1 :
('A`)が狭間で生きるようです:
こんにちは。
昨日見てくれた方ありがとう。
今から、続きを投下します。
2 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 15:50:32.30 ID:TK5dDeGy0
第四話「レジスタンスにおっぱいは関係ねえ!」
いつだってコンプレックスだった。
父のようになれない自分を嫌いながら、そんな自分でもいいと言い聞かせる。
自分を肯定しながら、父を否定する。
父を肯定しながら、自分を否定する。
その狭間で俺は生きていた。
大学に入ってブーン達と出会った。
父のように清らかなブーン。
俺がなれなかった父の姿。
ブーン、お前は良いやつだ。
俺の大切な、親友。
だからこそ、俺はお前が心から憎いよ。
('A`)「…どこだここ」
見慣れない天井に戸惑いながら、首を動かして辺りの様子を伺う。
どこだ…?見覚えがあるのに頭が痛くてよく分からない。
みんなはどこに。
俺は今一体どこにいるんだ?
3 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 15:52:58.98 ID:TK5dDeGy0
そう考えていると、不意に部屋を仕切っていたふすまが開いた。
( ゚∀゚)「あ…!」
ジョルジュ先輩!?
なんで!?
( ゚∀゚)「おーい!!みんな!!ドクオが起きたぞ〜!!!」
みんな!?
ていうか、ここはどこ?俺はドクオ!
=\(*^ω^)/
=\ξ*゚听)ξ /
「「「「ドクオ〜!!!」」」
=\(*´・ω・`)/
=\川* ゚ -゚) /
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| VIPじゃなきゃヤダヤダーってか?ww .|
|_____________| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
w wwwww || |専用の板でやれ。 |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | |________|
このスレ何番煎じ?|二=- -=二 | | wwwwwwwwww. | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~~|
⌒ヽ__________| . __-=ミ;彡⌒`丶、~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|パートスレ立 て ん な |
^ω^)|馴れ合いシネ |  ̄ ̄ ̄ ̄ |:::`丶今すぐ消えろ |__________|
_つO  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|.VIPを乗っ取るな.|::::::::::ヽ______| ||
/ |なんでここでやる|_______.lノン:::::::l _∧ || /⌒ヽ ||
=二・二=- (^ω^)-┐ ュ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|∀`○ニ( ^ω^#)ニ⊃
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄┗-ヽ ノ ィ赱、 i| VIPでやるな.| ノwww ヽ ノ
w .| とにかく邪魔 ┏┘, `"" ,l______.|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|,_ ,ィ''。_。ヽ、_,. /_ン'(.|. 迷 惑 |
|定期で落ちた糞スレを返せ| `""`|. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|______|
|___________ |www.|場違いスレ死ね|
| | w w.w|_______..|
ww.ヽ(`Д´)(`Д´)(`Д| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|∀・)
(__)メ(__)メ(_| VIPから出て行け |氏ね| / ̄ ̄ ̄\
ハ ハ ハ |__________| ̄|| | ^ ^ .|
www w ww | |( ゚д゚ ) w( ゚д゚ )| .>ノ(、_, )ヽ、.|
w w モウクンナ w (つ とノ ww (_゚T)w ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|_
ww -=二・二=- -=二・二=-w(⌒) | w w w ww゚ ゚̄ あまりVIPPERを rニ─`、
ww www  ̄`J / :::::::::::|怒らせないほうがいい`┬─‐ j
5 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 15:56:32.50 ID:TK5dDeGy0
あ、みんなだ!
思い出した!ここショボン先輩の家だ!
ていうかなんでみんな、集合しているの?
今外暗いし、あれからどんだけ寝てたんだよ俺は。
(*´・ω・`)「みんな落ち着け!ドクオが何が何だか分からない顔をしている!」
ξ*゚听)ξ「うん、そうね!みんな落ち着きましょう!!」
( *^ω^) 「おっお!!!おっおっお!!」
川 *゚ -゚)「わっふる、わっふる!!」
( ゚∀゚) 「お前がぶっ倒れたのが3日前。
お前ん家が分からないからとりあえずショボン先輩の家に運んだものの遅くなったから解散。
でも皆心配になって戻ってきて結局3日間泊まり込みだよ」
ありがとうございます、ジョルジュ先輩。
ああ、確かによく見たらビールやチューハイの空き缶が隣の部屋に見えます。
心配してたけど、途中から飲み会に変わったんですね、分かります。
あ!気が付いたら皆若干酒臭い!
