♪swing out sister♪スゥイングアウトシスター

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202ベストヒット名無しさん
 1986年だったか87年だったか、当時大学生だった俺は音楽雑誌でSOSの日本デビューを知って、
つきあってた1歳年下の彼女に頼んで先行発売されてた BREAKOUT の輸入版12インチシングルを買ってきてもらった。
ちゃんといい成績で卒業して外資系企業に入社して、楽しそうに日々過ごしてる彼女、かたや大学で留年を重ね、
輸入レコード店もないような田舎に留まったままの半分くさった俺。中距離恋愛はなんとか続けていたものの、
たまに電話で話すことも少しずつ噛み合わなくなり、些細なことで突っかかるようになり喧嘩も増えてた。
環境要因の違いに彼女とのことも、自分の将来にも、「こりゃぁ...まじいかもなあ」と、ぼんやり思ってた。

 電車を乗り継いで彼女が持ってきてくれたシングルは、ジャケットからして輝いてるように見えた。
当時特有の、眉をくっきり描いたメイクのコリーンの屈託ないウインク顔の大写し。
化粧がめっきり上手くなった彼女とだぶって見えたって、そりゃあ無理もない。

 俺の部屋で早速袋を開けて聴いてみた。
イギリス物らしく、少しだけくぐもった音像のイントロからそのまま続く、コリーンの弾けるような「BREAKOUT!」

 予想以上だった。
音自体も、ソウル風味あふれた曲調も新鮮だった。でも何より、全体から発する勢いが尋常じゃないと思えた。

 この1曲で俺の人生が変わったなんてもちろん思っちゃいないが、なんかのきっかけにはなった、と今にして思う。
何を頑張ってみたってわけでもないし、心を入れ替えたわけでもない。でも、「別れたくないよ」とは素直に彼女に言えた。
彼女ははっきりとした答えは言わなかったものの、なんとか関係は続いた。SOSの来日公演にも一緒に行った。
新しいアルバムが出るたびに一緒に聴いた。俺の小さな車で。彼女のマンションで。

 それから20年後、結局俺と彼女は結婚して今も一緒にいる。子供もできたが、怒られっぱなしなのは昔から変わらない。
以前彼女がふと言ったことがある。
「正直いってね、もう別れちゃったほうがいいのかなぁって考えたこともあるよ。でも、やっぱり待っちゃった。」

もちろんそれがSOSのおかげなんて言えやしない。
ただ、俺はWaiting Gameを聴くと今でも泣き笑いしてしまいそうになる。明るい曲なのにな。

長文すまん。ひとりよがりなことを書いた。