(,,゚Д゚)ギコと从 ゚∀从ハインと学園都市のようです
1 :
◆BYUt189CYA :
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:44:33.74 ID:YHOnGMfy0
忘れてた。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:45:23.57 ID:ilrQPiyy0
∩___∩
| ノ ヽ
/ ● ● | クマ──!!
| ( _●_) ミ
彡、 |∪| 、`\
/ __ ヽノ /´> )
(___) / (_/
| /
| /\ \
| / ) )
∪ ( \
\_)
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:45:25.70 ID:ilrQPiyy0
∩___∩
| ノ ヽ
/ ● ● | クマ──!!
| ( _●_) ミ
彡、 |∪| 、`\
/ __ ヽノ /´> )
(___) / (_/
| /
| /\ \
| / ) )
∪ ( \
\_)
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:45:27.79 ID:ilrQPiyy0
∩___∩
| ノ ヽ
/ ● ● | クマ──!!
| ( _●_) ミ
彡、 |∪| 、`\
/ __ ヽノ /´> )
(___) / (_/
| /
| /\ \
| / ) )
∪ ( \
\_)
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:45:29.91 ID:ilrQPiyy0
∩___∩
| ノ ヽ
/ ● ● | クマ──!!
| ( _●_) ミ
彡、 |∪| 、`\
/ __ ヽノ /´> )
(___) / (_/
| /
| /\ \
| / ) )
∪ ( \
\_)
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:45:31.18 ID:ilrQPiyy0
∩___∩
| ノ ヽ
/ ● ● | クマ──!!
| ( _●_) ミ
彡、 |∪| 、`\
/ __ ヽノ /´> )
(___) / (_/
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| / ) )
∪ ( \
\_)
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:47:26.47 ID:eCI+tHvdO
支援
9 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 20:48:33.18 ID:hA+V9Nfg0
――――第二十二話
『災禍を呼ぶ咆哮』――――――――――
望まずとも決まっていく
誰も待ってなどくれない
何も待ってなどくれない
( ´ー`)y-~~板違い
!vip2:stop:
---
見習い戦士のふつうの攻撃
ログインしてないです。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:50:03.65 ID:TXpdVAXpO
shi-en
12 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 20:51:14.33 ID:hA+V9Nfg0
武装学園都市VIPにとっては親とも言える『チャンネル・チャンネル』。
この大陸の中ではトップクラスの経済力、軍事力、影響力を持つこの大国から東へ行くと、
しばらくして小規模な基地が見えてくる。
周辺の地名から『シベリア基地』と呼ばれるそこは、
特に重要な役割を持っているわけでもない、小規模な基地である。
陸路、海路、空路のどれも不便で、基地としても古く、
更に、人材は最近作られた新しい基地の方に奪われており、
周辺はおろか、基地内にも人の数は少ないという状況だ。
薄い外壁に囲われた中には、戦車一台と脱出用航空艇があるのみ。
見張りは立っておらず、背の低い小さな建物内を歩く影がいくつか。
大きな戦争など起きる気配もない上、
東方にある国々は『チャンネル・チャンネル』の影響力が行き届いており、同盟国が多いこともあって、
現在、この基地には左遷を命じられた、低能力な軍人が詰めていることになっている。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:52:08.06 ID:SkLEU74aO
支援
武装学園都市VIPにとっては親とも言える『チャンネル・チャンネル』。
この大陸の中ではトップクラスの経済力、軍事力、影響力を持つこの大国から東へ行くと、
しばらくして小規模な基地が見えてくる。
周辺の地名から『シベリア基地』と呼ばれるそこは、
特に重要な役割を持っているわけでもない、小さな基地である。
陸路、海路、空路のどれも不便で、基地としても古く、
更に、人材は最近作られた新しい基地の方に奪われており、
周辺はおろか、基地内にも人の数は少ないという状況だ。
薄い外壁に囲われた中には、戦車一台と脱出用航空艇があるのみ。
見張りは立っておらず、背の低い小さな建物内を歩く影がいくつか。
大きな戦争など起きる気配もない上、
東方にある国々は『チャンネル・チャンネル』の影響力が行き届いており、同盟国が多いこともあって、
現在、この基地には左遷を命じられた、低能力な軍人が詰めていることになっている。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:52:40.50 ID:py4kbqgAO
支援
16 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 20:53:52.30 ID:hA+V9Nfg0
そんな中、基地の隅にある小さな工房に一人の科学者が住み込んでいた。
数日前にフラリとやって来て、それ以来、外に一切出ることなく引き篭もっている。
工房の中は薄暗い。
時折、何か淡い光が浮かぶのみだ。
その中心には、件の科学者が鼻歌混じりに機械をイジっていた。
( )「〜♪」
外にいる軍人は知る由などないが、実は三日ほど食事も睡眠もとっていない。
ただひたすら、欲が促すがままに工房内で己の技術を振るっている。
汗や汚れ、作業時に出る熱や油を吸った白衣は、既に白という色を無くしている始末だ。
それでも『彼女』は止まらない。
常人には理解出来ない行動原理に従うだけ。
そんな『彼女』を止めたのは、たった一つの音だった。
硬く乾いた音。
正体は、工房の出入り口にあるドアだ。
拳で叩いて鳴らす音の名前をノックという。
どんな音や声にも動じなかった『彼女』は、しかし腕の動きを止めて振り返る。
ノックのリズムから、扉の外に立つ人物が自分の部下だと判断したからだ。
( )「……何か?」
『例の都市に動きがあったようです。 シナー様から連絡がありました。
生徒会代表とそのメンバー、学園長、そしてハインリッヒと共に地下へ入った、と』
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:57:34.76 ID:py4kbqgAO
支援
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 20:57:44.97 ID:ykRkcktkO
随分久しぶりな気がする支援
19 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 20:57:48.13 ID:hA+V9Nfg0
ドア越しに来る言葉を聞き、作業の手は止めたまま、
( )「予感が当たったようだね。
今頃、シナーは内心で悔しがっていることでしょう」
『更にもう一つ報告が。
同じ情報を、学園都市に送り込んでいる「諜報役」を通じて軍部が手に入れたようです。
そして、これは不確かなのですが……「空軍長」が動いた、という情報も入っています』
( )「『空軍長』……あぁ、あの人か。
今はほとんど知られていない要塞都市計画に熱意を見せていながら、
私の説得に最も早く準じた男」
一息。
( )「最近はまったく付き合いがないけれど……成程、彼が動くのは一つの『確認』かもしれないね」
『如何しますか』
( )「当然、手出ししない方向で。 彼には彼の考えがあるのでしょう。
今はまだ何もせずに見守るだけ……彼らが自分の足で立つことが出来るまで、ね」
足音が去り、作業音が再開される。
他には何も響かない。
20 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 20:59:18.93 ID:hA+V9Nfg0
