【芸術家つんく、栄光の軌跡】 ■第十五回■
小学一年生の冬のある日、光男少年は親類縁者を集め
小さな演奏会を行った。ショパンのピアノソナタを弾いた後、
光男少年は自作のピアノソナタを演奏した。
それは「白鳥の歌」「乙女の詩」「星空の夢」と題する曲であった。
約20人の聴衆は熱心に耳を傾け、その天才ぶりに酔った。
それは小学一年生の児童が自作して演奏する奇跡の旋律であった。
光男少年は時に宙を仰ぎ、時に目を閉じ、或いは鍵盤を見つめながら
ソナタを弾いていた。その姿はとても7歳には思われなかった。
雪が降り続く寒い晩のことであった。
(第十六回に続く)