ノパ听)川 ゚ -゚)夢でまた会えたら、のようです
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理だぁーっ!!!
2 :
◆F8OObq8gz. :2009/03/04(水) 14:51:56.69 ID:E+44w+KgP
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 14:52:28.44 ID:fuV3hyU2O
wktk
4 :
◆F8OObq8gz. :2009/03/04(水) 14:54:08.84 ID:E+44w+KgP
第二話「夢の狭間で」
再び日常から非日常に突き落とされる朝。
川 ゚ -゚)ノパ听)「「・・・」」
大きな家。
夢の中の自分。
そして約束の場所。
全く違う場所で、全く同じ夢を見た二人。
お互いがお互いのことを知る由も無く、唯同じ疑問だけを共有する。
幼き日の約束。
お互いが真逆の立場の夢。
心に浮かぶのは小さな疑問。
「夢の中の自分は一体誰なのか」
「自分達の過去には一体何があるのか」
何一つとしてわからぬまま、再び"日常"に身を落とす。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 14:56:26.69 ID:E+44w+KgP
「"日常"の中に手がかりはないのか。」
夢の中の自分。
それはお互いにお互いを知る存在。
そして夢の中の自分の隣にいるのは紛れもない自分。
しかし"日常"に夢の中の自分に関する記憶はない。
それどころか、懐かしいと感じる風景にすら思い出が見当たらない。
疑問は広がる。
何故約束まで交わした相手の事を一切覚えていないのか?
何故あれほど仲の良かった相手が傍にいないのか?
そして自分達の過去には何があったのか?
そもそもこの夢は一体なんなのか?
何故入れ替わった立場でこんな夢を見るのか?
全てを知るはずの自分の脳は、疑問を嘲笑うかのように霧を深めていく。
霧の中に手を伸ばせば伸ばすほど、疑問の答えは蜃気楼の様に姿形を変え彼女達を惑わす。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 15:05:19.86 ID:fuV3hyU2O
支援
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 15:11:17.47 ID:E+44w+KgP
川 ゚ -゚)「・・・どういうことなんだろう・・。」
キッチンに立ち、朝食を作りながら考える。
考えてみてもやはり答えは出ない。
と言うよりも、"日常"と言うものの中に求める答えは存在しない。
川 ゚ -゚)「っとっと。」
危うく原型がなくなるところであったベーコンエッグを急いで救出する。
今回は何とかセーフ。
パンも・・・ちょっと茶色っぽいがまぁセーフと言う事にしておこう。
今日はなんだか香ばしいものが食べたい気がする。うん、そんな気がする。
( ・∀・)「お、今日はいつもと違って完熟なんだね。」
焼きすぎたベーコンエッグを頬張りながら父が笑顔でフォローを入れてくれる。
それに苦笑いで答えながら、洗い物をする。
川 ゚ -゚)「(・・・父は知っているのだろうか?)」
ふと疑問が浮かぶ。
( ・∀・)「あ。」
という声と共に手から食器が滑り落ち、足元で勢い良く飛び散る。
それにまた苦笑いで、欠片になった食器を拾う。
川 ゚ -゚)「(夢に父は出てきていない。聞いても無駄か)」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 15:22:11.72 ID:E+44w+KgP
( ・∀・)「手を切らないように気をつけなさいよ。」
横でいつの間にか父が一緒に欠片を拾ってくれていた。
川 ゚ -゚)「大丈夫だよ父さん。それより時間は大丈夫なの?」
( ・∀・)「今日は大丈夫。心配してくれてありがとう。」
拾った欠片を新聞紙にのせ、包む。
それを荒ゴミ入れに放り込むと父が掃除機を持ってきてくれた。
川 ゚ -゚)「ありがとう。後は一人でするよ。」
そういうと父から掃除機を受け取り、コンセントを繋ぐ。
川 ゚ -゚)「・・・」
スイッチを入れ、床をなぞる。
ふと思い浮かぶのは今まで考えた事も無い母の存在だった。
川 ゚ -゚)「・・・お母さんもこんな事してたのかな。」
見た事も無い母の存在。
疑問と重なり、すぐに解ける。
夢の中の自分と見た事も無い母。
そこにある共通点を見出せぬまま登校の時間となった。
しえん
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 15:34:32.91 ID:E+44w+KgP
通学路を歩いてみても、目に映るものはやはり"日常"。
思い出と重なるような場所はどこにも見当たらなかった。
公園にしろ、家にしろ、アレだけ特徴のあるものだ。
あるならすぐに気付くだろう。
結局それらしいものが見つからぬまま、学校に着く。
从 ゚∀从「おーす」
川 ゚ -゚)「おはようハイン。」
何も見つけられぬまま、"日常"に捕まる。
月に一度の朝礼。
_
( ゚∀゚)「えー教師にチョークを投げつけた不届きモノがいたが〜」
くだらない話を聞き流しながら疑問の続きを考える。
そもそも、この"日常"に疑問の答えはあるのか?
今現段階の疑問の基礎を崩すような疑問が浮かぶ。
川 ゚ -゚)「・・・」
从 ゚∀从「?」
何の悩みもないような顔を浮かべる親友の顔を見て、考えるのをやめた。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 15:44:33.21 ID:E+44w+KgP
――
ノパ听)「・・・。」
過去。
それは自分にとってどうでも良かった。
何一つ不自由がなく、寂しさも感じなかった。
周りには常に「家族」がいた。
例えそれが仮初めであったとしても温もりは本物だった。
共に過ごす中で信頼は厚く、掛替えのない家族であり、友だった。
確かに衝突もあったが今ではそれすら愛おしい。
一人になってからも周りには自分の理解者がいる。
学校の友達、バイトの先輩。
互いに認め合い、互いに求め合う。
やはり掛替えのない存在である。
今を生きる上で必要の無い過去。
誰一人自分が孤児であったことを責めたりはしない。
皆が優しく、皆が認めてくれる。
今までなんとも思わなかったその過去が、幸せな"日常"に静かに影を落とす。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 15:45:50.38 ID:M2jwi7+VO
姉妹になる話書いた人?
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 15:51:20.32 ID:E+44w+KgP
>>12 ごめんなさい違います(´・ω・`)
ノパ听)「・・・。」
朝食を取りながら再び考える。
友達がいる。
家族がいる。
学校に行ける。
ご飯も毎日食べられる。
毎日暖かい布団で寝ることも出来る。
この"日常"に何も不満は無い。
寧ろ満足すらしている。
にも関わらずこの過去は、夢と言う引き金を引かれた事で日常に深く突き刺さった。
今まで気にもせず生きてきた。
気にする必要がなかった。
ノパ听)「何を今更・・・。」
何を今更過去を振り返る必要があるのか?
何故この夢を見たのか?
自分は今、何を求めているのか。
考えてもやはり答えは出ない。
そうしているうちにも時は流れていった。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 16:03:26.00 ID:E+44w+KgP
そうこうしている内に時間は既に12時。
普段滅多に頭を使わないから余計に時が流れるのは早かった。
ノパ听)「・・・起きたの何時だっけ?」
余り空いていない小腹に不信感を覚える。
ふと手元の茶碗を見ると、何故か山盛りのご飯が・・・
lw´‐ _‐ノv「今日は良く食べるな。」
声に驚き前を見るとそこには炊飯器を抱えたシューがいた。
無意識に食べていたご飯は、無限に増え続けていたのだ。
ノハ;゚听)「・・・いつの間に入った?」
鍵は閉めたはず。
窓も開いているわけが無い。
その疑問はすぐに解決された。
lw´‐ _‐ノv「これで頑張ったのだ。」
ちゃらり、と言う音を立てて少女の手から出てきたのは、
ニュース番組とかでよく出てくるモザイクがかかっている二本の棒だった。
ノパ听)「・・・」
まさに"日常"に"非日常"を演出してくれた彼女。
考えるのが無駄なことに気付いた瞬間だった。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 16:12:05.51 ID:E+44w+KgP
一先ず無限ループから抜け出し、茶碗を片付ける。
その間シューは鞄の中から茶碗を取り出し、先ほどの炊飯器からご飯をよそって食べていた。
ノパ听)「この時間にここに来たってことは今日シフト入ってるのか?」
lw´‐ _‐ノv「うむ、相変わらず同じ時間に入っておるぞ。」
相変わらず頬にご飯粒をつけながら一心不乱に米を食べる彼女。
lw´‐ _‐ノv「まぁ、バイトがあろうがなかろうがコレはやるつもりだったがな。」
ノパ听)「・・・もし気付かなかったら、あたしはその炊飯器の中身全部食わされてたのか?」
lw´‐ _‐ノv bΣ
ノパ听)「・・・。」
自分が頓死しなくて良かった。
心からそう思った。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 16:19:45.46 ID:E+44w+KgP
片づけを終え、気がつくと4時。
幸せな時間程、流れるのは早いものだ。
寝巻きを脱ぎ捨てバイト着に着替える。
lw´‐ _‐ノv「お、また大きくなったな。」
ノパ听)「後ろから乳を揉むなくすぐったい。」
Tシャツに袖を通し、下ろすついでに腕を振り払う。
lw´‐ _‐ノv「いいじゃん、減るもんじゃないし。」
ノハ;゚听)「着替えにくいだろうが。」
再び胸に添えられた腕を軽くはたき、シャツに袖を通す。
ノパ听)「よし、行くか。」
lw´‐ _‐ノv「うむ。」
家を出て、鍵を閉める。
その頃には朝の疑問などどこかへ消えていた。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 16:27:34.28 ID:E+44w+KgP
二人で話をしながら歩く。
バイト先は酒屋「ロマネスク」。
硬い名前だが、置いているのはほぼ米と日本酒と焼酎だ。
( ФωФ)「今日は早いである。学校は休みであるか?」
ノパ听)「まあそんなところっす、店長さん。」
店長の杉浦さんが話しかけてくる。
この人の訛りは一体どこの訛りなのだろうか?
lw´‐ _‐ノv「おー、新米が入ってるじゃないか!」
ノパ听)「ホント好きだな・・・。」
山積みになった新米の袋をパフパフ言わせながら喜ぶ親友。
この子は将来どうなるのだろうか。
ノパ听)「先に着替えてくるぞー」
lw´‐ _‐ノv「うむ、暫くこの新米の香りを楽しんだらすぐに向かうぞ。」
ロッカーに鞄を放り込み、中から店長の顔がプリントされたエプロンを取り出す。
コレさえなければいい職場なんだが・・・。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 16:36:46.31 ID:E+44w+KgP
ノパ听)「ふいー、店長瓶の移動と棚出し終わりましたよ!」
lw´‐ _‐ノv「こっちも前だしとジュースの補充終わったぞい」
( ФωФ)「おお、二人とも御疲れ様である。奥にジュースが置いてあるからそれを飲むといいである。」
lw´‐ _‐ノv「おお、じゃあ休憩としよう。」
ノパ听)「そうだな。」
そういうと一息つくためにロッカー室まで二人で戻った。
lw´‐ _‐ノv「コレだな、じゃあとりあえず紅茶はいただくぞ。」
ノパ听)「じゃあコーラでいいや」
横においてあるジュースからコーラを選び、栓を開ける。
喉を炭酸が通っていく爽快感。
頑張った甲斐があると言うものだ。
( ФωФ)「飲み終わったら、潰してあるダンボール纏めてくれたら今日はもう帰っていいである。」
ノパ听)「了解っす」
声に答えるとゆっくりとジュースを飲み干す。
ここでの仕事を始めて二ヶ月。
やはりこの"日常"にも不満はなかった。
・・・エプロンを除いて。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 16:39:01.96 ID:E+44w+KgP
ちと休憩してきます
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 16:48:13.93 ID:fuV3hyU2O
がんばれ
保守
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 17:09:02.13 ID:fuV3hyU2O
人いないのか…?
ほ
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 17:28:27.39 ID:E+44w+KgP
休憩ついでに家事済ませてきましたー
>>21 おそらく二人っきりですねええ。
orz
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 17:33:31.11 ID:E+44w+KgP
川 ゚ -゚)「米が無い。」
家に着き晩御飯の支度をしようと思ったが、米びつの中は空だった。
川 ゚ -゚)「・・・買いに行くか。」
というか買いに行く他無いのだが。
制服を脱ぎ、服を着替える。
やはり鏡の向こうにいるのは自分である。
考えていたら父が帰ってくるな。
そう思い、ちゃちゃっと着替えを済ませる。
そして荷物持ちに連絡を入れる。
着替え終わり、茶を啜っていると悪友が玄関を開ける。
从 ゚∀从「・・なんで呼ばれたの?」
川 ゚ -゚)「荷物持ち。」
从 ゚∀从「・・・マジ?」
川 ゚ -゚)「うん。」
こんな時ぐらい働いてもらわないと困る。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 17:44:19.33 ID:E+44w+KgP
嫌がる悪友の腕を掴み、近所の酒屋に向かう。
川 ゚ -゚)「お、新米が安いな。ハイン、コレ二袋。」
从 ゚∀从「・・・コレ一袋5kgって書いてあるけど、その横の1kgの奴だよね?」
川 ゚ -゚)「安心しろ。その横の10kgの奴だ。」
从;゚∀从「・・・。」
川 ゚ -゚)「冗談だ。その横の1kgの奴を二袋持ってきてくれ。」
相変わらずコイツをからかうのは面白い。
( ФωФ)「二袋で1500¥である」
川 ゚ -゚)「はい。」
( ФωФ)「丁度なのである。ありがとうございましたなのだ。」
从 ゚∀从「よっこらせっと。」
悪友に米を担がせ、悠々と歩く。
この道も歩きなれた、"日常"の一コマでしかない、
薄らと顔を覗かせる自分の過去。
夢と"日常"の狭間で起こる葛藤の原因。
それが何を意味しているのか、それすらわからなかった。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 17:59:28.91 ID:E+44w+KgP
家に着き、米を置く。
米びつにそれを補充し、晩御飯分を仕掛ける。
从 ゚∀从「今日の晩飯は何なんだ?」
川 ゚ -゚)「まだいたのか。」
从 ゚∀从「・・・泣いていい?」
川 ゚ -゚)「冗談だ。何が食べたい?」
从 ゚∀从「おっ、じゃあ肉じゃがが食いたいな。」
川 ゚ -゚)「残念だな。今晩は天麩羅とほうれん草のお浸しだ。」
从 ゚∀从「・・・なんで聞いたの?」
川 ゚ -゚)「嫌がらせ?」
ソファーでいじけるハインを無視しながら下準備を始める。
衣に包まれていく食材たち。
完全に包まれたとき、食材は輪郭だけを残し消える。
川 ゚ -゚)「・・・まるで記憶だな。」
从 ゚∀从「?」
そう呟き、今度はほうれん草を塩で揉む。
何一つわからぬまま、曖昧な記憶の中の過去は更に霧を濃くしていった。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:02:55.14 ID:/sP6FCf8O
二人っきりのとこ悪いが支援
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:09:10.86 ID:Do06AVySO
支援す
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:13:06.04 ID:E+44w+KgP
――
二人でダンボールを集め、紐で括る。
括り終わるとそれをもって外のコンテナに放り込む。
相変わらず楽な仕事だ。
ノパ听)「終わりました店長」
( ФωФ)「お、ご苦労様なのである。そこからジュースを一本好きな奴を持って帰るといいのである。」
lw´‐ _‐ノv「おお、相変わらず太っ腹だな店長。」
( ФωФ)「というか君達が着てから売り上げがいいのである。コレくらい当然なのである。」
ノパ听)「じゃあ遠慮なく頂いて帰ります」
再びロッカー室に戻り、エプロンをハンガーにかける。
やはり今日も"日常"だった。
冷蔵庫から一本冷えたオレンジジュースを取り出す。
lw´‐ _‐ノv「私も同じ奴でいいぞ。」
ノパ听)「ほれ。」
もう一本取り出し、シューに投げる。
すっかり日の暮れた帰り道。
ここにも求める光景は無く、唯目の前には"日常"が広がっていた。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:20:41.86 ID:3nNGr1Zg0
支援
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:20:55.31 ID:FlFZd50kO
さるにひっかからないよう支援
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:21:43.20 ID:E+44w+KgP
家に着くと、頭の中を整理するために今まで見たものをノートに纏めてみた。
大きな庭のある家。
広い玄関と白い螺旋階段。
そこに座っていた自分。
一度目の夢はそこで途切れる。
次に見たのは小さな公園。
そこにあったのは花壇と大きな木とブランコ。
一緒に遊んでいた自分と夢の中の自分。
そして木の下で交わされた約束。
ノパ听)「・・・問題は夢の中の自分が誰か・・か。」
そこさえわかれば全てが思い出せる気がした。
自分を捨てた両親の事も。
嘗て存在したであろう自分の家のことも。
そして、過去の中にある"日常"の事も。
それを全て思い出して、どうするのかなんてわからない。
唯知りたかった。
昔捨てた全てを。
過去に存在した全ての記憶を。
唯々思い出したかったのだ。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:23:23.64 ID:sZgrzQfeO
オエッwwwwww
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:34:05.34 ID:E+44w+KgP
不意に時計を見る。
ノパ听)「もう12時か。」
今度は腹の虫がカンカンに怒っていた。
この時間に何かを食べるのは不本意だが、仕方あるまい。
冷蔵庫を漁り、適当な食材をまな板に並べる。
ノパ听)「米はあるなっと」
手際よくそれらを小さな土鍋に放り込み、煮込んでいく。
ある程度煮えると、味を調え、米を入れる。
出来上がったのは雑炊。使ったのが葱と人参、豆腐だけなのでカロリーも知れている。
ノパ听)「いただきます」
誰もいない部屋に響く自分の声。
不意に寂しさがこみ上げる。
一人で暮らしを始めてから今まで寂しさなど感じた事はなかった。
今になって何故だろうか?
過去を気にし出したからか?
わからない。
結局結論が出ないままヒートは食事を終える。
何一つ変わらぬまま、"日常"が"日常"のまま時だけが流れていった。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:36:06.52 ID:3nNGr1Zg0
支援
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:43:40.57 ID:E+44w+KgP
それからまた平穏な"日常"が続く。
見慣れたモノに囲まれ、変化の無い毎日。
何一つ過去に関わるものは無い。
唯々上書きされていく記憶。
それに違和感すら覚えず、"日常"を過ごす自分。
毎日を毎日で上書きし、その上で何の苦も無く生きる。
当たり前の事を当たり前として捉え、何の発見も無い毎日。
そしてそれら全てに満足している自分。
日常に上書きされ、記憶の地下深くに埋葬された過去。
夢と言うきっかけが無ければ思い出す事すらなかったであろう過去。
それら全てが今更ながらに"日常"に異を唱える。
何をすれば何が変わるのかすらわからない。
唯変化のない日常を記憶に上書きする。
いつの間にかそれに満足できなくなっていた。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:50:18.69 ID:E+44w+KgP
同じ時に同じ悩みを抱える二人。
解決の糸口も見えず、負の螺旋を転げ落ちる。
それで良かった"筈"のものが良くなくなる。
だが何が良く、何が良くないのかもわからない。
寝ても覚めても頭の中にあるのは唯一つ。
「夢」と繋がる「過去」。
それが何かもわからない。
朧に包まれた輪郭を掴む事すらできない。
考えれば考えるだけ記憶の底へ繋がる道は塞がれて行く。
それがどこに繋がるのすらわからない。
ましてや解決に繋がるのかすらわからない。
何もわからない。
それでも唯一つの希望に手を伸ばし続ける。
与えられた"日常"である今を捨て去り、"非日常"である過去を覗き込む。
砂場の砂を一粒一粒拾い集めるような毎日が続く。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 18:52:27.22 ID:E+44w+KgP
第二話「夢の狭間で」 完
余りの人の居なさにやめようかとも思いましたが続けてよかった。
途中から支援してくださった人thx!
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 19:08:11.53 ID:3nNGr1Zg0
乙!
39 :
◆F8OObq8gz. :2009/03/04(水) 19:19:48.94 ID:E+44w+KgP
さて、ホントに人居ないな・・・。
前回割と人が居たから安心して二作目書き出してみたものの、やっぱり文学って難しいわ
40 :
◆F8OObq8gz. :2009/03/04(水) 19:39:52.71 ID:8kmiN2CXO
さて、あまりにも寂しくて独り言
今回のお題は
いらない子
家なき子
螺旋階段
約束の場所
でお送りしています。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 19:55:18.29 ID:8kmiN2CXO
見てる方挙手
このままだと心くじけるorz
まだバーボンハウス読み終わってないから支援出来ない
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 20:09:08.24 ID:8kmiN2CXO
>>42 あー…成る程。
よし、次回投下は一週間ほど期間空けます。
どっちにしろ今週忙しいのでそんなに投下出来ないと思いますし
前回はOO「〜」だったろ
ブーン系のレスはこんなもんだよ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 20:31:56.11 ID:8kmiN2CXO
>>44 なるほろ…
とりあえず見ている人がいることに一安心
誰かの目に止まったならそれで良しとしよう
少女文学っぽい雰囲気だけど、最初に二人のロッテが浮かんだから
名作劇場のイメージがちらつくぜ
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
>>46 二人のロッテとか小学校の頃に見に行った覚えが…
確かに似ている( ゚д゚ )