いきなり放たれた言葉に、反応出来た者はいなかった。
解らないことが多過ぎたからだ。
目の前にいる女性。
彼女の口から出た言葉。
そして、今という状況。
爪 - -)「…………」
五メートル四方の部屋の中、女騎士が立っている。
両手を前で組み、そして軽く会釈した姿勢のまま女性は動かない。
鎧が軋む音を最後に不動となっていた。
(;゚Д゚)「…………」
从;゚ -从「…………」
川 ゚ -゚)「…………」
彼女を、生徒会メンバーと学園長、そしてシナー達が扇状に囲んでいる。
予想外な出来事に対してリアクションが上手くとれず、動かない女騎士を見守るばかりだ。
しばらくして、ようやく彼女に動く気がないと知った彼らは、顔を見合せて首を捻る。
21 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:00:54.78 ID:hA+V9Nfg0
(゚、゚;トソン「……ど、どうなっているのです?」
トソンの動揺ももっともで、
(゚、゚;トソン「シナーさんが言っていたはずです。
この地下に人が入るのは四十年振りだ、と……」
ならば、目の前にいる女性は何なのだろうか。
まさか四十年もずっと地下で生きてきたのだろうか。
ありえない。
そんなことは誰でも解る。
だが、目の前でそれが起こっていた。
微動だにしない女騎士。
姿形は人間にしか見えないが、不動の姿勢に僅かな違和感がある。
しかも鎧の所々が錆びており、お世辞にも美しいとは言えないが、
ノハ;゚听)「き、綺麗な人だなぁ……ッ!」
そう思わせる不思議な空気を、女騎士は纏っていた。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:02:38.80 ID:VzgsguggO
おっ 支援支援
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:02:52.53 ID:fCdnC7Zp0
支援
24 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:03:00.63 ID:hA+V9Nfg0
人間的な美しさではない。
ある種の無機質的な美しさとでも言えば良いか。
例えるなら、彫刻や絵画に目を奪われたかのような感覚に近いかもしれない
それほど彼女の姿は神々しくあった。
爪゚ -゚)「――――」
そしてふと顔を上げる。
思わず感想を漏らしたヒートを見て、小さく首を振り、
爪゚ -゚)「人間では御座いません。
登録コードネーム『G』。
この都市に備えられた全機能の管理・運用・指揮を任された、自律型機械人形で御座います」
川 ゚ -゚)「人ではなく、機械なのか?」
爪゚ -゚)「肯定です」
動きのない声だけの応答。
彼女を見て感じていた違和感の正体は、人でありながら人ではない矛盾から来るものだったのだ。
成程、彼女が機械人形だとすれば、動作の節々に見受けられる軋みや、姿勢を止めた時の不動にも納得がいき、
四十年という長い年月を地下で過ごせたことも、一応は頷けるだろう。
しかし、そうだとすると別の疑問が浮かび上がる。
それは、
爪'ー`)y-「……シナーさんの話が本当なら、四十年以上も前からここにいるわけになるよね。
当時の技術力で自律型機械人形なんて作れるわけがないはずなんだけど、
これはどういうことでしょうか?」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:04:51.42 ID:py4kbqgAO
支援
26 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:05:10.68 ID:hA+V9Nfg0
技術、年代的な矛盾。
当時ではあり得なかったはずの技術が、こうして目の前に姿を見せている。
フォックスの言う通り、確かに彼女がここにいるのはおかしい。
問われたシナーが首を振る。
( `ハ´)「彼女の詳細についてはワタシも知らないアル。
この地下が閉鎖される前、『プロフェッサーK』が最後に作ったもの、としか」
爪'ー`)y-(成程……では、やはり『プロフェッサーK』とは――)
(,,゚Д゚)「アンタも知らないのか……じゃあ、なんでここへ案内した?」
( `ハ´)「先ほど言った、地下が重厚に作られている理由を証明するためアル。
彼女の言葉を聞いたカ?」
从;゚∀从「……要塞都市VIP、って言ってたよな」
だが、ここは武装学園都市VIPだ。
決して要塞都市などという物騒な名前を持っているわけではなければ、都市が要塞として機能しているわけでもない。
同じVIPの名を冠してはいる点が気になるが、果たしてどういうことだろうか。
頭の回転がイマイチなギコには、解らない。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:05:26.15 ID:QvJYPGlEO
待ってた
支援
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:06:10.11 ID:o6oZtAt8O
なんか最近終わりのクロニクルの文体意識し過ぎじゃね?スランプ?
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:06:38.08 ID:hKvivBwbO
紫煙
30 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:07:06.13 ID:hA+V9Nfg0
(゚、゚;トソン「! まさか――」
トソンが驚きの表情で、
(゚、゚;トソン「――元々この都市は、学園として作られる予定ではなかった、と?」
( `ハ´)「そうアル。 本国の人間もほとんど知らないことだが」
川 ゚ -゚)「……『ゼアフォー』とやらが理由か」
呟くようなクーの言葉に、シナーが頷いた。
( `ハ´)「当時、アレを見つけた調査団の報告を受けた上層部は、まず軍事利用しようとしたアル。
『ゼアフォー』の放つ奇妙な力を操作することが出来たなら、これ以上ない兵器になるからナ。
それを見越して立ち上げられたのが、『要塞都市VIP計画』アル」
爪'ー`)y-「だから、この地下区画が頑丈に作られているんですね?
この都市を囲う外壁も同様でしょうか。 学園都市にしては作りが堅過ぎますから」
けれど、と続けて、
爪'ー`)y-「その計画は途中で潰えた、と。
現に今、ここは学園都市として機能しているわけですからね」
( `ハ´)「『プロフェッサーK』の意向でナ。
当時の軍部の技術力は、彼女によって支えられていたといっても過言ではなかったアル。
彼女は我々の知らない知識や技術を多く保有しており、その発言力は非常に強固なものだったアル」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:07:52.38 ID:hKvivBwbO
私怨
32 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:09:26.37 ID:hA+V9Nfg0
川 ゚ -゚)「何故、要塞都市では駄目だったのだ?」
( `ハ´)「ワタシには解らなイ。
ただ、彼女は『ゼアフォー』が利用されるのをひどく嫌っていた気がするアル。
そして――」
言葉を切り、シナーは鎧を纏う機械人形を見る。
視線を受けた人形は動かない。
まるで、次の命令を待っているかのようだ。
(゚、゚トソン「……つまりこの都市の一部と、そこにいる機械人形が、要塞都市の名残なのですね」
川 ゚ -゚)「そして先ほどの『ゼアフォー』。
これらが学園地下の秘密だったというわけ、か」
/ ,' 3「…………」
沈黙。
シナーが隠し通そうとしていた真実の重さに、皆が口を閉ざす。
ギコやヒートは足りない頭をフル回転させているが故の沈黙だが、
クーやトソンの沈黙は、また別の意味を持っているのだろう。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:10:00.51 ID:hKvivBwbO
試演
34 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:11:09.40 ID:hA+V9Nfg0
(;゚Д゚)(まさか……こんなモノが俺達の足下にあったなんてな。
そりゃヤミツキなんか学園都市特有の病気だとか言われてて、
前々からおかしいとは思ってたけど……こりゃあ予想以上だ)
『プロフェッサーK』とやらが秘匿したのも頷ける話だった。
こんなもの、学生ばかりの学園都市には重過ぎる。
クーを見る。
自分に判断出来るような事ではないが、彼女ならどうなのだろう。
