モララーのビデオ棚in801板4

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1風と木の名無しさん

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。


   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]__\______  ___________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |      |/
    |[][][][][][][]//||  |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ| |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄
                    (__)_)


前スレ モララーのビデオ棚in801板3.1
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/801/1090494988/l50
ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-6のあたり

保管サイト(お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://moravideo.s57.xrea.com/
2風と木の名無しさん:04/09/15 01:20:33 ID:4sVk6kjy
1.ノンジャンルのネタ発表の場です
書き込むネタはノンジャンル。
スレ違い/板違い/鯖違い/メディア違い問わず、ネタであれば何でもあり。
たとえばこんなときにどうぞ。

  どこに投稿すればいいのかわからない‥‥
   ・ネタを作ってはみたが投稿すべき既存のスレが無い。
   ・投稿すべきスレがあるのかもしれないけど、よくわかんない。
   ・クロスオーバーのつもりなのだが各スレ住人にウザがられた。
   ・みんなの反応を見たうえでスレ立てるべきかどうか判断したい。

  投稿すべきスレはあるが‥‥
   ・キャラの設定を間違えて作ったので本スレに貼れない。
   ・種々の理由で、投稿すると本スレが荒れそう。
   ・本スレに貼る前にあらかじめ他人の反応を知って推敲したい。
   ・本スレは終了した。でも続編を自分で立てる気がない。

  ヘタレなので‥‥
   ・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる。
   ・作り出してはみたものの途中で挫折した。誰か続きおながい!

迷ったときはこのスレに投稿してね。
ただ、本来投稿すべきと思うスレがある場合は
それがどのスレで(ヒントで充分)、しかしなぜこのスレに貼ったのか、
という簡単なコメントがあるとよい。無いとカオスすぎるからね。

それと、ナマモノネタには伏せ字か当て字を推奨。
3風と木の名無しさん:04/09/15 01:21:17 ID:4sVk6kjy
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリーAAであろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                               | | [][] PAUSE
                ∧_∧         | |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |
          | |,,  (    つ◇       | |
          | ||―(_ ┐┐―||        |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4風と木の名無しさん:04/09/15 01:23:13 ID:4sVk6kjy
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
とりあえず用意したテンプレ。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5風と木の名無しさん:04/09/15 01:25:02 ID:4sVk6kjy
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________
6風と木の名無しさん:04/09/15 01:25:55 ID:4sVk6kjy
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
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   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
7風と木の名無しさん:04/09/15 01:26:50 ID:IAbeWI3k
乙!!>>1-3
前スレ最後の100-1姐さんに感想書けなかったのでコチラに。
>>638-642 刹那激萌えGJ!!(ノД`)過去スレ全部読んで100-1の続きを激しく
キボンだったのでまさに神  これで彼等をヨコシマフィルターで見守る事決定!!
またうpよろ(*´Д`)
8風と木の名無しさん:04/09/15 01:28:28 ID:4sVk6kjy
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   前スレ使い切ってしまったのでスレ立てたモナ。
         ss途中で切れたので再上映のワガママスマン
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   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
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              (__)_)
9風と木の名無しさん:04/09/15 01:28:47 ID:wqf8DCuZ
前スレ最後の姐さん、狂おしく続きキボンヌ。

そして、>1乙カレー!
10風と木の名無しさん:04/09/15 01:30:20 ID:4sVk6kjy

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >>497の続きみたい。っつーことは100-1パロ?
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  妄想炸裂ですがな〜〜〜笑。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

11谷&丘1:04/09/15 01:30:43 ID:4sVk6kjy
「お前、何泣いとん?」
いきなり声がして、ふっと目を開けると相方の不思議そうな顔が覗いていた。
谷部は低く唸って目を瞬せると、やっと状況をつかんだ。
体を起こして溜息をつく。
「勝手に人の楽屋はいってくるなって何度も…」
いい終わらないうちに丘村の指が谷部の左目あたりをかすると
「お前、泣きながら寝とったで」
つぶやきが聞こえた。
丘村はちょこんと谷部の隣に座ると心配そうに見上げてきた。
「なんか疲れてるのかいな。夢?変な夢でもみたか?」
「…知らんがな!っていうか勝手に楽屋に来なさんなって、注意したでしょうが」
「寝ながら泣くっておまえ…」
「本当に俺泣いてたん?」
「泣いとったよ。びっくりした。目、閉じたままポロポロ〜ってな」
丘村は心配しているのか、面白がっているのかよくわからない調子で身ぶり手ぶりで話している。
「あかんやん、俺…。疲れとるのかな」
「せやな。ちょっと、疲れたまっとるのかも知れんな」
そう言ったきり、丘村は黙って下をむいて、畳の目をおったままじっと座り込んだままだった。
谷部はひっそりとなった丘村の横顔を盗み見る。
おまえこそ、疲れたまってるで。
初めてあった頃より、鋭角になった顎。頬の肉が薄くなって、儚い印象にもみえる。
時々曇ってしまう、相方の瞳が気にかかる頃もあった。
そんな谷部の視線に気づいたのか、よっ、と小さい声をあげて、立ち上がると
「本番までもうちょっと時間あるし、寝ときぃや」
と呟いて、丘村は楽屋を出ていった。
12谷&丘2:04/09/15 01:31:17 ID:4sVk6kjy
またや。
谷部は自身の目をこすると、指についた雫をまじまじとみつめた。
また泣きながら寝とったんか、俺は…。
ロケバスの中。他のみんなは車外にでていってしまっていた。
夢?思い出せない。
なんで泣いてんねやろ?
かなしいこと。そんなんは数え出したらきりがない。
覚えてないんやから泣けるはずはない。
俺、悲しいんか?
毎日仕事忙しくて、ベタやけど充実してるし。
なんで悲しいことなんてあるか?
丘村ともこうやってコンビで今までうまいことやってこれてる。
アイツといれれば嬉しいし、どんだけ楽しいこともできる。
窓の外で真っ白な日射しの中、照れたように皆と笑いあう相方のヘタな笑顔が目にはいった。
こっちには全く気づいていないようだ。

なんや、これ?
なんで丘村をみると。
なんで?
かなしい。
わからん。アイツをみるとかなしいのか?俺。

谷部は自分でもわからない息苦しさの中、惚けたように窓を見続けていた。
無意識にひっかいた親指の爪の甘皮がヒリヒリと痛かった。

アイツをこの世界に引っぱりこんだのは俺。
無理して笑う。笑顔。
アイツは「ええよ」って返事してん。
おまえはそういって笑ったやないか。今とは違う笑顔で。
13谷&丘3:04/09/15 01:31:45 ID:4sVk6kjy
長い打ち合わせが終わる。灰皿に溜まったタバコの本数にうんざりしながら
部屋をでると、谷部は自動販売機の缶コーヒーのボタンを押した。
ガタンと音が響く。
ふと、横を向くと、廊下の先を見なれた背中が通り過ぎた。
コーヒーを取るのも忘れて、追いかけた。
背中が近付く。一瞬なんて声をかけたらいいか迷って、肩を掴んだ。
ビクっと震えて、振り向く。丘村はテレビの中とは違った顔で神経質そうに瞬きした。
谷部の顔を確認すると、ふと頬の力を抜いた。
オフが続いたので顔をあわせるのは3日ぶりだった。
「何しとん?」
息せき切った谷部に驚き、丘村は照れたように低い声で聞いてきた。
「打ち合わせやん。そっちも?」
「そうやけど…。え?お前なんのに出とったん?」
道すがら説明しながら出口に向かった。

マネージャーの車で局に来ていたので谷部が電話をいれようとすると、
「俺、送っていこうか?」
と丘村から珍しい申し出があがった。
「おう。頼みます」
谷部は驚きつつ、車に乗り込んだ。
久しぶりに乗る車内。俺の知らん音楽が流れとる。
14谷&丘4:04/09/15 01:32:03 ID:4sVk6kjy
「お前、さっき息きらして走ってきて、人の肩掴むからな。びっくりして」
丘村は前をみたままボソボソ喋る。
「…そうやな。でも声かけへんのも変やろ」
「まあ。そうやけども…」
「なんかな、気がついたら走っててな…。わからん」
丘村の返事は、おお、とも、ああ、ともいうようなそっけないものだった。
これといって会話もなく、谷部は窓を滑る流線の光を見つめ続けた。
深夜に程近い時間。人もまばらだ。
「なんか久しぶりに人間と喋ったー思って」
丘村がポツリと呟く。ビルの緑色の光が頬に反射する。
「なんや、お前、また家から出てなかったんかいな」
「またまたやで。一歩もでんかったもん。久しぶりに今日、日本語話したわ」
きっついで、ほんま…。丘村の低い声がこぼれる。
「窓開けていいか?」谷部は確認してボタンを押した。
冷たい風が前髪をなぶる。
何故だかまた爪の先が痛んだ。時々こぼれる丘村の弱音。
風に乗せて吹き消してしまいたかった。
黙ってしまった隣をみて、「寝とき」と丘村が呟く。
谷部は頷いて目を閉じた。
15谷&丘5:04/09/15 01:34:16 ID:GC5hYQZH
匂いに目が覚めた。そっと目を開けると、ハンドルに肩を預けて煙草を吸う横顔がみえた。
「着いたで」
たぶん、もうずっと前に到着していたのだろう。
「起こしたらええやん」
そういって谷部が目を擦ると、また涙の気配がした。
みられた、な…。
こう何回も見られると流石にバツが悪い。
なんやろ、ほんま、おかしなってきとるんかな。
「ちょっと、話そか…」
丘村はそういって煙草を揉み消した。
「話すって何を」
谷部はなんだか胸の奥がザワついた。
相手が気をつかっているという空気が余計に苛立ちを加速させる。
お前に、いわれたない。おまえに…。
いや、何をいってるんや俺は?
「話すんだったら車降りようや」
そういって谷部は丘村の腕を掴むと、引っ張るように歩き出した。
丘村は何か思う所があるのか、静かについてきた。
自宅の玄関のドアを閉めると、谷部はやっと丘村の腕を離した。
谷部は丘村のつむじをじっと見つめて言葉を探した。
ここで何も言わない相方も卑怯だと思った。
言葉よりも先に手が動く。谷部は丘村の指に自身の指を絡ませるように握りこんだ。
ビクリを震える肩を眺めて。
おもろないな、自分。
肩を引き寄せて、体ごと抱き込んだ。
16谷&丘6:04/09/15 01:34:45 ID:GC5hYQZH
「なんか、言えや」
谷部は短く息を吐いた。
「俺を慰めるんやろ?」
丘村の小さい体はピクリとも動かなかった。
谷部は張り倒したいような殴りたいような
自分でも感じた事のない凶暴な感情が沸き上がってくるのに戸惑っていた。
泣きたい気持ち。
「おい。なんか言いや」
谷部が揺すっても丘村は石のように固まったままだ。
自分が抱きしめているヤツのほうがよっぽど参っている事実。
丘村の心がどんどん痩せ細っていくのが見える。
あの時、頷いた笑顔はもう見れない。
泣きそうや、丘村さん……。
「何も言わないんやったら抱くで」
とっさに出た自分の言葉に驚く。
小さい体が身じろぐ。
「アホなこと言いや」
やっと、聞こえた相方の声は拍子外れなくらい早口だった。
「冗談や、あほう」
そういって笑おうとした谷部の肩がふいに戦慄くと、膝に力がはいらなくなって、
丘村に体を預けるように崩れ落ちた。
頭が混乱していた。
丘村の体を抱きしめたまま、目の前が白くなり、目頭が熱くなり。
涙が止まらなかった。
「抱くで…」
「……」
「抱かれてくれ」
真っ白になった頭は勝手に言葉を吐き出していた。
そして、腕の中の男が頷くしか出来ない事も冷静にわかっていて。
熱くなった頭の芯のどこかは冷えていた。
17風と木の名無しさん:04/09/15 01:36:06 ID:GC5hYQZH
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | | 途中でスレ使いきったり回線きれたり
                        焦ったがな!!スレまたいですいまそん。
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
187です:04/09/15 01:47:53 ID:IAbeWI3k
スレ豚切ってすいません >>主
禿萌えです 乙!(*ノД`)>>11-16
丑三つ時も近い平日夜中に一人で萌え大騒ぎでつ_ト ̄|○アスシゴトナノニ
続編ハゲキボー(**´`)
19風と木の名無しさん:04/09/15 03:28:00 ID:gLfRrewF
>>10-17
キタァァァ(゚∀゚)ァ( ゚∀)ァ( ゚)ァ( )ァ(` )ハァ(Д`)ハァ(*´Д`)ハァハァ/lァ/lァ/ヽァ/ヽァ ノ \ア ノ\ア / \ ア / \ ア
まんまと萌え尽きました。

しかしなんていいところで終わるんだ姐さん…キチクゼメデスカ
20風と木の名無しさん:04/09/15 03:58:58 ID:CcNjdAdk
1さん乙そして100-1GJ!!

今まで全く知らなかった(ビジュアルすら)Zロリですが、ここのおかげで萌えに萌えて開眼致しました
いつもおみやげ楽しみにしてます。
21風と木の名無しさん:04/09/15 07:59:22 ID:D7t42XRO
>>10-17
100-1キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
前スレで途中で終わってしまっていて、
続きが…と思ったら新スレ来てたー!
乙でした!!そして激しく続きキボン
22風と木の名無しさん:04/09/15 08:10:21 ID:7xeYYHqF
前スレ終わりの方の論丼長靴もロマンだわあ(*´Д`)と思ったけど、やっぱ姐さんの100-1ハゲシクイイ!!(*・∀・*)
朝から発電
所でアナタのAAで、ア( )ア ←これ、なんかかわいいW>>19
23風と木の名無しさん:04/09/15 12:22:35 ID:7xeYYHqF
抱くの? 抱かないの?! ウワアアァァン ハゲシク気ニナル萌ヽ(`Д´)ノ
ナイス禿萌え100−1 thx。
241/6:04/09/15 21:43:16 ID:czGb1PGH
祈る…
祈る…
祈る…

 俺とお前の差は何だったのか今更ながら考えている。もっとも考えなくてもはっき
り判るが。
 そもそも生れ落ちたその瞬間から差は付いていた。裕福で名誉も地位もある家庭の
末っ子に生まれたお前と、戦争真っ最中の国でよくある子沢山しか自慢するものがな
い表通りから外れた貧民街に生まれた長男の俺。血統が違う、お前がよく言ってた
な。「国民は皆平等」をモットーとする国の方針だか偶然だか知らないが軍附属の予
備学校に入学してから出会った筈なのに、小さな頃から一緒だったような馴れ馴れし
さで俺の側にお前はいていつも俺を見下していた。
『君もいい加減諦めなよ、君は僕には勝てないんだよ』
『僕と君とは超えられない壁があるんだ。それを判ろうとしないのはやはり一般人の
限界なのかな?』
 いつもいつも高そうな服を身に付け、聞いてるだけで虫唾の走る声で自分の高い教
養と特権階級をひけらかしていた。白い手袋のまま俺を指差して憐れんでいた。しか
も他の連中がいないときに限って。他の連中がいるときは偽善の仮面を被って俺たち
のことを心配する。内心で俺たちを嘲笑っているのは俺以外誰も気付かないだろう。
 俺たち貧民街で生まれた奴を憐れみ見下していながらもずっと俺の側にいたのはお
前が自分の自己顕示欲を満たしたかったにすぎない。
 実際お前は俺なんかより遥かに頭も良くて運動神経も良くて同じ身分でもお前の方
が目立っただろう。容貌もこれも血統なのか細身で整った顔立ち、余計な肉体労働な
んかせず計算されて作られた筋肉を纏った肉体も何もかも、お前は俺なんかより遥か
高みにいた。
 だが俺はお前が自己顕示欲を満足させるためだけに側にいるのだとしても俺は劣等
感等持たなかった。当然だ、俺も俺自身を満足させるためにお前の側にいてやるのだ
から。俺はお前の綺麗な仮面の下にあるその嘲笑を俺は知っている、お前は最低な奴
だ。どんなに上辺や能力があってもお前は人間として最低だ、可哀想なのはお前の方
だ、と
252/6:04/09/15 21:43:48 ID:czGb1PGH
 お互いを上辺だけで取り繕ったお互いを満足させるためだけの友人関係は仲間から
は不思議がられた。同じ貧民街の連中から「ご機嫌取り」等と指を指されてもどうで
も良かった。俺のこの満足感はあいつでしか得られないからだ。
 予備学校の机上の勉強も実践訓練でもお前は常に上位にいた。そしてお前は俺との
差に気付くと必ずこちらを見て口の端だけを上げていた。
『そろそろ君が僕より遥かに劣っていることに気付いたかと思ってね。その様子だと
無理っぽいけど』
 一度何故いちいち俺を見るのかと聞いた時の答えがこれだ。大袈裟なジェスチャー
付きで嘆いてたが俺は鼻で笑い飛ばした。
『名門のお坊ちゃんって言うのは下らない事ぐちぐち考えてんだな。人生つまんなさ
そうだ』
『失敬だね、君みたいな人種に下らない等と言われる覚えは無いよ。君の方こそ平々
凡々で退屈な長いだけの人生を歩みそうだね』
『へぇへぇ、どうせ俺はあんたとは違う生き物ですからね』
『何だ、ちゃんと自分は僕と違う人種だと認識はしてるんだね、良かった良かった』
『違う生きモンだからあんたの優越感なんて理解出来ないんだよ』
 そんなところにまで優越感を持とうとするお前に俺は辟易して手をヒラヒラと振り
ながらその場から動いたことも全部覚えている。必死でお前を見返してやろうと机に
齧り付いたり特訓をしたことも。
そして…誰もいなくなったトレーニングルームでひたすら基礎訓練を続けていたお前
の姿も。
263/6:04/09/15 21:44:28 ID:czGb1PGH
 あれから、いや結局予備学校の入学から卒業まで紙面でも実践でもお前には敵わな
かった。腹立たしいことに神様とやらは特権階級の連中には惜しみなく恵みを与えて
いるらしい。
 確かにお前は努力していたと思う、だが俺もお前以上に努力していたはずだ。だが
それでも生まれてしまったこの差には歯噛みするほどで、最終的に首席で卒業式の壇
上に立つお前の背中が無性に腹が立って仕方なかった。
 俺を含む卒業生の横には現役の将校様がずらりと並んでいる。年取ったのから意外
なほど若いのまでいるが皆口をへの字に結んで滑稽なまでに厳粛な雰囲気で突っ立っ
ている。きっとお前の兄やら父親もこの中にいるんだろうよ。そして首席で卒業した
お前を自分達同様出世街道の道に迎えに来たんだろう。だがそこまで考えて腹立たし
い自分がふと何もかも馬鹿らしくなった。
 結局お前は実力で首席を勝ち取ったんだし、出世街道に乗るのは血縁関係が無くて
も時期の早い遅いは有るかもしれないが当然と言えば当然かもしれなかった。
274/6:04/09/15 21:46:41 ID:czGb1PGH
『遂に君は僕には勝てなかったね』
 卒業式の後お前は俺に近付くなり誇らしげに笑った。昨日まで、いや式典の途中ま
でなら憎ったらしい笑みだったろうお前の笑みはやけに澄んで綺麗に見えた。
『僕の完全勝利で君は自分と僕との差がはっきりと判っただろう?』
 澄んだ笑みで今までと何ら変わらない言葉を吐き出す。だがその口調がいつもとは
違う静けさを持っていたのに気付いた俺はお前が何を考えているのか判らず戸惑った
まま黙り込んでいた。
『やれやれ、君は相変わらず強情だね。ここまで来て自分が僕より劣っていることに
気付かないなんて』
 大袈裟な溜息をついてお前は空を仰いだ。恐らくいつものように俺がお前を馬鹿に
しているのだと思っているのだろうか。俺が答えないことを大して気にする様子も無
くお前は続けた。
『まぁこれからもっと差が開くから、はっきり覚えておくことだね。君は退屈で…長
い人生を歩むんだろうから』
 何かを躊躇ったような口調を微かに認めて思わず声を出しかけた。だがそれより先
にお前はいつも絶対外さない白の手袋を外して俺に差し出した。
『光栄に思い給え。僕が君と握手してあげるんだからね、しかも直接だ』
 益々強くなる違和感に俺は差し出された手とお前の顔を何度も何度も見返した。何
時まで経っても手を握り返してこない俺にお前は無理強いすることなくその手を引い
て、
『君は本当に礼儀もまともに弁えることが出来ないんだね。まあいいよ。明日から僕
も君も軍に所属する身になる。そこでどちらが劣っているかはっきりさせよう』
 あくまでも優劣に拘る台詞に漸く違和感が消えて、俺も上等だと、受けて立つと正
面を見たその時。お前は指先を綺麗に揃えて伸ばした片手を帽子の鍔に添えて静かに
俺に敬礼をしてみせた。
『は?』
 お前の行動もその意図も予想出来ないまま唖然としている俺に、
『健闘を祈る…』
 見たことの無い真っ直ぐな視線と声音でそう一言告げるとお前は踵を返してさっさ
と立ち去っていった。『ああ?』 お前の姿が見えなくなっても俺は馬鹿面を晒していた。今までの行動パターンとは
全く違う、新しい見下し方か?と納得しようとしたがどうしても何かが喉に引っか
かっていた。
285/6:04/09/15 21:47:13 ID:czGb1PGH
 そしてその引っ掛かりの正体を知ったのは翌日、卒業の感慨も休暇も与えられずそ
のまま軍に入隊となった。何だか知らないがそう言うご時世なのは知っていたがもう
少し明日を担う若人を労われよ、等と口先を尖らせていた矢先、各人に部隊配属の命
令が下る。
 部隊名を呼ばれてそれに所属する名前が挙がる。最初の方は守備隊やら攻撃部隊の
どこどことか細かい名前で覚えきれない。そんな中で俺の名前が国境警備隊○○方面
部隊で呼ばれ、次いで任務完了期間まで教えてくれた。
 随分辺鄙なとこに飛ばされたなと内心思う。俺が飛ばされたのは戦争で大忙しの中
平穏無事で知られる数少ない部隊だ。辺境すぎて戦争を起こそうにも国自体隣接して
いない平和な土地。恐らく戦闘など考えられないそこで任務終了期間さえ終れば俺た
ちは兵役から解放される。何だか知らないがそういうものらしい。
 俺はそこでは戦功を立てられずまた差が開くと不満だったが配属命令はまだ続いて
いて、他の連中も様々な場所とそれぞれ違った任務完了期間を言い渡されていた。
 ぼんやりと聞きながらそう言えばまだ名前が呼ばれてないことに気付いた。どうせ
出世街道の花形部隊にでも呼ばれるんだろう、とうんざりしていたその瞬間、お前の
名前が非情な場所で呼ばれた。「特殊遊撃部隊」それだけの簡単な上官の命令にお前
は表情一つ変えず敬礼して見せた。
296/6:04/09/15 21:47:40 ID:czGb1PGH
 生きて帰る者がないその部隊の名をさすがの俺も知っていた。そしてその部隊には
任務完了期間など存在しないことも。死ぬ以外その部隊から脱隊することは出来な
かった。今どんな表情をしているのか俺自身は判らなかったがきっと口を開けた間抜
け面だっただろう。その表情のまま俺の脳裏には昨日のお前の言葉が過ぎっていた。
もしかしてお前は知っていたのだろうか?
『君は退屈で…長い人生を歩むんだね』
 果たしてお前はお前自身の運命を最初から、予備学校に入る時から知っていた。長
男は家を、次男は他の家を継ぐ義務があるから比較的生存の可能性が高い部隊に配属
し、それ以外は全て最前線に送る。
 身分の貴賎を問わずそれだけは平等に行われて…もしかしたらそれが俺とお前の差
なのかも知れない。そして全て知っていたお前と何も知らなかった俺との差。お前が
俺を見下し嘲笑していたのは、全てを知っていたお前が俺に対して優越感などではな
く劣等感を抱いていたからあのかも知れない。お前はどんな思いで俺と競い、俺に勝
とうと努力し、俺を見ていたのだろう。
 だがもうお前にそれを聞くことは出来ないまま、お前は戦場に逝くんだな。俺は戦
場とは程遠い場所でこのまま数年を過ごし、後はお前が言っていた通り「退屈で長い
人生」を過ごすんだろう…。
 ろくに戦況さえ伝わってこない辺境の地にいる俺にはお前の風の噂さえ届いてこな
い。
 ただお前の最後の言葉だけが時々風に乗って何処からか聞こえてくる気がする。

『健闘を祈る…』

 お前が本当は何を祈りたかったのか俺にはもう判らないが、せめて同じ言葉でお前
の為に祈ろう。

「健闘を祈る…」
30終了:04/09/15 21:49:58 ID:czGb1PGH
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | | こんな下らないネタでスレの質を落とすな
                        書き込んだ後でなんだがスマンかった…
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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31風と木の名無しさん:04/09/15 22:27:33 ID:8xRJXsTm
>>24-29
カ、カコエエェェェェェ!!!(*´Д`*)ハァハァ
漏れこういうの大好きなんですよ!!
オリジナルですか? 元ネタアリですか?
すげえツボですマリガトン!!! (*゚∀゚)-3 ムハー!
32風と木の名無しさん:04/09/16 13:50:58 ID:BE+pvkDP
>>24-29
うぉぁあぁぁぁ萌えーーー!!めちゃめちゃ萌えました!
デコが禿げあがるほどGJ!自分も元ネタあるなら知りたいっす。
ひさびさに至福・・・萌えをありがとう。
33風と木の名無しさん:04/09/16 14:13:37 ID:UC+DbTtg

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  凄いSSの後にヘタレ100-1パロモナ……
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  しかもオリキャラ出してもうた
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ホンマスンマセン
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
34100-1その1:04/09/16 14:14:26 ID:UC+DbTtg
「お〜い、新入り!ちょっと来い!」
「はい!」
俺は2週間前に配属されたばかりの新米AD。
運良く、入社する前からの憧れだった100-1さんの番組担当になり、毎日がむしゃらに働いている。
まだ、実際に2人と話したりということはないけれど、遠巻きに見る2人は想像していた通りの2人だった。
いろいろミスをやらかして、毎日怒鳴られてばっかりではあるけれど、彼らの番組に関われるだけでもラッキーだと思ってる。
今日は、2週間ぶりのスタジオ録り。入り前の準備でスタジオは大騒ぎだった。

「はい、何でしょうか?」
呼ばれたディレクターに駆け寄り、声をかける。
「おお、ちょっと頼みがあるんだ」
キレると恐ろしいが、人はいい(らしい)ディレクターの表情が曇っているので、俺は不思議に思った。
「何かあったんすか?」
「いやな……丘村さんがストライキを起こしちゃったんだよ」
「へ?」
「トイレに閉じこもっちゃって……いや、よくあることなんだけどな」
「そ、そうなんすか」
「丘村さん、ああ見えて繊細な人だから。ちょっとしたことでスネるんだよ」
「スネる、すか」
想像もしなかった言葉の連続に、俺はオウム返しに言葉を返すしかない。
「そんで、お前に丘村さんをなだめてきてほしいんだよ」
「お、俺がですか!?」
「今、みんな手が放せなくてさ……頼むよ」
「でも、どうやってなだめりゃいいんですか?」
「そこはほら、上手いこと言ってくれや」
「大体、何が原因でその……スネちゃったんですか?」
「それが分からないんだよなあ」
おいおい……
ディレクターの能天気な声と、俺に課せられた任務の重さに、俺は頭を抱えたくなった。
35100-1その2:04/09/16 14:15:10 ID:UC+DbTtg
「原因も分からずにご機嫌をとるなんて、できっこないっつうの」
教えられたトイレに向かいながら、ぶつぶつと文句を言う。
与えられた時間は、他の出演者入りまでの1時間半。
それまでに丘村さんをなだめて、収録に参加できる状態までに持っていってほしい。
これが、ディレクターからの指示だった。
「どうすりゃいいんだよ……」
目的地であるトイレの前に来てもはっきりした手段が思い浮かばず、中に入るのがためらわれた。
が、ここで失敗すれば収録は押し、たくさんの人たちに迷惑がかかってしまう。
同時に、俺が死ぬほどどやされることも目に見えているわけで。
ええい、ままよ!
腹をくくり、トイレの中に入った。

確かに、個室が一つ閉まっている。
ここはスタジオからは少し離れていて、人通りは皆無といっていい。
誰もいないトイレで、個室のドアが閉まっているのは、ひどく不自然な光景だ。
まさかこんな形で、丘村さんと初めて絡むことになるとはな……
心の中で苦笑いしながら個室の前に立ち、ドアをノックした。
「丘村さ〜ん、大丈夫ですか〜?」
って何が大丈夫なんだよ!
心の中でツッコミを入れる。
「丘村さ〜ん、出てきてくださいよ〜。お願いします〜」
「…………」
返事はない。
人の気配はするが、同時に答えてくれそうにない空気も感じる。
「丘村さ〜ん、丘村さ〜ん」
閉じこもった理由も分からない、具体的な方策も持っていない俺は、情けない声で呼びかけることしかできない。
当然、どれだけ呼んでも丘村さんは反応してくれない。
10分ほどノックと「丘村さ〜ん」と「出てきてくださいよ〜」をバカみたいに繰り返し、先に俺が音をあげてしまった。
「あ〜もう!どうすりゃいいんだよ……」
「あれ、どないしたんや?」
聞き覚えのある声に振り向くと、ジーンズとTシャツというラフないでたちの谷部さんが、目の前に立っていた。
36100-1その3:04/09/16 14:16:07 ID:UC+DbTtg
「谷部さん!!」
地獄で仏とばかりに、俺は心底嬉しそうな声をあげてしまったらしい。
「そんな甘えた声出すなや……確か自分、新しく入ったヤツだよな?」
「はい!」
「こんなところで大声出して……何してんねや?」
「あの、実は……」
谷部さんを廊下に連れ出し、事の顛末を説明する。
「ははは!またアイツいじけてんのか!」
「谷部さん、理由ご存知なんですか?」
「いや、確証は持てんけど多分アレやな、ってのは分かるわ」
「さすがですねえ……」
「ま、十何年も一緒におれば、イヤでも分かるようになってまうって」
「凄いなあ……」
こんな状況にも関わらず、俺は素で感心してしまった。
「っと、こんな話してるヒマはないんやな。とりあえず、丘村さんを出さんと」
「そうですね。どうしたらいいんでしょうか……?」
「ええよ、俺にまかせとき」
「ホントですか!?」
「俺が丘村さんの機嫌をとるポイントを教えたる。今度こうなった時は、お前頼むで」
そう言ってニヤっと笑う谷部さんが、俺には本当に仏のように見えた。
「分かりました!ありがとうございます!!」
「よっしゃ。じゃあ行こか」
谷部さんと2人、もう一度あの個室の前へと向かった。
37100-1その4:04/09/16 14:16:48 ID:UC+DbTtg
「ひたすら名前呼んでもあんまり意味ないねん。最初は相手が答えられるように、疑問形で呼ばんと」
そう小さい声で俺に言ってから、谷部さんは個室を軽くノックした。
「丘村さ〜ん。丘村さ〜ん。聞こえてますか?」
おお、番組の時と同じ呼び方だ……!
地味に興奮する俺。
「丘村さん、具合でも悪くなったんですか?大丈夫ですか?」

「…………別にどこも悪くないわ」

5秒ほどの間の後、聞き取れないくらいの小さな声ではあるが、確かに丘村さんの声が聞こえた!
まずは一歩前進だ。さすがは谷部さん……

「じゃあ何でこんなトコにおるんですか?」
谷部さんは、どこか楽しそうな笑みを浮かべながら、さらに疑問形で声をかける。
「そういう気分なんや。悪いか?」
「いや、別に悪くないですけどね……でもみんなビックリするじゃないですか。そうでしょ?」
「…………」

谷部さんが、また俺の方を向いて耳打ちをする。
「絶対丘村さんのこと否定しちゃあかん。それと、『みんなが心配する』ってことを強調するんや。
あの人、責任感は人一倍強い人やから。そこを上手く使うんや」
「なるほど……勉強になります」

「丘村さん、みんな心配してますよ。収録ももうすぐ始まるし。出てきてくださいよ」
「……イヤや」
「またそんなワガママ言って。何でそんなスネてるんですか?」
「…………」
「あの記事のことですか?」
38100-1その5:04/09/16 14:17:53 ID:UC+DbTtg
「あの記事」?
俺は何のことだか分からず、慌てて谷部さんの顔を見た。
谷部さんは、さっきとはうって変わって真剣な表情をしている。

「…………言いたない」
丘村さんのぶっきらぼうな声が聞こえてきた。
「…………俺とサシでやったら、言ってくれますか?」
「…………」
沈黙を肯定と受け取ったのか、谷部さんは軽くため息をつくと、俺の方に向き直った。
「すまん。ちょっと席外してくれるか?」
「え?あ……はい」
「あと、大丈夫やと思うけど、念のため、人払いしといてくれや」
「分かりました」

俺は外に出て、隣の物置から「清掃中」のカンバンを取り出してトイレの前に置いた。
スタジオに向かって歩き出す直前、「開けてくれや」という谷部さんの声が聞こえた。


俺は丘村さんの相手をしていることになっているのでスタジオに戻るわけにもいかず、それから1時間は非常階段に座って過ごした。
最後の2人のやりとりと、谷部さんの表情がどうも引っかかった。
「大丈夫かな、谷部さんと丘村さん……」
39100-1その6:04/09/16 14:18:29 ID:UC+DbTtg
収録20分前。
スタジオに戻ると、ほとんど準備は済んでおり、あとは出演者を待つばかりといった状態だった。
「おお、丘村さん出てきたか?」
俺の顔を見るなり、ディレクターが声をかけてきた。
「あ、それが……その……」
どう説明していいのか分からない。
「お前、まさかあきらめて戻ってきたってことはないよな?」
明らかに不機嫌そうになったディレクターの声に、俺が目をつぶった瞬間。

「100-1さん入りま〜す!」
というスタッフの声がスタジオ中に響いた。
「おはようございま〜す」
いつもと同じ、いや、いつも以上ににこやかに、2人がスタジオに入ってきた。
「なんだ、上手くいってたんじゃないか!何だよびっくりさせやがって!」
ディレクターが笑って俺の肩を叩いた。
「あ痛たた……あれ?」

俺の目に映る2人の姿は、とてもつい1時間前に深刻そうな会話をしていたとは思えなかった。
まず、収録前に2人一緒に入ってくること自体珍しい。
しかも、カメラが回っている時以外はあまり笑わない丘村さんが、満面の笑顔で谷部さんと話している。
丘村さんの顔は、ほんの少し赤く染まっていた……って何で?
そして谷部さんはというと、こちらも丘村さんの言葉に笑顔で答えている。
それは、今まで見たことがないほど優しい笑顔だった。
谷部さんの元にスタイリストさんがやって来て、髪型を整えている。
あれ?さっきはあんなに乱れてなかったはずだよな……

どういうことだ?
40100-1その7:04/09/16 14:19:11 ID:UC+DbTtg
脳内にクエスチョンマークが飛び交い、呆けた顔で2人を見ていると、谷部さんが俺の視線に気づいた。
丘村さんに「ちょっとごめんな」と声をかけて、谷部さんが俺の方に向かってくる。
「さっきはありがとな」
「いえ……大丈夫でしたか?」
「ああ、大丈夫大丈夫。すまんな心配させてもうて」
「あの……『あの記事』って何のことなんすか?」
「あああれか?女性誌の『抱かれたくない男』がどうたらってヤツや」
「へ?」
「順位が上がったのえらい気にしててなあ……それでいじけてたんや」
「そ……そうだったんですか」
「うん、だからそんな気ぃ使わんでええからな」

じゃ、と言ってまた丘村さんのところへ戻ろうとする谷部さんを、声をかけて引き止めた。
「何?」
「あの……あの後どうやって機嫌直したんですか?」
しかもあんなに……という言葉は飲み込んでおいた。
「それは……企業秘密や!」
そう言って、谷部さんはニヤっと笑った。
その顔は、男の俺が見てもドキっとしてしまうほど……何というか、「色気」があった。


谷部さんと丘村さんがじゃれあう様を、今までとはちょっと違う思いで遠巻きに見やりながら、
「やっぱり次も谷部さんに頼むとしよう」と決意する俺だった。
41風と木の名無しさん:04/09/16 14:20:42 ID:UC+DbTtg
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ナガイワリニモエポインツナサスギ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

お目汚し、大変失礼しました。
42風と木の名無しさん:04/09/16 15:13:44 ID:GNuRPqE2
感想一番ノリ ズザー
益々萌え度高まる100-1ワールド炸裂万歳!見事(ノД`)カンルイ
毎回すごく楽しみにしています。てか、リアルでありうる可能性有の所が禿萌(**´Д`)
今度は企業秘密の具体的内容を赤裸々に是非!!(・∀・)pグッジョブ
43風と木の名無しさん:04/09/16 17:44:07 ID:Up6xYsbp
ダークなのもいいけど相方の手のひらで転がる丘村さんもかわええ脳
44風と木の名無しさん:04/09/16 22:49:35 ID:4yAWNqj8
>>24-29
プライドの高い青年がさりげなく主人公に固執してる様に萌え。
偏狭の地で彼のことを思う主人公にも萌え。
この二人が奇跡的にまた出会えるといいけど、
このままずっと会えないというのも切なくて好きだな…
45風と木の名無しさん:04/09/16 22:51:19 ID:l/bNqr9W
>>24-29
萌え.....だけど、萌えというより感動!
こういう新境地もあるんだと目からウロコです。マリガトン!!
46風と木の名無しさん:04/09/16 23:20:51 ID:84c4wGbO
>>24-29
切な萌えですね。グッスン。
>>34-40
谷部さんカコイイ!
47風と木の名無しさん:04/09/17 13:04:08 ID:dcYO/ocR
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  流れに乗って丘高リーダーと愛過多妄想モナ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 関西弁には目をつぶってね
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
48:04/09/17 13:04:44 ID:dcYO/ocR

(うわ…)
あれほど何度も何度も何度も練習したコントの最中、ふと相方が俺しか見なくなった。
(とんどる…)
適当な言葉でつなぎながら丸く開いた目が瞬きもする事無くジィっと俺を見ている。
(そんな見たって俺の顔には台詞書いてませんって…)
幾つも幾つも小さなヒントは出したのにまったく引っ掛かることなく
丘村さんの目は益々ふるふるふるふる不安げに揺れている。
………これは、荒れるで。

「なぁいつまでそれ引きずんの〜?」
「来年までや!!!」
遅くまでラジオやってやっと辿り着いた寝床に
1年の集大成の余韻に浸り損ねた熱い男が陣取っていた。
一緒に大阪に乗り込んだスタッフの一部はまだ飲み会の最中だ。
俺達は朝一で東京に戻る為に今回は大人しくホテルに戻ってきたのだが
結局このおっさんは誰かと語りあいたくて仕方ないらしく俺の部屋に滑りこんできたのだ。
492:04/09/17 13:05:07 ID:dcYO/ocR
「…もぉ…明日早いんですけど…寝る時間無くなるやん」
「ほんなら寝らんでええがな!どのみち俺は今日は眠られへんで!?」
「寝る寝らんはアンタの勝手や・・ちょ、顔だけ洗わせてくれ」
ベッドの上で胡座をかいてる丘村さんのケツの下に引かれたタオルを引っ張り出した。
「なんや、またお肌のお手入れか」
んー。と適当な返事を返しながら洗顔料を洗い落とす。
「あ!!ちょっと、それやらして!!」
バックの中から出した肌のお手入れセットに目をキラキラして飛びついてきた。
「やってみたかってん、いっつもペチペチペチペチ横でうるさいからやぁ…どれや」
「それ、化粧水。でもアンタ綺麗に顔洗ってからやらんと意味無いよ……え?俺に?」
化粧水をたっぷり湿らせたコットンを片手にさも楽しそうに待ち構えている。
「何でや、自分の顔で試したらエエやん」
「嫌や、俺別に肌弱く無いもん。それになんか訳解らんの顔に塗んの、嫌」

ベッドの上に腰かけさせられて、何で相方に化粧水塗ってもらわなあかんねん。
「そーっとやで、ソフトタッチ…………痛、イタタタ」
小刻みに叩く事だけは知ってても、指先に力が入りすぎて下手なビンタくらいに痛い。
「なんや、逃げんなや」
わざとか、わざと痛くしてんのか?
とりあえず痛みから逃げようと布団に倒れこんだはいいものの
座った人間と寝転んだ人間どっちが有利か、言うたらそらまぁ
「へへーマウントポジションや」
座った人間の方がすばやく動けるわなぁ。
「鈍いねん痛みが!!」
「突っ込みと一緒やな音せんかったら痛いだけ〜」
503:04/09/17 13:05:30 ID:dcYO/ocR

「ハァ〜ええストレス発散や」
散々俺の顔に小刻みビンタを繰り返した後満足げな顔でコットンをゴミ箱にほおり投げた。
「どや、お肌しっとり?」
「ズキンズキンしてますわ…も、ええ。そのチューブ取って」
相変わらず俺の腹の上に乗っかったまま小さなチューブを興味深げに見ている。
「鏡も取って」
「塗ったる」
「お断りします」
遊びものになるのは目に見えてる。
「デキモン出来た所にちょこーっと塗るんやろ、何処や」
丘村さんが目を細めて俺の顔をジィっと見てくる。
「あ、ここか。お、ここにも出来とる」
「何でそんな顔近づけんねん…」
「よお見な解らんやろ、これは痕か…ボコボコやな」
さっきとはうってかわって真面目に吹き出物の上に軟膏を置いて行く。
「溜め込むからや」
鼻息のかかる距離で俺の顔を観察しながら、すっと丘村のテンションが下がった。
514:04/09/17 13:05:51 ID:dcYO/ocR
「思い出すな、上京したての頃」
塗り終わった軟膏のチューブを空けっぱなしのバックの中にほおりいれて
バタンとそのままうつぶせに倒れこんだ。
うっと息の詰まった俺の胸に壮大なため息が吹きかかった。
「ほおりなさんな、…ホテル住まいの頃?」
「ん。…最近喧嘩せえへんな」
「元からあまりした事無いじゃないですか」
「そやけど。お前一人で大人になってる感じ」
何を言うとんのや。
「…そら三十路も超えましたし」
当たり触りの無い答えに、丘村さんは満足しなかった。
「お前なんか入学して来た時は俺よりチビでアホやったのに…」
「どないしたんすか、ライブの事そんなに気に病んでんの?」
久しぶりにぶちまけられる本音に少し身構えた。
「ライブ?あぁそれもあったな…トぶわスベるわえらいこっちゃ」
「それもあったな、て何ですの。ありえへん、来年まで引きずるゆうたくせに」
「それはまた後で内々会議や」
「・・・・要らん事言うた」
525:04/09/17 13:06:12 ID:dcYO/ocR
「お前は何時の間にか東京で居場所作ってる。俺はいつまでたっても…馴れんわ」
「帰んの嫌なん?ホームシック?」
「お前、俺が明日東京帰らへんかったらどうする?」
そりゃ、大事な収録日やから…
「一応説得はしますよ、でも無理には連れていかへんな」
「なんでや、俺は要らんのんか!」
「アンタおらんとなりたたへん番組ばっかりや…そやけど俺はもうアンタに無理強いは、でけへん」
むっくり起き上がって俺に真意を見ようとしてる。
「………何やねん。その大人発言は。むかつくわ」
「でも、アンタ来るでしょ。入り時間になったらしれ〜っと来てるのが目に見えるもん」
「…そうやろな」
「せやから、置いて帰ったるわ。しばらく一人でおったらええねん」
「……嫌や」
「どっちやねん」
「一緒に帰る」
ぎゅっとしがみつく腕に力がこもる。
「そうしてください……俺別に重いとか思わへんから」
「なに?」
「向こうで心開けんの、俺ぐらいしか見当たらんかっても俺はうざいとも重いとも思わヘん。
 焦らんでエエねん、それだけ今まで必死にやって来たんから。」
恥ずかしい事言うついでに小さな頭をぐっと抱きしめて見た。
536:04/09/17 13:06:32 ID:dcYO/ocR
「誰やねん…お前…」
「アンタの相方ですやん」
小さい身体に震えが走ったのが解った。
感情を飲みこんだ時のこの人の癖や…こうやって自分を噛み殺すねん。
身体中ガチガチに強張らせて…こっちの息が詰まるわ…
「…苦しい」
もぞもぞと腕から頭を引っ張り出し、力強く深呼吸をする音がする。
顔見なくてもね、声出す前に解るんですよ。
アンタ得にに解り易いからね。
「なら退いてもらえません?苦しさ的には俺の方がキてますよ」
「俺かて骨が当たって痛くてかなわん。痩せ細りやがって寝心地最悪や」
「ほんなら早よ退け!」
「…寝心地悪いけど、居心地はなかなか…ええから」
「……アホか…ならそのまま寝なさいよ。んでケータイなったら起して」
俺の腹の上でしばらくもぞもぞしたかと思うと、満足したのか息が静かに整い始めた。
しもた…寝つく前に布団着せとくんやったわ……。
546:04/09/17 13:07:53 ID:dcYO/ocR
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ナガレニノッテモ モエニハトオシ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
55風と木の名無しさん:04/09/17 13:20:53 ID:S15OKmGF
現在dat落ち中の「勝手に今日萌えたレス大賞in801板」より、転載させていただきます。
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/801/1079984194/
ぐぐるのキャッシュにも残っていなかった為、ギコナビのログから拾ってきました。
いつか、某スレの資料として使わせて頂きたい所存です。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  dat落ちスレの救済に使わせて貰ったモナ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  投下してくれた姐さん、無断転載ゴメソ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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561/7:04/09/17 13:21:34 ID:S15OKmGF
長くて恐縮ですが、とても萌えたので。
今日未明、中東ニュース+板にアイドルが誕生しました。
--------------------

143 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 04:30 ID:BF/08P4h
俺、もう怒ったからな!風呂入ってきちゃうからな!!

189 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 04:31 ID:Sy11PC24
>>143
落ち着けって。だから俺と一緒に風呂入ろうって。

276 名前:143 投稿日:04/04/11 04:33 ID:BF/08P4h
>>189
まじで…?

349 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 04:35 ID:gM1lwcdH
>>276
まじだ。大丈夫。誰でも最初は恐いもんだ。

478 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 04:38 ID:BF/08P4h
>>349
でも俺ん家の風呂せまいよ!
572/7:04/09/17 13:22:07 ID:S15OKmGF
509 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 04:39 ID:WSGpYtAx
>>478
うちの風呂使えよ。
俺も一緒に入ってやるから。

591 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 04:41 ID:nY0PkSg5
>>478
大丈夫だ。もっと狭いとこが好物だし。

598 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 04:41 ID:hi6feClp
>>478>>349
おまいら、とっとと風呂入れ!

778 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 04:47 ID:BF/08P4h
わかった!これからおまえん家に風呂入りに行くから!
ぜったいだぞ

--------------------
【イラク日本人拘束】人質3人、24時間以内に解放…中東TV★7より。
583/7:04/09/17 13:23:31 ID:S15OKmGF
359 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:04 ID:BF/08P4h
いっしょに風呂に入ってくれるっていったのに!
けっきょく俺は一人だ…(´・ω・`)

380 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:04 ID:vZ9Ize0D
>>359
俺が入ってやるって。さあ、脱げ。

422 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:06 ID:BF/08P4h
>>380
だって今、ばあちゃんが起きてきて風呂掃除はじめちゃったんだよ

447 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:07 ID:vZ9Ize0D
>>442
おまえ、まじでかわいいな。マジで一緒に入ろう。

597 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:13 ID:BF/08P4h
>>447
おまえ!レスする番号まちがってるだろ!
もういいよ!ばあちゃん掃除おわってメシ作ってるから、いま風呂入ってくるからな!
594/7:04/09/17 13:24:04 ID:S15OKmGF
776 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:20 ID:BF/08P4h
風呂!!
ばあちゃんがまだ洗ってた!!!

832 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:22 ID:oSrdA10I
>>776
まじで俺とつきあわね?

895 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:25 ID:BF/08P4h
>>832
まだ風呂も入ってないのに!
あ、じいちゃんまで起きてきた!

--------------------
【イラク日本人拘束】人質3人、24時間以内に解放…中東TV★8より
605/7:04/09/17 13:25:06 ID:S15OKmGF
137 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:51 ID:BnUTMSAI
もう、風呂に入ったのか。

178 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:54 ID:BF/08P4h
>>137
はいった。もう掃除されてたから、シャワーだけにしたけど
なんか、構ってくれるやつがいてうれしくて、風呂にはいるの遅くなっちった
ありがとう(´・ω・`)

195 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 05:55 ID:BnUTMSAI
>>178
やっぱり、かわいいな。おい、一緒に寝るぞ。

248 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:00 ID:BF/08P4h
>>195
いまさらなんだけど、だっておまえも、男だろ!!!

276 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:01 ID:KngENrsf
>>248
こんな混乱した世の中なのに今更なにを。
なんでもありだ。

425 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:11 ID:BF/08P4h
>>276
ごめん、だって俺のベッドすごく狭いんだよ!
616/7:04/09/17 13:29:19 ID:S15OKmGF
465 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:15 ID:qiBYb+Fu
>>425
なんだ。まださびしいのかよ。
お前の握っててやるから早く寝ろ。

525 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:19 ID:PlJ5lC43
>>425>>465
ハハハ・・・おまえら何やってるんだ・・・。

536 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:19 ID:qiBYb+Fu
>>525
一緒に寝るか?

573 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:22 ID:BF/08P4h
>>536
(`・ω・´)

579 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:23 ID:qiBYb+Fu
>>573
おまえ女か。

632 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:26 ID:BF/08P4h
>>579
(`・ω・´) ちげーよ!バーカ!!
627/7:04/09/17 13:29:52 ID:S15OKmGF
667 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:28 ID:W/bPUjjG
>>632
かわいいやつだな。ほら、もう寝るぞ?

668 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:28 ID:3glkPbmD
>>632
よかった。バーカとかいうなよ。
ほんと、かわいいな。
俺はもう、寝る。又、機会があれば会おう。
じゃな。

699 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:30 ID:BF/08P4h
>>667-668
…!
おれが相手にしてたのって、一人じゃなかったのか!!

722 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:32 ID:PlJ5lC43
>>BF/08P4h
あんた素敵だよ!!
ちょっと掘れた。

737 名前:月の砂漠の名無しさん 投稿日:04/04/11 06:34 ID:aFPj3Sys
>>699
>>677はニセものだ。むなくそ悪い。
お前を相手してたのは俺だけだ。
俺のもんだ。
本当に寝る。又な。

--------------------
【イラク日本人拘束】人質3人、24時間以内に解放…中東TV★9より
63風と木の名無しさん:04/09/17 13:30:29 ID:S15OKmGF
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オマイラ ニュースハ ドウシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
64風と木の名無しさん:04/09/17 13:50:24 ID:H7OKWbqL
ガンガレーマケルナーオカタカリーダー .・。゚(ノД`)゚・。
マタマタ禿しく イイ!!
谷部もアタイも皆貴方を愛してるぜ。なんか、会話のやりとりがリアリティ増してて場面が自然にうかぶよ。で、朝まで一体ナニをしてたのかと小一時間

萌え度up thx!!!
65風と木の名無しさん:04/09/17 16:31:49 ID:uwt2MnQL
>>56-62
萌え!!!!!!!!!!!!やヴぁいよう。萌え!!!!!!!!!!!
66風と木の名無しさん:04/09/17 17:03:36 ID:NFZq6Irs
>>56-62
あ〜〜〜カワイイ!!萌え。
67風と木の名無しさん:04/09/18 00:32:47 ID:1E8L/Dke
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | 角煮から脳内Zロリ、お土産です。

 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  Kンロン博士とZロリタソだよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
681:04/09/18 00:35:03 ID:1E8L/Dke
「おお、Zロリ。久しぶりじゃな〜」
聞き覚えのある声だがイヤな予感がするので無視したい。耳をペタリと伏せてそのまま行こうとしたが・・・
「コラ、無視するヤツがあるか!」
両手いっぱい荷物を持ったKンロン博士が、立ちはだかった。
「ちょうどいい所で会った。この荷物ウチまで運んでくれんか。」
「え〜?なんでおれさまがぁ?!」
「そう言うな。ついでにメシを食わせてやるぞ。」
メシという言葉に反応しパブロフの犬みたいにヨダレが出てくる。キツネなんだけど。
(そういえばおれさまたち、昨日から何も食べてないなあ・・・)
両脇のIシシとNシシもヨダレを垂らしている。揺れる心に、とどめの一言が来た。
「デザートに、ンまぁ〜〜い あ ん ぱ ん もあるぞ。」
「あ、そうなの?!」
あんぱんは大好きだ。Zロリは目を輝かせて、いそいそと博士の荷物を運んだ。

「ンまい!ンまぁ〜〜い!!このオカズ、じーさんが作ったのか?」
「ん〜。ナカナカじゃろう〜。」
「結婚しようか!!じーさん。」
「フォッフォッフォッ。そんなにうまいか。カワイイの〜〜。これも食べろ。」
空腹は最上のソース。出るものなんでもうまい。三人が我を忘れて食事に没頭する様子を
Kンロン博士は糸のような目でじっと見守っていた。
692:04/09/18 00:36:00 ID:1E8L/Dke
Zロリが我に返ると、裸で液体の中に寝ていた。首だけは出ているので呼吸に問題は無い。
「ん・・・?!おれさまいつの間に風呂に・・・?途中で寝ちゃったのか・・・・・・?」
しかし、ぼんやりした頭でもわかることはここが知らない風呂だということだ。
湯は熱すぎずとても気持ちがいい。気になるのは周りが真っ暗だということだが・・・・・・
照明のスイッチがないか探そうとして手を動かすと何かに軽く引っ張られている感触がする。
 
突然周りが明るくなった。・・・だけではない。天井のスクリーンにKンロン博士が映った。
明るくなって始めてわかったが、ここはカプセルの中のようだ。
「起きたようだの。元気かな?」
状況は理解できたが同時に腹が立った。そういえば、食事の途中から記憶がない。睡眠薬を盛られたらしい。
楽しみにしていた「あんぱん」を食べてないのがなによりの証拠だ。
「ジジイィ!!おれさまのあんぱ・・・いや、そんなことよりIシシとNシシはどこなんだ?!」
「双子の心配ならいらんぞ。そう怒るな。今度作ったカプセル風呂の商品化のためにデータが必要でな。
協力してもらうぞ。風呂は大好きだったな。どうだ〜気持ちいいじゃろ〜?ん??」
「へ?・・・いいって言えば・・・・・いい・・・・かな。なんか体にいろいろ付いてる感触がするけど・・・」
「データを取ると言っとるだろう。心拍数とか血圧とか。すぐ気にならなくなるからな。」
博士の言葉が終わるか終わらないうちに少し湯がうねるような動きをする。
全身に優しくマッサージを受けている状態でうっとりするようだ。・・・・でもさっきからずっと
天井のスクリーンに映ったKンロン博士の視線を感じる。
703:04/09/18 00:37:03 ID:1E8L/Dke
「・・・・・・あまり見られてると恥ずかしいんだけどな・・・・・・・」
「気にするな。データを取ってるだけじゃ。おもいきり気持ちよがっていいぞ。声も遠慮なく出せ。」
「声?あの、オヤジが出す、うィ〜〜〜〜とか、極楽極楽〜〜とかゆうヤツか?」
「そんなもん誰が聞きたいか。こういうマッサージもできるぞ。」
博士の声と同時に今までと違う、より敏感な部分に刺激が加わってきた。
「う・・・・・・うぁ・・・・・そっ、そんなトコ・・・・に・・・」
体を少しくねらせて刺激を散らそうとするが思うように動けない。
「ふ〜ん。すぐ心拍数が上がっとるのう。」
博士の声は冷静だ。
「見・・・・・見てる・・・・のか・・・?」
「しっかり見とるぞ。」
「あぁ・・・っ・・・いやだ・・・・・・こんな・・・・とこ・・・恥ずかしぃ・・・・・」
「気にするな。ところで、Zロリ。」
「んっ・・・・んぁ・・・?」
「この前なあ。ワシが楽しみにとっといたヨーカン食べたのお前か?」
「じーさん・・・・こんな時急に何言って・・あっ・・・あっ・・・・・見・・・・見ないで・・・・・・」
「お前か、と聞いとるんだが。」
突然強い快感が電撃のように体を貫いた。弾みで腰の部分がびくんと跳ね上がり、また湯に落ちた。
「あぁっ!!・・・・・う・・・うぉぉ・・・・お・・・おれさまですぅ・・・・・・」
「ふむふむ。やっぱりのう。」
(いっ・・・いきなり何すンだ・・・あまり急だったから風呂の中に発射しちまったよぅ・・・・・・・・)
あまりの恥ずかしさに頬が染まり涙がにじむ。今のでイッてしまったと言うべきなのか?
「気にせんでもいい。自動浄化システムで、気持ち良過ぎて脱○ンしても大丈夫じゃ。」
・・・・すべてお見通し。Kンロン博士恐るべし。いや、いくら何でも脱○ンはしない。断じてしない。しないんじゃないかな?
71ラスト:04/09/18 00:38:19 ID:1E8L/Dke
「ところでZロリ。倉庫の窓ガラスが割れてたんじゃが、あれはお前か?」
「へっ?・・・・えーと、あのう・・・ちょっと待て!!・・・これ、まさか・・・・・・おしおきマシーんぉわあぁぁぁっ!!!
あ・・・・・・はぁぁッ・・・・・お、おれさまですぅぅ・・・・」
「何を言うとるか。風呂じゃ。風呂。疲れが取れるぞ〜。それにしてもまた何か持っていったな?こりんヤツじゃ。
・・・・・・そういえば、タイマーが一つ狂っていたのう。あれはお前がいじったのか?」
 質問のたびに刺激はどんどんエスカレートしていく。
「出せ!!出してくれェェ!!・・・あぅっ!!・・・・・・あぁあぁあぁ・・・おぉぉ・・・・・おれ・・・・・さ・・・ま・・・ですぅぅぅくぅぅぅ・・・・・」
ここがベッドならシーツでも握り締めるところだか震える手は空しく湯をかくばかりだ。
「えーと、それからなあ・・・」
「・・・うぁ・・・っ・・・・ハァッ・・・・ハァ・・・おれ・・・さ・・ま・・・も・・・・ッ・・・・・もう死ぬゥ・・・・・・・何度目だと・・・思ってんだ・・・・!!」
「・・・・・はて?何度目じゃったかのう。・・・あ、そうそう。あの設計図に落書きしたのお前か?」
「はぁぅッ!!・・・・・・・・・・・くぁ・・・ッ・・・ァァッ・・・・・・ァ・・・・・・・・・・・・・・・!!」
「こら、ヒクヒクしとらんで答えんか!・・・・・・・・・・ふむ。もう喋れる状態じゃなさそう・・・だのう・・・・・・」
などと言いつつ、Zロリが完全に意識を失うまで博士はデータをとり続けたのであった。

 数日後、Zロリは博士からショッキングな宣告を受けることになった。
「あのデータじゃがな・・・・・・商品の参考にはならんかった。・・・・・・Zロリ。お前は敏感過ぎじゃ。」

 データとしては使えなかったが、音と映像は博士のライブラリーに保管され、いつでも視聴可能である。
「この前の泣き顔も良かったが、コレもナカナカじゃのう〜。フォッフォッフォッ・・・」
まさか自分自身も博士の手によっておいしいオカズになっているとは知る由もないZロリなのでした〜。
                                       
                                      (今日のわんこ風に終わり。)
72風と木の名無しさん:04/09/18 00:41:46 ID:1E8L/Dke
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 | |                | |           ∧_∧ Zロリ、博士のオモチャです。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こういうのに萌える私を許して下さい。
7372:04/09/18 01:05:33 ID:1E8L/Dke
言い忘れで連投お許し下さい。
Zロリでは、これを必ず言わねばなりません。

「おそまつさまでした。」
74風と木の名無しさん:04/09/18 07:47:35 ID:CUrQIAbq
>67-73
萌え。もう子供番組を澄んだ目で見られない(w
75風と木の名無しさん:04/09/18 21:46:48 ID:z6xs5zDi
初めまして。ケモノで生ものジャンルなのですが
数字コテが原因で荒れそうなのです。
画像(漫画)で連載途中なのですが、保管サイトのうpろだを
お借りしてもよろしいでしょうか?
今まで秋をお借りしていたのですが…
それともここに秋に投稿した物のアドレスを貼ってよろしいのでしょうか?
ババアですが801とPC初心者なのでしきたりやら勝手に疎いのです。
どうか御指南お願いいたします。<(_ _)>
76風と木の名無しさん:04/09/18 21:48:58 ID:bFwSZR/l
しきたりや勝手に疎くなくなるまでROMしたらいかがでしょうか。
77風と木の名無しさん:04/09/18 23:26:05 ID:B2r0OGBI
>>67−73
乙。
前レスのガオゾロもナイスでした。
78風と木の名無しさん:04/09/18 23:55:27 ID:B2YE1qDe
>75
こちらで聞いてみては。

801板の案内・スレ立て相談所 2
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/801/1093796474/l50


