( ^ω^)ブーンはフォースを駆るジェダイのようです
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理なんだ……
. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄
2 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:21:45.37 ID:rB2ScQKpO
>>1dです。
ルパン対コナン、なかなか面白かったですね。
腰を据えてアニメを見たのは攻機のOVA以来です。
まとめて下さっているサイト様
・Boon Novel
ttp://booooonovel.web.fc2.com/jedi/jedi.html ※本編を読まれる前に※
・本作はG.ルーカス監督のSF映画『スターウォーズ』シリーズを元ネタとしています
・基本的なコンセプトは映画と同じですが、物語の都合上(或いは作者の無知故に)
オリジナルとは多少違う設定を構える可能性があります
・本作は映画の新旧三部作の300年後の世界を描いています。
スピンオフ小説内で発生した出来事とは無縁のパラレルワールドだと思って頂ければ幸いです。
※音信不通になったら猿だと思って下さい
3 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:22:37.71 ID:rB2ScQKpO
遠い昔、遥か銀河の彼方で―――――
4 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:24:40.70 ID:rB2ScQKpO
Episode3:ツン=E=アシュクロフトの憂鬱
カーシェスバイト視察から一ヶ月。
任務の後始末をジョルジュに任せたブーンは、単独で別件の犯罪者グループを追っていた。
相手は非合法薬物の売買を生業とするマフィア。
大型の麻薬シンジゲートを潰すべく、ブーンは薬物製造工場を探して方々の星々を巡るも、
思うような手掛かりを得ることが出来ず、捜査は足踏み状態となってしまう。
珍しく任務の壁にぶつかったブーン。
苛立ちを募らせたジェダイは、情報を洗い直すべく首都惑星VIPへと戻っていた。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/27(金) 23:24:59.59 ID:dQLVusnvO
支援
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/27(金) 23:25:14.61 ID:fezB4NRbO
フォースはハッチが閉じたらビューポートをあけるんだ
まってたぜ
しえん
8 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:25:57.78 ID:rB2ScQKpO
〜SHOT-1〜
■首都惑星VIP
(#^ω^)「あ゙〜くそう! あの腐れポンチどもは何処にいやがるんだお!! 」
青い光りに包まれた壮大な図書室にブーンの悪態が響いた。
私語厳禁。
中年男の苛立った独り言に眉を潜めた管理人が、ブーンに向かって唇に指を当てる。
銀河中のあらゆる情報が集うこの国立図書館。
ジェダイの特権を用いて一般閲覧が許可されていない資料を総動員しても、ブーンの目的は未だ果たせずにいた。
( ^ω^)「(めぼしい惑星は一通り当たった筈なのに、ヒットどころかゴロすら出ないとは……)」
9 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:28:30.31 ID:rB2ScQKpO
今回ブーンに言い渡された任務は、とある麻薬密売グループが所有する麻薬製造工場の発見だった。
ターゲットは最近になって裏社会に台頭してきた新進気鋭の犯罪者集団だ。
所謂マフィア。
悪い芽は早めに潰しておくのが治安維持の鉄則である。
麻薬の転売は足が付き易い。
その為、近年では薬を調合する生産所を独自に構える輩が多くなっているとか。
同業者間でトラブルにならないよう、手前の品は手前で用意するわけだ。
これならば互いのシマを侵さない限り無用なトラブルは避けられる。
なんとまあ、せせこましいことだろう。
( ^ω^)「(そのお陰か、小規模なバイヤーは皆潰れるか吸収されるかで、連中の個体数は随分減ったお)」
10 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:30:27.24 ID:rB2ScQKpO
こちらとしては有り難いことだが、その分、手口が巧妙化したことが麻薬取締局のネックとなってしまった。
そういった背景が重なり、捜索能力に長けるジェダイに当局からの依頼が増加したことも確かである。
だが、いざセオリー通りに事を進めてみると、これが思うようにいかない。
あれやこれやと策を練るうちに、何時しかブーンの手元にはカードが無くなり、八方塞がりとなってしまっていた。
( ^ω^)「ラチがあかん。聖堂に戻って頭を冷やすお」
昨今の犯罪組織は細く長くがモットーなのだろうか。
他のジェダイ達も零していたことだが、どうにも、奴らの手口は小規模に隠密になりつつあるようだ。
大掛かりな生産工場を構えれば、もっと探しやすいというのに。
(#°ω°)「おおおお!!お〜〜ォォ!! 」
