【陵辱】鬼畜作品を創作して20thプレイ【SM】

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1風と木の名無しさん
読みきりでもリレー小説でもいいのでここに書いて下さい。
H描写のみも可。神の降臨、お待ちしてます。

●SS書きの方への注意
・スカトロ、フィスト、切断等のハードプレイは名前欄にその旨を記入する事。
 数レスに渡る作品の場合は、その描写のあるレスすべてに、
 内容の注意書きを直前に入れて数行改行後に投下して下さい。
 (IEブラウザや専用ブラウザなど様々な環境の方がいます!)
・保管の都合上獣姦は扱わない事。(擬人化風味はオケー)
・続き物の場合、簡素な物で構わないのでシリーズ名を書き添える事。
・投下終了の場合それとわかるように明記する
・SS投下時、感想へのレス以外の雑談は名無し推奨
・二次創作、ナマモノは投下厳禁。投下主自身が書いたオリジナルのみ投下する事
・作者が許可しない限り、過去の投下作品のパロディ化は原則禁止です

●スレ住人心得
・叩きや煽りには絡まない
・肌に合わないSS、レスはスルーの方向で
・SS投下時は仮でいいからコテハンで
  (※どうしても合わない人がとばせるように)
・特殊なプレイはなるべく注意書きをいれる
  (具体的にネタバレせずとも「濃いめアリ」とか)
・住人をネタにしたSSもどきを禁止

まとめサイト ttp://red.ribbon.to/~yaoi/
まとめサイト@携帯 http://red.ribbon.to/~yaoi/i/

☆次スレは950で。立てられない方は前後の書き込みを自粛してください。
☆それ以前に容量オーバーしそうな時は490KB辺りでスレ立てをお願いします
2風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 00:07:16 ID:VqF1NsTh0
3八百壱陰陽師・攻の巻2 1/5:2006/12/04(月) 00:10:13 ID:VqF1NsTh0
投下します。触手?っぽいのがダメな人は避けてください。

「さて」
陰陽師は気を取り直すように呟いた。鬼を呪符から元の姿に戻し、黒い縄で縛ったのを目の前にして。
時刻は夜半。場所は陰陽師の屋敷の中庭。篝火がいくつか、鬼と陰陽師を取り囲むように夜を照らしている。
ゆらゆらと照らされている地面には、大きな五芒星が何かの染料で描いてある。

鬼は伝説にあるような化け物じみた体躯ではなかったが、それでも人よりもかなり逞しい男の姿をしていた。
虎縞の下着ではなくぼろを纏った姿で、縄の隙間からむっちりとした筋肉がはみ出している様は、
なんとも倒錯的でいやらしい。
が、陰陽師はあまり感心なさげな目でもってして見下すだけで、淡々とした口調で問う。
「鬼。お前、あの男に何を命じられてきた」
「…………」
鬼は沈黙を保っている。俯いたまま、膝の方に視線を落として。
その膝が、縛られたすがたを偉そうに見下されている憤りのためか、微かに震えている。
「答えよ」
陰陽師がすいっと危なげなく近付き、手にした棒のようなもので鬼の顎を掬った。
そうして初めて気が付いたように――陰陽師はああ、と声を上げた。
「……すまぬ、轡を施しておいたのを忘れていた」
今にも牙を剥きそうに震える鬼の口には、注連縄の轡がかまされている上から封印の札が貼られていた。
これでは呻き声一つもらすことは出来ない。
「もはやお前の身体の主は私だというのに、だんまりを貫くので可笑しいとは思っていたが……
 すまぬな、すぐにそれを外してやろう」
4八百壱陰陽師・攻の巻2 2/5:2006/12/04(月) 00:11:07 ID:VqF1NsTh0
全くわびる様子などなく薄笑う陰陽師は、手にした棒で鬼の唇を札の上からなぞった。
――その瞬間、嘘のようにつるりと札が落ち、縄の轡までもが落ちた。
それと同時に辺りに響き渡ったのは、鬼の雄叫び……罵詈雑言……或るいは突風の呼気……そのどれでもなかった。
「ぁああっ……ぅ、ぐっ…ひ…」
怒りに震えながらも、艶めかしく悶え苦しむ、鬼の喘ぎ声だった。

「ああ、また忘れていた。年の瀬の宴の多さに、ついに私も呆けてしまい始めたか」
陰陽師が声に出して笑いながら、独り言のように言った。口元を隠しながらも、目はあくまでも鬼を見下すように。
「……う…き、貴様ぁ……ッ、何をした……」
それを気丈に睨み返す鬼の唇の端は、先ほどまでかまされていた轡のせいか涎に湿っている。
そして、情けなくわなわなと震えている……怒りではなく、体を蝕む違和感に。
「知りたいか、鬼」
陰陽師は鬼に問いかけた。
そして、その答えを聞く前に――どうでもいい、ということだろう。ごそごそと懐から何かを取り出した。
取り出した、黒い箱のような物体を鬼の鼻先に突きつける。
「これが何だか、分かるか?」

鬼は唇を噛み締めて呻き声を漏らすまいとしながら、鼻先をその箱に近づける。
くん、とひとつ嗅いで、小さく洩らす。
「……硯」
「そうだな、硯だ」
陰陽師はその答えに満足したように微笑むと、身を翻した。
訝しげな鬼の視線を背負いながら、程近くにあらかじめ持ってこさせた台の上から掌ほどの壷を取って硯に注ぐ。
そして、注がれた水――清水で墨をすりながら、鬼のもとへまた歩み寄る。
5八百壱陰陽師・攻の巻2 3/5:2006/12/04(月) 00:11:45 ID:VqF1NsTh0
「……その、ぅん……墨が…ぁ…どうし、た…」
「まぁ、そう急くな。……これは、お前のような式神を自在にするための道具だ」
するすると墨を磨る静かな音に一瞬、鬼の息を呑む音が混じる。
「ど、どういう……こと…」
陰陽師はそれには答えずに、墨を磨り続けた。清らかな水に、邪な思いのように真っ黒い汁が混じる。
暫しの後、陰陽師は持っていた棒を――まっさらな筆を、磨りたての墨にたっぷりと浸した。
筆先が液体を含んで、仄かに輝きを帯びる。
それを手に、陰陽師は一歩鬼に近寄った。

「……な、にをする……!」
流石に不気味に思ったのか、悶えながらも鬼が叫ぶ。
が、家人の誰一人として起きてくることはないし、陰陽師も全く怖気づくはずがない。
「安心しろ。お前の苦痛や断末魔の叫びなど、聞き苦しくて聞き苦しくて、頼まれても聞きたくはない」
それを聞いてますますぞっとしたようにもがく鬼を尻目に、陰陽師は一枚の紙を手に取った。
「これはお前の元の姿、つまり札と全く同じものだ。お前の力を回復させる時に私が複製した。
 つまり、この紙を破り捨てた時……お前は、その身を引き裂かれるのと同じ目に逢うだろう」
「……ッ、に…を、でたらめ……」
「これを見よ」
焦って否定する鬼の目の前で、陰陽師はその紙をぱたぱたと広げた。
その紙面一杯を縦横無尽に、黒い線が駆け巡っている。
「お前を縛ったその黒い縄……一体、何であろうな?」
6八百壱陰陽師・攻の巻2 4/5:2006/12/04(月) 00:12:19 ID:VqF1NsTh0
はっとして、鬼は自分の身体を眺めおろした。縦横無尽に、身体を拘束するその黒い縄。
「…ぁ……ぐぅ、まさか……」
静かな驚愕の声を上げる鬼に、陰陽師は答える代わりに筆を取った。
紙面の白い部分にこれ見よがしに筆を下ろし、するすると筆を滑らせる。と、
「ぁ、あ……ひ、いぃッ…」
鬼が殆ど同時に喘ぎ始めた。身を捩り、情けないほど苦しげな喘ぎを洩らす。
「…ッ、ぐ、何、……ぁあ…!」
「私がこの墨で描く物は実在のものと化す。その縄のようにな。
 それと同時に、式神であるお前のような生物さえ作り出すことが可能だ。見てみよ、鬼」
膝立ちの身体を仰け反らせる鬼に近寄り、襤褸のような腰巻をめくり上げる陰陽師。
「…ッ、………!?」
その余りに無造作で遠慮のない手つきに羞恥の抗議をしようとして、鬼の動きが止まった。
先ほどから身悶えていた原因……下腹部から太腿、そして尻の割れ目に至るまでの違和感を与えていた存在が見えたからだ。
ずるり、と下半身を這いずる相手は。
「黒蛇……!?あ、ああっ!」

半勃ちのそれに絡みつかれて悲鳴を上げる鬼を実に楽しそうに見下ろしながら、陰陽師は言った。
その手は休みなくさらさらと流れるように動く。
「お前の札の複製に蛇の式神を描いた。それにはあらかじめ命令が下してある。
 ……お前の主人の名と企みを吐くまで、けして責め立てるのをとめるな、と」
「ぃ…ッ!な、き、様っ……、あっ!」
「お前の身体にも私の慈悲を書き込んでやろう。その体躯は色艶を帯び、狂うことなく、
 風が吹けば悶え、夜露に吐精し、その主人と同じように尻に蛇を咥え込む事永遠に飽き足らず、と」
「ひ、ぃッ…す、…好き勝手、………ぁあッ!!」
涙ながらに猛烈な抗議の色を浮かべていた瞳が、その瞬間に揺らいだ。何が起こったのだろうか。
7八百壱陰陽師・攻の巻2 5/5:2006/12/04(月) 00:12:57 ID:VqF1NsTh0
陰陽師が怪訝に思う間も無く、その膝立ちの体が耐え切れないというようにどさりと倒れた。
その拍子に、腰を覆っていた襤褸がぺろりとめくれてその下の惨状を露にする。
「ああッ…ゃ、やめ、へ、…蛇…ッ、そ、こ……はッ……!あ、あああ!」
「ほほう……やるな、蛇ども」
陰陽師は可笑しさをこらえきれずに口元を覆った。
丁度、『尻に咥え込む事飽き足らず』という項を書き終えるか終えないかの時に、黒蛇が鬼の後ろを這い回り始めたらしい。
硬く閉じた菊座を蛇のぬめぬめとした舌で抉られ、鼻先で小突かれる鬼。
引き締まった筋肉に覆われた小ぶりな尻を振るわせ、蛇を追い払おうとしているらしいが、
同じ札に存在している以上離れることなどできはしない。

陰陽師は数歩下がってその肉体の蠢きを眺めていたが、暫くするとまた歩み寄った。
仰向けに砂地に寝そべり、縛られたままの不自然な姿勢で身悶える鬼を見下ろしながら、呼びかける。
「鬼。お前の主人の命令を教えよ」
「ぁ!……ッ、う、おぉっ…くぅっ!」
「鬼」
聞こえていないのか、と陰陽師が問いかけなおす。と、
「ッ…!」
答えの代わりに突風のような呼気を吹きかけられ、一瞬足元を掬われてたたらを踏む。
「こっ、…答える、…ッものか……」
苦しいながらもにやり、と笑う鬼。その顔が数瞬ののち……はっと強張った。

陰陽師が筆を手にしていた。鬼にも良く見えるように、さらさらと描くのは……
「蛟。その鬼の後ろの孔を存分に毒で汚せ」
鬼はその体に降って沸いた違和感――ぞろり、と蛇とは比べ物にならない重量感の感触に、思わず小さな悲鳴を上げた。
数瞬の後には、鬼は夜を裂く絶叫を上げていたが。
8八百壱陰陽師・攻の巻2:2006/12/04(月) 00:20:31 ID:VqF1NsTh0
今回は此処までです。

9風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 00:22:00 ID:2FD+17t/0
スレ立て乙華麗
陰陽師も乙
10風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 00:50:41 ID:pM87tGWH0
陰陽師乙!
>1乙!
11風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 00:56:41 ID:Mq9SdAbKO
あれだけ次スレたてるのは待てって言ったのに…。
また荒れたらどう責任とってくれるのかな>>1さんは。
自分が作品投下したいからたてたみたいだけど、もっとみんなの意見聞くべきだったんじゃ?
12風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 00:57:52 ID:xNTzml7m0
陰陽師タン乙です!
13風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 01:12:19 ID:UQrIDE9c0
>>1 スレ立て禿乙!

陰陽師
>それでも人よりもかなり逞しい男の姿をしていた。
>虎縞の下着ではなくぼろを纏った姿で、
萌え(*´Д`)
14風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 01:15:42 ID:OR69DGKw0
>>1&陰陽師乙!GJ
15風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 11:01:19 ID:ACykVK2EO
専ブラでIDあぼーんでクリーンオフ
16風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 11:11:27 ID:ACykVK2EO
2006/12/04(月) 10:13:26 ID:Mq9SdAbKO
荒らしてんじゃねぇよ。
コピペしか能がないんか。俺の意見コピペばっかりしとらんと自分の意見はっきり言えや。
17風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 18:20:57 ID:Mq9SdAbKO
なんかスレ止まってるな
18風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 19:16:23 ID:H2ZaGv8X0
もし、コピペがもっと続く場合、
削除議論スレで相談してみるよ
19風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 19:45:48 ID:Mq9SdAbKO
よろしく頼む
20風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 22:06:48 ID:u+gid/U70
>59-60
半永久的に荒らすなんてこた出来ないんだから
嵐が収まるまで待つか、スルーしとけって。

それと削除人は消しゴムじゃねぇからな。

>8
陰陽師 乙!
21風と木の名無しさん:2006/12/04(月) 22:38:11 ID:MVbZ5ArNO
テュ…テュランタン…。

投下しにくいだろうけど、ここに続きを切望している者が1名…ノシ


都合の良い時、是非!!
いつまでだって待ってる!
22:2006/12/05(火) 01:25:17 ID:zDQEsSS6O
凄ぇ虚しい。
独りでしこしこ頑張ってコピペ貼ったのに、ぜーんぶ消しゴムで消された荒らしの気分だ。
スレひとつ満足に荒らせない荒らしの悲しみが、俺はわかる。
嫌がらせのつもりでケツを掘ってるのに、ゼミ長はノーダメージでよがってる。
最悪だ。冗談じゃねえよ。
むかついて腰を引いた。ちんぽを八割がた引き抜き、腰に勢いをつけ一気に貫く。
ゼミ長の体が跳ね、股が痙攣する。
「あ、あ、俺っ、んぁ、いっいま、俺な…お前を産んで、る、みたいだ…ッ」
ハァ?と思った。
「痛ぇよ、超痛ぇー。けど何か凄え…な。ああ、あ、あ、いい。いいよ。凄ぇ、いい。
満ち足りてる感じ?んっ、ぁ、分っ、娩…な、体、勢っだか…らかっ、な?
充ぅ、足ッ、感‥あるぜ。痛ぇけど…超気持ちいい…」
ゼミ長の電波発言とキラキラの笑顔にキレた。
鼻と左目とこめかみを殴った。腰を振りながら何度も殴った。
泣け、喚けっ!!怯えろっ!!
渾身の一撃をゼミ長のケツにぶちかましてやった。なのに、ゼミ長はどぴゅどぴゅイキながら、
うっとりと俺を見つめてる。超キモい。ほんと勘弁してほしい。
俺、あんたを強姦してるんですけど?一雫でいいんで涙お願いします。
虚しくて中出ししながら爪を噛んだ。そんな風にして、俺とゼミ長の冬は、はじまった。

つづく
23風と木の名無しさん:2006/12/05(火) 02:11:49 ID:SixtkflF0
陰陽師タン乙です

自分もテュランタン待ってるよ!
24:2006/12/05(火) 03:35:03 ID:zDQEsSS6O
はじめてゼミ長に会った時、目が綺麗だと思った。
マ.テ.ィ.スの緑の瞳の少女の絵を思い出したのを覚えてる。純度の高い鮮やかなグリーンに見惚れた。
髪は金髪というより、くすんだワラ色でちっとも美しくなかったけれど、
白い肌に映える緑の眼は、凄ぇキレイだと思った。
ゴ.ッ.ホ経由で日本画好きになって、うちの美大に来た変なアメリカ人。それがゼミ長だ。
日本語が達者で仕切り屋で、浮世絵研究の自称第一人者な鈴木教授のお気に入り。
リヴァのル.ク.ス.ンみたく本人がやりたがったから、鈴木ゼミのゼミ長を押しつけた。
大統領気取りで嬉々としてつとめてる。うざいが教授とゼミ生を繋ぐにはちょうどいい男だ。まあ使える。
いけ好かない外人だが、ケツを抉りたくなるほど嫌いではなかった。
むしろ、俺が敬愛している鈴木教授を恩師と仰ぐゼミ長の眼差しには、好感が持てた。
けれど授業後。ゼミ長は他のゼミ生の前で俺の聖域・鈴木教授に熱苦しく告り、
唖然としてる教授の唇を無理矢理奪ったのだ。俺はキレた。
教室から教授と他のやつらを追い出し内から鍵をかけた。
凄ぇ好きな漫画に、レイプは死なない割りにダメージがでかいと描いていたから、
ケツをガン掘りしてやった。けど真性ゲイはノーダメージで、
嫌味なぐらいでかいちんぽを膨らませ、気持ちよさげなキモい声を発しながら吐精した。

つづく
25:2006/12/05(火) 04:49:22 ID:zDQEsSS6O
白い顔をキャンパスに見立てて拳で紫陽花を描いてやった。
左目に一際鮮やかな大輪の花が咲く。
「一番は…教、授だ‥けど、二番、は…お前だか、らOKay!!」
ウインクなのか目が開かないのか左目を瞑り、ゼミ長がキラキラ俺に笑いかける。
超キモい。
M字に開脚させたゼミ長の股の間に身をおさめ、腰を振っていた俺を
ゼミ長は、自分が産んだ気がすると言った。意味不明。
むかついたから、鼻を殴った。両穴から血がほとばしるまで殴って
赤と紫に彩られたゼミ長の顔をためつ眇つした。いい感じだ。
ぐったりしてるゼミ長を放置して俺は教室を出た。ドアをあける前、鈴木教授が廊下に居て、
教室の様子を伺っていた場合の言い訳を一応考えてはみたが、教授も他のやつらもいなかった。
教授が気になって、もう帰られてるかもだけど研究室に寄ってみたら、電気がついていた。
ノックをして入室。この季節、いつお邪魔してもこの研究室は暖かい。
部屋の中央で、白いレトロな円筒型のストーブが赤々と燃え、
その上に、しゅんしゅん湯気を吐いている大きな金色のやかんがのっている。
教授はちょうど茶筅でココアをたてていて、マイルドクリィーミーなそれを
俺にすすめてくれた。白いおおぶりな抹茶茶碗にたっぷりのココアを頂戴し、
教授がご自分の為にたててらしたココアを飲んじゃってる俺って……なんて思いながら、
教授にアメリカ人って、ほんとデリカシーないですよね。と言ったら、
教授は苦笑しながら、「ゼミ長は、恋人同士になった今も、
ときどき突然、さっきみたいに、告白してくるんですよ」と微笑んだ。
さっきは、ゼミ長と残って何を話していたんですか?と尋ねる教授に
俺は何も言えず、恋人同士という単語を脳内で反復させた。
抹茶茶碗を手から滑らせなかったのは、誉められてもいいかもしれない。
驚いた。まじ驚いた。教授とゼミ長が?恋人同士!?いったいいつからなのかも謎だ。
胸がむかむかした。ゼミ長を改めてしめたい。強く強くそう思った。

つづく
26:2006/12/05(火) 05:20:11 ID:zDQEsSS6O
教授はまだ42歳だけれど禿げていて、十五夜お月さまの様に胱々としている。
禿げ萌えの俺的にはたまらない頭部の持ち主だ。
俺はまず、しっとりと輝く教授の頭に惚れ、次いで知性に惚れた。
ゼミ長はもう、あのよく研かれたボウリングの球みたいな頭のてっぺんにキスを落としたり、
後頭部の美しい丸みを撫でたりしたのだろうか。
まさかとは思うが、ゼミ長がネコで
まったりが信条の受け身タイプの教授がタチだったら如何せん!?
さっき掘ったゼミ長は、いま思えばこころなしか、
襞が行為に慣れていた様な気もする。
とりとめのない事ばかりが頭を駆けめぐる。
二人が相思相愛なら俺の入り込む隙間はない。笑えない。
この際、基地害でいいから二人を引き裂きたい。ゼミ長を強制送還したい!
俺は明け方、五時過ぎまで悶々として過ごした。
いい加減寝よう。そろそろ寝ないと明日もとい本日に響く。

つづく
27風と木の名無しさん:2006/12/05(火) 08:06:56 ID:dtBpePZnO
新スレおめ
陰陽師さん乙です
28風と木の名無しさん:2006/12/05(火) 08:11:32 ID:0jTjPIw20
ID:zDQEsSS6O
放置して悪かったよ、褒めてやるからあっちに帰ろう、な?
29:2006/12/05(火) 09:45:32 ID:zDQEsSS6O
理不尽な理由でケツを掘られたゼミ長の気持ちは考えない。
殴られても犯されても、強い心でボケをかましていられるらしいから大丈夫。
俺は品性が下劣で描くものに卑しさが滲んでいると言われた事がある。
たから、ゼミ長と教授がラブい仲なら割って入りたい。
教授の禿げあがった頭が大好きで、教授は聖域だと決めているけど、
ゼミ長と恋人同士だなんて簡単にカミングアウトしてほしくはなかった。
俺の敬愛する教授なら、男同士である事や教師と生徒である事をもっと悩むはずだ。
さらっとゼミ生に告げたりはしない。ゼミ生公認だと思っていたのだとしたら甘過ぎる。
実際問題、俺は知らなかったし、現代日本はまだまだホモに寛容じゃないはずだ。
教授には壁を乗り越えるより、行く手を阻む壁の前で名曲の歌詞みたいに、壁画を描いていて欲しかった。
越えちゃ駄目だ。がっかりだ。
聳え立つ壁を見上げ、ため息ひとつ、越えられないけど、壁画を描いて笑い飛ばす方が、絶対教授っぽい。
俺を裏切る教授なんてもう知らない。好きでいてやるのもやめだ。
ゼミ長は犯したのにノーダメージだったのが気に食わない。よく考えたら、教授と付き合ってるとかより、
そっちの方が癪に触る。股を割られたら震えて欲しかった。ケツを掘られたら泣き喚いて欲しかった。
顔を殴られたら痛みに顔を歪め、怒ってほしかった。一雫くらい涙が欲しかった。俺を産んでる気がするとか、そんな電波なお言葉なんていらない。
泣き喚け!
きっと、泣き濡れるゼミ長の目は、雨に濡れる新緑の様に美しいはずだ。
鮮やかに輝く涙に濡れたグリーンアイズが見たい。だから俺は、改めてゼミ長を犯さなきゃならない。
泣くまで犯さなきゃならない。9時46分。朝起きたら、明け方悶々としてたのぎ嘘の様に、
これから俺がしなきゃいけない事がわかった。ゼミ長に付き纏い泣くまで犯す!それが俺の進む道。

つづく
30風と木の名無しさん:2006/12/05(火) 09:51:48 ID:zDQEsSS6O
訂正
×悶々としてたのぎ
○悶々としてたのが
31風と木の名無しさん:2006/12/05(火) 11:15:54 ID:5fSzGsy20
新スレ立ったんだね
陰陽師さん、乙です
他の書き手さんもお待ちしてます
32:2006/12/05(火) 18:12:55 ID:zDQEsSS6O
※グロいのが苦手な方はスルーお願いします。



バイト先のメシ屋でトマトを斬った。赤というよりはピンク系の果肉を真っ二つにしたら、
はらわたぶちまけるみたいに、断面からどろっと種が流れてきた。
このトマトみたく、ゼミ長も中身をぶちまけたら、とても美しいんじゃないかと思った。
たぶん黄色人種より白人の白い肌の方が血のぬめりや露出した臓器が映える。
クリスマスソング…フロアで流れている曲が小さく厨房にも届いている…を聴きながら、
トントン、トマトをカットする。結構楽しい。
トマトの赤もクリスマスカラー認定されているのかもしれない。12月に入ってトマトサラダがよく出る。
エメラルドグリーンのキウイのスライスとセットでよく出る。
クリスマスが、冬休みが近づいているのを実感した。
休みに入ったらゼミ長は
カリフォルニア州マリン郡の実家に帰ってしまう。
ダディ・クールwとか言いながら、家族でクリスマスのご馳走を囲むのだろう。七面鳥とか。
犯すなら、日本に居る内だ。
俺はゼミ長を泣かせたい。
グリーンアイズにアセロラティアーズ!!きっと似合うだろう。想像するだけでわくわくが止まらない。
すり合って組み合って夜を過ごす。服従させてoh!oh!言わせたい。
目と鈴口と後ろを濡らして苦しんで欲しいなと思う。
幸い俺は大柄で、ゼミ長は都合よくコーカソイド?にしては小柄なので事には及びやすい。
きのうだってスムーズだった。ただいま18時23分。23時過ぎには上がれるだろう。
今夜ゼミ長のアパートにおしかけてもいいし、あした学校ででもかまわない。

さくっと痛めつけたい。

つづく
33風と木の名無しさん:2006/12/05(火) 18:17:31 ID:DRA/GAFMO
投下前に推敲汁!
訂正なんかでレス使うな
度々だからウザイお
34風と木の名無しさん:2006/12/05(火) 20:25:50 ID:F8AzTCkq0
見事としか言いようのないスレストっぷり。
ったくやだなぁ社会不適応者は。
35:2006/12/05(火) 20:42:24 ID:zDQEsSS6O
ゼミ長のファーストネームは小難しくて発音できない。
ファミリーネームは長くて覚えられない。
ゼミで一緒になるだけの付き合いだから、知ってることは出身地と北斎より歌麿が好きな事ぐらいだ。
ゼミコンの帰りに全員でアパートに押し掛けた事があるので家は知っているが、
ひとりで訪ねたことも招かれたこともない。だけど、その一回がでかいと言えばでかかった。
あの日、俺はゼミ長の本棚にKATHERINE PATERSONの
『the Same Stuff as Stars』を見つけた。
当たり前だけどゼミ長のは原書で俺は訳本しか読んだことがなかったけど、背表紙でわかった。
後にも先にもゼミ長とあんなにしゃべった事はない。
泣いたとこ×3が3箇所とも同じで、俺もゼミ長も主人公が大好きだった。
きのうゼミ長が、教授が一番で俺が二番だと言っていたそのわけは、
あの晩、一冊の本で二人して盛り上がったからだと思っている。不確かだけれど培ったものがある。
とはいえ親しくはない。しかも、きのう暴力をふるった。けれど、23時過ぎにピンポンをならしても
ドアを開けてくれる気がした。根拠の無い自信。俺がおかしい人と言われる所以のひとつだ。
バイト中、馬鈴薯の皮を剥きながら、ゼミ長を襲う事を考えた。
シンクに馬鈴薯の皮がくるくるとたまっていく。全裸で泣いているゼミ長が頭の中をくるくるまわった。
時計をチラ見する。20時53分まだまだ上がれない。
はやくはやくエロい事をしたい。きょうこそ、軽く電波が入ってるアメリカ人をまじ泣きさせたかった。

つづく
36風と木の名無しさん:2006/12/05(火) 20:57:08 ID:iJQpPMFzO
>>1
スレ立て乙です。陰陽たん萌えたよ〜
37風と木の名無しさん:2006/12/05(火) 22:00:10 ID:7IBvRcWfO
なんなこのスレ、やばくね?投下がもうない気が…
38:2006/12/05(火) 22:05:24 ID:zDQEsSS6O
23時過ぎ、ピンポンを鳴らしたらゼミ長がドアを開けてくれた。素直に嬉しい。
左目の紫色の痣が痛そうだ。口の端も赤く腫れている。我ながら素晴らしい鮮やかさだ。
手みやげのコンビニ袋を渡ししなゼミ長の股間を蹴り上げた。
玄関先で蹲った背中を蹴りやり、廊下に転がす。
ドアに鍵をかける。
「お邪魔します」
上がり込みながら、超教授の匂いのする靴を玄関先に見つけた。
寝室に直行したら、案の定、下半身をあらわにした教授がちょうど射精をしている真っ最中だった。
耳をすませば吐精音に混じって、教授のケツの奥あたりから、ローターか何かが蠢く音がする。
目を凝らせばM字の脚の向こうで教授の孔が小さく口を開け、
内から与えられる刺激にひくひくしているのが見えた。俺好みの卑猥感だ。
恋人同士は何やらお楽しみの最中だったらしい。
俺に気付いた教授がつるりと禿げた頭のてっぺんまで真っ赤にして、わたわた
シーツで体ごと顔を隠した。乙女かっ。オーバー40のくせにクソ可愛い。
シーツにくるまった教授を見つめていたら、股間をかばいながらゼミ長が駆けてきて、
激しい身振り手振りでドアを指し示しながら早口×母国語で俺を罵った。
そうそう、こういうアメリカマンな反応を待ってたのよ俺は。感情表現はストレートが一番だ。
ああ、嬉しい。凄ェ楽しいな。教授には快感を!ゼミ長には苦痛を!!
今晩はそんな2本立てがいいかもしれない。
興奮したら股ぐらがホウホウ熱くなってきた。じんわり湿ってる模様。
まじでどーでもいいんだけど、スワヒリ語では、唐辛子の事をヒリヒリホッホーと言うんだと
バイト先の料理長が言っていたのを思い出した。
真偽のほどは定かでは無いけれど、いまのところ俺の股間はホッホーだ。

つづく
39:2006/12/06(水) 01:11:43 ID:3WaB83bGO
おもちゃの手錠で後ろ手に戒められ、遅れ馳せながら2対1のぶの悪さを悟った。
いただきますとゼミ長をカーペットに押し倒したとき、俺は教授からの攻撃を想定していなかった。
だって教授はシーツで身を隠しながら、吐精後の気だるさに浸っていたし、
それと同時にケツの中のローターに喘がされていた。
まさか、教授がシーツの陰で自分の孔に指を突っ込んでローターを引っ張りだして、
フルちんで俺にむかってくるなんて!想定外もいいところだ。
ゼミ長がおもちゃとはいえ手錠を所有していたのも想定外。ひとえに不運だった。
ゼミ長を押し倒した瞬間の気のゆるみを突かれ、俺は教授に手錠をかけられ、
いつも教授が巻いているマスタード色のカシミアのマフラーで足首を結わえられた。
俺をカーペットに転がしたまま、二人はベッドへ戻っていく。
どっちがタチでどっちがネコか気になって見ていたらどっちもネコだった。
ゼミ長は教授の後ろに、シトラス系の芳香をふわりと放つローションをたっぷり注ぎ、
さっき教授が自分で引き抜いた真っ赤なローターを再挿入した。
教授ははじめ俺の目を気にしていたけれど卵形のローターを飲み込み終える頃には、ひらきなおったのか
たぶんいつもの様にのりのりで、ゼミ長の後ろにおそろいのローションを垂らし、
ゼミ長の瞳の色によく似たミドリ色のローターを、とろとろの孔にゆっくりゆっくり沈めた。
ゼミ長が気持ちよさそ〜うに身を捩る。教授が顔や頭部をほんのり赤らめながら、吐息をつく。
二人は、せーのっ、でスイッチを入れるとローターの振動音をBGMに、
乳首や半勃ちのちんぽをすり合わせあい、ハァハァ喘ぎながら互いを抱き締めた。
恍惚とした表情でひとしきり抱き合い、唇を吸い合ったのち、
ゼミ長は教授のちんぽを握り、教授はゼミ長のちんぽを握った。互いのちんぽを揉む二人を見ていたら、
俺は勃起した。猛烈に扱きたくなった。けれど、俺の両手は背中でひとまとめにされている。
どうやっても、ちんぽを握れない!!正直しんどい。
つづく
40風と木の名無しさん:2006/12/06(水) 03:58:13 ID:XLfCoZLm0
ごめん、荒らしなのかも知れんけど、やっぱあんたの書く文章ある意味すごいよ。
このよどみない文章の流れ方、基地外ユーモアのセンス。
病気だけど、あんたは才能ある。
あとはもちっと空気読んで欲しいし、他人への配慮が欲しいけど
でもそれが出来ないから嫌われてんだよな。
んーでもこの文章やっぱ魅力だ。
41風と木の名無しさん:2006/12/06(水) 07:03:19 ID:jrQwsjbz0
やば
荒らしかもしれないのに
面白くてSS読んでしまった

結構面白いや
42風と木の名無しさん:2006/12/06(水) 13:55:22 ID:SjAdIkKcO
荒らしでもこんなけの作品書けるんだから、職人もっと頑張んなさいよ。
43風と木の名無しさん:2006/12/06(水) 19:22:19 ID:JVNXOEFcO
自演乙!
44風と木の名無しさん:2006/12/06(水) 19:48:20 ID:SjAdIkKcO
いいえ、違います。
自演じゃありません。
自演だったらもっと自分を誉め讃えるでしょう。
45風と木の名無しさん:2006/12/06(水) 20:09:29 ID:A7jEORCW0
こいつ、SS投下以外しなければ愛されただろうに…w
46プラン 1/10:2006/12/06(水) 22:41:57 ID:W+7ilIPp0
※5つ目にゲロ描写の軽いのがあります。不快な方はスルーしてください。
------------------------------------

「いくら?」

助平親爺の上等文句のような台詞を吐く声が存外若々しいものだったので、
陳腐な誘い言葉と共に尻を一撫でする不躾さに怒るよりかは、少々面食らった。
振り返ってみれば、声の青臭さ同様、まだ下の毛すら生え揃っていないような
あどけない面をした子供が俺の尻を撫でていた。
多少大仰に表現し過ぎたかもしれない。いずれにしろ、俺よりだいぶ年少に見える―――
かろうじて下の毛は生えているだろうが、それにしても15、6そこそこにしか見えない乳臭い糞餓鬼だ。
そんな餓鬼が、脂ぎった性欲過多の助平親爺よろしく俺の尻を上下に撫でさすっている。
いよいよこの国の未来も危ういかもしれない。

「聞こえないのか?いくらだよ」
俺が呆けた顔をしてただ見つめ返しているのが気に入らないと見えて、
餓鬼は次第にいきりたった顔をして俺の尻をつかむ手に力を込めた。
頭の回転も鈍そうだ。可哀想に。
顔も十人並み、頭の回転も鈍けりゃ気の利いた台詞も吐けないと―――
(挙句の果てに深夜のメトロで一回り年長の親爺をナンパときてる)
こいつの将来は先行き明るくないな。
思わずこみ上げた笑みをにやっと口元に浮かべてみせると、何を勘違いしたのやら、
餓鬼が若々しい口元に同じくにやっといやらしげな笑みを浮かべた。
合意の合図だとでも思ったのだろうか、どこまで不器量な―――
「あんたの言い値を払うよ。だから……」
「やらせろって?」
子供らしい仕草で首を傾げてみせる糞餓鬼に一瞥をやり、ジャケットから取り出した煙草に火をつける。
嫌がらせも兼ねて餓鬼の顔に煙を吐きつけてやると、別段嫌がりもせずに鼻頭をひくひくさせながら煙の匂いを嗅いだ。
「コイーバ? 趣味悪いな」
「趣味の良し悪しがわかるほど愛嗜してるようじゃお前も終わってるよ」
別段 洒落てもいない皮肉に素直に笑い声を立てる幼さとは裏腹、餓鬼の手は相変わらず俺の尻をつかんでいる。
47プラン 2/10:2006/12/06(水) 22:42:28 ID:W+7ilIPp0
メトロの片隅に目をやると、案の定 好色の爺浮浪者がぼろきれの陰から
こちらの様子をじっと盗み見ていた。
これでまた明日からしつこい"性的いやがらせ"が続くだろう。
暴力沙汰を好まない俺には、あの呆け爺を拒絶するのはなかなかに骨の折れる仕事なのに。
いい加減 相手をするのも嫌になって、尻をつかむ餓鬼の手首をつかみ返してやると、
餓鬼の両目が期待の眼差しでこちらを見上げてきた。
尻の手をどかすどころか、ふざけたリズムで尻の肉を揉みしだき始める。
うんざりしてため息をつくと、コイーバ特有の匂いを放って白い煙が立ち昇った。

「俺は臭いぜ?なにしろ、もう二週間は風呂に入ってない。シラミでも湧いてるかもな」
半笑いで吐き捨ててやると、一瞬の躊躇の後、餓鬼の鼻先がひくひく揺れた。
再び餓鬼がにやっと微笑んだ。
「臭くないね。コイーバの匂いが興醒めだけど、勃たない程ではない」
「直接的な表現だな」
「あんたに上品ぶったって意味ないよ」
なるほどね。
餓鬼の鼻先に向かって煙を吐きかけながら、ちびた煙草を指で弾く。
線路上に落ちた煙草はしばらく薄い煙を燻らせていたが、やがて命尽きるようについえた。

「俺のピストラが欲しいのか?それともカロか?」
新しい煙草に火をつけながら冗談交じりに問うと、餓鬼は品のない笑い声でげらげら笑った。
「直接的なのがいいんだろ」
「カロだよ」
「そう思った」
いい加減面倒だ。
ガラス上に亀裂が走って非常に見難い腕時計に目を凝らし、餓鬼に視線を移す。
言うまでもないが、餓鬼の手は常に俺の尻の上のままだ。非常に鬱陶しい。
「一発500ユーロだ。一晩じゃないぜ」
一介の餓鬼にそんな大金を払えるとはとても思えないが、払えるなら払えるで
結構な儲けになる。だめなら引き下がるだろう。
48プラン 3/10:2006/12/06(水) 22:43:32 ID:W+7ilIPp0
いい加減、俺も疲れていた。さっさと眠りたいのだ。
とはいえ、例のセクハラ爺とは離れた場所で眠らないと。
さっきからいやにぎらついた目でこっちを窺っているのが気味悪い。

俺の予想と反して、餓鬼はようやく肩の荷がおりたとばかり晴れ晴れした笑顔を見せた。
執拗に尻をつかんでいた手を離し、俺の手首をしっかとつかむ。
「決まりだ。行こうぜ」
「払えるのか?後で"お金が足りません"はなしだぜ。先払いだ」
「いいよ。いくらでも払うって言ったろ?」
俺の手首をつかんだままずんずん進んでいく餓鬼に従って歩きながら、吸い終えた煙草をそこらへ弾いた。
餓鬼の足はメトロのゲートを過ぎ、奥へ奥へと進んでいく。
顔見知りの浮浪者が訝しげにこちらを見つめているのに気がついて、いやに決まり悪い思いをした。
こんな餓鬼に買われるとは。とはいえ儲けは助平親爺の倍以上、悪い話じゃない。
せいぜい裕福で物好きな餓鬼に感謝するさ。

「で、何発の予定だ?一発500ユーロ払えるなら、一晩でも相手してやるぜ」
「俺が満足するまで。まず一発500ユーロ先払い、後は延長追加料金」
「ヴァレ」
軽く親指を立ててみせると、餓鬼が俺を真似て悪戯っぽく親指を立ててみせた。
餓鬼の足は足早にメトロの中をずんずん進み、次第に周囲は薄暗くなっていく。
そんなに奥にいったところで、浮浪者は居なくなりゃしないぞ。
むしろ奥の方にこそたくさん住居を構えているのに。俺もほとんどは奥の方の片隅で寝起きしている。
電灯がちかちか明滅しているうらぶれた階段をおり、さらに奥に進んで、
餓鬼はメトロの最端の男子トイレに辿り着いた。
――――確かに、やるにしちゃ最適の場所と言えるかもしれない。
近くに浮浪者も居なければ、警備員も居ない。ただ臭いのが難点だ。

「へえ?よく見つけたな。一般人はまず見つけられないぜ」
「入念に計画したからね」
餓鬼の手が薄茶けたドアを押し開き、ぐいと中に引っ張られる。
「何だ、お前、そんなに俺とやりた――――」
49プラン 4/10:2006/12/06(水) 22:44:04 ID:W+7ilIPp0
俺とやるためだけに"入念に計画"したという餓鬼の台詞に思わず吹き出した
俺の言葉は、語尾がだらしなく尻つぼみになって消えた。
悪臭漂う薄汚れた男子トイレ内に、予想外の"お客さん"がいらっしゃったからだ。

餓鬼を除いて4人、どれも餓鬼と同じくらいの年齢に見える。
面食らって連中を凝視する俺を、連中はいやに子供っぽい笑みを浮かべて歓声を上げた。
「よし、上手くやったなベト!」
「大したもんだぜ。もう待ちくたびれてんだ、臭いし熱いし」
好き勝手に互いの手を打ち鳴らし、お祭り騒ぎめいた調子で歓喜の声を上げる連中に
親指を振ってみせると、俺の手首をしっかとつかんでいる餓鬼が(ベトというらしいが)
再び助平親爺めいたにやっとした笑みを口元に浮かべた。
「何だいこりゃ」
「俺一人とは言ってないだろ?」
呆れて二の句が告げずに突っ立っている俺の背中を押しやり、バランスを崩した
俺を待ち構えていた連中がしっかと抱きとめる。
反射的に離れようとした身体を別の一人がつかまえ、壁際に押しやった。
つまるところ、俺は壁際に追い詰められ餓鬼どもに取り囲まれる格好となった。
相変わらず興奮した様子で跳ね回っている連中に向けて肩をすくめてみせると、
俺はジャケットから新しい煙草を取り出した。
「複数プレイとは聞いてないぞ」
「だから、俺一人だけとも言ってないと言ったろ」
生意気な口を聞く奴だ。
初め俺の尻をつかんでいた餓鬼(ベトと言ったか)に一瞥をくれると、
ベトはいけしゃあしゃあと肩をすくめて首を振ってみせた。
じりじりと間合いを詰めてくる連中にいやな息苦しさを覚えて、俺は壁際に一歩後退した。
連中は俺を壁に挟んでプレスするつもりか?

「あのな、俺は複数プレイは嫌いなんだよ。趣味じゃない」
「そりゃないや。もう契約は成立したろ?一発500ユーロ、全員分ちゃんと払うぜ」
50プラン 5/10:2006/12/06(水) 22:45:35 ID:W+7ilIPp0
※軽いゲロ描写!注意!※

---------------------------
「500ユーロ!?べト、お前それで釣ったのか」
ベトの言葉にげらげら腹を抱えて笑い転げ始めた連中に、愛想よく手を振る。
「もしもし?盛り上がってるとこ悪いが、いくらだろうと複数プレイなら契約ご破算だ。
どっちにしろそんなに金持ちならちゃんとした娼婦なり男娼なり買う事だな。
それだけ金出しゃ喜んで5人分のピストラ銜え込むぜ」
俺の言葉の何が面白かったのか、連中は再びげらげら笑い始めた。付き合いきれん。
軽く上げた手をひらひら振って、優雅に連中の間を通り抜けようとした瞬間
餓鬼の誰かの手が乱暴に俺をつかんで壁際に叩きつけた。あるいは全員の手かもしれない。
「おい、冗談はそこま」
――――でにしろ、という言葉は顔にぶち込まれたパンチと共に霧散した。
それからは なし崩しだ。
誰のものともしれない腕なり足なりが蹲った俺に雨のように降り注ぎ、
突然の連続攻勢にふらついた俺の頭を誰かが強かに蹴り上げた。
鳩尾に叩きこまれたパンチと蹴りは、恐らく同時だったんじゃないだろうか。
パンチと蹴りの合わせ技はかなりのダメージだったと見えて、俺は直後に
胃の中身をそっくりそのまま床にぶちまけた。
蜘蛛の子を散らすとはこの事かとばかりさっと身を引いた餓鬼どもを睨みつけると、
連中はやんややんやの喝采を上げて俺の失態を罵った。
手加減も知らない阿呆の癖に、こういうところだけはちゃっかりしている。
自分の撒き散らした吐瀉物の中に吸いかけの煙草が落ちているのをぼんやり見つけて、
反射的に拾おうとした手を餓鬼どもの足が二つほど、粉々に踏み砕こうとするかのように踏みつけた。
これは効いた。
惨めな悲鳴を上げてその場に蹲った俺を後ろから蹴りつけ、俺は汚い床に這いつくばった。
そんな状況でもしっかり自分の吐瀉物は避ける俺も、なかなかにちゃっかりしているかもしれない。
起き上がる間もなく俺の頭を誰かの足が踏みつけ、長い間掃除すらされていない床に頬なり耳なりが押し付けられる。
正直言って、腹が立つ。暴力沙汰ないしは揉め事を好まない俺が久しぶりに放つ怒りの怒声は、
残念ながらそうそう迫力満点とは言えない代物だった。
51プラン 6/10:2006/12/06(水) 22:46:19 ID:W+7ilIPp0
「ぶっ殺すぞてめえら!」
"てめえら"の"え"が、さながら女性オペラ歌手のように甲高く跳ね上がってしまった。
むろんそんな事にいちいち構ってはいられない。
もがく俺を汚い床に押さえつけながら、連中は俺のベルトに手をかけた。
いよいよ冗談では済まされない事態になってきたようだ。
本格的に抵抗を開始した俺の手なり足なりを連中の汚い靴底が押さえつけ、
怒り以上に、汚らしさに対する嫌悪で寒気がした。
曲がりなりにも一介の浮浪者である俺が汚れを疎ましがる資格はないのかもしれないが、
それにしてもこんなトイレの床に這いつくばって喜ぶような趣味はない。
輪姦を楽しむ趣味もない。

やすやすと俺のベルトを外した連中は次いで俺のボロけたジーンズに手をかけ、
もがく俺を"尻を振って強請る娼婦のようだ"と陳腐な台詞で揶揄しながら
俺の下半身から衣服をそっくり奪い去っていった。
剥き出しになった尻に連中の手が這い、尻肉を揉む手とは別の手がケツの穴をつついた。
「おい、やめろ、触るな」
「二週間、風呂に入ってないってのは嘘だろ。少なくとも毎日身体は洗ってるよな。
下手すりゃ俺達より清潔かも」
尻の方からベトの声がする。今尻を揉んでいるのは恐らくベトだろう。あの餓鬼は尻に執着しすぎるきらいがある。
「さあな?そうだ、言い忘れてた。俺は病気持ちだ。ありとあらゆる性病を患ってる」
「それは気の毒」
尻を弄る手が増えた。その代わり、俺の手や足を踏む靴底の体重が増す。
連中がもう少し太っていたら骨が砕けているところだ。
「よせ、触るな。どうせこの調子じゃ金もくれないんだろ?だったらもっと優しくしてくれよ」
俺の哀れっぽい懇願を文字通り一笑に付し、連中は俺のケツの穴に何か冷たいものを塗りつけた。
「優しいだろ?ローションを使ってやったぜ」
「パキート、チェマ、こいつの足を開かせてくれ」
器用にも俺の脚を踏みつけたまま次第に脚を広げていく。
52プラン 7/10:2006/12/06(水) 22:46:59 ID:W+7ilIPp0
開いた脚の間から陰茎を悪戯に弄られ、それに気をやる間もなくケツにローションを追加された。
連中の誰かの指がにちゅにちゅ嫌な音を立てて俺のケツを弄るたび、背筋を
何とも言えないおぞましい感触が走り抜けていく。
嫌がって腰を捩る俺の動きを"快感"だと受け取ったのか、連中が嬉しげな笑い声を上げた。
その勘違いを正す気にもなれず、入り口の辺りを指で押されるたび抗議の呻き声を上げるにとどまった。

俺の頭を踏んでいる餓鬼は尻には手が届かないと見て、退屈しのぎに
俺の着ていたシャツをわきの下辺りまでまくり上げた。
確実に乳首を狙われると悟った俺は素早く胸を床に押し付け、餓鬼の手から逃れた。
汚いだの何だのとはもはや言っていられない。
拍子抜けした様子で背中なり脇なりをくすぐる餓鬼の手に気を取られているうちに、
唐突に尻側に陣取っている餓鬼が俺の奥深くに指を穿った。
「あっ、あーっ」
「色っぽい声だな」
次いで、二本、三本。いくら初めてではないとはいえ、いきなりこれではきつすぎる。
好き勝手に指を躍らせる餓鬼に抗議の声を上げると、俺の頭を踏んでいる餓鬼が靴底に重みを増した。
「黙ってろよ」
「くそっ、抜けよ!ろくにやり方も知らねえくせに……」
広げた脚の間から餓鬼の誰かが陰茎を扱き始めた。
望まぬ刺激に腰が震え、わななく尻を振ると、案の定連中は喜んだ。
腹が立つ。何で俺がこんな目に遭うんだ。くそ、何が500ユーロだ……。
俺の中を穿つ指が探るように中を掻き回し、俺は押さえつけられた四肢をぶるぶる震わせて喘いだ。
嫌な感じだ。凄く、とてつもなく、すこぶる嫌な感じだ。
指の持ち主は、恐らく前立腺の在り処を探っている。

「あっ、あああっ……くそっ」
唐突に快感の元をつつかれ、俺の腰はわなないた。
反射的に上がった尻をそのまま固定され、より触れやすくなった陰茎を擦られる。
53プラン 8/9:2006/12/06(水) 22:48:57 ID:W+7ilIPp0
「キケ、わかったか?どう?」
「ああ、たぶん。これだ」
再び前立腺を押され、尻が意図せずともびくびく揺れる。
惨めったらしい声を上げる俺に興奮したのか、かたわらの餓鬼が俺の頭を踏む靴底に力を込めた。
「気持ちいいか?気持ちいいって言え」
「あっ、あっあっ……っん、くそっ……あ、んっ……」
「ビンビンだぜ。すげえや、ペドロ、見てみろよ」
「俺の位置からじゃ見えねえよ。顔と声聞いてりゃわかるさ。ケツ掘られてよがってんだよ」
偉そうに言う割には、俺の頭を踏む餓鬼(ペドロと言うらしいが)こそ股間にテントを張っている。
それを馬鹿にしてやろうとも思ったが、とても洒落た皮肉を考えつけるような状況ではなかった。
尻への刺激と陰茎への刺激が強すぎる。
「気持ちいいって言えよ、おい?早くおっきいの頂戴って言えよ」
「ペドロ、誰の受け売りだよ」
「俺のママさ」
どっと連中が賑やかな声を上げる。暢気なものだ。
「言え」
靴底に力がこもると同時に中の指や陰茎を扱く指の動きが強まり、俺は尻を震わせながら
惨めったらしくすすり泣きめいた声を出した。
「あ、あっ、ちくしょうっ……っあ、気持ちいぃ、ああ、んっ……」
「もういいよな?いいだろ?なあ」
ベトの声がしきりに後ろから催促する。ペドロが愉快げな声音で笑った。
「知らねえ。やりたきゃ、好きにやれよ」
54プラン 9/9:2006/12/06(水) 22:49:29 ID:W+7ilIPp0
「やめろ、触るな……あっ、ああっ……ぅくっ」
陰茎を扱く手がそっと離れていき、次いで尻の中を掻き回していた指が
ずるりと音を立てて引き下がっていった。
意図せずして絡みついていく自身の粘膜が腹立たしい事この上ない。

「なあ、どうせ金なんかくれないんだろ……だったらせめて優しくしてくれたって良いだろ……
に、逃げないから、全員やらせてやるから、せめて楽しくやろうぜ」
一言一言言葉を言うだけで難儀だ。後ろでジッパーを下げる音がした。
俺の頭を踏んでいるペドロという餓鬼が胸糞の悪い仕草で肩をすくめてみせた。
「楽しんでるぜ?俺達はな」
直後に押し入ってきた存外に大きなピストラに、俺は堪らず鼻にかかった声を上げた。
----------------------------------
今回はここまで。投下数勘違い。すいません。
55風と木の名無しさん:2006/12/06(水) 23:35:51 ID:267/3bIW0
無問題。
禿乙!リンカーン(;´Д`)ハァハァ
56風と木の名無しさん:2006/12/07(木) 02:59:28 ID:4GwJSIDxO
久々の投下!乙!続き、楽しみにしてます
57風と木の名無しさん:2006/12/07(木) 08:55:17 ID:JAi4DEKNO
鬼畜スレのレベルも下がったね…
58:2006/12/07(木) 09:49:11 ID:8T3Y6mP0O
教授とゼミ長的に俺はもう、あぼーんされて存在しない模様。
存在しない俺に見られている事を気にする必要なんかない。
ふたりは仲良く、互いのちんぽを扱きあっている。
目の前の光景に刺激され、俺もかなりやばい。ジーンズの前を引き下ろしたい。
ちんぽを取り出して、握って、おもいっきり擦りたい!でも俺の手は手錠で拘束され、真後ろだ。
ファスナーを下ろせない。ちんぽを取り出せない。擦れない。イクには見てるだけじゃ足りないッ。
腰のあたりに、もやついている熱を摩擦でいっきに高めて、飛翔したかった。
ぬるさが辛い。扱けないなんて軽い拷問だ。
いけない俺の目の前で、教授は「モロノブッー!」と言いながらいった。
教授を敬愛してる俺だから、菱.川.師.宣の事だとわかった。
モロノブは「廉価で即製可能な浮世絵版画」を広め、
富裕層だけのものだった絵を楽しむ「喜び」を大衆に「解放」した。
モロノブと射精の共通キーワードは、解放&喜びだ。
「イクー!」でも「出るーッ」でも「オガアザアァーンッ!」でもなく「モロノブッー」。
超、教授らしい快哉だと思った。俺もいきたい。ちんぽを扱きたくて扱きたくてたまらない!!

つづく
59風と木の名無しさん:2006/12/07(木) 13:26:34 ID:4GwJSIDxO
なんか悲しい…。
60:2006/12/07(木) 14:02:53 ID:8T3Y6mP0O
大学の友人からは、しばしば「ジョジョの世界の住人みたいだ」と言われる俺だけど、スタンドは使えない。
だから手錠は壊せない。
俺に限らず、うちの大学のもんはファッションセンスが傾(かぶ)いてる。
孵化する確率の低い芸術家の卵たちの格好は、オウオウにして独創的だ。
俺の奇髪と妙服やマジヤッベなアクセ達が、ジョジョ的だと言われるのは嬉しいが、
いまは、手錠がぶっ壊れてくれた方が嬉しい……。ちんぽをがしがし扱きたい。
61:2006/12/07(木) 14:04:11 ID:8T3Y6mP0O
ゼミ長より先にイッてしまった教授は自分の早漏っぷりをしきりに恥じている。
ゼミ長は乙女みたく赤らめている教授の頬に音を立てて慰めのキスをすると、
母国語で気にしないでハニーと囁きながら、指先でやさしく教授の陰毛を梳いた。
二人を見つめていたら、ちんぽの先からがまん汁が滲み出てきてパンツを濡らして冷えた。
教授はまだイッてないゼミ長の股間に顔を埋めて、夢中といった感じでちんぽを貪っている。
緑の瞳をうっとりと潤ませ喘ぐゼミ長が羨ましい。
窮屈なジーンズの中で跳ねている俺のちんぽのがまん汁も、ゼミ長にしてるみたいに舌ですくって欲しい。
ゼミ長の腰の動きが慌ただしくなって、ゼミ長のちんぽをくわえた教授の唇の端から、
涎がゼミ長のがまん汁といっしょくたになって、垂れ流れている。
たまんねえ。だけど見てるだけじゃいけない。引っ張り出して擦らないと駄目だ。
悶々としてる俺を無視してというか、脳内あぼーんされて存在しない俺は二人の中では居ないも同然なので、
ナチュラルに気にも止められないだけなのだけど、まあ、そんな感じでゼミ長は
オナりたくてたまらない俺の前で、愛情たっぷりのフェラを受け、気持ちよさそうにイッた。
ぬきあいっこをし、一発ずつイッたゼミ長と教授は、攻めは互いのケツの中に埋めたローターにまかせ、
手を繋いで仰向けになると冬期休暇中、ケンブリッジ・フィッツウィリアム美術館に行こうよと、旅行の話をはじめた。
繋がれた手と手がエロい。ローターにあ、あ、と喘がされるたび、二人は、握った手にぎゅっと力を込める。
艶やかな声をあげながら、二人は、その美術館にある歌麿の『化.物.の.夢』を見に行こうと語った。
いいなぁと思った。俺も大好きな大判錦絵だ。俺も行きたい。つかイキたい。ジーンズの中から
ぶるんっと飛び出し、はっちゃけたいのだと、股間でちんぽが切々と訴えている。
俺だって引っ張りだしてシコシコしてやりたい。だけどごめん。後ろ手で手錠をかけられてるんだよ。
ごめんな。

つづく
62風と木の名無しさん:2006/12/07(木) 21:04:28 ID:0fZ76CLfO
プランタン、乙!!
久しぶりの投下(´∀`*)ウレスィ
異国情緒ありまくりの雰囲気がたまらん。
年下攻め&リンカーン&漢前主人公とツボど真ん中の作風だ
続きwktk
63風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 01:00:08 ID:C9vqTbxXO
プランタン乙!リンカーン(:´Д`)ハァハァ
続き、心待ちにしてるよ。
64男か女か:2006/12/08(金) 12:22:18 ID:yooIsTZ+0
投下します。短いリドルストーリーです。
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むかしむかし、ある王国で。
男色が推奨されている時代があった。戦時中のことだ。
戦意を強く保つため、少年と壮年の間で愛が育まれた。
ところが、先の大戦に勝利したとたん、政策は一変した。
疲弊した国土を立ち直らせるため、生めよ励めよ。
税制を担う子供を生まない、男性同士の恋愛はご法度とされた。

そんな中、堂々と法律違反を行う者があった。
世継ぎの若き王子である。長男であり、たった一人の血筋だった。

王子は絶倫だった。召使小姓下級兵士平民農民貴族問わず手を出した。
さすがに世継ぎがこれでは、国王として示しがつかない。
法を破るものは刑罰を受けるのだと、知らしめてやらねばならなかった。
国民にも、王子にも。
見せしめに選ばれたのは、王子の最もお気に入りの相手である、従者であった。
65男か女か:2006/12/08(金) 12:22:59 ID:yooIsTZ+0
王子は気紛れだった。お気に入りのこの従者には、たまに立場を入れ替える命令をした。
「普段攻められる側が、攻める側にまわるというのは、どんな気持ちだ」
従者は豊かな口ひげの下から、嬉しいような戸惑うような、静かな声で答えた。
「どちらでも受け入れますとも。全ては王子の意のままに」

王子は寂しがり屋だった。帝王の座を継ぐものにありがちな、孤独感だった。
「身体を交じえる間はいい。だが離れれば、私のことなどすぐ意識から掻き消えるだろう」
従者は背中の傷―――薄れかけているが、先の大戦で前線に立ち、負った物だ―――に触れる王子に、こう返す。
「離れていても、王子のことは思っております。全ては王子の意のままに」

その答えを聞いた時、喜びを隠せなかった王子は、三日間続けて従者を抱いた。
しかし、四日目からは相手を取替え引替えし始めた。王子は飽きっぽくもあった。
66男か女か:2006/12/08(金) 12:23:44 ID:yooIsTZ+0
王子は疑い深くもあった。人を統べる立場にあっては、当然のことだった。
「私の寵愛があるのに、何故もっと上の立場を望まない。腹に一物抱えているな」
従者は豊かな年月が刻んだ、彫りの深い横顔で遠い目をする。
「祖父の代からこの役目を継いでおります。全ては王子の意のままに」

王子は率直であった。
「お前は、私を愛しているか」
壮年の従者の表情は、若く社会経験のない者には、とても読み取れないものだった。
「………全ては王子の意のままに」
67男か女か:2006/12/08(金) 12:24:32 ID:yooIsTZ+0
さて、この国の男色に対する刑罰は、一風変ったものであった。
死刑か、もしくは伴侶を伴っての国外追放という、ギャンブル性の高いものだ。
罪人は広い闘技場の真ん中で、右か左、二つの扉のどちらかを選ばされる。
一方には女が居る。罪人は彼女と結婚し、遠い国で暮らす。それが罰。
もう一方には、屈強な男が三人。東洋の秘薬で性欲を滾らされた彼らに、罪人は犯される。
衆人環視の闘技場で存分になぶられた後、首を刎ねられ晒される。それが刑。

罪人はどちらの扉に罰があり刑があるか、決して知ることはない。
だが、王子はその権力を駆使して、国王しか知らぬその秘密を手に入れた。
深い地下牢に捕らわれた従者を救う手段は、もうなかった。
彼が出来るのは、執行の当日、秘密を伝えることだけだった。

当日。残酷なショーを見物に、国中の民が闘技場につめかけた。
罰ならば、そのまま華やかな結婚式に突入する。
刑ならば、興奮の後、血の流れる瞬間を拝める。
わきあう場の中心に、一人ぽつんと佇む従者は、ボックス席を見上げた。
王子は彼にしか見えない仕草で、右の扉を指さした。
68男か女か:2006/12/08(金) 12:25:41 ID:yooIsTZ+0
*  *  *

賢明なみなさまならば、お察しのことでしょう。
ここまではスト/ック/トン「女/か/虎/か」のパロディー。
しかしみなさまに謎を投げかけるのは、この後の従者の行動。

*  *  *

従者が執行人に伝えたのは、王子が指したのとは逆の扉。
執行人の手により、「左」の扉がゆっくりと、開かれていく。
従者はもう一度見上げ、そして笑った。
赤子を安堵させる母のような微笑か、それとも小気味よさげな嘲笑なのか。
それは、遠すぎて見えなかった。
見下ろす王子の瞳に、衝撃の色が走った。
初めて「意のまま」でなくなった従者への驚愕か、それとも意図を見抜かれた狼狽か。
見極めるには、ボックス席はあまりに高すぎた。
そして、扉は完全に開かれた………

69風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 13:56:43 ID:IX9MWMTv0
なんだよう!どうなったんだよう!(@Д@;;)ハァハァ
王子の意図はどっちだったんだ…

乙です!
70風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 14:01:49 ID:bg35J2RZ0
パロディの上にオチが謎かけってもにょる
ていうか男同士である必要のない話だね
男女ものでいいじゃん
71風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 14:13:22 ID:C9vqTbxXO
気になる…!なんだかモヤモヤするじゃないか。でもなんかいつもと雰囲気が違ってよかった
72風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 15:02:18 ID:NjLBVkJZ0
乙です!
自分も気になる

こういうのも良いね
73風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 15:41:09 ID:OM3vslaN0
寒い、寒すぎる…
でも、犬を散歩に連れてってやらなきゃいけない…
さぼりたい…
74風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 17:19:05 ID:yE2hdXKU0
犬に連れられて逝って来い
75風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 18:24:15 ID:AWVrWWicO
待て。
そこから、散歩中の犬プレイのSS始まる?
76:2006/12/08(金) 18:31:39 ID:Gt/GblHhO
自分で自分のちんぽに謝った。
パンツが冷えたがまん汁でじめじめしている。つめたさが哀しい。
気持ち悪かった。出したいのはザー汁だ。ゼミ長を泣かせるはずだったのに俺が泣きたくなってる。
みじめだ。高2のとき同寮のいっこ上の先輩に強姦されたのを思い出した。
中学・高校の6年間。俺はいま以上に馬鹿だった。
小原(オハラ)という名字とヒロイン顔でついたあだ名はスカーレット。
学祭で女装してちやほやされたり、取り巻きはべらせて男子のくせに女王様を気取ってた。痛い子だった。
服とか髪もエロ可愛く見える様に意識してたし、男とも付き合ってた。
ああ、でも、付き合ってたというか、ハツカレは学園のヒロイン(笑)してた俺との仲を
年上の本命に見せ付けて、やきもきさせたかっただけだったし、俺の気を引きたくて、
輪姦→王子様登場→救出→告白なんて小芝居をしてくれた王子様(だと思ってた)には
手も繋がないうちに振られたんだけど。別れの理由は先方の心変わりだったww
嫌なタイミングで転校してきたあいつの幼なじみに俺は競り負けた。
その次の男とは、はじまりは、いま思い出していた超みじめな強姦でほんと最悪だったけど、
それなりに続いた。二股かけられてたのには途中で気付いてたけど、俺のが本命だと思ってた。
だって俺はいつだってヒロインで、まじ可愛かったから!!! 
別れ話をされた晩、自分が自惚れてた事を思い知った。慰めてくれた寮の同室の先輩にまじ惚れして、
先輩が卒業する日、イッショウケンメイ告ったら、やんわり振られた。
悶々と過ごすこと5ヵ月。父親の進めで高校三年の夏休みに、受けから攻めに転向した。
服も髪も前から気になってたけど、俺には似合わないし
男受けしないと思ってスルーしてた、いまの路線に変えた。
両腕に黒一色で大柄のタトゥーをいれまくった。確変。産まれ変わった気がした。
ぶわっと飛べた。大学デビューで完璧に攻め街道にのったはずだったのに。いま俺は、
手足を拘束されてがまん汁を漏らしてる。1万もした超気に入ってるニットトランクスは
冷えたがまん汁でつめたく濡れそぼっていて気持ち悪い。
これまであれこれ、俺なりにイッショウケンメイ馬鹿げたことをやってきた。
でも結局はどれもうまくいかなかった気がする。

つづく
77弟分1:2006/12/08(金) 22:51:48 ID:O2wwZeCw0
>75
書いてみたw


今日、弟分と朝の早い時間に散歩に連れていかれた。
外はとても寒い。一年で一番日が短くなる日も近い。
弟分は僕と違って頭の上とペニスの周りにしか毛が生えてない。
本当は腋にも生えてたんだけど、見苦しいからといってご主人様が剃ってしまった。
僕の毛は剃らないのに、ご主人様の考えることはわからない。
とにかく、毛がないから、そんな朝早くだと
僕は良くても、弟分は寒いのではないかと心配だった。
なにせ僕の寝床のある玄関でさえ、鼻先がつんと痛いくらいなのだ。
ご主人様もぼやいていた。
「寒い、寒すぎる…
でも、犬を散歩に連れてってやらなきゃいけない…
さぼりたい… 」
けれど、弟分は珍しい犬だから、散歩が人目につくとまずいらしい。
ご主人様が捕まってしまうかもしれないらしい。何に捕まるんだろうか?
噂に聞く保健所ではないよな。人間のことはややこしくてよくわからない。
ご主人様は、僕に首輪をつけると、もがく弟分にも首輪をつけた。
それから、いつものように弟分には尻の穴に尻尾を差し込んだ。
尻尾のない犬は見栄えがしない。これはご主人様の心配りなのだろう。
開け放たれた玄関から弱弱しい暁の光が流れ込み、弟分の陶器のような肌を淡く輝かせた。
「さあ、散歩だ」
ご主人様は弟分の白い尻を蹴った。
弟分はぎゃっと一声上げると、よたよたと歩き出した。
僕も弟分の後を追って歩き始めた。
78弟分2:2006/12/08(金) 22:52:23 ID:O2wwZeCw0
弟分は去年の春に家に来た。
家の側の桜が満開で、風が吹くとはらはらと散っていた。
「スキップ、タカシだ。お前の弟分だよ。仲良くしてやってくれ」
「スキップ、よろしくな」
タカシは僕に手を差し出した。僕はその手を舐めた。
タカシはにっこりと笑った。感じのよい笑顔だった。僕には弟分ができた。
ずっとご主人様と二人きりだったので、嬉しかった。
その時は、弟分は詰襟の黒い服を着ていた。学ランというのだそうだ。
でも、その日のうちに、ご主人様は弟分が風呂に入っている間に服を捨ててしまった。
それ以来、弟分は服を着ない。
「服を返せ!俺は犬じゃない」
何度も弟分はご主人様に叫んだ。
そのたびに弟分は蹴られ、殴られた。
「お前は犬だ。人間のふりをするんじゃない。
薄汚いお前が人間であるものか」
ご主人様に蹴り飛ばされて、弟分は壁に叩きつけられ、口の端から血を流した。
弟分が犬なのか人間なのか僕には難しすぎてわからない。
僕たち犬は姿かたちがばらばらなのだ。
長い歳月を人間と過ごすうちに僕の種族はその形を変えていった。
胴の長いもの、足の短いもの。毛の長いもの、短いもの。
だから、人間に良く似た姿の犬がいてもおかしくはない。
それに、今まで僕と暮らしていてご主人様が間違ったことはなかった。
ご主人様はいつも正しかった。だからご主人様の言う通りなのだろう。
犬なのに自分が人間だと思っているのだとしたら、弟分は間違っている。
ご主人様がしつけをするのは仕方がない。
僕も、仔犬のころ、ご主人様に厳しくしつけられた。
トイレの使い方、お手、伏せ。間違うと拳骨が飛んできた。
79弟分3:2006/12/08(金) 22:54:20 ID:O2wwZeCw0
弟分は何度も家から逃げ出そうとした。
犬が一匹で外を歩くと危ない。人間に捕まってしまう。
このときだけは、僕も弟分も身を慮って、必死で阻止した。
業を煮やしたご主人様は、弟分を太い鎖で柱につないだ。
弟分は吼え、鎖をがちゃがちゃと響かせた。
その音はあまりに大きくて僕の昼寝を妨げた。
それでもご主人様は弟分を大切にしているようだった。
僕の食事は相変わらず一袋いくらのドッグフードだったが、
弟分は柔らかそうな牛肉が与えられていた。というか、弟分の食事は人間と同じだった。
盛られている器は犬用のものだったけれど。
それに、トイレも人間用のものを使っていた。
だから、僕は弟分がご主人様にぶたれて床に転がっているとき、
血のにじむ腕や足をそっとなめた。
早く、ご主人様の命令が飲み込めるようになれば、
こんな痛い目にあわなくて済むよ、と思いながら。
「スキップ。お前だけだよ。僕に優しくしてくれるのは。
叔父さんも、親戚連中もみんな僕をいじめる
ママがパパと駆け落ちして、僕を残して死んだからってさ」
叔父さん、というのがご主人様のことであるらしかった。
でも、ご主人様はお前は甥でもなんでもない、と何度も言っていた。
大体、犬と人間が親戚同士であるわけがない。
僕は弟分の顔に鼻をこすりつけた。
早く、弟分が勘違いに気がついて、ご主人様にぶたれなくなりますように、と願いながら。
弟分の身体からはいつも良いにおいがした。
あまりの飲み込みの悪さに愚かだと思いながらも、決して嫌うことはできなかった。
80弟分4:2006/12/08(金) 22:55:52 ID:O2wwZeCw0
幸いなことに、弟分は段々いろいろなことを飲み込んでいった。
ご主人様にむやみに逆らわなくなった。
これは、ご主人様も、弟分のことを気をつけて、
一緒にいる時間を増やしたからではないかと思う。
ご主人様は、弟分と夜は一緒に寝るようにしていた。
休日などは、一日中弟分と寝室にこもっていた。
ぴったりと閉ざされたドアの外で、僕は少しだけ弟分に嫉妬した。
寝室から出てくるとき、弟分はいつも頬をほんのりと上気させている。
目は潤んで、気だるげだ。ご主人様が腰の辺りを撫でると、口から甘い声が漏れた。
ご主人様と弟分の間に何があったかわからないけれど、
弟分がとても満ち足りた状態であることは僕にもわかった。
一度などはご主人様が
「お前は犬だな」
と聞くと
「はい、ご主人様の忠実な犬です」
ときちんと返事をしていた。その時は、自分のことのように嬉しかった。
やっと、弟分も本当のことを理解できたのだから。
81弟分5:2006/12/08(金) 22:58:14 ID:O2wwZeCw0
「スキップ、待て」
僕の綱をご主人様が強く引いた。
見れば、僕たちは近所の公園に来ていた。
朝まだきの公園は人影がなく、水銀灯がぼやけた光を放っていた。
公園には低潅木の茂みがあり、その茂みの奥がご主人様お気に入りの場所だった。
茂みの奥に入るなり、弟分は四つんばいになって、尻を高く掲げた。
ご主人様は手元の何かを押した。
低い音が弟分の尻から響いてくる。
「あっ……だめぇ…へんになっちゃうよぉ」
弟分は腰を振って、涙を流した。
そうするとご主人様は、弟分の尻尾をぐりぐりと回した。
一段と声が高くなった。
「やっ…あっ、でちゃう……でちゃう…だめぇ」
「どこから何がでちゃうんだ?」
弟分は泣きながら首を振った。
弟分の吐く息は白い。でも、身体からは汗が噴出していた。
82弟分6:2006/12/08(金) 22:59:29 ID:O2wwZeCw0
そうか、と僕は思う。
何がどうなっているのかわからないけれど、ご主人様は弟分が寒くならないように
きちんと考えていたのだ。
僕はほっとした。やはり、ご主人様は弟分のことを大切にしている。
弟分のペニスが固く立ち上がっていた。先端からとろとろと汁がこぼれている。
ご主人様は、先端をこすった。
弟分の口の端から飲み込めない唾液が滴って、枯れた草の上に落ちた。
これから、弟分はちんちんからいやらしい汁がでちゃうと言うのだろう。
ご主人様は、弟分の尻から尻尾を引き抜いて、
ご主人様の太くて硬いものを代わりに入れるのだろう。
いつもの朝だった。
僕は、記憶にもないほど小さいころにペニスを切り取られた。
ご主人様の考えはよくわからない。
僕のペニスは切り取りながら、弟分のは残している。どういう基準なのだろう。
あるいは、僕で切ってまずかったと思ったから、弟分のは残しているのだろうか。
二人は幸せそうに喘いでいた。
そんなに良いものなのだろうかと思いながら
僕はぼんやりと二人を眺めていた。家に帰って、早く朝食を取りたかった。


おしまい
83風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 23:03:27 ID:DOy9y+pjO
スキップカワユス。
84風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 23:38:23 ID:NOdMXUWI0
うは、萌えw

