、スイは驚いて腕を離す。いや、驚いたのはカイルも同時だった。
「スイの手……なんか、熱くないか……?」
顔も青いし、熱があるのだろうか。しかし、スイは、ゆっくりと首を振った。
「違う……カイルの腕が、冷たいんだ」
「僕の腕が?」
何を言っているのだろう。自分はいつも通りだ。
遣り取りをしている間も、外からの呼び掛けは続いている。
「スイ……ブライアン、怒ってるよ」
スイは青ざめたまま俯く。
「ブライアンと喧嘩でもしたのか?」
「喧嘩……じゃない。そんなんじゃない……」
「? じゃあ何で……」
「カイル」
突然、スイが真正面からカイルを見上げてきた。
「きみはここまで来れた。それに……僕を力づくで連れて行こうとは、しない。僕は君も同じかと思っていた。まだ君達は誰も見つかっていなかったし……」
「スイ、何の話……」
「もう一週間、だ。一週間も、毎日、僕だけがいる時に皆現れて……僕を降ろそうとする。僕は気が狂いそうだった……でも上がっては来ないから、きっとこの中には来れないんだろうと思ったんだ」
「スイ?」
おかしなことを真剣な顔でとつとつと語るスイ。だけど、彼の話すその内容がカイルには理解出来ない。
スイはこの暑さで、どうにかしてしまったのだろうか。
そんな危惧に眉を寄せるカイルを、スイはまた見上げた。
「でも、君は来れた。それが、僕にはよく解らない……」
「スイ? さっきから、何を……」
「静かに。……よく、聞いて」
押されたようにカイルは口を噤む。咽に柔らかな石を詰め込まれたような沈黙。
外からの呼び掛けは続いている。
カイルは、そこで、やっと気付いた。
スイは怯えている。
何に?
「スー! 早く来いって!」
ブライアンも、レジーも、マーシュも呼びかけている。
カイルが遅いからだ。しかし、ならどうして、誰もここに来ない?
早く来いよ!
降りて来いよ!
呼び掛けは続いている。執拗なほどに。
ここにこい!
おりてこい!
何故ここに来ないのだろう。
じっとりとした汗が、額を流れた。
スイが青い顔で、震える声で言う。
「降りて来い、じゃない」
その囁きがきっかけのように、聞こえる呼びかけが、変化していく。
ここにこい!
おちてこい!
おちてこい! おちてこい! おちてこい!
だんだんと身体が冷えていく。歯の根が合わなくなってくる。
呼び掛けは続いている。今はもうひとつにしか聞こえない。
「スイ……なに、これ……」
スイが身体を強張らせた。そして、ゆっくり口を開く。
「カイル……手、見て……」
ぎくしゃくと手を動かす。両手の平を、眼の前に掲げて――カイルは、愕然とした。
カイルの手は血の通いがないように青く、そして……濡れている。
手だけではない、全身が濡れそぼっている。汗ではない、異様な生臭いにおいが途端に鼻をつく。
「スイ……」
呼びかけたカイルの口からくぐもった声と共に、ごぼ、と汚れた水が溢れた。
黒い粘質的な水……泥は、ばたばたと滴り板張りの床を汚していく。
「ス…イ……!」
青ざめて叫び声を上げ、スイが逃げようとする。その手を捕らえて引いた。もがく身体を捕まえて、しがみつく。抱きすくめる。抱き締める。締める。
おちてこい!
おちてこい!
そうだ、水の中だ。ひどく汚れた水の中。沼だ。寄宿舎から少し離れた場所にある沼。あの時、ひとりだけいなかった。スイはいなかった。皆で遊びに行こうと言ったのに。寝込んでいたのだ。だからいなかった。だから助かった。
全員落ちた。濁った水の中に落ちた。もがいた。足掻いた。手を伸ばすと、共に溺れている少年たちの身体に当たった。彼らはしがみついてきた。掴まったら諸共に溺れてしまう。
しがみついてくる手を振り払った。振り払って、水上に上げてくれる手を捜した。だがそんなものはなかった。少年達は、皆足掻きながら溺れていった。
残った少年はひとりだった。ひとりだった。
溺れてしまう。“自分達”以外の者に掴まらないと、溺れてしまう。
カイルは夢中でスイの身体を捕まえる。スイの身体は温かい。この冷たい水の中に、汚れた水の中に浸かって冷え切った自分をも暖めてくれるだろう。その熱を逃がさないように。更に強く抱き締める。
外から復唱が聞こえる。
共に連れて来いと復唱が聞こえてくる。
嫌だ。
スイが必死で足掻く。悲鳴を上げる。その口を唇でふさいだ。汚れた水が口を伝って、スイの中へ流れ込む。舌を絡める。逃がさないように。
いつの間にか世界は輪郭を失い、寄宿舎の中だったはずのそこは澱んだ泥水に浸されていた。
足元から膝へ、膝から腰へ、腰から胸へ、水は音を立てて溢れていく。もうそこは沼の中なのか建物の中なのかの区別もつかない。輪郭の綻びから泥は流れ込んでくる。
ずぶずぶと、水の中へ落ちていく。スイの艶やかな黒髪が水に濡れて美しく光る。揺れる。髪を撫でて、更に強く抱き締める。柔らかい、暖かい、愛しい……。
復唱は続いている。
復唱には次第に怨みの色が濃くなってくる。
スイにではない。カイルに、だ。
諸共に落ちた癖にスイを連れて来ず、こうして一人で暖かな身体を占めているカイルに。
復唱は怒りを孕んで忌む言葉に変化し、重なり重なり繰り返される。
だが、もうそれも構わない。
抱き締める。溺れていく。スイは抵抗を止めた。溺れていく。
スイの絶望に染まった眼と、ブルネット――…。
大事に……抱き締める…………抱き締めて……………………落ちた。
504 :
寄宿舎もの:2007/01/29(月) 19:48:57 ID:7gaJ2a3S0
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 外人名考えるの苦手…
| | | | ピッ (・∀・ ) 意味ワカンネな話でスマソ
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| 某一般小説の元刑事探偵×男妾あがりの企業893
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 原作がネ申なだけに申し訳ない
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背中に突きつけられた重い圧迫感。
その圧迫感の正体は見るまでもない、かつて懐に忍ばせていたものだ。
後ろを振り向けば、・・・いや身動き一つしたところでこの背中は撃ち抜かれるだろう。
なぜだろう、心はやけに落ち着いている。
この日が来ることをわかっていた。
恐れることもなく冷静に受け止めていた。
むしろ待ち望んでいたのかもしれない。
カチリ、と響く音。
そして沈黙・・・
--------
「ねぇ、起きてよ」
はっと目を開けるとそこには見慣れた天井が広がっていた。
横に目をやるとレンがふくれ面をしていた。
「今日はもうだめだ」
そうすると今度は脇腹に衝撃が落とされた。
手加減しているといってもボクシングを週に数回やっているとかいないとかのレンの拳は重く、鋭い。
「徹夜続きで疲れてるんだ。ちょっとくらい寝させてくれよ。」
「こっちはそうやってお預けくらわされてたまってるんだ」
「俺はお前の性欲処理じゃない」
レンの頭をどけ、気だるい体を起こしてベッドに腰掛けると、山内も半身を起こし隣に腰掛けた。
そっぽを向いた表情は、子供のように幼くもあり、艶めいた女性のような色気も見え隠れする。
長い睫毛が薄暗いベッドライトに照らされ影を落とす。
レンは、美しい。
横に座っているこんなに幼くて、美しい表情を浮かべるレンという男は、鬼畜な悪魔として新宿の裏世界で名の知らないものはいない。
・・・レンをそうさせたのは自分だ。
神でも仏でもなんでもない、レンをここまで貶めたのは紛れもない自分自身である。
レンと奇妙な関係を続けて数ヶ月。
疲れて眠り、目が覚める際にあんな夢を見るようになった。
刑事時代から培ってきたカンが警鐘を鳴らしているのか、これからの未来を暗示しているのか、それとも・・・
「ねえ、あんたさ、ヤリたくないなら鍵かければいいじゃん」
「合鍵勝手つくって持ってるじゃないか」
「チェーン、かければ」
「そんなことしたらお前ドア蹴破るだろ」
レンは答えず、ただ声を出さずにクックッと笑うと俺の下腹部に片手を伸ばした。
「前に言ったよね恋愛はギブアンドテイクだってさ。」
山内は片手で器用に自分のワイシャツのボタンをはずしはじめた。もう片方の手は相変わらず俺の下腹部を握り続けている。三つ目のボタンをはずしたあたりで山内の胸に透明な羽をした蝶の刺青が現れた。
彼の故郷で舞う蝶は、彼の左胸の突起に今にも消え入りそうに儚くとまっている。
「あんたはそういうとこ鈍いよね、出向くのもヤるのも俺からだ」
「お前だって猫みたいに勝手に出て行くだろう」
下腹部の刺激が限界に近づき、激しく握り続けているレンの腕を掴む。
蝶の羽に口づけをするとレンはすぐったそうに身をよじり、アソウの唇を捜し出し、舌を絡ませた。
片手で自分のワイシャツのボタンをはずしつつ、片手をレンの髪に差し込めると子供のように柔らかな髪はするすると俺の右手をすり抜けた。
このままではいけない、と自分でも思っている。
儚く消え入りそうな、簡単に腕から抜け落ちていく男をこのままにしていては。
「じゃあ、ずっとここに居座っちまうぜ」
いつの間にか床に座り込み、アソウの足の間に体を滑り込ませていた。
冗談のつもりで言ったのだろうか。
「いればいい」
緩急をつけてせわしく動かしていた手を止め、レンはこちらを見上げる。
「ずっと、ここに」
消え入る前に、すり抜けてしまう前に、強く抱きしめていればいいのだ。
そうすれば彼の長い長い夜が明けるのかもしれない。
その夜明けがいつになるかわからない。
二人で迎えられるのかすら、不確定だ。
レンは薄く笑みを浮かべ、ゆっくりと立ち上がりアソウを押し倒す形でベッドに倒れこんだ。
首筋からほのかに甘い白檀が香る。
「ねぇ、ベッド買おうよ。クイーンサイズのさ、俺いいブランド知ってる」
「この部屋に入りきらないだろう、当分はこれでいい」
このサイズならずっと抱きしめていられるから、とは言わなかった。
そんな臭い台詞を言う年でも柄でもない。
夜明けが来なくても、このままこの悪魔と天使の二つの顔をもった彼を抱きしめて一緒に堕ちていってもかまわないと思う。
これが愛なのか、彼への償いなのか、過ちの代償なのか。
頭に浮かんだ思いを打ち消すように、もう一度透明な羽の蝶に、今度は強く口づけた。
____________
| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ メチャクチャな話でスマソ
| | | | ピッ (・∀・ ) 時期的には原作のちょいアトってことで
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>510
リアルタイム遭遇キタ!
>470姐さんの作品とともに美味しくいただきました。
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| 某ゲイニソさん ツッコミ×ボケ
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 誰かはご想像にお任せします・・・
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| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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513 :
1:2007/01/29(月) 23:14:34 ID:AR0bz50I0
( 暑いな、・・・)
もう10月だというのに、この暑さは何だろう。太陽の馬鹿野郎が。
いいかげんにしてほしい。イライラがつのる。
目の前が、陽炎のようにふわふわとぼやけてくる。
(あー、・・・なんか、・・・マジ、死ぬかも・・・)
ふいに立眩みが襲い、軽くよろける。
( やば、 倒 れ る )
そのときだった。
「おいっ」
よろけた体を、思いがけず肩でしっかりと支えられた。
「うわ」
ふりむくと、そこには見慣れた、あいつがいた。
「だいじょぶか?お前。ふらふらやんけ」
「・・・。うっさいわ、何?お前。・・・触んな」
意識は薄いのに、憎まれ口だけはしっかりと出てくる。
ありがとう、すまん、の一言二言も言えない。
「あ?何やねんその言い方。命の恩人にむかって」
なぜかすこし半笑いで言い返してくる。
514 :
2:2007/01/29(月) 23:17:27 ID:AR0bz50I0
チッ…
軽く舌打ちを打つ。
こいつにはぜんぶ、お見通しってわけだ。
「こんなとこで倒れたくらいで命落とすわけないやろ、アホ」
どけ、と言わんばかりにあいつの胸を軽く押して、歩きだそうとする。
が、できなかった。
踏み出そうとしたその足が、うまく立とうとしてくれない。
俺はまたもやよろけて倒れそうになった。
「おいおいおいおい!」
またもや後ろから、今度は抱きすくめられるように支えられる。
「お前、今日はもうやめとけって。な?」
「・・・うっざ、んなことお前に言われたないわ」
「マジ、このままやったらやばいって。かんなり体あついやんけ。無理せんほうがええって」
まったくこいつは、もう・・・
思わずため息をもらす。体勢はまだ、抱きすくめられたままである。
「・・・てか、さっさと離せや。きっしょい。暑いし、」
体をねじらせ、拒むようにあいつから体を離す。
「帰れよお前、マジで!」
「お前が帰れ。アホが」
「おい!」
悲痛、とまでとれるくらいの声であいつが叫ぶ。
俺はその声を背に、ようやく今度は言うことを聞いてくれるようになったらしい足で
ステージへと向かった。
515 :
3:2007/01/29(月) 23:18:37 ID:AR0bz50I0
もうすぐ本番、というところでまたもやこいつが声をかけてくる。
「なあ、マジやめといたほうがええて。まだこんなあっついやん、」
と言いながら手をおでこのほうへ近づけてきたのですかさずそれを振り払い、
「るっさい。こんな客はいっとんのに今さらやめられへんねん。アホやな、んとにお前は。マジで」
「〜〜〜・・・ったくお前は・・・。心配してやっとんのに」
「お前の心配なんか母さんが夜なべして作った手袋くらいいらんわ」
そういったあとに、ニヤリ、と笑みをこぼす。
「ありがた迷惑、ってこと?」
「そう」
「言ってくれはりますなぁ〜」
「ヘラヘラしとんな。行くぞ」
カーテンの向こうへ、さっそうと飛び出していく。
516 :
4:2007/01/29(月) 23:19:41 ID:AR0bz50I0
ステージは、滞りなく終了した。
熱があるというのに、今日は普段の何倍も調子がよかった。
マイクとお客さんの笑顔の魔力というものは実に恐ろしい。(と、恥ずかしい発言をしてみる)
・・・ただ、熱が上がった、というのはやはり否めない事実らしい。
「だぁ〜から言ったやんか」
「・・・・。うっざいわあ、お前・・・一回どっかで死んできたらええのに・・・」
「タクシー呼んだろか?」
「・・・うん」
さんざんつらさを隠すためについてきた悪態も、ここまでが限界のようだ。
「おれもついてくから」
思わず、寝転んでいるソファーからずり落ちそうになる。
「・・・はあ?いらんわ」
これ以上世話になるわけにはいかない。甘えたくない。
「あほ。タクシーの運転手さんはマンションまでは連れてってくれても部屋までは
運んでってくれへんねんぞ。どーやって歩いてくねん、お前。タクシーすら呼べへん体で」
「・・・・・」
まったくもってそのとおりだ。軽い屈辱感を覚える。
もはや俺は、完全に白旗を振らなければならなかった。
「行くからな、」
「・・・・・」
「あ、タクシー代、今日はおれ出したるけど当然後で返してもらうからな」
「・・・・・。やっぱ死んだらええわお前・・・」
517 :
5:2007/01/29(月) 23:21:52 ID:AR0bz50I0
「ひっさしぶりに来たけどやっぱ片付いとんな〜お前の部屋は。男の部屋とは思えへん」
「そりゃどうも」
わざとごほごほっと咳混じりに返す。
俺はベットに寝かされ、
あいつはテーブルのそばで部屋にあった漫画を読みながらくつろいでいた。
「てか、はよ帰れよ。うつるやろ」
ほんま空気読めへんのか、こいつは。
「え〜・・・いやや」
「帰れ」
「いやや」
「・・・・・。帰れ!」
怒鳴った拍子に咳がひどくなる。
「おい!大丈夫か??!!」
「・・・ッ、お前が・・・帰らんせいやねんぞ・・・」
息を切らしながら精一杯言い返す。
「・・・・・・・心配やん」
「あ?」
「お前、何かめっちゃ苦しそうなんやもん。そばに、おりたいやんか」
・・・・・・・。
思わず絶句する。なんて恥ずかしい生き物なんや、こいつは・・・。
「あれ、お前顔真っ赤」
「あほ。風邪やからや」
「うっわー何?自分照れとんの?!ちょ、マジで?俺まで照れてくるやん、どうしよ」
「な・・・そりゃ照れるわそんなん言われたら!」
518 :
6:2007/01/29(月) 23:22:46 ID:AR0bz50I0
軽い沈黙が流れる。
「・・・おってええ、よな?」
あえてもう、何も答えなかった。
「あ!そうや!プリン買うてきたろか?病気のときってプリン食べたくならへん?」
「・・・・・」
「おい!聞こえとん・・・」
「いらん」
「え」
「だから、いらん」
「おいおい、ないやろーお前それは・・・俺がせっかく・・・」
「お前おったら、ええわ」
そうして俺は、だるい体とともに深いまどろみのなかに落ちていった。
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 妄想にお付き合いいただいてどもでした・・・orz
| | | | ピッ (・∀・ )
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鰈ー族の続きを正座して待つ(0゚・∀・)
同じく鰈姐さんを(;´Д`)ハァハァ
>>510 今月もこんな展開は無かったもんね。
ありがとう。
>>464 わああ(゚∀゚) 萌えました!
今週かけて一連の作品読み返します
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 鰈 父×弟×兄、です
>>355姐さんをお待ちの方々には心底申し訳ないのですが、
一昨日の放送でうっかり萌え書きしてしまったので…
思い切って投下させて下さい!!
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| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 原作未読。近親注意。初投稿ですドキドキ
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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霞む視界の中――次第に覚醒していく夢の狭間をたゆたいながら、青年は微かな違和感を覚えていた。
まるで、全身を蜘蛛の糸に絡め取られているようなその感覚…自分自身の体が、酷く重かった。
青年は緩く頭を振りながら何とか身を起こそうとするが…次の瞬間、僅かばかりの動きで再び寝台へと引き戻される。
「痛…っ」
見上げれば、腕に喰い込む白い布が見て取れる…青年はその痛覚で、自分が寝台の上に繋がれている事を悟った。
「――目が覚めたか」
覚えのあるその声に、青年は無意識に応えを返す。
「お父…さん…?」
どうして貴方がここにいるのですか…そう問いかけようとした言葉は、視界に飛び込んできた光景にすべて掻き消された。
青年の喉が、無意識に引き攣れるような音を立てる…今、自分の目の前に在る現実が、にわかには信じられなかった。
目の前で絡み合うふたつの影――荒い息遣いと、時折漏れ聞こえる、甘やかな嬌声。
真新しいふたつの寝台と、豪奢な調度品が並んだ、寝室。
重厚でありながら華やかな印象のその部屋は、もうすぐ花嫁を迎える弟のために、と用意された筈の場所だった。
相談がある、と、その日珍しく弟から誘いを受けた。
出来れば話を聞いてほしい…と電話口で告げるその声は、弟にしては珍しく、ちいさく擦れるようなものだった。
結婚を控えてナーバスになっているのだろう。逡巡するような相手の気持ちを慮り、すぐに承知する旨を伝えた。
もしかしてこの政略婚に後悔があるのかもしれない…もしそうならば、出来るだけ力になりたかった。彼は、自分のたった
ひとりの弟なのだから。
新居となる筈の部屋に招かれ、薦められるままに真新しいソファに身を沈めた。差し出されたグラスを合わせたまでは
よく覚えている。
そして、今、
なぜか、並んだ寝台の片方に自分は寝かされていた。そして…見覚えのあるふたつの影が、もう一方で絡み合う光景を
見せ付けられている。
夢ならさっさと醒めて欲しいと願う。しかし、腕の軋むその痛みは、青年にそれが現実なのだと知らせていた。
新婚夫妻を待ちわびていた筈の部屋に充満する、あまりに淫靡なその光景。
父の股間に顔を埋め、含みきれぬ程に大きなものを口中深くに銜え込みながら、無心に奉仕を続けているのは、紛れも
なく、彼のたったひとりの弟の姿。
柔らかそうな髪に添えられた父の指。弟の頭を押さえつけるようにしながら腰を揺らし、その口中を犯していた。
誰よりも自分に近しい二人の淫靡な光景に…気付けば青年は、ただすべてを否定する為に、闇雲にかぶりを振っていた。
目の前で…父の節くれ立った長い指が、弟の白い双丘を早急に割り開く。
弟は耳を舌で嬲られながら父の指を迎え入れ、切ないような吐息を、その唇から吐いた。
「あ…おとうさ…ん…っ」
深く差し込まれた父の指が弟の中をかき回す。しなやかに跳ねる弟の媚態は、二人の関係が今に始まったものでは
無いのだと如実に伝えていた。
自分の知らない弟の顔――甘やかに艶やかに啼き続けるその媚態に、父の弟に対する寵愛を見た思いがした。
「可愛いぞ…。お前は、この私の血を見事に受け継いだ、芸術品だ」
「おとうさ…あ、ああ…っ」
弟の秘所が父の指を銜え込みながら淫らに音を立てる。兄は、緩くかぶりを振りながら、ただ呆然とその光景を見つめていた。
「ほら、兄さんにもお前の顔が良く見えるよう、顔を向けてやりなさい」
父に促され、弟の濡れた瞳が逡巡するように揺れる。やがてこくり、と小さく頷くと、言われるままに身体を返して兄へと向き直った。
戸惑いと驚愕を含んで揺れる兄の瞳から視線を逸らしながら、弟は長い脚を開き、椅子に腰掛けるように怒張した父のものへと
腰を落としていく。
「あ…あ…」
弟の媚肛が軽く先端を含んだ次の瞬間、父の腕が力強く動いた。脚を払われ膝裏を持たれ、弟はその奥深くへと起立する父のもの
を飲み込んで行く。
「ひ…あ、あああぁぁ…っ」
猛々しい父のモノが、弟の淡い色の媚肛を犯していく。
繋がりあった部分を誇示するように広げられた弟の白い脚。激しく突き上げられながらがくがくと揺さぶられ、すすり泣き混じり
の嬌声で喜びを表すその顔を、兄はただ、その視界の中に映し続ける。
それしか、出来なかった。
「おとう、さん…おとうさん…っ」
快楽を隠そうともしない、弟の声。
ぱさぱさと首を打ち振るたびに、乱れた前髪が額に張り付く。
幼いころと変わらぬその泣き顔が、成長した肢体と相まって、場を更に凄艶な色へと染め上げていた。
目の前で、父が、弟を、犯す。
信じられない光景を視界一杯に映しながら、青年の中で何かが音を立てて壊れていく。
今まで、概念に存在すらしなかったその非道徳で背徳的な行為を前に、しかし青年には、ただ、頭を振り続ける事しか許されない。
「ああ…っ、あ、ああ―――っ」
大きく突き上げられた、次の瞬間、
ひと際高い弟の嬌声が響き、父が弟の中へ、弟は己の腹の上へと、白濁の液を同時に吐き出した。
父は息子の中からずるりと自身を引き抜くと、真新しい寝台の上へとその身体を優しく横たえる。
そして――呆然と見つめ続けるもう一人の「息子」へと悠然とその冷えた視線を、向けた。
529 :
父×弟×兄:2007/01/30(火) 02:50:46 ID:xK6tjxpE0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 取り敢えず本日はここまで。
| お目汚し失礼しました!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
| | [][] PAUSE | . |
∧_∧ | | | . |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | | | . |
| |,, ( つ◇ | | | . |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>529 ねえさん何てとこで終わるんだwwwしかしGJ!!
鰈なる続きを垂涎してお待ち申し上げております・・・!
書いてる人、違う?なにはともあれGJ!!(*^_^*)弟カワユスww
新たな鰈ねえさんGJ!!
しかしこっからが気になって、どうすれば! 続きお待ちしております!!
476です、いつも中途半端で済みません…
待っててくださる姐さんたちありがとう。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )前回のつづき!
4
「お父さん…んん…ああ、凄い」
「もっと、ほら、脚をしっかり」
「ああ…!」
寝室で僕を待っていた父は、僕が彼の前に立つなり獣のように寝台へ押し倒した。性急に僕たちは体をつなげ、のしかかる
父の顔を撫で回しながら僕は、大きく開いた脚を彼の身に絡めて、父を受け入れていた。
「ああ、お父さん、そこ、そこは」
「うん、どこだ…?」
「そこ、ああ当たって、ああ、もう…!」
目で限界を訴えると、父は僕の頭をあやすように撫で、自身も僕の中に精を放つためにぐっと腰を入れた。僕はその父の
首に腕を巻き付けてしがみつくと、快楽以外の何かから来る身震いを味わいながら、ほんの小さな掠れ声で、しかし叫ぶように
言った。
「っああ、兄さん…!」
父の動きが止まった。
彼は、今にも解放されようとしていた僕の固い雄を乱暴に握ると、僕の体を突き飛ばすようにして自分の身を起こした。
「、お父さ…」
ずるりと引き出される強い刺激に思わず目を瞑り、開けると目の前に父の下半身が来ていた。
「…っ!」
次の瞬間、視界が真っ白になった。顔中にどろどろとした父の精が飛び散っていた。口の中にまで飛んで来たそれの苦みに
反射的に顔をしかめたが、ひっきりなしに酸素を求める口を閉じることはできず、少しずつ、舌で唾液と混ぜ合わせながら、
僕はそれを飲み下した。
「誰だと…?」
不意に髪を乱暴に捕まれ、父の下半身に押し付けられる。精液と、僕自身の腸液か何かにぬめりまだ熱い父の男性が、僕の
頬肉をえぐり、顔中がよく判らない液体にまみれた。
「…申し訳ありません、お父さん…」
僕は謝罪した。それは先の言葉を、貴方の聞き間違いではないと肯定するということだった。そして縋るように、息を荒げた
父の顔を上目に見ながら、その雄に何度も接吻した。
「お前は…お前も、あいつのことが好きなのか」
突然の父らしからぬ弱い口調に、僕は返答に詰まった。「お前も」?他に誰のことを言っているのだ。
「私と交わりながら、本当はあいつに抱かれることを思っていたのか?」
「お、父さん…」
父は、嘘のように優しい腕で僕を抱いた。僕は思考を巡らせようにも、解放され損ねた中心部が父の体と擦れる度にどうにも
欲が意識されて上手く行かなかった。
父の問いには、否定も肯定もしなかった。どちらが得策か解らなかったのだ。
「お父さん…申し訳ありません、もう、もう僕、ああ、お許し下さい」
堪らなくなって、そろそろと脚を開いた。体中が痙攣しているように落ち着かなかった。父の腕で迷いなく、強く抱きしめて
ほしいと初めて感じた。僕の皮膚表面全てを、彼の肌で圧迫していてほしかった。父はそっけなく、つと僕の熱を指先で辿った。
「あぅ…」
もっと、とその手に自身を擦り付けようとすると、再び容赦のない指がその根元を締め付けた。
「っ!いや、ああ、嫌だ、お父さん、後生です…!」
錯乱したかのように首を振る僕を冷たい目で見ながら父は、僕の名を呼んで、そして命じた。
「服を着なさい」
信じられない言葉に、僕は目を見開いた。父はゆっくりとベッドから降りると、その辺に飛び散っていた僕のシャツとズボンを
手渡した。
「そのまま、それを着て、あいつの部屋に行くんだ」
「…お父さん…まさか」
兄に、抱かれてこいというのか。
しかし父は首を横に振った。
「あいつをここに連れてきなさい」
僕は逆らえず、父から服を受け取った。せめてこの熱を外に出してから、と目で訴えかけるが、父は冷徹な顔で僕を見るばかり
だった。
「兄さんを連れてきて、どうするというのですか」
「…知られるのは、嫌か」
父は僕の問いに答えぬまま、問い返した。僕はその問いを何度か頭で反芻し、首を振った。今までは隠すことで成り立っていた。
しかし、この際仕方がない。むしろ、兄に全てを見せつけてやることで…
下着もつけずズボンを履くと、ぐしゃぐしゃにまとわりついた液で上質に仕立てられた布が汚れるのと、そのさらりと
した感触が直に僕に触れるのに、堪らなく、一刻も早くここへ戻ってきてこれを脱ぎたいと思った。そう、兄をつれてーー
そして僕は気づいた。
自分の計画が、すべからく順調に運んでいるではないか、と。
それは僕を高揚させ、興奮させた。できる限りできっちりと服を着込んで父の部屋を出たが、顔が汚れているのに気がついて
シャツの袖で拭った。当然袖が汚れたが、どうだっていい。一向に体の熱は冷めなかった。
兄の部屋まではほんの僅かな道のりだったが、誰かに会ったらどうしようかということばかりが気にかかった。自分の姿はどんな
ふうに見えるのだろう。裸で廊下を歩いているよりもなお恥ずかしいとさえ思った。しかし幸いにも、誰とも会わずに兄の部屋の
前まで来れた。
「…どうした、こんな時間に」
兄の部屋の戸をノックすると、いつも通りの顔をした兄が戸を開けた。当たり前だが、僕と父があんなことをしている間にも、
そんなことは気にもせずに、他の人間の時間はいつも通りに流れるのだと今更感じた。
「体調でも悪いのか?」
荒い息は収まっていたと思ったが、やはりまだ体の内からくる昂奮に顔が火照っていたのであろう。兄は明らかに常態と違う僕を
いぶかしんで、あろうことか額に手を当てようとした。僕は一歩引いてそれを避けた。視線は怖くて合わせられず、俯いていた。
「お父さんが、お呼びです」
それだけを告げ、思い切って僅かに顔を上げると、目が合った兄はぎょっとしたように目を見開いた。兄の瞳の中に映る自分の
姿は、確かに熱と、色欲に浮かされたような風に見えた。兄にもそう見えていたのかは判らないが、そう見えていても不思議はない。
「何の用だろう…」
夜更けに父が公然と破廉恥な行いをしているのを知っているせいか、兄は躊躇したが、結局は僕の後について部屋を出た。
兄が自室の戸を閉めると、僕は溜め息をついた。
安堵の溜め息でもあり、この後に兄が目にする光景を予想しての興奮に打ち震える吐息でもあった。
先に立って廊下を歩く間、背に突き刺さる兄の視線が、一歩父の部屋に近づくごとに僕の体温を上げるような気がした。
やっと。
やっと兄さんも、ここまで来てくれましたね。
「お父さん、兄さんを連れてきました」
僕は、父の部屋の前まで来て、囁くようにそう言った。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)キョウハココマデ…
この続きもすでにきのう書いてしまったのですが、
>>529姐さんが
書いて下さった作品とかなり重なる部分もあるような気がして、
投下していいものか迷っています。
個人サイトでもないので
>>529姐さんが万一気分を害するといけないと思い…
このような時はどうするのがいいんですかね?とりあえず今日はこれで。
>>538 私は529さんじゃないけど気にせず続き投下キボンに一票
529さんのストーリーは538さんのストーリーとは全く別物なんだから
wktkして待ってるよー
と思うんだがどうか
>>539に同意。
同じものが題材なんだから、似た展開になってしまうのは当たり前な気がする。
でも多少重なる部分があろうと、別の人間が書いてる限り
それぞれ違う話には間違いないんだから、
良ければそのまま投下して欲しい。
鱸茶書いてくれた姐さんありがとう!
映画版見た時からずっと二人の関係に萌えてたんだ。
罪作りだ、おじちゃん…
ふたつの鰈、両雄並び立ち(人*゚д゚)シュテキ
いずれの姐さんもどんどん書いてホシス。
>>538 GJ!!すごく萌えますよ〜色気があってww
私もそのまま投下してほしいです。待ってます(* ´п`*)
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/前途シリーズ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| より、冒険者×ヴァンパイアです
| | | | \六回目ですよー
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
男から生気は感じられなかった。
