('A`)が狭間で生きるようです

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1('A`)が狭間で生きるようです
こんにちは。
うん、今日も投下なんだ。

まとめはオムライスさんにあります。
http://vipmain.sakura.ne.jp/635-top.html

それでは、第十一話投下します。
2('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 15:54:12.20 ID:Y3aDFKBH0
第十一話「君の瞳の中の俺」



从'ー'从「ドッくん〜、ご飯食べよう〜」

昼に渡辺が入ってきた。
ここ三日間ずっとこうだ。飯時になるとやってきて食べ終わると出ていく。
変な奴になつかれたものだ。
それが嫌じゃない自分は最低だなとつくづく感じる。

从'ー'从「ドッくん、顔が悪いよ〜?」

Σ(;'A`)「余計なお世話だ!」

顔色だよね?
いきなり顔面偏差値を言われるほど俺の顔って悪いのかな。

从'ー'从「え〜??」

何が悪いのか分からない顔をしている渡辺。
皆と違う意味で考えがよく分からない。
人って複雑なんだな。
3('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 15:55:47.01 ID:Y3aDFKBH0
('A`)「お前、なんで俺と飯食うの? レジスタンスの仲間とかと食べればいいじゃん」

素朴な疑問を渡辺にぶつける。
こいつ強いんだからいくらでも配下とかいそうなものなのにな。

从'ー'从「えぇ〜? 友達いないんだもん」

友達いないんだ。
なんか妙に親近感を覚えてしまう自分がいるのが分かる。

('A`)「不思議なものだな。割りと友達多そうなのに」

そう言えば俺が殺したのか。
三人一組で行動していた二人を殺したのを思い出した。
違うか、消したんだった。
少しだけちくりと胸が痛む。

4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 15:56:32.41 ID:wOm/zhxh0
待ってたよ支援
5('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 15:58:43.22 ID:Y3aDFKBH0
从'ー'从「レジスタンスに友達なんてのはないよ〜?」

('A`)「え?どういうこと?」

从'ー'从「強い人が弱い人を好き勝手してるだけだよ〜」

('A`)「ああ、そういうことね。でも渡辺強いじゃん」

渡辺の言葉に疑問を覚えるが、次の言葉で解氷した。
弱肉強食って寂しいな。
一緒に飯食う人もいないんだもんな。

从'ー'从「女の子は嫌な目で見るし、男の子はいつか犯そうかとギラギラしてる
     し一緒にご飯なんて食べれないよ〜」

('A`)「はあ…そんなもんかね」

そりゃ、渡辺も俺の態度を疑問に思うわけだ。
強いのに何もしないんだもの。
力は強いけど、心は弱いだけなんだけどな。
6('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:00:36.66 ID:Y3aDFKBH0
从'ー'从「その点ドッくんはたまにいやらしい目になるだけで安心〜」

(;'A`)「余計なお世話だ!」

从'ー'从「エッチする〜?」

(;'A`)「しねぇよ!」

从'ー'从「だから安心〜」

脳天気な女だな。
なんだってこんなにあっけらかんとしているんだ?
恐らく俺よりも人を殺しているはずなのに。
罪悪感だとかなんだとかに苛まされている様子がまるでない。
それなのに狂気とかそういうのも感じない。
分からない奴だ。

7('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:02:33.35 ID:Y3aDFKBH0
从'ー'从「そういえばドッくんのお友達にご飯持ってったよ〜」

('A`)「…!」

从'ー'从「聞きたくない〜?」

('A`)「いや…聞かせてくれ」

渡辺が皆に飯を運ぶ。
何か、見ているのだろうか。皆の様子を見ているのだろうか。
皆のことは気になっていた、でも考えないようにしていた。

でも聞かなくちゃ。
自分の行動に責任を持たなくちゃならない。
例えそれがどんな結果であっても、それが俺のしたことだから。

8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 16:05:18.51 ID:plpWtzun0
しえーん
9('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:07:21.14 ID:Y3aDFKBH0
从'ー'从「ムチムチボディの人がまだ怒ってたよ〜」