とか思ったのに最後で orz
さすがにワンコのティンティン切るつーのは、ちょっと……
85風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 23:43:22 ID:TxgmZTPa0
玉はいいけどペニスはな…
シッコはどうするのだ!
86風と木の名無しさん:2006/12/08(金) 23:52:06 ID:mIArs6Kq0
代理タソはまだ〜?(´・ω・`)
87:2006/12/09(土) 00:02:45 ID:Gt/GblHhO
教授はやたらとセクシーで、ベリーセクシーで、ゼミ長はとても気持ち良さそうだった。
感じまくってる恋人同士のSEXに煽られて、がまん汁漏らして俺は何をしてるんだろ?
此処に居るのは虚しい。帰ろうと思った。スルーされてるだけで拉致監禁されてるわけじゃない。
両手を後ろで拘束されて、足首をマフラーで括られているだけじゃねーか。
たぶん余裕で帰れる。転がっていた態勢から腹筋を使って体を起こした。
脚を曲げて顔を足首に寄せる。口でマフラーをくわえて解こうと試みた。
けど駄目だった。俺の鋼の体は思うように曲がらなくてマフラーに口が届かない。
しかたがないから、このままホップしながら帰る事にした。ガキの頃、好きだったな、ホッピング。
ハンドルとペダルとスプリングのついた一本足のおもちゃの真っ赤なのを俺は持っていた。
両手でハンドル握ってペダルに左右の足をのっけて、バランスをとりながら跳ねるのが楽しかった。
立ち上がって両足揃えて跳ねながら寝室を後にした。俺は二人にキレイにスルーされている。
部屋を出るときも知らんぷり。引き止めてもらいたかったわけじゃない。だけど寂しかった。
勝手な言い分だけどそう思った。後ろ手でドアノブ回すのがしんどかったけど、無事、外に出れた。
跳ねながらすごすご帰る帰り道。手首が後ろで腕時計が見れないから正確な時間はわからない。
たぶん日付は変わってる。アパートを出たところですれ違った飲み会帰りっぽいリーマンにぎょっとされた。
88:2006/12/09(土) 00:03:52 ID:4omMeW8KO
奇髪、妙服の男が跳ねてんだ。当然の反応だろう。
もうすぐクリスマスだから、俺の髪(肩をこえてる太めの三つ編み33本)は
クリスマス三原色(赤・白・緑)に染まってて、11本の三つ編み×3色が背中に流れてる。
バイトの時は後ろでまとめるけど、ふだんは結ったり流したりしてる。
きょうは、バイトのあと流していたから、俺が両足で跳ねる度、33本の三つ編みも跳ね広がる。
服の素材や色・形は街灯の明かりだけじゃわからないだろうが、
このちょっとメドゥーサ入ってる髪の形状は、どん引きされる所以になり得るだろう。驚かしてごめん。
跳ね進みながら、心の中で詫びた。俺のアパートはゼミ長の家から近くて遠い。
跳ね疲れた俺は途中のコンビニに駆け込む事にした。足のマフラーを解いてもらえたら普通に歩いて帰れる。
コンビニに跳ねながら入店した瞬間、店員さんに卵(だと思った)をぶつけられた。
胸元にべっとり付着したオレンジ色の蛍光塗料にカラーボールだと気がついた。服を汚されてむかついた。
たぶん、いま、俺、不信者に間違われてる!?お客さまかもしれないのに、いきなりぶつけてくるなんて!
非常識だと思った。けどよく考えたら、時間が時間だし俺のイデタチも大概だ。
頭で考える前に体が動いて投球してしまったのかもしれない。責められねぇ。
ため息ひとつ、俺はウェルカム・マットにへたりこんだ。せつねぇーよ。

つづく
89風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 00:43:11 ID:Saga/rQrO
まさか、作者さんは犬の去勢→チンコ切断、と思ってるのか…?
ひどすぎるwww
わんこの去勢はタマタマ切除だぞ〜
チンチンはあるんだぞ〜
90風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 01:06:58 ID:yU4q3W6s0
>89
甥を虐待してるし
しつけでわんこをぶん殴ってるご主人様だから
ご主人様が切ったのかもと思った
91風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 01:15:36 ID:Saga/rQrO
そっか…
作者さんの意図はわからんが、いくら鬼畜でも動物虐待系はだめだ
92風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 03:46:27 ID:X0onMCf/0
ちょw誤爆?で一作品書けちゃうのかよwww
乙です!
93風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 10:19:52 ID:xkvpwOC/O
無知は罪
94風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 10:19:56 ID:RiPgSMJ9O
75ですが。
目覚めたら、プレゼントが届いてた、
そんな気持ちです。
兄犬かわいいよ兄犬。
95:2006/12/09(土) 10:52:50 ID:4omMeW8KO
せつねぇーよ。俺はただ、マフラーを解いて欲しかっただけなんだけど。それだけなんだけど。
俺にカラーボールをぶつけた、メガネ男子な店員さんがマットの上に座り込んでる俺に近寄ってきた。
「わりぃ大丈夫か?やばい奴が来たかと思ったわ。つか前からアレ誰かにぶつけてみたかったからツイ」
ツイやっちゃった。お前ぶつけても良さげだったし、な?と詫びてるつもりのメガネに呆れた。
俺も頭おかしい部類だけどこの人も結構きてる。だいたい、何でお客さまにため口なんだよ!?
むっとしたけど、怒鳴るより、クリーニング代請求するより、とりあえずマフラーを解いて欲しくて俺は、
攻めを志した高3の夏以降長らく封印していた必殺技を使った。上目使いで目から放つ「おねだり光線」だ。
高校時代、俺が目をうるませ一言「パン」と命じて、にこーっと笑うだけで、
俺の取り巻き達はパンを買ってきてくれた。俺は見れる男で、俺の目と笑顔には力があったから。
96:2006/12/09(土) 10:54:10 ID:4omMeW8KO
高校時代よくやっていたように俺はメガネを見つめた。
わけありで足を縛られています。おもちゃの手錠をかけられています。プリーズ・プリーズ・ヘルプ・ミー。
「解いて」
高飛車ではなく甘える様に頼んだ。誰もが可愛いと太鼓判を押してくれた笑顔をおまけにつけて
真正面からメガネを見た。緑の目を輝かせてキラキラ笑うゼミ長をお手本に、笑顔にラメ感も+して縋る。
奥からもうひとり、やさしそうな顔をしたタレ目の店員さんが出て来たので、
俺はオレンジ色に汚された服を見せ付け、メガネに汚されたのだと主張した。タレ目の店員さんは
飛んできて、へらっと笑ってるメガネの代わりに何度も俺に謝ってくれた。
何も聞かず、ぎゅっと縛られていたマフラーを解いてくれ、足首を擦ってくれた。ちょっと嬉しかった。
緑色の工具箱を持ってきて、取り出したペンチで手錠までも壊してくれた店員さんに感謝した。
冷えたがまん汁で濡れたニットトランクスもオレンジの蛍光塗料で汚されたアウターも気持ち悪かったけど、
冷たい夜のココアみたいな人のやさしさにふれて、さすが街のホッとステーションだと思った。
両手両足が自由になってハイになった。自分史上最高の笑顔で「ありがとう」が言えた。
教授の匂いがするマフラーをたたんで手に持った。お礼に何か買って帰ろうかなとか思っていたら、
メロウな顔したタレ目の店員さんがクリーニング代を渡したいからと、俺を事務所に促した。
のこのこ着いていった俺が馬鹿だった。

つづく
97:2006/12/09(土) 14:26:05 ID:4omMeW8KO
「顔にも飛んでる」
店員さんは、ティッシュで右頬の蛍光塗料を拭ってくれたけど、こびりついているそれは落ちなかった。
この人、脚長いかも。ヒールのがっしりしたブーツをはいてる俺より背ぇ高い。
見上げながらありがとうと笑ったら、いきなり、数秒前にやさしく拭ってくれた右頬をぶたれた。
ふっとばされて、目をしばたいた。
「あんたの笑い顔、元カノに似てんだよ。むかつく」
俺は女顔だ。可愛いしモテる。小・中・高と子悪魔気取りで井の中の蛙してきたくちだ。
やりたいなら素直に言えよ。手錠壊してくれたお礼をケツで払ってももいいんだぜ?なんて思いながら、
正味の話、まじでこの人俺の笑顔が嫌いなんだとわかった。もう、ながれながれー。
なんかどーでもよくなった。憧れてた攻めにはなれなくて、ゼミ長も教授も抱けなかったし、この人が
俺のことどーにかしたいなら、もっ、ぜんぜん好きにしてくれていいよ??
「もっと殴ってもいいぜ?あんたが男いけるんなら、胸とか孔とか貸すし」
本音とアイロニーを8対2で混ぜて言ったら、乗り気だったはずの店員さんは、
眉を寄せて「積極的なのはちょっと」と引いた。そーなんだ!?むりやり感がないと駄目らしい。
だけど俺の事、裏に連れ込んどいてやっぱいいとか失礼じゃね??
高校のときも似たような事があった。告られて舞い上がってたら、あいつの幼なじみが転校してきて、
やっぱいいと告白を取り消された……。いろいろ思い出してたら、イラ〜っとしてきた。
殴るなり犯すなり責任もって最後までやって欲しい。超くやしい。超むなしい。むげねぇーよ、馬鹿。

つづく
98風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 15:19:21 ID:E6MSdLW50
春、面白いよ。書き手がどんな奴かなんか匿名掲示板でどうでも
いいことだと思うけど、ここの住人は立派な書き手様じゃないと
駄目なのかな。書き手が自分語りしたければすればいいし、
その語りが気に入らないならその書き手の話をスルーすれば
いいだけだけなのに。
99啓示1:2006/12/09(土) 15:21:40 ID:4xRS+NUR0
電波・近親相姦注意




「久しぶりだね、兄さん。そんな怖い目でにらまないでよ。
あれから、どうしてたって?
えっとね、銀河系の中心のブラックホールから啓示があったんだ。
俺は教祖というのになって、世界を救わなくちゃいけないんだって。
お前の妄想だろって?違うよ。
証明しろって言われても難しいけど、ほんとなんだよ。
声がするんだ。俺の頭の中に直接。
響いて来るんだよ。俺にだけ聞こえるんだ。
銀河系の中心のブラックホールから。
てゆうか神の啓示を受けた人はみんなそうだよね。
声はその人にしか聞こえないんだ。
預言者は、その人しか神の声を預かれないから預言者なんだよね。
みんなに声が聞こえたら預言者は必要ないものね。
100啓示2:2006/12/09(土) 15:22:11 ID:4xRS+NUR0
それでね、俺は世界を救うために、みんなに呼びかけてるんだ。
みんなって、誰かって?
道行く人たちだよ。駅の前に立ったり、ネットで呼びかけたんだよ。
みんな、世界を救うために俺をあがめなさいって。
みんな普通の人たちだよ。いい人たちだよ。
けど、目覚めていないんだ。
だから、銀河系の中心のブラックホールからの啓示によって俺が覚醒させてるんだ。
今忙しいんだよ、俺は。
兄さんの銀行も忙しいのかもしれないけど、俺のほうがもっと忙しい。
全世界を覚醒させなきゃいけないからね。
今、世界の人口は65億人だっけ。
銀行にお金預けてる人や、借りてる人はもっと少ないでしょう。
101啓示3:2006/12/09(土) 15:23:30 ID:4xRS+NUR0
気が狂ったのかって?
まさか。啓示はほんものなんだよ。
だから、たくさんの人が俺のもとに集まってきたんだよ。
今では俺は兄さんの弟なんかじゃない。
神聖覚醒救世教団の教祖なんだよ。
兄さん。
この立派な建物も、兄さんが座ってるふかふかの椅子も全部
熱心な信者からの喜捨に拠ってるんだ。
みんな、俺を信じて、こんなに色々してくれたんだ。
全部、星のかなたからの啓示のおかげなんだ。
何?私を解放しろって?
それは無理だよ。
だって、啓示は言うんだ。
兄さんを俺の妻にしろって。
え?男は妻になれないって?
よくわかんないや。俺馬鹿だもの。兄さんと違って。
でも啓示は言うんだ。兄さんは俺の妻だって。
百万年前から決まっていたことらしいよ、兄さん。すごいよね。
今も、頭の中で声がするよ。銀河系の中心のブラックホールからの声なんだよ、兄さん。
兄さんは俺の妻だって言ってるよ。
102啓示4:2006/12/09(土) 15:24:48 ID:4xRS+NUR0
なんかね、昔の地球では、神聖な王家は近親相姦をしてたんだって。
エ!ジ!プ!トとか、イ!ン!カとか。
兄さんのほうが詳しいかな。俺と違って、兄さんはいつも成績よかったもんね。
だから、これから世界を救うために神聖な一族となる俺も近親相姦する必要があるんだって。
兄さん、動かないでね。といっても、これだけ縛られてたら動けないか。
今から、兄さんは俺と結婚するんだ。
神聖な結婚だよ。もっと喜んでよ。なに、その嫌そうな顔。
眼鏡取るね。ほら、眼鏡とったほうが、兄さんはきれいだよ。
そんなしかめつらしい顔しないの。
これは喜ばしいことだから、信者のみんなにも知らせるんだよ。
そう、そこにカメラがあるでしょう。実況中継するんだ。
ここの大ホールで、みんな見てるんだよ。ほら、笑って。
兄さん、暴れないでね。足、蹴らないで。痛くないから。
兄さん、肌つやつやだね。最後に見たときからちっとも変わってない。
あれは、シャワー浴びてるときだったな。白い肌をお湯が流れ落ちていて、
湯気の中に浮かぶ兄さんの裸はすっごくきれいで、俺鼻血が出ちゃったんだよ。
兄さんは知らないだろうけど。
乳首、立ってるね。すごいや、ピンク色だ。
あれ、ちんぽも立ってる。先っぽからぬるぬるが出てるよ。ほら、くちゅくちゅいってる。
聞こえる?いい音だね。俺も立ってきたよ。
やっぱり、口では嫌がっていても、兄さんも嬉しいんだね。
103啓示5:2006/12/09(土) 15:26:33 ID:4xRS+NUR0
お尻の穴もひくひくしてるね。
兄さん、お尻大好きだもんね。なに驚いてるの。俺、知ってたよ。
高校のころ、親父とお袋が留守にしてるとき、先輩を連れ込んで
部屋でやりまくってた。
先輩の太くて黒いちんぽが兄さんのお尻にずぼずぼ入っていたよ。
俺、ドアの隙間からいつも見てたんだよ。
兄さんは犬みたいな格好して、あんあん喘いでいたよね。
あと、先輩の膝の上に乗せられて、下から突かれてた。
いい、いいって、啼いてたよね。
兄さんのちんぽも立ってて、それを自分でこすってた。
先輩から、とんでもない淫乱だって叱られると、それだけで兄さん大喜びしてた。
……ん、ちょっときついね。兄さん、まさか最近男としてない?
あっ、そんなに締めないでよ。俺の指を食いちぎる気?
まだ、人差し指と中指しか入れてないんだよ。
今、兄さん嫌らしい声出したね。ここ好きなんだ。ここだね。
兄さん、足の小指がひくひくしてる。そんなに、いい?
だめって。ああ、指2本じゃだめってことだね。ちょっと待っててね。
俺のを取り出すから。
行くよ、兄さん

世界を救うために集まってくれた信者の皆さん、俺は今兄さんと結婚します!」


続?
104:2006/12/09(土) 20:40:18 ID:4omMeW8KO
俺に興醒めしたらしい店員さんがくるりと背を向けて店に戻ってく。クリーニング代は!?
連れ込む口実だったのかもしれない。だったらなおさら、やっちゃってほしかった。
連れ込まれて頬ぶたれただけなんてありえねぇーだろ。マナー違反じゃねえ?何だったんだよ畜生。
とりあえず此処に居る理由はもうない。脚も手も自由になった。
ふっとばされたまま壁ぎわでへたってるより、とっとと帰ろう。
冷えたがまん汁で湿ってるつめたいニットトランクスを脱いで、新鮮なパンツにはきかえたい。
のろのろ立ち上がってたら、メロウなタレ目さんと入れ違いにメガネが入ってきた。
びしっ、と胸にカラーボールをぶつけられたのを思い出した。
痛かった。当たった瞬間破裂してナマタマゴかと思った。
買ったばっかのジャケットが、けばけばしいオレンジの蛍光塗料でぐっしゃり濡らされたのが超くやしい。
胸がむかむかする。目を見開いてメガネを睨んだら、「ひさしぶり〜、スカ」と言われた。えっ?
「雰囲気変わったけど、相変わらずお顔は超カワイイな!」
俺のあだ名(スカーレット)の短縮系を親しげに呼ばれたけどピンとこなかった。
「んー?覚えてねえ?まあ、しゃーねえわな。俺、高等部あがんねえで都立行ったしなー」
メガネが四角いセルフレームのメガネを取って俺を見た。
話から察するに中等部で一緒だったみたいだけど、わかんねぇーよ。
再会を祝してカラーボールぶつけられる様な恨みを誰かにかった覚えはない。
「2年のときクラス一緒だったんだぜ?一緒に掲示係りしたの覚えてね?」
申し訳ないことに、素顔をさらされ解説を受けても俺は思い出せなかった。
メガネは外したメガネを掛けなおし、こんな夜中にあんな格好で何してたんだよと俺の顔を覗き込んだ。
105:2006/12/09(土) 20:41:36 ID:4omMeW8KO
ノーコメントで目をそらしたら、メガネはいきなりムスカみたいにおれの三つ編みの束を掴んで引っ張った!
「エクステ?」
「自毛ッ!!」
痛みに呻きながら引っ張られている髪の根元を押さえて叫んだ。
「俺なぁ、昔からスカのこと大嫌いだったんだぜ」
がばっと押し倒され、満面の笑みでそう言われた。
昔からって……。中学卒業して縁切れて何年たってると思ってんだよ?あんたその間、ずっと俺の事、
大嫌いで居続けたんだ!?ちょっと堪えた。左の胸に雷電が、鋭い痛みがマッハで走った。
俺は彼にどんな酷いことをしたんだろう。思い出せねぇーよ。ごめんな。
ファスナーを下ろされ、濡れたニットトランクスごしに柔らかちんぽを揉まれた。
「早くないか?濡れて冷えてる」
耳元で囁かれ必死に首を横に振った。違う。その濡れは別件。ゼミ長と教授がらみだ。
てゆーかあんたバイト中だろ?何してんだよ。働けよ。「あ、…ん、ッあ〜」指を動かされながら、
ゼミ長のベッドルームで、扱きたくて扱きたくてたまらなかったのを思い出した。
夜道を両足揃えて跳ねてる内に萎えきってしまってたけど、俺のはしたないちんぽは、
むくむく勃ち上がってる。強弱をつけて擦られるのが嬉しくて、ちんぽは鈴口から、
俺は涙腺から汁を垂れ流した。メガネに申し訳ないと思った。まじ気持ちくて救われた気がする。
俺がよがってたら鬼畜にも、嫌がらせにもならないよなぁ……。あぁ、でも、ごめん、凄ぇいいっ!!
息が上がる。超上がる。長くは持ちそうにねえよ。
106:2006/12/09(土) 20:42:47 ID:4omMeW8KO
俺は女顔だけど身長はあるし体格だってゼミ長よりいいから、立派な攻めになれると思ってた。
だけどこうして喘がされてると、受けの方が性にあってるような気がしてくる。
俺が漏らしたがまん汁をメガネは指ですみずみまで延ばし、亀頭全体をヌルヌルにした。
指先で撫でられるだけでちんぽが疼いてせつない気分になる。軽く握られ溜め息が漏れた。
先端を軽くクリックされ体をくねらせた俺を嗤い、メガネは手の平でちんぽをゆっくり撫で上げる。
あぁ〜ッ!気持ち良すぎて変になる。「いけよ」と手の動きをはやめられ、俺はあっけなく達した。
力の抜けた下半身から下着ごとパンツを引き下ろされ、外気を感じた次の瞬間。
中指で深々と孔を貫かれ、俺は目を見開き息を呑んだ。痛ぇ、痛えよっ……。
いきなりすぎて、後ろを使うのは久しぶりすぎて、グリッと突き刺された痛みに俺はのたうった。
俺が出したザー汁をローション代わりに使うとかして欲しかった。
「俺、スカのこと大嫌いだから」メガネは嗤いながら、
プラスもう1本、人差し指をめり込ませてきた。あ、あ、ちょ、待っ!
「ケツが破れて血のぬめりでやわくなるのを祈るのと、
俺に舌で舐めほぐして下さいってねだるのと、どっちがいい?」
ぁ、舌っ、したっ、舌ぁ。即答したいのを必死で堪えた。堕ちたら駄目だ。
ちんぽに手を伸ばして、さっき俺が放ったザー汁をすくい孔に運ぼうとしたら、手をねじり上げられた。
「どっちか選べよ」
そんなの舌がいいに決まってる!痛いのは嫌だ。
だけど、羞恥とかプライドとか捨てちゃ駄目なものがある。わかってるのに
流れで俺は「舌っ、舌ぁっ」と懇願しながら、十八番のキラースマイルをメガネに投げかけ媚びていた。
情けなさが込み上げる。

つづく
107風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 22:15:04 ID:X0onMCf/0
>>98
自演かも知れんが言っておく。
誰かさんへのスルーっぷりは見ての通りだが、
どうせマンセーするなら与えられた「専用」スレの方で頼むよ。
同じの投下し続けてるんだろ?
108風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 22:36:03 ID:Fe6PM93d0
代理たん待ってるよ
109風と木の名無しさん:2006/12/09(土) 22:41:02 ID:yjlqmlDKO
啓示おもしろそうなので続いて欲しい
110風と木の名無しさん:2006/12/10(日) 00:46:16 ID:OjNGtbM+O
待ってるよテュランたん
111風と木の名無しさん:2006/12/10(日) 05:20:20 ID:uT23t7WMO
>>107
>98じゃないが、
専用スレとはどこなんだ>2にもないようだが
112風と木の名無しさん:2006/12/10(日) 08:23:53 ID:7h9XSkXM0
>>111
ヒント つ「重複スレ19th」
113風と木の名無しさん:2006/12/10(日) 13:57:34 ID:DIUea2fQ0
不良少年タソと代理タソ
待ち(´Д`)
114柿手:2006/12/10(日) 19:04:44 ID:bClso21M0
窮した者の賽銭泥棒は罪にならない――そう教えてくれたのは誰だったか。
月明かりだけを頼りに平太は手探りで墓石の前を一つ一つ確認していく。
この寺の墓地で、今晩は三箇所目だ。だが収穫はほとんどない。
わずかばかりの砂利銭と、黴が生えた餅のかけらが幾つか、
鴉が啄ばんだ後の芋の残骸と、虫が湧いた干し柿の切れ端。それで全てだ。
平太は唇を噛んだ。
これでは戦時中のほうがまだマシだった。
現人神が人になり、新嘗祭が勤労感謝の日と呼ばれるようになって一年。
手入れのされない墓は増える一方で、
それに比例して墓前の供物も明らかに減っている。
この国の信仰の形が揺らぎつつあるのだ。
人々の心の中から神や仏が消えてゆく、それはとても悲しいことだ。
そう、平太は思う。
もっとも供え物を狙って深夜の墓地を徘徊するような今の自分が、
他人事のようにそんなことを嘆くのは、おこがましいことだろうけれど。
だが、正直なところ平太には、もう他に手がなかった。
今、平太に必要なのは食料だ。
清一郎の病を治す栄養のある食べ物。
それさえ手に入れば、他には何もいらないのに――。
昼間、清一郎は血を吐いた。
これまでになく大量の血を。
口を覆った清一郎の青白い両の手の平から、
幾筋もの紅い血が零れ落ち、畳に大きな染みをつくった。
このまま放っておいたら清一郎は冬を越せない。
医者に診せるまでもなく、それは明らかだった。
生まれて間もなく両親を失い、孤児として神社に引き取られて十七年。
ずっと一緒に肩を寄せ合って生きてきた。
戦火により、生まれ育った社と、恩人である神主夫妻を失ってからは、
清一郎は平太の、平太は清一郎の唯一の心の支えだった。
(清一郎を死なせはしない。俺がなんとかしてみせる)
平太は拳を握り締めた。
115柿手:2006/12/10(日) 19:05:16 ID:bClso21M0
ひと目を避けるように墓地を抜け、平太は石畳を足早に下りた。
(急げば、今夜中にもう一つ何処かの寺をまわれるかもしれない)
そう考えて、境内を抜けるや駆け出そうとした平太だったが、
視界に見慣れぬものを捉え、足を止めた。
――自動車だった。
進駐軍が乗り回しているような粗野なジープではない。
戦争に負ける前に、軍のお偉方が乗っていたような、
こんな鄙びた町には似つかわしくない洗練された車が、
墓地の裏の路地にひっそりと止まっていた。
(いったいどんなお大尽が乗っているんだ)
興味を惹かれ、平太の足は自然と車へと向かった。
数歩近付いたところで、後部座席のドアが音も無く開いた。
平太はびくりと足を止めた。
異国人だった。
このご時勢、都会ならばいざ知らず、
田舎町でこんな車に乗っているような、
羽振りのいい日本人がいるわけがなかった。
慌てて目を合わせないように踵を返した平太の背に、
低い忍び笑いが被さった。
「墓泥棒か。浅ましいことだ」
慌てて平太は振り向いた。
歳の頃は二十代半ばくらいだろうか。
闇に溶け込むような艶やかな漆黒の髪に、凍えるような冷たい美貌。
仕立ての良い黒いコートを羽織り、優雅に佇む姿は、
見慣れた進駐軍の輩とは、同じ白人でもまるで雰囲気が異なる。
「日本人も堕ちたものだな」
形のよい唇が、嘲りの言葉を流暢な日本語で紡ぐ。
魅入られたように男を見つめていた平太は、
その言葉で我に返った。
(このひと、日本語が通じる……)
そう思った瞬間、体が勝手に動いていた。
平太は男の傍に走り寄って膝をついた。
116風と木の名無しさん:2006/12/10(日) 19:05:28 ID:rb9tmnq3O
テュランさんと初仕事さん…
いつまでも待ってる…
117柿手:2006/12/10(日) 19:05:57 ID:bClso21M0
「恵んでください。何か、何か、食べ物を、お願いします」
磨き上げられた革靴に額をこすりつけるようにして何度も頭を下げる。
「ほう、これが土下座というものか。初めてみるな」
頭上から侮蔑の言葉が投げかけられた。
「墓泥棒の次は、物乞いか。おまえには矜持というものがないのか」
「食べるものさえ手に入るなら、そんなもの俺には必要ないです」
「浅ましいことだ。そんなに餌が欲しければ、盗んだらどうだ。
 人を襲い奪い取ってみろ。ナイフぐらいなら貸してやってもいいぞ」
滴るような悪意を込めて男は平太に告げる。
「それは……」
これまでその選択肢が一度も頭に浮かばなかったわけではない。
だが、それは平太にはどうしても選べない道だった。
「……他人から奪った物じゃ駄目なんです。それじゃ駄目なんだ」
罪に汚れたものを清一郎の口に入れることはできない。
そんなことをしたら清一郎まで穢れてしまう。
「お願いします。俺なら何でもします。だから――」
ふいに男のステッキが平太の額に当てられた。
軽く小突かれただけなのに、刺し貫かれたような鋭い痛みが、
平太の全身を駆け抜ける。
未知の衝撃に、思わず平太は顔をあげ男を見上げた。
月明かりに照らされた男の横顔は、禍々しいほどに青白く、
嘲りの形に歪んだ唇だけが、濡れたように紅く目を惹く。
「なるほど、病気の友の為というわけか、健気なことだ」
何故男がそのことを知っているのか。
今の衝撃は何だったのか。
平太が胸に浮かんだ疑問を言葉にする前に、男が徐に口を開いた。
「よかろう。おまえの望みを叶えてやろう」
「えっ?」
足元の平太に目もくれず、男は車を振り返って合図を送った。
先ほどと同様に、音も無く後部座席のドアが開く。
「乗れ。そして案内しろ。セイイチロウとやらが待つ場所までな」
118柿手:2006/12/10(日) 19:06:40 ID:bClso21M0
どうやって家まで戻ったのか記憶は定かではない。
気がつけば、平太は男とともに自宅の前に立っていた。
頭が重い。
何かを考えようとしても、ぼんやりとして上手くまとまらない。
どうしたというのだろう。
(駄目だ、俺がしっかりしなければいけないのに)
平太は靄を払うように頭を振ると、
平太たちの住むあばら家を、物珍しげに眺めている男に向き直った。
「あの……それで食べ物はいつくださるのですか」
男は低く笑った。
「わざわざ家まで送ってやったというのに。餌をもらって
 さっさと軒先で追い返そうというわけか。随分と無礼なことだな」
「あの、俺は別にそういうつもりで言ったわけじゃ……」
慌てて言い訳を口にしようとする平太を遮り、
男は毒々しいまでに紅い唇をゆっくりと開いた。
「ならば我を家に招き入れよ。"招く"と一言でいい。口にせよ」
清一郎が腰につけてくれた厄除けの守りの鈴が、
風も無いのに揺れて微かな音を立てた。
この男を家に招き入れてはいけない。
まるで、神がそう自分に警告してくれているかのように。
だが、抗いがたい何かに操られるように、
平太は男の言葉に頷いていた。
「"お招きします"。どうぞ中へ」
虚ろな声での平太の呟きに、男は満足そうな笑みを浮かべた。
その表情を見るや、平太は自分が取り返しのつかない失敗を
しでかしてしまったのではとの不安に襲われた。
(違う、気のせいだ。この人は清一郎を助けてくれる人だ)
迷いを打ち消すように、平太は首を振った。
そんな平太の横を男は悠然と横切り、家に足を踏み入れた。
慌てて平太も男に続いた。
119柿手:2006/12/10(日) 19:07:13 ID:bClso21M0
室内には隠しようも無い血の臭いが充満していた。
平太は清一郎の床に走り寄った。
「大丈夫か清一郎。おまえまた血を吐いたのか」
問うまでもなかった。
清一郎の顔や両手そして寝具までもが、鮮血に染まっている。
「すまない平太、また汚してしまった」
痩せ細った腕で支えるようにして上半身をおこした清一郎が、
濡れた唇を拭いながら、平太に向かって頭を下げた。
「そんなこと気にするな。それより清一郎、おまえ体の方は」
「平気だよ。今日はとても気分がいいんだ」
平太に心配をかけぬようにと無理をしているのが、
ひと目でわかる清一郎の痛々しい微笑みに、胸が締め付けられる。
「そっか……よかった」
清一郎の虚勢に気づかぬふりをして、平太もまた無理矢理に笑った。
「ちょっと待ってろ。今、うがいの塩水を持ってくるから」
勝手口へと向かいかけた平太の背後から、ふいに忍び笑いが漏れた。
「やせ我慢も大概にしておけ。自分の体だ。もって数日だと自身でわかっているだろうに」
平太は弾かれたように振り返った。
嘲けりを隠そうともしない男の顔がそこにあった。
「平太、この人は? 外国の方のようだけど」
男の存在に、たった今気づいたらしい清一郎が、訝しげに平太に問う。
「あの、この人は、ええと――」
平太が答えるよりも前に、男は大股で清一郎へ歩み寄った。
「肺病による喀血か。病んだ血のわりになかなかに芳しい」
香煙草を味わうかのように、男は心地良さげに息を吸い込んだ。
「ここまでの清逸な芳香は、獣肉を食さぬ東洋人の血だからこそ放てるもの」
舌なめずりをするように、男の唇から紅い舌が覗く。
「さて味はどれほどか」
男は無造作に清一郎の肩を抱き寄せる。
平太が止める間もなかった。
抗う清一郎の腕をねじ伏せ、男は当然の行動とばかりに、
清一郎の口の周りに残る血の痕へと舌を這わせた。
120柿手:2006/12/10(日) 19:09:22 ID:bClso21M0
室内に乾いた音が響いた。
清一郎が男の頬を叩いたのだとわかるまでに、平太は数秒の時間を要した。
「ほう、我を殴るとは。恐れを知らぬとみえる」
清一郎の行動に怒るふうでもなく、男は愉快げに肩を揺らした。
「今の行いに対し、おまえが贖う代償の大きさを考えたことがあるか」
冴え冴えとした男の容貌も、口の端に浮かべた微笑も、
白人を見慣れていない平太の目からみても、とても美しいものだとわかる。
だが、他を圧倒するかのようなこの禍々しい威容はどうしたことか。
(清一郎を助けなければ)
そう思うのに、平太の体は得体の知れない恐怖にすくんでしまい指一本動かせない。
だが、そんな平太とは対照的に、清一郎は毅然と男を見返した。
「……確かに我が国は、あなた方の国との戦争に負けました。
 ですがこのような辱めを受けて黙って耐える謂われはない」
冷静さを失わない押し殺した声での清一郎の返答に、男はくすりと笑った。
「外見に似合わず随分と気が強いようだな。気に入った」
男は清一郎の手をとった。
振り払おうと清一郎はもがくが、男の腕はぴくりともしない。
「しかし勘違いをしてもらっては困る。我はただ挨拶をしただけだが」
「挨拶?」
訝しげに眉を顰めた清一郎に、男は囁く。
「我らの国では口付けは挨拶に過ぎぬ。それぐらい聞いたことがあるだろう」
記憶を手繰るように清一郎は視線を彷徨わせた後、あっと目を見開いた。
「病人を助けて欲しいと懇願されて、時間を割いて足を運んでみれば
 訪問の挨拶をしただけで、その病人から手を挙げて罵られるとはな」
揶揄を含んだ男の言葉に、己の過ちを恥じ入るように清一郎の頬が朱に染まった。
「ご無礼をいたしました。異国の作法に思いが至りませんでした」
清一郎は男に向かって静かに頭を下げた。
そんな清一郎の態度を眺めやって、男の笑みは更に濃くなった。
「己の過ちと認めれば即座に謝罪をするか。心根も清く美しい。ますます気に入った」
男は己の顔を、清一郎へと近づけた。
「だが言葉での謝罪などいらぬ。本気で謝罪をする気があるなら態度で示せ」
121柿手:2006/12/10(日) 19:10:45 ID:bClso21M0
「態度ですか?」
戸惑いを含んだ清一郎の言葉に、男は頷いた。
「おまえから我に口付けをしてみせよ」
清一郎の瞳が驚愕で見開かれた。「それは……」
「受けた礼には礼でかえすもの。国は変われどその法則は共通のはずだ」
男の言葉に、清一郎は顔を赤らめた。
「どうした? まさか口付けをしたことが無いわけでもあるまい?」
清一郎にそうした経験がないことを見越した上で、男はわざとからかっているらしい。
そのことに気づいた清一郎の頬が、今度は怒りで朱に染まった。
挑むように男を睨みつけると、清一郎は男の肩に手を置いた。
「わざわざお見舞いいただきまして、ありがとうございます」
震える声でそう告げると、清一郎はぎこちない仕草で、男の唇に自分の唇を重ねた。
わずかに触れた後に清一郎はすぐに唇を離そうとしたが、男の腕がそれを許さない。
深く味合うように、男の紅い唇が清一郎の唇を何度も吸い上げる。
清一郎は耐えるように目を瞑り、男のされるがままになっている。
そんな清一郎の態度に、男は苦笑しながら唇を離した。
「健気な態度だが、そんな顔をされては誘われていると勘違いしてしまうぞ」
俯いて口を拭っている清一郎に、男は目を細める。
「挨拶で交わす口付けは、頬と相場が決まっているのだがな。
 まさか唇にくるとは。日本人は奥手にみえて、なかなかに大胆だ」
からかうように呟くと、男は清一郎を舐めるようにじっくりと見つめた。
「神域で育ったもの特有の清逸な血の芳香」
「穢れを知らぬ体と、病に臥してなお歪まぬ高潔な精神」
「人を疑わぬまっすぐな心根と、恐れを知らぬ気の強さ」
男は喉を鳴らして笑った。
「これほどまでに調教しがいのある餌も久しぶりだ」
抗うように暴れる清一郎の体を強引に抱き上げ、男は立ち上がった。
「退屈しのぎによい玩具だ。礼を言うぞ」
事の成り行きを震えたまま見守っていた平太を一瞥すると、
男は清一郎を抱えたまま悠然と家を出て行く。
追わなければと思うのに、平太の体は硬直して指一つ動かせない。
男の腕の中で平太の名を呼ぶ清一郎の声が、どこか遠くに聞こえた。<続>
122風と木の名無しさん:2006/12/10(日) 19:15:07 ID:rb9tmnq3O
柿手さん、リロったんですが被ってしまいました
ごめんなさい
123風と木の名無しさん:2006/12/10(日) 22:55:08 ID:JrP6ioDAO
柿手たん雰囲気出てて好きだ。続き楽しみに待ってます
124風と木の名無しさん:2006/12/11(月) 10:45:26 ID:Q1Bd4y2qO
和もので吸血鬼?
125風と木の名無しさん:2006/12/11(月) 12:09:43 ID:n6C1/Knl0
たぶん。
よく見るよ。
126風と木の名無しさん:2006/12/11(月) 15:49:20 ID:UdxKmB8M0
柿手タソ萌えたよ…!!なんかもうwktkしすぎちゃうよハァハァ…。
姫抱っこで拉致られる、追っ手にはあらかじめ怪しい術??
ツボど真ん中ですた…!
127風と木の名無しさん:2006/12/11(月) 16:23:19 ID:IxGdyG/NO
柿手たんの吸血鬼イイ!これからどうなるのか楽しみ
128風と木の名無しさん:2006/12/11(月) 23:23:51 ID:+vS1dVuGO
初仕事さん、もう来ないで下さい
129風と木の名無しさん:2006/12/11(月) 23:24:35 ID:+vS1dVuGO
↑間違えました。代理さんです。

初仕事さん、すみません
130風と木の名無しさん:2006/12/11(月) 23:43:27 ID:/Eua3gZu0
>>128-129 死ね
131風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 02:28:02 ID:oQnKkO17O
すみません。つい本音を。


お 願 い で す

代 理 さ ん


来 な い で


後、無理です、死ねません。
132風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 02:32:34 ID:oQnKkO17O
でも、貴方の作品を心待ちにしてる方も沢山いると思いますし、投下するしないは代理さん、貴方の自由です。

ただ単に、私一人が来て欲しくないという個人的な感情なので…。
好きにして下さい。
133風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 02:35:14 ID:oQnKkO17O
ただ私一人が不快なのを我慢して、ささやかに愚痴や批判を此処に書き込ませて頂くだけですから。
134風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 02:36:36 ID:oQnKkO17O
代 理 さ ん



あ な た の 作 品

長 過 ぎ ん だ

よー
135風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 06:18:13 ID:gMeJgUcd0
スレ主旨が 鬼 畜 である以上、
代理さんはここでざっくり投下してあげるのが筋だと思う

しかし究極情熱的なラブコールだな・・・
136風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 06:43:34 ID:HWARR6Sl0
>>131-134
すみませんがあなたの方が
ウザく感じる・・・(´・ω・`)
137風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 08:22:11 ID:TB4FrsfLO
テュランタンに初仕事タンに代理タン。
全部すげぇ待ってる!

てかお願いだから完結して欲しい…。
続きが気になってなって仕方無いよ〜つД`)
138風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 09:37:42 ID:X+30/Y/bO
何か変なのがわいてるな。隔離スレから出てきたのか?
139風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 14:54:07 ID:BaFrUZQZ0
同じく代理タン凄く待ってるよ!!
続きが気になって気になって・・・

てか個人的な感情とかどうだっていいからさ
投稿する人に失礼だと思・・・
140風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 14:55:19 ID:oQnKkO17O
違います。 うざくてもやめれません。代理さんが来る可能性が1%でもある場合
141風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 14:57:38 ID:oQnKkO17O
失礼ですみません。

私の事は軽く無視して下さい。それでもやめれませんが
142風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 15:16:31 ID:pSM7tkCqO
鬼畜スレにツンデレラか…








だが、ソレも良い
143風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 17:36:00 ID:E3va3gAs0
何だここは。
病んでる人多すぎて怖いよ。
144風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 17:50:32 ID:8kLPeBfLO
ID:oQnKkO17Oを生け贄に代理タンを召喚!
145風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 17:56:38 ID:oQnKkO17O
病んでません。人を勝手に生贄にしないで下さい。

代理さん、来ないで
146風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 17:58:11 ID:oQnKkO17O
代理さん、貴方が来るまで私は来ないでと言い続けます(´・ω・`)
147風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 18:01:20 ID:t22Hbj6HO
プランたんに期待
迂闊な主人公に萌える
148風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 18:12:55 ID:drNJSKZ0O
代理タソ気にしないでね。
ハダレタソ待ってるよ!!

カムバ〜ック
149風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 18:14:55 ID:r7gVkf5b0
春はもうシベリアへ帰れ。ラーゲルの檻で凍死してろよ
150風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 18:21:42 ID:oQnKkO17O
代理さん、気にして下さい。こんなに言われても投下する勇気があるならどうぞ投下して下さい。

辛口で、文章、設定等の批判をしますから
151風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 18:23:07 ID:oQnKkO17O
春さん、貴方はどうでもいいです。プランさん、お待ちしてます
152風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 18:49:07 ID:drNJSKZ0O
失礼にも程がある……
読ませて頂いてる側なんだから
口をつつしめ。
そんな風に思うんなら書くなよ。目障りだ。

職人さん気にしないでね。
頑張ってください!!!
153風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 18:57:15 ID:oQnKkO17O
嫌です。目障りですみません。

でも、代理さんが嫌いなので。
154風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 18:59:49 ID:oQnKkO17O
私は自己中、自分さえ良ければ他人は関係ないという最低な人間なので、心の中に悶々と愚痴や批判をタメル事が出来ないんです。


だから

何を言われてもやめません
155風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 19:07:32 ID:drNJSKZ0O
これ言うと職人さん方に失礼
かもしれないけど
自分の好みじゃない作品はスルーすればいいだけの事を、わざわざ感情を表に出すなんざ、相当の低レベルだな。
このスレを見る資格ない。

職人さんには本当に迷惑かかるよ。(T-T)そして自分も代理タソ待ち!!
156風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 20:45:23 ID:oQnKkO17O
低レベルですか、すみません。でも、そういう輩はスルーするのが一番だと思いますよ?
変にレスすると、面白がりますから。私のように。


代理さん、来るなや
157風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 20:51:33 ID:oQnKkO17O
資格がないというならどうするんですか?私にこのスレを見れないように何か手を打つんですか?
158風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 20:53:17 ID:oQnKkO17O
代 理 さ ん


あ な た の 出 現 を

私 以 外 が


お 待 ち し て

ま す よ
159風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 20:54:23 ID:oQnKkO17O
皆さんが私をしばらく華麗にスルーしてくれたら、時期に私はいなくなるでしょう



たぶん
160風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 21:28:59 ID:drNJSKZ0O
どうでもいいけどまとめサイト
更新して欲しいな〜
161風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 23:23:41 ID:JH3Fm5az0
嘘つきは呼吸をするように嘘をつくから嫌だぜ…。
知ってるか?
NGあぼ〜んでも透明あぼ〜んにするとレスの存在自体消えちゃうんだぜ?
即ち空気ですらなくなるワケだ。
  _  ∩
( ゚∀゚)彡 抹殺抹殺!
 ⊂彡
162風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 23:44:36 ID:oQnKkO17O
代理さん以外の職人さんの投下待ってます
163風と木の名無しさん:2006/12/12(火) 23:56:25 ID:gBylbNDp0
ID:oQnKkO17O
なんだこいつwwwなんか私怨ぽいな
164風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 00:08:49 ID:xuA/QA9d0
スルーできなきゃ普通に削除依頼出しとけば?
ただの嵐だし
自分はあぼんして抹殺する
165風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 00:11:52 ID:yVfzszg2O
なんかだるい
166風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 00:16:35 ID:csIchjKw0
なんか恐い 精神化池
167風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 00:22:34 ID:yqx6Y+Co0
隔離所から這い出してきただけだと思うよ
マンセーもらえない→他の投下者に絡む&叩く
はこれまでも何度もやってたし

>166
あぼんで抹殺しとけ
168風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 00:29:02 ID:gpYOLEu+0
代理さん、私はすごく楽しみにしてる。ぜひ完結まで投下してください。

キチガイの批評なんて、他の住人は誰も本気にしないよ。
たいていの作品は探せば何らかのアラが出てくるだろうけど、
そんなの気にならないぐらい萌えるからこそ、乙コールするんだから。
169風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 00:34:45 ID:yVfzszg2O
そうだよ。代理さん、早く投下しろや。
てめぇの作品がイイつって待ってる奴らがいんだよ!
分からねぇのか、アァ?

てめぇがさっさと投下しねぇから基地外がわくんだよ。早くハダレに会わせろォオオオオ!
170風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 00:40:03 ID:yVfzszg2O
代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代
171風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 00:41:33 ID:yVfzszg2O
理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理
代理さん、サイコー!!ステキ!早く来い!
172風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 00:43:05 ID:yVfzszg2O
代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理代理
今更だが下げ
173風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 01:06:13 ID:yVfzszg2O
代理…だ…い…り
174風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 01:22:04 ID:W5TuW8S1O
なるほどIDが変わったのね
今度は迷惑な狂儲なフリか

自分、失礼だけどあんまり代理さん好みじゃないから(ファンタジー系はあんまり…)
読んではいないけど代理さんの事待ってる人沢山居るからあんなキチガイ気にしないで完結させてあげてね

全ての投下者さんに感謝
175風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 01:27:42 ID:yVfzszg2O
当たり。一応、本気で投下して欲しいんだけどな。代理さんに会いたいからw
176風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 01:33:18 ID:xMTuhCwY0
>174
代理は自分も好きじゃない
萌えない

心配しなくても、あれだけ叩かれても投下し続けてるんだから
投下はするんじゃないかな
ID:yVfzszg2Oの叩きなんぞ、蚊の羽音以下だろ

つか、代理は偉いよなw
作品叩かれてもファビョってスレを荒らさない
投下して去っていく
177風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 02:04:07 ID:TVj9a0bL0
結局、創作へのスタンスの違いだろ
自分の萌えを形にして、表現できれば嬉しい人と
マンセーされるために作品を書く人と

マンセーされたいためだけに書いてる人は
萌えがなんなのか永遠にわかんないんだろうなと思う
だから、マンセー※も大してつかないわけで
鬼畜スレだけでなく801板全部から見てスレ違いの人なのかもな
178風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 02:10:00 ID:TVj9a0bL0
今まで、作品叩かれたり、乙※があんまもらえない人がいても
スレがここまで荒れなかったのは
書き手さんが、自分の萌えを形にして、
表現できれば嬉しい人だったからなのかもな、と思いました

作品投下して乙がつけば嬉しいけど、
萌えを書きなぐるっていうのはまた別の楽しみだものなぁ
179風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 03:05:53 ID:zUrvVzte0
代理が長すぎるのは禿同。その一点のみで自分はスルーしてる。
最初は普通に読んでいたが、あまりにだらだらして飽きたから。
別の意味でちょっとすげえ精神だなとは思ってた。
荒らしとはベクトル真逆の、自分中心感覚なんだろう。
誰に何言われても、耳を貸さずにとにかく書いて投下する。
180風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 04:46:28 ID:SPr3KInzO
自分語り乙
181風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 07:00:49 ID:+cPym3Zw0
後一回で終わりだっつってんのに今更長い長いと叩いてる奴は何なんだ。
完結を阻止する為に暴れてるようにしか見えんぞ。
これも基地による自演なのか。

代理タンはスレの趣旨に合ってるのでおk。
続き待ってる。
182風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 08:56:08 ID:fOdHLIlzO
そうだよ、代理タソ超待ってる!!
本当に好みです。
今までみたく投稿してね。
早くハダレタソに会いたい!!!
183風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 13:41:14 ID:yVfzszg2O
代理さんは来なそう…。ちょっとくらい文句言われただけじゃん、気にしないで。
ほら、貴方の作品を待ってる馬鹿が沢山いんだから。
184風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 13:42:16 ID:yVfzszg2O
完結阻止とかそんな問題ではない。ただ単に代理が嫌いだから
185風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 13:42:58 ID:yVfzszg2O
パクリ…
186風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 13:46:14 ID:yVfzszg2O
基地外の一人や二人に比べたら貴方を指示する基地外の方が多いんだから。私の言う事なんて、蚊に刺された程度のささやかダメージしか与えてないと信じてる。代理、基地外一同お待ちしてます
187風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 13:46:58 ID:yVfzszg2O
代理は神です。だから早く投下して
188風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 15:24:36 ID:yVfzszg2O
ヽ(`Д´)ノダイリアゲ
189風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 15:35:04 ID:yVfzszg2O
ヽ(`Д´)ノダイリシネ
190風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 15:38:20 ID:yVfzszg2O
上げます
191風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 15:48:41 ID:yVfzszg2O
ヽ(`Д´)ノアゲマス


代理来い来い代理来い
192風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 15:52:14 ID:yVfzszg2O
>>184の基地外も貴方を待ってんだよ、上げヽ(`Д´)ノ
193風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 15:53:21 ID:yVfzszg2O
自分だった…OTL
>>182
194風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 16:13:50 ID:arkINk4P0
代理タンは神です。
最高に萌えです!!
はやくカムバック。
195風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 16:23:12 ID:fOdHLIlzO
もう一度>>1読もうよ

自分の好みの作品に萌えてれば
それでいいじゃん
作品を叩く権利なんて誰にもないんだよ
196風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 16:40:01 ID:yVfzszg2O
作品は叩いてないじゃん?作者は叩いてのかも知れんが。ちなみに今は基地外としてダイリを応援してんだよ
197風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 16:40:48 ID:yVfzszg2O
代理そら代理!

逝け逝け代理!投下投下投下しやがれ代理!
198風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 16:42:05 ID:yVfzszg2O
代理は最高に萎えです。早くカムバック!
199風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 17:05:17 ID:S04ansjZ0
ID:yVfzszg2O=春だろ
代理さん叩きしてるのって、単に目立ってたからなんだ
隔離で、作品に混ぜて本音吐いてんなら、VIPへ帰れば?
200風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 17:27:57 ID:fOdHLIlzO
馬鹿だから仕様がない

てか代理タソまだかな〜
気にしないで投稿してね!!!

>>199
〉単に目立ってたから
叩いてる奴は嫉妬してんのか??
201風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 17:28:47 ID:Vr/O4CUd0
もし春なら続きを向こうのスレで書いて。
おもしろくて続きが読みたい。
202風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 17:59:21 ID:8+xyaK9iO
ID:yVfzszg2O=春ではないです。
隔離スレをたてて下さった方、読んで下さっている方乙を下さった方に感謝しています。
203風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 18:04:59 ID:fI+W3nPGO
隔離に籠もってる分には応援してもいいかと思っていたがやっぱダメだ。
外に出た基地外はただの害虫だ。
204風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 18:22:25 ID:gpYOLEu+0
>>200
以下の189が>>199の隔離スレでのレス。>199で
>隔離で、作品に混ぜて本音吐いてんなら、
と言っていて、最初、隔離189は春の書き込みかと思ったけど、
よく見たら>199の書き込みだった。そもそも隔離189はPCからだし。
まあ春がPC持ってないとは限らないけど。

>代理さん叩きしてるのって、単に目立ってたからなんだ
とかVIPとかは、>199=春でない限りは、単なる思い込みなんじゃないの。

189 名前:春[sage] 投稿日:2006/12/13(水) 02:29:30 ID:S04ansjZ0
PCと携帯を駆使し、キチガイのふりをしてみれば
住人達は本当に俺を気違いだと認識してくれていて
成りすましも表れてくれた。ちんぽだ、ガマン汁だのうんこを鏤め
こうして書くと、馬鹿が反応してくれる。時にVIPが801板を襲撃した時
戦士は敢無くも敗れたが、俺は今こうして春を書くことで
踊ってくれる此処の住人達の脆さも知った。それが愉しいだけなのに
皆エッシャーの蟻みたく、この中でコロコロ踊ってくれる。
叩いた代理も、丁度いい手駒にすぎないだけなのに
20歳を超えた大人はそんな事も考え付かないらしい。
そんな事を思い、俺はオナホールにちんぽを挿入したまま腰を振り
先輩が欲しいと泣きながらオナニー猿になっていた。

つづく
205風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 18:23:48 ID:NZCk0WKxO
投下したほうがいいのかな
206風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 19:12:58 ID:yVfzszg2O
代理さん?
207風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 19:13:46 ID:yVfzszg2O
春じゃない。と一応は言ってみます。


またまた代理アゲヽ(`Д´)ノ
208風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 19:14:38 ID:yVfzszg2O
このスレにいるヤツは大抵、というか皆基地外です。


209風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 19:17:20 ID:yVfzszg2O
そして、代理は基地外どもの腐神。


210風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 19:36:46 ID:2dU9VWRV0
本気で忠告する。精神科行きなさい。
病気なんだから治してもらうのは当たり前だよ。
こんなとんでもなく小さなことに必死にこだわるなんて、自分でもいやになるでしょう。
211初仕事40:2006/12/13(水) 20:04:40 ID:2Qzg5iw60
ゆっくりと僕の中に押し入ってくるものは、ツメカミのより少し細身な気がする。
でも長い。まだ、ああまだ、と予想を少しずつ裏切りながら、その長さが僕の体を
こじ開けながら二つに裂いていく。しつこく出たり入ったりしながら、僕の嫌がる
ところを舐めるようにこすりあげてくる。
キャンディを含んだ口元がほのかに温かくなってきた。やっぱりワインなのかな。
酔いがまわっていく初めの感じ、ふわりと時折視界がにじむあの感じ。うっとりと
雲に抱かれているような、体を縛る羞恥の鎖を一つ一つほどかれていくような。
膝の裏を強く掴まれ、脚を胸に押し付けられると、少し切ない。抗う意志をまったく
封じられてしまうその格好は、犬が腹を上に向けられたときに似た気分を呼び覚ます。
想像だけど、きっとヤツらは飼い主に裏返されるとこんな気分なんだろう。
でも今の僕は、ただの弱い犬とは少し違ってる。
恥ずかしいよ、もう降参、って言いたくなりながら、心のどこかで相手が舌なめずり
する顔を見たい本音が疼いてる。もっといたぶってやろう、組み敷いた情けない犬を
もっと恥ずかしい目にあわせて鳴かせてやろう、なんていい気になってる男の顔が
見たくなる。あれ、僕ってこういう性格だったのか? それとも、相手が変わって
気分もかわったってことかな。
212初仕事41:2006/12/13(水) 20:05:57 ID:2Qzg5iw60
「あっ…」
彼が、硬くなっている僕の中心に手を伸ばした。じっと握っていた僕の手を払いのける
ようにして。彼の肩に掛かっていた僕の脚の片方は、支えをなくしてだらりと床に落ちた。
支えだった彼の手は今、こよりにいじめられた懲りない僕の昂ぶりをなだめ始めている。
「カ……ン、んっ」
なんでだろう。唇が熱い。鼻の奥がぐーんと広げられていくような、ふんわりと体が浮く
ような不思議な感覚に包まれる。
「あ…あ、あっ」
ツメカミにさんざん嬲られた背後の一点は、しみるように痛む。けど、しつこい蛇が
湿った肌をなすりつけてくるように、彼のものが腸壁をしつこく撫でこすり僕を追い詰める。
彼の体から生え伸びた蛇が、僕の体の奥底で赤い舌をちろちろと泳がせているかと思うと、
ぞくりと肌が粟立つ。
「うんっ…」
赤い舌の先が二つに割れてなびく。その色が目の裏側でひらめいたとき、僕は切なく声を
上げて、脱力した。ビク、ビク、と体を震わせるたび、生ぬるい粘液が腹の上に飛び散る。
213風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 20:07:07 ID:yVfzszg2O
お医者さんと代理さんは嫌いなの。

初仕事、GJ
214初仕事42:2006/12/13(水) 20:07:13 ID:2Qzg5iw60
なんて気分だろう。まるっきり主人の手に弄ばれる犬だ。恥ずかしくてたまらないくせに、
とても心地いい。
うんっ、と甘ったるく呻きながら、結局僕は自分の腹に全部を放った。彼がそれを手で
塗り広げるように撫でる。僕もそこへ指を這わせて、生ぬるい粘液の手触りとともに、
快感の余韻を楽しんだ。
ぬるぬると指先で腹から胸へなで上げながら、彼の目を見上げた。胸の突起を指先で
弄んでみせる僕の指を目で追う彼は、まだその張りつめた力を失っていない。
「ねえ…」
そう言って僕は、彼の視線を絡め取るようにしてから、目をよそへ向けた。そこでは、
ヒッツレが新たな陵辱にとりかかっていた。もうすでに二度はイっているはずなのに。
四つ這いの姿勢でさんざん突っ込まれたツメカミは、そのまま横倒しになってヒイヒイ
呻いている。ここからは顔しか見えないけど、尻はきっと血まみれでぐちゃぐちゃに
違いない。ああ、見たい。そこを間近で覗き込んでやりたい。
ヒッツレが無造作にツメカミの片脚を掴むと、その体を仰向けにひっくり返す。ひいい、
と泣き声を上げるが、ツメカミはもう抗う力もないらしい。怯えた犬のように、両手は
胸元でくちゃっと丸まって震えている。
215初仕事43:2006/12/13(水) 20:09:40 ID:2Qzg5iw60
横向きになったツメカミの片足首をかるがると掴んで、またヒッツレは腰を押し当てる。
あらわに開かれたそこからはっきりと、ぐちゅ、という音がした。僕はその光景を
ぼんやりと眺めながら、胸の上をぬるぬると撫で回している。
ぎゃう、と踏みつけられたような声を上げるだけで、ツメカミはただの肉の塊みたいに
横たわっている。時折ずるりとヒッツレが体を引くと、くちゅ、と音が鳴る。その顔に
似ず無骨で巨大な代物は、ゼリーと何かと何かにまみれて先端近くまで姿を現す。
抜ききらずにいる張りつめた突端は、ツメカミの受け口を休ませることなく、
拡張し続けている。
「ぎゃ…ぁっ…げぁ…っ」
もう人の声には聞こえない。死にかけの蛙がこれでもかと踏みつけられている。
もしくは、万人に嫌われる毒虫が火に炙られる断末魔。
__________________________________________________
ここまでです。
スレの状態について、いまだにさっぱり事情が飲み込めないんですが、
おかしいところがあれば誘導お願いします。
従来どおりの投下で大丈夫でしたら、また来させていただきます。
216風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 22:20:52 ID:OXNBaR/sO
初仕事タン乙乙乙!!
待ってたよー(つД`)゚。゚
泣きボクロタンセクシーすぎww
泣きボクロタンエロいよ可愛いよツメカミタンいい気味だよ萌えるよ(´Д`*)ハァハァ
何の問題もないので、引き続きここに投下してほしいな。
オチが最高に気になる。

テュランタンも待ってるよーノシ
217風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 22:30:28 ID:+cPym3Zw0
>>215
全くもって何の問題もありませんよ、気にしないで下さい。
乙です。
218風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 23:16:53 ID:uK6aLDJI0
初仕事さん乙
ツメカミタソ脱然、脱力そんでもって脱肛
219風と木の名無しさん:2006/12/13(水) 23:47:48 ID:e4nsp4yf0
初仕事タン乙!!
うまい具合に皆壊れていってるね
エ/スだっけ?なんかの映画思い出した
スレについては自分も事情が分からんけど
分からんままで一緒にスルー汁
220風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 00:37:57 ID:HTNhZH4SO
>>205
もし貴方が代理さんならば
気にせず是非投稿してね。
すんごく待ってるから。
221風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 00:41:29 ID:y3eVHawTO
>>250
貴方が代理さんなら気にせず投下して下さいね。

基地外が待ってますから


初仕事さん、乙です。
222風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 00:52:23 ID:6giZVZ9OO
初仕事タン、待ってたよ〜。
続きをありがとう!

とにかく荒氏はヌルーするしか無いんでないかなぁ、と思ってる。
構われたら嬉しがるだけなんでねぇかい。

引き続き、テュランタン、代理タン超待ってます。
223風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 02:14:09 ID:y3eVHawTO
実は……なかなか投下し代理をおびき出す為に代理ファンの一人が、嵐をやってるんですって
224風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 02:37:09 ID:oCY9GebTO
縺。縺ェ縺ソ縺ォ蠖シ螂ウ縺ョ菴捺?シ縺ッ縺ゥ縺ョ縺上i縺?〒縺吶°?シ?
縺ゅ→縲??壹▲縺ヲ繧九?縺ッ菴輔?驕灘?エ縺ァ縺吶°?シ?
225風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 15:50:07 ID:y3eVHawTO
かしらかしらご存じかしら

代理は必ず、来月までに来ます
226風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 15:51:16 ID:y3eVHawTO
代理


いっぺん死んでみる?
227風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 18:26:45 ID:HTNhZH4SO
お前がな(^ω^)


代理タソは関係ありません。
早くキテ〜〜!!!
228風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 18:51:48 ID:y3eVHawTO
代理


くーるーなー!


本当に構うなつってんのに。嵐はスルーしろよ。そしたら飽きて私もその内いなくなるのに
229風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 19:01:28 ID:9fx7SryO0
構わないでちょーだい!
飽きたら来たく無いけど、みんな構うから
ID:y3eVHawTOのアテクシは病気で
暇主婦だし 人を苦しめ陥れに来るんだからね!KF"wふじこってか
230風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 19:42:14 ID:y3eVHawTO
お前も構うなよ。嵐はスルーっていうのはあれか。嘘なのか。
今夜零時まで嵐について一切触れず、レスをつけなければ私は大人しく去りましょう


じゃないと、基地外の神様、代理が来ないぞ。いつまでも
231初仕事44:2006/12/14(木) 22:31:13 ID:B15OxvYH0
ガンガンガンガン、と突いて、またズルリと抜く。抜けきるぎりぎりまで抜いてから、
また根元までをズチュっ、と音を立てて突きこむ。そんなことを繰り返しながら、
けれどヒッツレは表情を毛ほども変えない。
なんてかわいいんだろう。不思議と僕はそんなことを感じていた。黙々とツメカミを
いたぶってる姿が、なんだかいじらしい。
たぶん、ヤツは最初からツメカミを狙ってた。冷静に、ただ狙いを定めてたんだ。
いくら目を合わせても、なんの身の危険も、切迫した思いも感じ取れなかったワケが
今なら分かる。いや、かえって安心感みたいなものを僕は感じ取っていた。待ってろ、
そのうちなってヒッツレに言われてるような。それがこんな結果を見ることになろうとは、
全然予想もしてなかったけど。
ツメカミが苛立って、僕を犯して、熱い息を吐きながらイッて。暴れたり物を投げたり
はしゃいだりしてるのを、ヒッツレは身を屈めてじっと見ていたんだ。一気にとびついて
喉笛を噛み切るその瞬間を待って。そこまで思って、ぞくりとした。鳥肌が僕の腕を
覆うように立って、波のように引いていく。
きっともう、ツメカミが発狂するまでヒッツレは止まらない。今までじっと見つめ続けて
きたヤツの熱が全部吐き出されるまで、ツメカミは壊され続けるんだ。
232初仕事45:2006/12/14(木) 22:32:05 ID:B15OxvYH0
「素敵だね…」
思わず呟いた僕の横顔を、カーンがじっと見てるのがわかる。その目を見ないまま、
僕は彼の体を手で押しやった。ぬるん、と硬い蛇が出て行く。ツメカミが僕の中に
放ったものと、僕の腸液と、おいしいゼリーにまみれてそれはきっとてらてらと
光っている。
「食わせてやったら」
ツメカミの顔から視線を外さず、僕は言った。カーンがどんな顔をしたのかは分から
ない。でも少しの間を置いて、僕の言葉どおりに彼はツメカミの方へ向かった。
カーンの手がツメカミの髪をわし掴みにする。その手が僕の胸になすりつけていた
精液が、ツメカミの髪にべっとりとまとわりついた。彼がそこに陣取ったことで、
ツメカミとヒッツレの顔がその陰になった。僕はよく見たくて、足の裏で床を漕いで
少しだけずり上がる。
ヒッツレに突き上げられて揺れている頭をしっかりと掴みあげると、その口に
カーンは汚れた蛇を飲み込ませる。うぐぅ、と呻いて、でも抗うこともなく
ツメカミは長い蛇にその口を犯される。無理やり押し込んだカーンの怒張が、
ツメカミの口にこそげられていく。少し引き、またねじこむのを繰り返すうち、
口の端に濁った粘液が盛り上がっていく。
233初仕事46:2006/12/14(木) 22:33:00 ID:B15OxvYH0
ツメカミは手先を胸のところで丸めたまま、上も下も口をふさがれて、ぐちゃぐちゃに
汚されながら震えてる。目は見開いているけど、その焦点はきっとどこにも合っていない。
カーンの蛇がまとった汚れが盛り上がるようにたまっていく。まるで、食べるのが下手な
子供がソフトクリームを口の端にべたべたにしてるみたいに。
行儀悪いな、いつもながら。ちゃんとこぼさずに食べなくちゃだめだろうツメカミ。
あちこち痛む体を、僕はゆっくりと引き起こす。ツメカミのために。じりじりと体を
引きずってツメカミのそばまで這って行くと、ぼんやりしていたヤツの目がしっかりと
僕をとらえた。その口の両端に、たぶん唾液に薄められたもろもろの汚れが泡だって
ついている。
僕は、自分の精液をなすり付けた指先で、そっとツメカミの口元をぬぐってやった。
指の腹だけではとり切れない粘液は、第二関節までをも汚して、僕の指にのっかった。
白い濁りの中に、赤茶色の濁りが混じって泡立っている。ツメカミが僕の腸の中に
出したもの、そして僕が腹の上に出したもの。そんなもろもろが、僕の指の腹の上で
ミックスされている。汚らわしくて、いつまでも眺めていたいような気がした。
234初仕事47:2006/12/14(木) 22:33:47 ID:B15OxvYH0
ツメカミの目を見下ろすと、しっかりと僕の目を見据えていた。目の端が赤く、たぶん
怒りのせいなんだろう、じんわりと涙に潤んでいる。
僕はにこりと笑ってやった。そして第二関節までしっかりと汚した指を、カーンの犯して
いる口に横からねじ込んでやった。指の背にカーンの硬い熱さが触れる。
「う…ぐぅ…っ」
僕の手に連動するように、カーンがツメカミの髪をぐいっと引いた。喉を反らされて
ごっ、とうめき声を上げる。そこへカーンがさらに腰を押し付けた。僕はヤツの唇の裏側に
指紋の溝の底までなすり付けるように汚れをおしつけてやった。
ぐぅ、ぐぅと呻きながら、ツメカミの目から涙がぼろっと落ちた。目の端が真っ赤だ。
相当苦しくて、悔しいに違いない。ああ、ツメカミ、あんたもかわいいよ。みっともなくて
情けなくて、今の姿、最高に愛しい感じ。
「シャワー、浴びてくるね」
僕はツメカミの口からひっこぬいた指の汚れを目の近くで確認しながら、ぼそりと言った。
それを合図にしたように、二人の男の腰の動きがいっそう激しくなった。



ここまでです。
235風と木の名無しさん:2006/12/14(木) 23:17:33 ID:IRp9eAy+O
初仕事たん乙です!すごい展開になってきたねwwホクロえろす
236最後の鏡1:2006/12/14(木) 23:40:23 ID:TCVsgm+F0
投下します。
エロなし。あまり801っぽくない導入だけです。
既婚者が出てきます。
一応俳優とかアイドルとか芸能関係設定です。

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9月12日 PM10:00
「私、佐山さんがタイプなんですよぉ」
「ほんとですか?じゃあ後で電話番号を…」
「あんた結婚したばっかりやがな」
MCのツッコミにスタジオ中から笑いが起きる。
直人ももちろんそれに合わせて笑う。隣で同期の真司も笑っていた。
「ゆかちゃん、騙されたらあかんで。この人若くて綺麗な奥さんとラブラブやねん」
「えー、ひどい」
ここまでは台本通りだ。
打ち合わせではこの後佐山の新婚生活について話題になるはずだが
毒舌と予想できないトークが売りのこのMCにとって事前の打ち合わせなど
何の意味も持たないことを直人は短い経験の中で悟っていた。
「で、実際どうなん?美人若妻との生活は」
「朝はいってらっしゃいのキスしてます」
「うわー!ムカつくからオンエアではここカットな」
「これ生ですから」
今度も観覧客が笑う。この笑いも含めて予定通りだ。
「そういえば…」
スタジオの空気が硬くなる。
「そういえば」とか「ところで」は予定外のトークが始められる、一種のサインのようなものだと皆知っている。
多分裏で胃を痛めているに違いないディレクターと同じぐらい、直人も緊張していた。
237最後の鏡2:2006/12/14(木) 23:41:33 ID:TCVsgm+F0
「奥さんて内海に似てるんやって?」
思ってもいなかった形で話題に出された直人は目を丸くする。佐山の方を向くと目があった。
「そうですか?」
「似てへんか?なぁ?」
「あー、そういえば」
佐山と仲がいいというタレントが直人を見ながら答える。一瞬考えて直人は
「いってらっしゃい、あなた」とカメラに向かって投げキッスをして笑いをとった。
「さすがにそれはキモいわー、お前」
「可愛いじゃないですか」
当事者の佐山も笑っている。直人は胸を撫で下ろした。
「えー、じゃあ次はそっちのホモ!」
「ホモじゃないですって!普通に間宮って呼んで下さいよ」
残り3分弱の生放送は真司がひたすらMCにいじられて終わり、直人は隣でタイ
ミングを見ながら笑っているだけで良かった。
238最後の鏡3:2006/12/14(木) 23:42:10 ID:TCVsgm+F0

9月14日 AM11:30
直人の控室のドアを開けながらマネージャーの結城が叫んだ。
「やったよ!オーディション合格だって!」
直人は勢いよく立ち上がった。
「ほんと?マジ?!」
「本当だよ!おめでとう!」
結城はファックスと共に台本を手渡す。
『最後の鏡』
ある策略によって全てを失った男が、その元凶である男を追い詰め復讐するというサイコサスペンスだ。
原作は何百万部も売り上げた大ベストセラー、監督は近年海外からも注目を浴びている人物とあって
主役になることができれば俳優としての評判は確立されたようなものだとも言われている。
「やった…すごい嬉しい。結城ちゃんありがとー!」
「結城ちゃんはやめて下さい。そんな歳じゃないですから」
結城は苦笑しながらも抱き着いて来た直人の頭を軽く撫でた。
直人はごめんごめんと軽い調子で言いながら結城から離れた。
そして、改めて台本を見つめる。
「記者会見をいつやるかはまだ未定だそうです。じゃあ私はこれで…」
背を向けた結城に直人は思い出したように声をかけた。
「結城ちゃん、これのオーディション出てたってマジ?俳優志望だってことも知らなかったんだけど、俺」
「ただの人数の水増し用ですよ。それに今は俳優なんて大それたこと目指してませんから」
振り返り、微笑さえ浮かべる結城を見て直人も表情を和らげた。
「良かった。俺、結城ちゃんいないと困るから」
239最後の鏡4:2006/12/14(木) 23:42:49 ID:TCVsgm+F0
9月18日 AM8:00
雨のため、撮影は中断していた。
「最後のカットなのにねー」
共演者のグラビアアイドルが憂鬱そうにしている。
直人と少し言葉を交わした後、彼女は化粧が崩れたと言って控室に戻っていった。
一人になった直人は何をするともなしに空を見上げていた。
「お前さ、寒くないの?そんなとこいて」
直人が振り返ると真司が歩いてくるところだった。
「もうクランクアップしたんじゃなかったっけ」
「近くで別番組の収録やってたんだよ。ラストシーンだっていうから遊びに来た」
「この前の番組?」
「そうだよ。相変わらずキツイんだあの人」
「またホモホモ言われてんの?」
「もちろん」
半ば疲れたような顔で真司が肩を竦める。
本来は二枚目に分類されるはずのはっきりとした顔立ちに、妙に似合う仕草だった。
「そういえば最後の鏡決まったんだって?」
「お蔭様で」
「うわー、お前ってイヤミな奴。絶対主役奪ってやる」
「できるんならどーぞ、会社の友人Aさん」
笑いながらそんなことを言い合っている内に、ようやく雨は止んだ。



9月20日 AM9:00
直人がテレビをつけると、泣いている佐山の顔が大写しになった。
佐山良平、ショック!最愛の妻死去
「ハンドル操作を誤り、中央分離帯に衝突したと見られています。佐山良平さん
ご夫妻はまだ結婚して1ヵ月も経っていないということで、悲しみも一層…」
直人はテレビの音量を下げ、結城に代わりに葬式に出てもらうよう電話をした。
240最後の鏡:2006/12/14(木) 23:43:29 ID:TCVsgm+F0
すみません、ここまでです。
241風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 00:58:29 ID:R8aB4oahO
鏡タン、乙乙!続き、特にエロ部分期待してるよ!
242風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 01:06:20 ID:a9lJD+aA0
ID:yVfzszg2O=ID:y3eVHawTO か。
毎日ご苦労さん。そのうち他に楽しいこと見つけられるといいな。
243代理戦争:2006/12/15(金) 03:54:32 ID:Ro5o0XcS0
投下します。最後ですが、代理が苦手な方はスルー・NGワード・スクロールでお願いします。
また何時もにも増して長く、エロは無しです。

後半、一瞬だけですが痛そうなグロ描写がありますので、そのあたりも御注意ください。
244代理戦争:2006/12/15(金) 03:57:02 ID:Ro5o0XcS0
「私も未だ信じ切れません。しかし、それを指し示す証拠はごまんとあります」
「……その、証拠とは何なのだ?あの年寄りどもがそれほどまで動揺する証拠とは……?」
呆けたような表情で、独り言のように疑問を口にするカギロイ。ウスライは答えた。
「まず最初に挙げられたのは、彼の戦闘能力についてでした。
 大腿を刺され、暴行を受け、その後高熱でうなされるほどの疲労を蓄積しながら、彼は私を追い詰めて見せました。
 ――そもそも、彼はこの最下層街でそれに見合った戦闘訓練など受けたこともないそうです。
 そういった身上の少年が代理戦争の王者として君臨できる確立が、如何程ありましょうか」
カギロイは呻いた。
「……しかし」
「科学的な分析が終わるには一月必要だそうですが……記録上では、彼には私達との血の交流が見られました。
 東方士族の掟には、『異』を外に持ち出すべからずとあります。この数百年の間、それを破ったものは唯二人。
 一人は――言わずもがな、兄上。貴方です。そしてもう一人は、他民族の女と恋に落ち駆け落ちした数代前の当主。
 彼が女に導かれて根付いた場所は――乾燥して作物も取れず、『異』の保持者しか資源のない土地。――ハダレの故郷です」
「…………………」
「彼の故郷では、血の濃縮の為に近親相姦を許しています。通常その程度の交流では再び発現することのない『異』も、
 何代となく閉鎖された個体群の中で濃縮されることで、復活しないとも限りません」
そっと、ウスライがハダレを見遣った。
「彼自身から聞きました。彼は故郷で『異』の保持者を増やすために強制的に性行為をさせられたそうです。
 ――大幅に能力の劣ったとされる『異』であるにも拘らず。もしそれが二つの『異』を持っている故に起こる現象だとすれば、
 虐待とも取れるその処遇をされた理由も、まだ納得は出来ませんか?」
245代理戦争:2006/12/15(金) 03:59:06 ID:Ro5o0XcS0
「………………………それでも」
余りに長い沈黙――舞台を見つめる観衆達が、戸惑い始める頃ほどの――の末に、カギロイは苦々しく答えた。
「断る。私はお前に追討さえされかけているというのに、今更故郷(くに)の命令に従えるか」
ウスライは、といえば。無表情さを全く崩さずに、視線だけを細めた。――予想していた、とでも言うように。
「……分かりました。それでは、別の手段を取って頂きましょう。兄上」

「……なんだと?」
いい加減、訝しげな思いをするのにも飽きた。
カギロイが些か苛立ったように尋ね返すと、ウスライは何でもないことのようにこう、答えた。
「簡単なことです。ここが何処か御存知ですか、兄上」
カギロイは、一瞬その指し示すところが分からず馬鹿のように周囲に目を遣った。
明滅する派手なライト、リング、ざわめいている観客、負けて倒れている性奴の材料、諸々、諸々……………
そしてその示すところを理解し、にやりとしながら答える。
「戦場だな、ウスライ」
「御名答。上手くあなたが立ち回りさえすれば――私を亡き者にした上で、ハダレも手中に収められるでしょう」
す、っとウスライの右手が滑らかに動いた。このリングに上がってから、初めてのウスライの挙動だった。
例の長細い袋から一本の棒――反り返った片刃の刀を抜き出す。それをカギロイの方に軽く投げて遣す。

「……随分懐かしいものを持ってくるじゃないか」
受け取ったものの向きを直し、カギロイは右手に力を込めた。カチ、と小さく金属のぶつかり合う音が鳴る。
――一瞬の後、ライトを浴びて艶めかしく輝く白刃がカギロイの手に握られていた。
懐かしさとその余りの美しい鋭さに目を細めながら眺めていると、先ほどと同じような音が耳に届いた。
刀身越しに見遣ると、弟も同様にそれを抜き放っていた。
最早どう言った経緯でそうなったのか理解することを諦めた観衆達の、先ほどにもまして大きな歓声が二人を包む。
246代理戦争:2006/12/15(金) 04:01:08 ID:Ro5o0XcS0
「許可は取ってあります。まさか今更此処から逃げなさる訳にもいきますまい」
「勿論。しかし――」
くるりと刃を返しながら、カギロイがウスライに笑いかけた。
「お前は随分と酷な戦いを兄にさせるのだね。
 始終それを振り回しているお前と、組織の一員として務めをこなしている私がやり合えばどうなるか分かるだろうに。
 実際、幼い頃私はお前に勝てた記憶がないんだ。それに真剣では手加減にも出来かねるだろう」
自信があるのかないのか――逃げないというくせに、今の口ぶりではずるい、ハンデをよこせと主張している。
読めない。兄の考えていることが分からない。ウスライは正直にそれを認めた。
――が、先手は打ってある。懐から丁寧に折りたたまれた書類を取り出すと、ウスライはそれを軽く投げた。
「………………?」

音もなくそれを受け取ったカギロイはその書類を開き目を通した。
書類は、代理戦争でリングを使用する際に書く試合の内容を簡単に記したものだった。
それを追う目元が、下がるにつれて緩やかな笑みに染まる。
書類の一番下まで視線が下がり、その長い指が書類を畳みなおす頃には、顔に柔和な余裕の笑みが浮かんでいた。
「……成る程。実戦から離れた兄の事情を良く汲んでくれている。――ササメ!」

聞きなれない人名を呼ぶカギロイの声に、ひくんと顔を上げたのは拘束男だった。
心配そうにこちら方を眺めている奴隷に向け、主人は言い放った。
「急で悪いが、手伝ってくれないかい?――こちらの彼が、『2対2』の代理戦争を要求してきたんだ」
「ぇっ……2対2、ですかぁ?……あの……」
当惑したように主人を見返す拘束男――ササメは、舞台をぐるりと一周見回してから、再び視線を主人に戻した。
今、舞台に立っているのはカギロイと、ウスライ、そしてササメ。あと一人、いるにはいるが――
その疑問に答えたのは、ウスライだった。
「構わない。これは兄上に差し上げたハンデだ」
「――そういう事らしいよ、ササメ」
はぁ……と呆れたような、未だ納得できないような顔でいるササメに、カギロイは穏やかに告げた。
穏やかな調子のまま――背筋を伸ばし、腕を突き出し、右足を少し退き、構える。
「舐められたものだね、お前も私も。彼は一人で二人の『異』を相手に出来るそうだ」
247代理戦争:2006/12/15(金) 04:03:30 ID:Ro5o0XcS0
そういわれて。はっとしたように、ササメが不愉快さを表に現すのをウスライは見た。
一度負けたくせに、という色がありありと読み取れる。その変化を見取ってから、カギロイは告げた。
「私が許す。容赦なく貪れ、――ササメ」

やっと始まった余興に、リングを取り囲む誰もが注目していた。
なぜなら、これは致死試合――この戦場では史上初の、命を奪っても構わない試合であると実況が告げたからだ。
殴り合いの惰性と化した代理戦争の観戦に感動を抱きにくくなっていた彼らは、
誰一人本当に目の前で『死』が訪れるのだ、と自覚すらせずに無責任に応援していた。その瞬間まで。

一歩。二歩。三歩。四歩。ササメが、ウスライとの距離を詰める。相変わらずの速さで。
武器を持った相手に素手で対抗する為に懐に飛び込むのは、有効な戦法だ。
その時一番留意すべきなのは、最後の2歩のスピードとタイミングを誤らないこと。
一歩目の速さが足りなければ真正面から打撃を喰らい、二歩目がずれれば攻撃の後の隙を晒すことになる。
正直に言えば、怖い。失敗すれば、もう二度と主人の好きな綺麗な身体でいられないかもしれない。ササメは思う。
だが、此方には『異』がある。相手が何を考え、一瞬の先に何処にいて何をするつもりかはっきりと分かるそれが。
恐ろしさに耐え、真正面から相手と視線を合わせさえすれば、どうにかなる――

「?!」
視線を合わせようとして、ウスライの黒い瞳の在り処を見失ってササメは制動をかけた。
別に、ウスライの姿が消えたのではない。ただ、視線の合わせて戦うことに慣れているその意識が一瞬取り残された。
――そして、ウスライの白刃が伸び上がるようにササメを貫いた時、痛みと共にそれが引き戻された。
「…………ぇッ……」
あり得ない、と呟いた。それが声になっていなくても。
彼は一度、ハダレと二人がかりで自分に立ち向かい、それでも敗北したのだ。何で、……こんなことに?
「……………………」
こぽこぽと、「あり得ない」という言葉の代わりに血の泡が溢れた。
ふと見下ろすと、自分の身体――主人が手ずから調教してくれた体に、なんともあっさりと刀が突き刺さっていた。
なんて事をしてくれたのだ、とササメは無言でウスライを責めた。ウスライはどこか申し訳なさそうに、口を開きかけ――
248代理戦争:2006/12/15(金) 04:05:32 ID:Ro5o0XcS0
「!」
ササメの体から一気に刀を抜くと、丁度真後ろから斬りかかって来た兄の刀を受け止めた。
その衝撃で、ササメはよろよろと数歩押し返されるように後退り――軽い音を立てて、代理戦争から離脱した。

「……可愛い奴隷を身代わりに後ろから斬りかかるとは…私も予想できかねました」
カタカタと両の腕に震えを立て、交差した刀を挟んで弟が口を開いた。
皮肉が多分に含まれているが、平坦な声。その声に、兄が平静ではない声で応えた。
「……私とて予想できなかったよ……こんなつまらない事で……大切なササメが傷つくなど……」
倒れた彼の身体をウスライ越しに見やることが出来てもまだ信じられないというように、カギロイが唇を震わせた。
――囮のつもりではなかったのか?と訝しげな視線を向ける。すると、
「!」
ぐ、っと強く刀ごと押されてよろめく。たたらを踏むように下がったので、2人の距離が開く。
――その数歩に満たない距離を、息もつかせぬ速さで詰められる。

きぃぃいいん!と高く澄んだ音が、ただでさえ音の反響しやすい戦場に響く。
右下から掬い上げるように命を狙うカギロイの刃を、ウスライが押さえ込むように叩き落とす。
そのまま捻りこむように払い、空いた体の正面を真下から斬り上げる!
……筈が、するりと幻のように刀が空振りした。流石に、一筋縄ではいかないらしい。兄の姿を瞳だけで追い、
「ッ!」
真横にいつの間にか回りこんでいた姿を見止めてそちらに身体を曲げるより速く刀を突き出す。
ぎん、と篭った音が手にも振動を与える。――思ったよりも重い。
じわりと骨を喰らう麻痺に耐えながら白刃を引き戻し矢を薙ぐ様に構えなおすと、もう一度そこに攻撃が降って来た。
「、」
食い縛った奥歯が重圧で軋むのが聞こえた。――やはり、重い。
そこいらのごろつきと同列に考えていたわけではないが、軽く見ていたかもしれないとウスライは反省した。
昔から芯まで腐っていても、カギロイは東方士族筆頭の元嫡子である。
予想以上に鈍っていない斬撃に眉をしかめながら、体勢を立て直そうと踏ん張る。――と、
がん、がん、と連続した攻撃を受けて上に掲げた刀が浮き沈みする。
「!」
予想外の攻撃的なカギロイの姿勢に面食らいながら、押されるように一歩退く。思わず取った、反射的な行動。
249代理戦争:2006/12/15(金) 04:08:07 ID:Ro5o0XcS0
ウスライは次の瞬間、不思議な行動を取っていた。らしからぬ程の素早い後退を取り、カギロイから距離をとる。
そのまま構えるかと思いきや――だらりと左腕を離した。
観客がその逃避行動に激しいブーイングをした。はっきりと馬鹿やろう、戦えとなじる声がウスライに届く。
だが、ウスライは暫く経っても棒立ちのままだ。無表情さの中に、微かな興奮を浮かべた目で睨みながら。それには理由があった。
「正攻法ばかりとは限らないよ。……特に、お前は私の可愛いササメを傷つけたからね」
カギロイは優雅さの中に凄惨さを浮かべた笑いをウスライに向けた。その右手に――刀とは別の刃物が握られていた。
ねっとりと絡みつく血液だけが、その煌きを遮る。
「…………兄上」
微かに上擦った声でウスライが呼びかけた。ゆっくりと刀を握りなおした左の腕から、指の方に向けて紅いものが滴る。
「……貴方は……」
ぽた、とそれが滴った。大した量ではないが、傷口の様子は窺い知れない。それと同様に――
ウスライの言いたいことも、兄には窺い知れなかった。
ただ酷く揺らいだ瞳を向けて、ウスライは兄に刀を振り上げた。

激しい剣戟の音と歓声に両側を挟まれた一方で、忘れ去られたように静かな空間があった。
黒髪の兄弟の戦う場所から少し離れた、リングの隅。そこに、2人の『異』が倒れていた。
片方はうつ伏せで気絶していた。もう片方は、身体に穴を開けていた。気絶はしていない。
血の泡を市場に並べられた蟹のように吹きながら、それでもしっかりと主人の方を見つめている。
しかしのた打ち回る力はもうなく、上下する胸と瞼と、そして隣に眠る青年の髪を撫でる左手だけが動いている。
丁度傍にあったから弄んでいると言った様子のその指先は、酷く優しげだった。それは単に弱っているだけかもしれないが。
拘束男――ササメは、主人を眺めていた。突如現れて、ハダレを取り返しに来たという男と戦う主人を。
250代理戦争:2006/12/15(金) 04:10:12 ID:Ro5o0XcS0
血は意外と大量に出ているようで、ゆっくりと湿った感覚が広がっていくのは気持ちが悪かったし、寒気を催させた。
その中で、気絶した青年の髪を撫でる指先だけは、彼の体温を感じて温まっていた。
とても心地よい。緩やかに彼の髪が解れる度、僅かに溜まっていた熱に触れることが出来た。もっと撫でていたかった。
生きているものを撫でるというのは、こんなに安堵感を伴う行為だったろうか。何だか、忘れていた気がする。
主人も、こんな心地だったのだろうか。ふと、そんなことを思う。触れられる時もササメは限りない安堵を覚えていた。
だったら撫でる者と、撫でられる者は、きっと同じ安堵感を分け合っていたのだ。掌と、髪の熱を与え合うように。
青年は無反応だ。何を考えているかなど、分からない。眠っているものの夢を知りうることがあるはずがない。
だが、その夢が悪夢でないように――身勝手であろうと――思ってしまうのは、同じ主人に愛された仲間意識だろうか。

ぼんやりと、取りとめもなく考えている拘束男――彼が、思いつくはずもなかった。
その濃厚な血の匂いが。自身に限りなく近い血液に浸される感覚が。或いは、それに紛れたたった一滴の愛しい男の血が。
眠れる彼の『欲』を刺激して、揺り起こすことになるなど。


唐突に、ササメの手首が荒々しく掴まれた。
異変に意識だけは覚醒するが、身体は全く動かなかった。動くのは視線だけ。純粋な恐怖がすうっと背筋を伝った。
まるで化け物の前に縛られて放り出されたような緊張感を感じる。
何故目覚めたのか。彼は壊れたのではなかったのだろうか。ササメには、分からない。
ササメは主人から視線を逸らして、眩い天井を見上げた。自分の左手を握る化け物の姿を視止めようとして。

「………あんた、……死に掛けてんのか……?」
ふと声が耳に届き、視線を落とした。ササメが予想していたよりも少し脚の方寄りから、化け物は彼を見下ろしていた。
その化け物――ハダレの顔は憎しみに歪むでも有利を誇るでもなく、ただ疲れたような顔をしていた。
「目が覚めたら……いつのまに、こんなことに…あんたなら、分かると思って」
251代理戦争:2006/12/15(金) 04:12:54 ID:Ro5o0XcS0
――そういえば、ハダレが眠っている間に色々あった。たった今目覚めた彼がそれを知っているべくもない。
だが、どう見ても自分が流暢に事の次第を話せるとは思えない。ササメは無言でハダレを見返した。
「分かってるよ……あんた、そんな身体じゃ話せないだろうし……、……?」
ハダレが、急に言葉を止めた。ササメと視線を合わせたまま瞬きもせず数秒見つめあい――悟ったように、ぽつりと語った。
「………オレが、もう一つ…『異』を?……ウスライの一族のそれを……?」
ササメは微かに頷いた。確かに、今「心を読む瞳と瞳で交わされた会話」には間違いや嘘偽りがない、と示すように。
ハダレは視線をつないだまま、呆然と座り込んだ。
「ウスライ……」
ぼんやりと呟く。ササメがもう一度、小さくこくんと頷いた。
ハダレはそれに指し示されるようにリングの上で戦う二人を見止め、顔を上げた。そこに、求めていたものがあった。

ウスライは押されていた。カギロイは予想以上の強さを維持していた。――むしろ、故郷にいた頃より進歩していた。
特に左腕を傷つけられてからは七・八割がた防戦に回っている。
勿論怪我も痛むが、それ以上にカギロイの攻撃的な姿勢が強く、踏み込むことが出来ないのだ。
奴隷を傷つけられた憎しみもあるだろうが、それ以上にして最大の理由があった。
「どうした、ウスライ。やはり『異』も持たぬ出来損ないはこの程度か!?先ほどの余裕は何処へ行った!」
「………は………ッ!」
断続的な金属音の後、ぎちりと噛み合う様な音を立てて二人の間を刃が交差する。
キチキチ……ッと軋むような鍔迫り合いの音がBGMのように鳴り響く。
「私が故郷にいた頃より『異』の使い方を覚えたからといって、このような差が生まれるとは……正に奇跡の力、だな!」
ぐり、とウスライの刃が数ミリ押下げられるように曲がる。カギロイが力を込め、払おうとしているのだ。
食い下がるウスライ。傷ついた身ながら――痛めた肋骨もまだ完治していないというのに、必死である。
しかし、それも長くは持たなかった。
252代理戦争:2006/12/15(金) 04:18:17 ID:Ro5o0XcS0
「ッ、っ……!」
見守っていたハダレが、思わず目をそむけた。その耳に――ゴキ、という硬いものを砕く音が届く。
――再び目を開けたときには、ウスライが完全に左腕を刀から離していた。その足元には血溜りが出来ていた。
思わず駆け寄ろうと腰を浮かすと、今度はササメがハダレの足首を掴んで引き止める。
「何邪魔してんだよ!あいつ殺されちゃうじゃねぇか!離せってば!」
ハダレはかっとなって怒鳴りつけた。が、それで驚くほどの度量ならばササメは彼をわざわざ引きとめはしない。
(君が行ってどうにかなるの?……ご主人様は君を殺さないけれど、君に勝った弟さんより強いんだよ)
視線で――同じ、心を読むという『異』を相手に使わせて目線だけで会話をする。
思ったとおり、青年は後先など考えていなかった。呆れたように、視線で責める。が、

ぎぃん!と、かつてなく鋭い金属音が二人の元へも届いた。はっとなって、ハダレが振り返る。
――そこには、胸元に程近い距離にあるカギロイの刃を、ウスライが受け止めた姿で静止していた。
一見持ちこたえているように見せかけて、状況は最悪だ。
ウスライの右手には筋肉の隆起がありありと見て取れる。二本の刀の間には震えが生じ、ちりちりと音を立てている。
その震えのせいで、今にも刃がずれてウスライを傷つけそうに見えた。実際そうなのだろうが。

その光景を見て、ハダレの鳩尾辺りがつんと痛くなった。頭が真っ白になって、思わず腰を浮かしかけ、
「……ッだから、邪魔すんなよっ…!!あいつ死なせたくないんだ、頼むよ!」
またササメに足を引っ張られて止められた。苛立ちの余り体液が沸騰しそうだ。
が、ササメはあくまでも落ち着いていて――そして、意外な事を言った。
(……そこまで助けたいんだったら、いい事教えてあげようか)
「いらねぇよっ、いらねぇから早く……!」
(それが、戦時中から続く研究をご主人様が独自に編纂、プログラム化した本当の『異』の使い方――だとしても?)
「………は、……?」
ハダレが罵声を上げようと吸い込んだ空気――それが、あっけなく鼻から抜けた。
253代理戦争:2006/12/15(金) 04:20:48 ID:Ro5o0XcS0
(君の『異』の使い方はむちゃくちゃな我流に過ぎない。って言うより、振り回されてるだけ。
 付け焼刃にしてもその使い方を実践できれば――少なくとも、恍惚におぼれて犬死することはなくなるかもね。
 ご主人様に勝てるかどうかは別だろうけど)
「………………………意味、わかんねぇし」
妙に真剣なササメの視線に圧されるように話を聞いてしまったが、ハダレは困惑したように首を振った。
(……あんたの話が本当か役に立つのかも信用ならんし、………大体何でそんな敵に塩を送るようなマネ……)

(俺はご主人様が負けるわけないって信じてる。だから教える。より強い絶望を味わわなければ君の精神は折れそうにないし、
 ――もしこれが時間稼ぎになっていたら、もっと面白いことになっていただろうしね)
その言葉にぞっとして、慌てて振り返る。――大丈夫。まだ、ウスライは持ちこたえている。
「……ッ…」
ササメを思わず殴りつけたくなって――吐息と共に力を抜く。
殴るまでもなく、この男はもうすぐ死ぬ。そう思うと、腹も立てようがなかった。ササメはどこか可笑しそうにハダレを視た。
(冗談だよ。……それに、『異』の使い方は本当だよ。君とそう体格の違わない俺が君より強いのか、それが理由なんだ。
 まぁ、聞いてみれば大したことじゃないのかもしれないけどね。――どうする?)

ハダレはじっとササメを見つめた。ササメもハダレをじっと見つめた。お互いの眼で探りあうのではなく、純粋に。
そして――ハダレは答えた。
(………………死なせたく、ないんだ。聞かせてくれよ。オレの『異』の使い方)

ササメの反応はなかった。怪訝に思って肩を掴もうとした瞬間、
「……………………?」
ぽつりと、ほんの少しの情報がその眼に飛び込んできた。嘘のように、情報は少なかった。
「……そんな事で……そんなつまんない事で…『異』が?」
(………本当にちっちゃい事。ていうか、そもそもその為に『異』は生まれて、残されてきたはずなのにね……)
そこまで伝えかけて、ササメは小さく咳き込んだ。血の混じった唾がハダレの服に飛ぶ。
はっとして、ハダレの眼差しがその血の雫の行方を追う。そのどさくさに紛れるように――一瞬だけ、ササメが目を逸らす。

254風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 04:29:06 ID:YS6lw7wl0
支援
255代理戦争:2006/12/15(金) 04:33:38 ID:Ro5o0XcS0
(…………でも、それを実践するのは大変だよ。だって、そんなこと意識したことなかったでしょ?)
敵とはいえ瀕死の人間を前にして、思わずその名を呼んで揺さぶろうとするハダレに――ササメは告げた。
(甘ちゃんだなぁ。ほら、どこまでご主人様相手に頑張れるか視ててあげるから――行っておいで。ハダレ)

その優し気な視線に、逆に耐えかねたようにハダレが目を逸らした。同じだ、と思った。
(泣き虫なんだから……ほら、見ないでいてあげるから――泣いて良いよ。ハダレ)
大切に仕舞っておいた記憶と同じ視線がそこにあった。それ故に、もう元には戻れないと思い知らされる。

ハダレは疲労の残る体を無理矢理持ち上げた。
――眼を瞑り、たった今ササメから伝聞したことを反芻する。大した事ではない。少し視点を変えるだけ。
そして、自分に宿るというもう一つの『異』も薄く意識しつつ、――眼を開ける。
再び眼にした景色は、変わっているべくもない。そこまで自分は壮大な何かを託されたわけではない。自分は自分以上ではない。
ただそこに自分が居るという事実が、心地よい重みとなって全身に感じられた。――ハダレは、走り出した。
振り返ることはしなかった。残された者は力のない眼を、残したものに向けて見守っていた。

ぴん、と。
カギロイはなんともいえない予感を感じてその場を飛びのいた。その瞬間、
「ちっ!」
舌打ちと共に、対峙していたウスライの目に焼きついたカギロイの残像を引き裂くような蹴りが空を切った。
ひゅご、と正に大気を切断するような鋭さを帯びた脚を避けたカギロイは、そのまま体勢を立て直すつもりで数歩下がる。が。
「避・け・る・なぁあああああ!」
なんかすごい無茶なことを叫びながら鬱憤を晴らすかのように攻撃を仕掛けてくるハダレに、更に2・3歩と押し返される。
一撃一撃は調教に弱った身体らしくどうと言うほどでもないが、その素早さ・正確さは尋常ではない。
まるで、カギロイの行く先・速さ・目的、全てが見透かされているかのように――
256代理戦争:2006/12/15(金) 04:35:43 ID:Ro5o0XcS0
「っ…ふっ!」
一瞬嫌な予想が脳裏をよぎり、カギロイは至近距離のハダレに向かって刃を振り下ろした。
攻撃のために踏み込もうとしているその男は、驚いた顔を見せた――こちら(刀)の切り返しの速さを知らないのだろう。
調子に乗って間合いに踏み込んできたその奴隷素材を、死なさない程度の角度で刃を止めよう。そう思って――

――完璧に、避けられた。
ウスライでさえ見止める事の出来なかった、あの小さな刃さえ当たらない。

驚愕以上に、予想が当たった――ハダレが自身と同じ『異』を持つことを、むざむざ証明させてしまった――苦さに、口元が歪む。
唾を吐き掛けたいような心地で、カギロイは脚を突き出した。攻撃を避けたばかりのハダレの体が、不安定に傾ぐ。
――そこに、カギロイの刀の柄の部分が横凪に襲った。限界まで軽量化されたハダレの体が吹き飛ぶ。

頬か。こめかみか。当たった場所を確かめるよりも速く――今度はウスライの斬撃が、降る。
しかしカギロイは驚きながらもそれを正確に流し、逆に右腕だけの斬撃によって偏った守りを崩そうと、踏み込む。
そして同時に、揺さぶりをも掛ける。隙は見つけるのではなく――作り出すものだ。
「……2対1に、こうして持ち込むためだったのか?」
「何…が、です?」
まるで扱っているのは稽古用の木刀か何かだというように、気楽な口調で語りかけるカギロイ。
一方、二つの――或いは四つの命をそのまま背負わされたような、緊張した蒼白な顔で応えるウスライ。
その蒼白さをせめて暖めてやろうとでも言うように。カギロイは、毒を吐いた。
「客席で。舞台に上がるタイミングを計る為に、始終見ていたんだろう?
 お前の大事なあれが苦痛の末に犯されるのもしっかりとな。レイプシーンは興奮したか?」
257代理戦争:2006/12/15(金) 04:37:46 ID:Ro5o0XcS0
きん、と。奇妙なほど静かな剣戟の音が鳴った。が、聞こえなかった分の『音』がびりびりと周囲を震わせる。
限りなく精密に刃の筋と力を合わせた、試技であれば芸術的とさえいえる業。だが殺意の元で、それは兇器となる。
「……っ………血を吐く思いだった…………興奮など……」
誰が――――と呼気に言葉を乗せて、更に一撃を振るう。カギロイの頭髪が数本、はらりとリングに落ちる。
その些細な攻撃の成果に、ウスライは訳もなく確信を得た。いける。返す刀で、袈裟懸けに切り下ろそうと右腕に力を込める。
刀が僅かに軌道を描き始めた。スローモーションで再生しているように、ゆるりとした動きに見える。
兄に止めを刺すという印象的な場面だからだろうか――ウスライには、そう思えた。

だが、刀が兄の服に触れるか否かの頃には、っとした。兄の瞳は刀を見ている。否……視ている。
その黒い瞳が。『異』を宿した瞳が。『異』――ハダレとは対照的に、無機物の力学的運動を寸分たがわずに目測するそれが。
最小限の動きで、武器を扱い、或いは避けるための『異』が、

その一撃を流れるようにカギロイから避けさせた。そして、大振りの一撃を避けられたウスライに、隙を作らせる。
生まれた隙に――がら空きの正中を、ウスライの『止め』を真似る様に袈裟懸けに斬り捨てようと、カギロイが滑り込む。
ウスライが刀を更に返す。間に合わないと知っていても。
――否、もしかしたら本気で間に合うとでも思っているのかもしれない。
持たざるものの足掻き。劣等感に悩み続けたものの、最後の醜態。跡取りにもなれぬ出来損ないの最期。
死ね、と。カギロイが呟く。呼気だけで。あくまでも目許は優雅に。唇には、征服の歓喜を湛えて。

――その呟きをかき消すように、誰かが叫んだ。泣きそうな、縋るような……それでいて、叱るような、鮮烈な声で。
「死ぬな」と。
258代理戦争:2006/12/15(金) 04:40:11 ID:Ro5o0XcS0
唐突に、カギロイが振り返った。一瞬遅れて、咄嗟、というような粗雑な動きで利き手の逆に握った刃物で背後を凪ぐ。
その拍子にウスライの命を奪うはずの太刀筋さえ鈍り、間に合わないはずの切り返しが間に合ってしまった。
間抜な音を立てて、2本の刀が弾きあう。

が、カギロイはウスライの方に向き直りもしない。
客がどよめく。ウスライも動揺していた。一体何が起こったのか――弾んだ息が、思考を乱す。分からない。
不自然に背後を振り返ったまま、兄は沈黙を保ち――不意に、崩れ落ちた。
その、崩れ落ちた兄の影から羽化するように。顔面の右半分と、右手を親指側の縦半分だけ血で染めたハダレが、立っていた。

「…………………まだ、死んでない。殺してない」
ぽつりと、倒れたカギロイを見下ろしながらハダレは呟いた。
「でも肝臓やった。コレで。……放っておくと、死ぬ。急所だから」
コレ、の所で右手の親指を曲げ伸ばしして、この部位を指しているのだと示す。鉄指功。爪の間まで血が入り込んだ凶器。
「オレの武器は……身体しかないから。多分、何するつもりか、『異』で視ても分からなかったんだと思う」
カギロイが、ハダレを真剣に避けなかった理由。意図がつかめなかった。『異』に頼りすぎて。

ハダレは、ふと少し言葉を詰まらせた。
「……教えてもらったんだ。『異』の使い方。兄ちゃんに」
ウスライは――返答するべくもなく、黙って聞いていた。答えようも、応えようもなかった。
「オレは今まで……自分を守るために戦ってきた。それを、ちょっと視点を変えるだけだって。
 自分と、今目前に居るやつ、ってちょっと範囲を大きくするだけで『異』は扱えるって。
 『異』の初めの初めは、そのためにあったからって。自分か、自分の群れを守るためにあったからって。
 でも逆に、別に戦争とか平和にするとか、そんなでかいことの為に『異』はあるんじゃないって。
 どんなに吼えたって、オレはオレでしかないし、『異』は個人のものだからって」
それを、果たして実践したのだろうか。それを問いかける前に、ハダレは勝手にすらすらと答えた。
「今、そうやってみた。そしたら――」
259代理戦争:2006/12/15(金) 04:42:38 ID:Ro5o0XcS0
※グロ痛い描写あります。


ふと。ウスライは視線を下に下げている所為で俯き加減のハダレを覗き込んだ。顔面の出血が酷い。
額を深く切ったのだろうか、とか意外と冷静に――再会の歓喜など、麻痺したように感じなかった――考え、頬を拭う。
そこに、洗い流すように涙が落ちてきた。
「……酷いんだよ。確かに、戦いやすくはなったし、あんまり頭もぼーっとしなくなったし。でもさぁ」
「…………………?」
延々と平坦に続く語りではなく、涙の質感に違和感を覚えてウスライは手を止めた。
さらさらとした、透明な――或いは血交じりの薄紅色の涙ではない。もっと、どろどろした何か。
「…………オレは、お前に死なないで欲しかっただけで………お前の兄ちゃんを殺したかったわけじゃ……」
言葉の後半になって、ようやくハダレは正気を取り戻したように声を詰まらせた。もっと言いたいことがあるだろうに。
必死にウスライと目が合わないように、視線を逸らす。血塗れでない、左眼だけ。
左眼だけ。

その時、ウスライは唐突にハダレの傷を悟った。顎を掬い上げ、必死にそむける顔を上げさせる。
「………っ……………………」
息を呑んだ。
慄くように吐き出した息に、震えが混じる。呆けるしかない。

いや。呆けながらも、残っている右腕の力の限りで抱きしめながら『謝罪』するしかなかった。
「………大切なものを捨てさせてしまった……俺を………………許して欲しい」
「……………ん…」
正に掻き抱く、といった表現がふさわしい様相で抱き寄せられながら、ハダレは小さく首を振った。
ライトに照らされた、その顔に湧いた血の泉の中心。それを見て、観客の一部が悲鳴を上げる。
眉間の少し下、鼻梁が水平方向に下り坂になるあたりから、右頬骨にかかる辺りまで、
カギロイの凶刃がその『異』の宿る眼球ごと、ばっさりと斬り抉っていた。
260代理戦争:2006/12/15(金) 04:44:43 ID:Ro5o0XcS0
実況も、舞台上の誰も、そして観客までもが押し黙った。気圧されていた。――始めて目の当たりにする、致死試合に。
今までの格闘技の延長線上やリアルタイムAVでは済まされない有様に、席を立つものすら現れない。
代理戦争。依頼者の名誉と権利を賭けて戦う、司法と警察要らずの小さな戦争。
誰かを蹴落としてもう一方を高みへ進ませるという、見慣れきった卑屈なその行いが、
――酷く残酷で、生々しく、そして切ない願いを抱えていたことに、今更気付いたように……誰もが押し黙っていた。

がくん、と。唐突にハダレの膝が折れた。驚くウスライの腕の中で、ハダレは意識を手放した。
安堵からか、『異』を使用したことによるストレスか、殺傷の衝撃か、或いは身体的な疲労か。どれも五分五分だろう。
その体を抱き留めながら――ウスライは、震える咽喉を引き絞って声を上げた。

「…勝った」

決して叫ぶのではなく。平坦な声音で。だが、静まり返ったその会場に否応無く響くほどの音量を以て。

「俺たちが、勝った」

決して誇るのではなく。単に、動かない実況の代わりに。状況を言葉に変え、明確にしてやる為に。
――代理戦争を終わらせ、此処を立ち去るために。
ウスライは僅かに左手の握力を働かせ――痛い以前に動かないことを思い出した。右腕だけで全てを済まさなければならない。
仕方が無く、何時の間にやら放り出していた抜き身のままの刀を、口と右手で鞘に戻す。兄の分は納めなかった。
それを元の黒い袋に入れなおして右肩に背負い、更にハダレをも背負った。
幾らハダレの体重が軽いとはいえ、重くないわけが無かった。が、そのまま歩みだす。
舞台を降り、例の扉をくぐり、控え室を過ぎ、廊下を通り抜け――外に出た。誰も咎めたり、塞いだりはしなかった。
261代理戦争:2006/12/15(金) 04:49:53 ID:Ro5o0XcS0
何となくそこで、ウスライは息をついた。
勿論、外に出たから安心というわけではない。建物の外周のどこに組織の関係者が居ないとも限らないし、
ハダレになにかしら因縁のあるものが通りすがる確立は0ではなく、単に物珍しさで絡まれるかもしれない。
それでも、ウスライは以前にハダレを担いで運んだ時より、堂々とした歩みで進んだ。
開き直ったともいえるその歩みは、覚悟の賜物だろうか。――ハダレを、その手で守り続けるという覚悟の。

ウスライがハダレを取り戻すための方法――一人で組織を壊滅させるとか、不可能な事以外で――はたったひとつだった。
カギロイが組織から個人へ変わる瞬間。代理戦争の舞台に上がった時に、何としても倒す。それだけ。
しかし、物理的に代理戦争の舞台に上がっただけでは意味が無い。刀を取らせなければならない。
その為に――逆に、ハダレの『異』の事をダシにした、と言ったら彼は怒るだろうか?

ウスライは、この僅かな期間に故郷に赴き、ハダレの存在と可能性を知らせた。
元々故郷ではそこはかとない懸念がされていた課題であったために、その『命』が下るのは思いのほか早かった。
ハダレの保護と、――あの場で、カギロイには言わなかったことだが――召喚。ハダレを保護して連れて来いという命令だった。
故郷が一枚噛んでいるとなればカギロイは意地にもなるだろうし、抵抗せざるを得ない。相手がウスライなら尚更。
結果は――上手く行った、とは言いがたいが――……生きて帰れたのだから、よしとすべきだろう。
しかし、一方でこれからハダレを故郷へ連れて行ってどうなるのか、微妙なところだった。
永住しろとか年中監視下に置くとか、無茶な要求をされる可能性は大いにある。
唯でさえ堅牢な掟の中で生きている彼らが、もしも暴挙に及ぶことがあったら――


……ウスライはハダレを抱え直し、歩みを速めた。後を付けられている――気配がする。
ただでさえ手荷物が大きいところに、満身創痍の体。状況は絶対不利。
だが、不思議とウスライの心には重苦しさも、諦めもなかった。
――あの、「死ぬな」という鮮烈で拙い叫びが、己で立てた覚悟が、不思議な心境を生んでいた。
262代理戦争:2006/12/15(金) 04:51:58 ID:Ro5o0XcS0
己で立てた覚悟。――ハダレがあの廃ビルで口にした、小さな願いを護ってやること。
例え、ハダレを護るために故郷に『下させた』命令に、矛盾しつつも背くような事になっても。
彼に対して抱く感情を果たす為に。
そして――自身の為に、唯一の武器であり、家族との繋がりである『異』と右目を放棄してまで戦い抜いた彼に応えるために。


黒尽くめの男、ウスライはすっと足取りを更に加速すると、細い路地にその身を滑り込ませた。
その滑らかな動きに、逆に後を付けていた男達がたたらを踏む様な不自然な歩みを見せる。
思わず立ち止まり、仲間同士で小さくその失態を罵りあい、体勢を整えて改めて路地に踏み入ると――
果たして、その姿は闇に溶けて途中で目視できなくなってしまったように、忽然と消えていた。

それ以来、彼らを目撃したという確からしい情報がこの街を駆け巡ることは無かった。

風の噂程度なら、他のあまたのゴシップに混じって幾つも流れた。
曰く、途中で追っ手に襲撃を受けて殺された。曰く、罹った医者がヤブだったので傷が腐って死んだ。
曰く、遠い異国に逃れるため、最下層街を抜けていくのを目撃した。曰く、実はひっそりとこの街で生きている。
曰く、路銀が無くて野たれ死んだ。無念の余り成仏できず、以来自縛霊となって通りがかる者からカツアゲを繰り返している。
曰く、全く違う地域でまた代理戦争をやっていた。
幾つも、幾つも。ハダレと親しかった者も、知っていた者も、誰もがそれを聞いて一喜一憂を繰り返した。
だが、時が経てば人の記憶は薄められていく。街は新たな住人を増やし、代理戦争は新人を登場させ、過去の人物を消していく。

数日、数ヶ月、数年。
ハダレと親しかった者達が気が付く頃には、流れる噂の数も減り、噂をするもの自体が減り、
――やがて彼らが忘れることによってハダレという者の存在が最下層街から消えようとしていた。

263代理戦争:2006/12/15(金) 04:54:43 ID:Ro5o0XcS0
上がった歓声に、カウンターの中でグラスを磨いていた女性は舞台の方を見やった。
今売れ筋の若手選手が、老練な選手にコテンパンにやられて悲鳴を上げていた。――賭博師達の予想を裏切る展開。
以前よりも深まった皺を気にしながら、ああ何故こんな野蛮な場所で毎日働かねばならないのかと溜息をつく。
だが、溜息をつく以上の事――転職を考える、等――はしたことが無い。毎日、そこで終わり。
今日も脳内での愚痴程度にして、次々と曇ったグラスを拭き終えていく。
ふと。目の前を見やると、カウンター越しに数口分中身の減ったコーラのグラスが汗を掻いているのが見えた。
別に驚くことではない。先ほど、注文されて自分が出したものだからだ――目の前の、少年に。

年の頃は14、5といったところだろうか。余り特徴の無いその風貌は、まだこの街の新参者と言った風合いに等しい。
実際女性が彼を覚えていたのは、彼が最近代理戦争に出始めた――出させられ始めた、からだった。
少年の表情は固い。まだ勝利の華々しさや、恍惚や、そういったものを知らないゆえの緊張。
その横顔――舞台の方を向いているからだ――を眺めながら、思い出す。あの、行方知れずとされている眼帯の青年を。

ふと、その青年の話でも聞かせてやろうか、と思い立つ。
ここでは、強いものの肩を持つのは自由だが、弱い方に肩入れして悪い道理がある訳でもない。
それに――試合に負けて行方不明、という話なら単に彼を怯えさせるだけだろうが、
何だか分からないがとにかく楽しくやれている――という手紙が来たことをこっそり教えてやれば、彼の緊張も解れるに違いない。

女性は少年に声を掛けた。
少年はゆっくりと、意外そうな表情で舞台から視線を外し、向き直る。
――引き込まれるような、不思議な魅力に輝く瞳を向けながら。

END
264代理戦争:2006/12/15(金) 04:58:10 ID:Ro5o0XcS0
自分語りにつき、代理が嫌いな方はもとより、そういうのNGな方はスルーでお願いいたします。


長い間、代理戦争を鬼畜スレに投下させて頂きありがとうございました。
代理への乙や感想を、時に厳しい意見をもらう事で、或いは嫌いな方にスルー&スクロールを徹底して頂く事で、
拙く異端であるこの作品をとりあえず完結させることが出来、感謝しています。

また、代理によって何かしら不愉快な思いをされた方が沢山いらっしゃることに関して、
謹んでお詫びを申し上げます。
長い投下、期間をあけすぎ、メル欄自分語りイタイ、漏れ一人称など様々な指摘を頂きました。
そして、今更ですが、実は途中で(今回も含め)投下を止めようと何度か考えました。
何度も指摘を受けたことですが、サイトを構えてそこに移動しようと計画だてたりも一応していました。
その度にご支援を受けたり、「完結宣言」が頭をちらつき、踏ん切りがつかないままいつのまにか完結に漕ぎ着けていました。
結局は>179 の指摘のような意固地な姿勢になってしまったことを再度お詫び致します。

これから、代理はまた名を変えてスレで書くことがあると思いますし、或いは巣を構えて書き殴る事もあるかも知れません。
その時は代理だと気付いても生暖かく見守っていただけるか、またスルーしていただけると幸いです。

改めて。期間にしてちょうど11ヶ月、スレにして7スレ、レス数にして312レス(実質285レス)の長く、拙い話を
鬼畜スレで完結させていただき、本当にありがとうございました。

265風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 06:06:29 ID:SAtuwfzb0
遂に完結してしまった!!!・゚・(つД`)・゚・
連載が終了した時のこの満足感と寂寥感と言ったら…。
代理タン禿しく乙です!
この世界観好きだった。お兄ちゃん尽くしに今幸せな気分です。
次の作品も楽しみに待ってる!
266風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 06:52:44 ID:OGjrnY/6O
泣きボクロテラエロスww禿萌えた。
ツメカミのポーズも萌え。
続き待ってるよノシ
267風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 07:01:51 ID:jNO84SrA0
代理さんお疲れ様です。

始まりから、投下されていた先程まで
読ませて頂いていました。
最後でリアルタイムに遭遇出来て嬉しかった反面
途中からスレの空気的にも
話の切り刻みを余儀なくされた事は、残念に思いますが
本当に、良い作品を今まで有り難う御座いました。
268風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 08:44:17 ID:jWt6JvAZO
完結したぁーーー!!(;´д`)神もハダレタンもウスライもお疲れ様!涙出る
269風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 08:52:49 ID:JuAzuaHIO
代理さんお疲れ様!!!
凄くよかったよ!!!(*´Д`)
ハダレタソもウスライタソも素敵だよ!!!
270風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 09:43:40 ID:YR2BB+AZ0
>代理タン
乙ですほんと乙です
>267にまるっと同意です
271風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 10:34:48 ID:JuAzuaHIO
代理タソ乙です!!

超よかった!!泣きそうだよ(´Д`)素晴らしい作品をありがとうございました。
272風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 11:13:33 ID:JuAzuaHIO
代理さん乙!!
最高にGJでした!!!!(ノД`)

秘かに続編期待してみたり。
273風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 11:46:33 ID:pZyosHuR0
ハイハイ、オツカレ
煽ってんじゃなくて
本当に最後まで完結させたのは凄いね
それは認めるよ

でも
>> ID:JuAzuaHIO
最後まで自演ですか?w
274風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 13:14:24 ID:OGjrnY/6O
>>273
てめえの自演だろカス
まじで死んでくれや
275風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 14:48:46 ID:pHjTnXeP0
まあまあ、今日はやめようや。

代理さん、お疲れ様でした。
そして、最後まで読ませてくれてありがとう。
ハダレが今までの人生の折り返し地点を越えて
幸せになった、と信じてます。(鬼畜に反しますが)
またここで、そんで偶然でもどこかのサイトとかで
あなたの作品が読めることを楽しみにしてます。
276風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 16:06:30 ID:JuAzuaHIO
いやいや今日に限らずこれからもだろ

代理さん本当にお疲れ様でした。世界感が素晴らし!!!
ハダレタソとウスライタソのその後も気になる〜
素晴らしい作品をありがとうございました。
277最後の鏡5:2006/12/15(金) 16:20:29 ID:2XMdtb+c0
投下します。

男女の絡みというか、とりあえず女性が絡んできます。
エロなし。

------------------------------------------------------------------

9月21日 PM1:00
「おはようございます」
「おはよー」
直人が顔を上げると真司が歩いてくるところだった。
「おはよう」
「おはよう。今日真司のシーンあるんだっけ?」
「いや、ほんとは無かったんだけどさ…」
真司は直人の隣に腰を降ろした。
「今日さ…葬式あるから、収録中止になって。監督とちょっと相談でもしようかと思って来た」
直人はあぁ…と小さく呟いた。
「行かなくていいのか?」
「今の佐山さん見てるとこっちまで辛いから。俺には無理。しばらくしたら線香上げに行くことにした」
「俺、明日行ってこようと思ってんだ」
「明日?明日は来客多そうだからやめといた方がいいって。余計佐山さん疲れるだろ」
「そうだな、じゃあもうちょっと後にする」
直人が頷いていると、直人の名前が大声で呼ばれた。
「シーン19始めるのでスタンバイお願いします!あと、間宮さん監督が呼んでました」
二人は揃って立ち上がる。
「じゃあまた後で」
278最後の鏡6:2006/12/15(金) 16:23:03 ID:2XMdtb+c0
9月21日 PM4:00
直人が服を着替えて戻って来ると、監督の傍で真司もモニターを覗き込んでいた。
「迫真の演技お疲れ!ほんとに倒れたかと思ったよ」
「嘘つけよ。まぁ実際この季節に雨のシーンなんて倒れるかと思ったけど」
「お陰でいいシーンが撮れたよ」
直人は監督の言葉に礼を言いながらモニターに視線をやった。
モニターの中では直人が雨に打たれて立ち尽くしているところだった。
「この後、例の長台詞なんだって?頑張れよ」
真司が立ち上がって直人の肩を叩く。
次のシーンは2ページもの主人公の独白だ。
全てが終わった後、それが策略だったと知った主人公は半ば発狂しながら自らが悟った真実を延々と語っていく。
「言った通りこのシーンは見せ場だからな。頼むよ」
「頑張ります」
監督は満足そうに笑うと立ち上がった。
「シーン18、始めるぞ」



9月22日 AM11:30
結城から電話がかかってきた。
「佐山さんのところのマネージャーに連絡しました。25日の午後ならお互い大丈夫みたいです」
「わかった。…佐山さん、やめるって?」
「まだ憔悴しきってて、とても聞ける状態じゃないそうです」
「わかった」
直人が電話を切っても、テレビではまだ佐山の芸能活動の今後について流れていた。
279最後の鏡7:2006/12/15(金) 16:25:47 ID:2XMdtb+c0
9月25日 PM2:00
直人は車を降りた。
運転席にいる結城は身を乗り出すようにして助手席側の直人へ話し掛ける。
「この後打ち合わせなので、また迎えに来ます」
「珍しく結城ちゃんがいないから羽伸ばしてくるよ。ところで俺の携帯は?まだ修理?」
「明日には戻ってくるらしいですよ。3時半か遅くても4時には迎えに来るので安心して下さい」
「なら平気か。よろしく」
結城の車が動き出す。それを見送らないで直人は後ろの邸宅を振り返った。
新しくて広い家。佐山はこの中に一人でいるはずだ。
直人はインターホンを鳴らした。


9月25日 PM2:10
「いらっしゃい」
玄関に出てきた佐山は無理やり笑顔を作ってはいたが、ひどく憔悴していた。
「この度はご愁傷様です」
直人は言いながら頭を下げる。
「ありがとう…。妻も喜ぶと思うよ。どうぞ」
佐山に続いて歩き、リビングへと通されるとそこは綺麗に片付けられていた。
誘われるまま椅子に座った直人は、佐山がキッチンへ向かっている間に部屋の至る所を観察する。
黒と白でまとめられた部屋はどちらのセンスだろうと直人は考えた。
装飾品の無さから佐山だろうかと言う所まで直人の考えが至った時
キッチンの方からガラスの割れる音、とにかく大きな音がした。
「どうしたんですか?」
直人がキッチンへ向かうと、佐山が倒れていた。辺りには粉々になったティーカップが散らばっている。
「佐山さん!」
完全に動揺した、裏返った声で直人は叫びながら佐山の体を揺すった。
小さなうめき声を上げて佐山が目を開く。
「佐山さん?大丈夫ですか?」
280最後の鏡8:2006/12/15(金) 16:26:50 ID:2XMdtb+c0
佐山が何かを呟いた。しかし、直人にはそれが聞き取れなかった。
「何ですか?」
直人は佐山の唇に耳を近づける。
「…なお」
自分の名前を呼ぼうとしているのかと直人が訝しく思っていると
佐山の腕が伸びてきて、直人の頭を抱きこんだ。
「佐山さん?」
直人が慌てて身体を起こそうとしても離れることができない。
「やっぱり生きてたんだね、ナオ…」
直人の顔から血の気が引いていく。
更に力を込めて起き上がると、ようやく佐山から離れることができた。
「しっかりして下さい!俺、ナオさんじゃないですよ!内海です!」
「どうして逃げるんだ、ナオ…もうどこにも行かないでくれ」
佐山の目は直人の方を向いているのにどこか焦点があっていない。
佐山が直人の腕を掴む。
「違いますって!」
直人がそれを振り払うと、急に佐山の表情が変わった。
「どうして僕を拒絶するんだ…ナオ!」
直人が逃げようと後ずさったところで佐山が荒っぽく直人の肩を掴んだ。
その弾みで直人はキッチンとリビングとの段差から、足を踏み外す。
直人は頭を強か床にぶつけた。
「お仕置きだよ、…」
佐山が囁くような声で名前を呼ぶが、直人は反応しない。
佐山は気を失った直人を寝室へと引きずり始めた。

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ここまでです。
281風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 17:21:37 ID:TKahxysSO
代理タソ乙でした本当に本当に乙でした
長い事でいろいろとあったと思うけどここで完結まで読めて幸せでした
サイトは自分じゃ捜せないだろうし…
むしろ11ヶ月も追っ掛け続けてた事に自分がびっくりしました
大好きで楽しみでそんなに長い時間が経ってた事に気付かなかった
ササメタソも幸せでいて欲しかった気もするけどハダレタソが幸せになれてよかったです

本当にお疲れ様でした
代理戦争を読ませて貰ってありがとうでした
282風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 17:37:59 ID:JuAzuaHIO
代理さん乙!!!
何度読んでも泣けてくる。
ハダレタソ(*´Д`)
同じく私も後が気になってたり
本当にGJ!!!!!!!!
283風と木の名無しさん:2006/12/15(金) 23:22:40 ID:oPQcWsOt0
久しぶりに覗いたら初仕事タンがいた!!
うれしい!禿萌え!
テュランタソのことも待ってる、、、
284風と木の名無しさん:2006/12/16(土) 01:49:56 ID:Zmf8jtuFO
代理さん、愛してます!もー好きです!貴方の作品が大好きです!!簡潔、有難うございやした!

285風と木の名無しさん:2006/12/16(土) 09:25:09 ID:SG1jA+V6O
続きキボン(*´Д`)
286風と木の名無しさん:2006/12/16(土) 16:06:18 ID:e/H4rgHh0
代理さん、お疲れ様でした。
絡まれながら頑張ってくれてありがとう!
最後まで読めて嬉しいです。
もしサイトを作ることがあったら、排除してしまったと言う
伏線の部分も入れて、完全なお話をぜひ読ませてください。
本当に本当にこのお話が大好きでした!
287風と木の名無しさん:2006/12/16(土) 16:37:25 ID:SG1jA+V6O
同意!!
代理さん乙です!!!
最初から最後まで素晴らしかった!!!この作品に出会えて嬉しい!!
288風と木の名無しさん:2006/12/16(土) 19:29:21 ID:+8gjrJjq0
代理タンお疲れ様でした!!
たくさんの鬼畜と感動を有難う。
289風と木の名無しさん:2006/12/16(土) 20:58:22 ID:gls6kaeT0
もうそろそろよいではないかよいではないか

2回繰り返すとやらしいな>よい〜
290風と木の名無しさん:2006/12/17(日) 00:33:55 ID:nRkMF089O
テュランたん・・・(´・ω・)
291最後の鏡a:2006/12/17(日) 01:33:59 ID:VnqUEqmV0
投下します。

エロ部分が男女物っぽく見えるので、それを補足するための話です。
伏線を殆ど出してしまっているためストーリーの流れを重視される方は読まない方がいいかもしれません。

--------------------------------------------------------------------------------

6月5日 PM2:00
間宮真司にとって、最悪の日だった。
「はじめまして」
真司の目前で青年が笑う。
「内海直人です」
その横で友人が暗い顔で立っていた。
「お前…」
「マネージャーの結城です。よろしくお願いします」
真司の呼びかけを無視するように結城は頭を下げた。
直人は二人の間に漂う微妙な空気に気付いた様子も無く、事務所の中を見渡している。
何でだ。
頭の中が混乱でいっぱいになりながら真司は必死で作り笑いを浮かべた。
「よろしく。間宮です」
直人はもう一度微笑んだ。
292最後の鏡b:2006/12/17(日) 01:35:03 ID:VnqUEqmV0
6月5日 PM10:45
「どうしてお前、マネージャーになんかついたんだよ」
真司が荒々しくグラスを下ろしたのでバーのガラステーブルがひどい音をたてた。
「つけって社長に言われたから」
真司と結城知久は出会ってから五年以上にもなるが真司は知久が悪酔いしたところも愚痴をいったところも、自棄になったところも見たことが無かった。
知久はテーブルに片手をついて、こめかみを押さえるようにした。
「それに…なんか色々無理だと思った」
「じゃあ俳優になるの諦めるっていうんだな?」
荒っぽい真司の声に何人かが振り向いた。
それが嫌なのか声が響いたのか、それとも質問が嫌だったのか知久は顔を顰める。
「さあ…」
「それに年下でしかも入ったばっかりのあいつに年上の知久をつけるっていうのもおかしいだろ」
知久はちらっと真司を見ると、嗤った。嫌な感じのする笑い方だった。
「社長が俺に足りないものでも教えてくれたんじゃないか」
「知久!」
真司が鋭く名前を呼ぶと、知久は真っ直ぐ身体を起こして真司を睨んだ。
「お前だってわかってるだろ!内海に会った時、顔色悪かったぞ」
知久は口の端を歪めながら笑い、すぐにそれを消すと財布から適当に紙幣を掴んでテーブルに置いた。
「…もうお前とは会いたくない」
しばらく絶句した後、真司は低い声で呟いた。
「それは同じ俳優を目指してた友達としてか?恋人として?」
「どっちもだ」
知久は去って行った。
293最後の鏡c:2006/12/17(日) 01:35:50 ID:VnqUEqmV0
6月10日 AM12:10
真司がスタジオに入ると、隅の方に立っている知久の姿が一番に視界に入った。
その横では直人が座って他のゲストと楽しそうに話している。
「あ、おはようございます」
真司の姿に気付いたスタッフが次々と声をかけてくる。
それに半ば無意識のうちに返答しながら、真司はその輪に近寄っていった。
「おはようございます」
他の人達と一緒に知久も真司に形式的な挨拶をする。
真司は知久の方を向いていたが、知久は決して目を合わせようとしなかった。
「ちょっとスタッフと話があるので、失礼します」
「わかった。いってらっしゃい結城ちゃん」
真司は黙って空いている席に座った。



6月10日 PM2:30
「お疲れ様でしたー」
「真司さん。次は五時から打ち合わせなんですけど、どうします?」
セットから降りると真司のマネージャーが早速寄ってきた。
最近変わったばかりの、まだ若い俳優の卵だ。年齢は多分直人と同じぐらいだろう。
「どうしようかな…」
真司が少し考える素振りを見せていると、
「あ、じゃあ俺と一緒に食堂行きませんか?」
後ろから声がした。
「…内海くん」
「直人でいいですよ。俺もしばらく暇なんです」
断られるとは夢にも思っていなさそうな顔で直人は笑っていた。
「じゃあ俺も真司でいいよ。行こうか」
「はい」
年齢の差など全く気にしない様子で、やはり直人は笑っていた。
294最後の鏡d:2006/12/17(日) 01:36:23 ID:VnqUEqmV0
7月6日 AM8:00
照明が何か失敗したらしく、ライトが目に入ってくるようになって真司は目を細めた。
「ところで、内海さんと仲が良いそうですね。年下の内海さんは間宮さんのことを名前で呼んでいるとか」
そのことに気付かないでインタビュアーは話を続ける。
「そうですね。普通の同じ年の友達みたいに喋ってますよ」
「間宮さんから見て内海さんはどんな人ですか?」
これは番組宣伝のためのインタビューのはずなのにと内心真司はいらいらしながら、それでも表面上は笑顔を保った。
あいつは、バカなんですよ。基本顔だけで売ってますからね。
内心もこの辺までなら言っても平気だろうか?真司は密かに考える。
語尾に(笑)でもつけてくれれば、最近急激にお笑いタレントと化しているし大丈夫かもしれない。
更に真司は考える。
何にも考えてなくて、全てが手に入ると思い込んでる奴です。そして全てを手に入れられることがどれだけ幸運なことかわかっていない。
俺、あいつ見てるとむかつくんです。あいつのせいで恋人と別れちゃったんですよ。
でも俺や知久に足りないものを持ってる。それに惹かれてしょうがない俺もいるんです…
「間宮さん?」
真司ははっとした。インタビュアーが怪訝そうな顔で覗き込んでいる。
「すいません。真面目に考え込んじゃいました。そうですね…人間的にとても惹かれるところがあるやつだと思います」



7月29日 PM11:40
真司は、笑顔を引き攣らせていた。
隣の直人はとりあえず笑っていた。
「雑誌見たけど、『惹かれる』ってそれホモですやん自分!」
「違いますよ、『人間的に』ですから」
「ホモやホモ。嫌やぁー!」
白々しい芸人のリアクションに客席は大爆笑していた。
後日、この番組のラテ欄には「間宮、ホモ疑惑?!」と最初に載っていた。
295最後の鏡e:2006/12/17(日) 01:37:20 ID:VnqUEqmV0
9月12日 PM11:15
「えー、じゃあ次はそっちのホモ!」
「ホモじゃないですって!普通に間宮って呼んで下さいよ」
真司は笑いがとれていることを確認しながら嫌そうな反応をしてみせる。
最早それが自然にできている自分に真司は密かに嫌気がしていたが
今はそれよりも興奮で頭がいっぱいだった。
三分にも満たない収録時間が、真司にはやけに長く感じられた。



9月12日 PM11:35
ようやくスタジオから出ることができた真司は、すぐに直人の楽屋へ向かった。
直人本人はまだスタジオでスタッフ達と談笑中だ。
真司がノックも無しにドアを開けると知久は目を見開いた後あからさまに嫌そうな顔をした。
「何だよ、もう会いたくないって…」
「話を聞いてくれ。やり直したいとかそういう話じゃないんだ」
知久が怪訝そうな表情になる。
真司は躊躇いとか良心のためではなく、興奮を抑えるために深呼吸をして、口を開いた。
「…内海がいなくなれば良いんじゃないか」
「え?」
「あいつがいなければ、お前は…」
真司がそこまで言ったところで遠くからではあるが賑やかな話し声が聞こえてきた。
「考えがあるんだ。協力してくれるなら電話してほしい」
それだけ早口に言うと、真司は楽屋を出て行った。
後に残された知久はまだ戸惑った表情をしていた。
296最後の鏡f:2006/12/17(日) 01:38:04 ID:VnqUEqmV0
9月14日 AM11:20
廊下を歩く知久の表情は、暗かった。
その手には台本が握られている。
監督直々に手渡されたものだ。
『最後の鏡』
知久はその原作がとても気に入っていた。家にあるその本は何回読み返したかわからない。
知久はその監督がとても気に入っていた。彼の作品は今まで全て見ている。
理不尽かもしれない、しかし激しい嫉妬と羨望の感情に知久は襲われていた。
知久の手は携帯に伸びる。そして未だ短縮に入っている番号へとかけた。
「……終わったら連絡くれ。午後六時以降なら一人だ」
留守番電話にそれだけ吹きこんで、知久は電話を切った。
そして直人の控室のドアを開けながらマネージャーとしての知久は叫んだ。
「やったよ!オーディション合格だって!」



9月15日 PM8:40
「すみません。せっかくのオフなのにお邪魔させていただいて」
「気にすること無いよ。どうぞ」
「どうぞゆっくりしていって下さいね」
真司の前では佐山夫妻が微笑んでいた。



9月15日 PM9:00
真司は持ってきていたミネラルウォーターを飲んだ。
「で、話というのは?」
正面に座った佐山が尋ねる。奥さんはコーヒーが飲めないという真司のために紅茶を買いに行ってくれている。
「佐山さん、変わった性癖お持ちなんですね」
297最後の鏡g:2006/12/17(日) 01:40:07 ID:VnqUEqmV0
佐山の表情が強張る。真司はせっかく笑顔を作った甲斐がないと思った。
「ホモ…って差別用語なのか。言われ慣れてるもので、すいません。ゲイなんですね。正確に言うとバイなんですね」
佐山から返事は無い。
「奥さんがいらっしゃるのに男性にも女性にも手を出されてるのは良くないですよ。でも、佐山さんって趣味わかりやすいですよ」
真司はバッグから写真を取り出すとそれを一気にテーブルの上に広げた。
「内海みたいな顔が趣味なんですね」
「…何がしたいんだ」
テーブルの上の写真を確認した後、佐山が重い口調で喋り始めた。
「人の性癖を調べるのが趣味なのか?家庭事情か?どっちでも良いがほっといてくれ。大体妻も不倫しているんだ。私が同じことをしても構わないはずだ」
「それなんですよ」
真司は自分がこの状況を楽しんでいることに気がついた。
そしてそれは声にも表れている。
「佐山さん、奥さんの不倫をとても怒ってらっしゃるって聞きました。奥さんが生きているのさえ嫌なぐらいだと」
「…それが」
「内海のことをとても気に入っていることも」
「それが何だって言うんだ」
佐山の声に苛立ちが混じってくる。
「奥さん、ヒトミさんのことは俺達に任せてもらって。佐山さんは」
真司はよく直人が浮かべるような笑いを作った。
「内海を強姦して下さい」


9月15日 PM9:30
ヒトミは愛人へメールを打ち終わると家の鍵を開けた。
「ただいま。ごめんなさい、近くのお店が開いてなくってコンビニまで行ったら遅くなっちゃって。間宮さんは?」
「…あぁ、仕事が入っていたことを忘れていたらしくてね。マネージャーが迎えに来たよ。君に謝ってくれと言っていた」
「そうなの?私も申し訳なかったわね」
最近夫の顔をよく見ていなかったヒトミには、佐山の顔色が悪いことも気付かなかった。
298最後の鏡h:2006/12/17(日) 01:40:46 ID:VnqUEqmV0
9月16日 AM3:00
佐山の手は直人の肌をゆっくりと撫で上げた。
それに反応して直人が体を震わせる。
佐山がその肌に唇を落とそうとした瞬間、周りが急に明るくなった。
直人の姿が佐山の身体の下には見当たらない。佐山は血相を変えて周りを捜した。
少し離れたところに直人がいた。隣に先日佐山がタイプだと言っていたアイドルがいる。
二人は佐山に気付いていない。気付かないまま、二人は唇を重ねた…
佐山は目を覚ました。
前半の夢で、勃起しかけていた。
しかし、完全な夢である前半と違って後半は…。
直人は自分の完璧な理想だと佐山は感じていた。
まるで自分のために作られた存在であるかのようにすら感じていた。
そうならば、直人は自分だけに大人しく従わなければならない。
ましてや他人とキスなどしてはならないと佐山は思った。


9月25日 PM2:30
「お仕置きだよ、ナオト…」

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ここまでです。長々と失礼しました。
299風と木の名無しさん:2006/12/17(日) 02:38:44 ID:ijt4T65mO
よくできた作文だな。
夏休みに提出し忘れたやつか?
300風と木の名無しさん:2006/12/17(日) 09:46:45 ID:Vzgh6AlvO
逝ってこい
301風と木の名無しさん:2006/12/17(日) 19:20:06 ID:6Ctcl9mu0
>最後の鏡さん
本スレ潰して隔離スレ一本にしたがってる馬鹿どもの
たわ言なんて気にせず投下続けてくれ
302風と木の名無しさん:2006/12/17(日) 21:35:59 ID:rsODjmQi0
文句ばっか言って自分は何もしない奴ってきらぁい。
303風と木の名無しさん:2006/12/18(月) 15:20:29 ID:Yy0F5n6K0
鏡タン良くも悪くも火サスっぽくて好きだw
304風と木の名無しさん:2006/12/18(月) 17:39:48 ID:j8IgE5ccO
もしくは昼ドラなww
305柿手:2006/12/19(火) 02:12:01 ID:UHeofn160
>>121
清一郎の行方は杳として知れなかった。
清一郎が連れ去られた翌日、平太は駐在所へ駆け込んだが、
犯人が身なりの良い白人の男だと告げるや、
皆一様に及び腰になり、話もろくに聞いてもらえず邪険に追い払われてしまった。
最初に男と出会った寺へも何度も足を運んだが、手がかりはつかめなかった。
男の目撃者どころか、彼が乗っていた車すら見たものは誰もいなかった。
平太の焦りをよそに、ひと月、ふた月と、時間だけが無為に過ぎ、
いつしか近所で噂が流れ始めた。
病気の清一郎を邪魔になった平太が、清一郎を殺して埋めたのではないかと。
それを誤魔化すために、外人に連れ去られたなどとの出任せを言い立てているのだと。
平太が躍起になって否定すればするほど、噂の勢いは増していった。
誰もが平太を疑惑の眼差しで見つめる。
人殺しとすれ違いざまに罵られ、家には石や汚物が投げ込まれた。
『違う、俺じゃない、清一郎は見知らぬ外人に連れ去られたんだ』
必死でそう反駁する平太に、周囲の人間は、ならばと意地悪く問いかけた。
男の名前は? 姿形は? 出会った場所から家までどうやって来た?
何故連れ攫われた直後に人を呼ばなかった? 何故家には争った後がないのか?
何故だ、何故だ、何故だ?
そうした質問に平太は何一つ満足な答えを返せない。
口ごもる平太に、そらみたことかと人々は囃し立てた。
だが、そんな心無い中傷よりも、平太の心をえぐったのは、
篤実な人柄で知られる近所に住む老人の言葉だった。
『清一郎君は病死したんじゃないのかね。それをおまえさんの心が認められなくて、
 ありもしない話を作り上げて自分自身を騙してしまっとるんじゃないのかね』
清一郎のいない家で独り、平太は泣いた。
自分でも、何が本当で何が嘘かわからなくなりかけていた。
――そんな時だった。
再びあの車が、平太の前に現れたのは。
「病状が回復されたセイイチロウさまが、貴方にお会いしたいと呼んでおられます」
運転席から降りてきた陰気な男の言葉に、平太は一も二も無く頷いた。
306柿手:2006/12/19(火) 02:13:01 ID:UHeofn160
どこをどうやって走ったのか。
車に乗り込んだのはまだ日の高いうちであったのに、
目的地に車が着いた時には、既に西の空を夕焼けが染めていた。
「ここ……なんですか?」
車を降りた平太は、鬱蒼とした森の中に建つ瀟洒な洋館に呆然とした。
ある程度の屋敷だろうとの予感はあったが、
まさかこれほどに立派な建物に連れてこられるとは考えていなかった。
おそらく戦前は上流階級の別荘か何かとして使われていたのだろう。
戦火による被害をも免れた蔦が彩るそこは、
平太たちが住むバラックが立ち並ぶ界隈とは、まるで別世界だった。
「本当に、ここに清一郎が?」
道中一言も口をきかなかった運転手の男が、庭に向かって顎をしゃくった。
促されるままに男が示した方を見やった平太は、目を見開いた。
イチョウの木の下に洋装の青年が一人佇んでいた。
遠目であっても、後ろ姿であっても、平太が見間違うはずもなかった。
「清一郎!」
ここ数ヶ月、捜し続けた姿に平太は歓喜の叫び声をあげた。
平太は、開け放たれた門を潜り抜け、清一郎の名を呼びながら夢中で駆けた。
弾かれたように、清一郎が振り返った。
だが、懐かしい彼の顔を彩っていたのは、平太が思い描いていた笑顔ではなかった。
驚愕と動揺が露な強張った表情で、清一郎は平太を見つめていた。
「平太」
掠れた声での清一郎の呟きに、再会に舞い上がっていた平太の気持ちが急速に萎んでいく。
会いたかった。
その気持ちは清一郎も同じだと思っていたのに……。
清一郎の態度のどこにも、平太と再び会えたことへの喜びはなかった。
「何故……」
平太がそう呟くより先に、清一郎の口からも同じ言葉が漏れた。
「何故、ここに、平太……どうして……」
「どうしてって、俺はおまえが会いたがっているって聞いたから」
その言葉を平太が疑う理由はなかった。
そう、今の清一郎の表情を見るまでは――。
307柿手:2006/12/19(火) 02:13:48 ID:UHeofn160
「日が、日が沈む前に早く屋敷から出るんだ」
こわばった顔で、清一郎が平太の腕を掴んだ。
「今ならまだ間に合う。屋敷の外に、早く」
「…………無駄です」
低く抑揚の無い声が背後から響いた。
振り向いた先にいたのは、先ほどの運転手の男だった。
「この者は己の意思で、自らの足で屋敷へ足を踏み入れました。
 もう手遅れです。マスターの許可がなければ外へは出られません」
「カワホリ、おまえ……」
険しい顔つきで、清一郎が目の前の男を睨みつける。
「中へご案内します。マスターも直に目覚められるでしょう」
カワホリと呼ばれた男が、恭しく二人に頭を下げる。
だが、清一郎は、庇うように平太の腕を掴んだまま表情を緩めない。
そんな清一郎に向かって、カワホリはわざとらしく溜息をついた。
「セイイチロウさま、マスターからのご伝言をお預かりしています」
清一郎が無言で先を促す。
カワホリは下卑た笑いを浮かべた。
「喉が渇いて我慢ができなければ、先にお一人で召し上がられてもいいと――」
「黙れ!」
静寂を破る清一郎の突然の大喝に、平太は驚愕した。
温厚で思慮深い清一郎が、こんなふうに人を怒鳴る姿など、
平太はこれまで一度だって見たことがなかったのだ。
激昂する清一郎とは対照的に、カワホリは慌てるでもなく軽く肩をすくめただけだった。
「今宵は最後の望月。やせ我慢もほどほどにしておくことですね」
からかいとも忠告ともとれる声音で呟くと、
カワホリは一人屋敷の裏手へと消えていった。
口を挟むこともできず二人のやりとりをただ呆然と見守っていた平太は、
カワホリの姿が見えなくなったのを見計らって、おずおずと口を開いた。
「清一郎、おまえ、食事をとってないのか?」
今の会話からの当て推量で、何気なく訊いただけだったのだが、
清一郎は酷くうろたえ、平太と視線を合わせないまま、
「そんなことないよ」と掠れた声で呟き、目を伏せた。
308柿手:2006/12/19(火) 02:18:11 ID:UHeofn160
結局、平太はそれ以上の問いかけをできなかった。
なんとなく気がかりなまま、清一郎の案内で平太は屋敷に入った。
「危険だから、絶対に僕から離れないで」
平太の手を強く握ったまま、清一郎はいつになくかたい声で告げた。
外観と比べ、中はいたって質素だった。
いや、質素というには語弊があるかもしれない。
広大な屋敷にも関わらず、照明が薄暗いせいで、全体が陰鬱な印象を与えるのだ。
通された客間も、腰掛けたソファもそれは豪華なものだったが、
ほの暗い室内は、なんとなく平太を居心地悪くさせた。
暗闇に引きずられように沈みそうになる気持ちを引き上げるように、
平太は場違いなほど明るい声で、隣に座った清一郎に問いかけた。
「それにしても清一郎。こんな短期間で見違えるほど回復したな」
別れた頃は、床から出ることすらままならぬ体だったというのに。
今の清一郎は、健康そのものだ。
「いったいどんな奇跡が起こったんだ? 神様でも化現したか」
冗談めかしてそう告げると、清一郎は彼に似つかわしくない暗い笑いを浮かべた。
「神も仏も、今の僕には……僕の体は……」
まるで忌むべきものを見るかのように、厭わしげに己の体を睨みつける清一郎の態度に、
平太は胸騒ぎを感じた。さぐるように清一郎を見やると、その視線に気づいたのだろう。
清一郎は、平太の不安を拭いとるように、快活に笑ってみせた。
「西洋医学ってすごくてね。おかげで、あっという間に元気になったんだ」
「へえ、もしかして、清一郎を連れて行ったあの外人って医者だったのか?」
「うん、そう…………そうなんだ、彼は医者なんだ、とびきりの名医でね」
清一郎は飲んだ薬や治療の様子などを、殊更詳細に並べ立てた。
普段の平太ならば、そんな清一郎の様子を些か奇異に感じたかもしれない。
だが、この時の平太には清一郎の回復がただ嬉しく、些細な違和感を見過ごしてしまった。
「よかったなあ、ほんと、よかった、俺、うれしいよ」
平太は、昂ぶる気持ちを抑えきれず、清一郎の両肩を抱いた。
「こんな嬉しいことってない、ほんとうによかったよ」
平太は興奮そのままに肩を叩き、ソファに体を埋める清一郎をがくがくと揺さぶった。
「…………痛っ」
清一郎の唇から、小さな悲鳴が漏れた。
309柿手:2006/12/19(火) 02:18:49 ID:UHeofn160
「清一郎?」
慌てて平太は手を離した。
「ごめん、つい力が入りすぎて。肩、痛かったか?」
「ああ、うん、肩は別に」
清一郎は、顔をしかめたままわずかに身じろいだ。
腰を微かに浮かし、臀部を庇うように前かがみになる。
その動作と姿勢には、見覚えがあった。
「清一郎、まさか、おまえ、それって」
平太の呟きに、清一郎は顔を真っ赤に染めて、必死に被りをふった。
「違う、そんなんじゃない」
叫んだ拍子に、ソファに深く座り込む形になり、清一郎は低く呻いた。
その様子に、平太は確信を深めた。
「清一郎、隠さなくていい。おまえ、あれだろ」
平太の脳裏をよぎったのは、平太たちを育ててくれた神主の老人の持病だった。
平太は、祝詞の最中に痛みを堪えるように腰を浮かせる老人の姿を何度も見てきた。
清一郎の今の仕草はまさしくそれだ。間違いないと、平太は思った。
「痔は別に恥ずかしいことじゃない、我慢していたらますます酷くなるぞ」
声を潜めて続けた平太の言葉に、清一郎はぽかんと口をあけた。
「ジ?」
「ああ、おまえ、尻の穴が痛むんだろ。それは痔の症状だ。な、そうだろ?」
平太がそう断言すると、清一郎は決まり悪げに、
だが、どこかほっとした様子で、小さく頷いた。
「うん、そうだね……そうなんだ。恥ずかしくて誰にも言い出せなくて」
「マスターさんだっけ、あの人にも言ってないのか?」
「ああ、うん、まあ」
「相談した方がいいんじゃないか。あの人、とびきりの名医なんだろ?」
「それは……」
清一郎は口ごもった。自分で告げるのは恥ずかしいのだろうと平太は察した。
「わかった。なら俺からマスターさんに言ってやるよ」
清一郎を励ますように告げた時だった。
「我に何を告げると?」
突然に響いた声に、平太は慌てて声のした方を振り返った。<続>
310風と木の名無しさん:2006/12/19(火) 03:32:50 ID:jcwvyPU8O
柿手さん、好きだ!惚れ惚れする…。
311術師×騎士 1/5:2006/12/20(水) 16:11:12 ID:YCqNl4UQ0
いつかの続き。生首注意。
+++++++++++++++++++++++++++++++
森の奥深く。捕らわれの騎士は爪で壁に線を引く。日が沈むごとに。
それが10本になり20本になっても唯一望みの助けは来なかった。
術師に囚われ、胸に穿たれた焼きゴテの刻印のせいで
意識朦朧とした状態だった時期を考えてもかなりの日数がたっている。
術によってこの部屋に閉じ込められ、外部との接触は年若き術師のみ。
そして顔を合わせれば望まぬ行為を強いられる。
そんな日々は騎士を消耗させていった。
「いったい・・・・いつまで・・・・」
騎士はかすれた声で呟いた。
『死ぬまでだよ。・・・・・あなたは僕の番なんだから』
そんな幻聴が聞こえて、騎士は自分の両手で自分の耳を塞いだ。

それでも助けが来てくれると、騎士は信じていたのだ。
そしてその願いが現実となった時のことを考えもしないで。
312術師×騎士 2/5:2006/12/20(水) 16:11:58 ID:YCqNl4UQ0
「っ・・・・・ひっ」
「あんまり声出すと、聞こえちゃうかもしれませんよ」
裸にされ、壁に手を突き背後から乱暴に突かれる。
繋がったところから聞こえる卑猥な粘膜のこすれる音と、自分の喘ぐ声、
そして背後から聞こえてくる年若い術師の声。
自分より小柄で年下に見える少年から犯されているこの現状に騎士は足を振るわせた。
だが、彼が恐れているのはそれだけではない。
騎士は真っ青になりながら透過している壁の向こうにいる人間から目を逸らした。
向こうから見られているわけではないのに、羞恥に頬が染まる。
そこには森の中で何かを探している様子の男の騎士がいた。
自分の知っているその人間は、まだ騎士見習い立った頃からの友人だった。
自分を心配して一人探しに来てくれたのだろう。
こちらに気づく様子も無く周囲を見てはため息をついている友人。
それを視界の端に見て騎士は助けを呼びたくて呼べない自分にたまらず壁に爪を立てた。
それが気に入らないと騎士を犯す術師はその腰を抱いてひときわ奥を突いた。
「あうっ」
「この家は人の目に映らないよう術をかけています。
だけど、勘のいい人間なら物音を立てれば気づくでしょうね。いいんですか?
男に犯されてこんな淫らに喘ぐあなたを見て彼はなんと言うか・・・・。
聞いてみたい気もするけど」
「っ」
「最も、気づかれたら即殺しますけどね」
「!?」
何でもないことのように言うから、それが本気なのだろうと悟った。
313術師×騎士 3/5:2006/12/20(水) 16:13:01 ID:YCqNl4UQ0
どういうわけか自分を攫ってこうして日々弄りものにしている術師は
時折かわいらしい顔とは正反対の残酷性を見せる。
術師という特殊業故なのか、人里で暮らしたことのないこの幼い術師は
人の常識や論理といったものを知らず、自分なりのルールでもって暮らしていた。
それなりにたくましいと自負している自分ですら押さえ込むほどの怪力(術)と慎重さ。
日々見聞きする彼の力は自分が想像していた以上で隙をついて逃げることすら出来なかった。
自分に都合が悪ければ人一人殺して隠してしまえるほどの力はあるのだ、彼は。
騎士の心情が分かっているのか、頂点が近いのか容赦の無くなる攻めに
騎士は上げそうになる声をかみ殺した。
何度も重ねた体は自分の意識とは関係なしに貪欲に快楽を得ようとしていた。
声では拒絶をするも、穿つものに絡みつく襞がもっと中に誘い込もうといやらしくうごめく。
術師もそれに気がついていて、嬉しそうに騎士のものに触れた。
びくっと体が期待で震えるのが騎士は悔しくてならない。
唇をかみ締めたからか、口の端から血が浮かんで零れ落ちた。
それが床で先走りの精液と混じる。
「・・・・・・・・・っ」
騎士は快楽と屈辱と絶望とに首を振りながら胸のうちに溢れるものと堪えた。
助けを求めてはいけない。
声を上げてはいけない。
そうすれば殺されるのは友人の方なのだ。
それでも遠ざかる背中を見た時、絶頂に白い液を吐き出しながら声にはならない悲鳴を上げた。
「・・・・・・・・・・・・」
友人が何かに気がついたように立ち止まり振り返る。
何故だか彼と目が合ったような気がした。
驚きに目を見開く騎士は友人の名を唇に乗せようとした。
だが、目の前で友人の姿はありえないように二つに分かれた。
「・・・・・・・え」
314術師×騎士 4/5:2006/12/20(水) 16:13:37 ID:YCqNl4UQ0
「・・・・・・・え」
首から上の頭がその体から離れたのを見た。
そしてその頭が消える。
残された体はまるで糸の切れた人形のように地面に倒れた。
「・・・・・・・・・・・・・」
騎士はそれを呆然と見る。
「シュヴァルツ。体の処分を」
背後で術師が自分の使い魔に命令を出すその声が、騎士の体をこわばらせた。
術師は呆然として倒れた友人から目を離せないでいる騎士の体を支えてベットに横たわらせた。
そしてベットサイドテーブルにごとりと何かを置いた。
それを見た騎士はテーブルの上に置かれた小さくなった『友人』と目が合った。
「・・・・・ひっ・・・・・・・あ・・・・・ああああああああああ!!!!!!」
今見たことは現実なのだと。
自分が殺したのだと。
友人の目が恨みがましいものに見えて、それでも目が離せなかった。
首に向かって手を伸ばす騎士に術師がそれを絡め取る。
そして騎士の片足を掴んで押し広げると、さっきの行為で濡れたままのそこに
自分のものを突き立てて押し入らせた。
「ひっあああああっ!!!!」
これまでに無く激しい抵抗をする騎士の姿に術師は酷薄な笑みを浮かべる。
「見られたかったんでしょう・・・・?だから、彼を呼んだんでしょう?
あなたが望むなら彼にも見せてあげましょう。僕は心が広いから」
「違っ・・・・・嫌だっ、やめろ!!!いやだっ・・・あうっ・・・ああっ!あああっ」
最後は言葉にならないままに、それまで抑えていた涙が青灰色の瞳から零れ落ちた。
心の中で何かが崩れていくかのような喪失感が騎士を襲う。
これまでどんなに攻めても屈服させようとしても見せることのなかった彼の涙をみて、
術師は殊更に興奮した。
「んっ・・・・・すごくきつい・・・・っ。『彼』に見られて興奮してるんですか・・・?」
騎士は極度の緊張と絶望に意識を半分飛ばしたように嫌だとうわごとのように繰りかえす。
その目から落ちる涙とその胸にある術師の刻印に術師は満足そうに微笑んだ。
所有印というべきそれに口付けながら、術師は騎士の体に歯を立てて
何度もその体の奥に自分のものを飲み込ませた。
315術師×騎士 5/5:2006/12/20(水) 16:14:06 ID:YCqNl4UQ0
使い魔に騎士の体を清めてもらって、自分も風呂に入ってきた術師は
疲れ果てて眠る騎士の傍らに座った。
涙で赤く腫れた騎士の瞼に触れて、術師は嬉しそうに微笑んだ。
その微笑は天使のように無邪気なものだった。
そしてふとテーブルの上に乗ったものに視線を向ける。
「・・・・・・・・どうでした?すごくいい声で鳴くでしょう、彼は」
問いかけに答える声は無い。
術師はそれに目を細めて手をその首に掲げる。
そこから読み取った情報は術師が大体想像していた通りのものだった。
先日術師はこの国の守護役をかってでることと引き換えに
先刻攫った騎士は預かると国王に取引を持ちかけた。
世界有数の魔導師の力を借りることとの引き換えが人一人なら安いものだ。
国王はそれに是と返答を返したのだ。もちろんそれは人道から反れること、公にされるものではない。
が、この男はそれを察して生贄のごとく国から差し出された騎士を一人助けにここまで来た。
読み取った男の思念の中に騎士への恋慕を感じ取った術師は薄暗い笑みを浮かべた。
「でも彼は僕のだからもう返さない」
一瞬でその首は掻き消えた。
術師は何も無かったように青白い顔をした騎士を腕に抱きかかえて自分も眠りに入る。

起きたら教えてあげよう。
せっかくだから感想を聞いたんだけど、彼は何も答えてくれませんでした、と。
この騎士はいったいどんな反応を返すだろう。
術師は腕の中の温もりに微笑みながら目を閉じた。
・・・・・後は安らかな寝息が立つばかり。

316風と木の名無しさん:2006/12/20(水) 19:27:56 ID:f1N8qKYN0
柿手タン、GJ!
雰囲気に陰影が滲んでて好きだ。
続きがwktkだ!