って誘導先に誤爆してどうするよ…_| ̄|  ○ ゴメン
79風と木の名無しさん:04/09/19 00:07:07 ID:iFppWRfE
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >>16の続きみたい。っつーことは100-1パロ?
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ダーク炸裂ですがな!
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
80谷&丘1:04/09/19 00:07:47 ID:iFppWRfE
10分だったかもしれないし、1時間だったかもしれない。
谷部は丘村を抱きしめたまま、玄関に座り込んでいた。
早鐘のような丘村の心臓の音を感じながら、何もできずに固まっていた。
涙はとりあえず乾き、頬の皮膚はひきつったようにカサカサになっている。
腕の中で小さな体が身動きした。
「……」
そして深い溜息。
「足、痺れてんねんけど」小さな声が聞こえてきた。
「……」谷部はとっさに言葉をかえせないでいた。
「落ち着いたか?」
優しい丘村の声。
「………わからへん」
上手く発音できない。谷部の声はまだ小さく震えていた。
「とりあえず、手を外してくれ。痛くなっとるから」
丘村はゆっくり言うと、谷部の腕をふ、と触った。
谷部は頷いて、きつく絡めた自身の両手を外そうとする。
「……。ごめん。あかんねん。これ…」
谷部の指は極度の緊張でガチガチに固まっていた。指が自分のものじゃないように動かない。
「ゆっくりでええから」
丘村はそういって谷部の背中をトントンと擦った。
「こんな子やったかいな、おまえ……」
囁くような小さな声で呟いて腕の中の丘村は息を漏らすように笑った。
「ほんまやな…」
「そうやで」
白くなった指先がやっと外れた。二人の間に冷たい空気がわってはいる。
丘村の目が谷部の顔をかすると、下を向き、パッと離れようとした。
それを捕まえるかのように谷部の腕がまた丘村の背中にまわる。
「……」
流石に丘村も驚いてぎゅっと体中に力を入れた。
81谷&丘2:04/09/19 00:09:18 ID:iFppWRfE
「どうした?」固い丘村の声。
「わからへん」
「わからへん、て。おまえ…」
「……離したないんや」
「……」
「冗談にせんとってよ…」
「……」
「俺、……。せんといて。冗談に」
「じゃあ、どうしたらええんや!!」
谷部の肩を叩くと、丘村は大声をあげた。
今まで聞いた事のない、涙まじりのつぶれたような声だった。
「もう面倒くさい。嫌や。これ以上考えるのは嫌や。」
丘村は消え入るように呟くと、肩を震わせた。
「頭、爆発する…。あかんくなる…」
また追い詰めてしまった。谷部は熱くなった丘村の体を抱いたまま途方に暮れた。
それでもこの腕を外せない自分が酷くずるく思えて。
「お前、抱くんか。俺を。抱きたいんか」
「……」
「俺、男やぞ。セックスできんのか。勃つんか」
「…勃たへん」
「おまえ、言うてることが…」
そういう丘村の口に谷部はぶつけるようにして自身の唇を当てた。
「勃たへんけど、抱きたいんや」
そういって丘村の顎をつかみ唇を開かせると、深い角度で舌を差し入れた。
「んぅ……何を言ってる…ねや…」
丘村は必死に腕をつっぱねるようにして谷部の肩を押すが、体格の違い上、ビクともしない。
夢中で口腔を犯した。
丘村の息のピッチがあがっていく。耳の血管が赤く浮かび上がる。
82谷&丘3:04/09/19 00:10:28 ID:iFppWRfE
「ん……あ、かん……て。ん…ふ」
丘村の睫の濃いまなじりは涙で湿っていた。
「はなせ…やめろや…。頭イカレたんか…オラァ!…は…ん…」
「静かに…せえ……」
言葉とは裏腹に丘村の体はグッタリとなり、顔は燃えるように熱い。
汗で濡れたこめかみがゾクリとするほどいやらしかった。
「感じてんのか…。あんた。感じてんねやろ」
谷部は切羽詰まった声でくり返した。
「何を、寝言いっとんのじゃ…。んっ。俺、風呂入ってへんから…な…」
アホ…と呟く唇を甘噛みすると、丘村は低く呻いて、谷部の体に体重を預けてきた。
やっと唇を離すと、二人の間に透明な糸がひいた。
目を閉じて、肩で息をする腕の中の丘村の小さな顔。
このまま、突然笑い出してもいいし、一発ビンタしてごまかしたってもいい。
こっちかて頭爆発する。
おかしなっとんのや。
腹の中が燃えるように熱い。
83谷&丘4:04/09/19 00:11:01 ID:iFppWRfE
「俺は……なんなんやねん……」
丘村は目を閉じたまま小さく吐き捨てた。
「俺は……。俺かて……っ」
こんなこと言いたくないんやってば…。きっしょいねん…。言葉尻は小さくなって消えていった。
馬乗りになって丘村を見下ろす。
「俺は……」谷部は丘村の肩をつかみ、覆いかぶさった。
丘村は意外なほど真剣な瞳で谷部を睨みあげた。
昔みた、夏休み最後の試合を何故か思い出した。
土の匂い、シャツの匂い。雑草の匂いが鼻を掠めた。
俺ら、なんでこんなことになってんねやろ。
なんでこんなに泣けてくんねやろ。
「あんたをみてると……」
「……」
「あんたをみてると、かなしくて…たまらん……」
丘村の表情は読めなかった。
「かなしくて……でも、それは…」
俺のせいとは違わんのか……。最後の呟きは口の中で消えていった。
谷部の涙が丘村の頬を濡らし、そして唇が静かに首筋を這っていった。
84風と木の名無しさん:04/09/19 00:12:07 ID:iFppWRfE
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ キチクゼメデハナイデスガトチュウデチカラツキマシタスマソw
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
85風と木の名無しさん:04/09/19 00:44:53 ID:eVO6aJgL
>>79-84
キター!!(AA略)
ダーク100-1大好きです!毎回ハアハア&ドキドキしながら読んでます!
弱い谷がたまらない……
続き、楽しみにしてます。
86風と木の名無しさん:04/09/19 01:20:28 ID:e5fdtgl9
>>79-84
続きが気になって日が登るまで眠れまてんが、何か(*´Д`)ハァハァハァハァ
文章の流れや比喩や言い回しがすごく参考になるですな。脳裏に無条件で場面がうかぶから、やはりリアルでもこの二人は楽屋で…と小一時間

GJ!
87風と木の名無しさん:04/09/19 02:33:59 ID:e9iwtsTU
>>79-84
ももももーう、たまりませんー――。゚(゚´Д`゚)゚。
姐さんGJ!GJ!!(感涙)
ここを発見して100-1が再燃し始めました!
仲良しさんなのもシリアスなのも、美味しく頂いております(*´Д`)/lァ/lァ
88風と木の名無しさん:04/09/19 21:34:53 ID:eVO6aJgL
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  またしても勢いに乗って長い100-1パロかモナ!?
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  しかもこの期に及んで2/7/hネタかい!
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ニガテナヒトハスルースイショウ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
釜サワギ〜早朝キマシ試験直前までの脳内補完話でつ。
89100-1その1:04/09/19 21:35:39 ID:eVO6aJgL
まさかここまでとはな……
自分が一番の当事者であるにも関わらず、俺はどこか冷めた目で眼前の状況を見つめていた。
いまだかつて経験したこともない状況。
自分と同等、いやそれ以上のゲイ/ニンたちが一同に会して文字通りのお笑いバトルを繰り広げている。
台本などあってないようなものだ。
仕切りを任された時から、頭の中でいろいろと最悪のパターンを想定してシュミレーションしたりもしていた。
が、それもこれも冒頭の「お笑い怪獣」登場で全て吹っ飛んでしまった。
あまりに思い通りにならない展開に苛立ちを感じ、余計な一言を言ってしまったような気もする。
とにかく流れを戻すことに必死で、ツッコミが冷たいものになっているのも分かってはいた。

「お前、ツッコミが冷たいねん!」

脳天への激痛とともに大先輩からくらったお叱りの言葉は、俺の混乱に拍車をかけた。
冷たいったって、収めるにはこれしかないやんか……!
混乱を収拾しようとすればするほど、事態は悪化しているような気がする。
冒頭から叫びっ放しだったせいか、声も掠れてきた……こんなん滅多にないのに。
どうしたらいいのか分からず、俺はこの場を逃げ出したいと心底思った。
どないしたらええねん……!!
90100-1その2:04/09/19 21:36:16 ID:eVO6aJgL
グッ!
スーツの裾が思い切り引っ張られ、咄嗟に振り返る。
そこには、相方がいた。
本人も結構気に入ってるらしい、ちょっとハズした感じの女装。
このカッコの時は意識して可愛い顔をしているはずの相方の瞳は真剣そのもの。
真っ直ぐに俺を見据える視線の力強さに、俺は一瞬たじろいだ。

「何を……」
してんねん、と小声で言うより早く、相方の唇が動いた。
「落ち着け。尺のことだけ考えろ。無理に収めようとすんな」
静かな、しかし有無を言わせない声で言いたいことだけ言うと、俺の側を離れて混乱の中に紛れてしまった。
3秒ほどの間を置いて、さっきの相方の言葉を反芻する。

落ち着け、か……俺も人のことよう言えんわ。

心の中で苦笑いし、すっと口元を引き締めた。
「はいはい、ええから一回座ろうって!」
91100-1その3:04/09/19 21:36:45 ID:eVO6aJgL
とりあえず前半終了やな……
楽屋でスーツを脱ぎ捨て、缶コーヒーを煽ってため息をつく。
あの後も相変わらずのドタバタが続いたが、辛うじて時間通りに収めることが出来た。
息つく間もなく次のコーナーに入り、Vが入っている今がしばしの休息。
かと言って眠るわけにもいかない。次のコーナーまではあと30分ほど。
少し一人になりたい。ここじゃないところで。
タバコを片手に立ち上がると、奥の非常口に向かった。

こういう異常事態の時は、不思議なくらいにバイオリズムが一致するらしい。
非常階段のドアを開けると、先客が座り込んでタバコをふかしていた。

「何しとんねん」
「それはこっちの台詞や。一人になろう思て来たのに」

ワイシャツ姿の小さな身体が、勢い良く立ち上がる。

「ああええっすよ。俺が戻りますから」
「いや……別にお前やったら気にならんから」

飲むか?という声と共にコーヒーが差し出される。
さっき飲みましたから、と制して階段に座り込んだ。
スタッフさえも滅多に入ってこないこの場所は、とても静かだ。
ライターの音とタバコの燃える音が、静寂の中に響く。
92100-1その4:04/09/19 21:37:20 ID:eVO6aJgL
「さっきは、ありがとうございました」
「何のことや」
「落ち着け、って言うたやないですか」
「……ああ」
「自分がテンパってたら世話ないっすよねえ」
「……あれは、誰がやったってああなるわ。あんまり気にすんな」

そう言うと、丘村さんは缶コーヒーを一気に飲み干した。

「丘村さんに落ち着けって言っときながら、自分がこれですわ」
「…………」
「やんなりますよ、ほんまに……」

やはり疲れているのだろうか、自嘲気味な言葉が口をついて出てくる。
本番前日、異常に緊張している丘村さんに「落ち着け」とメールを送った。
あんまり一人で背負い込むな、絶対俺がフォローするから、と。
返ってきた言葉はたった一言。
「ヨロシク頼むわ」
この一言に丘村さんの思い全てが込められていることを感じて、思わず身震いした。
丘村さんがどんな状態になっても、俺だけは、俺だけはフォローし続けよう、落ち着いていこうと誓ったのに……
このザマや。
93100-1その5:04/09/19 21:37:58 ID:eVO6aJgL
「自分が情けないですわ」
「アホかお前は」
「なっ……」
滅多に吐かない弱音をサラリと返されて、カチンときた。
「なんやそれ。そないな言い方せんでもええやろが」
「するわ阿呆。お前昨日メールに何て書いた?絶対フォローするからって書いたやろうが。
逆もまた然りやろ。お前がおかしなったら俺がフォローする。それがコンビちゃうんか?」
「…………」
「俺のことばっか心配せんと、自分のことも考えろ」
「……すんません」
丘村さんにぴしゃりと言い返されて、グウの音も出ない。


「何や懐かしいな、この感じ」
急にくすくす笑い出した丘村さんをいぶかしげに見つめる。
「高校の頃は、俺がお前を叱ることのが多かったやんか」
「……そうっすね」
そうだった。あの時は俺は後輩、丘村さんは先輩。
試合中、焦って周りが見えなくなった俺に近づき、「落ち着け」と声をかけてくれた。
ハーフタイムに、ふがいないプレーをして落ち込む俺を叱り飛ばしたこともあった。
関係が「相方」に変わって、東京に出てきてからはそういうことも少なくなっていたのだが。
「あん時は、まさかこの年までお前と一緒におるとは思わんかったけどなあ」
「……そうっすね」

それきり、お互い黙り込んだ。
94100-1その6:04/09/19 21:38:31 ID:eVO6aJgL
俺は、高校時代から今までのことを思い返していた。
憧れの先輩で、一番仲の良かった丘村さんをこの世界に誘って15年近くになる。
誘った時は、自分たちがここまでになるとは思っていなかった。
丘村さんと2人、楽しいことをやれればそれでいい。
それだけやったのにな……
今じゃいろいろなことに振り回されて、苦しい思いもたくさんして。
それが嫌というわけでもないけれど、たくさんの大事なものをどこかに置いていってしまったような気がする。

違うか?丘村さん……。


「……ほんまはな」
それまで黙っていた丘村さんが急に話し始める。
「あの時、俺もテンパってたんや」
「知ってますよ」
「いや、そうやなくて。お前が……秋刀魚さんにどつかれたやろ?
あん時、俺カーッとなってもうて……相方どつかれて、腹立ったんやろうなあ。
よっぽど秋刀魚さんに噛み付いたろ、と思ったんやけど、余計収拾つかんと思ったからやめたんや」
「…………」
「それでも、お前が秋刀魚さんにどつかれたせいで混乱してんの見るのが辛くてなあ……
俺まで泣きたくなってもうて。だから何もできんかった。お前に声かけるので精一杯やったわ」
ゲイ/ニン失格やな、俺……そう呟くと、丘村さんは小さく笑った。
95100-1その7:04/09/19 21:39:15 ID:eVO6aJgL
この人は…………

思うより先に、体が動いた。
丘村さんの肩を引き寄せ、思いきり抱き締める。
俺の胸にすっぽりとおさまった丘村さんは、突然の出来事に身体を強張らせた。
「何やねんな、いきなり」
それには答えず、抱き締める腕にさらに力を込める。
参っている俺に何を言っても無駄と思ったのか、やがて丘村さんは力を抜いて俺に身体を預けた。

「好きや……」
「……そうか……」
「あの時、丘村さん誘って良かった」
「…………」
「丘村さんで……ほんまに良かった」

腰が折れてしまうのでないかと思うほど、強く強く抱き締める。
ネタでも何でもなく、「このまま一つになれたらええのに」と思っている自分に驚いた。
96100-1その8:04/09/19 21:39:48 ID:eVO6aJgL

どれくらいの時間が経ったのだろう。

「……感極まるには、まだ早いで」
言いながら、丘村さんがそっと俺の腕を抜け出した。
じっと俺の目を見据える瞳。
「ここから先は、お前が頼りや」
「…………」
「俺がどんな状態になっても、お前だけは普通にしててくれ。いつものようにしててくれ」
「……分かってます」
丘村さんの真剣な表情を直視することができず、俺は丘村さんに背中を向けて、タバコや空き缶を拾い集めた。
「ボクシングで万一のことがあったら、骨ぐらいは拾ってくれや」
「またあんた、縁起でもないことを……」
冗談めいた言葉に振り返ると、予想していなかった丘村さんの真っ直ぐな瞳があった。
思わず、口をつぐむ。
「100パーセントないとは言い切れんやろ」
「…………」
「そん時は……頼むで」
「……はい」

改めて、この番組と、最後のボクシングに賭けている丘村さんの覚悟を感じた。
今の俺が、丘村さんのためにできることは……見守ることくらいやな。
いつものように、がんばる丘村さんを見守ること。
それが、俺の仕事であり、俺の一番の喜びやから。

俺達は、それから何も言わず、ただ静かに時が流れるのを待っていた。
97100-1その9:04/09/19 21:40:24 ID:eVO6aJgL
「谷部さ〜ん、丘村さ〜ん」

俺たちを呼ぶスタッフの声が聞こえる。
2人揃って姿が見えないものだから、さすがに心配したのだろう。

「……ハーフタイム終了、ってとこやな」
「上手いこと言いよりますね」
何時間ぶりかに口をついて出た「らしい」やりとりに、ニッと笑いあう。

長い長い後半戦も、2人でなら乗り越えられる……
そう素直に思えたことが、この「ハーフタイム」最大の収穫だった気がする。
もう、大丈夫や。絶対に。

「行くで」
「はい」

非常口のドアを開け、歩き出す丘村さんの背中を追いかける。
15年の時を経ても、あの頃と変わらない丘村さんの背中を見つめながら、俺はそっと微笑みを浮かべた。
98風と木の名無しさん:04/09/19 21:41:50 ID:eVO6aJgL
 ____________
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ シャレニナランホドナガスキヤw
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コレカラハヒトリデコソーリミマツ…
99風と木の名無しさん:04/09/19 21:45:55 ID:3W1pfgdP
>>84-98
リアルタイムで萌えさせていただきました…vv
100-1の仲の良さが素敵ですハァハァ
激しくGJ!!
100風と木の名無しさん:04/09/19 21:46:00 ID:h70EuEop
>>88-98
今リアルで読ませていただきました。
投下と同時に読める幸せ噛みしめてます。
グッジョブです!!ゴチになりました。
101風と木の名無しさん:04/09/19 21:47:32 ID:3W1pfgdP
アンカー間違(ry
すみません…
102風と木の名無しさん:04/09/19 22:27:16 ID:ba3rUvFJ
>>88-98
神よ!
なんつうか、もう読めて幸せです(*´Д`)
>コレカラハヒトリデコソーリミマツ…
そんな殺生な!
103風と木の名無しさん:04/09/19 23:40:01 ID:e9iwtsTU
>>88-98
姐さんお疲れ様です!
そして激しく(´∀`)b グッジョブ!!
頼り頼られな二人の関係にうっとりです(*´Д`)
104風と木の名無しさん:04/09/20 04:59:18 ID:d20xbWkT
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  今なおしつこく大層、水鶏と※田です
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ×ではありません
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ トリゴハン?
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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むしろ嫌がらせに近いけど、ネ土會人大会の好成績を祝して初書き。
限りなく人の良さそうな水鶏&ほにゃらかキャプ〒ン@五厘前の合宿、そんなつもりです。
ご本人さん達はもちろん、イメージ等違和感のある方々、ごめんなさい。
105:04/09/20 05:01:35 ID:d20xbWkT
「きのうな、みんなで金メダル獲る夢みたわ」

おお、なんて頼もしい。
僕は思わず破顔して彼を振り向いたけれど、不思議なことに彼は浮かない表情を浮かべていた。
一瞬だけ、器用にも唇の端をわずかに下げてわらってみせると、彼はそのまま僕からキョトリと
視線をはずし、甘すぎる飴玉で喉をヤラレたみたいな掠れて揺れる声で、でも、と続けた。
「よう見たら、ス口ットのメダルやった。銀も銅もふつうのやのに、オレら6人だけス口ットのやねん」
今度は単純に笑ってしまいそうで、僕は口の辺りのむずむずと懸命に戦っていた。
彼の表情の本当の意味がよくわからず、でもいつになく急いで言葉を続けようと
しているのだけはよくわかったから。
「みんなは気ィ付いてなかったけどオレは分かってて。めっちゃドキドキしてた。
どうしよ、どうしよ、て。取材とかされてカメラ向けられても、そんなメダルよう見せれんやろ?」
ペカペカ光るスロットのメダルを首に、カメラに向かって能天気に笑う僕自身を想像してみた。
目の前の人をのぞく全員の姿を想像してみた。…なんてバカっぽい図なんだろう。
どうしよう、はこっちのセリフだ。

「でもやっぱりバレて、監督もコーチも協会の人も、えらい騒ぎになんねん。
したらな、どっかの偉い人が出て来て、それは※田のせいです、て。
マイク使って、ガイジンさんやのに日本語でそう言うとった」

ああ、と。僕はやっと合点がいって、上がりっぱなしだった口角を少しだけ元に戻す。
消えてゆく笑いが、あまり深刻なスピードを持ったりしないように。
へんに過剰な真顔になってしまわないように。
彼は相変わらず、その立派な腹筋が己の出番を泣いて乞いそうなほど
力の抜けた長閑な声で喋り、僕を伺い見てふにゃりと笑ってみせもしたけれど。

106:04/09/20 05:06:54 ID:92EA6dtW
「ほんとにもう、ごめんなさいごめんなさい、て泣きそうなって目ぇ覚めたわ」

ああ。

ああ、そんな夢なら僕も知っている。

立ちはだかる明日の背中に拒絶されて、過去に追いつかれてしまいそうになる夜に見る夢だ。
もうこの身体には、なんの力も可能性もないんじゃないかと思うような朝に思い出す夢だ。
指の、爪の先までがずっしり重たくて、溶けかけた鉄か何かみたいにベッドに沈んでゆきそうで。
苦しくて悔しくて、腹が立って仕方なくて、でもかなしくてさみしくてたまらなくなるんだ。
気まぐれにやってくるそれは、悲劇的に滑稽なカタチをしてたりするから、誰かに
面白おかしく話して聞かせるのもいいだろう。だけど、それでも、置き土産で
突き刺さった不安は、笑い声にのせて転がすにはいびつすぎて
時々どうしようもなく怖くなる。そんな類の夢だ。

彼の視線は、言葉のあとに続きそうなため息の代わりに落ちてゆく。返す言葉を探すほんの
わずかな合間をごまかすように、つられたフリで僕も少しうつむいた。丁寧に整えられたきれいな
爪をした彼の指先が、やっぱり何かをごまかすように緩く閉じたり開いたりをくりかえしている。
後悔や焦燥でやきもきする子供のようで、それを見たら何故だか少し落ち着いた。

「でもメダル、金色だったんですよね?」
結局、僕のなかには小洒落た言葉なんてなかったけれど、宙を跳ぶ身体ほどに
器用な言葉なんてもともと僕らには縁遠いものだから、それを特別残念だとは思わなかった。
107:04/09/20 05:09:40 ID:92EA6dtW
かつてはあらゆる誘惑にひっぱられ、練習だとか努力だとか、僕にとってはすべてみたいなものを
全部こぼしたみせた天才の手が、まるきり切羽つまった凡人みたいにキュッと拳をつくる。
視線をあげれば、温和そうな目が瞬きを忘れて僕を見ていた。閉じたままの唇で、うん、と
小さく答えた彼は、慌ててもう一度、うん金色やった、とつんのめるような声音で言った。
「こんな、…スロットのやから、こんなちっさいヤツやったけど」
ひどく神妙な申し訳なさそうな顔で、指先に輪っかをつくってみせるものだから、
僕はとうとう声を出してちょっと笑ってしまう。輪っかの大きさが、妙に精巧に見えた。
「小さくても金なら、縁起が良いじゃないですか」

その指先が今はもう煙草を挟むことも、ギャンブルに傾倒しすぎることもないのを皆が知っている。
その手は、神経をいっぱいに張り巡らせて、たとえば弾む床を、駆け出した先の小さな面積を、
しっかりと捉える。ポメノレを厳密に行き来して、頼りないほど揺れるふたつの輪や撓るバーを
最後の藁みたいに必死で握り締める。何ひとつこぼすまいとする人間の、切実な手だ。

「縁起、ええんかな…?」
「はい、縁起がエーです」
代表入りが決まった僕の肩を引っ掴み、背中を叩いて祝福してくれたその感触を覚えてる。
匕サシ、一緒に行けるなあ、がんばろなあ、と繰り返し言った声の調子を覚えてる。

どこかきょとんとした表情の彼を見て僕は笑い、だーいじょうぶですよ※さん!と
彼のぶんまで腹に力を入れて歌うように声を張った。肩のバッグをしょいなおしながら
自然、金かぁー金はイイっすねぇー、とご機嫌でひとりごちて歩き出す。

108:04/09/20 05:13:57 ID:1yJc+jrD

大丈夫ですよ。

なんてありきたりな!なんてつまらない!誰かはそう言って哂うかもしれない。
だけど仕方ないじゃないか。何に勝とうとして、何に負けまいとしてるのか、僕達はもう
とっくに気付いてる。うっかり立ち竦んでしまった心許ない足を、どうにか望むほうへと
動かしたい時、心底から求めるものなんて、大きな水たまりを飛び越える子供達が
繋ぎあう掌と同じで、つたなくてひたむきでシンプルこのうえない。

大丈夫。何度だって言おう。
這いずり回って苦しむ僕を包んだ、熱っぽく真剣な幾つもの眼差しを思い出しながら。
このスローペースな天才に言ってあげよう。だって彼もまた、僕に教えてくれたんだ。
もがくように重ねた僕の過去の一瞬一瞬は、正しく、今へと続く道だったのだ、と。
泥臭く、じりじりと一歩ずつ、さらにその先へ進んでゆくことだけがすべてだ、と。
穏やかに整った顔を歪ませて、一度投げ捨てたものをかき集めるひとりの天才を、
あるいは歯を食いしばって不器用に未来を手繰り寄せる多くの努力家達を、
一体どうして惨めだなんて言えるだろう。それらはどちらも、等しく何にも勝って
誇れるものだと、もはや揺るぎない意志の確かさで彼は教えてくれた。

それに実際、彼も僕に言うのだ。反復練習が苦手なくせに、これでもかと
失敗をくりかえす僕に付き合って何度でも、まっすぐな目で、飽きもせずに。
――大丈夫や、匕サシ。大丈夫。
それはまるで、僕以上に僕を信じているような響きで。
未完成な技の途中、無防備に身体を放る瞬間、回転する重力と無重力のさなか。
僕はふと心の中で、その響きの力強さをなぞるように唱えてる時がある。
109:04/09/20 05:16:41 ID:1yJc+jrD
歩き出した僕の後ろでぼんやり何事か考えている様子だった彼は
それなりに納得したのか、最後の音を伸ばして僕の名前を呼び、隣に並ぶと
肩をぶつけてきて切り替え完了とばかりに子供っぽく笑った。
「選手邑、同じ部屋だとええなあ」
「僕と一緒じゃないとさみしいですか」
「そんなんちゃうよ〜。匕サシならこきつかえるからに決まってるやんか」
「ひどっ!鬼ですね、鬼嫁並みですね、鬼※って呼びますよ?」
本当は、悪い冗談のような上下関係を誇る大学にいた僕にしてみれば、
この人の先輩っぷりなんて縁側で眠りかけたおばあちゃんみたいなものだけど。
「あ、でも※さんはナ才ヤさんとかもしれませんよ、上ふたりってコトで」
「んーそれはないんちゃう?コーチとかが心配しそうやし」
「な、なんでですか?」
「だってナ才は気ぃ遣ってくれてるけど、ほんとはオレのこと苦手そうやもん」
「………う、わー…」
「なんやの、その反応。やっぱりナ才、なんか言うてた?」
「…いえ、別に」
「じゃあ、なんなん?」
ありえない場所に着地させられて狼狽するナ才ヤさんの顔が、くっきり見える。
僕はもう、なんなんなんなん言う彼を置いて、うわーうわー言いながら早足だ。
追ってくる彼をかわして、途中からは不恰好でヘタクソな競歩の真似だ。
最後の頃には、エスカレートして得体の知れないグネグネの動きになった僕が
逃げる彼を追い回す形になっていたけれど、それはまあ敵討ちみたいなものだ。

そうしてバカみたいにふざけて辿る宿舎までの短い距離、僕らの笑い声はちゃんと明るい。
笑う理由なんて楽しさ以外に知らなかった頃のようなその明るさが、僕はひどく嬉しかった。
だって、何かから目をそらしたいからだとか、やるせなさへの抵抗だとか、そんなわらい方も
お互いにもう充分学んでしまった。だから含みのない明るさがとても嬉しくて、僕の腰使いに
対して下された失礼極まりない『気色悪い認定』も、そんなに気にならなかった。
1106・オワリ:04/09/20 05:22:39 ID:Kwfc6NVr

時々ちょっと不安になったり落ち込んだり。そこそこの孤独や痛みのなか、
精一杯の練習をして、前を向いて、上を目指して。立ち止まってしまいそうでも
決して地道な歩みを諦めたりはしない。無骨で小さなその足取りを恥じたりしない。
自分自身を信じようとする気持ちがグラついてしまったら、自分を信じてくれる仲間を、
ただまるごと信じてみればいい。

だから※さん、もしまた同じ夢を見たら、どうかもうちょっとだけ。
もうちょっとだけ目を覚ますのを待ってみたらどうだろう。
あなたと一緒にいる夢の中の僕達は、たぶんこう言うはずだ。
 『だいじょうぶ!これは、絶対に金メダルだ!』
監督もコーチも協会の人も、偉いガイジンさんも、テレビのカメラも取材陣も
みんな言いくるめてやろう。僕達は最高のチームだから、きっとうまくいく。
奇抜な誤解をされてる生真面目なあの人だって、精悍な眉を寄せて、
しどろもどろになりながら頑張ってくれるはずだ。もしかしたら誰よりも。
大丈夫。眠りの中にみる金色なんて、ニセモノでかまわない。
願うものに手を伸ばす方法には欠片の偽りもないから。容赦がなくて、
だけど素晴らしい現実を、いつも通り、僕らは僕らのままに、歩いてゆこう。

今日も明日も、明後日も、醒めない夢をつかむその日でさえも。
きっと僕らはただ一点を、神聖なものみたいにみつめて小さく静かな呼吸。
祈るようにこすり合わせた掌、夕ンマの粉を、命を創った神様と同じ仕草で一吹き。

あとは、その白が舞いあがるよりも軽ろやかに、世界を駆け上るだけ。
111風と木の名無しさん:04/09/20 05:26:21 ID:Kwfc6NVr
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ナマヌルクテモウタエラレナイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
偉大なるナ才ヤさんにもごめんなさい。おじゃましました。

112風と木の名無しさん:04/09/20 07:53:45 ID:fZiacYbg
>>104
良かったです。
ほんと良かった。
ますます水鶏たちのことが好きになりました。
113風と木の名無しさん:04/09/20 08:58:56 ID:ZjK661jg
>104
いい…ものっそいかわいい!
スゴい、なんか色々揺さぶられました。こんな鶏さんなら惚れる。
114風と木の名無しさん:04/09/20 09:39:01 ID:xIiVqqm2
直/也さんw・・・・これはこれでイイ!
鬼※とかいいつつも、やはり癒されますねー水トリは
GJ!>>104
115風と木の名無しさん:04/09/20 14:40:38 ID:xb3mivnR
>104
水鶏さんの優しさにホロリ(ノД`)
読ませるものがあってスゴイ!GJです!

はやく誤解が解けるといいね束w
116風と木の名無しさん:04/09/20 17:24:39 ID:lWypxokd
ナ オ ヤさんと聞いて何か感じるものがあると思ったら真/珠/夫/人_| ̄|○
ともあれ>104さんGJです。癒し系水取りいいなあ…
117風と木の名無しさん:04/09/21 11:48:57 ID:N8VWXzmW
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  角煮のおみやげ脳内Zロリです。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ゲストキャラと話がオリジナルです。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ストックオオイカラペースハヤッ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
原作をまったくご存知なくても大丈夫ですが
パロの意味があるのかないのかと小一時間…
しかも長いので前後編でスミマセン。
1181:04/09/21 11:50:22 ID:N8VWXzmW
 「海。果てしない命の宝庫。……かあ。だったら魚くらいナンボでもいるだろうに、なぜに取れないのかな??」
「せんせハラへっただ〜〜〜〜ァァァ。」
「おれさまも〜〜〜〜ォォォ。」
おとといから食事らしいものをしていない。なんとかここで魚でも獲って・・・と思ったが、
ハラペコで動きが鈍った三人には簡単な仕事ではなかった。もうヘトヘトだ。

 一休みしていると、波の音に混じった、か細い音にZロリの耳がピクリと反応した。
「ん……?!泣き声…だな。」
「Zロリせんせ!!岩陰にカメの子供を発見しただあ!!」
「ママ……ママ……」
泣きじゃくるカメの子。あたりに他のカメの姿は見えない。
「ママとはぐれたのか…」
ママという言葉に弱いZロリはすでに涙目だ。
「ぃようぅぅぅぅしッ!おれさまがママをさがしてやるぞぉ!!……でも今ハラ減って力出ないからちょっと待っててね。」
Zロリはやさしくカメの子を懐に入れた。
「場所を変えよう。」
1192:04/09/21 11:51:29 ID:N8VWXzmW
岩場を歩いていると、IシシとNシシが平たい鼻をヒクヒクして、叫んだ。
「うんまそ〜なニオイがするだああ!!」
「ホントだ!!たまんねえ!!」
「お、そういえば……」
Zロリもそのニオイを嗅ぎつけ、スンナリと高い鼻をヒクヒク動かした。
目の前に開けた岩場の上に、ご馳走の山が出現した!!
あたりに人影は………ないようだ。
「うっわ〜〜!!いっただきま〜〜〜〜〜〜〜す!!」
三人は転がるようにご馳走に駆け寄り思いっきり食べた。

「こらあっ!!お前らなんてコトするんだあ!!」
いきなり甲高い大声が響くと、Zロリの頭にずしりと何かがめりこんだ。
不意をつかれてその場にしりもちをつき、脚を広げて座り込んでしまうZロリ。
両側から、IシシとNシシが助けようと駆け寄った。

岩場をヒラリと飛び越えて現れた人影が正面に仁王立ちしている。
「祭壇のお供えに手を出すとはバチあ……ぎゃああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
いきなりすさまじい悲鳴と共にその若者はZロリの鼻面を蹴り上げ、持っていた棒でめちゃくちゃに殴った。
最初の一撃ですでに気絶状態だったZロリは抵抗できない。あまりの迫力にIシシとNシシは立ち尽くしている。
やがて殴りつかれて肩で息をしながら……その若者はこう言った。
「やだっ!!あたしったら…………ごめんなさい!!」
IシシとNシシがボロ雑巾のようになったZロリを見ると……大きく開がった両脚の間から、
カメの子が首をのばしてこっちを見ていた。
1203:04/09/21 11:52:39 ID:N8VWXzmW
若者……いや、少女はおわびにと三人を家に連れて行った。そこは都合のいいことに小さな病院で、
出迎えた両親はZロリのキズの手当てをし、食事も出してくれた。

「お怪我をさせてすみません。遠慮なく召し上がってください。」
「はあ………いや、おれさまたちもお供えものを食っちゃって…。」
「包帯姿が痛々しいだ。せんせ…」
「うちが医者だから良かったけど・・・あまり乱暴してはいけませんよ。」
「ごめんなさい……」
「あん時はアレがナニに見えちゃったんだからムリないだよ。」
「ホントのミニZロリはあんなに大きくないだよ〜。」
「おまえらぁ!!いいかげんにしろ!!ったくもぉ…それにしてもあれ、すごいご馳走だったなあ。
なんかお祭りでもあったのか?」
「あれは……あの量を毎日そなえるようにと。神官が。」
「ずいぶん大食らいな神様だな。」
主人は言いにくそうに言った。
「この海の神は、荒ぶる神で。神のご機嫌を損ねると大変なことになると。」
「そういえば、魚がちっともとれなかったな。」
「神官は、神のご機嫌を損ねないよう、貢物をきちんとせよと。生贄も年に一度必要です。」
貢物と聞いてZロリの目がキラリと光った。

(うまいこと貢物だけ手に入れてZロリ城の資金に……ニヒヒ…いけるぜこれは。)
1214:04/09/21 11:53:53 ID:N8VWXzmW
 しかしカメのママ探しも大切だ。あまり長居はできない。
「生贄の儀式っていつだ?」
急に母親が泣き出した。
「どっ、どうしたんですかママさん?!誰だ泣かしたのは誰だ!!コラァ!!ひょっとしておれさまか??おれさまなのか?!
わああああああああああああ!!ママを泣かすなんて!!!おれさまのバカバカ!!!」

 怒ったり泣いたり忙しく取り乱すZロリに、父親が説明した。
「儀式は明日なんです……そしてこの子が今回の…」
「女の子なのに……なにも行かなくても……あなたまでいなくなったら…母さん……」
「母さん心配しないで。兄さんはきっと生きてるわ。確かめるには生贄として神殿の奥に入るしかないの。」

(生贄になった息子さんがいるのか。会わせてあげたい。ママさんの喜ぶ顔が見たい。)

 Zロリはすっくと立ち上がると、ビシッとポーズを決め、力強く言った。
「安心して下さい!!おれさ……あ、いや、わたしが力になりましょう!!
申し遅れましたが、かいけつZロリただいま参上!!」

「包帯姿でもカッコいいだ!!せんせッ!!」
1225:04/09/21 11:55:01 ID:N8VWXzmW
 陽が沈むと生贄の少女は海辺の暗い洞窟におごそかに運ばれた。
足元までかくれるローブに身を包んだ神官が娘の前に立つ。
「そなたが今年の生贄となる者か?覚悟はできておるな。」
ZロリとIシシ・Nシシは岩陰に身をひそめ息を殺していた。
(神官のスキを見てあっちの道から侵入だぞ。) (わかっただ!)
神官は少女に近付き軽く体に触れた。
「…はて、生贄は男のはずだが?!」
少女はハッとなって体を硬くした。
「女か?!女なのだな?!神を欺こうというのか?!不埒な!!」
Zロリは一瞬何が起こったのかわからなかった。
(生贄は男限定ってことか?!)

ぶう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッツ!!!

不意に間の抜けた大きな音が響く。Nシシのおならだ。
(緊張してやっちまっただあ〜〜〜〜〜)
「誰じゃそこにいるのは!!!」
神官は叫ぶと同時にハンマーを振るった。Zロリたちが隠れていた岩は鼻先で粉々に砕かれた。
もう数センチずれていたら確実に顔がえぐられていた。
…………なんだかズボンの前がちょっとぬれた気もする。
1236:04/09/21 11:56:56 ID:N8VWXzmW
神官は固まって見上げている三人をしばらく見下ろしていたが、Zロリに視線を固定し、目を細めて言った。
「ほう。これは…なかなか美形のキツネ殿だのう。そなたなら我が神もお喜びになる。」
「せんせ、美形だって。」
「それほどでもあるぜ…って言ってる場合か?!それって、おれさまが生贄ってことかぁ??
いやっ、おっ、おれさまそんなつもりは……うわっ!!」
神官はすばやくZロリの体を抱え込んだ
「はなせ!!あっ…ソコはっ…ソコはぁっ………あぅっ!!」
「んん〜〜〜?感じているのか?ほう。ここはどうかな〜」
「くっ!!うぁ…やめろ…っ!!」
「………なるほど。これは大変感度がいい。楽しめそうだ」
「やんっ!!……ア……やめ…(楽しめそうだって何だコラ!!)」
「ああっ!!せんせが危ないだ!!いろんな意味で!!」
「オラが…オラがあの時オナラしなければ…………こんなイイトコ見れなかっただあ!!」
ヨダレをたらして見とれているIシシとNシシに神官はウンザリとして言った。
「もう良い。そなたたちは即刻立ち去れ。」
「ま、待ってくれ…あっ…あんッ…」
「キツネ殿。そなたは今年の生贄。今すぐにわしと奥へ。」
神官はそう言いながら数箇所の敏感な部分を同時に刺激し続けた。二本の腕でZロリの体を固定したまま……??
では、この体じゅうをまさぐるものは…………?
「お別れくらい…ぅ…させてくれ……Iシシ、Nシシ。うぁ…カメの・・ママを。んぅっ……ぁ…た…っ
コラ!!少し触るのや…ッやぁ…ッあっ…あんっ……あぁ〜〜〜〜〜〜〜ッ…………はぅぅ!!」
「せんせ〜〜〜〜〜〜〜!!せんせ〜〜〜〜〜〜!!」
「Zロリさ〜〜〜〜〜〜ん!!

To be continued.
124風と木の名無しさん:04/09/21 11:58:56 ID:N8VWXzmW
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧  こ、ここで引きて…………
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
おそまつさまでした。
125風と木の名無しさん:04/09/21 19:19:25 ID:uG+aJDGh
>>117-124
おあずけですかー○| ̄|_
続きが気になって眠れそうにありません…GJ!
126風と木の名無しさん:04/09/22 01:38:54 ID:8lyNWOtH
>>104
亀レスだが、鶏ご飯ワラタ。
1271/4:04/09/22 20:44:39 ID:o1Y3cSRq
「おはようございまーす!」
広いとは言えないような事務所の中に、末丘の声が元気に響きわたる。
「あぁ、おはよう。」
だが、その声に対してのヒト休の反応は酷く小さい。
「ヒト休先生?」
末丘が更に奥へ進むと、ヒト休は来客用のソファに身を埋めていた。
「せっかく来てもらってなんですが、今日は休みにしようと思ってましてねぇ。」
「また番組の観覧ですか?」
「違いますよ。」
ヒト休は覆うように顔に手をのせた。
末丘はソファの背もたれに寄りかかってヒト休を見つめる。
「あまり体調が優れないんです。」
ヒト休の声はかすれていて、いつもの余裕が無い。
1282/4:04/09/22 20:45:30 ID:o1Y3cSRq
「風邪ですか?」
末丘はヒト休の手をどけて、その顔を覗き込む。
そして、自分の額をヒト休の額に押し付けた。
「ななな何ですかっ!?」
焦ったのはヒト休である。
「何って、熱測ったんですよ。あぁやっぱり少しあるみたいですね。」
間近で話す末丘に、ヒト休の顔は真っ赤になった。
それを察した末丘は、にやりと意地悪く笑うと顔を離した。
「ほら、顔真っ赤ですよ。」
「熱のせいですよ。」
ヒト休は末丘の視線から逃れるように帽子を深く被った。
「早く治さなくてはいけないのでもう寝ます。とにかく、もう帰っても構いませんよ。」
末丘はやれやれとため息をついて、立ち上がった。
ふと、時計に目をやる。
1293/4:04/09/22 20:46:04 ID:o1Y3cSRq
「風邪を早く治す為の方法、やっとわかりましたよ。」

おどけたように、末丘は肩をすくめる。
「恥ずかしながら、15秒も掛かってしまいましたがね。」
末丘の言葉に、ヒト休は体を起こした。
「何ですか?」
末丘はニヤリと笑って、ヒト休の側へ座り込んだ。
そして、ヒト休の肩をつかんで引き寄せ、口付けた。
ヒト休の目が見開かれる。
末丘は気にせずそのまま舌を差し入れた。
「んんっ!!」
ヒト休は苦しそうに眉間に皺を寄せたものの、大した反撃もせずにそのまま身を任せていた。
1304/4:04/09/22 20:46:37 ID:o1Y3cSRq
互いの口が離れた後、ヒト休は潤んだ目で末丘を睨む。
「…何のつもりですかっ?」
「いや、実に簡単なトリックですよ。僕にうつせば早く治ります。」
「何を馬鹿なことをっ…。」
ヒト休は耳まで真っ赤にして、顔を伏せた。
末丘はヒト休の顔を両手で包んで、上を向かせた。
「ほらほら、休んでちゃ駄目ですよ。早くうつさなきゃ。」
そして二度目の、風邪のせいだけではない熱いキスがヒト休に降ってきた。

名探偵ヒト休には、一休みする時間も無いらしい。
131風と木の名無しさん:04/09/22 20:47:05 ID:o1Y3cSRq
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ マニアックスギル…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

昨日放送された「5/分/で/解/け/る/ミ/ス/テ/リ/ー」の「松/岡/助/手×一/休/探/偵」です。
本当にマニアックすぎてすいません。
そしてsage忘れスマソ。
132風と木の名無しさん:04/09/22 21:02:00 ID:fSxz5osl
>>127-131
恥ずかしながら禿げ萌えた…!GJ!
133風と木の名無しさん:04/09/22 22:27:57 ID:VD1SCLl+
>>127
萌えました!
ヒト休みさんかわいすぎだよ〜(*´∀`)
134風と木の名無しさん:04/09/22 23:22:26 ID:9mi/Y1RF
遅レスですが

>>24-29
めちゃくちゃ萌えた…つか純粋に面白かった!
気がむいたら、別視点からとかも読ませてくだされ。
135風と木の名無しさん:04/09/22 23:37:43 ID:rLBg4CKh
>>127-131
GJGJ!一/休/探/偵(*´Д`*)モエー
136風と木の名無しさん:04/09/23 00:04:47 ID:jiWbQRW8
>>127-131
GJ! オチにも笑かしてもらいました。
録画したのを萌え視点で見直してみよう。
137風と木の名無しさん:04/09/23 00:35:02 ID:JV8P116Q
>117-124
原作知らないながら楽しませていただきました。
zロリかわええなぁ(*´∀`)
138風と木の名無しさん:04/09/23 15:11:45 ID:NRV29J8s
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  123からの続きです。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  脳内Zロリオリジナル話です。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ペースハヤッ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1391:04/09/23 15:12:50 ID:NRV29J8s
 重い扉が閉まり、Zロリは神官と共に神殿の中に残された。
「はぁ…・はぁ…っ…しゃ…っ、喋れなかったじゃないかあッ!!」
「少し疲れたか?休むがよかろう。」
「休む?!生贄なのに?!」
神官は汗にぬれたZロリの毛並みをまぶしそうに見て言った。
「そなたにはわが神の祝福があろう。…ここも悪くはないぞ。奥へ案内させる。行くが良い。」

 美しいが無表情の青年の案内で長い長い通路を歩いた。やがて一つの部屋の前で止まる。
「神聖な体になっていただくため、こちらで禊をいたします。」
「みそぎって…………なんだ?」
「お風呂に入っていただきます。」
「あ、そう?!やだなぁ〜〜お風呂ならお風呂って言ってくれよ〜」
こんな時なのに、お風呂好きの性。お風呂に入るのはうれしい。
「こちらでお待ち下さい。」
服を脱いだ後、すすめられた肘掛け椅子に腰掛けた。リクライニングシート。すわりごこちは一応快適だ。
体を預けるといきなり機械音がして、椅子に拘束された。
「なっ、なにィ?!」
背もたれが倒れて腰の部分が持ち上がった。さらに足の部分がパクリと二つに割れて両側に大きく広がった。
「わああああああああ!!」
あまりの出来事に叫ぶことしかできない。もがいても体はガッチリ固定されている。
さっきの青年がなにかチューブのようなものを持って近付いてくるのが股の間から見える。
(まさか……それは……まさか!!!)
青年の発する事務的口調で疑惑は確信に変わり絶望が訪れた。お食事中の人ごめんなさい状態に突入だぁッ!!
1402:04/09/23 15:13:46 ID:NRV29J8s
「お体の中から先に清めます。息を楽にして下さい」
「いやだああああああ!!!!!おろしてくれえぇ!!…お通じは順調です!!」
「力を入れたままでは痛いですよ。少しローションを塗りますからね。」
やはり事務的口調の彼は心の準備なんか全然する気のないZロリにローションを塗る。さぐるようにそっと指が入ってくる。
「いぃっっ…!!」
中で動く指を感じてますます体は硬直する。緊張をほぐすためか彼の口調が変わった。
「ダメダメ。そんなにきつく締めては。口をあけて、楽に…はぁっ…はぁっ…息はこうするんだよ。やってごらん。」
「う……ぅ…はぁっ…はぁっ……」
「そう…いいよ…上手だ。…いいよぉ。…そう…力を抜いて……いくよ。…」
硬いものがぐっと差し込まれ、体の中に液体の入る感覚が背中を這い登ってくる。
「ひぁ……ッ!!…く…ぅぅ………はぁっ…」
羞恥と屈辱に頬が染まった。涙もあふれてくる。
(おのれ〜〜〜〜〜このZロリさまによくも恥をかかせてくれたな〜〜〜〜〜)
という怒りがフツフツと沸くのだが、今はとりあえずギュルギュルギュルゥゥ〜〜〜〜と言ってるおなかをなんとかするのが先だ。
「あ……ぅぅ…も…もっ…出るぅ……」
「まだ少しはガマンした方が…。」
「うるせえッ!!ぶぁッかッ!!!はやく降ろせ!!」

 トイレへ駆け込み、少し冷静になって考えた。
あの青年の無表情さが気になる。あんなに感情的になったZロリ相手に気を悪くした様子さえ見えなかった。
彼にはそんな感情がない?!…ってことなのか?ロボットなのか?
いや、さっきローションと共にZロリの中に入ってきた指は生きている者のそれだった。
後から挿入されたチューブのような無機物とは感覚が異なっていた。
なぜ感情がないのか?逃げ出さないように何か細工してるのか?
1413:04/09/23 15:15:12 ID:NRV29J8s
お風呂に入ると壁は総ガラス張りだった。Zロリはそこに広がる光景に目を疑った。
いままで生贄として連れて来られたらしい青年や少年たちがいる。しかも全員全裸だ。
(あのエロ神官め〜。何が生贄だ。てめェのハーレムじゃないか…しかし少なくとも今までの生贄は生きてるってことだな。
あの子の兄さんもいるにちがいない。ようし、ぜったいここから出して、ママに会わせてやるぜ。)
…ところでおれさまの服は?あれ?!「おいコラ!!服返せぇぇ〜〜!!」と叫ぶ声は空しく響くだけで、何の反応もない。
結局ここでは全裸でいなければならないらしい。
 意を決してハーレムの扉を開けると、周りの空気が変わった。危険を察知し全身の毛が逆立つ。
Zロリの周りに部屋の青年たちがじりじりとせまって来ている。
外へ戻ろうとしても、もう扉は開かない。Zロリは彼らの手から逃れるために部屋中を走り回った。
みんな無表情で、ゾンビのように単調でノロノロした動きをしているのだが、人数が多くあちこちから来る。
この中に、あの家の息子も…?!母親の泣いていた顔がふと頭をよぎり、切なくなった。
その瞬間、後ろから足を取られた。転んで顔を打ち一瞬意識が飛んだ。数人が一度に乗ってくる。
手足を押さえつけられ、Zロリの力ではふりほどくことができない。
「お、重い!!どけ!!はなせお前らぁぁ!!」
大声で叫んでもまるで反応がない。機械におさえられているようだ。数人が一度に背中や脚に舌を這わせてくる。
「やめ……ッ…ん……あっ…はぁっ…」
「新入りを歓迎しているのだよ。」
いつの間にかさっきの神官が舌なめずりをしながら数人の愛撫を一度に受けて悶えるZロリを見ている。
「なかなかよいぞ。おまえたちもそれぞれ愛し合うがいい。」
青年たちはZロリのまわりでまた二人、三人となり様々な痴態を繰り広げた。
「もう良い。やめよ。」
神官の一言でまた何事もなかったように青年たちは元の自分の場所に戻って行った。

 神官は立ち去り、変わりに食事が運ばれてきた。その食事には見覚えがあった。あの祭壇に乗っていたものだ。
周りでは無表情の若者たちが一つの会話もなく、生命維持だけが目的の食事を続けている。
さきほど絡み合って愛撫したことなどまるで無かったかのようだ。不気味な光景だった。
1424:04/09/23 15:16:22 ID:NRV29J8s
 夜なのか朝なのか、ここでは時間というものがない。まわりのみんなが寝ているので、今がたぶん夜なのだろう。
ウトウトしかけた……と思ったZロリは、体にかかる重みを感じて薄目をあけた。
天井がさっきの部屋と違う。知らないうちにつれて来られたらしい。
目の前に神官の顔があった。それよりもZロリを驚愕させたのは、ローブを脱いだ神官の体から自分に伸びている六本の腕だった。
「驚いたかね。この体は実に都合がよいのだよ。こういうふうにな…。」
神官は二本の腕でZロリを押さえつけ、残りの手で数ヶ所を同時に刺激した。 
「う…あっ!!…………はあぁぁっ!!」
「どうかね。このような体験はしたことがないだろう。」
 神官はZロリの体をうつ伏せにし、別の腕で腰を持ち上げ、獣のように四つんばいにした。
尻尾を持ち上げて、見られたくない部分をじっと見つめている。
「み、見っ…見るな見るなぁぁっ!!」
「やはりここも美しい。今日から七日のちにそなたを神へ捧げるまでは、ここは清いままにしておこう。」
そう言いながら別の腕を前に回し、激しく前後に動かした。
「痛い!!そんなことしたら痛いって!!あうっ!!いッてぇぇぇっ!!」
神官はますます力を入れ、スピードを上げた。体が跳ね上がるほど乱暴に動かされ、Zロリの顔が苦痛に歪む。
「……んぁっ!!あぁっ!!…あぁぁっ………!!」
「良いな。その顔も、声も…実に良い。」
 残り3本の腕はZロリの敏感な体を這い回り続けた。濁流に飲まれるような快感の渦。
叫び声を上げたいが呼吸もままならない。
まるで追い立てられるように絶頂に導かれ、意識が遠のいていく…………
1435:04/09/23 15:17:14 ID:NRV29J8s
 気を失っているうちにまたもとの場所に戻されていた。

 あの母親の面影を持つ青年を、まだハーレムの中から見つけることができない。
「こんな所にあんまり長くいるのはゴメンだな。こうなりゃ………ここから全員脱出って方向の方が早そうだ。」

 神官は次の日もZロリの両腕を固定しようとした。
「今日は逆らわない。固定するよりその腕でもっといろんな所、さわってくれないか」
Zロリの意外な申し出に神官は驚いた顔をしたが、すぐにいやらしい笑顔で言った。
「昨夜よほど良かったと見えるな。」
「ひとつ知りたいんだが、あの部屋でなぜおれさまだけが正気なんだ?」
神官はそれには答えずゆっくりとZロリに覆いかぶさって来た。舌が体を這う。六本の腕が体中をまさぐる。
今夜のZロリは昨夜よりなお狂おしく身をくねらせた。神官の手を取り、導くようなことさえするのだった。

汗と唾液にまみれた長い時間が経過していった。神官は息を弾ませて言った。
「どうだ。他の者たちは何度も脱出を試みるので正気を奪ったが…そなた、ここでずっと暮らすのもよいだろう?!
…少しは抵抗があった方が楽しめるがな…」
「おれさまは、いたずら王になる男だ!!まだ城も姫も手に入れないうちにこんなところで慰み者になってたまるか。」
どっかで聞いたようなセリフと共に立ち上がるZロリ。神官は立ち上がろうとしたが自由がきかない。
なんと、神官の手足が二、三本ずつギュッと結ばれているのだ!!
「くっ!!な、なんということを!!…………いつの間に!!」
「や〜〜〜い、エロダコ野郎!!こっこまでおいで〜〜」
1446:04/09/23 15:18:03 ID:NRV29J8s
 神官から部屋の鍵とハンマーを奪い、廊下へ駆け出した。なすすべない神官の声だけがむなしく響く廊下に並ぶ扉に
手当たり次第に飛び込むうちに、一つの部屋を見つけた。
入ると大きなプールになっており、中央に大きな機械類が並んでいる。
Zロリのいたずらセンサーが、ここはいたずらのしどころであると判断した。

「ベタだが、ここを破壊すればみんな正気に返るはずだ!!」

 Zロリは迷わずザブザブとプールに入った。背がやっと立つ程度だ。
力いっぱいハンマーを振り下ろし、次々と機械を破壊していった。バチバチと火花が上がる。
危険を感じてそろそろ退散することにした。

 プールに飛び込んだZロリの足に、先ほどはなかった「ぐにゅっ」という感触があった。
同時に、足に無数の何かが絡まり水中に引きずり込まれた。油断していた!!なんのためのプールだったのか。
この神殿の中枢を守るプールがただの水であるわけがないのだ。
番人は巨大なイソギンチャクだった。水中で自由を失う恐怖に必死で巨大イソギンチャクの触手を振りほどこうとするが、
触手はますます絡まってくる。敏感な部分に執拗に触れる触手に感じて体が小刻みに震えるが、水中で声を出すことはできない。
もがいているうちに、水の温度が上昇してくるのに気付いた。
(しまった……爆発する!!)
思ったと同時にすさまじい激流と熱に、Zロリの意識は飲み込まれた。
1457:04/09/23 15:18:56 ID:NRV29J8s
 「せんせ………せんせってば!!」「しっかりするだよ!!」
「ううっ…………」
眩しい…目を開けるのに努力が必要だった。まだ目がかすむ。
IシシとNシシが自分を見下ろしているのが見えた。………横にも何かいる。

「せんせ、さっきあの生贄の洞窟から裸のイイ男たちがゾロゾロ出てきただよ!!」
「はぁぁ〜〜〜〜いい目の保養だっただあ……」
「そのあと、爆発が起こって、せんせが吹っ飛んで海に落ちただよ。」
 双子の声を聞いているうちに徐々に意識がはっきりしてきた。双子の横で自分を見下ろしているものが、
海に落ちた自分を助けてくれたのだと気がついた。留守の間に双子が探し当ててくれたのだろう。
「Iシシ、Nシシ。よく見つけてくれたな。助けてくれて……ありがとう…………カメのママさん…」

 死んだものとあきらめていた息子たちが帰って来たので村ではあちこちで喜びの声があがっていた。
 「せんせ、あの家に行かなくていいだか?」
木の陰に身を隠しているZロリに双子が尋ねる。
「ぶぁかもん!ママとの再会だぞ。誰もじゃましちゃいけないんだ。おれさま、ここからそっと見・・・」
「Zロリさん」
急に後ろから声をかけられ思わず跳びあがった。
「おわぁぁぁっ!!!……あ、ママさん?!」
買い物帰りらしい母親が立っている。
「息子が帰って来たの!!あなたのおかげよ。ぜひお礼をさせて。何をしても足りないのはわかっているけど。」
………お礼。お礼をもらおうなんてまるで考えてなかった。Zロリは冗談に紛らせて言ってみた。
「じゃあ、……ぎゅッ!!てしてください。」(なんてな。こう言われてママさんが困ってる隙に立ち去る、と…)
しかし母親は一瞬も躊躇しなかった。次の瞬間荷物を落とし、Zロリを抱きしめていた。
柔らかく、懐かしいような香りに包まれてZロリは少しの間放心状態になってしまった。
我に返って戸惑うように身じろぎするZロリ。その間も彼女はZロリを離さなかった。
彼女にはわかっていた。この、風のように自由なはずの旅人が誰のために危険を冒してくれたのか。
1468:04/09/23 15:20:28 ID:NRV29J8s
「 かあさんお帰り。」
そう言いながら家から出てきた青年を見てZロリは思わずイヤな汗が出るのを感じた。
その青年こそ、あの背徳の神殿で、唯一Zロリの体内に侵入した指の持ち主だった。
生贄だからハーレムにいるとばかり思っていた。盲点だった。
(…………で、でもあの時は神官に操られていたんだし。おれさまのことは覚えてないだろう。)
 青年はツカツカと歩み寄って来て言った。
「あなたにはいくら感謝しても足りません。あれから大変だったでしょう。よくあの部屋を脱出できましたね。」
「……ちょっと待った…おれさまのこと…覚えてるの?あの時、キミ、正気だったの?!」
「私、医者なもので。あの仕事を与えられる代わりにコントロールされてなかったんです。
ああ、あの時私に対して感情的になったことですか?気にしなくてけっこうです。
あの状態では仕方ありません。…………どうしました?」

どうしようもなく頬が熱くなると同時に全身の力が抜けて、Zロリはその場にへたり込んだ。

IシシとNシシがそばに寄ってきた。二人ともいつになく機嫌が悪い。
「せんせ、あの男の前で真っ赤になってただな。」
「オラたち、せんせのあんな顔見たことなかっただ。」
「あの男となんかあったな?!……何があっただ??」
(…………言えるか…………!!)
「まった赤くなっただぁ!!」
「んんっ!!なんかお前たちの好きなもんでも食うか?!」
「ごまかされないだよ!!」
「体に聞かれるのと小一時間問い詰められるのとどっちがいいだ?」
(うぅ……た……助けて……ママ…)
147風と木の名無しさん:04/09/23 15:22:11 ID:NRV29J8s
 ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
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おそまつさまでした。
148風と木の名無しさん:04/09/24 17:42:08 ID:v7MV+GRM
>>138-147
萌えたり、泣いたり、笑ったりでいそがしかったよ。
GJ!
149風と木の名無しさん:04/09/24 19:23:49 ID:eemw2Qvx
>>127-131
萌え!GJです!
150風と木の名無しさん:04/09/24 23:50:03 ID:gbJwouUs
>138-147
萌えまくったよ…。かわええなあZロリ。
Zロリ姐さん方のおかげで、早速原作1巻買ってまいりました(;´д`)ハァハァ
151風と木の名無しさん:04/09/24 23:53:40 ID:8Cc07K0P
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  お熱い法廷ゲームで(゚∀゚)ラヴィ!! なネタでつ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ぼみょうすぎる出来なので。ギャグじゃないよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ チナミニ青赤ギミ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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専用スレから誘導されて参りました。お手柔らかに…
1521/1:04/09/24 23:55:24 ID:8Cc07K0P
「きみのためなら死ねる」
 いきなりそう呟いた成歩堂に御剣は驚きのあまり目を丸くする。
「な、なんだというのだ? いきなり…」
「…ていうタイトルのゲームが出るらしいね」
よく見ると成歩堂が向かい合っているノートパソコンのディスプレイにその文字が
目の痛くなるような色彩で装飾され表示されていた。
にや、と笑って成歩堂がパソコンの音量を上げると何やら不思議な歌声が
不思議なメロディーに乗って流れてきた。
「…なんだかいろいろと衝撃的なゲームだな、ソレは」
「だろ?」
ループする音楽を段々とフェードアウトさせていく。
「陳腐なフレーズだよね。『きみのためなら死ねる』なんてさ」
タイトルの文字を見つめながら、成歩堂は言う。
「ム? まあ、そうだな」
相槌を打つ御剣に、成歩堂は視線を移動させる。
「ぼくに向かって言ってみてよ、御剣」
「…『キミのためなら死ねる』…満足か?」
意外とあっさりと、けれど顔を真っ赤にさせてその台詞を言った御剣が、成歩堂にはとてもいとおしく感じられた。
「うん。…お前はホントに実行しそうでシャレにならないと思った。実際御剣の口から聞くと」
御剣はムッと不服そうに眉間に皺を寄せた。
「ならばキミも言ってみたまえ」
「ぼくは言わないよ。絶対にそんな台詞。ぼくはお前のために死ねないからね」
底の見えない黒い大きな瞳が御剣を見つめる。
「たとえばきみが誰かの凶弾に狙われたとして。
ぼくは身を挺してでもきみを守りたいと思うけど、それでぼくは死ねないね。
ぼくの死でお前を縛るのなんてゴメンだよ。だから」
御剣の頬にそっと手を触れさせて、成歩堂はにっこりと微笑んだ。

「きみのために、ぼくは死ねない」
153風と木の名無しさん:04/09/24 23:57:28 ID:8Cc07K0P
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 | | □ STOP.       | |
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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ヘボンでお目汚し、失礼しますた。
154風と木の名無しさん:04/09/25 00:06:14 ID:ciA3LVdJ
>>151-153
萌えました…グッジョブ!!
155風と木の名無しさん:04/09/25 00:45:05 ID:6P/JVG5t
>>151-153
姐さんGJです!!
でも伏せとかなくて大丈夫かな…?
156風と木の名無しさん:04/09/25 08:52:08 ID:WYStTFXQ
あまりに亀だけど、>104さんGJですたい!
トリゴハン?にワラタw
157風と木の名無しさん:04/09/25 11:46:16 ID:TqcqePhF
>>150さん
萌えるZロリでしたらぜひアニメを!!
158風と木の名無しさん:04/09/25 21:11:33 ID:pdxXVxJ+
                       l 逢いザック・足モフ御大の「鋼/鉄/都/市」シリーズの
 ____________     l  ダニ一ルとイ/ラ/イ/ジ/ャの話を見るよ。
 | __________  |     l  とっても長くなったから3つのパートに分けさせてもらったよ。
 | |             .| |      \ パート1は、「夜明けの〜」の直後なんだって。
 | | |> PLAY.       | |         ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |             .| |           Λ_Λ 
 | |             .| |     ピッ   (・∀・ )
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1591/10:04/09/25 21:12:03 ID:pdxXVxJ+

庭へと続く扉を後ろ手に閉めて、イライ.ジャは部屋の中のひんやりした空気を
胸に吸い込み、背中をどさりとドアに預けた。
肺の中の空気を思い切り吐き出した時に、心臓がかなりの速さで脈打っているのが聞こえた。
無理をして「そと」の空気を吸い込んでいたからだと、すぐに思い当たる。
頭ではまったく平気だと思っていたのに、どうやらまだ体の方は、
地球の密閉されたドームを恋しがって、屋根の無いだだっぴろい空間に怯えている。
目眩をこらえながら、彼は一つ溜息をつく。
気づくと手が胸ポケットのパイプ煙草を探っていて、思わず苦笑が漏れる。禁煙したはずだった。
何か口にくわえていないと落ち着けないとは嘆かわしい、まるで赤ん坊だ、
などと思いながら、彼は目を閉じて思い切り体を伸ばした。
腕を下ろし目を開くと、部屋の中に穏やかな明かりが灯っているのに気づいた。
なんだろう、と思いながら壁ぎわに目をやると、
視線の先に金髪のロボットがたたずんでいるのがイライ.ジャの目に映った。
背の高い影が、窓に向かって静かに立っている。
日光が部屋の中に入ってこないように、カーテンを閉めていたのだろうか。
振り向いた彼と視線がかち合うと、ダニ一ルは無表情のまま、
控えめにうなずいてみせた。
「本当に、お疲れ様でした」
イライ.ジャは黙って、軽く頷いてみせた。
「お体の具合は大丈夫でしょうか?」
ダニ一ルが気遣わしげにイライ.ジャに近づいてくる。
「大丈夫だ、ダニ一ル。ただちょっと……どこかに座らせてもらえるとありがたいんだがな」
「こちらへどうぞ、おかけ下さい」
そう言って、ダニ一ルが椅子を運んでくる
その椅子に倒れこむように深く体を預けた途端に、もやがかかったように頭が痺れ、
疲れがどっと襲ってくる。
1602/10:04/09/25 21:12:35 ID:pdxXVxJ+

彼はもう一度深く息をついた。
自分の仕事はなんとか全部終わった。とにかく、今回の件は片付いた。
けれども、これは単なるひとつの終わりに過ぎなくて、
ここから人類の新世紀が始まるのかもしれないのか、と彼は思った。
人類の新しい第一歩になるんだろうな。
そんな考えを、彼は頭の端でぼんやりともてあそんでいた。
琥珀色のやさしい明かりの下、回らなくなった頭の中で、
そんな取りとめも無い考えばかりがあぶくのように浮かんでは消えた。
人類の輝かしい躍進、第一歩。
自分のひねり出した言葉に露ほどの実感も持てなくて、イライ.ジャは少し首をかしげた。
柔らかな光の中に、すべてが溶けこんでいくような感じがして、
なぜだか、何もかも、地球までもが遠かった。
視線を落とすと、左手首の腕時計が目に入った。
数少ない父親の形見として受け継いで以来、何十年も、一度足りとも壊れたことなどないのに、
今、その針は動きを止めて凍り付いていた。
それを見たイライ.ジャは、唇をかんで目を固くつぶり、左手首の腕時計を右手で強く握った。
そうしないと地球との繋がりが失われてしまうような気がした。
異郷で過ごした緊張と、背中に背負わされたあまりに重い責任と、
事件を解決した安堵感とがないまぜになって一気にのしかかってくる。
吸い込まれるような眩暈の中で不意に、こわばった彼の右手の指に温かいものが触れる。
イライ.ジャが驚いて目を開くと、ダニ一ルがいつのまにか、
じっと目の前にひざまずいていた。
その両手がイライ.ジャのこわばった右手を包み込み、
指の力を少しずつ緩めていく。指先に力が入らないまま、イライ.ジャは、
ロボットの指先までこんなに温かいものにする必要なんてどこにもないじゃないかと、
ぼんやりと考えた。
1613/10:04/09/25 21:13:04 ID:pdxXVxJ+

ダニ一ルの柔らかな指先が、止まった時計の文字盤をそっとなぞっていく。
その指先が止まったので、イライ.ジャはダニ一ルの顔を思わず見下ろす。
じっと顔を伏せていたダニ一ルが、何かをこらえるようにまぶたを閉じる。
ロボットのあまりに人間的な仕草に不意をつかれてしまい、
イライ.ジャは何も言えずにダニ一ルの顔を見下ろしているしかなかった。
突然、ダニ一ルが瞼を開き、透き通った青い瞳があらわになる。
彼は、ロボット特有の落ち着き払った無表情のままで呟いた。
「あの雨の中で、壊れてしまったのですね」
その声は喉の奥から絞り出すような苦しげな声で、
イライ.ジャはますます、どんな言葉をかけるべきかわからなくなった。
疲労で回らない頭を使って、必死に考えをまとめようとする。
彼は、ダニ一ルは、イライ.ジャの命令に服従せざるをえなかったとはいえ、
あの酷い嵐の中という危険な状況において、
天候の激しい変化に適応できない地球人を一人残して逃げざるをえなかった。
そのことを激しく悔やむあまりに、回路のどこかが異常を起こしてしまったんだろうか。
イライ.ジャはとっさに口を開こうとしたがふと思いとどまる。
ダニ一ルはロボットだ。人間と同じ表情で、人間と同じように悔やんでいるからといって、
こういう時、人間に接するのと同じ言葉をかけるのが果たして最良のことなのだろうか。
彼は一瞬戸惑う。ダニ一ルの陽電子頭脳の中で起こっている葛藤を解決してやることが、
人間の義務に他ならないとしたならば、それでは、人間は、
たった今ダニ一ルの側にいる自分は、一体どのような命令を与えれば、
この葛藤と挫折が彼の頭脳に与える損傷を最小限に食い止めることができるのだろうか?
イライ.ジャはしばらく考えこんだものの、ロボットの仕組みなどには全く疎い彼には、
結局、有効な解決策などは一つたりとも思い浮かばなかった。
彼はあきらめて口を開く。
1624/10:04/09/25 21:13:46 ID:pdxXVxJ+

「きみはぼくの命令に従って正しいことをしたんだから、そんなことは気にしなくてもいいんだ…」
イライ.ジャは自分の声の力の無さに情けなくなった。
「前にも言ったけれど、きみが捕まれば本当に絶望的なことになっていたんだ。
それに比べれば、ぼくひとりの身の安全くらいは取るに足りないことなんだ。
…きみはわかってくれないか?」
そう諭しながらも、彼は自分の能力の限界と、人間とはあまりに異なるロボットの思考能力の
限界を感じて苦々しい思いにかられる。
そして彼の予感したとおりに、そのような二つのものを天秤にかけることのできないダニ一ルは、
表情の無いはずの瞳に、心なしか暗い色を浮かべて呟いた。
「いいえ、何か他にやり方があったはずなのです。
私がもっと適切な判断をしていれば、このようなことにはなりませんでした。
あなたを精神的に痛めつけてしまうような結果には」
「違うんだ、ダニ一ル、そうじゃなくてだな…」
もどかしさと無力感で、イライ.ジャは頭を抱えてしまった。
なんという近視眼。なんという愚直なまでの忠実さ。
イライ.ジャはふと、時計の文字盤の上を、ダニ一ルの指先がゆっくりと撫ぜていくのに気づいた。
その動きのあまりのぎこちなさに、イライ.ジャの背筋が冷たくなる。
ダニ一ルの頭脳の回路が衝撃を受けているのか、と彼は思った。
人間に及ぼされそうになった危険を回避できなかったことで、
三原則が彼の機械の頭脳をきりきりと締め付けているのだろうか。
壊れるのか?ダニ一ルが、こんなに簡単に?
「私の失態です。あなたがお仕事を終わらせたらお詫びしなければならないと、ずっと考えていました」
イライ.ジャは途方に暮れてしまった。
ダニ一ルの損傷を防ぐために何をどうすればいいのかなんて、彼にはちっとも分からなかった。
「ダニ一ル!」
「何でしょうか」
苛立って怒鳴りつけてもその後どうしていいのかわからずに、
彼は思わず髪の毛をくしゃくしゃとひっかき回した。
1635/10:04/09/25 21:14:16 ID:pdxXVxJ+

大体が、ロボットのことなんて何も知らないのに、
そもそもダニ一ルを機械のかたまりとして適切に扱うなんて無理に決まっている。
イライ.ジャは覚悟を決め、目の前のロボットと向かいあい、今度は静かに呼びかける。
「ダニ一ル」
「はい」
「きみのやるべき事と、ぼくのやるべき事が不幸にも一致しなかったのはしょうがない。
ぼくはぼくの信念に基づいて行動したし、きみだってもちろん正しかった。そういうものだ。
人間の社会では、こういう衝突はよくあることなんだよ。
だからこんな事にいつまでも捕らわれていてはいけない。
きみはロボットだけど、ぼくはきみを唯一無二のパートナーとして心から尊敬している。
だからこんな事を言ってるんだ」
ダニ一ルは、イライ.ジャの目を見つめながら、彼の一言一句にじっと聞き入っている。
イライ.ジャは急に、疲れ切って椅子に沈み込んだ自分の姿の頼りなさに思い当たり、
あわてて精一杯背筋を伸ばす。
「ダニ一ル、どうかわかってくれないだろうか」
「できる限りの能力を使って、理解しようとしています」
「ダニ一ル…」
思うように言葉が出てこないのがもどかしかった。
「きみがそんな様子だと、ぼくは地球に帰れないよ」
突然、ダニ一ルが意を決したように顔を上げて、イライ.ジャの目をじっと見据えてくる。
「私はあなたを傷つけてしまいますか?」
それを聞いて、イライ.ジャの口から漏れたのは、
乾いた音の無い笑い声だった。
「そんなことがあるもんか」
イライ.ジャはすぐに否定して見せたが、けれども、ダニ一ルの表情は相変わらず変わらない。
1646/10:04/09/25 21:14:45 ID:pdxXVxJ+

ロボットのこの青い瞳の奥では、こんな泣きたいような気分で笑っている情けない表情は、
一体どういう像を結んでいるのだろうと、イライ.ジャはぼんやりと考えた。
ダニ一ルに言葉がどうしても届かない。
自分たちが共有しているのが、この底の抜けるような無力感だけなんて、
そんな馬鹿な話があってたまるものか。
イライ.ジャが気力を奮い起こして口をもう一度開きかけた時、
ダニ一ルはそっと溜息を漏らし、ささやくように言った。
「もし差し出がましい申し出であったならばお詫び致します」
「どうした?」
「せめて私に、この時計を修理させてはいただけないでしょうか?」
精一杯の妥協点を探ってきたというような感じだった。
あきらめと安堵が半々に入り混じったような気分でイライ.ジャも溜息をつき、
ダニ一ルに向かって笑顔を浮かべてみせる。
「それできみの気が済むなら」
「どうもありがとうございます」
ダニ一ルが慎ましく目を伏せ、時計のバンドをゆっくりと外しにかかる。
「ただ、わかってくれ。きみは間違ってはいなかった」
イライ.ジャがそう呟くと、ダニ一ルの指が一瞬止まった。
「そう仰っていただいて、とても嬉しく思います、パートナー・イライ.ジャ」
ああ、やはり駄目なのかとイライ.ジャは思った。
きっと、ダニ一ルは理解していないのだろう。
人間である自分を傷つけないために形式的な謝礼の言葉を言っただけで、
彼の頭脳回路は、きっと何も理解していないのだ。
失礼致します、と呟いて、ダニ一ルは腕から外した時計を手のひらの中に握り締めて立ち上がり、
隣の部屋へと立ち去っていった。
イライ.ジャもその後に続き、ほろ苦い気分をかみ殺しながら起き上がると、
ロボットの背中について歩いていった。
1657/10:04/09/25 21:15:12 ID:pdxXVxJ+

窓から差し込む光のために、隣の部屋は明るかった。
けれど、先ほど「そと」に出た時とは光の色が変わっているように、イライ.ジャには思えた。
部屋の中に、椅子に座ったダニ一ルの背中が見える。
イライ.ジャが肩越しに覗き込むと、彼はすでに腕時計を分解し始めているところだった。
ダニ一ルは手を止め、イライ.ジャの顔を覗き込むと、気遣わしげな声で言う。
「お疲れでしょう。あちらでお休みになっていて下さい」
「いや、いいんだ」
イライ.ジャはそう言って手を振って見せながら、ダニ一ルの隣に座り込み、
その手元に目を落とした。彼の指の動きは緻密で繊細で、
さっき時計の文字盤をなぞった時のぎこちなさはすっかり無くなっていた。
その器用な手の動きを見て、イライ.ジャはほっとため息をつく。
ふと目を上げると、目の前の窓からは「そと」の光が差し込んできていた。
先ほどの白っぽい光ではなく、飴色をした穏やかな光に変わっていて、彼にはそれが不思議だった。
イライ.ジャの目線の方向に気づいたダニ一ルが、すばやく立ち上がりながら言う。
「申し訳ございません。ただ今遮光カーテンをお閉め致しますから」
けれども、イライ.ジャはロボットの手首を抑えて笑ってみせた。
「ぼくなら大丈夫だ」
ダニ一ルはイライ.ジャの顔を、嘘を見抜こうとするようにしばらくじっと見つめていたが、
やがて危険はないと判断したのか、失礼しました、と呟いて修理に戻った。
窓から差し込んでくる、弱く暖かな太陽の光を受けながら、
イライ.ジャはダニ一ルの手元にじっと見入っていた。
1668/10:04/09/25 21:15:39 ID:pdxXVxJ+

「さっきとは光の色が変わっているようだが、ぼくの気のせいなのかな?」
ダニ一ルの手の中できらめく、工具の反射の光を見つめながら、彼はそう聞いてみる。
「いいえ、そうではありません」
「どうしてこんなことになるんだ?」
「午後を大分まわりましたから、もうすぐ日が沈むのです。
太陽がこの惑星から遠ざかっていくものですから、
私たちから見えるのが、長い波長の赤色の光だけになりつつあるのです」
そういえば、あまりに赤い夕日を見た眩暈のせいで気絶して危うく死にかけたこともあったなと、
イライ.ジャはほんの少しだけ苦々しい気分でそれを思い出したが、
今のこの夕方の光には、全くそのような暴力的なところはなく、
むしろ浮き立つような、快い非現実感を彼に呼び起こさせた。
思考がふらふらと、どこかに迷っていく。
遠い昔、父親だったか、叔父だったか、こういう風に黙りこくって、
この時計の中身を直していた。そんなことをイライ.ジャは唐突に思い出す。
こんなにたくさんの部品が組み合わさっていて、
それでもちゃんと動くのが不思議で仕方がなかった。
そして、記憶の中のその表情は、今目の前にいるダニ一ルと同じように、
穏やかだが真剣な顔をしていた。
その頬は、暖炉の火の照り返しを受けて、こういうふうにほの赤く染まっていた。
こういう光景は、昔からずっと繰り返されてきたのかもしれない。
それこそ、時計というものが地上で最初に発明された時から、滞りなくずっと。
窓から差す日の光が、だんだんと赤みを帯びてくる。
もうすぐ、この星から離れなければならない。
次にダニ一ルに会うのはいつになるだろう?
もしかすると、こっちが生きているうちには会えないかもしれないな、と、彼はふと思った。
1679/10:04/09/25 21:16:09 ID:pdxXVxJ+

「きみはぼくのことを覚えていてくれるか?」
組みあがっていく時計に目を落とし、どこか遠くをさまよっているような気分のまま、
イライ.ジャはそう聞いてみた、
「私には忘れるということができません」
落ち着いた声がすぐさま答える。
「そうだな。…くだらない質問だったかな」
「けれども…」
ダニ一ルの指が止まった。イライ.ジャは顔を上げ、
何か思案しているようなダニ一ルの言葉が形を成すのを待った。
ロボットの青い目が、太陽の光を受けてきらめいた。
「けれども、もし何らかの不都合が発生してしまって、
あなたに関する記憶を私の回路から抹消しなければならなくなったならば…
その処理が行われる時には、私の頭脳の回路には、著しい損傷がもたらされるでしょう…」
ダニ一ルはイライ.ジャの顔を見下ろした。
「一体それが何故なのか、その理由は判りかねるのですけれども」
イライ.ジャには、感情のないはずのダニ一ルの顔に、
ひどい困惑の表情が浮かんでいるように見えた。
イライ.ジャはダニ一ルを安心させようと、
彼に向かって笑ってみせ、その腕を二、三度叩くと言った。
「きっとそんなことはないと思うよ」
16810/10:04/09/25 21:16:37 ID:pdxXVxJ+

そろそろ時間だった。地球行きの船が出る。
彼は初めて、この惑星から離れるのを名残惜しく思った。
甘く穏やかな、この外の光から離れるのを残念に思った。
「時間ですね」
ダニ一ルがそう呟く。いつの間にか、既に時計の修理は終わっていた。
「やれやれ、次こそは刑事の身分なしできみに会いたいもんだな」
不思議そうに見下ろしてきているロボットに向かってイライ.ジャは言った。
「地球のためだとか何のためだとか、誰かの理由に振り回されるんじゃなくて、
今度こそはぼく自身の意志で、ここまできみに会いに来よう」
そういうことだよ、と、イライ.ジャは少し照れながら付け足した。
感情のないはずのダニ一ルが、まるで戸惑ったように目を二、三度瞬く。
そして、ゆっくりと控えめな微笑みを浮かべる。
「恐縮です」
ダニ一ルは、片手に持った腕時計を、布で二、三度拭いて言った。
「あなたをお待ちしております」
そう言って、ダニ一ルはイライ.ジャに腕時計を手渡した。
「ありがとう」
ダニ一ルは、イライ.ジャに向かって軽くうなずいてみせると立ち上がり、壁のスイッチを押す。
四方のカーテンが閉まって一瞬暗くなった後、代わりに真っ白な室内灯がともる。
手首に巻きつけた腕時計の、ひやりとした感覚が、イライ.ジャを唐突に現実に引き戻す。
時計の秒針が心臓の鼓動と重なり、全身に染み通っていく。時間の感覚が戻ってくる。
ダニ一ルの目は、白く明るい光に照らされて冷たい青に輝いていた。
さっきまでの夕暮れの光と、何か切なく穏やかな空気は、
その部屋にはすでにかけらも残っていなかった。
忘れがたい昔の記憶が、朝方に溶けて消えてしまうようなはかなさにわずかに戸惑いながら、
名残惜しいような気持ちで、イライ.ジャはカーテンの閉まった窓を見やった。
169風と木の名無しさん:04/09/25 21:17:07 ID:pdxXVxJ+

 ____________
 | __________  |
 | |             .| |           ヌルクテスマソ
 | | □ STOP       .| |           ツヅキハアシタ
 | |             .| |           Λ_Λ 
 | |             .| |     ピッ   (・∀・ )
 | |             .| |       ◇⊂    )
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_|| ̄''l
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
170風と木の名無しさん:04/09/25 22:21:27 ID:+V0BgyMo
>>158-169
嗚呼、ここでこんな素晴らしいものに巡り合えるとは!
姐さんGJです!!
171風と木の名無しさん:04/09/26 00:38:50 ID:ihs0zqJO
>157
ありがトン!明日さっそく見てみるyo!
172風と木の名無しさん:04/09/26 01:03:31 ID:yJXS4d60
>>56-62
禿萌
漏れの脳内劇場に勝手にアドリブ付きで映像がまわり始めているよ…
173風と木の名無しさん:04/09/26 01:58:54 ID:CqY/cRpj
>>158-169
うわあ…10年SF好きやってきていまだにベストカップルなふたりです…
ありがとう…!ローカルに保存させていただきました。続き楽しみに待っています。
174風と木の名無しさん:04/09/26 04:56:03 ID:3fCfDenV
                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | ナ血須ドイ津の宣/伝/省ナンバー2×宣/伝/大/臣モナ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| またヤヴァイネタ使うなあ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
1751:04/09/26 04:56:39 ID:3fCfDenV
「博士」
そう、俺はあの人を呼ぶ。彼は、誰にでもそう呼ばせた。「宣/伝/大/臣閣下」ではなく「博士」と。
今にして思えば、それは彼の矜持だったのかもしれない。文学博士号は、まだあの人が何者でもなかった時代に、
自分の力で手に入れたものだ。
結局、彼が持っていたのは、その称号だけだったのかもしれない。
彼は振り向いた。
「何だね」と聞くので、手直しした演説の原稿を差し出す。彼が、やや不快そうに目を細めた。直しがあるとは思っていなかったようだが、
それでもそれを受け取って眺める。
「この表現に問題でも?」
「少々、過激ではありませんか? 戦局を考えると国民に無理強いもできません」
その言葉に、彼はますます面白くなさそうな顔になった。
「そんな状態だからこそ、国民は今以上に奮起しなければならないんだ」
「それはわかります。しかし一部、ふさわしくない表現があるというだけの話です」
彼は少し考え込み、「わかった」と言って、俺が直した文章を声に出して読んでみる。
小さな体の割に、よく通る声をしていた。演説の時には、これがどれだけの武器になるのか、俺は良く知っている。
この人が演説原稿の手直しを許すのは俺にだけだった。他の者には手も触れさせない。一度だけ、何故だか聞いたことがある。
彼の答えは簡潔だった。
君は有能だ、振りッチェ。
そのことを、俺がどれだけ誇りに思っているか、多分あんたは知らないだろう。親愛なる我が博士。敬愛する我が大/臣/閣/下。
「振りッチェ」
彼が俺の名を呼んだ。ああ、やはり良い声をしている。
ソファに座って、ネクタイをゆるめた宣/伝/大/臣が、俺を見上げている。何をして欲しいのかはすぐにわかった。
1762:04/09/26 04:57:13 ID:3fCfDenV
「明日は演説ですよ」
「僕は少々のことではまいらないし、気晴らしも必要だ」
少々で、気晴らしか。
あんまりな言葉だとも思ったが、そんなことをいちいち気にしているようでは、この男とはやっていけない。
だから、俺は黙って跪くと、彼の唇を塞いだ。舌が、積極的に絡み付いてくる。
性に貪欲な男だとは知っていた。だが、まさか男に抱かれる趣味があるなんて思っていなかった。
こういう時、彼が昔に出版した本で献辞を捧げられていた、過去の学友の名を思い出す。死んだというその男が、
彼に教えた相手だろうか。
この相手に嫉妬は無意味だと思いつつ、俺の感情は嫉妬そのものとしか名付けられない。
俺は、この男が好きではなかったし、大好きだった。
博士は俺を見出し、すぐに片腕に据えた。彼は要求の多い我侭な上司だったが、それは仕事への厳しさでもあった。
仕事自体がまともなら、彼は良い上司だとも言えた。
最初は、俺も騙されていられた。だが戦争が始まり、戦局が不利になるにつれて、これまでいかに国民を欺いていたかが
透けて見えてきた。
なのに、彼はこれまで以上に嘘を撒き散らすと言う。
そうして困難な仕事に全力を注いでいる時、タチの悪いことにこの男はとても魅力的に見えるのだ。
俺たちは仕事のことでぶつかりあう事が多くなった。彼は横柄で頑固で、俺を言うがままにしようとした。
結局、俺は逃げ出した。
もっとも激戦区の東/部/戦/線に加わり、ベ瑠リンを去った。
ソ/連/兵たちに撃ち殺されでもしない限り、俺はあの男を思い切れないだろう。
それなのに、彼は俺を探し出して連れ戻した。
軍服姿の俺に、彼は笑いかけた。
よく似合うな、君はいい男だから。
そう言って、俺にキスをした。
1773:04/09/26 04:57:54 ID:3fCfDenV
俺は、彼を抱き寄せて、宣/伝/省の執務室の机の上で大臣を犯した。
どうせ死ぬつもりだったんだから、適当な罪をでっち上げて死刑にしてくれても構わなかった。
それに、俺を呼び戻したあんたが悪いんだ。
けれども、彼は何事もなかったかのように俺に原稿の直しを依頼した。
それから、時々、俺を誘うようになった。
火村ーの息がかかった連中に見張られていて、女遊びが出来ないせいかもしれないと思う。
あの女優とのスキャンダルのせいで、一時期、彼の政治生命は終わりかけた。みんな、もう一度、しくじるのを待っているんだろう。
だが博士の思惑はどうであれ、俺は結局、その誘いに乗ってしまう。
薄い胸の小さな乳首を弄ってやると、口元から高い声がもれる。もっと触って欲しそうだったが、俺は乱暴にズボンを引き抜いて、足元へと体をずらす。
彼の萎縮した右足を撫でると、その体が大きく震えた。
「やめろ……そこに触るな……」
俺は、それを無視して小さく歪んだ足の親指を口に含む。ああ、と耐え切れないような声を彼が上げた。俺は、そんな声を聞いたことがなかった。
「ああ……いやだ……そこに……さわ……らないでくれ……」
構わず、吸い上げると声にすすり泣きが混じり始めた。目を向けると、彼のものは触れてもいないのに反り返り、先端から蜜を溢れさせている。
「この足、感じるんですか」
いたわるるように撫でてやると、涙声が返ってくる。
「許さない……」
「こっちのセリフですよ」
口でどう言おうと、彼は快楽に弱いし、セックスが大好きだ。だから蕾を指で開き、蜜を塗りこめて準備をするのを邪魔されるなんて思わなかった。
「もうやめろ! 僕の部屋から出て行け!」
俺は彼を押さえつけた。少女のように小柄な男だ。力でどうこうするのはわけなかった。
1784:04/09/26 04:59:03 ID:3fCfDenV
強引に押し入ると、粘膜がきゅうと締め付けて、俺を迎えてくれる。細くて小さな体を抱え上げて揺さぶると
、彼は抵抗を忘れて、俺にしがみ付き、喘いだ。
「博士、俺が好きなんですよね」
彼は答えない。
「好きですよね」
俺の腹に当たっているものの根元を指で締め付け、もう一度、俺は聞いた。
「き……らいだ……」
締め付けたまま、俺は腰を動かした。
「好きですよね……奥方より、あの女優を始めとして、あなたが付き合ってきた、どの女よりも、それから男よりも」
奥を突きながら、手を緩めてやると彼は俺の肩に爪を立てながら達した。
「総/統よりも、俺が好きですよね」
「君は……君は無礼者だ……」
それだけ言うと、彼は俺の胸に倒れこんで意識を手放した。

そんなことが長続きしないのはわかっていた。
彼は頻繁に夢物語を語るようになっていった。戦争が終わったら、ア/メ/リ/カへ行って、
宣伝の仕事をするとか、そんな夢だ。
俺は黙って聞いていた。
実現しない、ただの夢だと知っていたからだ。
やがて、何もかもお終いになった。
ソ/連/兵が俺を引き立てて、かつて総/統の地下壕があった場所に連れて行く。
焼け焦げた小柄な遺体を、彼らは見せた。通訳が、これは誰のものか確認しろと言う。
ご丁寧に矯正用の義足まで焼けて転がっているのに、念が入っていることだ。
そう思いながらも、最後に彼に会わせてくれた彼らに俺は感謝した。
博士、俺はあなたが好きでした、嫌いになりそうなほどに好きでした。
誰もいなければ、最後にもう一度右足にキスしたかったのに。
俺はそれだけが残念だった。
179風と木の名無しさん:04/09/26 04:59:35 ID:3fCfDenV
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ イロンナイミデバチアタリスギ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
180風と木の名無しさん:04/09/26 05:07:33 ID:3fCfDenV
しまったageてる…こんなヤヴァイネタの時に、すみません…
181風と木の名無しさん:04/09/26 12:32:00 ID:InQU/ssv
>>104
遅ればせながらGJ !!!七サシと※のことがますます好きになりました
あぁ・・よかったね正夢?にならなくて笑
182風と木の名無しさん:04/09/26 12:45:48 ID:O73Ho9fh
>174GJ〜
BGMが聴こえてきそうな程ドラマティクーですた。
右足にキス出来なかった事が、彼を一生縛り付けるのだろうなと考えて
萌えました。

火/村/ーにはちょっとビビリましたがw(蟻巣ヲタ)
183風と木の名無しさん:04/09/26 14:03:58 ID:LqSLZzIA
>>174
GJです。
受の人の関連本を読んだばかりだったので、驚きながらも萌えました
184風と木の名無しさん:04/09/26 20:38:34 ID:4wWSziy/
 ____________     l  >>158-169のロボットシリーズの続きだよ。
 | __________  |     l  パート2は5年後の、宇宙船の中での話だよ。
 | |             .| |      \ 『帝国』にヒロイン側の回想シーンのある場面です。
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1851/11:04/09/26 20:39:12 ID:4wWSziy/
そうか、ダニ一ルには心臓が無いんだ。
ダニ一ルの胸に顔をうずめていたイライ.ジャは、急にその事に気づき、はっと体をこわばらせた。
上を向いた拍子に、ダニ一ルの青い瞳と視線がぶつかる。
この色も人の手で造られたもので、
この温かい体にも血は一滴も通っておらず、鼓動を打つことも無いのだ。
イライ.ジャは信じられないような思いで、その澄んだ青い目を見つめる。
ともかくも、困惑を気取られないようにダニ一ルから身を離し、
背中に回した腕を解いて半歩下がると、ロボットに向かって手を差し出して言った。
「久しぶりだな」
「お久しぶりです。あなたにもう一度お会いできて、大変喜ばしく思っております」
ダニ一ルは礼儀正しくいつもの控えめな微笑みを浮かべながら、手を握り返してきた。
その表情は、以前に別れた時よりも幾分明るいように、イライ.ジャには思えた。
ダニ一ルが背中に手を軽く添え、椅子に座るように促してくる。
その腕の動きに従いながら、イライ.ジャは、
やっぱりこのロボットには感情があるんじゃないかと思わず疑った。
ダニ一ルの笑顔は自発的なものではなく、人間を不快にさせないための動作で、
この疑いも、いつもの、自分の勝手な感情移入だということはわかってはいたけれども。
「元気だったか?」
「はい、滞りなく機能しております」
「その言い方…」
言葉をそこで切ってイライ.ジャは苦笑した。
イライ.ジャは、立ったままのダニ一ルの袖を引いて横に座らせ、改めてその顔を覗き込む。
まるで時の流れから切り離されたように、ダニ一ルの端整な美貌は以前と全く変わっていなかった。
両手を膝の間で組むと、左手首の時計が目に入る。ダニ一ルに修理してもらって以来五年間、
止まったり遅れたりすることは一度もなかった。
イライ.ジャは微かに笑うと、隣に座ったダニ一ルの顔を見上げる。
「約束どおりきみに会いに来たよ。今度は自由の身だ」
「大変に結構なことです。私がお仕えするときには、
あなたはいつもお忙しくしていらっしゃったから」
「だから、きみとゆっくり話すなんて、どうやるべきなのか今ひとつよくわからなくてね」
「そうかもしれないですね」
イライ.ジャはその生真面目な返答に苦笑する。
1862/11:04/09/26 20:39:40 ID:4wWSziy/

「そうだ、ぼくはこの後どこに行くかわかるか?」
「いいえ」
「ここからずいぶん離れた惑星なんだ。太陽の下で、何にもしばられない生活をするんだぜ」
「そうですか…戸外への恐怖は、もうすでに克服されたのでしょう?」
ダニ一ルが、少し気遣わしげな声で言う。
「少しずつ頑張ってるよ。雨くらいならもう平気だ」
「それは素晴らしいことですね」
そう相槌を打ちながら、ダニ一ルは眩しそうに笑った。
遠くの太陽を見やるような笑顔に、イライ.ジャはふと不安になった。
「あなたにできない事など何もないのですね」
イライ.ジャは思わず、ダニ一ルのその言葉を両手でさえぎる。
「違うよ、ダニ一ル、それは違う」
「何故でしょう。あなたが誰にもできないことを幾つもやってのけたというのは、
まぎれもない事実ですのに」
「だからって、これからもそうとは限らないし、ぼくにだって限界がある」
「私には信じられません」
そうきっぱりと言ってのけるダニ一ルを目の前に、イライ.ジャは困り果てて頭を抱えてしまう。
「きみは相変わらず頭が固いな、まったく」
不思議そうに見つめてきているダニ一ルに向かって、イライ.ジャはゆっくりと話し始める。
子供に向かって、この世の摂理を諭すように。
「人間には限界があって、ぼくらはそれを知っている。どうしても越えられない壁があるんだ」
ダニ一ルは真摯な表情で、じっとその言葉に聞き入っている。
その視線を感じながら、イライ.ジャは視線を前に向ける。
そこには小さな丸い窓があり、その向こう側には果てしない暗闇が広がっている。
人間の克服するべき暗闇が、窓の外にはある。
「その壁は寿命という。ぼくらがいくらあがいても、命はいずれ尽きてしまう。
百年後くらいには、ぼくという人間が存在した証拠なんてかけらも残ってないだろうね。
けれど、きみはその時だって、きっと今と全く同じように、慎ましく稼動し続けているんだろうな。
きみは、そういう意味では、人間よりも優れた存在だと言えると思うよ、だから…」
イライ.ジャは目を閉じて少し黙った。けれど、隣からは何の声も聞こえない。
1873/11:04/09/26 20:40:09 ID:4wWSziy/

「…ダニ一ル?」
怪訝に思って隣に目をやったイライ.ジャは、驚いてはっと息を呑んだ。
ダニ一ルが自身の左手首を、右手で物凄い力で握り締めている。
彼の左手の握り拳は痙攣でも起こったかのようにぶるぶると震えている。
呆然としたイライ.ジャの視線に気づいたダニ一ルは、左手首から目を離さずに呟く。
「申し訳ございません。回路が何箇所か異常を起こしてしまったようです。
左腕の制御が利かなくなっています。危険ですからどうか離れていてください。じきに収まります」
搾り出すような掠れ声でそう言う。
イライ.ジャは一瞬何が起こったのかわからなかったが、
すぐに彼が以前担当した事件のことに思い当たった。
ダニ一ルは以前、毒を盛られて倒れた人間を目の当たりにした時、
今と同じように左足の制御が利かなくなった。人間が傷つけられるのを見てしまったからだ。
今回の異常の原因は、自分の死にまつわる話だと、イライ.ジャははっと思い当たる。
この程度の話でも、彼はこんな酷い損傷を受けるのか?
そう思って一瞬頭が真っ白になったが、すぐにイライ.ジャも一緒になって、
両手でダニ一ルの左手首を押さえつける。
「離れていてくださいと申し上げたはずです…!」
頭の上から弱々しい声が振ってくる。
「ぼくが言って聞くような人間じゃないのはもうわかってるだろ?」
「ですが、しかし…」
「大丈夫だ、ダニ一ル、大丈夫だ。ぼくはまだ生きてるし、まだもう少しここにいる。
だからお願いだ、ダニ一ル、どうかもう安心してくれ…」
懸命にそう言い聞かせながら、イライ.ジャはダニ一ルの手首をやさしく叩く。
速くなった心臓の鼓動を元に戻そうとするように。
そうしていると、ダニ一ルの左手首の発作のような震えが少しずつ収まっていき、
強く握った拳の指の力も抜けていく。
彼の左手首を握ったまま、イライ.ジャは取りあえずほっとしながらも、
かつてないほどの大きな不安に襲われた。
1884/11:04/09/26 20:40:46 ID:4wWSziy/

以前彼に異常が起きたのは、毒殺未遂という事件が目の前で起こったからだった。
だが今は違う。自然の成り行きの話をしていただけだった。
誰かに傷つけられるという暴力的な話ではなく、
人は必ずいつかは死ぬという、ごく当たり前の話をしていただけだった。
その程度のことが、ダニ一ルにとっては、こんなに激しい苦痛の元になってしまう。
(それじゃあ、もしおれが本当に死ななければならない時には…?)
確実に、その知らせを聞いただけで、ダニ一ルの神経回路はずたずたに引き裂かれてしまうだろう。
自分の死という、限りなく個人的な問題に、ダニ一ルを巻き込んでしまう。
そう思い当たったイライ.ジャの背筋が冷たくなる。
彼は、それを気取られないようにダニ一ルの手首をそっと離した。
隣を見やると、ダニ一ルは左の手のひらを握ったり開いたりして動きを確認していた。
「見苦しいところをお見せしてしまいました」
そういって、いつもの控えめな笑みを浮かべる。
イライ.ジャは、痛々しい悲しみに駆られて思わず目をそらした。
「もう大丈夫か?」
「あなたがご無事でいらっしゃってなによりでした」
「ああ、そうだな…」
驚かれたでしょうから何か温かい飲み物でも、と言って、ダニ一ルが席を立つ。
その背中にかけるべき言葉が、今のイライ.ジャには見当たらなかった。
ダニ一ルが自分の死の道連れになってしまう。今のままでは確実に。
そのことに思い当たり、イライ.ジャは愕然とする。
いったいどうしてそんな事になってしまうのだろう。
存在がいつか消滅するのは、誰にも食い止められないというのに。
ましてや、ダニ一ルのせいなどでは決してないというのに。
彼を失うわけにはいかない。失いたくない。
けれど、そのためには、何をどうすればいいか、イライ.ジャにはわからなかった。
今はわからなかったが、いずれ必ず、どうにかしなければならない。
彼を自分の死から、解き放ってやらねばならない…
新たに気づいた責任の重みにじっと耐えながら、イライ.ジャはダニ一ルが戻ってくるのを待った。
1895/11:04/09/26 20:41:26 ID:4wWSziy/
ダニ一ルがコーヒーカップを手にして歩いてくる。
イライ.ジャは彼の左手の様子を注意深く見守ったが、
特に何の異常も見受けられないので、取りあえずほっと息をついた。
お待たせ致しました、と言ってダニ一ルはカップをイライ.ジャに渡すと、元のように隣に座った。
イライ.ジャは軽くうなずき、カップの中身を一口すする。
器を置こうとした時ふと下を見ると、ダニ一ルの両手が目に入り、思わず手が止まる。
また異常が起こるのを恐れているのか、右手で左手首を強く握り締めている。
「ダニ一ル、ぼくはもう、今日はああいう話はしないから、どうか楽にしてくれないか」
「いえ、どうぞお構いなく」
硬い拒絶にイライ.ジャは小さくため息をついたが、
ふと思い立ってダニ一ルの右手の上に自分の手を添える。
「この手を今すぐどかすんだな」
「一体何をなさるおつもりなんでしょう?」
当惑したような声が頭の上から降ってくるのにはかまわず、
顕わになったダニ一ルの左手首に、外した自分の腕時計を巻きつけて止め具を締める。
「やるよ。もうきみのものだ」
あまりに驚きが激しかったのか、ダニ一ルは何も言わずに、
自分の左手首とその時計をじっと見つめている。
その姿がまるで珍しいものから目が離せない子供のようで、イライ.ジャの顔に笑みがこぼれる。
「気に入ってくれたかな?」
「これを私に?しかし、これはあなたの大切な財産ではないのですか?」
「ぼくは別の星に行くだろう?」
「ええ」
「そこではきっと、外に出ることが多くなるだろうから、
どっちみち地球のドームの中で作られたひ弱な時計なんて半年と持たないよ。
だから大切に使ってくれ」
「本当によろしいのでしょうか」
「いいんだよ」
ダニ一ルは、もう一度腕時計をしげしげと眺めてから言った。
「ええ、とても。本当にありがとうございました」
イライ.ジャが見たところもう手の震えは止まっていた。
1906/11:04/09/26 20:43:51 ID:cxgsSFu2

「今度会う時に壊れてたら承知しないからな」
ダニ一ルは、「今度」という単語に、一瞬竦んだように両目を見開いたが、
すぐにいつもの、優しげな微笑を浮かべてみせる。
「最大限に気を配るように致します」
「もしできれば、またきみに会いに来ようかな」
「私もそれを望んでおります」
「今度は、雨の降っていない時がいい。どこかへ連れて行ってくれ」
「ええ、喜んでお供致します。
数々の美しい風景を、あなたにご覧いただければと思います」
ダニ一ルは、そう言って微かにうつむいた。
「…ありがとう、ダニ一ル」
イライ.ジャも目をそらし、床を見つめたままでそう呟いた。
それきり二人は黙り込んだ。
優しい嘘と諦めの中で、形のわからない一粒の希望を手で探るような沈黙だった。
たぶん、この宇宙船から出立したら、もう二度と会えないだろう、
イライ.ジャはそんなことはとっくに理解していた。
これから先、二つの道が交差することは考えられない。イライ.ジャはロボットを憎む世界で、
ダニ一ルは地球人を蔑む世界で、それぞれ違う場所でやるべきことがあるのだから。
少なくとも、ダニ一ルと二人で、一緒に何かを成し遂げる事は二度と無いのだろう。
別々の世界で生きていかなければならない。これからずっと。
1917/11:04/09/26 20:45:01 ID:cxgsSFu2
「きみと会えて本当によかった」
イライ.ジャは厳粛な面持ちでそう呟き、顔を上げる。
そして、ダニ一ルの、ものわかりのいい子供のような、
包容力のある大人のような、不思議な表情をじっと見つめた。
「寿命の短い地球人のぼくが、きみが存在する時間に居合わせたこと、よく考えると奇跡のようじゃないか」
「…はい」
その答えをイライ.ジャは怪訝に思い、彼は半ば挑みかかるような口調で尋ねる。
「ぼくが今言ったことがわかるのか?」
「ええ、『奇跡』というのは通常の自然法則では説明しがたい、
何か特別な出来事のことですね」
そういう意味じゃない、とイライ.ジャが言いかけた時、
ダニ一ルは、自分の人差し指を唇に当てて、イライ.ジャに喋るのを控えるように頼む。
「残念ながら、そちらは私にはもっとも理解できない事柄です。」
そう言いながらも、ダニ一ルの声は穏やかで、明るささえ含んでいた。
わからないことを明るく語るダニ一ルを不思議に思い、
イライ.ジャは思わず、その横顔に目をやる。
明らかに、普通のロボットならば論理の矛盾に異常事態を起こしてしまうような事を、
ダニ一ルは今ここで、何の抵抗もなく受け入れていた。心から、信じてすらいた。
「…どうして理解できないものを信じることができる」
居心地の悪さに、イライ.ジャは手に持ったカップを弄びながら訊く。
「あなたがおっしゃったことだからです」
イライ.ジャが驚いて顔を上げると、視線がダニ一ルとまともにかち合った。
「あなたが言おうとしたことを、私が完全に理解する日などはやってこないでしょう」
ダニ一ルは膝の上で硬く両手を組み合わせながら呟く。
「私はそれを知っています。誰よりもよくわかっています。
あなたもご存知のとおり、私はロボットですから」
感情のないはずのロボットが、熱っぽいような真摯な声で喋っていた。
イライ.ジャは、そんなダニ一ルの顔を見ていられなくなって、椅子から立ち上がり背を向けた。
背中から声が聞こえてくる。
「けれど私は、あなたがいつも、最後には正しかったことをよく知っています。
あなたの言葉は、いつも正しいほうへ私たちを導いてくれる。
私は安心してあなたの言葉を信じることができています」
1928/11:04/09/26 20:45:26 ID:cxgsSFu2

イライ.ジャがそっと後ろを振り向くと、
ダニ一ルはいつもの、落ち着いた控えめな笑みを浮かべている。
ただ、そのほほ笑みがなぜか沈んだ面持ちに見え、イライ.ジャは戸惑いながら立ち尽くす。
ダニ一ルはその笑顔を消すことなく続ける。
「ただ、あなたの言葉はあまりに多くの論理の飛躍を含みすぎている。
私の神経回路の構造と根本的に相容れることがないのです。
ですから、あなたという人を理解することは、私には決してできないのでしょう。
そのことだけは、自らが不甲斐なく、口惜しくて仕方がありません。
私も、あなたのように考えることができればよかった」
穏やかさを失わないまま、ダニ一ルはそう言った。
人間を不快にさせることの無いように、落ち着いた控えめな声のままでそんな告白をする。
イライ.ジャは痛々しいような気持ちで、ダニ一ルの瞳をじっと見つめていた。
彼はロボットとは友情など結べないと思っていた。
彼ら機械は、決して彼らに与えられた領分を越えてこようとはしないし、
決して、境界をはみだして来ることがないからだ。
それでは、このダニ一ルのこの、自らも気づいていないような苦しみはいったいなんなのだろう。
ロボットにはあるまじき、あまりにも人間的なものではないのだろうか。
「ダニ一ル…」
名前を呼んでやることしかできずに、イライ.ジャはその目を見据える。
ここでは言葉は無意味だった。イライ.ジャはすでにそのことを知っていた。
論理でダニ一ルを納得させることはできなかったし、
感情に訴えてロボットを動かすことなど不可能だった。
1939/11:04/09/26 20:45:53 ID:cxgsSFu2

言葉を発する代わりに、イライ.ジャはダニ一ルの元へそっと歩み寄り、
この上なくやさしい仕草で、彼の背中を抱きしめた。
ダニ一ルの指先が、戸惑いながら肩口に触れるのを感じながら、イライ.ジャは目を閉じる。
「きみはこれからどこへ行くんだろう?」
イライ.ジャは、ロボットの胸に顔を押し付けながら呟く。
こんなにも完璧な人間の姿をしているのに、あまりに人間的な、こんな哀しい表情をして、
人間のことがどうしても判らないとダニ一ルは言う。
彼は一人ぼっちだとイライ.ジャは感じた。
ロボットの範疇に納めるにはあまりにするどい知性と、暖かな思いやりを持ち合わせすぎていた。
けれど、彼の体はまぎれもなく鉄でできていて、体の中では無数の陽電子が飛び交っているのだ。
「このままきみが、ずっと生きつづけていれば、遥か先の遠い未来には、
きみは誰にも想像できない遠い所へ行ってしまうだろう。
誰もきみに追いつけない。きみと共に居ることができない」
「私にはわかりません」
落ち着いた声がそう言う。この世にたった一人であることの、
意味や重荷も何も理解していないような声で。
「きみはどこへ行くんだろう。ぼくにもわからないんだ」
イライ.ジャの掠れ声を聞いて思ったのか、ダニ一ルが呟いた。
19410/11:04/09/26 20:46:23 ID:cxgsSFu2
「私は、どうしてもあなたを傷つけてしまうのでしょうか」
肩に触れたダニ一ルの手が滑り落ちていき、イライ.ジャは顔を上げる。
深い青をしたその瞳をじっと見据えながら彼は思った。
ダニ一ルは、自らに残された無限に等しい時間のことよりも、
目の前の人間の感情を害するか否かということしか頭に無い。
「違うよ、ダニ一ル。そんなことでは決して無いんだ」
ダニ一ルはこの上なく利他的で、自らのことなどには全く関心が行かない。
イライ.ジャはもどかしさのあまりに唇を噛んだ。
どうにもならない苦しさを感じ取ったのか、ダニ一ルの目に気遣わしげな光がよぎったように見えた。
一旦はイライ.ジャの体から滑り落ちた手が、ぎこちない仕草での頬のそばまで伸ばされる。
その手に触れられるのをイライ.ジャは待っていたが、
一呼吸、二呼吸の後も、その手は動かなかった。
葛藤の中で立ちすくむ、ダニ一ルのこわばった手が、力なく下に落ちようとする。
とっさにイライ.ジャはその手を取った。
慎ましくきっぱりと手を引こうという動きに逆らって、
彼はその指先を握り締めてそっと口付け、ダニ一ルの背中をもう一度抱きしめた。
「どうか、ぼくのことを覚えていてくれないか」
ダニ一ルの金髪に柔らかく触れながら、イライ.ジャはそう呟く。
「弱くて、戸惑い続ける人間としての、ぼくを忘れないでいてほしいんだ。
ぼくはきみといっしょに行くことはできないから、だからせめて…」
「あなたを忘れることなど私にはできません」
自分は何を言っているのだろうとイライ.ジャは一瞬思った。
ダニ一ルの電子の頭脳は、目にしたものすべてを記憶しておくことができ、
その情報は、ほぼ永遠に蓄積され…
ちがう、ちがう、そんなことではないんだ。
自分がこんなことを今口走っているのは、彼がロボットに他ならないからだ。
もとより、自分のこの愛着が彼から返ってくることなどは望んでいない。
けれども、人間が勝手に押し付けた感情を返す術を知らずに、
感情を持たないはずなのに、戸惑いと悲しみのような表情を浮かべている。
イライ.ジャは、そんな彼の存在を純粋で美しいと思った。
そういうふうに造られたものであることを知っているからこそ、
この宇宙にほんとうに一人きりの、彼の存在が哀しかった。いとしいと思った。
19511/11:04/09/26 20:46:47 ID:cxgsSFu2

ダニ一ルがゆっくりと、イライ.ジャの頬を両手で包み込む。その指は驚くほど熱かった。
彼のなめらかな指先が滑って行き、そっと耳の後ろの脈に触れる。
まるで血の通っているように温かな指先の下で、
彼自身の鼓動がひっそりと脈打っているのを感じながら、
イライ.ジャは目を開き、目の前の深い青色をした瞳をじっと見つめ返した。
彼の澄んだ目の青色の中に、とっさに、何かを覚えている、知っているものがある、と彼は感じた。
地球の「そと」の、薄い水色の空にはない、もっと根源的な深い何か、
今の人間たちが忘れてしまった何かを知っていると感じた。
その青い瞳は寸分の濁りもなく澄みきっていて、それがイライ.ジャには途方もなく哀れなことに思えた。
こんなに滑らかな皮膚をしているのに、その下には冷たい機械が詰まっている。
そしてその機械は、ダニ一ルに人間のように考えろと要求する。
計り知れない恐怖と孤独を見つめることを要求する。
宇宙船の小さな窓が視線の先にはあった。
さらにその向こうには、ただ果てしない闇が広がっていた。
その闇は、ダニ一ルがこれからたった一人で呑まれていく闇だった。
ゆっくりと縋り付くように、ダニ一ルの腕がイライ.ジャの背中に回される。
彼の体は熱かった。その肌の熱さの下では、無数の蒼い電子が今も、
そしてこれからもずっと駆け巡っているのだろう。流星のように光を放ちながら。
背中を抱き締めてくるダニ一ルの腕の力がほんの少しだけ強くなったような気がした。
その人間らしい仕草に、イライ.ジャは笑って、目を閉じた。
瞼の裏で、ダニ一ルの皮膚の下の小さな電子が流れ集まり、
ついに音の無い稲妻のような蒼い火花が弾けて散るのが見えた。
耳元ではずっと腕時計の針が、鈍く確かに時を刻みつづけていた。
196風と木の名無しさん:04/09/26 20:47:21 ID:cxgsSFu2

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197風と木の名無しさん:04/09/26 20:51:56 ID:U15nGWde
。゚(゚´д`゚)゚。
明日を待ってます。
198風と木の名無しさん:04/09/26 22:25:13 ID:BQV0GLHh
>184
ウオーン(つД`)泣いた、泣いたよ!
素晴らしい話をありがとう。次回を楽しみに待ってます。
199風と木の名無しさん:04/09/27 00:19:21 ID:NL6ymNGJ
>>158
>>184
全くの偶然ですが、今日本屋で「鋼/鉄/都/市」を買ってきたばかりです。
久々にここ覗いてみてビクーリ!
シリーズ全部読み終わってから、ありがたく拝見させていただきます。
きっと運命なんだわ…。
200風と木の名無しさん:04/09/27 02:26:42 ID:R+aJXXrC
>>184
いますごく感動してる。
姐さん、いいものありがとう。ほんとにありがとう。
明日も楽しみにしてます。
201風と木の名無しさん:04/09/27 16:26:29 ID:pKIj6kpc
 ____________     l  日曜朝8時からの闘うお兄さん達のお話モナー
 | __________  |     l  兼崎×立花さんモナ。
 | |             .| |      \ 今週の放送からのお話。現在ちょっとギクシャク中モナ。。 
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202風と木の名無しさん:04/09/27 16:26:56 ID:pKIj6kpc
俺の先輩の立花さんは仕事中はいつも厳しく、キリッとしていてかっこいい!
無駄な動きは一切無いし、戦闘技術に優れていて、憧れの人だ!

った。

…それからかれこれ色々あって…説明するのもめんどくさいくらい色々あって、
あーもうなんなんだよ立花さん!!
俺、どうしたらいいんです?
ついこの間、二人で最強のコンビ目指しましょうって握手したじゃないですか!
そのすぐ後なんか無月の事考えてたのにはむかついたけど。
だいたいなんだよトライ/アルDって。なんであんたはいつもそうやって
よくわからないもの信じて、俺を信じてくれないんです?
いくら俺だって、ちょっと、怒りますよ。
怒った勢いで、近付いてきた立花さんのノドを押さえてひるんだ所で足を払って
その場に倒してしまった。
あんなに強かった立花さんが、こんな簡単に、俺に…
…この攻撃だってあなたから教わったんですよ、立花さん。
203風と木の名無しさん:04/09/27 16:27:39 ID:pKIj6kpc
「兼崎、これは急所を押さえる事によって簡単に相手を倒す事ができる方法だ。
生身の時でもいつどこから暗デッドが襲ってくるかわからない。変/身する為の時間稼ぎにもなる。」
「はい!!お願いしmうえっ!!!」
バンッという音と共に背中に激痛が走った。
立花さん、せめて話し終わってからにしてください…
うまく息が出来なくて、咳き込んでしまった。だけど立花さんは早く立てと涼しい顔だ。
ほんと、鬼教官だよなぁ
ノロノロ立つと、もう一度倒された。
「という要領だ。やってみろ。」
俺はちょっと怒っていたから、思いっきり飛びついてやったんだ。
なのに、腕を掴んだ途端一本背負いされた。
「ちょ、ちょぉっと立花さん!今度は俺が倒す番じゃなかったんですか!!」
「甘えるな。敵がジッとして倒されるのを待つとでも思うか?」
「…くっそ…!」
むきになって何度も何度も飛びついた。
何度も何度も払い倒され、突き飛ばされ、ヒネリ上げられ…
俺、暗デッドを倒す前に立花さんに倒されるんじゃないのかと思うほど。
すっげー痛くて、腹が立ってしょうがなかった。
「なんだ、一度も倒せないじゃないか。いいかもう一度やるから、よく見るんだ。」
そう言って、また倒された。
204風と木の名無しさん:04/09/27 16:29:36 ID:pKIj6kpc
俺は隙なんか作ってないつもりなのに、いとも簡単に倒されて、
悔しくて悔しくて悔しくて、絶対この人を倒してやると思った。
「立花さん、今何時ですか?」
「なんだ、もう疲れたのか?そんな事j」
うえええええええええええええい!!
渾身の力で立花さんを押し倒してやった。
それは全然さっき立花さんが教えてくれた方法じゃなくて、
腰にしがみついて力任せになぎ倒すという幼稚な方法だったけれど。
「やった!!どうです立花さん!!痛いですか!?」
「…ああ、痛い。兼崎…今のは卑怯だぞ!」
「戦闘に、卑怯なんて言葉はありません!俺は立花さんの隙をつくためなら
なんでもしてやりますよ!」
「…!まったくお前は…!」
立花さんがあんなに笑っている所を、この時初めて見たんだ。
俺はずっと腰にしがみついていたから、すごく近くで、その顔を見ていた。
いつも無愛想で恐い立花さんが、笑っている。
それがなんだかすげー嬉しくて俺は、痛かった事なんかふっとんで、
もっと、もっと頑張って、この人と同じくらい強くなって、
ありがとう、お前のおかげで助かったとか、笑顔で言われたい!って思って、
なんだか素敵な未来を妄想してたんだ。
205風と木の名無しさん:04/09/27 16:30:24 ID:pKIj6kpc
「おい兼崎、いい加減離せ。」
「うぇっ?あっハイ。…あー」
「なんだ」
「いやなんかでも、もったいないっていうか、もうちょっとこのままでいたいかなーなんて…」
「何を言ってる。お前はまだまだマスターしないといけない事が山ほどあるんだ。
こんな所でねっころがって休憩してる時間は無いぞ。」
「うーそうじゃなくてー…ああまあいいや。はい。はい。」
しぶしぶ手を離す。
「一体なんだ?」
「なんでもないです」
「変な奴だな。…俺をちゃんと倒す事ができたら、何度か休憩できるぞ。」
「!!は、はい!!俺、やります!絶対立花さんを倒します!!」
「ああ、頑張れ。よし、来い。」

結局、「ちゃんと」倒す事ができたのは、一回だけだったけど。
それでもすっごい嬉しくて、立花さんも「よくやった」って言ってくれて、
だからやったーって倒れてる立花さんに上から覆い被さって抱きついてやった。
おい兼崎、とか言ってたけど無視して。
寝技の練習はいつかなーとか、妄想しながら。
厳しい練習は、でも、楽しい日々だった…。

…俺達、どうなっちゃうんでしょうね、立花さん。
あなたは俺の事を救いたいって言っていたけど…
やっぱり俺は、このまま闘いたいんだ。闘って、闘って、
…最後には、みんなに…あなたに。笑顔で、「ありがとう、お前のおかげで助かった」
って、言われたいんだ。
それじゃダメかなぁ、立花さん…。
206風と木の名無しさん:04/09/27 16:32:29 ID:pKIj6kpc

 ____________
 | __________  |
 | |             .| |    ↓モナモナ言ってたけど、モララーだった…
 | | □ STOP       .| |      すいません。。
 | |             .| |           Λ_Λ 
 | |             .| |     ピッ   (・∀・ ) ムッコロス!
 | |             .| |       ◇⊂    )
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_|| ̄''l
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
207風と木の名無しさん:04/09/27 17:34:13 ID:JGwitWYQ
>201-206
GJ!
きっとこんなほのぼの時代もあっただろうなーとぽわわんとしました(*´Д`*)
早く仲良しにもどらないかなー。

>…それからかれこれ色々あって…説明するのもめんどくさいくらい色々あって、
>あーもうなんなんだよ立花さん!!
ここがめさめさ後輩ぽくて禿ワロタ。
208風と木の名無しさん:04/09/27 21:30:04 ID:d+H6ck6K
                       l 豚切りごめんね。>>158-169のロボットシリーズの最後だよ。
 ____________     l パート3は、足モフセンセーのとある話のネタバレだから、
 | __________  |     l それでも(・∀・)イイ!!人だけ読んでね。
 | |             .| |      \ …学者さんの性格の把握が微妙に怪しいかもだよ。
 | | |> PLAY.       | |         ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |             .| |           Λ_Λ 
 | |             .| |     ピッ   (・∀・ )
 | |             .| |       ◇⊂    )
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||  |
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2091/9:04/09/27 21:30:32 ID:d+H6ck6K

二万年。
そんな月日をたった一人で生き続けるというのは、一体どんな心持がするのだろう。
歴史学者のペロ.ラットは、伝説のロボットのR・ダニ一ル・オリヴォーと向き合いながら、
そんな答えの出ない疑問を、宇宙の果てについて考えるように、漠然と思いをめぐらせていた。
ロボットは椅子に腰掛けて、静かな視線を投げかけてきている。
一分の隙も無く整った容貌の冷たい美しさと、それにもかかわらず、
その全身から滲み出る哀しげな倦怠に心を押しつぶされそうになりながらも、
ペロ.ラットは懸命に口を開いた。
「あなたの話を聞かせてくれませんか」
目の前のロボットは黙りこくったまま動かない。
「私にはあなたの記憶を分かち合って、あなたと一緒に人類に対する仕事をすることはできない。
そちらについては、先ほど理解しました。
だから、せめて、あなたをここまで突き動かしたものを知っておきたいのです」
「一人の学者として、ですか?」
「いえ、私の個人的な関心として。一人の人間として」
質問を発した後、なおもロボットは黙っている。
「あなたは、私に話をしたがっているのではないでしょうか」
ペロ.ラットが挑むように言うと、しばしの沈黙のあと、ロボットが椅子から立ち上がる。
頭ひとつ背の高い彼の、見下ろす青い目は優しい表情を浮かべているように見えた。
その姿は、宇宙全体を統べる存在というよりもむしろ、
中世の書物に出てくる絵のような、神に仕える高位の司祭を思わせた。
真摯な、報われない忠誠を何かにささげている敬虔さを、
ペロ.ラットは彼に痛いほどひしひしと感じていた。
「わかりました。お話致しましょう」
そう言うと彼はゆっくりと立ち上がり、歩き始める。
その時、ロボットの左手首がきらめき、
そこに何か細い腕輪のようなものが巻かれているのが見えた。
古代の装飾品だろうか。それとも、何か大事なことに必要な道具なのだろうか。
歴史を良く知るペロ.ラットにすら、それが何を意味するのかわからなかった。
2102/9:04/09/27 21:30:54 ID:d+H6ck6K

「私が語るのは歴史ではありません。ですから、あなたは少々失望されるかもしれません。
あなた方の言葉で言えば、単なる『思い出話』に過ぎないのですから。
あなたはそれでもよろしいのでしょうか」
彼らは長い廊下を歩いていた。ペロ.ラットが承諾すると、その途中で、
ロボットは少しずつ語り始めた。
彼を作った宇宙人のこと、旧友のロボットのこと、
そして、かの有名な文化英雄「イライ.ジャ・ベイリ」のこと。
「『イライ.ジャ・ベイリ』とは、いったいどのような人間だったのでしょうか。
ある地の民間伝承によると、彼は七日七晩で自らの宇宙船を無から作り上げ、
他の星々に星間移民を説いて回ったなどという逸話が残っていたりします」
それを聞くと、ロボットは驚いた様子も見せずに答える。
「いいえ、そのようなことはなさいませんでした。
したくともできなかったでしょう。あの方は地球人でしたから」
「『地球人』?…ああ、彼はあの星で生まれたのですね。
イライ.ジャ・ベイリが地球人であったことに、何か関係があるのでしょうか」
ロボットは仰向き、今では放射能物質の塊でしかない、鈍色をしたかつての地球に目をやった。
「地球という星の特性について、少しお話させていただいてよろしいでしょうか」
「ええ」
「かつて80億の地球人は、巨大な鋼鉄のドームの中で暮らしていました。
彼らは通常、生まれてから死ぬまで、その中から一歩も外に出ることはありませんでした。
その鋼鉄の洞窟から、最初の一歩を踏み出したのがあの方だったのです。
あなたが仰る様な形ではなく、半ば強制的に連れ出されるような形でした。
このようなことをお話してしまったら、あの方はお怒りになるかもしれませんが…」
少し考えるように言葉を切り、ロボットは再び口を開く。
2113/9:04/09/27 21:31:16 ID:d+H6ck6K

「あの方は『そと』に出るということに大変な恐怖を感じていらっしゃいました。
あなた方には想像ができないかもしれませんね。頑丈な壁の中で育った人間が、
四方に何も無い、むき出しの戸外に身をさらす時、
いかに大きな恐れを感じうるか、ということが。
私はそのような地球人の特性を知っていましたから、
『そと』の恐怖から守ろうと、できうる限りのことをしようとしました。
けれど、あの方はそれを拒まれました」
そこで言葉を少し切って、ロボットは黙り込む。
「あなたは、お疲れではないでしょうか?」
自分ばかり喋りすぎてしまったと感じているのか、そうペロ.ラットに尋ねてくる。
「いいえ、全く。そのまま続けてください」
彼はそう促すと、ロボットは、そうですか、と相槌を打ち、話を続けた。
「私の回路には戸外への恐怖は組み込まれていないので、
あなただけでなく、私にも、あの方の正確なご気分を想像することは不可能でした。
けれど、あの方にとって、昼間の白い太陽が夕方には赤く染まり、
地平線のかなたへ姿を隠すなどということは理不尽の極みでした。
天から水が滴り、轟音とともに空から電気が降って来るなどということも、
到底理解できない現象でした。
けれど、そのような状況に直面しても、あの方はすべてを耐え忍ばれました。
決して、易々とではありません。
手ひどく苦しみ、恐怖に震えながらも、果敢に立ち向かって行かれたのです」
「イライ.ジャ・ベイリの、苦しみに満ちた最初の一歩のおかげで、
現在の我々人類が現在の形で在るということですね」
「あなた方人間だけではありません。私もそうなのです」
ロボットの声が少し小さくなり、ペロ.ラットは思わずその顔を見上げたが、
その端整な顔立ちには相変わらず、何の表情も浮かんでいなかった。
2124/9:04/09/27 21:31:44 ID:d+H6ck6K