バリバリバリ (感電
落雷により勇ましいジェダイの一人、ブーンは死亡した、黒コゲとなったその身から黒煙が立ち上ぼり・・・
―――終わり
12 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:32:23.87 ID:rB2ScQKpO
( ^ω^)「チマチマと女々しいことを……男ならドーンとやりやがれってんだお」
(´・ω・`)「何が?」
聖堂広間に辿り着いたブーンの懲りない独り言に、今度は一人の男が反応した。
細長い垂れた眉毛を持つ、ブーンとほぼ同じ三十代半ばのジェダイだ。
深茶のローブに黒い短髪が映える彼の名はショボン=ダッチマン。
別名、ジェダイオーダーの悪性核弾頭である。
13 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:35:22.41 ID:rB2ScQKpO
( ^ω^)「おお、ショボン。ニューソク社の新型艦進水式に行ってたんじゃないのかお?」
古い友人との久しぶりの再開だ。
落ち込んでいた憂さが少し晴れたブーンは、嬉しそうにショボンに話し掛ける。
(´・ω・`)「ヒートに任せて一足早く帰ってきた。しち面倒臭え社交辞令はうんざりだわ」
( ^ω^)「相変わらずだおね。で、どうだったお? ネヴカドネザルの仕上がりは」
(´・ω・`)「いいよ。1800mmリニアキャノンの威力も申し分ないし、流石は宇宙最強の戦艦と豪語するだけはある。
早くあれで敵が沈むところを見てみたい」
ショボンはブーンと同期のジェダイ・ナイトだ。
出身惑星も同じで、年齢も一緒。
パダワン時代に苦楽を共にした、ブーンが心を許す数少ない友人でもある。
14 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:37:31.73 ID:rB2ScQKpO
(´・ω・`)「ラウンジ・カンパニーの攻殻四脚要塞『ギガントス=フォー』
オオカミ・コーポレーションの多脚型大陸移動空母『アンナ=フランシスカ』
そして、ニューソク・インダストリーの絶対浮沈戦艦『ネヴカドネザル』
これで法人PMC三社のマスコット・キャラクター(宣伝兵器)が揃ったわけだ」
( ^ω^)「ここ最近、他のPMCが台頭を始めてきたし、ちょうどいい威嚇材料になるおね」
(´・ω・`)「早速、五番星系で勃発中の惑星間戦争にあの船を投入するらしい。
今北産業の糞どもには、以前辛酸を舐めさせられたからな。俺にも近いうちに評議会から召集がかかる筈……」
(´・ω・`)「あいつら、次会ったらハラワタ引き裂いてサンドワームの餌にしてやる」
(;^ω^)「…………」
15 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:39:18.14 ID:rB2ScQKpO
前述したように、ショボンがジェダイ・オーダーの悪性核弾頭(または腫瘍)と呼ばれる由縁はここにある。
穏やかな表情に似合わない、歯に衣着せぬ数々の強烈な発言は、出会う者、見る者をどん底へと突き落とす。
要するに、彼は性格破綻者で好戦的なのだ。
資質・技術・実力ともに申し分ないモノを持つショボンだが、何故かこの過激な性格だけは幼い頃から隠すことなく発露し続けていた。
十人の人間が彼を見れば、十人全員が間違いなくこう言うだろう。
奴は本当にジェダイなのか、と。
(´・ω・`)「ああ、話が逸れた。ブーンは今任務中かな? 随分と機嫌が悪いようだけど」
( ^ω^)「ヤクの製造工場を探しているんだけど、これが中々見つからないんだお」
16 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:40:51.49 ID:rB2ScQKpO
(´・ω・`)「タイプは?」
( ^ω^)「スカルとスピードだお」
(´・ω・`)「葉っぱの方か。六番星系の第五惑星にはガサ入れしたかい?」
( ^ω^)「5C-06? いや……」
(´・ω・`)「一度行ってみるといい」
意味深な台詞を言いながらショボンが懐を探り始める。
( ^ω^)「心辺りがあるのかお?」
(´・ω・`)「まあね。察するに、ブーンは薬の原材料が取れる星を中心に回っていただろう?」
( ^ω^)「だお。でも、これが全然駄目でして」
17 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:45:32.24 ID:rB2ScQKpO
(´・ω・`)「さっき言った5C-06には、スピードやスカルを精製する上で必要な植物は存在しない」
だけどね、とショボン続ける。
(´・ω・`)「そこに自生するとある固有植物にちょっとした仕込みを施すと、先の成分に似た物ができるんだよ」
胸ポケットからようやくコンパクトデバイスを見つけたショボンは、
ブーンのデバイスへ話しに上がった場所の詳細な情報を送信した。
コンパクトデバイスは、ジェダイ専用に作られた小型ツールだ。
個人間の通信は勿論、カメラ・インターネット・言語翻訳・成分簡易解析など、
多種多様な任務を請け負うジェダイのニーズに応える万能端末となり、彼等の心強いサポート役を担っている。
18 :
◆909zxcTVWc :2009/03/27(金) 23:46:31.69 ID:rB2ScQKpO
ごめんなさい!