焼き鏝タン(と勝手に呼ぶ)、お帰り!
大切な人の遺体の前で、その死を汚すように陵辱されるってシチュに萌え。
騎士が自分を責めて苦しむのが(・∀・)イイ!
317風と木の名無しさん:2006/12/20(水) 20:25:09 ID:3jhx1Lc6O
柿手さん、術師×騎士さん乙です!も…萌えたw
318風と木の名無しさん:2006/12/20(水) 23:03:14 ID:5NFiBylh0
http://red.ribbon.to/~brute/

暫定で19thしおりとログ
319風と木の名無しさん:2006/12/20(水) 23:35:29 ID:wxJwwVBG0
>>318
ありがとー! マジありがとー!
320風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 00:13:08 ID:Q0JNEWVl0
>>318
乙華麗

柿手タンと術×騎タン乙
321風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 04:48:25 ID:fdZyN3dOO
携帯からは見れない…19のまとめ……OTL
322風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 10:35:04 ID:w+7blwDxO
>321
自分のだと見られるから、多分機種のせいだな。
323風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 11:09:41 ID:Sq27LtFFO
リクエストされたページは表示出来ません。

N.T.T.DATAが作るサイトもこんなんばっかだったな。林檎メインでAll対応にコツコツやってた俺の会社は理不尽と闘う日々だったよ。
ま、個人的に18th以降は読めなくても問題ないからいいか…。
324風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 11:46:36 ID:Gw8yHPRbO
323がなんか的はずれなこと言ってるけど
見えない人ってトップやしおりは見えるが、ログが見えないだけなんじゃないか?
それなら当たり前
ログはPC用のものしか元々置かれてないから
携帯じゃパワー不足で表示されないに決まってる
ブラウザ対応とか林檎対応とかとは別次元の話
325風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 11:51:50 ID:3oJAIWCg0
何気にスレと無関係な愚痴だなw仕事なんだからガタガタ抜かすな>323
携帯でもフルブラウザとかなら見れるんでないの?
326風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 12:04:24 ID:eZVbIMRX0
>>318
乙&感謝

19thの571よりつづき
327テュランの筏1/11:2006/12/21(木) 12:06:06 ID:eZVbIMRX0
七日目 午後

いつごろ、藤吾の笑い声が止んだのか、それすら僕は認識していなかった。
ただただ、じりじり焼かれる肌、革の軋む音に、神経を集中していたから。
クリフは時々思い出したように、藤吾をののしる言葉を浴びせた。
しかし決して、藤吾は挑発にのらなかった。
真上にのぼった太陽は、水面の反射効果を最大限に受け、僕たちを照りつづけた。
潮風も、今日はよどんでいるのか、生暖かい。
まもなくマストが揺れ、身じろぎと共に、楊玲が短く声をもらしはじめた。
ギュ、ギュッと革のこすれる音が、とても耳ざわりだった。
「お願い、楊玲。クリフのために、声を出さないで」
そうささやいたが、無駄だった。東洋のイントネーションで、楊玲は苦悶の呻きを上げた。
藤吾はにやりと笑った………かどうかは知らないが、声に応え、宣言通りクリフの頭に力をこめた。
抵抗もむなしく、頭部は海に沈んだ。激しく泡がたち、水をかく音がとどろいた。
かきあげる海水は、いかだの床をビチャビチャとたたく。
クリフの両足が、じたばたと何もない空中を蹴った。
楊玲の叫び声はつづいている。高く、低く。身をよじっているのか、右からも左からも。
藤吾は押さえる力をゆるめない。
海面にのぼるあぶくが少なくなり、クリフの生の痕跡をしめす、足の動きが弱まっている。
「頼む………楊玲。お願いだから………っっ!」
直後、僕はこの「お願い」が、どれだけ身勝手なものだったか、自分の身で味わった。
328テュランの筏2/11:2006/12/21(木) 12:07:17 ID:eZVbIMRX0
革のひもは、内側にあるものをいっせいに、締めにかかってきた。
肩と胴体と、そんな境目など知ったことないと、二の腕と胸部をつなぐ部分は、脇のしたの隙間を完全に埋め、それでも足りずに肉を締めあげた。
筋肉があらぬ方向へ、曲がる。脂肪の層を無視して、締まる革は直接骨を苛みに、縮みつづける。
「っ、くあ、っ………ああっ」
だめだっ、声を出したらだめだ。強く唇を噛みしめる。
楊玲の方も一段落ついたのだろうか。
今はただ荒い息を、不規則にはきだしているだけだった。
視界の端で、クリフが引き上げられていた。
肩をゆらして咳きこんでいる。前髪といわず、顔中から水滴がしたたり落ちている。
よかった、大丈夫みたいだ。そんな一時の安堵は、すぐにうち砕かれる。
かけられた海水が、胸部から下半身へと流れるその速度で、僕はふたたび誓いを破ってしまう。
「ん、ぁ………んあっ!」
じわじわと、ほんとうにわずかずつだが、革のひもはペニスを包みこむその圧迫を強めていた。敏感な部分にもう一つ。尻の間を割った革もまた、肉体をわりいって入りこんだ。
けど、これは………?
疑問を解決するひまもなく、ふたたび革はギュと音を立てて締まった。
329テュランの筏3/11:2006/12/21(木) 12:08:23 ID:eZVbIMRX0
「ん、っく………」
分かった。革のひもの、結び目だ。
胸部を絡める、ちょうど胸の先端にあたる部分に。尻の割れ目は、後孔にあたる位置に。
ペニスは、囲むあちこちに、微妙な段差と、ゆるやかなカーブをもつ、結び目が作られていたのだ。
『………ほかの部分の刺激を増して………』
いやらしく笑った藤吾の言葉を思い出し、僕は蒼白になった。
刺激って、こんな部分にっ!?
考える間にも、じわじわと革ひもはせばまっていった。
縛られる痛みと、敏感な部分を三点同時に責められる得も知れぬ感覚に、僕はもだえる。
「………っ、い、や、やめっ………」
革に命令をしてどうなるのか。ただ、僕の言葉はふたたび藤吾を動かしてしまった。
息をつぐひまがあったのかどうか。クリフの頭部が海中に沈む。
抵抗は最初激しいが、前ほどの時間をおかずに、すぐ弱まってしまう。
「クリフっ!」
僕の叫びに、藤吾は振り返り、クリフをさらに海へと押しこんだ。
「ぁあ………」
その短い、ため息めいた言葉を最後に、僕は頬の内側を強く噛みしめた。
傷つこうと、血が流れようと、何が何でも声を出すものか。
その決意の横で、楊玲は苦悶と快楽のいりまじった声をあげはじめる。
楊玲が、気がすむまで叫び、クリフが引き上げられるまで、どれほど長く感じられた事だろう………
330テュランの筏4/11:2006/12/21(木) 12:09:38 ID:eZVbIMRX0
恐ろしい事がおこった。
革の圧迫は、痛みに抵抗力が出来たのか、それほど厳しくはなくなった。
けれど、胸の先端と後孔と、ペニスと、敏感な部分を刺激する結び目に、僕の身体は生理的反応をしてしまっていた。
さくら色の突端を、つぶれんばかりに押しつぶされ、後孔は結び目の頂点が、内壁をえぐりこまんばかりに入りこんでいた。
身じろぎすると、重なった革のカーブは、一時的に去る。
しかし収縮する革は、自然に、もとの位置戻ってきて、藤吾がもくろんだとおりの場所を、責めさいなみ、決して止めない。
となりで楊玲の声は、熱っぽい喘ぎをふくむものになりかけていた。
僕は、聴覚からも反応したのだろう。下半身に血が集まりはじめる。
少しずつ、少しずつペニスがふくらみ、持ちあがる。
「ぁ、ああっ………」
ささやきのような声。吐息まじりの声。根元を包みこむ革、そこのいたる部分にある結び目が、やわらかく表面に食いこむ。
だが、それはほんのわずかの間だけだ。
このまま勃起しつづければ、革も、結び目も、ただ苛む道具にすぎなくなる。
頭を振って、思考を痛みだけにしようとした。興奮なんかするな。快楽なんか感じるな。
クリフなんて、あんなに苦しい思いをしているんだぞ!
僕はもうろうとしかける意識をふりしぼった。
331テュランの筏5/11:2006/12/21(木) 12:13:04 ID:eZVbIMRX0
楊玲の喘ぎ声の合間に、引きあげられるクリフ。
上下する肩はとても、弱弱しい。
咳きこむ声が、だんだんと水気を含んできているようだ。顔は紙のように真っ白い。唇だけは青を通りこして、紫になっている。
馬乗りになったまま、藤吾は右手で、ぺちぺちとクリフの頬をたたいた。
もう、反応する気力もないのか、クリフはされるがままになっている。
そして、僕は見た。藤吾の白いスーツ。
そのスラックスの股間が………たぎり、盛りあがっている事に。
あいつは………あいつは、僕たちを恥辱に陥れただけじゃない。
残酷にだまして、絶望と後悔を与えた。クリフを苦しめ………それだけじゃ済まないで、性的に汚しもするのかっ!?
僕の眼の裏で、赤いものが光った。血が逆流するような感覚を覚え………でもそれは怒りじゃなかったのだろう。
「………う、あああっ!」
股間に起こった激痛。耐えられなかった。間違いなく藤吾まで届く、大音響で叫んでしまった。
音に反応するパブロフの犬のように、藤吾はあっさりとクリフの頭を海に沈めた。
しかし、僕はもうそれに構っていられなかった。
はちきれんばかりの血液がたぎっているペニス。もう大きくなるのは止められない。
革がギチギチと鳴っている。腿と脛を結ぶ革ひもを締めあげても、余裕はできない。
ひもは、今にもちぎれそうに、限界まで張っているのに、それでもふくれあがるそれを解放してはくれなかった。
耐えられない痛みに、頭で火花がとんだ。痛覚の神経は、脳と、僕のペニスだけでつながっていた。
332テュランの筏6/11:2006/12/21(木) 12:14:17 ID:eZVbIMRX0
「………っ、お願いっ、解いて、外してっ、外して………っ」
藤吾は振り向きもせず、クリフをさらに沈めただけだった。
海面は静かだった。泡もおきず、波も立たない。
「やめて、お願い、痛いっ………やめてっ」
涙目になりながら訴える。藤吾は時計をチラと見、こう呟いただけだった。
「まだ半分だ、一時間しかすぎていない」
僕の目尻にあつまりふくれあがった涙は、ブワと音をたててあふれた。
痛みと、あまりにも長すぎる絶望の時間に。
誓いをやぶって泣き言を口にする、自分の意志の弱さに。

なににも形容できない、二時間だった。片刃のナイフで、革ひもが切られていく。
楊玲が先に解放され、は、と短く声をあげた後、その場に倒れるようにうずくまった。
彼は残りの時間、ほとんど声をあげていなかった。
それが首輪の圧迫によるものだと、僕は今知った。
僕の声も、それで物理的に抑えてくれればよかったのに………自分の弱さをたなにあげて、調子のよい事を言う自身にまた腹が立った。
藤吾がいましめを解いていく。肩も足もなにもかもこわばってしまっていた。
たった今、黒いトランクは無防備状態である。
楊玲は全身痣だらけでうずくまり、僕も同じような状態だった。
333テュランの筏7/11:2006/12/21(木) 12:15:05 ID:eZVbIMRX0
クリフは………いかだの端でうつぶせたまま、動かなかった。
あの状態に陥らせてしまったのは、すべて僕のせいだった。
後半の一時間、痛みに耐えかねて何度も上げた声。
一度勃起がおさまっても、快楽の波は何度もやってきた。革ひもは締まりつづけた。
痛みも、敏感な部分への刺激を、強めて。
僕がするのは、クーデターじゃない。
僕が快楽に負けて犠牲になった、クリフを救うために、動かなくてはならない。
目の下の、涙の白いあとをぬぐう。泣いている場合じゃないんだ。
骨がきしきし言うのも構わず、僕は床に置いてあるボトルと箱を抱えて、立ちあがった。
ちょうど、藤吾は黒いトランクに戻り、優雅に腰かけたところだった。
僕は足をひきずって、その前を通りすぎ、クリフの横にかがみこむ。
手首をとる。脈はあった。しかし、腕もほかも氷のように冷たくなっていた。
意識を失っていると、体温の低下が激しいと聞いた事がある。
頬をぺちぺちと叩いてみるが、反応はない。
僕は顔をあげ、藤吾に請求した。
「タオルと、それから気つけの薬か何かを」
藤吾は唇の両端をもちあげる。いやな、笑いだった。
だけど、僕は怯えない。まけない。クリフを救うためなら、何だってやる。
背でトランクの中身が見えないように隠し、藤吾は白いタオルと、茶色い瓶を取り出した。
「いちおう、両方ある」
334テュランの筏8/11:2006/12/21(木) 12:15:52 ID:eZVbIMRX0
「僕は、何をすればいい?」
毅然とした態度で問い返す僕に、藤吾は考えこむ様子をした。
顎に手をあて、痣と内出血だらけの僕の身体を見下ろす。
「よし………じゃあ、キスしろ」
僕はぽかんと口をあけた。目も見開いていたと思う。
しめたふたの上で、足を開いて座り、藤吾はにやにやと笑いつづけていた。
「分かった………僕が、あんたに、すればいいんだな?」
怯まない。まけない。こんなの痛くも痒くも、なんともない事。
藤吾はうなづかなかったし、べつに身をかがめもしなかった。
僕は足音をひそめて近づき、トランクに手をつけ、顔を上向けたが、届かない。
両膝をトランクにのせる。それでやっと、顔の高さが同じになった。
どこかつかまる部分はないかと、すでに薄闇がおとずれている中を、探した。
白いスーツの腕らしい部分にふれた瞬間………パシンと、音を立てて振り払われた。藤吾の左腕が、背中の後ろに隠される。
「立て膝でやれ」
僕は命令にしたがった。ちょっと上半身が不安定だが、どうせわずかな時間だ。
顔をこころもち傾け、鼻に鼻で体当たりする気持ちで近づけていく。
ふれた感触は………悔しいが、うるおいだった。
好きなだけ水飲んで、節制と無関係だったら、そのくらい保てるだろうよ!
腹が立ち、すぐ離れようとした頭部は、ものすごい力で抱えこまれた。
335テュランの筏9/11:2006/12/21(木) 12:16:32 ID:eZVbIMRX0
「………っん、むっ」
暴れるが、頭を抱える腕はびくともしなかった。うるおった唇が、僕のかさかさの口を、かかえこむかのようにくわえこんだ。
そして入りこんでくる、熱くてぬめぬめした塊。
決して自分の唾液ではない粘着性が、僕の唇と、それから口内を蹂躙する。
思わず両腕が勝手に動いた。
突きとばそうとスーツの胸をめいいっぱい押したが、それは揺るぎもしない。
生き物のようにうごめく熱をおびた舌。
せまい口内でちぢこまっていた僕の舌に、からみつき、なめあげ、引きずりだそうとする。
「ん、んんんっ!」
言葉に出来ない、いやだと頭をふる事も出来ない。
さんざんになぶっていった後、やっと、舌は離れていった。
代わりに唾液をたっぷりと送りこんで。次いで、頭をとらえる腕もとかれた。
僕は息をとめ、飲み込まないで頬にためた分を、床に唾棄してやるつもりだった。
瞳には、強い憎悪がともっていたと思う。
それを感じたのか、くっと笑った藤吾は、すばやく手を伸ばして、僕の鼻をつまむ。
たちまち頭の中に、緑色のもやがかかった。
呼吸をとめていたツケもまわって、心肺停止寸前だった。
たまらず、口の中のものを飲みくだし、かわりに空気を取りいれた。
舌に触れ、喉を通ったその感想など………考えたくもない。
トランクから転がるように、僕は床に降り立った。
336テュランの筏10/11:2006/12/21(木) 12:19:25 ID:eZVbIMRX0
肩が上下に震え、息が荒かった。
僕の背中には、あざけるような視線が突き刺さっている。
泣くな、まけるな。クリフを救わなくちゃ。
その一念だけが、僕を動かすすべてだった。
さしだす品を奪いとるようにして、一度戻り、それからもう一度、藤吾の前を通りぬけ、うつぶせたままのクリフをかついだ。
両手はまだ、手錠で背にくくられている。
「手錠を」
「彼自身が、次に命令にしたがうまで、そのままだ」
それが、テュランのさだめたルール、ペナルティなのだろう。
おんぶ出来ればよかったけど、体格も体重も同じくらいで無理だった。
半分引きずる感じで、運ぶ。
クリフのタープをひろげ、横たえた。
身体はあおむけに、頭だけ横をむける。
日暮れが近づいてきていた。日没後は、急激に温度がさがる。
全身をタオルでぬぐい、金髪はわしわしとふき取り、水気をとりさった。
タオルを何度もしぼり、血行をとりもどすように、肌をこすった。
真っ白だった肌に、わずかに赤みがもどった気がする。
僕は自分の手当てに自信を持ち、何度も何度もつづけた。
337テュランの筏11/11:2006/12/21(木) 12:20:03 ID:eZVbIMRX0
「トーゴ………」
夜気を渡って、甘ったるい楊玲の声が聞こえてきた。
彼の行動は、僕に何の関連もない。
彼は欲しいものをくれる人のところへ行った、それだけだ。
怒ったように言いきかせ、僕は作業をつづけた。
頬にだいぶん赤みがさした頃、小さな茶色い瓶をとりあげる。ブランデーだ。キャップを開け、クリフの唇にあててみた。
まだ青い唇は、意思を取り戻さないのか、琥珀色の酒を吸いこもうともしなかった。
口に含みかけ、僕は途中で思いとどまった。
今夜だけは、いやだった。汚された唇で、クリフに触れたくはなかった。
さんざん苦労し、床に何度かこぼしながらも、一口分の量をそそぎこんだ。
頭を抱えて持ちあげ、喉を下ったのを確かめる。
「………んっ、う」
クリフの口から小さく声がもれ、僕は安堵した。
まだ氷のように冷たいクリフの両手を胸に抱えこみ、僕はとなりに横たわって、タープをかけた。
338風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 16:32:14 ID:UdbrPEjMO
テュランタンキターwwww
ずっと待ってたGJGJ!!
今までの中で一番よかった
339風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 16:41:27 ID:R/PXC4xMO
ついに接吻キター!
乙です!
340風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 18:28:46 ID:nyKlm8mu0
おお、ティランタン、虐待っぷりがGJです!
主人公、一皮剥けた感じだな。
341風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 19:50:53 ID:7fWLdVYZO
テュランタン、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
超待ってたよ〜!
相変わらずの藤吾の鬼畜振りに腹腸煮えくりかえりそうだよ。
は…早く…続きを…。
342風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 19:51:41 ID:c6rBphmv0
テュランたん乙!!!
藤吾まじで鬼畜だな。

>>323
自分語り乙。
日記にでも書いてればいいのに。
343風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 20:37:50 ID:bPprW+AW0
>>318に携帯ログも載せといたのでリロよろ
344風と木の名無しさん:2006/12/21(木) 22:58:35 ID:fdZyN3dOO
乙!ほんとに携帯まとめ、ありがとう!
345風と木の名無しさん:2006/12/22(金) 01:04:16 ID:KnvK3ZBZO
>>343
おおぉ有り難うございます!
346テュランの筏1/7:2006/12/22(金) 12:01:28 ID:K6qY2cSY0
八日目

目覚めたのは、昼すぎだった。午前中に何が起こったか、それは知らない。
ただ、目の前にひろがる惨状を見れば、推測はたやすかった。
乱暴に押しひろげられたタープ、足元いちめんにちらばっている空き箱、クッキーのかす。転がっているペットボトル。空っぽのブランデー、一面ただようアルコールの香り。
………そして赤ら顔で前後不覚に陥っている、クリフの姿だった。
彼のタガは、はずれてしまったのだ。
両手を背中に拘束されたまま、酒臭い息をはきだし、べろんべろんにタープにだらしなく寝そべっている。
食べちらかし方がひどいのは、彼がそのままの体勢で、口しかつかえず、それでも乱暴にむさぼったからなのだろう。
歯で封をくいちぎり、犬のように床に置いた食料をがっつく。
想像するだけで、僕は悲しくなった。
ボトルのキャップにも歯型があった。けれど、開かなかったのだろう。
かわりに、指で押すだけで、楽にふたが開くブランデーを飲んだ。
唇にくわえこみ、頭部ごと傾けて。
彼の姿を思い浮かべて、僕は胸がつぶれる気さえしたものだ。
347テュランの筏2/7:2006/12/22(金) 12:02:27 ID:K6qY2cSY0
だけど、今は酔っ払いの患者を、なんとかしなくては。
ブランデーのアルコール濃度は強い。薄めなくては、中毒をおこしてしまう。
転がっていたボトルを拾う。キャップを開けながら、クリフに近づいた。
「大丈夫? 水、飲んで」
意味不明な単語がクリフの口からもれ、うつろな表情がだらだらと横に振られた。
酒くさい。全身からアルコールがたちのぼり、目は焦点があっていなかった。
僕は強引に飲み口をクリフの唇にあてがった。
舌をしめらすていどに傾け、ゆっくりと含ませていった。クリフの喉が、鳴った。
哺乳瓶をもとめる赤ん坊のように、彼の唇は飲み口に吸いついた。
むせるといけない。僕はボトルの角度を慎重にさだめ、彼の気がすむまで、水を与えつづけた。
三本目を手に取ろうとしたとき、ふいにクリフの瞳に光がともった。
顔色はだいぶん平常に近づいてきていた。全体的に弛緩していた身体に、緊張が戻っている。
とうとつにクリフは身を起こした。
大丈夫かとたずね、手を伸ばす僕をふりはらい、海にむかって上半身を屈めた。
激しく咳きこむ音。それにまじって、ビチャビチャと熱い液体が水面を叩いた。
僕はボトルを横に置き、黙って彼の背中をさすった。
348テュランの筏3/7:2006/12/22(金) 12:03:15 ID:K6qY2cSY0
白く細く、そして誰よりも孤高なクリフの背は、今はただ苦しみに喘ぎ、罪悪感をせおっているだけの、折れてしまいそうな少年の背中にすぎなかった。

ひととおり、胃の中のものを吐きだしてしまったのだろう。
クリフの顔は青白かったが、呼吸が楽になるにしたがい、顔色ももどってきた。
だが彼は、視線をあわせようとはしなかった。背をむけつづけ、さする僕の手を拒否した。
タープに身体を横にし、頭部だけうつぶせる。一言も、口をきかなかった。
僕はクリフの様子を観察しながら、床を片づけた。固形食品は、全滅だった。
かすをかき集め、あさましい食欲に悩みながらも、それを海に掃き捨てた。
水は、床に置いたボトル一本。中身は半分ほどだ。それだけしか残っていない。
クリフは僕のタープも荒し、まとめてむさぼっていた。
これがどちらの水かなど分からなかったし、僕はそれを知ろうとも思わなかった。
身のまわりの整理をすませ、あまりにもすっきりしすぎた床を見下ろす。
気持ちに空白が生まれたからだろうか。風に乗った楊玲の喘ぎ声が、やけに大きく届いた。
さっきは、藤吾に組み伏せられた体勢だった。
今は、四つんばいになり、尻を突きあげている。
口の端からはたえまなくよだれが流れ、目は恍惚とした色をたたえていた。
藤吾は、用心深くトランクに座ったまま、楊玲を責め立てている。
349テュランの筏4/7:2006/12/22(金) 12:03:50 ID:K6qY2cSY0
テュランは、反乱分子を見つけてしまった。
彼はこれからずっと、アイデンティティーから遠ざかるまねはするまい。
クリフが言ったとおりだった。チャンスは、ほかになかった。
実行にうつしたのに、テュランは僕たちより、一枚上手だった。
国なのだ。海に浮かぶ十メートル四方の小さな国。
治めるのがたとえ暴君だとしても、国民よりはどこか秀でた部分があるわけだ。
たとえば………残虐な精神とか悪知恵とか。
僕はためいきをついた。楊玲の喘ぎ声が、耳について離れない。
彼のように支配下におさまってしまえば、楽なのだろうか。
少なくとも、毎日は保証される。命令も、快楽だと思ってしたがえば、それほど辛くはないのかもしれない。
『………君は意思が弱そうだから………』
いつか薄笑いとともに、僕を苛んだ藤吾のセリフがよみがえってくる。
僕はぶんぶんと頭を振って、弱い心を追いはらった。

日が沈むころ、クリフは頭を振りながら起きあがった。
口からは不鮮明な呻き声がもれている。
僕はボトルを手に、そばへ寄った。
350テュランの筏5/7:2006/12/22(金) 12:04:35 ID:K6qY2cSY0
「水、飲んでおいたほうがいいよ」
アルコールが抜けた焦燥感、吐いたときに口内の水分を失い、クリフは渇いているはずだった。
クリフの唇はかたく結ばれていた。
長すぎる間をおいてから、彼はゆっくりうなづいた。
僕は立ちあがり、ボトルの飲み口をあて、そろそろと傾ける。
クリフが首を振り、もういいと意思を示してから、たっぷり二秒置き、僕はあてがうのをやめた。
ボトルの底は、もう小指ほどの水しか残っていなかった。
唇をぬぐおうとしたのか、クリフの背中で手錠が鳴り、
忌々しそうな舌打ちの後、ピンク色の舌が這った。
「手錠は、その………君が次にしたがうまで、そのままだって」
これは僕にもどうにもできない。
ただ、伝えておかなければならなかった。
クリフは反応をみせない。
「ほかに、何か出来る事、ある?」
あまりにも不自由な状態だった。
水も一人では飲めず、痒いところもかけない。
心からの心配をみせたつもりだったが、クリフは顔をそらせただけだった。
351テュランの筏6/7:2006/12/22(金) 12:06:25 ID:K6qY2cSY0
「じゃ、何かあったら言って」
僕はタープにくるまった。
まだ夜まで間があるが、眠る以外にする事はない。
起きていれば飢えと渇きにさいなまれる。クリフを困惑させる。
早く睡魔がきてくれるよう願いながら、僕は目を閉じる。
「………俺を、罵れよ」
「誰も、そんな事はしない………仕方なかったんだ」
タープの生地を通るか、通らないかの小さな音声で、ささやきが交わされた。
「確かめればよかった。鍵穴がない事なんて、ちょっと見ればすぐに………」
「仕方なかった。誰も、悪くないんだ。
客船が沈没した。海に落ちたとき、コンタクトを失った。
誰のせいでもない。
救いあげられたいかだは、暴君に支配されていた………運が悪かった。
仕方ない事だったんだ」
僕はクリフを説得し、自分にも言い聞かせるように、仕方ないを繰り返した。
………だけど、ほんとうにそうだったんだろうか?
その疑問はいつまでも、僕の胸に残った。
352テュランの筏〜海市7/7:2006/12/22(金) 12:11:28 ID:K6qY2cSY0
*  *  *
「先週の土曜から昨日までの事件の顛末を説明します。
私、矢野島とそれから当学園の男子生徒三人が、裏山にある防空壕跡地に、土砂崩れにより閉じ込められました。
昨日、救出が来るまでの間です。
私は生徒らに教育を施しました。性的な。
身体でのつながりは当然、心………も意のものにしました。
私、矢野島は本日を持って教師を辞職させていただきます」
朝の職員会議、昨日まで同僚であった教師らの、ぽかんとした顔は今でも忘れられない。

藤吾は、教職時代の夢からさめた。
背広の内側をあさり、サプリメント―――カフェインの錠剤―――を数錠飲みこんだ。
脳の芯がぼっとしている。
浅い眠りで一週間以上すごしたツケがきていた。
忌々しく舌打ちする。
すぐ横で寝息が聞こえる。赤毛の楊玲。
いかだ端の少年二人は海を見ている。
彼らはまだ教育過程。目を離すわけにはいかなかった。
水を一口あおる。胃で溶けたカフェインが意識を明瞭にした。
*  *  *
353風と木の名無しさん:2006/12/22(金) 13:01:55 ID:5ZKFzdQ6O
新展開キタコレw
テュランタンGJGJ!!
354風と木の名無しさん:2006/12/22(金) 14:34:00 ID:s4n3FH7u0
心が折れてしまったクリフたんのみじめさに激萌え!
こういう展開を期待してたんだー!GJ!!!!
355風と木の名無しさん:2006/12/22(金) 17:30:31 ID:Wmzj2hwoO
うきょー!(゜∀゜)
藤吾の過去ktkr!


こうなると藤吾がここまで用意周到な事情ら辺が気になってくる。
続き超期待!
356風と木の名無しさん:2006/12/22(金) 21:54:45 ID:p+qE7UEe0
藤吾!
てめぇ筋金入りのヘンタイ虐待野郎!
続きを早く…!
357風と木の名無しさん:2006/12/22(金) 23:38:48 ID:gMQw7TEs0
テュランタソGJGJ!
久々通っちゃうよこのスレ!
358テュランの筏1/14:2006/12/23(土) 12:01:30 ID:SX9+qyqW0
九日目

日が昇った。藤吾の前に、僕たち三人は顔を並べ、テュランの命令を待っていた。
藤吾政権が確立したわけじゃない。
クリフは、どうしても手錠を外してもらう必要があった。
寝返りもろくにうてず、何もかも僕の手を借りなければならない状態は、いちじるしく彼の誇りを傷つけただろうから。
支配勢力が強まるのを見守る王めいた笑みで、藤吾は口を開いた。
「今日は口淫をしてもらおう。イクまで、やらせる」
日本語万能な僕を含めて、全員がポカンとしていた。
藤吾は不機嫌さを隠さず僕らを見渡し、トランクに腰かけたままの足を広げた。
汚れる事を知らない白いスラックスの、股間を指さし、短く言う。
「しゃぶれ」
尻尾をふらんばかりに身体中で感情を表現し、さっそく顔をうずめたのは楊玲だ。
………つまり、ペニスを口で刺激しろ、って事か。
単語の意味を知ったが、僕は何の感情もわかなかった。
異様な生活の日々で、心がマヒしていたのかもしれない。
と、隣でクリフが青い瞳をきらめかせた。
唇が挑戦的につりあがり、好戦的なオーラが、身体中からたちのぼっている。
359テュランの筏2/14:2006/12/23(土) 12:02:58 ID:SX9+qyqW0
「いいのか、日本人のおっさん。そんな大事な部分を、俺にさらしてしまって。
もちろん、もうペナルティはごめんだ。
けど、ついつい力が入りすぎてしまうのは………防げない事故、だよな」
クリフは挑発した。藤吾が眉をひそめた。
いかにも彼らしかった。どうしても命令を受けなければならない今日。
誇りを折ってまで、屈辱的な行為にあまんじるのだ。
せめて、溜飲を下してやりたいと、そう思うのは当然。
藤吾はクリフの脅しで、一瞬だけど急所をさらす恐怖を感じた。
実際、一昨日のペナルティも重く、クリフはそうそう政権転覆はくわだてないだろう。
ただ藤吾を怯えさせる為、自分の矜持を少しでも守る為、クリフはこうして火種を含んだ言葉を投げかけている。
楊玲がみだらな水音を立てて、口内いっぱいにほおばる響きを聞きながら、わずかばかりの沈黙がおりた。
藤吾がいやな光を目に浮べ、口を開いた。
「どうせ二人いっぺんには無理だ。
そこの智士君のを、しゃぶりたまえ。クリフ君」
瞳孔が最大限に開くまでの、間。
「な、っ………俺は、楊玲が終るまで待って、それからでも、っ」
「智士君をイカせるんだ」
命令はくだされた。
360テュランの筏3/14:2006/12/23(土) 12:24:43 ID:SX9+qyqW0
僕は考えた。寝起きの頭を働かせて、一生けんめいに考えた。
………どうすれば、クリフの心の負担を少なくしてあげられる?
………ここは国だ。暴君が支配する独裁国だ。命令は強制だ。誰もさからえない。
………仕方なしに、いやいやながらもしたがうのならば、暴君を憎む分、心は痛まない。
「い、いやだっ」
全員に行き渡る大声で、僕は宣告し、逃げるそぶりを見せた。
くっ、と笑った藤吾は、何をするかと思えばネクタイをスルリと抜き、それを楊玲の首に巻いた。
しゃぶる行為に熱中する楊玲は、喉にふれる絹の素材など、まったく気付かず、一心不乱にほおばりつづけていた。
「逃げるな。こっちに来るんだ」
ネクタイの一端が、ひっぱりあげられる。
それでも楊玲は目をトロンとさせ、口から、鼻から、熱い息を吐きだしている。
僕は間を置いてから、しぶしぶと言った表情を作り、歩みよる。
「座れ」
言われたとおりにした僕は、それでも抵抗に正座をした。
「手間をかけさせるな」
ネクタイを引く手に力がこもる。

藤吾はトランクから離れても、十分テュランでいられるだろう。
彼は脅す手段をいくらでも持っている。
361テュランの筏4/14:2006/12/23(土) 12:25:25 ID:SX9+qyqW0
クーデターの時だって、十分僕たちの生命をタテに出来たのだ。
なのに彼は、もっとも残酷な方法で、僕たちの心をうちくだいた。
哀れで、何も持たない、寄り集るしか出来ない国民をいたぶる。
その手段を星の数ほど、手中にかかえて。

………迷った挙句、僕はあぐらの形をとった。
藤吾はネクタイを持つ手をゆるめない。
クリフに見せつけるように高く持ちあげた。
舌を這わせていた楊玲が、熱い吐息の途中で、疑問符いっぱいの呻き声を発する。
それがきっかけになったのだろう。クリフはゆらりと動いた。
僕は藤吾に肩を強くおさえられ、身動きならなかった。
顎のすぐ下で、淡い金髪がふわふわとうごめいている。
かがみ込んだクリフは、横の楊玲をちら、と見てから頭部を下げた。
生唾を飲みこむ音が聞こえるほど、場は静まり返っていた。

開幕を告げる音は、なにもなかった。あっさりとクリフの唇は僕のペニスに触れる。
「………っ、っつ!」
背筋に電流がはしり、僕は声を殺す事も、身を震わせるのも止められなかった。
竿の部分を、ひからび表面が少しささくれているクリフの口唇が這っていく。
362テュランの筏5/14:2006/12/23(土) 12:26:25 ID:SX9+qyqW0
今までに一度も感じた事のない、刺激だった。
指でもなく手の平でもなく、あの忌まわしい革でもない、熱をもって独自にうごめく生き物のようだった。
「口内にふくめろ」
短く藤吾の指示がとぶと、クリフは言われたとおりにした。
ふわ、と熱い息が先端にかかったかと思うと、たちまちそれ以上の熱さで包みこまれる。
「ん、んんっ!」
言葉になんて、ならなかった。ピンクの唇が囲んでふれる部分。
口の中で熱い吐息を受ける位置、そして口内でうごめく舌に触れる先端。
なんとも柔らかく、僕をとろかすように包んでいるのだ。
ビクンビクンと、背が二度つづけて跳ねた。
僕の突然の動きに、クリフは含んだまま、頭部の動きを強制された。
ととのった眉がひそめられ、空色の瞳が、苦しげに閉じられる。
………あっ、あ、だめだ。だめだっ、大きくなるなっ。
自分の分身に命令しても、当然ムダだった。
僕の意に反して、ペニスはむくむくと盛り上がりはじめた。
頬の中が張り、唇を押しひらく感覚に、クリフは大きく見開いた。
小さな口で、なんとかほおばりつづけようと、懸命になっている。
息苦しいのか、ふう、っと熱い空気の奔流が囲む内側をなでていく。
363テュランの筏6/14:2006/12/23(土) 12:27:31 ID:SX9+qyqW0
「ん、ううっ」
やわらかく表皮をくすぐる息。僕はもう下半身に流れこんでいく血流を止められなかった。
隣で楊玲はピチャピチャと、ねばりつく水音を立てている。
対してクリフは声も粘りも殺し、息に転化している。
熱く、細く、まるで繊細な管楽器をとりあつかうように。
舌がおそるおそるふれ、歯が壊れものを扱うようになでていく。
吐息と絡まりあった刺激に、僕の身体には電流が流れっぱなしだった。
電気のしびれが、頭を満たして、一色に染めあげていく。白。真っ白だ。
視覚を失った僕は、かわりに聴覚がとぎすまされた。
ピチャ、ピチュと水っぽい楊玲の舌の動き。
ん、ふぅっ、と熱いクリフの吐息。
身体中をかけめぐる、快感のしびれ。
震えてとまらず、とうとつに水音も、吐息もかき消えた。
はじけるっ―――。
「だ、だめっ、クリフ………出っ………」
しぼりだす声に反応して、藤吾は僕の肩を押した。残酷に冷酷に、前方へと。
はちきれんばかりの僕のペニスは、いちだんとクリフの口奥を蹂躙した。
ピンクの唇を強引にすべり入る、その刺激は、最後の殻を破りさった。
感度が最大になっていた先端が、柔らかな最奥に当たる感覚とともに………僕はすべてをときはなった。
364テュランの筏7/14:2006/12/23(土) 12:28:01 ID:SX9+qyqW0
「ん………ぐ、うっ!?」
えづきかけて、顔をゆがめていたクリフは、口内から喉にかけてほとばしる熱いものに、気管をふさがれ言葉にならない声をあげる。
僕がどうすればいいか分からず、うろたえている間に、藤吾の腕は僕を突き倒した。
温かく柔らかに包まれていたペニスは、白い糸と透明な唾液を引きながら、僕の身体と一緒に、床に倒れこんだ。
藤吾は僕に一べつもくれず、そのままクリフの鼻をつまむ。
「飲め」
命令はくだされ、クリフは頬のあたりに皺をつくりながらも、喉をうごかした。
肩がビクンと震え、僕はハラハラしながら見守ったが、まもなく嚥下する音がやみ、クリフは小さく息を吐き出した。
スッと鼻から手が離れていき、そのまま藤吾は僕を見た。
ペニスがいつもの状態へ戻るまでの間、なにもせず、ぼうぜんとしていただけの僕。
自分自身がとっても悔しくて、なじりたくて、たまらないのに。
追いうちをかけるように、藤吾は笑った。蔑みの表情で。
「意思が弱いと、いい事もある………快楽に、身体がはやく慣れる。
しかし、早漏と言われもする………諸刃のつるぎだな」
僕にそうつぶやいた藤吾は、だいぶんたってから、僕の感覚だと数分から十分というところで、ようやくほとばしる白濁を楊玲の顔に飾った。
その時、藤吾はただわずかに顔をしかめただけだった。
楊玲は力つきはてたと言わんばかりに、床に横たわり、荒い息を吐いている。
顎がつかれて動かないのか、口はあいたまま、端に唾液の白い跡を残している。
365テュランの筏8/14:2006/12/23(土) 12:32:05 ID:SX9+qyqW0
僕はそんな風景を見ても、何も感じるところはなかった。
こんなのは、もう日常の事なのだ。それよりも、藤吾が僕につぶやいたセリフ。
それはトゲのように僕の心に食いこみ、思考する時に疼くようになるのだ………

楊玲が起き上がれるようになってから、報酬は手渡されていた。水と、ブロック型食料。
ふと疑問に思うのは、一体どのくらいトランクに詰まっているんだろうか、って事。
さりげなくのぞきこもうとしたが、藤吾のガードは固かった。
………たしか、楊玲が一度見せてもらっていたっけ。
ぼんやり回想していると、手錠を外す金属音の後、乱暴な舌打ちが起こった。クリフだ。
僕は思い出す。そうだ、僕も命令にしたがわなくてはならない。水も食料も、もうない。
それにクリフがあまんじた屈辱を、僕も、国民全員が行う事で、ちょっとでも彼の誇りが守られるならば、僕は喜んでしたがうつもりだった。
「あの、僕も、やります。口淫………」
藤吾のもとへ進み出ようとする僕を、強い力でとどめたのはクリフだった。
僕の胸に、手に入れたばかりのボトルと食料をおしつける。
そして、肩をつかみつづけ、僕が前進するのをはばんでいる。
「これ、クリフのだろ。僕は自分で手に入れるよ」
押し戻して、クリフに返そうとするが、それもはばまれた。
「智士が、する必要はない」
彼の意思が強固で、絶対にひるがえらないと示す、あの頑迷な口調だった。
366テュランの筏9/14:2006/12/23(土) 12:33:02 ID:SX9+qyqW0
返す言葉をさがしたが、十日近いつきあいの中で、どんなに最適なセリフが見つかったとしても、彼の態度が変らないのは分かっていた。
それでもしばらく頑張ってみたが、結局はクリフとともに、いつもの端へ戻ってきた。
ほかには何一つ言葉をかわさず、互いのタープにもぐりこみ、やがて日が暮れた。
クリフから渡されたものは、手をつけなかった………つけられなかった。
胃袋は空っぽで、ねじれそうなほどに痛んだ。喉は赤くヒリヒリして、炎症をおこす寸前だった。
前日残った分を全部あおり、それでも足りなかったが、がまんした。
僕は空腹とも渇きとも別れられる、眠りを待った。
………意識がおちこんでから、どのくらいすぎただろうか。僕は揺り起こされた。
クリフが夜空に焦点をあわせながら、生真面目な顔をしている。
「悪い、起こして。この前頼んだ事、やってくれているか?」
「………ごめん、やってない。星座を観察すればいいんだよね」
「ああ、俺は全然、星がまたたいているのかも見えないから」
僕はタープから出た。冷ややかな夜気が、裸の表皮を震わせる。
歯をがちがち鳴らしながら、一面の星空を見上げる。
いかだの端で、ピッと機械的な音が響く。
一日の終わりを示す、藤吾の腕時計の時報なのだろう。
暴君の支配するいかだでの生活は、十日目に入った。
367テュランの筏〜海市10/14:2006/12/23(土) 12:34:11 ID:SX9+qyqW0
*  *  *
泥の混じった唾を吐き、藤吾は意識を取り戻した。
うすぐらい。あたりには湿気に満ちた土の匂いがする。
手首を後ろに縛るロープ、首を拘束するものも同じだ。黄色と黒。工事用の縄だ。
身じろぎすると、喉を締め付けられる感覚と、両脚の痛みが同時に生じた。
記憶がつながる。校舎裏の防空壕跡。たまり場にしている生徒がいる。
金曜日の夕方、見回りてがら足を運び………土砂崩れにまきこまれた。
崩れた木材に挟み込まれたのだろう。
外観から曲がった部分は見えないが、スラックスの汚れからすり傷、打ち身、痣は確定だ。
しびれる足首の状態から、ねんざまで覚悟しなければならないかもしれない。
痛みに顔をしかめた時、声がかかった。
「おはよう、おっさん」
顔を上げる。光源が顔を照らした。キャンプなどで使うランプが、机の上で燃えている。
特殊教室の机、本棚などが持ち込まれ、防空壕の土穴は、見事に秘密基地と化していた。
机に腰掛ける黒髪の少年は、にやにやと笑い、手にしたボトルを飲み干した。
黒い液体、はじける泡………赤地に白文字のラベルで有名な炭酸飲料だった。
舌なめずりをする少年に、思わず藤吾は喉が鳴るのを抑えられなかった。
口の中には、まだ砂の残滓が残っていた。
ねんざが熱をもったのか、意識がぼうっとし、舌は腫れ上がっていた。もちろん渇きに。
小さな呻き声がもれた。藤吾自身は質問事項を口にしたつもりであったが、唇がこわばって言葉にならなかった。
「土砂崩れが起こってから五時間だ。おっさん、喉渇いただろ?」
368テュランの筏〜海市11/14:2006/12/23(土) 12:35:17 ID:SX9+qyqW0
にやつく笑みを崩さず、黒髪の少年はつづけた。
その声に、一人同じ制服の生徒が立ち上がる。
髪を一つに短くしばり、細い目が表情をもたずに藤吾をながめている。
「一本、やるぜ。だけど、おっさんの服と交換だ」
未開封のを手に取り、シャカシャカと振る黒髪の少年は、感極まった様子で吹き出した。
「なんてな、じつはもう、おっさんの上着貰っちまってるが」
言われて藤吾は気付いた。自分の上半身が露出し、土の匂いの中で白く浮き出ている事に。
戸惑い、声も出ない藤吾のところへ、黒髪の少年はボトルをふりふり近づいて来た。
「じゃ、これ。上着の分、な」
縛られ抵抗出来ない藤吾の唇に、飲み口があてられる。
キャップを外すと同時に、口唇を割って、強引に入ってきた。
「んっ、んぐ!?」
二酸化炭素の奔流が口内ではじける。
勢いついた水流が喉の奥につきあたり、泡がちくちくと粘膜を刺した。
藤吾は飲み口が離れると同時に、それらすべてを吐き戻してしまった。
飲み込む準備が出来てなかったせいもあるが、大きな理由は刺激物全般がだめな為だった。
幼い頃喘息を患ってから、ずっと喉頭は弱いままだった。
普段の食生活も辛いものなど避ける必要があった。
「き、っ………きたねーなぁ」
間一髪で吹き戻しを避けたものの、足元の水たまりと、飛沫が掛かった己の胸を見下ろし、黒髪の少年は悪態ついた。
「このやろ、せっかく貴重な水分を。あーあ、三分の一も残ってないぜ、飲まないのか?」
厚意ではなく、むしろ嫌がらせか、復讐をたくらむ顔で、少年は藤吾にボトルを突き出す。
369テュランの筏〜海市12/14:2006/12/23(土) 12:36:17 ID:SX9+qyqW0
「………飲、めっ………炭酸………」
首を横に振り、あえぎあえぎながら藤吾は単語を伝える。
舌の裏でじゃりじゃりと砂が動く。唾液は出ず、呼吸するだけで、喉に痛みが走った。
何度か繰り返し、少年は悟ったのだろう。
「何だ炭酸ダメなんだ。おーい、ヨウ。他に飲み物あるか?」
「ない」
ヨウと呼ばれた細目の少年は、ぶっきらぼうにそれだけ答えた。
「だってよ、おっさん。ここにはヨウが自宅からかっぱらってきた、コiーラ二ダースしかないんだよ。どーすんだ?」
肩をすくめる少年に、藤吾は答える言葉もなければ、発するすべもなかった。
どうする、と問われてはじめて藤吾の背に戦慄がはしった。
土砂崩れ。防空壕の出入り口。一箇所しかない。
斜面全体で地くずれが起きたのか、ものすごい泥土の量だった。
唯一光のさす穴が、みるみる塞がれていったのが最後の記憶。
めったに人も通らない裏山で、そして明日の土曜から、祝日の月曜日が終わるまで、誰も通りかかるはずもない………
「なっ………、こ、んな………」
声を絞り出すが、自分でも何を発音しているのか、分からない惨状を呈していた。
ヨウと黒髪の少年は、顔を見合わせて肩をすくめた。
喉をからして藤吾はぜいぜいと喘ぎ、拘束を解こうと身をよじった。
縄の首は上部を這うパイプにつながれているのか、カラカラと乾いた音を立てる。
後ろ手と、それから正座のまま縛られた足首は、もがいても緩むようすを見せなかった。
370テュランの筏〜海市13/14:2006/12/23(土) 12:37:11 ID:SX9+qyqW0
「ほどっ、い………外は………」
荒い息を吐き、白い肩が上下する。
熱をもった息が肌にまとわり、つやつやと白さを輝かせた。うすくらい土中でさえも。
ゴクリ、と生唾を飲む音が響いた。
「順番変っちまうけど、まー、仕方ないよな」
黒髪の少年は耳の後ろをかきながら、視線を流している。
その手は、制服のズボンの、たぎりかけた股間のファスナーにかかっていた。
「だって、飲むものないじゃん? おっさん。他に」
藤吾は目をみはった。鼻の先に突き出された少年のペニスは、迷うことなく藤吾の唇に割り入ろうとしている。
信じられなかった。直接ではないにしろ、同じ学び舎ですごす同士。
教える側と教えられる側という圧倒的な位置差もあるというのに。
その段差があっさり埋められ、そしてそこを越えて及ぼうとするのが性的な、それも同性同士のものだとは。
そこまで至った思考の結論、愕然よりは、むしろ目の前に現れた青臭い物体に、嫌悪を示して顔をそらせる生理的反応の方が早かった。
声はその後に、ようやくついてきた。ひび割れて。
「………い、っ………!」
ペニスの前進がやんだのは、藤吾の拒否のせいではなかった。
黒髪の少年の肩をつかんだ、ヨウ少年の行動による。
「お前のイカ臭い後は、ごめん被る」
ヨウは短く言い、黒髪の少年を押しのけ、藤吾の前へ出た。
罵り言葉をいくつかわめいていた黒髪は、チェッと呟きファスナーをあげた。
屈みこみ、藤吾と目の高さを同じにするヨウ。
細い目の奥に好色な光がともり、藤吾は怯えるべきか、教師としての叱咤を顔に出すべきか、一瞬迷った。
その隙に、おとがいを持ち上げられ、こころもち傾いたヨウの唇と舌が、藤吾のそれを割って入っていた。
371テュランの筏〜海市14/14:2006/12/23(土) 12:38:07 ID:SX9+qyqW0
見開き、反射的に身を引こうと思いつくも、首にかかったロープに阻まれ、
またそれを見越したように、ヨウは頭部を前へやり、唇と舌をさらに深く押しつけてくる。
渇いてひび割れた藤吾の唇の表面をなでつけ、腫れあがった舌に、熱くねっとりするものを絡め………最後にクチュクチュと音を立てて多量の唾液が送り込まれた。
「………む、んっ………」
吐き出そうにもおとがいをつかんだ手は、容赦なく藤吾の頭部を上向けにしていた。
重力にしたがい喉を流れようとする熱い液体を防ごうと、藤吾は舌を喉頭の手前で丸めた。
けれども恐ろしいことに、乾ききった細胞と、口内に残った砂は、じわじわとその水分を吸収し、拡散していった。
甘ったるい味が広がるのを、藤吾は鳥肌とともに感じ取った。
舌を元に戻すと、喉がグビと鳴った。
水分が足りないと訴える、身体の反応だった。
ヨウはそれを見、満足そうに藤吾の顎から手を離し、元の場所へ戻っていった。
「ヨウ、もういいのかよ?」
「また、後で楽しませてもらう」
黒髪の少年があっけにとられた感の問いに、ヨウは手を頭の後ろで組み、そう答える。
藤吾がその言葉の意味に背筋を総毛立たせ、問い詰めを発する前に、
黒髪の少年はたぎりかけたペニスを、口唇を割って侵入させていた。
*  *  *
372風と木の名無しさん:2006/12/23(土) 13:49:13 ID:bjy5VrHdO
藤吾の過去キター! テュランたんgjgj
萌えました(゚∀゚*)
373風と木の名無しさん:2006/12/23(土) 15:24:00 ID:fS/KdLjo0
藤吾、江戸の仇を長崎で討っていたのか?
にしても、どうも過去に遡って天罰食らってるようにしか思えん!
ぐわー続きが気になる。
374風と木の名無しさん:2006/12/23(土) 19:36:09 ID:84yVqLbQO
>過去に遡って天罰食らってる
言い得て妙だ
話のためのキャラクターとは分かってるが
3人が不憫だと思ってしまう罠
GJですテュランたん
375風と木の名無しさん:2006/12/24(日) 11:12:04 ID:bBvd+M6QO
ぬぉぉぁぁ!(゜Д゜)
予想外の展開キタコレ!

藤吾の過去も気になるけど、この後の筏のはどうなるんや〜!
続き超期待!
376風と木の名無しさん:2006/12/24(日) 12:24:53 ID:iN/jX46n0
そ、そうだったのかートーゴ!
予想外ktkr
377風と木の名無しさん:2006/12/24(日) 12:42:36 ID:PAG0t5MlO
「白スーツの足を広げ〜」の下りでグッときた。
藤吾カッコヨス
378柿手:2006/12/25(月) 00:01:03 ID:dryXLowT0
>>309
いつからそこにいたのだろう。
カワホリと共にあの日の男が、開いた扉の前で悠然と佇んでいた。
平太は飛び上がらんばかりの勢いで立ち上がると、彼の元へと駆け寄った。
「ありがとうございます、清一郎を治してくださって、本当にありがとうございます」
彼の前で腰を折り、平太は深々と何度も頭を下げた。
「すみません、俺、あなたがお医者様だったなんてちっとも知らなくて。
 清一郎のことずっと治療してくださっていたのに、人攫いかと疑ってしまって」
ここ数ヶ月の自分の言動を思い出すと、平太は恥ずかしくてたまらなかった。
死に瀕していた清一郎をここまで回復させるのには、並大抵の治療ではなかったはずだ。
なのに、平太の願いを聞き届け、善意で無償の看病をしてくれた人を、
自分はただ西洋人だという謂われ無い理由で、かどわかしだと決め付けていたのだ。
何度謝罪しても足らない罪だ。
平太は己の未熟さが恨めしかった。
「我が医者?」
己を恥じて顔を上げられない平太の頭上から、含み笑いを滲ませた声がかかった。
「セイイチロウが、そう言ったのか?」
「はい、とびきりの名医でいらっしゃるとか。手厚い看護をしていただいたと聞きました」
「我がか?」
「よく効くお薬も飲ませていただいたそうで、大変感謝していると」
「さて、なんのことやら。薬など飲ませた覚えはないが」
傍らに立つカワホリが、苦笑交じりに応じた。
「きっと、マスターが毎晩セイイチロウさまに飲ませていらっしゃる、
 白い濁り液のことございましょう。この国では良い薬ほど苦いと言うようですし」
カワホリの言葉に、男は低く笑った。
「なるほどあれのことか。だが、セイイチロウがあれを飲まされるのを
 感謝していたとはついぞ知らなかった。いつも嫌だ嫌だと抵抗してばかりで」
「清一郎がですか?」
平太は驚いた。
清一郎はこれまでどんな苦い薬だとて飲むのを嫌がったことなどなかったのに。
半信半疑で振り返ると、清一郎は決まり悪げに目を伏せている。
いったいどうしたと言うのだろう。平太は清一郎の態度が理解できなかった。
379柿手:2006/12/25(月) 00:01:37 ID:dryXLowT0
カワホリに促されて、平太は先ほど座っていた席に戻った。
平太の隣の席に腰掛けたままの清一郎は、男へ挨拶をするでもなく、
不愉快そうに顔をしかめ、彼らと視線を合わそうともしない。
礼儀を重んじる普段の清一郎からは考えられない態度だった。
男はそんな清一郎の非礼を怒るでもなく、平太の正面の長椅子に座した。
西洋人のほりの深い顔を真正面からみると、彫像めいていてなんだか怖い。
初めてあった時と同じく、仕立ての良い服に身を包み、手にはステッキを持っている。
同じ西洋人でも、やはり進駐軍の輩とはまるで印象が違う。
「あの、マスターさんは……」
何処からいらしたんですか、そう続けようとした平太の言葉を、男はぴしゃりと遮った。
「おまえにマスターと呼ばれる謂れはない」
「ですが、カワホリさんはそう呼んで」
「マスターとは主を意味する言葉だ。我の支配下に堕ち、我に全てを奪われ、
 我に絶対服従すべき身となった者だけが、そう呼ぶことができる」
 男は、紫に光る目を眇めてセイイチロウをみやった。
「――そうだな、セイイチロウ?」
清一郎は傍らの平太をちらりと見やった後、悔しげに唇を噛むと、
男の方に向き直り、消え入るような声で呟いた。
「はい、マスター」
清一郎の返答に、平太は耳を疑った。
先ほどの男の説明が事実ならば、どうして清一郎は彼のことをマスターと呼ぶのだろう。
戸惑いの視線を清一郎に向けるが、清一郎は黙して答えない。
(きっと医者と患者の関係だからだ。患者は医者の言葉に逆らえないものだし)
平太は無理矢理にそう納得させようとしたが、どうにも落ち着かなかった。
得体の知れない不安がこみ上げてくる。
何か変だ。
鈍感な平太もここに来てようやく、この屋敷に漂う異質な空気を感じ取り始めていた。
所在無げに目の前の男と、隣に座る清一郎を交互に見比べていると、
徐に男が平太に向かって口を開いた。
「ところで、先ほど、我に何を告げると?」
「それは……あの」
平太は言いよどんだ。
380柿手:2006/12/25(月) 00:02:23 ID:q+MozTVX0
清一郎が患っている病のことを相談すべきかどうか。
男の放つ圧倒的な威圧感と、上流階級の者特有の堂々たる威厳を目の当たりにすると、
だが、とてもではないが、あんな病のことを言い出す気にはなれない。
どうしよう。
脂汗がじとりと滲む。
告げるべきか、告げざるべきか。
傍らの清一郎をそっと盗み見ると、背筋を凛と伸ばし、
一部の隙もない美しい姿勢で、ソファに湛然と腰掛けている。
先ほど、座るだけで痛みに呻いていた様子など微塵も感じさせない所作だ。
おそらく、男やカワホリに症状を悟らせないように必死で無理をしているのだろう。
(背を伸ばせばそれだけ尻に力がこもる。痔には最悪の姿勢なのに)
そんな平太の懸念どおり、よくよく清一郎を見れば、
心なしか顔は青ざめ、膝の上の手は小刻みに震えている。
(やはり放ってはおけない)
あれだけ痛みを訴えていたのだ。
これ以上やせ我慢を続けさせるのは、清一郎のためにならない。
平太は意を決した。
「あの……清一郎は痔を患っているんです」
「平太!」
遮るように清一郎が叫んだが、平太は構わず続けた。
「とても痛がっていて、かなり酷いみたいなんです。
 あの……もしよければ診てやってもらえないでしょうか」
果たして「痔」という日本語を目の前の男が理解してくれるか、
口にした後に不安になった平太だったが、幸いその心配は杞憂に終わった。
「よかろう」
男はあっさりと頷くと、楽しげに清一郎に視線を移した。
「セイイチロウ、そんな大事なことを我に黙っていては駄目だろう」
「そうですよ、セイイチロウさま。マスターには何もかも包み隠さずお話ししないと」
二人の口調は別段咎める様子も気分を悪くしたふうも無い。平太はほっとした。
「さあ、ちゃんと診てもらえよ」
清一郎の腕をとって、有無を言わせぬ調子で促す。
恥ずかしがらずに医師に診てもらうのが清一郎にとって最善だと思ったからだ。
381柿手:2006/12/25(月) 00:02:54 ID:dryXLowT0
「ここへ来て脱げ」
男は短く命じた。
清一郎は黙って立ち上がり、男の前まで歩んで行く。
そのまま平太に背を向けたまま、清一郎は静かにベルトを外し、
次いでズボンを脱ぎ捨てた。
「おやおや、今日はまた随分と素直なことだ」
男は背もたれに寄りかかり、満足そうに微笑んだ。
「おそらくご友人がいらしているからでしょう。ご友人の前で、
 いつものように頑是無い我侭を言うのは恥ずかしいのでしょう」
そう相槌を打ったカワホリに、男は何ごとかを耳打ちをした。
カワホリは一礼して部屋を出ていく。何か用を言いつけられたらしい。
カワホリが消えると、男は再び清一郎に向き直った。
「背を向けて、下着も取れ」
清一郎は、くるりと振り返った。
男と向かい側の椅子に腰掛けている平太とは、丁度向き合う形になる。
平太と視線が合うと、清一郎は気恥ずかしげに視線をそらした。
今日、何度目だろう、こうして視線を外されるのは。
平太は清一郎の態度がどうにも解せなかった。
ずっと一緒に暮らしてきた仲だ。
裸ぐらいお互いに毎日のように見てきた。
今更、何をそんなに恥ずかしがる必要があるというのだろう。
平太のその疑問は、だが、すぐに解けた。
清一郎は僅かに躊躇した後、穿いていた西洋パンツも床に落とした。
露になった清一郎の股座に平太は釘付けになった。
(毛が……ない)
まるで子供の体のように、清一郎の下半身には一本の体毛も無かった。
綺麗に全ての陰毛を剃りとられた肌は、妙に艶かしく劣情を誘う。
平太は慌てて視線をそらした。
(きっとこれも西洋の習慣なんだ)
そう思い込もうとしても、動悸が激しくなるのを止められない。
そんな平太の動揺を知ってか知らずか、男が無機質な声で平太に命じた。
「ランプを持ってここへ来い、そして我の前に患部を照らしてみせよ」<続>
382風と木の名無しさん:2006/12/25(月) 00:51:48 ID:iVI4kn8/0
柿手さん乙!
何も知らない平太の前で羞恥プレイ イイヨーイイヨー
383風と木の名無しさん:2006/12/25(月) 01:41:08 ID:utIaYMP50
何も知らないウブな平太が可愛すぎる
384風と木の名無しさん:2006/12/25(月) 23:07:09 ID:pEZgS1lEO
柿手さんすごく好みwwこの後平太の前でご披露するのだろうか…
385風と木の名無しさん:2006/12/26(火) 03:17:16 ID:x8lXIEqK0
平太にモエモエ〜〜
386風と木の名無しさん:2006/12/26(火) 23:55:41 ID:GnsmPhpsO
平太可愛いすぎ!!!
387風と木の名無しさん:2006/12/27(水) 05:30:29 ID:78JEzUvN0
平太uzeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!
オマイの所為で清一郎が次から次へと羞恥プレイでカワイソス

恐るべし天然ボケ
388風と木の名無しさん:2006/12/27(水) 08:50:31 ID:wlhl3JzvO
純粋も素敵だ!!
389風と木の名無しさん:2006/12/28(木) 12:25:02 ID:K1xO2TcKO
柿手タンまだかなぁ〜
390風と木の名無しさん:2006/12/28(木) 14:30:25 ID:bgPr5/48O
プランたんも。続き待ってるよ〜
391風と木の名無しさん:2006/12/28(木) 17:12:39 ID:hUDI01gO0
焼鏝タンも待ってるよ
続き読みたいと思ってたから続編書いてくれて嬉しかった
392トウワ:2006/12/31(日) 00:21:00 ID:Nd97VQBzO
受けとかやったことねぇーよっっっ!やめてくれ!!
必死になって暴れたら、俺の孔に突っ込んだ長い人差し指を、酔っ払いがグルッと回した。
「んあっ!」
俺だっていつもしてることだから、このあと、中指がプラスされるのがわかる。
それから、薬指が入ってきて、どーせ3本の指はバラバラにうごくんだろっ!?
そしたら、ほぐれた孔にちんこが頭を突っ込んで、俺は痛みに泣くんだ。
そして全てはそのとおり。
孔が裂けて痛みに泣いた。貫かれた瞬間、重く響く衝撃に呻いた。
孔壁を圧迫する存在感に怯えながら、抜いてくれ抜いてくれと喚き、動き出したちんこに、動揺した。
はじめは、浅いところで、それから浅く深く出し入れされ、
突っ込まれるより、引き抜かれるときのが感じるんだと教えられ、
抜かれてほっとしつつも、ものほしげに尻をふり、
硬くしこったちんこの先で、生まれてはじめて前立腺を押された時は、体の快感より心の高揚がでかかった。
393風と木の名無しさん:2006/12/31(日) 00:23:35 ID:Nd97VQBzO
すみません、誤爆しました…orz
394風と木の名無しさん:2006/12/31(日) 00:30:25 ID:1qVaFxbn0
死んでくれ
395風と木の名無しさん:2006/12/31(日) 00:35:34 ID:fHC37OADO
待ちに待った年末!
今年はワンワン→亥ですね。ひそかに楽しみにしています。
396風と木の名無しさん:2006/12/31(日) 15:02:31 ID:uq7IEenp0
柿手は…平太が鬼畜なのか
397風と木の名無しさん:2006/12/31(日) 16:12:29 ID:TZFi/jmy0
お年始に初仕事をキボン
398風と木の名無しさん:2006/12/31(日) 20:26:36 ID:onmZ6cnQO
>>396
純粋も時には鬼になるんだよ
399風と木の名無しさん:2007/01/01(月) 00:52:13 ID:UJYcNAmuO
明けましておめでとうございます。
今年も神々の降臨お待ちしてます。
400風と木の名無しさん:2007/01/02(火) 14:21:56 ID:l/lgvfKHO
こんなわがまま連中のとこにくるかよ。
401 株価【---】 :2007/01/02(火) 16:26:28 ID:Bdf2mrReO
禿しくいつまでも待っておりますぞ(`・ω・´)
402風と木の名無しさん:2007/01/02(火) 16:37:24 ID:VFVZ6EPz0
気長にのんびり待ってる ノシ
403風と木の名無しさん:2007/01/02(火) 21:17:46 ID:SuWr/p7GO
久しぶりに覗いてみたが、相変わらずつまんねーのばっかだな。
もっと面白いの期待してるよ。
404風と木の名無しさん:2007/01/02(火) 22:55:25 ID:9NfvV1rK0
  _, ,_
(  ゚∀゚)…

