○▼△ 郡山市スレッド Part126△▼○

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987ゆきんこ:2013/02/05(火) 20:01:15 ID:V2s43JKQ
徳川家康が発布した禁教令によってキリスト教は禁止となった。
禁止とはなったものの信仰をというのは人間の内面の問題なので検めるのは難しい。
幕府側は苦慮した末キリシタンが崇める教主を象った浮き彫りを作り
それを踏ませる事で非キリシタンである事の証明とすることにした。
踏み絵である。

早速奉行は鍛冶屋に踏み絵となるものを注文した。
しかし注文を受けたこの鍛冶屋はキリスト教について全く知らなかった為
奉行側から肖像を詳しく聞き出して製作することとなった。
奉行からの注文と言う事で未知の製作物ながら意匠を凝らして踏み絵を完成させたが
何の目的で使うものなのか鍛冶屋は知らなかった。

完成した踏み絵を持って鍛冶屋が奉行の下へ赴くと
奉行は踏み絵の出来に満足し、鍛冶屋を誉めた。
鍛冶屋も奉行直々にお誉めの言葉を賜った事に平伏したが、
注文した奉行と対面しているのは良き折であると思ったのか
これは何に使うものなのかと奉行に尋ねてみた。
奉行は鍛冶屋の問いにこう答えた。

奉行
「これはキリシタンを見つけ出すために使うものである。
キリシタンの教主を象ったこの浮き彫りを踏めなければ
キリシタンであるとして厳罰に処すのだ。
事の初めにまずお前から踏んでみよ。」

鍛冶屋はこの答えに驚き踏む事は出来ないと拒絶した。

奉行
「なぜか。お前はキリシタンなのか。」

鍛冶屋
「いいえ、私は神仏に誓ってキリシタンではありません。」

奉行
「では何故踏まないのか。」

鍛冶屋
「これは私がお奉行様の為に丹精込めて作り上げた作品です。
私の作品を足蹴にするなど出来ません。」

奉行
「しかし踏めずば罰するというのが決まりである。
踏めなければお前をキリシタンとして罰さねばならないのだぞ?」

鍛冶屋
「それでも構いません。」

こうして踏み絵を作った鍛冶屋は処刑された。
踏み絵によって最初に死んだのは、踏み絵を作った非キリシタンの鍛冶屋だった。