20分ほど席を離れます。
もし、落ちていたら明日の夜に立て直します。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/27(金) 23:47:57.45 ID:cmju1zTRO
保守
おとさせない
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/27(金) 23:54:03.02 ID:dQLVusnvO
保守
22 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:11:53.76 ID:VKFMTL1sO
ありがとうございます。
皆も車で来たくせに酒を飲む阿呆にならないよう、気をつけてね!!
では、再開します。
23 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:15:59.92 ID:VKFMTL1sO
( ^ω^)「なんと。それは知らなかったお」
タッチパネル形式の画面でデータを受信したことを確認するブーン。
そこには、ショボンが独自に編成した5C-06に関する情報が羅列されていた。
(´・ω・`)「手間がかかるし、マイナーの中でもさらに下のやり口だからね。
国立図書館にもこの精製術は記載されてないから、気付かなくともしょうがない」
( ^ω^)「ふ〜ん。でも、ショボンはよくそんなことを知ってたおね」
(´・ω・`)「ああ……以前、それを使って一山当てようとしたんだ。ヒートに見つかって全部潰されたけどね」
( ^ω^)「おk。今の言葉は聞かなかったことにするお」
24 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:17:34.60 ID:VKFMTL1sO
棚から牡丹餅とは少々語弊があるが、思わぬ有力情報を友から得たブーンはその足で直ぐさま宇宙港へ向かった。
船は何時でも発進できるよう整備を済ませている。
相棒のアストロメクドロイド、ビコーズを連れて銀色の個人用シャトルにブーンは乗り込む。
( ^ω^)「ビコーズ、今から行く星のデータを纏めておいてくれお」
( ∵)「ププ!」
座標を確認すると、ショボンが示した星はVIPから十二パーセクほどの距離があることが分かった。
辺境のさらに上をいく辺境惑星である。
一ヶ月という期間の間で十以上の惑星を飛び回ったブーンだが、こんな星には見向きもしなかった。
ショボンの助言が無ければ、辿り着くまでに相当な時間を要していただろう。
( ^ω^)「持つべきものは友だおね。ジェダイのタレコミほど価値ある情報はないお」
( ∵)「ピィ〜」
25 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:20:12.99 ID:VKFMTL1sO
無事、ハイパースペースに突入したことを確認したブーンは、
棒のように伸びる星の光を見ながら背を倒した操縦席に身体を埋めた。
( ‐ω‐)「…………」
こういう時、話し相手がいないことを時折辛く思うことがある。
超光速の世界では一切の通信手段が使えない。
長旅で暇を持て余した時はデバイスに回収させた新聞記事を見るか、ビコーズとボードゲームに興じることが多かった。
もっとも、製造主の性格に似たのか、
ビコーズは手加減というものをまるで知らないので、知能ゲームでは勝負にならないことが多い。
最高出力二百テラフロップスの演算機能を持つアストロメクドロイド相手に、チェスでどう勝てというのか。
相手のキングを取ることを目的とする筈のゲームは、何時しか何手まで相手の猛攻に耐えられるか、という主旨に変わっていた。
26 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:21:42.51 ID:VKFMTL1sO
( ∵)「パプ」
( ^ω^)「三十八手で詰み? 今日は調子が悪いお」
だが、孤独は感じてもそれを憂う感情をブーンは持ち合わせていない。
もう、十年近くもこんな生活を続けている。
孤独とは言うが、任務と修業の合間には友人達と楽しい一時を過ごしているし、
ジェダイ以外にもブーンは親しい顔見知りを何人も持っていた。
『先生が逝ってから変わったよな、ブーンは』
一ヶ月前に騒がしい男が言った言葉がブーンの脳裏を過ぎる。
別段、これが初めてというわけではない。
要所要所で言われ続けてきたことだった。
27 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:24:15.88 ID:VKFMTL1sO
( ^ω^)「ビコーズ。次はぷよぷよをやるお」
( ∵)「プーン!」
厳しくも優しい偉大なる師が病に倒れた時、若きブーンの中で何かが壊れた。
強くて、格好良くて、ジョークが下手で、死などとは無縁に思えたあの男が何故?