血は吸い尽くした。おかげで、めまいや目のかすみは治っていた。
倒れこむ男を床へ放り投げると、ゆっくりとロングソードを引き抜いていく。
肉が修復しようとしているのがわかる。むず痒い感覚に駆られながらも、剣を引き抜き、
同様に床へ放り投げた。
首が切られないだけましだったかもしれない。
首が切られれば、復活するのに何日もかかる。
そう、ヴァンパイアは不死身だ。
例え殺されても、大地から生気を吸い上げ、数日で生き返ることができる。
だがそれでも傷を負えば痛いのは確かだ。例え数日でも死にたくないという気持ちはヴァ
ンパイアにもある。
ヴァンパイアの傷は微々たる物ながら、ふさがれていっていた。
自分の血の跡が冷たくて、ヴァンパイアは寝返りを打った。手の届くところにズボンがな
かったので、毛布を巻いてやり過ごしてみる。
男に犯されたせいで、しばらく体が熱かったが、そうしてやり過ごしてるうちに、熱も
消えた。
そして。
「ただいま」
「!」
ロウッドが帰ったのだ。
「…早く来てくれないか…」
玄関にいるロウッドは、まだ部屋がこんなことになっているは知らず、のんきに言う。
「ちょっとまってくれ。装備をとるから」
装備を取って普通の服に着替えたロウッドは、部屋に入って一瞬、後退りした。
何せ毛布もシーツもヴァンパイアも、血まみれなのだ。傷口からは血は止まっていても、
その惨状は目を覆いたくなるほどだった。
「何があったんだ!」
ロウッドは顔色を変えて、ヴァンパイアの元へと駆けた。
そして、そばにロングソードと、仲間の死体が転がっていることに気づいた。
「あの窓から、この男が入ってきた。胸を刺された…死ぬほどのものではない」
と、割れた窓を指差す。割れた窓からは、ひゅう、と風が入ってきて、室内はひんやりと
冷たかった。
「…!殺したのか?」
「殺した」
そっけなく言うヴァンパイア。そのヴァンパイアの肩をつかんで引き寄せる。
「なぜ殺した!奴は俺の友人だ!」
「…では…私は殺されていればよかったか?」
「何?」
「…黙って犯されていろと?」
「また何かされたのか」
「…」
毛布を自分で剥ぎ取る。
コートの下から、生足がみえた。そこには、精液が伝っていた。
「私は…、…私は…」
ヴァンパイアがつぶやいた。だがその先は何も言わなかった。
変わりに、一筋、涙を流した。
「…悪かったよ。やったことはこいつが悪い…けど…、けど」
何か言いかけて、ロウッドもやめた。
「こいつ、埋葬してくる。こいつも一人身だからな…」
ロウッドは、ズボンをヴァンパイアに渡すと、仲間の死体を抱え、出て行った。
「ロウッドと呼ばれていた…か?」
自分以外誰もいない部屋で、確かめるようにロウッドの名を呼んだ。
ヴァンパイアは、精液を毛布で拭い取り、ズボンをはくと、その場で倒れるように眠っ
た。
治りかけてきている胸が痛い。だが気にする余裕はなかった。
誰かが毛布を剥ぎ取った。
さらにコートを半分はだけさせ、服もめくりあげる。
傷に、何かを塗りこんでいるようだった。
そ、と目をあける。
ロウッドがそこにいた。
真剣な面持ちで、ヴァンパイアの胸の傷に、キュアパウダーを塗りつけていた。
「起きたか、大丈夫か」
「…これくらいでは死なない」
大丈夫か。
ロウッドが、初めてヴァンパイアを心配してかけた言葉だった。
その言葉が、胸に熱く広がった。この感情は何なのだろう、と、思った。
「シーツ、変えてやるからな。起き上がれるか?」
「動けるが、起き上がれない」
「何、そんなにひどいのか!!」
「…首輪が邪魔で」
首輪の鎖は起き上がれるほど長くはなかった。
「そうか…逃げるなよ?」
「逃げはしないが、襲うかもしれない」
「シーツかえるのやめた」
「冗談だ」
困り果てたようなロウッドの顔に、くすっと、ヴァンパイアは笑った。
ヴァンパイアが笑ったことに、心底珍しいものを見るような表情でいたが、ロウッドも
また笑顔になった。
「はじめて笑ったな、お前」
ぐりぐりと頭をなでてやると、首輪の鎖をベッドから離した。
じゃら、と音がして、鎖が地面に落ちる。
「起き上がれるか?」
「ああ…久々に起き上がった」
ヴァンパイアは、体を起こすと伸びをした。
体を自由に動かせなかったので、相当ストレスもたまっていた。
あまつさえ三人の男に責められるようなことまでされたのだ。
ストレスがたまらないはずがない。
逃げてしまおうか、とヴァンパイアは考えた。
が、鎖の先をしっかりと巻きつけるように持たれていることに気づいて、それはあきらめ
た。
せっせとシーツを代えるロウッドの後姿を見ながら、ぼんやりと、なぜ自分がこの男を殺
してまで逃げ出さないのか、不思議で仕方がなかった。
まだ彼には、芽生え始めたこの感情が何なのか、理解できなかった。
「何ボーっとしてんだ、つなぐぞ。こっちこい」
「…」
「おい?」
「どうしても、つながなければ駄目か」
「逃げられたら困るからな」
「…逃げ…る…、お前は、私をどう思ってる?奴隷か?それともー…」
――それとも、何だ?私は何が言いたい?私は…
「お前は奴隷だ。性奴隷だ。何よりも美しい、誰よりも純粋」
「そうか…」
賛辞など頭に入ってなかった。『お前は奴隷だ』この一文だけしか頭に入らなかった。
黙ってヴァンパイアは、首輪は鎖でつながれることになる。
その素直なところに違和感を覚えながらも、ヴァンパイアは目を開けたままベッドに横た
わっていた。
そこに、ロウッドがベッドに浅く座り、ヴァンパイアの顔を見ている。
「なあ…良いか」
ロウッドが顔を近づけ、そして口付けを交わす。触れるだけのキスに、ヴァンパイアは抵
抗しなかった。
「なにがだ」
「全部言わせんなよ…その…セックスがさ」
「嫌だといったら?」
「わーったよ、何もしねぇよ!」
ぷーッと頬を膨らませて、後ろを向いてしまった。その姿ににわかに笑うと、ヴァンパイ
アは続けた。
「…冗談だ。私はお前の性奴隷なんだろう?好きにすれば良い」
そ、と、ヴァンパイアはロウッドの服の端をつかんだ。
「俺の血は吸うなよ」
「もういらない…」
ロウッドはヴァンパイアに覆いかぶさった。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ サンバンメ、ナマエランニイレルノワスレタ
| | | | ピッ (・∀・ )トリアエズコイヲジカクシテナイヴァンプデス
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
GJ!!(o~∀~o)ノ鰈と並んで楽しみにしてるルナドン!
ゲームだなんてきいたから中古屋に走ってきますよww
>>538 どちらの姐さんの作品も好きなので、
投下してくれると嬉しい
よかったら待ってます〜
姐さんたち、ご意見ありがとうございました!