この学園都市を支えている聡明な彼女なら、どういった答えを出すのだろう。
心の中の疑問は、別の形で発せられた。
( `ハ´)「さて……ワタシの教えられる真実は以上アル。
感想を聞かせてもらおうカ? 学園生徒会長としての、ナ」
川 ゚ -゚)「…………」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:11:36.45 ID:hKvivBwbO
C
36 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:12:58.38 ID:hA+V9Nfg0
先ほどから黙考しているクー。
シナーの問いに、ふと伏せていた視線を上げた。
しかし口は動かず、彼の言葉に一つ確信を得る。
……聞いただけでは簡単な質問だが、答え方次第で後々大きく響くだろうな。
例えば、かつての軍部のように『ゼアフォー』の力に関心を示せば、
シナーはもちろん、背後にいる『プロフェッサーK』が黙っていないはずだ。
最悪、学園都市の存続が危うくなるかもしれない。
クーは刺すようなシナーの視線を受け止め、逸らすことなく正面から返す。
この都市の守り手として下手なことは言えない、と、そんな決意を胸に秘めつつ。
一瞬、学園長の方へ意識を向けてみるが、彼の方から何かを言うことはない様子だ。
そして、
川 ゚ -゚)「……危険だな」
質問通りの素直な感想。
『ゼアフォー』に関しても、要塞都市に関しても同様だ。
どちらも、争いの火種を抱えている厄介な事実に間違いないだろう。
軍部と、軍部の意向とは別に動いている『D・I機関』、そして学園都市。
三つの陣営の思惑から考えても、この問題は軽率に扱うべきではない。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:13:30.91 ID:hKvivBwbO
しえん
38 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:15:49.08 ID:hA+V9Nfg0
川 ゚ -゚)「だが、知ったことを後悔したわけではない。
自分の足元も知らずに上を見る――いや、何かを為すのは難しいからな」
( `ハ´)「学生身分では手に余る代物だと思うガ?」
川 ゚ -゚)「信用の置ける部下がいる。
更には職員や先生方、そして学園に通う生徒達も。
私一人の能力では難しいかもしれないが、彼らと協力すればきっと何か為せると私は信じる。
だから――」
言い掛けた時だ。
クーの言葉を断ち切るように、大音が室内に響いた。
重低音と高音を重ね合わせた不吉な音の正体は、ブザー音だ。
そして同時に、室内を照らしていた光の色が赤に染まる。
(;゚Д゚)「!? なんだ!?」
爪'ー`)y-「これは……」
戸惑いの声が上がる中、鎧を纏う機械人形が動いた。
下げていた頭を上げ、前で組んでいた両手を低く左右に広げる。
まるで子供を迎え入れる母親のような格好で、
爪゚ -゚)「――危険の接近を確認。
我が使命は要塞都市VIPの守護。
システム領域に刻まれた『本能』に従い、迎撃行動に移ります」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:16:07.40 ID:8buetmaPO
ゼアフォー「おちんちんびろーんwwww」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:16:36.82 ID:hKvivBwbO
しえーん
41 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:18:09.93 ID:hA+V9Nfg0
え、と誰かが言うよりも早く、機械人形は素早く腕を振るう。
彼女と部屋に繋がりがあるのか、その腕の動きに呼応して五メートル四方の部屋に震動が走った。
大きく一度、そして小刻みに何度も。
ノハ;゚听)「な、なんだぁっ!? 爆発するのかっ!?」
(゚、゚;トソン「迎撃と言いましたが……」
川 ゚ -゚)「シナー」
( `ハ´)「この部屋の存在しかワタシは知らされていないアル。
まさか四十年前の遺物が、ここまで正常に動くとは――」
<ヽ`ー´>「動くムニダ」
(;゚Д゚)「へ?」
瞬間。
「「――っ!!?」」
一際大きな震動が走ったかと思えば、いきなり身体が重くなった。
真上から押さえつけられるような強制力に、中央に立つ機械人形以外の皆が膝をつく。
轟、という長い音が耳に入るが、それどころではない。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:18:40.61 ID:hKvivBwbO
支援
43 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:19:32.10 ID:hA+V9Nfg0
从;゚∀从「う、おぉぉ……!?」
ノハ;><)「ま、負けてたまるかぁぁぁぁあああッ!!」
爪;'ー`)y-「うわ、なんかヒートがすんごい姿勢で腕立て伏せを……!」
(゚、゚;トソン「この重圧……! 重力制御によるもの!?」
この部屋全体に強力な重力加圧が掛かったとしか思えない光景。
とはいえ術式で再現可能な現象なため、そのことに驚きは少ない。
問題は、何故今なのか、という点だ。
爪 - -)「――――」
中央、機械人形だけがポーズを変えずに立っている。
伏せられた視線は床を見つめており、感情という色はまったく見えない。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:19:56.27 ID:hKvivBwbO
試演
45 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:20:57.89 ID:hA+V9Nfg0
重い駆動音が響いている。
呼応するような深い振動も相変わらずで、一体何が起きているのか誰にも解らない。
ただ感じるのは身体に圧し掛かる不可視の重圧。
徐々に重くなっていく中、このまま潰されるのではないか、と思うのは当然で。
だが、それら全ての想像を覆す音を、ハインが聞いていた。
从;゚∀从「違う……! この部屋の重力が加圧されてるんじゃない! 『逆』だ!!」
ハインは壁に手を付き、
从;゚∀从「壁の向こうから小さく風音と駆動音が響いてる!
重力が変更されたんじゃなくて、この部屋自体が高速で上昇してるんだ!!」
(゚、゚;トソン「なっ……!?」
爪;'ー`)y-「成程、この部屋自体がエレベーターだったわけね」
(;゚Д゚)「いやいやいや、呑気に言ってる場合じゃないっすよ!
もし本当なら……これ何処まで行くんすか!? だってこの上って――」
嫌な予感。
おそらく同一の予想が、皆の頭の中を突っ走る。
そして、
ノハ><)「んんん――〜〜……どっかーんッ!!」
ヒートの声と共に、上昇していた部屋が何かをブチ抜いたような撃音が、大きく響くこととなった。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:21:36.55 ID:hKvivBwbO
紫煙
47 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:22:32.27 ID:hA+V9Nfg0
( ゚∋゚)「なんだ……?」
( ´_ゝ`)「おー」
いきなり学園敷地内から響いた大きな音。
まず気付いたのは、正門で休憩していたクックルと兄者だ。
倒れて痙攣している生徒達を周囲に、彼らは立ち上がって音の出所を探す。
( ´_ゝ`)「生徒会詰所の方角、だな」
( ゚∋゚)「妙だ。 既にメールでハインリッヒ捕縛命令は撤回されているはず。
それ以降の戦闘行為が起きているとすれば……問題だぞ」
( ´_ゝ`)「まぁ、俺には関係ないからいいけど」
やれやれ、と座り直す兄者の表情はどこか満足げだった。
それもそのはず、周りで倒れている生徒達へ思う存分に実験を行なったのだから。
何をされたのかは解らないが、屍のように倒れる彼らに同情をこめた視線を送る。
普段は荒れ狂う知識欲に従って行動する兄者。
しかしそれが治まれば、よほどのことでないと他のことに興味を持てなくなる。
『黒翼』関係でしばらく一緒にいたクックルは、兄者のことをそう分析していた。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:23:13.23 ID:hKvivBwbO
しえん
49 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:23:54.47 ID:hA+V9Nfg0
( ゚∋゚)「相変わらず自分本位だな」
( ´_ゝ`)「ならば問うが、お前は他人に何かを決めてもらうのか?
違うだろう? 今、お前はあの音の出所へ行ってみたいと思っている。
それは自分の考えだ。 だったらお前も自分本位さ」
( ゚∋゚)「ふむ、確かに」
( ´_ゝ`)「しかしそれより、お前の先ほどの行動は愉快だったな。
まさかミルナとホライゾンを空から落として、また戻ってくるとは」
( ゚∋゚)「ひ弱な科学技術学部の先輩を置いてきたのが心残りだったのでな」
( ´_ゝ`)「俺は大丈夫だと言ったのに」
( ゚∋゚)「大丈夫だと言えるのは自分がそう思っているから、か」
(*´_ゝ`)「はっはっは、その通りだ」
自信満々に笑い、
( ´_ゝ`)「ん? どうした?」
クックルの表情が変わったことに気付き、問う。
しかしこちらに返事を寄越さず、クックルは真剣な表情で空を見つめ続ける。
何かを探しているか、確かめているような雰囲気だ。
日常から探究に身を置いている兄者の見解は、正しかった。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:24:27.53 ID:8buetmaPO
ゼアフォー「おちんちんびろーんwww」
51 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:25:19.19 ID:hA+V9Nfg0
( ゚∋゚)「これは――」
( ´_ゝ`)「だから、どうしたというのだ?」
( ゚∋゚)「聞こえないか? この風に乗って来る『声』が……!」
言われ、耳を立ててみる。
聞こえるのは風が吹く音だ。
学園が高所にあるため、余計に大きく聞こえる。
だが、その中に小さく混じる別の音を、兄者の耳が捉えた。
(;´_ゝ`)「!?」
まさか、といった表情でクックルを見た。
特徴のある響きは、しかし実際には聞いたことのない音色だ。
教材や、資料室にある資料動画でしか耳にしたことのない音だが、これはおそらく――
(;´_ゝ`)「――『竜の咆哮(ドラゴン・ハウリング)』か!?」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:26:47.82 ID:hKvivBwbO
試演
53 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:26:57.61 ID:hA+V9Nfg0
全ては一瞬の出来事だった。
下方へ押しつけられていた身体が、撃音と大震動と共に浮き上がり、天井へと叩きつけられる。
慣性力に身を持っていかれたのは機械人形以外の全員だ。
受け身をとる暇などない。
三メートルほどの高さの天井だが、この速度でぶつかれば非常に危険だ。
そう思い、慌てて身を丸めようとして、
(;゚Д゚)「!?」
柔らかいモノに身を包まれた。
何が、と思う前に音が止まり、慣性も力を失う。
天井へ『落ちた』皆は、元の重力に従って床へと身体を降ろしていった。
(゚、゚;トソン「ど、どうなって……?」
思考の追いつかない連続事象を受け、混乱するのは当然だった。
いつもの冷静さを失ったトソンが求めるように周囲を見るが、誰も答えなどくれない。
クーですら、しっかりと着地しているものの、注意深く機械人形を見ている。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:27:51.57 ID:UPu73NNVO
支援
55 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:28:07.47 ID:hA+V9Nfg0
ギコは、出来るだけ落ち着いて現状を整理。
部屋が赤く染まり、機械人形が危険の接近を認めた。
いきなり床に叩きつけられたが、それは部屋自体が上昇したからだという。
そして今、始まりと同じくいきなり停止し、天井にぶつかるはずが、こうして無事で――
爪;'ー`)y-「いやー……流石に驚いたね、これは」
川 ゚ -゚)「フォックス、お前か」
爪'ー`)y-「はい。 術式を使って天井の硬度を変更してクッションにしました。
間に合って良かったですよホント」
川 ゚ -゚)「感謝する。 皆も無事か?」
(,,゚Д゚)「俺は大丈夫っす」
視線を横へ向けると、ふらふらと立ち上がろうとするハインが目に入った。
傍には既に姿勢を整えているシナーとニダーがいる。
慌てた様子も見せないのは、流石といったところだろうか。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:28:18.30 ID:8buetmaPO
(゜ω゜)「アッォォォッ−−−−−!!」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:28:31.35 ID:BY+bgaMbO
しえん
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:29:33.10 ID:hKvivBwbO
紫煙
59 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:30:05.72 ID:hA+V9Nfg0
川 ゚ -゚)「皆、無事なようだな。
さて……私には『何かを貫いて』止まったかのように思えた衝撃だったが、
まぁ、それは置いておくとして……『G』といったか。 どうするつもりだ」
爪゚ -゚)「四十年の過去から刻まれた我が使命を果たすまで」
川 ゚ -゚)「その使命とは?」
爪゚ -゚)「知れたこと。 この要塞都市VIPの守護です」
周囲に異変。
四方にある壁が、音立てて開き始める。
それぞれ外側へ向けて倒れていく光景は、まるで花開くようで。
人工ではない、天然の陽光が差し込んでくる。
斜めに入る光を鎧に反射させながら、機械人形は静かに、ゆっくり俯いた。
爪 - -)「――お早う御座います、我が都市よ」
壁が完全に取り払われた。
目線を上げた機械人形が、前を見る。
そこから見える光景は要塞都市VIP――
爪゚ -゚)「え……?」
――ではなく、学園都市VIPだった。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:31:18.45 ID:hKvivBwbO
しえーん
61 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:32:14.00 ID:hA+V9Nfg0
予想していなかった光景に機械人形の動きが止まる。
表情こそ驚きも何もない無だが、その様子は何故かひどく人間臭かった。
言葉を失い、何かを探すような、確かめるような動きで周囲を見渡し始めるが、
それが迷子になった少女のようにも見受けられ、少し可哀想な気がしてくる。
その呆然とする機械人形の後ろで、フォックス達が己のいる場所を確認していた。
爪;'ー`)y-「って、あれ……? ここってもしかして――」
(゚、゚;トソン「も、もしかしてではありません……!
ここは――」
震える声が落ちる先、半壊した生徒会詰所があった。
あまりの凄惨な光景に生徒会メンバーの表情が凍る。
先ほどまで形を保っていた部屋が、どうも生徒会詰所を地下からブチ抜いたらしい。
二階部――つまりクー達が使う生徒会室を中央から破壊し、その上に自分達が立っているのだ。
(;゚Д゚)「……! ってことは、俺の使ってるデスクなんかも!?」
慌てて部屋の縁から下を見る。
無残に破壊されている中、ギコのデスクが裏返って中身を撒いていた。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:32:21.59 ID:iJWKmRhUO
しえん
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:32:59.48 ID:hKvivBwbO
しえん
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:33:42.48 ID:JxrRGKnJ0
しえん
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:33:57.41 ID:BY+bgaMbO
支援
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:34:08.56 ID:8buetmaPO
ゼアフォー「おちんちんびろーんwww」
67 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:34:10.77 ID:hA+V9Nfg0
(;゚Д゚)「あ、あの中にはエクストに借りてた『えるえむ・しぃ』のディスクが……!!」
(゚、゚;トソン「あぁぁぁぁ――私のデスクも……ということは弓の整備用器具も、
昨晩の時点でPCに途中保存していた電子資料の整理も、
毎日コツコツとやってきた『久遠式地雷撤去遊戯(1000×1000Ver)』のデータも、
全て……全て、無くなってしまったのです、ね……」
爪;'ー`)y-「うわ、僕のデスクまで吹っ飛んでる。
別に大事なデータとか資料とかないけど、保存していた飴が……!!」
川 ゚ -゚)(隠れて作っていた小型戦闘艇『ペルレ』の模型が……)
機械人形を含めて多大なショックを受ける面々。
彼らを除いたシナーとニダー、そしてハインが、周囲の状況を素早く警戒していた。
というのも、
从;゚∀从「なぁ、なんか騒がしくなってるけどいいのか?」
見れば、半壊した生徒会詰所の周囲に生徒達が集まっていた。
いきなり生徒会詰所が破壊されたのだから、当然と言えば当然だ。
相当に大きな音がしただろうし、ハイン騒動の直後なのだから敏感になっているのだろう。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:35:03.07 ID:TXpdVAXpO
大惨事支援
69 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:36:24.34 ID:hA+V9Nfg0
一年生から五年生まで顔触れは様々。
しかし、その表情には戸惑いと不安が見て取れる。
川 ゚ -゚)「参ったな……どうしたものか」
爪'ー`)y-「本当にそう思ってます?」
川 ゚ -゚)「お前には通用しないか」
(;゚Д゚)「え?」
川 ゚ -゚)「いや、何でもない。 あとで解る。
それよりも……まず、この状況をどう説明すべきか迷うな」
何も知らない生徒から見れば、クー達が生徒会詰所を破壊したかのようにも見えるかもしれない。
加えてシナーやニダー、学園長、そして見慣れぬ機械人形が傍にいるため、
その戸惑いと不安は増しているはずだ。
とはいえ、いきなり全てを説明しても更に混乱を呼ぶだけで終わるだろう。
地下の秘密や要塞都市の存在など、自分達でも未だに実感の湧かない事実を見てきたのだ。
まだこちら側で整理すべき情報もある以上、ここで迂闊なことを言うわけにもいかない。
(,,゚Д゚)(どーにかしてここから離れて、とにかく一旦落ち着かないとな。
渋澤先生とかいれば一発で黙らせられるんだろうけど)
声を上げることは誰でも出来る。
けれど、それで相手に納得を与えられるのは限られた人間だ。
今まで積み重ねてきた印象がモノを言うのであれば、自分がその役目を負うことなど出来ない。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:36:37.34 ID:hKvivBwbO
試演
71 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:38:01.09 ID:hA+V9Nfg0
そうギコが思った時。
人垣を掻き分け、こちらへやってくる動きがあった。
人垣という壁を食い破るようにして出てきたのは、
( ´_ゝ`)「すまん、ちょっと通してくれ。
ほらクックル、お前は図体ばかりがデカい野蛮人なんだから、
この時くらいは盾になるかして役に立たんか」
( ゚∋゚)「それは亜人に対する差別発言と受け取っていいのか?」
( ´_ゝ`)「何を言う。 その図体を活かす方法を教えているのだ。
むしろありがたく思うと幸せになれるかもよ?」
( ゚∋゚)「……まぁ、何を言っても無駄だとは解っているが」
兄者とクックルだ。
春期の中旬から『黒翼』関係で一緒にいることが多いので、
最近では違和感のなくなってきた組み合わせだが、
(,,゚Д゚)「なんでお前らがここに?」
( ´_ゝ`)「どけ、ギコ=レコイド。 俺は会長に話があるのだ」
川 ゚ -゚)「私はここにいるぞ」
と、クーが一歩前へ出る。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:38:07.83 ID:k78DhkgO0
うはwwwwww初遭遇紫煙wwwwwwwww
73 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:39:45.72 ID:hA+V9Nfg0
(;゚Д゚)「あ、会長……油断すると危ないっすよ、あの男は。
始業式のこと憶えてますよね? 控えめに言って変態っすよ?」
川 ゚ -゚)「確かに変人だが、今の彼の言葉はいつになく真剣そのもの。
ならば正面から応えるしかないだろう」
(;゚Д゚)「むぅ……まぁ、不埒なことしたら俺が容赦なくいきます」
川 ゚ -゚)「任せた」
頷いた彼女は、生徒会詰所をブチ抜いた部屋から飛び降りた。
背負ったランスの重量のせいか、着地音は硬く大きく、女子生徒のものとは思えない重厚さを秘めている。
下で待つ兄者と視線を対等にして、どうした、と問うと、
( ´_ゝ`)「うむ。 あまり大きな声では言えんのだが――」
その時。
『――――!!!』
轟音。
いや、咆哮が来た。
遠くから響く音は、しかし確かな震えを以って都市を覆う。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:39:46.02 ID:hKvivBwbO
支援
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
支援
76 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:41:21.02 ID:hA+V9Nfg0
大気が震えて余韻となる中、身を固めていた生徒達がざわめき始める。
それは生徒会メンバーも同様だった。
(;゚Д゚)「い、今のは……!?」
( ´_ゝ`)「……『竜の咆哮(ドラゴン・ハウリング)』だ。
お前でも聞いたことくらいはあるだろう?」
川 ゚ -゚)「やはり、か」
『竜の咆哮(ドラゴン・ハウリング)』とは、その名の通り竜種の放つ威嚇の声だ。
敵と認めた生物へ攻撃を仕掛ける時にのみ放つ攻性の咆哮。
しかし、だとすれば納得出来ないことがある。
爪;'ー`)y-「おいおい冗談にしちゃ笑えない状況だよこれ」
(゚、゚;トソン「馬鹿な……! 何故、竜がこんな場所にいるのですか!?」
驚くのも無理はない。
この世界における竜は畏怖の象徴として伝えられ、そして現実に恐れを振り撒いている。
話の中に出てくるような架空生物ではなく、その影響は実際に『竜害』として災害の一つに数えられているのだ。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:42:12.71 ID:hKvivBwbO
C
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:42:37.46 ID:VCT2PwT8O
キン肉マン観てるから、これが最初で最後の支援だ!
まとめで読ませてもらう!
頑張れよ作者!!
79 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:42:49.49 ID:hA+V9Nfg0
竜。
他の動物と違い、確固たる精神と知能を持った種族である。
その誇りは非常に高く、己を最高だと認識した上で保たれているため、
同種以外の生物には見向きもしない性質があった。
竜種は何の存在をも認めず、そして無視する。
たとえ目の前で戦争が起きようとも、眼前に神や悪魔が降臨しても、気にも留めないだろう。
その精神性が適用されなくなるのは、害を受けた時だ。
一度でも攻撃を受けたり、己の住処が荒らされたなら、竜はその牙と爪を容赦なく振るう。
竜種の放つ戦闘力は、種類にもよるが容易く都市一つを滅ぼすレベルだと、いつかの授業で教えられた。
(;゚Д゚)「あ、でもちょっと待って下さいよ。
竜ってこっちから何かしない限りは何もしてこないんすよね?
