('A`)が狭間で生きるようです

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1('A`)が狭間で生きるようです
こんにちは。
それでは、第八話を投下します。
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 16:47:11.33 ID:gI8T/B2s0
1話すら知らない俺は画像を貼ればいいんですか?
3('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 16:48:13.00 ID:WDuSADAM0
第八話「脆弱な決意は絶望の色の濃さを増し、影は闇へと墜ちていく」



俺が初めて人を殺してから更に10日が経った。
怖いものだ、人を殺したという実感は日に日に薄れていく。
心に巣食っていた罪悪感すら薄れていく。
これが、殺人者が銀座で酒を飲む理由か。
思い出したくないものな、人を殺したことなんて。

―見ないってのは楽でいいなあ!―

だけど影法師が言った一言が俺の胸を締め付ける。
しかし、自分のことだけにはかまってはいられない。
レジスタンスの手は日に日に拡大している。
斥候が引き上げて、自分達の領土を広げようとして徐々にその勢力を強めている。
この前の三人も恐らく斥候だったのだろう。
あのエラが張った男から情報を得て、ここにこられたらひとたまりも無いだろう。
4('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 16:50:36.26 ID:WDuSADAM0

川 ゚ -゚)「そろそろこの辺りにもレジスタンスが来る頃だ。
逃げるか、従うか。その辺りを決めよう」

(´・ω・`)「クー、従うという選択肢はないはずだ。早く荷物をまとめよう」

クー先輩が、不可解な選択肢を出した。
逃げるか従うか、確かに選択肢の二つがある。
しかし、従うなんてことは考えられないはずなのに。

川 ゚ -゚) 「忘れたのか、ドクオはソードだ。あいつには二つの選択肢がある」

(;^ω^)「クー先輩!何を言い出すんだお!ドクオは僕らの仲間だお!?」

ブーンがフォローしてくれたものの動揺は隠せない。
クー先輩には俺がレジスタンスに入りたいように見えたのだろうか。
それだけは心から無いと誓えるのに。
誓えるさ、誓えるとも。

5('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 16:52:49.55 ID:WDuSADAM0

川 ゚ -゚) 「仲間だからこそだ!!」

川 ゚ -゚) 「ドクオがどうなろうと私達の関係は変わらないと言ったのは、嘘か?
ならば、この問題もちゃんとドクオに決めさせるべきだろう」

(´・ω・`)「…」

(;^ω^)「…!」

( ゚∀゚) 「…」

(´・ω・`)「…その通りだ。僕たちはドクオに守ってもらっている。しかし、そ
れを当たり前だと思ってはそれは最早友情じゃない」

(´・ω・`)「ドクオ、お前の意思を聞かせてくれ」

クー先輩の言葉が嬉しかった、対等な仲間と見てくれることが。
前の俺だったら冷めた気持ちでイエスと答えただろう。
この場でノーなんて言えるわけ無いだろう、と思いながら。
どちらにせよ答えは初めから決まっている。
俺は、皆を守る。
守る、守るんだ、守るんだよ。
そうだろう?影法師。
6('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 16:55:12.11 ID:WDuSADAM0

('A`)「クー先輩、僕も前言ったはずです」

('A`)「僕は皆を守る、早く逃げましょう」

川 ゚ -゚)「ドクオ、ありがとう。そして頼む」

('A`)「はい!」

決意を胸に荷物をまとめる。
食料、テント、寝袋、毛布、コンロにランタン。
一ヶ月近く過ごしたショボン先輩の家。
離れるのは寂しい。
だけども、今は生き延びてソード同盟を待つのが先だ。
もう、それしか手が無いんだよ。
7('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 16:57:56.76 ID:WDuSADAM0
(´・ω・`)「行こう、出発だ!」

('A`)「はい!」

川 ゚ -゚)「おう」

( ゚∀゚)「おっぱい!」

( ^ω^)「はい!」

ξ゚听)ξ「はい」

一人一人思いは違うだろう。
だけども運命を共同することに変わりはない。
さあ、出発だ。
運命は待ってはくれない。

(´・ω・`)「まずは南の街に行こう。レジスタンスは北から来ている。
牛歩かもしれないが、あまり遠くに行こうとすると今度は凍死してしまう」

川 ゚ -゚)「賛成だ」

( ^ω^)「僕も賛成ですお」

(´・ω・`)「野宿はいざという時だ。
南の街は大きいから、営業していないホテルかなにかがあるはずだ。
人、もしくは暴漢がいることも考えられるがそこはドクオに頼もうと思う」

('A`)「了解です」
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 17:00:48.98 ID:5U/5EwNb0
まとめはないんかな?
支援
9('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:02:26.81 ID:WDuSADAM0
目的地は決まった。
後は行くだけ。南の街の人が何か言ってきたら?
いざというときは影法師すら使おうと思う。
南の街の人がソードを持っていなければの話だけどな。