自発的な呼吸すらままならず、透明なチューブで身体中を覆った師の痛ましい姿をブーンは直視することができなかった。
( ^ω^)「やっぱナス夫だろここは」
( ∵)「プーン」
エイッ! ファイヤー! アイスストーム!
( ^ω^)「ビコーズはアルルが好きだおね」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 00:25:40.80 ID:KT7MCNLcO
支援
29 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:25:52.37 ID:VKFMTL1sO
師の齢は六十を超えていた。
倒れる時はシスと刺し違える時、とあれほど豪語していたのに。
僅か一ミクロン程度の存在に劣勢を強いられるなんて。
日を追うにつれて骨と皮になっていく師から目を背ける為、ブーンは評議会の承諾を得てジェダイ・ナイトの昇格試験を受けた。
( ^ω^)「なんで三連鎖までしか自力で積めないだお」
( ∵)「ププーン」
ダイナキュート! ブレインダルト! ジュゲム! バヨエーン!
( ^ω^)「ビコーズは積むのが早過ぎだお」
受験後、半年間は夢でうなされるような試験を無事通過したブーン。
時期的にも昇格試験は頃合いだったが、ブーンは何故かこの試練に師の命が掛かっているような気がしてならなかった。
この試験を突破すれば師も病を克服してくれるかもしれない。
そんな根拠の無い願いを、いや、確信を抱いていたブーンの思いはたやすく崩された。
30 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:29:43.88 ID:VKFMTL1sO
( ∵)「ピププ」
( ^ω^)「…………」
バヨエーン! バヨエーン! バヨエーン! バヨエーン!
( ^ω^)「…………」
バヨエーン! バヨエーン! バヨエーン! バヨエーン!
試練の一つで手酷い傷を負った身体を引きずり、師の待つ病室へ駆け込んだブーン。
そこで待ち受けていたのは、身体に纏うフォースが風前の灯となった師の姿だった。
( ^ω^)「おっおっお。相殺が追い付かないおwwww」
結局、師はブーンが昇格を認められた二日後に死んだ。
正確には、死んだという表現は正しくない。
師はフォースと一つになったのだ。
少なくともライトサイドに立つジェダイは皆口を揃えてそう言うだろう。
31 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:30:55.12 ID:VKFMTL1sO
バヨエーン! バヨエーン! バヨエーン! バヨエーン! バヨエーン! バヨエーン!
( ^ω^)「……やべ、ゲシュタルト崩壊起こした」
ジェダイの思想の中に死という概念は無い。
フォースの正体は命の躍動。
あらゆる物質の根源が電子の集まりであるように、生物の魂もフォースの糸によって編み込まれた存在に外ならない。
人が身体機能の停止を迎えるとき、唯物世界から離脱した魂は巨大なフォースの流水の中に溶け込み、その一部となる。
住む世界が変わっただけ。
死者とは、則ち還るべき場所へ還る者達を指すのだ。
だから、ジェダイは死を怖れない。
それを拒むこともない。
( ^ω^)「ビコーズ。少しは手加減というものを知るべきだお」
( ∵)「ブブ(断)」
32 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:34:25.43 ID:VKFMTL1sO
ジェダイの教えに漏れず、ブーンも旅立つ師を感謝の念を込めて送り出した。
だが、ひとり残されたブーンの中には何故かぽっかりと空洞が開いてしまう。
虚無感、という奴だろうか。
いや、ひょっとしたら失望なのかもしれない。
真面目一徹だった若きブーンにとって、師の存在はあまりにも巨大で絶対的な存在だった。
今思えば、自分は永遠にこの人の弟子であり続けるのだという、ある種の依存下にあったのだろう。
( ^ω^)「次はジェンガをやりたい? 受けて立つお」
そんな偉大なる師が自分を置いて先立つなど、ブーンには到底考えられないことだった。
嗚呼、この世のなんと虚しいことか!
あれほど偉大で立派な功績を持つジェダイがあっさりと逝ってしまった。
遺るのは、歴代ジェダイの名が刻まれた巨大碑と人々の記憶だけである。
ジェダイの教えは全て口伝だ。
ブーンの師の弟子はブーンを含めて三人いるが、残る二人は既にこの世を去っていた。
聞けば、一人は紛争で殉職し、一人は任務中に行方不明になったという。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 00:35:00.64 ID:KT7MCNLcO
支援
34 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:36:16.14 ID:VKFMTL1sO
( ∵)「プーン」
( ^ω^)「おまwwww。周りのブロックを乱しながら抜くなんて酷いおwwwwwww」
ブーンが弟子を持とうしない理由。
それは、虚無と悲壮によるものだ。
師を送ったブーンは、ジェダイの口伝に不毛さを感じていた。
ジェダイ・ナイトは弟子を一人までしか取ることを許されない。
非効率的に思えるが、実はこの制度は相当重要な役割を果たしている。
模範的な人格者とは言え、ジェダイも人の子だ。
当然、意識しないまでも他人に対して好みの差が出てしまう。
先代のジェダイ達はナイトが複数の弟子を持った場合、『贔屓』が発生することを強く怖れた。
特定の弟子だけに梃入れし、全体に対して平等に接しない行為は破滅を生み出す可能性があるからだ。
sien
36 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:41:05.37 ID:VKFMTL1sO
訂正>ブーンが弟子を持とうとしない理由。
(*^ω^)「やった。やったお! 見事難所を乗り切ったお! ビコーズ、君の敗北はもうすぐだお!」
(;∵)「プ、プ〜ン(汗)」
精神面が未熟なパダワンは、自分が蔑ろにされている事を知れば師や同輩に対して不快感を覚えるだろう。
悲しみは嫉妬を生み。
嫉妬は怒りを生む。
そして、怒りは恐怖を生む。
かつて、凶暴の限りを尽くしたダークサイドは、このサイクルを通して自壊したことがある。
膨大に頭数を増やすシスの卵に対して、それらを取り纏める暗黒卿達に妥協が生じたのだ。
お気に入りだけに目を掛けた暗黒卿の一人が暗殺されたことを機に、シス・オーダーは血みどろの内部闘争へと埋没していく。
結果、ダークサイドはこれ以上ないほどに弱体化した。
今から何万年も前の逸話である。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 00:42:41.73 ID:YeTfUrWDO
支援
38 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:44:31.15 ID:VKFMTL1sO
ガシャーン
(;∵)「ブ、ブビ(負)」
( ^ω^)「おっおっお。ジェンガは計算ではなく、感性なのだよキミ」
故に、師弟関係は必ず二人一組。
このスタイルはジェダイの生誕時から固く守り続けられる鉄の掟となっている。
不毛を感じたと記したが、ブーンは別に多人数の弟子を一まとめにしてしまえば良いと考えているわけではない。
ブーンは自分の師を誇りに思っている。
他の先達ジェダイ等にも畏敬の念は抱いていたが、それ以上に師を愛し、崇拝していた。
そんな栄光なるジェダイが生涯をかけて、自らの教えや思想を後世に伝えた人数が、
たったの三人であることにブーンは酷く憤り、また悲しんだのだ。
しかも、現存する師の形見はブーン唯一人である。
39 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:47:34.29 ID:VKFMTL1sO
( ^ω^)「おっと。時差ボケ防止の為に僕はそろそろ寝るお。ビコーズ、後はよろしく頼むお」
( ∵)「ピプ!」
ブーンはこの世の誰よりも自分が未熟であることを知っている。
師が伝えたことなど、自分は一割とて理解していない。
そんな半端者が弟子を持ち、あまつさえ我が師の教えを語るなど言語道断。
絶対に許されることではなかった。
何より、口伝がアナログの手段である以上、右から左へ完全に物を動かすことなどできはしない。
そんな自身の無力さと、生きた伝達手段の無力さに打ち菱がれ、ブーンは弟子を取ることを諦めたのだ。