だったら、単に近くへ来てるだけとか、どこかの誰かが間違って攻撃してしまったとか……」
すがるような言葉に、兄者が首を振る。
いいか、と前置きして、
( ´_ゝ`)「『竜の咆哮(ドラゴン・ハウリング)』。 竜が獲物を襲おうとする時に発する声だ。
それが聞こえたってことは、この都市が攻撃範囲に入っている可能性も充分にあり得る。
竜から見れば、俺達なんてみんな同じ人間だからな」
こちらが竜のことを『竜種』だとカテゴライズするように、竜から見た人間もまた全てが『人間』なのだろう。
となれば、竜が定めた範囲に入っていれば、たとえ害する意思なくとも攻撃を受ける可能性は高い。
この無差別性こそが、災害の一つとして認識される理由の一つだ。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:43:10.20 ID:BY+bgaMbO
シエン
81 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:44:20.24 ID:hA+V9Nfg0
川 ゚ -゚)「……もしもの時のために備える必要があるな。
とはいえ、全生徒職員に通達することくらいしか出来ないが」
苦々しい口調には理由があった。
学園都市は、世界共通の不戦系の法に守られている。
『軍隊による学園都市侵略の禁止』である。
まだまだ未熟な若者ばかりが集う都市である以上、
実力的、経済的に対等でない大人が手を出すのはフェアではない、という見解からだ。
常時的な効果があり、たとえ戦争中であろうとも学園都市を攻撃することは出来ない強力な決まり事である。
しかしこれは逆に、学園都市の戦争介入も禁止されることに繋がっていた。
つまり学園系の都市は防衛用・攻撃用の兵器を持つ必要がなく、
更には非常時に備えての部隊編成も強制ではないため、非常に脆弱な状態にあるケースが多い。
爪'ー`)y-「――というわけで、この都市も例に漏れず防衛機能に難を抱えてるわけだね。
立派な外壁とか持ってるけど、そんなの飛行する竜には意味がない」
(;゚Д゚)「じゃあ、こんな時はどうやって都市を守るんすか?」
爪'ー`)y-「本来なら本国軍部に連絡して救援要請。
その間は生徒と職員が、各々の技量と武器を使って凌ぐ、かな」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:45:00.02 ID:hKvivBwbO
紫煙
83 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:45:41.99 ID:hA+V9Nfg0
そして今、確実な事実は多くない。
竜が近くにいる、ということ。
この都市も被害に遭う可能性がある、ということ。
いや、むしろ――
从;゚ -从「ご、ごめん……もしかしたら俺のせいかもしれない」
(;゚Д゚)「へ?」
从;゚ -从「確信があるわけじゃないけど、
もし軍部に、俺がお前らと一緒に地下に入ったのを知られていたら……」
爪'ー`)y-「……裏切りと見て、竜を寄越した、と?」
从;゚ -从「……あぁ」
爪'ー`)y-「確かにタイミングとしては不自然そのものだけどね。
でも、断言するにはまだ早いと思うよ」
(;゚Д゚)「え、ちょ、なんか普通にスルーしてますけど、竜を寄越すってどういうことっすか?」
川 ゚ -゚)「あぁ、それは――」
( ゚∋゚)「――! 来るぞ!!」
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:46:35.04 ID:hKvivBwbO
支援
85 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:47:04.94 ID:hA+V9Nfg0
『――――!!!』
被さるように、『竜の咆哮(ドラゴン・ハウリング)』が落ちてくる。
恐怖を煽るような強い声が、再び生徒達を襲うが、
今度はその中に風を切り裂く音が混じっていることに気付いたのは、ごく少数であった。
川 ゚ -゚)「! 全員、その場に伏せろッ!!」
音の正体を理解したクーが、その場にいる全員へ声を放った。
普段の冷静な色はなく、だからこその危険を感じ取った生徒達が反射的に身を落とす。
次の瞬間、地面を巨大な影が疾走した。
東から西へ抜けた影はそのまま空へ消え、少し遅れて突風が追いかけていく。
舞い上がった砂嵐に視界が封じられる中、しかし全員が状況を確信した。
「「――っ!?」」
腕で顔を庇いながら、風の行く先を見る。
沈みかけている太陽の関係で逆光気味だが、その中に黒い点として飛ぶ何かがいた。
鱗に包まれた巨躯。
刃のように鋭い足爪。
広げれば二十メートルを超える巨大な翼。
そして、見る者を射抜く血走った両眼。
もはや疑いようもない。
陽光を背に旋回する巨大な物体は、どうしようもなく有翼の『竜』であった。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:47:11.35 ID:py4kbqgAO
支援
87 :
◆microbe.12 :2009/03/22(日) 21:48:09.27 ID:nun5fG4n0
本物のしえーんはPCです
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:48:14.64 ID:hKvivBwbO
試演
89 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:48:37.15 ID:hA+V9Nfg0
ノハ;゚听)「す、すげー……ッ、あんなの初めて見たぞッ」
(゚、゚;トソン「……今のは『合わせ』でしたね。
高度と速度を確かめ、確実に攻撃するための」
(;゚Д゚)「ってことは、やっぱりこの都市を狙ってるのか……!」
実戦経験の少ない後輩が慌てるのも仕方がない。
そして周囲、竜の姿を見てしまった生徒達の不安の声が聞こえる。
不安だけならマシだが、竜の攻撃対象がこの都市であることが解った今、もはや時間的余裕はない。
川 ゚ -゚)「…………」
竜が飛び去った空を見ていたクーは、密かに決断していた。
地下の秘密を知った時から――いや、二年前、生徒会長として学園都市を守ろうと誓った時から、
ずっと、ずっと考えていた一つの『在り方』。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:49:44.32 ID:VScp5KlLO
ヒートかわいいなww
支援
91 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:50:19.26 ID:hA+V9Nfg0
迷いはあった。
今までの流れを断ち切ることで、下手をすれば生徒達を危険に巻き込む可能性があったからだ。
何も知らない。
何も関わらない。
何も謳うことはない。
そうしていれば、きっと学園都市は一時的な平穏を約束される。
戦いも、恐れも、脅威も無く、皆が自分の夢や希望に向かって、拙いながらも歩いていけるはずだ。
少なくともクーが卒業するまでは何事もなくやっていけるだろう。
しかし、思う。
……それが最良なのだろうか。
地下にある秘密は、いつか学園都市を何らかの形で戦火に巻き込むだろう。
その時、何の対策も準備もしてなければ、この都市はどうなってしまうのか。
もしかしたら本国の反感を買い、
制裁の名の下に、自由のない直接支配を受けるかもしれない。
地下にあるアレが何らかの理由で力を発揮し、深刻な精神汚染地域になるかもしれない。
その力を欲すどこかの国や組織が、法を破って学園都市を侵略するかもしれない。
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:50:19.57 ID:hKvivBwbO
紫煙
93 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:52:08.50 ID:hA+V9Nfg0
そのような危機が訪れる時、きっと自分は学園都市にはいないだろう。
ここに残って教師になるつもりはないし、ルヴァロン家の長女としての道を選ぶつもりだ。
だから、関係ない。
三年前なら、そう判断したかもしれない。
まだ何もかもが輝いて見え、自分の力の限界を目指していたあの頃なら。
しかし、
川 ゚ -゚)(……もう、以前とは違うんだよな。
私は一人の生徒を再起不能に追いやり……だから、彼女が好きだと言った都市を――)
守りたい、と思う。
たとえ関係なくなる場所だとしても、せめて自分がいる時だけは、と。
そのために学園生徒会長に立候補し、皆に選ばれ、そして自分の能力を都市のために使っている。
ほんの数月前までは、それで良かった。
しかし今、その方法では都市を守り切れない可能性が出てしまっていた。
このまま何もせず、後輩に生徒会を任せて卒業すれば、きっといつか良くないことが起きる。
ならばどうすれば良いのか、という問いの答えは、既に出ていた。
落ち着いたら、皆に打ち明けよう。
反対する者もいるかもしれないが、どうにかしてみせる。
皆、この学園都市が好きで、だから毎日を過ごしているのだと信じているから。
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:53:11.63 ID:py4kbqgAO
支援
95 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:53:23.28 ID:hA+V9Nfg0
川 ゚ -゚)「そのために……まずは――」
見上げる。
まだこちらを狙ったまま飛ぶ竜が見える。
アレを何とかしなければ、自分は、自分達は一歩を踏み出せない。
竜を倒す。
それだけでも至難だというのに、この都市にいる者の多くは学生だ。
いくら戦闘訓練を受けているとはいえ、未熟者であることには変わりない。
冷静に考えれば勝機などないように思える戦い。
しかし、と否定した。
このような状況を打破出来なければ、どちらにしろこの都市の未来は暗い、と。
問題は、自分だけが張り切っても仕方がないということなのだが、
「「――――」」
気付けば、その場にいる生徒全員がクーを見ていた。
頼るような、それでいて手を貸そうとしている強い視線だ。
上空を飛ぶ竜に怯えながらも、しかし自分に出来ることをやろうという意思を見せている。
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:53:34.94 ID:BY+bgaMbO
支援
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:53:59.17 ID:hKvivBwbO
しえん
98 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:54:31.80 ID:hA+V9Nfg0
川 ゚ -゚)「……わざわざ私が扇動するまでもない、か。
相手は竜だが、皆はそれでも戦うというのだな?」
爪'ー`)y-「色々と怪しいことありますけど、今は戦わなきゃ生き残れないっぽいですしね。
まぁ、柄にもなく精一杯やらせてもらいますよ」
(゚、゚トソン「射撃の指揮は私が。 会長は槍を振るうことに専念して下さい」
ノパ听)「姉さんッ! 私の活躍、見ててくれよなッ!」
(,,゚Д゚)「お前は無茶しかしないだろーが。
ったく……会長、コイツは俺に任せて下さいっす」
他の生徒達も概ね同じ気持ちらしい。
先ほどと比べて人数が随分と増えているのは、竜の接近を見てここへ集まってきたということだろう。
周囲の気配から、避難というよりも何か出来ることを探すためにやって来たようだ。
そのことに僅かな嬉しさを感じつつ、クーは強く頷く。
川 ゚ -゚)「解った。 ならば戦おう。
私達は何も知らず、何も解っていない未熟者だが……
敵意に対して抗うことくらいは出来る未熟者だ」
頷き、
川 ゚ -゚)「――戦おう。 戦って、この都市を守ろう」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:55:32.03 ID:hKvivBwbO
試演
100 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:55:37.27 ID:hA+V9Nfg0
都市レベルでの戦闘など初めてだった。
先ほどの説明の通り、戦闘能力を持った学生はいるにはいるが、それぞれに戦場での役割など決めておらず、
つまり機能的な統率がまったく執れない状態にある上、防衛用の兵器や機能もほとんど保有していない状態。
学園都市としての最大の弱点を晒したまま、戦いが始まる。
戦闘に詳しい者なら、この事実が解っているはず。
ただ士気だけが上がり、勝機が見えない状況であるのは間違いなく、
今、誰もが欲しいと強く願うものとは、竜に打ち勝てる一手の存在である。
動きを何とか止めて、自分の術式である『九連魔弾射出魔術陣』を叩き込むか。
それで倒せるとは思えないが、それ以上の手など他に――
「――竜討つ役は、私に御任せ頂けないでしょうか」
救いの声は上から。
見上げれば、生徒会詰所を破壊した部屋から、一つの人影が飛び降りる。
人間のものとは思えない重い着地音を響かせたのは、学園地下に封印されていた機械人形だった。
101 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:56:53.07 ID:hA+V9Nfg0
川 ゚ -゚)「君は……いや、今はどんな助けでも文句は言えん。
あるのか? 竜を倒せる手段が」
爪゚ -゚)「ある、と断言致しましょう。
元より『我が身』はそれに特化したもので御座います」
言い、錆びた鎧を軋ませながら、彼女は浅く両手を広げる。
爪゚ -゚)「申し上げた通り、私はこの都市に備えられた全機能の管理・運用・指揮を任されております。
それは学園都市の、という意味ではなく、下地になっている要塞都市のことを示しています。
つまり――」
川;゚ -゚)「――まさか、要塞都市の名残が在り、そして活きている、と?」
機械人形『G』が小さく頷いた。
肯定を示す動作の次、広げていた両腕を前へ持って行くと、キーボード型ウインドウが浮く。
それは今使われているモノに比べ、随分と古い型式の配置とインターフェイスだった。
爪゚ -゚)「今こそ呼び起こしましょう。
四十年の時を経て、都市防衛に用いられるはずだった眠れる兵器を」
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:57:08.92 ID:hKvivBwbO
紫煙
103 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:58:08.02 ID:hA+V9Nfg0
高速でボードを叩く指。
電子音の連鎖をBGMとして、彼女は何かを呼び起こそうとする。
しかし、
爪゚ -゚)「……接続エラー? 領域構築不可?
成程、後に作られた学園都市のシステム領域が、思った以上の容量を御持ちのようですね。
制限付きのアクセスは出来ますが、作業領域の確保が不可能なようです」
(;゚Д゚)「え……それって、今言ってた兵器ってのを使えないってことか?」
爪゚ -゚)「そうなります。
現実的に考えて、私の能力で兵器を稼働させることは不可能ですね」
あっさりとした答えにギコが肩を落とし、それを見ていた周囲の皆も真似をする。
そもそも彼女が何者なのかすら知らない者が大半なのだが、相変わらずノリだけは良い。
一気に沈んだテンションに、ですが、と彼女は付け加えた。
爪゚ -゚)「それはあくまで『現実的』として考えた時のこと。
故に私は言いましょう。 『願望』ならば全てが上手くいく、と」
無感情に放たれた言葉は、ひどくおかしなものだった。
願望ならば全て上手くいく?
それはただの現実逃避ではないか。
現実を見ず、自分の思い通りの結果を頭の中で描いているだけ。
願望とは、頭の中から出ないから『願望』と呼ばれるのだから。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 21:58:24.38 ID:py4kbqgAO
支援
105 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 21:59:39.68 ID:hA+V9Nfg0
いつか聞いた風断つ音が、遠くから聞こえる。
三度目の竜の接近が行われようとしているのだ。
先ほどのものが『合わせ』ならば、おそらく本格的な攻撃が始まるだろう。
川 ゚ -゚)「……時間がない。 残念だが、頼れそうにはないようだな。
皆、それぞれの役割を確認して行動してくれ」
(,,゚Д゚)「了解っす!」
川 ゚ -゚)「明確な部隊編成など行なってない故、基本的には行動内容は各々に一任する。
しかし、私の見ぬ場所で死ぬことだけは許さない。 いいな?