 _, ,_
( ゚∀゚ )ソウダ!
            ,_
            (`  )  ゴウカン初め
        _, ,_  ⊂   ヽ ガッガッ
 ヤダァァァァ (Д´ )⌒ヽ  _)_)) ≡
         ⊂ノ(_ ∪J
405風と木の名無しさん:2007/01/02(火) 23:59:38 ID:vIrcIumGO
GJ 姫始めならぬ悲鳴始めですな
406風と木の名無しさん:2007/01/03(水) 13:47:04 ID:LCEHiwriO
誰が上手いことを言えと(ry

しかしなんですよね、
書き初めにはまず筆を下ろす必要がありますよね。
407風と木の名無しさん:2007/01/03(水) 17:08:39 ID:KSHlkBTj0
>>406
あなたにも
「誰が上手いことを言えと(ry」を。

正月早々、気の利いた書き込み競争ですかね。
敷居が高いわ〜。
408風と木の名無しさん:2007/01/04(木) 12:44:03 ID:BpknLnfa0
age
409風と木の名無しさん:2007/01/05(金) 20:23:03 ID:YASZbPRLO
あげんな、ばか
410風と木の名無しさん:2007/01/05(金) 22:53:36 ID:3Vts5xQ60
こんなん見つけた
ttp://ur.ur.to/ringoloader/bin/ap1045.jpg
時代劇もええね〜
411風と木の名無しさん:2007/01/05(金) 22:55:43 ID:XUpXvuQ90
テュランタソ待ってます!
412風と木の名無しさん:2007/01/06(土) 03:06:12 ID:J2e43lX70
>>410
姐さん、もしかして田.亀.源.五.郎とかお好きなのではないか?
413風と木の名無しさん:2007/01/06(土) 08:32:10 ID:Dsb8AEts0
>410
画像小さいから解りにくいけどこれ
今更新が止まってる某有名サイトの絵だよね?
勝手にうpしていいもの? パクリ?
414風と木の名無しさん:2007/01/06(土) 11:10:55 ID:FLcDpX+BO
スルー
415探し屋:2007/01/07(日) 01:11:17 ID:RrBqZZQU0
豚義理で投下。導入ゆえにエロくないです。
口にあわなそうな方はスルーよろしくです。

発砲音。発砲音。発砲音。

夜を裂くと言うよりは弾けさせる様な頭の芯に残る音に、おどおどとした様子の男はびくっと竦んだ。
着古した労働者好みのビニール地ジャケットに、くすんだ色のパンツ。手には黒い書類ケース。
妙に周囲の環境にびくついているのは、土地勘が無く慣れていない所為だけではなく
彼がやましい目的でここに居るからだ――周りも、同じくらい疚しかろうと。
実際、男は発砲音がやんでから一層固くケースを握り締め、小さなメモを片手にうろつく足をひっそりと速めた。
やましい目的を達する――やましい場所へ――辿り着くために。


「ネコ」
「ン?何」
呼ばれて、男は振り返った。くるりと翻った長い白髪が安い電灯に照らされ、安い煌きを放つ。
一方男を呼んだ青年――と、少年の中間くらいの男は、器用にコーヒーを啜りながら続きを口にした。
「……さっきから下でうろうろしてるあやしいオッサンがいるんだけど、どーにかしろ」
「イヤでス」
ネコ、と呼ばれた男は即答すると、視線を戻した。バラバラの色彩の立方体――ルービック・キューブに。
「ジュウは最近仕事をボクに押し付けスギです。そのくせ、昼は射撃訓練にわざわざ行ったりスる。
 発砲したいナラいまやって下さイ。銃ならイクらでも出せますからなんなりと」
妙な場所にアクセントのある、癖のありまくりな口調でネコが皮肉る。が、
「得体の知れない野郎の面倒見て、仕事まで回してやってんのに文句垂れるかお前。
 そういう事すると、今度寝てる間に冷凍室にぶち込んでやるぞ」

冷凍室。そう聞いて――ネコの表情が強張った。
416探し屋:2007/01/07(日) 01:12:42 ID:RrBqZZQU0
明らかな怯え…または、悔しげな顔。

「本当にイヤナ奴にボクは拾わレたと思います、ジュウ」
未だに全く完成の予兆を見せないルービック・キューブを手近な机に乗せ、ネコが立ち上がった。
関節がふにゃふにゃ動くゴム製の棒人形をそのまま身長180cm以上に引き伸ばしたような、
無骨なくせに細い体。その上に分厚いジャケットを羽織った微妙に威圧感のある格好。
「不甲斐ナイ相棒の代わりにイッてきまス」
「いってらー」
コーヒーカップを床から100°以上は上げながら、ジュウは気の無い挨拶を送った。扉が、それを断るようにばたんと閉まる。
その向こうで、ネコは思いっきりあかんべえをしてから現場へ急行した。


「寒い……」
はふ、と大きくついたネコの吐息はぱっと白く色づいた後で消えた。
それを透かして注意深く辺りを窺う目の下のほうでは、唇がノンストップで愚痴っている。
「ジュウはいい加減意地悪でス。確かニボクは沢山世話になったけど、随分借りは返しタ筈なのに……
 それに、ボクは寒いのジュウよりずっと苦手だって分かってる癖ニ、酷い!」
ポケットに両手を突っ込み、ジャケットの上にふわりと巻いたマフラーに鼻まで埋めてぶるぶる震える様子は、
見ているだけで寒気を感じそうなほどだ。
冷たく乾いた空気に刺激を感じ、ネコの瞳が自然に潤む。
濡れた目元にすら寒気を覚えて、思わず小さなくしゃみを2回すると、気のせいか洟まで出てきた。
「寒いでス……」
ず、と息を詰めて啜る。鼻腔を冷気が刺す。
早く帰りたいという思いだけが生み出す気力で辺りを窺うと、運のいいことに視界が路地の向こうの”オッサン”を捕らえた。
後は多少跡をつけ様子を見て、関係なさそうならそのままほうっておけば良い。
自分達の客なら事務所につれて帰る。そして敵なら勿論……排除する。
何気ない足取りで”オッサン”の方へ歩みだしながら、ネコは呟いた。
「早く帰ッテ、あったかいもノ飲むのも好いケド、――ソッチも暖まりそう」

417探し屋:2007/01/07(日) 01:15:54 ID:RrBqZZQU0
ネコにつけられているとも知らず、”オッサン”は早足で路地を歩いている。
が、足取りに迷いがあるような気がするのは気のせいだろうか。
(コレで地図でも見てたラ、殆どお客さんで間違イないンだけド……)
微かにふるふる震えながら足取りを追うこと約10分、”オッサン”は同じような路地を未だうろついていた。
別にどこかの建物を周回する訳でもなく、こちらを撒こうとする気配も無く、本当に迷っているような足取り。
(事務所、分かりヅラいとこにあるからネ……職業柄……)
そろそろ本格的にあふれ出してきた洟をすすりながら、ネコは思った。
(ヒト専門の”探し屋”な上ニ、最悪の”復讐補助屋”デ、ついデニ”後始末屋”だもノ。
 用心に用ジンしてルダケだもんね)

ああ、都合よくこの”オッサン”、地図出さないかな。そんな事を思いながら更に数分も歩いた時だった。
”オッサン”が掌から小さな紙を取り出し、眺めながらあちこちを見回すのが見えた。
(地図!キタコレ!)
ほぼ間違いない。アレはお客さんだ。
そう認識した瞬間、ネコの頬が緩んだ。仕事をやり終えたことに対する安堵と、暖かい部屋を想像したためだ。
あとは”オッサン”に軽く口頭で確認を取ってから連れて行けばいい。
そう思って、ネコがいままでよりほんの少し大きな歩幅で歩みだそうとした時――発砲音が轟いた。

バン、バン、バンと。



こんなところまでです。



418商談 1:2007/01/07(日) 01:49:55 ID:5t1BylrL0
探し屋さんGJ。
続きを読むのが楽しみです。
自分も久し振りに投下。

===========================
田村の運転する車の後部座席で、義純は上機嫌だった。この1年と言うもの、
田村に対しては常に否定的な態度を隠そうもしなかったのが嘘のように、
耳触りのいい言葉ばかりを口にする。
義純は、自分が正しかったと思って御満悦なのだ。それは田村にもよくわかっていた。
義純が望み、田村が反対してきた八尾商事との新しい取り引きが、
今日の会談を機に始まるはずだ。
結局はこうなったじゃないか、義純はそう思っているに違いない。
更には、ベテランの田村を若い自分がついに説き伏せたとも思っているだろう。
田村とて、義純がどうしてもと望めば抑え切れるものではないと承知していた。
何と言っても義純こそが社長であり、大多数の株を所有する、この会社の
オーナーなのだ。専務の肩書きがあると言っても、自分はただの雇い人だ。
そもそもそこが問題なのだと田村は思う。2年前に前社長の勝人が身体を
壊したことが始まりだった。1人息子である義純がアメリカの大学院を卒業して
帰ってくるのを待って、勝人は社長職を譲って引退した。実社会での修行もなしで
いきなり社長業は荷が重いだろうと重役連は反対したが、その声もワンマン社長の
鶴の一声にかき消された。
「何のために君たちがいるんだ。義純が若くて未熟だということくらい、
私だってわかっている。だが義純は基礎はしっかりできているんだ。
MBAは伊達じゃないぞ。経営哲学だって、私がしっかり仕込んでいる。
義純の持つ力を最大限に活かすのが君たちの仕事だろう」
冗談じゃない。
喉元までせり上がったその言葉を、田村はぐっと飲み込んだ。
小さくても、パートまで入れれば従業員150人を抱える株式会社だ。自分はもちろん、
彼らを食わせるためにも、利益を上げねばならない。そのために田村は働いてきたのだ。
坊ちゃんが心地良く生きていくための場所を作るために働いているわけではない。

419商談 2:2007/01/07(日) 01:50:44 ID:5t1BylrL0
田村の懸念が杞憂でなかったことは、義純の社長就任から半年を待たずに明らかになった。
義純はとにかく世間知らずだ。更に悪いことに、自分が世間知らずだということを
自覚していない。学校で習ったことをそのまま実行しようとする。
基本を押さえながらも個々の事例に合わせて応用させなくてはいけませんと教えても、
個々の事例に合わせた結果こうしているのだと返事が返ってくる。
何より始末に負えないのは、勝人の経営哲学とやらだった。勝人は狡猾な商売人だった。
非情にもなれるし、卑劣な手も使っていた。ただ、親子してよく似ているのだが、
そういう自分をまったく自覚していない男だ。同業者の会合だのパーティーだのでも、
業界紙のインタビューでも、いけしゃあしゃあと「卑しい所のある人間は経営者には
向きません」だの「利益を社会に還元する理念がなくては企業としては失格です」だのと
口癖のように言っていた。
その勘違いした経営哲学を叩き込まれた義純は、父親の狡猾さを学べなかった分、
理想論で経営が成り立つものと思い込んでいる。自分の会社――水原物産が、
高邁な理想を実現しつつ利益を上げてきたのだと信じているのだ。
田村の苦い回想は、義純の朗らかな声で遮られた。
「田村さん、篠原さんに会ったことがあるんでしょう? 気さくな人なんだよね?
趣味はゴルフだと聞いてるんだけど、次は接待ゴルフなんてどうかな」
中学の頃から父親にくっついてゴルフ場を廻っていた義純は、自分もゴルフ好きだ。
会社の金を使ってゴルフができるのだから、嬉しいのだろう。いかにもこの会社の
社長らしい。福利厚生として契約している施設が遠方のゴルフ場ばかりという、
従業員を馬鹿にしきったこの会社の。
420商談 3:2007/01/07(日) 01:51:43 ID:5t1BylrL0
苛立ちを抑えて、田村は平静に返した。
「今から次回のことなんて考えても仕方ありませんよ。まずは今日の懇談を
うまく乗り切ることを考えて下さい。うちは明らかに立場が弱いんです。
懇談だと言っても、商売の話をしないで済むわけないんですからね。
無理難題を吹っかけられる覚悟をして、うまく切り抜けて下さいよ」
後部座席から、はあー、という、大きな溜息が聞こえてきた。
「ねえ田村さん。どうしてそんなに悪意にばかり取るの? 篠原さんは、
うちが窮地に陥っているのを見かねて、社長さんにまでかけあってくれたんだよ。
そこまでしてくれてるのに、なんで篠原さんがうちをひどい目に合わせると
思うのかなあ。前から思ってたけど、ちょっと神経質なんじゃない?」
田村は、答える気力も失った。友達ごっこじゃあるまいし、損得抜きで取引など
できるわけがないのに、義純にはわからないのだ。いや、自分が損得抜きで
商売してしまうせいで、それが間違っていることが理解できないのだろう。
泣きつかれればほだされ、おだてられれば調子に乗り、脅かせば慌ててしまう。
都合よく利用しようとする側にしてみれば、義純ほど簡単に手玉に取れる相手も
いないはずだ。
今日の懇談に他の誰でもない自分がついてきたのも、篠原を警戒しているから
ばかりではなかった。お追従を並べる腰巾着や、既に諦めている役員たちでは、
義純の暴走を防げるわけがないと思ったからだ。本当は義純は、自分の右腕――
にしようと義純が見込んだボンクラ――を連れて行こうとしていたのだが。

(続きます)
421風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 03:10:11 ID:iB7lp90G0
お仕事お仕事、お二方GJ!
続きwktk
422風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 08:54:58 ID:Kx1TsIM90
探し屋さん、商談さん、
したらばの姐さん達が、あんたら下手だから要らないってさ。
423風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 10:03:52 ID:KXgrOn0DO
投下者お二人ともGJ

それと預言者気取りは消えろ
424風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 13:15:12 ID:CyMTt6YjO
久々の投下GJ!
続き待ってる!

425風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 15:14:40 ID:5wH3u7C0O
つまんないから叩かれてもしょうがないわなぁ
426吸血鬼1:2007/01/07(日) 16:14:11 ID:EJXt7flg0
投下させていただきます。しばらくエロなしです

城の暖炉から通ずる秘密の階段を下った地下深く、四方を壁に
囲まれた部屋の中央に、黒の棺が出かける前と何のかわりも
なくそこにあるのを確認して、クラウスはようやく安堵した。

無事だった。

壁の燭台に灯をともして光沢のある棺のふたをそっとずらし、
中に横たわる青年を確認する。
透き通った肌に落ちた青い影が明かりに揺れ、金髪は光をはじく。
髪と同じ色の瞳を隠しているまぶたは動かない。今はまだ‥‥。
夕暮れにはまだ少し時間がある。
「早く起きろよ、バルド‥‥」

この吸血鬼にであったのは一ヶ月程前。
肝試しだった。
村では絶対に近寄るなと言われている森に、仲間と入り、はぐれ、
彷徨いそして見つけたこの城。
この城の主は、彷徨い疲れて息も絶え絶えなクラウスに言った。
「私は吸血鬼だ。それでもいいならここで休んでいけ。夜が明けたら帰るといい」
吸血鬼ときいて最初こそ驚いたが、人知を超えた美貌がその証拠とも思えた。
不思議なことに怖いとは思わなかった。
427吸血鬼2:2007/01/07(日) 16:15:16 ID:EJXt7flg0
その晩は吸血鬼のいうとおりに城にとどまり、朝日が昇ってくると、棺に戻る
と言うバルドに礼を言って、村までの道のりを教わり帰った。
次の日から夕暮れになると、クラウスはこっそりと家から抜け出しては
この城に立ち寄るようになった。バルドは、また来たのかと微笑んだだけで、
クラウスを追い返したりするような事は無かったし、ただ静かにクラウスの他愛ない
話にも耳をかたむけてくれる。最近では本当にまれにだけれども、バルドから話を
してくれるようにもなった。人よりも長い時を生きているというバルドの話は
面白かったし、首を傾けたり、微笑んだりした時に光をはじいてゆらめく金色の瞳を
みるのが何よりも好きだった。
人ではない彼の瞳は男女ともに魅了する。

ふと、上で物音がしたような気がしてクラウスは息を潜めた。
  
来た。

燭台の火を消して棺のふたを戻すと、そっと部屋を抜け出す。

『聞いたか?狩りがはじまるらしいぜ』

今朝城から戻ったクラウスに、顔見知りが嬉々として話しかけて来た。
街から来た二人組がヴァンパイアを狩りに森に向かったらしい。
クラウスは一瞬、瞠目する程驚いたが、すぐにそうなんだ。と切り返す。
覚られる訳にはいかない。
顔見知りを軽くあしらうとクラウスは猛然と来た道を引き返した。
バルドは人を襲わない。少なくともこの一ヶ月はそのような所を見た事も
ないし、村でも人が襲われたという話をきいた事がない。
428吸血鬼3:2007/01/07(日) 16:16:43 ID:EJXt7flg0
食事は薔薇とワインがあればいいとバルドも言っていた。自分の知らない
ところで遠い街の誰かを襲っているというなら知らないが。
それでもクラウスはバルドが好きだった。あの瞳をずっとみていたい。
そう思っているところからして、バルドの吸血鬼という術中にはまっている
のかもしれないけれど、それでもいいと思う。

ここを、バルドを守る。

森の奥深く、木々に隠れるように立っている城を見つけて、アドルフは仲間の
ヤンに目で合図した。ヤンが背負った荷物をおろして荷袋の中から銀の短剣を
二本取り出して、一本をアドルフに投げる。まだ夕暮れには遠い。やるなら今だ。
暗い城の中をアドルフは躊躇することなく歩いていく。探しているのは
地下に通ずる階段。そしてその地下にあるであろう、ここの主が眠っている
棺だ。だが見つからない。さすがに少し焦りが出て来た。いつまでも陽の恩恵を
うけられるわけではない。闇の時間がせまっている。
と、背後からヤンが前方を指差し、おい、と声をかけてきた。
指が指す方に目を向けると、暖炉の前に14、5歳くらいの少年が立っていた。
「ヴァンパイアか!?」
そんな馬鹿なと思う。まだ日は暮れていない。
「違う。おじさん達は何してるの」
どうやら人間のようだ。胸をなでおろして息をつく。
「狩りだ。ここで何してる?」
「‥‥‥」
少年は応えない。
429吸血鬼4:2007/01/07(日) 16:18:07 ID:EJXt7flg0
「まあいい。下の村の者だな。なあ、この城で棺をみなかったか?隠し階段でもいい」
また応えないかと思ったが、これにははっきりとないと応えた。
そうすると、部屋はあらかたみたし、この情報がデマだった事になる。
この少年の言葉を信じるならだが。
「マジかよ〜無駄足かあ?」
後ろでヤンがいまいましく吐き捨てる。こんな辺鄙な場所までやってきて金にもならない。
やってられない。アドルフが舌打ちをした時、ヤンが何かを思いついたように少年を見据えた。
「‥‥なあ、こいつどうだろう」
ヤンの言葉の意味を正確に受け取ったアドルフは口元を吊上げた。悪くはない。
「いける。それなりに値はつくだろ」
二人の話の意味はわからないまでも、少年クラウスは居心地の悪さを感じて数歩後ずさった。
狩りはできなかったが、無駄足にするつもりはない。まあ、味見といくか。
アドルフが「ヤン」と声をかけると、ヤンが慌てて走りだしたクラウスをいとも簡単に捕まえ、
床に引き倒した。思い切り頭を床に打ち付けうめくクラウスにヤンが馬乗りになる。
「なにを‥っ」
暴れるクラウスの両腕を頭上におさえつけアドルフは口を覆い貪り始め、ヤンは馬乗りのまま
シャツを引きちぎり首筋を舐めしゃぶった。いきなりの事で恐慌状態に陥ったクラウスは
無我夢中で頭を振り足をばたつかせるが、大人二人に押さえつけられた状態ではたいした抵抗
にはならない。
430吸血鬼4:2007/01/07(日) 16:19:21 ID:EJXt7flg0
「はなせっ!!っ、はなせよ!!」
「やかましいガキだな。気持ちいい事してやろうってんだ。大人しくしてな」
頬をおもいっきりひっぱたかれて、顎を固定させられると、再び口を覆われた。
口の中をアドルフの舌が動きまわる。
「んぅ‥‥ん、ん‥うぅ」
下腹や内股をヤンの手のひらにあおられ胸の飾りを舌で転がされ、身体がビクビクと
痙攣する。
怖いのと悔しいのと、そして、望まないからだの疼きに心がひきさかれる。
目尻に涙がたまっているのを認めたヤンが、もっと泣けとばかりに激しく舌を動かす。
脇腹を煽っていた手が服の上から股間をなであげた。
「んうーっ」
胸から顔を上げたヤンが薄く笑う。
「泣く程いいってか。まだまだこれからだぜ」

今日はここまで
431風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 16:23:21 ID:PxBPAXuIO
どれもこれもつまらない
このスレ、レベル落ちすぎだよ…
孤島さん〜もう投下しないなんて言わないでたまには投下してくれ〜
片手間にテキトーに書いた作品でも孤島さんなら抜群に面白いだろうな
ここ最近の鬼畜スレ駄作群なんかよりずっと
432風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 17:43:01 ID:7Ci5AQWX0
吸血鬼タン、乙。
バルドが助けに来ますように。
433風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 19:29:28 ID:1zp3Wf0UO
投下いっぱいきたww皆さん乙です!
434風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 21:06:57 ID:z6UYYfK/0
うおー、みなさん導入部なのでこれからが楽しみです(*´д`)乙
435風と木の名無しさん:2007/01/07(日) 22:51:43 ID:2VC+mTEp0
書き手様ガンガレ!
436風と木の名無しさん:2007/01/08(月) 03:16:48 ID:OF/OBSni0
吸血鬼祭開催(*´∀`)wktk

>>431
どこを立て読み?
常套句だが、自 分 で 書 け 。
437風と木の名無しさん:2007/01/08(月) 15:12:24 ID:czrskD+i0
いつもの人だから放置推奨
438風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 00:55:02 ID:SdSX7zlBO
つまらんつまらん。
もっとレベルあげてくれよ。満足させてみなよ。
439風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 03:31:10 ID:khc5mS5O0
だが断る
440風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 12:43:13 ID:SdSX7zlBO
>>439
お前には頼んでないよ。さっさとうせろ。
441風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 12:56:18 ID:2YaCpPKN0
だが断る
442風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 14:29:30 ID:SdSX7zlBO
>>441
それしか言えねぇのか貴様は。芸がないヤツだな。
443風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 15:01:09 ID:8ax9VvOF0
だが断る
444風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 17:31:46 ID:SdSX7zlBO
>>443
会話になってねぇよwww
445風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 17:36:25 ID:+t+4Sw8R0
>>443
そこは「だがそれがいい」を使わなくちゃ。
446風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 19:27:13 ID:rK10KqqOO
久々に覗いたら美味しそうなSSが(・∀・)吸血鬼たん続き楽しみにしてます!
447柿手:2007/01/09(火) 20:13:58 ID:9g/uC0mi0
>>381
ランプを手に男の傍らへと歩み寄った平太の横で、
清一郎は男の命じるままに、上半身を前に深く折り曲げテーブルへ両手をついた。
そのまま足を広げ、長椅子に座る男に向かって臀部を突き出した格好のまま動きを止める。
「普段ならば、この尻を晒すまでにあれほどに頑なに抵抗するというのに」
清一郎のむき出しの臀部をステッキで小突きながら、男がくつくつと笑った。
「いつもこれだけ従順であれば、毎晩痛い思いをしなくてすむものを」
男の言葉に、平太は首をかしげた。
「いつも? 毎晩?」
痔のことは誰にも相談していないと言っていたのに。
男の口ぶりだと、まるでこうした行為が日常茶飯事のように聞こえる。
怪訝そうな平太の呟きに、清一郎が狼狽えた声をあげた。
「違うんだ、平太、それは、ただ」
姿勢を崩し振り向こうとした清一郎の背に、男のステッキが無造作に振り下ろされた。
軽く打たれただけなのにも関わらず、びくりと清一郎の体が強く震えた。
「マスターノ名ニオイテ命ジル」
今まで聞いたことがない、不思議な旋律を帯びた声だった。
「我ガ許スマデソノ姿勢ヲ保テ。我ガ許スマデ声ヲ発シテハナラヌ」
金縛りにあったかのように、清一郎の体が硬直した。
「清一郎、どうかしたのか?」
平太の問いかけにも清一郎の答えはない。
代わりに悔しそうな歯軋りが、清一郎の口から漏れ、
ガラスのテーブルに置かれた手から、爪を立てる不快な音が響いた。
「相変わらず強情なことだ」
清一郎が発する耳障りな音に、だが男は心地よさげに笑った。
「では、診てやるとするか」
男の言葉に、平太は慌ててランプを清一郎の尻の傍へと近づけた。
揺れる灯りに照らされて、清一郎の白い肌をより一層引き立たせる。
すらりと伸びた両足は、脛毛までも全てきれいに剃りとられているせいか、
まるで年若い女のそれを見ているようで落ち着かない。
ごくりと平太は唾を飲み込んだ。
448柿手:2007/01/09(火) 20:15:30 ID:9g/uC0mi0
(治療をしている最中に、俺はなんて不謹慎な)
そんな平太の様子を横目に眺めながら、
男は楽しげに、ステッキを清一郎の肛門にあてがった。
「まずは、穴の具合を確認してやろう」
「なっ!」
平太は危うくランプを取り落としそうになった。
「待ってください」
慌てて平太は、男の持つステッキに手を伸ばした。
「そ、そんな固いものを差し入れるなんて無茶です」
勢い余って半ば叩き落とすようにしてステッキを奪いとると、男の瞳がすっと眇められた。
「我に意見する気か?」
間近でみる男の整い過ぎた容貌は、作り物めいていてなんだか怖い。
「あの、俺、別にそんなつもりじゃ。でも痔の診察をステッキなんかでやるのは――」
怖気る心を叱咤して何とかそれだけ反駁したが、男の追及は緩まなかった。
「では、我にどうしろと?」
「どうって……その、ええと…………それは、やはり、指で、あの」
「つまり、この我に、他人の排泄器官に手を入れよと。そうおまえは言うのか」
「それは……」
そう改めて口にされると、随分と失礼なことを男に頼んだような気になってくる。
平太の額に冷や汗が浮かんだ。
厚情に甘えて、こんな立派な屋敷に住む外国人の医者に、
痔の相談をするなど、やはりあつかましかったのだろうか。
「すみません。俺、考えなしで。貴方さまのような高名なお医者様に失礼なお願いを。
 でも、清一郎はとても痛がっていて……その、やはり素手でないと……」
しどろもどろになった平太を見詰める男の瞳に、
罠にかかった獲物を値踏みするかのような、狡猾な光が宿った。
「――ならば、おまえがやるがよい」
「俺が……ですか?」
あまりに意外な提案に、平太は目を瞬いた。
「そうだ、おまえが、自身の指を使って、セイイチロウの中を診てやればよい」
清一郎が首を微かに左右に振り、何かを訴えるかのように、くぐもった呻き声をあげた。
そんな清一郎の様を見て、男の笑みが深くなる。
449柿手:2007/01/09(火) 20:16:13 ID:9g/uC0mi0
「どうやらセイイチロウもそれを望んでいるようだ」
「でも、俺、診察なんてできません」
「指示はしてやろう。セイイチロウも我などよりおまえの指の方が喜ぶだろう」
男の言葉を平太は心の中で反芻した。
言われてみれば確かにそれは一理あるかもしれない。
いくら診察の為とはいえ、恥部を他人に触られることは清一郎だって恥ずかしいだろう。
ならば、赤の他人よりも、気心の知れた幼馴染の自分がやった方が、
清一郎にとっても精神的な負担が少ないのではないだろうか。
「わかりました。俺でできることなら」
そんな平太の返事に被さるように、蝶番の軋む音とともに扉が開きカワホリが姿を現した。
「お申し付けのものをお持ちいたしました」
カワホリが押してきた銀色のワゴンには、
色とりどりの珠が施された美しい宝石箱が幾つも並んでいる。
男がカワホリにこれまでの経緯をかいつまんで告げると、
カワホリは心得たといったふうに頷いた。
「では、まずこれを」
カワホリは、箱の一つから十字の印がついた赤い缶を取り出した。
戦前からある平太もよく見知っている市販の軟膏薬だ。
どんな得体の知れない異国の薬が出てくるかと内心不安だった平太は、
ほっと胸をなでおろした。
カワホリに言われるままに、右の人差し指と中指に塗りつける。
「セイイチロウさまが痛みを感じないよう、じっくりと優しくほぐしてあげてください」
「ほぐすって、でも、あの、どうやって」
「指の平で擦るように。赤ん坊の肌を撫でさすって可愛がるような感触ですよ」
カワホリが、平太の前で実際に仕草を真似てみせる。
丁寧な手ほどきに、平太は感謝の言葉とともに素直に頷いた。
「清一郎、痛かったら、ちゃんとそう言えよ」
そう清一郎に声をかけると、左手のランプをカワホリに預け、平太は床に正座をした。
清一郎の臀部が顔の正面に来るのが、なんだか気恥ずかしい。
バランスを取る為に左手で清一郎の双丘の片方を掴むと、清一郎がびくりと体を震わせた。
「清一郎、そんなに硬くなるなよ。大丈夫、丁寧にやるからさ」
清一郎の緊張をほぐすように笑いながらそう告げると、平太は指を差し入れた。
450柿手:2007/01/09(火) 20:16:53 ID:9g/uC0mi0
(あれ……)
予想に反して、指はすんなりと清一郎の中へと入った。
平太は拍子抜けした。
もちろん、肛門に指を入れるなど初めての経験だったが、
なんとなく、もっときつく締まっているものだと思い込んでいたのだ。
清一郎も特に痛みを訴えるような仕草はしていない。
人差し指を回すようにして薬を壁に塗りつけて滑りをよくしてから、
少しためらってから中指も入れてみる。
指を二本に増やしたというのに、それほどの抵抗もなく、
清一郎は平太の指を飲み込んだ。
「どうですか、感触は?」
カワホリが問いかける。平太は曖昧に小首をかしげた。
「すみません。患部の位置とかは、俺、よくわかりません、ただ……」
「ただ?」
「あの、なんか思ってたより、ゆるいっていうか、締りがないっていうか」
平太が正直に思ったことを口にすると、
カワホリは何がそんなに可笑しいのか肩を揺すって笑い転げた。
「マスター、セイイチロウさまのお体をもう少し労わってあげませんと」
「我のせいにするな。毎晩無駄に抵抗するセイイチロウが悪いのだろう」
「ですが、そう手荒に扱っていては、気に入りの玩具もすぐに壊れてしまいますよ」
窘めるようなカワホリの言葉に、男は憮然とした表情で低く唸った。
「……自重はしよう」
どこか拗ねたような男の声に、カワホリは苦笑しながら清一郎を振り返った。
「よかったですね、セイイチロウさま。ご友人の協力の賜物ですよ」
口元に笑いをとどめたまま清一郎の顔を覗き込んだカワホリは、
だが、次の瞬間、やや意外そうに眉根を寄せた。
「おや、先ほどから随分と大人しいので妙だと思っていたのですが、
 声を封じていらっしゃるのですか。せっかくの珍しい出し物の最中なのに味気ない」
 男は小さく舌打ちした。
「ああ、しまった、忘れていた。セイイチロウ、もう口を開いてもよいぞ」
男の言葉に、清一郎の体がびくりと跳ね、
平太の指の動きに合わせるように、清一郎の口から呻きとも吐息ともとれる声が漏れた。<続>
451風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 20:27:39 ID:zQMcY2tQ0
柿手タンGJ
清一郎がどんな調教をされていたのか気になる…
452風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 20:58:40 ID:7YRv8PuiO
柿手さんGJです
これから天然平太の行動が気になるww
453風と木の名無しさん:2007/01/09(火) 22:38:59 ID:TqnIqWIxO
柿手タソGJ!!!
平太最強ww
454風と木の名無しさん:2007/01/10(水) 00:41:11 ID:XdlA1bTG0
待ってたー。
あーもう平太ってば、頼むよ!
455風と木の名無しさん:2007/01/10(水) 08:08:30 ID:R7eLkYS4O
平太が一番鬼畜ktkr!
このまま天然鬼畜でどこまで行くんだ?
超期待!

他の書き手さんも待ってる!
456風と木の名無しさん:2007/01/11(木) 12:18:22 ID:PknsTDjP0
平太!この鬼畜が〜〜〜!!
457吸血鬼5:2007/01/11(木) 17:10:49 ID:m6ymn8ao0
逃げる舌を強引に絡めとり唇で吸ってやると、クラウスの体が一瞬硬直してから
脱力していく。その間にヤンが体をずらして下半身の衣服を取り払い、
半ば立ち上がりかけたモノを上下に扱いた。
「んうっ‥‥んんっ」
喉をそらせて、与えられる刺激に身をくびくつかせるクラウスに、
アドルフとヤンの興奮も高まっていく。
「おい、アドルフ、そいつの声ききてぇ」
唇をしゃぶっていたアドルフの口が糸をひきながら離れると
突然肺を満たした過剰な酸素にクラウスが咳き込む。
その合間にも、もれる甘い声にヤンが満足げに口を歪めた。
すっかり脱力したクラウスの腕を解放して、アドルフが脇へ移動し、
先ほどまでヤンが舐めていたのとは別の胸を貪りはじめる。
「‥っ、う‥‥‥‥ああっ」
「感じてやがる」
ヤンの言葉と、先走りでクチャクチャと音がなり、心とは裏腹に、
快感で今や欲望をほとばしろうとしている自分のそれに追いつめられる。
手の甲を噛んでせめて声だけでも押さえようとするが、
気づいたアドルフがあっさりと腕をとっぱらった。
「ヤン、そろそろいかせてやれや。我慢できないってよ」
「了解」
458吸血鬼6:2007/01/11(木) 17:12:34 ID:m6ymn8ao0
「あああっ」
手の動きを一気に早められると、あっけなくはじけて
ヤンの手を白い飛沫で濡らす。
しかしヤンは手を止めず萎えたそれを扱きながら、
もう片方の濡れた人差し指と中指を尻の窪みにうずめていく。
「‥っ、う、い‥たい」
「もう一回な」
相棒の欲望もあらわな様子に苦笑しながら、アドルフもまた、
息をはずませ射精の衝撃に体をびくつかせている少年を
もっと鳴かせたいという加虐的な気持ちがつのっていくのをとめられない。
「ひ、あうっ、あっ、はっ、あ‥ああっ」
指を抜き差しされると、どうしようもなく声が高まった。
前を扱かれ、後ろは粘膜をまさぐられ、胸をしゃぶられる刺激に
膝がガクガクと震える。萎えていたそれは固さを持って、もう一度
立ち上がっていた。
ヤンが抜き差ししていた指を止め、ゆっくりと粘膜をかきまわしてやると
クラウスが髪を振り乱して、甲高い声をあげる。
それを心地よく思いながら、見つけた一点に振動を与えると、
クラウスは瞠目して、背を弓なりに曲げ、腰を跳ね上げた。
「やあぅ、ああっ、ああぁぁぁっ」
振動を与える指をキュっと締め付け、二度目の精を吐き出した
クラウスから指を引き抜き、手を振りながら「すげえ、締め付け」
とアドルフにおどけてみせると、アドルフが口を吊上げ、
ぐったりとしたクラウスをよつばいにさせ、すっかり立ち上がった
己のそれを突き立てた。途端にあがる悲鳴も無視してアドルフが
動き出す。ほどよく締め付ける暖かい内部にうめき声をあげつつ、
さらに強く打ち付けた。
459吸血鬼7:2007/01/11(木) 17:13:41 ID:m6ymn8ao0
内部を掘られ、先ほど探られた一点を強く擦られる刺激に
クラウスの目から涙が止めどもなく流れ、ハアハアと淫らに
喘ぎ続ける。
もはや体をささえる事も出来ずに、つかまれた腰だけをあげた状態で、
肩と顔は冷たい床に横たわっている。

先ほど男の口からもれた言葉を思い出す。
認めたくないが自分は感じていた。
痛みの方が強かった刺激も、今や腰に欲望がつのるための
甘いものとなっていた。
何も考えられない。
頭がぼうっとして、ただただ、この行為が早く終わる事だけを
祈るしかなかった。



暗闇のなか、陶磁のような瞼がかすかに震え、金色に輝く瞳が
ゆっくりと現れる。完全に瞳が現れると、それを待っていたように
壁にしつらえた燭台に灯がともった。音も無く棺のふたが開き、
人にしてはひどく端正な顔があらわになる。
その瞳に壮絶な赤を宿し、しかし、瞬きひとつで元の色に戻ると、
闇色の衣装をまとった姿がふっと掻き消えた。

闇の時間が訪れていた。
今日はここまで
460風と木の名無しさん:2007/01/11(木) 18:36:26 ID:ZhwyOymd0
吸血鬼オキタ━━━(゜∀゜)━( ゜∀)━(  ゜)━(  )━(  )━(゜  )━(∀゜ )━(゜∀゜)━━━!!!!!
461風と木の名無しさん:2007/01/11(木) 23:16:46 ID:orNutiERO
吸血鬼タソGJ!!
今後の展開が楽しみ
462風と木の名無しさん:2007/01/12(金) 01:40:51 ID:aQfDKO9f0
吸血鬼タン、おおっつ!
救出劇と報復に期待!
463風と木の名無しさん:2007/01/13(土) 04:15:38 ID:aPfJu5FwO
http://l-w.jp/hp/?u=ka-yu&p=5&key=

パスない…ランキングアップさせたいだけか
464風と木の名無しさん:2007/01/13(土) 10:53:48 ID:2UNbHXiMO
>>463
いまどきこんな騙しサイトにひっかかるバカいるのかね?
465風と木の名無しさん:2007/01/13(土) 11:51:08 ID:aPfJu5FwO
バカです………………
466風と木の名無しさん:2007/01/13(土) 11:59:30 ID:hqORTDSEO
2にアドレス貼って興味本位の人にクリックさせてランキングを狙うわけか
典型的な厨行動だな
467風と木の名無しさん:2007/01/13(土) 12:12:51 ID:LxF481BK0
凄まじくどうでもよくね?
ageた挙句どうでもいいもの貼るような子はこれ以上書き込まずに半年ROMれ。
468風と木の名無しさん:2007/01/13(土) 12:16:19 ID:aPfJu5FwO
嫌じゃカス
469テュランの筏1/12:2007/01/15(月) 12:02:22 ID:QLszGM7g0
十日目

僕が観察して報告した内容を、クリフは真剣な表情で、床に書きこみはじめた。
器用にボトルのキャップを利用している。数値と線で、僕には暗号にしか見えないが。
「ありがと、な。また明日も頼む」
そう言い、クリフはタープを広げはじめた。僕はあわてて、彼の腕をとった。
「待ってよ。話したい事あったんだ。
まず手始めに、クリフが手に入れた分は返さなくちゃ、僕の気がおさまらない」
クリフはそれに答えず、僕の手をすりぬけて、タープの中に入りこむ。
このまま僕を無視して、眠ってしまうのかな……
そう思っていると、クリフは不思議そうに見上げた。
タープの空いた一人分の隙間を指さす。
「寒いだろ。立ち話も何だから、一緒に包まろうぜ」
僕は喜びに躍り上がらんばかりだった。意気揚揚と隣に座りこむ。
開口一番の話題は、その喜びに水がさすような、盛り上らないものだったけれども。

「水と食料は智士のものだ。俺が酔っ払った時……食い荒らした分。
そうでもしなきゃ、俺の気がすまない。お前より……先に、な。
もし、足りなければ言ってくれ。これ以上この件は、言いあいなし。いいか?」
それはあまりにも一方的であったが、彼の信念は、僕に揺るがす事は出来ない。
「分かった……もう十分。必要以上僕に渡したりしないなら、了承する」
クリフは黙ってうなづく。タープの中は、暖かな空気がたまりはじめていた。
僕らは食料の件に蹴りがついたのをいい事に、この過酷な国の現実からも目をそらそうと、楽しかった思い出ばかりした。
470テュランの筏2/12:2007/01/15(月) 12:03:16 ID:QLszGM7g0
明け方頃、タープの表面をたたく音に気付いたのはクリフだった。
「容器を!」
叫ぶが早いが、空ボトルのキャップを開けながら、天に向かってかかげている。
僕もすぐに悟った。天からの水の恵み、雨。
スコールはない季節だと言っていたけれども、やっぱり神様はいるものだ!
ありったけのボトルを並べ、高く持ち上げて、どんよりたたずむ暗雲に近づけた。
生まれてはじめてだ。雨の日がうれしいなんて事。
クリフは二の腕をごしごしとこすっている。
ずっと海水で洗っていたせいか、真水に磨かれ、白い肌はよみがえったように輝いた。
僕もそれにならって、首筋と、それから頭をわしわしと掻いた。
髪の毛をつたい落ちる、水の感覚がこれほど気持ちいいとは!
「あ、そうだ。楊玲にも教えなくちゃ」
「もう、起きている」
クリフが指さす先には、トランクにもたれて空を見あげる楊玲の姿があった。
顔をうつ細い雨粒。ぼんやりとうつろに開いている口。
身体はタープにくるまったまま、顔には表情らしいものはない。
その脇では、傘を広げて、不愉快そうに眉をひそめる藤吾の姿があった。
黒い紳士用折りたたみ傘を肩に乗せ、舌打ちせんばかりの勢いで、曇り空を見上げる。
あの剣幕じゃ、そのうちに雨雲も逃げていってしまいそうだ。
僕の予感はあたり、日が完全に昇りきる前に雨は止んでしまった。
それでもたまった水を集めると、ボトル一本分にはなった。
471テュランの筏3/12:2007/01/15(月) 12:04:07 ID:QLszGM7g0
なんていとおしいのだろう。屈辱にあまんじる事なく、手に入れた水は。
だが、喜びもつかの間。明るくなった海上を、楊玲の喘ぎ声が支配する。いかだが軋む。
こぼれる熱い息の音に、僕は逃げ場もないのにそれを探してしまう。
クリフがタープを広げて隙間を作る。僕はその中に逃げこんだ。
「雨、降ったのにっ……楊玲だって気付いてたのに。
今日は何もしなくても、よかったのに。なんでなんだろう……楊玲」
僕はどうにも理解出来ない疑問と、それから深い悲しみにただただ胸がつまった。
「あと少しで助かるのに……もう自分をおとしめる事ないのに。
雨が降って何するかも考えられないくらい、心が壊れちゃってるっ……
ねぇ、クリフ。楊玲はもとに戻るよね。
僕たちは何も出来なかったけど、助かって、日常の生活にもどれば……」
ピタ、とクリフの手がとまる。
「その事なんだけど、智士……何から話せばいいのか。
あまりいいニュースは与えられそうにない。でも、話しておかなくちゃいけない。
最初は……頼みごとからだ。聞いてくれるか?」
「そんな言い方されたら、断れないよ。何?」
「今ある水と食料で、今日をいれて四日間耐えてほしい」
僕の意に反して胃袋がギュウと鳴った。生唾がゴクリと喉を落ちていった。
この返事をするには……鉄製の意思が必要だった。
「……分かった」
「悪いな。俺の勝手な頼みで」
472テュランの筏4/12:2007/01/15(月) 12:05:25 ID:QLszGM7g0
「ううん、でも何か計画しているなら話して欲しいな。心構えが、違うからね」
計画、のところで僕は声をひそめる。
「……いや、別に。もう小細工は、なにもない」
「そうなんだ。それならそれでいいけど」
意外な気もしたが、僕はそれ以上追及しなかった。
なのにクリフは口を開きかけては閉じ、
視線をそらしては、あらぬ方向へ泳がし、落ち着かない。
「……どうしたの、クリフ?」
僕の問いに、言いづらそうな表情をしていたクリフは、ささやくように発した。
「智士が汚されるのを見たくない……俺の勝手な頼みだ」
「え、あ……」
口をついて出るのは、意味不明なきれっぱしばかり。
胸はコトン、コトンと沸騰する鍋のようにやかましく、
頭の中に真っ白なゆげを吹き立てて、考えがまとまらない。
僕は、心があふれそうなほどの歓喜を抱いていた。
固形食料の箱を取り出す。内の片方をクリフに差しだした。
「じゃ、僕もクリフに勝手な願いをするよ。これ受けとって。
あと数日間を一緒に乗り切ろう……僕も見たくない。クリフが汚されるのを」
長い長い沈黙の後、クリフは手を伸ばして、受け取ってくれた。
白く並ぶ歯を見せ、チャームポイントの八重歯を輝かせて。
「分かった……二人でがんばろう。乗り切ろう」
僕は嬉しさのあまり、クリフの手をぎゅっとにぎりしめていた。
473テュランの筏5/12:2007/01/15(月) 12:06:46 ID:QLszGM7g0
その後の会話も、タープにくるまったままだった。
太陽は燃えさかり、昼間に近づくにつれて蒸してきたが、
そうでもしなければ、とても話せた内容ではなかったのだ。
「……藤吾が、選んでいた?」
そうだ、と真剣な顔でクリフはうなづく。
「海に投げ出され……板のきれっぱしにしがみ付いたり、
救命胴衣で浮かんでいる乗客の間を、藤吾はいかだで渡っていた。
少年の頭部を見かけると、近づき持ち上げ、見定めて……そのまま海に沈められた。
誰も浮き上がってこなかった。何人か見た、そうして殺されている乗客を。
コンタクトをなくしてぼやけていた風景だけど、あの白いスーツの腕だけは忘れない。
俺のところに来たとき……ああ、もうだめだなって、そこで意識を失った」
クリフは言葉を切って、水平線の向こうを強い瞳で見た。
僕は答えるすべを失っていた。それがどういう意味なのか……考えたくなかった。
いやでも遅かれ早かれ分かるのだろう。でも少しでも先にのばしたかった。
僕が青ざめ押し黙ったのを見て、クリフはいたわるように髪をなでてくれた。

唇をしめらせるていどの水をふくみ、四等分したクッキーの一片を放りこみ、
後はお互い無口ぎみに、エネルギーを消耗しない行動をとった。
黙ってタープにくるまり、身体を横たえる。
なかなか訪れない眠りの中、藤吾の時計の音を聞き、僕は星座の観察を行なった。
忘れないうちに、クリフに告げ、彼は厳しい表情で床の模様をふやしていった。
474テュランの筏〜海市6/12:2007/01/15(月) 12:11:29 ID:QLszGM7g0
*  *  *
成熟過程の性器を含ませられた藤吾は、朝小一時間かけてセットする髪を乱暴につかまれ
左右に引かれ、頬を挟まれ、顎を押さえられた。
黒髪の少年から、舌を使え、歯を立てるななどの指示はない。
己で好きなように藤吾の頭部をもてあそび、快感を得ているようだ。
紅潮して、目を細めている。
藤吾は忌まわしい行為を強いられる現状と、卑猥なものを咥えさせられる恥辱に、
当然怒りも覚えたし、抵抗も考えた。
だが、彼には最後の一線があった。
教師と生徒。この場で「正当防衛」を行い、生徒らの将来をつぶす権利を、
果たして自分は持ち合わせているのか。
結論などは出ない。ただただその時は、されるがままになっていた。
熱気をまとったものとこすれあい、藤吾の口内には蒸気か何かで水気が現れている。
律動的に腰を動かし快楽を求める少年の動作は、
そのたびにジュプジュプと淫靡な音を立てた。
膨れ上がるペニスに、気管をふさがれかけ、藤吾は苦しげに息を吐きだした。
「それそれ、その顔。絶対教壇じゃ拝めない表情だね……っ!」
同時に藤吾の口蓋に、熱くねっとりした迸りがはりついた。
わずかに粘質を持ちあわすも、非常に緩慢に垂れるその動きは、藤吾を嫌悪感に陥らせた。
475テュランの筏〜海市7/12:2007/01/15(月) 12:12:22 ID:QLszGM7g0
「ちゃんと飲んでくれよ、おっさん。
あんたほんとうに、それしか飲むものないんだから」
ペニスもしまわず、黒髪は藤吾の鼻をつまみ、手の平に顎を乗せて、大きく傾かせた。
「ぐ……っ、ん、ぐぅ」
首を振って拒否を示す仕草すら、許されない。
少年はニヤニヤと笑って、藤吾の喉が動くのを待ち構える。
傾きにそって、落ちてくる。熱を口内にはりつけて、ねっとりと形を変えながら、
喉を焼きつかせてくだるそれを……藤吾は、この先何度も飲まされる事になる。

一度尿意を訴えた時、防空壕の間取りは理解していた。
縄と見張りつきで歩きまわされた通路は、非常に狭い。天井も低く圧迫している。
閉鎖された扉が多く、使える部屋の数は少ない。
入口は、崩れた土砂と折れた木材で完璧に埋もれていた。
彼らが排泄に利用している部屋は、手前に浅い穴が、
部屋の奥には黒々とした底の見えない空洞が横たわり、冷たい風が吹き込んでいた。
その先は、自然の洞穴なのだろう。
窒息死の不安は拭われたが、逃れられない事に代わりはなかった。
最初の部屋に戻り、再び拘束される。藤吾は再び喉の渇きを覚え始めていた。
部屋の少年二人は、飲料のボトルを傾け、スナックや駄菓子をかじっている。
棚上の古びた時計は、金曜日の深夜であると告げている。
盤で時間の経過を知ると、空腹もまた襲い掛かってきた。
476テュランの筏〜海市8/12:2007/01/15(月) 12:13:12 ID:QLszGM7g0
扉の開く音がした。藤吾はまだ閉じ込められた生徒が居たのだと、そちらを向いた。
「クニちゃ……じゃない、おい、国山、おせーぞ」
黒い髪の少年が立ち上がり、口汚く罵った。ヨウも視線をやっている。
「すみません、榊さん」
小柄な国山少年はペコペコと頭を下げた。
他二人の少年と違って、制服のボタンはきっちり止められ、襟もピンとしている。
物腰や口調から連想するのは気品や優等生といった単語だ。
はっきり言ってこの三人のつるむ理由が分からない。藤吾は教師の視点から思った。
「先生、足の方は大丈夫ですか」国山少年は藤吾を見た。
「後、コiーラのフタ、開けておいたんです。炭酸抜けたから、これならどうかと思って」
屈み込む少年の瞳は、光の加減か青く澄んで見えた。藤吾はつい見入った。
視線に気付いたのか苦笑いし、少年は小さく、クォーターなんです、と答える。
職員の噂で聞いたことはなかったが、別段目立つハーフ、帰国子女の類でもない。
目の色程度なら、噂にものぼらないだろう。
それはとにかく、半日放置した炭酸も、藤吾は受け付けなかった。
弱まった二酸化炭素の泡は、それでも喉の奥をチクチクと刺した。
吐き出して苦しむ藤吾の背中を、国山少年は優しく撫でた。
振って気が抜けるのを早め、数時間おきに試して、藤吾の渇きを癒そうとしてくれた。
熱く焼け付く喉に苛まれながら、白濁の液体だけしか喉を下す手段がない藤吾に、
それでも国山少年は、心を潤してくれるオアシス的存在であった。
477テュランの筏〜海市9/12:2007/01/15(月) 12:14:11 ID:QLszGM7g0
土曜日の、まだ夜も明けていない早朝。
藤吾の恐れていた事態は、黒髪の榊少年の言によって引き起こされた。
「なぁ、おっさん。おっさんが偏差値最低ラインの
ここの教師になったのって……あの噂ほんとうなのか?
配属先を決める担当が『女子生徒が多い学校だと、問題が起こりそうだから』って」
興味津々な三人の少年が、それとなく藤吾に視線を向けた。
藤吾は目を閉じ、答えなかった。疲れていた。返事する気力もなかった。
自分がどんな美の水準にあるかなど、考えた事もなかったし、興味もなかった。
無機質な鏡に映る像で、己に評価を下すのなどは馬鹿らしかった。
ただ、人に「センスが良い」と言われたことはあった。
こだわるブランド等はないが、無意識に自分を高める品を選択する内に、
装飾品により自分が「洗練」されていたのかもしれない。
そういう雰囲気で好かれるのなら……元から持っている素材ではなく、
自分の伸ばした才能が認められるようで、嬉しく思えない事もない。
だが、そんな誇りも、次の一言で打ち砕かれる。
「その担当の気づかいも、ムダだったわけだ。
だっておっさん、俺たちに向けても、放射してるよ? フェロモンってヤツ」
ハッと顔を上げる藤吾の瞳に映ったのは、欲望をギラギラと目に灯して立ち上がる、
制服姿の少年だった。
「国山、首と足解いて、腕を押さえろ」
478テュランの筏〜海市10/12:2007/01/15(月) 12:15:09 ID:QLszGM7g0
榊の命令に、国山少年は明らかに戸惑っていた。
だが、二度目の命が荒々しく下されると、泣く寸前の表情で、藤吾の縄をほどき、
地面にあお向けに倒すと、両手首を頭上で押さえた。
「……っく、先生、ごめん、ごめんっ……」
しばらく放心していた藤吾は、ボロボロと顔にこぼれ落ちる涙で、現状を把握した。
抵抗すべきか……しかし縛られたままの足は痺れ、重い荷物のようだった。
ならば教師として、説得すべきか……だがざらついた喉は、呼吸すらも苛んでいた。
ならせめて、目の前で泣く一人の少年の、心を癒すくらいは出来ないだろうか。
彼は、自分の為に泣いてくれているのだから……
教師としての理念、使命。それは今や薄れ、被害者と加害者と、
その中間で苦しむ少年を、ただただ案じる気持ちに陥った時。
唐突に下着ごとスラックスを剥がれ、両足を持ち上げられ、その間に制服姿の少年が割って入った。
榊は舌なめずりしながらボトルを傾ける。藤吾の股間に気泡の感覚が降り注いで、弾けた。
奇妙な感覚に思わず身を捩る。
さらさらした液体は、手近な後孔へと流れ込み、腸内でまたあぶくが弾けた。
「……ッ! ……ッグ」
目に涙を浮べて、内側の痛痒感に耐える藤吾を、にやにやと榊は見下ろす。
「そっちからなら、飲めるじゃん。炭酸飲料。んじゃ、こっちもよろしくー」
すでにたぎっていたペニスを、榊は飲料のぬめった糖分に乗せて、挿れる。
「……ッ……ァァ……ァ゙ア゙!」
瞳を限界まで見開き、枯れた喉から吐き出す悲鳴は、しわがれていた。
身体が裂けるほどの強い痛みを逃がすには、全く足りない。
479テュランの筏〜海市11/12:2007/01/15(月) 12:19:01 ID:QLszGM7g0
榊はしっかりと両足を掴み、国山少年も命令に忠実に固定しつづけた。
藤吾が出来るのは、ただ乾いた歯を噛み、神経を遮断しようと努力する事だけだった。
だがそれもむなしく、押し広げる少年のペニスは、藤吾の努力が間に合わない速さで膨張した。
炭酸の残りかすを纏いながら、乱暴に動かされる。
奥のくぐもった水音の中に、泡のはじける音が響き……まもなく吐き出される熱いドロッとした塊に、支配された。
藤吾はおぞましい感覚に、瞳の色を失い……それを見て愉快そうに榊は腰を引いた。
「次、ヨウだろ。最後は国山、お前だ」
細目の少年が、頭の後ろで組んでいた手をほどき、立ち上がる。
彼もすでに股間をたぎらせており、そして国山少年は、ひたすら涙をこぼしつづけた。
絶望より、痛みよりその熱い飛沫が、何より藤吾に印象深かった。

三人にまとめて陵辱されたのは、それ一度きりであった。
後は各自が、気が向いた時、その時の気分で口か尻か、犯されるのかが決まった。
黒髪と細目と、どちらが多かったかなど、意識が朦朧としていた藤吾は、覚えていない。
けれど、命令されて嫌々ながら、行為に取り掛かる国山少年。
犯しながらも泣きじゃくる、青い目の少年だけは、強く記憶していた。
480テュランの筏〜海市12/12:2007/01/15(月) 12:19:49 ID:QLszGM7g0
時間は…土曜日と日曜日の間くらいだろう。他二人の少年は毛布にくるまり眠っていた。
国山は藤吾のために、必死にボトルを振っていた。
ほとんど出ない唾液で舌を湿らし、藤吾は尋ねてみた。
どうしてあの二人と、行動を共にしているのか。脅されているのなら、教師に相談してみるといい、と。自分は空き時間、進路相談室に詰めている、とも。
声は枯れ、途切れ途切れで、たっぷり時間がかかった。
それがかえって、国山少年の心を解いたのだろう。薄幸そうな笑みを浮べる。
「他に、僕と話してくれる人、いないから。あの二人だけです。相手してくれるのは」
悲しそうに横を向く。
ランプに照らされ淡く光る青い眼は、この一種族しか存在しない島国での苦難を容易に想像させた。
閉鎖された学校という場ならば、なおさら。
藤吾は決意を秘めた瞳で、国山が差し出したボトルを、飲んだ。
一口だけでも、喉が未だピリピリするが、我慢して飲み下した。
「私が、手助け出来る事なら、なんでもしよう。私は、教師だから。
教えるのが仕事だから。いや……使命、だからだ。
ここから脱出したら、もう一度相談に来るがいい。
教えるのは君じゃない……固定観念に縛られ、異物は排除しようとする、
島国根性を持つ輩……それは遠く、果てしなく長い教育になるだろうが……」
ゼイゼイと喘ぎながら理念を喋る藤吾に、国山は目を細めた。
笑みではなかった。目尻からポロ、と水滴が流れ落ちたが、それは悲しみでもなかった。
*  *  *
481風と木の名無しさん:2007/01/15(月) 15:12:01 ID:M53f9FX20
テュランさん乙です。
過去編も現在編も、先の展開を楽しみにして待ってます。
482風と木の名無しさん:2007/01/15(月) 15:30:59 ID:yyJRuv11O
テュランタンキテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
待ってた、待ってたよ〜。
すんげぇ嬉しい!

やはし藤吾の目的は過去への復讐なのかな…。
国山少年が気になるぞ。

続き超期待!
483風と木の名無しさん:2007/01/15(月) 19:00:51 ID:7QBRJlaH0
テュランタン待ってたー!
一体何がどうなって藤吾がああなったのか、早く知りたい!
そして、クリフ&智士がんがれ!
484風と木の名無しさん:2007/01/15(月) 21:39:12 ID:5WlIs2q6O
テュランタソ待ってました!!!
クリフ
485風と木の名無しさん:2007/01/15(月) 21:46:57 ID:5WlIs2q6O
テュランタソ待ってました!!!
クリフ&智士の関係も気になるところ
486風と木の名無しさん:2007/01/15(月) 23:06:15 ID:8BrzAOa10
テュランタソキター!
クリフと智士のさわやか二人組みが
とてもいとおしいです…
487柿手:2007/01/16(火) 01:48:06 ID:YBc3vYDI0
>>450
「指を少し曲げてみよ」
荒い息を吐く清一郎を見下ろしながら、長椅子の男が、
悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべて、平太に告げた。
「あの、この程度でよろしいでしょうか」
平太は心持ち指を曲げ、鰹節を削るような仕草で指を出し入れしてみせた。
「ああ、なかなか飲み込みがはやい」
満足そうに頷いた男の後を、カワホリが引き継ぐ。
「少し掘り進んだ所に、小さなしこりがあるはずです」
 そこが患部ですので、指で何度も丁寧にこすって薬を塗ってあげてください」
「なっ」
カワホリの言葉に、清一郎の唇から掠れた悲鳴が漏れた。
「平太、違う、そこは……」
「ほら、セイイチロウさまが痛がっておいでです、早く患部を見つけてあげてください」
ひどく切迫した清一郎の声を訝しく思ったものの、
カワホリに急き立てられ、平太はわけもわからず指を闇雲に動かした。
「……あっ!」
他の部分とは明らかに違う小さな硬い膨らみに平太が手を触れた刹那、
平太と清一郎の口から同時に声が漏れた。
「ここだな、待ってろ、今、薬を塗ってやるから」
探し当てた場所に軟膏を塗りこめるように、指で何度もこすると、
清一郎の背がのけぞり、膝ががくがくと震えだした。
「やっ、だめ……だ、待て……ああっ、やっ……」
普段の落ち着いた清一郎からは想像もできない、甲高い悲鳴がこぼれる。
平太は顔をしかめた。
日本男児たるもの、どんな痛みや困難も歯を食いしばって堪え、
みだりに騒いだり泣き言を言ってはならない。
常日頃、そう言って己を律してきたのは清一郎自身なのに。
肺病を患って吐血した時だとて、毅然とした態度で弱音一つ吐かなかったのに。
なのに、たかが痔の薬を塗るだけのことに、こんな情けない声を発するとは。
「……っ、おねが……平……太、そこは……」
清一郎が漏らす途切れ途切れの哀願が、平太の気持ちを更に不快にさせた。
488柿手:2007/01/16(火) 01:48:50 ID:YBc3vYDI0
「みっともない声をあげるなよ」
押さえようとしても声が尖るのを止められなかった。
「痛いのは当たり前だ。少しぐらい我慢したらどうだ」
無様な清一郎の態度に落胆を禁じえない。
高潔で誇り高い清一郎は、戦禍で何もかも無くしてしまった平太の唯一の自慢だったのに。
自分でも正体のわからぬ憤りをそのままに、わざと乱暴に指を動かす。
清一郎が呻き声をあげたが、平太は構わずぐいぐいと指でしこりを押した。
くすりと背後から忍び笑いが漏れた。
「おやおや、セイイチロウ様のご友人は、マスターに劣らず手厳しいご性格のようで」
からかうようなカワホリの声音に、男は不満げに鼻を鳴らした。
「我は、気に入りのものに対しては、それなりに甘やかしてやるほうだぞ」
「セイイチロウさまへの仕打ちはとてもそうは見えませんが」
「それはセイイチロウが。……我に対してもあんな声で縋ってみせれば、我だとて」
そう言いかけて、どこか悔しそうに口を噤む。
そんな男を苦笑交じりに見やったカワホリが、平太に視線を移した。
「充分ほぐれた頃合ですので、もうそろそろよろしいですよ」
「は、はい」
平太が清一郎の中から指を引き抜くと、清一郎が安堵したように息を吐き出した。
カワホリがワゴンの上の箱を開けながら、小さく笑った。
「まだ終わりではありませんよ、セイイチロウさま」
小指程度の紡錘状の塊を取り出して、男に見せるように並べていく。
「マスター、坐薬はどれにいたしましょう?」
「ざやく?」
聞きなれない言葉に首を傾げる平太に、カワホリが傍へ来るようにと手招きをする。
「この国ではまだ馴染みのない薬でしたね。尻穴に入れて使う薬ですよ」
「尻にって……。でも、それ固形ですよ、そんなものを入れたら」
「植物性の樹脂を使っているので、人肌で蕩けて患部を包み込むんですよ」
半信半疑で、平太はワゴンの上に並べられた小さな塊を見つめた。
「これを全部入れるんですか?」
「まさか。いくらセイイチロウさまの穴がゆるくてもそれは無理ですよ」
マスターが選んだものを一つだけ使用するのだと、カワホリは笑いながら告げた。
「で、どれになさいますか? マスター」
489柿手:2007/01/16(火) 01:49:23 ID:YBc3vYDI0
男はしばらく考える素振りをしたあと、平太に向かって顎をしゃくった。
「これに選ばせてみよ」
平太は慌てて首を振った。
「ちょっと待ってください。なんで俺なんですか」
「おまえが選んだ薬なら、セイイチロウは否やは言うまい」
「でも、俺、そんな薬の種類なんてわかりません」
「構わん。副作用に多少の違いがあるだけで、治癒効果には変わりはない」
「かしこまりました、マスター」
困惑も露な平太を他所に、カワホリが男に恭しく一礼した。
カワホリは平太に向き直ると、並べられた薬を指差しながら、順に薬の名前を告げていく。
平太は目を白黒させた。
舌を噛みそうな長ったらしい外国の薬の名前など教えられても、
何がなにやら、平太にはさっぱりわからない。
先ほどの話しでは坐薬は植物性の樹脂からできていると言っていた。
ならば体に良さそうな植物のものを選べばいいのだろうと思うのだが、
肝心な言葉が全く聞き取れないのだからどうしようもない。
どれになさいますかと促されて、平太は辛うじて聞き取れた一つをおずおずと指差した。
「あの……これ、えっと、『ヒノキの』って名前の……」
日本のひのきと同じものとは限らないが、もしもひのきであれば体にも害はないはずだ。
平太が選んだ薬をみて、男は訝しげに片眉をつりあげた。
「はて、これは何処で手に入れたものだったか?」
男の問いに、カワホリの表情が緩んだ。
「フィレンツェへ行かれた際に郊外の貴族の館で譲り受けられたものでございます。
 嘘ばかりつく木偶の少年を調教するために用いたとの逸話をいたく気に入られて」
ああ、と男は頷いた。
「なるほど、あの呪か。……これはいい、セイイチロウにはぴったりではないか」
「ええ、さすがご友人ですね。セイイチロウの様のことをよくわかっていらっしゃる」
カワホリは平太が選んだ一つをピンセットでそっと摘むと、清一郎の前にしゃがみこんだ。
紡錘状の薬の先を清一郎の入口にあてがうと、ぐにゃりと薬が不自然に歪んだ。
ひしゃげた薬は、まるでそれ自身が意思を持つて這うかのごとく、
ずるりずるりと清一郎の中へと入っていく。
平太は目をしばたいた。
490柿手:2007/01/16(火) 01:50:06 ID:YBc3vYDI0
(なんだ、あれ、まるでナメクジみたいな……気持ち悪い)
ぞわりと鳥肌がたった。
見間違いだ。
カワホリが摘んで押し込んだだけだ。
それがたまたま変なふうに見えただけだ。
平太の理性は、己が見たものをそう解釈する。
だが、その一方で、本能的な感覚が全身で嫌悪を訴える。
あんな得たいのしれないものを体に埋め込まれて清一郎は平気なのだろうか。
清一郎は、先ほど声をあげたことを平太が咎めだててから一言も発していない。
上半身を曲げて臀部を突き出したままの姿勢を保ち、俯いたままの表情は不明だ。
「清一郎、大丈夫か? まだ痛むか?」
背中を撫でながらおずおずとそう問いかけると、清一郎は心持ち顔をあげ微笑した。
「心配かけてごめん平太。大丈夫、平太が塗ってくれた薬がとてもよく効いて、
 もうどこも痛みなんてない、ありがとう、平太のおかげ……だ……っ……くっ」
いつもの穏やかな口調で語り始めた清一郎の声が、突然途切れた。
訝しむ平太の目の前で、清一郎の体が瘧のように戦慄き、背中が弓なりにしなる。
「……やっ、なっ……っ」
腰をくねらせ、首をのけぞらせて、何かから逃れるように清一郎はもがき出す。
「どうしたんだ、清一郎?」
突然の清一郎の狂態に、平太はどうしてよいかわからず、
縋るように背後の男たちをふりかえった。
「大変です、清一郎が……」
言いかけた平太の舌が凍った。
二人は哂っていた。
まるで、街で評判の出し物を観賞するような眼差しで、清一郎を見つめながら。
「セイイチロウ、その体勢では辛いだろう。もう好きに体を動かしていいぞ」
男の言葉とともに、清一郎が両膝を床についた。
四つんばいのまま、尻を突き出すように揺らして清一郎は獣のように喘ぐ。
そんな清一郎を眺めながら、男は心配する素振りも見せず、
長椅子に体を埋め、肩を揺らして哄笑している。
「嘘をおつきになるからですよ、セイイチロウさま」
笑みを佩いたまま、カワホリが窘めるように清一郎に告げた。<続>
491風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 02:39:54 ID:9TXkB7Yu0
平太wwwwwwww
マスターちょっとカワイス
492風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 02:42:05 ID:RFWM6XF20
平太ー、「みっともない声あげるな」なんて、
ちょっと厳しいぞw。
嬉しくなるじゃないか。
493風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 03:26:12 ID:452coh0j0
カワホリさんが一番ノリノリな件に関してw
494風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 07:16:52 ID:HdUXKIo0O
ちょww平太マジ鬼畜wwwww
清一郎カワイソスw


もっとやれ。
495風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 09:18:16 ID:8Ftj7SgZO
平太強ぇーーーーー!!!!!!
新たな鬼畜誕生!!!!
496風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 11:33:22 ID:xeThbB80O
こんな種類の鬼畜があるなんてw
497風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 11:44:13 ID:1BTGAyYoO
テュランたん柿手たんGJ!!
498テュランの筏1/11:2007/01/16(火) 12:03:16 ID:4SwKWfB10
十一日目

楊玲の悲鳴がなかったら、僕は目を覚まさなかったかもしれない。
クリフは起きて、相変わらず水平線を見つめていたが、方向が全く逆だったし、彼の視力じゃ発見出来ないに違いなかった。
ガバと飛び起き、立ったまま悶える楊玲を日常の風景として目線を通りすぎた、その先。
僕は黒く煙をたなびかせる、水平線上の小さな小さな船影を僕はとらえた。
「船だ、船だよっ!」
誰もが声の主である僕を見、そして指がしめす方向へ頭をめぐらせた。
楊玲は……胸にピアスをつけ、後ろ手に鎖で拘束され、尻に何かグロテスクな物体を
くわえこんでいたが、それでも恍惚一色だった目に、正常の光がともった。
僕はかけつける。楊玲の脇を抜け、いかだの端へ、身を乗り出した。
間をおかずにクリフもかけつけ、横に並んだ。
楊玲が分からない言葉で叫んだ後、鎖のジャラリという音とともに倒れ、呻き声をあげた。
鎖の端を藤吾ににぎられ、行動の自由を奪われているのだ。
助け起こしてあげたいが、今はそれどころではない。船影は、遠ざかっていってしまう!
「おーいっ! おーい」
僕は枯れた喉を酷使し、叫んだ。両手をめいっぱいに振りあげる。
「それじゃ、無理だ」
クリフはにべもなく言い、僕にタープを持たせた。大きく振るように指示される。
旗のように、僕は頭上にかかげたそれを、ふりまわした。
その間にクリフは、つかつかと藤吾のもとへ歩み寄った。
499テュランの筏2/11:2007/01/16(火) 12:04:26 ID:4SwKWfB10
鎖の端をにぎり、犬の散歩のように、優雅にトランクに腰かける藤吾。
彼だけは、船の影も僕らの行動も、目に入らないかのように薄い笑いを浮かべている。
「持っていたら鏡、なければ金属製のたいらな物を貸してくれ」
焦るクリフをじらすように、ゆっくりと藤吾は視線を向けた。
「鏡はある」胸ポケットから櫛のついた鏡を取りだす。
「スパンキング三十回と引きかえだ。もちろん、あれを挿入して」
落ち着き払った藤吾が指さすのは、楊玲の後孔だった。
「な……なに考えているんだっ!? 船が通りかかったんだぞ?
あんた、助かりたくないのかよ」
一瞬絶句しかかったクリフは、それでも両手を広げ、怒りをおさえて藤吾に話しつづけた。
しかし藤吾は鏡をちらつかせるだけで……決して渡そうとはしなかった。
クリフが命令にしたがう意図がないのを見抜いたのか、
鎖を引き、楊玲を悶えさせては冷たい笑いを見せる。
「っ……!」
ムダだと悟ったのか、クリフはきびすを返してこちらに戻ってくる。
舌打ちをこらえたその顔は、まるで炎のように怒りをかもしだしていた。
しかし、もう遅かった。
船は僕の目でもとらえられないほど遠くへ、
水平線でキラキラ輝く光の一端へ飲みこまれてしまっていた。
500テュランの筏3/11:2007/01/16(火) 12:05:28 ID:4SwKWfB10
楊玲は一声唸った後、また目の色を恍惚に染め、喘ぎ声をあげはじめた。
それは異様だが、ここでは日常である。
十メートル四方の王国が健在である事を示す、何よりの証拠だった。

「たぶん、藤吾は俺たちを救う気はない」
タープにくるまった密談の体勢で、開口一番にクリフは宣言した。
僕は苦い顔でうつむいた。今日の出来事を見ていれば、分かる。
「俺の頭に色々考えはあるがまだ、まとまっていない。
多分、今日で結果が出ると思う。智士、今夜も星を見てくれ」
僕は言われた通り、藤吾の時計が示した時報で起きあがり、見た結果をクリフに伝えた。
501テュランの筏〜海市4/11:2007/01/16(火) 12:06:18 ID:4SwKWfB10
*  *  *
唯一の飲み物であるコiーラ。残りは半分の一ダースになった。日曜の深夜の事だ。
藤吾はほとんど飲めないし、ガブガブと飲み干し消費するのは主に榊少年であった。
だから、彼が最も先に口にしたのだろう。生来の気質、乱暴さと共に。
本来なら藤吾がそれを耳にする事はなかった。
全身白濁液にまみれ、時折、後孔からの出血に痛みを覚え、喉の渇きはずっと傍にあった。
与えられた毛布と、水なしで飲み下せる睡眠薬で、ぐっすり寝込んでいる筈だった。
だが、薬が体質に合わなかったのか。それとも薬の使用条件を越える程に、
喉が乾燥していたからか、しわがれた咳と共に吐き出してしまっていた。
「……大丈夫なのかよ。クニちゃん。
ほんとーに、あのおっさん、完全に落とせるまでここに篭もるのかよ」
「どうせお前らは『友達の家に泊まる』で一週間以上の外泊は可能なんだろ?
俺の所は両親長期不在だし。
矢野島名義で作った休暇届は、金曜日に投函したから、明日には校長の所へ届く
……榊、お前がしゃにむに消費しなければ、十日以上持つ計算だった」
強い調子で諌められ、口答えしていた榊は、鋭い視線に射竦められると、
唇を結んだ後にゴメンと小さく言った。
「国山さん。外からの補充は?」
これは細目のヨウ少年だった。
502テュランの筏〜海市5/11:2007/01/16(火) 12:07:23 ID:4SwKWfB10
「基本的には無理だ。土砂崩れの仕掛けが予想以上に大きすぎた。
非常脱出用に作ったルートも塞がれた。外から掘り出してもらうしかない。
ただ連絡用の通信穴は使える。朝決まった時間に俺の部下が、そこを訪れる」
「ほんとーに、おっさん、落ちるかなぁ」
榊少年の視線が向いたので、慌てて藤吾は寝息に沿った肩の動きを作った。
「……落とさなくちゃならない。ここまで来たら。いや、最初にやると決めた時から。
心まで打ち砕いて、俺たちのものにする……持久戦になっても……」
暗く低い声色には、それに相応しい目の色が灯っていただろう。闇の色、漆黒。
聞きとがめた藤吾の身体がピクリと震えた。ヨウは更に目を細め、何か国山に耳打ちした。
「ああ、また、コンタクトつけなくちゃ。面倒だな。痛いし。カラーは体質に合わない」
「しかし、おっさんもまぬけだなぁ。カラコンと作り話で、あっさり信じるんだから」
榊はまた眠る藤吾へ視線を向ける。小さく笑いながら、国山は装填した。
「体質に合わないお陰で……用意した目薬は出番をなくした。
演技じゃない、ほんとうの涙だから……まぁ、信じざるを得ないだろう。
教師として……なぁ、藤吾先生」
声は、あやまたずに藤吾に向けられていた。
肩を揺らし、寝息を立てるその背中へ。
「え、何、何っ? 起きてるの、起きてるのかよ、おっさん!?」
すっとんきょうな声で、榊は二人の仲間と、藤吾の間で顔を動かしている。
「今、目を見開いた」
ヨウが指摘した瞬間、確かに藤吾は瞳孔をめいいっぱいに、開いていた。驚愕で。
503テュランの筏〜海市6/11:2007/01/16(火) 12:10:44 ID:4SwKWfB10
「いいんですよ、起きても。先生。聞こえているんでしょう。
狸寝入りなんて、意地が悪いなぁ。
二日と半日分の信頼たしかに頂きました。
それが打ち壊される時が……心を支配するのに丁度いいんだけど。
ちょっと早すぎましたかね。別にこっちは構いませんですけど。
俺たちには、これからもまだまだ耐える時間は沢山……あるんですから。藤吾先生」
挑発口調で投げかける国山に、藤吾は乗らなかった。ただただ寝た振りを続けた。
ガクガク震える手足はどうしようもなく、それに連なり心も乱れていた。
誰もが藤吾の目覚めを確信して、離れた位置から薄い笑いを浮かべていた。
それでも動いたのは榊少年一人であった。毛布を剥ぎ取られ、乱暴に髪を掴みあげられる。
そこで初めて藤吾は覚醒した演技をしたが、誰もそんなものは気にしていなかった。
「では、お目覚めの一杯。いくぜ、おっさん」
たぎりかけたペニスが、騒いで飛び出そうとする藤吾の胸の内を、物理的にふさいだ。

犯される藤吾に、涙を流す者はもう誰も居なかった。藤吾自身も含めて。
身体中のあちこちをなぶられ、押し挿れられ、残酷な言葉を投げかけられながら、
藤吾はどこかでヒビ割れる音を聞いていた。
自分の中の音だと分かると、藤吾は笑い転げたい衝動に駆られた。
ヒビ。ヒビだなど、誰が言ったのだろう。自分の中の何が割れると言うのだろう。
これは卵の殻を破るのと同義。
枷から解き放たれ、飛翔するのは今をおいて他にはないのに。
壊れはしない。そう簡単に、心は打ち砕かれない。
504テュランの筏〜海市7/11:2007/01/16(火) 12:11:45 ID:4SwKWfB10
……彼らはそれを知っているのだろうか。若く、まだ社会にも出ていない彼らは。
……教えてやらねばならない。身も心もものにするとはどういう事か。
……自分は、教師だ。師の立場で教えを施す者。別に内容が教科と決まった訳ではない。
……必要だと思った事は、何だって……教えてやらねばならない義務が、権利がある。
それがこの職を選んだ自分の使命なのだと、強く心に刻み込まれる。
どんよりと濁っていた藤吾の瞳に、暗い炎が灯った。
藤吾をもてあそんで笑う少年達は、誰もそれに気付かなかった。

声は出なくとも、身体で十分教育を施せた。最初のターゲットはヨウ少年であった。
細い目の奥で、犯される藤吾にどこか焦がれるような瞳の色があるのを、教師である藤吾が見逃す訳がなかった。
ヨウと一対一になった時、大仰に快楽の顔を作り、喘いで見せた。
彼にはもともとマゾっ気があったのかもしれない。
立場を入れ替えるのに、そう労は費やさなかった。
藤吾のものを受け入れた少年は甲高い悦びの声をあげ、
最初に被っていた、まやかしのSの仮面は粉々に砕けた。
排泄と偽り、出かけ、二人は適当な部屋で身体を交わした。
勘聡い国山が気付く前に、すでに支配する者とされる者の関係にあった二人は、行動を起こしていた。
生活の糧であるコiーラを、全て奪い、支配下に置いた。月曜日の夕方であった。
505テュランの筏〜海市8/11:2007/01/16(火) 12:12:59 ID:4SwKWfB10
予想通り、次に脱落したのは榊少年だった。
苛立ちに紛れてスナックを漁り、暇さえあれば、ヨウに「裏切り者」と罵り言葉をかける。
これで、喉が渇かない訳はないのだ。
藤吾にとって幸運だったのは、ヨウが空手の有段者であった事だ。
国山はボディガードをも兼ねて、彼を傍に置いておいたらしい。
それが逆に今は、暴力的解決を選べない窮地に追い込まれているのだから、皮肉なものだ。
榊は渇きを忘れようと、足音高く歩き回っている。視線をコiーラの箱に釘付けに。
国山は腕を組み、藤吾から最も離れた位置で注意深く窺っている。
時折、榊に「無駄な動きはするな」「構うな」など短く檄を飛ばす。
だが、青褪めた顔色は、ついに戻らなかった。
火曜日の早朝、根を上げた榊は、ボトル一本と引き換えに、二人に組み伏せられた。
上も下も同時に犯され、身体中を白濁液にまみらせながら、榊はうつろな目を作った。
それでも交代交代に責めつづけると、少年は割れ鐘のような声で笑い始めた。
早まりすぎたか、と藤吾は少し後悔した。
食への欲望は貪欲でも、性に関しては、それほどではなかったのだろう。
たまに意識が正常に戻る事はあったが、それ以外は幼児のような行動で、
榊はずっとコiーラのボトルをしゃぶりつづけた。
火曜日の深夜の事である。助けはおろか、掘り出しが開始された様子すら、なかった。
506テュランの筏〜海市9/11:2007/01/16(火) 12:14:05 ID:4SwKWfB10
水曜日の朝。取引を持ちかけてきたのは国山の方だった。
「降参する。だが、身体はあけ渡さない。交渉だ。
助けを呼ぶ。外へ声が繋がる通信穴は、俺しか知らない。
だけど土砂の量が多く、掘り出すまでに半日はかかるだろう。その間持たせる。
ボトル一本と引き換えに、助けを呼ぶ」
ほんとうに限界だったのだろう。
これだけ紡ぐにも、何度も空気を求めて喘ぎ、ひびわれた唇を手の甲でぬぐっていた。
ダンボールに腰掛けた藤吾は、腕を組んでにやにやと笑う。
「……何故、私が助けを欲しいと、そう、思うのかね?」
「あんたは、炭酸が飲めない。もう、限界だろう。俺は、まだしばらく持つ。
だから、この駆け引きは俺に分がある」
嘘だった。国山の精一杯の虚勢だと、藤吾は見抜いていた。
彼は駆け引きなどに出ず、黙って時刻になったら助けを呼び、半日だけ待てばいいのだ。
その半日も持たない程……国山は限界なのだ。藤吾は唇の端を吊り上げた。
「別に……どうだって、いい。助けなんて」
「……っ!?」
遠い目をして呟く藤吾に危険を感じたのか、見開き、国山は一歩後ずさった。
「君に、きちんと『教え終えた』ならば、助けを、考えてもいい」
ギクリと顔を強張らせた国山は、しかし動揺を押し隠した。震える唇で何とか紡ぐ。
「あんたは……狂ってる」
「そうかね」
507テュランの筏〜海市10/11:2007/01/16(火) 12:15:23 ID:4SwKWfB10
短い藤吾の返答を、最後まで待たず、国山は時計にチラと視線を這わせた後、一目散に部屋を飛び出した。
足取りはふらついているが、目的を持った瞳だった。
藤吾はヨウの肩を押した。忠実な猟犬のように彼は駆け出す。
残った藤吾は部屋を見渡し、戸棚にボトルをしまった。鍵をポケットに落とす。
鍵が一本しかないのは、確認済みだった。そして榊を引っ張るようにして、後を追う。
この鍵が数奇な運命を辿り、海に投げ込まれて生涯を終えるなど、まだ誰も知らない。

「助けてっ! 早く、今すぐっ!」
土の廊下に出た途端、その悲痛な声は響き渡った。
出入り口近くの、工事用品などを置く棚から、国山は枯れた喉を震わせていた。
追いついたヨウが間もなく彼の動きを、固めて封じた。
身をよじって抵抗する国山に、藤吾は威厳を持ち、悠々と近づいていく。
青褪めた唇を結ぶ国山の前で、外へ繋がるパイプに、藤吾は握り締めた土塊を押し込んだ。
「無粋なまねを……」
怒りを押し殺した藤吾の口調に、怯む様子もなく、国山は足をばたつかせ「狂人」と罵りつづけた。
何故、教育をやり遂げようとするだけの、熱い教師の魂が分からないのか。
急に怒りに駆られた藤吾は、はがい締めにされている国山の制服を乱暴に剥ぎ取った。
「やめろっ、この変態教師」
狂人よりはマシであったが、それでもありがたくない呼び名に、藤吾は憤慨した。
508テュランの筏〜海市11/11:2007/01/16(火) 12:21:21 ID:4SwKWfB10
ヨウに言いつけ、国山を押し倒す。はだけた胸を、ひたすら舐め続けるよう、榊に命じた。
「お前らっ……触るなっ……っ、ひ……っ、ひぁっ」
糖分の混じった舌が這い回る感触に、背筋を震わせ国山は悲鳴をあげた。
その間に藤吾は、国山の股間を観察し、卑猥な言葉も浴びせていたが、
果たして聞いていたのかどうか。彼はひたすら暴れて、喚いて、もがくだけだ。
さっさと身体に教え込んだ方がいい。判断した藤吾は、国山の足を広げ、後孔を晒した。
再び激しい罵り言葉が轟くが、ヨウに口への責めを命じると、まもなく止んだ。
ファスナーをおろし、いざ挿入しようという時に、潤滑の代わりが何もないのに気付いた。
取りに行くには遠かった。三人がかりで押さえつけている今、離れる訳にもいかない。
忌々しく藤吾は舌打ちした。ほんとうに、何もかもが足りなさすぎる。
藤吾の心に浮かぶ、いくつかの思考。
(このまま挿入……榊のように壊れるか? だが時間が)
(終らせなくては、教育を。心を支配する……)
(壊れても、支配には代わりない……最終手段だが)
その迷いが運命を分けた。国山と、藤吾の人生を。
「誰か、居るのかっ?」
四人の誰でもない、第三者の声が響いた。懐中電灯の薄い明かりが、差し込んでくる。
背後の出入り口の土砂は、それが透けるほどに薄くなっていた。
誰も返事はしなかったが、まもなく最後の土が取り払われ、外気と陽光が満ちた。
*  *  *
509風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 12:42:05 ID:+jSR9GcK0
テュランタソ乙!!
この展開激しく萌えた。。。
510風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 13:56:30 ID:8Ftj7SgZO
テュランタソGJ!!!!
藤吾逆転萌え!!!

でもこの後の展開でどうなるのか楽しみ(*´Д`)
511風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 22:27:14 ID:71suZ/iL0
面白い…。
本当に面白い。萌えとか関係なく、ただただ面白い。
続き楽しみにしてます。
512風と木の名無しさん:2007/01/16(火) 23:20:08 ID:HdUXKIo0O
すげぇ…。
萌えとか通り越し手ハラハラドキドキしとる。

この過去が現在にどう繋がるんだろう…。
激しく続き期待!
513風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 00:30:40 ID:tlcQcWbI0
こういう表現が適当かどうかわからないが、翻訳物のような面白さだ>テュラン
514風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 00:49:04 ID:JlK6TOteO
何この乙の嵐…気持ち悪い。本気で面白いとか思ってるんだろうか…。
もっとレベル高い作品頼むよ!!
515風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 01:08:14 ID:K7lpWDMrO
テュランタン乙!!!
ものすごく萌え&ハラハラする展開で続きが気になるよ
516風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 03:03:19 ID:TBJKzqAH0
 
517テュランの筏1/9:2007/01/17(水) 12:05:05 ID:FyI39WtK0
十二日目

「動いていない……このいかだは」
それがクリフの出した結論だった。
僕は、呆然としていたのもあるが、頭の回転がおいついていなかった。
説明を求めて、クリフの肩をゆらす。
「星座の位置が全く変わっていない。
季節の傾きを計算に入れても……このいかだは初日の位置のまま移動していない」
床につけた傷だか数字だかつかないものを指で示し、クリフは目つきを鋭くした。
「だ、だって……二週間で助かるって。東の方に島があるって」
「客船が座礁した位置から、確かに東経に諸島はある。他は……全部でたらめだろう。
最初から希望をもたせる為だけに……十四日間という数値を設定したんだ」
僕は……顔面蒼白になっていただろう。
紙のように真っ白な色をして、激しくなりつつある鼓動を聞いていた。
……それじゃ、耐えても何にもならないじゃないか……
ポロポロ、ボロボロとまらず、僕はまた貴重な水分をムダにしてしまっていた。
クリフが目を閉じ、僕の髪に手の平を乗せた。
その温かみをもってしても、僕のこぼれる涙を止める事は出来なかった。
518テュランの筏2/9:2007/01/17(水) 12:05:57 ID:FyI39WtK0
「そんなにショックを受けるなら……俺の心だけにしまっておけばよかった」
ぽつりとつぶやくクリフに、僕はぶんぶんと頭を振った。
「ううん、そんな事はない。クリフが一人で心に抱え込まなくて、よかった。
心の構えが出来て、よかった。島影が見えなくても、絶望せずにすむ」
少しだけ表情をやわらげたクリフは、動きが止まった僕の頭を、ていねいになであげた。
「……藤吾をどうにかしなくては……いよいよトランクを奪わなくちゃならない。
締めあげ、何を考えているか聞き出さなくちゃならない。
今度は平和的にはすまない。暴力も辞さない」
独り言のように「明日」と唇を震わすクリフ。僕は呆然と、端正な横顔をながめていた。
タープを持ちあげ、太陽が昇る方向へ視線をやるクリフの目が、ふと僕を見下ろした。
「いつまで、泣いてるんだよ」
からかい気味にふわりと微笑むと、タープを持つ手を離せなかった為、
顔をやや斜めに近づけてきて……舌で僕の涙をなめとった。
「ん、あ……」
あまりに突然だったのもある。
クリフの顔がこれだけ接近するのに、身構えが出来なかった事もある。
鼓動は急激にやってきて、急カーブをえがいて最高潮に達していた。
耳まで一気に赤く染まるのも、下半身に血が集るのも、どちらも防げはしなかった。
519テュランの筏3/9:2007/01/17(水) 12:07:53 ID:FyI39WtK0
深刻な話をしているのに、なんで節操なしなんだ、僕は。
そう自分を叱ると、ますます恥ずかしくなって、紅潮するのをおさえられない。
唇を離したクリフは、不思議そうに、体温の高まった僕の顔を凝視する。
「辛いのか? ……大丈夫だ」
それは不安そうに泣いていた僕が、涙をこらえているのだと思って、安堵させようとかけた声なのだろう。
優しい吐息が、包まれたタープの中をかけめぐり……思い出させた。
強制的に行なわれた口での刺激。僕のがクリフの唇を割って入り、熱い息を絡められた中で、快楽を得た……思い出すな。
けんめいに止めようとしたが、勃起という生理現象は、もう僕の手にはおえなかった。
下半身でむくむくと起きあがる僕のペニスに気付き、クリフは目を丸くする。
見られてしまった! その恥ずかしさで、僕はまた全身の血液を下肢へと流れこませる。
「ごめん、思い出さないでっ……違う、違うんだ。ごめん、ごめん、クリフ」
文章になってない事を、僕はさんざんにわめきたてた。それこそクリフが呆れるまで。
「ごめんっ、違うのは分かってるのに、そんな場合じゃないのも、肌で感じてるのにっ……クリフ、ごめん」
顔を手で覆うのは、こぼれる涙をおさえる意味もあったし、赤面する頬を隠す意味もあった。
ただ、中途半端に燃え立ち、そのまま刺激を与えられずに放置された僕のペニスはたぎり、
マグマの噴火を直前にしながらも、きっかけがなく静まる火山のようになってしまっていた。
520テュランの筏4/9:2007/01/17(水) 12:08:49 ID:FyI39WtK0
「っ……ううっ」
どうすればいいのだか。このままじゃ苦しいだけだ。
けれど手はふさがっているし、場所を移動しようにも、この半端な持ち上がり状態では、とても歩けない。
爆発寸前の爆発物を抱えたように、僕はただ震えて呻いた。
しょうがないな、と苦笑する音が、頭上で聞こえた。
「辛いのは、そっちだったのか……まったく」
からかうような口調だった。それがかえって僕を救った。
「仕方ないっ……生理現象だし……空気こもって、熱いんだから、この中
……クリフは、突然だいたんな行動に出るし」
それこそ、自分をたなにあげて、クリフを責めるくらいには。
クリフは微笑んだ。きれいな八重歯を見せて。
「苦しいだろ……出しちゃえよ」
あ、と声をあげるひまもなく、暖かな手が、僕のペニスを包んだ。
さっきまで髪をなでていたそれは、口とは違う温度と、やわらかさを持っていた。
ぬくくて、しっとりしている。さらさらで、持っている球面の全てがなめらかだ。
その感触が全てクリフのものだと認識したとき、僕の背に走った電流は、
身体を反らせ、強い力で僕の下半身を前に押し出した。
「ん、う……んっ」
クリフは、ほんの二、三度、囲む手の平を動かしただけだった。
521テュランの筏5/9:2007/01/17(水) 12:09:59 ID:FyI39WtK0
それだけで、十分だった。僕の興奮は白濁となって、発される。
「ああ……っ」
ねっとりした液体が、タープに飛んだ。濃い緑色の表面に、
音を立てて着地し、白い染みとなってはりついた。
「あ……っ」
今度は、後悔の声。何しているんだ、僕は。
冷静さが戻ってきて、自分の行為を手ひどくなじった。
クリフのタープに、節操もなく、欲望の残滓をなすりつけるなんて、この恥知らず。
自分の頭をぽかぽか殴りつけたい。いや、それこそ今から実行に移そう。
両拳をつくり、すさまじい勢いで耳の上に向かっている最中、クリフは言った。
「……俺は、智士がほんとうにいやがってるのかと、そう思ってた……」
うつむきがちに、ぼそりとつぶやくその言葉を、理解するのに時間がかかった。
のんびりしすぎていたのだろう、僕は。
クリフはそれ以上なにも言わずに背を向け、白いものがこびりついたタープにもぐりこみ、くるまった。
「あ、あのっ……取り替えるよ、タープ。僕のと」
「いや、いい」
短く答えたクリフは、タープの中から手をひらひらと振った。
まもなく寝息とともに、規則正しく肩が上下しはじめた。
522テュランの筏6/9:2007/01/17(水) 12:14:33 ID:FyI39WtK0
彼を起こしてまで、話し合う事じゃない。
僕は自分のタープに戻り、彼の言葉の意味を、取り替えなくてもいいと言ったその心理を、おさまらない鼓動の中で考えつづけた。

疲労もあったのだろう。僕はぐっすり眠りこけてしまった。
目覚めたのは夕方だった。沈む太陽が海をオレンジ色に染めている。
見渡す四方、全部海と空だった。
すでに起きて水平線をながめていたクリフは、僕を見ていつも通りに接してきた。
黙々と、残り少なくなった水と食料を口に運ぶ。
これが全てなくなる前に……どんな形であれ、決着はつくのだ。
523テュランの筏〜海市7/9:2007/01/17(水) 12:15:29 ID:FyI39WtK0
*  *  *
土中の彼らに知るすべはなかったが、日曜日から火曜日にかけて豪雨に見舞われていた。
防空壕の、崩れていた土砂は大分流され、湿った土は柔らかくなっていた。
その反省点としてか、藤吾は外出時には必ず雨傘を携帯するようになった。
だが、まだ反省すべき点はあった。
攻勢に出てから、余りにも短く足りない時間。
それに伴う、消化順序の誤った選択。助けが偶発的にも訪れやすい場所。
下準備も不十分だった。
教職を辞してからの藤吾は、反省点に拘りつづけ、その正体は何なのだろうと自問自答すると、答えは簡単。
終らなかった教育への未練、だった。
残りの人生を全て賭けても、彼は中途の教えをやり遂げねば、と抱いていた。
あの狂った閉鎖空間で過ごした為か、藤吾は既に同性、それも苦しみ悶える少年にしか勃たなくなっていた。
弊害と呼ぶよりは、むしろ目的を真っ当するには好都合であった。
藤吾はありとあらゆる準備を整え、選び抜かれた教材と共に、海を再教育の舞台に選んだ。
風の噂に聞いた、三人の少年のその後。
524テュランの筏〜海市8/9:2007/01/17(水) 12:17:05 ID:FyI39WtK0
一人は、防空壕のあの深い空洞から身を投げた。埋め立て工事が始まる前日だったと言う。
一人は病院から未だに出てこず、一人は歌i舞伎町で名を馳せていると聞く。
あれから数年過ぎ、既に少年でなくなった彼らに、藤吾は全く興味を持たなかった。

藤吾は、五メートル近い幅の巨大な板を積荷とし、
教材道具の詰まった黒いトランクを手に、船へ乗り込み、乗客を検分した。
(赤毛の少年、一つに結んだ髪と目の細い所が似ている。最初に落ちるだろう。
腕っ節は細くボディガードは無理そうだが、今回は抵抗に対する準備も万全だ。彼が一人目)
(旅慣れている。金髪の少年、ああ、青い目。そっくりだ。意思の強そうな所が。
最後までてこずるなら彼だ―――もっとも、今回は負けやしない。もし敗北する時は……)
(黒髪の、優等生面の日本人の少年。二人を足して割った感じだ。
欲望に忠実と言うよりは、むしろ意思畢竟の問題か。
扱いを間違えなければ、彼もすぐ落ちるだろう)
藤吾は何年もこうして、乗客に教え子を見出し、危険な航路客船に乗り込み、失望と共に目的地に着いてきた。
だが、今回は十分に沈没の危険性が高かった。
525テュランの筏〜海市9/9:2007/01/17(水) 12:18:20 ID:FyI39WtK0
魔の海域と呼ばれる航路。建造八年。
船級協会には加入していない。積荷は綿花三万ポンド。
五十すぎた船長は、ベテランではあったが心身ともに衰えている。
藤吾は教えがいのありそうな少年たちから目を離さず、汽笛の音に身を委ねた。
*  *  *

※海市(かいし)〜しんきろうの意※

藤吾の精神は……いや、正か異であるかなど、誰にも断定はできない。
ただ、一つ言える事はある。
彼の精神はどす黒く、闇の中にあった。
彼にとっては、救いの光も助けの手も、幻にすぎなかった。
彼はまだ、暗い穴の中に居た。
冷え切った土の中に置いてきぼりのままだった。
身体が光をまぶしく受け止める色のスーツをまとおうとも、
切り離された心は、黒々と丸まってうずくまっていた。
526風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 12:33:26 ID:HnGBFRKC0
テュランタンGJ!
すがっていた希望はガセ!?
どどどどーするのー!?((((;゚Д゚)))
527風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 14:07:51 ID:F1GxcnjW0
榊が病院、ヨウが歌i舞i伎i町で、国山が飛び降り…かな?
いずれにしろザマアミロだが。
藤吾は穏やかに発狂していたのだな。
絶望的な鬼畜展開もさる事ながら、ストーリーが素で面白い。
528風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 15:02:09 ID:y3v2CtGVO
テュランタソGJ!!
極限に迫った展開…凄い!!
智士達の運命はどうなるんだろ……
はげしく期待。

静かに狂気になる藤吾GJ
529風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 16:55:55 ID:eQlx4DvgO
クリフと智士萌えたw
智士の反応がかわいすぎる
530吸血鬼8:2007/01/17(水) 18:01:32 ID:kAXhyptF0
暖炉横のサイドボードに乗っている二つの銀の短剣が仄白く輝き、
城を囲む木々の影に覆われた部屋の黒をほんの少し弾いている。
見事な彫刻をあしらった一本の猫足で支えられた丸い天板の上には、
木製のコップに入った酒が横に置いたランプの灯に、
その琥珀色を際立たせていた。
干し肉をナイフで削って口に含み、アドルフは酒を
流し込んだ。どちらも、狩りが成功した時の祝杯用に持ち込んだものだ。
「おい、ほどほどにしとけよ。売る前に壊してしまうつもりか」
ランプの灯が届かない奥のカウチに腰かけ、
抱えた少年を未だ飽きもせず突きあげてる
相棒に苦笑して、酒をコップにつぎたす。
「わかっ、てる、って。‥‥‥ほら、しっかり、受け止め、ろよっ」
内部をかきまわすような激しい突き上げに、クラウスは
首をのけぞらせて悲鳴をあげる。擦られるたびに下半身に
痺れがはしり、中を突いてくる熱いヤンのモノのリアルな
感触にどうしようもなく体がうずき、心が翻弄される。
イかされて吐き出された精液と、だらだらと流れ続ける
先走りでグショグショのクラウスのモノはまたも弾けんと
膨張していた。
531吸血鬼9:2007/01/17(水) 18:02:38 ID:kAXhyptF0
「っ、あ‥はっ、ああっ」
「いい顔だ」
快感に押されて自分から腰を振りだしたクラウスの汗ばんだ体を
ヤンが片手で支え、もう片方で前を強く扱く。
「ひっ、あっ、ハッ、あああぁぁ‥‥!!」
部屋に満ちる少年の喘ぎ声が一際高まる。
体の中で弾けた衝撃にクラウスはすがるものを求めて、
無意識にヤンの背に爪をたててしがみつき、
少し遅れて達した。
強く締め付けてくる粘膜の心地よさを惜しみながら、
浅い息でビクビクと痙攣している体から己のモノを引き抜いた。
あっ、と小さくクラウスの口から声がもれる。
ヤンは脱ぎすてた服を拾って身にまとい始めた。
532吸血鬼10:2007/01/17(水) 18:03:30 ID:kAXhyptF0
さてどうするか。
アドルフはコップに残った酒を一気に呷り手の甲で口を拭った。
日も暮れて来た事だし、この闇にまぎれて村を突き抜け、
街に戻るのが一番良い。闇を恐れていたのに、今はその闇
が自分たちにとって好都合とは皮肉なものだ。
「んんっ」
少年の声がしたのでそちらに目をやると、
服を身につけたヤンが少年の口を覆っていた。
「おい、いいかげんにしろ」
さすがにあきれて嘆息した。
仕方ない。
明日の朝一番に村で馬車でも買って帰るか。
荷馬車でもいいが少年を隠すには屋根付きの馬車のほうがいい。
高額だが、少年の値段を考えればどうってことはない。
しかし‥‥‥。
改めて室内を見回して、見た目は古いがほとんどホコリの
かぶっていない整頓された家具を、今更ながらに不思議に思った。
「貴族どもの隠れ家ってとこか」
それとも‥‥‥いや、それはないか。
一瞬よぎった物騒な考えを、頭を軽く振り打ち消した。
だいたい少年が一人でいるくらいだ。
迷って困っているというふうではなかった。
よくここに来ているのだろう。
闇の支配者の住処であるわけがない。
何をおじけているんだか。
自嘲して、酒を飲みなおそうと空のコップを手に取った。
そんなに飲んではいないと思うのだが、目に翳みがかかっている
533吸血鬼11:2007/01/17(水) 18:05:24 ID:kAXhyptF0
「!?」
ちがう。
目が翳んでいるのではない。
これは霧だ。
霧が自分の体を覆っている。

ヴァンパイアの霧。

アドルフは戦慄した。
ヤン!と相棒を呼ぼうとするが声が出ない。
首に何か冷たいものが触れている。
体に力がはいらない。
そこから生気が奪われているのだ。
自分を覆っている霧がゆらっとゆらめき、
ゆっくりと人を象っていく。
首に触れているものが指だと理解したのを最後に
アドルフの呼吸が停止した。
534吸血鬼12:2007/01/17(水) 18:06:35 ID:kAXhyptF0
少年の口をしゃぶり、胸の飾りを転がしていたヤンは
ドタッという音がしたので振り返った。
そして、瞠目する。
暖炉の前、丸テーブルの横。
アドルフが仰向けに倒れている。
その脇に青年が立っていた。
白いうなじにかかるくせのない金髪と闇色の衣装を
仄かに輝かせて照らすランプの灯が大きく揺れる。
少し長めの前髪の合間にみえる金色の瞳は
異様な光をはなっていた。
どっと冷や汗が流れた。
人の域を超えた端正な顔立ち。
ヤンは今までの狩りで見慣れている。
昼間の狩りしか経験はなく実際に動いている
のは初めて見るが‥‥‥
間違えるはずがない。あれは‥‥

「ヴァ‥ンパイア‥!!」

今日はここまで
535風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 19:04:07 ID:B/O3KG1fO
ウヒョー!(・∀・)
テュランタンも吸血鬼タンもGJ!


テュランタンはそろそろ佳境なのだろうか。
スレ覗く度に続きがあるよ。
続き期待!
536風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 20:02:20 ID:bAYKXhOl0
吸血鬼タンも来てた!
ヴァンパイアついに登場でwktk
537風と木の名無しさん:2007/01/17(水) 22:11:45 ID:Bm2XPGetO
吸血鬼たんktkr(・∀・)!

ところでヤンは吸血鬼を見慣れてるの?
538風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 00:00:02 ID:eQlx4DvgO
吸血鬼たんGJ!ヤンかなり気に入ったのなw
539風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 00:28:56 ID:pf7UuINSO

したらばで厨設定に萎えるって言われてた。
540風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 00:41:08 ID:9kxc/0w/0
>>537
棺桶の中で眠ってる無害の吸血鬼は見慣れてるんだよ。
戦闘ゲージMAXの動いてる吸血鬼は初めて見たんだよ。

801チンピラも、吸血鬼タンの前では、可愛くアンアン言わされて
しまうのだろうかw
541テュランの筏1/15:2007/01/18(木) 12:02:52 ID:qg4wNRbU0
十三日目

昼近くまで、僕とクリフは、水平線に目をこらしつづけた。
楊玲の喘ぎ声を、日常の延長として、耳にとらえながら。
けれど、どこまでも空と海は完璧に二分された青を見せていた。
クリフは立ち上がった。僕もそれにつづく。
トランクに腰かけた藤吾が、接近に気づいて顔を上げた。
ポケットから奇怪な道具を取り出し、にやりと笑う。
この何日か、恥辱にあまんじず、耐えてきたからこそ、それは忌々しく禍禍しいものと一層感じられた。
「俺は、命令にしたがいに来たんじゃない」
クリフはぴしゃりと言った。藤吾は少しだけ眉をひそめる。
しかし、いやな笑いは、もう彼の顔の一部と化していた。
「十四日目に助かると、あんたは言った。けれど……まったく陸が見えてこない。
あんたの言葉がほんとうなら、とっくに見えてなければおかしい」
疑いを抱いた強い調子で、クリフは挑んだ。藤吾はくっと笑って、目を細めた。
「……俺はいかだが全く動いていないのを知っている」
真実を暴露するクリフを、藤吾は前髪を払ってあしらった。
彼は明らかに、嘲っていた。僕らを愚か者だと見下していた。
左手の甲を顎にあて、手首に光る腕時計に話しかけるように、小さく唇が動いた。
それは誰にも聞き取れなかった。僕はおろか、飛びかかろうと距離をつめるクリフにさえ。
542テュランの筏2/15:2007/01/18(木) 12:04:08 ID:qg4wNRbU0
「甘い希望をもたせて……最後にそれを打ち砕いて、懐柔しやすくする。
それがお前の狙いだったのかっ! もう俺たちは言いなりにならないっ!
これは、正当防衛だっ……」
自分に言い聞かせるのか、拳を振り上げながら叫ぶクリフ。
僕はあわてて加勢しようと駆けつける。作戦などなきに等しい。
身一つの僕らが上位に立てるのは、人数。
楊玲はとりあえず無視して、僕とクリフ。
藤吾を海に突き落として、水中に引きずり込めば……交互に呼吸して、勝てる。
もう殺人を厭っている場合ではなかった。
藤吾が降伏すれば、それで生きる道はあるが……可能性は非常に低いだろう。
そんな事を考えていたから、僕は藤吾のテュランたるゆえに気付けなかった。
その時には遅かった。
右ポケットに手をいれたままの、藤吾の危険を……最終兵器を。
バチン! といかだ全体が轟いた。昼間の陽光よりさらにまぶしく、海上を照らした。
焦げくさい匂いが、一瞬鼻先をかすめた。
まずい、と思ったが突進する足は止まらず、そのまま僕は餌食になってしまった。
藤吾が無造作に手を伸ばして向けるのは……スタンガン。
再びいかだ上で炸裂する閃光。胸の表面をビリ、と走った衝撃に全身がはじけた。
頭の芯がスパークする。膝から力が抜ける。
床に倒れたというのは……顎をぶつけた感覚で知った。
543テュランの筏3/15:2007/01/18(木) 12:05:01 ID:qg4wNRbU0
マヒして不自由な顔を、それでも動かすと……離れた位置でクリフも倒れていた。
うつぶせに、しかし鉄の意志で頭だけは起こし、憎憎しく藤吾をにらみつけている。
しびれる腕に力をこめ、起き上がろうと懸命になっている。
僕ら二人を見下ろし、藤吾はにんまりと唇を歪めた。
「楊玲」
そう言って、顎をしゃくった先は倒れ伏す僕だった。
飼主に忠実な番犬のように、楊玲はうなづき返し、僕の背中に馬乗りになった。
ズン、と圧迫され僕の内臓は無理やり歪められた。
背骨が折れそうに痛み、呼吸も満足に出来ない。
体格は同じくらいなのに、栄養状態がよく、肌も血行がめぐっている彼と、
ここ数日絶食に近い食生活を送ってきた僕との決定的差がここに現れた。
僕は、もがいても彼を振り落とす事が出来なかった。
「……、……」
楊玲は分からない言葉で、僕にささやきかける。
……何なんだ、その達観したような笑みは?
僕は怒りが湧きあがるのを感じた。
全身全霊をこめて腕を持ちあげようとするが、栄養不足の身体は気力についていかない。
その時、カシャリと鎖の音が響いた。

「クリフ君か……君は思ったより克己が強すぎた……はかどらない」
藤吾はそう言いながら、身動き出来ないクリフに、革の首輪を巻いた。
544テュランの筏4/15:2007/01/18(木) 12:06:03 ID:qg4wNRbU0
正面には長い鎖がつき、端は藤吾の手ににぎられている。
ちらりと僕の方を見、クリフに向き直る。
「意志の弱い二人は簡単におとせると思ったが……ま、朱に交われば赤くなる、と言ったところか」
鎖を乱暴に引くと、クリフは苦しげに呻きながら、引かれるままに身を起こす。
藤吾の前にさらけだされたクリフの胸の先端。そこに透明な二つの何かがつけられた。
透けるプラスチック製の……吸盤だ。
「なっ……」
絶句したクリフは、振り外そうとマヒの残る身体を左右に揺らした。
が、それはとても弱弱しく、胸の突端に吸いついたものは、びくともしない。
クリフの抵抗など意にも介さず、藤吾は片手でさぐったトランクから、手馴れた様子で品を取り出す。
「君のおかげで、日程がだいぶん狂ったよ。
楊玲はいいが、君たちは五日分も消化していない。
意志の弱そうな智士君の方は、一日でもかなり進められるだろうが……君は、ね。
短時間に集中して教えこむしか、あるまい?」
決して藤吾は質問し、意図をたずねたのではなかった。
鼻が近づくほど、顔が接近して行なわれた、威圧。脅し。
クリフが怯んだすきに、藤吾は手の中のものを突っこんだ。クリフの口に。
545テュランの筏5/15:2007/01/18(木) 12:07:00 ID:qg4wNRbU0
ゴルフボールより一回り小さなボールに、両端に黒いゴムがのびている。
指先でつついて口内に押し込むと、藤吾は手早くゴムを首の後ろに巻きつけ、結んだ。
「んぅ!」
口を強引に開かれたまま、閉じられない状況に陥り、クリフは大きく目を見開き、何かを発した。
もうそれは、誰にも聞きとる事ができない。
トランクから新たな品を取りだし、藤吾は鎖を引いて、クリフを物理的に大人しくさせた。
「サイズが小さいが……まぁ、がまんしろ」
藤吾は袋のラベルに目を通した後、不吉な事を口にした。
けれど、決して中断しようとはしなかった。
表面が黒光りする、皮のパーツ。革ひもで装着する、衣服の部品は、とても禍禍しかった。
肩と二の腕、手首、足、脛、腿、腰などと言った部分が、黒皮に包み込まれていく。
いや……強引に押し込まれていく。
サイズが小さいなんてものじゃない。伸びない素材を強引に、身体に合わせているだけだ。
その証拠に、クリフは身をよじり、呻き声をあげ、割れんばかりに目を見開き、皮膚が苛まれる苦痛を訴える。
黒い皮と白い肌、美しいコントラストにクリフは包まれ、苦悶の表情を見せている。
よほど苦しいのか脂汗が流れ、それはよりいっそうクリフを扇情的に見せた。
その皮の衣服は何せ……胸や股間を隠すパーツが、最初からないのだから。
にやにやと観察をしながら藤吾は、革ひもを結びあげていく。
546テュランの筏6/15:2007/01/18(木) 12:11:11 ID:qg4wNRbU0
「なかなか……ボンデージの似合う肌の色じゃないか……」
感想なのか、それとも嘲っているだけなのか。
クリフは後者にうけとり、頬を恥辱に赤く染めた後、んんっ、とわめいた。
「ええと……あとは」
藤吾はまだトランクを探っている。
僕は押さえつけられている腹で懸命に呼吸して「やめろ!」と叫んだ。
それはむなしく海上にこだまするだけだった。
小さな箱を取りだし開ける。藤吾の手には小さなリング状のものがあった。
近づいていくその先は……クリフのペニスだった。
手がふれた瞬間、クリフは嫌悪に顔を歪める。
が、藤吾はおかまいなしに一通りさすりあげ、それからゆっくりとリングを通しはじめた。
根元にしっかり収まると、藤吾は満足そうに手を離す。
「では、仕上げだ」
鎖の持ち方を変えると同時に、クリフの向きを仰向けからうつぶせにする。
抵抗むなしく、藤吾に尻をつきだした、卑猥な体勢をとらされる。
容赦なく、なめるような視線で見まわしクリフの羞恥をさそった後、藤吾はポケットからもったいぶって取り出す。
男根を模した……口に出すのもおぞましい……道具であった。
ゴムだかプラスチックの素材で、毒々しい色をしている。
藤吾はもう、よけいな口をはさまず、右手のそれを、あやまたずにクリフの後孔へ進めた。
547テュランの筏7/15:2007/01/18(木) 12:12:17 ID:qg4wNRbU0
首をめぐらせ、その様子を見ていたクリフの抵抗は……悲痛なものだった。
前進して逃れようとする行為は、鎖を引かれ、激しい呼吸困難とともに引き戻される。
咳きこむ声は、口枷にふさがれ、奇妙な色にくぐもっている。
咳きこみ力が抜けたところで、藤吾は力をこめて、突き入れる。
「ん、んむっ!」
クリフは限界まで目を見開き、その後痛々しく瞳は閉じられた。
僕はもう見ていられなかった。
無理やり蹂躙された後孔からしたたる血の音だけでも、卒倒してしまいそうだった。
水気をまったくもたない、無理やりに突き進む音。
内壁をえぐって、傷つけることもお構いなしに、藤吾は道具の挿入を終えた。
鎖を手に立ち上がる藤吾は、クリフの無残な後孔を気にした様子もなく、さて、と呟きポケットを探った。
痛みに呻くクリフの身体が、ビクンと音を立ててはねた。
そして身をよじり、何かをふるい落とそうとする無為な努力がつづく。
藤吾は無慈悲に鎖の幅を制限したし、刺激を高める胸の責め具は、外れることはなかった。
「これが、ローターか。じゃ、こっちが」
そう一人つぶやき、藤吾は反対側のポケットに触れる。
「んぁっ!」
クリフの身体は大きく、のけぞるように動いた。
首といわず、上半身といわず、鎖が許すかぎりその身を振る。
548テュランの筏8/15:2007/01/18(木) 12:13:04 ID:qg4wNRbU0
藤吾がつけ加えなくとも、クリフが腰を振り、
それを落とそうともがかなくても、僕にはその淫靡な音の発生源が分かった。
クリフの後孔にくわえこまれた、道具……バイブレーターだ。
敏感な二点を同時に責められる刺激に……クリフは目を閉じ、必死に唸り、
身体中から汗を流すほどの必死さで振りほどこうとしていた。
しかしそれをあざ笑うかのごとく、藤吾はポケットに入ったリモコンを操作する手を決してとめない。
残酷な言葉を投げかけ、鎖を引き、強弱、大小のリズム、時間差をおいた責めで、クリフの抵抗を一蹴する。
どのくらい時間がすぎただろうか。
数分かもしれないし、もしくは一時間と言われても、納得してしまったかもしれない。
口枷にはばまれてくぐもっていた声が、ただの熱い息と化した。
クリフの冴えた瞳は、にごり、うるみを帯びている。
上下していた肩は、その場所を腰にうつしたようだった。
全身汗ばむ肌は、上気して色っぽいピンクをしていた。
だが、その快楽も一瞬。すぐにクリフの声は恐ろしさに怯える色をもった。
「……んぐ、んん!」
身をよじり、痛みの表情を隠そうとしない。
左右に振られる腰、その間で揺れるクリフのペニスは……
生理的反応の勃起を、その根元にはめたリングによって拒否されていた。
549テュランの筏9/15:2007/01/18(木) 12:14:03 ID:qg4wNRbU0
「ぁあ、んんっ!」
興奮など人の意思で止められるものではない。
下半身に集まり、止らない血流を、むりやり収める輪に、
クリフは苦痛の全てを支配されてしまっている。
「ぐ、ぐっ、んんんんっ!」
いやいやと頭を振り、目尻からこぼれる涙。
口枷がなければ、その唇は懇願を作っただろうし、
両手は床についていなければ、胸の前で祈りの形に組まれただろう。
藤吾はしばらくその様子を、にやにや笑いで観察しつづけた。
尻にさわり、リモコンで刺激を増し、さんざんに悪魔のような所業でいたぶった後、
涙の跡を残すクリフに、耳を近づけささやいた。
「外してほしいか?」
クリフに、他になにができただろう。彼は涙のたまった瞳で、こくりとうなづいた。
その素直な反応に、藤吾は満足そうに首を振り、乱暴とも呼べる手際で、後孔をいたぶる道具を抜きとった。
「んぁ! んっ」
一瞬痛みに顔をしかめたクリフは、それでも片方の責めから解放され、息を吐いた。
が、ほんとうに恐ろしいのはこの後だったのだ。
「かわりに、これを挿れてから、だ」
クリフの腰に手をおき、もう一方の手でスラックスのファスナーを引き下げる藤吾。
550テュランの筏10/15:2007/01/18(木) 12:15:05 ID:qg4wNRbU0
彼の股間はすでに昂ぶっており……僕はその後の凄惨さを想像して……想像して……想像など、許されない。
許されるはずがないっ! お前みたいな奴が、クリフを汚す権利など、持っているものかっ!
とうとつに僕を支配したのは、強い怒り。心の底から憤怒が立ち上ってくる。
「どけっ、楊玲!」
僕の乱暴な口調に、ぽかんとした表情を作る、その一連でさえ、スローモーションだった。
神経から分泌されるアドレナリンが、時間も動作も、ぎゅっと縮めていたのかもしれない。
振り回した手は、僕の怒号をすべて含めて、楊玲の顎にヒットした。
彼が倒れるのも確認しないまま、僕は駆けた。タープに手を入れて、一番重い容器を拾う。
両手で抱え、キッと藤吾をにらみつけた。
白いスーツの男は、敵役にふさわしい笑みで、すでに右手にスタンガンを用意していた。
クリフの鎖は放していたが、さんざんに責めさいなまれた彼は、意識を失っているようだ。
……僕が、僕がクリフを救わなくちゃ!
僕は意思を強く灯した。今なら瞳の炎で、藤吾を炎熱地獄へも送ってやれるはずだ。
『……君は意思が弱そうだから……』
『……意思の弱そうな智士君……』
……お前が、お前がそう言った。違うって事を、今、見せてやる。
……弱くなんてない、クリフを守るためなら、お前だって打ち砕いてやる!
551テュランの筏11/15:2007/01/18(木) 12:19:23 ID:qg4wNRbU0
十メートルわずかの対角線をひた走るその間、気合の雄叫びが、勝手に口からもれていた。
藤吾は慢心と余裕で、動作が鈍かった。
いや、僕の体内に分泌される、アドレナリンの作用でそう見えるだけかもしれないが。
それは回避可能だった。けど僕はギリギリ避けた振りをする。藤吾の油断をさそう為だ。
一撃目が外れた藤吾は、忌々しそうに舌打ちをしたが、すぐに体勢を立て直す。
右手を伸ばして距離をおき、僕をけん制する。だが、それこそが望んでいた隙だった。
圧倒的な身長差は、クリティカルなダメージを与える頭部への攻撃を防ぐ。
他の部分は、僕の力で打ちかかっても、たいした打撃を与えられない。
何せ、水のつまったガラス瓶。それが唯一の武器なのだから。僕は狙いを絞っていた。
……藤吾のウィークポイントは何だ?
……何度も見せた。触れられると怒りとうろたえを露にした。
……左腕の時計だっ!
……あわてて体勢を崩せっ! そこを打ち砕いてやるっ!
右手のけん制を大回りして、僕は瓶をふりかざし、左手首に突進する。
藤吾は反応が遅れた。まさか、そんなところに攻撃をしかけるとは、予想だにしなかったのだろう。
このテュランの国で初めて、藤吾の表情がこわばった。
黒い瞳がめいいっぱい見開かれ、ギュッと閉じられた後、彼は意外な行動に出た。
ただガラスと共に砕けるはずだった腕時計を……彼はかばったのだ。
552テュランの筏12/15:2007/01/18(木) 12:20:24 ID:qg4wNRbU0
左腕を背に隠すため、身体をひねり、
その結果、僕の振りかざしたガラス瓶を、頭部で受け止める事になってしまった。
正確には右こめかみのななめ上。
そこで叩きつけたガラスは千にも万にも、破壊音を立てて砕けた。
キラキラと光る粉が空中を舞ったのは一瞬、まもなく吹き出す鮮血が混じり、
ドウと倒れる音と共に、いかだが大きく震えた。
僕の手には、瓶の首部分しか残っていなかった。
誰も動くものはない。いかだ上はただただ静寂に満ちていた。

どのくらい、すぎただろうか。
関節がこわばってしまった指をほぐすと、残った瓶の口が落ちて、音を立てて割れた。
それで動き出したのは楊玲だった。彼は動作の開始に、僕をなじる事を選んだ。
訳の分からない言葉で僕を指さし、顔を真っ赤にし、涙をこぼして訴えつづけた。
「……戮! ……挂……」
「何を言ってるか、分からないよ、楊玲」
僕は感情のこもらない口調で、そう答えた。
楊玲は半狂乱に首を振り、泣き顔で倒れた藤吾のところへ駆けていく。
僕はただただ冷ややかにそれを見送った。心に浮かんだのは、軽蔑の感情だったと思う。
だが、それに構っている暇はない。
僕は倒れふすクリフのもとに屈み、彼の身体を包む忌まわしいものを剥ぎとっていった。
553テュランの筏13/15:2007/01/18(木) 12:21:30 ID:qg4wNRbU0
革の拘束着は彼の白い肌にいくつも赤い痣を作っていた。
口枷は外したが、彼の顎は閉じ方を忘れてしまったみたいに、あいたままだった。
胸の責め具をそっと外す。彼の胸の先端はピンク色をすぎて、無残な赤となっていた。
最後に、ゆっくりとペニスを苛むリングを、抜いた。
「……んぅ……っ」
かすかにクリフは身じろぎした。目はまだ閉じられているが、唇がかすかにうごめいた。
かさついた表面がなにを欲しがっているかは、すぐ分かった。
「水だね、クリフ」
僕は、番人のいなくなった黒いトランクを一気に開放した。
……思えば、それが絶望のはじまりだったのではないか。
……開けてはいけないパンドラの箱。
トランクには、何もなかった。少なくとも僕らが必要とするものは。
忌まわしい性具は見覚えあるものから、そうでないものまで、まだ箱の半分を占めていた。
そして残り半分は、空っぽだった。
今まで僕らが飲み食いしてきた品物をつめれば、ちょうど収まるくらいの間。
呆然としていた時間はそれほど長くないと思う。クリフの呻く声が、聞こえてきたからだ。
意識を切りかえ、倒れている藤吾に近づく。
脇で泣きじゃくっている楊玲を邪険にどかすと、背広の内側からボトルを取り出した。
飲み口を気が済むまで手でこすってから、クリフの唇に当てる。
舌が水を求め、喉が小さくうごめきはじめた。
554テュランの筏14/15:2007/01/18(木) 12:22:14 ID:qg4wNRbU0
眉をひそめたクリフは、まもなくその冴えた青い瞳を開いた。
水平線に太陽が沈む。長い長い一日が終わろうとしていた。

暗くなって出来る事は限られていた。とりあえず、服を着込む。
藤吾は脈も呼吸も確認して……死んでいると分かった。
背広からめぼしい物だけ取り、死体は海に捨てた。
僕は殺人の罪悪感に苛まれるより、むしろ泣き止まない楊玲に苛立っていた。
思い出したように僕を睨みつけては、分からない言葉で僕をののしる。
「いったい、何が言いたいんだよっ!」
僕は耐え切れず叫び、楊玲を激しく揺さぶった。
クリフが止めようと間に割ってはいるが、僕は楊玲につめよった。
「解放されたんだっ、僕たちは。
テュランから自由になって、これから正真正銘、ほんとうに救われるんだっ!」
怒鳴った言葉が伝わっていないと思い、僕は楊玲の手の平を強引につかまえ、
指で「助」「救」と文字を書いた。
漢字の意味は理解したのだろう。
手の平をじっと見つめていた楊玲は、ふと僕に視線を向けた。
宝石のような見事な茶色。僕は彼の顔を正面から見るなんて初めてだった。
「アハ……」
555テュランの筏15/15:2007/01/18(木) 12:23:14 ID:qg4wNRbU0
そして、見とれていたためか、楊玲の発した意味が分からなかった。
きょとんとした表情をする僕の目の前で、楊玲は笑い顔のまま、床に座りこみ、
両手両足が弛緩した体勢で、ただ腹と喉を震わせた。
「アハハハハハハハハ……」
笑い声は万国共通だった。
どこか幼児めいた甲高さをふくめて、楊玲はただただ海上を、己の笑い声で支配する。
僕とクリフは、ただ顔を見合わせるだけだった。

闇の中、笑い声は止まず、それが耳にさわって、クリフと話し合えたのはこれだけだった。
「食料と水は、見当たらなかった」
「十四日目は、藤吾に『確実』な何かがあったんだろう。
食料と水を使い果たしても構わないような。
それが何だかは分からないが……明るくなったらトランクを探ってみよう。
位置を知らせる発信機か無線があるのかもしれない。海上自衛隊に連絡出来るだろうし」
「うん」
ほんとうはもっと話したい事があった。
けれども楊玲は一晩中笑いつづけた。
涙が途切れても、声が枯れても、ただただ横隔膜から発した音を空気に震わせ……
そして、いつの間にか発狂していた。
556風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 13:57:30 ID:t9xbvcrxO
クリフ…(*´Д`)ハァハァ
タュランタンGJ!!
557風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 15:11:18 ID:uC+YEhcm0
息を詰めて読んだよ……すげー盛り上がりだった。
しかしこれからどーなるの…。
558風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 18:28:30 ID:NRduy+9JO
マジで藤吾死んだん?(゜Д゜;
テュランが居なくなったにも関わらず、ちっとも希望が見えてこないぞ。

早く…早く続きをぉぉぉぉノ(´Д`)ノ
559風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 22:03:39 ID:dmp2/7pdO
テュランタソGJ!!

死亡…発狂……

どーなんのーー!!??
無事に生還出来ればいいけど…
560風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 22:23:30 ID:/cYVGwko0
絶望の始まり……?
あの、こ こ から絶望が始まるんですか!?
561風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 23:36:43 ID:DU3/1trK0
え・・藤吾は死んだの・??
すげぇ気になる
テュランタソGJ!!続きwktkしながらまってます
562テュランの筏1/3:2007/01/19(金) 07:41:05 ID:wAuYIsiB0
十四日目

……僕が、意思を強く持とうなんていうのが、おこがましかったのだ。
……弱いものは、弱いままでいればよかったのだ。弱いものが、人を馬鹿にするから。
……楊玲を、心が弱いものだと決めつけていたから。だから、気付けなかった。
……楊玲は、知っていたのだ。甘えた時に、聞かされたのかもしれない。
……それとも、いつだったか。トランクの中を見せてもらった時に、食料の量から逆算し、悟っていたのかもしれない。
……とにかく、楊玲の心は、僕がおよばないほど強かったのだ。
……悟った彼は、ただ十四日を安全に生き延びようと思い、実行しただけなのだ。
……そして、クリフ。孤高に生きる、誰より誇り高い意志を持つ彼。
……僕が彼に憧れ、まねしようとする事。それ自体がすでに間違えだったのだ。
……僕は弱い。意思が弱い。それを受け入れればよかったのだ。
……なまじ強くなろうと思った心は、誤った方向へ働いた。
……みんなを、犠牲にして。
……トランクには発信機も、無線もなかった。
563テュランの筏2/3:2007/01/19(金) 07:42:01 ID:wAuYIsiB0
ただあったのは手紙。「矢野島藤吾」宛。
死者の名前など、いまさら意味を持たないが。
発信者には全く聞いたことのない、メーカーの名前があった。
藤吾が左手首にはめている腕時計の機種名だ。
びんせんを開く前から、すでにいやな予感はあった。
……パンドラの箱から、絶望は飛び出している。
……用意周到で、狡猾な藤吾。
……最初に彼は何て、名乗った?
……「船長」だ。そして彼はテュランでもある。

「スイッチを入れますと、発信信号が送られます。
十四日間経過後、お客様との打ち合わせ通り、ヘリを遣わせます。
この機能はお客様の脈拍と連動しております。
万が一にも時計を外したりして脈拍が途切れてしまいますと、
発信は途絶え、以後位置を追う事は不可能となります。
どうか、ご注意ください」
564テュランの筏3/3:2007/01/19(金) 07:43:12 ID:wAuYIsiB0
……船長がいない船など、ただ死の波間をただよう板だ。
……暴君といえども、治めるものがない国は、崩壊する。

「なぁ、智士。そこには何て書いてあるんだ?」
日本語が読めないクリフは、僕にたずねる。
僕は答えられる訳もなく、ただ震える手で、手紙を持ちつづけていた。

―――水も食料もない。
いかだに乗っているのは狂った一人と、もうすぐそうなる二人。

水平線はどこまでも続いている。
残酷に空と海とを二分しながら。

-------------------
565風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 08:53:47 ID:VjmQXeFc0
うそおおおおおお!?
嘘だろ!?嘘だよね!?



………orz
言葉もありません…
大作をありがとうございました…
566風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 09:56:51 ID:hfjbvz7FO
ええぇぇーーー!!!!!!?????
嘘ーー!!!

テュランタソGJです……


最終的に『教育』に繋がったね。ある意味藤吾は正常だったんだ。人間の限界まで迫り、緊迫の作品でした。本当にスバラチイ!!!
テュランタソ乙です!!
567風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 10:10:34 ID:CwSAPvbW0
ぎゃーーーーー!
これほど恐ろしい結末だなんて思わなかったよ!
テュランタン、最後まで読み手を引っ張り回してくれてありがとう。
大作、お疲れ様でした!
568風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 11:06:51 ID:yQryG8Re0
ススススイッチはもう入ってたから
その時点での大体の位置は判明してると思うの。
そこが海の上だし海難事故があったんだから
しししし信号が途絶えたらきっと海上保安庁に連絡してくれてると思うの。
569風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 11:24:25 ID:hfjbvz7FO
藤吾が時計をかばって殴られた衝撃で不意にスイッチ入ったとか………


救助が来るまでその電波は持続しなければいけないなんて事……………(゜Д゜)
570風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 11:31:43 ID:OgrwL19T0
テュランタソ乙!!
藤吾の行動の理由にすごく納得がいって
最後まで楽しんだよ。
どうもありがとうございました!!
571風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 11:34:29 ID:hfjbvz7FO
全てピッタリ!!!
登場人物の心情をリアルに表していて大作でした。

テュランタソ乙です!!!!
572風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 11:37:07 ID:su7G3MmX0
>「スイッチを入れますと、発信信号が送られます。
>十四日間経過後、お客様との打ち合わせ通り、ヘリを遣わせます。

スイッチは事故があった当日に入れてるんだよ。
で、14日経ってから信号が出てるところまで迎えに行くんでしょ。
573風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 11:38:12 ID:su7G3MmX0
ごめん、572は569宛てね。
574風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 12:00:22 ID:hfjbvz7FO
>>573
あぁ〜〜
納得!!!

でも信号が出ていて、その場で消えたからめやすは付くのかなぁ?
575風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 12:29:47 ID:6oErWxGK0
目安ついてて欲しいよ
こんな怖い終わり方いやだー
576風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 12:45:19 ID:T5h9vte/0
空から大海原の救命ボートとかを発見するのは
難しい場合もあるらしいぞ。
前にドキュメンタリーで見たのだが、
捜索の飛行機が遭難者たちの頭上を飛んでいたのに
気付けなかったんだって。
太陽光が水面に反射して海全体がキラキラし過ぎていて、
ボートのような小さな物はそれに紛れ込んでしまうらしい。
つーことは、目安が付いていて迎えに来てもらっても、
信号がなきゃ発見してもらえないかもだ。
577風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 12:46:02 ID:T5h9vte/0
あ・・・あげちまった
スマソ
今夜もVIPPERの襲撃はあるんだろうか
578風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 13:26:26 ID:tmVQ4krwO
テュランたん乙!面白かったよ
智士とクリフが無事生還して友情を育むハッピーエンドだと思ってた
予想外のEDでした/(^0^)\
579風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 14:18:47 ID:ZNkK/dNf0
だがいかだの位置は変わっていないんだよな?
14日間同じ位置から信号が出てればおおよその見当はつくはず。
海と空から探せば・・・大丈夫だと思いたい。

だが鬼畜らしい最後でした、テュランたん有難うございました
580風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 16:46:09 ID:d60yvoJTO
そろそろ雑談は
581風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 17:01:23 ID:7h181if/0
なんで遭難用の道具なのに
2週間経過後救出なんだろうか?
元から藤吾が打ち合わせていた遭難だったの?
582風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 17:07:50 ID:vYoXAj4/0
>>581
「十四日間経過後、お客様との打ち合わせ通り、ヘリを遣わせます。」

遭難自体は事故だが、遭難しそうな機会を探していたんだろう。
で、かねてより準備していた秘密兵器を使ったんだよ。
信号発信開始から14日後に来るってのが契約内容だった、と。

でもホントにそろそろしたらばに行った方が良さそうだね。
583醜い吸血鬼 3ー1:2007/01/20(土) 04:07:42 ID:30ARg730O
キャベツはキャベツ畑に住んでいる。
畑の脇にぼろいハリエニシダの家があって、ずっと、ずっと、ずーっと独りで暮らしてる。
キャベツはキャベツしか食べない。だから、ちびでやせっぽっちだ。
膝がちょっと隠れるか隠れないかしかない、短くてつぎはぎだらけの
黒いチュニックをたった一着だけ持っている。
擦り切れた袖口からは細っこい手首が覗いてて、
手首の先には小枝みたいな、いまにも折れちまいそうな指のついた小っちぇえ手がある。
ほつれて糸がはみだしてる裾からは、ガリガリで骨張った棒きれみてぇーな裸足の脚がのぞいてる。
膝はいつもひび割れてて、肌はカサカサ。かかとはガサガサだ。
お日さまにあたれねー病気のせいで血色は悪いし、こけた頬と落ち窪んだ目は
友達、略してダチの俺から見てもキモい。
真っ白な顔に、真っ黒な白目のあんまねぇー目だけが、ぐりぐりしてる。
唇は冬じゃなくても荒れて乾いてるし、とにかくキモい。
背なんか俺様の肩より低いんだ。俺はいつもキャベツのつむじを見下ろしてる。
キャベツの長い髪は真っ黒でバザバサで薄汚いけど、つむじだけはカワイイ。
村のみんなは、森の奥の先に、キャベツ畑があることも、キャベツが住んでることも知らない。
俺とキャベツだけの秘密だ。ガキの頃、森で迷子になってキャベツに会った。
出会ったときは同じぐらいだった背も、いまじゃ俺のがずっと高い。
キャベツは、ちっとも大きくならない。ガリガリでやせっぽっちで、ちびのまんまだ。

584醜い吸血鬼 3ー2:2007/01/20(土) 04:09:11 ID:30ARg730O
キャベツの家には大きな黒い煤けた鍋がひとつだけあって、
キャベツは細いからだで喘ぎながら汲み上げた、汲みたての澄んだ井戸水と
畑から抱えてきたキャベツをまるごとその鍋に入れて火にかける。
キャベツのキャベツ畑のキャベツはでかい!村一番のキャベツづくり名人(俺のおやじ)も
きっと「見事な結球だ!」って誉めるだろう。
鶏がらのスープもねえ。塩さえねえ。ただ真水でまるごと一個、ことこと茹でるだけ。
それだけなのに、超うまいのはなんでなんだろう。
キャベツらしいほんのりとした甘味が溶け込んだスープが◎。キャベツは芯まで喰えるんだ。
夜中、村を抜け出し会いにいくとキャベツは俺に、採れたてのキャベツを食わせてくれた。
食後のデザートは、すぅーっと吸い込むと胸がしんしん凍りそうな、でもそれがいい、氷菓子みてぇーな
冬の空気と、きらきら光る夜空のキャンディー。
キャベツ畑でふたりオリオンを見上げるのが超好きだった。
キャベツはあんまり、自分のことを話さない。
なんでそんなにキャベツが好きなのか尋ねたら、ミドリがキレイだからと小さくくすっと笑ってた。
ちらっと覗く八重歯に注目。醜い顔も笑うと、まあまあ見れた。
585醜い吸血鬼 3ー3:2007/01/20(土) 04:10:43 ID:30ARg730O
冬の終わり、街から吸血鬼狩りの一行がやって来た。
ハンターのダイスが森に吸血鬼が居るとゆれたとのこと。
森には近づくなと云われ、キャベツが心配になった。けどキャベツの小屋は森の外れだし、
あんな鶏ガラみたいなやせっぽっちには、吸血鬼もそそられないだろう。
一週間後、ハンターたちが安心しろ。吸血鬼はもう殺したと言って去って言った。
襲われてなんかねぇーとは思うけど、キャベツが吸血鬼の餌食になってないか気になって、
日が落ちてからキャベツ畑目指して駆けた。月の明るい夜だった。
小屋の戸を開けたら、やたらとニンニク臭かった。
部屋の隅にキャベツがうつぶせに倒れてて、捲れあがったチュニックから
肉のついてない平べったいケツがのぞいてた。ケツの割れ目にぶっとい杭が深々と刺さってる。
枯れ木みたいな手足は変な方向にボキボキ折れ曲がってて、
ガバッと顎が外れたみたいに開かされた口に、長い十字架がかまされてた。
まるでつっかえ棒だ。閉じたくても絶対に閉じられねぇー。
牙って呼ぶにはちびすぎる八重歯が見えてる。糞ッ!!
痛かったよな。苦しかったよな。きゅっと寄せられた眉間のしわ。
見開かれた真っ黒な目。涙の筋はきっともう乾いただけだろう。
木の床に残った爪痕や、爪と肉の隙間に入り込んでる木屑を見ていたら、
いっぱい泣いて、いっぱいもがいてたキャベツが見えた。
口の十字架を外して目蓋をおろし、ケツの杭を引き抜いた。
赤く腫れ上がって膿んでるキャベツの孔があまりにも痛々しかったから、口で膿を吸い出した。
吸って吸って全部、吸い出した。ちょっとでもキレイにしてやりたくて、擦過傷を舐めてたら、
孔の奥が臭った。むわぁ〜っと臭ってくる臭さに覚えがあった。もしかしてと思って指を忍ばせさぐったら、
いびつな白い塊がごろっと出てきた。ニンニクだ。
細っこいからだをギュッとしながら、ばさばさの黒い髪をただ撫でた。

おしまい
586風と木の名無しさん:2007/01/20(土) 06:08:52 ID:bCBGH/Tg0
ちび吸血鬼タン、超GJ!
哀切で、いいですね。
いいと言うか、嫌と言うか。
悲しくなるつらいお話なので…。