「決して意図した訳ではありませんが、私があの方を苦しめてしまったことも幾度もありました。
最期にお会いしに行った時、あの方は『もう疲れた、死にたい』と仰いました。
私が、あの方の死の時間を引き延ばしてしまったのです」
「…もしかするとあなたは、イライ.ジャ・ベイリに対する贖罪として
このようなことを続けているのですか?」
ペロ.ラットの胸に一抹の不安が過ぎり、彼はロボットに尋ねた。
「それは違います。あの方がいなくなってしまった世界で、私が何をしたところで、
起こったことを実際に変えられるわけがないのですから。
私はただ、あの方が生きていらっしゃった時の苦しみや、
そうまでしてあの方が成し遂げられた事が全くの無に帰してしまうのは、
あまりにも忍びないことだと感じているだけです」
ロボットが溜息を一つついた。
無表情な顔に似合わずその仕草があまりにも人間的だったので、ペロ.ラットは驚く。
「あの方の行為が、今も私を生かしています」
先ほどからずっと、ロボットの問わず語りを聞いていたペロ.ラットの頭の中で、
一つの考えが組み合わさる。自分でそれを訝しみながらも、彼はその事を口にした。
「こんなぶしつけなことを言う私をお許しください」
ロボットの青い目が向けられる。
「あなたは彼に愛情を抱いていたのですね」
痛々しいような気持ちで、ペロ.ラットはそう聞いてみた。
ロボットは、二、三度瞬きをして、また視線を正面に戻し、
先ほどよりは、幾分自信のなさそうな声で呟いた。
「それも違うと思います。私にはそもそも感情というものがありませんし、
人類に平等に奉仕しなければならないという使命を負った存在なのですからね。
けれど、あの方が私を気に懸けていてくださったから、
私はこうして両足で立っています。それは確かなことです」
2135/9:04/09/27 21:32:07 ID:d+H6ck6K

彼らはしばし、黙りこくって歩みを進めた。
すると突然、ペロ.ラットの耳に聞きなれない言葉が飛び込んできて、
彼は隣のロボットの顔を思わず見上げた。
小さな、しかし張りのある声で、ロボットは何かを呟いていた。
その声の温かさに竦んで、ペロ.ラットは思わず立ち止まり、耳を傾けた。
発せられた言葉があまりに古すぎて、彼に理解できる単語はほとんどなかった。
けれどもそんなことは問題ではなかった。
ひどく優しい声だった。
その響きは、祈りの言葉の響きに少し似ていた。
ペロ.ラットは、直感的に、この声はロボットの言う「あの方」のものだと思った。
伝説の中にしか存在しなかった「文化英雄イライ.ジャ・ベイリ」が突然、
肉体を持って語りかけてきたようだった。
ダニ一ルの肩をそっと抱いて、笑顔でゆっくりと手を振り、
ペロ.ラットが目をそらした隙に、知らないうちに去っていってしまったかのようだった。
ダニ一ルは黙りこみ、そのまぼろしの背中を追うように遠くを見つめている。
金属でできたロボットの体のいったいどこから、こんな声が出てくるのだろう。
「その言葉は…」
あまりの驚きに声が上ずる。
「地球の言葉です。あの方の最期の言葉です」
「あなたは今…いや、彼の人はかつて、あなたに何とおっしゃったのですか?」
「ご自分の死に動揺するな、と。そんな取るに足りないことよりも、
この宇宙のすべてのものが織り成す、
美しく精緻なタピストリーのことをよく考えろ、と、私にそう仰ったのです。
あの方自らの意識が、もう二度と戻れない場所まで行ってしまう、
まさにその直前であったというのに」
ロボットは、自らの左手首を右手で強く握り締めながら言葉を続ける。
2146/9:04/09/27 21:33:07 ID:uHBZ0FFN

「あの方の言葉が無ければ――私はロボットですから――
私の頭脳は恐慌状態に陥ったのち、ほどなく機能停止に陥ってしまっていたでしょう。
あんなに弱りきった体で、あの方は私にこの言葉を伝えてくださったのです。
それは酷い苦しみだったに違いありません。
以来ずっと、あの方の苦しみを考えてきました。
けれどもそのうち、私には決して理解ができないだろうことが推測できました。
私には、そもそも死というものがありませんから」
ロボットは言葉をやめない。隣に人間がいるのも、とっくに忘れ果ててしまったかのように。
「あの方にこの命を頂き、生きる目的も示していただきました。
獣のようにただ存在を続けるだけの、みじめな在り方から救っていただいたのです。
あの方は最期に、死ぬことのない私に、人間としてごく当たり前の、
それでいてこの上なく気高い行動を示してくださいました。
死に一人で対面するという。誰も道連れにしてはいけない、という。
その絶対的な孤独に比べれば、今の私が一人でいることなど、取るに足りないことだと考えます」
そうは言うものの、口をつぐんだ彼は、
表情のない顔に、今までとは違った寂しげな雰囲気を纏わりつかせ、足を速めた。
「けれども…」
後に付いていたペロ.ラットには、そう呟いたロボットの表情は見えなかった。
「けれども、時々考えるのです。矛盾しているとは思いながら。
あの方がかつてのように、命じてくださっていたら…
いや、そうでなくてもいい、根源的な存在の消滅に向かう恐怖からの、
たわいのないうわごとで良かった。
もし、あの方が、『一緒に来てくれ』と仰ったなら…
そう言って私に手を差し伸べて来られたならば…
命に代えて、尊厳に代えて、絶対にそのようなことはなさらなかったでしょうけれども…」
ロボットは立ち止まり、虚空を見上げながら、独り言のようにささやいた。
「私はあの方のおそばを決して離れはしなかったでしょうに」
孤島の洞穴に吹きすさぶ風のように、彼の言葉は空気の中に流れてかき消えた。
2157/9:04/09/27 21:33:30 ID:uHBZ0FFN

立ち止まったロボットが優雅な動作で手を動かすと、目の前に見えた壁が開いていく。
足を進めたその先に、は白く大きな円形状の部屋があった。
天井は高く、見上げていると眩暈がするような錯覚に襲われた。
ペロ.ラットの横を通り過ぎたロボットは、その空間の中心で立ち止まると、
そのままゆっくりと両腕を大きく広げた。
すると、彼の指先から、白い部屋に限りなく青が広がっていく。
身が竦むような驚きに満たされ、しばし茫然自失としていたペロ.ラットがふと我に帰ると、
彼ら二人が、ただひたすらに青い空間の真ん中に立っているのに気づいた。
目を上げると、見たことも無い程に澄み切った青空がある。
足元には、空の色より青い水が穏やかに波打っていた。
その水の行方を目でたどると、ずっと遠くのほうで、
上方の青と、下方の青が淡く交じり合い、優しい線が描かれている。
目に沁みるような青が、世界の果てまでも、どこまでも続いているように思えた。
「この映像は…」
「あなたの求めていたものです。
あなたは人類の発祥の地のことを知りたがっていらっしゃいましたね。
これが、最初に生命が生まれた場所です。
かつて地球の七割を占めていた塩水の中から、彼らは誕生したのです」
ロボットは、ペロ.ラットに背中を向けたままで言う。
「あなたにこの光景をお見せしたかった」
「…イライ.ジャ・ベイリの代わりにですか?」
答えは返ってこない。
自分でもなぜそのようなことを言ったのかよくわからないまま、
ペロ.ラットはロボットのそばへ近づいて行き、さらに言葉をつなぐ。
2168/9:04/09/27 21:34:01 ID:uHBZ0FFN

「あなたを責めているというのではありません。
ただ、あなたは先ほど、かの人の苦しみについてばかり語られました。
それは違うと思うのです。死の床にあってさえも、あなたをそんなに深く想う人が、
そんなに強く苦しみだけを感じていたはずはありません。
かの人も幸せを感じていたはずなのです。本当です。
あなたが、かの人と共に居ることに喜びを感じていらしたように」
それを聞いても、ロボットは身じろぎもせずに立ちつくしていた。
左手首の装飾品が、光を受けてきらめいた。
「そのようなことについては、私は昔からずっと、理解ができませんでした。
私はロボットですから、感情などは持ち合わせてはいませんし、
それに、私の体は鉄でできています。
あなた方と違って、私はこの海から生まれたものではないのです。
こんなに異なる私たちが、全く同じように『感じる』ことなど、いったい有りうることなのでしょうか?」
ペロ.ラットはロボットの横顔を見上げた。
彼の端整な顔立ちは、相変わらず無表情のままだった。
けれども、唯一、彼の青い両の瞳は、先程とは全く違う光を湛えていた。
その目の中には、あまりにも人間的な、ひたむきで激しい感情が表れていた。
今は遠く届かない存在への、決して尽きることの無い、深い愛情と悲しみがそこには確かに有った。
こんな表情を浮かべているのに、どうして彼はこんなちぐはぐなことを言うのだろう。
そうペロ.ラットは一瞬考え、すぐに理由に思い当たり愕然とした。
…彼はロボットなのだ。
2179/9:04/09/27 21:34:26 ID:uHBZ0FFN

それでも、ペロ.ラットはどうしても黙っていられずに口を開く。
「あなたの仰るとおり、確かに、あなたは我々と同じではありません。
けれど、あなたの知性や心は、我々人間と何ら変わりないものだと確信しています。
このような大きな共通点に比べれば、そのほかの相違点などは全くささいなものなのです」
ロボットがペロ.ラットを見下ろしてくる。幾千もの思いの詰まった深く青い瞳で。
「ですから、もし古代の人々が信じていたように、
肉体を失った後にどこか休むための場所があるならば、
その門はあなたにもきっと開かれているのではないでしょうか。
あなたの心は、いずれその場所に行き着くことができるのではないでしょうか。
いささか、非科学的なものいいですが、私には心からそう感じられるのです」
「あなたは、そのように思われるのですね…」
「はい」
その場所はしんと静まり返っていた。水際にあるべきさざ波の音は聞こえなかった。
青い空間がどこまでも広がり、動くものは何も無かった。
ペロ.ラットは時の止まったような静けさの中で考える。
人間でもロボットでもない、世界にたった一人きりの彼は、この青の向こう側から、
いつかこの場所に、あの懐かしい足音が聞こえて来る日をじっと待っているのかもしれないと思った。
「私は――」
ふいに何かを言いかけたロボットが口をつぐむ。
遠い答えを待ちわびるように、彼は澄んだ青い目を天にさまよわせる。
その瞳と同じ色の静寂の中にひとり立ち、じっと痛みを堪えるように、苦しげにまぶたを閉じた。
「私は、あなたがたを、人類を、心から愛しています…」
ロボットはゆっくりと微笑んで、悲しい程の強さで、左の手首を心臓の上にかたく抱き締めた。
218風と木の名無しさん:04/09/27 21:34:57 ID:uHBZ0FFN

 ____________
 | __________  |       ナガナガト ゴメンナサイ
 | |             .| |       ヨンデクレタミナサン ホントニホントニアリガトウ
 | | □ STOP       .| |       >199タソ ウンメイ(゚∀゚)ラヴィ!!
 | |             .| |           Λ_Λ 
 | |             .| |     ピッ   (・∀・ )
 | |             .| |       ◇⊂    )
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_|| ̄''l
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
219風と木の名無しさん:04/09/28 08:43:06 ID:2SFfDITB
>208
朝っぱらから恥ずかしいぐらいに号泣した。
この気持ちのすべてを>208タソに伝えられないのがもどかしいよ。
本当にありがとう。素晴らしい話を読ませてくれてありがとう。
泣きすぎでひどい顔だけど気分はハレヤカー(゚∀゚)
220風と木の名無しさん:04/09/28 11:15:56 ID:vi6vAHoP
 ____________     l 教師になれませんの革田×逝け田。
 | __________  |     l エロ中心、というかエロしかない裏ビデオだから
 | |             .| |      \一人でコソーリ見るよ。
 | | |> PLAY.       | |         ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |             .| |           Λ_Λ 
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221風と木の名無しさん:04/09/28 11:16:08 ID:vi6vAHoP
二人のサインペンが規則的にキュッキュッと音を立てている職員室。
ふと採点の手を止めて、逝け田は大きく伸びをした。
壁の棚から宿直室の鍵が消えている事に気づく。
「おい革田、お前また…」
「俺、昨日まで待ってやるって言ってたよな」
「そうだったか?」
「先々月の分からだよ」
っち、と舌打ちをして革田は逝け田の席に歩み寄る。
「チャラにして貰えるんだから有り難いと思えよ」
逝け田はやっと残り僅かになった答案の山をぼんやりとみつめた。
肩の辺りに革田の顔が近づき、耳元で金額を囁かれる。
「…どうせまだ電気止まってるんだろ?今夜は冷えるしな」
革田は逝け田の頭を抱え込む様に耳元に腕を伸ばした。
その手の中で、鍵がちゃらりと鳴った。
222風と木の名無しさん:04/09/28 11:16:20 ID:vi6vAHoP
「布団くらい敷かねえのかよ」
「汚したらどうすんだよ」
逝け田のネクタイを解きながら追い詰める。
「この間なんか散々濡らして、誤魔化すの大変だっただろが。
 俺のはお前の中に出したし、汚したのは全部お前のなんだからな。
 家庭科室でシーツは洗ったけど、そう毎回じゃ気づかれても仕方ないぜ」
逝け田の頬に赤みが差すのを楽しみながら、シャツのボタンを外しはじめる。
「給食くらいしかまともに食ってないからな、ガリガリじゃねえか」
浮き上がった鎖骨に唇を落とし、軽く歯を立てた。
「ってえな…」
「るせえ、感じた声以外は出すんじゃねえよ」
「俺だけ脱がせて、寒いんだよ」
「お前の家で一人でいる方がよっぽど寒いだろ」
赤くなった痕から乳首まで舌でなぞる。薄い胸に鳥肌が立つのが舌先でわかる。
顔を外してベルトに手をやると、逝け田は眼鏡越しに革田を睨んだ。
「何だよその目」
冷え込む宿直室にベルトの金具が鳴る音が響く。
革田は脱がされまいと腰元に伸ばした逝け田の手を自分の肩に置いて睨み返した。
「別に止めてもいいんだけどよ」
逝け田の首が小さく振られた。
223風と木の名無しさん:04/09/28 11:16:34 ID:vi6vAHoP
露にされて、逝け田は腕で顔を隠した。
「お前、何だかんだ言っても立たせてんじゃねーか」
先端に潤ませた露を指で塗りたくり、ぬるぬると刺激する。
「んぅ…っ…やめろ…」
「止めねーよ、どんどん濡れてきてるぜ」
透明な汁は革田の言うようにとろとろと溢れて亀頭を滑らせていた。
執拗に責められ、荒い息遣いの下から喘ぎ声を出し始めた逝け田を見て口角を上げる。
「逝け田、お前、俺に触られて感じてんの?男だぜ?
 何度目だったっけかな、こうやって借金チャラにしてやってんの。
 最初はすげー嫌がって俺も結構無理矢理やって切れさせたりしたけど、
 あれに比べたら随分エロくなったよな、お前も。」
逝け田は耳まで赤くして、腕で眼鏡を押し上げ目元を擦っている。
歯を食いしばって声が漏れるのを抑えているようだが、時折ふぅっと肩で息を吐いて
快感に理性を失ってしまうのを受け流しているらしかった。
その姿に革田の欲が追い立てられ、緩慢だった動作が激しさを帯びる。
手の平で亀頭を擦り、逆の手の親指と人差し指でしごき上げた。
「はっ…ヤバ……出る…っ」
もう、と思った瞬間に指で作られた輪の往復は止められ、強く締められた。
「お前ばっかり楽しんでんじゃねーよ」
224風と木の名無しさん:04/09/28 11:16:53 ID:vi6vAHoP
逝け田の口の中に指が入れられた。唇に革田の指が触れた瞬間、背筋に電流が走った。
人差し指と中指で舌を弄われ、涎が口の端から落ちるのも止められない。
「ちゃんと舐めろよ、これで慣らすんだからな」
その言葉にまた顔が熱くなるのが分かった。
口蓋を指の腹で撫でられる感触が心地よく、逝け田は革田の手を取ってしゃぶった。
唾液でたっぷりと濡れた手が逝け田の奥まった所に伸びる。
穴に触れた時、逝け田はひっと息を飲んで肩を竦めた。
構わず押し広げて、その穴が革田を受け入れられる様に慣らす。
「もう良いだろ、入れるからな」
両脚を持ち上げて、指で充分に柔らかくなったそこに宛がい、沈める。
「ぁ…ぁあ…く、っ…んんっ」
突き上げる度に逝け田の口から喘ぎ声が漏れた。
内壁を擦られ、必死にしがみ付いた逝け田の指が革田の腕に食い込む。
「は、あっ…あ、ーっ」
逝け田が自らの腹の上に吐精すると、革田を咥えこんだ部分が収縮した。
勝手にイキやがって、と呟いて、逝け田の奥に熱い精液が流し込まれた。
225風と木の名無しさん:04/09/28 11:17:04 ID:vi6vAHoP
大きく肩で息を吐いてやっと呼吸を整えた。
「こ…これで、全額チャラだよな」
「ハ?お前何言ってんだよ」
「あぁ?そういう約束だろが」
指先に逝け田の出した白濁を取り、舐めてみせる。
「ふざけんな、これは先月の分だ」
逝け田の眼鏡に手をかけ、外して傍らに置く。
「まだまだ借金は残ってんだかんな」
226風と木の名無しさん:04/09/28 11:19:11 ID:vi6vAHoP
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 | | □ STOP.       | |
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 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
227風と木の名無しさん:04/09/28 18:15:50 ID:gJ8q62JU
>>208-218
激しく泣いたよ…そして激しく萌えたよ、ありがとう、ありがとう(つД`)
ダニ一ルの想いが切なすぎる。天国で会えるといいね…
228風と木の名無しさん:04/09/28 18:36:26 ID:3lvszepN
>220-226
元ネタ知らないんだけど禿萌え!!!なんだこのエロい二人は… ムハー(・∀・)=3
229風と木の名無しさん:04/09/28 21:12:33 ID:y8HvkOW4
>>208-218
とても切ないな〜と思いつつ読ませていただきました。
今日本屋行って思わず原作買ってしまいました。

>>220-226
ドキドキハァハァしました。
230風と木の名無しさん:04/09/28 21:13:56 ID:n8iggkL+
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  飛翔で連載中、死帳の得る月です。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  月が弱くて女々しいなあ。性格違うよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ アンマリエロクナイッポイネ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※今の本誌より結構未来の設定です。
231風と木の名無しさん:04/09/28 21:14:32 ID:n8iggkL+
僕へのキラの疑いは、とうに消えていた。
ずっとあんな僕だったのだから、それも自明の理かもしれない。
その”僕”は、疑われるようなことは何一つ、していなかったのだから。
懐疑の消失は、平気で嘘をつくLの信用出来ないような言葉ではなく、彼の態度が明らかにしていた。
疑われていたときとは、掛ける声も、向ける表情も、抱きしめる熱さも、こんなにも違う。
それは、信頼出来る操作員へのそれであり、なんでも話せる親友へのそれであり、
何よりも大切にしている伴侶へのそれであり。
今は、僕は彼に愛されていたと、真っ向から信じられる。確かな愛を感じていた。

記憶を取り戻したのはいつだったかな。何ヶ月前?はっきりとは覚えていない。
その為にずいぶんと無茶をやらかした。不自然さを防ぐ殺人。それの発覚を防ぐ為の殺人。それを隠す為の…。ごく近い人間までも手にかけた。ごまかしの上塗り。仕方がなかった。
いや、「それは正しい判断じゃなかった。」なんて、後からそう思っても、
今やっていることも後で嫌悪するような事柄なのだ。
それを、繰り返す。僕はもう疲労困憊だった。
今何故崩れかけているのだろう。初めはあんなにも高みにいたのに。
いや、初めから綻びは始まっていたのかもしれない。この消耗した精神力を見てみると。

本当は、僕は何故自分が崩れたか分かっている。でも、思考をそこに行き着かないようにしていた。
この気持ちのせいにはしたくない。
232風と木の名無しさん:04/09/28 21:14:59 ID:n8iggkL+
「月君、見て下さい」
あいつが白い紙の束を手に持ち、隣に座り込んでくる。
「―――――についての書類です。一、二枚目は人物記録。三枚目からは彼の当日の行動と…」
名は聞き取れなかったが、左上の小さな顔写真を見て、見当はついた。
名前、なんて言ったっけ。思い出せない。この間ノートに記したばかりだというのに。
Lは僕の持つ書類を覗き込む。彼の真っ黒な瞳が確認するように文字を追っていく。
それと同じ黒色の、長めの髪が僕の顔に掛かった。ばさばさの髪。妙に、近いよ、L。
書類に目を通しているはずの僕は、じわりと空気を介して伝わってくるこいつの熱に気を取られていた。
「月君、知っていましたか?――――も先日命を落としたんです。少し変わった亡くなり方だったそうですよ。」
あぁ、そいつ。確かにそいつの名も書いたけど。
何故もう情報がこいつの元へ?いやに早い。
「あ、思い出しました。実は彼から君にと、預かり物をしていたのです。」
そう言って、こいつはビデオテープを取り出した。なんでもないことの様に僕に差し出す。
なんでもないことの様に。
「あぁ、うん。ありがとう。」
でも僕はそのビデオのことは知っているよ。そこにはデスノートを持った僕が映っているのだから。

受け取ったビデオテープのパッケージは白かった。決定的に白かった。
あの書類も白。
今日はいやに白が目につくな。何故だ。こんなにも白が眩しい。

僕は立ち上がった。二つの白を握り締めて。
もう、僕の部屋へ行こうよ、L。
233風と木の名無しさん:04/09/28 21:15:48 ID:n8iggkL+
高く聳えるビルの中。ずっと向こうまで続いていく窓から遥かに街を見下ろして、
長い廊下を、Lと並んで歩く。僕の部屋へと向かう。
今日は前から約束していた日だね。

全てが終わらなければこんな日は来なかったはずだ。
一晩中、愛し合おう。
いつもの部屋からわざわざ僕のプライベートルームへ移動するっていうのはそういうことだ。
僕もこいつもそういうつもりだ。

幸せだ。こいつと穏やかに歩くこの時。
なんて幸せだ。全ての終わりを確信し今日という日を約束した、あの日の僕ら。
最後の日になるとは思ってもみなかった。

急に僕は足を早めた。
自然に。悪戯をする子供の様に。
追ってこいよ、と言いながら、どんどん先へ進む。最後の方はほとんど駆け足になっていた。
笑いながら、ゆっくり歩いて来ればいいと、願っていた。
でも、あいつも、不自然にはならないギリギリの速さで追ってくる。
あいつは決して、僕を逃がしはしない。

僕は部屋に滑り込んだ。ドアを閉める余裕もない。
さぁ、この手の中の証拠を早く片付けてしまおう。急げ、追っ手はすぐ後ろに迫っている。
白い紙の束は机の下へ。ビデオテープは、…隠す場所が見つからない。
足音が聞こえる。あいつも急いている。急げ。
とっさに、山積みされたテープ達の1番上へそれを置いた。慌てて置いた衝撃で、山の一部が崩れた。
振り向いたときには、既にLはいた。
234風と木の名無しさん:04/09/28 21:18:22 ID:n8iggkL+
抱きついた。衝動的に。
首に腕を回す。本当は唇に触れたかったけれど、
今の気持ちを読み取られない表情を作らなければならないのが面倒臭くて、僕は首筋に顔を埋めた。
肉のない薄い皮膚に吸い付く。ごまかす為に唇を寄せたというのに、離したくなくなって、僕はそこを吸い続けた。
跡を付けたい。すぐに消える物だとは分かっているけれど。
それでも、こいつに僕の跡を付けておきたい。ずっと消えないくらい強い跡を。

頭上の目線は、僕ではなく、右の方を向いていた。崩れた白い山の中の一点を、確認していた。
もう僕の企みは暴かれているのだ。

分かっている。二人とも全部分かっているんだ。
分かっていてやっているんだよ。

こんなに一つ一つに必死になる自分に笑ってしまう。
でも、僕の顔は可笑しいのか泣きたいのか分からない。
だから、ただ必死に抱く腕に力を込めている。
消えない跡はついただろうか?確認するのが怖くて唇を離せられない。

愛しい。どうしようもないくらい、愛しい。
235風と木の名無しさん:04/09/28 21:18:54 ID:n8iggkL+
Lの腕が僕の腰に回された。それに促されて、やっと僕は唇を離した。
その跡を見る暇もなく、強く強く、抱き合った。

お互いに相手を抱き、抱かれながら、もそもそと鈍重に部屋の奥に進む。
ベッドにそのまま崩れ落ちた。
唇が重ねられる。熱い息遣い。僕は激しさに目も開けられない。
もっと、もっと深く、絡んでくれ。僕を、蹂躙しきってくれ。

一晩中だ。本当に一晩中、僕を愛してくれ。
僕はお前の名前を呼び続けるから。馬鹿みたいに、呼び続けるから。
僕はこの時間を一秒も逃せない。一秒も無駄にしたくない。
一瞬一瞬を全て刻み付けるんだ。

本当に、僕はお前が、どうしようもなく愛しいよ、L。
236風と木の名無しさん:04/09/28 21:19:13 ID:n8iggkL+
ずっと彼の体を抱きしめていた。

部屋に陽の光線が溶け込んで、キラキラと輝いていた。
白に晒された朝。僕はただ眩しかった。
時は進み続ける。白い光が僕を刺す。
もう夢を見る時間は終わった。


僕は気付いていた。
昨日あの書類を横から覗くLの瞳も、微かに震えていた。
237風と木の名無しさん:04/09/28 21:21:07 ID:n8iggkL+
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 | | □ STOP.       | |               話が分かりにくい・・・
 | |                | |           ∧_∧ 意味不明なもの上演してスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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あと、最後細かいレスになっちゃってすみません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
238風と木の名無しさん:04/09/29 01:56:31 ID:6Cna+fM6
 ____________          |飛翔で連載中のイチゴ1/1だよ。
 | __________  | |パティシエ×主だよ。
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 | | |> PLAY.      | |             ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ 
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今週の水着ネタで萌えたネタです。
凍上さんは習い事かなんかで先に帰ったことにして下さい。
239その1:04/09/29 01:57:33 ID:6Cna+fM6
着替え室で、真中は自分の裸を鏡でじっと見つめている。
「うー…やっぱ貧相な身体だよなあ…」
天地の身体に比べると、まさに天と地の差ほども開いた貧相な身体だと真中は思った。
サッカー部のころはもう少しましだった気もするのだが…
今の文化系な状況では、身体など鍛え上げられようはずもない。
むしろ、今の状況で脂肪がほとんどついていないということはそれなりに誉められてしかるべき筈だ!
そんな風に自分を慰めてみてもいきなり自分がムキムキマッチョになれるはずも無く、
鏡に映るのはいつも通りの自分だ。
「…やっぱり東條も、ちゃんとコンタクトかけたらかっこいい体の方がいいんだろうな」
天地も文芸部に所属しているんだから現在の運動量にそれほど差があるとも思えないのだが。
やっぱりかっこいい奴は生まれつきなのか!?
俺みたいな奴、やっぱり…

そんな風に底なしの自己嫌悪に陥りそうなところで、着替え室の影から人影が現れた。
「あれ?お前、真中…?」しかもこんなことを言ってくる。
こんなところに知り合いなんているはずないのに誰だ?
ネガティブな気分を引きずりつつも振り向くと、そこにいたのは水着姿の日暮だった。
240その2:04/09/29 01:58:49 ID:6Cna+fM6
「え?え?ひ、日暮さん?どうしてこんなとこにっ!?」
日暮の前だと、咄嗟にどもってしまうのはもう半分は癖だった。
日暮の前に出ると、どうも顔が赤くなってしまう。
きっと男としての位置が違いすぎるせいだと、真中は自分に説明を付けていた。
「いや、ケーキ屋の常連さんにここの会員の人がいてさ、『最近身体鈍ってるんじゃない?』
ってここのチケット渡されてね。その人―ああ、男なんだけど―プールなんて趣味じゃないっていうからさ。
ま、確かに最近身体動かして無かったし。たまにはいいかってね」
そう言ってにかっと笑う日暮特有の笑みは、相変わらず女性ファンを引き付けてやまない魅力を持っていた。
真中も思わずポーっと見惚れてしまったくらいだ。
「で、お前は?」
「え?俺?」
「そうだよ、言っちゃ悪いけどお前がここにいる方が俺にしちゃ不思議だぜ?」
真顔で聞き込まれ、真中はさっきまで自分をコンプレックスのデフレスパイラルに陥らせていた原因を思い出す羽目になった。
「…友達がチケット持ってたんで、連れてきてもらったんです。あと一人、女の子と来てるんですけど」
と微妙に鬱な表情で答えると、日暮は納得したようなしないような顔になった。
「ふーん。で…その友達はどこにいんの?ここにはいないみたいだけど」
「あ、ええと今は多分救護室かどっかで寝込んでます。女の子のセクシーさに参ってどばーって鼻血出しちゃって」
あはは、と笑いながら話すも、どこか浮かない顔のままの真中に日暮は黙り込んだままだ。
「…あの、日暮さん?」
だんだん真中も不安になってきた。何か、失礼なことをしてしまったのだろうか?
241その3:04/09/29 01:59:34 ID:6Cna+fM6
「…あのさあ、間違ってたらごめん。今、なんかへこんでない?お前。それも、多分その友達関係で」
「え、えっえっ!?」
「いやなんかさ、表情暗いし。いつものお前って…その、そんなに知ってるわけじゃないけどもう少しいい顔してるからさ?」
日暮の思わぬ台詞に真中は呆けた。

一体この人が自分の何を知ってるというのだ?
何故この人にこんな踏み込まれたことを指摘されなければならないのだ?
この人にこんなことを思わせてしまうほどに今の自分は不安定な表情をしているのか?
男として尊敬しているこの人にそんな心配をさせる自分が許せない。
恥ずかしい。
恥ずかしい。
この人にそんな表情を見せてしまうなんて。
でも気付いてもらえて嬉しい。
でも恥ずかしい。
ああどうしてこんな所で会っちゃったんだろう本当にタイミングが悪い――
様々な感情が真中を一瞬にして矛盾した感情の嵐に巻き込み、真中はその嵐に耐えきれず、――臨界点を突破した。
つまり、真中の両目からは、涙があふれた。

「…話、聞こうか?」
242その3:04/09/29 02:00:40 ID:6Cna+fM6
「…友達っていうか、半分位はライバルっていうか…敵みたいなもんなんです。
でも、あいつの方が何でも勝ってる。本当にスゴいんです。
今日だって、あいつ…天地って言うんですけど…はカッコ良く飛び降り台から飛びこんでみせたけど、俺には無理だし」
「飛び降り台って、あのプールの?そりゃ凄いな」
今、二人はシャワー室の前の段差に腰掛けていた。
真中は肩から日暮のタオルを被っている。「濡れたまんまじゃ寒いだろ?」と渡してくれたのだ。
自分のタオルもあったが、日暮の好意に甘えてバスタオルサイズのそれをそのまま使わせてもらっていた。
ついでに足下には缶ビールが置いてある。中身は半分位残っているが、
日暮曰く「こういう話題は酒が入った方が話しやすくなる」らしい。
さすが日暮さんだ、などと妙なところまで尊敬のカテゴリーに入れる真中は既にほろ酔いだった。
「…天地は、身体だって引き締まって鍛え上げて格好いいのに、俺はこんな貧弱な身体だし。
それで、前から色々あって、さっきはちょっとへこんじゃってて」
真中はこんなことをスラスラと日暮相手に言える自分が不思議だった。
日暮に聞いてもらうことで、天地へのコンプレックスが幾分軽くなっていくことにも気付いていた。
「なんか、本当にさっきはすいませんでした。恥ずかしいな」
照れて日暮の顔がまともに見れない。
照れと酔いが混ざってきっと今自分の顔は真っ赤なんじゃなかろうか、と真中は思った。
243その3:04/09/29 02:01:13 ID:6Cna+fM6
「…あのさあ、」
「はい?」
「お前、言うほど貧弱かなあ?」
言って、真中の肩にかかっているタオルを軽くまくる。
「わりと、かわいくていいんじゃね?」
「か、かわいい〜?」
思わず脱力した声で日暮をじろじろと見てしまう。
と言ってもやっぱりまだ顔は見れず、自然と身体に目がいく訳だが。まだ顔は赤いままだ。
「男が男にかわいいって言われたってぜ〜んぜん嬉しくないですって〜」
じろじろ見ている内に気が付いた。日暮さんも相当筋肉付いてる…。
そりゃそうだ。チンピラを撃退したのは記憶に新しいではないか。そーだそーだ。
「うー、日暮さんも筋肉付いてんれすねー…」
だんだん呂律が回らなくなっている自分に、真中は気付いていない。
「いいなー」と言いつつ、無意識のうちに真中は日暮の腹筋に触っていた。
鍛えられた筋肉の筋を、確かめるようになぞっていく。上から下へ。下から上へ。
「…」
日暮は動かない。話さない。そのせいで真中は気付けない。
日暮の眼が、本人も知らず獲物を狙う眼になっていっていることを。
「あのさ…誘ってるわけじゃないんだよな?」
「ん〜なんれすか?」
よく聞こえなかった真中は赤らんだ顔を日暮のそれに近づける。
それはもう、日暮にとってはお誘い以外の何者でもなかった。
244その5:04/09/29 02:03:19 ID:6Cna+fM6
「…はっあ…あっ」
「真中…なんか、顔、えっちぃぞ。もっと見せて」
「や…は……恥ずかし…」
俺はビールと恥ずかしさで朦朧とした頭で考えていた。
ど、どうして?どうしてこんなことになってるんだ?
一瞬だった。日暮さんに顔を近づけて何を言ってるのか聞こうとしたら…

そう。まず腹筋を触っていた腕をとられて、日暮さんと密着した。
「え?」
なんだろう。なにか、内緒話でもするのかな?
クスクス。ハイになってる。最近ではちょっと珍しいかも。
西野にキスされたとき以来、かな?
あんときも嬉しかったな〜。
そう、そうだ!この感謝を伝えるらめにはキスしてひぐれさんにつたえるのがいちばんだ〜!

ちゅっ。

「ひぐれさーん、ありがとうございます〜」
うん、言えた。まだ赤い顔のまんまだけど、ちゃんと目を見ていえた!ごーかっく!

245その6:04/09/29 02:09:51 ID:6Cna+fM6
そうしたら日暮さんはいきなりおれのズボンのひもを解いて、ずりさげた。
「ひゃっ!?」
股間がいきなり外気に晒されて、肌寒い。
俺は驚いた…んだけど、日暮さんが唐突に言ってきた。
「感謝してる?」
「か、感謝してますよ〜」
「じゃあさ、……俺を気持ちよくして?」
ひ、日暮さ〜ん?なんか発言がヤバいですよそれ〜?
酔ってる頭なりにようやく危機感のランプが点滅し始めたんだけど、
やっぱりそれは酔ってる頭なり、でしかなかった。
「な、何すればいいんですか〜…?」
なんて聞いてるのがいい証拠だ。
「なに、単純なことなんだけどね」
な、なんかいつもの笑みと違う…?
いつもの笑みよりも……何処か妖しくて、俺はぼんやり、凶暴な獣に喰われるのかな、と思った。

「抵抗しないで、身をまかせて。
大丈夫、お互いにキモチよくするだけだから」

246その6:04/09/29 02:11:12 ID:6Cna+fM6
そう言うと、日暮さんはいきなり俺の一物を撫でた。
「ひ、っ!?」
身を硬くする俺に、日暮さんは耳元で優しく囁く。
「大丈夫…俺に任せて…?」
「だ…だって…こ、これって…」
話している間にも、日暮さんは右手で俺の一物を擦り、左手で俺の腰をがっちりと固定し、首筋に紅い痕を残していく。
俺を触る全てが、俺の思考能力を奪っていく。キスも、右手も、左手も。
その…はっきり言って、巧い。
俺は童貞だし、まして受身になるなんて考えたこともないから、
どれくらい巧いかなんて想像でしかないけど…気持ちよすぎて抵抗できない。
腰が抜けそうで、膝立ちしているのも辛くなって、膝が震えてきている。
「真中、声、出して…?」
「……はぁ、だ、…って…あっ」
「真中…なんか、顔、えっちぃぞ。もっと見せて」
「や…は……恥ずかし…」

…うん、全部思い出した。
って、何の解決にもなってない!
や、やばいんじゃないのこの状況?
でも何だか気持ちよくって抵抗しなきゃいけないのにする気になれないし抵抗しなきゃでも気持ちいい俺まるで女の子みたいな声出して恥ずかしいでも気持ちいいでも。
なんだか思考回路がとろけてきてだんだん声が抑えきれなくなってきたところで、日暮さんが唐突に擦るのをやめた。
「…?」
俺は思わず縋るような視線を日暮さんに向けてしまう。
して欲しい。気持ちよくして。もっと。
247その8:04/09/29 02:14:55 ID:6Cna+fM6
「そんなエロカワイイ表情しても駄目。もっと気持ちよくなりたかったら…」
そう言って、日暮さんの頭に乗せていた俺の手をゆっくりと日暮さん自身へと導いていった。
日暮さんは、もう張り詰めていた。
「一緒に…いこ?」
そう言って笑う日暮さんは、やっぱりどこか、いつもよりも凶暴で色っぽくて、俺はぼんやりと
その顔をファンのお姉さんに見せたらきっとイチコロなんだろうなーと場違いなことを思った。

「ふ…っ」
俺に抵抗の意思なんて、もう爪の垢ほどにしか残っていなくて。
少しだけ躊躇った後、ゆっくりとこすり始める。手で俺と日暮さんを一緒にして、腰を上下に動かし擦るのだ。
俺は早くイキたくて、でも一緒にって言われたからにはそれは守らなくちゃ、
なんて妙に律儀なことを考えて日暮さんのモノを手で重点的に、一生懸命擦りながらながら必死に腰を動かしていた。
「あんっはっ…ひ、ぐれ、さん…の、あつ、い、あっ」
「真中、のも、あついぜ」
俺はもう、声を抑える余裕なんて完全になくなっていて、もう、自分では半分くらいしか言ってることが分からない。
でも、日暮さんが苦しそうな表情をしているので、早くラクにしてあげたい、
自分の先走りの液と日暮さんとの液で、もうどちらの液なのかわからないくらいににゅるにゅると滑りながら、擦り合いながら、頂点へと上り詰めていく。

「あ、あああっ!」
「う、あっ」
二人、ほぼ同時にイケたんじゃないかと思う。
日暮さんの精液は見事に俺の腹に全てかかり、太ももに引っ掛かっている水泳パンツにもかかった。
俺のも日暮さんの腰あたりにかかっていた。
まあ、向かい合ってたんだから当然って言えば当然なんだけど。
248その9:04/09/29 02:18:19 ID:6Cna+fM6
二人して、しばらくもたれあったままの姿勢でぼうっとしていた。
さすがにもう真中もアルコールは抜けていて、日暮の肩に頭を預けながら、これってまずいよなあ…とか何とかつらつら考えていた。
そうしたら、日暮が心持ち顔を赤くしながら言い出した。
「…あのさあ、」
「はい?」
「…その、また二人で会ってくれるか?」
「…」

無言だった。どうするかなど何も決めていなかった筈なのに、むしろまずいとすら思っていた筈なのに――
なぜだか真中は頷いていた。

密着したままの二人の足下に、温くなった缶ビールが転がっていた。

249風と木の名無しさん:04/09/29 02:20:49 ID:6Cna+fM6
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 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |               勢いのままに書いてしまったが良かったんだろうか…
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
パティシエの口調が微妙なのは分かってないからです。スマソ
250風と木の名無しさん:04/09/29 07:56:51 ID:E8Kr4EYk
>>238
うわぁぁぁぁ姐さん、萌えたよなんだかー!!
新境地を開拓した気分です!真中かわいい!
251風と木の名無しさん:04/09/29 11:23:05 ID:BVFNP8+c
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | 角煮土産Zロリタソで〜す
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  某博士も出ま〜す
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マタフロカヨ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Zロリは専用スレが立ったのですが、角煮土産はこちらに置かせていただきます。
あちらの方たちには一度読んでいただいたものを少し直しています。
長いので3部に分けて貼らせていただきます。
252第1部・1:04/09/29 11:24:49 ID:BVFNP8+c
肌寒くなってきたなあ…)
そろそろ野宿はつらい季節だ。雨風しのげる場所をさがして、街まで足をのばした。
今度の街は少し変わっていた。地面から湯気がもうもうと出ている。
「わ〜〜。ココ歩くと熱いのか??」
と思ったがそんなに熱くはなく、湯気に包まれながら街中を歩くという珍しい体験を楽しむことができた。
「オラ、ハラへっただあ〜〜」
「そうだな…メシもなんとかしないとなぁ」
空腹を思い出しよだれが流れた。
安そうな店を探してキョロキョロしていると、街の人と目があった。
「旅の人。だいぶ疲れてるようだね。ひとっ風呂浴びたらどうだい」
「風呂!!」
Zロリの瞳孔が全開し目が丸くキラキラと光った。
お風呂は大好きだ。お風呂大好き選手権が開催されたら絶対に上位に食い込む自信がある。(そんなもん開催されないが)
(あ、でもお金がギリギリしかない…)
耳を垂らしたZロリにかけられた次の言葉は天使のささやきだった。
「この街は温泉がガンガン湧いていて、無料で入れるお風呂がたくさんある。あそことか」
……指し示された先には申し分ない建物が。
「わ〜〜い!!風呂だ風呂だぁぁ!!」
はしゃぐZロリの腰をIシシがぽんぽんとたたいた
「せんせ、オラたちハラへって…早くメシ食いたいだ…」
「そうか。んじゃ、こうしよう。おまえたち、先に食事して来ていいぞ。おれさまにも何か買って風呂に来てくれ」
「ホントに風呂好きだなあ…」
その言葉に対してZロリはググッとこぶしを握って力説した。
「旅をしていると、まともな風呂に入れる機会は少ない。寒い時期に川で行水はつらかった…。そこに温泉!!
風呂好きとしては、んもう辛抱たまらん状況だッッ!!」
「わかっただ。オラたちもあとで入りにくるだよ。じゃ、行こう、Nシシ」
253第1部・2:04/09/29 11:26:51 ID:BVFNP8+c
一人になったZロリは湯煙の中、さらに土煙をあげて浴場にダッシュした。
もう遅い時間だからなのか見たところ他に客はいない。
「わ〜〜一人占めだぜ。くぅ〜〜〜うれしいッ!!」
すっかり天下とった気分ですこぶる気持ちよく湯の中で何曲も歌った。
歌い疲れて、はぁ〜〜〜と息をついた時、始めて人の気配に気がついた。いつの間にか次の客が来ている。
(わっ!なんか恥ずかしい…)
でも、まあ知らない人だし旅の恥はナントカだ。ここは笑っとこう。
あいそ笑いをしようとしたZロリだが…もっといい笑顔になった。湯気の向こうから現れたのは…
「Gオン!!Gオンじゃないか」
Zロリはおもわず立ち上がった。
「あっ…ああ。聞いたような声だとは思ったが、まさかこんな所で会うとはな…」
Gオンの目が少し泳いでいた。
「どうかしたのか?落ち着かないが」
「まっ…前を隠したまえ。前を」
「あ。こりゃ失礼。…けっこうキチンとしてるな」
「当たり前だ。…子供かキミは」
二人はしばらく並んで湯船に浸かっていた。温泉の心地よさに大満足しているZロリには、
流れる沈黙が全く気にならなかった。話しかけたいときに話しかければいい。
「なあ。あれから何か作ったか?」
「ウ…いや。なかなか作りたいモノってのもなくてな」
「ふ〜〜ん。まあ、そうしたもんかな。あせらずやるさ」
なんかポーッとしてきた。時間を忘れていたがずいぶん入っていたのだ。
(IシシとNシシ遅いな。…もうあがろう。湯あたりしそうだ)
「じゃっ、Gオン、お先」
「ああ。」

(気持ちよかったな〜〜 んんっ。キレイに洗ってますます男前になったぜ)
Zロリは胸のあたりまで映る鏡の中の自分を見た。ニヒッと笑ったが、鏡の中の自分は笑わなかった。
(……あれ?やっぱり湯あたりしたか???)
と思った瞬間、鏡の中の自分だけがすうっ…とフレームアウトし、視界から消えた!!
本当に驚いた時は声は出ない。Zロリの視界に天井が映りそして真っ暗になった。
254第1部・3:04/09/29 11:29:09 ID:BVFNP8+c
「おい。しっかりしろ」
揺り起こされて気が付いた。
「う…んっ…」
Gオンの碧い眼が心配そうに覗き込んでいる。
跳ね起きたZロリは震える手で鏡を指差した。
「いっ今、おれさまが……って、あれ?!」
見て驚いた。鏡だと思っていたのはただの窓だったのだ。しかも開いている。
「なんだと??映っていたんじゃないのか?おれさまがもう一人いたってことか?!」
もう一人自分がいる。IシシとNシシのように双子ではないのに。
知っている答えは一つしかなかった。
「…まさか…ドッペルゲンガー?!」
ドッペルゲンガー。自分以外に存在する自分自身の姿。見たら数日で死ぬ。
血の気が引いた。もう一度気が遠くなりそうだ。
「イヤだあ…なんでおれさまそんなの見るんだよぉぉ…まだやることいっぱいあるのに…」

急に顎をぐいと持ち上げられた。Gオンが涙でぼやけている。
「ドッペルゲンガーなどいない。そんなバカげたことを科学者の私の前で二度と言うんじゃないぞ。
キミは死んだりしない。私が助けた命がそんなくだらないことで終わったりするものか」

Zロリは半信半疑だったがGオンの否定は力強かった。Gオンには確信があったからだ。
255風と木の名無しさん:04/09/29 11:31:13 ID:BVFNP8+c
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 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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おそまつさまでした。
256風と木の名無しさん:04/09/29 14:05:46 ID:Ir2EhiUk
>>238-249
GJGJGJGJGJGJ!!!
真中かわいいよ真中。日暮エロいよ日暮
萌え〜(*´Д`)ハァハァ
257風と木の名無しさん:04/09/29 15:40:10 ID:/mwbq+rx
>>238
よかったです
マナカ… (;´Д`)ハァハァ

最近はパンチラサービスショットにイライラしてたので
あぁ楽しくなってきた
258風と木の名無しさん:04/09/29 16:47:31 ID:WhV6CKqL
>>238-249
待ってましたー!
真中可愛いかったです。萌えをありがとう・・!!
259風と木の名無しさん:04/09/29 20:58:18 ID:Q+FLRloE
>>220-226 原作絵で脳内再生しますたヽ(´∀`)9 ビシ!!
260風と木の名無しさん:04/09/29 23:10:44 ID:7Ox/cWkW
>>255さん、GJ!
博士かっこいいですね。
無理だろうけど原作にもでてきてほしい。
261風と木の名無しさん:04/09/30 12:51:24 ID:GZ7DdQMc
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | Zロリタソ>>254続きです
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  もう?早いな〜
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドンドンイ〜クゾ〜
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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262第2部・1:04/09/30 12:53:14 ID:GZ7DdQMc
頭がぐゎんぐゎんする。寒い。目が回る。メチャクチャだるい。息が苦しい。
「せんせ、まっすぐ歩けてないだよ。大丈夫だか?」
「だっ…だいじょブ…。ダメでもオーライ…」
「なんかちょっとワケわかんないこと口走ってるだよ」
「お医者さん行ったほうがいいだよ。苦しそうだ」
「医者はキライだ。注射はイタイし薬は苦いし。フフフおれさまの自然治癒力を見るがいいぜぇ!!」
「ムダに元気でかえって心配だあ」
 
 水も滴るいいキツネだぜぇなどと思ってないで早く体を拭けばよかった。
しかも裸のまましばらく気絶していたのがいけなかったのか。
それにしてもいつもの風邪と比べるとキツすぎる。もっと深刻な事態ではないのかという不安が頭をかすめる。
Gオンはあの時こう言った。
「今すぐ決めたまえZロリ。迷信と私のどちらを信じるんだ」
 そりゃ、自分があと数日の命になったのを信じたいヤツなんかいない。
しかしこのただごとでないキツさはどうなんだ。迷信なんか信じたくないが…万一そうなら。
迫り来る死の足音を聞きながら数日このままボーッと過ごすワケにはいかないんじゃないのか。
 おれさまとソックリのあいつの正体がわかれば、なんとかなるかも知れない。いや何とかする!
そうだ。最後まで決してあきらめない!あいつの正体確かめてやる。やるったら、今すぐやる。
好奇心旺盛。行動力抜群。IシシとNシシが気付いた時にはもうZロリの姿はなかった。
263第2部・2:04/09/30 13:01:01 ID:GZ7DdQMc
昨日の風呂あたりでヤツを見かけた人がいるはずだ。出会う人に片っ端から声をかける。
「昨日このへんでおれさまを見なかったか?」
ヘンな質問に怪訝な顔をされてもくじけない。時間がないかもしれないのだから。
息をはずませながら少しふらつく足取りで街中歩きまわった。
「ここにおれさまが来なかったか?」
「ああ、今…」
「バカ野郎!!そいつがルパンだあ!!…じゃない。そいつどこ行った?」

 やっと手ががりをつかんだと思ったのだが、体がいうことをきかなくなってきた。
壁にもたれて息を整えつつ、ぼんやりしていると、急に誰かに腕をつかまれ、引き寄せられた。
高い鼻と鼻とがくっつきそうな距離にいたのはGオンだった。
「見つけたぞ。勝手に歩き回ってはいかんと…」
言いかけて低く「うっ?!」とうなった。
「Z、Zロリ…か?!」
Zロリは熱で潤んだ目でぼぉっとGオンを見ていたが、限界が来ていた体がGオンの腕の中にがくん…と落ちた。
(熱い…!!)
GオンはZロリの体の熱さに驚き、それでもしっかりと抱きとめた。
初めてZロリの冷たい体に触れたときの記憶が蘇る。
不思議なものだ。もう二度と会えないと思っていたのに、今度は熱い体をこうして抱いているなんて。
このままにはしておけない。GオンはZロリを抱きかかえ、宿に戻った。
探し物には心残りだが、優先度を考えるとそうせざるを得ない。
264第2部・3:04/09/30 13:02:48 ID:GZ7DdQMc
 Zロリは顔を紅潮させ、荒い呼吸を繰り返していた。
「昨日の風呂で湯冷めか?!風呂好きにあるまじき失態だな」
「うう…誰がアルマジロなんだ…」
「ムリしてボケなくていいから寝ていたまえ。私に照れ隠しは無用だ。苦しいんだろ」
Gオンはそう言いながらZロリの額をなで、冷たいタオルを置いた。
 Zロリはおとなしくなった。高熱なのに走り回ったため、かなり消耗している様子だ。
自分のベッドの上でぐったりしているZロリを見ているとGオンは落ち着かなくなり胸が苦しくなってきた。
はにかみながら、しかし思い切って、つぶやいた。
「私は欲しいものがあれば、何だって自分で作ってきた。…しかし、キミに会ってから……
いくら作りたくても作れないものが…欲しくなってしまったんだ」
Zロリは空ろな目で天井を見ていた。聞いていたのか、いなかったのかわからなかった。
「Zロリ……?」
反応がない。眠っているのか? 無防備な姿にGオンは体が熱くなってくるのを感じた。
額や頬にキスした。(私は…何をしているんだ……)しかし、もう止まらなかった。 
 キスはだんだん下に移動していった。うなじに、そして服をそっとはだけて胸に。
その刺激で我に返ったZロリの体がピクリと反応し、身を起こそうとした。
「何…してんだ…?」
「キミが今そんな状態じゃないことはわかっている。でも私も限界なんだ。抵抗しないでくれ。
無理矢理でなく、やさしくしたいんだ。……それとも、痛いのが好きなのか?」
「そ…っ、そんなワケないだろう!!」
「…キミが忘れられなかった。……まさかまた逢えるとは思ってなかった。」
Gオンの手が、舌がZロリの体を這う。ゆっくりと、感じる部分を探しているように…
「う…あの…Gオン……おれさ…ま、男なんだけど………」
「わかっている」
まだGオンの行為の意味を全て理解したというワケではないのだが、
Zロリは体の力を抜き、Gオンの与える快感に身をまかせた。何よりも…もう動けなかった。
感じる部分に触れられて、苦しい息の下からも、時折甘い声がもれ、目がとろん…としてくる。
265第2部・4:04/09/30 13:06:19 ID:GZ7DdQMc
(ああ…この声。この表情。やはり私には作れなかった。まさしく神の御技という他はない)
Gオンはプライドの高い科学者だが、今は神に対してすがすがしいほどの敗北感を感じていた。

 お互いに風のような旅人。この街で再会できたのも、奇跡と言っていい。これっきりもう生涯会えないかも知れない。
GオンはZロリの中心を愛撫した。…やっと手に入れた世界にたった一つしかない宝物のように。
(キミと風呂で逢ったとき…私はどうにかなってしまいそうだった。…キミは残酷なほど無邪気で…無防備すぎる)
熱い。熱を持った体より、中心が熱くなっていく。透明な液がじわりとあふれてくる。
Zロリのかすかに喘ぐ声と、指で触れている部分の濡れた音がGオンの耳に心地よく響く。
 Gオンは自分をおさえるのに懸命だった。今自分の腕の中にいるZロリがもっともっと乱れる姿を見たかった。
もっと声も聞きたかった。会えなかった間、何度脳内で淫らな姿を想い描いたことか。
しかし今の体調の彼に無理なことはできない。やさしく、やさしく…自分が今から重なろうとしている部分を
舌と指で念入りに慣らしていく。
 Zロリは消え入りそうな意識の中で、Gオンが行おうとしている事を理解し、迎え入れるために脚を開いた。
挿入の瞬間、痛みのために少しだけ歪んだ表情も、たまらずあげた「あッ…!」という短い声も、
ずっとずっとZロリを想って叶わなかったGオンを満たしてくれた。
Zロリのかすかな喘ぎ声はベッドのきしむ音にかき消され、ほとんど聞こえなくなった。
 その名をいとおしむように、繰り返し何度も、ささやくように呼びながら、GオンはZロリを愛し続けた。
その細い体のなめらかなライン、美しい色、艶やかな毛並み、その匂い、切なげな吐息、そして汗や涙の味。
いずれ別々の道に旅立っても決して忘れないように。五感すべてを使って記憶に刻み込んだ。

 あんなに乱れていたZロリの呼吸が、Gオンの腕の中で穏やかな、規則正しいものになっていく…。

「Zロリ…眠ったのかい?…Zロリ…………」
「ふぁ……んん〜……ママぁ……」
「…………キ……キミは…………うぅっ……」  
266風と木の名無しさん:04/09/30 13:08:39 ID:GZ7DdQMc
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ガンバレGオン!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
おそまつさまでした。
267風と木の名無しさん:04/09/30 19:36:42 ID:WyjPOUwz
 ____________          |
 | __________  | |100-1でコソーリと
 | |                | |           \
 | | |> PLAY.      | |             ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
268谷っちと丘さん1:04/09/30 19:37:25 ID:WyjPOUwz
「かわいいなぁ」

突然谷部は呟いた。
「は?」とその場にいた出演者、スタッフ全員が頭の上に
クエスチョンマークを浮かばせた。
今はテレビ番組の収録中。
収録中なのに、谷部は思いっきり意識を飛ばしていた。
一瞬にして空気が変わったスタジオ。
その空気に気付き、ようやく谷部は現実に引き戻された。
目の前には丘村が、普段でも大きな目を
更におっぴろげて自分を見ている。
「…あ、いや、ち、ちゃうねん。○○ちゃんってかわいいなぁって、おか、丘村さんに…」
しどろもどろに言い訳をする。
谷部はめちゃくちゃ焦った。
ゲストの○○ちゃんも不思議そうな顔で、谷部を見る。
背中に冷や汗が流れる。
「…アホか!お前ちゃんと主語付けて喋れ!お陰で俺が口説かれたんかと思ったやないか!」
ドッと笑い声が溢れた。
何とか丘村さんのフォローでスタジオの空気は
元に戻り、何事もなかった様に進んでいった。

でも谷部の心臓はまだバクバクと激しかった。
269谷っちと丘さん2:04/09/30 19:38:23 ID:WyjPOUwz
(どうしたんや俺…)
収録が終わり、普段以上に疲れた顔をして
谷部は楽屋に戻る。
今日は、いつもの収録。
最初は谷部もいつもの通りに収録を進めていった。
(そう、いつも通りや。なのになんでやねん)
良い感じだった。流れもばっちり、自分も手叩きまくって笑った。
丘村さんも調子がいいみたいだ。
と思ったその時。

パチッと丘村さんが自分を見た。
多分向こうもなんとなくだろう。
いつも見てる顔。のはずなのに。
(この人いつもなんか目ェキラキラしとる)
(ほんと目が綺麗やなあ)
(…かわいいなあ)

そんな気持ちがドバーと頭に流れ込んできて、
無意識のうちに先程のようなことになってしまった。
(いやいかんいかんいかんいかんやろこれは!)
さっきのことを思い出すついでに
またさっきの丘村さんの表情を思い出してしまい、
谷部は意識飛ばす寸前で自分の頬を手でペチッと叩いた。
「あんなん三十路過ぎのおっちゃんやん!」
ペチペチペチッととにかく叩きまくった。
とにかく必死だった。
270谷っちと丘さん3:04/09/30 19:39:09 ID:WyjPOUwz
「お前頭大丈夫か…」
呆れた顔をして丘村さんが扉の前に立っていた。
本当にものすごく呆れていた。
「あ、あんたいつから…!」
「こっち戻る時からすぐ後ろ歩いてましたー」
溜め息つきつつ、よっこいせと丘村が畳の上に座る。

「お前何なの?どっか疲れてんのとちゃう?さっきもいきなり変なこと言うし…」

ちょっと心配してる顔で見つめてくる丘村に、
谷部は再びバクバクバクバクと心臓が五月蝿くなるのを感じた。
(なんじゃこりゃ!この人見て何でドキドキせんなんあかんねん!)
顔熱い。俺多分めっちゃ顔赤くなっとるで。
耳まで真っ赤っかやないか?
タコやタコ!
俺はタコじゃ!
もうタコ焼きにでも何にでもしてくれ…

「聞いとんのかコラ!」
バン、と机が叩かれて、谷部はまた意識が飛んでいたことに気付く。
「は、はい?何ですの…」
「何ですやない!お前やっぱ病院行け病院!頭のてっぺんから足のつま先まで検査してもらえ!」
丘村はキレていた。
こいつ人の話聞いてない!
っちゅうか全然聞く気ない!
「わ、わかった!わかったから…あー、やっぱ調子悪いみたい…俺、も帰るわ…」
このままだったら丘村さんハンパなくきれる…と判断した谷部は、
そそくさと逃げるようにして楽屋を出て行った。
271谷っちと丘さん4:04/09/30 19:40:17 ID:WyjPOUwz
「特に脳みそ見てもらえ!脳みそ!」
ドアが閉まっても聞こえる丘村の声に、
やっぱりまだ胸はバクバクして破裂しそうだった。
(やっぱりおかしい俺)
(ほんまに病院行こうか)

いや、きっと明日になれば大丈夫。
明日になればまたいつも通り。
今日みたいにおかしなことにはならない。
どこにそんな根拠があるのかわからないけど、
谷部はそう思うしかなかった。
そう思いたかった。

「…クソッ」
まるで自分を避けて、
逃げるように帰ってしまった谷部。
出て行ったばっかりの扉を睨み付けて、丘村は悔しそうに呟いていた。

二人とも、頭の中も胸の中もグチャグチャだ。
272風と木の名無しさん:04/09/30 19:41:33 ID:WyjPOUwz
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 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | | まったくもって
                        健全でスイマソン
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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273風と木の名無しさん:04/09/30 20:52:54 ID:HZ2xbVeD
>272
健全上等!
悩んでグルグルする谷部さんイイヨイイヨー
274風と木の名無しさん:04/09/30 22:11:42 ID:UuLDcnL1
>>272
健全100-1キター!!
谷部、そんな目でいつも見ていたなんて…(*・∀・*)カワエエ
いつも楽しみにしています。
275風と木の名無しさん:04/09/30 22:27:57 ID:BwrHQWrG
>272
健全キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!
こういうのめちゃくちゃ弱いっす。ツボです。

276風と木の名無しさん:04/10/01 00:44:40 ID:3Ji3os2d
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >>83の続きみたい。っつーことは100-1パロ?
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  なんかモンモンとしてます〜
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277谷&丘1:04/10/01 00:45:37 ID:3Ji3os2d
昔のことを思い出していた。
朝。冷たい空気が喉に染みて、起き抜けに咳き込んだ。曇り空の寒い日。
コホ…と乾いた音をたてた。
そろ…と瞼を開くと、隣のベッドに腰掛けるようにして谷部が俺を見ていた。
よれよれのネルシャツに寝癖のついた髪。
なに、みとんねん。
声には出さず、口だけ動かして睨みつけると。
いや、ちっちゃい面白い生き物やーと思って。
そういって、いつものようにヘラーと笑った。
気持ち悪いな、自分。
呟いて背中をむけた。谷部の瞳をまっすぐ見返せなかった。
冷たいようにみえて、本当はあったかくて、包み込むような目。
東京で細なって薄っぺらになってかじかんでた俺の心。
溶かしてくれたんはおまえ。
そんなん、よういえん。
そんなんは、一生、言えん。



はあ、はあ、はあ、………。
上ずった息づかいと、くぐもったような喘ぎ声が響いていた。
汗でべとべとになった互いの肌が擦れて、音をたて、鈍く光る。

谷部の指は驚くほど、慎重に優しく丘村の肌を滑った。
普段乱暴なその手がこわごわと頬を掴む。
濡れた漆黒の目玉が逸らすように鎖骨のほうへ降りていった。
「ん……はあ……」
既に丘村は自分の発する甘い声を止められなくなっていた。
耳がジンとするほど熱い。頭の奥がグワンとなって全ての音が遠ざかっていく。
冷たい玄関の床に押し付けられた背中は悲鳴をあげていた。
278谷&丘2:04/10/01 00:46:18 ID:3Ji3os2d
“あんたをみてるとかなしくてたまらん…。”