6 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 15:59:53.16 ID:TK5dDeGy0
(*´・ω・`)「目覚めたらまず言おうと思ってたんだ!
ありがとうドクオ!このまま目覚めなかったらどうなるかと思ってたよ!」
ξ*゚听)ξ「私もありがとう!ドクオありがとう!」
川 *゚ -゚)「正直、ただのダメ大学生だと思ってたよ!ありがとうな!」
( *^ω^)「おっお!!おっおっお!!」
( ゚∀゚) 「酒臭いのは勘弁してくれ。みんな不安をまぎらわせたかったんだ」
そう言えばジョルジュ先輩めちゃめちゃ酒強かったよな。
あ、でも皆の言葉が素直に嬉しい。
さっきまで憎んでいたはずのブーン。
自分の憎しみよりも、、寂しさの方が勝るのはなんでなんだろうな。
心に多少の不安が引っ掛かるものの皆の言葉を受け取る。
7 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:03:06.30 ID:TK5dDeGy0
(*´・ω・`)「さて、酒の勢いに任せるのはここまでにして」
(´・ω・`)「ドクオ」
ショボン先輩が神妙な面持ちになり、俺に何かを伝えようとしている。
(´・ω・`)「お前はソードになった。だけど僕はお前の先輩だ。
お前よりも弱い存在だ。だけども変わらずにお前に先輩面をするからな」
川 ゚ -゚)「私はお前に助けてもらった。これからもそういうことがあるかも知れない。
たけど私がお前の先輩だと言うことを忘れるな」
ξ゚听)ξ「あんたは、私の同期。そして、友達。それ何も変わらないからね!」
( ^ω^)「ブーンはこの前言った通りだお。僕と君は友達だお」
( ゚∀゚)「ドクオ、おっぱいが【ある】のも素晴らしい。だけど【ない】のも同様に素晴らしいんだ。
例えみんなにおっぱいがあっても、例えおっぱいが皆になくてもそれは変わらない」
勝手に羨み、勝手に憎みそれでも離れたくなかったこの関係。
一番恐れていたこと。
もう、この関係が続かないかもしれないこと。
みんなは、それを察してくれていたのかもしれない。
俺の不安を分かって、一番欲しい言葉をくれた。
8 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:06:33.55 ID:TK5dDeGy0
なのに、そうなればなるほど俺の中の影法師も強くなっていく。
疑って疑って自分には相応しくないなんて考える。
くそ、なんだって俺はこうなんだ。
あとジョルジュ先輩もやっぱり酔っていますよね?
( ;A;)「みんな…」
色々な気持ちを抱え、涙で言葉が出ない俺を皆は優しく慰めてくれた。
恥ずかしいのに嬉しい。
落ち着くまでに俺は大分時間を要することとなった。
('A`)「それで、世間は今どんな状態なんですか?」
(´・ω・`)「見ての通り、僕らが3日間酒盛りをしていたことからも
分かるように学校は一時休校になった」
川 ゚ -゚) 「私達の事件が切っ掛けだったな。ソードの中に暴走する人間が出た。
お前のように止めようとしたソードももちろんいたらしいがな」
ξ゚听)ξ「そして、ドクオが目覚める少し前、ホロカード大学でレジスタンスが結成されたわ。
多分、今もニュースに流れていると思う」
( ^ω^)「だけど、そのレジスタンスはソードの集まりだお。特権をもっと寄越せ
と言っているらしいお。一般の学生はそいつらの人質のようになっている状態だ
お」
_
(*゚∀゚)「レジスタンスにおっぱいは関係ない!」
9 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:08:43.59 ID:TK5dDeGy0
きっとずっと俺を見ててくれてたんだろう。
ジョルジュ先輩、二年という中間でどちらの面倒も見るために酔わないように
してくれたんですね。
ありがとうございます。
ホロカード大学か、構内に道路が走っている馬鹿でかい大学だ。
あの大学でレジスタンス…一種の自治区だな。
('A`)「あのモララーとか言う奴等は?」
(´・ω・`)「外交問題が難航しているらしい。聞いた話だと彼等は9人の集まりだ。