読みたいと言って下さる方が沢山いてくれて、書き手としては本当に嬉しいです。
お言葉に甘えて、書いた分をとりあえず投下させて頂きます。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )やっと長男 キタヨー
5
入りなさい、という父の声がした。
戸を開くと、男の精の臭いがむっと立ちこめている気がした。
父は、夜着のガウンを羽織っただけの姿でベッドに腰掛けていた。兄はまっすぐにその父の方へ歩いていく。
「お父さん、何のお話ですか」
兄がその台詞を言い終わらないうちに、後ろ手で鍵をかけた。
カチャン、という固い音に、兄が驚いた顔で振り返った。兄の向こうの父へと目を逸らすと、父は僕の方へ頷いてみせた。
「脱ぎなさい」
その声に、兄は今度はまた父の方を振り返る。何がなんだか判っていない様子だが、無理もない。戸惑う兄を幼いとさえ
見ながら、僕はシャツのボタンを一つずつ外していった。汗や体液がシャツを張り付かせ、脱ぎにくい。兄は父の言いつけ通り
に服を脱いでいく僕と、それを獣の目で見守る父とを代わる代わるに見ながらも、問いただす言葉が出ないでいた。
「あ…」
ぐしゃぐしゃになったシャツを無理矢理脱ぎ捨てた僕を見て、掠れた声を上げたのは、兄の方だった。
「どうかしましたか。兄さん」
できるだけ優しい表情を作って兄に微笑みかけた。兄の視線は僕の肌にあまりに多く点在する鬱血点を、数えるように目で
追っていた。家の中でもきっちりとシャツとベストを着込んだままの兄の視線の前で、下を脱ぐのは躊躇われたが、
「早くしなさい」
父がそう急かすのに、手を早めて金具を外し、ズボンを持つ指を放した。すとんとそれが足首まで落ちた時に、呻くように
僕の名を呼んだ兄の声は、呂律も回っていなかった。
「お前…」
「何だ、ずっと起たせていたのか、しょうがない奴だな」
兄の声に覆い被さるように父が言った。下着もつけずにズボンの下に隠れていた、角度を失っていない僕の雄は、橙色のテーブル
ランプの弱い光でもはっきり判るほど、下品に濡れて主張していた。
ああ、見られているーー兄さんに。
血のつながった男二人に見つめられて、落ち着こうと努めていた体は再びふるりと震えた。
「お父さん…」
僕は床に落ちたズボンをまたいで、父のベッドに近づいた。びくりとした兄が、異質なものを避けるかのように一歩退いた。
けれどそのまま、僕がベッドに上がって、四つん這いになって父親にすり寄るのを、信じられないものを見るような目で見ていた。
「よく頑張ったな」
父は僕を抱き寄せ、口づけをした。互いに舌を伸ばして、濡れた音を響かせる口吻に、兄は吐き気を堪えるように口元を手で
押さえた。それを横目で見た僕と目が合った時、何か問いかけるように兄は僕の目を凝視した。僕は、挑発するように、目を
細めて返した。
次の瞬間、兄は踵を返すと大急ぎで部屋を出ようとした。しかしその背後から、父がそれを呼び止めた。
「どこへ行く」
兄は扉の前で足を止め、怒りに息を荒げながら拳で戸を叩き付けた。
「いったいお父さんは、何をしているんですか…」
父は答えない。ただ寄りかかる僕の頭に手をやり、頬と頬を寄せた。僕はその気持ちよさに、自分からも猫のように擦り付けた。
兄は向き直ると、つかつかと僕たちの方へ歩み寄り、父の夜着の襟を両手で乱暴に掴んだ。
「僕の弟に、貴方は何をしているんだ!」
思わず息を止めた。
予想していた台詞とほとんど同じではあったが、
ーー僕の弟に。
一瞬、狂おしいほど生じた感情に、僕は名前を付けようがなかった。兄は呆然と見つめる僕には目もくれず、怒りに手を震わせ
ながら父を睨んでいた。父はそれをまっすぐに睨み返したまま、兄の両手を払いのけた。
その瞬間に、僕は兄の体の自由を奪っていた。
驚きに見開かれる兄の目に自分が映るのを確認しながら、その上半身をベッドに押さえ込んだ。何が起こったのか判らずにいる、
その間に馬乗りになってしまえば、その後で抵抗されようと無駄だった。自分でも気がつかぬうちに、僕は力で兄に勝るように
なっていたのだ。それを、こんなときに知ることになるとは。
父が、自分が着ている夜着の腰紐を引き抜いた。それを見て、兄の両手を無理矢理頭上に押さえ込む。兄は勿論暴れ声を出して
抵抗した。弾みにその手が僕の頬に当たり引っ掻き傷を残したが、結局は僕と父の二人分の腕力には敵わなかった。
「お前、何を…自分が…何をしてるのか解ってるのか…!」
父に両手を縛られながら、息も絶え絶えに兄は叫んだ。僕は冷静にそれを上から見下ろしていた。
「兄さんが、知らなかっただけですよ」
縛った両手はベッドの端に括りつけたが、念のために足も、落ちていた僕のベルトでひとまとめにした。兄のシャツの裾をズボンから
引き抜いて、ベストと一緒にたくし上げる。ベルトを外していると、兄が大きな声で制止したが、聞かなかった。
「兄さん…僕は先ほどからずっとお父さんにお預けにされていましてね…一刻も早く楽になりたいんですよ」
「何を馬鹿なことを言ってるんだ!」
「その馬鹿なことを、僕はもう十年も続けているんだ」
兄の抵抗が止まった。
僕は微笑を浮かべた。心の中では、嘲笑を贈りながら。
「兄さんが大学生の時でした。それから、アメリカへ留学中も、帰国して結婚されてからも、ずっとね」
「何だって…?」
「ああ、やっぱり全然知らなかったんですね…」
僕は兄の服を脱がせる手を止めると、傍らの父に手を伸ばした。
「なかなかいいものですよ、お父さんとの夜は…流石に、愛人と妻を一つ屋根の下住まわせるだけのことはある」
そして、自分の息子も。
この言葉は父を怒らせるかと思ったが、彼は僕を抱き締めると胸元に口づけを降らせた。僕が快楽のままに喘ぎ声を上げると、兄は
聞きたくないかのように目をきつく閉じて身を捩った。哀れにも、耳を塞ごうにもその手は頭上に拘束されていた。
「ああ…お父さん、もう、お許し下さい。もう死んでしまいそうですよ」
甘く溶かした囁き声で、父へ切なさを訴えかける。目を瞑って目の前の事実を否定しようとする兄をも意識しながら、
「ほら、僕のここが、こんなにお父さんを欲しがって…ああ、ほら…」
自分の後方へ手を回し、ぐちゅぐちゅと掻き回すことで、兄を聴覚から犯していく気分を味わった。自分の愛する弟が憚りなく卑猥な
言葉を口にして、父親との繋がりを求めている。それは兄にとってどれほど信じがたい衝撃であるだろうか。
ぴたりと身を寄せている父の体との間に、先に僕を汚した父の雄が再び力を持ち始めたのが判った。父の夜着をはだけ、僕は迷いなく
そこに顔を埋めた。父の呼吸が徐々に高まっていく。そして、兄の息も荒くなり始めていた。それは怒りに依るものだろうか、それとも。
口の中で何度も吸ったり、舐めたりしていると、もういいと父が制止して、僕の体を自分の上に膝立ちで座らせた。
「ん…お父さん、早く」
「いいだろう、入れなさい」
その時、すぐ横に仰向けになっている兄が、目を開けてこちらを振り向いた。そして僕たちの体勢を見とめると、力なく首を振った。
「やめろ…」
僕に言ったのか父に言ったのかは判らない。いや、両方にだろう。
「やめてくれ、頼むから…」
いっぱいに見開かれた兄の瞳に、涙の膜が光った。
兄の信じてきた家族の絆。それは今この瞬間、どんな形で兄の中に存在しているだろう。
見たこともないような弱々しい兄の目に見つめられ、僕は自ら招いたこの状況になぜか悲しささえ覚えながら、しかし首を横に振り返した。
「もう、限界なんです…」
黙って聞いていた父が優しく僕の腰を撫でた。そう、体も限界だった。しかしそうじゃない。父には解らない。
僕のこの気持ちなど。
今までどんな気持ちで兄を見てきたかなど。
彼の前には汚い現実などなかった。彼の努力に人望はついてきた。歯向かう者などほとんどいなかった。しかしもしライバルが現れれば
正面切って戦い、策略など用いない。政略結婚を強いられようとも、相手の女性を心から愛する。父が不埒な行いに身を染めれば、公然と
文句を言い、父の愛人に対しても毅然とした態度を貫き、抱いた反論は常に口にしていた。
けれど、兄さん、僕を責められますか。
辛辣な言葉で、正義だけを胸に、弟である僕を。
「兄さん…」
気がつかぬうちに、涙が溢れそうになっていた。慌てて父の肩口に顔を擦り付け、肉体的な刺激を望む涙であるかのような振りをした。
兄は、僕を見ていた。
激しい口調で糾弾するわけではなく、ただ痛みを堪えるような顔で、涙をたたえてやめろ、と繰り返した。
兄はいつも自分の正義を貫き、父との対立もいとわなかった。
それでも、父に愛されてきた。それが憎かった。
兄を一番に愛しながら僕を愛していると口にし、僕を抱く父が憎かった。
けれども僕は、
「あ、ああ…っ!」
僕は、父と兄を愛する気持ちを捨てられなかった。
父とこんな形で愛し合わなくとも良かった。家族としての愛を、兄と同じだけ僕に注いでくれればそれで良かった。
兄に嫉妬したくなどなかった。そんなふうにして自分が惨めになるよりは、ただ二人で同じように父から愛され、父に対して敬愛を
抱いて生きていきたかった。
でも父は僕を見なかった。兄は、父の愛に気がつかなかった。
動物のように性の快楽に身を委ね、嬌声を上げて親子で交接する僕たちを見つめる兄の目から、ついに涙が筋となって静かに溢れていた。
しかしその姿は、僕自身の視界が潤んでぼやけたことで、すぐに見えなくなってしまった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )毎週萌えが多すぎて書くのが追いつかねーyo!
