【役所広司】黒沢清の『叫(さけび)』【葉月里緒奈】

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ラストの小西の「叫」は、役所の変化を表してたんだろう。
二人の骨を拾ったことで、「この世に未練を残す者」の声が聞こえなくなった。
それは裏を返すと、途中で精神科医の話にもあったように、
「幽霊」というものが他でもないそれを見る者自身の心の鏡だということ。

二人の骨を拾うことで「過去との訣別」を達成した役所は、
葉月の呪いから解放される代わりに、愛する者への想いを失った。
だから劇場の音響設備の限界のような葉月の「叫」を観客に散々聴かせた後に、
ラストの小西の「叫」だけは「無音」。
俺にとってあれは何とも悲し過ぎるラストだったな。