(,,゚Д゚)All for one one for〜…のようです。

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1 ◆jOnMQUNVXQ
飲み会の幹事なんてもうぜってーやんねー!!


まとめサイト様 7xまとめ − 川 ゚ -゚) ブーン系小説
ttp://nanabatu.web.fc2.com/boon/Afoof.html

8,9話合併号でいきます。
2 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 19:50:55.40 ID:+F96zpp60
8話 「妹の居ない生活 〜一日目〜」


(,,゚Д゚)「合宿…?」

(*゚ー゚)「そ。二泊三日のね」

頭の中で色々と計算が始まる。

えっと…
しぃが居ない=飯が無い=掃除も自分でやらなければならない=洗濯も自分で…

と、計算の途中で気づく
俺、本当にしぃが居ないと何も出来ないじゃん。

(; Д ) ゚ ゚「えぇ〜っ!?」

ここら辺でやっと声が出た。

(*゚ー゚)「え〜、って言われても仕方ないでしょ?」

(;゚Д゚)「俺はどうやって生きていけばよろしいのですか?」

(*゚ー゚)「…う〜ん」

う〜ん、て…何も考えてなかったのかよ…。

(*゚ー゚)「まぁ…一応食材とかは買ってあるから大丈夫じゃない?」

…全っ然大丈夫じゃねぇ!!
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 19:51:53.53 ID:AkleUn000
 ∧_∧
 (`・ェ・´) レスが少なくても
  0  0  気にしちゃダメ!
  |  |  また次があるよ!がんばって!
  ∪∪
4 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 19:53:26.35 ID:+F96zpp60
次の日
起きてみて、家を見回してやっぱりしぃが居ない現実を思い知らされる。

ある程度はしぃが残してくれた「生活マニュアル」とかいう手作りの本に洗濯の仕方や簡単な料理の作り方は書いてある

…が

(;-Д-)「…なんかよくわかんねぇ…」

読んでみたが、心得のない俺にとってはほとんど意味不明。
けどそんなこと言っても現実は覆らない。とにかく今はやってみよう。
まずは朝飯だな。
空元気を出しながら俺は台所に立つ。

(,,゚Д゚)「えっと…」

トーストと目玉焼き…あと人参とパセリ。
野菜くらいどうでもいいじゃないかと思ったけど、大きい文字で
『野菜も食べないと許さないよ!!』って書いてあったので渋々従うことにした。

(,,゚Д゚)「これくらいなら俺でも…」

それから10分ほどでトーストと目玉焼きを焼くだけならなんとかやりのけた。

しかし…人参を切る作業に思ったよりも苦戦した。
切ろうとするとツルンと人参は滑るし、小さく一口サイズに切ろうとしたら…

(;>Д゚)「いって!?」
5 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 19:55:54.56 ID:+F96zpp60
指を切ることになる。
添えてあった人差し指から鮮血が滴り落ちた。

(;-Д-)「あーなさけねぇ…。」

そのままだと痛いのでとりあえず止血する事に。
救急箱を引っ張りだした。

その時

ピンポーン

朝っぱらにも関わらずチャイムが鳴った。
…誰だろ?
指に絆創膏を付けながら玄関の扉を開ける。

開けた先には背の高い美しいボディラインの女の子が立っていた。
素直 熱与だ。

ノパ听) 「おっす」

笑顔で片手を上げる素直。
急用とかではなさそうだが…

(,,゚Д゚)「おす。…何だ? 朝から。」

すると素直はすぐに俺の左手に巻かれている絆創膏を目に入れた。
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 19:56:53.68 ID:E8Z7CKCXO
支援
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 19:58:06.16 ID:0I47i7XNO
さて、支援しようかね。
8 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 19:58:27.86 ID:+F96zpp60
ノパー゚) +「ハッハー。やっぱり苦戦してるみたいだな。」

某少年名探偵が取りそうな、考えるポーズをしながら素直は言った。

(;-Д-)「悪いかよ…。」

ノパ听) 「いんや。思った通りで少し安心した。邪魔するぜ。」

スルリと俺と扉の間から思ったよりも細身の体を滑らせ勝手に部屋に上がりこんだ。

(;゚Д゚)「お、おい。」

追いかけると素直は既にキッチンに立っていた。

ノパ听) 「何?」

(;゚Д゚)「いや、何って…いきなり理由も無しに上がられてもさぁ…。」

ノパ听) 「あぁ。
      いや、あんたがちょっと心配でね。どうせ一人じゃ何も出来ないだろ?」

そりゃそうだけど…

ノパ听) 「だから今日はあたしがしぃちゃんの代わりに色々やってあげるよ。」

(;゚Д゚)「…ま、まぁ…やってくれるなら構わないけど…」

と言うと素直はニコリと笑い

ノハ^ー^) 「よっしゃ。じゃ、座っときな!」
9 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:01:59.87 ID:+F96zpp60
と俺を無理矢理座らせてから、張り切りだした。

(,,-Д-)「…なんか悪いな」

ノパ听) 「気にすんなって。」

なんとなく罪悪感に駈られる俺に対し
素直はフライパンを操りながら顔をこちらに向けず、言葉だけで返事をした。

……あ〜、なんか料理してる姿似合うなぁ素直って。
良い奥さんになりそう…

ノパ听) 「? 何見てんの?」

ぼーっと見とれてると一段落ついた素直と目が合う

(,,゚Д゚)「いや、素直のエプロン姿は合うなぁ、って思ってさ」

ノハ*゚听) 「そう? ありがと。」

ちょっと照れ笑いをし、素直は皿を持ってダイニングテーブルに朝にしては豪華な料理を置いた。

(*゚Д゚)「お〜、うまそうだ!」

ノパ听) 「それは食べてから言ってくれよな。さ、どうぞどうぞ。」

箸で料理を摘み、ヒョイと口に入れる。
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:02:23.45 ID:zv8+ZiTg0
しえん
11 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:05:57.57 ID:+F96zpp60
(*゚Д゚)「…うめぇ!」

ノパ听) 「だろ?」

当たり前だろ、と言わんばかりに…だけどちょっと照れ臭そうに悦に浸る素直。

(,,゚Д゚)「やっぱり一人暮らししてるくらいだし、これくらいは当然なのかぁ…」

ノパ听) 「まぁね。出来ないと困るのは自分だし。」

俺はいじいじ料理をつっつきながら言った。

(,,゚Д゚)「俺も簡単な料理ぐらいは覚えよっかな〜…
     しぃに頼ってばかりじゃダメだろうし…。」

すると素直は頭に豆電球でも光ったかのように手をポンとつき、一呼吸置いてから提案した。

ノパ听)「ならあたしが教えてあげよっか?」


…というわけで今俺は念入りに洗った手で、まな板の上に置かれているこの時期が一番美味しいと言われる梨と対面していた。

(;゚Д゚)「あの〜?」

ノハ>听)b て「いきなり何か作るのは難しいから、まずは包丁捌きから覚えるってことで!」

すぐ傍に立ち、親指を立てた手をつきだながら舌を出してウインクする素直。
なんか無責任じゃないかお前。
12 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:08:24.47 ID:+F96zpp60
ノパ听)「とりあえずは思った通りにやってみなよ。」

思った通りったってなぁ…
単純に考えて……まずは半分にスパッと切るんだよな。
まな板とナイフのぶつかる音を発し、梨は二つに分かれた。

そんで、剥きやすいようにまた半分にしてから…

(;゚Д゚)「えっと…?」

頭にハテナを浮かべるような表情になってると思われる顔で素直を見る。

ノパ听) 「皮剥く前に、まずは種から。」

はい、と言ってから再び果物ナイフを持つ。

(;゚Д゚)「…あっ…」

力を入れすぎたか
種の部分の遥か下に切れ目が入ってしまった。

ノパ听) 「ギコの持ち方だと力が入りすぎちゃうんだよ。」

それは身を持って知りました。

ノパ听) 「持ち方はそう思いっきり握るんじゃなくて…」

(;゚Д゚)「っ!?」
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:10:52.02 ID:6eWgw1kNO
幹事お疲れさんw
支援
14 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:12:07.72 ID:+F96zpp60
スッと俺の手を取り、正しい持ち方に変える素直。
あの…近いッスよ…。

ノパ听) 「ほら、こんな感じな」

掴むのはほとんど指だけで、親指は浮かすらしい。
なんだかとっても窮屈。

ノパ听) 「それは慣れだからね。仕方ないよ」

う〜…。わかったよ。
とりあえず種を取る作業は終わり。
次は『そんなことより野球しようぜ!』とか言いたくなるくらい難しいメインの皮剥きだ。

(;゚Д゚)「うおっ!」

案の定、刃を立てすぎたせいで果肉部分をかなりえぐり取ってしまった。

(;゚Д゚)「おかしいなぁ…持ち方変えたのに…。」

ノパ听) 「右手だけじゃダメなんだぜ。」

すると今度は両手を持って、指示してくれた。
それも背後に回って、だ。

ノパ听) 「剥くのは親指と左手を使って…」

素直の柔らかい体が当たってるのうえに
香水かと思ってたら実は髪からだったという甘い匂いが、正常な思考を遮るため全然頭に入らない。
お前もちょっとは気にしてくれ。
15 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:15:29.77 ID:+F96zpp60
ノパ听) 「…って感じな。わかった?」

(*゚Д゚)「えっと…」

ノパ听) 「…? 顔赤いけど大丈夫か?」

どう考えてもあなたのせいです。本当にありがとうございました。
…なんて戯言言ってないでとりあえず言われた通りに…

(,,゚Д゚)「おっ?」

な、なんか結構スムーズにいくぞ!

ノパ听)「そうそう、そんな感じ」

最後に再び惨劇を起こさないようにそっとナイフを動かし、なんとか剥き終わった。

(*゚Д゚)「出来た!」

…けど、凄い不格好。しぃの足元にも及ばないなこりゃ。

ノパ听)「…まぁ最初はこんなもんさ。練習すりゃ絶対上手くなるから、ね」

肩に手を置き、俺のデコボコした梨を取り上げて食べる素直。

ノパ听)b て「じゃあ次いってみよ〜」

…それから半日程、いやという程梨を剥かされては食うという作業を繰り返した。
その間に、梨が無くなったから素直が実家から送られてきたのを取ってきたり
もう梨は食えないッス っていったら管理人さんの所までわざわざ言って隆起の激しい駄作を渡してきたりと散々だった。
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:15:31.18 ID:6eWgw1kNO
支援
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:15:46.68 ID:POzBol1lO
このエロゲほしい
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:17:12.75 ID:r8jIg/Y7O
ペース早いなー
支援
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:17:22.81 ID:hn7B3cjoO
支援
20 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:18:52.18 ID:+F96zpp60
昼飯も食べ、それからは宿題やったりゲームをしたりして過ごした。

ノパ听) 「そういやギコってなんで武道やらないの?
       あんたの実家って道場なんでしょ?」

その晩、素直特製のカレーを食べてる最中に聞いてきた。
日持ちがいいもの、とリクエストしたらすぐに作ってくれたのだ。
本当に感謝感謝である。

(,,゚Д゚)「ん…いや、やってないわけじゃないんだ。
     一応男だし、武芸家族だからやらないわけにもいかないし…。」

ノパ听) 「でもあんた無段なんでしょ?」

素直は手を止めてまで話に入りこむ。
そんなに気になることかなぁ…。

(,,゚Д゚)「昇段審査受けてないからね。
     …でも、素人には負けないくらいの自信はあるよ。」

ノパ听)「え? そんなんなら、なんで昇段審査受けないの?」

色々あるんだよ、と鼻でため息をつきカレーを食べる事に集中する。

ノパ听) 「…色々…ねぇ」

小さくそう呟いた素直もスプーンを持ち、それ以上の詮索をすることなく食事を続行した。
21 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:21:59.91 ID:+F96zpp60
ノパ听) 「カレーはとろ火で焦がさないように時々混ぜながら温めるんだよ。」

9時を回った頃、素直は靴を履きながら顔だけこちらに向けて言った。

(,,゚Д゚)「あれ? 明日も来てくれるんじゃないの?」

ノハ-听) 「悪い、あたしも明日から合宿なんだわ。」

立ち上がってからこちらに申し訳なさそうに謝る。

(,,゚Д゚)「いや、こっちこそ悪いね。今日は。」

ノパ听) 「いやいや、あんたがそれなりに人並みになってよかったじゃないか今日は。」

それ誉めてんのか、けなしてんのかわかんねぇよ。

ノパ听) 「もしも本当にヤバかったら、明日はツンかクーを頼りなよ。」

俺のひきつった笑いを作ってた表情筋が更にこわばる。

(;゚Д゚)「え゛? 渡ちゃんは?」

ノパ听) 「渡ちゃんも今日から居ないよ。かなり早めだけど、帰省してるみたい。」

(;-Д-)=3「そっかぁ…。」

肩を落とし、幸せの逃げる二酸化炭素を吐き出す。
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:22:40.23 ID:6eWgw1kNO
昇段審査……物によりけりだが、金掛かるんだよな……
23 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:23:24.18 ID:+F96zpp60
ノパ听) 「ま、なんとかなるって」

通常よりいくらかマイナス方向に傾いてる肩をポンと叩き、素直はドアノブに手をかける。

(,,゚Д゚)「じゃ、今日は本当にありがとうな、ヒート。」

ノハ^ー゚) 「どーいたしまして、ギコくん」

ニコリ笑いかけ、手を振りながらヒートは帰っていった。


…さて、明日はどうしようかな。









つづく
24 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:24:29.37 ID:+F96zpp60
>>22
居合いの審査は初段で6000円ほどしましたね
段位があがるにつれて、何万もしますから大変です



では、続けて9話いきますね
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:24:38.06 ID:6eWgw1kNO
支援
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:24:44.91 ID:hn7B3cjoO
支援支援
27 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:27:28.03 ID:+F96zpp60
9話 「妹の居ない生活 〜二日目〜」


(,,-Д゚)「…ん〜…。」

次の日。
俺がムクリと起き上がると母なる太陽はいつの間にか直角になりかけていた。
時計を見るとなんと11時。本来なら損したとか言って少しは後悔するはずだが、今の俺は至って爽快。
夏休みの定番スタイルだもんな。

…しかし自分の部屋から出てくると、その爽快感は根拠のない幻想であることを現状は語っていた。

そう、しぃは未だに合宿場で叱咤激励したりされたりしながらがんばってる頃なのだ。
つまりここには居ない。
ここに居ないって事は、ヒモ同然の俺は生活をするのが非常に困難だって事だ。
マニュアルどおりにやっても、上手くいかないことは昨日身をもって証明してしまったしな。

(,,゚Д゚)「朝飯どうしよーな…」

この時間だともうブランチになってしまうが、まぁ気にしない。
しかし昨日、ヒートにカレーを作り置きしてもらったというのにどうしよう、とは何事か? と思うだろう。

いや、だってさ今昼飯にカレーを食べると夜もカレーじゃん?
そんなの嫌じゃないか!
何が悲しくて一人でじっくりことことカレーを温め直すって作業を昼と夜で反復せにゃならんのだ!!
わがままなんていえる立場じゃないけど、開き直りくらいする権利は俺にもあるさ。

ここらで昨日、ヒートが言っていたセリフを思い出す

ノパ听) 「ツンかクーを頼りなよ」
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:27:48.35 ID:6eWgw1kNO
>>24
ですよねーwww
てか、初段で6000円て高ぇなwww居合w
 
支援
29 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:29:53.82 ID:+F96zpp60
…。

……津井出副級長に、素直文芸部部長か……

素直さんとはあまり関わりがないから「You飯食べさせてyo!」なんて言ったらどんな顔されるかわからない。
というか元々無表情だから想像出来ん。

じゃあやっぱり副級長か?
歯磨きなどをしながら散々悩んだ挙句、俺は一時間程経った頃にやっと決断を下した。


(;゚Д゚)「……。」

ゴクリと生唾を飲み込み風が吹くと異常に冷たく感じる手で、ゆっくりとインターホンを押した。
ピンポーンという音が鳴り終わってからすぐに沈黙が訪れる。
この間が怖いんだよなぁ…なんとなく焦ってしまう。

いてもたってもいられなくなった俺は手すりから町中を眺めてみたり、無意味に携帯を取り出したりしていた。
実際は30秒もなかったはずだが、異常に長く感じた静寂はインターホン越しに聞こえてくるソプラノによって破られた。

ξ゚听)ξ「はい」

(;゚Д゚)「えっと…赤木だけど…」

すると副級長はしばらく黙ってから、ため息をつくと

ξ゚听)ξ「ちょっと待ってて」

と言って、インターホンを切った。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:31:29.27 ID:6eWgw1kNO
支援
31 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:33:12.89 ID:+F96zpp60
何なんだ?
予想では「何の用?」って低くした声で聞いてくると思ったのに…

じっちゃんの名にかける高校生の真似をしながら無駄な推理をしていると
ガチャッという音と共に学年ナンバーワンの美人が姿を見せた。

ξ゚听)ξ「…ヒートから聞いてるわ。入りなさい。」

呆気に取られてる隙に、お邪魔しますも言う暇もなく副級長に無理矢理部屋の中へ引っ張り込まれてしまった。

副級長の部屋はヒートの部屋と似てて基本的にシンプルな物で統一された部屋だった。
…ちょっと意外かな。もっと色々装飾にこだわってるもんだと思ったよ。

(,,゚Д゚)「えっと…」

ξ゚听)ξ「今の時間に来たって事は昼ごはんでしょ? 準備する所だったからちょうどいいわ。
       適当に座って待ってなさい。」

ダイニングテーブルに腰を下ろし、昼食の完成を待つ事に。
本当は朝ごはんなんだけど、言わないほうがいい気がしたので黙っておく。

…しかしなんか…肩透かしくらった感じだな。
副級長がこんなに優しいの初めてかもしれない。

(,,゚Д゚)「なぁ、副級長。」

キッチンで俺に背を向けている副級長へ話しかける

ξ゚听)ξ「なに?」
32 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:34:58.07 ID:+F96zpp60
(,,゚Д゚)「今日…いつもよりやけに優しいけど…なんかあったの?」

ξ* )ξ「!? ば、バカっ!! なんにもないわよ!!」

なぜか漫画みたいにタイミングよくジュゥッとフライパンが鳴り、明らかに動揺する副級長。
それから体をこちらへ向けて指をさしながら

ξ#゚听)ξ9m て「それと! プライベートの時ぐらい『副級長』って呼ぶのやめてよね!
           学校での面倒な作業とか思い出しちゃうでしょ!!」

(,,゚Д゚)「…あぁ、悪い」

そういやほとんど癖になってたなぁ…。
ま、素直に従っときゃ副級ちょ…津井出も何も言わないよね。

というわけで、じっと待つのが嫌な俺は携帯いじりを始めたのでした。

ξ゚听)ξ「そろそろだから、待っててね〜」

普段の素振りからは想像もできないようなご機嫌な優しい口調で俺に告げる津井出。
ちょっと寒気がするよ…。クーラーそんなに効いてないよね?

ξ゚听)ξ「はい、どうぞ」

無難な所かな。バジルソースのスパゲッティが俺の目の前に置かれた
彩りもよく、中々おいしそうだ。
根拠はないが料理が苦手って気がしたのでこれまた一本取られたぜ。

(,,゚Д゚)「いただきま〜す」
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:35:39.65 ID:6eWgw1kNO
紫煙
34 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:36:55.13 ID:+F96zpp60
フォークを取り、パスタに絡める
そして意気揚々と口の中へと麺を放りこんだ。

(; Д )「――っ!?」

思わず吐き出しそうになったが、津井出は子供みたいに無垢な瞳で俺の顔を覗いている。
感想を求めてるのか? なら言ってやろう。
俺の心と味覚が訴えている感想と正反対の台詞をな。

(; Д )「…お…いしい…かな」

ξ*゚听)ξ「本当? よかった〜…」

俺のお世辞を聞いた途端に肩を落とす津井出。
そしてすぐに自分も食べ始めた。

コイツ…舌おかしいんじゃね?
失礼だけど…とってもマズいです。
なんでビジュアルは完璧なのに味はこんなにマズいのだ!?
泣きそうになりながらも、チーズで誤魔化しつつなんとか食べ終え食後のデザート待ちになった。

ξ゚ー゚)ξ「ん〜…と…やっぱりこの時期は梨よね〜♪」

待って

そんな嬉しそうな顔で薄緑の丸に近い果物を出さないで!
昨日死ぬほど食ったってばぁっ!!

ξ゚听)ξ「はい」
35 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:38:19.90 ID:+F96zpp60
皿には一口サイズに切られた梨が一個分綺麗に剥け……

(,,゚Д゚)「ん?」

一つ取って見てみる。

なんか…不格好だな。
うん。昨日のヒートとの特訓前の俺と同じ形だ。

ξ;゚听)ξ「あっ…と…それは…果物ナイフ使うのが苦手で…。」

包丁の方が難しいだろうに
というか包丁でやればいいじゃないか。

ξ; )ξ「う、うるさい。いいからさっさと食べなさいよ!」

ふぅ〜と一息ついて無理矢理 梨を口に押し込み、立ち上がった。

(,,゚Д゚)「昨日、ヒートに死ぬほど教えこまれたからな。伝授してやるよ。」

ξ;゚听)ξ「え? ほ、ほんとに?」

キッチンで手と果物ナイフを洗い、梨を津井出に取ってきてもらう。
それから梨を四分の一に切り、津井出へバトンタッチ。

(,,゚Д゚)「はい、まずは持ち方から」

困惑した表情のまま津井出は手の形を真似する。

(,,゚Д゚)「そうそう。んで、剥く時はこう…」
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:38:38.69 ID:6eWgw1kNO
二日連続で梨かw
 
支援
37 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:39:32.96 ID:+F96zpp60
すみません、お電話です
しばしお待ちを…
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:41:16.07 ID:6eWgw1kNO
おk
保守
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:47:02.35 ID:HOGK1HhxO
40 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:52:56.94 ID:+F96zpp60
お待たせしました、再開します
41 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:55:11.51 ID:+F96zpp60
ヒートみたいに背後に回って手を取って教えこむ。
こっちのが断然覚えやすいんだぜ。ソースは俺だ。

ξ///)ξ「…」

津井出はうつ向いたまま俺の剥き方講座を聞いている。
なんとなく脈が早い気がするが大丈夫か?
包丁を前に緊張するほどの性格でも年季でもないだろうに。

(,,゚Д゚)「はい、こんな感じ」

ξ゚听)ξ「へぇ〜…あんたにしては上手わね。」

ちょっと上擦った声で感心する津井出。
そんなに認めたくないのか俺を。

(,,゚Д゚)「昼飯のお礼な」

ξ゚听)ξ「…ま、当然ね」

さっきまで上がってた株が一気に下がりました、
だからもうちょっと普通なお礼を言えないのかよお前は…。

それから昼時は共に宿題をやって過ごした。
わかんない所を聞くたびに怒られたが、渋々ながらも教えてくれるので凄い助かった。
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:55:12.69 ID:6eWgw1kNO
おかえり
支援
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:56:22.65 ID:zv8+ZiTg0
しえ
44 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 20:57:18.32 ID:+F96zpp60
そして日が傾きかけた頃。

ξ゚听)ξ「じゃ、買い物行ってくるから留守番お願い。」

と津井出は俺一人を残し、出かけていった。

(;-Д゚)=3「…もうちょい警戒心とか持てよな…。」

ポツリと独り言を呟く
一般高校生男子を年頃の女の子の部屋に一人にしておくとどうなるかわかんねーぞー?

…な〜んて邪心は内面にだけ有ればいいさ。
実際に行動起こすようなバカな真似はせんよ。

さ、宿題やるか。


――――。

しばらくして…
空には嫌な雲が浮かんでいた。

(,,゚Д゚)「…まさかねぇ」

と言った数分後。
予感は的中し、夕立ちが到来した。
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:57:38.11 ID:X7sZfglrO
いいね いいね
支援
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 20:58:34.54 ID:6eWgw1kNO
試演
47 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 21:00:05.25 ID:+F96zpp60
(;゚Д゚)「うっわ〜…スゲェな…」

とりあえず留守を頼まれてるんだから、窓を閉めたりしないとな。
そう思い立ち、行動を開始する。

(;゚Д゚)「…うっ…」

窓を閉めるのがそんなに難しい事なのかって?

おいおいハリー、そんなわけがないだろう?
俺がつい萎縮してしまった相手とは

ベランダにぶら下がる津井出の衣類だ。
…もちろん、下着も干してある
というか普通しまうだろ。客を招くんだからさ!

(;-Д-)「見ないように見ないように…」

ブツブツとお経みたいにその言葉を呟き、部屋の中へ服を入れる。
不意打ち的な段差があるので、ここのベランダは非常に怖い。

(;つД<)「見ちゃダメだ見ちダメだ…」

最後の関門、下着を触れぬようにゆっくりと洗濯バサミごと持ち上げた途端…





ガチャッ!
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 21:02:17.45 ID:6eWgw1kNO
www支援
49 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 21:05:08.49 ID:+F96zpp60
(;゚Д゚)「!?」

玄関から音が聞こえた。
そしてすぐ後にツインテールの美少女がそれなりに濡れた格好でやってきて

ξ#゚听)ξ「あーーっ!!??」

罵声とも悲鳴とも取れる微妙な声で俺を見つけるとこっちに向かってきた。

ξ#///)ξ「あ、あんた何してんのよ!!」

(;゚Д゚)「あ、イヤ、これは違っ…」

俺はベランダから出ようとした。
対して津井出はベランダに入り、下着のついた洗濯バサミの固まりをぶんどろうとする。
だが持ち方が不安定なので上手く相手に渡せない。
このまま手を離せば折角洗ったのにまた地面に落として汚してしまう。

それを説明しているのに津井出は無視をきめこみ、俺から下着類ぶんどろうと喚きながら必死になっている。
なぜか狭い空間でもみくちゃになってる俺達二人。
するとどうだ

(;゚Д゚)「あっ」

ξ;゚听)ξ「キャッ!?」

見事に津井出は俺が注視していた不意打ち的な段差に足を取られ転倒。
洗濯ばさみと引っ張られてしまったので俺もつられて転倒してしまった。

(;>Д-)「いてて……。大丈夫か、津井出?」
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 21:07:17.46 ID:6eWgw1kNO
支援
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 21:07:36.72 ID:khr55Q970
なんという王道・・・
52 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 21:08:04.08 ID:+F96zpp60
俺が押し倒すような形になって転んでしまった。
なるべく当たり障りないようにゆっくり起き上が…

(,,゚Д゚)「んっ?」

なんだ、この体重の乗っていない左手にあたる柔らかい感触は?
下着でも下敷きにしちまったか?
なんか嫌な予感がしたのでゆ〜っくり視線を落とすと、そこには下着ではなく津井出の…

(;゚Д゚)「あ゛っ…」

ξ#///)ξ「サイッテーーッッッ!!!」

津井出の張り手が綺麗に俺の頬に当たり、吹っ飛んでしまう。
そしてこれまた綺麗に窓枠に後頭部をクリーンヒットし、俺は意識が飛んでしまった。

…ごめんな津井出。
でも事故なんだから仕方ないじゃないか…。

次に目が覚めると、夜の九時過ぎだった。
場所は俺の部屋の玄関。どうやら津井出が運んでくれたらしいな。

まぁまた1日過ごす事が出来てよかったか。
…無事に、とつけれないのが残念だけどね……。





つづく
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 21:09:53.94 ID:hn7B3cjoO
支援
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 21:09:56.12 ID:6eWgw1kNO
乙〜www
55 ◆jOnMQUNVXQ :2009/03/31(火) 21:10:11.13 ID:+F96zpp60
途中退席すみませんでした。
次回は…空いてれば明日
無理なら明後日になります。

来週からついに学校開始なので、更新頻度はさすがに下がりますのでご了承ください
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 21:10:15.57 ID:zv8+ZiTg0
乙っしたー
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 21:15:34.41 ID:oFSdmBas0
乙!
でもまた追いついたら終わってた…orz
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
学校始まるのかw
学生生活しっかり楽しんでなw
 
改めて乙〜