谷部の声がずっと頭の奥でこだましている。
そういって泣いた。
おまえ。
死ぬほど感じた。イってまうかと思った。
ドス黒い悦びが体中を駆け巡った。

おまえは俺だけのもんや。

谷部の顎から滴り落ちた汗が丘村の額に跳ねた。
「ん……」
紅潮した小さな顔を両手で包み込むと谷部は指で唇を開き、また舌を差し入れた。
飲み込みきれない唾液が丘村の口の端から糸をひいた。
谷部は迷うように一瞬、動きを止めたが、ヤケクソのように丘村のTシャツをたくし上げると上半身を剥いた。
汗で湿った生地が耳の裏の柔らかい肌を擦って鈍い痛みが走る。
「いっつ……」
丘村の呟きも聞こえないように、そろりと谷部の熱い舌が白い胸を擦った。
電気が走ったように体が跳ねる。
谷部の舌が自分を触っているという背徳感が余計に体を熱くさせていた。
荒い息づかいの谷部はひたむきな愛撫をくり返した。
「ん…ん……」
あ……かん。
ただ気持ちいい。快感でこのままいってしまいたい。何も考えたくない。
女のように、絡みついて。
279谷&丘3:04/10/01 00:47:47 ID:3Ji3os2d
「…エロい顔……」
谷部は胸の突起に息を吹きかけるように呟いた。
「溶けそうな顔…すんなや……エロい…」
息があがってうまく返事ができない。
「そら…そやろ……やってんだから……」
おもろないで…。
呟きは口に吸い込まれて。

迷うように揺れた谷部の瞳が。
悲鳴をあげているような気がして。

揃いのユニフォーム着て、一緒のグラウンド走ったやんか。
コケて、口の中に土がはいって、雨の匂い、雑草の匂い、かけ声、ボールの皮の感触。
先輩、俺をsなめとったらあかんで。
そういって前を走っていったおまえ。ミットが揺れて。歓声。
振り向いて、こっちを見て、笑ったお前は、眩しかったなぁ……。
めちゃめちゃ、男前やったよなぁ……。

280谷&丘4:04/10/01 00:48:37 ID:3Ji3os2d
「ん……ふ……」
谷部の慣れた指が丘村を翻弄していく。
身体の奥がマグマのようにうねって、脈打っている。
女みたいに嬌声をあげて。欲しがっている。
いやや。こんなん。あかん。こんなおまえ、みたないねん。

揺れる谷部の瞳。
本当は助けてほしいんやろ。こんなん、おまえの本当やないんやろ。
ほんまに俺を抱きたかったんちゃうやろ。
おまえは本当にどこまでも底なしのお人好しやんな。

「泣くなや…」
感極まってんのか。谷部は苦しそうに吐き捨てると、途端に丘村の肩に顔を埋めて動かなくなった。
しばらくしてあったかい涙が肩に流れてきた。
丘村はそれでも最後の一言がいえずに、天井を見ていた。
肩にかかる重みが自分を責めているようで、慰めているようで。
百数えて、それから、まっすぐ見つめかえしてみようか。
そしたら笑ってくれるだろうか。

アホやなーー俺ら。そうやんな。



愛してるで。

281風と木の名無しさん:04/10/01 00:49:56 ID:3Ji3os2d
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282風と木の名無しさん:04/10/01 06:54:13 ID:tGz5R0IF
>>281
ぬあぁハードプレェ100-1、激しく乙です姐さん!
萌え萌えが一気に炸裂した感が。続き、楽しみにしてますよーヽ(`Д´)ノシノシ
283風と木の名無しさん:04/10/01 11:47:45 ID:7RXyOZ1B
>261
Zロリがこんな萌え作品だったなんて(*´д`;)…
261タン、続き楽しみにしています。
284風と木の名無しさん:04/10/01 16:38:29 ID:xjZxZKJL
                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | Zロリタソ>>265続きです。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ここからガオゾロでゾロゾロですよ。
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285第3部 1:04/10/01 16:40:42 ID:xjZxZKJL
目が覚めるとなんだか頭がスッキリしていた。目の前に見慣れない天井がある。
(あれ…どこだっけ?ここ…)
少し頭を持ち上げようとした時、足元に人影があるのが見えた。
さっきの事を思い出し、熱の引いた顔にまた少し血がのぼった。ここはGオンの部屋だったはずだ。
「Gオン?」
人影は返答せず、軽い足取りで近付いて来た。目が合った。
「なんだ。おれさまか…………って、なにィ〜〜〜〜〜?!!」
Zロリの前に、Zロリが立っていた。
「…そうか。おれさま、お前を探していたんだ。何者だ、お前は?!」
「おれさまはZロリ」
答える声は抑揚に乏しく、ほとんど棒読みだ。
「そこんとこはもっと声を張るんだ!!悪の勇者に名乗りは大切なんだぞ!…おれさまはZロリ!!こうだッ!!
どーぉだ、カッチョイイだろう!!」
「う〜んなるほど」
「いやそんな場合かぁぁっ!!」
せっかくスッキリした頭が…!!パニックだ。目の前に自分がいるのだから。
Zロリはいきなりベッドに上がりこんできた。あっけにとられているZロリの肩に手をまわし、唐突に唇を奪った。
「んぅ…っ?!」
Zロリの舌が口の中で生き物のように踊る。抵抗したいのに体に力が入らない。
リズミカルに吸われる刺激に気が遠くなる。そのままZロリはZロリに押し倒された。
「ま…待て…なんかマズイだろ…これは…ウ…あっ…あ…触るな!!あっ…あっ…舐めるなぁぁ!!」
うなじや、胸をZロリの舌が這う。胸の突起を念入りに転がして感じやすくしたあと、わき腹をゆっくりと舐める。
そしてついに下半身に顔を埋められ、Zロリの局部はZロリの舌技に翻弄された。
「…っあ…!!はぁぁっ!!」
じ…自分が…自分に…なんだか…なんだか…すごぉぉくイケナイことをしている気分だ…
(ママ……ママごめんね…許し…て…)
頭の中に閃光が走ったかと思うと高い所から一気に落とされるような感覚がZロリを襲った。
286第3部 2:04/10/01 16:45:09 ID:xjZxZKJL
 Zロリに飲み物を運んできたGオンは目の前に繰り広げられているパラダイスな光景に立ちすくんだ。
上もZロリ。下もZロリ。二人のZロリが絡み合う姿はGオンには限りなくエロティックだった。
思わず取り落としたグラスが割れる音で、Gオンは自分を取り戻した。危なかった。
「Zロリ!やめたまえ!!やめないか!!」
Gオンの声にZロリは我に返った。Zロリは無表情のままGオンを見返した。
Zロリたちは見分けがつかないほどそっくりだ。会話しないかぎり区別はできないだろう。
 Zロリはガオンを挑発するかのようにZロリの頬をなでるように包み込み、また唇を寄せた。
Zロリは抵抗したがZロリは強引だった。
…ZロリとZロリじゃワケわからんので以下Zロリ(攻)とZロリ(受)で続けます。

Gオンはすぐに二人を引き離したいとは思っても、体がすくんだようになって動かなかった。
Zロリ(攻)はGオンの前でZロリ(受)の局部を濡れた音をたててむさぼっていた。
Gオンがあんなにやさしくやさしくと自分に言い聞かせながら大切に扱った体がはげしく痙攣し、
何度も何度もびくびくと跳ね上がっている。
(これが見たかったんだろう?さっき我慢していたが、自分の手でこうしたかったのだろう?)
(いや…!違う!!…こんな乱暴な扱いは見るに耐えない…………)
(ウソをつくな。興奮しているぞ)
Zロリと同じように、Gオンもまた自分と闘っていた。
287第3部 3:04/10/01 16:46:07 ID:xjZxZKJL
「……Gオン……Gオン!!」
Zロリ(受)がやっとの思いでしぼり出したような声がGオンの思考を引き戻した。
「コイツは…うっ……まさか…ぁっ…あんっ……」
会話中もZロリ(攻)は容赦なくZロリ(受)を攻め立てる。
「Zロリ(受)…キミが思っている通りだ。それは…わたしが作ったものだよ」
「なんだとぉぉぉ!!……う…ぁッ!!なんで…こ…こんなモン…」
「…作ってみたかった。…それだけさ。」
「ふっ…ふざけんなぁぁ!!ナンだこ…うぉぉ…この…ッ…とっ、当社比エロさ大増量な…おれさまは…!!」
「Zロリ(受)…そんなに怒らないでくれ…作ってみたかったんだよ…ああでも怒った顔もイイ…」
「あっ…あぁぁ…うぁ……はぁ…っ……」
Zロリ(受)にはもう繰り返し喘ぐことしかできなかった。
Gオンの脳内では二つの意見がせめぎあっていた。
(とんでもないモノを作ってしまった。破壊しなければ…この暴走は止まらないのか…?)
(できない…私にはできない…かりそめにも、Zロリの姿をしたものを破壊するなんて…!!)
どうすればいいのか、答えが出てこなかった。

 その時…突然天井にぐにゃりと歪みが生じた。歪みの中から機械の腕が伸びて来て、Zロリ(攻)をつまみ上げた。
その空間の歪みの中にZロリ(攻)が暴れながら消えていくのを、GオンとZロリ(受)は口をあけたまま見ていた。
「ほほう…なかなかよくできとるが・・・まだまだじゃなコレは。」
聞き覚えのある声がした。歪んだ空間が閉じる瞬間ちらりと見えた、声の主の顔をZロリは知っていた。

(じ…っ、じーさん…………)
「…な…なんだったんだ…今のは??」
「…科学者だよ…時空移動マシーンかなんか作ったんだ……」
「なんだと!!な…なんてスゴイんだ!!あの機械…作ってみたいッ!!…よしッ作るぞぉぉ!!」
すっかり興奮しているGオンの横で、Zロリはウンザリした顔をしていた。

(んもう……知り合いにヘンな科学者はたくさんだぜ……!!)
288風と木の名無しさん:04/10/01 16:49:19 ID:xjZxZKJL
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おそまつさまでした。
2896:04/10/01 18:02:26 ID:NZSaZlRM
>>276
続きキター(゚∀゚)!!
待ってました、乙華麗様です。
290風と木の名無しさん:04/10/01 19:20:44 ID:ndUSb94i
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  世間では冷めてきた大層、水鶏と※です
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  鶏のキャラがよくわかりません
 | |                | |            \
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 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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設定は練習の帰り道深夜。とりあえず途中まで帰り道が一緒ということにしております。
もうなんていうかグダグダになってしまいました。
※とキャラも鶏のキャラも勝手な妄想なのであしからzu
291風と木の名無しさん:04/10/01 19:37:39 ID:ndUSb94i
「寿思」
練習が終わった帰り道、水鳥の一歩前で歩いていた米田が急に立ち止まり、振り返って言った。
水鳥も彼に合わせて歩みを止める。
時刻はもうすぐ0時を迎え、あたりはもう真っ暗だ。
外灯の淡い光に照らされて水鳥を見つめる彼の目はキラキラと輝き、長い睫毛は頬に影を落とす。
「何ですか?」
「俺のこと、好き?」
「な・・・何を言ってるんですか」
いきなりの質問に、戸惑う。
普通なら冗談だと思って笑い飛ばす所なんだろうか・・
しかし彼の目は痛いほど真剣で、あまりにも真っ直ぐに、水鳥のことを見つめる。
水鳥は平静を装うとして再び歩き始めたが、何となくぎこちなさが残っていた。
その後を米田がついてくる。

「なぁ?どうなの?」
「どうって言われても・・・」
「俺のこと、嫌い?」
「まさか」
「じゃあ、好き?」
「だ・・だからなんでそんな質問・・」
「何となく」
「何となくって・・・」
「だから、好き?」

顔を覗き込まれた。
今にも涙が零れ落ちていきそうなほど濡れた瞳。
抱きしめたい衝動に駆られたが、グッと押さえて米田から目をそらし、さらに歩くスピードを上げる。
米田は水鳥に質問の回答をさせることををあきらめたのだろうか、
今度はとぼとぼと水鳥の後ろをついてくるだけであった。
292風と木の名無しさん:04/10/01 19:40:38 ID:ndUSb94i
そしてあっというまにネオンで明るい大通りの信号に着いた。
二人がそれぞれの家に帰るにはここで別れなくてはならない。
米田が「じゃあ」といって水鳥のもとを離れようとした瞬間、水鳥の腕が米田の方を掴んだ。
米田は驚いて目を見開く。水鳥も無意識の行動だったのか、驚いている様子だった。
しばしの沈黙の後、水鳥の口が開いた。

「好き、です。米田さんのこと」

うつむきがちに小さくそうつぶやくと米田は水鳥をそっと自分のもとに抱き寄せ、
唇を水鳥の耳に近づけた。吐息が耳にかかり、心臓の鼓動はだんだん速くなる。

「ありがと」

それだけ言うと米田は水鳥の体からすっと抜けていき、街の明かりの中へ溶け込んでいった。

 本当に、ずるい人だ・・
 人に好きといわせといて、自分は言わないなんて

米田の姿を追おうとしても、もう遠くの方まで言ってしまっているようで、彼の背中は見当たらない。
さっきまで自分は米田の胸の中にいたのに。
水鳥は米田の消えていった道とは逆方向の、暗く、寂しい暗闇に消えていった。
293風と木の名無しさん:04/10/01 19:44:36 ID:ndUSb94i
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294風と木の名無しさん:04/10/01 19:54:18 ID:jG2GRVLC
>>293
たぶん忘れてるだけだとは思うけど、
本文の名前伏せたほうがよくないかい?
295風と木の名無しさん:04/10/01 20:13:15 ID:a8aJrdWg
>290-293
萌えた〜
でも伏せ忘れには気をつけよう〜
296風と木の名無しさん:04/10/01 20:24:01 ID:Ws9oMJq2
あっほんとだ…全然気が付かずに読んじゃったよ。

でも少女漫画みたいでかわいかったよ。
297風と木の名無しさん:04/10/01 22:08:15 ID:baC4URzJ
>>268
その昔下町の待が濱に
「濱田はほんまに か わ え え な ーーーーー!!」
とまったくなんの脈絡も無い所で言ったのを思い出しました…
あれ、なんだったんだろ…
ゲストの回答を聞くような所で、濱は特にかわいい事をしたわけでもなく、
ただゲストの方に歩いて行った。それを司会の席にいた待が見てて…
ふっつーーーーに進行中、ほんとにまったく関係ない状態でいきなり。

濱は「なんやのん」とふざけてかわいこぶりっこしてたけど。
謎だった。
その謎が解けた気分です。
298風と木の名無しさん:04/10/02 00:46:25 ID:U5kiD35Z
>>297
禿しく萌えたじゃないか! w
299風と木の名無しさん:04/10/02 01:14:54 ID:QNvctmpo
>>297
同じく禿萌え!
最近下町にハマッてるあたしに
ナイスな情報ありがとw
300風と木の名無しさん:04/10/02 01:47:17 ID:F8+AQom7
300geto
301三味腺屋×カザリ職人 1/5:04/10/02 20:53:16 ID:T6oXpHjX

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | 三味腺屋×カザリ職人モナ
                    | (さらに伏字にしました)
                    |
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 実は絡みがありそうでないんだよね、この二人。 
 | |                | |            \
 | | |> 再生.        | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  エチアルヨー
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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本編で悪夢に魘される三味腺屋があまりにセクスィなので、隣にカザリ職人を置いてみました。
302三味腺屋×カザリ職人 1/5:04/10/02 20:57:27 ID:T6oXpHjX
首に幾重にも巻きつく縄。けたたましく鳴り続ける呼子笛。
周りを取り囲む御用提灯の数はどんどん増えていく。
「見つけたぞ、死事人!」
「御用だ!御用だ!」
ああやかましい。そんなに喚かなくたって逃げやしない。いつかはこうなる裏稼業の身だ、
覚悟ならとっくにできている。この頭を落とされたなら、せいぜい笑って晒されてやるさ。
『有事、おい有事』
馬鹿な、どこから呼んでやがる。さっさと逃げろ。すぐにでもここから、江戸から離れろ。
身軽なお前なら逃げ切れる。上方でもどこでも早く行っちまえ。
『おい、どうしたんだ』
俺に構ってねえで早く行け。――――――お前の晒し首なんざ、死んでも見たかねえ。


「おい!有事!」
跳ね起きた瞬間、何かを叫んだ気がした。すぐには呼吸が整わず、混乱した頭を落ち着けようと
繰り返し息をつく。身体は冷たい汗でぐっしょりと濡れ、小刻みの震えが止まらない。
有事は縄の感触がまだ生々しく残る首に無意識に手をやった。
「…どうした?」
すぐ横で静かに問う声がする。ゆっくりと目をやると、暗闇にもわかる大きな目が見つめてくる。
捕縛された自分を何度も呼んでいた声の主を見とめ、有事は大きく息をついた。
「何でもねえよ」
億劫げに立ち上がり、土間へ足を向けた。柄杓の水を一気に飲み干すとようやく気持ちが鎮まってくる。
自分の家、いつもの部屋、いつもの夜。少しだけ違うのは、隣にいる一人の存在。
「お前ェでも、夢見ることあるんだな」
振り返れば貸してやった浴衣姿でヒデが立っている。
「随分じゃねえか」
有事はわざと明るく言い返して手ぬぐいを絞り、汗に濡れた身体を拭いた。
気遣わしげな目をしながらも、ヒデはそれ以上は何も言わなかった。
まだ夜は明けない。鳥の声も聞こえない闇夜が障子の向こうに広がる。
目を灼く御用提灯が瞼をかすめ、有事はひとつ頭を振って火箸を手に取った。
「一杯やるか」
戸棚から取り出した銚子を振ってみせる。ヒデは僅かに微笑んで頷いた。
303三味腺屋×カザリ職人 2/5:04/10/02 21:00:06 ID:T6oXpHjX
熱めの燗をつけた酒がゆっくりと喉を降りていく。嫌な夢を追い払うには丁度いい。
二人は黙ったまま何度か杯を空けた。行灯の柔らかい明かりが穏やかに揺れている。
「降ってきやがった」
ヒデが外に目をやって立ち上がった。長い指が障子を開けると、ひやりと湿った空気が頬を撫でる。
雨が地面をさわさわと叩く音は嫌いではない。肴には丁度いいとさらに一杯注ごうとして、
ふと有事の目にヒデの崩れた襟元と細い足首が映った。
ぼんやりと雨を見つめ続ける目はどこか虚ろで、有事は思わず右手を掴んでいた。
ぴく、と肩が震え、黒い目に生気が戻る。
それに安堵している自分が面白くなく、障子を少々乱暴に閉めてヒデを引き寄せた。
「どうした?」
不思議そうに尋ねる表情から目を逸らし、有事は無言のままヒデの腕を引いて座らせた。
軽い力で肩を押せば、細い身体は簡単に布団へ身を投げ出した。言葉を交わすこともなく
視線だけが絡み合う。ヒデは抵抗も見せず浴衣がはだけられていくのに任せていた。
薄いがしっかりと鍛えられた身体が陰影をつけて浮かび上がり、その曲線がやけに艶めいて
目を離せなくなる。吸い寄せられるように指を滑らせ、唇がその後を追った。
「ん…」
仔猫のような声が漏れて、しっとりと熱い肌に震えが走った。
304三味腺屋×カザリ職人 3/5:04/10/02 21:02:08 ID:T6oXpHjX
胸から鎖骨を執拗に愛撫する舌がやがて唇を捕らえ、静かに重なり合う。
温かい唇はひどく落ち着ける気がして、有事は何度も穏やかにつついては味わった。
昨夜の情事のまま下着をつけていないのはわかっている。遠慮なく浴衣を取り払い、
長く伸びた脚を抱え上げた。以前、接待を受けた料理屋でこっそり潤滑薬を渡してきた芸者も、
まさか男相手に役立っているとは思うまい。丁寧に後孔を緩めながら再び全身を弄った。
耳元をくすぐる甘い声にぞくぞくする。
「…うッ…ん…あ、あっ…!」
身体を繋げるその瞬間にヒデが顔を背けようとするのを、有事はいつも許さなかった。
両手で頬を包んで捕らえて、その表情をじっと見つめる。
「…ッは…っ」
入り込んでくる熱塊の生々しさに耐える顔が気に入っていた。
目をきつく閉じて浅い呼吸を繰り返し、やがて潤んだ目を薄く開けてこちらを見上げてくる。
負けじと睨み返しているつもりだろうが、そんなに蕩けた目で見られたって
歯止めが利かなくなるだけなのが分かっているのかいないのか。
もっといい顔をするか試してみたくてわざとゆっくり突いてやると、堪らない表情で身を捩る。
こんなヒデを知っているのは自分と、あともう一人。
奴が相手のときはどんな顔をするのだろうと、有事は他人事のように考えていた。
絶頂が近づき、首にすがりつくヒデがはしたなく腰を動かして誘う。ヒデの中の凶器が熔かされそうに熱い。
いつかあの高めの声で恥ずかしい要求を言わせてみたいと企んでいるが、言葉少なにねだられて
結局陥落しているのは有事のほうだ。
直前で引き抜くと小さな悲鳴が耳を突いた。飛び散った欲望に汚された身体が力を失って弛緩する。
その完全に無防備な姿を見るのも好きだということは、まだヒデに知られていない。
305三味腺屋×カザリ職人 4/5:04/10/02 21:03:44 ID:T6oXpHjX
「止みそうにねえな」
静かな雨はそれ以上激しくもならず、また弱まることもなく降り続いている。
「厄介だな。雨ん中を簪注文に来る客もいねえし、露天も出せねえから参るぜ」
むき出しの脚を投げ出した悩ましい姿で「そろそろ問屋に行かないと銀が足りねえ」
などと呑気に呟く姿に有事は苦笑した。事後にしてはなんとも色気のない会話である。
部屋にはまだ色濃く余韻が残っているというのに、あれだけ乱れて自分を翻弄した張本人は
いつもの仔犬のような表情に戻っている。有事は寝そべったまま、隣で半身を起こすヒデの腰に腕を回した。
「なんだよ」
不意に力強く引き寄せられ、ヒデは驚いたように有事を見た。
「もう疲れたんだけどよ」
「ばぁか、もうお終えだ」
それきり有事もヒデも口を開かなかった。互いの体温が心地よくてそのまま静かに時間が流れた。
単調な雨音は聞いていると引き込まれそうになる。気を抜いていると、余計なことまで口走りそうになる。
例えば何故こんな関係を続けているのか、とか。
「お前ェも、女に不自由しねえくせに酔狂なことするよな」
有事の心の内を見透かしたように、ヒデが呟いた。
「抱き心地が悪くねえからな」
「へえ」
頭上でくすくす笑う声に、有事は片手でさらにヒデを引き寄せ、強引に自分の傍へ引っ張り込んだ。
「おい…」
「黙ってろ」
もやもやした感情を追い払おうと癖っ毛の頭を抱え込む。
「痛えよ」
小さな抗議の声が上がるのを無視してじっと黙り込んだ。
306三味腺屋×カザリ職人 5/5:04/10/02 21:08:39 ID:T6oXpHjX
どれだけ言い訳しようと、抱いている間はどうしようもなくヒデに溺れている。
いつもの朴訥とした少年のような風情を知っているからこそ、
囚われて奈落へ引きずりこまれるような興奮でまわりが見えなくなる。
そんな自分をヒデは拒まない。何故なのかを問うつもりもない。
だが、たまにはその辺りをつついてみたくなることもある。
「酔狂なのはお前ぇもだろ」
目を合わせないままの有事の言葉に、ヒデはちらりと上目遣いで見上げ言い返した。
「お前ェは上手いからな。俺は気持ち良けりゃいいのさ」
「そうかい」
どこか硬い有事の声。ヒデは顔を上げようとして押さえ込まれ、ばつが悪げにそっぽを向いた。
「それで…いいじゃねえかよ…」
胸元でもそもそ動くヒデの顔が見なくてもわかる。俯いて視線をうろうろさせて、
困ったようにこっちをちらちら伺っているのだろう。
ヒデには見えないように笑みを浮かべ、有事は腕の力を緩めた。
(無理しやがって)
秘めた想いを抱え、時に押しつぶされそうなこの職人はひどく楽しみ甲斐がある。
もうしばらく振り回されてやってもいいかもしれない。
だがその裏で、どうにも物騒な感情が疼いて止められないのはこいつのせいだ。

もし、あの夢が現実になったら。
こいつはあの泣き出しそうな顔で、自分の首を見つめるのだろうか。
今、ここでそう聞いたら、こいつはどんな顔をするだろうか。

有事は胸の奥の衝動を押さえつつ、まだ明けぬ朝を待った。
307風と木の名無しさん:04/10/02 21:11:11 ID:T6oXpHjX
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ 停止        | |
 | |                | |           ∧_∧  
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) テンプレニ アンカーツケチャッタ…_| ̄|○
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
イチャイチャさせてみました。


※ビデオ棚保管庫の管理人様。
過去に書いた三味腺×カザリ職人の話は、あの三本で完結にしたいと思います。
思いつきでズルズル続き物にしてしまったにもかかわらず、連載モノのほうに保管していただき、
壱〜参(←芸が細かい!)の番号まで振っていただいて有難うございました。
きちんと完結と明記せず「?」の状態のまま長く放置してしまい申し訳ございませんでした。
308風と木の名無しさん:04/10/02 21:39:40 ID:GfbXsHKE
>302-306
姐さん!読みたかっただよ有事ヒデ!
待ってて良かった…萌え氏にそうです…
あぁ黒曜石の瞳。
309風と木の名無しさん:04/10/03 13:32:40 ID:8o2tMyY6
>>302-306
艶っぽいですね〜。書ける方っていいな〜
ごちそうさまでした。
310風と木の名無しさん:04/10/03 17:42:39 ID:wRnPaPDR
白色巨大建築物ネタ、今さらでスマソ。
王道だけど、ある意味「何も起こらない」話です。

|> PLAY.
3113103×56 1/5:04/10/03 17:45:13 ID:wRnPaPDR
聡見は剤然の部屋のドアを軽くノックした。
いつもは文字通り打てば響くように入室を促す声が応えるのに、今日に限って
返事が無い。
ドアの横の「在室」表示をもう一度確認する。短い所用で外しているのだろうか。
一歩下がって廊下を端まで見渡したけれど、あの特徴的な足音が戻って来る
気配は無かった。
出直そうかとも思ったが、助教授時代より少し部屋が広くなっている事に配慮して
先刻よりもう少しだけ強く叩いてみる。
返事の代わりに、きちんと閉まっていなかったらしいドアが内側に開いた。
おっと、とノブを引こうと手を伸ばした聡見の視界に入った応接セットの左端、
椅子の肘掛けから黒髪が覗いている。
「……剤然?」小声で呼びかけながら、聡見は室内に足を踏み入れた。

部屋の主、第一外科のトップに就任したばかりの教授殿がソファにくしゃりと
身体を崩していた。
読みさしの書類を数枚胸に乗せたまま、大の男がゆったりと横になるには
無理が有る長椅子の上で、すーっ、すーっと穏やかな寝息を立てている。

人のこんな深い寝息を聞くのは久しぶりだった。

テーブルの上にも書類はたくさん広げられていた。黄色い付箋がぺたぺたと
貼られ、そのうちのいくつかには「緊急」を示す符丁が書き込まれている。
床にはそれらを記したはずの赤ペンが、いかにも剤然の手から滑り落ちたと
思しき位置に転がっていた。
3123103×56 2/5:04/10/03 17:46:16 ID:wRnPaPDR
起こすには忍びないが、起こしてやった方がいいのだろうか。

迷った聡見は書類と一緒に広げられていたスケジュール帳を見やる。今日の
この時間帯には何も記述は無かったが、朝一番でc/ard/iec/tomy、通例通りの
総回診の後に特講ひと枠を挟んでついさっきpneum/onect/omyを終えたばかりだ
という事が分かった。しかも手術は2つとも「P」マーク、すなわち剤然自身が
執刀医だった事を示している。
そして夜にはが/んセンター設立準備関連の会合。

手を伸ばしてページをぱらぱらと繰ってみる。どの日も似たり寄ったりに、
びっしりと予定が書き込まれていた。

以前の彼はよく「助教授なんて教授にこき使われるばっかりじゃないか」と
こぼしていたが、教授になったらなったでひどく忙しい日々を過ごしているらしい。
教授職に伴う仕事が増えた一方、部下に任せられる雑事には限りがあり、何より
剤然には自身の執刀数を減らすつもりが無いからだ。
最近になって多少症例を選ぶような事を口にして聡見の眉をひそめさせたりも
するが、最終的に自分の仕事と判断すれば決して他人任せにはしない男だった。

あれはもう何年前になるだろう。剤然に回した患者の術後の様子を訊きに行くたび、
その手に新しいカルテを持っているような状況がたて続いた事が有った。
難手術直後の彼のもとに2人分の画像を持ち込んだ時にはさすがに気が咎め、
「悪いな」
と聡見が呟くと、剤然は疲れのにじむ頬に磊落な笑みを乗せて
「おお、いくらでも切ってやるぞ持ってこい」
と言ったのだ。
3133103×56 3/5:04/10/03 17:47:41 ID:wRnPaPDR
そんな事を言っていいのかい、と聡見が笑うと、剤然はこう続けた。
「君の診断はいつも確かだ。その君が僕の所に持ち込むんだから、僕が切るべき
症例なんだろう」

この上なくあっさりした信頼の言葉が、とても誇らしかったのを覚えている。

実際、教授選のごたごたが始まるまで、剤然は聡見が依頼した患者の執刀を断る
どころか、大学病院の縦割りシステムに逆らうような症例検討でさえ渋ることは
無かったのだ。

――相変わらず働き詰めなんだな。

医者が忙しいのは社会的に見て喜ばしい事ではないだろう。しかし実際問題、
ガ/ンの機序が解明されて予防医療が飛躍的発展でも遂げない限り、罹患する者は
一定の割合で出てくる。故に剤然が忙しいという事は、そのまま手術によって
救われる患者数を上げる事を意味する。だから彼は、限られた時間の中でメスを
ふるい続ける。

剤然の集中力は特筆すべきもので、困難な手技も長時間に及ぶ大手術も、時には
それらを連続で見事にこなしてみせるけれど、実はその華奢な体躯が示す通り
体力が有る方ではなかった。

こんな所で昏々と眠る旧友を見て、今さらのように彼本人の身体が心配になる。
3143103×56 4/5:04/10/03 17:48:20 ID:wRnPaPDR
規則正しかった深い寝息が不意に途切れた。んん、と声になるかならないかの
呻きと共に、少し動けばずり落ちてしまいそうな長椅子の上で剤然はもぞもぞと
身じろぎをする。しかし思わず添えようと伸ばした聡見の腕に触れることなく、
彼は器用に寝返りを打って再び身体を落ち着けた。

再開した寝息は先刻より少し浅くなったようだ。

聡見は向かいの椅子に腰を下ろして、こちらに向いた白い顔、長い睫毛を見遣った。
瞼の中で眼球がぴくぴく動いているのが分かる。その滑らかな額の奥で、外科医は
どんな夢を見ているのだろう――

「さ/とみ?」

眠っているとばかり思った相手にいきなり名を呼ばれ、聡見は椅子から転げ落ち
そうなほど驚いた。

「お、起きてたのか!?」
「君の診断は――」

ふたりの言葉がぶつかった後、数秒の沈黙が訪れる。

「……うん?」剤然がゆっくりと目を開けた。その瞼を数回ぱしぱしと瞬かせ、
なおぼんやりと聡見を眺める。「……ああ聡見、来てたのか」
「何だ、やっぱり眠ってたんだな。起こしてすまん、俺の名を呼んだように
聞こえて驚いてしまった」
ばつが悪そうに言い訳する聡見に向かって、剤然は頬に薄い笑みを上せた。
「呼んだかもしれん。なんだか君が居るような気がしたんだ」
3153103×56 5/5:04/10/03 17:49:17 ID:wRnPaPDR
んー、と伸びをしながら剤然は身体を起こし、「今何時だ?」と呟いたが、
聡見の答えを期待したわけではないらしい。すぐに自分の腕時計に目を落として
「30分くらい眠ったか」と独りごちた。

そして精密な手技をこなす神の手で自分の顔を覆う。前髪を上げていてさえ、
その華奢な手に隠れてしまう小さな顔だ。指先で眉の中心から外側へ、何度か
瞼の上を擦ってから剤然は面を上げた。聡見を見る目の縁は少し赤くなって
いたが、眼差しははっきりと、いつもの強い光を取り戻していた。

「で、君は何の用だ。……いや、聞くまでもないな」
剤然は、聡見が左手に持ったままだった大きな封筒を期待に満ちた目で見遣った。
「どんな患者だ? 見せてもらおう」
「あ、ああ。43歳の女性で――」

デスクの傍らでふたり並んで見つめるシャーカステンに、剤然はぐっと身を
乗り出す。真剣な瞳、凛とした表情。とても直前まで熟睡していた人間とは
思えない。

「……君の言う通り、間違いないな。外科で引き受けよう。僕が切るよ」
言うなりすっと立っていき、慌ただしくスケジュール帳をめくる。
「14日の朝でいいかい。あ、木曜の午後も何とか入れられそうだ。午後の方が
君は見に来やすいんだったな――」

早口で喋る旧友の横顔を見ながら、自分はただ彼とふたり、永遠にこんな風に
していたいのだ、と聡見は思う。

その願いが叶わないと思い知る、二週間前の事だった。


                  -了-
316風と木の名無しさん:04/10/03 17:49:33 ID:wRnPaPDR
□ STOP.
317風と木の名無しさん:04/10/03 18:31:18 ID:v79wAufN
>>302-306
・゚゚・*:.。..。.:*・゚(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゚゚・
ええもん読ませていただきますた!(゚∀゚)ノ
318風と木の名無しさん:04/10/03 22:39:39 ID:L1CYnQU+
>>310
まだまだ大好きです!!日常的な二人に萌え
319風と木の名無しさん:04/10/04 00:42:26 ID:6FTJGIDU
>>288
乙。来週も眼が離せない二人・・・。
320風と木の名無しさん:04/10/04 09:33:20 ID:d901GRvF
>>310
素敵なSSありがとうございます〜!
信頼し合っている2人、職業人としての2人、
やっぱり萌えの原点です。大好き。
321風と木の名無しさん:04/10/04 11:04:45 ID:7jGRiYOK
>310
せっかく本ジャンルに戻ってきてたのに、また再燃しちゃったじゃないか(w
322風と木の名無しさん:04/10/04 11:07:43 ID:cPNBXniY
>>321
?
323風と木の名無しさん:04/10/04 15:39:04 ID:7jGRiYOK
>>322
身元バレを避けようとして、わけ解らなくなってスマソ。
ここのWT話で萌えてしまって自サイト放ったらかしだったのが、やっと熱が戻ってきたのに…、
と言いたかったんです。

>>310
WTサイト作る決心つきました。
324風と木の名無しさん:04/10/04 15:47:34 ID:VnHWwFQq
321でもわかるよ
がんがってください
325風と木の名無しさん:04/10/04 17:47:13 ID:6xrEUvLb
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | 前スレ632の続きなんです。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|      Gハカセ&Zタソ プラトニック
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ シカモマタヒトリズモウ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ゾロリスレ立っているのですが、この新作はこちらにお世話になった
お礼の意味を込めてこちらに貼らせていただきたいのでお許し下さい。
またお土産持ってまいります。
326:04/10/04 17:49:18 ID:6xrEUvLb
「散歩だよ」
その言葉と、バラ一輪を残してGオンは去った。Zロリはバラをくわえて悔しさにギリギリと歯噛みした。
「ムキーッ!!助けてくれたことには感謝するが、なんだあの態度は!!…………うぅ…っ」
興奮しすぎたのか、めまいがして倒れそうになるのを後ろに立っていた大統領がすばやく支えてくれた。
「もうしばらく休まれた方がよさそうですな」
「すまない。そうさせてもらう…………」
「お気兼ねせず、ごゆっくりお休みください」
みんなが部屋を出て行き、Zロリは一人ソファベッドにぼんやりと転がっていた。
(…のど渇いたなぁ…………)
ふと見ると、テーブルの上にGオンの飲み残しのコーヒーが。
「お、やった!これイタダキ!!」
迷わずんぐんぐと口にして意外な甘さに驚いた。(へー。見かけによらないな。あのキザ)
ぷぷっ、と笑った。背中に視線を感じて振り向くと、小刻みに震えるGオンが立っている。
「あ」
「あ じゃない。…………忘れ物を取りに来たんだ。……人の飲み残しを……いやしんぼだなキミは」
「大きなお世話だ。旅の途中いつ食べ物にありつけるかわからん。見つけたらすぐ飲み食いしておく!!
それがおれさまのやりかたなのだぁっ!!」
「えらそうに言うことじゃないだろ。無計画なだけじゃないか」
「…………ふふんだ!渋い顔してこぉ〜んな甘いの飲んでやがんの〜ニッヒヒ!!」
Zロリは自分もあんぱんが大好物なことをきれいさっぱり忘れている。
Gオンは笑うZロリの目つきが先ほどと全く別人のようであることに戸惑った。
(あんなに無邪気な目をするかと思えば今度は…なんて挑発的なんだ…………!!)
「う、うるさい!脳の栄養は糖だけだということを知らないのか!頭脳労働者に糖分は不可欠なんだ!」
二人の間にピリピリとした空気が漂い、沈黙が流れる…………険悪なムードだ。
327:04/10/04 17:50:29 ID:6xrEUvLb
「Zロリせんせ〜」
廊下からノシシの呼ぶ声に沈黙はかき消された。
「おう。なんだ」
Zロリは出て行き、Gオンは一人部屋に残された。
(あいつ、Zロリというのか…………)
Zロリ、Zロリ…………噛みしめるように繰り返しその名前を口にしてみる。舌が口腔で軽やかに転がり、
口蓋を撫でるように当たるのが心地よい、官能的でさえある……その名前。
我に返るといつの間にか手にコーヒーカップを持っていた。
自分がZロリの目覚めを待って口にしていたカップ。
そして今Zロリがなんのためらいもなく口にしていたカップ。
少年のように胸が高鳴る。どうかしている。でも、その衝動に逆らえない。
Gオンは少し震える手で、もうすでに中身の無いカップをそっと口に運んだ。
そんな自分の行動を見つめているもう一人の冷めた自分がいる。
(バカだな。私は何をしてるんだろう。なぜあいつにこうも心をかき乱されるんだ。
…………いかんいかん!科学者は常に冷静沈着でいるべきなのに…………)

若い彼はまだ気付いていなかった。冷静沈着であることも必要だが、
情熱的でロマンチストという要素も科学者には不可欠であることに。
328風と木の名無しさん:04/10/04 17:52:11 ID:6xrEUvLb
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ コドモノヨーナフタリ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
おそまつさまでした。
329322:04/10/04 18:14:10 ID:cPNBXniY
>323 >324
そういう意味か、スマソ。310が何かヤラカシタのかと思ったんで。
330風と木の名無しさん:04/10/04 21:58:37 ID:qaujsSs8
心配性な322タン萌え
331風と木の名無しさん:04/10/04 21:59:05 ID:A9XoJfCA
>325
ガオゾロかわええ〜。いつも萌えをありがとう!
来週はGオン再登場で楽しみですな。
332風と木の名無しさん:04/10/05 00:25:44 ID:HPrFWH2F
>>325
博士、なんて純情なんだ・・・。
あちらのスレでも楽しみにしています。
333風と木の名無しさん:04/10/06 00:26:42 ID:r3dJ96TU
>325
さりげなく「いやしんぼ」という言葉に萌えてのたうちまわりました
サンクス!!
334風と木の名無しさん:04/10/06 14:44:40 ID:F/cuU+fL
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  いつぞや見つけた虚無へのクモシネタ、今度はムレタと蒼兄さんだよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  これは本編の前の話だね
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3351/4:04/10/06 14:45:21 ID:F/cuU+fL
パリへ、という相手の言葉に頷きながら牟礼田俊夫は目を細めた。
西日が強いのは趣味ではないな、とそんなことを考えながら再び首肯した。
「あちらに欧州総局があるんだよ。まあ、それの手伝いに駆出されるようなものさ」
「出発は?」
「再来週だな。暫く帰国できそうにないから、次にこうして君とゆっくり話すのはいつになるやら」
それは大変だ、と氷沼蒼司は呟いた。
何を大変と感じているのか、或いはいないのか。回答は牟礼田の理解の外に落とされている。
「――カーテンを閉めさせてもらうよ、どうにも西日が強くてね」
「どうぞ」
素っ気無くも聞こえる返答に肩を竦めてみせ、牟礼田は立ち上がり蒼司の背後に回る。
カーテンの飾り紐に右手を伸ばし、それを引っ張りかけてふと手を止めて視線を転じた。
3362/4:04/10/06 14:46:03 ID:F/cuU+fL
蒼司のほっそりとした首筋は、血管が透けて見えるかと思えるほどに白い。
これを自らの目で見ることができないとは、蒼司には大いなる不幸であるはずだと牟礼田は考えた。
柔らかな髪とそれに隠れたうなじ、そこに触れたいという欲求に囚われ、それに身を委ねた。
指先に伝わってくる感触は背中に達し、それはやがて震えへと姿を変えて牟礼田を絡め取ろうとする。
蒼司は逆らおうとする素振りは見せないものの、さりとて牟礼田に一切を委ねようとする気配もない。
まるで人形のようだ――そう考えて牟礼田は口元に苦笑を閃かせた。今更何を、と思えたのだ。
幼い頃から蒼司に魅せられ続けてきた。柔らかな皮膚と奥深い瞳、控え目に微笑む血の通う人形。
それが蒼司だった。少なくとも、牟礼田にとってはそうであり続けた。
或いはその深さを誰も知らぬ湖か。風が吹けば湖面に漣が走る。蒼司の感情の動きがまさにそれであった。
心の奥底では激しい炎が白光を放って燃えがっているとしても、それが表面に立ち上ることは皆無。
憤怒の情を表す時ですらひたすら物静かに、だがそれが却って空恐ろしくすらある。
3373/4:04/10/06 14:46:27 ID:F/cuU+fL
――湖の水面には決して走らぬ大波を生じせしめたい。
――表層しか覗かせてはくれぬ人形を思いの通りに動かしたい。
その欲望を抱き始めたのはいつのことか、既に定かではなくなっていた。
自分が勝手に誘惑を感じているだけのことと思えば可笑しくもあった。
何しろ、蒼司にはそのようなつもりは毛頭ないのだから。
今もこうして牟礼田の指に髪を梳かれながら、まるで自分のことではないかのような風情だった。
「……蒼司君」
応えはないが、それでよいのだった。君は恐ろしい人だ、と心の中で呼びかけた。
その恐ろしさに僕は魅せられ、雁字搦めに縛られた。やがてこの欲望に従うことになるかもしれない。
そうなった時、蒼司は何を思うのか。いや、そのような時は本当に訪れるのだろうか。
蒼司は数学者として身を立てていくであろうし、今のところ家業を継ぐ気などないように見える。
牟礼田は牟礼田で通信社の仕事を続けていくつもりであるから、二人の道が交わることはないように思われた。
3384/4:04/10/06 14:46:59 ID:F/cuU+fL
「蒼司君」
再び呼びかける。これ以上触れていては自分の度を越してしまうという警告は理性の仕業か。
指の動きを止めようとした刹那、静かな声が牟礼田の鼓膜を揺すぶった。
「確かに、少し西日がきついかもしれない」
「――こんな窓際に座っていて、よくも平気なものだと思っていたところだよ」
「そんな場所にソファを置いたのは誰だろうね」
僕だな、と笑って牟礼田は身をよじった。左手を伸ばし、飾り紐をほどく。
カーテンはまるで抵抗するかのようにぎこちない動きで牟礼田に従って閉じられていく。
しゅる、と乾いた音が室内を満たした時、牟礼田は己が指先が一層深く蒼司の髪の中に沈んでいくのを感じていた。
339風と木の名無しさん:04/10/06 14:48:21 ID:F/cuU+fL

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                何だかキャラが違っちゃったかも。
 | |                | |           ∧_∧  ふう……
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
340風と木の名無しさん:04/10/06 16:19:06 ID:7mqiXM1u
>>335-338
GJ!萌えますた!
あ〜久し振りに読みたくなってきた〜
341風と木の名無しさん:04/10/06 19:59:07 ID:JW0uDEKI
 ____________
 | __________  |     現行雷打ー無礼奴、35話の補完妄想。
 | |                | |     一応ベースは後輩×先輩だよ
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 多少エロ含みなので注意
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3421/4:04/10/06 20:00:00 ID:JW0uDEKI
上着を脱いで、備え付けの机の上に畳んで置いた。
弘瀬氏の研究所の一室は、病室のような簡素な造りだ。
一つ息を吐いて、硬いパイプベッドに腰を下ろす。険崎のこと、ジョ一カ一のこと、これからのこと、考え出すときりがない。
ややこしい考えを振り切るように、先ほど弘瀬氏に手渡されたコーヒーの残りを一気に飲み干すと、ベッドに仰向けに倒れ込んだ。
何か、酷く身体が重い。疲れているのだろうか。
このまま寝たら、きっと夢も見ないな――そう思って目を閉じると、深く熱を持ったような眠気が急速に訪れ、俺はそのまま泥のように眠った。



研究室の壁に掛けた時計が、深夜二時過ぎを指していた。
「……そろそろかな」
私はコンピュータと計器の電源を切り、ケースから出したガーゼのハンカチを二枚ほどポケットに収めると、徐に立ち上がった。
部屋を出る際、ふと振り向いて研究室の奥に目をやる。
「少し待っていなさい、すぐにお前に『中身』をやろう」
小さな窓越しに見える『彼』の姿を見て、私は優しく微笑んだ。
3432/4:04/10/06 20:00:59 ID:JW0uDEKI
彼の部屋の扉をゆっくり開く。空調が利いている筈の室内に、微かに人いきれのようなものが混ざり、室温は熱を帯びていた。
静かに扉を閉める。すぐ正面にある寝台で、彼は苦しげな呼吸を繰り返していた。
投薬は成功したようだ。
私は近くにあった椅子に腰掛け、彼の様子をつぶさに観察した。
彼は辛そうに顔をしかめ、寝台の上でしきりに身を捩っていた。軽く開いた口は、浅い息を繰り返している。
一見すると、悪夢にうなされているようにも見えた。
整わない息遣いで、白いシーツを何度も引っ掻く。自らの腰を腕で抱き、盛りのついた獣のようにシーツに腰を擦りつけている。
目の端は紅潮し、吐息は次第に浅く、短くなってきた。
何かをためらっているように、しかしもどかしげに、彼の右手は激しく波立ったシーツの上をさまよっている。
私はそっと立ち上がり、躊躇する彼の手を静かにとると、彼の右腿に添えた。
その途端、彼の身体がびくりと跳ねた。
私は再び椅子に腰掛け、被験体の観察を続ける。
彼の右手は最初恐る恐るといったように腿を撫でていたが、やがてひどく怯えたように、両脚の狭間に触れた。
3443/4:04/10/06 20:01:31 ID:JW0uDEKI
「…う、ぁ……っ」
鼻にかかった甘い声が、彼の口から零れる。彼は探るようにカーゴパンツの前をひらき、下履きの中に手を入れた。
彼の腰はがくがくと震え、呼吸は既に泣き声のようである。左手は強くシーツを握りしめていた。
「やめ、るんだ……」
泣きじゃくるような声が吐く息に混じる。何の夢を見ているのだろう。
余裕のない手の動きからして、そろそろ頂きが近いらしい。私は滅菌処理したガーゼを一枚ポケットから出し、立ち上がった。

「険、崎……っ、」

哀願するように呟いて、彼は果てた。
私はそっと彼の右手を退け、サンプルを採取してガーゼをしまう。
二枚目のガーゼの一端で濡れた彼の指と飛沫を丁寧に拭い、もう一端で彼の目の端に浮かんだ涙を拭いた。
疲れた顔をして、深い寝息をたてている。私は汗で額に張り付いた彼の長い前髪をそっと整え、髪を撫でた。
「有り難う立花君、ゆっくりお休み」
そう囁くと、私は静かに部屋を出た。
3454/4:04/10/06 20:02:03 ID:JW0uDEKI
廊下を歩きながら、普段は冷静な彼もあんな表情を持っているものだな、と考えた。
勿論、人間には色々な面がある物だ。ただ、
「ただ、彼にあんなに想われている険崎君が、少し羨ましい――かな」

私は少し笑って首を横に振り、研究室の扉を開けた。
346風と木の名無しさん:04/10/06 20:02:36 ID:JW0uDEKI
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               お粗末様でした
 | |                | |           ∧_∧ エロぽい物は初書きだ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
347風と木の名無しさん:04/10/06 21:11:44 ID:UO17OOuk
>>335-338
まさか、また虚無ネタにお目にかかれるなんて。
誘惑してなさそうでしっかりしちゃってる蒼司に萌えますた。
確か前々スレで別の話が上映されてたよね?勘違いかな。
348風と木の名無しさん:04/10/07 02:32:43 ID:nLmhwmB9
>>335-338
GJ!最近オマージュ本が出て萌えが再燃してたところにありがとう!
蒼司もさることながら、姐さんの文章がまた端正で素敵だ。

>>347
前にうpされてたのは、蒼司とおキミちゃんの話だったかと。
349風と木の名無しさん:04/10/07 06:39:44 ID:V+Zes9JK
ムレタさんは蒼司の髪だけで我慢できるのかしら、
いや、我慢できなくなっちゃいそう・・・
なんて想像してしまいました。この後どうなったのかしら。
350風と木の名無しさん:04/10/07 18:37:31 ID:zfmjSnBo
>>341-346
(*´Д`)ハァハァ
禿 萌 え ! 
GJ!!
351風と木の名無しさん:04/10/07 18:37:53 ID:zfmjSnBo
ごめんなさい、クキ切れてた。
352風と木の名無しさん:04/10/07 23:12:53 ID:4JWU0gH0
>341-346
萌えすぎてつるっつるに禿げました。
後輩を思って果てる先輩…(*´Д`)ハァハァ
353風と木の名無しさん:04/10/08 13:46:22 ID:nLOIePrE
>>335-338
蒼兄さんに魅入られる牟礼田、萌えますた。
是非ビデオ棚から続きを探して下さい、とお願いしたいでつ。

>>341-346
こういうシチュに弱いのでたまりません。
いい雰囲気でつね。
354風と木の名無しさん:04/10/09 03:54:34 ID:3vNU2DIC
>>341
雷打-モノに飢えてました!ありがd!!
355風と木の名無しさん:04/10/10 00:35:29 ID:eZVJjhEe
 ____________
 | __________  |     仲良しゲ仁ン良い子の短文を
 | |                | |     インタビュー形式でお送りします
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) セリフだけだから読み難いカモ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3561/2:04/10/10 00:36:12 ID:eZVJjhEe
H
「相方? 基本的にオタクやな」
「優しいんやけど、たまに目付き変わるで。ものっすごいサディストやから、アイツ。人を虐めてるときは楽しそうやな〜」
「高校のときなー、カッコ良かったで。顔綺麗やし背高いし、王子様みたいな感じでな、髪なんかサラサラで触り心地最高やったわ」
「ん? おお、触っとったよ。仲良しやったもん」
「あ、そう。普通触らんの? でもめっさ綺麗やったら触りたくなるやろ〜?」
「ケンカは無いなぁ。オレが何しても許してくれるし。アイツはオレに甘すぎんねん」
「せやな、たまには……あー、怒ったらめっさ怖そうやからこのままでエエわ」

A
「相方は変態やね。人間としてちょっとオカシイわ」
「でもそんなにバカではないよ。かなり勉強が出来ないだけで。ただ、優し過ぎんねんな、あれで損してる部分もあると思うで」
「高校時代なー。全然変わっとらんよ。バカやって人気者で。小動物みたいで可愛かったわー」
「可愛かったで? 今も可愛いと思うけど。まあ少し老けたかな。あと髪も……」
「え? 可愛いと思えない? ええよ、俺が思ってるだけやから」
「ケンカはしないなぁ。大体俺が許すからな。アイツは何言っても仕方ないから、本人が気付いてくれるまで待つしかない」
「怒り始めたら止まらんくなるで。泣くまで追い詰めてまうやろな。だから怒られへんわー」
3572/2:04/10/10 00:37:07 ID:eZVJjhEe
AxH
「なんやオレ諦められとるんか」
「いや、俺の怒り方って陰険やから、オマエに対しては出来んのよ。嫌われそうで怖いわ」
「……オマエ、ホンマにオレのこと好きやな」
「おう、好きやで」
「即答やんけ」
「そのくらい好きってことやんけ」
「愛されとるなー、オレ」
「愛してる」
「うわッ! 耳元で言うなや! ビックリするやろ!」
「ハハハ、気色悪いとか言えへんな」
「今更やろが。オレも結構オマエのこと好きやし。そんなん言われへんよ」
「ラブラブやん」
「嬉しそうにすんなや〜」
「ええやんけ」
「まあええけど」
358風と木の名無しさん:04/10/10 00:37:21 ID:eZVJjhEe
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                関西弁ヘタでスマソ
 | |                | |           ∧_∧  中途半端でスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
359風と木の名無しさん:04/10/10 01:37:55 ID:3OaYh58h
…姐さんは私を鼻血の出しすぎによる失血死に追い込もうとなさるのか!!
もう禿げ上がる程萌え。乙!
360流石兄弟、あんまり中身はない。:04/10/10 02:41:11 ID:gnRIFDFH
 ____________
 | __________  |     ウェブに貼るにはちょっと短くちょいエロなんで、
 | |                | |     こっちに貼ってみる。
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
361風と木の名無しさん:04/10/10 02:43:18 ID:gnRIFDFH
 兄者は俺はヒッキーだとちょっと得意げにいつも言うけど、たぶん本物じゃない。
休みがちだけど大学には行っているし、オタ友達も少しはいるみたいだ。頭はあん
まり良くないけど何故か学校の成績はそれほど悪くはなかったみたいで、無事に
大学に合格している。
 ただ、絶望的に社会性に欠け、人付き合いがヘタで他人との関係が薄いから外
に出る機会が自然と少なくなるというだけだ。
 そんな人としてダメな兄者に俺はもう3年以上も恋をしている。仮にも思春期の
暴走しがちな時期に好きな人と寝食を共にするということが、どれほど苦しいもの
だったか、周りの人間が一人残らず俺をクールだと評することからもわかると思う。
以前の俺はそんな風に言われたことはなかった。
 でも、地獄の苦しみを味わいながら、甘くて切なくて楽しい至福の瞬間も同時に
味わってきたのも事実だ。それに苦しみには結構慣れるもんで、ここ1年ぐらいは
比較的、落ち着いている。感情が薄れてきているのかとも思ったりしてみるけど、
兄者が寝ている隙に触れる唇は相変わらず俺を掻き乱す。何もかも忘れて、全て
を奪ってやりたい衝動は時が経つにつれて募る気がする。
 今も、寝ている兄者の顔を眺めながら、頭の片隅で何をしているんだ俺は、と
ブレーキをかける。
362風と木の名無しさん:04/10/10 02:44:13 ID:gnRIFDFH
 兄者は大学に通いだしてから連日の夜更かしで朝はいつも寝ている。最近、俺は少し
早めに起きて兄者の寝顔を眺めて、薄く開いた唇にキスをする。
 初めて触れたのはもう1年以上も前だ。最初は起きないかビクビクしながら眺めるだけ
だった。そのうち、寝たらめったなことでは起きないってことがわかってきて、手で触れて
みるようになった。自分に似た顔がなんでこんなに愛しいのか確かめるようにまぶたとか
頬を撫でた。触れば触るほど兄弟に欲情している背徳感はだんだん薄れて、好きだけど
兄弟の、しかも兄に性的な行為を施すことへのタブーはだんだん敷居を下げてきた。最
初は考えられなかったキスも、繰り返されることで日常になる。
 そして、朝っぱらから実の兄の唇を貪るのが習慣になった。薄く開いた隙間から覗く舌
を舌先で触れる。脳が蕩けるような快感。青いカーテン越しの朝の光のなかで、清浄な
空気の中でまだ欲望を夢のように考えている兄のそこだけ深夜のような湿って暖かい舌
を貪る。
 Tシャツの中へ手を差し込み、素肌を撫でる。小さな乳首を弄る。いつか止まらなくなる。
そう遠くない未来に破綻は訪れる。もう、タブーというブレーキは壊れてしまって、
363風と木の名無しさん:04/10/10 02:45:14 ID:gnRIFDFH
眠りが覚める程の行為に慣れて、蕩ける甘さを知ってしまった。
 小さくうめく兄者に身を離す冷静さが今はある。知られることの恐怖はかろうじて残っている。
 身を引いて、制服に着替えていると「うーん」と声がした。胃のちょっと上ががぎゅうっと引き
ぼられる。
「ふぅ・・・今何時?」
「まだ、7時だよ」
「そうか・・・・おはよう」
「うん」
 着替えを終えて、さっき貪った唇を信じられない気分で見る。Tシャツの胸にポツンと小さな乳
首が見える。
 終わりの見えない苦しみがドッと頭の上に圧し掛かって、なんだか涙が出そうで俺は早々に
部屋を出た。背中に優しい兄者の声がした。
「いってらっしゃい」

 その朝、閉じたドアの前で少し泣いた。
364風と木の名無しさん:04/10/10 02:46:37 ID:gnRIFDFH
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                とりあえずこれで終わり。
 | |                | |           ∧_∧  続きを書くつもり。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

365風と木の名無しさん:04/10/10 11:55:14 ID:jkrPB/m4
うっひょおお!流石兄弟イイヨイイヨー
続きを楽しみにしております(;´Д`)ハァハァ
366風と木の名無しさん:04/10/10 14:24:02 ID:2jnQVgJ5
禿しく遅レスで恐縮ですが・・・
>>302-306
とてもよかったです!! 姐さんありがとう ・゚・(ノД`)・゚・
ストーリーの萌え度もさることながら、文章力に素で惚れ惚れです。
完結などと言わずに、これからもガンガン投下してくださいまし。

367風と木の名無しさん:04/10/10 16:46:53 ID:GH+8ccs2
>364
萌えーーー!
続きを楽しみにしてます!
368風と木の名無しさん:04/10/10 16:58:13 ID:YoNSjp66
虚無姐さんのを読ませて頂いて思ったんだけど、ミステリスレはなくなっちゃったの?
369風と木の名無しさん:04/10/10 17:04:15 ID:nnKOa4T6
 ____________
 | __________  |     下居二素のス秘ードワゴソの短い話。
 | |                | |     今日は尾座和の誕生日だからな。
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

370風と木の名無しさん:04/10/10 17:05:01 ID:nnKOa4T6

 _. ._
( ´A`)<そういえば今日誕生日だな?  (´^`*)<そうだけど…オボエテテクレタンダ

 _. ._
( ´A`)つ<向こうにケーキ置いてあるから食おうぜ  (´^`;)<う、うん。

                      _. ._
いいから向こうに行った行った>  ´A`)つ(;;´^`)。oO(なんか嫌な予感が…)


【数分後】


( `ー´)<尾座和くーん誕生日オメ…                ウワァッ!ジュンサンヤメテ!>|


どうした綿b…あ…>(;θ∀θ)(;`ー´)           イイジャナイカ オマエガケーキッツノモ>|


(;θ∀θ)(;`ー´)<…。             ソンナンデ タンジョウビイワッテルツモリ!?…アァッ!>|


(;θ∀θ)<帰るか。(;`ー´)<…うん。            ギシギシアンアンギシギシアンアン>|
371風と木の名無しさん:04/10/10 17:05:48 ID:nnKOa4T6
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                何なんだこれは…
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・;;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
372風と木の名無しさん:04/10/10 19:47:45 ID:BkfOQAyl
>>360-364
俺まで泣いちまった。
続き待ってますよ!!
373流石兄弟、あんまり中身はない。:04/10/10 20:17:31 ID:gnRIFDFH
 ____________
 | __________  |     目覚める兄者。
 | |                | |     でも、弟者よりはだいぶ気楽。
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧  ソレニシテモチセツナブンショウ・・・
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

374風と木の名無しさん:04/10/10 20:18:31 ID:gnRIFDFH
 弟者が出て行くのを見送って再び枕に頭を落とした。うつ伏のまま両手で枕を抱えるよ
うにすると、シーツに乳首が擦れる。最近、なんだかそこが痒い。シーツに擦りつけるよう
にすると甘い痺れが湧きあがって、気持ちいい。
「思春期だよな、俺」
 息子が固くなったのを感じて、思わず呟く。眠気と戦いながらモジモジと体を動かしてい
たが、もどかしさに仰向けになってTシャツのうえから小さなしこりを押し潰してみる。確か
に感じる。
 思春期まっさかりの俺らが同じ部屋ってのは困ることが多い。夜はいつも二人一緒で、
友人とは違い、欲望を見せ合うことにことさら羞恥を感じる兄弟では、エロビデオを見なが
らオナニーをするなんて想像も出来ない。せめてベッドが別なら布団の中で隠れてするこ
とも出来るだろうに、両親の新婚時代のダブルベッドに寝ている俺らには無理な話だ。だい
だい、大学生と高校生の兄弟が同じベッドに寝ていて、しかもそのベッドが両親が使ってい
たものだという事実はそうとうおぞましい。何もかも母者がケチなのがいけない。もちろん、
文句などは絶対に言えないが。
 そんな俺らが、青少年らしくオナニーをするときは、相手がいない隙を狙ってするわけだが、
弟者は俺が引きこもり気味なせいで随分困っているんじゃないかと思う。
 まあ、俺と違ってそこそこモテるようだし、友達も多いから外でやってるのかもしれない。
375風と木の名無しさん:04/10/10 20:19:10 ID:gnRIFDFH
「は・・・ぁ・・・」
 乳首を弄りながら、もう一方の手でゆるゆるとペニスを刺激する。階下から聞こえてく
る朝の支度の音がやましさといつ見られるとも知れないスリルを感じさせて、いい。
 目を閉じて、朝日に顔を晒したまま、掛け布団の中で行為を続ける。目をつぶっている
と眠りそうになる。男がするオナニーで乳首を弄るのはあまり一般的ではないだろうと思
いながら、ぬるい快感の中ではどうでもよくなる。
 ふいに階段を駆け上がる音がして、慌てて手を衣類の中から引き抜いた。壁側を向い
てとっさに寝たフリをするのと同時に、ドアが開いた。
 忘れ物でもしたのか、ガタガタと机の引き出しを開け閉めする音がする。半睡の中での
快感の余韻を味わいながら物音を聞いていると、夜更かしがたたったのか、すうっと眠り
の中に引き込まれる。
 ノビタに負けないぐらいの寝つきがいいのは、俺の数少ない自慢の一つだ。もちろん、
ブラクラを嗅ぎ分ける嗅覚もすごい。望んでいることとは真逆の結果もまた流石だ。
 次第に拡散していく意識の中、物音が止んだことに気づかなかった。集中力を欠いた
眠りの入り口で、ベットが小さく撓んだので弟者が近くにいることを知る。朝日を弟者の
体が遮っているのだろう、光量がへったことで眠りは速度をあげて俺を絡めとる。
 そっと触れる指先が頬を撫でて、唇をなぞる。浅い眠りの中ゾクゾクするような触り方
だと思う。
 微かに湿った柔らかいものが口の端に押し当てられたのがキスだと気づいたときには、
部屋の中から弟者の気配は消えて、意識も途切れた。

 弟者とキスをしながら、イく夢を見た。
376風と木の名無しさん:04/10/10 20:19:57 ID:gnRIFDFH
 目が覚めてから夢を反芻し、湿った下着を不快に思いながらしばし呆然とする。眠り
に落ちる寸前の記憶も徐々に思い出したけど、夢の内容を考えるとそれが現実だった
と思うのは難しい。
「起きるか。」
 カーテンから漏れる光は朝とは違う色をしている。なんだか既に疲れているような色だ。
 デジタル時計は13:34、もうすぐ2時、午後からの講義には出ようと思っていたのに、
それも無理な時間だ。Tシャツを脱いで、パンツを脱ぐ。洗うのがマンドクセェ。
 最近、起き抜けに勃っていることが多い、夢精も増えて、母者の隙を見てパンツを洗う
機会も多い。惨めな気持ちになるから、本当はしたくない。
「・・・もしや、相手はいつも弟者?」
 全裸のまま頭を抱えてベッドに飛び込み、ひとしきりヤダヤダをやってみる。気分はち
っとも晴れず、逆にキスをしながらイッたのをありありと思い出した。
「うわあぁーーー」
 とてもじゃないが、今日は弟者の顔をまともに見る自信がない。さっさと服を着て、パン
ツを隠し、PCの前に座った。
 あと2,3時間もすれば弟者が帰ってくる。それまでに萌え画像を一枚でも多く落として、
萌えパワーで忌まわしい記憶を忘れてしまう必要がある。
「よし」
 気合を入れて、俺は早速・・・・・・ブラクラをゲットした。
「流石だよな、俺ら」
377風と木の名無しさん:04/10/10 20:21:13 ID:gnRIFDFH
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                 がんばって、
 | |                | |           ∧_∧  両思いまで持っていきます。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

378風と木の名無しさん:04/10/10 20:42:31 ID:kkyxImBA
流石兄弟禿げ萌えです(*´∀`)ネエサンGJ!
両思いまで待ってるよハァハァ
379風と木の名無しさん:04/10/10 20:46:17 ID:3yrEygJU
流石兄弟モノグジョーブ・GJ!
つづきもお待ちしてます…!ハァハァ
380風と木の名無しさん:04/10/10 21:50:18 ID:s6qRAvIN
 ____________
 | __________  |     某サイトで見た危ないガオゾロに萌えて。
 | |                | | 管理人さんありがとうございました。
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Zロリなんですが、>>325と同じ時間軸で、G博士の性格がアブなかったら……
という設定で。
本スレの方のお好みに合わなかったようなので
申し訳ありませんがこっちに。
書いたからには人様の反応が見たいです。……見れるのなら。
381:04/10/10 21:53:29 ID:s6qRAvIN
Gオンに続きIシシが、そして他のみんなが部屋を後にし、ひとり残ってから異変に気がついた。
なんだか体がおかしい。思ったようにならないのだ。
しびれてる?…………いや…でも何だか自由がきかない……力が…入らない。
頭がぼぉっとしてきて、よろよろとソファベッドに倒れこんだ。
…何だ?おれさま…………どうしたんだ?
人の気配がするので目をやると、さっきの気に食わないヤツが戻ってきている。
ネクタイを緩めながらこちらに近付いてくる。その顔は少し笑っているように見える。
抵抗する間もなく押さえつけられ、そのネクタイで後ろ手に縛られた。
「そろそろ薬が効いてきたかな。抵抗できないとは思うが、念のためだ」
(く、薬…って………いつ……?)
「私が投げたバラに触ったろう?」
(バラ………!!さ、触ったどころか…………思わずくわえてしまいました)
「私は自分の手でバラに触っていなかった。なぜだか…わかるね?」
Gオンはもう一度妖しく微笑むと、寝巻きの裾から中へ、手を滑らせてきた。
脚をなでられただけなのに、全身に快感が走り、体がびくっと跳ねる。
「動けないが、感覚は敏感になっているはずだ。いい気持ちにさせてやるよ」
(な、ななな…………何言ってんだコイツは…………??)
GオンはZロリの顔をじっと見つめながら、巧みに手を動かし続けた。
Zロリは回らない頭で考えていた。
(バラに……バラに薬が塗ってあったの…か……ママが…何でもやたらと口に入れちゃダメって…言ってたなあ……)
耳に息を吹きかけられ、舐めたり軽く噛んだりされる。…………背中がゾクゾクする。
382:04/10/10 21:55:36 ID:s6qRAvIN
「んぅ……っ……ぁ…………」
「ココも弱いんだな。こっちはどうだ?」
「はぁ………っ………ぅう……っ………」
「いい声だな」
気に食わないヤツにいい声と言われても不愉快だ。Zロリは声を出すまいと歯を食いしばった。
「抵抗の意思を示してる……ってところか。ふ…無駄なことを」
薬の力で敏感になり、すでに大きく変化している局部を愛撫され、体が弓のようにしなる。
「んんっ…………!!」
繰り返し与えられる刺激に体が熱くなり汗が全身からふきだしてくる。
荒く、呼吸をしながら目をとろんとさせるZロリを、碧い碧い目が見つめている。
吸い込まれてしまいそうな………しかしどこか陰のある、碧い目が………
意識が遠のいていく。力が抜けてきて口元が緩み、唾液がこぼれそうになる。
Gオンは口の端の唾液を舐め取り、そのまま舌を深く差し入れてむさぼるような長い長いキスをした。
このまま溶けてしまいそうだ。溶けてGオンと一つになってしまいそうだ…………
後ろの孔に激しく抜き差しされる指の刺激に全身を電撃のような快感が駆け抜け、声が出るのを抑えられない。
「んぅっ…………!!ぅあ…………あ…………は……うぅ……ぁ……!!」
もう……限界が近付いている。Gオンの妖しい笑顔がだんだんとぼやけていく。
「なぜ、こんなことをするのかって目つきだな。…………してみたかった。………それだけさ」
もう何も考えられない。ただ、ただあとは絶頂に向かって木の葉のように流されていくだけだった。
383風と木の名無しさん:04/10/10 21:57:01 ID:s6qRAvIN
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                
 | |                | |           ∧_∧  ヤッパダメ?
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
おそまつさまでした。
384風と木の名無しさん:04/10/11 02:08:13 ID:UInbItgj
( ;´Д`)ハァハァ
385風と木の名無しさん:04/10/11 10:18:07 ID:q5z66bKl
このスレ、神ばかりだよ…!!!
386流石兄弟、3:04/10/11 10:49:09 ID:kZx/88MU
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 | __________  |     まとまったらウェブに晒しても
 | |                | |     いいと思う?
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
387風と木の名無しさん:04/10/11 10:50:00 ID:kZx/88MU
 揺れている。小さな揺れを繰り返している。
 キスをしながら、兄者が起きないかと期待しているのを感じる。それに気づいた瞬間慌
てて絶対に起きないで欲しいと願う。
 中学生の頃にしたいくつかの恋なんかと比べ物にならないぐらい衝動の数は多く、それ
ぞれの感情が強くて、向かう方法がバラバラすぎて苦しい。
 今の関係を壊したくて破綻が近いなんて思っていたけど、それは期待の裏返しなんだと
気づいた。本当はいまの仮の安定を壊すようなことは未来永劫出来ないのかもしれない。
 怖いから。兄者に嫌われるのが怖いから。
 この恋をしてから、自分の中の色んな顔に気づいた。
 こうして眠っている兄者にキスを繰り返す無謀で図々しい行為は、嫌われる怖さに勝てな
い気の弱さが根っこにあるんだと解っている。
 だって、言っても無理だと思うから。男同士の兄弟で、俺は弟で、なのに兄者を抱きたい。
他人が同じことを言ったら俺はきっと変だと思う。
 兄者はヲタで二次元に萌えるけど、きっと俺よりは変じゃない。好きだから抱かせてくれと
言っても、きっと兄者は受け入れたりしない。わかっているのに、ココロのどっかに期待があ
る。もしかしたら、もしかしたら。
 グルグルと回る感情と思考はもう俺の手には負えない。重くて、苦しくて、なのにこうしてキ
スをしている瞬間はありえないぐらいの幸福感に酔う。
388風と木の名無しさん:04/10/11 10:50:43 ID:kZx/88MU
 二人でブラクラをゲットしても、笑いながら見上げる兄者と話していても、目が覚めて
隣に兄者が寝ているのを確認するときも、震えるような幸せを感じる。
 逃げたいのに、逃げられない。壊したいのに、壊せない。
 ふと、自分のあまりに重たい思考に気づいて、首をふる。考える度に俺は妙に楽天的
だったり、やりきれないぐらい悲観的だったりする。悲観的な方に身を任せるのは簡単
だけど、精神衛生上良くないのはわかっているので、気づいたら止めることにしている。
 関係を壊す以前に俺が壊れたんじゃしょうがない。
 気を取り直して、今日は顔を眺めるだけにしてみる。欲望を野放しにしているから悲観
的になってしまうのだ。欲望を突き詰めれば、行き着く先なんて見えているから。
「あーにじゃ」
 小声で呼んで見る。いまなら兄者がおきても心配は要らない。そっと髪を撫でてみる。
母者のお陰で風呂だけは毎日入っているから、さらさらと指に気持ちいい。まだ、起きて
も心配ない。ここからがグレーゾーン。手を滑らせて瞼を撫でる。鼻筋を指先で辿って、
唇へ。もう、言い訳が苦しい。でも、俺は気持ちいい。
 ふうっと呼吸が乱れて、瞼が小さく痙攣する。手を離して、目覚める瞬間を眺める。
 まるで、恋人の目覚めを待っている気分だ。楽しくて、切ない。2,3度瞬いた睫毛が羽
を広げるように開く。黒目が覗いて、焦点が合わないぼんやりとした視線が辺りをさまよう。
俺を認識する。焦点が合って、意志が込められる。そして、俺を呼ぶ声。
「おと・・じゃ?」
389風と木の名無しさん:04/10/11 10:51:30 ID:kZx/88MU
「おはよう」
 壊さなくてもいいか、と思う。今のこの幸福を未来永劫味わえるのならば。
「なん・・だよ」
「別に。間抜け面を観察してただけ」
「うるせー・・・今、何時?」
「わかんない、でも、まだ寝れる」
「ああ」
 俺を見ていた瞳が閉じられる。
 俺の視線に顔を晒したまま、眠りについてくれる。これ以上の何を望むのか。

――――キスをするようになって、俺は欲張りになっている。

390風と木の名無しさん:04/10/11 10:52:09 ID:kZx/88MU
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 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                
 | |                | |           ∧_∧  教えてクレクレ君。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
391風と木の名無しさん:04/10/11 11:02:09 ID:kZx/88MU
そんなわけで、仕事行ってくる ノシ
392風と木の名無しさん:04/10/11 12:16:04 ID:bxRIMyWX
>391
いってら。続き待ってます。
393風と木の名無しさん:04/10/11 12:16:11 ID:N/I/L/c5
>>386
ものすごい勢いで萌えたGJ!!!
エロがあるならウェブの方じゃなくて、文字レス用の提示版にうpしてみてはと提案してみる。
394風と木の名無しさん:04/10/11 12:49:31 ID:PBfp94+t
GJ!! 激しく萌えてます(*´Д`)ハァハァ
>393に激しく同意
エロの程度によるかと思うけど、小説専用板の方はエロOKだった…よな?
395風と木の名無しさん:04/10/11 14:35:35 ID:rQqS38cZ
流石兄弟ウェBとかあったような気がしたんだけど、でもどこでもいい!
続きが読めるのなら続きを求めて徘徊しるよ
GJ姐さん!
396風と木の名無しさん:04/10/11 16:33:05 ID:INWTflC3
>>386
気が遠くなるほど萌えッッ(*´Д`)ハァハァ
続き待ってます!
397風と木の名無しさん:04/10/11 21:08:03 ID:h1e4n+G2
>370
カワイイ(゚∀゚)!!
398風と木の名無しさん:04/10/11 23:22:08 ID:1Ssddz0M
遅ればせながら>356-357姐さんありがとう。
死ぬほど萌えますた。
さりげなく実際の発言が含められてるのがニクイ!
399風と木の名無しさん:04/10/12 01:04:09 ID:ehYeZIhq
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 | __________  |     イミなしオチなしの100ー1パロモナ
 | |                | |     
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
400100-1 * 1:04/10/12 01:05:15 ID:ehYeZIhq
なんだかイキオイで買ってしまったサーモンピンクのトレーナー。
マネージャーと空き時間に適当に店にはいったら店員さんに話し掛けられて
変にパニックになって思わず買ってしまったものだ。
レジに持っていったら予想の倍の値段で驚いたけど。
「最近、こんなん流行ってるんですよ」って言い包められてだな。
早く店を出たくって急いで会計して車に戻ったっけ。

「せっかく、買ったんやしなぁ…一回くらい袖通しとこ」

新品のトレーナーのパリっとした感じにちょっと違和感を感じつつ
車をとばして、ラジオの収録へ。
「…おはようございまっすー…」
低く挨拶して楽屋に向かう。相方はまだきてないようだ。
「あれ、丘村さん、なんかかわいいー!」
スタッフの女の子に早速トレーナーをいじられた。
「似合う!それどこのですかー?」なんて。悪い気はしないけども。
ってごっつい顔ゆるんでるやん。俺。ピンク、結構いけるなー。なんて。
早速喫煙室に向かって一服しにいく。ちょっといつもよりも少し足取りが軽い
俺の背中にむかって「うーーーわ…」と聞き慣れた溜息が聞こえた。
なんやねんな。いきなり。
「谷部さんやんか。なに…」
と文句を言おうとして振り向くと、全く同じサーモンピンクのシャツを着た相方が
苦虫を噛み潰したような顔で立っていた。
「うわわわわーーーー」と俺も言うしか無い。
「あきませんやん。今どきーーー。ごっつ恥ずかしいわ!」
勘弁してくださいよー。と谷部は大袈裟に手で顔を覆った。
401100-1 * 2:04/10/12 01:05:39 ID:ehYeZIhq
微妙にペアルック…。

重い現実が二人の間にのしかかった。
「あんたもチャラ男の仲間入りかい…」
そういって谷部は居心地が悪そうにした。
廊下を横切る人全てが俺達をみてクスクスと笑いを堪えるように下をむいて
早足で行ってしまう。
誰か!助けて下さい!なんてスベったギャグを思い出したりして。
「なんでお前、ピンク着て来たんよ。俺がこの前注意したがな」
「あんたこそ、ピンクなんて持ってたん?」
「この前買ってん。……今笑ったやろ!」
「ピンク着るような人やったかな…」
「三十路過ぎたら何色だって着るがな」
微妙に胸を張った俺を見下ろして「しかし見事なくらい似合うてないでー」と
アハハ!と谷部は笑った。
こいつ…。なぜか微妙にショックを受けてしまった。
谷部の足を思いきし踏み付けてやると、俺は「ほなさいなら」と吐き捨てて歩き出した。
痛い痛い。ううう…。と谷部の悲鳴が聞こえたが、完全に無視。
しかし、遠く離れた頃。
「丘村さーーーーん!」
と大きな声で呼ばれて、振り向くと。谷部は両手を頭の上で○に結んで。
「女のコみたいで可愛いっすよー!似合おうてますよーー!胸キュンですよー!」
とフロア中に響き渡る大声で叫んだ。
はあ!?
俺の顔がみるみるユデダコのようになっていくのを確認すると。
嬉しそうに笑って楽屋の方に走り去っていった。
まさにやーいやーい!照れてやんの!と聞こえてきそうな笑顔だった。
あのガキャあ…。ほんまにアホなったんとちゃうかな…。あんな30代嫌やで俺は。
うっわ。顔あつーーー。

そしてその数分後、喫煙室には全身ピンク色のちっちゃいおっさんが
難しい顔でタバコを吸っていたのでした。
402風と木の名無しさん:04/10/12 01:06:27 ID:ehYeZIhq
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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                
 | |                | |           ∧_∧  お粗末様でした
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
403風と木の名無しさん:04/10/12 01:44:14 ID:46Id/y5r
丘かわいいなあ、おい。
そして、頭の上で腕を○にして叫ぶ30代萌え
404風と木の名無しさん:04/10/12 02:44:29 ID:rvwza2l/
>>400-401

深夜にとんでもない萌えをありがとう姐さん。
情景が目に浮かんできて身悶えしました。また投下キボンヌ
405風と木の名無しさん:04/10/12 12:40:50 ID:j30m1LWW
>>355
萌え死んだ…(;´Д`)ハァハァ
406風と木の名無しさん:04/10/12 13:30:34 ID:6VQ3xzVC
>>399-402
(*・∀・)モエー
407風と木の名無しさん:04/10/12 22:11:55 ID:j0p7bu4B
>>399-402
萌えましたー!姐さんGJ!!
こちらこそ胸キュンです・・・(*´Д`)
408風と木の名無しさん:04/10/12 22:16:24 ID:MSs9ULtM
 ____________.    ヶ゛-ニソ良い子第2弾 去挙_。
 | __________  |    某番組で自分たちの未来予想をしていたので
 | |                | |    収録直後という設定で。
 | | |> PLAY.       | |    ―――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>355に萌えてくれた姐さん方、ありがとうございました。
お陰さまで調子に乗ってしまいました。
409風と木の名無しさん:04/10/12 22:17:01 ID:MSs9ULtM
「なぁ……」
 テーブルの上に散らかったペットボトルや雑誌を片付けていた俺は、不安という言葉を具現したようなその声に手を止めた。

     未 来 予 想 図

 目線を上げて声の方向を見やると、頼りない視線とぶつかる。何故だか暗い雰囲気を纏ったこの男は、テーブルに頬を付け、俺の顔をじっと見つめていた。
「どした?」
「やっぱ料理したいんか?」
「は? まあ、料理は好きやけど」
「オレがオマエの人生変えとるんやもんなぁ……」
 消え入るような声で呟く内容に合点がいった。先程の収録で、俺が『5年後にはシェフ修行をしている』と書いたことを気にしているのだろう。
「確かにこの世界に誘ったんはオマエやけど、断るとかすぐ辞めるとか出来たやん。結局は俺が選んだ道なんやから、とやかく言われたないわ」
 わざと責めるような強い口調で言ってやったら、ますます顔が暗くなった。……まずい、扱いを間違えた。
「あー、俺はな、オマエと一緒に居たいから誘いにのったんや。こっちやってても料理は出来るけど、コックになったら一緒に居るのは難しいやろ? せやから、今ここに居る俺を信用してくれ」
「言ってて恥ずかしくないか?」
 ――せっかく本音を語ってやったのに!
 思わず激昂しかけた俺の頭は、次の瞬間、急激に冷めてしまった。
 子供のような純粋な瞳が、キラキラと嬉しそうに輝いている。嫌な笑みを浮かべたムカつく顔で言われても、その目を見てしまったら、怒ることなんてとても出来ない。
「うるさいわ。オマエも『5年後1人で番組持つ』とか書いとったやんけ」
410風と木の名無しさん:04/10/12 22:17:30 ID:MSs9ULtM
「オマエが『シェフ修行しとる』から仕方なく、やろ。んで『居なくなったオマエを探して』、そっから先は『2人で番組やる』やん。ちゃんと信用しとるし、頼りにしてるで、相方」
 頭の中で、今まさに├゙リカムの『未来/予想図』が流れ始めた。
 なんで感動させられなあかんねん。全米が泣いた映画とか見ても、何も思わんくらい感情の起伏が無い人間やったのに。
 正直、コイツの直球の言葉にだけは弱い。
「じゃあ実際やってみるか? 5年後に俺がシェフ修行」
「なんやそれ、オレ捨てられるんかい」
「探してくれんねやろ?」
「おう、マジで居なくなったら探したるけど、その前にオレが引き止める。徹底的にオマエの人生変えたるわ」
 先程までの暗い表情はどこへやら、顔を上げて身を乗り出し始めたコイツとは対照的に、俺が机に突っ伏してしまった。
「……どこまで俺の人生と心を狂わせる気や」
「オマエが「ノヽマグチと一緒に居たくない」って言うまで」
「一生やんけ」
「ハハハ、やっぱそうなるか。オレと一緒に居たいんやったら、一生オレについて来るしかないな」
「言ってて恥ずかしくないか?」
「……恥ずかしい」
「やろな。まあ、一生ついてくから覚悟しとき」
「おう」
 先程の番組で司会者が言った「君たちは今のままでいい」という言葉が蘇る。
 一緒に仕事して、一緒にバカやって、一緒に笑って。きっと、何年経っても変わらない。他人に言われんでも、俺たちはずっとこのままなんやろな。
 なあ、相方?
411風と木の名無しさん:04/10/12 22:18:01 ID:MSs9ULtM
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                萌えの勢いで書いてしまった。
 | |                | |           ∧_∧  ドリーマーな自分に乾杯。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
412風と木の名無しさん:04/10/13 00:01:06 ID:1uJfo/lK
>>408-411
ゲ仁ソスレから釣られて来ちゃいましたよ
某番組見てないが、良い子はやっぱりいいな〜。。。
413風と木の名無しさん:04/10/13 00:09:18 ID:xY3pZMNx
良い子がこんなにほのぼの萌えするとは。
姐さんありがとうありがとうありがとう
414風と木の名無しさん:04/10/13 02:21:35 ID:Hx/UbgNh
>>408-411
姐さんGJ(*´Д`)
415風と木の名無しさん:04/10/14 01:03:05 ID:ZCmL2KWb
 ____________
 | __________  |     谷部っち独白風100ー1パロ
 | |                | |      IN 高校白書見てみるモナ
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )完全にフィクションモナ 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
416高校白書1:04/10/14 01:05:37 ID:ZCmL2KWb
初めて会った印象は、はっきしいって、ちっちゃいなーだった。
俺の学年ひとつ上のサッカー部の先輩だ。それはわかってるんだけれども。
ちっちゃいってのは、ズバリ身長、タッパのことなのだが、
これが笑ってしまうくらい足りなかった。160を切ってしまうのだ。
サッカー部といえども体育会系でバリバリである。先輩が黒といったら白でも黒の世界だ。
なのに、あの身長は反則だ。だって思いっくそ上から見下ろしてしまうことに
なってしまうのだ。丘村先輩の隣に並ぶと。先輩の威厳とか上下関係とかまさに上滑りの
状況になってしまうのである。
初めて挨拶して。どうしよー思って、目を彷徨わせていたら計らずとも丘村先輩の
つむじをじっと見ることになってしまった。
その視線に気づいたのか、ギリっと上を向いた先輩の目線がビシーっと自分にぶつかった。
あっかーーん。気づかれてもた。せやけど今さら視線外せんしのぉ。
俺は自慢じゃないけど、背が高い。そしてこれは自慢にはならないが
よく人から目つきが悪いと注意される。親にも注意されるし、女にも注意される。
自分では意識していないけれど、なんだかバカにしたような目線を送ってしまっていることが
多いらしい。ましてや見下ろす形の目線である。
うーわ。ややこしいのお。変に印象もたれたら後で面倒臭いで。
そう思った俺はとっさに自分では精一杯の笑顔を丘村先輩に向けてみた。
ちなみに笑顔を誉められたことはない。
酷い笑顔を貼付けた俺を丘村先輩は一瞥して、目を逸らしてしまい、
俺の事は全く見もしなかったかのように無視して、淡々と先輩後輩の挨拶は
終わっていった。ホーっと胸をなで下ろし、俺が練習に戻ろうとしたその時、
右足に激痛が走った。
417高校白書2:04/10/14 01:06:11 ID:ZCmL2KWb
「いったーーーー!!!!」
スパイクで右足の甲を思いくそ踏まれたのである。
涙目で叫ぶ俺を見上げるように「あー、ごめんな。悪いな、気づかんかった」
とクリっとした目で全然すまなそうに半笑いで告げると小さい背中は走り去っていった。
丘村先輩である。
絶対ワザとや。確信犯の背中を俺はギリギリと睨んだ。
俺の精一杯の笑顔はバカにした笑顔としか届いていなかったらしい。
クッソ、あのチビ。いつかキャン言わしたる。
と頭に血が上っていたとはいえ恐ろしいことをとっさに呟いたのだった。
それが丘村さんとの初めての出会いだ。

高校にはいって初めての夏がやってきた。干涸びるかと思う程のキツい日射しの中
俺は何を目指しとんねんと思う程の猛練習の日々が続いていた。
「し、死ぬ…」「そんなんで死ぬかボケぇ!!」
優しい先輩達は容赦ない走り込みを俺達に強要し、自分達は顧問に隠れてタバコをふかしていた。
「優しすぎて、涙がでるで…」
「そんなん、よう言わんと、早くダッシュ終わらして家帰ろうぜ」
鬼の特訓は計らずとも俺達1年に団結という副産物を産み、その頃はかなり同年代の
繋がりは深くなっており、平穏な日々が続いていた。
先輩達は一通り、えばり倒している人が多かったが、中には例外もいた。
丘村先輩だ。先輩とは初めて挨拶した日に足を踏まれて以来、あまり会話らしい会話をかわしていなかった。
丘村先輩の周りには自然といつも人が集まっていた。
あの人の人柄なんだろうか。小さい身体いっぱいで身ぶり手ぶりで話し、いつも笑いをおこしていた。
ヒャハハハハーーー!とちょっと高い笑い声がグラウンドに響く。
おおー、笑ろてるで、笑ろてるで。
クリクリしたお猿さんみたいな顔でケタケタ笑っている姿はなんだか微笑ましく、
なんだか小動物を見るように盗み見てしまうことがしばしばあった。
そんな時必ず、先輩はこちらに気づくとキっとあからさまに顔を避けて行ってしまうのである。
あのガキャあ…。俺は密かに握りこぶしを作り、地団駄を踏んだ。
418高校白書3:04/10/14 01:06:42 ID:ZCmL2KWb
あとから聞いた話によると、丘村先輩も初顔合わせの時に俺の足を踏んでしまったことを
後悔していたようである。しかし、なかなか謝れずに余計にぎくしゃくしてしまい、
俺の事を避けていたようなのだ。難しい人である。そんなことは言ってくれんとよう伝わらないで。
全身土まみれ汗まみれ、なんだか可哀相な姿に成り果てた頃、やっと練習から解放される。
その後は1年同士連れ立って、近所のファミレスに集合するのが定番だった。
そして話し合いの議題はもっぱら先輩の悪口だった。
いつも話題の中心になる先輩の名は固まってきていた。
「あいつの家燃えないかな…」といった物騒なものから「あの先輩の彼女、顔ひっどいでー。ギリやで!」
といったジャブ程度の悪口がとびかう。
「おい、谷部、お前はどないやねん」
俺は醒めた目でアイスコーヒーを啜りながら、みんなと一緒やがな、と答えた。
「おまえ、あのチビ、丘村か。あれに足踏まれててんな!初日。おもろい顔して
痛がってたがなー」
「おい、チビゆうたるなよ。先輩やねんから」
丘村先輩は俺らの間では失礼な話だが“チビ”で通っていた。
「あれは俺がごっつつむじ見下ろしてたから仕様がないねん。逆の立場でもそうしてるわ」
「そうかー。しかしスパイクでいきなし足踏むかー。普通。よっぽどコンプレックスやねんな、あれは」
そりゃーそうやろーー。と声が飛んだ。
しかし、他の先輩達はいつか殺したるという意見が出るのに対し、丘村先輩の話題は
笑って終わりの場合がほとんどだった。
理由は簡単であの人は俺らに鬼のシゴキをしなかったのである。
立場としては中立国的なニュアンスだった。しかし、中立国というのはちょっとした
キッカケで攻撃の対象になってしまう。世間とはあっけないものである。
その時は俺も誰も予想しないことだった。
419高校白書3:04/10/14 01:09:01 ID:ZCmL2KWb
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               続いてるけど次でおわるみたいモナ 
 | |                | |           ∧_∧  ナンダカアマズッパイネ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ハズインダヨ!!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
420風と木の名無しさん:04/10/14 02:17:52 ID:a/BECn6U
>415-419
高校白書禿萌えー!!(*´Д`)
続き楽しみに待ってます!
421風と木の名無しさん:04/10/14 12:14:01 ID:wOrQVuts
高校白書イイ(゚∀゚)!!
422風と木の名無しさん:04/10/14 14:22:40 ID:uYEmwWvA
利っさや九里野を出してくれたらネ申
423風と木の名無しさん:04/10/14 21:06:26 ID:+xxByxVw
 ____________
 | __________  |     バスター度
 | |                | |      D.S×カルで少し軽めにかいてみるモナー
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
424風と木の名無しさん:04/10/14 21:07:03 ID:+xxByxVw
今夜のD.Sは特に機嫌が良かった。
以前から欲しがっていた国の城を、今日攻め落とすことに成功したからだ。
その攻め落としたばかりの城の王室の豪奢なベッドに、D.Sは腰掛けていた。
カル=スは窓辺で月明かりに照らされて、薄いシーツだけを身体に羽織り立っていた。
「カル」
D.Sは嬉しそうにその名を呼んだ。
窓の外を見つめたままでカルは答える。
「何だ?」
用件は決まっている。
「そんなとこに突っ立ってないでこっちへ来い。オラ。」
D.Sは自分の両膝をぽんぽんと叩いてカルを導く。
カルはそれに素直に従った。
D.Sの膝の上にカルが横座りする、つまり抱っこの姿勢になった。お互いの顔が近い。
D.Sは嬉しそうにカルに頬擦りをした。ひんやりとした滑らかな肌が心地よい。
「おいカル、今日の俺様は超絶にかっこよかっただろう?超絶に美しかっただろう?」
カルはこくんと頷く。
するとそれに気を良くしたD.Sは、カルの身に羽織っていたシーツをするりと下に降ろし、カルの上半身をあらわにさせた。
そしてそのままベッドへなだれ込むように押し倒し、いつもより幾分優しい愛撫を始めた。

425風と木の名無しさん:04/10/14 21:07:41 ID:+xxByxVw
カルはいつもされるがままだった。
D.Sはカルの「弱い場所」はすべて把握していた。
胸の突起に下を這わせ、脇をくすぐるように撫ぜてやる。
「…ふぁ…」
いつも声を殺したがるカルも、ここを攻めてやると身をよじって小さな喘ぎ声を漏らす。
今日のD.Sはいつもより機嫌が良かった。
そんな小さな反応では許してやらず、もっと、もっと気持ちよくさせてやろうと舌なめずりをする。
耳たぶを甘噛みしながら、
「今日はお前を天国に連れてってやる♪」
と宣告する。
カルは答えない。
D.Sはそれを肯定と受け取って、にやりと笑みを浮かべる。

426風と木の名無しさん:04/10/14 21:08:00 ID:+xxByxVw
D.Sはカルの下半身を覆い隠していたシーツを剥ぎ取って投げ捨てた。
もう先ほどの愛撫で形を成している性器をあらわにされて、カルは羞恥に目をそらした。
が、D.Sはそれを許さず、唇を舐め、口を舌で割って侵略し、歯列の裏をなぞり、むさぼる様な執拗なキスで仕置きをする。
カルは呼吸も上手くさせてもらえない。口の端から飲み込めない唾液が伝う。
「んんっ…ぁ…ダー…も、苦し…」
しかしカルの懇願は受け入れられず、長い長いキスが続く。
そしてその間もD.Sの手は休むことなくカルの身体の「弱い場所」を容赦なく、そして優しく、時にじらすように攻め続ける。
「ダーク…ぁ…はぁ…もう許して…!」
カルの頬には涙が伝っていた。
性器にはまだ指一本触れられてもいないのに、カルはもう限界に近かった。
D.Sは口の端をあげて満足そうににやりと笑い、
「なんだ?気持ちいいだろ?良すぎておかしくなっちゃいそうか?」
と意地悪く耳元でつぶやく。
カルは白い肌を紅く染めながら頷く。
するとD.Sは急に体勢を変え、カルの両足を自分の両肩に乗せると、なんの断りもなくいきなりカルのそれをしゃぶり始めた。
「なっ…!!ダーク…!!…やっ…あっ!ああ!」
もう限界に近かったカルはあっという間にD.Sの口の中に白濁を叩きつける。
しかしD.Sは顔色一つ変えずに、その口をカルの下の口へと移動させ、そして先ほどカルが放出した白濁を、塗り込むように、中に送り込むように舌を動めかせる。
それはこれから二人が身体を重ねるために必要な行為だと、カルは静かに目を閉じて受け入れた。
いやらしい音が広い室内に響く。

427風と木の名無しさん:04/10/14 21:08:24 ID:+xxByxVw
D.Sのそれは、規格外に大きかった。
とても細腰のカルに受け入れられるとは思えないほど。
先ほどからカルの後ろを舌でほぐしながらも、D.Sのそれは大きく反り返り存在を誇示していた。
「もうそろそろ、いいか…?」
D.Sがつぶやく。
カルは答える代わりに、まぶたを閉じた。
「いいんだな」
グッ…
先端もなかなか入らない。
D.Sはまた体勢を変え、カルを四つん這いにした。
指で穴を少し広げると、今度は力強く腰を進めた。
ヌプッググッグッ
容赦のない、まるで凶器のようなD.Sのそれが、カルの中に入った。
「ぅぐ…」
カルは激しい圧迫感と痛みに耐えた。
いつもそうだった。
前戯はわけも分からなくなってしまうほど気持ちいいのに、身体を一つにするとなると、二人のそれぞれのサイズの違いから、苦痛しか感じられない。
しかしカルはそれで良かった。
D.Sが自分の身体で悦んでくれるのが嬉しかった。

428風と木の名無しさん:04/10/14 21:08:53 ID:+xxByxVw
どれほど時間が経ったのだろう。窓辺からは日の光が差している。
どうやらカルは行為の最中に意識を失ってしまったらしい。
カルの身体には行為の痕が残されていた。
D.Sが付けた紅いキスの痕、互いが吐き出した乾いた白濁の体液、そして身体の痛み。
しかしD.Sはこの部屋にはもう居なかった。
置いて行かれた…。
きっとまた、新しい獲物となる城やモンスターを探しに行ったに違いない。
自分を置いて…。
カルの頬からは、昨夜のものとは違う涙がとめどなく溢れた。
「ダーク…」
カルは一人、陥落したばかりの城で、D.Sの残したかすかな温もりにすがって再び眠りに落ちた…。
429風と木の名無しさん:04/10/14 21:11:26 ID:+xxByxVw
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               ハッピーエンドじゃなくて 
 | |                | |           ∧_∧  ごめんなさい。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ってか読みづらい上に駄目駄目でゴメン…orz
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
430風と木の名無しさん:04/10/14 22:04:26 ID:eaKILlBk
>429
うわあああ物凄い萌えました!GJ!
本編がちゃんと連載してたらもう一度単行本集めてしまいそうな勢いだ…
431風と木の名無しさん:04/10/14 22:59:24 ID:hqlcd9UY
>>425
 カルの腕を掴み、力をこめて握り締め、そして引き寄せる。
 その手はいつもより冷たかった。
 いつもそうだった。 DSの手は、肌は、唇さえも、冷ややかで冷たい。
 そこに浮かぶ笑みさえも。
「…ダークシュ…」
 言いかけたとき、ふいに抱き寄せられた。冷たい唇が、カルの口をふさぎ、押し開ける。
 DSは、受け入れるいとまさえ許さなかった。有無を言わせず押し入った舌は、つむぎかけたカルの言葉を絡めとり、もてあそぶ。
432風と木の名無しさん:04/10/14 23:00:07 ID:hqlcd9UY
続き

「…」
 カルは、声にならない声をあげた。その胸を、冷たい指が滑り、そして突起へと触れていた。
「…」
 カルの全てをから娶っていた、舌がゆっくりと離れて行く。見上げるDSは、いつもの、酷薄な笑みを浮かべていた。
「深く流れる潮よ、血潮よ。鼓動と共に高なれ…」
「風の息吹よ、気の流れよ、我が元に集いて、力となれ…」
 反射的に、カルも呪文を唱えていた。DSがよくやるたわむれ。
 その腕で、カルを押さえつけ、その指で、カルを弄びながら、試すように呪いの言葉を呟いてみせる。
 たわむれ…DSにとってはただのたわむれかもしれない。けれど、DSほどの力もつ魔道師ならば、呟くどんな言葉も呪いの力を持つ。
「闇の奥底にて力を蓄えよ…」
「邪なる響きを阻み、うつろの中へと捨て去れぇ…」
 冷たい指は胸の突起から、滑るように動いていた。
「赤き血潮…」
 指はみぞおちを走り、
「黒き吐息…」
 裏返って冷たい爪でカルの腹を、撫でて行く。腹筋の一つ一つの膨らみと、くぼみとを行き過ぎ、
「秘めたる力…」
「…うず、巻きてその響きを捨て…」
 そして、その先の茂みと、カル自身へと触れた。
「我が導きに応え…」
 起立するそれを嬲るように触れた後、
「我が求めに応えよ」
433風と木の名無しさん:04/10/14 23:01:10 ID:hqlcd9UY
続き

「!」
 ふいに、カルの足が、引き上げられた。DSの指が、痛いほど強く、カルのももを掴み、そして肩も届けとばかり、押し上げていた。
「…ダーシュ…」
 どんな辱めも、戒めも、恐れた事は無かった。
 カルの全ては、DSのためにあった。誰にも求められず、誰にも必要とされず、疎まれ、封じられ、そこでただ生きる事さえ許されず、母の手を持って滅ぼされようとした、この身だった。
 そして、ただ一人の肉親さえ、見分ける事も無く滅ぼしたこの力だった。
「カル・ス」
 DSは、冷たい笑みを浮かべた。
 笑いに歪む口元から現れた舌が、思うところありげに、唇をうるおした。
「お前は、俺のものだ…」

END

調子に乗って便乗してみますた。
434風と木の名無しさん:04/10/14 23:51:17 ID:SieVP0X7
他人のSSに便乗ってか割り込みってどうなんだろう・・・
435風と木の名無しさん:04/10/15 00:10:55 ID:nlEFIXit
ルール違反つかマナー違反?
436風と木の名無しさん:04/10/15 01:00:50 ID:D1yRlbCb
勝手に便乗して勝手に終わらせちゃ不味かろう。
もしかしたら続きを書く予定があったかもしれないし、確認取らな。
437風と木の名無しさん:04/10/15 01:16:06 ID:k4U82icr
ジャンル板住人ですが、
どっちも甲乙つけがたく萌えてしまいますた。
二倍に幸せ。姐さん方アリガトン。
438風と木の名無しさん:04/10/15 02:38:14 ID:xi4vFqgO
萌えりゃいいってもんじゃないって話をしてるんだと思ったが…
ここまで言われちゃったら>425タンもいいですよって言うしかないだろうしな。
439風と木の名無しさん:04/10/15 02:43:07 ID:Z7hZfdLR
無許可便乗イクナイ(・A・)!!
正直萎えた。>431-433
440風と木の名無しさん:04/10/15 10:54:09 ID:mBqlHBEf
勝手に便乗で萎え、
誤字の多さに萎え。
モララー、へんなビデオ持ってるね。
441風と木の名無しさん:04/10/15 11:13:27 ID:ftUm6IH3
>>440
そこまで言うと失礼すぎ…。
442風と木の名無しさん:04/10/15 11:26:08 ID:pmw53ZLa
いつまでも萎え発言続けて棚汚すなよ。
443423-429:04/10/15 11:53:05 ID:anApYpFm
感想とかあるかなーと来てみたらこの有り様…。
少しがっくりです…orz
444風と木の名無しさん:04/10/15 11:54:47 ID:BTPn5xqg
一読して、話の続きを書いたにしては話が繋がって無いなと
思ってたら、>423の話の途中から勝手に続きを書いてたのか…。
非常に失礼かつ卑怯だと思うよ。
どんなによいものを書いたとしても軽蔑に値する。
445風と木の名無しさん:04/10/15 14:02:25 ID:RE4RhmUE
>>423-429さん
非常にウママーなものを有り難うございます!!
便乗に負けずがんがってください

また原作でも絆の深さを見せてほしいな…
446風と木の名無しさん:04/10/15 15:53:05 ID:VUn3wZyr
 ____________
 | __________  |
 | |                | |        乳首系総合スレからのビデオだよ
 | | l> TKB       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ヤマもオチもイミもありません。
(*゚Д゚)<乳首萌え───!!!な姐さんに捧げます。
4471/5:04/10/15 15:54:35 ID:VUn3wZyr
 バスタブをくるりと囲んで閉じられていたシャワーカーテンの向こう、長い足を
窮屈そうに折って眠っていたのはヒビキだ。黒のシャツに色褪せたジーンズが、
温かい湯の代わり、ジェリービーンズの形をしたバスタブを満たしている。
 バスタブと揃いのオレンジ色をしたシャワーカーテン、開けたその手で閉じ直し、
ハルカはふむ、と、乾いた浴室の中を見回した。
 柔らかく折りたたまれたタオル、透明のボトルに満たされたシャンプーにリンス、
ボディソープの並ぶ棚。清潔に整えられたレストスペース、バスタブの反対に位置する
シャワーブースにも、使用された痕跡は見当たらない。
 微かに聞こえてくる幸せそうな寝息。
 ふむ、ともう一度呟いて、ハルカは右腕だけ、カーテンの下をくぐらせた。手に触れた
シャワーコック、手首の曲がる限り、思いきり勢い良くひねってやる。
 シャワーヘッドから迸り出る水音。重なる、ヒビキの悲鳴。
4482/5:04/10/15 15:55:51 ID:VUn3wZyr
「すまんな、先客がいたとは知らなかった」
 全身水浸しで立ち上がるヒビキの恨みがましい視線を受けて、ハルカは白々しく笑って見せた。
「よく言うよ……」
「バスタブをベッド代わりに使う奴がいるとは思わなかったものでな」
「ああ、ここねえ、狭いけどあったかくて気持ちいいんだよ。昼間はずっと陽が射してるし」
 今度ハルカも昼寝しに来るといいよ。勿論、日焼け止めを充分に塗ってから。
 そう続けてヒビキは、生皮を剥ぎ取るような音をさせて、水を吸ったシャツの裾を引き上げる。
ぐしゃりと床に放り捨てて、露になる上半身。色気なく骨の形を浮かせる、痩せた体。
「なに見てんのさ。お金取るよ?」
「金を取れるほどの体か?」
「ま、芸能人ですから、一応」
 手招かれたのに逆らわず、ハルカは着衣のまま、片膝でバスタブの縁に乗り上げる。ヒビキの首に
腕を回し、見上げる角度で口付けた。
 するりと伸びてくる舌に少し体を引き、その先端を唇で柔らかく食んだ。同じように舌を覗かせて
誘い、舐め合うように絡ませる。
 唇を伝って滴る、生温い湯の味。ヒビキの匂いが薄まるようで、ハルカは軽く眉を顰めた。
 より深い口付けを求めて、唇の間に強引に舌を割り込ませる。
「んぅ……」
 ヒビキが喉の奥で息苦しげに呻く。構わずに引き寄せて、流れ込む唾液を舌に乗せた。薄く
突き出た喉仏を上下させ、飲み下す。
4493/5:04/10/15 15:56:48 ID:VUn3wZyr
 口腔の温い酸素まで奪い尽くしてハルカは、ようやくヒビキを解放してやった。
 痺れるような愉悦の残る唇に、ハルカはそっと指を這わせる。
「……ハルカ」
 大袈裟に上下するヒビキの肩。荒い息遣いの合間に呼ばれてハルカは、とろんと伏せていた
半眼を開く。
「もう一回して」
 掠れた言葉が耳に届いたと同時、獲物を絡め取る蜘蛛の糸のようにヒビキの腕が伸びて、
次の瞬間にはもう、吐き出しかけた息も言葉も奪われている。
 強く抱き寄せられて、ハルカの体はバスタブの縁を滑るように乗り越えた。足裏に、濡れた感触。
 ヒビキの体から滴る水分を吸って、白いシャツが肌に張り付いていく。
 して、と。
 強請る言葉を吐いたヒビキの唇が、ハルカの体を犯している。甘噛みした下唇から頬をなぞり、
薄赤く染まった耳に食らい付く。
 食まれる柔らかい骨。舌の先で舐られる耳朶。吹き込まれる熱い息にじれったく弄ばれる感触に、
ハルカの体がもどかしげに揺れる。
「ねえ、ハルカ……?」
 唇と同じく体を這い回る手が許諾を求め、緩く頭を擡げるハルカの下肢を撫でる。
 否とは言わない。誘いをかけたのは、自分の方だ。
4504/5:04/10/15 15:57:32 ID:VUn3wZyr
「あぁ……あ、んんっ……」
 喉の奥に押し返しそこねた嬌声。降り注ぐシャワーの水音を縫って、甘く反響する。
 肌蹴られたシャツを中途半端にまとったまま、ハルカは晒された胸元で戯れる頭にきつく縋り付く。
 ちゅ、と吸い付く音を残し、ヒビキが視線だけを上向かせる。
「気持ちいい?」
 子供のように見上げてくる声が、熱い湯と体内から溢れる熱、そのどちらにも煽られて上気する
ハルカの肌を震わせた。
 肯定と、行為の先を強請る仕草で、ハルカはこくこくと幾度も頷いてみせる。それに合わせて揺れる
髪の先から、細かな飛沫が飛び散った。
 触れて貰えないまま、ふつりとやわらかく立ち上がった淡紅色の乳首。ヒビキが執拗に舌で
なぞっているのは、白い肌に色を滲ませる輪郭だ。じりじりと、もどかしい速度で円を描いている。
 どうしようもなく煽り立てられて、がくがくと震える膝。昂りに導こうと引き寄せるハルカの腕を
軽くいなして、ヒビキは喘ぐ喉元に唇を押し当てた。吸い上げて散らす鬱血の痕。
「あ……ヒビキ……」
 呼ばう声の端にも、隠しようもない愉悦の音が混ざっている。
 とろかされて潤んだ目の端、意思とは関係なくヒビキの頭から失墜し、浅ましく蠢き出す手が
映った。刺激を待ち望む乳首に触れる寸前、指を絡め取られる形でヒビキに捕らえられ、
バスタブの底に縫い止められる。
4515/5:04/10/15 15:59:42 ID:VUn3wZyr
「駄ァ目」
 唇からぺろりと舌を覗かせて、ヒビキは笑う。目の前をちらつく赤い色に焦らされている。
噛み付くように唇を重ねるハルカの下腹部を、指の束縛を解いたヒビキの手が這い上がっていく。
「あ……っう、ぁ……!」
 指先に先端を掠められ、目の眩むような刺激に跳ね上る細い顎。ますます赤い色を濃くする
そこを、指の腹にぬるりと押し潰される。摘まれて、擦られる。爪の先で弄られる。
 続けざまに押し寄せる悦楽の波に飲まれ、跳ねるように反り返ったハルカ自身の先端。先走る
透明な蜜に混ざる白濁の色が、見る間に体内から溢れ出してくる。
「悦かったあ?」
 呑気な声をさせるヒビキの肩に額を押し当て、断続的に続く絶頂感にハルカは、声もなく身震いを
繰り返す。その下肢を伝う精が、オレンジのバスタブの底を濁った白色に塗り変えていた。
452風と木の名無しさん:04/10/15 16:01:23 ID:VUn3wZyr

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 | | □ TKB?.       | |
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読み返してみたら乳首描写少なかったorz
スレの姐さん達の萌え補給になれば幸いです。お邪魔しました。
453風と木の名無しさん:04/10/15 16:21:31 ID:MCRBu1jh
>447-451
乳首スレで誘導した者ですが・・・
ハルカたん、乳首責めだけでイッタ━━━━(*´Д`*)━━━━!!!!!
姐さんGJです!こりゃ〜堪りませんなハァハァ
454風と木の名無しさん:04/10/15 20:41:01 ID:uEPxcIjd
447-451
ネ申!!!
455風と木の名無しさん:04/10/15 21:33:02 ID:J8jNcs+Z
>447-451
うおおおお(*゚Д゚)<乳首萌え───!!!
惚れたよ、GJ!
ティクビはいいよのう
456風と木の名無しさん:04/10/15 23:09:00 ID:MaigmfAQ
うおおおおう!!!

    _  ∩
  (*゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
  (  ⊂彡
457456:04/10/15 23:09:35 ID:MaigmfAQ
ごめん。誤爆_| ̄|○
458風と木の名無しさん:04/10/15 23:11:05 ID:Hzvnc5a/
待て、あながち誤爆ってないぞw
459風と木の名無しさん:04/10/16 00:24:55 ID:RbYe2uLZ
ワロタ

>>456のAAいい顔してるな!
今まさにそんな気分。447姐さんアリガトウ!
460風と木の名無しさん:04/10/16 10:51:08 ID:eVAC3GnX
>>456
九龍か?
461風と木の名無しさん:04/10/16 16:26:45 ID:BxrmHKqy
>>456はふたき萌えだったのか…!
まったく誤爆に思えなかった
462風と木の名無しさん:04/10/16 21:45:55 ID:No/JtmII
カプはメル欄参照です。
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 | | |> PLAY       | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ナマモノデマイナースポーシダシネ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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463風と木の名無しさん:04/10/16 21:46:15 ID:No/JtmII
「……まだ怒ってるんですか」
いい加減この状況に焦れてきていた俺は、
ほっそりとした後ろ姿に向かって声をかけた。
「そろそろ機嫌直してくれてもいいと思うんですけど」
その甘やかで優しげな顔立ちに似合わず、彼は相当頑固だ。
自分が一度決めたことは絶対に曲げないし、怒らせれば怖い。
このまま放っておけば、たぶん一週間は口をきいてもらえないだろう。
それだけは絶対に避けたい。

「ねぇ」
そっと彼の名前を呼ぶ。
「こっち向いてくれませんか」
その呼びかけはきっぱりと無視された。返ってきたのは
怒気を含んだ沈黙だけだ。俺はこっそりとため息を洩らした。
確かに俺も悪かったとは認める。認めるけど。
なにもここまで怒るほどのことじゃないだろ。
だいたい今日はまだ一度も顔さえ見ていないんだぞ。
せっかくふたりっきりで過ごせる貴重な時間だっていうのに。
464風と木の名無しさん:04/10/16 21:46:59 ID:No/JtmII
……落ちつけ。ここでキレて怒鳴りつけたら、かえって逆効果だ。
俺は大きく息を吐き出して、彼が腰をおろしているソファにゆっくりと歩み寄った。
かたくなに拒絶している背中が、毛を逆立てて威嚇してる猫みたいに見えて。
つい笑みが洩れてしまう。ときどき見せるこーいう大人げないとこが可愛いんだ。
だって、常に柔らかな微笑を浮かべ、誰に対しても抑制の利いた礼儀正しさを
崩さない彼が、こうやって剥き出しの感情を見せることは、滅多にないから。
それはごく限られた人間だけが知ってる、ありのままの彼だ。
そんなの見せられたら、愛しくて愛しくてたまらなくなってもしょうがないだろ?

胸の奥から押し寄せてくる疼くような甘い痛みに
に突き動かされるまま、俺はもう一度その名前を呼んだ。
「もう許してくれてもいいでしょう」
細い肩がぴくり、と強張った。
「このままじゃレースに集中なんてできない」
「……そんなの」
張りつめていた気まずい沈黙がようやく破られた。
「そんなの知るかよ」
苛立ちを隠そうともしない声、冷ややかな口調にぞくぞくする。
……こういう彼も悪くない。
「俺のせいにすんな」
「あなたのせいだ」
465風と木の名無しさん:04/10/16 21:47:51 ID:No/JtmII
  ____________
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 | | □ STOP.       | |               とりあえずここまで。
 | |                | |           ∧_∧ 専用スレ131姐サンオ待チシテマス。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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466風と木の名無しさん:04/10/17 00:04:01 ID:mJmZQQZ5
>>462-465
姐さんGJ・・・マイナーなばっかりに人様の書いたものを初めて読みました。
感激の嵐!専用スレ131姐サンもがんがれ!(*´Д`)
467風と木の名無しさん:04/10/17 00:58:08 ID:dBko2QmE
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 | |                | |
 | | |> PLAY       | |           ∧_∧ マイナーで恐縮ですが…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) クックル先生スレのちちょん×忍者です
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
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4681/5:04/10/17 00:58:55 ID:dBko2QmE
「あの横暴教師ー!!激しく腹が立つ!!」
「…まぁ落ちつきなよ…」
 授業も終わって放課後のク組教室。
 クラスのアイドル兼ク組実力No2の花瓶タンとヒエラルキーでは最下層、ぶっちゃけ皆(主にクックル)のオモチャ役激しく忍者は仲良く談笑中であった。
 正確には忍者の愚痴を花瓶が根気よく聞いているだけなのだが。
「あの筋肉馬鹿鳥!!今日と言う今日は我慢がならん」!!」
 激しく教育委員会に訴えてやる!と息巻く忍者の頭には大きなたんこぶがある。いつも通りクックルに殴られたらしいが、今日はちょっと事情が違った模様。
「確かに今日はちょっと驚いたわね」
 普段は大抵忍者が余計な事をする(言う)か他の人のとばっちりでマウントされている為仕方が無いと割り切っている。しかし今日はまったく何もしていない状況でいきなり殴られたらしい。いくら打たれ強い忍者と言えども納得がいかないようだった。
「は・げ・し・く気に入らん!拙者が一体何をした!」
 あんまりアタシは見てないからわかんないんだけど、と花瓶が聞いた。
「何をしてたの?」
「うん?あの時は…」
4692/5:04/10/17 00:59:41 ID:dBko2QmE
 給食も終わって昼休み。
 早く給食を食べ終えた花瓶達はもう校庭に遊びに行っていた。しかし給食に嫌いな胡瓜が出ていた忍者は未だ教室に残っていた。
「きゅ、キューリは激しくナシだっ…」
 しかし残したり捨てようものなら山は確実、エリア51逝きも確実なので半泣きになりながらも忍者は必死で胡瓜を食べていた。
「…何だお前、まだ食ってんの?」
 顔を上げるとちちょんまんちがいた。
「早いな。もう帰ってきたのか」
 まだ時間はあるのに、と聞くとちちょんまんち苦笑しながら外を見ろと言った。忍者が窓から身を乗り出すと。
「…花瓶タン…」
「ボールを他の奴等に取られてばかりだったんでよ」
 切れちゃってさぁと言うちちょんまんちの言葉通り、10tハンマーを振りまわしボールを追いかける花瓶と、逃げ惑うクラスメイトがいた。何人かハンマーの餌食になったらしく、血飛沫が飛び散った校庭は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
「…で、逃げてきた訳か」
 じとーと嫌な目線を送る忍者。ちちょんまんちは俺だけじゃねぇさ、と笑って煙草を咥えた。
「ナニョリーナもさっさと逃げてたぜ。他は大抵巻き込まれてたけどよ。…ま、自分の安全が一番てことで」
 センセイが止めに逝ってたしと言うと、ライターで煙草に火をつけると美味そうに息を吸いこみ、ゆっくりと煙を吐き出した。忍者は暫くその姿をじっと見つめていたが、興味津々といった顔で聞いた。
「…おい」
「あん?」
「前々から激しく気になっていたのだが…美味いか、それ?」
4703/5:04/10/17 01:00:12 ID:dBko2QmE
「なんだ、吸った事ねぇのか?」
 意外〜と笑うとちちょんまんちは頷いた。
「ただの煙だけどよ、始めちまうと止められないんだよな〜コレが」
 一回吸ってみるか?と煙草の箱を差し出すが、忍者は首を横に振った。
「激しく遠慮する」
「なぁんで」
「…ばれたら怖い…」
 ちょっと余計な一言を言うだけで山をする暴力教師がいるこの学校。校則違反なんか見つかろうものなら…想像するだけで恐ろしい。ばれたらエリア51から生きて帰れん、と怯える忍者をちちょんまんちは唖然としたように見ていたが。
「…っあーっはっはっはっは!!日々の教育の賜物じゃねーの!!」
 堪え切れずに笑い出した。肩を震わせ大笑いするちちょんまんちに顔を紅くして忍者は反論した。
「笑うな!あの凶暴鳥に勝てると思うのか!?」
「はは、言えてら」
 まぁ俺は校則違反見逃してもらってるけど、と煙草を吸うちちょんまんち。その姿に更に腹を立てて、忍者はそっぽを向いて胡瓜を食べ始めた。
「あー…不味い…」
 ブツブツと文句を言う忍者を少しの間静かに眺めていたが、不意に面白いことを思いついたと言わんばかりに声を潜めてちちょんまんちは囁いた。
「なぁ、つまり煙草から直接吸わなかったらいいんだろ?」
「…?」
「だったら方法はあるぜ」
 すぅと一息、ちちょんまんちは煙を吸いこんだ。
4714/5:04/10/17 01:02:14 ID:dBko2QmE
 ひょい、と忍者の顎に手をかけ、上を向かせると。
「…っ!?」
 自分の唇を忍者のそれと重ねた。目を見開く忍者など気にもかけず、唇を割って舌を滑りこませ、ゆるゆると口腔を舐った。
 忍者は少々混乱していたようだったが、目を閉じると逆に自分の舌を絡ませるように蠢かした。
 お互いを貪り合うような濃厚な接吻。ちちょんまんちはちゅ、と最後に音を立てて唇を離した。
 にやにやと笑いながらちちょんまんちどうだ、と問うた。
「…味は?」
「激しく煙たい」
「うっわ色気も何もねぇし!」
 らしいねぇと苦笑するちちょんまんちを尻目に忍者はぱくぱくと胡瓜を食べ始めた。
「しかし意外にいいものだ。他の味がよくわからなくなる」
「俺はそーゆーのを求めてたんじゃねぇんだけどなぁ……」
 ちぇーと不満そうなちちょんまんちに手裏剣を投げつつ、最後の胡瓜をぽん、と口の中に投げ込んだ。
「給食終了、と」
 珍しく胡瓜全部食べれたな、と食器を片付けながら忍者は思った。これで給食残しによるペナルティ山はナシ。となるとやはり御礼の一つでもした方がいいのだろう。
「おい」
「…なんだよ」
 教室の隅でいじけているちちょんまんちが顔を上げると、頬に柔かい感触があたった。
「…っ…!?」
 驚いて固まったちちょんまんちの鼻先に忍者の顔があった。
「礼だ」
 有り難く受け取れ、と無表情に言う忍者を暫くちちょんまんちは呆然と見詰めていたが。
「それで礼っていうのか?」
 ゆるりと手を忍者の肩に回した。
4725/5:04/10/17 01:02:47 ID:dBko2QmE
「……で、その後ちちょんが『礼ならもっと心を込めて』云々言い出し、何故か先生が凄い勢いで教室に飛びこんできて、何故か拙者が山された。納得がいかん」
「…それ本気で言ってるの…?」
 無論、と呆れ顔の花瓶に自信たっぷりに忍者は言った。
「拙者は何もしておらん」
 PTAに言うべきか校長に直訴かそれともマスコミか、と考え込む忍者に花瓶は頭を抱えた。
(ダメだわ…全っ然気付いてない…)
 ここまで天然だといっつも身体を張って愛情表現(一日一山)しているクックル先生が可哀想ね、としみじみ思う花瓶であった。

「……でも僕はクックル先生の愛情表現が困難過ぎると思うんだけど」
「ん?ナニョ、何か言ったかぁ〜」
「……明日の降水確率は…ザ、ザザッ、ザーガーピーピーローピーロー」
「うっわラジオ受信し始めたし!どうせなら先生のリサイタル聞け」
「……正直両思いは無理ぽ……ガガー」
473風と木の名無しさん:04/10/17 01:05:36 ID:dBko2QmE
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 | |                | |               キャラが違ってゴメンナサイ…orz
 | | □ STOP.       | |                挙句生温すぎてスイマセン…orz
 | |                | |           ∧_∧ お目汚し失礼しました!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   
474風と木の名無しさん:04/10/17 01:14:16 ID:/tgkkk2X
 ____________
 | __________  |     谷部っち独白風100ー1パロ
 | |                | |      IN 高校白書続きみたいだモナ
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 利っさや九里野登場せず、スマソ…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
475高校白書1:04/10/17 01:15:10 ID:/tgkkk2X
丘村先輩と初めてした会話らしい会話は、恥ずかしいがテレビ番組についてである。
その頃俺はいつもニコニコ笑っている先輩に一方的に好意を持っており、
なんどかお近づきになろうとするのだが、上手く避けられてしまうという
中学生の片思いのような状況に陥っていた。情けない話である。
チャンスはいきなりやってきた。丘村先輩を囲む愉快な仲間たち(先輩方)がその場を離れ
丘村さんひとりがグラウンドに残るという場面にでくわしたのだ。
今や!いったれーーー!
そう思った俺はわざとらしくボールを丘村先輩のほうに蹴り、さもそれを追い掛けてきましたよ僕は、
といったポーズで駆け寄った。
そして背中に向かって発した言葉は…恥ずかしくて言えない。
とにかくテンパリすぎて意味不明の言葉を発したのだと思う。
先輩はこっちのほうをみて、こいつアホちゃうかーといった顔をしたが
「そうかー」といって笑ってくれたのだった。
丘村先輩の笑顔は間近でみると、男のくせに可愛いかった。
ちっちゃい顔のなかに綺麗にパーツが収まっていて、しかも目が異様にキラキラしていた。
なんや、小動物みたいやのう、ほんまに。だからみんな先輩に寄っていくねんな。
ひとりでそう納得して俺は何度も頷いたのだった。

初日のわだかまりが溶けた俺達はその日以来、ポツポツと喋るようになっていた。
喋るといっても先輩と後輩なのでそんなにチャンスはない。
「今日寒いっすね」「そうやなー」とか「髪切りました?」「おー、わかった?」
ぐらいなもんである。
他の先輩方がどうも俺達が仲よさげに話しているのが気に食わないらしく、
あっという間に俺と丘村先輩の間にはいって、先輩だけ持って行ってしまうという
ことが多々続いた。まさにロミオとジュリエットである。って違うか。
476高校白書2:04/10/17 01:16:43 ID:/tgkkk2X
とにかく丘村先輩は見てて飽きない。いきなり「ウオーーー!」と声をあげて
ボールに向かって走っていって、泥の中にコケてしまったりなど、
まさに身体をはった笑いを率先したりしていた。そして回りを見回して
「笑うなやー!」といって自分が一番笑っていたりするのだ。
一度こんなことがあった。
丘村先輩が部室でロッカーの上のハタキを取ろうとしている背中がみえた。
後ろから近付くと、どうやら背伸びをしても届かない高さのようだった。
つま先立ちでごっついツラそうである。
俺だったら楽勝の高さであるが、ここで俺は躊躇した。
ここで俺が取ってあげるのは簡単や。せやけど、それは先輩にとって嫌味にとられると違うか?
初日につむじを見つめただけで右足スパイク踏みの刑である。
ここで俺がひょいと上から「ハイ、どうぞ」と言った場合、どうなるのか。
せっかくここまで育んできた先輩との関係はおじゃんである。
とうとう丘村先輩はその場でピョンと跳ねだした。しかし届かない。
その背中がいじらしく思えてきて、とうとう俺も後ろから手をのばしてハタキを掴んでしまった。
「どうぞ」
緊張した面持ちで先輩にハタキを渡した。
丘村先輩はじっと何もいわず、俺を見上げていた。俺は緊張でデコに汗をかいた。
なんや、なんか言え!
沈黙に耐えられなくなったころ、先輩はニカっと俺に笑いかけると
「ありがとう」といってくれた。その目にはコンプレックスのカケラも見えなかった。
俺は静かに感動した。ハタキを持ったまま。
先輩は身体は小さくてもでかい器の持ち主であった。

こうなってくると毎日ルンルンである。俺はサッカーの筋もよく毎日楽しく部活動に励んでいた。そして他の活動も励んでいた。
高校にはいってからの俺はアホなくらいモテまくっていた。
あの娘いいなーと思った次の日には隣に並んで歩いているといった感じである。
サッカーの飲み込みも早い、女にもてる。そんな後輩をやはり優しい先輩方は
面白く思う筈がなく、先輩からの風当たりは強かった。しかし、同学年の仲間との関係は良かったし、丘村先輩とも仲良く話す関係だったのでそんなつまらん男の嫉妬はあまり気にしていなかった。
人は無視されるとどうなるか。その答えはまもなく知ることになった。
477高校白書3:04/10/17 01:17:25 ID:/tgkkk2X
その日も元気よく部室のロッカーを開けた俺は「なんや?」と首を傾げた。
「俺のスパイクが無いやんけ」
昨日までここにあったはずのモノがない。何故か?
「勝手に歩いてでていったんとちゃうかー」そんな同期の声に
「アホぬかせ、アホー」と返しながらもなんとなく予感はした。
幻滅させんなやぁ…。
俺はふかーく溜息をついた。俺のことを大好きな先輩達がお隠しになったに違いない。
ドラマの見過ぎやっちゅうねん。
「どうすんの?谷部おまえ、スパイクなしで部活でんの?」
「おう出たるわい。ここで負けたら笑いものじゃい」
室内履きで走り込み。室内履きでシュート練習。室内履きでフォーメーション。
完璧にこなしてやった。足はドロドロでつま先はジンジンしていた。
一部の先輩達が俺の方をみてニヤニヤしていた。どんどんテンションが下がる。
なんだか馬鹿らしくなってきた。もう辞めたろうか。
立ち止まった俺の背中にいきなし頭突きがはいってきた。
「ボーっとすんなや!」
頭突きと思ったのはボールだった。丘村先輩が怒った顔で2打目を用意していた。
「ダッシュせいや!」
しかし足はもうドロドロのベットベトである。
「先輩、俺の足元見てやってくださいよ」
「何がや」
「スパイクちゃいますやん」
「知らーーーん!そんなんは俺には関係ない」
そういってボールが飛んできた。笑うしかない。
ガハハ!と大きな声で笑ってやった。先輩も笑った。頷くように何度も笑った。
遠くのほうで痛いくらいの視線を感じた。構うものか。
しかし次の日俺のスパイクは意外なところから見つかったのである。
478風と木の名無しさん:04/10/17 01:19:08 ID:/tgkkk2X
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |               終わってないんかい!! 
 | |                | |           ∧_∧  すいません、まだ続きます。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ナンダカジコマンssデスマソ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
479風と木の名無しさん:04/10/17 01:22:40 ID:TTYS1jSI
ど、どこから見つかったというんだ(;´Д`)リアルタイムで気になるー
流れるような文章が美しい高校白書続き期待。
480風と木の名無しさん:04/10/17 02:29:52 ID:mAvN2GNu
同じく気になるわー
谷友の中には丘の妹とお付き合いしてた親友(名前忘れた)
とかも居るのかしらーとか想像しながら楽しませてもらってますー
481風と木の名無しさん:04/10/17 05:26:12 ID:83y7Kx3G

                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | 二厘スレで予告してたブツだモナ。
                    | (天使×ヘタレボンボン(超個人的呼称))
 ____________   \          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |     ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 最近殺伐としてるんだモナ 
 | |                | |              \
 | | |> PLAY.       | |                ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヒヤヒヤ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
482月と太陽1:04/10/17 05:27:26 ID:83y7Kx3G
 深夜に近いこの時刻に、この部屋を彼が訪ねてくることは予測できていた。
 多少せっかちなノックの音は彼独特のもので、慣れてくればわざわざ確認する必要もない。
 用件は分かっている。互いにとって決して楽しい話題ではないが、いずれ話をしなければ
ならないことなのだ。気は重いが、仕方がない。
 一呼吸おいてから、内開きのドアを開けると、真正面に予想通りの影。通路の明かりを
背にしているため、こちらに向いている側は暗くなっているが、僅かに見下ろすその表情には
あからさまに不機嫌な様子が見て取れた。
 無言で一歩下がり、室内の通路を空けると、彼は何の躊躇いもなく歩を進める。
そして当然のように奥の椅子に腰掛け、目線だけで俺を向かいの椅子に促す。まるで自分が
この部屋の主であるかのように。こちらを見つめる彼の瞳は暗い。いつもの太陽を
内包したかのような輝く瞳の彼とは別人のようだ。
 促されるまま、小さなテーブルを挟んだ向かいの椅子に座る。他に座るところもないので
当然のことだが。
 俺が座るのを確認すると、彼はすぐに話を切りだした。
「あんな姑息な手を使ってまでオレに勝って、一体何の意味があるワケ?」
 必死になって感情を押し殺した声。
 どうやら先日の厳しすぎる裁定の件で、俺は首謀者と考えられているらしい。
 これまで半ば公然と行われていた、レギュレーションに違反する行為、それに対して
突然下されたペナルティ。その原因が俺にある、とほぼ世界中で考えられていることは
よく分かっている。ランキング1位の彼と2位の俺のポイント差、件の行為を目撃していた
メンバーの中に俺がいたこと、過去の幾つもの俺絡みの”不可解”な出来事、そして俺の国籍。
 俺を”犯人”とする条件は充分に整っている。弁解するつもりもない。どの時点まで関わったかは
ともかく、俺はこうなることを心のどこかで望んでいたからだ。だから、ここは悪役に徹することに
した。嘘をつかない程度に。
483月と太陽2:04/10/17 05:28:13 ID:83y7Kx3G
「他の全てを捨ててでも、欲しいものがあるんだ」
 まずは結論から。続いて理由を。その方が、彼は理解しやすいはずだ。
「今年が、それを手に入れる事が出来る最初で最後のチャンスだ。だから、どんな方法を使ってでも、
お前より多くのポイントを獲得しなければならない」
 出来る限り冷静に。感情的になってはならない。弱さを見せてはならない。もし少しでも見せたら、
彼はそこに付け入ってくるから。意識しないままの残酷な優しさで。その優しさに触れたら、
甘えずにはいられなくなってしまうから。
 彼の瞳に、悲しいような甘えるような色が混じった。
「そのためには、オレとの、友情、も切り捨てられるって?」
 単語を区切ったのは、それ以外の意味もあると言うことだろう。彼の、俺に対する感情。俺の、
彼に対する感情。共に「友情」を超えていることを俺達は互いに知っている。時としてそれが重い
足枷となることも。
「ああ。そうでもしなければ、お前には到底勝てるわけがない」
 たとえ親友であったとしても、ライバル…敵である以上、倒すべき相手であることに違いはない。
だから時には非情になることも必要。それが俺達の携わる仕事の鉄則。
「でも、今年がダメでも、来年があるだろう?」
 縋るような口ぶり。チャンスはいくらでもある。そう言いたげに。
 彼の言うことは彼に関しては正しい。だがそれは俺には当てはまらない。
「タイトルを獲るチャンスは、そう何度もある訳じゃない。最高のタイミング、最高の体制、最高の
マシン。そのどれが欠けても、世界一の称号を得ることは出来ない」
 俺には、この勝利の条件は必要不可欠なものだ。俺だけではない。大多数がそうであろう。
 だが、先刻から、彼は難しい表情をしたままだ。俺の言うことをあまり理解できていないらしい。
確かに、不利な条件をものともせずに勝利を重ねる彼には理解不能な話だろう。彼は特別なのだ。
 だから一言付け加える。小さな溜息と共に。
「”天才”のお前には解らないだろうがな」
484月と太陽3:04/10/17 05:29:04 ID:83y7Kx3G
 ”天才”の一言で、彼の瞳に炎が灯ったのが見えた。テーブルに拳を打ち付け、椅子を倒して
立ち上がる。
「どうしてそうやってオレを別物扱いするのさ?みんなそうだ。オレを宇宙人みたいに見てる!
オレが勝っても”当たり前”みたいにしか言わないし、本気でオレに勝とうと思ってるヤツもいない!
どうしてだよ!オレだってあんた達と同じなんだ!それなのにどうして!」
 イタリア語と癖のある英語をごちゃ混ぜにしながら、俺の胸倉を掴み、引き立てる。かつて
”ロー/マの皇/帝”と呼ばれた男と公然と殴り合いの喧嘩をしたこともある彼だ。彼を怒らせたら
拳の一つや二つ、覚悟せねばなるまい。
 が、俺に与えられたのは、渾身の拳ではなく、息の詰まるような口づけだった。すぐに離れようと
身を引こうとしたが、一瞬早く腰に腕を回され、動きを封じられる。身長の割に細身の為、華奢な
印象を持たれる事の多い彼だが、少年のような伸びやかな腕は、その見た目に反して強靱だ。
深く唇を合わせられ、空気を求めて開いた口内を彼の舌が勝手に動き回る。乱暴なその動きは、
いつもなら甘く温かい筈の口づけを吐き気がする程に苦く冷たくする。その苦さと冷たさが、脳を
痺れさせ、身体から力と自由を奪い取る。
 弛緩した身体が、彼にしなだれかかる。と、彼はその動きを利用して傍らのベッドに倒れ込んだ。
「全部捨てるんなら、あんたのカラダ、オレにくれよ」
 天井を見上げる視界を遮る柔らかな巻き毛。重なった身体の腰のあたりの硬い感触に驚愕する。
 瞳に灯った炎は、怒りではなく、欲情だったのだ。熱く湿った感触が、唇から頬、顎、喉へと
下りてゆく。今はまだその気分じゃない、と拒絶しようにも、何故か身体は意志の通りに動かない。
力無くもがくのが精一杯。
 その間にも彼の手と舌は、俺の服を器用に剥ぎ取りながら的確に全身を愛撫していく。俺に
とって何処がどのように”弱い”のか、既に彼は学習しているから、その動きにも強さにも無駄は
ない。まるで彼のライディングそのものだ。
 だが、俺の身体は、いつもならばあっという間にその手管に蕩け溺れてゆくはずが、寒さ─恐怖に
近いのかも知れない─の為か、何の反応も示さない。脳にも快楽の波が寄せてくることはない。
今はただ、この時間が早く過ぎ去ってくれることを望むばかり。
485月と太陽4:04/10/17 05:29:44 ID:83y7Kx3G
 小さく舌打ちの音が聞こえた。追って、胸元から手が離れてゆく。俺を昂ぶらせることは諦めた
ようだ。ほっとしたのも束の間、脚を肩に担ぎ上げられる。屈辱的な体勢。そして、まだ慣らされて
いないそこにあてがわれる熱い塊。何が行われようとしているのか、痺れた頭でも瞬時に
察知できた。
「やめ…っ!」
 ろ、まで言い切るより早く、激痛が駆け抜けた。体内に無理にこじ入ってくる、他人の器官の
おぞましい感触。
 異物感は激しい痛みを伴い身体の内側を侵食していく。徐々に動きがスムーズになっていくのは、
切れた粘膜から流れ出した血液の所為だろう。錆に似た匂いが微かに感じられる。
 彼が動くたびに襲う、内臓を引きずり出されるような痛み。もう抵抗どころではなかった。喉から
溢れそうになる声を押し殺すのがやっと。
 ”痛みのあまり”気を失うことが出来ればどれほど楽であろうか。しかし、痛みのため遠のく意識は
”痛みのあまり”引き戻され、更なる痛みを体感させられる。そこには快感などなかった。虚無感に
支配され、無意識に涙が流れる。それに彼が気付いたかどうか。
 やがて、こちらの苦痛などお構いなしに彼は俺の中に欲望を放った。
 余韻に浸ることもなく体温が遠ざかる。俺は、今も溢れているかも知れない涙を見られたくなくて、
身体を捩って毛布に顔を埋める。行為の後の、背を抱く腕も、頬や瞼を啄む唇も、今はない。
身体よりも、心が寒くなった。
 背後から聞こえる衣擦れの音さえも寒さを増幅する。彼との距離がどんどん遠くなっていくのを
感じる。どうしようもなく、悲しくなった。
 その俺の気持ちを知ってか知らずか、 
「あんたがどんなことをしたって、オレは負けないからな」
 彼は吐き捨てるように言い放ち、荒々しい足音で去って行く。
 ドアの閉まる音だけが、無音の部屋に響いた。
 きっと、彼との暖かい時間はもう戻ってこない。大切な友人を、俺は裏切ったのだから。だが、
これでいい。今はまだ、彼は俺の真意を知るべきではない。彼が真実を知るのは、全てが終わった
後でいいのだ。
 乱れた毛布を身体に巻き付け、瞳を閉じる。
 夜が明ければ、またいつも通りに戦いが始まる。そう、いつも通りに。
486風と木の名無しさん:04/10/17 05:31:36 ID:83y7Kx3G
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ショウジキ、スマンカッタ…
 | |                | |     ピッ   ( TAT; )    (色んな意味で)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実質初801SSでス。稚拙でスマソ。
更に文字詰めすぎで読みにくいことに気付いて_| ̄|○マジデスンマセン…
487風と木の名無しさん:04/10/17 07:51:45 ID:PD8xVEhI
>486
姐さんGJ。
該当スレ住人ならばもっと隅々まで萌えられるのに…
とハンカチを噛み千切る勢いで萌えさせていただきました。
488風と木の名無しさん:04/10/18 13:31:36 ID:nKyrv2F2
>486
該当スレ住人でつ。萌え〜(*´Д`*)
今回のポヂウムシーンをもう一度見直してくるわ。

でも前日にこんなんヤラれちゃったらマッスイーンに乗るのも辛そうね。
エテ公かわいそうに…w
489風と木の名無しさん:04/10/18 22:06:43 ID:pNWHFyO9
>468->473
GJ!(*゚Д゚)
クックル関係はマイナーなので鼻水出るほど嬉すぃです。
萌えますた!
490風と木の名無しさん:04/10/19 10:35:31 ID:D1xFZuif
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  今、話題のアニメ「がんクツ王」のパロです。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  伯爵×子爵で“お初”の後だよ(←中途半端)
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4911/4:04/10/19 10:37:00 ID:D1xFZuif
 閉じた瞼の向こうに明るい朝の光を感じて、アノレベールは目を覚ました。
 睫毛を震わせ、緩慢な動きで瞼を開くと目の前には彼の愛しい人の顔があった。
「お目覚めになられましたか? アノレベール・ド・モノレセール子爵」
 聞く者を酔わせる、低く張りのある声。
 モン〒・クリス卜伯は、片方の腕で小柄なアノレベールの身体を抱きしめ、ベッドに肘を
付きながら彼の顔を覗き込むようにしていた。
「おはようございます、伯爵」
 うっとりと夢うつつの様子でアノレベールが言うと、おはようございますと伯爵も朝の挨拶を
囁いて、アノレベールの目に掛かる長めの前髪をそっと指で払いのけた。
「昨夜はよくお眠りになられたようですね。とても…無防備で愛らしい寝顔をしておられた」
「!! ……いつから見ていらしたんですか?」
 伯爵の言葉にアノレベールの頬がほんのり赤く染まる。彼の初々しい反応を楽しむように、
伯爵はその目を細めた。
「ほんの、十分ほど前からですよ。貴方がぐっすりとお休みでいらっしゃったので、
揺すって起こすような無粋な真似はしたくなかったのです」
 お許しを、と言って伯爵はアノレベールの手を取り甲に口吻けた。
 何だか急に照れ臭いような気持ちになり、アノレベールはもじもじとその身体を捩らせた。
「──そろそろ、お腹が空きませんか?」
「え?」
「昨夜、あれほど激しい運動をしてしまいましたから」
「は……っ、激しい運動、って……」
 アノレベールはその言葉で昨夜の出来事を一瞬にして思い出し、今度こそ顔を真っ赤に染めた。
 夜の帷が降りた頃、男に導かれるままベッドに迷い込んだ。
 どちらからともなく抱き合い、寄せた頬に相手の体温を感じた。貧るように交わし合った
激しい口吻け。肌の上を這う伯爵の大きな手。彼に触れられるたび、アノレベールの身体は
熱く疼いた。
 憧れ、信頼していた人が自分の恥ずかしい部分を弄る。その先の行為は今、思い出しても
気が狂いそうだ。誘うように大きく脚を広げ、腰を浮かせ、男の怒張したものを自らの体内に
招き入れる。あとは、翻弄されるまま我を忘れて啼き続けた。
4922/4:04/10/19 10:39:21 ID:XWdz+l6c
(……サイアクだ)
 幾ら酔っていたとはいえ、何てことをしでかしたのだろう。きっとモン〒・クリス卜伯も、
アノレベールの淫らな姿に内心呆れているかもしれない。アノレベールは伯爵の表情を窺うように
恐る恐る目線を上げたが、穏やかな笑みを浮かべている伯爵の様子にあれっと拍子抜けし、
そして安堵した。

 ──ぐぅ。

 次の瞬間、何とも場違いな音がシーツの下から聞こえてきた。安堵すると同時に、現金な
アノレベールの腹の虫が空腹を訴えたのだ。
 一瞬、時が止まった。大きく見開いた互いの目がバッチリと合った。
「……」
「…………、ぷっ」
 しばらくの間、互いに見つめ合っていた二人だったが、アノレベールが堪え切れず吹き出した
のをきっかけに、朝の陽射しが差し込む部屋に二人分の笑い声が響き渡った。
「では早速、朝食の用意をさせましょう」
 ひとしきり笑った後で、ベッドから身を起こして伯爵が言った。朝日に映える逞しい肉体が
眩しい。アノレベールは思わず目を細め、それからはっと我に返った。
「あっ、あの……でも僕がこの部屋にいることがバレたら、まずいのでは?」
 これでもアノレベールのモン〒・クリス卜伯は爵位を持つ貴族だ。相手が女ならともかく、
社交界でも顔が利く二人が夜を共にしたなどと知れたら、あっという間にその噂は広まって
しまうだろう。若いアノレベールと、これからパリに進出しようという伯爵が今、醜聞を立てる
訳には行かない。
 アノレベールの言葉に伯爵は何か思案している風だったが、ひとまずアノレベールを毛布の
中に匿うと、伯爵は執事を呼んで食事の支度をするよう申し付けた。
4933/4:04/10/19 10:42:09 ID:XWdz+l6c
 間もなく、給仕の者が朝食の用意を運んできた。
 肌触りの良い毛布の下に潜ったアノレベールは、厚手の生地越しに聞こえる音に耳を澄ませて
いたが、彼がふと視線を横に向けると、そこには伯爵の裸の下半身が見えた。
 当然のことながら、昨夜は行為の後で崩れるようにして眠ってしまった二人だったから、
身につけているものは身体を覆っているシーツと毛布の他には何もない。
 最初は伯爵の引き締まった長い脚を眺めていたアノレベールだったが、そっと手を伸ばすと
綺麗な付き方をした筋肉の線をなぞるように指を這わせてみた。
 一瞬、伯爵の身体がピクッと反応した。
 それに気を良くしたアノレベールは何度も指を皮膚の上で往復させていたが、ふと頭を
もたげた悪戯心に刺激され、伯爵の脚の付け根にあるものにまでその手を伸ばそうとした。
 だが、残念ながらその不埒な手の動きは、“企み”に気付いた伯爵が毛布の上から軽く叩く
ことで阻止されてしまったが、アノレベールはすぐ目の前にある伯爵のもう片方の手に視線を
留めると、その上に自分の手を重ねた。
(大きい手……)
 伯爵の手と比べて自分の手は何と貧相なことか。
 それに、何不自由なく育ってきたアノレベールとは違い、この“訳有り”の伯爵の手は
同じ貴族とは思えないくらい、ごつごつとしていた。
 不思議な気持ちでその手を眺めていると、伯爵がアノレベールの指に彼の指を絡ませてきた。
 何気ないことなのに少しドキリとする。
 今も毛布の下に隠れているアノレベールの耳には、陶器の皿や銀製のフォーク・ナイフ、
硬質なグラスなどが次々テーブルに配置されていく音がくぐもって聞こえている。
人目に付かないこの位置で、恋人同士のように指と指とを絡めていることに些細な背徳感を
覚えたアノレベールは、その気持ちを打ち消すように伯爵の冷えた指先に口吻けを落とした。
4944/4:04/10/19 10:44:15 ID:XWdz+l6c
 いつの間にか、給仕の者たちは役目を終えて立ち去り、部屋では物音一つしていなかった。
 突然、毛布がバサッと大きな音を立てて引き剥がされ、顔を上げたアノレベールは
こちらを見下ろしている伯爵と目が合った。
「──悪い人だ」
 そこには、紳士的なモン〒・クリス卜伯はいなかった。
 伯爵はアノレベールの身体の上に覆い被さるようにすると、驚いている彼に噛み付くような
口吻けをした。
「んんっ! ……んぅ……っ」
 荒々しい口吻けに翻弄されるアノレベールの脳裏に、男が昨夜見せた野性的な瞳の輝きが
よみがえる。
 伯爵は唇を離すと、吐息がかかる距離でアノレベールに囁いた。
「朝食よりも、目の前の果実を味わう方が優先のようですね」
「──残さずに綺麗に食べてくれますか?」
 快楽への期待から、既にその大きな瞳を潤ませ始めているアノレベールが悪戯っぽく
尋ねると、伯爵は色の違う左右の瞳を輝かせ、すっと目を細めた。
「余す所なく、すべてを食らい尽くして差し上げましょう」

 嗚呼、僕はこうして堕ちてゆく。

 柔い肌に牙を立てられながら、アノレベールは恍惚とした表情で男の広い背中に腕を回した。
 カーテンの隙間から陽光が真っ直ぐに差し込む部屋で、二人の身体は縺れ合うようにして
シーツの波間に沈んだ。
495風と木の名無しさん:04/10/19 10:45:19 ID:XWdz+l6c
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ へぼんすぎるのでヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
496風と木の名無しさん:04/10/19 10:49:41 ID:XWdz+l6c
あ!誤字発見!
2/4の下から6行目は「アノレベール と モン〒・クリス卜伯」です。
ちゃんと推敲してから投下しろよ、自分…。
497風と木の名無しさん:04/10/19 13:42:02 ID:f/GAAzl0
がんクツ王心底乙
498風と木の名無しさん:04/10/19 19:56:32 ID:Su81hgzN


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | ハ丁堀×カザリ職人モナ
                    | 行楽の秋だモナ
                    |
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| なんのこっちゃい 
 | |                | |            \
 | | |> 再生.        | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  オンセン オンセン
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
甘いものが食べたくなったので作りました。


※1/9・2/9のエピは本編からです。 旦那…
499ハ丁堀×カザリ職人 1/9:04/10/19 19:58:26 ID:Su81hgzN
どこまでも広がる日本晴れの空。目を落とせば整然と並んだ同心屋敷の屋根が連なる。
ヒデは瓦を並べる手を止め、首から下げた手ぬぐいで汗を拭いた。
考えれば、日の高い時刻に屋根に上がったことはほとんどない。少し冷たい風も心地よく、
なかなかに気分が良いが、残念ながらあまりのんびりもしていられない。
「お前ェ、高えところ得意だろ」
なにも考えてなさそうな脳天気な声が思い出され、ヒデの表情が不機嫌に歪んだ。
どうして自分が高所に慣れているのかといったら、理由は一つしかないではないか。
自宅の屋根を修理してくれ、と子供に使いを頼むように言われたときには
都合のいい使いっ走り扱いに腹も立ったが、それはまだいい。
自分に家を、家族を見せることがどういうことなのか、おそらくモンドは分かっていない。
先ほどからひそひそとこちらを伺う影がふたつ。自分にこんな仕事を押し付けた張本人の妻と姑。
玄関先で挨拶をしたときからどうにもやりにくかった。ヒラ同心の家とは言え、口調や物腰からは
凛とした気品を感じる。丁寧なねぎらいの言葉をヒデにかけつつも、身分階級の違いを
疑いもなく意識した振る舞い。典型的な武家の女性である。
庭から屋根に上がったため邸内はわからないが、使っている瓦といい手入れされた庭といい、
やはり自分とは住む世界が違うのだと思い知らされる。あの昼行灯が途端に遠い人間になった気がして、
ヒデは知らず唇を噛んだ。ヤケのように壊れていた瓦を下の中庭に投げ落とす。
もちろん人がいないことをわかった上でのことだが、乾いた音と同時に女二人がきいきい言ってるのが聞こえる。
そ知らぬ振りで作業を続けながら、子供じみた自分の行動に却って虚しさが増した。
「馬鹿野郎…」
小さな呟きは誰に聞かれることもなく風に消えた。
500ハ丁堀×カザリ職人 2/9:04/10/19 19:59:46 ID:Su81hgzN
「なあ…一晩泊めてくれねえか」
軽装の部屋着で突然やってきて、おもむろにそんなことを切り出されてどんな顔をしろというのか。
しかも自分は今まさに布団を敷いていたところであるわけで。
聞けば身に覚えのない面倒に巻き込まれて家を追い出されたとか。
「家ン中のことくらいてめえでケリつけたらどうだよ!」
言葉の最後が小さくなるのを誤魔化すように寝っ転がる。傍に腰を下ろしたモンドが何やらぐずぐずと
言い訳しているうちに、聞きつけた加/代までが面白がって押しかけてきた。
職人の貴重な睡眠時間を大事にしやがれと言いたいのを堪え、ヒデはそっぽを向いて知らん顔を決め込んだ。
いい加減で勝手なところがあるクセに、自分がいいと言わなければ居座ったりしないのはわかっている。
妙なところで律儀というか、小心者というか。
「まったく冷てえ奴らだぜ」
捨て台詞と吐いてモンドが出て行く。ぶつぶつ悪態をつきながら足音が遠ざかり、やがて聞こえなくなった。
再び静けさが戻る。寝静まった長屋には虫の声だけが静かに響いている。
なんでも、(本人曰く)根も葉もないことが書かれた投げ文があったらしい。
どうせどこかの女の悪戯だろうが、あの家族がそんな柔軟に考えられる筈はないだろう。
あれで結構、女に人気はある。日和見主義を通しているようで結局は優しさが隠せないからだ。
有事のように洒落た台詞の一つも言えないくせに。女はその辺りを見抜くのが上手い。
「……」
ヒデは掛け布団を跳ね上げ、障子を開けて外へ駆け出た。静まり返った長屋を抜けて往来まで一気に出たが、
モンドの姿はもう見つけられなかった。
501ハ丁堀×カザリ職人 3/9:04/10/19 20:02:12 ID:Su81hgzN
「…で、矢追屋でってのは確実なんだろうな」
「ああ。出入りの連中とツボ振り師から聞いたんだ、間違いねえ」
ある雨の日。中/村家の裏手、風呂場の格子窓越しの会話。闇で行われているカルタ賭博の情報を
掴んだヒデは、すぐさまモンドの家へ走っていた。
きっかけは、馴染み客の女将がすっかりやつれ粗末な着物でいるのを見かけたことだった。
聞いてみれば賭博に入れ込んだ亭主が、ヒデから買った簪までも売り飛ばしてしまったという。
喧嘩っ早いが気のいい男だったことも知っているヒデは、モンドから聞いていたカルタ賭博の探索を引き受けたのだ。
「じゃ、あとはあんたの仕事だぜ。しっかりやれよ」
「おい待てよ。お前ェずぶ濡れじゃねえか。今な、カカア共は近所の連中と飯食いに行ってて
 家カラなんだ。上がってけ。なんなら風呂使うか?」
「……帰る」
ヒデはそっぽを向いたまま雨の中へ飛び出した。たちまち強い雨脚の中にその姿が消える。
「何を拗ねてやがんだあいつは」
ぽかんと呟いたモンドの言葉も、雨音にかき消された。

走り出したもののあまりの降りの強さに、ヒデはやむなく途中の稲荷神社へ駆け込んだ。
賽銭箱の横に座り込んでやり過ごそうとするも、吹きつける雨は容赦なく細身を濡らす。
すっかり水を吸った半纏を蓑代わりに被り、駆け出そうと構えたヒデの視界に赤い番傘が映った。
「よう」
ただ傘を持って立っているだけの姿も憎らしいほど決まっている。
「入ってくか?」
この豪雨にも涼しい顔でさらりと問われ、ヒデはなんとも惨めな気持ちのまま頷いた。

「ははは。やせ我慢しねえで風呂借りてくりゃよかったじゃねえか」
ヒデの内心の葛藤を見通しているくせに、有事は人の悪い笑いを浮かべて鉄瓶を取り上げた。
むっつりと黙りこくったまま髪を拭いているヒデに苦笑しつつ、熱い茶を淹れる。
「あの野郎はなんにもわかっちゃいねえんだよ」
「ああ、そうだな」
渡された湯呑を両手で持ち、ヒデはぼんやりと畳を眺めている。
痛々しさを感じつつも顔には出さずに、有事はばさりと自分の羽織を放ってやった。
「ほれ。また風邪引くぞ」
有難いがいちいち癇に障る物言いに、大きな目が睨みつけてきた。
502ハ丁堀×カザリ職人 4/9:04/10/19 20:06:34 ID:Su81hgzN
それからしばらく日が経って、モンドは地方への出張を申し付けられたとヒデの長屋に現れた。
仕事といっても南町からの書状を届け、代わりに先方からも受け取ってくるだけの簡単なもので、
供の者もつかない気楽な(裏を返せば瑣末な)役目だという。
モンドは自分の不在中、裏の仕事には手を出すなとヒデにしっかり釘を刺して出て行った。

そのモンドからの飛脚が来たのは数日後。
「…で、何だそりゃ」
「わからねえよ。とにかく来いとしか書いてねえ」
届いたのは、ヒデにまで来いとだけ書かれた簡潔な手紙と道中の路銀。
とりあえず旅支度を整えたヒデは、わけもわからないまま有事の店へ足を運んでいた。
「めずらしい…銭まで包んであらあ」
「そんじゃお前ェ、行くしかねえじゃねえか」
「何か裏の仕事に絡んでるのかもしれねえ。俺だけで大丈夫なのかな」
「やばけりゃそう書くだろうよ。とにかく早いほうがいいだろ」
有事はまだ納得いかなそうなヒデを急かして出立を促す。ヒデは首を傾げつつも笠を取り上げて暖簾をくぐった。

角を曲がったのを確認すると、有事は袖からそっともう一通の手紙を取り出した。
ヒデより一日早く届いたものだ。
『二、三日のあいだヒデが帰らないが心配するな。追ってくるな』
そんな内容に自然と顔が緩む。ようは「邪魔するな」というわけだ。
「やれやれ。口止め料は高くつくぜ…?」
顔に出さないようにしながらも、にやにや笑いが収まらない。
(さて、帰ってきたらヒデにどう仕掛けてやろうか…)
沸き起こる悪戯心を隠しつつ、人の悪い三味腺屋は手際よく仕事を再開した。
503ハ丁堀×カザリ職人 5/9:04/10/19 20:09:26 ID:Su81hgzN
モンドの指定した宿は小奇麗な造りで湯治場も兼ねていた。
客留め女が愛想良く湯を張った盥で足を洗う。歩き通しの足には心地よい。
ほっと一息ついたところにのっそりと馬面が覗いた。
「よう。来たか」
「ハ丁堀。どうしたってんだよ。何かあったのか」
「まあそう慌てるな。いたって平和だ、何も起きちゃいねえ」
「あんた、お役目は」
「そっちは昼には終わった。明日ここを発つことになってるから、それまでは俺ァ自由の身よ」
「…?」
あからさまに不審そうな顔のヒデに、モンドはやりにくそうにぽりぽり頬を掻いた。
「俺を騙したのか」
ヒデの声が一段低くなる。そのまま草鞋を結び直して引き返しそうな勢いだ。
「騙したたあ何だ。折角俺が身銭切ってお膳立てしてやったのによ」
「それがおかしいってんだよ。あんたが訳もなく銭出すわけねえだろ!」
「ああもう煩え野郎だな。日頃の労をねぎらってだなあ――」
「じゃあ何で俺だけなんだよ。加/代や三味腺屋は」
「…お前ェ、どうしても言わせてえのか」
急にまじめな顔になるモンド。ヒデはきょとんとしたまま数秒間それを見つめた。
やがて目が大きく見開かれ、かーっと顔が紅潮する。
「まあ、部屋は二階の一番奥だからよ。落ち着いたら上がって来い」

しばらくして複雑な表情で入ってきたヒデは、動揺を隠すようにぶっきらぼうに呟いた。
「俺ァまた裏のほうで何かを探れって話なのかと思って来たってのに…」
「あ?ああそうじゃねえ。悪かったな煩わせて」
「まあ、違うってんなら…いいけどよ」
モンドの珍しく神妙な態度に口ごもる。どうにも調子が狂ってうまく喋れない。
「茶、飲むか」
「ああ」
しゅんしゅんと噴き出す蒸気の音を聞いていると、いつも長屋で勝手に茶を飲んでいるモンドが思い出される。
「ここの露天はなかなかいいぞ。お役目じゃなしに来てえところだ」
機嫌よく話すモンドに相槌を返しながら、そのときは妻と姑と一緒なんだろうなとヒデはぼんやり考えた。
504ハ丁堀×カザリ職人 6/9:04/10/19 20:10:56 ID:Su81hgzN
いかな昼行灯でも流石にお上のお役目だけあって、料理もなかなかに立派なものだった。
風呂も夜通し使えると聞いていたヒデは、夜も更けた頃に床を抜け出し風呂場へ向かった。
月夜に浮かび上がる露天風呂へいそいそと身を沈める。
子の刻を過ぎた頃だろうか。思ったとおり誰もいない。広い湯船で存分に長い手足を伸ばし、
岩に背を預けた。染み入るような湯の温かさに大きく息をつく。
長時間精密な作業をしていると、身体のあちこちがどうしても凝ってしまう。
まめに銭湯に通ってはいるが、やはりこんな本格的な湯に(できたら人の金で)浸かりたいところだ。
しかし自分が暇だったからいいようなものの…と考えて、ヒデは「ここのところは急ぎの注文もない」と
茶飲み話でモンドに話していたことを思い出した。
「覚えてたのかよ…あのおっさん」
と、後ろで聞きなれた足音がした。
「なんだヒデ、お前ェも来てたのか。考えるこたあ同じだな」
ヒデは今の独り言が聞かれなかったかとひやりとしたが、モンドは鼻歌交じりに掛け湯をしている。
「月見酒としゃれ込みてえところだが、まあこの時分じゃ頼めねえか」
「あれだけ飲んだだろ。あんたも強いけど限度知らねえな」
「あー? ここに来てまで遠慮してどうすんだ」
「酒臭え息でお役所に戻るわけにもいかねえだろ、まったく」
軽口を交え、どうということのない話がゆったりと続く。
夕食のときも今もヒデは穏やかに笑っている。モンドは内心ほっと息をついた。
そして、すっかり寛いで月を眺めるヒデをちらりと見やった。
行動は早かった。

まったく無防備なヒデの腰に、するりと手が回った。
505ハ丁堀×カザリ職人 7/9:04/10/19 20:16:06 ID:Su81hgzN
「ばか!何だよこんなとこで…!」
張り上げた自分の声が意外に反響して、ヒデが一瞬身を竦ませる。その隙にモンドは両腕の中に
すっぽりヒデを閉じ込めた。
「おい!」
「んー、いい月じゃねえか。見事な満月だぜ」
白々しいそんな台詞とともに、モンドの右手が静かに太腿に触れる。びくりと肩が跳ねて、
震える声がそれでも気丈に抗議した。
「だっ、誰か入ってきたら…」
「心配すんな。そんときゃすぐ離れる。それにこの夜中だ、そうそう人は来ねえよ」
そう言って、さらに耳元で意地悪く付け加えた。
「誰も来なきゃいいんだな?」
真っ赤になって否定する前に、モンドは行為を再開した。引き締まった身体は良質の湯の中で
すべらかに手に馴染む。
「んふ…」
甘い鼻声が漏れて、ヒデは慌てて口をつぐんだ。背後で笑っているだろうモンドは、
決してヒデを振り向かせないまま腰を撫で上げる。
顔を見られないもどかしさが倒錯した快感をなおさら煽った。
触れられる手がいつもよりずっと熱いのは湯のせいだろうか。しつこいほどに
じっくりと重ねられる愛撫がいつも以上に性感を刺激する。
「あぁ……っ」
ヒデが喉を反らせ、モンドの肩に全身で寄りかかった。モンドは脇腹から胸を弄りながら、
空いた手でそろりと陰茎を握りこんだ。
「……!」
咄嗟にヒデの口を塞ぐ。突然のことに混乱してもがくが、ゆるやかに刺激してやるうちに
おとなしく身を委ねてくる。熱にうかされてされるがままに身を震わせる姿はとんでもなく扇情的で、
モンドも身体の奥底に火がつくのを感じた。
モンドの指の動きに合わせてヒデの腰がはしたなく蠢き湯が波立つ。
いやいやと頭を振る痩身を抱え、モンドは直前でヒデを岩場へ引き上げた。
「せっかくの湯を汚すわけにいかねえからな」
掠れた声に答えるより早く、ヒデは細い声を上げて昇りつめていた。
506ハ丁堀×カザリ職人 8/9:04/10/19 20:21:42 ID:Su81hgzN
「なんだ、のぼせたか?」
モンドはどうにか浴衣を羽織らせ、足元のおぼつかないヒデを部屋まで運んだ。
敷かれた布団に横たえると、潤んでぼうっとした目で見上げてくる。思わず下半身を直撃され、
わざと明るい口調で誤魔化すが、ヒデは無言でモンドの襟を掴んだまま動かない。
考えれば職権濫用までしてヒデを呼び寄せ、こうして宿も取った。今さら何を足踏みしているのか。
役人気質がこんなところに出たかと苦笑して、モンドは改めてヒデにのしかかった。
襟からヒデの指がすっと外れる。離れようとしたその手を掴み、ぐいと脇の畳へ押し付ける。
その勢いのまま顔を寄せてかぶりつくように接吻けた。
湯に充分温められた身体は少々過敏になっているのか、過剰なほどの反応が返る。
酒や薬によるものでないということが、よりモンドを興奮させた。
しっかり準備しておいた椿油を手に浴衣の裾を捲くると、湯上りのなまめいた肌が
惜しげもなくすべて曝される。それを隠そうとする素振りも見せないヒデが、
普段を知っているだけにひどく婀娜めいて眩暈がしそうだ。
膝を立たせて促せば、素直に迎える姿勢をとる。抱えた太腿の裏、おそらく一番熱いところへ
モンドは息を詰めて押し入った。
「ひゃ……!」
こんなに乱れていても、漏れる声は密やかに小さい。ゆっくりと進めて堪らない感覚に目を閉じる。
身体の下のヒデは、呼吸を必死に整えようと不規則な息遣いでしがみついてくる。
静かに、静かに、赤ん坊をあやすように腰を動かした。全身で快楽を感じようと身体をすり寄せ、
互いを貪るように唇が絡み合う。
熱塊を深く咥えさせたまま額や頬をやさしく啄ばんでやれば、蕩けそうな顔で背に腕を回してくる。
「あつい…」
「外か?それとも…中がか?」
モンドの問いにヒデは一時動きを止めて考え、恥ずかしげに眉をしかめてそっと告げた。
「どっちも…だ」
「そうか」
もはやモンドにも余裕はない。腰を荒々しく弾ませて深く深く繋がる。
たっぷり使った油とそれ以外のものの僅かな水音が聞こえる。
涙を滲ませて喘ぐヒデが限界を訴えて啼いた。出て行くのは許さないとばかりに両腕でモンドを捕らえる。
爆発のような強烈な絶頂感にモンドの目の前を光が飛んだ。
507ハ丁堀×カザリ職人 9/9:04/10/19 20:22:41 ID:Su81hgzN
「ほれ、早いとこ始末しねえと。えれえ目に遭うのはお前ェだぞ」
ぐったりと伏せたままのヒデにのんびりと声がかかる。
情熱的な行為のあとに何とも現実的な一言だが、うまく起き上がれないヒデは
布団の上でだるそうに伸びたままだ。
「仕方ねえ」
モンドは替えの浴衣でさっさとヒデを包み、抱え上げ――ようとして失敗する。
「…またギックリ腰になるぜ」
「うるせえ。ほれ立て」
腰の後ろを支え、何とか歩かせて部屋を出た。
「あれ、厠じゃねえのか」
「色気のねえこと言うんじゃねえよ」
モンドの足は躊躇いもなく風呂へ向かっている。
「何のために一晩中使えると思ってやがんだ」
「…たぶんその理由じゃないと思うけどな…」

そしてやはり都合よく誰もいない風呂で、モンドはゆっくりじっくりあちこちを清めてやったらしい。
あまりの馬鹿馬鹿しさに月さえも雲に隠れたらしい。
508風と木の名無しさん:04/10/19 20:23:14 ID:Su81hgzN
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ 停止        | |
 | |                | |           ∧_∧  
 | |                | |     ピッ   (・∀・; ) …。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
骨休めといえば今も昔も温泉です。そして夜の御食事です。


_| ̄|○ ハハハ
509風と木の名無しさん:04/10/19 20:49:20 ID:q2ssLN/E
あんまり萌えたもんだから元ネタググッちまいましたよ…!

萌えをありがとう。50を超えたキャラに萌えたのは初かもしれん。
510風と木の名無しさん:04/10/19 21:57:10 ID:MuzSO+y3
ああ、とうとうモンドさまとラブラブ!
モンドすきーには堪えられませんでしたよ。
ウヒョーウヒョヒョヒョと読ませていただきました。
あるがとうございました。
511498:04/10/20 00:59:13 ID:SuQl9KqF
誤字発見しました。すみません

>502の8行目
×ヒデにまで来いとだけ → ○ヒデに旅先まで来いとだけ
512九龍 アモン×アロマ:04/10/20 12:11:52 ID:wPRybe36
ムショウに書きたくなったんで、書き逃げします

いつもの事だが、抱き寄せた淡い花の香を漂わせる身体は全くの無抵抗。
唇も首筋も髪も淡いラベンダーの香りが染みつき、男自身の匂いが失われている。
死んでまでもこの男を守ろうとするあの女の強い意思の象徴のようで酷く不快だ。
「どうしたんだ?」
ほんの僅か動揺した自分に男は気付いたのだろう、短い労わりの言葉がその口から
零れ落ちる。そこに心からの感情は加わらないが。
「俺がどうかしたと思うのか?」
「・・・・」
無言の男を自分の身体に組み敷いて執拗に唇を寄せ痕を残す。
男の本当の香りを求めるように。
「そこまでされると困るんだが。」
妙にのんびりとした男の声が耳を擽る。
まあ、また屋上で休めばいいか、そう呟いて微かに笑う。
「お前の噂は聞いている。いつまでそうしているつもりだ?」
ややきつい口調の問いに男は面倒くさそうに色の無い瞳を向ける。
「・・責任は果たすさ・・・」
その為に生きているのだから・・そう声なき言葉が聞こえた


エロじゃなくてスミマセン。忘れて下さい。
いや、エロ書きたいけど勇気が・・。



513風と木の名無しさん:04/10/20 13:06:14 ID:237j3Nx7
いいけどテンプレは使おうね。
514風と木の名無しさん:04/10/20 22:48:44 ID:sPLeV24T
>>474-478
亀だけど、高校白書ヨカッタデス!!(*´∀`*)
続き待ってます!

515風と木の名無しさん:04/10/20 23:02:52 ID:F9X2sO0m
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  映画「天国のロ、終わりの楽円。」ファンフィク。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  povは蛙演じるフリ才で、旅が終わってからの設定。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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516515:04/10/20 23:03:44 ID:F9X2sO0m

奴は出て行く。無論振り返らない。
店を出る、俺の座る真横をガラス越しに通り過ぎる。少しも歩を緩めず。
「勘定を」と言った俺の声が震えていたのにも気づかずに。



決定的な瞬間の選択の連続、それがどれだけあの夏あったことか。
俺は気づかない振りをして、ただ与えられる一瞬に夢中にしがみついていた。
俺たちは彼女を挟んで対称だった。光と影にすらならない、自分自身の映し鏡だ。
互いに欲しあっているのが俺たちこそだと彼女が言い放った瞬間の、あいつの顔を見ておけばよかった。
どの道、彼女を失うかもしれない動揺でそんなことできやしなかったのだけども。
517風と木の名無しさん:04/10/20 23:05:54 ID:F9X2sO0m
事実、予言はその通りになった、彼女に導かれ、俺はあいつを求めた。
最初に手を伸ばしたのは俺だったか、それともあいつだったのかもわからない。
多分、両方だったんだと思う。俺は止められなかったし、あいつも止めようとはしなかった。
むしろ、心のどこかで安心していた。これ以上の終わりはないとすら思った。
目覚めた時はすべてが夢だと思った、でも、目を覚ましたあいつと目が合った瞬間わかった。
認められっこない。あれが現実で、むしろ今が夢のつづきなんて。

彼女はそこで下りると言った。車から、そしてきっと人生そのものから。
それに気づけないほど俺たちは若く、浅はかで、傲慢なくらい生気に満ち溢れていた。
いつも次があると思っていた、人と別れるときさえ。
彼女のいない車は、その時の俺たちには手に余った。
いるはずの人はなく、あったはずの心地好い関係も壊れ、俺たちは完全に違う方向を向いていた。
すべてがどうしようもなく不調和で、救いがなかった。
そんな中で先に音を上げたのはあいつだった。
518風と木の名無しさん:04/10/20 23:06:56 ID:F9X2sO0m
「本当にいいのか」
「何が」
「連れて帰らなくて」
「本人が決めたことだろ。それに、あんな旦那の元に帰った所で最悪なだけだ」
「お前…好きだったんじゃないのか」
「はぁ!?お前だって寝ただろ、何言ってんだ」
「それは、おまえがすごい目で彼女を見てたからだよ!今にも死にそうな顔で」

そうかもしれなかった。俺は助けてほしかった、この混乱から。
そしてそれはもちろん彼女の責任じゃない。
俺を救うことだけはあいつにはできない。確実に。
それを知っていたのに、俺は手を伸ばした。
期待なんてするつもりもなかったけど、我慢するにはあまりにも奴との距離は近すぎた。

「違うよ、俺が本当に思ってたのは…」

奴は答えを待っている。あの短気なお坊ちゃまが辛抱強く。
それに気づいた瞬間、俺は笑いたくなった。
こんな瞬間にもかかわらず。むしろ、こんな瞬間だからこそ。

「笑うなよ、どうやら俺が本当に好きなのはお前みたいだ」
519風と木の名無しさん:04/10/20 23:07:59 ID:F9X2sO0m
笑ってくれればまだ救いもあったのに、奴は黙り込んでしまった。
そのままスピードを落として路肩に車を止める。なんで止めるんだ、と訊こうとした瞬間奴が爆発した。

「1回やったぐらいで、馬鹿にしてんのか!」
「馬鹿になんてしてない」
「昨日の今日で、なんか勘違いしてるんだよおまえは。そうでなかったら絶対」
「違う、嘘じゃない」
「セツリアは」

痛いところを衝かれた。でも、その時の俺には真実がわかっていた。
あいつの顔を見つめた。あいつは怒っているというより、どこか苦しそうだった。
その上、やはり混乱していた。まったく俺みたいに。
俺は思うより先に口が開いていた。

「おまえはどうなんだ」

奴は動かなかった。俺も息を詰めた。
ひょっとしたらそれは至極短い間だったのかもしれない。
灼けるようなメキシコの日差しの中で、俺たちだけが世界から取り残されていた。

「…おまえと一緒だ」
520風と木の名無しさん:04/10/20 23:09:10 ID:F9X2sO0m
絞り出すようにそう言った奴の顔はやっぱり歪んでいて、
俺はどうしてこんなことになったんだろうという思いでいっぱいだった。
こんな顔させたくはなかったのに。肩を抱くと、奴は震えていた。
そうだ、俺らは怖かった、本当の感情と向き合うことが。
誰もそれは助けられない、自分で解決すべきものだ。
そして俺たちは同じように弱く、自分たちをコントロールできないことも知っていた。
知りながらここへ至ったのだ。どうしようもなかった。

「昨日、これが本物だって気づいたんだ…」

素面でも肌に触れる手が震えてしかたない。異様に緊張している。
俺たちは、自分たちで逃げ道を潰してしまった。
俺たちは正気で、今度こそ、2人だけで確かめようとしている。
これが現実だ。
汗でべたつくし、誰かに見られそうな上、絶望的なくらい2人とも不器用なのに、どうしても止められない。
終わりにふさわしい始まりだった。
521515:04/10/20 23:09:59 ID:F9X2sO0m
そして、あれから季節はすぎて、奇跡は起こらなかった。
彼女は死に、俺たちの道は本来にふさわしく、永遠に分かたれた。そしてもう2度と交わることはない。
それでも俺は夢に見る、あのときの親友の素振り、すべてを知っていると思った次の瞬間にそれを裏切られる思いを。
だから俺はもう追いかけない。お互い生きて、生き残る。それが俺にできることだ。
522515:04/10/20 23:10:58 ID:F9X2sO0m
 ____________
 | __________  |
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523風と木の名無しさん:04/10/21 12:03:55 ID:2zhDrk7X

                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | がんクツ王パロ、>>491-495の続きです。
                    | 今回は伯爵×子爵前提の男爵×子爵だったり…
 ____________   \          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |     ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 別名「男爵、ついにキレる」の巻だモナ 
 | |                | |              \
 | | |> PLAY.       | |                ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エエーッ
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5241/8:04/10/21 12:07:28 ID:2zhDrk7X
「風邪を……引いた?」
 モノレセール邸の入口から続く大広間に立ち尽くし、フラソツは茫然と呟いた。
「ええ。昨夜は、モン〒・クリス卜伯爵の所へ遊びに行って、今日の昼過ぎに戻ったの
だけど……帰るなり『具合が悪い』って」
 来客を告げられて、二階からゆったりとした動作で降りてきたメノレセデスが、ころころと
鈴の音のような笑い声を立てた。
「あの子、自分が楽しいと我を忘れてはしゃいでしまうから…。伯爵にご迷惑をお掛けして
いないと良いのだけれど」
 昨夜は仲間がいつも集まる場所に顔を出さなかった親友を心配してやってきたフラソツは、
メノレセデスの言葉を聞いて、後頭部を鈍器で殴り付けられたような気分になった。
(アノレベール……よりによって、あの怪しげな男の元へ行っていたとは!)
 せっかく訪ねて下さったのにごめんなさいね、と告げるメノレセデスを信じられないという
ような面持ちで眺めていたフラソツは、やがて黙礼すると彼女の脇をするりと抜けて
モノレセール邸の廊下を渡ろうとした。
 そんなフラソツの思惑を悟ったメノレセデスが、慌てた様子で彼の背中に声を掛ける。
「いけませんわ、デヒ゜ネー男爵。貴方にまでアノレベールの病気が伝染したら、私、ご両親
に面目が立ちませんもの」
 しかし、結果的には彼女のこの言葉が、却ってフラソツを煽ることとなった。
 フラソツはマダム・モノレセールの言葉を耳に聞き咎め、勢い良く振り返ると彼女に迫った。
「誰か他に、アノレベールから風邪を伝染されたのですか?!」
「え、ええ…。新しく入ったメイドが、あの子から風邪を貰って本邸へ帰ってきましたわ」
 フラソツの勢いに気圧されて、メノレセデスが答える。
(新しいメイド──あの盗賊団の子供か!!)
5252/8:04/10/21 12:08:08 ID:2zhDrk7X
 ルナからアノレベールを追ってやってきた、今はこのモノレセール家のメイドとして仕えている
少女──本当は少年、なのだが──の顔を思い出した途端、フラソツは頭にカッと血が上る
のを感じた。忌ま忌ましいノレイジ・ヴァソパーの一味め、風邪を伝染されるような至近距離で
アノレベールに何をしたというのだ!
 フラソツは再び身体の向きを変えると、メノレセデスが尚も引き留めようとするのを
断ち切るように、アノレベールの部屋のある別館へと足早に向かった。
 メノレセデスからは見て取れなかったが、いつも冷静沈着な態度を崩さない彼の端整な顔は、
怒りと嫉妬心で歪みきっていた。

 フラソツが部屋に行くと、アノレベールは天蓋を降ろしたベッドに横たわって眠っていた。
 ベッド脇のキャビネットの上には、水差しとグラス、それに薬が置いてある。
 薄手の青い生地の前で立ち尽くしていたフラソツだったが、両手で天蓋を分けると、
そっとアノレベールの寝顔を覗き見た。
「……っ」
 熱が高いのか、アノレベールのまだあどけなさが残る顔は頬がうっすらと上気し、淡く
開かれた花弁のような唇からは幾分苦しげな息遣いが漏れている。
 フラソツは、何だか見てはいけないものを見てしまったような気がして、横たわるアノレ
ベールから目を反らした。
 だが、その視線もやがて、再びアノレベールの寝姿に注がれる。
 意を決したように、フラソツは天蓋の内に滑り込んだ。アノレベールの額に汗が滲んでいる
のを見ると、彼はポケットからハンカチを取り出して、それで汗を押さえるように拭って
やった。そうしてから、ベッドの上に身を屈めて、熱を計るようにアノレベールの額に自分の
額を乗せた。──かなり高い熱が出ているようだ。
5263/8:04/10/21 12:09:27 ID:2zhDrk7X
 額を離して、友の顔を近くから眺める。
 愛しいアノレベール。この手で守ってきた、大切な人。
 皮膚の上に影を落としている長い睫毛や閉じられた瞼の円やかな曲線、すっと通った
鼻筋の上を、まるで愛撫するかのようにフラソツの視線は動いていった。
 そして、更に視線を下げていき、熟した果実を思わせる赤い唇に目を留めると、甘い蜜を
求めるようにフラソツはアノレベールの唇に自らの唇を重ねた。
 二度、三度と、柔らかく吸い上げて、高熱でかさついた粘膜に潤いを与える。
 蕩けそうな唇の感触に、フラソツは夢中になった。
(親友が眠っている隙に、何てことを!)
 だが、内から聞こえてきた声に瞬時に理性が本来の働きを取り戻し、はっと我に返った
フラソツは慌てて身を引き剥がそうとした。
 その時、眠りの世界の住人だったはずのアノレベールの目が、ぱっと開いた。

「……フラソツ……?」
5274/8:04/10/21 12:10:01 ID:2zhDrk7X
 ふわふわと視線の定まらないアノレベールの瞳が親友の姿を捉え、掠れた声がもう一度
フラソツの名を呼んだ。
「アノレ……」
「フラソツ──今、何をしてた?」
「!!」
 気付かれた。
 焦ったフラソツはその場を取り繕おうとしたが、謝るよりも先に、刺々しい言葉が彼の口を
割って出ていた。
「昨日…、伯爵の所へ行ったんだってな」
「…………行ったら駄目なのかよ」
「それで、風邪を引いて帰ってきたって訳だ。友達も婚約者も皆、放っぽり出しておいて」
「…………」
 不貞腐れたように、アノレベールは真一文字に口を閉じて答えようとしない。
「伯爵と寝たのか?」
 遠慮を知らないフラソツの物言いに、アノレベールはカッとなって彼を思わず睨み付けた。
「そんなことっ、関係ないだろ! 放っておいてくれよ!」
「──『関係ない』?」
 今度はフラソツがアノレベールを睨む番だった。
「関係ないだと? よくそんなことが言えたものだな。俺が今までお前に関係なかった
ことが一度でもあったか? この前の誘拐事件、俺が助けなきゃお前は、今頃カタコンベの
片隅で冷たくなっているところだ!!」
「お前が来てくれなくたって、伯爵が必ず助けに来て下さったはずだ!」
 むきになって言い返したアノレベールの口から伯爵の名が出たことで、フラソツの苛立ちは
更に増した。
5285/8:04/10/21 12:10:57 ID:2zhDrk7X
「いいかアノレベール。お前が盗賊団に誘拐されたことを伯爵に教えたのは俺だ。
気は進まなかったが……俺はお前を救いたい一心で、あの胡散臭い伯爵の元へ赴き、そして
彼に助けを求めた。伯爵は俺が工面できなかった身代金をすぐさま用意し、盗賊団から
お前を守ってくれた。その点は、俺も感謝している」
 アノレベールはムスッとしたまま、フラソツの言葉に聴き入っている。
「──だが、お前の伯爵への入れ込みようは異常だよ。何故そこまで彼を信用する?
あんな素性の知れない田舎貴族……いや、彼が語った経歴だって地位だって、信用できた
ものじゃない。俺にはお前が、あの人にいいように利用されているだけのような気がして
ならない。そろそろ目を覚ましたらどうだ、アノレベール」
 フラソツの言葉に、アノレベールはキッと視線を上げた。
「そうやって…っ、いつまでも子供扱いするなよな! 俺はお前の物じゃない! いちいち
指図したりするのはやめてくれないか!!」
「──なら、お前はあの伯爵の物だって言うんだな」
 表情をなくしたフラソツは、低く冷たい声色でそう言った。急激に周囲の気温が下がった
ようで、アノレベールは心底ぞっとした。
「お前は、あの伯爵の言うことには素直に従うんだから。……そういうことだろう?」
「フラソツ……?」
 アノレベールが恐る恐る名を呼ぶと、それを合図としてフラソツは彼の唇を無理矢理奪った。
「ん…っ…………ぁ…やめろ……っ!」
 重くのし掛かる身体を押し戻し、フラソツの唇から逃れようとするが、上から手首を
押さえ込まれてしまって身動きが取れない。アノレベールは焦った。
「伯爵とは口吻け以上のことをした癖に、昔からお前のことをずっと守ってきた俺が口吻け
たら拒絶するのか」
「フラソツ…っ!」
 アノレベールは豹変した親友の姿に言い知れぬ恐怖を覚えた。熱で霞む思考の片隅で必死に
考えるが、フラソツの行為がどういう意味を持つのか、彼には理解できなかった。
5296/8:04/10/21 12:12:13 ID:2zhDrk7X
「あの男にお前は渡さない。お前が傷付くのが分かっていながら、みすみすこの手を離す
なんて……ッ」
「フラソツ…もう……止めよう…こんなこと……」
「お前が好きだ、アノレベール。誰よりもお前を愛している」
 嫉妬に狂うフラソツには、アノレベールの嘆願は耳に入らなかった。更に、彼にはモン〒・
クリス卜伯が己の不甲斐なさを嘲笑っているように思えた。
 傍にいて悶々としながら日々を過ごし、他の男に奪われてから焦りを隠そうともせず、
堂々と間抜けな告白する。──告白なんて品の良いものではない。これはアノレベールの意思を
尊重しない、ただの蹂躙行為だ。
 だが、フラソツには自分のしていることを止める理性が残ってはいなかった。突然の告白に
驚いているアノレベールに構わず、彼は目の前の唇に荒々しく口吻けた。
「アノレベール……」
 愛しい者の名を囁いて、その首筋に顔を埋める。体温の高い位置からほのかに立ち上る
柔らかい体臭を鼻腔の奥で感じ、満足げに息を吐いたフラソツは続いてアノレベールの耳朶を
優しく噛み、再び口吻けをしようとしたところで、アノレベールの頬を伝う涙に気付いた。
「あ……」
 茫然自失とするフラソツの脳裏に、アノレベールをまた泣かせてしまったことに対する
罪悪感が閃いた。──彼に、こんな顔をさせたい訳じゃないのに。
 ようやく我に返ったフラソツの耳に、アノレベールのすすり泣くような声が聞こえた。
「お前が…伯爵のことを良く思っていないのは分かってる……でも、だからって、こんな……」
「アノレベール……」
 涙で濡れた瞳を、アノレベールは両の腕で覆った。
「アノレベール、俺は……」
「お前のことは好きだし、何だかんだ言ってもやっぱり一番信頼してる。でも……お前の
気持ちには、応えられそうにない」

 それは、ルナのカーニバルの夜に、不思議な魅力を持ったあの人と出会って心惹かれて
しまったから。
5307/8:04/10/21 12:13:05 ID:2zhDrk7X
 孤独と悲しみ、その奥に渦巻く激情を湛えた瞳に捕われてしまったアノレベールの心を、
かのモン〒・クリス卜伯はもはや完全に掌握、支配していた。
 アノレベールの告白を聞いたフラソツは、その表情に暗い影を落とした。
「…どうしても、伯爵と会うのを止めるつもりはないんだな?」
「……うん」
「そんなに伯爵のことが好きなのか」
「…………」
 愛を告白された相手に改めてそう問われると、非常に答えづらい。だが、アノレベールの
沈黙はフラソツの問いを肯定したも同然だった。
「……分かった。手荒なことをしてすまなかった。許してくれ」
 フラソツは硬い表情のまま言うと、アノレベールの上から退いた。彼がベッドを降りる時に
スプリングがしなって、横たわるアノレベールの身体を軽く揺すったが、アノレベールは
ぴくりとも動かなかった。
 フラソツは天蓋を掻き分けて外に出ると乱れた格好を整え、アノレベールに背を向けたまま
部屋から立ち去ろうとした。だが、足を止めて肩越しにベッドの方を振り返った。
「──もし、伯爵がこの先お前を利用し、苦しめるようなことがあれば、俺はあの人を
只では済まさない」
 それだけは覚えておいてくれ、と言ってフラソツは足早に出て行った。
 部屋には、静寂だけが残った。
 アノレベールはベッドの上で寝返りを打った。思い出すのは、肌を辿ったフラソツの唇の
感触。熱で火照った身体でも彼の体温は心地良く感じられたが、アノレベールが今欲している
ものは、ひんやりとした冷たさを持ったモン〒・クリス卜伯その人だった。
(伯爵に会いたい)
 アノレベールはぎゅっと目をつぶった。
5318/8:04/10/21 12:13:53 ID:2zhDrk7X
 フラソツはあの性格だし、同い年のアノレベールよりずっと大人だから、次回会った時には
今まで通り振舞うのだろう。──自身の想いを心の奥底に押し遣って、何ごともなかった
ように見ない振りをする。今までも、そしてこれからも。
 アノレベールは、枕元の懐中時計に手を伸ばして身近に引き寄せた。そして、掌で包み込み
静かに目を閉じた。
 このまま眠ってしまおう。そうすれば、嫌な夢を見ずに済むかもしれない。
 遠くで馬車の車輪と蹄の音、馬のいななく声が聞こえていたが、早くも夢うつつの狭間を
彷徨い始めていたアノレベールには、それすらも夢見の一部であった。
 既に陽が傾き始めた部屋で深い眠りに落ちていたアノレベールは、その後、彼の元を訪れた
者──涙の跡が残る頬をそっと撫でる冷たい手の存在に気付くことはなかった。
 闇よりも暗い漆黒を纏った男は、アノレベールが胸に抱いたままの懐中時計を見て薄い唇を
弧を描くように歪ませ、ひっそりと嗤った。

 もうすぐ、復讐鬼の願いが成就される。
532風と木の名無しさん:04/10/21 12:17:53 ID:2zhDrk7X

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヤッパリヘボンダターヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
フラソツがんばれフラソツ。
もしアニメが原作通りの展開ならまだチャンスはあるはず…ダヨネ?
533風と木の名無しさん:04/10/21 12:27:32 ID:lLKneniA
禿 萌え た − ゴンゴンゴン!☆⌒☆⌒☆(( 。Д。)


姐さん!グッジョブ!
とても良い事をなさいましたな!

フランツがんがれ!超がんがれ!
534風と木の名無しさん:04/10/21 14:27:24 ID:DJaIhbAX
>>524>>531
なんとなく、貴方は続きを書いてくださるような気がしていました。

嫉妬狂いの動くフランツも早く見てえ!
535風と木の名無しさん:04/10/21 14:55:27 ID:8JiXiT+v
幼馴染萌え〜 (*´∀`)ハァハァ 
GJGJ!幸せですた!
>>534と同じく嫉妬にかられて最後までイタしちゃう男爵も見Tai!

536風と木の名無しさん:04/10/21 15:59:40 ID:/dURuHR9
ベッ歩たんも寝てるアルたんにチュッチュしたんだろうか…したよなぁ…親友3番手_| ̄|○ガンガレ超ガンガレ
しかしメルセお母様にもチュッチュされてるだろと想像すると、寝てる間にあらゆる人にキスされまくるアルたんに禿げ萌。

537風と木の名無しさん:04/10/21 19:38:22 ID:QW4mQTge
>>523-532
す、すごい。本物のネ申だ!ネ申が降臨なされた!!
フランツの一途な思いが切ない!
懐中時計を胸に抱いて眠る子爵萌え(*´∀`*)
それを見て怪しく笑う伯爵ハァハァ(;´Д`)

姐様、これからもついて行きます!
538風と木の名無しさん:04/10/21 23:36:31 ID:D7gorZ0K
>515-522
あなたをネ申と呼んでもいいですか。
いや、呼ぶから!
その映画、萌え萌えだったんだよー。
いいもの読ませてもらいました(*´Д`)'`ァ'`ァ
保存しちゃったよ……萌えた!
539初心者M子:04/10/21 23:53:13 ID:7tjt6HbH

                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | アニメ化記念に タクティクースss書いてみたのね
 ____________   \          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |     ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 単独スレないからここに投下だモナ 
 | |                | |              \
 | | |> PLAY.       | |                ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 基本スタンスは
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )     天狗総受け
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
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540風と木の名無しさん:04/10/21 23:53:30 ID:7tjt6HbH
肌寒い暗がりの中でハノレカは目を覚ました。
すぐに違和感に気が付く。
いつも自分の寝床に勝手に潜り込んできては
うざったいぐらいに引っ付いて眠っているカソタロウの姿が、隣になかったのだ。
「どこ、行ったんだ…?」
低血圧で働きの鈍い頭で懸命に考える。
しかし皆目検討もつかない。
現在の時刻は深夜、仕事で出かけるとしても自分に一言あるはずだ。
次第にざわざわと騒ぎ出す胸を掌で押さえ、布団の上に起き上がった。
秋の冷気に体をぶるりと震わせ、ハノレカは乱れた胸元を正しながら階段を下りていく。
通りがけに覗いたヨーコの部屋ももぬけの空になっていた。
ますますおかしい。
がらんとした居間の卓袱台の上には、ハルカの茶碗が無造作に置かれていた。
他に、カソタロウたちの足取りを掴めそうなものは何も残されていない。
「一体何だっていうんだ…」
途方に暮れるハノレカの耳に、次の瞬間微かな羽音が飛び込んできた。
弾かれたように居間の縁側から庭へと下り、月の空を仰ぐ。
くすんだ色した満月の中に人の影が映っていた。
5412/4:04/10/21 23:54:05 ID:7tjt6HbH
「お前…スギノか、何でここに」
不審そうに目を細めたハノレカに対し、スギノは白い羽根をばさりと翻して不機嫌な口調で言った。
「それはこっちのセリフだよ、鬼喰い」
「はあ?」
相手の言っている意味がわからず、ハノレカは首を傾げる。
「だから、何で鬼喰いがこんなとこで油売ってんだよ!」
苛立ちを含んだスギノの声が響き、ハノレカは面倒臭そうな表情で羽根を広げてスギノの近くまで飛んだ。
「スギノ、ちゃんと喋れ。何言ってるかわからん」
「何でわかんねえんだよ!だーかーらっ、お前の主人が俺のむーちゃんをっ!」
そこでやっとピンときた。
どうやらカンタロウはスギノの元にいるらしい。
しかし何だって…
「何だってカンタロウは一人で出掛けたんだ?」
「んなこと知るかよ!どうでもいいから早くあいつ連れ戻しに来い!」
すっかりヒステリーを起こしているスギノは、相手の返事も待たずに暗い空に飛び立って行った。
その後姿に一つ溜息を吐いて、ハノレカもそれに続いた。
5423/4:04/10/21 23:54:37 ID:7tjt6HbH

「ああああああっ!むーちゃぁぁん!!!!」
スギノの住処に到着直後。
予告もなく発せられたスギノの悲鳴に、ハノレカは耳を塞いで眉間に皺を寄せた。
怒りのためか驚きのためか白目を剥いているスギノのその視線の先を辿ると、
そこに探していた自分の主の姿を見つけることができた。
何故だかしどけなく着物を肌蹴させ、その胸に緑色の物体を掻き抱いている。否、スギノの連れ合いだったか。
何がどうだという風景であったが、スギノは猛烈にジェラシーを燃やしている様子だった。
横でキンキン喚いているスギノはとりあえず捨て置き、カソタロウの側まで近付いた。
「なあにハノレカ、ボクのこと探してくれてたの?」
一癖も二癖もありそうな笑顔でハノレカに尋ねるカソタロウ。
素直に肯定するのも癪で、ふいっと顔を逸らしてはみせるが、
その横顔は耳朶まで赤く染めてしまっているために全く格好がつかない。
「ヨーコもいなかったぞ」
何とか持ち直そうとハルカは話を振るが、カソタロウがくすくす笑っているのが気に食わない。
「ヨーコちゃんにはお遣い頼んであったんだよ」
「そうか。…で、お前はこんな所で何してるんだ」
それこそが本題であったが、自分がカソタロウに対して必死になっていると取られるのは不本意だ。
あくまでもさりげない口調で尋ねた。
5434/4:04/10/21 23:55:03 ID:7tjt6HbH
カソタロウはやはり嫌な笑みを浮かべながら、
「ちょっとね、ハノレカが気にするようなことじゃないよ」
反って気になる物言いで言葉を濁してきた。
悶々としたものを胸に抱えながらも、ハノレカは「ふん」と呟き、気にならないふりをしてみせた。
「うん、じゃあ帰ろっか」
「…もう用は済んだのか?」
「まあね。ハノレカ、寂しい思いさせちゃってごめんね?」
「べ、べつに俺はっ」
不意打ちに赤面していく顔を掌で隠しながら目を泳がせ、羽根を広げた。

「お前っ、もう二度とくんな!ばーかばーか!」
自称”夫婦”の片割れを抱きかかえた白天狗が暴言を吐くのを気にも留めず、
カンタロウはしっかりとハノレカの腕にしがみついた。
「またね、むーちゃん、スギノ様」
「だからもう来るなっ!」
スギノの怒号を背に、カソタロウはにこにこと、ハノレカは腑に落ちない表情で家路へと飛び立った。

544風と木の名無しさん:04/10/21 23:55:50 ID:7tjt6HbH
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 喘ぐ天狗を見たかったんだけどね
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )    HAHAHA
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


機会があれば次こそ天狗総受けでリベンジに来ます。
初挑戦でしたが、なかなかむずかしいね(;´Д`)
545481-486:04/10/22 01:09:31 ID:iqxTlwYH

                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | ”月と太陽”の翌日なんだナ
                    | (一部事実に基づいてるんだってサ)
 ____________   \          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |     ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 萌えじゃなくて(オチで)スマソ。 
 | |                | |              \
 | | |> PLAY.       | |                ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ オチ…?
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
546!Dios mio!1:04/10/22 01:11:20 ID:iqxTlwYH
 身体の節々が痛む。別の”ある特定の場所”については言うまでもなく。昨夜の無体の所為だ。
 ある意味自業自得とは言え、”何も前日に…”と少々彼を恨む。東南アジア特有の蒸し暑さも
相まって、このまま寝込んでしまいたい、とさえ思う。
 気が重いまま、何とか着替えを済ませてピットに入る。ここから先は個人的な気分や感情は
持ち込んではいけない。軽く頬を張って気持ちを切り替える。
 真っ先に目に飛び込んでくる青いマシン。直線では300q/hを超えるスピードで疾走する
”モンスター”は、共に世界一を目指す”相棒”だ。
 全幅の信頼を寄せるメカニック達にその身を任せる”相棒”を眺めながら、傍らのチーフメカニックと
打ち合わせを始める。マシンの性能や特性、自分の技量や好み、現地の気候や路面状況、
それらの要素を摺り合わせて、最適なセッティングを施す為に。引いては勝利の為に。
 限られた時間の中、決めなければならないことは多い。様々な分析・改善に忙殺され、
昨夜のことも、身体の不快感も忘れ去られようとしていたのだが。
 青の多い視界の中に、ふと、感じる違和感。どうもマシンが気になる。
 会話を続けながら、相手の目を盗んで改めてマシンを見直して、やっとその正体を突きとめた。
 
 違和感の正体は、リアカウルに鎮座する”それ”。

 ”それ”は、マシンの色々なところに取り付けられ、世界に映像を送る。
 フロント部から前方を行く他車を捉えたり、手元や足元でスロットルやレバー、ペダルの操作を映したり。
 リアカウルに取り付けられた場合は、向きによってその役目が変化する。後ろを向いていれば、
後方のマシンとの距離を測り、前を向いていれば、背後からライダーの姿を捉え、コーナリング時の
体重移動や接近戦などの様子を臨場感豊かに送り届ける。
547!Dios mio!2:04/10/22 01:11:57 ID:iqxTlwYH
 今回、”それ”は前方を向いていた。
 普段は特別気になるものではないし、嫌なものでもない。レース後、”それ”に向かって手を振る
ことさえあった。
 が、よりにもよって今回、”それ”…オンボードカメラが、背中から腰を大写しにするその位置に
取り付けられるとは。
 只の偶然なのは分かっている。それでもこの偶然をもたらした神を呪いたくなった。
 こんな状況でレースに集中なんて出来るのだろうか。

 最悪の週末になりそうな気がした。
548481-486:04/10/22 01:13:03 ID:iqxTlwYH
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
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549風と木の名無しさん:04/10/22 15:10:49 ID:NZQKRFE+
厳靴王最高です (*´∀`)ハァハァ
ネ申!!
550風と木の名無しさん:04/10/22 16:01:04 ID:hqj+yXhp
>548
GJです。オチにニヤニヤ(・∀・)
しかし二人は和解できるのかそこがすごく気になる。
該当スレ熟読したらわかるかしら。

551481=専用スレ131:04/10/23 18:12:20 ID:gaBA3dIc
>462-465
Σ(゚Д゚;)スマソ、メル欄見てなかった…_| ̄|○遅れてゴメンナサイ…
GJ!GJです!毛根まで全滅する程禿萌えです。
状況を想像して(*´Д`*)モエモエ (・∀・) ニヤニヤしてます。カワイイナァ…v
552風と木の名無しさん:04/10/24 00:44:03 ID:zTOS1dKY
白色巨大建築物、肉食獣系偉丈夫56×マウス系ちんまい3103。
新作の逆配役イメージですが、科白を少し脳内で弄って民矢版で上映してもいいかも。

|> PLAY.
553大56×小3103 - 1/6:04/10/24 00:46:54 ID:zTOS1dKY
大学病院の朝8時半。外来待合室は既に大勢の患者で埋まり、一日が始まる
慌ただしい時間を迎えている。
一方教員たちの個室が並ぶこのフロアは、ほとんどの者が出払っているため
ひっそりとしていた。その静けさの中をパタパタと、ほとんど小走りに
廊下を辿る足音が響く。
急いでいるのは第一内科の聡観医師だった。彼は目的のドアに到達すると
「在室」の表示にちらりと目を遣っただけでノックもせずに引き開け、
くたびれた白衣の裾を大きく翻しながら中に飛び込んだ。
「剤全!」

部屋の主は広い背中をこちらに向け、中央の空間に仁王立ちしていた。
オーケストラを指揮するごとく上げた手を空で止めたまま、塑像のように
動かない。
その意味を瞬時に察した聡観は己の失態を呪った。
「イメージトレーニング中だったか、すまん」

ゆっくりと振り返った眼差しの冷たさに、闖入者は申し訳なさそうに首を竦める。
「邪魔して悪かったよ。どうしてもK村さんの事が気になって、もちろん後で
見にも行くが、その前に術式について君に説明してもらおうかと――」
「オペの前は部屋に入らないよう、部下には徹底しているんだが。どうやら
他科にまで通達を出さなくてはならないようだな」
いかにも苛立たしげな声音と共に第一外科の助教授はずい、と聡観に近付いた。
華奢な内科医は気圧されて一歩後ずさる。
「……すまなかった、退散するよ。続けてくれ」
「最初からやり直すにはもう時間が足りない」
剤全はちらりと壁の時計を見上げる。
554大56×小3103 - 2/6:04/10/24 00:49:49 ID:zTOS1dKY
「そうか……、本当に悪かった。もっと早くに来るつもりだったんだが、未明から
ずっと救急の手伝いに呼ばれていたものだから。慌ててしまって考え無しだった。
もうこんな真似は決してしないよ、約束する。僕が邪魔してやりにくくなって
しまっただろうか。本当に申し訳ない事をしたが、頼むよ剤全、K村さんの手術、
頑張ってくれたまえね」
気遣わしげな瞳で熱心に訴える聡観。自分が引き起こした外科医の不機嫌を
何とか宥めようと必死だ。そんな彼を見下ろして、剤全は傲慢に言い放つ。
「もちろんだ。俺が切るのに失敗などあり得ない。それに――」
「相変わらず頼もしい事だな! 君が引き受けてくれて良かったよ。――あ、
ごめん、何だい?」
曇っていた表情をぱっと一転信頼の笑みに変えた聡観だが、相手の言葉を遮って
しまった事に気付いて先を促す。
「――集中力を上げる方法は他にも有るさ」
え、と思う間もなく聡観は長い腕にすくわれて壁に標本のように止められた。
そして抗議しようと開きかけた唇の意図は完全に無視される。
「ん、……っ」
噛み付くようなキス。下唇を貪り喰われてしまいそうだ。
剤全のこんな狼藉は今に始まった事ではないけれど、このやり口には腹が立った。
大事な時間の邪魔をした自分が悪いのは認める。だがここは病院、そして彼は
この後難しい手術を控えているのに、あまりにも悪ふざけが過ぎるというものだ。

身をもぎ離そうとした聡観だが、憤りを覚えたのと同じ理由が抵抗を躊躇わせた。
自分をがっちり捉えている剤全の手。それはこれから人ひとりの命を左右する
緻密な手技を行なうのだ。下手に払いのける事はできない。胸を押し戻して
やりたいところだが、相手の体重ごとぴったりと押し付けられていて無理だった。
体格で大きく劣る上に反撃も出来ないのであれば、せいぜい平手で肩を叩いて
放せという意思表示をするくらいだが、こちらの希望など汲んでくれる相手ではない。
なす術が無くなった聡観は、小さく頭を振ってせめて唇だけでも逸らそうとした。
555大56×小3103 - 3/6:04/10/24 00:53:57 ID:zTOS1dKY
聡観が抵抗を控えている事は剤全にも伝わっていた。鼻先でフフンと笑った相手が
唇を離したので、これで解放されると聡観はほっと息を吐く。しかし、
「聡観先生はいつも思慮深くていらっしゃる」
そんな言葉と共に今度は直接頭を掴まれた。
顎関節を押されて開いた前歯の間から、剤全の舌が侵入してくる。それは中で
暴れ回り、吸い上げ、絡み付く。

こちらの気遣いにまで乗じる相手に本気で怒り始めた聡観は、外科医の舌を
押し戻して口を閉じようと躍起になる。
それに気を取られているうちに、いつの間にか膝が割られ、剤全の大腿が聡観の
内股から前を嬲っていた。
驚いて身じろぐと、中心を下からとん、と軽く突き上げられた。
剤全が居なければ知るはずのなかった感覚が、容赦なく背骨を這い上がってくる。
さらに顎を掴んでいた手が壁と聡観の背中の僅かな隙間をこじ開け、尻の肉を
揉みしだき始めた。
これはもう戯れや悪ふざけの域を超えて、直接その先に繋がる行為だ。
そう気付いて聡観はパニックを起こしそうになる。
(いやだ、止めてくれ。ここは病院だぞ。おまけに今は朝で、……僕は外来に
行かなくちゃ。君だってこれから、そうだ、K村さんの手術――!)

しかしその時には既に、改めて抵抗を始めるどころか力が抜けてまともに
立ってさえいられなくなっていた。下から自分を嬲る膝の上にくずおれていきそうな
身体を剤全がぐいっと引き上げ、今度は顎に軽く歯を立てる。
唇がやっと解放されたものの、それまで奪われていた呼吸を貪る方が先だった。
続いて首を舐め下ろしていく生温かい濡れた舌が、酸素を求めて慌ただしく動く
喉仏をまさぐるようにひと回りする。舌の新たな進路を確保しようと、無遠慮な
指がネクタイを緩めにかかるに至って、聡観はようやく小さい声を上げた。
556大56×小3103 - 4/6:04/10/24 00:55:56 ID:zTOS1dKY
「剤全、もう、っ……時間が――」
「判ってる」
次の瞬間、いきなりぽいと捨てるように総ての圧力が解かれた。

その場にくたくたとへたり込んだ聡観を、一歩下がった剤全が満足そうに
見下ろしている。
「ごくろうさん、聡観。君のおかげでテンションを上げられた」

――彼は何を言ってる? ……ああそうか、剤全はこれからK村さんの手術を
するんだったっけ――

聡観の混乱する頭の上に、彼が最も信頼する外科医の力強い言葉が降って来る。
「任せておけよ。君のたっての依頼だ。完璧に処置してみせる」
「そうか……ありがとう、頼むよ。」
礼を言いたい気分ではなかったが、それとこれとは別なのだ。――たぶん。
聡観は胸に手を当てて、弾む息を落ち着かせようとする。落ち着かせたいものは
もうひとつ有った。十代の少年じゃあるまいし、どうして彼に触れられると
こんな事が起こってしまうのだろう。

つかつかとデスクの前に戻った剤全は立ったままメモに何かを書いて破り取り、
聡観の鼻先に突き出した。
「……後でここへ」
紙に目を落とした聡観の頬がさっと紅潮する。その場所へ赴く目的はひとつしか無い。
「な、ん――」
「手術の前は集中力を高める必要が有るのと同じように、術後は興奮を治めなくちゃ
ならん。付き合え」
「……どうして僕が。君には、」そういう相手がちゃんと居るんだろう。
言いさして口ごもる。剤全の女性関係は半ば公然となっていたが、それを面と
向かって指摘するには、聡観には良識が有りすぎた。
557大56×小3103 - 5/6:04/10/24 00:58:43 ID:zTOS1dKY
剤全は相手のそんな心中の機微などまるで意に介さない様子で言葉を継いだ。
「『医者は神様じゃない、人間だ』と君は言ったな」
「……ああ。」
唐突な物言いに、頷きながらも聡観は戸惑う。
確かに言った。2・3日前だったろうか、だから医師も謙虚であるべきだ、と
訴えたつもりなのだが、何故今ここでそれを――
「そして、俺の手技が神の技だ、とも」
「あ? ああ言ったよ。……そうとも、君の技術は超一流だ。だから安心して
任せられる。頼むよ剤全、K村さんは早期発見と呼べるかぎりぎりのラインだと
思うが全身状態は悪くないし――」

聡観はぺたりと座り込んだまま、それでもいつもの生真面目な、患者第一主義の
医師の顔に戻りかけた。そんな内科医に、剤全は次の言葉を投げ付ける。
「さて、俺は神ならぬ身で神の技を振るうんだ。どこかでバランスを取る必要が
有るのさ」
目の前に勢い良く膝をつかれて、聡観はびくっと身を震わせた。その振動だけで
まざまざと蘇ってきた感覚を悟られまいと、白衣の前を不自然にかき合わせる。
剤全はそれには素知らぬ顔で話し続けた。
「神の手を振るったら、俺の中では悪魔が暴れ出す。君は俺の中の神を利用する
んだ。なら、悪魔の部分の面倒も見てくれなくちゃな。君にはその責任が有ると
思わないか?」
「きみが何を言っているのか分からない――」聡観は弱々しく呟いた。
「平たく言えば、オペの後はひどく興奮するって事さ。難しいものであれば
あるだけな。K村さんは、君も承知の通り、実に困難な症例だ。君がそれを
持ち込んだんだから、責任を取ってくれって言ってるんだ」
558大56×小3103 - 6/6:04/10/24 01:03:28 ID:zTOS1dKY
精密な手技をこなす神の右手ががしりと聡観の肩を掴み、熱を宿した悪魔の瞳が
聡観の顔を覗き込む。
「――それに、君だって」
剤全の左手も既に悪魔の領域であるらしい。未だ宥め切れていなかった聡観の
部分を残酷に辿る。
聡観は息を詰めて蠢く指を受ける。剤全の要求が神の技術の代償だと言うなら、
自分がむしろ自らそれを望んでしまうのは、いったい――

「じゃあ行ってくるよ聡観」
剤全は右手で聡観の肩をひとつ叩くと立ち上がった。
「オペはきっかり35分後に始める。君は外来で何人か診てから来るつもりか? 
また遅れるといい所を見逃すぞ。
でも、まず先に服を直して――それともシャワーでも浴びてきた方がいいかな、
聡観センセイ。」

床の聡観に高笑いを残し、長身の天才外科医は大股で扉を抜けて行く。

聡観はその日、担当の外来患者たちをひどく待たせる事になってしまった。
559風と木の名無しさん:04/10/24 01:06:22 ID:zTOS1dKY
□ STOP.
560風と木の名無しさん:04/10/24 01:27:01 ID:ZBaGkhB+
>552−559
も萌え〜(n‘∀‘)η
俺様攻めの剤全がイイ!
561風と木の名無しさん:04/10/24 10:11:16 ID:HWFaWMee

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
本スレに行ってSS置いてみましたが………エヘヘヘヘヘ………
もうここの子にして下さい。
Zロリの>>287から数ヶ月後あたり。
花嫁せんせ奪還妄想。やはり奪還はこの方に。
5621:04/10/24 10:12:28 ID:HWFaWMee
 蟻の這い出る隙間もないほどの数の警察官に囲まれて、Zロリはゆっくりと歩を進めていた。
警官に追いつめられ、女装して逃げようとしたのに、その姿に一目ぼれされてしまい、
あれよあれよと話は進み……ウェディングドレスで今ヴァージンロードを歩いているのだ。
最初はなんとか逃げようということでと頭がいっぱいだった。
しかしウェディングドレスを身に付け鏡を見た時、まるで魔法にかかったようになってしまった。
夢うつつ…………雲の上を歩いているようだ。幸せってこんな気持ちか?
これが……ボクちゃんの運命だったんだね。ママ…………

「きれいだよ。Zロエさん」
好青年Iヌタクがやさしく迎える笑顔にそのまま流されていきそうだった。
たとえZロリが正気でも、ある意味警察にすっかり包囲され、身動きのできない状況だ。
頼みの綱の双子はまだ現れない。

「それでは指輪の交換を」
式は進む。夢はこのまま覚めないのか?
「誓いのキスを」
ヴェールがそっとあげられ、端整なIヌタクの顔が迫ってくる。
二人の唇が重なろうとした、まさにその時。
鼻先に何かが落ちてきた。小さいものだったので、それに気がついたのは
落下物の近くにいたIヌタク、Zロリ(今はZロエ)そして神父の三人のみ。
「これは……?」
Iヌタクがおもわず足元に落ちたそれ=深紅の薔薇一輪を拾おうと屈んだ時だった。
式場がどよめいた。顔をあげたIヌタクは信じられない光景を見た。
教会の天井にできた空間の裂け目から、手袋をはめた機械の手が現れ、
花嫁をすばやくつかんでまた裂け目に消えていったのだ。
「わああっっ!!ゾロエさ〜〜ん!!」
あまりに突然のことで、どうすることもできなかった。
式場は騒然となった。もう式どころではなかった。
5632:04/10/24 10:14:31 ID:HWFaWMee
機械の手は無造作にZロリを座席に投げ込んだ。
逆さまに置かれて、しばらくもがいた後やっと座席に収まったZロリは折れ曲がった耳を整えながら隣に目をやった。
思った通り、涼しい顔をして操縦しているGオンがそこにいた。タイミングよく現れたのはなぜだか謎だが。
乱暴に扱われたおかげでZロリはすっかり正気に戻っていた。
「お…おかげで助かった…」
「礼はいらない。当然のことをしたまでだ」(キミは私のものだからな)
(心の声)までは読めずキョトンとするZロリをちらと横目で見て、Gオンは鼻先でフッ、と笑った。
「よく似合ってるじゃないか」
その一言にZロリは爆発的瞬間的に赤面した。
「だあっ!!うるさいうるさ〜い!!こんなモン誰が好きで着てるかあっっ!!」
めちゃくちゃに暴れだし、引きちぎるような勢いでウェディングドレスを脱ぎ捨てた。
裸になって着替えがないことに気付き、(あ。しまった)という顔をする。
Gオンは今度はクックッ……と押し殺したように、しかし楽しそうに笑うと、シャツを投げてよこした。
見事に狙い通りに行動したZロリがたまらなくかわいい。
「これでも着ていたまえ」
Gオンのシャツ?なんか少し大きいが…しかたがない。
「それにしても………これ、作っちまったのか?」
「ああ。ついこの前完成した。今日が試運転だ」
時空移動マシン。この前作るぞ宣言をしてからまだ日は浅い。もう完成させるなんて。
Zロリの物作りの血が騒ぐ。眼を丸くキラキラ輝かせながらあちこち触ってみている。
「ここはどうなってんだ?何使ってんだ??」
「おい。今大事な所だからいじるな。今いる亜空間から出られなくなる」
「あ、亜空間??」
「…………よし、抜けたぞ。外を見てみるかい?」
5643:04/10/24 10:15:37 ID:HWFaWMee
窓に目を向けたZロリはいきなり泣きながら窓に突進してGオンを驚かせた。
「あっ!!ママ?!………ママーッ!!」
ベシッ!!!
「んがッ!!あだだだ鼻が〜〜!!……なんら…おでさまが映ってたのか……」
結婚式用の気合の入ったメイクのままだったのに気がつきシャツでごしごしとそれを落とすZロリを横目で見ながら、
母親はさぞ美人だったんだろうなとGオンは考えた。それにしても、もしあの時イノシシの双子に会わなかったら
Zロリは今頃…………そんなことは許さん!…絶対許さん!!

 窓の外は見渡すかぎり星だらけだった。宇宙を飛んでいるのだ。
「どうだ?」
「ど、どうだって、宇宙服とかヘルメットとかしなくていいのか??」
「優先度を考えたまえ。ここでヘルメットなんかかぶったらどうなる?」
「?」
(キスができないだろう?)
最後の言葉は口には出さず、目で言ったつもりが、Zロリはもう窓の外を見ていた。
Gオンはガクッと座席からコケそうになったが持ち直し、後姿を見つめた。
Zロリはゆったりしたシャツ一枚だけを身につけて、熱心に窓の外を見ている。
首まわりがゆるいため、少し横にズレて片方の肩がのぞいている。目のやり場に困るというか…
いや。今この世界にはGオンとZロリの二人だけだ。警察も追ってこない。邪魔する者は誰もいない。
オオカミさんキツネくんをいただきま〜す!さあどうぞ状態である。
Gオンは少し息が荒くなってくるのを感じたが、あまりにZロリに危機感がなさすぎるので
かえって手を出すのをためらってしまう。
Zロリは星しかない景色をそろそろ見飽きたのか、今度は機内をキョロキョロ見回し、素直に感動している。
「やるなぁぁ…Gオン」
「フッ…どうだ。まいったと言え」
「やなこった!おれさまだってこのくらい作ってみせるぜ」
(ああ…つんとした鼻を上に向けるしぐさと、とがらせた口元がカワイイよZロリ)
「こっちはどうなってんだ?!」
Gオンが胸を高鳴らせながらじっと見ていることなどかまわず今度は座席の下を覗き込む。
(そ、そーいうポーズをしては…おいしそうなうなじが丸見えだ!!)
5654:04/10/24 10:17:18 ID:HWFaWMee
もうたまらん。こっちの心臓が破裂しないうちにいただきます!!と、Gオンが決心した時だった。
「お、おまえたちこんな所でどうした?!」
「あ、せんせ!!」
「せんせ心配しただよ〜〜!!」
思いがけない場所で師弟が再会している模様だ。
「な、なに?!」
座席の下からのそのそと出てきた双子に、Gオンはおもわず食ってかかった。
「キ、キミたちには外で待っているように言っただろう!!」
「だども、オラたちやっぱZロリせんせが心配だっただよ」
「早く会いたかっただよせんせ〜〜」
「座席の下にもぐりこんでそのまま寝ちまってたのか」
IシシとNシシはZロリの首と腰にオラのものだと言わんばかりにしがみついて甘えた声を出している。
(うう〜そこは私がさっきからずっと狙っていたのに〜…………!!)
再会を無邪気に喜ぶ師弟の横で、Gオンはため息しか出てこない。
(はぁ…絶好のチャンスだったのに…………んっ!!)
意気消沈して垂れていたGオンの耳がピッと立った。ただならぬ雰囲気を感じたZロリも緊張した顔になる。
「どうした?」
「二人で飛ぶ分の燃料しか積んでいない」
「へっ?」
「IシシとNシシの分は計算に入っていない。重量オーバー…」
Gオンが全てを言い終わらないうちにZロリは行動しだした。機内のものをガンガン捨てる。
「お、おい…」
「飛ぶのに支障なさそうな物は遠慮せずに捨てろ!!軽くするんだ!!」
「ハイだぁぁっ!!」
「なんかわかんねぇだがこれも捨てるだぁっ!!」
宇宙空間には機内にあった物が散乱した。真っ先に捨てられたウェディングドレスがそれらを導く天使のように
ふわふわと漂っていた。
5665:04/10/24 10:18:06 ID:HWFaWMee
「まだ重いか……このシートは要らんな!運転席のシートも捨てる。どけ!」
「Zロリ、待て!!壊す気か?!」
「ぶわっかもぉぉん!!みんなの命がかかっているのにシートを惜しんでいる場合かぁぁっっ!!」
興奮して振り回した手足が触れてはいけない何かに触れたのか、ブシュン…という、イヤな音がした。
引力圏内に入っていたのか、機体は大きく傾き、落下を始めたらしい。
「落ちる!!落ちるだぁぁ〜〜〜!!
「オラたちどうなるだかなぁ〜〜!!」
「あつッあつッ!!おれさまたち、今ひょっとして地上から流れ星に見えてるのかぁ〜〜?!!」
Gオンは必死に立て直そうとしていたが、やがて席を離れすばやくZロリに近付き、抱き寄せた。
華奢な体だ。あの警官に女だと信じ込まれていたのも無理はない。
「やるだけのことはやった。あとは運を天にまかせる」
これが最後になるかもしれない抱擁。足元で騒いでいる双子など今は眼中にない。
Zロリに頬を寄せてGオンは静かにささやいた。

「Zロリ。キミはどこに落ちたい?」
567風と木の名無しさん:04/10/24 10:23:06 ID:HWFaWMee
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 009ニオマージュナンデス
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
おそまつさまでした。
568風と木の名無しさん:04/10/24 11:25:34 ID:OB6Zd85v
ラスト一行に笑った
569風と木の名無しさん:04/10/24 11:29:50 ID:ocbrLVCT
ジェットキターw
570風と木の名無しさん:04/10/24 11:44:02 ID:fjzTZMab
ラストの一行誰だったか忘れてて悩んでた。
>569さん、ありがとう。
571風と木の名無しさん:04/10/24 22:36:34 ID:HdufGOYm
>552GJ
ありありと民也版56310映像付きで再生されますた。
すごく…いいです…
572風と木の名無しさん:04/10/24 22:41:55 ID:RzKtW7E2
>>561-567
ラスト1行に不覚ながらドッキリしました
もうGJ!!
原作わかんないので本スレに行ったことないけど
Zロリ(・∀・)イイ!!
573風と木の名無しさん:04/10/25 00:47:24 ID:v0eZWJSz
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  某県王ビィトパロです。深緑の知将×ハンサム君
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ぶっちゃけ需要なさそうですが投下… | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
574風と木の名無しさん:04/10/25 00:48:10 ID:v0eZWJSz

「ビィトっ!!」
朝日に眩しく光る金髪の美しい少年が、黒髪の意志の強そうな目をした少年に駆け寄った。
「キッス、そんなに慌ててどうしたんだよ?」
金髪碧眼の少年は、呼吸を整えてから急いて言った。
「そんな暢気なこと言ってる場合じゃないんだよっ!!僕っ、僕っ、おおお財布落としちゃったんだよぉ!!」
泣きそうな、いやもう半泣きな美少年に対して黒髪の少年はあっさりと。
「え、別に。野宿すればいいじゃん。」と楽観的だった。
「ビィトォっ!!僕はお風呂に入りたいんだよ!温かーいお風呂に!」金髪の少年、キッスが訴えた。
が、「なくしたのはお前じゃんか」と黒髪の、ビィトに言われ、何も言い返せるはずもなくキッスは黙り込んだ。
「うぅ…確かに悪いのは僕だよ…けどやっと報奨金が手に入って、まともな生活が出来ると思ったのになぁ…」
はあぁぁぁ、と暗くて長いため息。肩もだらしなく下がっている。けれど次のビィトの台詞にキッスは素早く反応した。
「…オレの手料理嫌いか?まずい?見た目よりはましだと「全然まずくなんてないよ!!」
「僕、ビィトの作ってくれる物は何だって大好きだよ!」たぶん、と心の中で付け加えて。
「そっかー。じゃあ何の問題もねぇじゃん!」にかっと笑う。ビィトはとても単純だった。
「う、うん。そうだね…」
自分にとってはある種告白だったのにも関わらず、スルーされてしまったキッス。
少しショックだったが返事を返すことはできた。
575風と木の名無しさん:04/10/25 00:48:44 ID:v0eZWJSz
キッスはビィトが大好きだった。彼の力に成りたいと思っているし、成るつもりだ。
彼は普通の人と違う、特別な人だとキッスは信じていた。直感のようなものだった。
ビィトなら、彼なら、本当にこの暗黒の世紀を終わらせてくれるかもしれない。いや、終わらすに違いない!
そう思わせる何かがあった。
こんなひ弱な自分でも彼のために出来ることがあるならしたかった。
命を投げ出してもいいと、思っていた。(そして当時僕は知らなかったがビィトに惹かれた者は皆そう思っていたようだ)
何故だろう。その尊敬に近いような友情の気持ちは、最近どうも形を変えてしまった。
ビィトに見つめられるとドキドキする。ビィトを見つめるとドキドキする。
彼に触られると顔が熱くなる。彼に触ると顔が熱くなる。
聡い自分にはすぐに分かった。典型的な恋煩いというやつだった。
勿論、この気持ちを打ち明ける気などもうとうに無い。彼には未来の奥さんがいるのだ(ポァラと言うらしい)
今は、彼とパーティーを続けていられればそれで幸せだった。
576風と木の名無しさん:04/10/25 00:49:46 ID:v0eZWJSz
グリ二デ城の与えられた自室で、自分の主に組み敷かれながらキッスはそんな清い時もあった、と回想していた。
自由だったあの頃。毎日が楽しかったあの頃。ビィトという希望を抱いていたあの、頃。
今の自分は、とてもじゃないが親友に見せられる姿ではない。こんな。醜い今の自分。
人間を裏切り、魔神の配下として活動する日々。
それどころか、夜は、魔神グリ二デの慰み者だった。 僕の何が「閣下」のお気に召したのだろう。
魔神は基本的には人間の美醜は分からないが、個々の美意識というものがあり、
自分にとって美しいものは好きらしい。(フラゥスキーなんて良い例だと思う。)
閣下は、僕の顔が美しいという。自慢ではないが、人間の世界においても僕は美しい部類に入る(らしい。)
でも、閣下が指すのはその「美しい」ではない。閣下の言う「美」とは、左右対称の黄金律のことだ。
何でも、僕の顔(と体)は左右対称かつ黄金律らしい。…よく分からないがそうじゃなければ良かった。
閣下の夜のお相手は正直体への負担が大きい。何より、精神的にもまいる。
(別に閣下が初めての相手だったわけではない。
あの、憧れの戦士団のメンバーに僕は抱かれていた。よくある話だ。)
僕の汚れた体で、ビィトに触れることが出来るだろうか。
いや、本当はそんなことを心配しているんじゃない。
男の熱を受け入れることを知ってしまった僕が、ビィトを望んでしまうのではないか、
それこそが僕が恐れていることだ。本当に、僕は汚い。
ビィト。ビィトビィトビィト。ビィト!
彼の力強い瞳が濁ることは決してないだろう。もしそんなことがあったら、きっと世界の終わりだ。
だから僕は、彼の親友のままでいたい。
彼に軽蔑されたり、ましてや同情されるなんてまっぴらだ。
淫乱になってしまった僕を知られたくなんてない。彼、だけには。
577風と木の名無しさん:04/10/25 00:50:23 ID:v0eZWJSz
ぱしっ と、グリ二デ様に軽く頬を叩かれた。
「集中したまえ。キッス君。」
「はっ…あ…も、申し訳ございませんっ…」
閣下のゴツゴツした指が、僕の体を撫でる。
指が下の方に行くと、僕はいつも身を固くしてしまう。
「キッス君…君はいつまでだっても慣れないのだね…体はこんな感じているのに。」
「っあ!ぁあ…も、もう…あっあっ!」
閣下が急に秘所に触れたので、僕は嬌声をあげた。
「もう…なんだね?まだまだいけるだろう?」
閣下は僕の快楽に歪んだ顔を見て心底楽しそうに笑われる。
そういう時の閣下の目は、いつも、獣のような雰囲気がある。
僕は背筋が凍る。「深緑の知将」と呼ばれている閣下の本性は、「こっち」なのかもしれない。
などと考えているうちに、グリ二デ様は下帯を外し、既に高ぶったソレを取り出された。
はっきりいって、グリ二デ様のソレは大きい。人間のものよりずっと。
それに形もグロテスクだ。(まあ人間の男のものだって十分にグロテスクなものだけど)
でも、コレが僕が何も考えられなくなる程の快楽を与えてくれる。
「さぁ、キッス君。どうして欲しいか、言ってみなさい。」
閣下はそうやって僕に言わせるのが好きだ。本当に、人間じみていらっしゃる。
機嫌を損ねるわけにいかない(もし損ねたら文字通り首が飛ぶ)ので素直に従う。
「あ…閣下、どうか、僕に閣下のお慈悲を…」
578風と木の名無しさん:04/10/25 00:50:53 ID:v0eZWJSz
言うやいなや、閣下の熱いものが僕の中に入ってきた。
「っぁ!!ふ、ぅ」
入るときは未だに少し痛いが、入ってしまえば慣れた僕の体は従順に快楽を受け入れる。
僕の目から涙がボロボロと落ちる。
「ふふふ…」
閣下の体が大きくスライドする。もう、僕には何も考えられない。
「あぁ!ん,あ…あっ、あっ!かっ…か…!」

「キッス君。君が私の下で悶える姿は、最高にいいよ…」

僕の毛穴の全てからしみ出たものは
汗ではない
悲しみではない
それは深く底のない 絶望だ
もう僕には何も聞こえない。閣下のお声も。
ただ僕は、彼のことを思い出していた。もう会うことはないだろう、黒髪の少年のことを。
579風と木の名無しさん:04/10/25 00:51:30 ID:v0eZWJSz
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |    ツマンネ。  一部 残/酷/な/神/が/支/配/す/る/引用があります。
                               AAずれてるかも…
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
580風と木の名無しさん:04/10/25 01:31:36 ID:4XlTXoYR
 ____________
 | __________  |     谷部っち高校白書続きみたいだモナ
 | |                | |     
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) まだ終わらないっす〜。ヒ〜。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
581高校白書1:04/10/25 01:34:32 ID:4XlTXoYR
俺のスパイクは変わり果てた姿で発見された。ボロボロのズッタズタに
切り刻まれて、御丁寧にも靴の裏に「アホ死ねカス」のメッセージ入りだった。
「おもろいやんけ」鼻で笑ってしまう。
「お前よっぽど先輩方に愛されとるな」
「アホか」
「照れんなや!人気者?。」
「照れるか!何ゆうとんねん」
同期が気づかって軽口をたたいてくれるのだが当の本人はケロっとしたもんである。
しかし、発見された場所が笑えなかった。
丘村先輩のロッカーから見つかったと、顧問がそっと教えてくれたのであった。
3年達が全てのロッカーを捜索したところ、丘村先輩のロッカーから見つかったと
連絡をしてきたらしいのだ。
完全に罠である。犯人は3年か。
「気色悪いのう……」
俺はうんざりした。俺が気に食わないのはわかるが、丘村先輩まで巻き込むのが許せなかった。
あまりにも馬鹿らしいので俺のスパイクはグラウンド裏のうさぎ小屋のうさぎの下から見つかったということにした。
「うさぎがな、じーっとな俺のスパイク暖めてん」
「ほーう、そいでうさぎがマジック片手にアホーって書いてんな」
「そやでー。えらいうさぎがいたもんやで」
失笑を買いつつ、この話題はお終いというふうに俺は笑い話にしてやった。
そして丘村先輩のほうに向かって笑いかけてみるのだが、どうも目があわない。じっと足元をみてなにか考え込んでいるようだった。
なんやねんな。自分はわるないのやから笑ったらええやんか。
俺なんかはそう思ってしまうのだが、じっと考えこみ、とうとうその日は一言も口を聞かないまま終わってしまったのだった。
582高校白書2:04/10/25 01:35:12 ID:4XlTXoYR
「なんや、気にいらん」
「何がやの」
「とにかく気に入らんねん」
「あんたの顔がか?」
俺は隣で頬杖をつく彼女をペコンと叩いた。
「この男前捕まえて何ゆうてんねん」
「自分で言うとったら世話ないわ」
とにかく気に入らなかった。誰が?丘村先輩である。
あの日以来、何故か疎遠になった。話し掛けてもこないし、こっちから行こうとしても逃げる。
「別に捕って食おうとしてるワケではないやん、こっちも」
「何なに?何の話?」
「ないしょ」
とにかく丘村先輩には非は無いはずだ。それなのに、何故か俺をさける。
あの事件以来、俺には目立った嫌がらせは無くなっていた。平穏な日々がだらだらと続いていた。
そんなものあるかは知らんが男の勘で丘村先輩がシロなことはわかっている筈なのに。
何故か最悪の結果がよぎる。なんで俺を避けんねや?
「人間不信になんのは嫌やで、俺は…」
ゾっとするではないか。
「何難しいこと言うてんのよ。怖い顔して」
「おまえ、人間不信っつーのはなぁ、怖いで。あんな…」
説明しようとしたが、途中で面倒臭くなり「…いいわ。お前はそのまま笑っててくれ」と言い残し、家路に着いた。

それから間もなくのことである。俺の可哀相なスパイクが発見されたのがどうも丘村先輩の
ロッカーからだという噂が流れはじめた。このことを知っているのは俺、顧問、犯人の3年らだけなので
噂の発生源も3年だろう。
微妙に部員内に嫌なムードが漂いはじめた。
「あんな可愛いうさぎがおるかいな」と俺は特別普段通りに振る舞っていたが、同期達は浮かない顔をしていた。
1年のなかではまあまあ話が通じるという評判だった丘村先輩がまさか犯人だったとはという感じである。
いや、犯人は丘村先輩やないで。とは言えない。確証はないからだ。
しかも当の本人は黙秘を続けていたのである。
なんでや。なんで何も言いひんのや。
俺はギリギリと丘村先輩を睨んだ。噛みしめた奥歯がキリリと痛んだ。
583高校白書3:04/10/25 01:35:58 ID:4XlTXoYR
とうとう俺はあやしい3年にアタリをつけ直談判に向かうことにした。
卑怯なやり方にも頭にきていたし、何故だか丘村先輩にもイライラしていた。
頭の奥がワンワンとなっているような、とにかく無性に腹がたっていた。
部活内で動くと面倒なことになりそうだったので直接3年の教室を訪ねようとしたのだが、同じクラスの部員が慌てて止めにきた。
本当かは知らんが、丘村先輩の妹とつき合っているという噂のヤツだった。
「おい、丘村先輩の苦労を無駄にしたるなよ」
「はあ!?」
いきなりそいつは突拍子もないことを言い出した。
「おまえ、俺今めちゃくちゃ虫の居所悪いから、くだらないこと言ったらど突き回すど」
「ちゃうねん、ちゃうねんて!」
「はよ、言えや。休み時間終わっちまうやろ」
「これは連れに聞いたんやけどな」
連れイコール丘村先輩の妹だろう。
「先輩は3年と取り引きしててん。スパイク隠したんは3年やで。そやけどそれだけで終わったんは、先輩のおかげなんやで」
「どういう話や」
「だからようわからんけど取り引きしててん。スパイク隠したんは自分のせいにしていいけど、こんなんは最後にしてくれって言ったんちゃうか?」
「なんで丘村先輩がそんなことせなあかんねや」
「それは…」
「はよ言えや!」
「話して欲しかったらこの手を離さんかい!」
知らず知らずのうちに首を押さえ付けていた手を、そいつは苦しそうにピシャリと叩いた。
ヤツの話はこうである。
丘村先輩も1年のころ上の先輩に目をつけられ、なんやら嫌がらせが続いたそうである。
NO!イジメ宣言の丘村先輩は早速上に食って掛かった。余計状況が悪化した。食って掛かった。悪化した。
結果、身体を壊すことになった。同期も巻き込んで険悪なムードのサッカー部になったそうだ。
こんなんはくり返したくはない。そう誓った丘村先輩は悪の芽を事前に摘むことにしたのだそうだ。
自分が犠牲になることによって。
584高校白書4:04/10/25 01:36:39 ID:4XlTXoYR
「なんか、めちゃくちゃムカつくわーーーー!!!」
夕食後、庭から空に向かって吠える息子を母親が不思議そうにみていた。
「風邪ひくで。家はいり」
「うるせい。ほっとけ」
結局あの後、3年の教室には行かなかった。気が抜けたのもあるし、馬鹿らしくなったのもあった。
そして丘村先輩に腹がたっていた。
そんなんを俺に言わんと黙って片付けたのが気に入らない、何かっこつけてんのじゃ、である。
ゆえや、俺に。俺の問題やろうが。お前は俺の保護者か。
面と向かっていってやりたい。しかし、避ける。
可愛さあまって憎さ100倍。
「阿呆か!可愛ないわ!」
「なにブツブツ言ってんねん。はよ家はいりー。窓閉めるで」
母親の面倒臭そうな声がとんできた。
585風と木の名無しさん:04/10/25 01:39:18 ID:4XlTXoYR
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 次で終わります!!タブン…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
谷部兄の存在を脳内アボーンしてました。すっかり忘れてたよ。
なのでいないものとして読んでください。完全フィクションです。
586風と木の名無しさん:04/10/25 01:53:57 ID:bE+eUbwV
高校白書GJ!
次回も楽しみにしてます!
587風と木の名無しさん:04/10/25 02:00:48 ID:xUVajIp6
>>580
続きキターーーー!!
待ってました姐さん!GJ!
次回が気になるよー
588風と木の名無しさん:04/10/25 03:44:07 ID:WO7xwxra
>579
キッスイイワアー!
確かに本編でのあの執着っぷりはあんなことやそんなことをしていても不思議じゃない!
589風と木の名無しさん:04/10/25 08:04:52 ID:abCxAW3q
>579
ステキー
橙には嵌ってたから気になってはいたけど、
連載終わって全巻揃った時点で買い揃えようと思ってたのに…
読みたくなっちゃったじゃないか!モエー
590風と木の名無しさん:04/10/25 17:39:48 ID:v0eZWJSz
 ! 需要ないと思っていたのに!!(*´Д`*)ホワァァ
調子にのったので近いうちにまた投下しにきます_| ̄|○

>>589姐さん、4巻から買うのをお奨めしますvv
591風と木の名無しさん:04/10/25 18:13:59 ID:mD9+o2fe
 ____________      日曜朝8時からの闘うお兄さんの話だカラナ
 | __________  |     後輩×先輩、某度入社時のお話だカラナ
 | |                | |      無駄に長いけどエロくないカラナ
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
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592風と木の名無しさん:04/10/25 18:14:36 ID:mD9+o2fe

スカウトされて某度って会社に入ったばかりの俺、兼崎は
ア/ンデッドから人類を救う仮/面ラ/イダーになるべく今二ヶ月の研修期間中。
ラ/イダーシ/ステム1号、つまり俺の先輩、立花さんによる特訓の毎日だ。
立花さんはすげー厳しい。まぁ命かかってるから当たり前っちゃ当たり前なんだけど
もう少し優しく教えてくれないかな〜なんてたまに思う。
たまにだ!厳しくても俺の為にやってくれてるって、俺、わかってるからさ!
シミュレーション研修の後は俺が死んでいたであろう場面の対処法を徹底的に教えてくれるし。
俺が強くなる為に一生懸命教えてくれてんだって思う。

今日も朝から特訓でクタクタになって寮に帰ってきた。
家に帰る暇も無いのでこの二ヶ月は会社の寮に泊まってるんだけど
ぼろくてもやっぱ我が家が恋しいなぁ…
っつーか家賃払ってねぇよ。うちの大家さんうるさいからなぁ
ここ給料安いしこれからもきっついなぁ
でも人類の為に闘うんだし頑張らないと。
俺、皆を助けたいんだ。
593風と木の名無しさん:04/10/25 18:15:16 ID:mD9+o2fe

立花さんはずっと寮住まいらしい。
今まで一人しか居なかったからなーラ/イダー。
大変だっただろうなー…
俺、がんばんなきゃ。
早く一流のラ/イダーになって立花さんと対当に闘えるようになって
ア/ンデッドを封印しまくって平和な世の中にするんだ!
そうだ!頑張ろう!!明日はもっと早く起きて、もっと特訓しよう!
立花さんにもお願いしよう!やばっ褒められるかも…
褒められる?あの立花さんに?しかめっ面しか見たこと無いけど、笑う事もあんのか?
褒められる、かな?笑顔、見てぇな…ちょっと内線かけてみるか!
TELLLLLLLLLLLLLL…
?出ないな。もしかしてもう寝てんのか?
まだ10時だけど…
TELLLLLLLLLLLLLL…
ガチャ
594風と木の名無しさん:04/10/25 18:15:50 ID:mD9+o2fe

「あ、もしもし立花さんですか?」
「…」
「あれっ?もしもし?もしもーーし!」
「…ん?」
「立花さん?兼崎ですけど」
「ん」
「寝てました?すいません。…あのー、明日なんですけどー」
「んー」
「朝、8時からって言ってたけど、俺、早く強くなりたいんです!
 6時30分からお願いしてもいいですか?」
「ん?おねがい?」
「はい!!お願いします」
「ん」ガチャツーツーツー
「あれっもしもし?!もしもーし!」

全然褒められなかったな…

「いねーし」
約束通り6時30分に研修場に来たけど、立花さんが来ない。
立花さんは遅刻しない。
明らかに起きたてみたいな日はよくあったけど遅刻だけはしない。
やっぱり昨日のは伝わってなかったみたいだ。
仕方ない、起こしに行くか。
595風と木の名無しさん:04/10/25 18:16:31 ID:mD9+o2fe

ピンポーン
「立花さーーん兼崎ですーおきてくださーい」
ピポピポピポピポピポピポピンポーン
居ないのか?もしかして入れ違いだったとか?
「たーーーちーーーばーーーーなーーーーさーーーーーー」
バンッ「うるっっさいわねーなんなのよ朝から!!」
「ウェッ弘瀬さん!立花さんの部屋の隣にお住まいで…?」
「なんだ兼崎君じゃない。違うわよ。こっちは仮眠室。
昨日夜ちょっとトラブルがあっからここに泊まったの。
何?立花さんに用?無理よ立花さん外から呼んだくらいじゃ起きないわよ」
「そ、そうなんですか?」
「もともと寝てたら起きないけど、昨日夜遅くトラブルがあってね。
立花さんも朝方までそれにかかりっきりだったから、余計ね。」
「えっでも10時には寝てたっぽかったけど」
「立花さん忙しい人だから。ラ/イダーだけど研究員でもあるから。
それに加えて今は君を育てなきゃならないし、ちょっとでも時間が空いたらその時が寝る時なのよ。」
「そうなのか…俺は、自分の事しか… すいません!俺、一人で頑張ってきます!!」
自分の考えて多事が恥ずかしくて、ダッシュした。
俺は、俺は、ちくしょーーーー!立花さんが来るまでに腕立て1000回やってやる!
…とか思っていたのに弘瀬さんの次の言葉に俺はユーターンせざるを得なかった。
「ちょ、どうしたのよ兼崎君!立花さんの部屋の鍵はいいのーー?!」
「なんだって?!」
596風と木の名無しさん:04/10/25 18:17:16 ID:mD9+o2fe

立花さんを起こすのは至難の業
というわけで立花さんの部屋の鍵は隣の仮眠室に常備してあるらしい。
立花さんのプライバシーって…

ガチャリ
当たり前だけど鍵が回ってしまった。
うわ…なんかドキドキする。悪い事してるみたいだ。
「失礼しまーす…」
中は質素なものだった。
ワンルームで俺の部屋よりやや広め。
机の上には繋ぎっぱなしのパソコン。
小さな冷蔵庫。窓にはブラインド…ぺちゃんこの寝袋みたいなものから、人の寝息が聞こえてきた。
「たちば…」
あれっ?そういえば、入ったはいいけど…
俺もう立花さんを起こす気無いんだった。
じゃ、なんでこんな事してんだ?
強くなるための腕立て1000回は?
あれ?おかしくないか俺?
自分の行動が自分でわかんなくて、しばらく体育座りした。
597風と木の名無しさん:04/10/25 18:18:03 ID:mD9+o2fe

立花さんは起きそうにない。ずっと規則正しい寝息が聞こえている。
…疲れてんだよなあ
俺は、自分の事しか考えないでこの人の時間をさらに奪おうとして。
馬鹿だから、一回で覚えられないし。ほんと、足引っ張ってばっかだ。
褒めてもらおうだなんて…馬鹿みてぇ。
強く…なりてぇな。いや、なるんだ。この人が少しでも楽になるように。
平和な世の中になって、立花さんの笑顔が見れるように。
立花さんの笑顔が、笑顔が、寝顔が、寝
寝顔…今寝てんだよな。
珍しい物だからちょっと見ておこうかな〜
寝てるときもしかめっ面だったりして…

立花さんは顔まで寝袋みたいなのに埋まるように寝ていた。
俺はそっと近付いて、寝ている立花さんの顔の横に正座して、
顔に触らないように寝袋に手を掛けて、そっと下ろしてみた。
598風と木の名無しさん:04/10/25 18:19:42 ID:mD9+o2fe

び っ く り し た 。
すげええええええええええびっくりした!!
なんで目開いてんだよ!寝てないのか?あんた寝てるんだろ!普通に寝てくれよ!!
寝息は相変わらずだから、どうやらこれでも寝ているらしい。
目が大きい人は寝てる間に目が開くとか聞いた事あるけど、本当だったんだな…
あまりの恐ろしさにマジマジ見ていたら色々気が付いた。
例えば眉間のしわがない。目つきも普通。いつもは睨んでいるような一重だけど、
この人本当は二重だったんだ。しかも結構なくっきり二重で切れ長、垂れてて黒目がちな澄んだ目をしてる。
鼻はスッと通ってるし、これあれだ、イケメンてやつだな。
あ、この唇の形好き。いいなー俺もこんな唇欲しい
ちょっと開いてて、よだれのあとみたいなのがついている。熟睡だなー
「かわいいー」

はっとした。
今、立花さんのほっぺたつっついてたのか俺?
唇とかぷにぷにしちゃってたのか俺?
よだれの後とかふいてあげてたのか俺?
最初は正座してたのに、いつのまにか頬杖ついてスゲー近くで見てるし。
俺、もしかしてヤバイ人?
599風と木の名無しさん:04/10/25 18:20:29 ID:mD9+o2fe

ああーもういいかな〜今日は。
俺ってイシハクジャクだ…腕立て1000回は明日絶対やりますから、すいません!
なんか、もうちょっとこのままで居たくてどうしようもないんだよ。
立花さんのまぶたを手で覆って、開いた目を閉じてあげた。
「あ、もっとかわいくなった…」
もういい。かわいくていい。だってなんか、かわいいんだからしょうがねぇや。
やっべニヤける。
笑顔もかわいいんだろうなぁ…
いつか笑顔も見たいです立花さん。
平和になっても、一緒に整備とかしちゃったりしてさ、
二人で、二人で一緒に頑張ろう!とか言っちゃってさ、たまんねー!
俺、頑張ります。もーめちゃくちゃ頑張りますから!
もっともっと、スッゲー頑張りますからね!

ひとしきり立花さんをながめた後、いつの間にか寝てしまったらしい俺は、
その後自力で起きたらしい立花さんの一撃で起きる事になる。
600風と木の名無しさん:04/10/25 18:21:25 ID:mD9+o2fe
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) そのうち後日編も見る予定だからな。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
中途半端ですいません。。
601風と木の名無しさん:04/10/25 19:28:58 ID:6Q5T3XG1
>>591-600
か、可愛いなぁ…
後輩も先輩も、可愛いなぁ…(*´∀`)ツヅキガタノシミディス
602風と木の名無しさん:04/10/25 20:48:40 ID:Ci/TzPTg
>591-600
GJ!
可愛かった〜(*´Д`)ポワワン
先輩は寝てる時ホントに無防備なんだな…。
603風と木の名無しさん:04/10/25 21:22:22 ID:qgiXEsyq
>580
よいわー。谷部友の(世コチン?)、いいかも(*´Д`)
604風と木の名無しさん:04/10/25 22:08:42 ID:RHOkNpBR
>>591-600
GJ!!後日編待ってます

> なんで目開いてんだよ!寝てないのか?あんた寝てるんだろ!普通に寝てくれよ!!
ワラタ。こういうのすごく好きだーw
605風と木の名無しさん:04/10/26 03:32:21 ID:9jmB4vaa
>579
遅ればせながら萌え。閣下×キッスのゴウカ-ンイイ!と思ってたところにこれですよ旦那!
ありがd。まじでありがd
606風と木の名無しさん:04/10/26 09:43:24 ID:Ky1nC6c2
>>591-600
かーわーいーいー!!
後日編楽しみにしてます(*´∀`)
607風と木の名無しさん:04/10/26 20:37:32 ID:/pMzUgOW
>>579
605さん同様遅くなってしまいましたが
スゴク良かった!やっぱりキッスは可愛いよ。
閣下と幸せにな…(なれないけど)
608風と木の名無しさん:04/10/27 22:00:31 ID:S14qDkfp
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 | __________  |     谷部っち高校白書続きみたいだモナ
 | |                | |     
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――――
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) やっと終わります。
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609高校白書1:04/10/27 22:01:07 ID:S14qDkfp
「おーうおう。深刻な顔してるで、男前がぁ。似合わんのお」
つまらなそうにボールを蹴っていると後ろからひやかされた。
同期の1年が嬉しそうに近付いてきた。
「いっぺん死んでみるか?」
ギロリと睨み返すと「さて…と」と目をそらし、反対岸にダッシュしていった。
「あ〜ァ。つ・ま・ら・ん・の・ぉ」
俺はリズムをつけてボールをゲシゲシと蹴った。
あの一件以来、完全にテンションが落ちまくっていた。結局丘村先輩に言及することもなく
日々は過ぎていった。もう目が会う事も滅多になく、ましてや話すこともなくなった。
俺の前で丘村先輩の話題はタブーになっていたし、1年の間でも丘村先輩の話はのぼらなくなっていた。
今までなまじ信頼を勝ちとっていただけあって、一回そこに影ができると皆敏感に反応するものである。
丘村先輩もそのへんに感ずいているのか俺達の前でめったに笑わなくなっていたし、淡々と練習のメニューを伝えるようになっていた。
俺は時々無性にやるせなくなって、犯人は3年なんやで、とやはり伝えようとも思うのだが、
今さら蒸し返すのもアレやしな、とか、俺に黙って話を進めた丘村先輩が悪いのじゃ、ざまあみさらせ、という思いが渦になってどうともできずにいた。
要するにガキだったのである。
610高校白書2
「チビ!むかつくんじゃあ!!」
影でミクロくんと呼ばれている同期が吐き捨てるように言った。
練習帰りのいつものファミレスである。
「あのチビ、いてもうたるからなぁ…。絶対に」
「なにをケンケン怒っとんねや。なんかあったんか?コイツ」
聞くと、隣のヤツが楽しくてたまらないといったふうに教えてくれた。
ある日の放課後、練習が始まる前に景気付けにミクロくんは仲間達と部室で煙草を召し上がっていたらしい。
そこへ丘村先輩がやってきた。他の部員達は「やばい!」とすぐ煙草を揉み消したのであるが、反射神経の鈍いミクロくんは隠し損ねた。丘村先輩は非喫煙者である。当然のことながら注意する。
その注意の仕方がいけなかった。
「あんま吸い過ぎると背ぇが止まってしまうで」
他のメンツからクスクスと忍び笑いが漏れた。ミクロくんの顔は怒りで真っ赤に染まった。
ミクロくんのあだ名の由来は背の低さからである。丘村先輩より1cm高いらしい。本人は3cm高いといっているがどうみても1cm強といったところであろう。
自分の背にコンプレックスを強く持つミクロくんは、自分より背が低い丘村先輩を何故か蔑むように率先して“チビチビ”と呼んでいる。
そのチビから身長のことを言われた彼は怒り心頭に達していた。
そして俺の方を向いて「どや!どやねん!」と言ってきた。
「どやって言われてものお。あんまり怒り過ぎるともっと背ぇ縮むで」と言いたいところだが黙っておいた。
スパイクにアホと丘村先輩に書かれたらしいと噂になっている俺に全員の視線が注がれた。
はっきりいって面倒臭かった。帰るで、俺は、と言おうとした。
しかし口をついて出た言葉は「あのチビは一回ゆわさんといかんのぉ」だった。
ミクロくんの目がらんらんと輝いた。
何を言うてんねや、俺は。知らないふりをしていても俺の胸の内ではどうも丘村先輩に対するイライラが相当たまっていたらしい。だったら直接言えばいいのだが、ここまでくるとなんとなく顔を合わせにくく、そしてどこかでヤケになっていた。
そしてその日を境にサッカー部員1年は鬼のシゴキで培われた団結力をもって、丘村先輩無視作戦を決行させたのだった。
俺は知らんぷりを決め込んだ。