ある日のハカランダ店内。
カランカラン♪
始「いらっしゃいませ」
良太郎「こんにちは。今日はハナさんと来ました。あっ、一真兄さん」
一真「よぉっ、良太郎。二人でお茶しにきたのか。
始、二人にもコーヒー頼む」
ハナ「こんにちは。うわぁ、見事な七夕飾りですね」
始「来店した人に短冊を書いてもらっているので、どうぞ」
(思いっ切り顧客用スマイル)
ハナ「あ、ありがとうございます」
一真「……」
良太郎「せっかくだしさ、何か書いていこうよ」
ハナ「他の人は、どんな願い事してるのかしら」
良太郎「色々あるよね。あっ、これ。
『橘くんが、怪我をせず健康でいられますように。小夜子』だって」
始「不可能だ」
一真「わかっていても、言わないのが思いやりだ…」
良太郎「ハナさん、見てみて。こっちには勝利祈願の短冊がいっぱいある」
ハナ「『優勝するのは私だ!』『今度こそ勝つ!』『我に勝利を!』『完全勝利!』
『打倒、ジョーカー』『ジョーカー撃滅!』『誰がかジョーカーを倒しますように』
スポーツ関係にしては、妙なのが混ざっている気がするけど」
ガタン。
ドタドタ、バタバタ。
良太郎「そうだよね…ところでさ、カウンターの方から物凄いプレッシャー感じるけど、
これって気にしない方が身の為だよね、多分」
ハナ「いつのまにかお客さんが、皆いなくなってるし、何か変よね」
良太郎「いったい、どうしたんだろう?」
一真「…良太郎、そろそろデンライナーの乗車時間じゃないか?
短冊は飾っておくから、早く行った方がいいぞ」
良太郎「うわっ、もうそんな時間! 教えてくれてありがとう、兄さん」
ハナ「すみません、宜しくお願いします」
カランカラン♪
一真「慌しいよな、全く。ところで始、あの二人の願い事って何だと思う? 見てみろよ」
始「『良太郎が無茶をせずに済みますように』
『ハナさんの願いが叶いますように』か」
一真「小夜子さんと言い、自分ではなく相手の為に願うってのが、いいよな」
始「…俺には、わからない」
一真「単純な事さ。お前だって、天音ちゃんが喜ぶ事をしてあけだいと思うだろう。それと同じさ」
始「…そうか」
季節ネタでした。
以下、おまけ。
始「弟達のコーヒー代の支払い、忘れるな」
一真「!?」
始「何を驚いている。注文したのはお前だから、当然だ」