(´・ω・`)「さあ、行こう」

そうして俺達は短い短い旅に出た。
一ヶ月前には考えられなかった旅、車があれば旅とはいえない距離。
ただただ、世界に流されていけば生きることができた世界。
理にかなった破壊、意識の改革。
夢だのなんだのは、生きることを当たり前にした先人達の努力の賜物だったのだな。
くそ、ソード同盟め。
早いとこ元に戻してくれ。
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 17:04:24.09 ID:BTc4MLczO
オ ム ラ イ ス@('A`)が狭間で生きるようです まとめ
ttp://vipmain.sakura.ne.jp/635-top.html

7話が無いのはまとめられてないだけかな?
11('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:05:53.86 ID:WDuSADAM0

(;^ω^)「おっお」

ξ;゚听)ξ「はあ…はあ…」

川; ゚ -゚)「うむ…」

(;´・ω・`)「むう…」

(;゚∀゚)「おっぱい…おっぱい…」

('A`)「…」

男子はテント。寝袋は各自一つずつ。
そして、食料はその他の諸々の荷物と、ホロカード特有の寒い気候。
皆、足が遅い。

それなのに影法師の力が強まっているからだろうか。
俺は疲労が無い。
影法師を出せばもっと楽に行けるかもしれないくらいだ。
前までは無かった、身体への影響。
力が強まれば体も強まるものなのか。
12('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:08:24.28 ID:WDuSADAM0
ξ;゚听)ξ「はあ…はあ…はあ…」

(;´・ω・`)「ツン、大丈夫か?」

ξ;゚听)ξ「…大丈夫です…」

ただでさえ重い荷物に、凍えるようなホロカード。
逃げるのすら容易ではないこの土地は力を持たないものに対してあまりにも無情だ。
皆の心に覚悟はある。
ただ平穏な時を過ごしていたからか、あまりにも体力が無かった。

(;^ω^)「ツン、代わりに持つお」

ξ;゚听)ξ「駄目よ、私だけ持ってもらうなんて出来ない…」

あくまでも平等に行こうとする姿勢を変えないツン。
それはある意味で正しいだろう。
誰か一人を優遇してしまえば、いくら仲間と言えど不満が出てくるかもしれない。

今、何よりも恐ろしいのは皆の関係が壊れること。
それを分かっているから、ショボン先輩もクー先輩の荷物を持とうとしない。
気遣いが出来ないのは、辛いだろう。
13('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:11:57.35 ID:WDuSADAM0
('A`)「…」

川; ゚ -゚)「はあ…はあ…」

ξ;゚听)ξ「はあ…はあ…はあ…」

そうは言っても歩き始めてから二時間が経とうとしている。
バスならば一時間半あれば着く道も、今の装備ではあと何時間になるのだろうか。
分からない、ただ今のままじゃ少しまずいことになることは分かっている。


(;´・ω・`)「少し休憩を取ろう」

ショボン先輩は女子達の体力を考えてそう言ったのだろう。
しかし、反発の声が上がる。

川; ゚ -゚)「駄目だ…夜までに着かないことには今度は泊まる場所を確保するのが難しくなる」

ξ;゚听)ξ「その通りです。私たちなら大丈夫です…

そうは言っても体力の限界が見てとれる二人の言葉には説得力がない。
ここは最後の手段を使うしかないな。
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 17:14:06.25 ID:LjVZYAMBO
シェンガオレン
15('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:15:52.28 ID:WDuSADAM0
('A`)「僕のソードで持ちますよ」

そう、ソードを使えばなんてことはない。
ただ、他のソードに見つかった時に奇襲を食らう恐れがある。
俺がレジスタンスにやったように。

(;´・ω・`)「しかし、ドクオ。大丈夫なのか?」

('A`)「ええ、幸い僕のソードでも力は一般人よりは遥かに強いです。
街に近くなったらまた皆で持ちましょう」

(;´・ω・`)「分かった。二人ともそれでいいな」

川; ゚ -゚)「………頼む…」

ξ;゚听)ξ「ごめん…」

二人は自分の体力の無さを嘆きながら、渋々了承したようだった。
何よりもベストな選択。
だけど、確かに手放しで喜べるものではないよな。
16('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:19:39.81 ID:WDuSADAM0
('A`)「出てこい、影法師」

出したくなかった理由はもう一つある。
なんだかんだ言ってこのソードを皆の前で出すのは二回目だ。
この禍々しい姿。
歪んだ笑顔のドクロは、相変わらず俺を嘲笑っているようだった。

(;´・ω・`)「むう…」

川; ゚ -゚)「ほう…」

ξ;゚听)ξ「わあ…」

( ;^ω^)「おっ…」

(;゚∀゚)「おっぱいはついてねぇんだな…」

ジョルジュ先輩が初めて見る割に余裕なのが気になるが、
他の皆の反応は想像した通りだった。
自分とは違う力、排斥の種。
それを見せることは自分の醜い心を見せるのと同じことを意味しているのだから。
17('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:22:31.88 ID:WDuSADAM0

('A`)「さあ、荷物を」

出来るだけ気丈に振る舞う。
こんなもの何でも無いと言った顔で。
俺が不安な顔をしたら、皆の不安も大きくしてしまう。

川; ゚ -゚)「うむ…頼む…」

ξ;゚听)ξ「ありがとう…」

右手には常に離れない日本刀が着いているため使えないが、左腕だけでも充分だ。
能力の説明もしておこうとも思ったが、どうせ戦闘になれば分かること。
それならば、終わった後でもいいだろう。

(;´・ω・`)「よし!出発だ!」

俺のソードを見たせいか、さっきよりも気丈に振る舞うショボン先輩。
ありがとうございます。
一番大人なあなたに排斥されることほど、今の俺には辛いかもしれません。
18('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:25:06.78 ID:WDuSADAM0
会話も少なく、ただ黙々と歩く。
女子は荷物を持ってもらっているからには喋れない。
男子は体力の関係で話せない。
何よりも俺は自分の優位性を出さないために話さない。
ああ、めんどくさいな。

(;´・ω・`)「皆、もう少しだ。頑張れ!」

ショボン先輩が皆を元気づけようと発奮する。
確かに街はもう少し、とりあえずの安息の場所。
そこが視界に小さく入った瞬間に多少なりとも全員に僅かな力が戻るのが分かる。

(;^ω^)「おっお!あと一踏ん張りだお!」

ショボン先輩に続き、ブーンも発奮する。
ムードメーカー、自分でもその役割を自覚しているのだろう。
傍目には不自然な空元気。
だけどそんなものでも今は勇気付けられるものだ、さすがだよ。
19('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:27:56.75 ID:WDuSADAM0

(;´・ω・`)「そろそろドクオ、荷物を戻そうか」

いよいよ街に入る手前にショボン先輩はそう言った。
もう少し大丈夫だろうとも思ったが、力が無いためにどうしても心配になるのだろう。
もしレジスタンスがいたら、もし暴徒がいたら。
一人残らず殺してやる。
そう、思えない内は仕方が無いのだろうな。

('A`)「戻れ」

そう言い、影法師をしまう。

川; ゚ -゚)「うむ、ドクオ。助かった」

ξ;゚听)ξ「ありがとう。お陰で随分楽になったわ」

('A`)「なんでもないよ」

そう言い、街に入る。
まだ暗くはなっていないが、この時期のホロカードは日が落ちるのか早い。
日が落ちたあとは気温も下がるので、早いところ宿を探さなきゃ
テントの中で全員裸で暖めあう事態になってしまう。
20('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:32:11.57 ID:WDuSADAM0
(;´・ω・`)「見えた!南横インだ!」

サラリーマン向けのビジネスホテルをショボン先輩が見つける。
人の気配がすっかり少なくなってしまったこの街にひっそりと佇むその姿は希望
と不気味さの両方を兼ね備えていた。

('A`)「中に入って人がいないか調べてきますね」

(;´・ω・`)「ああ、頼む」

まだ影法師の能力を説明していない。
一階一階を見て回るのであろうと思っているショボン先輩は
申し訳なさそうな顔をしている。
そのためだろう。
暖を取ろうとせずロビーにすら入ろうとしないのは。
俺は、ショボン先輩のそんなところを尊敬するんだよな。
そう思い、12階建のホテルの六階中央に行く。
21('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:34:58.33 ID:WDuSADAM0
('A`)「出てこい影法師」

さあ、いよいよお披露目だ。
正直あまり見せたくはないんだけどな。

('A`)「広がれ」

影がホテルを覆い尽くす。
半径50メートルの影がホテルを埋め尽くす。
恐らくは外の皆にも見えているだろうな。

('A`)「人っこ一人いないな…」

俺達のように、他のところから来た人間がいるかもとも思ったが誰もいない。
おかしいな、そういえば街にも人気が無かった。
そう思うが皆を待たせているため、それ以上の思考を許さない。
まあ、いい。
とりあえずは安全だ。
22('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:38:51.84 ID:WDuSADAM0
('A`)「戻れ」

影をしまい、皆のところに戻る。
みんな一様に驚いている。
当たり前の話だ。
そんなことはもう、どうでもいい。

(;´・ω・`)「ドクオ、今のは?」

('A`)「僕の能力です、あの中では僕以外は視界が無くなります。
その反面僕はあの中のことなら知覚出来ます。」

( ^ω^)「おっお!すごい能力だお!」

('A`)「ただ、俺より強いソウルには多分吹き飛ばされるだろうけどな」

( ^ω^)「それでも凄いお!」

ξ゚听)ξ「ええ、もっと自身を持ちなさいよ」

( ゚∀゚)「おっぱいも分かるの?」

知的なショボン先輩と天真爛漫なブーン。
ありがとう、お前がいてくれなければこの場の空気は微妙なままだったろう。

(´・ω・`)「まあ、とりあえず危険は無いようだから入ろうか」
23('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:42:51.61 ID:WDuSADAM0
俺達はホテルの中に入り、とりあえずの寝床を確保した。
暖房はついていないが耐えられる程度の寒さだ。
電波と電気もまだ通っているらしくテレビはつく。
良かった、情報は手に入る。

今日の晩御飯は缶詰と、質素なパン。
さすがのショボン先輩も疲労には勝てなかった。
作ると言い出したら、もちろん全員で止めていたろうが。

食事を済ませて男子部屋と女子部屋に別れて就寝する。
俺以外は皆へとへとだ。
風呂には入るのか入らないのか、そんなことを考える余裕も無く皆は眠りにつく。
おやすみ、みんな。
せいぜい束の間の安息を楽しもうぜ。
24('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:46:25.35 ID:WDuSADAM0
皆が寝てしまった後にはあまり疲れていない俺だけが起きている。
三人部屋に四人で泊まる。
その寝苦しさもあってか、俺はなかなか寝付けずにいた。
いや、違うな。
本当は不安でしょうがないだけだ。

('A`)「出るか…」

皆を起こさないようにそっと外に出る。
夜中の闇は俺にとっての格好の場所。
影を出しても目立たない。
それならば今のうちに街を探ろう。
少しでも皆の役に立てば不安も治まるさ。

('A`)「影法師、影を広げろ」

影を広げたまま街を歩く。
そうすれば影も同時に移動して短時間で街の様子を知ることが出来る。
だからこそ街の異変に気がつくのも早かった。
25('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:48:54.34 ID:WDuSADAM0
('A`)「そんな馬鹿な…!」

誰もいない。
三十分ばかり歩いたのに誰も見当たらない。
ゴーストタウンと言うに相応しい。

おかしいとは思っていた。
街に入ったときから人の気配を感じないことに違和感は感じていた。
だけどもただ怯えて潜んでいるだけだと思っていた。
しかし現実には誰もいない、人っ子一人いないなんてあり得るのか?
明かりがついている建物もあるんだぞ。

('A`)「良くない予感がするな…」

背筋が寒くなるのを感じながら、ホテルに戻る。
部屋に着くまでに一人の人間も見つけることが出来なかった俺は、
世界が自分達以外いなくなってしまったのではと感じていた。
そうならば、どれだけいいものか。
現実はきっともっと残酷だ、俺も早く寝よう。
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 17:48:56.15 ID:rMGTB1R/0
支援
なんて便利な能力なんだ
27('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:52:42.95 ID:WDuSADAM0
翌朝目が皆が目を覚ました時にそのことを伝えた。
もちろん、皆動揺していた。
だけど議論を重ねることが出来るのはこのメンバーの良いところだと思う。

川 ゚ -゚) 「レジスタンスを恐れて疎開したんじゃないか?」

(´・ω・`)「この大都市全員が一斉にでか?それは無いと思う」

ξ゚听)ξ「でも、ある程度の人数が逃げ出したら
集団心理の効果で皆逃げ出すこともあるんじゃないでしょうか」

(´・ω・`)「これだけの都市で皆一斉に逃げるようなグループダイナミクスは起
きないだろう。必ず反発するグループは出てくるはずだ」

(;^ω^)「ということは…最悪の事態も考えられるということですかお…」

(;´・ω・`)「ああ…それも視野に入れなきゃいけないかもしれないな…」

('A`)「あ、ごめん。死体も無かった」

ξ#゚听)ξ「それを早く言いなさいよ!」

皆の不安が少し和らいでいた。
少なくとも虐殺は無い。
それだけの情報でも割と楽観的にはなるものだ。

28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 17:55:59.11 ID:lg1Gh6/UP
ふむふむふむ
29('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 17:56:18.93 ID:WDuSADAM0
川 ゚ -゚) 「ということはやはり疎開したと言うのが正しい見解じゃないだろうか」

(´・ω・`)「むう…割と非現実だがそれしか考えられないな。
僕達はドクオがいるからまだ安心出来るが、そうじゃない人間にとっての恐怖は計り知れなかった
のかも知れないな」

川 ゚ -゚) 「そういうことだろう。
とりあえず、今はいつまでここに居て次はどこに行くかを決めなきゃいけない」

( ^ω^)「そうですおね。
そして食料を手に入れるために探しに行かなきゃならないと思いますお」

( ゚∀゚)「皆持ってちまったかもしれないがこの都市だ。
割と残っている可能性は高いと思うぜ」

(´・ω・`)「そうだな。とりあえず今日は食料品を探しに街を徘徊することにしよう」

今日の予定は決まった。
漠然と出た答えに釈然としない思いは残るものの、
やることが限られている今の状況では仕方がない。
さあ、出発だ。人は食べなきゃ死んでしまうんだから。

30('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:01:15.60 ID:WDuSADAM0
( ^ω^)「ここのデパートには全国各地の美味珍味が揃ってるはずだお!」

ブーンはそう言い、大型デパートの地下に降りていく。
明かりはついているのに、人はいない。
不気味だ。正直にそう思った。

(;^ω^)「おっ、なーんにもないお…」

(´・ω・`)「さすがに皆考えることは同じか。
他の大型デパートも同じようなものだろう」

川 ゚ -゚) 「居酒屋とかの厨房を探さないか?
冷凍庫に入っている食材なら多分大丈夫だろう」

( ゚∀゚)「賛成だな。
居酒屋でバイトしたことがあるがチェーン店なら料理の大半は冷凍物だ」

ξ゚听)ξ「今、ちょっと嫌な話聞いたわね…」

デパートを出た俺達は少し遠目の歓楽街へと足を運ぶ。
ネオンサインがつきっぱなしのまま人が誰もいないこの光景に、
さすがに皆も口を閉ざすのが限界になったようだ。

31('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:05:07.71 ID:WDuSADAM0
(;´・ω・`)「さすがにおかしい。なんで人がいないのに電気はつきっぱなしなんだ?
まるで一瞬の内に人が消えたみたいじゃないか」

川 ゚ -゚)「大規模な何かがあったと考えるのが正しいだろうな。
食料を手に入れたら明日にでもここを出よう。さすがに怖い」

( ^ω^)「なればこそ早いところ食料を探さないと行けないですおね」

ξ゚听)ξ「ちゃっちゃとやっちゃいましょう」

居酒屋が集まっているビルに入り、厨房に入る。

( ^ω^)「おっお!案の定あったお!」

( ゚∀゚)「これだけあれば一週間はいけるな」

(;´・ω・`)「良し、早いところ運びだそう」

食料を一杯に手に持ち、ホテルへ戻る。
体は疲れていないが、神経がすり減った。
へとへとだけども、明日はある。
荷物を纏めて明日に備えなくては。

32('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:09:51.34 ID:WDuSADAM0
(´・ω・`)「今料理を作ってくるよ」

そう言ってショボン先輩は料理を作りに消える。
昨日の今日の疲労でよく人のために飯を作れるな。
まさか、そのままいなくなりはしないよな。
そう思いながら俺は料理を待つ。
最低な想像に少しばかし自己嫌悪をしながら。

(´・ω・`)「お待たせ」

杞憂だったことにほっとして料理を食べる。
居酒屋の食料を使ったからかいつもの味では無い、明らかに居酒屋の味だ。
ショボン先輩の味に慣れてしまったな、どんな味だったかも思い出せる。
そんなことを思いながら、料理を食べる。
美味しいとか、美味しく無いとかが別次元の食卓はつまらないものだ。
美味しいご飯が食べたいよ。

33('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:13:40.20 ID:WDuSADAM0
(´・ω・`)「さあ、今日は早めに寝て明日早朝出発しよう。
さらに南の街までは遠いから野宿も覚悟しなきゃ行けないかもな」

食卓を終えた後にショボン先輩はそう言い皆に就寝を促す。
野宿か、出来るものなのか俺達に。

(;^ω^)「もし、そうなったら…」

(´・ω・`)「ああ、辛いだろう。しかし、天気予報でも明日は晴れだ。きっと大丈夫だろう」

(;^ω^)「でも何だか明日は降る気がしますお」

ξ゚听)ξ「何でそう思うの?」

(;^ω^)「雲が多いし、風も強いお。雪雲が近づいてきてるかもしれないお」

(´・ω・`)「そうか?まあ、そうなったら中止だ。さすがに悪天候では出ていけない」

('A`)「そうですね、それに言うほど今の天気は悪くない。多分大丈夫でしょう」

(;^ω^)「おっお!変なこと言ってすまんかったお」

(´・ω・`)「いや、いいさ。インフラが止まったら後は自分の勘が頼りだからな」

( ゚∀゚) 「まあ、とりあえず寝ましょうや。寝不足が一番キツいですよ」

(´・ω・`)「そうだな、じゃあ就寝しようか」
34('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:19:46.09 ID:WDuSADAM0
おやすみ、皆。
明日が来ることが嫌だな、と思うのは今の状況が辛いからだろうな。
逃げて逃げて、その先には何があるのだろう。
そんなことを考えながら俺は瞼を閉じた。

そうして翌日を迎えた俺達は同時に一つの絶望も迎えた。
ブーンが予測した通り、雪が降っている。
いや、吹雪だ。

(;´・ω・`)「ブーンの予想が当たったな。出発は延期だ」

川 ゚ -゚) 「まあ、すぐ止むだろう」

(;^ω^)「…」

何か言いたげなブーン。
恐らく反論したいたのだろう、俺だってこの吹雪がすぐに止むとは思っていない。

35('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:24:01.40 ID:WDuSADAM0
それでも、結果は明日に分かる。
何もできない日を過ごす。
普通の時であれば余暇として楽しめた。
ただ今の状況は停滞だ。
神経だけがすり減っていく。

( ゚∀゚)「こいつはしばらく止みそうにないな」

(;^ω^)「僕もそう思いますお」

二人がそう言い、ベッドに潜り込む。
考えすぎてもしょうがないということだろう。
俺も見習って夢の世界に入る。

結局吹雪が止んだのは一週間後のことだった。
ブーンは申し訳なさそうな顔をしている。
馬鹿だな、お前の責任じゃないのに。

(´・ω・`)「さあ、やっと吹雪が止んだ。
出発の前に食料をもう一度手に入れに繁華街に行こう。手持ちの食料じゃ心許ない」

大きなタイムロスをしてしまったために焦る気持ち。
食料を手に入れて、そのまま向かう。
時間的にも体力的にも厳しくなるがしょうがないことだろう。
ショボン先輩はそれを承知で言っている、そして皆も。

ただ、異変と絶望の始まりはショボン先輩がそう言った瞬間だった。

36('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:27:56.20 ID:WDuSADAM0
ガシャン!

ξ )ξ「キャアア!!」

男部屋の窓ガラスが突然割れた。
いや、シャボン玉が弾けるように弾けた。
ツンの悲鳴が聞こえたことからも、恐らく女子部屋も同じだろう。

('A`)「ソードだ!」

直感的に分かった。
こいつはソードの仕業だ。逃げる、その選択肢しか浮かばない。

(;^ω^)「ツン!!!」

いち早く動いたのはブーンだった。
男部屋を飛び出し女子部屋に向かう。

(;´・ω・`)「落ち着け!!今は迂闊に動くな!!」

ショボン先輩がそう言う。
正しい、恐らくソードは外にいる。のこのこ出ていったらやられるだけだ。
ホテルのどこかに隠れて、隙を見て逃げ出す。
それがベストの選択のはず…
37('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:31:22.99 ID:WDuSADAM0
パン!パン!パン!

風船が弾けたような音が部屋に響く。

(;゚∀゚)「壁が弾けてやがる!!」

(:´・ω・`)「何だって!?」

('A`)「くそ!」

明かりをつけていたのが間違いだったか。
悲鳴を聞かれてしまったか。
明らかに狙われている。
今、ここにいるのは危険だ。

(;´・ω・`)「とりあえず隣の部屋と合流だ!ドクオ!逃げるのを助けてくれ!」

ショボン先輩がそう言った。
逃げる…、逃げることなんて出来るのか。
このソード、明らかに俺より強い気がするんですけど、ショボン先輩。
考えていても仕方がない。
やるしかないんだ!

川 ゚ -゚) 「早く逃げよう!壁がどんどん壊れていく!」

パン!パン!パン!

38('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:35:15.97 ID:WDuSADAM0
壁がシャボン玉のように弾けていく。
おいおい、このままじゃホテルが壊れるんじゃないか?
非常口側の部屋にいたため、裏の正面入り口から逃げるしか選択肢が無い。

('A`)「入り口に出たら影を広げる!その隙に皆逃げろ!」

(;^ω^)「頼むお!」

ξ;゚听)ξ「いやああ!!」

川 ;゚ -゚) 「くそ!!!」

(;゚∀゚)「…」

皆冷静さを無くしているが当たり前といえば当たり前。
命の駆け引きなんて知らない俺でうまく行くのかこの作戦は。
鳴り止まぬ破裂音。
階段を駆け降りる。
ちくしょう、どこのどいつだこんなことをしやがるのは。
39('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:38:31.46 ID:WDuSADAM0
('A`)「殺してやる…」

誰にも気づかれないようにそう呟く。
皆が逃げる隙に殺す。
出来るのか?やってやる。
この仲間を傷つけるやつは誰だろうと殺してやる!

(;´・ω・`)「みんな!止まるなよ、一気に駆け抜けろ!!」

入り口を目の前に、ショボン先輩がそう叫ぶ。
方向を見失わないで走ってくれ。
後は俺がなんとかするから。

(;´・ω・`)「いけぇぇぇぇ!!!」

入り口を駆け抜ける。
それと同時に影を広げる。余りの攻撃にホテルが軋み始めた。
でももう、そんなことはどうでもいい。
切り裂いてやる!!

('A`)「影法師ぃぃぃ!!!!」

半径五十メートルの影。
単なる目眩ましと思うなよ。
お前が、戸惑っている間に切り裂いてやる!!
40('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:42:43.01 ID:WDuSADAM0
( )「へぇ…」

( )「あれれ〜?」

( )「真っ暗闇なんです!」

三人!?
三人いやがる、しかも既にソードを出している上に落ち着いている。
まずい、早くやらなきゃ…こっちがやられる!

('A`)「切り裂…」




( ><)「弾けるんです!!」

バアン!!!

瞬間、今まで一番大きな破裂音が聞こえる。
それと同時に俺の影の半分が弾け飛ばされた。
それだけなら良かったものの、衝撃波が俺を中心に全体に襲う。

('A`)「ぐああ…!!!」

ξ )ξ「きゃああああ!!!」

川 - )「う…!!!」
41('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:45:14.29 ID:WDuSADAM0
か弱い女子が転んだ。
ちくしょう!逃げてくれよ!

('A`)「広げろぉぉぉぉぉぉおおお!!!」

影をもう一度広げようとする。
俺の姿は見えているが、まだ皆の姿は見えていないはず。
せめて皆だけでも逃がしたい!

( ><)「弾けるんです!弾けるんです!」

パアン、パアンと無情な破裂音が響く。
さっきと同じように俺の影が弾け飛ぶ、同時に俺の体も。

('A`)「あぁぁぁ!!!」

耐えられずに地面に這いつくばる。
俺より明らかに強い相手、しかも三人もいる。
殺される、そう思ったときに相手の顔が見えた。
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 18:47:24.59 ID:rMGTB1R/0
支援
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 18:51:56.09 ID:vY1143Bt0
しえん
44('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:52:31.27 ID:WDuSADAM0
( ><)「弾け…!!」

(=゚ω゚)「やめろ、ワカラナインデス」

( ><)「…すまないんです!」

从'ー'从「もう〜、殺したらどうするのよ〜」

破裂音が止んだ。
背は小さいのに、もう一人の男より偉そうな男が仲間を止めた。
殺したらどうするということは、殺さないのか。

ありがとう、と心の中で呟いた自分を蔑む。
くそ、人の命を弄びやがって。
俺だって人のことは言わないがお前等はなんだってそんなに余裕なんだ。
罪悪感のかけらも見られない様に、助かったばかりだというのに心の中で毒づく。

だけども、そんな安堵を覚えたのもつかの間だった。
45('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 18:56:13.46 ID:WDuSADAM0

(;´・ω・`)「ぐっ!うぅ!」

川; ゚ -゚) 「くそ…!」

ξ;゚听)ξ「いやああ!」

(;^ω^)「おっお!!!」

皆の方を見るとまるで動けていない、逃げれていない。
いや、俺もそうだ。
体が固定されたように、動かない。
ちくしょう、【弾け】と【固定】の事象を操るのか。
レベル3じゃないか、ちくしょう。

(=゚ω゚)「渡辺、とりあえず女を送っておけ」

从'ー'从「は〜い」

从'ー'从「それ〜」

女がそう言った瞬間ツンとクー先輩が視界から上空に消えどこかに飛んでいった。
それもふわりなんて擬音がつくようなものじゃない。
どこぞのジェットコースターかと思うほどの、猛スピードでだ。
そのソードの強力さに呆気に取られて怒りを覚えるのすら遅れた。
46('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:00:19.02 ID:WDuSADAM0

ξ )ξ「きゃあああ!!」

川 - )「うぉぉぉ…!!!」

短い悲鳴がその速度の速さを物語っていた。
どこに飛んでいった、殺したのか?
動かない体と焦る心。
やめてくれ、こんな光景を見せ付けないでくれ。
お願いだから、やめておくれよ。

(#´・ω・`)「きさまああああ!!!」

( #^ω^)「ツンンンンンン!!!!」

二人が体が動かないというのに怒りに震えている。
二人の声ではっと我に返る。
なんだって俺は懇願しているんだよ。
憎い憎い敵の目の前なのに。何だってソードを持たないあいつ等の方が勇敢なんだよ!

俺は二人の状況なら怒れない。
力が無いのに吠えても無駄じゃないか。
なのになんだって怒れるんだ?
俺はソードがあるのにこの様だっていうのに。
47('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:05:26.53 ID:WDuSADAM0
从'ー'从「大丈夫だよ〜」

(#´・ω・`)「なにぃ!?」

女は間延びした声でそう言った。
何の危機感も無いかのように女は言葉を続ける。

从'ー'从「イヨゥくんが固定した空気ごと
レジスタンスに飛ばしたから死にはしないよ〜」

レジスタンスに?え?レジスタンスに?
貴様、もう一回言ってみろ。

(#'A`)「てめぇ…」

折れかけた心を奮い立たせるために、少しでも虚勢を張る。
心の中は震えているのに。

从'ー'从「力の無い女の人でも役に立つことがあるでしょ〜?
だから死なないから安心して〜」

( #^ω^) 「ふざけるなお!!!」

从'ー'从「なんで怒るの〜?」

(#´・ω・`)「僕らも送れ!早くしろ!」
48('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:07:45.93 ID:WDuSADAM0
そんな俺の虚勢とは一線を画し、二人は激昂を強めていく。
ああ、ああ、やめてくれ。
心が折れそうだから、分かるんだ。
こいつらは、人を殺すのなんて何とも思っていないんだ。
もう、これ以上悲しい光景なんて見たくないんです。

激昂した二人とは反比例して、俺の気持ちはどんどん落ちていく。
守れなかった、俺は守れなかった。
え?俺は守れなかったのか?俺は守れなかったのか?

だって、決めたんだ守るって。
あんなに決意したのに、あんなに決意したのに、あんなに決意したのに。
俺は守れ無かったっていうのか!?

ああ、もうお仕舞いだ。
もう楽しい日なんて、仲間と過ごす楽しい日なんて来ないんだ。
俺は守れなかったんだ。

何で、こんな現実が?
理不尽だよ、こんな現実。
これは夢だろう、そうだろう、そうに決まっている。
だって、何もしていない。
俺以外、何もしていないじゃないか。
皆は何もしていないじゃないか?
49('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:11:10.17 ID:WDuSADAM0
(#´・ω・`)「早くしろおおおおおお!!!」

(=゚ω゚)「黙れよぅ」

(#´・ω・`)「何!?」

(=゚ω゚)「だから黙れって言ってるんだよぅ」

(#´゚ω゚`)「!!」

ショボン先輩が黙った。
いや、黙らされた。
今まで口元付近は空いていた固定。
それが閉じられたのだろう。
やめて、やめて、やめて。
これ以上悲しい光景を見せないでおくれよ。

(=゚ω゚)「男はもういらないんだよぅ。食費がかかりすぎて労働力とみあわないんだよぅ」

( ><)「もう、こんなところに食料調達に来るのは嫌なんです!」

从'ー'从「だから、ごめんね〜」

嫌な予感がする。
これから怒ることを想像したくない。
たとえ、一秒後にその現実が来るとしても嫌なものは嫌なんだ。
50('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:18:37.44 ID:WDuSADAM0
从'ー'从「さよなら〜」

女がそう言うと、その辺に転がっていた車が何台か持ち上がる。
あれをぶつける気か。
ちょっと待て、ということはまさかお前の力はこの固定より強いのか!?

('A`)「やめろぉぉぉ!!」

まるで動けない体で必死に叫んだ。
顔色一つ変えないあいつらに薄ら笑いが浮かんだのがはっきりと見えた。

从'ー'从「最初に攻撃しなければあなたはレジスタンスに入れたのにね、バイバイ」

(;'A`)「やめろぉぉぉ!!」

( #^ω^)「おおおおおおおおおお!!!!!!!」

女は薄ら笑いを浮かべたまま、俺にさよならを言った。
ブーンと二人で、叫ぶ。
俺は死にたくないから、ブーンは怒っているから。
二人の行動の違いが未来を変えるとは思わない。
だけど、ブーン。なんでお前はそんなに強気なんだ?

(=゚ω゚)「馬鹿だよなあ、自業自得だよう。」

イヨウと呼ばれた男は侮蔑の眼差しで俺をけなす。
いや、ブーンと俺をまとめてけなしている。
さながら絶対的な権力者のように。
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 19:18:50.44 ID:LjVZYAMBO
シェン ガオレン
52('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:23:50.07 ID:WDuSADAM0
おい、今なんて言ったんだ?
自業自得だって言ったのか?
ちょっと待ってくれよ。
俺が悪いのか?守れなかった俺が悪いのか?
俺の無力さが悪いのか?
俺が皆を守れなかったから悪いのか?

俺達の関係を、壊したお前等が。
ただ平和に笑いあっていたい関係を壊したお前等が悪くないのか。

貴様等が壊したのに

貴様等が壊したのに

貴様等が壊したのに

貴様等が壊したのに

貴様等が壊したのに

貴様等が壊したのに

貴様等が壊したのに!

貴様等が壊したのに!!

貴様等が壊したのに!!!

貴様等が貴様等が貴様等が貴様等がああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!
53('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:28:17.49 ID:WDuSADAM0
車が飛んでくる。
死ぬ瞬間には走馬灯が流れると言うが、
猛スピードで飛んでくる車がひどくゆっくりと見えた。

ドクン

―諦めるのか?―

影法師か、諦めるしかないだろう!?

―憎くないのか?―

憎いさ、憎々しいさ!殺してやりたいほど!

―殺すだけで満足なのか?―

そんな分けないだろうが!

―じゃあ、どうしたい?―

この世界からあいつらを消してやりたい!

―じゃあ、憎むのはもう無理だなあ―

憎まなければどうしろと言うんだ影法師

54('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:30:49.65 ID:WDuSADAM0
ドクン

―心を空っぽにしちまいな―

意味が分からない

―分からなくてもそういうものだ―

空っぽになれば、殺せるのかよ

―それがお前の力だよ、ドクオ様―

早くよこせ

―とっととやってくれ―

言われなくてもとっととやるさ、影法師

いや、俺か









55('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:33:29.79 ID:WDuSADAM0


















('A`)「…」

ドグシャ!

何かが潰れた音が聞こえた。
でも、もうそんなことはどうでもいいんだ。
脆弱な決意は絶望の色を濃くし、影は闇へと落ちていく。
さあ、始まりだ。

第八話 終
56('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/03(火) 19:38:02.83 ID:WDuSADAM0
以上で本日の投下を終わります。

続きは、また明日か明後日に。
まとめはオムさんのところにございます。
http://vipmain.sakura.ne.jp/635-top.html

見てくださった方、まとめてくださったオムさんありがとうございました。
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 19:38:45.89 ID:vY1143Bt0

楽しみにしてます
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 19:38:48.29 ID:YSF0FLoG0
乙!
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします