1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
日差しが強く降り注ぐ。
二月だと言うのに、毎日が常夏のこの国は今日も例外なく暑い日だった。
しかし、季節という物がなくとも、その時期の風習はまた例に漏れずやってくる。
新年の祝い、クリスマス、ハロウィン等がそうだ。
尤も、そんな行事を国をあげて祝う事はないのだが。
道は汚れ、腕っ節の強そうな男達と、色目を使う女達。
真昼だと言うのに、さながら夜の街という風貌だ。
こんな中でサンタが居ようものなら、ものの数秒でプレゼント袋は空になってしまうだろう。
拳銃所持は当たり前。麻薬取引、殺人など日常茶飯事だ。
ここは赤道近くにぽつりとある国、ニューソク。
そこの首都、ヴィップ。
互いの縄張りを管理するマフィアによって辛うじて均衡を保っている危険な街。
街の入口には、古ぼけた一冊の白紙の本と、ペンが置いてある。
それは初めてここを訪れる者への、小さな配慮だった。
表紙にはこう書かれている。
“家族に伝える言葉があれば、伝えてやろう”
つまりは、遺書というわけだ。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 05:02:16.85 ID:BP27FjDM0
一度足を踏み込めば、いつ死んでもおかしくない。
なんの冗談かと思うかもしれないが、一夜を過ごさず思い知る。
むせ返る血の匂いと、鼻をつく弾薬の匂い。
死と隣り合わせの街、ヴィップ。
あのイベントが、この街にもやってきた。
『掃除屋・バーボンハウスのようです』
⇒Act.Valentine's Kiss〜
3 :
ジェラートin抹茶ん ◆GREENTEAnQ :2009/03/14(土) 05:03:29.42 ID:X+V5GW78P
マスター牛乳くれ
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 05:04:08.79 ID:BP27FjDM0
周囲の厳つい男たちとは正反対のにやけ顔。
一見小太りに見えるが、袖から伸びたその腕は筋肉質だ。
その逞しい腕で果物の入った紙袋を抱えて、男が歩いていた。
ただ前だけを見ながらに、男は進む。
変に視線を飛ばし、目が合おうものならそれだけで因縁をつけられてしまうからだ。
男のにやけ顔なら、更にその可能性が上がってしまう。
男の名は、内藤ホライゾン。
彼は今まさに買い物を終え住居へと戻る最中であった。
その容姿と手に持つ果物の山から、平和な雰囲気を感じさせているが、
装着されたショルダーホルスターと、重みのある存在感が歩みに合わせ左右に揺れる。
顔を覗かせるのは彼の愛銃、『ベレッタ90−Two』
独自にカスタマイズされた彼の銃は、製品よりもバレルが延長されている。
ともかく、その銃がやはりこの地が危険地帯であることを示していた。
歩く内藤の表情からは、まったくそんなことは思わせてはいないが……
ヴィップ市の中心街に位置するこの付近は、管理しているマフィアグループの本拠地がある。
つまりは、そのルールさえ守れば危険は少ないと言う事だ。
長年この場所に住む内藤は、それを心得ていたのである。
だが。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 05:04:11.07 ID:PgmDNeZCO
こんな時間にスレたてる
君の勇気に乾杯
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 05:06:46.65 ID:BP27FjDM0
( ^ω^)「……?」
内藤が歩みを止め、目先の角にある風俗店に目を向けた。
昼間から外で呼び込みをしている男が頬を腫らして店の中を窺っている。
強く殴られでもしたのだろうか、腫れた頬は青ざめていた。
内藤が近づくと、二人組の男が入口で何やら騒ぎ立てている様子が見えた。
( ^Д^)「まぁまぁ、そう言わずによぉ」
( ´ー`)「言う事聞いた方が身の為だーよ」
( ゚∀゚)「はー……だからうちじゃ無理だっての」
二人組の男が、店の運営者と何やら話しているようだ。
この程度のいざこざはヴィップではよくあることなのだが……
そうであってもここは巨大マフィアの一角、『ペニサーファミリー』が管理する場所だ。
当然近辺の風俗店は勿論、飲食店にしてもペニサーの息がかかっている店ばかり。
よって彼等がしている事は、ペニサーに因縁をつけているような行為なのだ。
しかもこの風俗店は、ペニサーの直営である『おっパブジョルジュ』。
今まさに二人組の対応をしているのが、管理者のジュルジュ長岡その人だった。
ペニサーの幹部でもある彼を相手に、二人組は一体何をしているのだろうか。