ホロカード、今はVIPの国内問題まで手を回していないらしい」
川 ゚ -゚) 「しかし、9人と言えども全員がレべル5だ。
その気になれば、軍隊どころか核ミサイルですら相手にならないらしい」
('A`)「なんだって、そんな奴等が外交に難航しているんですか?」
(´・ω・`)「あくまでも平和的にいこうとしているらしい。争いは避ける姿勢を崩していない。
また、8人で世界を飛び回っている時間的束縛も大きい」
川 ゚ -゚) 「残った一人がリーダーのモララーだ。
だかこいつも外的からの侵入を許さないために、外からの警備だ。
雷のソードを持ち、船が近づいただけでもその電波が分かるらしい」
('A`)「国内は混乱しているってことですね」
10 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:12:10.65 ID:TK5dDeGy0
(´・ω・`)「その通りだ。インフラ系やマスコミ除いて、他は一部のソードが好き勝手にやっている。
レベル4以上の存在が確認されない今、それ以下のランクが暴れているらしいな」
川 ゚ -゚) 「奴等もテレビ等の娯楽は欲しいらしい。
だが、いつここまで来るかは正直時間の問題だ」
クー先輩がそう言うのを聞いて、俺はまた不安にかられた。
敵がここに来る。
選択肢は三つ。戦う、逃げる、従う。
従うはないだろう、あるとすれば残り二つ。恐らくは逃げるだろうがそれでも
必要なことはある。
守るのか、俺が。
この影法師を使って。
そこまで思考が及んだ瞬間に自分の思考が影法師に支配されるのが分かった。
いや、今まで押さえ付けていた感情、言葉が勝手に溢れだしてくる。
影法師?いや、全部俺の言葉だよ。
見捨てればいいじゃないか。
レジスタンスに入って、好き勝手にやって何が悪い。
虐げられてきた俺が、他の人間を虐げる、汚す、嬲る。
たまらないじゃないか、ああたまらない!
11 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:14:09.03 ID:TK5dDeGy0
だけども俺のソードは恐らくレベル2だろう。
影を操る俺の能力、目眩ましの力。
戦っている途中に分かった。あの影はソウルで晴らすことが出来る。
きっと俺より強い奴等がいる。
俺が好き勝手にやっていたら、俺がまた虐げられる。
身勝手なシーナ人を裁いたのは同じシーナ人だったように。
('A`)「俺が守ります。みんなを俺が守ります」
(;´・ω・`)「ドクオ、お前がそう言うのを正直待っていた。
だけれども、お前を犠牲にしてまで言ってもらえる価値があるのか僕には分からないんだ」
ショボン先輩が申し訳ない顔で、そう言う。
違うんです、ショボン先輩。違うんです。
('A`)「みんなは俺の大切な人です。僕にとって価値があるから守るんです。
いや、守りたいんです」
(;´・ω・`)「ドクオ…お前ってやつは…」
( ^ω^)「…」
12 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:16:54.25 ID:TK5dDeGy0
ここにいる居心地の良さ。
結局のところ、それを守るために戦う。
単独で来るのは、強いだろう。
弱ければ徒党を組む。それが来たら諦めるか命乞いをすればいい。
つかの間の英雄を楽しもう。
偽善者だと自分を責めれば責めるほど俺の影法師は強くなるのを感じる。
ネガティブになれば、強くなる。
誰かのためにという理由が一番使えないソードだよ、ちくしょうが。
(´・ω・`)「まあ、今はドクオの回復を喜ぼう!!みんな酒盛りの再開だ!!」
( *^ω^)「おっお!!!」
川 *゚ -゚)「ワッフルワッフル!!」
ξ*゚听)ξ「とことん飲みましょう!!」
( *゚∀゚)「おっぱい!おっぱい!!」
13 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:18:29.58 ID:TK5dDeGy0
皆と酒盛りをしながら、喜びと絶望が入り交じる。
打算を超えたものを皆が与えてくれる。
だから、俺は打算で皆を守ると言う。
ごめんよ、みんな。
俺こそみんなを守る価値が無いんだ。
出来る限りはやるよ。でも、それでも俺はいざというとき裏切るかもしれない。
さよならの時は俺も首を切るから。
14 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:23:21.97 ID:TK5dDeGy0
第四話「レジスタンスにおっぱいは関係ない!」 終
15 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:24:53.85 ID:TK5dDeGy0
第五話「英雄も偽善者も関係ない」
俺がみんなを守ると言ってから10日。
この地域には暴徒と化したソードも、レジスタンスの手も伸びてはいなかった。
このまま、何もなく過ぎて欲しい。
いや、むしろソード同盟の奴等に早く国内問題を治めて欲しい。
そんな、気持ちが皆の中にも現れ始めた。
川 ゚ -゚) 「流石に、人目を忍んでこそこそして、
食料をどこかからもらってくる生活には疲れたな」
(´・ω・`) 「確かにその通りだ。
ソード同盟は外交問題が片付かないとは言え、さすがに遅い」
16 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:27:25.52 ID:TK5dDeGy0
皆、疲れている。
それもその筈だ。ショボン先輩の家に皆で暮らしてもう半月ほど。
幸いなことに全員が一人暮らしだったため、親の心配をしないですんだ。
だけども1LDKに五人暮らしでは少し狭い。
インフラ系もそろそろ止まるんじゃないか。
そんな不安が皆の心に巣くい始めた頃だった。
('A`)「ソード同盟の奴等はわざと国内の統治を遅らせているのかもですね」
( ;^ω^)「どういうことだお?ドクオ」
('A`)「不満の矛先を自分達じゃなく、レジスタンスに向けさせていると思う」
川 ゚ -゚)「だが、あいつらもソードだ。結局あいつらに不満が来るのでは?」
(´・ω・`) 「だから、ランクを設けたんだろ。あいつらはレベル5だ。
低級と高級では明らかに違うということをこの機会に見せつけるつもりだろう」
( ゚∀゚)「憶測の域を出ないのが辛いところっすね」
17 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:29:34.70 ID:TK5dDeGy0
たった、半月で自分達がこれほどまでに疲弊するとは思わなかった。
安全な秩序の中に過ごしていた自分。
差別も所詮一定の秩序がなきゃ出来ないということを思い知らされた。
一定の秩序が無くなったときに現れるのは排斥と暴力。
自分がどれだけ甘い世界で、そして狭い世界で生きてきたのかを見せつけられた思いだった。
反省はする。浅はかだった自分を恥じることもする。
('A`)「(それでも辛いものは辛いんだがな)」
そう自分に言い訳をしながら、心の中で呟く。
皆との未来が全く見えないこの世界で俺はどう生きていけばいいんだろう。
人間は自分が一番大切だろう、と信じている。
だけど、同時に皆の心を信じたい自分がいる。
居た堪れないよ。このままじゃ。
時折こんな風に、皆といるのが心苦しくなる時があった。
18 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:31:55.94 ID:TK5dDeGy0
('A`)「特訓してきます」
( ;^ω^)「おっ、気をつけてお」
(´・ω・`)「すまない、ドクオ。結局お前に頼らざるを得ないようだ」
少しばかり気弱になったショボン先輩に返事を返して、俺は外に出る。
ブーンにはうまく返事を返せない。
どうして、友達とうまくやれないのだろう。
しかし、外に出たら1人になる。そして、街を見渡しながら考える。
暴徒と化したのはソード。
一般住民はどこかで怯えながらひっそりと暮らしている。
外を歩けるのも最早一種の特権だ。
ごめんよ、みんな。
俺は外の空気が吸いたくなっただけなんだ。
('A`)「始めるか」
懺悔の意を心に表しながら、俺は何だかんだで特訓を始める。
皆を守りたいから?
多分、自分が死にたくないからだと心に語りかけ、暗い暗い感情を大きくする。
体と心に何か嫌なものが満ちて、大気にそれが拡散していくのが分かる。
19 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:34:12.26 ID:TK5dDeGy0
('A`)「出てこい、影法師…」
こいつを呼び出すときは常に陰鬱になる。
自分の心の表れを、こうもまざまざと見せつけられたら誰だって嫌になるだろう。
相変わらずに奇妙な顔のドクロと薄黒いボロボロの布と怪しく光る日本刀。
弓でないのが天の邪鬼な俺らしいな。
('A`)「広がれ」
今では半径15メートルにまで影を広げることが出来るようになっ。
自分の心の影を世界にも与える。
俺の影を世界に映す。
そう思うと、影は世界に広がった。
影の中にいると落ち着く自分にたまに嫌悪感を感じる。
何も見えない真っ暗な世界、俺だけの世界。
俺だけが全てを把握できて、他の者には真っ暗闇なこのちっぽけな空間。
優越感に居心地が良いのは当たり前なものの、少しばかり自分に引く。
20 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:36:19.70 ID:TK5dDeGy0
('A`)「切り裂け」
袈裟に切って、返す刀で燕返し。
横、斜め、縦と真っ暗闇な空間で、刀を振り回す。
自分のソウルが満ちているからだろうか。
どこに何があるかが俺にだけは分かる。
暗く小さな俺だけの世界。
俺より強いソードが現れれば、すぐにかき消されるような弱い世界。
真っ暗闇な空間で俺は優越感と自己嫌悪を繰り返す。
その度に影法師に力が満ちるのを知っているから。
('A`)「帰るか…」
商店街だった場所に行き、散乱している商品を
少しばかり手に持ちながら俺は帰路に着く。
もう、商店街にも人はいない。
皆どこかに引きこもっている。引きこもりに外に出て来いと言っていたのはどこのどいつだよ。
結局、怖ければ誰だって引きこもるんだ。
21 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:40:01.77 ID:TK5dDeGy0
(´・ω・`)「お帰り、ドクオ。今日は卵無しのすき焼きだよ」
帰ったらショボン先輩が豪勢な鍋を用意して待っていてくれた。
きっと皆の疲れを少しでも嫌そうと、作ってくれたのだろう。
ちょっとした散財を咎める人間は誰もいなかった。
( *^ω^)「おっお、ショボン先輩は料理がうますぎだお!」
ξ゚ー゚)ξ「全くブーンったら、もっと上品にしなさいよ」
検事という夢を絶たれ、現実を受け入れることも出来なく落ち込んでいたツン。
そんなツンもショボン先輩の料理とブーンの無邪気さに少し元気が出たようだった。
良かった、ツンのような気丈な人間が落ち込むと場の空気すら悪くなる。
まあ、いいや。とりあえず食べよう。
皆で箸を持つ。
「「「「「いただきま―す!!」」」」」
( *^ω^)「美味しいお!この調理ならむしろ卵は不要!この料理を作ったのは誰だあ!」
( ゚∀゚)「この料理を作ったのは…」
(´・ω・`)「このショボン様さ!」
22 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:43:07.93 ID:TK5dDeGy0
談笑をしながら鍋をつつく。
みんなに元気が少しだけ戻るのが見える。
普段はあまり冗談を言わないショボン先輩すら、場を盛り上げようと努めている。
俺はこの人を尊敬している。
だけど俺はこの人のために命を捨てれるか?
答えろよ、影法師。
川 ゚ -゚)「ふう、満腹だ」
( *^ω^)「心もお腹も大満足だお!」
ξ゚ー゚)ξ「ありがとうございました、ショボン先輩。わざわざこんな料理を…」
(´・ω・`)「なあに、先輩の役目ってやつさ。
それよりも皆のその顔を見れて僕も満足さ」
場の空気に活力が戻る。
ショボン先輩の料理とブーンの明るさ。
ジョルジュ先輩の活発さに、クー先輩の理知的な頭。
皆に優しい気持ちを起こさせるツン。
こんな時に必要なのはソードじゃない。
人の心の明るさだ。
俺にはないもの。
そう、俺のソードには一片も見ることが出来ないもの。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:43:19.23 ID:kNiYM2HdO
昨日の分読んで面白かったから支援!
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:44:38.38 ID:XpaUp4x20
昨日のやつかー
続ききたこれ
25 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:45:29.30 ID:TK5dDeGy0
変わりたい、無くしてしまいたい自分の汚い部分。
大学に入り初めての部活、初めての先輩、そして初めての友達。
変われると思った、消してしまえると思っていた。
今でも消そうと思えば消せるのかもしれない。
だけど、そうすると影法師は消えるだろう。
なんでだろう、それだけはなんとなく分かる。
このままここにいても辛いだけなのに、俺はここから離れられない。
駄目だ、楽しいはずなのに結局暗くなる。
( ゚∀゚)「ふう、腹一杯だ。ドクオ、腹ごなしに一服付き合えよ」
('A`)「あ、はい。分かりました」
暗い顔をしていたのだろうか。
唯一の喫煙者のジョルジュ先輩に付き添ってベランダに出る。
( ゚∀゚)「腹ごなしの一服だけはやめられねぇな。
おっぱいがあればもちろんそっちの方がいいけど」
笑いながらそう言うジョルジュ先輩。
言動から想像出来ない思慮深さを持っているこの人も良い人だ。
空気を読めないのは無く、良い意味で空気を読まない。
自分はどうあがこうとこの人のようにもなれないな。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:46:21.34 ID:aUs3ZQ49O
たった今まとめで読んできたよ
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:46:25.24 ID:XpaUp4x20
支援
28 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:46:55.95 ID:TK5dDeGy0
('A`)「お袋が煙草嫌いで大学入るまでは周りに吸う人居なかったんです。
だからなんか新鮮ですよ」
( ゚∀゚)「おう、そりゃお袋さんが正しい。こんなもん積極的に吸うもんじゃねぇや」
('A`)「はは」
他愛もない話をされるのが一番心が楽になる。
こんなときは励まされたりする方がかえって辛い。
ジョルジュ先輩もそれを分かって、わざわざこんな風に軽く話してくれてるのだろう。
( ゚∀゚)「寒くなっちまったな。入ってテレビでも見ようぜ」
('A`)「そうですね。ジョルジュ先輩のせいですっかり冷えちゃいましたよw」
( ゚∀゚)「この野郎www」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:47:38.62 ID:XpaUp4x20
ん、まとめあったのか?
30 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:49:27.42 ID:TK5dDeGy0
居間に入ってテレビをつける。
下らないお笑い番組や、バラエティ。ドキュメンタリーにしようかなんにしようか。
こんな時だからこそ見たい。こんな時だからこそ見たくない。
今日は前者だったらしい。
皆が笑いながらテレビを見る。
何も考えなくていい。ただ笑えばいいだけなんだ。
(´・ω・`)「さあて、そろそろ寝ようか。」
ショボン先輩がそう言ってテレビを消そうとした時、
無情にもニュースの速報が入った。空気を読めよ、ソード達は。
「レジスタンスがホロカード放送局を占拠したようです。
繰り返します、レジスタンスがホロカード放送局を占拠しました!」
('A`)「な…!」
(;´・ω・`)「なんだって…」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:50:53.89 ID:aUs3ZQ49O
32 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:51:53.45 ID:TK5dDeGy0
ショボン先輩が慌ててチャンネルをホロカード放送局に移す。
そこに映っていたのはソード同盟のモララーじゃない。
全く別の男だった。
【( <●><●>)】「初めましてソードレジスタンスのリーダー、ワカッテマスです」
【( <●><●>)】「我々はソード同盟の趣旨に概ね賛成です」
目を見開いて喋る男の顔に狂気の色が見てとれる。
こいつはやばい。
モララーは柔和な雰囲気だった。だけど、こいつには柔和という文字は見えない。
確信に満ちた瞳で、淡々と話すその男に恐怖すら覚えた。
【( <●><●>)】「過去独裁が長く続かなかったのは代が変わる度にその力を衰えさせたからです」
【( <●><●>)】「しかし、我々ソードに弱体化はあり得ません。」
【( <●><●>)】「ソードになれば独裁が許される。
弱肉強食の自然において、これほどシンプルな統治はあり得ません」
【( <●><●>)】「我々ソードレジスタンスはソード同盟に独裁政治を求めます。
受け入れられなければ宣戦布告を致します。また、ソードでない方は我々の奴隷、人質です」
【( <●><●>)】「それでは皆さん明日からをお楽しみに」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:53:17.87 ID:aUs3ZQ49O
支援!
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:53:33.39 ID:XpaUp4x20
35 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:54:37.87 ID:TK5dDeGy0
ワカッテマスと名乗った男は、そう言い近くにいたディレクターの首をナイフで刺した。
赤くなる、画面。
誰か死を恐れない人がいたのだろう。
次の瞬間には、画面は砂嵐となっていた。
短い放送、たった五分間の映像。
その五分間でこの十日間の苦労が無になった。
必死に耐えて、心を気丈に持ちいつかの明るい未来を想像していた皆。
力の無い希望は、それだけで絶望になるんだな。
そういう世界か。
ξ;;)ξ「もう、嫌!!!なんでこんな…!!!」
( ;^ω^)「落ち着くお、ツン!!ソード同盟だってきっとこんなのは許さないお!!」
ξ;;)ξ「うるさい!!うるさい!!うるさい!!!」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:55:46.91 ID:XpaUp4x20
支援
37 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:56:50.35 ID:TK5dDeGy0
ツンをなだめるブーン。
ほら、もうソード同盟に頼っている。
必死に冷静になろうとする先輩方、やけに冷めた心の俺。
こんなものだろうな。よく考えれば人間は昔からこうだった。
新しい強力な武器が生まれる度に混乱は生まれ、争いを起こす。
武器がソードに変わっただけ。
今までは武器がソードに勝っていた。
それが逆転したら、新しい混乱になるのは目に見えている。
むしろ、ここまで来るのに遅かったくらいだ。
なのに、何でだろうこの不快感は。
(;´・ω・`)「とりあえず眠ろう。ドクオすまない。
とうとうお前に頼る時が来てしまったのかもしれない」
('A`)「分かってますよ…」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:57:00.48 ID:OfW7Lv150
オムみてくるかなー
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 16:59:11.36 ID:aUs3ZQ49O
支援
40 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 16:59:21.09 ID:TK5dDeGy0
またも気弱になってしまったショボン先輩を励ましたかった、力一杯答えたかった。
なのに出てきた言葉は、冷めた一言。
想像が現実になる。
マッド・ピエロに初めて出会った時の様な恐怖をまた感じるのだろうか。
もう、英雄でも偽善者でも関係ない。
ここまで来たら後は戦うだけだ。
他人のためでも自分のためでもない。
ただ生きるために。
生きる理由は死ぬときに考えよう。今は、とてもそんな暇は無い。
そう思いながら、俺は眠りについた。
第五話「英雄も偽善者も関係ない」 終
41 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 17:01:24.39 ID:TK5dDeGy0
>>31 ママママママママジで!?
うわあああああああ、本当だ!!!
あ、二十分後ぐらいに第六話を投下します。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 17:01:39.74 ID:XpaUp4x20
支援
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 17:01:53.27 ID:OfW7Lv150
なんで作者が知らないんだよw
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 17:03:15.59 ID:XpaUp4x20
すごい書き溜めしてるんだな
さくさく見れて嬉しいわ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 17:04:54.04 ID:kNiYM2HdO
オムはまとめてもなにも言わないからな
まぁオムに限ったことじゃないけどシエスタ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 17:05:42.77 ID:xV8rQ6jkO
これは久々に楽しめそうな厨二物
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/01(日) 17:07:35.46 ID:aUs3ZQ49O
作者も知らなかったんすかw
再開楽しみに待ってるよ!
48 :
('A`)が狭間で生きるようです:2009/03/01(日) 17:19:50.11 ID:TK5dDeGy0
第六話「汚い心と汚い体、汚れない心と汚れない体」
朝目が覚めた時、俺以外の皆は起きていた。
不安で眠れなかったツンを始め、皆各々に思うところがあったのだろう。
夜のうちにレジスタンスが来たら。
ソードを持つ身にとっては安眠すらも特権か。
ここにいる居心地の良さ。
それを守るための義務と責任。
重圧を感じながら、ショボン先輩が作ってくれた朝飯を食べる。
味付けが少ししょっぱい。
そんなとこからも皆の動揺が見てとれる。
('A`)「今のうちに食料を手に入れてきます。時間が遅くなればなるほど危険は増すはずです」
(´・ω・`)「ああ、頼む。戻ってきたらうまい料理を作ってやるよ」
( ;^ω^)「ドクオ、すまないお」
川 ゚ -゚)「気をつけて行ってくれ。
いくらお前がソードと言えどレジスタンスや暴徒の数が多かったらすぐに逃げてくれ」
('A`)「無理はしませんよ。自分のレベルは自分が一番分かってますから」
49 :
('A`)が狭間で生きるようです:
そう言い、俺は外に食料を探しに出かける。
無理はしない、俺のためにも皆のためにもその方がいいほうに決まっている。
そもそも戦える自信が無い。
マッド・ピエロはレベル1だったのだろう。
だからこそ急いだ。自分より強いものが現れてからは、
目的が達成出来ないからだ。
今から会う敵はそんな奴らじゃない。
準備を整え、恐らく集団で動く。
考えるだけで震える。
俺はスタート地点に立っただけ。
しかも能力も大して強くない。逃げるのにも向いているとは思えない。
自分を中心にしか影を発することが出来ないのだから。
むしろ夜の方が強いくらいなのになんだって昨日の夜中に出掛けていかなかったんだ。
嘆いても仕方がない。現実に出来ることをするだけだ。