で、ニアミスですが私も同じネタで↓
587ハント 1:2007/01/20(土) 06:09:33 ID:bCBGH/Tg0
慎重に口付けながら、私はミハイルの背中に手を回した。私の腕の中に
すっぽりと治まってしまうミハイルは、男相手に言うのもおかしいかも
しれないが、たおやかという言葉がしっくり来る。ミハイルもまた、
私の背中におずおずと手を回し、私たちの体は密着した。私は、昂ぶった
下半身をミハイルに押し付けた。今から、この華奢で美しい体を
我が物とできるのだ。私がどれほど感動しているか、ミハイルに
伝えようもないのがもどかしい。まして、その美しい体の内にある
ものこそが私を惹き付けて止まないのだとは。裏通りの安ホテルでことに
及ぶのがもったいない。こんな美しい生き物と一晩を過ごすのであれば、
町一番の高級ホテルのロイヤルスイートこそが似合いだろう。
だが今になってそんなことを嘆いてみても仕方ない。私たちはお互いを
食らうことに夢中で、セッティングに凝る余裕もなかったのだから。
私は唇をミハイルの柔らかな頬へ、そして耳へとずらしていく。
ミハイルが私の首筋に口付けようとしている。熱い息が首筋にかかった
その瞬間に、私は隠し持っていた銀の鎖をミハイルの首に巻きつけた。
ミハイルがはっと目を見開いた。素早く、驚くほどの力で私を
突き飛ばそうとする。だが私はそれを許さず、鎖を手繰ってミハイルを
床に引き倒した。ミハイルの愛らしい顔に浮かぶ驚愕と恐怖の表情が
いとおしい。大きく開いた口からのぞいているのは、歯と呼ぶには
あまりにも長い――牙が2本。
私の目に狂いはない。
588ハント 2:2007/01/20(土) 06:10:16 ID:bCBGH/Tg0
ミハイルは逃れようと激しく身を捩った。銀の鎖が巻き付いている以上、
蝙蝠だの鼠だのに化けて逃げることは叶わない。単に力と力の勝負だ。
こうなれば、実年齢はともかく肉体的には未だ少年の域を出ないミハイルが
私に逆らっても、時間と体力の無駄でしかなかった。
私はミハイルに馬乗りになって素早く拘束を進めていった。
両手を背中の後ろに捩り上げて、銀の手錠で繋ぐ。それから、右の足首を
捕えて同様に銀の手錠で右手首に繋いだ。左足一本では反撃もできまい。
私は自分の迅速な仕事に満足して、笑みを浮かべながらミハイルを見下ろした。
深緑色をしていたはずのミハイルの目が、赤く光っている。美しい。
ミハイルの薄茶色の髪には、緑よりも赤がよく似合う。
「縛めを外せ!」
ミハイルが私に命じた。なんという気の強さだろう。こうでなくてはいけない。
酒場で私と「親しくなった」ミハイルは、場慣れしていない引込み思案の
仔兎だった。それはそれで男たちの食指を動かすに充分な魅力ではあったが、
私の好みではない。ではなぜ声をかけたかって?
彼が誇り高く冷徹なヴァンパイアであることを、私が知っていたからだ。
589ハント 3:2007/01/20(土) 06:11:10 ID:bCBGH/Tg0
この国で幾人もの同性愛者が行方知れずになっている。そのうち幾人かは
変死体となって発見されている。そう私に連絡をしてきたのは、
旧い友人テオだった。だが、行方知れずになった彼らを誰も本気で探しては
くれないのだと、テオは電話の向こうで泣いていた。
どの国でも基本的には同じだが、ここ、森の彼方の国では、同性愛者は
ひどく肩身が狭い存在だった。人々は、それこそ吸血鬼を忌み嫌うのと
同じほどの悪意を込めて、我々を蔑んでいる。
それは別に構わない。心の葛藤は15年ほど前に済ませているし、だいたい、
ここは私の国ではないのだから。だが、テオからの便りを無視できるほど
私は孤高でもない。テオとは日が出ずる国で知り合った。私たちは、
その都の大変に開放的な町の2丁目で身を寄せ合い、お互いの青い春の
ひとときを捧げた仲なのだ。それに、テオと知り合わなかったら、
今の私はない。テオの国に残る伝説は、エメラルドの島の作家の妄想を通して、
世界中の人を魅了した。あれは良くできたフィクションで、私も楽しんだが――
決してただのお伽話ではないのだと教えてくれたのがテオだ。
そこから私の趣味と実益を兼ねた特殊技能開発が始まったと言える。
この国で過ごした何年かが、私の人生の岐路だったのだ。
590ハント 4:2007/01/20(土) 06:11:40 ID:bCBGH/Tg0
私はミハイルと名乗ったヴァンパイアの髪を掴んで引き摺り起こすと、
ベッドの上に放り投げた。弾んだ体が跳ね起きる前にのしかかり、
首の鎖をベッドヘッドに縛り付ける。左脚が蹴り上がってくるのを
ひょいと捕え、膝の上に座ってしまう。
ミハイルは赤い目を爛々と輝かせて私を睨み付けている。色々と、
不本意なのだろう。騙しているつもりで騙されていたことも、人間なんぞに
してやられたことも、捕らわれて体の自由を奪われたことも。
それに、どの国でもそうだと言うわけではないが、ここいらでは
ヴァンパイアは、よほど気に入った人間でなければ仲間にしないらしい。
おかげさまで、この辺りで私の獲物となってくれるのは揃いも揃って
気品ある美形ばかりだが、逆に言えば私がミハイルのお気に召すはずもない。
革のジャケットに擦り切れたジーンズといういでたちで、砂まみれになって
バイクを転がしている粗野な男など、虫けら以下の扱いだろう。
嬉しくて背筋がゾワゾワする。私の存在自体でもって彼を痛めつけることが
できるのだ。私は、腰の辺りまで足首を持ってこられているせいで
ストレッチでもしているかのように曲げられているミハイルの右脚に
手を伸ばした。膝からゆっくりと付け根まで撫で上げる。
「触るな! 下種!」
ミハイルが私に向かって唾を飛ばした。気の毒なことに、それは私にかからず
床に落ちていったが。
「触るなとは、随分ムチャを言う。私たちはこうすることを同意したはずだよ」
酒場で声をかけたのは私の方だ。彼に魅せられたという私をミハイルは
信じてくれた。いや、その言葉に嘘はないのだから、信じて当たり前なのだ。
私は今、ミハイルに猛烈に恋している。アンティークの硝子細工のような
ミハイル、冬の夜空から星を集めて練り固めたような不滅の存在。
君を汚して引き裂くことができる私は、世界一の幸せ者だ。
591ハント 5:2007/01/20(土) 06:13:55 ID:LL66XtoV0
ミハイルをひっくり返した私は、両手首を繋いでいた手錠を外して、
左手首と左足首に付け替えた。よくあるポーズだが、上体を起こさない限り
両膝を大きく開いたままになるこの格好を、私は、プライドが高い相手や
自制心が強い相手によく強いる。ミハイルも、白い頬に血の色を上らせている。
怒りか屈辱か羞恥か、その全部か。私は殊更ゆっくりとミハイルのシャツの
ボタンを外していった。
「その汚い手で私に触れるな! 虫唾が走る!」
ミハイルが怒鳴って暴れる。君に触れる手は汚ければ汚いほど好ましいと、
どう説明したらわかってもらえるだろうか。
シャツの中から現われた薄紅色の乳首に、私はそっと口付けた。
ミハイルが狂ったように身を捩る。下種、蛆虫と、罵倒の限りを尽くしてくれる。
「その蛆虫に体を舐め回されるご気分はいかがです、殿下」
舌先で珊瑚の粒のような突起を突つきながら言うと、ミハイルがぎりぎりと
歯ぎしりした。だが、私が珊瑚粒をチュッと吸ってやると、喉の奥で
可愛い声を立てる。さすがに、こういう方法で餌を引っかけていただけはある。
決して、初めてではないはずだ。指と舌とで胸を愛撫しながら、
膝でスラックスの上から性器にリズミカルに振動を与えていると、
肌がしっとりと汗ばんでくる。あれほどうるさかった口を閉じて、
ミハイルは奥歯を噛み締めている。声が、出てしまいそうかい?
592ハント 6:2007/01/20(土) 06:14:58 ID:LL66XtoV0
顔を下にずらしていき、スラックスの上から性器にほお擦りすると、ミハイルが
また大きな声で私を恫喝した。きっと後悔することになると。今さらだ。
ヴァンパイアを1人追う度に、私はこの生き物――生き物と言えるのかどうか、
よくわからないが――に心底魅せられてしまった自分を、呪わずにいられない。
それでなくても茨の道を歩くしかない性癖の持ち主だと言うのに、
ヴァンパイアを追い回すことが何よりも好きだなどと。知らずにいれば良かった。
彼らの魅力も、いや、彼らが実在する事実を、知らなかったら良かった。
私はベッドサイドに置いておいた鞄からナイフを取り出した。
いささかの恨みをこめて、乱暴に、スラックスとシャツを切り刻んでいく。
ミハイルは自分が裸に剥かれるのを、大きな目をいっそう大きく見開いて
睨み付けている。喚き散らさない、その気位の高さが好きだ。今までに
追いかけたヴァンパイアたちの中でも、ミハイルはずば抜けて上物だ。
銀の縛めより他に纏うものをなくしたミハイルの体は、内側から光を放つかと
思うほどに美しい。私が感嘆の溜息をついて見蕩れていると、ミハイルが
炎でも凍らせてしまいそうな声で声で呟いた。
「今までも――こうしてきたのか」
今まで。私が今までに狩ったヴァンパイアたちのことか。
「カーミラであれば、しなかったよ」
否定の言葉で肯定を伝える。何しろ同性愛者だからね。
だが、ヴァンパイア・フリークとしての私は雑食だ。
白髪が混じり始めた痩せぎすの紳士然としたヴァンパイアも、
筋骨逞しい戦士のようなヴァンパイアも、手に入れたものは一通り楽しく味わってきた。
違うのは料理の仕方くらいのものだ。
毅然としたヴァンパイアには尊厳ある最期を。
命乞いするヴァンパイアにはむごくおぞましい最期を。
私はどちらも本当に大好きだ。
593ハント 7:2007/01/20(土) 06:16:07 ID:LL66XtoV0
「私の眷族たちを消してきたのか」
ミハイルの詰問に、私は首を傾げてみせた。
「さあ。私も何人かを捕まえてきたけれど、ハンターは私1人ではないよ。
具体的に挙げてもらえば、私の獲物だったかどうか教えてあげられるが。
客に手渡したヴァンパイアに関しては、その後どうなったか知らないけれどね」
「薄汚い犬が…! 金で雇われての所業か」
こらえようとしたが、吹き出してしまった。
「金をもらうのは糧を得るためだ。君たちが我々を食べるのとどう違うのかな?」
本当は、少し違う。私は別にハンターを本業になどしていない。これは楽しみのために
やっていることで、金をもらわない限り狩りをしないのは自制のためだ。
だが、そんなこと、ミハイルにしてみれば同じことだろう。
屠殺場に引き立てた豚に押し倒され噛み付かれる、その屈辱をじっくり味わえばいい。
私は、大きく開いたミハイルの膝の間に座り込んで、可愛らしい色をした性器を
手に取り、ゆっくりと撫でさすった。ミハイルが呻き声を上げながら暴れる。
体を起こそうとしては鎖に引き戻され、鎖がジャラジャラと大きな音を立てた。
腰を捩る様は、淫らな舞踏のようだ。それを見るだけで私の腰の奥に痺れが走る。
ミハイルはなかなか応えようとはしないが、それも彼なりの精一杯のプライドなのだろう。
焦ることはない。私は手で支え持ちながらミハイルの性器に恭しく口付けた。
先端を啄ばんでいると、ミハイルの内股がぴくぴくと震え始める。
594ハント 8:2007/01/20(土) 06:16:51 ID:LL66XtoV0
自慢ではないが、私は手淫にも口淫にも自信がある。いや、性交に関して、
相手を悦ばせることにかけては他に引けを取らない。私の歴代の恋人達は
別れる時には「せめてセックスフレンドとして続けたい」とすがってきたものだ。
それもこれも、ヴァンパイアを愛するが故の修行の成果だ。
お互いの正体が明かされた後、私たちは和やかに愛し合うことは不可能だ。
私はそうしたいが、向こうが嫌がる。となれば、私はヴァンパイアを拘束して
一方的に愛するしかないのだ。だが私は自分のヴァンパイアに対する敬意と憧憬を
脇に置いておくことはできない。だから、精一杯尽くして、奉仕して、
楽しんでもらいたいと思うのだ。
ミハイルの性器が、芯を持ち始めた。裏側をジグザグに舐め上げながら、
先端の小さな穴に指先をひっかけて小刻みに動かしてやる。ミハイルの腰が、
ビクンと揺れた。袋を、猫の喉でも撫でるようにそろりと掻き上げると、
奥にある小さな孔がひくひくと動くのが見えた。慣れた体だと知れる。
唾液をたっぷり乗せた舌で、性器の先端の丸みを掠るように嘗め回すと、
唾液ではない液体がそこを濡らし始めた。ひとであることをやめても、
ひとと同じ生理が残っている。それをヴァンパイアたちはどう思うのだろうか。
ミハイルの足先が固く丸められ、シーツにめり込んでいる。私は密やかに笑った。
どんなにこらえようと、ひとと同じ浅ましさが、ミハイルを支配しているのだ。
見上げれば、ミハイルは目をきつく閉じて、平静を装っていた。
なんと愛らしいのだろう。もう性器は勃ち上がって、いやらしい汁までを
垂らしているというのに、誤魔化せると思っているのだ。
595ハント 9:2007/01/20(土) 06:17:29 ID:LL66XtoV0
やり方にもよるだろうが、逝きたいのをこらえて抑え込むと、下腹部全体が
快感の海に浸っているような状態になる。長い時間楽しめて、私は結構好きだ。
ミハイルもきっと今そんな感じなのだろうと思う。浅い息を繰り返しながら
体を震わせている。好むと好まざるとに関わらず、ミハイルは楽しんでいるのだ。
とめどもなく溢れるつやつやした露を、私は指先で掬い取った。
それを、ミハイルの唇にそっと塗り付ける。ミハイルがかっと目を見開いた。
私はもう一度露を指に絡め、今度はミハイルの鼻先にこすり付けた。
自分の匂いを楽しむといい。
ミハイルの眦が裂けた。目が燃えるようだ。
ミハイルが勢い良く頭をもたげ、銀の首輪がけたたましく軋んだ。
予期していた私がさっと手を引くと、ミハイルの牙は空しく空で噛み合わされた。
あれに噛まれたら私もただでは済まない。
ミハイルが怒りのあまりに震える声で私を罵った。
「下種めが…! 下品なことをせねば情を交わすこともできぬのだ、お前らは!
殺せ、お前などに触れられるくらいなら塵となって朽ち果てた方がよほどましだ!」
だからこそ、殺すのがもったいなのだと、ミハイルにはわからないのだろう。
「光栄だ」
私は取って置きの笑顔で答えて、ミハイルの鎖骨に口付けた。
596ハント 10:2007/01/20(土) 06:18:14 ID:LL66XtoV0
暴れる体にそのまま舌を這わせていく。珊瑚粒が、更に赤く色づいていた。
まるで熟したぐみの実のようなそれを、舌で、歯で、転がしてやる。
指先で脇腹や臍の周りなどを探っては悦いところを見つけて、くすぐった。
銀の縛めのこすり合わされる音、ミハイルの荒い息遣い、そして下腹から聞こえる
にちゃにちゃという粘った音が、混ざり合い、溶け合い、体に纏わりついてくる。
いつもミハイルを抱いているのは、どのような男なのだろう。このミハイルが
認めるほどの相手なら、さぞ凛々しい――恐らくはヴァンパイア、なのだろう。
突き上げてくる喜びに耐えられず、私は声を立てて笑った。
私などよりもはるかに美々しく堂々としているであろうヴァンパイアが、
麗しい恋人を私に寝取られている。そう思うと、胸の内が震えるほど幸福だった。
私は自分の着ていた服を脱ぎ去った。日に焼けて、あちこちに傷のある体は、
ひたすら白く滑らかなミハイルの体とは対照的だ。そのコントラストを楽しみながら
ゆっくりと、裸の肌を合わせた。汗が交じり合う。私という汚濁をなすり付けられ、
ミハイルが、言葉にもならない声を上げて私を呪っている。
私は自分の性器をミハイルの性器にこすり付けた。ひとの雄と鬼の雄とをまとめて
手の中に包んで、一つのもののように愛撫する。
「はなせっ! おぞましい……お前など、この薄汚いゴキブリがっ……」
いくら口を極めて罵ろうとも、私から溢れ出た露がミハイルの雄に絡み、
ミハイルから溢れ出た露が私の雄に絡んでいる事実は隠しようもない。
ミハイルの腰を抱え上げ、彼の目の前にすべてを晒してから、
わざと音を立てるように二人の性器を捏ね回した。初めて、ミハイルの顔が
悲痛な色を帯びた。気が遠くなるほどの美しさだ。恥辱ほど、誇り高い
生き物を美しく彩るものはない。
597ハント 11:2007/01/20(土) 06:18:59 ID:LL66XtoV0
ミハイルの顔を見つめているのは楽しい。平静など取り繕えなくなって、
眉根を切なげに寄せて浅い息を繰り返しながら、小刻みにかぶりを振っている。
嫌で嫌でたまらないのだろう。嫌でたまらないのに、私に屈するしかない。
どれほど悔しいだろう。どれほど恥かしいだろう。牙を突き立てられさえすれば
一瞬で私を殺すことができるミハイルが、私の下ではしたなく両脚を広げ、
拒むことのできない快感に喘いでいる。そうだ、ミハイル、君にこれを
拒むことはできない。蛆虫に体中を弄くられて悦ぶがいい。
私はミハイルの性器にもう一度舌を這わせた。
「や、やめろ……やめろ! 私に触るな……触るなっ、いやだ……!」
ミハイルが絞り出したその声は、もう命令と呼べるほどの強さを失っていた。
大きく固く育ちきったそれを深くくわえこんで、思い切り吸い上げた。
ミハイルの喉から、息が詰まるような音が響き、次いで、私の喉の奥に
熱いものが迸った。ドクン、ドクンと私の体内に流し込まれていくそれはまさに、
ミハイルの体の真ん中、奥深くから放たれる命の飛沫だった。
一滴も余すまい。私はミハイルの萎れたそれを扱いて絞り出し、吸い上げた。
598ハント 12:2007/01/20(土) 06:20:46 ID:LL66XtoV0
ぐったりと弛緩したミハイルの体をベッドの上にそろりと置く。
全身が汗に覆われてうっすらと光っているのが、すばらしく淫靡であでやかだ。
汗に触れたくて、手の平で胸を撫でた。途端に、ミハイルが激しい目を
私に向けてきた。突き刺さるようなその眼光。すばらしい……。
これしきの侮辱に打ち据えられるようなヴァンパイアではないのだ。
私はウットリとして、ミハイルの胸に唇を落とし、汗を吸い取った。
ミハイルが嫌悪に顔を歪めて吐き捨てた。
「汚らしい下等生物が……! お前に触れられるだけで身が腐れるわ。
この私に指一本触れる資格などない、さっさと縛めを解いて立ち去れ」
汚らしいことも、触れる資格もないことも重々承知の上で同意するが、
立ち去ることなど、どうしてできようか? 私はまだ思いを遂げてはいない。
599ハント 13:2007/01/20(土) 06:21:22 ID:LL66XtoV0
私は、ミハイルの小さな2つの丘の奥の淡い翳りを指で探った。
そこは既に流れ落ちた淫液で濡れそぼっている。ミハイルが吠えるような声を上げて
身を捩った。構わずに――と言うよりも嬉々として、私は慎ましく閉じている孔に
指を押し込んだ。一本ねじ込むのがやっとなほど、そこは激しく私を拒絶している。
「慣らした方が君のためだと思うが。ヴァンパイアだから痛くないということは
ないだろう? 皆、痛がっていたよ?」
暗に、彼の仲間を幾人もむごく陵辱してきたのだと伝え、笑いかけた。
視線で殺せるとしたらこんな目だろう。そういう目で、ミハイルが私を見る。
ああ、たまらない。これほどの憎しみを、他にどうすれば得ることができるだろう?
もがく腰を押さえつけながら、私はくり返し指をつぷりつぷりと抜き刺しして、
その感触を楽しんだ。ミハイルが少しでも力を抜くのなら、このまま解してやろうと
思っていたが、どうやらミハイルにその気はないらしい。ならば、これ以上
自分を焦らすこともないだろう。私は、ミハイルの尻に自分の雄をあてがった。
ミハイルが凄まじい唸り声をあげる。私の全身を電流が駆け抜けた。
地獄から移してきたような炎がミハイルの目で燃えている。乱れた髪はまるで
その炎に煽られて逆立っているかのようだ。むき出した牙は赤い唇と舌に
よく映えて白い。ああ、これだ。これこそが私を虜にしたもの。
私をヴァンパイア・ハントの中毒にしたもの。
危うく、ミハイルの中に入る前に絶頂を迎えてしまうところだった。
600ハント 14:2007/01/20(土) 06:22:01 ID:LL66XtoV0
私はひと思いに腰を落とした。
「ぐぁ!」
さすがに声を殺すことができなかったのか、ミハイルの喉からひしゃげたような
呻きが漏れた。優雅に整っていた顔が激痛に歪み、全身に鳥肌が立っている。
ゆで卵を剥いたようなつるりとした尻を、ラズベリージュースのような血が
流れ落ちていく。痛いだろう、可哀想に。けれど、ヴァンパイアはすぐに
傷を治してしまうのだから、容赦はしないでおこう。私は最初から激しく動いた。
ミハイルの腰を押さえつけ、乾いた音が響き渡るほど強く体を打ちつける。
ミハイルは目をきつく閉じ、歯を食い縛って、耐えるしかない痛みが
終わるのを待っている。後孔は惨たらしく裂け、だらだらと血が流れていた。
こうなるともう、力を抜いてリラックスなどできるはずもないだろう。
痛みに、体が強張ってしまう。それがきつい締め付けとなって、私を悦ばせる。
入り口の収縮はまるで私に噛み付くようで、それに逆らってこすりたてる度、
腰から全身に熱い痺れが走り抜けるのだ。このまま昇ってしまうのが惜しくて、
私は一度ギリギリまで引き抜き、先端を入り口に引っかけて、浅く抜き差しした。
ミハイルがふと息を吐いたその瞬間に、私は思いきり腰を突き上げる。
「ひぅっ!」
不意を突かれて耐え切れず、ミハイルは引き攣った悲鳴を上げた。
いい声だ。体にも心にも苦しみしか感じていない、そんな声だ。
私は立て続けにミハイルの奥深くを抉りまくった。一度悲鳴を上げてしまって
心が萎えているのか、それとも本当に限界なのか、歯を食い縛ったミハイルの
口元から小さな悲鳴が断続的にこぼれている。天上の楽の音でも、ここまで
耳に快くはないだろう。組み敷いた細い体から汗の臭いが立ち昇り、
その香しさもまた私を酔わせる。一晩中でも続けていたいほどの快楽だったが、
私の体はそこまで忍耐強くはできていなかった。届く限りの奥へと突き込んで、
私はミハイルの中に自分の精を迸らせた。
601ハント 15:2007/01/20(土) 06:23:05 ID:LL66XtoV0
抜き去って見ると、私の性器はミハイルの血にまみれていた。人から血を
抜いて命を永らえるヴァンパイアの血が、私の生の象徴を飾っているのだ。
思えば、ヴァンパイアは不思議な生物だ。魔物だからという意味ではない。
他の魔物がどうなのかは知らないが――と言うよりも、他にも魔物と言うものが
存在するのかどうか私は知らないし、魔物の定義も知らないが――、
生まれついてのヴァンパイアはいないのだ。彼らも、この世に生を受けた時は
すべからく人だったのだ。それが血を吸われて人ではないものに変化した。
このような存在は、他にはない。そして、最初のヴァンパイアはいったい
どうやって生まれてきたのだろうか? ベッドに死んだように横たわっている
この白い体の中に、その疑問を解く徴が隠されているのかもしれない。
そういう理由で私にハントを依頼してくる人間もいるのだ。だが私にとっては
それはどうでも良いことだ。謎は謎のままの方がロマンティックでいい。
だから私は、いつも淡々と仕事を進める。今夜のここまでは楽しみのためで、
ここからは先は仕事だ。

     (続きます)
602風と木の名無しさん:2007/01/20(土) 08:25:59 ID:mnkWnEAf0
ハントさんGJ!!
朝からワクワクニラニラしながら読んだよ
続き激しく楽しみにしてまつ
603風と木の名無しさん:2007/01/20(土) 10:22:33 ID:bBMauwAEO
ハントタソGJ

雰囲気がエロくて最高です!!!
これからどんな風にミハイルを攻めたてるのか楽しみ!!
604風と木の名無しさん:2007/01/20(土) 11:05:00 ID:KgA3KONlO
ハントさんGJ!気高いミハイルをこれからどうするんだw
続き楽しみに待ってます
605風と木の名無しさん:2007/01/20(土) 11:37:59 ID:hjNriwj70
吸血鬼祭ktkr
残酷童話風のちび吸血鬼タンも、
アダルトなハントタンも、
激しくGJです!
本家の吸血鬼タンも光臨よろしく!
606風と木の名無しさん:2007/01/20(土) 13:34:49 ID:4I3GiDJY0
ハントさんGJ!
ここから先は仕事って、何するんだ?

続き超楽しみです
607風と木の名無しさん:2007/01/20(土) 19:07:10 ID:pHv2qVxZ0
お前ら隔離スレ戻ってくれない?
608風と木の名無しさん:2007/01/21(日) 14:33:44 ID:BM+/H1xqO
だが断るーっ!!
609風と木の名無しさん:2007/01/21(日) 16:04:15 ID:vYaPC+Lw0
>>608
したらばで全部バレてるぞ、嫌隔離厨。
なりすまし工作なんかしてないで
さっさと隔離のしたらばに池。
そして二度と戻ってくるな。キモイから
610風と木の名無しさん:2007/01/21(日) 16:15:40 ID:d2i0sRAG0
>607->608
まとめて隔離に消えろ

ハントタンGJ!
エロい雰囲気がたまらない
611風と木の名無しさん:2007/01/21(日) 17:32:40 ID:0448DlLVO
数日ぶりに来たら良作がたくさん来てて嬉しいw
吸血鬼たん、テュランたん、ハントたんGJ!
612ハント 16:2007/01/21(日) 20:28:51 ID:bB2p2/+B0
以下、残酷な描写が出てきます。(特に20〜22)
苦手な方は読まないで下さい。

======================================

私は、自分の鞄の中から、特別に作らせた金属製の密封容器を取り出した。
蓋を開けると、それまでピクリとも動かなかったミハイルが身じろぎ、
苦しげな呻きを漏らした。私が箱を手にしてベッドに戻ると、
ミハイルは体を捻って後ずさった。
「よせ……それを私に近づけるな。よさないか……!」
牙をむき出し、瞳をぎらつかせて、ミハイルは私に命じた。言葉は勇ましいが、
従う者のない命令ほど惨めなものはない。
私はベッドに乗り上げると、ミハイルの丸い膝頭を捕えて引き寄せた。
ミハイルが呪詛の声を低く長く吐き出す。耐えられないと言うように、
強張った体をほんのわずかでも私から離そうともがいている。
箱の中身は、ニンニクだ。旧い時代からずっと、魔除けとして
人が軒先にぶら下げてきたあれだ。ヴァンパイアがなぜニンニクを嫌うのか、
まだ解明されていない。私がヴァンパイアから直接聞き出しただけでも、
「臭い」「熱い」「痛い」「怖い」と、返った答は多種多様だった。
恐らくはヴァンパイア自身でもハッキリとした理由など知らないのだろう。
わかっているのは、これがヴァンパイアの力を弱めるということだけだ。
私は、ミハイルの腹の上で箱をひっくり返して、ニンニクをぶちまけた。
ニンニクは皮を剥いてある。長い期間を通して護符がわりに使うのなら剥かないが、
ヴァンパイアに直接用いるのであれば、剥いた方が効果が強烈なのだ。
腹の上にニンニクを撒かれ、ミハイルが、火の粉でも被ったかのように
顔を歪めて身を捩った。コロコロと転がったニンニクを手に取って、
私は改めてミハイルの後孔を眺めた。私がズタズタに引き裂いたそこは赤く爆ぜて、
未だ止まらぬ血に湿っている。傷に塩を塗り込むのと似たようなものなのだろうと
想像しながら、私はニンニクを1つ、ミハイルの後孔に押し当てた。
613ハント 17:2007/01/21(日) 20:29:25 ID:bB2p2/+B0
「やめろっ、いやだ! やめろ、ああ、やめないか……!」
さすがにミハイルも度を失っているのか、上擦った声を出す。私はニンニクを
ミハイルの中に押し込んだ。ミハイルの体が大きく跳ね上がった。押さえつけて、
2片目を押し込む。ミハイルが感電したかのように硬直する。苦しいのだろう。
血の気を失った顔が凄まじく歪み、引き攣っている。私は次々にニンニクを
ミハイルの孔に詰めていった。今やミハイルの体は激しく痙攣し続けている。
目は白目を剥かんばかりで、食い縛った歯の隙間からは泡を吹いている。
ひゅうひゅうと漏れる息は、もう悲鳴を上げる力すらないことを示していた。
半分を尻に詰めてしまうと、私は残りのニンニクを手に持って、
ミハイルの顔の方へと移動した。食い縛っている歯を、ナイフでこじ開ける。
その隙間から、ニンニクを口の中へと押し込んでいった。つややかに光る牙に
ニンニクをこすり付けてやると、ミハイルが、さしもの私でも背筋が寒くなるような
凄惨な声を上げて抗った。私はミハイルの額を膝で押さえつけながら、
ニンニクの最期の一片までを口の奥へと落とし込んだ。それからタオルで
猿轡を噛ませ、仕上げに銀の細い鎖をタオルの上から巻き付けて固定した。
614ハント 18:2007/01/21(日) 20:29:58 ID:bB2p2/+B0
ミハイルは目を大きく見開いて虚空を睨み、ガクガクと首を振っている。
しなやかな体がベッドの上で幾度も跳ねる。全身から、声のない悲鳴が迸っている。
心の中では誰かに助けを求めているかもしれない。来るはずのない助けを求めて、
恋しい男の名を呼び、泣き叫んでいるのかもしれない。
私は、自分の雄が昂ぶってくるのを感じた。いけない、いけない。
もう私の楽しみの時間は終わったのだ。今は仕事中だ。さかっている場合ではない。
私は、ミハイルの首をベッドに結わえ付けている鎖の具合を確かめた上で、
携帯電話を取り出して依頼人を呼び出した。通話が終わってから、
水で濡らしたタオルで簡単に自分の体を拭う。シャワーを浴びたいところだが、
ミハイルから完全に目を離すのはいくらなんでも危ない。
私が衣服を整えて身繕いを済ませてすぐ、依頼人がドアをノックした。
ドアを開け、依頼人を招じ入れる。
依頼人は、友人のテオだ。顔が青ざめ、口元がぴりぴりと痙攣している。
無理もなかった。この国に生まれ育ったとは言っても、テオはヴァンパイアに
実際に接するのは、これが初めてなのだ。一般人なら当たり前のことだった。
私がニンニクを使ったのはこのためだ。ずぶの素人をハントに関わらせるなら、
事故予防措置には神経質なほどに気を遣わねばならない。
「口枷は絶対に外すな。噛まれたらひとたまりもないぞ。首と手足の鎖もだ」
私がそう言うと、テオは私を見ようともせずに頷いた。目はベッドの上で
のた打ち回っているミハイルに据えられている。
615ハント 19:2007/01/21(日) 20:31:04 ID:bB2p2/+B0
テオは、持ってきた鞄を床に下ろした。中に何が入っているのか、想像は
ついていたが、数が想像とは違っていた。太い木の杭が、2本。
2本も、どうする気なのだろうか。私は口を出さずにテオを見守った。
何をどうしようと、テオが無事に本懐を遂げられたらそれでいい。
テオは、杭を1本掴むと、ミハイルに近寄っていった。ミハイルは、
大きな目でテオを見つめている。テオは、ミハイルの横に立つと、
それこそ悪鬼が取り憑いたような顔をして、ミハイルの全身をねめつけた。
「お前が――お前が、トライアンを――」
ぼそぼそと呟いた言葉の意味など、ミハイルにはわかるまい。
トライアンは、テオが一緒に暮していた恋人だ。行方不明となった同性愛者たちが
ヴァンパイアの餌食になったようだと言い出したのは、トライアンだったそうだ。
テオが私に連絡を取り、私が情報を集めたり実地検分したりしているうちに、
トライアンも姿を消した。沼のほとりで見つかった干からびた死体が、
捜索願いが出ていたトライアンだと警察から連絡が入ったのは、先週のことだった。
もう少し早く私がミハイルを探し当てていたらと、心が痛まないでもない。
だが、腕に覚えもないのにヴァンパイアの名を口に上らせたトライアンも悪いのだ。
それでもトライアンは、私の大切な友人の、大切な伴侶だった。義理はある。
616ハント 20:2007/01/21(日) 20:31:53 ID:bB2p2/+B0
テオは、杭を持ち上げると、見せ付けるようにミハイルの上にかざしてから、
尻の間へと持っていった。先端は、思ったほど尖らせてもいない。
この国に育った人間として、テオも、何百年も前に行われていた処刑方法を
よく知っているわけだ。鋭利な刃より鈍らな刃で斬られる方が痛いのと同様に、
尖っていない杭で抉られる方が痛みが激しい。2本使うつもりであることを
考慮して、私は一つだけテオに念を押した。
「知っているだろうが、杭は斜めに押し込んでいけ。心臓を傷付けたら終わりだ」
テオは静かに頷くと、杭の先をミハイルの後孔にあてがった。
ミハイルの目は恐怖を顕にして今にも飛び出しそうだ。それでもミハイルは、
命乞いをする素振りは見せない。助かるわけがないと悟っているのかもしれないが。
何にせよ、ミハイルが取り乱さないのは私にとっては嬉しいことだった。
どれほど残忍な目にあわされようとも、ヴァンパイアたるもの、人間ごときの前で
醜態を晒さずにいて欲しい。私の勝手な理想に過ぎないことは百も承知だが、
私が葬ってきたヴァンパイアのほとんどは、その理想を具現化してくれていた。
私がミハイルの態度に陶酔を覚えている間に、テオもまた頭に血を上らせて息を荒げ、
片手でミハイルの腰を押さえると、杭を持つ手に力を込めた。
「思い知れ、化け物…!」
その言葉と共に、テオは杭をミハイルに突き入れた。
617ハント 21:2007/01/21(日) 20:32:25 ID:bB2p2/+B0
ミハイルが仰け反った。めりめりと音が聞こえそうなほど大きく孔が開かれ、
裂け、血が吹き出した。当たり前だが、私が犯した時などとは比べものにならない。
それでも、まだ3分の1も入ってはいない。杭は、ミハイルの胴と同じ程に長い。
これから杭は腹を抉り、胸を掻き割り、鎖骨を折り砕いて肩を突き破るのだ。
ミハイルが、美しいヴァンパイアが、今から壊れていく。
目に映るはずの光景を脳裏に描くだけで、腰の奥に疼きが生じた。
だが、荒くなる息を押さえて待っているのに、杭がなかなか動こうとしない。
時間をかけて嬲るつもりかとテオを見やると、テオは真っ青になって、
瘧にかかったかのように震えていた。ヒッヒッと妙な息を漏らしている。
私はすかさず頭を切り替えて、テオの肩を抱いた。
「無理はするな。もう充分だ」
そう言ってやると、テオは顔を覆って崩れ落ちた。それを抱き止め、
部屋の隅に置いてある椅子に座らせる。
「すまん――俺は、何と無様な――」
すすり泣きながら言うテオの肩を、私は優しく叩いてやった。
「まともな人間ならこれが普通だ。気にするんじゃない。トライアンだって、
お前につらい思いをさせたいなんて思っちゃいないさ」
今は群雄割拠の戦国時代ではない。見せしめのために捕虜を串刺しにして野に晒し、
丸二日かけて死に至らしめた、そんな時代ではないのだ。今の時代にそんなことを
平気でできるようなら変質者だ。――私のような。
「どうする。もう1本は? 自分でするのか?」
私が問いかけると、テオは弱々しくかぶりを振った。
「すまないが、お前がやってくれないか。俺は、こいつが死ぬのを見届けられたら
それでいいから」
「朝まで放っておくと言う手もある。この状態で朝日に当てれば同じことだ」
「いい! 今、止めを刺してくれ」
「わかった」
私は、床に転がっていたもう一本の杭を手に取った。
618ハント 22:2007/01/21(日) 20:33:03 ID:bB2p2/+B0
見下ろしたミハイルは、とてつもなく美しかった。
血の気を失って透き通るような白い肌。燃え盛る血の色の瞳。
同じ色が、私を散々楽しませてくれた尻に華麗な模様を描いている。
その模様の中心に突き出した杭の醜怪さも、ミハイルと共に在れば至上の美だ。
誘惑に勝てず、私はその杭をつかんでぐいぐいと揺すってみた。
ミハイルが激しく体を揺らし、出せない声で絶叫する。尻の中で潰れたのか、
不意にニンニクが強く匂った。ミハイルの苦痛に、急に親しみともいうべき感情を覚えて、
私は薄く笑った。不老不死のヴァンパイア。だが彼らでも、傷を負う。
そしてその傷は、台所の匂いがするのだ。
私は新たな杭の、鋭く尖らせた先端を、ミハイルの心臓の上に当てた。
映画ではここで聖句の一つも詠唱するところなのだろうが、聖句も聖水も十字架も、
そこに強い祈りが込められて初めて役に立つ。目の前に現実に存在しているものを
存在するはずがないと否定し、存在から無へと事実を捻じ曲げようとする祈り。
その祈りは絶対的な悪意と拒絶であり、呪いなのだ。自分の信仰するものによって
ヴァンパイアを排除しようとする人にとっては強力な武器となるらしいが、
あいにくと私は不可知論者だ。だから私はただ、心でこう語りかける。
――私は人間なんぞよりもずっと、あなた方ヴァンパイアを愛している――
ミハイルは私の愛など望むまい。侮蔑と嫌悪に溢れる目で私を睨み付けている。
しかし今その目に何よりも色濃く宿っているのは、憎悪だった。
魔物の存在を否定する宗教施設にヴァンパイアへの呪いが渦巻いているように、
ヴァンパイアから憎しみを注がれてきた私を、彼らの呪いが包んでいるといい。
今私を睨んでいるミハイルのこの憎しみが、ミハイルが消えた後でも
私の周りに淀んでいてくれることを、私は切に願う。
私は、ミハイルが最後に見るものが自分であることに深い満足を覚えながら、
杭の頭に槌を打ち下ろした。
619ハント 23:2007/01/21(日) 20:33:34 ID:bB2p2/+B0
空気が波のようにうねった。ミハイルの断末魔の無言の叫びが、私の全身を打ち、
突き刺さった。錯覚などではない。テオは身を竦めて掠れた悲鳴を上げた。
ミハイルの体が、まるでTVの画面がぶれるようにぐずぐずと震える。
程なく、それは色をなくし、形をなくし、小さな粒となって砕けていった。
灰と表す人も多いのだが、私の目にはむしろ乾いた土くれのように見える。
長い時を生きてきたであろう命、他のすべての命を超越した命、私が屠らねば
世の果てまでも永らえたはずの命が、消滅した。
私はしばらく息をするのも忘れてその土くれに見入った。
腐敗し悪臭を放つこともなければ、汚らしく溶け崩れることもない、
優雅にして潔い最期は、ヴァンパイアにのみ許されているものだ。
生も死も、ヴァンパイアにまつわるすべては厳かなる奇跡だ。
小さく溜息をついたのを最後の賞賛として、私は、ベッドの上に残った土くれを
シーツでくるんで鞄に突っ込んだ。研究するのだそうで、こういう物を欲しがる
連中がいるのだ。シーツにはミハイルの髪やら血やらその他の体液やらが
染み付いているし、さぞかし良い土産になるだろう。世界中のヴァンパイアを
一息に殲滅する方法など編み出されては困るが、その心配はなさそうで安心している。
私は、まだ椅子にへたり込んだままのテオに声をかけた。
「さ、長居は無用だ。出るぞ」
テオはのろのろと顔を上げた。目はうつろで、眼窩が落ち窪み、
10分で10歳も年を取ってしまったかのようだ。私はテオの肘を取ると、
むりやりに立たせた。こんな場所にテオを長く置いてはおけない。
私にとっては香気となるものが、テオには瘴気だ。
受付で、シーツをひどく汚したのでと言訳していくらか余分に払い、
私はテオを引き摺って霧の立ち込める通りへと逃げ出した。
620ハント 24:2007/01/21(日) 20:34:36 ID:bB2p2/+B0
3つ隣の町まできて、小さなホテルにテオと共に落ち着いた。もう夜は遅く、
テオの住む町に行く列車に乗るには、夜明けを待たねばならないのだ。
深々たる闇に沈んだ小さな町は、白いベールをかぶって息を潜めている。
酒場から瓶ごと買ってきたウィスキーを、洗面所に備えてあったグラスに注いで
テオに差し出した。テオはそれを手にしたまま、しばらく動かなかった。
手首を掴んで口元にグラスを押し当ててやると、無意識のようにグラスを傾けて
ウィスキーを舐め、それから一気に呷った。
ローストチキンが好きな人間は多いが、経験もない人間にいきなり鶏を絞めて
羽を毟れと言うのは、いささか無理がある。羽虫であれば気にもなるまいが、
自分に近い生き物になればなるほど、自ら手を下すことは難しいものだ。
テオが、うわ言のように呟いた。
「あれは、あれは化け物だから――トライアンを殺したんだ、だから……」
「ああ。あれは人に害を為す魔性の獣だ。だから狩るんじゃないか」
聞きたい言葉を言ってやると、テオは幾度も小さく頷いた。
テオは、私がハントを楽しんでいるとは気付いていないことにしたらしい。
それを責めようとは思わない。
ヴァンパイアは人を狩って糧とする。人はそれに抗ってヴァンパイアを狩り、
生き易い世を作る。どちらも正しく、自然なことだ。
621ハント 25:2007/01/21(日) 20:35:25 ID:bB2p2/+B0
だが、ヴァンパイアは人を騙して死に導きはするが、人が麦に何の感慨も
覚えないのと同様に、そこに楽しみを見出そうとはしていない。
翻って、人は、死を楽しむ生物だ。相手を死の罠にかけることを楽しむのは、
釣りや狩猟という名の許で趣味として広く認められている。
捕え殺したものはすべて食べている、だから無意味な殺戮ではない、
死の中毒者たちはそう自己弁護する。だが、彼らは食べるために
殺しているのではない。殺すのを楽しんだ結果を食べているだけだ。
そして、狩りをより楽しむために相手を苦しめるのは、人の他には猫くらいだろう。
純粋に人を守るためだけにヴァンパイアを狩っている人間を、私は知らない。
憎むか愛するか楽しむか、そのいずれかがないハンターなどいない。
私は、テオを抱き締めて宥めながら、口元が綻んでしまうのを禁じ得なかった。
本当の化け物の手の中で安心している友人が、愛しくも可笑しかった。



     (終わり)
622風と木の名無しさん:2007/01/21(日) 20:39:08 ID:N74L5W3d0
ハントさんGJ!
狂ったハンターに萌えました

ありがとうございました
623風と木の名無しさん:2007/01/21(日) 20:48:47 ID:6NKTVdjg0
思い込みで猫を人間と一緒にするのはやめてくれ
624風と木の名無しさん:2007/01/21(日) 21:29:47 ID:9qKPLrfD0
何か問題でも?

乙ですハントタン。
人間怖いよ人間。
625風と木の名無しさん:2007/01/21(日) 22:13:38 ID:L5DUJ2qY0
吸血鬼イパーイの週末!
>>醜い吸血鬼タン
久しぶりに胸が痛むタイプのお話、良かったです。
行為の鬼畜さと結末の鬼畜さのダブルパンチだ。
舞台設定のほのぼのとした穏やかさが惨さを際立てていてGJ。
>>ハントタン
真性鬼畜の変態さんも開き直ってて面白かった。
淡々としてるとこが雰囲気出てて良かったです。
626風と木の名無しさん:2007/01/21(日) 23:43:30 ID:t+k2oy6SO
ハントタソ乙です!!

本性を知ることが出来るのはウ゛ァンパイアとハンターの間だけなんだね!!
最高の鬼畜でした
627風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 00:25:38 ID:BYmVFOQJO
アゲ
628風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 00:29:44 ID:QKjuPq7ZO
アゲ
629風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 00:34:29 ID:QKjuPq7ZO
ケータイ禁止反対!
630風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 00:47:26 ID:32vhGfa00
遅くなったがハントたん乙。
救いのないエンドが鬼畜スレらしくてGJ!
631風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 01:36:18 ID:xI99qraq0
吸血鬼タン待ってるよー。
632風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 01:38:18 ID:cDuiGM7lO
>>627
アゲんなボゲェ!!!
633風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 05:39:07 ID:aKiGNCCu0
荒らし乙です。
NGワードに登録したら存在自体消えるから無意味だけどね。
634風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 11:17:27 ID:EoOUXiNu0
隔離のしたらばへ篭るんじゃ無かったのか?
やっぱり、ラーゲルはこの程度の電波だったという事だな
635風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 16:25:02 ID:QKjuPq7ZO
キレイキレイ
636風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 16:26:11 ID:QKjuPq7ZO
消しゴムって便利
637風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 16:27:47 ID:QKjuPq7ZO
荒らしても荒らしても消される
638風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 16:30:17 ID:QKjuPq7ZO
いまならケータイで荒らせば
隔離のせいにできるんだから
パケ・ホーダイの人はみんな荒らしすればいいのに
639風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 19:04:48 ID:QKjuPq7ZO
隔離崩壊!
管理人にも見離されましたね
引き続き隔離に報復をしましょー
640風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 19:22:02 ID:mzHDUCyMO
ハントタン
駄文乙〜!!!
他の吸血鬼タンも無駄に長い休息から忘れてた頃に乙〜!!!
641風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 19:23:46 ID:mzHDUCyMO
テュランタン超ご都合主義の長文乙〜!!!
642うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
643風と木の名無しさん:2007/01/25(木) 20:39:44 ID:tzjYUfMpO
手伝うよ
644うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
645風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 04:44:10 ID:9AZ0YUZTO
したらばはヒルの話で盛り上がってる
646風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 06:02:56 ID:jlsPR8X9O
ヒルズ族?
647風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 10:28:07 ID:EFuizh6N0
天然鬼畜平太くん降臨希望。
648明日はまた来る・1:2007/01/26(金) 12:22:57 ID:SCXYWEIS0
尻にペニスを突き込まれ、揺さぶられる。痛い。痛い。畜生。
どんなに回数を重ねていたって、乱暴にされたら痛いに決まっている。
だけど気遣ってくれる訳がないこともよく知っているから、俺は黙って耐えた。
俺の体なんて、客の半分もないくらいなんだから、逆らっても無駄だ。
てか、逆らったらどんな目に遭うか、俺はもう知っている。
でも、俺が歯を食い縛ってこらえているのに、部屋の隅に蹲ったあいつは
髪をかきむしりながら絶叫している。うるさい。なんでお前が喚く?
今つらい思いをしているのはこの俺だ。黙れよ。うるさい。
聞きたくなくて耳を塞いだけど、絶叫は容赦なく俺の耳に突き刺さってくる。
勘弁してくれ。気が狂いそうだ。
649明日はまた来る・2:2007/01/26(金) 12:24:17 ID:SCXYWEIS0
たっぷり2時間遊んで、客は帰って行った。俺の今日の仕事はこれでおしまい。
シャワーを浴びて部屋に戻ると、あいつの姿はもうなかった。
いつものことだから気にしないで、俺はさっさと汚れたものを片付けていった。
厨房で暖かい飲み物を作って、俺は庭に出た。月がきれいだ。
いつもの場所にあいつはいた。花壇の端っこに腰を下ろして足下を見ている。
俺は隣に腰を下ろした。目も向けてもらえないことは知っていたけど。
明るい月の下で見ると、こいつがここに連れてこられた理由が一層よくわかる。
真っ白い肌、薄い色の髪、目だけは真っ黒くて、本当にきれいだ。
「なあ、お前、もう俺の部屋に来んなよ」
声をかけてみた。どうせ俺の言うことなんか聞きゃあしないけどさ。
「嫌なんだろ。だからあんなにひいひい喚くんだろ。
来なきゃいいじゃんか。俺だって嫌だし」
ずっとここにいりゃいいんだよ。庭にさ。誰に命令されてるわけでも
ないんだろうに、どうして俺の部屋に来るんだろう。
やっぱ、頭がおかしいから、嫌な場所に来ちまうのかな。
たぶんこいつ、頭がおかしくなったから仕事できなくなったんだ。
誰に聞いても本当のことは教えてくれないんだけど。
つか、うるさいって殴られるだけだけど。
650明日はまた来る・3:2007/01/26(金) 12:25:02 ID:SCXYWEIS0
今日の客は俺の大嫌いな客だ。縛り上げて痛い思いをさせるのが好きで、
こいつに玩具にされたあとは体が痣だらけになる。
痣が付いて商品価値が落ちるような、そんなお上品な店じゃないから、
もう本当にこいつらやりたい放題だ。
後ろ手に括られた手首が、ギリギリの長さしかない鎖で首輪に繋がれている。
腕が痛くて下ろそうとすると、首が絞まって息ができない。
仰け反ったまま後ろから突っ込まれて、メチャクチャに振り回される。
尻や背中に幾度も拳を振り下ろされるのは、その度に息が詰まって、
無意識に尻を締め付けて、客が気持ちいいかららしい。
痛くて苦しくて泣きながら、それでも俺は客が喜ぶ反応を選んで返している。
少しでも早くこの客が帰ってくれるように。
あいつはまた部屋の隅で蹲って、泣き喚いている。
こういうの、さぞかし客が喜ぶんだろうな。特にこの手の客は。
だから、こいつも今の俺と同じような目にあったに違いない。
別に同情なんてしないけど。今死にそうなのは俺なんだから。
651明日はまた来る・4:2007/01/26(金) 12:25:34 ID:SCXYWEIS0
気を失っていたらしくて、目を覚ますともう客の姿はなかった。
部屋の隅を見たけど、あいつもいない。何だか腹が立った。
こんな惨めな状態の俺に目もくれないで、あいつはまたお庭にとんずらかよ。
血を拭いてくれとか、拘束を解いてくれとか、そんな無茶は言わないけど、
せめて側にいてくれてもいいんじゃないか。
俺が目を覚ますまでここにいて、目を覚ました俺に何か一言、
優しい言葉でもかけてくれたらいいじゃないか。
そうしたら俺たち、仲良くできるかもしれないじゃないか。
誰も味方がいないこの家の中で、俺たち二人、一緒にいればいいんだ。
俺の側にいるくせに、どうして俺を見ないんだよ。
652明日はまた来る・5:2007/01/26(金) 12:28:10 ID:SCXYWEIS0
客が入ってきた時、俺はおやっと目を見張った。一目見てなんか違うなって
わかるくらい、そいつは、なんつーか、崩れたところがなかった。
こんな店に来る男は、どこか崩れて歪んでるもんなんだ。
普段がどうでも、ここに入った瞬間に、そうなってるもんなんだ。
でも、若くて、きれいな目をしていて、なんとなく寂しそうなその客は、
俺を見て、ちょっと困ったような顔をした。慣れてないってわかる。
何をしに来たんだろう。そんな疑問が、一瞬で解けた。
客は、部屋の隅にいるあいつに目を向けたんだ。
誰も見なかったあいつを、初めて来た客が見たんだ。
俺がびっくりして動けないでいる間に、客はあいつに向かって
脚を踏み出していた。あいつがびくっと体を震わせて客を見た。
あいつが、人に目を向けて、その存在を認めたんだ。
俺は慌てて二人の間に飛び込んだ。
「あんた、こいつに何する気だよ!」
怒鳴った俺に、客は更に困った顔を向けてくる。
「君の、友達なのかい?」
静かで柔かい声が耳を打った。こんな声、初めて聞いた。
「友達なんかじゃねーよ。喋ったこともないんだからな。
でも俺はこいつとずっと一緒なんだよ。勝手なことするなよな!」
俺には、客が何をしに来たのか何となく想像が付いた。
だって、ものすごく優しそうで、悲しそうだから。
653明日はまた来る・6:2007/01/26(金) 12:28:51 ID:SCXYWEIS0
俺の背中の後ろで、あいつがまた絶叫し始めた。
ほら、怖がってるじゃないか。駄目だ、手出しなんかさせられない。
俺は腕を広げて、あいつをかばうように立ち塞がった。
客は、悲しそうに眉を寄せて、俺の顔をじっと見た。
「彼を助けてあげないと。わかるだろう? 怖がって苦しがって泣いている。
聞こえているね?」
「あんたを怖がってるんだ」
「違うよ。違うと知っているはずだ」
俺は、なんて言い返したらいいかわからなくて、客を睨み返した。
「ここに来たことがある人から聞いて、僕は来たんだ。
彼を助けたい。僕にはそうできる。どうか、わかって欲しい」
それでも俺がどかないでいると、客は俺の肩を掴んで、俺を脇に動かした。
俺が客の腕を掴むと、客は俺の手首を両手で握って、静かに言った。
「彼を苦しめるようなことは何もしないよ。楽にしてあげるだけだ。
このままじゃ、彼があまりにも可哀想だ。君だからこそ、そう思うだろう?」
わかったようなこと、言ってんじゃねーよ。何も知らねーくせに。
そう言ってやりたかったけど、耳に付き刺さる喚き声がすごくて、
それ以上喋るのが嫌になっちまった。
654明日はまた来る・7:2007/01/26(金) 12:29:39 ID:SCXYWEIS0
客は、あいつに向かって、木の珠でできた首飾りみたいなものをかざして、
何かぶつぶつと口の中で呟いている。あいつは客を見つめながら
けたたましく叫び続けている。何が助けるだって? 全然駄目じゃんか。
あいつを余計に怖がらせているだけだ。
俺が頭に来てまた客につかみかかろうとした時、あいつの声が、
ちょっとだけ小さくなったような気がした。あいつに目をやると、
あいつの顔つきが、ちょっとだけ和らいでいるような気がした。
この客、本当にできるのか。そんなこと。
俺がじっと見ていると、あいつの声がどんどん小さくなっていった。
顔の半分が口ってくらい大きく口を開けて喚いていたのに、
ちょっとずつ口を閉じていく。ものすごい皺が寄っていた眉間や目尻も、
ちょっとずつ解れて、そうだ、庭にいる時のあいつの顔になっていく。
声が途切れた。あいつは、ぼーっとした顔で客を見上げている。
客が、あいつの額に指先でちょっと触れた。
ふわっと、あいつの姿が消えた。
655明日はまた来る・8:2007/01/26(金) 12:30:16 ID:SCXYWEIS0
客はそれからまだしばらくぶつぶつ呟いていたけど、やがて口を閉じた。
大きな溜息。疲れることなのかな。
客がそっと俺を振り返った。額に汗をかいていた。やっぱり疲れるんだ。
「あいつ、どこに行ったの?」
俺が聞くと、客はまた困った顔をした。
「彼は、いるべきところにいるよ。もう苦しんではいない」
ふうん。どこかわからないけど、いいところなんだな。
少なくともここよりは。
客が、俺の頭を軽く叩いた。
「じゃ、僕はもう行くから」
俺は慌てて客の袖を掴んだ。
「ちょっと待って、そんなの困るよ俺!」
「え?」
客が、困惑した顔で俺を見下ろした。何も知らないんだな。
「あんたがこんなに早く出て行ったら、俺を気に入らなかったってことに
なるんだよ。俺の不始末ってことになっちまうんだ。
ちゃんと遊んでってくれなきゃ困る」
客は呆然としながらも、納得して頷いた。
「ああ……そういうものなのかい。じゃあ、時間までここにいるよ」
「それだけじゃ駄目だってば! ちゃんと俺を抱けよ」
「そんなことできないよ!」
客は心底驚いた顔をして叫んだ。こいつ、本当にあいつを助けるためにだけ
ここに来たんだな。
656asuhamatakuru :2007/01/26(金) 12:31:42 ID:SCXYWEIS0
「僕は、お金でこういうことをしたくない。だいたい、そっちの趣味もない。
君にひどいことをしたくもない。だから、時間までここにいるけど、
何もする気はないよ」
きっぱりと言う客に、俺はかっとして怒鳴った。
「時間までいてくれたって、俺もシーツも汚れてませんって状態を見られたら、
俺にとっては同じことなんだよ! あんたが払う金は、何かしてもしなくても
変わらないだろうけど、俺にとっては大違いなんだ!」
「きゅ、給料を減らされるのか?」
ちょっと弱気になって尋ねる客のその無邪気な質問に、俺は笑い出した。
こいつは本当の本当に何も知らないでここに来たんだ。
「給料!? そんなもんあるわけないだろ! メシを減らされるんだよ、
働いてないんだから食うなって! そうでなきゃ他の客を取らされる。
いつもより長く働かなきゃいけなくなるんだよ!」
客が、顔を引き攣らせて押し黙った。気の優しい、いい人なんだろうな。
頼まれたわけでもないのに、あいつを助けに来たんだから。
俺は、客の手を引っ張ってベッドまで連れていった。
「苦にすることない。俺がいいっつってんだから、やれよ。
やり方わかんなきゃ、教えてやるからさ」
ベッドに座らせて、肩を掴んで押し倒した。膝でベッドに上ってのしかかる。
「待って、待ってくれ、僕は……」
「あいつのことは助けたのに、俺のことはどうでもいいわけ?」
そう言うと、客がつらそうに目を逸らした。
657明日はまた来る・10:2007/01/26(金) 12:32:25 ID:SCXYWEIS0
我ながら、きついこと言ってんだろうな、と思う。
こいつが助けられるのは、死んだ人間だけなんだ。
あいつは死んじまってたから、ここから出してやれたんだ。
でも俺はまだ生きてるから、ここから出すことはできないんだ。
だから、俺を助け出してくれないことは責めないけどさ。
「あんた、俺を助ける気はまったくないんだよね」
俺は、意地の悪い気分になって、そんなことを耳元に囁いてみた。
客は何も言わなかった。可哀想に、目をギュッと閉じて堪えている。
でも、ちょっとくらい意地悪する権利、俺にはあるよな。
こいつは俺から、俺の側にいた唯一の人間をとっちまったんだから。
あいつは俺を見なかったけど、俺の同類、仲間だった。
最初見た時はお兄ちゃんだったのが、いつの間にか俺より小さくなってたけど、
あいつはずっと俺の側にいた。何をしてくれたわけでもないけど、
俺にとってはただ一人の大事な人間だったんだ。
あいつを助けてやることは当たり前で、それはいいことで、だけどこの客は、
独りぼっちになる俺のことなんて何も考えちゃいなかった。
658明日はまた来る・終:2007/01/26(金) 12:33:46 ID:SCXYWEIS0
客の下半身に手を伸ばして、ペニスを探り当てた。まったくのシオシオだ。
やりたくないんだろうな。俺もそうだけどさ。仕方ないよな、
ここに来ちゃった以上は、最後まで付き合ってもらう。
下着ごとスラックスを脱がせて、取り出したペニスを口に含んだ。
丁寧に奉仕しているうちに、なんとか勃ち上がってくる。
客をまたいで、俺はそのペニスをゆっくり自分の中に沈めていった。
体を揺らし、相手が一番気持ち良くなるはずの動きで追い上げた。
客が、腕で顔を覆っている。
あいつの悲鳴が聞こえない、初めての静かなセックス。
だけど別の悲鳴が聞こえてくる。音のない悲鳴が。
これからは俺、この悲鳴を聞きながら仕事するんだろうな。
だからあんたも、俺をおぼえて帰れよ。
明日も、明後日も、明々後日も、俺はあんたを思い出すんだ。
あんたも一生俺を思い出し続けろよ。

なあ、あんた。
俺が死んだら、死んだ後なら、助けに来てくれる?
659:2007/01/26(金) 12:34:17 ID:SCXYWEIS0
途中、タイトルとメール欄を間違えた上に
ageてしまいました。
すみません!!!
660風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 13:24:17 ID:yXGSNxDiO
最近のは読みづらい長文でも何も文句出ないんだね〜
それとさ〜池沼の平太はマダー?だってよ?
勿体振ってとろくさい書き方してないでさっさとオチ書いてやってよ〜
661風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 14:03:15 ID:9AZ0YUZTO
明日はまた来るさんは速やかに隔離に帰りましょう。
明日も明後日も来るな。もう二度と来るな。
ここは本スレ。あんたの来る場所じゃないです。
あんたの投下自体が荒らし行為。
それとあんたの書く話には萌えがないうえ、
あたくしのお話って上手くて素敵!マンセーされて当然よって思ってるあんたの
品性の下劣さが滲んでます。何度も同じ事を言わせんな。巣に帰れ!
662明日はまた来るの中の人:2007/01/26(金) 14:17:51 ID:eWyCUph40
あのー、証明しようもないけど、
自分は隔離あらため無関係の中の人じゃないぞ?
文体、まったく似てないと思うけど…。
まぁ、気分悪くさせたのはすまなかった。
663風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 14:25:05 ID:iD0nwcNx0
>>662
もまいが謝ることないさ。いまは新作なら何を投下しても
そう言われるさ。もまいは悪くない。
664風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 14:27:01 ID:9AZ0YUZTO
キャベツの時とまったく同じ反応
張り付いてるからならではの速いレス
文体も作風も同じです
携帯から投下しなければ誤魔化せると思ってるのですかね
665風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 15:05:06 ID:jGprvaDL0
投下してくださる方はトリップ付けていただいた方がいいのかな?
666風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 15:22:08 ID:qjoWdKNz0
賛成。
字スレに明記した方がいいと思う。
667風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 15:35:00 ID:RkNfs0PN0
投下途中の話にも適用されるのかな?
668風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 17:12:36 ID:6GuTEX9J0
>665
何のために?
669風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 17:33:17 ID:WJhPLX3G0
こういう話こそしたらばでやろうよ
670風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 21:30:50 ID:9AZ0YUZTO
8sTw0jjE0
私のレスをあちらに貼らないで下さい
671風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 21:54:23 ID:Fabbu28w0
>670
意味不明

>639 :風と木の名無しさん :2007/01/25(木) 19:04:48 ID:QKjuPq7ZO
>隔離崩壊!
>管理人にも見離されましたね
>引き続き隔離に報復をしましょー

これを>670が書いたのだとすれば
8sTw0jjE0は要請にしたがって、隔離に報復しただけだろうに
なんで貼ったらこまるの?w

>670=ID:QKjuPq7ZO=隔離の中の人
って認めてるわけかpgr
672風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 22:21:05 ID:9AZ0YUZTO
私のレスを貼られるのはむかつく
673風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 22:21:59 ID:+/Pgv1uEO
明日はまた来る、内容的には面白かったよ

もしかしてスカーレットの人?
674風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 22:28:41 ID:gwGlB+420
>66 名前:雑談 投稿日:2007/01/26(金) 21:42:36 ID:lYWCE1ZcO
>管理人さんへ

>どうかサイトを閉鎖してください。
>お願いします。

>670
と時間が近接しすぎてますね

本スレ荒らしといて、自分の巣だけ安泰なわけないだろ
むかつくとか偉そうなことをほざいてるんじゃねーよ
675風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 22:47:50 ID:gzYJRkEZ0
もうやめようよ…
ほっとこうよ、な?
676風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 22:50:23 ID:yXGSNxDiO
隔離荒らして鬼畜スレが無事な訳ねーだろwwwww

たっぷり遊んでもらえよ誘い受けの鬼畜スレ住人諸君。
677風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 22:59:52 ID:9AZ0YUZTO
隔離崩壊
本スレ劣化
678風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 23:16:14 ID:ivIOStA40
>>671、674
なんでそれをここに貼るのさ?
あっちか、せめてしたらばで吠えればいいものを。
本スレを荒らしたいわけね。
679風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 23:38:14 ID:/SQxc8a80
上がってると思って覗いてみたら凄い荒れよう(´・ω・`)
680風と木の名無しさん:2007/01/26(金) 23:43:25 ID:9AZ0YUZTO
ヾ(^▽^)ノ
681うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
682うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
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うふ〜ん
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うふ〜ん
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うふ〜ん
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うふ〜ん
687うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
688うふ〜ん:うふ〜ん ID:DELETED
うふ〜ん
689風と木の名無しさん:2007/01/27(土) 00:07:49 ID:uc4eAPVtO
ずれたorz
690風と木の名無しさん:2007/01/27(土) 02:50:06 ID:2QUcfA8v0
お前は次スレを立てて篭れ
電波文なんか見飽きたよもう
691吸血鬼13:2007/01/27(土) 09:31:48 ID:NPvA1Db/0
ランプの芯がジジッと音を立て、オレンジの
灯りが生み出した影が揺らぐ。
この城の主である青年、吸血鬼バルドは
無表情で侵入者を見やった。
バルドがゆっくりとヤンに向かって歩き出す。
ヤンは、緊張で胸が激しく動悸し始める中、
バルドから目をそらせないまま一歩後退した。
傍らのカウチにはクラウスの汗ばんだ裸身が
力なく仰向けになっている。その瞳は何も
映さず、ただうつろに虚空を見上げていた。
バルドの金色の瞳が一瞬それに向けられ、
一度瞬いてヤンを見据える。
眼光が増したように見える瞳からは
何の感情も読み取れないが、ヤンは心臓を
わしづかみされたように総毛立った。
距離が狭まっていく。
落ち着け。
額から汗が滑り落ちるのもそのままに、
バルドの背後に視線をやって、サイドボードを見る。
ヴァンパイアを傷つける事が出来る銀の短剣は遠い。
丸腰でやりあえるとは思っていない。
今は逃げる事が先決だろう。
肩越しに入り口を振り返り、すぐに視線をバルドへと戻す。
闇をまとった青年。
そのこちらを見据える金の輝きから
視線を外すのが怖い。
背中を見せて駆け出す事も出来ず、
息を荒げて一歩、また一歩と後退して、
ついに足がもつれて尻餅をついてしまう。
692吸血鬼14:2007/01/27(土) 09:32:47 ID:NPvA1Db/0
「ヒッ」
顔をあげると目の前にバルドの顔がせまっていた。
身をかがめたバルドの両手がゆっくりと
ヤンの顔にのびる。色白の指が恐怖で
引きつった頬に触れ、輪郭を滑った。
ヒヤリと冷たい指が体温を奪うように頬をはう。
バルドが片手をヤンの顔に添えたまま、もう片方の
人差し指を形の良い唇でくわえて歯をたてると、
皮膚が少し裂けて鮮やかな赤がプクッと
盛り上がり、指に筋を引いていった。
その指でヤンの唇を紅を引くように撫で、
再び口に含んで己の血を艶かしく
舐めとったバルドは、両手でヤンの頬をささえた。
「なっ、な、何を‥‥‥」
目を見開き恐怖にわめくヤンの唇にバルドの唇が重なる。
バルドの舌が、かちかちとなるヤンの歯を
なぞってこじあけ、口内へと侵入し舌を絡めとった。
暗い部屋にちゅくっと音が立つ。
緊張で乾いたヤンの口内に暖かい唾液が流し込まれ、
あふれたそれが口の端から顎を伝い落ちていく。
唾液に混ざった錆の味が口内に広がる。
上顎がなでられ、舌をくすぐり吸われる。
バルドの舌先が生み出す快感にいまや恍惚をうかべ、
自ら舌をからめていたヤンの表情が、突如苦痛に歪んだ。
ヤンの上唇をひっぱるように啄み、
ちゅっと音をたててバルドの唇が離れた。
「ひっ、あああっ」
バルドから解放されるとともに身をひねって悲鳴をあげる。
喉が焼けるように熱い。
バルドの血が喉を焼いていた。
693吸血鬼15:2007/01/27(土) 09:33:37 ID:NPvA1Db/0
呼吸するたびに激痛が走る。
「ひうっ、ああうう」
強烈な痛みに全身を震わせて、喉をかきむしり、
その幾筋もの赤い傷から血が流れ、爪を赤く染めていった。
のたうち回るヤンの顎が色白の指に軽く
持ち上げられて、金色の瞳とかちあう。
その奥に宿る赤い炎がヤンの心臓を跳ね上げた。
「[俺]とおまえは繋がった。‥‥血の契約だ」
艶のある甘い声色で、普段は使わない一人称で己を呼び、
嫣然と微笑んだバルドの口がヤンの耳元に寄せられた。
「[あれ]を使うといい」
甘くささやく赤く濡れた唇が耳をそっと挟み離れる。

突然、体の感覚がなくなった。
あんなに痛かった喉の痛みが鈍くなり、
夢の中にいるような浮遊感に襲われる。
視界に入る己の手足がまるで幻覚であるように
自分の意思で動かせない。
バルドの血がヤンの体を乗っ取っていた。
「な、なにを‥?」
体が勝手に動き出した。
立ち上がり、バルドの脇を通り、
ランプの灯りに誘われるように歩いていく。
テーブル横のアドルフをまたいでいき、サイドボードの前へ。
仄白く輝く銀の武器がランプの灯りを遮った己の影に包まれる。
指先を赤く染めた手が迷い無くのびていくのが視界に入った。
バルドの意図を読み取ったヤンの目が大きく揺れる。
「や、やめ‥‥っ、やめろおっ!!」
二本ある短剣の一本を右手でつかみ両手でかまえた。

己の心臓に向けて。
694風と木の名無しさん:2007/01/27(土) 09:33:39 ID:DF8N0vhCO
篭っていたのに引きずり出したのはこっちじゃん。
695吸血鬼16:2007/01/27(土) 09:34:40 ID:NPvA1Db/0
倒れたヤンから赤い血が丸く伸びて床を汚した。
部屋に広がった錆びた匂いが、体の奥底に潜む
本能を刺激するのを感じて、バルドは不快そうに
目を細めたが、瞬き一つで表情を消しクラウスに目をやる。
首もと、鎖骨、胸元、脇腹、体のあちこちに残る鬱血の跡。
すでに乾き始めている精液と汗でべとべとの体。
太股には幾筋もの血と精液が伝った跡が生々しく残っていた。
バルドはカウチに腰掛け、少年を抱き起こした。
途端にうつろだったクラウスの目がこれ以上ないほどに
見開いて、腕の中でもがき暴れだす。
その指がバルドの頬を掠り、うっすらと血がにじんだが、
瞬く間に傷が消えていった。
「も‥‥い‥や、あぁっ、ぃ、やだっ」
バルドは暴れる腕をとらえて、肩口にクラウスの頭を
ひきよせると耳元でささやいた。
少年の名を。
「クラウス」
抱いた少年の体がビクっと震えて、静かになった。
暗い部屋にしばしの沈黙が訪れ、二人を包む。
やがて、のろのろとクラウスが顔をあげ、
バルドの顔をまじまじと見つめた。
「バ‥‥‥ルド?」
小さく頷いたバルドを見つめる瞳が歪んだ。
ふっと息がこぼれて堰を切ったように涙がこぼれる。
「バルド、バルド‥っ」
かすれた声で名前を呼びながら、しがみついてくる
クラウスの頭をかかえ、しばらくそうしていた
バルドがそっと瞳を閉じた。

「すまなかった」
696吸血鬼17:2007/01/27(土) 09:36:20 ID:NPvA1Db/0
二人も人間が帰ってこないとなったら、
捜す者達がここに乗り込んでくるだろう。
今までここにいられたのは、ひとえに
バルドが人間を襲わなかったからだ。
薔薇とワインで生きていける。
それは間違いではない。
だが、本能はやはり血を求める。
現にこの部屋に立ちこめる血の香りに
酔いそうになっている自分がいる。
吸血鬼の仲間には、人間の血を好きなように
吸い、住処を転々としているものもいる。
ただ、そうするのが自分にあわないだけ。
静かに過ごしたいだけだった。
人間にとって牛や豚等が餌であるように、
吸血鬼にとって人間は餌でしかない。
この腕に抱く少年でさえも、そうであったはずなのに。
あの晩、クラウスをこの城に招き入れたのは
単に気まぐれであったが、自分の身を守るため
でもあった。それだけのはずだったのに、
他の人間に対する感情と違ったものを、
クラウスに感じている。
毎夜城にやってきてはその日の出来事を
おもしろおかしく話し、笑顔で対してくれた。
そして今、その小さな体で助けようと
してくれた少年が愛しい。
もう、傷跡も残っていない己の頬。
少年と自分との違い。
その違いがなくなればと思ってしまう。
だからこそ‥‥‥

「クラウス、私はここを出る」
697吸血鬼18:2007/01/27(土) 09:37:13 ID:NPvA1Db/0
「バルド‥‥‥?」
クラウスは冷水をあびたように体が冷めていくのを感じた。
今、バルドは何て言った?
「な、に‥?わからないよ」
うまく息を吸えなくて声が震える。
瞳が見たいと思った。
バルドの瞳は閉じられ、長い睫毛の影が落ちている。
どうしようもない焦燥感にとらわれて、息が荒くなる。
胸に何かがつっかえているようで苦しい。
「な‥ん、なんで‥どこにいくんだよ」
「‥‥クラウス」
「いやだ‥」
苦しい。苦しい。苦しい。
息が出来なくて。
胸が痛くて。
心が泣いてる。
バルドをつかむ手に力がこもる。
「いやだっ!ここにいろよっ、俺があんたを守るから!」
全く説得がない事はわかっていた。
離れたくない。
ただそれだけの感情があふれている。
ああ、その目を‥‥
物鮮やかな瞳が見たい。
「どこかに行くっていうなら、俺も一緒に‥‥っ!!」
「クラウス」
欲した煌めきがまっすぐクラウスに向けられた。

「住む世界が違う」
698吸血鬼19:2007/01/27(土) 09:38:15 ID:NPvA1Db/0
静かな宣告にクラウスは瞠目して息を呑む。
あんなに見たかった玲瓏たる瞳が、冷たいものに
感じてゆっくりとうつむいた。
しがみついていた腕の力が抜ける。
時が止まったかのような静寂に、テーブルのランプの
灯りだけが時折ゆらりと揺れていた。
「‥‥‥だったら、俺の血を吸ってほしい」
やっとの事で絞り出した声は自分でも驚く程低い。
「‥あんたと同じになれば連れていってくれるよね」
返事は、ない。
応えないバルドにいらだちが募る。
目頭が熱くなり、一度止まった涙が再び
あふれそうになるのを必死でこらえる。
蹂躙された跡が残る自分の体。
こびりついた精液に吐きそうになる。
後ろにまだ何かがはさまっている感じがして痛い。
「じゃあ‥さ、慰めてよ‥‥‥せめてさ」
本気で言ったのではない。
ただ、こう言えば何か返してくれると思った。
確かに自分を抱いてくれてる腕があるのに、
この部屋には自分しかいないみたいだ。
相手を困らせるだけだとわかっている。
これは自分のわがままだ。
けれども言葉は止まらない。
「‥‥‥‥‥‥こんなに汚れた俺なんか抱けないか」
699吸血鬼20:2007/01/27(土) 09:39:07 ID:NPvA1Db/0
突然凄まじい力でカウチに押し倒された。
衝撃で息がつまる。
肩を強く押さえ込まれて痛みが走った。
「っ!いた‥っ」
「簡単に言うな」
ささやく声は恐ろしい程に冷たい。
「俺と同じになるだと?
 どういう事かわかって言っているのか」
聞き慣れない一人称に違和感を感じて
バルドを見上げる。
金の瞳にともる赤。
激しい感情が荒れ狂っているようなその色に、
怒っているのだろうかと思う。
常に「私」と称していたバルド。
激情のままに我を忘れている。
だが、クラウスもここで引き下がる
ワケにはいかなかった。
肩に食い込む爪に負けそうになりながらも
しっかりとバルドを見返した。
「わ、わかって‥‥っ!!」
バルドの腕に力がこもり、クラウスの口から
小さく悲鳴があがった。
「おまえは何もわかっていない」
バルドはクラウスにのしかかると、
その足を抱え上げた。

今日はここまで
700風と木の名無しさん:2007/01/27(土) 10:56:32 ID:hcwShHc00
吸血鬼タンGJ!!
バルドかっこいいよバルド
701風と木の名無しさん:2007/01/27(土) 11:46:01 ID:iZhEaJaQO
バルドかっこいい!クラウスはどうなるんだろうww
続き待ってます
702風と木の名無しさん:2007/01/27(土) 18:38:48 ID:hwE9FiOV0
吸血鬼タンGJ!!
バルドかっけ―!!!
703風と木の名無しさん:2007/01/27(土) 21:11:08 ID:odU2ihcw0
吸血鬼タン、待ってたよ!
チュウだけに終わった801チンピラ哀れw
704風と木の名無しさん:2007/01/28(日) 09:45:21 ID:V5QqxLn30
ポーの一族みたいだねGJ!これからどんな鬼畜展開なのか楽しみです。
705風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 08:53:01 ID:LFtBWJLuO
>>583-585
このスレ初めて見たから遅レスになっちゃうけどすごく好きです。
他の作者さんのも気になるのばかりなのでまとめから読ませていただきます。
706風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 10:56:26 ID:/RnwjHFZ0
このスレ初めて見たから遅レスになっちゃうけど
>>583-585 以外の作者さんはすごく好きです。
気になるのばかりなのでまとめから読ませていただきます。
707風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 12:21:59 ID:ERCmY6Vm0
これはよい鬼畜
708風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 13:25:05 ID:KDwj2aVOO
バルドかっこよすw 一人称の変化は萌えるなぁ
709風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 21:03:01 ID:YFLxfWNcO
神よォオオオオオオオオオオ



はやくだれかとうかしろ

腐女子どもが
710風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 21:20:38 ID:BpAhuVt20
ここって鬼畜陵辱のみですか? 純愛は無し?
711風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 21:24:17 ID:MqqRvU/SO
あり!
712風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 21:30:50 ID:BpAhuVt20
>>711
dクスです。
713風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 21:36:08 ID:6SzVWIdC0
愛ある鬼畜ならOKだけど、
鬼畜要素のない純愛ものはスレ違いですよ
714風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 21:52:38 ID:BpAhuVt20
>>713
なんと、そうでしたか。失礼しました。他スレを探します。
715風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 22:04:47 ID:YFLxfWNcO
シネ
716風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 22:07:01 ID:MqqRvU/SO
ごめんなさい。
自分、言葉たらずでした。
愛ある鬼畜ならありのつもりで「あり!」と…orz
棚がいいかもです。
がっかりさせてごめんなさいでした。
717風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 22:36:27 ID:ERCmY6Vm0
意味不だな。
スレタイ見れば趣旨は明白だし
このスレだけでも読めば解りそうなもんなのに。
718風と木の名無しさん:2007/01/29(月) 23:01:59 ID:PAtqNx85O
どうせ過疎ってんだから保守代わりに投下してもらえば?
書き手叩きの燃料にもなるしなw
719金色1:2007/01/29(月) 23:13:51 ID:9chKKLd20
長いです。痛いのとか怪我とか駄目な人は読まないで下さい。

「酷いですよ、あんまりですよぅ」
涙目でぷぅと頬膨らせて、語尾を伸ばして喋るのはやめて欲しい。
俺より干支一回り年上の彼氏は、俺より干支一回り年下に見える。
「ねえ、考え直してください。酷いです、捨てないで」
うわーん、なんて擬音が似合う泣き方をしだす。でもここはそこそこ流行った喫茶店。
男同士で捨てる捨てないなんて世間様に聞かれたくないんです俺は。
「結婚するんです」
「なんで、何でぼくじゃ駄目なんですか、なんで」
「男は一般的に女と結婚するんです」
「酷いです、捨てないで、捨てないでくださいよぅ」
捨てます。
俺は伝票を持って席を立つ。
780円を払うついでに劇団員なんです、台本合わせですって言っておいた。
わざとらしい俺。



高校一年、希望に満ち溢れて入った野球部、其の頃から俺と同い年ぐらいに見えた容姿。
茶短髪にメガネにワイシャツとベスト、どう見たって図書室司書のそれ。
なのにそいつは野球部の顧問兼監督だった。
ノックしようにもトスしたボールとバットが一向に出会わない抜群の運動能力。
何でお前が顧問なのって思ったのはきっと俺だけじゃない。
声に出して聞いてみたのは俺だけだったけど。

「好きだからです。」
720金色2:2007/01/29(月) 23:14:47 ID:9chKKLd20
好きこそ物の上手なれってのは残酷な言葉だ。
下手の横好きってのもそれなりに残酷かもしれない。真実は時に人を傷つける
そもそも俺の入った高校の野球部は有名でも何でもなくて
ついでに言えば囲碁部がそこそこ有名だったりしたから
甲子園にかすりもしなくても悔しがる奴はあんまりいなかった。
ただ野球がしたいから集まってきた奴ら。好きだからですね。

「でも顧問がもう少しまともなら、もっと頑張れたんじゃねえの?」

重ねて言うけどそう考えたのは俺だけじゃないはずだ。
でも実際言ったのは俺だけだった。何時だって悪いのは俺だ。
まだ一年坊の俺は大した思い出もないまま就職していく先輩にちょっと同情していた。
そして運痴通り越してウンコな顧問にご立腹だったのも確かだ。
なんせ猿でも出来るベースボール入門、何て本を後生大事に抱えてるんだから。
奴は野球部顧問暦が三年目になる。
俺の言葉で多少ショックを受けても俺に罰は当たらないと思った。

結論から言えば、奴は俺に抱かれた。
うん、ちょっと待って欲しい。確かに色々すっ飛ばしたけど、俺結論って言ったし。
あとわかっといて欲しい、俺ホモじゃない。彼女いるし。いってもバイ止まりだと思う。
野球部のマネージャーでさ、すっげぇ可愛いんだコレが。
721金色3:2007/01/29(月) 23:16:21 ID:9chKKLd20

まともなら、の も のあたりで奴はボロボロ泣き出した。
先が読めたってことはあれだ、自覚があったんだ自覚が。
ざまあみろって思った反面、やっちまったなとも思った。
なにが罰は当たらないだ20秒前の俺。この面倒ごとが罰以外のなんだって言うんだろう。
奴はボロボロなきながらシャワー室に引っ込み、部員は俺に非難の視線を浴びせる。
泣ーかしたー泣ーかしたー。なーがせーがー泣ーかしたー。
小学校か此処は。先生に言ってやろうにも先生が泣いてるんじゃしょうがない。
「わかったよ、慰めてくればいいんだろ」
「長瀬が行ったらもっと泣くんじゃない?」
「心の傷に塩塗りそう」
「ある意味自殺幇助」
「言ってろよ」
俺は仕方なく外見年齢精神年齢十代の、実年齢だけ二十後半のアホの世話をしに行ったのです。

「だ・・・・っ、だからですね、なばせく、な、長瀬くんが」
「はい」
「皆がね、いわ、言わなにでくれていゆ事をですね」
「センセ、鼻水」
「いって、ひぐ、言ってしまうのは、それわ、長瀬くんの心が」
ボロボロ泣きながら阿呆は説教を垂れだした。ウザいの通り越して哀れだ。
「ささくれて、いるからだとおもうんです」
「センセ、発音全部ひらがな」
「ナニかなやみが在るのなら、ぼく、ぼくききますから」
「部活の顧問が泣き止みません」
「なん・・・ひぃっく、な、何でも言ってくれてですねぇ・・・っ」
何処からの電波を受信してるんだろう。確かに俺は捻くれているけどこれは素だ。
悩みなんかありはしない。
722金色4:2007/01/29(月) 23:17:23 ID:9chKKLd20
でもコレは何か言わないと泣き止まないって思ったから適当に話した。
彼女のこと。
まだ手も繋いでいないんです
キスもしたこと無いんです
俺、童貞なんです。

悩んではいなかったんだけど、これしか思いつかないときた
なんで本当のことなんか話したんだろう。馬鹿か俺は。

馬鹿で阿呆で泣き虫のダメガネはぼくで試してくれて結構ですと言った。
ぼくを抱いて、それで自信を付けてくださいと言った。
何を馬鹿なと思ったけどフェラされたら勃った。
俺はどうしようもなく若かったんだな。

ここまでで回想はおしまい。

カランコロンと鈴の音を立てて喫茶店の扉が閉まる。
なのに阿呆の泣き声は俺の耳について離れない。
何時だって悪いのは俺なんだろう?俺が悪いんだろう?
外はすっかり暗くなっていた。冬の夜は早い。
俺はタバコをふかしながら家路を急ぐ。
723金色4:2007/01/29(月) 23:18:10 ID:9chKKLd20

ずるずると10年たった今でも、あいつは俺の言葉ですぐに泣く。
泣きたいのはこっちだ。
マネージャーだった彼女は小さなブランドの支店長になって、相変わらずマネージャーだ。
そして相変わらず俺の彼女で、来月俺の妻になる。
メガネと彼女だと彼女のほうがうんと大切で、俺が別れたいと言う度にメガネは泣いた。
泣かれたらセックスして有耶無耶にするしか術を知らないんだ俺は。
だってお前はそれしか教えてくれなかっただろう。
まっさらな童貞処女カップルに恋愛のなんたるかを吹き込んだのはお前だろう
記念日には何を贈ればいいとか期限が悪いときはこうあやせばいいとか
でもタチの悪い愛人を切るやり方なんて教えちゃくれなかった。
それどころかメガネはたまに、やけに自信たっぷりに言った。

「いつか女の子よりぼくの方がいいって言うんです、長瀬くんは」

外見が10年間ちっとも老けないエイリアンは思考回路もエイリアン。
まるでついていけない。
セックスの途中に好きかと聞かれて一貫して美香(彼女)のほうが好きと答え続けたのに
俺の努力は実を結ばなかった。
あいつの耳には都合のいいフィルターがかかってる。きっと凄く高性の



              がつん


724金色6:2007/01/29(月) 23:19:55 ID:9chKKLd20
と、衝撃に続けて鈍い音がして何かと思ったら俺の頭が地面に叩きつけられた音だった。
頭蓋骨がびりびりする。後ろから殴られた。誰だ。簡単だ。
メガネは泣きはらして目の周りを真っ赤にして、同じく先端が真っ赤になった金属バットを持って佇んでる。
笑えねぇ笑えねぇよ好きだからってバットがか。どんなフェティシズムだふざけるんじゃねぇぞ。
頭の周りがどくどくと暖かくなる。死にたくない。
「長瀬くんは死にません」
あたりまえだ。
男と痴話喧嘩で死にたくない。俺は結婚するんだ。
カランと音をたててバットが転がる。
人通りが少ないのをいいことに阿呆は血まみれの俺にキスをする。
「捨てないで」
「死ね」
「好きだって言って」
「消えろ」
ばっくり裂けたこめかみに歯を立てられて俺の体は震えた。
泣きながらいじらしい言葉を繰り返すのにやってることは悪魔だ。傷口を抉る。血が止まらない。
ひっくひっくとしゃくり上げながら俺のTシャツを捲り上げる。
勿論俺は抵抗する。奴に対する罪悪感とかそんなモンはとうに四散。
今はただ只管殺される殺される殺された後に犯されるか犯された後に殺されるかどっちも冗談じゃねえ笑えもしねえと
そればっかりが血の足りない頭の中かけめぐって正しく必死だ。
後頭部の毛を鷲掴んで引き離そうとしたら顔面に拳が降ってきた。
やけに重い。石かなんか握ってやがる。二、三発殴られただけで抵抗する気さえ削げた。
もういいや。肩から上ばっかり異常に痛い。もう殺せ。知るか。
725金色7:2007/01/29(月) 23:20:40 ID:9chKKLd20

「好きだって言って下さいよぉ」

俺の体にのしかかってくる糞野郎。
血の泡を噴きそうな唇にキス。情欲を煽る様な深いものに変わって、俺を置いてきぼりに手前ばっか興奮していきやがる。
「長瀬くん、ながせくん」
捲り上げられたシャツ、鎖骨にぬらりと舌が這って気持ち悪い。前までは気持ちよかったけど気持ち悪い。
へその下にはぁはぁと吐息があたって、気に入りのリーバイスのジッパーが下がる音が聞えて。
「やめろ、糞、さわんな」
もう少し動くだけでも眩暈がする。頭が痛い。奴の肩口をぐいと押したつもりの腕は
反作用でぐいと押し戻されて、背中からべしゃりと赤い湖にただいました。
「だいすきです」
ぴちゃぴちゃと舐める音。気持ちがいい。糞。こんなに出血してんのに律儀に勃ち上がる俺の息子。
やめろ、と切れ切れに非難すると歯を立てられた。死ぬほど痛い。
もう嫌だ。放せ。舐めんな。畜生痛い笑えもしない
歯がカリの下に食い込んで喰われるかと思った、痛いなんてモンじゃない。
飛んでくれるかと期待したのに下半身と上半身の状態が違いすぎて鮮明になる俺の意識。
痛い。死ね。痛い。気持ちいい。痛い。嫌だ、イタイ。でる。いやだ。いやだ。いたいいたいいいたい
いつの間にか野郎は俺のものをケツの奥まで銜え込んで腰をぐいんぐいん振っていた。

「ね、愛してるって、いって、あいしてる あいしてる。
ね、ながせくん あいしてます ながせく」
「・・っひ、・・・・んあ、愛してる、から、放して、愛し、あ」
「ながせくん、ながせくん、あぁ、だいすき、大好きぃ・・・っ」

726金色・了:2007/01/29(月) 23:21:17 ID:9chKKLd20


やりたいほうだい俺にぶっ掛けてほうと一息つくと、
「ぼくも愛してます長瀬くん。」とうっとりした顔で言って
俺の唇についた精液を舐めた。
にこにこと笑いながら俺の体を清める。
痛いですね可哀相に、なんて言いながら自前のハンドタオルで血痕をふき取る。
「明日はお暇ですか。ぼく、観たい映画があるんです。」
じゃあメールしますね、なんていって奴は俺に背を向けた。
ふざけんな。頑張れ俺。全身全霊で体を起こして俺は




側に転がってる金属バットのグリップを握った。
727風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 00:44:15 ID:InZrMO1rO
金色たんGJ!
てか むしろ主人公GJw
電波な鬼畜受けも怖いなー。
728風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 01:05:01 ID:n4sg5Rkv0
妙な勢いと凄みがあるな、金色さん乙。
メガネがやけに怖い。
729風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 01:36:49 ID:nsJ3pUNh0
怖いけど確かに鬼畜だ。GJ!
この勢いは好きだ。
730風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 07:23:07 ID:4RuSi6AxO
電波は叩きが発生して荒らし呼ばわりされるから、続きは棚に投下した方がいいよ。
731風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 08:59:34 ID:7Fvl0BKz0
残念ながら書いた本人が電波じゃないなら無問題なんだな。

金色タン乙です!
732風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 14:26:09 ID:OIasge/hO
金色タソGJ

なんかスゲー!!
コワイけど面白かった
733風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 22:36:48 ID:4RuSi6AxO
金色は全く読んでないけど、あれだけ電波電波って大騒ぎしてたくせに電波で喜んでる読み手がいるから、是非電波の違いを語ってほしいと。
734風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 22:50:45 ID:qsf8iTGi0
金色タン乙です
面白かった〜
735風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 23:41:57 ID:zAmVJ52B0
金色タンGJ!
同じ日本語しゃべってても、全く会話が通じてないとこが
怖いけど面白かったです
736風と木の名無しさん:2007/01/30(火) 23:56:01 ID:xq8nx/le0
乙!萌えとは違うけど面白かった!
737風と木の名無しさん:2007/01/31(水) 17:44:37 ID:iJuT/Bbh0
これが俗に言うヤンデレか
738風と木の名無しさん:2007/01/31(水) 18:08:16 ID:mcVp/AIAO
電波は嫌い。やつを思い出すから。
739風と木の名無しさん:2007/01/31(水) 20:34:11 ID:oK1ctQSGO
次スレからテンプレに電波禁止って入れようよ!
740風と木の名無しさん:2007/01/31(水) 20:46:08 ID:y/83EmLk0
上に面白いと書いている人が居るのに禁止にする意味がわからない。
注意書きを付けろ、くらいでいいんじゃないのか
741風と木の名無しさん:2007/01/31(水) 20:48:14 ID:mcVp/AIAO
じゃあ、それでいこう。
電波は文章頭に必ずその旨を表記すべし。
742風と木の名無しさん:2007/01/31(水) 20:59:09 ID:iJuT/Bbh0
ごめんなんで電波は駄目なの?グロやスカならわかるけど…
あんまり縛りいれると鬼畜ネタやりづらくなるんじゃないの
743風と木の名無しさん:2007/01/31(水) 21:05:04 ID:XMNzvpGR0
>742
>738も>739も>741も全部携帯な件

まともに取り合うな
744風と木の名無しさん:2007/01/31(水) 23:14:48 ID:PDlTmIyDO
>>742
どんな秀作だろーが駄作だろーが電波作品に脊椎反射をおこして、書いて投下する事も出来ねーくせに叩く読み手ばっかだから。
745風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 00:08:20 ID:VvdmjZ+qO
携帯のあの方は、特徴ある文体。
だからすぐ分かる罠。
私も携帯。
746風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 00:20:04 ID:5xk3NZs70
アレは投下後に○×で誤字訂正入れるからな。
しょっちゅうだとムカつく。

そして真性の文章は目が滑って内容が頭に入ってこないこの不思議。
747風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 00:28:48 ID:NqIozwB70
>746
目がすべるのは真性の文章だけに限らんがなw

塚、電波は、読み手を選ぶから、スレ住人の大多数に受け入れられるのは難しい
電波文投下するのは勝手だが、それくらいの事情はわきまえてほしい
それがわからずに、自分の文章が賞賛されないと
いちいち切れる基地外はうざい罠w
748金色:2007/02/01(木) 00:42:37 ID:sNS6ecgL0
電波系投下した張本人です。
自分が電波攻め、電波受けが好きでああいったものを書いているのですが
読み手を択ぶ事を知りつつ、過疎って居るようなので投下してみました。
が、荒れる原因になってしまったみたいで本当に申し訳ございません。

今別の文章を書いているのですが(電波攻めです)
やはり投下しないほうが良いでしょうか。
それとも先に注釈を入れれば構いませんか?
苦手な方が多いならば慣れない事はせずにROMに戻ろうと思います。
重ね重ね申し訳ありません。
749風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 00:45:27 ID:ERxoG1Xl0
>>748
・叩きや煽りには絡まない
・肌に合わないSS、レスはスルーの方向で

楽しませてもらったので、また書いているのであれば
是非読みたいです。
750風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 01:01:54 ID:NqIozwB70
>748
投下したいなら、構わずしてください

塚、叩きがわく→殊勝な書き手が現れてお伺いを立てる
真性電波がたびたびやらかした行動パターンで大変うざい

電波が苦手な人間が一定数いることなんざ最初からわかりきったことだし
聞くことに意味があるとも思えない
751風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 01:11:49 ID:ldYPCJ26O
過疎ってるからって理由ならいらないかな
752風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 01:12:50 ID:pFyaHXEaO
エラソーに馬鹿じゃねーの?
読み手のスルースキルの低さが書き手を殊勝にさせてんじゃねーか。
そこを棚上げしてうざいってか?かわいそうな書き手さんだよ。
悪い事いわないから【棚に行った方がいい】よ。
753風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 01:35:04 ID:NqIozwB70
>748
つけたし
投下すると>752のような携帯IDの基地外に絡まれるだろうけど
気にしないように
謝罪の必要もない
スレに住み着いてるゴキブリみたいなものだと思ってスルー推奨
754風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 04:13:35 ID:mFhgxHmI0
>>748
前回の作品に大変萌えましたが乗り遅れてしまい乙できませんでした。
電波な攻めwktkして待ってます。
755風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 07:09:51 ID:xcYzNQr80
18辺りで一旦次スレは立てない方が良いんじゃないかって
意見が出ていたけども、本気で様子見しないか?
756風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 08:06:10 ID:hlDjnne/O
それもありなんじゃなかろうか。
荒れ具合い酷いし、投下も少ないし。
757風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 08:18:10 ID:5xk3NZs70
潰そうと必死だなw
そろそろしたらば行こうか
758風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 09:02:54 ID:klRh+dZQ0
遅レスですけれど、金色さん とても面白かったです。
ノーマルカプに置き換えると現実にありそう。
真性電波さんは気にせずに、また、気が向いたら読ませてください。
待っています。
759風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 09:25:28 ID:/xEirtTZO
隔離ってドドとかメル投下した人だろ?
電波文でスレ荒らしたりSSS投下したり、自演しまくった人だろ?
金色さんは=キャベツさんで隔離の人だろ?
読み手はもっと叩けよ。
過疎ってるから投下してあげるみたいないやらしさが生理的に駄目だ。
隔離に帰れ!!
760風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 10:21:07 ID:GjeFa3DVO
なんかうざ…
761風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 10:22:00 ID:GjeFa3DVO
>>559
きも
762風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 11:06:23 ID:pFyaHXEaO
自治厨の>>753よ、他にも書き手に絡んでる電波がいるぜ。
構ってやれよ。
763風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 11:27:32 ID:Q+03wF8+0
……
764風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 11:39:58 ID:GjeFa3DVO
気にいらねー話はスルーしろって、書いてんだろうが。

害虫が絡むな。その書き手の投下を楽しみに待つ人もいんだからさ。

でも、苦手な奴の為に電波だと作品前に一言入れて欲しい。

そしたら、電波叩く奴らも読まないように出来るだろうし
765風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 12:21:24 ID:/xEirtTZO
ドドの注意書きは過剰だと叩かれてたが?
書いても書かなくても叩くのが
鬼畜スレの読み手さまww
書き手がファビョれば隔離。隔離にこもっていれば
あの手この手で引きずり出す。
投下作品は叩くためのエサか?
766風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 12:22:37 ID:pFyaHXEaO
>>764
しかし残念ながらスルースキルが未だに装備されないため、今度は電波以外の理由で叩きまくって書き手を追い出して、万歳三唱のDQNな読み手様なので有りました。プゲラ
追い出した書き手なんかいねーよとは言わせないぜ?
767風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 12:29:22 ID:pFyaHXEaO
766に書き忘れ
電波以外に叩いて追い出した書き手もいっぱいいたろ?
オマエ等、続きが気になる読み手のスルーだけは天下一品だよな。
768風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 14:49:05 ID:V7ToG5mJO
なぜ皆書き込まずにいられないのだろう
用(投下)がないなら何事も冷静に傍観すればいいと思うよ
絡むばかりが鬼畜じゃない、皆放置プレーを覚えるんだぜ
769風と木の名無しさん:2007/02/01(木) 22:50:12 ID:q2hwW24K0
テンプレちゃんと読んだら?
鬼畜であれはなんでもOK
電波が嫌ならNGワードに入れろよ
770ぬらりひょん:2007/02/01(木) 23:44:45 ID:Nsy5qNSJ0
苺みたいだといえば、なにやら可愛い響きだが、赤い鼻の頭に皮脂のつまった
でかい毛穴をさらしているのはみっともない。不潔だ。
その点のっぺらぼうは申し分なかった。つるんとした白肌はすべすべでつるつる。
毛穴はひとつも開いていない。彼の美肌は剥きたまごのようだった。
のっぺらぼうは狢(むじな)が化けた妖怪だとか、
その正体はカワウソだとか様ざまな説があるらしいが、
野郎宿ののっぺらぼうは、生まれながらののっぺらぼうだった。
目も鼻も口もないのっぺらぼうは、見ることも嗅ぐことも口をきくこともできない。
音を聞くこと、肌で触・痛・冷・温を感じることはできるが、
五感の残りみっつはまるで駄目だ。見ること、かぐこと、味わうこと。
のっぺらぼうは駄目なそれらを、なけなしの第六感で補いながら客を取っている。

人が羨む肌理(きめ)の細かさを持っていて、それを本人も自覚している。
具合の良さもたいしたものでその野郎宿じゃあいっとう人気のある男さんなのに、
強気ばかりではいられず、ちょっとしたことですぐ落ち込む。すぐ拗ねるし、
すぐ投げ出す。生意気なのに精神的に弱い。
のっぺらぼうってのはそんな男さんだ。と馴染みの若様は思っている。
若様はぬらりひょんだ。父上は妖怪どもの総大将らしい。
771ぬらりひょん:2007/02/01(木) 23:49:16 ID:Nsy5qNSJ0
若様にはどこか人を喰ったような超然の感がある。
ぬらりひょん故だ。飄飄としているのもそうだろう。
だが男前と云っても過言ではないその容姿はぬらりひょん離れしていた。
目の無いのっぺらぼうは、宿の男娼たちが噂するその顔を
見られないことを残念に思っていた。
(俺は若様が好きだ)
いつの間にか座敷に上がりこみ、熱い茶を啜っている若様を
懐かしく思い出しながら、のっぺらぼうは人肌にぬくめた薬油(くすりゆ)の壷に
極小・小・中・大・特大の五つのタマが連なった後孔用の長い玩具を浸し、
油のとろみを絡ませた。若様は最近ご無沙汰だ。
今宵ものっぺらぼうは好きでもない男のために股を開かねばならない。
少しでも痛い思いをしないで済むようのっぺらぼうは、
客を待ちながら大きく股を開き薬油のしたたる玩具を己で後孔に押し当てた。
極小のタマは抵抗無くのっぺらぼうの菊座に沈み込み、
小もするする入っていったが中でタマは閊(つか)えた。
のっぺらぼうは一度玩具を引き抜くと勢いをつけて突き刺した。
菊座をならしておくのはのっぺらぼう故だ。
のっぺらぼうは顔だけでなく股座(またぐら)も後孔の中ものっぺらぼうだった。
男さんならみな身に具しているサオとタマをのっぺらぼうは持っていない。
後孔の中もつるりとしており、あるべき腺がない。
大と小の用を足すための虚ろな昏い穴が二つ穿たれているだけの無毛の股は、
宦官にも通じるタマ無しゆえの締りの良さで数多の男を引き付けたが、
のっぺらぼうに性交に伴う快感をほぼ与えなかった。
772ぬらりひょん:2007/02/01(木) 23:50:39 ID:Nsy5qNSJ0
痛みが主な性交に堪え性のないのっぺらぼうは耐えられない。
慣らしなじませるしかなかった。
男娼仲間の銀狐(ぎんこ)に紙と筆で
「腺を擦られると湧き上がってくるっつう快感とやらは、
胸乳(むなち)を責められてるときのようなもんか」と
問うたとき、銀狐は腹から大笑して
「もっと凄ぇーよ」と言ったものだ。
「いっとう感じるのは腺を突かれたときさね。
次が尾っぽと付け根を撫ぜられたとき。
その次が頭の上の耳を弄られたときで、次が唇を吸われたとき。
胸乳(むなち)はそん次だな」
人の姿形に狐の耳と尾を持つ銀髪の狐の妖怪と違って、
のっぺらぼうは尾も三角の耳も唇もない。
タマなしサオなし故、吐精も立ちションも知らない。
胸乳(むなち)がいっとう感じる場所だった。
後孔を薬油でヌラヌラにし、どうにか極小・小・中・大のタマを含ませ、
汗ばみながら特大を飲み込み、しこしことそこを解しながら、
のっぺらぼうは腺に思いを馳せた。
「腺がありぁあこの虚しい作業も、ちっとは気持ちいいかもしんねえなァ」


773風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 00:08:18 ID:xAQuS3mG0
>>770
GJ!哀れさがたまらない。
できればちょっとはいい目を見させてほしい気もするけど、
どっちに転ぶとしても、続き楽しみ。
774風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 00:14:26 ID:0hfquiyYO
>770自分もすごく好き!
面白い!!!
775風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 11:23:22 ID:FvqxMrq10
おお、異色作が来ましたね。哀れなのっぺらぼうに救いはあるのか?興味津々で続きをお待ちしております
776風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 15:48:39 ID:Cai0Ky2d0
タマもサオも前立腺もないのに801なのかしらん…と言ってみたり。
777風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 16:02:28 ID:VnRHllQ+0
801の定義なんて人それぞれ
女体化は?女装はふたなりは?
ここで801とは何ぞやと高説をぶち上げて議論するつもりか?
自分の考えと違うと思えばスルーすればいい
778ぬらりひょん:2007/02/02(金) 17:40:58 ID:/bx2B/rx0
ぐじゅッぐじゅッと薬油(くすりゆ)の音をたて、
のっぺらぼうは玩具の出し入れに励んだ。
いかに気持ち悪かろうと、よくよく慣らしておかなければ
後で泣くのは己だ。痛い思いはしたくない。
今宵の次のお客はでいだらの法師さまだ。
またの名をでいだらぼっち。
山に腰かけ川で脛を洗うほど大きな、隻眼の法師さまは、
この野郎宿に足を運ぶ折は身を縮ませて来られるが、
それでも六尺はある大男だ。ものもでかい。
法師さまのいっとう細いさきっぽさえ、
特大のタマのいっとう太いところをうわまわる太さだ。
それに、踏鞴(たたら)場に宿るでいだらの法師さまは鉄がお好きだ。
鉄(くろがね)臭い血の匂いも然り。
法師さまのご無体で、ちまっとした後孔がガバガバに裂け破れ、
客を取れなくなったひとつめ小僧をのっぺらぼうは知っている。
(ああはなりたくねえ)
だから、のっぺらぼうは自愛に励む。
779ぬらりひょん:2007/02/02(金) 17:41:34 ID:/bx2B/rx0
極小・小・中・大でパンパンの後孔に特大のタマをねじ込むと、
全身に粟立ちが駆け抜けた。下肢が重い。
何も無い顔が羞恥で上気していくのを感じながら、のっぺらぼうは
一気に玩具を引き抜いた。五つのタマが生々しく内部を擦り、
追いすがる孔肉を嗤う様にあっさりと出て行く。
白い内股を伝う薬油のぬめりが卑猥だ。
もじもじと腰をくねらせ、のっぺらぼうは身じろいだ。
引き抜く刹那、のっぺらぼうは決まって鼓動が速くなる。
(入れるときぁ気持ち悪りぃが、抜くときぁ気持ちいい……)
菊座がひくつくたび、薬油がぽたぽた滴るのを感じつつ、のっぺらぼうは
薬油を絡め足した玩具を両手で握り、再度それを後孔に埋め込んだ。
ゆるめられるだけゆるめておく。
(でねえと体がもたねぇー)
780ぬらりひょん:2007/02/02(金) 17:43:18 ID:/bx2B/rx0
ぬらりひょんの若様はのっぺらぼうが、この野郎宿で
いっとう人気のある男さんだと思っている。
白いもち肌、何も無いというもの珍しさ。締りのよさ。
それらがのっぺらぼうを売れっ子にしているのだと若様は思っていた。
だがのっぺらぼうの人気は誰でも気軽に買える安さ故だった。
心ある客や男娼仲間はともかく野郎宿の主(あるじ)は、
顔もタマもサオもない“半端もん”ののっぺらぼうを
男さんではなくただの孔とみなし、そういう値をつけていた。
顔もタマもサオも無い“半端もん”では客はつかない。
だが男さんではなく孔なら?と主(あるじ)は考えた。
孔は孔でも人肌のぬくもりを持つ孔人形。
長く形のよい脚とそそる尻。
引き締まった腰と白い背に流れる黒い髪。
男さんだと思えば足りないものだらけだが、孔だと思えば上々だ。
壁の穴を相手にするより何百倍もましだろう。
781ぬらりひょん:2007/02/02(金) 17:44:24 ID:/bx2B/rx0
主はお客に安く買える良い孔だとのっぺらぼうをすすめた。
最中、のっぺらぼうにかぶせるべく、
源氏の君を思わせる若く美しい男さんの面をつくり、
求めに応じて無償で貸し出した。
お客の中には好いた男さんを模した面を持参し、
のっぺらぼうにつけて行為に及ぶ者もあらわれた。
金がなくいつもの己の手で自身を慰めていた下級妖怪も
無理をせず買えるのっぺらぼうの安さに、野郎宿に出入りするようになった。
安く多く。“半端もん”ののっぺらぼうは
そういう売り方をされていた。
つるりとしたのっぺらぼうの股をひとなでし、
タマもサオも無いと不平を云う妖怪にあたるたび、
口のきけないのっぺらぼうは、紙に「俺はただの孔さァ。
あんたは俺を男さん扱いしてくれたんだな。ありがとよ」と、したためた。
ぬらりひょんの若様は、そんなのっぺらぼうを
自虐的だと思っていたが、自虐も何ものっぺらぼうは孔だった。
782ぬらりひょん:2007/02/02(金) 17:45:09 ID:/bx2B/rx0
銀狐(ぎんこ)の三倍以上の男と寝ても稼ぎはのっぺらぼうの方がうんと低い。
数をこなさいことには話にならないのだ。
でいだらの法師さまに菊座を破られている場合ではない。
今宵も予約待ちの男であとが閊えているのだ。
(きっちり慣らしておかねえと……)
大きく開いた股座(またぐら)の奥に玩具を咥え、
のっぺらぼうは流星の速さで出し入れした。恥は捨てて久しい。

風にのって、えぅっ。ぇうっ、と、空嘔吐(からおうと)を繰り返す
銀狐(ぎんこ)の嘔吐(えず)きと、「もっ、……いかせてくれ」と、
哀咽する声が聞こえる。
耳だけはたいそう良く聞こえるのっぺらぼうの脳裏に、
長い銀髪を乱しながら四つん這いで苦悶している銀狐が浮かんだ。
誰もが体を張っている。辛いのはのっぺらぼうだけではない。
廊下にでいたらの法師さまの足音が響くのを聞き、
のっぺらぼうは後孔から玩具を抜き薬油の壷とともに几帳の影に隠した。


783風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 18:14:41 ID:xhT4ubj30
ががが…がんばれのっぺらぼう…!
784風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 18:22:39 ID:J/k4I4m+O
おもしろい!のっぺらぼうがいじらしくてイイヨー
続き楽しみにしてます。
785風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 18:33:04 ID:DZFaUKye0
「でねえと体がもたねぇー」‥泣かせる‥。
京////極作品を思い出しました。
786風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 18:52:49 ID:4adSOcYBO
銀狐のイメージはヨーコ鞍馬だなww
787風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 19:19:56 ID:8xwC3elD0
>>786
あぁそうだね。
ピッタリだ。
それにしてもなぜ「耳だけはたいそう良く聞こえる」んだろう。
788風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 19:41:21 ID:4adSOcYBO
耳しかないから発達したんじゃね?
目鼻口が無くて、聴覚と触覚しかないから耳がいいんだよ。たぶん。
789風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 21:24:07 ID:SkKLxBuQ0
>>788
なるほど。
何か凄く納得しちゃったよ。
790吸血鬼21:2007/02/02(金) 22:53:35 ID:uUGesDo40
両足を割り開かれ、下股に絡んで来た冷たい指を、
信じられぬものを見るような目で見つめて
硬直していたクラウスは、自身を揉まれ、
上下に擦られて正気付いた。
「ちょ、な、‥‥‥っ」
バルドは体を起こそうとするクラウスの胸板を
片腕で押さえ、動きを封じた体に舌を這わせた。
唾液をのせた舌が刻まれた赤い痕をたどっていく。
「ん‥」
自分の精液か、あの二人の精液か、どちらのものかわからない
白濁した液が、飛び散り、乾き、こびりついた体を、
舐めとるようなバルドの濡れた舌に体が小さく震え、
脇腹をなぞられると変な声が出た。
「やめろ‥って、アっ‥な‥あ‥」
密着する体の間で、クラウスの萎えていた自身は
固く立ち上がり、先端からとろとろと
流れ出る先走りがバルドの手を濡らしていく。
滑りがよくなったそれをさらに強く扱かれて
腰がビクビクと震えだした。
「っア!や‥めっ、バルドっ‥‥バルドっ!」
のしかかったバルドを押し返そうとしていた手が
胸の先端を舐められて滑り落ちた。
「はぁっ‥あ、あ、バ‥」
硬くなった飾りを熱い舌が押しつぶし、
円をかくようになぞって、擦る。
「ひあっ!!あっ‥」
胸にとけ込む疼きが下半身に波となって走った。
791吸血鬼22:2007/02/02(金) 22:54:33 ID:uUGesDo40
頬が紅潮して息があがる。
声を抑えようと奥歯を噛み締めるが、弓なりにそって
身悶え突き出す胸を容赦なく攻められ、まるで
ねだっているような高い声が出てしまう。
首を左右に振り、再び腕をのばし、必死に逃れようと
あらがうクラウスの顎が掴まれて固定させられた。
「あっ‥」
バルドの瞳が少年の潤んだ瞳をとらえた。
瞳と瞳が交わる。
熱くなった体に胸を大きく上下させて、荒い呼吸を
続ける少年を静かな表情が見下ろしている。
「バ‥ルド‥」
口づけするような距離で
吐息と共に言葉が落ちて来た。

「「慰めて」やる」

衝撃が全身を貫いた。
792風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 22:55:54 ID:Jp6ijROaO
しかししたらばでは不評
793吸血鬼23:2007/02/02(金) 22:57:18 ID:uUGesDo40
ヒュッと息がつまり、クラウスの瞳が驚愕に揺れる。
全身から力が抜けた。
カウチに体を沈めて大人しくなったクラウスの
唇にバルドが軽く口づけを落とし、愛撫を再開する。
時が止まってしまったかのように呆然と虚空を
見つめる見開いた瞳からこらえていた涙が一筋こぼれ落ちた。
‥違う。
自身を再び擦られて体を包むマットに爪をたてる。
流れる先走りがいまや下腹を伝いカウチをも濡らしていく。
‥違うのだ。欲しかったのは‥‥
バルドの指が緩急をつけながらもクラウス自身を
激しく扱き、みだらな水音が響いた。
「やあっ!ああっ!あっ、ぅん」
自分の声がどこか遠くで聞こえる。
「ああっ!」
勃起した自身の根元から先端へと舌がなぞった。
湧き出る先走りを舐めとるように動く舌が先端を擦り、
クラウスの足がガクガクと震えだす。
「やあっ、ああっ、あああっ」
無意識に逃げる腰を押さえ、バルドは先端の窪みに
舌を食い込ませ、軽く甘噛みをすると口内に含んだ。
794吸血鬼24:2007/02/02(金) 22:58:04 ID:uUGesDo40
唾液をたらし、大きくのけぞったクラウスの
口から嬌声がほとばしる。
「っあああああっ!!」
暖かい口内に含まれあっけなく弾けた
それを飲み下したバルドの喉が上下する。
熱い息を吐き半開きになっている口からのぞく
舌をバルドの舌が捉えて唾液を吸う。
交わる唾液は精液が混じって苦かった。

先が見えない。
違う、見たくないのだ。
この同情めいた行為の意味を。
‥求めたのは、ただ一緒に‥‥‥
「バ‥ド‥、つ‥れて‥いっ‥‥」
少年の震える腕がゆっくり持ちあがりバルドの首を絡めた。
795吸血鬼25:2007/02/02(金) 22:58:59 ID:uUGesDo40
痛いのだろう。
少年と繋がった部分から赤い血が零れ落ちる。
アドルフとヤンに散々突かれ切れた粘膜は、
バルドによってまた新たな血を流していた。
しなやかな上半身をさらしたバルドが
よつばいのクラウスを覆っている。
痛いんだと思う。
そう思いながら、それでもバルドは激しくクラウスを突き上げた。
「ああっ、つっ、は、うう、んんぅ」
汗を散らしながら上げる少年の声は甘い中にも苦痛が混じっている。
腰を強く引き寄せ、悲鳴を上げて髪を振り体を反らすクラウスの
背中に赤く色づく唇で口づけを落とす。
「あ‥っ、ああっ、バル‥‥‥つれ‥‥て‥」
うわ言のように繰り返すかすれた声に
心臓から全身へと言葉では言い表せない
何かが、波紋のように広がっていくのを感じる。
充足にも似た感覚にバルドの眼光が増した。
「連れて行って」と少年が繰り返す度に、心が震える。
矛盾している。
クラウスの肌と部屋を包む血の香りに麻痺しかける中、
頭のどこか冷めた部分が自嘲した。
この行為になんら救いはない。
強いていえば自己満足だ。
バルドがつけた新たな赤い花が少年の
体のあちらこちらに色づいている。
忘れるなと。
忘れてくれるなと。
その体に、心に、刻み込む。

忘れてしまえと言えない自分の弱さに瞳を閉じた。
796吸血鬼26:2007/02/02(金) 23:00:12 ID:uUGesDo40
クラウスを仰向けにして何度目かの口づけをかわす。
身を起こそうとした左手を掴まれた。
「バル‥ド‥‥」
快感に酔い荒い息を吐きつつ何かを恐れるように
バルドを呼ぶ声に、動きを止める。
「‥‥私と同じになるという事は血を求めるという事だ」
激情は去り、静かに語るバルドが、
掴まれた左手を少年の頬にそっと添えた。
指先に熱がとけ込むように伝わってくる。
「わ、か‥っ、てる」
バルドが軽く首を振った。
「わかっていない、クラウス。人間の血だ」
「そん、なの、わか‥‥‥」
「人間を殺せるか」
体を震わせ絶句したクラウスの瞳が歪んだ。
「‥‥おまえに肉親達と同じ種の人間を殺せるか。
『ワインと薔薇だけで生きる』‥生きていけると
 いうだけだ。その本質は人を襲って生きる存在。
 そういうものになれるか」
そんな自分を毎夜訪ねてくれた少年。
別れの時が迫っていた。
「‥‥な、れるよ‥‥だか‥ら」
そう答えたクラウスの声は硬く震えている。
唐突にバルドがクラウスの首筋に顔を埋めた。
ビクッとクラウスが硬直する。
797吸血鬼27:2007/02/02(金) 23:01:10 ID:uUGesDo40
バルドの吐息が首筋を這い、舌で舐められる。
牙が、触れた。
二本の牙が首筋に。
鼓動が全力疾走したように早くなる。
体が震える。
視線を虚空に定めたまま、動けない。
‥‥‥気づかれてはならない。
この震えは歓喜の為でなければならない。
あんなに望んだじゃないか。
一緒に行きたいのだと。
連れて行って欲しいと。
その気持ちは変わらない。
わかっていたはずだ。
二度と見れぬ日の光を。
二度と会えぬ家族を。
人の生き血を吸う存在を。
なのに‥‥‥

喜びだけでない震えが体を襲っていた。
798吸血鬼28:2007/02/02(金) 23:02:34 ID:uUGesDo40
血を吸うという行為をただ漠然と考えていた。
吸血鬼が明確な意思を持ち血を吸うと吸血鬼になり、
それ以外で血を吸うと命を落とす。
人間を殺す。
殺すという言葉が重くのしかかる。
自分達が餌を狩るのと同じだ。
ただ追う対象が変わるだけ。
人間に。
それが恐い。
当たり前だ、自分はまだ人間なのだから。
人間でなくなったなら、恐くなくなるのだろうか。
恐いなんて思いたくないのに。
裏切りたくないのに。
‥体の震えを抑えたいのに止まらない。

799吸血鬼29:2007/02/02(金) 23:03:14 ID:uUGesDo40
チュッと唇が首筋に触れて離れた。
クラウスの瞳が揺れて潤んでいく。
ハッと一度だけ肩で息を吐き、
おそるおそるバルドを見上げた。
いつものように穏やかに微笑んだ彼がいた。
目頭に熱が集中して、肩が上下する。
ゆっくりと細くなったクラウスの瞳から
とめどなく涙が零れ落ちる。
諭されたのだ。
連れては行けないと。
「バル‥ドっ、ご‥め‥っ、っ、バルド」
嗚咽でうまく言葉が出ないクラウスを
柔らかな金色が迎える。
ジジジと音をたて、油が切れたランプの灯が消えた。
そっと少年を抱いた吸血鬼がその肩口でささやいた。
「クラウス、ありがとう」
別れの言葉はどこまでも優しかった。
800吸血鬼 終了:2007/02/02(金) 23:04:17 ID:uUGesDo40
暗夜に目覚めると少年がいた。
昨日、夜明けとともに村へ帰っていったはずの少年が。
吸血鬼だと確かに自分は名乗ったはずだ。
澄んだ金色を少年が見つめる。
「おはよ」
夜なのにおはよって変な感じだけど。
そう言って微笑んだ少年に少し驚いたふうの
吸血鬼がそっと微笑み返した。

長い夜が明けて、気づくとクラウスは
一人カウチに横たわっていた。
服も身につけていたが、引きちぎられたシャツはない。
代わりに大きな黒い上着が着せられていた。
あんなにただよっていた血の香りはなく、
床に広がった血のあともない。
あの二人の遺体もなくなっている。
後で聴いた話だが、ヴァンパイアを退治にいった
二人が帰ってこないと、街からやってきた幾人かが
森に入り二人の遺体を見つけたそうだ。
城からそう離れてはいない場所だったらしい。
慌てて地下室に向かおうとした足を止めて、
しばらくぼんやりと立ち尽くした。
もう、地下室には何もないだろう。
バルドは、出て行った。
戻らない日々に胸が悲鳴をあげたが、
枯れてしまったかのように、涙は出なかった。
城を、出た。
鮮やかな金色が脳裏をかすめ、振り返ったクラウスは。
やがて木々の隙間からのぞく朝の光へと一歩を踏み出した。
801風と木の名無しさん:2007/02/02(金) 23:41:31 ID:AITcahMZ0
吸血鬼タン、乙でした。
鬼畜シーンにも清らかなラストにも萌えた!
純愛鬼畜もイイ!
802風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 02:16:45 ID:G6AdNbQrO
ぬらりひょんはないわぁ…妖怪だよ…うへぁ
803風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 03:34:32 ID:L6yOfBnHO
次スレいらないんだよね?
804風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 03:35:55 ID:L6yOfBnHO
最近、このスレ見ると悲しくなります
805風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 03:37:22 ID:L6yOfBnHO
もう消えちゃえ
806風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 03:39:20 ID:L6yOfBnHO
書き手読み手共に低レベル

こんなスレにする為に産んだんじゃないのに


さようなら
807風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 06:48:22 ID:FM5G8JdO0
吸血鬼タン、乙でした!
きれいで切ない終わり方でウットリでした。
二人が結ばれるハッピーエンドを望んでいたけど、
たぶんこれが本当のハッピーエンドなんだろうなぁ…。
808風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 09:23:23 ID:L6yOfBnHO
上げ
809風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 11:16:23 ID:GeN3DQXbO
吸血鬼さんGJ!
クラウスもバルドも切ない終わり方
810風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 12:08:51 ID:L6yOfBnHO
上げ
811風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 12:56:54 ID:VsTy0HcA0
他板に投下したものの、スレ違いかもしれないので転載です。
スルーされる方は題でお願いします
812うつしみ   1/10:2007/02/03(土) 12:57:42 ID:VsTy0HcA0
性転換をしたい。
そう言うと、医者は私の顔を覗きこんだ。
彼は渋い顔で口を開く。
「私が言うのは何だが、考え直した方がいいんじゃないか?
 君ほどの器量の娘が、わざわざ男になるのは…」
彼はその他にも、一時の気の迷いかもしれない事、
中2ではまだ「女性の身体」を充分知らない事をあげ、
私に熟考を迫った。
 でも、私は自分の身体をしらないわけじゃない。
友達もだいたいそうだけど、もう何人かの男子と付き合った。
絶頂だって味わった。

何より、私には身体を変えたい訳がある。
813うつしみ   2/10:2007/02/03(土) 12:58:29 ID:VsTy0HcA0
私にはひとつ下の弟がいた。
郁海(いくみ)という名前がいけなかったのか。
細くてなよなよしてて、すぐ泣いて、虫も殺せない。
私より女々しい奴。 

そんな郁海は、年上の“男”と付き合っていた。
私にしか話せなかったんだろう、それはもう嬉々として語る。
相手がどれほど格好良いか。どれほどハードなプレイをするか。
どれほど、愛しあっているか。
あの子は久々に、にこにこと笑いはじめていた。

ほんの一ヶ月前、無残な死を遂げるその時まで。
814うつしみ   3/10:2007/02/03(土) 12:59:17 ID:VsTy0HcA0
弟の気持ちが知りたい。だから、性を変える。
バカみたいだと思われるかもしれない。
でも私は、誰よりも弟を大切に思っている。
あの子がどんな気持ちでいたのか。
死の直前まで、どんな願いを抱いていたのか。
私だけでもわかってあげたい、でないとあの子が浮かばれない。
父も母もあまり反対しなかった。
ぽっかり半身が空いたような気持ちを汲んでくれた。

医者に話をするうち、私は泣いてしまっていたらしい。
歪む視界の中、私は強く抱きとめられていた。
「分かった、もういい。止めた私が悪かった。
 私の威厳にかけて、君の身体に弟さんを宿らせる」
芝居がかったほど震える声が、頼もしかったのを憶えている。

こうして私は、写真の中の『郁海』になった。
815うつしみ   4/10:2007/02/03(土) 12:59:56 ID:VsTy0HcA0

彼――弟がシンヤと呼んでいた男はサッカー部らしい。
部室の戸を開け、声をかけた。
「失礼します、信哉さんは居られますか」
男物の制服姿はまだ慣れず、緊張する。
そもそも高等部へ入るのも初めてだ。
何人もの目がこっちを凝視してきた。
というより、顔が女の子のままというのが問題なんだろうか。

「俺になんの用だ、ガキ」
そう低い声で呟いた男は、一人だけ冷たい視線をよこしていた。
髪は突っ立っていて、ピアスまでしている。
体格もごつく、どう贔屓目に見てもいい奴には思えない。
絶対に人違いだと思った。
でも聞き返すと、彼が本人だと苛立たしげに返してくる。
「用が無いなら帰れ!」
椅子を蹴り倒し、彼は私の肩を掴んだ。
ものすごい力と気迫。
私の頭は真っ白になる。
816風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:00:13 ID:eIC6LcvfO
女性が性転換して男性になっても801と言えないかも
スレ違いというより板違い
817うつしみ   5/10:2007/02/03(土) 13:00:36 ID:VsTy0HcA0
「わ……ぼ、ぼくは、相馬郁海のあ、兄です!!」
しどろもどろとはこういう事を言うんだろうか。
口を鯉のようにぱくつかせ、手を振って必死に伝えた。
肩を押す力が弱まる。
でもほっとする間はなく、今度は胸倉が掴まれた。
「おい。今、なんつった」
乱暴にもほどがあると思う。
「ぼくは郁海の兄ですっ!あなたと、付き合っていた!!」
苦しくて目一杯にさけぶ。

「おいシンヤ、下ろしてやれ」
他の部員の声で、ようやく私は突き放された。
「ごめんな、こいつ今気が立っててさ。怪我してない?」
あの男以外は優しい人たちらしい。
おかげで高鳴る心臓も少し落ち着いた。
「話を聞いてください、信哉さん。」
部室を去ろうとするシンヤに呼びかける。
818うつしみ   6/10:2007/02/03(土) 13:01:15 ID:VsTy0HcA0
「あいつには姉貴しかいねぇ筈だ。いい加減な事言うな」
まるで聞き耳を持たない男。子供みたい。
私はだんだん腹が立ってきた。
ずんずんと距離を詰め、そのがっしりした腕を掴む。

「じゃあ、どうすればぼくを認めてくれますか?
 初デートの時のワンピースを着ればいいですか。
 来週の水曜日、あなたが見たがった映画を見に行けばいいですか」

シンヤの背が止まった。
鋭い視線がこっちを振り向く。
「あなたの話は、いつも聞かされていました。
 でも死んだ弟が、ほんとうはどんな気持ちでいたのか。
 それを、ぼくに教えてほしいんです!」
はぁはぁと息切れするほどまくし立てる。
男はなにも答えない。
819うつしみ   7/10:2007/02/03(土) 13:01:59 ID:VsTy0HcA0
3分ほど沈黙が続いただろうか。
急に男は、私の首までの髪をつかんで部室へ戻った。
乱暴に中央へ投げ出される。
「脱げ」
シンヤは顎をしゃくって私の服を指した。
彼が番長格なんだろうか、他の部員は何もいわない。
ただじっと私を見ている。
もう、後戻りはできない。
「…わかりました。」

ボタンを外し、チャックを下ろし、慣れない服をほどいていく。
生唾を飲む音がやけに近く聞こえた。
13年しか経っていないから、胸はもともとそんなにない。
せいぜいハト胸といわれるぐらい。
運動は好きだから、たぶん体は締まってると思う。
男性ホルモンのおかげでふにふにも少なくなった。
 そして…今までにはなかった部分。
緊張からなのか、もう半分くらい大きくなってる。
820うつしみ   8/10:2007/02/03(土) 13:02:40 ID:VsTy0HcA0
「郁海より、だいぶ日焼けしてんな」
相変わらず私を睨みながら、シンヤは言った。
「…ごめんなさい」
あの子が白すぎるんだ、なんて言えない。
「まぁでも、健康そうだし細く見えるからいいじゃん。
 俺はこっちのがエロいと思うぜ」
後ろの方で笑った男に、でもシンヤはさらに凄い睨みを利かせる。
そこまであの子にこだわるんだろうか。

シンヤは無言のまま、私の前に立った。
手を伸ばし、身体に触れてくる。
肩、鎖骨、胸、お腹、太もも…
「…っく、うあ…ぁ、はぅ…んっ…!」
優しくて、すごくいやらしい触り方。
ぞくぞくして身が仰け反るのを止められない。
821うつしみ   9/10:2007/02/03(土) 13:03:21 ID:VsTy0HcA0
そして、果たしてあれは見間違いだったんだろうか。
「…ふっ」
シンヤがわらった。
私と目が合うと、たちまち元の怖い顔に戻ったけど。
「ここは?使ってんのか」
彼が触れているのは、今の私の急所。
皮の隙間に指をかけたかと思うと、邪険にくるっと剥いてしまう。
「ぃ、ひぁっ!!」
驚いて、つい大声で叫んでしまった。
薄い皮が小気味よく巻かれ、ピンクの中身が曝け出てしまっている。
大丈夫なんだろうか…。
「顔は上品なくせに、匂いはけっこうなもんじゃねぇか。
 あいつの兄貴って話、ひょっとすると本当かもな」
皮を根元まで引き絞って、シンヤは言った。
「…こ、今度からは、ちゃんと綺麗にしてきます」
私は真っ赤になって俯く。
そんな所が洗えるなんて、知らないんだからしょうがない。
822うつしみ   10/10:2007/02/03(土) 13:03:53 ID:VsTy0HcA0
シンヤは私の身体から手を離し、その指を舐めた。
「まぁ、及第点だ。あいつの代わりに可愛がってやる」
言い方が気に障ったけど、正直私は嬉しかった。
「あ、ありがとうございますっ!」
礼をする私に、シンヤはただし、と続けた。
「コレはお前から言い出した事、ってのを忘れんな。
 泣き言は聞かねぇし一切の同情もねぇ。
 お前は男じゃなく、ただ狂うまでケツ弄くられるだけのオス豚だ」
また私の髪の毛を掴んで囁く。
女の命を平気でぐしゃぐしゃにする辺り、たぶん本気だ。
でもそんな言葉は、もう自分でいやというほど反復している。

「…分かりました。ぼくのこの身体、あなたたちに捧げます」
      
                つづく
823風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:05:49 ID:VsTy0HcA0
>>816
そうですか。スレ汚し失礼しました。
どこか他の場所を探してみます…。
824風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:08:33 ID:v0+ixhld0
>>816 に同意。
私もこれは801じゃないと思う。
続きの投下はやめてほしい。
825風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:22:30 ID:L6yOfBnHO
どうでもいい
826風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:23:53 ID:L6yOfBnHO
ここ暫く、まともな小説がないね


クズ、糞、ゴミ小説ばかり
827風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:26:46 ID:jxoxB/FD0
ID:VsTy0HcA0
続きの投下先のヒントを!お願いします
828風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:27:37 ID:Q1F7tkVwO
妖怪はよくて何でこれは駄目なの?
タマもサオもあるじゃない?
中身が男なら体は男じゃなくてもよいけど
もともとが女なら体が男になっても駄目ってこと?
それがスレの総意?
やおいはファンタジーだから何でもありってわけじゃないんだ?
やおいフィルターとスルースキルがあれば何でもありじゃないんだ?
829風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:28:21 ID:L6yOfBnHO
知るか
死ね消えろ

誰もてめえみたいな下手くそ読みたかねーよ、カス

はい、さよなら
830風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:30:27 ID:L6yOfBnHO
もううざいうざいうざいうざいうざい

中身が女つー問題より読むにたえん駄作だという方が問題だ
831風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:31:54 ID:L6yOfBnHO
なら次スレからまた、


性転換手術は禁止

妖怪タマサオ無し禁止


ってのせれば?
832風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:35:49 ID:Q1F7tkVwO
追加 前立腺なしも禁止
833風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 14:12:37 ID:01XFMvZ80
個人的には性転換さんも妖怪さんも面白いのですが。
ここで続けられても良いのではないですか?
性転換さん、もし、移動されるのであれば移動先を教えて欲しい。
続き読みたいです。
834風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 14:24:53 ID:Zs3nZgFk0

吸血鬼さん乙華麗でした
835風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 14:35:48 ID:WkpUhQRX0
個人的にはぬらりひょん良かったけどなー。
確かに最初「マジで?妖怪じゃん。ちょっとな…」て思ったけど、心理描写
とかしっかりしてて少し読み進めたらどんどん引き込まれたけど?
836風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 15:01:31 ID:8WoPzCWSO
雑談はしたらばで
837風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 15:21:05 ID:L6yOfBnHO
叩き覚悟でぬらも性転換も投下すんならすれば?
838風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 15:21:54 ID:L6yOfBnHO
つか性転換ネタ受け入れられる移動先があんのかねW
839風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 15:35:40 ID:L6yOfBnHO
荒れ荒れ晒し上げ
840風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 16:35:39 ID:HmKVXb7PO
駄作でも
嫌とは思わないがなぁ…
841風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 16:58:49 ID:L6yOfBnHO
結局サオタマ無しと性転換はNGなの?
842風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 17:22:38 ID:sq4vqranO
なんだこの板は。
初めてだわ、ここ



と、シベリアVIPから今北五七五
843ぬらりひょん:2007/02/03(土) 19:15:50 ID:b0075zIG0
のっぺらぼうは障子が開く音を合図に部屋の隅めざして
全速力でハイハイをした。
でいだらの法師さまは無理強いを好まれる。
床の上にてしどけない姿でお待ち申し上げる。そうするとぶたれるのだ。
嫌がり逃げ惑うのっぺらぼうの白い足を掴み、
畳を引きずり床の上に放ったり、
捕まえた脚を持ち上げ、逆立ちめいた体位をとらせて挿入し、
手押し車さながらに手で歩かせながら
六畳間を何周も何周もされるのがお好きなのだとか。
故にはじまりは追いかけっこ。それがお約束だった。
全裸に白い足袋だけを身に着けた格好で、
のっぺらぼうは畳を犬のように駆けた。
法師さまは隻眼だ。だからなのかはわからぬが
「めんないもん」(目の無い者)を好まれる。
駄目にされたひとつ目小僧はその名のとおりのひとつ目で、
のっぺらぼうは全くのめんないだ。
844ぬらりひょん:2007/02/03(土) 19:16:22 ID:b0075zIG0
今宵、でいだらの法師さま煙煙羅(えんえんら)を連れていらしていた。
煙煙羅(えんえんら)は煙の妖怪だ。
もしものっぺらぼうに鼻があったなら
煙くさい煙煙羅(えんえんら)の体臭ですぐにそれと気づいたかもしれない。
肌で何かもわつくものを感じるものっぺらぼうは、
それが煙たさだとはわからなかった。
ただ何かいつもとは違う違和感を覚えつつ
座敷を四つん這いで逃げまわっていると、いきなり首と四肢がぎゅっと絞められた。
立ちこめた靄(もや)のように座敷を漂っていた煙煙羅(えんえんら)が
その身を煙の縄に変え、のっぺらぼうの
ほっそりとした首やら手足に巻きついて嗤っていた。
いっぺんに二人。同時にお相手するとお足は二人分頂ける。
口のないのっぺらぼうは、上の穴と下の口でお相手することは出来ないが
こういった形でなら何人とでも肌を重ねられた。
でいだらの法師さまに、「気心の知れたお友だち(煙煙羅)を誘い、
緊縛用の縄にでも成って頂き、一味違う遊戯を楽しまれてはいかがか」と
おすすめしたのは野郎宿の主(あるじ)だ。
845ぬらりひょん:2007/02/03(土) 19:16:55 ID:b0075zIG0
主人(あるじ)はでいだらの法師さまが喰いつきそうな
遊具(のっぺらぼう)を使った遊び方を幾案もほのめかし、
繰り返し繰り返し野郎宿に足を運ばせるのが上手かった。
繰り返し来ていただく。出来ればお友だちも誘っていただく。
そうすると店の売り上げは増す。
のっぺらぼうが、いっぺんにでいだらの法師さまと
煙煙羅(えんえんら)のお相手をすればお足は二人分。効の率も良い。
法師さまは煙煙羅(えんえんら)に絡みつかれ、
身動きの取れないのっぺらぼうの前の小さな孔に舌を這わせた。
のっぺらぼうのことを「めんない」と呼ぶ法師さまは
のっぺらぼうのそこのことを「めんないの鈴口もどき」と
名づけられ、いつもいつも執拗に舐めしゃぶった。
846ぬらりひょん:2007/02/03(土) 19:17:27 ID:b0075zIG0
煙煙羅(えんえんら)はのっぺらぼうに絡み付いていない部位を
座敷に燻らせていたが、のっぺらぼうが
あらかじめ慣らしておいた後孔に惹かれ、
染み込むように進み入ると、孔肉をじわりじわりと燻(いぶ)した。
薬油(くすりゆ)の特殊な香気と相まって、
なんとも美味そうな匂いがのっぺらぼうの後孔から立ち上る。
西洋には腸に(人ではなく豚らしいが、腸に)挽いた肉や
香草などをつめて燻す食べものがあるらしい。
舌で弄られ、前孔に尿を漏らしてしまいそうな危うさを、
後孔に灸をすえられた様な熱さを感じ、のっぺらぼうは、
腰をくねらせあちらこちらを縛られた不自由な身を跳ねさせた。
のっぺらぼうが蠢くたび煙煙羅(えんえんら)の煙の縄が
白いもち肌に食い込み赤い筋を描く。


847風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 22:01:32 ID:L6yOfBnHO
ぬら



早くまともな作品読みたいよー糞ばっかだよぅ(´・ω・`)
848ぬらりひょん:2007/02/03(土) 22:39:23 ID:Lzrl5yhB0
中途ですが投下を止めます。
スレ汚し失礼しました。
849風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 22:45:09 ID:L6yOfBnHO
さようなら
850風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 22:48:46 ID:BojYXkXe0
ほっとした
851風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 23:08:58 ID:sbOAHd8tO
エエェェ…好きだったよ、ぬらりひょん。乙
むかし投下されてた日本昔話風の話が好きだった自分にはキタ!て感じだったんだけどね
852風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 23:24:50 ID:38A7IbQ7O
そして誰も居なくなった・・・

読み手の皆さん乙!!
853風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 23:24:55 ID:L6yOfBnHO
可哀想に。

私は全く興味なかったから、別にどうでもいいがね
854風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 23:36:46 ID:L6yOfBnHO
死ね
855風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 23:39:20 ID:lm/iu4k50
このまま荒れちゃうのかなぁ、哀しい。
856ぬらりひょん:2007/02/03(土) 23:50:47 ID:L6yOfBnHO
この度は
857風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 23:52:28 ID:L6yOfBnHO
間違えたしwwID変え忘れww
ざまぁみろ

てめぇらが必死に庇ったぬらりひょんはな…実は…w
858風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 00:20:01 ID:peHuwzaO0
>>848の自演の数々

GJ!哀れさがたまらない。
できればちょっとはいい目を見させてほしい気もするけど、
どっちに転ぶとしても、続き楽しみ。 ID:xAQuS3mG0
自分もすごく好き!
面白い!!! ID:0hfquiyYO
おお、異色作が来ましたね。哀れなのっぺらぼうに救いはあるのか?興味津々で続きをお待ちしております
ID:FvqxMrq10
ががが…がんばれのっぺらぼう…!ID:xhT4ubj30
おもしろい!のっぺらぼうがいじらしくてイイヨー
続き楽しみにしてます。 ID:J/k4I4m+O
「でねえと体がもたねぇー」‥泣かせる‥。
京////極作品を思い出しました。 ID:DZFaUKye0
銀狐のイメージはヨーコ鞍馬だなww ID:4adSOcYBO
あぁそうだね。
ピッタリだ。
それにしてもなぜ「耳だけはたいそう良く聞こえる」んだろう。ID:8xwC3elD0
耳しかないから発達したんじゃね?
目鼻口が無くて、聴覚と触覚しかないから耳がいいんだよ。たぶん。ID:4adSOcYBO
なるほど。
何か凄く納得しちゃったよ。 ID:SkKLxBuQ0

自演、本当に乙でした。
859風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 00:33:29 ID:tlvTrDpc0
906 :名無しさん:2007/02/03(土) 23:40:00 ID:cKRlYgh.0
投下止めますって言ってたのはホントに妖怪さんなんだろか?
投下止めさせたいアンチが書いた可能性もある
だってID違うし
投下止めます(なりすまし)→出ていってよかったコメ(自演)→
投下しにくいふいんき→追い出し成功ウマー
じゃないのか?

917 :名無しさん:2007/02/04(日) 00:03:32 ID:EKjNOkdg0
>>906
スレ住人みんな、あんまり妖怪スキくないんで
別にいいと思う。これからもこの形で
読み手が書き手に打ち切り勧告をすればいいのでは?
良い前例ができたと思うのだが。

頑張れ書き手!このスレは病んでいるwww
860八百壱陰陽師・攻の巻3 1/2:2007/02/04(日) 01:07:22 ID:VxshsaMb0
投下します。嫌いだなと思ったらスルー推奨。


「ぁ…ああっ、かぁああ―――!」
陰陽師の屋敷の隅々に響き渡るような咆哮が、鬼の咽喉を駆け上がる。
蛟(みずち)――蛇から年を重ねて姿を変え、やがて龍になって天を駆けるいきもの――の強い毒に
尻の孔を焼かれ、流石の大鬼も衝撃と痛みを隠せない。

しかし、始めは鬼の声帯を震わせ、次に陰陽師の身に付けている貴族の装束を、中庭に生えた庭木の葉を、
中庭からの目隠しとして設えられた帳を、そして最後に事情を良く知っているはずの使用人の背筋まで
震わせた叫びは、陰陽師にはまるでそよ風のよう。
絹を裂くような悲鳴も、轟く咆哮も、陰陽師として幼い頃から修行してきた陰陽師にとっては驚くに値しない。
それに…………生来の加虐者である彼にとって、悲鳴とはむしろ吉兆であった。

「蛟の毒は強い。交わりあうもの全てを溶かし、高熱を発する。どうだ、尻で味わうそれは」
「ぐぅ、はぁ…あ……い、痛いっ…!」
どろどろとした大量の液体が、蛟の頭に塞がれた後孔を蹂躙している。
身を捩るたびにあっちへごぼり、こちらへぷかりと温度の勾配が掻き混ぜられ、鬼は余計に泣き叫んだ。
しかしどんなに泣こうが喚こうが、蛟が鬼の体から引き剥がされることはなかった。
汗に濡れた身体に刻み込まれた刺青のように、筋肉の凹凸まで反映しながらてらてらと蠢く。
そのくせ、窄まりに呑み込まれた蛇の頭部は新たな毒液を吐き出しながら、不必要なほど奥へと侵入を進める――
「あ、ああっ……!ぎ、ぁ…」
ありえないほどの奥地を強い毒で汚される痛みと恐ろしさは、
元は紙に描かれた命に過ぎない鬼さえも怯えさせた。そして狂わせる。
「ぅうッ、あっ」
「痛むか、苦しいか、恐ろしいか?それとも――」

陰陽師は乱れに乱れた襤褸の裾を行儀悪くも足で掻き分け、そして鬼の棍棒をぐりりと踏みつけた。
奇しくもそれは、十分な硬さを伴って立ち上がっていた。
861八百壱陰陽師・攻の巻3 2/2:2007/02/04(日) 01:08:22 ID:VxshsaMb0
「おや……一体、如何様に言ったものかな……これは」
陰陽師は心底不思議そうな声音で呟きながらも、双眸にちらつく意地の悪い影は隠さずに呟いた。
そして、「これ」と言うのと同時に熱く滾ったものを履物の底で圧迫する。
鬼が苦しみともなんともつかない呻き声を漏らす。
「こんなに一物を腫れさせて……つい先刻、痛い痛いと泣き喚いていたのは何処の誰ぞ。
 それとも貴様は苦痛を感じると、このようになってしまう体質なのか?」
「ッ……か、勝手な事を……!ぁっ、あ」
反駁しかけた言葉は、途中で不自然に途切れる。
それというのも、陰陽師が絶妙な足捌きで鬼のそれを擦りあげたからだ。
履物の裏地の厚みと、それに覆われた足指のでこぼこの微妙な質感まで計算しつくされた刺激に、
思わず鬼の声がぐうっと詰まった。それをせせら笑いながら、陰陽師は蹴り上げるように何度もそこを嬲る。
心持、親指と人差し指の谷間で鬼の裏筋を挟みこみながら足の平でぐいぐいと扱くと、鬼の逞しいからだが一層うねった。
「尻を焼かれながらもこのような痴態を呈するとはな……式神でありながら、主人に似たか?
 ……ああ、いや失礼、似せるように文句を書いたのは私だったな。ならばどうだ、気持ちよかろうが」
「そ、そんな訳が……ぁっが!」
乱暴ながらも、札の力によって敏感にされた棍棒を扱かれて、腰を熱い衝動が襲う。
勝手に蠢くそれには抗いがたい魔力があった。
その一方で蛟の責めは休むことなく尻穴の奥に与えられ、棍棒とは逆に、蠢くたびに痛みが腰を押さえつける。
「はぁっ…あ…あっぐ……ひ、ぁ」
尻が蕩けるような感覚がする。文字通り、毒で尻が溶けてしまったのか――それとも、何か別の感覚なのか。
分からない。だが、尻が熱い。棍棒も熱い。熱い熱い熱い……!
「好かろうが」
「ぎ、ぁがっ…!あぁっ!」
ぐいっと急所を踏まれ、鬼は悲痛な呻き声をもらした。そして、同時に白いものも。
その白いものを搾り出すように、更に手酷く踏みつけながら――陰陽師は笑った。
肝心な事はまだ聞けていない。聞かずとも分かったとしても、言わない。意地悪く、白状するまで遊んでやろう。
睾丸を踏み転がされて、足コキから一転、目を白黒させてのた打ち回る鬼を見下ろしながら、月は傾いていった。

ここまでです。
862風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 01:10:34 ID:tlvTrDpc0
つまらんくとも、自分はとりあえず乙する。
投下、有難うの意味込めて。
乙!!
863風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 05:27:36 ID:a18EC2GsO
久しぶりだな陰陽師たん乙!
鬼の主人がわかるのか気になるよ
良かったら続き楽しみにしてます
864風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 05:58:07 ID:ueuZLvmD0
>>848
ぬらりひょん、いい鬼畜だったのに残念。

>>860
乙!乙!
ガチムチ受萌えなのでハアハア
男らしく苦悶して、アンアン言わないところがイイ
たくましければたくましいほど萌えるよ。
865風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 06:06:23 ID:ueuZLvmD0
次スレ

【陵辱】鬼畜作品を創作して21stプレイ【SM】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1170536626/
866風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 14:10:31 ID:XjbAo2Zo0
妖怪さんも性転換さんも、もう来てくださらないのですか?
面白いので、続きがとても読みたいです。
金色さんもまた読みたいです。
携帯電波さんも何か話を投下してくれればいいのに……
867風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 14:42:31 ID:JvgskuA80
性転換さんは投下できるスレを探して、見つかったらこっそり教えるそう。
妖怪さんは中断宣言が本人かどうか不明なためどうとも言えない。
以上、雑談板より
868風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 17:47:45 ID:nF+a1Gq00
うつしみさん見つけたよ。
私の巡回コースに入ってたw
確かにあそこの方が許容量広いからいいのかも。
向こうで楽しみに読ませて貰います。
869風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 18:46:39 ID:Fj1E6VE3O
>>866
電波の投下は荒らしになるからお断りだよ。
870風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 20:13:58 ID:/TLm8v6P0
陰陽師タソ乙!
今回もやはり面白かった。
871風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 21:28:40 ID:uz+3kbuF0
>866
妖怪は文体からガチで、隔離だろ
ついこの間、隔離で鬼畜スレに投下するのは住民感情に反するからやらない
とか言ってたのに、平然と投下
そして、案の定スレは荒れた
続きもなにも、二度とスレに投下して欲しくない
872風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 21:38:02 ID:wHZN0X0n0
>871
もう止めたら?
妖怪が隔離であろうが何であろうがどうでもいい
隔離隔離と騒いで良いことなんか何もないだろ?
誰かが「アレは隔離だ」と主張するたびに荒れている様な気がするよ
873風と木の名無しさん:2007/02/04(日) 21:44:05 ID:nUPZW+eE0
>>872
今はアレもPC使えるようだから本人かもしれないよ
自分で自分を過激に叩いて話題にする行動も何度もやってきた人だから
沈静化には相手にしないが一番
874風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 00:12:31 ID:RL5FEzIKO
一番の荒らしは、気に入らない投下作品をスルー出来ないで書き手を追い出す読み手だよ。
ここはSSを投下するスレ。叩かれるべきはちゃんとスルー出来ない読み手だろう?
875風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 00:15:38 ID:WOQfgBI70
>871や>873みたいな人こそ出て行って欲しいわ。邪魔
876風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 00:18:25 ID:8m/6dsqY0
874と875もキモイよ
877風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 00:20:15 ID:FtxSysM20
がーん。
ぬらりひょんタソ楽しみにしてたのに…
荒らしにまけないでー
878風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 00:27:42 ID:HSFKhmkFO
この騒ぎで流されてしまいましたが、吸血鬼さん乙でした。
この流れの中で負けずに投下してくださったことに感謝。
879風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 00:55:49 ID:dji7Rgoc0
>874
>気に入らない投下作品をスルー出来ないで書き手を追い出す読み手だよ。

基地外が作品を投下して、話題づくりのために必死に自作を叩いてるんですが?
追い出されそうになる可愛そうな自分を演出して擁護を待ってるんだろ
叩きも、擁護もどうせ自演だから相手にしないのが一番
880風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 01:08:41 ID:WOQfgBI70
>879
基地外乙w
881風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 01:40:07 ID:vMWcBxSW0
>880
変な電波を受信している879みたいなのに何言ったって無駄だよ
スルースルー
882風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 03:08:42 ID:3lutZ0QC0
自演さえしなけりゃなんだっていいよ。
作品自体を叩くのは荒らししかしない行為なんだから
書き手さんが凹む必要はないしそれに関して擁護する必要も無い。

ここで要るのは人様のキチークな801妄想だけだ。
883奥手.1:2007/02/05(月) 03:56:40 ID:RY9LhCcoO
初投下です。
リーマンものですが、
今回導入部分のみでエロ無しです。
苦手な方は、お手数ですがスルーでお願いします。


最近気づいてはいたが、本人の口から聞いたときには、その相手を殺してやろうと本気で思った。
俺には現在、亮介というパートナーがいる。
亮太は、今年新卒でうちの会社に入社してきた新人だった。
見た目童顔で性格も明るい亮太は、今までも年上に可愛がられてきたんだろう。若手の中でも人気が高そうな俺にすぐに近付いてきた。
甘え上手で、人なつっこい亮太はすぐに部署で人気者になっていた。
歓迎会の帰り、帰る方向が同じだった俺が、酔った亮太と帰ってる途中に、向こうから告白されて以来の付き合いになる。

そのとき亮太にバイだと見抜かれた事にも驚いたが、今言われた事の方が信じられねぇ。

「同じ部署の、陽介さん…」

俺は、性格は嫉妬深い方だろう。セックスもハードなのが好きで、SMまがいのプレイがほとんどだ。
それでも亮太は本当に俺に惚れてたんだろう、喜んでハードなプレイを受け入れていた。
けど、最近はそんなセックスを嫌がり始めた。
真性のMじゃない亮太だ、元々プレイが嫌だったんだろう。
あと、拒否する理由の半分は、俺に飽きたからだろうとは思った。こいつ、きっと今までもこうやってパートナー次々に変えてきたんだろ…

884奥手.2:2007/02/05(月) 03:59:46 ID:RY9LhCcoO
その時は、ムカつきもしなかった。だが、亮太が次に口にした名前が問題だ。

「あの…葉山陽介か?」
驚きすぎて、聞き返しちまった…
「うん、同じ部署の、陽介さん…」
「お前…本気で俺より葉山が気になるわけ?」
「うん…」

葉山陽介っていうのは、俺の同期だが、これがイカれてるほど生真面目な奴だ。
上司の評判はいいが、反面、付き合いが悪くて若手の社員には嫌われている。女の影も全然ない。マジで童貞じゃないかと思う。人気者の俺とは、完全に正反対の嫌われ者な訳だ。
そんな奴と俺を比べるだと?信じられない…

「はっ…あいつのどこか気に入った?」
「ん〜、顔が…キレイで、たまにかっこよく見えるから…」

…そうかな?ナヨナヨして不健康に見えてた…

とにかく、俺よりあの野郎がいいってゆう事実がありえねぇ。
とにかく亮太と別れるのはいいとして、理由が葉山…ってゆうのだけは何とかしないといけないと思った。自分でも子供っぽい意地だとは思ったが…
次の日、出社してアイツの済ました顔を見たとき、絶対に貶めてやる…と思った。




つづく予定です…長々と導入書いてすみません。
885風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 10:18:10 ID:1N/VEPYw0
>>882
>自演さえしなけりゃなんだっていいよ。
自演じゃないのに、自演扱いでくくられてしまいましたけど、私の書き込み。

もうイヤなら読まなきゃいい、来なきゃいいと思うんだけど。
別にスレの風紀治安を管理してくれなくていいよって感じ。
ヘンなのはスルーすればいいだけだし、スレ荒れて見苦しくてもエサ与えなきゃ餓死するでしょ。
886風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 10:29:16 ID:HSFKhmkFO
>>885
投下直下に書くことかよ


奥手タン乙
887風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 11:22:03 ID:pLmP2u/d0
あれだけもめてるのに携帯で投下できる根性が凄いな
まあこのスレも終わりだからいいけど
新スレには来るなよ
888風と木の名無しさん:2007/02/05(月) 11:25:06 ID:WOQfgBI70
>887
お前も新スレには来なくていいよw
ここでずっと見張ってれば?
889風と木の名無しさん
こうして鬼畜スレは崩壊したのであった
めでたしめでたし


(´・ω・`)ショボーン