次男熱、止まりません…
<(;゜Д゜)>ノー!!
私の熱も止まりませんよ
一日でこんなに更新されてるとは!!
姐さん方・・・なんて恐ろしい子!!!!
ももももしやリアルタイム……!?GJです!
まだ続きがあるみたいでホントにうれしいよww
私も次男熱、とまりません……ww
561 :
529です!:2007/01/30(火) 19:08:10 ID:xK6tjxpE0
まず最初に……ごめんなさいです!
>>538姐さん!!!
どうぞこのままお続けください。伏して続きをお願いしたいくらいです!!
心より、
>>538さんが書いて下さるのを楽しみにお待ちしております。きっと
他の姐さん方もそうだと思うので!!
てか私も、自家発電してるより、
>>538さんの読むほうが嬉しいしww
自分のアレは、放置するのも何なので、そのうちコッソリと、空気を読みつつ
短くまとめに来ようと思います。
容量492KB、そろそろ次スレ立ててきます
ところで1のAAの上に↓のタイトル文字追加してみてもいいだろうか
以前からAA長編の方で使われてるものだけど
. ___ ___ ___
(_ _)(___)(___) / ̄ ̄ヽ
(_ _)(__ l (__ | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ }
|__) ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
l⌒LOO ( ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_, _)フ 「 | ロ | ロ |
( ・∀・)、__)  ̄フ 厂 (_,ィ | </LトJ_几l_几! in 801板
 ̄  ̄
◎ Morara's Movie Shelf. ◎
いいと思う。
しかしここ最近豊作で困るwww
どちらの鰈姐さんの作品も萌えまくりですよー
続きが気になる!!
鰈見てないのにすげー萌える(*´д`*)
個人的に長男拘束がSゴコロくすぐる…
ルナドンは古いのしか持ってないけど
引っ張り出してプレイしたくなったよ
今からヴァンパイア討伐の依頼受けてくる(*´Д`*)
実を言うと、伏せ字は元ネタが分からないことがあるので保管庫収録時の
タイトル付けに困る。知ってるジャンルならある程度は分かるけど、そうでない
のは全くもって解読不能なことがあるので困る。
できることなら普通に書いてほしいと思う。伏せたからって隠れるには意味ないし。
別に伏せ字タイトルのまま保管したらいいんじゃないでしょうか
このスレで読む人と同じ条件で、分る人には分るし
なんでわざわざ分かりにくいままにした方がいいんだろう
わざと分かりにくくしてもいいことない気がする
わざとわかりにくくしなきゃ検索避けの意味がないのでは…
2ch専用ブラウザだとは1つの用語で全検索できる機能もあるからね
その「わざと分かりにくくしないといけない」っていう前提がなんかおかしいんじゃ
自己責任のネットの世界で「一般人に配慮」なんて余計なお世話、とかもあるけど
「伏せないと関係者に見つかって訴えられる」というその理屈で言うと、
伏せ字文化のないエロパロ板はとっくに閉鎖しとるがな、ってなるし
でも現実にエロパロ板にナマモノSS投下して訴えられた奴はいないでしょ
エロパロ板に限らず801板でも最近は伏せないスレも見られるようになってきてるし
何のために801板が隔離されてると思ってるんだよ…
他板の住民が検索で引っ掛けて読んで嫌な思いするなんて、晒しコピペと一緒じゃん
腐女子やその作品は多くから嫌われてるってことくらい自覚して行こうよ
検索避けくらいしないと、厨に見つかってそこら中の
他板関連スレに貼られでもしたら書いてる方としては堪らないよ
特にナマに近いほど、偶然嫌な思いした一般ファンは何をするか解らん
ナマ・半ナマサイトが本当に恐れて隠れてるのは公式関連だけじゃないんだから
571じゃないけど、それなら検索よけだけすればいいよね。
「分かりにくく」する必要はないよ。
大体、難しい伏せ方ってもはややる方も半分お遊びになってるじゃん。
それが分かる人は楽しいけど、そうじゃない人にはそんなのデメリット
しかないよ。
こういうスレだし、そのジャンルのオタばっかりじゃないんだから。
後、一般のファンがわざわざ数字系のスレを単語検索してまで探す
とも思えないよ。
投下する人が保管の人の意見を考慮するなり、今まで通りにするなり、
それぞれ好きにすればいいだけじゃね?
伏せずに投下する人も普通にいるこのスレで伏字論争になるのも、なんか違う感じだ
投下する人で成り立ってるスレで外野がやいやい言ってもあんま意味ないしな
伏字論争はよそでやれ
書く人の自由でよいではないか
ジャンルによって事情もそれぞれだろうよ
ということでこの話題終了
579 :
風と木の名無しさん:2007/01/31(水) 19:49:19 ID:9NuIlPLY0
あげ
聖/な/る/黒/夜よかった…!
また読みたいな、アソーさんが語る天使ちゃん
だった頃のレン…。