【告発や内部告発】
掲示板上で告発をなさろうとする方がおいでになります。後を絶ちません・・・
しかし、匿名掲示板で受け付けるには大きな困難があります。
匿名掲示板の特性として、通常掲示板管理者も利用者も書きこむ人の身許について一切分かりません。
発信者の記号としてリモホが表示されていますが、これとてそのままでは身許を明かす直接証拠とはなりません。
書込み人の身許が分からないから『匿名掲示板』なんですが、ここに告発などに向いていない特性があります。
よく削除されると『事実を書いて何が悪い』と、顔真っ赤にされる方がいらっしゃいます。
『事実である』ことを証明できるのは、書き込んだ本人なのですが…掲示板はその本人が誰であるかが不明です。
書き込まれた後は掲示板管理者の責任となるのですが、その管理者も書き込まれた内容が事実であるか、嘘であるか分かりません。判断の手段もないのです。
書き込んだ本人に事実確認しようにも書込み本人は探せません。
□書き込まれた告発が名誉毀損の恐れがある
法律に『名誉毀損』というものがあります。
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(名誉毀損)※抜粋
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
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問題となる部分は『その事実の有無にかかわらず』と、いう部分です。
平たく言えば、事実であることを指摘しても名誉毀損になるよ、と、いうことです。
『公然と事実を摘示し』は、ネット掲示板に書き込むことなどがあたります。
ただし、次の特例があります
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(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
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これは、『公然と事実を摘示し・・・』しても その結果が『目的が専ら公益を図ること』であるなら名誉毀損にはならないよ、って言うことなのです。
ここには書かれていませんが、名誉毀損にならないためには、裁判でしか争えません。
その裁判では、名誉毀損に問われた方(告発者)が全ての証拠を揃えて、告発したことで公共の利益に叶うことを立証しなければなりません。
こんな証明、単なる仲立ちの媒体の掲示板(管理者)が出来るわけないです。
□そこで『プロバイダ責任制限法』
名誉毀損事案では、まったく解決の手立てをもたないプロバイダや掲示板の責任を制限するために、この法律ができたわけです。
これによれば、名誉毀損に関わる事案では、削除すれば責任問わないよ、って事なんです。
□じゃ、告発はネットではできないのか?
出来ます。本人に覚悟があれば自分でドメインをとり、どっかの小国にサーバを置いて、そこから発信するわけです。
ドメインは日本国内でとったり、サーバへも日本からアクセスしていれば日本の法律が適用されますのでご注意です。
□もう一つ方法があります。
公益通報者保護法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO122.html を利用して告発する方法です。
昨年海保の動画告発事案がありましたが、当事者が最初に持ち込んだ某テレビ局がヘタレじゃなかったら、同法に基づいて
もっと違った経緯になっていたと巷で広くいわれていますね。