下級生は無理せずサポートに回り、上級生は下級生を守りながら戦ってくれ」
皆が頷き、そして散っていく。
それぞれが竜を倒す方法を考え、それぞれが都市を守るために。
先ほどから黙っているシナー達や、何かを考えているハイン、そして生徒会メンバーも遅れて動き始める。
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:00:17.63 ID:hKvivBwbO
しえん
107 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 22:00:34.84 ID:hA+V9Nfg0
一気に騒がしくなった学園敷地内。
破壊された生徒会詰所の前で、機械人形『G』が一つ小さく頷いた。
(,,゚Д゚)「……?」
爪 - -)「我が願望……ただ一つの意思に従うものでありますれば」
目を伏せ、
爪 - -)「躊躇も不安も当惑も焦燥も何もかも無用」
首を振り、
爪 - -)「ただ欲すは願いの表明」
細い右腕を前へ。
手の甲を上にした状態で、五指が広がる。
偶然見ていたギコの視線の先、そして彼女はこう言った。
爪 - -)「OVER――――」
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:02:06.28 ID:vFuuq7qP0
支援
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:02:15.55 ID:py4kbqgAO
支援
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:02:40.17 ID:hKvivBwbO
試演
111 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 22:02:44.57 ID:hA+V9Nfg0
紡がれる言葉は、超越の鍵語。
爪゚ -゚)「――――『OVER DESIRE』」
壊れていた歯車が、いや、元から存在すらなかった歯車が、音立てて噛み合った。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:02:44.12 ID:VScp5KlLO
久々にぺニスがくるのか!?
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:03:53.13 ID:hKvivBwbO
紫煙
114 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 22:04:09.58 ID:hA+V9Nfg0
というわけで二十二話終わります
ありがとうございました
次回、一話使って殴り合って一区切り、といった感じで
なんか質問とかあったらどぞ
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:04:59.95 ID:8buetmaPO
おつかれさぬ
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:05:01.64 ID:hKvivBwbO
乙!
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:05:09.52 ID:VScp5KlLO
オーバーデザイア?
なんて読むんだ?
乙
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:05:34.15 ID:K9FwFWXUO
乙!
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:06:01.13 ID:BY+bgaMbO
乙!
次回投下はいつになりますか?
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:06:39.72 ID:dhV+HP0hO
プロフェッサーKは第一世界………ってか始まりの次元の人間?
秘匿事項なら無視でおk
あと大まかな話数とか教えてくれたら嬉しい
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:06:51.03 ID:jlklxK2e0
うおおおお乙!
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:07:02.35 ID:QvJYPGlEO
なん…だと…?
>>117 ディザイアじゃないかな?
意味はたしかお願いとか願望とか?
違ったら訂正頼む
こいつはジェイル本人なのか?
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:10:18.63 ID:VScp5KlLO
ゼニスを遥かに越えるかっこよさだなwww
イカしてるぜ作者!!
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:10:51.29 ID:QvJYPGlEO
乙
こう言う展開は大好物だから久々に熱くなった
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:11:04.77 ID:KGj1U0AiO
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:11:50.42 ID:ESWdRFqy0
支援
ながら投下なのか?
130 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 22:12:02.59 ID:hA+V9Nfg0
ちなみにOVER DESIREは自分的直訳で「願望突破」
オーバーデザイア、と読むのかな
限界を超えるオバゼニに対し、こちらのオバデザは願望を超えるもので、
ゼニスとは別物ですが関係バリバリという、非常にやらしい要素です
>>120 来週狙いですが難しいかもです
でもまぁ、とりあえず次回までは近々必ず書くつもりです
>>121 良いとこ突くねぇこのこのぉ
話数はマジ不明ですっていうか今の状態で続くのかなコレ
>>125 別人ですが似たような存在です、機械な辺りとか
>>128 来年こそ頑張ってください
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:13:57.37 ID:o6oZtAt8O
乙
答えてくれないのか……
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:16:07.11 ID:QvJYPGlEO
>>130 続くのかな、ではなく続けるのだ
ごめんなさい続けてくださいお願いします
133 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 22:19:21.35 ID:hA+V9Nfg0
>>129 ながら投下は二度とやんない
>>131 終わクロは最近読んでないけど、影響は昔からバリバリっていうかそのままです
最近は都市シリーズばっか読んでるのでそっちの影響のが強いかもしれません
スランプかどうかは自分でも解りません
>>132 頑張ります
よみおわた
フォックスかっこよすぎだろ・・・
あと兄者ってやっぱ竜に反応するんだな・・とおもた
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:23:58.24 ID:o6oZtAt8O
>>133 いや、変わったよ
あなたの色が薄くなってる
ありがとう
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:28:29.85 ID:NwvBOSMfO
久しぶりに来てたのか
熱くなってきた乙
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:28:33.31 ID:TXpdVAXpO
兄者の変態成分が足りない……
異獣出てくる?
139 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 22:39:29.93 ID:hA+V9Nfg0
>>135 ワシの色って何じゃろな・・・
最近、本気でそういうこと悩んでいたりするので敏感反応
是非とも客観的な視点から自作品などのことをkwsk聞いてみたい気持ちがあるのですが、
やっぱりどうしても馴れ合い臭くなるからなー・・・いつか機会があったら聞かせて下さい
>>138 どちらとも言えない状況です
解釈次第かと
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:43:04.72 ID:0HtmT9rCO
続きが楽しみ乙
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:45:47.28 ID:fCdnC7Zp0
支援
妄想突破
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:49:14.69 ID:AxHEBdNOO
楽しかった!
乙!!
オバデザって機械人形に使える分、オバゼニより便利そう
続き気になる
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 22:56:55.35 ID:yJ+wmLOUO
作者には学園都市以降の構想もあるのか?
この竜ってのはアーウィンみたいな竜ってのでおk?
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 23:06:40.54 ID:QGMaQvQeO
だんだん展開が鰤みたいになってきたな
いい意味でも悪い意味でも
148 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 23:09:21.40 ID:hA+V9Nfg0
>>145 というか、実は以降の構想の方が固まってたりします
以前までの伏線考えたら自然と道が一本しかない、といいますかー
>>146 竜の形状は次回で詳しく
魔法で出来た竜とかじゃなくガチで生物としての竜です
乙!
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 23:10:52.96 ID:dhV+HP0hO
強いて言うならヒとかキとかの音の表現出したりがあんたの色だったな
別に終わクロ読んでないから文体の変化は気付かんが
マンネリだって言われてベクトル変えたとこに偶々よく読む終わクロがあったんだろ
文体云々で悩むのも良いが、それで筆が進まなくなったら本末転倒だと思うぜ
最終投下から結構時間たってるし
151 :
◆BYUt189CYA :2009/03/22(日) 23:16:30.23 ID:hA+V9Nfg0
>>150 見破られてますねー
原因は解ってるんです
自分の実力以上のモノを書こうとするから、
何もかも上手くいってないように思えてるだけだ、と
実は今回の話もまったく自信がありませんでした
もうちょい気楽に書ければなー・・・ってコレいつかも言わなかったっけな
とまぁ、そういう感じです
んではー
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 23:17:09.43 ID:5tujCDpl0
オーバーデザイアとはwwwwww
作者相変わらずだwwwww
乙ーん
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/22(日) 23:21:28.48 ID:asZ57pt8O
最初から読んでるし学園入ってからカワカミンが入ってるのも気付いてたが文体も章の初めに入る文もオリジナリティがにじみ出てるから安心していんじゃね?
似てくるのはその作者とか作品に対する感動とか憧れのせいで多少しょうがないし積極的に取り入れたって最終的に自分の文を手に入れればいいぜ
キツいが
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
K=クルトだと思ってたから話についていけなかったw
よみなおそっと