(*‐ω‐)「えへへへ。そんな……僕は美乳派なんだお……」
一匹狼のジェダイは、誰にも心の内を明かさない。
強靭な意思で負の情を圧殺し、両刃の光剣の所有者は超光速の世界で夢を見る。
40 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:49:25.85 ID:VKFMTL1sO
※※ ※※ ※※
■六番星系:5C-06
( ^ω^)「酸素が濃いお〜」
どこまでも青い草原の地に足を降ろしているのはブーンだ。
『C』という階級が与えられた惑星は、銀河共和国の手が行き届いていない治外法権区であることが多い。
法に縛られることもなければ、法に守られることもない。
無法者の肥溜めになり易いC級惑星だが、5C-06は少々勝手が違うようだった。
( ^ω^)「(そりゃあ首都から十パーセク以上も離れていて、しかも希少な資源も内包していない星に来たがる奴なんざいないおね)」
41 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:50:42.48 ID:VKFMTL1sO
5C-06は水資源に恵まれた緑豊かな惑星だ。
文明レベルは下から数えたほうが遥かに早く、国家すら形勢されていない原始的な段階にある。
情報インフラすら整っていない場所で、人捜しがどれほど困難を極めるかは想像に難くない。
到着初日。
ブーンは衛星軌道上から丸一日をかけて偵察機に5C-06を観察させていた。
文明を捜す上でもっとも手っ取り早い方法は熱と光を見つけることである。
好感度偵察衛星から送られてくる情報を頼りに、ブーンはいくつかの”文明”に足掛かりをつけ、そこを頼りに探索の網を広げていくつもりだったのだ。
( ∵)「パプッ」
( ^ω^)「お、ビコーズも船から降りてこいお」
( ∵)「ピプ。ポポ?」
( ^ω^)「うん。次の村はこの草原の先の森の中だお」
42 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:53:28.95 ID:VKFMTL1sO
背丈の高い草の中に船を隠し、ブーンはビコーズと共に目的の集落へ徒歩で向かう。
この星の文明は蒸気機関以前の物だ。
空飛ぶ船で下手に玄関の戸を叩けば、住民達に不必要な影響を及ぼしかねない。
宇宙人がこの星の未来を弄くる権利などありはしないのだ。
( ∵)「プ〜ン?」
( ^ω^)「勿論、探しているのは麻薬工場だお」
( ∵)「ブブピ」
( ^ω^)「その疑問はもっともだお。でも、この星は他の近代惑星から凄く離れているお。
だから、こういう場合のマフィアは土着住民から日用物資を買い取ることが多いんだお」
ハイパースペースは燃費が悪い。
わざわざ高い金を叩いて食料を調達するよりも、地元の人間達と上手く折り合いをつけた方が余程賢いやり方だ。
ブーンはある程度の大きさと生産力を持つ村を回り、マフィアが接触した痕跡を探そうとしていた。
si
44 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:56:19.79 ID:VKFMTL1sO
( ^ω^)「これで四つめ。そろそろ当たりがきて欲しいおね」
気持ち良い風が吹く草原を進むと、木が疎らに生えた森が出現した。
その中を進んで行くと、昼時だからだろう、何か美味しいものを作る料理の香りが鼻を擽り始める。
村が近い証だ。
( ^ω^)「あった。ビコーズ、刺激するといけないから君は外で待っててくれお」
( ∵)「プーン(了)」
――――――――――
―――――――
――――
( )^ω^)「げふっ。食いだめ万歳」
二時間後。
小さな集落の外で待つビコーズのトライカメラに肥えた男が映った。
口端に食べカスが付いている。
( )^ω^)「ビコーズ、ビンゴだお。連中はこの近くにいる」
( ∵)「プポ」
45 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 00:59:08.88 ID:VKFMTL1sO
( )^ω^)「うん。この先に巫女さんがいるから、彼女の協力を取り付けて奴らの寝ぐらに案内してもらうお」
宝石を手土産に現れた笑顔の男を、集落の住民達は気前のいい旅人として快く迎え入れた。
旨い雑炊を口に運ぶブーンに、村長は最近見慣れぬ格好をした男達がよくやって来ることを話してくれた。
村人だけでは狩ることが難しい大型の肉食動物を運んで来る彼等に対して、衣服や穀物を提供しているという。
容姿の特徴を聞く限り、それが件のマフィア達と見て間違いないなさそうだ。
( ^ω^)「んで。今は作物の刈り入れに忙しいから、会いたいなら巫女さんに案内してもらえってさ」
( ∵)「プン」
( ^ω^)「神様に仕えている神官らしいお。この森の奧に住んでるんだと」
46 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 01:02:23.28 ID:VKFMTL1sO
時刻は昼過ぎ。
一日の中で最も暑くなる時間であるにも関わらず、森の中は薄暗く、心地良い涼しさがある。
巫女殿の社は何処かと問えば、道なりに進めば何れ見つかると言われた。
随分と歩くな、と思う頃。桐で造られた立派な社がブーンの前に出現した。
辺りの木々は綺麗に刈り取られ、神聖な場所に相応しい空間になっている。
( ^ω^)『たのもー』
言語学者の結晶。コンパクトデバイスの高速翻訳機能を使い、ブーンは恐る々る社の門を叩いてみた。
村長からは、巫女に対して特に礼節作法に注意するような旨は言い含められていない。
予備の装飾品を懐に用意しつつ、ブーンは辺りに人影がないか見渡してみる。
47 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 01:04:09.38 ID:VKFMTL1sO
( ∵)))「プーン」
熱源を感知したビコーズが物陰に隠れた。
直後、社の反対側。生い茂る木々の奧から一人の少女が現れた。
ξ゚听)ξ「…………」
美しい。
金髪のロールに蒼い目がよく似合う可憐なヒトガタがそこにはいた。
着ている物は巫女の正装だろうか。
入念に織り込まれた綿製の袴を纏い、片手に桶をぶら下げたまま訝し気な目でこちらを見ている。
( ^ω^)『あ〜。はずめますて。おら、ぶーんとゆうものです』
ξ゚听)ξ「…………」
( ^ω^)『おら、むらのもんのゆるしをえて、きみんちにきたんだども。
すこし、ききたいはなしがあるけん。ちょいとあがらせてもらってええかの?』
つ(´・ω・`)つ====ヴォン
(´・ω・`)この若きジェダイにフォースが共にありますように
49 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 01:05:17.64 ID:VKFMTL1sO
相手に無用な警戒を引かせない為、身振り手振りで親しげに話し掛けるブーンに対して、少女は眉ねを寄せた顔を崩そうとしない。
( ^ω^)『ダメかの?』
ξ゚听)ξ「…………」
( ^ω^)「…………」
ξ゚听)ξ「…………」
( ^ω^)「…………」
ξ゚听)ξ「……そ」
( ^ω^)「ん?」
ξ゚听)ξ「へったくそな発音ね。ニヤけた顔でへらへらしちゃって……不快。不快だわ」
50 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 01:08:43.88 ID:VKFMTL1sO
(;^ω^)「え?」
驚いた理由は、少女が口火を切ったからではない。
かとい言って、初対面の人間にいきなり罵声を浴びせられたからでもない。
容姿とは少し違った威圧的な声を出す彼女は、銀河共和国指定の共通語を話していた。
(;^ω^)「ど、どうなってるんだお? この子は何で……」
ξ゚听)ξ「この子じゃない。私にはツン=E=アシュクロフトという名前があるわ」
(;^ω^)ウグ「…………」
ξ゚听)ξ「ところで、口の周りに喰いカス付いてるわよ」
ξ゚听)ξ「お っ さ ん」
( ;ω;)「…………」
森に住まう巫女は、ドSだった。
to be continued...
51 :
◆909zxcTVWc :2009/03/28(土) 01:11:54.06 ID:VKFMTL1sO
以上で今回は終了です。
途中で抜けてしまい申し訳ありません。
早く規制が解けないものかなあ……
支援、ありがとうございました!
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/28(土) 01:13:59.08 ID:3fXRVXRa0
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙でした。