('A`)が狭間で生きるようです

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
こんにちは。
第七話を投下します。

まとめは、オムさんにあります。感謝感激雨嵐。
http://vipmain.sakura.ne.jp/635-top.html
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/02(月) 23:35:17.45 ID:NB7cPln/0
第七話「失われた気持ちと、それでも残る心」

レジスタンスを殺して、カートを押して家に戻る。
何でも無いように装わなきゃ。
俺は、何でも無い。ただ、食料をとってきただけなんだ。

('A`)「ただいま」

そう言って俺はショボン先輩の家に戻った。
妙な怖さがある、漠然とした不安。
知られていないはずなのに、皆俺を蔑むのではないか。
そしてそれを素直に受け入れてしまいそうな自分。
いや違うな、蔑まれたいんだ俺は。

(;´・ω・`)「おかえり、ドクオ!無事だったか!?」

('A`)「はい、レジスタンスのメンバーがいたけど何とか逃げてきました」

(;^ω^)「良かったお。」

('A`)「心配かけて済まなかったな」

3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/02(月) 23:39:30.22 ID:NB7cPln/0
この間まで、ブーンとうまく話せなかった。
嫉む気持ちが強すぎて、ブーンとうまく話せなかった。
だけど、今はもう話せる。
皮肉な話だ。
こいつのために絶望したり憎んだり、守ろうと思ったり救われたり。
自分の心の有り様で世界がまるで違うように見える。

川 ゚ -゚)「爆発音が聞こえたから心配したんだ。無事で何よりだ」

('A`)「ええ、逆にそのお陰で逃げれました。鉢合わせになってたら大変でしたよ」

嘘は言ってない。
ただそいつらを殺したのを言っていないだけ。
皆に誠実でいたいだけなのに、こうやって俺は自分を憎む材料を増やしてく。
隠さずに言ったらどうだ?
僕は、邪魔な奴等を殺して来ましたと。

言えるはずが無い。
この場所を失うのも、この場所に留まるのも苦しいのなら
俺は、この場所に留まって苦しみたい。
ただひたすらに、自分の無力感に苛まされながら。



4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/02(月) 23:42:02.40 ID:NB7cPln/0
ξ゚听)ξ「ごめんなさい、ドクオ…。
ドクオが頑張ってくれてるのにあたしは、自分のことばかりで…」

('A`)「気にするな、俺が好きでやっていることだ」

( ゚∀゚) 「…」

(´・ω・`)「ありがとう、ドクオ。今、飯を作るからな」

('A`)「ありがとうございます。飯できるまで隣の部屋で休んでていいですか?」

(´・ω・`)もちろんだ。ゆっくり休んでくれ」

ショボン先輩の許しを得て襖一枚隔てた隣の部屋で横になる。
この襖一枚が俺と皆の境界線。
相容れない境界線。
変わってしまった自分の心、変えてしまった自分の体。

ひと時の優越感のために道を踏み外した。
だけど、みんなを守るときだけは乗り越えてもいいだろう?
そう思い、瞼を閉じて静かに涙を流す。
疑われるかな。
それでも、今は感情に身を任せていたい。
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/02(月) 23:44:20.94 ID:NB7cPln/0
それから十五分が経った頃、ジョルジュ先輩が襖を開けた。

( ゚∀゚)「ドクオ〜、飯だぞ」

('A`)「はい、今行きます」

涙は乾いている。
目も赤くないはず。
後は不安な顔をしないだけ。
それを心掛けて、俺は皆と一緒のテーブルにつく。

「「「「「いただきま〜す!!」」」」」

( *^ω^)「ハムッ!!ハフッ!!!」

ξ゚ー゚)ξ「全くブーンったら」

いつも通りの食卓。
いつも通りの美味しい料理。
いつも通りのブーン。
この場所を守ると決めたのに、今では勝手な疎外感を感じる。
出ていく前は、あんなに嘲笑っていた場所なのに。
今はこんなにも失いたくないと考える。
俺の心が弱っているのかな。
一人でいることも、皆でいることもただただ罪深く感じる。


6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/02(月) 23:49:04.02 ID:45WbYNAJO
丁度今読み終わったから遭遇嬉しいです
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/02(月) 23:49:06.95 ID:NB7cPln/0
( *^ω^)「ショボン先輩はどこで料理を習ったんですかお?」

(´・ω・`)「料理を始めたのは大学に入ってからさ。
なあに、数さえこなせば誰でも上手くなるもんだよ」

( *^ω^)「おっお!ツンにも見習わせたいお!」

ξ゚听)ξ「…………」

ブーンがそう言った瞬間、ツンは黙ってしまった。
少し元気になったと思ったが、まだ落ち込んでいるんだろうか。

(;^ω^)「ツン、冗談だお!僕はツンの料理なら何でも…は」

ξ#゚听)ξ「調子に乗るな!!!」

ドゴッ!

( °ω゜)「モルスァ!!」
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/02(月) 23:53:43.87 ID:NB7cPln/0

いつも通りブーンの股間を蹴り上げるツン。
良かった、大分元気になったようだ。
今は落ち込んでいるかもしれない。
だけど、ブーンがいればツンはきっと大丈夫だろう。

( °ω゜)「お袋さん…お袋さんよぉ…」

ξ゚听)ξ「全くいつまで経っても学習しない男ね」

こんなやり取りを見ていると、余計に自分の罪深さを再認識させられる。
ああ、俺は人を殺したんだな。
そう思うと、何やらやりきれない気持ちになってくる。
殺した男達の馬鹿笑いすら、今の俺には苛まされる道具だよ。

( ゚∀゚)「ああ、食った食った。ドクオ、腹ごなしの一服に付き合えよ」

('A`)「あ、はい。ジョルジュ先輩」

ジョルジュ先輩に付き添ってベランダに出る。
他愛も無い話も今の俺には罪悪感を増すだけなのに。

( ゚∀゚)「ドクオ、何かあったんだろう?」

不意にジョルジュ先輩がそう聞いてくる。
やはり、表情というものは隠しきれるものでは無いらしい。
俺は何も答えれなく押し黙ってしまった。
言えないよ、人を殺しましたなんて。
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/02(月) 23:57:32.44 ID:NB7cPln/0
('A`)「……」

( ゚∀゚)「深くは聞かねえよ。
でもお前がソードになったときの皆の言葉を覚えているか?」

('A`)「…はい」

( ゚∀゚)「そういうことだ。
お前がどうなろうと、俺達の関係は変わらない。そいつは覚えておいてくれよ」

(;A;)「はい…」

一番欲しい言葉をくれる人。
一番欲しい場所をくれる人。
なぜ、救う。なんだって俺の心を救うのですか。

守りたい、心の底から守りたい。
ソードたろうがソードじゃなかろうが関係ない。
人間の素晴らしさはそんなところじゃない。
父さん、俺はやっと分かったよ。
少しばかし遅かったけど。
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:00:26.37 ID:WDuSADAM0
( ゚∀゚)「じゃあ、行くか」

('A`)「はい!」

そう言い、俺とジョルジュ先輩は部屋に戻る。
部屋の中には談笑する皆。
その輪の中に入る俺。
どれだけ罪深くてもみんなを守るためにいれば、例え偽善であってもいいだろう。
もう、疲れたんだ。
理由をつけて、他人を憎むのも。そして、自己嫌悪をするのも。
もういいだろう、影法師。
そんなことを思いながら、俺は皆とまた楽しくお喋りを始める。

11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:04:51.44 ID:WDuSADAM0
ξ゚听)ξ「ジョルジュ先輩は豊胸手術にはどうお考えですか?」

( ゚∀゚)「反対だ。小さいおっぱいには小さいおっぱいの良さがある。」

ξ゚听)ξ「でも好きな人が大きい胸が良いって言ったら?」

( ゚∀゚)「おっぱいで人を計るやつにろくなやつはいない。
真のおっぱい好きなら全てを受け入れるはずだ。
もし、どうしてもと言うならおっぱい以外の魅力で勝負するしかないな」

ξ゚听)ξ「なんだかジョルジュ先輩らしくないですねw」

( ゚∀゚)「俺は別におっぱい至上主義じゃない。ただ単におっぱいが好きなだけさ」

川 ゚ -゚)「まあ、私には関係ない話だな。なあ、ショボン?」

(;´・ω・`)「…」

(;^ω^) 「…」

(;'A`)「…」

前言撤回、やっぱり話に入れないときもあるようです。

12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:07:02.50 ID:WDuSADAM0
楽しい時間はすぐ過ぎる。特に明日が来ないでくれと願うときは特に。
晩飯の時間になって、また談笑。
笑いあう、全員で。
いつ終わるともしれないこの空間が、今の俺にとっては大切なもの。

(´・ω・`)「さあ、そろそろ寝ようか」

ショボン先輩がそう言うと、俺達は全員就寝につく。
おやすみなさい、また明日。
眠りにつこうとすると、今日の惨劇を思い出す。
自分の汚さも同時に。
ああ、駄目だ。救われる言葉、救われる場所。
だけども、一気に全てを忘れることが出来るはずが無い。
俺は、罪深いよ。それは分かっている。
それを乗り越えて生きていかなきゃならないんだろ?
だけどもきっと大丈夫だ。俺にはみんながいる…


13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:10:23.87 ID:1KmKnoAtO
ソードたろう吹いた
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:12:12.80 ID:WDuSADAM0
―見ないっていうのは楽でいいなあ!―


影法師の声が聞こえた気がした。
馬鹿な、何だって今あいつの声が?
あいつが語りかけてきたのは最初の一回。
それからは、受け入れた自分の声、自分の想い。
全部自分の言葉で湧き出てきていた。
なのに何だって今になってあいつが語りかけてくるんだ。

('A`)「すいません、ちょっと外に出てきます」

(´・ω・`)「どうした、ドクオ。危ないからやめておけ」

('A`)「暗い方がむしろ僕には安全なんです」

(´・ω・`)「そうか、すぐに帰ってこいよ。ほら鍵だ」

('A`)「ありがとうございます」

外に出て少し歩く。
一抹の不安を胸に抱えながら、雪に覆われた真っ暗闇な道を歩く。
凍える手足とは反比例に高鳴る心臓。
影法師、お前は一体何を言っているんだよ。

いつも特訓用に使っている公園にたどり着く。
奥まっている上に、影法師の出す影にちょうど収まるぐらいの公園。
いつも俺がお前と逢引している場所だ。
さよならのために来たかったが、お前が俺を呼んだのだろう。
今、出してやるよ。
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:15:07.63 ID:WDuSADAM0
>>14
ソードたろう×
ソードだろう○

に訂正でお願いします…。
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:17:12.67 ID:Q2s45qOEO
股間かとおもた
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:19:04.22 ID:WDuSADAM0
('A`)「出てこい、影法師」

そう言うと影法師は現れた。
気持ちの変化に伴い、いなくなるとも思った。
心の闇、それを否定してしまったからいなくなると思った。
だがどうやらまだいてくれたようだ。
まだ完全には心が前向きになっていないらしい。
当たり前か、人を殺してすぐに前向きになるようじゃ話にならない。

('A`)「広がれ」

そう言い、限界まで影を広げる。
だけども、そこにあったの大きな異変。
今までとの差異。
それは、自分を絶望に落とすにはあまりにはっきりとしたものだった。

(;'A`)「な…!!」

力が弱くなっていると思っていた。
人も自分も憎まないと決めたから力は弱くなっていると思っていた。
それなのに、影は軽々と公園を通りすぎ突き抜けていく。
半径15メートルどころじゃない。
半径50メートルは行っている。

(;'A`)「戻れ!!」
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:22:45.70 ID:WDuSADAM0

慌てて影をしまう。
明らかに影法師の力が強まっている。
何でだ。
人を殺した俺を否定した。
人を殺した気持ちを否定した。
それを救ってくれた友達を肯定して、自分のことを肯定しようとしている。
何だって、力が強まるんだよ!

(;'A`)「なんで…?」

そう問い掛けるも影法師は答えない。
ただ不気味な笑い顔のドクロがこっちを見ているようだ。
まるで俺を嘲笑うかのように。

(;'A`)「俺の力は弱まったはずだ、弱まったはずなのに!」

自分に対して必死に語りかける。
しかし、現実に体にも力が漲るのも感じる。
俺の心は未だにこうなのか?
違う、違う、違う!
俺は、前の自分を否定した!
それなのに自分のことが分からない。
俺の決定権は誰にあるんだ、影法師?
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:23:03.82 ID:Ia0/bYZRO
ペルソナは知らんけど今日まとめで読んだらなかなか面白かったよ

期待支援
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:25:01.44 ID:WDuSADAM0
(;'A`)「うわあああ…!!!!」

急に怖くなって、家にと駆け出す。
何だってこうなるんだ。

―見ないってのは楽でいいなあ!―

不意に影法師の言葉を思い出す。
何を見ていないって言うんだ。俺か?お前か?それとも皆か?
ちくしょう、何一つ分からない。分からないんだよ。
俺が分からない言葉を俺が吐く。
自由意志はどこへ行った、パラドックスよ。
パラノイアでもパラドックスでもどっちでもいい。
誰か、答えを教えてくれよ!

その時、俺は他の誰よりも自分自身を一番怖いと思った。
俺はがたがた震えながら、一睡もせずにその日の夜を過ごした。
朝焼けは美しく、それでも世界が廻る絶望を俺に見せ付けてくれていた。

第七話「失われた気持ちと、それでも残る心」 終
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:27:30.64 ID:WDuSADAM0
以上で、第七話投下を終わります。ちょっと短いですけどね。
本当は今日中に八話まで投下したかったんだけど、
長いので明日投下しますね。
見てくださった人、まとめてくださったオムさんありがとうございました。
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/03(火) 00:30:11.78 ID:bQWq78aUO
誰かドクロの絵書いてうp
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
あ、名前欄にタイトル入れるの忘れてた。