〓 藤田まこと【 明日への遺言 】小泉尭史 監督作品 〓

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321302
>>306
>わからなかったところ
>最後、裁判官が助け舟を出した。「報復ではなかったのか」
>で、岡田は報復ではなく処罰だ」といって、自ら死刑になる道を選んだ。
>報復だった、といえば、助かったかもしれないのに。

302ですが、私が勝手に答えて良いのか判りませんが一番詳しいと思うので少し・・
映画では裁判長が、アメリカ陸軍の法規には「報復で殺すことがある」事を示しますね。
これは欧米の戦争の考え方では報復が認められているという事なのです。確かハーグ条約にもそうした規定があったと思います。
従って裁判長の見方では報復で殺したのなら、ある程度の国際的な常識で戦争行為をしたのであって、岡田中将の処刑命令も理解しやすい。そういう譲歩的な質問だと。

しかし、岡田中将はあくまで処罰であったと答える。

おそらく岡田中将も裁判長の質問趣旨を理解しつつも、日本の表向きの考え方=報復は汚い行為である、を通したのでしょう。従って処罰と答える。
この結果岡田中将が無期禁固刑から死刑になったのか否かは不明であり、むしろ大岡昇平が書いているように処刑の命令を認めた場合、死刑は免れなかったと考えるべきでしょう。
そして実際には、このB29搭乗員は死刑だとする日本の軍律自体が、実際には「報復」を意図したものだったでしょう。この辺りはこの軍律が定められた経緯から判ることです。

以上のような難しい経緯をこの映画は、少しも説明しません。なので、これをただ「戦前の軍人は偉かったと賞賛する映画」と受け取らないでほしいと、書いたのです。

つまり、こうした処刑の本当の意味と裁判での主張は微妙にずれている。裁判に直面した岡田中将にはその矛盾が見えているはずです。彼から見ても日本軍の軍律のおかしさ、あるいは戦争自体の残酷さが判っていたはずです。

この映画には、そうした意味があると思います。