内藤は彼等の無知さを哀れに思いながら、呼び込みの男に声をかけた。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 05:08:44.18 ID:BP27FjDM0
( ^ω^)「どうしたんだお?」
(#)゚ω゚)ノ「あ、内藤さんかよう」
おっパブジョルジュで万年呼び込みを務める男、イヨウだ。
近くに住んでいることもあり、二人はよく知った仲だった。
日常生活以外にも内藤の仕事で付き合いが多少なりあるのだが、それはまた後に。
(#)゚ω゚)ノ「なーんか、いきなり来て支配人を呼べ、だそうだよう」
( ^ω^)「へぇ……見かけない顔だおね」
(#)゚ω゚)ノ「おいらも見た事がないんだよう 外の人間であることは間違いなさそうだよう」
まず、この近辺で事を荒立てるのは外の人間と見て間違いはない。
代表は女性だが、その統率力はこの地を見れば明らかである。
他の四つの地域を管理しているマフィアグループと比べ、最も力があると称される。
武器の密輸によって充実された武力と、構成員の数、独自の売買ルートの確保。
そしてファミリー全体が本当の家族の様に強い信頼感で結束されていた。
ペニサーの構成員を一人殺したならば、字の如く地獄の果てまで追い詰められ、
報復と言う名の残虐の限りを尽くされて、死に至るであろう。
いや、もしかしたら延々と生かされ続けさせられるのかもしれない。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 05:10:54.70 ID:BP27FjDM0
そんなペニサーに、この二人組は喧嘩を売っているわけだ。
外で見守る内藤とイヨウは、二人がどんな事をされるのかを早速予想していた。
( ^ω^)「指を一本一本潰されるとか?」
(#)゚ω゚)ノ「アッチ系の裏ビデオに出演かもしれないよう」
様々な憶測が飛び交う中、どうやら話し合いに進展があったらしい。
言葉の代わりに、一人の男が飛んできたからだ。
(#)´ー`)「オボォッ!」
回転しながら盛大に外へと殴り飛ばされた二人組の内の一人。
それを青ざめた顔で見つめる二人組の内の一人。
そして、静かな表情で俸立ちの男に視線を向ける、ジョルジュ長岡。
( ゚∀゚)「よくわからねぇけど、もう黙れや」
(;^Д^)「こ、後悔するぞ!」
( ゚∀゚)「お前がだよ ペニサーに喧嘩売ってるんだぞお前」
(;^Д^)「ペ、ペニサー……だって……?」
男の青ざめた顔が、さらに青くなった。
ペニサーの名を聞いての事だろうが、やはり知らなかった様子。
伊達にゴロツキをしてはいないようで、ペニサーの名だけは知っていたようだ。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 05:14:20.31 ID:BP27FjDM0
( ゚∀゚)「知らなかったのか? この付近でそこらの店に因縁つけるってこたぁ
ペニサーに喧嘩を売ってるのと同義だぜ?」
(;^Д^)「そ……そんな……知らなかったんだ!」
( ゚∀゚)「おせーよ お前、もう外の地は踏めないぜ」
( ^ω^)(あーあ……)
二人組の運命は、どうやら決まってしまったようだ。
内藤は心の中で二人の不幸を哀れに思いつつ、自業自得とも思った。
ここは、そういう街なのだから。
興味も薄れたのか、内藤がその場を立ち去ろうとした、その時。
一台の黒塗りの車が近づいてきた。
陽光を煌びやかに反射させながら、独特の流線形の美しいフォルム。
トップにはブランドを示すモチーフが悠然と佇んでいる。
メルセデスベンツ・S600。
数千万は下らないであろう高級車が、おっパブジョルジュの前で停車した。
こんな高級車を乗り回す者は、この街には一人しかいないだろう。
( ゚∀゚)「ありゃ?」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 05:21:19.12 ID:BP27FjDM0
('、`*川「ラリホー!ラリホー!」
>>1はふかいねむりにおちた
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 06:14:47.34 ID:2ai/DeplO
こんな時間に…支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 06:47:32.47 ID:BPVTY/J9O
お後がよろしいようで
寝落ちかよおぉぉおぉぉぉお
起きろー!
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 08:58:48.24 ID:x35Aye5/O
寝落ちかwww
ざ
めは