('A`)「…!」

怒ってる。
クー先輩が未だ怒ってる。
以前ショボン先輩に聞いた。クー先輩は本気で怒ると相手をいないものと扱うと。

―(;´・ω・`)「ひどいよ、クーは。僕がDカップが一番好きだって言っただけで1週間口聞いてくれないんだ」―

ということは、俺のことを仲間と思っているのか?
こんな俺をまだ仲間だと。
やめてくれ、辛いんだよその気持ちが。
さよならのつもりだったのに。
また、希望が顔を覗かせる。

( A )「…」

涙が自然と溢れる。
嬉しさと妬ましさが入り交じるこの気持ち。
自分以外の全てが消えてしまえばこんな気持ちも無いはずなのに。
10('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:10:11.57 ID:Y3aDFKBH0
('A`)「ありがとう…」

从'ー'从「ドッくん泣き顔不細工だね〜」

(#'A`)「余計なお世話だ!」

从'ー'从「あはは、嘘だよ〜。じゃあね〜」

渡辺が帰っていってベッドに一人潜り込む。何もすることがないから。
でも、そうすると考えてしまう。

何のために自分が生きているのか。
力、そして目的の無い心。
この二つの狭間で揺れている自分。
一般ソードよりは強い、しかしワカッテマスやソード同盟よりは弱い。
何かを起こすにも、何かを阻むのにも中途半端な力。
行動を起こせない力。

暇を持て余し、時間がひどくゆっくりと進んでいく。
何もやることが無いのは辛いな。
影でも広げて自分の世界にでも閉じ隠ろうか。
それすら、最早いらないと思える。
この怠惰な時はあまりにも残酷だと思えた。
11('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:12:33.25 ID:Y3aDFKBH0
('A`)「図書館でも行くか…」

ワカッテマスがいるだろうが、本でも読めば気が紛れるだろう。
あいつはいないものと扱えば、特に問題は無いだろう。

前時代の知識でも集めよう、歴史の本でも読んでみよう。
この状況の打開策が欲しい訳じゃない。
せめて諦めの気持ちくらい欲しいだけだ。
絶望したいだけなんだ。

('A`)「行ってきマンコっと」

部屋に一応鍵をかけて外に出かける。
意味が無いなと思いながら、習慣には逆らえない。

昼下がりの道をてくてくと歩く。
木に雪がつもり、一つの絵のように美しい様を見せている。
そんなことを考える余裕が出来た。
時間が経つほどに絶望は薄れる。
このままじゃいけない、と自分の偽善が言う。
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 16:15:41.63 ID:wOm/zhxh0
支援
13('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:17:42.54 ID:Y3aDFKBH0
「きゃああああ!!」

丁度良く女の悲鳴が聞こえてきた。
またレジスタンスの馬鹿が女を襲っているのか。
まあ、いい。
とりあえず殺そう。

<ヽ`∀´>「ウェーハッハ〜。待つニダ〜」

*(;;)*「いやああああ!!」

なんだあいつか。
懲りない奴だな、一度助けてやったのに。
それでも、一度助けたのを殺すのも気分が悪い。
一応殺すか殺さないかは、待ってみよう。

('A`)「おい、やめな」

<ヽ`∀´>「邪魔する…」

<;ヽ°∀°>「なあああああああ!!??」
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 16:19:24.38 ID:wOm/zhxh0
支援
15('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:21:27.36 ID:Y3aDFKBH0
目玉が飛び出そうなほどに驚いていやがる。
それはそうか。
自分を殺しかけた男が目の前にいれば誰だってこうなる。

<ヽ;`∀´>「ち、ち、ち、ち、違うニダ!!」

(#'A`)「何が違うんだ?」

言い訳をするこいつに腹が立ち影法師を出す。

<ヽ;`∀´>「アイゴ〜!!本当に違うニダよ!!」

(#'A`)「言い訳は嫌いなんだ。死ねよ」

<ヽ;°∀°>「たたたたたたた助けて〜!!!」

一気に首を落としてやろうか。
それとも残酷にいたぶるか。
めんどくさいから一気に消してやろうかな。
これで六人目か。
そう思った時だった。
16('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:24:04.38 ID:Y3aDFKBH0
*(‘‘)*「ニダー兄ちゃんをいじめるな―!!」

(;'A`)「えっ!?」

ひ弱なソードを俺に出して、男をかばう少女。
あまりの事態に体が止まる。
あまり状況が飲み込めない。
あれ、君さっき泣き叫んでたよね?

*(#‘‘)*「いじめるな―!!」

(;'A`)「分かった、分かったから」

<ヽ;`∀´>「…」

(;'A`)「どういうこと?」
17('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:27:30.03 ID:Y3aDFKBH0
思わず男に尋ねる。
ばつの悪い顔をしている男は話そうとしない。
話してくれないかな、何だかこのまま去ると凄い気になりそうだ。

('A`)「言わないと怒るよ?」

<ヽ;`∀´>「…!! …言うニダ!」

観念したように男が口を開く。
のっぴきならない事情があるようだけど、幼女を追い掛け回す理由は何だ?

<ヽ;`∀´>「ちょっとこっちに来て欲しいニダ…
出来ればヘリカルも一緒に脅す感じで…」

なんだか妙な注文をつける男に不満を覚えるが
自分の蒔いた種だから仕方がない。
二人の髪の毛を引っ張りながら茂みに連れていく。
痛そうだな…
でも、そういう注文だから仕方ない。
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 16:29:47.21 ID:ScFdNQ2+0
最近の楽しみだぜ。
19('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:31:36.89 ID:Y3aDFKBH0
*(#‘‘)*「いたい―!!」

<ヽ;`∀´>「…」

女の子は怒りながら、ひ弱なソードをぽかぽか俺にぶつけながら逆らう。
この子案外気丈だな。
俺だってこんなことしたくないよ!

('A`)「で?」

*(#‘‘)*「む―!」

<ヽ;`∀´>「…」

茂みに到着して、男に尋ねる。
怒り続ける少女と、黙り続ける気弱な男。
なんだこれ。
20('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:35:26.11 ID:Y3aDFKBH0
('A`)「何か事情あるの?」

言いたくなさそうなので答えを促す。
外に出て早々めんどくさいな。
だけど、暇つぶしにはなるか。
人の深刻な事情が暇潰しか、随分と偉くなったもんだ。

<ヽ;`∀´>「見ての通りヘリカルのソードは弱いニダ…」

('A`)「うん」

<ヽ;`∀´>「だからロリコンとかに目をつけられたらひとたまりもないニダ…
前…別の子でそういうことがあったニダ…」

口を開いた男は、事情を説明した。
ロリコンってどこにでもいるもんなんだな。

('A`)「あ―、なるほど」

<ヽ;`∀´>「だからウリが最初に手をつけたことにすれば…」

なるほどね。
この子を守るためにやってるってことか。
じゃあ、なんで外になんか出るんだ。
それにさっきのはなんなんだ。
21('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:38:17.18 ID:Y3aDFKBH0
('A`)「じゃあ、さっきのは?」

<ヽ;`∀´>「あれは…」

*(#‘‘)*「鬼ごっこは真剣にやんないと駄目なんだよ―!?」

まだ怒ってる少女はそう言った。
ああ、鬼ごっこですか。
少女の要求に応える形で男がカモフラージュの意味を込めてやらせている。
きっとそんなとこだろう。

ああ、だから俺が殺した男についてたのか。
強い奴についとけばとりあえずは安心だもんな。
俺がそいつを殺したけれども。

('A`)「…」

<ヽ;`∀´>「分かってもらえたニダか…?」

懇願するような顔で男が尋ねる。
ああ、分かったよ。

22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 16:41:02.14 ID:fS1f2BCGO
ぎゃー来てる
支援だ!
23('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:41:21.54 ID:Y3aDFKBH0
('A`)「お前ら今日から俺の子分ね」

<ヽ;`∀´>「え…!?」

*(#‘‘)*「やだ―!!」

少女は明らかな不快感を示している。
男は戸惑いの表情。
当たり前か。

('A`)「嫌なの?」

<ヽ;`∀´>「いや、むしろ望むところニダ…」

*(#‘‘)*「あたしはや―!!」

男も状況を察したのだろう、あっさりと承諾する。
少女は頑なに拒否する。
子供には好かれないものだな。
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 16:41:24.70 ID:ScFdNQ2+0
限界…っ!圧倒的焦燥…っ!
25('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:42:54.84 ID:Y3aDFKBH0
('A`)「一応聞いておくけど、お前は本当にロリコンじゃないんだろうな?」

多少、脅しをかけるように尋ねる。
まさかロリコンだったとしたら殺してやるからな。

<ヽ`∀´>「ウリは熟女が好きニダ」

(;'A`)「あ、そう…」

真っ直ぐな目でそういう男には一点の曇りも無かった。
こいつ逆に凄いな。

('A`)「じゃあ、そういうことで」

そう言って二人に背を向ける。
男が何か言おうとしてたがそれは受け取れない。
しばらくするとまた少女の悲鳴が聞こえた。
全くよくやるよ。
26('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:46:12.39 ID:Y3aDFKBH0
('A`)「なんであんなこと言ったんだろうなあ…」

なんで男と少女を助けるようなことをしたんだろう。
罪滅ぼしのつもりなのだろうか。
だけど、別に罪悪感は感じていない。
あるのは後悔だ。

寂しいのか、感謝されたいのか、誉められたいのか。
どれもしっくり来ない。
認めたくないだけなのかな。
自分良い人間だとでも思いたいのだろう。
さあさあ、いつもの通りの自己嫌悪だ。

('A`)「あ、着いた」

考えごとをしている間に図書館に着く。
多分、ワカッテマスがいるだろう。
丁度いい、今の気分にぴったりなお薦めの本でも貸してもらおうか。

27('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:49:07.63 ID:Y3aDFKBH0
地下に降りていき、ワカッテマスを探す。
いないのかな。

( <●><●>)「やあ、心優しいドクオくん」

突然表れるワカッテマスに驚くとともにその言葉に不快感を覚える。
正直、見透かされるのは気分が悪い。

(#'A`)「…」

( <●><●>)「やあ、驚かせてしまいましたか?
すみません、あなたに貸す本を探していたら思ったより時間をとってしまいました」

(#'A`)「何もかもお見通しってことかよ…」

( <●><●>)「ええ、まあ」

怒りを顕にしながら言葉を出すのに、ワカッテマスは全く動じない。
ちくしょう、飄々としやがって。
やっぱり部屋で悶々としていれば良かったか。
一瞬、そう思った。
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 16:49:19.45 ID:fS1f2BCGO
支援!
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 16:51:41.70 ID:af9beWUzO
応援支援
30('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:52:51.02 ID:Y3aDFKBH0
( <●><●>)「さ、どうぞ」

ワカッテマスは何も気にしていないような顔で、本を差し出す。
何にせよ、俺のために本を探してくれた。
その面には感謝するよ、本のラインナップが酷かったら怒るけどな。

('A`)「まあ、ありがとよ…っておいなんだこれ?」

( <●><●>)「何がですが?」

見開いた目で純粋に疑問を返すワカッテマスにこっちが疑問を呈したくなる。
何がですかじゃねぇよ。
なんだこの本のラインナップは。

('A`)「何このチョイス?漫画とか無いの?」

( <●><●>)「あなたにぴったりだと思ったのですがね。
それに大学の図書館に漫画なんてありませんよ。」

はあ、さいですか。
でも、さすがにこのラインナップは無いと思うんだ。
31('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:55:33.25 ID:Y3aDFKBH0
デカルト、アキレスと亀のパラドックス、ロボット工学、クオリア、
量子論に特殊相対性理論、はてまてシュレディンガーの猫と来たものだ。
お前、俺はたかだか私立の大学生だぞ。

( <●><●>)「分からなければ私が分かりやすく教えますよ」

('A`)「いや、そういうことじゃなくてね」

( <●><●>)「とりあえずアキレスと亀のパラドックスからやりましょうか。
これならまずは分かりやすいです」

(#'A`)「話聞けよ!」

( <●><●>)「運動というものはそもそも有限のものですが、それを行うためには
無限の事象をこなさなければならないパラドックスです」

(;'A`)「いや…話聞こうよ…」


32('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 16:58:35.73 ID:Y3aDFKBH0
俺の意見なんか無視して話を進めるワカッテマス。
こいつこんなキャラだっけかな。
狭い世界に生きてきた俺には未だに人間というものが分かっていないらしいな。
そう考えている間にも、ワカッテマスは構わず講義を続ける。

( <●><●>)「まあ、これの決定的な解はありません。次に量子論を見てみましょう」

('A`)「…」

もう、嫌だ。
なんでこんなところで勉強をしているんだろう俺は。

( <●><●>)「すいません、大切なものを忘れていました。
ちょっとゲーデルの本を探して来ますね」

(;'A`)「まだあんの!?」

33('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:00:33.79 ID:Y3aDFKBH0
それから俺は日が暮れるまでワカッテマスの講義に付き合わされた。
色々小難しいことなのだがワカッテマスが概要をかいつまんで話してくれるため
一応の理解は出来る。

面白くは無いが、大学の講義もこんな感じだったらもう少し勉強していたかなと思う。
そういえば、懐かしいな。学校が。
求道部の他の皆は何をしているのだろう。

ああ、駄目だ。
考えてしまったらそれなりの責任が心に来る。
とりあえず、今はこの奇妙な状況に身を任せていよう。

34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:02:02.31 ID:fS1f2BCGO
弓やりてーなぁ
支援
35('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:03:46.73 ID:Y3aDFKBH0
( <●><●>)「今日はこの辺にしておきましょう。本日の感想は?」

('A`)「訳わかんねえよ…」

( <●><●>)「その通り。それが真理です」

('A`)「は…?」

散々人に講義をしておいて、勝手なことを言うワカッテマス。
お前は一体何を考えているんだ?
そもそも俺になぜこんな講義を行なうのか。
疑問は疑問を呼び、頭の中を支配する。

( <●><●>)「それではまた明日。
それまでに今日読んだ本は部屋で復習しておいてくださいね」

(;'A`)「えぇ!?」

( <●><●>)「それでは、さようなら。恵まれた人」
36('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:06:23.60 ID:Y3aDFKBH0
そう言いワカッテマスはどこかに消える。
ワカッテマスに渡された本を手にしながらぼんやりとしながら帰路に着く。
なんでこんなことをしているんだろう。
だけども流されている分楽ではある。
ああ、とりあえず腹が減った。

('A`)「ただいま〜」

誰もいない部屋にそう言いながら、ベッドに横たわる。
そして、今日のことを思い出す。
えらの張った男を子分にして、ワカッテマスノ講義を受ける。
退屈はしない日々だったな。
それにレジスタンスの人間が全員極悪人じゃないということも分かった。
ああ、大収穫じゃないか。

('A`)「…クソ」

37('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:08:51.33 ID:Y3aDFKBH0
('A`)「偽善者だな…」

駄目だ、一人になると泣きそうになる。
仲間を裏切りながらそれでも仲間と思ってくれていることに安堵を覚える。
そして、独りでいるのが嫌だからレジスタンス内でもうまく立ち回ろうとする。

自分が嫌いだ。だけど嫌われたくないんだ。
そうだ、そうに決まっている。
最低だ、最低だ、最低だ。
俺は人を殺しているのに。
もう嫌だ、消えてしまいたい。

('A`)「ちくしょう…」
38('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:11:29.80 ID:Y3aDFKBH0
コンコン

从'ー'从「ドッくんご飯だよ〜」

何だってこいつはこんなときに来るんだ!
自己嫌悪ぐらい一人でさせてくれ。

从'ー'从「ドッくん〜?」

('A`)「…」

从'ー'从「どうしたの〜?」

('A`)「…」

从'ー'从「ドッくん〜?」

うるさい、うるさい、うるさい。
この能天気が。
俺のスペースに入ってくるな!
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:12:24.59 ID:ScFdNQ2+0
支援
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:13:05.00 ID:6/X0JQc3O
何と言う絶倫w支援
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:14:52.44 ID:AbndwXfv0
九死に一生だったなぁニダー
42('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:14:53.21 ID:Y3aDFKBH0
从;'ー'从「きゃっ!」

渡辺をベッドに押し倒す。
服を剥ぎ取りその肢体を顕わにする。
拒まない渡辺。
それを良いことに好きにする俺。

胸をまさぐり、首筋を舐め、股間に手を伸ばす。
渡辺の体を弄りながら、心に反吐を吐く。
ああ、濡れてやがるな。
いつだったか聞いたことがある。
女は感じているから濡れるんじゃない。
自分の身を守るために濡らすんだと。

从 ― 从「うぅ…」

苦しそうな声を出す渡辺。
どうだ、裏切られた気持ちは。
どうだ、裏切られた気持ちは!

43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:15:51.05 ID:6/X0JQc3O
支援
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:17:25.26 ID:Rf4tkRQX0
支援

45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:19:13.41 ID:x1e0tVQ+O
支援
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:19:26.77 ID:6/X0JQc3O
紫煙
47('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:19:38.21 ID:Y3aDFKBH0
从;'ー'从「ドッくん…?」

( A )「何だよ…」

名前を呼ぶな、俺を呼ぶな。
お前が俺の名前を呼ぶな。

从'ー'从「泣いてるの?」

( A )「違うよ」

俺は泣いてなんかいない。
俺は涙なんか流していない。

从'ー'从「ウソつき〜」

嘘なんかついてない。
俺は嘘なんかついてない!
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:21:16.39 ID:fS1f2BCGO
支援。
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:21:42.23 ID:3wJqTgCgO
しえん
50('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:22:04.03 ID:Y3aDFKBH0
从'ー'从「馬鹿だね〜、無理して」

少し微笑みながら俺を抱き締める渡辺。
止めてくれ、抱き締めないでくれ。
俺に優しくしないでくれ。

何だって何だってどいつもこいつも。
諦めさせてくれ。絶望させてくれ。
この世界にそろそろ見切りを着けさせてくれよ。
自分にだけ絶望するのはもう嫌なんだよ。

从'ー'从「びっくりしたよ〜」

抱き締めながら俺にそう言う渡辺。
そんなことより自分の操を心配しろよ、馬鹿。

( A )「う…」

柔らかな渡辺の胸に抱かれながら静かに涙を流す。
屑だというのは自分が一番よく分かっている。
なのにそれ以上何も出来ずただただ時を過ごす。

ずっと頭を撫でてくれる渡辺。
後ろめたい心地好さを今だけ享受して、瞼を閉じる。
馬鹿は俺だよ。
このまま世界が終わってくれればいいのに。
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:22:04.83 ID:6/X0JQc3O
試演
52('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:23:53.10 ID:Y3aDFKBH0
从'ー'从「落ち着いた〜?」

('A`)「ああ…」

少しだけ寝た後に渡辺がそう言って起こした。
幼い外見の割に膨らみのある胸に恥ずかしさを今さらながらに覚える。
あっけらかんとした渡辺に戸惑いを覚えながらも、
自分がこの娘を欲しているのが分かる。
落ち着きを取り戻した今は、さすがにもうしないけどな。

从'ー'从「恥ずかしいからベッドに入ったまま食べよ〜?」

('A`)「あ、ああ」

ベッドに二人で潜り込んだまま飯を食べる。
リア充みたいだな。
自嘲気味だけども自分を卑下しない笑いを浮かべながら飯を食べる。
うまいな、飯をうまいと思ったのは久しぶりだ。

53('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:25:46.83 ID:Y3aDFKBH0
从'ー'从「今日このまま出るのめんどくさいから泊まってくね〜」

(;'A`)「え!?それはまずくない!?」

从'ー'从「今さら〜?www」

飯を食い終わった後に渡辺がそう言い、眠りにつこうとする。
こいつが本当に分からない。
ワカッテマスの思惑も分からないままにあいつのシナリオに乗せられている気がする。
不快感よりも嬉しさが先に立つ。
狭いベッドが初めて心地よいと感じた。

54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:26:22.52 ID:6/X0JQc3O
紫炎
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:27:31.38 ID:ScFdNQ2+0
J( '-`)L「…。」
56('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:27:50.43 ID:Y3aDFKBH0
从'ー'从「ドッくん、腕枕〜」

(;'A`)「あのねぇ、僕が言うのもなんですけど、いや本当になんなんですけど
こういうのはやっぱりまずいと思うというかなんというか
いや、僕が言うのもおこがましいんですけどやっぱり男女が一緒に寝るのは…」

从'ー'从「おやすみ〜」

(;'A`)「あ、はい。おやすみなさい」

渡辺の投げっぱなしジャーマンのようなこの状況に
戸惑いながらも自分も目を閉じようとする。

(;'A`)「眠れる分けないだろうが!」

57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:28:15.69 ID:6/X0JQc3O
C円
58('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:29:52.62 ID:Y3aDFKBH0
小声で叫びながら自分の腕の中の渡辺を見る。
はあ、何でこうなったんだろう。
ソードになった時のことを思い出す。
この力が無ければ今ごろは完全に絶望の未来だったよな。
でも、そうすると結局ソードは発現していたかもな。

こんな力消えてしまえ。
そう思いながら眠りにつく。
柔らかい渡辺の体に自分がどんどん癒されるのを感じる。

はあ、もう自分を責める気にすらならない。
女ってのは偉大なものだ。
ぐだぐだ自己嫌悪していた自分が何だか遠くなる。

その日の暗闇はいつもより少しだけ優しかった。




第十一話 「君の瞳の中の俺」終

59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:31:15.19 ID:6/X0JQc3O
絶倫乙〜
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:31:37.68 ID:af9beWUzO
乙カレー
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:31:48.78 ID:fS1f2BCGO
乙!
62('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:32:56.34 ID:Y3aDFKBH0
というわけで、第十一話を終了します。
ちょっとしたエロシーンになった時に支援が増えたのにはびびった。
皆ごめんよ!

見てくれた方。
まとめてくれたオムライスさん。
そして、支援してくれた方ありがとう!
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:33:11.39 ID:plpWtzun0
乙でした!
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:34:06.95 ID:ScFdNQ2+0
次はいつよ?
65('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:34:17.02 ID:Y3aDFKBH0
言い忘れました。
続きは、明日か明後日に投下します。

66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:36:45.38 ID:a1TVIXMUO
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:39:12.27 ID:XV3ttYQsO
絶倫な人は後半失速することが多いから今のうちに書きためしといた方がいいぜ!!

68('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/06(金) 17:40:34.09 ID:Y3aDFKBH0
>>67
おう、今も書いているぜ!
ラストは考えているから頑張る!


69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/06(金) 17:41:06.69 ID:wOm/zhxh0
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします